あの作品のキャラがルイズに召喚されました part280

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?
そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part279
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1278837528/
まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/18(日) 18:07:58 ID:RrAncaQH
>>1
3名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/18(日) 18:09:10 ID:fDHCGZTU
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
 ※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
  最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大

1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり

4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/17(日) 02:13:03 ID:9AxAAVZE
やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-244.html

完結:やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-245.html

やる夫が「売れっ子」ラノベ作家を目指すそうです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-284.html

やる夫が同人小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-371.html
4名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/18(日) 18:11:08 ID:fDHCGZTU
このぐらいまで単純化できそうな気がする。

爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会

最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち

爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり

途中飛ばすけど、

 対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
5名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/18(日) 19:02:39 ID:LNH9sAcX
スレたて乙。
そして1以外はテンプレではない。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/18(日) 22:27:44 ID:4+CDT5PA
何だ、荒らしの立てたスレか。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 00:41:47 ID:ULFEyxJW
前スレよく確認してみたら容量もまだ余裕あったな。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 01:56:16 ID:IB5k2kxz
変なのが発生していたんで、あのまま埋められる可能性もあったしね。
その辺はお察しください。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 02:05:11 ID:uNKUqv2Z
宇田川乙
10名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 03:27:47 ID:Rrkk/Bsi
ひどい糞スレを見た、荒らしの脳内はよくわからんな。
とりあえず>>1は削除依頼出しとけよ
11名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 10:01:02 ID:b/Myzl0i
そうか。そういえば夏だったな。八月いっぱいくらいまでは避難所進行でいいかもしれん。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 11:52:40 ID:wgWS++WG
ようやくギュス様でラウプホルツ行けたが
ケルヴィンのHPが低すぎて笑えない
13名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 12:01:31 ID:CKDVL6S1
あそこはケルヴィンがダメージ受ける前に
ギュスの剣技でさっさと殲滅するところ。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 12:14:20 ID:T60yxyOU
鋼の使い魔の人は帰ってこないのだろうか……
エッグ召喚SS書くお! と言っていた知人はどこへ行ったのだろうか……

人は何処へ行き、何処へ消えるのだろうか……
何故シルフィードはこんなにも可愛いのだろうか……

15名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 12:36:06 ID:wgWS++WG
>>12
誤爆
16名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 13:29:25 ID:w+0QKO18
旧スレでもお願いしましたが
現在、本スレのほうでの荒らしの乱行に対しまして、避難所の運営議論スレのほうで、投下スレの避難所への一時退避が
検討されています。
使用予定になっていますのは、昨年度の埋め立て荒らしによる際に使用されました
『あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所』
すでに運営議論スレにて、作者さん数人を含めます方々が移転に賛成していらっしゃいます。
夏休み期間中に入りましたし、粘着している荒らしの長さから考えましても、重要な問題と思われますので、
読者、作者さん問わずに、避難所にて忌憚のないご意見をお願いしたく存じます。
17名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 13:35:24 ID:wzGYsWDb
このスレ立てたのも明らかに件の荒らし

このスレ自体連番も無効で避難所進行、「夏」の終結をもって再度280から立て直しのスタンスで良いと思われ

その辺含めて議論は避難所で。

こちらには当面荒らしの実態告知以外何もしないのが吉でしょう。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 18:02:37 ID:XeqmdNVd
間違いなく人生終わってる暇人なので夏を過ぎてもわいてくる危険ががが
19名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 18:22:08 ID:6/BeD6lE
20名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 22:02:07 ID:fXG3IfE2
先頃DVDが発売されたドラマ『天国に一番近い男』の自称天使、天童世死見を召喚。
ルイズに次々出される命題。

「3日後の日暮れまでに心の底から本当にメイジになりたいと願うことができなければ即死亡!」
「3日後の日暮れまでにワルドとキスできなかったら即死亡!」
「3日後の日暮れまでに年上の人に抱きしめられて『ありがとう』と言われなかったら即死亡!」
「3日後の日暮れまでに本当の涙を流せなかったら即死亡!」
「3日後の日暮れまでに一番大事な約束を守れなかったら即死亡!」
「3日後の日暮れまでに天童世死見がシエスタに殴られなかったらルイズが即死亡!」
「3日後の日暮れまでに『一回でもルールを守らなかったら即死亡!』『女とキスしなかったら即死亡!』」
「3日後の日暮れまでに姉2人に勝てなかったら即死亡!」
「3日後の日暮れまでに間違った選択をしたら即死亡!」
「3日後の日暮れまでに他人を改心させないと即死亡!」
「3日後の日暮れまでに天童に『さようなら』が言えなかったら即死亡!」
21名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 22:23:20 ID:YhF0hqqb
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                     ス   レ   終   了                        
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         このスレは終了しましたので、これ以上書き込まないでください              
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22名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/19(月) 22:49:22 ID:vzWE7Mpd
>>20
続編で教師になるルイズなんていなかったぜ。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 14:45:23 ID:X0Ls8bl7
24名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 20:49:26 ID:fqa3RwhW
ところで、このスレで進行すると問題があるのか?
携P板からしたら、荒れてないんだが……
シャア板の分割前と比べても荒れてないし……

と、これだけじゃあれなので小ネタを考え中
25名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 20:57:35 ID:KJ+FPFHY
前スレ見ればわかる。今は静かだけど。
26魔砲の人 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 20:58:17 ID:Y0xqZpeq
投下行かせていただきます。
27ゼロと魔法使い 第31話-01 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:01:01 ID:Y0xqZpeq
第31話 切札

 ラ・ヴァリエール公爵、宰相就任を受諾。
 山が動いた結果起こった地震の第一弾がこれであった。
 
 あれ、トリステインの宰相ってマザリーニさんじゃなかったの、と思う方がいるかもしれないが、彼は宰相の仕事をマリアンヌ王妃からある意味委託されていただけで、正式に宰相位にいたわけではない。あくまでも彼は『事実上の宰相』だっただけである。
 言うならば彼は『国王代理』であるマリアンヌ王妃(彼女は国政に直接かかわることを拒否している)より、王権の証を預かって運用していただけに過ぎない。
 王が不在であっても王の認可を要する仕事は無数にある。この場合、王の代理として王妃もしくは王太子(トリステインの場合はアンリエッタ姫)、もしくは正式に王より委託された宰相がそれを代行することになる。
 ところが現在のトリステインには、王が不在にもかかわらずこの最後の王印を押すべき人物がいなかった。
 マリアンヌ王妃は『王妃は政治にかかわるべきではない』とこの任を拒否、アンリエッタ姫はまだ年若く責務をこなせるとは思われず、正式な宰相は任命されていなかった。
 マザリーニ枢機卿は、本来相談役的な、正規の権限のないアドバイザーであったにもかかわらず、マリアンヌ王妃にからいわば『非公式宰相』のような役目を押しつけられる羽目になったのである。
 彼が国内の貴族にウケがよくない理由のうち、実はこの事が結構大きかったりする。
 ただでさえよく思われていないのに、彼は『ロマリアの枢機卿』、トリステインの貴族から見たら外様も外様、いや、日本で言うならアメリカの副大統領が首相代理をやっているようなものである。
 それでもそれが『日本国首相から正式に依頼されて承認されたこと』なら不平は出てもとりあえず建前として官僚達は仕事をしたに違いない。
 そして結果として景気は回復、失業率は減少なんて事になったら下手をすれば日本人の政治家はいらないと言われるくらいにはなったりしかねない。
 ところがこの首相代理、正規なものではなく、『入院中の首相が私的に頼んだ』ようなものなのである。これで下に従えというほうがはっきり言って無理だ。
 そのため、彼の元に回ってくる決裁事項のうち、『絶対に王の裁可が必要なもの』以外は、その下に当たるものの承認で代行されることが多くなっていた。
 一例としてあげれば、司法−−裁判の結審の一部は、本来最終執行権を持つ王の承認が必要なのだが、これが司法の最高官である高等法院長の決裁で代行されるようになっていた。
 もちろん、こそ泥の裁判に王がサインすることはまず無い。だが、汚職や脱税を貴族が行った場合、それを裁くのは貴族の長たる王の職務である。これが高等法院長によって代行されるようになっていた。
 もちろん、これ自体が本来なら重大な権限逸脱であり、権力の濫用である。だが法院長は、
 『これは王自身か、正規の王の代理人でなければ任せられない。ましてや他国の者には。枢機卿が事実上の宰相だとしても、正規の者でないかぎり裁可をゆだねるわけにはいかない』と、上の要求を突っぱねていた。
 そして困ったことに、諸侯百官全てが、この件に関しては法院長を支持していた。
28ゼロと魔法使い 第31話-02 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:01:47 ID:Y0xqZpeq
 ちょっと考えてみれば判るが、最高裁判長代理を帰化もしていない外国人に任せる国があるであろうか。
 これでこの法院長が正義感あふれる人物ならまだいいのだが、それとは真逆のタイプだから頭が痛いのである。事実上の司法権限を握った彼の元で不正が蔓延しているのは傍目から見ても明らかなのだ。
 不正をしても罰せられないので、遠慮無く悪事に精を出して私腹を肥やす貴族官僚が今のトリステインにははびこりまくっていた。だがそれを止める権限を持った人物がいない。
 こうして心ある貴族は、むしろ王宮から遠ざかるという悪循環がトリステインを痛めつけていたのである。
 もちろんマザリーニ枢機卿もこれを黙ってみていたわけではない。彼はその辣腕を振るって自分に出来るかぎりの献策をし、トリステインという国を運用してきた。
 だが、彼はその立場ゆえ、頑張れば頑張るほど国が弱体化するというジレンマに陥っていたのである。
 いわば副作用の強い劇薬を投与し続けている病人のようなものであった。
 薬を続ければ体力が消耗する。だが薬をやめれば病で死ぬ。そんな中、少しでもトリステインという国を延命すべく、彼は頑張ってきたのである。
 だが、そこに思わぬ方向から衝撃が襲ってきた。
 ルイズの虚無覚醒である。
 これはいわば内科でしか治療が出来なかった病気に画期的な外科手術法が発見されたようなものだった。だがその手術を施すことは患者の体力にすさまじい負担を掛けることになる。
 だがマザリーニはそれを断行した。今それをしなければトリステインという患者は間違いなく死ぬ。それを誰よりもよく判っていたがために。
 
29ゼロと魔法使い 第31話-03 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:03:46 ID:Y0xqZpeq
 撃震は烈風を伴っており、それによってすさまじい災害が生じた。
 宰相に就任した公爵はためらうことなく綱紀粛正をすさまじい速度で断行した。
 それこそ不正をしていたものが証拠を隠すいとまもないほどに素早く。
 恐ろしい話だが、なんと宮廷貴族の3割が血の海に沈み、5割が罪を言い渡されて何らかの罰を受けたという。
 特に先の例に挙がっていた高等法院長などは、最終的に外患誘致による国家反逆罪という罪状を受け、裁判ではなく『国賊』として『討伐』されることになった。
 裁判なら異議を申し立てることも出来るし、あくまでも罰せられるのは本人だけである。
 だが今回の場合は、いわば戦争になった。彼の一族を『反乱者』として、武力による討伐が断行されたのである。
 こうなるとその身柄の扱いは完全に『敵』になる。法ではなく、力による制裁が行われる。
 こうなっては彼が以下に証拠を捏造しようとも無意味であった。敵対国を討伐するのに『大義名分』はともかく『証拠』を持ち出すものはいない。
 積み重ねた宮廷工作を力ずくで吹き飛ばされ、彼は戦死者の列に名を連ねることになったのである。
 他の貴族達はそのあまりの苛烈ぶりと手際の良さに殆どが白旗を揚げた。これは『綱紀粛正』ならぬ『綱紀粛清』ではないかというすさまじさであった。
 それが就任直後から、わずか一月足らずのうちに行われたのである。
 なお、マザリーニ枢機卿は公爵の宰相就任後、正式に相談役へとその立場を戻した。
 マリアンヌ王妃も王不在の間の王権を宰相に正式に委任し、トリステインはあっという間に盤石の体勢を取り戻した。
 そして王国は、アルビオン国王ジェームズ一世の要請に応え、大規模な派兵を敢行したのである。
 
 
 
 「なんというか、お父様の実力を甘く見ていたわ」
 「本当に、ものすごい豪腕でしたね」
 アルビオンへ向かう軍船『ヴュセンタール』の中、ルイズは雲海を眺めながらそう呟いていた。
 その顔には曰く言い難い、困惑と尊敬と衝撃の入り交じった表情が浮かんでいる。
 珍しくなのはにも似たような表情が浮かんでいた。
 「傑物、っていうのは公爵様のような方を言うのでしょうね」
 管理局に彼のような人物がいたら、あの混乱から局が立ち直る期間が半減したんじゃないだろうか、などと思っていたなのはであったが、そのイメージがふと別の人物に重なることに気がついた。
 
 レジアス=ゲイズ。JS事件に関連していたと言われる地上本部の重鎮。
 彼自身は事件の渦中で殺害されている。
 戦前の日本軍ではないが、管理局の『海(本局及び次元航行部隊)』と『陸(地上本部)』のすれ違いと対立は、結果的に大きな犯罪を生み出すことになった。
 根本にあったのは絶対的な戦力不足であり、その不足する戦力の分配に関する諸問題であったが、その解決策として本局最高評議会やレジアス中将らが禁断の果実に手を伸ばした結果、JS事件という大事件を引き起こすことになってしまった。
 事件の解明が進む中、中将に対する評価は悪事の黒幕から、許し難いが判らないでもないといった論調になっている。皮肉な話だがJS事件という世紀の大犯罪が対立していた海と陸に互いを理解するためのきっかけを与えたのである。
 そのため事件後一年経ったなのはの召喚前時点では、彼の業績についての再評価が行われていたりした。先の論調はその過程で出てきたものである。
 
30名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 21:04:59 ID:NFOT3XoE
紫煙
31ゼロと魔法使い 第31話-04 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:05:07 ID:Y0xqZpeq
 「清濁併せのむ、という言葉が私たちの世界にありますけど」
 なのはもルイズの方ではなく、彼女の隣で窓の下に見える雲海を眺めながら言葉を繋いだ。
 「ここ一月ばかりの間に流れてくる公爵様の噂は、恐ろしげなものばかりでしたね」
 「我が父ながらやり過ぎじゃないかしらってさすがに思ったわ」
 何しろ噂が事実ならトリステインは派手な内戦の最中とでも思えるほどだったのだ。
 「対立する貴族を容赦なく粛清してたものね」
 「結果として残った人達はまともな方ばかりだったようですけど」
 実際、ルイズも驚いたのである。この船に乗る前、最終打ち合わせのために父親やアンリエッタ姫、そしてお忍びの教皇聖下などと王宮で集合したのだが、その王宮に流れる雰囲気が一変していた。
 何となく感じていた重苦しさが綺麗になくなっており、出入りする貴族達の表情が皆妙に晴れやかだったのである。
 ルイズが世話係として付けられた女官にそっと聞いてみたところ、返ってきた答えにルイズはひどく驚かされることになったものである。
 彼女はこう言ったのだ。
 「公爵様のおかげです」
 と。
 それを聞いた時のルイズの内心の第一声は、
 (マザリーニ様、どれだけ嫌われていたのかしら)
 であった。
 
 ルイズは知っている。知らされたわけではないが、ルイズは馬鹿ではない。
 いくら父が豪腕でも、これだけの短期間にあれだけの嵐を巻き起こして、しかも残った人物が皆まともだなんて言うことはあり得ないことを。
 お膳立てをした人物は一人しかいない。
 彼は不正役人の証拠など、殆ど押さえていたに違いない。だが、たとえ完璧な証拠を揃えていても、彼にはそれを持って相手を裁くことが出来ない。
 彼がそれを為そうとすれば、間違いなく国が割れたから。いや、せっかくの証拠が自分を排斥するための手段にされてしまうから。
 そんなところにやってきたのが公爵だった。彼にしてみれば僥倖であると同時に念願のことだったのだ。そして公爵は見事に期待に応えた。
 ルイズは思う。我が父ながらあれは見事だったと。
 普通ヴァリエール公爵宰相就任などということになったら間違いなく即座に情報が漏れる。権力構造の変化に対応して水面下の動きが起こる。
 ところが公爵はその動きを見事なまでにごまかしきった。別邸を整備したことさえ、私的な用事だと言うことを交流のある貴族達に信じさせていたのである。
 そして枢機卿と王妃の手による電撃的な宰相就任と、それからわずか3日の間に起こった大粛清劇。何しろ就任第一声が徴税局に対する強制監査命令だったくらいである。
 しかもその最前線に立ったのが公爵夫人であった。臨時に3つの親衛騎士団を統括する身分を与えられた彼女は、自身もマンティコアにまたがって獅子奮迅の大活躍をする。伝令よりも早く省庁に殴り込み、書類一枚焼却させない素早さであった。
 こうした一連の流れの中、最大の殊勲者は誰なのか、ルイズにはよく判っている。だがその人物は一切評価されることはない。
 幸いだったのは、父もまたそのことをよく知る人物だったと言うことである。ルイズは彼と父が不仲なのはよく知っていただけに不安だったのだが、父はやはり父であった。
 「全く腹立たしい。何より乗せられていると判っているのにその通りにせざるを得ない自分が誰より腹立たしいわ」
 言葉は荒いのに、母に向かってそういう父の顔は、紛れもない安堵感に満ちていたのだから。
 
32ゼロと魔法使い 第31話-05 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:05:51 ID:Y0xqZpeq
 そんなこんなな流れの中で、間違いなくトリステインは生まれ変わったのだろう。
 評価されずとも、枢機卿の手腕は本当にすさまじい。今こうして乗っている戦艦も、普通ならあの政治状況下で用意できるはずのないものだ。
 この船は新造艦である。しかも『竜母艦』という新艦種だ。だが船というものはそうぽんぽんと作れるものではない。ましてや巨大な軍艦ともなればなおさらである。船そのものだけでなく、原材料や造船施設の確保なども必要なのである。
 彼は私腹を肥やそうとする悪徳貴族を巧みに誘導して、そういう必要だが時間の掛かるものをきっちり揃えていたのである。その先見性は恐るべきレベルともいえる。
 レコン・キスタの台頭や周辺国家との戦力比を見極めて、近い将来に軍艦の増産が必要なことを見越していたのだから。
 それが誤っていなかったからこそ、今のトリステインはアルビオン王家の危機にこうして援軍を出せるのである。
 
 そういった複雑怪奇な政治の流れというものを、この一ヶ月の間にルイズはたっぷりと学ぶことになった。教わるのではなく、目の当たりにすることで。
 なのはと共にルイズはずっと見つめてきたのだ。
 それが将来王になるルイズに必要なことだと、父も、母も、枢機卿も、皆判っていたのだった。
 もちろん、隣に立つ使い魔も。
 
 
 
 
 
 
 
 そして、レコン・キスタとアルビオン王党派の戦いは、最終局面を迎えることになった。
 
 
 
 
33ゼロと魔法使い 第31話-06 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:06:47 ID:Y0xqZpeq
 今回、虚無の担い手であるルイズがその圧倒的破壊力によって敵を撃滅するのは不可能であった。少しでも足しになればとなのはが『ディバイドエナジー』でルイズの魔力を回復させたりもしていたが、吸収力の不足はいかんともしがたかった。
 「虚無の力は、濫用してはならないという始祖の戒めかもしれませんね」
 ヴィットーリオは、そうルイズに語っていた。
 「私が今便利使いしている『トランス・ゲート』の呪文も、一度使ったらしばらくは使えません。最低でも3日は空けないとダメですね。あなたの『エクスプロージョン』のように中途で発動することもありませんし」
 一度現地に行かなければならないこと、連続使用が出来ないこともあり、神の笛であり、その移動を司ったというヴィンダールヴの出番は、この間中無くなることはなかったという。
 そして今回、戦いになればルイズが必殺の魔法を使えないことはすぐに相手にも判るだろう、とこちらも考えていた。
 何しろあの威力である。使えるのならば先制の一撃が一番効果的である以上、初手から使ってこないのならば出し惜しみする理由はないのだから。
 それに加えて、こちらはヴィットーリオによるクロムウェルの虚無否定を相手に叩きつけなければならない。だがいくら彼が目立つ容姿や声をしていてもそれを届けるのはまともな手段では難しい。
 だが、ルイズ達にはそれを為すための秘策があった。
 きっかけはなのはが使っていたパソコンである。
 ルイズも加わっていた作戦会議の最中、なのはは書記よろしくパソコンに話し合いの内容をまとめていた。
 プリンターがないので本職の書記の変わりにはならなかったが、現代日本のノートパソコンとは違い、ミッドのものはディスプレイが空間投影なので、画面を拡大するとプロジェクター代わりになったからである。
 話の内容がどうやって教皇の言葉を相手に届けるかという話題になった時、ルイズはそのディスプレイみたいに出来ればいいのではと思ったのである。
 そこになのはが助言を挟み込んだ。ひょっとしたら虚無の魔法にそういうのがあるかもしれませんね、と。
 実はなのはは『それ』が存在することを知っていた。
 『イリュージョン』、大規模幻影作成魔法。ミッド式にも幾つかある幻術を元にしたと思われる、術者のイメージを空間投影する魔法。
 そして空間投影ディスプレイという『見本』があったのがよかったのか、ルイズはイリュージョンのスペルを始祖の祈祷書から見出すことに成功していた。
 幸いこの呪文はエクスプロージョンのように全魔力を一気に使い果たすと言うことはなかった。むしろかなり消費魔力の少ない呪文といえた。
 それでもやはり『虚無』であるせいか普通の呪文に比べれば馬鹿魔力を消費しているのであったが、非効率であってもなのはが魔力を提供すれば何とかなる程度であった。
 
 
 
 
 
 
 
 アルビオン浮遊大陸。その外縁部において、十数隻の戦艦が互いに対峙する。
 お互い総力戦といえた。半数の軍の寝返りにより、彼らには後がない。
 そしてそれはアルビオン王党派も同じであった。トリステインの援助があるとは言え、援軍込みでやっと彼らとほぼ同等の戦力にしかならないのである。
 まさに乾坤一擲、この戦いの勝者こそが全てを得る。
 両軍とも、いかなる犠牲を払ってでも……そう、思っていた。
 
 ところが。
 
 この戦いは、あまりにもあっけない結末を迎えることになる。
 
 
 
34ゼロと魔法使い 第31話-07 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:08:05 ID:Y0xqZpeq
 「ミス・ヴァリエール、お願いします」
 「はい、聖下」
 
 見通しのいいヴュセンタール号の甲板上に、ヴィットーリオとジュリオ、ルイズとなのは、そしてワルドと配下の風メイジが数名立っていた。
 風メイジ達は、ヴィットーリオの『声』を増幅して遠方まで響かせるためにいる。
 両艦隊が互いの射程距離に踏み込もうとするまさにその一瞬に、ルイズの唱える『イリュージョン』が発動した。
 レコン・キスタの戦列の前に、突然巨人の姿が現れる。その姿を見た従軍神官が突然慌てだした。
 「なんだ、あれは!」
 突如現れた巨人と、慌てふためく神官の間に何かを感じ取った艦長が神官達に問いただす。
 そんな光景がほぼ全ての艦で起こる。
 そして艦隊の指揮官達は、巨人が何者かを教えられて愕然とするのだった。
 
 『レコン・キスタのものに告げる』
 
 そこに、風魔法で増幅、伝達された聖下の声が響き渡る。
 
 『私は教皇エイジス32世の名において、汝らが悔い改めることを望む。汝らが首魁、オリバー=クロムウェルは虚無の担い手にあらず。私はここに、教皇の名の下、彼の者を始祖に対する虚言と侮辱の罪において破門することを宣言する』
 
 その一瞬、その場にいてその声を聞いた者は、皆戦場が凍り付いたのを感じた。
 
 『なお、彼のもの以外については、偽りを知り得なかったことを鑑み、一週の猶予を与える。一週の後、なお彼に従いし者は、同じ罪にて連座とする』
 
 
 
 ルイズは驚いた。ワルドもまた思わず聖下の方を凝視してしまった。
 偽りの虚無を暴くことは打ち合わせ通りだが、まさか聖下の口からここまできつい言葉が出るとは思ってもいなかったのである。
 教皇直々の破門宣告、それはこのハルケギニアにおいて死刑宣告に等しい。
 これが教皇以外からなら、まだ悔い改めれば許されることもあり得る。だが、教皇直々となればこれを撤回できるものは同じ教皇しかいない。
 ましてや今代の教皇は同時に『虚無の担い手』である。教皇同士を比較したとしてもおそらくは最上位の教皇である。そんな彼の破門宣告を取り消せる他者はもはや始祖その人以外にはいないであろう。
 結果は劇的であった。
 
 レコン・キスタの全艦隊に、降伏旗が掲げられたのである。
 
 
 
 
 「よかったのですか? 聖下」
 ルイズが心配そうにヴィットーリオの方を見る。
 破門宣告は教皇にとっても諸刃の剣である。文字通り切り札ともいえる武器だけに、これを切ることは教皇の命そのものを政治的にも物理的にも揺るがしかねない。
 ましてや軍隊とはいえ不特定多数の教徒の面前での破門宣告である。
 これは教皇の持てる最大の権限執行と言ってもいい。
 そしてヴィットーリオはあっさりとその答えを返した。

 「かまいません」

 そこには揺るぎない信念があった。
 
 「幸いにして私の権威もまだ衰えていなかったようですしね。あなたが演出してくれた『奇跡』の効き目もあったと思いますし」
 実際、教皇の威厳と『虚無の御力』を目の当たりにした彼らは、恐ろしいほどあっさりとこちら側に鞍替えした。艦隊指揮官達にクロムウェルと直接繋がっている者がいなかったこともあったようだ。
 ごくわずかに彼の言い分を無視しようとした者もいたようだが、周辺の無言の圧力に屈したようであった。
 そしてレコン・キスタ軍の艦艇のうち、船足の速い3分の1がクロムウェルの破門宣告を届けるために帰還し、残りはこのまま王党派と合流して進軍することになった。
 もはや勝負は決した。
 この場にいる誰もが、そう思っていた。
 たとえクロムウェルが破門宣告に抗ったとしても、彼に味方する者はわずかに過ぎないであろう。
 その推測は間違っていなかった。
 間違ってはいなかった。
 
 が。
 
 見落としたことが一つ、そして知らなかったことが一つ、残っていた。
35ゼロと魔法使い 第31話-08 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:08:52 ID:Y0xqZpeq
 「そうですか」
 教皇直々の破門宣告を伝えられたクロムウェルは、静かにそう答えた。
 そしてゆっくりと立ち上がると、この場に残っていた幹部達全員を見渡し、言葉を継いだ。
 「今この場にいる全貴族、全将兵を集合させてください。今まで私たちに味方してくれたもの、全員です。集合が終わり次第、私の所に連絡を。そこで私の言葉を伝えます」
 その言葉を聞いた者は、彼がどちらの道を選択するのかを思いながらこの場から立ち去った。
 おそらくはレコン・キスタの解散を宣告するのだろう、そう予測しつつ。
 この衝撃的な言葉を聞かされても、彼は取り乱したりはしなかった。
 いつもと変わらない様子で、皆に声を掛けた。
 彼らにしても予想外といえた。まさかロマリアから教皇聖下が直々にお出ましになられるとは思ってもいなかったのだ。
 しかもその口から直接我々が逆賊だと宣言されてしまった。
 さすがにこの状態で革命を為すのは無謀である。大義も失われたに等しい。
 もしクロムウェル閣下が徹底抗戦を主張しようものなら、おそらくその場で暴動になるだろう。そしてそれを判らない閣下ではない。
 
 それに教皇の言葉には表裏一体の意味が込められている。一週間以内に下るのならば、反乱の罪は一切問わないという意味が。
 破門宣告は教徒にとってもっとも重い罪である。その罪を許すということは、他の一切もまた許すということである。
 もし王党派が降伏した我々らに対して処罰を加えようとするのならば、それは教皇が今度は王党派の敵になるということである。
 落としどころとしては妥当といえよう。
 伝説の虚無。
 伝説は伝説だからこそ利用できるのである。伝説が実在になってしまった時点で、我々は敗れたのであろう。
 彼らはそう思っていた。
 
 
 
 「シェフィールド……」
 一人きりになったはずのクロムウェルは、広い執務室でシェフィールドと呼ばれた女性に、甘えるようにしがみついていた。
 成人男性が若い女性の胸に顔を埋めているのに、不思議と性的なものを感じさせない。
 何故かその光景は母親が幼子をあやしているように見えた。
 「いわれた通りにしたけど、あれでよかったのかい? それに私はもう終わりだ。まさか聖下が直々にこの地まで出張ってくるなんて」
 「ご安心を、閣下」
 子供のようにおびえるクロムウェルを、優しくあやすシェフィールド。
 「破門宣告は諸刃の剣。確かにこれを持ち出されたらある意味では終わりですわ。でも……」
 「でも?」
 「破門宣告をしてなお相手が屈しなかった場合、落ちるのは教皇の権威です。残りのものが一丸となって抵抗をした場合、逆に地に落ちるのは彼の方なのです。ただでさえ若年の教皇聖下、彼を落としてその後釜にというものは、意外と彼の国には多いのですよ」
 「そ、そうか」
 その言葉に希望を見出すクロムウェル。
 「それと、あの方の方は……」
 「ご心配なく。既に準備は整っていますわ。それに」
 「いざとなればこれもある」
 幾分落ち着きを取り戻したクロムウェルは、己の指にはまった指輪を見る。
 アンドバリの指輪。死者をよみがえらせ、時には生者をも従えさせることの出来る水精霊の秘宝。
 クロムウェルにとって、それは己の身を最後に守ってくれる切り札ともいえた。
 「しかし、これほどの秘宝が何故存在していたのでしょうか」
 するとシェフィールドは、いたずらっぽい笑みを浮かべながら、クロムウェルに言った。
 
36ゼロと魔法使い 第31話-09 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:10:10 ID:Y0xqZpeq
 「ロールプレイングゲーム、という言葉をご存じで?」
 
 
 
 「役割を為す? 演劇とも違うようだが」
 クロムウェルがそう問い返すと、シェフィールドは問題を正解した生徒を見つめる教師のように、柔らかく微笑んで言葉を続けた。
 「ごっこ遊びの大人版ともいえる遊びですわ。あるものは物語の勇者に、あるものは叡智あふれる魔法使いに。かりそめの役になりきって、物語を追体験する遊びですの」
 そう言ってクロムウェルの背後に立ち、シェフィールドは豊かな胸を彼の背に押しつける。
 「こ、これ……しかし、大人版、というのは?」
 「ええ。ただのごっこ遊びと違うのは、真剣勝負の面もあると言うことですの」
 「真剣勝負?」
 彼の耳元で、囁くように語るシェフィールド。
 「ええ。誰かが全体のしきり役となって、勇者達の行動がうまくいくかどうかを一定のルールによって判断し、その結果を告げるんですの。
 他の者は勇者として、助言者として、己の役柄にあった行動を、己の考えによって成し遂げなければなりませんの。常に物語のようにうまくいくとは限らない、ということですわ」
 「……なるほど、それは面白い遊びかもしれませんね」
 自分が勇者になったところを想像したのだろうか。クロムウェルも少しにやけたような笑いを浮かべた。
 「そんな遊びに、かつてはまった古の王がおりましたの。王は空想に飽きたらず、現実にそんな勇者になってみたいと考えたそうですの。
 偉大なメイジでもあったその王は、そのためにいくつもの道具を創り出したそうですわ。
 このアンドバリの指輪も、その一つだとか」
 「遊びに使うにしては少し桁が違わないかい?」
 するとシェフィールドは、彼の胸板に後ろから手を当てつつ答えた。
 「この指輪は、そんな遊びの一つのためのものなのですよ。死せる友を操る悪の魔導師や、万を超える亜人の軍勢を演出するために作られた水の魔法道具。水の精霊がこれを秘蔵するのは、そのために必要な莫大なまでの水の魔力をこれに込めるためなのですわ」
 クロムウェルの返事はない。シェフィールドの手から放たれた魔法が、彼の心臓を止めていたから。
 彼女は後ろから彼を抱きかかえたまま、その指から指輪を抜き取り、自分の指に嵌める。
 そして彼女がクロムウェルから離れると、彼は何事もなかったかのように彼女の方に振り向いた。
 「ああ、シェフィールド、ありがとう。勇気がわいてきたよ。もう私には、恐れるものなど何も無い」
 「残る皆様方も、あなたに従うでしょう」
 ちょうどその時、ノックの音がした。
 「クロムウェル様、全軍の集合、完了いたしました」
 「判った。すぐに行く」
 
37ゼロと魔法使い 第31話-10 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:11:03 ID:Y0xqZpeq
 部隊は変わって、アルビオン北西に当たる海上。
 そこを進むたくさんの船がいた。
 多数の砲を備えた戦艦。これだけの艦船を備えた艦隊は、この地には一つしか存在しない。
 
 ガリア両用艦隊。水上と空中、双方を航行可能なガリア王国の主力艦隊である。
 その旗艦『シャルル・オルレアン』の一室で、一人の男が鏡をのぞき込んでいた。
 不思議なことにその鏡には男の姿が映っていない。男とは似ても似つかない、美女の姿が映っていた。
 しかも鏡の中の美女の口が動くと、どこからともなく若い女の声があたりに響き渡る。
 『ジョゼフ様、こちらの準備は整いました』
 「ご苦労。やれやれ、トリステインに一本取られただけに、どうなるかと思ったがな」
 言葉の割にその口調には焦りも困惑もない。
 「こちらも順調だ。最後の舞台には、いいところで出演できそうだ」
 『お待ちしております』
 そう鏡の中の美女が答えると、突然その姿が鏡の中から消え、次の瞬間には男の顔が映っていた。
 「便利なものだな」
 男の向かいにいた、耳の長い男が言う。
 「ああ。情報の伝達速度は国力に直結する。おまえ達の宿敵から教わったことだがな」
 男……ガリア王ジョゼフは、目の前のエルフ、ビダーシャルにいやらしげな笑みを浮かべつつ言った。
 「彼の魔女は許し難い存在ではあるが、同時に偉大なる知恵者でもある」
 だがその皮肉を意にも介さずに、ビダーシャルは答える。
 「そのへんのおまえ達の感覚は、どうもよく判らんな」
 ジョゼフも真面目な顔になって言う。
 「おまえ達にはわからない感覚だろうな。我々は基本的におまえ達のことを別段嫌ってはいない。おまえ達がこちらの禁忌に触れないかぎりは、むしろ友好的に振る舞うのが我々の掟だ」
 「ほう……それが『大いなる者』の命というわけか」
 「そうだ」
 からかうような言葉をきまじめに返されて、幾分ジョゼフは不機嫌になる。
 「大いなる者、ね……もはや伝説の存在ではないのか?」
 「否定はしない」
 「全く、少しは怒っても良さそうなのだがな」
 だがビダーシャルは全く動じずに言う。
 「我々にとって大いなる者は確たる存在だ。夢物語ではない」
 「そういうものか。我々ごときでは見ることも叶わないのかな?」
 そう水を向けるジョゼフは、少し意外な答えを返された。
 「いや、見た目なら我々と変わりはしない。むしろおまえ達そっくりだといえよう。ある一点を除いてな」
 「ほう?」
 エルフにとっての崇拝すべき存在が、むしろ彼らより自分たちに似ていると言われ、ジョゼフは少し興味がわくのを感じた。。
 「一体どこが違うのだ? 我々にも判る差なのかな」
 そういうジョゼフに、ビダーシャルは一切揺らぐことなく、その答えを言った。
 
 
 
 「一目でわかる。大いなる者は、虹色の聖光を身に纏っているからな」
38魔砲の人 ◆dsv5nugSfc :2010/07/20(火) 21:14:56 ID:Y0xqZpeq
以上で投下終了です。

タイトルが間違ってたのに投下後に気がついたorz。



これでほぼ伏線は張り終えました。ネタ的に絶対予想できない卑怯部分を除いて、謎の殆どを解けるだけのものは提示しました。

まあどうしても後世に伝わらない部分があるので全ネタバレにはたどり着けないのですが。

おそらく後数話でエンディングにたどり着けそうです。



それでは、次のお話で。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 21:25:07 ID:S6kx5Ao5
あれ?ここ使うの?
避難所進行はどうなった
40名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 22:15:43 ID:qAjLsSmZ
なんか新しいのが始まったかと思うたw
41名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 22:25:06 ID:Hfdr+pMe
投下乙です
42名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 22:56:14 ID:rT8adfl3
魔砲の人乙でした。
遂に最終決戦に入りましたね。

最終回まで後数話のようですが、無理せず頑張ってください。
43名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 23:22:59 ID:2HirqakJ
乙でした。しかし本当に大いなる者の遊技場=ベルカの聖王のリゾート施設だったのね。
アンドバリの指輪の正体がリアルRPGでのアンデッド系敵キャラ製造用アイテムって・・・。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 23:30:44 ID:rmzUN4oG
誘導

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/
45名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/20(火) 23:58:30 ID:8vIQm3/n
なのはSSからはとりあえずヤバイもんは全部ベルカの仕業にしとけばいい的なものが見え隠れするの
46名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 00:32:44 ID:4YsBZq1/
>とりあえずヤバイもんは全部ベルカの仕業
なのはSSをいくつか読み漁ってるが、そういうポジションはベルカじゃなくて、アルハザードの方のパターンが多いよ
ともあれ魔砲の人GJでした。なのはが空気化していた回でしたが、色々裏が出てきてクライマックスが楽しみです。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 00:33:49 ID:kI1lchDc
当の昔に滅んだベルカにどれだけ幻想抱いてんだよって話だよな。
新暦に以降して数十年経っても首都近郊に廃棄地区があるような明らかに国力いっぱいいっぱいのミッドチルダ。
そのミッドチルダの後塵を拝するしかなかったオンボロ国家が必要以上に持ち上げられているのはもー見てらんないw
48名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 01:07:07 ID:wQ+sqoK/
ルイズぱぱんから帝王学学んでたら地頭悪くないし十分化ける要素あるのに
大抵のSSでは残念な子になってるよな
酷いのになると本当にアホの子扱いだし
49名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 01:53:30 ID:L9pRh15W
>>45
ゴルゴムの仕業よりは現実的なんじゃね
50名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 01:55:30 ID:s8ib1Ppa
変にオリジナルにするよりは作品の質が安定するんじゃない?
51名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 03:44:07 ID:ZuYckLk5
魔砲の人乙です

今回の魔砲:聖王はTRPGゲーマーだったんだよ!  \ナ ナンダッテー!!/
                         Ω ΩΩ

ということはデルフは剣士用のマジックアイテムかよ……
常備化ポイントいくらだろう
52名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 08:46:08 ID:iuoa7sDI
>>48
おっと、原作の悪口はそこまでだ
53名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 10:57:07 ID:gr06poqD
>>47
末期の古代ローマみたいに技術とかはあったけれど
内政がガタガタで失策続きにより
移民と国民の政治的、物理的な対立や
技術や富の流出で戦う前から疲弊していたとか?
54名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 11:06:44 ID:CLR+DBiZ
>>47
近代ベルカと古代べル科の設定を混同してない?
55名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 12:21:31 ID:PGswLEDg
現在避難所進行中

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/
56名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 12:38:01 ID:3cx7A56g
ベルカが滅んだのはロストロギアの暴走だとか言われているが、少なくともミッドに滅ぼされたとかそういう話はない。
後塵を拝したも何も、ベルカが滅んでからできたんだろう…ミッド。
57名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 14:12:07 ID:jXod0jpI
まあこれ以上はスレチなので議論したい人はなのはスレの方へ
58名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 16:55:37 ID:Zuvi+c55
この流れは間違いなくゴルゴムの仕業
59名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 18:00:58 ID:od28AxBs
てつをはバランスブレイカーだよなあ
60名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 19:18:02 ID:rY3LIoK5
高架をぶっ壊したり
生身で宇宙に飛び出して衛星兵器を破壊したり
61名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 19:20:11 ID:MAzQZnw7
このスレでもチートっぷりの知られるズバットさんがいるじゃないか
62名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 21:13:17 ID:xSclPR6Y
まずビアホールで演説するところから始めようか
63名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 22:25:46 ID:jXod0jpI
>>60
>>宇宙に飛び出して衛星兵器を破壊
リュウケンドーがそんなことやってたな〜あれも中々チートな気もする
64名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/21(水) 23:54:58 ID:wQ+sqoK/
人外召喚してどうすんだw
65名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 00:12:33 ID:PnJ7qfQS
てつを「ジョゼフ!いたづらに人々の心を操り、多くの命を奪った貴様を、断じて許すわけにはいかん!!」
66名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 00:49:27 ID:MEKPh/7N
てつをが指差してジョゼフに>>65を言った後に流れ出す「光の戦士」
67名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 00:52:42 ID:TvHHvgWI
クライシスに続いて、ガリア滅ぼす気かwww
68名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 00:57:57 ID:EazwpfJE
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

現在避難所進行中
69名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 09:09:37 ID:I5PoFSxj
>>67
ぶっちぎるぜ!

てつをは小ネタだけだっけ?
70ゼロの騎士:2010/07/22(木) 11:46:36 ID:sfZ8Qt/d
投下予定がなければ7話投下してもよろしいでしょうか?
71ゼロの騎士第7話:2010/07/22(木) 11:49:40 ID:sfZ8Qt/d
大丈夫そうなので投下しますね

第7話

その日ラムザは気苦労を重ねていた。
街に行った日から2日が過ぎている。ルイズにはなんとか機嫌をなおしてもらっていた。
そして夕食を済ませた後、部屋に戻り支度をしてデルフリンガーを携え図書館に行こうと部屋の扉を開けた。

正確には開けようとした、だ。
手をかけようとした扉はラムザの手が届く前に開いてしまったのだ。

開いた扉の前にはなにやら包みを抱えた褐色の肌の女性が立っていた。

「あら、ダーリン。私の為に出迎えてくれたのかしら?」

扉の前の女性はキュルケであった。その後ろにはタバサも控えている。
といってもこちらはなにか用事があるのではなくキュルケに連れて来られたというのがありありとみてとれた。

そんなキュルケを見てだまっていないの部屋の主である

確かにノックもせず勝手に入ってきているのだからその怒りももっともなのだがその目的がさらにルイズをいらだたせることとなる。

その目的とはキュルケの抱える包み、これをラムザに渡すというものだったのだがその中身が問題だった。
なんと中身は先日街で見た立派な大剣、例のルイズが店主に勧められた剣だったのである。

もともと受け取る気もなかったのだがルイズの手前更に受け取る訳にはいかないとこれの受け取りを断ったラムザにキュルケは言う。
「あら、ならダーリン。これを受け取ってくれたら先日の貸しを無しにしてあげるわ」

先日の貸しとは街でルイズに置き去りにされた際にタバサの風竜によって学園までつれてきてもらったことだ。
こう言われてはラムザも無碍に断ることもできなくなった。
しかし受け取ろうとしたラムザに、それまでキュルケに向けて発せられていたルイズの罵声がとぶ。
曰わく「ラムザはすぐ色香に惑わされる発情魔」だとか
曰わく「結局立派な剣が欲しかったんじゃない」だとか

本来なら剣をうけとらざるをえなくなった原因が言う事に耳を貸すこともないのだがここでルイズの機嫌を損ねてはまた面倒くさいことになるのは目に見えている。ラムザは受け取るか受け取らないかを選択できずに時間だけが過ぎていく。
そうやっている間にキュルケとルイズによる受け取るか受け取らないかの問答がだんだんとラムザの手を離れたところで行われるようになり遂には決闘で進退を決めることになってしまった。
止めるラムザの声は虚しく響くだけで助けを求めタバサに視線を送るも彼女は彼女で我関せずの態度を固めてしまっているようだった。

そして現在-
学院の中庭においてキュルケとルイズが対峙している。

「覚悟はいいわねツェルプストーっ!」

「あら、そっちこそ今ならまだ止めてあげてもいいのよ?」


どうやらどうあってもお互い退く気はなさそうだ。全くもってお互いに難儀な性格である。

そしていよいよ決闘が始まろうとしている。
「ルールはこの中庭からあの壁の的に向かって魔法を撃ち先に当てた方が勝ち、ってことでいいかしら?」

ラムザ達四人とタバサの風竜の他には誰もいない中庭、そこから見える壁にタバサがキュルケの言う的を貼ってきていた。
無論そんな所にただ壁だけがあるはずもなくそれは建物の壁なのだがキュルケ曰わく壁には固定化の魔法がかけられていてちょっとやそっとじゃ崩れないらしいが…。
72ゼロの騎士第7話:2010/07/22(木) 11:53:47 ID:sfZ8Qt/d


「異論ないわ! さぁ始めましょう!」

もうラムザには止めようがないのである。

「はぁ…」
「相棒も大変だねぇ…」

今ラムザの苦労を分かってくれるのはこのデルフリンガーだけだ。
あれから短い間しか経っていないがそんな一人と一振りの間には幾何かの連帯感が生まれていた。仲裁を諦めたラムザが二人から離れると一斉に呪文を唱える。

「「ファイアーボールッ!」」

次の瞬間キュルケの前に人の頭ほどの火球が現れ的に向かって飛んでいく。

一方同じ呪文を唱えたはずのルイズの前には何も現れていない。

「さすがはゼロのルイズね、この勝負もらったわ!」

キュルケが勝ち誇った声をあげると同時に凄まじい爆裂音が鳴り響いた。

「え?」

先程まで自分の勝ちを確信していたであろうキュルケが気の抜けた声を出す。

そう、爆裂音はキュルケのファイアーボールで起きたものではなかったのだ。
吹き荒ぶ土煙の向こうにキュルケの放った火球が飲み込まれていく。

「だぁーれがゼロですって?」

うってかわって先程まで泣きそうな顔をしていたルイズが勝ち誇った顔でキュルケに相対する。

「引き分け」

「「え?」」

タバサの一言に二人が声をあげる。

「二人とも魔法が当たっていない」
そういって煤けた紙を取り出す。
それは先程まで壁に貼られていた的であった。
「爆風で飛んできた」

それを見せられては二人とも自分の勝ちを主張することはできなかった。
押し黙る二人を後目にタバサが次の言葉を紡ぐ。

「そして壁が壊れた、早く逃げないと音に気づいて人が出てくる前に…」
しかしそのタバサの言葉を遮る轟音が鳴り響いた。

「こ、今度は私じゃないわよ!?」

「分かってるわよ! なに…あれ…ゴーレム…?」



73ゼロの騎士第7話:2010/07/22(木) 11:55:13 ID:sfZ8Qt/d

…………………………

「して、君らは犯行を目撃したのかね」

白く長い髭を蓄えた老人、オスマンは問うた。

「はい、オールドオスマン」

オスマンの前に立つルイズが静かに答える。
視界が晴れた後その場を去ろうとした一行は駆けつけたオスマンに捕まり現在任意という形で質問をうけている。


「そうか…。それでは君達が一番犯人について詳しいということになるかのう…?」

「…オールドオスマン?」

いつもの明るさと違う雰囲気を纏う老人にルイズが声をかける。

「ここに来る前に壊された棟をみてきた。知っての通りあそこには宝物庫があるからのう。そして、じゃ。こんなものをみつけた」

そう言うとオスマンは一枚の紙を出した。それを受け取り読み上げるルイズ。
「審判の宝珠頂戴しました。土塊のフーケ…これって…」


「そう、犯人は都を賑わせている盗賊のフーケらしいのう。そして確かにそこに書かれているものがなくなっておったわ。これは由々しき事態じゃ、学院としてはすぐに追跡を開始しようと思う」

周りでは何の騒ぎかと出てきた生徒や教師が出てきていた。そんな中でなにかもったいつける様な含みのある言い方がラムザは気になっていた。

「それで、僕たちに追跡をしろと…?」

「そうじゃ、事は一刻を争う。すぐにむかってもらいたい」
このオスマンの申し出に対しラムザは疑問を抱かざるをえなかった。そしてこの申し出だけでなくラムザには気になっていることがある。
何故学生に盗賊追討を命じるのか、何故オスマンは駆けつけてすぐ自分達のもとへ来たのか。この疑問をぶつけようとした時、ラムザの隣にいたルイズとキュルケが口を開いた。

「わかりました。オールドオスマン! すぐに出立いたします!」

「私に任せていただければ賊の一人や二人、すぐに捉えてきますわ」

そう言うと二人はタバサの風竜の背に乗る、そしてタバサもそちらへむかっている。
それを見てラムザが声を上げようとするがそれはオスマンによって止められた。

「ラムザ君、不満はあるだろうが何も言わず今はむかってくれ、盗まれたものは普通のものではないのじゃ」

「普通のものじゃ、ない…?」

オスマンに対しラムザは訝しげな目を向ける。

「行けばわかる、君なら。賊がどっちに向かったのかはわかっているじゃろう? 急いでくれ、わしはここを纏めなければならん。」

「何をいって…」
「ラムザ早くしなさい! 置いて行くわよ!」

オスマンを問いただそうとするラムザにルイズから声がかかる。ルイズ達だけで向かわせることはできないとラムザはオスマンを一瞥してルイズ達の方へ走った。

「頼んだぞ、ラムザ君」

風竜が飛び立つのを見るとオスマンは人集りが出来始めている壊された建物へむかって歩いていった。
74ゼロの騎士 第7話:2010/07/22(木) 11:56:15 ID:sfZ8Qt/d




…………………………

「まだ賊が逃げてからそう時間は経っていない。が、向こうも素人じゃない。必ずしも逃げた方角に向かっているとは限らない。全景をみて近くを動いてるものを探し出す!」

「わかったわ!」

ラムザの声にキュルケとルイズが応える。

こうは言ったものの正直ラムザはフーケ探索は難航するだろうと考えていた。
森の中で息を潜められたら空から追う自分達がみつけるのは困難である。
しかしその時、ラムザは妙な感覚をうけ辺りをみた。
この感覚は以前にも感じたことが…

「ルイズ、さっきの決闘、引き分けじゃあ納得できないわよね?」

「ええ、私もあなたと同じことを考えていたところだわ、今からフーケを見つけ出し捕らえた方が勝者よ!」

そんな事を言い合うキュルケとルイズの横でラムザは記憶を辿った。
忘れていたわけではない、しかしこの感覚はまさか…

「タバサ、ここから南西の方角にむかってくれ!」

「…わかった」

タバサの合図で風竜は旋回、加速した。
突然のことにキュルケとルイズは小さく悲鳴をあげる。
そして驚きの声をあげた。

「ダーリン、フーケを見つけたの!?」
「見つけたのかはわからない、しかしきっとそこにいるという感覚がある、忘れもしないよ、これは…」

そこで言葉を止めるラムザを三人は見た。
しかしラムザはそのあとの言葉を継がないうちに風竜から飛び降りた。

「え?」
「ラムザ!」

ルイズが三人の視界から消えた人物の名を呼び、キュルケは突然の事に驚き声をあげた。タバサはすぐに風竜に合図を出しラムザの消えた場所へと向かう。



三人がラムザを見つけた時、彼は何者かと対峙していた。
暗闇の中で黒いローブを着込み顔はフードで覆われていて確認できない。
だがこれが目的の人物であろうことを全員が確信していた。

「観念しろ、賊」

ラムザが黒ローブの人物に投げかける。

「まさかこんな早く追っ手が出るとはねぇ…、だがこの土塊のフーケ、子供相手に捕まるような小物じゃないよ!」

そう言ってフーケは杖を振った。すると突如足下の土が盛り上がりラムザ達とフーケの間に瞬く間に巨大な土の人形が現れた。

75ゼロの騎士 第7話:2010/07/22(木) 11:59:41 ID:sfZ8Qt/d
「くっ! そう簡単にはいかないか! デルフ!」
「あいよ相棒! ようやく俺の出番だな!」

デルフリンガーに手をかけるラムザの左手のルーンが光を放つ。


足の筋肉を引き絞り、解放−
土塊に向かって駆けるラムザの後ろから火球とそれを後押しするような空気の壁が飛ぶ。
一瞬早くたどり着いた火球、できた皹に滑りこむ刀身。
切り抜けたラムザはそのまま距離をとる。抜けた軌跡から光がこもれ、閃く。
光が消えるとそこに何もなかったかのように空いた空間が残る。
タバサの風に支えられたキュルケの火球を頼りにラムザが切り抜け、とどめのルイズの爆発、狙いすましたかのような流れが起きる。
だがそれでも土人形は倒れない。
空いた隙間に地面から土塊がねじ込まれる。
一瞬バランスを崩すものの倒れることはしない。
不安定だからこそ安定している、矛盾しているような表現であるが確かにその人形は留まらないからこそ見た目には留まっているのだ。
上空から魔法を放つ三人の淑女に地を駆ける剣士、そして人形はまるで夜の闇の中を一人不格好に踊るピエロのようである。

「けど、これじゃ埒があかないわ」

呟くルイズにキュルケが応える。

「えぇ、いずれどちらかの精神力が尽きるまで続きそうね、それか…」

「ラムザが持たない」

キュルケの言葉を継いだタバサの一言によってルイズの心臓が早鐘のように拍動しだす。
それはルイズにもわかっていたことだった。
この世界で平民は貴族に勝てない。そう言われるのは必然といえる力の差があるのだ。

「ラムザ…」

ルイズの言葉は風竜の切る風の中に消えていく。


………………………………


切っては走り、転回、跳びまた切る。
ただ繰り返しているだけの動きの中でラムザは思考を巡らせていた。
タバサとキュルケの魔法では傷はついても土塊の動きに大きな支障を出させるには厳しいものがある。
ルイズの爆発は確かなダメージを相手に与える、しかし命中率が悪い。先ほどから中空に閃光を瞬かせるだけで肝心の土塊にあたっていない。いくら強力な魔法でも当たらなければ意味がないのだ。
かといって当たるまで待つわけにはいかない。
単調な動きといえど激しい動きだ、疲れで先に潰れるのは自分だろう、ではどうすれば…

一瞬の隙

切り抜けた後に草に足をとられ地に伏すラムザ。


… ………………………….


76ゼロの騎士 第7話:2010/07/22(木) 12:01:11 ID:sfZ8Qt/d
「あ…」
思わず漏れ出たルイズの声、次の瞬間少女は空に身を投げ出していた。


「ちょっと、ルイズ! あー、もう! あの子ったら!」

キュルケの声も今のルイズには聞こえない。地面が近づく中ルイズは呪文を唱え続ける。
呪文を結んだルイズは次の事を考えた。着地のための魔法が使えない。
自分が'ゼロ'である事を悔やむ。
自分が助かりたいから魔法を使いたいのではない。誰かを守れる力が欲しかった…。

地面が自分を呼んでいる。重力のままに叩きつけられ、その華奢な体はバラバラになるのか?
そんな思考が頭をよぎる。しかしルイズはその考えを信じてはいなかった。
そして目の前に現れた影に確信をもつ。

ルイズは地面に叩きつけられることはなくラムザの腕の中にいた。
地に伏したラムザがルイズの落下を見た瞬間すぐさま疲れた体に鞭打ち立ち上がり駆けだしていた。
しかしいくらラムザといえど倒れた状態から落ちてくる少女を走って受け止めにいくような真似は本来なら不可能だ。
そこはキュルケ、タバサの迅速な行動の賜物であった。
ルイズが飛び出た瞬間キュルケはそれまで唱えていた魔法の詠唱を中断、浮遊の呪文を唱える。
そしてタバサはキュルケを欠いた弾幕の穴を埋めるべくさらに広範囲の魔法を展開する。
これにより落下速度を落としたルイズを受け止めることができたのだ。

そしてルイズがその身を投げ出した理由。
彼女は風竜からただ飛び出したわけではない。
彼女は土塊の前へ、確実に自分の爆発を当てるために飛んだのだ。
その行動はラムザを土塊の手から守るために咄嗟に行ったことであり後先を考えておらず非常に危険ではあったが、なんとか彼女は無事であった。
そして彼女の結んだ魔法は確かに土塊の片足を吹き飛ばした。


閃光とともに消滅した人形の右足をみてフーケが嬌声をあげる。

「はっ! 決死のダイブだったようだが残念だねぇ! そのくらいでゴーレムは倒れないよ!」

言葉通りに右足を再構築させるフーケ。ルイズはの眼前で元通りに組み上げられる土人形。

「さて、この新しい足でまずはお二人さんから踏み潰してあげようか!」

そういって動き出す土塊。
この土塊に近づくために飛んだルイズの落下点は言うまでもなく至近距離でありとてもよけきれるものではない。
ルイズは踏み潰されることを覚悟した。


しかし土塊の右足が持ち上がることはなかった。

「なんだいこれは!?」
思わずフーケも声を上げる。

土人形の右足から蔦のようなものが生えその動きを抑えているのだ。

「風水、蔦地獄」
ルイズが呟くラムザの顔を見る。
「今の、ラムザが…?」

「ルイズまだ戦いは終わっちゃいないよ。ここは危ない、走って逃げるんだ」
77ゼロの騎士:2010/07/22(木) 12:02:42 ID:sfZ8Qt/d


そういうとルイズを下ろしラムザは再びデルフリンガーを構え駆け出す。
取り残されたルイズも呪文を唱える。
ラムザの言葉に反発するようにルイズは大きく引くことはしなかった。至近距離からの爆発により土塊の体が崩されていく。
切り崩され、爆発。上空から降り注ぐ火球と氷柱。しだいに削られてゆく人形、しかも土を補充すればそこからは蔦が突出し動きが縛られていく。
そうして人形の表面が覆われ動けなくなるのも時間の問題であった。
しかし完全に動きが止められる直前、急に土塊が形を崩した。

「はっ!ゴーレムが動けなくなれば負けを認めるとでもおもったのかいっ!?」

そういうとフーケは杖を振り魔力を解放した。

次の瞬間土でできた壁が噴出。
蔦をまきこみながらラムザ達の前に聳え立った。
吹きあがる土煙に巻き込まれ視界を失うラムザとルイズ。

「キュルケ! タバサ!」
ルイズが上空の二人に追撃を求める。

しかし帰ってきた答えはルイズの予想に反したものだった。

「いないわ、どこにもいない。フーケがどこにもいないわ!」
「そんな…」
キュルケの声に動揺するルイズ。
逃げたのならすぐわかる。

「こりゃぁ、まだ近くにいるな」
デルフリンガーの言葉にラムザがうなづく。

不意を打ってくる気か、それとも…。
キュルケとタバサには上空からの監視をつづけてもらうよう言った。
そしてルイズを引き上げてもらうようにいうがそれを頑なに拒否するルイズ。
周囲に気をはりながらルイズを諭すように言う。

「ルイズ、ここは危険だ。タバサの風竜のところへいくんだ。」


しかしルイズは頑として譲らない。
「ここで私だけ安全な場所からあなたが戦うのを見ていろというの? 私は貴族よ! 貴族とは、魔法を使えるだけの者を言うんじゃないわ。
誇りをもって決して何事からも逃げないものを貴族というの! ここであなただけ危険な目にあわせるわけにはいかないわ!」

「君の考えは素晴らしい、ただ血筋だけで貴族を名乗る脆弱な者もいる中でその意志は本来の貴族の在り方を知る者の誇り高きものだ。
しかし、今僕が言っているのは君の考えには反しない。これは背を向けて逃げ出すことじゃない、敵を知りリスクを減らしているだけだ。
僕がここに残るのに適役で君にはやれることがほかにあるだろう?」

「…私がここにいると邪魔になるから? ゼロのルイズだから?」

「違う」


「違わないわ、さっきから私あなたの邪魔しかしてないわね…。飛び降りたとき助けてくれたのもあなた、ゴーレムの動きを封じたあの蔦も、あなたなんでしょ?」

「ルイズ!」

後ろ向きな発言を続けるルイズが突然のラムザの大声に驚き顔をあげる。
そこで彼女が見たものは予想していた叱責の強張った表情ではなく慈愛を感じさせるようなとても優しいものだった。

78名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 12:04:22 ID:sfZ8Qt/d

「ルイズ…、僕は一度だって君を邪魔だなんて思ったことはないよ。君のさっきの命をかけた行動のおかげで僕は助かったんだ。君にはできることがある。
できないことを見て悲観してはいけない、君にしかできないことがあるんだから。できることさえせず背を向ける事を君の誇りは許すことができるのかな?」

「ラムザ…。」

目の前の男から発せられる言葉にルイズは自らを恥じた。これではまるで駄々をこねる子供ではないか、自らの発言を矛盾させる行動をして今の私こそ彼を困らせている。
涙がこぼれそうになるのをぐっとこらえる。下を向き、再び顔をあげたルイズはラムザに告げた。

「わかったわ、地上はあなたに任せる。でも…無茶はしないでね?さっきみたいなことになったら私…」

言葉を紡ぐ最中、ルイズの体が浮き上がった。
それがタバサがルイズを引き上げるために行使した魔法によるものだとわかるとルイズは何かに気づいたかのようにハッとしたかと思うと顔を真っ赤にしながら声を大きくしていった。

「べ、べつにあんたのこと心配してるわけじゃないんだからね! あんな賊に後れをとったら承知しないんだから!」

それだけ言い残しルイズは引き上げられていった。
ラムザは苦笑いしたがすぐに思考を巡らせる。

フーケはここにまだいるのか、まさか地下に仕掛けを施し逃げたのではないか、そんな考えが一瞬頭をよぎったがすぐに否定した。
先ほどからラムザが感じている感覚、それがフーケがまだここにいることを伝えている。正確にはフーケの所持物が、だが。

フーケはこの土壁を使って隠れている、ではどこに?
地下か、壁の中か、それとも木の上にでも潜んでいるのか。
感覚を研ぎ澄ませるがその詳細な位置を把握することができない。
このまま留まることはフーケにとって不利な状況を招くことは分かっているはずだ。それでも姿を表さないということはフーケの狙いは不意打ちか、もしくは…


「これじゃ埒があかないな」

「ああ」

デルフリンガーの声に答えるラムザ。
ラムザは己が体に走る焦燥を押さえ込み思考を巡らせる。
フーケが姿を眩ませてから幾分かの時間が経った。しかし一向に動きを見せない様に風竜に乗る三人も不安を覚えていた。
その視界の中になにか異変はないか懸命に探す。下に居る青年も常に気を払いながら行動している。その彼の為に今自分たちができる事をやらなければならない。
そんな中、風による探索をかけていたタバサがゆっくりと動く物体を見つけた。
「森の中で動くものがある、野生動物ではない」
タバサの言葉を聞きそれを下にいる青年に伝えるためルイズが声を上げた瞬間

「ラムザ!」

その青年に向かって数多の矢が射かけられた。

四方八方から飛ぶ矢に対して回避行動をとるラムザ。
しかしいくらなんでも同時に放たれた矢を全て避けることはできずその命を狙う矢をはじき落とすも何本かががラムザの体を傷つけた。
受けたのはかすり傷程度だがそれよりも矢に気を取られた一瞬が痛かった。

矢を放ったのは森の中、巧妙に隠匿された固定弓。
フーケが動かなかったのはその固定弓を密かに錬金し配置していたからだった。
矢が放たれたと同時に土壁がはじけあたりに土煙をあげる。それに乗じてその場を離れようとする者がいるのをラムザは感じていた。
フーケの矢はラムザを討つためのものではない、ラムザの隙をつくるためのものだったのだ。

一瞬絶望的な考えがラムザの頭をよぎる。
そしてフラッシュバックする光景。

辺りを血の臭いと死の気配だけが包む城、全ての恐怖を体現した存在。

二度と…あの悲劇を引き起こす訳にはいかない……!
79ゼロの騎士 第7話:2010/07/22(木) 12:05:47 ID:sfZ8Qt/d

ラムザの感情が燃え上がる。それに呼応するように左手のルーンが輝きを増す。

「ああああああああああああっ!!」
「相棒っ!」

疾走する叫び,それはデルフリンガーの呼びかけさえ消し去る。
フーケが振り返るとそこには居るはずのない声の主がその身に迫っていた。

「返してもらおうか」

「ヒッ」
フーケの口から漏れ出る声。

そのまま後ろから肩を掴まれ地面に押し付けられる。草地に顔が飲み込まれるように叩き付けられその衝撃にフーケは意識を手放した。

「はぁ、はぁ……」

「相棒、大丈夫か?」

「あぁ、ちょっと、うん、はぁ、気持ちの整理が、はぁ、うん、もう大丈夫」

デルフリンガーの心配そうな声、呼吸を乱していたラムザもどうにか息を整える。

なんだ?今のは…?
力への渇望が、確かにあった。しかしそれが形に現れるなんて都合のいいことが起こるはずがない。自分に起きた異変。ありえない速さ。
ヘイストの呪文をかけられた時のような加速度。いや、それ以上かもしれない。しかし自分は呪文など唱えていない。

「……?」
不思議に思うラムザの手の中でデルフリンガーの中にも疑問が生まれていた。
前にも見たことのあるようなその光景、しかしその既視感に対する答えが出ないでいた。

「ラムザ!」
そんな一人とひと振りのところにルイズ達が駆け寄ってきた。

「フーケを捕まえたのね」

その声にラムザは思考から復帰し答える。
「ああ、気絶しているうちに杖と盗品を取り上げて縛っておこう」

「そうね。とりあえず杖を、そしてこれが審判の宝珠?」
そういってルイズがフーケの懐から取り出したもの、それはラムザの予想通りのものであった。
「何故これがここに…」


「? 今なんて?」

ラムザの呟きにルイズが聞き返す。
「いやなんでもない」
しかしラムザは答えはしない。

「?」
一瞬どこかつらそうな表情を見せたラムザをそれ以上追及するのははばかられた。
しかしそこはルイズ、疑問をそのままにしておけるたちではない。もう一度聞こうとしたしたがそれは偶然キュルケの声によって押しとどめられた。

「ねぇ、これって…」
「え?」
80ゼロの騎士 第7話:2010/07/22(木) 12:07:10 ID:sfZ8Qt/d


フーケのローブを脱いだ顔をみるとそこには見知った顔があった。

「ミス・ロングビル?」
そう、それはオスマンの秘書ロングビルその人であった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

驚きと疑問の尽きない一同であったが夜も更け一度学院に戻ることにした。
学園に着いたとき、騒ぎはある程度沈静化していたようだ。普通ならこれだけの騒ぎがあればもっと人が出ていてもおかしくないものだが、これはオスマンによるものだろう。
そうあたりをつけまだ人の残るあたりに向かう。
予想通りそこには教師らしき人物が数人とオスマンがいた。
ラムザ達に気づいたオスマンはそれまでしていた話を切り上げ駆け寄ってきた。

「無事じゃったか、さすがの手際じゃな。して、盗まれたものは…?」

「ここにあります、オールドオスマン」

「おお! よくやってくれた!」
そういってルイズによって差し出されたものに手を伸ばすオスマン、しかしそれは先に手を出したラムザによってさえぎられる。

「ちょっと! ラムザなにやってるのよ!」
訳が分からないルイズは非難と疑問のまじった声をあげる。しかしそんなこと意に介さずラムザはオスマンに向かって話しだした。

「これが何か知っているようですね、ならばそうやすやすと渡すわけにはいきません」

「ラムザ?」
毅然と構えるラムザの様子にルイズ達は気圧される。
「ルイズ、それを僕に」
いわれるがまま手に持っていたものをラムザに渡す。
その間もラムザはオスマンに対し注意を向けている。
そんなラムザに対しオスマンはそれまでの厳しい顔を崩し話す。

「ほっほ、たしかにそうじゃの。君にとってこれは忌まわしき物じゃろうしのう、べオルブ君。それは君に預けよう。君なら心配ないじゃろう、しかし仕掛けをほどこさせてもらう、それに君に話さなければならないこともある。来てくれるかね?」

「行かなければならないようですしね、詳しく聞かせていただきましょう」
ふたりの会話についていけない周りは押し黙ったまま立ち尽くしていた。
そんな彼らにオスマンは声をかける。
「君たちはフーケを拘束し王院にその旨を連絡…、む、フーケはミス・ロングビルであったか…。残念な事じゃ…彼女には期待しておったのにのう……。
あぁ、それが終わり次第部屋に戻ってくれてかまわん。君たち生徒は今夜は部屋に戻りなさい、今日は本当によくやってくれた。
おってまた話を聞かせてもらうと思う、またその時に褒美も出そう。」

そういうとオスマンはラムザをつれて自室に向かっていこうとする。
教師たちは言われたとおりに動きだした。
フーケの正体に関しても自分たちの活躍にしてももっと言及されると思っていたキュルケは唖然としている。
タバサも表情はあまり変わらないが驚きはあるようだ。そしてルイズは連れられていく自分の使い魔を黙って見送ることができずオスマンに駆け寄っていった。


「待ってくださいオールドオスマン!」

その声を聞きオスマンは振り向く。そしてこういった。
「おお、そうじゃった。ミス・ヴァリエール、君の使い魔は今夜はわしのところに来てもらう、話すことがあるのでのう。後々君にも話すことがあるのじゃがそれは今夜は無理じゃ、今夜は部屋に戻ってもらえるかのう?」


81ゼロの騎士:2010/07/22(木) 12:07:51 ID:sfZ8Qt/d


やさしく話すオスマンに対しルイズが不安そうに尋ねる。

「あの、ラムザがなにかしたのでしょうか?」
それに対し帰ってきた言葉はこうであった。
「そういうわけではない、君は心配せずに部屋に戻り明日の授業に備えなさい。それに明日は大事な日じゃろう?」

そこまで言われれば食い下がるわけにもいかずルイズ達は気にかけるように幾度もふりかえりながら寮塔に向かっていった。

「では、わしらも行こうかのう」
そういって歩き出したオスマンの後ろをついていくラムザ。
長い夜はまだ終わらない。


第7話end…

以上で投下終了です
82名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 13:21:18 ID:+26BTowm
ラムザでこれだとアグ姐や雷神様だったらどうなってたんだろう・・・
あと装備は全部ロストしてるのかな
ラバーコンシャス辺りがあればワルド涙目になりそう
83名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 13:51:27 ID:56TKB3DW
>>63
リュウケンドー、リュウジンオーが衛生軌道上のジャマンガ倒すためにやってたな
まあ魔法の鍵が煌めけば何でもやってのける連中だし……
メカ有りならレスキューシリーズもやってるしな


おっさん召喚してハルケギニアでリュウケンドーって小ネタ以前考えてたわ、懐かしい
ルイズが撃龍剣で激龍変身するのはシエスタ
タバサがおっさん召喚して破壊の筒こと最愛の轟龍銃と再会
おマチさんが斬龍刃召喚しててリュウジンオーな感じの
84名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 14:50:01 ID:ptLrfhDv
>83
確かリュウケンドーは衛星ジャマンガ倒した後地上まで「墜落」したと思った。

>おっさん召喚してハルケギニアでリュウケンドーって小ネタ以前考えてたわ、懐かしい
オレも考えた事がある。
オレの場合はルイズが撃龍剣でキュルケが轟龍銃、タバサが斬龍刃だけど。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 17:14:49 ID:8ZbyYwaQ
>魔砲の人
乙ですー
やっぱりエルフはGM設定でしたか…と知ったかしてみる。
基本的にはROみたいなMMO、東方はFEZみたいな国同士のPVP系MMO…と推測して
ガンダールヴとかその辺のはMVPアイテムだったのかなと思ってましたが、TRPG風味?

>ゼロの騎士の人
こちらも乙ー。
原作知らないのですがいい感じ。…けどやっぱりこの時期のルイズってウザイなぁ。
成長に期待?
86名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 21:17:48 ID:Aq7f7sQc
避難所は使うのか使わないのかハッキリしてくれ
87名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 21:23:39 ID:ywrJOM97
規制などで投下できない人が使えばいいんじゃね?
荒らしも一応、沈静化してるし
88名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 21:33:14 ID:WMDHBrLI
避難所進行は運営できちんと話し合われて決まったことで、すでに風の人や萌え萌えの人が使いはじめてる。
それに荒らしが鎮静化したって、たった数日でウザ川やコピペ荒らしの執拗さをもう忘れたのか?
89名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 21:39:22 ID:PVAFOBlK
現在避難所進行中

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/
90名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 21:52:45 ID:dSKnmUwh
避難所は北朝鮮でこちらが大韓民国だな
91名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 22:03:41 ID:hmJvTKA+
荒らしが立てたスレ使ったら調子に乗るぞ
このまま沈めて落とさなきゃいけないのに投下とか考え無しにも程がある
気付かなくて行っちまって避難所で謝罪ってパターンはやむなしだが流石に今後は許されない
92名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 22:11:50 ID:mFZCBC1T
YOUもういっそ2chから切り離しちゃいなよ
93名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 22:23:57 ID:Rxzs+CjD
>>91
某スレで似たようなことあったけど
スレがsenkaされたぐらいでガタガタ騒いでんじゃねー
の一言で済んじゃったし
投下とかはの本筋は避難所でやって
こっちはこっちで適当に駄弁ってりゃいいんでない。
94名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/22(木) 22:33:50 ID:Vw66sPBw
スレは読まずに自分作品の感想だけを求める姿勢は清々しい
95名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 00:18:31 ID:MqFtd73O
つか、そこまで言うならもう2chでやる必要すらねえwww
96名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 00:38:06 ID:Yj9QDTGU
被害担当艦だな
97名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 01:04:20 ID:Q83jsKVA
ゼロの騎士さんが久々で嬉しかったので本スレ見たら荒れてて驚いた
とりあえず、避難所に書くのもなんなんでGJさせて下さい
職人さん楽しかったです。次も楽しみにしています
98名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 01:07:13 ID:KDV1yxrW
もう2chから撤退でよくね
嵐がいるならもうこっち立ててる必要ないし
99名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 01:18:04 ID:esAxYOaK
夏の間だよ
100名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 01:20:31 ID:pqaYUCui
避難所に移行、ってなった途端荒らしが沈静化したのは笑えるっちゃー笑えるわな
101名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 01:30:44 ID:BApS2Hf/
荒らしの爪痕を埋めるな、そんな事だから見落とし投下事故が起きるんだ
黙れとは言わんが荒らしに関わる言及と避難所誘導は忘れるな
102名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 03:00:14 ID:a6q1ALu/
過去にこんな流れ見た事有るなw
避難所だけで物事決めて、本スレ置き去りにした
そう、あれは提督の作品を残す残さないだったか?

つーか、 >95 に同意
103名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 04:19:21 ID:BApS2Hf/
このスレは「荒らしが立てた」スレ
使用は荒らしの正当化につながる

だから無視して沈めて落として夏が終わったら立て直し
(それまでは避難所進行)と言う意見が出て誘導もされている
誘導が少々不親切な感は否めないが

誘導無視して駄弁るな、荒らし幇助でしかない。

「沈静化した」だの「使わなきゃもったいない」だの考えが甘いにも程がある
少なくとも誘導無視の段階で「置き去り」とか言う資格は無い。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 07:26:08 ID:qKIMjQbt
どうして削除依頼して新しくたてないの?
105名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 07:52:37 ID:HpUauZws
荒らしが立てたから荒れてたのか
全然気づなかったわ
で、それが何か関係あるのか?
106名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 07:57:50 ID:fQjfA4S2
>>105
お前、前スレで糞SS投下したキチガイだろ
首釣って二度と来るな

>>103
同意
ここに投下することは嵐の助長にしかならない
放火と雑談は避難所にしろよお前ら

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/
107名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 08:01:20 ID:HpUauZws
>>106
何にも根拠も無いのによくもまぁ
全然別人だぞ?
108名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 08:07:00 ID:YLERCedE
>>106
避難所誘導するなら誘導するで物の言い方ってのもあるだろ

頭ごなしに言ってる連中見てると自治厨うぜぇって気分になるし
逆の意味で荒らしに見えるよ
109名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 08:17:07 ID:fQjfA4S2
>>107
はいはい本人乙
ついでにスレ立て乙とでも言って欲しいのかw
110名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 08:26:41 ID:MqFtd73O
「荒らしが立てたスレだから無効」って、意味が分からんわ
>>1のIDを前スレで拾ったが荒らし行為とか見当たらないっぽいし、このスレでは現状荒らしは涌いてない
前スレの荒らしの投下ラッシュがある分、前もって立てても問題ない範囲だと思うが

んでもう一度言うけど、
そんなここが嫌ならしたらばに移動して戻って来なくていいよ
夏までと言わず永遠に
111名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 08:35:48 ID:fQjfA4S2
ID:fDHCGZTU
どう見てもあのキチガイだろw

410 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/07/18(日) 00:17:59 ID:fDHCGZTU [1/4]
>>389
どうせなら貴族たちを徹底的に殺しつくして欲しかったな

433 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/07/18(日) 13:39:54 ID:fDHCGZTU [2/4]
>>420
ねーよw将臣が契約条件の詳細も詰めずその場のノリで承諾するなんてありえないよ
まだ最初から気絶させて無理やり事後承諾で契約してたほうがまだまし
事実を知らされた将臣の行動を作者が描けるか疑問だけど

つかさなんでお前ら冒頭とのルイズとの契約を適当にするわけ?
最初のキモであるスタートラインがいい加減な作品の9割9分は駄作であり
途中で放棄して止まってるのばっかりと言う事実を申しておく

541 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/07/18(日) 17:57:53 ID:fDHCGZTU [3/4]
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part280
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1279443433/

たてたぞ

544 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/07/18(日) 18:17:41 ID:fDHCGZTU [4/4]
>>542
お前は何と戦っているんだ?w
112名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 08:37:22 ID:BApS2Hf/
>>1=>>3=>>4
かつ>>3-4は荒らし以外が絶対に使わないコピペ

これだけで荒らしの立てたスレの証明には十二分

その程度の事も知らずに荒らし擁護にしかならんタワゴトほざくな
お前が失せろ、永遠に
113名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 08:52:44 ID:pqaYUCui
勘繰りたくは無いが、自治厨のフリをした荒らしによる自演に見えてきた。
114名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 09:07:19 ID:BApS2Hf/
ここまでバカな駄弁りで伸ばされてはもはや削除依頼も通らん

と言う状態に誤認投下二人目の時点でなっている

ここぞとばかりに避難所進行をなかった事にしようと言う誘導を荒らしが試みているんだろう
こうなればもはや捨てスレにするしかない。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 09:07:47 ID:dmKzzcVO
無駄に攻撃的だしな。
しかし自分が荒らしではない事を証明するのはこの場合、簡単だ。

ここでトリップつけて、そのトリップ使って避難所にレスしてくれば良い。
避難所のメリットを強調してるんだから出来るよな?
116名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 09:09:46 ID:dmKzzcVO
>>114
「荒らしが立てたスレ」なんて理由で
削除が通った事なんて2chでは一度もないし、これからもないよ。
削除されるのはガイドラインに抵触してるものだけで、
スレ内だけの身内ルールは通用しない。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 09:16:43 ID:hfdYvk34
運営議論があるんだから、避難所進行云々を避難所でやるのは当然だろ? ここにもアナウンスはあったし、
置き去りと言う人の意見がよくわからないんだが。
このスレはともかく、ここが9月までに埋まったら、新スレ立てて続けるつもりかどうかも知りたい。

気になったんだが
>>110
その場合はどうするの?
ここと避難所を完全分離して、こっちはこっちでやるってことか? 揉めて共倒れになるだけと思うんだが。
118名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 09:20:25 ID:HN8KrndF
お前馬鹿だな
置き去りにされた人が一人居るだろ
避難所に書き込めないアイツだw
119名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 09:24:38 ID:hfdYvk34
まぁ、そうかもしれんが、そうじゃないかもしれんから。
純粋に疑問に思っただけなんで、最初から決めてかかったら意味がない。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 11:08:34 ID:qFZ7hu2N
別スレの経験から言う。
作者陣が避難所に書き込めば、それ以外が何言おうとどうってことない。
作者以外が何言っても無駄よ。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 11:12:43 ID:hyO48nKn
基地外の自演が見れるのは2chだけ
122名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 11:35:15 ID:RaKFzqQM
>>117
運営議論はまとめwikiの運営議論であって2chとは無関係だろう。
規制巻き込まれて避難所に投稿から代理募る、なんて使い方はありだとは思うが
2chが怖いので今後は避難所進行です^^、ってそれ本末転倒と言うか、それやるぐらいなら独立した方が良いと思う。
移動する作者が多けりゃ問題ないだろうし。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 11:42:29 ID:PQT6WiiO
>>122
>1 名前:名無しさん 投稿日: 2009/02/02(月) 18:02:14 ID:aCpQ25Lw
>本スレ、まとめwiki、避難所の運営について議論をするスレ。

運営議論には本スレも入っている件
向こうで同じ事を主張してみてくれ
124名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 11:53:46 ID:GBbvlDTT
とりあえず夏が終わるまで投下自粛したほうが吉っぽいなぁ


・・・・・・寒い時代とは思わんかね     季節は熱いけどねっ  暑いじゃなくて熱い
125名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 12:13:33 ID:hfdYvk34
>>124
作者の方ですか? それこそ避難所を利用されるのがいいと思うのですが。
事実、感想も雑談も2ch進行時に比べれば少ないですが、多数の作者さんは了承したわけですし。

>>122
>>123のように、以前からテンプレやスレタイ、本スレに関しても向こうで議論してる。
これまでも避難所進行はあったし、時期を過ぎれば概ね沈静化してた。
そもそも避難所が嫌なら、時期を逸したのかどうか知らないけど、今からでも提案してきたら?
独立がいいって言うなら、"運営で"独立の利を説いて欲しい。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 12:26:40 ID:RaKFzqQM
>>123
2ch外で決めた事に何故2chのスレが拘束されるんだ?って話。

>>125
同上
荒らしも自演も無い清浄な世界を望むのなら2chの看板なんか使わずに独立宣言してそっちでやっていけばいいんじゃないかな。

外部板の方を本スレにするから2chは放棄ってのはさすがに飛ばしすぎだろう。
荒らせばあいつら逃げ出すって前例を与える事になるし、もうそこまでやるなら本スレは永遠に不要だと思う。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 12:36:19 ID:HN8KrndF
段々馬脚現しだしてるなぁ
放棄なんて飛躍した話しとか無いのに
128名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 12:37:48 ID:hnVEpeoJ
基本的に作者あってのスレだからな。
今現在投下してる作者の大部分が、
暫くは避難所で投下したいって言ってる以上、
避難所で進行が暫定的にメインになるのは仕方ないんじゃないの。

過剰に反応して、こちらに投下してしまった作者を許す許さないとか、
荒らしが立てた以上スレを使うのは絶対駄目って言うのは極端だけど、
選択の幅に過ぎないものを白か黒か決めろ、なんてのも同じくらい極端過ぎるし、
大体本スレ破棄しようなんて意見は出てないだろ。
荒らしは面倒臭いが、人の目に留まりやすい2chから離れるってのは
作者の立場としてはもったいないわけで。

この板入り口にしてwikiに呼び込み、
面倒な客が来たら避難所、ほとぼりと頭が冷めたら戻ってくるってな感じの
良いとこ取りで何も問題はない。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 12:42:18 ID:MqCpfJ8B
>>126
そう思うならそう思えばよろしいのでは?
本スレは作品感想なりなんなり自由に話すだけのスレとでもしとけばいいじゃないの
外野は提案するだけでいい、君が作者だったとするならここに投下すればいい、それだけじゃないか

ていうかどんな動きしようと反応が返ってくるだけで荒らしは楽しむから作者さんの好きにすればよかとよ
130名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 13:01:13 ID:cWQE7W35
とりあえず避難所進行したいならwikiの現行スレがここだけになってるのと
今の「避難所進行中 URL」っていう事情のさっぱりわからん誘導の仕方なんとかしたほうがいいんじゃないかな
今の状態じゃたまにしか見ないで事情知らない人とか新規考えるとわかりにくいと思う
131名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 13:24:14 ID:BApS2Hf/
wiki的にもこのスレの存在自体を完全無視したら済む話
本来最良は荒らしの立てたスレである事が確定した時点で完全無視されレス一つ付かずに沈み落ちすることだ

夏の終わりまでに沈め落として終わってから280から立て直せば汚濁は最小限

夏(およびそれに類する避難)進行中は2ch上に現在進行形スレ無しであっても何も困らない

許されないのは「投下」そのものではなく「避難所進行に関する議論と誘導の無視となる投下」
既にある誤認ミスはもうしょうがない、が、この現状無視して今後強硬投下することはもう荒らしの仲間入りであるだけ
ここまでの状況になって「ログ読んでなくて気付きませんでした」は通用しない、と言う話
もし強硬投下の上それを言う作者が居れば、「継続投下の資格無き分別無し野郎」の烙印を押されても文句は言えん。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 14:15:00 ID:otnzg6oh
>>126
事情を知らんのならpart279を見直してきなソコで避難所進行で良いんじゃねってなってるから
2chで決めた事なんだよ
133名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 14:34:01 ID:hfdYvk34
>>126
なんで?って言われても、一言で言えば、それがルールだからだろ。このスレではそうなってて、これまでもそうしてきたから。
運営議論で雰囲気が悪くなったり投下の妨げになるとか、多数決になったら自演をある程度防げるからとか、色々あるんだろうけど、
設立の経緯は知らない。
何にしろルールを変えたいなら、おかしいと叫ぶだけじゃ子供と同じ。

>>130
こんな感じ?

現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、9月まで避難所進行となっています。
作品の投下はこちらでお願いします。
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

付け加えるなら、
したらばですので、さるさん(連投規制)もなく長編も安心して投下できます。
とかか。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 14:48:42 ID:GBbvlDTT
>>133
了解致しましたです
先日親がマシン弄繰り回したせいで書き溜め消えてしまい書き直してる最中ですが
投下する際は誘導頂いた避難所にいこうと思うです
なんで「判らない人」ってこっちがして欲しくない事を的確に、正確にやってくれやがるんでしょう?

それにしてもpart279の終盤・・・・・・いやな事件だったね・・・・・・
135名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 15:40:10 ID:UEVfD+3R
>>133がちゃんとした誘導テンプレ作ってくれて一安心だが…
自治厨はギャーギャー喚くだけで何もしないのな
136名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 15:49:26 ID:hnVEpeoJ
>>131
ちょっと確認してきたけど、アニキャラ総合板って2009年4月に立って
レス数たった18しかないスレなのに
まだDAT落ちせずに残ってる板なんだから、放置したって当然DAT落ちなんかしない。
「荒らしが立てた板だから削除依頼すれば削除される」とか
圧縮の事解ってないのに沈み落ちとか、
2ch運営のシステム的に有り得ない事しか言ってないぞ。
そもそも、完全無視されレス一つ付かずにって2chじゃ始めから不可能だから。
不特定多数が一枚岩になれるわけがないし、その必要もない。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 15:58:20 ID:cWQE7W35
>>133
おお、そんな感じで良いと思う
138名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 17:34:14 ID:0YFVBNrm
投下来てたかと思ったら運営議論だったでござる

さ、避難所行くか
139名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 18:13:48 ID:iT0TCMQB
このスレざっと読み返してみると、自治厨が一人相撲して荒らしてるだけにしか見えんのだが。
事情を知らない人間に罵声を浴びせるとか、普通のレスにも荒らしのレッテル貼ってたりとか、
「お前自治する気ないだろ」って思うぐらいに攻撃的なんだよな。

まあいずれにせよ、運営スレで決めてある通り、夏休みの間は避難所進行が無難だな。
140名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 18:49:49 ID:fQjfA4S2
これ以上ここに書き込むやつはキチガイと看做してBANな
141名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 19:01:52 ID:acJQfJmt
>>140
BANって?www
お前の専ブラから透明あぼんされるってこと?www
142名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 19:20:54 ID:fQjfA4S2
運営に通報してやるよ
143名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 19:24:04 ID:hnVEpeoJ
運営はお前の消しゴムじゃねえよ。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 19:37:45 ID:esAxYOaK
運営に通報ってマジで言ってるのかw
145名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 20:06:31 ID:UEVfD+3R
>>142
その物言いの方がキチガイに見えるんだがな
ギャーギャー喚くだけで何もしない荒らし以下の自治厨なら要らないから、黙って消えてくれないかな
146名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 20:19:32 ID:VTPLheXk
>>142
脅しにもならんからやめとけ。
「書き込んだら荒らし」なんてお前ルール、運営は受け付けないよ
147名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 20:26:36 ID:+o2MtBkC
そもそも運営が荒らしに対して働いたら夏に雪が降るぞ
148名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 20:39:02 ID:MqFtd73O
お前らほんと提督騒動の時から変わってねえな……
149名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 20:51:41 ID:TTqGmBL/
>>147
ワイルド7召喚か?
150名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 21:00:22 ID:Pkgabgte
>>149
あのラストは衝撃的だった
151名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 21:02:14 ID:BApS2Hf/
目指す最善は不可能だから最悪で放置しろと言わんばかりの馬鹿が増殖中か

最善・最良は「到達は絶対無理だが寄せる努力をすべき方向」であって
届かないから向かわなくて良いと言うのは荒らしと同類の愚考

この手の馬鹿は名指しされてる訳でもないのに勝手に図星突かれて怒り心頭に達し
寄って集る
152名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 22:16:09 ID:Wvze5pjr
この殺伐とした空気
これこそ2chの醍醐味ですね
153名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 22:24:41 ID:xbGPmAOq
お前らそんなことよりクワガタの話しようぜ
154名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/23(金) 23:06:45 ID:u0iR6zGL
>>153
面白かったけどさっぱり続編がこないよなぁ
155名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 00:59:44 ID:R/aG9w2T
>>151
鏡を見て何つぶやいているんだ?
156名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 01:01:22 ID:/9GA2N+k
このペースでグダグダやってれば、お盆くらいまでには1000いくんじゃないかって気がしてきた。
157名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 01:25:16 ID:zJJA/H83
この暑さで頭がやられてる馬鹿の相手しつつ埋めたほうが後腐れなさそうだな
といってももう逃げた後か
158名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 01:31:42 ID:0wiJE620
ぶっちゃけネットキチガイ歴10年以上の宇田川に一時的な避難所進行とか通用しないと思うけどな
新作投稿する度に禁止ワード申請するしかないと思うぞ?
159名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 02:19:27 ID:jg/L9x/B
「ゼロ」「ルイズ」を禁止ワードにすれば、綺麗サッパリだw
160名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 05:45:33 ID:tR9ENkQ+
>>151
どうしても投下しほしくないんなら、状況説明と誘導を毎日貼るぐらいのことはすれば?
自分で何もせず、人に文句だけ付けてるから、あなたがただ暴れてるだけに見える。
人に文句言うだけで、建設的な書き込み何もしてないよ、あなた。
161名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 07:06:30 ID:fvnsdigQ
モンスターハンターフロンティアから召喚します。


名前  姉小路殺
二つ名 †聖なる悪夢†
コードネーム カオティックファクター -吊られた極限-
年齢 15歳
職業 姉小路財閥総帥兼SEO
行動 他人にとことん厳しくあたる
好きな食べ物 すし
剣技 楊心流星野派薙刀術
苦手 自分の才能
目的 自分探し
162名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 07:11:36 ID:fvnsdigQ
モンハンFrontaiar魔

あんただれ?

SATHU
歳?
15
使い魔やる?
やるやる♪
まぁ 当たり前に
跳んでるけど
悔しいから
びっくりしない
内心チョーびっくり
うんこもらしたw
あんたどこの田舎もの?
大都会岡山っす
今日から
あんた
私の奴隷だから
うーす愛の性奴隷っすねフヒヒ
どかーん
ぐえー

つづく
163名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 09:18:23 ID:Rph8fe0c
埋め立てでござるな
164名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 09:50:23 ID:Qzf8D11M
>>162
なんだか知らんが岡山なめんな、と県民の俺が言ってみる。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 09:55:12 ID:ZI5pwCnj
樹雷皇族が住んでたりするしな>岡山
166名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 13:44:04 ID:WSTyMO0J
神様が住んでる尾道には負けるがな
167名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 13:44:33 ID:gHUT08ip
オカルトネタは大抵岡山だしな
168名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 16:04:43 ID:Z261XgfU
     |   /|    /|  ./|       ,イ ./ l /l        ト,.|
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     |.,≧厂   `>〒寸k j        / }/,z≦三≧  |.   | リ ■ ■■■■■ ■■ ■■■■  ■ ■ ■ ■
     /ヘ {    /{   〉マム    / ,≦シ、  }仄  .j.   ./  ■     ■        ■   ■  ■ ■
.       V八   {l \/ : :}八    /  ,イ /: :}  ノ :|  /|  /   ■      ■        ■   ■   ■
       V \ V: : : : : :リ  \ ./   .トイ: :/    ノ/ .}/    ■      ■        ■   ■   ■
       ' ,    ̄ ̄ ̄        └‐┴'   {  ∧     ■   ■■■■■   ■   ■
        V   \ヽ\ヽ\     ヽ  \ヽ\  |     \.    ■  ■  ■   ■      ■
        \  , イ▽`  ‐-  __       人      \  ■■  ■■   ■     ■■
:∧           ∨              ∨    /          ハ
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169名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 16:45:33 ID:+QwJZHPF
>>168
おいポップアップしてもかわんねーぞそれ
170名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 19:45:54 ID:kzMNg2VD
夏だなぁ
171名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 22:17:35 ID:YUEtOrSp
>161
モンハンに長刀なんてねーよ
172名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 22:51:26 ID:yhgpVwYo
現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、9月まで避難所進行となっています。



あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/
173名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 23:04:23 ID:EpNapLH2
そして帰る場所が無くなるとw
174名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 23:36:59 ID:sN4Safx3
避難所進行を押し進めるのが荒らしの目的だったらどーすんだ。
175名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 23:44:31 ID:z+KtC4Fy
荒らしって例の人でしょ?
避難所進行推し進めるわけにはいかないでしょ
規制されてるんだから
176名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/24(土) 23:50:57 ID:EpNapLH2
今気がついたんだが、突っ込み入れて良いか?
答え利く前に突っ込むがw
避難所進行って、いつの9月までだ?
100年後?
うん、100年たてば今の荒らしは居なくなるなw
100年間帰ってくるなw
177名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 00:03:53 ID:TT2DlKJZ
こんなグダグダなら2chから撤退したほうが良いんじゃないの?
どうせこの時期は香ばしい夏厨が湧くし、どちらにしても荒らしが他にも湧くことだってあるんだしよ。
178名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 00:09:10 ID:phZmo/xV
2chから撤退したら本末転倒じゃないかと思うんだ

ここは姉妹スレや派生スレに比べて荒れやすいんだし
何かあるたび避難所に一時避難ってやってたらキリが無いとは思うんだが・・・

実際良い解決法も無いのがなあ・・・
179名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 00:14:24 ID:qOeVaQtR
いままでの書き込み見たら避難所行って正解だと思った
180名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 00:40:42 ID:84G7PICb
例の避難所追い出された阿呆しか荒らしはいないと思い込んでるのか、前スレの荒らし行為の犯人を決め付けて譲らない馬鹿もいるしな
そういう馬鹿を落ち着かせるって理由でもしばらく避難しといた方がいいかもしれん
181名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 00:44:19 ID:cpOJlxy9
>>179
俺もそう思うよ
こういう人がたくさんいるから荒れるんだよね
182名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 07:16:07 ID:Ge34+Ylm
そうだね、避難所だけで良いと思う
もう、2chでは無理なんだと思う
183名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 08:00:09 ID:4EpjkNCT
過疎るし、ご新規さんが来ないから駄目。今の避難所を見れば明らか。
>>178と同意見かな、リスクとリターンで言えば、まだ荒らしの度に避難する方がまし。
やたら声高に撤退言ってる人はその辺どう思ってるのかね。だったら避難所盛り上げてほしい。
追い出したいだけか?
184名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 11:09:03 ID:fHKL6mk/
撤退とか主張してる奴は真っ当な主張だと言うなら避難所で言ってこいよ。
185名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 11:28:53 ID:/tfB+SFM
だからそんなに避難所でやりたいならもうそこから出てくんなって事だよw
荒らしも好きに規制できるし避難所の管理人権限で好き放題できんんだろ?
もうこの板でやる理由ねえから消えろって話よw
186名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 11:37:17 ID:cpOJlxy9
>>184
荒らしの延長でしょ?
187名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 12:09:13 ID:qDXn9Ku7
2ちゃんねるでやるのと、個人サイトでやるのじゃ、新規の人の目に留まる率が桁違いだからね。
2ちゃんから撤退した後、だんだん尻すぼみになったSSは複数知ってるよ。
で、2ちゃんでやるのは荒らしと闘いながらになるのはむしろ当然。
昔に比べりゃだいぶましになったとは思うけど。

つーか、この程度の荒らしで外部板に避難とかどれだけ軟弱なのかと。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 12:18:58 ID:kaCkgTJ7
NGワードに放り込むだけで結構消えるしな
正直なんでこんな過敏な反応してるかが分からん
189名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 12:21:28 ID:hO93lSxt
>>188
夏休みのせいで例の人に触っちゃう人が多いからでしょ
190名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 12:35:09 ID:GEUSyf6e
避難所でやりたい人とか煽り耐性がない人はずっと避難所でやるのが一番平和だと思うよ
荒らしは対策できるし、気に入らない奴は規制できるんだろ?
無理して2chでやることはないよね?それなのになんで2chでやるの?
確かに2chのほうが人は多いかもしれないけど、規制ばっかで荒らしがいる2chなんてさっさと捨てて避難所に籠りなよ
もしかして2chじゃなきゃヤダヤダーってやつなの?
191名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 12:44:29 ID:fHKL6mk/
そもそも2chの規約に反しない以上どのように2chを使おうが勝手であって、
それに他人がどうこう口出しできる権限はない。
避難所を使うならここを使うな!ってのは何かの権限なりを持ってるから言ってるん?
192名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 12:53:25 ID:sauLFMO6
書き手が居て 読み手が居てこそのSSスレ。
今 書き手のほとんどは、避難している。
夏の嵐が過ぎ去れば、きっと帰って来るでしょう。
それまで ここでは言いたい事を言えばいい。
日頃から思っていたこと 腹に据えかねていた事、皆吐き出してすっきりすれば それでいい。

ところで、
「避難所進行 反対!」という意見の人は、ここをどうしたいの?
無駄だから潰したいの?
荒らしなんか気にせずに SSを投下して欲しいの?
潰したいなら ほっときゃ廃れるし、SSの投下が欲しいなら 自分で書けばいいだけでしょうに?
193名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 13:09:18 ID:o8dWHVrj
いいからお前ら全員毒吐きスレ行けよ
194名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 14:37:04 ID:4ItoJVqV
まとめwikiはこの2chスレのまとめサイトだからここのSSを掲載する大義名分があるわけで
18禁でこっちには乗せられないとかって例外はあるにしても、あくまでこっちに投稿されたものを補完するのがまとめwiki
エログロで2ch規約に引っかかるから、とかの理由も無く、外部板に乗せただけで本スレへ代理も無いものを補完していくのなら、直接投稿の許可とかわらないし
ここに載せない物をメインにするサイトなら、2chの名前や過去作品と決別してただの1サイトとして戦うべきなんじゃないかな
2chの看板や人口は欲しいけど本スレには投稿しませんって、それは何か違うと思う
195名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 14:44:27 ID:5bxZ98E1
「夏」はあまりに荒らしが図に乗るので「一時」避難所進行

程度の事は継続期間の長いスレでは多々有る事
究極的にはスレ全潰しで夏の間無スレ状態にする事だって普通に起きる事態

過去を知る者の多くが同意した現状でなお避難所進行に異を唱える者は
荒らせる現状復帰への要求に躍起な荒らし甲斐が無くなった荒らしと
何も知らずにそれに騙された情弱程度のもの。
196名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 15:27:42 ID:qOeVaQtR
言いたいことがあるなら運営議論に行けばいいのに

運営議論スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/
197名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 15:37:07 ID:FpubTRNf
>>194
春夏冬の定期行事にお前は何を寝ぼけたことを言ってるんだ
198名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 15:41:16 ID:DYsDwbfr
結局は>>196なんだよな。
本気で言ってるなら、そうしないと何も変わらないことを理解すべき。
上でも言われてるけど、避難所が嫌いでもなんでも、それがここのルールなんだから。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 16:15:18 ID:b6P6yVfj
勢いがあった時は荒らしがいくら書き込んでも流れてた
まあどの道ここは末期だよ
誘導してる連中は延命してるよにみえて止めさしてるとしか見えん
荒らしがよりついているうちが花

ウルトラよりていとくの馬鹿騒ぎのおかげでほんとに荒廃したなここ
200名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 16:46:21 ID:/tfB+SFM
別に夏じゃなくても荒らしなんて年中いる
それが嫌なら『一時退避』とか言わないで、作者は全員避難所に行ってもう戻ってこなくていいよ?って話だろw
201名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 16:51:13 ID:r7IZw97i
>>200
それをここで言っても意味はないだろ
避難所の運営スレで提案してきたら?
202名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 16:56:30 ID:/tfB+SFM
本スレの話し合いが意味なくて、避難所の運営スレで全部話し決めるの?
ならますますこのスレいらねえわw
そういう連中は避難所に行ってもう戻ってくんなってのは、そういう意味だよw
203名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 17:13:51 ID:r7IZw97i
それならそれでいいじゃない
なんでいちいち避難所に行ってる連中に見えないようなところで得意げに語ってんの?
204名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 17:33:25 ID:qhdcOHRX
避難所に入れないんだってば
あんまり苛めてやるなよ?

ID:/tfB+SFMさん
頑張ってください。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 17:49:01 ID:fHKL6mk/
作者がいなくなってお前が一人だと何か他人にとって得があるの?
お前に同調しなきゃいけない理由なんか今まで一つも出てない以上、
作者が軒並み居なくなる事でスレも無くなっても良いと言うのなら、
以降お前一人がここに来ないでスレ見なきゃ万事解決じゃねえか。
お前の主観からスレが消えるよ、良かったなぁ。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 18:05:27 ID:/yt+xlYE
木更津キャッツアイでそんなシーンあったなw
場の雰囲気に居た堪れなくなった兄が、「お前らみんなどっか行けよ!」って言った後に
「あっ、俺がどっか行けばいいのか」って続けてたっけなw
207名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 19:52:12 ID:g2sDO+C3
全くこんな話題こそ避難所でやってほしいもんですなホッホッ
208名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:22:17 ID:sauLFMO6
ID:/tfB+SFMさんは、
「避難所に逃げ出したヤツは、もう帰ってくんなー!」
と言いたいんですね。
では、SSスレとして 此処を存続させる為
「荒らしを恐れない 勇敢な『書き手』募集」の活動でも始めてください。
こちらとしては 新たな書き手が増えるのは 有難いと思いますので。

で、嵐が去って 『避暑』組が戻ってきたら、どうするんですか?
「出て行けー!」と言って、何割ぐらいの読み手が賛同してくれると思ってますか?

それとも このスレを潰したいだけの人ですか?

>>207
だって SSがこないんですから。
こんな事ぐらいしか ヤル事ないでしょ?
209名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:25:32 ID:uKVsUKeF
>>208
何もしない、という選択肢を選んでもいいし選ばなくてもいい
210名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:30:09 ID:5bxZ98E1
過去を知る者の多くが同意した現状でなお避難所進行に異を唱える者は
荒らせる現状復帰への要求に躍起な荒らし甲斐が無くなった荒らしと
何も知らずにそれに騙された情弱程度のもの。


この一点に尽きる。

そもそも荒らしの立てたスレに継続した進行スレとしての価値を認める必要も無いしな
誤認投下こそあったが本来元が破棄すべきゴミスレなんだから。
211名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:34:23 ID:phZmo/xV
ID:5bxZ98E1、君の行き過ぎた考えは荒らしより悪質だと自覚してくれないかな
212名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:41:28 ID:/tfB+SFM
>>208
「荒らしが嫌だから避難所でやる?なら本スレ(2chのスレ)いらねえんじゃね?」
って言ってるだけだよw
作者の方々はどうぞ避難所へ、このスレは荒らしが来るそうなので来なくていいよ。

>>210
破棄すべきゴミスレってのが正しいんなら、削除依頼板にどうぞw
そんな理由が運営に通るならねw聞いた事ないけどww
213名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:44:55 ID:b6P6yVfj
どの道ここは9月まで使わないのだろ
もうここから撤退してこれから先ずっと避難所でやればいいと思うけどな
まとめwikiもさっさと2chのアドは全部消すのがいい
214名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:53:50 ID:fHKL6mk/
>>212
そうだな。
言ってるだけで今後の事とか全く考えてないだけだよな。
215名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:54:32 ID:LoVkWZFt
使わないなら俺が大学ノートに書いたオリ主が活躍するSSを投下したいんだがいいか?
タイピングに数時間かかるから明日の投下になるけど
216名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:55:13 ID:/tfB+SFM
「今後は避難所だけでやればいい」っつってんだろw
文盲かお前はwww
217名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:56:16 ID:fHKL6mk/
>>216
 1          2            3           4

.   ハ,,ハ                     ハ,,ハ            ハ,,ハ
   (゚ω゚ )        ハ,,ハ         (゚ω゚)、     :.. :. ≡=-(゚ω゚ )
    |  `i         (゚ω゚ )i        //l   l       iコ==ラ`'i9m
    | lヽi li,   →  | lヽl l l   →   l i,,l   l |   →     ./  /l/
    | l-'l |,l       | | // l        `"|iコ=''         /  /
.    'Fヲ|,H      E三l_l_A         | .i .|         /  /
    ,i_| .| |                   | || |         i' /l .l,
     -'‐'                      | || |_       l l .ヽ,ヽ,
                          ‐' ' `‐'       -'-'  -'-'
    脱ぐ       たたむ      コーヒーを     お断りします
                         つくる
218名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:56:34 ID:sauLFMO6
>>212
>>「荒らしが嫌だから避難所でやる?なら本スレ(2chのスレ)いらねえんじゃね?」
>>って言ってるだけだよw

で、その先として、貴方は何がしたいの?
とりあえずの選択肢
・『誰か SS投下してー』
・『こんなスレ、消えてしまえ!』
・『その他』

その他を選んだ場合は、具体的にやりたい事を書いてね。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 20:58:53 ID:fHKL6mk/
>>216
つーかやっぱりこうなったらいいなって妄想言ってるだけで、
スレをどうしたくて結果どうなるとか全く考えてないんじゃないか。
お前の頭の上に乗ってるのはメロンパン入れだろ?
220名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 21:36:11 ID:FciFHZR+
パカーティのBADは勘弁してくれ…
221名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 22:55:45 ID:loNEg+oG
アク禁くらって避難所に書けない荒らしが荒らしの立てた糞スレを必死に荒らしている不思議な光景
222名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 22:58:28 ID:hO93lSxt
>>221
そんなこといわんでもよろし
避難所は平和だからしばらく放置でいいじゃないか
223名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 23:09:03 ID:g2sDO+C3
こんだけ荒れてりゃみんなSSなんか投下しないっつーの
224名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 23:40:48 ID:galaIJRO
避難所進行反対君はこんだけ誘導されても
運営議論スレに一言も投稿しようとしないんだから笑えるなあ

例の荒らしじゃないって言うなら避難所で一言でも文句言えよな
ここじゃ誰も取り合わないんだから

それがわかっててもここでずっとぶちぶち文句言い続けるなら
それは自分がアクセス規制されてるって証明以外の何物でもないよね
225名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 23:51:22 ID:5bxZ98E1
このスレはまとめwiki的にも無かった事にして
夏終了時点で正規の280立てりゃ済む

既にある状況誤認投下分のフォロー以外このスレに対して避難所やwiki側から能動的に行うべき事は無い

そんなスタンスで「このスレは」いじり倒して終わらせとけば済むだろ
荒らしに勝手に暴れさせて完走させときゃ纏めて廃棄完了だ。
226名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/25(日) 23:57:13 ID:4EpjkNCT
ここらで張っとく。勝手にいろいろ加筆。

現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、2010年9月まで避難所進行の予定となっています。
作品の投下はこちら↓でお願いします。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

2chにスレを戻す詳細な日時等は、運営議論スレで話し合い決定されます。
意見・要望のある方は、こちら↓でどうぞ。

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

このスレに意見を書きこんでも参考にされませんのでご注意ください。
227名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 00:15:52 ID:ognNWeMG
>>226
228名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 00:20:19 ID:z3LhOCPa
>>226
誘導乙です
229名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 00:37:38 ID:PIDX06lU
久々に来たけど、なんか凄い事になっちゃってるな
230名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 00:49:57 ID:DzItt5vT
ホント、これはひでえな。
Tの時はこれ以上に荒らしが湧いたもんだけどな。
アレに比べたらまだマシに思えるんだが…。

いちいち何かあると避難所に引っ越すんなら、2chに戻ろうなんて考えずに、wikiの避難所に引っ込んだほうが良いんじゃないの?
どうせ粘着君は、新しくスレ立てりゃまたそこに粘着するんだしさ。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 00:58:00 ID:lE8kNoy2
>>230お前もだカス
意見や反論は、避難所の運営議論スレでやれと言っている糞共
ここでなにほざこうが一切無駄なんだよ
もうほんと夏って感じだな
232名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 01:16:07 ID:A0s6xe71
過疎りたくないから人集めは2chでやる
でも荒らされたくないから運営から投稿まで全部避難所進行
実に欲張りだなぁ、実質外部サイトが2chを利用してるだけじゃないの
233名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 01:31:38 ID:G3gamBJb
こんなギスギスしたスレに投下したい人間がいると思ってるならどうぞ
別にこのスレは残ってるんだから奇特なSS書きを待てば?
234名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 01:45:49 ID:A5qXvjBc
ID:A0s6xe71は投下したSSがマンセーされなかった腹いせにこんな書き込みしています。
生暖かい目で見守ってくださいね?
235名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 02:13:02 ID:sTh6ArzJ
>>232
で、それが何かいけないの?
2chの規約の何に反してるから駄目なの?
お前の脳内ルールに抵触してるとかは他の奴は知ったこっちゃねーしな。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 03:19:08 ID:ethH9UKY
>某所に、『あの作品のキャラがルイズに召喚されました』というSSサイトがあります。(私も書きましたが、なぜか載っていません)

某荒らしの発言だけど、まだ根に持ってるみたいよ?
相手は専用スレ(今part16)が立てられるほど有名な粘着荒らしな上に、
確か一度裁判沙汰にもなってるとか何とか・・・あまり甘くみない方がいいぞ
237名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 15:47:10 ID:Y0otLTb/
荒らしも2chの一部、諦めるしかない
荒らしがいてもスルーできてるスレもあるしね
スレを埋められたのなら立てればいい、荒らしがいるならNGすればいいし
このスレにいる荒らしなんて分かりやすいタイプだし対策は簡単なものだよ

あと、せめて移行するならこのスレを使い切ってからってのがマナーだと思う
前スレの段階で「ここから先は避難所で、2chに次スレは立てないでください」と書いてあるのに次スレが立ったってのならともかく
6か月レスがなくても落ちない板でスレを落とせとか放置とかいうのはどうかと
削除依頼が通るとは思えないし
まあ今から向こうにこのことを書いた所で聞く耳を持ってくれないとは思うけど

まあ、避難所へ移行して、このスレはもういらないってのならここで何を書こうが無視すればいいじゃない、というかスレを見なければいいじゃない
誘導は十分しているし、便所の落書きのことなんて気にしなくていい
こっちに復帰するまで避難所のみでやればいいよ
238名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 15:57:47 ID:98Xt8y4I
嫌だよw
面白いもの、お前の反応ww
239名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:15:43 ID:/5xAQctF
使い魔を召還しようとしたルイズはひょんなことから人間を辞めてしまう羽目になってしまった・・・








・・・ザザーン・・・・
 ザザーン・・・・

波の音が聞こえ、波が砂浜に向かっていく。その波は、砂浜に横たわっていた一人の少年の体を濡らし消えていく。しばらくそれが繰り返され、少年が目を覚ました。

「うっ・・・、ここは一体?それに、あの量産機達はどうなったんだ・・・」

そう呟くと少年は辺りを見回してみた。まず視界に入ってきた物は異常に赤い海、そして少年の同僚である少女のプラグスーツだけが落ちてた。

「この赤いのはLCL・・・?それに何でプラグスーツだけがおちているんだ?アスカは!?アスカは一体どうなったんだ!?教えてくれよ!誰でもいいから何とかいってくれよッ!」

答えられることもなく、帰ってくるのは沈黙ばかりであった。
しばらくそのままの状態が続き、声がした。

「・・・セカンドは無に還ってしまったわ、碇くん・・・」

「あ、綾波!?一体どこから・・・いや、それよりも無に還ったってなんなんだ!?」

碇君、と呼ばれた少年が思わず突如現れた綾波と呼んだ少女に怒鳴るようにして聞き返す。それに答えたのは、また別の声だった。

「それは文字道理の意味だよシンジ君。サードインパクトが発生し、心が壊れていた彼女はそれに耐えることが出来なかった、ただそれだけの事さ。」

「カ、カヲル君まで!?どこに隠れてたんだよ・・・それに、サードインパクトが発生しちゃったって本当なの!?アスカがいないこととなんの関係があるっていうのさ!?」

そうしてシンジはカヲルと呼んだノンケでも思わずホイホイついていってしまいそうな少年に尋ねた。

「かくかくしかじか、そういうわけなんだよシンジ君。」

シンジはカヲルから、それまで2人がどこにいたのか、サーインパクトとは何か、アスカの液状化現象はもちろんのこと、好きな男のタイプまでを詳しくより明確に聞いた。(最後のは聞かなかったことにした。そうしなければ身の危険を感じるためだった。)

「そんな・・・なら僕は一体どうすればいいのさ・・・」

「君のしたいようにすればいいさ。僕とラブラブフィールドをつくることも出来るし、なんなら過去に戻ることも可能だからね。」

「それなら僕は過去に戻る!そして絶対にこの悲劇を起こさないようにしたい!」

(そんな・・・始めから最初の選択肢には興味は無いってのかいシンジ君・・・)
落ち込んでいるカヲルをスルーしつつ綾波が続けて言った。

(碇くんとのラブラブフィールドをつくるのはこの私・・・フィフス、貴方は砂粒の数でも数えているといいわ・・・)
「そう、私とこのホモの力を合わせれば過去に戻ることも可能よ。」

復活したカヲルもそれに続き言い放つ。

「そうさ、しかも今ならLCLに溶け込んだ全ての人の知識もお付けするよ。」

パチパチパチ、と綾波が拍手する。シンジは呆然として言葉を発することが出来ずにいる。
240名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:17:06 ID:/5xAQctF
「ん?どうやらまだ足りないようだねぇ。まったくシンジ君は、しょうがないから使徒化+全ての使徒の能力をおつけするよ。この、いやしんぼめ!」

「ぶらぼー」

何を勘違いしたのかカヲルはそんな大サービスをし、綾波はそれを褒め称えた。しばらくしてシンジは気を取り直し言った。

「それならその力を僕にくれるかい?綾波、カヲル君。」

「ええ。」「もちろんさ。」

「「私(僕)の力よ!人々の記憶よ!使徒たちの能力よ!1つになりなさい!!」」

そう叫んだ直後、2人とシンジとの間に赤い30センチ程の球が出現した。

「これが、その力が1つになった物なの?」

「そう。」「そうだよシンジ君。」

その球はフヨフヨと移動を始め、シンジの所まで後一歩という所で突如現れた鏡のようなものに飲み込まれ、消えた。

・・・辺りを沈黙が覆った。この空気なら流石にあの髭もダッシュで逃げてしまうだろう。空気が重い、重すぎる。

・・・そしてようやく綾波が口を開いた。

「・・・こんな時どんな顔をすればいいのかわからないの・・・」

「それは僕もだよ、綾波・・・」

2人して口を閉ざしてしまった。その後カヲルが言った。

「あれれ??僕には偶然にも2人過去に戻れるだけの力があるようだよ??」

重要なことをまるでどこかの天然少女のような口調で告げた。

「奇遇ね・・・私もよフィフス・・・」

綾波も負けるまいと言い返す。

((このやろう・・・ッ!力を残して後で有利になれるようにしていたな・・・ッ!))

どうやらこの2人、考えることは大体同じようである。

「ま、まあ、2人とも、ならその力を使って過去に戻ろうよ。」

2人のようすに怯えつつシンジがそういった。

「そう・・・なら過去に戻りましょう、碇くんとおまけにホモも」

「なら戻るとしようか、シンジ君、後えっと・・・綾なんとかさんも」

((絶対こいつには負けない!!))

そうしてこの終末を迎えた世界から3人の姿は消えた。後に残されたのは赤い海だけだった・・・                                    
                                         
                                          
同時刻トリスティン魔法学院。

ここでは神聖なる使い魔召還の儀式が行われていた。
この使い魔召還の儀式は己の魔法の実力が映されているといっていい。
241プロローグ:2010/07/26(月) 18:19:15 ID:/5xAQctF
おまけに召還された使い魔は生涯を通して付き合うことになるパートナーといっても過言では無いため、不真面目に取り組む生徒はいない。

そのためこの儀式に臨む誰も彼もが今日という日を心待ちにしていただろう。
召還を終えた生徒たちはそれぞれ笑顔で新しい自分達のパートナーとの交流をおこなっている。しかし、そんな中、何故か何度も爆音がその場に鳴り響いていた・・・

(どうしてよ・・・どうして失敗するのよッ!)

ルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエール。
彼女が召還の儀式が行われている広場に爆音を鳴り響かせている者の正体だった。

「なぁ?そろそろ諦めろよ。お前の精神力より広場がまいっちまうよwww」

「ていうかゼロのお前が召還できるわけねーじゃんwww」

「はいはいワロスワロス。」

まわりから聞こえてくる声にも耳を傾けようともせず、少女はひたすらに召還の呪文を唱え続けていた。

「ミス・ヴァリエール、次を最後にして失敗したら続きは明日にしなさい。」

「はい・・・コルベール先生・・・。」

どうやらこのコルベールと呼ばれた人物はこの儀式の責任者のようだった。

(ええい!しっかりしなさい私!もう次にかけるしかないわ!)

「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ。神聖で美しく、そして強力な使い魔よ。私は心より求め、訴えるわ。我が導きに、応えなさい!」

今度は爆発はしなかった。そして鏡のようなものが、ルイズの前に姿を現した。

(やったわ!一体何が出てくるのかしら?)

鏡から姿を現したのは赤い、30センチメイルの球のようなものだった。

「よかったね、ミス・ヴァリエール。早く契約をすませるんだ。」

「はい!コルベール先生!」

そうしてルイズは契約の呪文を唱え始めた。」

(やったわ!私!私はやれば出来る娘だったのよ!)

「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエール、五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

その物体に口付けした刹那、ルイズに様々な変化が起きた。

――流れ込む赤い世界に生きていた人々の記憶、知識、ATフィールドを張ることが出来る体に変化し、その体には全ての使徒の能力が流れ込み、額に何かが浮かび上がる――

こうして本来あの少年が手に入れるはずだった力を私は手に入れてしまったんだなぁ、と思いつつルイズの脳はその処理能力をはるかに超える情報を処理したために一時的に停止した。
そして次に目を覚ました所は医務室と思われる場所だった・・・。

「・・・見慣れた天井だわ・・・。」

ひょんなことから人間を辞めることになってしまったルイズの明日はどっちだ!





今のところはこの三人組はもう出ないと思います。たぶん。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:20:30 ID:/5xAQctF
前回人間を辞め、使徒となってしまったルイズ。そんな彼女がようやく医務室で目を覚ましたのであった。第1話
意識が戻ったルイズはまず、鏡を見てみることにした。貴族たるもの身だしなみは大切だからだった。ところが・・・

「な、何よこれ!?」

鏡を見たルイズの目にまず飛び込んできた物、それは本来、使い魔に刻まれる筈の契約の証のルーン、それが自分の額に刻まれている光景だった。

「何で自分にルーンが刻まれているのよ・・・ハッ!そうよルイズ、これは何かの間違いよ!きっとここは夢の中なんだわ!」

そうやって頬をつねってみた。痛い。今度は太もももつねってみた。痛い。希望を捨てられず体中をつねってはみたものの、現実は変わってくれなかった。

「どうして私が自分自身の使い魔になっちゃったのよ・・・しかも!気絶する前に見た記憶が本当だったら、試験に失敗して学校を辞めるのよりも早く、人間辞めちゃったっことになってるわ!」

そう、ルイズは覚えていた。記憶の中で異世界の様子を、知識を、なにより最後の三人組の会話の内容をッ!

「あのシンジっていう奴もちょっとは止めなさいよ・・・全然関係なかったのに、人間辞めらされた私の気持ちにもなってみてよ・・・」

ルイズはこう愚痴をこぼしたが、当のシンジは世界を救うという目標があったために止めるなどこれっぽっちもなかったのだ。

「でも・・・すごい力が手に入ったんだし、せっかくだから何か使徒の能力でも使ってみるとしましょう。」

何故、急にルイズが前向きになったのかにはわけがあった。
ルーンの効果の中には主へ少しずつ好意をすり込んでいくものがある。ルイズは自覚はしていないが、今まさにその効果が発揮されてきたからだった。

「じゃあまずは、えーてぃーふぃーるど?」

なれない発音に、最後は疑問系になりつつ、ルイズは手を前に出してみた。
赤い壁は現れなかった。不発だった。ルイズはちょっと恥ずかしくなりつつ、誰にも見られてなくて本当によかったと思った。

ルイズはいつも魔法の練習をしていては失敗し、医務室に行くことは珍しいことではなかった。この医務室の担当者もルイズが倒れた後の騒ぎをおさめ、その後の進行で忙しかったコルベールから説明を受けておらず、運んだ生徒も人を運べる竜を召還したタバサだったので

「・・・倒れた・・・よろしく。」

としか言われてなかった。そのため、医務室の担当者も

(あーまたこいつか。3時間後ぐらいに来たらいいか。)

と考え、医務室の扉に鍵をかけ、別の用事でどこかへいってしまったのだった。
ルイズが目覚めたのは、倒れた40分後と以外に早く、この先1時間ぐらいは人が来ることはなかったのだ。それを知らないルイズは人に見られてはいけないと思い、試すのは攻撃の能力意外にしようと思ったのだ。

ルイズはATフィールドの展開に失敗してからあることを思い出していた。

(ん?たしか誰かがATフィールドは拒絶の意思とか言ってたわね・・・。ようし・・・「ハァハァ変な息しながらこっちくんなマルコリヌ!!」・・・こんな感じかしら?)

その瞬間、ルイズにかけられていた毛布は突然現れた赤い壁に弾き飛ばされた。マルコリヌには悪いがルイズはATフィールドの展開に成功したのであった。

「一度展開出来たらけっこう簡単なのね・・・。次は何にしようかしら?でも、ほとんどがこの部屋を吹き飛ばしそうね・・・。イスラフェルっていう奴のを試してみましょう。」

すると、その場にはルイズガ2人になった。某双子芸人も真っ青なほど似ていた。まぁ、双子ではなく、分裂したものであるのだから当然ではある。

「私はルイズよ、貴女は?」

「私もルイズよ。ていうか貴女は本体でしょ!それくらいわかってよね!」

どうやら分身は意思を持っているらしく、区別がついているらしい。
おまけに、性格も本体そくりだった。

「じゃあ、分身の貴女はルーちゃんなんてどう?」

ルイズはふざけてこう聞いてみた。
243第1話:2010/07/26(月) 18:22:05 ID:/5xAQctF

「私はそれでいいわよ。」

(えっ!?本当にそれでいいの!?)

分身は名前はこだわらないようだった。
他にもルイズが色々話してみようとした時、廊下から足音が聞こえた。

「もうちょっと話をしたかったんだけれど残念ね。また会いましょう、ルーちゃん。」

「わかったわ。また読んでね。あっ、べ、別に寂しいから呼んで欲しいわけじゃないんだからねッ!勘違いしないでよね!」

そういいのこし、ルーちゃんは本体と1つになった。ルーちゃんの言葉を聞いたルイズは

(自分はいつもこんな感じなの?)

と不安になったのはルイズだけの秘密だ。

やがてドアがノックされた。

「ミス・ヴァリエール、起きていますか?」

「あっ、はい!コルベール先生。今起きたところです。」

どうやら、声の主はコルベールのようだった。

「ミス・ヴァリエール。貴女の処分に関してですが、学園長の判断はルーン自体は刻むことは成功しているので、進級を許すとのことでした。」

コルベール先生の話によると、何とか私は進級を許されたようだ。
まあ、あのオールドオスマンのことだから

「まぁ、成功ってことでいいんじゃね?」

というようなノリで許可したんだろう。流石にそれはないかな?

実際はルイズの思った通りのようだったということは、ルイズ本人は知るよしもない。他にはルイズの両親の圧力が怖いから、という理由もあったからだった。

「今日は色々あって疲れただろう。起きても大丈夫なら部屋に戻ってもかまいませんよ。最後に、進級おめでとう!ミス・ヴァリエール!」

「ありがとうございます、コルベール先生。それと私はもう大丈夫です。部屋に戻らせていただきます。」

そういうとルイズはベッドからおり、部屋に帰っていった。まだ試してみたいことがあったからだ。

ルイズが医務室から姿を消した後、1人になったコルベールは口を開いた。

「本当に良かったですねミス・ヴァリエール。あの娘は人一番努力していましたからね・・・。それにしてもあのルーンは見たことがありませんね。ふむ、図書室の本の中にこのスケッチの模様と合うルーンを探してみるとしますかね。」

コルベールも部屋から出て行こうとしたとき、視界の端に何かが入ってきた。

「おや?こんな所に毛布が。ミス・ヴァリエールは寝相が悪かったのでしょうか?」

そういいつつ、コルベールはベットから結構離れていた場所に落ちていた毛布をベットの上に置いた後、部屋を出て行った。

一方部屋に戻ったルイズは、

「今日は疲れたから試すのはレリエルのディラックの海っていうやつでの移動実験で終わりにして寝ましょう。」

そういうと、ルイズは移動先を考え始めた。

「う?ん。どうせやるなら遠くにいきたいわね。え?と・・・そうだわ!私の家の中庭の池の小船の近くにしましょう!もう暗くなるからきっと誰もいないわ。」
244第1話:2010/07/26(月) 18:23:19 ID:/5xAQctF
決まり!決まり!そういうとルイズは足元に広げた影のようなものに潜っていった。

ラ・ヴァリエール家にある中庭。そこは先程までは誰もいない場所だった。だが、中庭の一箇所に影のようなものが広がると、そこから人が現れた。

「うわー本当についちゃったよ。ホント私って人間じゃなくなっちゃったんだなぁ・・・。」

どうやら、ルイズはあまりに人間離れした自分に若干引いているようだった。

「でも便利ね、これ。実は私、相当ラッキーだったんだわ。いままで涙を呑んで頑張ってきた16年間、きっと神が私の努力を認めてくださったのね!ありがとう、始祖ブルミル!ありがとう、あの2人の気まぐれ!ありがとう、あの球に触れないでくれていたシンジ!」

ルイズはそういうと、始祖やあの三人組に感謝をした。しばらく祈りのポーズのルイズだったが、飽きたのか、また自分の足元に影のようなものを広げ学院に帰っていった。

自分の部屋に戻ったルイズは、すぐにベットに飛び込んだ。どうやらずいぶんと疲れていたようだ。

ルイズはうとうとしながら思った。自分には昨日までは何もなかった。あったのは自分の‘‘ゼロ‘‘という不愉快きわまりないあだ名だけであった。

だが今日、それは覆された。自分はアダムやリリス、他の使徒達の能力が手に入った。実現出来るかどうかはわからないが、科学という魔法とは異なった知識も持っている。

だが、その力に溺れるようなことはしないと誓う。現に、あの記憶の中に出てきたネルフという組織はあまりに大きすぎる知識を持っていたため、最後には滅んでしまった。

自分は貴族らしく、華麗に生きるのだ!そうルイズは心の中で誓い、眠り始めた。

彼女の寝顔は今までの人生で、最高に幸せそうだった。
245第2話:2010/07/26(月) 18:25:10 ID:/5xAQctF
翌日の朝、ルイズはいつもよりも早く目が覚めた。窓の外はまだ薄暗く、後1、2時間はしないと太陽は昇らないだろう。

「ふぁ?あ、よく寝たわ。でも、ちょっと早く起きすぎたわね。暇だわ。」

ルイズは、洗顔をすませ服を着替えると、ベッドに腰をかけそう言った。

「またディラックの海の実験でもしていようかしら。今度はどこに行こう?・・・あっ、あの3人がいた世界に行くことは可能なのかしら?」

ふと、そんな考えが浮かんだのでルイズは考えてみた。

(そもそも、時間を移動することは流石に無理と思うのよね・・・。でも、現にあの3人はあの場から消えた。ひょっとすると、あの3人が行った先は過去では無く、まだサードインパクトが起こる前の同じようで異なった世界へと行ってしまった、そう考えられないかしら?)

あの知識の中にこんな考えをする学者達がいた。

――例えばじゃんけんをしているAとBがいたとしよう。じゃんけんをするまでは同じ世界で、Aがグーかチョキかパーを出す可能性があるようにそれぞれの手を出す歴史を持った世界が3つ出来る。よって世界はあるで、分かれていく木の枝のように沢山の世界が出来る――

この説が正しければ、あの3人はその沢山の世界の内の1つに行ったということになる。

(あの3人はただ世界を移動したとすれば、私も異世界であるハルケギニアからあの赤い世界にいけるかもしれないわね・・・。よし!いっちょやってみましょう!)

そうしてルイズはあの赤い世界のことを脳裏に思い描きながら、影のようなものを足元に広げ、潜っていった・・・


今は全生命が滅んでしまった地球、あいかわらず赤い波が海岸に押し寄せる以外は特に変化は無いのだが、少女が消えてしまった場所にルイズは姿を現した。

「着いた、ということはやっぱり異世界の移動なら可能なのかしら?だったらもし召還したのがあの球じゃなく、あの3人組だったら逃げられてたかもしれないわね・・・。ルーンも強制的に解除されてたかも・・・」

あーこわいこわい、とルイズは呟くとルイズは記念に持って帰るものを探し始めた。

「やっぱり、電化製品はもって帰りたいわね・・・、病院とかの施設に行けば発電機ぐらいはあるかしら?」

そうして行動し始めたルイズだった。

約1時間後、ルイズは様々な物をディラックの海に入れていた。まるで猫型ロボットのポケットみたいな使い方である。

「家電製品の他に侵攻してきていた戦自の装備品も沢山手に入ったわね・・・。ついでにアダムの力を使えばロンギヌスの槍も回収できるのかも・・・。」

そういうとルイズは強く念じ始めた。

(ロンギヌス来い!ロンギヌス来い!ロンギヌス来い!ロンギヌス来い!ロンギヌス来い!ロンギヌス来い!)

すると案の定、空の彼方から赤い槍が急接近してきた。やがてそれはルイズの側に来ると、ルイズが持てる大きさになってしまった。

「・・・・・・これは、流石に、反則よね・・・。いざという時だけに使うとしてその時意外はずっとディラックの海に中に放り込んでおきましょう・・・。」

そう決めるとルイズはまた学院の自室に戻っていった・・・。後に残されたのは赤い、ルイズの便利な道具管理庫となったのにも等しい世界だけであった・・・。


自室に戻り、部屋を出たルイズは同級生であるキュルケに声をかけられた。

「おはようルイズ。あれ?貴女って進級出来たの?なら使い魔は何処?」

「おはようキュルケ。使い魔はね・・・何故か知らないけど、私自身にルーンが刻まれちゃったのよ。ほら。」

若干言いにくそうにルイズはそう言うと額のルーンを見せた。

「アハハハハハ、な、なによそれ、貴女って体を張ったギャグでもしたかったわけ?!流石ルイズね!私には出来ないことを平然とやってのけたわ!でもそこに痺れもしないし憧れようとも思わないけどね!」
246名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:26:33 ID:/5xAQctF

「黙りなさいッ!そういう貴女こそ一体何を召還したのよ。貴女って火の系統だからチャッカマンでも出てきたの?」

「ちゃっかまん?何それ。まぁいいわ。これが私の使い魔、サラマンダーもフレイムよ。フレイム?こっちにいらっしゃ?い。」

その呼びかけに応じるようにしてキュルケの部屋から出てきたのは平均サイズよりも大きいサラマンダーだった。

しかし、ルイズを見た途端にキュルケの背後に怯えるようにして隠れてしまった。ひょっとすると、野生の勘でルイズが自分とは天と地程の差があることを感じ取ったのかも知れない。

「プッ、貴女のサラマンダーって見た感じは大きいけど、性格は随分とちっちゃいようね。何だってゼロである私を見て怯えるんだから。あ?おかしい。」

「ち、ちょっと?!どうしちゃったのよフレイム?!まさか貴方って本当に気が小さいの?・・・はぁ?。何だか朝っぱらから疲れちゃったわ。また後でね・・・ルイズ。」

そう言い残しキュルケは去っていった。そんな彼女とは対照的にルイズはウキウキしながら食堂へと向かっていった。

アルヴィーズの食堂。ここではいつものように食べる前に始祖への祈りを捧げていた。ルイズも祈りを捧げながら

(うわー、これってどう見ても食べすぎよね・・・。全然ささやかじゃないし・・・。)

異世界の様子を知ったことで、自分達がどれ程恵まれているのか実感したのである。何だかルイズは食べきれる自信が無くなって来たので、あまった分はこっそりとディラックの海に入れておいた。本当に便利な能力である。

授業を行う教室に移動し、しばらくすると、シュルヴルーズという土系統のメイジの教師がやって来て、生徒達に魔法の基礎をおさらいさせ始めた。
その間にルイズは他の生徒から使い魔のことでからかわれたが、精神的に成長したルイズは適当に受け流しておいた。

「そろそろ静かにしなさい。ごほん、え?皆さんは魔法の四系統はご存知ですね?魔法の四系統とは火、水・・・」

シュルヴルーズが基本的なおさらいをしている間、ルイズは暇だった。それらは自分が既に知っているものばかりだったからだ。なのでルイズは少しだけうとうとしてしまっていた。

「・・・!ミス・・・!ミス・ヴァリエール!聞いているのですか?」

「あ、ハ、ハイ。ミス・シュルヴルーズ、すみません、聞いていませんでした。」

「なら罰として貴女には前で実際に、連金をしてもらいましょう。」

当 て ら れ て し ま っ た。

周りの生徒達もルイズ本人も必死に危険性を訴えた。無駄だった。だからルイズには被害が出来るだけ少なくなるように祈りながら杖を振った。

授業が終了し、ルイズは廃墟の片付けをしていた。そう実はこの廃墟、先程までは授業をしていた教室だったのである。
すごいぞ!すごすぎるぞ、リフォームの匠、ルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエール!ルイズは前向きに考えようとしてそう考えてみたが、逆にむなしくなってしまった。

しばらく1人で片付けていると、通りすがりらしき1人のメイドが話しかけてきた。

「あの、ミス・ヴァリエール?大変なようですのでお手伝いいたしましようか?」

「あ、ならお願いするわ。貴女、名前は?」

「シエスタと申します。」

「そう、シエスタっていうのね。ありがとう。」

その後片付けを再開したが、やっぱり人手が増えた分、楽になったようでやがて片付けは終わった。

「ふー。終わりましたね、ミス・ヴァリエール。」

「貴女が手伝ってくれたおかげで早く終わったわ。感謝するわよ。」

「いえ、当然のことをしたまでですよ。私のようなメイドなんかに感謝なさらないで下さい。」

「私としては貴族は平民に感謝するべきだと思っているのよ。貴女達のおかげで私たちは暮らしていけるんですもの。後、私のことはルイズでいいわよ。」
247名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:27:41 ID:/5xAQctF
「・・・ルイズ様、貴女なら将来、立派な貴族様になれますよ!応援しています!それでは私はこれで。」

そう言いシエスタはペコリ、と頭を下げると教室を出て行った。

「・・・人に感謝されるっていいわね。」

ルイズもしばらくしてから食堂へと向かった。

その後ルイズはヴェストリの広場にいた。そこで、ルイズは何故自分がこんなことになっているのか考えてみた。

きっかけは些細なものだった。ギーシュの落とした香水のビンをシエスタが拾ったのがきっかけだった。その場を何とかをごまかそうとギーシュがシエスタに責任を押し付けようとしたのだ。

そこにさっきシエスタに手伝ってもらったこともあって、ルイズは彼女を援護するようなことを言ったのだった。その後ルイズはシエスタの変わりに決闘を申し込まれ、今に至ったのであった。

(ああ、めんどくさいわね。)

ルイズは周りが騒ぎ立てる中、そう思った。











どんどんルイズが最強になってしまう・・・
248第3話:2010/07/26(月) 18:28:55 ID:/5xAQctF

「よく逃げずに来たね、ヴァリエール!」

「何で貴方ごときに逃げないといけないの?何なの?バカなの?」

「フッ、そう言っていられるのも今だけだよ、ミス・ヴァリエール!君とは僕のワルキューレが戦うよ。」

杖が振るわれ一体の青銅製のゴーレムが錬金される。

ルイズはここでちょっと悪さをしてみようと思った。

「ギーシュ・・・貴方のワルキューレって素晴らしいわね!」

「ははは、本当のことを言うのはよしてくれよ。照れるじゃないか。」

「でも・・・!貴方のそのワルキューレはそのままじゃ名前負けしちゃうわよ。貴方の青銅のゴーレムはもっと相応しい名前があるわよ!」

「な、なんだって!?これでも一生懸命考えたのだが・・・一体どんな名前が相応しいんだ?!教えてくれミス・ヴァリエール!」

「じゃあ教えるわよ、それはね・・・」

ごくり、誰かが息を呑む音が広場に響いた気がした。

「4千年の歴史を持つ国で作成されたと言われる、高度の技術を搭載した全自動人形。時代を先駆ける者という意味を持つその名前は・・・ズバリ!先行者よ!!!」

先行者。その名前を聞いた瞬間、ギーシュの体を衝撃が走った。

「先行者・・・!なんて素晴らしいんだろう!歴史を感じさせるその名、そして時代を先駆ける者という意味を持つ所!まさに僕のワルキューレにぴったりだ。いや、これからはこのゴーレムは先行者と名付けようじゃないか!」

「そうでしょう!素晴らしい名前よね!」

絶対騙されてる!絶対騙されてるよ、ギーシュ!心なしか前よりも弱くなっちゃったよ、それ!

何故かその場にいた人間は全員そう思った。しかし、ギーシュは本当にそう改名してしまった。

「そう!僕と先行者の歴史は君を倒す所から始まっていくのさ!さぁ、いざ勝負!」

「ねえ、ちょっと待ってよギーシュ。私は魔法が使えないから銃を使ってもいいかしら?」

「ぷっ、君は平民なんかの道具に頼るのかい?まあいいだろう。使うが良いさ!」

ルイズは流石にディラックの海を公の場にさらすつもりはなかったので、自分の部屋に戻ったように見せかけ、適当に引き当てた三脚がついているマシンガンを引っ張ってまた広場に戻ってきた。

「待たせたわねギーシュ。後、死にたくなかったらフライで空中から指揮をとった方が良いわよ。」

「ん?ずいぶん変わった銃だね。先行者という名前をくれた君がそう言うのならそうしょう。さあ、いけ!先行者!」

ギーシュがそう声を張り上げると同時に、先行者がルイズに襲い掛かってきた!

ズガガガガガガ、ズガガガガガガ。

ルイズにたどり着く前に先行者はたったの5秒ほどで体の軽量化に成功していた。穴が沢山出来て風通しも良くなったようだ。まあ、肝心の攻撃は失敗してしまっていたが。

沈黙が広場を支配した。ハッと我に返ったギーシュが恐る恐るルイズに尋ねた。

「あ、あの?、ミス・ヴァリエールさん?貴女が使っている物は一体何なのでしょうか?」

「見て分からないの?銃よ。」

「嘘をつくな!銃は連射出来ないだろうが!たった5秒ほどであんなになるなんて、君は何発撃ったんだ?!」
249名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:30:38 ID:/5xAQctF
ルイズは銃の性能を思い出しながら言った。

「え?と?120発ぐらい?ごめんなさい。他の物とごっちゃになってるかもしれないわ。」

120発!?その場にいた誰もが唖然とした。科学技術が遅れているハルケギニアの銃は先端から銃弾タイプなので1発しか撃てないからだった。

「いやいやいや、そんな銃だと知っていたら許可は出さなかったよ!」

「男に二言は無いって前、貴方が言っていたじゃないの。矛盾してない?」

「うっ・・・なら、行け!先行者達!」

慌ててギーシュは杖を振るい、それにあわせて出現する六体の先行者達。
そして約1分後・・・

案の定、先行者達はただの青銅の破片と化してしまっていた。

「まだ続ける気はあるの?ギーシュ。」

「もう見て分かるだろ・・・降参だよ・・・。」

その後はルイズがギーシュにモンモランシーやケティ、シエスタなどに謝罪をさせ、決闘は終了した。食べ損なった昼食をとる為に食堂へ戻ったルイズが、シエスタから詳細を聞かされ感動したマルトーに

「お前さんこそ本当の貴族だ!!」

と抱きつかれ、ちょっとした騒動があったのは完全に余談であった。

一方、オスマン達は・・・

「間違いありません!あの額のスケッチのルーンは間違いなくミョズニトニルンのルーンです!」

今日は珍しくミス・ロングビルが熱を出して休んでおり、決闘のことを報告しょうとする教師達もいなかった為に広場の決闘に気付くことはなかったのであった。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:30:54 ID:ethH9UKY
予約とタイトル忘れとんぞ?
251名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:33:47 ID:35+USgEr
どうにもちゃんとした投下というよりはいい加減に作ったくさいような…
予約やタイトルもなかったし
252名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:46:44 ID:hU7XH9WS
小説になろうの「スーパーシンジならぬスーパールイズ」のコピペだね。
作品が投下されないからって、他の所から持ってくるなよ>ID:/5xAQctF
253名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 18:49:18 ID:Jp7w5Kvl
なんだ、荒らしか。
って、アンチウルトラの手口の真似か。
荒らしの手口まで人真似とは……
254名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 20:09:24 ID:DnUyBpbL
>>荒らしの手口まで人真似とは……
本人でしょ。
さぁ 次はどんな芸を見せてくれるのかな?
あっ 一回使ったネタは禁止ね。
あと クソつまらない芸も。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 21:27:04 ID:U+grpxwb
>>252
>小説になろう
ちょっとワロタ
256名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/26(月) 23:21:12 ID:/5xAQctF
                    |
                    |     >>252は朝鮮人になぁ〜れ
                    |
             ____   .|                 ミ /〉__人__
         / ̄      `  、 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  // )  ( ピシッ ̄ ̄ ̄ ̄
       ,. ‐'            ` ー-、     人_     ミ//  `V´
      /  / /    /   i       \   `Y´      //
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     |  |  T ´厂 「`メ / i_」_    i   |    !       /,イ  _!_
人    |  |  |r坏テミリiイ/ / 「ノ `メ、  | | |          _///   !
'Y´   |  |  | トr:::リ  ∨ rテi{∨/  / |/リ       ///,イ
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 * /  / .∧  ヽ    __ ' `'´ ハ   \      {〈/レレヘ}   !
 __/  / / ∧   ', {  ノ   .ハ \   \      | / ` /
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  /:::::ハ  i.  (::::::―:::―::‐- !::∧     \:::::―`ー|ノ|从   |__ヽ  \
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/:::::::::::::::::∧  \. \ー::‐:/i!   `r\      ̄  /   /:*:::::::::::\
::::::::_::_:::::::-:i}   ヽ. V/  .|!  i.  i!  '>、____/    |:::::::::人:::::::::::\
257名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 00:10:30 ID:ZukyoWum
やっぱルイズかわいいわ
258名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 01:28:30 ID:b268Gjr7
こりゃだめだ
259名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 01:39:26 ID:GxiG7CBt
印象操作で好きに荒らせる状況に持って行こうとして無視されるのに我慢できなくなって
ついに馬鹿の一つ覚えの盗作コピペを再開、でもモロバレ

所詮スレ立てそのものから荒らし行為であるだけの事はある。
260254:2010/07/27(火) 05:38:13 ID:AeRPGkMH
>>256
ツマンネ。センスが無い。 三十点(不合格)

以下 AAの連続投下は不可。新しいネタを期待するので、無い知恵絞ってください。
261名無しさん@お腹いっぱい:2010/07/27(火) 14:31:52 ID:Ty2hboB8
〜髑髏の術士の使い魔〜
今年中公開予定
今一人の術士が一人の少女を救い出す・・・・・
262風の使い魔:2010/07/27(火) 19:57:45 ID:RmczavUW
 第二次忍空戦争――それは大戦後、忍空の過激派が集まった部隊『忍空狼』と干支忍との間で繰り広げられた"戦"。
 元来忍空狼とは、元忍空組五番隊隊長で干支忍である『辰忍』炎の赤雷が結成した部隊であり、
構成員は解散後も平和に馴染めなかった忍空組の残党達であった。その本来の目的は平和の為、
荒廃した国の治安維持に忍空の力を活用するというもの。
しかし諸国を訪ねる為、隊を長期間留守にしていた赤雷の与り知らぬところで、忍空狼は密かに造り変えられていた。
 忍空狼副将軍にして元5番隊副隊長、紅。彼の掲げる、
忍空の圧倒的な武力こそが天下を制するべきという野望に同調する凶暴な戦闘集団へと。
 事の起こりはEDO歴3年。ある特殊な修練によって、各人が隊長クラスに匹敵する戦闘力を持つに至った数十の忍空狼。
対するは、たった四人の干支忍。
 忍空狼が世の表舞台に出る前準備として最初に企んだのが、確実に障害となるであろう干支忍の抹殺。
師より技と志を直に受け継いだ十二人衆が、忍空狼の台頭を許すはずがないと踏んでのことだった。
 そして紅の目論見通り、計画は実行に移された。四人の干支忍の内、ある者は忍空狼への協力を拒んだことによりさらわれ、
ある者は戦友を助ける為に。またある者は忍空狼の非道に義憤の炎を燃やした。
 それぞれがそれぞれの理由で忍空狼との戦いに身を投じ、忍空使い同士の暗闘は起こるべくして起こった。
 最終的に裏切りに遭った戦友を救い、忍空狼を壊滅せしめた干支忍の完全勝利で第二次忍空戦争は終結。
力と恐怖による国の支配は未然に防がれ、干支忍達が各々の生活に戻ると共に、忍空は再び時代の陰に潜った。
 大衆の目に触れることなく幕を閉じた、たった四人での戦い。
しかし、勝敗が一国の命運を確実に左右する――その意味では、それは確かに戦争だったと言えよう。
 すべては、ようやく勝ち得た平和を守り、忍空の道と誇りを貫く為に。決して表の歴史に記されず、
誰からも称賛されない戦いに、それでも臨んだ男達。その名は、ほんの一握りの者を除けば記憶されることすらない。
 
 元忍空組、六番隊隊長、『巳忍』大地の橙次。
 同じく……七番隊隊長、『午忍』氷の黄純。
 同じく……十番隊隊長、『酉忍』空の藍眺。

 そして……一番隊隊長、『子忍』風の風助。

風の使い魔 1-4

 夕刻、生徒達は夕食までの時間を思い思いに過ごす。タバサにとって、その時間は誰にも邪魔されず読書に費せる時間でしかなかった。
 正確には、それは今でも変わらない。違う点といえば、これまで読書場所は自室や図書館が主だったが、ここ数日は野外が増えたくらい。
ついでに言えばもう一つ、読書の合間に一人の少年を目で追うくらいだった。
 タバサは今、広場の樹を背に座り込んで本を広げていた。彼女からやや離れた花壇で、少年は雑草をむしっている。
 名は風助。何の因果か、タバサが召喚した使い魔の少年。言動はまるで子供なのに、端々に少年らしからぬ雰囲気が見え隠れする、
どこまでもイレギュラーな使い魔。
 カエルじみた顔をしているくせに、操るのは同じ風。それも魔法ではなく、忍空と言う名の武術。
 まだ十三と幼いながらも実態は歴戦の戦士。にわかに信じられない話だが、タバサを含め事情を知る者は全員が全員首肯するだろう。
召喚から二日目、彼はヴェストリの広場で巨大な竜巻を――文字通り、学院に旋風を巻き起こしたのだから。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 19:59:44 ID:RmczavUW
 広場での騒動の罰として、学院長から奉仕活動を言いつけられた主従だったが、風助の行動は言いつけられたものではない。
 本人曰く、暇潰し。有り余る時間と体力の消費先。並外れた食欲の対価として、言われてもいない用事まで積極的に行っている。
タバサが講義に出ている間もあちこちで働いているらしく、泥だらけになって帰ってくることもしばしば。
 最近はルイズの使い魔、才人(頻繁に名前が出てくるので覚えてしまった)と、
メイドのシエスタ(同じく)とつるんで何かしらやっているみたいだが、詳しくは知らない。
風助が一方的に話すことはあっても、こちらから訊ねはしないからだ。

 昨日、風助に本名を明かした。これと言って理由はない。強いて言うなら、一つでも彼と共有する真実が欲しい気分だったのだ。
秘密を共有することで少しは彼が理解できる、曖昧に揺れる胸の内が何か変わるかもしれないと。
 しかし、実際は変わらなかった。もしかすると変ったのかもしれないが、気付けないなら同じこと。
 シャルロットの名を風助は綺麗だと笑った。笑ってくれた。だが、それだけだった。それからもなんら変わりない態度で接してくる。
 未だ迷いは晴れず、主と使い魔としてスタートラインにも立っていない。どれだけ成績優秀でも、使い魔に対する理解、信頼、
コンビネーションの面では学年最下位だと、自嘲でなく自己評価している。これでは、信頼できるパートナーなどほど遠かった。
 その名の通り、風のように掴み所のない風助に、タバサは戸惑っていた。
 メイジとしては使い魔を世話し、見事に使役してみせなければ一人前とは認められないだろう。使い魔を持たないならまだしも、
召喚した使い魔をないがしろにして有用に使役できないなどもってのほか。
 故にこれまでの人間と同様、無関心と不干渉を貫いて看過できるほど遠い存在ではなく、かといって他の生徒が使い魔とそうしているように、
仲良くしたい理由もなく。正確には、それすら自分で自分が分からない。仮にそうだとしても、すんなりいかない理由がタバサにはあった。

「俺と友達になるか?」

召喚の翌日、風助が言った言葉――それに対し、どう答えたのだったか。

「あなたは使い魔。友達じゃない」

 今更、どんな顔をして親交を深めればいいのだろう。
 風助はそんなタバサの気も知らず、のほほんと日々を過ごしている。そんな彼を目で追い、観察し、しかし一歩も踏み込めていないのが現状だった。
そして今日も今日とて、タバサは無表情の裏で堂々巡りを繰り返していた。

 タバサがページを捲る手を止め、何の気なしに風助を眺めていると、
「彼は変わっているね」
 不意に頭上から声が降ってきた。そこにいたのは、頭のてっぺんが禿げ上がった中年の男性。
学院の教師であり風助の正体を知る一人、ミスタ・コルベール。いつの間にか傍らに立って風助を見ている。
「熱心に雑務をこなしている。まぁ……その分、色々と面倒も起こしているらしいが。昨日は昨日で、使われていない大釜を軽々運んでいたよ。
今日は学院の隅の荒れ地を丁寧に掃除しているのも見た。君は知っていたかい?」
 やらかしたお咎めは必ずタバサにも来るので、もちろんすべて把握しているが、ここで聞いているのは風助が才人とシエスタとやっている"何か"だろう。
知っていると言えば知っているが、タバサは黙って首を横に振った。
 やはり知らないからだ。行動の詳細も、その理由も。
「そうか。学院長室まで勝手に直談判に来たとミス・ロングビルがぼやいていたよ。学院長は悪い気はしないみたいだがね。
老人は無邪気な子供には弱い生き物だから……おっと、これは内緒だよ?」
 おどけた仕草で口に指を立てるコルベール。
 直談判の部分は気になったが、タバサは特に反応しなかった。コルベールもそれを知ってか、一方的な語りを続ける。
「ただ、オールド・オスマンの名誉の為に付け加えるならば、君達二人の処分を軽くしたのは彼の嘆願に心動かされたわけでも、
ましてや孫を持つ気分を味わいたかったのでもない。むしろその逆」
 風助の力を危険視したが故に。大方、そんなとこだろう。大体の察しはついていた。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 20:00:41 ID:RmczavUW
「あの時点で、君を含む誰もが風助君の実体を捉えきれていなかった。
忍空と呼ばれる謎の武術――外見に似合わぬ強大な力を秘めているとしか。もっとも、それは今も変わらないのだが」
 風助の外見、口調、いずれも子供のそれである。子供が駄々をこねる感覚で力を爆発させ、
幼稚な怒りを誰かれ構わず振るえばどうなるか。しかも、風助は戦場で人を殺めた経験だってある。
 単純そうなので、なるべくストレスを与えず行動をコントロールし、なおかつ多くの人間と接触させ様子を見る。
つまり、機嫌を取りたかったのだろう。さしずめタバサはお目付け役だった。
 もっとも風助自身は、純粋に好意と寛大さと受け取っているのだろうが。
「だが、それも杞憂に過ぎなかったようだ。今の彼を見ればね」
 コルベールが風助を指差す。そこにいる彼はただ暢気に草抜きをしているようにしか見えないのだが、
「彼は自分の力の重みも、命の重みも理解しているよ」
 そう思って見ると、一挙一動が違って見えてくる。座って雑草を摘み取っているだけの姿が、花を折らぬよう慎重に、
蟻一匹も潰さぬような動作にすら見えてくる。が、流石に考え過ぎだろうと思い直した。
 だが、それを抜きに考えても、風助が考えなしに人を傷つけ、力を破壊に使うとは到底思えなかった。
「まだ一週間にも満たないのに、驚くほど学園に馴染んでいる。学院のあちこちに首を突っ込んでいるからか。
私も長く教職をやっているが、顔の広さは私以上かもしれないな。特にマルトーのオヤジを始めに、平民の職員からは人気が高い」
 生徒にも、早速風助と親しくなった者はいる。特に男子は仲良くなるのも早かった。どうせ、道化として見られているのだろうが。
 風助は相手の家系がどんな名門だろうと、まるで気にしない。これも、たぶん理解していないだけなのだろう。
「これも、君はとっくに気付いていたかな?」
 コクリと頷く。肯定か否定で問い掛けてくれれば、話が楽でいい。
 コルベールに言われるまでもない。タバサもこのところずっと、風助を観察しているのだから。

「ならば何故、君は風助君を避けているのだね?」

 直後、タバサは顔を跳ね上げた。普段は半ば閉じられた目を見開いて。
 さっきまで微笑んでいたコルベールの視線は鋭く、軽かった声音は重く真剣味を帯びたものに。だが、驚いたのはそこではない。
 無表情も崩れるほどにタバサが動揺したのは、図星を指されたからに他ならなかった。
「驚く必要はない。私も事情を知る手前、君達を注意深く観察していたからね。学院長の指示でもある」
 数秒して平静と鉄仮面を取り戻したタバサは、苦笑する彼から視線を逸らす。
 それは観察でなく監視だ。見透かされたようで、あまり気持ちのいいものではない。
「君は私が知る限りでは一、二を争う優秀な生徒だ。しかし、まだまだ未完成だ。人としても、メイジとしても」
 そんなことは言われなくても分かっている。誰よりも痛いほど。
 タバサが片目に力を入れて眇めると、コルベールも無言の抗議を真っ正面から受け止めた。
「私は思う時があるよ。使い魔に人間がいない理由。それは使い魔が主人の死角を補う為かもしれないと。でありながら、君達は人間を召喚した」
 流暢に語るコルベールは止まらない。片方が一切喋らないのでは無理もないのだろうが。
「ミス・ヴァリエールはともかく、君は……いや」
 言いかけて、慌てた様子で口をつぐむ。まるで口が滑ったとでも言うかのよう。
 タバサも敢えて言及しなかった。おそらく、教師として生徒を貶す表現を恥じたのだろうと。
 それを確認するとコルベールは、ゴホンと咳払いをした。
「使い魔はメイジに最も相応しい者が選ばれると云うじゃないか。私は敬虔な信徒ではないが、そこに意思や判断が介在するとすれば、
それは始祖ブリミルのお導きを措いて他にないだろう」
 始祖ブリミル――大陸に魔法をもたらしたとされる存在。神に等しい崇拝の対象。その意思がメイジに使い魔をあてがっているとでも言うのか。
 疑わしげなタバサの視線に気付き、コルベールが肩を竦める。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 20:02:45 ID:RmczavUW
「別に始祖の意思の有無を論じたいのではないんだ。ただ、ミス・ヴァリエールがサイト君を召喚したのも、
君が彼を召喚したのも必ず何らかの意味がある。或いは、他者とは違う意味が」
 どんな意味があると言うのか、想像もつかなかったが、どんな意味だろうと構わない。
力にさえなってくれればそれでいい。目的を果たす力にさえ。
「君二人は真逆なようでいて似ている。逆もまた然り。だからこそ君に欠けているものを彼が埋め、
彼に足りないものを君が補えると私は考える。あの竜巻を内と外から制御し被害を最小限に留めた、あの時のように」
 さっきまでは学者然とした口調だと思っていたが、今の諭す口振りは、まさしく教育者のそれだった。
が、コルベールの言葉はすべて憶測に過ぎない。
「君は彼を避けている。避けているのに観察は怠っていない。それは、彼が信頼できる人間かどうかを測りかねている。違うかい?」
 タバサは何も言えず、沈黙を以て答えとした。黙り込んだのは、違わないどころか、その通りだったから。
顔を背けるのは、なるべくなら悟られたくなかったからだ。
 タバサの迷いを察したのだろう。コルベールはタバサを待たず、
「すまない、少し喋り過ぎたかな。余計だった。君が彼の何を測ろうとしているのかは分からないが、
お詫びに彼のことが知りたいなら至極簡単な方法を教えよう」
 人差し指を立てて言った。うつむいていたタバサは再び顔を上げる。タバサの僅かに縋るような瞳を受け、
自信ありげな笑顔から語られた方法とは。

「聞けばいいのさ、直接ね」

 期待外れもいいとこだった。危うく肩を落としそうになる。
 聞いて損した。それができれば最初からやっている。
 立ち去るコルベールを見送った後、タバサは小さく息を吐いた。読書に戻る気にもなれなかったので、風助を見やる。
 花壇の手前に座り込んで草むしりをしている少年の隣には、いつしか小さな雑草の山。
畑仕事をしていたと言うだけあって、野良仕事などは歳の割に手慣れている。
 しかし、あんなところに座ったらズボンが土塗れになるんじゃないだろうか。などと心配をしている内に、
タバサは風助が替えの服も持っていないことを思い出す。
 聞けば、洗濯と乾燥の間は裸で過ごしているらしい。らしいと言うのは直接聞いていないからだ。
風助が頓着しない性格なのか、彼からは特に希望はなかった。
 洗濯も2,3日に一度。しかも、ほとんどは昼間の内に済ませている。それ故、苦心するのはタバサではなく、専らシエスタだ。
 その手のことで数少ない困り事があったとすれば、昨夜の騒動くらいか。
 午後からの通り雨で下着が乾かなかった風助は部屋に帰ってから、あろうことか当たり前のようにタバサの下着を代用しようとしたのだ。
 あまりと言えばあまりに予測の斜め上の行動。思考よりも早く、衝動的に杖を振るってしまった。
 お陰で窓は砕けるわ、轟音に驚いて同じ階と上下の階から生徒が集まってくるわ、睡眠時間は二時間も削られるわで、もう散々な夜。
咄嗟に手加減したとはいえ、窓から落ちた風助が掠り傷程度で済んだのは、驚くと同時に安堵したものだが。
 今朝も今朝で女子寮の中を半裸でうろついていたので、寮監に叱られたばかりだった。
他にも風助絡みで注意や苦情を受けた回数は、数え上げればキリがない。
 やましい気持ちは一切なかっただろう、その点は確信していた。単純に男女の別の感覚が備わっていないだけで。
 数々の失敗にしても、大雑把な性格に加えて、こちらの様式や文化に不慣れな為に起こった可能性が高く、特別ドジだとは思わない。
 こんな調子で擁護の感情が浮かぶ程度には風助を信用しているタバサだったが、面倒を被っているのもまた事実。
そんなこんなで、流石のタバサも若干不機嫌であった。
 面倒なものだ、人の使い魔なんて。シエスタも、下着くらいどうにかなるだろうに。
 いや、違う。本来は主人が面倒を見なければいけないのだ。シエスタを責めるのは八つ当たりになってしまう。
 かぶりを振って、管理不行き届きを反省する。
 明後日はちょうど虚無の曜日。それも含めて諸々の生活用品を揃えてやらなければならないだろう。こんな用件なら苦もなく言えるのに。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 20:04:03 ID:RmczavUW
 ふと思う。もしかして、自分は不器用なのではないだろうかと。
 しかし、両親が健在の頃は権謀術数から離されて育ったものの、裏の仕事をこなすようになってからは、それなりに上手く立ち回ってきたつもりだ。
ならば今まで意識してなかったが、任務のフィルターを外すと不安定になってしまうのだろうか。
 そもそも、どうして風助相手にこんなにも躊躇してしまうのだろう。
 必要なことは端的に、不要なことは口にしない。これまでそうしてきた。これからもそれでいいはずなのに。
 それでなくても、タバサは風助に負い目があった。
 第一に、こちらの都合で平和に暮らしていた彼を召喚してしまった。
 第二に、風助から伸ばされた手を拒んだ。
 もしも拒絶されたら――風助の性格からしてそんなことはないと思っても、自身を持って断言できるほど、
風助を知らない。何せ、出会ってまだ一週間しか経っていない。

 そうこうしている内に、徐々に闇は深まり、影が色濃くなってきた。春といえども、マントを付けていても夜は肌寒い。
半袖なら尚更だろう。
 風助にも声を掛けて部屋に帰り、それをきっかけに話をしよう。何を話せばいいのかは分からないが、なんでもいい。
彼の話に耳を傾けるだけでも。
 歩き出そうと立ち上がった瞬間、逆光が目に飛び込んでくる。思わず手をかざし、
目を細め――改めて彼を見ると、傍らにはシエスタが立っていた。
 和やかに談笑しながら歩き出す二人。途中で才人や、いつの間に知り合ったのかモンモランシーも加わって、遠ざかっていく。
 風助は沈みかけた陽の光と、夜のものに変わりつつある涼やかな風を浴びて笑っていた。その笑顔が妙に眩しく思え、
対照的に自身が日陰者のように感じられ、タバサはその場に立ち尽くした。
 気付いてしまったのだ。風助の周りには自然と人が集まることに。あれこれやって迷惑を掛けても、
持ち前の明るさに誤魔化されて、ほとんどが許してしまう。そして親しくなる。
 今まで欠片も気にしていなかったが、一緒に歩いていると必ずと言っていいほど声を掛けられるか、風助から挨拶をしていた。
中には顔も知らない職員や、他学年の生徒まで。
 気が付くと、タバサの周りには誰一人いなくなっていた。今は閑散とした広場で独りきり。
 取り残されたタバサは考える。
 すべては始祖ブリミルの思し召し。コルベールはそう言った。
 だとすればブリミルは何ゆえ、他人に碌に興味を示さず、心を開いてこなかった少女に風助を遣わしたのか。
そして何ゆえ、もっと単純な意思疎通を可能にしなかったのか。
魔法の効果によって使い魔は主人に、主人は使い魔に最初から好意を抱くという説もあるが、そうはならなかったのか。
 彼と言葉で心を通わせ親しくなることが、自ら"変わる"ことがメイジとしての試練だとでも言うのか。
 もやもやと鬱屈した気持ちを抱えたまま、タバサは一人答えが出ようはずもない問いを繰り返した。



「足んねぇ」
 夜の食堂、いつものように風助が呟く。股の間には綺麗に――本当に見事にパンの一片、スープの一滴、
ソースまで真っ白に舐め取られた食器が盆に載せられている。開始からここまで、僅か三十秒足らずの出来事であった。
 どうせ後になってから厨房にたかりに行くのに、一人前として出された量が少ないと寂しいらしい。
ぎゅるるるると、細い腹から鳴る音は、さながら竜の唸り声か、雷雲の轟か。
 食堂中に響き渡る腹の虫に誰もが振り向く。その顔は笑い、呆れ、嫌悪、嘲りと様々だが、生徒、給仕を問わず、
全員の視線を集めていたのは確かだった。
 しかし唯一、一瞥もせず席を立つ人物がいた。タバサである。
 風助には劣るものの、ある程度上品に洗練された作法。なのに完食は早い。まだほとんどの生徒が食事中だが、
彼女の食器も既に空。当然、テーブルで食べているので、食器を片づけることもしない。
 平然と食堂を出ようとするタバサに気付くと、
「部屋に帰んのか? だったら俺も……」
 風助もそそくさと盆をシエスタに預け、その後に付いて歩く。
 食事中は忙しいので、どうせ来るなら片付けが一段落してから来いとマルトーにも言われていた。
 二人が早々に退席するのはいつものことであった。うるさいのもすぐにいなくなるので、文句を付ける生徒もいない。
つまり、これも見慣れた光景である。
 だが、今日はいつもと少々様子が違った。
 食堂の出口でタバサが立ち止ると、合わせて後ろの風助も止まる。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 20:04:47 ID:RmczavUW
「付いてこないで」

 振り向きもせず、タバサは言い放った。
 抑揚のない、怒りも羞恥も込められていない声。それがいつもの彼女の声。誰に対しても同じ態度。
 タバサはそれだけ言うと、食堂から出ていく。聞いていた生徒達は気にも留めなかった。
――おいおい、今度はどうしたんだよ!
――花瓶でも割ったか? それとも、絨毯に泥の足形でも付けたのか?
 立ち尽くす風助を、親しくなった男子生徒達が口々に囃し立てる。いずれも前科があるので、
他の生徒も大方そんなところだろうと考えていた。つまり、またいつものことか、と。
 立ち止まって頭を掻く後ろ姿から表情は窺えない。タバサの態度、
風助の背中にいつも違うものを感じた人間は二人、シエスタとキュルケだけだった。
 ちなみに才人は昼間、主人の勘気に触れた為、またしても夕食抜きの瀬戸際にあり、
ルイズはそんな使い魔と口喧嘩の真っ最中だった為、まるで気付いていなかった。



 部屋に帰るなりベッドに腰掛け、タバサはいつもの如く読書をしていたが、今日は頭に入りにくい。
ランプの小さな灯りを頼りに文字を目で追ってはいるものの、気はそぞろ、隣でドアを開く音がする度に緊張が走る。
 これまでタバサは、風助が傍にいることを拒否しなかった。仮にも使い魔である。
そして風助もタバサの邪魔はしなかった。彼は文字が読めないので、部屋にいること自体が少なかったが。
 つまり、今回が初めての明確な拒絶。そこには論理的思考も合理的判断も存在しなかった。
感情に任せた、八つ当たりに等しい行為。
 自己嫌悪が湧き上がる。
 小さなものなら、ずっと幼い頃以来。大きなものなら、夜毎に蘇る未熟な己への憤り。繰り返し思い出され刻まれる、
あの日の怒りに比べればこんなのは取るに足らない出来事なのに、どうしても頭から離れてくれない。
 時計を見ると、食堂を出てから既に四時間。だのに、本の隅を見ると二十ページも進んでいない。
 タバサは読書を諦め、幾度目かの細い息を吐くと、慎ましやかな胸に手を当てて、今一度考えてみることにした。

 やはり自分は変化している。
 変化が生じ始めたとしたら昨日、シャルロットの名を名乗った時から。或いは彼を召喚した日、"風"を感じた瞬間から。
 ただ、気付かなかっただけ。気付いているのに気付かない振りをしていたのかもしれない。
 あの時、本名を名乗ったのは、無意識の内に彼を測る物差しを求めたのだと思う。
反応を見て、彼が信じられる人間かどうかを試したかった。
 これまで一人を辛いと感じたことなどなかった。それは今も変わらない。
 ここ最近の不安定さはおそらく、突然身近に対極の存在が現れ、惹かれると同時に自らの形が見えてしまっただけ。
 鏡を見るより鮮明に映る――とうに自覚していたはずの、歪に捻じ曲がった形。
 卑下するつもりもないし、後悔もしていない。ただ、風助はあらゆる面で陰陽の如くタバサの対極に位置していた。
それも顔や性格だけでなく、その本質。
 自分が凍らせるだけの雪風なら、風助は穏やかで優しく、種子や花粉を運ぶ春風なのだろう。
 風助の奔放な性格は一見キュルケと似ているが、彼女とて良家の令嬢である以上、様々なしがらみに縛られている。
彼女は、それらを嫌ってここへ逃れてきた。タバサがキュルケと友人でいるのも、彼女の情熱と突破力に興味を持ったからだ。
 だが、それとて完全に逃れたわけではない。いい悪いでなく、愛着も責任もある以上、家も国も捨てられるはずがない。
 キュルケに限らず、自分も含め、学院の生徒は大なり小なりしがらみに囚われている。だから思う。
 あんなふうに器用に――。
 違う。
 自由に生きられたら世界はどのように映るのか。
 興味を抱いたと言うのが正しいだろう。それが、貴族の生徒達が風助に惹かれる理由なのか。
 そして今、風助という"風"に吹かれて、タバサの心は揺れていた。
 彼を信じてみたいと靡く心。
 反面、この風は迷いを誘う、と警鐘を鳴らす心。
 メリットとデメリット。両者を天秤に掛けても同じだけの重みがあり、最早打算では決められなかった。
では、この問題を解決するにはどうすればいいのか。
 分からない。正直、材料が足りない。判断を下せるだけの時間を風助と過ごしていない。
 かといって、あの従姉妹姫は待ってはくれないだろう。今日明日にでも招集がかかるかもしれない。時間は、あまり残されていなかった。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 20:05:28 ID:RmczavUW
 それからどれだけの時間が経っただろう。部屋のドアが静かに開かれた。
 ちょこん、と目だけを水面から出すみたく、カエルが中を覗く。風助だ。
 一瞬目と目があった。つぶらを通り越して異様に大きい円い瞳と、ぼんやり寝ぼけた瞳が空中で交わる。
 両者の目からは感情は窺えない。しかしタバサは努めて平静を装っていたが、内心は穏やかではなかった。
「すまねぇ」
 入るなり、風助が頭を下げる。
「どうして」
 彼が謝ることはない。ないこともないが、食堂での発言は彼のせいではない。
「俺が怒らせるようなことしちまったんだろ?」
 首を振って否定の意だけを示す。
「じゃなんで怒ってたんだ?」
 タバサは答えなかった。答えられなかった。
 答えれば、抱えた迷いや屈折した感情まで説明することになる。それだけは絶対に嫌だった。
「俺、いっつもおめぇに迷惑掛けちまってるからな。あ、でも"今日はまだ"なんにもしてねぇぞ」
 昨日は色々やらかしている。迷って入浴中の大浴場に入ってきたり、
他人のマントを雑巾と間違えて床拭きに使ってボロボロにしたり。
 とばっちりを受けるのは、いつもタバサである。それでも不思議と、以前ほど迷惑とは思っていなかった。
「けど、お前は理由もなく怒る奴じゃねぇ。だから、俺が知らねぇ内に嫌な思いさせちまったかと思ったんだ」
「悪かったのはわたし。あなたは悪くない」
「おめぇなんか悪ぃことしたのか? 俺は記憶にねぇぞ。だったらしてねぇのと同じじゃねぇか」
「違う」
 今度は首を振るだけでなく、口に出して否定する。
 気付かなければないのと同じ――そんなことはない。気付かなくとも事実は残る。気付いた瞬間より重く圧し掛かる。
「わたしにも謝らせてほしい」
 風助が言うより早く、タバサも軽く頭を下げる。再び顔を上げると、風助がパン、と両の掌を合わせていた。
「じゃ、これであいこだ。おめぇも忘れてくれ」
 タバサは頷いた後も風助から目を逸らさない。むしろ、ここからが本題だ。
「それともう一つ」
 目の前の少年は小さい。ベッドに腰掛けていても、まだタバサの方が高い。それだけ幼いのだと改めて実感する。
 タバサはベッドから立ち上がり膝をついて目線を合わせると、ゆっくりと口を開く。
「聞かせて、わたしの使い魔を引き受けた理由」

 こうして同じ高さで話すのは召喚当日、互いに名前を名乗った時以来だった。
 真剣な顔で見つめるタバサに、風助は首を傾げた。顔は変わらなかったがおそらく、きょとんとしている。
 観察をしている間に思ったのだが、彼の大ざっぱな顔面は微妙な表情の変化に適応していないのだろう。
喜怒哀楽は過剰なまでに見せるのに、その中間、繊細な感情表現には表情筋が上手く働かないのか。
微妙な変化しかできない誰かとは、そんなところまで真逆である。
 などとタバサが割とどうでもいいことを思っていると、何を今更、とでも言うかのように風助が答えた。
「おめぇが助けてくれ、って言ったんじゃねぇか。だから俺は使い魔やってやるって決めたんだぞ」
「わたしはあなたの生活を無視して召喚した。そしてまた、危険や戦いに巻き込む。
あなたこそ、わたしを恨んでも仕方ない。むしろ、それが当然」
 あれから四日が経っても風助はここにいた。まだ使い魔らしいことは一つもしていないが、召喚当日とは異なり、
使い魔のなんたるかを知ったはずだ。それなのに文句も言わずここにいる。
 彼がここにいる意味。それを了承と取っていいのかどうか。それを今一度問うつもりだった。
「別に恨んでも怒ってもいねぇぞ」
 一秒と間を置かず、風助は笑った。名前を綺麗だと褒めてくれた時のように。
「俺はこれまで、ほとんど旅と戦争と修行でしか村の外に出てこなかった。
旅の間も色んなものが見れたけど、ここはもっと初めてばっかりだ。魔法も学校もおっちゃんの料理も、俺のいたとこにはなかったもんな。
だから、こうして知らねぇもんや新しいもんが見れて、これでも楽しんでんだ。おめぇのお陰だぞ」
 ついでに魔法を喰らったのもな――とケラケラ笑っているが、常人ならあの高さから落下すれば怪我は免れない。
タバサだって、他人をエア・ハンマーで窓から叩き出したのは初めての経験だった。原因は風助にあるとはいえ、やり過ぎたかと思ったが、まるで気にしていなかった。
269名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 20:06:09 ID:RmczavUW
「俺、もっといろんな初めてが見てぇぞ。それで、ばあちゃんや干支忍のみんなに土産話してやるんだ」
 嬉しそうに期待を膨らませている風助。対するタバサは、ほんの僅か眉間にしわを寄せて困り顔だった。
 違う。使い魔はそんな楽しいものじゃない。こと自分に限っては。
 それを伝えなければならなかった。この笑顔を曇らせることになっても。
「人を……殺させるかもしれない」
 意を決したタバサだったが、言葉に詰まり目を逸らす。風助を直視していられなかった。
 答えを聞くのが怖い。こんなに罪悪感が募るとは、自分でも予想外だった。
 無論、殺せと命じる気はない。ただ、任務に同行させれば可能性は常に付いて回る。
 眼を逸らして数秒、沈黙が流れる。頼りない灯りがゆらゆら揺れて二人の顔を照らしていた。
 やがて数秒とも数十秒ともつかない時間の後、そっと向き直るタバサ。
 その瞬間、ぼんやりとした蒼の瞳を射抜いたのは、いつになく真剣な表情、真摯な眼差し。
「……俺はもう忍空で人を殺したくねぇし、殺さねぇ。けど、もしも殺さなきゃなんねぇとしたら、それは俺が決めて俺がやるんだ。
おめぇに言われてやるんじゃねぇぞ」
 そこにいたのは普段の間の抜けたカエルとは別人。単に目つきが変わっただけなのに、
纏う雰囲気はまったく異質なものへと変じていた。
 かつて戦場に立っていたからこそ口に出せる覚悟。その言葉で少しだけ救われたが、
そんな単純なことも忘れかけていた己を恥じる。
 タバサにとって北花壇騎士の任務は押し付けられたものだが、その過程で誰に恨みを買っても、
誰かのせいにしようとは思わなかった。
 罪も業も誰かに押し付けることはできない。自ら背負う他ない。どんな理由があろうとも。
 それを彼は、この歳にして既に悟っていた。
「なぁ、使い魔ってのは、おめぇを守るものなんだろ?」
 無言で頷く。
 多くは望まない。知覚の共有も魔法薬の材料収集もいらない。ただ共に戦ってくれればいい。支えてくれる力になってくれれば。

「だったら気にすんな。俺、おめぇのこと好きだぞ」

 風助はにっこりと笑いながら、素直な言葉を紡ぐ。

「なっ……」

 不意の告白に、タバサは大いに戸惑う。
 動揺を隠せと言い聞かせても、顔に出さないだけで精一杯。押しこめた分だけ心中で暴れる。
 当然、それは男女の恋愛でなく人間としての意味合いだ。そうと知っていて動揺してしまったのは、
家族以外の他人から面と向かって好意を伝えられるなど、今まで一度たりともなかったから。
 彼と出会ってから初めて尽くしなのはタバサも同じだった。
「飯も食わせてくれるし、感謝してんだ。だから力貸してほしいって言うんなら貸してやる。おめぇが俺をいらねぇって言うまで」
 そう言って風助は、
「約束だ」
 そっと小指を差し出す。指切りのつもりだろうか。
 なんと言うか、この笑顔は――ずるい。
 さっきまで、くどくど理屈を並べていたのが馬鹿らしくなる、暢気で能天気で無邪気な笑顔。
結局のところ、みんな単純にこの顔に魅せられただけなのかもしれないと。
 朗らかで屈託なく、この世の一切の穢れに染まっていない。そんな印象すら抱かせる顔。
 彼の一言で、胸の大半を占めて締め付けていた罪悪感が吹き払われる気がした。
代わりに、その隙間が得体の知れない温かいもので満たされていく。
 奇妙な感覚。なのに、不思議と嫌ではない。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 20:06:50 ID:RmczavUW
 タバサも小指を伸ばしかけたが、交差する寸前で躊躇する。
ここで指を絡めてしまえばもう後戻りできないと思うと、土壇場で何かがブレーキを掛けた。
 どうしても最後の一歩が踏み出せない。柳眉をひそめてタバサは伸ばした小指を隠し、
「もう、寝る時間」
 代わりに人差し指で時計を指して立ち上がった。気が付けば就寝時刻はとっくに過ぎていた。
 タバサが立ち上がってからも風助は行き場をなくした小指を遊ばせていたが、ランプを吹き消すと一転、部屋は闇に包まれる。
 指切りを無視された彼がどんな顔をしていたかは見えなかった。見なかった。見たくもなかった。
 手探りでパジャマに着替え、ベッドに潜り込み、サイレントを唱えるなり、壁を向いて風助に背を向ける。
ここまでのプロセスを思考停止した状態で行い、一息吐いてようやく気付く。
 そういえば今日は風呂にも入っていなかった。と言っても汗は掻いていないし、今からではどの道入れまい。それはまぁいい。
 そもそも、普通は着替えてから灯りを消すものではないのか。
そもそも、別に風助に見られても気にならないし、彼も着替えは着替えとしてしか見ていないし。つい咄嗟にそうしてしまったが、それもまぁいい。
 今、肝心なのは、風助に興味を抱いていてなお拒絶する理由。とても言葉にはし難く、口にした時点で意図したものとは異なってしまうだろうが、
敢えてこの感情に名前を付けるなら――嫉妬。
 または羨望、憧憬。
 どれでもあり、どれでもない。
 静まり返った部屋、音を成さない声でタバサは独白を続ける。

 人形になろうと決めたのはわたし。でも、そうしなければ戦えなかった。
 辛くて苦しくて、誰も助けてくれなくて……一人いたが、そんな彼女ももういない。故に生きる為に、目的を果たす為に強くなるしかなかった。
そう、仮面を被るしか。
 戦争で両親を亡くした――風助はそう言った。
 詳しく聞くまでもない。戦争で死別したなら辛く、望まぬ別れだっただろうことは想像に難くない。が、ここまでは別段、珍しくない。
ハルケギニアにも戦災孤児はいる。
 それでも、八歳かそこらで戦場に立ち、しかも一部隊の隊長であった例など、あったとしても極稀も稀に違いない。
 そして今、彼は子供らしい年相応の顔で笑っている。その笑顔に過去を連想させるものはない。
 彼の笑顔は過去を思い出させる。父様と母様に囲まれて陽だまりの中にいた、何も知らなかった頃のわたし。
 それはきっと、わたしと彼の立場を意図的に重ねようとしているから、そう思えるだけなのだろうけれど。
 わたしも、昔はあんな顔で笑えていた。でも、ある日を境にできなくなった。復讐を誓って自ら凍てつかせた。
 自分が世界で一番不幸だなんて欠片も思ってない。暗い過去を持った者すべてが、影を背負って生きていなければならないとも思わない。
 けれど何故……何故、こうまで違うのか。彼とわたしは何が違ったのか。彼の笑顔の秘密は何なのか。
 風助を風助たらしめているもの。思いつく可能性としては、やはり――力。
 描いた望みを現実に叶え、阻む他者を捩じ伏せるに足る忍空の圧倒的な武力。それが風助に余裕と自信を与えているのかも……。
 力……わたしに、もっと強い力さえあれば。
 いつかすべてから解き放たれて自由になった時。
 母の心を取り戻した時。
 いつかあの伯父王を八つ裂きにして、その首を父の墓前に捧げた時、その時が来れば。
 明るく可愛らしいシャルロットに戻って、あんなふうに素直で素敵な笑顔を思い出せるのだろうか。

 更なる力を渇望しつつ、燃え盛る激情を持て余したタバサは半ば強引に目を閉じた。
 風助の笑顔。
 タバサはその中核を成すものは力だと推察したが、それは正解であり、誤りでもある。間違っていて、合っている。
 それは半分に過ぎない。聡明な彼女でさえ、他の可能性に思い至らない。
 否、それはタバサだからこそ見落とす――まさしく死角だった。
271名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 21:24:36 ID:/+LDnruI

待った甲斐ありました
272名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 21:35:38 ID:AeRPGkMH
0点。
『人の褌で 相撲をとる』芸は もうやっちゃったでしょ!
二度芸は禁止と言ったはず。失望しました。
次こそ 新ネタで「荒らしの心意気」ってモノを見せてくださいね。
273名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 21:55:43 ID:LlLxO7a6
乙です、面白かった。
タバサが見ててよかったです。
274名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 21:59:02 ID:ljQyXbjK
荒らしに期待するなど無駄の一言。
荒らしの頭では考えるだけ無駄無駄。
275名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 22:11:26 ID:5XZPbm8i
おっつー!

また先が気になる終わりをw
276名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 22:55:55 ID:8rPOaxj4
>>271>>273>>275
自演お疲れ様です
277名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/27(火) 23:30:57 ID:BON4ZE6O
だから反応するなと
278名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 04:36:25 ID:lnd07UPU
情弱が騙されて荒らしに加担しないための牽制だけはしとかんと既成事実化されるぞ
どのみちスレそのものが荒らし行為の産物だ
暴れさせてゴミだけにしとけば遠慮なく廃棄できるから遊び半分でいじくり倒せば良い
このスレに限ってはな。

早々に埋め尽くす、そして荒らしに次スレを立てさせない
夏中に次スレなんぞ立ったらそれだけで「荒らし」認定可能だから誰がを言おうが
正規スレ9月以降に立ててから重複他複合理由で削除申請できるしな
ある種の掃除が一旦それで完了する。

それで解決するわけじゃないが多少は気持ち良く本スレ進行再開できるじゃないか。
このスレに限っては暴れ回れば良い、それでスレごと削除されるなら逆に丁度良いじゃないか。
ここは荒らしが立てた本スレの紛い物、荒らしの産物なんだから。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 04:59:34 ID:ihYl1I2y
重複削除依頼って時間的に後に立ったほうが削除対象なんだが
280名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 05:24:15 ID:lnd07UPU
「重複他複合理由」だ。
スレ立て自体に正統性の無さが証明できれば他の削除対象理由も着いて来る
公序良俗面でな

4. 投稿目的による削除対象
5. 掲示板・スレッドの趣旨とは違う投稿
を「偽装工作荒らし」で適用求める事も因果関係の証明と
是々非々しっかりしておけば十分可能

そもそも先行スレかどうかは第一判断要素ではあるが最優先条件じゃねえ
荒らしの妨害行為で立ったスレが嘘や重複・盗作コピペだけで埋まってる状況で
後発の正規スレ立てば前立ちしてようが荒らしスレの方を重複扱い削除も可能

削除対象項目にこんなのがあるだろ

利用者の気分を害するため・利用者を揶揄するために作られたと判断したものは削除対象になります。

経緯までちゃんと申告してスレ立て自体がこれに該当する事を証明してやれば済む。
281名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 05:48:24 ID:DY9qCOKC
これが落ちたら Part1 で、スレ立てられたりしてw
外部サイトを主としないスレです(キリッ
つーてなw

有ったら嫌だねぇ……
282名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 08:56:44 ID:ppoWkDka
そっちに投下したい作者がいるなら好きにさせりゃいいじゃん。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 09:04:23 ID:nO79h1Pe
テンプレの根幹変えられたなら外部サイトを主として活動してる人が大半なんだから
分離スレという名前の隔離にでもして普通に立てればいいじゃん。
284名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 15:27:29 ID:ZKyzpYWf
>>278>>280
その時が来たらよろしく頼む
別に揶揄してるわけじゃないからね
しっかり調べててきっちり実行してくれそうだからさ
285赤の女王:2010/07/28(水) 15:49:04 ID:9B6CaNQy
こんにちは、お久し振りです。予約がなければひっさびさに作品投下したいんですが、いいですか?
何もなければ1550に。
286赤の女王:2010/07/28(水) 15:53:08 ID:9B6CaNQy



「よいしょ、っと・・・」

 軽く声を掛けて、陽子は黒焦げになった机を持ち上げた。
 爆発から二時間後、ようやく目を覚ましたシュヴールズは、ルイズに教室の後片付けを命じた。その際に魔法の不使用を言い渡されたが、彼女の場合、それにあまり意味はないようだ。
 しかし「失敗を恐れずに」とか云っときながら罰を与えるとは。教職に向いているとはとても思えない女性の言動にやや呆れながら、陽子は壊れた机や窓ガラスを片付け、雑巾をかける。
ルイズは徹頭徹尾仏頂面で、申し訳程度に煤のこびりついた机を拭っていた。
 眉間にしわを寄せ、だんまりを決め込んでいるルイズに触るのは得策ではないだろうと、陽子も何も言わずに黙々と掃除を続ける。
重苦しい沈黙の中、聞こえるのはただ作業する物音だけだった。

「・・・なんか、言いたいこと、あるんじゃないの?」

 ふいに、ルイズが口を開いた。
 え、と陽子が振り返ると、ルイズは俯いたまま、小さな唇を戦慄かせていた。
「・・・・・・なにか、って?」
 ルイズの意図がわからず首を傾げる。しかしルイズはそれを嫌味か何かととったようで、途端に溜め込んでいた感情を爆発させた。
「言わせる気?!何よ、あ、あんただって、私が無能だって思ってるんでしょう?!今のでわかったでしょ、私が『ゼロ』だって!
私が魔法を使えないから、私の使い魔になるのが嫌だったんでしょ!
魔法が使えないなんて、そんなの貴族じゃないってい、言いたいんでしょ!」
「え・・・ちょ、」
 落ち着いて、慌ててなだめにかかるが、ルイズはもう陽子のことなど目に入っていないようだった。
せっかく呼び出すことが出来た使い魔の前でまで、無様な姿をさらしてしまった。召喚も、契約も、ただの人間とはいえ成功した、だから今度こそ。
ちっぽけな期待は打ち砕かれ、今までのどんな失敗よりも鋭くルイズの胸を打った。みっともない、こどものようだと思考の隅で思いながらも、鬱屈を吐き出すようにルイズは叫ぶ。
「知識なら同じ学年の誰にも負けないわ!それだけのことはしてきたもの!ううん、実技だって誰にも負けないくらい練習した!どんな詠唱も発音まで完璧に言えるのよ!
それなのに、いっつも失敗するの!ゼロ!ゼロ!ゼロ!私は、き、貴族なのよ!?誉れ高いヴァリエール!なのに魔法が使えない!だから私は貴族じゃないって、みんな言うのよ!
私は、・・・私は!き、貴族なのに!お母様たちのように立派な貴族になれるようにって、ず、ずっとそう思ってきたのに!そうあるよう、ずっと頑張ってきたのに!」

 言ってしまった。
 熱い頬と裏腹に、ひんやりと冷えている思考の隅で、ルイズは後悔した。
 こどものような癇癪を起こしてしまった。ただでさえ『ゼロ』などという不名誉な称号を与えられているというのに、こんな振る舞いをしては、もう本当にただの子供ではないか。
 この少年も、きっと大多数のように馬鹿にした目でルイズを見るのだ。
ほら、魔法も使えない貴族になど使われたくないと、冷めた目をして、そのくせ口ではお追従を吐いて。
それとも、変に遠慮のない彼なら声にして言うだろうか。ああ、もしかしたら、そのほうがマシなのかもしれない――――。
287赤の女王:2010/07/28(水) 15:54:38 ID:9B6CaNQy

 ・・・罵声は、聞こえない。侮蔑の眼差しも、嘲笑も、哀れみすら。

 断罪を待つようにうなだれていたルイズは、沈黙に耐え切れず少しだけ顔を上げる。おのが使い魔の顔に、失望を見るのが怖かったけれど、仕方がない。
魔法を使えないのはルイズの不徳で、彼にはふがいない主人を責める程度の権利はある。
 けれど、彼は何も言わなかった。赤毛の少年はぽかんとしてルイズを見ていたが、その瞳に映る色は、感嘆、だった。
「・・・・・・なによ」
 その瞳が不可解で睨みつければ、彼は特に不快に思ったふうもなくゆるりと首を振る。
「いや・・・。ルイズはすごいなって」
「何よそれ、皮肉?!」
 間髪入れずに噛み付くルイズに、落ち着いて、と静かに苦笑する。
「いいや。本心だよ。ルイズは、戦おうとしているだろう?わたしは逃げていたから。云いたいことは全部飲み込んで、必死で良い子の振りをして。
・・・結局、だから、わたしには何にも残らなかった」
 以前剣が見せた幻を思い出し、陽子は自嘲げに笑んだ。
教師も、友人も、両親でさえ、陽子のことを得体が知れないと言い、そして、故国に陽子の居場所はどこにもなかった。
出来ることならもう一度、彼らとちゃんとした関係を築けるよう、努力したかった。そのチャンスを与えられたかった。
それを許されなかった後悔は、いまだやわらかな傷跡として、ふとした折に痛みを生じさせる。春の美しい国、その中に小さく故郷を見るたびに、陽子の胸は切なく鳴いた。
この痛みがただ穏やかなぬくもりをなすまでには、まだまだ時間がかかるだろう。

 陽子の顔に影が差したのを見て取り、口ごもったルイズに、陽子はやわらかな瞳を向ける。

「努力はあなたを裏切らないよ、ルイズ。あなたが頑張っていることは、わたしが知ってる。きっと他にも知っている人がいるよ。
・・・そしてね、ルイズ。生まれとか、血筋とか、そういうものは、きっとあんまり関係ないんだ。あなたは貴族たろうと努力しているね。多分それが、貴族として一番大事なことで。
だからあなたは、立派な貴族なんだと思うよ」

 きれいごとだ、とルイズは思った。口先だけの、下手な慰めだと。
 けれど、少年の言葉はすんなりルイズの心に沁みた。彼は「自分は逃げていたから」と言ったが、多分、そんなことはないのだ。彼もまた戦っている。
だから、ルイズと同じように、何かを目指して頑張っている者の言葉だから、頑なになっていたルイズの胸の奥まで、こんなにもあっさりと届いた。

「・・・・・・・・・平民風情が、生意気言わないで」
 ルイズはきつく少年を睨んだ。けれど、おそらく彼にはわかっているのだろう。微笑ましそうな碧の瞳には、耳を真っ赤に染めた少女が映っている。

 さあ、と陽子はルイズに笑いかける。
「あとはわたしがやっておくよ。ルイズは顔を洗って、着替えておいで。そうしたら丁度お昼の時間だ」

 *

288赤の女王:2010/07/28(水) 15:56:00 ID:9B6CaNQy

 ようやく片付けも終わり、陽子が食堂に向かった頃には、既に食事が始まっていた。
「・・・この中に入っていくのも、なんだか気がひけるな」
 用事で遅れて、ひとり授業が始まっている教室へ入っていくあの感覚だ。数十対の目がぐるんと陽子を指す。
あれいやなんだよな、と思いつつ、少ない朝食で重労働をしたため鳴き出している腹を押さえる。最後の手段として宝珠があるが、それはまだちょっと遠慮したい。
さてどうするか、と陽子が考え込んでいると、そこに救いの神が現れた。
「あら、ヨウシさん?」
「シエスタ」
 空のトレイをささげた黒髪の少女は、食堂の入り口で固まっている陽子にきょとんとする。
「どうされたんですか、こんなところで?ミス・ヴァリエールはもう中で食事をされてらっしゃいますよ?」
「ああ・・・。ちょっと、わたしは用事があって、遅れてしまって」
 今から入るのもいかがなものかと思ってね、と苦笑すれば、まあ、とシエスタは口許に手をやった。
「では、ヨウシさん、厨房へいらっしゃいません?」
「え?」
「わたしたちの賄いでよろしければ、お出しできると思いますわ」
 確かにおひとりでこの中には入りづらいですね、笑うシエスタに陽子も笑う。
「・・・じゃあ、すまないけれど、お言葉に甘えようかな」
「はい、どうぞ」
 微笑んだ少女は、楽しそうにトレイを胸に抱いた。

 賄いと言って出されたシチューの味は、かなりのものだった。聞けば貴族に出す食材の余りを使っているらしいので、それは豪華なものだと感心する。
 そういえば洋食を食べるのはどれくらいぶりだろう、シチューくらいなら慶でも作れるかもしれないな。
嬉々として協力してくれそうな顔と、渋い顔で嗜める顔を思い描き、どうやって石頭を言いくるめようかと考える間にも、口と手は止まらない。あっという間に完食して手を合わせる陽子に、シエスタは嬉しそうに笑う。
「本当にお腹がすいてらっしゃったんですね。おかわりもありますよ?」
「いや、もうお腹いっぱいだ。ありがとう、すごく美味しかった」
 よかった、目を細めるシエスタが重そうなトレイを持っているのをみて、陽子も席を立つ。
「手伝うよ、シエスタ。昼食のお礼に」
「まあ。・・・それじゃあ、デザートを配るのを手伝って頂けますか?」
「わかった」
 彼女の手からトレイを取り上げ、ふたり連れ立って食堂へ向かう。陽子がケーキの乗ったトレイを持ち、シエスタがそれをひとつずつ配膳する。
 傍では巻いた金髪の少年が、友人らしき少年たちとなにやら賑やかに騒いでいた。

289名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 15:56:50 ID:C4yXlNFY
>>285
おひさしぶりです、
今荒れまくってて投下は避難所にって言われております。
詳しくは避難所の運営スレなど参照のこと。
290赤の女王:2010/07/28(水) 15:58:03 ID:9B6CaNQy
>>289
それは失礼しました。じゃあ、続きは避難所に書き込んだほうがいいですね?
291名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 16:00:25 ID:C4yXlNFY
>>290
強制するような話ではありませんが、そうした方が無難かと思われます。
とりあえず9月までは避難所進行との事です。
292赤の女王:2010/07/28(水) 16:01:30 ID:9B6CaNQy
わかりました。ありがとうございました。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 16:46:59 ID:eaQWGGO7
スレの流れ読まない作者ってなんなの?文章投下するだけでROMってもいないんだろうけどさ。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 16:49:33 ID:C4yXlNFY
>>293
と、言いに出てくると思ってたよw
これからもずっと同じ芸続けるんだろうな。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 17:23:44 ID:hLmyZvis
とりあえず定期誘導

現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、2010年9月まで避難所進行の予定となっています。
作品の投下はこちら↓でお願いします。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

2chにスレを戻す詳細な日時等は、運営議論スレで話し合い決定されます。
意見・要望のある方は、こちら↓でどうぞ。

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

このスレに意見を書きこんでも参考にされませんのでご注意ください。
296名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 17:31:44 ID:Mc1Zusst
>>289
ナイス誘導

>>293
世の中お前さんみたいに暇人ばかりじゃないってことだ



ID:lnd07UPUが何か凄い必死なようだが、2chのスレってここしか見てないのかね
他所板行けば荒らしが立てたスレなんざ幾らでもあるけど
それで削除依頼出されて、削除されたのなんて、一つも見たことないんだけどな

正当性の無さとか言うが、荒らしが立てても気にせず通常進行させてれば何も問題無いのを
わざわざ騒ぎ立ててスレを荒らしてるのはどちら様?となるんじゃないかな
297名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 17:35:54 ID:9umNdPAs
>>296
夏厨より夏だなあ厨の方がスレの空気を悪くしてるようなものだな
298名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 17:41:32 ID:Mc1Zusst
>>297
夏が終わるまでの辛抱ですなぁ
299名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 18:18:31 ID:lnd07UPU
ログも読まないsageすらしない、本人証明のトリップすら使わない

最低限のローカルルールすら守る気の無い者は作者(スレ参加者)と認めるに値せず

一度目はミスと認められるが二度目は無い

この事は重々胆に命じてもらおう。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 18:20:00 ID:oqWae/o7
ここまでするともうスレを立てた奴が手を変えて荒らしてるのが露呈して終了
301名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 18:25:02 ID:Mc1Zusst
>>299
ヤレヤレだな、偏った正義感でスレを荒らしてるのは誰なんだろうね
重箱の隅を楊枝で穿るようであれだが、sageはローカルルールじゃなくて、このスレのルールな
ローカルルールの方にはsage必須とか無いですから

作者を認める認めないは君の独断で決まるものではない、そこら辺も理解してるのかな?
302名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 18:32:57 ID:XGy1GpuG
>胆に命じて
肝に銘じてだろ
とりあえず辞書引いてから来い
303名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 18:37:00 ID:C4yXlNFY
ここは本スレモドキなのでsageなくてもスレルールにも抵触しないねw
304名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 18:44:32 ID:Mc1Zusst
本スレモドキとか、そういうの止さないか?
そういう考えがあるから余計な荒れを引き起こすんじゃないかと思うし
自治厨気取った子に荒らす大義名分を与えてると思うんだ
305名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 18:46:41 ID:lnd07UPU
>ローカルルールじゃなくて、このスレのルールな

普通スレ内書き込みレベルで「ローカル」つったら「スレ単位」で進行の積み重ねで出来たスレ内ルールだろうが

過去の経緯を慮る能力すら無い上苦言を苦言と受け取れない者は
結局最後はおのずと荒らしに堕ちる、苦言呈されたら自覚持って二度同じ事をしなければ良いだけの話。

苦言の存在が許せないような程度の低い物言いしてる連中も潜在的な荒らし予備軍だ。
「ゆとり」とも言うな。

是々非々甘々で馴れ合い推奨するような事言ってたら某他所であった通称「スパロボX騒動」みたいな事になるぞ、アレはコテがより甘々だったが。
そうなってもなお同じ事言ってればスレ解体の上、避難所・まとめwikiすら自主消滅させなきゃならなくなっても自業自得過ぎて文句一つ言えん。
306赤の女王  >>288:2010/07/28(水) 18:47:13 ID:waQkByvu
「なあギーシュ、今は誰とつきあっているんだ?」
 冷やかすような調子の声に、ギーシュと呼ばれた少年は傲慢に笑う。
「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないよ。薔薇は多くの人を喜ばせるために咲くものだろう?」
 
 そんな会話を聞くともなしに聞いていた陽子は苦笑した。なんとも気障な台詞である。ま
るでミュージカルやオペラに出てくる色男のようだ、と少年をみていると、彼のポケットから何かが転がり落ちた。あ、と陽子が声を出すと、それに気づいたらしいシエスタがトングを陽子の持つトレイに置いた。
「ちょっと行って参りますわ」
 液体が入った小瓶を拾い上げるシエスタに頷き、陽子は配膳を再開する。トレイの上のケーキは既に四分の三ほど配り終えており、これならひとりでも配ってしまえる。
 慣れない手つきでなんとか配り終えて、さてシエスタは、と食堂を見回した途端、少女の甲高い声が響いた。
「嘘つき!」
 見れば金髪の少年が、頭からワインを滴らせ、去っていく少女を唖然と見送っているところだった。
(・・・痴話喧嘩かな) 
 金髪の少年は、先程自分を薔薇とたとえた少年だった。あれならそうであってもおかしくないな、と目を逸らしシエスタを探すが、申し訳ありません、と蚊の鳴くような声にはっとする。
 そちらに視線をやれば、泣きそうな顔をしたシエスタが、少年に頭を下げていた。
「君が香水瓶を拾ったおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。いったいどうしてくれるんだね?」
「も、申し訳ありません・・・!」
「僕は君に声をかけられたとき、知らない振りをしたじゃないか。話を合わせるくらいの機転をきかせてもよかっただろう?」
「・・・申し訳ありません・・・」

 ひたすら恐縮して縮こまるシエスタの姿に、怒りが沸いた。
 何を言っているのだ、こいつは。

 地位と権力を持って立場の弱いものをいたぶる、それは陽子の最も嫌うものだった。ずかずかと間に割って入り、シエスタを背に庇う。主上、呆れたような溜め息は聞かなかったことにした。
「・・・なんだね、君は?」
「ヨウシさん・・・」
 胡散臭そうな少年の視線と、縋るようなシエスタの眼差しを受けて、陽子は少年を睨みつける。
「・・・見事な責任転嫁だが、そもそもの原因は二股をかけたお前にあるんじゃないのか?」
 どっ、と周囲から笑いが沸く。
「そのとおりだ!ギーシュ、お前が悪い!」
 ギーシュの頬に赤みが差した。怒りを取り繕うかのかのように薄ら笑いを浮かべ、鼻を鳴らす。
「・・・ああ、君はゼロのルイズが呼び出した平民君だったか。さすがはゼロだな、貴族に対する礼儀すら知らない輩を呼び出すとは」
「貴族を名乗るのならば、まずはそれ相応の振る舞いを身に着けろ。お前の今の言動はただの我が侭な子供の八つ当たりにしか見えなかったが」
 冷ややかな眼差しに刺され、ギーシュはぎりと歯を噛んだ。平民とはいえ女性を傷つけるつもりはなかったが、これなら存分に気を晴らすことが出来る。よかろう、ギーシュは胸に刺していた薔薇を抜き取った。
「君に礼儀というものを教えてやろうじゃないか。丁度いい腹ごなしだ」
「・・・なるほど」
307赤の女王:2010/07/28(水) 18:48:18 ID:waQkByvu
 酷薄に笑んだ陽子にギーシュはくるりと背を向ける。
「場所はヴェストリの広場だ。準備が出来たらきたまえ」
 取り巻きを引き連れ食堂を出て行く少年に、どこまでも気障な、と鼻を鳴らし、陽子はシエスタへ振り向いた。彼女はがたがたと震え、真っ青な顔をしていた。
「シエスタ?もう大丈夫だよ」
 あいつは行っちゃったから、肩をぽんぽんと叩いても、彼女の震えはおさまらない。
「・・・あ、あなた、殺されちゃう・・・。貴族に逆らったりなんかしたら・・・」
「え?」
 堪え切れなかったかのように、シエスタは脱兎のごとく逃げ出してしまった。・・・そこまで、平民に貴族の恐怖は根付いている。
 やれやれ、と頭をかいたところで、目下一番の問題が陽子の背をどついた。
「何やってんのよあんた!見てたわよ!」
「ああ、ルイズ」
「ああ、じゃないの!あんた何勝手なことしてんのよ!決闘?馬鹿じゃないの!」
「えっと・・・」
 やっぱり怒られるだろうな、とは思っていたので、苦笑しきりだ。ルイズは陽子をじろりとねめ上げる。
「謝ってきなさい。今なら許してくれるかもしれないわ」
「それは嫌だ」
 即答する陽子に、予想はしていたのかルイズは大きな溜め息を吐く。
「あのね?怪我だけじゃすまないのかもしれないのよ。いいから謝っちゃいなさい。・・・平民は、絶対にメイジに勝てないのよ」
「・・・だれがそんなことを決めたの?」
「・・・え」
 冷えた声に、ルイズは目を見張る。陽子は、静かに怒っていた。
 ここ一日で大分この世界のものの考え方もわかってきた。民主主義の世で育ってきた陽子には、それが滑稽にさえ思えることも。
 
 何故貴族であるのか――――それをわかっていない連中が多く思えるのは、ここにはこどもしかいないからなのか。

「上に立つものの、その力は何のためにある?――――民のためでなければならないはずだ」
「・・・・・・・・・」
 何も言えずに口を噤むルイズに背を向ける。
「ヴェストリの広場って?」
「こっちだ、平民」 
 遠ざかる背中に、ルイズは吐き捨てる。

「・・・使い魔のくせに。なによ、平民のくせに」

 それなのに、上に立つものの責任を説いた少年の眼差しは、まるで王者のようだった。
308赤の女王:2010/07/28(水) 18:49:00 ID:waQkByvu
ここまでです。お付き合いありがとうございました。
前回までをまとめてくださった方にも感謝です。ありがとうございました。
309名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 18:49:07 ID:C4yXlNFY
>>304
すまん。自重するわ。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 18:59:46 ID:Mc1Zusst
>>305
実況厳禁! 実況は実況板で! レスの量に関係なく、見聞きした事柄をリアルタイムに書き込む事は実況にあたります
アニメキャラの話題のうち、作品別キャラスレ/属性萌え/キャラに関する議論など
特定のキャラに限定しない話題を扱います
●作品別キャラスレは作品ごとに1つだけ立てられます
 ○スレのタイトルには検索しやすい作品名を入れましょう
●単体キャラ/カップリング/グループ/キャラ対決などキャラ限定のスレはアニメキャラ(個別)板へ
●キャラなりきりはキャラネタ&なりきり板へ
●アニメ作品自体のスレはアニメ板/アニメ2板/アニメ新作情報板/懐かしアニメ板へ
●その他、アニメに関する話題で有用なスレはアニメサロンへ
●アニメ関連板
新シャア専用/旧シャア専用/エヴァ/CCさくら
アニメ漫画速報/アニメ漫画業界/声優/アニソン
●エロ・下品な話題はPINKちゃんねるへ(18歳未満禁止)
●質問や自治議論は 自治スレ へ

これがアニキャラ総合のローカルルールな。スレ単位のルールはローカルルールとは普通言わない。
馴れ合い云々言う以前にお前のは他人に無理を強制するだけの荒らし行為にしか見えんつーの
苦言を呈するなら呈するでもっと言い方考えれば?他所様をゆとり云々言い出す時点で自分がゆとりの考え方に染まってるとか思いませんか?

自分の意に沿わないから馴れ合い云々、他所スレの騒動引き合いに出してるだけじゃないの?としか見えないよ



>>309
自分の言い方も良くなかった、本当にすまなかった
311名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 19:06:37 ID:lnd07UPU
>他所様をゆとり云々言い出す時点
ここで言った「ゆとり」はお前だ馬鹿者

放蕩に最悪の問題に発展するまでなあなあを続けたあのスレのコテと同じ匂いがお前からは漂っている
312名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 19:14:11 ID:Mc1Zusst
>>311
俺がゆとりね〜自分の異常性を棚上げして必死こいてる君の方がゆとりじゃないのかな

放蕩に最悪の問題って何?本当に最悪??
なあなあと続けるとかね、他所スレの問題をここに出しても何も解決されませんよ

自治したいんでしたら、自治スレと避難所運営でお伺いたててからにしてくださいね
313名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 19:23:43 ID:qJrDUExF
こんなところで赤IDになってまでやってる方が異常
314名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 19:24:04 ID:nUjeAAh9
あのさ、作家が自主的に本スレから、逃げた(避難)したんだろ?
独立しようぜ。作家なんてなんとかなるだろ?

誘導もう要らないだろ?
運営議論スレで話し合い決定されます。の後に
このスレに意見を書きこんでも参考にされませんのでご注意ください。

今更、何か言っても無駄ってことだよな?
なんだこれ?作家の人達は荒らされるのが嫌なんだ
避難所でから、出てこなくて良いよ
315名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 19:26:13 ID:Mc1Zusst
>>313
そうだな、すまんかった
ってことで消えるわノシ
316名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 20:44:34 ID:2YtYwjOv
赤さん乙でした
317名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 20:46:06 ID:OtBv9J2B
>>314
>>独立しようぜ。作家なんてなんとかなるだろ?
じゃ なんとかしてね。
君がSSを書くのが 一番手っ取り早いんだけどね。
他人のの作品を転載する『芸』は見飽きたから、ちゃんと自分で書くんだよ。
そうしたら また採点してあげるから、それまでに『面白い荒らし方』を考えておくこと。
判ったかい?
(今回は 採点に値しないので、点数はナシ!)
318名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 20:49:43 ID:YnmI6bdZ
どwwwwwくwwwwりwwwwつwwwwwwww
319名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 21:15:34 ID:oqWae/o7
観光ビザで入国した不法労働者は独立とか出来ないんですよ
320名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 21:47:03 ID:qL18nNmn
>>314
>作家なんてなんとかなるだろ?
こういうこと言い出す時点で、SSスレがどういうものなのかまったく理解してない証拠なんだが。
321名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 22:32:47 ID:waQkByvu
>>独立しようぜ。作家なんてなんとかなるだろ?

      /             ヽ       ヽ  ヽ
.     /  i              ヽ       ヽ   ヽ
     ,'   !     \   ヽ     ヽ       ヽ  ヽ
     i .|  |   \ i\ゝ_,-i     i        ヽ  `ヽ、
      !l!  ヽ !  ヽ L-ゞf!_ ト、    |  ヽ     ヽ、   ` ー- ナニ言ってんの、こいつ?w
     リヽ、,-ヾ、. ‐fソ_,ィ-テリ !     !  ヽ ヽ      \
       / ヽ`ヽ. /´ ヾァ   |     |l  !ヽ \      \
     /  rヽ 〉ノソ ',      !     !ヽ ヽ \ `ー
    /    ノ し/. ノ     .|    l ヽ、ヽ、 ヽ、 __ \
.   l    r‐ ´   ヽ _  ,-, !    .l _/::::::ー--‐´/::::`:ヽ\
   rL _  i       ` 7 ‐ /     ト/:::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::ヽ ヽ
   |   `ーfァ        /  i     l/:::::::::/:::::::::/:::::::::::::::::::::::::', ヽ
  イ.     |       /  |     |:::::::::/:::::::::〈::::::::ヽ、_::::::::::::i
./ `ー-、 ノ ー、     /   l       l:::::::::i:::::::::::::\::::::::ヾー、_::l
ヽ           i    !    l      l::::::::l::::::::::::::::::::ヽ:::::::`ヽ、`!
322名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/28(水) 22:34:16 ID:xDkmmYdo
むしろ避難所のほうが独立しそうなんだが
323名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 00:17:10 ID:vd2RWUk5
>>314は才能がありすぎて才能のある人間は貴重だと理解できない天才か
才能というものをそもそも理解できないド低能のどちらかだな。

私は勿論前者だと信じておりますゆえ独立が出来るほど面白いSSを早く投下してください。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 10:10:03 ID:DFXIjSpa
荒らしなんぞ気にしてたらキリがないって作家は本スレ投下
荒らしが怖いので避難所で安全にって作家は避難所投下

こういう意見って誰か出してないのかな?
作家全員が、一部が知らない内に決められた避難所進行に従わなきゃならんわけでもなし。
長期間来ない様な作家は居ない内に決められた事に従え、って言えるわけでもなし。
ちなみに、ただ思っただけで自分から提案する気はないです。
賛成意見やまともな指摘があれば考えたり避難所で言ってみたりとかは考えてるけど。

5,6行目辺りを挙げられて荒らしの戯言扱いされるのは覚悟の上。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 10:21:37 ID:ccm11X1F
じゃあまずスレとか避難所読めよ
326名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 10:30:45 ID:X91025sn
>>324
スレを一通り見てもらえば分かると思うのですが、現状荒れ果ててますので
危険地帯と化したスレに投下したいと言う作家さんは居ないのではないでしょうか

327名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 10:40:23 ID:dGF2EtgO
「避難所進行」ってのはあくまで書き手に促すものだよね
今スレが荒れてるから、避難所で投下したほうが無難ですよって教えてあげること

それを踏まえた上でアニキャラスレの方に投下したいのは好きにすればいいし、
嫌だな〜って思えば避難所に投下すればいい

そこらへんの裁量は自由であって、2chでも避難所でもどちらかに傾倒させ強制するものではなく、強制力があるわけでもない
328名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 10:58:42 ID:ccm11X1F
で何故何度も同じ事を同じスレ内で繰り返すんですかァ?
329名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 11:02:45 ID:DFXIjSpa
>>325
一応意見としては誰も出してないっぽいけど・・・。
見落としがあったらいけないから疑問系でね。

>>326
「どっちでもOK」が広まれば投下もちょこちょこ出るんじゃないかな。
んで、投下が出てくれば本当の荒らし以外は収まるんじゃないかな。
そもそも「荒れてても気にならない」人もいるだろうし。

>>327
っテンプレ
あれはどう見ても「投下は避難所へ」、つまり柔らかい言い方の強制だよね。
それを批難するわけじゃないけど、強制力が無いならそれなりに「推奨」を表すべきだと思うんだ。

って書いといてここが正式に立てられたスレじゃない事に今更気付いた。
ごめんね、前言撤回になるけど今のとこ避難所進行が最善だわ。
荒らしが立てたスレでも気にしないってわけには流石にいかないしね。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 11:13:07 ID:DFXIjSpa
>>328
世の中簡単に割り切れる様な人ばかりじゃないからかな?
むしろ疑問を提示するのは、君のそのレスよりは建設的じゃないかな?
既に正式には使われてないスレで何を繰り返そうといいんじゃないかな?

折角一通り読み終えたと思ったら
>>252の余計な一言で小説になrもとい、小説家になろうってサイトに入り浸るはめに。
せめて一言言ってやらんと気がすまない。
良いサイトをありがとう、ボリューム満点でまたしばらく楽しめます。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 12:20:17 ID:KqGtM689
>>329
荒らしが立てたと言っても特別に削除に値する理由がないのなら使い潰す以外に手はないよ。
「荒らしがフライングして立てました」なんて理由でいちいち削除人が動いてくれるとは考えにくいし、
ここまで進んだスレが即死する事もありえないし。

運営からすれば「荒らしが立てたぐらいでいちいち気にしないで使えよ」って所じゃないだろうか。
332名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 12:47:40 ID:8LqLo3Ln
荒らしが立てからといっても、何事も無かったかのようにスルーして
平常運転することが出来れば一番良かったんだけどな。

333名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 15:29:09 ID:RRcs1X3H
いっそ何処ぞのガンダムSSスレみたいに280以降はしたらば進行にした方がマシかも知れないよ。
そうなった場合管理人氏の苦労は絶えないと思うけど、或る程度は削除対応して貰えるし。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 16:17:45 ID:JH9mKctg
堂々巡りやめろ
全部のレスよんでから言うか、もう何も言わないで欲しい
335名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 17:26:16 ID:eGr6MNuw
オスマン「お・・・・・・・・」
336萌え萌えゼロ大戦(略)29話:2010/07/29(木) 18:50:43 ID:EMYbS5GF
 アルビオン空軍工廠の街ロサイスは、首都ロンディニウムから南に向かい、
さほど離れていない場所に位置している。『革命戦争』と彼らが呼び慣らわす
内戦に勝利した貴族派『レコン・キスタ』がこの国の主となる前から、
ここは王立空軍の工廠だった。
 王党派の撤退時に工廠としての機能を喪失したこの街も、貴族派による
『解放』の直後から急ピッチで復興され、今も先の戦争で傷ついた艦隊が
その傷を癒していた。
 その中心部。『レコン・キスタ』の三色旗が誇らしげに翻る赤煉瓦の
大きな建物は、王軍時代から変わらず空軍の発令所である。そこの窓から
見えるのは、乾ドックに入渠した天を仰ぐばかりの巨艦。
 雨避けのための布が、巨大なテントのように巨艦――アルビオン空軍
本国艦隊旗艦『レキシントン』号を覆っている。全長二百メイルにも及ぶ
巨大帆走戦列艦は、今、大破状態から新たなる装備を得て、静かに復活の
刻を待っていた……

 太陽が中天に昇る頃……練兵場に立つルイズはふがくの横で苦り切った
顔をしていた。
 その視線の先には、魔法衛士隊の制服に身を包み、大きな羽飾りがついた
隊長職の帽子をかぶり、幻獣マンティコアの大きな刺繍が縫い込まれた
黒いマントを羽織った凛々しい男装の麗人――ラ・ヴァリエール公爵夫人
カリーヌ・デジレがいる。カリーヌは顔の下半分を覆い隠す鉄の仮面を
つけており、その表情は見えない。しかし、その鋭い眼光は、ルイズ
のみならずふがくをも射貫こうとしていた。

「……なんでこうなるのよ……」
「さあ?子爵殿に聞いてみれば?」
 今にも頭を抱えそうなルイズの横で、ふがくはカリーヌを見る。
カリーヌの出立ちは確かに色あせ、年月を経たもの。
しかし、よく手入れされており綻びや破れの一つ見当たらない。
そして、カリーヌの横には、老いてなお巨大な幻獣マンティコアが臨戦
態勢で控えていた。
 本気ね――ふがくはカリーヌの視線を真っ向から受け止める。そこに
立っているのは、雅な貴婦人ではなく、『厳しい』という言葉を十分に
こねてから鋳型に納め、『恐怖』という名の炎で焼き固めた騎士人形。
今から行われることは座興であるものの、同時に真剣勝負でもあった。

 ――そう。ワルドが提案したことは、有り体に言えばエアレース。
広大なラ・ヴァリエール領の中心地であるシャトー・ラ・ヴァリエールから
東にある街オトヴィル=シュル=フィエルの時計台の鐘を鳴らし、
次にそこから南西に向かって走るリュミリー街道の途中にあるル・ペゼ村の
鐘楼の鐘を、最後にさらに南西にある街リュミリーの時計台の鐘を鳴らして
そのまま幹線道路であるヴァリエール街道を北進してシャトー・ラ・
ヴァリエールに戻り、ラ・ヴァリエール城の尖塔の間をくぐるという、
直線距離にして一辺の長さ五十リーグちょっとの二等辺三角形を描く
コース。
しかし土地勘のあるカリーヌと不慣れなふがくの勝負であり、同時に
ふがくは土地勘のなさをルイズと協力することで補うことになっていた。
しかも、この提案があった時点でワルドの『偏在』が各ポイントに回り、
協力を取り付けているという手回しの良さである。
 ちなみに、この勝負に賭けられたのはルイズの身柄。ルイズたちが
勝てば無罪放免。負ければそのまま謹慎である――

「さて、三人とも準備はよろしいかな?」
 緊張高まる中、ワルドは平然と言う。その言葉に、カリーヌとふがくが
頷いた。
「ところで閣下、鐘を鳴らす方法は問わないのかしら?」
「壊さなければどんな方法でも。僕だったら『風』(ウインド)の魔法を
使うかな」
「つまり、模擬弾で撃っても平気ってことね」
 機関短銃を見せるふがくの問いかけに、ワルドは笑って肯定の意を示す。
337萌え萌えゼロ大戦(略)29話代理:2010/07/29(木) 18:51:54 ID:EMYbS5GF
「さて、この座興の理由は、ちゃんと聞かせてもらえるのでしょうね?
ジャン坊や」
「もちろんルイズと使い魔であるふがく君の絆を知っていただくためですよ。
カリーヌ様。
 ふがく君がルイズに害を与える存在であれば、協力して事に当たることなど
できませんからね」
「なるほど。わたしは古い貴族ですから、杖で解決することに異存は
ありません。遠い異国が生み出した『鋼の乙女』の力、今一度見せて
もらいましょう」
 カリーヌの射貫くような視線にもワルドは怯まない。
ある意味、この場で一番肝が据わっている人間と言える。
「さて、準備が整っているようでしたら、出走開始ということで。
このハンカチが地面に落ちたときが合図ということにしましょう」
 ワルドの言葉を合図に、カリーヌがマンティコアに騎乗し、ふがくが
ルイズを抱える。それを見たワルドが、優雅な手つきでハンカチを放り投げた。
 ルイズ、ふがく、カリーヌ、そしてエレオノールとカトレア、
一歩下がってシエスタが見守る中、ハンカチがゆっくりと地面に落ちる。
その瞬間、ふがくとカリーヌはほぼ同時に飛び立った。
「……まあまあ。母さまのマンティコア、まだあんなに速く飛べたのね」
 カトレアが驚きの声を上げる。
ふがくが先陣を切るのは予想できていたことだが、カリーヌのマンティコアも
まだ十分現役が務まりそうなほど力強く飛び去っていく。
その横で、エレオノールがワルドに詰め寄った。
「さて、ジャン。わたしにも分かるように説明してもらいましょうか?」
「何をかな?ネリー姉さん」
「この勝負、母さまに勝ち目はないでしょうが!あの速度差、どう見ても
五倍はあるわよ!?あれじゃ母さまのマンティコアでも追いつけっこない
じゃない!一体あなた、何を考えてるの?」
「大丈夫さ。僕はいい勝負になると思ってるけどね。カリーヌ様だって、
絶対勝てない勝負を受けるはずがないだろう?
 第一、ルイズはこのラ・ヴァリエール領を空から見たことがない。
ふがく君がいくら速く飛べても、道案内が頼りなければそれだけで大きな
負荷になるよ。実際にふがく君が飛んだ方向、気づいていたかい?」
「……確かに、あのまままっすぐ飛んでしまえばオトヴィル=シュル=
フィエルをかなり北に行きすぎるわね。あの子、たぶん川と街の位置を
把握しないで街道沿いに飛ばそうとしてるから……って、まさか、ジャン、
そこまで考えてこの勝負を言い出したわけ?」
 エレオノールの言葉に、ワルドはにっこりと笑う。そして、空を見上げて
言う。
「……空を飛ぶものはね、ずっと地面にいると気分が晴れないものなのさ」

 その頃。ワルドが予想したとおり、ルイズとふがくは見当違いの方向に
飛んでしまい方向転換を余儀なくされていた。だが、全速で飛べば四分ほどで
行きすぎてしまう街を探すのに手間取り、オトヴィル=シュル=フィエルの
上空に達したときにはさらに十分ほど時間を浪費していた。
「中央広場の時計台……あれね。
 まったく。私の方が速いからって街道沿いに進むのはいいけど、道を
見失うなんて信じられないわよ!」
 右手に機関短銃を構え左手一本でルイズを抱えたふがくが愚痴る。
「あんたが速すぎるのよ!ところで、母さまはもう鐘を鳴らしたのかしら?」
「まだよ。一リーグ西。こっちに向かってくるマンティコアが見えるわ。
……って、何?あの機動?」
「どうしたの?」
「まだ街まで一リーグはあるのに向きを南西に変えた……って、ええっ?!」
 ふがくがそう言うが早いか。一陣の猛烈な風が吹き抜け、時計台の鐘を
高らかに鳴らす。そう。カリーヌが通常のメイジの常識を逸する遠距離から
放った『風』の魔法が、周囲の被害もなく鐘だけを鳴らしたのだった。
338萌え萌えゼロ大戦(略)29話代理:2010/07/29(木) 18:52:35 ID:EMYbS5GF
「……嘘」
 思わずぽかんとするふがく。ルイズも同様。だが、立ち直ったのは
ふがくの方が早かった。
 時計台まで三百メイルの距離まで近づいてから、タタン……と撃ち出された
模擬弾が余韻が残る鐘を再び鳴らす。そして、そのまま南西に翼を向ける。
「ルイズ!失速ぎりぎりまで速度を落とすから、今度は見失わないでよね!」
「そ、それで母さまに追いつけるの!?」
「できれば追い抜きたいけど……。ああもう!考えるより今は動く!」

 次の目的地ル・ペゼ村はリュミリー街道の途中。ふがくとルイズが
やや迷いながらもル・ペゼ村にをその視界に捉えたとき――鐘楼の鐘が
鳴り響く。カリーヌは抜き撃ちの『風』の魔法で鐘を鳴らすと、そのまま
飛び去っていた。
「動きに無駄がなさ過ぎるわね。ルイズ、アンタのお母さんって、
元軍人なんでしょ?」
「ええ。男装して魔法衛士隊マンティコア隊の隊長を務めていたわ。
三十年前の話だけど、『烈風』カリンと呼ばれてて、『烈風』が出陣
したって噂が流れただけで敵が撤退したこともあるそうよ」
「やまとみたいね……それ」
 言いながら、ふがくも飛ぶ速度を緩めず模擬弾で鐘を撃ち鳴らす。
聞き慣れない名前に、ルイズが思わず問い返す。
「ヤマト?」
「や・ま・と!戦艦型鋼の乙女で、空は飛べないけどその防御力と打撃力は
世界最強。その四六サンチ……こっちの単位で言えば四六サント砲で
破壊できないものはないわ。私と同じ大日本帝国の秘密兵器よ」
「よ、四六サント砲!?何よ、そのお化けみたいな大砲は!?」
 ルイズは想像する。ふがくのような鋼の乙女が、翼の代わりにハルケギニアの
常識を覆すような巨砲を背負っている姿を――――想像できなくて諦めた。
どう考えても持てるはずがないとしか思えない。ふがくにしても
どうやって飛んでいるのかは理解できないし、ダイニホンテイコクの
技術力は、ハルケギニアから見れば異質としかいいようがない。
 そんなルイズを横目に、ふがくはカリーヌを追いかけて飛び続ける。
ふがくはまだ勝算があると思っている。そう。リュミリーの時計台の鐘を
鳴らしさえすれば……

「ルイズ、リュミリーの街って、この先よね?」
「え?ええ。もう見えるはず……」
 そのとき、鐘の音が聞こえた。カリーヌが鳴らしたのだ。
遅れてふがくもリュミリー上空に達する。中央広場の時計台はまだ余韻に
揺れている。その鐘を模擬弾で撃ち鳴らし、ふがくは北に進路を変えた。
「……街道はこのままシャトー・ラ・ヴァリエールまで続いてるわね?」
「ええ。ヴァリエール街道はこのまま、まっすぐよ!」
「それじゃ……一気に駆け抜けるわよ!」
 ふがくはそれまでルイズが目印になる街道を見失わないように落としていた
速度を、一気に最高速まで上げる。そのまま、先を行くカリーヌを抜き去った。

「……今のは……」
 轟音を残して真上を飛び去った機影に、思わずカリーヌは空を見上げる。
昨夜見たあの後ろ姿は、やはり全力ではなかったらしい。
「なるほど。竜籠より速い、どころではなく、風竜をも置き去りにする速度、
ということですか」
 カリーヌのつぶやきに、騎獣であるマンティコアが一鳴きする。
その背をカリーヌは優しくなでる。
339萌え萌えゼロ大戦(略)29話代理:2010/07/29(木) 18:53:27 ID:EMYbS5GF
「久しぶりに無理をさせたわね。ジョエ。けれど、最後まで『烈風』としての
矜恃を見せるため、もうひとがんばりしてもらいます」
 かつては主人とともに遙か遠くへ、そして遙かな高みへと達した幻獣も、
やはり老いには勝てない。しかし、その眼光と矜恃はまだ失われていない。
主人の言葉に応えるように大きく吠えると、力強くその翼を再び北へと
向けた。

「リュミリーの鐘を先に鳴らしたのはカリーヌ様だね。次にふがく君。
もうすぐ戻ってくるよ」
 ワルドが自身の『偏在』を通じて見た勝負の行方をエレオノールと
カトレアは興味深く聞いていた。
「さすが母さまね。
おちび、あんなこと言っておいてやっぱりたいしたことないじゃない。
途中で息切れするなんて」
 ほら見なさい、という顔のエレオノール。そこにカトレアが静かに告げる。
「それはどうかしら?」
「どういうこと?」
「ふがくは、このラ・ヴァリエール領のことを何も知らないんですよ。
それに、道案内するはずの小さいルイズも、竜籠に乗ったことがないんです。
ルイズの知っている知識を頼りにするために、母さまを先に行かせて
追いかけている、と考えたら、どうかしら?」
「はあ?カトレア、そんなことをしたら勝てないじゃない。
そうする意味があるの?」
 納得いかない表情のエレオノール。カトレアは耳を澄ませるようにして
ヴァリエール街道から続く城門に目を向ける。
「……聞こえませんか?この音……」
「音?」
 カトレアに促されるように、エレオノールも耳を澄ます。ワルドは、
南の空を見てかすかに笑う。
 それは、クマンバチのような音。だんだんと大きくなり、豆粒以下の
大きさだったものが一気にその姿を現す。その音に、周りの雰囲気に
沈みそうだったシエスタの顔がぱあっと輝く。
 ふがくとルイズは、全速のままラ・ヴァリエール城の尖塔の間を突き抜ける。
そして大きく旋回してから、練兵場の柔らかい芝の上にキュキュッと
音を立てて降り立った。
「私たちの勝利ね」
 ふがくはルイズを降ろすと、ワルドに向かって言う。ワルドは驚いた顔で
二人を迎えた。
「驚いたな。姫殿下から、魔法学院からアルビオンまで一晩で飛んだと
聞いたときには半信半疑だったが……。なるほど、あの速度なら得心したよ」
 ワルドは表情には出さないが、内心舌を巻いた。リュミリーから
このシャトー・ラ・ヴァリエールまで、まっすぐな幹線街道とはいえ
馬で二時間はかかる。それを四分ほどで飛んできたのだ。
ワルドも魔法衛士隊グリフォン隊の隊長である。軍人として、脅威に
対する対策を講じることは自然と身についている。
 だが、この速度で強襲された場合、対策が打てるだろうか?今考えられる
唯一の対策としては近づく音を聞き分けて迎撃する……であるが、速度差が
大きすぎる。

(確か、竜騎士隊第二大隊のギンヌメール伯爵が風竜に倍する速度の敵に
対応する、と訓練していたな……。僕を含めた衛士隊の隊長クラスは
全員彼を愚か者扱いしていたが、一度話を聞いてみる必要があるな)

 ギンヌメール伯爵がそれを掲げたのはもう三十年も前からになる。
その訓練の方法も全速で飛ぶ風竜からさらに魔法で撃ち出した標的を
撃ち抜くなど、奇抜なもの。そのため、かの部隊は精鋭の第一大隊、
外人部隊の第三大隊と異なり吹きだまり扱いされ、彼の部下たちですら
誰もが最初は自分の上官を狂人扱いすらするが、何故かしばらくすると
ぱったりと批判しなくなるのだった。
340萌え萌えゼロ大戦(略)29話代理:2010/07/29(木) 18:54:09 ID:EMYbS5GF
 そして、そんな伯爵を先王は信頼し、魔法衛士隊の隊長でも、先代の
マンティコア隊隊長である『烈風』カリン――つまりラ・ヴァリエール
公爵夫人カリーヌ・デジレ――だけは、彼を狂人扱いしなかった。
誰もそのことについては語らないが、よくよく考えるとおかしな話だ。
 それを不思議に思わなかったのは愚かなことをしていると歯牙にも
かけなくなったから……だが、アンリエッタ姫が今回の強行偵察に迷う
ことなく下命したのがかの部隊。もしかすると、亡くなった先王、そして
アンリエッタ姫は彼らが何をしているのか、いや、何を仮想敵として
いるのかを、知っているのかもしれなかった。
 そんな考えを中断させたのは、ルイズだった。
「子爵さま。母さまはやっぱりすごいわ。風の魔法をあれだけ正確に
使いこなすなんて」
 ルイズの言わんとしていることは、『偏在』を通してこの勝負を見ていた
ワルドにも分かる。一リーグ先から正確に目標に『風』を命中させるなど、
できるメイジが何人いるか。
 ワルドがそうやってルイズの話を聞いていると、カリーヌがラ・ヴァリエール城に
戻ってくる。尖塔の間を抜け、練兵場に降り立った彼女は、鉄仮面を
外すと真っ先にふがくのところに向かった。
「見事でした。あなたがこの地の地図を熟知していたならば、もとより
勝負にもならなかったでしょう」
「これが競争じゃなくて、実戦だったら、こっちの射程外から撃墜されていた
可能性もあるわね。空戦であの射程と命中精度は脅威だわ」
 ふがくの言葉に、カリーヌはふっと何かを懐かしむような笑みを浮かべた。
「……昔、あなたほどではありませんが、風竜よりも速く飛び、強力な
攻撃力を持つものとともに戦ったことがあります。
 そのときは味方でしたが、もし同じような能力を持つ敵が現れたなら……
先程あなたたちに見せた技は、その問いに対する答えの一部です」
「え?それって……まさか」
 ふがくの言葉に、カリーヌは応えなかった。


「……子爵さまは、ご存じだったんですね!」
 満天の星空の下。幻獣グリフォンの背に、ワルドとルイズがいる。
ルイズは、ワルドから今回の競争を提案した意味を聞かされ憤慨した。
「ははっ。幻獣と一緒にするつもりはないけれど、空を飛ぶものを
ずっと地面に縛り付けておくと機嫌が悪くなるものだからね。
カリーヌ様の心配を解くのも理由だったけれど、一目見てそっちも何とか
しないといけないと思ったからね」
 それ以外にも理由はあるがね――ワルドはその言葉を飲み込んだ。
何故なら、ワルド自身が、ふがくの性能を見ておきたかったというのが
最大の理由だからだ。
「でも、意外。母さまがふがくと一緒に飛びたい、なんて。今頃二人で
何を話しているのかしら」
「さあね。でも、悪い話ではないと思うよ」

 その頃、ふがくはカトレアと同じようにカリーヌを抱いて高度一万五千メイルの
高みにいた。ルイズたちがいる高度千メイルとは比べものにならないほど
空が近く感じられるそこで、カリーヌがふがくに話しかけた。
「……手間を取らせましたね」
「いえ」
「カトレアをここに導いたときよりは、速く飛んでいたようでしたが?」
「ええ。カトレア様と違い、奥様は高高度に慣れているようでしたので」
 気まずい空気が流れる。それを破ったのはカリーヌだ。
341萌え萌えゼロ大戦(略)29話代理:2010/07/29(木) 18:54:59 ID:EMYbS5GF
「……昼間の競争の時のような話し方でかまいませんよ。
もっとも、狎れてもらっては困りますが。
 それにしても……昔、わたしがジョエの背に乗って見たこの空を、
もう一度見られるとは思いませんでした」
「あなたの娘たちが言っていたこととは違うわね。あなたたちが
『風の門』と呼ぶ偏西風を抜けた人間はいないと言っていたのに」
 ふがくの疑問に、カリーヌは即答した。
「誰も喜んで異端の烙印を押されたいとは思いません。詩に出てくる
ガリアの竜騎士は失敗したことにされ、わたしはそもそもいなかったことに
されただけです。ガリアの竜騎士が墜ちたと言うことは事実ですが、
それも『風の門』を抜けてからのことです」
 カリーヌは言う。昔、各国の冒険心あふれる貴族がこぞって『風の門』に
挑んだこと。そのほとんどは失敗したが、『烈風』カリンと名乗っていた頃の
カリーヌと、そのガリアの竜騎士だけは『風の門』を突破することに
成功した――
「ですが、彼は高高度の過酷な環境に耐えきることができず、無念にも
墜ちていきました。わたしも息も絶え絶えになり血を吐きながらこの高度に
達し、この空を見たのです」
 そう言って、カリーヌは再び空に目をやる。黒いほどに青く、遙か彼方に
ある太陽の輝きによって二つに分かたれた空に。
「わたしたちがあれほど苦労したこの空にいるのに、まったく息苦しさも、
凍えるような寒さも、血を吐くほどの痛みも感じないとは……大日本帝国が
このトリステイン王国の手が届くところにないことを、始祖に感謝するしか
ありません」
「昼間も思ったけれど、あなたは鋼の乙女と一緒に戦ったことがあるの?
それも私と同じ航空機型の」
 ふがくの問いかけに、カリーヌはしばし沈黙し……静かに言った。
「タルブに行きなさい。そこに答えがあるでしょう」







以上です。

『烈風』の騎獣はギンヌメール伯爵と同じく第一次大戦期のフランスの
パイロットの愛機からです。
さすがにカリーヌというパイロットはいなかったので、フランスの女性
高高度記録を有するマリーズ・イルズ(Maryse HilszまたはMarie-Louise Hilsz)
の愛機から名前をもらっています。
また、ラ・ヴァリエール領の地名は実際のラ・ヴァリエールの地名から
拝借しました。

それでは。次回もなるべく早く書き上げるよう頑張ります。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 19:36:49 ID:MH5HAMvk
クズがまたコピペ荒らしか
卑屈な人生だね
343名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/29(木) 22:48:28 ID:K4WGFKzd
荒らしと言えども それは一種の自己表現である。
自分の書き込みを読んで 激怒する者 不快に思う者 冷笑する者。
コピペ荒らしからは それらを『もてなす』為の創意工夫 努力といった物が感じられない。
「一寸の虫にも 五分の魂」というが、君の行為からは五分の魂 それすら感じられない。
例え嫌われようと 自分が此処にいることを知って欲しい その思いすら伝わってこない。
惰性で続けているだけなら やめるべきだ。

最低 三日間の謹慎を言い渡す。荒らし行為をする自分 それを見つめなおして欲しい。
(まだ、期待しています。次こそ きっと…)
344名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/30(金) 07:22:45 ID:l5vXIbTy
良スレ認定します
345名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/30(金) 12:25:10 ID:ldqLYVBU
タイトル:あの作品のキャラがルイズに召喚されました part280
【糞スレランク:B】
犯行予告?:0/344 (0.00%)
直接的な誹謗中傷:5/344 (1.45%)
間接的な誹謗中傷:21/344 (6.10%)
卑猥な表現:61/344 (17.73%)
差別的表現:16/344 (4.65%)
無駄な改行:4/344 (1.16%)
巨大なAAなど:9/344 (2.62%)
同一文章の反復:0/344 (0.00%)
by 糞スレチェッカー Ver1.27 http://kabu.tm.land.to/kuso/kuso.cgi?ver=127

まだまだ他に比べたらマシでしょうww
346名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/30(金) 18:53:19 ID:/ZsIg0LG
夏になると>>345みたいな糞が良く出るよねww
せっかくの夏休みなのにこんなスレに粘着して時間の無駄じゃない?www
347風の使い魔 代理:2010/07/30(金) 19:24:56 ID:waAjYj1J
 第二次忍空戦争――それは大戦後、忍空の過激派が集まった部隊『忍空狼』と干支忍との間で繰り広げられた"戦"。
 元来忍空狼とは、元忍空組五番隊隊長で干支忍である『辰忍』炎の赤雷が結成した部隊であり、
構成員は解散後も平和に馴染めなかった忍空組の残党達であった。その本来の目的は平和の為、
荒廃した国の治安維持に忍空の力を活用するというもの。
しかし諸国を訪ねる為、隊を長期間留守にしていた赤雷の与り知らぬところで、忍空狼は密かに造り変えられていた。
 忍空狼副将軍にして元5番隊副隊長、紅。彼の掲げる、
忍空の圧倒的な武力こそが天下を制するべきという野望に同調する凶暴な戦闘集団へと。
 事の起こりはEDO歴3年。ある特殊な修練によって、各人が隊長クラスに匹敵する戦闘力を持つに至った数十の忍空狼。
対するは、たった四人の干支忍。
 忍空狼が世の表舞台に出る前準備として最初に企んだのが、確実に障害となるであろう干支忍の抹殺。
師より技と志を直に受け継いだ十二人衆が、忍空狼の台頭を許すはずがないと踏んでのことだった。
 そして紅の目論見通り、計画は実行に移された。四人の干支忍の内、ある者は忍空狼への協力を拒んだことによりさらわれ、
ある者は戦友を助ける為に。またある者は忍空狼の非道に義憤の炎を燃やした。
 それぞれがそれぞれの理由で忍空狼との戦いに身を投じ、忍空使い同士の暗闘は起こるべくして起こった。
 最終的に裏切りに遭った戦友を救い、忍空狼を壊滅せしめた干支忍の完全勝利で第二次忍空戦争は終結。
力と恐怖による国の支配は未然に防がれ、干支忍達が各々の生活に戻ると共に、忍空は再び時代の陰に潜った。
 大衆の目に触れることなく幕を閉じた、たった四人での戦い。
しかし、勝敗が一国の命運を確実に左右する――その意味では、それは確かに戦争だったと言えよう。
 すべては、ようやく勝ち得た平和を守り、忍空の道と誇りを貫く為に。決して表の歴史に記されず、
誰からも称賛されない戦いに、それでも臨んだ男達。その名は、ほんの一握りの者を除けば記憶されることすらない。
 
 元忍空組、六番隊隊長、『巳忍』大地の橙次。
 同じく……七番隊隊長、『午忍』氷の黄純。
 同じく……十番隊隊長、『酉忍』空の藍眺。

 そして……一番隊隊長、『子忍』風の風助。

風の使い魔 1-4

 夕刻、生徒達は夕食までの時間を思い思いに過ごす。タバサにとって、その時間は誰にも邪魔されず読書に費せる時間でしかなかった。
 正確には、それは今でも変わらない。違う点といえば、これまで読書場所は自室や図書館が主だったが、ここ数日は野外が増えたくらい。
ついでに言えばもう一つ、読書の合間に一人の少年を目で追うくらいだった。
 タバサは今、広場の樹を背に座り込んで本を広げていた。彼女からやや離れた花壇で、少年は雑草をむしっている。
 名は風助。何の因果か、タバサが召喚した使い魔の少年。言動はまるで子供なのに、端々に少年らしからぬ雰囲気が見え隠れする、
どこまでもイレギュラーな使い魔。
 カエルじみた顔をしているくせに、操るのは同じ風。それも魔法ではなく、忍空と言う名の武術。
 まだ十三と幼いながらも実態は歴戦の戦士。にわかに信じられない話だが、タバサを含め事情を知る者は全員が全員首肯するだろう。
召喚から二日目、彼はヴェストリの広場で巨大な竜巻を――文字通り、学院に旋風を巻き起こしたのだから。
348風の使い魔 代理:2010/07/30(金) 19:25:27 ID:waAjYj1J
 広場での騒動の罰として、学院長から奉仕活動を言いつけられた主従だったが、風助の行動は言いつけられたものではない。
 本人曰く、暇潰し。有り余る時間と体力の消費先。並外れた食欲の対価として、言われてもいない用事まで積極的に行っている。
タバサが講義に出ている間もあちこちで働いているらしく、泥だらけになって帰ってくることもしばしば。
 最近はルイズの使い魔、才人(頻繁に名前が出てくるので覚えてしまった)と、
メイドのシエスタ(同じく)とつるんで何かしらやっているみたいだが、詳しくは知らない。
風助が一方的に話すことはあっても、こちらから訊ねはしないからだ。

 昨日、風助に本名を明かした。これと言って理由はない。強いて言うなら、一つでも彼と共有する真実が欲しい気分だったのだ。
秘密を共有することで少しは彼が理解できる、曖昧に揺れる胸の内が何か変わるかもしれないと。
 しかし、実際は変わらなかった。もしかすると変ったのかもしれないが、気付けないなら同じこと。
 シャルロットの名を風助は綺麗だと笑った。笑ってくれた。だが、それだけだった。それからもなんら変わりない態度で接してくる。
 未だ迷いは晴れず、主と使い魔としてスタートラインにも立っていない。どれだけ成績優秀でも、使い魔に対する理解、信頼、
コンビネーションの面では学年最下位だと、自嘲でなく自己評価している。これでは、信頼できるパートナーなどほど遠かった。
 その名の通り、風のように掴み所のない風助に、タバサは戸惑っていた。
 メイジとしては使い魔を世話し、見事に使役してみせなければ一人前とは認められないだろう。使い魔を持たないならまだしも、
召喚した使い魔をないがしろにして有用に使役できないなどもってのほか。
 故にこれまでの人間と同様、無関心と不干渉を貫いて看過できるほど遠い存在ではなく、かといって他の生徒が使い魔とそうしているように、
仲良くしたい理由もなく。正確には、それすら自分で自分が分からない。仮にそうだとしても、すんなりいかない理由がタバサにはあった。

「俺と友達になるか?」

召喚の翌日、風助が言った言葉――それに対し、どう答えたのだったか。

「あなたは使い魔。友達じゃない」

 今更、どんな顔をして親交を深めればいいのだろう。
 風助はそんなタバサの気も知らず、のほほんと日々を過ごしている。そんな彼を目で追い、観察し、しかし一歩も踏み込めていないのが現状だった。
そして今日も今日とて、タバサは無表情の裏で堂々巡りを繰り返していた。

 タバサがページを捲る手を止め、何の気なしに風助を眺めていると、
「彼は変わっているね」
 不意に頭上から声が降ってきた。そこにいたのは、頭のてっぺんが禿げ上がった中年の男性。
学院の教師であり風助の正体を知る一人、ミスタ・コルベール。いつの間にか傍らに立って風助を見ている。
「熱心に雑務をこなしている。まぁ……その分、色々と面倒も起こしているらしいが。昨日は昨日で、使われていない大釜を軽々運んでいたよ。
今日は学院の隅の荒れ地を丁寧に掃除しているのも見た。君は知っていたかい?」
 やらかしたお咎めは必ずタバサにも来るので、もちろんすべて把握しているが、ここで聞いているのは風助が才人とシエスタとやっている"何か"だろう。
知っていると言えば知っているが、タバサは黙って首を横に振った。
 やはり知らないからだ。行動の詳細も、その理由も。
「そうか。学院長室まで勝手に直談判に来たとミス・ロングビルがぼやいていたよ。学院長は悪い気はしないみたいだがね。
老人は無邪気な子供には弱い生き物だから……おっと、これは内緒だよ?」
 おどけた仕草で口に指を立てるコルベール。
 直談判の部分は気になったが、タバサは特に反応しなかった。コルベールもそれを知ってか、一方的な語りを続ける。
「ただ、オールド・オスマンの名誉の為に付け加えるならば、君達二人の処分を軽くしたのは彼の嘆願に心動かされたわけでも、
ましてや孫を持つ気分を味わいたかったのでもない。むしろその逆」
 風助の力を危険視したが故に。大方、そんなとこだろう。大体の察しはついていた。
349風の使い魔 代理:2010/07/30(金) 19:26:07 ID:waAjYj1J
「あの時点で、君を含む誰もが風助君の実体を捉えきれていなかった。
忍空と呼ばれる謎の武術――外見に似合わぬ強大な力を秘めているとしか。もっとも、それは今も変わらないのだが」
 風助の外見、口調、いずれも子供のそれである。子供が駄々をこねる感覚で力を爆発させ、
幼稚な怒りを誰かれ構わず振るえばどうなるか。しかも、風助は戦場で人を殺めた経験だってある。
 単純そうなので、なるべくストレスを与えず行動をコントロールし、なおかつ多くの人間と接触させ様子を見る。
つまり、機嫌を取りたかったのだろう。さしずめタバサはお目付け役だった。
 もっとも風助自身は、純粋に好意と寛大さと受け取っているのだろうが。
「だが、それも杞憂に過ぎなかったようだ。今の彼を見ればね」
 コルベールが風助を指差す。そこにいる彼はただ暢気に草抜きをしているようにしか見えないのだが、
「彼は自分の力の重みも、命の重みも理解しているよ」
 そう思って見ると、一挙一動が違って見えてくる。座って雑草を摘み取っているだけの姿が、花を折らぬよう慎重に、
蟻一匹も潰さぬような動作にすら見えてくる。が、流石に考え過ぎだろうと思い直した。
 だが、それを抜きに考えても、風助が考えなしに人を傷つけ、力を破壊に使うとは到底思えなかった。
「まだ一週間にも満たないのに、驚くほど学園に馴染んでいる。学院のあちこちに首を突っ込んでいるからか。
私も長く教職をやっているが、顔の広さは私以上かもしれないな。特にマルトーのオヤジを始めに、平民の職員からは人気が高い」
 生徒にも、早速風助と親しくなった者はいる。特に男子は仲良くなるのも早かった。どうせ、道化として見られているのだろうが。
 風助は相手の家系がどんな名門だろうと、まるで気にしない。これも、たぶん理解していないだけなのだろう。
「これも、君はとっくに気付いていたかな?」
 コクリと頷く。肯定か否定で問い掛けてくれれば、話が楽でいい。
 コルベールに言われるまでもない。タバサもこのところずっと、風助を観察しているのだから。

「ならば何故、君は風助君を避けているのだね?」

 直後、タバサは顔を跳ね上げた。普段は半ば閉じられた目を見開いて。
 さっきまで微笑んでいたコルベールの視線は鋭く、軽かった声音は重く真剣味を帯びたものに。だが、驚いたのはそこではない。
 無表情も崩れるほどにタバサが動揺したのは、図星を指されたからに他ならなかった。
「驚く必要はない。私も事情を知る手前、君達を注意深く観察していたからね。学院長の指示でもある」
 数秒して平静と鉄仮面を取り戻したタバサは、苦笑する彼から視線を逸らす。
 それは観察でなく監視だ。見透かされたようで、あまり気持ちのいいものではない。
「君は私が知る限りでは一、二を争う優秀な生徒だ。しかし、まだまだ未完成だ。人としても、メイジとしても」
 そんなことは言われなくても分かっている。誰よりも痛いほど。
 タバサが片目に力を入れて眇めると、コルベールも無言の抗議を真っ正面から受け止めた。
「私は思う時があるよ。使い魔に人間がいない理由。それは使い魔が主人の死角を補う為かもしれないと。でありながら、君達は人間を召喚した」
 流暢に語るコルベールは止まらない。片方が一切喋らないのでは無理もないのだろうが。
「ミス・ヴァリエールはともかく、君は……いや」
 言いかけて、慌てた様子で口をつぐむ。まるで口が滑ったとでも言うかのよう。
 タバサも敢えて言及しなかった。おそらく、教師として生徒を貶す表現を恥じたのだろうと。
 それを確認するとコルベールは、ゴホンと咳払いをした。
「使い魔はメイジに最も相応しい者が選ばれると云うじゃないか。私は敬虔な信徒ではないが、そこに意思や判断が介在するとすれば、
それは始祖ブリミルのお導きを措いて他にないだろう」
 始祖ブリミル――大陸に魔法をもたらしたとされる存在。神に等しい崇拝の対象。その意思がメイジに使い魔をあてがっているとでも言うのか。
 疑わしげなタバサの視線に気付き、コルベールが肩を竦める。
350風の使い魔 代理:2010/07/30(金) 19:26:54 ID:waAjYj1J
「別に始祖の意思の有無を論じたいのではないんだ。ただ、ミス・ヴァリエールがサイト君を召喚したのも、
君が彼を召喚したのも必ず何らかの意味がある。或いは、他者とは違う意味が」
 どんな意味があると言うのか、想像もつかなかったが、どんな意味だろうと構わない。
力にさえなってくれればそれでいい。目的を果たす力にさえ。
「君二人は真逆なようでいて似ている。逆もまた然り。だからこそ君に欠けているものを彼が埋め、
彼に足りないものを君が補えると私は考える。あの竜巻を内と外から制御し被害を最小限に留めた、あの時のように」
 さっきまでは学者然とした口調だと思っていたが、今の諭す口振りは、まさしく教育者のそれだった。
が、コルベールの言葉はすべて憶測に過ぎない。
「君は彼を避けている。避けているのに観察は怠っていない。それは、彼が信頼できる人間かどうかを測りかねている。違うかい?」
 タバサは何も言えず、沈黙を以て答えとした。黙り込んだのは、違わないどころか、その通りだったから。
顔を背けるのは、なるべくなら悟られたくなかったからだ。
 タバサの迷いを察したのだろう。コルベールはタバサを待たず、
「すまない、少し喋り過ぎたかな。余計だった。君が彼の何を測ろうとしているのかは分からないが、
お詫びに彼のことが知りたいなら至極簡単な方法を教えよう」
 人差し指を立てて言った。うつむいていたタバサは再び顔を上げる。タバサの僅かに縋るような瞳を受け、
自信ありげな笑顔から語られた方法とは。

「聞けばいいのさ、直接ね」

 期待外れもいいとこだった。危うく肩を落としそうになる。
 聞いて損した。それができれば最初からやっている。
 立ち去るコルベールを見送った後、タバサは小さく息を吐いた。読書に戻る気にもなれなかったので、風助を見やる。
 花壇の手前に座り込んで草むしりをしている少年の隣には、いつしか小さな雑草の山。
畑仕事をしていたと言うだけあって、野良仕事などは歳の割に手慣れている。
 しかし、あんなところに座ったらズボンが土塗れになるんじゃないだろうか。などと心配をしている内に、
タバサは風助が替えの服も持っていないことを思い出す。
 聞けば、洗濯と乾燥の間は裸で過ごしているらしい。らしいと言うのは直接聞いていないからだ。
風助が頓着しない性格なのか、彼からは特に希望はなかった。
 洗濯も2,3日に一度。しかも、ほとんどは昼間の内に済ませている。それ故、苦心するのはタバサではなく、専らシエスタだ。
 その手のことで数少ない困り事があったとすれば、昨夜の騒動くらいか。
 午後からの通り雨で下着が乾かなかった風助は部屋に帰ってから、あろうことか当たり前のようにタバサの下着を代用しようとしたのだ。
 あまりと言えばあまりに予測の斜め上の行動。思考よりも早く、衝動的に杖を振るってしまった。
 お陰で窓は砕けるわ、轟音に驚いて同じ階と上下の階から生徒が集まってくるわ、睡眠時間は二時間も削られるわで、もう散々な夜。
咄嗟に手加減したとはいえ、窓から落ちた風助が掠り傷程度で済んだのは、驚くと同時に安堵したものだが。
 今朝も今朝で女子寮の中を半裸でうろついていたので、寮監に叱られたばかりだった。
他にも風助絡みで注意や苦情を受けた回数は、数え上げればキリがない。
 やましい気持ちは一切なかっただろう、その点は確信していた。単純に男女の別の感覚が備わっていないだけで。
 数々の失敗にしても、大雑把な性格に加えて、こちらの様式や文化に不慣れな為に起こった可能性が高く、特別ドジだとは思わない。
 こんな調子で擁護の感情が浮かぶ程度には風助を信用しているタバサだったが、面倒を被っているのもまた事実。
そんなこんなで、流石のタバサも若干不機嫌であった。
 面倒なものだ、人の使い魔なんて。シエスタも、下着くらいどうにかなるだろうに。
 いや、違う。本来は主人が面倒を見なければいけないのだ。シエスタを責めるのは八つ当たりになってしまう。
 かぶりを振って、管理不行き届きを反省する。
 明後日はちょうど虚無の曜日。それも含めて諸々の生活用品を揃えてやらなければならないだろう。こんな用件なら苦もなく言えるのに。
351風の使い魔 代理:2010/07/30(金) 19:27:41 ID:waAjYj1J
 ふと思う。もしかして、自分は不器用なのではないだろうかと。
 しかし、両親が健在の頃は権謀術数から離されて育ったものの、裏の仕事をこなすようになってからは、それなりに上手く立ち回ってきたつもりだ。
ならば今まで意識してなかったが、任務のフィルターを外すと不安定になってしまうのだろうか。
 そもそも、どうして風助相手にこんなにも躊躇してしまうのだろう。
 必要なことは端的に、不要なことは口にしない。これまでそうしてきた。これからもそれでいいはずなのに。
 それでなくても、タバサは風助に負い目があった。
 第一に、こちらの都合で平和に暮らしていた彼を召喚してしまった。
 第二に、風助から伸ばされた手を拒んだ。
 もしも拒絶されたら――風助の性格からしてそんなことはないと思っても、自身を持って断言できるほど、
風助を知らない。何せ、出会ってまだ一週間しか経っていない。

 そうこうしている内に、徐々に闇は深まり、影が色濃くなってきた。春といえども、マントを付けていても夜は肌寒い。
半袖なら尚更だろう。
 風助にも声を掛けて部屋に帰り、それをきっかけに話をしよう。何を話せばいいのかは分からないが、なんでもいい。
彼の話に耳を傾けるだけでも。
 歩き出そうと立ち上がった瞬間、逆光が目に飛び込んでくる。思わず手をかざし、
目を細め――改めて彼を見ると、傍らにはシエスタが立っていた。
 和やかに談笑しながら歩き出す二人。途中で才人や、いつの間に知り合ったのかモンモランシーも加わって、遠ざかっていく。
 風助は沈みかけた陽の光と、夜のものに変わりつつある涼やかな風を浴びて笑っていた。その笑顔が妙に眩しく思え、
対照的に自身が日陰者のように感じられ、タバサはその場に立ち尽くした。
 気付いてしまったのだ。風助の周りには自然と人が集まることに。あれこれやって迷惑を掛けても、
持ち前の明るさに誤魔化されて、ほとんどが許してしまう。そして親しくなる。
 今まで欠片も気にしていなかったが、一緒に歩いていると必ずと言っていいほど声を掛けられるか、風助から挨拶をしていた。
中には顔も知らない職員や、他学年の生徒まで。
 気が付くと、タバサの周りには誰一人いなくなっていた。今は閑散とした広場で独りきり。
 取り残されたタバサは考える。
 すべては始祖ブリミルの思し召し。コルベールはそう言った。
 だとすればブリミルは何ゆえ、他人に碌に興味を示さず、心を開いてこなかった少女に風助を遣わしたのか。
そして何ゆえ、もっと単純な意思疎通を可能にしなかったのか。
魔法の効果によって使い魔は主人に、主人は使い魔に最初から好意を抱くという説もあるが、そうはならなかったのか。
 彼と言葉で心を通わせ親しくなることが、自ら"変わる"ことがメイジとしての試練だとでも言うのか。
 もやもやと鬱屈した気持ちを抱えたまま、タバサは一人答えが出ようはずもない問いを繰り返した。



「足んねぇ」
 夜の食堂、いつものように風助が呟く。股の間には綺麗に――本当に見事にパンの一片、スープの一滴、
ソースまで真っ白に舐め取られた食器が盆に載せられている。開始からここまで、僅か三十秒足らずの出来事であった。
 どうせ後になってから厨房にたかりに行くのに、一人前として出された量が少ないと寂しいらしい。
ぎゅるるるると、細い腹から鳴る音は、さながら竜の唸り声か、雷雲の轟か。
 食堂中に響き渡る腹の虫に誰もが振り向く。その顔は笑い、呆れ、嫌悪、嘲りと様々だが、生徒、給仕を問わず、
全員の視線を集めていたのは確かだった。
 しかし唯一、一瞥もせず席を立つ人物がいた。タバサである。
 風助には劣るものの、ある程度上品に洗練された作法。なのに完食は早い。まだほとんどの生徒が食事中だが、
彼女の食器も既に空。当然、テーブルで食べているので、食器を片づけることもしない。
 平然と食堂を出ようとするタバサに気付くと、
「部屋に帰んのか? だったら俺も……」
 風助もそそくさと盆をシエスタに預け、その後に付いて歩く。
 食事中は忙しいので、どうせ来るなら片付けが一段落してから来いとマルトーにも言われていた。
 二人が早々に退席するのはいつものことであった。うるさいのもすぐにいなくなるので、文句を付ける生徒もいない。
つまり、これも見慣れた光景である。
 だが、今日はいつもと少々様子が違った。
 食堂の出口でタバサが立ち止ると、合わせて後ろの風助も止まる。

「付いてこないで」
352風の使い魔 代理:2010/07/30(金) 19:28:21 ID:waAjYj1J
 振り向きもせず、タバサは言い放った。
 抑揚のない、怒りも羞恥も込められていない声。それがいつもの彼女の声。誰に対しても同じ態度。
 タバサはそれだけ言うと、食堂から出ていく。聞いていた生徒達は気にも留めなかった。
――おいおい、今度はどうしたんだよ!
――花瓶でも割ったか? それとも、絨毯に泥の足形でも付けたのか?
 立ち尽くす風助を、親しくなった男子生徒達が口々に囃し立てる。いずれも前科があるので、
他の生徒も大方そんなところだろうと考えていた。つまり、またいつものことか、と。
 立ち止まって頭を掻く後ろ姿から表情は窺えない。タバサの態度、
風助の背中にいつも違うものを感じた人間は二人、シエスタとキュルケだけだった。
 ちなみに才人は昼間、主人の勘気に触れた為、またしても夕食抜きの瀬戸際にあり、
ルイズはそんな使い魔と口喧嘩の真っ最中だった為、まるで気付いていなかった。



 部屋に帰るなりベッドに腰掛け、タバサはいつもの如く読書をしていたが、今日は頭に入りにくい。
ランプの小さな灯りを頼りに文字を目で追ってはいるものの、気はそぞろ、隣でドアを開く音がする度に緊張が走る。
 これまでタバサは、風助が傍にいることを拒否しなかった。仮にも使い魔である。
そして風助もタバサの邪魔はしなかった。彼は文字が読めないので、部屋にいること自体が少なかったが。
 つまり、今回が初めての明確な拒絶。そこには論理的思考も合理的判断も存在しなかった。
感情に任せた、八つ当たりに等しい行為。
 自己嫌悪が湧き上がる。
 小さなものなら、ずっと幼い頃以来。大きなものなら、夜毎に蘇る未熟な己への憤り。繰り返し思い出され刻まれる、
あの日の怒りに比べればこんなのは取るに足らない出来事なのに、どうしても頭から離れてくれない。
 時計を見ると、食堂を出てから既に四時間。だのに、本の隅を見ると二十ページも進んでいない。
 タバサは読書を諦め、幾度目かの細い息を吐くと、慎ましやかな胸に手を当てて、今一度考えてみることにした。

 やはり自分は変化している。
 変化が生じ始めたとしたら昨日、シャルロットの名を名乗った時から。或いは彼を召喚した日、"風"を感じた瞬間から。
 ただ、気付かなかっただけ。気付いているのに気付かない振りをしていたのかもしれない。
 あの時、本名を名乗ったのは、無意識の内に彼を測る物差しを求めたのだと思う。
反応を見て、彼が信じられる人間かどうかを試したかった。
 これまで一人を辛いと感じたことなどなかった。それは今も変わらない。
 ここ最近の不安定さはおそらく、突然身近に対極の存在が現れ、惹かれると同時に自らの形が見えてしまっただけ。
 鏡を見るより鮮明に映る――とうに自覚していたはずの、歪に捻じ曲がった形。
 卑下するつもりもないし、後悔もしていない。ただ、風助はあらゆる面で陰陽の如くタバサの対極に位置していた。
それも顔や性格だけでなく、その本質。
 自分が凍らせるだけの雪風なら、風助は穏やかで優しく、種子や花粉を運ぶ春風なのだろう。
 風助の奔放な性格は一見キュルケと似ているが、彼女とて良家の令嬢である以上、様々なしがらみに縛られている。
彼女は、それらを嫌ってここへ逃れてきた。タバサがキュルケと友人でいるのも、彼女の情熱と突破力に興味を持ったからだ。
 だが、それとて完全に逃れたわけではない。いい悪いでなく、愛着も責任もある以上、家も国も捨てられるはずがない。
 キュルケに限らず、自分も含め、学院の生徒は大なり小なりしがらみに囚われている。だから思う。
 あんなふうに器用に――。
 違う。
 自由に生きられたら世界はどのように映るのか。
 興味を抱いたと言うのが正しいだろう。それが、貴族の生徒達が風助に惹かれる理由なのか。
 そして今、風助という"風"に吹かれて、タバサの心は揺れていた。
 彼を信じてみたいと靡く心。
 反面、この風は迷いを誘う、と警鐘を鳴らす心。
 メリットとデメリット。両者を天秤に掛けても同じだけの重みがあり、最早打算では決められなかった。
では、この問題を解決するにはどうすればいいのか。
 分からない。正直、材料が足りない。判断を下せるだけの時間を風助と過ごしていない。
 かといって、あの従姉妹姫は待ってはくれないだろう。今日明日にでも招集がかかるかもしれない。時間は、あまり残されていなかった。
353風の使い魔 代理:2010/07/30(金) 19:29:04 ID:waAjYj1J
 それからどれだけの時間が経っただろう。部屋のドアが静かに開かれた。
 ちょこん、と目だけを水面から出すみたく、カエルが中を覗く。風助だ。
 一瞬目と目があった。つぶらを通り越して異様に大きい円い瞳と、ぼんやり寝ぼけた瞳が空中で交わる。
 両者の目からは感情は窺えない。しかしタバサは努めて平静を装っていたが、内心は穏やかではなかった。
「すまねぇ」
 入るなり、風助が頭を下げる。
「どうして」
 彼が謝ることはない。ないこともないが、食堂での発言は彼のせいではない。
「俺が怒らせるようなことしちまったんだろ?」
 首を振って否定の意だけを示す。
「じゃなんで怒ってたんだ?」
 タバサは答えなかった。答えられなかった。
 答えれば、抱えた迷いや屈折した感情まで説明することになる。それだけは絶対に嫌だった。
「俺、いっつもおめぇに迷惑掛けちまってるからな。あ、でも"今日はまだ"なんにもしてねぇぞ」
 昨日は色々やらかしている。迷って入浴中の大浴場に入ってきたり、
他人のマントを雑巾と間違えて床拭きに使ってボロボロにしたり。
 とばっちりを受けるのは、いつもタバサである。それでも不思議と、以前ほど迷惑とは思っていなかった。
「けど、お前は理由もなく怒る奴じゃねぇ。だから、俺が知らねぇ内に嫌な思いさせちまったかと思ったんだ」
「悪かったのはわたし。あなたは悪くない」
「おめぇなんか悪ぃことしたのか? 俺は記憶にねぇぞ。だったらしてねぇのと同じじゃねぇか」
「違う」
 今度は首を振るだけでなく、口に出して否定する。
 気付かなければないのと同じ――そんなことはない。気付かなくとも事実は残る。気付いた瞬間より重く圧し掛かる。
「わたしにも謝らせてほしい」
 風助が言うより早く、タバサも軽く頭を下げる。再び顔を上げると、風助がパン、と両の掌を合わせていた。
「じゃ、これであいこだ。おめぇも忘れてくれ」
 タバサは頷いた後も風助から目を逸らさない。むしろ、ここからが本題だ。
「それともう一つ」
 目の前の少年は小さい。ベッドに腰掛けていても、まだタバサの方が高い。それだけ幼いのだと改めて実感する。
 タバサはベッドから立ち上がり膝をついて目線を合わせると、ゆっくりと口を開く。
「聞かせて、わたしの使い魔を引き受けた理由」

 こうして同じ高さで話すのは召喚当日、互いに名前を名乗った時以来だった。
 真剣な顔で見つめるタバサに、風助は首を傾げた。顔は変わらなかったがおそらく、きょとんとしている。
 観察をしている間に思ったのだが、彼の大ざっぱな顔面は微妙な表情の変化に適応していないのだろう。
喜怒哀楽は過剰なまでに見せるのに、その中間、繊細な感情表現には表情筋が上手く働かないのか。
微妙な変化しかできない誰かとは、そんなところまで真逆である。
 などとタバサが割とどうでもいいことを思っていると、何を今更、とでも言うかのように風助が答えた。
「おめぇが助けてくれ、って言ったんじゃねぇか。だから俺は使い魔やってやるって決めたんだぞ」
「わたしはあなたの生活を無視して召喚した。そしてまた、危険や戦いに巻き込む。
あなたこそ、わたしを恨んでも仕方ない。むしろ、それが当然」
 あれから四日が経っても風助はここにいた。まだ使い魔らしいことは一つもしていないが、召喚当日とは異なり、
使い魔のなんたるかを知ったはずだ。それなのに文句も言わずここにいる。
 彼がここにいる意味。それを了承と取っていいのかどうか。それを今一度問うつもりだった。
「別に恨んでも怒ってもいねぇぞ」
 一秒と間を置かず、風助は笑った。名前を綺麗だと褒めてくれた時のように。
「俺はこれまで、ほとんど旅と戦争と修行でしか村の外に出てこなかった。
旅の間も色んなものが見れたけど、ここはもっと初めてばっかりだ。魔法も学校もおっちゃんの料理も、俺のいたとこにはなかったもんな。
だから、こうして知らねぇもんや新しいもんが見れて、これでも楽しんでんだ。おめぇのお陰だぞ」
 ついでに魔法を喰らったのもな――とケラケラ笑っているが、常人ならあの高さから落下すれば怪我は免れない。
タバサだって、他人をエア・ハンマーで窓から叩き出したのは初めての経験だった。原因は風助にあるとはいえ、やり過ぎたかと思ったが、まるで気にしていなかった。
354風の使い魔 代理:2010/07/30(金) 19:29:47 ID:waAjYj1J
「俺、もっといろんな初めてが見てぇぞ。それで、ばあちゃんや干支忍のみんなに土産話してやるんだ」
 嬉しそうに期待を膨らませている風助。対するタバサは、ほんの僅か眉間にしわを寄せて困り顔だった。
 違う。使い魔はそんな楽しいものじゃない。こと自分に限っては。
 それを伝えなければならなかった。この笑顔を曇らせることになっても。
「人を……殺させるかもしれない」
 意を決したタバサだったが、言葉に詰まり目を逸らす。風助を直視していられなかった。
 答えを聞くのが怖い。こんなに罪悪感が募るとは、自分でも予想外だった。
 無論、殺せと命じる気はない。ただ、任務に同行させれば可能性は常に付いて回る。
 眼を逸らして数秒、沈黙が流れる。頼りない灯りがゆらゆら揺れて二人の顔を照らしていた。
 やがて数秒とも数十秒ともつかない時間の後、そっと向き直るタバサ。
 その瞬間、ぼんやりとした蒼の瞳を射抜いたのは、いつになく真剣な表情、真摯な眼差し。
「……俺はもう忍空で人を殺したくねぇし、殺さねぇ。けど、もしも殺さなきゃなんねぇとしたら、それは俺が決めて俺がやるんだ。
おめぇに言われてやるんじゃねぇぞ」
 そこにいたのは普段の間の抜けたカエルとは別人。単に目つきが変わっただけなのに、
纏う雰囲気はまったく異質なものへと変じていた。
 かつて戦場に立っていたからこそ口に出せる覚悟。その言葉で少しだけ救われたが、
そんな単純なことも忘れかけていた己を恥じる。
 タバサにとって北花壇騎士の任務は押し付けられたものだが、その過程で誰に恨みを買っても、
誰かのせいにしようとは思わなかった。
 罪も業も誰かに押し付けることはできない。自ら背負う他ない。どんな理由があろうとも。
 それを彼は、この歳にして既に悟っていた。
「なぁ、使い魔ってのは、おめぇを守るものなんだろ?」
 無言で頷く。
 多くは望まない。知覚の共有も魔法薬の材料収集もいらない。ただ共に戦ってくれればいい。支えてくれる力になってくれれば。

「だったら気にすんな。俺、おめぇのこと好きだぞ」

 風助はにっこりと笑いながら、素直な言葉を紡ぐ。

「なっ……」

 不意の告白に、タバサは大いに戸惑う。
 動揺を隠せと言い聞かせても、顔に出さないだけで精一杯。押しこめた分だけ心中で暴れる。
 当然、それは男女の恋愛でなく人間としての意味合いだ。そうと知っていて動揺してしまったのは、
家族以外の他人から面と向かって好意を伝えられるなど、今まで一度たりともなかったから。
 彼と出会ってから初めて尽くしなのはタバサも同じだった。
「飯も食わせてくれるし、感謝してんだ。だから力貸してほしいって言うんなら貸してやる。おめぇが俺をいらねぇって言うまで」
 そう言って風助は、
「約束だ」
 そっと小指を差し出す。指切りのつもりだろうか。
 なんと言うか、この笑顔は――ずるい。
 さっきまで、くどくど理屈を並べていたのが馬鹿らしくなる、暢気で能天気で無邪気な笑顔。
結局のところ、みんな単純にこの顔に魅せられただけなのかもしれないと。
 朗らかで屈託なく、この世の一切の穢れに染まっていない。そんな印象すら抱かせる顔。
 彼の一言で、胸の大半を占めて締め付けていた罪悪感が吹き払われる気がした。
代わりに、その隙間が得体の知れない温かいもので満たされていく。
 奇妙な感覚。なのに、不思議と嫌ではない。
355風の使い魔 代理:2010/07/30(金) 19:30:29 ID:waAjYj1J
 タバサも小指を伸ばしかけたが、交差する寸前で躊躇する。
ここで指を絡めてしまえばもう後戻りできないと思うと、土壇場で何かがブレーキを掛けた。
 どうしても最後の一歩が踏み出せない。柳眉をひそめてタバサは伸ばした小指を隠し、
「もう、寝る時間」
 代わりに人差し指で時計を指して立ち上がった。気が付けば就寝時刻はとっくに過ぎていた。
 タバサが立ち上がってからも風助は行き場をなくした小指を遊ばせていたが、ランプを吹き消すと一転、部屋は闇に包まれる。
 指切りを無視された彼がどんな顔をしていたかは見えなかった。見なかった。見たくもなかった。
 手探りでパジャマに着替え、ベッドに潜り込み、サイレントを唱えるなり、壁を向いて風助に背を向ける。
ここまでのプロセスを思考停止した状態で行い、一息吐いてようやく気付く。
 そういえば今日は風呂にも入っていなかった。と言っても汗は掻いていないし、今からではどの道入れまい。それはまぁいい。
 そもそも、普通は着替えてから灯りを消すものではないのか。
そもそも、別に風助に見られても気にならないし、彼も着替えは着替えとしてしか見ていないし。つい咄嗟にそうしてしまったが、それもまぁいい。
 今、肝心なのは、風助に興味を抱いていてなお拒絶する理由。とても言葉にはし難く、口にした時点で意図したものとは異なってしまうだろうが、
敢えてこの感情に名前を付けるなら――嫉妬。
 または羨望、憧憬。
 どれでもあり、どれでもない。
 静まり返った部屋、音を成さない声でタバサは独白を続ける。

 人形になろうと決めたのはわたし。でも、そうしなければ戦えなかった。
 辛くて苦しくて、誰も助けてくれなくて……一人いたが、そんな彼女ももういない。故に生きる為に、目的を果たす為に強くなるしかなかった。
そう、仮面を被るしか。
 戦争で両親を亡くした――風助はそう言った。
 詳しく聞くまでもない。戦争で死別したなら辛く、望まぬ別れだっただろうことは想像に難くない。が、ここまでは別段、珍しくない。
ハルケギニアにも戦災孤児はいる。
 それでも、八歳かそこらで戦場に立ち、しかも一部隊の隊長であった例など、あったとしても極稀も稀に違いない。
 そして今、彼は子供らしい年相応の顔で笑っている。その笑顔に過去を連想させるものはない。
 彼の笑顔は過去を思い出させる。父様と母様に囲まれて陽だまりの中にいた、何も知らなかった頃のわたし。
 それはきっと、わたしと彼の立場を意図的に重ねようとしているから、そう思えるだけなのだろうけれど。
 わたしも、昔はあんな顔で笑えていた。でも、ある日を境にできなくなった。復讐を誓って自ら凍てつかせた。
 自分が世界で一番不幸だなんて欠片も思ってない。暗い過去を持った者すべてが、影を背負って生きていなければならないとも思わない。
 けれど何故……何故、こうまで違うのか。彼とわたしは何が違ったのか。彼の笑顔の秘密は何なのか。
 風助を風助たらしめているもの。思いつく可能性としては、やはり――力。
 描いた望みを現実に叶え、阻む他者を捩じ伏せるに足る忍空の圧倒的な武力。それが風助に余裕と自信を与えているのかも……。
 力……わたしに、もっと強い力さえあれば。
 いつかすべてから解き放たれて自由になった時。
 母の心を取り戻した時。
 いつかあの伯父王を八つ裂きにして、その首を父の墓前に捧げた時、その時が来れば。
 明るく可愛らしいシャルロットに戻って、あんなふうに素直で素敵な笑顔を思い出せるのだろうか。

 更なる力を渇望しつつ、燃え盛る激情を持て余したタバサは半ば強引に目を閉じた。
 風助の笑顔。
 タバサはその中核を成すものは力だと推察したが、それは正解であり、誤りでもある。間違っていて、合っている。
 それは半分に過ぎない。聡明な彼女でさえ、他の可能性に思い至らない。
 否、それはタバサだからこそ見落とす――まさしく死角だった。




※※※

今日はここまでで投下終了です。思うより時間がかかって申し訳ありませんでした。
まとめは全部終わってから登録したいと思います。
356風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:31:51 ID:waAjYj1J
 メイドの朝は早い。
 シエスタは陽が昇り始めたばかりの薄暗い時間に目覚める。髪を梳かし、メイド服に身を包むと、
身だしなみを整えて部屋を出た。食堂に向かうのだが、途中水場で顔を洗い、目を完全に覚まして気分を切り替える。
 これからが一日の最初にして、一番大変な時間。
 歩きながら手順を組み立てる。シエスタの主な仕事はテーブルのセッティングだ。
生徒達が来てすぐに食べられるよう、完璧にしておかなければ。
 考えながら歩いている間に、食堂に着く。最後にざっと服装をチェックして、握り拳を固めた。
 もう同僚も来ているだろうし、いなくても同じこと。一日の始まりは元気よく。
その方が気分も引き締まって仕事も捗るというもの。
 と、いうわけでシエスタは食堂の大きな扉を開け放つなり、
「おはようございまーす!」
 快活に朝の挨拶をした。既に来ていた二、三人のメイドが反応する。しかしシエスタは彼女らを見ることなく、
ちょうど視界の中央に立つ二人の見知った少年に留まったまま固まった。
「よー、シエスタ」
「おはよう、シエスタ」
 誰より早く挨拶を返してきたのは、モップとホウキを持った才人と風助。普段ならこんな時間にこんな場所にいない二人である。
「風助君にサイトさん!? なんで二人ともこんなところに……そのモップは?」
 当然ながら驚くシエスタに、風助と才人が歩み寄る。どことなく照れているようにも見えた。
「いや、それが……」
 二人は顔を見合せて頭を掻く。遠巻きにこちらを見る同僚のメイドは、呆れたような面白がるような、変にニヤついた顔をしていた。
「いやぁ、腹減って目が覚めちゃって……」
「外に出たら、美味そうな匂いがしたから匂いを追っかけて……」
「気が付いたら厨房に来てて……」
「おっちゃんになんか食わせてくれって言ったら……」
 どちらも理由は同じのようだ。流石に、ここまで言われればシエスタでなくとも察しがつく。
 何故ならば、この時間の厨房は修羅場であるからして。
「ははぁ、それで暇なら準備を手伝ってこいって追い出された、と」
 二人が頷いた。シエスタはがっくり項垂れた。ついでに他のメイドは爆笑していた。
 頷いた才人の頭頂部が心なしか盛り上がっているせいか。なんとも馬鹿らしい、それでいて彼ららしい理由である。
「だからって律儀に手伝わなくてもいいんですよ?」
「いつも大変だろ? だからちょっとでも役に立てればと思ってさ」
「他にすることもねぇしな」
 そう言って、せっせと掃除を再開する二人。
 最初は人手が増えるならいいかとも思ったのだが、違った。実際初めてみると、
手順を知らないので横で見ていないと危なっかしくて仕方ない。気持ちは嬉しいのだが、ぶっちゃけ邪魔である。
 とはいえ、そうも言い辛く、シエスタは考えた末に両手を打ち鳴らした。
 パンパンと乾いた音が響き、視線が集まる。
「二人とも、ちょっとそこに並んでください!」
 仕方がないので徹底的に監督することにした。腰に手を当てて、気をつけの姿勢で並ばせる。
「いいですか? 風助君はホウキはいいから雑巾がけを。サイトさんはお皿を並べるのを手伝ってください。
早く終わらせればその分、早くご飯が食べられます。だからつまみ食いは絶対駄目ですからね! 特に風助君!!」
「おー!!」
 揃って右手を振り上げる。呼応するように、ぐぅぅ、と二人の腹が鳴った。
「わたしだってご飯食べてないんですよ……」
 シエスタは呆れ混じりに呟いた。
 本当に大丈夫だろうか。果たして分かっているのかいないのか、シエスタは不安になった。
 他のメイドが傍観しているあたり、どうやら二人のお守は自分だと認識されている。
357風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:33:00 ID:waAjYj1J
 この二人は使い魔として束縛されているのかと思いきや、なかなかどうして自由な性格である。
それぞれ単独ならまだしも、男の子同士、意気投合する部分が多いのだろう。傍目からは、まるで兄弟。
いや、揃って悪乗りするあたり、完全に同年代の悪ガキ二人か。
 風助は食べ盛り(そんなレベルでもないが)だから仕方ないにせよ、
才人にはもう少し年長者としてしっかりしてもらいたいものだ。無謀とはいえ、
貴族に立ち向かった勇気は素直に敬意に値するのだが、普段の彼からはまったく感じられないのも困りもの。
 もしも決闘で彼が勝利していれば、或いは恋慕を抱くようなことがあったかも――想像してシエスタは一人含み笑いを漏らす。
 これも運命の悪戯と言う奴か。まぁ、良き友人の一人には違いないのだが。
 それでなくても、自分は家庭環境からか幼い子供には世話を焼きたくなる性分らしい。
風助相手にはどうにも贔屓目に見てしまうのだった。

 準備はつつがなく進み、次第に雑談する余裕も出てきた。
「ねぇ、風助君。今日も行くの?」
「ああ、今日中に片付けられっかな」
 休憩時間や空き時間を縫って二人と集まるのが、ここ最近のシエスタの日課だった。
 そこは風助や才人と親しくなれた場所。誰に秘密にしているわけでもないが、今は三人だけの場所。
そういえば、才人は子供の頃の秘密基地を思い出すと言っていたっけ。
「でも道具も足りないし、他にもあれこれ足りないぜ? どうするんだよ、風助」
「明日は虚無の曜日だし、街に行って必要なものは買出しておくといいんじゃないかな。
私、明日はちょっと付き合えないんだけど、ミス・タバサにお願いしてみたら?」
「う〜ん。けど、あいつ連れてってくれっかな……」
 風助の、いつもの太陽のような能天気さが一瞬曇った。彼にしては珍しく、不安げで気弱な発言。
実際どうだったかは分からないが、シエスタの感じた翳りは彼女が言うより早く、一瞬で隠れてしまう。
 さて、どうしたものか。そっとしておくのがいいのか、それとも突っ込んでみるか。
 シエスタが決めあぐねていると、
「なんだよ、風助。お前もしかして、あのタバサって娘に嫌われてんのか?」
 横から才人がからかいだした。言いながら風助の帽子を叩いたり、ぐりぐり撫でたりしている。
「かもしんねぇな」
「え……」
 風助を弄っていた才人の手が止まった。シエスタとしても意外だったが、先ほどの違和感が気のせいでなかったことを確信する。
 実際才人は「おめぇと一緒にすんな」とか、もっと気楽な返事を予想していただけに、かなり動転した。
 その胸中は分からないが、これだけは分かる。
 どうやら、地雷を踏んでしまった。
 見かねたシエスタが才人の袖を引いて顔を寄せる。
「……駄目ですよ、サイトさん。ほんとのこと言っちゃ……」
「えっ、そうなの? 俺は冗談のつもりで……」
「傍から見てたら丸分かりですよ……。どう見ても噛み合ってないですし……」
「でも、俺達みたくケンカしてるようには見えないけどなぁ……」
 こそこそ密談を交わす間も、才人はとぼけた発言を繰り返す。
 この少年、その手のことには相当鈍い。才人の主従が"ケンカするほど仲がいい"とは思わないが、
一人だけ空回っているよりかは格段にましだ。どちらが辛いかはともかく、
シエスタから見れば、タバサと風助の距離は才人とルイズの距離よりはるかに遠い。
 まったく、友達のくせに男ってのはそんなことにも気付かないのか。
 シエスタはついイラっと来て声を荒げた。
「冷え切ってるんですよ! 倦怠期ですよ!」
 むぅ、冷えてない時期がなかったのに倦怠期と言うのは違ったか。
 と、言ってから思った。
358風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:34:06 ID:waAjYj1J
「ちょ……シエスタ、声大きいって……」
 才人になだめられてハッとなるシエスタ。恐る恐る振り向くと、全部聞こえていたのだろう、
風助がじっとこちらを見つめていた。
「ご、ごめんなさい、風助君。今のは、その……」
「気にすんな。俺は別に気にしてねぇぞ。届かねぇなら届くまで粘るしか、やり方を知らねぇからな。気持ちも、言葉も」
 取り繕うにも混乱して言葉が出てこず、慌てふためくシエスタだったが、幸い風助は傷ついていないようだった。
ほっと安堵してから、才人と二人して気休めの言葉を吐く。
「ほ、ほら、ミス・タバサって実力主義っぽいじゃない。風助君が使い魔として頑張れば認めてくれるよ」
「そうそう、認めてもらいたいって気持ちは俺も分かるよ。俺も決闘に勝ってりゃなぁ。
少しはあいつも……あいつにも馬鹿にされずに済んだんだけどなぁ」
 ちらりと横目で才人を見ると、少年はやや疲れ気味に嘆息していた。
 それはきっと単なる慰めでなく、本心からの共感。使い魔という、ある意味平民以上に行動を制限された立場ながら、
それでも自由に生きているように見えた二人にも、彼らなりの悩みがあった。
 シエスタは、風助と才人を交互に見て思う。友人として、力になれるものならなってやりたいと。
 しかし問題は、彼ら使い魔と貴族の主人間での不和であり、一介のメイドが口出しできる領分を超えている。
 勿論、二人とも大事な友達である。いよいよとなれば、怖いけど勇気を振り絞って抗議だってする。
けれども、まだそれには及ばないだろうとも思っていた。

「けどさ、別に無理に仲良くなんなくてもいいんじゃないか? 少なくとも、俺はルイズと仲良くなれそうな気はしないね」
 才人の言葉にも一理ある。
 いつも単純な風助と接していると忘れがちであるが、この国で、社会で、平民として暮らしてきたシエスタにとっては、
むしろ才人の意見の方が身近で現実的に思えた。両者の間には超えられない高い壁が確実に存在するのだ。
「やっぱり平民と貴族ですからね。なかなか難しいです」
「本当に……貴族と平民じゃ仲良くなれねぇもんなのか? 俺は友達だと思える奴ができたぞ。
才人、おめぇは仲良くしてぇと思ってたのか?」
 風助の問いは真っ直ぐなだけに才人の胸に深く突き刺さり、苛立ちを呼び起こす。
 才人はカッとなって風助を睨んだ。
「俺が知るかよ……。だいいち、いきなりこんなとこに呼び出されて、
ちょっと文句言ったら飯抜いて鞭で叩く奴と仲良くしたいと思えるかっての。それに……お前だって面白がられてるだけかもしれないぜ?」
 自然と物言いにも棘が混じる。
 その言葉が貴族でも平民でもなく、同じ境遇なはずの風助から放たれたからこそ、余計に才人は反発した。
 ままならない現状が、自ら招いたものだとでも言うのか。召喚されて一週間、自力で如何様にも変えられたはずだと。
スタートラインが同じ自分は、現にそうしてきた、と。
 真意はどうあれ、才人には受け入れられなかった。
 風助はそれきり沈黙。顔こそ変わらなかったが、重く険悪な空気が漂い出す。才人も黙々と作業を再開するが、
板挟みになっているシエスタは堪らない。なんとかこの空気を変えなければと、シエスタは考え――閃いた。
「そうだ。風助君、まずは周りから固めていったらいいんじゃない? ほら、ミス・タバサのお友達と言えば……」


 午前中の講義が終わり、昼食。再び生徒達が食堂に集まる。
 そこまではいつもと同じ。
 だが、風助と才人の様子はそうではなかった。風助は足りないと愚痴ることもせず、才人は粗末な食事をろくに味わいもせず口に運ぶ。
思えば、朝食の席から二人は誰とも口を利かなかった。
 風助に限っては、気付いた人間は当事者を除けばタバサただ一人。食べっぷり自体はまるで乱れがなかったので、当然と言えば当然だった。
 観察していたから気付ける、これまでなら気にもしなかった些細な異常。だからといって、いくら観察したところで理由には行き当たらず、
気付いたからといって意味はないに等しかった。
 時間が経つにつれ、タバサ以外もおかしいと感じ始める。風助が食べ終わったにも関わらず、腹も鳴らさず、立ち上がりもしなかったからだ。
下を向いて、ぼ〜っと考え込んでいるようにも見えた。
359風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:35:36 ID:waAjYj1J
 やがて風助は立ち上がると、風助から離れるように座っていたギーシュに歩み寄り、一言。
「なぁ、おめぇらケンカの続きはやらねぇのか?」
 ギーシュの肩が大きく跳ねた。十秒ほど置いて、ぎこちない動きで風助に顔を向ける。
「君はいつもとぼけてるくせに、つまらないことは覚えているんだね」
「俺が邪魔しちまったから、気になってたんだ。それで、やらなくていいのか?」
 食堂中の全員がギーシュと風助に注目する。迂闊な返事はできなかった。
「そ、そうだね。僕はいつまでも平民の無礼を根に持つほど狭量な人間ではないんだが……
無論、彼が望むなら拒む理由はないさ」 
 ギーシュはしばし考えて、才人に丸投げた。これなら、体面を保ちつつ再戦を回避できると考えた。
才人も、あれだけやられて今更戦いたいとは思わないだろうと。
「才人。おめぇはどうなんだ?」
 ケンカ中の風助からいきなり話を振られて困惑する才人。なんとなく決まりの悪さを感じる。
「俺は別に……」
 と答えたものの、ギーシュに対する怒りをなくしたわけではなかった。風助の騒ぎでうやむやになってしまい、
目が覚めてからは、ルイズにたんまり説教され、溜まった掃除と洗濯。そんな目まぐるしい忙しさで少し忘れていただけだ。
 面倒事ばかりではない。風助やシエスタと荒れ地を整地するのも楽しいもので、憩いのひとときは嫌なことを忘れさせた。
「けど、やられっぱなしってのも悔しいよなぁ……」
 才人は胡坐を掻いて、頬杖をつく。
 ううん、こうしていると段々と腹立たしくなってきた。すると、沸々とやる気が湧いてきたのを見計らったかのようなタイミングで、
近くに来ていたシエスタに忠告される。
「危ないですよ、サイトさん! 風助君みたいに強いならともかく、メイジの方と戦うなんて……」
 それが決め手になった。シエスタは自分を心配して忠告してくれたのだろうが、完全に逆効果。風助と比較され、完全に火が点いた。
男の意地――と言うには些か陳腐な虚勢だが、シエスタにこうまで言われて黙っていられるほど才人は大人でも、また大人しくもなかった。
「よし、やろうぜ。今度は俺から申し込む」
 立ち上がった才人が、挑戦的な目つきでギーシュを誘う。予想外の挑戦に、ギーシュは困ってしまった。

「受けてやれよ、ギーシュ。あのままやったら僕が勝ってたって息巻いてたじゃないか。ここで受けなきゃ男が廃るぜ?」
 そこへ畳みかけるように言ったのは、級友のマリコルヌだ。更に次々と声が続き、食堂がにわかに活気づく。
 簡単に言ってくれるものだと思った。才人単独なら余裕で勝つ自信はある。問題は風助だ。あの得体の知れない術だ。
 しかしながら、あれは肌で感じた者でないと共感は得られないだろう。荒れ狂う暴風の渦に為す術なく、
その先にある自分の死を直視させられた。次は参加しないと言っていたが、いよいよとなれば分かったものではない。
 生徒達は既に観客と化し、才人と共にギーシュの返答を待っている。ああ言った手前、断る選択肢は最早なかった。
 助け船を求めてモンランシーを見ると、彼女はメイドに何やら耳打ちされ、ギーシュなど見ていなかった。
二人は互いに囁き合い、最後にモンランシーが軽く頷く。
 ギーシュは消沈しかけたが、すぐに最後の希望は潰えていなかったと思い直す。
 あのメイドは才人の決闘を止めたいはず。なれば、モンモランシーに止めてくれと頼んだのかもしれない。
モンモランシーに涙ながらに制止されれば、遺憾ながらも挑戦を断らなければならないからだ。男として。
 モンモランシーがギーシュの視線に気付いた。愛らしい唇、にこやかな微笑み。しかし美しい旋律で紡がれた言葉は、ギーシュにとっての絶望を告げる。
「いいじゃない、ギーシュ。受けてあげれば? 風助は参加しないんでしょ? だったらあなたの楽勝じゃない」
 いつから彼女はあのカエルを名前で呼ぶようになったのだろう。
 一瞬疑問に思ったが、そんなことは瑣事に過ぎない。彼女は自分の勝利を信じている。それも一片の疑いもなく。
360風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:36:21 ID:waAjYj1J
 こうなれば、もう腹を括るしかないのか。
「……仕方ない。受けて立とうじゃないか」
 ギーシュも立ち上がって、才人をきつく見据える。交差する視線が火花を散らした。
 場が最高潮に盛り上がった頃になってようやく、
「ちょっと! 勝手に決めるんじゃないわよ! サイト、あんたの御主人様はわたしなんだからね!!」
 ルイズが抗議の声を上げた。あまりにトントン拍子で話が進むので、口を挿むタイミングを逸していたのだ。
「それじゃ、早速やろうぜ。場所はこの間と同じでいいよな?」
「ああ、僕はいつでもどこでも構わない」
「ちょっと聞いてるの!? また痛めつけられるだけよ! なんだってこんなことするのよ! ギーシュだって! 
今度はお咎めなしじゃ済まないんだから!!」
「理由なんかねぇ。ただ、むしゃくしゃしてるだけだ。こんなもん、ただのケンカなんだからな」
 そうとも。理由なんかない、子供の掴み合いと同じ。
 正直、魔法は怖い。なのに、心は勝手に立ち向かっていた。あくまで想像に過ぎないが、自分は無力で凡庸な男だが、
それに甘んじるのに耐えられなかったのだと思う。
 ギーシュも髪を気障ったらしく掻き上げる。
「だそうだ、ルイズ。これは決闘じゃない。ちょっとしたケンカなんだから別に問題ないだろう」
 話を聞かない二人に、ルイズは頬を膨らませた。
 寝食を盾にしても、今の才人は聞かないだろう。いっそ、この場で魔法を炸裂させてでも止めてやろうか。
それとも、教師に告げ口して止めてもらおうか。などと思ったが、どちらもプライドが邪魔をする。結局、
「もう! 好きにすればいいわ!! 今度は怪我しても知らないんだからね!!」
 としか言えず、才人はそれを了承と取ったのか、ギーシュと二人して食堂を出ていく。続いて観客がそれを追い、
後に残されたのは興味のない一部生徒とメイド。残った中にはキュルケやモンモランシーも含まれていた。
 ルイズが憮然としながら腕を組み、思い返す。
 どうして、こうなった? これは誰のせいだ?
 食堂内を見渡すと――いた。
 ギーシュと才人の分だろう。メイドからデザートのジェラートを三人分もらい、幸せそうに頬張っている、すべての元凶。
 どんな魂胆があってけしかけたのか、前回止めたのはなんだったのか。訊きたいことは山ほどあった。
イライラも思うさまぶつけたかったが、今はぐっと堪える。
「あんたも来なさい。危なくなったら止めるのよ!」
 ルイズは彼の襟首を引っ掴み、ずりずり引き摺りながら食堂を後にする。
 元凶である風助は、さしたる抵抗もなく大人しく引き摺られていった。


 騒動の原因がこぞっていなくなると、食堂はしんと静まり返る。幸い、ここまでは首尾よく行っていた。
 さて、自分も休憩を取ったら行こうかと片付けを始めたシエスタは、はたと気付いた。
風助が勝手に連れていかれたと言うのに、一番文句を言うべき人間がいない。尤も、居たとしても文句を言うとは思えないが。
「タバサなら、二人と一緒に出て行ったわよ」
 声はキュルケだった。騒ぎにもまるで動じず、我関せずとばかりに優雅に食後のお茶を満喫していた。
 あの騒ぎなら、いついなくなっていても感付かれないだろう。しかし、タバサを探していたことを察するとは。
「あなた……なかなかの悪女ね」
 キュルケがシエスタを見て小さく笑う。どうも、すべてお見通しらしく、その証拠に目が笑っていなかった。しかし、
「何のことですか?」
 シエスタは最大限に可愛いと思える微笑みで小首を傾げた。
 キュルケの性格上、叱られるとは思わなかったが、この方が都合がいい。彼女も今の反応で確認できれば十分だろう。
 次にシエスタがモンモランシーを見ると、ちょうど彼女もこちらを見ていた。今更密談も変なので、シエスタは照れた仕草で小さく片目を瞬いた。


「あんたって平和主義者だと思ってたわ……」
 呟くルイズの前には、四日前とほぼ同じ光景が広がっていた。
ギーシュと才人がヴェストリの広場の中央で睨み合う。観衆が二人を輪になって囲み、戦いの火蓋は今にも切って落とされようとしていた。
361風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:37:04 ID:waAjYj1J
 ルイズと風助は輪より一歩内に踏み出て、それを見守っていた。ルイズは気が気でなかったのだが、
風助は両手を頭の後ろで組み、そわそわしているルイズに馴れ馴れしく話しかける。
「大丈夫だ、才人は勝つぞ。だから、あんまり心配すんな」
「そうね……って、あんたがけしかけたんじゃない!! そうよ、なんで煽るようなこと言ったの!?」
 風助の気休めに頷きかけて、このケンカが元はと言えば誰が言い出したのかを思い出す。
 問い詰めるだけじゃ到底治まらない。積もり積もった怒りを込めて、ルイズは風助の頬を摘んで引っ張った。
「いふぇえっ! いふぇえぞ!!」
 どうやら痛ぇと言いたいらしい。構わず左右に伸ばすと、頬肉は引っ張るだけ伸びた。
 どこまでも伸びそうで、なんだか楽しくなってくる。ルイズはついつい抓った頬をこねくり回し、
「やだ……面白い……」
 本来の目的を忘れそうになった辺りで振り解かれた。
 いけない、いけない、危うく熱中するところだった。
 ルイズは咳払いをして姿勢を正し、ひりつく頬を押さえている風助を改めて問い質す。
「それで? なんでこんなことさせるのよ。あんた前回は止めたじゃない」
「ああ、けど才人が立ち上がった時、止めらんねぇって思っちまった。全部納得づくで、
それでも戦わなきゃなんねぇってんなら止めちゃいけねぇって」
 馬鹿も無謀も承知で、まだやると言った才人が好きだったから。だから、本当にギリギリまで見守るつもりだった。
「それに、才人のほんとの強さが見てぇんだ。たぶん……あいつ、結構強ぇかもしんねぇぞ」
 そしてもう一つ、こちらも風助にとっては大事な理由だった。それがあるからこそ、
前回も今回も見物に徹することができる。と言っても、個人的な我が儘も大いにあるのだが。
「あんた達、友達になったんじゃないの?」
「おー、友達だ。けど、強ぇ奴と戦うのは楽しいぞ」
 これがいわゆる男の世界という奴なのだろうか。もしや、才人のこの戦いも同じ理由なのだろうか。ルイズは余計に分からなくなった。
「そりゃ、あんたはいいわよ。なんだか分からないけど……なんだか分からないくらい強いんだから。タバサは"当たり"だわ……」
 ルイズの憂いの表情は、風助に召喚当日を思い出させた。初めて出会ったあの日も、同じ会話を才人と交わした。
「あいつは外れなのか?」
「うぐっ……それは……」
 ルイズは言い淀んだ。自分で召喚した使い魔を外れだと公言するのはプライドが許さなかったのだ。
また、心のどこかで戦いに臨む才人を認めたい気持ちも残っていた。
 一度は惨敗してボロボロにされた相手である。どんなに魔法に無知であっても、メイジの恐ろしさと強さは身に沁みているはず。
そこへ再び挑むのだから、これはもう正真正銘の愚者か勇者しかあり得ない。たとえ蛮勇であったとしても、その勇気は否定したくなかった。
「なによ、あんな奴。バカだし、スケベだし、生意気だし……」
「だな」
 自分で言っておいてなんだが、まったく否定されないとそれはそれで腹が立つ。否定されても腹は立っただろうが。
「あんたもあんたよ! 友達なんでしょ! なのに、たぶんで命懸けさせるって言うの!? なにそれ? 
獅子の親にでもなったつもり? それとも何? 好きな子だからいじめたいって気持ち?」
 風助はルイズの剣幕を平然と受け流している。何を言っているのか分からないのだろうが、ルイズ自身も自分が何を言いたいのか分からない。
ただ、漠然とした苛立ちをぶつける先が風助しかいなかった。それだけだった。
「Sね、S。あんた間違いなくSだわ。今日からSマンて呼ぶわ」
「おめぇに言われたくねぇぞ」
 と、そこでようやく突っ込みが入る。ルイズはむっと顔をしかめたが、
「そりゃあ、命懸けで意地張るなんて馬鹿らしいかもしんねぇ。けど他人からすれば馬鹿みてぇな意地だって、あいつには大事なもんなんだ。
それをなくしたら、あいつはあいつでなくなっちまう。だからあいつは決着がつけらんなかったのを気にしてたし、俺は続けさせてやりてぇって思ったんだ」
 そう言われては黙るしかなかった。この世界の誰よりも、才人を近くで見てきた少年の言葉だったからだ。おそらく、自分よりも。
362風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:38:51 ID:waAjYj1J
「あいつは馬鹿だけど、おめぇにいいとこ見せようとしてんだ。おめぇも友達なら信じてやってくんねぇか?」
「友達? 誰が?」
「才人」
「わたしとあいつが友達? ハッ、冗談は顔だけにしてよね!」
 ルイズは一笑に伏した。これまで感心した彼の観察眼が途端に疑わしくなる。どこをどうみれば、
自分と才人が友達に見えると言うのだろう。自分で言うのもなんだが、相当酷い扱いだってしているのに。
「使い魔ってのは仲良くなるのが普通なんだろ? ハゲのおっちゃんが言ってたぞ」
「あいつは使い魔! わたしは御主人様! あんたとタバサと同じ! 
それとも、あんたはタバサとも友達になったって言うの?」
 肯定するかと思ったが、想像とは反対に沈黙した。ルイズも、しまった、と軽はずみな発言を悔いる。
考えるまでもなく明らかだったのに。
 二の句が継げず黙りこくったルイズを気遣ったのだろう、風助は、いつものように破顔した。
「おめぇは才人のこと嫌ってるかもしんねぇけど、俺は言いてぇこと言い合えるおめぇらのこと、羨ましいって思ってるぞ」
「それは……あんたはそうかもしれないけど……」
 同学年で同じく人の使い魔を召喚したタバサ。彼女の性格が性格なので、直接話し掛けることこそなかったが、
存在は常に気に掛けていた。それ故、彼とタバサの関係はルイズも知るところである。
 共に人を使い魔として召喚した稀有な例外。使い魔とはいえ相手は人間、扱いも当然、動物や幻獣とは大きく違う。
 前例のない事態にまったくの手探りだったルイズは、タバサの行動にヒントを求めた。
悔しいが、彼女は学院でもトップクラスのエリートである。参考にできるかと思ったのだが――。
 結果は空振り。二人の間の溝は、ある意味ルイズ達よりも深刻だった。誰に対しても、使い魔に対しても没交渉のタバサと、
やたら馴れ馴れしい風助。どう考えても合うわけがなかった。
 ルイズからすれば、タバサは世話こそすれ、コミュニケーションの面では風助との関係を諦めているようにも見えた。
 彼女ほどの実力があれば使い魔はいてもいなくても同じ、自分一人でどうとでもなるのかもしれない。
もしそうだとすれば、彼はどうすればいいのだろう。
 風助を見るルイズの目に若干の同情と哀れみの色が混じる。だからだろうか、風助の次の言葉も即座に撥ねつけられなかった。
「おめぇ、案外いい奴だな」
「何よ、案外って」
「おめぇはなんだかんだで才人を本気で心配してんだな。それに、今も俺の気持ちを分かってくれた。
俺、おめぇがちょっとだけ分かったぞ。だったら俺達、友達になれるかもしんねぇな」
「友達って……だって貴族と平民で……」
 しかも、他人の使い魔で。
 後者はもとより。前者だって、世間ではまず考えられないこと。
 貴族への敬意や忠誠、従者などへの信頼と言った意味では珍しくもないが、対等の友人関係は、
ルイズの知る限りでは存在しなかった。両者とも実際の身分の違い以上に、心に壁を作っている。常識や社会通念といった壁を。

 わたしは貴族。才人は平民。だから分からない? 分かり合えないの?

 自らの言葉が、頭の中でぐるぐる回り出す。
 貴族には貴族の、平民には平民の領域があり、領分がある。ルイズはこれまでその是非を疑ってこなかったし、今も疑っていない。
その認識はおそらく、学院にいる教師、生徒、メイドに至るまで共通だと思う。
 違うのは二人だけ。才人と風助の二人だけ。
 常識、考え方。才人は何から何までルイズと違った。
 あの少年は異世界から来たと言ったが、まさか本当に――いや、この際真偽は重要ではない。
ただ、確かに才人はハルケギニアについて無知に等しい。だから意識に壁が築かれておらず、だから事あるごとに反抗するのだ。
 そうか、やっと分かった。
 長く、霧がかったように自分を悩ませていた疑問が唐突に理解できた。
 その点においてはルイズも同じだったのだ。才人の生意気な言動もさることながら、最もルイズを苛立たせ、
口論の元になっていたのは、その原因。才人がルイズの理解の範疇にないことだった。
363風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:39:49 ID:waAjYj1J
 しかし、自覚したからといって迷いは晴れなかった。もう少し、
もう少しで何かが解りかけているのに、それが何か判らない。
 しばし風助そっちのけで煩悶するルイズ。
 すると――。
「俺はおめぇとも仲良くしてぇぞ。立場が同じじゃなくたって、気持ちが同じなら。
分かり合えたら友達になれんじゃねぇのか? 貴族とか平民とか関係なく」
 確かに、風助の言葉は真理かもしれない。拍子抜けするくらい簡単で、それでいて途方もなく難しい。
だからこそ真理と言えるのだろう。
 思えば自分も、もっと幼い頃は使用人らとも友達気分だった気がする。それが貴族として正しいことなのかどうかは別として。
 ルイズは無性に悔しくなった。
 同じ一週間でも、この少年は主である自分より、はるかに深く才人を理解している。才人を信じ、その勝利を疑っていない。
何故、知り合ってたった一週間で、そこまで信頼できるのか。
 そこにどういった根拠があるのか、ルイズも知りたいと思った。彼と友達になれば、それが頭でなく心で実感できるのだろうか。
「まったく……あんたは気楽でいいわね。でも、そうね……」
 一度、言葉を切って顔を上げる。睨み合う両者は前口上も終わり、そろそろ勝負が始まろうとしていた。
「もし……もしもほんとにあんたの言う通り、サイトが勝ったら……。その時は考えてあげてもいいわ」
「おー、約束だ」
 風助は自信満々に見上げてくる。その顔にはなんら疑念は見られなかった。確信しているのだ、才人の絶対の勝利を。
 それが嬉しくもあり、同時に面白くもなく、ルイズをまたも突っ張らせる。
「勘違いしないでよね! 考えてあげるってだけ! わたしは、あんたのことまだ何も知らないんだから!」
 同様に、才人のことも何も知らない。

 何も知らず、何も気にせず友達とは呼べない。でも、知る努力はしてみよう。

 それがルイズの今できる最大限の譲歩であり、第一歩だった。

 もしも才人が勝ったなら、その時はわたしも、ちょっとだけ才人を信じてみよう。待遇も少しくらい改善してあげよう。
ご褒美をあげてもいい。そして、才人を信じたこいつ……風助も。

 そんな調子で拳と決意を固めたが、肝心なことを忘れている気がする。そういえば――。
「ところで……何であんたはサイトが勝てるって思うの?」
「あー、それは……」
 風助はギーシュの持つ造花の軌道を目で追い、鼻をほじりながら一言。
「勘だぞ」
 平然と言った。
 膝から身体を支える力が急速に抜ける。ルイズががっくりと膝をついた直後、才人の前に剣が突き立った。


 その頃、タバサは自室で一人佇んでいた。
 昼下がりの寮には、まったくと言っていいほど人気がない。しかしこの部屋は、
人がいながらも物音一つせず静謐な空間を保っていた。ケンカ――もとい決闘の喧騒もここまでは届かない。
 決闘にはこれっぽっちも興味がなかったが、タバサはなにをするでもなく窓の外を眺める。
足元には風助が使っているマットの上に毛布が散らかっている。一度はベッドも試したが、寝相が悪いのか慣れていないのか、自然とこの形に落ち着いた。
 同居人ができて物も増えたというのに、昼間たった一人で部屋に立っていると以前より大分広く感じる。一週間前には気にもしなかったのに。
 本を小脇に抱えていたが、読書をする気は起きなかった。どんな書物より興味深く、難解な問題があるからだ。
昨夜から引き続き、午前中一杯を費やしても解が導き出せない難問だった。

 何故。
 たった一つの単語が頭を廻る。
 どう考えてもおかしい。わたしには彼に好意を向けられる理由がない。
364風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:40:56 ID:waAjYj1J
 召喚してからこれまで、したことと言えば最低限の案内、食事と寝床を与えただけ。
それ以外のことはすべてシエスタが面倒を見ている。会話だって数えるほどしか交わしていないのに、だ。
 にも拘らず、彼の言葉には一切の嘘がなかった。
 これでも人の嘘にはそれなりに敏感だと自負している。それが生き抜くための術だったから、
魔法の腕と同じくらい真っ先に磨いた。だからこそ嘘はないと断言できる。
それとも、これがコントラクト・サーヴァントの影響だろうか。
 風助に気にしていないと言われたことも、それどころか好意を寄せられたことも、何も感じないと言えば嘘になる。
 でも、わたしは一度ならず二度までも彼を拒絶してしまった。傷つけてしまった。
 どうしてだろう、キュルケの時は受け入れられたのに。
 おそらく、それでも彼の答えは変わらない。一昨日と同じ、日向のように微笑んでくれるだろう。
 だからこそ、怖い。
 もう一度、友達になろうと言われたら――今度は違う答えを返してしまいそうで。

 タバサは風助の未知をこそ恐れていた。彼のことを考えて揺らぐ精神が、
変化が弱さを招くのではないかと危惧していた。
 その顔は窓に向いていたが、目は何かに焦点を結ぶこともなく、思考に没頭する。
 やがて、逡巡しているタバサのもとに、遠く歓声が届いた。広場の決闘が始まったのだ。
静寂に包まれた部屋でなければ聞こえなかっただろうが、ここまで届くとは思わなかった。
 広場――決闘――才人――風助。
 そうだ、この決闘にも風助が関わっている。それも、けしかけた張本人として。何らかの確信があるに違いない。
 決闘自体に興味はさらさらなかったが、タバサはこれを利用しようと考えた。
 前回、風助は重傷の才人に戦いを譲った。となれば、そこになんらかの鍵があるはず。
観察眼か或いは直感か、風助の確信の正体を確かめる。
 また、それらの打算とは別の、己の感情にもここらでけりを付ける。考えて決められないなら、
サイコロを振って出た目に賭けてみるのもいいかもしれない。
 もし才人が勝ったなら、その時は。

 そうと決まれば広場に向かおうと踵を返そうとした瞬間、窓ガラスをコツコツと叩かれた。振り向くと、一羽のカラスが
ガラス玉のような眼でじっとこちらを見つめていた。
 窓を開けて迎え入れるタバサ。ベッドに留まったカラスが真っ二つに割れ、中の空洞に収められていたのは一通の手紙。
カラスの正体は魔法で動く人形、ガーゴイルだった。
 タバサは手紙を拾い上げたが、広げるまでもなく用件は察しが付いていた。タバサに文を送ってくる心当たりは二つ。
内、一つは余程のことがなければ送ってこないだろうし、ガーゴイルは使わない。
 そして案の定、予感は的中していた。一しきり目を通したタバサは、手紙をきつく握り潰した後も、その場から一歩も動かなかった。


 同じ時間、同じ場所。ここに立つと、四日前の記憶が蘇ってくる。
 眼前に突き立つ剣を、才人は平然と見ていた。波立っていた心も今は不思議なくらい穏やかで、ただ戦う意志が凝縮されていた。
「さぁ、始めようか」
 薄っぺらい余裕の笑みを見せるギーシュに、
「ああ、始めようぜ」
 才人も応えて剣に手を伸ばす。これを取れば、ギーシュも手加減なしに向かってくるだろう。ケンカとは名ばかり、実態は決闘の続きである。
 だが、才人に迷いはなかった。徒手空拳で勝ち目がないことは痛いほど知っている。
 可能性があるとすれば一つだけ。その為に剣を用意してもらったのだ。
 剣を握って両手で構えると、左手のルーンが熱を持って発光した。ふっと身体が軽くなり、全身に力が漲る。精神は昂揚し、今ならなんでもできそうな気がした。
365風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:42:20 ID:waAjYj1J
 これだ、この感覚。これを待っていた。あの時も、剣を握ると痛みが消えて、まだ戦えると確信させた。
 才人とギーシュの間に割り込むように、土の中から女戦士が現れた。
 青銅のゴーレム、ワルキューレ。武器を持たずとも、金属の身体は既に凶器。
前回、その金属の身体に拳は通らず、才人は一方的に殴られるだけだった。
 そして今再び、ワルキューレが固めた拳を武器に突進してくる。
 鎧を鳴らして走るワルキューレの一歩一歩を注視しながらも、才人には思考を巡らす余裕さえあった。
研ぎ澄まされた集中力が、二、三秒の間にそれを可能にした。
 才人は振り上げ、突き出される拳に対し、懐に潜り込む姿勢を取る。
 足を強く踏み込み、拳が顔の横を掠めた瞬間、両手で力の限り剣を振り抜く。
 微かな抵抗も気にならないほど容易く、青銅のゴーレムは両断された。
 突っ込んだ勢いを失わず芝生に転がったワルキューレに、ギーシュもルイズも、その他の生徒も驚愕に目を見開く。
才人本人も含めた全員が同じ反応を示す中、ベロを垂らした少年だけが無表情で眺めていた。
 避けて斬る。それだけの動作を身体が自然と選択した。感覚が鋭敏になり、敵の動き酷く緩慢に感じられた。
 これは左手の光る文字の力? これが使い魔の力なんだろうか。
 剣なんて振った経験もないのに、身体が動く。ならば理屈は分からないが、そうなのだろう。
 確かな手応えを感じた才人は、鋭い目つきで眼前のギーシュを見据える。狼狽したギーシュは杖を振り、
更に五体、ワルキューレが土から生まれ出た。
 しかし、一連の身のこなしがルーンによるものとしても、この心の有様はどういったことだろう。闘志は尽きることなく湧き出てくるのに、
恐怖はこれっぽっちも感じない。この心は自分のものなのか、それともルーンのものなのか。
 それすらも曖昧ではあるのだが、
「構うもんかよ……!」
 呟きながらギーシュに歩を進める。三体のワルキューレが、その前に立ちはだかった。
 単純な動作で次々に飛び掛かってくるワルキューレの胴を、すれ違い様に薙ぐ。
返す刀でもう一体。
続けて、最初と同じ動作でもう一振り。
 呆気なく崩れ落ちたワルキューレは再び動くことはなかった。
 才人は軽く一瞥するも、足は止めない。一歩ずつギーシュにプレッシャーを放ちながら、構えもせずに歩み寄る。
「くっ……ワルキューレ!!」
 ギーシュが上擦った声で指令を放つが早いか、残った二体が分散、斜め左右から同時に仕掛けた。
 挟み撃ち――左右に逃げ場はなく、後退したとて追撃は必至。片方を撃破したとしても、次の瞬間、もう一方の拳が才人を砕く。
 ワルキューレは、まったく同じ動作で拳を振りかぶり、距離を詰める。だが、視界を遮るように迫る危機にも、才人の心は波打たなかった。
冷静に両者の動きを見比べ、その隙間に活路を見出す。
 自然体から身を屈め、前に跳躍。二体の間をすり抜ける。ワルキューレは才人の動きに追い付けず、身体をぶつけ合った。
 才人は跳びながら身を翻し、反転するより早く、がら空きになった背中に斬りつける。ギーシュの武器であり、
守る盾でもあったワルキューレは、瞬く間に解体された。
 数秒置いてワルキューレの停止を確認した後、ゆっくりと振り向く。その眼光は強く、しかし激しさは感じさせない。そして、口元は小さく綻んでいた。

 やっと分かったのだ。戦う前から、疑念が確信に変わる前から、恐怖を感じていなかった理由。それはあの日、この場所で、
もっとずっと恐ろしいものを目の当たりにしたから。
 大木すら呑み込み、へし折る竜巻。巨大な暴風の渦。天災という名の絶対的な自然の力。
 一言で言うなら、脅威としてのレベルが違う。
 あれに比べれば、たかが動く銅像。恐れるに足らなかった。
 力も、速さも、もっと桁違いの存在を知っている。自分を抱えながら一瞬で背後に回り、人二人を支えながら風の中を走れる少年を知っている。
 当たることが怖いとも思わない。どうせ当たったところで、風助の頭突きほど痛くはない。
 思い出したら身体が震えそうになるが、戦闘の昂りを意識することで相殺。なんとか抑え込む。
366風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:43:19 ID:waAjYj1J
 いつの間にか身体と深層心理に刻み込まれていた恐怖が、幸か不幸かは分からない。
厄介なトラウマを植え付けてくれたものだと思う。
 それでも今、この瞬間だけは感謝してもいいと思えた。

 お前のお陰だ……なんて面と向かったら恥ずかしくて言えないけど、て言うか結果オーライなだけだけど。俺も死にかけたわけだし……。
 でも……サンキュー、風助。

 心の中で一言礼を言う。
 前の決闘に負けてからというもの、ずっと心の中では悔いが残っていた。
 あの時、感じた手応えは何だったのか。自分は本当に無力なだけなのか。
 それを確かめる機会をくれたのは風助だった。強引に再戦を持ち掛けてくれなければ、今でも燻っていただろう。
 風助へのわだかまりが氷解していくのを感じる。ギーシュを追い詰める才人に、もう迷いはなかった。


 ギーシュは目の前の少年が恐ろしかった。
 青銅のゴーレムを、剣を使ったとはいえ切り裂くなど、ただの平民ができることではない。つまり、あれはただの平民ではなく、手練れの剣士なのか。
とてもそうは見えなかったが、そうとしか考えられなかった。
 風助と対峙した時と同じく、ギーシュには才人の姿が大きく見えていた。錯覚だと知っていても、発されるプレッシャーが平静を取り戻させない。
 だが、ギーシュは辛うじて散らかった思考を取り纏めることに成功する。
 才人は恐ろしい。しかしギーシュとて、もっと恐ろしい脅威に遭遇したのは同じだった。
 恐怖を恐怖で打ち消し、狂乱しそうな心をどうにか静める。まずは、この場を切り抜ける方法を考えるのが先決だ。
 ワルキューレでは何体で掛かっても無駄。悔しいが事実だ。しかも、現在の力量では七体が精一杯。既に六体は撃破されている。
 精神力も底を尽きかけ、敵は目前に。この状況で勝つ目があるとすれば、最大の武器であるワルキューレの、残り一体を確実に当てるしかない。
 時間も余力も残されていない状況で、後退りながらギーシュは策を巡らそうとするのだが――。
 考えずにはいられなかった。あのカエル――風助ならまだしも、何故、圧倒した平民相手にと。
 一度は風助に雪辱を考えないでもなかったが、すぐに諦めた。どう考えても敵わないと思ったからだ。
 風助はあの後、学院長に呼び出されたらしい。当然だ、あんな大規模な魔法? 軽々しくは使えないはず。彼としても不本意な誤発動だったのだろう。
 それがなければ接近戦を挑むつもりだったようだが、彼にワルキューレをぶつけたとして、果たして倒せただろうか。
 ただでさえ経験に乏しい上に、剣士や拳闘士といった接近戦に特化した相手は初めてである。だからといって、二度も平民相手に恥を掻かされるのは耐えられない。
 でも、もしも最後の一体までもが切り裂かれてしまったら? 一矢報いることすら叶わず、惨めに敗北してしまったら?
 才人よりも風助よりも、それが恐ろしかった。自分を支えている足場が崩れるようで、考えれば考えるほど足が竦み、なかなか行動に移せない。
 振り向くと観衆の壁が迫っていた。才人は余裕のつもりか、後退った分だけ近付く。その口元は薄く引きつっていた。
 自分を嘲笑ったものかどうかは定かではない。ただ、薄笑いが視界に入った瞬間に恐れが怒りで塗り潰され、ギーシュは行動を起こしていた。
 ギーシュが衝動的に取った行動は、稚拙そのものだった。
 まずワルキューレ最後の一体を作り出す。その陰に隠れて早口でルーンを詠唱。至極単純な魔法である為、時間は掛からなかった。
 狙いは才人とワルキューレの中間、おおよその剣のリーチを考慮し、才人が攻撃の際に踏み込むであろう周辺の土を僅かに変化させただけ。
変化と言っても、普通に歩けば軽く躓く程度。完全に足を絡め取るには、詠唱時間も精度も自信が持てなかった。
だが、この程度でも正面に気を取られた状態で強く踏み込んだなら或いは。
 バラの杖を振ってワルキューレに攻撃を命じる。
 もう、できることはない。やれることはやった。
 作戦と呼ぶには心許ない賭けだったが、ギーシュに後悔はなかった。後はサイコロの目が出るのを待つのみ。
367風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:44:15 ID:waAjYj1J
 残り一体。状況から、それが打ち止めだと判断するが、才人に油断はなかった。
 ワルキューレだけを視界に収め、その動作に細心の注意を払う。
 これまで同様カウンターで仕留めようと攻撃の時を待つも、敵は待ち構えて動こうとしない。
 一歩進む、まだ来ない。
 更に一歩。まだだ。
 そして、才人の左足が一足飛びの距離に踏み入った瞬間、ワルキューレが動いた。
才人も剣を振り上げながら右足を強く踏み込み、身体を前に運んだのだが、
「――!?」
 靴底から奇妙な感触が伝わった。重心を移した右足が突然、ふっと地を離れたのだ。
 声を上げる間もなく、才人の身体は意に反して前に倒れる。倒れゆく顔面には、狙い澄ましたかのように拳が迫っていた。

 大仰な反撃態勢を取らなくとも、腕を一振りで片付いた。
 こちらから仕掛けてもよかった。
 驕りや油断が欠片もなかったとは言わないが、目の前の敵に集中していたからこそ気付かなかった。
魔法に対する無知も手伝ったのだろう。万全を期したが故に、足元を掬われた。
 才人はビデオのコマ送りのように迫ってくる拳に、そんな感想を抱いた。
 極限まで圧縮された時間の中で思考だけが働く。思考が身体を飛び出し、自分を俯瞰的に見ている感覚。
 こんな経験は過去にもあったが、大抵は身体と知覚は乖離していた。
 脳でどれだけ考えても、肉体にまで命令が伝達されない。されるまでに決定的な瞬間は通り過ぎてしまう。
 しかし、この時は違った。

「ぅおぉぉぉぉぉ!!」
 刹那、才人は身体を空中で強引に捻る。雄叫びが勝手に喉から絞り出される。
 身体が動いた。閃いたイメージの通りに肉体が応えた。
 右上段から振り抜こうとしていた勢いを殺さず、回転。紙一重で拳が頭を掠める。
 ワルキューレが追撃の拳を振り下ろすより早く、身体を開きつつ、左手に持ち替えた剣で、ワルキューレの脚を叩き斬る。
回転を加えた斬撃で、細身の脚は両脚ともが切断された。
 才人が地面を蹴って体勢を立て直した時、もう"敵"はいなかった。
 起き上がろうと足掻くワルキューレに止めを入れ、
「続けるか?」
 棒立ちになったギーシュに剣を突きつける。
「いや……僕の負けだ」
 ギーシュは両手を上げた。吐息混じりではあったが、悔しげな響きは含まれていなかった。
 才人が動き出してから今まで、誰一人として声を上げなかった広場が一瞬で沸騰する。観衆の反応は驚きと戸惑いがほとんどだった。
 歓声に背を向けたギーシュは、何歩か歩いて尻餅をついた。ほとんど動いていないのに、全身が緊張していた。
 判断は間違っていなかった。だが、相手が悪かった。そう思いそうになって、かぶりを振る。
 敗北は悔しい。プライドはまだ折れずにいてくれた証拠だろう。
 悔しいが、さほど落ち込んではいない。周囲の声に自分への嘲笑がなかったのも理由の一つだが、ギーシュは力を出しきった心地良い疲労感に包まれていた。
 座り込んだギーシュに、そっと手が差し伸べられる。
 見慣れた、細く、色白の美しい手。
 見上げると、モンモランシーが微笑んでいた。


 才人は才人で、広場の芝生に座り込んでいた。
 剣を手放すと身体が重くなり、全身が痛い。特に最後の回転、あれが効いた。
 まだ勝利の実感が湧かない。勝ったこと以上に、自分があれだけ動けたことが信じられなかった。
 しかし、今も確かに手の中に残っている。剣を振るい、青銅の鎧を断ち切った手応えが。
 ぐるりと周りを見回してみる。
 才人を見る目は様々だった。好奇、侮蔑、それらは決闘前にも感じていた。だが――。
 恐れ。
 これは初めてだった。
 酷いものは、才人と目が合うと途端に目を逸らしたり伏せる始末。
 ギーシュの圧勝と思っていた者にとっては面白くないのだろう。そんな予想なんて、知ったことじゃないが。
 とはいえ、勝ったはずなのに、誰にも歓迎されないと言うのは少し寂しい。やはり、自分が平民だからなのだろうか?
368風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:45:04 ID:waAjYj1J
 誰も才人に近寄ろうとはしない中、
「よー、おめぇやっぱ強かったんだなぁ」
「風助……」
 最初に話し掛けてきたのは風助だった。
 驚いた様子もなければ、称賛も畏怖もない。当たり前の、変わらない態度が今は嬉しい。
「その……朝は悪かったな」
 やっぱ、とはどういう意味なのか。お前は驚かないのか。
 もっと他に聞くべきことはあった気がするが、最初に口をついたのは謝罪の言葉だった。
「なんのことだ? おめぇに謝られるような覚えねぇぞ」
 朝の諍いが本気で記憶にないらしい。
「へへ……」
まるで気にしていない風助が、気にしていた自分がおかしくて、照れ臭くて。才人は笑った。
「あー、なんかまた腹減っちまった。おっちゃんとこに何か食わせてもらいに行くか」
「お前はそればっかだな。ってもまぁ……俺も、あれっぽっちじゃ全然足りねぇや」
「おー、行こうぜ」
 二人はすっかり、いつも通りの空気に戻る。いつしか周囲の目は気にならなくなっていた。
 貴族にどう思われようが構うものか。身寄りも知り合いもいないこの世界で、大事なのは風助やシエスタといった友人なのだ。
「と……そうだ、シエスタ! 今の俺の戦い見てくれたのかなぁ」
「シエスタなら仕事があるからって行っちまったぞ」
「なんだよ……せっかく頑張ったのに……」
 元々、彼女の一言が決闘の決め手になったのだ。風助へのつまらない対抗心を煽られて。
 彼女には悪気はなかったのだし、結果勝てたのだから気にしてないが、いいところを見せて見直してほしい気持ちはあった。
 と、その時。
「凄い……本当にメイジに勝っちゃうなんて……」
 背後から少女の声。どよめきに混じって声の判別はできなかったが、どこか陶酔じみた――感嘆の色を含んでいたのは確かだった。
「シエスタ!?」
 当然、才人はそう思って振り向いたのだが、
「え……?」
 そこにいたのは黒髪に黒い瞳のメイドではなく、ピンクブロンドの髪に鳶色の瞳の少女。彼女は違う女の名前を呼ばれた為か、疑問符を浮かべて固まっていた。
「げ! ルイズ!?」
 僅かに朱に染まっていた頬が、みるみる紅潮する。ただし、それが先程までと違い、怒りによるものであることは才人の目にも明らかだった。
「ふ、ふ〜ん、そんなにあのメイドにいい格好したかったんだ。その為に命とか懸けちゃうんだ。勝ったからいいようなものを……」
 ぶつぶつ呟くルイズの肩は震えている。そして、震えの伝わる先は右手の杖。
 ルイズは、才人への怒りもさることながら、何より自分が憎くて仕方なかった。
 戦う才人は正直、カッコ良かった。剣一本でゴーレムを切り倒す雄姿には魅了された。
 それに、無能――ゼロだと思っていた自分の、同じくゼロと思っていた使い魔が剣の達人だったのだ。それはもう、内心飛び跳ねたいくらい歓喜していた。
 それなのに。
 それもこれも風助が、才人が自分にいいところ見せようとしてるなんて言うもんだから。そこまで言うなら、忠誠の証を立てさせてあげようかと思ったのに。
手を握って祝福してあげることすら、やぶさかでなかったのに。
 勝手にはしゃいで空回りしていただけと知って、ルイズの怒りは頂点に達した。
「あの……るいずさん?」
「掛かる治療費……先生に怒られるのもご主人様なのに……この犬ってば、ちょっと使い魔の役割を軽く考えてるみたい……。
いっぺん、ちゃんと躾とかなきゃいけないわ……」
 低く抑えた声が怖い。ルイズの放つ異様な雰囲気に才人は言うまでもなく、風助までもが気圧される。
「おい、どうすんだよ……これ」
「ちょっと……やべぇかもな」
 風助と才人は互いに顔を見合せると、
「こら! 待ちなさい!!」
 ルイズに背を向け脱兎の如く逃げ出した。
369風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:46:19 ID:waAjYj1J
 背後からはルイズの叫びと、それを掻き消す連続した爆発音。広場に残っていた生徒は逃げ惑い、
当事者共々、離れた位置で見物していた生徒に笑いものになっていた。
 笑い声と悲鳴と怒号と爆音が混ざり合って広場に響き渡る。さっきまでの微妙な雰囲気は、すっかり払拭されていた。
 風助は跳ねるように逃げ回りながらも余裕があったが、剣を手放した才人は疲労もあってか徐々に遅れだす。
 風助が周囲を見回すと、物陰から赤髪の女がおいでおいでと手招きしていた。
 何かと思い、足早にルイズから離れる風助。置いて行かれた才人は当然、抗議の声を上げる。
「あぁ!? ずりぃぞ、風助!!」
 才人は他にも何か口走っていたが、狙いを才人に定めたルイズの爆発でほとんど聞こえなかった。
「なんだよ! 勝ったし、無事だったんだからいいだろ!!」
「よかないわよ! あんたはわたしの使い魔なんだから、わたしの為に命を懸けなきゃいけないの!! 
それを、よりにもよってメイドに色目を使う為だなんて――!!」
 悔しい悔しいと連呼しつつ、やたら杖を振り回すルイズ。
 必死に逃げながらも、反論は忘れない才人。
 追いかけっこは、才人が力尽きるまで続いた。


 特大の爆音が遠く響き、シエスタは足を止めた。
 才人の勝利を確認して、いそいそと食堂に戻る途中だった。その為に、無理を言って昼食の片付けを一端抜けさせてもらったのだ。
そうまでして才人の決闘を見に行ったのは、単なる応援だけでなく、好奇心でもなかった。
 自分の責任を果たす為。見届ける義務があると思ったからである。
 才人がギーシュとの再戦を決めた原因の一端はシエスタにあった。そして、モンモランシーの発言もシエスタが頼んだ。
才人とギーシュの双方を煽った行為は、風助の言動を除き、シエスタが意図的に仕組んだものだった。
 モンモランシーはギーシュの浮気騒動から、ギーシュとは微妙な関係が続いていたらしい。決闘直後の駄目っぷりにもほだされて、
そろそろ許してやってもいいと考えていたそうだが、彼女は、そのきっかけを求めていた。言い方を変えれば、口実とも言う。
 シエスタが、彼女とまともに言葉を交わしたのは昨日が初めて。それも風助を挟んで、である。彼女も友達と呼ぶには至らないが、
先日のギーシュの絡みから風助と話はする程度の関係だった。その繋がりで今日、無礼と知りながら彼女に協力を囁いてみたのだ。
勝てば祝福、負ければ慰めが口実になるだろうと。
 もっとも、協力と言っても、ギーシュの背中を押してほしいと頼んだだけ。掻い摘んで事情を話すと、モンモランシーは了承してくれたが、
あまり気が進まない様子だった。彼女からすれば、ギーシュが一方的に才人を痛めつける決闘の片棒を担げと言われたようなものだろう。
同じ立場だったなら、シエスタも困り果てていた。
 違ったのは、風助を知っていたからである。どちらが勝つにせよ、風助はいざとなれば必ず仲裁に入る。きっとルイズに連れられなくても、
最初から広場に向かっていた。才人が勝つ確信があったに違いない。そうでなければ、あんな馬鹿正直に戦いを勧めたりはしない。
 方法は単純と言うか、安直と言うか、考えなしと言うか。褒められたものではないが、彼なりに才人を思ってのこと。少しでも手助けをしたかった。
 ともあれ才人は勝ち、これで未練は断ち切れただろう。ルイズも少しは才人を見直すはず。両者とも怪我もなく終わり、ほっと胸を撫で下ろした。
370風の使い魔 代理2:2010/07/30(金) 19:47:11 ID:waAjYj1J
 さて、あとはもう一つ。風助の主従の問題なのだが、こればっかりはどうしようもなかった。
 シエスタは早朝、風助と交わした会話を思い出す。

「ほら。ミス・タバサのお友達と言えば、ミス・ツェルプストー。彼女は社交的だし、ゲルマニアの出身だから、
風助君が仲良くしたいって言っても、それほど抵抗はないかもしれないよ?」

 思いつく限りで最高の名案。
 人付き合い皆無のタバサが唯一関わるのが、隣国ゲルマニアからの留学生、
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
 ゲルマニアは、平民でも金次第で貴族になれる国だと聞く。ならば、平民蔑視の傾向は少ないかもしれない。
 タバサと親しくなりたいなら、これ以上ない好条件なのだが。

「あんまり、そういうのは好きじゃねぇな。利用する為に近付くみてぇなのは」

 と、一蹴された。
 彼にとって友人関係に打算が入り込む余地はないのだろう。幼さ故の無鉄砲、浅はかさと指摘するのは簡単だが、
そんなところも面白く、放っておけないと思わせる。
 存外損な性分である。彼も、自分も。
 まだ一週間にも満たない付き合いの少年に、すっかり姉気分のシエスタだった。

「そっか。なら仕方ないね。また、何かあったら言って。応援してるから」
「ありがとな。そいつが面白ぇ奴なら、そん時に考えればいいや」

 食堂での企みも見抜いたキュルケである。余計な小細工はしない方が賢明だろうと、気を取り直して歩きだす。後は二人の問題だ。
 風助とタバサ。水と油のような二人だが、なんとか上手くいってほしいとシエスタは願った。
371風の使い魔 代理3:2010/07/30(金) 19:48:10 ID:waAjYj1J
「よー、どうしたんだ?」
 手招きした赤い髪に褐色肌の女性に尋ねる。後ろでは才人とルイズが、まだ鬼ごっこを続けていた。
「その前に、ねぇ……あれ、止めなくていいの?」
「いんじゃねぇか?」
 才人とルイズを指差した問いに、風助は即答した。
 才人は自分で抗う意志も根性も持っている。なら、求められない限り放っておけばいい。
「え〜っと、おめぇは……」
 これまでにも何度か見かけた、タバサの友達の――。
「キュルケよ、キュルケ。あたしは覚えてるわよ、あなたの名前。ね、風助」
「ああ、よろしくな」
「それじゃ風助、ちょっといらっしゃい」
 誘導に従って、騒がしいヴェストリの広場を離れる。
「ここらでいいかしらね」
 着いたのは人もまばらなアウストリの広場。手近なベンチに自分だけ腰掛けたキュルケは、その脚線美を見せびらかすように、
仰々しく足を組んだ。風助の視点だと、視線を上らせたら見えてしまいそうだ。勿論、それもわざとである。
 得意気に風助を見るが、彼は扇情的な光景にもまったく反応を示さない。予想通りといえば予想通りだった。
「昨日、今日とタバサがいつにも増して無愛想なんだけど、あなた……何かやったんじゃない?」
「よく分かんねぇ。あいつは俺のせいじゃねぇって言ってたけど」
「あなたも色々やってるみたいだけど、それくらいでああなるとは考えにくいし……。ねぇ、何を話したか聞かせてもらえるかしら?」
 風助は昨夜のタバサとのやり取りを話した。
 何故、使い魔を引き受けたのか、使い魔として人を殺せるのか。そのすべてを。
 一通り話すと、キュルケは納得した。
「なるほど。確かに問題はあなたじゃなく、あの娘の心にあるみたいね」
 が、納得したものの、どうしたものか。
 顎に手をやって考え込む。タバサに直接聞いたところで、まともな返事が返ってくるとは思えないし。
「なんか俺にできることあるか?」
「ないわね、頑なになるだけ。止めといた方が……」
 言いかけて動きを止める。彼の話に一つ、引っ掛かりを覚えた。
「ねぇ、あなたとタバサって傍目にも全然仲良さそうに見えないけど、どうしてそんなに気にするの? 冷たくて嫌な奴だ、とか少しは思わない?」
「思わねぇな」
 答えはすぐに返ってきた。
「あいつは全然喋んねぇけど、それは嫌な冷たさじゃねぇぞ」
 風助はふと、遠く、懐かしむような眼をした。
「まだ戦争中の頃だ。真夏の戦闘の後は、黄純に出してもらった氷で身体を冷ましてたっけな。けど、それもすぐに溶けちまって、
終いには氷を纏ったあいつに、みんなで寄っ掛かったりしてたんだ。あいつは疲れるって嫌がってたけどな。
でも、その内みんなで馬鹿みてぇに笑ってた。なんでかな……あいつといると、そん時みてぇな……」
「何よ、それ。どういう例え? さっぱり分からないわ」
「ああ、黄純ってのは俺の昔からの友達だ」
「いや、そうじゃなくて……」
 風助は、タバサの作り出す無音の空間が嫌いではなかった。彼女の空間は火照りを冷ます、真夏の夜に吹く風のようで、どこか落ち着く。
心地良さすら感じていた。が、キュルケには伝わらなかったらしい。
 キュルケは風助をまじまじと見つめる。そこにあるのは、嘘やペテンといったものとは、まるで無縁の間抜け面。しかし、妙な迫力と説得力があった。
「なんだ? 俺の顔がなんか変か?」
 変よ。
 と、喉まで出かかったが、一応黙っておく。
 話を聞いてからキュルケは内心、ほんの少しだけ怪しんでいた。もしかして彼の普段の言動はすべてがポーズ、演技なのではないかと。
372風の使い魔 代理3:2010/07/30(金) 19:49:25 ID:waAjYj1J
 来歴からして一般人と同列には語れない風助だが、彼はいささか特殊過ぎる。
 そもそも、タバサからして謎だらけである。姓を伏せ、タバサという名も偽名の可能性が高い。
たまに、夜中に寮を抜け出しているらしき姿も確認している。
ただの留学生ではない、訳ありであることは疑いようがなかった。
 その絡みで、目的があって接近しているのではないか。何者かが裏で糸を引いているのではないか。
 右も左も分からず、偶然に召喚された異国の少年を利用するとは思えないが、だからこそ誰からも盲点になる。
 しかし、この顔を見て即座に馬鹿げた妄想だと振り払った。
 要は、それほどまでに風助がタバサを気に入るというのは不自然だっただけのこと。
 ともかく、妙な例え話からも得心が行った。彼は嘘を吐けるほど利口でもなければ、器用でもないと。
 しかし、風助はキュルケの行動から何を思ったか、感心している様子。
「おめぇ、凄ぇな。顔から考えてることが分かんのか?」
「分からないわよ。ただ、タバサとは付き合いも一年になるし、なんとなくね。でもほら、例えばあの娘、ルイズなんかだと楽勝だけど」
「ルイズもか」
「ええ、あの娘は可笑しいわよ。考えてることがすぐ顔に出ちゃうんだから」
 表現には誇張が混じっていたが、風助はしきりに、ふぅん、だの、おおお、だの頷いている。
 気を良くしたキュルケは、促されるままタバサやルイズのことを語る。打てば響くような反応が楽しく、暫く雑談に興じる。
いつの間にか、抱いていた僅かな疑いも完全に消え去っていた。
 話題にも区切りが付いた頃、突然、風助がこんなことを言い出した。
「なぁ、おめぇも俺と友達になるか? おめぇも、あいつと仲いいんだろ?」
「あいつって……誰のことよ?」
「ルイズ」
 呆れ顔になったキュルケが鼻で笑う。
「冗談はベロだけにしてちょうだい。なんでヴァリエールと……って、ちょっと待って。なんであの娘? あなたの御主人様は?」
 そう、この状況で一番に名前が挙がるべきはタバサのはず。タバサの唯一の友人は自分であり、自分が一番親交が深いのもタバサ。
風助にとっても一番身近な存在はタバサである。
「ああ。あいつには、ここに来てすぐに言ったけど断られちまった」
「断られた……ねぇ」
 大体の想像は付く。どうせこの少年のことだ、真正面からろくに空気も読まずに突撃したに違いない。
 彼は、おめぇ"も"と言った。考えてみれば、今の話と風助とタバサの普段の様子からして、二人の関係が思わしくないのは分かり切っていた。
当然、彼の言う"お友達"にもなっていないのだろう。
「おめぇ、いい奴みてぇだし、もっと話が聞きてぇんだ」
 風助の申し出にキュルケは思案した。彼には興味があったし、一時の戯れにと、付き合ってやるのに異存はなかった。
しかし一つだけ気に掛かる。どうにも釈然としないそれが取り除かれない限り、戯れでも友とは呼びたくない。
「まぁ……別にいいけど、その前に聞いときたいのよね」
「なんだ?」
「あなた、なんでタバサと友達になりたいの?」
 結局のところ、キュルケの疑問はそこへ行き着く。
「あなたがタバサを気に入ったのは分かったわ。あたしが聞きたいのはその理由なの」
 理解できない存在を怪しむ。多少の差はあっても、その点ではキュルケもルイズと同じ。
彼女の場合、どちらかというと好奇心が上回っていたが。
「ん〜……」
 風助は首を右に左に捻りながら考え込んでいる。心なしか顔が赤い。ひょっとして知恵熱でも出ているのだろうか。
日頃、物事を深く考えない性格だからだろう。
 事実、風助は何故そう思ったのか、自分でも分からなかった。分からないまま、幾つか思い浮かんだことを口に出す。
「そうだな……あいつの魔法が、風が面白ぇと思ったんだ」
「風が?」
 才人とギーシュの決闘の日、小さいながらも空子旋と拮抗するほどの旋風を生み出し、昨夜は身を以て確かめた彼女の魔法。
 風は常に優しく、暖かいばかりではない。雪をはらんだ風は、切り裂く冷気で身体を凍てつかせる。嵐はあらゆるものを巻き上げ、蹂躙する。
 厳しいが故に純粋な、あるがままの姿。それらすべてをひっくるめて、風助は自然を、風を愛していた。
373風の使い魔 代理3:2010/07/30(金) 19:50:19 ID:waAjYj1J
 忍空技の多くは、その厳しい自然を武器にするものである。
 肉体を鍛え、それら自然の摂理を感じ取り、身を委ね、一体化することで龍をその身に感じ、技を体得する。
 そして空子旋の竜巻の中で、その純粋さをタバサの風にも垣間見た。
 これまでにも、戦いを通して友を増やしてきた。その中で、相手と拳と拳で語り合ってきた風助は、
タバサの風から千の言葉を交わすより深く理解した。
 その力が一朝一夕で得たものでなく、彼女がそれだけの力を得るまでに必死に研鑚を積んだことも。
一見無感情でガラス玉のような瞳の、その内に激情を、更に奥には優しさを秘めていることも。
「あいつは俺や才人を助けてくれた。他の奴らを守る為に身体を張ったんだ。あいつは十分逃げられたのに。
どんなに強くても、勇気と優しさがなきゃ、誰かを助ける為に竜巻に立ち向かうなんてできっこねぇ」
 風助の知る限り、自分と互角か、それ以上の風の使い手は一人だけ。
 今は亡き師、麗朱。
 師が亡くなり、『子忍』風の忍空使いとしての頂点に立った彼の前に、それ以上の使い手は現れなかった。
 ようやく手にした平和に不満はない。それでも、どこかで求めていた。
同じだけの実力を持った風の使い手と一緒に技を高め合えたらと。
 そして、ここに来て彼女に出会った。求めていただけの力を持ち、おまけに小さな身体に勇気と優しさが詰まった少女。
 これが嬉しくないわけがない。
 平たく言えば、風助はタバサの風に一目で惚れ込んだのだった。
「え〜っと……つまり、それが理由?」
「違うぞ」
「違うの!?」
 ガクッとベンチからこけそうになる。
「じゃ、なんなのよ」
「なんとなく……じゃねぇか?」
「なんとなく?」
「ああ、なんとなく」
「何かあるでしょうよ。ほんとに何もないの?」
 タバサが強いから。
 一緒にいて居心地が良いから。
 それではいけないのか。他に何があると言うのか。
 まさか本当に理由もなく言っているはずはない。そう信じて問い詰めるが、いい加減疲れてきた。
「ってもなぁ……そうだな……うん」
 またしても熟考に入る風助。キュルケはやきもきしながら、答えを待つ。
 風助はタバサという少女に興味を抱いた。だが、これらは興味を持ったきっかけでこそあれ、彼女と親しくなりたいと思う動機ではない。
それなら、ただの使い魔でも、なんら問題はないからだ。
 更に数分間、考え、迷う。曖昧な感情を言葉に変換する。
374風の使い魔 代理3:2010/07/30(金) 19:51:00 ID:waAjYj1J
 やがて、風助は両手をポンと叩いた。
「おぉ! 分かったぞ!」
「なになに?」
 不慣れな行為だったが、その過程で、やっと自分でも理解できた。
 それは拍子抜けするほど簡単で、それでいて己が原点とも言えた。
 そう、この気持ちを敢えて言葉にするなら。

「あいつの笑った顔が見てみてぇんだ。あいつ……にっこり笑ったら、きっとめちゃくちゃ可愛いぞ」

「は……」

 絶句、次いで唖然。
 今時、歯の浮くような台詞。なんて単純で、なんて分かりやすい理由なんだろう。
 それも言ってる本人は照れもせず素面なのが余計に可笑しい。

「ぷっ……あはははははははは!!」

 キュルケは数秒呆けてから、腹を抱えて笑った。
 散々焦らされた挙句、返ってきた答えが――笑った可愛い顔が見たい。
 予想だにしない不意打ちを食らって、人目も憚らず爆笑。腹が捩れるという表現を体感させられた。
「おめぇ、なんで急に笑ってんだ? 変なもんでも食ったのか?」
「はぁ……はぁ……。変なものは目の前の"これ"だけで十分だわ」
 肩を震わせ、息も絶え絶えに"これ"の鼻っ面に指を押し当てる。
"これ"はキュルケの指差す方向、自分の背後を振り返るが、何もおかしなものはない。
変な奴だ、という顔をすると、キュルケが落ち着くのを待つ。
 キュルケはまだ小刻みに全身を震わせていた。押さえた腹の筋肉が痛い。
まともに会話ができるまで回復したのは、それから一分ほどしてからだった。
 人目を気にして居住まいを正したキュルケに、今度は風助が訊く。
「なぁ、あいつの笑った顔、おめぇは見たことあるのか?」
「……ないわね」
 この娘はたぶん喜んでいる、と雰囲気で感じることはあれど、笑ったと認識できるほど表情が動いた瞬間を見たことはなかった。
ましてや、満面の笑みなど想像すら難しい。
「じゃあ、見てみたいと思わねぇか?」
 確かに。
 あの無口な少女が、にっこり笑えば、さぞかし愛苦しいことだろう。
 想像してみる。
 うぅん、見てみたい。
 考えると自分まで笑みがこぼれてしまい、
「……見てみたい、かも」
 キュルケは自然と頷いていた。
「だろ?」
 と、同意を得て嬉しそうな顔。
 いやいやいや、相手のペースに巻き込まれてはいけない。頷いてから、すぐさま正気に返る。
375風の使い魔 代理3:2010/07/30(金) 19:52:27 ID:waAjYj1J
 タバサはキュルケの事情を詮索せず、キュルケはタバサを詮索しようとは思わなかった。
さほど興味がなかったというのも一つの理由ではあるが、それ以上に、非常にデリケートな問題だと察したからだ。
 キュルケが風助の鼻に押し当てていた人差し指を目の前でピンと立てる。
「最後に一つだけ確認。同情ではないわね? あの娘がいつも一人で本ばかり読んでるから? 
それが寂しそうにでも見えた? 
一応言っとくけど、同情や憐れみで友達になってやろうなんて考えてちゃ、あの娘の心なんて開けっこないわよ」
「あいつは強ぇ奴だ。なんか大事なことの為に頑張ってんだろ。
だから、俺はあいつの一人でいるとこが寂しそうだとは思ってねぇ。ただ……」
「ただ?」
「あいつは俺が知らねぇ世界を見せてくれた。だから、俺もあいつに見せてやりてぇんだ。俺の知ってる世界を。
一人じゃできねぇ楽しいことも一杯あるんだって」
 いつも見ていた、本を読む彼女――あれは一心不乱に目的に向かう人間の姿だ。それでも、少しくらいの息抜きはあってもいいはず。
「あいつがなんか隠してんのは、なんとなく分かってるぞ。あいつはたぶん、凄ぇ重たいものを一人で背負ってる。
だから俺はできることをしてやりてぇんだ」
 だが、キュルケはまだ納得しない。無理に踏み込めば、自分も相手も傷つく。果たして、風助はそれを理解しているだろうか?
「でもね、友達だからって、何でも首を突っ込むのが正しいとは限らないわ。誰もがあんたみたいに自分の過去を平気で曝け出せるわけじゃないの。
だからタバサに拒絶されたのよ。分かる?」
 だとしても、大切な人が独りで苦しんでいるとしたら、放ってはおけない。たとえ友達じゃないと言われても。
 できるなら目的の一助になりたい。重い荷を一緒に背負ってやりたい。まだ使い魔とは何かよく分からないが、おそらく間違ってはいないと思う。
 もし、それが使い魔として間違っていたとしても、風助という少年は他にやり方を知らなかった。

「嬉しい時や楽しい時だけ一緒にいて、苦しい時や助けてほしい時、辛い時や泣きたい時に、知らん顔すんのは本当の友達じゃねぇ」

 いつもはまんまるでギョロっとした眼も、この時ばかりは瞼が斜め半分に閉じられている。
 睨んでいるのか? 誰を?
 真剣味を帯びた視線の対象は――キュルケだ。
 それはまるで、
「お前は本当の友達なのか?」
 そう、問いかけているようだった。
 だとすれば黙ってはいられない。この一年、彼女を傍で見てきた者として。
 キュルケもまた脚を組み直し、挑発的な目つきで風助を見据えた。
「知ったような口を叩いてくれるじゃない」
 二人は無言で睨み合った。
 不穏どころではない、殺気立ったとも言える雰囲気が漂う。
 風助から放たれる無言の迫力に気圧されそうになり、負けじと目に力を込めた。背中に汗が伝うのを感じたが、キュルケも後には引けない。
376風の使い魔 代理3:2010/07/30(金) 19:53:14 ID:waAjYj1J
 互いに微動だにせず、睨み合うこと十数秒。
 先に均衡を崩したのはキュルケだった。ふっと脱力し、微かに口元を綻ばせる。
最後まで目は逸らさなかったが、どの道、根負けしていた。
「いいわ、友達になりましょう」
 それまでと打って変わって、優しげな声色で右手を差し出す。
「いいのか?」
 友達なんてものは本来、こんな儀式めいた口約束が必要なものではないのかもしれないが、
思えばタバサとの始まりもこうだったと苦笑い。
「ええ、友達の友達は友達とも言うでしょ? だったらあたしが友達になってあげるわ」
「そうか、ありがとな」
 握り返してくる手は彼女より小さく、温かく、汗で濡れていた。顔は笑みを取り戻しているが、彼も拳を握っていたのか。
 かくいうキュルケも、一瞬が数十秒に感じられることがあるように、数時間にも思える緊張を強いられる時間だった。
 それだけに分かる。彼の本気と、決意のほどが。
「今のあなたじゃ心許ないもの。タバサをまた怒らせかねないわ。だから……あたしが近くで見ててあげる」
 タバサと友達になれるかどうか、吐き出した言葉をどこまで貫けるかを。
 どうすればそれが可能か、キュルケは考えた。
 自身の経験則からして、あの手のタイプ相手に無言のサインを読み取れないのは致命的。
その点で言うと、彼は甚だ不安である。
 しかし反面、それほど心配の必要もないかとも思っていた。
 この少年、どうやら日常では鈍いくせに、肝心要の場面では変に鋭くなる。
そして、彼女の異常に気付けば絶対に止まらない。
 彼女はたぶん、どんなに辛い状況でも口に出して助けを求めたりしない。
だからこそ、これくらいお節介な使い魔でちょうどいい。
 日常の行き過ぎた部分は、誰かが抑えてやればいいのだ。彼女の心情を汲み取り、彼にアドバイスを与えられる人間が。
 では、そんな面倒な役回りを引き受けるのは誰か? 
 自分しかいないだろう。
 厄介事に巻き込まれると知っていてなお、キュルケが手を差し伸べたのには理由があった。
「それにしても、笑った顔が見てみたい……ね。ほんと、馬鹿みたいな理由」
「そうか?」
「ええ、そうよ。嫌いじゃないけどね、そういうの。でもどうせなら、にっこりじゃなく声を上げて大笑いさせてみたいわ」
 キュルケ自身、湧き上がる衝動に身を任せる生き方を由としてきた。
 それだけに面白い。
 一人の少女を笑わせる為に命を懸ける。なかなかに情熱的な生き様じゃないか。
 それほどの想い、寄せられれば、女冥利に尽きるというもの。
 いや、相手にもよるか。言うのが彼では、全然、まったく様にならないのが残念だけれど。
 キュルケはもう一度その顔を見て、くつくつと笑った。

 キュルケの用件は終わり、それからは特に何をするでもなかったが、
「なぁ、おめぇまだ食えるか?」
 風助がまたも妙なことを言い出した。
「はぁ? まぁ……少しくらいは」
 彼はいつも唐突である。突然の問いにキュルケは戸惑いつつも、素直に現在の腹具合を答えたのだが――。
 答えてから不安になる。少しと言っても、互いの"少し"には天と地ほどの開きがある。一体、何を食べさせるつもりだろうか。
「んじゃ、ちょっと待っててくれ。見せてぇもんがあるんだ」
 確認しようとしたが、制止する間もなく風助は走り去った。
 常人の一食分を丸々持ってきたりしても不思議はないが、それにしては風助が走っていったのは厨房の方角ではない。
もしや、食べられるものですらないのか。
377風の使い魔 代理3:2010/07/30(金) 19:54:20 ID:waAjYj1J
 落ち付かない心持ちで、待つこと十分少々。風助が息を切らして帰ってきた。
「悪ぃ悪ぃ、また迷っちまってた」
 手に持っているのは、緑の葉に包まった、太く、やや丸みを帯びた棒状のもの。
 戻ってきた時は手ぶらに見え、てっきり厨房に食料を集りに行くのに付き合えとでも言うのかと思ったのは内緒だ。
「その手に持ってるのが見せたいもの?」
「おー。これ、よかったら食ってくれ」
 手渡されたそれの葉を剥いてみると、黄金色の果実が顔を出す。
「トウモロコシだ。凄ぇうめぇぞ」
 確かに。粒の一つ一つまでが丸々と太って美味しそうだ。美味しそうではあるのだが、
「これを食べろと?」
「トウモロコシ、嫌ぇなのか?」
「そうじゃないけどね……」
 どう見ても生である。しかも洗ってもいない。ざっと見たところ他に異常はないようだが。
 キュルケはしげしげとトウモロコシを回し見て。
 ぽかり。
「あてっ」
 風助の頭を軽く小突いた。叩かれた頭を押さえ、ただでさえ丸い目をさらに丸くしてこちらを見てくる。
「ったく……貴族の娘に――そうでなくてもよ。
レディに、洗ってもない野菜を、公衆の面前で、生で丸かじりしろ、なんて言うのはあなたくらいのものよ。それに昼食後に丸々一本なんて入らないわ」
「おー……」
 たった今、気付いた。顔にはそう書いてあった。
「んじゃ、晩飯の時にでも茹でてもらうか。おっちゃんに頼んどくぞ」
「そうしてちょうだい」
 彼は頭に乗っかったトウモロコシを受け取ったが、食べさせるのを諦めてはいないらしい。もっとも、食べること自体は構わないので、
コックの手に委ねておけば安心である。
 大事そうに抱えられた黄金色の果実。丸かじりには抵抗を覚えるが、なかなか食欲をそそる。
 キュルケは綺麗に手入れされた長い爪で房から一粒摘み、口に放り込んだ。
「うん、おいしっ」
「そうか、うめぇか。ならよかったぞ」
 風助は、母親に褒められた子供のような――実際子供なのだが――喜びと照れが混じった顔で笑う。
照れ臭そうに鼻を擦る仕草も、天気のように表情を変えるところも、愛嬌がある、初めて可愛げがあると思えた。
「あなたが召喚された時から持ってたものなのよね、そういえば。どうして食べなかったの? お腹空かしてゲート潜るくらいなら、食べれば良かったのに」
「まーな。けど、そいつはお師さんが俺ら干支忍に食わせてくれたトウモロコシで、お師さんが死んじまった後も俺が毎年、みんなに配ってるもんなんだ。
だから、自分で食うより誰かに食ってもらいてぇ。4本持ってきた内、才人に一本、おめぇと……後でルイズにも一本」
 納得した。
 残り一本の行く先は聞くまでもない。本命の彼女だ。
「ふぅん、特別な意味で使いたいってこと。にしても、もうルイズにまでねぇ……。で、最後の一本はタバサにあげたいってわけ」
「おー、けど、どうすっかな。そろそろ悪くなっちまうし……」
「固定化の魔法っていうのがあるわね。後で使える人を紹介してあげる。にしても……」
 保存法だけなら他にもあるだろうが、相手はあの難物だ、それくらい確実に保存しておいた方がいい。
 ああ見えて根は素直な娘なのだが、一度こじれたとなると長期戦になるかもしれない。と、キュルケは他人事ながら心配――否、もう他人事ではないのか。
「これを食べてもらえるのはいつになるかしらね」
 随分と骨が折れるだろう。だからこそ面白いのだが。
378風の使い魔 代理3:2010/07/30(金) 19:56:05 ID:waAjYj1J
 しかし不思議である。キュルケの知る彼女は壁を作って人を寄せ付けないが、
純粋に「お友達になりましょう」と来た相手を邪険にするとも思えない。どうやら、まだ何かあるようだ。
自分も風助も知らない何かが。
「ま、いいわ。それじゃ早速……」
 タバサを大笑いさせるという、果てしなく遠大な目標。
 それを成すには、彼女の問題の根っこの部分まで踏み込まなければならない。
 その為に必要もの――それは覚悟。
 どんな問題だろうと、何が起ころうと、誰が敵であろうと、彼女と運命を共にすると。
 決めたなら後戻りはあり得ない。信用させて途中で手を引くのは最大の裏切りに値する。
 急いではすべてがぶち壊し。無理やり踏み込めば、一巻の終わり。取り返しが付かないことになる。
ただでさえ、これは余計なお節介なのだ。
 全部承知の上で、キュルケは風助の好きにさせてみたいと思う。彼なら、何かを抱えているタバサを解き放てるかもしれない。
もっとも、彼女がそれを望むとは限らないが。
 焦る必要はない。彼がタバサと親交を深めれば、自ずとそれも見えてくるだろう。それに、放っておいても向こうから近付いてくる。
 いずれも漠然とした予感に過ぎない。大げさな話に思われるかもしれない。だが、それだけ根が深く思えてならなかった。
 問題は、いざという時に鋭くても、日常の好感度が低ければ無意味であること。それもこの鈍っぷりでは期待できない。
こういうのは積み重ねが大事なのだ。
 それが分かってるのか、分かっていないのか。人の感情の機微に敏感なのか鈍感なのか。
どちらにせよ、このままでは前途多難、先行き不安である。ならば――。

「この百戦錬磨のキュルケさんが、タバサとの付き合い方を助言してあげようかしら」
 
 その辺りから指導してやるのがいいか。
 キュルケは胸中で渦巻く種々の思いを、いつもの楽天家の顔で隠した。
「おー」
 何か違う気がしないでもなかったが、風助は素直にその場に座り込み、キュルケ先生の講義に耳を傾けた。
 講義はタバサの話から始まった。やがて進むにつれ徐々に人が集まりだす。
 マリコルヌ、モンランシー、ギーシュ。ヴェストリの広場から逃げてきた生徒だ。ギーシュは風助を見て複雑そうにしていたが、
モンモランシーに促されると素直に着席する。そしていつしか、二人を中心に人の輪が形成されていた。
 これが彼の人徳なのか、はたまた、単に美女と珍獣の構図が物珍しかっただけかは謎である。おそらく後者だろう。
 その頃には話は完全に脱線して、経験談という名の自慢話や他愛ない雑談に発展していた。
 実はそれすらもキュルケ一流の気配りなのだが、風助はこれっぽっちも気付いていない。ただ欠伸をしながら退屈そうにしている。
 キュルケはそんな風助を見て微笑んだ。こんなことでは、まだまだ空気の読める男は遠そうだ、と。

 頭の上を飛び交う会話。右から左に抜けていく。
 周囲がキュルケの話に盛り上がる中、風助は思い返していた。
 最初に聞いた、キュルケとタバサの出会いの話を。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/30(金) 20:31:11 ID:07jmJzOJ
代理してくれと頼まれてもいないのに投稿するのか
よっぽどに暇なのかもしれんが作者の意志を無視する行為だな
380風の使い魔 代理 4:2010/07/30(金) 20:32:10 ID:yBDM9Hvj
以上、投下終了。今回はこんな感じです。
こんなテーマ的な話を序盤でしていいのかと思いつつ、序盤でないとできないかと思いつつ。
やや冗長になりましたが、とりあえず"らしい"理由と目的にはなったかなと思います。
次回はもっと早く、短くできるよう頑張ります。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/30(金) 20:42:50 ID:ikG9mtru
乙〜
みんなかわいくていいなあ
382名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/30(金) 20:54:11 ID:/+4bH19B
乙!
美女と珍獣とは…なんという斬新な萌えであろうか
383名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/30(金) 21:08:24 ID:PL2a8Fcf
こういう投稿のおかげでスレが早く埋まって万々歳
乙とか言ってる奴らも便乗荒らしかただの自演だと思うけど、そいつらの書き込みのおかげで512KBに近づくよ
384名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/30(金) 21:40:47 ID:qJvEBik2
投稿乙!
キュルケが可愛すぎるww
385名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/31(土) 01:32:38 ID:Fn4X4ku0
今回も面白かった。
このキュルケは男だけじゃなくて女にももてそうだ。
386名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/31(土) 13:01:49 ID:FIaTJZWH
このペースだと夏が終わる前にスレ使い切ってしまうかもしれん
んでもって、また荒らしが立てたりして・・・
387名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/31(土) 14:08:45 ID:YZx6LVg0
その時こそは、完全にスルー出来ると良いなあ・・・
388名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/31(土) 14:59:59 ID:9DCh2NiX
あの荒らしが最後の一匹とは思えない。もしネットが続くならば、あの荒らしと同類の阿呆が世界のどこかに現れるかもしれん。
その時我々は一体どうすればよいのだろう・・・・・・
389名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/31(土) 15:00:39 ID:YZx6LVg0
スルーだろw
390名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/31(土) 15:58:34 ID:BvKp9UJX
もう埋めてしまえばいいのだろう?
391名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/31(土) 15:59:45 ID:9DCh2NiX
>>390
できれば八月三十一日23:59:59まで持たせたい
392ぜろろ  二十八幕間 1/7 代理:2010/07/31(土) 23:45:15 ID:rAt437wz
「えー、本日はこの魔法学院の来賓としてお越し頂いております、ミスタ・ヒャッキマルを御紹介致します。まずは経歴だけ簡単に御紹介させて頂きます」

学院の広場。全生徒を集め、簡易に設置された壇上で、百鬼丸の経歴を説明しているのはコルベールである。勿論その殆ど全てが、コルベールとオスマン、そしてルイズと百鬼丸、四人が練り上げた嘘であるのだが。

トリステインに隣接する大国ガリアから東の地、恐ろしきエルフの住まう、サハラと呼ばれる砂漠地帯。
そこから更に遥か東、ロバ・アル・カリイエで生まれた百鬼丸は、早くして母を亡くし、剣神とまで称えられた父に連れられ、物心のつかぬ内に旅に出る。
エルフの住まう砂漠を越え、ハルケギニアに辿り着けば、他国を渡り歩き、物心ついた時は既にトリステイン王国のヴァリエール領内。人を嫌った父は、人里離れた山奥にひっそりと住居を定め、共にひたすら剣の修行に明け暮れる毎日。
剣神と称された父をも越える境地に至った頃には、既に父の体は病魔に蝕まれ、必死の治療も虚しく、看取ったのはつい先日の事。
今はの際に、知己であるオールド・オスマンを頼れとの言葉に従い、辿り着いたのは、使い魔召還の儀の当日であった。
剣神すら越えるその剣の妙なる様に、感激極まったオスマンに、逗留せぬかと尋ねられ、寄る辺なき身には有難いと、来賓として歓迎した運びである。
ロバ・アル・カリイエの記憶は無く、頑固な父が何故か語るのを嫌ったため、残念ながらそういった質問には全く答えられないが、希望あらば剣の手ほどきくらいは、喜んでさせて頂きたい、と極めて謙虚で、また恩義に熱い人物である。
魔法は使えぬ故に、この国では平民と言えるが、東方の民であるため左様に考えず、敬意を持って接する事。
また、彼の体術は並みのメイジでは太刀打ち出来ぬ程に素晴らしく、その剣術は時に魔法すら打ちのめす。是非とも生徒にみせてはくれぬかと、学院長が自ら頼み、それに快諾をもって応えてくれたため、披露する機会を急遽設けた次第である。

長々しい口上は、要約するとそう言うことである。
しかしまあ、良くぞここまででっち上げたものだと、自分を含めた全員に呆れながら、百鬼丸はその長い、嘘だらけの前口上を、彼のために用意された天幕の中から聞いていた。

因みに、剣神と崇められていたらしい、存在しない父親の名を考えた時、百鬼丸は冗談で、『二百鬼丸』と言ったのだが、真に受けられたので慌てて止めた。
ニヒャッキマルという響きが気に入ったのか知らないし、そこまで嫌がることが気になったのか、何故駄目なのかと、ルイズに執拗に尋ねられ、それを説明するのは実に骨が折れる作業であった。
百鬼丸とは、魔神との因縁から、百の鬼を討ち倒すべし、と寿海に願を掛けられたものである。
全員にそれを甚く感心されたのは気恥ずかしい限りであるが、『百』『鬼』『丸』全て説明しなければならなかった。

そこで今更ながらもハルケギニア人と百鬼丸は、何故言語が通じるのかという疑問に至る。
それは召還魔法の効果であろう、とはコルベールの推測なのだが、固有名詞や漢字、もともと無い言葉に関してはどうやら巧く伝わらないらしい。
393ぜろろ  二十八幕間 2/7 代理:2010/07/31(土) 23:45:56 ID:rAt437wz
なんにせよ、自分の父の名が、詰まらぬにも程がある駄洒落である事は、例えそれが嘘あり、かつ他の誰に気付かれなくとも、百鬼丸は絶対に嫌だったし、今は亡き寿海も浮かばれまい。
しかし、それを説明するのも実に恥ずかしく、また大きな手間で、国と国との差はその距離ほどに、かくも遠いものかと、口が達者でない百鬼丸は、疲れながらにそう考えたのであった。

兎にも角にも、自分の父の名が駄洒落となる事を、全力で阻止する事に成功した百鬼丸だが、これは正しく自分で撒いた種であり、実に下らないその成功に達成感は微塵も無く、思い出すだけで、虚しさだけが未だに残る。
使った労力に対し、得たものは全く無いと断言できる。ただつまらぬ何かを、失わなかっただけ。

因みに最終的に父の名は、ジュ・カーイ。母の名はミーオ。
今は亡き百鬼丸の両親の名を元に、もっとも母の名『ミオ』は出鱈目だが、オスマンがそれを捩ったものである。
己が実は捨て子であり、本当は母の名すら知らない事を、百鬼丸は教えていない。
本当の父の名も当然知らぬのだが、己の父は寿海であると胸を張って百鬼丸は言えるため、知りたいと思ぬ訳でもないが、特に執着は無かった。

哀れまれるのが嫌だったと言う事もある。
己が哀れと思わぬのに、何故他人にそう思われなければならぬのか。

捨て子である事に、自身思うところは少なからず確かにある。しかし自分を必死に育て、仮初とは言え体まで与えてくれた寿海という存在を、百鬼丸は持っているのだ。
かつ孤児の珍しくなかった己の国の惨状を考えれば、死ぬこともなく、弛まぬ情をもって育てられた自分は、恵まれている、とさえ思っていた。

また、心ゆたかなルイズという少女は、きっとそれを聞いてまだ見ぬ己の両親に腹を立て、悲しんでしまう、そんな気がした。

ともかく、母の名はミオと勝手に決め、其の嘘の上に更にミーオと新たな嘘を被せる。
名は適当である。以前そんな名を聞いたことがふと思い出された、というに過ぎない。
故にルイズたちは百鬼丸の母の名が本当にミオだと信じているが、実は嘘である。

生徒達に説明する己の経歴のほぼ全てが嘘で、一部が本当。しかしその一部の中のさらに一つが自分にとっては嘘なのだが、ルイズ、コルベール、オスマンの三人にとっては本当だが、実は嘘で。

最早何がなんだか分からない。

痛みは感じないはずだが、頭痛がしてきた気がする。
と、勝手に混乱しかけたところで、どうやらようやく出番が回ってきたらしい。

「それではヒャッキマルさん、よろしくお願いします」
「ああ、助かったよ」
「何がです?」
「何でもない……。わかってるって、ちゃんとやるよ」

天幕に篭った百鬼丸に聞こえるように、幕の外から、口上を終えたコルベールが小声で呼ぶ。
394ぜろろ  二十八幕間 3/7 代理:2010/07/31(土) 23:46:34 ID:rAt437wz
これから百鬼丸が何をやるかというと、東方の名剣士ヒャッキマルによる『東方剣術披露会』と題して、演武を三つの演目に分け披露するのだ。
その第一演武をこれより彼は行うのである。

因みに言えば、武芸の技前を人前に披露する演武は、ハルケギニアでは存在しない。剣は魔法に劣ると考えられているこの地では、文化として、剣はもちろん、平民の扱う武器の術理を芸にまで昇華させる土壌がまず無いのである。武芸と言う言葉すらない。
但し、剣の形状をした杖を扱い、攻撃を行いながら魔法を行使する、という技術の体系は存在するのだが、そもそもこれは魔法を行使する手段の一つでしかない。なんにせよ、魔法が第一なのである。
もし仮に、ハルケギニアで演武が生まれるのであれば、それはこの技術が最初にその形を創るのかもしれないが、未だ、芸と呼ぶほどは成熟していない。
そして魔法抜きにしてハルケギニアの文化は発達し難いのである。
であるからして、東方では剣が芸に昇華する土壌があるのか、と言う質問を、もし問われたらこう答えるしかない。知らない、と。
生徒達に伝えた百鬼丸の嘘の経歴によると、彼は東方の事を何も知らないし、本当に何も知らない。
唯一彼が知っている事と言えば、その国が東にある事くらいだ。
そしてロバ・アル・カリイエ発祥らしい自身の剣技と刀の事のみ。

東にあるのは本当で、剣術と刀は東方のものかと言うとそれは嘘。では全く何も知らないと言うのは嘘かというと、百鬼丸にとっては本当。しかし生徒にとっては嘘であるのか。

実にややこしい。

さて問題はその演武であった。ハルケギニアを出た事のない三人は当然のことながら、百鬼丸も演武を行う人間と会ったことが無い。
亡父、ジュ・カーイ、ではなく寿海から、そういうものがあると、かつて耳にした程度のもの。
それが存在する事と、それは武芸の腕を人前で見せるもの、と実に大まかなこと知らないのだ。

これからそれを見せる生徒達には、演武とはロバ・アル・カリイエの古くからの風習で、どういうものであるか、と説明しているが、勿論嘘で、ロバ・アル・カリイエにそんなものがあるかどうか知らないし、実際の演武がどういったものかも知らない。

では演武の内容であるが、何を見せるか、これを四人であれこれ考えながら決めていったのだが、これがまた百鬼丸には大層面倒であった。
彼らは自分の事を過大に評価しすぎである。
特にルイズであるが、彼女は無茶ばかり要求した。というか無茶しか要求してこなかった。

彼女のその要求は、つまり彼女が自分をどのように見ているか、と言う事に等しいのだが、おかげで、果たして人間そっくりの己は一体なんという生物であるのか、分からない答えは更に分からなくなる。

既に越えた山を振り返り、その大きさを認める事で己の苦労に酔うかのように、一連の流れを、どこか感慨深く思い出していた。




第二十八夜 幕間、其の一 人知れぬ涙




ひっそりとそれでいて騒がしく、学院長室で密談していた時の事である。
395ぜろろ  二十八幕間 4/7 代理:2010/07/31(土) 23:47:04 ID:rAt437wz
嘘の経歴を長々と考え、次はさて演武、何を行うのかと言う段に至り、煮詰まった末、それでは何をして欲しいか、と百鬼丸が問うたことが、果たしてその始まりであったのか。

では、とコルベールが期待の眼差しで、人の胴体ほどの水の柱を両断して欲しいと言う。
するとルイズは、百鬼丸なら小川くらい両断できる筈だ、とそう言うのだ。無理だ。
水は切れないから出来ないと主張すると何故か、それ以上の自信で、百鬼丸ならできる筈だとルイズは言う。
百鬼丸はまず、自分がモット伯相手に如何に苦戦したかを説明し、更に、不様にもオスマンに水を頭から浴びせられた光景を思い出させる事で、何とか納得してもらえた。どちらも余り良い思い出ではなかったが、どうやら説得力はあったようだ。

今度はオスマンが、これも期待の眼差しで、直径二メイル程の大きな岩球を高速でぶつけるので、それを一刀両断して欲しいと主張する。
するとルイズが、百鬼丸ならその程度、十個くらいは連続で出来ると言う。無理だ。
刀の幅を超えるものは両断できぬし、第一ぶつかったら自分は死んでしまう。そもそも高速でぶつける意味が分からない。
そう主張したが、人間というのは自分達の想像以上の可能性を秘めているのだと、誰かに聞いたらしい事を根拠に、百鬼丸なら出来る筈とルイズは言った。
百鬼丸はまず、刀がどうやって物を切っているのか、その理屈を説明した。
次いで、思い出したくもなかったが、再び、自分が苦戦したモット伯の魔法が、どれくらいの威力で自分を吹き飛ばし、死にはしなかったが、それでも不様に気を失ったのか説明した。しかし納得してくれなかった。
絶対死なないと百鬼丸は言ったではないか、と詰め寄られる。そう言う意味ではない。
お前は直径二メイルの岩を高速でぶつけられたら死なないのか、と尋ねると、絶対死ぬ、とルイズはそう言うのだ。
無茶苦茶である。
とにかく無理の一点張りで、辛くもこれを退ける事に成功した。

また、コルベールが、では今度は控え目に、と言う言葉をまず始めにつけて、五メイル級のゴーレムと戦う勇姿を見たいと言う。
ゴーレムとは何かと聞くと、土や鉄で作られた勝手に動く人形だとか。
百鬼丸が初めて倒した魔神と同じくらいの大きさだ。些か梃子摺りながらも、コルベールの助勢を貰い、そう苦戦もせずに退治たのは記憶に古くないため、鉄製ならば厳しいが、あるいはこれなら出来るかも知れない。うん、確かに控えめだ。そう思って口を開こうとする。
しかし、またもやルイズがすかさず口を挟む。
彼女もコルベールと同様、今度はあたしも控えめに、と言う言葉をまず始めにつけて、百鬼丸なら三十メイル級は相手に出来ると言う。無理だ。
いくらなんでも大きすぎる。何処がどう控えめで、一体自分を何だと思っているのか。

因みに、始めに提案された意見に対して、彼女が膨らませた倍率が、此れまで十倍ほどであったのに対して、今回は六倍であると言う事実が、彼女が控えめに言った事の証拠に他ならないらしい。
半分の五倍でなかったのは、二十五よりも三十の方がきりが良かったからである。

あわや取っ組み合いになるかまで発展しかけた口喧嘩を宥められた後、百鬼丸はその言葉を聞いたのだった。二十五だろうが三十だろうが、どちらにしても無理だと思ったのだが。

そんな紆余曲折どころか、迷走に迷走を重ねながらも、三人の提案を元に三つの演目が完成したのだった。三人と言うのはルイズの発想も少しだけだが、元にしているため、嘘ではない。

長い道のりであったと、まだ始まってすらいないのだが、これから見世物にされる現実から目を背けるように、必死に達成感を得ようとする百鬼丸だった。

「ヒャッキマルさん? 早く」
「わかってるって、今行くよ……」

演武を見せるために用意された場所へ向かう。大きく馬蹄形に並んだ生徒に囲まれて、百鬼丸は嘆息した。
やはり気分が乗らない。

しかも今身に着けているのは、オスマンが勝手に作った特性の着物。
396ぜろろ  二十八幕間 5/7 代理:2010/07/31(土) 23:48:03 ID:rAt437wz
百鬼丸の着物と、全く同じ形で、濃淡様々の赤、青、茶、緑の縦縞と真っ白の帯。しかも材質は絹である。
本来は上品なはずの絹特有の艶が、てらてらと下品な光を放ち、派手にも程がある上趣味が悪い、と百鬼丸は思う。
しかし、生徒達にはさぞや異国情緒溢れる意匠に見えるのだろう。物珍しそうな視線が多いのは、絶対にこの趣味の悪い色柄のせいだ。
何より手渡ししてきた時のオスマンの顔の、なんと楽しそうな事だったか。憎らしい事この上ない。

しかし、ここまで来てさらに恥をかく訳にも行かないし、それはオスマンの顔に泥を塗る行為となる。口上によるとオスマンが百鬼丸の剣技に感動して、演武を頼んだらしいのだから。
これは嘘なのだが、しかし聞かされた生徒達にとっては本当な訳で。

ついでに言うと、ニヒャッキマル、ではなかった、ジュ・カーイという存在しない剣神の名も汚してしまう。母の名は、はてなんだったか、確かミエ、だったか。
いや、タエ、だった気もする、どうにも思い出せない。
名前すら覚えていないとは、嘘の親に対して親不孝どころの話ではない。もっとも気に病むのも馬鹿らしいのだが。

馬蹄に並んだ生徒達のいない部分にはオスマンの左右に一人ずつ教師がいる。オスマンの右手には痩せ型で長身、こけた頬、真っ黒な外套を身に纏っている、陰湿な雰囲気をもった男。
左手のもう一人は、その男とまるで正反対で、人の良さそうな顔つきと、土色の外套を羽織ったふくよかな体型をした女教諭。

「それでは第一演武、『礫の舞』を始めます!!」

どんっ、どんっ、と二度、腹まで響く様に太く、大きな太鼓の音。悪乗りしすぎだ。
そしてこの演目名。本当に勘弁して欲しい。

演目名は全てルイズの提案によるものだ。演武の内容に合わせ、全ての演目は『何某の舞』と言った具合に統一されていた。
舞とはつまるところ、ルイズにとっては華麗な踊りであるのだが、百鬼丸にとってはそうでない。
彼の国に、舞という芸が存在した事を百鬼丸は知っている。しかしこれも寿海から聞いただけ。彼の国の古の神がそれを行っていたと言う程に歴史を持ち、かつそれは大層に優雅なものであるそうな。
そんなわけで百鬼丸はその『舞』と言う言葉に全力で反対した。
小恥ずかしいにも程がある。

もっともルイズの認識する『舞』と彼のそれとが一致したところで彼の行動は変わりないだろうが。

しかし、演目名に関しては、反対したのは何故か百鬼丸だけで、それはいいと、賛成どころか推し進めるオスマンとコルベールの手もあり、彼の意見は容易く無視され、無力にも勝手に決められてしまったのであった。
貴族と言うのは一様にそういった言葉を好むのだろうか。第一野蛮な自分には、舞という雅な言葉は似つかわしくないと、百鬼丸はそう思う。

しかし彼にとっては容赦なく、第一演武『礫の舞』はコルベールによって高らかにその名を周知され、既に開始を宣言されているのだ。

恨めしげな視線を向けるも、コルベールですら何処となく楽しそうである。
こうなればやけくそだ、と百鬼丸も腹を括った。

コルベールの合図と共に、オスマンたち三人は杖を掲げると、鶏の卵ほどの、数十個の石礫が宙に浮く。
第一演武は大量に打ち出される礫を全て捌く、と言う趣向だ。

予想以上の過激な趣に、生徒達はどよめき始める。その様子は驚いている者、無理だと笑っている者、期待に目を輝かせる者など、実に様々。
ちなみに内容を打ち合わせただけで、予行練習はしていない。その事も生徒達には伝えてあるため、それがまた生徒達の興味を煽る。
対手である教師の人選はオスマンによるものである。


百鬼丸の周囲は生徒達が囲んでいるのだが、危険が無いよう、最前列から少し前に飛び出たところに、教師達が間隔を空けて配置されていた。
それだけでは足りないだろうと中に数名、恐らく選抜されたのであろう若い、恐らく生徒も混ざっている。

最前列に並ぶ学生達の中、彼の右前方に桃色の髪を持つ小さな頭を見つけた。目が合う。
397ぜろろ  二十八幕間 6/7 代理:2010/07/31(土) 23:48:37 ID:rAt437wz
何の罪も無い己を、かくも非道な処遇に追い込んだ下手人の一人は、両の掌を胸元、両脇あたりに持ってくると、頑張れ、とでも言いたいのだろうか、拳をぐっと握りこみ、真剣な眼差しで見つめ返してくる。



無視した。



時折何かを堪えるようにびくん、と体を揺らすオスマン。その表情から鑑みるに、明らかに痛みの類ではないのだろう。遊ばれていると確信した百鬼丸は、絶対に何時か仕返ししてやると心に誓い、手に握る刀にちらりと視線を向ける。

百鬼丸の手の中にあるのは、これまたオスマン特製の刀。若干重いが、気になるほどでもない。自分の刀が傷むのが嫌なので、オスマンに言って作ってもらったのだ。
魔法によって形成され研がれた刃と、柄を組み合わせ、更に固定化をかけている。鞘もついでに作ってある。
切れ味は劣るが、頑丈さは折り紙付きの一品である。ただし、柄と鞘は着物と同じ模様。それどころか、どうやったのか知らないが、刀身にまで同じものが付いてある。
おまけにこれが縦縞でなく横縞なため、最早趣味が悪いと言う言葉を通り越し、眺めているだけで目が回った。

気持ちが悪い。これが、ルイズが言っていた、見たくないものであり、そして生きているという事か、とは百鬼丸の心中。
398ぜろろ  二十八幕間 7/7 代理:2010/07/31(土) 23:49:04 ID:rAt437wz
どうにも間が抜けている。

ちなみに何故か彼の刀には固定化の魔法はかからなかった。妖気を大量に吸った刀は、魔法を押しのける力でもあるのだろうか。紐をつけ今は自身が背負っている。
長い事己から離れた事が無い、共に幾度の死線を掻い潜ってきた相棒だ。一時たりともこの身から遠ざけるのは憚られた。胴を僅かに超えるほどしかない丈ほどの細い金属は、背負っていれば、それ程重みも感じぬし、邪魔でもない。

すっと右手を高く掲げるコルベール。小刻みに震えているのは、きっと魔神との戦いの疲れがまだ癒えていないせいであろう。百鬼丸の知るコルベールは、とても優しい真面目な人間だ。

振り下ろすと共に、きっと疲れているのだ、息混じりの震えた声で号令をかけた。

「はっ、くぅ、はっ、始めっ!!」
「いひ、いくぞっ、ヒャ、くっ、ニヒャっ、ニヒャッキマル君っ!! くふぅっ」

オスマンの言葉とともに、一斉に石の礫が百鬼丸目掛けて飛んでくる。

「おれは百鬼丸だっ!!」 

執念の塊によって己の義肢は動いていると信じる百鬼丸は、きっとこの仕打ちを忘れない。

「畜生っ、覚えてろよっ!!」

冗談のつもりで用意した衣装を、律儀にも全て身に着けている百鬼丸の姿に、必死に笑いを堪えようとするオスマン。
それに対して百鬼丸はどこぞの小悪党のような言葉を吐いたのだった。

声のみでは到底足りぬ。
今は流れぬ己の涙を、百鬼丸はとにかく早く取り戻したいと思った。
399ぜろろ 第29話 1/12 代理:2010/07/31(土) 23:50:07 ID:rAt437wz
珍妙な姿で情け無い言葉を吐きながらも、百鬼丸の剣技は、やはり周囲の殆どを驚嘆せしめた。
眼にも留まらぬ速さで、それでいて正確に石礫を叩き落し始じめたその姿に、舞、という演目名の意味を、見るもの全てが理解する。
百鬼丸は知らないが、一分の無駄も無いその体全ての働きこそが、華麗に踊るかのような印象を見るものに与えるのだ。

礫の数は、以前シエスタを生徒から守った時とは、比べ切れぬほどに多いが、背後に庇うもの無く、また、傷むこと無い刀を振るう己の動きを縛るものは、今は何も無い。
それを理解した百鬼丸は、ますますその本領を発揮する。
百鬼丸にとっては小恥ずかしい『礫の舞』の名は、それを見るものにとっては、正しく相応しいものと言えた。

「驚いたな……」

とは百鬼丸自身の呟きである。余裕がある。
時にかわし、時に手の甲を僅かに掠らせ軌道を逸らし、同時に複数叩き落したかと思えば、体を捻って腰の鞘で礫を防ぐ。
魔神から取り返した右目のおかげで、自身の技が冴え渡るのを自覚した。

「それまでっ!!」

終了の合図と共に、ぱちんと、敢えてわざとらしい音を立て、刀を鞘に戻した。
礫の雨も止み、己の体をまともに打ったものは一つとして無い。
これにて一先ず終了か。

いや、もう一発、大きい。

終了の合図が鳴ったにも関わらず、百鬼丸を狙うそれは、先程も幾つか混じっていたのだが、それらに輪をかけ明らかに大きい。
既に上空に上げられていたのであろう、落下にあわせて再び力を持ち、背後を狙っている事から、死角を狙っている事には間違いなく、打ち合わせとは違う。

「む、」

そこへ来て右の爪先を狙う鋭い風の流れに気付いた。
ひょいと軽く右足をあげると、土踏まずがあった辺りの地面が、刃物で斬られたかのように、親指の丈ほど僅かに抉れる。

これも含めて、生徒達は余興と考えているのだろう、期待気な眼差しだ。
が、礫と呼ぶには大きすぎる、人の頭ほど在るそれと、今しがたの風の刃には明確過ぎる害意を感じる。特に足元を狙った奇襲は、恐らくほとんどの者が気付いていない。

良いだろう、応えてやろうじゃないか。

その誰にも聞こえぬ声は、周囲の期待に対しても、そしてその中に混じる悪意に対しても。

上げた足を再び支えに、寸前で体を捻り、掬い上げるような大振りの一刀で、これ見よがしに真っ二つに切ってみせた。

沸きあがる歓声の中、百鬼丸は相手を睨み付ける。オールド・オスマンの右手にいる男。黒いローブに身を包んだその男は、挑発的な笑みを隠そうとはしない。
400ぜろろ 第29話 2/12 代理:2010/07/31(土) 23:50:46 ID:rAt437wz
売られた喧嘩は買う主義だ。だが、恐らくまだ何か仕掛けてくるつもりだろう。
相手、いや、敵は哂っているのだから。

ふん、と鼻を鳴らし、百鬼丸は取ってつけたかのように立礼すると、生徒達の手前、苛立ちを隠し、悠然とした足取りで馬蹄の輪から抜け出した。

「ううむ、一発くらい当てるつもりだったんじゃが」
「ええ、驚かされます。明らかに進化とでも言いますか、向上しておりますな。目が見えるようになったおかげでしょう」

オスマンも百鬼丸の体と、魔神との関係は既に聞き及んでいる。

「しかし、どうします?」
「放っておけ。調度良いくらいじゃ」
「しかし、もし何かあっては」
「自分で片付ける」
「ヒャッキマルさん?」
「ああいう手合いは、気に喰わん。着替えてくる」

近づいてきた百鬼丸はそれだけ言うと、天幕の中へ引っ込んだ。
当然だが、不機嫌極まりない。

「ヒャッキマル君もああ言っておる事じゃし」
「まあ、そう言う事でしたら、しかし何が起こるかわかりませんぞ?」
「君は心配性じゃのう、ミスタ・コルベール? だから禿げ……、いやっ、は、はげっ」
「……オールド・オスマン?」
「は、激しい戦いになりそうじゃっ!!」

真面目ぶって、虚空を睨みつけるオールド・オスマン。

そして忍耐は美徳であると考えてはいるが、それと同時に、時には容易く激情に身を委ねる事も、精神を保つ為には必要だと、コルベールは思うのである。




第二十八夜  幕間、其の二 喧嘩上等




さて、今回催されたこの剣術披露会。百鬼丸が嫌がっている通り、正しく見世物である。
しかし決してオスマンの娯楽なぞではない。
きちんと目的が二つあり、その目的を達成する手段としてこの剣術披露会が行われているのだ。
オスマンは飽くまで、ついでに、そして出来るだけ、楽しんでいるだけである。因みにルイズはルイズで、百鬼丸にとっては迷惑甚だしいのだが、彼女なりに真面目に考えていた。
401ぜろろ 第29話 3/12 代理:2010/07/31(土) 23:51:14 ID:rAt437wz
それはともかく、これを行う二つの目的。
内一つは既に達成していた。

一つ目の目的は、百鬼丸という人間が学院に存在し、それは不自然な事ではない、と学院内の人間に周知する事。

彼を学院に留めると言う前提を崩す事は出来ない。
シエスタを救出する際に見せた、魔神の気配を察知する能力を持つ百鬼丸は、下手をすればハルケギニア全土すら脅かしかねない魔神に対抗する、現状では唯一の存在なのである。
そして、そんな彼を預ける場所が、今は学院を置いて他に無い。

故に暫くここに留まる事になるであろう彼を、いつまでも正体不明の平民のまま置いておく訳には行かないのだ。ルイズの使い魔にでもなるのであれば、まだ話は早いのだが、百鬼丸は勿論の事、ルイズも何か思うところがあるのであろう、それを良しとしなかった。

よって、百鬼丸という人間は何時、何処から、どのように、何の目的でやってきた、どんな人物であるのか。
既にコルベールの前口上をもって、百鬼丸の経歴と今に至る経緯を周囲に知らしめ、その目的の一つを達成していた。

そしてもう一つの目的。これこそが、現在、学院の為すべき最重要課題である。
それは、百鬼丸と貴族との衝突を防ぐ事。

百鬼丸を学院に留めるという前提によって、魔法学院は常に問題発生の可能性を抱え込むことになった。

まず、百鬼丸の性格と、貴族の価値観の差を考えた時、既に前例もあるのだが、衝突する事は間違いない。
貴族の殆どは平民を蔑み、百鬼丸は他人を蔑む人間を嫌う。
そして悪意には悪意で、純粋な暴力に対しては、百鬼丸は同じく、純粋に暴力で対抗するのだ。
彼は蔑まれる事に対しても、蔑まれる他人を助ける事に対しても惜しみなく剣を振るうだろう。

彼に問題が無いとも言い切れないが、彼のその性格は修正できるものではなく、彼の根幹に有るもの。オスマンもコルベールも個人的にはその性格は好ましいとは思う。
それでも、そんな百鬼丸とその周囲を取り囲む人間、というか、貴族であるが、両者はその互いが、本来からして反発しあう性質なのだ。

彼の根幹を変えることは不可能。
同様に学院にいる全ての貴族の価値観を変えることは、これもまた不可能。
つまり百鬼丸と貴族との反発は避けられず、放っておけば両者の衝突は免れない。

これで百鬼丸が一方的に負けるのであれば何の問題も無いのだが、そんな可愛気は当然無い。

百鬼丸は、強い。これがまた問題なのだ。
402ぜろろ 第29話 4/12 代理:2010/07/31(土) 23:51:55 ID:rAt437wz
シエスタを救出する際に百鬼丸が見せたその強さに対して、コルベールは危機感を覚えた。
よもや彼が、人間相手に足に仕込んだ大砲を向けるとは思わない。
しかし、それを抜きにしても、高位のメイジですら、彼と戦えば手傷を負う可能性があると考えたのだ。
魔神から右目を取り返したことで、更に身体能力を高めたのであろう、先程の彼の技の切れを見ればその判断は正しかった。
そして魔神を屠る毎に強くなるであろう彼を想像すれば、それはどれ程の力になるのか分からない。
おまけに、百鬼丸の様子から察するに、仕込んでいるのは間違いなく大砲だけではない。
剣と大砲のみでは武装としては極端すぎる。中間に位置する何かを、魔神を倒す事に全力を傾ける彼が持たないはずが無いのだ。
その劣等感から、見せたくないのであろう、彼はそれを、教えようともしてくれない。
ならば容易く聞きだせるようなことでもなく、未だ不明のままである。
恐らくは飛び道具、矢か銃か、はたまた見た事も無い武器なのか、その程度には推察してはいるが、彼がそれを見せない限りは明らかになることは無い。

そう、百鬼丸の強さの底が、まだ誰にも見えないのだ。

百鬼丸と貴族との衝突は、まず互いの暴力をもって始まる。
それは一方的なものでなく、貴族が傷を負い、あるいは負かされる。
そこへ権力が絡む可能性が実に高い。
それにより起こるのは、他国の生徒すら預かっているトリステイン王立魔法学院においては、下手をすれば戦争にすら発展しかねないほどに大きくなる場合も十分に有り得えるのだ。しかし魔神の脅威を考えれば、今は百鬼丸を留め置くより他無い。


百鬼丸は言わば、火薬庫の中に存在する、手放してはならない火種であるわけだ。


しかし両者の反発は先も述べたとおり必至。
ではどうするかと言うと、反発しても衝突しなければ良い。
では衝突を無くすということを目的と設定し、いかにこれを達成するか。

そのための手段が二つ。
一つ目は、百鬼丸に権力の後ろ盾を与える事。

これはオールド・オスマンという権力の後ろ盾を持っている事を周知することによって成される。
そして既にさきの目的達成と同時に完了していた。
百鬼丸はオスマンたっての希望で、学院に逗留している、とコルベールが紹介したのだから。
これにより学院内の殆どの人間は彼に手出しできなくなる。

しかしそれでも手を出してくる人間がいるであろうと予想された。そして現在正にその通りになっている。

それを踏まえたうえで、もう一つの手段。
403ぜろろ 第29話 5/12 代理:2010/07/31(土) 23:52:23 ID:rAt437wz
百鬼丸は強い、と認めさせる事。

メイジ相手に手傷を負わす程に百鬼丸は強いと、オスマンの後ろ盾すら物ともせぬ輩に、そう知らしめる事なのだ。
これが、本日の『剣術披露会』に至り、過剰なまでに派手な『演舞』を行う理由であった。


平民を見下す貴族を快く思わず、魔法に対抗する力を持った平民の百鬼丸。
避けられない両者の衝突。

『学院を揺るがす問題がいつか必ず起こる』

これが現状である。
貴族の子女を預かる学院として、これを解決するのが急務である、とのコルベールの意見に対してオスマンも同じ考えであった。

そして解決策は先にも述べたが、要約すると以下の通り。

『百鬼丸に権力を与え、力を示し、何者も彼との衝突を避けようとさせる』

権力だけでも、力だけでも、反感を買うだけなのだ。
時間の経過と共に反感を呼び、衝突する可能性が高い。
両方を保持してこそ、その目的は為される。
そのための『剣術披露会』であり、『ヒャッキマルの紹介』と『演武』であった。

これにより、百鬼丸と言う消せない火種から、貴族という名の火薬は逃げる、となるわけである。

もちろん百鬼丸がそれを笠に好き放題する人間ではない、という人となりあっての事である。同時に彼の性格と力が現在の問題を抱えるに至る切欠でもあるのだが。

百鬼丸の性質により抱え込んだ問題を、その性質を使う事で解消するという、外から見れば実にお粗末と言わざるを得ない事実は、コルベールもオスマンも分かっている。
しかし事実は事実であり、対応は必要かつ急務。

モット伯殺害事件を調査する王宮からの使者の応対に奔走する中、問題児の百鬼丸に対してオスマンが憂さを晴らそうという気持ちも、多少は理解できると言うものである。

さて、その問題児であるが、百鬼丸の協力無しに成り立たぬ、彼にとっては面倒極まりないこの計画に何故協力するか。

出て行く、と言う選択肢は、百鬼丸の中には無かった。
いや、出て行きたくない、と言う方が正しい。
コルベールもルイズもシエスタも、三人のその人となりを、百鬼丸は好む。
オスマンは除く。嫌いではないが、彼に対する感情を百鬼丸はうまく言葉に出来ない。
好きか嫌いかで言えば、好き、といったところか。
404ぜろろ 第29話 6/12 代理:2010/07/31(土) 23:53:03 ID:rAt437wz
しかしその全員が所属しているトリステイン王立魔法学院。
父である寿海を除き、己を人として扱ってくれ、そして尊敬もできる知己を生まれて初めて得たこの学院は、彼にとってはかつて無いほどに居心地が良いのだ。
彼はまだ気付いていないが、それらは同じく生まれて初めて得た友人である。
そして友人を得たこの場所は、彼が旅に出て初めて得た、己の居場所なのであった。

もっとも魔神を追うことこそ彼にとって最優先ではあるのだが、その所在は不明であるため、彼が学院を出ない、という理由はあるが、出ていきたい理由は、彼にとっても現状では存在しない。

ならば百鬼丸も学院に留まる事を前提とすると、自身のためにも世話になった恩人のためにも、彼は協力せざるを得ないわけである。
百鬼丸とて、好き好んで見世物になっている訳では無いのだ。

兎も角、魔神戦を終え、事後処理に奔走するその最中にありながら、思慮深く、学院の事を真摯に想うコルベールは、この計画を立案し、迅速に実行した。
その矢先、コルベールの危惧した通り、既に一人、しかもあろうことか教師である男が、彼に喧嘩を売っている。
それに対する百鬼丸は、先の会話の通り、買い叩くと言うもの。

剣術披露会を行うという結論に至る理屈の中に、見事なまでに納まっていた。
実に頭の痛いことである。
だが必ずしも悪い事ばかりでもない。

本来生徒の模範たる教師が、その様な行為に至るのはコルベールにとって誠に遺憾である。
しかしやりようによっては、絶好の機会とも言えるのだから。

百鬼丸に危害を加えようとする男、『疾風のギトー』と呼ばれる最高位に位置する風のメイジである。
『火』『水』『風』『土』と存在する四つの属性の中で、一般的に戦闘に、特に攻撃に適した属性は、『火』と『風』と言われている。
見た目通りの陰湿さと、その器量の狭さに、人望は全くと言って良いほど無いが、魔法に関してはそうでなく、学院でもかなり高い技術を持つ事は、誰もが認める事実である。
つまり、そんな『疾風のギトー』は、強い、とそう考えられているはずなのだ。
しかしその立ち振る舞いから、恐らく戦闘経験は少なく、条件さえ整えば百鬼丸が勝つ可能性はある、とコルベールは推察している。
とはいえ両者にとって危険なため、戦闘は避けるべき事だが。

ではそんなコルベールはどうかというと、従軍経験のある彼は、戦う事に関しては、実は学院の中でも一、二を争うほど慣れているのだが、普段は荒事を嫌い、その性格は実に温厚。
また好奇心旺盛で奇妙な研究ばかりしており、貴族らしからぬ、特に荒事を避けるその言動から、強いと言う印象は全く持たれていない。
『頼りない変人』という表現が最も短く、かつ端的に彼の持たれる印象を表す言葉だ。
405ぜろろ 第29話 7/12 代理:2010/07/31(土) 23:53:27 ID:rAt437wz
そしてそんな評判を知っていながらも全く頓着しない彼の様子が、さらにその印象に拍車をかけていた。誇りを持つべき貴族として、情け無い、と。

つまり、オスマンを抜きにして、学院に存在する中で、最も強い、と思われている筈のギトー。それを百鬼丸が倒せば、百鬼丸は学院の中で最も強い。
さらに学院長の後ろ盾。そんな相手に喧嘩を売る人間は失せる。

単純且つ強引ではあるが、こういった算段である。

言うなれば、剣術披露会を開く目的を達成する上で、ギトーは最高の人材なのである。
コルベールは認めたく無いが、最高の生贄、とも呼べる程に。
それでも百鬼丸がギトーに勝利した時、計画は大成功となるのだ。
故にこれは幸運に違いないと前向きにコルベールは考えるようにした。

問題は、直接対決を行わず、百鬼丸がギトーに勝利、あるいは同等の力を持つと証明する方法。これに関してはオスマンの口振りから察するに、何か考えがあるのだろう。
普段は飄々として昼行灯を装っているが、コルベールですら思慮に着かぬほど計算高い一面を見せる事があるオールド・オスマン。
その程度には信頼しているし、実はオスマンが何も考えていないなぞとは、コルベールは想像したくなかった。

頭皮、ではなかった、逃避する事くらい、偶には始祖もその広い御心で哀れな自分を許してくれる事であろう。
近頃冷たく吹く風は、心配性の自分の頭には優しくないのだ。

と、考え事をしていた間に、どうやら次の準備が整ったらしい。
せめて無事終わる事を祈りながら、不安を吹き飛ばそうと精一杯声を張り上げた。

「お待たせいたしましたっ!! 間もなく、第二演武『斬鉄の舞』始めますっ!!」

中央には既に百鬼丸の姿。因みに服は、流石にあの冗談でしかない柄の着物を着て再び人前に出るのは嫌だったので、元から自分の着ていたものに着替えている。が、刀はそのままである。次の演武を考えると、オスマンの用意した悪趣味な刀の方が、俄然適しているからだ。
この見世物の目的を理解している百鬼丸は、嫌々ながらも、その達成のために最適と考える手段を選択した。

再び馬蹄形に集まる生徒達。先程の派手な余興から、次は何が行われるのだろう、と期待を高らかにしている様子がありありと見て取れる。

百鬼丸は不機嫌ではあるが、先程までとは打って変わって、気勢が上がっている己に気がついていた。

敵がいる、その事実が百鬼丸の意気と集中力を高める。

人を守る事に力を惜しまぬ一方で、短気で意固地な青年は、己を見下し、挑戦してくる手合いには容赦がない。
406ぜろろ 第29話 8/12 代理:2010/07/31(土) 23:54:02 ID:rAt437wz
育んだ環境と置かれてきた状況が彼をそうしただけで、この性質は先にも述べたように彼の気性でしかないのだ。
そして若さとは、その許容の範囲を左右する一つの要素に過ぎない。
さらに言うなれば、不機嫌な百鬼丸にとってギトーの侮蔑と挑発は、己の有り方を貫きつつも、溜まり溜まった鬱憤をぶつける格好の的であった。
普段であれば、進んで相手を嗾けるようなことはしない百鬼丸だが、自然、過激な行動に出るのも無理は無い。

再び馬蹄に組まれた生徒に囲まれる。先程までオスマンと二人の教師がいた場所は、今は大きな椅子に腰掛けるオスマンのみ。敵であると百鬼丸が認識した男、ギトーは、今は生徒達を守る壁役の一人として立っていた。

「それでは、第二演舞『斬鉄の舞』始めっ!!」

オスマンに向かい、慇懃に一礼すると、百鬼丸は周囲に立てられた鉄製の様々な武具をゆっくりと見回す。
第一演舞で対手の一人として参加したふくよかな女性、土の上位のメイジであるミセス・シュヴルーズというらしい、彼女が錬金の魔法で作り上げた強固な武具を、自分が一刀両断する、という趣向である。

平民如きにミセス・シュヴルーズの強力な錬金で作り上げた、しかも鉄製の武具を切れるわけがない。
そう、普段の生徒達ならば冷笑を浴びせるだろうが、先程の百鬼丸の華麗且つ激しい姿が期待となり、生徒達の関心を集めていた。

まずは丈は百鬼丸と同じくらい、太さは子供の手首ほどの、一本の棒の前に立つ。始めに切るのは、この何の変哲も無い、しかしそれで人を殴れば骨を砕く事は容易い硬度と重みを持った鉄の棒である。

娯楽に飢える学院の生徒達に少なからず刺激を与えると予想されたこの剣術披露会。副次的な効果であるとは言え、目聡いオスマンがそれを見逃すわけもなく、演舞の内容は、学生達を盛り上げるための考慮も成されてある。

細いものから、次第に太く大きなものを切ってゆくと言う順序は、言うなれば演出だ。
これを切る事が出来るか、ならば次は出来るのか、そんなものまでも切れるのか、と次第に見るものたちの期待を煽ってゆくのだ。

刀を抜くと、百鬼丸はまず様子を伺うようにギトーの顔にちらりと一瞥をくれると、再び正面を見据える。
ゆっくり刀を上げ、えいやっ、という掛け声と共に、勿論これも演出であるのだが、鉄の棒を容易く切り捨てた。

おお、と小さなどよめき。しかしこれはまだ演武の始まりに過ぎない。
周囲にはこれから切られる為だけに飾られた様々な武具がまだまだ存在しているのだから。
407ぜろろ 第29話 9/12 代理:2010/07/31(土) 23:54:33 ID:rAt437wz
そんな中、百鬼丸はギトーに再び目を向ける。唇の右端を僅かに吊り上げながら。

挑発しているのだ。しかしギトーは何も仕掛けてこない。気がついたようだが、顔を顰めただけ。だが構わない。
そう、演武はまだ始まったばかりなのだから。

次に切るのは剣。直線で、先端に向かって末広がりの刃を持つ諸刃の剣は、百鬼丸の刀が斬る事を目的として作られた物であるのに対し、鋭さと共に重みで叩き潰す事を目的とした形状で、多少大きいが、百鬼丸にとっては鉈に近いものである。
その前に立つと百鬼丸は今度は袈裟に、先ほどと同じような掛け声を上げる。
鋭い音と共に、百鬼丸の刀が剣をすり抜けたかと思うと、刀でなぞった部分から上が、地面に引かれて斜めに滑り落ちた。

さらに大きな歓声。太さ、厚みでいえば先程の棒とそれ程大差無いのだが、剣で剣を切るというこの妙技に、生徒達は興奮しているようだ。

実を言うと今回のこの演武、百鬼丸にとってそれ程難しい事ではない。彼が寿海から譲り受けた刀であれば、その強度から、恐らくこうも容易くはいかないが、今彼が手にしているのは、百歳とも三百歳とも噂される高名なメイジ、オールド・オスマンによって作られた刀である。
切れ味こそ、百鬼丸の刀には劣るものの、強力な力で固定化の魔法を掛けられたこの刀は、とにかく頑丈で硬い。
その魔力は刀の隅々まで行き届き、鎬から先、薄くなるにつれ当然強度の落ちていく筈の刃先ですら、今切った二つの鉄よりも遥かに強靭なのだ。
鋭さは劣るため、若干力加減が難しいが、それでも潰れるどころか、欠ける事すらないこの刃は、硬いものを切るのには適しているとしか言いようが無い。

百鬼丸ほどの技量があってこそ、両断と言う技を可能にしているが、手にしている得物よりも軟な物を切るというこの演武は、彼にとっては八百長の域を出ないものでしかなかった。

これも案外悪くない、と切り捨てられた剣を尻目に、手にした刀に目を向ける。
いや、やはりそうでもない。
何度見ても目が回りそうになる派手な色柄の刃を眺めながら、もう一振り、人前で使っても恥ずかしくない意匠のものを作ってもらおうかと、百鬼丸は真剣に考えた。

しかしすぐに意識を戻す。
再び視線は陰湿そうな男へ向けて、百鬼丸は今度は見下したように哂う。

どうした、目立つ場所じゃ何も出来ないのか

そんな侮蔑を込めて。

悔しそうに歯噛みしている男に満足して、百鬼丸は次の置物に向かう。そう、ただ置物を切っているだけ。
408ぜろろ 第29話 10/12 代理:2010/07/31(土) 23:55:04 ID:rAt437wz
しかし本来ならば彼にとってつまらないものでしかなかったその演目は、実に満足のいく愉快なものになる。

槍を切り、斧を切り、篭手を切り、盾を切り、オスマンの目論見通り、次第に大きくなってゆく歓声を無視して、一つ切るたびに百鬼丸はギトーを挑発する。
早く掛かって来い、何もしないのか、そこじゃ何もできないのか、と口には出さぬものの、その様々な表情をもってギトーを煽った。
青白くこけた顔は、みるみる赤くなり、その表情も明らかに険しくなってゆく様は、明確に百鬼丸の意図を理解している証拠だ。
最後に全身甲冑を正中から縦、真っ二つに両断すると、今度は目もくれず、大歓声の中で、百鬼丸は鼻で笑ってやった。

再び一礼して、興味は失ったと言わんばかりに、泰然と天幕へ戻った。

これをとどめに百鬼丸の行った、普段の彼ならば行わないほど執拗な、一連の挑発行為は、彼の予想以上に効果を挙げることとなるのだった。

「偉大なるオールド・オスマン」

ギトーは、百鬼丸の姿が見えなくなるや否や、僅かに早足でオスマンに歩み寄る

「なんじゃね?ええと、ミスタ……」
「ギトーですっ!! いい加減覚えてくださいっ!!」
「ああ、そうじゃったそうじゃった、ミスタ・ギトー。年を取るとどうもいかんな」
「いえ、こちらこそ失礼しました。恥ずかしながら、私も生徒達と同様に、些か興奮しておりましたようで」
「いやいや、構わんよ。それで?ミスタ・ギトー」
「次なる演目ですが、些か趣向を変えられてみてはいかがでしょうか?」
「ふむ、どういうことじゃ?」

分かっているが、敢えて尋ねる。因みに最後の演目の内容は、二メイル級の十体のゴーレム相手に百鬼丸がこれを打ち倒すという、実戦さながらの、これまで以上に過激な内容である。十と言う数字だけはルイズの発想。
しかし困難かと言うと実は百鬼丸にとってはそうでもない。
オスマン特製の剣もあり、手足くらいなら切り飛ばせる程度の大きさ、かつ緩慢な動作のゴーレムの群れを打ち倒す事なぞ、それもまた、百鬼丸にとっては単なる見世物でしかなかった。

因みに、ゴーレムを操るのはギトーとシュヴルーズ。ギトーはこの演武において、再び百鬼丸に手を出そう、と当初は考えていたのだが、頭に血が上った彼はその予定を変更した訳である。

「彼ほどの人間ならば、容易く土人形など切って見せるでしょう」
「ふむ、そうじゃの。ならば、どうしようというのじゃ?」
409ぜろろ 第29話 11/12 代理:2010/07/31(土) 23:55:34 ID:rAt437wz
「果たして風は切れるでしょうか?」

予想通り、うまく乗ってきたと、そう思いながらも、そんな様子はおくびにも出さず、オスマンは心の中でほくそ笑む。

『疾風のギトー』は、風は最強という持論を強く持ち、それは他の属性の魔法を軽んじる程にその自信は強く、公言して憚らない人間である。また自己顕示欲が非常に強い。
相手が生徒であろうと、ギトーはまだ成熟していない相手を風の魔法で打ちのめし、自身の優位性を周囲に見せ付け、これで風の魔法こそ最強であると理解したか、とそんな事を言うのだ。
過去に何度も同様のことを行っているのは学院でも有名な話であった。
そんな性格が彼から人を遠ざけているのだが、彼は自分と自分の魔法は優れているから周囲が妬むのも仕方ない、と実に見事に自己を完結させ、確立していた。

かと言って、彼が強くないのかと言うと、それは違う。
学院においては決闘が禁止されており、かつ教師である彼に歯向かうものが少ないのも確かだが、決闘といかずまでも彼に挑んだ者は実に多く、それでいて、これを打ち倒したものがいない、と言う事実こそ、それだけ彼が魔法に長じている証拠でもあった。
彼が己に酔っているのも、全く根拠が無いとは言い切れないのである。
風の最高位のメイジ『疾風のギトー』の名は決して伊達ではないのだ。

そしてその周囲に認められた実力と、百鬼丸を見下している油断こそ、オスマンにとっての狙い目であった。

「そうじゃのう、流石に風は切れないとわしは思うが?」
「ええ、私もそう思います。そうです、風は何者にも切ることは出来ません」
「じゃったら、どう趣向を変えようというのじゃ?」
「彼ほどの腕で、よもや土の人形如きが相手では、生徒達の興も削がれてしまうというものです」
「ふむ、しかしこれまで以上に面白いものとわしは思うがの」

ギトーにとっては百鬼丸を褒めるという行為は、言外に土の魔法を貶しているに過ぎない事なぞ、普段の彼を見ていれば容易に想像がつく。


風の魔法の威力と自身の実力を、如何に全生徒に披露できるか、とでも考えているのだろう、揚々と立ち去る黒い外套に包まれた細い体躯を眺めながら、計画通りに進みすぎている事が怖い、とは只の諧謔、オスマンはその笑みを隠そうとはしなかった。

「ほ、愉快愉快」

実にわざとらしい、自分にとっては完全な予定調和の会話を終えたオールド・オスマン。

生徒達と同様、他者のもたらす刺激を好む質の老人にとって、この剣術披露会は、久々に至極満悦できる催し物であり、これから興るであろう熱狂も、満足すぎる結末も、全て自分によって導き出され、この老生の声をもって始まるのだ。
これが愉快と言わず何と言うのか。
410ぜろろ 第29話 12/12 代理:2010/07/31(土) 23:56:11 ID:rAt437wz
やおら立ち上がり、注目を集めんと両手を広げ、大仰な口振りで声高らかに宣言する。

「諸君っ!! 第三演武、『戦いの舞』を始める前に、面白い事をお教えしようっ!!」

百鬼丸の合意を得ることなく、オスマンは第三演武の内容を変更する。しかし百鬼丸は合意するという確信があった。二人の応酬をオスマンはしかと目にしていたのだから。

「第三演武はゴーレム十体との実戦形式で行われるものであった!! しかし、更に趣向を凝らそうではないかとのミスタ・ギトーの提案、そしてミスタ・ヒャッキマルの合意を伴い、その内容を変更する事としたっ!!」

生徒達の期待と関心は高まるばかりである。ゴーレム十体との戦いですら興味深いが、それを越えるとなると、一体どれほど面白いものを見せてくれるというのであろうか。

「第三演武は、ミスタ・ギトーとミスタ・ヒャッキマルの実戦形式の模擬戦となるっ!!」

その、余りに刺激的で興味をそそる内容に、そこに抱える感情は様々ではあったが、生徒達は興奮して騒ぎ出した。

オスマンにとっては全てが予定通りである。平民を快く思わず、狭量なギトーを第一演舞の対手の一人として選べば、己より目立つ異国の平民に対して何かしらの行動を起こすはず。そして鬱憤の溜まっている百鬼丸はそれに応えてくれるはず、そう考えていたのだ。

相手を見下すギトーと、情け容赦なく本気を出す百鬼丸。
勝機は充分すぎると考える。

極端な部分を持つ二人の性格により計画を立てやすく、また実際にその通り進んでいる事にオスマンは満足していた。

しかし、唯一オスマンの予想以上だった、執拗な百鬼丸の挑発行為。
オスマンの所為でもあるのだが、百鬼丸の溜まりに溜まった鬱憤と、極端すぎる二人の性格が、予想以上の事態にまで発展する事をオスマンはまだ知らない。
411ぜろろ 三十話 1/9 代理:2010/07/31(土) 23:57:05 ID:rAt437wz
「オールド・オスマン!! 何故許可したのですか、危険すぎますっ!!」
「ほほ、何を恐れることがあるか、心配しすぎじゃないかねミスタ・コルベール? そんな事じゃから、」
「それはもういいですっ!! そうではなくて、余りに危険すぎるでしょう!? 風の魔法は目に見えないのですよ!? いくらヒャッキマルさんとて只ではすみません!! そうなってしまえば、」

風の魔法が戦闘に適すと言われるには勿論理由がある。その一つとして、魔法を感知しやすいメイジならばともかく、平民にとっては、全くと言って良いほどその攻撃が目に見えないのだ。
遠見の鏡による監視にすら気付いた百鬼丸であれば、あるいは風でさえ読むのかもしれないが、確信が無い以上危険すぎるとコルベールは考えていた。
そしてもし、見えないとすれば、彼の性格を鑑みて今回の計画を立てたのは自分だ。
彼からの降参は有り得えない。
ならば命の危機を感じ取った百鬼丸の持ち出す手段は、最悪の場合、考えたくも無いが、足の大砲の使用。
そうなってしまえば、どちらかが死亡ないし重症となっている可能性が高く、また義肢を曝した百鬼丸を学院に置く事すら困難になりうる。彼を良く知る自分やルイズならその限りではないが、彼の体は彼が恐れる通り、異常であることは間違いないのだから。
計画失敗どころの話ではない。

「見えておるよ」
「見えてっ、はい? 何がです?」
「じゃから、ヒャッキマル君じゃよ。彼には、風の魔法が見えておる。というか、感じるのじゃろうな」
「はぁ、しかし何故分かるのです?」
「なんじゃ、おぬしも気付いておらんかったのか。まぁ多分ヒャッキマル君も、わしが仕掛けとは気付いておらんがの」

第一演舞の際、百鬼丸の背後を狙った石塊の奇襲に念を入れたかのような、しかし気付かれないようにと放たれた小さな風の刃。実はオスマンがこっそりと放ったものであった。
コルベールでさえ気が付いていたなかった事に、自分の腕もまだまだ鈍ってはいないと、楽しそうに伝えられる。

「そんな事をしてたんですか? しかし、いや、まさかこの為にっ!?」
「そうじゃ? 何ぞ文句でも有るかいの?」

隣にいたシュヴルーズとギトーは当然気が付いていただろう。
演舞の最中ならいざ知らず、終了の合図の後に行使された魔法に対して、いくらそれが隠そうとしたものであっても、隣にいても知覚出来ないようであれば、魔法学院の教師として失格である。

「有りますよっ!! 大有りです、第一、もし彼がかわせなければどうなっていたとっ!? おまけにミスタ・ギトーに、って、ああっ!!」

そこまで言って気が付いた。コルベールは、オスマンが何を考えていたのか気が付いてしまった。

オスマンの行動に対し不思議そうな顔をしたシュヴルーズには、ちょっとした悪戯だと説明し、口止めしたそうである。道楽好きの暇人の悪い癖がまた始まった、としか思っていないであろう。
しかしギトーに対しては何も伝えていないそうだ。恐らく何か、勝手に勘違いをしている事であろう。
412ぜろろ 三十話 2/9 代理:2010/07/31(土) 23:57:36 ID:rAt437wz
コルベールが両者の対決を回避しようと考えていたのに対し、オスマンは始めから百鬼丸とギトーを戦わせる気でいたのだ。

「ほっほっほ、やっと気が付いたか? まだまだじゃのう、うむ、実に愉快」
「全然愉快じゃありません……。ヒャッキマルさんが、かわせないとは考えなかったのですか……?」
「後ろからぶつけようとした花瓶でさえ切ったんじゃ。遠見の鏡に気付いた事も考えれば、かわす、と考える方が自然じゃろ?」

相も変わらず肝の据わった事である。怒りを通り越して呆れるしかない。

「おぉ、偉大なる始祖ブリミルよ、哀れな男をどうかお助けください」

もう振り回されてばかりの人生は嫌気が差すと、ハルケギニアに始めて降り立ち、エルフの脅威さえ払い、魔法という素晴らしき祝福を人に与えた給うた偉大な存在に助けを求める。
御前と同様に偉大なる、と称される、隣にいる老耄は慈愛も、憐憫も、安息も、平穏も、何も己には与えてくれません、と。

「ギトーくんのことかいの?」
「ええ……そうです、そうですよ」

しかも百鬼丸の勝利を信じて疑っていないらしい。
偉大なる始祖よ、私を苦しめる罪深き咎人に、どうかその御業もて、怒りと裁きを与え給え、とは流石に口に出来なかった。

「第一、君、そんなに敬虔じゃなかろうて?」
「先程啓示が下りまして」
「生えるかの?」
「……無理だそうです」

始祖は時に現実と同様に無慈悲である。




第三十夜 幕間、其の三  因果応報




先程よりもかなり大きな輪を形作る生徒達。

魔法学院は学院長室の有る本塔を中央に、周囲に五角形の各頂点に五つの塔を配置され、一際高い本塔から、その半分ほどの高さの各塔へ、そして隣り合う各塔を繋ぐ巨大な壁に仕切られた構造である。
四つの塔は魔法の属性を意味し、『水』『土』『火』『風』そして、本塔はかつて始祖が使ったという、今は失われた『虚無』を象徴している。残りの一つは寮塔である。
配置は正門から右回りに、水、風、火、土、寮塔の順で正門は寮塔と水塔の間。
本塔から通路として各塔へと渡る壁は、寮塔へだけは存在せず、そのため本塔、寮塔、土の塔、水の塔、四つの塔に囲まれたアウストリの広場と呼ばれる場所がもっとも大きな面積を持つ。
413ぜろろ 三十話 3/9 代理:2010/07/31(土) 23:58:02 ID:rAt437wz
剣術披露会は、その過激な内容から、当然その広場で行われているのだが、広大な敷地であるにも関わらず、壁を真後ろに立つ者さえいるほどに広がっていた。
当然、生徒達の危険防止のためである。

風の最高位のメイジの放つ魔法はそれ程に、広い範囲に影響を及ぼし、なおかつ危険なのだ。
実戦形式の模擬戦闘であることを考えれば当然の措置と言える。

輪の中央にはのギトーと百鬼丸。三メイルほど間を空けて、互いの持つ感情を隠すことなくにらみ合っている。
百鬼丸は憤怒。ギトーは侮蔑。

このギトーにとっては近すぎる、しかし百鬼丸にとっては多少遠い程度の両者の距離は、オスマンの指示によるものであった。
この指示を受けたギトーの反応は、それくらいの有利はくれてやると、こちらは実に予想通りの対応であったのに対し、百鬼丸の方はと言うとかなり意外であった。
自分にとって有利な距離であることは理解している筈だが、それを指示したオスマンと伝えたコルベール、二人の予想に反して、百鬼丸は何の異論も唱えずに承諾したのだ。
意固地で負けん気の強い彼なら、相手に有利な状況で打ちのめすと、息巻いているのではないか、そう考えていたのだから。コルベールとしては肩透かしを食らった気分である。

百鬼丸の控える天幕に、流石に不安になったのであろう、押しかけたルイズと共に、風の魔法の特性と、如何なるものがあるのかをコルベールは伝える。最も恐ろしい部類である、雷の魔法の事も伝えてある。
回避はほぼ不可能で、致死性も高いそれを、まさか平民の、しかも来賓である百鬼丸相手に、ギトーが使用するとは思ってはいない。そもそもギトーは、風、そのものに拘っているきらいがあるため、杞憂に過ぎないのだろうが、念のためである。

しかし、どれだけこの戦いが困難なものであるかを説いても、百鬼丸からの反応は薄い。今は感情を溜めに溜め、膨れ上がりきったものを一度に叩きつけようと、戦いに備えているのであろうか、彼の顔は、かつて見たこともない程に何も映さなかった。

オスマンの隣に控えるため、ルイズを残し、天幕を後にしたコルベールだが、彼の態度とあの無表情だけが、どうにも気がかりでならない。

「ここまできてまーだ心配しとるのかね? この距離じゃ。おまけにミスタ・ギトーは慢心しとる上に相手を見縊りすぎじゃ。油断だらけじゃないかね」
「性分ですから」
「心配せんでも勝つわいっ」
「ええ、しかし、もしもの時は……」
「わかっておるというに、少しはわしを見習えぃ」

口にも出したが、これは自分の性分だ。隣で憎らしいほどに泰然と構えるオスマンに、最早諦めてはいるが、恨めしげな視線だけは一応送っておく。

「そうします、偉大なるオールド・オスマン」
「うむうむ、そうじゃ、そうじゃ」

微塵も見習うつもりは無いのだが、皮肉すらも通じない。
414ぜろろ 三十話 4/9 代理:2010/07/31(土) 23:58:29 ID:rAt437wz
壇上から広場に居る者全てを見下ろしながら、予定通りに事が運んでいると一端の策士を気取っているのであろう、では始めるか、とご機嫌な様子で呟くオスマン。

「それでは皆の者、これより最後の演武『戦いの舞』を執り行うが、その前に」

これ以上何を言うつもりであろうか。肝を冷やす。

「この戦いは決闘でなく、互いの技を競うものであり、勝敗は魔法と剣の優劣を競うものではない。貴殿らはその結果を恨むことなく、正々堂々と戦う事を誓えるであろうか? ミスタ・ギトー」
「我が杖と、大いなる始祖にかけましても」
「うむ、ミスタ・ヒャッキマル」
「……父の名と、……戦いの神、ビシャモンテンにかけて」

案外まともであったと安心すると共に、場違いとは分かっているものの、百鬼丸の口にした戦いの神の名に、持ち前の好奇心が騒ぐ。
時間が有れば、もともと聞いてみたかった事だ、彼の国の事を尋ねてみるのも悪くは無い。

「今、両者の誓いを得て、ここに居る諸君らがその証人となる。さきも述べたとおり、魔法と剣はこの戦いに最早なんの関係も無い。手にするものは違えど、互いの極める技を競うものである。故に諸君らも同様、何に拘ることなく、ここに立つ二人に惜しみない声援を送ればよい」

つまるところ、貴族の魔法が、平民の剣に負けたところで、この戦いには恨み言はなしと、百鬼丸の勝利を信じるオスマンはそう言いたいのであろう。
そしてそれを宣言する事で、生徒達から、百鬼丸の立場と貴族の名誉、そして魔法の権威を守ろうとしているのだ。案外、と言うと失礼だが、考えてはいるようだ。

嫌われ者のギトーと、平民の百鬼丸。
応援するならどちらかと、やはり悩んでいた生徒も多かったのだろう、そこかしこから、やれギトーを懲らしめろだの、今こそとっちめろだの、怨念晴らすべしとの声が聞こえ始める。
勿論ギトーに対する声援も確かに存在する。ギトーは嫌いであるが、魔法の実力者であり、貴族を代表して戦うから応援しているだけで、オスマンの宣誓の手前、声高にそれを叫ぶ事が出来き無い様子だ。
弱弱しく感じるのは恐らく気のせいではない。その証拠に、頑張れ、負けるな、くらいの語彙に乏しい声しか聞こえない。
なるほど、盛り上げる為にも良い手であると、コルベールにはやはりオスマンの考える事の真意など推し量れない、そう感心したのも束の間、只々得意げな、皺だらけの顔を見ると、単に調子に乗っているだけなのかもしれないと、投げやりになった。

「それでは両者構えてっ!!」

未だ余裕めいて片手を後ろに回しているギトーに対し、百鬼丸は今か今かと毒々しい刃を構え、明らかに力を溜めていた。

「始めぃっ!!」

では、とゆっくり杖を掲げるギトーに向かい、百鬼丸は正しく爆ぜるかのごとく猛然と走り出す。
415ぜろろ 三十話 5/9 代理:2010/08/01(日) 00:00:00 ID:ACHT8wic
驚きはしたものの、よもや風の魔法はかわせまいと、風の刃を一つ生み出し放つが、見えるとばかりに僅かに体をずらすだけでそれを避け、慌てて次をとした時には、百鬼丸は既にギトーの胸の内、
気が付けば鍔は顎先、首筋には禍々しい刃がその根元から、触れるか触れぬか程の距離で、ぴたりと止まっていた。

速い、とは誰の呟きであったのか。

勝利を宣言する事すら、生徒はおろか、オスマンも、脇に控えるコルベールも忘れていた。
余りの出来事に呆然とするのは無理も無い。いくらなんでもこの決着は早すぎだ。

百鬼丸の口が、ギトーの耳元に近づき、僅かに動いたのをコルベールは気が付いた。なにやら分からぬがこれはまずい、とオスマンに声をかけようとするが、それより先に百鬼丸が素早く飛び退き、怒りに塗れた声で叫ぶ。

この男は本気を出していない、これは侮辱である、と。

わっ、といたる所から声があがるが、それに沈まれと、風を使って爆音を鳴らした『疾風のギトー』は、憤怒の表情をひた隠し、大仰に、深く一礼したまま顔を伏せ、震えた声で、さも冷静であると、謝罪の言葉を述べた。

「誠に失礼、貴殿の技に誠意を欠いた事、貴族としてあるまじき非礼について、恥を忍んで今一度、どうか手合わせ願いたい」

再び巻き起こった歓声は、続きを促すと共に、始まりの合図となる。

「オールド・オスマンっ!?」
「やられたっ、なんと意固地なやつめっ!!」
「早く止めねばっ!!」
「もう収まらんっ、落とし所を見過ごしたっ!! わしとした事がっ!!」
「しかし」
「今は待たんかっ!! このまま終われば意味が無い、多少は痛い目みてもいいじゃろう、しかし、あやつめっ!!」

無事終われば良い、とのコルベールの思いを知ってかしらずか、百鬼丸は考えられるあらゆる手段で、ギトーに恥をかかせ、その傲慢な鼻っ柱を圧し折ってやろうと考えていたのだ。
聞き取る事は出来なかったが、恐らくギトーに呟いたのは、彼を煽るような言葉。
どうせ、弱い、本気で来い、とでも言ったのであろう。
そして彼が見せた仮面の如き無表情は、己の考えを悟られまいと、滾りに滾った怒りを隠す、正しく仮面だったのだと得心する。
それみたことか、とオスマンに皮肉るほどの余裕も既に無い。
目の前、手の届かぬところで既に二人は再び戦い始めだした。

風の刃を無数に放たれるも、走り、飛び跳ね、体を捻り、伏せて、これをかわし、あわや当たると思いきや、風の刃に己の刀を沿わすように、鎬を平手で抑えて、細長い刀ですら盾へと換える百鬼丸。
甲高い音が周囲へ広がる。
全てかわしきると、地を這う獣の如く、体を低くして走り出す。
416ぜろろ 三十話 6/9 代理:2010/08/01(日) 00:00:33 ID:ACHT8wic
二度目は無いと、己の正面に横殴りに、人一人なぞ容易く吹飛ぶほどの暴風でもって、風の壁を巻き起こすギトーに対し、いくら自分でもこれは切れぬと、風に袖口が巻き込まれるのを、百鬼丸は体ごと退く事で免れた。

「どうだ、風は何者も吹き飛ばし、通り抜ける事はおろか、貴殿の自慢の剣でさえ、斬る事すらも出来ぬのだ」

返事はしない。しかし切っ先を地面に向け、がつんと鍔を拳で叩き、これを外すと、風の流れる筋を読める百鬼丸は、その筋と水平に角度をつけて、目標よりも僅かに横を狙って、勢い良く鍔を投げつける。
その小ささに対して重たい鍔は、風の流れに側面を向ける事で、軌道に大きくは影響を受けないようだ。
強かに腕を打たれ風の結界が緩んだギトーの隙を狙って百鬼丸は再び地を這うも、今度は真上から、空気を固めた巨大な槌をもって迎撃される。
目指すは敵のみとは百鬼丸。
更に力を込めて地を蹴り、またもやギトーの正面へと抜けると、短い詠唱で済むのであろう、一瞬きの強烈な風に吹き飛ばされるが、空中で見事蜻蛉を切って片膝付きながらも着地すると、横っ飛びに転がった。
百鬼丸のいた地面が切り刻まれる。

一進一退の攻防はその激しさを増すばかりであった。周囲は最早、やれ平民なぞと蔑むことなぞ出来ようものか。

「どうした、おれを殺せないのかっ!?」
「平民如きがっ!!」
「言ったな、貴族っ!!」
「調子に乗りおって!!」

ギトーも既に我慢ならんと、距離を取る為、風を自分に向かって吹かせ、勢いで後ろに下がり、己の周囲を嵐で囲む。慣性で流れ続ける風を盾として、長い詠唱に入った。
敢えてそれを使わせて叩き潰す気であろう、百鬼丸は動かない。
しかしその詠唱を僅かに耳にした時、ギトーは本気で戦うつもりだと、コルベールもオスマンも気が付く。

「オールド・オスマンっ!!」
「いや、待て、どうやら無事終われるぞ?」

ギトーの姿が、幻ではない、三人に増えた。
ギトーの使った魔法は風の魔法で最も恐ろしいとされる最高位の魔法。
『遍在』と呼ばれるその魔法は、風は遍く存在する、という言葉に因んでつけられ、その効果は、行使した者と同じく思考し、同じく魔法が使える分身を作り出すという、風は最強とギトーが語るに相応しい程の驚異的な物。

それを認めるや否や、百鬼丸はそれまで手にしていた、オスマンにより作られた刀を後ろへ放り、背中に背負った彼本来の武器を抜き取り、腰に差し替え、音も立てずに朱色の鞘から刃を引き抜く。
ぎらりと光る白刃が、何故かこれまで以上に凶悪な代物に見えた。
百鬼丸も本気だ。

もうこれ以上は互いの無事はありえない。
417ぜろろ 三十話 7/9 代理:2010/08/01(日) 00:01:07 ID:ACHT8wic

コルベールは再び悲鳴の如く呼びかけた。

「もう良いでしょう、オールド・オスマンっ!?」

うむ、と一声、老人とは思えぬ程の気迫に満ちた声を上げ、終了の合図を鳴らしたのだった。

「それまでじゃっ!!」

はっと正気に戻ったかのようなギトーに対して、邪魔をするなと見える百鬼丸。その両者は、正反対のようでありながら、しかし制止をかけたオスマンに対し、まだ足りぬと、同じ心中であるようだ、目が示している。

「これ以上戦う事は罷りならんっ!! 両者ともに素晴らしき技を持つ事は周囲の認めるところである、そうであろう!?」

周囲に巻き起こる歓声は、オスマンの問いに対して同意を高々と表すものであった。
聞くまでも無いと分かっているが、しかし今はこうするのが一番良いのだ。

「ならば優れた二人が傷つく事を、このハルケギニアの地のためにも良しとはせぬっ!!
結果は引き分け、両者無傷で、しかしその研鑽を遺憾なくこの目に見せてもらった故に、最終演武はこれをもって終了であるっ!!」

オスマンの宣言により、二人は不服ながらも戦いを終えざるを得ない。終了したにも関わらず相手に挑みかかるとすれば、百鬼丸にとってもギトーにとっても、オスマンを軽んじる行為であるし、卑怯の謗りを受けたくは無い。

両者は思い通りにはいかない事に不満は有ったが、潔くオスマンの裁定にしたがい、しかし互いの健闘すら称えるつもりは無いのだろう、会釈するのみに留まった。

兎にも角にもこれを合図に、虚構に塗れた剣術披露会はその目的を大いに遂げ、何とか無事終了となったのであった。



「何で止めたっ!!」

学院長室、オスマンの座る前にある机を握り拳で叩き、百鬼丸は未だ頭に血が上ったままの様子である。百鬼丸の後方にはコルベール。閉会の口上を終えたオスマンに、まだ何か言いたそうであった彼を、ここではまずいと何とか宥め、コルベールがつれて来たのだった。

「君はすぐ頭に血が上る。それだけは直さんといかんよ」

そう言うと杖をふるって魔法を行使するオールド・オスマン。
床から一メイルほどの空中に百鬼丸の体が宙に浮いた。

「うわっ、何しやがる、降ろせっ!!」
「ミスタ・コルベール?」

ため息をつくと、コルベールは小さく弱弱しい炎を杖の先に留めて、宙へ浮かぶ百鬼丸へと向ける。オスマンの企みに乗るのは気に入らないが、百鬼丸に多少の灸を据えねばならないと言うのは同意する。
418ぜろろ 三十話 8/9 代理:2010/08/01(日) 00:01:36 ID:rAt437wz
「何のつもりだっ!?」
「まだ分からんのかね? いくらおぬしが強くても、こうされたらどうする?」

押し黙る百鬼丸。

「先程ギトー君が見せた遍在の魔法は、こういうことを可能にするのじゃ。あの勝負、おぬしの負けじゃ」
「負けてない」

いや、彼の負けだ。遍在を出したギトー相手に百鬼丸が勝てるとはよもや思ってはいない。それを抜きにしたとしても、仮にギトーがこの方法を、あの場で使ったとすれば、既に百鬼丸は負けなのだ。いくらギトーも頭に血が上っていたとは言え、考えないとは言い切れない。
そしてメイジ二人を相手にすれば、勝つことはおろか、抵抗する事すら出来ないと周囲に思われてしまうし、それを打破するためには、百鬼丸が飛び道具を使うしかないのだ。

「ほ、大砲でも使うつもりだったかの?」

悔しそうにうなる百鬼丸を眺めながら、それでもオスマンは言葉を続ける。

「他人を卑下するものを嫌い、正面から立ち向かうおぬしの気概は、わしもコルベール君も素晴らしいものだとはおもっとる。ギトー君も勿論悪い。じゃがなんでも力だけで解決しようとするのは感心できんのぅ。そもそも此度の剣術披露会は何故やらねばならんかった?」
「……おれの所為だ」
「そうじゃ。何も出て行けというとるわけじゃない。何処へ行っても同じことじゃ」
「じゃあ、どうしろって言うんだよ」
「やり方も時には考えろと言うとるんじゃ。もうこの学院でおぬしの力は証明された。無碍に扱うやつもおらんじゃろ。ここに勤める平民達の地位向上にもつながる。彼らが不当な扱いを受けていたら、おぬしは助けるじゃろ。じゃがもう剣はいらん」
「……じゃあ、どうするんだよ」
「わからんやつじゃのう、何のために言葉がある?人の群れの中で暮らすのならばおのずと必要になる」
「……今までだってこうしてきたんだ」
「これからは今までとは違うっ!! 円満に終える方法もちっとは考えんかっ!!」

百鬼丸は力を振るう事でしか守る事が出来ない状況に生きてきた、と言うのは理解できる。
彼は平民で、旅人で、何の権力もなかったのだから。恐らく自分の国にいた時から身分としては余り変わらなかったのだろう。
しかし今回の件に関しては些か違う。相手を打ちのめす事しかそこには無かったし、多少は自分の持つ厄介さと言うのを、この計画を教えた時に少しは理解しているものとコルベールは思っていた。
オスマンにしても同様なのであろう。そしてオスマンが怒鳴ったように、学院においては既に、これまでと違う方法で己を押し通す方法を百鬼丸は考えなければならないのだ。

言うや否や、魔法を解き、百鬼丸を床へと降ろす。

「とにかく、頭を冷やせっ!!」

話は終わったと言わんばかりに、言うや否や百鬼丸に対し背中を向けて、オスマンは黙る。
419ぜろろ 三十話 9/9 代理:2010/08/01(日) 00:02:37 ID:rAt437wz
些か物思いに耽りながらも、百鬼丸もそれを読み取り、扉の前でぺこりと頭を下げ、部屋を後にした。

「偉大なるオールド・オスマン」
「なんじゃねミスタ・コルベール?」
「流石です」
「煽てても何も出んぞ、わしゃ今機嫌が悪い。君も早々に」
「いえ、流石と言うのはそう言うつもりで申し上げたものでは」
「で、では、な、なんじゃというのかね?」

百鬼丸を諭すためにと、敢えてコルベールは乗っただけで、決して騙されない。

「今回の騒動の原因は誰ですか?」
「……」

ぎくりと動いた肩が何よりも雄弁に物語っている。

「誰ですか」
「んー、百鬼丸君?」

次はしらを切るつもりか。

「嗾けたのは?」
「ギトー君」

なんと往生際の悪い。

「じゃあそれを嗾けたのはっ!?」
「大いなる始祖の御導きじゃっ!!」
「あなたですよ、あなたっ!!」
「全て計画通りじゃっ!! ギトー君は遍在まで見せたんじゃぞ!? 禍根も残さず痛み分けじゃ、大成功じゃないかねっ!?」
「結果論じゃないですか!! それにあなた、やられたってあの時言ったでしょう!?」
「ぐむ、しかしヒャッキマル君にも忠告できたし? そうじゃ、万々歳じゃ!!」
「結果論です、とっ!!」
「偉大なる始祖のお導きじゃい!! それもこれも、わしの日ごろの行いが良いお陰だもんねー」

拳を握り締め、今日と言う今日は引き下がらないと捲し立てるコルベールに対して、オスマンは子供じみた言い訳を続ける。

そんな二人の遣り取りは当然知る筈も無く、百鬼丸はというと自室で少しばかり悩んでいた。
何時になるとも知れぬが、全ての魔神を倒した時、己は人となる。そして人の群れの中で生きるのなら、己はまだ人として未熟であると認めざるを得ないと、百鬼丸はオスマンの言葉を真面目に捉えていたのだった。

「大体あなた、そんなに熱心な信徒じゃないでしょう!?」
「先程啓示が下っての」
「……生えますか?」
「……無理じゃって」

誰しも望む世界を作る事は、偉大なる始祖の力を持ってしても不可能である。

「わしはふさふさじゃもんねー」
「……」

そして己のみを満たそうとする欲望の影に、魔神は存在するのだ。

「あっ、いや、すまんっ!! いや、すまんって、何でもない、全部わしが悪いっ!!」

ならば果たして絶対的な善悪は存在するのであろうか。
今だけは考えたくなかった。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/01(日) 20:49:10 ID:s9vYEMyK
オスマン、年の功を見せてもオチは忘れなかったか。
投稿乙です。
421名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/02(月) 14:37:34 ID:mN68/CXl
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422名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/02(月) 14:40:02 ID:mN68/CXl
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423名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/02(月) 15:18:17 ID:XS1tlvkQ
現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、2010年9月まで避難所進行の予定となっています。
作品の投下はこちら↓でお願いします。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

2chにスレを戻す詳細な日時等は、運営議論スレで話し合い決定されます。
意見・要望のある方は、こちら↓でどうぞ。

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

このスレに意見を書きこんでも参考にされませんのでご注意ください。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/02(月) 22:27:28 ID:4xLE9NkO
>>421
これのTシャツ来た米兵がグアムにいたけど
絶対わかってないだろw
425名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/03(火) 08:29:17 ID:Y4U0kXEI
正直作品よりも、避難所のスレの煽り合いの方が面白いっていうwwww
426名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/03(火) 14:10:07 ID:AMpL70oL
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現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、2010年9月まで避難所進行の予定となっています。
作品の投下はこちら↓でお願いします。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

2chにスレを戻す詳細な日時等は、運営議論スレで話し合い決定されます。
意見・要望のある方は、こちら↓でどうぞ。

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

このスレに意見を書きこんでも参考にされませんのでご注意ください。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 00:21:43 ID:q48o5UWh
外見がアレであろうと、心の輝きに惹かれるんだろうなぁ
428名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 02:06:53 ID:K+Z/1joP
>>427
いい台詞だ
感動的だな
だが無意味だ
429名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 07:02:31 ID:EnJQZoZ4
乙!!

皆漢すぎるだろ・・・思わず見入ってしまった
430 赤の使い魔(ゼロの使い魔×Dies irae):2010/08/04(水) 17:51:36 ID:oLTtWU++
ゼロ魔の世界に赤騎士こと、エレオノーレ様が召喚されます。天上天下唯我独尊、ルイズに罵声の雨あられ。逆らうヤツは皆殺し!てな感じでやらせてもらいます。

正直な所、ゼロ魔は読んだ事無いです。
はい、単純にDies iraeの小説が書きたかっただけですねwww

注意事項
・ディエス・イレの赤騎士こと、エレオノーレ様が主人公です。
・作者はルイズが嫌いです。
・ゼロ魔の知識はウィキで採取してますw
・ルイズが赤騎士様に罵倒されます。
・ぶっちゃけ、スペック的に赤騎士様は最強だと思います。
・原作読んだ事無いので、話が微妙に違くなると思います。

上記に嫌悪感や「うっぜぇー」と思う方は、Uターンしておく事を推奨します。
431召喚、赤騎士(ルベド):2010/08/04(水) 17:53:30 ID:oLTtWU++
私は今、死の淵にいた。何故そうなったのかは、よく分からない。

「少佐、あなたは幸せですか?
 貴方に、危機を救ってくれる同胞はいるのですか?」
 
私の親愛なる部下が、私の首に剣を押し付けたまま言う。

「わた、しは……」

 すでに気管は断ち切られ、血が逆流し言葉を発する事が出来ない。
 だが私は吼える。我が道を否定などさせぬために。

「私は──! そんなものなど求めん!私が望むのは、ただ一つのみ!」

 獣の爪牙として、赤騎士(ルベド)として、あの方に仕え、あの方がく大望に欠かせぬ英雄(エインフェリア)の一角であることこそが──

「ハイドリヒ卿の駒(モノ)であること──それのみが私の総てだ!
 救いなど請わん!助けなど求めん!彼の傍に侍る以上、脆弱さなど許されん!」

なぜなら私は軍人だ。弱いわたし軍人になど、塵以下の価値も無い。

「なぜなら私は、彼と永劫、共に生きたい。
彼と一つになる怒りの日(ディエス・イレ)こそ、私のヴァルハラ……!」

そう。黄金の輝きに、永劫焼かれる事が……私の渇望(ねがい)。

「やっと、本音が出ましたね……」
 
キルヒアイゼンは私に微笑みかけ、剣を横になぎ払う。

「キルヒアイゼン、私は……私は、何度でも蘇るぞ。
続きは次に会ったときだ。貴様は逃がさん、共に来い!」

 私は不死身のエインフェリアだ。何処までも追いかけてやる。

「ええ、お付き合いいたしますから」
 
同時に剣が払われ、私の首が飛んだ。


「勝利万歳(ジークハイル)。御身に勝利を、ハイドリヒ卿」

それと同じに、私の創造が激しく爆発する。


Auf Wiederseh’n Obersturmfuhrer──

目が霞む中、キルヒアイゼンが涙を流しながら敬礼しているのが、見えた気がした。


足掻きたいのなら足掻けば良い───


どうせハイドリヒ卿は、誰にも倒されはしないのだから───…



そして私の意識は、完全に絶たれた。
432召喚、赤騎士(ルベド):2010/08/04(水) 17:54:22 ID:oLTtWU++
『召喚、赤い悪魔』

ここはトリステイン王国領内、トリステイン魔法学院から少し離れた草原。

 魔法学院に於いて2年生に進級する際の大事な『春の使い魔召喚の儀式』で、
桃色がかったブロンド髪の少女は、その二つ名の為か順番を最後に回されていた。

 彼女の名は『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』
そして二つ名は『ゼロ』

既に『サモン・サーヴァント』の儀式を行い、そして爆発。これを七回も繰り返していた。


(何で!?何で出来ないのよ!!)

彼女は焦っていた。サモンサーヴァントが出来なくて留年など、末代までの恥だ。


「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!強く、美しく、
そして生命力に溢れた使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」

半ばヤケクソ気味に杖を振ると、今日最大級の爆発が起こる。


「ゼロのルイズがまた失敗したぞ」

「何をやらせてもゼロだな」


ルイズは凄く落ち込んだが、何やら煙の中に人の気配がする。


(え!?嘘!?)


ルイズは一瞬驚愕の表情になり、その後一気に笑顔になる。


(ま、まぁ……当然よね。何かしら?もしかしてドラゴン?)


期待が膨らんでいく。ルイズは今までちゃんとした
魔法を使えたことが無かったので、ソレも仕方の無い事だろう。

そしてどんどん煙が晴れていくと




「何だ……此処は?」

そこには、黒い軍服を着た赤髪の女性が自身の左顔面を押さえ片膝を付いていた。






最初はまぁ……こんな感じで。
「うわ、キモ」とか思わないで下さいね。泣きますから
433異国の貴族:2010/08/04(水) 17:56:06 ID:oLTtWU++
少佐って何気に地位高いですよね。




異国の貴族

「ゼロのルイズが成功させたぞ」

「でもあれ、平民じゃん」

 生徒達がざわめき出す。

(平民……そんなぁ〜…………)

 ルイズは落胆するが、呼び出してしまったものは仕様が無い。
 ルイズは契約の為に女性へと近づこうとするが───


「皆さん、今すぐ逃げなさい!」


 担任のコルベールが杖を構えた状態で、ルイズと女性の間に割って入る。
 コルベールは一瞬で、あの女性は危険すぎると存在だと理解した───
 理由など無い。強いて言うなら、屈指の戦闘経験を持つ者にだけ分かる『超直感』とでも言っておこう。

「え?えぇ!?」

 ルイズは突然の声に、女性とコルベールを交互に見る事しか出来ない。
 他の生徒達も意味が分からないと言った表情で、頭の上に?マークを浮かべる。
 ルイズが呼び出したのはどう見ても平民の軍人。何を恐れる事があるのか、と。


「フレイムボールッ!」

 まさに不意打ち。いつものコルベールなら、何もしていない……しかも片膝を付いている女性には絶対にしない事だが、彼の戦闘経験がそれを実行させた。
 遮る物の無い炎の球は膝を付いた状態の女性へと直撃し、爆発する。
 誰もが驚き、そして女性の死を確信した。ノーガードで魔法が直撃したのだ。特別屈強な男ならまだしも、細身であった赤髪の女性が生きている確立は万に一つもないだろうと。


(何で何で何で!?私の使い魔召喚された瞬間死亡!?ということは私、留年!?)


 ルイズは顔では平成を保つが、内心は酷いパニック状態に陥っていた。
 失敗を重ねて召喚したのに、それを担任に瞬殺されたのだから仕方の無い事かもしれないが……


 だが、彼等は知らなかった。彼女が不死の英雄(エインフェリア)だと言う事を。



「Panzer(パンツァー)──、Feuer(フォイア)」


 静かな美声が、煙の中から聞こえた。



「ッゥ──!」
434異国の貴族:2010/08/04(水) 17:57:17 ID:oLTtWU++
 その声が聞こえた瞬間、コルベールはルイズを突き飛ばし、後ろへ跳躍した。
 すると先程までコルベール達が立っていた所が爆発し、地面が抉れる。

「貴様、今の炎は何だ?そして此処は何処だ?」

 煙が消えたそこには、掠り傷一つ負っていない女性が、殺気を出しながら仁王立ちで立っていた。最初は押さえられていて気が付かなかったが、彼女の顔の左半分は酷い火傷の痕があった。

 その威圧感と殺気に、周りの生徒たちもやっと、彼女が普通では無いことに気付く。

「私の問いに答えろ。さもなくば……殺すぞ」

「ッ──!」


 どんどん威圧感と殺気の量を上げながら、コルベールへと近づいていく。


(な、何あれ……怖い。け、けど、私が召喚したんだし。な、舐められてたまるもんですか!)


 ルイズは誰も動けない中、懇親の勇気を振り絞って女性の前に行き

「ちょ、ちょっと待ちなさいよッ!」

 震える声で、恐怖を押し殺すように叫ぶ。

「何だ、貴様は?」

 女性がその視線だけで人を殺せそうな目で、ルイズを睨む。

(ヒィィッ!?)

 それだけで膝が震える。今すぐ膝を折って、泣きながら助けてと懇願したい。でもそれは、彼女の貴族としてのプライドが死んでも許さない。

「わ、私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!」

 震える声だが、何とか言い切った。

「ほう……小娘にしては、たいした度胸じゃないか。
 私は聖槍十三騎士団・黒円卓第九位、大隊長
 エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ=ザミエル・ツェンタウァだ」

 彼女=エレオノーレは、名を名乗ると同じに殺気を消した。
 だが名前を聞いた瞬間、主にコルベールとルイズは別の事で顔を真っ青にする。


(う、うそ……もしかして高地位の貴族、呼んじゃった!?)

(わ、私は初対面の貴族に何て事を…………)

 二人とも、尋常ではないほどの冷や汗をかく。これはヤバイ……と。見たところ彼女は軍人で、しかもそれなりに高い地位に就いているらしい。その人物をルイズが強引に召喚し、コルベールは攻撃したのだ。国際問題に発展しかけない。


「ゼ、ゼロのルイズが召喚したのは、他国の貴族を召喚みたいだぞ」

「てか、なにあの傷……怖」

「いやむしろ、傷があるから萌える!!」

 周りがまたもやガヤガヤと騒ぎ始める。
435異国の貴族:2010/08/04(水) 17:58:25 ID:oLTtWU++

「ミ、ミス・シェンタウァ。先程のご無礼をお許しください。
 私はここ、トリステイン魔法学院で教鞭を握っている、ジャン・コルベールと申します」

 コルベールは凄い勢いで頭を下げる。最初は言葉の通じない殺人狂なのかとも考えたが、そう言われてみれば確かに高貴な感じがする。コルベールはこの時、自分の感を恨んだ。

「ふむ、まぁ良いだろう。それと、ザミエル・ツェンタウァは称号。
 ゆえにヴィッテンブルグの方が家名だ。理解したか?ジャン・コルベール」
 
 殺気は無いものの顔にある傷跡と鋭い眼光のためか、周りの人間はエレオノーレの一言一言にびくっと反応する。


「は、はい、ミス・ヴィッテンブルグ」
 
 取り敢えず良かった……コルベールは少しホッとする。

「それにしても、此処はヴェヴェルスブルグ城の中か?それに『魔法学院』とは何だ?」

 エレオノーレは眉間に皺を寄せる。『魔法』という単語で彼女が一番最初に思い浮かんだのが、
聖槍十三騎士団・黒円卓第十三位、副首領、カール・クラフト=メリクリウスだからだ。


(これも、あの腐れ外道の仕業か?)


 エレオノーレは心の中で悪態を吐く。なぜなら彼女が予測不可能な事態に陥る時は、ほぼ100%の確立で、あの人格破綻者が絡んでいるからだ。



「ヴェヴェルスブルグ城?ここはトリステイン王国にあるトリステイン魔法学院ですよ。魔法学院に関しては……魔法を主に学ぶ場としか、言い様がありません」

「つまり此処はヴェヴェルスブルグ城ではなくトリステイン王国という聞いた事も無い名前の国で、しかもこの国の学校では魔法を学ぶだと?…………貴様、頭は大丈夫か?」

 エレオノーレは冷笑して、コルベールを睨みつける。
 魔法ではなく魔術なら、皆(ミナ)から『魔女』と呼ばれている同士が使えるのだが、彼女のアレは断じて学校で学んだものなのではないはずだ。それにエレオノーレは、世界地図に乗っている国の名は全て暗記しているのだが、トリステイン王国など聞いたことも無い。


「あ、あんた、他国の貴族だからって失礼でしょ!?」

 自分達と自国を馬鹿にされたルイズは、顔を真っ赤にして怒る。

「ミス・ヴァリエール!と、とりあえず他の皆さんはいったん解散です」

 コルベールがそういうと、周りにいた生徒達は蜘蛛の子を散らしたように『フライ』の魔法で学院の校舎へと飛んでいく。



「空を……飛んでいるだと!?」

 これにはエレオノーレも驚く。バケモノ染みた力を持つ黒円卓の中でも、空を飛べる者など一人もいない。


(……いや、あの変人[副首領閣下]なら、普通に空も飛べそうだ)



などとエレオノーレが心の中で思ったのは、内緒の話だ。


(注)今章ではメリクリウスが物凄い変人のように書かれていますが、実際は神様的な存在の、凄い人です。
436いざこざ:2010/08/04(水) 17:59:58 ID:oLTtWU++
祝・初のルイズ罵りシーンです(笑)

いざこざ

「百歩譲って、此処がそのトリステイン王国だったとしよう」

 草原に残ったエレオノーレ達の間には、不穏な空気が流れていた。
 

「だが何故、私は此処にいる?」

 その声には、明らかな怒気と殺気が込められている。

「私がサモン・サーヴァントで呼んだのよッ!」

 それなのに何を勘違いしたのかルイズは、威張りながらそう言った。


「サモン・サーヴァント?それは何だ?」


 聞き慣れない言葉に、エレオノーレは首を傾げる。

「そ、それはですね…「使い魔を召喚する魔法よ。そんな事も知らないの?」

 コルベールが相手を刺激しないように説明しようとするが、怖いもの知らずなルイズはコルベールの発言を遮る様に言った。 


「……つまり、使用人のようなものか?」

 エレオノーレはコルベールを鋭い眼光で睨みつけながら問う。


「は…「そうよ!そして私がアンタのご主人様よ!」


 またもやルイズがしゃしゃり出てきた瞬間、エレオノーレはルイズの首を掴んで持ち上げる。

「黙れ、劣等。身の程をわきまえろ」
「ガ……ハ…………!?」

 エレオノーレはどんどん腕に力を入れる。その気になれば、ルイズの首を折ることなど造作も無い事だろう。


「ジャン・コルベール。このクズが言っている事は確かなのか?」

 エレオノーレは嘘をついたらこの女を殺す。と、目で脅しをかけながら再度コルベールに問う。


「ミ…「ルイズを離しなさい!」

 またもや発言を遮られるコルベール……


「……虫のように涌いてくる奴等だな」

 エレオノーレの目線の先には、生徒たちの中で唯一残っていたキュルケとタバサが、杖を構えた状態で立っていた。

「離さないと攻撃するわよ!?」
437いざこざ:2010/08/04(水) 18:01:34 ID:oLTtWU++

 そう言うキュルケの手は、小刻みに震えていた。

「止めておけ。聖遺物(エイヴィヒカイト)以外では、私は殺(や)れん」

 エレオノーレは淡々とそう言う。確かに、魔法では彼女の体に傷一つ付ける事は出来ないだろう。

「此処は私に任せなさい!ミス・シェルプストー!ミス・タバサ!」

 コルベールは、やっと誰にも邪魔をされずに発言した。


「ミス・ヴィッテンブルグ、彼女達の非礼は私が詫びます。
 彼女達はまだ学生ゆえ、どうか許してはいただけないでしょうか?」

 そう言ってコルベールは頭を下げる。握り締める拳からは、血が滴り落ちていた。
 エレオノーレが勝てる相手だったら、コルベールは即座にエレオノーレの命を奪っていただろうが、幾多の殺し合いを経験しているコルベールだからこそ彼女にはどうやっても勝てないであろう事を瞬時に悟っていた。


「……貴様に免じて、特別に許そう」

 そう言ってエレオノーレは、無造作にルイズを放り投げた。
  
「ギャッ!?」 

 ルイズは、数メートル空中を飛んだ後、地面に叩きつけられて倒れる。
 エレオノーレの細身からは考えられない程の腕力だ。

「ルイズ、大丈夫!?」

 キュルケはルイズに駆け寄って抱き抱えるが、ルイズは気絶しているようだ。

「ミス・シェルプストーとミス・タバサは、ミス・ヴァリエールを医務室まで運んでください」

 コルベールはルイズ達を一瞥した後、エレオノーレの方へと向き直る。


「ミス・ヴィッテンブルグ。詳しい話は学院長室でも構いませんか?何せ私は
 一介の教師ゆえ、貴方への対応は学院長の一存無しではどうする事も出来ませんので………」

 表向きの理由はこれだが、実際はもう一つ理由があった。彼女が危険人物だった場合、コルベール一人では太刀打ちできないので、オスマンと言う切り札兼抑止力が欲しかったからだ。




「良いだろう。案内しろ」

 こうして、草原に残っていた全員は学院へと向かった。






最後のシーンを少し補足すると、ルイズはキュルケが運んでます。

というか赤騎士様は聖遺物以外では
死なないし傷を付けるのも困難なので
これチートじゃね?と言う事に今気付きました。
438名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 19:34:03 ID:jYHxkOfg
原作を読んでいない作者による二次創作
つまり語る価値のないクズだという事ですね


439名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 20:59:13 ID:4KpjOLgV
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440名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 21:01:24 ID:4KpjOLgV
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441名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 21:07:07 ID:4KpjOLgV
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442名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 21:13:21 ID:bOMTYIqz
AAで埋めるのやめといた方がいいぞ
ただでさえあちこちの板で報告しまくる人いて巻き添え規制も洒落にならん状態なんだしな
443名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 21:13:28 ID:4KpjOLgV
                                          ○________
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444名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/04(水) 21:22:33 ID:zhjM2Qqp
>>442
そもそも埋める必要がないのに投下してる時点で荒し
445名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 03:01:05 ID:TBH+thK5
ここが埋められたら避難所への誘導用に建てなおさないといけないのかね?
スレの無駄だなー
446名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 10:41:18 ID:lJ81LCH9
>ここが埋められたら避難所への誘導用に建てなおさないといけないのかね?

9月になってから避難所で相談して復帰GOサインが出ない限り立てる必要は無い
それ無視して立てるのは荒らしと情弱馬鹿だけ

>スレの無駄だなー

荒らしが立てた無駄通り越して負毒なスレに何を今更
447名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 16:11:16 ID:enAFJ0cV
>>446
荒らしが立てたからどうこうと喚くのも荒らしと大差無い
と言うか大義名分をもって自分が正しいと言わんばかりの物言いは荒らしそのものではないだろうか

他人様を情弱馬鹿などと悪し様に言う時点で馬脚を現している点でもお察しである
448名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 17:25:06 ID:GXIHYhMN
現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、2010年9月まで避難所進行の予定となっています。
作品の投下はこちら↓でお願いします。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

2chにスレを戻す詳細な日時等は、運営議論スレで話し合い決定されます。
意見・要望のある方は、こちら↓でどうぞ。

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

このスレに意見を書きこんでも参考にされませんのでご注意ください。
449名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 19:15:32 ID:eGtnaIK/
暗殺者として名を馳せた男、サヴァン。人の欲と裏切りが渦巻く世界で生きてきた彼が、謎の魔術師によって別の人の子供になって第二の人生をやり直すこととなった。
しかし、サヴァンが飛ばされた世界はゼロの使い魔の世界だった。オリ主、チートな主人公が繰り広げる物語。原作が大きく変わっておりますので、その点をご了承いただいた上でお読みください。
450名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 19:18:32 ID:eGtnaIK/
第二の人生の始まり

「では、報酬だ」

 彼の目の前に金貨の詰まった袋が置かれた。彼は袋の中に手を突っ込んで、それが全て金貨であるかどうかを確認してから受け取った。

「確かに。では」

 彼はそれだけ言うと、その袋を持って酒場を出た。

 彼の名前はサヴァン。それは通称であり、本名は誰一人として知らない。ただ知られているのは、彼が優秀な暗殺者であるということだけ。
 サヴァンが殺してきた相手は貴族や王族などの大物が多く、その筋からは非常に恐れられていた。サヴァンに睨まれたら、絶対に逃げられないとさえ言われるほどだった。
 但し、サヴァンに対して嘘を吐くのは絶対に厳禁とされていた。嘘を見破られたが最後、サヴァンは嘘を吐いた依頼人を絶対に許さないことでも知られていた。
 サヴァンは酒場を出た後、一人で裏通りを進んでいた。裏通りに立ち込める臭いはゴミと汚物の臭い、表通りを華やかに見せるために汚いものは全て裏通りに捨てられていた。
「いい加減出てきたらどうだ?」

 サヴァンは誰もいない場所に着くと、後ろを振り向かずにそう言った。彼は酒場を出た時から自分の後をつけてきている者の存在に気がついていた。

「さすがはサヴァン、と言ったところだな」

 すると、前方と後方から十人近くの男たちが姿を現した。

「何の用だ?」

「悪いがその金貨を返してもらおうか」

「返せ……か。どうやら、あの依頼人の犬のようだな」

「死んでいくお前には関係ない!」

 その声と共に、男たちは一斉にサヴァンに襲い掛かった。サヴァンは隠し持っていたナイフを先頭を走っていた男の眉間に突き刺し、上に飛び上がった。

「逃がすな! 殺せ!」

「こっちの台詞だ」

 サヴァンは懐に忍ばせていた爆弾を放り投げた。閃光と激しい音を立てて、爆弾は暗殺者を吹っ飛ばした。

「さて、次は裏切り者を……おっと」

 すると、爆発の中からナイフが飛んできた。サヴァンはそれを難なく避けると、その方向を改めて見た。よく見ると、爆発で敵のほとんどが死んでいたが、その中に一人だけ生きている者がいた。もっとも、左半身に大火傷を負っていて無傷というわけにはいかなかったが。

「生き残りがいたか。たいした奴だ」

 だが、サヴァンは決して見逃すような甘い男ではない。彼は相手の姿を見つけると、すぐにそこに向かって駆け出した。

「炎弾!」

 男は魔法で応戦しようとしたが、火傷による激痛でかなり集中が乱れているようだった。その証拠に、放たれた術も本来の威力を保てず、かなり弱々しいものだった。サヴァンはそれらをあっさりとかわして、男の心臓にナイフを突き立てた。

「が…ぁ……!」

 短い断末魔を上げて、男は絶命した。サヴァンはだんだん周りが騒がしくなってきたのを見て、男たちの死体をそのままにしてさっきの酒場を目指した。目的は勿論、裏切った依頼人への報復である。
 暗い路地を走って、サヴァンは酒場にたどり着いた。他の客は飛び込んできたサヴァンに驚いたが、サヴァンはそんな周りの目を気にせず、さっきまで商談を行っていた部屋に一目散に飛び込んだ。

「逃げたか……」

 さすがに敵も去るもの、暗殺者を放っても安心せずに真っ先に逃げたようだ。サヴァンは苦い思いを噛み締めると共に、敵の用心深さに少し感心もしていた。

「仕方ない。姿を消すか」
451名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 19:20:38 ID:eGtnaIK/
 サヴァンはさっきの戦闘のせいで大きな騒ぎになってしまったため、依頼人への報復は諦めることにした。もっとも、いつの日にか、という思いだけは持ち続けていたが。
 サヴァンは検問が敷かれる前に町を出た。最早野宿は避けられないが、町にいるリスクを考えれば外にいるほうがずっと捕まる可能性も低いので仕方のないことだった。
 町を出た後はまず森の中に入った。獣がいるので危険性も高いのだが、人目に晒されることもないので逃げ切れる可能性が高い。

 通常、暗殺者というものはフリーとそうでないものというものに分けられる。サヴァンは前者に属する暗殺者だった。
 前者に属する暗殺者は、組織がバックについていないため、全て自分で処理しなければならないが、後者は違う。
 世の中にはギルドというものがある。商人ギルド、傭兵ギルドなど職種によって様々なものがある。その中には暗殺者ギルドという物騒なものも存在する。これは暗殺を請け負う窓口としての役目があり、
請け負った暗殺に対して暗殺者を派遣して、その暗殺を速やかに遂行できるように逃げ場所の確保なども行っている。それによって、確実な暗殺の遂行を約束されているものなのだ。
 前者は完全に信用商売なので、腕が立たないと依頼すら来ない。だからこそ、フリーで活動している暗殺者というのは数が少ないのだ。
 また、前者はギルドに属していないがゆえに仕事を終えた後、消されてしまうことも珍しくないのだ。自分の身を守るのは自分の力だけ、その大前提でのみ生きているのがフリーの暗殺者なのだ。

「しかし、久しぶりにドジを踏んだものだ……」

 焚き火の前で、サヴァンは珍しく愚痴を零していた。依頼人に裏切られることなど今に始まったことではないが、その裏切り者の始末に失敗するなどここ最近ではありえないことだった。

「まあいいか」

 サヴァンはあの依頼人のことは後回しにすることにした。当面はどこまで遠くまで逃げ切れるか、それが一番の課題となっていた。色々な国や地域で仕事を請け負っているため、その悪名は方々に轟いていた。
ただ、今回の裏切り者を除いて仕事で手がけた相手は皆死んでいるため、その顔が知られることは今までなかった。
 追っ手の心配があったため、その日は一睡もせずに夜が明けるのを待った。おかげで少々寝不足になったが、こんなことも日常茶飯事だった。

 夜が明けると同時に、サヴァンは行動を開始した。まずは森を出てひたすら街道を北に向かって進んだ。目指す先は国境、そこを抜けて他国へ逃げることが彼の目的だった。
 いくら有名でも、仕事を控えている国ならば目をつけられることもないだろうと考えていた。

「いたぞぉ!!」

 すると、いきなり兵士たちが現れ、サヴァンを追いかけてきた。思ったよりも早い対応にサヴァンも舌を巻いたが、いちいち全員を相手にするのは面倒なので逃げの一手を選んでいた。

「逃がすなぁ!!」

 何処に潜んでいたのか、次から次へと兵士たちが姿を現してサヴァンを追いかけてきた。

(誰だ……この手際のよさは?)

 今まで、色んな連中に追われたが、これほど手際のいい相手は初めてだった。まるで、初めから何処に逃げるかを知っているかのような兵士の配置、見事の一言だった。

「一発かますか……」

 さすがに何の恨みもない兵士を殺しても一銭の金にもならないので、威嚇のために一発かますことにした。

「炎弾!」

 兵士たちから数メートル離れた場所を狙って術を放った。当然、そんな離れた場所に撃っても兵士に当たるはずもなく、術によって舞い上がった砂煙が風に乗って兵士たちの目を眩ませた。
 兵士たちは砂煙によってすっかりサヴァンの姿を見失い、その混乱に乗じてサヴァンはうまくその場を逃げおおせた。

「やれやれ。何とか逃げ切ったか……」

 サヴァンは兵士の姿が見えなくなったところで、やっと一息をつくことが出来た。

「それにしても、何でこんなに手際がいいんだ? 今頃はまだ町中を探していると思ったのに……」

 この手際の良さには感心するしかない、サヴァンは誰だかわからない相手にただ賞賛を贈っていた。
 しかし、ただ捕まってやるつもりもなかった。相手がその気なら徹底的に逃げ切ってみせる、それだけだった。
 それからも兵士による襲撃は時折あった。その度に相手を殺さないように細心の注意を払いながら逃げ回った。ここまでくると最早意地だけがサヴァンを支えていた。

(しかし、いい加減に何とかならぬものかね……)
452名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 19:21:51 ID:eGtnaIK/
 サヴァンは意地で逃げ続けていたが、さすがにもううんざりしていた。最初こそ、相手の手腕を褒めたりもしていたが、今となってはただ面倒だと感じるだけだった。

「早いところ、国境を抜けるか……」

 幸い、逃げ続けたおかげで国境までは思ったよりも早くたどり着くことができそうだった。今の調子で行けば今日中に国境を抜けることも出来そうだった。

「げっ……」

 しかし、そんな希望は目の前に広がっている大兵団を見て、ものの見事に打ち砕かれた。現在、国境には物凄い数の兵士が兵団を組んで待ち構えていた。

「どうやって逃げるか……?」

 そう考えている時、兵団の中からひときわ大きな声が聞こえた。

「いいか! 犯罪者を絶対に逃がすようなことがあってはならない! 何が何でも捕まえるぞ!」

(ん……? この声って……)

 サヴァンはその声に聞き覚えがあった。それを聞いてもう一度、兵団を見た。

「犯罪者を逃がしたらこの国の恥である! 何としてもこの国で捕らえるのだ! 駄目ならば始末してしまえ!」

「あいつ……!」

 サヴァンは声を上げているその男に見覚えがあった。その男こそ、先日彼を裏切った依頼人その人であったからだ。彼は兵団の中心にいるその男を苦々しい思いで見た。

「どうりで手を回すのが早いわけだ……!」

 兵団を指揮しているのが裏切りを働いた張本人なら、犯人を特定したように見せかけるのも簡単だし、どんな行動を取るかどうかの予測さえ簡単なはずである。

「裏切った挙句、まさか兵団までこさえてくるとは……」

 ここまで虚仮にされたことも今までで初めてのことだった。依頼人の中には当然貴族や王族もいたが、ここまで露骨な仕返しをしてくる手合いは初めてだった。

「とはいえ、兵士に手を出したらそれこそただではすまないし……」

 今まで表立った捜索が行われなかったのは、それが暗殺という秘密裏に行われたものだからという理由が前提としてあったからだ。
それに暗殺された相手を依頼人が病死なり何なり適当な理由をつけて誤魔化してくれたので、犯罪となっていないものも多々あった。
 しかし、今回に関しては裏通りでの騒ぎという些細なものに過ぎないが、それでも表立って捜索する理由があるのでこれほど大規模な捜索が行われているのだ。
そこまで初めから計算に入れていたと考えるだけで、サヴァンの怒りはどんどんそのボルテージを上げていった。

「あいつだけは始末しないと……」

 サヴァンはもう国境を抜けることを後回しにして、ただあの裏切り者を始末することに全力を注ごうと考えていた。
ただでさえ、この業界で裏切るなどという行為は死を意味するというのに、ここまであからさまに裏切ることなど誰が予想できようか。

「さてどうしようか……」

 すると、街道を馬車が通っていくのが見えた。馬車の進んでいく先を見ると、あの兵団のど真ん中で止まった。そして、兵団に食料を配っていた。

「補給部隊か……使えるな」

 サヴァンはあの補給部隊を見て報復の手段を考えた。すると、後続の補給用の馬車がどんどん続いてやってきた。
 サヴァンはその一番最後尾にいる馬車を狙って、こっそりと荷台の中に忍び込んだ。

「あったあった」

 荷台の中身はもちろん補給用の食料だった。肉やパンなどがたくさん積まれていた。それを満足そうに見た後、サヴァンは薬の瓶を取り出して載っていた全ての食料にそれを振りまいた。
そして、それが終わると逃げられなくなる前にと、急いで荷台から降りて再び状況を窺うことにした。
 変化が起こったのは夜になってからだった。兵団の一部が急に慌しい動きを見せ始め、多くの兵士が持ち場を離れるという事態が起こったのだ。
453名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 19:23:20 ID:eGtnaIK/
「よし。今だ」

 サヴァンはそれを見て迷うことなく兵団のいる国境へと突っ込んでいった。運も味方して今日は月も出ていない新月の夜、逃げるには正にうってつけだった。

「て、敵襲! 敵襲!」

 見張りの兵士の声を聞いて、他の兵士たちも一斉に動き出すが既に現場は混乱していて指揮系統は全く機能していなかった。

(こんなに効果があるとは……)

 サヴァンが取った作戦は、兵士たちの食料に毒を混ぜることだった。もちろん、殺してしまっては何にもならないので、激しい腹痛と下痢を引き起こすものを使用していた。
それでも、多くの兵士を戦闘不能状態に陥らせるには充分であり、その効果は今目の前で実証されている通りのものだった。

「死にたくなければどけえ!」

 更に弾幕を張るために炎弾を適当にぶっ放し、煙幕を張って逃げやすい状況を演出した。元々、指揮系統が全く機能していない兵士たちは、この煙幕で完全に混乱して同士討ちなどを始めていた。

「ええい! 何をやっておる!? あいつを殺すのだ!」

 どうやら、肝心の手合いは毒入りの食べ物を食べなかったらしく、気勢のある声で兵士たちを再び纏めようとしていたが、それはサヴァンに居所を教えているようなものだった。

(借りは返させてもらう)

 居所を確認したサヴァンは、男の姿を確認すると遠くからナイフを放った。

「ううっ!」

 短い悲鳴、それだけでナイフが男に命中したことだけは確実だった。たとえ、ナイフが急所を外していたとしても、その刃には強力な毒が塗ってあるので命を落とすことは間違いない。
つまり、ナイフが当たった時点で彼の作戦は成功していると言っていいのだ。

 作戦が成功したとなれば、あとはただ逃げるだけだった。彼はこの混乱に乗じて一気に国境を越えてしまおうと走り続けた。
 しかし、彼の進撃はここまでだった。

「何!?」

 サヴァンは何者も寄せ付けずに進撃し続けていたが、突如目の前に展開された魔法よってその身を囚われてしまった。
 それは今まで見たこともない魔法だった。全身の自由が利かなくなり、その背後にはまるで渦を巻いているかのような黒い空間が広がっていた。

「何だ……この術は?」

 サヴァンもこの術を見るのはこれが初めてだった。そもそも、現存する術でこんな術があるなどという話は一度も聞いたことがなかった。
 彼は魔法についてはかなり勤勉に学んでいた。それは自分の身を守るためであったし、相手の依頼を確実に遂行するための道具であったからだ。その彼でも、今自分が受けている魔法は全く知らないものだった。

「くそっ……!」

 無駄かもしれないとは思いながらもサヴァンは必死で抗った。千に、万に、億に一つの可能性があるのならば、それを遂行する。それがこれまで彼が生きながらえさせてきたからだ。
どんな苦境に陥ろうとも一度足りとて、彼は諦めるということをしなかった。暗殺者という穢れた職業を生業としてきたが、それだけは彼が唯一自分に誇れる部分だった。

「あいつか……!」

 彼に向けて手をかざしている一人の魔法使いの姿が見えた。ローブで顔も隠しているため、その姿ははっきりと見えなかったが、他はまだ混乱している状況なのでそいつが術を使っているのは明白だった。

『略奪者よ……』

 すると、サヴァンは頭に直接変な声が聞こえてくるのを感じた。周りを見てみたが、変な真似をしている奴は見当たらなかった。

『お前はこの世を去り、新たなる世にて贖罪を果たせ』

「贖罪?」
454名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 19:24:02 ID:eGtnaIK/
『さらばだ。略奪者よ』

「な、何だぁ!?」

 その言葉が途切れたと思うと、サヴァンは黒い空間の中に引きずり込まれていった。
 全力の力を持って最後の抵抗を試みたが、それも敵わず、意識はだんだんと深い闇の底へと引きずりこまれていった。



(ん……ここは、何処だ?)

 サヴァンが目を覚ますと、見たことのない天井があった。

「おお! やったな、エレーネ!」

 すると、見ず知らずの男がやって来た。金髪で口元に髭を生やしており、その身なりはきちんとしたものであり、サヴァンには相手が貴族であることは一目で見抜いていた。

「この子が私の跡取りか!」

(跡取り? 何のことだ?)

 サヴァンは男が何のことを言っているのか理解できなかったが、次の瞬間にはそれよりも驚くことが起こった。

「よーし! 私がお前のパパだ!」

 男はそう言うと、サヴァンを軽々と抱き上げた。サヴァンは体つきはかなり痩せ型だったが、しっかりと鍛え上げられているので体重はそれなりに重いほうだった。それなのに、自分より体を鍛えているとは思えない男が軽々と自分を抱え上げていることに驚きを隠せなかった。

「今日からお前はヴァルデス、ヴァルデス・ウェストリ・コーラッドだ!」

(ヴァ、ヴァルデス? この男はいったい何を……?)

 その時、ふと顔を横に背けた時にサヴァンは見てしまった。

(こ、これが俺か?)

 鏡の映っているのは間違いなく生まれたばかりの赤ん坊だった。そこには暗殺者として名を馳せたサヴァンの姿はなく、純粋無垢な姿をした赤ん坊がそこにいた。

「今日からお前はこのコーラッド家の跡取りだ! 一緒に生きようぞ、我が息子よ!」

 喜びの笑い声を上げる父と名乗る男と、自分の姿を見て愕然としている暗殺者、全く異なる感情を持った二人にこの時、親子としての絆が結ばれた。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 21:01:55 ID:+hWluYni
>>446
誘導がないと、久しぶりに来た人がどうなったかわからなくて困るだろ?
誘導用に残しとく必要はあると思うよ。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 21:26:00 ID:f8A77Hu0
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part281
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1280906619/

早漏すぎるけど既に立ってるな
457名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 23:11:42 ID:u/VeRw2k
ぐぐるだけでまとめサイト出てくるし
久しぶりとか以前から来てる人はまとめサイトの存在は知ってるから
458名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/05(木) 23:33:17 ID:TmRhrMmc
というか、荒らしがスレ立てたからダメとか言い出したら、
スレ立てるタイミングで毎回スレ立てされちまうぞ
実際そういうスレは各所にあるし
459名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 00:04:03 ID:G22ePXSL
>スレ立てるタイミングで毎回スレ立てされちまうぞ

それこそ「利用者の気分を害するため・利用者を揶揄するために作られたと判断したものは削除対象になります。」適用じゃねえか
「荒らしの立てたスレ」と判った時点でこの理由で削除依頼出して無視すればいいのに「もったいない」とか「立ったスレは使わなきゃならない」とか
トンチンカンな理由で荒らしのやった事の既成事実・正当化しちまうから馬鹿が調子に乗ってるんだろうが

そこでスレ全体として毅然とした対応してそれ以後きっちりスルーすればいいのに
是々非々問題だけスルーして荒らし行為既成事実化するな

荒らしがスレ立て強行すれば削除依頼と並行して誘導コピペ埋めでもしてりゃいい
そんなゴミスレの使用を正当化するな
460名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 00:40:25 ID:UhcFVBxF
ならこのスレもそういう理由でとっとと削除依頼すりゃよかったのにwww
なんでこんなグダグダ引き延ばしてんの?
461名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 00:51:42 ID:G22ePXSL
削除依頼する間も無しに誤爆投下やらで有耶無耶になったせいじゃねえかそんなもん
完全無視して荒らしの自作自演しか無い状況なら今でも削除依頼は通用するのに
誤爆に便乗した馬鹿が2ちゃん的に既成事実化しちまったからな

まだまとめや避難所的には無かった事に出来る余地はあるが

多少の誤爆以外に荒らしの悪行とそれに騙されて踊る馬鹿のゴミレスばっかりじゃねえか
ここまで来りゃ埋まらせて捨てるしかねえだろ、遠慮の無い荒らし叩きもここまで来ると必要悪レベルでしかない
462名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 04:05:12 ID:wsIqGWWg
現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、2010年9月まで避難所進行の予定となっています。
作品の投下はこちら↓でお願いします。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

2chにスレを戻す詳細な日時等は、運営議論スレで話し合い決定されます。
意見・要望のある方は、こちら↓でどうぞ。

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

このスレに意見を書きこんでも参考にされませんのでご注意ください。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 08:08:03 ID:U+S7JPUb
>>459>>461
君はいい加減黙っててくれないかな
荒らしが立てたとして削除依頼をしても
>「利用者の気分を害するため・利用者を揶揄するために作られたと判断したものは削除対象になります。」
を運営がどこから読み取るんだ?、ただ単にスレ立てたのが荒らしでしたってだけじゃ依頼しても通るわけない
利用者の気分を害するようなコピペ、誹謗中傷などが延々繰り返されているなら兎も角

スルーについて言うなら、「荒らしが立てたから」と毎度のようにしつこく喚き立てる君自身はどうなのかな?
自分自身が一番スルー出来ていないくせに他人にスルーを説くとはなんと言うダブルスタンダード

自作自演でも何でも事情を知ってるスレ住人でなければ荒らしがやってると一見しただけじゃ分からない
そんな状態で削除依頼が通ると思うなら、グダグダ言わずに、君が、今すぐ削除依頼を出せ
でなければスレの批判をするのは余計なお世話だ

必要悪として自らの荒らし叩きを肯定しているが、荒らしを叩くお前自身が荒らしでしかないと理解してから物を言おうな
464名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 08:29:07 ID:UhcFVBxF
>>461
2ch運営がわざわざ「荒らしが立てたスレだから消す」なんて、確認が面倒な行動取るわけねえだろw
それとも運営に対しても「過去ログ読んでこい新参」とでも言うつもりか?ww
お前こそどこの新参だよって話www

>まだまとめや避難所的には無かった事に出来る余地はあるが
おいww墓穴掘ってるぞwww
それ言ったら荒らしの「避難所だけでやればいいだろ」を正当化しちまうだろうがwww


あ〜こんな面白い自治厨いたら荒らしが消えないのも分かるわ〜
465名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 12:12:13 ID:EV4kpuyE
っていうか、ここで語り合ってる理由って何?
466名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 12:56:36 ID:8zeRs0+O
唯の荒らし。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 14:43:35 ID:wsIqGWWg
意見・要望のある方は、こちら↓でどうぞ。

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

このスレに意見を書きこんでも参考にされませんのでご注意ください。
468名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/06(金) 23:38:56 ID:aKKTDuDJ
避難所にホスト規制されてたでござる
469名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/07(土) 10:58:03 ID:4Y9sEnDt
>>463
荒らしが立てたから使いたくないとか言い出すマヌケつこそ荒らしと化してるんだよな

アニメ板だと950踏んで無いのに立てたから荒らし認定しスレ重複させたり
スレタイが気に入らないから荒らし認定し(ry
重複させて誘導しまくったり、削除議論で赤っ恥かいたりしたのも居たな
独善的で潔癖な自治厨は2ch慣れしてない新参が多いんだろうな
470名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/07(土) 11:32:37 ID:czNPLY9w
>>469
でもコピペ荒らしには言及しないんだね君
471名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/07(土) 14:30:52 ID:4Y9sEnDt
>>470
コピペ荒らしは荒らしそのものだろう、何を当たり前のことを
自治厨が無自覚に荒らしと化してると言ったまでだよ
472名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/07(土) 14:52:13 ID:65EPignu
こいつのことだな<コピペ荒し >>426
473名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/08(日) 08:21:13 ID:tEuDGHRt
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
474名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/08(日) 08:23:27 ID:tEuDGHRt
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
475名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/08(日) 08:25:45 ID:tEuDGHRt
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
476名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/08(日) 08:27:25 ID:tEuDGHRt
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
477名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/08(日) 08:28:32 ID:tEuDGHRt
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
478名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/08(日) 08:29:33 ID:Q7Jc2lQF
現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、2010年9月まで避難所進行の予定となっています。
作品の投下はこちら↓でお願いします。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

2chにスレを戻す詳細な日時等は、運営議論スレで話し合い決定されます。
意見・要望のある方は、こちら↓でどうぞ。

運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

このスレに意見を書きこんでも参考にされませんのでご注意ください。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/08(日) 08:30:01 ID:tEuDGHRt
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
480名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/08(日) 08:31:07 ID:tEuDGHRt
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
                                                                     
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