【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら24
ルイズは宝箱の中から一つの人形を取り出して、タバサに見せた。
何のことかと首をかしげていたタバサも、それを見て納得したように頷きながらも、すぐに首を振った。
「気にしてない。寧ろ今まで小説を買ってくれた御礼」
「ふふ、それこそ気にしなくて良いのに。何時も勉強見てもらってるんだしさ」
『お、おい、フレイム、そんなに裾を引っ張るなって!』
「お、来た来た」
と、外から騒がしい声が聞こえてきて、ルイズとタバサはお互いの顔を見合った。
そして暫くして声が聞こえなくなると、その代わりにフレイムが部屋に入ってきた。
なにやらやり遂げた男の顔をしているような気もするが、気のせいだろう。
「さてと、後は準備したこれを……と」
ルイズはスキルニルを箱に戻し、代わりにルイズはベッドの向こう側から一つの看板を取り出す。
そこにはハルケギニアの言葉で『ドッキリ大成功』と書かれていた。
それを見て、シエスタは何となく察した。なるほど、これがサプライズということか。
ルイズはサイトから、予めドッキリについて教えてもらっていた。それを、彼自身に仕掛けてみようというのである。
しかし、一点だけ彼女には気になることがあった。
「サイトさん、ハルケギニアの言葉は読めないんじゃ?」
「あ……。それは迂闊だったわ。ま、まあ口で言えば大丈夫よ、うん」
シエスタの指摘にルイズは焦りながらも誤魔化している。
そんな彼女を見て、タバサはやれやれと呆れながらため息をつくと、本を閉じてフレイムの背中に乗った。
それに続いて、ルイズも背中に乗る。
「シエスタは……流石に乗れないね。火が当たっちゃう」
「わ、私は良いよ、遠慮しておく。こんなヒトカゲに乗るの、怖いよ」
「えぇ、まあいっか。よし、行け行けフレイム!」
遠慮するシエスタを尻目に、ルイズは気合十分にフレイムに号令を送る。
それに答えるように、フレイムは軽く咆哮を挙げた。
そしてノソノソとキュルケの部屋へと向かおうとするが、突然ピクッと動きを止めた。
「おい、フレイム、フ、レ、イ、ムー」
ルイズは背中を叩いて進ませようとするが、フレイムは断固として進もうとはしなかった。
そんな彼の行動を不審に思ったルイズは、まさかと思って飛び上がり、フレイムが制止しようと噛み付くのも避けて、
キュルケの部屋のドアの前に立った。
『マドリガル、恋歌よ! それからフレイムで貴方の事を見ていたり!』
『で、でも何時もは素っ気無い感じだったじゃないか!』
中からは不穏な会話が聞こえてくる。なんというか予定と大分違くはないか?
こんな会話をする以前に、サイトへプレゼントと扉を開けて、自分達が現れるはずなのに。
まさか。ルイズは言い表せぬ不安に、冷や汗を掻いた。
『ええ、ごめんなさい……。それはね、恥ずかしかったからなの。あまりに突然だったし、
それに親友の前で告白する気にもなれなかったから。でも、そんなことを気にしてたら駄目だわ。サイト!』
『は、はい!』
「お、お前らぁ! 何をしてるだぁ!」
ついに我慢が出来なくなったルイズは助走をつけて、扉を思い切り蹴り飛ばした。
金具が吹き飛び、扉がゆらりと倒れていく。
そして、その時彼女が見た光景は、キュルケがサイトを押し倒し、今にもキスしようとしているところだった。
ルイズは、言い表せない怒りを感じ、それが通り越して笑いすら出てきた。
そう、これはキュルケが姉を私にくれと言った時と同じ感情。
嫉妬である。
「ふふ、ふへへ、ふへへへ! な、何をしているんですかね、キュルケさぁん?」
「あら、刺激が強すぎて壊れちゃった? 見ての通り」
だが、そんな怒りのルイズに臆することなく、キュルケはサイトの顎を優しく持ち上げ、そして自分の顔に近づけた。
あと数サントで口付けだというところで、ルイズがキュルケに掴みかかりに跳んだ。
「だぁ、もう許さん! 私から身長ばかりじゃなく、サイトまで奪おうなんて!」
「おぉほっほっほ! あらあら、嫉妬は見苦しいわよ! あと、身長は別に取ってはなくってよ!」
「おわぁ!?」
ルイズとキュルケがベッドの上で取っ組み合いを始めて、サイトはベッドから弾き飛ばされた。
地面に落ちた時にぶつけた尻を摩りながら、逃げるように扉のほうに向かう。
すると、そこには顔を抑えているフレイムと、その上に座ってなにやら看板を持ったタバサ、そして呆れた表情のシエスタがいた。
「い、一体どうなってるんだよ」
サイトはすがるようにタバサとシエスタに尋ねた。
すると、タバサは無表情のまま、シエスタは申し訳なさそうな表情で答えた。
「ドッキリ成功」
「っていうはずだったんです、はい……」
「へっ?」
その言葉に、サイトはやはりよくわかっていない表情で、呆けた声を出しながら首を傾げるしかなかった。
さて、ルイズとキュルケのキャットファイトも、タバサの魔法による制裁で何とか収まりをつけ、サイトの小さな歓迎会は幕を開けた。
キュルケも先ほどのベビードール姿から普段着に着替えて、落ち着いた格好になっている。
だが、そんな歓迎会も、ルイズは不貞腐れた表情で肘杖をつき、サイトにもキュルケにも顔を合わせようとしなかった。
特にキュルケに裏切られたのがよっぽど気に食わないらしい。
「ほら、ルイズ。悪かったわよ。少しからかいが過ぎたわね」
そんな彼女にキュルケも流石に謝罪するが、無言のままムスッとした表情は変わることがない。
「ほ、ほら、もう過ぎたことだしさ、乾杯しようぜ」
険悪なムードに耐えられなくなったか、サイトも取り繕うようにグラスを持った。
タバサとシエスタ(因みに彼女だけ酒ではない)、そしてキュルケもグラスを持ったが、
ルイズだけはまだ不貞腐れて、頑固として持とうとはしなかった。
一度機嫌を悪くすると、とことんへそを曲げ続ける彼女の性格を知っているシエスタは、苦笑しながら頭を撫でた。
「ほら、サイトさんの歓迎会よ? 折角お祝いしてあげるって張り切ってたのに、ルイズがそんな顔をしてたら駄目じゃない」
「……だってキュルケが」
「ミス・ツェルプストーだって驚かせたかっただけ。ついつい、少し度が過ぎただけよ」
シエスタの言葉にキュルケはそっぽを向きながら舌を出している。どうやら本気だった様だ。だがそんな彼女に二人は気が付かない。
「……プレゼントをあげるって、キュルケが言って、それで私たちが出てくるはずだったのに……」
「はいはい。そんな悲しい顔をしていたら、折角の顔が台無しよ? ほら、笑顔笑顔。ね、サイトさん」
「んあ? ……ああ、うん。ほら、ルイズも笑おうぜ。楽しいからさ」
「……本当?」
「おう」
「……わかった」
「じゃあサイトに出会えた事を祝って……乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
サイトが笑顔で答えたので、ルイズも少し顔を赤らめながら頬をかいて、グラスを持った。
そして、全員はグラスをぶつけて、乾杯祝福した。
料理に舌鼓を打ちつつ、ワインを開けていく。
ルイズも酒が入ったことで少しばかり気が良くなってきたのか、笑みを浮かべてきた。
シエスタは料理を分け、空いたグラスにワインを注ぎながら、その様子に満足そうな笑みを浮かべていた。
その側でタバサは料理を次々と平らげていた。全くもってマイペースである。
「しっかし、ルイズとキュルケって仲が良いのか悪いのかよくわからないよなぁ」
と、サイトが正直な疑問を投げかけると、キュルケとルイズはお互い見つめあった。
そこへシエスタがサイトのグラスにワインを注ぎながら言った。
「まあ、喧嘩するほど仲が良いと言いますし」
「あ、なるほど」
シエスタの言葉にサイトは納得したように頷いた。キュルケとルイズもため息をつきながら、懐かしそうに呟いた。
「まあ、最初の出会いはお互いもっと仲良しだったわね。ルイズももっと素直だったし。どちらかといえば私がからかわれる立場?」
「そ、そうだったのか?」
「そうそう。それが今はねぇ……」
「……今でも十分素直だけど?」
「素直じゃないわよ。あ、じゃあサイト私が貰ってもいい?」
「だ、駄目に決まってるでしょうが! ガルル!」
「何で駄目なのよ、お姉さんに言ってみ……ってわ、ちょっと噛み付かないでよ、あいだだだ!!」
「お前ら喧嘩すんなよ! ほら、ルイズ落ち着け、落ち着けー」
「フシューフシュー……」
からかうキュルケの腕に噛み付いたルイズをサイトは必死に宥めながらもとの席に戻す。
だが、ルイズはキュルケを未だに威嚇している。キュルケは噛み付かれた腕を振りながら言う。
「いたた、もう……痕残っちゃっうじゃない。どうして駄目なのよ?」
「どうしてって。サイトは私の相棒だもの」
「……それだけ?」
「ど、どういう意味よ」
「ふふん。そっかぁ、じゃあ相棒の恋愛は別に自由よねぇ?」
「うぐ……それとこれは別よ……ああもう! とにかくだめったらだめ!」
「あらあら独占欲が強いこと。サイトも幸せ者ねぇ」
「そ、そうかな。うお、ルイズ!」
満更でもない表情で頭を掻いているサイトに、ルイズは椅子を寄せて、そして腕を組んで身体を寄せた。
キュルケのように胸はないが、なんというか彼女のか弱い腕が、いや筋肉質なのでか弱くもないのだが、
ともかくサイトに離れてほしくないという意思を精一杯表した。
そんなルイズに、サイトは優しく頭を撫でてやる。やはり彼にとっては妹、というぐらいにしか思えないかもしれない。
と、そんな時だった。グラスの中のワインが、いや部屋全体が大きく揺れだした。
「ちょ、何よ!?」
キュルケは思わずバランスを崩しそうになるが、タバサが支えて何とか姿勢を保つ。ルイズはサイトから離れて、窓から外を眺めた。
「ご、ゴーレム!?」
そこでルイズが見たものは、城とも思えるような巨大なゴーレムが拳を振り上げ、今まさに本塔へと殴りつけようとする姿だった。
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以上です。
ルイズも歳をとって本来の性格が出てきたようです。
本当はフーケ来襲まで行きたかったんですが、予想外にこのイベントが長くなったので一旦切ります。
後2話ぐらいでフーケ編終わりですね。次はまたアニエス編で、少しオリジナルを挟みたいと思います。
さあ、
>>500さんは早く本編を(ry
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いじょ、代理投稿でした。
517 :
500:2010/06/28(月) 08:51:54 ID:6ZyEWGQ+
≫507
やあ、あんたとはいい酒が(ry
≫銃士氏
更新乙です、いつも楽しく読ませてもらっています
このルイズには愉快な姉と友達がいっぱいいて、いいですねー。しっかり学院生活楽しんでる感じがたまらないw
そしてネタの件、レスありがとうございます
そもそも、というかやっぱりというか、この朝ドラネタは銃士氏のSSから妄想しとるんで
(平民ルイズカワイイー、お高くないヴァリエール家イイ→なんかそういう設定のSS他にもないかなー……ごにょごにょ
気に入ってもらえて嬉しいような、恐れ多いような……
え?本編?
……すません、設定しか作れないただの妄想野郎なんで……
つ「だれかこのネタをひろってください」AA略
>>517 世の中には言い出しっぺの法則というものがあってだなぁ……
つまり何が言いたいかというとハイパーがんばれ
お前ら・・・
まあ武器屋の時みたいに、みんなネタ出しするといいんじゃないかな!
>>517 デルフで魔法を喰らい、杖仕様の槍で敵を爆殺する、イーヴァルティの二つ名を持つ傭兵として戦うルイズ。
タイトルは"イーヴァルティのルイズ"とか"虚無の勇者"とか。
頑張ってくれ。
・・・それはそれでやったら良いんじゃねえの?
>>506とか
>>517とは毛色が違いそうだし、設定も違くね?
ルイズ・フランソワーズ・デジレは、王都トリスタニアはチクトンネ街で暮らす少女だ。
両親はかつて貴族階級であったが、彼女が生まれる直前に父親(爵位持ちであったらしいが、ルイズも詳しくは知らない)が事故死。
それをきっかけに没落したとかで、物心つく頃には彼女は今の長屋で、母とふたりの姉とともに暮らしていた。
悲惨といえば悲惨な話である。
だが家族と違い、かつての貴族生活を覚えていないルイズが、自らの境遇を嘆くことはなかった。
快活な少女は屈託なく町の子供らにまじり、ともに遊びときに喧嘩しながら、のびのびと時を過ごした。
むしろ地位というしがらみや重圧のない分、満ち足りた子供時代であったかもしれない。
一方、社会的地位は無くしたもののメイジである一家の暮らしも、決して悪いものではなかった。
凄腕の風使いである母は女だてらに王城で衛士を勤め、腕の良い土メイジである長姉は時折修繕などの仕事を請け負っては町の者に頼りにされている。
また次姉も、生れつき病弱なため働くことはできなかったものの、近所の同じくメイジの血を引く平民の子供達に魔法を教えて親達に感謝されていた。
唯一、そんな彼女らの末っ子であるルイズが、いくつになってもまともに魔法を使えないことを除けば――それはまちがいなく幸せな日々であったと言えよう。
厳格な姉に悪戯を仕掛けたルイズが逃げ出し、まんまとしてやられて激怒したエレオノールがそれを追いかければ、騒がしいとカリーヌがまとめて空高く放り上げ両成敗し、最後にカトレアが笑いながら仲裁に入る。
そんな愉快な日々を送るデジレ家。
ところが一家にある事件が訪れる。
なんと長姉エレオノールが結婚することになったのだ。
お相手はゲルマニアの平民上がりの貴族。商いの関係で訪れたトリスタニアでエレオノールを見初め、半年以上通いつめ口説き落とした。
照れながら母に婚約の報告をするエレオノール。
口煩いながらも面倒見の良かった姉のそんな幸せそうな姿に、ルイズは喜びよりも寂しさを感じてしまう。
やがて新郎に連れられ、ゲルマニアへと旅立つ姉。その馬車を見送りながら、ルイズはついにぼろぼろと涙をこぼす。
それは言うならば、彼女の子供時代の終わりを告げていたのかもしれない――。
けれど、真の事件はその一週間後に起きた。
三人になったデジレ家で、突然母カリーヌが失踪したのである。しかも続けざまにもたらされたのは、幸せな新婚生活を送っているはずの長姉の死の知らせ。
呆然とする姉妹の前に、母の雇い主であるという王妃マリアンヌが現れる。彼女の口から語られる、父の死の真相。母の秘密。
それは、ルイズにある決意をもたらした。
三日後、病いがちなカトレアをマリアンヌに預け、ルイズは姉の死の真相と母の行方を知るために旅に出た。
その背には近所の武器屋で餞別にもらったインテリジェンスソードを背負っている。
――魔法が不得手な彼女が、それでも母のようになりたいとこっそり励んでいた、剣術の修行。
同時に、その手には細い杖を握りしめている。
――棚の奥に仕舞いこんでいたその杖を持って出たのは、彼女なりの願掛け。《いつか必ず魔法を使えるようになる》そんな母との約束を果たしたなら、再び彼女と出会えるのではないかと。
引き留める親友の言葉を振り切り、旅立つ彼女。その視線はかつての母のように鋭く、まっすぐに前を見つめている。
彼女はまだ知らない――平和な日々においてははた迷惑な失敗でしかなかった《爆発》の持つ、真の価値を。
そしてまた、彼女は知らない――幼き日に憧れたある名を、やがて自らが名乗ることになることを。
左手に構えた魔剣はあらゆる魔法を防ぎ、右手の杖より放たれる爆発はあらゆる防御を打ち砕く。
最強の盾と槍を持つ勇者《イーヴァルディ》。
再来せしその英雄は、またの名を虚無の勇者という。
イーヴァルディのルイズ。
己が身に降り懸かるその運命の名を、彼女はまだ知らない……
……
……
ルイズはぽけっと口を開けたまま、見慣れた天井を眺めた。ぱちぱちと瞬きを繰り返してから、ようやくつぶやく。
「……なんだ、夢かぁ」
そう、そこはまちがいなく彼女の家だった。隣には次姉と幼なじみのアンが川の字で寝ている。いつも通りの光景だ。
そして、どうやら自分はずいぶんと妙な夢を見ていたらしい、と彼女は気づく。
「――なーんか、おかしいと思った」
自分が伝説の勇者だなんて、厨○……バカバカしいにもほどがある。
照れ隠しにひとりつぶやくルイズ。
「そりゃそうよねー、エレオノールお姉ちゃんが結婚できるなんて、夢じゃなきゃありえないわ」
あはは、と自らの発言に笑う。そのとき、不意に後ろから呼びかけられた。
「……ルイズ?」
その声になぜか首すじがヒンヤリ。
「へ?」
振り向けば――そこにはドラゴンよりもおそろしい目をした長姉、エレオノールがいた。
「あなた、今、なんて言ったのかしら――?」
「あ」
――あばばば
翌朝、彼女は家の裏でまっしろに燃え尽きているところを発見されることになる――。
ちゃんちゃん。
おれ、頑張った。超がんばった。ハイパー頑張ったので、後は頼む≫523
よくやった! 君の頑張りに俺は敬意を表する!!
もしギーシュがワルキューレ一体一体に個体名をつけていたら?
まじでGJ!つ、続きも行くんだ!
というかいいなこの設定
没落ヴァリエール家で俺も妄想
カリーヌ・デレジは普段はうだつのあがらない衛士を装っているが、実は金銭をもらって弱者の晴らせぬ恨みを晴らす「仕事人」という裏の顔を持っていた
没落したヴァリエール一家を支えるため、カリーヌが女郎屋で働いて、
そこに嘗ての家臣や部下がやってきてねっとりネチネチ責められる話は妄想したことがある。
>>531 >>532 必殺 大好きなんで 乗っからしてもらいます。
オールド・オスマンが『寅の元締』
コルベールが『死神』
職員会議で 「この命、500エキューにて 落札」 とか
エレ姉は 学者つながりで『糸井 貢』(暗闇 仕留人)
カトレアさんは・・・ 動物使いの仕事人って、ゲストキャラには居たかも知れないけど?
あとは シエスタが家政婦?つながり?で『おばさん』(うらごろし)
アニエスが 銃つながりで『土左衛門』(からくり人)あたり。
それとも エレ・カトレアが『せん・りつ』ポジション?
カトレアの体が弱いのは体内に毒を貯めているから
水魔法で体の流れをちょっと操作することにより体内の毒を手先に集め
毒手にすることが出来る……という妄想
もしもカトレアがガリア兄弟の姉だったら……
病弱設定は同じ 髪の毛青
代わりにヴァリエール家はエレオノール・ルイズの二人姉妹
自らの命を顧みず弟たちの仲を危惧するエレ姉萌え
魔法が使えれば治せるかもしれないのに!! と自分に絶望するジョゼフと
魔法が使えるけど治せないじゃないか!! と自分に絶望するシャルル
という電波を受信
カトレアスキーの俺からもひとつ、
もしちい姉様が今にも死にそうなのに決して死なない、ある意味タフ(?)な病人だったら?
朝目覚めた瞬間にまず吐血。洗面器いっぱいに血を吐いた後、すっきりした表情で、
「おはよう。爽やか朝ね」
と何事もなかったように挨拶するカトレア。慣れない動物達がガクブルしてても気にしない
その他、呼吸するように自然に気絶失神したり、三度の食事より頻繁に呼吸停止心停止したり、
その度に家族は慌てるものの、メイドや医者は慣れきっていて淡々と蘇生作業→「あら? すこし向こうに長く居すぎたかしら? ただいま」
発作だけでなく普通なら死亡する事故にあっても、やっぱり何事もなかったように蘇生
ちなみに彼女の血や薬を常人が触れたり服用したりすると、即死するとか
540 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/01(木) 13:25:55 ID:JeBiML8t
「おお? その香水は、もしや、モンモラシーの香水じゃないのか?」
「そうだ! その鮮やかな紫色は、モンモラシーが自分のためだけに調合している香水だぞ!」
「そいつが、ギーシュ、お前のポケットから落ちてきたってことは、つまりお前は今、モンモラシーと付き合っている。そうだな?」
ギーシュ「それは無い………何故なら今まで黙っていたがモンモラシーは女装少年なんだ」
「お尻を使えば男も女も一緒だろ」
ケティ「すいませんギーシュ様………実は私も
長男以外は異性愛者だとお家騒動のもとになるからってそういうふうに育てられちゃって」
ギーシュ「なん・・・だと」
逆に考えるんだ。
ギーシュは胸の無い男装少女だと。
ほら、トリステインにはかつて烈ぷ……グシャッ!!
》543
やっぱ元ネタ有はだめかねぇ……
ルイズの使い魔はなんか憂鬱そうな目をした白い犬、とか
いや、いいんじゃない?うまくアレンジが出来れば。
クロスオーバー先の名前出したり、あからさまじゃなきゃ。
まあ難しいところではあるよなぁ
「君が軽率に香水の瓶なんか拾い上げてくれたせいで、二人の名誉が傷ついた・・・・・・・・だがありがとう。」
パターン2
「君が軽率に香水の瓶なんか拾い上げてくれたせいで、二人の名誉が傷ついた・・・・・・・・・・・だが拾ってくれた君には一割あげよう」
>>もしもカトレアがガリア兄弟の姉だったら……
とりあえずエロ同人は姉弟3Pものが大量生産される
で、生まれるのはイサベラ様か人形娘かどっちかね。
二人ともに決まってるじゃないか
じゃあもしエレ姉の方がガリア兄弟の姉だったら?
……優秀だけど色々とアレな弟達に頭痛めてそうだな
あと、やっぱり嫁き遅れてイザベラの母親代わりしてたり?
虚無と銃士の代理行きます。
「ご、ゴーレム!?」
窓から見えてきたのは、城とも思える巨大なゴーレムが本塔へと向けて拳を振り上げている姿だった。
そして、その拳は真直ぐ本塔へとぶつけられる。その度に地響きと壁が破壊される音が響き渡ってきた。
何故本塔を? あそこには宝庫があると聞いたが。
そこでルイズはある事を思い出した。それは、サイトの剣を買いに行った時、武器屋の店主から聞かされたことだ。
――最近じゃ『土くれのフーケ』なんつう泥棒が貴族達の屋敷を襲いかかってな、
お陰で従者に剣を買わせる奴らが増えてきたんだ。へへ、そのお陰で潤ってるがね。
「そうか、あれが……フーケ! くっ、やらせるものですか!」
「うわ、何あのゴーレム、でっかい……って、ルイズ何処へ行く気よ!」
「待って、ルイズ! まさか、貴女!」
ルイズはキュルケとシエスタの言葉にわき目も振らずに部屋から出て行った。
そして自分の部屋へと入ると、レイピアと杖を持ち出し、そのまま窓から飛び降りた。
木の枝に掴まり、くるりと勢いを殺して地面に着地すると、そのままゴーレムへと向かおうとする。
「ルイズ待ちなさい!」
「待てよ、ルイズ! あんなの一人で行っても無理だ!」
「危険」
そんな彼女をキュルケとサイト、そしてタバサは上から再び制止しようとした。
30メイルにもなろうかという巨大なゴーレムを学生、それも魔法が使えないルイズ一人で止められるような相手ではない。
向かっていくこと自体無謀なのだ。命知らずにも程があった。
「あんな巨大なゴーレムを操れるのなんて、きっと土くれのフーケよ!
もたもたしてたら、ここの宝物が盗まれちゃう! 私が食い止めるから、キュルケ達は先生たちを起こしてきて!」
「ルイズ待って! お願いよ、ルイズ!」
だがその制止も聞かず、ルイズは一瞬振り向いてそのまま走り去っていった。シエスタの懇願にも全く聞き耳持たずだ。
その様子を見て、シエスタは顔を真っ青にしながらキュルケに縋った。
「あ、ああ……ミス・ツェルプストー、どどどどうしましょう!?」
「くっ……あのお馬鹿! シエスタ、落ち着きなさい。貴女は先生、いえ学院長に報告するのよ。
サイト、貴女は私と一緒にルイズを連れ戻しに行くわよ! タバサは使い魔を連れてきて!」
キュルケは素早く指示を送る。タバサは黙って頷き、サイトとシエスタも突然の出来事に戸惑ってはいるようだが、力強く頷いた。
そして各々散って行動し始める。
その間にもルイズはゴーレムに向かっていた。外から見る限りでは、まだ本塔の壁は打ち破れていないようだ。まだ止めようはある。
ルイズには黙って見ていることなど出来ない。貴族は弱き者を守ってこそ貴族だ。そして目の前の脅威を見て、何故背くことなどできるか。
しかしゴーレムをどうやって止めるか、それが問題だ。上ることなどできるはずはない。
ならば盗む瞬間を狙って、そこで食い止めるしかない。メイジさえ倒してしまえばゴーレムも消失するのだから、そこを付くしかない。
そう決めたルイズは息を荒げながら全速力で走る。そして、揺れる本塔の中へと入り、宝庫へと向かっていった。
時々激しい揺れのせいで足がもたついてしまうが、壁に寄りかかってなんとか姿勢を保ち、また走る。
ルイズはやっとの事で宝庫の扉の前までやってくることが出来た。
と、そこであることに気が付く。鍵がないのだ。
宝庫と言うからには、扉には強力な魔法が掛けられているだろう。
向こうからは壁を打ち破る音が聞こえてきた。もう猶予はない。
「……追試でも説教でも、た、退学だけは勘弁してもらいたいけど、何でもやりますから、ごめんなさい! 『アンロック』!」
ルイズは施錠を解除するために、アンロックの魔法を唱えた。勿論成功することなどない。
だが彼女の爆発魔法はドアを破壊することに成功した。爆発による粉塵に咳き込みながらも、彼女は中へと入っていった。
そして目の前にはフードを被った『土くれフーケ』がまさに今、筒状のものを抱えている姿があった。
その姿に、ルイズは杖を向けながら叫んだ。
「止まりなさい!」
第22話
「さあ、開くんだ!」
巨大な土のゴーレムの上で、フーケは高らかに叫ぶ。周りには誰もいない。
衛士も一目散に逃げてしまっている。誰も彼女を邪魔するものはいない。
絶好のチャンスだった。フーケは不敵な笑みを浮かべ、壁の向こう側の宝庫を見つめる。
念願の宝『破壊の杖』はもうすぐそこまでやってきていた。
過失とはいえ、ルイズはよく自分のために働いてくれた。彼女のお陰でやっとのことで仕事を終わらせることが出来る。
そのルイズとも、もうお別れとなるだろう。そう考えると、フーケの心のどこかでちくりと痛むような感触が湧いてきた。
彼女と過ごした日々は楽しかった。それは嘘ではない。
妹ティファニアと会えない事への心の空白を彼女は埋めてくれた。
少し生意気で怖いもの知らずで、妹とは似ても似つかないが。
それに、エレオノールという友も作ってくれた。根無しの自分に、沢山の繋がりをくれた。
だが、それはロングビルとしてはよくても、フーケとしてはよくはない。
「……あくまで私は土くれのフーケだ。甘ったれた空気に入られるような人間じゃない!」
フーケの言葉に連動して、ゴーレムが打ち付ける拳も一層強くなる。
ゴーレムの拳は鉄に作り変えられている。
どんなに強固な壁であろうとも、まして、ひび割れている状態ではひとたまりもないだろう。
それでも何発も耐えているのは流石と言うべきか。ゴーレムの体も悲鳴を上げ始めていた。
だが、そんな我慢比べももう終わりだ。とどめと言わんばかりに渾身の一撃を与えると、壁のヒビが見る見る広がっていき、そして崩れた。
宝庫の中が曝け出される。フーケの笑みは益々深まった。
そしてゴーレムの腕をどかし、レビテーションの魔法でそこまで飛んでいくと、物色しに掛かる。
珍しいマジックアイテム、曰く付きの鏡、珍しい書物。どれもこれも喉から手が出るほど欲しいものばかりだが、彼女の目当ての品ではない。
彼女は様々な杖がかけられている壁に目をやる。その中には、明らかに他の杖とは別格の、見たことのない金属で出来た杖があった。
長さは1メイルほど。鉄のプレートには『破壊の杖 持ち出しを禁ず』と書かれている。これだ。
「これが、破壊の杖……」
フーケはふらふらと引き寄せられるように歩み寄り、それを手に取った。
意外な軽さに彼女は驚いた。杖にしては奇妙な形をしている。どういう宝物なのか。
しかし、今はそれを確かめる時間はない。とりあえずここから離れ、アジトで検分することにしよう。
彼女がそう決めた瞬間、宝庫のドアが爆発する音が聞こえてきた。そして、そこからは聞き覚えのある声が響いてくる。
「止まりなさい!」
それは、今一番聞きたくなかった声だった。そう、扉にはルイズが立っていた。
無鉄砲だと思っていたが、まさかここまで命知らずとは思わなかった。
フーケは歯を食いしばりながら、杖を向けるルイズに身体を向けた。
「この扉が見える? 私の魔法は何でも爆発しちゃうの。貴方にアンロックとか唱えれば、
それだけで吹き飛ばすことができるわ。さあ、その杖を置いて、大人しく投降しなさい!」
ルイズは杖を向けたまま動こうとはしない。なるほど、失敗魔法とはいえ、爆発を受ければひとたまりもない。
それはフーケ自身よくわかっている。
そして、彼女の甘さもわかっていた。
こうしていれば自分が動かないとでも思ったのだろう。爆発魔法をぶつけてさっさと動きを止めてしまえば良いのに。
それが彼女なりの優しさでもあり、そして致命的な弱点でもあった。
「……早く置きなさい!」
ルイズはフーケが動かないことに苛立ったのだろう。思わず声を張り上げた。だがそれが一瞬の隙を生む。
フーケはゴーレムに塔を殴るよう命じた。ゴーレムは腕を振り上げ、塔の上のほうを殴った。
その一撃で塔全体が揺れ、ルイズの体勢も少しだけ崩れた。
フーケはその隙に破壊の杖を放り、ルイズへと詰め寄った。そして杖に錬金をかけ、土くれへと変えてしまう。
「くっ!」
ルイズはレイピアを抜き、フーケに斬りかかった。
フーケは身体をひねってそれを避けると、そのまま腕を掴んでひねり上げようとする。
だがルイズも後ろに下がる事で避けた。そして距離を取って、再びレイピアを構えて対峙する。
フーケがレビテーションを仕掛けようとすると、すぐさま物陰に隠れて身代わりにし、隙を狙って斬りに掛かってくる。
土弾で攻撃しようとすれば、その合間を縫ってきた。
しかし、何時もの無理な攻めをしないあたり、どうやら彼女は時間稼ぎをしているようだ。
だとすれば、もはや彼女の相手をしている必要などない。
フーケは迫ってきたルイズを蹴り飛ばすと、そのまま破壊の杖を持ち、ゴーレムが開いた穴へと向かおうとする。
ルイズは壁に激突し、嗚咽を吐きながら地面に倒れた。
だがそのゴーレムを破壊せんと火の玉がぶつけられ、爆発を起こしていた。上空からも氷の槍の攻撃が来ていた。
ゴーレムは必死に暴れまわり、その襲撃者を追い払おうとしている。だが、風竜の素早い動きに翻弄されるだけだった。
これでは逃げられない。僅かではあるが、ルイズの時間稼ぎが功を成したのだ。
フーケは歯を食いしばり、悔しさを募らせていた。その瞬間だった。
「やああ!」
声に反応し、振り向いた瞬間。
ルイズのレイピアが彼女を襲い掛かり、フードの一部を破いた。
そして彼女の顔が曝け出され、それを見たルイズは驚いたように目を見開いていた。
それもそうだ。土くれのフーケの顔が、自分の知り合いにそっくり、いやそのものなのだから。
「ロングビ……」
フーケは焦って、とっさに彼女の鳩尾に一撃を食らわした。
完全に虚を突かれたルイズは悲鳴を上げることもできず、気絶して、フーケに寄りかかるように倒れた。
「くそっやってしまった……!」
フーケの正体を知るものがいてはならない。本来ならば自分の顔を見た彼女をここで始末するべきである。
ルイズのレイピアを握る。そして、彼女の胸に向かって突き刺そうとした。
だが、フーケにはそれができない。どうしても、できなかった。
「ルイズ!」
そうこうしているうちに、誰かが宝庫へと入ってきた。どうやら、ルイズの使い魔であるサイトとかいう少年のようだ。
フーケは仕方なくルイズを抱え、切れた部分を隠すように大きくフードを被ると、ゴーレムへと飛んでいく。
穴だらけ煤だらけだが、まだ動くようだ。逃げるには十分だ。
「待て、ルイズを返しやがれ!」
サイトは穴までやってくるが、空中を逃げるフーケに手を出す事は出来ない。ルイズもいる。
外にいて、ファイアボールで攻撃を加えていたキュルケも、使い魔である風竜シルフィードで空中から攻撃を加えていたタバサも、
フーケに抱えられているルイズを目の当たりにして、当ててしまうことを恐れて攻撃を中断してしまう。
何とか取り戻そうと風竜を急降下させたタバサだったが、ゴーレムの腕によって阻まれ、思うようには行かない。
そうこうしているうちに、フーケはゴーレムに辿り着いた。
そしてゴーレムは踵を返し、城壁をひょいと跨ぎ越えると、そのまま草原を歩いていった。
肩に乗るフーケの側には、気絶したルイズが横たわっている。
それを見て彼女は頭を抱えてしまった。よりにもよって、学生を、公爵家の娘、それも親友の妹を攫うことになるとは。
こうなればこの国にはいられなくなるだろう。あんな盗賊狩りをした公爵家のことだ。死ぬ物狂いで自分を捕まえようとするはずだろう。
しかし、破壊の杖の詳細もわかっていない。
何もかも上手く行くと思っていたのに、最後の最後で阻まれた。
いっそその原因となったこの娘を殺してやろうかとフーケは自棄になり、彼女の首を絞めたが、力を入れようとしても無理だった。
やはり掴む以上の力は出る事はなかった。何かが彼女を拒んだ。
仕方なく彼女は、彼女を追う風竜から姿を晦ますため、一度攻撃を加えて、風竜を一瞬追い払うと同時にルイズを抱えてゴーレムと離れる。
それと同時にゴーレムを解除し、土くれへと戻す。巨大な土の山が出来あがり、その影に隠れてフーケは風竜の目をやり過ごした。
「あの泥棒は!?」
才人は叫んだ。急いでタバサの風竜に乗り込み、あの巨大な土人形、ゴーレムを追いかけてきたはいいが、
先ほどの攻撃で目を放した隙に泥棒はルイズと共にいなくなってしまった。
二人は地面に降り立ち、土の山の付近を捜したが、痕跡すら残されていなかった。
タバサは静かに首を横に振る。これ以上捜索しても、彼女たちは見つからないだろう。
「くそっ! 俺がもっと早く着いてりゃ……!」
才人は悔しそうに拳を握り、地面にぶつけた。
剣を握り、あの不思議な力で駆けつけてきたのに、間に合わなかった。
自分の目の前でルイズは、あの泥棒に連れ去られてしまったのだ。
「ルイズ……」
タバサも心配そうに呟いた。彼女もシルフィードの上で、ゴーレムに氷の矢や竜巻をぶつけて、懸命に応戦したが、びくともしなかった。
あの巨大なゴーレムを作れる土くれのフーケは、トライアングル以上のメイジだろう。自分と同じ、いやそれ以上の使い手かもしれない。
ひとまず彼らはシルフィードにまたがり、学院へと戻った。学院ではざわざわと騒ぎ始めている。
どうやら寝ていたり、黙り込みを決めていた生徒も騒ぎ始めたようだ。
遅すぎる。もし彼らも協力してフーケのゴーレムを攻撃していれば、何とかなっていたかもしれないのに。
二人は悔しさをかみ締めていた。しかし、後悔したところでルイズは戻ってこない。
「タバサ、サイト!」
と、地面ではキュルケが真っ青になっているシエスタを抱えながら二人を呼んでいた。
傍にはシエスタが呼んだのだろう、学院長オールド・オスマンがいた。シエスタは心配が募る余りに、身体が震えてしまっているようだ。
それをキュルケが優しく抱きかかえて安心させようとしている。
「どうだった?」
キュルケが尋ねる。それにタバサが首を横に振って全てを伝えた。
それを見たシエスタは顔を手で覆い、地面に膝を突いた。
「わ、私のせいです! 私が身を挺してあの子を止めていれば! ああ、ルイズ……!」
「落ち着いて。ルイズはきっと大丈夫。フーケは彼女を始末するような素振りは見せなかった。……いや、出来なかった。
それに、ルイズを止められなかったのはこの場にいた全員の責任」
タバサは彼女を支えながら励ます。シエスタは後悔の涙を流しながら嗚咽を吐きつつ、タバサの言葉に頷き続けた。
「全く、あの子の無鉄砲さも天下一品だわ……。その性格を知ってて、止められなかったのだものね。私にも責任はあるわ。
それに、あの子がいたから、少しだけだけどゴーレムを止めることができたんだし。あともう一息だったのだけれど。
……全く教師は何をやっていたのかしら。ねぇ、どう思われますか? オールド・オスマン?」
「耳が痛いのう……。だが確かにそうじゃな。わしら教師陣が生徒を守るべきじゃった。
だが蓋を開ければ、勇敢に戦ったのはミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプストー、そしてミス・タバサ。そしてそこの少年。
なんとも情けない話じゃのう……」
キュルケの皮肉に、オスマンは髭を撫でながら項垂れた様子だ。
彼女の言うとおり、本来こういう状況では生徒を守るべき立場にいる教師が戦うべきだった。
だが、そういう素振りを見せたものなど一人もおらず、結局生徒自身が戦うという始末だ。
これでは教師の面目丸つぶれだろう。
「ともかく。あとは我々に任せて、君達はもう休みなさい。これ以上生徒たちに危険な目にあわせるわけにはいかんしのう」
「お、おい! ルイズを放っておけって言うのかよ!」
オスマンの言葉に才人は焦燥した表情で詰め寄った。だがオスマンは落ち着いた表情で彼を諭すように言った。
「少年。相手は多くの貴族を出し抜いてきた怪盗フーケじゃ。闇夜に乗じて襲い掛かってくるかもしれぬ。
そんな危険な状況では、君たち平民や精神力の切れたメイジでは捜索など無理じゃよ。
まずは冷静になることじゃ。今ギトーやコルベールが近辺の探索に出てくれておる。後は我々に任せるのじゃ。
……まあ頼りにならないというのは否定できぬが。生徒が攫われたのじゃ、我が杖にかけて見つけてみせるよ」
「嫌だ! 俺は探しに行くぞ! あんた達なんか頼ってられっか!」
才人は必死に食い下がり、剣を抜いて外へと向かおうとした。ルイズが危ない状況に引き下がれない思いで一杯なのだ。
だが、そんな彼を引き止めたのは、シエスタの震える手だった。彼女も心配だ。それを押し殺して、彼を説得した。
「サイトさん……。ここはメイジの方々に任せましょう。私たちじゃ、返り討ちになって、
余計に皆様に迷惑になっちゃいます……。悔しいですけど」
「シエスタ……」
「サイトさんまで傷ついたら、もしルイズが無事に戻っても、悲しい顔しちゃいますよ」
シエスタの言葉を聞いて、才人は彼女から顔を背けながら、歯を食いしばる。
キュルケ達は黙って、彼の言葉を待った。
才人は一度瞳を閉じて、迷いを振り切るように首を横に振ると、剣を収めて言った。
「くっ……。わかったよ。爺さん、よろしく頼む」
「ああ、任せなさい。明日には君たちにも報告が出来るじゃろう。それまで、体を休めておきなさい。
……ああ、そうじゃ。君はフーケを間近で目撃したじゃろう? どういう姿だったか覚えておるかのう?」
「姿って……えっと」
才人は首をひねって必死に思い出そうとする。
だが彼が見たのは後姿と抱えていた筒状のものだった。それだけで何も分からない。
いや、そういえば、あの体つきはどう見ても男ではなく女だった気がする。
「女、だったと思う。それに暗くてよく見えなかったけど……筒状の何かを持ち去ってた」
「筒状……か。それは破壊の杖に間違いなかろう。問題は女か……ふむ。てっきり男かと思っておったが、なるほどのう。
先入観とは恐ろしいのう」
才人の言葉にオスマンは頷きながら、指笛を吹いた。すると何処からともなく3匹のハトが飛んでくると、彼の左腕に止まった。
オスマンが魔法のペンで羊皮紙に文字を綴ると、それをハトの足に巻きつけた。
そして彼がハトの頭を軽く指でなぞると、ハト達は一斉に飛び去っていった。
「ひとまず捜索しておる者に伝達した。これで捜索も少しは捗るじゃろう。さあ、君達は戻りなさい」
「……オールド・オスマン。お嬢様、いえ、ル、ルイズを、お、お願いします……お願い……します」
「うむ」
シエスタはオスマンにすがる様に、ルイズの無事を願って手を握った。オスマンも安心さ
せるように優しく背中を叩いてやると、その身体を才人にそっと引渡し、そして自分も捜索に出るため、飛んでいった。
その背中を見送りつつ、キュルケは腰に手を当てながらため息をついた。
「まあ、仕方ないわよね。手掛かりがないんじゃ、私たちも探しようはないわ。
それに精神力ももうないし。サイト一人じゃ勝てる相手じゃないわ。今からは先生たちに任せましょ。
どれだけ頼りになるかは別としてね」
キュルケの言葉にタバサも頷く。あんな強力な魔法を使える二人ですら苦戦したのだ。才人も納得し、引き下がるしかない。
彼らは女性寮に戻る。そして途中でタバサを部屋まで見送り、キュルケと才人とシエスタもルイズの部屋の前へと辿り着いた。
「シエスタ。今日はルイズの部屋で寝ていたら? 使用人の部屋に戻るよりもずっと安心できると思うわよ。
それに、もしかしたら戻ってくるかもしれないし」
「……はい。お気遣いありがとうございます」
「ちょっと待ちなさい。あ、貴女は中へ入っていなさいな」
と、キュルケは部屋に入ろうとしたサイトを引き止めた。
そしてシエスタだけを部屋中へ入れると、ルイズの部屋の扉を閉めて、サイトの耳元で囁いた。
「わかっているでしょうけど。シエスタをしっかり慰めてあげるのよ?」
「へっ? いや、うん、わかった……。でも、どうしてあげりゃいいんだ?」
「んもう、スケベの癖にそういうところには疎いのねぇ、貴方。まあそういうところが可愛くて私は好きだけどね」
「う、うっさいな! こういうことなんて、今までなかったしさ……」
「……優しくしてあげて、そばにいて黙って見守ってあげる。抱きしめてあげたりね。
それだけでいいのよ。あの子を慰められるのは、ずっとルイズと一緒にいた貴方しかいないんだからね?」
「ああ、わかった。アドバイスありがとう。……落ち着いてるんだな?」
「ルイズの事? そうね、私もフーケにはむかついているけど……。
でもあの子がこんなところで死ぬような子じゃないってわかってるから。だって」
「だって?」
「私のライバルですもの」
キュルケは胸を張って、満面の笑みで才人の問いに答えた。不安だってあるだろうに。それを感じさせない強い女の表情だった。
根拠のへったくれもない言葉だったが、不思議と才人は安心感を覚えた。
「それに、貴方のルーンも証拠になるでしょう? 使い魔は一心同体。貴方がそうあること自体が、証拠になってくれているのよ」
「……そうなのか。うん、ありがとう。少し安心したよ」
「いえいえ、どういたしまして。じゃあ、おやすみなさい。ダーリン?」
「ぶっ!?」
「ふふ、冗談よ。おやすみ、サイト」
こんな状況でも、自分を安心させてくれるキュルケに、才人は苦笑しながら頷くと、おやすみ、と一言告げてルイズの部屋へと入っていった。
部屋の中では、ルイズの髪を何時も梳かしている櫛を持って、シエスタが今にも飛び出して探しに言ってしまうのではないかと言うぐらい、
憔悴しきった表情でベッドの上に座っていた。
才人は黙って彼女の隣に座った。
暫くの間、沈黙が続いたが、シエスタが震える声で才人に問いかけた。
「だ、大丈夫、で、すよね。あの子、強いし、優しい子だから……き、きっと大丈夫ですよね」
涙ぐんでいた。今にも崩壊そうな表情で、しかし彼女はまるで誰かを、いや自分を安心させるかのように呟いていた。
そんなシエスタに才人は精一杯優しい声で、安心させようと答えた。
「うん、大丈夫だよ。キュルケも言ってた。私のライバルだから、こんなところで死ぬような奴じゃないって」
「そ、そうですか。そうですよね……」
シエスタは少し無理に笑みを浮かべた。だが心配させまいと無理に作っているその笑顔が逆に痛々しいと思い、才人は沈痛な思いに駆られた。
だが、それを心の奥底に必死に押し込めて、才人は自分の左手を見ながら呟いた。
そこには、ルイズとの契約によって刻まれたルーンがまだ残っている。
「……うん、大丈夫だと思う」
これも根拠などないが、それでもそう感じることが出来た。ルイズはまだ無事だ。そう信じてみることにした。
「……サイトさんは、強いんですね。ミス・ツェルプストーも、ミス・タバサも……」
と、ぽつりぽつりとシエスタは呟いた。俯いていて、才人からは表情は見えないが、悲しい顔をしている。
「私、時々思うんです。ルイズやルイズのお姉様やサイトさんのように剣が使えたら。
メイジのように、魔法が使えたら。ジェシカのように、心が強かったらって……。
でも、私ドジだし、失敗ばかりして……何も、とりえが、うう……ない」
「……そんな事ないと思うよ」
「……ごめんなさい。サイトさんだって心配なのに、私ばかり弱音を吐いて……。う、うう……」
「……」
「う、うう……うああ……! ルイズ、ごめんなさい……ごめんなさい……」
シエスタはついに涙を堪えきれず、大量の涙を流しながら顔を抑えてルイズに謝り続けた。
突然の出来事やルイズを守れなかったことに彼女は混乱しきってしまっている。
才人だって同じだった。勉強はできないけど、頼りになるし、自分に色々と教えてくれる。
でも何処か危なっかしい少女。
ご主人様だからだとか、そういうのを抜きにして。才人にとって彼女はかけがえのない大事な人だ。
その子が目の前で攫われてしまって、彼はフーケに対し、言葉にし難い怒りを覚えていた。
……何故そこまで、ルイズの事をそう思えるのだろう。まだ出会って間もないのに。
だが、才人はそんな思いを胸にしまいこんで。
ただ今は、キュルケに言われた通りに目の前で泣きじゃくるシエスタに胸を貸し、そっと頭を抱きしめてあげた。
彼女が泣き疲れて眠るまで。ずっと。
ルイズが目を覚ますと、そこには見たことがない風景が広がっていた。
かび臭さが鼻を刺激してくる。
顔を起こし、辺りを見渡すと、暗闇のせいでよくは分からないが、そこは何処かの小屋か何かの一室のように思えた。
台に置かれたロウソクの光だけが辺りをぼんやり照らしている。
そんな薄暗い木造建築の部屋の中に、ルイズは一人倒れていた。
ルイズは必死に記憶を呼び起こしながら、身体を起こそうとする。だが、思うように動かなかった。
手と足がまるで縛られているような。いや、実際には縛られているようだった。
ルイズは必死に暴れてみるが、かなりきつく縛られているのかビクともしない。
彼女は縄から抜けることを諦めて、ひとまずもがきながら姿勢を変えて、何とか地面に座るような形にまで体勢を直した。
そしてまた辺りを見渡してみる。
食料庫か何かだろうか。箱が積まれているが、もう殆ど手が付けられていないように見える。
何も入っていない箱や樽のほうが多いようだ。近くには食料を加工するための台がある。
その上には先ほど見たロウソクと鋭利な包丁が置かれていた。
近くには酒が置かれている。まだ中身が入っているようだ。
と、何処からか、梯子を降りるような音が近づいてきた。
ギシ、ギシっとそれはルイズの恐怖心を煽るかのように響き渡り、思わず彼女は息を呑んだ。
自分をこんな目に合わせた人物だろうか。そして、それと同時に彼女の記憶も戻ってきた。
ルイズの目の前に、漆黒のマントを纏い、フードをかぶった人間が立った。
暗闇と黒い格好のせいでよくは見えないが、女性のようだ。しかし、ルイズにはそれが誰かが分かる。ルイズはその女性の名を呼んだ。
「……ロングビルさん……」
「……やっぱり、わかっちゃったんだね。ったく、余計なことして……」
女はフードを剥いだ。そこにはルイズの言葉通り、オスマンの秘書ロングビルの姿があった。
だが何時もの優しい表情も、豪快な雰囲気もなく、ただ冷たい眼でルイズを見下ろしていた。
だが、その冷たい眼の奥には何か、憔悴のような感情も感じられる。
ルイズはわなわなと震えながらも、ロングビルに問いかけた。
「何でこんなことしたの……? 何でロングビルさんがフーケなの!? そんなことする人じゃないでしょ!? どうして……」
「どうして? 決まってるでしょ? 金がほしいからさ。それに、憎い貴族達が慌てふためく顔を見るだけで楽しいのさ」
ロングビルは口元をにやけさせながらルイズに語った。だがルイズはそれを必死に否定するように言った。
「たった、たったそれだけの事のために? 違う、私が知ってるロングビルさんはそんな人じゃない! もっと、もっと優しい人じゃ……」
「五月蝿いんだよ! ルイズ、それはお前が勝手に作り上げた私だ。そんなの私じゃない!
何時も何時も私の後ろにちょこまか付いて私の邪魔ばかり……いい加減ウザったいんだよ!
今回もそうだ。あんたがいなきゃ、この仕事は簡単に終わったはずなんだよ!
弱いくせに、甘ちゃんのくせに出張りやがって……! 本当に……本当に迷惑だわ!
はん。今回だって、格好つけたくて、皆に認められたくて飛び込んできたんだろ? 馬鹿な子だよ、全くさ!」
「ち、違う! 私そんなこと考えてない! ただ、ただ悪い人から皆を……」
「はん。じゃあ今のあんたの状況はどうなんだい? 弱いくせに飛び込んで、掴まって。周りに迷惑ばかりかけている。
皆のためにと口では言っても、あんたは自分の事しか考えていない、あの馬鹿な貴族達と同じだ!」
だが、そのルイズの言葉をまるで受け付けないように、ロングビルは彼女に心のない言葉をぶつけた。
今までの付き合いを全て否定するような言葉を投げつけた。
その言葉を聞いて、ルイズは涙ぐみながら呆然とした表情でロングビルを見る。
今まで見たことのないロングビルの様子への恐怖心と後悔と深い悲しみにルイズは心が一杯だった。
そんな彼女から眼を背けるように、彼女はルイズに背を向けた。
そんな背中に、ルイズは震える声で問いかけた。
「私を……どうするつもり?」
「……あんたは人質だ。公爵の娘を攫うなんて、私の命も危ないけど、ここまでやったんだ。
もう贅沢なことなんて言っていられない。私の仕事が済んだら、アルビオンまで付いてきてもらうからね。
そして、あんたから私の記憶を全て奪わせてもらう。そういう魔法を使える知り合いがいるからね。
……その後は勝手に何処へでも行くが良いさ。もう二度と、あんたと会うこともないだろうね」
「やめてよ、こんなこと……お願いよ……ロングビルさん!」
「その名で呼ぶな! 私は、フーケだ……土くれのフーケなんだよ!」
そう叫んで、ロングビル、いやフーケはその場から足早に去っていった。まるで何かから逃げるかのように。
だが、信じていた、尊敬していた人から心無い言葉を投げつけられたルイズに、そんな彼女の心情を知る余裕などなかった。
彼女は、信じていたものに裏切られたことへの悲しみと、周りに誰もいないことの孤独感と心細さに、ただ泣き喚くしかなかった。
そう、幼少の頃。盗賊たちに攫われて、一人武器庫で泣いていた時のように。
「嫌だ、嫌だよ……お姉ちゃん、サイト……こんなの……こんなの嫌! 嫌よ!」
あの頃を思い出して、ルイズはただただ泣くしかなかった。
そんな彼女の泣き声を、扉越しにフーケは地面に座りながら聞いていた。
そして、ルイズの泣き声から逃れるように耳を塞ぎながら、ぽつりとまるで懺悔のように呟く。
「ごめん、ごめんよ……ルイズ……エレオノール……アニエス……。……罪は、いつか償うから……ごめん……」
そして彼女は、何かを決心したかのような表情で、森小屋を去り、馬を駆って魔法学院へと戻っていった。
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大分ほのぼの路線から離れてきちゃいましたね。
あとまとめwikiが落ちてしまったようですね。本当に管理人さんお疲れ様です。
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以上代理投下終了です。
……よく考えてみれば、最後のレスにいくつか移せば良かったですね……作者様、読者の皆様方申し訳ありません。