あの作品のキャラがルイズに召喚されました part271

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529ゼロと電流 第四話

「明日、城下町まで行くんでしょう?」

 夕食を追え、最近日課になったマシンザボーガーによる学園一周を終えたルイズにキュルケがそう尋ねる。

「行くけど?」
「私も街へ行きたいのよ」
「行けばいいじゃない」
「ザボーガーに乗せてくれない?」
「はあ? ザボーガーは私の使い魔よ」
「タバサのシルフィードだって、私は乗せてもらったわ」

 それとも、ザボーガーには二人乗りはできないのか、とキュルケは嫌みっぽく言う。

「そんなひ弱な使い魔には見えないけれど?」
「ザボーガーの力じゃなくて。私が嫌なの」
「どうして?」
「……貴女ねえ、私がヴァリエールで貴女がツェルプストーだって忘れてない?」

 首を傾げるキュルケ。

「私は、貴女がルイズで私がキュルケだと思ってたけれど?」

 言外に、家など知らないと斬って捨てている。ツェルプストーとてゲルマニアでは押しも押されもせぬ名門だというのに。
 そんなキュルケの言葉に、何故かルイズは赤くなる。

「と、とりあえず駄目なモノはダメ! 街へ行きたいなら、貴女の友達の風竜にでも乗せてもらいなさいよ」
「タバサのシルフィードね。でもあの子に虚無曜日出かけさせるのは割と重労働なのよ」
「そんなの知らないわよ。だったら学園の馬を借りればいいじゃない」
「馬はねえ。確かに楽しいけれど、ここの馬は匂いがきついわ」
「なにそれ、トリステインの馬が嫌なら、ゲルマニアから連れてくればいいじゃない」
「餌が違うのかしら?」
「だったら、大ムカデにでも乗ってきなさい」
「それはお断り」

 キュルケは真顔で即答した。
 使い魔召喚の日、一人が大ムカデを召喚して涙目で契約していたのはキュルケもよく覚えている。
 あれはちょっと……キモい。キュルケは密かにその女生徒に同情していた。
 学園には他にも色々な使い魔がいたが、乗って早いのはダントツにタバサのシルフィードである。
 しかし、ルイズは心密かに自慢していた。
 空こそ飛べないが、スピードならマシンザボーガーは風竜にも負けない。学園のスピードナンバーワンは自分の使い魔ザボーガーなのだと。

 その一連の出来事。
 つまり、今日キュルケはザボーガーに乗ろうと企んでいる。そして、ザボーガー自体は塔前の小屋にあるが、ルイズでなければ動かすことはできない。
 ザボーガーは無視しても、ルイズの身柄を確保すればよいのだ。
 そして開かないドア。
 ルイズは悟った。
 キュルケが外からロックの魔法をかけたのである。アンロックの使えないルイズにはドアを開けることはできない。因みに他人の部屋のドアへ勝手にロックやアンロックをかけるのは校則違反なのだが、キュルケは全く気にしていないだろう。そもそも証拠はない。
 一瞬、ドアを爆破してやろうかと思うルイズ。ドアに触れて練金なりレビテーションなりを唱えれば簡単だ。魔法が失敗して爆発す
る。
 しかし、外側からならまだしも中側である。部屋にも多少の被害は出るだろう。
 少し考えるルイズ。
 ふと思いついて、これだけは部屋に置いてあるヘルメットを被る。
 ヘルメットから伝わってくるザボーガーの性能をよく吟味する。
 よし、可能だ。
 ルイズは、メットのインカムを下ろした。