アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part14

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1名無しさん@お腹いっぱい。
このスレはリレーSS企画、アニメキャラ・バトルロワイアル3rdの本スレです。
企画の性質上残酷な内容を含みますので、閲覧の際には十分ご注意ください。


参戦作品リスト
 【咲-Saki-】
 【新機動戦記ガンダムW】
 【Fate/stay night】
 【けいおん!】
 【戦国BASARA】
 【空の境界】
 【ガン×ソード】
 【とある魔術の禁書目録】
 【化物語】
 【機動戦士ガンダム00】
 【コードギアス 反逆のルルーシュR2】
 【逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】


SSのまとめwikiはこちら
http://www29.atwiki.jp/animerowa-3rd/

規制時の避難所はこちらのしたらばです
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/13136/


前スレ
アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part13
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1259497230/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:28:37 ID:f6Qse+dh
5/6【けいおん!】
 ○平沢唯/○秋山澪/○田井中律/○琴吹紬/○平沢憂/●中野梓

3/6【咲-Saki-】
 ●竹井久/○天江衣/○福路美穂子/●池田華菜/●加治木ゆみ/○東横桃子

5/6【新機動戦記ガンダムW】
 ○ヒイロ・ユイ/○デュオ・マックスウェル/○張五飛/○ゼクス・マーキス/○トレーズ・クシュリナーダ/ ● リリーナ・ドーリアン

5/6【戦国BASARA】
 ○伊達政宗/○真田幸村/○織田信長/○明智光秀/○本多忠勝/●片倉小十郎

4/6【とある魔術の禁書目録】
 ○上条当麻/●御坂美琴 /○白井黒子/○一方通行/●月詠小萌/○海原光貴

6/6【Fate/stay night】
 ○衛宮士郎/○セイバー/○アーチャー/○バーサーカー/○ライダー/○キャスター

4/5【空の境界】
 ○両儀式/○黒桐幹也/○浅上藤乃/○荒耶宗蓮/●玄霧皐月

3/5【ガン×ソード】
 ○ヴァン/○レイ・ラングレン/●カギ爪の男/○ファサリナ/●プリシラ

3/5【逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
 ○伊藤開司/○利根川幸雄/●兵藤和尊/●安藤守/○船井譲次

5/5【コードギアス 反逆のルルーシュR2】
 ○ルルーシュ・ランペルージ/○枢木スザク/○C.C./○ユーフェミア・リ・ブリタニア/○アーニャ・アールストレイム

4/5【化物語】
 ○阿良々木暦/○戦場ヶ原ひたぎ/○八九寺真宵/○神原駿河/●千石撫子

3/3【機動戦士ガンダム00】
 ○刹那・F・セイエイ/○グラハム・エーカー/○アリー・アル・サーシェス

50/64

※書き手枠で決定した下記の12名は、バトルロワイアル内で参加者に支給されてた名簿には名前が記載されていません。

中野梓@けいおん!、片倉小十郎@戦国BASARA、月詠小萌@とある魔術の禁書目録、
海原光貴@とある魔術の禁書目録、玄霧皐月@空の境界、プリシラ@ガン×ソード、
兵藤和尊@逆境無頼カイジ、安藤守@逆境無頼カイジ、船井譲次@逆境無頼カイジ
ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス、アーニャ・アールストレイム@コードギアス、千石撫子@化物語
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:29:34 ID:f6Qse+dh
バトルロワイアルのルール

【原則】
 64名の参加者が残り一名になるまで殺し合う。

【スタート時の持ち物】
 各人に支給されたデイパックの中身は以下の通り。
 地図、名簿、食料、水、メモ帳、筆記用具、ルールブック、デバイス、腕時計、懐中電灯、
 応急処置セット(絆創膏、ガーゼ、テープ、ピンセット、包帯、消毒液が詰められた救急箱)、ランダム支給品(各人1〜3個)。

【名簿について】
 64名中、52名の参加者の名前が記載されている。
 未掲載の12名については、第一回放送の際に発表。
 龍門渕透華の名前は最初から掲載されていなかった。

【ルールブックについて】
 ルールが書かれた小冊子。開会式中でインデックスが語った内容とほぼ同一。優勝特典についても記されている。

【デバイスについて】
 現在自分がいるエリアがデジタル表記で表示される機械(【A-1】といった具合に)。方位磁石としての機能も兼ね揃えている。

【禁止エリアについて】
 六時間に一回の頻度で行われる放送ごとに、三つずつ増えていく。
 参加者が禁止エリアに踏み込んだ際、首輪が起爆する(爆破までに時間差や警告があるかどうかは不明)。

【優勝者への特権について】
 優勝者には賞金として10億ペリカ、そしてその賞金で買い物をする権利が与えられる。
 ペリカの使い道は以下の通り(これはルールブックにも記載されている)。
 ・元の世界への生還――1億ペリカ
 ・死者の復活―――――4億ペリカ
 ・現金への換金――――9億ペリカ
 ・その他の願い―――――要相談
 ※1ペリカ=10円。10億ペリカ=100億円。

【作中での時間表記】
 【深夜:0:00〜1:59】
 【黎明:2:00〜3:59】
 【早朝:4:00〜5;59】


 【朝:6:00〜7:59】
 【午前:8:00〜9:59】
 【昼:10:00〜11:59】


 【日中:12:00〜13:59】
 【午後:14:00〜15:59】
 【夕方:16:00〜17:59】


 【夜:18:00〜19:59】
 【夜中:20:00〜21:59】
 【真夜中:22:00〜23:59】
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:31:38 ID:f6Qse+dh
書き手向けルール
 ※詳細はまとめwikiにて確認をお願いします。 http://www29.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/24.html


【状態表について】
SSの最後には下記の状態表をつけてください(服装と備考の欄は、必要なければ省略してください)



【エリア/場所/経過日数/時間】


【キャラクター名@作品名】
[状態]:
[服装]:
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本:
1:
2:
3:
[備考]



【予約について】
予約をしたい場合はしたらばの予約スレ(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1256477871/)に
トリップをつけて予約したいキャラ名を書き込んでください。


予約期限は3日(72時間)です。予約期間中に申請すれば2日(48時間)の延長ができます。
予約の延長は、一回の予約につき一度だけ利用できます。


あるキャラの予約が行われた時点で、他の書き手はそのキャラを含んだ予約または作品投下が出来なくなります。
予約は予約期限切れ、予約破棄宣言、対応する作品投下のいずれかを持って解除されます。
予約期限切れ、予約破棄宣言の場合、その時点を持って予約されていたキャラの予約が可能になります。
対応する作品投下の場合、その作品に対して24時間以内に修正・破棄の要求がなければ、その作品のキャラの予約が可能になります。



【支給品・キャラの能力に関する制限について】
まとめwikiの制限一覧を確認してください。 http://www29.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/23.html



★企画に興味を持ったら★
当企画への参加に資格は必要ありません。どなたでもどんどんどうぞ。
但し、企画の円滑な進行のため、守るべきルールは存在します。
特にSS書き手として参加される方は事前にまとめwikiの「書き手用ルール」のページをお読みください。


企画への参加は「SSを書く」、以外にも「絵を投稿する」「MADを投稿する」「感想を書いてスレを盛り上げる」
等様々な形があります。そういった形での参加も大歓迎。みんなの技術を持ちよって企画を楽しみましょう。
>>1さん、スレ立て乙です。
続きを代理投下します。

【D-6/北側/1日目/午前】

【阿良々木暦@化物語】
[状態]:疲労(小)
[服装]:直江津高校男子制服
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式、ギー太@けいおん!、エトペン@咲-Saki-、ゲコ太のストラップ@とある魔術の禁書目録、
    スコップ@現実(会場調達) 竹箒@現実(会場調達) 、トラウィスカルパンテクウトリの槍@とある魔術の禁書目録、
    スクール水着@化物語、【第1回放送までのおくりびと】のメモ
[思考] 誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。
基本:知り合いと合流、保護する。
1:セイバーと逃げる
2:戦場ヶ原、八九寺、神原と合流したい。他にも知り合いがいるならそれも探す。
3:憂の姉を見つけたら、憂の下に連れて行く。
4:……死んだあの子の言っていた「家族」も出来れば助けてあげたい。
5:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。
6:千石……八九寺……
7:太眉の少女については……?
[備考]
※アニメ最終回(12話)終了後よりの参戦です。
※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。


【セイバー@Fate/stay night】
[状態]:健康、魔力消費(大)
[服装]:普段着(白のシャツに青いロングスカート)
[装備]:七天七刀@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1(未確認)、死亡者・おくりびと表示端末、【第1回放送までのおくりびと】のメモ
[思考]
基本:人々を守る。
1:上記の『望み』を実行する傍ら、自分のなすべきことを一から考え直す。
2:駅を訪れる人物を見定める。危険人物が乗り込んでくるようなら、率先して対処。暦をフォローするか?
3:【おくりびと】に関しては慎重に判断する。特に白髪の少年。ただしライダー、バーサーカー、憂は危険人物とほぼ断定。
4:士朗ともう一度話がしたい。
5:明智光秀、織田信長、ライダー、バーサーカーの4名を倒す。
6:コヨミとこの場を離れ、北上したデュオ達と一時合流を図る
[備考]
※参戦時期はアニメ20話途中、士郎との喧嘩直後から。
※千石撫子、八九寺真宵について情報を知りました。具体的な内容は後続の書き手に任せます。


【死亡者・おくりびと表示端末@オリジナル】
セイバーに支給。
放送終了後に端末に情報が配信、更新される。
その放送で発表された6時間分の死亡者とその死亡者の死亡した瞬間、最も近くにいた人物【おくりびと】の顔写真のみが並んで表示される。
写っている範囲は顔は間違いなく写るが、下の範囲がどこまで写るかは不明。
キーを押すことで次の死亡者に画面が切り替わる。
表示される順番は配信時にランダム決定、以後固定。これは死亡順番で名前を推定されたり名前順で特定されるのを防ぐためである。
第1回放送までの死亡者、おくりびとの対応、表示順番は以下の通り。
死亡者/おくりびと

竹井久/中野梓
リリーナ・ドーリアン/バーサーカー(殺害者織田信長は射撃、かつリリーナを掴んでいたのがバーサーカーの為)
加治木ゆみ/千石撫子(殺害者藤乃が撫子たちより離れていたため)
プリシラ/一方通行
片倉小十郎/ライダー
池田華菜/平沢憂
中野梓/荒耶宗蓮
カギ爪の男/安藤守
玄霧皐月/田井中律(レイの殺害方法が狙撃だった為)
月詠小萌/バーサーカー
安藤守/平沢憂
兵藤和尊/八九寺真宵(アジトの中に誰もおらず、1番近かった参加者がアジトより南を進んでいた八九寺真宵、伊藤開司だったため)
御坂美琴/C.C.
千石撫子/琴吹紬
【D-6/駅前/一日目/午前】

【浅上藤乃@空の境界】
[状態]:千里眼覚醒・頬に掠り傷 疲労(大)
[服装]:黒い服装@現地調達
[装備]:軍用ゴーグル@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式、拡声器@現実
[思考]
基本:幹也の為、また自分の為(半無自覚)に、別に人殺しがしたい訳ではないが人を殺す。
1:ひとまずライダーと共に行動する。
2:人を凶ることで快楽を感じる(無自覚)。
3:サーヴァントと戦国武将に警戒。
4:琴吹紬を探して凶る。
5:できれば式も凶る。
6:それ以外の人物に会ったら先輩の事を聞き凶る。
7:幹也に会いたい。
8:逃げた罰として千石撫子の死体を見つけたら凶る。
9:次はセイバーを追撃する
[備考]
※式との戦いの途中から参戦。盲腸炎や怪我は完治しており、痛覚麻痺も今は治っている。



8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:41:22 ID:1+w8neFS
>>1乙です
【ライダー@Fate/stay night】
[状態]:魔力充実 右腕に深い刺し傷(応急処置済み) 若干の打撲
[服装]:自分の服
[装備]:猿飛佐助の十字手裏剣@戦国BASARA
[道具]:基本支給品一式x3、ライダーの眼帯、不明支給品x0〜5、眼鏡セット(魔眼殺しの眼鏡@空の境界 を含む)@アニロワ3rdオリジナル、
    天の鎖(エルキドゥ)@Fate/stay night、風魔小太郎の忍者刀@戦国BASARA、かすがのくない@戦国BASARA×8本、デリンジャーの予備弾薬@現実、
    ウェンディのリボルバー(残弾1)@ガン×ソード 、参加者詳細名簿@アニロワ3rdオリジナル、デリンジャー(0/2)@現実
[思考]
基本:優勝して元の世界に帰還する。
1:藤乃を利用して、殺しあいを有利に進める。
2:サーヴァントと戦国武将に警戒。
3:魔力を集めながら、何処かに結界を敷く。
4:出来るだけ人の集まりそうな街中に向かう。
5:戦闘の出来ない人間は血を採って放置する。
6:魔力が減っているセイバーを追撃し駆逐する
[備考]
※参戦時期は、第12話 「空を裂く」より前。
※C.C.の過去を断片的に視た為、ある種の共感を抱いています。
※忍者刀の紐は外しました。
※藤乃の裏切りに備えて魔眼で対応できる様に、眼帯を外しています。
※藤乃の千里眼には気づいていない様子です。
※戦国BASARA勢の参加者をサーヴァントと同様の存在と認識しました。
※以下の石化の魔眼の制限を確認しました。
 通常よりはるかに遅い進行で足元から石化。
 魔眼の効果を持続させるには魔力を消費し続けないといけない。
 なお、魔力消費を解除すれば対象の石化は解ける。

【天の鎖(エルキドゥ)@Fate/stay night】
かつてウルクを七年間飢饉に陥れた“天の牡牛”を捕縛した鎖。
ギルガメッシュがエア以上に信頼する、自らの友の名を冠する宝具。
使用者の意思に応じてホーミングし相手を拘束する。
能力は“神を律する”もの。
捕縛した対象の神性が高いほど硬度を増す特性を持つ、数少ない対神兵装。
ただし、神性の無い者にとっては頑丈な鎖に過ぎない。

【眼鏡セット@アニロワ3rdオリジナル】
参加者や参加作品の関係者の眼鏡を集めてセットにしたもの。
魔眼殺しの眼鏡@空の境界を含む。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:44:55 ID:eY6nCnFs
>>1

投下乙。
久々に面白いSSを読んだ……

ライダーが電車を運転するとは予想外。
幸村かっこよす、だが南無

魔眼組強い上になかなか息の合ったコンビだ…
セイバーとの勝負に期待
代理投下は以上です。

幸村ァァァァァっ!



12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:48:20 ID:MhX3/ikw
投下及び代理投下乙でした。

もう使われることはないと思われていた電車のフル活用の発想と描写。

そして幸村の強さ。
正直ふじのん伏兵で出たとき、そこで曲がって終わりかと思いました。
曲がれ!曲がらぬ!の掛け合いは非常に、良かったです。

ここまで魅力を引き出した書き手の方に感謝を。
読んで手に汗を握りました。

幸村に合掌。

BASARA勢は本当にかっこ良いな・・・
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:49:11 ID:1+w8neFS
投下乙です

確か聖杯が鯖の知識を補助してるから操縦出来るわ
ライダーがここまで電車を操縦するとはw
幸村TUEEEEEE!! だが健闘虚しくやられたか
セイバーとありゃりゃ木さんは逃げれるのか?
セイバー頑張れ
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:59:17 ID:f4O4KFyt
投下乙です。幸村…カッコ良かったけど一歩及ばずか。BASARA原作で最初にプレイしたのは幸村だったから少し残念。
15名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 23:21:18 ID:3zUaogm5
投下乙です

ライダーの電車運転は予想外
てか複線ドリフトてw
どっからネタを持ってきとるんだwww
いいぞ、もっとやれ

幸村、善戦はしたが……でもすげえ、かっこよかった
……合掌
いや、いいものを読ませていただきました

>>1
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 23:43:57 ID:nHopJp3U
投下乙です
幸村、熱き闘志で抵抗するもやはり及ばずか
冒頭のライダーさんの超絶ドライビングテクも凄かったw
17名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 23:58:20 ID:QLCAy0d7
投下乙です

ライダーの操縦っぷりが面白かったw
ライダーさんぱねえっす
そして幸村ああああ!
ここで脱落は残念だが、戦い方も散り方も幸村らしくて本当にかっこよかった!
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 02:23:58 ID:jWC/I74q
投下乙
幸村よ、安らかに眠れ
ところで幸村に派手にぶっ飛ばされてたけどライダーの状態変化は軽度の打撲だけなの?
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 02:27:31 ID:ioFxYZV/
ライダーVS幸村に関してですが、閃光弾(スタン・グレネード)を使用した場合相手の意識を奪い数秒間行動不能に出来るんですよね?
どうも、幸村を見る限りショック状態に陥ってる期間がなく、普通に目潰しとしてしか使用されていないように見受けられるのですが…
これは幸村の常人離れした力でしょうか?(小十郎には効いていたと思うのですが)
それにしてはライダーも驚いた素振りがないですし。
大音響による描写もありませんが、書き手の方はスタン・グレネードをフラッシュ・バンと勘違いされておられるのでしょうか?
まあこの辺は省いた…でも通用するかもしれませんが、幸村が聴覚に異常をきたした様子もありません。
藤乃への影響は、まあ建物の中に隠れてるから無かった、で良いと思いますが。
描写しだいでどうとでもなるのかもしれませんが、ふと疑問に思ったので書き込ませていただきました。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 02:40:17 ID:RBtectTq
理屈馬鹿は今日も元気
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 03:39:52 ID:PkgRv0TB
魔眼組といい、ルルーシュ組といい、怖い集団が多いな。
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 06:50:16 ID:Oy/CVUt0
まずバサラの原作を見てから閃光弾の音くらいでどうにかなるか判断すべき
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 07:35:31 ID:W09LJP7O
ふじのんの「凶がれ」に「曲がらんっ!」で対抗できる男に何言ってんだかw

重箱の隅突っついてそんなに面白いのかね。
いい加減にしたら?
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 07:57:48 ID:xVTbMzLg
何が重箱の隅かなんて個人の主観に過ぎないんだし、修正を強要しているわけでもないんだから
そんな言い方はないんじゃないか?
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 08:28:14 ID:xVTbMzLg
>◆1U4psLoLQg氏
『ざわざわ時間』がwikiで分割になるみたいなので分割点の指定をお願いします。
あと、タイトルは前編と後編でいいでしょうか?
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 08:35:21 ID:YsmOljyV
理屈厨はやりすぎとは思う
もう少し許容範囲を拡げてもいいんじゃないか
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 08:41:09 ID:ij57yeaI
だよなあ
スタングレネード以上の轟音を自前で出せそうな人だから、目潰し以上の効果は無いんじゃ……
だったらスタンの意味ねえだろって話にはなるがな
ライダーが派手にぶっ飛ばされた件についても、ライダーは身軽なんだから自分で背後に飛んで勢いを殺したのかもしれん
以上、重箱をつついてみましたww
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 09:16:03 ID:mrbW7Un4
投下乙!
「凶がれ」に「曲がらん!」って…もうギャグの域なのに何この異常な熱さ、熱血はw
幸村あああああああああああああああああああああああ!
GJでした!
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 09:53:32 ID:0q3qK71U
このロワで一番気に入ってたキャラが逝ってしもうた
幸村あああああああああっ!!
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 09:59:20 ID:nKw9u9ye
死者スレで戯れるのも一興
つうか好きなキャラからお亡くなりになるから困る
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 10:16:38 ID:sfe74GL5
二人の悪役っぷりがまた清々しいなwwww
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 11:10:13 ID:zOBQcYr0
魔眼コンビ半端無いな!
考えてみれば藤乃は桜の元ネタみたいなキャラだからライダーと馬が合うのも当然か
最後は筆頭に締めて欲しいな
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 11:32:04 ID:3bdsFUim
理屈厨はつっこみたいだけ、自分の知識をひけらかしたいだけだから
ほとんど見当違いで醜態さらして呆れられるだけなのに
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 11:59:36 ID:eisXBDCR
ライダーってふじのんの千里眼気づいてなかったんじゃないっけ?
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:33:13 ID:ij57yeaI
状態表に書いてるね、気付いてないってw
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:35:13 ID:eisXBDCR
前SSでふじのんが切り札で隠しておく、みたいな方針だったから気になった。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:42:13 ID:YsmOljyV
それは・・・致命的だな・・・
どうなるんだ
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:45:24 ID:AiQZ4FHl
スタンに付いて意見している人に聞くが
最終的に死亡する結果は変わらないのにスタンで受けたダメージの大小で修正する意味あるのか?
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:46:40 ID:d3GexTzg
>一際強い光を放ったかと思うと、突進してきた電車を全身で受け止めていた二人、
>セイバーと真田幸村は、この莫大な質量を押し止めるどころか、何と何と放って投げ返してみせた。

>ごろんごろんと発泡スチロールで出来ているかのように軽々と転がる電車は、
>横の民家六軒程を道連れに土煙と轟音を巻き上げ、その活動を停止した。


一方通行とサーシェスはまだ議論中だが
この電車の脱線する音は触れなくていいのかしら
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:50:41 ID:ij57yeaI
だから、ライダーはまだ千里眼に気付いて無いってば
どこが致命的?
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:54:35 ID:OrVuknAv
ここまで追い詰められて切り札温存はありえないから
結末は変わらんだろう
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:56:06 ID:d3GexTzg
> ここでライダーは、次は停車予定駅であるしと藤乃にD6駅への千里眼使用を依頼する。
> 予め戦場の状態を把握する事が出来る。これが、ライダー藤乃組の持つ強力なアドバンテージの一つであろう。
>「人影ありです。女一、男一が駅から出てすぐの所、線路東側出口。それぞれ女が剣、男が棒状の物で武装。そして駅構内に男一、武装は確認出来ません」
> 藤乃の報告通り、駅から出てすぐの道路に二人の人影。
> ライダーは一瞬で決断を下す。


依頼してますね
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 13:00:23 ID:ij57yeaI
あ……確かに
見落としてたわ
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 13:01:24 ID:JNflkCI3
致命的かは知らんが修正対象ではあるかもね
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 15:14:23 ID:fEdhnAHN BE:862609853-2BP(0)
【型】TYPE-MOONキャラでパロロワ【月】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1260165081/
月厨の皆様はこちらへどうぞ
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 15:23:35 ID:jh2Gamd/
アンチ月厨、反吐厨およびアンチ型月が集うスレ41
http://unkar.jp/read/set.bbspink.com/erog/1206554886
アンチのあなたはこちらへどうぞ
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 15:42:19 ID:nKw9u9ye
美穂子可愛すぎワロタ
48 ◆1U4psLoLQg :2009/12/07(月) 15:48:52 ID:Dd8/3/YV
>>25
自らの頭脳をフルに回転させつつ、船井は手駒達に行動会議の発令を宣言した。

の後で切る形でお願いします。
タイトルは普通に前編後編で
49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 16:23:13 ID:9d/rJlsb
>>46
触るなよ。どう見ても釣りだろ
50代理投下:2009/12/07(月) 18:56:59 ID:ij57yeaI
462: ◆0hZtgB0vFY
09/12/07(月) 18:36:11 ID:Lqul7Sto
ご指摘いただいた修正点についてです
閃光弾に関しましては、戦国武将が相手であった為、あのような形にしました
小十郎もこの閃光弾を受けていますが、以上の解釈で矛盾する描写は無いと思います
より細かく文章を入れていれば音、光等に関する説明不足も無かったと思いますが、私は不要と判断して省略しました
が、もちろん必要だとおっしゃられる方が多いのでしたら、追加するに吝かではありません
藤乃の千里眼をライダーは知らない件に関しましては修正稿を用意しました。
前スレ>>808の差し替えでお願いします

 難所を超えたライダー達はF3駅を超え、F5駅を一気に突っ切る。
 ここまで妨害は一切無し。順調すぎる快適走行は、稀有な運転手ライダーにより電車の常識を覆すコースレコードを弾き出しながら、目指すD6駅に向かう。
 F5駅で下車する方がアーチャーには近いとも思うのだが、宇宙開発局周辺より、雑然としたD6駅周辺市街地の方が電車を降りた後、狙撃を警戒しやすいと考えたのだ。
 ホームに万が一人が居てもいいように、藤乃の頭を下げさせ、外からこちらの顔が見えぬよう自身も顔を伏せる。
 そして次は下車予定のD6駅だ。ライダーはホームや周辺に人は居ないかと、駅に着く少し前から前方視界に集中する。
 居た。駅前ロータリー、二人、男と女。
 ライダーは一瞬で決断を下し、電子操作盤に指を走らせる。
「攻撃を開始します。あれはセイバーです」
 藤乃が何を言うより先に、ライダーは先頭機関車両と後尾の機関車両の二つに速度差を作り、故意に重心バランスを崩して脱輪を引き起こす。
 狙いは上々、進路クリア、この速度、質量に突然襲いかかられては、剣の英霊セイバーとて対処なぞ出来まい。
 引換に電車は再起不能なダメージを負うだろうし、巻き込まれるのも拙いので、ライダーは藤乃を小脇に抱え二両目まで戻る。
 完全に脱輪し、鉄条網やら壁やら看板やらを弾き飛ばしながらなので、とんでもなく揺れる車体の中、ライダーは片手が完全にふさがっている事すら苦ともせず、残った片手を使って電車の上にひらりと舞い上がる。
 軽業師ですらこうまで見事な挙動は行えぬであろう。身のこなしの軽さはサーヴァント随一と言ってもいい程だ。
 すぐ電車から飛び降りるのはまだまだ危険が伴う。
 下手をするとセイバーはこの奇襲ですらかわしてくるかもしれないのだ。
 電車の屋根からセイバーが飛び出す姿を監視する。
 しかしライダーの心配は杞憂であったのか、電車の脇から飛び出してくる人影は無く、セイバーと隣に居た男は電車にまともに突っ込まれてしまったようだ。
 弾き飛ばされるかとも思ったが、そういった様子も見られなかったのでおそらくは潰されたのだろう。
 如何な英霊とてこの質量に押し潰されれば死は免れまい。
 突如、電車の速度が急激に変化する。
 ほんの僅かな予備挙動でこれを見抜いたライダーは咄嗟に電車から飛び降り、安全と思しき通りに着地を決めると電車の動きに注視する。
「うおおおおおおおああああああああ!!」
「ぬうううううりゃああああああああ!!」
 電車の前面から金と赤の閃光が溢れ出す。
 まだ電車はアスファルトを削り、建物を抉り、並み居る建造物を蹴散らしながら突進を続けているが、まるで輝きに押し返されるかのように、徐々にその速度を落としていく。
 避けるはあると思っていたライダーは、受け止めるなんてアホな選択をしたセイバーを呆れながら、感心しながら見守っている。
 電車が跳ね回る側でもある事だし、流石にこの状況で手は出しかねたのだ。
 藤乃に至っては、何がどうなっているのかすら把握出来ていない。
「行きますよユキムラ!」
「任されよせいばあ殿!」

ご迷惑をおかけして、申し訳ありません。
指摘してくださった方々、本当にありがとうございました
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 21:58:29 ID:xVTbMzLg
>>48
了解しました。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:22:18 ID:xVTbMzLg
したらば各スレにていろいろ議論中です。意見のある方は該当スレまでお願いします。
いちばん下の案件に関しては、問題無いようならその旨のレスをお願いします。

・◆1ZCuwzjAYc氏のサーシェス、一方通行のSSについて →したらば「ちょっとしたことを質問するスレ」にて議論中

・阿良々木暦に支給され平沢憂に渡されたギターについて
・『ぶっ生き返す/ふわふわタイム』における、ルルーシュの平行世界に関する考察とおもし蟹の件について
→したらば「議論スレ」にて議論中
 ギターに関しては該当SSの書き手氏同士で意見調整中、『ぶっ生き返す/ふわふわタイム』に関しては加筆修正の方向

・予約破棄、予約期限切れ後の再予約に関するルールについて →したらば「ルールに関する議論スレ」にて意見募集中

・◆0hZtgB0vFY氏の修正稿について →本スレもしくは避難所スレで意見募集
 (書き手氏が規制中のようなので避難所スレの方が対応しやすいかも)
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 00:15:45 ID:yN+XOk+3
>>38

閃光弾に関しての質問を書き込んだ者です。

>最終的に死亡する結果は変わらないのにスタンで受けたダメージの大小で修正する意味あるのか?
…との事ですが、スタン・グレネードでの隙をつけば小十郎のように一撃で致命傷を受けてしまい、その後の非常に熱い展開がなくなってしまう可能性があります。
勿論ライダーのその後のダメージも非常に浅くなる可能性があります。
「死」という結果が変わらなければ経過に意味が無い?
…私はそうは思いません。でなければ、物語を読んでその展開に心震わせることを蔑ろにされてるようではありませんか。

0hZtgB0vFY 様のご丁寧な返答はお受けしました。
「不要として省略」との判断で私も納得いたしました。

「重箱の隅をつつくようだ」との意見も確かにそのとおりだとも思います。
だからこそ、「ちょっとした質問」スレに書き込んだのですが、そのスレで以下のアドバイスをいただきましたので、本スレに書き込ませてもらった次第です。

940 :名無しさん:2009/12/06(日) 23:48:16 ID:RpToXlTQ
>>938
それは本スレで指摘して書き手氏や他の人の反応を見た後、
問題があるようなら議論スレへ誘導する形を取るのがいいと思います。


ちょっとした事で、お騒がせして申し訳ありませんでした。
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 01:14:44 ID:0qQRoHw5
【ご連絡】
したらば外部板
ちょっとした事を質問するスレッド part2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1260197095/

にて以下のSS修正要請発議が出ております。書き手氏及び意見のある方は該当スレまでお願いします。

書き手◆1ZCuwzjAYc氏の
サーシェス×一方通行(『決意の朝』)SS修正要請
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1260197095/3


http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1257453281/931
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1257453281/932
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1257453281/934
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1257453281/984


・一方通行はサーシェスに戦闘を仕掛けない。(マーダーと変わらない行動)
・技術屋であるという嘘をサーシェスはわざわざつかない。
・能力制限で慎重になってるのにサーシェスに強力なベクトル操作を使用
・しかも50メートル範囲の尾行探知で少し消耗している状態
・サーシェスは情報収集を優先しているのに、ゼクスの仲間である一方通行の殺害を踏み切る
・力の差を見せ付けられたのに、サーシェスがあえて一方通行を殺そうとしている(小十郎、アーチャー戦と矛盾)
・一方通行が式とデュオに「実験で大きな音を立てたので誰かが来るかもしれないからここで情報交換は止めよう」
 と話しているのにサーシェスに大声で叫んでいる。

事前議論参考ログ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1257453281/823- 以降
55 ◆1ZCuwzjAYc :2009/12/08(火) 12:04:47 ID:l1P+4oVO
>>54
決意の朝修正稿を以下のスレ>>216から投下しました
確認お願い致します

作品仮投下スレ その2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1259290669/

また夜の12時頃来ます
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 12:41:44 ID:TfRa/FH5
問題ないんじゃない
理屈厨はまたはしゃぐだろうが
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 13:33:24 ID:QNR0Ppol
もう、この修正稿で良いんじゃない?
これ以上の修正要求で企画停滞させるよりまし
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 14:01:45 ID:+vofKeTe
◆0hZtgB0vFY氏の修正稿についてはもう通しでいいよね
質問者も納得したみたいだし、ウィキに入稿しても問題無しでしょ
しかし、「凶がれっ!!」「曲がらんっ!!」ってwww
これだけ見ればギャグなのに、ストーリー熱すぎて笑い所無しwww
修正乙でした
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 14:46:13 ID:EwIZAa4M
結局書き手のごり押しが通るんなら議論する意味がないな。
きっちり直させろよもしくは破棄。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 15:35:48 ID:TfRa/FH5
読み手のゴリ押しで破棄されるのを見るのも、もううんざり
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 15:59:16 ID:+vofKeTe
>>59
誰がゴリ押してるの?
貴方?馬鹿なの?死ぬの?
一方通行&サーシェスの話については、多少強引なタイミングながら修正案が出てるし、幸村死亡話もちゃんと読み手の意見を取り入れてるじゃんか
これでゴリ押し言われたらたまらんわ
62 ◆zZobvbdlGE :2009/12/08(火) 16:11:40 ID:OKnprqBt
仮投下スレ210−215までに
修正稿を投下しました

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1259290669/210-215
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 17:03:47 ID:9QaNESiv
一方通行&サーシェスと幸村の話はそもそも修正するべき議論が全くの別
前者は他意があったのかわからないけれど最初からSS自体がリレー無視
後者は他意があったのかわからないけれど一部のSSの見落としを修正
とりあえず経過を見守ろうか
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 17:14:29 ID:QNR0Ppol
どの修正稿も全部通しで別に問題無いかと
一部の煽りはスルーでおk
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 17:23:45 ID:QmQr1ARp
明らかに荒らしが書いたと分かるSSをよく通しでいいと言えるな
まあ萌え豚が湧いてるんだろうが
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 17:26:50 ID:raN7AuHt
一体誰と戦っているんだ?
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 17:56:53 ID:MEdHrpKH
グダグダだな
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 17:57:10 ID:saZSequO
通しで仕方ないと思う
本音は修正前と対して変わらねえだが停滞させる方が厭だ
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 18:06:50 ID:WipPJVlj
ぶっちゃけ修正前の方がよかった
マーダー増やせるしwww
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 18:10:16 ID:QhrVqo+g
サーシェスの処理の分だけ面倒が増えた上に一方さんの危険度も減少した

だからゴネて無理矢理展開変えさせるとロクなことになんねーんだよ
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 18:11:12 ID:yJxmdEP3
アレが投下されたこと自体が碌な事じゃないんだから、修正なしで没にさせりゃよかったのに
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 18:19:15 ID:kVGUtD+N
ごね得の前例ができただけか

味をしめたから、これから先も何度となくゴネるだろうね
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 19:01:01 ID:EwIZAa4M
破棄させれば問題なくね?
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 19:04:58 ID:+vofKeTe
まさか1stから此処までまだキャプ巳沢症候群が続いてるとは……
「書き手が荒らしに見える」「無差別に削除依頼」「とにかく騒ぐ」
どう見ても巳沢です本当にありがとうございました
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 19:26:42 ID:9QaNESiv
なんか色々言ってるけど自己主張ばかりで
人が意見、感想をする、及び議論を待たず、聞かずに、一方通行とサーシェスのSSを
投下する行為を今までに2回指摘されているにも係らず
今回で3回目の「独断です」の一言で繰り返し投下してる行為を見る限り
完全に悪質な荒らし書き手だろ、さっさと没にしろよ
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 19:33:47 ID:fi4lYlXd
言い方は悪いが間違ったことは言ってないな
ルールに則って修正要求してるのに待たずに勝手に修正して
あまつさえそれが検討違いの修正とか……
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:07:18 ID:VfQkNUV6
どっちも本スレでごちゃごちゃたってんじゃねえよ
したらば行くなり、去年の残骸スレ使うなり他所でやれ
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:18:32 ID:v9xYnCU8
去年の残骸ってここのことか

【3rd既出制限】アニロワ2nd毒吐き外伝スレPart2【荒らし対策】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1235661336/
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:19:10 ID:+vofKeTe
サーシェス一方通行はともかく、セイバー幸村ライダー藤乃はもう通しでいいんじゃ?
他の書き手さんも通し前提で書き始めてるし
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:24:34 ID:yzWH7gUH
幸村ズはもう誰も文句言ってないよ
議論終了宣言ないと認められないの?
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:33:16 ID:+vofKeTe
誰かWikiに投下してくれないと安心出来ない
俺パソコン持ってないのよ(T_T)
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:37:05 ID:v9xYnCU8
wikiに投下?
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:40:56 ID:+vofKeTe
まとめって@wikiだったよね
収録の間違いだった
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:47:36 ID:yJxmdEP3
とりあえずwikiに収録さえすればもうなかったことには出来ないからな
一刻も早い各SSの収録を希望
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:51:18 ID:tgX8dOk2
収録は基本書き手本人がやるんだっけ?
それとも勝手にやってもいいの?
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 20:52:47 ID:v9xYnCU8
書き手が直にした方がいろいろと都合がいい面がある
一気にコピペして終わりだし誤字とか見つけたら直してぱっと収録できるから
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:01:22 ID:MHoK+ZqM
収録しといてから誤字を見付けた書き手が直しても別にいいけどな
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:01:55 ID:+vofKeTe
と、いう訳で◆0hZtgB0vFY氏、収録お願いしまーす
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:17:21 ID:621SS9P6
書き手が収録した方が便利は便利だろうけど、基本的には誰が収録してもいい。
てか、気がついた人が順次やっていくものじゃね?

……と、ここ10作以上を収録している俺が言ってみる。
問題ないSSに関しては、どんどん収録していいと思うよ。誰でも編集できるのがwikiの利点なんだし。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:23:15 ID:2T+W1C88
質問スレのあのまとめ屋気取り更迭した方がいいな、ありゃ
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:25:35 ID:jP80arim
ゴネ厨涙目っすなあ
管理人に泣きついて規制してもらえば?
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:30:20 ID:v9xYnCU8
文句なら毒吐きでどうぞ
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:36:47 ID:jP80arim
ちくりスレでも先手打たれてて、ビビッてしたらばの方で毒吐けないないんだよ
察してやれ
ていうかこの板にも毒吐きスレあったのかw
94 ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:37:45 ID:al5flupY
C.C.、上条さん、ガハラさん投下します。
95ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:39:48 ID:al5flupY
  【1】

上条当麻は悩み多き男だ。
今回はそのうちの三つだけを紹介しよう。
ちなみに、彼が『不幸』体質であることはもはや周知の事実であるのでここでは割愛する。

一つは貧窮。
しがない金欠学生である上条にとって、生活費の欠落は文字通りの死活問題。
僅かに安いスーパーの特売品を求めて、町を彷徨い歩くことも決して珍しくはない。
特に腹ぺこシスターの存在は非常に厄介だ。
上条の疲弊を促している原因の大半がコレのせいだった。
何度も繰り返し言及するが、しがない金欠学生である上条にとって『食っちゃ寝』ばかりしている同居人の存在は非常に厄介だ。
実際、人間一人が食っていく苦労は並大抵のモノではないのだ。それが二人ならば、尚更である。

一つは事件体質。
上条の行く所、恐ろしいほどの頻度で事件が発生する。
発生した出来事の割に、時間が全く経過していないことが更に困りものだ。
とにかく、イベントの密度が濃すぎるのである。
そして、それらの大半が思わず己の不幸を呪いたくなるほどハードでヘビーなものばかり。

最後の一つは、女難。
該当人物は前述の腹ぺこシスターを含め、これまた多すぎるのでまたしても割愛する。
あえて数名を挙げるならば「超電磁砲」「■■■■」「桃色教師」などだ。
矢印の向きや本数は置いておくとして、どの女性も一筋縄では行かない難しい人物ばかりである。

だが目下、上条にとって頭痛の種となっているのは『学園都市』の知り合いである女性達ではなく。


「上条くん。この台詞は私の持ちネタではないのだけれど、あえて超世界的なことを言いたい気分だから使わせて貰うわね。
 『話しかけなければ良かった。この女のことが嫌いなの』
 あなたが悪いのよ。本当に。私は『北』が良いって言ったのに。
 こんなしけた場所に連れて来て、私に不愉快な思いをさせた責任をどう取ってくれるのかしら。謝罪と賠償を要求するわ」

「ツンツン坊や。この女ではまるで話にならない。お前が相手をしろ。
 正直、私は呆れているのさ。この女は何を喋っても、遠回しな口調でこちらを煙に巻こうとするだけ。
 この島で言葉遊びなど何の意味もないことを理解していない愚か者のようだ」


――自らが『世界で一番おひめさま』であるかのように、好き勝手に振る舞う二人の女性だった。

前者、戦場ヶ原ひたぎ。
後者、C.C.。

腰まで伸ばした髪。
整った顔立ち。
白い肌。
辛辣な口調。
切れ長の瞳。
一目見ただけで分かるサディズム。
明け透けなく、ぶちまけられる台詞。
漂う嫌悪なムード。
ツンデレ? クーデレ?
96ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:41:01 ID:al5flupY
「いや……ですねぇ。どうしてそこで……お二人はこれまた唐突に俺へと話を振ったのかなぁ、などと」
「愚鈍な男ね。そんなの会話の流れに決まっているでしょう」
「坊や。気の利いた言葉を掛けろと言っているのではない。
 別にお前に多くを望んでいるわけではないが……それでも、会話の内容ぐらいは理解しておけ。面倒な男だ」

ステレオ。二人は容赦なく上条を攻め立てる。
その筋の人にとってはむしろご褒美にしか思えないシチュエーションではあるが、
単なるフラグメーカーに過ぎない上条はM属性を備えてはいなかった。非常に勿体ない限りである。

だが、恐るべき嗜虐空間に上条が今にも取り込まれそうになったことは紛れもない事実だった。
まさに、進退窮まったと断言出来る状況に追い込まれたことは確実だろう。
非常におっかない少女達に囲まれた上条当麻の胃はキリキリと痛み出す。

「で、どうなのかしら」
「早く答えないか」
「うっ……ぐっ……がっ…………!!」

この状況で、例の台詞を叫ばずにいられようか。
いや、天が許さずとも上条の喉はその咆哮をぶち上げずにはいられない。
彼の代名詞とも言うべき一言を。己の苦境を端的に表したその言葉を――――!

「不幸d――――」
「上条くん。これであなたが私の前で『不幸だ』と叫ぶのは五回目よ。
 五回。どういう数なのかしらね、これは。なんと、驚いたことに次で戦隊モノの標準的ヒーロー数を超えてしまうの。
 あなたは既に赤青黄桃緑ンジャー以外にも、ブラックを呼んで来ないとカウント出来ないほど語彙が乏しいことを自ら露呈したということよ。
 どうしようもないマゾ条くんね。発情するなら公園のトイレに行って頂戴ね。ああ、ちゃんと手は洗うのよ」
「うるさい。叫ぶな。これだから暑苦しい男は嫌いだ」
「う……おおおおおお……」

決め台詞を奪われ、あまつさえ再びマゾ条扱いされる上条。
言葉を重ねることさえ否定するような厳粛な語気で、ゴミ虫のように切って捨てられる上条。

まさに、その振り上げた拳の行く末を探すのは困難を極めた。
やり場のない衝動。胃痛。もっと普通の女の子に会いたかった――そう願う熱い心。

(落ち着け、落ち着くんだ……上条さんは男の子! 状況を整理しろっ!
 そうすれば見えてくるモノもある…………はずだと思うんだけどなぁ?)

だからこそ、上条は思考する。
どうして、このようなことになったのか。何が間違いだったのか。その、答えを。

そして舞台は数十分前まで遡ることになる。
上条当麻と戦場ヶ原ひたぎが、C.C.と行き遭うまでの経緯を思い返す――


  【2】

97ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:42:09 ID:al5flupY
『ソレ』は上条とひたぎが食事を終え、
宇宙開発局エリアに置かれたF−5駅から出立しようとしていた矢先の出来事だった。

先の放送で運行の停止を宣告されていたため、電車を移動に用いることは不可能である。
そう二人は認識していた。事実、ここ数時間、F−5駅には一本の列車も到着していない。

だが――現れたのである。列車が。
それも、上条達の考えを完全に踏みにじる形で。
騎兵のサーヴァント・ライダーが操る特別列車《ミラクルトレイン》の襲来である。

その嵐のような車速を弾丸特急《マイトガンナー》とでも表現するべきだっただろうか。
停止駅を完全に無視し、電車として有り得ない速度で走行したソレに上条達は度肝を抜かれた。

『電車は運行を停止する』
その報せはF−5駅で非常に長い時間を過ごした二人が誰よりも理解していることだったのである。

もっとも、幸いなことに駅のホームから若干離れた場所にいた上条達はライダー一行に発見されることはなかった。
彼女達はこの先、D−6駅にてセイバー・真田幸村と死闘を繰り広げるわけだが、それは二人には思い知れぬことである。

――とはいえ、事実だけは燦然と残る。

「上条くん。やっぱり薬局に行くのは止めにしましょう」
「……奇遇だな。ちょうど俺も同じことを考えていたところだ」
「えっ」
「なんで露骨に嫌そうな顔すんだよ!?」
「なにそれこわい」
「意味分かんねぇ!」
「まさか上条くんとシンパシーを感じてしまうなんて……精神を陵辱された気分だわ……」
「俺、今滅茶苦茶酷いこと言われてますよねぇっ!?」

口元を抑え、上条から視線を逸らすひたぎ。
そして、うぷっと二、三度嘔吐く。とはいえ、

「まぁ変に反論されるよりはマシだけれど」

もう彼女はケロッとした顔を浮かべている。
戦場ヶ原ひたぎはとにかく分かり難いが、理性的な考えの出来る人間だった。

「それで、どのような理由で、根拠で、思想で、思惑で上条くんは薬局行きを取りやめようと思ったのかしら」
「……別にそんな確固としたわけなんてねぇって。
 ただ、西側の駅からあんな目立つモンが移動してきたんだぜ? 
 俺達以外の参加者だって、確実にアレを目撃しているはずだ。多分、結構な数の人間が東に向かうと思っただけさ」
「ふぅん、割合考えているのね。私の中での上条くん評がミドリムシからゾウリムシへと大幅なランクアップを遂げたわ」
「全然ランクアップしているように聞こえねぇよ! むしろ、イメージ的にはランクダウンしてるだろソレ!」
「あら。上条くん、あなたゾウリムシを舐めてるわね。
 ミドリムシは肉眼では確認出来ないけれど、ゾウリムシはなんと眼を凝らせば見えるのよ? もの凄い進化じゃないかしら、これ」
「ま、まぁ……そう言われてみれば……」

眼に入るようになった――というのは重要な言葉だと上条は思った。
たとえ、それに用いられている比喩が微生物であったとしても。
ミドリムシとゾウリムシでは言葉が持つ印象にサイズ以上に大きな差があるような気もするが。
98ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:43:41 ID:al5flupY
「もっとも、どちらも単細胞生物に過ぎないのだけれど。この程度で納得するなんて、本当に単純バカね。
 せめて『ミジンコサイズを目指してみせる!』くらいのことが言えないのかしら」
「ッ――――!」

上条はあまり口が上手い方ではない。
いや、訂正しよう。彼が心の底から願い、希望を掴もうと邁進した時――その言葉は黄金のような輝きとなる。
その意味では、上条は決して口下手な男ではないのだ。
だが、なんとも……少女との言葉遊びは上条にとってあまりに荷が重い。
人には適材適所というものがあり、彼の得意分野は決してこの領域ではない。

「なに絶句しているの。いい加減、出発しましょう。さすがにこの駅も見飽きたわ」
「……ホント、いい性格してるぜ」
「何か言ったかしら」
「いえいえ。別に何も言ってないですよ、っと」

だからこそ、上条は思う。
この自分ではまるで手に負えない少女の『恋人』とやらに一言文句を言ってやりたい、と。
そして、その男が愚痴を溢すならば、今まさに現在進行形で似たような経験をしている自分が相談に乗ってやってもいい、と。

もしも、阿良々木暦が死んだとしたら――
次の放送で名前を呼ばれたとしたら、死体を見つけてしまったら――

上条は既に大切な人を二人も失ってしまった。

御坂美琴。
月詠小萌。

だからこそ、強く思うのだ。強く願うのだ。
自分と同じような思いを絶対にひたぎにはさせたくない、と。
この少女の大切な人を絶対に自分が見つけ出してみせる、と。

とはいえ、上条は決して自分だけがこの少女を守ろうなどと、そんな大それたことを考えているわけではない。
彼は自分以上に――彼女を守りたいという気持ちを持ち合わせている男がいるだろうことを知っている。
戦場ヶ原ひたぎにとっての『世界で一番のおうじさま』はただ一人しかいないのだ。

(俺達がアンタを探しているのと同じくらい……アンタも戦場ヶ原のことを探してんだろ!?
 急げよ。俺も全力でアンタのことを探すから。大切なもの……なくなってからじゃどんだけ後悔しても遅ぇんだ)

ひたぎにとっての主人公は上条ではない。まだ顔も知らぬ待ち人――阿良々木暦。
彼だけが、少女に本当の意味で最高のハッピーエンドをプレゼントすることが出来るのだから。


  【3】

 
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:46:04 ID:MHoK+ZqM
 
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:46:17 ID:Ak+MwJRr
支援
101ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:47:16 ID:al5flupY
そして、移動を開始した上条達だったが、ここで一つ問題が発生した。
西側にあるランドマークとしては『薬局』という極めて分かりやすく、地理的にも進行上問題のない施設が存在した。
だが、東側には候補となる施設が相当な数存在するのである。

――どの方向を目指すのか。

それが宇宙開発局エリアを出て、E−6エリアの中央付近。
線路とぶち当たった地点に到着した上条当麻と戦場ヶ原ひたぎの争点だった。

北――D−6駅を経由して、死者に祈る場所を目指すルート(ひとまず、ギャンブル船は保留する)
東――東端の学校を目指すルート。
西――公園を経由して、政庁を目指すルート。

「ここは、西……かな」
「私、特に強く主張するわけではないのだけれど、北に行くのがいいと思うの」

二人の意見は見事に割れた。上条が西、ひたぎが北だ。

「北はギャンブル船に近くなるぜ? なんでだよ」
「なんとなく、北の方……特にD−6の駅辺りから阿良々木くんの臭いがするような気がしないでもないの」
「普通に『勘』って言えよ」
「……」

ピタリ、とひたぎの動きが止まった。
沈黙。どうも上条の指摘通りただの勘だったようである。
だが、ひたぎはまるで顔色を変えずに言葉を続ける。

「ちなみに、上条くんからはあの女の臭いがするわ」
「誰だよ、あの女って!」
「あの女はあの女よ。この浮気者。
 どうせ無駄にフラグを立てまくって、沢山の女を泣かせまくっているんでしょう。童貞のくせに」
「上条さん、まったく意味がわかりませんよっ!?」
「咆哮するだけのツッコミはつまらないわ。上条くん、三点」
「……それは十点満点で?」
「千点満点に決まっているでしょう。自己評価の甘い男ね」

半ば八つ当たり気味に罵られる上条。
だが、ヤンだ台詞を吐き出したおかげで、ひたぎも方針の転換に納得いったのか。
ふぅっと小さく溜息をつくと、

「分かりました。上条くんに従います。
 でも勘違いしないで欲しいのだけれど、これはあくまでこの場での行動選択権をあなたに譲渡するだけということよ。
 性的な意味で私を自由に出来るなんて勘違いするのは止めて頂戴ね。私、そういうNTR趣味はないんだから」

そんな勘違いしてねぇよ!
と、またも叫びたくなってしまった上条だが、ギリギリでその言葉を飲み込む。

今回も吼えてしまう――ところだった。
上条は不器用な男だ。勝手にべしゃり始める少女に的確なツッコミを入れる技能など持っているはずがない。
阿良々木暦はそんなにも華麗なツッコミを入れられる男なのか――曖昧だった暦の輪郭が、漫才師ルックへと近づいていく。


そして、西進した上条達が行き遭ったのが――ペリドットのような鮮やかな髪色の少女、C.C.だった。


  【4】

102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:47:50 ID:gW5QlRGf
 
103ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:48:12 ID:al5flupY
「――止まれ」 

初邂逅のシーンは端的に表すなら『最悪』だった。
E−6の公園を経由し、E−5→D−5の道順で政庁へと向かっていた上条達へ唐突に『声』が投げ掛けられたのである。

「誰だ!?」

ひたぎを庇うように上条は拳を握り締め、すぐさま前へ出た。
すると、市街地にある家の一つから異様な格好をした少女が姿を現した。

「なっ……」
「どちらも学生か。本当に、悪趣味な催しだな。コレは」

腰まで届きそうな輝く黄緑色の髪と怜悧な眼差し。胸元には橙色のボールのようなモノを抱えている。
今も猫を三匹抱き締めているひたぎもそうだが、この島に呼び寄せられた女の子は胸に何かを抱いていないと気が済まないのかと上条は頭の隅で考えた。
だが、それ以上に少女の印象を決定づける要素が存在した。それは――

「私はC.C.。参加者の一人だ。殺し合いをするつもりはない……と、まずはここで戦う意志がないことを示しておこう」
「血……」
「おっと、さすがに血だらけでは見栄えが悪いか。馴染みの服ではあるが……着替える必要があるようだな」

眉間に皺を寄せ、呟いたひたぎの言葉にC.C.と名乗ったは笑って応える。
が、対照的にひたぎは視線を彼女に合わせたまま、じりっ、と一歩距離を取った。
その表情は先の放送の際、上条に『殺し合いに乗るのか?』と問い掛けた時と同じくらい――厳粛な趣きに満ちていた。

「気をつけて。この女、油断ならないわ」
「ほう?」
「……戦場ヶ原? いきなり何を言い出すんだよ。
 あ、すいません! コイツ、口は悪いんですけど……悪い奴じゃないんで! 
 俺は上条当麻。コイツは戦場ヶ原ひたぎって言うんだ。
 それに、そっちも……もしかしなくても怪我をしてるんじゃないか!? だったら手当てをしないと……!」

ひたぎの反応に上条はまるでついていけなかった。
それよりも、上条にとって見逃せないことはC.C.のあまりにも凄惨な格好だ。

――血だらけの拘束服。

そこら中が破け、血が染み込んだ真っ白い独特の形状の服を少女は身に纏っていた。
袖口の部分が非常に広くなっており、また、各部にあしらわれた革製のベルトがアクセントになっている。
この服装から上条は――相手は、誰かに襲撃された後であると推理した。
あれだけの血液量だ。手当をしなければ命に関わるかもしれない。

「何を言っているの。上条くん。あなたって本当にバカね。
 ううん、違うわ。お人好しなのよ。バカが付くほどの、筋金入りのお人好しバカ。よく見なさい。あの女の格好を」
「格好……って言われても。血が付いた服を着ているようにしか」
「だからあなたはバカなのよ。もしくは、無意識に眼を逸らしているんじゃないかしら。
 見るのは服じゃなくて、その下。あの女の――身体よ」
「か、身体って……」
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:48:21 ID:/Upr/gOl
 
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:48:28 ID:gW5QlRGf
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:49:02 ID:1PadggyV
 
107ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:49:08 ID:al5flupY
上条は言葉を濁らせ、顔を赤くした。
ひたぎの言う通りだった。上条は少女と出会った瞬間、いくつか自主的に眼を背けた部分がある。
それが、そこら中破けまくった服の下――肌、であった。
いくら初対面であっても、服の破れた女の子の肉体を凝視するのは憚られる行為である。
上条はラッキースケベならばともかく、その辺りのマナーは弁えているつもりだった。ところが、

「…………あれ?」

そこには、明確な違和感があった。
血が出ている、ということは血を流した、ということだ。
そして血を流した、ということは、怪我をした、ということだ。

だが――――C.C.の身体には『何一つとして傷痕が存在しなかった』のである。

「ああ、これか。中々に目聡いな。……やはり、服を探しておくべきだったか。これはだな――」
「黙りなさい。はぐらかそうとしたって、私には分かるのよ。あなた、」

説明しようとするC.C.の言葉を遮って、ひたぎが真剣な面持ちでその『言葉』を口にした。


「――吸血鬼、でしょう」


  【EX】

108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:49:14 ID:gW5QlRGf
109ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:49:49 ID:al5flupY
『■■■■』
吸血鬼のことといえば。私の出番。
かといって。私が語れることもそれほど多くはないけれど。

吸血鬼というイキモノに関する知識を。確かにこの場に居合わせた三人の人間は普通以上に持ち合わせている。
問題なのは。三人の知識に明確な齟齬が存在するということ。


C.C.にとっての吸血鬼とは遠い昔。彼女がルルーシュ・ランペルージと出会う前。蔑まれる時に用いられた呼び名の一つ。
吸血鬼は深淵の住人。吸血鬼は邪悪の象徴。
人は彼女の不死性に怯え。そして彼女を神話や言い伝えに出て来る魔物と同じ名前で呼んだ。
吸血鬼はその中のヴァリエーションの一つ。迫害の歴史の一つ。


上条当麻にとっての吸血鬼の認識は私が持つ知識と大差ない。
三沢塾における黄金錬成《アルスマグナ》の力を持つ錬金術師、アウレオス=イザードとの戦いで得た知識。
『それを見たものはいない――見たものは死ぬ』とまで揶揄されるカインの眷属。不老不死の存在。無尽蔵の魔力を持つ存在。
だけど。吸血殺し《ディープブラッド》が語る吸血鬼の像は明らかに異なるものだった。

吸血鬼だって。人間と変わらない。泣いて。笑って。怒って。喜んで。誰かのために笑い。そのために行動出来る人。
そんな人達。人間と同じ――被害者。


戦場ヶ原ひたぎにとっての吸血鬼とは阿良々木暦。もとい、阿良々木暦が行き遭った鬼。
こよみヴァンプ。彼を吸血鬼にしたのは血も凍るような美人だったらしい。とても美しい鬼だったらしい。
実際。戦場ヶ原ひたぎは吸血鬼に関してあまり詳しい知識を持たない。

キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。忍野忍。刃の下に心有り。
『美しき鬼の絞りカス』については一度、面識がある程度だった。

だけど。『吸血鬼もどきの人間』である阿良々木暦を彼女は強く探し求めている。
瞬時にして跡形もなく傷が再生する人間――ソレから彼女が吸血鬼を。そして阿良々木暦を想起するのは自然な流れかもしれない。


以上。説明おわり。……出番もおわり。


  【5】

110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:49:56 ID:gW5QlRGf
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:50:01 ID:/Upr/gOl
 
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:50:21 ID:1PadggyV
 
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:50:42 ID:/Upr/gOl
 
114ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:50:50 ID:al5flupY
「吸血……鬼…………?」
「そうよ」

C.C.はぽかーんとした顔を浮かべ、マジマジと戦場ヶ原ひたぎの顔を眺めた。
対するひたぎは『異議あり!』と叫び出さんばかりの形相でC.C.を睨みつける。
向けられた指先はまるで心臓を撃ち抜くホワイトアッシュの杭のように、一切の歪みもない。だが、

「…………ククククッ……ハハハハハハッ! そうか、吸血鬼と来たか! アハハハハッ!」
「あら、図星だったかしら。上条くんじゃあるまいし、笑って誤魔化せるなんて思わないで欲しいわね」

そのひたぎの言葉に対して、C.Cは――大笑いで応える。
当然、ひたぎは彼女のそんな不真面目な態度が気に入らないようだった。
はっきりと『不愉快』であるという表情を分かりやすいくらい顔面に貼り付ける。

「ハハハハハッ……久しぶりにその名前で呼ばれたような気がするな。ハハッ……!
 吸血鬼か……なるほど。見るモノが見ればそういう解釈も出来るのかもしれんな。――どちらも不死性を持つ生き物であることは同じだ」
「なにがおかしいの」
「何もおかしくはないさ。ただ、少しだけ『愉快』だっただけだよ。そして、同じくらい懐かしくもあっただけのこと。
 だが、惜しいな。極めて興味深い推論には違いないが、肝心の部分が間違っている――」

C.C.はさっと長い髪を掻き分け、自嘲するかのように呟いた。

「私は――『魔女』だよ」
「魔女、ですって」
「ああ。だが、さすがにこの島では私も『死ねる』ようだがな」

ひたぎが言葉を反芻した。
魔女。彼女は吸血鬼と同じくらいそれをタチの悪い生き物であると認識しているようだった。だが一方で上条は、

(魔女……だって……!? つまり、魔術師かよ!? 畜生、やっぱり『そっち側』の人間も参加させられていたってことか!)

と、唇を噛み締めていた。なにしろ主催進行役を担っているインデックスが明確な魔術側の人間なのだ。
まさか、参加者に科学側の超能力者しか存在しないとは考えにくい。当然――魔術師もいるのだ。そう上条は考える。

「採点するなら七十点くらいかな、お嬢さん。ああ、警戒しなくてもいい。私の『魔女』はあくまで通称だ。
 別に主催者の言っていた《魔法》とやらが使えるわけではないよ。ここでは、少しばかり死ににくい女に過ぎん」
「そう。で、そんな魔女さんが私達に何の用なのかしら。
 戦意がないっていうなら、情報交換には応じるけれど。あなたみたいに胡散臭い人をそう簡単に信用出来ると思わないで頂戴」
「辛辣だな」
「それはお互い様でしょう」
「まったくだな」

険呑な空気が流れる。ピリピリと辺り一面が独特の緊張感に包まれていた。
しかし、それは明らかにこのバトルロワイアルという会場における『殺しの空気』とは別種のモノだ。
例えるなら、そう――壊滅的に相性が悪い同系統の女が見事に顔を合わせてしまったシチュエーション、みたいな。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:50:51 ID:gW5QlRGf
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:51:25 ID:/Upr/gOl
 
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:51:25 ID:1PadggyV
118ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:51:40 ID:al5flupY
「ところで、あなた。見たところ丸腰のようだけど、どういうことなのかしら。私達が殺し合いに乗っているとは思わなかったの?」
「仔猫を三匹も抱えた女がその台詞を吐くか」
「あなただって何か不細工なオレンジ色のバレーボールを抱えてるじゃない。ハッキリ言って、あまり趣味が良いとは思えないわ」
「これはバレーボールじゃない。ハロだ。それに結構可愛いぞ。チーズくんと似てなくもない」
「チーズくんですって? あんな軟体生物のどこがいいのかしら。私のスフィンクスとあずにゃん二号とアーサーの方が可愛いわ」
「……聞き捨てならないな。チーズくんを馬鹿にするということは私に喧嘩を売っているようなものだぞ」

バチバチバチと、青白い光が両者の眼から生まれて空中でぶつかり合う。
上条は怯えていた。だが、それは決して上条が臆病者である、という意味ではない。
ひたぎの腕の中の猫達も一切鳴き声を発しないし、C.C.の腕の中の丸い物体もカタカタ震えている。
こんな恐ろしいやり取りに威圧されない者はそうそういないだろう。

(なにこれ……こわい……)

この畏怖の根源は男性なら誰もが経験したくない――『修羅場』のソレ、であったのだ。
結果、上条は唐突に舌戦を開始した少女二人の雰囲気に呑まれ、借りてきた猫のように大人しくなっていた。


  【6】

119ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:52:23 ID:al5flupY
そして――時は巻戻る。
上条が唐突に二人の少女に話を振られた辺りまで。

(やっぱり、なんで言い争いになってのかまるで意味が分かんねぇですよ!? なんなんですかねコレ!?)

焦る上条。震える上条。しどろもどろの上条。
唇からは「うっ……おっ……」などと、言葉にならない音がこぼれ落ちる。ツーッと嫌な汗が背筋を伝った。
が、その時。

「……まぁ、悪ふざけはこれぐらいにしておこうか」
「そうね。上条くんが部屋のスミでガタガタふるえて命ごいを始めない内に、本題に入りましょう」
「…………あれ?」

かしゃん、と雰囲気が一変した。
まるでスイッチを切り替えたように。今までの全ては演技だったかのように。

「何を驚いているの。こんな状況でいきなり会ったばかりの人間とガチで喧嘩出来るほど、私はヒステリックじゃないわ」
「まったくだよ。お前は女を何だと思っているんだ」
「え、ちょ、ま――」

上条の焦燥を他所に、C.C.とひたぎは歩み寄り今までの言い争いが嘘のように笑顔で情報交換を始める。
ちなみに…………両者の笑みがなんか恐ろしいことは上条の気のせいであると思い込んでおこう。おきたい。

「こちらの目的は人捜しだ。何名か知り合いはいるが……ルルーシュ・ランペルージ。特にこの人物を探している」
「同じ目的のようね。だけど残念。私も上条くんも会ったことのない相手だわ。私が探しているのは阿良々木暦、面識はあるかしら」
「残念ながら。だが、その人物に縁のある支給品ならば持っているぞ」
「……あら。見せてもらえるかしら」
「ああ、ちょっと待て……これだ。説明書には【阿良々木暦のマジックテープ式の財布】とあったぞ」
「……待ちなさい。阿良々木くんがこんなダサさを極めたような財布を使っていた記憶はないわよ」
「似たようなことが説明書にも書いてあったな。よく分からんが、私もコレはダサイと思う」

C.C.が懐から妙にパンパンの財布を取り出した。まるで100円ショップで打っているようなナイロン製の財布である。
上条ですら、これはない、と断言出来てしまうような財布だ。
そして、C.C.が何の気なしにバリバリッ!とマジックテープを剥がすと、

「やめて!」

ひたぎが吼えた。
まるで、彼氏の財布であるらしいマジックテープ式の財布をバリバリとやられたら、そう叫ばずにはいられない――という風に。

「……すまんな。悪いことをしてしまったようだ」
「いいえ。でも、本当にその財布をバリバリやるのはやめて。死にたくなるから」

空気が重くなった。
おそらく、帝愛グループは場の空気を乱すためにこのような禍々しい道具を支給品に紛れ込ませたのだろう。
愛し合う恋人達の関係に亀裂を入れるため、なのかもしれない。だとすれば、ソレは決して許される行いではないと上条は思う。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:52:43 ID:1PadggyV
121ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:53:05 ID:al5flupY
「…………」

その時、だった。スゥッとC.C.の視線が上条を捉えた。
不思議な瞳だ。そう、上条は思った。
今までのやり取りで向けられたどれとも違う。感傷や哀愁を含んだ眼差し。

――――悲しい、眼差し。


「上条当麻。絶望は、しないか?」


C.C.が尋ねた。
上条には彼女の言葉の意図が分からない。
だから、ありのままの自分でその問い掛けに応じる。

「絶望なんてするわけねぇだろ。俺には守らないといけねぇ人がいる。救わないといけねぇ人がいる。
 落ち込んだり、悩んだりしている暇なんてねぇんだ」
「…………そうか。立派なのだな、お前は。強い男だよ。
 だが、時には……『守れなかった人間のことを思い出して欲しい』と考えるのは私のわがままなのかな」
「……え?」

こつん、とC.C.が自身が出て来た民家の扉を叩いた。そして、


「――――奥に、御坂美琴がいる。会ってやって欲しい」


低い声で、呟くように。C.C.はその言葉を吐き出した。

122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:53:15 ID:/Upr/gOl
 
123ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:53:48 ID:al5flupY
「ビリ……ビリ……御坂……奥に、いるって……」
「アイツは、本当に格好よかったよ。本当に、立派だった。
 身を呈して私を助けてくれたんだ。お得意の超電磁砲《レールガン》とやらでな。
 私の持つお前の知識はあまり多くない。だが、アイツはお前の名前を挙げた時だけは何とも……分かりやすい反応をしていたよ。
 なぁ、上条当麻。私に教えてくれ――」


上条当麻は主人公になるために生まれて来たような男だ。
上条には記憶がない。だが、それでも心の奥にある『誰かを救いたい』という思いは変わらない。
記憶を失う前の――上条当麻と一緒だ。

だが、ここで疑問が持ち上がる。
主人公とは――――いったい、誰にとっての主人公なのだろう、と。


科学と魔術が交差する世界における、物語の主人公だろうか。
それとも、『たった一人の女の子』のための主人公なのだろうか。


それは、両立出来るのだろうか。出来ないのだろうか。
そして、その『たった一人の女の子』とはいったい誰だ? 選からあぶれた者はどうなる?


「御坂美琴は、お前にとってのヒロインだったのか?」


C.C.にとっての主人公――ルルーシュ・ランペルージは、物語の主人公だ。
レクイエム、そしてリベリオン。世界の憎しみの連鎖を断ち切るために彼は邁進した。
だが、C.C.は彼に自分自身だけの主人公になって欲しいとは望まない。
二人の関係はあくまで『共犯者』だ。C.C.は最後までルルーシュを影で支え、護り切った。
そこにそれ以上の意味はない。それが全てなのだ。

戦場ヶ原ひたぎにとっての主人公――阿良々木暦は、彼女の主人公だ。
阿良々木暦は『セカイ』を救おうなんて大それたことは考えない。
むしろ、阿良々木暦は彼が関わる全ての人間を救おうとする。
自分に出来ることをやり遂げようとする。けれど、暦はひたぎを選んだ――これは明確な事実。


それでは、御坂美琴にとっての主人公は――――誰だ?
そして、その主人公は何を救う? 世界か? たった一人の女の子か? それとも――両方か?

それは小さな想いだった。わがままなどではない。
いずれ、はっきりとした花を咲かせる時を待つ、蕾のような想いだった。
そして、その想いは昇華されることなく散華した。稲光と電撃の嵐の中、電光の姫君は命を落とした。

どちらにしろ、上条当麻は曖昧なままではいられない。
決断しなければならない。決別しなければならない。決意しなければならない。
『ヒロインになれなかったヒロイン』を認めなければならない。



彼女が上条にとって――――世界で一番のおひめさまなどではないと、認めなければならない。



【E-5/市街地 一軒家/一日目/午前】
124ワールドイズマイン ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:54:28 ID:al5flupY
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:疲労(中)、傷修復完了(健康)
[服装]:血まみれの拘束服
[装備]:オレンジハロ@機動戦記ガンダム00
[道具]:基本支給品一式 阿良々木暦のマジックテープ式の財布(小銭残り34枚)@化物語
    ピザ(残り63枚)@コードギアス 反逆のルルーシュR2
[思考]
基本:ルルーシュと共に、この世界から脱出。
   不老不死のコードを譲渡することで自身の存在を永遠に終わらせる――?
1:上条当麻の反応を待つ
2:ルルーシュと合流する
3:利用出来る者は利用するが、積極的に殺し合いに乗るつもりはない
4:正直、ひたぎとは相性が悪いと思う

[備考]
※参戦時期は、TURN 4『逆襲 の 処刑台』からTURN 13『過去 から の 刺客』の間。
※制限によりコードの力が弱まっています。 常人よりは多少頑丈ですが不死ではなく、再生も遅いです。

【阿良々木暦のマジックテープ式の財布@化物語】
 御坂美琴に支給。
 初期支給時の三十六枚という異様に多い小銭の数から察するに、かなりパンパンである。
 原作にて阿良々木暦がマジックテープ式の財布を使った描写はなく、この財布が本当に彼の物である証拠は皆無である。
 だが名目上は彼の所有物である、ということになっている。バリバリ、やめて!

【戦場ヶ原ひたぎ@化物語】
[状態]:疲労(小)
[服装]:直江津高校女子制服
[装備]:文房具一式を隠し持っている、スフィンクス@とある魔術の禁書目録、
    アーサー@コードギアス 反逆のルルーシュR2、あずにゃん2号@けいおん!
[道具]:支給品一式、不明支給品(1〜3、確認済) 、バールのようなもの@現地調達
[思考]
基本:阿良々木暦と合流。二人で無事に生還する。主催者の甘言は信用しない。
 1:上条当麻に協力。会場内を散策しつつ阿良々木暦を探す。
 2:神原は見つけた場合一緒に行動。ただし優先度は阿良々木暦と比べ低い。
 3:ギャンブル船にはとりあえず行かない。未確認の近くにある施設から回ることにする。
 4:正直、C.C.とは相性が悪いと思う
 [備考]
 ※登場時期はアニメ12話の後。
 ※安藤から帝愛の情報を聞き、完全に主催者の事を信用しない事にしました。
 ※安藤の死亡によりギャンブル船に参加者が集められているかは怪しいと考えています。

【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[服装]:学校の制服
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:インデックスを助け出す。殺し合いには乗らない。
 0:御坂……
 1:戦場ヶ原ひたぎに同行。阿良々木暦を探す。戦場ヶ原ひたぎと3匹の猫の安全を確保する
 2:インデックスの所へ行く方法を考える。会場内を散策し、情報収集。
 3:壇上の子の『家族』を助けたい 。
 4:そういえば……海原って、どっちだ……?
[備考]
※参戦時期は、アニメ本編終了後。正体不明編終了後です。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:55:13 ID:/Upr/gOl
 
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:55:31 ID:1PadggyV
127 ◆tu4bghlMIw :2009/12/08(火) 21:56:13 ID:al5flupY
投下終了。たくさんの支援ありがとうございました。
感想指摘などあったらお願いします。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 21:57:35 ID:+vofKeTe
投下乙です
うあー……上条予想以上に追い詰められたな
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 22:00:59 ID:Ak+MwJRr
CCもひたぎも確かに似たようなタイプだな。それだけにそりが合わなさそうだw
そして上条さんにとうとう決断の時が来たか・・・頑張れ上条さん
投下乙でした
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 22:01:56 ID:MHoK+ZqM
投下乙
うわー……。笑ってたけど最後の最後で切ないなー。
いや、しかしそこを流さないC.C.は偉い。是非聞いておきたいところだよな、確かに。上条さん、そこんとこ正直どうなんですか!?

……それにしてもガハラさんとありゃりゃ木さんのすれ違いっぷりはもはや様式美だなぁ。
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 22:12:00 ID:tgX8dOk2
投下乙です
ネタで笑わせつつ、読み易くなってるのは凄いです
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 22:25:10 ID:saZSequO
投下乙です

やっぱりこの二人に挟まれるか、上条さんw
だがギャグのまま終わらなかったか。CCは黙ってることも出来たのにな
上条さんはどうするか気になるぞ
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 22:25:16 ID:v9xYnCU8
投下乙です
主人公か、なんか深いな
前半二人の高飛車女子による上条弄りでそのまま行くと思いきや後半でこう持っていくか
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 22:40:19 ID:gPD+ZArN
投下乙です。
女二人強気すぎるw上条さん頑張れw

一つ質問があるのですが、
C.C.にとっての主人公〜の部分は神視点(?)ということでいいんでしょうか?
13話までのC.C.ではレクイエムのことは知らないはずなので。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 22:54:43 ID:j6lwhm1K
投下乙
くぎゅボイスとゆかなボイスのサラウンドで罵られるのは立派なご褒美です
羨ましい
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 22:58:12 ID:j6lwhm1K
あ゛、まちごうた。
ガハラさんはくぎゅじゃなく千和やんorz
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:06:12 ID:3FB3hwXN
投下乙
こ、これは・・・上条さんついに決断の時が・・・どうするんだろう・・・
あと■■さん、解説有難うございましたwww
なんかこの人、00のアレルヤに通じるものがある気が・・・
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:09:12 ID:621SS9P6
アーチャー、枢木スザク、神原駿河、レイ・ラングレン 代理投下します。
139(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:10:03 ID:621SS9P6
朝陽も昇り始め街が照らされていく中、無人の駅前商店街を歩く3人組。
茶髪の青年と青髪の少女が隣に並び、後ろに長髪の青年が2人の後を付いて来ている形だ。
そんな陣形で枢木スザク、神原駿河、レイ・ラングレンは歩いていた。
陣形というよりはスザクと駿河が同じ位の歩幅で、レイはそれよりもやや狭い足取りで歩いているだけなのだが、3人同じ視点にいては奇襲に対応できないというそれなりに合理的な考えもある。

「そろそろ駅が見えてくる頃ですね。」

「おお、あの線路だな。ようやく阿良々木先輩に会えるのか」

駿河の言う通りここから1キロ程の距離に朧げながらも線路が見える。念願の捜し人の1人に会えるのを待ちきれないのか駿河は少しソワソワしている。……落ち着かないのには別の理由があるが。

「神原さん、焦りは禁物です。集合にはまだ時間があります。」

「分かっている。すぐさま阿良々木先輩の元へ馳せ参じたいのが本音だが焦らしプレイは私の大好物だ、捨て置く手はない。手を伸ばせば届きそうなのに決して届かないもどかしさ、
オルガズムの直前に動きを止められる感覚は忘れようのない快楽だ。そうは思わないかレイ殿」

「貴様は何を言ってるんだ」

相も変わらずの駿河の前からの振りに冷たい対応で返すレイ。先程までは完全無視だったが駿河のしつこさに遂に折れたのか、返事をしなければいつまでも話を振ってくると悟ったのか、
恐らくは両方なのだろう。

「……ようやく言葉を返してくれたな。私は嬉しいぞ」

むしろ銃を突き付けられた男と行動を共にして5分も経たずに対話を試みた駿河を賞賛するべきか。

「だが無理に返す必要はないぞ。あそこまで放置プレイを喰らったのはここにきて初めてのことでな。
筆頭はとやかく言いつつも激しく突いてくれるし枢木殿は切なくなる程優しくしてくれる。
返事をしてくれたのが嬉しいのは本当だが正直な所、このまま黙秘権を行使してくれていた方が私的にはとても助かるんだ、需要的に」
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:10:05 ID:v9xYnCU8
ああ、解説していたの姫神秋沙だったのかwそういや全部『。』で区切られているw
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:10:47 ID:v9xYnCU8
割り込み失礼支援
142(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:10:51 ID:621SS9P6
「だから貴様は何を言っているんだ」

無論レイには駿河の性癖に付き合ってやる気など毛頭ない。言葉を出したのは純粋に「コイツは何を言っているんだ」と思ったに過ぎない。

「はっ!こ…この男の目…養豚場の豚でも見るかのような冷たい目だ。残酷な目だ…
“明日の朝には肉屋の店先に並ぶ運命だろうが俺には心底どうでもいいことだな”って感じの!」

「……………………」

以前の復讐者としてのレイなら初めて話しかけられた時点で腰の銃を抜き放っていてもおかしくはないのだが、
結局レイには目の前の女に対して微塵の殺意も抱けなかった。

元来レイは望んで争いなどする人種ではない。妻と弟、3人で穏やかに、ささやかに暮らす時間を幸福と思える優しき人間だった。
それを、奪われた。自分に協力しないという理由のみで妻を引き裂いた、あの男に。
それ以来、レイは復讐に生きる鬼となった。過去を捨て、心を修羅に変え、1人の男を殺すためにあらゆるものを犠牲にしてきた。
人であろうと物であろうと、邪魔をするものは全て切り捨てた。身体を鍛えたのも技術を磨いたのも物を壊すのも人を殺すことも
全ては奴を殺すため。
だが「カギ爪」は死んだ。自分が手を下すことなく死んだ。断末魔の瞬間を見届けることさえ叶わなかった。
復讐の対象を失ったからといって昔のレイに戻ることはできない。盆からこぼれた水は二度と戻ることのないように、
今のレイはかつての自分とはどうしようもないほど隔絶されてしまっていた。
だからレイは駿河に殺意を抱かない。全てを捨てて復讐を成そうとした男は、最後に残った復讐の念すらも失った。

それでも今こうして生きているのは命じられたから。見届けろと、あれだけの事を吐いたのなら自分の『結果』を見届けろと。自分と似た男から。
何故生きてみようと思ったのか。逆らう理由がないだけだ。何もないからこそ、すんなりと聞き入れてしまったのだろう。
この様で殺し合いを勝ち進み最後の勝利者になれると思うほどにはレイの判断力は死んでいない。仮に会場を脱出し生き残れたとしても自分には何も残されていない。
新しいものを集める気力すらない。いわばカギ爪の死亡を聞いた時点でレイはこのゲームを脱落したも同然だ。
143(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:11:40 ID:621SS9P6
そんな心の虚無とは裏腹に幾度も戦闘を積み上げてきた体は路地裏に潜む気配を瞬時に感じ取っていた。

「……そこにいるのは分かっている、出てこい」

半ば反射的に銃を抜き取る。一瞬遅れてスザクも反応する。

「神原さん、そこの家に隠れていて下さい。合図があるまで外に出ないように」

「……了解した。気を付けてくれ2人共」

スザクの指示通り民家へと手を伸ばす。先程の一戦で自分が戦いにおいて足でまといなのは痛感済みだ。今までもあの時の戦慄が体を抜け切らず、
恐怖を払拭しようと積極的に会話を進めるが些か口が回らない。支給品にも銃や剣といった分かり易い武器もはない。
あるといえば虎柄の布に包まれた竹刀ぐらいだ。おとなしく隠れるしか今の自分には出来ない。それが酷く歯痒い。

2人共銃を構え戦闘態勢を整える。一纏めにならず程よく分散して相手の出方を待つ。未だ気配は消えない。
一瞬の静寂の後、

「少し緩めただけで感づかれるとはな……私もまだまだということか」

相手にではなく自分の迂闊さを嘆く言葉と共に現われたのは白髪に浅黒い肌、そして見るものに強烈な印象を与える赤色の外套。

「私の名はアーチャー、君達と同様にこの殺し合いには賛同しない者だ。こちらに敵意はない、銃を下ろしてくれないか。」




interlude......

◇―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

朝の日差しよりなお鮮烈な赤の装束を纏う弓兵、アーチャーはビル郡を駆け抜けていた。

E-5の民家にC.C.を匿い周囲を探り始めてから十数分。その間に、アーチャーはE-5内の探索をほぼ完了させた。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:11:53 ID:v9xYnCU8
 
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:12:41 ID:v9xYnCU8
 
146(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:12:50 ID:621SS9P6
彼のクラス名であるアーチャーは単独行動に適したクラスでもある。
他のサーヴァントよりもやや見劣りするとはいえ人間よりも遥かに優れた身体能力を持つことは元より、
遠距離からの狙撃に、契約者たるマスターとの魔力供給を断っていても暫くの自立現界を可能にする「単独行動」、
透視には届かないまでも遠く離れた大橋のタイルの数まで把握できる「千里眼」による視力の向上、
そしてアーチャー自身の経験に裏打ちされた数々の知識、戦術、魔術、料理、掃除、etc......それらの多彩なスキルと強大な「宝具」を活用して戦局を有利に進め、
勝利するのがアーチャーの基本戦術だ。

―――もっとも、このアーチャーは固有の宝具を所持しておらず、その代用としている「ある魔術」も能力の制限下にあるこの会場では発動は厳しいだろうが―――

無駄を省き、身を潜めるのに最適な要点となり得る箇所を重点的に探る。最小の浪費で最大の成果を。少なくとも現時点で立ち並ぶ市街地には自分達以外の参加者がいないことはほぼ確認できた。

オフィス街においても一際高いビルの屋上に降り立ち周囲を一瞥する。C.C.のいる民家の方向には何か異常があればすぐに駆けつけられるよう意識を張り巡らせながら、地図を取り出す。
ここより2ブロック程北にある「死者の眠る場所」に目がいく。名称からして墓地の可能性が高い。
民家には安置されている御坂美琴を弔ってやりたい所だがここからC-6まで遺体を担いでいくにはリスクが高すぎる。もし道中に戦闘が発生したら遺体を損壊させかねない。
酷な様だが近場で埋葬るのに適した場所を見繕う方が吉だろう。
ちなみにアーチャーは支給品が収納されているデイパックが質量を無視してどこまでも詰められることに既に気付いていた。中からトランク1つが丸々出てくるなど明らかに物理法則を無視した造りだったが、
だからといって御坂美琴の遺体をデイパックに詰め込むような真似を行う気になどなれなかった。
そんなモノのような扱いは最後まで生を放棄せず、目の前の命を救うことにぜんりょくを賭した少女への侮辱にしからないと思えたからだ。

続いて目を付けたのは「政庁」、「団地」、そして「D-6駅」。
放送にあったD-6の駅は安全を確認した後に調べるつもりでいる、今気になるのは団地だった。
理由はある。高層の住宅が密集している団地は監視や拠点にするにはうってつけだ。それにこれ程に大きな施設には何らかの仕掛けがある可能性があると踏んでのことだ。
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:13:22 ID:v9xYnCU8
 
148(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:13:45 ID:621SS9P6
今までアーチャーが出遭った参加者は、電撃超能力者に主催者の一味を名乗る魔術師、自分と同じサーヴァント、(元)不死の魔女に戦争屋。いずれも異能者、もしくは戦闘慣れした者だったが、
何の自衛手段を持たない一般人も少なからず参加しているだろう。

主催者に1人立ち向かい、呆気なくその命を散らした少女のように。
名簿に記されていない、この殺し合いをより円滑に進行させる贄とされたであろう者達のように。

主催者が「ゲーム」と銘打った以上、弱者には少ないながらにも逆転のチャンスを与えてある筈だ。ただの殺し合いを見たいのなら紛争地にでも行けばいい。
そんなものは地球上の何処にでも起こっている。そう、どんなに失くしても、決して終わることのない地獄の光景は。

身体的、能力的差を一気に埋められる手段、一番手っ取り早いのは強力な武器だろう。
地図に点在している施設はみな何らかの武器、もしくはそれに準ずる、戦局を有利に進められる装置、情報等が存在するとアーチャーは考えている。
その考えに至る参加者は他にもいるだろう。そうして施設へと赴き、同じ思考に行き着いた参加者に出遭うこともある筈だ。
殺し合いに賛同しない者同士ならまだいいが、その逆も然りだ。
殺し合いに乗った者、親しい人が死んで行く事態に錯乱した一般人も他者への不信感から武器の取り合いになり、
そこでまた殺し合いに発展する。主催者もそれが狙いなのだろう。

団地を目指しアーチャーは無人の市街を駆けた。武器の要素を抜きにしても広大な団地は身を隠す場としても最適だ。既に何者かが潜伏している可能性も高い。
団地の調査に関してはひとまず下見程度にしておく。C.Cの安全を確保した後、時間をかけていけばいい。重要なのはそこに人がいるかどうかだ。
戦う術を持たぬ一般人がいたならば、なるべくは保護する方針だ。だが先の男のような殺人に愉悦を感じる者には容赦しない。あらゆる慈悲と容赦を捨て殺す。

その思考に憎悪はない。あるのは必殺を誓う決意と、僅かな後悔の念。





目的地へは数分と経たぬ内に着いた。
遠方で眺めていた通りの四角い建造物が数棟立ち並んでいる。棟の数、高さ共に典型的な住宅団地だ。人の気配は、今のところ感じられない。

まず向かったのは敷地内の中心に据えられる公園。C.C.がライダーに襲撃を受けたという場所だ。
そこは木々に囲まれた公園であった。中央は開けており遊具は1つもない。申し訳程度にベンチと外灯が僅かに置かれているだけだ。
静けさと異様さが混じった空間、この場所には見覚えがある。アーチャーのサーヴァントとしてマスターに呼び寄せられて巡回中に眺めた光景。

「冬木市の……自然公園か?」

自分達サーヴァントが元いた土地、冬木市。そこで行われる、この状況とも近似した魔術師達の殺し合い―――聖杯戦争。
幾度となく行われる闘争、自分が呼び寄せられた5度目の戦いより10年前に行われた第4次聖杯戦争決着の地に酷似していた。

外観が似通っているだけではない。それだけなら軽く流せる。それを出来ないのはこの場の空気すらもあまりに似通っているからだ。
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:14:06 ID:v9xYnCU8
 
150(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:14:42 ID:621SS9P6
4度目の戦い、その最後は1人のマスターがサーヴァントに「聖杯の器」を破壊させたことにより無効となっている。
正確には既に願いは受け取られていたのだが、それが果たされるよりも前にマスターが器を破棄するようにサーヴァントに命じたのだ。
英霊への絶対命令権、令呪を使って。

「その結果」、聖杯が降臨した当時開発中の市民館、及び周囲の新興住宅街が壊滅し、
500名超の被害者、134棟の建物の焼失という未曾有の大災害を引き起こすことになった。この意味を量るのはその当事者達にしか知り得ない事である。
その後復興計画により一帯が自然公園として生まれ変わったのだが、犠牲者達の怨念がその土地に染み付き、霊体であるサーヴァント、魔術師はおろか
ただの一般人にさえも異常を感じる程の異界となっているため、市民も滅多に寄り付かない地となっている。この場にはそれと同種の怨念を纏わり付いている。

冷静にこの土地の戦略性を値踏みする。簡潔に言って、ここを守りの陣地とする利点はゼロだ。負の部分しか見当たらない。
地脈としては本物同様優れた地点のようだがこれだけの怨念に侵されていては魔術師の研究所、工房には成り得ない。汚染された魔力が身体に変調をきたすだけだ。キ
ャスター及び他のサーヴァントがここを拠点にする可能性は皆無といって差し支えない。
そうでなくともただの人間でも気分を害するのだから進んで訪れるものは少ないだろう。それもまた狙いなのかもしれないが。

次いで住宅地の探索を行う。
物質の解析、構造・設計把握の魔術は自身の得意分野だ。手に直接触れて術を行使すればその物質の構成要素、内部の造りをたちどころに解明出来る。
全て調べるのは少々骨が折れたがそれも10分足らずで完了した。
構造は至って普通。特に隠し部屋らしき箇所や不自然な空間は発見されず。生命反応もない。

「ここが当たりと踏んでいたのだがな、見当違いだったか」

そう呟くアーチャーの手にあるのは一個の鍵。名札には「405 臙条」と書かれていた。どうやらマンションの鍵らしい。
これがアーチャーが団地を目指すことにした1番の理由である。

支給品の1つにあったその鍵を、アーチャーは疑問を抱いた。この会場の殆どの建造物は鍵がかけられていない。
民家にも簡単に進入できる。事実今もC.Cは一般の民家に匿っている。他の施設も恐らく同様なのだろう。ならばこの鍵は一体何処の鍵か。
各地に点在するいくつかの施設の中で施錠されてる部屋を開けるもので、人名の名札があることからこの団地のいずれかの部屋のものだとアーチャーは考えている。
そしてわざわざ鍵をかける以上そこには何らかの武器か、設備が置かれているものだと推測した。
だが管理室のコンピュータを起動させ入居者名簿を見たが臙条の名はなく、念のために直接調べた405号室の部屋も鍵は掛かっておらず、中も何の変哲もない部屋だった。
まさか無数にあるビル郡から探し出せというのか。そうとは思えないがすくなくとも今この鍵の所在を把握することは困難となった。

ひとまずこの団地で調べられるものは調べた。判明したのはここは一時の安息の場でなく、更なる混沌を起こすための施設だということだ。
これだけの怨念が集まる場所、自然と殺し合いを望む者や、心に闇を抱える者、親しい人の死などにより錯乱状態へと陥った人間を引き寄せる可能性がある。
もしこの場に力関係を逆転させるような超兵器がありそれがそんな危険人物の手に渡った場合、戦局は最悪の方向へと突き進む。
やはりC.Cの安全を確保した後今一度調査せねばなるまい。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:14:49 ID:v9xYnCU8
 
152(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:15:31 ID:621SS9P6
そう判断して背を向けるアーチャー。だがその前に、この団地の名が書かれた看板を見るため振り返る。



帝愛団地 絶望の城



この場に如何なる絶望が潜んでいるか、知るのはまだ1人だけ。




アーチャーが駅に向かう人影を捉えたのは団地を後にした直後だった。

向こうからは補足し様のない、だがアーチャーにとっては充分な距離で対象を観察する。
数は3人。茶髪と長髪の男2人に学生と思しき女1人、自分の向かう予定だったD-6の駅へと歩いていく。
一瞬迷った後出来るだけ接近することに決めた。ここにきて自分に情報が圧倒的に足りないことに気付き、
多少のリスクは冒してでも他の参加者の動向を調べておきたかった。
会話を聞き取れば大体の人柄や行動の指針を計れる。殺し合いに乗っていない者達なら接触、情報を交換する。そうでない場合は撤退すればいい。
気付かれても戦闘に入る気はない。この一帯の地形は調べつくしてある、地の利を活かして相手を撒くことに専念する。

そうして3人が歩く街道の路地裏に身を潜め会話を拾い聞きする。正確に聞くにはまだ少し遠いが近づこうとはしない。いや出来ない。
これ以上の接近は確実に悟られると長年の経験が訴えてきた。

神原という少女はともかく2人の男はどちらもかなりの手練だ。特に長髪の男、レイと呼ばれる男は生気が抜けかかったような顔と裏腹に
周囲に警戒網を張り巡らしている。今この距離がギリギリ引っかからないラインだ。
少女がやたら積極的に2人に話しかける姿は若干の恐怖が混じっているが、それに押し潰されない芯を持っているのが分かる。
男達も警戒こそ解かないもののそれ以上のもの―――殺意や憎悪などは感じ取れない。
比較的白に近い―――生命の危機や親しい者の死が無い限りは積極的に殺しに踏み切らない者達、そう判断するアーチャー。
それならば接触も可能か、そう考えた瞬間、

「……そこにいるのは分かっている、出てこい」

……ほんの少し気を抜いただけでこれか。自分もまだまだ未熟と感じる他ない。
まあ向こうから切っ掛けを作ってくれたのはありがたい。遠慮なく乗り込ませてもらおう。



Interlude out......


◇―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

軽い自己紹介を行い双方が持つ情報を提示し終えたスザク、駿河、レイ、アーチャー。
全員にとって意義のある時間だったが特にスザクとアーチャーにとっては大きな意味を持つものだった。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:15:47 ID:v9xYnCU8
 
154(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:17:07 ID:621SS9P6
「良かったな枢木殿、アーチャー殿。お互いの捜し人が見つかって」

珍しくストレートな表現をする駿河。自分も含め3人が捜している人間が一度に見つかったのだ。
自分も阿良々木先輩が見つかったと聞いたときの安堵と喜びを2人共感じているのだ。そこに余計な言葉の装飾など必要ない。

「ええ、確かに進展にはなりました」

「そうだな、今後の方針を決める要素だ」

だが簡潔に感想を述べるスザクとアーチャーの表情は安堵こそあれ喜びとは別の感情が渦巻いていた。

スザクとC.C.の関係は敵視するほど険悪でもないが親しいというほどに良好でもない。
あの気まぐれで倣岸不遜な魔女が折角組み上げられたチームに余計な不和をもたらすのではないかと危惧していた。
だがこの殺し合いの場からの脱出、何よりゼロレクイエムの完遂という点で目的は一致してるはずだ。
上手い事自分がコントロールする必要があるかもしれない。そう思考の片隅に置いておいた。

対してアーチャーは、スザクとは全く別種のそれだ。
安堵はある。喜びもある。だがそんなものよりも真っ先に去来した感情は、自分自身にしか窺い知ることは出来ないだろう。

「ところで神原駿河といったか、その腕は大丈夫かね?」

話を切り替えるように駿河の包帯の巻かれた左腕を訊ねる。スザクと同じように怪我をしたのかと思ったのだろう。

「おお、アーチャー殿まで私の身を案じてくれるのか。見に余る光栄だが心配は―――」

そこまで言い出したところで言葉が途切れた。遮らせたのはアーチャーの視線。
鷹のような鋭い目を見た瞬間、心を丸裸にされた感触が駿河を包んでいた。


―――この人は、自分の腕に気付いている。


そんな直感が駿河にあった。何故かは分からない。過去に怪異に触れたことがあるのか、彼には何か異常なものに見えたのか。
ただ漠然と分かるのは、彼は、答えを求めているということ。その腕が、自己の意思のままに操れるのか、制御が利かないのか。

「……大丈夫だ。枢木殿にも言ったがこれは別に怪我ではない。正確には怪我はしていたが今はもう直ったものなのだ。
それでも何だかカッコイイものだから身に付けたままなのだ。といっても別に『っぐわ!…くそ!…また暴れ出しやがった…』とか
『っは…!し、静まれ…私の左腕よ…怒りを静めろ!』とかなることはない。安心してくれ」

「―――そうか、精々暴れ出さないように気をつけてくれたまえ」

真意を知るものにしか分からない程度の意味合いで話す。それが自分の言を信じてくれたのか、あるいは見捨てられたものなのか、
駿河には判断が付かない。

「……うむ、心がけよう。しかし枢木殿といいここには私の身を案じてくれる紳士が多くて非常に痛み入る。
それなのに私には貴方に捧げられるものは何もない。あなたの好意に応えるにはやはりこの身を捧げる他ないだろう。是非奪ってくれ、さあ!」

「恐縮だが慎んでお返ししよう。欲しいものなら先程存分に頂いている。この場において情報はなにより重要なものだからな」
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:17:11 ID:tgX8dOk2
 
156(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:18:09 ID:621SS9P6
駿河の過激アプローチをさらりと受け流すアーチャー。事実収穫は予想以上だった。
駅に集結しつつある対主催チーム、そこにセイバーがいること、殺し合いを扇動する仮面の男ゼロ、
いずれも情報が不足していたアーチャーには福音だ。

「……そうだ、支給品の1つに君に合いそうな物があった。渡しておこう」

思い出したようにデイパックからそれを取り出そうと中を探る。幾らでも詰められるのは構わんが
お陰で目当てのものを出すのに1苦労だ。

「そ、そんな、ここにきて貢物など……っ!
確かに私は突くより突かれるタイプだがそんなに立て続けに攻められてはさすがに身が……保つか。だがしかし……」

「遠慮することは無い。というより私にはどうあがいてもこれを有効に使える手立ては存在しない。君の方が余程上手く扱えるだろう」

取り出したのは、ちょっとした小旅行にでも使えそうなトランク。施錠を外し中身を開くと、そこには彼女の今1番望むものが入っていた。


「……アーチャー殿。貴方はよもや神の御遣いか?これほど都合の良いことばかりが起きるとさしもの私も不安に思えてくる」

余りにもタイミングの合い過ぎた、尋常じゃない空気の読みっぷりに駿河も懐疑的になる。
まさか無意識に左腕の悪魔を開放してしまったのではないかとさえ思った。悪魔がいるのだ、天使がいたって不思議ではない。

「生憎神とも天使とも無縁の身だ。その反応だと余程コレを求めていた事態ということかね?」

皮肉な笑みで駿河に応えるアーチャー。

もったいぶった説明は必要あるまい。それは下着だ。数え切れないほどの下着の山だった。

トランクの中身は様々な色彩に包まれていた。純白があり、黒がある。赤緑青の三原色があり、
それらを組み合わせた虹色の花畑がそこにはあった。
色だけでなく種類も様々であった。およそあらゆる趣向の女性に対応し得るデザインの数々。
飾りつけも質素から豪奢まで完全網羅、触り心地は正に天使の羽。

そんな老若問わずオシャレに気を使う女性なら目を輝かせずにはいられない宝箱を前にして、神原駿河の決断は一瞬だった。

「―――そうか、つまりここで今すぐ着替えるべきなのだな。分かっている、皆までいうな。ここまで来て私が空気を読み外すわけにはいかないからな」

「待て、何故そうなる。こら上着を脱ぐなスパッツに手をかけるなせめて家に入れたわけーーー!!!」

先程の余裕ある態度は何処へやら、目の前の状況への混乱も困惑も置き捨てアーチャーの絶叫が響いた。



157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:23:08 ID:v9xYnCU8
 
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:31:11 ID:zMUHQQKg
  
159(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:39:37 ID:621SS9P6
「さて、それでは私はそろそろ行かせてもらおう。そろそろ我が儘な姫君が退屈している頃だ」

この場で得られるものは全て得た。途中なにか非常に無駄なロスがあったが忘れた。
手にした情報と、駅に向かう手間が省けた分を差し引けばイーブンだろう。

「―――アーチャーさんは、これからどうするつもりですか?」

やや紅潮が抜けていない顔で問いかけるスザク。だが質問そのものは真剣だ。

「まずはC.C.を駅まで送り届ける。その後はしばらく単独行動に移るつもりだ。調べておきたいものもあるしな」

御坂美琴を弔い、それから各施設へ足を運ぶ。特に混沌を呼び込む可能性のあるあの団地は入念に調査し直さなければならない。

「12時までならD-6駅、3回目の放送なら象の像だったな。戦場ヶ原ひたぎ、ルルーシュ・ランペルージ、アーニャ・アールストレイム、
それとユーフェミア・リ・ブリタニアに会ったらそこに集うよう知らせておこう」

「―――お願いします」

最後の人物を強調した言い方にスザクの心が騒ぐ。

情報交換の際スザクは今まで隠していたユフィのことを話した。ルルーシュとの合流を優先したい自分にとってアーチャーの単独行動は有り難い。
今まで思い悩んでいた重みが僅かに軽くなった気がする。
都合のいい言い訳なのは分かっている。結局の所ユフィの捜索は二の次であることに変わりは無いのだから。

この人はそれに気付いているのだろうか。外見と名前程度しか話してないのにそこまで把握できるとは思えない。
だがアーチャーの目はそんな動揺を見透かしたかのように自分を貫いていた。

「頼んだぞアーチャー殿、あと素敵な下着をありがとう。あの宝物の対価にはやはりこの操を捧げる他ないと思うのだが、
本当にそんなスパンキングにしか使えそうもない竹刀でよかったのか?」

駿河は自分ばかり施しを受けていては忍びないと感じ様々な提案―――主に駿河の趣向的な方向で―――を持ちかけたが
最終的に支給品と交換というところで落ち着いたのだが、アーチャーが選んだのは銃といった武器でなく何の変哲も無い一本の竹刀だった。

「ああ、元々私にそれほど武装は必要ない。君たちが渡してくれた情報だけで充分な対価だ」

あくまで竹刀は余計なものだというアーチャー。だが駿河は気付いている。虎のストラップが付いたその竹刀を目にした瞬間、
アーチャーが見せた表情を。そこにいかなる感情があったか、自分が入り込む余地など微塵も無いだろう。

この御仁は他人に対して異様に気が利くというのに自己のことは決して悟られようとはしない。それが尊くもあり、寂しくも思う。
160(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/08(火) 23:40:30 ID:621SS9P6
「分かった、ならば私からは何も言うまい。だが一言だけ告げさせてもらおう―――気を付けてくれ」

「承知した。お互い無事を祈るとしよう」

印象的な赤い背中を見せ付けてまるでそこにバネ仕掛けでもあるかのようにビルへと跳躍するアーチャー。なるほどあれほどの脚力なら偵察にも不自由はないだろう。


「では僕達も行きましょう。後十分も歩けば着きますよ」

「承知した。しかし枢木殿も人が悪い。何故私たちにユフィ殿のことを教えてくれなかったのだ?城へ向かった筆頭が見付けるかもしれなかったのに」

駿河の指摘は最もだ。ユフィとの合流を考えるのならば政庁で出遭い、自分達とは別方向へと進んだ伊達政宗にもそのことを教えておくのは当然だ。
それをしなかったのは、その時点でスザクにはユフィと会う資格を放棄していたからだ。この先の未来の自分かも知れない男と出会うまでは。

「……すみません、言いそびれてしまいまして……」

適当にあしらうスザク。今は彼女を駅へと送る。そして少ししたら来るであろうC.C.と合流し、ルルーシュを、ユフィを捜す。

ルルーシュは彼女の存在をどう捉えるだろうか。優先順位はどうあれ彼女を探し出すだろうか。だが既に世界の歴史にユフィは『虐殺皇女』としての悪名を刻まれている。
仮にルルーシュとユフィ、3人共この会場を脱出でき元の場所へ戻ったとしてもユフィの居場所が果たしてあるのか―――

(まだだ、まだその先を考える時じゃない―――今はルルーシュと、会うことが、先決だ―――)

一刻も早くルルーシュかユフィ、どちらか一方でも会いたかった。
自分の中で彼女の存在が大きくなっているのが実感できる。このままでは天秤がユフィの方へと傾きかけない。
それだけはあってはならない。ルルーシュの剣としての責務を全うせねばならない自分には。

そして僅かでも、ほんの一瞬とはいえ―――『彼女が自分の知らない所で死ねば全て丸く収まる』と考えた自分に失望感を覚える。

自分の気持ちを整理する時間が欲しい。駅に着いたら休息を取る必要がある。少なくとも別行動を取った者達が戻るまでに決意を固めておかねばならない。
そう心に留め、スバルは前を向き歩いていった。





スザク達が目指していた駅がライダーの操る電車の吶喊により轟音と瓦礫に包まれるのを見ることになるのはそれからおよそ5分後。
休む間もなく、自己を思い直す機会もなくスザクは新たな戦いを強いられることになる。


バトルロワイヤルは、続くのだ。―――胸に葛藤など懐く暇など、与えられることもなく。
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 23:41:31 ID:MHoK+ZqM
 
162(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/09(水) 00:00:59 ID:621SS9P6



[D-6/駅前商店街/一日目/朝]

【アーチャー@Fate/stay night】
[状態]:健康 魔力消費(小) 空気を読み過ぎた
[服装]:赤い外套、黒い服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1(確認済み)、臙条家の鍵@空の境界、虎竹刀@Fate/stay night
[思考]
基本:本当の“答え”を見つけ出す。
1:C.Cの元に戻り『D-6・駅』へと送り届ける。
2:『E-6』付近で御坂美琴を弔える場所を見繕う。
3:この場において過去の改竄は無駄。
4:単独行動を取り情報を集めながら衛宮士郎を捜し出す。【絶望の城】を優先的に調べる。
5:3の過程でルルーシュ、アーニャ、ユーフェミア、戦場ヶ原を見付けたら12時までならD-6駅、3回目の放送なら象の像へ集うよう伝える。
6:臙条家の鍵の合う場所を探す。
7:荒耶、赤毛の男(サーシェス)、に対し敵意。
[備考]
※参戦時期は衛宮士郎と同じ第12話『空を裂く』の直後から
※凛の令呪の効果は途切れています
※参加者は平行世界。またはそれに類する異界から集められたと考えています。
※デイパックの容量に限界が無いことに気付きました。
※「死者の眠る場所」を墓地と捉え、そこに御坂美琴を弔うのが望ましいと思っています。ただしそこまで運ぶのは困難とも認識しています。
※「絶望の城」は殺し合いを促進させるための舞台と考えています。
※「臙条家の鍵」は何らかの重要施設、武器が隠されている扉を開けるものと考えています。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
※スザク、駿河、レイと情報交換を行いました。「絶望の城」については伏せてあります。
※駿河の左腕のレイニーデビルに気付きました。名称や詳細は知りませんが暴走の危険性はないものとひとまず判断しました。

【臙条家の鍵@空の境界】
小川マンションの住人、臙条巴の部屋の鍵。「405 臙条」と書かれた名札付き。
エレベーターの仕掛けにより実際の「臙条巴」の部屋は410室なのだがその仕掛けがこの場で適用されてるかは不明。

【虎竹刀@Fate/stay night】
藤村組組長の一人娘にして穂群原学園英語教師にして2■歳でありながら剣道5段の猛者にして虎でタイガーで
ヒロイン候補ですらない衛宮士郎の姉貴分、藤村大河の愛用する竹刀。
鍔に虎のストラップが付いておりおかげで公式試合に出られないこと数度。
これさえなければ剣道界にタイガーの名が全国に轟いたであろう曰くつきの品。
何の変哲も無い竹刀だが担い手である大河が手にすると大地震を防いだり巨大隕石を弾いたり
ミカン一個分の魔力で固有結界を発動するなど縦横無尽、八面六臂の活躍をする、らしい。

【帝愛団地 絶望の城】
E‐6にある典型的な住宅団地。敷地内の真ん中に冬木中央公園がある。
建築物に特殊な仕掛けや不自然な空間はないが、内部に武器や何らかの設備が置かれている可能性がある。
中央公園の影響で精神に異常をきたした者を引きよせやすい地となっている。
建物の数や内部の正確な構造、設備については次の書き手に一任します。

【冬木中央公園@Fate/stay night】
冬木市新都方面にある自然公園。娯楽施設はなく申し訳程度にベンチと外灯が僅かに置かれている殺風景な広場。
第四次聖杯戦争決着の地でその際の犠牲者の怨念が渦巻いており、一般人でも異常を感じ不快感を覚える程の異界と化している。
地脈としては優れているようだが怨念の汚染により魔術師の工房には向かない。
C.C.はすぐさま公園を後にし、ライダーは地脈に気付いたが戦略的価値は無いものとして特に調べていない。
163(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/09(水) 00:01:51 ID:621SS9P6
枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:疲労(小)、精神的疲労(小)「生きろ」ギアス継続中
[服装]:ナイトオブゼロの服とマント
[装備]:ベレッタM1934(8/8)
[道具]:基本支給品一式、湿布@現地調達
    ノートパソコン@現地調達、ランダム支給品0〜2(確認済み) 赤ハロ@機動戦士ガンダムOO、9mmショート弾(57発)
[思考]
基本:この『ゲーム』を破壊し、ゼロレクイエムを完遂する。
1:神原駿河を連れていったん『D-6・駅』に戻る。幸村に政宗からの伝言を伝える。
2:少し休みたい。自分の気持ちを整理しながらアーチャーとC.C.の到着を待つ。
3:明智光秀、織田信長、平沢憂、アーチャー、セイバー以外のサーヴァントには用心する。
4:ルルーシュに危険が及ぶ可能性のある要素は排除する。
5:確実に生きて帰る為の方法、首輪を外す方法を探す。
6:政宗がルルーシュたちを連れてくる可能性があるので、12時までは『D-6・駅』にチームを組んだメンバーの誰かがいる状態にし、 三回放送時には『E-3・象の像』へと向かう。
[備考]
※ラウンズ撃破以降〜最終決戦前の時期から参戦。
※主催がある程度の不思議な力を持っている可能性は認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。
※参加者が異世界から集められている可能性、別の時間軸から集められた可能性を、僅かですが考えています。
※もしかしたら『敵のアジト』が『黒の騎士団のアジト』ではないかと少し疑っています。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランを政宗と神原から聞きました。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、ビデオメールの送信元と受信時間を確認しました。
※放送で遠藤が話していた内容は把握していません。
※アーチャーと情報を交換しました。アーチャーとC.C.が行動を共にしてることを知りました。



◇―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

3人のやりとりをレイは無言で眺めていた。
情報交換をする上で最低限の言葉は交わしたがそれ以上はずっと押し黙ったままだ。
必要な情報のみを思考の片隅に置き今しがた去っていった男を思い浮かべる。
あの男も、自分に似ている。夢を失い、生きる意味を見失った迷い人。
だがどこか決定的な所が違う。その理由は判らない。考える気もない。人が違えば事情も異なる。ただそれだけのことだろう。

今レイが考える必要があるのは一つだけだ。カギ爪が死んでからそれは初めてまとまった思考かもしれない。

「ところでレイ殿、この下着を見てくれ。こいつをどう思う?とりあえず今はTバックを付けているが余りに色と種類がバラエティに富み過ぎて選択に困る。ここは一つ殿方の意見も参考にすべきかと」
「そろそろ黙れ、撃つぞ」

この変態を黙らせる手段を。
164(代理投下)絶望の城  ◇QmnDyrAS0E:2009/12/09(水) 00:02:57 ID:621SS9P6
【レイ・ラングレン@ガン×ソード】
[状態]:疲労(中) 肋骨を数本骨折 左肩に銃創(処置済み) 脇腹に浅い銃創  ツッコミ属性獲得?
[服装]:武士のような民族衣装(所々破損)
[装備]:レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード
[道具]:基本支給品一式×1、デイパック、ドラグノフ@現実(3/10)、ドラグノフの弾丸(20発)、
    GN首輪探知機@オリジナル、麻雀牌@咲×31個、平バール@現実
[思考]
基本:もう少し生きてみる。
1:この変態(駿河)を黙らせる。
2:枢木スザクの『結果』を見届ける。
[備考]
※参戦時期は第8話〜第12話のどこかです。
※ブラッドチップ・3ヶ@空の境界は円形闘技場に置いてきました。
※麻雀牌@咲×1個は回収しました。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランをスザクから聞きました。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
※アーチャーと情報交換をしました。アーチャーに自分と近いものを感じています。

神原駿河@化物語】
[状態]:健康、若干の恐怖
[服装]:私立直江津高校女子制服、ミズーギー王国製下着
[装備]:縄@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1(一般的な武器ではない)、神原駿河のBL本セット 、下着セット、しみパン
[思考]
基本:戦場ヶ原ひたぎと阿良々木暦を守りたい。が、殺し合いはしたくない。
1:枢木スザク、レイ・ラングレンと共に『D-6・駅』へ行き、阿良々木暦に会う
2:戦場ヶ原ひたぎに会いたい
3:真田幸村に出会ったら、政宗からの伝言を伝える
4:伊達政宗、アーチャーのことが心配
[備考]
※アニメ最終回(12話)より後からの参戦です
※左腕の状態やレイニーデビルに関する情報は誰にも話していませんが、アーチャーには感付かれたと思っています。
※政宗を戦国武将の怪異のようなもの、と考えています。
※知り合いに関する情報をゼクス、一方通行、プリシラと交換済み。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランに同意しています。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。映像データをスザクが消したことは知りません。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
※アーチャーと情報交換をし、アーチャーの持っていた下着セットと虎竹刀を交換しました。

【下着セット@オリジナル】
その名の通り下着の詰め合わせ。ブラジャーとパンツのセット。水着もあり。全て女性用。小旅行用のトランクケースに積まれている。
一般的なものからからヒモパン、白からシースルーまで考え得るあらゆる種類と色の下着が揃っている。素材も肌に優しい親切設計。
一部特殊な繊維で組まれた超が付くほど際どいミズーギー王国製下着@ガン×ソードもある。




以上で代理投下終了です。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 00:18:51 ID:HmGXEdkK
投下乙です

神原は自重しねええwwww
でも前の戦闘のことを引きずってないしアーチャーと比較的打ち解けたとか凄くないか?
いさかいもなく情報交換出来たのがほっとするな
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 00:23:28 ID:O1aa2RhZ
さっぱりとしたずーずーしさを持ってるからな
唯一引っかかってたのはひたぎさんとの愛くらいだが…
あれ?決着着いてたっけ?
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 01:09:58 ID:ne27zNVr
投下乙です。
神原はいい加減に自重しろw
このままならセイバーたちと合流して魔眼コンビと対決か
数では勝ってるけど果たしてどうなるやら

細かいですが>>160
そう心に留め、スバルは前を向き歩いていった。
スザクがスバルになってます
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 01:12:01 ID:86DrxWVO
投下乙です

アーチャーはやはり頼もしいな
スザク組との出会いがスムーズに行って良かった

しかし次は魔眼組とか・・・
幸村&スザクの凸凹コンビも味があったけど、幸村の死に対面するのか・・・

生きろギアスでどこまでやれるか楽しみだ
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 01:36:43 ID:86DrxWVO
     ∧_∧
     ( ゚ω゚ ) 支払いは任せろー
 バリバリC□ l丶l丶
     /  (    ) やめて!
     (ノ ̄と、   i
            しーJ
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 01:59:16 ID:JOeAa0ln
パンツか…
咲キャラが合流したらカルチャーショックが凄そうだな
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 02:01:04 ID:1rPxF/CK
投下乙です
その鍵は……もしやアジトで使えるやつか!?
だんだん神原の変態トークにも慣れてきたw
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 11:18:06 ID:Oi6kvzYk
投下乙です
レイ……その変態撃ってヨシwww
魔眼組との鉢合わせもあるし、前途多難だな
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 11:41:54 ID:zZ6JPzOI
あー、魔眼組についてはしたらばの予約スレをチェックする事を推奨する。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 12:35:05 ID:bqOnONFQ
マイトガンナーがわかる人はどれだけいるのだろうかw
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 12:41:43 ID:Oi6kvzYk
あー、そういやルル組と一緒に予約されてたね
モモがどう動くかな
楽しみだがどう転んでも怖い

マイトガンナーって某勇者特急のあれ?
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 12:43:18 ID:JOeAa0ln
今日はあちゃ〜船井組全滅しちゃったかぁ〜が見られるのか
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 12:55:50 ID:1rPxF/CK
>>174
ノシ リアルタイムで見ていた
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 12:56:08 ID:r7DXbmGp
電車突っ込み時に時間にして5分なら、追加予約でスザク組を入れてもらわないと不整合がでそう

そういう場合はスザク組の予約解禁まで待たないといけないのか?
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 13:23:38 ID:Oi6kvzYk
船井組はあらやん次第だな
式狙いなんだから不安要素っぽいキャプテンや船井あたりにちょっかい掛けそう
唯は何故か生き残りそうwww

ルル組はモモ次第かな
ギアスとW魔眼の対決も見たい気がするが、流石に分が悪いだろ
憂が意外とジョーカーになるか?
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 14:36:14 ID:/WwLKZsL
スザク組の最後を五分後、とはっきり描いてるのは展開を狭めてると思うんだがどうだろう
五分、とかじゃなくてそのすぐ後のこととか、ちょっとぼかした方がいいんじゃないか
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 15:21:49 ID:5TpARShg
これもまたロワ的展開か

ttp://ranobe.com/up/src/up418204.jpg
182 ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:23:46 ID:uPYOGIJc

美穂子、船井、唯、ムギ、あらやん投下します
183矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:25:03 ID:uPYOGIJc

私――福路美穂子――はゆれる車の中で後ろを振り返る。

「おぉ…この笛吹いてみてもいいムギちゃん!」

「ここだと駄目だと思うわ唯ちゃん」

「うぅ〜」

平沢さん達は本当に楽しそうに話している。
それは私がこのゲームの中で守らなければいけないもので、それを見て私はさらに決意を固める。
あんな悲しみを味わうのは私だけでいい…。これ以上誰かを失って傷つくのは誰であろうと嫌だから。

そして次に私は運転席へと視線を移す。

「………」

何も喋らずに運転している船井さん。
私の考えは多分、いや絶対あってるだろう。
この人は信用できない…。私たちを道具としてか見てない船井さん。
もし、この人が唯ちゃんや紬ちゃんを傷つける真似をしたなら…その時は。

そう思い私は自分のバックの中に入っている魔法のビンを思い浮かべる。

そう、その時は…私が魔法を手に入れて船井さんを殺す。

昔の私では絶対思わなかった殺すって事を、普通に考えるようになった今の私は本当に変わったと思う。
だけどそれは仕方ないこと。
それに、その変化は悪いことじゃない。
きっと前までの私だったらこの狂気にただ呑まれていただろうから。
だけど今の私は違う。この狂気を力に変えて前へ前へと進んでいく。
こんな私をみたら華菜や上埜さん、小十郎さんはどう思うかな…。
きっと喜んだりはしないと思うけど。狂気に呑まれるよりは、完璧に狂うより
184矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:25:49 ID:uPYOGIJc
は、3人に恥じない生き方ができるはずだから。
私はもう……立ち止まらない。

そして、また平沢さん達の方を見ると平沢さんが何か辛そうな顔をして顔を赤らめながらこう言ってきた。

「と、止めてください!」

★★★★★★★★★★★★

私――琴吹紬――は隣に座っている唯ちゃんと支給品を見せ合っていた。

私の支給品の中にはあの笛のほかにはティーセットしか無かった。
だけど、そのティーセットは私たちにとっては思い出のあるもので少し元の場所について考える。
そういえば……私たちが居なくなって皆心配してるわよね……。
梓ちゃんやさわちゃん先生はどうしてるのかしら…。

「おぉ…この笛吹いてみてもいいムギちゃん!」

私がそう考えていると私の隣で、支給品を見ていた唯ちゃんのツボにはまったのかあの笛に興味を示してきた。

その笛を見たとき私は多分悲しい顔をしただろう。
私にとっては苦く悲しい思い出がある笛。
私の命を救ってくれた笛で、私の手から命が零れおちたこと思い出させられる笛。
撫子ちゃんには謝りたいのに、…もう謝れない。
私は覚えている、撫子ちゃんの最期を。撫子ちゃんが最期になにを願ったかを…。
暦お兄ちゃんと呟いた時の顔を。だんだん小さくなっていく撫子ちゃんの体を。会いたかったのに会えなかった撫子ちゃんの悲しみを。
だけど私はきっとここで泣いちゃいけない。
それは撫子ちゃんに失礼だから。
そして…唯ちゃんに悪いから。
唯ちゃんは私を元気づけようとしていつも以上に元気に話しかけてくれる。
185矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:26:47 ID:uPYOGIJc
それが分かっているから私もいつも通りを演じて唯ちゃんと話す。
唯ちゃんは一人生き残った、ううん違う。生き延びてしまった私に対して意味があるといってくれた…。
あの浅上藤乃の狂気に満ちた殺戮劇から一人生き延びた私を。
最初に加治木さんが死んで、撫子ちゃんが撃たれて。その後、あの小さな子が……そういえばあの子はどうしたんだろう。会えたらお礼を言いたい。私が助かったのはあの子のおかげだから。
でも、その後撫子ちゃんを殺してしまった私。
そんな私を唯ちゃんは意味があると言ってくれた。
その時、私は思った。
唯ちゃんは、軽音楽部の皆はこの島でもきっと変わらない…。
唯ちゃんは私を殺そうとしない。絶対裏切らない。
そう思った私はちょっと不安だったけど船井さんも信じることにした。
美穂子さんは見たとおりのいい人だと信じることにした。
そう…私は信じている。


そう考えていた私の隣で急に唯ちゃんが辛そうな感じにしていたので、私はいつも通り どうしたの? と言おうすると

「と、止めてください!」

と唯ちゃんが言う方が早かった。
急にどうしたんだろう…。
船井さんもそう思ったのか唯ちゃんに聞いてくる。

「あ、どないしたんや?」

「そそ、そ、その……」

顔を赤らめてモジモジしている…。
あぁ、なるほどそういうことね。
きっと、唯ちゃんは…

「と、トイレ!」

186矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:27:58 ID:uPYOGIJc
に行きたかったのね。


唯ちゃんがそう言ったのがちょうど円形闘技場の近くだったので、きっとあるだろうと言うことで私たちは円形闘技場まで行くことになった。

「ついでに調べておくか。エンジンは…かけたままでいいやろ」

そう船井さんが言って美穂子さんも一緒に調べるらしく、皆で車を降りて中に入りました。

「ヤッホー!…木霊が来ないねムギちゃん」

「ふふ。ここは確かに広いけど山じゃないから」

観客席の通路を歩いている私の隣で唯ちゃんが、まるで山にいるかのように大声でそう叫ぶから私は少し笑った後唯ちゃんに突っ込みをいれる。それに、そんな大声で叫ぶより今はまず。

「トイレにいかなくて平気なの?」

「うおーっと、そうだったトイレ、トイレっと」

「もう、唯ちゃんったら」

そんないつもの唯ちゃんらしい行動に私はまた笑う。
そうして、私と唯ちゃんはトイレの方に向かいながらそんなことをいつも通り話していた。
船井さんと美穂子さんは何かないか調べてくるらしくどこかへ行ってしまった。

「あ、あれじゃない?」

「おぉー本当だ!」

円に沿って歩いていると、トイレを発見したので唯ちゃんがこう聞いてきた。

187矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:29:04 ID:uPYOGIJc
「ムギちゃんは?」

「私は……いいわ」


そう、紬は唯の誘いを断った。
一緒にトイレに行かない?という日常において何回もあるその誘いを。
自分は用がなくても友達とお話しするために、実際に自分もしたいときなど色々と理由はあるだろうが、紬は断った。
もちろん日常なら断ることなど何度もあるだろう。
それは当り前だ。しかしここは日常とは一番かけ離れた場所。
狂気と疑心暗鬼が渦巻く悪魔の島。
しかし、トイレ1つで何が変わるのか?
いくら非日常でもそんなことはそうそう起きはしないだろう。
そう…そうそうは起きはしないだろう。


「分かった!あ、じゃあバック持っててくれる」

元気よく言って唯ちゃんは私にバックを手渡しトイレへとはいって行った。
私はというとそんなにしたいわけでもなかったし。
ちょっと疲れたからここで座ってようかなと思ったのも理由だ。
それにしても、唯ちゃんが出てくるまでなにしてようかしら。
特にこれと言ってすることはないし……。


悪いけど……勝手に唯ちゃんのじゃんけんカード見ても平気かな。
見せ合いっこした時は特に気にならなかったけど、なんか変わった材料みたいだし…。
後から気になってきちゃった。

そう思った私は唯ちゃんのバックの中身を見てみることにした。

「えっと…カードは」

バックの中からカードを出そうと私は手さぐりに探してみるけど、なかなか見
188矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:29:47 ID:uPYOGIJc
つからない。
どこにあるのかしら…もしかして意外と下の方?
なかなか見つからないし、逆さにしてみようかしら…。
なら、一度手を出さなきゃだめね。
そう思い手を出してみると一緒に名簿も落ちてきた。

「あ、そういえば禁止エリアって…」

そう、禁止エリアって言うのがあったはず。
知らないで行動して皆の足をひっぱちゃいけないものね。
禁止エリアかいてあるかしら。

そうして私は拾った唯ちゃんの名簿を見てみる。

「あ、あった」

名簿の後ろに書かれていた禁止エリアを覚えた私は、バックに戻す。
違う、正確に戻そうとした。
だけどその前にとても見知った名前が目の端に映った。

なんであの子の名前が……?

そして、私はとっさに私は禁止エリアの方に名簿を裏返す。
何故だろう…自分の心臓がとても煩いのが分かる。

まさかきっと見間違いよ。

なのに、なんでこんなに緊張しているんだろう…。
こんな大事なこと唯ちゃんが隠しているはずがない。

ね、だからその名簿を見て私。

だって船井さんや美穂子さんも、何も死亡者の数にたいして言わなかったじゃない。
まさか皆がグルで私を……。

189矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:30:40 ID:uPYOGIJc
殺そうとしている?

そ、そんなはずはない。唯ちゃんは裏切らない。信じなきゃ!
そ、そう。私は…ゆ、唯ちゃんを信じている!

本当にそう言い切れる?

言いきれる!
だから、この名簿も見れるわ。そうでしょ私?

「はぁ、はぁ」

息遣いが自然に荒くなってくる。
だけど、これは確かめないといけないことだから…。

そして私はこう思うの。あぁ、やっぱり見間違いだったって。

覚悟を決めた私は思い切って名簿を裏から表に返す。

そう見間違いだったって思いたかったの。

きっと、見間違い。そうに違いない。
そんな希望は、幻想は打ち砕かれて。

「どうして…唯ちゃん?なんで……梓ちゃんの事を隠していたの……?」

だってそこには、希望や甘い幻想を打ち砕く真実があったから。

何でよ…唯ちゃん。どうして隠していたの……。
ねぇ?どうしてよ……。
もしかして、唯ちゃんはまだなにか隠している…?
いや、唯ちゃんだけじゃない…船井さんや美穂子さんも?

きっとそうだ。そうに違いない…。

そう思った私の行動は自分でも驚くほど早かった。
190矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:31:28 ID:uPYOGIJc
「唯ちゃんが何か隠しているかもしれない」

そう言って私はバックを逆さにして黙々と中の物を確認する。

「じゃんけんカード…違う。これは全部全員に配布される支給品だから違う。薬品は特に怪しく……えっ」

唯ちゃんこんなの持ってきてたっけ?
そういえば、何か薬局出る時何かバックに入れてたけど……何で睡眠薬なの。
これで、誰を眠らせるつもりだったの?ねぇ、唯ちゃん…。
唯ちゃんはこんなの使わないし、私も使わない。
もしかして、船井さんたち?ううん、それなら自分で持ってくはず。
なら、なんで唯ちゃんは持ってたの!
もしかして、私を眠らせるため?
何のために…。

そんなの分かっている。それは……。

唯ちゃんに限ってそれは無い……。

ねぇ、私?本当にそう言い切れる?

そういえば、唯ちゃんはいつもと変わってなかった。
でも、いくら唯ちゃんでも全く変わらないなんておかしい……。
もしかしてあの時もう唯ちゃんは変わってた?
そう、きっとそうに違いない。そして、3人で私を…私を…殺す気だったんだ。
梓ちゃんの名前を言わなかったのは、聞いて驚いた私が逃げ出さないため?
そうか…そうだったの?
本当にそうなの…。でも、きっとそうだ!
あぁ、でもそうするとどうしよう。
私はどうすればいいの…。

「と、とにかく逃げなきゃ!」

そう、このまま居たら殺されてしまうから。
191矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/09(水) 15:32:34 ID:uPYOGIJc
逃げなきゃ。逃げなきゃ、逃げなきゃ。
でも、どうやって。走っても私じゃ追いつかれてしまうかもしれない…。
あ、そうだ車がある。
あれに乗ればいいんだ。詳しいことは分からないけどアクセルを踏めばいい。
そうだ、なら…急がなきゃ。嘘つきの唯ちゃんが…私を殺しに来る前に。

そして、紬は全速で車まで駆けていく。
いつもの彼女ならこんなことを思わないだろう。
だけど彼女の精神はすり減っていた。
唯に癒された心は、唯自身が紬の為についた嘘によってまた傷ついた。
そして追いつめられた心は、唯が持ってきた睡眠薬によってさらに追いつめられる。
唯自身は単に紬がよく眠れるようにと、ただ紬を気遣っただけなのに。
しかし紬の心は負のスパイラルへと陥っていた。そんな紬にそう判断できなかったのは仕方がないだろう。紬は徐々に精神を蝕まれていたのだから……この会場に仕掛けられた狂気を促進させる力によって。

車を動かすにはアクセルを踏めば良いのよね?
あぁ、良く分からないけどとにかく踏まなきゃ。
ここから……逃げなきゃ!

そうして車は動き出す。
元来た道を逆走しながら最高速で走っていく。
その先に待つものは希望か絶望か……。
今はただただ動いていく。

★★★★★★★★★★★★★★

彼――魔術師荒耶宗蓮――は今、宇宙開発センターから薬局へと来ていた。
荒耶は現在まで動く予定がなかったのだが、そうもいかなくなっていた。
そうそれは少し前の話。



「さて私はどうするか…」

192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 15:33:24 ID:1rPxF/CK
 
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 15:56:58 ID:Qe3EROnL
  
194代理投下  矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 15:58:53 ID:1rPxF/CK
積極的に殺しあいを行うつもりはない。
ならここで大人しくしているか…。

「むっ……」

後ろに振り向くとそこには鳴り響く電話があった。

この電話…出るべきか出ないべきか…。
どちらでも構わないのだが…。
ん、そういえば電話と言えば。
遠藤が言っていたな。
伝えたいことがあるときは電話するから、なるべく電話がある施設にしろだったか。
そうなるとこれはその電話か…。
なら出るか。

そう思い私は鳴り響く電話をとった。

『おはようございます荒耶宗蓮』

電話越しからは機械的に喋る少女の声が聞こえてきた。
インデックスか…。そういえば彼女の世界から連れてきた者が二名死んでいたな。
しかし今の彼女にはそれを悲しむことはないだろうが。
世界が違くとも魔術に対する秘匿義務は同じということか…。
少々余計なことを考えすぎか。

「挨拶はいい。用件はなんだ?」

私はなぜ電話してきたかを彼女に尋ねる。

『はい。あなたに頼みたいことがあります』

「何だ?」

『この殺しあいに積極的になってください。今このゲームでは乗っているもの
195代理投下  矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 15:59:34 ID:1rPxF/CK
が少なくなっています。このままだとゲームの進行が妨げられる恐れがあります。だから私たちは貴方に殺してもらいたい、もしくは上手く殺しあいに乗るものを作り上げてください』

要するに私に参加者たちを殺すか、殺しあいに乗るように扇動しろということか……。
早く両儀式の元へと向かいたいものだが…。

『貴方の死の観察と蒐集という目的にも合うと思われます』

ふむ…。
やはり…な。主催者側にその理由で通している以上私は従うしかないか。

「しかしどうすればいい」

『貴方の支給品。いえ、中野梓の支給品の中にパソコンが入っています。そちらにその場に適したデータを送りますのでそれ利用してください。それに簡単なご褒美ぐらいならこちらで用意します』

「分かった。が、ここまでするならお前たちがやった方が早いのではないか」

『私たちはあの方との約束でゲームを自分たちの手で直接動かしてはいけないことになっています。なので、こうして貴方に頼んで間接的に介入しています』

「そうだったな…。了承した」

『では、今度から連絡はパソコンにしますのでくれぐれも電力と紛失・故障などに気を付けてください』

切れたか…。
さて頼まれた以上はその通りに動かなくてはな。
両儀式は今のところは大丈夫だろう。
なら…………今は南だ。北へ向かうとしよう。

そして現在へと戻る。
インデックスに言われた荒耶は北へと向かい薬局へとついたというわけだ。

「参加者がどこに居るかでも探すか」

彼だけに許されたこの会場における能力を使う準備に入る。
いや、入るつもりだったと言うべきか。

「この音は…」

そう、どこからともなく聞こえてくる爆音。
その音はだんだんこちらに向かってきている。

「あれか」

荒耶が見据える先には猛スピードで走ってくる一台の車。
そして、減速することもなくそれは荒耶へと近づいていく…。

★★★★★★★★★★★
196代理投下  矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 16:00:26 ID:1rPxF/CK
「何で、何で唯ちゃんが…何で…」

アクセルだけを踏みながら紬は車を動かしていた。
前を見ずに下を向きながら、何でと繰り返しながら…。

何で、本当にどうして…?
唯ちゃんに何があったの。あの、唯ちゃんが誰かを、友達を殺そうとするまで追いつめられるなんて…。
分からない…分からないわ。

そう考えてたからだろうか、紬が前を向いたときすぐ目の前に荒耶が立ってたことに気付かなかったのは。

「あ……」

このままじゃぶつかっちゃうな…………。
その時の私はそれを他人事みたいに感じていた。
そして私はそのまま反射的に目をつぶる。
車が何か固いものにぶつかる音がして私はようやく自分がなにをしたかに気付く。
そして私が目を開けるとそこには吹き飛ばされた

「え…」

男が居なかった。
いや男はいたのだ。
居なかったのは“吹き飛ばされた”男だ。
そして居たのは“車がへこんでいるのに何ともなく立っている”男が居た。
それを見たとき紬は思った。
この男は危険だ。浅上藤乃以上に危険だ。

「い、嫌…」

この人は怖い。絶対私を殺そうとしている。
逃げなきゃ、死にたくない、逃げなきゃ。

紬の頭にはその2文字だけが浮かびあわてて車を出る。
そして、そのまま走って逃げようとすると…。

「きゃっ!」

こけた。
それはもう盛大に。

何で、何でこんな時にこけるの?
早く、早く逃げなきゃいけないのに。
立って、早く、そして逃げなきゃ!

そうしてもう一度立ち上がり逃げようとする彼女に魔術師はやっと口を開く。

「どこへ行く。琴吹紬」

その声は私がいままで聞いたどの声よりも無機質で、私の足は恐怖のあまり体を支えるという事を放棄して、私の体はもう一度地面についた。
197代理投下  矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 16:01:59 ID:1rPxF/CK
「あ、あぁ…。や、いや。嫌、来ないで来ないで来ないで」

もう汚れたって構わない。
私は目の前の男の方に手を振り回し、後ろへと下がる。
なのに目の前の男は普通に近づいてきて。
とても怖くて。
もういつの間にか下がる事さえもできなくて。
私はこれから何が起きるかなんてどうでもよくなってきた。
そういえば…何で私の名前を知ってたんだろう。
でも、今ではもう良いかな…。
そして、私は目を閉じる。
自分が何で殺されるかなんて、もうどうでも良いことだから。




……………あれ?
まだ私死んでない……。
どうして?もしかして殺さずに居なくなった?
そう不思議に思った私は目を開ける。

「ひっ!」

だけどそこにはやっぱり変わらず男が居た。
なんで居なくなってないの。
いや、私はまだ死にたくない…。

「琴吹紬」

「は、はい」

本当になんで私の名前を知っているの。
何で、何で。
その言葉が頭を埋め尽くす。
本当にこの島に来てから何でつづきだ…。
何で私たちがこんな殺しあいに巻き込まれなくちゃいけないの?
何で私があんな怖い目にあわなきゃいけなかったの?
何で私の力がもう少し強くなかったの?
何で梓ちゃんが死んじゃったの?
何で……唯ちゃんは私を殺そうとしたの

「一度しか聞かん。琴吹紬」

この人は私に何か聞くために殺さなかったんだ…。
この人は何を聞くつもりなんだろう。
私が知っている事なんて大したことないのに…。

「生きたいか?」

いきたいか?
生きたいか?って事。
そんなの決まっている。

「い、生きたいです」
198代理投下  矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 16:03:56 ID:1rPxF/CK
そう、生きたい、死にたくない。
死ぬって事がとても痛いことだって事を私は加治木さんの断末魔で知っている。
死ぬって事が願いが、希望が無くなるって事を私は撫子ちゃんの最期で知っている。
死ぬって事はもう会えないって事を私は浅上藤乃の殺しに乗る理由から知っている。
だから……私は死にたくない!
何があっても絶対。死ぬのだけは嫌。
そうよね…やっとわかった。唯ちゃんが何で私を殺そうとしたか。
そんなの簡単だ……。唯ちゃんはただ死にたくなかった。
一緒に殺そうとした船井さんや美穂子さんも死にたくなかった。
だから私を殺そうとした。
すごい簡単な事だったんだ。
なんだろ私すごい馬鹿みたい。そんな簡単な事に気づかないなんて。
そうよね皆死にたくないもの。
きっとりっちゃんや澪ちゃんもそう、皆死にたくないから殺す。
そんなの誰でもわかる当たり前の事じゃない…。
あぁ……私、本当に何で今まで気付かなかったんだろう。

「それが答えか。琴吹紬」

「はい。私は死にたくありません」

だってこの人は私をいつでも殺せるんだから。
嘘をついても仕方がないもの。

「ならお前は今から……5人いや4人殺せ。お前はもう1人殺していた」

殺せ。死にたくないというなら殺せ。うん、すっごい当たり前の事。
だけど私にできるのかしら。なんも力がない私が4人も。
ねぇ、それに唯ちゃん達を私は殺せるの?
殺されそうになったからって殺せるの?
大事な大事な友達を……。

「そんなの無理です。私じゃ無理です。友達を殺せません……」

そう、私じゃ無理…。
死にたく無いけど、なんも力が無い私が4人も殺せるはずがない。
それにもう皆に二度と会えなくなるなんて無理。

「もし、このノルマが達成できたら30億ペリカでどうだ。それに殺すと考えなければいい。救うと考えるんだ」

「す、救う…」

私が…皆を救う?

「そうだ。お前は他の奴を救うんだ。この苦しみから。そして後で蘇らせればいいだろう」

あ、そっか…。30億ペリカが貰える……。
ということは10億ペリカと合わせて40億ペリカ!
199代理投下  矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 16:06:24 ID:1rPxF/CK
私が殺す4人に撫子ちゃんに唯ちゃん、りっちゃん、澪ちゃん、梓ちゃん、憂ちゃん。
全員が生き返る。なら……私は殺しても何も悪くない。
だって私は皆が狂ってしまっても、辛くても殺すことで助けてあげるんだから。
そう他の皆はきっと私を殺すだけで終わるわ。
でも、私は違う。皆を生き返らせる!
凄いわ…。ただ自分だけが生き残りたいから殺すんじゃなくて皆の為に殺す!
唯ちゃんや船井さん、美穂子さんや浅上藤乃とは違う。
私は……皆の為に殺すの。
皆を生き返らせるために殺すの!
私は……皆を救うの!

「あ、ありがとうございます!私、頑張りますね。きっとみんなを救ってみます。あ、そういえば貴方の名前は?」

そうして紬はさっきまで怖がってたと思えなくらいの笑顔で魔術師に答え問いかける。
そしてその問いに魔術師はこう答える。

「私は魔術師荒耶宗蓮。このゲームの主催者の1人だ」

この人はこのゲームの主催者…。私たちがこんな目にあった原因……。
ふふふ、でももうどうでもいいわ。私にはやるべきことがあるもの。
これで撫子ちゃんにも謝れる…。これで私はなんも悪くなくなる…。
あ、でも……

「私は殺すものを持っていないのですが…」

「ならこれをやろう」

そう言って荒耶さんが出してきたのはただのスティックシュガーだった。
この人は私をなめているのだろうか?

「あの…これでどうすれば」

「それの中身はシアン化カリウム。分かりやすいうと青酸カリだ」
200代理投下  矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 16:09:25 ID:1rPxF/CK
そして魔術師は今度は東へと足を進める。

★★★★★★★★★★★★★

「ふ、船井さん。ムギちゃんを追いかけなきゃ」

円形闘技場にて唯の声が響く。

「ちょい待てや。今はここで待つのが得策や」

それを抑えるかのように船井が喋る。

「どうしてですか船井さん」

唯を援護するかのように美穂子は船井へと問いかける。

「よう考えてみい。嬢ちゃんは車に乗ってたんやろ。追いつくはずがないわ」

この言葉を聞いて美穂子は思う。

一件正論だけどこの人の言葉の裏には無駄足を踏みたくない。
逆に足手まといが減って良かったってにじみ出ている。
だけど多分平沢さんはどこか流されやすい感じがあるから…。

「そ、そうですよね…」

「そうやろ。それにもう会えんとも限らんし今は城へ行こうや」

「は、はい…」

このままじゃここからはなれちゃう。
琴吹さんが帰ってくるかは分からないけど、でも少しでも可能性があるんだから。

「待ってください。ここで昼まで待ちませんか?」

「昼まで?帰ってくるかも分からんのにか」

やっぱり反対してきた。
だけど平気船井さんの案と私の案ならきっと平沢さんは。

「平沢さんはどうしたい」

「わ、私は待ちたいです」

頷いてくれるはず。
船井さんもここで私たちとわかれて大事な『駒』を失うのは避けたいはず。
だから船井さんはこれを承諾するしかない。

「…昼までやな」

「はい」

それに私は笑顔で答える。
さてと、これで何とか時間は稼げたけど琴吹さんは帰ってくるのかしら…。
帰ってこなかったら…平沢さんを連れて探しに行けばいい。
とにかくこの人にさえ気を付けていれば大丈夫なんだから。


矛盾はつづく何処までも。
螺旋のように何処までも。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 16:11:14 ID:PurPCeDp
202代理投下  矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 16:13:32 ID:1rPxF/CK
平沢唯は皆を探したい生還したいと言いながら、誰かに任せっきりという矛盾を抱え。
福治美穂子は自分と同じ悲しみを味あわせないから殺人者を殺す、だけどその人を殺して悲しむ人がいるのを考えないという矛盾を抱え。
琴吹紬は誰か生き返らせるために殺すという矛盾を抱え。

とても似ていて、対極にある二つの考えを抱く少女たちは矛盾の螺旋の果てに何処へ向かう……?

【D-4/円形闘技場/一日目/午前】

【平沢唯@けいおん!】
[状態]:健康、紬が心配、テンション↓
[服装]:桜が丘高校女子制服(夏服)
[装備]:ジャンケンカード(チョキ)@逆境無頼カイジ
[道具]:デイパック、基本支給品(+水1本)、ジャンケンカード×十数枚(グーチョキパー混合)、不明支給品x0-2(確認済み) 、薬局から持ってきた薬品多数@現地調達(内一つは睡眠薬)
[思考]
 基本:みんなでこの殺し合いから生還!
 1:ムギちゃん……
 2:あずにゃん……
 2:船井さんを頼りにする。
 3:友人と妹を探す。でもどんな状況にあるかはあんまり考えたくない……
 4:魔法かあ……アイスとかいっぱい出せたらいいよね……
[備考]
 ※東横桃子には気付いていません。
 ※ルルーシュとの会話の内容や思考は後の書き手さんにお任せ
 ※浅上藤乃と眼帯の女(ライダー)の外見情報を得ました

【船井譲次@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康
[服装]:私服
[装備]:ナイフ、コンパス。他にも何かあるかは後続にお任せ
[道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品x0-2 遠藤のベンツの鍵@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor
    リフレインx4@コードギアス 睡眠薬@現地調達 ブラッドチップ(オリジナル)x1@空の境界
[思考]
 基本:優勝か別の手段か、ともかく生還を目指す。
1:昼までか…… 
2:『城』と『敵のアジト』を経て『ギャンブル船』に辿り着き、自衛の為の力を手に入れる。手段は選ばない。
3:唯の友人らを探す方法を考える。利用できそうなら利用する。
4:仲間を勧誘し、それらを利用して生還の道を模索する。
5:絶対に油断はしない。また、どんな相手も信用はしない。
6:ルルーシュの話す施設X群にも少し興味がある。
[備考]
 ※東横桃子には気付いていません。
 ※登場時期は未定。
 ※ルルーシュとの会話の内容や思考は後の書き手さんにお任せ
 ※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています
 ※浅上藤乃と眼帯の女(ライダー)の外見情報を得ました

【福路美穂子@咲-Saki-】
[状態]:健康 、前向きな狂気、恐怖心の欠如
[服装]:黒の騎士団の服@コードギアス、穿いてない
[装備]:
[道具]:支給品一式、不明支給品(0〜1)(確認済み)、六爪@戦国BASARA 、薬局から持ってきた薬品多数@現地調達、
   『魔法』と書かれたラベルの貼ってあるビン(中身未確認)@現地調達
[思考]
基本:これ以上誰も傷つかない為に主催者を殺す、殺し合いに乗った者も殺す
1:琴吹さんが帰ってくると良いんだけど…
2:ひとまずこのチームについて行って、魔法と主催の影を追う
3:力を持たない者たちを無事に元の世界に返す方法を探す
4:対主催の同志を集める
5:船井に対して油断はしない。
6:伊達政宗を探し出して六爪を渡し、小十郎の死を伝える
203代理投下  矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 16:16:30 ID:1rPxF/CK
7:阿良々木暦ともし会ったらどうしようかしら?
8:張五飛と会ったらトレーズからの挨拶を伝える
9:トレーズと再会したら、その部下となる?
[備考]
登場時期は最終回の合宿の後。
※ライダーの名前は知りません。
※トレーズがゼロの仮面を被っている事は知っていますが
 ゼロの存在とその放送については知りません
※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています
※浅上藤乃の外見情報を得ました

【黒の騎士団の服@コードギアス】
黒の騎士団発足時に井上が着ていたコスチューム
超ミニスカ

【E-4/薬局周辺/1日目/朝】

【琴吹紬@けいおん!】
[状態]:撫子への罪の意識、『制服を着た女子生徒』に対する軽いトラウマ、
[服装]:ブラウス、スカート
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、忍びの緊急脱出装置@戦国BASARA×2、軽音楽部のティーセット、シアン化カルシウム入りスティックシュガー×10
    桜が丘高校女子制服(血濡れ) 、薬局から持ってきた薬品多数@現地調達
[思考]
基本:この島にいる皆を殺して生き返らせる事によって救う
0:まずは唯ちゃん達から
1:次はだれにしようかしら
2:誰にも勿論殺されたくない。
3:阿良々木暦に会ったら、撫子ちゃんの事を伝えようかしら
[備考]
※浅上藤乃の殺人を目の当たりにしたトラウマで、『制服を着た女子生徒』を見ると彼女の姿がフラッシュバックします。
 精神的に回復かなり持ち直しました。トラウマの効果は薄くなっています。
※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています
※E-3北部〜E-4北部間の何処かに千石 撫子の死体があり、すぐそばに彼女のディパック(基本セット、ランダム支給品1〜3入り)が落ちています。
※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています
※眼帯の女(ライダー)の外見情報を得ました

【荒耶宗蓮@空の境界】
[状態]:健康
[服装]:黒服
[装備]:ククリナイフ@現実
[道具]:デイパック、基本支給品、S&W M10 “ミリタリー&ポリス”(6/6)、.38spl弾x53、鉈@現実、パソコン、荒耶の不明支給品(0〜1)、
[思考]
基本:式を手に入れ根源へ到る。しかし今は参加者たちを扇動する
1:殺し合いが動きやすなるように東へ向かう。
2:必要最小限の範囲で障害を排除する。
3:利用できそうなものは利用する。
※首輪はダミーです。時間の経過と共に制限が緩んでいきます。
※久の支給品はシアン化カルシウムです

256 名前:矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ[sage] 投稿日:2009/12/09(水) 15:53:28 ID:HVII4aXg

以上で投下終了です。
代理投下お願いします。

代理投下終了。途中行数オーバーの関係で調整しました。
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 16:18:54 ID:5TpARShg
投下スレ252が抜けてる
205(代理投下)矛盾螺旋  ◇PV.nOaaCrQ:2009/12/09(水) 21:19:22 ID:ctOlxJCX
>>199>>200の間
−−−−−

青酸カリ……ってよくテレビで出る毒物よね。
あのアーモンド臭がするとかっていう。

「そのシュガーに入っている量は350mg。主に成人で致死量は100~300mg。それ10本全部渡そう。それだけあれば足りるだろう」

確かに毒薬なら私でも人を殺せる。
この人はなんて親切なんだろう。
私が皆を助けるのに協力してくれるなんて…。

「ありがとうございます荒耶さん」

私はスティックシュガーの型の青酸カリを受け取り頭を下げる。

「あぁ、では行け琴吹紬」

「はい!」

そして私は歩いていく。
唯ちゃん達の元へと、嘘つきの皆の元へと。
この毒薬でこの狂ったゲームから解放してあげるために。

紬はこれから自分が行う事に一つの使命感をもち歩き出す。
だからだろうか紬は気付かなかった。
後ろで魔術師が喋っている言葉に。

「哀れ…だな、琴吹紬。自分が抱いている矛盾にも気付かずに」

もし生き残って皆を生き返らせてもどうやって生還するのか?
そもそも生き返らせるために殺すという前提が間違いか…。
しかしこの巨大化した小川マンションと言える場所で正気を保つ方が難しかったか。

そう考え魔術師は紬から視線を外す。
もう興味の対象から外れた紬の行く先など魔術師には関わりのない事だから。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 21:22:21 ID:ctOlxJCX
指摘のあった抜けの部分を代理投下しました。
これでOK、かな?

あと、避難所スレで◆QmnDyrAS0E氏が意見を募っているようなので、確認のうえ
意見のある人はレスをお願いします。
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 22:55:04 ID:Pakh1tLV
もう感想いいかな?

投下乙です
眉毛さんはとうとう壊れ始めたか。あらやんも余計なことをしていきましたね
唯は確かにブレてない、ブレてないから誤解を呼んだんだろうが・・・
副路さんはロワでは当たり前な感情だがどうなるやら。船井は敵認定されてるのに近いなw
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/09(水) 23:00:20 ID:5TpARShg
もうこうなると「うわー美味しそう!」展開しか思いつかないから困る
209 ◆40jGqg6Boc :2009/12/09(水) 23:59:58 ID:TDIJxTe2
では完成したので光秀、澪、律、キャスター、コクトー投下します。
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:00:24 ID:7p4+MxZN
211狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:00:56 ID:htSztQ1v

「御加減はどうでしょうか、澪殿。少々速すぎるかもしれませんが」
「は、はい!ぜんぜん大丈夫です!」

風をきり突き進む一騎の馬で一組の男女が言葉を交わす。
銀ともとれる髪を生やし、上下黒のスーツに白のワイシャツを着こんだ男の方は明智光秀。
そして光秀の言葉に応える黒のロングヘアーの少女の名は秋山澪だ。
二人はエスポワール号で行われた会議に参加し、仲間を集めるために馬を向かわせていた。
戦国武将であり、騎乗に慣れた光秀が走らせる馬の速度は澪にとってはかなり速い。
光秀はそんな澪を気遣うが、彼女は精一杯の強がりを見せる。

「明智さん、わたしのコトなんて気にしてくれなくてもいいです。
今は少しでも時間が惜しいから……だ、だからもう少し速くしてもらっても構いません」
「おや、心強いですねぇ。私は好きですよ、そういう心意気は」
「か、からかわないでくださいー!」

顔を赤らめ、左右に頭を振る澪は慌てながらも言葉を発する。
馬を操っているため光秀の表情はわからないが恐らく笑っているのだろう。
押し殺したような苦笑が光秀の背中越しに確かに澪へ届いたのだから。

(でも、心強いのはこっちもだな……よかった、明智さん達のような親切な人が居てくれて)

見た目以上に広い背中を見つめ、ぎくしゃくしながらも澪は抱きつく。
殺し合いに巻き込まれはしたものの、思えば自分は幸運だと今更ながら思う。
白井黒子、衛宮士郎を始めとしたエスポワール号のメンバー、
そして今自分と行動を共にしている光秀は誰一人として殺し合いには乗っていない。
自分を含めて八人、更に仲間が増えればきっとこの殺し合いもどうにか出来る。出来るはず。
だから何も出来ない自分だけども、せめて皆の足を引っ張らないように頑張ろう。


「では澪殿のお言葉に甘え少し急ぐとしましょう。――掴まっていてください」


より一段と強烈な風が澪の頬を叩いた。



◇     ◇     ◇



212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:01:16 ID:q1WWm8Au
 
213狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:01:37 ID:htSztQ1v
(ああ……可愛いですねぇ、無力さを微塵にも隠さない人間の必死さというものは……。
この心許ない力で抱きしめられては、それ相応のお礼をしてあげたいぐらいです)

澪が震えながらも自身をひっしりとしがみつく感触を光秀は楽しむ。
恍惚に染まる表情の理由は澪の必死さを全身で感じられるためだ。
今にも折れてしまいそうな一本の細木すらも思わせる脆弱さに嫌悪感はない。
寧ろ愛でるに値するべきものだと思え、実に愛らしく、同時に思わずにはいられない。
少女という名の木を力の限り折ってしまえばどうなることだろう。
この力なき少女――秋山澪は果たしてどんな顔で死んでくれるだろうか。

きっと自分を恨んでくれるだろう。
裏切られたショック、やり残した想い、来る死への言いようのない恐怖――美味なる感情を自分に向けてくれるに違いない。
だが、いま此処で彼女を殺してしまうのはそれはそれで興ざめなものだ。
エスポワールに集まったメンバーは自分に怒りを抱いてくれるだろうがまだまだ速い。
ある程度の御馳走を何度も頂くのもいいが、まだもう少しは我慢しておきたい。

また光秀は数分前に方針の若干の変更を澪に提案した。
島を西回りに進むがどうせならその前に近くの施設にも立ち寄ってみよう。
中心地区に位置する施設、その後は当初の目的通りアジトを経由し、西へ回っていく、と。
澪に反対の意思はなかった。
馬の速度は速く、エスポワール号のメンバーとは特に時間の指定をしていないため、調査に充てられる時間は充分にある。
それに光秀が言うように施設に留まっている人間が居るかもしれないと思ったためだ。
何もない場所を走るよりも、地図に記された施設内を捜した方が他人を見つけやすいかもしれない。

ただ、自分と光秀が他者との出会いを希望する理由に澪は気づいてはいなかった。
光秀の本当の理由。それはもはや言うまでもない。
屈辱に埋もれた誰かの顔を思うと、既にいてもたってもいられない。


「さあ、見えてきましたよ。一つ目の場所――神様の眠る場所です」


新たな出会いを求め、光秀は澪を従えて馬の速度を更に速めた。



◇     ◇     ◇

214狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:02:20 ID:htSztQ1v

「繰り返すようだけど此処にとどまり、他の参加者がやってくれば交渉をする……という方針でいいかしら?」


青髪の女性、キャスターが言葉を発し、二人の男女が頷く。
田井中律と黒桐幹也、彼らは共にキャスターの同行者だ。
三人は食事を摂ったり、雑談をしたりなどしていて時間を潰していた。
また二人に主催者への打倒という決定に不満はない。
キャスターの洗脳を掛けられた黒桐はもちろんのこと、そもそも方針の変更は律が言いだしたものだ。
律の勢いのついた頷きがキャスターの表情を自然と綻ばせる。

「頑張りましょう!キャスターさん、幹也さん……ぜったいに帝愛グループをぶっ潰しましょう!」
「ああ、そうだね」

律の言葉に幹也が応える。
そして律の表情はキャスターに勇気をくれる。
護りたいと思う。第一これは聖杯戦争ではない。
もちろん再び与えられた命を無駄にするつもりはない。
しかし、この少女を一人護るくらいの周り道はそこまで困難ではないだろう。
何故なら自分はサーヴァントの一体。
三騎士のクラスのようにいかないだろうにも並みの人間に後れを取るつもりはない。

だが、まったく不安がないわけではなかった。
幹也に龍牙兵を預けているものの彼自身に戦闘力があるとは言い難い。
律も一般的な女子高生であるため、残念ながら戦力にはならない。
肝心のキャスター自身も直接戦闘よりも後方支援の方が得意だ。
だから今、自分たちに必要なのは前衛を務める屈強な戦士。
最適な人物はセイバーだろう。
サーヴァントの中でも最強のクラスである彼女が居れば心強い。
問題はキャスターとセイバーは敵対していることだがやるしかない。
何もせずに元の世界に戻れるほど上手い話しもないだろうから。

「っ……なにか聞こえませんか」
「へっ?」
「なんですって?」


そんな時、黒桐が入口の方を見ながら言葉を漏らす。
律、思考に耽っていたキャスターは驚く。
そして彼女ら二人も黒桐と同じように視線を向ける。
確かに音はしている。入口が開き、此処へ降りてくる足音が聞こえる。
咄嗟にキャスターは身構えた。
必ずしも友好的な人物がやってきたとも言えない。
よって用心に越したことはない――だが、それは杞憂であったことをキャスターは思い知らされた。


「澪!もしかして澪か!?」
「え、その声は……律?」


律が親しげに声を上げ、彼女が澪と呼ぶ少女の方へ駈け出して行ったのだから。
一目も憚らず互いに抱き合う律と澪を見てしまえば警戒は緩む。
同時に黒桐の方も主であるキャスターと同じく安堵の息を漏らす。
ただ一人、そんな光景を眺め光秀は口元を歪ませていた。



◇     ◇     ◇

215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:02:54 ID:fgzKtbdx
 
216狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:03:04 ID:TDIJxTe2

「そうか……澪は親切な人達に会えたんだな。
私も玄霧先生って人に会えたんだけど先生は……先生は金髪の人に、そしてあたしは変な薬を呑まされて……」
「律……無理に話さなくていいから」
「うん……ごめんな、澪」

再会を喜んだ後、律と澪はこれまでの自分を互いに話し始める。
誤解こそあったものの澪の方は特に危険なことはなかった。
だが、律の方は違う。
知り合ったばかりの玄霧皐月は凶弾に倒れた。
更に律自身はその下手人であるレイ・ラングレンにブラッドチップを呑まされている。
不幸としか言いようがないだろう。
事の悲惨さから澪は律に掛けてやる言葉をなかなか見つけられない。
出来ることと言えば俯く律を心配そうに見守るぐらいしかない。
きっと律は今も泣きだしたいほどに苦しいだろうに。

「でも――わたしは決めたんだ!キャスターさんと幹也さんと一緒に頑張ろうって。
こんな殺し合いは絶対に間違ってるし……なによりわたしが澪達と殺し合いなんか出来るわけないじゃんか!」

しかし、律は澪の意に反し逆に彼女を見上げてくる。
目元には一片の涙もない。
見開かれた律の目は普段の彼女のものと大差はない。
変わらない。自分の友人、田井中律はこんな状況で酷い目に遭いながらも決して挫けてはいない。
それがわかった時点で澪は感動にも似た、どこか熱い感情を覚える。

「凄いな、律は。わたしなんて何も出来てないのに……」
「あー勘違いしてるなー澪。わたしだってまだ何も出来てないよ。
だからこれからなんだ、私も澪を。あずにゃんのことは残念だったけど……それでもまだ唯とむぎと憂ちゃんはどこかで生きてる。
頑張ろうな、澪。ぜったいにあいつらを見つけて、学校に戻ろう!」
「律……うぇ、ひっ……」
「ち、ちょっとタンマ!なんでそこで泣くんだよー!?」

同時に澪は自分の頬に熱い雫が流れ出したのを感じた。
だけどもそれは決して悲しみの涙ではない。

「だって……やっぱり律は凄い奴だなって……そう思ったら急に……」
「おかしな奴だなぁ澪は……まあ、いいか」

涙を隠す澪の頭に確かな感触が走る。
それは差し伸べられた右の手、律自身の手だ。
律は優しく澪の頭を撫でていた。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:03:43 ID:q1WWm8Au
  
218狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:04:00 ID:htSztQ1v
「澪は泣き虫だもんな。大丈夫、わたしが居るって!
澪はわたしがいないと何も出来ない困ったちゃんだからな!」
「う、うるさいな!」

明らかに茶化したような態度を律は取る。
さすがに馬鹿にされすぎていると思ったのか澪は急に顔を上げた。
ムキになりながらも律の手を必死に払う。
律は払われた手をひらひらさせ、依然としておどけた笑顔を見せ続ける。
ごめんごめん、と言うが律が本当にそう思っているかはあまりにも怪しい。
そんな律の様子を見て、澪は――笑っていた。


「でも……ありがとう、律。お前にまた会えて本当に良かったよ……」
「へへっ、まあ私もそうだけどさ……は、恥ずかしいな」

変わるものがあれば変わらないものもある。
しかし殺し合いという異質な状況の中、少なくとも澪と律の関係は変わってはいなかった。
その事実を噛みしめるかのように、二人は互いに喜びを分かち合う。



「美しいものですねぇ……友情というものは。こちらも清々しい想いに耽ってしまいます。
そう思いませんか、キャスター殿……いや、サーヴァントと言った方がよろしいでしょうか」
「なぜあなたはそれを――?」
「おや、奇抜な装いをしているのでもしやと思ったのですが。
なるほど、衛宮殿の言うとおりサーヴァントなる者は本当に存在していたのですねぇ」
「あのセイバーのマスターが……なるほど、そういうことね」
「ええ、そういうことです」


一方、よくわからない相槌を打ちながら光秀はキャスターと話す。
流石にこちらは澪と律のような和気あいあいとしたものではない。
また、龍牙兵を率いた黒桐は入口に立って、他に来訪者は居ないかを見張っている。
その理由は光秀と話すのは自分だけでいいとキャスターが考えたためだ。
何故なら黒桐にはまだ洗脳を掛けてある。
魔術に心得のある者にわかることはないだろう。
しかし、万が一見破られた場合、不要な誤解を受けるだろう。
理由もなくなったため機をみて術を解こうとキャスターは改めて思い、そして口を開いた。

「それで貴方の名前はなんというのかしら? 一方的に知られているのはあまり良い気分がしないから……わかってくれるわね?」

当然の権利のように光秀の名をキャスターは問う。
実のところ彼女の真名は衛宮士郎も知らず、まして光秀が知っている可能性はゼロといっていい。
だが、キャスターは敢えてその事に言及しない。
たとえ律の友達の同行者といえども万が一のケースがある。
正直、光秀のどこか虚ろ気な瞳はあまり歓迎出来るものではない。
むしろ嫌悪すべき対象では――キャスターがそう思い始めた矢先、光秀がゆっくりと動き出す。


「これは失礼。私は明智光秀……第六天魔王織田信長公配下の者です。
ですが――いいじゃないですか。そんな野暮な事は、どうでもいいでしょう」

219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:04:17 ID:7p4+MxZN
220狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:05:26 ID:htSztQ1v
直線的な動きではない。
ゆらゆらと、まるで横から風に煽られるような動きで光秀は歩んでいく。
光秀からは殺気は感じられない。
しかし、どうにも収まらない胸騒ぎをキャスターは感じた。
言ってしまえばそれは単純に――気味が悪い。
気持ちが悪かった。


「……どういう意味かしらね、それは」


キャスターは密かに身構える。
そんなことはないと思う。
ただ、少しだけ不安に感じるだけだ。
一応念のためだと光秀は一本の剣を持っているが構えてすらもいない。
それに大丈夫。自分はサーヴァントなのだから。
たとえこの生きているか死んでいるかわからない男が襲っても、きっと大丈夫――




「あは、言葉通りの意味ですよ。では――頂かせてもらいましょうか」




光秀の言葉が終わるや否や、キャスターに衝撃が殺到した。



◇     ◇     ◇


221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:05:49 ID:9D88k6we

222狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:06:06 ID:TDIJxTe2
胸が焼けるように熱い。
キャスターが先ず知覚したのはそれだ。
続けて張り裂けそうな痛みが全身へ伝っていく。
どうしようもない奔流だ。この勢いを止めることは出来ない。
止まる時が来るならばそれはきっと終わる瞬間と同じに違いない。
これが、自分の胸を深々と突き刺している大剣が全ての血を流しつくし、
キャスターのサーヴァントとして現界した命が終わる――その時と。


「くっ……ははははは! どうしましたかキャスター!?
これで終わりではないでしょう!? あなたもあのセイバーと名乗った少女と同じサーヴァントなのですから!
もっと、もっとあなたの抵抗をみせてください! この不肖者である明智光秀めにその身果てるまで!!」


眼前には血しぶきで染まった身をゆらゆらとくねらせ、狂ったように叫ぶ光秀が居る。
その後方には律と澪がさも呆然としてこちらを眺めているが石のように固まっている。
無理もない。キャスター自身もこの結末に驚いているのだから。
マスターでもない、普通の人間である二人にあれ以上の行動を求めるのは酷だろう。
だが、今はあの二人を気に掛けている場合ではない。
目下、思考すべきことは自身の危機の回避のみ。
しかし、おぞましい笑いを上げながら光秀はさらに剣を深く突き立ててくる。


「勝手ながらもサーヴァントなる者は過去の英霊と聞かせていただきました!
素晴らしい……実に素晴らしいではないですか!
私の手で、いつの世かに名を知らしめた御方の命を握れようとは……なんたる幸せかッ!!」


侵入してくる。
好き勝手なことを言い、好き勝手な速度で自分の奥底に突き進んでくる。
痛みを、そして光秀への我慢できない嫌悪感をキャスターは嗚咽でしか返せない。
たとえサーヴァント言えども不死身の存在ではない。
痛みを感じないわけがなく、刻一刻と命を削られていくのがわかる。

14人が死んだ一回目の放送で、サーヴァントが誰一人として呼ばれなかったことに油断したのかもしれない。
サーヴァント以外にもまさかこのような存在が居たとは思えなかったのだから。
アサシンのサーヴァントである佐々木小次郎と同じ日本の武将でありながらも全く違うタイプ。
この世の悪意がまさに人の形を借りたような――そんな感想すらも抱かせる光秀との出会いを恨めずにはいられない。
もし、自分がセイバーやランサーのサーヴァントであったならば未だ勝機はある。
だが、それは結局のところそれはあまりにも儚い夢でしかない。
最初の一撃が既に致命傷となり、この瞬間もキャスターの周囲には血みどろが広がっている。



223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:06:22 ID:FbrQ/Vc5
 
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:06:27 ID:i1Oda5rH
225狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:07:43 ID:htSztQ1v


だから――もう、どうしようもない。
織田信長の元で名を馳せた光秀の一撃はまさに電光石火の如く。
ランサーのサーヴァントにすらも肉迫するであろう速度による一撃はあまりにも重い。
故にキャスターに抵抗する術は完全になくなった。



(わたしは、どこで間違え……)


最後の時にキャスターが思ったことは一つ。
残されるであろう律たちへの心配ではない。
また裏切りのメディアこと自身の脱落に関する事でもない。
脳裏に映るものは彼女を救ってくれた、不器用な彼女自身のマスター。




「いいですよ! そのお顔……美しい!真っ赤な死に化粧がお似合いな実にいいお顔ですねぇッ!
あなたの苦しみがひしひしと私に伝わってくるようです!
くっ……は、はっはは、ひっはぁははは……んあハハハハハハハハハハハハハハハ!!」





(宗一郎……さ、ま…………)






ずっと追い求め続けた、葛木宗一郎のいつもと変わらぬ姿だった。




◇     ◇     ◇

226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:08:17 ID:P1x/4q7y

227狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:08:43 ID:htSztQ1v


「ああ……まさに絶頂と言えばよいでしょうか。やはり我慢しないでよかった……」


信長の大剣が引き抜かれ、キャスターの既にもの言わぬ身体が前のめりに倒れ伏せる。
それと同じく光秀が身をビクビクと震わせ、歓喜の声を抑えることなく漏らす。
全身が波打ったかといえば、だらりと両腕を垂らし真っすぐ頭上を見据えだした。
大きな一仕事を終えた直後に抱く一種の達成感が光秀の全てを支配している。
まさに至福の一時。光秀は両目を細め、今しがた起きたことの回想に全ての意識をつぎ込む。


「な……なにしてるんだよ、おまえ……」
「あ、明智さん……」

しかし、そんな時間を律の裏声混じりの言葉が邪魔をする。
そして笑み一色でしかなかった光秀の表情に明らかな歪みが生じた。
無理もない。せっかくの一時に声が――くだらない雑音が聞こえてきたのだから。
光秀にとっては律の声も澪の声も等しく同じものでしかない。
何故なら興味がないのだから。たったそれだけの理由だ。

「おやおや、無粋な真似をしますねぇ。今の私は嬉しさでどうにかなってしまいそうなのでどうかお静かに――」
「な、なにしてるんだって訊いたんだよ!」

だが、律は喰い下がらない。
まるで道端に落ちた葉を見るような目をした光秀を前にしても。
澪は何も言えない。
逆に一段と張り上げた律の言葉に驚き、両目を瞑って震えている。
まるで対照的な二人を眺めるのは光秀。
律の思いがけない言葉に少し感心した様子を見せながらも光秀は口を開いた。
何故か心なしか少し嬉しそうに。

「見てわかりませんか? 堪能させてもらったのですよ、キャスター殿のお命で。
だってそうでしょう、英霊ですよ?英霊……おそらくは英雄の霊と書き英霊、ああ! なんと誉れ高き響きでしょうか。
一介の士でしかない私めには手の届かない存在であったに違いありません。
そう普段なら……ですがこの場では違う! 私にも等しく機を与えられた……ならば逃がす道理はないでしょう!」

明智がエスポワール号のメンバーに取り入ったのはあくまでもその時、そうすることが得だと考えたためだ。
何よりも他人の苦しむ顔を眺め、虐げることを好む光秀がいつまでも黙っているつもりはない。
征天魔王として恐れられた織田信長ですらも、光秀は己の欲求のためだけに逆らえる。
故に光秀が交わす口約束など、その時の彼の気分次第でどうとでも転ぶ。
もはや言うまでもないだろう。
光秀は少なくともこの場で無害な人間を演じるつもりは既にない。

だから光秀はキャスターを狙った。
衛宮士郎の話したサーヴァントたる存在は元は英霊と祀られた存在らしい。
士郎の話した名前の中にキャスターはなかったが、彼女もサーヴァントの一人であるという予想は見事に当たった。
あの時、キャスターもサーヴァントの一体であることを知った時、光秀は震えた。
英霊とはなんたるか。信長公のような存在か。
英霊が死にゆく瞬間は――湧きあがる興味を理性で抑えるのは叶わなかった。
戦い自体に興味はない。ただ、英霊と崇められた特別な存在が死にゆく瞬間を是非とも見てみたい。
歪んだ想いの結果がキャスターの殺害であり、今の状況に至っている。


228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:10:00 ID:haSzGrNW
 
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:10:08 ID:7p4+MxZN
230狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:10:41 ID:htSztQ1v



「彼女が見せてくれたお顔は実に良いものでした……しかし、言いにくいのですが私は貪欲なものでしてね。
気になるのですよ……田井中律殿。あなたはいったいどんな顔を浮かべ、そしてどんな甘美な声をあげてくれるのかをねぇ……
そう、どうしようにも逃れられない死を目の前にして、あなたはどのようにわたしを喜ばせてくれるのでしょうかッ!!」


そう言って光秀は律に飛びかかろうとする。
刹那。光秀の後方で、入口の方で音が響いた。
それはデイバックを壁に叩きつけたことによるものだった。


「そういえば忘れていました、もう一人いらっしゃることを。
お名前は……はて、なんでしたでしょうか? 宜しければ教えてください」


そして光秀の問いに音の主は応える。
決して早口ではない、それでいて遅くもない。
平凡そのものを貫く口調で彼は口を開いた。




「黒桐――幹也」


黒の短髪に黒ぶちの眼鏡ぐらいしか特徴のないその青年は己の名を言葉に変えた。




◇     ◇     ◇

231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:10:42 ID:haSzGrNW
 
232狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:11:39 ID:htSztQ1v
気がつけば夢から覚めたようだった。
どうにも記憶がない。
そう、青い衣装に身を包んだ女の人と出会ってそれからの記憶が……ごっそりと。
僕、黒桐幹也はたしかに遺跡の調査をしていた筈だった。

しかし、今の僕を取り巻く景色は遺跡のそれとは違っている。
何かの入口に立っていることから、僕は見張りの役をしていたのかもしれない。
だけど理由がわからない。
不審に思い、もう少し周囲に視線を回すと奇妙な骸骨が転がっていた。
さすがに驚きはしたものの僕の意識は別の方へ向いていた。
入口の先、なんらかの施設の中から大きく分けて二つの声が聞こえたから。
それも片方、女の子の方は明らかに様子が可笑しかった。
だから僕は入口から入り、そして目の前に広がる光景を見て、
今、この異質な状況に直面しているわけだ。

「黒桐殿ですか。いやいや、何も言わずに立ち去れば助かったでしょうに……実に勇敢な方ですねぇ」
「そんな立派なものじゃないですよ……多分ね」

そう、きっと褒められたことじゃない筈だ。
少なくとも僕はあの青の女性と、互いに肩を抱き、震え合っている二人の女の子はよく知らない。
だから本当のところ彼女達が死のうとも僕に直接的な関係はない。
生き残りを選ぶなら、この人が言うように直ぐにでも逃げ出すべきだったんだろう。

でも、結局僕はここに残る事を決めてしまった。
僕の行動は甘いと言われるだろう。
だけど、逃げたくなかったのかもしれない。
彼女達を護る。そういう理由ではなく中途半端な願いがあった。
ろくな力がなくても反抗の意思は曲げたくはない、と。

233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:11:45 ID:haSzGrNW
 
234狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:12:48 ID:htSztQ1v
「ふふっ、謙遜するのですねぇ。まあいいでしょう、どちらにしろ同じことですので」


謙遜なんかじゃない。
ただ、聞こえのいい言葉で飾っているにしか過ぎない。
女の人は既に事切れているようで、赤い鮮血が嫌でも目に入る。
うつ伏せに倒れているところから傷は見えないが、それでも慣れない光景だ。
膝がガクガクと震えているであろう僕はみっともなく見えるに違いない。

二人の女の子には申し訳なく思う。
僕なんかじゃなく、もっと頼りになる人ならよかっただろうに。
それでも僕は、人が死ぬ瞬間はもう見たくなかったんだと思う。
僕にとって名前も知らない、本当に見知らぬ女の子であっても変わらない。
理想だけでは何も救えないことはわかっていても、僕は足掻きたかったのかもしれない。
たとえそれが予想出来る中で最悪の結果を引き起こすことになっても。
僕はほんの少しの時間を稼ぎたかったのだろう。


「……あなたはどうして殺すんですか」
「愉しいからですよ。それ以外に求める理由はありません」


意味がない問答であると自分でもわかる。
疑いようはない。この人は乗っている。殺人ゲームに、この殺し合いに。
僕とは違う価値観を持って、それに従って生きている。
彼の殺人衝動はきっととても強い。
残念だけども僕にはそれを止める手段はない。




「もうよろしいでしょうか――では、さようなら」




一迅の風が僕の身体を叩きつけ、熱い感触が過ぎ去っていった。

235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:12:58 ID:7p4+MxZN
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:13:01 ID:haSzGrNW
  
237狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:13:30 ID:htSztQ1v
あ――だめだ。
世界が反転する。
背中から倒れこむ。
胸が熱い。
胸にあてた手が生温かい。
真紅というべき赤は実に目に痛い。
同時に肉体的な痛みがどうしようもなく僕に訴えかける。

でも、僕は大声どころか一声も出せない。
喉からはヒューヒューとどこか間の抜けた音しかしない。
みっともない男だと思う。
ろくな考えもなしにあっけなく胸を一文字に斬られてしまった。

ただ死んでほしくはなかった。
どんな理由があれ、殺人は間違っている。
だからこんな風に自分の命を落とすことになっても、
これ以上人が死ぬのを見ずに済むと考えれば少しは気が晴れるだろうか。


考えてみれば酷く自分よがりな考えだ。
僕が死んだ後、きっとあの女の子達も少なからず動揺する。
気にしないで、と一言言ってやりたいがそれすらも叶わない。
勝手に出ていき、勝手に斬られ、そして勝手に死んでいく。
彼女達にとっては堪ったもんじゃない。
けどもやはり彼女達と僕は他人同士だ。


だから申し訳ないけど――僕は最後の思考を、彼女のために費やしたいと思う。

238狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:14:19 ID:htSztQ1v
(式……)


両義式。
常に和服を着こみ、その上には革のジャンパーを羽織った少女。
彼女は今、どこで何をしているのだろうか。
また夜の街を徘徊し、いつも通りに過去の自分を辿っているのかもしれない。
気がかりなことは一つ。
彼女が殺人をしていないか。
いや、殺したい相手――外れてしまった参加者に会っていないかということ。

出会ってしまえばきっと式は殺しにかかるだろう。
巫条霧絵や浅上藤乃と出会った時のように。
それだけは――駄目だ。
人が死ぬのは嫌いだ。
でも、それ以上に僕は式に人殺しはして欲しくはない。
たとえ式が人を殺そうとも、僕は死んだ人よりも式が殺人を犯したという事実の方を悲しむだろう。

酷い考えだとは思う。
だけどそれでも僕は式を――。

きっとその感情に間違いはない。



「あは、もう終わりですか……残念ですねぇ。何か言付けがあるのであればこの私がお伝えしますが」


目の前の男がここに来て不可解な気遣いをくれる。
きっと特に意味はないんだろう。
僕は男の言葉に関心を寄せるのは止めた。
思う事は式、そして彼女への謝罪だけだ。

239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:14:43 ID:haSzGrNW
 
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:15:10 ID:UIJ4n117
コクトーさんorz
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:15:28 ID:cKkYDFrq
 
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:15:38 ID:vMMTSDbv
 
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:15:40 ID:haSzGrNW
 
244狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:15:58 ID:htSztQ1v

式は浅上藤乃との殺し合いで一つの罪を負った。
そして僕は言った。
式の罰は、僕が背負ってやるよ、と。
だけどその言葉は嘘になってしまった。
僕はもう、これ以上式の傍に居る事は出来ない。
彼女の声を聞くことも、彼女の横顔を隣で眺めることも叶わない。
そう思えば自然に悔しさがこみ上げた。
これから死ぬっていうのに、自分の死がとても軽い事実のように思えた。
死にたがっていたわけじゃない。
ただ、やっぱり僕は式のことが――好きだから。
好きだから彼女には人を殺して欲しくはないし、こんなにも彼女のことを考えてしまうんだと確信した。



だんだんと意識が薄れてきた。
そんな時思う。
式がもし人を殺してしまったら僕はどうするか、と。
考える時間はいらない。答えは決まっているのだから。
勝手なやつだと思われるかもしれない。
だけど、これだけは譲れない。
僕は、式がもし人を殺してしまったら――





「式……僕は君を――」




そこで僕の意識は深い闇に沈んでしまった。





◇     ◇     ◇



245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:15:59 ID:/DYZFYIn
 
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:16:20 ID:vMMTSDbv
 
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:16:36 ID:P1x/4q7y

248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:16:48 ID:haSzGrNW
  
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:17:01 ID:vMMTSDbv
 
250狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:17:14 ID:htSztQ1v

「式……ふむ、そういえばあの少女はそのような名前でしたね。
わかりました。今度お会いした際にあなたのことを伝えておきましょう。
あなたがあの少女に送りたかった言葉……それはけっきょくのところ、わからずじまいでしたが」


倒れ伏した黒桐の遺体を前に、大剣を染めた鮮血を光秀は綺麗に舐めとった。
浮かべる表情には紛れもない笑みが咲き乱れている。
依然として光秀の全身は快感の波に揺れている。
やはり他者を殺すことは気分がいい。
ろくな抵抗を見せなかった黒桐だがそれでもある程度の満足感はあった。
しかし、まだまだ御馳走は残っている。
次の獲物に取り掛かろうと、光秀は黒桐に背を向けた。

「う、うああああああああああああ!」

そんな時、大きな叫び声が響く。
見れば律が光秀の方に向かって駆けだしている。
それも無手ではない。
両手で一本の刀、九字兼定をしっかりと握っている。

(怖い。怖いけど……キャスターさんと幹也さんが、この変なやつに……!)

光秀が醸し出す雰囲気はあまりにも異常だ。
普通の女子高生である律にとって異質でしかない。
だが、二人は死んでしまった。
自分に優しく接してくれたキャスターと黒桐の二人が。
だから実際に手を下した光秀をどうしても許せなかった。
なけなしの勇気で、恐怖で竦みそうな両足に発破をかけて、
一度も使ったことのない武器を手にもって、そして律は走っていた。
澪が何かを叫んだがもはや律には聞こえていないようだった。
その速度は速く、律は直ぐに光秀との距離を詰める。
しかし、それはあくまでも一般の女子高生に比べて速い程度のもの。
戦国の乱世を生きる武将にとってはあまりにも遅い。



「あ――」

律の目の前で光秀の大剣が一閃した。
同時に律の視界は下へ揺れ、いきなり身体を支えられなくなった。
直ぐに自分がくずれ落ちたことを律は知る。
だけどまだ諦めきれない。
痛い。泣きたいぐらいにずきずきと痛い。
あの二人が感じた痛みはこんなものじゃないだろうから。
もう一度踏ん張って、今度こそ――そんな時、律はようやく気付いた。
上手く立てない。なんというか安定しない。
支えが一本足りない。
思わず自分の下半身に目をやって、そして何も言えなくなった。
何故ならそこにはあるべきものがなく、少し離れた場所にあったのだから。


251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:17:57 ID:vMMTSDbv
 
252狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:18:10 ID:htSztQ1v

「ひっ――」
「いいですねぇ。そのお姿、実に私を昂ぶらせてくれます」

更に光秀は剣を振るう。
再び生じるものは強烈な一閃。
それは律から二つあるうちの一つを持っていく。
すっぱりと切れた傷口からは赤が漏れ出し、律の周囲を鮮やかに彩る。
そこに律の言葉にならない叫びが合わさり、そこに居る者の知覚と聴覚にその惨状を事細かに伝えた。

「り、律……?」

目の前で人が死んだショックで動けなかった澪が小さくつぶやく。
両目を見開き、さも信じられないような眼つきでただ前を見ている。
今まで、そして今起きている事が澪には信じられない。
律の右脚が切られ、左の二の腕すらも斬り飛ばされ、
彼女が血みどろの中で足掻いている光景など認めたくはなかったのだから。
そんな時、明智はゆっくりと目線を動かす。
もはや虫の息にも近い律ではなく澪の方へ。
視線を受け、思わず後ずさりする澪に対し、光秀はあっけらかんと口を開いた。



「そうだ、澪殿、あなたには一風変わった銃を与えたはずです。
それで律殿を殺してください。そうすればあなたを殺しはしませんよ。
なに、軽い一興です。固くならないで、力を抜いてやってくだされば結構ですので――」


あまりにも気軽に、さも何でもないかのような口振り。
だけども口にする内容はおぞましく、正気のものとは思えない。
何も言葉が出ない。しかし、向こうはお構いなしに話しかけてくる。



「さぁ! やってみせてください澪殿! 近しい者により死に逝く少女の断末魔……ああ! 実に甘美な香りが今からでも私を惑わしてくれそうですよッ!!」



澪には目の前に居る存在が同じヒトとは信じられなかった。



◇     ◇     ◇


253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:18:41 ID:vMMTSDbv
 
254狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:18:53 ID:htSztQ1v

秋山澪は軽音部に所属する普通の女子高生だ。
殺人などはニュースで見知ったりするものの実際に直面したことはない。
ましてや自分の命と友達の命を天秤に掛ける経験などある筈はない。

「わたし、わたしは……」

律を助けたいと思う。
当然だ。自分達は友達なのだから。
でも澪はまるで棒になったかのように一歩も動けなかった。
人見知りで、人一倍痛みを怖がる澪にとって今の明智は恐怖の対象でしかない。
いっそこの銃で明智を撃てば――そう思っても足りないものが多すぎる事に直ぐに気付いた。

先ずは覚悟だ。
自分が銃を、人の命を奪うなど今まで考えたこともない。
銃を撃つ感触、そしてその先に広がるであろう光景を想像するだけで血の気が引いてくる。
たとえ自分の命が危ない状況であっても、引き金を絶対に引けるとは言い切れない。

次に自信だ。
射的部でもない澪はもちろん射撃はずぶの素人だ。
間違って律に当たってしまっては目も当てられない。
運よく当たったとしてもあの明智がそれだけで怯むのだろうか。

そして何よりもただ、純粋に澪は怖かった。
明智に立ち向かう勇気が澪には持てない。


「ああ、それと言っておきましょうか。
もしそれを私に向けたりでもしたら――わかりますね?」


ゾッとする。
背筋が凍りつき、悪寒が一瞬で澪を支配する。
逆らえない。この人には絶対に逆らえないと確信できる。
この人に向かって銃を撃つなんて絶対に無理だ。
きっとそのあとに直ぐ殺されてしまう。

じゃあ自分は言う通りに律を殺すのだろうか。
死にたくはない。自分も律達のような目には遭いたくない。
実際、律の怪我は明らかに酷い。
自分が何もしなくても――ふと律と目があった。

思わず目を背けたくなる。
一向に動きを見せない自分に律は怒っているんだろう。
だってこうしている間に律の身体からはどんどんと血が流れ出ている。
ごめん。でも、直ぐには決められないんだ。
声には出せずに、ただ、泣きそう顔を浮かべることで澪は心の中で律にひたすらに謝る。
そんな時だ。苦しそうに顔を上げ、律が口を開いた。

255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:19:38 ID:vMMTSDbv
 
256狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:19:56 ID:htSztQ1v
「……気にするなよ、澪。わたしのことはいいから……はやく――逃げろ!」

びっくりした。
律の口から出た言葉は自分への非難を示すものではなかった。
あんなに痛そうなのに律は自分の事を気に掛けている。
自分は何も痛むところはなく、明らかに律の方が危ない状況なのに。
私は自分のことだけを考える余裕しかなかったのに――

嬉しかった。
同時に恥ずかしかった。
律に比べてあまりにも弱弱しい存在でしかない自分が。
自分はもう足手まといにならないために船から出る事を決めたというのに。
これじゃあ結局変わらない。
私は律に応えないといけないと思う。


「律……ごめん、でもわたしはお前を置いてはいけないよ……」
「澪……」

でも、無理だ。
ああ、そうなんだ。
結局のところ最初から答えは決まってた。
悩む事は――なかった筈なんだ。



「だって……いけるわけないじゃないか。このばか……わたしをばかにするのも、いい加減にしろ……」



律とはずっと一緒だった。
思い返せば律の姿はいつも自分の傍にあった。
小学校も中学校も、私がクラスの男子に苛められた時にも。
そして高校に入学して軽音部に入って様々なことをした。
忘れるわけがない。軽音部での思い出を一時も忘れるわけはない。
だから律を見捨てて逃げるなど出来るわけがない。


「律!」


涙目の目を見開き、澪は背けていた視線をまっすぐに向ける。
次に駆けだした。全力で、持っていたデイバックもかなぐり捨てて。
紡いだ言葉は友達の名前。
直ぐにでも助けなければならない彼女の元へ澪は走る。
決して運動が得意とはいえない澪だが、それでも必死に加速を掛けた。
そして右腕を突き出し、求めるものへ右手を開く。


「澪――」


一方、律の方も澪の方へ手を伸ばした。
ぶるぶると震えていることからなけなしの力を奮っていることだろう。
それでも力強く、まるで親鳥の餌を待つ雛鳥のように待っている。
掴まなければならない。
あの手は、絶対に――そう思えば自分はもっと速く走れると澪は確信した。


そんな時、再び風が吹いた。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:20:02 ID:haSzGrNW
 
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:20:29 ID:vMMTSDbv
 
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:20:43 ID:haSzGrNW
  
260狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:20:50 ID:htSztQ1v

「おや、もうしわけございません。少々、手が滑ってしまったようです」


表情を変えずに光秀がそう言葉を発する。
しかし、澪はもはや光秀の言ったことに関心は寄せていない。
ただ、澪は目前の光景に目を奪われている。
何か、ヒュンと風を切る音がした。
それはまだいい。問題はそのあとだ。
生じた音に少し遅れて、自分の目の前で飛んだものが澪にはよくわからなかった。
ボール上で、茶色がついており、見慣れたデザインが刻まれている。
赤を飛ばしながらそれは地面に落ち、ゴロゴロと転がって澪の方へやってきた。
そして――合ってしまった。澪の目と、そのボール上に空いた二つの穴のようなものと。

もう、何も光を映さない、瞳の成れの果てと視線が合ってしまった――



「しかし、さすが信長公がお持ちしていたものですね……。よい斬れ味でしょう、澪殿?」


「い、いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」




澪は絶叫を上げながら、その場に泣き崩れるしかなかった。



◇     ◇     ◇



261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:21:10 ID:vMMTSDbv
 
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:21:25 ID:haSzGrNW
  
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:21:50 ID:cKkYDFrq
 
264狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:21:54 ID:htSztQ1v

あれから何分、何十分たったのだろうか。
澪はあっけなく首を切断された律の前で今も泣いている。
自分自身も危険に立たされていることはもはや失念しているのだろう。
光秀が一歩澪へ近づく。
それでも澪は動かず顔すらも上げない。
光秀はそんな澪には一瞥をくれ、そして大剣を振り上げ、振り下ろ――しはしなかった。
剣の峰を肩に担ぎ、うっすらと微笑を浮かべている。

「あ……」
「ああ、やはり私の見込んだ通りです。澪殿、あなたの泣き顔は実に愉快だ。
私が憎いでしょう? もっと私を憎んでください、憎しみもまた格別ですからねぇ」

屈みこみ、澪の顎に手を掛け、彼女の顔を覗き込み、光秀が狂気じみた笑みを見せる。
光秀にとって律の命も澪の命も取るに足らないものだ。
重要なのは如何に惨たらしく、他者に絶望を与える事が出来るかということ。
そのために光秀はすぐさま律を斬殺してみせた。
自分の行動のせいで友人が死んだ澪の反応を楽しみたかったためだ。
結果は上々。言葉こそは出せないものの、澪からは抑えようのない悲しみが見える。
ここでじっくりと殺してしまえば、この可愛らしい顔は更に愛おしく歪むだろうか。
殺すことも考えるが、光秀は他の考えが思いつき、澪から手を放した。
それは悪魔の誘い。実に無責任な話だ。

「ですが安心してください、澪殿。あの帝愛グループなる者達は言っていたではありませんか。
褒美には死者の復活もあると……ならば生き返らせてあげればいいでしょう。
律殿をあなたの手で、及ばずながらも私も手助けしましょう。
なにせあなたは何もせずとも勝手に人数が減っていくのですからねぇ……損はさせませんよ。
あなたは私の行動に一切口を挟まず、私が必要だと感じた時に動いてくれればいいのですから」

律を殺したのは光秀だ。
だけども光秀は澪に律を生き返らせるように話しかける。
矛盾している。だが、澪はそこを突くことは出来ない。
何故ならそんなことを言えば、光秀は直ぐにでも自分を殺すと予想出来るためだ。
故に澪はただ沈黙をするしかない。
両目で拒否の意思を示しても、恐怖を骨の髄まで染み込ませられてしまったため身体が動かない。
そして死者の復活――考えもしなかったことが何故だか澪の意識を支配していく。

「律は……律は私のせいで死んじゃった……だったらわたしが……」

後悔する。
何故自分はこうまで最悪な結果を招いてしまったのか。
今となっては思える。
あの時、律が光秀に斬りかかった際に自分も銃を向ければよかったのではないか、と。
二人がかりでとうにかなったとは絶対には言い切れない。
それでも自分は律と共に動くべきだった。
それにどうせ死ぬ事になるなら律と一緒の方が――今となってはもう後戻りは出来ない。

だからこそ思う。
律は自分のせいで死んだ。
恐怖に怯え、最後まで行動を取れなかった自分のせいで律は死んだ。
だったら彼女が再び生き返る可能性があるなら、自分は全力を注ぐべきではないか。
いまだ他人を殺せるかどうかはわからない。
だけども律を生き返らせるという目的が澪の意識に深く根付き始める。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:21:59 ID:vMMTSDbv
 
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:22:12 ID:haSzGrNW
   
267狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:23:05 ID:htSztQ1v
しかし、問題はある。
いまだ踏み切れない理由は本当に約束は守られるかということだ。
死者の復活など、いまどき小学生でも信じないだろう。
一度死んだ人間は何があっても生き返らない。
覆しようのない常識だ。
でも、結局のところそれは澪にとって澪の世界での常識に過ぎない。
この異質な状況であれば、殺し合いを強要されるこの状況ならばその常識は果たして通用するのだろうか。
一抹の疑問。律が死んだショックから思わず考えてしまった推測。
それが渇望にも疑問であることに澪自身気づいてはいない。
だが、光秀はまるで澪の意図を読み取ったかのように口を開いた。

「それと言っておきましょう。私は一度死んだ身です。
帝愛グループが私を再びこの地に招いてくれたのでしょう……わかりますか、この意味が?
一度死した私がこうしてあなたと話し、そして人を殺している――そう、可能なのですよ。
死者が生き返るという稀なき奇跡はこの地で確かに……!」

光秀は嘘を言っている。
彼は実際のところ未だ死んではいない。
存命中のところを連れてこられ、光秀自身もはっきりと認識している。
それは澪の揺さぶりのため。
澪を生かすことで、更なる彼女の悲しみを引きだすための仕込み。
そう、全ては自身の愉しみを増やすための行動でしかない。

そして光秀の言葉は確かにに澪に届いた。
魅惑的な内容。光秀は信じられる男ではないが澪には彼が嘘をつく理由はないと考えている。
何故ならそこまでして自分を陥れて、光秀にメリットがあるとは思えなかったから。
普通の人間であるために異常者である光秀の趣向は澪には理解できない。
だから澪は、やはり嘘だとは思えなかった。
いや、もしくは逃げたかっただけなのかもしれない――。


「……死んだ人は、生きかえ……る…………?」


澪はようやく顔を上げた。上げてしまった。
視線の先にはこれから待ち受けるであろう喜びに笑いを隠せない、光秀の顔があった。




◇     ◇     ◇

268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:23:20 ID:vMMTSDbv
 
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:23:21 ID:haSzGrNW
  
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:23:24 ID:7p4+MxZN
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:24:05 ID:vMMTSDbv
 
272狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:24:19 ID:htSztQ1v
「さて、ではこれで準備が整いました。お乗りください、澪殿」

全身に浴びた血しぶきを器用に舐めとった光秀が、馬の前に立ち、口を開く。
デイバックは回収済みだ。四人分のデイバックを一つに纏めてある。
九字兼定はデイバックから出し、光秀自身が持っている。

「わ、わかりました……」

一方、澪の方はというと明らかに生気を失っているほかに服装が変わっている。
律が持っていたコスプレセットの中から一つを拝借したためだ。
元々着ていた制服は律の血で汚れており、光秀が着替えを勧め、今に至っている。
一応念のためにニードルガンとモンキーレンチは光秀に没収されており、今の澪は無防備にも等しい。

(ごめんみんな……そして律、本当にごめん……)

律の蘇生。ただ、それだけを目的とし澪は光秀についていくことを決めた。
だが、実際はもはや選択肢のない決断だった。
自分では光秀に叶うわけがない。
いつ彼の気まぐれで殺されるのかわからない。
そんな恐怖に怯えてずっと生きていく事になるなら、律のために生きよう。
たとえ人を殺す覚悟がなかったとしても、少しでも可能性があるならば――
律が生き返ってくれる可能性があるならば、もうそれに賭けるしかない。
だからこそ澪はただ、力なく光秀の言葉に従うしかなかった。

(ふふ、愉しませてくださいよ澪殿……私のために。
律殿が生き返るかは知りませんが……また殺すのもいいかしれませんねぇ。
もう一度、生き返った後で澪殿の前で……ふふ、楽しそうですねぇ)

もはや自分の言いなりにも等しい澪を見て、光秀は思う。
この先この少女をどうしてやろうか。
ただ殺すだけでは味気ない。
せっかく拾ってあげた命、潰れるまで有意義に使ってやるのが礼儀だろう。
なにをさせてやろうかと考えるだけで自然と小躍りしたくなる気分だ。
抵抗するようであれば直ぐにでも殺してやればいい。
その時はまた別の得物を、別の愉しみを捜せばいいだけだ。
そう、織田信長を殺すという極上の御馳走の前に前菜をたらふく食ってしまおう。
それも全て、一片も残さずに――綺麗に。


(さて、次にはどこへ向かいますか。もう彼らとの約束を守る理由はありません。
そうだ、船に残った者達を殺しにいく手もありますが……迷いますねぇ。
あの両義式やセイバーと名乗った少女たちも気になりますし。
ああ、選り取り見取りで……実に悩ましいではないですかッ!!)



かくして惨劇の場を後にし、少女を引き連れ光秀は更なる血を求めて進む。



(くふ、くふふふ、はっはははひぃっふふふハハハハッハハハッハハ! ああ、可笑しいッ!!
実に良い気分です! 生きている事をここまで嬉しく思えるとは……素晴らしいッ!!)





彼がどこへ行きつくかは、彼自身を含め、今のところ誰にも知る由はなかった。

273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:24:25 ID:SB95bsDh
さるか?
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:24:39 ID:haSzGrNW
   
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:24:53 ID:vMMTSDbv
 
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:24:59 ID:P1x/4q7y

277狂風 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:25:14 ID:htSztQ1v


【キャスター@Fate/stay night:死亡確認】
【黒桐幹也@空の境界:死亡確認】
【田井中律@けいおん!:死亡確認】
【残り46名】





【C-5/神様に祈る場所/一日目/午前】

【明智光秀@戦国BASARA】
[状態]:ダメージ(中)、傷は応急処置済み
[服装]:上下黒のスーツに白ワイシャツ
[装備]:信長の大剣@戦国BASARA、武田軍の馬@戦国BASARA 、九字兼定@空の境界
[道具]:基本支給品一式×4 ランダム支給品0〜2個(未確認) 、バトルロワイアル観光ガイド 、下着とシャツと濡れた制服、
ブラッドチップ・2ヶ@空の境界、桜が丘高校軽音楽部のアルバム@けいおん!、モンキーレンチ@現実、ニードルガン@コードギアス 反逆のルルーシュ
[思考]:前菜を片っ端から頂く。
1:殺しを行いながら澪を更に絶望へ追い込む。
2:信長公の下に参じ、頂点を極めた怒りと屈辱、苦悶を味わい尽くす
3:信長公の怒りが頂点でない場合、様子を見て最も激怒させられるタイミングを見計らう
[備考]
※エスポワール会議に参加しました



【秋山澪@けいおん!】
[状態]: 精神的ショック(大)
[服装]: さわ子のコスプレセットの内の一着
[装備]:
[道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実、 さわ子のコスプレセット@けいおん! 桜が丘高校の制服@けいおん!
[思考]
基本:もう一度律に会いたい。
1:今は光秀についていくしかない。
2:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒
3:死者は蘇る……?
[備考]
※本編9話『新入部員!』以降の参加です
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※光秀が一度は死んだ身であることを信じています。




278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:25:21 ID:haSzGrNW
  
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:25:45 ID:vMMTSDbv
 
280 ◆40jGqg6Boc :2009/12/10(木) 00:26:00 ID:htSztQ1v
投下終了しました。
支援どうもありがとうございます。
なにかあればお願いします。
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:26:39 ID:3n8B+p6Y
終了?
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:29:17 ID:haSzGrNW
キャス子一家全滅!
士郎の与えた鯖の情報が悪い意味で生きたか。
コクトーも結果的に式についての情報を漏らして因縁がさらにリンク。
澪は澪でさらにやばいことに。
みーみーこんびの明日はどっちだ! GJでした。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:30:37 ID:OMiuhBRJ
ヒャッハー! やってくれたな光秀ェwwww
そうそうこういうのが見たかったんだよ。投下乙でした
284 ◆YXsVg3C.DE :2009/12/10(木) 00:30:52 ID:ZS4F17yU
【ご連絡】

アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part14
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1260106032/54

にて告知し発議議論されて一連の件を話し合いしておりました件、
書き手氏のルール、マナーに問題があり、ロワ企画参加者、そして進行全体に遅延等影響するものと鑑み

書き手◆1ZCuwzjAYc氏のサーシェス×一方通行(『決意の朝』)SSを、
残念なことですがSS内容等ではなく初回版投下時から遡って不採用ということになりました

関係ログ
ちょっとした事を質問するスレッド part2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1260197095/3-

不採用関係は218あたり、決議は245 結果は308

ですので確認閲覧の方、お願いします


なお、今後の関係キャラの再予約開始時間は議論スレにて確認願います
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:30:52 ID:fXLv/iYV
投下乙
ああああ律うううううう
なんという澪いじめw
幸村といい明智といい武将と英霊は因縁があるなぁ
まぁ前衛と後衛の戦闘とか無理w
光秀さんぱねぇ
式と光秀はまた因縁ができたなぁ
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:31:12 ID:UIJ4n117
うひゃああああああああああああああ
まさに狂風だな、こりゃ
しかしけいおん勢でほのぼのしてるの本当に唯だけになったなぁ。。。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:32:37 ID:oZ5W37lO
投下乙です。
流石光秀サディストにもほどがあるwww
澪もいい感じに追い詰められていってるし……。
今後の展開が楽しみです。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:33:14 ID:7p4+MxZN
予約時点で血を見る事になると思いましたけど、ここまでとはw
マーダー不足の中、明智にはこの調子で頑張ってもらいたい
面白かったです。乙でした
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:34:55 ID:Wwhq2ty9
投下乙
やっぱロワにおいては親友同士は目の前で死に別れてこそ王道というかなんというか

光秀は清々しいまでに外道外道やってんなあ、いいぞもっとやれ
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:37:02 ID:UIJ4n117
しかし同作品キャラが出会うと死亡フラグが立つって言う前例を破り続けている
唯と紬は結構すごいのかもしれん
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:41:33 ID:SB95bsDh
投下乙です

光秀が好き勝手にヘブンしたあwwwww
そしてけいおん勢は唯以外まともじゃなくなったなw
英霊と武将の抗争もどんどん深まって行くなぁw
いいぞ、もっとやれw
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:41:59 ID:hOtHwZKQ
投下乙
こうまでスパッと殺してくれると逆に清々しいなwww
光秀まじすげーよ
ところで今の所誰が1番殺してるんだっけ?
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:46:43 ID:UIJ4n117
>>292
光秀が四人で一気にトップ
ついでふじのんが三人、のはず
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:46:44 ID:SB95bsDh
>>292
これで光秀がトップだ
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:47:07 ID:OMiuhBRJ
今回のssで光秀が単独一位になりました。ぶっちぎりだぜ!
296 ◆rb7ZL.QpjU :2009/12/10(木) 00:47:07 ID:On1z22Jj
【ご連絡】
>>284は、投票の結果無効となりました。
末に関しては、以下のURLを参照ください。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1260197095/
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:47:36 ID:VGRxKKbh
今回で光秀トップに立ったんじゃね
2位はふじのんか
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:48:24 ID:OMiuhBRJ
317 : ◆rb7ZL.QpjU:2009/12/10(木) 00:39:50 ID:DLR8HKow

今回の投票は3分間しかなく、事前の告知もなく、正当とは言い難く、きちんとルールなどを定めてやり直すべきと思います。
しかし、意見が割れているようなので、正当かどうか投票したいと思います。時間は40分まで。反対が多かった場合、今回の可否投票は無効ということで。

提案者の自分は正当でないに一票を投じます。


318 :名無しさん:2009/12/10(木) 00:39:58 ID:l/bzTQEo
自分も正当でないに一票です


319 :名無しさん:2009/12/10(木) 00:41:02 ID:7V.hs/xg
今日議論される事は前日から告知されていた上、議論に参加していたか、
最初もしくは途中からでもスレを見ていれば自然な流れだと思います。

議論後に突然来られ、反対に変わる代替案、意見もなく反対とだけ連呼されるのはどうかと思いますよ。


320 : ◆rb7ZL.QpjU:2009/12/10(木) 00:42:28 ID:DLR8HKow
賛成0
反対2

ということで可否投票は無効となりました。
本スレで告知してきます。


321 :名無しさん:2009/12/10(木) 00:42:54 ID:hEnxYlTY
ここ数日のこのスレへの書き込み全部アク禁にしてから議論し直すに一票


322 :名無しさん:2009/12/10(木) 00:43:10 ID:9/7r19t.
荒れるからもうやめてくれ
一応これで一区切り付いたし、本スレに告知も行ってる
大体件のssが通しになったとしてもその後ひと悶着あるのは間違いないだろうが
これ以上長引かせるのはもう嫌だ。ていうか議論に参加しなかったお前らが悪い
今更どうのこうのは勘弁だぞ


323 :名無しさん:2009/12/10(木) 00:45:42 ID:l/bzTQEo
でもこれが無効というのなら、何故無効なんだ?
時間が短いからか? 事前の告知がないからか?

この投票を否定する→同様の理由であの理由であの投票も否定され無効になる。
この投票を肯定する→あの投票も正当になるが、今回の投票で無効となる。


なにがあっても否定はされないだろう。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:48:45 ID:UIJ4n117
小萌とリリーナがちと怪しいが転載

■加害者→被害者

遠藤@カイジ→透華@咲
憂@けいおん→池田@咲
カギ爪@ガンソード→カギ爪@ガンソード
梓@けいおん→久@咲
レイ@カンソード→玄霧@空の境界
藤乃@空の境界→加治木@咲
トレーズ@ガンダムW→兵藤@カイジ
憂@けいおん→安藤@カイジ
ライダー@fate→小十郎@BASARA
光秀@BASARA→プリシラ@ガンソード
荒耶@空の境界→梓@けいおん
紬@けいおん→撫子@化物語
信長@BASARA→リリーナ@ガンダムW
サーシェス@ガンダム00→ビリビリ@禁書
藤乃@空の境界→小萌@禁書
藤乃@空の境界→幸村@BASARA
光秀@BASARA→キャスター@fate
光秀@BASARA→黒桐幹也@空の境界
光秀@BASARA→田井中律@けいおん


■キルマーク数
5 BASARA
4 けいおん 空の境界
2 ガンソード(自殺含む)
1 カイジ ガンダムW 00 fate

■被害者数
4 咲
2 ガンソード カイジ 禁書 BASARA 空の境界 けいおん 
1 化物語 ガンダムW fate
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:49:19 ID:OMiuhBRJ
324 :名無しさん:2009/12/10(木) 00:45:43 ID:hmk3wBaU
さすがにいきなり無造作に反対票集めて本スレ告知とか荒らしだろう


325 :名無しさん:2009/12/10(木) 00:46:02 ID:FjrP26ME
今更何のビジョンも持た無いでゴネられても。
きちんと代案を用意して出直してもらえませんか?


326 :名無しさん:2009/12/10(木) 00:46:15 ID:9/7r19t.
>>317
ていうか投票時間10秒か
なんかもう清々しいな


327 : ◆YXsVg3C.DE:2009/12/10(木) 00:47:52 ID:Mwp8buJk
書き手◆1ZCuwzjAYc氏のサーシェス×一方通行(『決意の朝』)SSの件
本スレ他関係スレに
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1260106032/284
のように告知してあります
確認願います


それと、過去のアニロワを比較にしたくはありませんが、程度が低すぎます
今回、私に【議論中の定義】を尋ねられた方がいますが、こんなもの議論になっておりません
私のレスをごらん頂ければ分かると思いますが、つい書いてしまった部分以外、殆ど
『議論』ではなく『話し合い』と表現しておりますのに気付かれた方はいませんか?

荒らしたい、自分のことをわかってくれない他人が間違っているという主張ではなく
企画のことを考え、何か物事を決めたいならば、相応の言動、行動があってしかるべきだと思います

それぞれが勝手に意見を述べても誰もまとめてくれはしませんし他人は動いてくれません
ネット上の議論に会社の会議、もっといえば学校のHRみたいなものを求めても無駄です

>>321
それは良い提案ですね
賛同致します

301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:53:10 ID:3n8B+p6Y
投下乙

この光秀の外道っぷりは見てて逆に清々しいな
ああ、ミオが壊れてゆく……
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:56:27 ID:UfCAIC1D
投下乙
ああ、こういうキャラはやっぱ良いわ……。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 00:58:08 ID:NdUTqX7/
>>299
このコピペ作品別のキルマーク数よりもキャラ別のほうがいいな
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:05:57 ID:UIJ4n117
12人(見せしめ含めれば13人)いた一般人作品枠であるところのけいおんと咲が…
非マーダーが一気に二人に減っただと?
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:08:13 ID:nYqVdccK
黒桐はラノロワでもあっさり死んでたな
調査能力が全く発揮されなくて残念だ。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:08:22 ID:UIJ4n117
>>303
>>299のカウントでよければ

4 光秀@BASARA
3 藤乃@空の境界
2 憂@けいおん
1 梓@けいおん、レイ@カンソード、トレーズ@ガンダムW、ライダー@fate、荒耶@空の境界、紬@けいおん、信長@BASARA、サーシェス@ガンダム00
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:10:24 ID:Pt4wvR+E
乙!
光秀、何かやらかすだろうとは思っていたけど、ここまでやっちまうか。
残虐なんてもんじゃねぇ……
このロワで一番の邪悪はこいつだと思うわ。

しかし、これは式のブチ切れフラグが立ってしまったな。
もしも光秀と再戦になったら、どえらいことになりそうだ。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:16:59 ID:sEd2LHiQ
投下乙
キャス子のフラグ一気にブッ壊したな
流石光秀、外道すぐるww
3rdトップマーダーはやはりこいつか?
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:19:00 ID:NdUTqX7/
言い出しっぺの法則で
>>299から作るか

■マーダーランク
1位:4kill:光秀@戦国BASARA
2位:3kill:藤乃@空の境界
3位:2kill:憂@けいおん!
4位:1kill:梓@けいおん
     レイ@カンソード、
     トレーズ@ガンダムW
     ライダー@fate
     荒耶@空の境界
     紬@けいおん
     信長@BASARA
     サーシェス@ガンダム00
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:19:03 ID:UIJ4n117
ギャンブル船に向かえばほぼ確実にキルマーク四人追加
もし南に向かえば円形闘技場でまたもや確実にキルマーク三人追加
まさに選り取りみどりっすよ>光秀
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:24:14 ID:NdUTqX7/
第一回放送まで何気に憂が一位だったって所も地味に怖いな
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:28:27 ID:NYP6f8Zu
ありゃー・・・
キャス子も万全の態勢で臨めば光秀撃退もできたろうになあ・・・
対主催転向が逆補正になったが

なにより黒桐が惜しい
首輪調査にこいつがいないのは大きな痛手だ
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:28:49 ID:5od0Z4rN
船井組は今日の投下で光秀とムギのダブル包囲網かww
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:31:36 ID:UIJ4n117
昼まで動かないって決めちゃったからな
美穂子はこういうとき頑固だから困る
この前デートに行った時もクリスピードーナッツを食べるんだって聞かなくて
結局二時間待ちしたからな
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:32:45 ID:NYP6f8Zu
ってか、>>284 はなんだこりゃ
荒らしの仕業?
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:36:00 ID:OMiuhBRJ
避難所見てこい。面白いから
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:39:13 ID:NYP6f8Zu
いや、見に行った
集団ヒステリー同士の戦いだったw

阿呆だなぁ・・・
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 01:39:20 ID:J5/6azA+
そいつアク禁依頼されてる荒らし
スルーしとけ
319 ◆1U4psLoLQg :2009/12/10(木) 02:09:19 ID:sS03cWjA
投下乙
光秀、絶好調だなw
そして律っちゃん達は南無南無……

アーニャ・アールストレイム、ユーフェミア・リ・ブリタニア
投下しまっす
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:15:36 ID:7p4+MxZN
 
321皇女 と 考察 ◆1U4psLoLQg :2009/12/10(木) 02:16:07 ID:sS03cWjA
「やっぱり、この島には私達しかいないのでしょうか?」
「まだわからない。この奥を調べるまでは、気を抜いちゃ駄目」

薄暗い洞窟内に、二人の女性の声が反響する。
スーツを着込んだ女性と、それより身長の低い正装の少女。
ユーフェミア・リ・ブリタニアとアーニャ・アールストレイムは、[エリアF-2]にある遺跡の洞窟内を歩いていた。

征天魔王からの逃走劇を成し遂げた二人は、ずぶ濡れになった服が乾いた後、孤島の調査を開始していた。
しかし、島のいたる所を回っても他の参加者に遭遇する様子は無い。やがて調べてないのは遺跡内部だけとなった。
遺跡に繋がる洞窟内を、AKを構えたアーニャが先行する。
戦いに不慣れなユーフェミアが、その少し後ろから行きつつ後方にも注意を払う陣形だ。
ユーフェミアは、既に銃器類を自分のディバックに仕舞っている。
一応、護身用にアゾット剣を握ってるが、武器をもてあましている現状に変わりはない様だ。

「でも、この島……何だか見覚えが……」

洞窟内を見回しながら、ユーフェミアがポツリとこぼす。
アーニャがその発言を追及しようとした時、二人は洞窟の終着地点に辿り着いた。

「気をつけて、広いところに出るみたい」

長いトンネルは、突然明るく開けた空間へとその景色を変える。
アーニャが警戒を強め、周囲を隅々まで見渡したが、やはりそこにも他の参加者の姿は無い。
その代わりに、二人の目の前には巨大な石扉が現れていた。

「やっぱり……私はここに来た事があります」
「どういうこと?」

扉を見上げながらそんな事を呟くユーフェミアに、アーニャは疑問の声を投げかける。

「このゲームに巻き込まれる前、私はこの孤島に来た事があるんです。……でも、近くにあんな大きな島は無かったはずなんですが……」
「つまり、孤島の傍に新たな島を作ったか。あの島の近くにユーフェミアさ…ごめん、ユフィが知ってる島そっくりの孤島を作ったか。ってことなのかな」
「なんで、わざわざそんな事を…?」
「さあ、それは主催者に聞いてみないと分からない、意味なんて無いのかも」

そう言いながらも、内心アーニャは考えていた。何か意味が有ると。
この殺し合いの場に一つ、ユーフェミアが知る施設が有った事には意味がある。
おそらくこの遺跡は何か重要な場所だったはず。
しかしそれ以上に、アーニャには気にかかる事があった。
そのため、遺跡についての考察は、今は後回しにする。
アーニャは周囲に敵が居ない事を再度確認した後、ユーフェミアに向き直った。

「一つ、聞いてもいい?」
「え……はい、なんでしょうか?」

アーニャはユーフェミアに、確認したい事が有った。
なぜ、死んだはずの彼女が生きているのか?
彼女本人がここにいる以上、やはり生きていたからなのだろうが、万が一の可能性がある。
本人には、少し聞きづらい事なのだが。この状況でそんな事も言ってられない。
ユーフェミアが少し過去を語った。言い出すタイミングは今が最適だろう。

「ユフィ……貴女、死んだことって、ある?」

アーニャは意を決してその問いをぶつけた。
死んだと思われていた第三皇女、実は生きていたのか?それとも……。
322皇女 と 考察 ◆1U4psLoLQg :2009/12/10(木) 02:17:32 ID:sS03cWjA
「へ?それはどういう意味……ですか?」

ユフィはただ、驚いただけの様子だった。
少し質問がストレートすぎたかもしない、だがその反応で大体察する事はできた。
やはり、ユーフェミアは死んでなどいない。
これで「主催者がユーフェミアを生き返らせた」という説は否定された。
だが生きている事に疑問がある点は変わらない。
アーニャは質問を変えた。

「ごめん、間違えた、このゲームに巻き込まれる前、何をしてたの?」

遠まわしに、「どうして生きているの?」と聞いている訳だ。
アーニャはてっきりユーフェミアから、
彼女が死んだと思われたあの日から、今日に至るまでの話を聞けると思っていた。
だがその質問に、ユーフェミアは不思議そうな顔する。
何故そんなわかりきった事を聞くんだろう?といった様子だ。
そして、彼女は明らかにズレた答えを返した。

「……ご存じないのですか?行政特区日本の設立を……」
「え……、知ってる……けど……」

――『行政特区日本』
ユーフェミアが、死ぬ少し前に設立を成し遂げたもの。
だが今の質問にその返しはおかしい。
明らかに、彼女との会話にズレがある事を感じたアーニャは、
口を挟まず、ユーフェミアが自分から話しを進めるのを待った。

「その式典の直前でした……。」

そして彼女は、嬉しい様な悲しいような微妙な表情を見せる。

「やっと実現したんです……ブリタニア人と日本人が争わないですむ世界が。
 誰も傷つかない、戦争の無い世界が来ると信じていたのに……。それが突然、こんなところに連れて来られて……」

ユーフェミアは自分の理想、そして行政特区日本の意義を語った。
その内容は、アーニャが聞いていた虐殺皇女の話とは随分違う。
最低でもアーニャには彼女が日本人を騙して、殺す腹だったようには見えない。
あの式典で一体何があったのだろうか。
しかし、今重要なことはそれではない。
行政特区日本の式典直前に、この場に召還されたと彼女は言う。
どう考えてもおかしい、時間軸が狂っているとしか思えない。
これが指し示す事実は一つ。

――ユフィは過去の時系列から来た、ということ?

アーニャは最初、ユフィが生きて此処にいる理由に関して二つの可能性を考えていた。
一つ目、彼女の死は偽りであり、実は生きていて、ここに連れて来られた。
二つ目、もしくは……本当に信じられない事だが、死んだ彼女を主催者が生き返らせて、ここに連れて来た
そのどちらかだと考えていた。

しかし、実際はどちらでもなかった。
確かに彼女は死んでいない。
しかし、この時代に生きてもいない。
つまり過去から「タイムスリップさせられて」来たと言ったところだろうか。

――もしかして……『死者の復活』ってそういうことなの?
323皇女 と 考察 ◆1U4psLoLQg :2009/12/10(木) 02:19:22 ID:sS03cWjA
生前と何一つ変わらない姿の第三皇女を、まじまじと見つめながらアーニャは考える。
主催者の言う『死者の復活』とは『死人を生き返らせる』ことではなく、『死んだ人間をタイムトラベルさせること』ではないか、と。
死人が生きていた時代へタイムスリップし、その人を連れて現代に戻る。
これも結果だけ見れば、立派な『死者の復活』だ。
自分がこの地で出会った明らかに文化の違う人達も、もしかすると遠い未来や過去の人達なのかも知れない。

――結論を出すのはまだ早い……かな

だが、まだ他にも説はある。
これも荒唐無稽な話だが、彼女はやはり生きていて、記憶だけが過去の物。といった可能性も残されている。
しかし主催者が死者蘇生か、それに準ずる力を持っている事はこれでほぼ確定だろう。
ユフィの存在がその証明となる。



私は考えた結果、『行政特区日本』の顛末やユフィの死については黙っておく事にした。
そもそも、「あなた実は死んでます」などといきなり言われて、信じられもしないと思う。
それ以上に、この現状で余計な心労を彼女に与えるわけにもいかない。
そのあたりの事は、後でスザクと合流できたときにでも話し合うとして、今は目の前の遺跡の調査を済ませる事にした。

「それにしても何?この扉……」
「分かりません、お兄様なら何か知っているのかも知れませんが……」

私とユフィは話しながら巨大な扉の前へと近づいていく。
当然周囲への警戒も怠らないが、ほとんど敵はいないと確信していた。

「シュナイゼル殿下……でも彼は今、ここに居ない」

そう言いながら私が扉に触れた時だった。

「…ッ…ぐっぅ!!」

突然、強烈な頭痛が私を襲った。
その不意打ちに、立っている事が出来ない。
扉に触れた手をそのままに、地べたへと崩れ落ちる。

「アーニャ?大丈夫?!」

いきなり座り込んだ私に、ユフィが心配そうに駆け寄って来るのが見えた。

「大丈夫……」

それを手で制し、頭を抑えながらゆっくりと立ち上がる。
痛んだのは一瞬だけで、もうすでに頭痛は引いていた。
だが、代わりに疑問が私の脳内に広がっていく。
自分がこの島で幾度も感じる頭痛、そして覚えの無い記憶。
それらに対する疑問が次々と湧き上がってくる。
あの逃走劇で忘れかけていたが、これも考えなくてはならない重要な事だ。
『リリーナが死ぬ瞬間』
あの記憶は本物だったのだろうか?
私はそれが起こった時のことをはっきりとは認識していない。
だが彼女が死ぬ光景が、私の記憶の中にはある。
現に、リリーナは放送で呼ばれていたらしい。
『リリーナ・ドーリアン』
思うところはある。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:19:32 ID:7p4+MxZN
 
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:19:58 ID:3n8B+p6Y
もう寝ようかと思ったときに投下とは……支援
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:22:43 ID:7p4+MxZN
 
327皇女 と 考察 ◆1U4psLoLQg :2009/12/10(木) 02:24:07 ID:sS03cWjA
彼女にはもっと聞きたい事があった、それに会わせたい人もいた……。
しかし、死んでしまったのならば、それらはもう叶わない。
そして彼女の事より優先して考えなければならない問題が、自分にはある。

リリーナへの思いはいったん打ち切り、今は自分の事を考える。
彼女が死んだ時、私はどうなっていたのだろうか?
今まで記憶が飛ぶ事は何度も有った。
だが今回は飛んでいるはずの記憶がおぼろげながらも残っている。
こんな事は、今までに無かった。
リリーナが死ぬ光景、その場に居た四人の人物。
征天魔王
咆哮する巨人
巨大な鎧武者
実直そうな青年
それとリリーナが死ぬ場面には居なかったが、もう一人金髪の男も居たような気がする。
これらの人物との会話の内容は思い出せない。
しかし、そのときの私は確かに意志を持ち、彼らと関わっていた。これだけは確かだ。
彼らに会って確かめなければならない。そのときの私がどうなっていたのかを。
そうすれば、私の記憶が不安定な理由も、明かされるかもしれない。
話を聞くとしたらやはり、あの青年だろうか?

「そろそろ、ここから出る」
「そうですね、やっぱり何も無いみたいですし……」

行動するのなら、迅速に動くべきだ。
こんな袋小路で逃げ場の無い洞窟に、いつまでもぐずぐずしている訳には行かない。


アーニャは焦っていたわけでは無いが、心にゆとりが有った訳でもなかった。
だからだろう、扉付近の隠し通路に気づくことなく、二人は遺跡を後にした。

遺跡の調査を終え、砂浜へと戻ってきた二人は、
再び島に戻り政庁を目指す為、ボートを使う事に決めた。
しかしここで、一つ問題が発生した。

「うーん、どうしたらいいんでしょう?」
「しかたない、置いていく」
「やっぱり、そうするしかないのでしょうか?」
「このボートは人間三人分が限界、これの体重は無理」
「……仕方がありませんね」

砂浜から出航しようというボート。
それに二人は既に乗り込んでいる。
しかし、その二人を寂しげな視線で見つめるものがあった。

馬である。
彼女等と共にこの孤島へと流れ着いていた伊達軍の馬は、
この孤島に置いて行かれることになった。
仕方が無い事だ、彼女等が乗るボートは人間三人を乗せるのが限界。
戦場を駆けるように育てられた、筋骨隆々な伊達軍の馬は完全に体重オーバーだ。
無理に乗せれば船が沈んでしまう。
よって、ここまで運んでくれた手前忍びないが、この孤島に置いて行かざるを得なくなったわけだ。
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:26:23 ID:7p4+MxZN
 
329皇女 と 考察 ◆1U4psLoLQg :2009/12/10(木) 02:26:36 ID:sS03cWjA
「ごめんなさい。全て解決したら、必ず迎えに来ますからね」
「出発する」

アーニャが宣言し、ボートを走らせ始める。
まず二人は南下を開始した。
ユーフェミアは政庁を目指すと言っている。
ならば、問題は何処から上陸するかだ。
最短距離ならエリアF-5だが、すぐ隣は禁止エリア、危険な様子ならば避けたほうがいい。
回り道するのも一つの手だ。
今のアーニャがすべき事はユフィの保護と、スザクとの合流。そして自分の身に何が起きているのかを確かめる事。
これからの事に考えを巡らせながら、アーニャはボートを走らせ続けた。



やはり、事はそう簡単にはいかないものだ。
私は現状を整理しながら、次の手を考える。
思考エレベータは停止していた。
アーニャが扉に触れたとき、一瞬だけ彼女の体を支配下に置き、接続を試みたが失敗に終わった。
考えてもみれば当たり前の話、主催者側が外部と連絡可能な施設を自ら配置するはずが無い。
これで振り出しに戻ってしまった。
だけど、諦めるわけにはいかない。どうにかして思考エレベータを復旧させる方法はないものか。
思考エレベータ以外にも、夫と連絡をとる方法は無いのものか。
それらの手段を、これから探さなければならない。
そのためにはユーフェミア、早くこの子からは離れなければ。
このゲームの参加者は大半が日本人だ。
それらと出会う度に彼女の『ギアス効果』が発動していてはこちらの身が危ないし、なにより私が消えてしまいかねない。
上陸後は、なるべく早くこの体を支配下に置き、ユーフェミアから距離をとる。
迅速な行動が必要だ。
アーニャが私の存在に気づく兆しを見せ始めている。完全に知覚されては非常に厄介な事になるだろう。
もう、手段を選んではいられないわね……。



【F-1/ボート上/一日目/午前】




【アーニャ・アールストレイム@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:健康
[服装]:ラウンズの正装
[装備]: AK-47(30/30)
[道具]:基本支給品一式、ベレッタの予備マガジン(4/4)、AK-47の予備マガジン×2(7.62mm弾)、麻雀牌×3、
ベレッタM92(7/15)、おもちゃの兵隊(0/30)@とある禁書の魔術目録、アーニャの携帯@コードギアス 反逆のルルーシュR2
[思考]
基本:主催者に反抗する。
1:さて、どこから上陸するか。
2:ユフィを護衛し、スザクと合流する。
3:とりあえず政庁に向かう
4:青年(刹那)に会って、記憶を失っている時の自分について話が聞きたい
[備考]
※リリーナの死をぼんやり認識しています(アーニャ)。
※不??完全ながら交代直前のマリアンヌの記憶と同期しました。
※主催者は過去もしくは未来に行く力を有するのではないかと考察中です。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:27:00 ID:3n8B+p6Y
支援
331皇女 と 考察 ◆1U4psLoLQg :2009/12/10(木) 02:27:41 ID:sS03cWjA
?マリアンヌの思考
基本:C.C.と合流したい
1:ギアスの回復を待つ
2:ユーフェミアから離れたい。
3:思考エレベータの復旧方法を探す
[備考]
※少なくとも21話より以前からの参戦です。
※マリアンヌはCの世界を通じての交信はできません。
 また、マリアンヌの意識が表層に出ている間中、軽い頭痛が発生しているようです。
※意識の上位はマリアンヌであり、マリアンヌはいつでもアーニャと交代することができます(その度に頭痛の頻度・強さは増す)。
※『ギアス能力者の制限』と『ギアス自身の制限』が存在し、ギアスによる存在であるマリアンヌは『ギアス能力者の制限』として頭痛、
『ギアス自身の制限』として発動しているギアスに接近すると激痛を感じ、時間が経てば経つほど弱体化し、最悪消滅します。


【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:健康、決意
[服装]:さわ子のスーツ@けいおん!、
[装備]:アゾット剣@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、H&K MP5K(SMG/40/40発/予備40x3発)@現実、H&K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数2/12発/予備12x2発)@現実、豪華なドレス
[思考]
基本:他の参加者と力を合わせ、この悪夢から脱出する。自分にできる事をする
特殊:日本人らしき人間を発見し、日本人である確証が取れた場合、その相手を殺害する
1:偽ゼロの存在を全参加者に知らせる
2:政庁で放送施設や通信施設を探し、全参加者に呼びかける
3:殺し合いには絶対に乗らない
4:アーニャの頭痛が少し気がかり
[備考]
※一期22話「血染めのユフィ」の虐殺開始前から参戦。
※ギアス『日本人を殺せ』継続中。特殊条件を満たした場合、ユフィ自身の価値観・記憶をねじ曲げ発動する。
 現在は弱体化しているため、ある程度の意識レベルで抵抗すれば解除可能。
 今後も発動中に他の発動しているギアスと接近すれば弱体化、あるいは相殺されます。時間経過により回復。
 会場において外部で掛けられたギアスの厳密な効果・持続期間に影響が出ているかは不明。
※ギアスの作用により、ヒイロのことは忘れています。
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:28:16 ID:7p4+MxZN
 
333皇女 と 考察 ◆1U4psLoLQg :2009/12/10(木) 02:32:53 ID:sS03cWjA
二人の女性を乗せた小船は徐々に遠ざかって行く。
自分はそれを見送った後、一つ溜息をついた。
邂逅はほんの短いひと時だったが、あの極楽浄土を自分は生涯忘れないだろう。
ただの馬では本来味わう事のできなかった幸福を、図らずとも与えてくれた事に感謝する。
だが口惜しい事だ、自分は今後この恩義に報いる事が出来ないのだから。
ならばせめて、祈らせて頂くとしよう。
彼女等にご武運を、と。

…………。
……………。
…………………。


……寂しいな。

【F-2/孤島/一日目/午前】

【伊達軍の馬@戦国BASARA】
[状態]:ボロボロ、孤独状態
[思考]
基本:誰にでも従う。乗った人をできるだけ落とさないようにする。
0:……暇だ。
1:次にこの島にやって来た人が、自分を必要とするならば従う。
2:正直辛い
3:乗せるのならやっぱ女の人がいい。
[備考]
※バイクのハンドルとマフラーっぽい装飾類を失くしました。見た目では普通の馬と大差ありません。しかし、色々な意味で「馬イク」です。
334 ◆1U4psLoLQg :2009/12/10(木) 02:34:13 ID:sS03cWjA
以上で投下終了となります。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:36:56 ID:3n8B+p6Y
投下乙

アーニャが色々と気付きはじめてるな
馬イクの思考欄が引き継がれてるwww
まあ面白いからいいけど
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:39:17 ID:hOtHwZKQ
投下乙
馬イクざまぁwww
誰も孤島に行かなかったら餓死しちゃうな
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 02:41:04 ID:7p4+MxZN
投下乙です
馬イク置いていかれたwww
今後、彼に再びスポットライトが当たるときは来るのか…
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 04:16:42 ID:mxKgrjzc
馬イクなら泳げる気がしないでもないw
339試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:47:38 ID:iFrWKY3n
開司、幸雄、真宵、衣……投下する…っ!
340試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:48:23 ID:iFrWKY3n

かのタイタニック号を思わせる豪華客船、エスポワール号。
海原に浮かぶ希望の箱とでも言える、その人の欲望と技術が生み出した産物は、人々の羨望の的になり得るものとして、それ相応

の設備と外観を有している。

だが、その実はまるで真逆。
過去にこの船は、甘美な希望という偶像で人々を寄せ付け、搭乗者を地獄に陥れる”ギャンブル船”として使われたのだから。
それが、殺し合いの舞台に浮かんでいるという事実。
これは”希望の船”と称された”絶望の船”なのである。

利根川幸雄は厳粛な動作でその船に設置されているソファへと腰かけた。
その絶妙な座りごごちと、慣れぬ環境での疲れが相まって眠気が襲うが、そこはぐっと堪える。

(いかん…いかん…!いくらここが安全な場所とは言え油断は禁物…ッ!)

利根川は自身にそう言い聞かせる。
そして、先ほど手に入れた有り余るほど情報を整理せんと、その頭脳を稼働させる。

(先ほどは、あまりにおかしい奴ばかりで混乱して考える時間がなかったが…、今なら考えられるッ!
あれほどの人がいた…、どいつもこいつもわけのわからぬことばかりぬかす輩がいたせいで判断力が鈍っていたが…。果たして、

意図的に嘘を交えた輩は何名ほどおったのだろうな…?)

そう考えるのも、道理だ。
利根川が経験してきた帝愛グループのゲームの参加者は主に債務者…言うなれば「人間のクズ」ばかりだった。
利根川は長年その悪戯を開催してきた身、帝愛が主催してきたゲームに参加する人間のタイプに関してはおおよそ目利きがある。
だがそんな利根川でさえ、このゲームに参加している人間のタイプや意図がまるで掴めないどころか、参加者の過半数がどこかの

アニメにありそうなとんでもない世界から来た人物だと言うのだ。
341試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:49:32 ID:iFrWKY3n

(まずはあのグラハムという男…!わしを出し抜き、帝愛の関係者であるか否かの真偽を見抜いた技量は認めよう。だが、奴は未来から来た軍人だとぬかしおった…!
それも巨大ロボが戦争をする世界だと…?冗談もほどほどにせいッ!
それに同行していた天江衣……!いけすかないガキだ!グラハムをやたらかつぎおる上に、わしがギャンブルの手腕を見せるや、こちらの肩を持つようなことばかり言いおるッ!
わしが使えると思った途端に手のひらを返しおった、まったく腹黒いガキだっ!
次は白井黒子…!中坊であのババアのような話し方といい、超能力の話だと言い、いかにも胡散臭いわ!奴も腹に何か隠し持っておろう。
秋山澪…、あの異様なまでの怖がり…。奴はすぐにもこのゲームから落ちるであろうな。まあ、奴の住んでいた場所の話は一番まともだっとと言えるがな…。
だが、それも逆に怪しい。もしかしたら、あの性格も演技かもしれんな。油断はできない。
衛宮士朗、やけに女の子に優しい少年。それも、このバトル・ロワイアルに似た戦争に参加していただと。それにサーヴァントだ?そんな話誰が信じようか?
八九寺真宵…、やけに口達者なマセガキ…!奴もカマトト被って腹に何か隠しもっておるに違いない!
それに、明智光秀。白髪の男が戦国武将だと…?肩腹痛いわ…!)

さて、ここまで考えたところで整理してみよう。
先の会議の参加した人物で、別の世界から来たと言った人物は4人。
それも、ロボットで戦争する未来、超能力者の存在する世界、聖杯戦争とやらのある世界、そして戦国時代。
どれも利根川の常識からでは信じられない。
他の参加者もこれまで帝愛が開いてきたギャンブルの参加者とはまるで違った面々だ。

(これではまるで虚言症を患った輩ばかりが集められたようではないか……、はっ!)

利根川そう思った瞬間、先に会った参加を共通させる合理的な仮説を思い浮かべた。
それをカイジに話して、意見を募ってみるのも良かろうと思った。

(ふふふ…、さてカイジはこの状況をどう考えているのだろうかな…?)



○○○
342試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:52:04 ID:iFrWKY3n



「人払いは済ませたな」
「ああ」

カイジと話すべく、甲板に上がった利根川は真宵と衣にレシーバーを持たせ、船で休むように言って彼女らを払いのけた。

「さて、カイジ!貴様はどう思っておる?」
「何がだ…?」
「先ほどの会話の内容だよ…。このゲームは今までのギャンブルとはまるで違う…!貴様はそれについてどう考えておるか、聞かせろと言ったのだ!」

カイジは間を置き答える。

「ああ、正直信じられない話だったな。超能力、魔法、戦国武将、ガンダム……。
だけど、あいつらが嘘をついてる風にも見えなかったし、あんなことを嘘で言う理由も思いつかない。半信半疑だが、今は信じるしかないだろう」
「ほほう…。なるほど。だが、カイジ!それは単に貴様の思考停止であろう!もっと考えろ!信じることがいかに愚行かも知っておろう!
幾度も地獄のゲームから這い上がってきた貴様なら考えられるはずであろう?」

ざわ…ざわ…
カイジはそんな音が響いたように感じた。

(た…確かに利根川の……言うとおりだ。あまりに異常な事態にオレは考えることをやめていた。
「信じる」なんてのは単なる思考停止っ!何か意味が…意図が…隠された真実が・・・・・・きっとあるはずだ…!)

「あの突拍子もない発言ばかりが飛び交う場だ。普段なら嘘だと判断する言葉すらわからなかっただろうな?さて、あの中に化けの皮を被った人間はどれぐらいいたのだろうな…?」
「それは…たしかに…盲点だ。あの中でなら、嘘も滲んでわかりにくい…」
「ほう…ようやく気づいたか!そもそもおかしいはずだ!14人も死者が出たこの殺しあいで、9人の参加者が集まり、そのすべてがゲームに乗っていないなんてな!
とりあえず、奴らの虚言じみた発言を取り除いて考えてみろ?信用ならん輩がいたと思わんか?」

カイジは思考する。

(あまりに情報量が多すぎて、あの人たちの性格が掴めたわけではないが…。あの中でゲームに乗っている可能性のある者…)

カイジはエスポワールに集まった者たちの経緯を思い返す。

(ハッ!そういえば捜索に回った奴で不審な人間がいる!それは秋山澪と明智光秀!秋山澪という少女がいきなりヒステリックを起こしたかと思うと、明智光秀を連れてきた!その後も二人で同行…!もしかしたら手を組んでいる可能性もある…)

「秋山澪と明智光秀…。あの女がいきなり船を抜け出して、あの明智光秀を連れてきた。しかもその後は、一緒に同行した。怪しいな…」
「ああ、確かに。あの秋山という少女の過剰なまでの怖がり…。わしには演技にしか見えんかった。しかも、彼女がいた世界はいたって普通だという…。それも、あの場では逆に怪しかった…」

343試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:52:46 ID:iFrWKY3n
(ハッ!待てよ)

「あの二人が組んでいたとして、わざわざ別々にこの船に来たということは…!秋山が一度偵察に来て……それで…船の人数を確認したんだ!
それがあまりに多かったから、一度減らして、その後に襲撃しやすくしようとしたんじゃないのか!」
「ああ、そうとも考えられるな。だが、重要なのはそこじゃない。仮にあの二人が組んでいたとして、この船にはそうそう襲ってこんだろう。
人が集まりやすい上、戦闘行為が禁止とされておるからな。襲うとしたら、むしろジープで別れたもう1組の方じゃろう!わしらの目のつかぬようにこっそりと!巡回して!」
「クソっ!そうだとしたらどうするんだ?」
「どうもせんよ」

利根川はあっさりそう言い放った。

「ジープで別れた者にも、怪しいものはおる。例えば、わしと会うまで二人で行動していたグラハムと天江…」
「なぜそう言える?」
「グラハムなる軍人は、なかなか頭の冴えた男だった。天江はわしを貶めようとしていたが、先のギャンブルの際に、わしが帝愛関係者と確信するなり態度が変わりおった。何か腹に隠し持っておると思わんかね?」

二人の熱い議論は続く。

「それはちょっと、無理があるんじゃないか?単にお前が信用してもらえなかったからじゃ?」
「ああ、それは否定せん。だが、あの二人はなかなかに親密であった。そして、あの天江というガキのギャンブルに対する目利きもなかなかのものだ!だから監視として、この船にあのガキを置いた可能性も考えられる!」

たしかに…と、カイジは思う。短絡的とは思うが、あの中にゲームに乗った者がいた可能性はおおいに考えられる。
とくに明智光秀と秋山澪は怪しい…。



○○○
344試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:53:51 ID:iFrWKY3n

「さて、カイジ!本題に入ろうか!奴らの妄言どう思った?過去や未来から来た者、魔法に超能力…!貴様はどう考える?」
「ああ、八九寺は自分が幽霊だとずっと言い続けていたが、あれはきっと思いこみだ。戦国武将も同姓同名の人間だと思っていたが、どうやら俺達が知っている歴史の人物だと言っていた」
「そう……!奴らは”思い込んでいる”のだよ」
「利根川!帝愛にいたお前なら知っているんじゃないか?あの人の命をもてあそぶ奴らだ。洗脳の機械でも開発しているんじゃないのか?」
「洗脳……。なるほど、そう考えたか!だが、残念ながらわしの知る限りでは知らんな。洗脳なぞ。聞いたことはない!」

議論はまだまだ続く。二人はその知恵を絞り、この不可解なゲームの真意を読み取らんと…。

「じゃあ、どう説明するんだ?」
「カイジ?今まで貴様がくぐり抜けてきたギャンブルを思い出すんだ!あれに参加した人間の共通項とはなんだったかな?」

カイジは思い返す。あのギャンブルに参加した者の共通項…それは、債務者を中心とした、お金に執着する人間である。

「命よりも金を重たく感じる…!そういう人間だった!」
「ふ、負け犬や社会の屑とも言えるがな!つまりだ。今回のこのゲームにも何かしらの共通項があるとは思えんかね?それも帝愛の連中が好みそうな人種…」

カイジは考える。
確かに利根川の言う通り、今回の参加者にはまるで共通項が見当たらない。
日本人、外国人、男、女、大人、子供…
先の会議に参加した面々でも、これだけの違いがあり、まるで共通項が見当たらない。

(何かあるはずだ…!ここにいる参加者の共通項…!)

カイジは必死に考えてみるも、まるで納得のいく考えが浮かばない。

「ふふ…!必死に考えてるようだが、時間がもったいないので、言わせてもらおう!ここに集められたのは………!精神異常者たちだよっ!」

ざわ…ざわ…
カイジは空気が揺れるのを感じる。

「精神…異常者……だと…?」
「ああ!それだと、先の妄言も説明がつくだろう?奴らはあれを現実だと思い込んでいる!そして精神異常者はその偏った能力ゆえ、知能が高い人間がいることもあると言われる!
貴様も不思議に思わんかったかね?子供のなりをしながら異様に頭のキレる者のことを?」
「なるほど…。それだと説明もつきそうだ…」
「それに帝愛の連中なら好みそうな趣味だろう?精神異常者の中に我々のような経験者を混ぜて殺し合わせる!」

カイジは利根川の言葉を多少疑いながらも、一理あると思い頷く。
345試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:54:38 ID:iFrWKY3n



「心外です!私は至って健全で正常な幽霊ですっ!」

二人の会話を甲板への入り口の扉に隠れこっそり聞いていた真宵が、利根川めがけて走りだす。
真宵は利根川の手に噛みつき、精神異常者呼ばわりされた怒りをあらわにする。

「何をする!このクソガキがぁあっ!」

利根川は手に噛みついた少女を力任せに振り回す。
だが、それが裏目に出た。
真宵の頭がデッキを覆う金属性の柵にあたり、彼女は意識を失いそのまま海へと飲み込まれていった。

その瞬間を目の当たりにしたカイジは反射的にバックから銃を取り出した。
ただでさえ敵同士、しかも自分やギャンブルで知り合った仲間たちを苦しめ、信用していなかった男が眼の前で、数時間とはいえ同行していた無垢な少女に手をかけたのだ。
もとより根がお人よしの彼に、冷静に思考する余裕などあろうものか。
今は自身の命を守る無意識の防衛反応と仲間を殺された怒りでいっぱいいっぱいなのだ。

「なあに、彼女は幽霊なのであろう?死にはしないさ!」

利根川には確信があった。
カイジのような負け犬風情が引き金を引くことなどあろうものかと。

だが――――
カイジは己の衝動に任せてその銃の引き金を引いた。

幕はあっけなく引いた。
甲板にて銃声が響き渡り、利根川は倒れる。
カイジが放った銃弾が偶然にも利根川の心臓を貫いていたのだ。

人を殺した―――その事実がカイジの全身を震わせる。

(オレは悪くない!あいつは死んで当り前の人間だった…)

そう自分を肯定するも、湧き出る罪悪感は止まらない。

「クソっ!こんなつもりじゃ…こんなつもりじゃなかったのにっ!」

カイジの頬をつたう涙。
利根川は言った。金は人の命より重いと。
だが、皮肉にもそれを言った者の命を奪って感じた。
――人の命は何よりも重いと。

そして、彼の想念にある考えがよぎる。
まだ救える命があるではないか、と。
まだ八九寺は生きているかもしれない、と。
346試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:55:33 ID:iFrWKY3n

(だからと言って…、助けられるとも限らない……。人殺しの罪も拭えない…!どうしたらいいんだ!オレは…オレはっ!)

カイジの頭に鉄骨渡りで死んでいった人間たちの姿がよぎる。
あの時だって、死に行く仲間を茫然と眺めるだけで何もできなかった。

(…あの時のようにまた眺めるだけだっていうのかよっ!)

カイジは淵なる柵を掴み、海を眺める。
そこに八九寺真宵の姿はない。
カイジの淡い期待は絶望の海へと無情に呑まれていった。

(ダメだ…、今オレが助けに行ったところで…無駄だ…。溺れた八九寺を助けるなんて…)

カイジはうなだれ、己の無力さを噛みしめる。
口腔には涙のしょっぱい味が広がっていた。


【利根川幸雄@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor 死亡】



【B-6/ギャンブル船の甲板/一日目/午前】



【伊藤開司@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康、茫然自失
[服装]:私服(Eカード挑戦時のもの)
[装備]:シグザウアーP226(15/15+1/予備弾倉×3)@現実、レイのレシーバー@ガン×ソード
[道具]:基本支給品、Draganflyer X6(残りバッテリー・20分ほど)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実
[思考]
基本:人を殺した……、人の命は何よりも……重い……
1:オレはっ……
2:エスポワールに近づく参加者を見張る
3:魔法、超能力を認めようと努力するが難しく、ちょっと困ってる
4:『5分の退室可能時間』、『主催の観覧方法』が気になる。
[備考]
※Eカード開始直前、賭けの対象として耳を選択した段階からの参加。
※以下の考察を立てていますが、半信半疑です
 ・帝愛はエスポワールや鉄骨渡りの主催と同じ。つまり『会長』(兵藤)も主催側。
 ・利根川はサクラ。強力な武器を優遇され、他の参加者を追い詰めている。かつギャンブル相手。
 ・『魔法』は参加者達を屈服させる為の嘘っぱち。インデックスはただの洗脳されたガキ。
 ・戦国武将はただの同姓同名の現代人。ただし本人は武将だと思い込んでいる。
 ・八九寺真宵は自分を幽霊だと思い込んでいる普通人。
※エスポワール会議に参加しました
※利根川との議論で以下の考察を立てました。
 ・澪と光秀は手を組んでいて、ゲームに乗っているかもしれない。
 ・グラハムと衣は手を組んでいて、ゲームに乗っているかもしれない(ただしカイジはあまり信じていない)。
 ・参加者は精神異常者ではないか。
※甲板には利根川の死体とデイパックが放置されています。




○○○
347試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:56:57 ID:iFrWKY3n


真宵とともに船のスイートルームに居た衣は、もともと長時間起きていられない体質と異常事態での疲れが相まって寝ていた。
だが、慣れない環境での眠りはそう深くはなく。数十分程度で醒めてしまった。
その部屋に真宵がいないことに気づいた衣は不安になって甲板へと向かった。
その途中聞こえた銃声にさらに不安になりながらも、なんとか甲板へと出る扉へとたどり着く。
だが、そこで見た景色は信じられないものだった。
利根川が血を流し倒れていたのだ。
殺したのはこちらに背を向けているカイジだと、衣にも理解できた。
彼女は恐怖で漏れそうになる声を殺し、こっそりその場を離れた。


【B-6/ギャンブル船/一日目/午前】

【天江衣@咲-saki-】
[状態]:健康
[服装]:いつもの私服、ぬいぐるみを抱いている
[装備]:チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス反逆のルルーシュR2
[道具]:
[思考]
基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る
0:利根川を殺したカイジから離れる
1:エスポワール会議組と一緒に行動する(※ただしカイジをのぞく)
2:ひとまず一万ペリカを手に入れて、ギャンブル船で『麻雀牌セット』を手に入れる
3:そしてギャンブルではない麻雀をして友達をつくる
4:グラハムが帰ってきたら麻雀を教える
5:チーズくんを持ち主である『しーしー』(C.C.)に届けて、原村ののかのように友達になる
【備考】
※参戦時期は19話「友達」終了後です
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※エスポワール会議に参加しました

※スイートルームにレイのレシーバー@ガン×ソードが置かれています。



○○○
348試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk :2009/12/10(木) 05:57:39 ID:iFrWKY3n








ずっと、ずっと、さがしていた、かえりたかった家。

あのひとが、いっしょにさがしてくれた、かえりたかった家。

やっと、たどりついた家。

そう、なにもかなしいことなんてない。



――――あるべきところにかえるだけなんだから。




【八九寺真宵@化物語 死亡】

※B6エリアの海に真宵のデイパックが落ちました。
349代理投下:2009/12/10(木) 07:59:21 ID:bM/RjfFk
260: ◆cXURW6Fetk
09/12/10(木) 06:01:55 ID:h.9G8xIY
最後でさるってしまいました。
本スレにて投下終了いたしました。
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 08:31:54 ID:3n8B+p6Y
投下乙

疑心暗鬼っ……的外れっ……そしてその末の悲劇っ……
利根川は疑心が過ぎた、それが己の命を削るとはな
まあ、一般人に今の状況を信じろという方が無理か
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 08:38:45 ID:fXLv/iYV
これは面白いなぁ
色々見てきて人を信じれなくて、しかも頭の堅いじーさんがこうなるのも納得できる気がする
光秀が精神異常者は間違ってないw

誤殺、誤解、疑心暗鬼と盛り沢山だな投下乙
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 08:42:58 ID:Xa+M0xm+
投下乙

ああ・・・船組崩壊か・・・
キャス子組といい、一気に減ったな
カイジやっちまったな
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 09:24:32 ID:H96cYFTj
投下乙
真宵、利根川南無ー

当たりどころが悪すぎたんだな…お互い
カイジは取り敢えず弾劾されておくべき
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 09:33:47 ID:vMMTSDbv
皆さん投下乙です
一晩来なかっただけで4作も来ているとは…!

>矛盾螺旋  ◆PV.nOaaCrQ
唯の親切が完全に裏目に出たなw
ここまで酷い目に遭ってきた紬にとっては疑いの対象にしかならないよな
そしてあらやんが早速暗躍を…

>狂風 ◆40jGqg6Boc
自らの欲求に従って凶刃を振るっていく光秀…そこに痺れる憧れる…!
後衛のキャスターも、凛々しく名乗りを上げた幹也も、なけなしの勇気を振り絞って立ち向かった律も容赦なく…
そして一人生き延びた澪もかなりヤバいなw

>皇女 と 考察 ◆1U4psLoLQg
アーニャが何かに気付き始めているな
それにしてもユフィこの状態で特区日本の末路知ったらどうなるんだろう
そして馬イクwwwww

馬イク「あれ、デイパックに入れてもらったら同行できたんじゃ?」
武田の軍馬「そういや俺はデイパックから出てきたけど、お前は現地調達だから無理なんじゃね」
現地調達's「でも現地調達された俺達はデイパックに入れたぜ!」
馬イク「ちくしょうwwwwww」

>試練、あるいは黙示録 ◆cXURW6Fetk
なんという誤解と疑心暗鬼の連鎖!
利根川も真宵も哀れだ…でも真宵は最期に家に帰れて良かったな…
そしてその現場を見た衣…カイジオワタ…
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 09:35:56 ID:vMMTSDbv
どうでもいいけど訂正:一応来たけど支援だけして寝た(ヤバい、一瞬記憶がごっちゃになっていた…)
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 09:46:07 ID:jmSUFG63
馬イクに関しちゃデイバッグに馬が入るはず無いって言う常識が邪魔をした形だなw
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 09:58:04 ID:MY3Dn55G
やっぱりエスポワールは希望の船じゃなくて絶望の船だったか
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 10:15:45 ID:Zp9ZEphC
しかしまぁ真宵ほど制限がかかりまくったキャラも珍しいな
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 10:22:40 ID:Zp9ZEphC
…あれ?
もしかしてカイジが初の作品主人公で殺しをやった人間になったのか?
意外だ…
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 10:27:42 ID:/HCzWu2N
投下乙
どんどん落ちてくな

ここで聞いていいのかな、
カイジに敗北後の利根川が
カイジを負け犬としてみること「のみ」で
撃たれない根拠とするのは少し弱い気がします
帝愛関係者、戦闘行為禁止などを根拠とした方がいいのではないでしょうか

また最後の発言は
真宵を精神異常者としながら幽霊であるとしたのか
カイジに銃を向けられてなお挑発したのでしょうか

まぁ結果は死亡なので意味がないと言われればそれまでですが
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 10:29:02 ID:Zp9ZEphC
理屈厨に休みはない
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 10:49:39 ID:7c4py7kZ
投下乙。
うーん、俺も利根川やカイジの思考が前作品と矛盾してる気がするなぁ。
もう一回確認してくる。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 11:25:16 ID:Wwhq2ty9
投下乙
カイジ・・・上手いこと利根川といいライバルっぽくなってきてたのに
どうしてこうなった・・・
しかし、真宵のために攻撃はできても、真宵のために海に飛び込む勇気はないってのはカイジらしいな
お人よし主人公勢ならノータイムで飛び込んでるだろうから、生々しいというか

衣は保護者が居ない中でどうするのかな…
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 11:32:37 ID:Wwhq2ty9
と、合間にもう一本きてたのか

ユフィ&アーニャのほうも投下乙
アーニャは内なる存在に気付き始めたものの、マリアンヌも本気になってきたし
精神的な面で結構ピンチが迫ってるな

馬イク…次は誰に拾われるんだ…w
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 11:32:50 ID:Zp9ZEphC
ごひはどうでもいいとしてゼクスが未だ朝の時間帯なのが不憫だ
まぁそうはいってもおいらも展開思いつかないんだが
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 11:42:11 ID:Xa+M0xm+
ゼクスはシャアの再来フラグは折られてるし(リリーナ死亡で立たなかった)、
オーライザーでも支給してあげて、救いの風ウインドとして立ち回るしかない


ファングとか出てきたし、そろそろMS系が出て来る頃合いかな
正直刹那ヒイロ以外のMS乗り、全然見せ場がないし
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 11:51:21 ID:vMMTSDbv
いやいやMSとか早すぎだろ
むしろ最終回まで出て来なくていいレベル
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 12:00:07 ID:zx6Gbyv1
まあそうだな
一気にバランスとかが崩壊するし
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 12:00:51 ID:y3D2tEV7
駄目だ…
寝てるうちに投下されてた作品読まなきゃいけないのに
律と澪の話が悲しすぎて涙がでて仕方ない
りっちゃんかっこよかったよりっちゃん…
投下乙です
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 12:04:20 ID:Xa+M0xm+
型月視点なら、そりゃバランス取れてるだろうさ
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 12:26:45 ID:fizRzZsl
避難所スレに書き手氏からのコメント来てたので、一応転載
−−−−−
487 名前: ◆tu4bghlMIw[sage] 投稿日:2009/12/10(木) 03:10:09 ID:Nz37QpkQ
マイトガンナーが好きです。
だって、胴体にキャノン付いてるんだぜ。カッコ良すぎるだろう……。

後から投下したくせに◆QmnDyrAS0E氏のお手を煩わせてしまい申し訳ないです。
修正作業頑張ってください。

ええと、本スレの>>134さんの疑問について。
はい。この辺りだけは一回だけ姫神になったのを除いて視点固定していた上条さんから離れて、神視点になっています。
ただ、ビリビリに関しては時間軸について(これはむしろ原作に関する言及に近いですが)突っ込んでるのに、C.C.だけスルーしてるのは紛らわしいですよね。
なのでwiki収録後に修正を入れたいと思います。指摘ありがとうございました。

488 名前: ◆tu4bghlMIw[sage] 投稿日:2009/12/10(木) 03:50:21 ID:Nz37QpkQ
というか、自分でwiki登録すれば早いじゃんと思って作業をしていたのですが、
◆0hZtgB0vF氏の「幸村ああああああああああああああっ!!」がごく僅かですが容量オーバーしてしまうようです。
txtに直すと、1kbにも満たない差なのですが……w
ひとまず氏の判断を仰ごうと、ここに報告しておきます。

拙作「ワールドイズマイン」に関しては収録後、修正までやっておきました。ご確認下さい。
−−−−−

あと、◆QmnDyrAS0E氏からSSの一部修正案が仮投下スレに投下されてるので報告。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1259290669/258/
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 12:50:19 ID:TyfpP5zF
一晩でキャス子組が壊滅してるとは思わなかった。
そして馬イクwww
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 15:28:16 ID:DsLOZ7rx
FateVSバサラの様相が濃くなってきたな
こいつらお互いで潰しあってる感じ
実力的な対抗馬なんだろうけどさー他のキャラにも活躍を…
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 15:41:18 ID:vMMTSDbv
そう見ようと思えばそう見える
どう見るかで捉え方は千差万別
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 16:55:26 ID:0rgk1EGR
対抗馬は……ギアスと禁書あたりか、能力的にも。
上条さんは最新話で一気にきたな。続きが気になる。
一方さんと黒子は同性愛で目立ってるが。
ギアスはスザクルルユフィアーニャシーツーと、それぞれどう転がるかわからないな。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 17:57:21 ID:Lz3S6TFA
今回のメンツだとどうしても戦闘担当になるのは仕方ないww
377 ◆qh.kxdFkfM :2009/12/10(木) 18:54:45 ID:FQTJpUG4
 完成に至りましたので投下させていただきます。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 18:56:29 ID:MD+0h8W+
ksk
379ソードマスターマサムネ ◆qh.kxdFkfM :2009/12/10(木) 18:57:34 ID:FQTJpUG4
(ちっ、シケてやがる)
 伊達政宗は衣を翻し、そこをあとにする。『円形闘技場』はその名の通り、ただ円を囲むように観客席があるだけで、ほかにめぼしいものはなかった。
しいていえば袋に入った数枚の紙切れくらいだが、そんなものを拾うほど『独眼竜』は落ちぶれてはいない。自分が欲しいのはもっと実戦で役に立つものである。
神原駿河のような変態とは違うのだ。闘技場の外、草原の上で地図を取り出す。次に向かう『憩いの館』はここから北西に行ったところにある。
デバイスの機能を使えば、迷うことはないだろう。そして最後には『城』を……。
「あン……?」
 その時だった。城を見上げていた政宗の目の前で、彼の城は震え、やがて――――。

「嘘だろ、おい……」
 
 瓦解。崩壊。倒潰……。表す言葉は数多くあれど、事実はひとつ。

 レプリカの安土城は、政宗の到着を待たずして、その存在を終えたのだ。

「Shit! どんなクレイジーな野郎の仕業だ?」
 そこでふと、放送の内容が脳裏を過ぎる。正確には、死亡者発表の一部分だが。
(小十郎……)
 ここにきて、彼は一度も死体を見ていない。それどころかまともな戦闘さえ経験していないのだ。
それは偶然なのか、はたまた主催とやらの作為なのかは分からない。ただ、それが『死』というリアルをこの戦国武将から遠ざけたのは間違いない。だから、つい考えてしまう。

『竜の右目はまだ生きていて、それを隠しているだけではないのか』

『そもそも片倉小十郎はもともといないのではないか』

 今あそこで繰り広げられている『暴力』の中へ行けば、確実にそんな甘えは吹き飛ぶだろう。
最悪、仏になった男を拝むかもしれない。それにあいつは事あるごとに言っていたではないか。無謀はよせ、我慢を覚えろと。
 
 だから、あそこには――――。

(悪いな、小十郎)
380ソードマスターマサムネ ◆qh.kxdFkfM :2009/12/10(木) 19:01:24 ID:FQTJpUG4

 政宗はぐっ、と地面を踏みしめる。脳が命令を下し、足の指が、裏が、腱が溢れる力に震えた。
辺りに吹いていた風はいつの間にか消え、頭を揺らしていた草は黙する。


 跳躍――――着地――――跳躍――――着地――――跳躍――――!

 
(お前は、もう俺の中じゃ生きてねえんだ)

 地面を踏んでいた足が木々をとらえ、踏み台にする。その足取りに一切の迷いはない。
そこに何かが――――少なくとも強者が――――いるなら、向かわずして何が武将か。
これは性なのだ。戦場を駆け、戦塵に塗れることを喜びとする自分の本質なのだ。
(小言ならあっちで嫌ってほど聞いてやるからよ。今は草葉の陰で見物してな)
 政宗は不敵に笑い、『城』の跡地へ向かう。そこにいるであろう強者と、そこにあるであろう戦場を求めて……。



「こいつはひでえ……」
 予想はしていたが、ここまでとは。瓦礫の山を前にした男は感嘆す。まるで支えを失って崩れたかのように、周りにあまり被害はない。
城という形が崩れて、そのまま山になったというのが表現として正しいのかもしれない。政宗はもはや形だけの門をくぐり、周囲に目を配る。
しかし、下手人と思われるような人物はいなかった。
「奴さんはもう退散しちまったか」
 あるいは建築がヘボで自壊したか……。さすがにそれはないだろうと『独眼竜』思い直し、探索に入る。といっても、積もった材木を退かすだけだが。
「馬の一頭くらいは調達してぇんだがな」

 これといった変化もなく、ただ黙々と材木を放り投げる作業を続けていると、さすがの奥州筆頭も疲労を感じ、木陰で休憩をする。
こういうことは本来、小十郎の領分だ。地道な作業――農業の手伝いをあいつはよくやっていた。あきもせず。それを尻目に刀を振っていたのが、随分と昔のように感じる。
「……なんだこりゃ」
 水を飲もうと取り出したはいいが、この中身が透けた竹筒は何だ。先端が窄んだ妙な形をしている。
叩いてみると、硬いような、軟いような……何とも形容しがたい。振ってみると水音がするから、たしかに水は入っているはずなのだが……。
「割れば中身は出るだろうが……」
 しかし容易くは割れないだろう。仮に割ったとしても、それは粉砕するわけで、当然水は周囲に飛び散り、飲む分はあるかどうか。
「ちっ、こんなことなら神原にでも聞いておくんだったぜ」
 冷やかされそうな気もするが、それでも最終的には説明してくれただろう。まあ、今となっては後の祭りだが。
政宗は仕方なくそのままペットボトルを戻し、額に浮かぶ汗を手で拭い、立ち上がる。
「ん?」
 そこでふと、瓦礫の間から輝きが見えた。つまり、そこには光を反射するものが存在するということだ。
その煌きは政宗がよく目にするそれであり、それはすなわち――――。
381ソードマスターマサムネ ◆qh.kxdFkfM :2009/12/10(木) 19:03:45 ID:FQTJpUG4



 ――――刀。



「ハッ、やっぱりあったか」
 城とは、拠点である。戦国時代において、城は軍事基地であり、金庫でもある。
城主――つまり国が管理する財産がそこには蓄えられている。食料であったり、金銭であったり……。
 それは財宝も例外ではない。
 宝物庫、そこに貯蔵されるは武人にとってまさしく宝そのもの。
「いいぜ、これなら申し分ねえ」
 その中から宝刀だけを見つけ出し、検分。そして六本を佩く。錆や歯こぼれもなく、どれも非の打ち所が無い業物ばかりだ。
試しにと政宗は先ほど開けられなかった水筒を高さの合う瓦礫の上に置く。

 右手は柄を、左手は鞘を。
 
 踏み込みと捻りは同時に。

 ――――抜刀。

 その瞬間がまるで制止したかのように、草が、風が、葉が、その動きを止める。弧を描いたその光は、まさしく一閃と称すに相応しい。

 ――――納刀。

 チン、と音が鍔から漏れる同時に、キャップがぽとり。この時、この戦国武将は刀のありがたみを再度深く認識した。
 それはともかく、政宗はようやく水にありつけたのである。

「密封するに越したことはないが、開けられなきゃ意味がねえな」
 渇いた喉に久方振りの飲料水を流し込みながら、宝物庫の周りに存在する残骸を足で除ける。まだ何かあるかもしれないからだ。

 擦らせていた足が、何かに引っ掛かる。どんなに力をいれても、びくともしない。不審を抱いた政宗は、その周囲の木端を払う。

「こいつは……」

 城の土台となっていた石垣に、鉄でできた奇妙な取っ手がついた蓋があった。空の入れ物を放り投げ、それを引っ張ると、

 ズズッ

 ズズン

 重厚な音とともに、現れたのは、光りなき空洞であった。政宗は眉をしかめる。隠し扉? なぜこんなところに。いや、そんなことはどうでもいいか。
「案外簡単に見つかったな」
 主催をぶっ潰す。その目的が達成されるのだ。ほかに何を構う事があろうか。敵の親玉がいる場所など限れている。
戦場では本陣、平素では城か寺だ。今回はその城が壊れたから、地下へ逃げたってことだろう。『独眼竜』は刀に手を掛け、ゆっくりとその闇へ潜る。
(小十郎、お前の弔い合戦だ。派手に暴れるぜ)
 通路は石段で作られ、壁面も当然石材でできている。男はその暗闇を息と音を殺して下りていく。
本来なら基本支給品である懐中電灯を使うべきなのだろうが、戦国時代を生きる人間にはあれが何なのか分からなかった。
鈍器ではないかというのが、現時点での伊達政宗の見解である。
(ここだな)
 目の前にうっすらと扉が確認できる。恐らくこの先にあの胸糞悪い野郎と、小娘がいるはずだ。政宗はすでに研ぎ澄まされた気を、最大限まで高める。

 そして――――。
382ソードマスターマサムネ ◆qh.kxdFkfM :2009/12/10(木) 19:06:11 ID:FQTJpUG4

「覚悟しなッ!」

 扉を勢いよく蹴破り、一振りの宝刀を構える。そのまま流れるように眼前の敵を、


「なっ……」

 敵を……。

「こいつは一体……」

 敵は、いなかった。政宗の動揺に合わせるように、薄闇が電光に裂かれる。
そこはがらんどうの空間――いや、しいて言えばそこには少なからず物象は存在した。
焼けた鉄板、それに垂れる水滴、湧き上がる蒸気……。政宗は怪訝な顔で熱気を感じる鉄板に近づき、そこで片目の視界があるものをとらえる。
彼は表情を怪訝から驚愕に変え、目標を鉄板からそれへ変更し、接近する。
「おいおい。こいつはちょいと興が過ぎるんじゃねえか?」
 
 そこには透明な棺があった。

 そこには一糸纏わぬ少女の亡骸があった。

「くくくくくく……なるほど、こいつは確かにクレイジーだぜ」
 刀を握っていない方の手で顔を覆い、苦笑する政宗。しかし、それは数秒のことであった。顔から手を離した男の顔に、笑みなどなく、そこに存在するのは、


 憤怒。

 
「ずいぶん舐めた真似してくれるじゃねえか」
 
 光が、風が、音が、

 その瞬間、彼を中心に現れ、消える。

 それに呼応するように、

 棺はズレ、
 
 液はドロリ。

 
 その空間はある男の研究施設である。その男は主催者でありながら参加者となり、ここに訪れていた。
しかし、“出入り口が違った”。男が入ったのはE-5に位置する『展示場』からだ。政宗のいるB-3にある『城』からではない。
なぜそんなことが起るのか。その理由は主催者とその男の都合にある。男の目的は『死の観察と蒐集』であり、そのためには拠点と成り得る研究施設が必要不可欠。
当初は男が転移し、実行する案もあったが、それは『ゲーム』の趣旨に反するという苦情が出た。あくまでも参加者の能力は『制限』によりなるべく均等にしなければならないということである。
その後、妥協案としてある方策が立てられた。

 すなわち、『施設そのものの転移』である。正確には主要施設のどこかにそこへ通じる『門』が設けられ、関係者以外には見つからないように細工を施すのである。
そしてそこをターミナルにしないように、『入った施設からしか出られない』という制御を付加する。これなら、件の『制限』にも引っ掛からず、男の研究の妨げにはならない。
その案件は、それで問題なく片付いたはずだった。

 はずだった。



 閑話休題。
383ソードマスターマサムネ ◆qh.kxdFkfM :2009/12/10(木) 19:10:38 ID:FQTJpUG4


 
 戦国時代を生きる伊達政宗は許せなかった。戦場で人が死に、その存在を、生涯を終えるのは理解も納得もできる。
皆、そういった覚悟を持ち合わせて、戦を行っているからだ。自分もいつかはそうなるかもしれないと、腹を括っている。
死んでいった小十郎もそのはずだ。しかしこの少女はどうだ。なぜただの少女が首を斬られ、あまつさえ死後も辱められなければならない。
女は戦うべきじゃない。女とは、家にいてしかるべきなのだ。
だが、主催はそんなことも弁えず、この年端もいかぬ少女を殺し合いの舞台に放り込み、結果として、下手人にその未発達な体は弄ばれた。
彼女にだって、夢や将来があったはずなのに。
 政宗は、それが許せなかった。
「悪いな嬢ちゃん。死に装束にはちと派手だが、勘弁してくれ」
 地上に掘られた即席の穴の中に、件の少女はあった。遺体に付着していた液体はガーゼでふき取ったが、さすがに髪にこびり付いたものは無理だった。
宝物庫にあった無駄に高そうな一重で身を包んだ彼女の上に副葬品として金銀・宝石の数々が降り注ぐ。朝日がそれを輝かせ、まるでひとつの美術品のようだ。
実際、この少女は成長すれば美人であったろう。政宗はもう何度目かわからない歯噛みをした。
「こいつは手向けだ。あっちには俺の連れもいるんだ。山分けしてくれ」
 これは代償行動なのかもしれない。あいつの遺体も仇も分からぬ現状が、この少女を手厚く葬らせているのかもしれない。
彼はふとそう思い、そして拳を強く握った。最後に別れを告げ、亡骸に土を掛ける。締めに材木の一つをそこに差し、男と少女の邂逅は終わった。

 しばし、黙祷。
 
 ……。
 …………。
 ………………。

 腹の中で渦巻く怒りが、主催と下手人に止まらず、自分自身にまで及んでいた。ここに来て自分は今まで何をしてきた? 
大層らしい目的を吐くだけで、やっていたことはどこぞの女との物見遊山。そうしている間も、片倉小十郎は命を散らして闘っていたというのに。
(小十郎、お前のことだ。女子供を護ろうとしたんだろうな。お前はいつも) 

 実直であった。

 献身であった。
 
 忠義であった。
 
「馬鹿野郎がっ……!」
 自分の背中を護るのではなかったのか。共に天下を取るのではなかったのか。何くたばってやがる。政宗は頭を垂らし、俯く。しかしそれも短い時間のことで、すぐに顔を上げる。



 そこにあるのは確固たる決意。



(小十郎、俺はやるぜ。お前抜きで主催を潰して、そのまま天下まで一直線だ)
 

 ――――阻むものはなんであれ、叩き斬るッ! 

 

384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 19:11:38 ID:P1x/4q7y

385ソードマスターマサムネ ◆qh.kxdFkfM :2009/12/10(木) 19:14:06 ID:FQTJpUG4

 本来、この時点で伊達政宗は『城』に向かうことも、刀を手にすることも、少女の遺体と対面することもなかった。
『憩いの館』へ向かい、そこにいるであろう人間と接触し、共闘か対立をするはずであった。
その後『城』へ移動することになっても、宝物庫へこんなに早く辿り着くことなどできなかったであろう。
当然、地下へも侵入はできまい。

 しかしこんなアクシデントを誰が考えられる? 設計にも地盤にも資材にも問題がなかったその山城が、主要な柱とその周囲の建材を喪失し、崩壊するなど。 

 しかしこんなアクシデントを誰が考えられる? 十重二十重の罠で侵入困難だったはずの宝物庫が、罠を発動することなく土台もろとも崩落し、その財宝を無防備にさらずなど。

 しかしこんなアクシデントを誰が考えられる? 構造的、視覚的に感知できないはずの隠し扉が、隠蔽する施設そのものを破壊され、露見するなど。

 それが一参加者の手によって行われるなど、誰も予想できるわけがなかった。


「ん? なんだありゃ」
 眼下に広がる景色に、変化があった。何か巨大なものが動きまわったかのように、土煙が舞っている。
「あそこにあるのは――――駅か」
 地図とデバイスで確認して、政宗は呟く。確かそこには好敵手、真田幸村がいたはずだ。それと他に何人かの参加者。
時間的に神原駿河と枢木スザクも到着しているころかもしれない。まあ、真田幸村は相当の手練。心配することはないと思うが……。
(死ぬんじゃねえぞ、真田幸村)
 変化はほかにもあった。薬局の下、工業地帯の辺り。そこで何かが宙を舞い、それを人――なのかどうか判然としないが――が叩き落そうと躍起になっている。
 どちらもかなりの距離がある。
(ちっ、どうして俺の遠くでばかりpartyが起こるかねえ……)
 だが、と政宗は不敵に笑う。あっちが離れてるなら、こっちが近づけばいい。馬はないが、自慢の脚は健在だ。小十郎とは違ってな。問題はどちらへ行くか、だが。
(そんなのは動きながら考えればいい)
『独眼竜』は地を蹴り、疾走する。当ても方策もあやふやで、何一つ定まっていない。しかし、その信念だけは、ブレず曲らず挫けず、天下を目指す武人のそれであった。

「奥州筆頭・伊達正宗! 推して参るッ!」
 
 
 政宗は知らない。駅にはゴクアークでキョウアークな者たちが、レツアークな者を狩らんとしていることを。
 政宗は知らない。工業地帯にはザ・フジミと目されるサイアークな者が暴虐の限りを尽くさんとしていることを。 

 しかし、だからこそすべてを終わらせる時…!

 今はただ、この者が救世主であることを願おう。

 そう――――。

 マサムネの勇気が世界を救うと信じて…!

 
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 19:14:48 ID:P1x/4q7y

387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 19:16:32 ID:BtsjJlxY
 
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 19:17:38 ID:FnZCa0iz
 
389ソードマスターマサムネ ◆qh.kxdFkfM :2009/12/10(木) 19:17:41 ID:FQTJpUG4
【B-3/城/一日目/昼】



【伊達政宗@戦国BASARA】
[状態]:健康 ソードマスター
[服装]:眼帯、鎧
[装備]:大包平@現実、童子切安綱@現実、燭台切光忠@現実、中務正宗@現実、雷切@現実、和泉守兼定@現実
[道具]:基本支給品一式(ペットボトル飲料水1本、ガーゼ消費)不明支給品1(武器・確認済み)、田井中律のドラムスティク×2@けいおん!
[思考]
基本:自らの信念の元に行動する。
1:Let's Party!
2:駅(D-6)か工業地帯(E-4)を目指す。
3:主催を潰す。邪魔する者を殺すことに抵抗はない。
4:信長、光秀の打倒。
5:ゼクス、一方通行、スザクに関しては少なくとも殺し合いに乗る人間はないと判断。
6:戦場ヶ原ひたぎ、ルルーシュ・ランペルージ、C.C.に出会ったら、12時までなら『D-6・駅』、
 その後であれば三回放送の前後に『E-3・象の像』まで連れて行く。
[備考]
※信長の危険性を認知し、幸村、忠勝とも面識のある時点。長篠の戦いで鉄砲で撃たれたよりは後からの参戦です。
※長篠で撃たれた傷は跡形も無く消えています。そのことに対し疑問を抱いています。
※神原を城下町に住む庶民の変態と考えています。
※知り合いに関する情報をゼクス、一方通行、プリシラと交換済み。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランに同意しています。
 政宗自身は了承しただけで、そこまで積極的に他人を誘うつもりはありません。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。映像データをスザクが消したことは知りません。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
※荒耶宗蓮の研究室の存在を知りました。しかしそれが何であるかは把握していません。
  また、中野梓の遺体に掛かりっきりで蒼崎橙子の瓶詰め生首@空の境界には気付きませんでした。

※中野梓が副葬品(金銀・宝石)と共にB-3付近に埋葬されました。
※宝物庫にはまだ何らかの財宝(金銀・宝石以外)があります。 


【伊達政宗の入手した宝刀】
 どれもが名の知れた業物。国宝級のものもある。政宗は自身に必要な数だけ宝物庫から精選した。

 【大包平@現実】
  童子切安綱とともに日本刀の最高傑作として知られる。岡山藩主の池田家の重宝。国宝。

 【童子切安綱@現実】
  銘 安綱 酒呑童子の首を刎ねた刀とされる。大包平とともに日本刀の最高傑作として知られる。安綱は伯耆国の刀工。国宝。

 【燭台切光忠@現実】
  伊達政宗がこの刀で家臣を斬った勢いで、そばにあった燭台も切れたことが由来。

 【中務正宗@現実】
  本多忠勝(本多中務)が所持していたことから。国宝。

 【雷切@現実】
  立花道雪(戸次鑑連)が雷または雷神を斬ったと伝えられる刀。

 【和泉守兼定@現実】
  土方歳三の愛刀。会津11代兼定が松平容保に従い上洛し、京都で鍛えたもの。
柾目鍛に五ノ目乱の波紋を焼き、当時の拵がついている。昭和40年6月9日、日野市指定有形文化財となる。


390 ◆qh.kxdFkfM :2009/12/10(木) 19:18:51 ID:FQTJpUG4
 以上で投下を終了します。支援ありがとうございました。

 オチとタイトルだけ考えて書いていたらシリアスになってしまい、後悔したのは言うまでもありません。
 ご愛読ありがとうございました!
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 19:22:22 ID:yVEz2r2g
俺の新しいワキをショウさせてやるぜ!
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 19:49:20 ID:sEd2LHiQ
投下乙!!
何だ、この名刀祭www
よかったなあずにゃん、これ以上無いくらい手厚く葬られたぞwww
さあ、これからがPartyだ!!
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 20:05:11 ID:fK3e5R6i
ちょっと離れてたんだが、いつの間にあずにゃん死姦されとん!?
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 20:36:39 ID:vMMTSDbv
投下乙です
バーサーカー様様だなw一気に名刀六本GETとはw
>政宗は知らない。駅にはゴクアークでキョウアークな者たちが、レツアークな者を狩らんとしていることを。
>政宗は知らない。工業地帯にはザ・フジミと目されるサイアークな者が暴虐の限りを尽くさんとしていることを。 

>しかし、だからこそすべてを終わらせる時…!

>今はただ、この者が救世主であることを願おう。

>そう――――。

>マサムネの勇気が世界を救うと信じて…!

テラソードマスターwwwww
あずにゃんはロワでは珍しくかなり豪勢に埋葬されてよかったな
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 21:00:26 ID:+as7xGG7
――――――――――――文学
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 21:10:26 ID:TkaIQ+Y/
◆40jGqg6Boc様、貴公の手がけた秀作、「狂風」が容量越えのためWIKI収録の際に分割しなければならないことが判明いたしました。
どこで分割するかをお決めになっていただけないでしょうか?
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 21:18:51 ID:wG4Vbjtu
投下乙です

ここで名刀が六本か。これはなんて日本刀祭りだ?
伊達の今後が気になる展開でした
あずにゃんはちゃんと埋葬されてよかったなw
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 21:35:10 ID:Wwhq2ty9
投下乙
筆頭、確かにここまで戦闘なかったからなー、どっちに向かっても戦闘に加われそうだし楽しみだ

あと名刀拾ったけど、これもしかして小十郎が頑張って守ってた六爪涙目なんじゃ…w
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 21:40:20 ID:6jiDS0EF
アーチャーの固有結界にもしその名刀群が登録されてたらソードマスター涙目になるかもしれんw
投下乙でした
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 21:43:38 ID:TkaIQ+Y/
>>399
アーチとマサムネは再戦フラグもあるしな
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 21:55:47 ID:OMiuhBRJ
>>399
心配しなくてもアチャが剣を見た瞬間に登録されるから何も問題は無い
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 21:59:37 ID:OcErJWWo
>>398
名刀からでは流石に電撃は出まい

・・・いや、雷切は11eyesで電撃出してたなw
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 22:09:46 ID:jmSUFG63
>>398
美穂子もフラグへし折られたかもなw
まぁ出会うことなく血反吐吐いて死にそうだけど
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 22:33:19 ID:3n8B+p6Y
投下乙

いい話系の流れだったのに……
ソードマスターワロスwwww
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 22:35:11 ID:vMMTSDbv
>>400
いつ再戦フラグ立ったっけ?
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 22:46:15 ID:OcErJWWo
>>405
政宗もアーチャーも1話前に戦闘してる
認め合うようなBASARA的戦闘だけど
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 22:48:38 ID:7TKiu/M4
空の境界の九字兼定と同じ理屈が通用するなら少なくとも五振りは結界切れるぞwww>名刀
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 22:52:56 ID:fizRzZsl
>>406
それ、破棄になってる
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/10(木) 22:54:05 ID:6jiDS0EF
いやいや、UBWでバサカに打ち出した可能性的にって事
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 01:06:00 ID:U92a2fi4
名刀で思ったが雷切って雷を切れるならエクスカリバーのビームも切れそうだなw
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 01:16:10 ID:5R5J+Ex+
>◆PV.nOaaCrQ氏

『矛盾螺旋』における紬と荒耶の時間帯が「朝」になっているのですが、これは「午前」の誤りでしょうか?
412 ◆PV.nOaaCrQ :2009/12/11(金) 01:43:04 ID:ZcfaiERr

あ、そうです
確認ミスだorz
実際は午前です、はい。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 01:55:41 ID:awfpyvha
>>410
逸話的には、死ななくてよかったねってところか

雷切や童子切は笛ssでは使い古された武器だな
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 01:59:53 ID:E7psipye
2点wwwwwww
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 08:40:11 ID:iDpoNAkk
つまり、独眼龍の右目が開く時、赤い月が出て来るわけか
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 13:59:07 ID:MM7EfaIZ
赤い月……俺は型月知らんから、某ナイトウィザード思い浮かべてしまうwww
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 14:00:04 ID:AI60Mi6l
上条くん、私の質問にはいかイエスで答えなさい
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 14:42:00 ID:Yiyhi2M5
11eyes的に言えば筆頭は敵の行動を先読み出来るのかw
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 16:01:45 ID:RNPChLUm
上条「はいはい。はいかイエスで答えりゃいいんだな、っておいっ!!」
不幸も説教も封印されてるし上条さんじゃあひたぎに絶対勝てないなw
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 16:05:14 ID:koX/i0ho
>>416
某つける意味ねえwww
出したかったなナイトウィザード
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 16:31:10 ID:2E+n7Eu7
そしたら主催はキリヒト(ゲイザー)にすればいいから楽だったろうな。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 16:32:07 ID:LE89au0H
ナイトウィザードは次回に期待だな
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 16:39:07 ID:MM7EfaIZ
剣がなきゃ何も出来ない某魔剣使いとかねwww
上条と不幸合戦やらせたかったなーwww
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 16:41:40 ID:DSBG7qEc
次があるならナイトウィザードとやらにも投票するか
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 17:04:17 ID:4A30bg3X
原作味方サイドのくせに皆さんに殺し合いをしてもらいますとか言い出す世界の守護者
原作ボスキャラのくせに仲間やかつての敵達の協力で因縁の敵に立ち向かい、ヒロインを救出するついでに世界を救う大魔王
主催者と対主催が一目瞭然だな
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 17:55:48 ID:lYXZUn/j
実際アニメに限っても、実力的にもネタ的にも魅力的なやつばかりだからなw
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 17:55:53 ID:Va3qk7xW
上条さんはひたぎに勝てないどころか女性の誰にも勝てそうに無いww
スーパー説教タイム→顔面パンチの黄金コンボが決まれば話は別だが、あれは主人公補正ありきの技だからなぁ。
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 17:56:45 ID:/dOJC43L
アンゼロット「と言うわけで柊さんには制限がドーンと乗ります」
柊「また下がったーっっ!?」
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 18:31:26 ID:/dOJC43L
MAP見てたら幸雄ってのが居て
誰だろう?と思っていたら利根川だったでござる
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 18:31:58 ID:2gKLvsCD
ロワだとスーパー説教してる時に不意討ちとか普通にありそうだなw
実質、上条さんが勝てそうな身体能力低めのマーダーがいないから困る
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 18:32:53 ID:/dOJC43L
>>430
もやしと憂
…なんか次の更新でどっちも死にそうだなぁ
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 18:43:11 ID:LE89au0H
上条さんは幻想殺しが有効な相手には作戦と味方とのコンビネーション
次第でジョーカーになれる可能性が・・・あると思う、はい。
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 18:45:56 ID:MM7EfaIZ
>>428
下がる男wwwww
ヤベエ、テラワロタwww
4thには是非出て頂こうwwwww
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 18:58:00 ID:RNPChLUm
魔力ならセイバーのエクスカリバーだろうがギルのエヌマエリシュだろうが防げそうな反面
説教中に実弾or通常武器であっさり死にそうなのが困るな
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 19:02:48 ID:/dOJC43L
ところで政宗が円形競技場で見た「袋に入った紙」ってなんぞ
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 19:05:46 ID:/krZsQTo
レイが置いてった麻薬だろう
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 19:07:02 ID:/dOJC43L
>>436
あぁなるほど
やったね、船井さん!
麻薬のオンパレードだ!
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 19:33:04 ID:4A30bg3X
船井さんは盾役の男が欲しいんだろうなぁ
これ以上ハーレム化したら切り捨て考える必要も出そうだし、美少女が増えても嬉しくないだろう
でも大人の美女枠ならまだ空いてるよね!
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 19:51:22 ID:MM7EfaIZ
>>438
つ【ファサリナ】
つ【ライダー】
どっちもろくなもんじゃねえw
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 20:28:38 ID:wr35SwGx
一応美穂子は大人の女だぜ?
いや、処女かそうでないかは関係ないぞ
大人の女性の雰囲気があるとそう言いたいだけだ
441とある馬イクの河口横断記 ◆1Zsr2tvTvs :2009/12/11(金) 21:07:31 ID:eA6UaR5R
伊達軍の馬、投下します
442とある馬イクの河口横断記 ◆1Zsr2tvTvs :2009/12/11(金) 21:08:23 ID:eA6UaR5R

唐突な話なのだが、みなさんは仙台にある馬上蠣崎神社をご存じだろうか?
「馬」とその名にあることから、なにやら馬に関する神社であろうことは想像できるだろう。
まさしくその通りであるのだが、ここに祭られているその馬に関する逸話がなかなかどうしていい話なのである。

奥州の独眼竜・伊達政宗には重臣である後藤信康から献上された「五島」という愛馬がいた。
大坂夏の陣に出陣する際、政宗は老齢の五島で出撃することは得策とは思えず、また馬自身にも悪いと思った。
此度の出陣が長旅になるであろうことを予見していた政宗は、五島に留守を命じた。
政宗からすれば愛馬を気遣ったつもりであっのだが、五島は長年共に戦場を駆けてきた主人に留守を命じられたことはこの上なく悲しいことであった。
―――もはや役に立たぬ身。
そう悟った五島はその夜のうちにその夜のうちに仙台城の崖から飛び降りて自らの命を絶った。
その話を聞いた政宗は心を痛め、五島の没した地に墓と神社を建て、手厚く弔ったという。

さて、この話の真偽は兎も角だ。
戦場を共にする愛馬が武将たちにとっていかに大事な存在であったかは容易に想像できるだろう。
戦場で自身と一体となる馬が信用できずして満足に戦を行うことはできない。
甲斐国にて生産された優秀な馬を有する武田軍が、無敵の武田騎馬隊と恐れられていたことも有名な話であろう。
また、鬼島津こと島津義弘の愛馬「膝突栗毛」が、木崎原の戦いにおいて敵将との一騎打ちの際に、膝を折り曲げて義弘の危機を回避した話もある。
他にも戦国の話には至るところで馬に関する話が散見され、武将はより良い馬を欲したことがうかがい知れる。
この時代に名を馳せた者の愛馬となった馬は、各地に生息する馬たちから選びに選び抜かれ、初めてその背に主人を乗せるという名誉を勝ち取ることができたのある。

とある群雄割拠の地にて奥州筆頭伊達政宗を背に乗せることができたその馬も、選び抜かれたエリートであると想像できよう。
もともと、東北の地は日本でも最良種とされる南部馬の生産地であり、よりよい馬の生産に力を入れていた地だ。
また、非公式ながら伊達政宗はペルシャから数頭の馬を買い求めという記録もあることと、冒頭に記した馬上蠣崎神社の話などからも、彼が馬に対しての拘りがあったかことはうかがえる。
その彼が馬の名産地を有するその地で愛馬に選んだ馬が名馬でないはずもなかろう。

これはその馬、または「馬イク」とも称される、名も無き馬の物語なのである。

443とある馬イクの河口横断記 ◆1Zsr2tvTvs :2009/12/11(金) 21:09:03 ID:eA6UaR5R

流麗な青鹿毛を全身に纏うその軍馬は、とある孤島の中でさらに隔離された小島にいた。
先ほどの皇女の裸体とそれに戯れる幼女の姿を思い出し、だらしない笑みを見せた軍馬。
人間が客観的に見れば「このエロ馬が!」とつい叫びたくなるだろうが、これは「フレーメン」と呼ばれる哺乳類に見られる現象なのである。
このフレーメンと呼ばれる行為は、鼻腔の内側にあるヤコプソン器官というフェロモンを感じる嗅覚器官を空気にさらすことで、牝馬のフェロモンをよく嗅ぎ取れるようにする生殖活動の一環なのである。
また、この機能を活かして嗅いだ事のな良い香りを探ることもある。
―――先刻の女性たちの香りの良さ、いかなることや。
美女の裸体を拝むという極楽浄土を体験したこの軍馬が、新たな女性との出会いを求めて人間の1000倍ともいわれる嗅覚を働かせることは、当然とも言える流れであった。

鼻に染みつく硝煙の香り、戦場で幾度となく体験した血の臭い…
ここが戦場であるということは、先に信長を仮初めの主として戦ったことからも軍馬はわかっていた。
そして様々な香りに紛れ、わずかに主人である伊達政宗のにおいを感じた。
そのにおいが女性との出会いでたるんでいた軍馬の誇りを呼び戻した。
己を愛馬として選び、幾多もの戦場の先陣を走るという栄誉を与え、共に駆けた主人がここにいる。
主人を乗せて、その意志通りに動き、戦での勝利へ導くことが軍馬に与えられた宿命であり、それを為すことが軍馬にとっての喜びである。
このよくわからない状況に追い込まれた軍馬にとって、主人がこの場にいるという事実は何よりも救いだった。
―――これで自分も誉れ高き軍馬としての宿命を果たすことができる。
自らの使命に導かれ、軍馬は蹄で大地を蹴り上げて、駆けだす。



軍馬が駆けた先、そこにあったのは河口――つまり行き止まりだった。
先ほどの女性が子船で去っていったことから、ここが水に囲まれた地であることは予測していた。
――――もはや、ここまでか?
否、たかが水場ごときで駆けることを止めるほどの軍馬が独眼竜の愛馬に成り得ようか?
日の丸の地を駆け廻る道中では当然、川といった水場を駆けなけらばならないこともあった。
この軍馬はそのような状況でも臆せず駆けてきたのだ。
このような河口で怯む道理があろうものか。
軍馬は浅瀬と思われる場所を直観的に探りあて、対岸目指して河口へ駆けだした。

444とある馬イクの河口横断記 ◆1Zsr2tvTvs :2009/12/11(金) 21:09:51 ID:eA6UaR5R

ところで、みなさんは「明智左馬助の湖水渡り」という伝説はご存じだろうか?
明智光秀の家臣である明智左馬介が本能寺の変後、秀吉派の軍勢に阻まれた折、その愛馬が陸路を断念した主を乗せたまま琵琶湖の湖水へ入り、無事に泳ぎきって居城への帰還を果たした、と言わる伝説である。
にわかに信じがたい話だが、その事実のほどについて考えてみたい。
哺乳類の大半が泳げることは周知の事実であろう。
たとえば犬。「犬かき」という言葉も生み出されるほど、犬の泳ぎは達者であり、手足で水をかきわけ水面を進むのである。
馬はその大きさゆえ、泳ぐことは苦手と思いがちだが、犬と同類の哺乳類であり四足歩行という共通点を持った馬が泳げない――なんて話もおかしな話だろう。
実は馬は泳げる――のである。
事実、馬が海や川を泳いでいる姿は見られ、競馬の調教でもプール調教と言われる方法があるぐらいに、馬が泳ぐということは当り前の行為なのである。



となれば、この優秀な軍馬が泳げぬ道理もないはずだ。
軍馬はその体に水飛沫を浴びて、浅瀬を進む。
水の重さのせいで速度は緩まるものの、着実へと対岸が近くなっていく。
しかし、浅瀬である地帯を抜けると、軍馬の踵がついに水底へとつかぬ深さの地帯へと突入する。
慣れぬ河口の深さに軍馬の体は奪われ、じたばたもがく。
それが逆効果となり、ついには顔まで沈まんとしていた。
―――なんのこれしきッッ!
軍馬は本能的に沈みゆく体の力を抜き、その四足のみに力を蓄えて巧みに動かす。

1かき―――河口に捕らわれた体が対岸へと向かって進む。
2かき―――態勢を整え、その身を浮かさんとする。
3かき―――水面にその背が浮く。

ついに態勢を整えた軍馬は、水中の四足をその馬力でかき分けて、みるみるうちに対岸への距離を縮めていった。
浅瀬につき足場を取り戻した軍馬はそのまま一気に陸地めがけて走りだす。

――――ヒッヒイイイイイイイイイイインッッッ!

陸地へと無事辿りついた軍馬は勝利の咆哮をあげ、主を目指さんと駆けだした。


【F-2/工業地帯海岸/一日目/午前】


【伊達軍の馬@戦国BASARA】
[状態]:ボロボロ 奮起
[思考]
基本:主である伊達政宗のもとへ向かう。
1:主へ向かって駆けるッ!
2:乗るもの拒まず。乗った人をできるだけ落とさないようにする。
3:でも、乗せるのならやっぱ女の人がいい。
4:だけど、正直辛い。
[備考]
※バイクのハンドルとマフラーっぽい装飾類を失くしました。見た目では普通の馬と大差ありません。しかし、色々な意味で「馬イク」です
445 ◆1Zsr2tvTvs :2009/12/11(金) 21:11:58 ID:eA6UaR5R
以上で投下終了です。
仮投下の際の反応にとくに問題はなかったので投下しましたが、何か問題があればご指摘ください。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 21:19:44 ID:BSVun+qg
>>438
CCは美少女扱いなのか? 実年齢は3桁余裕なんだが
あと橙子さん人形も一応大人の女性だぜ。動けないけど
447 ◆zZobvbdlGE :2009/12/11(金) 21:21:46 ID:6JCyGaA3
>>446
上条さん、ガハラさん、C.C.と合流しても皆一般人レベルなんだよなw
ドS2人投入により足並み乱れまくりで船井さん涙目w
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 21:22:52 ID:EjunDkrL
わろちw
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 21:23:32 ID:6JCyGaA3
おっとJaneのコテハン記憶は危ないw
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 21:25:30 ID:BSVun+qg
うおっと馬イク投下きたw
リリなのデバイスみたいな役回りか。にしても何だこの異様な存在感www
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 21:59:47 ID:GDdoK3b7
馬イクキター!
GJ!!
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 23:01:58 ID:XdVCDoRt
馬イクもすっかり馴染んだなwもはや影の参加者と言っても過言ではないなこりゃ
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 23:06:28 ID:Yiyhi2M5
馬イクwwwなんか哀愁感じるwww
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 23:21:47 ID:iDpoNAkk
馬イクいいよいいよー
こういうのはやっぱりいいなw
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 01:03:09 ID:1H9Em82J
きっと途中で螺旋力に目覚めて最終話で人間化するに違いないw
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 01:52:44 ID:J3/3hACZ
馬並みなのね!
という言葉もあるくらい馬のドリルは人間様と違って凄いらしいなw
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:29:07 ID:/rhVts1D
珠に競馬場でレース前に興奮した馬がいきり立つが、アレはマジでデカイw
458 ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:32:03 ID:lhkWKkxa
しまった、少し遅れた
ラハム・エーカー、衛宮士郎、白井黒子、投下します
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:33:46 ID:Q6g8HvHN
お、キタキタ!支援
460Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:33:53 ID:lhkWKkxa
寂れた道を一台のジープが走り抜けていく。
島の北東、半島部の三分の二近くを占める廃村。
8つのエリアに跨って広がるそこには、人の気配というものがまるで存在しなかった。
路面はアスファルトの舗装などされておらず、土と砂が剥き出しのまま。
建物も木造平屋ばかりで高層建造物は見当たらない。
湾に面した土地柄、いつか港町として栄えていた時期もあったのかもしれない。
士郎はビニルの窓越しの風景に目を凝らしながら、そんなことを考えていた。

「誰もいないな……」

沿道に並ぶ家々は、どれもあばら屋同然の有様であった。
良く言えば時代を感じさせる村落で、悪く言えばただの廃墟だ。
当然、誰かが住んでいる様子は一切ない。
士郎の自宅がある冬木市深山町も古い町並みを残しているが、それとは全く別種である。
あちらを代々伝えられた工芸品とするなら、こちらは棄てられた蔵の片隅に眠る壊れた日用雑貨か。
手入れもされず、徒に時間を重ねて風化した光景。
使い道があるとすれば、はぐれ者達の溜り場か、低予算ホラー映画の撮影くらいのものだろう。


或いは"雨風も他人も避けたいと願う誰か"の隠れ場所として――


ジープが曲がり角を左折する。
こうも小さな村だ。
車の通行など考慮されていないに違いない。
両脇の家の壁にサイドミラーがぶつかりそうだ。
そんな穴倉じみた狭路を、グラハムは巧みに潜り抜けていく。
ただ廃村を通過するだけなら、こんな悪路を通る必要などない。
太い道を選んで南下すれば数分と掛かるまい。
そこをあえて寄り道しているのは、ひとえに『仲間を探す』という目的のためである。
ジープの速力をフル活用すれば島の横断すら容易いだろう。
しかし、そんな走り方で仲間を探せるかといえば、答えはNOだ。
最短距離を進むということは、取りも直さず、通過できる面積の減少を意味する。
捜索においては大きなマイナスとなる。
特にここは人の居住を前提とした場所だ。
身を潜める場所として選ばれる可能性は決して低くない。
尤も、それが望みの相手であるとは限らないのだが。

小道を抜けた瞬間、微かな潮の匂いが士郎の鼻腔を刺激した。

一般にイメージされるジープは屋根も側面の窓もない造りの物だろう。
グラハムがハンドルを握っているのは、それに手を加えた兵員輸送用の車両であった。
運転席と助手席の扉と屋根。
後部座席を覆う幌。
それらは全て、合成繊維の布と鉄材で作られた後付けだ。
真っ当な窓といえばフロントガラスくらいのもの。
他の窓はそもそもガラスですらなく、開閉する機能などついているはずもない。
しかもその構造上あちらこちらが隙間だらけで、密閉性は殆どなかった。
走っている間中、冷たい風が吹き込んでは後部座席を満たしていく。
突然、がたんっ!と車体が揺れる。
その衝撃で士郎の頭と幌の支柱がぶつかって、小気味のいい音を立てた。

「すまない、大きな石を踏んだらしい」

グラハムは振り返ることなく、運転に集中し続けている。
ジープに限らず、軍用車両は過酷なテストを潜り抜けた上で採用されている。
たかが廃村の悪路如きで音をあげるものではない。
もっとも、このように乗り心地は二の次、三の次だったりするのだが。

「……そうだ、白井」
461Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:34:34 ID:lhkWKkxa
士郎は支柱に打ち付けた頭をさすりながら、反対側に座る黒子を見やった。
兵員輸送という目的ゆえか。
後部座席は自家用車と異なり、運転席と同じ向きにはなっていない。
両端に横長の座席が取り付けられ、内側に脚を向ける構造で、出入り口は車両背面に付けられている。
定員は余裕を持って座れば四人程度。
そして黒子は運転席のすぐ後ろに、士郎は対角線上の扉付近に座っていた。
後部座席とはいうが、所詮は軽トラの荷台に椅子を置いて幌を被せたようなものだ。
シートベルトなんて便利アイテムは無く、座席の質も水準ギリギリで寛ぎの空間とは程遠い。
この劣悪な環境で疲労していないか――
士郎が黒子へ意識を向けたのは、そんな単純な心遣いからだった。


だから想像なんてしていなかった。
黒子の眼に、うっすらと涙が浮かんでいるだなんて。


「――あ」

士郎は思わず目線を逸らした。
見てはいけないモノ。
見るべきでなかったモノ。
見られたくないはずのモノ。
そんな瞬間を目撃してしまった気まずさに、暫く視線を彷徨わせる。
士郎が慌てている間に、黒子は涙を拭って普段のすまし顔に戻っていた。
傍から見れば何事もなかったようにしか思えないだろう。



『お姉さまがあんな事になったのに……何で私はまだ息をしてるのですかっ……』


『何で私は痛いなんて思えるんですかっ……何で……何でっ!』



"お姉さま"こと御坂美琴について、士郎の知ることは少ない。
情報交換の際に黒子から聞かされた内容が全てだ。
年齢は黒子よりも上。
彼女にここまで敬愛されるほどの人柄。
そして彼女と同じく超能力者――
ここまで考えが進んだところで、士郎は思索を打ち切った。
化粧室前での一件以降、黒子は"お姉さま"について語ろうとはしなかった。
つまり、今は他人に触れられたくない領域だということ。
そこへ土足で踏み込んでいいはずなどない。

「…………」

車内を沈黙が埋め尽くす。
誰一人として口を開こうとせず、ジープの駆動音だけが反響する。
黒子は感情の読み取りにくい表情で窓外に視線を投げている。
グラハムは運転しながら周囲を警戒しているため、無駄口を叩く暇がないのだろう。
そもそも必要以上にお喋りな人間がいるチームでもない。
少し会話が途切れるくらいは当たり前だ。
けれど士郎は、言いようのない居た堪れなさを感じていた。
黒子の涙を見るのはこれで二回目だ。
初めてではないにせよ、慣れることもありえない。
士郎の胸の中で疼くのは『正義の味方』という理想ではなく。

――女の子は泣かせないコト、後で損するからね――
462Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:35:20 ID:lhkWKkxa
今は亡き養父、衛宮切嗣が幼い士郎に何度も言い聞かせてきた言葉だった。
衛宮切嗣がどのような半生を送ってきたのか、士郎は殆ど教えられていない。
しかしそう言い聞かせるときの彼の顔は、ひどく実感の篭ったものだったような記憶がある。
だからというわけではないが、士郎は黒子のことがやけに気になってしまっていた。

「傷、痛むのか?」

不意にそんな台詞が口をついた。
声に出してしまってから後悔する。
涙を見てしまったことを誤魔化すにしても、まだマシな言い方があっただろう。
黒子はきょとんとして、士郎の顔と自分の手を見比べた。

「ええ、痛いですわ。痛くて泣いてしまいそう……」

微笑みを模った眦から雫が落ちる。
それを人差し指で拭ったかと思うと、黒子は唐突にグラハムへ声を掛けた。

「少し車を止めて頂けませんか」
「……五分待とう」

グラハムは半秒置いて返答し、路肩にジープを停車させる。
理由を問い質すつもりはないが、リスクを考えると望ましい行為とはいえない。
その妥協点を探す時間が半秒であり、探し出された妥協点が五分間。
黒子は席を立つと、やおら車両後部の出入り口をこじ開けた。

「おい、白ら……っ!?」

急な展開に驚く士郎の腕を、黒子の細い手がぐいっと引っ張った。
所詮は華奢な少女の力だ。
振り解こうと思えば容易いだろう。
しかし士郎は抵抗らしい抵抗もせず、引かれるままにジープから跳び降りる。
外の空気は、狭い車内よりずっと潮の匂いが強かった。



   ◇  ◇  ◇



「さて……」

黒子と士郎が路地裏に入っていったのを見届けて、グラハムはハンドルに被せるようにして地図を広げた。
地図上のギャンブル船――エスポワールに人差し指を重ね、そこから南南東へ指先を滑らせる。
廃村の南、現在位置の辺りで一旦ストップ。
そこから右下、真下、左下と指を往復させる。

「海岸沿いのルートはランドマークが殆どないな。
 南へ進んで駅に行くか、死者の眠る場所とやらに寄り道してみるか」

グラハムとて、黒子の雰囲気のおかしさに気が付かないほど鈍くはない。
覇気のなさ、生きようとする意志の薄さ。
そういった正とも負ともつかない雰囲気が、黒子の言動の端々に見え隠れしていた。
しかし、あえてそのことを指摘することはしなかった。
それが元々の性格なのか、殺し合いという異常の中で芽生えたものなのか、彼には判別することができなかったからだ。
中途半端な認識で口を挟むほど、人間関係を拗らせる原因は他にない。
だからこそグラハムは自分の役割に徹していた。

「櫓へ向かうには南へ行き過ぎた。残念だが後回しだ」
463Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:36:22 ID:lhkWKkxa
黒子とグラハムが出会ったのは放送直後。
グラハムは本来の白井黒子――即ち、御坂美琴の死を知る前の彼女を知らない。
故に、彼女の空虚を理解し得ない。
否、仮に事情を語り聞かされたところで理解できまい。
事情を知れば、少女の哀しみを想像し、義憤に燃えるに違いない。
だがそれが限界だ。
軍人が戦友を失うのとは全く質の異なる喪失感。
いつまでも一緒にいられるという幻想の破壊。
傷の痛みは、同じ傷を負ったことがなければ分からない。
グラハムもそれを直感的に悟っているのだろう。
デイパックから時計を取り出し、ぽつりと呟いた。

「五分では短すぎたかもしれないな……」



   ◇  ◇  ◇



かれこれ二百メートルは走っただろうか。
砂浜に臨む民家の前で、黒子はようやく立ち止まった。

「どうしたんだ、白井」

士郎の問いに、黒子は答えない。
手を離し、二歩、三歩と砂浜に向けて歩いていく。
海から吹きつける潮風が、二つに括った黒子の髪を揺らす。
眼前に広がる砂地はとにかく広大だ。
地図がなければ、砂漠だと勘違いしていたかもしれない。
うっすらと見える水平線すら、オアシスのそれなのではと錯覚しそうになる。

「……お姉さまはわたくしの憧れでした」

ざくり、と。
黒子の靴が砂を踏みしめた。
包帯に包まれた手は腰の後ろに。
遊歩道を散歩するような足取りで。

「心身ともにお近付きになりたくて、色々なことを試しましたわ。
 なのにお姉さまったら、ちっとも受け入れてくださいませんの」

声は震え、少しずつか細くなっていく。
懐かしむように独白しながら、また一歩、もう一歩。
狭い歩幅で、ゆっくり足跡を刻む。

「けれど……ずっと一緒にいたいと、願っていました。
 ずっと一緒にいられるはずだと……信じていました」

最後の方は搾り出すような声になっていた。
表情を確かめることはできない。
腰の後ろで、左右の指が絡み合う。
触れられないモノを求め、探るように。
士郎が近付こうとした瞬間、黒子はくるりと振り返る。

黒子は微笑んでいた。

今にも泣き出しそうな笑顔だった。

 
464Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:37:30 ID:lhkWKkxa
刹那、黒子の輪郭が掻き消える。
それと同時に、士郎は胸の辺りに強い衝撃を感じ、背中から地面に倒れこんだ。

「っ……白井……?」
「やっぱりダメですわ。目の前に現れて驚かせるつもりでしたのに」

冗談めかした口調で言いながら、黒子は士郎を見下ろしていた。
士郎の腹部に腰を落とし、両足を左右に崩し、胸に両腕を突くという格好で。
今の空間転移が失敗であるものか。
精神状態が影響したのなら、能力の発動自体に失敗しているはずだ。
しかも移動距離はたったの数メートル。
大きな誤差など発生するわけがない。

「はしたない格好で申し訳ありませんが……ひとつ、お聞かせください」

重石になっているのは黒子の体重だけだ。
逃れようと思えば力ずくで覆せる。
だが、士郎にはそれができなかった。
見下ろす黒子の声があまりにも細くて、消え入りそうだったから。

「衛宮さんは、死者の蘇生とやらについて、どうお考えですの?」
「どう、って……」

黒子の両髪が士郎の頬に垂れている。
それほどまでに両者の距離は近かった。
士郎が見上げる黒子は逆光。
黒子が見下ろす士郎は陰影。
二人の間に生じた、白昼の暗闇。

「ここで誰かを生き返らせるってことは、他の誰かを殺すってことだろ。それは……」
「ええ、それは許されないことですわ」

黒子は士郎の制服に爪を立てた。
苦痛を堪え、もがくように、士郎の服を握っている。

「お姉さまもきっとお望みになりません……。
 それでも……たとえ、許されないことだとしても……」

次の一言が黒子の喉を詰まらせた。
それは、口にしてはいけない破滅の呪文だ。
"お姉さま"と過ごした綺麗な日々も。
自分を見上げる、真剣な眼差しの少年との信頼も。
全てがたった一言で壊れてしまう。
それでも、彼女は――

「わたくしは、お姉さまを……」
「白井!」

士郎が黒子の肩を掴む。
その感触があまりにも華奢で、士郎の思考は一瞬だけ真っ白になった。
以前、士郎は白井黒子という少女の雰囲気にセイバーを重ね見た。
勇気ある態度。
凛とした佇まい。
要点を押さえた智恵。
全てが素直に凄いと思えた。
けれど、黒子とセイバーは違う。
望んで選定の剣を抜いた王と、殺戮に巻き込まれに過ぎない少女とでは、あまりにも違いすぎる。
大切なものを失う覚悟などあるはずがなく――あるべきではないのだ。
465Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:38:15 ID:lhkWKkxa
「――――それじゃあ、わたくしにどうしろと言うんですの?
 こんなに痛くて、苦しいのに――――」

彼女は細い境界線の上にいる。
他の誰でもない、自分自身が区切った善と悪との境界に。
失ったままの善の側。
取り戻せるかもしれない悪の側。
境界を引いたのは自分だというのに、それで苦しんでいるのも自分自身だ。
一分一秒ごとに、絶え間なく生まれ続ける心の痛み。
身体の傷なら手当てができる。
痛みもいつかは治まるだろう。
だけど、心の傷は違う。
心には形がないから、治療できずに痛み続ける。
恐らくは、どちらの側を選んだとしても、永遠に。
包帯が痛々しい手を胸に抱き寄せ、黒子は顔を伏せた。
肩の震えが士郎の腕にも伝わってくる。
黒子の身体は、強く握るだけで壊れてしまいそうだった。
これが白井黒子なのだ。
超人でもなければ聖人でもない。
大切な人を亡くして嘆き悲しむ一人の少女だ。

「――やっぱり、勝手に信頼したわたくしが莫迦でした。
 貴方には、わたくしの気持ちは分かりません」

黒子は表情を消し、士郎から離れようとした。

「待てっ!」

その身体を士郎の腕が強引に引き戻す。
前髪が触れそうな距離で重なる視線。
涙で潤んだ瞳は、消しきれない感情の残滓。

「こんなこと、いま話すべきじゃないかもしれないけど……」

衛宮士郎は、かつて大切な人達を失った。
十年前――冬木市を襲った大火災が全てを焼き払ったのだ。
人々も、家々も、何もかも。
地獄のような焔の中、生き残ったのは彼一人。
助けを求める声を無視し続け、己が助かりたいがために彷徨い続けて。
その果てに、衛宮切嗣という魔術師に救われた。

――それを話して、どうするつもりなんだ。

言葉を途切れさせた一瞬。
士郎は声もなく自問する。

――『だから君の気持ちも理解できる』とでも言うのか。

引き止めたときはそうするつもりだった。
だけど、それじゃ意味がない。

――なら、どうする。

そんなこと決まっている。
目の前で泣いている人を見なかったことにするなんて、衛宮士郎にできるはずがない。



「――――――――――――――――」
466Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:39:00 ID:lhkWKkxa
 


黒子は眼を丸くしたかと思うと、小さく吹き出した。
士郎の真剣さが逆に可笑しかったのか。
完全に気勢を削がれた様子で、制服の肩口で顔を拭う。

「貴方のこと、甘やかしーだって言いましたけど、訂正しますわ。
 とても残酷で……ちょっと気障です」

からかい気味に返されて、士郎は拗ねたように顔を背けた。
そして、脇に避けた黒子より先に立ち上がり、さりげなく手を差し出す。
黒子もまた、自然な素振りでその手を取っていた。



   ◇  ◇  ◇



二人分の足音が近付いてくる。
グラハムは一瞬だけ時計に目を落とし、窓から上体を乗り出した。
あれから既に十分以上経っているのは見なかったことにした。

「門限ギリギリのご帰宅か。不良少年の真似事は感心しないな」
「申し訳ありません」

黒子は運転席の横で駆け足を止め、スカートを摘んで一礼する。
向こうで何があったのか、グラハムには見当もつかない。
だが、洒落た仕草を返す余裕があるのなら大丈夫だろうと思うことにした。
車両後部へ駆ける黒子から暫し遅れ、士郎もグラハムの側を通り過ぎる。

「――少年!」
「っ――」

足音が止まる。
背中を向き合せたまま、どちらも振り返ろうとしない。

「彼女のことは任せたい」
「……分かった」

交わした言葉は短かったが、意思を伝え合うには充分だ。
再び遠ざかっていく足音を背に受けて、グラハムは運転席に身体を戻した。







「……あれ? 白井?」

ジープの後部座席は、どういうわけか空っぽだった。
士郎は乗降口に片足を掛けたまま、何度も車内を見渡した。
黒子がいない?
先に戻ったはずなのに?
戸惑いは焦りに変わり、士郎の身体を突き動かす。
まさにその瞬間。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:39:36 ID:Q6g8HvHN
女の子はあまーいお菓子で出来ているからのう
468Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:40:32 ID:lhkWKkxa
「……えいっ!」
「うわっ!?」

士郎は振り抜かれたデイパックに背中を打たれ、勢いのまま車内に転がり込んだ。
開けっ放しの乗降口で、黒子が悪童のように笑っている。
どうやらジープの陰に隠れてタイミングを計っていたらしい。

「隙ありですわ。油断なさいましたね。
 隠れていたのが悪い人でしたら、今頃大変なことになっていますわ」

悪びれる様子もなくそう言って、よいしょ、と車内に上がってくる。
士郎の横をすり抜ける瞬間、さりげなく耳元に口を寄せる。

「わたくしを守ってくださるんでしょう? しっかりして頂かないと困りますわ」

口篭る士郎を尻目に、黒子はさっさと元の場所に座っていた。
――さっきの発言をこんなすぐに返してくるなんて。
少なからぬ驚きを覚えながら、士郎は黒子と対角線上の位置に腰を下ろした。
多大な要約がされていたが、大雑把な主旨は黒子が囁いた通りだ。
これ以上の痛みから彼女を全力で守る、と。
彼女が他人を手に掛けるというなら全力で止める、と。
士郎はそう言い放った。
ああ、黒子の言うとおり、確かに残酷だ。
哀しみを抱いたまま生き続けろと宣言したも同然なのだから。

「以降のルートはこうしようと思うのだが、意見を聞かせてくれ」
「えっと……沿岸設備の可能性を考えるなら、もう少し海寄りを通った方がよろしいのでは?」

黒子はグラハムと、運転席の座席を挟んで今後の計画を話し合っている。
一見すると、以前の調子を取り戻したかのようにも思える。
だが、黒子は未だ境界線の上にあるのだ。
あの平静の陰に、どれだけの叫びを押し殺しているのか。
正義と絶望の側を行くか。
邪悪と希望の側を行くか。
彼女は今も揺らいでいるのだろう。
白と黒との境界線を、すぐにでも倒れそうな足取りで。
どちらが黒で、どちらが白かも分からないまま。
――これは仮定の話だ。
もしもあそこで、自分の過去を語っていたらどうなっていたのだろうか。
黒子の小さな背中を見やりながら、士郎はそんなことを考えて、すぐに頭から追い出した。

「ふむ、最終的には駅へ立ち寄るとして、死者の眠る場所はどうする」
「そこは、つまり……その、人が近付きそうな所じゃありませんわ」

墓地、霊園、霊廟。
黒子は『死』を連想させる単語を避けている。
無意識の逃避なのか、それとも意識してのことなのか。
士郎に推し量る術などない。

「了解した。経路は海岸沿いを選択しよう」

身体の傷なら手当てができる。
痛みもいつかは治まるだろう。
だけど、心の傷は違う。
心には形がないから、治療できずに痛み続ける。
痛みに耐えるのはその人自身だ。
他の誰であっても、それを肩代わりすることなんかできない。
支え合えるのは荷物の重さで倒れそうな体だけ。
それでもなお、何かをしたいと望むのならば、余計な悲劇なんて見せ付けちゃいけない。
落ち込んでいるときに悲しい話なんか聞かされたら、余計に落ち込むに決まっているじゃないか。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:41:05 ID:t+WZk9xn
 
470Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:41:18 ID:lhkWKkxa
「衛宮さんはご意見あります?」
「あ、いや――俺は"みんな"に負担が掛からないルートならいいよ」

士郎の曖昧な返事を聞いて、黒子は大仰に肩を竦めた。
"みんな"だなんて、それで誤魔化したつもりなのかと言わんばかりに。

「やっぱり、衛宮さんは甘やかしーですわ」








【C-6/廃村と砂浜の境界付近/一日目/午前】
【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:健康
[服装]:ユニオンの制服
[装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30、軍用ジープ@現実
[道具]:基本支給品一式、五飛の青龍刀@新機動戦記ガンダムW
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。断固辞退
0:ひとまず砂浜に沿って南下する
1:島を時計回りに移動しながら、士郎らと共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先)
2:張五飛と接触したい
2:主催者の思惑を潰す
3:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける
4:地図が本当に正確なものかどうかを確かめるために名所を調べて回る
5:衣の友達づくりを手伝う。ひとまずは一万ペリカを手にいれ、『麻雀牌セット』を買ってやりたい
【備考】
※参戦時期は1stシーズン25話「刹那」内でエクシアとの最終決戦直後です
※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※張五飛がガンダムのパイロット、少なくともソレスタルビーイングのメンバーであると知れないと考えています



471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:41:57 ID:t+WZk9xn
 
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:42:51 ID:t+WZk9xn
 
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:43:06 ID:rvV41Oih
 
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:43:19 ID:VB2ofUKA
 
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:43:37 ID:t+WZk9xn
 
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:44:05 ID:rvV41Oih
 
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:44:25 ID:t+WZk9xn
 
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:45:18 ID:rvV41Oih
 
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:45:42 ID:/rhVts1D
?
480Remaining Sense of Pain ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:46:31 ID:lhkWKkxa
【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]: 健康、額に軽い怪我(処置済み)
[服装]: 穂村原学園制服
[装備]: カリバーン@Fate/stay night
[道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実
[思考]
基本:主催者へ反抗する
1:島を時計回りに移動しながら、グラハムらと共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先)
2:黒子を守る。しかし黒子が誰かを殺すなら全力で止める
3:女の子を戦わせない。出来るだけ自分で何とかする
4:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒
[備考]
※参戦時期は第12話『空を裂く』の直後です
※残り令呪:1画
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました



【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康、精神疲労(中)、空虚感
[服装]:常盤台中学校制服、両手に包帯
[装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:なるべく普段通りに振舞う(スタンスは決めあぐねている)
1:島を時計回りに移動しながら、士郎らと共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先)
2:お姉さまを生き返らせるチャンスがあるなら……?
3:衛宮さんはすぐに人を甘やかす
4:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒
5:少しは衛宮さんを頼る
[備考]
※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です
※空間転移の制限
 距離に反比例して精度にブレが出るようです。
 ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が130.7kg。
 その他制限については不明。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※美琴の死により常に空虚感があります
 空間転移は正常に使用できない可能性が高いです
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:46:35 ID:t+WZk9xn
さるったか? 支援重なったし行けないかな?
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:46:59 ID:Q6g8HvHN
恐ろしいな、10レスで即さるさんなのか、ここ
483 ◆C8THitgZTg :2009/12/12(土) 03:47:18 ID:lhkWKkxa
投下終了です
最後の1レスで連投規制に引っかかってしまいました

支援ありがとうございます
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 03:49:05 ID:Q6g8HvHN
>>483
乙〜
黒子も相当きついわな、そりゃ
シローもらしいちゃらしいがw
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 07:44:12 ID:JP2rXJJW
黒子切ないな・・・

そしてそこはかとなく、ラブ臭!!ラブ臭がしますわ!!
なんだろう、読んでいてドキドキしました。
いいな、青春だなあ。

黒子が能力行使できるようになったのは大きいな。
士郎もやるじゃないか、流石男の子。

そしてハムさん。
このロワでは、良いお兄さんというか、良い保護者役がもう完全に板についていますねw

良い作品でした。
投下乙です。
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 09:17:45 ID:c5kJ11WI
投下乙!
この二人、いろんな意味で目が離せないw
そしてグラハム蚊帳の外w
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 09:29:59 ID:8eYrBHbH
グラハムさんが蚊帳な外なのは原作再現なんだぞ!
たまにガンダムを追いかけて来る以外、本筋と関係ない人だったし
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 09:31:38 ID:JP2rXJJW
そういえばそうだな・・・
存在感だけはあったけど、本筋に全然関係ないw
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 12:04:33 ID:Gc0+aCiO
このロワだと今までこういうフラグが立ってろくな目に会った奴がいないから
この組も次あたりでころっとマーダーに全滅させられて黒子も優勝狙いに移行、とかになりそうで怖いな
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 12:28:16 ID:W537xgnA
2ndも妙なフラグのせいで糞企画になったんだよな。
3rdももう終わりだな。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 13:45:51 ID:ZoLbtDEn
投下乙でした

年長としてのグラハムには安心させられますが、軍人としてのグラハムもまた見てみたいですね
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 14:13:30 ID:Q6g8HvHN
>>487
そんなグラハムだって衣と一緒だったらグラコロコンビとして活躍できるさ!
もう無理っぽいけど!
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 14:34:29 ID:jnqAyfvv
グラコロ物凄く見たいけど、もう見れないんだろうな

二人が出会ってコンビ組むなんて、
後にも先にもこの企画だけだろうなw
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 16:06:22 ID:Q6g8HvHN
ん〜文中の表記見る限り
紬はベンツ乗り捨てて円形競技場向かってるなぁ。。。
ルルの策が知らず知らずの間にスルーされたか


…スルーシュ
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 17:25:37 ID:TdqJvplD
>>494
【審議中】

    ∧,,∧  ∧,,∧
 ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U (  ´・) (・`  ) と ノ
 u-u (l    ) (   ノu-u
     `u-u'. `u-u'   
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 18:04:48 ID:J3/3hACZ
fateルートの士郎って投影も極めてなければUBW、アーチャーの腕もないから弱いよな、
参戦時期ってバーサーカー倒したカリバーンの投影できるんだっけ?
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 18:14:10 ID:8eYrBHbH
一応体鍛えてるし、元弓道部だから、非運動部の学生よりはマシなんじゃないかな
いいから弓矢を持たせて援護に専念させるんだ!(ただしいざとなれば前に出る)
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 18:22:38 ID:Rwe5HbSB
性格的に前に出てくからな
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 18:23:53 ID:JP2rXJJW
>>496
一応セイバーと繋がってるから、聖剣の鞘のおかげで耐久力はルート中一番ある
アヴァロンを使えるようになっている状態なら、ノータイムで出せるから防御は万全なんだけど

このロワでは参戦時期がバーサーカー戦の前なので、投影できず
強化と解析しか使えないんじゃないか

カリバーンの本物が手元にあるから、きっかけさえあれば。
せめてアーチャーの戦い方を実際に見られればいいけど・・・まあ、多分無理かなあw
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 19:13:04 ID:aLf16uYU
参戦時期的にはいざとならなくとも前に出てきて邪魔する辺りだな
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 19:24:19 ID:JP2rXJJW
なんだってこんな一番へっぽこなタイミングで出してきたんだ・・・
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 19:33:45 ID:8eYrBHbH
能力的に支援向きなのに性格がなぁ。前に出たがりなのは、死んでも変わらないから仕方ないが
半端に強いよりは個性も出るから、いいタイミングだよな
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 19:52:05 ID:4EYaJFBl
過去二戦ともむーざんむーざんな結末だったし今回は頑張って欲しいもんだけど

???「そんなこと言ったら俺だってニ連敗ですよ!」
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 20:07:25 ID:xOsQTCCY
お、おまえは!?
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 20:11:41 ID:J3/3hACZ
今のアーチャーならなんか悟ってしいきなり士郎を襲わないだろうから
二人が出会ってパワーうpする可能性に期待するしかないのか

>>503
誰?
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 20:17:50 ID:Rwe5HbSB
>>505
みんな大好きミストさん
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 20:19:49 ID:5DAEnbL9
>>505
いやあ……ミストさんは強敵でしたね
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 20:40:15 ID:bw4CANGI
投下乙です
グラハムがかっこよく思えたがよく考えればこの人ガンダム絡まなければ普通に優秀な軍人に見えるんだな
士郎と黒子のシロクロコンビ(苦しいなw)も良い雰囲気だ
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 20:42:22 ID:JP2rXJJW
シロクロコンビか、いいんじゃないw
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 20:51:31 ID:hMwtwJGJ
個人的な思い込みで突っ走るんじゃないぞ、士郎君!以前、同じような事をして、ホームランされた大馬鹿野郎からのアドバイスだ!
・・・みたいな?

てかなんで士郎すぐ死んでしまうん?
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 20:56:54 ID:JP2rXJJW
・前に出たがり
・女の子を守る
・アニメでは無限の剣製もナインライヴスも使えない(=実力が伴わない)
・自己犠牲王
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 21:01:22 ID:lNuycTAT
自分が置かれている状況の危険性を正しく認識しないで、不用意な行動を取る事が多いからってのもあるな。
自分が殺し合いの最中に居る事を知っていながら、昼間は大丈夫だからとか言って単独行動を取る事が多過ぎる。

なんちゅーか、危機感が欠けてるんだよ。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 21:07:04 ID:JP2rXJJW
まさにそんな感じでやっちまったのがアニ2だな
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 21:17:37 ID:J3/3hACZ
ルートによって強さが違いるぎるよなあ、アニロワじゃfateルート固定だし
アヴァロン内蔵されてるからあららぎ君みたいに軽い怪我程度なら盾としても使えるのかねえ
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 21:23:32 ID:RpJ5WwkC
本来なら内臓が半分吹っ飛んでも3日で全快するくらいのタフガイなんだが
ロワじゃ制限されるからなー
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 21:42:08 ID:ZDY84g43
耐久力と回復力は
CC>士郎>ありゃりゃぎさん
って感じか
CCはガチ不死だしな
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 21:59:03 ID:5DAEnbL9
ありゃりゃ木さんは春休みならアーカード並の回復力だったし、今でも骨に届くぐらいの傷が目に見える速度で塞がるぐらいの能力はあるんだぜ。
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:00:33 ID:JP2rXJJW
ありゃりゃ木さんも吸血鬼の眷属だしな
士郎とは同じくらいだと思われ

やはりC.Cかな
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:09:19 ID:RpJ5WwkC
あらやんとバサカも半不死みたいなもんか
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:17:13 ID:C0cezbpH
不死系多いな
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:24:09 ID:YlnbGhwN
士郎は危機感が欠けてるというか壊れてるんじゃないか設定的にみれば。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:25:12 ID:L8EnySoA
終盤にそんな台詞あったな
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:27:27 ID:xOsQTCCY
C.Cは耐久力自体は普通の女だろ
盾としては使いにくいな

士郎は身体が剣化してる時もあるからな
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:32:56 ID:L8EnySoA
ああ、耐久力と回復力は別物だわな
その三者が特に優れているのは回復力だわ
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:36:42 ID:aLf16uYU
耐久力で優れてるのはホンダムとバサカだな
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:42:03 ID:9cUHD8D0
ありゃりゃ木さんが超回復力発揮するには忍の存在が不可欠なのを忘れてるぜ
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:44:06 ID:mkl88w2/
たとえ戦闘力や耐久力が強化されてもそれが生存率とは関係ないのが士郎w
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:45:28 ID:J3/3hACZ
全開時のありゃりゃ木さんはなら体を半分吹っ飛ばされても一瞬で回復するから
回復力だけなら一番強いのか、通常時でも骨が見える位ならすぐ回復するし
といっても制限あるからなんともいえないが
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:47:13 ID:5DAEnbL9
ありゃりゃ木さんの回復力には制限なしと書いてあったような。
まあ、原作でも詳細に設定決まってるわけじゃないから、書き手の自由度はさほど奪われてないだろうが。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:47:40 ID:V4MiWT30
ここに来たときは忍に血を吸われてない状態からじゃなかったっけ
流石に弾丸やらで打ち抜かれたら死ぬなw
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 22:55:13 ID:xOsQTCCY
まぁせいぜいなでこの時くらいの能力だろうな
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 23:09:04 ID:aJWG/BIq
今回士郎さんは見事かっこよく生還して見せてお前らは土下座することになるよ
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 23:31:52 ID:mkl88w2/
士郎w、士郎www、士郎(笑)と来て今回は士郎さんか!
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 23:46:17 ID:L8EnySoA
山岡さんばりに活躍するのか
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 23:47:51 ID:BW41Xuys
お前ら士郎そんなに好きかw俺も大好きだwww
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 23:49:26 ID:IUQ28uQB
特に危なげなく生還する士郎はもはや士郎ではない
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 23:55:15 ID:c5kJ11WI
今回こそは……今回こそは生還してくれる……!
俺はそう信じてる……!
でも、1stでもるるるとフラグ立てた途端爆死して狂マーダーこしらえたしなあ……
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 23:55:25 ID:RF9hqIcl
衛宮士郎

警告を無視し何の危機感もなく丸腰で登校。凛に殺されかける。
懲りずにまたも丸腰で学校へ。ライダーに殺されかける。
不用意に戦闘地域に顔を出し、セイバーの捨て身の攻撃で事なきを得る。
またしても単独行動し、イリヤに監禁され、アーチャーを捨て駒にして脱出。
のこのこ冬木教会に出かけあっさり捕まり、ランサーを捨て駒にして脱出。
    /\___/ヽ
   /'''''' 士郎'''':::::::\
  . |  (。),   、(゚)、.:|  あばば・・・セイバーは女のこだからあふッうっ・・・
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|  おうッ・・ああッ戦っちゃ駄目ぇ・・・・・
.   |   mj |=‐ァ'  .::::|
   \,〈__ノニニ´ .:::/
  /ノ  ノ -‐‐一´\
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 23:57:11 ID:L8EnySoA
はっきり言おう、士郎さんは好きだw
>>538 この辺含めてw
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 23:58:02 ID:mkl88w2/
>>534
アンキモを現地調達したりするのかw
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 00:18:12 ID:MFAAQILR
アンキモ、アンキモって連呼して逮捕されるんですか!
わかりません!
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 00:33:00 ID:aKR1ajAB
>>538
とんだ疫病神じゃねえかwww
だがそれがいいwww
しっかし、つくづくヒロインだな士郎さん
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 00:37:29 ID:mIAbfXZT
士郎さんもそげぶすれば生還できるかもw
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 00:43:52 ID:B/PbEHIp
士郎さん・上条さん・ありゃりゃぎさんの揃い踏みは見てみたいな

ちっとも強そうじゃないのが困りものだがw
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 00:48:26 ID:2f9CZlcS
士郎さんだったら利根川が旨そうに喰ってた寿司に
「心のこもってないスシはただのシャリとネタの固まりだ!! スシじゃねぇ!」
って言ってくれると信じてました
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 00:52:13 ID:jPRbGl+p
>>544
最強状態なら上条さん以外はかなり強いんだけどな
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 00:54:37 ID:wvjnKcpG
忍が人質側に居ればなんとかなるかもなぁ
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 00:57:00 ID:j0kFjDaQ
なんだかんだで結構精神的には差があるんだよな、その三人は。
……そういう違いもみたいなぁ。
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 01:28:13 ID:XIp+tnQJ
おいおい、士郎さんを馬鹿にするなよ
あれで普段は冷静なんだぞ。何かあるとついやっちゃうけど、死体を見慣れているから一般人より混乱も少ないしな
その上、生き残る才能は一級品なんだぜ。一般人の方が生き残りやすそうな気もするけど、ジョージが言ってたから間違いない
結論として、士郎は死ぬ
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 01:33:34 ID:B/PbEHIp
あらやんとのダブルジョージ見てえなあw
黒幕の一人に麻婆神父出てこないかしらん
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 01:34:10 ID:wvjnKcpG
いっそのことディートハルトも出そうぜ
トリプルジョージ
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 01:35:24 ID:WXy4tmP1
カオスの権化だ!
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 01:37:26 ID:rhNsiETQ
ジョージの権化だ!
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 01:39:34 ID:rhNsiETQ
今日は投下されないな。予約表を見るに明日にドバッと出てきそうだが・・・
555 ◆0zvBiGoI0k :2009/12/13(日) 01:41:02 ID:rhNsiETQ
test
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 02:23:37 ID:2f9CZlcS
黒幕:マーボー
ジョーカー:あらやん
情報部担当:ディートハルト
完璧じゃないか!w
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 02:24:45 ID:UiBAEl8D
嫌な3人組だw
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 03:26:57 ID:YkDKe9o+
確かにディートハルトなら主催側でバトルや虐殺を中継したりして
参加者を煽る代役として出せそうだw
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 03:32:22 ID:B/PbEHIp
ジェットストリームジョージ(J・S・J)の出番か・・・
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 03:38:23 ID:0b9O8tuZ
顔に見えるww
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 03:39:43 ID:2f9CZlcS
そして放送の時の出番すら剥奪される八票さん……w
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 03:40:02 ID:B/PbEHIp
本当だw
・・・魅音に見える
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 05:10:56 ID:l8lKGei2
(・3・)アルェー?
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 05:16:46 ID:BUUdXd2L
>>549
士郎って本編では結構冷静な所も見せてるよな
でも人を救わなければという強迫観念のせいですぐに突っんじまうのがな…
やっぱり士郎は死ぬな
565 ◆1U4psLoLQg :2009/12/13(日) 05:23:13 ID:lRxZ83y3
織田信長
投下します
566 ◆1U4psLoLQg :2009/12/13(日) 05:26:03 ID:lRxZ83y3
エリアE-2に在る学校の視聴覚室。
二つ有るカーテンの内、片方が取り外されている以外、何の変哲もないただの部屋。
カーテンが無い側の窓から見える太陽が、室内の半面を明るく照らしている。
だが、もう半面は暗い、片方残った遮光カーテンによって、日光が遮られているためだ。

光と闇とに分けられた室内。
その闇の中に、黒きオーラを纏う一人の男の姿が合った。
廊下側の壁に背中を預け、深き眠りへとその身を委ねている。
男の前には、一本の刀が突き刺さっていた。

やがて、時間の経過と共に、太陽はその位置を変えていく。
光が、徐々に室内全体を照らしていき、男と刀にも迫っていく。
突き立てられた刃が、降り注ぐ日光を反射する。
はたして、それが合図だったのだろうか、男はその目をカッと見開らいた。

「時は、来たれり」

男は悠然と立ち上がり、床から己の刀を引き抜く。
そしておもむろに窓へと近づくと、残っていた遮光カーテンを毟り取り、続いて刀を一閃した。
弾け飛ぶ窓ガラス、太陽の光をただ一身に浴びながら、男は咆哮する。

「我は第六天魔王、――織田信長なり!」

男――織田信長は断言した。
我こそは魔王だ、と。
既に、この身は鎧と銃器を失い、臣下の一人も在りはしない。
刀一本と、在り合わせの外套のみとなった己の姿を省みて、
それでも尚、万端の自信を持って断言する。
見栄えなど関係ない。
たとえ、己が身一つになろうとも、この魂は魔王の器なり、と。

校内の視察を終えた信長は、最初に入った視聴覚室の中で、しばしの休息をとっていた。
だが、それもこれまで。
極限まで達していた疲労も、睡眠をとることによって、ようやく回復した。
ひとしきり校内を見回しても、特にめぼしいものは無い。
転がっていた女の惨死体も、特に信長の気を引かなかった。戦場ではあれ位の死体の損壊は珍しくも無い。
充分な休息を終えた今、最早この場に用は無し。

信長は次の目的地に向かって、視聴覚室の窓から飛び出していった。



数十分後
信長はエリアE-1、そこにそびえ立つショッピングモールを見上げていた。

ここへやって来た理由は視察、および武器調達。
『廃墟ビル』へ向かえと言う、マリアンヌの言葉に従うつもりはもう無かった。
当然の話だ、裏切り者の進言など今更考慮に入れるはずも無い。
だが、正しき言葉もあった。
『今は体を休め、兵と武器を集める時』
確かにその通りだ。
体力の回復は済ませた、とはいえ自身の戦闘能力が著しく低下している事は自覚できる。
兵は必ずしも必要ではない。
だが武器が無いことは問題だ、戦うにはいささか不便すぎる。
『ショッピングモール』がどのような場所であるか、信長は知らない。
567 ◆1U4psLoLQg :2009/12/13(日) 05:34:32 ID:lRxZ83y3
だが、廃ビルの付近にあって、マリアンヌはこれを『殺し合いには不要な施設』とは言わなかった。
なら逆に言えば、殺し合いに有用な物が存在する。
その公算が高いと判断できる。

「城……か?」

信長はショッピングモールを城の一種だと推定した。
彼は元居た戦国時代で、このような建物を見た事が無い。
だから、その大きさ、形状をもってそれが何であるかを判断づける。

信長の常識において、城の中には将と兵が居る。そして財宝、武器がある。
彼は今まで何十もの城を攻略してきた。
そして、その度に敵兵の命や財を奪っていった。
ならば今回とて同じこと。
この城の中には何があるのか。
強大な敵が居るのか、危険な罠があるのか、信長の望む物は果たしてあるのか。
どうであろうが変わらない、この男はただ壊し、潰し、殺しつくすのみ。
この城を攻め落とし、その中に在る命、財、全てを奪う。ただそれだけ。

「城攻めか――是非も無し!!」

そう叫び。
信長は、ショッピングモールの入り口に向かって駆け出した。
体力を取り戻した信長の走り。速度はまさしく人外のそれである。
数秒の内に、入り口は彼の目の前にあるだろう。
襲撃される百貨店の運命。
それは、悲惨なものとなるだろう。

これより、魔王による人生初の「おかいもの」が開始される。



ショッピングモールの入り口に、自動ドア。
そういう物がある。
扉を押したり引いたりする、そんな手間が省ける文明の利器だ。
透明なガラス扉であり、扉の前で人が足を止めれば勝手に開く。
そんな事は普通説明するまでも無い事、現代の常識、だが信長はその常識を知らなかった。
しかし、知っていようが知っていまいが、そんな事は彼には関係ない事。

短距離走の世界記録を遥かに上回る速度をもって、彼は自動ドアへと突っ込んでいく。
足を止める筈が無い。
この薄っぺらい、城門とは到底呼べぬ脆過ぎる仕掛け戸で、この男の足並みが、一瞬足りとて止まる事などありえない。
人の接近をセンサーが感知し、ゆっくりと扉が開かれ始める。
だが遅い。
魔王が通過するまでに開ききれない愚鈍な扉など、その一撃の下に粉砕されるが道理であろう。

「散れぃ!」
             
黒い闘気をまといし『物干し竿』の刀身が、矮小なガラス扉に叩きつけられた。
吹き飛ぶ自動ドア、舞い散る硝子の中を尚も疾走する黒影。
更に二枚目の自動ドアも吹き飛ばす。
散華する硝子の雨と共に、信長はショッピングモール内部へと突入した。

それでもまだ、彼の足は止まらない。
モールの最奥に向かって一直線に走り続ける。
568 ◆1U4psLoLQg :2009/12/13(日) 05:37:44 ID:lRxZ83y3
敵を皆殺しにするか、敵が居ないと分かるまで。

城門を正面から破ったというのに、敵が出てくる気配が無い。
どこかで罠を張り、待ち構えているのか。
それとも、攻める期を伺っているのか。

「フン、この信長を恐れたか?」

どちらでもかまわない。
敵が出てくるならば殺す、潜んでいるならば見つけ出して殺す。
コソコソ隠れて出てこないのなら、隠れる場所を無くすまで。
――この城を廃墟へと変えてやる。

「いざや開かん、冥底の門!」

漆黒のマントが唸りを上げて旋回する。
ショッピングモール内部の商品、備品、設備、それら全てを吹き飛ばしながら、ひたすら前へ前へと突き進む。

走り続ける信長の前に、この施設に取り付けられている案内ロボットが、三体近づいてきた。
縦に長い筒状の形をしている。
学園都市の技術によって作られたそれは、本来清掃機能がメインである。
しかし、警備用としての機能もまた備えていた。

『ショッピングモールへようこそ、他のお客様の迷惑になりますので、店内はお静かにお願いいたします』
「邪魔だ、どけい!我が眼中に無し!」

有無を言わさず切り捨てる。
信長の一振りで、三体全てが横に真っ二つとなっていた。

眼前の全てを、叩き潰し、切り刻み、ぶち壊しながら、猛進する。
その冗談の様な破壊力は、最早災害の領域。
人の形をした竜巻が、内側からショッピングモールを蹂躙しているかのようだった。
暴虐の限りを尽くすその疾走が止まったのは、モール1階をあらかた破壊し尽くした後である。

「……ん?」

そろそろ2階に上がろうかと考えていた矢先、信長はやっと目当ての物の一つを見つけた。
『五月人形、鎧、兜、鯉のぼりのお店』
そう書かれた店の前で、信長はようやくその足を止める。
そしてゆっくりと、しかし力強い歩みで店内へと進んでいった。

店中ガラスケースに入れられた鎧や兜でいっぱいだった。
それなりに上等なものが揃っている。
そして、その中でも一際信長の目を引く鎧があった。

「ほお、これはなかなかのものか……」

店内の最奥、そこに展示されている一つの鎧。
その特徴を述べるのは実に簡単だ。
一言でいうと『金ぴか』
上から下まですべて金色で統一された派手すぎる鎧だった。
しかし、信長はその派手さだけにに目を引かれたわけではない。
長年様々な鎧を見てきた彼には直感で分かる。
これはいい物だと。
569 ◆1U4psLoLQg :2009/12/13(日) 05:40:43 ID:lRxZ83y3
「いいだろう、我が使ってやろうぞ」

信長はケースの中に腕をつっこみ、黄金に輝く鎧を引きずり出した。



ひとしきりショッピングモール内を暴れ周り、破壊しつくした信長は、最上階のフードコートに腰を下ろしていた。
やはり制限のせいか、体力の消耗が早い。
一時の休息と、腹ごしらえとして、ハンバーガーに食らいつきながら戦利品の数々を弄くっている。
若干の物足りなさを感じながら。

結局、最後まで敵兵も敵将も現れなかった。
恐れをなして逃げ出していたのか、最初から誰も居なかったのか。

「見立て道理、なかなかの一品よ、やはり我の目に狂いは無かったわ」

着込んだ鎧に手を当てながら呟く。
それは実際、今回の戦利品の中で一番価値の在る物だった。

次に信長は片手に掴んだ銃器を見やる。
鎧を触っていた時とは違い、その顔にはありありと不満の色が浮かんでいた。

「これはただのガラクタか?このような玩具使えもせん」

一見、強力そうなマシンガンに見えるが、注意深く見ればただの電動エアガンである事がわかる。
それは『玩具店』で見つけた物だ。
目潰し程度の効果は有るかもしれない、しかし殺傷能力はゼロに等しいだろう。
このような玩具で闘うなど到底考えてもいない、しかし無いよりは形だけでも有った方がいいだろうという考えだ。
当然、いずれはちゃんとした銃器を手に入れるつもりで居た。

その他にも、戦いに使えると判断したものを幾つか手に入れている。
『日曜大工店』で見つけた電動ノコギリやトンカチなどが代表的か。

信長は己の腹を充分に満たした後、ようやく席を立つ。
そして、この城の攻略を完了とする為、屋上へと向かった。



「ここを我が城とする」

ショッピングモール屋上からの景色を眺めながら、彼はそう決定した。
これ以降は、このショッピングモールを拠点に行動する。
しかし、それはたんなる帰還場所の選定だ。
これ以降も彼の行動にさしたる変化は無い。
すべて壊し、すべて殺す。
余程の事が無ければ、臣下を持つ気も最早無い。
それがあり得るとすれば、首輪を外せる見込みの有る者か、この信長を楽しませてくれる者だろうか。
だが、はたしてそのような人間が、この島に居るのだろうか。
570魔王再臨 ◆1U4psLoLQg :2009/12/13(日) 05:42:44 ID:lRxZ83y3


「今行くぞ、虫ケラども……」

ショッピングモールを後にして、信長は次の戦場へと走り出す。
彼が通った後に残るものは、破壊と絶望だけだろう。
内部を滅茶苦茶にされたショッピングモールがその前例か。

「我が前に立つもの、全て塵と化す!」

言い切るその言葉に、嘘偽りは無い。

かくして、戦の準備は整った。
この島に集いし全ての者達よ、心せよ。
これより戦場に赴くは、戦国の覇者。
相対する全ての敵に、恐怖と死を与える殺戮の化身。

今此処に、魔王再臨せり。


【E-1/ショッピングモール付近/一日目/昼】


【織田信長@戦国BASARA】
[状態]:健康、全身に裂傷、満腹
[服装]:ギルガメッシュの鎧、黒のマント
[装備]:物干し竿@Fate/stay night、マシンガン(エアガン)@現実
[道具]:基本支給品一式、予備マガジン91本(合計100本×各30発)、予備の遮光カーテンx1 、マント用こいのぼりx1
    電動ノコギリ@現実 トンカチ@現実、その他戦いに使えそうな物x?
[思考]
基本:皆殺し。
1:いざ戦場へ ……。
2:目につく人間を殺す。油断も慢心もしない。
3:信長に弓を引いた光秀も殺す。
4:首輪を外す。
5:もっと強い武器を集める。
6:ちゃんとした銃器を探す。
8:高速の移動手段として馬を探す。
9:余程の事が無ければ臣下を作る気は無い。
[備考]
※光秀が本能寺で謀反を起こしたor起こそうとしていることを知っている時期からの参戦。
※ルルーシュやスザク、C.C.の容姿と能力をマリアンヌから聞きました。どこまで聞いたかは不明です。
※視聴覚室の遮光カーテンをマント代わりにしました。
571 ◆1U4psLoLQg :2009/12/13(日) 05:44:13 ID:lRxZ83y3
以上で投下終了です。
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 05:48:21 ID:aKR1ajAB
投下乙!
眠気覚ましに覗いてみて驚いた……信長様すげぇw
ってかギル様の鎧だけどうやって調達したんだかw
今、金ぴか魔王の反撃が始まる……wwwww
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 06:08:52 ID:WXy4tmP1
か、勝てる気がしない……
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 08:12:38 ID:XIp+tnQJ
これが噂に聞くウルク安土城のギルガメッシュ信長か
これは筆頭が直死の魔眼を手に入れて、バロール正宗になるフラグだな
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 08:21:10 ID:/0j8N4Ko
復活安土城改め金字塔すなわちピラミッドに
お館様の魂が乗り移っておファラオ様になるとかそんな展開か
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 09:12:58 ID:B/PbEHIp
投下乙です
金ピカ魔王・・・だと・・・!?
流石自動ドアだ、あんなのろい開門していたら邪魔だわなw


マリアンヌが裏切ってなければ、覇王信長様の天下布部を描いたピカレスク小説もありだったが・・・
光秀に裏切られて、マリアンヌにも裏切られたら、配下はもういいやって感じになっちゃうわな

史実でも結局孤独っぽいし、覇王は独り道を往くか
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 09:19:11 ID:KzR4GuPu
投下乙です
『五月人形、鎧、兜、鯉のぼりのお店』に飾られていたギルガメッシュの鎧か
まあ出典表記ないから良いところレプリカだろうけどそれでも防御力はかなりのものだろうな
さすが信長様、様になっているw
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 11:07:51 ID:L4/fu3xu
>>574
ダブルクロスか。
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 12:03:43 ID:flTxjjW3
我が世の春が来た!!
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 13:24:00 ID:lcD5U8Ks
死亡者リスト2はなかなか更新されないな。
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 14:15:53 ID:VUQsYo4q
死んだり生き返ったりで誰を入れればいいかわかんなくなっちゃうんだよね>死亡者リスト
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 14:29:43 ID:MFAAQILR
投下乙

金ぴかの信長かよ!
勝てる気がしねえ
出典と説明がないからレプリカなんだろうが……
ショッピングモール涙目wwwww
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 18:23:14 ID:mh4zTmtm
出典と説明が抜けてるだけで本物でもおかしくないけどな
鎧パクられて我様涙目でもおkw
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 18:29:11 ID:KzR4GuPu
いやさすがにモノホンはないだろ、支給品ならともかく
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 20:23:23 ID:aKR1ajAB
もし本物なら、激怒した我様がエア振り回してロワに乱入してくる
……ねこみみでwww
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 20:28:16 ID:aaezjagc
本物だとすると主催に我様って線はなくなるのかな
オキニっぽいし、誰が着るともわからんのに下賜することもないだろう
でも我様から鎧分捕れるほどの奴は参戦作の中にいないしな
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 20:29:16 ID:aaezjagc
まぁエンキドゥが支給品にある時点で同じ事か
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 20:43:51 ID:XIp+tnQJ
主催「我々は金で古代の英雄王の鎧を発掘したんだよ」
589 ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 20:56:07 ID:5hcS5hOF
投下します
590ガンダムVSガンダム ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 20:57:10 ID:5hcS5hOF
 そこは冷え冷えとしていて何もない、殺風景という言葉が良く似合う場所だった。
 荒れ果てたその場にあるのは、土と岩とどこまでも広がる青い空のみ。
 生命の匂いの感じられないその荒野は、深い静寂に包まれている。
 が、彼らはそんな静寂などを構うことなく、その場に現れた。

 ごう、という駆動音を響かせながら、人の形をした彼らは空を駆けていた。
 彼らの身体は機械で出来ているようだった。
 一方は出来たオレンジを基調としたボディを持ち、洗練された、スマートな造形をしていた。
 また、その背中の特徴的な羽は、見る者に軽く、まるで鳥のような印象を持たせるだろう。
 人を模した頭部に光る双眸は鈍く光り、前を静かに見据えている。

 その視線の先にいたのはもう一人の侵入者。もう一つの人の形をした機械だった。
 だが、その機体の持つ雰囲気は、先程のオレンジの機体とはまるで違った、禍々しい物だ。
 赤と黒を中心とした全体的に暗いボディに、背中に背負う巨大なバーニアを覆う赤い装甲、それらは周りに重い威圧感を放つ。
 先程の機体を鳥とするのなら、その機体はまさしく悪魔のようだ。

 その形はまるで、逆。
 だが、彼らはそれでも同類とも言うべき者たちだった。
 人でいう頭の部分の意匠が、あまりにも特徴的過ぎるのだ。
 鎧武者を思い起こさせる角、人を模した二つのカメラアイ、細部は異なるがそれらは確かに『同類』だった。

 とある世界では、戦争終結の英雄。
 とある世界では、各国の叡智の結晶。
 とある世界では、圧力への反抗の象徴。
 とある世界では、悪夢を引き起こした兵器。
 とある世界では、世界に変革をもたらす者。
 そして、その果てにある世界では、月の蝶を背負う人形。

 形は違えど、いくつもの世界に存在するそれらは名前を持っていた。
 そう『ガンダム』と。
 

◇◇◇

591ガンダムVSガンダム ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 20:58:47 ID:5hcS5hOF
「ガンダム、新型か……?」

 アリオス、としてモニターに表示された機影を確認して、ゼクスは静かに呟く。
 その機体の姿は、彼の知る如何なるガンダムとも異なっていた。
 ガンダムの模造品なのか、ただ自分が知らないだけなのかは分からない。
 だが、全く情報のないモビルスーツ、それも本当にガンダムタイプだとすれば苦戦は必死だろう。

 だが、所詮パイロットはCPU。
 自分が負ける筈はない、そんな思いと共にゼクスはスロットルを強く踏み込む。
 瞬間、彼の駆る真紅の機体――ガンダムエピオンは強烈な加速を生んだ。

 ガンダムエピオン。
 それはかつてトレーズ・クシュリナーダが設計したモビルスーツ。
 その最大の特徴は、それが『決闘』ということに開発理念を置いている点。
 エピオンの装備している武装は、ビームソードとヒートロッドの2種のみ。しかもそれらが全て白兵戦用の武装だ。
 まさに、戦うことそのものに美を見出していた、トレーズの意思を体現したモビルスーツだった。
 エピオンは完成後、ウイングガンダムを失ったヒイロ・ユイに与えられ、ゼクスの駆るウイングガンダムゼロとの激闘を経て、ゼクスの手元に渡ることとなる。
 そして、偶然にも、ゼクスはこの殺し合いの場で、再びそのモビルスーツを駆ることになった。

 ビュウン、という音を響かせながらアリオスは、GN粒子をビームの形にして放った。
 ゼクスはエピオンを加速させ、そのままビームを避けていく。
 そして、そのままアリオスを自分の間合いに引き込もうと、アリオスに迫るエピオン。
 
 しかし、アリオスは攻撃が当たらないと分かると、すぐさまエピオンから逃れるべく機
体を変形。
 バーニアを後方に集中させた飛行機のような形態になり、その大出力をもってして場か
ら一気に離脱した。

「変形機構を持っているモビルスーツ。機体のタイプとしてはガンダム01―ウイングに近いか」

 その光景を見たゼクスは、そう声を漏らす。
 また、アリオスはウイングのような巨大な火力は装備しておらず、より高機動戦闘に重きを置いたモビルスーツのようだ。

 距離を取ったアリオスは再びエピオンに向き直り、両手に構えたGNツインビームライフルを放つ。
 次々と放たれるビームをエピオンはそのビームソードを用いて、切り払っていく。

「効かん!」

 エピオンはアリオスの射撃を防ぎきり、距離を詰めるべく再び接近しようとする。
 だが、アリオスはその高機動性を駆使し、エピオンから逃れ、再び距離を取った。

592ガンダムVSガンダム ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 21:00:25 ID:5hcS5hOF

(接近戦はお望みではない、か)

 アリオスは一定のエピオンと距離を保ちつつ、射撃を主体として攻めていくことを選んでいるようだ。
射程距離の少ないエピオンに対して、その戦術は正解といえるだろう。
 ゼクスはエピオンのその弱点を、モビルドール・ビルゴを指揮下に置くことで補ってい
たのだが、この場に指揮下に置けるモビルドールは存在しない。

「だが、その程度の戦術で」

 しかし、ゼクスはその逆境を跳ね返すべく、再びスロットルを踏んだ。
 そうして、アリオスを堕とさんと巻き起こる強烈な加速。
 アリオスはその動きに反応して、ビームライフルを放つことで牽制しつつ、エピオンから離れようとする。
 
「甘い」

 だが、ゼクスはそのアリオスの動きに対して、鋭く声を放つ。
 エピオンはアリオスの放ったビームライフルを避けようともせずに、一直線に突撃。
 ジュウ、とGN粒子の塊がガンダリウムの装甲を削っていき、エピオンの肩の外装が吹き飛んでいった。

 だが、その捨て身ともいえる戦法はエピオンに決定的な勝機をもたらす。
 エピオンとアリオス、二機間の距離はもはやほとんどない、クロスレンジの間合いだった。
 そして、その間合いは即ちエピヨンの間合い。

「終わりだ!」

 ゼクスのその言葉と共にエピオンはヒートロッドを放った。
 放物線の軌道を描きながら、その鞭は確かにアリオスの右腕を捉え、破壊。
 ゼクスがその隙を逃す筈もなく、トドメを差すべくビームソードを振りかぶる。

 アリオスはヒートロッドの衝撃により、未だに軌道が不安定だった。
 エピオンのメインウェポンであるビームソードには、到底反応できないだろう。
 
 戦闘開始にしてわずか五分、ゼクスはこの時、既に自身の勝利を確信した。


◇◇◇


 ゼクスはサーシェスとの邂逅を終えた後、デパートを後にしようとしていた。
 その理由は、バトルロワイヤルへの反抗する為のコミュニティの結成。

 リリーナの意思を継ぐ。
 それがゼクス・マーキスの、ミリアルド・ピースクラフトの選んだ道だった。
 それが容易でないことは十分に分かっていた。
593ガンダムVSガンダム ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 21:03:11 ID:5hcS5hOF

 だが、この場において必要なのは、リリーナの示す希望の筈。
 だから、ミリアルドはリリーナの意思を少しでも継ぎ、この場にいる人々を纏め上げ、主催者を打倒する。
 ゼクスはそういう選択をしたのだ。

 ゼクスはデパートを離れる前に、デパートを何か見逃したものがないか最後に行った確認。
 その時、ゼクスはデパートのゲームセンターで、このシミュレーターを発見した。
 そして、勝利ボーナスとして得られるという『ぺリカ』という通貨が気になり、一度起動させてみることにしたのだった。

 ゼクスが選んだのはNPCとの『本番』での対決。
 これに勝利すれば、その敵の強さに応じたペリカが手に入るという。
 ゼクスの手元にはペリカは存在せず、ボーナスの手に入る『本番』での戦闘には命を掛ける必要があった。
 だが、無人機相手の人型機動兵器による模擬戦闘など、かつて<ライトニングカウント>として名を馳せたゼクスにしてみれば負ける要素などありはしなかった。
 しかも自分の乗機は幸運にも、この場に来る前に駆っていたエピオン。
 それらの条件を考えれば、相手が例えガンダムであろうと、ゼクスは負ける筈がない。
 結果、アリオスガンダムとの戦闘の勝利は目前。

 エピオンの振りかぶったビームソードがアリオスを一閃し、切り裂かれたその機体は破壊される筈だった。

 だが、

「何!?」

 アリオスの装甲が突如赤く光り出す。
 そして、今までとは別次元とすら言える速度でビームソードに反応。
 アリオスは咄嗟に身を捩って自身破壊を回避し、そのまま機体を変形させて、エピオンから離れていく。

「くっ!?」

 大出力のビームソードを放った反動で、エピオンは刹那の間、起こる機体の硬直。
 その僅かな隙を見逃さず、舞い戻ってきたアリオスはエピオンに飛び掛った。
 
 アリオスがGNビームサーベルをエピオンに放つ。
 ゼクスは無理矢理、その凶刃から逃れようと、エピオンのバーニアを点火させた。
 その加速により、アリオスの一撃はエピオンを捉えることはなかった。
 が、回避が完全には間に合った訳ではない。
 ズギィという金属が溶解する音と共にエピオンの右足が空を舞った。

 一撃が避けられたと見るや否やアリオスは、先程を上回る速度でその場から一旦離脱。
 そして、一度体勢を立て直した後、再びエピオンに突撃しようとする。

594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:06:33 ID:M5BokriK
支援
595ガンダムVSガンダム ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 21:07:31 ID:5hcS5hOF

「何だ、あれは一体……?」

 驚きと共にゼクスはそう言葉をこぼす。
 アリオスの見せた、突然の赤い光。
 それによって起こったアリオスの急激なパワーアップに、ゼクスは困惑することしかできなかった。

 トランザム。
 それが、アリオスのパワーアップを引き起こしたシステムの名だ。
 かつてイオリア・シュヘンベルグの残した、そのシステムは己の計画が何者かに破壊させられた時の為の、最後の希望。
 機体内部に蓄積されていた高濃度圧縮粒子を全面開放することで、機体が赤い光に包まれ、スペックを3倍以上に上げることができるシステムだ。
 純正の太陽炉を持つガンダムのみが、完璧に発動することのできるソレスタルビーイングの切り札。
 発動に制限時間はあるが、それでもそのシステムは強力な武器だった。


「このままでは……っ!?」

 トランザム状態のアリオスに、未だにゼクスは反応できない
 アリオスは突撃しながら、両腕に備え付けられたGNビームサブマシンガンを放つ。
 GN粒子の弾丸が、エピオンの装甲を少しずつ損傷させていく。

 ゼクスが何とかエピオンの体勢を立て直した時、目の前にあったのはGNビームサーベルを振りかぶるアリオスの姿だった。
 咄嗟にビームソードでその刃を受け止める。
 ジジジ、と火花を散らせながら、ビームソードとGNビームサーベルは交錯した。

「また、随分と強気になったものだ」

 相手のCPUは、先程と打って変わって接近戦を仕掛けてくる。
 トランザムの制限時間を意識した、ヒット&アウェイによる猛攻だった。
 ゼクスは冷や汗を流しながら、どこか自嘲気味にそう呟く。

 ビームとGN粒子による鍔迫り合いによって起こった均衡も、一瞬のことだった。
 アリオスがゼクスの反応を超える速度で一歩身を引き、そして再びエピヨンに向う。
 そのすれ違ざまにアリオスのGNビームサーベルが光り、次の瞬間、エピオンの左腕がヒートロッドと共に一閃された。

 小規模、だが確かな爆音と共に左腕が爆発し、エピオンのボディが煙に包まれる。
 そして、その煙の中から現れたのは隻腕となったエピオン。
 ゼクスは、何とかアリオスに反撃をしようとするが、既にアリオスの機影は彼方にあった。
 チィ、と短くゼクスは舌打ちをした。

(死ぬのか、私は?
 こんな所で、こんな形で、こんな無様に――)

 ゼクスはもはや満身創痍となったエピオンを操りながら、思う。
 死に対する恐れはなかった。そのようなものは当の昔に克服している。
 だが、このような幕切れはあまりにも不本意なものだった。
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:08:09 ID:B/PbEHIp
支援
597ガンダムVSガンダム ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 21:11:24 ID:5hcS5hOF

 何故、自分がここまで押されているのか、
 敵のガンダムが強すぎるせいだからか、シミュレーターの慣れぬコクピットせいか、それとも己の慢心か。
 様々な憶測がゼクスの脳裏を流れるが、そのどれも納得のいく答えではない。

(私は……迷っているというのか?)

 そんな中、ゼクス見つけた唯一の答えは、迷いだった。
 リリーナの意思を継ぐ、そのことに対して自身が迷っているのではないか、そう思ったのだ。
 自分は平和には馴染めないだろう男だろう、ゼクスはそう自分のことをそう評していた。
 そんな自分にリリーナの意思を継ぐことなど、果たしてできるのだろうか。
 そんな迷いを抱えていたから、その迷いを忘れたかったから、自分はこの戦いを始めたのかもしれない。

(やはり……私は戦うことしかできないというのか……?)

 アリオスはゼクスの葛藤など、気にも留めない。
 エピオンに引導を渡すべく、変形したアリオスがマシンガンを放っていく。
 弾丸が炸裂したエピヨンはさらにダメージを受ける。

(ゼロは私に何も言ってはくれない)

 接近したアリオスは変形を解除。
 その凶刃を振るって、エピオンを討とうとする。
 エピオンは何とか反応するも、その左足を半壊させてしまう。

(示される未来などゼロだ。
 未来に導かれるのではなく、未来を導かなければならない)

 一度、離脱したアリオスは姿勢を立て直して、武器を構える。
 次で最後、ゼクスはその姿を見てそう感じた。

(やはり、私には……リリーナの意思は重過ぎる)

 トランザム状態のアリオスは、まさに神速。
 空間に幾つ物、赤い残像を残しながらエピオンに迫る。

 その姿を見て、ゼクスは一つの覚悟を決めた。

 アリオスが自身のGNビームを振りかぶり、エピオンへ突撃。
 エピオンは未だに動かない。
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:12:10 ID:B/PbEHIp
 
599ガンダムVSガンダム ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 21:13:10 ID:5hcS5hOF


「私に、戦うことしか出来ないというのなら……!」

 未だに動かないエピオンに、アリオスは刃を振るう。
 そうして、決着が訪れる。
 
「戦うことが、私の―――」

 アリオスの刃。
 それよりも、どこまでも、速く、鋭く、力強く、確かな覚悟共に――

「抵抗だ!」

 エピオンはビームソードを一閃。
 その一撃は静かにアリオスへと吸い込まれ、アリオスは光に包まれた。

 次の瞬間、そこにあったのは爆発しながら墜落していくアリオスと 
 満身創痍、だが、力強く空を舞う悪魔のガンダムの姿だった。

【アリオスガンダム@機動戦士ガンダムOO 破壊】


◇◇◇

 YOU WIN、とモニターに表示されたのを確認すると、ゼクスは静かにコックピットから離れようとした。
 その際に、マシンから結構な量の札束が出ていることを発見。
 それがボーナスのペリカだと分かると、ゼクスはそれらをデイパックに入れた。

 そして、ゼクスはデパートから出るべく歩き始める。
 その歩みに迷いは、ない。

(殺し合いに反抗する為のコミュニティの結成。
 その方針は、変えるつもりはない)

 だが、とゼクスは短く呟く。
 先程の戦闘で、ゼクスは一つの決断を下していた。

(その頂点に立つのは私ではない。
 戦うことしかできない私ではなく、真の『王』としての資質を持つ者。
 そのような人物を見つけ出し、勝利を託すのだ)

600ガンダムVSガンダム ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 21:14:49 ID:5hcS5hOF

「となれば、今の私はミリアルドではないな。
 勿論、ゼクス・マーキスでも、
 言うなれば火消しの風――ウインド、だ」

 そう言葉を紡ぎながら、ゼクスはデパートを出た。
 その瞬間、ゼクスは南から強烈な衝突音を聞いた。
 ゼクスはその音に新たな戦いを予感しながら、再び歩き始めた。

【D-6/デパート外/一日目/午前】
【ゼクス・マーキス@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康 新たな決意
[服装]:軍服
[装備]:真田幸村の槍×2
[道具]:基本支給品一式 、ペリカの札束
[思考]
0:デパートを後にし、東を目指す。一方通行はどこかで出会えれば良し。
1:新たな協力者を探す。どんな相手でも(襲ってこないのなら)あえてこちらの情報開示を行う。
2:第三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、一度信頼出来る人間同士で集まる
3:集団の上に立つのに相応しい人物を探す
[備考]
学園都市、および能力者について情報を得ました。
MSが支給されている可能性を考えています。
主催者が飛行船を飛ばしていることを知りました。
テラスには鳴子のトラップが仕掛けられています(音が鳴るだけのもの)。仕掛けたのはゼクス。仲間が仕掛けたというのは嘘。
悪人が集まる可能性も承知の上で情報開示を続けるようです。
サーシェスには特に深い関心をしめしていません(リリーナの死で平静を保とうと集中していたため)。

601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:15:33 ID:aKR1ajAB
支援
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:16:56 ID:B/PbEHIp
 
603 ◆LwWiyxpRXQ :2009/12/13(日) 21:17:15 ID:5hcS5hOF
投下終了です
ガンネクのエピオンは残念過ぎると思うんだ
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:17:31 ID:B/PbEHIp
投下乙!

火消しの風ウインドキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
ようやくふにゃふにゃミリアルドに背骨が通ったか

やべえ、このロワでアリオス大活躍じゃないか!
そして、ここまでで一度もハブラレルヤさんの名前だけ出ていないという・・・
なんというハブラレぶり!

MS戦を麻雀と同じように出せるのは良い感じだと思います。
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:17:48 ID:lRxZ83y3
投下乙!
アリオスは二度死ぬwww
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:23:59 ID:yJCRrJoV
投下乙です。エンドレスワルツ前にウインド化かwwなにはともあれ、ゼクスが立ち直ったみたいで良かった。
そしてアリオスww搭乗者とは違ってロボでは今のところ一番目立ってるなw
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:43:57 ID:MFAAQILR
投下乙

アリオス、また落ちるのかよ
ゼクスもどうにかなりそうだな

細かいことですが、一ヶ所エピオンかエピヨンになってるとこがあったんで、Wiki収録後にでも直してやってください
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 22:21:19 ID:FgEha3Ba
電池大人気www
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 22:38:29 ID:aaezjagc
いや、三か所くらいはあっただろ
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:26:13 ID:mh4zTmtm
天江衣、伊藤カイジ代理投下します
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:27:16 ID:mh4zTmtm

希望の船・エスポワール……。
元々の用途からして希望の船と呼ぶのをためらってしまうこの船。
この殺し合いの最中でも新たな惨劇を巻き起こしていた。

「クソっ…! どうしてこんなことになっちまったんだ…!」

エスポワールの甲板に立つ、カイジ。
その傍らには物言わぬ骸と化したかつての宿敵、利根川幸雄の姿があった。
そして利根川によって海に突き落とされた八九寺真宵……生存は絶望的である。

こんな惨状になったのは僅か数十分前の事だった。
しかも一瞬……、本当に一瞬。
ものの数分で2人の命が消えた。
そのあっけなさにカイジは戦慄せざるを得ない。

「人の命は何よりも重いってのに、なんだってこんなあっさり逝っちまうんだ! こんなのはもうたくさんだ!」

ここに来てカイジは新たに決意を固める。
――これ以上、人の命が失われてはならないと。

(利根川を殺してしまった俺が何を考えるかって嘲笑われるかもしれないけどよ……
だからって他人を殺すとか救わないとかそういうのにはならねぇ!)

カイジは自分が無力に近いことも分かりきっている。
そこは皆で協力し合い、力を補うしかない。

(戦国武将にかぶれる訳じゃないが、たしか『三本の矢』とかいう逸話もあった……ような気がする)

ちなみに、その『三本の矢』の逸話の持ち主が、人を駒のように扱ったりする世界もある。

ここでカイジ、ハッと思い至る。

「天江にこの事を伝えなきゃならねぇな…」

どう伝えていいかも分からないが、カイジはレシーバーを手に取る。

「天江、聞こえるか?」
『……』
「おーい、天江! 聞こえてないのか?」
『うるさい! この人殺し!』
「な!?」

◇ ◇ ◇
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:28:08 ID:mh4zTmtm
カイジが利根川を撃ち殺した……。
その事実を前にして恐怖に駆られた衣はひとまずスイートルームに戻ってきた。

「か、カイジが利根川を……」

その瞬間、衣の脳裏に血の海に沈む利根川の姿がフラッシュバックする。

「ひぃっ!? こ、衣も利根川みたいに殺されるのか……?」

思えば真宵がいないのは既に殺されたからではないか。
となれば、残っているのは最早自分だけ。
その自分の身に危険が迫っている。
だが、衣は動く事ができず、ただ震えるほかない。

「ひっく、と、と〜かぁ……グラハムぅ……ひっく、誰でもいい、誰か衣をた、助け…ひっく」

それどころか泣くのをこらえるので精一杯だった。
無理もない。
孤独な日々を送っていたとはいえ、自分が殺されるなどと考える事は当然無かった。
平和な世界で暮らす人間がこの環境に適応するなんてそうそうできる事ではない。
衣ほど精神的に幼ければなおさらである。

そのまま数分、いや数十分が過ぎたように衣は感じた。
その頃になると、ようやく落ち着いてきた。

「うぅ……そう、とーかもグラハムもここにはいない。衣はまたひとりぼっちになってしまったのだ……」

しかし、落ち込んではいられない。
死んでしまっては友達を作るなど夢のまた夢。
……自分で道を開くしかない。
衣はそう心を固めて次に打つべき手を考える。
ここでふと、疑問が浮かぶ。

(何故カイジはすぐに行動してこない?)

こちらに来るにしろレシーバーから様子を探るにしろ、殺す気があるのであれば早めに動くのが最善のはず。

(よもやあれが全て不慮の事故だったとでも言うのか? いや、まだ分からない……)
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:29:16 ID:mh4zTmtm

そう考えるにはまだ材料が揃っていない。
不用意な打牌は敗北を呼ぶ事になる。
そして、この場合の敗北は即座に死を招く事になりかねない。
まずはどこかに避難すべきだと考える。
しかし、下手に動くと捕まる可能性も高い。
外に逃げても殺し合いに乗る者が近くにいないとも限らない。

(そうだ、戦闘禁止エリアのギャンブルルームへ向かおう!)

ギャンブルルームへのギャンブル目的以外での長期滞在は禁止だが、カイジの様子を窺いつつ動く分には申し分ないだろう。
それに衣には別の目算もあった。
それこそ自分にしかできないような事の……。

「そうと決まれば早速動かないと!」

ここ、3階スイートルームから2階ギャンブルルームまで距離としてはそんなでもないが、
甲板にいるカイジが戻ってくる可能性も否めない。
衣はチーズくんを抱えなおして入り口に向かう。
いや、正確には入り口に向かう直前で足を止めた。
ベッドの上に置いたままのレシーバーを思い出したからだ。
――その時。

『天江、聞こえるか?』
「……!!」

カイジからの連絡が来た。
何故こんなタイミングで連絡してくるのか衣には計りかねた。
それ故に一旦様子を見る。

『おーい、天江! 聞こえてないのか?』

それにしても、穏やかな口ぶりだった。
人を2人も殺した人間とは思えない冷静さが感じられた。
もっとも、それはカイジ側でも気持ちの整理をつけていたからなのだが、衣はそれを知る由もない。
ある種、暢気とも言える口ぶりに、衣はカッと頭に血を上らせる。

「うるさい! この人殺し!」
『な!?』

……しまった。
衣は自らがした事の愚かさを呪う。
これではカイジが2人を殺したのを見たと言っているようなものだ。
落ち着いて話を合わせ、逃げる算段を整えるのが最善だったと今さらに思う。

こうなった以上、一刻の猶予もない。
衣はスイートルームを出てギャンブルルームへ向かう。

◇ ◇ ◇
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:30:11 ID:mh4zTmtm
『うるさい! この人殺し!』
「な!?」

天江はここの様子を見ていた……?
だが、全てを見ていたならば、カイジの行動に多少は仕方がないと思う部分があってもいいはず。
しかし、今の口ぶりからだとそんな様子は一切感じられない。

(か、勘違いされてるんだっ……! 俺が殺し合いに乗っている者だとっ……!!)

このまま勘違いされてはたまらない。
カイジは急いでレシーバーで反論する。

「ち、違うんだっ……話を聞いてくれ!」
『バタバタバタ……バタン!!』
「くそっ! レシーバーを置いていきやがった!!」

カイジは甲板の扉を開け、3階へと駆け下りる。
そして廊下の向こう側を凝視する。

「あの子供みたいな体格と長い金髪っ……! 間違いなく天江っ……!!」

カイジは誤解を解くべく、全力で追いかける。

「待てっ、待ってくれ!! 天江っ!!」

大声を出すカイジの存在に衣も気付く。

(誰が待つものか……!!)

先を走る衣は階段へと差し掛かる。
しかし、一見小学生のような衣と成人男性のカイジでは身体能力に差がありすぎた。
衣が2階への階段を半ばまで下りようかという頃、カイジも階段まで到着する。
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:30:58 ID:mh4zTmtm
「天江っ!! 待てって言ってるだろ!」
「誰が人殺しの言う事なぞ聞くものか!」
「だから、それには色々勘違いがあるんだよっ……!!」

階段においても一段飛ばしで衣に迫るカイジ。
もう両者の差はほぼないに等しかった。

「とりあえず、話を聞けっ!!」

カイジが衣に手を伸ばす。
衣もそれに気付くが、最早どうしようもない。

(捕まる……いや、こんな所で捕まるわけにいくものか!)

――その瞬間、エスポワール内の全ての照明が消えた。

「なっ……!? うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

叫び声と共に衣の横を何かが転がり落ちる音がする。
衣はそれに目もくれず、ギャンブルルームへとひた走る。
その姿は仄かに青白く包まれており、正に異彩を放っていた。
そして数十秒後、エスポワール内の照明が再び灯った。

ざわ…
ざわ…

ざわ…
ざわ…

――2階の階段前。
1人の男が倒れ伏していた。
打ち所が悪かったのか、ピクリとも動かない。
今わの際にその男は何を思ったのだろうか。
何にせよ、物言わぬ人間の意思など分かるはずもない。
今、分かるのはまた1人の若者の命が失われたという事だけである……。

【伊藤開司@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor 死亡】
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:33:04 ID:mh4zTmtm
「って、死んでねぇぇぇぇぇぇ!!!!」

ガバッと起き上がる男、伊藤カイジ。

【伊藤開司@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor 生存確認】

「なんなんだよ、今のビジョンは!!」

ふん、死んでいなかったか、カイジ。

「え、何今のナレーション? もしかして利根川なのか!?」

さて、何のことだか分からんな。

「というか、2階まであと数段で足踏み外したところで捻挫が関の山だろうよ。幸い俺に怪我はなかったが……」

そんな事より奴を追わないで良いのか? カイジよ。

「そうだった。こんな所で、利根川の亡霊と話してる暇はなかった。
その前に利根川っ! お前を殺してしまった俺だが、許してくれとは言わない。
俺自身がお前を許せるような気にはならないからだ。
だけど、もし俺が死ぬ時が来たらそっちに行って殺してしまったことは詫びるっ……!!」

……ふん、せいぜい生き地獄を味わうがいい。

「ああっ、そうさせてもらう!!」

駆け出すカイジ。その背中には何の迷いもない、か……。
ヒヨッコが……せいぜい貴様の生き様を見させてもらおうか。

◇ ◇ ◇
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:33:45 ID:mh4zTmtm
カイジもまたギャンブルルームへと辿り着く。
衣がここにいるような予感が何となくしたからだ。

「天江……やっぱりここにいたか」

カイジが見据えるその先には仁王立ちする衣の姿があった。

「カイジ、如何にお前が殺し合いに乗っていようとも、ここで戦闘はできん」
「だから、俺は殺し合いになんか乗ってないっての……」
「問答無用! とはいったものの、衣にも違和感がある……だから」

神妙な顔つきの衣。
これが日常であれば、アンバランスなその表情に笑う事もできるだろうが、ここは非日常である。
カイジは緊迫した面持ちで、さらに続く衣の言葉に耳を傾ける。

「だから?」
「だからカイジ。衣と麻雀で勝負せよ!」
「……は?」

緊迫したこの状況で衣から出た言葉、それは麻雀っ……!!
これにはカイジ、意表を突かれるっ……!!

「ま、待て。何でそうなる?」
「衣にはこの状況を打開できる手段が麻雀しかないのだ。
それに、相手が全力で来るならその人となりも何となくは分かる」
「マジかよ……」

天江衣の麻雀における支配。
それは1人に狙いを定めたものならば絶対的なものとなる。
まるで相手の思考を読むかのように……。
名門・風越の池田などは8万以上あった点棒を0になるまで弄ばれるという始末だった。

「どうした。やるのか、やらないのか」
「待った。俺は県大会に出たとかいうようなお前ほどの力はない。
 麻雀の勝ち負けで俺が殺し合いに乗っているかどうか定めるのは暴挙だ」
「その事に関しては問題ない。何も衣に勝てといっているわけではない。
 お前が全力で戦い、その姿勢を見たいと衣は言っているのだ。これでもまだ戦おうとはせぬか?」
「……俺はいいにしても、黒服に聞く事がいくつかある」

そう言い放つとカイジは傍に佇んでいた黒服に目を向ける。
朝方、利根川とここにいるカイジによって無残なほどの惨敗を喫した黒服。
ほぼ廃人状態になっていたのも昔の話とばかりに平静を保っている。

「ん? よく見るとあんた、別人じゃないか?」
「ギャンブル以外の質問には一切答えられない」

明らかに別人だった。
皆が離れていた時に何があったのだろうか。
ラジコンを操縦していた時も船の入り口を通って黒服が交代するのを見た覚えはない。
となると、このエスポワール内に他の人員が詰めているとも考えられる。
一旦カイジはその考えを打ち切って、黒服へと再び目を向ける。
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:34:54 ID:mh4zTmtm

「今、ディーラーを必要とするギャンブルはどうなってる?
 確か使用不能になってたはずだ」
「その件についてだが、つい先ほどまた解禁となった」
「それはディーラーが交代したからか?」
「ギャンブル以外の質問には一切答えられない」

やはり、黒服が入れ替わるとギャンブルゲームはまた使用可能になるらしい。
入れ替わる時がいつだったのかが分からないのが不気味ではあるが……。

「カイジ! まだか」
「もう少し待て。麻雀についての詳しい説明を聞こうか」
「いいだろう」

ルールについてはおよそ一般の麻雀と変わらないものだった。
ただ、賭けるものが血液か、はたまたペリカか、ということである。

「100点で10万ペリカ……ということは2万5千点で2500万ペリカか」
「さらに、このエスポワール内の麻雀には特別ルールがある」
「特別ルールだぁ?」

エスポワールでの麻雀の特別ルール。
それはオンライン麻雀かオフライン麻雀かということである。
オンライン麻雀だと各地にある端末に繋がった相手と打つことができる。
こちらにはハロが打牌を反映して打つ仕組みである。
参加者が打った牌もICチップの認証で相手側に認識される。
もう1つのオフライン麻雀。こちらもそう難しくはない。
要は船に集まった参加者と打つという事だけである。
少し違うのはレートを参加者の合意で変えられる事である。
ただし、最低が1000点=10万ペリカなので、レートは上げる事しかできない。
また、イカサマ(通しなど)が発覚した場合は即首輪を爆破される。
能力じみた物に関してはその限りではない。

「って事は、オフラインだとディーラーも入るのか?」
「いや、参加者が足りない場合はディーラーではなく主催側の用意した人員がハロに反映される」

これであらかたの内容は聞いた。
カイジは改めて衣に向き直る。

「天江、賭けるものはどうするんだ?」
「残っているペリカがあるはずだ」
「……なるほどな」

幸いにも5000万ペリカ以上はまだ残っていた。
会議室から取ってくれば使える。

「どうした。まだやる気にならないのか?」
「いつまでも勝手な事言ってるなよ。俺だってやる時はやるんだっ……!!」
「そうでなくてはな!」

卓に着く衣。
カイジは一旦ギャンブルルームを出て会議室から5000万ペリカを取って戻ってくる。
それを黒服に渡すや否や席に着く。
特殊な端末に接続されたハロ2機も席に着く。

「ソアッ! ソアッ!」
「ツカエナイコ! ツカエナイコ!」

そしてカイジと衣の真剣勝負が始まる。
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:35:57 ID:mh4zTmtm
東一局 ドラ表示牌・西
東家 ギャンブル船01(カイジ):25000(親)
南家 のどっち :25000
西家 紫炎姫 :25000
北家 ギャンブル船02(衣):25000

(いきなり俺の親番か……天江がどんな打ち手かも分からないから不利か)

さらにカイジの配牌もあまりいいものではなく、この局は守りに徹するしかない。
だが、衣はカイジの守勢を見切ったかのように一気に攻勢に出る。

「ポン」
「ポン」

(あっと言う間に天江が2副露……)

衣が鳴いたのは一索と一筒。
チャンタか、はたまた清老頭・混老頭の可能性も捨てがたい。
そして三順目。

「ツモ」

7DDD北北北 7 一一一@@@

「な、なんだその手牌は!? どう考えても早すぎるっ……!!」

思わず立ち上がるカイジ。
イカサマじゃないかと黒服の方を見やる。

「伊藤カイジ、座れ。爆破されたいか」
「……ああ」

しかし、予想に反して黒服は何も言わない。
考えてみれば、イカサマすれば即爆破すると言っていたのだから、既にしていないとおかしい。
ただし、『能力じみた物に関してはその限りではない』とも言っていた。
カイジは再び座る。

(どういう事だ? これじゃまるで天江に能力があるとか言ってるようなものじゃないか。
 だが、そんなのはありえない。そう、これはまぐれだ! それ以外の何物でもない!)

カイジ、能力を認めようとはせず、またもこれはまやかしと切り捨てる。
だが、天江衣の麻雀における力、それはまさしく本物。
それに気付かなければ、カイジに勝機は訪れないっ……!!

「トイトイ北ドラ3。3000−6000」
「……」
「どうした、臆したか。カイジ」
「なんだとっ……!!」
「臆したというならば……世界が暗れ塞がると共に、お前の命脈も尽き果てる!」

平常とは打って変わって好戦的な衣に若干戸惑うカイジ。
だが、カイジも伊達に死線を潜り抜けてはいない。
この程度で臆するはずもない。

「ふざけるなよっ……勝負はまだこれからだろうがっ……!!」
「その意気やよし! 来い、カイジ!!」

希望とはかけ離れた船、エスポワール。
その内部で続く2人の戦いはまだ始まったばかり……。
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:45:00 ID:yJCRrJoV
支援
621麻雀黙示録カイジ 衣編 ◇6lyiPawAAI:2009/12/13(日) 23:55:56 ID:jPRbGl+p

【現在のカイジと衣の勝負経過】
東二局開始前
東家 ギャンブル船01(カイジ):19000
南家 のどっち :22000(親)
西家 紫炎姫 :22000
北家 ギャンブル船02(衣):37000


【B-6/ギャンブルルーム/一日目/昼】

【伊藤開司@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康
[服装]:私服(Eカード挑戦時のもの)
[装備]:シグザウアーP226(15/15+1/予備弾倉×3)@現実、レイのレシーバー@ガン×ソード
[道具]:基本支給品、Draganflyer X6(残りバッテリー・20分ほど)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実
[思考]
基本: 皆の命は皆で守るっ……!!
1:天江に勝つ……そして誤解を解くっ……!!(※勝ち負けは関係ないと言われても負けるのは悔しい)
2:麻雀が終わったら、またエスポワールに近づく参加者を見張る
3:魔法、超能力を認めようと努力するが難しく、ちょっと困ってる
4:『5分の退室可能時間』、『主催の観覧方法』が気になる。
[備考]
※Eカード開始直前、賭けの対象として耳を選択した段階からの参加。
※以下の考察を立てていますが、半信半疑です
 ・帝愛はエスポワールや鉄骨渡りの主催と同じ。つまり『会長』(兵藤)も主催側。
 ・利根川はサクラ。強力な武器を優遇され、他の参加者を追い詰めている。かつギャンブル相手。
 ・『魔法』は参加者達を屈服させる為の嘘っぱち。インデックスはただの洗脳されたガキ。
 ・戦国武将はただの同姓同名の現代人。ただし本人は武将だと思い込んでいる。
 ・八九寺真宵は自分を幽霊だと思い込んでいる普通人。
・天江衣の麻雀はおそらく運に任せたまぐれ。
※エスポワール会議に参加しました
※利根川との議論で以下の考察を立てました。
 ・澪と光秀は手を組んでいて、ゲームに乗っているかもしれない。
 ・グラハムと衣は手を組んでいて、ゲームに乗っているかもしれない(ただしカイジはあまり信じていない)。
 ・参加者は精神異常者ではないか。
※甲板には利根川の死体とデイパックが放置されています。


622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 23:57:42 ID:2O+fkS+S
のどっちぃぃぃぃぃぃ?!!!!!
623麻雀黙示録カイジ 衣編 ◇6lyiPawAAI:2009/12/13(日) 23:59:16 ID:jPRbGl+p

【天江衣@咲-saki-】
[状態]:健康
[服装]:いつもの私服
[装備]:チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス反逆のルルーシュR2
[道具]:
[思考]
基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る
0:来いカイジ! ついでに打ち筋からカイジの性根を見切る
1:エスポワール会議組と一緒に行動する(※ただしカイジをのぞく)
2:ひとまず一万ペリカを手に入れて、ギャンブル船で『麻雀牌セット』を手に入れる
3:そしてギャンブルではない麻雀をして友達をつくる
4:グラハムが帰ってきたら麻雀を教える
5:チーズくんを持ち主である『しーしー』(C.C.)に届けて、原村ののかのように友達になる
【備考】
※参戦時期は19話「友達」終了後です
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※エスポワール会議に参加しました

【天江衣の能力について】
賭博各種において常に強大な手を引き出す。
所謂、豪運(少なくとも麻雀、ポーカーで発揮可能)
満月の夜になるとさらに力を発揮する。
どの程度の能力か、麻雀の他に使えるかどうかは後の書き手にお任せします。
また、気が昂ぶると自分がいる建物を停電させる事ができる。

※軍用ジープと4500万ペリカを交換しました
カイジと衣が麻雀用に5000万ペリカ使用中です
 銃器などとペリカを交換したかどうかは後にお任せします
 ペリカ残量、最大5800万ペリカ(ペリカード分含む)
※会議室に以下の物が置かれています
基本支給品×3、神原のブルマ@化物語、ティーセット@けいおん!、特上寿司×21@現実、
空のワインボトル×4@現実、ルイスの薬剤@機動戦士ガンダムOO、
シャトー・シュヴァル・ブラン 1947 (1500ml)×26@現実、紬のキーボード@けいおん!
ペリカード(3000万ペリカ)@その他、2800万ペリカ@その他
※スイートルームにレイのレシーバー@ガン×ソードが置かれています。

【ギャンブル船について(追記)】
ギャンブルルームの黒服は自身が持つペリカ限度額まで負けると、他の黒服と交代になる。
交代方法及び、交代された側の黒服の行方については不明。
黒服の交代に伴い、カードゲーム、ディーラーを必要とするギャンブルは再度使用可能。

【ギャンブル船の麻雀ルール】
オンライン麻雀とオフライン麻雀の2つがある。
オンライン麻雀は各地の端末と対戦可能。ルールも同じ。
オフライン麻雀はギャンブル船内での対戦となる。
参加者が足りない場合はオンラインと同じく主催側から面子を補充。
ルールはオンライン麻雀と同じだが、レートの引き上げが可能(ただし参加者の合意の上)
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:00:13 ID:2O+fkS+S
おい紫炎姫w
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:02:15 ID:jPRbGl+p
投下終了。代理の代理でした
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:04:29 ID:2O+fkS+S

しかしアレだな。リアル麻雀で衣に勝つのは不可能だろ
あいつ麻雀で常勝無敗してんだから
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:07:26 ID:mh4zTmtm
代理投下乙です

ここで麻雀対決になるとは思わなかったぞw
カイジのとっては誤解されたまま他の人に誤報されるよりマシな展開だな
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:09:00 ID:W5UzzGW7
勝つ必要はないにして大抵の人間は対局後に精神崩壊するけどなぁ
それにしてもまさかここで某ネタが出るとは思わんかったw
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:09:15 ID:7Wvy4yqw
おつー
…オフラインてデシタルじゃないのか?
自動卓と変わりはしないから咲の能力発動には問題ないが
カイジ頑張れ、-20000で死ぬなよ
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:10:33 ID:ILLcxLUa
投下乙!
紫炎姫wwwあんたがハコで終わる気がしてならないwww
しかしカイジも死にかければだが、アカギ並みの実力と聞いたことがあるぞ
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:15:22 ID:e80mUBR9
ついに衣の麻雀能力発動か
見られないんじゃないかと冷や冷やしたが、やはりいいな

投下乙でした
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:15:32 ID:KFRHunUq
アカギなら余裕で勝てるだろうな
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:16:57 ID:W5UzzGW7
まぁ満月の夜じゃないからアカギなら余裕かもなー
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:17:10 ID:5QTE1nmk
アカギ並みはないわ
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:19:30 ID:UiNoN4LK
瀕死になればカイジだってアカギ並みらしいぜ?
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:33:45 ID:eWjmzqet
投下&代理投下乙

ここで麻雀が来ますかwww
衣はきつい相手だが、さてカイジはどうする?
まあ誤解されるよりかはマシか
637 ◆jjkBJLIXVM :2009/12/14(月) 00:41:53 ID:UiNoN4LK
海原光貴、ヴァン投下します
638それは不思議な出会いなの ◆jjkBJLIXVM :2009/12/14(月) 00:42:34 ID:UiNoN4LK


「宇宙開発局ってどっちですか」
「どっちも何も、地図を見ればわかると思いますが」
「・・・今どこにいるのかわかりません」
「ひょっとして迷子ですか」
「・・・・・・すいません」
「別に謝らなくても。そうですね、ここがE-2の北寄りですから南東に進んだ後、橋を渡ってしばらく東に歩けば着くと思います」
「ありがとうございます。じゃあ俺はこれで」
「ちょっと待ってください。折角ですし情報を交換していきませんか?」
「断る」
「即答ですか。情報はあるに越したことは無いと思うのですが」
「俺は急いでるんだ」
「・・・1人でできることなんてたかが知れています。互いの情報を照らし合わせればあなたの探しものが見つかるかもしれませんよ」
「へぇ、そうなのか。賢いなお前」
「普通だと思いますが。ここは目立つので場所を移しましょう―――」





「こんなところですか」
ショッピングセンター3階、衣料品をデイバックに詰め込んでいたエツァリがぽつりと呟く。
彼の目的を完遂するにはあの男との決着をつけねばならないのは自明の理だ。
しかしエツァリはあの男によって恐怖を刻みつけられた。歩き始めた道のりはあっという間に閉ざされてしまった。
彼の旅路には必ずもう一度あの男が立ち塞がるだろう。当然、そうなれば今度こそ殺される。
あの男を思い出すだけで足は萎え体が震える。勝てる道理などない。戦えるはずがない。
だがエツァリは認めたくなかった。彼女への想いは死の恐怖程度のもので消えてしまうようなものではないと。
だから、エウァリはその問題は先送りにすることにした。
こんなにも長く険しい道なのだ、そんな先のことを考えてもしょうがない、と。
今は自分の出来ることだけを考えよう、と。
それでは何も解決はしていない事など自分が一番分かっている。そうでもしなければ自我を保つことができなかったのだ。
まずは目の前の小さなことから始めよう。
道中立ち寄った学校で手に入れた少女の皮膚、それをもとに作成した変装用の護符。
諜報員であるエツァリからしてみると素顔はできるだけ晒したくないというのが本音、早速護符を使おうと思ったのだがいざ使おうとした段階でふと幾つもの問題に気付いた。
まずこの護符の成り立ち。この護符はオリジナルとなった人物が存在し、その人物は既に死亡してしまっている。
護符は外見に関してならばそっくり再現することができるが、本人の性格や記憶までは対象外。
もしオリジナルをよく知る人物に遭遇した場合、なぜ生きているのかとしつこく問い詰められた上で同行を余儀なくされる可能性が高い。
一時的な会話ならいざ知らず、行動を共にするとなれば記憶喪失で強引に押し通すくらいしか手が無くなるのだ。
主催者に対する不信感を募らせることはできるが万が一護符が破壊された場合のリスクを考えれば到底釣り合わない。
次に服装。エツァリの着ている服は海原光貴の通っていた学校のもの。当然男子の制服である。
対してこの護符を使用した場合、エツァリの姿はあの女学生のものになる。
つまりはたから見れば「女なのに制服はおろか下着まで男モノ」というとっても怪しい風体になるわけで。
理由を聞かれれば「いやぁ実はワタクシ男装癖がありまして」とかなんとか、胡散臭い事この上ない。
最初の問題も合わせて考えれば実に頭が痛くなる話だ。どうやって言い訳をしろというのか。
そしてこれはあくまで気分の問題なのだが何よりも重大な問題がある。それはエツァリが男性であり、護符で化けるのは女性であるという点だ。
先ほども述べたが護符は外見に関しては完璧なのだ。身長体重から体型や声までそっくりそのまま本人と同じになるのだ。
それってつまりどうなんだろう。なんとも背徳的な感がするのは気のせいではあるまい。
というかこの「本人と同じ容姿に化ける」という能力自体が今のエツァリには向いていないのだ。
殺し合いに乗った場合はいざ知らず、ゲームを破壊する立場にある者にとっては大道芸程度の意味合いしかない。
とはいえ使えるカードが多くて困ることは無い。何かあった時のためにも変装は常に使えるようにしておくべきだ。
そうこうしているうちに大方の探しものは見つかった。次は彼に頼まれたおつかいに行くとしよう。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:43:29 ID:6z3NEVCx
地雷麻雀で圧倒的不利から逆転してるからなぁ
時系列的に未来の話だけど
才能を見せる可能性は無きにしも非ずってところか
640それは不思議な出会いなの ◆jjkBJLIXVM :2009/12/14(月) 00:43:36 ID:UiNoN4LK





「つまりあなたは放送を聞き逃したと?」
「気が付いたら寝てて・・・」
「はぁ、わかりました。では放送の内容を言いますのでメモを用意して下さい」
「なんでメモを出すんですか」
「禁止エリアや死者の情報は以外と量がありますからね。全て覚えておくのは大変なのでメモに取るんですよ」
「頭いいなお前」
「それはわかりましたから。まず禁止エリアですが―――」





タキシードが風を切る。黒い影が市街地を駆け抜けていく。
結局、あの男との情報交換はヴァンにさして有用な情報はもたらさなかった。
あえて言うのなら死者に関する事くらいだろうか。
プリシラ。ヴァンの事を好きだと言ってくれたあの少女はこのゲームで命を落とした。
その事を聞いてもヴァンは自分でも意外なほどに落ち着いていた。あるいはプリシラを夢に見た時から既に彼女の死を予感していたからかもしれない。
どちらにせよもうあの笑顔を見ることはできないし、彼女にヴァンがしてやれることは何も無い。
カギ爪の男。エレナの仇である奴もまた死んだ。
誰に殺されたのかは知らないがあの男の事だ、最後まで気味の悪い笑顔を浮かべていたに違いない。
というよりそもそもこの会場にはいなかった可能性すらある。何しろカギ爪の男はヴァン自身が殺したのだから。
「ここが橋だから・・・あとは東にまっすぐか」
もちろんこれは本人がそう思っているだけで実際のところは
・放送を聞いたら必要な情報をメモにとる。というか放送をちゃんと聞く
・禁止エリアには入ってはいけない
・普通の人間はそんなに調味料は使わない
など、かなりの事を教えてもらったのではあるが。
そんな彼だが、男の言葉を一つだけはっきりと覚えていた。
「この会場に上条当麻という学生がいる。そいつは人との約束も守れないような最低野郎だからもし会うことがあれば一発殴っといて欲しい」
その頼みをヴァンは二つ返事で了承した。
理由はよくわからなかったが、その言葉にはなぜだか共感できるものがあったのだ。
その上条当麻とかいう奴にあったら、遠慮なくぶん殴ってやろう。
でもちょっと待ってほしい。なにか大切なことを忘れているような・・・?
(あいつの名前・・・ウミハラ、なんだっけ)
―――肝心な人物の名前をきちんと覚えていないヴァンなのであった。
641それは不思議な出会いなの ◆jjkBJLIXVM :2009/12/14(月) 00:44:26 ID:UiNoN4LK





「ヨロイ、ですか。そんな大型の起動兵器が開発されたという話を聞いた事はありませんね」
「それを言ったら魔術に超能力って何だ。そんなもんが本当にあるのか」
「しかしあなたは実際に空飛ぶ黒衣の女性と遭遇しているのでしょう」
「いや・・・確かにそうなんだが・・・」
「・・・どうやら互いの認識にズレがあるようですね。もう少し詳しくお話を聞かせていただけますか―――」





「F-1の真ん中あたりにヘンな女がいる。ちょっと心配になってきたんで様子を見てきてほしい」
別れ際、エツァリの行く先がショッピングセンターだとわかるとヴァンはこのような要求をしてきた。
聞けばあの巨人達の戦闘があった場所のようだが、目的地とそう離れていなかったため引き受けたのだ。
そしてそれは引き受けて正解だった。何しろ、
「まさか、もう首輪を解除している人がいるなんて思いませんでしたよ」
参加者達を縛る首輪、その戒めから既に脱出している人物に会うことができたのだから。
首輪さえなくなってしまえば主催者から受ける制限は大幅に減少する。逆にいえば主催者を打倒しようと思えば首輪を解除することが何よりも先決なのだ。
願ってもみなかった幸運。後はこの人物から首輪の解除方法を聞き出して実行に移すのみ、の、はずなのだが。
(・・・なるほど、これが彼の言っていた“ヘン”な理由ですか)
その女性は眠っていた。そして何をしても起きなかった。
声をかけても、ゆすっても、つついても、てんで反応を示さなかったのだ。
もしかして既に死んでいるのは、と思ったが微かに呼吸しているので生きている事は間違いない。
何者かに襲われて脳に障害を負ったのか、とも思ったのだが外傷も無い。
どこをどうみても健康そのものなのに、女性はこんこんと眠り続けている。
(やれやれ、まるで白雪姫ですね)
ここで粘って起きるのを待つのも一つの手ではある。
しかしこんなマップの端にやってくるような者はそうそういない以上、エツァリは参加者間での情報を手に入れることはほとんど不可能になる。
それはこのゲームにおいては大きなデメリットだ。やはり多少の危険は冒してでも情報は欲しい。
となるとこの女性を担いで殺し合いの場を徘徊することになるのだが、
(・・・さすがにそれは無いでしょう)
そんなものはゲームに乗った者からすれば格好の餌食だ。楽してスコアが2つも稼げるのだから見逃すはずがない。
移動することも留まることもよろしくない状況で、だが彼は一つの名案を思いついた。
変装用の衣類を調達している際に気が付いたのだが、デイバックはどれだけ大量の物を入れても質量が増えないのである。
これを利用しない手はあるまい。早速女性を担ぎ上げデイバックの中に詰め込む。
倫理的に見ればあまり褒められた行為ではないが状況が状況だ、女性も大目に見てくれるだろう。
問題はこのカードをいかにうまく使うかということだ。さて、次はどう動くべきか?






「これで終わりか?」
「はい。かなり有益な話し合いでした。ありがとうございます」
「はぁ」
「探し物、頑張ってくださいね」
「お前もな」
「では僕はこれで。お互い頑張りましょう、ヴァンさん」
「あぁ。ところでえーっと、お前、名前なんだっけ?」
642それは不思議な出会いなの ◆jjkBJLIXVM :2009/12/14(月) 00:45:36 ID:UiNoN4LK
【F-1中央部/一日目/昼】

【海原光貴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康、疲労(中)
[服装]:ブレザーの制服
[装備]:S&W M686 7ショット(7/7)in衝槍弾頭 包丁@現地調達 、黒曜石のパワーストーン@現地調達
[道具]:支給品一式、コイン20束(1束50枚)、大型トランクケースIN3千万ペリカ、衝槍弾頭予備弾薬35発   
    洗濯ロープ二本とタオル数枚@現地調達 、変装用の護符(加治木ゆみ)、加治木ゆみの首輪、変装用の衣類、蒼崎橙子の人形@空の境界
[思考]
基本:主催者を打倒し死者蘇生の業を手に入れて御坂美琴を生き返らせる。
0:殺し合いに乗った奴は殺す。必要なら他者に協力を求める。
1:蒼崎橙子の人形@空の境界から首輪の情報を聞き出す
2:これ以上彼女の世界を壊さない為に上条当麻、白井黒子を保護
3:バーサーカーと本多忠勝を危険視
[備考]
※この海原光貴は偽者でその正体はアステカのとある魔術師。
 現在使える魔術は他人から皮膚を15センチほど剥ぎ取って護符を作る事。使えばその人物そっくりに化けることが出来る。海原光貴の姿も本人の皮膚から作った護符で化けている。
※タオルを一枚消費しました。
※主催者は本当に人を生き返らせる業を持っているかもしれないと思っていますが信用はしていません。
※上条当麻には死者蘇生は効かないのでは、と予想しました。
※加治木ゆみを殺したのは学園都市の能力者だと予想しています。
※海原光貴に化ける為の護符を完全に破壊されました。今現在の姿はエツァリそのものです。
※ヴァンと情報交換を行いました。
※蒼崎橙子の人形を生きている人間だと思っています。



【E-3西部/一日目/昼】

【ヴァン@ガン×ソード】
[状態]:満腹、ダンを奪われた怒り
[服装]:黒のタキシード、テンガロンハット
[装備]:ヴァンの蛮刀@ガン×ソード
[道具]:基本支給品一式、調味料×大量、徳用弁当×6、1L入り紙パック牛乳×5
[思考]
基本:ダンを取り戻す
1:とりあえず宇宙開発局に行く、道に迷ったら人に聞く。
2:機械に詳しい奴を探す
3:向かってくる相手は倒す
3:上条当麻を探して殴る
4:主催とやらは気にくわない
[備考]
※26話「タキシードは明日に舞う」にてカギ爪の男を殺害し、皆と別れた後より参戦。
※ヴァンは現時点では出会った女性の名前を誰一人として覚えていません。
※死者が蘇生している可能性があることを確認しましたが、結論は保留にしました。
※第一回放送の内容を海原光貴から聞きました。
※海原光貴と情報交換しました。
※海原光貴の名前は忘れかけています。
643 ◆jjkBJLIXVM :2009/12/14(月) 00:46:24 ID:UiNoN4LK
投下終了
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:51:27 ID:eWjmzqet
投下乙

海原そんなもん拾うなwwwww
ヴァンこれからどうすんのかね
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:55:00 ID:6z3NEVCx
投下乙
代理投下乙
割り込んでスマンかった

ヴァンがようやくスタートラインに立ったなってか遅ぇw
エツァリは頭いいな
一ヶ所エウァリになってます
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 00:55:06 ID:2xSjYETd
投下乙です

ヴァンは素か芝居かわからんなと思ってたら素かよw
いや、お互い淡泊だなw
そして何を拾ってるねんwww
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:08:25 ID:e80mUBR9
やべえ、上条さんに出会ったら問答無用で殴る、絶対殴るw
648 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:13:26 ID:7s0uCYuF
トレーズ・クシュリナーダ、刹那・F・セイエイ、本多忠勝、バーサーカー
投下します
649 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:14:28 ID:7s0uCYuF

「トレーズ・クシュリナーダ……!?」
「刹那・F・セイエイ……!!」

戦いを駆逐するべく戦場に踊り込んだ刹那・F・セイエイと本多忠勝。
追われていたらしい人物の名はトレーズ・クシュリナーダ。刹那が知る、警戒する名の男。

驚愕する刹那の傍を忠勝が駆け抜ける。
相対するはバーサーカーのサーヴァント、
最強同士の三度目の激突。
止めても無駄かと、刹那はただ一声をかける。

「ホンダム! このトレーラーを!」

打てば響く。
そんな要領で忠勝が足を止めぬままに拳を振るい、横倒しになっていたトレーラーの上部を叩き正常な形へと復帰させる。
その結果を見届けることもなく忠勝は通りの向こう、強敵の待つ地へと恐れもなく踏み込んでいく。

(まだ奴の不死の秘密は解けていないというのに……! だが、こうなれば戦うしかないか……!)

見たところ巨人はやはり全快している様子。
加えて携えるは刹那の胴回りをも軽く上回るほどの太さを持つ柱。
あんなもので殴打されれば骨が折れるどころではない。まさしく粉微塵に砕け散ることだろう。
対抗できるのはこの島の中でもおそらくただ一人――そう、戦国最強の武人しかいない。
それを知っているからこそ、忠勝は刹那に何を言わせる間もなく自ら死地に飛び込んでいったのだ。
だが、敵手に比べ忠勝は消耗が激しい。連戦の疲労もあり、不利は否めないところだ。

ドアハッチを開き、トレーズが地に降り立つ。同時に刹那が突き付ける、サブマシンガンの銃口。
振り向き確認する。割れた窓ガラスから銃が飛び出ていたのだ。
トレーズが身に佩いている刀は無事だったものの、鼻先に銃口があっては抜刀する時間もない。

「……武器を捨てろ」

油断なく構えられた銃口はトレーズを捉えて離さない。
トレーズが鞘ごと刀を取り外し放り捨て、頭上へと両腕を掲げる。

「こんなにも早く君と再開できるとはな。できれば……まだ、出逢いたくはなかったよ」
「俺もだ。言ったはずだな、次に会う時に考えが変わっていなければお前を殺すと。
 この短い時間では……期待するだけ無駄なのだろうな」
「無論だ。私はまだ、敗者となってはいない。だから君が私に教えてくれ……私がいったい何者なのかを!」

トレーズが捨てられた刀へと目をやる。意識がそちらへの警戒に流れた刹那の一瞬の隙をつき、

「ファングッ!」

停止していた機動攻撃端末・GNファングが、トレーズの呼び声に応え呼び戻される。
GN粒子の赤い輝き。収束し、二人のちょうど中間地点へと着弾した。

「くっ……ファングだと!? スローネの……!」
「気を抜くな、刹那・F・セイエイッ!」

爆風に転がった刹那の眼前に、陽光を弾く白刃が滑り込んでくる。
とっさにサブマシンガンを掲げる。
ギィン、と甲高い音を立ててトレーズの刀は押し留められた。
膝立ちのまま歯を食い縛る、刹那。少しでも角度が狂えば銃ごと両断されそうだ。
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:15:06 ID:gfYyYlPy
 
651 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:15:13 ID:7s0uCYuF
「トレーズ、貴様!」
「無粋な真似をして済まないな。安心したまえ、君との決闘にあのようなモノは必要ない。
 この刀こそが私の意志、決意だ。さあ……私は選んだ。君も選べ、自らの進むべき道を!」
「……ッ!」

圧し掛かってくるトレーズの圧力に耐えかね、指が引き金を引いた。
でたらめに発射された銃弾がトレーラーの装甲面に跳ね回りあらぬ方向へと飛び去っていく。
トレーズが身を引いた一瞬を見定め刹那は後方に跳んだ。転がりながらも軽機関銃は手放さない。
立ち上がった刹那をトレーズは追撃するでもなく悠然と待っていた。
耳につけていたイヤホンマイクを外し、懐へと入れるトレーズ。

「この状況……たとえ俺を殺したところで、貴様もまたあの化け物に殺されるだけだ。それがわからない訳でもないだろう」
「私にとって死は恐れるべきものではない。だが無為に死ぬことは我慢ならない……。
 私のような人間は、力によって敗れなければならないのだ。それをもたらすのは君であろうと、あの異形の戦士であろうとさして違いはない。
 だが、私は君の理想を知っている。対話こそが、変革を誘発する――君はそう言った」

ヒュン、と刀を一振り。
フェンシングのように、片腕で構えこちらに向ける。

「しかし私の見たところ、君はそれを成すことを自らに任じてはいない。憧れている、と言ってもいい。
 君の知る誰かがそれを成してくれると信じているからこそ、君はその障害となるモノを討ち果たすだけの剣であろうとしている――違うかね?」

その瞳は語らずともこう叫んでいる。
私もまた、君の理想の妨げとなるものだ、と。

「だからこそ、私は君に決闘を申し込む。
 君の理想とする世界に私の居場所はない。私は戦う意志を捨てられない。故に、君と私は同一の世界に在ってはならない存在だ。
 君が君の理想を貫かんとするなら――この私を排除しなければ、先に進むことはできない」
「……トレーズ・クシュリナーダ」

刹那は、男に銃を向ける。
しかし引き金は引かない。まだ言うべきことが、ある。
固く目を閉じる。あの戦いを、全ての始まりの日を思い出すように。

「お前によく似た男を知っている。俺が……ガンダムが歪め、ガンダムとの戦いの中に己の存在意義を見出した男だ」

ガンダム、という言葉を口にしたとき、トレーズの眉が僅か、顰められる。
刹那は構わず続ける。

「その男もまた、今の貴様のように己のエゴに――歪みに呑み込まれ、俺に戦いを挑んできた」
「ほう。それで?」
「俺は……ガンダムには責任がある。世界の憎しみと真っ直ぐ向き合う、受け止めなくてはならないという責任が。
 戦うことが、奴に、そしてお前にとっての救いとなるのかどうかはわからない。だが」

刹那が目を開く。その瞳は、目映いばかりの金色に輝いていた。

「だからこそ、トレーズ・クシュリナーダ。お前の決闘……受けよう。俺がこの先もガンダムであり続けるために」

トレーズが目の錯覚かと注視したときには、もうその瞳は元の煉瓦色に戻っていた。
代わりに浮き出ているのは清冽で迷いなき戦意。
それでいい、とトレーズは刀を握る腕に力を込める。

「……では往くぞ、刹那・F・セイエイ!」
「来い、トレーズ・クシュリナーダ! 貴様という歪み――この俺が狙い撃つッ!」

宣言と共に、二人の男は駆け出した。
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:15:22 ID:UiNoN4LK
キタキタキタ!
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:15:47 ID:gfYyYlPy
 
654 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:16:18 ID:7s0uCYuF
          ◆



「■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!!」
「…………………………………………………ッ!!」

咆哮し、激突する。
噛み合う斧と鎚がギャりギャリと火花を散らし、震える大気が風を逆巻かせ、吹き抜ける。
両断せんとする戦国最強の大戦斧を、狂戦士の戦鎚が押し留める。
鉄と木という材質の差か、本多忠勝の刃は食い込みはするもののあまりの質量に芯まで到達できず。
バーサーカーが鎚をひねる。ギシギシと食い込んだ刃が軋み、忠勝の剛力との板ばさみに悲鳴を上げた。
このままでは武器を破壊されると見た忠勝は自ら斧を握る手を離す。

「…………………ッ!」

勢い余って体勢の崩れたバーサーカーのがら空きになった腹目掛け、忠勝は巨体を旋回させ渾身の蹴りを放つ。
軸足が舗装された路面を抉り、大地を揺らすほどの衝撃と共にバーサーカーの腹筋へと突き刺さった。
強靭なる筋肉の防壁を、同等以上の硬度を持つ剛脚が侵略する。
たまらず苦悶の声と共に身を折ったバーサーカーの手から鎚が零れ落ち、その超重量故に砕けた大地へ沈み込んだ。
しかし忠勝は獲物を拾うことを選ばず、拳を握り込み伏せる敵手の顔面へと迸らせる。
豪腕が唸り、バーサーカーの頭部が弾かれたように跳ね上がった。
二度、三度、四度――もはや数えることもままならないほどの高回転のラッシュ。
腕のガードの上からでも確かな手応えが伝わってくる。
バーサーカー自身の腕により視界が閉ざされたと看破した忠勝は、踏み込み一撃を放つとともに背のスラスターを点火。
押し込むように巨人の体躯を後退させ、脚を止めず跳躍した。
勢いを活かし、両手を組んだ鉄槌で一気に畳み込まんとする。

「■■■■■■■■■■――!!」

だが大英霊のサーヴァントもまた、いいように弄ばれたままでいる道理なし。
狂気溢れる瞳がギラリと光り、地を這うように身を伏せ振り下ろされた拳をかわし、未だ宙にある忠勝の足を掴み取った。
拮抗は一瞬、大地に足指が食い込むほどにがっしりと立つバーサーカーに軍配が上がる。
空中から引きずり下ろされ、轟音と共に戦国最強の巨体が地へと叩き付けられた。
間髪入れずその上に飛び乗ったバーサーカー、先のお返しとばかり馬乗りの体勢で両腕を振り上げる。
両腕に鈍く残る痛み。それは取りも直さず、この鎧武者が己に匹敵する強者とだいう証左。

わかっていた。それはわかっていたこと。
そして二度に渡る果たし合いで手を抜いたつもりはなく、それでも仕留められなかった。
だからこそ、この三度目の邂逅は天の采配。

真に最強たるべきはどちらか。
この戦にて、それを確かめる!

「■■■■■■■■――!!」
「…………………………!!」

録画した映像を巻き戻すように、先刻とは真逆の光景が繰り広げられる。
バーサーカーの振り下ろす嵐のような鉄拳を、見上げる忠勝の両腕が盾となって受け止める。
一閃、二閃と結果を見届けることなくバーサーカーは拳を撃ち出し続ける。
少々まともに当たったところでこの強敵は下せないことはすでに証明されている。

ならば、どうする? 決まっている――
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:16:29 ID:gfYyYlPy
 
656 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:17:16 ID:7s0uCYuF
「■■■■■■■■■■■■――!!」

跡形もなく粉砕してから、ゆっくりと首を改めればいい。
ドドドドドドドド、と速射砲のような拳が生み出す衝突音が連続する。
音が一つ響くたびに舞い上がる噴煙、そして大小様々なコンクリートの破片。

沈み込む。
工事現場のプレス機のように、拳が至る喫水線が深くなる。
殴られ続ける忠勝の身体を中心にゆっくりと小規模なクレーターが形成されていく。
忠勝の腕の装甲が凹み、削られ、形を変えていく様をバーサーカーは観察する。
それでも、一度として急所たる顔面への一撃を許しはしない。
狂化している己と違い、敵は「守」に長けていると睨む大英雄。それでも選ぶのはひたすらに「攻」。
堅牢なる盾が立ち塞がるならば、それを上回る力を以て叩き潰すのみ。

鉄のカーテンのごとき忠勝の豪腕に自らの腕を絡ませ、押し開く。
万力のような力で抵抗されるも、僅かずつだが腕の隙間は広がっていく。
紅い瞳が、見えた。
視線が奴の瞳を捉える。敵手もまた、真っ向から睨み返してくる。

それでこそ、だ。

バーサーカーは大きく身を反らす。

「■■■■■■■■■■■■■――!!」
「…………………ッ!」

そして、反動を乗せた渾身のヘッドバット。
衝突の瞬間、どちらも目を閉じはしなかった。掲げた意地の張り合いは、互角。
衝撃は忠勝の五体を通じて地面へと伝播し、ついに耐久限界を越えた路面が崩壊した。
舞い上がり、積み上げられた瓦礫が雪崩のように崩れ落ち、中心点である二人の姿を覆い隠していく。
飛び出す影は一つ。地に降り立つは狂戦士のサーヴァント。
直後、土砂によって鎧武者の姿は完全に見えなくなった。

眉間から血を流し、拳もまた骨の形が幾分変わるほどに傷めている。
蹴られた腹部は鈍く疼き、だがそれでも、両の足で立っているのはバーサーカーただ一人。

ついに強敵を下した余韻に浸ることはなく、近しい獲物を逃すなと本能が駆りたてる。
辺りを見回し、落とした鎚の位置を確認。鎚に加え斧も手に入る。
さきほど確認した金髪の男と、数刻前に交戦した黒髪の青年を屠るべく足を向けた。

その足を、掴まれる。
地面から突き出した無骨な腕によって。

「…………ッ!」
「■■■■――!?」

もう片方の足を叩き付けるべく、振り上げる。
だが足首を掴んだ腕はそれを待たず、これもまた先刻の再現と言わんばかりに力任せに引っぱられた。
軸足のバランスを崩され、バーサーカーの後頭部が遠心力を乗せて大地へと落下。
だが足を掴む手は離れることなく、その先にある鎧武者の本体が土砂を吹き飛ばしつつ浮上した。
兜は断ち割られ、全身の鎧も見る影なく砕かれて。
しかしその燃え滾る戦意には些かの衰えもなし。
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:17:25 ID:gfYyYlPy
 
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:18:20 ID:gfYyYlPy
 
659 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:18:35 ID:7s0uCYuF
バーサーカーが捕縛されていない足で忠勝を蹴り付ける。だが、背をついた姿勢で放った蹴りは武者の片腕により容易く弾かれた。
その煽りを受け一瞬身体が泳いだ隙を逃さず、忠勝は両腕でバーサーカーの片足を握り直す。
そして、まるで百姓が畑から野菜を掘り出すように、

「…………!」

引っこ抜いた。
地に伏せていたバーサーカーの身体が180度の弧を描き、忠勝を挟みちょうど反対側の路面へと思い切り叩き付けられた。
総重量300キロを超える空前絶後のハエ叩き。
ゴバッ、といわく形容しがたい衝撃音が鳴り、その最初の栄誉を授かった道路は哀れにも粉々に砕け、粉となって舞い散る。
当然、衝撃を顔面、胸、腹、全身で受けたバーサーカーのダメージたるや想像を絶するものであった。
バーサーカー自身の強固な肉体により命を奪われることはないものの、この場合はそれが逆に悪い結果を生む。
衝撃による耐性を得ることも叶わず、バーサーカーの身体にはダメージだけが残った。
骨がバラバラになるような感覚。痺れた身体は意志が下す命令を拒否し、続く忠勝の行動を妨げることなどできはしない。
反転した忠勝が「バーサーカーを」振りかぶり、再度のジェットコースターダイブを敢行させる。
バーサーカーにできることと言えば、ただ痛みを覚悟することだけ。

「………………………………ッ!!」

鬼神のごとき形相で、戦国最強の武人は辺り一帯の全てを蹂躙し始めた。
倉庫、電柱、建材、土嚢。
ありとあらゆる目に付く物を、例えて言うならまさしく「人柱」そのものでめったやたらに打ち砕いた。
水が湯に変わるほどの時間を経ることもなく、小型の竜巻が荒れ狂ったような惨状が広がっていく。
掴んだ足首からの抵抗が弱まった。
ここが好機と見て取った忠勝は勝負に出んと敵の両足をホールド、スラスターを全開にしてその場で旋回を始める。
暴虐が止んだとなんとか地を掴み反撃に出ようとしたバーサーカー、だが伸ばした手は高速で過ぎていく路面を捉えられず。
路面に忠勝が撃ち込んだ両の足がドリルのように回転し深く突き刺さる、そしてそれ以上の速度でバーサーカーを振り回す。

回る視界。増していくその速度は周囲に何があるのかさえももはや定かではなく。
やがて、バーサーカーの感覚が地が遠くなったことを看破する。
投げられた? いや、そうではない――

浮いているのだ!
あろうことか、自身のみならずバーサーカーを抱えたまま、この戦国最強は高く高く飛翔している!

そしてその上昇の間も回転は止まらない。
あまりの速度で掻き回される空気の層が真空を生み、バーサーカーの肌を浅く切り裂き始めた。
やがて耳から音が消え、静寂の世界に至る――発生した本物の竜巻の中心点。
角度を変え、地面に対しやや斜めになったところで、忠勝は片腕を離し径の範囲を広げた。
安定を捨て遠心力を得る。さらに大きく回り出すバーサーカーの巨体。
回転が最高速度に達したと判断したところで、

「■■■■■■■■■■■■■――!!?」

忠勝が手を離し、空高くバーサーカーが「射出」された。
乱回転するバーサーカーの五体。いかに大英雄といえども翼なき身、空にあっては姿勢を回復させることなど到底不可能だ。
目まぐるしく回る視界の中、鎧武者が何かを拾う姿が見える。
何か――あの、大戦鎚。
身の丈3m近い大巨人がこれまた5mに迫る長大な木柱を地に突き刺した。
腕を組み、落下する獲物を待つ戦国最強。
おおよそ最適の距離にまで近づいたと見るや、鎚を引き抜き両手で構え、反身を引いて大きく後方へ振りかぶる。
ここまでくればバーサーカーにも理解できる。
なんとなれば、一度目の対決ではこの状況から敗北を喫したのだ。
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:19:29 ID:gfYyYlPy
 
661 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:19:35 ID:7s0uCYuF
――バーサーカーのサーヴァントが、空中戦に置いて本多忠勝に勝る道理なし。

この後の展開は、つまり――



「………………………………ッッ!」




名付けるならば、バスターホームラン――!

音速を超えた証に歯切れのいい音を空中で鳴らした戦鎚は、衝撃に自ら砕けながらもバーサーカーの頭部を空の彼方まで吹き飛ばすことに成功する。
テコの原理でその場で回転するバーサーカーの首から下。
だが、本多忠勝は止まらない。
半分ほどになった鎚を捨て、今度は斧を引き抜いて身体ごと首なしの骸へとくれてやる。

腹のあたりで真っ二つ。
返す刀で上半身、心臓の位置を狂いなく斬り裂き肉塊が三つに。


だが、それでも本多忠勝は止まらない。


一度目は腹に大穴を空けた。
だが、立ち上がった。

二度目は脳を掻き回し、またその容れ物ごと粉砕した。
だが、立ち上がった。

日の元の国ではついぞ聞かないあやかしの類か、この戦士は何度討ち果たそうとその都度傷を癒し立ち上がってきた。
平和を求める少女を救えず砂を噛む思いで撤退した後、忠勝はずっとこの強敵を屠る方法を考えてきた。
相棒たる青年は倒す方法を見つけるため情報を集めると言った。
しかしそんな余裕はなく、また武人の矜持が許しはしない。
今持てる力のみで、忠勝ただ一人の力でこの業敵を討ち果たさずして何が『戦国最強』か。

忠勝の出した答えは二つ。
どちらも単純にして明快、だが行うは難きこと――他ならぬこの本多忠勝以外には!


一つ、黄泉返るたびに何度でも滅殺すること。
このような争いに首輪をつけ送り出されているということは、奴は決して真なる不死の存在ではないと、相棒と見解が一致している。
だが具体的に何度殺せば限界が訪れるのか、それは定かではない。
だからこそ、この案は保留。

忠勝が選び実行したのは二つ目の案。
過去いずれの場合もこの魔性のモノは欠けた身体を再生して立ち上がってきた。
つまり、人体の一部分でも残してしまえば再生するということ。
であれば話は簡単だ。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:20:11 ID:gfYyYlPy
 
663 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:20:33 ID:7s0uCYuF
すなわち――再生など叶わぬほどに五体全てを斬り刻み打ち砕き、塵も残さず魂までも葬り去る!

「………………………………………………………………………………………………ッッッッ!」

目にも止まらぬとはまさにこのこと。
旋回し回転し舞い踊る大戦斧が、餌を与えられた猟犬のように狂戦士の肉体へ喰らいつく。
顔はない。しかし首はあるので首を刈る。
首を落とさば次は二つに分かれた胴体の内片方、左腕を根元から斬り飛ばす。
それが終われば右腕を。ついでに右胸部をも二つに捌く。
斧を寝かせ、邪魔な肉塊を乗せ空中へ跳ね上げる。
ようやっと爪先が地についたバーサーカーの下半身を、容赦なく蹴りつけた。
目線より少し上、太い足が二本。
その中間を刃が駆け抜け、左と右の生き別れ。
十字に切って、四つに分ける。
頭上で斧を回転。超人ミキサーとでも表現しようか、高速鋭刃が四つから八つ、八つから十六と肉片を量産していく。
落ちてきたバーサーカーの「元」両腕・胴体もまた巻き込まれ、血風が混じる赤茶色い嵐として吹き荒れる。

「…………………………………………ッッ!」

充分なほど細かく砕いた、と確信した忠勝は、戦斧をその形状のままの用途――すなわち軍配、烈風打ち出す大団扇として横薙ぎに振るった。
三度、天へと舞い上がるバーサーカーであったモノ。
斧を放り出し、再び戦鎚を手に今度は忠勝も跳び上がった。

肉塊がそれぞればらばらになって飛び散る前に、一塊りのまま。
豪腕の生み出す再びのフルスイングが、狂戦士の名残りを跡形もなく吹き飛ばす。

頭と身体、それぞれ別の方角に。
見る影もなく、残す影もない完全な消失。
地に降り立った本多忠勝は、今度こその勝利を確信して膝をついた。
とたん、全身至る所から噴き出す蒸気。痛む身体の限界を越えてオーバーヒートした証。
連戦による疲労、征天魔王に刻まれた傷、バーサーカーの豪腕による全身各所のダメージ。
常人ならばとうに死に至ってもおかしくないほどの痛みを背負い、しかし意地と信念で無茶を通したがゆえの失調。
言うことを聞かない身体。だが、忠勝の眼はまだ死んではいない。

こちらは勝利したものの、まだ相棒が戦っている。
忠勝の声は届かないものの、あの金髪の偉丈夫と何事もなく和解したのなら相棒は必ず援護の手を入れてきているはずだからだ。
もちろん忠勝とバーサーカーの戦いに何ら影響を与えることはできないだろうものの、あの青年は忠勝一人に重荷を押し付けることを決して自分に許しはしない。そういう男だ。
そんな相棒だからこそ、共に戦場を駆けるに足るのだが。

とにもかくにも状況を確認するべきかと、忠勝は震える腕を地に落ちた斧へと伸ばす。
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:21:15 ID:gfYyYlPy
 
665 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:21:58 ID:7s0uCYuF
だからこそ――下を見ていたからこそ、気付かなかった。


「――――――――――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」


忠勝目がけ落下する、未だ折れぬ狂戦士の殺意に満ちたその瞳に。
忠勝の背を、超高高度からの落下の勢いを存分に生かしバーサーカーが踏みつける、否、踏み砕く。
背面の推進装置、装甲、そしてその中身をも等しく破壊する重爆の一撃。


「…………ッッ!?」


二度目、そう二度目の土潜りを強制体験させられる忠勝。
その上に傲岸と立つバーサーカー。両腕両足心臓に頭、どこをとっても欠損はなく負傷の色もない。
理解の外にある出来事に忠勝の意識が一瞬オーバーフローする。
そこにバーサーカーの渾身の剛脚。視界が黒に閉ざされる。
忠勝は悟る。己が解釈は間違っていたと。
この敵手は、どう殺そうと再生するのだ。だからこそ再生の途中、傷を癒す最中にも間断なく攻勢をかけ限界点まで一気に殺すべきだった。
それに気づかず気を抜いた自身の不覚――!

悠然とバーサーカーは得手の獲物たる大戦斧を拾う。
これがあるなら折れた鎚を使うまでもない。
多少刃毀れがあれど狂戦士が振るうにあたり問題はない。それを確認したバーサーカーの背後で、巨大なものがぶつかり合う音。
振り返ったバーサーカーの期待通り、鎧武者は立ち上がっていた。
そうこなくては――今度はこちらのターンだと、バーサーカーが一歩を踏み出す。
立ち上がれはしたもののダメージは大きく、忠勝は腕を上げることすらもままならない。

にじり寄ってくるバーサーカーに、忠勝ができたことはただ徹底抗戦の意志を秘めた視線を叩き付けることだけ。
そして、



「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!!」


腰から上を、叩き切られた。
吹き飛んでいく最強の武人の胴部。倉庫群の一角に叩き付けられ、動かなくなった。
残された脚は見事に大地を噛んだまま、見事にも倒れることなく。どこまであっぱれな男であることか。
もはや首を取る必要はあるまい――己がごとき不死の肉体を持っていない限り、立ち上がることは不可能だとバーサーカーは確信する。
そしてそんな輩ではないと、今までの交戦が物語っている。そんな小細工に頼らず、鍛えた自らの技だけで戦う素晴らしき武士だということは。

だが、結果は結果だ。
勝利したのはバーサーカーのサーヴァント。
敗北したのは戦国最強の武人。

最強証明は成された。
それ以上の時間を浪費することを良しとせず、バーサーカーは次なる獲物を狩るべく斧を担いで駆け出した。
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:22:03 ID:gfYyYlPy
 
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:22:17 ID:UiNoN4LK
支援
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:22:51 ID:gfYyYlPy
 
669 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:23:05 ID:7s0uCYuF
          ◆


予測される敵の進路へ向けて腰だめに構えたサブマシンガンを乱射する。
しかし孤影は巧みに半壊した倉庫や建材の影に滑り込み、開けた射線にその身を晒すことはない。
刹那は腰に差した拳銃の重みを再確認する。接近されれば次も斬撃を防げるという保証はない。

焦りを加速させるのは、遠方から響く破砕音。
忠勝が向かった先だ。今、相棒は単騎であの不死者へと立ち向かっている。
刹那が駆け付けたところで大したことはできないことはわかっている。それでも、何もせず傍観することなどガンダムマイスターの矜持が許さない。
そして、刹那が彼ら人外の武を誇る者達の闘争に一つだけ介入する方法がある。
他でもない、現在交戦中のトレーズが持つGNファングだ。
砲台としては生身の人間に向けるなど想定されていない、桁外れの火力。充分にあの巨人への脅威たり得るはず。
だが当然のこと、トレーズは大人しく抵抗を止める男ではない。であれば力づくで、ファングを奪取するしかないのだ。
一刻も早くこの難敵を突破し、かつ武装を奪う。
中々に困難なミッションプランであると言えた。

視界いっぱいに黒が広がる。
反射的に迎撃した刹那だったが、直後にそれはトレーズが放り出したマントであると理解した。
黒布を貫いた銃弾はその向こうで倉庫の外壁に着弾し甲高い音を立てる。つまり、命中弾はないということ。

「頂く!」
「くっ……!」

正面に気を取られた隙をつき、トレーズは一気に刹那の懐へと飛び込んできた。
閃いた銀光が刹那の首を狙い迸る。
横薙ぎの剣閃を身を転がすことで避ける。そのまま身体を旋回させ、トレーズの足を払うべく水面蹴りを仕掛けた。
が、足に予想された反動はない。
視界の端で飛び上がったトレーズの足刀が跳ね上がり、刹那の顎をかち上げた。
後ろに引っ張られたように弾かれた刹那を追い、トレーズが踏み込もうとしたその鼻先に突き付けられる拳銃。
引き金を引けばその弾丸は確実にトレーズの脳天を貫く、そんな位置。
足を止めたトレーズもまた刀を前に構え、刹那の構える拳銃を鼻先を触れ合わせる。
刃と銃を間に置き、刹那とトレーズの視線が絡み合った。

「俺は、この島で一人の少女と出会った。武力ではなく対話による協調を全世界単位で行い、戦争を根絶するという理想を持った少女だ」
「……リリーナ・ピースクラフト、か。彼女は……放送で名を呼ばれていたな」
「彼女を知っているのか……俺は、護れなかった。手の届くところにいながら、彼女の命を救うことができなかった。
 だが……いや、だからこそ、せめて彼女の遺した理想を成就させてやりたい。
 ガンダムに乗る俺が言うのはおこがましいのかもしれない。所詮俺は破壊者だ……だがな!」

拳銃を握る左腕、指を動かしマガジンを排出。
地に落ちる弾倉が一瞬トレーズの目を引き、間を置かず刹那の足に蹴り上げられる。
トレーズの顔面へ飛ぶマガジン。未だその内に数発の弾丸を残し。
そして、薬室にはまだ一発の弾丸が、残っている。

「そんな俺だからこそ、できることもある!」

マガジンを撃ち砕く。
粉々に散る金属片。飛礫となってトレーズを襲う。
たまらずトレーズが腕を交差させ顔面を覆う。
同時に立ち上がった刹那がサブマシンガンを構え直し、トレーズが気配を頼りに刀を突き出すタイミングはまったく同時。
銃弾がトレーズの左腕に喰らいつき、白刃が刹那の脇腹を深く斬り裂く。
血飛沫が舞い、それでも両者動きを停滞させることはない。
670 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:24:34 ID:7s0uCYuF
「では聞こう、君に一体何ができるというのだ!?」
「世界を歪める者達を駆逐することだ!」

逆手に持ち替えたトレーズの刀が刹那の首を掻き切らんとし、
滑り込ませた刹那のサブマシンガンの銃身の上を火花を散らし滑りゆく。

「武力を用いるのなら、それは完全平和主義とは矛盾しているのではないか!」
「知っているさ!」

トレーズの左足が刹那の右足を踏み抜き、力が緩んだところを身体ごと体当たりする。
刃が刹那の頬を掠め、赤い線を生んだ。

「俺達が世界にとって異物だということはわかっている!」
「ならばどうして君が彼女の理想を継げるなどと言える! 君にその資格があると思うのか!?」

持ち直された刀が沈み、弧を描く。
刹那の掲げたデイパックが両断され、勢いを減じぬままに肩口を斬り裂いた。
しかし斬り抜けることはない。
サブマシンガンの銃身が刀を受け止め、瞬時に巻き付いたショルダーストラップがその自由を奪う。
血に濡れた刀身は著しく摩擦係数を落とし、引き抜くことも叶わない。

「世界は……無意識の悪意に溢れている。誰しもが心の奥底に悪意を潜め、だが気付こうとしない……」
「その通りだ。だからこそ、私のような者が時代の渦中に立たねばならなかった。まさしく人の世の黄昏と言えよう……。
 そして私は私に任じた役割を果たした。残る私もまた……等しく処断されねばならない。世界の憎しみを清算するには罰を受ける者が必要だからだ。
 私を裁く、それが君の成すべきこと。敗者になりたいと望む私に相応しい終焉だ」
「まだだ! まだ貴様の役目は終わってなどいない!」

血を吐く刹那の瞳からはまだ力が失われてはいない。
だからこそトレーズも情けをかけることなど考えず、空いた手で鋼鉄の鞘を抜き青年の頭部へと叩き付けた。
額が割れ、噴き出す血潮。
それでも、視線はトレーズを貫き離さない。

「その役割は……俺達が担う!」
「何……!?」
「俺達ソレスタルビーイングは、対話による世界には不要の存在だ……!」

鞘を掴む刹那の腕は震えていたが、奇しくも左腕を痛めているトレーズの握力と拮抗する。
頭部、肩、脇腹と三か所から激しい出血を被りながらも、一向に気勢が衰えない。

「武力により紛争への介入……確かに一時的に争いは収まるだろう。だが根本的な解決ではない……。
 ガンダムは人の心の悪意までは根絶できないからだ。時が経てば憎しみが再燃し、引き金を引く者が現れるだろう。
 俺達はそんな歪みを駆逐する。誰もが俺達を恐れ、安易に武力で他者を害しようと思わなくなればいい。
 その間に、対話によって憎しみを鎮火する者達が人の心を繋いでくれる。彼女……リリーナ・ドーリアンやマリナ・イスマイールのように」
「憎まれ役を引き受けるというのか? 誰に頼まれた訳でもないだろう」
「そうだ、俺が自らの意志で選んだ道だ……俺達ソレスタルビーイングは存在し続けることに意味があった。
 神ではなく自らの意志で世界と向き合う……それが、存在するということ、生きるということ!」 

刹那を立ち上がらせるのは、自らの信念それのみではない。
ロックオン・ストラトス――ニール・ディランディ。
クリスティナ・シエラとリヒテンダール・ツェーリ、JB・モレノ。
志半ばで散った、ソレスタルビーイングの仲間。彼らの願いを受け継ぎ、今こうして生き長らえている。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:25:10 ID:gfYyYlPy
 
672 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:26:04 ID:7s0uCYuF
「俺達は戦争を根絶し続ける。やがて一つにまとまった世界が俺達を必要としなくなるまで。
 それでいい……俺たちもまた、駆逐されるべき存在だ。世界か変革を迎えるのならば、古き存在である俺たちもまたその役目を終える。
 だが、貴様はそうではない……貴様には、破壊者でしかない俺と違い、やれることがあるだろう!」
「……なんだと、いうのだ」
「わかって……いるはずだ!」

鞘を引く。同時に刀を押さえつける手を緩めた。
右手と左手、選べるのはどちらか一つ。
刹那が鞘を奪い取り、トレーズが刀の自由を取り戻した。
だが刀にはまだサブマシンガンが絡まっている。
刀を大きく振り、戒めを吹き飛ばしたトレーズの目前に、満身創痍の身体を押して刹那が飛び込んできた。
身体ごと独楽のように一回転し、遠心力を乗せた刃が刹那を襲う。

刹那にトレーズのような本格的な剣術の心得はない。
しかし何も問題はない。
何故なら、
幼いころに腕利きの傭兵に仕込まれた体術が、
マイスターとしての戦いの日々の中絶えず研鑽してきた戦闘者としての感覚が、
なによりエクシア、そしてダブルオーと共に幾多の難敵を打ち破ってきた膨大な戦闘経験が、ここにある!

「ここは……俺の距離だッ!」

視てもいないのに白刃の軌跡が予想できた。
この男、トレーズ・クシュリナーダの技量は刹那が記憶する最も手強いモビルスーツパイロットとほぼ同等。
あの男――戦場の修羅、グラハム・エーカーとの四度に渡る戦いは、刹那の中の剣戟戦闘のセンスを極限までに研ぎ澄ませてくれた。
そうとも、あのトランザム同士の激突に比べれば何ほどのこともない――遅すぎるくらいだ!

頭上を瞬間に通り過ぎる光。本来断ち切るはずだった刹那の首はそこにはなく、代わりに刀自身の鞘を斬り割った。
半ばから鋭利な切り口を見せ分かたれた鋼鉄の鞘。長さにして短刀程度。
伸びた刹那の両腕にしっかりと収まり、ナイフのような輝きを見せる。

息つく間もなく刹那が繰り出す左の刺突。刀を持つ右腕の手首へと迫る。
未だ刀の加重が抜けておらず引き戻す時間が足りないと見たトレーズは、あえて負傷した左手を前面に出す。
自然、前方へと放り出された血液が刹那の顔を直撃。反射的に目を閉じたもののその狙いは甘くなる。
刀の重さを利用し腕を下げる。鞘の先端は衣服と肉を多少削り取ったものの、握力に影響を及ぼすほどでもなく。
返す刀での斬撃、だが刹那は攻撃が不発だと見るや即座に一歩を踏み込んだ。
膝が触れ合うほどに接近する。刀が巡る領域の内側に入られ、ならばと手首を逸らし柄での打撃にシフトする。
脇の下の急所に強打を受け、刹那の息が詰まる。
だがここで退いては押し込まれる。それがわかっているからこそ、痛みを無視して更なる攻勢をかけるべく刹那は頭を跳ね上げた。
身長の差から刹那の後頭部はトレーズの顎へと吸い込まれるように衝突。
衝撃は等価――だがダメージは刹那の方が大きい。一瞬くらりと意識が遠のいた。
トレーズの姿が、あのときの「奴」に重なる――四年前、最後の戦いがフラッシュバック。

あのときは、歪みを断ち切ることができなかった。
結果としてあの男は四年もの間ガンダムに、刹那に執着し続け、戦うだけの人生を歩んでしまった。
それを望んだのはあの男。だがそうさせたのは刹那自身。
ガンダムは歪みを駆逐する者。
だが、その歪みが間違ったものだとしたら――正しく変革することができるのだとしたら。
ただ殺すだけでは何も変わらない。だから、

(違う――俺はもう、あのときとは違う!)
673 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:27:40 ID:7s0uCYuF
無意識のまま、右手の短刀を逆手に持ち替え振り下ろす。
トレーズの左大腿部へと突き立ち、飛び出た熱い血によって刹那の意識が覚醒する。
短刀を落とし、腰の刀へと両腕を伸ばす。
踏ん張りが利かないトレーズの身体を肩で突き飛ばした。

「ぐうっ……!」

片足の自由が利かないトレーズは無様に地に転がる。
刹那は奪い取った刀を構えようとし――だが、重みに負けて膝をつく。
全身の痛みは緩慢なものになりつつある。もう、時間がない。

トレーズもまた落ちていたサブマシンガンを拾う。片足立ちになって、銃口を刹那へと向けた。
荒く息を吐くのは両者とも同じ。
だがトレーズには大腿部しか深手と言える傷はなく、身を隠されでもしたらもう刹那に追うだけの力は残っていない。
それを察したか、トレーズは微笑みサブマシンガンの残弾を確認した。
腰の後ろから新たな弾倉を取り出し、装填。暴威の力を呼び戻す。
その整った顔に浮かぶのは恍惚の色。
勝利など求めてはいない。死力を尽くした戦いの果ての敗北――それこそが求めるもの。
だからこそ、トレーズは後退など選びはしない。
刹那の命が尽きる前に決着を付けると、その瞳は物語る。

一時の静寂。
もう、どちらの耳にも本多忠勝とバーサーカーの交戦の音は聞こえない。
目に映るのは、お互いにただ一人の男のみ。

「やはり、私の目に狂いはなかった。君こそが私を敗者へと貶めてくれる者だ」
「……満足か、これが。こんな戦いが……貴様の望む理想なのか」
「いかにも……さあ、もはや言葉はいらない。私を打ち倒し、君は前に進みたまえ。
 自らの意志で戦い、勝者となった君は誰にも勝るほどに尊い。君の輝きを最期に私に焼き付けてくれ」
「そう、か。なら……終わりにしよう。俺にはまだやることが残っている」
「望み通りに……!」

手を、開く。
刹那が、トレーズが同時に武器を放り出し、地に落着すると同時に蹴り出した。
刀と銃が交差し、離れる。
刹那が銃を、トレーズが刀を。
屈み伸ばした手がそれらを掴むのは同時、しかし立ち上がるのは一人だけ。
片足の自由が利かないトレーズは、剣を弓をつがえる様に引き、飛ぶ。

牙を突き刺すように。
射線を避けようともせず、正面から突き進んでくる金の影。
刹那は構えた銃の引き金を――引いた。



銃声が静寂を切り裂いた。


674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:27:50 ID:gfYyYlPy
   
675 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:28:47 ID:7s0uCYuF
          ◆



「……何故だ。何故……撃たなかった?」

そう問うのは、一人立ち尽くすトレーズ・クシュリナーダ。
見ているのは、膝をつき腹部に刀を生やす黒髪の青年――刹那・F・セイエイ。
刀は右の肺を貫いている。もはやどのような名医だろうと手の施しようがない、致命傷だ。
焦点が定まらず虚ろな刹那の瞳が、トレーズを見上げる。
その瞳に魅入られた時、トレーズは無意識に一歩、後退していた。

「……撃った、さ……」

その手に構えているのはサブマシンガン、ではない。
マガジンを排出し、薬室に残った最後の一発をも既に撃っていたはずの、ワルサーP5。
弾丸は、残っていない。

「トレーズ……貴様は、俺が……殺した。貴様の歪み……狙い撃ったのは、俺だ。だからもう……さっきまでの、お前は……死んだ」
「何を馬鹿な……!」
「聞け……! お前には、まだできることがある……。俺は……破壊者でしか、ないが。貴様は、そうではないはずだ……。
 たとえ、血に濡れていても……その罪を投げ出そうとしない……お前なら――ガ、ハッ!」

激しく咳き込む。吐血の赤も、鮮やかに。
目だけがギラギラと光り、トレーズが耳を閉ざすことを許さない。

「対話による協調……貴様なら、成し遂げられるはずだ。武力を以て戦うことしか……できない、俺と違い。
 政治の場という戦場で、貴様だけの戦いが……あるだろう。だから……戦え、トレーズ!
 人が、戦うことに疲れたと……言うのなら。貴様が全ての……業を背負い、全ての人の、代わりとなって……戦え!」
「私に……生きろというのか?」
「……勝者は、俺のはずだ。強者には……弱者を、正しく支配する義務……が、ある。
 貴様が……言った、こと、だ。だから……」




『刹那・F・セイエイが、トレーズ・クシュリナーダに命じる。リリーナ・ドーリアンの意志を貴様が引き継げ』




「私に、完全平和主義を担えと言うのか……」
「できないとは……言わせない。貴様にはそれだけの……力が、ある、はずだ……」
「フッ……もう、遅いのだよ刹那。私は既に、この島で一人、この手にかけている……。
 池田華菜、カギ爪の男、竹井久、玄霧皐月、加治木ゆみ、中野梓、月詠小萌、兵藤和尊、安藤守、片倉小十郎、プリシラ、千石撫子、御坂美琴。
 誰かまではわからぬが、先ほど呼ばれた死者の内リリーナ姫を除いた十三名……その内の一人は、私によって未来を絶たれたのだ。
 そんな私に、君や彼女と同じ道を往くことなど……」
「勘違い……するな、トレーズ・クシュリナーダ。これは、貴様が背負うべき……義務、だ。
 力がありながら……行動しなかった、貴様への……間違っていると、知りつつ……その道を突き進んだ貴様が、背負うべき……罰だ」
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:28:49 ID:gfYyYlPy
 
677 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:29:59 ID:7s0uCYuF
その身に突き刺さった刀を、刹那が逆手に握る。

「が……ぐぅ……っ!」

肉を裂き、骨を削りながらも僅かずつ刀を引き出す。
激痛が神経を焼き、しかし潮が引くように痛みは消えていく――麻痺していく。
破れた血管の押さえが無くなりたちまち路面に紅い花が咲いた。

「君は……」
「……ッ、来る……!」

声をかけようとしたトレーズを遮る刹那。
一瞬遅れてトレーズもその言葉の意味を理解した。
刹那が握ったままの刀を奪い取り、身を翻し虚空へと叩き付ける――甲高い金属音。
叩き落とされたのは、黒く染まった騎士王の剣。

「破れたか……ホンダム」

刹那の言葉が示す通り。
現れたのは戦国最強の武人ではなく、狂戦士のサーヴァント。
忠勝が振るっていたはずの斧を担ぎ、五体のどこにも負傷の色もなく。
いやそれどころか、あれだけの激しい戦闘音が鳴っていたのにどこにもその痕跡がない。
本多忠勝が一矢を報いることもなく蹂躙された? あり得ない。忠勝の武はそんなに生ぬるい物ではないと刹那が一番よく知っている。

(ならば……答えは一つ。奴はやはり……)

再生。
そう、おそらく忠勝はあの化け物を一度確かに撃破したのだろう。ただし、持てる全ての力と引き換えに。
しかし殺し切ることが叶わなかった。
直後に完全な状態まで蘇生、力を使い果たした忠勝を悠々撃破したのであろう――あの斧がその証拠。
そして今、刹那に忠勝の声は届かない。

(すまない……ホンダム。だが……戦ったのだろう? 己の意志で、存在を賭けて……なら、俺も続かなければならないな……)

その手にあるのはイヤホンマイク。
先の交錯の際トレーズの懐から掠め取った、遅すぎた切り札。
耳につけ、聖剣を拾い杖代わりに立つ刹那。

「刹那、ここは私が引き受ける。君は逃げたまえ」
「逆だ……トレーズ。俺が……奴を、倒す。お前が、退くん……だ」
「聞けないな。私の望みは戦場で散ることだと言っただろう」
「それこそ……知ったことじゃ、ない。どのみち……この身体では、逃げ切れ……ない。だから……こう、するんだ……」

おぼつかない足取りで走り出す。転々と血の尾を引いて、泰然と弱った獲物を眺めるバーサーカーの元へ。

「……ファングッ!」

刹那の檄を受け、主の名なきままその身を休めていた牙が宙に躍り出る。
形成する疑似GN粒子の刃。
撃ち出された弾丸のように、一直線にバーサーカーへ向かう。
迫り来る赤い牙。バーサーカーは敵と認識し迎撃の刃を振るう。
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:30:43 ID:gfYyYlPy
 
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:31:25 ID:gfYyYlPy
 
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:31:48 ID:eWjmzqet
支援
681 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:32:06 ID:7s0uCYuF
「いかん……! ファングでは奴に対抗できんぞ!」

それはトレーズ自身が既に通った道。
いかに優れたモビルスーツ操縦技能を持っていようと、口頭命令によるファングの操作には活かしようもない。
単純に誰々を攻撃しろ、と言うだけでは至極単調な機動しかできないのだ。
だからこそトレーズは不用意に接近させず、アウトレンジからの砲撃で敵を寄せ付けまいとしたのだ。

「…………くぅっ!」

バーサーカーが跳び、牙の背後を見下ろせる位置へ。振りかぶった斧、握る右腕の筋肉が膨張する。

「■■■■■■■■――!!」

手斧のように投げ放たれた大戦斧がファングの後背へ突き刺さる。
勢いは止まらず、コンクリートの路面を爆砕した。
着地したバーサーカーが、無手のまま刹那らを捉える。
手負いの、その上魔術師でもない人間二人。武器がなくとも容易く縊り殺せるということだろう。

トレーズが刀を構え応じようとした。逃げて生き長らえるつもりなど微塵もないという横顔。
刹那はそれを認めない。そう、宣言した通り――

「刹那・F・セイエイッ! 目標を……駆逐するッ!」

文字通り血を吐いて。
刹那の、ガンダムマイスターの矜持が暴力の権化へと牙を剥く。

心眼――類い稀なる第六勘にて危機を察知したバーサーカーが、横に跳んだ。
だが身体に遅れて続いた左腕を、飛来したGNファングが斬り裂いた。

「■■■■――!?」
「ファング!? 馬鹿な、あの機動は……!」

驚きの声は敵と、もはや敵でない男から。
巨人の片腕を斬り落としたファングは刹那の傍らへと飛翔し、くるりと転進し再度目標を軌道上に捉える。
敵は肘から落とされた左腕を押さえ、出血を押さえている。

「仕留め……きれなかった、か……!」

一矢報いたとはいえ、刹那の表情に浮かぶのは痛恨の色。
乾坤一擲の奇襲であったが、あまりの反応の速さに必殺の効果を得られなかったのだから。

「■■■■■■■■■■■■■■■■――!!」

怒りの咆哮を上げ、バーサーカーが殺到する。
迎え撃つファング。
地を這うように滑空し、バーサーカーの足元へと連続して粒子ビームを放つ。
跳躍したバーサーカーを傷つけるには至らない。だが濛々と立ち込める土煙が、牙の姿を覆い隠した。
落下しつつもどこから来るか、全方位を警戒するバーサーカー。

その背後からGN粒子の放出を止めたファングが喰らいつく。
背を灼く痛みに呻きを漏らし、続く零距離砲撃にてバーサーカーは叩き落とされた。
瞠目したのは傍観するトレーズだ。
足を負傷したトレーズでは割って入ろうにも無理な話だが、だからこそ今のファングの機動をよく観察することができた。
オートで動くファングには成し得るはずのない動き。
何より刹那は、最初にファングに発した命令以外、次の指令を下してはいないのだから。
682名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:33:14 ID:2xSjYETd

683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:33:18 ID:gfYyYlPy
 
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:33:29 ID:UiNoN4LK
支援
685 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:33:59 ID:7s0uCYuF
「刹那……君は一体……」

トレーズに応えず、刹那はファングの操作に集中する。
そう、操作――脳量子波によるダイレクトコントロール。
ファング、及びそれに類する機能を持つ機動端末を有するモビルスーツは刹那の知る限りおよそ四機。
トリニティチームの次男、ヨハン・トリニティのガンダムスローネツヴァイ。
スローネツヴァイを改修したらしき、アリー・アル・サーシェスが駆るアルケーガンダム。
アニュー・リターナーが用いたイノベイター専用モビルスーツ、ガッデスのGNビームサーベルファング。
そして盟友ロックオン・ストラトスの愛機、ケルディムガンダムに備わるシールドビット、ライフルビット。
これら四機の持つオールレンジ兵器はいくつかの差異がある。


前者二つは最もオーソドックスなタイプと言えるだろう。
ガンダムの演算能力を用いるとはいえ、基本的にはパイロットが指示して動かすタイプ。
もちろん要所要所で捜査を加えたり、プログラムの変更によりパターンを変更することはできる。
しかしやはり即応性に欠けると言わざるを得ず、事実二機のそれは最も多く撃墜されたファングと言えるだろう。

後者二つが少々異なる。そして、この二者もまた同一ではない。
ケルディムのビットは、マイスターに加えサポートユニット・ハロが同乗し制御する物。
これによりマイスター自身は機体操作に集中しながらの同時運用を可能としている。

残る一つ、イノベイターのモビルスーツがこの話の主題。
基本的にイノベイターは脳量子波という特殊な量子波を発生させることができる。
空間認識能力、反射能力の増大、または遠距離関の交信などまさに革新者たるに相応しい力。
これを用いることで機体操作を停止させることなく同時にファングも使用できるという訳だ。


そう、脳量子波とはイノベイターと呼ばれる者全てが持ち得る力。
逆に言うなら強い脳量子波を持つ者こそ、イノベイターと名乗る資格があるということ。


そしてこの場には、人の身から純粋種のイノベイターとして覚醒した者がいる。
名を刹那・F・セイエイ。
ダブルオーガンダムのマイスターにして、ソレスタルビーイングの理想を体現する者。
無意識に手にしていた真なる脳量子波を、死の淵に瀕した今この時に完全に我が物として操っている。


思う通り、頭の中で描いた軌道そのままにファングが舞い、赤い粒子を撒き散らす。
だが、この土壇場で見出した新たな力も、そのまま難敵に勝利するという結果には直結しない。
少しずつ、少しずつだがバーサーカーの動きが鋭くなっていくのだ。
掠めるように最小限の動きで粒子ビームをやり過ごし、虎視眈々と接近の機会を狙う。
単発の砲撃では足りないのだ。
最初の一撃のように、粒子を先端に集中させ一気に斬り裂かねばこの巨人の分厚い筋肉の壁を突破することができない。
一瞬たりとて足を止めず走り続けるバーサーカー。無尽蔵かとも思えるそのスタミナに、貯蔵するGN粒子の方が先に尽きそうだ。

今度こそ手詰まりかと、刹那は強く唇を噛む。
そして、

「……ッ。行け、ファングッ!」

遂に、勝負に出た。
跳躍していたバーサーカーが、着地に失敗したか電柱へと突っ込んだ。根元から折れ砕け、電線を引き千切りながらその身を横たえていく。
これを隙と見た刹那は躊躇わなかった。
粒子を圧縮し、極光の刃と成して貫き落とすという意思を込め突っ込ませた。
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:34:23 ID:gfYyYlPy
 
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:35:37 ID:gfYyYlPy
 
688 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:35:40 ID:7s0uCYuF
「■■■■■■■■――――」

だが――届かない。
大英雄の戦感は、この未知の敵の能力、速度を既に見切っていたのである。
バーサーカーが隻腕を伸ばす。掴んだのはたった今巨体の巻き添えになった電信柱。
強度は城で得た槌ほどではないが構わない。ただ一撃だけ保てばいい――あの鎧武者にされたことを、今度はこのバーサーカーが再現する。


「――――■■■■■■■■■■■!!」


迫るファング。
迎え撃ったのは長さにして15mほど、大雑把にもほどがある「鋼鉄のバット」。

「くっ……!」
「むう……!」

耳をつんざくような、凄まじい衝突音。
刹那とトレーズの眼前で、GNファングは遥か遠く倉庫の影へと弾き飛ばされた。

ズン……とバーサーカーが即席の獲物を手放す。
ファングを吹き飛ばした反動か、電柱は半ばから砕け散った。
だがこれで全ての脅威は排除され、もう二人の贄を守る物はない。
重厚な足音を響かせ、バーサーカーが迫る。
刀を構え、今度こそ討ち死にせんとするトレーズ。
そして、

「もう打つ手はない、な。やはりここが私の死に場所のようだ。刹那、君は……」
「いいや……作戦通りだ、トレーズ。俺の……俺達の、勝ちだ」

何度でも押し留めるのは、刹那。
横顔に浮かぶのは――「絶望」ではなく、ひたすらに強く気高き「希望」。

「何を――」
「………………………………………………………………ッッッッ!!」

声なき咆哮が、轟く。
三度振り向いたバーサーカーの顔へ突き刺さる――唯一無二の、拳。

「待っていたぞ……ホンダムッ!」

信頼の色に満ちた刹那の声。
応えるように両の拳を打ち鳴らすのは、破れ去ったはずの鎧武者、本多忠勝。
バーサーカーが愕然と煉獄から舞い戻ってきた武人を見やる。
足を無くし、武器を失おうとも――戦国最強の誇り、未だ折れず。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:36:23 ID:gfYyYlPy
 
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:36:41 ID:1RgIwQ8N
 
691 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:36:44 ID:7s0uCYuF
          ◆



腹を真っ二つに裂かれた本多忠勝は、しかしまだ命の灯火を絶やしてはいなかった。

おうとも、「奴」が死の淵から幾度となく立ち上がるのならば、この本多忠勝にできぬ道理などあるはずがない。
まだ破れてはおらぬ。まだ忠勝の槍は折れてはおらぬ!

相棒を追っていったであろう業敵を止めるべく、忠勝は両の腕でめり込んだ倉庫からの脱出を図った。
ええい時間が惜しいとばかり、鉄槌の拳で壁を叩き割り強引に抜け出る。
地に落つ最強。足もない、背の推進装置も使えない。
ならば這ってでも――この両腕が砕け散るまで大地を殴り付け、その反動で跳んでいこうではないか。

漲る覚悟を力に変えて、忠勝は拳を振り上げる。

「…………?」

その時忠勝を照らした、真紅の輝き。
見上げた忠勝の瞳に映る、傷ついた牙の姿。
しばし、無言で見つめ合う。

「…………!」

わかる。これは――声だ。
小さき相棒からの、共に戦おうという呼びかけの声。
言葉に出さずとも思いは伝わる。
遠く離れた地にいる相棒が、この本多忠勝の生存と参戦を信じ、待っている。
カッ、と、忠勝の血でなき血が燃え上がる。
相棒はあの巨人を止められなかった忠勝を不甲斐ないと、役に立たないと思っているのではないか。そんなことを考えていた己の性根に喝を入れる。



待っている。忠勝と共に戦うために、同じ戦場に立つために――あの男が待っている!


「……………………………………………………………………………………………………………………ッッッッ!!」
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:37:17 ID:gfYyYlPy
 
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:37:40 ID:1RgIwQ8N
  
694 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:37:57 ID:7s0uCYuF
魂の奥底から湧き上がってきた意志が、力が、出口を求めて沸騰する。
拳が地を打つ。舞い上がる、忠勝の足なき身体。
見下ろす眼下にあの牙はいない。どこにいる――決まっている。


武人が戦場を駆けるとき、共にあるものは何だ。

護るべき主と、

背中を預けられる朋友と、

敵を討ち果たす槍と、



――――――そして馬だ!



「…………………………!」



本多忠勝が腰を預けられる馬などかつて一頭たりとていなかった。
だが今は違う――ここには、忠勝が信頼する男が操る馬がいる!
さながら紅い彗星。
戦国最強の鎧武者と、太陽の輝きを名に冠す牙が合一した。
疑似GN粒子の輝きがファングを、そしてファングの上に座す忠勝をも包み込む。




変革の牙に跨って、『戦国最強』最後の出陣が、始まる。

695名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:38:20 ID:1RgIwQ8N
   
696 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:39:05 ID:7s0uCYuF
          ◆



「■■■■■■■■■■■■■■■■――――!!」
「……………………………………………ッッッ!!」


そして、最後の幕が開く。
火蓋を切って落とすは鋼鉄の馬を駆る戦国最強の武人、本多忠勝。
応じるは狂戦士のサーヴァント、真名をヘラクレス。

四度目の、そして最後の果たし合い。
双方どちらも退く気など微塵もなし。
先に進むために、誇りを失わぬために。
この戦士だけはこの手で倒す――お互いがそう思っていると、強く確信する。

バーサーカーが構える斧の殺傷圏内に、恐れることなく忠勝は――忠勝と刹那は、踏み込んでいく。
ファングを両断すべく放たれた斬撃。
忠勝は一向にそれに対処する動きを見せず、ただ握り締めた拳に己の全てを傾けていく。
何故なら、

「■■■■■■■■――!?」

相棒が、かわしてくれると信じているから!
急停止したファング。忠勝の鼻先を戦斧が生じさせた風がくすぐる。
超重武器だからこそ、その軌道は大振りにならざるを得ない。
すなわち、一撃の隙が大きいということ。

「………………………ッッ!!」

急停止から、急加速へ。
一瞬にしてバーサーカーの懐へと潜り込んだ鎧武者は、両の拳を思う様叩き付ける。
一、二、三、四――十、二十、三十四十。
拳の回転は止まらない。
もっと速く、もっと強く! その一念のみで忠勝の拳は天井知らずにその手数を増していく。
たまらず、バーサーカーが後ろに跳んだ。
追えばカウンターの斧投げが来る。そう看破した忠勝はやはり動かない。
これは忠勝の距離ではなく、

「ファングッ!」

相棒の距離だからだ。
バーサーカーを追い、幾条もの光芒が空を駆ける。
バーサーカーがとっさに斧を横に倒し、即席の盾とした。

「■■■■■■■■――!!」

斧の横槍を免れた数本の光がバーサーカーの肌を灼く。だがいずれも決定的なダメージには成り得ない。
距離を取り、睨み合う二人の最強。
697名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:39:06 ID:1RgIwQ8N
 
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:39:31 ID:zQqJaQX3
 
699名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:39:36 ID:gfYyYlPy
 
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:39:56 ID:1RgIwQ8N
  
701 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:40:17 ID:7s0uCYuF
(いけるか……? いや、もうGN粒子が心許ない。また奴の復活を許せばそれで終わりだ。どうすれば……!?)

歯噛みする刹那。刹那自身、腹部を押さえる手にもう感覚が無くなってきた。
時間がない。誰にとっても。
一瞬、刹那は警戒を怠った。そのとき、バーサーカーが牽制に小石――と言っても、刹那の頭ほどもある――を投擲した。
ファングを操作し、スライドする。その先にいるのは――刹那自身だった。

思考に気を取られるあまり、位置把握が疎かになった。
容易に刹那の頭を砕ける威力の飛礫が迫る。

(しまった……済まん、ホンダム……!)

自身の身ではなく、戦友の身を案じる。
だが、予想された痛み、断絶は訪れなかった。
目を開くと、そこにはトレーズの姿。
石は、刹那の前に割って入ったトレーズが背中で受け止めていた。
ガハッ、と血を吐くトレーズ。膝をつき、倒れ伏す。

「トレーズ……」
「刹那……あれを、使え……」

助け起こそうとした刹那を制し、トレーズが震える指先を持ち上げる。
追って視線を向けた先には、もう動けないはずのトレーラーがあった。

「あれが、なんだ。後輪が、破壊され……て、いる。動かせは……しないぞ」
「違う……あれの、中に……これが、キーだ……」

渡されたのは、一枚のカードキー。
トレーラーの中に入れ――そういうことだろうか。
真意を問い質そうとするが、トレーズはその瞬間意識を失い、くずおれた。

「トレーズ……了解だ、お前を信じる」

トレーズをトレーラーの陰へと引きずり、刹那は剣を頼りに走り出した。
忠勝は未だバーサーカーと交戦中。この分ならしばらくは保つ――だが、本当に少しの間だけだ。
起死回生の一手。
奴を討つ――あるいは、不死の秘密を暴く、この場から退去させる。
刹那も忠勝も、もう残された時間は少ない。放っておいても朽ち果てる身。
ならば、少なくともまだ生きる目のあるトレーズと、まだ見ぬ参加者達のためにこの時間を使う。

トレーラーのハッチを開け、内部に侵入。
小さめの移動基地とでも言うべき車体は今の刹那には広すぎる。しかし、意志の力で足を動かし続けた。
そして辿り着いた、『KMF整備室』。

小型の戦闘メカを整備できる設備、らしい。

(KMF……? ガンダムでは、ない……)

落胆する刹那。ガンダムと言わずとも、そのKMFがあれば状況を打開できたかもしれないのに。
コントロールパネルに背を預け、刹那はとうとう足を止めてしまう。
感じる忠勝の苦境はいよいよ以て熾烈さを増している。

(もうホンダムも限界か……! トレーズ、お前は何を……俺に、託そうとしたんだ……?)
702名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:41:16 ID:gfYyYlPy
 
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:41:27 ID:eWjmzqet
どうなるどうなる
704 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:41:52 ID:7s0uCYuF
足が崩れ、手が投げ出される。
押し込まれたタッチパネル――スクリーンに表示される、見慣れない文字。

(これ、は……)

刹那の眼が、見開かれる。
全身に力が戻ってきた。
たとえそれが燃え尽きる直前の蝋燭のような、儚いモノであったとしても。


絶望の中で掴んだ光は、手放さない。


両腕で身体を支え、立ち上がる。
シートに身を預け、猛然とパネルを操作する刹那。
勝手は違えど、こんなものは大筋はどこのものでも大して変わりはない。
数分の逡巡を経て、刹那は目的のデータを参照できた。
目を通し、使えると判断。

あとは実行するだけ。
これが最後のミッションプラン。
得られる戦果は確かなもの、引き換えに支払う対価は刹那自身。
もう、戻れない――仲間達の元へは。


「ライル・ディランディ……アレルヤ・ハプティズム……ティエリア・アーデ……」

トレーラーの上部をオープンに。

「スメラギ・李・ノリエガ……フェルト・グレイス……ラッセ・アイオン……」

向きを調整。外れることなく目標に届くように。

「イアン・ヴァスティ……ミレイナ・ヴァスティ……沙慈・クロスロード……マリー・パーファシー……」

角度、よし。あとはロックを外し、トリガーを引くだけ。
いつの間にか、腹部からの出血は止まっていた。
意識もまるで浮いているかのようにふわふわと現実感がない。
それでも――刹那は、後悔していない。

「みんな……済まない、後は……頼む。俺は……ここまでの、ようだ」

ここにはいない仲間達へ。
かつて自分が託された物を、今度は刹那が仲間達へと託す。
イノベイターの打倒、戦争の根絶――人類の変革。
彼らなら、きっと――

「ロックオン・ストラトス――いや、ニール・ディランディ。俺も……お前のように。誰かの道を……生きていく……世界を、切り拓くぞ……!」

あの男が見ている。
かつて刹那を導き、そして変われと――自分の代わりに変わってくれと、バトンを渡した男が。
705名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:42:08 ID:1RgIwQ8N
 
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:42:16 ID:gfYyYlPy
 
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:42:49 ID:1RgIwQ8N
  
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:42:56 ID:gfYyYlPy
 
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:43:19 ID:UiNoN4LK
支援
710 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:43:32 ID:7s0uCYuF









――――やっちまえ、刹那。お前は最高のガンダム馬鹿だ!









(……ああ。最高の褒め言葉だ!)


拳を固め、パネルに叩き付ける。
叫ぶ――これが刹那の、忠勝の、命を賭けた乾坤一擲の一撃!




















「舞い上がれ――――飛翔滑走翼ッ!!」






711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:44:10 ID:gfYyYlPy
 
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:44:12 ID:1RgIwQ8N
 
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:44:22 ID:zQqJaQX3
 
714 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:44:46 ID:7s0uCYuF
          ◆



バーサーカーの蹴りが、ガードした右腕を砕きつつ忠勝をファングごと吹き飛ばした。
機動性は勝っても、やはり地に着く足がなければその膂力を完全に発揮することはできない。
右腕が肘の上あたりまで完全に破砕された。
ファングが吐き出すGN粒子はもはや枯渇寸前。
意志だけは折れぬと、忠勝はにじり寄る宿敵を睨め上げた。

決着の刻――おそらく向こうもそう思っているはず。
忠勝に許された時間もそろそろ尽きる。
ならばせめて、その身に消えぬ傷を残すまで。
悲壮な決意を固める忠勝の視界に、新たな光が飛び込んだ。

相棒が乗り込んだらしい鉄の車。できればそれで逃げてくれればと思っていたのだが――やはり、相棒はそんなタマではなかったらしい。

射出された、鋼鉄の翼。
名を飛翔滑走翼――黒の騎士団の技術顧問ラクシャータが完成させた、日本製のKMF飛行ユニット。
天高く舞い、呼応するようにファングが飛び出した。
先を往く飛翔滑走翼の後方、空いた空洞のような内面が見える。
忠勝はすぐさま理解した。そして、

「…………………ッ!!」

躊躇いなどなく、応じる。
見せてやる――あの戦士に。何度甦ろうとも決して孤独から抜け出すこと叶わない、あの寂しき大英雄に!

これこそが、友愛などという曖昧な慣れ合いを超越した、戦場で結ばれた固き絆の具現。
頭から棺へと突っ込む。
翼から杭が放たれる。本来ならそれは対応するプラグを備えたナイトメアフレームにのみ連結されるべきもの。
だが当然のこと本多忠勝はKMFではない。接続などできるはずもない――


「………………………………………………ッッ!!」


――否!
無理を通せば道理は消し飛ぶ!
ここにあるのは忠勝ただ一人の意地だけでなく、戦争根絶という途方もない夢物語を現実に成そうとする男の意志が共にある。
ならばこそ――不可能など、ない!

既に砕かれていた忠勝の背面装甲を、飛翔滑走翼から伸ばされた管が突き破る。
激痛――何ほどのものか。痛みなどいくらでも喰らってやる。
だから力を寄越せ――今、この場で! 奴を討ち果たす力を!

強引に接続が完了し、忠勝の強靭なる精神がプログラムなどという小賢しい物を全て塗り潰し我が物と変えていく。
元より備えた手足のごとく――翼の隅々まで知覚の指が拡がった。
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:44:52 ID:gfYyYlPy
 
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:45:44 ID:gfYyYlPy
 
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:45:57 ID:1RgIwQ8N
 
718 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:46:10 ID:7s0uCYuF

――続けて徹甲砲撃右腕部、行くぞホンダム!
――応!

聞こえないはずの刹那の声が聞こえる。
音にならないはずの忠勝の声が応じる。

トレーラーから再度昇ってくる光。
外見は単なるロケット。しかし、飛翔する忠勝の傍らで自ら弾け、その真なる姿を露わにする。
鋭い五指を備えた機械仕掛けの腕。
紅く染め抜かれた、ただ破壊の身を成す紅蓮の爪。
連結――またも激痛。だがそれはもう味わった。主なき右腕はすぐに忠勝の支配下に収まった。
棺が、外装がパージされる。

カラクリカギ爪、二対のフロート。牙を模す馬に跨り、その眼光は同じく真紅。
翼が輝き、掲げた右腕から灼熱の咆哮が迸る。
眼下の敵に、告げる。
もはや忠勝は単なる戦国最強ではない。
呼ぶならば
そう、名付けるならば――





――――――GNホンダム可翔式!






天から一気に駆け下る。狙うは憎き怨敵バーサーカーの首ただ一つ!
カギ爪を叩き付ける。バーサーカーが薙いだ大戦斧と激突し、烈風を巻き起こした。
忠勝は既にこの腕に宿る真なる力を理解している。
己の意志一つで解き放たれるこの力なら、この状況から奴を――

「待て、ホンダム!」

だが、決定的な一撃が放たれる前に、姿を現した相棒が制止の声を上げた。
何故だ、今が好機なのだぞ、と無言の内に問いかける。
刹那は漆黒の剣で身を支えたまま、

「この場でそいつを……倒しても、また再生されては……意味がない。だから――ホンダム! 俺に……お前の命をくれッ!」

決意の火。
刹那の瞳にそれを見て取った忠勝は、もはや聞くことなどないと悟る。
ただ、告げるだけだ。

――応!
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:46:30 ID:gfYyYlPy
 
720名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:46:58 ID:1RgIwQ8N
 
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:46:58 ID:eWjmzqet
支援
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:47:15 ID:gfYyYlPy
 
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:47:29 ID:zQqJaQX3
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:47:59 ID:gfYyYlPy
GNC可翔式
725 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:48:06 ID:7s0uCYuF
ただ、同意の意志を。
全てお前に任せる、指示をくれ――全幅の信頼と共に、ただそれだけを。
忠勝とてわかっている。もはや己も相棒ももう長くはないことを。
であれば、本懐を遂げるために必要だと相棒が言うのなら――聞かぬ道理がどこにあろうか。

無言の信頼を受け取った刹那は、未だ鍔迫り合いを続ける忠勝に走り寄り、その左手に飛び乗った。
バーサーカーとて隻腕。
また徹甲砲撃右腕部はあくまで爪であるため、忠勝は左腕を添える必要がなかった。
拮抗する両者。
その間隙を突き、刹那は忠勝の腕を蹴って、構える剣をバーサーカーの右腕へと突き刺した。
ずぶり――と、剣が肉に沈む感触。
墜ちたとはいえそれでも聖剣、バーサーカーの肉体を易々と傷つける。
力が緩み、戦斧が零れ落ちた。
その隙を逃さず、忠勝は右の爪をバーサーカーの顔面へと叩き付けた。
二指が、狂戦士の眼を貫く。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!!」

激痛に暴れるバーサーカー、その刹那が掴まったままの右腕と忠勝の唯一残ったオリジナルと言える左腕が組み合った。
刹那が叫ぶ。

「飛べ、ホンダム! こいつを彼方の地へ追いやるんだ!」

忠勝の背の飛翔滑走翼が輝く。
同時にファングが残る全てのGN粒子を放出し、推進力へと変換した。
二つの巨獣が空に舞う。
一瞬の拮抗を経て、翼と牙が重力に勝った。
銃弾をも凌駕する速度で、三者は倉庫群から飛び離れていった。


726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:48:51 ID:gfYyYlPy
 
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:49:03 ID:e80mUBR9
 
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:49:22 ID:zQqJaQX3
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:49:54 ID:gfYyYlPy
 
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:49:58 ID:e80mUBR9
 
731 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:50:28 ID:7s0uCYuF
          ◆



空を見上げるものがいる。
荒い息をつき、ここまで走り通しだった身体を休めるために座り込んでいた『ソレ』は目撃した。
空を裂く、紅い彗星を。
まだ昼間だ。星が見える道理などない。
にも関わらず、その星は見る間に『ソレ』の頭上を飛び去り西へと飛び去っていく。
いや、星にしては低い、低すぎる。
手の届く――訳はない物の、それでも小さめの城と同じくらいの高さだろうか。
そんな硬度を流れる星などあるはずがない。


しかし、思い出すことがあった。

それは主の生涯の宿敵。

赤い炎のような武者姿。
虎を思わせる激しい闘気。

懐かしいとさえ思える。あの男と剣を交えるとき、主はいつも楽しげに笑っていた。
主が楽しいと『ソレ』も楽しかった。
だからあの男は嫌いではなかった。どうせ最後に勝つのは主だと信じていたから。

でも、あの男を連れていけば……そう、きっと主は喜んでくれるだろう。
あてもなく主を探すより、一時なりともあの素晴らしい武者ぶりを見せる男に駆られ戦場を駆ける――何とも心躍ることではないか。



『ソレ』は反転し、紅い星を追って走り出した。


往く先は南――人の言葉で言うなら、『太陽光発電所』。

732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:50:41 ID:gfYyYlPy
 
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:50:41 ID:e80mUBR9
 
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:51:12 ID:zQqJaQX3
735 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:51:20 ID:7s0uCYuF
          ◆



船が見える。
数時間前、初めて刹那と忠勝がその言の刃を交えたところ。
行くときは時間がかかったが、戻るときはあっけないものだ――刹那はそんなことを考えていた。

バーサーカーの不死の宝具、十二の試練(ゴッド・ハンド)は死して初めてその効力を発揮する。
この場合で言えば、忠勝により潰された眼球のさらに奥、脳を掻き回されていれ即座に発動し、失った腕も再生させ逆襲に転じたことだろう。
だが、それは起こり得ないifでしかない。
小さき人間の助言により、宿敵は己の命を絶つのではなく、ただこの身の自由を奪うことだけに腐心しているのだから。

視界は閉ざされ、足は空を切るばかり。
残された右腕は騎士王の剣によって貫かれ、その上で戦国最強の豪腕に捕縛されている。
手詰まりなのだ。なにか、状況を動かすきっかけでもない限りは。
しかしバーサーカーはそれが遠くない内に訪れるものと確信している。
ヘラクレスの嗅覚は、この敵対する二者の命の輝きが刻一刻と小さくなっていくのを感知しているからだ。
どこに連れて行かれようと、たとえ深海だろうと溶岩流の只中であろうとバーサーカーを殺し切ることは不可能だ。
ならば今は待ちの一手。
何を仕掛けてこようとも、全て受け止め乗り越える。
そう決意するバーサーカーの耳に、当の人間の声が届く。

「そう言えば、名乗っていなかったな……俺は刹那・F・セイエイ。
 こっちはホンダム……いや、本多忠勝という。お前の名を、教えてくれないか?」

何を言われているか、狂化したバーサーカーには理解できない。
ただ、言葉が耳を通り抜けていくだけ。
しかしせめてもの抵抗として、

「■■■■■■■■―!」

威嚇、にもならないが。
屈してはいないと、止めを刺せと純粋なる戦意を叩き付ける。
物理的圧力さえ伴うような咆哮を至近で受けた刹那は、しかし揺らがず、

「話すことすら、できないのか……お前はまるで、俺だ」

風に揺れる柳のように、その意思を受け流す。
ひどく穏やかな瞳で忠勝を一瞥し、口を開く。

「戦うだけの人生……俺はずっと、戦ってきた。お前も、そして忠勝も……そうなのだろう?」
「…………」

忠勝はもう意を返さない。それを刹那が望んでいる訳ではないと知っているから。
だから、この狂戦士を押さえつけ、かの地へと到達することだけを己に課す。

「闘うことだけが俺の生きる証だった。だが、戦うということは……武器を持って敵を討つことだけが、戦いではない。
 己にできるそれぞれの方法で、己の意志を貫くこと。それこそが本当の戦いなのだと……そう、気付かせてくれた人がいる」

胸に去来するのは、あの人の姿。
かつて刹那の国を焼いた――しかし、それでも。
戦争を根絶する、その一点に置いて刹那と同じ未来を見ている人――
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:51:25 ID:gfYyYlPy
 
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:51:27 ID:e80mUBR9
 
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:52:20 ID:gfYyYlPy
 
739 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:52:34 ID:7s0uCYuF
「彼女に出会って、俺は見つけることができた。俺の戦う意味――俺だけの変革を」

刹那でさえ、変われたのだ。
かつて両親を殺し、祖国のためという盲目を抱えたまま飛び込んだ世界の本当の姿――戦争の中で。
ならば、誰だって変われる――トレーズ・クシュリナーダ、奴だってきっと。

「そう、今は……闘うだけの人生じゃない」

見えてきた。
刹那が目を凝らす。
あそこには刹那を待っているモノがある。
ずっと、ずっと共に戦ってきた己の半身。

ガンダムエクシア――その太陽炉が、刹那を待っている。
脳量子波の声に応え、発電所内のGNドライヴが起動する。貯蔵していた圧縮粒子を全面開放――


「そうでない自分がいる……俺は、ここにいる!」


イオリア・シュヘンベルグによってソレスタルビーイングに託された未来への希望。
世界を歪める者達への抑止力たる力。
見開いた眼は、虹色に輝いて。




「――――――――トランザム……!」



光の道が、空に架かる。
紛い物の赤ではない。どこか柔らかな温かさを持つ、淡い緑のGN粒子。
刹那を、己を操る資格持つただ一人のガンダムマイスターを迎え入れるように。
エクシアの太陽炉によって放出されるGN粒子が、発電所を、それどころかG-2エリア全域に拡がっていく。

ファングが、外部からチャージされたGN粒子によって息を吹き返す。
バーサーカーは闇に閉ざされた視界なれど、何かとんでもない事態が起ころうとしていることを察知した。
己に取っては後方、捕縛者にとっては前方。凄まじいエネルギーが渦を巻いて際限なく膨張していく。

もはや機を待っている余裕などないと、バーサーカーが一層の抵抗を開始した。
だが、

「………………!」

忠勝の背の飛翔滑走翼の上部、兵器格納スペースが展開した。
現れたミサイルポッドからいくつもの子機が射出される。

「■■■■■■■■――!?」

バーサーカーの動きが止まる。いや、止められた。
光の道を彩るように滞空した子機――小型の浮遊式ゲフィオンディスターバー、通称ゲフィオンネット。
本来ならKMFに対して用いられるこの兵器がは対人用になど設計されていない。
当然、バーサーカーを阻むことなどできるはずがなかった。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:52:55 ID:e80mUBR9
 
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:53:19 ID:gfYyYlPy
 
742 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:53:39 ID:7s0uCYuF
そう、ゲフィオンディスターバーだけならば。

輝く真紅の領域に、深緑の風が流れ込む。
ゲフィオンネットによって形成・隔離された「場」に、GN粒子が満ち満ちる。
対流を開始するGN粒子。
粒子ビームを、そして実体を持つ物質さえも猛烈に対流するGN粒子が押し留める。
小型・低出力なれど、紛れもなくそれはGNフィールドであった。
指向性の強いGNフィールドは、うまく制御すれば個人単位で発動させることも可能。
そしてオリジナルの太陽炉が生むGN粒子は、人体に悪影響を与えることがない。

結果、刹那や忠勝には一切の悪影響がなく、ただバーサーカーのみを目標としたGNフィールド――GNネットが発動した。

どうすることもできず、バーサーカーはこの後予想される大破壊を覚悟する。
もはやこの二者――破壊者達は、自身の命など捨てている。バーサーカーと刺し違える気なのだ。
勝負とあらば、逃げる訳にはいかぬ。
大英雄ヘラクレスは全身に魔力を漲らせ、その時を待つ。



「済まないな……ホンダム。あの魔王……織田信長を、討てずに……」
「…………」

気にするな。
そういう意志を返してくることは知っていた。本多忠勝とは決して物事を他人のせいにする男ではない。
だが、と言い募ろうとした刹那の脳裏に、見知らぬ二人の男の顔が思い浮かんだ。

紅い、烈火撒き散らし双槍掲げる勇猛なる若虎
蒼い、紫電纏いし六爪の刃振るう不遜なる独眼竜。

忠勝の内に強く焼き付く、二人の男の姿。

「彼らなら……そうか、この二人なら必ずあの歪みを駆逐してくれる。そう言うんだな、ホンダム……?」

――応。

「そうか……では、思い残すことはないな。俺達がやるべきはただ一つ……」

極限までGN粒子を圧縮し臨界を迎えた太陽炉が、内側から発電所の上部を吹き飛ばす。
現れた、剥き出しの太陽炉。
呼応するように、忠勝の右腕、紅蓮吐き出す徹甲砲撃右腕部から輻射波動が炸裂する。

「■■■■■■■■■■■■■■――!?」

バーサーカーの全身を灼く痛み。かき集めた魔力が霧散していく。
帝愛グループの手に落ちたガンダムがエクシア一機かは分からない。
もしかしたらOガンダムも……いや、さらに悪くすればダブルオーすらも確保されているのか。
黒幕かもしれないイノベイターに、ツインドライヴは渡せない。
ガンダムマイスターとして、ガンダムの機密は守らねばならない。
だからこそ……

(エクシア……俺の、ガンダム。付き合ってくれ……最後まで)

破壊、しなければならない。
ガンダムを単なる破壊者に貶めさせないために。
ソレスタルビーイングの理念を守るために。
ツインドライヴを永遠に封印するために。
何より――刹那が“ガンダム”であるために。
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:53:43 ID:e80mUBR9
 
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:54:10 ID:gfYyYlPy
 
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:54:19 ID:1RgIwQ8N
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:54:56 ID:zQqJaQX3
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:54:58 ID:gfYyYlPy
 
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:55:04 ID:e80mUBR9
 
749 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:55:19 ID:7s0uCYuF
最後の加速。
目標点――GNドライヴ。
刹那の旅の終着点。
最期はせめて、ガンダムと共に――




「刹那・F・セイエイと本多忠勝、ガンダムエクシアが――」








いいや――ガンダムに、還る。










「――――――――――――――――――――――――未来を切り拓く!」







そして全ては、光の中に消える――……



750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:55:46 ID:gfYyYlPy
 
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:56:06 ID:1RgIwQ8N
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:56:10 ID:e80mUBR9
 
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:56:14 ID:UiNoN4LK
 
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:56:17 ID:zQqJaQX3
755 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:56:19 ID:7s0uCYuF
          ◆



何かが身体を駆け抜けていく感覚。
トレーズは純白に染まった世界で覚醒する。

「む……う、うう……?」

意識が朦朧とする中、目を開いたトレーズの前にいたのはあの巨人だ。

(そうだ、私は……ッ!?)

気を失っていたのか、と腰の刀へ手を伸ばす。
だが、空を切る。
見下ろせば刀などどこにもない。それどころか、トレーズは一糸纏わぬ姿でそこにいた。
そして――

「なんだ……ここはどこだ!?」

そこは、倉庫群などではなかった。
一言で言うなら白い宇宙――そう、宇宙としか表現できないところ。
煌めく粒子がそこかしこに舞い視覚を狂わせる。
何が起こったのか把握できずにいたトレーズの前に、さらにもう一つの異形が飛び込んでくる。
いや、異形ではない。

「刹那・F・セイエイに……本多忠勝?」

下半身に牙の名を冠す鋼鉄の馬。
背に天へ舞い上がる翼。
右腕に全てを斬り砕く鉤爪。
正義成す一念のみを吠え猛るその眼光。
どれほど傷つこうとも矜持失うことなき戦国最強の武人、本多忠勝。

そしてその鎧武者に唯一残されたオリジナルの部分、左腕。
そこに座して全てを統括するはあのガンダムパイロット――トレーズを下した勝利者、刹那・F・セイエイ。

両者は巨人へと挑みかかっていく。
遠く離れた地で起こった出来事を目の当たりにしていると、トレーズは直感した。直感できた。

GN粒子が繋ぐ人の心。
唯一無二たるイノベイターの純粋種、刹那・F・セイエイが解き放った加速粒子はオーロラのように拡がっていく。
彼が、彼らが見た、想った――その全てを、後に続く者達へと託すために。
鮮烈なまでの意志がトレーズの身体を貫く。


武力による戦争の根絶。
戦国乱世を収めんとする三河徳川の旗印。
少女が掲げる完全平和主義。

万象を砕く破壊の巨人。
暗き闇纏う征天魔王。
虚ろな目をした銃使い。
騎士を名乗る少女。
そして、トレーズ自身の姿。
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:56:27 ID:e80mUBR9
 
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:56:30 ID:gfYyYlPy
 
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:57:12 ID:1RgIwQ8N
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:57:21 ID:gfYyYlPy
 
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:57:32 ID:zQqJaQX3
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:57:36 ID:UiNoN4LK
 
762 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:57:50 ID:7s0uCYuF
破壊による再生――再生の破壊。
彼らがこの闘争の庭で貫いた彼ら自身の軌跡が、早送りのようにトレーズの脳裏へと叩き込まれる。

鎧武者に身を預けていた刹那が振り返り、トレーズを見た。
彼は薄く笑み、小さく唇を動かす。


――トレーズ。お前も、変われ。ここで終わる、俺の代わりに――


そう、感じた。
耳から聞こえる言葉ではなく、魂にささやく想いとして。


――お前なら、より良い未来へと人を導けるはずだ。撃つことの痛みを、戦いの悲しみを知っているお前なら――


私にそんなことはできない、そう言おうとした。
だが言葉が出ない。喉が震えない。言葉が出せない。
もどかしくも意志を伝えようとする。そんなトレーズに構わず刹那は、


――俺達が……ソレスタルビーイングが、ガンダムが必要とされない世界を再生しろ。それが、勝者たる俺がお前に下す、たった一つの願い……祈りだ――


そう言い残して、前を向く。
巨人へと一直線に飛び込む二人。受け止められ、しかしじりじりと後退させていく。


――待て――


言葉ではなく、意志が迸った。
通じたのかどうか。振り返らない刹那が血まみれの腕を伸ばす。
指先がゆっくりと折り曲げられる。
親指と人差し指を伸ばした、銃の形。
やがて、人差し指も折り畳まれて、残ったのは天に突き上げられた親指のみ。


――世界を……変えろ。頼んだ、ぞ――


刹那が、忠勝が。
紅く尾を引く流星となって、巨人もろとも宇宙の彼方へと駆け抜けていく。

そして、一際強烈な光。
太陽のごとき、この世全ての悪を浄化せしめる審判の光が満ちていく。
あまりの光量に、トレーズは反射的に目を閉じた。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:57:53 ID:e80mUBR9
 
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:58:02 ID:gfYyYlPy
 
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:58:43 ID:gfYyYlPy
 
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:58:48 ID:e80mUBR9
 
767 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 01:58:48 ID:7s0uCYuF
そして――次に目を開いたとき、そこは無惨に破壊し尽くされた倉庫群の一角だった。
身を起こす。腰にはちゃんと刀があり、衣服も身に付けている。

「なんだ……なんだというのだ、あれは」

トレーラーの影からふらふらと歩み出る。

「……これは……ッ」

トレーズが絶句したのは、様変わりした工業地帯の全容についてだ。
巨人と鎧武者の戦いにより破壊された――そんなレベルではない。
一面が瓦礫の山。遥か遠く、おそらくF-2の孤島すら肉眼で確認できる。
それほどに何もない。一切合切が理不尽なまでに破壊されている。
たとえ彼らといえどここまでの破壊は不可能ではないかと思われた。
これを成そうと思えば、モビルスーツ数十機による徹底的な攻撃が必要だろう。

「一体、何があったというのだ……」

言葉には出したものの。
知っている――トレーズは既に、その答えを得ている。
確信として胸にある。
これをやったのは刹那と忠勝――“ガンダム”を名乗る者達であろうと。
先ほどの白昼夢。否、もはや夢などではない。あれは現実に起こったことだ。
最後の光景で刹那らは巨人を抱え光の中へと溶け消えた。直後、極光が全てを塗り潰した。
どうしたかも、予想がつく。

「……太陽光、発電所。あれの動力炉を暴走させ、自爆したというのか」

一通り検分した限りではOZのモビルスーツ、あるいはガンダムすらも凌駕するほどの破格の高出力を示す謎の動力炉があそこにはあった。
GNドライヴ。確か、そういう名の。
ファングの動力でもあったGN粒子の無限精製炉。内蔵するエネルギーはファングの比ではない。
そこにあの勢いで高エネルギー体が二つ、同時に突っ込んだのだ。さぞ凄まじい爆発が起こったのだろう。
トレーズが無事だったのは単にトレーラーの影に倒れていたからだ。
もう少し場所がずれていたら、今頃は地震に巻き込まれ倒壊した建造物の下敷きになっていただろう。
だがそんなことはどうでもいい。
トレーズの心を支配するのはたった一つの感情。
それは――哀しみ。

「……馬鹿な。君が……敗者となるべき私が生き長らえ、勝者である君が逝ったというのか、刹那・F・セイエイ……!」

膝を、折る。
自身の生存などどうでもいい。
死すべきは彼ではなく、己だったはずなのだ。
なのに。
新たな未来を切り拓くガンダムのパイロットが、失われてしまった。

あの狂戦士。
生きたいと望む参加者全ての脅威を排除するため。彼ら彼女らに襲い来る苦難を、僅かなりとも打ち払わんがために、彼らは往ったのだ。
おそらくは、その中にトレーズも含まれている。
生かされた――敗者として死すべきこの身が、勝者の命を糧に救われた。
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:58:58 ID:JpxwWqAq
トレーズめ…
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:59:00 ID:e80mUBR9
 
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:59:09 ID:zQqJaQX3
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:59:34 ID:gfYyYlPy
 
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 01:59:38 ID:1RgIwQ8N
773 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 02:00:01 ID:7s0uCYuF
「私に変われと……変革を求めるのか、刹那……」

彼にかけられた言葉。
武力に拠らない世界をと願う、心からの願い。
ピースクラフトの名を継いだ少女から託された平和への祈り。


だがそれは敗北を望むトレーズには重すぎる、呪う約束。


「私、は……」


願いの矢は放たれた。
狙い撃たれ貫かれた、トレーズという人間の芯。
しかし、トレーズがそれを受け止めるかどうかは、まだ確定していない未来の話。
溢れ出る血を止めもせず、拡散していくGN粒子に包まれて。
男は一人、思考の海へと埋没していく……。





【E-4南部/一日目/日中】
【トレーズ・クシュリナーダ@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:疲労(大)、左腕に銃創(貫通)、左大腿部に裂傷、右手首に軽い裂傷、背中を打撲
[服装]:軍服
[装備]:片倉小十郎の日本刀 マント
[道具]:基本支給品一式×2、薔薇の入浴剤@現実 一億ペリカの引換券@オリジナル×2、純白のパンツ@現実、千石撫子の支給品0〜2(確認済み)
    千石撫子の首輪、 ゼロの仮面
[思考]
基本:変革……
1:…………
[備考]
※参戦時期はサンクキングダム崩壊以降です。

774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:00:10 ID:e80mUBR9
 
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:00:18 ID:zQqJaQX3
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:00:33 ID:1RgIwQ8N
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:00:37 ID:UiNoN4LK
 
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:00:39 ID:gfYyYlPy
 
779 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 02:01:12 ID:7s0uCYuF
          ◆


ごぼり、と。水面に気泡が浮かぶ。
一瞬ごとにその数は増えていき、やがて泡は影となって外界へとにじみ出る。
砕けた堤防の外壁へ、現れたモノが喰らいつく。

それは、腕だ。
人のものとは思えぬほどに太く、硬い。鉄条を束ねて成したかのような、ひどく無骨で禍々しい、腕。
それがもう一つ増え、大地を掴む。二本の腕が、その本体を引き上げた。

屹立したのはバーサーカーのサーヴァント。
腕、脚、胴、頭。何一つとして欠けるところのない、完全なる姿。

水面から脱し、バーサーカーは振り返る。
そこにはもはや何もない。誰も――いない。
巨大な太陽光発電所は跡形もなく、どころかエリアそのものが消失していた。
爆発の余波は余程凄まじかったようで、現在バーサーカーがいるF-2エリアのみならず見渡す限りの工業地帯ほぼ全土に影響を与えたようだ。
倉庫群は薙ぎ倒され、視界が広く開けている。
地盤にもダメージが大きかったらしく、バーサーカーの見ている先で次々に路面がその身を崩していく。

三度刃を交え、幾度となくこの身を斬り裂いた戦国最強も。
聖剣の真名を解放し人の身でバーサーカーを屠り去った革新者も。
変革の刃、ガンダムエクシアの心臓部たる太陽炉も。

一切合切が、もはやこの地にいかなる残滓も残してはいない。
勝利――そう、バーサーカーは勝利したのだ。
戦国最強とガンダムマイスターの命を賭した一撃は、バーサーカーという歪みを消し去ること敵わず。

破壊による再生は成し遂げられなかった。

だが。
決して、その死は無為ではない。無為であるはずがない――そう、他でもないバーサーカーが誰よりも知悉している。
この身を包む不死の衣、ゴッド・ハンド。
彼ら――彼ら自身の言葉を借りるなら“ガンダム”の一撃は、その防壁を全て駆逐していった。
もはやこれが最後の命。後退はなくなったという訳だ。

バーサーカーを討ち取るには至らなかった。
だが確かに、この身に破壊者達の刃は届いたのだ。

首級は二つ上げた。その内の一つは最強の敵手と認めた武人。戦果は文句のつけようがない。
しかし代償として、全ての装備と堅固なる護りを喪失してしまった。
切り札――神造兵装、星が鍛えたというセイバーの宝具、“約束された勝利の剣”も、また。

あの瞬間。
エクシアのGNドライヴが死に逝く刹那・F・セイエイの意志を受け自ら暴走を開始し、放出されたGN粒子が爆発する寸前。
一手速く、バーサーカーは力の緩んだ刹那の腕を握り潰し聖剣を奪い取り、青年の心臓へと突き刺した。
鋭刃は刹那の身に留まらず後背の本多忠勝の中枢をも撃ち貫いたはずだ。
その瞬間に圧縮されたGN粒子が爆発した。一瞬にして目前の敵が消滅し、バーサーカーもまた同じ末路を辿るはずだった。

だが、そこでバーサーカーは諦めはしなかった。
ありったけの魔力を注ぎ解放し聖剣から放たれた闇は、加速粒子とせめぎ合い、相殺し合った。
が、英霊ヘラクレスの魔力を以てしても二人の破壊者の命の輝きを凌駕するには至らず。
魔力の大河を突き抜け我が身を灼く痛み。あの痛みこそ一瞬とはいえ神代の英霊と宝具を今に在る“ガンダム”が凌駕したという証。
バーサーカーの掌中に残ったのは聖剣の名残り、装飾の施された柄のみ。
そして今、柄は砂となって消えた。
「究極の幻想」は、変革する人の想いによって、砕かれた。
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:02:15 ID:gfYyYlPy
 
781 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 02:02:43 ID:7s0uCYuF
生きることが戦いというのなら、確かに勝利者はバーサーカーであろう。
だが武人として威を尽くすことを闘いというなら、これは紛れもなくバーサーカーに取っての敗北――“ガンダム”達の勝利だ。


無手となったバーサーカーは歩き出す。
戦斧に、聖剣に、戦槌に代わる獲物を探さねばならない。
これ以上の敗北は許されない。
さらなる力を、強大無比なる破壊の刃を求め、その眼光は輝きを鈍らせず。

まともに歩けもしない瓦礫の山を跳躍を繰り返し進む。
船着場があった辺りまで来ると、幾艘もの船が座礁しているのが見えた。
興味もなくそれらを眺めていたバーサーカーだったが、きらりと陽光を反射するものに気付く。
近寄り、岩塊に手を突っ込み引っ張り出す。
それは一言で言えば碇だった。停泊した船を港に留めておくための、碇。
しかしその側面は鋭い刃となっている。重量もかなりのもの、あの斧ほどではないとはいえ充分にバーサーカーの剛力に耐えうる逸品。
新たに手に入れた獲物に満足し、意気揚々と走り出すバーサーカー。

十分もしないうちに、その鷹の眼は新たな発見を得る。
瓦礫に埋もれるようにして倒れているのは、数時間前に交戦した征天魔王が駆っていた豪壮な軍馬。
どうやら爆風に煽られたらしい。横倒しになった馬は気を失っているようだった。
近づくと、足音で気付いたか軍馬は新たな主が来たと嘶く。
近づいてくる軍馬。巡る顔がバーサーカーの腰辺りで一度停滞し、次いで向けられたのは敗北と恭順の視線。


真田幸村かと思い追ってきた軍馬だが、当てが外れたようだ。
請われれば誰でもこの背に乗せる気はあったものの、さすがにこの巨漢を乗せられそうにない。
だからせめて自ら頭を垂れ、荷物持ちでもして仕えようとした。


だが。


「■■■■■■■■■――!」


約束された勝利の剣を発動させたバーサーカー。
本来の担い手ではない英霊が無理やりに、しかも歪められた魂のまま全力で用いた結果が今の生存だ。
当然のこと、引き換えにしたものはあった。
すなわち、魔力。霊体を世界に留めるための力。
バーサーカーのクラスにはそれほど必要ではないとはいえ、枯渇すれば現界していることができない。
まだこの舞台を降りる訳にはいかないのだ。何より、戦で果ててこそ武人というもの。
さて、マスターのいない今、魔力を回復させるためにはどうすればいいか。
まず思いつくのは他者の魔力の吸収。
キャスターあたりなら効率の良い吸魔の手管もあろうが、バーサーカーたるこの身では望むべくもなく。
それが敵わないのであれば自力での回復を待つしかない。
そして振り下ろされた錨槍が、狙い違わずその意を遂げる。

ザシュ。重い物が落ちる音と共に激しい水音が路面を叩く。
バーサーカーたる己がマスターに頼らず代謝能力を上昇させるには何が一番効率的か。

決まっている。

喰らうのだ。

新鮮な肉を。生きた栄養を。



すなわち――伊達政宗の愛馬。
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:02:57 ID:zQqJaQX3
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:03:01 ID:gfYyYlPy
 
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:03:06 ID:1RgIwQ8N
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:03:08 ID:e80mUBR9
 
786 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 02:03:35 ID:7s0uCYuF
断末魔の声もなく、軍馬はその身を横たえた。
首を落とされた馬はビクビクと痙攣している。
碇槍を地に突き刺し腰を下ろしたバーサーカーは、両の手で馬の脚を掴み、引き千切る。
噴き出す血潮。熱い奔流に打たれながら顎を開く。
生のままの肉に喰らいつき、骨を噛み砕く。嚥下するのは命そのもの。


ささやかな食事の時間は過ぎていく。
もう破壊者達に思い煩うことはない。
バーサーカーが往くはマスターへと続くただ一つの道。
修羅の世界、渦巻く闘争の爆心地を真っ直ぐに突っ切るのみ。



自らの肉体が解体されていく音を聞きつつ、虚ろな軍馬の瞳だけが狂戦士を視ている。





【本多忠勝@戦国BASARA  死亡】
【刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00  死亡】

【伊達軍の馬@戦国BASARA  ご馳走様】



【F-2東部/一日目/日中】
【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:魔力消費(大)、狂化、満腹
[服装]:全裸
[装備]:長曾我部元親の碇槍
[道具]:なし
[思考]
基本:イリヤ(少なくとも参加者にはいない)を守る。
1:立ち塞がる全ての障害を打ち倒し、イリヤの元へと戻る。
2:キャスターを捜索し、陣地を整えられる前に撃滅する。
[備考]
※“十二の試練(ゴッド・ハンド)”Verアニ3は使い切りました。以降は蘇生不可能です。
 ・無効化できるのは一度バーサーカーを殺した攻撃の2回目以降のみ。
  現在無効リスト:対ナイトメア戦闘用大型ランス、干将・莫耶オーバーエッジ、偽・螺旋剣(カラドボルグ)、Unlimited Brade Works
            おもちゃの兵隊、ドラグノフ、大質量の物体、一定以下の威力の刃物、GN粒子を用いた攻撃、輻射波動、ゲフィオンディスターバー


【長曾我部元親の碇槍@戦国BASARA】
長曾我部軍の総大将・通称アニキ、長曾我部元親の振るう文字通りの碇槍。
元親の身長以上の全長を誇り、碇そのものとしても充分使えそうなほど大きい。
特に変わった能力はない……はずだが、元親はこの碇に乗ってサーフィンするがごとく海面を走っていたりする。



※スローネツヴァイのファング、エクシアの太陽炉、エクスカリバー、他忠勝・バーサーカーの装備は全て消滅。
※武田信玄の軍配斧はE-4に放置されています。
※G-2エリア付近が完全に消滅。また震動で南部工業地帯が崩壊しました。時間の経過と共に地盤も崩れていきます。
※会場に刹那の意識が拡散(トランザム・バーストとほぼ同様)。
※トレーラーは起こされたが走行は不能。
※伊達政宗の馬はバーサーカーに食べられました。
※刹那の装備、荷物はE-4に散乱しています。
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:03:52 ID:gfYyYlPy
 
788名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:04:08 ID:1RgIwQ8N
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:05:38 ID:e80mUBR9
 
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:05:52 ID:2xSjYETd
投下終了?
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:06:08 ID:JpxwWqAq
馬イクうううううううううううううううううううううううううううううううううううう
まさに馬い馬肉だったということかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
792名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:06:12 ID:zQqJaQX3
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:06:32 ID:5QTE1nmk
馬イクー!
794 ◆L5dAG.5wZE :2009/12/14(月) 02:06:47 ID:7s0uCYuF
以上、投下終了です。
多大な支援ありがとうございました。

タイトルは
>>649>>673までが「黄昏の破壊者」
>>675>>749までが「破壊者達の黄昏」
>>755>>786までが「Beyond The Grave」

です。
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:07:17 ID:ZgO/0mhj
馬いくうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう
796名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:07:45 ID:JpxwWqAq
>>794
乙乙
大長編でした!
ホンダムううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!
馬イクううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!
あと一人いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!
安らかに眠れ…
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:08:17 ID:JpxwWqAq
馬い馬肉であり馬逝くでした
798名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:08:51 ID:UiNoN4LK
なんでBASARAの連中はこんなにかっこいいんだ
しかしこれで俺とホンダムは死亡か・・・
というかバサカが化け物すぎるw
投下乙でした
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:08:54 ID:1RgIwQ8N
投下乙ッ!
ガンダムだ…お前達が…ガンダムだッ!!
ガンダム、凄すぎてそれ以外の言葉が何も思い浮かばない…ガンダーーーム!!
聖剣を消滅したぞガンダーム!
馬イクが喰われたぞガンダーム!
エリア破壊とかGN粒子すげえガンダーム!
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:10:28 ID:eWjmzqet
投下乙です!

俺とホンダムが逝っちまったか……でもすげえかっこよかったぜ
バサカは討ち取れず……後一回とはいえこいつを討てるやつはいるのか……
馬イクううう、これからの活躍を期待してただけに残念だorz

いや、いいものを見せていただきました
801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:10:49 ID:DBmjmnpL
こんなスーパークライマックスを第一放送後なんて早々に読ませてもらっていいんだろうかw
もー、熱くなり過ぎて今夜寝れるか怪しいんだけど、GJ!
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:11:07 ID:e80mUBR9
やべ、マジで涙出た


刹那・ホンダム組は、今回のロワで最高のコンビだったわ
過去形で言うのが辛い、本当に辛い

凄いわ、紅蓮の装備もトランザムも駆使して、
なんだろう、アニメのロワという素材を存分に活用してくれました。
毛嫌いして一切ロボに触れない人の度肝を抜くような。

すごかった、そして泣いた
全然想いが纏まらないけど、描き切ってくれてありがとうございました。

投下乙
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:18:52 ID:zQqJaQX3
投下乙!

うおおおおおおおおおおお!
うおおおおおおおおおおおお!
うおおおおおおおおおおおおお!!
無性に叫びたくなる程の素晴らしい作品だった!

大迫力のホンダムVSバーサーカーの最強対決!
拳同士の殴り合いからのホンダムによるバスターホームランに解体劇!
お返しとばかりに襲い来るバーサーカーに抉られ倒れるホンダム!
ぶつかり合う刹那とトレーズの信念!
丁寧な戦闘描写も相まってとにかくかっこいい!
ボロボロになりながらも自らの生き方を貫く刹那の言葉にトレーズごと俺も打たれた!
そして襲い来るバーサーカーに対して遂に本多忠勝再起動!
互いに信頼しあう俺とホンダムコンビはほんとベストコンビ!
その絆とトレーズから託されたトレーラーが生み出したのはまさかまさかのクロスオーバー!
GNって何でも付ければいいってもんじゃ……付けろ、絶対必要だ! GNホンダム可翔式熱すぎる!
ファング騎乗に飛翔滑走翼ってアイディアが素晴らしい! 予想できるかあああ!
しかも装備しただけじゃなくて内蔵兵器全部使ってのバサカ抱えて太陽にゴー!
トランザムまで果たされてほんとあるもん全部使いやがった、すっげええええな展開!
最後まで見てて胸に来るものがあった、ってか泣いた忠勝と刹那の言葉。
トレーズに変革を託しつつロックオンなポーズからの親指サインってあんたこれで泣かずにいられるか!
うおおおおおおおおおおおおお!
特に締めの人間の意思が最高の幻想を打ち破るってえのが良すぎる!
むしろバサカを倒す以上の勝利だ!
あのエクスカリバーを! 折れることの無いと言われた星造兵器を! 打ち破ったのは人の心!
誰がこの勝利に文句を言えようか! お前たちがガンダムだ!

締めの馬といいこれからのトレーズ、バサカへの期待といい、太陽炉ぶっこわすところといいいい点をあげたらキリがないが、
とにかくすんげえおもしろかった! 魂にきた! GJ!
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:20:53 ID:ihfnj5Xk
投下乙です。
俺とホンダムといい、グラコロと良い00勢は名コンビばっかりだ!
展開が熱すぎるwとにかく、超大作お疲れ様でした!電池、名前呼ばれて良かったなw

とりあえず叫ばせてくれ。
刹那ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ホンダァァァァァァァァム!
馬イクゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:22:44 ID:JpxwWqAq
ところでもはや481kbな件
長編でなければまだ余裕あるけど…
806名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:29:06 ID:e80mUBR9
ホントだw
このまま退場だったら呼ばれず仕舞いだもんな
ハブラレルヤさんも浮かばれるじゃろうて

はー・・・余韻がすごいわ
807名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:33:59 ID:RUVgXmQx
ううむ、凄い! 投下乙!

なんていったら良いのか分からんが、スッゲー面白かった!
808名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:36:47 ID:OayTw6R3
とうとうバーサーカーの残機使い切ったか
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:37:26 ID:ajinOgRB
投下乙!
もはや何も言うまい!
乾杯!
810名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:42:58 ID:1n4oaLSu
感想だけでかなり埋まりそうだし、
次スレで良さそうな。
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:43:21 ID:UiNoN4LK
>>808
しかしこの手の例に漏れず、恐らく残りHPと反比例するかのごとく防御力が上がるんだろうな
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:46:41 ID:ajinOgRB
投下乙でした
何という大作……
良いものをありがとう
813名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:48:19 ID:ajinOgRB
あれ、さっきの書き込めてたのか……
二重レスお目汚し申し訳ない
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:49:20 ID:wxrYhQU/
投下乙です。
もう、なんというか凄すぎて言葉が出てこない。
かっこよすぎるんですけど……!!
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:55:34 ID:UiNoN4LK
ちょっと気になったんだがバサカの状態表、まさか全裸って・・・
そういうことなの? 腰巻吹っ飛んじゃったの?
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 02:55:46 ID:d7EfKHM5
バサカ、魔力回復していくために死体とか倒した相手を
カニバリズムしてくんだろうか…
817名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 03:29:08 ID:OayTw6R3
神笑
818名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 03:29:28 ID:pZxfM2z1
ねえ何コレ?何コレ?

ロワ全体だとまだ第一回目の放送終了後なのに
まるで終盤のような怒涛の展開、熱すぎるだろ!!

超編超投下乙です!!

刹那とホンダムの意思がトランザム・バーストで会場全体に広がった
のは他の参加者達にも多大な影響を与えそうだなあ

819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 03:30:33 ID:OayTw6R3
神(笑)「カニバリズムと聞いて」
820 ◆A4qCKhMos4aQ :2009/12/14(月) 03:43:20 ID:jA315KXG
うわ、この神展開の後に投下したくないなぁ……自身が無い。

でもまあ上条さん、ひたぎ、C.C.、アーチャー投下しますー。
新スレいるけどねorz
821 ◆A4qCKhMos4aQ :2009/12/14(月) 03:44:15 ID:jA315KXG

……まるで、眠っているようだった。


まだあどけなさの残る、柔らかな顔。
柔らかく、綺麗に肩口で整った茶色の髪。
見慣れたクリーム色のベストの一部だけ赤く染めて。
普段は吊り上がっている瞳は閉じられ、その色を伺う事は出来ない。
その顔には苦痛の色は無く、ただ、僅かに満足げな笑みが残るのみ。

僅かに陽光の差し込むソファに横たわり、胸の上で手を組む少女。
それは、まさしく御伽噺に出てくる眠り姫だった。
毒の林檎を食み、おうじさまのキスで目を覚ます時を待ち続けるおひめさま。

ただ、少女が食した銃弾という毒の眠りは、もう二度と目を覚ます事など無いもの。
おうじさまのキスを待つ長き時すらも無く、枯れ、朽ち果てていく眠り。

そんな眠り姫を前に、おうじさまは、

「御……坂…………」

上条当麻にとってのヒロイン、では無いおひめさまを目にしたおうじさまは、どうすればいいのだろう。

『御坂美琴は、お前にとってのヒロインだったのか?』
そう言った少女。
長い緑の髪に拘束衣という特徴的な女性、C.C.は今は沈痛な面持ちで当麻たちを見つめている。
悔恨と無念さをその表情に浮かべながらも、それでも眼差しだけは落とさぬように、懸命に。
これは、C.C.が見なければいけないものだから。

そして、その場にいる最後の人物、
黒く長い髪に制服の少女、戦場ヶ原ひたぎは普段と変わらぬ表情のまま。
ただ、それでも口を開けば聞くものの心を抉る言葉を、今は発する事は無い。
ここは、彼らの領域なのだから。

脇役と観客が演目を妨げないように無言を貫く中、主人公は舞台に上る。
どのような演目が行われるのであれ、この場での主人公は間違いなく彼、上条当麻なのだから。
主役が舞台に上らねば舞台は始まらず、さりとて一度上ってしまえば舞台を止める事も許されない。


――かくして、ここに上条当麻の物語の幕が上がる。


会えば噛み付いてくる少女だった。
お嬢様学校の生徒らしい整った顔立ちと。
そんな幻想を粉々に打ち砕いてくれる言動で。

「………………」

どんな関係なのかと言われたら、腐れ縁というのが一番正しいのか。
友達と呼ぶには吹き飛び過ぎているし、恋人などでは断じて無い。
正直言えば、知り合いであることで、プラスよりもマイナスの方が多いような少女
それでも、口では何と言おうと、好きか嫌いかで言うならば、躊躇無く好きの部類に属する相手。

そんな御坂美琴が、死んだ。
おそらくは最期の最期まで、御坂美琴として。

その亡骸を見て、上条当麻は何と言えばいいのか。

「わかんねぇ……」
822 ◆A4qCKhMos4aQ :2009/12/14(月) 03:45:06 ID:jA315KXG
上条当麻には、ある時点より前の記憶が存在しない。
かつて、上条当麻の、上条当麻にとってのヒロイン、インデックスに刻まれた幻想の枷を打ち破った際に、脳に受けた損傷は、彼から全てを奪い去った。
そのことを知るものは、上条当麻であった少年の他には、彼を治療した医者のみ。
それを伝えてしまえば、それがインデックスを縛る新たな枷となってしまうから。
だから、彼は上条当麻として、彼以外の皆が知る上条当麻として生きていく事にした。
幸い、と言うべきか肉体的には大きな後遺症は残らず、日常生活を送る上での不自由は無い。
記憶が残らなくても、身体に刻み込まれた立ち振る舞いは、自然と上条当麻らしさを演出する。
だから、誰も上条当麻が記憶を失っているなどとは思っていない。

「わかんねぇんだよ畜生がっ!!」

彼は確かに上条当麻である。 両親も級友も、インデックスも御坂美琴も、彼を上条当麻として接してくる。
だが、彼はそれに真に応える術を持ち合わせていない。
どう応えればよいのか、わからないから。

無論、記憶喪失の事実を唯一知る医者の助けにより、記録は残されている。

上条当麻。
無能力者(レベル0)
学園都市の第7学区の学生寮に住む高校1年生。
成績は赤点を取ってしまうほど悪く、大小問わず様々なトラブルに巻き込まれる不幸体質。
幻想殺しという超能力を持つが、それはあらゆる超能力を打ち消すだけで、学園都市のあらゆる測定器でも観測できない代物。
これまでの生い立ち、交友関係、血縁、住所、年齢、口癖etc……

上条当麻として生きるには充分なその情報も、いや、その情報があるからこそ、彼は真に上条当麻にはなり得ない。
知ることの出来ない過去の関係と、それ故に得る事の出来ない未来の可能性が、共に奪われているから。
インデックスに抱いた感情は何なのか、上条当麻にとってインデックスとは何なのか。
御坂美琴とはどこで知りあったのか、上条当麻にとって御坂美琴とは何なのか。
知ることも出来ず、得る事も出来ない。

「ああ、そうだ、俺にはわからねぇ。 俺にとって御坂がどんな相手だったのかもわからねぇ」

その言葉に、C.C.とひたぎが僅かに眉をひそめる。
優柔不断な男とでも思っているのか。

「でもよ! それでも!」

だが、御坂美琴を、御坂美琴のみを見ている上条当麻には、それは目に入らない。
最も、目に入っていたとしても気にならなかっただろう。
気にしている、余裕すら無かっただろう。

何故なら……彼は、上条当麻は…………悲しかったのだ。
他の事を気にしていられないほどに、悲しかった。
悲しくて、そして悔しかった。
悲しくて、悔しくて、苦しくて、……許せなかった。
覚えた記録では到底説明しきれない感情のうねりが、彼に襲い掛かっていた。

ああ、そうだ、悲しいのだ。

「ヒロインだとかそんな事関係無しに、俺は!!」

たとえ出会いすら知らず、幾度声を交わしたのかすら判らないとしても。
御坂美琴が死んだ事が、悲しい。
その事実は、変わることが無い。

「御坂が死んだことが」

彼は、悲しい。
上条当麻は、悲しい。
823 ◆A4qCKhMos4aQ :2009/12/14(月) 03:45:59 ID:jA315KXG
どんな風に出会ったか知らなくても、それでも御坂と過ごした記憶がある。
脳に記憶が無くとも、身体に刻まれた記憶は残る。

共に過ごした、日々が、出来事が。
存在しない記憶の中で培われていたであろう、思いが。

彼に、上条当麻に、涙を流させるのだ。

「もう、コイツに電撃を食らわない事が」

お嬢様らしからぬ彼女。
いきなり喧嘩腰だった少女。
不良達に絡まれている所を助けに入った筈なのに何故か自分が襲われた彼女が。
助けに入るべきなのは囲んでる不良たちのほうであるに違いない危険な少女が。
そんな彼女が、そんな少女が、

もう、いない事が……悲しい

「こいつに振り回されて、コイツをビリビリって呼べない事が」

もう、声を掛けてくる事は無い。
会っていきなり電撃を放って来ることも、
そのせいで電気が止まって冷蔵庫の中身が腐ることも、
自販機に回し蹴りをいれて二人で警備ロボに追い回されることも、

何も、起こらない。

「どうしようも無いくらいに!」

後輩に付きまとわれてへいえきしている様も。
御坂妹の時に悔し涙を流していたことも。
妹達を救う為に自らの命を捨てようとしていたことも。
妹達を助けに行くと告げた時に、当麻の身を案じて放った本気の怒りも。

「……どうしていいのかが、わかんねぇんだよっ!」

その全てが上条当麻に涙を流させる。
その全ての想いが、上条当麻の心を刻む。

確かに、上条当麻にとって御坂美琴は世界で一番のおひめさまなどではない。
けれど、それでも、救いたかった。
共に、居たかった。


『上条当麻』という存在にとって、御坂美琴の死はとても、とても、悲しかった。



824 ◆A4qCKhMos4aQ :2009/12/14(月) 03:46:49 ID:jA315KXG


「上条くんはやはり厳しいのね」
「そうか? むしろ優しいと思うがな」

日を遮るもののない玄関の前。
C.C.と戦場ヶ原ひたぎは正反対の方向を向いて会話していた。

「涙を流せる人間だから? 嘆き悲しむ事のできる人間だから?
 だったらそれは優しさではないわ。 その程度の事は象にだって出来るもの。
 仲間の死を悲しんで弔うのは、本能的な悲しさからのものでしか無いの。
 上条くんは確かに御坂さんの死を悲しんでいる。 でも彼はそこで御坂さんの生を勝手に決め付けている。
 御坂さんが最期まで、上条くんの知っている御坂さんだったってあなたに聞いて、それを当然と受け止めているのよ」
「……それが当然だろう?
 上条当麻にとって御坂美琴はそういう相手だった。
 だから、その当たり前の事に涙を流しているのだろう」

顔だけでなく、身体全てが反対に向いている少女二人。
それでも、何故かその背中だけは二人、綺麗にくっけている。
猫背気味に片膝を抱えたC.C.と、綺麗に足を揃えて座る戦場ヶ原ひたぎ。
オレンジ色の丸い機械ろ抱いているC.C.と、種類の違う猫を三匹抱えている戦場ヶ原ひたぎ。
どこの国のものかも判らぬ緑の髪と乱れた拘束服のC.C.と、日本人らしい黒髪に整った制服の戦場ヶ原ひたぎ。
あらゆる意味で対照的な少女二人が、そこだけは共通する長い髪をはさみながら、お互いの背をくっつけて座っている。
まるで、この門を通りたくば私達を口で言い負かしてからにしなさい、と言わんばかりの陣形で。

「あなたもそう考えるのは強さからかしら、考えの足りなさからかしら。
 そして私はあなたが好きでは無いの、もちろんあなたもそう思っているのよね、だから教えてあげない。
 そう言いたいところだけどあなたの無知さに免じて特別に教えてあげる。 わたしに可能な限り感謝なさい。
 じゃあ話すわよ、さん、に、いち。 上条くんはね、強さを要求してるの。 自分にも他人にもね。
 確かに御坂さんは上条くんの知るままの御坂さんだったとあなたに聞いたわ。 でも聞かなくても同じように思ったでしょうね。
 御坂さんは、御坂さんとして生きて当然、彼女が殺し合いに乗る事なんて考えもしないでしょうね。
 例えば御坂さんにやんごとなき事情があって殺し合いに乗らざるを得なかったとしても、そんな事情は無視するでしょうね。
 いえ、勿論その事を聞いて悩んで考えるわね。 でも上条くんの答えは最初から決まっているの。
 自分が手を貸すから、お前も戦えというわね。 そして、相手がその手を取るのが当然だと思うの。
 わかる? 上条くんは全ての人に厳しいの、強さを要求するの、弱さの改善を要求するの。 そしてそれが当たり前の事だと思っているの」

上条くん、御坂さん、と来てあなたと一人だけ名前で呼ばれない事に苦笑しながらも、C.C.は考える。
なるほど、上条当麻という少年とは出会ったばかりだが、戦場ヶ原がそう言うなら確かに正しいのだろう。
あらゆる意味で会わない相手だが、それでも、いやだからこそその賢明さは信じられる。

「ああ、なるほど。
 それは確かにお前の言うとおりだろうな」
「あら、わかる? わかるのね。
 ならとりあえず感謝しなさい。 そして私とあなたの声優が被っていなかった事に感謝しなさい。
 キャラの被る千和ボイスは二人も要らないから貴女消されてたわよ。 そのゆかなボイスに命を救われたわね」
「何を言っているのだ何を。
 ……まあ、良く判らない部分は置いておくにしても、私はそれでもあいつは優しいのだと思うがな」
「そう、どうしてかしら」

お前、あいつと人の名をまともに呼ぶ気が無いのかしらと戦場ヶ原ひたぎは思考する。
まあネコ撫で声でひたぎさん、とか戦場ヶ原お姉さま、とか呼ばれるのは想像したくない。 様ならいいのだけど。
そんな相手だから、適当な事は言わないだろう。 その意見がおそらく理解できてしまう事が気に食わないが。
825名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 03:46:54 ID:gfYyYlPy
 
826名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 03:47:38 ID:zQqJaQX3
827名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 03:48:14 ID:gfYyYlPy
 
828名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 03:48:18 ID:ajinOgRB
sien
829 ◆00PP7oNMRY :2009/12/14(月) 03:48:23 ID:jA315KXG
「私は、弱いからな」
「あら、魔女でなくて?
 魔女は人を誑かすものなのよね」
「ああ、魔女は人を誑かす、力で、身体で。
 でも、それは弱いからだ」
「…………」
「弱いから、耐え切れないから、人を誘うのさ。
 一人ではとても居られないから、孤独に耐え切れないから。
 だから、人を誘い、誑かし、そして魔女の烙印を押されるのさ」
「ああ、その格好は男を誘う為のものだと。 なるほど何て汚らわしい。
 脳の15割くらいが性欲で出来ている発情期の雄の獣欲を煽って手を出させやすい格好。
 それでいて一度拘束されれば悪いのは相手と言うことになる。 そして自分は被害者のまま美味しく頂くという訳ね。
 女に襲われて妊娠させてしまったとしても養育費は男が出さないといけない日本の法律を逆手に取った巧妙な罠ね悔しいでもビクンビクン」
「だから何の話をしているのだお前は。
 大体こんなおかしな格好した女に手を出すようなヤツがいるか。
「あら、貴女は思考と本能が下半身と直結している男子を舐めてるわね。
 特に上条くんみたいな童貞に頭の中でどんな事されているか想像してごらんなさいな」
「あいにくとやつらにそんな根性は無いぞ。
 私の良く知る童貞ボーヤなど寝台に下着だけでいても慌てて目を逸らすだけだ。
 ……と、話が逸れたが、私は弱いから、信じたいんだ。 でも、全ては信じきれない。
 いつかは捨てられるかと、裏切られるかと、最初に疑いから入るのさ。
 あいつは確かにお前の言うとおり厳しいのだろうな。 けど、同時に優しいのだろう。
 最初から最期まで他人を信じられる強さという優しさを持っていると思うぞ」
「それが厳しいのだと私は言っています。
 まあ私とあなたなのだから意見の一致が訪れると考える方が間違いね」
「ああ、そうなのだろうな…………と、帰ったのかアーチャー」

告げるC.C.と振り向く戦場ヶ原ひたぎ。
その先、数十メートル先から彼女達の位置に向かい歩く赤い服の男、サーヴァント・アーチャー。

「……来客か」

アーチャは義務的に告げたものの、彼女と、そしてもう一人がこの場を訪れた事は既に把握済みだ。
鷹の目を持つアーチャーにとって、遠距離からの索敵は容易い。
家の中に居る男が一人、状況と特徴から考えれば、おそらくは上条当麻ということになるだろう。
C.C.と共にいる少女の正体は不明。
女三人寄ればかしましいと言うが、二人でも充分煩い二人。
それを遠くから眺めながら危険性を探っていたのだが、見える範囲での危険は無さそうではある。
そうして、敵意の無いことを告げると共に、こちらの事を知るC.C.に見えるようにわざわざ歩いてきたのだ。

「赤いマントを着ながら白昼堂々と道を歩いてくるとはその根性に私もビックリ。
 私も一部赤いけど制服だから問題ないとして、問題はこの場の変人人口が二人に増えたということ。
 多数派を奪われてしまった以上私は多数決により同じくらい変な格好をしなければいけないのかしら、死ぬわ。
 ところでそこの変人レッド、貴方のお名前は?
 私? 私は戦場ヶ原ひたぎ。 見ての通りこの誘ってる女とは相性が悪いわよ」
「……アーチャーだ。
 中にいるのは上条当麻か?」

ひたぎの言葉に一言だけ返して、C.C.に問う。
ひたぎという少女がどのような相手かという問いを言外に込めながら。

「ああ、本人に間違いない。
 少し前に此処を訪れた。 ……出来れば挨拶はもう少し待ってやってくれ」
「……承知した」

目を閉じ、瞑目するように答えるアーチャー。
そうして、少し離れた場所でC.C.とひたぎの真ん中の位置、玄関の正面の方向を向く。
830名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 03:48:46 ID:zQqJaQX3
831 ◆00PP7oNMRY :2009/12/14(月) 03:50:32 ID:jA315KXG
んーと、新スレ立ててきますー。
832 ◆00PP7oNMRY :2009/12/14(月) 04:01:38 ID:jA315KXG
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/14(月) 07:38:42 ID:IQ3T+bwz
おつー
834名無しさん@お腹いっぱい。
       /: : : : : : : : /: :./: : ://l: : /: : : : : : : :.:.l : : |:\::\〕.: : : : |: :.l: : :.\
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        {:.:/{: !: ::|: : : | ヽ弋_.ン>   }::.:.::/ ヽ弋_.ン//:/: : :.:./ : : /  .!:./   刹那・F・セイエイと本多忠勝、ガンダムエクシアが――
        {/  |.::|l:.∧、ヽ\   ̄    _ノ::/    ` ̄  //: : :./ :. :/    |/    ――――――――――――――――――――――――未来を切り拓く!
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            ノ/ /\:.:.ハミ=‐'    , /     ー=イア´:.∧:./ :{
           /    }:ト、:\              ∠!:./ }/ヽ、\
                 lノ }:: l\   '´ ̄ `    , イリ!ヘ{  ノ   `ヽj
                  __从リ!. \    ̄   / |从 ゝ、
                    {弋 `ー=- >、 __ イ-=='"^ノヽ
                    |  `ー-ニニ二二二二ニ=''"   |   ____
      / ̄ ̄ ̄ ̄\  |      |   |     |     .|  //     \

新スレ立て乙です
くそ、なんでホンダムのAAがどこにもないんだ……