アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part13
5/6【けいおん!】
○平沢唯/○秋山澪/○田井中律/○琴吹紬/○平沢憂/●中野梓
3/6【咲-Saki-】
●竹井久/○天江衣/○福路美穂子/●池田華菜/●加治木ゆみ/○東横桃子
5/6【新機動戦記ガンダムW】
○ヒイロ・ユイ/○デュオ・マックスウェル/○張五飛/○ゼクス・マーキス/○トレーズ・クシュリナーダ/ ● リリーナ・ドーリアン
5/6【戦国BASARA】
○伊達政宗/○真田幸村/○織田信長/○明智光秀/○本多忠勝/●片倉小十郎
4/6【とある魔術の禁書目録】
○上条当麻/●御坂美琴 /○白井黒子/○一方通行/●月詠小萌/○海原光貴
6/6【Fate/stay night】
○衛宮士郎/○セイバー/○アーチャー/○バーサーカー/○ライダー/○キャスター
4/5【空の境界】
○両儀式/○黒桐幹也/○浅上藤乃/○荒耶宗蓮/●玄霧皐月
3/5【ガン×ソード】
○ヴァン/○レイ・ラングレン/●カギ爪の男/○ファサリナ/●プリシラ
3/5【逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
○伊藤開司/○利根川幸雄/●兵藤和尊/●安藤守/○船井譲次
5/5【コードギアス 反逆のルルーシュR2】
○ルルーシュ・ランペルージ/○枢木スザク/○C.C./○ユーフェミア・リ・ブリタニア/○アーニャ・アールストレイム
4/5【化物語】
○阿良々木暦/○戦場ヶ原ひたぎ/○八九寺真宵/○神原駿河/●千石撫子
3/3【機動戦士ガンダム00】
○刹那・F・セイエイ/○グラハム・エーカー/○アリー・アル・サーシェス
50/64
※書き手枠で決定した下記の12名は、バトルロワイアル内で参加者に支給されてた名簿には名前が記載されていません。
中野梓@けいおん!、片倉小十郎@戦国BASARA、月詠小萌@とある魔術の禁書目録、
海原光貴@とある魔術の禁書目録、玄霧皐月@空の境界、プリシラ@ガン×ソード、
兵藤和尊@逆境無頼カイジ、安藤守@逆境無頼カイジ、船井譲次@逆境無頼カイジ
ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス、アーニャ・アールストレイム@コードギアス、千石撫子@化物語
バトルロワイアルのルール
【原則】
64名の参加者が残り一名になるまで殺し合う。
【スタート時の持ち物】
各人に支給されたデイパックの中身は以下の通り。
地図、名簿、食料、水、メモ帳、筆記用具、ルールブック、デバイス、腕時計、懐中電灯、
応急処置セット(絆創膏、ガーゼ、テープ、ピンセット、包帯、消毒液が詰められた救急箱)、ランダム支給品(各人1〜3個)。
【名簿について】
64名中、52名の参加者の名前が記載されている。
未掲載の12名については、第一回放送の際に発表。
龍門渕透華の名前は最初から掲載されていなかった。
【ルールブックについて】
ルールが書かれた小冊子。開会式中でインデックスが語った内容とほぼ同一。優勝特典についても記されている。
【デバイスについて】
現在自分がいるエリアがデジタル表記で表示される機械(【A-1】といった具合に)。方位磁石としての機能も兼ね揃えている。
【禁止エリアについて】
六時間に一回の頻度で行われる放送ごとに、三つずつ増えていく。
参加者が禁止エリアに踏み込んだ際、首輪が起爆する(爆破までに時間差や警告があるかどうかは不明)。
【優勝者への特権について】
優勝者には賞金として10億ペリカ、そしてその賞金で買い物をする権利が与えられる。
ペリカの使い道は以下の通り(これはルールブックにも記載されている)。
・元の世界への生還――1億ペリカ
・死者の復活―――――4億ペリカ
・現金への換金――――9億ペリカ
・その他の願い―――――要相談
※1ペリカ=10円。10億ペリカ=100億円。
【作中での時間表記】
【深夜:0:00〜1:59】
【黎明:2:00〜3:59】
【早朝:4:00〜5;59】
【朝:6:00〜7:59】
【午前:8:00〜9:59】
【昼:10:00〜11:59】
【日中:12:00〜13:59】
【午後:14:00〜15:59】
【夕方:16:00〜17:59】
【夜:18:00〜19:59】
【夜中:20:00〜21:59】
【真夜中:22:00〜23:59】
書き手向けルール
※詳細はまとめwikiにて確認をお願いします。
http://www29.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/24.html 【状態表について】
SSの最後には下記の状態表をつけてください(服装と備考の欄は、必要なければ省略してください)
【エリア/場所/経過日数/時間】
【キャラクター名@作品名】
[状態]:
[服装]:
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本:
1:
2:
3:
[備考]
【予約について】
予約をしたい場合はしたらばの予約スレ(
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1256477871/)に
トリップをつけて予約したいキャラ名を書き込んでください。
予約期限は3日(72時間)です。予約期間中に申請すれば2日(48時間)の延長ができます。
予約の延長は、一回の予約につき一度だけ利用できます。
あるキャラの予約が行われた時点で、他の書き手はそのキャラを含んだ予約または作品投下が出来なくなります。
予約は予約期限切れ、予約破棄宣言、対応する作品投下のいずれかを持って解除されます。
予約期限切れ、予約破棄宣言の場合、その時点を持って予約されていたキャラの予約が可能になります。
対応する作品投下の場合、その作品に対して24時間以内に修正・破棄の要求がなければ、その作品のキャラの予約が可能になります。
【支給品・キャラの能力に関する制限について】
まとめwikiの制限一覧を確認してください。
http://www29.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/23.html ★企画に興味を持ったら★
当企画への参加に資格は必要ありません。どなたでもどんどんどうぞ。
但し、企画の円滑な進行のため、守るべきルールは存在します。
特にSS書き手として参加される方は事前にまとめwikiの「書き手用ルール」のページをお読みください。
企画への参加は「SSを書く」、以外にも「絵を投稿する」「MADを投稿する」「感想を書いてスレを盛り上げる」
等様々な形があります。そういった形での参加も大歓迎。みんなの技術を持ちよって企画を楽しみましょう。
5 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 00:39:15 ID:mpF5Nywg
○で出てる
そうこうしてる内に新しい予約が来たな
船井のおっさんに更に女の子追加とかどうよ?
いやぁハーレム一直線ですなァ
おっさん一度として良い目に合って無いけどなw
黒服や馬イクは眼福があったというに・・・
黒服は等価交換で精神崩壊一歩手前まで行ったし
馬イクも海にダイブでぼろぼろになったからな
船井はどうなるんだろうw
13 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 05:19:45 ID:BYqDPjWA
前スレ
>>745 切嗣は完全にPKだよな
しかも武器なくても罠とかなら簡単に一般人殺せるだろうし
アニメでなくてある意味よかった
確かにハーレムwww
あの顔でwww
あれ?なら俺たちでもチャンスあるんじゃね?
出たー! 船井さんの微妙に羨ましくないハーレムだー!!
キャプテンが歩く死亡フラグに見えて仕方ない
女子高生侍らせるとかその筋の人にはたまらんよな…w
>>15 トレーズ様が死ぬはずないじゃん
船井はどうでもいいけど
トレーズのような男が死に、何故か船井のような男が生き残るのもロワの面白さ
どこかで死域を越えないとだけど
トレーズは恨まれて殺されても仕方ないよね。
だって会長を殺したんだぜ?
ああ、そんなこともあったねw
見事に誰も恨んでねぇwww無駄死にwwwwww
まぁ強いて言えば利根川が小躍りしたくらいか
ああ、かっこいい死に方したおじいちゃんか
死因だけみたら、咲キャラがオリジナル固有結界を展開して倒したようにも見える
あれはデータをコピーしたAIのはず
まあ、本人らもこんな殺人麻雀のAIに使われてるとは夢にも思わないだろうが
どっちとは明言はされてないよ。
どのみち悪いのはトレーズだしな。
死の間際まで諦めずに戦い続ける老人に情けもみせずあっさりと……くっ、何て酷い。
冷たいようだが死者より生者の方が大事だと思うよw
さて、ネタ潰しにならない範囲で新しい予約の話題でもするのもいいかも
一方さんが駅に行く前にありゃりゃ木さんらのターンか
持ち直すか、それとも……
やっぱ9人予約は壮観だな
まあトレーズ側から見れば相手が誰なのかさっぱり分からなかったからな
でも老人と分かっても手加減なんてしなかったろう
吸血麻雀に乗ってたから少なくともマーダーだと判断出来たのかもな
それが確信犯だろうが気の迷いだろうが手加減はしなかっただろうな
憂ちゃんってまだルルモモに干渉できるような位置に居たんだ
まさかのステルス対決か?
ルルーシュも回収を考えてたっぽいし、船が戻ってくれば合流自体は問題ないかな
ギアスもかかってるし
33 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 21:33:59 ID:x/uYv04U
ライダー、ふじのん、代理投下します
ここはとある民家。
窓から漏れる、朝の光。
落ち着きのある純白色のクロスが敷かれたテーブル。
その上でモダンなデザインのカップで紅茶を啜る紫色の髪の美女の姿。
それは、まるで西洋の絵画に描かれた神聖なる日常の風景の一部ようだ。
騎乗兵のサーバント、ライダー。
彼女は人の集まりそうな学校の近くまで移動し、そこにある民家で来たるべき放送に備えて待機していた。
それは時間をしっかりと守る性格の彼女だからこそ下した判断でもあった。
放送が始まるまでに、他者から奪ってきた支給品の確認を済ませ、机に名簿を広げる。
ついでに民家に備えてあった紅茶を淹れて、支給品の食料を口にする。
味気ないパンを機械的に口に放り込み、紅茶の香りで嗅覚だけでも満たそうとする。
ふと、腕時計を見ると二つの針が互いに背を向け、円形を縦に分かつ。
――時刻は午前6時。
どこからともなく、無機質さを帯びた少女の声が聞こえてきた。
『――おはようございます』
◇
「やはり、呼ばれませんでしたか――」
放送を聞き終え民家を出たライダーは一人呟く。
第一放送でサーバントの名前が呼ばれることを僅かに期待していた。
アーチャーやキャスターならまだしも、セイバーとバーサーカーは宝具をまともに持たぬ状態の彼女では正面から戦えば敗北は
必至である。
できることなら自らの手を煩わすことなく、他のサーバントや参加者には潰しあってもらいたいのが彼女の本音である。
そして、先の放送で最後に現れた遠藤の言葉も多少は気にかかる。
放送で呼ばれた人物の中で三回名前を呼ばれた者、すなわち名簿に名前が記載されていない上にこの6時間までの間に死んだ人間
は7人。
名簿に記載された12名のうち7名もの死人。そして、最後にわざわざ遠藤がこのことを強調した。
その意図とは――
「殺し合いを進めるための潤滑油――生贄といったところでしょうね」
彼女はそう判断した。
無力だったり、死に急ぐような性格のものを選んで、積極的に殺し合いに乗りそうな参加者の近くにでも飛ばしたのであろう。
となると、実質的な死者はその7人を引いて、半分の7人。
主催が最初から死んでもらうために参加させた人物以外はまだ7人しか死んでいないのだ。
つまり、実際の死亡者数以上にこの殺し合いが進んでいないという可能性がある。
それを主催者である遠藤は示唆して、殺し合いを円滑に進めようとでも思ったのであろうか。
その真意はどうであれ、先の放送は参加者を煽るためには十分なものだったと言える。
ライダーはそう判断し、放送について思案することをやめた。
しばらく民家街を歩いていると、絶叫と思しき叫び声が近くから聞こえた。
しかも一回ではなく、何度も。
ライダーはわずかに唇を釣り上げてほくそ笑むと、絶叫の主のもとへと向かった。
◇
それは凄惨な光景だった。
窓越しに繰り広げられる、異常なまで人体の破壊。
もはや人の体を成さないグロテスクなだけの塊と紅い液体とが乱舞する。
その狂った踊りの担い手は神聖な修道服姿を血で染めた少女。
彼女は眼前の死体と血の飛沫の舞に夢中で窓から、彼女を見つめるライダーには気づく気配がない。
飛び散った血液が窓にへばりついたことも相まって、こちらの顔も視認しにくくなっただろうとさらに民家の中を覗き込む。
そして、死体の躍動に合わせて唱えられる「凶れ」という叫び、それと共に少女の眼に灯る赤と緑の光をライダーは見逃しては
いなかった。
◇
――わたし、笑ってしまいそうです。
人ってあんなにもすぐに壊れてしまうんだもの。
凶ることが、こんなにも愉快だなんて。
―――ああ、先輩――
――わたし――――笑ってもいいですか?
◇
浅上藤乃は血に染まった制服を纏い歩く。
傍から見ればその姿は異常者そのもの。殺し合いに乗っていると、こちらから曝け出しているようなものだ。
そして、先ほど行った月詠小萌の死体の破壊で制服についた血が垂れて道に痕跡を残していることにすら気づいていない。
もちろん、自身の後を追う者がいる可能性など考えるはずもない。
それもむべなるかな。
月詠小萌の死体を破壊した愉悦、これから自分の手で琴吹紬、果てには両儀式までもを凶げつくすことへの期待感、そして何より
大好きな先輩黒桐幹也への歪んだ愛情といった情念が藤乃の頭を埋め尽くし、現状を合理的に判断するほどの余裕などなかった。
歪んだ想念に耽っていた彼女の思考は、長らく失っていた痛覚と耳元で刹那響いた空気の振動によって途切れる。
目の前では頬を掠めた手裏剣のような物体が目前で旋回し、藤乃へ向けて襲いかかろうとしていた。
新たな殺戮の予感に藤乃は歪んだ笑みを口元に浮かべ、この殺し合いで何度叫んだか数えられないほどの言葉を発した。
「――凶れ」
自分へ向かってくる凶器を空間を曲げることで難なく落とす。
同時に藤乃は体を180度回転して、襲撃者を凶げんとする。
しかし振り向くと同時に、猛烈な閃光が藤乃の視界を瞬時に白色に染める。
「見る」ことが前提である歪曲の魔眼の能力は奪われた。
だが――
藤乃には第三の眼、千里眼がある。
それで敵を見れば、あるいは凶げられるかもしれない。
そう思い、藤乃は千里眼を開眼する。
しかし、覚醒したて故に千里眼はせいぜい監視カメラ程度の役割にしかならない。
加えて、襲撃者はそれでは捉えることのできない速さで動いている。
気づいた瞬間、藤乃は体を羽交い絞めにされ、一瞬のうちに体になにかが巻きつく。
そして、完全に身動きを奪われた。
確実に危険な状況だが、藤乃はそれをチャンスだと思った。
なぜなら、相手が触れているのならば、相手の場所は明確なのだから。
千里眼にて初めて視認する襲撃者、ライダーに焦点を定める。
その瞬間、藤乃は自らの勝利を確信した。
(一撃で仕留めなかったことを悔やむべきです…)
そして、これまで彼女が何度人を殺めてきた呪いの言葉を叫ぶ。
「凶れぇぇぇぇえええええ!」
その呪文と共にライダーの体は凶る。
――はずだった。
「――――――――――え?凶れ……、凶れぇえええええ!」
しかし、千里眼通して見るライダーにはなんの変化も見られない。
「魔眼は見ることで初めてその効力を発揮するのは知っていますよね。視界の奪われた貴方は無力です」
そこで、初めて襲撃者は口を開いた。
「なんで―――そんな、見えているはずなのに――。凶られないの――そんなことが――」
相手が自身の魔眼のことを知っている事実以上に、千里眼で捉えたライダーを凶げられない事実が藤乃にはショックだった。
ライダーは藤乃の挙動に一瞬だけ顔をしかめたが、すぐに得意のポーカーフェイスをその顔に貼り付けた。
ライダーは藤乃を捉えた鎖の先端を持ったまま、彼女から離れる。
「そろそろ、閃光弾の効果も和らぐ頃合いです。目を開けてはどうでしょうか?」
そう言われ、藤乃は相手が自分の魔眼を知っていながら目を開けという不自然さなど考慮することもなく、言われるがままに目を開いた。
否、どちらにせよ藤乃が目を開いた瞬間、自分を拘束している女は凶ることになるのだから、そんなことなど考える必要もない。
藤乃は目を開く。
そこには自身を拘束する鎖を掴んだままのライダーが立っていた。
「凶がれええええ―――――――!!」
藤乃の歪曲の魔眼が開かれ、赤と緑の螺旋が渦巻く――はずが、その光は発せられない。
藤乃は自身の視界の異変に気づく。
視界の隅に移る境界線、知らぬ間に眼鏡をかけさせられていたのだ。
その間隙にライダーは藤乃の背後へとまわり、彼女の喉元にナイフを突き当てる。
「それは魔眼殺しの眼鏡です。貴方の負けです――騒がないでください」
「――――」
藤乃は成すすべなくライダーの言われるがまま口を閉ざす。
「ところで自分の足元を見てください」
そう言われ、藤乃は自身の足元を見る。
そこには石へと変わり果てた自分の足首が映った。
「これが私の『目』の力です。このまま全身を石に変えられたくないのであればそのまま動かないでいてください」
◇
「なぜこんなことをするのですか?――なんだかとても嫌な気分です」
鎖を巻かれた藤乃は近くの民家にまで連れ込まれた。
その間に藤乃の膝まで石化が進んでいた。
もはや、藤乃はこの状況に勝ち目を見いだせなくなり諦観していた。
「なぜ殺さないんですか?こんなことになんの得があるというのです?」
その問いかけに、藤乃から奪ったデイパックの中身を確認するライダーが答えた。
「殺そうと思えば、最初の一撃で貴方の首を飛ばすこともできました。それをしなかったのは、もちろん理由があります」
たしかに、ライダーに襲撃された際、愉悦に浸っていた藤乃は周囲への警戒を怠っていて完全に無防備だった。
あの手裏剣が首を胴体から切り離すことだって容易だっただろう。
それをあえてライダーは行わなかったのだという。
藤乃はそのライダーの余裕に多少苛立ちを感じたが、今は彼女に命綱を握られてる身。
ここはライダーに従うしかないのだ。
「それで、その理由とは一体なんなんでしょうか?」
ライダーは、その言葉を待ってましたと言わんばかりに口元に笑みを浮かべた。
「率直に言いましょう。――――私と手を組みませんか?そうすればその足も元に戻しましょう」
藤乃は予想だにしない、ライダーの言葉に困惑する。
「この状況であなたは何を?ここにいる人間はみんな敵なんですよ?全ての人間を殺さないと自分は生き残れない。それなのに、わざわざ私を生かして手を組めというのですか。――まったく、おかしな人」
「それはわかっています。ですが、貴方はこの殺し合いを一人で円滑に進められると思いますか?中には徒党を組んで、殺しあいに抗う厄介者もいます。それが無力な人間の集まりならまだしも、強い力を持った人間の集団だとしたらどうします?」
そんなことは知らない、仮にそんな集団いたとしても全て凶げつくせば――
そう言おうと藤乃は思ったが、自分がすでにそのような場面に出くわしていたことを思い出す。
学校にて出会った三人の少女と一人の教師。
本来なら無力な四人全員を殺すことは容易だったはずだ。
だが、彼女たちの助け合い、小萌の教師としての誇りとその機転――
歪曲の魔眼の前には無力とも思えるものが重なり、直接殺せた人間はただ一人という結果へとなってしまった。しかも、一人はあの場から抜け出して自身を危険人物と他の参加者や彼女の愛する先輩である黒桐幹也にまで知らしかねない失態まで起こしてしまった。
無力な四人ですら、この有様だ。
もし敵が両儀式やライダーのような強敵の集団だったらどうだろう?
考えたくはないが、返り討ちにあう可能性は否定できない。
「確かに厄介ですね。ですが――」
確かにライダーの提案は合理的かつ現実的であると言える。
しかし、この話はそもそも前提から破綻している。
一人しか生き残れない殺しあいで、最後の一人を目指す者同士、つまり敵である者同士が組むことなんて成立するはずがない。
「いつ殺されるかわからない相手と組めと。あなたはそう言うのですか?あなたが誰かと戦っている最中にわたしが敵もろとも凶げてしまうとは考えないのですか?」
「それは重々承知の上です。言い方が悪かったでしょうか?もっとわかりやすく言うのなら、お互いの目的のために利用しあいましょう、と言い替えましょう」
ライダーはそう言い切った。
◇
ライダーが藤乃が死体を破壊する姿を見た時に感じたこと。
それは、過去の自分に似ている―――否、むしろあれは自分そのものだ。
いつしか、殺戮に歓喜を覚え、果てには怪物へと成り果て姉妹をも手に掛けた自分、メドゥーサと。
あの目の光――おそらくは魔眼までも持ち合わせていると来た。
あまりにあの少女は自分に似すぎている――
だが、そこに情を持つつもりはない。
あの少女はすでに壊れてしまっている。
一度壊れてしまった者を元に戻すことは容易ではない。
何より、自身の末路がそうであったのだから。
せめて、自身に似たマスターの間桐桜が崩壊の道を辿らないようにすること。
それだけが、ライダーにできることであり、もっとも優先すべきことなのだ。
あの少女が殺人に快楽を覚える異常者であるならば、この殺し合いを円滑に進める分には都合がよい。
完全に壊れ切っている――それこそ怪物へと化しているのならば、このまま放っておくだけでもよい。
しかし、あの少女はまだ発展途上だ。完全な崩壊へ至らないまでの理性はまだ残っているように思える。
―――ならば、つけ込む余地はある。
幸い、向こうは激情に駆られ、こちらに気づく素振りすら見せない。
ならば、こちらの得意とする奇襲で不意打ちにしてしまえばいい。
そして、魔眼使いとしてこちらの絶対的優位を知らしめれば、なお手駒としては使いやすくなるであろう。
また、ライダーは石化の魔眼に施されている制限についても知りたいと思っていた。
切り札として温存しておきたい能力ではあるが、その力のほどを知らなければいざという時に役にたたない。
そう考えた結果、ライダーは先ほどの行為に及んだのだ。
奇襲は成功。
石化の魔眼の発動も行えた。――が、予想通り制限は課せられていた。
一瞬での石化とは行かず、足元から徐々に石化していく。
しかもその進行は通常よりはるかに遅く、魔眼の効果を持続させるには魔力を消費し続けないといけないようだ。
◇
◇
「……わかりました。その話、受けました。手を組みましょう」
どちらにせよ、この状況ではそう答えるしかないと思い藤乃はしぶしぶ答えた。
だが、完全に勝ち目がなくなった状況で帰って冷静になった彼女の思考が、ライダーの提案を合理的だと判断した側面もないとも言えない。
この場で彼女の話を飲むふりをして、拘束から放たれたら攻撃を仕掛ける手も思いつきはしたが、先の戦いで彼女の強さは確認済みだ。
たとえ勝機があるにしても、リスクが高すぎる。
それ以上に、彼女と手を組むことができれば、新たな得物を狩りやすくなるし強敵や集団にも立ち向かいやすくなる。
ライダーは藤乃の了承とともに、彼女の石化を解除、天の鎖による拘束から藤乃を解き放つ。
「理解が早くて助かります。私の名はライダーです」
「わたしは浅上藤乃と申します」
「フジノですか――良い名前ですね」
「え―――?」
あまりに思いがけない言葉に、藤乃は感嘆の言葉を漏らす。
今まであまり褒められたことなどないゆえ、藤乃はそのような言葉には人一倍敏感だった。
藤乃はとっさに思考を元に戻し、目の前の女性を利用しあうだけの人間と割り切って話す。
「それで、手を組んでまずは何から始めるんでしょうか?」
「ではまず―――」
藤乃の拘束を解いたライダーは、放送前にいた民家から漁ってきた黒い洋服とタオルを藤乃に手渡し、僅かに微笑みながら囁く。
「その体についた汚れを洗い流してきてはどうでしょうか?幸いシャワーはあるみたいですので――」
予期せぬライダーの一言に藤乃は怯む。
それと同時に、しばらく前に憧れの黒桐幹也に自宅のシャワーを貸してもらっていたことを思い出していた。
「手を組んで最初にそれとは――いきなりあなたはおかしなことを言うのですね」
「そうでしょうか?これから行動する上で、貴方の格好は少々厄介ですので。一度体についた血を洗い流すといいでしょう」
「――――心遣い感謝します」
藤乃は皮肉と感謝を混ぜた精一杯の笑顔でライダーの配慮に応えた。
◇
藤乃の豊満なボディをお湯の飛沫と白い湯気が包む。
彼女が命を奪った者たちの血痕は、体を滴る水滴に混じり洗い落とされていく。
藤乃はどこかそれを心惜しく感じた。
その返り血こそ、自らが他者を凶げた証であり、自身を異常者たらしめるためのわかりやすい印でもあるのだから。
これから共に利用しあうことに同意したライダーを千里眼で透視する。
先ほど自分がいた部屋のソファに腰かけ、藤乃から奪った支給品の参加者詳細名簿を読んでいるようだ。
おそらく、ライダーはこちらの監視、つまり千里眼の存在には気づいていないだろうと思える。
先の奇襲ではことごとく完敗、魔眼同士の対決でも向こうに分があった。
だが、あの時に千里眼で見たライダーを凶ることができれば、あるいは藤乃にも勝機があった。
(――制限――でしょうか)
この会場に来て気づいた。自身の目から発せられる歪曲の螺旋が視認できるという制限。
新たに発現した透視能力にも同様に制限が課せられているのだろう。
それはおそらく――直接見た人間しか凶げられない。
これに気づくことができただけでも、先の敗北は無駄ではない。
(――それにしても、あの人苦手)
ライダーは利用しあう仲ではあれ、それは敵同士だという前提の上成り立っている。
だというのに、彼女はいちいちこちらの心の隙に付け入っるようなことをしてきた。
両儀式に感じた異常者同士ゆえの嫌悪感に似て、それでいて黒桐幹也に優しくされた時のような感情がどこかしら入り混じる―
――そんな複雑な感情を藤乃はライダーに抱いていた。
◇
ライダーは藤乃がバスルームへ向かったことを確認すると、彼女の支給品である参加者詳細名簿に目を通した。
この会場に来た参加者の名前と写真、それに簡潔な紹介が添えられている。
その中にあったいくつかの名前と写真にライダーは興味を示した。
それは片倉小十郎を始めとする、戦国武将の名とその容姿――
戦闘となり最期には仕留めた男の名、片倉小十郎。
ライダーはあの男をただの人間として認識していた。
だが、彼は戦国に名を残す名将だというのだ。
(戦国の名将がこの時代にいるということ――つまり我々英霊と同じ存在だとも言うのでしょうか?)
それならばあの強さも頷ける。
戦国の名将が自身と同じく、サーバントと同様にこの舞台に召喚されたというのならば。
(だとしたら、この残りの5人の武将も厄介でしょうね)
ライダーは戦国武将たちの顔写真を目に焼き付け、危険人物として記憶する。
危険だと認識する参加者が増えたことにより、浅上藤乃という手駒を獲得できたことをなおさら幸運に思う。
戦力としてはサーバントには及ばないだろうが、殺し合いをかき乱すには十分の能力と資質を持っている。
それに強い相手とはいえ、何も正面から戦う必要もない。
藤乃の撹乱させたところで、自分がその速さを活かした奇襲を行えば、勝機も転がりやすくなるだろう。
しかし、浅上藤乃は存在不適合者。何かの拍子で自身への牙を向ける可能性は否めない。
だが、魔眼の持ち主としても自身の優位は彼女に知らしめておいた。
下手にこちらに手出しすることもないだろう。
とはいえ過信は禁物。存在自体が災厄のような彼女を警戒は怠らないよう心がけよ、と自身に言い聞かす。
◇
バスルームから戻ってきた藤乃とライダーは、お互いの情報を交換し合った。
藤乃はこれまでの出来事と両儀式の危険性を話した。
切り札たりえる千里眼、そして守るべき先輩の存在はライダーには話さないでおいた。
ライダーまでこれまでの経緯を簡潔に話し、サーバントと戦国武将が手ごわい相手であることを藤乃に伝える。
その結果、両者はサーバントと戦国武将を危険な敵と、藤乃の危険性を知る琴吹紬を注意人物と認識した。
武器として有用な支給品をすべてライダーに奪われたことに藤乃は多少不満は感じたものの、自身には魔眼があればどうとでも
なるのであまり気にはしなかった。
「それで、ライダーさん。これからどうなさるおつもりで?」
支給品をまとめ終わったライダーに、藤乃が問いかける。
「他の参加者を見つけます。そこで私たちが取るべき行動は――」
と引き続き、ライダーが具体的な行動指針を藤乃に提案していく。
ひとつは、こちらが集団であることを活かし他の参加者に紛れこむ。
この殺し合いで徒党を組む参加者は、少なからず積極的に殺しあう者ではないだろう。
つまりこちらが二人でいるというだけで、他の参加者からはある程度安全な人間として見られる。
その為もあり、ライダーは藤乃に着換えさせた。
上手くいけば、他の参加者から情報を得ることもでき、機を見て不要な人間を殺していけばいいだろう。
ふたつめは、出会った参加者が強力な相手であった場合。
サーバントや戦国武将といった面子がこれに該当する。
できる限り正面からの衝突は避け、策を練って確実に始末したい。
こちらの場合は臨機応変に対処すべき必要があるだろう。
そしてみっつめは――
支給品である拡声器を使い、参加者を一か所に集めるという策。
拡声器を使えば、参加者の位置がわからないこの会場で、こちらから一方的に自身の居場所を不特定多数に知らし渡らせることができる。
新たな得物を求める者、仲間を募る者、明確の行き先を持たずさまよう者――
さまざまな参加者を近くに呼び寄せることができるだろう。
殺しあいを煽るためには、これまた良い材料となる。
だが、いかんせんリスクが高すぎる。
それゆえ、この策を実行するには慎重にならねばならない。
以上の行動指針を藤乃に語り終えたライダーは、拡声器を藤乃に渡す。
「これを使う場合はフジノに話してもらいます。私よりも、貴方の声の方が他者には響きやすいことでしょう」
「わたしに危険を背負わせようとするのですか?」
「そうなりますが、その時はフジノは私が守りますので、心配なさらずに」
ライダーは無表情のまま呟く。
――利用する相手に「守る」だなんて、よくさらっと言えたものだ。
そう思いながらも藤乃は拡声器を受け取り、デイパックにしまい込んだ。
◇
かくして、
魔眼を擁する二人の魔女は邂逅した。
存在不適合者、浅上藤乃は殺人の快楽と新たな殺戮の予感に我知らずその存在意義を見出していた。
騎乗兵のサーバント、ライダーは自身の過去そのものとも思える少女を手駒に、主の元へ帰らんと策を張り巡らす。
この二人が殺しあいにもたらす新たな災厄は如何ほどのものになるだろうか――
【D-2/民家/一日目/朝】
【浅上藤乃@空の境界】
[状態]:千里眼覚醒・頬に掠り傷
[服装]:黒い服装@現地調達
[装備]:軍用ゴーグル@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式、拡声器@現実
[思考]
基本:幹也の為、また自分の為(半無自覚)に、別に人殺しがしたい訳ではないが人を殺す。
1:ひとまずライダーと共に行動する。
2:人を凶ることで快楽を感じる(無自覚)。
3:サーヴァントと戦国武将に警戒。
4:琴吹紬を探して凶る。
5:できれば式も凶る。
6:それ以外の人物に会ったら先輩の事を聞き凶る。
7:幹也に会いたい。
8:逃げた罰として千石撫子の死体を見つけたら凶る。
[備考]
※式との戦いの途中から参戦。盲腸炎や怪我は完治しており、痛覚麻痺も今は治っている。
【ライダー@Fate/stay night】
[状態]:魔力充実 右腕に深い刺し傷(応急処置済み)
[服装]:自分の服
[装備]:猿飛佐助の十字手裏剣@戦国BASARA、 閃光弾@現実×1
[道具]:基本支給品一式x3、ライダーの眼帯、不明支給品x0〜5、眼鏡セット(魔眼殺しの眼鏡@空の境界 を含む)@アニロワ3rdオリジナル、
天の鎖(エルキドゥ)@Fate/stay night、風魔小太郎の忍者刀@戦国BASARA、かすがのくない@戦国BASARA×8本、デリンジャーの予備弾薬@現実、
ウェンディのリボルバー(残弾1)@ガン×ソード 、参加者詳細名簿@アニロワ3rdオリジナル、デリンジャー(0/2)@現実
[思考]
基本:優勝して元の世界に帰還する。
1:藤乃を利用して、殺しあいを有利に進める。
2:サーヴァントと戦国武将に警戒。
3:魔力を集めながら、何処かに結界を敷く。
4:出来るだけ人の集まりそうな街中に向かう。
5:戦闘の出来ない人間は血を採って放置する。
[備考]
※参戦時期は、第12話 「空を裂く」より前。
※C.C.の過去を断片的に視た為、ある種の共感を抱いています。
※忍者刀の紐は外しました。
※藤乃の裏切りに備えて魔眼で対応できる様に、眼帯を外しています。
※藤乃の千里眼には気づいていない様子です。
※戦国BASARA勢の参加者をサーヴァントと同様の存在と認識しました。
※以下の石化の魔眼の制限を確認しました。
通常よりはるかに遅い進行で足元から石化。
魔眼の効果を持続させるには魔力を消費し続けないといけない。
なお、魔力消費を解除すれば対象の石化は解ける。
【天の鎖(エルキドゥ)@Fate/stay night】
かつてウルクを七年間飢饉に陥れた“天の牡牛”を捕縛した鎖。
ギルガメッシュがエア以上に信頼する、自らの友の名を冠する宝具。
使用者の意思に応じてホーミングし相手を拘束する。
能力は“神を律する”もの。
捕縛した対象の神性が高いほど硬度を増す特性を持つ、数少ない対神兵装。
ただし、神性の無い者にとっては頑丈な鎖に過ぎない。
【眼鏡セット@アニロワ3rdオリジナル】
参加者や参加作品の関係者の眼鏡を集めてセットにしたもの。
魔眼殺しの眼鏡@空の境界を含む。
考えてみれば魔眼コンビがステルス作戦する上で
ムギと美穂子はすげぇ邪魔だよなぁ…
代理投下終了です
魔眼同士がコンビを組んで危険度が上ったなw
どう転んでもやっかいなことこの上ないな
セイバーに会ってもアウトだな
式は時期ずれを認識してないからセーフか
海原も油断はしてくれないだろうし、モモ、ルルーシュも情報を得てるからな……。
実はステルスはかなり微妙っぽい。
投下&代理投下乙です
魔眼コンビか、でも敵視ている奴はそれなりにいるから前途は不安だな
そしてついに拡声器お披露目の時かw
ライダーさんの情報自体は鯖以外だと美穂子しか知らんから
キャリアウーマンに変装すればライダーさんはステルス可能かな
あれ?ふじのんやけに不利じゃね
特攻野郎船井組が一番やべえw
向かう場所によってはすんごい乱戦になる可能性があるな
船井組が一番危ないが位置は遠目だからまだ大丈夫だw
学校方面に戻ったら信長かヴァンが危ない
憩いの館に向かったらヒイロ組がヤバい
あ、東にはトレーズ様以外は船井組かルルモモ組しかいねえw
やったね船井さん!
ハーレムさらに充実!
いやぁ船井さんうらやましいなぁ!
美穂子とライダーのぬるぬるオイルマッサージも夢じゃないぞ!
俺は御免だけど!
やばい。全く羨ましくないw
ま、まだ予約で組まれてないから大丈夫だよw
船井組はこれだけ時間が経ってもボディーガード役が0で、
船井自身が(どんぐりの背比べ的に)いまだに戦闘力トップというのがほほえましい
と言っても船組も士郎とハムくらいしか戦えないけどw
黒子はあんな状態だし
対主催では駅組が異常な戦闘力なんだよな
バラバラだけどw
アーチャーと政宗か
二人、漢を比べ合うか
すげぇ勢いで平行線たどりそうな組み合わせだなw>政宗・アチャー
そもそも参加者中、アーチャーと合う男なんているのか?
ドウテイーズとは軒並み合わなそう
現実主義者のヒイロと刹那くらいか
確かにヒイロと刹那とは合いそうだが最終的にはすれ違うかどちらかがどちらかに染まるかのどちらかだろう
>>70 アーチャー少し軟化してるっぽいから即座に戦闘ってことはなさそうだがな
ヒイロ組が一番やばいね
南東に魔眼組に信長
北に行けばバーサーカーの山篭りと出くわす
ステルスに回ろうとしている1kill以上のマーダーがすっごい増えてきたな
もし○○○組が○○から○○○へ移動したら○○組ヤバいんじゃないのw
ネタ潰しになるから伏字だけど
>>72 原作でお互いにツンデレを発揮しあった仲の士郎がいる
>>56 逆に言えば美穂子とムギが合流する薬局を襲撃しちまえば
かなり安心できるわけだ
>◆0hZtgB0vFY氏
>◆SDn0xX3QT2氏
まとめwiki収録時に分割になってしまうので、分割点の指定をお願いします。
あと、タイトルは前編、後編でいいでしょうか?
◆mist32RAEs氏 バーサーカー、刹那、本多忠勝、トレーズ 〜2009/12/01(火) 14:17:14 ID:ApPck2Cg
トレーズ様逃げてw
美穂子はほんま歩く死亡フラグやなw
だが、ちょっと待ってほしい
うまく行けばホンダムトランザムの方向に持っていけるのではないか
そういえばトレーズのトレーラーってナイトメアの修理が出来るんだっけ
…あれ?
ミストさんだしなぁ
こういっちゃなんだが内容が読める
というかバーサーカーとホンダム、刹那にトレーズと再開させるの早すぎだよ
いやまだ出会うと決まったわけじゃない
まぁトレーズはここで死んでくれたほうが後腐れがなくていいわな
位置も向かう先もバラバラだから出会えないはずだけど
何かネタがあるんだろう
これは共倒れの可能性もあるな
そろそろホンダムが誰かに目撃されないか?
バーサーカーが北でトレーズが西でホンダムが東だっけ
これはさすがに合流させるのは無理だろ
いや、単に通信しあうだけの展開もありうるぞ
あれだろワープゾーン
GN粒子を浴びせればバーサーカーの凶化も解けるはず
刹那仕様のGN粒子は万能だからな
刹那さんはコンディション次第で射程と威力が無限大なセブンソードガンとか使うし、タイムスリップする予定もあったし
前話を無視したような展開じゃなければ良いけど
どうにも読み手の嫌がるほうに話を持って行きたがる書き手だからな
どうせバーサーカーが無理矢理に刹那ホンダム殺すだけとかそんなだろ
そういうのは毒吐きで言えよ
でも、毒吐きで言うだけだとそのまま流れちゃうんだよね
どうするのが正解なんだろう?
みなけりゃいいんじゃね
ヴァン、海原、信長
こっちのが危ない気がする
ライダーに拡声器って制限次第でもの凄い死亡フラグだったな
寄ってくる奴が皆・・・
上条とひたぎの予約はまた2人だけか
他のキャラが近くにいないからずっと孤立してるけど
そろそろ行動に新しい動きがあってほしいなあ
その二人は電車が停まった弊害をもろに喰らった感じなんだよなー。
ロワでもリアル事情でも。
序盤が空気でも後から活躍する場合もあるから大丈夫
一応、正午から再開予定だけどそれまで待機?
片方が女性で一度倒れたから待つのが自然だろうが・・・・
襲撃されたらヤバいんだよなw
上条さんはそげぶがあるけど、サーシェスみたいなタイプが来たらやばいな
ひたぎって現状無能力なんだっけ?
ガハラさんはああ見えて文房具駆使したら接近戦で上条さんに匹敵するぐらいは強いって信じてる。
ああ、能力はないよ。
上条さんと互角程度とか強いのか弱いのかわからんw
上条さんは肉弾戦ならチンピラレベルはある
ただし女でも全力で殴れるから強い
喧嘩慣れした男子高校生と同じぐらいって女子高生にしたら十分じゃない?
殺し合いでどの程度役に立つかは知らんが。
参加してる化物語キャラで一番スペック的に戦闘能力が高いのは神原だろうけど
全員一つのところに閉じ込めて殺し合いしたなら生き残るのは戦場ヶ原なイメージ
キャス子、りっちゃん、コクトー投下します
支援
「ふふふ……直ぐねむちゃって」
そう喋ったのは神代の魔女キャスター。
「ううん……」
そして彼女に膝枕をしてもらい眠っている少女――田井中律――。
そんな殺しあいの中とは思えない雰囲気の中、悪魔の放送が流れ始める。
『おはようございます。インデックスです。
六時間が経過しました。一回目の定時放送を開始したいと思います。
尚、以後の放送においても同様ではありますが、放送内容の問い合わせには応じられません。ご了承下さい。
戦闘行為の最中にある方は、一度その状況から離脱されることを推奨します。』
誰も呼ばれなかったわね…。
意外だわ…てっきりあの坊や辺りは呼ばれるかと思ったのに。
まぁ、呼ばれなかったのは仕方ないわね…。
私のやることは変わらない。
ここで敵を向かい打ち、駒を増やし優勝すること。
それに変わりなんてないわ。全ては宗一郎様の為に。
だけど、この主催者はどうやってこんなことをしたのかしら。
今思うと不思議な事よね。
魔術で説明のつくこともあるわ、だけど
「この首輪についてはわからないのよね」
私の魔術は投影などの魔法に特化していないからかもしれないけど、私もやり方ぐらいは分かるのでやってみた結果、何も分からなかった……。
「これがあの坊やとかだったら違うかもしれないのにね…」
だけどそれは無理ね。
私の事は完全に敵として見ているだろうし…。
「まぁ、それは仕方ないとして。ちょっと悪いけどこの子のバックでも見させて貰おうかしら」
そう思いこの子の近くにあるバックの中身を見させてもらうことにした。
「さてと…、これは何かしら?」
この子のバックは基本支給品以外には一個しか入ってないみたいね。
で、肝心の支給品は…。
そう思いバックの中に手を入れ取り出して見るとそこには一冊の本があった。
題名は
「桜が丘高校軽音楽部のアルバム?」
何かしら…これ。
この子もこんなのが支給品なんてかわいそうね。
で、えっとこれが説明書きね。
『桜が丘高校の軽音楽部である5人のアルバム。写真は私たちが集めて作りました インデックス』
そのまんまなのね。
まぁ、暇つぶし程度にはなるかしら。
今はまだ動けないんだし。
そして私はページをめくり始める。
1ページ目には今近くで寝ているこの子ともう3人の少女が写っていた。
そして、写っている他の3人は……とても可愛かった。
凄いわね、この部活。
この茶髪のちょっと抜けた感じの子は天然系ね。ほわほわした感じが写真からも伝わってくるわ。
黒髪の子は写真を見た限り恥ずかしがり屋さんなのかしら。赤らめている顔が写っていたりしてて、この子にも何か着せてみたいわね…。
支援
金髪の子はおっとりしていて癒し系って感じかしら。この子…すごい眉毛ね。
そして、私はページをめくり2ページ目を見る。
そこには、一生懸命に練習している姿が写っていった。
後のホワイトボードには目指せ、武道館と書かれていて私は自然に笑ってしまった。
テレビで見たことあるけど、武道館ってそうとう難しいはずよね。
……でもいい夢ね。
そして、私はどんどんページをめくっていく。
アルバムで言うとだいたい3分の1ぐらい来たところからかしら。
今度はツインテールの少女が写真に出てくるようになった。また、その子もとても可愛くて…
少し眺めた後、またページをめくっていく。
その子の混ざった軽音楽部は今まで以上に楽しそうで、そんな幸せな日々に私は少しの悲しみを覚えた。
ツインテールの子が出てからしばらくめくると、写真が張ってないページが出てきた。
「どうしたのかしら?」
不思議に思った私はついそれを言葉にだしてしまい、そのあと直ぐに気付いた。
空白のページには一つの紙が挟まれていたから。
その紙にはこう書かれていた。
『桜が丘高校軽音楽部にはこれより次の資料がなかったので、これでこのアルバムはお終いです』
要するに、これはきっと年代ごとに並べられてたのだろう。
最初のがきっと1年目で、ツインテールの子が出てきたのが2年目。そして、空白のページが3年目。
きっとこの子たちは、こんな日常が続くと信じてたのよね。
そんな、ありきたりな日常。だけど自分たちにとっては幸せなかけがえのない日常。
それを突然奪われ、こんなところに連れてこられて、殺しあう事を強制されて……。
そう、それはまるで……。
支援
支援
そして、その先の考えに行く前に階段を誰かが下りてくる音が聞こえた。
……今の事は忘れましょう。
それより黒桐くんの報告を聞かないとね。
そうして階段から下りてきた黒桐くんの話を聞いてみると、何か怪しい魔法陣があるみたいね。
これは、見てみたほうがいいわね。そろそろ、動いても平気みたいだし。
そうなると、この子が一人になっちゃうから
「黒桐くん、この子の事を見といてくれる」
「分かりました、キャスターさん」
その返事を聞いて、私は階段を上りその魔法陣を見に行く。
「これは………」
祭壇の裏にあるという魔法陣を発見したキャスターは考えていた。
この魔法陣……厳しいわね。
確かに私が使う魔術と同じところもあるけど、それだけじゃないわね。
この魔法陣は他の魔術式が混ざっている。
ということは、色々な方法で置き換えて分かりにくくしなきゃいけないほど大事なもの。
だけど、迂闊なことはできないか…。
変な事をしたら、防衛用の魔術が発動してしまうかもしれない。
だから、今考えるのはこの魔法陣がなんでこんなに解除しにくくされているかということ。
普通に考えるならこの結界を作るためよね。もしくは、この首輪の制御の為?
だけど、今は仮定として結界を作るためだとすると、ここ1か所のはずがないわ。
たった一つだけだったら、もし壊そうとした瞬間首輪爆発するように設定しても捨て身の覚悟で解除されてしまう。
そうすると、最低でも4か5個はないと。
だけど、主催者は何がしたいのかしら?
探せば分かるところに書くなんて。
もっと気付きにくい場所に置けたはずなのに……。
「今はこれ以上考えても仕方ないわね」
そう思い私は礼拝堂へと戻っていく。
支援
??????????????????
ふわり、ふわり
ほわり、ほわり
くるり、くるり
そんな、空間に私は漂っている。
そんな、よくわからない感覚は急に無くなり私は目を覚ます。
「律、起きろって」
「ん〜、起きたよ澪」
澪の呼び声にこたえて、私は本格的に目を覚ます。
なんか、変な夢を見ていた気がするけど…いっか。
「どうしたの律?」
ぼーっとしてからだろうか、澪が心配の声をかけてくれた。
そんな、当たり前のことがなぜかよく分からないけどとても嬉しくて。
「うん…ありがと澪!」
私はいつも以上の笑顔で答える。
「そう、よかった」
それに澪はいつも通り答えてくれて。
今日ものんびり皆でお茶して、練習していつも通りの日常を送ろうとした私の思いを
「なら、殺しあわなきゃね律!」
そんな言葉が壊すんだ。
支援
「なんで……そんなこと言う…んだよ澪」
急になんで殺しあうなんて言うんだよ?
おかしい、おかしい、おかしい。
こんなの……澪じゃない。
「律?のんびりしてると撃っちゃうよ?」
「りっちゃん。大丈夫?も〜早く武器を持って」
「そうよ、りっちゃん。早く殺しあいましょ?」
いつの間にかに現れた唯やムギもそんなこと言って、私を殺そうとする。
その瞳がとても怖くて、なんでこんなことするんだろうって涙が出てきて。
「ふぇっ…くっ…」
「なんで、泣いてるの律?これは仕方がないんだよ。殺さなきゃ……律が死ぬんだよ」
涙を流した私に澪が言ったのは、そんな現実で。
私の視界は、意識は黒に染まる。
「んっ…」
目を開けたら、きっと怖い皆はいなくなっているはず。
そんな、確信を持ち私は目を開ける。
「……ひっ!」
そこには優しい皆じゃなくて、皆の死体があるだけだったんだ。
「仕方ないんだよ……」
自分が皆を殺したことを信じられなくて、私は呟く。
だって、私は殺せって言われたんだから。
私は悪くないんだ。だって、殺さなきゃ…殺されるんだから。
「悪くない、悪くない、悪くない」
ずっと、そうやって呟く。
だって、こうでもしなくちゃ怖かったんだ。
そして一人、部屋の隅で縮こまっていた私に誰かが話しかけてきた。
「先輩!」
先輩…?あぁ、きっと梓かな。でも、きっと梓もこういうんだ。
「大丈夫ですか?」
えっ……?
何で…。梓は殺しあいをしようなんて言わない。
私はその声の元へと顔を上げる。
「梓……」
そこに居たのは、確かに梓で…変わらない梓で。
それが、とてもとても嬉しかった。
「梓ー!」
そして、私は梓に抱きついて泣きじゃくった。
子供みたいに、すっごく。
「大丈夫ですか先輩」
「なんで……こんなことになったんだろ」
だきしめられたまま、私はぽつりと呟く。
「それに私、皆を……」
「大丈夫です。これは夢ですから」
「ゆ……め?」
投下乙!まさかりっちゃんがキャス子を殺すとは…
これだからロワはやめられん
>>129 お前のID遊戯みたいでかっけーね。
支援。
そうか…夢だったんだ。
だけど、それでも
「夢の中ででも私は…」
私は皆を殺したんだ。
「……。でも、それなら現実でがんばれます。まだ、全然平気です!」
「でも!…それでも」
「しっかりしてください。部長なんですから、そんな弱気にならないで。先輩ならいつもの元気でなんとかできます」
部長……。
そうだ、私は部長なんだ。
私がこんなんだと、皆が心配する。
そうだよ!そう!私がまず元気にならないと!
そう思った瞬間、とても体が軽くなった気がした。
「ありがと、梓。そう…だよな。私がしっかりしてなくちゃだめだよな」
「はい!」
ん、だけどこれが夢って事は…。
「励ましてくれたけど、梓は私の夢なんだよな…」
「…ちょっと違いますけど、出てこれたのは先輩が私の事を考えてくれたからです」
違う?
「それはどういう意味?」
「うわあぁぁ!」
思わず驚いた私は後ろへ下がり、深呼吸をする。
はぁ〜、びっくりした。
「ごめん、おどろかせちゃったかな?」
そう、聞いてくる目の前に人の顔はとても安心感を覚えさせてくれる顔だった。
「あ、全然大丈夫です」
「そっか、良かった」
そういえば、この人が助けてくれたんだよな。
なら、お礼言わなきゃだよな。
「あっと、助けてくれてありがとうございました!えっと、私は田井中律って言います」
「どういたしまして。僕は黒桐幹也。よろしく、えと…田井中さん?」
「あ、律でいいです。黒桐さん」
「じゃあ、律ちゃん。あ、それなら僕の事は幹也で構わないよ」
「えっと、じゃあ幹也さん」
「うん」
そういえば、男の人をこういう風に名前で呼ぶのってあんまり無いかも。
と、今はそれよりも気になることがあるんだ。
「あの、放送ってもうありましたか?」
「うん、あったよ。見る?」
あずにゃんにゃん!
そう言って幹也さんはメモをしていたのか名簿を出してきた。
私はそれをドキドキしながら受け取る。
もしかしたら…多分この中には。
「やっぱり…」
「もしかして、知り合いの名前があった?」
それに私は静かにうなずく。
そう、名簿にはこう書かれていた。
・なかの あずさ 死亡
「この、梓って子が」
「そう…」
悲しいけどなんとなくそうかなって思ってた。
あの、夢の中で梓は直ぐに分かるって言ってた。
きっと、こういう事だったんだ。
「幹也さん、キャスターさんは?」
「キャスターさんなら今は上にいるよ」
そこで、私は初めて地下に居ることに気付いた。
なら、早く戻ってこないかな。
あの人はちょっと怖かったけど、でも皆を探すためには一人じゃ駄目なんだ!
そう、私がすることは悲しむ事じゃない。
「キャスターさんに何か聞きたい事でもあった?」
「キャスターさんに頼みたかったんです」
「何を?」
「それは…」
「それは…?」
その答えを私はいつも通りの元気な声で答える。
「それは、みんなと元の場所に帰るために協力して欲しいって!皆、絶対思ってる元の場所に帰りたいって思ってるはずだから!!」
そう、私がするのは悲しむことじゃない。
皆を探してあの幸せな日々に帰ることなんだ。
だから、私は頑張るんだ。
でも、一人では大変だから力を借りる。
元の場所へと帰りたいって願いを持っている人たちと。
きっと、殺しに乗っている人もいるし、協力してくれない人もいると思う。
それでも、あきらめるわけにはいかないから。
「だって、強制されて殺しあうなんて悲しいし、おかしいじゃん。皆、帰りたいのに!死んだ皆だってそう思ってたと思うんだ!」
そして、私がそう言ったら階段の方から音がしたから私はそっちに顔を向ける。
さるか?
???????????????????
礼拝堂へと戻った私にあの子の声が聞こえてきた。
良かったわ、目が覚めたのね。
それに、元気そうだし。あの写真みたいにあの子はきっと、いつもはあんな感じなのね。
そうなのよね……。
「キャスターさんに頼みたかったんです」
そんな声が聞こえてきて、私はこっそり聞いて驚かせてみようと思った。
ちょっとした、悪戯心で。
「それは…」
何を頼みたかったのかしら?
また、着せかえしてほしい?…まさかね。
「それは、みんなと元の場所に帰るために協力して欲しいって!皆、絶対思ってる元の場所に帰りたいって思ってるはずだから!!」
……!
皆で帰る…。
そんな、夢みたいな事が叶うはずがない。
そんな、確率の低いこと。でも、魔法陣も見つけたしもしかしたら…。
っ!そもそも、そんなの考えるまでもないわ。
一番確実なのは優勝すること。
宗一郎様の元へと帰ること。それが私の変わらない思い!
でも、それは主催者を倒してでも出来る…。
無理ね。何を考えてるのかしら。
私は……、でも…。
「だって、強制されて殺しあうなんて悲しいし、おかしいじゃん。皆、帰りたいのに!死んだ皆だってそう思ってたと思うんだ!」
あ……。
そんなのには気づいていた。でも、それでも…!
私は思い切り壁を殴る。
キャスターさん?という声が聞こえてきたが無視をする。
皆がそう、思っている。
そんなの、分かっている。分かっているのよ!
ここで、ある少女の話をしよう。
昔々、さらに昔。
ある国に一人の皇女がいた。
その少女は自分の国を愛していた。
しかし、その幸せは一人の女神によって壊されることになる。
女神に洗脳された少女は一人の男を愛し、男の為になんでもやった。
男が逃走するときには、実の弟にまで手をかけた。
男がやれと言ったら、別の国の王様たちを殺しました。
しかし、男からは感謝の言葉はありませんでした。
少女はやりたくなかったのに…。
そして、男は最後には他の女のひとと結婚式を挙げました。
それを、少女は男ごと焼き払いました。
そこには、ただ一人の魔女しかいませんでした。
そして、少女が最後に思った事は一つ。
『最期に国に戻らせてください』
魔女となった少女を、少女と分かるものはもういませんでした。
『どうか、最期は国に戻りたいのです』
これが、ある魔女の物語。
女神に強制せれて誰かを殺す/首輪をつけられて誰かを殺す。
本当は嫌なのに/本当はやりたくないのに
最後に思うことは/死ぬ間際に思うことは
国に戻りたい/元の場所に帰りたい
そう…、きっと私は気づいてた。
これが、とても似ていることに。
それでも認めることはできなかった。
だって、それは自らあの場所へ帰ること遠ざけることだから。
だから、認めることができなかった。
そう、さっきアルバムを見て思ったこと…それは。
私ととても似ているということ
あぁ…ごめんなさい宗一郎様。
少しばかり帰るのが遅くなりそうです。
でも、きっと貴方はこう言うんでしょうね。
お前がそうしたいと思ったなら、私は構わない
だから、そうさせて貰います。
魔女の私に正義の味方なんて似合わないけど。
それでも、誰かを助けたいと、願いを叶えたいと思うのは構わない。
だって、私はサーヴァント。
世界の歪みを正すためにいるんだから。
「名前は?」
私は階段越しに、そう問いかける。
あの子も自分の事と分かったのか答えを聞くのはすぐだった。
「田井中律です!」
「そう…律ちゃんっていうの。分かったわ、律ちゃん。協力するわ」
「あ、ありがとうございます」
まさか、私が誰かに感謝されるなんてね。
そう、答えたはいいけど本当にこれで良かったかは…やっぱりあれね。
それでも、そう思ったから良いわ。
私はあの主催者である二人に心の中で告げる。
覚悟しなさい。
昔から魔女を怒らせた者に幸せ結末はなくてよ。
私を怒らせた罰、その身に振りかざしてあげるから!
そもそもあいつらがこんな事をしなければ、あの幸せが崩れることは無かったんだから…。
それに、もし聖杯を手に入れてるなら儲け物よね。
そう、思い私は階段を下りていく。
これは・・・
信頼感を得るために頭のフードを脱ぎながら。
そして、私は下りてきて二人の前へと出る。
「頑張りましょ、二人とも」
そして、その言葉の返事は
「きゃ、キャスターさん?」
だった…。
【C-5/神様に祈る場所/一日目/朝】
【キャスター@Fate/stay night】
[状態]:健康、魔力消費(小)
[服装]:魔女のローブ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2個(確認済み) 、バトルロワイアル観光ガイド 、さわ子のコスプレセット@けいおん!、下着とシャツと濡れた制服
[思考]
基本:主催者を倒し、葛木宗一郎の元へ生還する
0:これからについて話し合う。というか、そんなに別人かしら?
1:奸計、策謀を尽くし、主催者打倒を最優先に行動する
2:『神殿』を完成させ、拠点とする。
3:黒桐幹也が探索を終えたら『死者の眠る場所』へと探索に行かせる。そういえば、洗脳は解かなきゃ不味いわね…
4:他の参加者と出会ったら話し合い。殺しあいに積極的だったら殺す。
5:会場に掛けられた魔術と魔法陣について解き明かす。
6:他サーヴァント(セイバー、アーチャー、ライダー、バーサーカー)とはセイバーぐらいなら信頼を得れるかしら。
[備考]
※18話「決戦」より参戦。
投下乙!
流石はりっちゃん!キャス子さんを口説くなんて!
まだ投下終了宣言がないから油断出来ん
まさかの律死亡………だと………
【黒桐幹也@空の境界】
[状態]:疲労(小)、キャスターの洗脳下
[服装]:私服
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ブラッドチップ・2ヶ@空の境界
[思考]
以下の思考はキャスターの洗脳によるもの。
基本:キャスターに協力する。
1:皆を助けるために頑張る。
※参戦時期は第三章「痛覚残留」終了後です。
※竜牙兵が守護についています。
与えられた命令は『黒桐幹也を守れ』。こちらから攻撃はしません。
強さは本来ならば素人が敵う相手ではないですが、弱体化しているためどこまで強いかは不明です。
また、同時に出せる数やキャスターから離れることの出来る距離も制限されています。
【田井中律@けいおん!】
[状態]:健康
[服装]:ゴシックロリータ服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(懐中電灯以外)、九字兼定@空の境界、桜が丘高校軽音楽部のアルバム
[思考]
基本:皆に会って、脱出する
1:皆に早く合流する
2:他の殺しあいに乗ってない参加者とも協力する
3:部長としてしっかりする
※二年生の文化祭演奏・アンコール途中から参戦。
※レイの名前は知りません。
※ブラッドチップの効果は切れました。
※ゴシックロリータ服はけいおん!第6話「学園祭!」の際にライブで着ていた服です(ただしカチューシャは外してある)
以上で投下終了です
148 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 22:50:08 ID:PuHPV0Ot
投下乙です
こ、これは綺麗なキャス子さん誕生か?
まさかこうなるなんて、律ちゃん凄い!
ただ笛に詳しくないんだけキャス子さんのこの展開の流れはおkなの?
初めてこういう過去聞くぐらい初心者なんだが
投下乙です!
メディアの過去とロワを重ねるとは…
りっちゃんGJ!
投下乙です
ああ、キャスターさんそっちにいっちゃうのか……
>0:これからについて話し合う。というか、そんなに別人かしら?
いやいやフードとって尖った耳があれば普通は驚きますよw
綺麗なキャス子来たか
メディアについては、ホロウキャス子なら十分ありえることだとは思う
これは想像しなかった展開で面白そう
綺麗なキャス子来た!これは対主催にとっては嬉しい誤算だな
この三人組の活躍に期待せざるを得ない
乙
うまく行けば式、デュオと合流できるかも
キャスターはステルスマーダーになるかと思っていたらこれは!
いつもwiki編集してくださっている方、ありがとうございます。
>>80 回答が遅くなり申し訳ありません。
『騎士 失格』についてはこちらでまとめwikiに収録いたしました。
まとめwiki収録時に誤字等の修正、スザクが現地調達したノートパソコンの説明の修正を行いました。
内容そのものに変更はありませんが一応報告を。
156 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 01:59:26 ID:Dv/Sstte
式、デュオ代理投下いたします
風を切り、音を立てて疾走する一騎のバイク。
その速度を示すメーターは、既に最大限の値まで届いている。
デュオ・マックスウェルと両儀式の二人は、目的地を目指して一直線に突き進んでいた。
当初と同じ目的地―――北へと。
「……良かったのか?」
プリシラの亡骸を見届け、走り出してからしばらく程経った頃。
ふと、式がデュオに一言だけ尋ねる。
考えた末に出した、北上するという結論に対しての初めての問い。
目的地をどうするかは確かに一任こそしたが、一応は聞いてみるべきだろう。
そう考えてかの発言だった。
「ああ……どうせ、どっちを選んだとしても悩むのは同じだしな」
デュオにとっても、デパートか敵のアジトかの二択は、悩んだ末のものだった。
どちらを選んでも確かにメリットとデメリットはある。
全ては、その両者の度合いを考慮した結果として導き出された。
まず、敵のアジトへ向かうという選択肢を選んだ場合。
それは文字通り施設の意味を確かめる事であり、その『場所』を調べる事。
その一方、デパートへ向かうという選択肢を選んだ場合。
その目的はゼクスに出会う事であり、『人物』と接触する事。
『場所』と『人物』。
この両者の大きな違いは、どちらが確実かという点である。
そう……後者には移動する可能性が会ったが故に、向かう事を戸惑ったのだ。
―――動いてなけりゃD-6のデパートにゼクスって奴がいる。聞きたいならソイツにでも訊きやがれ。
一方通行が残した言葉は、ゼクスが移動していなければという仮定での言葉だ。
逆に言えばそれは、ゼクスがデパートから離れている可能性が十分にあるという意味でもある。
更に、思い返せば一方通行は何時頃にゼクスと接触し、分かれたかを一言も口にしていない。
故にデュオは、デパートへ向けては動けなかったのだ。
ゼクスと接触できなかった場合、得られるものは当然ながら何も無い。
ただですら時間を消費している現状、そんな賭けに出るわけにはいかない。
「まあでも、デパートと駅の位置はかなり近いんだ。
案外、ゼクスとセイバー達が接触してるって事もありえるわけだし、どうにかなるだろ」
「その場合、あの一方通行とかいう奴には不本意だろうがな」
「ハハッ、違いねぇぜ」
希望的観測を言うならば、デパートから最も近い施設は、他でもない合流地点の駅という事。
ゼクスが駅に残った者達や戻ってきたスザクと接触する可能性も、そう低くは無い。
ならば、合流したその時に改めて話を聞けるだろう。
ただし問題があるとするならば、ゼクスがもしも殺し合いに乗っていたらという事だが……
(いや……一方通行の言葉からしても、あいつは殺し合いを壊そうとしている側だ。
リリーナが死んだ事で、取り乱してるかもしれねぇが……敵とは言え、ここは信じるしかないな)
断定こそ出来ないものの、彼は殺し合いに乗っていないと判断しても十分だろう。
一応はゲームを壊そうと考えている一方通行と接触し、情報交換を行なったというのであれば、彼も同じ立場だろうと判断は出来る。
無論、これがデュオの全く知らない第三者ならばそうはいかないが、相手はゼクス=マーキスだ。
彼の性格からして、殺し合いを良しと思わぬ事は間違いない。
ゲームを壊す側を演じる殺人者になっているというパターンは、流石に無いだろう。
ならば、何故断定できないか……それはやはり、リリーナの死だ。
まさか、ゼクスが彼女の為に優勝を目指そうなんて事は流石にありえないと思うが……
そう言える以外、全く行動の予想がつかない。
「……大丈夫だろ」
「ん?」
そんなデュオの悩みを見抜いてか、式は彼に呟いた。
「阿良々木は兎も角、真田とセイバーの二人がやられるなんて事はそうそうないだろ」
「……成る程ね」
言われてみれば納得する。
幸村はその体つきや身の振る舞い等を見る限りでは、かなりの手馴れと判断できる。
セイバーに至っては、直にその実力を見ているから説明不要だ。
一般人の阿良々木は別として、仮にゼクスがあの二人と同時に戦ったとして、勝ち目があるか?
答えは、もはや言うまでも無いだろう。
(……改めて考えると、さっきの戦闘といい、洒落にならなさすぎる奴が多すぎるぜ)
◇◆◇
「さて……そろそろだな。
一体、何が出てくる事やら……」
それからしばらくした後。
二人は予想していたよりかはやや早く、目的地の近くまでやってきていた。
どうやら、時間のロスを無くすべく最短のルートを最速で走った事が、功を奏したようだ。
敵のアジトという如何にもな名前の施設。
幸村程ではないにしても、気にならないといえば嘘になる。
やはり、アジトの名に相応しい特殊な施設か。
それとも、難攻不落の名が似合う巨大な要塞か。
果たしてどんなものが待ち受けているか、デュオは息を呑んで進み……
「……ハァ?」
そして、素っ頓狂な声を上げた。
それも当然、目の前の施設を見れば誰だってそう思うはずだ。
敵のアジトなんて大層な名前をつけられた施設が……
「これ……マンションか?」
マンションだったなんて、誰が予想していただろうか。
しかし敢えて言うならば、どこにでもある様なマンションとは見た目がやや異なる。
見る限り、一階と二回は普通の建物。
しかしそこから上は、半円形をした10階建ての二つの住居棟が隣り合う様に建ち、
その中心部を円柱―――恐らくはエレベーターがある部分―――が繋いでいる。
言うならば……そう。
『太極図』を模したかのような形だ。
「……ったく、拍子抜けしちまったぜ。
どんなやばいのが出てくるかと思ったら、ちょっと見た目の変わったマンションなんてよ。
なあ、式?」
流石にこれには、デュオも溜息をつかざるを得ない。
横にいる式も勿論同じだろうと、彼は同意を求める……が。
「……敵のアジト、か。
確かに、こいつはその通りだな……」
逆に、式の表情はかなり真剣なものになっていた。
目の前の建物を、しっかりと見つめている……睨んでいると言ってもいいだろう。
その様子を見て、デュオはまさかと感じた。
普通、このマンションを見てここまで真剣になれる奴なんているわけがない。
しかし……
「……式、まさかお前、こいつを知ってるのか?」
建物の意味を知っているならば、話はまた別になる。
「ああ……小川マンション。
こいつは、俺にちょっと縁がある場所さ」
『敵』のアジト……その敵とは、式にとっての全ての黒幕。
すなわち、魔術士荒耶宋蓮の事。
そして目の前にあるマンションの名は、小川マンション。
荒耶の工房にして、根源へと辿り着くべく生と死が人工的に繰り返されている実験場。
式の脳裏に深く焼きついている、忘れられない場所のひとつだ。
「入るぞ、デュオ。
少し気になる事がある」
「え……あ、ああ」
駅で会って以来、はじめて式の方から行動の意志が告げられた。
デュオはそれに戸惑いつつも、内部の様子を確かめるべく、バイクを入り口につけて降りる。
そして中に入ろうとする、その寸前で。
「ああ、言い忘れてたけど、このマンションには人の精神に異常をきたしやすい仕掛けがしてある。
しっかりと意識を保っておけばどうにかなるとは思うが、気をつけろよ」
「な……!?」
さらりと、かなりとんでもない言葉を告げられた。
どういうことだと抗議をしようとするも、それよりも早くに式は内部へと入っていた。
デュオは当然の事ながら、今告げられた式の言葉が心に引っかかり、入る事を躊躇する。
しかし、このまま置いていかれるわけにもいかず……少しした後、意を決して足を踏み込んだ
◇◆◇
「うへぇ……これは確かに、気が狂いそうになるぜ」
マンションの内部に入り、デュオは式の言葉の意味を理解した。
床はところどころに微量の傾斜を着けることで、平衡感覚を狂わせ。
その概観は、塗装と照明の使い方で目に負担をかけてくる。
作為的に、マンション全体が人の精神を狂わせる構造にしてあるのだ。
ただし、これはデュオが先に式からその事実を告げられていたからこそ認識できているのであり、
何も知らぬ者がここに来れば、この様な仕掛けがしてある事なんてまるで気付けないだろうレベルだ。
もっとも、この仕掛けさえも予備的なものであり、荒耶による建物全体に施された
魔術的な措置での精神異常を狙うものこそが本命ではあるのだが、デュオにはそれを知る由など当然ない。
「敵のアジトなんて怪しい名前にしておいて、何も知らない奴がここを重点的に調べようとすれば、
やがては気が付かないうちに精神に異常をきたしていく……とんでもない罠だな」
名前からして怪しく、何かしらの罠に違いないという可能性は考えていた。
しかし……まさかここまで酷いとは、完全に予想外だった。
この仕掛けは、自分達の様に対主催派の人間ですらも、殺し合いに乗せる可能性がある悪辣な代物。
式の言葉が無ければ、デュオとて調べているうちにどうなっていたか分からない。
「後は、そんな風になってる先客がいない事を祈るだけなんだが……」
不安を感じ、周囲を警戒しつつデュオは先に行く式の後を追いかける。
すると、階段を上がって東側の住居棟へと足を踏み入れた、その矢先。
「……いたぞ、先客なら」
「何だって!?」
式から告げられるやいなや、すかさずデュオは銃を抜いた。
最悪の予想が当たってしまったと、彼は舌打ちをして内心毒づく……が。
少しして、式が溜息と共に口を開いた。
「落ち着け。
先客は確かにいたが、こいつはもう生きてねぇよ」
そう、先客は『いる』のではなく、『いた』のだ。
既に物言わぬ屍と化した、哀れな男が。
「……マジかよ」
「こんなところでギャンブルなんて、自殺行為もいいところだぜ」
式が見つめるその先にあるのは、本来のこのマンションには存在しなかった一室。
『ギャンブルルーム』という説明書きがなされた、巨大なモニターの設置された部屋である。
その中で、骸―――兵藤和尊は、驚愕の表情のまま椅子に座っていた。
死因は分かっている。
椅子の隣に設置された、病院でよく見る採血器の様な道具だ。
この男は、文字通り命を賭けたギャンブルに挑んだのだ。
「デュオ、分かるか?」
「ん〜と、ちょっと待ってくれよ」
式に言われ、デュオはギャンブルルームに備え付けられていた端末を操作してみる。
まさか、何のメリットも無しにこの男がギャンブルに臨み死んだとは思えない。
ならば、このギャンブルには……
「やっぱりな……予想通りだ」
モニターに、このギャンブルルームについての説明書きが表示される。
分かった事は、大きく分けて四つ。
まず一つ目が、この会場中に同様のギャンブル設備が備えられているという事。
二つ目が、このギャンブルは100点につき10万ペリカ、もしくは10ccの血液で支払われる麻雀である事。
三つ目が、勝利すればペリカを得られる。
更に相手が死亡した場合はその所有物も得られる―――どんな仕組みかは分からないが―――という事。
そして四つ目は、ギャンブルに参加したら逃げ出す事は出来ず、無理に何かをすれば首輪が爆破されるという事だ。
「こいつを利用すれば、腕っ節の弱い奴でも十分に誰かを殺せる上、ペリカまでもらえる。
ってことは、この爺さん……殺し合いに乗りやがったな」
「そして、返り討ちにあって死んだ、か」
この説明を見れば、目の前の老人が殺し合いに乗って死んだことは明らかだ。
驚愕の表情を見る限り、ギャンブルには自信があったに違いない。
まさか、己が敗北するなどとは思ってなかったのだろう。
事実、兵藤和尊の博才は会場内でもトップクラスだ。
「……運が無かったな」
だが……結局の所、彼は不幸だったのだろう。
機械越しの勝負であるが故に、その観察眼も働かず。
ギャンブルで己が命を晒した経験も無い為に、場馴れをしておらず。
そして……この小川マンションで勝負に臨んでしまった事もまた、少なからずその敗因だったに違いない。
人の精神を狂わせるこのマンション内で、精神力を使う麻雀というギャンブルに挑む事は、その時点で大きなハンデだ。
もしも兵藤がその事実に気付き、別の施設に移動した上で勝負を挑んでいたならばどうだろうか。
兵藤は、トレーズに殺されずにすんだのか?
逆に、兵藤がトレーズを殺していたかもしれなかったか?
それは確かに、ありえない話ではなかっただろう……だが、もはや今となっては完全なIFの話だ。
「それで式、このギャンブルルームがお前の言う、気になっていたって事か?」
「いや……確かにこいつは予想外だったが、それは違うぜ」
式は軽い溜息をついて答えた。
確かにこんな部屋が設置されていた事は予想外だったものの、彼女が気になっていた点は別にある。
それは、このマンションの住人……荒耶によって、延々と生と死を繰り返される者達がいるかどうかであった。
式はかつてこのマンションに乗り込んだ際、荒耶が操るその生きた死体達を相手に戦った。
もしかすれば、また同じことになるのではと予想していたが……どうやら、この予想は外れたらしい。
このマンションには、住民がいる様子は一切無い。
「このマンションはどうやら、中身がところどころ本物と代わってるみたいなんだ。
多分、殺し合いの為にいじられたんだろう」
「成る程な……それでどうする?
もう少しここを調べてみるか、それとも……」
問題は、これからどうするかであった。
もうしばらくこのマンションを調べてみるか、それとも立ち去るか。
アジトの正体そのものは分かったから撤退も確かに一つの手だが、
このギャンブルルームの様な殺し合いに関係した部屋が、もしかしたら他にもあるかもしれない。
調べるだけの価値はあるが……
「……いや、ここは引き上げるぜ。
丁度良い手土産もあるし、長居は無用だ」
式は死体を、正確には死体の『首』を指差しながら答えた。
彼女としてもこのマンションは確かに気になるが、時間的な事を考えるとここは引き上げた方がいい。
それに……目の前には丁度、自分達を縛り付けている厄介なものがある。
先程プリシラの遺体を目にした時は、デュオの機嫌を損ねるのが面倒で言わなかったが、今は別だ。
駅で待つ三人にこれを見せれば、何か解除の手がかりを得られるかもしれない。
「手土産か……確かにその通りだけど、あいつ等でこれをどうにかできると思うか?」
「さあな、人は見かけによらないっていうだろ?」
式はルールブレイカーを遺体の首元に当て……一閃。
死の線に沿っての斬撃で、見事に首を切り落とす。
そして残された胴体から、首輪を難なく取り出した。
「さて、それじゃあ行くか」
「出来る事なら、こんな危ない場所はぶっ壊しておきたいけど……やっぱ無理だよな?」
「流石に、マンション一個解体するのは俺でも無理だな」
この危険地帯をこのまま放置していく事に関してだけは、流石に不安はある。
しかし、これだけの建物を破壊する手段も無い以上、やむを得なかった。
ありったけの爆薬か、それかいっそモビルスーツでもあれば楽なのだが……そう思いつつ、デュオは溜息をつく。
考えたところで、無い物は無いのだから仕方が無い。
◇◆◇
(……『敵』のアジトか……)
階段をくだりつつ、式は施設の意味を考える。
何故、この小川マンションが『敵のアジト』なんていう名前で地図に書かれていたのか。
もっとも自然なのはやはり、先程デュオが口にした通り、訪れた者の精神異常を狙うのが目的の罠という可能性だ。
しかし……本当にそれだけなのだろうか?
(……いや。
首輪の事も考えると、そうとは言い切れないな)
この敵=荒耶宋蓮という事が分かるのは、会場にいる参加者ではたった二人。
両儀式と黒桐幹也のみだ。
そして、首輪の死が見えにくくされていたあの仕掛け……明らかに、式の事を意識している。
(まさか……?)
自分の事をここまで徹底して意識する相手に、式は一応の心当たりがあった。
あの男が裏で仕組んでいるのならば、全ての説明はつく。
一つ気がかりがあるとすれば、『参加者』としてあの魔術士がこの場にいる事だが……
ありえない話ではないだろう。
他ならぬ、式にとっての敵……荒耶宋蓮が、この殺し合いの根底に関わっているのかもしれないという事が。
【A-5/敵のアジト内/一日目/午前】
【デュオ・マックスウェル@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康
[服装]:牧師のような黒ずくめの服
[装備]:フェイファー・ツェリザカ(弾数5/5)@現実、15.24mm専用予備弾×93@現実、
BMC RR1200@コードギアス 反逆のルルーシュR2
[道具]:基本支給品一式×2、デスサイズのパーツ@新機動戦記ガンダムW、メイド服@けいおん!
[思考]
基本:なるべく殺したくはない。が、死にたくもない。
1:D-6の駅に正午までに戻り、セイバー達と合流する。
2:明智光秀、平沢憂には用心する。
3:デスサイズはどこかにないものか。
[備考]
※参戦時期は一応17話以降で設定。ゼクスのことはOZの将校だと認識している。
正確にどの時期かは後の書き手さんにお任せします。
※A-5の敵のアジトが小川マンションであると分かりました。
【両儀式@空の境界】
[状態]:健康、荒耶に対する僅かな疑念。
[服装]:私服の紬
[装備]:ルールブレイカー@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、首輪、ランダム支給品0〜1
[思考]
1:荒耶がこの殺し合いに関わっているかもしれないと考え中。
2:とりあえずはデュオと共に駅に戻るつもりだが、それからどうするかは不明。
3:黒桐は見つけておいた方がいいと思う。
4:光秀と荒耶に出会ったら、その時は殺す。
5:首輪は出来るなら外したい。
[補足]
※首輪には、首輪自体の死が視え難くなる細工がしてあるか、もしくは己の魔眼を弱める細工がしてあるかのどちらかと考えています。
※荒耶が生きていることに関しては、それ程気に留めてはいません。
しかし、彼が殺し合いに何かしらの形で関わっているのではないかと、疑念を抱いています。
※藤乃は殺し合いには乗っていないと思っています。
※A-5の敵のアジトが小川マンションであると分かりました
【小川マンション】
荒耶宋蓮が、根源に近づく為の実験場として用いていたマンション。
半円形をした10階建ての生活棟が隣り合い、その中心を円柱が繋いでいるという奇妙な形をしている。
荒耶による魔術的な措置や、建物自体の構造から、中にいる者の精神に異常をきたしやすいという特徴がある。
これは、原作にて燈子が黒桐に「気をつけろ」と発言した事から、
この事を自覚するか、もしくは強い精神力の持ち主ならば、耐えられると思われる。
このロワでは、本来いた筈の住人達は誰一人として存在いない。
また、3階にはギャンブルルームが一室設置されているなど、本物とは若干違う点も見られる。
以上、代理投下終了。
乙です。
敵のアジトは小川マンションか。
会長もこんなところでギャンブルすりゃ、そら死ぬわw
しかし、近くにいるギャンブル船の面々がマンションにきたら、えらい事になりそうだな……
代理投下乙です
俺もあのマンションだとは思わなかったよ
地雷みたいな場所があるのは不安だがどうなることやら
一方は誤解フラグ立ってるから早く戻って欲しいところだ
投下&代理投下乙です
アジトは小川マンションか、何も知らないで入ったらヤバいな
でも会長はそうでなくても負けていた気がする
◆zsYinY96dc氏へ
「ひとりにひとつ」の修正稿の有効性、並びにその内容について、
したらば議論スレにて論議状態となっています
もしこのレスをご覧になりましたら、該当スレにて何かしらの反応をして頂けませんか
>>172 必要ないだろ
三日もなにしてたんだ、議論スレの奴ら
修正うんぬん別にして、本人が議論スレを見ることに意味はあるだろ
連絡待ち
ちゃんと向こうでは待ってるから来てくれと言ってたけど
修正するなら本人が修正すればいいし、しないなら「修正しない」と意思表示すればいい
もう少し早く対応できれば良かったな
代理投下乙です。
ただ、全部荒耶宋蓮→荒耶宗蓮なので修正した方がいいです
>>174 議論スレは不毛な水掛け論争が多すぎる
わざわざ見るだけ時間の無駄
でも投下ラッシュに紛れる様なやり口はな
偶然かワザとか知らないけど
バサカの代理投下(6レス)までして追跡しやすくしてあるし
該当レスに対してレスアンカー打ってあるから解り易いと思うがねぇ
>>179 しかしこうして書き手に対する呼びかけが本スレに書かれてしまったからには・・・
書き手氏は議論スレにいやがおうでも返事をしなくてはなるまい
二日以内に返事がない場合は強制破棄というルールがあるしな
そもそも今頃になって呼びかけが来ること自体が異常だと思うが
まぁな、俺もそう思う
これでもし返事が来なかったら議論スレの連中はマジで破棄しちゃうのかねぇ・・・
キャプテンはもうすでに予約されてるというのに・・・
毒吐きスレで言えと言われそうですが、はっきり言って不毛です
というより所謂『処女厨キモイ』の流れを作る為だけの流れです
めんどくせーけど議論スレ読んできたよ
誰も正式に発議してない
おわり
自分が見落とした=汚いやり口
どんなブロント思考だよ
予約期限を過ぎても自由に加筆できてしまう前例、という点でも問題視されてるんだけどな
せめて仮投下スレを経由しておけば、と
189 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 01:32:25 ID:0b4mfhcG
伊達政宗、アーチャー代理投下します
蒼い閃光と紅い剣撃が交わる。
―――言葉など要らぬ。
ただ戦うだけでしか語りあえぬ相手。
二人の戦いには、この殺し合いなぞ関係ない。
己の誇りを懸けて刃をぶつけ合う。
そう、これは戦士たちの、――漢の戦いなのだ。
◇
「よもや、独眼竜と剣を交えることができようとは、光栄に思うぞ」
紅の聖骸布をはためかせ、双剣を振るうは弓兵のサーヴァント、アーチャー。
「Ha、どんなcynicalだ?俺を知って剣を向けるとは」
対するは、独眼竜の異名を持つ伊達政宗。
この会場に来て初めてその手にする彼の得物は、同じ戦国の世を生きる毘沙門天の化身、上杉謙信の刀。
「刃を向けてきたのは貴様からではないか?それに応えるべくが礼儀だろう」
アーチャーは右手の莫耶を政宗めがけて振り下ろす。
「俺は今angryなんでな、ちょいと暴れたかったのさ。You see?」
それを政宗は難なく弾き、反撃の一撃をアーチャーへと返す。
「ああ、いいさ。私も似たようなものだ。相手が独眼竜とあれば相手に不足はあるまい」
アーチャーは双剣をクロスさせ、その交差点にて政宗の刀を受け止める。
「Haha、言うじゃねえか!気に入ったぜ、あんた。やっぱり俺の『眼』に狂いはなかったぜ」
その焦眼ゆえか、それとも戦場を生きる男の本能か。
政宗には一目アーチャーを見た時から確信があった。
この男ならば、右目を失い、真の意味で片目のみとなってしまった哀しみを紛らわす相手に成り得ると――
戦国の世を生きる政宗には、同情や励ましの言葉などなんの意味も為さない。
ただ、己が身を投じて戦い抜く。
それが唯一の救いであり、宿命なのだ。
「ところでよぉ、あんたは俺のことを知っているようだが――あんたも名前ぐらい聞かせろよ」
「弓兵のサーヴァント――――アーチャーだ」
「Haha――!!archerが剣とは、どんなjokeだ?やっぱあんた面白いぜ」
「減らず口もそこまでだ、独眼竜。続きと行こうではないか――」
伊達政宗。史実に聞く通り破天荒な男だと、アーチャーは思った。
こんな男でも、戦国の乱世で一国を統治したというから不思議なものだ。
それゆえ、興味がある。
この男は、この殺し合いで何を信じ戦い抜くのだろうか。
◇
剣戟の金属音が響きわたる。
息もつかせぬ、攻防。
剣撃の嵐。
どちらも一歩も退かぬ。
ただ本能の赴くままに剣を振るい続ける。
「どうした?剣先に迷いを感じるぞ?」
「Don't Worry、あんたもそうだろう」
一瞬の間に、両者は後退。
態勢を立て直す。
静寂が場を支配する。
両者は睨み合い、空気は凍りつく。
二人の間を通りぬける風音が合図となり、両者は動き出す。
瞬間、紅と蒼の影が駆け、交錯する。
一刀と双剣が交わり、火花が散る。
どちらにも引かぬ。
どちらにも押さぬ。
刃は交じりあったまま、完全に静止している。
「独眼竜、伊達政宗。一国の主である貴様に問おう――貴様は何を持って民を治める?何を信じて戦国の乱世を生きる?
何を持ってこの殺し合いに立ち向かう?」
戦国を生きるこの男ならば―――
あるいは、答えが得られるかもしれない――ほんのわずかの期待がその問いには、込められていた。
「Han!俺は自分でやりたいことをやるだけさ。そうすれば、気づいた時には後ろに仲間がついてくる。俺は今までそう
やって生きてきた。それはこれからも変わんねえ!例え、片目を失ったとしてもなァア!」
竜の右目、片倉小十郎は自身が右目を失った時から、自身の右目としてそばに仕えた。
政宗が何かを為す時、一番最初に自分へついてくるのはいつも彼だった。
彼が背中を守ってくれるからこそ、ひたすら前へ突き進むことができた。
天下統一の時だって、きっとそうだと信じていた。
だが、その右目は今はもういない。
だからと言って、政宗は自身のこれからの生き方を変えるつもりはない。
たとえ一人だろうが、殺し合いを壊し、天下統一を成し遂げる。
その過程で自分を追ってきた奴は勝手についてくればいい。
それが、伊達政宗の生き方なのだから――
「――それが貴様の生き方か」
アーチャーは思う。
自分とはまるで逆だ―――
正義の味方を目指し人々の為戦った果てに、その救おうとした人々に殺された自分とは。
誰一人として、理解はされなかった。
だというのに、目の前の男は己が信じるまま進むだけで人々を導ける。
一体、何がそこまで自分とこの男を違わせるのだろうか。
二人は交差する剣を引き、一歩下がる。
剣先は互いを向いたまま、男たちは睨み合う。
アーチャーは自嘲の笑みを口元に浮かべる。
この男は英霊エミヤの生き様をどう思うだろうか?
それを問うてみるのも、また一興だろう。
「とある、男の話をしよう。その男はすべての人々を救おうとした。その為には自分の身も顧みないほどの愚かな理想主
義者だった」
「What?なんの話だそりゃ?」
アーチャーは、拍子抜けしている政宗に構わずに話を続ける。
「その男は人々のため戦った、戦い続けた。だが、最期にはその救おうとした人々に殺された」
「So What?気でも狂ったか?」
「その後はさらに地獄だった。正義の味方を目指し、人々を救うことが幸せだった男は皮肉にも人間を殺し続けないとい
けない宿命にあった。ああ、呆れるほど殺し続けたさ。もはや希望などあるはずもない」
アーチャーの突然の狂言じみた言葉に黙って耳を向けていた政宗。
だが、流石にわけのわからない独り言に怒りを覚えた。
「おいおい、俺はそんなくだらねえstoryなんか聞きたくもねえ。とっとと、続きといこうぜ」
「これが、英雄エミヤ―――オレの生き様だ。貴様はどう思う」
政宗は一瞬驚いたものの、思わず笑ってしまった。
「Hahaha!!!そりゃあ、crazyだな。でも、だからなんだっていうんだ?あんたは現に生きて俺の目の前にいる。だっ
たら、あんたの好きなようにやればいい。それだけの話だろうが」
政宗はあまりの可笑しさに、戦意を削がれてしまっていた。
いや、あるいは小十郎の死が与えた迷いがアーチャーとの会話で吹き飛んでしまったのかもしれない。
自分は自分の信じたことを貫くまで――と。
こんなところで立ち止まってしまっていては独眼竜の名前が廃る。
自身の信念が確固たるものとなった今、憂さ晴らしがてらのこの戦いも、これ以上続ける気もない。
「それが、貴様の答えだというのか。――なるほど、心得た。ならば、必ずやこの殺し合いを壊してみせよ。その先で貴
様と出会った時にこの決着はつけよう」
「言われなくともそうするさ。Ha、初めからその気なんじゃねえか、弓兵。ならば、せめてもの礼だ。goodな情報をくれ
てやる」
政宗はこれまで出会った参加者とその情報を簡潔に話す。
神原、ゼクス、一方通行、プリシラと出会い、第3放送前に象の像前で集合するプランを立てたこと。
スザクと出会い、D-6駅に集合している者たちがいることを聞いたこと。
そのスザクと幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいること。
政宗はこれまで出会った参加者とその情報を簡潔に話す。
神原、ゼクス、一方通行、プリシラと出会い、第3放送前に象の像前で集合するプランを立てたこと。
スザクと出会い、D-6駅に集合している者たちがいることを聞いたこと。
そのスザクと幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいること。
「まあ、あんたが群れるようなタチとも思えねえけど、知っておくに越したことはねえ。俺は円形闘技場と憩いの館を通
って城へと向かう。ついてきても構わねえぜ、邪魔をしない限りはな」
「生憎、待ち人がいるからな。貴様の会ったという男の知り合いだ」
「そりゃあ、luckyだったな。さて、talkも終りだ。俺は先に行くぜ」
「ああ――、貴様の答え、しかとこの目で見届けさせてもらおう」
政宗とアーチャーは互いに背を向け、そのまま振り返ることなどなく、自身の目的地へと向かって歩き出す。
◇
右目は潰えた。
だがしかし、ここには変わらない意志がある。
これからも変わりなく進み続ける意志が。
そして、政宗は一人ではない。
彼には肩を並べて戦っても悪くないと思える戦士がいる。
好敵手の真田幸村。
彼は政宗が認めた存在。
あの熱血漢ならば、この殺し合いを壊すべく動くことだろう。
そして、先ほどの弓兵アーチャー。
彼もまた、政宗がもう一度戦いたいと思うほどの実力を持っていた。
彼の答えが自分と同じ道にあるならば、彼とは再び邂逅を果たすだろう。
なぜだか、政宗には妙にそんな確信があった。
――貴様の答え、しかとこの目で見届けさせてもらおう。
あの男はそう言った。
「ああ、いいぜ。天下統一の軌跡、しかとその目に焼きつけさせてやろうじゃねえか」
【D-5/橋付近の路上/一日目/朝】
【伊達政宗@戦国BASARA】
[状態]:健康
[服装]:眼帯、鎧
[装備]:上杉謙信の刀@戦国BASARA
[道具]:基本支給品一式、田井中律のドラムスティク×2@けいおん!
[思考]
基本:自らの信念の元に行動する。
1:自分の信じる道をただ進みぬく。
2:『円形闘技場』『憩いの館』を経て『城』へ向かう。
3:主催を潰す。邪魔する者を殺すことに抵抗はない。
4:信長、光秀の打倒。
5:ゼクス、一方通行、枢木スザクに関しては少なくとも殺し合いに乗る人間はないと判断
6:戦場ヶ原ひたぎ、ルルーシュ・ランペルージ、C.C.に出会ったら、12時までなら『D-6・駅』、
その後であれば三回放送の前後に『E−3 象の像』まで連れて行く。
7:幸村とアーチャーの実力を認めたうえで、主催者打倒の力として期待。
[備考]
※信長の危険性を認知し、幸村、忠勝とも面識のある時点。長篠の戦いで鉄砲で撃たれたよりも後からの参戦です。
※神原を完全に信用しているのかは不明。城下町に住む庶民の変態と考えています。
※知り合いに関する情報をゼクス、一方通行、プリシラと交換済み。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランに同意しています。
政宗自身は了承しただけで、そこまで積極的に他人を誘うつもりはありません。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。映像データをスザクが消したことは知りません。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
◇
御坂美琴は、自身の死を知りながら見知らぬ女を助けるために最後の力を使い果たした。
きっと、遠坂凛と同じく、底抜けのお人好しだったのだろう。
損得勘定抜きに、目の前の人間を救ってしまうような人間。
だが、衛宮士朗は違う。
「正義の味方」という観念に捕らわれた異質な存在。
人を救うことが望みだったのではない。
ただ脅迫観念がそうさせただけだった。
電撃少女、御坂美琴のように当り前のごとく他人を救えるのならば――
独眼竜、伊達政宗のように己が信じる道を真っ直ぐに進めるのならば――
もしかしたら違う未来があるのかもしれない。
もとより聖杯戦争に敗れ、抑止の輪へ還るはずだったこの魂。
それが今ここに「抑止の守護者」としてではなく、弓兵のサーヴァント「アーチャー」として存在している。
ならば、過去の改竄など行わずとも、未来を変えられるかもしれない。
過去の自分である衛宮士朗の運命を変えられるかもしれない。
そして、かつては救えなかったセイバーも、救えるかもしれない。
だとすれば、その可能性に賭けようではないか。
例え、それが叶わぬ幻想だとしても―――
「――ああ、答えは得た。オレはオレのやりたいようにやらせてもらうさ」
そこには、いつしかの少年の心を取り戻した英霊エミヤの存在があった。
【D-5/民家街の路上/一日目/朝】
【アーチャー@Fate/stay night】
[状態]:健康 魔力消費(小)
[服装]:赤い外套、黒い服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×3
[思考]
基本:他者を救うために行動。
0:未来は変わるかもしれない――。
1:C.C.の元に戻り、政宗から得た情報を伝える。
2:伊達政宗の信念を見届ける。
3:情報を集めつつ、衛宮士郎とセイバーを捜し出す。
4:荒耶、赤毛の男(サーシェス)に対し敵意。
[備考]
※参戦時期は衛宮士郎と同じ第12話『空を裂く』の直後から
※凛の令呪の効果は途切れています
※参加者は平行世界。またはそれに類する異界から集められたと考えています。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランを知りました。
※12時までD-6駅に集合している者たちがいることを知りました。
代理投下終了です
漢同士の魂の語らいですか。いいなあ
政宗もアーチャーもとりあえずはふっ切れたか
さるったか?
支援
投下乙。二人とも熱いな
だが独眼竜、城にはバサカさんが向かってるから引き返してくれwww
はち合わせたらまず殺されちまうよなぁ・・・
投下乙です。
一点気になったのですが二人の情報交換は政宗がアーチャーに一方的に話しただけで
アーチャーの同行者がスザクの探してたCCだとは聞いてないのでしょうか?
もしCCについて聞いていれば政宗の思考6をアーチャーに伝えてるだろうと思ったので。
貴様の会ったという知り合い
って伝えてる。
あ、スザクの知り合いって意味ね
投下&代理投下乙です
こういう男の戦いっていいよな、自分の信念に基づいてただひたすら邁進する
別れも清々しかった
一つ気になる点。
前話で政宗はD-5の政庁を出て『円形闘技場』『憩いの館』を経て『城』へ向かうつもりだったから当然西行き
一方のアーチャーはE-5にいて駅を調べたいと言っているから南行き
二人が出会うのは無理があるんじゃ?
アーチャーだったら道に迷っても仕方がない話
>>201 それ以前に、前の話で既に駅の目前まで移動してる
状態表ではE-5になってるけど、多分こっちの位置の方が正しい
204 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 20:03:20 ID:OyWhP/JW
代理投下します
「レイ」
呼ばれて、顔を上げれば、モニターの隅に愛する妻の顔が映っていた。カメラとマイクをそちらに合わせる。
「ヴォルケインの調子はどう?」
「ああ、問題ない」
するとシノはそう、と微笑む。つられて、こちらも顔を綻ばせる。
彼女が設計を担当したヨロイ、《ヴォルケイン》は既存のものをはるかに凌駕する、素晴らしいものだ。
それがまるで自分のことのように誇らしい。彼女の夢、その一端を担えるのならば、自分は幸福である。
そんな風に感じられるのは、やはり彼女を愛し、夫であるからであろう。そう考えたあたりで、レイは気恥ずかしそうに鼻を鳴らした。つくづく自分はシノに惚れているな。
「兄さん! シノさん! 食事の準備ができました!」
そう言って格納庫に駆け足で現れたのは、自身の弟。その相変わらずの快活さに苦笑しながら、レイはコックピットを開いた。
「わかった、今行く」
「ねえ」
「ん?」
ロッキングチェアに揺られていたレイは、そちらに目を向ける。食後のせいか、しばしまどろんでいた。
「辛くない? 私の研究に付き合わせてしまって……」
申し訳なさそうな妻の顔を、レイは微笑を持って迎えた。何をいっているんだか。
「俺も、ジョッシュも、好きでやっていることだ」
もっとも、その『好き』という対象は違うだろうが。レイは別室で寝ているであろう弟を思い浮かべる。
「俺は幸せだ。お前の夢の手助けになれて、よかったと思っている」
するとシノは破顔一笑し、夫の手を握る。
「よかった。私もあなたと、ジョシュアに出会えて幸せよ」
「そうか」
レイは笑みを絶やさず、妻を自身の胸元に引き寄せる。シノは流されるように、夫に身を預ける。
「こんな毎日がいつまでも続けばいいのに」
「続くさ」
美しい髪を撫でながら、断言する。だんだん、眠気が強くなってきた。まあ、いい。起きても何も変わりはしない。いつも通りの幸福の日々。妻と弟と共に、変わらぬ毎日を……。
「所詮は夢か」
レイ・ラングレンは橋の上にいた。意図的にではない。ただ、気がつけばそこにいた。
その存在はまるで幽鬼のようにおぼろげで、不安定である。
「シノ、俺はお前を守ることも、仇を討つこともできなかったよ」
水面に映る自分は、ひどく無様に見えた。いや、実際そうなのだろう。自分がやってきたことは、すべて徒労に終わった。
多くの人を裏切り、撃ち殺し、進んできたというのに……。
「お前の作ったヴォルケインを眠らせてやりたいが、それさえできない」
呼び出すことも見つけ出すことも現時点ではできていない。やったことと言えば、ただ策略と暴力に身を任せただけ。
これでは、カギ爪と大差ない。麻薬で逃げることも考えた。しかし、自分はシノの死と同時にすべての楽しみを絶った。それは薬物も例外ではない。
その代わりといっては何だが、あの少女のために『円形闘技場』にそれは置いてきた。後はあちらの問題であって、自分は関知しない。そういうことにした。
(シノ、俺はどうすればいい? 『夢』も『仇』もない俺に、何が残っている?)
答えの返ってこない問いを抱えたまま、男は歩く。無気力なその足取りは、まるで『生』を否定しているようである。
男はただ歩む。
向かうはどこか。
対するはだれか。
生きるはなぜか。
その答えが欲しくて。
■
「スザク、あなたのおかげです」
「いえ、ユーフェミア様――――ああ、ユフィのおかげだよ」
スザクは相手が顔をしかめたのに気付き、慌てて訂正する。それに満足したのか、少女は笑顔で頷く。
「行政特区日本にこれほどたくさんの日本人のみなさんが集まったのは、あなたという希望がいるから」
「でも、その希望も、君がいたから」
「あら、お上手ね」
唇に指を当てて笑う彼女につられて、自分も表情を崩す。実際そうなのだ。
ユフィが自分を騎士に選んでくれなければ、ここまで辿り着けなかっただろう。それには望外の幸福を感じている。
彼女の期待に報いるためにも、自分はより一層の努力をせねば。
「ユフィ、僕は君の支えになれるよう、これまで以上にがんばるよ」
すると彼女は一瞬驚いた顔をして、再びくすくす笑う。なぜだろう、何かおかしなことを言っただろうか。
「もう十分支えになっているわ。それにスザクはがんばりすぎよ。少しは休まないと体がもたないわ」
「そうかな」
頭に片手をやり、首を傾げるスザクに、ユフィはカバンを渡す。
「ほら、そろそろ学校の時間でしょ? ちゃんと行かなきゃ」
私みたいになったらダメよ、と念を押され、困った顔で受け取るスザク。
「ああ、うん。ユフィも一緒に行けたらいいんだけど……」
アッシュフォード学園ならばあるいは、とも思うが、やはり難しいだろう。
ブリタニアの領土とはいえ、エリア11はまだ混乱収まらぬ地域なのだ。
いつ暗殺や誘拐が行われるか分からない。さすがに四六時中自分がそばにいるわけにもいかないし……。
「そこは弁えてるつもりよ。皇位継承権を失ったとはいえ、私は皇族だから」
そう言う彼女の顔はどこか悲しそうで……。スザクは彼女の手を握った。不思議そうにしているユフィに、
「帰ってきたら話すよ。学校であったこと、全部。なんならルルーシュやナナリーを連れてきても……だから……」
握られた手が優しく握り返される。少女は慈愛に満ちた笑みを浮かべて、
「ありがとう、スザク」
それはありえた『未来』――――ありえなかった『過去』。
(そのはずだった。なのに)
彼女は生きている。ここにいる。どこかで今も……そう考えただけで、どうにかなりそうだった。
もしあのときギアスの事故がなければ、自分は今も彼女の騎士であっただろう。
ルルーシュも彼女の『日本』を認めていたようだし、黒の騎士団もその活動を縮小させていたはずだ。
そう、すべてはうまくいくはずだった。自分は彼女とともに、彼女の理想を、夢を……。
(だがそれはもう『結果』でしかない)
現実は違う。ユフィは死に、その結果、自分はルルーシュを皇帝に売った。彼女との死別は、親友との確執を生んだ。それが本来の『過去』――――『結果』。
だが、もしそれが変えられるなら……?
ユフィがそばにいて、ルルーシュとは友達のままで、ナナリーだって……。
「神原さん、あなたには恋人……好きな人はいますか?」
「ん? 突然だな。ふむ、好きか。好きというのは――」
「回りくどい言い回しはいりません。いるか、いないかでお願いします」
階下へと急ぐ足を止め、神原駿河は枢木スザクに怪訝な視線を送った。
なぜそんなことを聞くのだろう、そう思ったのだろう。自分もなぜそんな疑問を口にしたのかよくわからない。ただ気になっただけなのだろうが。
「……いるぞ。阿良々木先輩はその二人の中の一人だ」
「そうですか。では仮に、あなたの友達が阿良々木さんを殺したら、その友達を殺そうと思いますか?」
包帯で巻かれた左腕がぴくっ、と動いた。怪訝な視線はさらに強くなる。
「枢木殿、なぜそのような質問を投げかけるのかは、教えてくれないのか?」
「すみません。ですから、答えてもらえなくても構いません」
さきほどから周囲を飛び跳ねるハロをバッグにしまうスザクに、神原はぽつりと、本当にぽつりとこう言った。
「多分、殺したくないと思う。しかし、それは表面上だけで、本当は殺したくてしかたがないはずだ」
「そうですか。……なら、急いだ方がいいですね」
「ああ。世話をかけるな」
「いえ」
スザクのいかにも無理した笑いに、神原は笑い返す。とりあえず、今は彼女を送り届けよう。
あの悲劇を、不幸を味わうのは自分だけで十分だ。もうこれ以上、あんな過ちは繰り返してはならない。
だからこそ、『ゼロレクイエム』は完遂しなければならない。
ユフィの遺志を継いで、自分とルルーシュなりに優しい世界を作らなければならないのだ。
それがたとえどんなに残酷な手段であろうと。
「……神原さん、僕の後ろに」
「ん? ああ、わかった」
一階に戻った二人は、先ほど自分たちが座っていたソファに誰かがいるのに気付いた。
その男はぼんやり外の景色を眺めていて、こちらにまるで気付いてない――いや、興味がないというべきか――ようだ。
金色の長髪、切れ長の瞳の、どこかの民族衣装を着たこの男を自分は知らない。神原に視線を送ると、首を横に振った。
スザクは心中でため息を吐き、バッグから『レイ・ラングレンの銃』とバタフライナイフを取り出した。銃を腰にさし、ナイフを服に仕込む。
これなら離れている相手はいきなり襲ってくるとは思わないだろう。ただの帯刀した男、それくらいの認識のはずだ。
もちろんそれで警戒や反撃をしないとは言い切れないが。
「こちらをゆっくり向いてください」
その時男は初めて自分たちに気付いたように、顔を揺らす。そしてこちらの要求通りゆっくり自分たちを見た。
スザクは、男の死んだような眼になぜか既視感を覚える。
「自分は神聖ブリタニア帝国所属、ナイトオブゼロの枢木スザクです。こちらに敵意はありませんが、あなたは」
「なんだその眼は」
スザクの言葉を遮って、金髪の男は嘲笑する。その態度と言葉に、ナイトオブゼロは一瞬体を硬直させた。
なぜか神原は自分と相手を不思議そうに見ている。男の言葉は続く。
「惚れた女にでも死なれたか」
その鼻で笑うような仕草に、スザクは激しい憤りを覚えた。お前に何が分かる。自分の境遇の何が分かる。
スザクは刀を模した銃に手をかけ、男を睨んだ。民族衣装の男はその姿を認識して、再び嘲笑。
「それで俺を撃つのか」
「なっ……」
この『銃』を見破った? いや、それともこの『銃』を知っているのか? だが、それでも引き下がるわけにはいかない。
しかし、これからどうすれば……。真田幸村や伊達正宗とは毛色の違う相手の対応に煩悶していると、男が口を開いた。
「これからどうする気だ。女を探すのか。それとも仇を討つか」
すぐにユフィとルルーシュの顔が浮かぶが、振り払う。違う、そんなことを彼女は望んでいない。しかし、友が憎いことは事実。
だからルルーシュはゼロレクイエムを……。
「自分はそんなことはしません。自分は世界を救うために、新しい『明日』を迎えるために――」
「クククク――――フハハハハハハッ!」
すると男はなにが可笑しかったのか、宙を見上げて大笑いをした。スザクはギリッと歯を食いしばる。何が可笑しい。
ひとしきり笑うと、切れ長の瞳がこちらを捉えた。
「それは逃げだ。向き合おうとして、結局逃げているだけだ。もっともらしい大義名分で、自分に言い訳をしているだけだ」
「あなたに――――お前に何が分かる!」
スザクは銃を引き抜き、構える。もう限界だった。すでに彼の精神はこの異常事態に耐えかねているのだ。
本来なら触れられないであろう心の奥底を、この男は簡単に踏み入る。スザクはそれが彼女との思い出や、彼女の死を穢されているような気がしてならなかった。
平素なら落ち着いて対応できたかもしれない。しかし、この殺し合いの舞台に死んだはずの思い人が今も生きている――――そんな状況で、平然としていられるわけがないのだ。
本心を打ち明ければ、今すぐにでも彼女のもとへ向かいたい――会いたい。そしてまた昔のように……。
だが男は鼻で笑うのみ。
「フン、女一人救えない奴が、世界などと」
男は立ちあがる。
「どうやら僕たちは分かり合えないみたいですね」
スザクは照準を相手の頭部に合わせる。
「そのようだな」
男は懐に手を伸ばす。
「あなたの考えには共感できません。しかしそれ以上に――――」
引き金に指がかかる。
「ああ、そうだな。それ以上に―――」
服がはためく。
『その声が不愉快だ』
二つの銃声と共に、影二つ、舞う。
■
何も考えたくなかった。どれだけ考えても、シノの死とカギ爪の死、どちらも覆らない。その事実が、『結果』が自分を苦しめる。
だから、何も考えたくなかった。『政庁』に寄ったのは、ちょうどそこに椅子があり、昔のようにまどろめるやもしれぬという淡い期待から。
しかしそれはできなかった。いくら復讐という呪縛から解放されても、後に残るのは今まで以上の虚無感だけ。
爽快とか、満足とか、そんなものはまるでない。ましてや、幸福など。
だからなのだろう。目の前の男が許せないのは。目を、なりを見てすぐに分かった。こいつは自分と同じ人種だと。
まるでシノを失った直後の自分のように、鬱屈した何かを抱えている。それがひどく自分を貶めているようだった。
「なるほど、そんな腕では仇は討てんな」
飛来する銃弾を容易く避け、二発応射。ソファがはじけ、中から綿が飛び出す。
元々自分用に作った特殊な銃だ。一朝一夕で使いこなせるわけがない。
「黙れ! お前に何が分かる」
「理解したくもされたくもないだろうな。こんな惨めで、虚しい気持ち」
「分かったような口を聞くなぁっ!」
乱射しながら肉迫してくる。銃撃戦では不利と判断し、接近戦に持ち込むつもりだ。いい判断だ。しかし、
「見縊るな」
取り出したるは絶対の強度を誇る麻雀牌。回避運動によって捻られた肉体。その反動で生まれる遠心力を腕にのせ、投擲。
下手すれば銃弾より強力なそれは、相手が構えたナイフを奪い取った。
「ぐぅ!?」
宙を舞う銀色に、三発。柄と刃が砕け、その欠片が陽光を反射し、輝く。相手はそれが目に入るのを恐れ、素早く後退する。
「でかい口を叩く奴ほど、大したことはしない――できない」
「じゃあ教えてくれ! 俺はどうすれば……!」
「そんなもの自分で考えろ」
もっとも、考えたところで、実行できなければ意味がないのだが。それでも人は足掻かねば、生きていかなければならない。
生きていかなければならないのだが……。
(俺は、何のために生きればいい……)
レイは銃をゆっくり下げる。これだけの技能を獲得しながら、結局仇は討てなかった。復讐は叶わなかったのだ。ならこの腕に、命に何の意味がある。
シノのいない世界に、カギ爪のいない世界に、何の意味が……。
(シノ、俺はもう、疲れたよ……)
動かなくなったレイを見て、スザクは好機と思ったのか、跳躍し、回転蹴りを仕掛ける。
しかしそれは容易くいなされ、逆に強烈な回し蹴りを見舞われてしまう。中身の出たソファが彼を受け止め、細かな繊維がスザクの周囲を包む。
「世界を救うというなら、目の前の命くらい、救ってみせろ」
銃口を向ける相手は、当事者ではなく、傍観者。女は呆けた表情でそれを見ていた。動けないのか、あるいはそのつもりがないのか。
まあ、今まで何もしなかったのだから、大した力はないのだろう。視線を戻せば、男は不慣れな銃を自分に向けていた。そうだ、それでいい。
(幸福も復讐も失った。もううんざりだ)
トリガーにかける指に力を込める。
(シノ、今行くよ。もう一人には、しないから……)
乾いた銃声が、辺りに響く。
■
吐き出された銃弾は容赦なくそれを蝕み、砕く。神原駿河の足はまるでその役目を失ったように弛緩し、遅れて体が壁をこすり、ずるずると落ちていく。砕けたそれの欠片は少女の体のそばを舞い落ちる。
神原駿河の頭部。
そのすぐ横の、コンクリート。
驚愕に目を見開く神原だが、それ以上に驚愕しているのは、
「なぜ……撃たなかった……」
狼狽する男に、スザクは首を横に振る。
「あなたは『殺したい』んじゃない」
気付いてしまった。
「『殺されたい』んだ」
彼は昔の自分だと。
枢木スザク。日本最後の内閣総理大臣・枢木ゲンブの嫡子である彼は、日本をブリタニアの侵攻から守る為に、ブリタニアへの徹底抗戦を唱えていたゲンブを殺害した過去を持つ。
その結果日本は敗戦国となり、国はエリア11として、民はイレブンとしての生き方を余儀なくされる。
その贖罪のために、逃避のために、スザクは常に自分の身を危険に晒してきた。正義に殉じて死にたかったのである。
しかしその願望は、刑罰は、ある少女によって形を変える。その少女こそが、件のユーフェミア・リ・ブリタニアなのだ。
「俺には『女』も『仇』もいない。生きていても仕方がない」
「それがどうした」
スザクは男の胸倉をつかむ。無気力な瞳が、使命を宿す視線を映す。
「あれだけのことを言ったんだ。あなたには、俺の『結果』を見届ける義務がある」
「俺に、生きろ……と?」
「そうだ」
まるで自身にかけられた呪いと同じだな。スザクは自嘲した。
「すべてを見届けてから、死んでゆけ」
「フン、勝手だな」
男は掴まれた腕を振りほどき、背を向ける。
「…………。だが、暇つぶしにはちょうどいい。もう少し、生きてやる」
彼がどんな顔をしているのかはわからない。しかし、スザクにはなんとなくだが、想像できた。ルルーシュと同じように、この人も……。
「レイ・ラングレンだ」
「あ……」
そこで気付く。なぜ彼が銃のギミックに気付いていたのか。当然だ、彼の銃なのだから。
スザクは男に自分が持っていた銃を差し出した。レイはその銃をじっと見て、少し笑って腰にさす。今更だな、と呟きながら。
「拳銃はこれで十分だ」
先ほどまでレイが使っていたハンドガンが弾薬とともに放り投げられた。それをスザクは受け取り、残弾をチェックする。
「感謝します」
「簡単に死なれては困るからな」
しばしの情報交換の後、腰の抜けた神原を背負ったスザクの後をレイが追う形で三人は政庁を出た。
スザクは後ろの男をちらりとうかがう。もっとはやく気付くべきだった。戦闘中、彼は自分を撃とうとしなかった。そばの椅子だったり、武装だったり。
もとから『そういう気』はなかったのだ。つくづく自分に似ている。では、自分もユフィやルルーシュを失えば、ああなるのだろうか。そうは思いたくないのだが。
(ユフィ、君に会いたい。だけど、今の僕は、ルルーシュの剣だから)
まずはルルーシュと合流し、この『ゲーム』をぶち壊す。それが最優先事項。もしその時までユフィが生きているのなら、その時は――――。
――――会いに行くよ。
【D-5/住宅街/一日目/朝】
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:疲労(小)、「生きろ」ギアス継続中
[服装]:ナイトオブゼロの服とマント
[装備]:ベレッタM1934(8/8)
[道具]:基本支給品一式、湿布@現地調達
ノートパソコン@現地調達、ランダム支給品0〜2(確認済み) 赤ハロ@機動戦士ガンダムOO、9mmショート弾(57発)
[思考]
基本:この『ゲーム』を破壊し、ゼロレクイエムを完遂する。
1:神原駿河を連れていったん『D-6・駅』に戻る。幸村に政宗からの伝言を伝える。
2:ルルーシュを捜して合流。その過程で会えればユーフェミア、C.C、アーニャと合流する。
3:明智光秀、織田信長、平沢憂には用心する。
4:ルルーシュに危険が及ぶ可能性のある要素は排除する。
5:確実に生きて帰る為の方法、首輪を外す方法を探す。
6:政宗がルルーシュたちを連れてくる可能性があるので、12時までは『D-6・駅』にチームを組んだメンバーの誰かがいる状態にし、
三回放送時には『E-3・象の像』へと向かう。
[備考]
※ラウンズ撃破以降〜最終決戦前の時期から参戦。
※主催がある程度の不思議な力を持っている可能性は認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。
※参加者が異世界から集められている可能性、別の時間軸から集められた可能性を、僅かですが考えています。
※もしかしたら『敵のアジト』が『黒の騎士団のアジト』ではないかと少し疑っています。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランを政宗と神原から聞きました。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、ビデオメールの送信元と受信時間を確認しました。
※放送で遠藤が話していた内容は把握していません。
【レイ・ラングレン@ガン×ソード】
[状態]:疲労(中) 肋骨を数本骨折 左肩に銃創(処置済み) 脇腹に浅い銃創
[服装]:武士のような民族衣装(所々破損)
[装備]:レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード
[道具]:基本支給品一式×1、デイパック、ドラグノフ@現実(3/10)、ドラグノフの弾丸(20発)、
GN首輪探知機@オリジナル、麻雀牌@咲×31個、平バール@現実
[思考]
基本:もう少し生きてみる。
1:枢木スザクの『結果』を見届ける。
[備考]
※参戦時期は第8話〜第12話のどこかです。
※ブラッドチップ・3ヶ@空の境界は円形闘技場に置いてきました。
※麻雀牌@咲×1個は回収しました。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランをスザクから聞きました。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
平素なら異常なほど舌が回る神原だが、さすがにこの状況では閉口せざるをえなかった。
今まで戦闘という戦闘を経験しなかったこともあって、今回はこたえた。
彼女の『戦闘』と言えば、一方的に殴ったりするだけで、あんな風にお互いの殺気を撒き散らすようなものではない。
ゆえに、恐怖を隠しきれないでいた。一歩間違えれば、一瞬気を許せば――――簡単に人は死ぬ。その現実が彼女の精神を疲弊させる。
(それにしても)
自分が何を見ているのか最初はよくわからなかった。『世界には自分と同じ人間が三人いる』という話を聞いたことがあるが、声がそっくりな人たちに出会ったのはこれが初めてだ。容姿はまるで違うのに。
(でもあの声、どこかで……)
最近聞いたような気がするが、どこだっただろうか。まあ、そんなことはいい。目下の懸案事項は……。
――――替えの下着、どこかにないものか。
【神原駿河@化物語】
[状態]:健康、若干の恐怖
[服装]:私立直江津高校女子制服、しみパン
[装備]:縄@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2(未確認)、神原駿河のBL本セット
[思考]
基本:戦場ヶ原ひたぎと阿良々木暦を守りたい。が、殺し合いはしたくない。
1:枢木スザク、レイ・ラングレンと共に『D-6・駅』へ行き、阿良々木暦に会う
2:戦場ヶ原ひたぎに会いたい
3:真田幸村に出会ったら、政宗からの伝言を伝える
4:伊達政宗のことが心配
[備考]
※アニメ最終回(12話)より後からの参戦です
※左腕の状態やレイニーデビルに関する情報は誰にも話していません。
※政宗を戦国武将の怪異のようなもの、と考えています。
※知り合いに関する情報をゼクス、一方通行、プリシラと交換済み。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランに同意しています。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。映像データをスザクが消したことは知りません。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
代理投下終わり
確かにこの二人は共通点あるわなw そして二人とも少し前向きになれたか
でもなんだか崩壊フラグが積み重なってるだけな気もするな
題名が秀逸すぎるwww
そうか、どっちも櫻井さんだったな。あと微妙に似てる部分もあるし
投下乙でした
投下乙です
世の中には似た人が3人いるというがこれはw
ところで神原はもしかして失禁してしまったのか?
投下&代理投下乙です
ああ、声優同じなのかwもしアニメなら大変だな
なんとなくゼロが藤堂を引き入れる場面を思い出した
福路美穂子、平沢唯、琴吹紬、船井譲治
代理投下します
「あ……あれ?」
気が付けば、私は見慣れた学校の体育館の中にいた。
壇上に運ばれたキーボードの前に、ぼんやりと立ち尽くしている。
周囲を見渡すと、軽音部の仲間たちが各自の楽器の前で、緊張した面持ちを見せている。
壇上の幕はまだ上がっていない。
幕の外側から小さく、館内の喧騒が聞こえてくる。
今まで何度か経験した、ライブ直前の風景。
「先輩?どうしたんですか?」
傍らに立つ後輩が心配そうな顔で話しかけてくる。
「急にボーっとしちゃって……もしかして、熱でもあるんですか?」
「い……いいえ、ちょっと、考え事をしていただけだから」
私はとっさに、ぎこちない笑顔を作ってそう答えた。
「もう、しっかりしてくださいよ。今日は先輩達との初ライブなんですから、絶対に成功させないと!」
後輩との初ライブ……そうか、今日は高校生活二度目の文化祭だ。
「ええ……そうね、絶対成功させましょう!」
そうだ、何をボサッとしているのだろう、気合を入れなければ。
『それではこれより、軽音楽部によるライブを開始します』
館内放送が流れ、幕が上がる。
そして、演奏が始まった。
部員全員が自らの楽器でそれぞれの役割を果たす。
私もまたキーボードの鍵盤を一心不乱に叩いている。
楽しかった、ただ純粋に。
仲間と共に作り出した曲を盛大に披露する。
荒削りでも、一生懸命協力し合って完成させた一曲だ。
最高の曲だと胸を張り、全力で演奏できる。
この爽快感は他では味わえないだろう。
ああ、館内の熱気が気持ちいい。
額を流れる汗すら心地いい。
この瞬間なら、私も唯ちゃんみたいに叫ぶ事が出来るだろう。
軽音部は最高だ――と。
『こんにちは』
体育館後方、入り口の扉から。
突然、声が聞こえた。
「え?……ああ……」
長く綺麗な黒髪。
返り血を浴びた黒い制服。
小さく、冷酷に歪んだ口元。
そこには殺人鬼、浅上藤乃が立っていた。
体が凍りつく。
高揚感は消え去り、恐怖だけが私の胸中を満たす。
『やっと、見つけました』
距離的に彼女の声が聞こえるはずがない、まして今はライブの真最中だ。
けれど、私にははっきりとその声が聞こえていた。
直接、脳内に響くように。
『ずっと探していたんですよ』
近寄ってくる、一歩、一歩、確実に。
怪物が、私を殺しにやってくる。
「ああ……あああ」
逃げ出そうとして腰が抜けた、私は壇上の床に崩れ落ちる。
突然私の演奏が止まり、みんな驚いたのだろう。
演奏を中断し、たちまち部の仲間達が私に駆け寄ってくる。
「おいっどうしたんだよ!?」
「ムギちゃん!?大丈夫?」
「先輩!やっぱり熱が有るんじゃないですか?」
違う、そうじゃない、気づいてないの?だれも?
あんなに異常な風貌の人が、正面入り口から堂々と入って来たのに!
『また会えて、うれしいです』
浅上藤乃はいつの間にか壇上まで上がってきていた。
仲間達は私を心配するあまり、後ろの殺人鬼に気づけない。
必死に伝えようとしたが、どうしても声が出なかった。
どうやら私は彼女を見た瞬間に、まるで蛇に睨まれた蛙の如く、動く事も声を上げる事も出来なくなってしまったようだ。
『でも、またすぐにさようならですね』
もう観念して、私は気づく。
もはや目前まで迫る浅上藤乃の更に背後、客席の最前列に座る2人の少女に。
体中を捻じ切られ、私の目の前で壮絶な死を遂げた、加治木ゆみ。
私がその手を放したばかりに転落死した、千石撫子。
彼女達は何も語らない、ただ私を見ている。
彼女達と同じように、私が死ぬところを見ているんだ。
ただ、一言撫子ちゃんにあやまろうとして――ああ、声が出ないんだっけ。
『凶れ』
放たれる、赤と緑の螺旋軸。
私を殺しにむかって来る。
□
そうして私は、やっとその悪夢から開放された。
体中の倦怠感を振り切り、目を見開く。
最初に見えた景色は、灰色の天井。
そして、最初に聞こえたのは…。
「……ムギちゃんっ!?気が付いたの!?」
親しい友人の声だった。
「唯……ちゃん?本当に……?」
彼女がここにいる事が、なんだか信じられない。
私の好きだった日常の欠片は、この島の何処にもありはしないのだと思い込んでいた。
だから目が覚めて、最初に顔を見るのが唯ちゃんだとは、少し信じられなかったのだ。
「……むむむ。失礼な!わたしは正真正銘の平沢唯ですとも!証拠に見よ!このエアギター!!!」
けど、その応答を聞いてすぐに納得できた。
この子は、間違い無く唯ちゃんだ。最後に見たと時と、なにも変わっていない。
この狂ったゲームの中で、彼女だけは、何も変わらずそこに居た。
「……くすっ、ふふふ」
「ああ……ムギちゃん、ひどい、笑い事じゃないよぉー」
ひさしぶりに、本当に久しぶりに笑った気がした。
思えばこの『ゲーム』が始まってから、衝撃的な事がいっぺんに起きすぎた。
私はやっと、本当に心休まる場所にたどり着けたのかもしれない。
私は改めて周囲をぐるりと見回した。
どうやら、ここは島の薬局施設の中らしい。
なかなか広い店内の、商品棚の中にはぎっしりと薬品類が敷き詰められている。
そして店内には、唯ちゃん以外に二人の人物が居た。
一人はなんとなく胡散臭い気配のある中年のおじさん。
唯ちゃんの後方でこちらの様子を伺っている。
この人のことは覚えている、私が路上で気絶する直前に見た人だ。
もう一人は黒い衣服を着込んだショートボブの女の子。年は私と同い年か、一つ上くらいだろうか?
この人は始めて見る、先ほどからずっと片目を瞑っているようだが、何か事情があるのだろうか?
「ああ、この人は船井譲次さん。このなんだかよくわからない殺し合いが始まってすぐに出会った人で、ずっと助けてくれてるんだよ」
「船井や、よろしく」
「あ、はい……よろしくお願いします」
そう返事を返しつつも内心、私は驚いていた。唯ちゃんはこの殺し合いが開始されてからずっと、このおじさんと行動していたと言う。
正直私にはこのおじさんがあまり善人には見えない。
自分の事は世間知らずだと自覚しているが、それでも人を見る目はあるつもりだ。
悪い人にしか見えない、と言う訳でもないが、こんな異常な環境下で、すぐに見ず知らずのおじさんを信用する。
私にはマネできない。いやむしろ唯ちゃんだからこそ、出来たと言う訳なのだろうか?
しかし、結果的にこのおじさんは現在も私達に危害を加える気配は無い。
むしろ明らかに足手まといの私達を、抱え込む善人に見える。
唯ちゃんの判断は、吉と出た訳だ。
「それで、この人は……」
「福路美穂子です、よろしくお願いします」
次に唯ちゃんは、私達を一番遠巻きに見ていた、黒い衣服の女の子を紹介した。
彼女――福路さんとは、唯ちゃん達もつい今しがた出会ったばかりなのだと言う。
私が目を覚ます前に、突然この薬局にやって来ていたらしい。
なんとも柔らかい雰囲気の人だった。
私も、この人ならばすぐにでも信用できるだろう。
一通りの自己紹介を終えた後、私は聞き逃した放送の内容を船井さんから聞いた。
10人を超える死者が出たことには驚いたけれどが、幸い軽音部のメンバーに死者はいなかったらしい。
私はそれに心からホッとした。
そして、唯ちゃんが恐る恐る本題に入る。
「あの…それでね、ムギちゃん…言いたくなかったら、無理に言わなくてもいいんだけど…」
「私の身に何が起こったか…ですよね?分かっています…」
私の身に何が起こったか聞きたいのだろう。
「無理……しなくてもいいんだよ?」
「いいえ、そういう訳にもいきません」
「でも、途中で嫌になったらすぐに言ってね?」
「ありがとう、唯ちゃん」
そうして私は語りだした。
自分がここに至る経緯、目撃してきた惨劇を――
「…………以上が私の、この島における今までの行動です」
私は、今日見てきた全ての出来事を、3人に話し終えた。
その間3人は一言も口を挟まず、ただ私の話を真剣に聞くだけだった。
私はつい自分の左手に視線を落とす。
千石撫子の手のひらの温もりを思い出す。
そして、突然――
「むぅぎぃぢぁぁぁんっ!!」
唯ちゃんが私に飛びついてきた。
「怖かったんだねぇっ、よくがんばったねぇ!」
私の顔に頬をすり寄せながら、頭をなでなでしてくる。
でも、その言葉は私には適さない。
なぜなら…。
「私なんか……全然頑張れてません!!」
つい叫んでしまった。唯ちゃんも他の二人も驚いて口を噤む。
でももういいや、ここでぶちまけてしまおう。
「私なんか……何もしてません。目の前で人が死んでいくのをずっと見てただけで、何も出来なかった……」
「ムギちゃん……」
四肢や胴体を捻じ切られる、おおよそ人の死に方とは思えない無残な惨状を前に、自分はただ怯えている事しかできなかった。
「なんの力も無いからなんて言い訳にもなりません。あの人は、それでもあんな怪物にたち向かって行ったのに!」
「……」
常識外の化け物に立ち向かう人を確かに見た。あの人が居なければ私はとっくに死んでいただろう。
「私はただ逃げてただけで、この手に掴んでいた命さえ手放した……」
「でもそれは…」
「しかたなくないんです!防げたはずなんです、私がもう少し注意深ければ、すべて!!」
そして、あの重さを覚えている。私が手放した、命の重さを。
あの瞬間を覚えている、掴んだ手のひらの温もりが、離れていく瞬間を。
「私はただ逃げ出しただけです……」
やっと会えた友人に、泣き言しかいえない自分が嫌になる。
でも、一旦吐き出したら最後までとまらない。
「私はただ生き延びただけです!誰も助けられずに、ただ……ただ一人で意味も無く生き延びて、何になるって言うんですか?!」
言い切って俯いた。
なんとなく福路さんが息を呑んでいる気配がしたが、そんなこと今はどうでもいい。
罪の意識で、友人に当り散らすなんて。
もう、最低だ…。
「意味なら…あるよ」
ギュッ……と唯ちゃんの両腕が、私の体を包み込んだ。
「え?」
「意味ならちゃんとある」
私を抱きしめ、背中をポンポンと叩いてくれる。
「ムギちゃんが生き延びてくれて、わたしは嬉しいな…」
「唯…ちゃん…」
「ねえ、そんなんじゃ……ダメかな?」
涙が溢れた。
彼女が居てくれて良かったと。
私は切に思う。
その言葉は救いだった。
精神が擦り切れそうになっていた私は、ここに彼女が居なければ、罪の意識で遠からず駄目になっていただろう。
大きく首を振って、私も唯ちゃんを抱き返す。
「あったかいね」
そんな唯ちゃんの言葉を聞きながら。
もしかすると今、唯ちゃんも泣いているのではないかと思った。
けれど、抱き合ったこの体勢では、唯ちゃんの表情が伺えない。
「そうですね…あったかい」
両の手に力を込める。
――この温もりだけは、絶対に失いたくない。
そう思った。
■
時間は少し遡る。
まだこの薬局のなかに、福路美穂子の姿が無かった時刻。
船井譲次は一人焦っていた。
(あかん……これ以上後手に回る訳にはいかん……!)
彼の予想を遥かに上回る、初期から殺し合いに乗る者の数。
完全に外している計算を何とか修正するため、彼はひたすら思慮に耽っていた。
(なにか……なにか策を……はよ行動に移さんと、いつか殺し合いに乗った奴等に行き当たる……!)
今、殺し合いに乗ったものに出会うこと、それがどういう事かは明白だろう。
船井は自身の力量をよく心得ている。
喧嘩が強い奴程度ならまだ何とかなるかもしれないが、現状の武装で銃を持った手合いを相手どるのは不可能だ。
手駒といえば、心底能天気で、ここがもし殺し合い激戦区だったなら、軽く百度は死ねるだろう天然女子高生のみ。
さらには、未だ気絶中の足手まといまで付いてきている。
一回目の放送であの数の死者、名簿外参加者の意義、自分が今まで無事だった事が奇跡に思えてならない。
だが、これからもその奇跡に賭ける訳には行かない。
故に彼は欲するのだ、策を。道しるべを。
ルルーシュと名乗った少年との情報交換は、期待したほど有意義な物ではなかった。
まずルルーシュはこのゲーム開始以来ここに至るまで誰一人として参加者に出会っていないと言うのだ。
この時点でほとんどこの情報交換はハズレだと判断した。
だが、気になる点は確かに有った。
ルルーシュが語った施設X群についてだ。
それと、唯の友人が知っているらしき、殺し合いに乗った者の情報。
(ルルーシュが去った今、最早それくらいしか考える指標があらへん)
だが、せめて戦う事に長けた人材が欲しい
船井がそう現状を嘆いていた時。
「あのー、ごめんください。誰か居ませんか?」
薬局の入り口に一人の女性が現れた。
(なんでや……)
「私は福路美穂子と申します。勿論殺し合いには乗っていません」
(なんで……オレの周りには戦力外女子高生しか集まってこんのやっ……!!)
船井の嘆きは深くなるばかりであった。
◆
気が付けば、薬局はもう目の前だった。
福路美穂子は入り口から中の様子を伺ってみたものの、人影は無い。
もしかすると、誰か奥に隠れているのかもしれない。
「あのー、ごめんください。誰か居ませんか?」
美穂子は薬局内の奥、商品棚の陰になっていて、見えないあたりに呼びかけてみた。
だが返事は無い。
「私は福路美穂子と申します。殺し合いには乗っていません」
もう一度、呼びかけてみる。
美穂子はそこまでやってようやく、随分命知らずな事をしているなあと、自覚した。
これが、もう既に戦いに乗った者の根城だったならば、彼女はとっくに殺されているだろう。
今まで彼女は、こんな無計画には行動していなかった。
何か、彼女の中に明確な変化が有ったのか。
返事が無く、殺される事も無いのなら、きっとここは無人なのだろう。
そう判断して美穂子が踵を返しかけたとき……。
「あっ、ちちょ、ちょっと待ってくださいぃ〜!」
突然、商品棚の陰から、学生服を着た一人の少女が飛び出してきた。
「すいません、聞かなかったフリなんかしちゃってて……」
あわてた様子で飛び出してきた彼女は、美穂子の声にすぐ応えなかった事を素直に謝った。
「いえ……かまいませんよ、でも出来れば事情を聞かせていただけませんか?」
「ああ、えっと……」
少女がチラチラと奥の棚を見やる。
「ああ…ホンマにもう、しゃあないな」
すると、その視線に呼ばれるように、奥の棚陰から胡散臭そうな中年の男が現れた。
美穂子の呼びかけに船井がすぐ応じなかった理由は二つある。
一つは、殺人者が隠れているかもしれない店内に、無防備に呼びかけるという行為を警戒した為。
そこまで大胆な行為をとるのは、何か裏があるかもしれないと思ったのだ。
もう一つは、これ以上お荷物を増やしたくないと言う船井の思惑だ。
だが堪え切れず飛び出した唯によって、彼は美穂子と接触せざるを得なくなったわけである。
三人は取り敢えずの自己紹介を行って、琴吹紬の意識が戻るのを待つことにした。
そして、紬の意識が戻る少し前。
「あの……ちょっと……考えがあるんですけど」
唯はあることを二人に提案する。
それに、美穂子はともかく、船井は少なからず驚いた。
船井は平沢唯を何一つ自分で考えない他人任せの平和ボケと認識していた。
船井にとって、彼女が何か提案をするという事自体が、最早怪奇の領域なのだ。
さらに、その提案がかなり理にかなっていた事に驚いた事は言うまでも無い。
その提案とは。
「あずにゃん……中野梓ちゃんの事、ムギちゃんには黙っていたほうが良いんじゃないでしょうか?」
5分後、琴吹紬が目を覚ました。
☆
琴吹紬がその身の上に起こった出来事を話した後。
福路美穂子もまた、それまで自身が体験した様々な出来事を語りだした。
その内容に、船井は更なる焦燥感を抱く事となる。
(指一本触れずに人を殺す超能力者……?人間離れした眼帯の女……?果ては、それと互角に戦った戦国武将やて……?)
船井の期待通り、二人の話は殺し合いに乗った者の情報元となった。
だが船井にとって、その話が持つ実質的な価値は、殺人者の情報などではない。
琴吹紬が襲われたと言う、超能力者、浅上藤乃
福路美穂子が遭遇した、妙な格好をした超人、眼帯の女
そして、戦国武将
平沢唯はともかく、船井譲次には到底信じられない話だった。
これがもし、福路美穂子と琴吹紬のどちらか一人のみから聞き出した情報ならば船井は相手にもしなかった。
この異常な状況に、気が狂ったのだと判断しただろう。
だが、二人ともにこのような荒唐無稽な話を事細かに言い出されては、考えざるを得ない。
参加者の中に、人の力を大きく超えた異能者達が居る。
(あほな、そんな常識外の事が……せやけど、確かにそれやと全部つじつまが合う……!!)
疑問だった、第一回放送の死者が多すぎる事に、説明が付く。
船井は、こんなにも早く殺し合いに乗る者が多い事に疑問をもった。
だが、参加者に人の領域を超えた能力を持つ者が含まれているのなら、一つの仮説が立つ。
このゲームの参加者は大きく分けて二つに大別される。
能力を持つ者と、持たない者とだ。
言うまでも無く船井達は何の能力も持たない一般人。
だが、この殺し合いの場において、自分に超能力があると仮定する。
もし自分に、『死ね』と念じただけで人が殺せる力があるとして、まずこの島で何をするだろうか?
決まっている、試すのだ。その力がこの場において、どれだけ有効か。
能力を持つ者は、自分と同じように、このゲーム内に力を持つ者が居る事を知っている。
集団に紛れるのは、弱者を一人血祭りに上げて、自分の能力の現状を把握してからでも遅くは無い。
だから開始早々殺しを行う参加者が多かったのだ。
(第一回放送の犠牲者は皆、実験台にされたっちゅうことか…。‘能力持ち’共の…。)
恐らく、名簿外参加者達は格好の餌として凶悪な‘能力持ち’の近くに飛ばされたのだろう。
ならば…あの時名簿外参加者である自分の周囲にも‘能力持ち’は居たのであろうか?
船井は、今更ながら背筋が冷えるのを感じた。
だがこれでようやく彼にも行動の目途が立つ。
(まだや…恐らく殺人者達はもうすでに集団の中に身を潜めた後、ここから暫くはそう苛烈な殺し合いには発展しづらいはずっ……!)
船井の想像が正しければ、実験を終えた‘能力持ち’の殺人者達は、これから暫くは集団に紛れて冷静に期を伺うはず。
流石に、多人数相手に攻撃を仕掛けるよりも一旦、内側に溶け込んだ方がいいと判断するだろう。
琴吹紬のように逃がしてしまい、自身の悪いうわさを流されることを嫌うはずだ。
(オレは無意識の内に一番危険な時期を乗りきったんや、まだ勝機はある……!)
己が知力を駆使し、この殺し合いを生き抜く。その為のプランは既に船井の中で形を成しつつあった。
「みなさん、ちょっと聞いてくれ、これからの行動について相談したい事があるんや」
自らの頭脳をフルに回転させつつ、船井は手駒達に行動会議の発令を宣言した。
「さて、これからの行動方針やけどな、まず今の状態で殺し合いに乗った‘能力持ち’と遭遇する事だけは絶対に避けんとアカン、これは当たり前のことやな」
この船井の発言には全員が頷く。
現状このメンバーでは、数は多くとも誰一人‘能力持ち’に対抗出来る者がいない。
出会ってしまったが最後、まとめて殺されるか、一人逃げ出すぐらいが関の山だろう。
「せやけど、このままやとオレらみたいな一般人は退場する一方や…遅かれ早かれ‘能力持ち’に出会う事になるやろ」
そう、ゲームが進行すればするほど一般人の数は減っていくだろう。
最終的に残るのは、能力を持つ者達のみ。
殺し合いが暫く沈静化する見込みが有るとは言え、船井達が能力を持った危険人物に出会う時はそう遠くないかもしれない。
「そのために、今から行動するっちゅう訳や、その為にみなの意見も聞かせて欲しいんや」
能力を持った人間、能力を持たないまでも強力な武器を装備する殺し合いに乗った者達への対策。
これは船井達が、早急に備えなければならない問題だった。
そのために、成すべき行動を船井は提示させる。
「強力な‘能力持ち’を仲間に引き込むことです」
まず美穂子が意見をだした。
(ほぉ……この嬢ちゃんは、天然嬢ちゃん達と違って何か考えがあって行動しとるみたいやな)
「なるほど…そのこころは?」
まずはゆっくり聞いてみようと、船井は先を促す
「先ほどお話しましたが、私はここに来るまでに一人、主催者に対抗する姿勢をとる参加者と行動を共にしていました」
「たしか、戦国武将で刀から電気を出したとか何とかとかいう、あれはホンマの事なんか?」
「はい、私も最初は疑ってしまいましたが、小十郎さんは間違いなく人の範疇を超えた強さを持っていました。」
「そないな正義の味方を、もう一度探す……と?」
「そうです、最低でも彼の言っていた伊達政宗はそれに準ずる人だと思います。彼を探しだして行動を共にし、また新たな仲間を集める。
そうすればいつか主催者にも対抗できる強力な集団を作り出せます。実際戦う力の無い私達がやるべき事は戦う力のある者たちを繋ぐ事だと思います」
「ふむ……」
彼女の計画は、実際良く考えられた物だった。
これより、政庁→公園→学校→ホール→展示場→タワーと順に施設を周り、仲間を探す。
対主催勢をまとめつつ主催の痕跡をたどり、見つけだした敵本体を、皆と協力して叩く。
というもの。
(こんなただの女子高生が、殺されそうな目に在ったというのに、天然嬢ちゃん達とはえらい違いやな)
船井は感心すると共に警戒する。
この島での美穂子の経験は、琴吹紬に負けず劣らず過酷なものだ。
自分を守ってくれる強い人を目の前で無くし、殺し合いの過酷さを思い知らされた。
その直後に、大切な後輩の死を突きつけられ、更にトラックに轢かれかけた。
美穂子はもうとっくに、琴吹紬のように精神疲労で参ってしまっていてもおかしくなのだ。
いやむしろここまで気丈なのは、逆に不自然ではないか。
しかし、船井はその疑念を一旦頭の片隅に留めて置くことにして、彼女の案を検討する事にした。
「それはアカンな」
「……っ……何故ですか?」
だが船井はすぐに美穂子の案を却下する。
「強力な対主催派を見つけたら仲間にする、これはええやろ。せやけどそれを目標に施設を移動するっちゅうのは悪手や、あまりに他力本願が過ぎへんか?
そもそも、強力な対主催派がオレ達一緒に行動するか?オレや嬢ちゃん達みたいな足手まといが4人も引っ付いていってどうする?
主催を叩くて、いくらたいそうな事言うてもいざ戦いになってみれば足手まといにしかならへん、それでまた対主催派が死んでみ?オレ等がやる事ってそれこそ邪魔にしかならんやろ」
それを言われると美穂子にはつらい、自身が足手まといになる事は小十郎が死んだときに実感している。
自分の力で成せる事は、この場ではとても少ないと思う。
それでも何かしなければならないと、行動する事を決意したのに……。
自分のような力の無い者は、この殺し合いの中ではただ殺されるか、足を引っ張る事しかできないのだろうか。
「じゃあ、私達のような弱者はどうすればいいんです?」
その問いかけへの答えは、二人のやり取りを黙って聴いていた唯と紬も聞きたいと思っていた。
そして、船井は最初から用意してあった答えを返す。
「力を……手にいれることや……!」
「ちから?」
「そう、力や、殺人者に対抗する力、いや主催にすら対抗できる力を手に入れるんや。ええか、今からオレの行動案をいうで」
そもそも、船井は己の行動案以外で動く気は無かった、意見を言わせたのもただのポーズだ。
船井の行動案とは、一言で言うと「自衛の為の手段を一刻も早く見つける」とこ。
殺人者を避けるように施設を探索し、『殺し合いに乗った者に対抗する力』を見つける事だった。
当然その間に、出会った対主催派とはコンタクトを取るが、合流するかどうかは状況を見て判断する。
とりあえずは、対抗手段取得を第一に行動するのだ。
「その……『殺し合いに乗った者に対抗する力』とは、どのような物なんですか?」
「それは今から説明するから、皆さんよう聞いとき」
船井が語った『殺し合いに乗った者に対抗するすべ』とは。大体以下のようなものであった。
この殺し合いには、‘能力持ち’たる異能者が少なからず存在している。
ならば一般人は、ただ狩られるだけの対象でしかないのか?
否、それにしては一般人の割合が多すぎる。
船井は予測する。
主催者はこのゲームにおいて、一般人が‘能力持ち’に勝ち得るシチュエーションを期待しているのではないかと。
根拠は主催がこの殺し合いを『ゲーム』と言ったからだ。単に最初から強い物が勝ち残る殺し合いは『ゲーム』ではない、ただの弱肉強食だ。
『ゲーム』とは、平等ではないが、誰にでも勝機のある戦いの事だ。
支援
さるか?
一般人が‘能力持ち’に勝利するための手段。
この島には、一般人が‘能力持ち’に対抗しうるすべが有るのではないか、と。
そう、たとえば魔法だ。そして金。
主催者本人が言っていた、金で魔法を買ったと。ならばその行為は参加者も有効なのではないだろうか?
魔法、陳腐な言葉だが、それを手に入れれば強力な‘能力持ち’にも対抗できる。
もしかすると、既に金で魔法を買った参加者が居るのかもしれない。
たとえばそう、浅上藤乃だ。
美穂子が出会ったという、戦国武将と妙な風貌の女は明らかに常人とは違う装いだった。
だが紬の遭遇した浅上藤乃は、現代社会の一般的知識を持ち、格好も制服姿と、一般人の装いだった。
これは船井の予想だが、浅上藤乃はこのゲームが始まってから紬と出会うまでの短期間に、魔法の力を手に入れていたのではないか?
その力の実験台に死んだ少女が選ばれた。
紬を逃がしてしまったのは、使い慣れない『魔法の力』の制御に戸惑ったから、とも考えられる。
なんにせよ、船井たち一般人が『魔法の力』を手に出来れば、自衛手段としてこれ以上のものは無く、誰かの足を引っ張る事も無い。
船井はこの局面で、兵藤会長と同じ発想に辿り着いている。
これらの説明を終えた船井は、一度全員の表情を見回した。
唯はやはりピンと来ていないのか、ポケーっとした表情だ
紬は真剣に聞いていたようで、唯がよく理解出来なかった部分を分かりやすく説明している。
美穂子は「魔法……」と、一つ呟くに留まった。
「魔法が金で買えると仮定して、まずは金を見つけんといかん、金のある場所といえば……?」
船井のフリには唯が盛大に食い付いた
「はい!ギャンブル船!!」
「正解や、魔法を手に入れるため、ギャンブル船を目指す。これがオレの案や」
「でも……魔法を買うなんて、本当にそんな事が出来るんでしょうか?」
この議論が始まってから紬がはじめて発言した。
「まだ分からん、確かめてみん事にはな…だがやってみる価値はある。どうや、乗ってみいひんか?この案に」
唯と紬は船井に着いて行くと決めている、自然美穂子に視線が集中した。
少し間を置き、美穂子は静かに答えた。
「わかりました、乗ります……その案に」
「決まりやな」
こうして、船井達の行動目的はようやく定まった。
「ええか、まず最初にギャンブル船に向かう経路を決めるんや」
船井は4人の真ん中に地図を広げた。
「経路は二つ……」
「そう、橋を渡ってから『政庁』と『死者の眠る場所』を通ってギャンブル船へ向かうか……」
「山の方からむかうかってことですね」
「せや、その場合は『城』や『敵のアジト』なんかも見物していきたい所やな、魔法に繋がるかもしれん怪しい施設はなるべく抑えておきたいで、
『円形闘技場』は場所的に危険が大きそうやな、周囲に危険が無さそうやったら覗いてみるのも一つ手やけど、
『憩いの館』も薬局から直線距離上にないから微妙やな、まあ休息が必要と判断したら行ってみてもええやろ」
「それで、結局どっちから行くんですか?船井さん」
「そりゃあ、山の方から行くやろ、車が使えなくなるのは難儀やけど、その方が圧倒的に危険度が低いんや。」
「それはどういう意味です?」
「人を避けてギャンブル船を目指す以上、当然山中の方が安全や、それに今は線路から離れて行動したほうがええ」
放送にあった列車の運行停止、船井はこれを線路沿いの大規模な戦闘によるものとして警戒していた。
「おお、なるほどー」
唯が感心の声を上げる。
そこで船井は、一つ伝え忘れている事に気がついた。
「そうや、言うのすっかり忘れてたけど、名簿書いてある『日本人以外の名前』に関しては気をつけた方が良いで」
先ほどの考察の最中に気づいた事があったのだ。
「名簿内のカタカナ表記の人物、それも名前だけしか記されていない人物はほぼ確実に‘能力持ち’や」
急にそんな事を言い出す船井に3人は、何故?と目で問いかける。
「最初から人外の能力を持ってこのゲームに参加しとる奴等は、恐らく人間や無いか、美穂子さんの考察のように、オレ等とは違う世界の住人や。
せやから、セイバーだのライダーだの言う不可解な名前達は恐らく、違う世界の連中である可能性が高い。眼帯の女も恐らくこの中の一人やろ。
フルネームでカタカナ表記の、まあルルーシュ見たいな奴はグレーってとこやな。そっから、あと戦国武将の名前と不可解な名前も警戒するべきや」
その論理でいくと、
セイバー、アーチャー、バーサーカー、ライダー、キャスター、ヴァン、ファサリナ、C.C.、一方通行
伊達政宗、真田幸村、織田信長、明智光秀、本多忠勝
このあたりは、かなりの高確率で何らかの能力を有すると考えられる。
最低でもこの14人は警戒するべきだろう。
「じゃあ、後はこの薬局を少し調べてから出発やな」
出発する前に、船井の提案により、薬局の内部を少し調べていく事になった。
◇
掴まされた。
まず最初に思ったのはそんな事だった。
薬局内に薬ビン同士がガチャガチャとぶつかる音だけが響く。
先程までの、にぎやかさは何処へやら。
すっかりみんな黙ってしまっている。
みんな、薬局内の薬品類を検分し、有用なものをデイバッグに仕舞い込んでいく。
さっきまであれだけ喋っていた船井さんは、入り口の近くで薬品とにらめっこしている。
三つ隣の棚を調べている平沢さんも、真剣な面持ちで黙々と作業をこなしていた。
どうやら彼女は一つの事に集中すると、そこから暫く抜け出せないタイプらしい。
そして私――福路美穂子はと言うと…。
「………これ……は?」
薬局奥の誰の目にも死角になる場所で、ただ己の驚愕を押さえ込んでいた。
ああ、まずは頭の中を整理しよう。
薬局に入ってすぐに、私はこの船井グループの一員となった。
そしてこれからの行動を決め、もうすぐ出発というタイミングとなってこの……。
『魔法』を見つけた。
◆
自分が変わってしまった事は理解している。
あの時、上埜さんと華菜の死を突きつけられたあの路上で、私の心は壊れてしまった。
全身を駆け巡った憎悪と殺意、狂気に駆られて『誰かを殺す事』しか考えられなくなった。
幸い、直後の事故と、夢の中の上埜さんの言葉でなんとか私は自分を取り戻した。
でも、一度壊れた心は、完全には元に戻らないのだろう。
取り戻した自分は、しかし確実に以前とは異なっていた。
一つ目は。この島に連れて来られて以来、ずっと感じていた恐怖心が今はもう無いこと。
いや違う、正確に言うと、私はもう恐怖を感じる事が出来なくなってしまったのだ。
恐怖心の欠如、それは私を自分の命をかえりみない行動に走らせる。
たとえば、トレーズ・クシュリナーダに喧嘩を売る行為。
殺人者が潜むかもしれない施設に、正面から侵入する行為。
あの放送以来、私の中から恐怖や畏怖のような感情が、いっさい湧き上がらなくなった。
それがたとえ、自分の命の危機であろうとも。
でも考えてもみれば当たり前だ。
『大切な人を失うこと』それに勝る恐怖がどこにあるのだろう?
私には、もうなにも残されていない。
華菜は死しんだ。
上埜さんも死んだ。
小十郎さんも死んだ。
ならば、もうこの先何が起ころうと、私が恐怖を感じる事は無いだろう。
そして失った恐怖心の代わりに、新しく生まれた感情もある。
私にそれを自覚させたのは、琴吹紬さんの一言だった。
「ただ一人で意味も無く生き延びて、何になるって言うんですか?」
生き延びた意味。
琴吹さんには生きているだけで意味があった。
彼女が生きているだけで救われる人達が、この島にはまだ居るのだ。
ならば私は?
私が生き延びた意味は何処にあるのだろう?
私が生きているだけで救う事が出来る人はもうこの島に居ない。ならば、私がするべき事は何だろう?
そう考えた時に、私は自分の中の殺意に気がついた。
『殺さなければならない』
そう考えてしまってる事に気がついた。
これが二つ目。
殺意。
狂気から抜け出した私の胸に、唯一つ残った不純物。
この殺意は、怒りによるものではない。恨みによるものでもない。
『殺したい』、という衝動ですらない。
それはただ、純粋な責任感。
『殺さなければならない』、という義務感。
その対象は一つ。
人を殺す者達。
主催者や、このゲームに乗った殺人者たち。
人殺しへの殺意。
それを自覚した今。
もう、私自身はこの殺し合いから逃げ出すつもりは無かった。
最後まで戦い続ける。
主催者達がみんな死ぬまで。
この場所で、守らなきゃいけない人がみんな死んで、私だけがここから逃げ帰る訳にはいかない。
このゲームを叩きつぶすまで、元の日常には帰れない。
主催者達が、あの人達が生きている限りこんなふざけた殺し合いが、これから何度でも繰り返されるかもしれない。
わたしのように、心を壊される人々が増え続ける。
そんな事はさせない。
あんな絶望を味わうのは私一人でいい。
これ以上誰も傷つかない為に。
私のような思いを、誰にも味あわせない為に。
守る為に。
このゲームの主催者達と、島に跋扈する人殺しどもを、私は殺さなくてはならない。
私がこのゲームを破滅させなければならない。
それが私の、生き延びた意味だ。
ああ、こんな考え、以前の私なら絶対しなかったに違いない。
もしかすると私は未だ狂気の中にいるのかもしれない。
でもかまわない、この狂気は前に進む為のもの、いっそ利用してやろう。
狂っているなら狂っているで、前向きに、狂ってやる。
○
思考を打ち切り、もう一度目の前の棚を見る。
『魔法』
ラベルには、たしかにそう書かれていた。
この薬局には多種多様な薬がある。
鎮痛剤、解熱剤、胃腸薬、ただの風邪薬、etc…。
どれも気になる物は無かった。
だが、その中でもこの透明なビンにラベルが貼られただけの簡素な薬ビンが並ぶ棚は唯一つ異彩を放っていた。
『魔法』そう書かれた薬ビンが一つの棚全てを占めているのだ。
何故だろう?何故私以外の誰もこの棚を気に止めない?
見ればおかしい事は歴然だ。
というか、さっきまで魔法の話をしていた船井さんは、これを見てもなんとも思わなかったというのだろうか?
だがその疑問はすぐに解消される事となる。
棚の上方に一枚のメモが貼り付けられている。
『馬鹿には見えない?いいえ、馬鹿にしか見えません』
どうやらこの商品棚は馬鹿にしか見えないらしい。
いや、正確には頭が馬鹿になって来ている人にしか見えないのだろう。
私は棚の一番上から薬ビンを一本抜き取った。
「なっ……!」
その瞬間、棚の薬が全て消えた。
残った薬ビンは、自分の手の中に残された一つのみ。
「なにをしとるんや美穂子さん、そろそろ出発するで」
声がした方を見ると、もう既に3人が身支度を整え、薬局の入り口から出発しようとするところだった。
この薬ビンを、船井さんに知らせようかと一瞬思ったが、すぐに止めた。
あの人は信用できない。
最初に出会ったとき、彼は私が殺し合いに乗っていた場合、平沢さんを囮にして逃げるつもりだったのだろう。
そうでなければ、殺し合いに乗っているかも分からない人物の前に、仲間をむざむざ行かせ、自分は暫く隠れているなんて行動をとる訳が無い。
あの人はきっと、私たちを道具としか見ていないのだ。挙動で分かる。
必要に迫られれば呆気なく裏切る。そんな人だ。
ひとまず私はこの薬ビンを懐に仕舞うことにした。
中身は後で調べてみればいい。
力の無い者は、この殺し合いの中ではただ殺されるか、足を引っ張る事しかできない。
だから私は手に入れたい。
守る為、そして戦う為の力を。
「……今、行きます」
私も急いで3人の後を追う。
やはり私は掴まされたのだろうか。
このタイミングで私がこんな露骨なものを手に入れたこと、これは完全に主催者の意図だ。
主催者が「やってみろ」と言っているような気がする。
「このゲームをつぶせるものならやってみろ」と。
挑発されている。
だけど構わない、今はせいぜい余裕をかましていればいい。
主催者達も、華菜や上埜さんを殺した殺人者たちも。
いつか必ず、私が殺す。
トレーズ・クシュリナーダ、あなたがこのゲームにおける悪となるなら、私は破壊者になってみせる。
こんな悲しみを、私で最後にするために。
◎
ギャンブル船に向けて出発した後、ベンツの運転席で船井は一人ほくそ笑んでいた。
(ほいほいと付いてきおってからに……)
助手席に座る美穂子と、バックミラーに移る唯と紬を順に見たあと船井は、自分のデイバッグを見る。
その中には、船井が薬局からひそかに運び出してきた、麻薬や睡眠薬が入っている。
おろらく一般人が『魔法』を手に入れるれる事は可能。
しかし、それには膨大な対価を支払わなければならないのではないか、と船井は考えていた。
ようやく自衛の為の力を手にした所で、その為に自滅してしまっては本末転倒だ。
自分が傷つかずに、力のみを手に入れる確実な方法。
幾つか浮かんだ中で今の自分が一番やりやすそうな事は、生贄を捧げる事だと船井は考えている。
力を得る代わりに仲間を売る行為。
幸い自分の元には三名もの生贄候補が居るのだ。
もし今後そのような施設や展開があれば、彼はデイバックに入っている物を使う事も辞さないだろう。
彼にとって、この三人は所詮手駒でしかないのだ。
使える間は使い倒し、使えなくなったらボロ雑巾のように捨てていく。
彼はそれを平然と出来る人間なのであった。
後部座席では唯と紬が支給品の確認をしているようだ。
景色に緑が多くなってくる、このまいける所までは車で進み、限界がきたら徒歩で山中を進んでいくつもりだった。
未だ見ぬ施設、そこで何が待っているのか、今の彼等はまだ知らない。
【D-4/円形闘技場付近/一日目/午前】
【平沢唯@けいおん!】
[状態]:健康、紬が心配、テンション→
[服装]:桜が丘高校女子制服(夏服)
[装備]:ジャンケンカード(チョキ)@逆境無頼カイジ
[道具]:デイパック、基本支給品(+水1本)、ジャンケンカード×十数枚(グーチョキパー混合)、不明支給品x0-2(確認済み) 、薬局から持ってきた薬品多数@現地調達
[思考]
基本:みんなでこの殺し合いから生還!
0:あずにゃん……
1:ムギちゃん……良かった……
2:船井さんを頼りにする。
3:友人と妹を探す。でもどんな状況にあるかはあんまり考えたくない……
4:魔法かあ……アイスとかいっぱい出せたらいいよね……
[備考]
※東横桃子には気付いていません。
※ルルーシュとの会話の内容や思考は後の書き手さんにお任せ
※浅上藤乃と眼帯の女(ライダー)の外見情報を得ました
【船井譲次@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康
[服装]:私服
[装備]:ナイフ、コンパス。他にも何かあるかは後続にお任せ
[道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品x0-2 遠藤のベンツの鍵@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor
リフレインx4@コードギアス 睡眠薬@現地調達 ブラッドチップ(オリジナル)x1@空の境界
[思考]
基本:優勝か別の手段か、ともかく生還を目指す。
0:『城』と『敵のアジト』を経て『ギャンブル船』に辿り着き、自衛の為の力を手に入れる。手段は選ばない。
1:その過程で円形闘技場と憩いの館はどうしようか考え中
2:唯の友人らを探す方法を考える。利用できそうなら利用する。
3:仲間を勧誘し、それらを利用して生還の道を模索する。
4:絶対に油断はしない。また、どんな相手も信用はしない。
5:ルルーシュの話す施設X群にも少し興味がある。
[備考]
※東横桃子には気付いていません。
※登場時期は未定。
※ルルーシュとの会話の内容や思考は後の書き手さんにお任せ
※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています
※浅上藤乃と眼帯の女(ライダー)の外見情報を得ました
【琴吹紬@けいおん!】
[状態]:精神的ダメージ小 、撫子への罪の意識、『制服を着た女子生徒』に対する軽いトラウマ、
[服装]:ブラウス、スカート
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、忍びの緊急脱出装置@戦国BASARA×2、ランダム支給品1〜2(確認済み)、
桜が丘高校女子制服(血濡れ) 、薬局から持ってきた薬品多数@現地調達
[思考]
基本:軽音部の仲間と合流し、皆で日常に帰る。
0:唯ちゃん……ありがとう……。
1:友人達が心配。仲間が死ぬ事に対する恐怖。
2:『浅上藤乃』が恐ろしい。殺されたくない。
3:阿良々木暦に会ったら、撫子の事を――――
[備考]
※浅上藤乃の殺人を目の当たりにしたトラウマで、『制服を着た女子生徒』を見ると彼女の姿がフラッシュバックします。
精神的に回復かなり持ち直しました。トラウマの効果は薄くなっています。
※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています
※E-3北部〜E-4北部間の何処かに千石 撫子の死体があり、すぐそばに彼女のディパック(基本セット、ランダム支給品1〜3入り)が落ちています。
※中野梓の死を知りません、島に居た事すら知りません。
※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています
※眼帯の女(ライダー)の外見情報を得ました
【福路美穂子@咲-Saki-】
[状態]:健康 、前向きな狂気、恐怖心の欠如
[服装]:黒の騎士団の服@コードギアス、穿いてない
[装備]:
[道具]:支給品一式、不明支給品(0〜1)(確認済み)、六爪@戦国BASARA 、薬局から持ってきた薬品多数@現地調達、
『魔法』と書かれたラベルの貼ってあるビン(中身未確認)@現地調達
[思考]
基本:これ以上誰も傷つかない為に主催者を殺す、殺し合いに乗った者も殺す
1:ひとまずこのチームについて行って、魔法と主催の影を追う
2:力を持たない者たちを無事に元の世界に返す方法を探す
3:対主催の同志を集める
4:船井に対して油断はしない。
5:伊達政宗を探し出して六爪を渡し、小十郎の死を伝える
6:阿良々木暦ともし会ったらどうしようかしら?
7:張五飛と会ったらトレーズからの挨拶を伝える
8:トレーズと再会したら、その部下となる?
[備考]
登場時期は最終回の合宿の後。
※ライダーの名前は知りません。
※トレーズがゼロの仮面を被っている事は知っていますが
ゼロの存在とその放送については知りません
※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています
※浅上藤乃の外見情報を得ました
【黒の騎士団の服@コードギアス】
黒の騎士団発足時に井上が着ていたコスチューム
超ミニスカ
※薬局について
一番奥の商品棚は、正常な精神の人が見ても何も有りません。
少しでも精神に異常をきたしている人が見ると、その人が望む物に近い物が現れます。
代理投下終了です
さるにならずに感想書けるかな?
船井がリーダーらしいだと? でも身代わり兼生贄要員です。本当に(ry
でも山の方とかアジトとか危険ポイント行くのかよwww
ムギは唯の明るさに救われたか。でもあずにゃんのことを知ったら・・・
そして美穂子はフラグ立ってるな。どうなるんだ?
サーシェス×一方通行
投下します
微かにカビ臭い匂いが漂う薄暗い地下。
地上から僅か10mほどであるが、本来持つ地上の喧騒とは無縁の空間
表と裏、光と影のような関係であり
表に暮らす人間の生活環境向上の為、都市には必ず整備されているであろう下水道。
経済的に急成長した都市郡であれば、
そこには富める者の為に踏み台にされた溢れ者の拠り所の一つになるであろうその場所で、
一方通行は壁に背を付け息を潜め、微動だにもせず佇んでいた。
床に腰を下ろし、虚空を見上げる彼は、
能力が使えない間、この空間で能力解除の時間まで待つ事にしたのだ。
先ほど出会った二人組の男女、ディオと式より、D-6の駅には他に参加者がいるという事を聞いた一方通行は、
情報の収集の為、その駅に向かう事にしたのだが、一方通行の能力は、
二人に出会った際に試みた能力の【特訓】により、その制限時間を迎えていた。
そんな彼が自分の身を守る為に選んだ場所は、街の片隅にマンホールから侵入した下水道。
能力が使えない今の一方通行は、通常の人間よりもむしろ貧弱な部類に入る。
レベル0
それは一方通行自身、過去に経験したとある無能力者との痛い経験を基に充分すぎるほど痛感していた。
マンホールの入り口である単なる鉄蓋を開けるのにすら、四苦八苦したとは、
むしろ今まで能力に頼りきりだったと言わざるを得ない自分の虚弱さに反吐が出るほどだ。
まさか、こんな場所に用がない限り入り込んでくる輩は殆どいないだろう。
だが、完全に油断は出来ないと、一方通行はこの糞ったれたゲームの主催者からの粋な計らい、
能力解除の瞬間をじっと待っていた。
今の彼は完全に手持ち無沙汰。
ただ待つことだけしか出来ない一方通行が、薄暗い地の底で考えていたのは、
ディオと式に出会う前に聞いた先ほどの放送内容について。
死亡者として宣告されていた知っている人間の名前、
【御坂美琴】についてだった。
レールガン
「・・・・・・レベル5の超電磁砲も、あッけねェもンだ」
ふとそう呟いた一方通行の顔ではあるが、自分が呟いた言葉に対して、特に表情の変化は見られない。
シスターズ
彼は過去に御坂美琴とも対面し、彼女のクローンである【妹達】一万体以上、
一方通行の能力向上実験の為に殺してきたが、
オリジナルである御坂美琴の死については、一方通行に感情の変化をもたらす事はなかった。
だが、自分ほどではないとはいえ、御坂美琴も200万人の人口を誇る学園都市に7人しか認定されていない
レベル5
超能力者。
その御坂美琴を殺せる程の奴が、このゲームには参加している。
普段の彼、能力が全開で行使できる状態であるなら、御坂美琴の死ですら、
一方通行の行動に何ら影響を与えなかっただろう。
だが、彼女の死によって一方通行は結果、
より慎重に、より注意深く行動する事を選ばせた。
オリジナル
「あのガキ・・・。御坂美琴が死んだと聞いたら・・・。どんな面すッかな・・・」
一方通行がこのゲームに参加する前に出会ったある少女。
ラストオーダー
打ち止めにこの事実をどう伝えるかを考え、おそらくこの事実に悲しむであろう
打ち止めの顔をふと思い浮かべた瞬間、一方通行の表情に変化が生じた。
眉を微妙に歪めたその顔は、普段からの不機嫌そうな表情とは違い、
明らかに一方通行が不快な気分であることを示していた。
「チッ、糞ッ垂れが・・・。余計な仕事を増やすんじゃねェ」
一言だけポツリと漏らした彼は、
表情を戻し、再度虚空を眺める作業に戻った。
そして、能力使用限界が来てから、そろそろ一時間が経過するであろう頃、
一方通行は薄暗い下水道の中で首から漏れていた赤い光が、緑色に変わるのを確認し、
空気のベクトル操作を試みる。
一方通行の周りに流れる空気が微妙に変化する。
どうやら能力が再度回復したようだ。
そして、この首輪は一方通行の能力の使用限界を示す時に赤い色に変わるという事実を
彼は再度認識した。
「ドコのバカの仕業だか、存じ上げねェがありがてェ仕様だぜ」
この首輪を誰が設計したのかは分からないが、
一方通行の能力開発に関係していた人間達からの情報提供があったのは間違いないだろうと、
一方通行は確信にも近い考えを抱く。
自分の能力に制限を掛けているのに一役買っているであろうこの首輪と、
面倒臭い事を増やした打ち止めの件も含めて、
このゲームの主催者とやらにキッチリとお礼をするという決意を再度抱き、
バックを持ち上げその場から立ち上がると、
一方通行は下水道から立ち去る事にした―――。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
所は変わり、時間は午前、
本来なら仕事に向かう人間で溢れているであろうビルが群生しているオフィス街。
だが、本来いるはずべき人間が存在しない無人の街のとあるビルの屋上
背広姿の男が一人、高いビルの屋上から双眼鏡を使い無機質な街並みを眺めていた。
その男の名はアリー・アル・サーシェス
職業は傭兵。戦場での殺し合いを愉しめる生粋の戦争屋である。
トレードマークとも言える無精ひげも剃った彼は、デパートの紳士服売り場から拝借してきた背広に着替え、
同じくカメラ売り場から拝借してきた双眼鏡を使い、この周辺の地形を確認していた。
彼がパイロットスーツから背広に着替えたのも彼なりの理由があった。
幾度の戦闘により汚れと血に染まったパイロットスーツで、
今後組めそうな相手と交渉する際に、明らかに殺し合いに乗ってますって服装では、
うまく行くはずの情報交換でさえ、無用な問題を生むかもしれない。
殺し合い自体は大好物ではあるが、
時代錯誤のジャパニーズサムライや褐色の肌の剣士のような相手に、
今の武装で無用な戦闘を繰り返していたら、今度はこっちが返り討ちになるという可能性も充分すぎる程考えられる。
殺すのは大歓迎だが、殺されるのはまっぴら御免。
口にすれば、至極単純明快な理由でサーシェスはパイロットスーツを脱いだ。
交渉時に際して、スーツ着用というのは紳士であるなら当然の選択。
もちろん、サーシェスのバックの中には、同じくデパートから拝借してきた
戦闘時にはこちらの方が便利であろう服もいくつか含まれている。
そして、サーシェスが着替えた上で髭まで剃ったのは、もう一つ理由が存在する。
今まで殺しきれなかったあの剣士やもう死んでしまった片倉小十郎が
他の参加者にサーシェスの特徴を伝えていた場合、
あの赤いパイロットスーツや髭面はどうにも目立ちすぎると考えたからだ。
特徴を隠すなら仮面でも被った方がいいんだろうが、
顔を隠した相手の発言を信用するほど、おめでたい参加者もいないだろう。
サーシェスはゼクスと別れた後、背広や他の服以外にも、今偵察に使ってる双眼鏡、
デパート内にあったキャンプショップから、長さ15cm程度の片刃のサバイバルナイフ、
服に仕込むのには丁度いい投げナイフ、その他怪我の処置に使えるであろう医薬品や食料品も調達してきていた。
出来ればデパートに小型の拳銃なんかも置いていれば完璧だったのだが、
残念ながらガンショップはなかった為、
サーシェスは代用品として、
工具を扱うワークショップから、壁に釘を打ち付ける際に使用する、ガス式小型リベットガンを背中にしまいこんでいた。
拳銃程の射程距離は望めないとはいえ、至近距離なら充分人間を殺傷する武器として使える工具の一つである。
ガトリング砲よりも近距離で使いやすい武器も手に入れたサーシェスは、
今後の行動を指針を決める為に、偵察も兼ねて高いオフィスビルの屋上に来ていたのだが――――。
「アイツは―――?」
屋上から双眼鏡を覗いていたサーシェスが呟く。
サーシェスがいるビルの屋上から百メートルほど離れた路上で、静まり返った街を歩いている人影を発見したのだ。
その人影はデパートの屋上で、ゼクスとかいう完全に信用ならない男から聞いていた、
ゼクスが出会ったと言う参加者の一人の特徴と一致していた。
双眼鏡から見えるサーシェスの視界には、銀髪というよりは白髪、細身の少年が映っていた。
アクセラレイター
「アイツが・・・。ゼクスの言っていた、一方通行か・・・?」
だが、サーシェスのいるビルの屋上からでは一方通行の姿はすぐに見えなくなった。
「ゼクスのいるデパートに戻る途中・・・?」
いや、そうとは限らない。
しかし、この位置からでは、一方通行がどこに向かおうとしているのかも確認するのは難しいだろう。
このビルから降りる時間も考えて、早く決断しないと完全に見失うかもしれない。
サーシェスは少しだけ考えた後、その場の荷物を急いでまとめ、
ビルの屋上からエレベーターを使い。下のフロアへと降りていった。
まだ殺し合ってない他の参加者と接触の機会、
みすみす失うのは惜しいと判断したのだ。
下へ降りるエレベーターの中、サーシェスは誰に言う訳でもなくふと、呟いた。
「せっかく、デートの前にお洒落までしたんだ。可愛い子ちゃんを待たせるわけにはいくめぇ!」
サーシェスが乗った高速エレベーターは数十秒後、
地上へと辿り着いた。
242 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 00:06:00 ID:jjw/wXtd
>72 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/12/02(水) 00:57:39 0
>困ったお
>一方さんにヒロシぶち殺させようと思ったけど
>ゲームバランスが悪すぎる
728 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/12/02(水) 16:26:38 0
アニロワでどんな話書いてほしい?
733 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/12/02(水) 16:36:07 0
>>728 リクエストしたらちゃんと反映してもらえるなら希望書くけど?
745 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/12/02(水) 16:59:26 0
>>728 マーダーを潰せ
パロロワを潰すにはマーダーを全滅させるのが一番手っ取り早い
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
下水道から出た一方通行は、静まり返った街を一人で歩いていた。
彼の足取りは何故か、出来るだけ遮蔽物が多い、日差しを防げる道を選んで歩いている。
遮蔽物が多い道を選ぶのは遠距離からの狙撃を避けるため。
日差しが多い道を選んでいるのは、普段は反射していた日中の紫外線が、
反射すらも制限されてる一方通行の真っ白いアルビノの肌にとっては、非常に不快なものであるからだ。
そしてその一方通行の後方、
50mほど離れた地点から、背広姿のアリー・アル・サーシェスは
一方通行の挙動を物陰から潜んで伺っていた。
(思ってたより若いな・・・。よく見たらまだガキじゃねーか)
要人暗殺もこなしていたサーシェスは昔、
相手に警戒心を抱かせない徒歩尾行の距離に最適なのは、
30m程度だと教わっていたが、サーシェスが尾行をしている今は日中の時間、
相手の思考や戦闘力が分からない以上、警戒しすぎるに越したことはないと、
サーシェスは相手を見失うかもしれないギリギリの遠距離尾行を続けていた。
そのサーシェスも、一方通行の明らかに不自然な足取りに気付くまで、
そう長い時間は掛からなかったのだが。
(あの挙動が狙撃を避けて動いてるのだとしたら、
ガキの癖に、まるで前に狙撃された経験があるような動きだな・・・)
どうやら、相手はただのガキで素人って訳でもないらしい。
さて、どうしたもんかねとサーシェスが反応を図りかねているうちに、
50mほど前に歩いていた一方通行の足取りが急に止まった。
その瞬間、前方にいた一方通行がサーシェスのいた方向に振り返り、急に叫びだした!
「さッきから、コソコソコソコソ人の後を付けてるテメェ!!!!
10秒以内に出てこねェなら、ブチ殺す!!!!!!!!!!!!」
そして、おもむろにその場で10からカウントを始める一方通行。
相手の思わぬリアクションに焦りが隠せないサーシェスを尻目に、
一方通行の数えるカウントはどんどん数が減っていく。
(尾行がバレた!?いやそんなはずはない)
(相手の勘が鋭いという可能性も考慮して50mも距離を離した。
尾行はそこまで得意って訳でもないが、この距離から存在を感知される程、下手糞でもない!
オレ自身は何のヘマをしていない!じゃあなんで一方通行はこちらの存在に気付いた!?)
「ゼロ!!!!!!!! いいぜェ!!!じゃあ、とッと死にやがれ!!!!!!!!」
状況を整理し次に取るべき思考を続けるサーシェスを尻目に、一方通行のカウントはゼロを迎え、
一方通行はまっすぐサーシェスに向かって歩き出した。
(もしかして、コレが超能力って奴かよ!?)
そう判断したサーシェスは物影から迷いなくこちらに向かってくる一方通行の姿を確認した上で、
更に思考を続ける。
この状況下じゃ、一方通行という男は、明らかにこちらの存在に気付いていると断言していいだろう。
じゃあどうする?
バックにしまったガトリング砲を出して応戦?
―――いや、相手の戦闘力も分からず迂闊に仕掛けるのはヤバイ!
しかも相手は、なんらかの超能力で俺の居場所に気付いてる。
もしも、ガトリング砲で仕留められなかったら・・・?
とっとと、この場から逃げ出す?
―――リスクも減るがリターンもねぇ。
何より、訳も分からずいきなり全力で逃げ出すっては、
性に合わねぇな!
その間にも一方通行はどんどんサーシェスが潜んでいる物陰に近づいてきている。
(どうする!?戦争屋、アリー・アル・サーシェスはどうする!?どうする!?どうする!?どうする!?どうする!?どうする!?)
一方通行がサーシェスのいる地点20m付近まで迫った際、
サーシェスは覚悟を決めて、物陰から一方通行の前に飛び出した!
アクセラレイター
「待ってくれ!一方通行さん!尾行したのは悪かった!」
そう叫んだサーシェスは両手を上に上げて一方通行の前に現れた。
戦争屋である彼が下した決断―――。
それは皮肉にも、一方通行との【交渉】であった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一方通行もサーシェスの尾行に初めから気付いていた訳ではない。
彼を不快な気分にさせる紫外線すらも反射せずに街中を歩いていたのだ。
日常的に彼が使っていた反射能力は能力回復後も一切使っていない。
その代わり、一方通行は歩きながら数分に一度、数秒だけ周囲の音のベクトルを操作して、
音波探査機の代わりにしていたのだ。
この静寂に満ちた街中で自分以外に周囲で歩いてる人間の足音が聴こえた。
一方通行の足を止めたのはそんな理由からだった。
しかもその足音はどうやら一人、ご丁寧に普通の人間には聴こえないような
忍び足の上、等間隔でこちらを付けてきている。
無視しても良かったが、いきなり物陰から狙撃されても面倒だ。
そう判断した一方通行は、謎の尾行者に向かって叫んだのだ。
そのまま逃げるなら無理には追わない。仮に向かってくるなら容赦なくぶち殺す!
その結果、一方通行の前に背広姿の赤毛の男が現れた。
男は一方通行の名を叫び、こう続けた。
「俺の名は、アリー・アル・サーシェス!
アクセラレイター
一方通行さん!!!!
アンタの名前はデパートにいた、ゼクス・マーキスってアンタの知り合いから聞いたんだ!
少し話をさせてくれないか!?」
それを聞いた一方通行の歩みが、ピタリと止まる。
「お前・・・ゼクスの野郎に会ッたのか?」
そう尋ねてくる一方通行に、サーシェスはデパートで出会ったゼクスに少しだけ感謝の気持ちを覚える。
(こんなところでゼクスとかいう、いけ好かない男の名前が役に立つとは・・・。ここじゃ、知り合いは多い方がいいぜ!)
サーシェスは続ける。
「そうだ。ゼクスさんに第三回放送で『E−3 象の像』に信頼できる人間を集めろって言われてな。
アンタの名前や特徴もその時に聞いたんだ!」
「ゼクスは・・・まだ、デパートにいンのか?」
「・・・いや、オレと別れたら他所に行くつもりだと言っていた。
おそらく、仲間はもうデパートには戻ってこないだろうと。
アレはアンタの事だったんだな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一方通行が沈黙する。
どうやら何かを考えてるようだったが、ふと急にサーシェスに興味が失せたかのように背中を向けて歩き出した。
「はッ!精々ガンバッてお仲間を集めるこッたな!
だから、もう俺の後ろを付いてくんな邪魔くせェ」
そう吐き捨てるように言い放ち、サーシェスを置いて歩き出す一方通行。
一方通行は目の前の背広姿の男を完全に信用した上で背を向けた訳ではない
この会場で新品の背広姿の男が、足音も立てずに一方通行を尾行するなんて、
サーシェスが普通の一般人ではないという事だけは理解できた。
かといって、
戦意を見せずに目の前に現れたサーシェスを一方通行が攻撃する理由も、もはや無い。
一方通行にとって、サーシェスがどこの誰で何を考えてるのかすら、今はどうでもいい。
そうして、一方通行の興味の対象外となったサーシェスは思考する。
(どうする!?相手は今背中を向けている!今ならリベットガンの射程内だ!
だがそれじゃ、結局一方通行はなんでオレの居場所が分かったのか、さっぱり分からんまま!
このまま行かせていいのか!?)
迷ってる時間も惜しいサーシェスは、彼を無視して歩き出した一方通行に再度声を掛けた
「待ってくれ!一方通行!オレと組まないか!?」
一方通行は振り返りもせずに無言で歩き続ける。
どうやら完全に無視されているらしい。
(無視かよ・・・!なめやがって・・・!)
思わず殺気に任せてリベットガンを背広から引き抜きそうになるサーシェスだが、
それはグッと堪えて続ける。
「もちろんオレと組むアンタもメリットはある!
コレ、何とかしたくないのか!」
自分の首輪を指差すサーシェスに一方通行の歩みがピタリと止まる。
これはサーシェスの完全にハッタリだが、
どうやら相手の興味を引く話題は提供できたようだ。
(食いついてきたか・・・。さぁどう出る一方通行!?)
サーシェスは首輪を指差したまま、更に続ける。
「オレはコイツを何とか出来そうなアテがある!だが、一人じゃ難しい!
協力者が必要なんだよ!」
完全に立ち止まった一方通行は、
体を半分だけサーシェスの方に向け、言った。
「・・・・・・話してみろ。組むかどうかはその後で決めてやらァ」
サーシェスは心の中で小躍りしそうになりながら、
まるで釣り針を垂れて餌に魚が食いついてきたような確かな手応えを感じていた―――。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
サーシェスが筆談で一方通行に話した内容を要約すると以下の通りになる。
ちなみにサーシェスの書いた文は全て英文なのだが、読みやすいように翻訳されている。
以下翻訳文
・この首輪は発信機も兼ねていて、参加者の居場所も主催者に特定できるようになっている
(これは嘘、そんな機能もついているだろうというサーシェスの推測)
・首輪には盗聴器も仕込まれていて、参加者が主催に対して不穏な行動を取ると爆破される
(これも嘘、こちらもまたサーシェスの推測)
・首輪には有効範囲があり、首輪をつけたまま島から遠く離れると爆発する
(嘘。そんなのサーシェスの知る所ではない)
・首輪を外す方法は二通り。死んだ後に死体から奪うか、
主催者側が用意している特殊な端末を使い解除用パスコードを入力するか
(もちろん嘘です)
一定の距離は保ちつつ、サーシェスにメモ帳を投げつけさせた一方通行は、
サラサラと英文で返事を書いてサーシェスに投げ渡す。
そこにはこう書かれていた。
Did this collar, who make it?
(この首輪を開発した人間を知っているのか?)
サーシェスは一方通行に書いて返事をよこした。
・それは分からん。参加者によって付けられてる首輪の構造が違うからな。
だが、解除方法は全て共通だ。特殊な端末を使ってパスコードを入力すれば誰でも解除できる。
もちろん、解除方法を探してるのが主催にバレたらドカン!だが。
オレはこの首輪を解除できそうな装置の代わりになる物を知っている。
でもそれを手に入れる為に一人じゃ難しい。協力者が絶対必要だ!(嘘)
よくもまぁこんな嘘八丁が並べられるもんだとサーシェスは自分で自分を褒めたくなる。
そして、一方通行はサーシェスに返事を書いたメモを放り投げる。
・首輪解除して、お前はどうするんだ?
サーシェスはそれを受け取って、少しだけ悩んだ後、こう書いたのだった。
・もちろん、この島からさっさとおさらばするさ!
首輪さえ何とか出来ればアテはいくらでもあるからな!
嘘で嘘を塗り固めた結果、サーシェスは戦争屋ではなく、島から脱出を考えてる技術者となってしまったが、
ここは仕方ないとサーシェスは割り切る。
要は一方通行の能力を突き止め、利用できるだけ利用し、
もしも途中でバレそうなら、さっさと始末すればいい
目の前にいるのは単なる貧弱そうなガキだ
能力さえ判明すればいくらでも処分できるだろう。
それこそ寝込みを襲っても何とか出来る。
そんな黒い考えは表情に微塵も出さず、サーシェスは一方通行の反応を待つ。
一方通行はふいにメモを閉じ、サーシェスに向かって言った。
「もうコレの話は終わりだ」
メモ帳をサーシェスに放り投げ、さらに続ける。
「いいぜ。テメェはまだ完全には信用ならないが、取りあえず組んでやンよ」
サーシェスは心の中で踊り出しそうな歓喜に包まれた。
(あぁ神さん、普段はアンタの事なんぞ欠片も信じちゃいないが感謝してやるよ。
目の前にいるクルジスの時のような馬鹿なガキを目の前に遣わしてくれたことをな!)
無神論者であるサーシェスが思わず神に感謝を告げる
彼の脳裏には以前、中東において孤児達を戦争に描き立てた過去がありありと思い出され、
サーシェスの嘘に踊らされて死んでいった子供達の最後が浮かんでいた。
今ここに、最悪の戦争屋(今は不幸な技術屋)アリー・アル・サーシェスと
学園都市200万人最凶の能力者、一方通行のコンビが誕生したのだった―――。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【D-6/街中/一日目/午前】
【アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:疲労(小)、腹部にダメージ、額より軽い出血(止血済み)。
[服装]:新品の背広(赤い)
[装備]:サバイバルナイフ@現実、ガスリベットガン(20/20)@現実
スローイングナイフ@現実(5本)、鉄板@現実、腕時計@現実
[道具]:基本支給品一式、 ガトリングガンの予備弾装(3回分) ショットガンの予備弾丸×78 、文化包丁@現実 ガトリングガン@戦国BASARA 残弾数50%
果物ナイフ@現実 作業用ドライバー数本@現実 迷彩模様の服など数点@現実 医薬品@現実 食料品@現実 双眼鏡@現実
懐中電灯@現実
[思考]
基本:この戦争を勝ち上がり、帝愛を雇い主にする。
0:一方通行を利用できるだけ利用し、能力が判明したら排除
1:周辺を見て回り、できれば他にも組める相手を見つける。
2:殺し合いをより楽しむ為に強力な武器を手に入れる。組んだ相手を騙すことも辞さない。
3:ゼクスは胡散臭いが、他の彼の知り合いに接触する価値はある。
4:アーチャーとの決着をいずれつける。
【備考】
※セカンドシーズン第九話、刹那達との交戦後からの参戦です。
※ゼクスからもらった情報を完全に信用しました。
道具紹介
【ガスリベットガン@現実】
ガスで壁に3cm程の長さの釘を打ち付ける大工道具。
射程は5m程度で、命中精度はかなり低い
【サバイバルナイフ@現実】
キャンプなどでは大活躍。刃渡りは15cmほどの片刃のナイフ。人に向けてはいけません
【懐中電灯@現実】
こちらもキャンプ用品
蛍光燈タイプで前方というより周辺を明るく照らすタイプ
自家発電方式を採用してるので、電池がなくてもハンドルを回せば駆動可能
【背広@現実】
紅いが着ても別に3倍の速度で移動できたりはしない。かなりの高級品。
【スローイングナイフ】
俗にいう隠し武器の一種
長さ5cm、幅1cm程のダガー状の形状で、袖に収まるほど細い
近距離の相手に投げて使う。最大射程は使い手の腕次第。
【双眼鏡@現実】
一時期は軍用にしか配備されなかった高精度双眼鏡。
最大倍率は48倍、夜間でもくっきり明るい赤外線暗視モードも備えた優れもの
赤外線モードで装着して白い水着を着た女性を見ると少しだけ幸せになれる
【鉄板@現実】
サーシェスが背広の下に着込んでいる。
ライフルの弾を弾くほどの強度はないが、常人の使うナイフや拳銃ならある程度弾く強度を誇る
【腕時計】
どこのメーカーが作ったのか良く分からないが
B−SHOCKとロゴが入っている
触れ込みでは対爆仕様らしいが、爆発に巻き込まれた本人は死ぬだろうし
何の為に生産されたのか誰にも理解できない
電波時計らしいので時刻表示は正確のようだ
【D-6/街中/一日目/午前】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康 能力使用可能(残り14分)
[服装]:私服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、缶コーヒー×14、ランダム支給品×1(確認済み)
[思考]
0:???????????????
1:このゲームをぶっ壊す!
2:打ち止めを守る(※打ち止めはゲームに参加していません)
3:D-6駅にいるという奴らに接触する。
4:機会があればプリシラの遺言を伝える
[備考]
※知り合いに関する情報を政宗、ゼクス、プリシラと交換済み。
『一方通行の能力制限について』
【制限は能力使用時間を連続で15分。再使用にはインターバル一時間】
【たとえ使用時間が残っていても、ある程度以上に強力な攻撃を使えば使用時間が短縮されます】
【今回の使用はあまりに過度の能力だったため、次からは制限される可能性があります】
ゼクスのいた世界について情報を得ました。
主催側で制限を調節できるのではないかと仮説を立てました。
飛行船は首輪・制限の制御を行っていると仮説を立てました
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そう申し出る一方通行に近づいたサーシェスは握手を求める右手を差し出す。
「ありがとう一方通行。協力感謝する。」
サーシェスがそう言って差し出した右手に一方通行は何の反応を示さない。
そんな一方通行に疑問を抱くサーシェスに向かって、一方通行は言った。
「なァ、サーシェス」
「なんだよ水臭いな一方通行。俺の事は【兄弟】って呼んでくれよ
オレも呼びにくいアクセラレイターなんて呼ばずに、そう呼ぶからさ!」
右手を差し出したままに一方通行に語り掛けるサーシェスに対して一方通行は言った。
「じゃあ・・・。キョーダイ、聞いてくれ」
「俺の能力はベクトル操作、ありとあらゆるもンのベクトルを変換する能力。
だが、能力に制限が掛かッててな・・・。使える時間が限られてンだ」
そう言いながら一方通行はサーシェスの差し出された右手を掴む。
サーシェスはこの行動を見て一方通行に対して笑顔を見せながら、
内心はまったく別のことを考えていた。
(おいおいさっそくベラベラと自分のことを喋り出しやがったよ・・・。
思った以上に頭が悪かったか?まぁ利用できるうちはどんどん利用させて貰うぜ)
サーシェスは一方通行の右手をガッチリ掴んで、
(ありがとう兄弟!共にこの糞ったれたゲームから脱出しよう!)
と心にも無い事を言おうとした瞬間、
一方通行の発した言葉に耳を疑った。
投下乙です
サーシェスはうまく一方さんに取り入ったか
今後が楽しみです
「だからよ・・・。キョーダイ、ちょッとした【実験】に
付き合ってくれよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
一方通行の右手を掴んでいたサーシェスの体が一瞬にして宙を舞い、
時速100km程の高速で10mほど離れた路地に面した店にあるショーウインドウのガラスに叩き付けられる!!!!!!
サーシェスが衝突した事により、洋服を着たマネキンが展示してあったショーウィンドウが粉々に粉砕される!!!!!!!
グワシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンンンンンンンンンンン!!!!!!!!!!!
「カハッッッ!!!!!!!!!!!!!!」
ショーウィンドウを突き破り、店の中にあったものを軒並み吹き飛ばし、店の壁に叩きつけられた時点でやっと止まったサーシェスは、
壁に叩きつけられた瞬間、思わず息を吐いて、一瞬にして意識を失った。
壁にめり込みつつ、地球の重力で地面に引かれたサーシェスはそのまま1m程下の地面に、
ドサリとうつ伏せに倒れこんだ。
ショーウィンドウのガラスは車のフロントガラスに採用されてるものと同じ構造のようで、
衝撃を受けると細かく割れる種類のものだったようだ。
不幸中の幸いというか、サーシェスの体に割れたガラスが突き刺さるという自体にはならなかったらしい。
サーシェス自身のベクトルを変換して、その体を高速で放り投げた一方通行。
一方通行はサーシェスの言う事は始めから信じていなかった。
それはサーシェスの節々から漂う胡散臭さだけが原因ではない。
シスターズ
過去に彼の能力を研究し、妹達を虐殺するプランを立案したうちの一人である科学者。
他人を何の感情を抱かず殺せるような冷酷な人間に
サーシェスの雰囲気が非常に似ていたからだ。
感情論ではあるのだが、
自分の能力を利用する気満々、そんな雰囲気のサーシェスをハナから信用する気は一方通行にはまったくなかった。
そのまま逃げ去っていれば一方通行も見逃したのだが
懲りもせず自分を勧誘し続けるサーシェスに業を煮やしたといっても過言ではない。
一方通行は意識を失ったサーシェスに近寄り、
泡を吹きながら床に無様に転がっていたサーシェスを尻目に、彼の持っていたバックの中身を知らべ始めた―――。
投下乙です。
まさかこの後不意打ちとかないよなwww
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
気絶しているサーシェスの所持品を調べ出した一方通行は、
バックの中から次々と出てきた武器一式に呆れたような表情を浮かべていた。
「けッ!なーにが技術屋だ!技術屋がこんなもん持ち歩くかッ!?」
そう舌打ちしながら一方通行は明らかに使い込まれた感のあるガトリング砲を見て吐き捨てる。
ハナから信用はしてなかったのだが、まさかここまで嘘を吐かれていたと改めて理解すると、
何とも言えない不快な気分になってくる。
グシャアア!!!!!!!!!
一方通行はベクトル変換した足でガトリングガンの砲身を踏み潰した。
回転機構まで巻き込んで折れ曲がったガトリングガンはもうまともに銃弾を発射するのすら難しいだろう。
そしてサーシェスの支給品からショットガンの弾を見つけ、自分のバックの中にしまい込む
(コイツは後でバラして、中のショットシェルだけ取り出せば、
能力開放時には役立ちそうだな)
一方通行の能力はベクトル変換である。
その能力は単なる小石でも超電磁砲以上の威力で相手に向かって投げつける事が可能な代物だ。
単なるショットガンに使われる弾頭でも
一方通行の能力開放時には相手に投げつけるだけでショットガンの代用が可能になる。
むしろ、下手なショットガンより威力は高いかもしれない。
そして無様に倒れていたサーシェスの傍らにあったリベットガンにも目を付ける。
「なんだコリャ?」
引き金を引いた一方通行は、その瞬間、バシュ!!と勢い良く飛び出す釘を見て言った
「・・・・・・。まァ、こんなチンケなオモチャでも、ないよりマシかもな」
そう呟いて、今度は気絶しているサーシェスの体を漁る。
時間を見るために必要な腕時計を拝借し、サーシェスの体に無数に隠されていた投げナイフを発見したが、
一方通行はそのナイフは敢えてそのままにしておいた。
他にはキャンプ用の懐中電灯や双眼鏡など使えそうな物資をサーシェスから調達した後、
支度を整え、一方通行は店の裏からバケツに水を汲んできて、
足で仰向けにひっくり返したサーシェスに向かって浴びせかけた!
バシャアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
バケツの水の冷たさで思わず意識を取り戻すアリー・アル・サーシェス。
ゴホゴホと息をしながら、まだ意識が朦朧としているサーシェスに一方通行が吐き捨てるようにいった。
「アバよ!キョーダイ、【実験】協力アリガトよ!」
そう言い捨て、一方通行は店から出て行こうとした。
まだはっきりしない意識のままの今のサーシェスが考えている事はただ一つ。
(この糞ガキがあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!
絶対殺してやんよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!)
一方通行への激しい殺意に心を塗りつぶされそうになりながらも
サーシェスは今の自分の体の状態を冷静に分析を始めた。
(痛っ!!!この全身の痛みようは全身打撲って所か・・・。
アバラも何本か持ってかれてるかもしれん・・・。だが、右腕だけは何とか動かせそうだ)
自分の体の状況を冷静に分析したサーシェスは、
右手をモゾモゾと動かし、懐に隠してあった投げナイフを握り締める!
(こんなにコケにされて、ただで返すと思ってんのかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!)
息をするのもやっとだったサーシェスは、全身の激痛を堪えながら力を入れ体を少しだけ起こし、
右手の手首のスナップを使い、投げナイフを後ろを向いて店外へ歩き出していた一方通行へ向かって投げつけた!!!!!!
ヒュ!!!!!!!!
全身ボロボロとはいえ、この距離なら手首の力だけで投げても狙いを外すはずがない。
サーシェスの狙い通り、投げナイフは一方通行の無防備な首筋に向かってグサリと突き刺さる!!!!!!!!!!!!!!!
グサッ!!!!!!!
・・・はずだった。
サーシェスの狙い通り、一方通行のうなじ辺りにナイフは命中したはずだった
いや、あの軌道なら確実に刺さっていたのだ。
刺さらないはずが無い。
一方通行に投げたはずのナイフが物理法則的にありえない軌道を描いて狙いが反れた。
そのナイフはまったく関係ないあさっての方向の壁に無様に突き刺さっている
そうして、ゆっくりと振り返る一方通行の手には
先ほどサーシェスから奪い取ったリベットガンが握られている。
「糞ッタレが・・・。大人しく寝てれば見逃してやろうとおもッてたのによ」
そう吐き捨てる一方通行には、もはや迷いは存在していなかった。
その証拠に彼の表情は、その口調とは裏腹にこのゲームが開始してから一番愉しいという
凶悪とも言える表情だったからだ。
そして無情にも引かれる引き金から出た釘は、
ガスの出力で勢い良く噴射される!!!!!!!!!!!!!
ゴスン!!!!!!!!!!!!!!!
射出されてからも微妙に軌道を変えたその釘は
見事にサーシェスの額に突き刺さる!!!!
一方通行が自身のベクトル操作を使い、
釘の弾道を調整したのだ。
その狙いは百発百中。射出後の弾道が不安定なリベットガンすらも
一方通行が能力と同時に使ったのなら、必殺の兵器へと昇華する!!!!!!!
額から一筋の血を流したサーシェスは、後数秒でこの世から完全に途切れてしまうであろう瞬間、
(神さん、やっぱりアンタは最低にクソッタレだ・・・!
なんで・・・こんな化け物が存在している世界にオレを送り込んだ・・・!!!!!!)
信じてもいない神に思わず呪いの言葉を吐きかけるアリー・アル・サーシェス。
多くの死を振りまいた彼が最期の刻に思ったのは、自分の理不尽に対する嘆きだった―――。
【アリー・アル・サーシェス 死亡】
一方さんが死んだ…だと…
259 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 00:18:42 ID:jjw/wXtd
>72 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/12/02(水) 00:57:39 0
>困ったお
>一方さんにヒロシぶち殺させようと思ったけど
>ゲームバランスが悪すぎる
728 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/12/02(水) 16:26:38 0
アニロワでどんな話書いてほしい?
733 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/12/02(水) 16:36:07 0
>>728 リクエストしたらちゃんと反映してもらえるなら希望書くけど?
745 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/12/02(水) 16:59:26 0
>>728 マーダーを潰せ
パロロワを潰すにはマーダーを全滅させるのが一番手っ取り早い
812 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/12/03(木) 22:47:17 0
思考に矛盾はないように描いたつもりだったけど
やっぱり叩かれたでござる
仕方ないね
あの場でサーシェスの武装全部ひん剥いて裸で放置してもよかったんだが
それじゃギャグ漫画だお・・・
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
力なく崩れ落ちるサーシェスの最期を、見届ける形になった一方通行は
すでに物言わなくなったサーシェスの亡骸に近づいていく。
その目的はサーシェスを弔う為といった感傷的なものではない。
一方通行が用があるのは彼の首輪についてである。
既に事切れたサーシェスに近づいていった一方通行は無言で彼の首輪を掴み、
その様子を観察した。
サーシェスの戯言を間に受けた訳ではないが首輪を何とかしたいというのは
一方通行自身の偽りもない本音だ。
その首輪を無理にでもこの場でちぎって爆発でもされたら面倒だと一方通行は考えた。
大抵この手の爆発物は、爆発した際には解析されたら厄介な部品まで巻き込んで爆発するようになっている。
学園都市の10年進んでいると言われてる電子軍事兵器には大抵そのようなセキュリティーが施されてるというのは、
学園都市内での秘密扱いでもあった一方通行にとって、当然の思考と言えるのかもしれない。
とにかく、今はまだ解析に必要な道具が揃っていない。
サーシェスの首輪が必要になるのは、その後でもいいだろう。
そう考えた一方通行は、サーシェスの死体を引き摺り、ボロボロになった店の奥に隠した。
しかるべき準備が整ったら、また首輪を回収しに来よう。
「じゃあなキョーダイ。達者で暮らせよ」
そう皮肉交じりに呟いた一方通行は、ボロボロになった店を後にした―――。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
店を後にした一方通行が向かう先はD−6の駅ではない
彼は店の近くの裏路地にあるマンホールを反射で軽く蹴り上げると、その中に再び入っていった。
今の彼の能力はまだ使用限界を迎えてない。
サーシェスとの闘いにおいて、一方通行が目指したのは効率の良い能力の使い方であった。
時には銃に頼り、時には能力を使い最短のルート、最小の力で最大の戦果を得る―――。
サーシェスのナイフを反射ではなく、ベクトル操作で方向だけ逸らし、
リベットガンのベクトルを操作して釘だけを適確に的に命中させるなど、
今回の実験は大成功だったといえるだろう。
後は、地下で反射を使いつつ、一度能力の使用限界を迎えさせ、
能力回復の時間までサーシェスから奪ったショットガンの弾でもバラしているうちにでも、
あっという間に一時間を迎えるだろう。
「さァて、工作の時間と参りますかァ!」
再度下水道に降りたった一方通行は、その入り口からさらに奥へと進んでいく。
まるで深い闇の底に自ら飲まれていくように―――。
【D-6/街中(下水道)/一日目/午前】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康 能力使用可能(残り3分)
[服装]:私服
[装備]:ガスリベットガン(18/20)@現実 腕時計@現実 懐中電灯@現実
[道具]:基本支給品一式、缶コーヒー×14、ランダム支給品×1(確認済み)ショットガンの予備弾丸×78
双眼鏡@現実
[思考]
0:能力を使いきり、再度回復を待つ
1:待っている間はサーシェスの支給品をいじる
2:このゲームをぶっ壊す!
3:打ち止めを守る(※打ち止めはゲームに参加していません)
4:D-6駅にいるという奴らに接触する。
5:解析に必要な道具を入手したらサーシェスの遺体の首輪を調べる
6:機会があればプリシラの遺言を伝える
[備考]
※知り合いに関する情報を政宗、ゼクス、プリシラと交換済み。
※D-6の店の中では粉々になったショーウィンドウの店の奥にサーシェスの遺体が隠されてます
店の中には一方通行に踏み潰されたガトリングガン、サバイバルナイフ、ガトリングガンの予備弾装(3回分)、
スローイングナイフ、文化包丁、果物ナイフ、作業用ドライバー数本、食料品、医療品、服数点が放置されています
スローイングナイフと鉄板はサーシェスの体にそのまま装備されたままです
一方通行がサーシェスをガラスに叩き付けた音が他の参加者に聞こえたかどうかは後の書き手さんにお任せします
※効率の良い能力の使い方について学習しました
『一方通行の能力制限について』
【制限は能力使用時間を連続で15分。再使用にはインターバル一時間】
【たとえ使用時間が残っていても、ある程度以上に強力な攻撃を使えば使用時間が短縮されます】
【今回の使用はあまりに過度の能力だったため、次からは制限される可能性があります】
ゼクスのいた世界について情報を得ました。
主催側で制限を調節できるのではないかと仮説を立てました。
飛行船は首輪・制限の制御を行っていると仮説を立てました。
投下終了です
支援ありがとうございました
投下乙です
サーシェスはうまく一方さんに取り入ったか
今後が楽しみです
>>263 投下乙です。
早速ですが仮投下に指摘が来ています。
至急移動してご返答下さい。
投下乙っす
一度状態表表示してからの大どんでん返しとは半端ねぇww
そんな強引さに惹かれる憧れるゥ!!
投下乙。サーチェス・・・これもロワか。
投下乙です。
ではこちらも投下します。
――……あー、何か忘れてるような……。
そんな事をヴァンが思ったのは手に持った子供用の玩具を一通り遊び倒し、最後に変形したアリオスガンダムを元の人型に戻そうとしていた矢先のことだった。
視線の先には船首を鋭角に尖らせた飛行形態のアリオスガンダム。
そのフォルムが何かを彷彿とさせる。
子供のように肩の部分である飛行形態の船首を開いたり閉じたりを繰り返すヴァン。
開いたり閉じたり。
開いたり閉じたり開いたり。
開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり。
開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり。
開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり。
開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり。
開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり閉じたり開いたり……。
バキッ!
アリオスガンダムの胴体から腕が何処かに消えた。
支えを失ったアリオスガンダムはヴァンの両手から無残に落下する。
床に叩きつけられるアリオスガンダム。
哀れ、アリオスガンダムは撃墜されてしまいました。
鬼のような形相の黒衣の巨人の手によって……。
【アリオスガンダム@現実 破壊】
>>269 アリオスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
……とまぁ、一つの命が終わったかのように書いたところで所詮は玩具。
リアルに切羽詰った状況を思い出した人間の暴挙を抑止できる力は無い。
ヴァンは気づいた。
気づいてしまった。
……いや、正確には、“ようやく”思い出したと言うべきだろう。
自分が今、こんなことをしている場合ではない、と言うことを……。
大切なものが奪われていると言う現実を。
……悲しいことに、それは6時間経ってようやく訪れた瞬間だった……。
「……ダン!!!」
ヴァンの頭に浮かび上がったのは目の前で無残な姿を晒しているアリオスガンダムと同様とも言うべき機械の巨人。
自身の相棒であり、分身であり、命であり、大切な人に託された願いの欠片。
ロボットとパイロットなどと言う単純な言葉で括れない唯一無二の命を分けた存在だ。
ヴァンはダン無くしては生きられない。
ダンはヴァン無しでは自己修復もままならない。
ヨロイと搭乗者が直結された、まさに自分そのものというべき分身。
そんな大切なものを、今の今までヴァンは考えようともしなかったのだ。
「奴らっ!ダンを!!俺のダンを!!」
ヴァンを激情に囃し立てたのはある種の願い。
カギ爪への復讐を果たした今、唯一ヴァンに残された最後の願いだ。
それは、自分の命を救ってくれた最愛の女性、エレナの願い。
“ヴァンに生きて欲しい”、そんな当たり前で純粋なる願い。
その願いを叶える為に、エレナは残り少ない命を使い、ダンをヴァンに託したのだ。
その必死の想いを、ヴァンが知らないはずはない。
ヴァンの命はエレナによってダンと直結された。
つまり、ヴァンの命とダンは、エレナの最後の願いであり、ヴァンに残された最後のもの。
決して失ってはいけない、かけがえのないもの……。
決して、容易く奪われてはいけないもの……。
復讐を果たせた今だからこそ、その事を深く実感する。
ゆえに、その命とも言うべき存在の異常事態に改めて気がついたとき、ヴァンは感情に任せるままに怒りを顕にする。
ヴァンが思い出していたのは昨夜の出来事。
奇妙な女の前で感情に任せるままにヴァンはダンを呼び出した。
ハットにぶら下がるリングに指を通して回転させ、ダンを呼び出すというイメージを固定化する。
何時もどおり手に持った蛮刀に神経電気を伝え、無数の穴が剣の表面に開くのを感じ取り、V字型に振りかざしてダンを呼び出すというイメージを空に向かって飛ばす。
それだけ……、たったそれだけの工程をクリアするだけでダンを呼び出せるはずだった。
だが、待てど暮らせどダンが降りてこない。
今まで、一度たりとも自分を裏切らなかった相棒がここに来て呼び出しを無視したのだ。
これはヴァンでも解るほどの明らかな異常事態。
勿論、ダンが気分でヴァンを裏切った等とはヴァン自身も考えていない。
いくらヴァンでも、ダンが呼び出しに応じなかったという事実が何を指してるのかぐらい流石に解る。
「俺からダンを奪いやがったのか!」
今更。
本当に今更なのだが、そう吐き捨てるヴァンの表情は真剣そのもの。
とても先ほどまで玩具遊びに興じていた男と同一人物とは思えない。
ダンは奪われた。
おそらく、この殺し合いを企画した最初にモニター越しに現れたあの二人の男と女に……。
それが容易に理解できるからこそ、今現在ぶつけ様のない怒りを全身から立ち上らせているのである。
「クソッ!!こんな事してる場合じゃねぇ!!」
両の手に握られたひび割れたアリオスガンダムの肩から腕までのパーツを床に叩きつけ、ヴァンは怒りの形相のままに模型店を飛び出した。
向かう先は天井のない外だ。
勿論、もう一度ダンを呼び出すためだ。
結果は同じだろうとはヴァンも感じている。
だが、今はそれしか出来ない。
重要なのは感情に赴くままに動き出すことだ。
感情に赴くままに止まっていたのでは何もならない。
そんな至極当然の思考に基づいての行動、そして当然、試した結果待ってるだろう今後の明確な方針決め。
それをなす為にはこんな場所で遊んでいる暇は無い、と自身を怒りに流されるままに鼓舞し、行動を始めたのだ。
そしてその結果、ヴァンはこの地に来て始めて明確な行動方針を得た。
――ダンを取り戻す。
――何があろうと取り戻す。
――デイパックに入っていた地図には『宇宙開発局』と呼ばれる施設もあった。
――『宇宙』という言葉は覚えてる。
――確かダンがねぐらにしている衛星がある場所だ。
――なら、ここは何かダンに関係があるんじゃないか?
――わからない。
――わからないが、わからないなら行ってみるのが手っ取り早い。
――途中機械に詳しい奴がいたら協力してもらうのも悪くない。
――とにかく、どんな事をしてもダンを取り戻す。
新たな決意を胸に、黒衣の男、ヴァンは一路東へと進路を定めて歩き出した。
黒いタキシードをはためかせて……。
◆ ◆ ◆
所変わってE-2、学校校庭。
放送により新たに定めた自身の行動方針に則り、行動を開始した一人の魔術師がそこにいた。
今現在彼は、自身の顔の表すままに海原光貴と名乗り、最愛の女性、御坂美琴を生き返らせる為の険しい道のりを歩んでいる最中である。
一歩、また一歩。
冷酷な仮面の下に決して消えることの無い青い高温の炎を揺らめかせながら、前へと進む。
たとえその行く道の先に待つのが絶望しかないとしても、魔術師は歩みを止めない、止めるわけにはいかない。
なぜなら、もう魔術師にとっての当たり前の平和は失われてしまったのだから……。
「美坂さん……」
彼女に生きていて欲しい。笑って生きていて欲しい……。
そんな願いを胸に、魔術師は歩を進める。
だが、切実な願いほど叶わない事を魔術師は知っている。
願いを叶えるには果てしない努力と決意が必要だ。
自身を削るほどの努力と、どんなに絶望を嘗めようと諦めない心と、地獄に突き落とされる事を構わないと笑って言える程の決意。
それを理解しているからこそ、魔術師の歩みに迷いは無い。
まず必要なのは願いを叶えるための最低限の力。
止まっているだけでは決して得られない様々な力。
武器、情報、仲間……。
何でもいい、利用できるものは利用し、また恥を捨て助力を請い、必ず願いを達成させる。
「待っていてください……」
魔術師の過酷な歩みは、まだ始まったばかり……。
……だが、現実はそんな魔術師の想像を遥かに凌駕するほど過酷で残酷なもの……。
なぜなら、魔術師は早速、願い成就の為の最大の障害と邂逅する事となるからだ。
魔術師の何がいけなかったのだろう。
魔術師に何が足りなかったのだろう。
それは誰にもわからない。
あえて言うならこう付け加えよう。
ただ『不幸』だったと……。
◆ ◆ ◆
童帝なにしてんだwww
投下乙
全く神様(書き手)も人が悪い
普通に騙されてしまったじゃないですか
なんかサーシェスが小物に見える
こんな簡単に死ぬのなら第一回放送まで生き残れたのが奇跡だったのか・・・
あと思ったことなんですがそもそも嘘八百とは言えあそこまで具体的に首輪の解除方法が考えられるものなのか?
バトロワの原作でも読んでたんですかね
魔術師であり、今は海原と名乗る男は目標に向かって歩いている……。
そこに一欠けらの慢心も油断もない。
慎重と言う言葉を軽んじられるほど愚かじゃないからだ。
海原はサバイバルのお手本のように慎重に慎重を重ねて行動している。
自身の願いの為に、あらゆる状況での他者との接触の仕方も考えているし、奇襲にあうことも考慮し、辺りへの注意も何時も以上だ。
勿論、戦闘になったときに容赦せず相手を殺す覚悟を背負い、その準備も最低限だが出来ている。
銃を持ち、切り札として黒曜石も手に入れた。
戦闘手段としては磐石とは言いがたいが、今の自分に用意出来る最大限の環境を整えたつもりだ。
ゆえに、何が、どんな相手が、視界に飛び込んでこようとある程度冷静でいられる。
そう思っていた。
そう思っていた、はずだった……。
それは突然現れた、わけではない。
海原の視界にあの男が入ったのは目算にして25メートルと言う十分に離れた距離での事。
通常なら、まだ十分に思考に余裕が持てる距離だ。
たとえ向こうが殺し合いに乗っていて、銃をいきなり撃ってきたとしても、これだけ離れているならば、相手が動いた瞬間に身を隠して初撃を避ける事ぐらいは出来るだろう。
幸い、今海原が立っているのは、正門へと向かう間にある、針葉樹林が立ち並ぶ校庭隅の並木道。ここなら木々の隙間に身を隠す事は十分可能だ。
学校の玄関から校庭に出た海原だったが、そのまま一直線に出口である正門へと向かうような危険な真似はしなかった事が幸いしたのだ。
25メートルと言う距離、何かあっても隠れる事ができる木々、それらを駆使すれば十分戦える。何も問題はない。
それは当然とも言うべき冷静な思考だ。
海原もそう思った。
そう思ったはずだった。
だが……、現実問題、海原の思考は容易く停止していたのだ……。
目の前に、一人の男が立っていた。
銀色の甲冑に鬼を連想させる額当て、悪魔の羽根のような背中から出る六本の飾りに、右手に握られた長すぎるとも思える刀。
異様な風体。
いや、風体なんて軽く流していいものじゃない。
姿だけでなく、海原の目に映った男はその周囲をも異界へと取り込んだかのように変えているのだ。
男の周囲に黒い影のようなものが立ち込めている。
それだけだったら何かの魔術かとも思えたが、その異様な雰囲気が遠く離れているはずの海原に無言の圧力を掛けてくるのだ。
一切の動きを許さないかのように、一切の思考を許さないかのように、男は現れただけで、海原の持つ冷静な思考を容易く打ち砕く。
海原の視界に映っているのは、禍々しく、この世のものとは到底思えない何かだ。
そう瞬時に思わせるほどに、その邂逅は衝撃のものだった。
――何だ……、あれは……
体躯は見上げるほど大きくはない。
大きくはないはずなのに、海原はその姿を幻視した。
2メートル、3メートル、いや4メートル5メートル……。
無表情に佇んでいる筈の男が、なぜか悪鬼羅刹かのように映り、それこそ隣に聳える校舎ほどの大きさではないかと錯覚する。
勿論そんな事はない、と海原もわかっている。
だが、男の放つ殺意をも超えた圧倒的な威圧感が海原にそれを見せるのだ。
言うなれば、これが海原と現れた男との差。
誤魔化しきれない、一見しただけで二人の間で済んだ勝負付け。
海原は、一言も交わす前から、視界に捉えた男に恐怖を覚えたのだ。
――マズイ!!
なぜそんな行動を取ったのかは海原もわからない。
一言も発しもせず、また相手が何かをしてきたわけでもないのに、海原は動いた。動いてしまった。
おそらく生物としての原始的防衛反応だったのだろう。
海原は、何かに背を押されるように持っていた銃を男に向けていた。
銃、拳銃。
引き金を引けば人が死ぬもの。
それを海原は迷い無く目の前の男に向けたのだ。
相手を殺す事に躊躇いはない。躊躇っている場合じゃない。
そう思わせるほどの威圧感であり、禍々しい気配。
浮かび上がった衝動に駆られるまま、海原は引き金に指を掛けた。
だが、その瞬間、海原の頭の中に残った最後の思考回路が待ったを掛ける。
理由は単純、引き金を引いた先に待つ未来を想像してしまったからだ。
銃の射程は確か25メートル程、届かない距離じゃない。
だが、届いたとして、いったいどこを狙えというのだろう?
男は全身に西洋甲冑と思われる銀色の鎧を着込んでいる。
この銃がどれ程の威力かはわからないが、あの鎧を貫き、男に致命傷を果たして与える事ができるのだろうか?
与えられなかったら?いや、それ以前に全弾よけられる可能性も十分にある。
そうなれば、待っているのは残弾を撃ち尽くした後、悠然と距離を詰められ殺される自身の無残な未来だけだ。
それはダメだ。
そんな風に無謀な行動は取れない。とってはいけない。
なら、どうするべきか……。
銃を相手に向けた事で海原の中に僅かに冷静な思考が戻ってくる。
だが、遅い。
その一瞬の迷いこそが致命的。
海原が男に銃を向けた事で、当然のように男も動いていたのだから……。
「虫ケラか…こざかしいわ…!」
男はポツリと呟いただけで、その言葉を殺意と共に海原に向ける。
そして、25メートルというそれなりに長い距離を一瞬で0にした。
気がついた時には、男は海原の眼前にいた。
銃を向け、引き金を引く直前だったというのに、その異常性を前にして石のように硬直する。
死を覚悟する間もない。
男はなんの躊躇いもなく、海原に向かって刀を振り下ろしていたのだから……。
◆ ◆ ◆
海原光貴は死んだ。
それは確かな事実。
もうこの地に、海原光貴と呼ばれる者は存在しない。
殺された。
殺された。
海原光貴は殺された。
何の迷いも躊躇いもない、悪魔の放つ残酷なまでに冷酷な一撃により、海原光貴は殺されたのだ。
いない。
どこにもいない。
もう海原光貴はどこにいない。
姿形も無い。
この地から、海原光貴という存在そのものがない。
消えた。
消えた。
最初から存在しなかった存在が、ついに……消えた……。
◆ ◆ ◆
「はぁ、はぁ、はぁ……」
E-2北、住宅街を縫うように走り、何かから逃げる男が一人。
それは、ただの魔術師だった。
――あんなの、反則でしょう……。
とりあえず近くにあった電柱に寄りかかり、息を整えながら心の中で愚痴をこぼす。勿論無駄と解りながら。
――運がよかった、と言うべきでしょうか?
――いや、あんなのと出会った時点で運が悪いと考えるべきでしょうね……。
――……まぁ、だが、僕は生きている。
――それは確かな事。
――失ったのは、偽りの仮面一つ……。
魔術師は、この地に集められた64人の誰でもない顔をしていた。
それも当然。
魔術師は先の戦いの際、被っていた仮面を砕かれていた。
この地での男の呼び名は海原光貴、その仮面を、魔術師は失ってしまったのだ。
――これぞ紙一重と言うのでしょうかね……。
今現在の男の姿は魔術師本来の姿であり、名を名乗るのであれば『エツァリ』と名乗るのが適当であろう。
先ほどまでの自身の姿、海原光貴と呼ばれる男の顔はもうどこにも無い。
なぜなら、『エツァリ』が『海原光貴』へと化ける為に必要な護符を、先の男に切り裂かれてしまったからだ。
エツァリは先の絶望的なまでに恐怖した戦いを思い出す。
一気に距離を詰めたあの禍々しい気を放つ男。
その男が当時まだ海原だったエツァリに対して刀を振り下ろそうとした刹那、エツァリが取った行動は単純にして明快。
エツァリはただ、閉じていた左手の平を開いただけだ
銃を男に向けた時、同時に左手でポケットから出していた黒曜石のパワーストーンをある術式に基づいて発動させただけ……。
ただ、それだけだった……。
トラウィスカルパンテクウトリの槍、そのゼロ距離射撃。
空か降る金星の光りを黒曜石に反射させ、その光を浴びせることで攻撃する魔術をエツァリはあの土壇場で発動させたのだ。
もともとトラウィスカルパンテクウトリの槍は不可視の攻撃だ。
それを離れた相手に当てようとするとどうしても幾度かの射線修正を余儀なくされてしまう。
だが、相手が近づいてきたあの瞬間に限り、その射線修正は必要なくなる。
何せ近づけば近づくほど的が大きくなるのだ。
ゆえに、エツァリはあの瞬間、光りが男の銀の鎧に反射した事を確認しただけで魔力を注ぎ込んだ。
狙いなんてどうでもいい。
ただ当たればそれでいい。
当たって、この状況を何とかできれば……。
そんな単純な願いと共に……。
結論から述べよう。
エツァリの攻撃は当たった。
トラウィスカルパンテクウトリの槍は確かに男の銀の鎧にあたり、分解した。
そう文字通り鎧だけを。
――あれを奇跡と……、呼ぶべきなのでしょうか……。
男の一撃は確かにエツァリを殺害しようとした殺意のこもった一撃だった。
あの一撃をまともに食らっていればどう抗おうとエツァリの死は免れなかった事だろう。
だが、現実は決まりつつあった未来を覆した。
男は突然砕かれた自身の鎧に驚き、振り下ろそうとした刀の狙いを外してしまう。
それは単純にして明快な奇跡。
計算で起きたわけじゃない、まったくの偶然の産物。
ゆえにエツァリは死すべき運命を回避した。
その代わり、大切なものを失う事になったが……。
エツァリが失ったもの、それは顔。
あの時、外した刀の切っ先が僅かにエツァリの額と、護符を貼り付けていた胸元へと走り、まるでカマイタチのように切り裂いていった。
そのどちらも肉体には届いてはいなかったのが不幸中の幸いだったが、エツァリの施した魔術を断ち切るには十分な一撃だった。
こうして、エツァリは海原光貴というもう一つの姿を失った。
勿論、突然の出来事に呆然としている程、完全に恐怖に支配されていたわけじゃない。
男の鎧が砕かれたのを合図に、エツァリは単純な指令を全身向けて発したのだ『逃げろ』と……。
正直な話、その時点でエツァリに男と向き合う勇気は微塵も無かった。
それだけの恐怖をエツァリは感じたのだ。
ゆえに、エツァリに残された最後の選択肢は逃げの一択。
殺し合いに乗ったものを殺すと言うスタンスをその時だけは投げ出し、エツァリは迷い無く逃げる事を選択するしかなかったのだ。
エツァリは駆け出した。
鎧を砕かれた事に驚いた男の一瞬の隙を突き、横を通り過ぎ、正門へと向かう。
振り返って攻撃すると言う頭すらない。
あるのは、一刻も早く男から離れると言う一点のみ。
無我夢中で走り、そうして、現在に至った。
それはまさに奇跡と呼べるひと時。
――にしても……、情けない……ですね……。
拾い上げたのは自身の命。
失ったのは海原光貴と言う顔。
これだけ聞けばエツァリの払った代償は安いものだろう。
だが、失ったものは文字通りの意味での『顔』だけじゃない。
気概、プライド、決意、それらを恐怖という名の闇に掠め取られた。
体は未だ震え続けている。
冷や汗も止め処なく溢れ流れ落ちる。
怖い、恐ろしい。
一度は殺し合いに乗ったものを殺すと決意したエツァリだったが、その心は容易く現実という名の魔獣に打ちのめされたのだ。
――あんなの……、反則ですよ……。
エツァリは冷静だ。
冷静に考える為だけの頭は今も健在だ。
それゆえに、先ほどの恐怖を冷静に考えてしまうのだ。
単純な戦闘力云々ではない。
エツァリとて、強力な攻撃手段や新たな魔術を手に入れれば先ほどの男を殺す術を考え出す事もできるだろう。
だが、出来るのは考えることだけ。
実行に移すとなると話は違ってくる。
おそらくだが、エツァリはもうあの男を前にして『逃げ』以外の選択肢を選ぶ事はできないだろう。
良く見積もっても、せいぜい後ろ向きな思考を隠し、無理やり薄っぺらい決意で自身を奮い立たせる程度。
いざ死が迫ったら、再びあの言い知れぬ恐怖を味わい、勝てると言う気概を失ってしまう。
それがエツァリと、あの男との間で行われた勝負付けの結果だ。
エツァリはもう、一人ではさっきの男に立ち向かえない。
たとえ使い慣れた黒曜石のナイフを持った万全の状態であろうと、あの男に勝つイメージを浮かべる事ができないのだ。
それがこの世界の現実。
エツァリとあの男との間で交わされた、当人同士にしかわからない絶対的な密約だ。
――こんな情けない姿……彼女は許さないかもしれませんね……。
自虐的な笑みを浮かべる。
思い起こすは最愛の女性の姿。
だが、それはわかりやすい逃避だという事に当人は気づいていない……。
エツァリは止まった。立ち止まってしまった。
もう一度動き出せるかの確証も無いまま、過酷な道の真ん中で、立ち止まった……。
その時―――。
「……あの……、すいません。
少し道を聞きたいのですが……」
救いの声?がエツァリに投げられた。
◆ ◆ ◆
奇妙な縁が二人の男を出会わす。
最愛の女性を殺され復讐に走った男と最愛の女性の為に過酷な道を進み始めた男。
その出会いが二人の未来にどう影響を与えるのか、それは誰も知らない……。
【E-2/北、住宅街/一日目/午前】
【海原光貴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康、疲労(大)
[服装]:ブレザーの制服
[装備]:S&W M686 7ショット(7/7)in衝槍弾頭 包丁@現地調達 、黒曜石のパワーストーン@現地調達
[道具]:支給品一式、コイン20束(1束50枚)、大型トランクケースIN3千万ペリカ、衝槍弾頭予備弾薬35発
洗濯ロープ二本とタオル数枚@現地調達 、15センチほどの加治木ゆみの皮膚、加治木ゆみの首輪
[思考]
基本:主催者を打倒し死者蘇生の業を手に入れて御坂美琴を生き返らせる。
0:殺し合いに乗った奴は殺す。必要なら他者に協力を求める。
1:手に入れた皮膚から護符を作るために落ち着ける場所を探す。
2:これ以上彼女の世界を壊さない為に上条当麻、白井黒子を保護
3:バーサーカーと本多忠勝を危険視
[備考]
※この海原光貴は偽者でその正体はアステカのとある魔術師。
現在使える魔術は他人から皮膚を15センチほど剥ぎ取って護符を作る事。使えばその人物そっくりに化けることが出来る。海原光貴の姿も本人の皮膚から作った護符で化けている。
※タオルを一枚消費しました。
※主催者は本当に人を生き返らせる業を持っているかもしれないと思っていますが信用はしていません。
※上条当麻には死者蘇生は効かないのでは、と予想しました。
※加治木ゆみを殺したのは学園都市の能力者だと予想しています。
※海原光貴に化ける為の護符を完全に破壊されました。今現在の姿はエツァリそのものです。
【ヴァン@ガン×ソード】
[状態]:満腹、ダンを奪われた怒り
[服装]:黒のタキシード、テンガロンハット
[装備]:ヴァンの蛮刀@ガン×ソード
[道具]:基本支給品一式、調味料×大量、徳用弁当×6、1L入り紙パック牛乳×5
[思考]
基本:ダンを取り戻す
1:とりあえず宇宙開発局に行く、道に迷ったら人に聞く。
2:機械に詳しい奴を探す
3:向かってくる相手は倒す
4:主催とやらは気にくわない
[備考]
※26話「タキシードは明日に舞う」にてカギ爪の男を殺害し、皆と別れた後より参戦。
※ヴァンは現時点では出会った女性の名前を誰一人として覚えていません。
※死者が蘇生している可能性があることを確認しましたが、結論は保留にしました。
※第一回放送を聞き逃しました。
「我は陥ちぬ」
魔王は一人、苛立ちを押し殺し、当初の予定通り『学校』を闊歩する。
その姿は、このゲームが始まった頃からは想像もできぬほど変わり果て、みすぼらしい物へと成り下がってしまっていた。
自慢の鎧は砕かれ、その時の衝撃で下に来ていた衣も無残に切り裂かれ、今では、上半身裸。
こんな野生児のような哀れな姿を見て、誰が『天下布武』を謳う織田軍の総大将だと思えるだろうか。
当然、信長も今の自身の姿は到底許せるものではない。
だが、許せないだけで、決して自信の尊厳は揺るがさない。
これまでどおり魔王としての風格と威厳を持ち、確固たる自信を持って歩を進める。
それが第六天魔王と名乗る男の姿だった。
「虫ケラ共め……」
信長の口から漏れた虫ケラという言葉。
それは当然、先ほど殺し損ねた男と、マリアンヌと共に逃げた女に対しての言葉だ。
追撃しようと思えば出来たはずなのに、信長は男を追うようなことはしなかった。
あの時点では鎧が砕かれただけで無傷だったはずなのに、遠ざかる男の背中を信長は見送ったのだ。
それはなぜか?
それはマリアンヌを追おうとしなかった理由と同じ。
これ以上の戦闘は、たとえ、一方的な虐殺になろうとも体力の消費を避けられないと判断したからである。
その上、鎧を砕いたあの不可視の攻撃も信長の足を止めさせるには十分な理由だった。
何の力も無いと思っていた男。
そう思ったからこそ、信長は体力を無駄に消耗させず、さっさと終わらそうと考え、遊ぶつもりも無く一撃で葬ろうとしたのだ。
だが、その判断は裏目に出る。
参加者の中には不可思議な力や道具を使う者もいる。
その考え自体は信長も持っていたが、あのような虫ケラ風情が自分に一矢報いるなど到底考えられるはずも無い、とアッサリと切り捨ててしまった。
それは自身の浅はかさを露呈させたに過ぎない。
それをあの瞬間思い知らされ、信長は自身が慢心していた事を思い知らされたのだ。
「二度は無い。二度は無いぞ虫ケラ共……
我は第六天魔王! 我は織田信長! 我が全て滅ぼす!」
視聴覚室と書かれた部屋に入り、壁に垂れ下がった黒い布を切り裂き、首に巻きつけマントをつくる。
その即席マントを翻し、魔王はこの世の全てを飲み込むようなどす黒い眼を大きく見開き、地獄の底から震えが走るような咆哮を上げた。
魔王、未だ息災なればこそ……。
【E-2/学校 視聴覚室/一日目/午前】
【織田信長@戦国BASARA】
[状態]:疲労(極大) 全身に裂傷
[服装]:上半身裸に黒のマント
[装備]:物干し竿@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、予備マガジン91本(合計100本×各30発)
[思考]
基本:皆殺し。
1:ひとまず『学校』で休息と同時に視察。
2:目につく人間を殺す。油断も慢心もしない。
3:信長に弓を引いた光秀も殺す。
4:もっと強い武器を集める。
[備考]
※光秀が本能寺で謀反を起こしたor起こそうとしていることを知っている時期からの参戦。
※ルルーシュやスザク、C.C.の容姿と能力をマリアンヌから聞きました。どこまで聞いたかは不明です。
※視聴覚室の遮光カーテンをマント代わりにしました。
仮投下終了しました
アリオオオオオオオオオスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
投下&代理投下乙
アリオスはあっさりとまあw
ヴァン、お前はwww
海原は生きてる、生きてるぞ。そして二人は出会ったか
信長はかなりキテるが危険度は下がるどころかますます上ってるな
信名様アアあw
これも若本ボイスの宿命ってヤツなのか
投下乙、あと投下最中にSSの感想を重ねてしまって申し訳ない
しかし仮面剥がれたか・・・まさにレプリカ死す!にふさわしいな・・・
あとアリオス・・・
これじゃ俺も搭乗者の名前忘れちまうだろ・・・
>サクラ(イ)大戦
ここにも強力な対主催が出来上がったね
レイ兄さんは暇潰しがてらの対主催路線
ゼロレクイエムの遂行が可能な限りは、安定したチームになりそう
しかし忍野が参戦していないことが悔やまれる
>ざわざわ時間
ライブ〜藤乃登場〜唯との再会の流れが好き
アホの子だけど仲間思いのキャラはやっぱいいな
それとキャプテンの肝の座り方から神域の気配がw
>サーシェス×一方通行
小物臭が漂いだしたと思ったら……
おお サーシェスよ しんでしまうとは なさけない
ロリータさんはダークヒーローらしくなってきた
セイバーたちと合流しなかったらはまたまた勘違いされそうだけど
>偽者(レプリカ)、E-2学校に死す!
前のSSと合わせて海原が存在感みせはじめてきた感じ
ヴァンも違う意味で存在感が……アリオスは南無
信長様も刀一本とはいえ、依然健在だ
いやー楽しく読めた作者様方投下乙です
>>263 擬音を文字で表現したり、エクスクラメーションを多様すると文章が安っぽくなるからやめた方がいいっすよ
そういう意図で書いたんなら、申し訳ありませんが
デュクシ!デュクシ!!!!!
>タイトルなし
一方通行の思考と行動が今までの話と矛盾しすぎ
リレー小説だという前提を無視してない?
>偽者(レプリカ)、E-2学校に死す!
偽者(レプリカ)ってそっちかw
海原はどうにか生き残ったけど、信長の装備が寂しいかなぁ
どこかで再起を図れるか
投下&代理投下乙です
>ざわざわ時間 ◆1U4psLo
ホント船井さんも運が良いんだか悪いんだか
それとまたよく分からないややこしそうな意味不明の道具か
>◆1ZCuwzjAYc
……サーシェス残念無念
>偽者(レプリカ)、E-2学校に死す! ◆70O/VwYdqM
アリオォォォオオオオォォォスゥゥゥ!!!
そして信長様は放送後ここまでいいところなし、どんどん装備がしょぼくなっていくw
一方通行てのは、悪人かどうか確定してない相手をいきなり半殺しにする基地外なのか
今までのロワの流れだととてもそんな奴には見えなかったが
憂ちゃんは人殺しをするような子じゃないよ
一方通行の話は今議論中らしい
今後ルルーシュが憂をどう使うのか楽しみではある
合流するのかな?
しかし、秀でて化け物という様なマーダーって今回いない気がするのだが…あぁバーサーカーいたか
★ 連絡事項 ★
【議論スレ】
◆WWhm8QVzK6氏『Parallel insistence』で本文での描写と状態表の現在地に食い違いが会った為、wikiで修正が行われました。
また、◆CcfuOxf30g氏『刃で語る男の美学』は、アーチャーと政宗の遭遇シーンが修正されることになりました。
修正稿が仮投下スレに投下される→問題がなければ本採用→予約解禁の流れになる予定です。
【ルールに関する議論スレ】
(修正要求が出された場合の修正稿ではない)書き手氏の判断で行われる、展開に変更のある修正に関するルールを議論中です。
現在出ている案は
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1258188493/128/ です。
意見のある人はルールに関する議論スレまでお願いします。
信長と光秀に頑張ってもらうしかない
後、魔眼コンビも
信長さんはけっこう限界にちかい気がするが
鎧無くしたしな
逆に支給品強奪しての強化フラグな気が
今動けるマーダーって魔眼コンビとバサカの旦那とあらやんくらいしかいなくね?
大丈夫かよ
ホンダムさえ始末すればあとはどうにでもなる
魔眼コンビも拡声器があの位置じゃ、扇動できるかどうか…
でもライダーさん何気に支給品が武器庫だよなw
さっきニコニコ大百科見たら「アクセロリータ」の項目が……
はやくベルレフォーンを馬イクに装備させてくれ
そりゃアクセロリータという呼び名自体はずっと昔から付けられてたし
破棄になったからサーシェスもいるだろ
ん?どういうこと?
対主催キャラでもマーダー転向しそうなのがチラホラ
難度は高いけどな
なんだかんだでマーダー化フラグを積み上げてるキャラも複数人おるしな
もうマーダー化マーダーかー?って感じだよ
>>315 したらばへgo
破棄とはちょっと違うが
したらばで規制されております
作品の修正点などは指摘頂ければこちらでお答えするつもりです
したらば規制の意味をお察し下さい。
つまりすでに「僕達にとて荒らしであるから参加は認めない」ということですね
はっきり言いなさい
つまり、私の作品は議論に掛けられる事もなく強制的に破棄ですか
修正要求や破棄の有無など一切考慮せずに
お役所仕事よか全然マシ
往生際の悪い奴は30歳になって魔法使いになるぞ
まぁピンポイント規制に出来るみたいだから特に問題はないか
議論の呼びかけをシカトした結果だろ
それに状況が限りなく黒に近い灰色だったしな
規制に巻き込まれたんならこっちで議論するしかあるまいよ
>>327 シカトっていっても定められた期限をまだ過ぎてないような気がするんだがなぁ
呼びかけも何もこの本スレで告知された仮投下スレへの呼びかけには応じましたが
今後の書き手としての権利を剥奪されるのは認めるとしても
すでに投下された作品を議論も修正要求すら飛ばして破棄扱いというのはどうなのでしょう
ところで例のスレとの関与性って問い詰められてるの?
まあ多分本物だったとしてもシラを切ると思うが
ピンポイントで規制されたことを「巻き込まれた」とは言わない
>>331 別人だったとしても決め付けられる、の間違いじゃない?
いや何か一匹荒らしが規制されてただろ
それの余波じゃねーの?
この人特に何もやってねーし
仮スレで確かに言ってたけど少しだけだな
あの後も更に疑問や異論が出てたけど?
>>330 ま、この状況でお前を擁護する意見は出ないから諦めろ
つまり、私が投下した展開が気に食わないから規制されたと判断してもよろしいのでしょうか
自分はどちらかというと擁護派になるのかな?
どうも規制した管理人GJ!あとは破棄だ修正だ!みたいな空気気持ち悪い
>>335 書き手って一日空けて疑問に答えるって言うスタンスじゃ駄目なのか
社会人だと対応できなくね?
>>337 したらばの規制までの流れをみて、本当にそう思ったってんならそれでいいんじゃないの
>>337 いいからあんたも落ち着けっつーの
馬鹿に合わせんな
>>339 それでもいいけど荒らしが都合にいい部分だけ反論して後は時間あるのに故意に放置する手段に見られたんじゃないの?
>>340 もっとちゃんと返答してあげなさいよ
したらばでの昨日と今日のIDも晒せば尚良いけど
状況証拠ですが、事前に最萌スレにあった確認された、こちらのスレを荒らすという書き込み内容と一致したSSを投下されてますよね?
それも同様のことを行ったのは一度ではないようですし、偶然とは言い難いでしょう。
上記の理由で荒らしが目的の書き手と判断されました。
以上が規制にいたった大まかな流れです。
>>330 自分で書き手の権利を剥奪されることを認めたんだし
それなら作品が破棄になるのは仕方ないと思わない?
>>337 実際問題としてマーダーを無闇に減らされると後で困ります
>>344 最萌スレでの云々はあくまで状況証拠であるし、完全に荒らしの思うツボにハマっておりますよ
こんな風に書けばという風にそのスレに書き込めばいくらでも破棄修正要請できることになる
今後似たようなことあったらそういう人たちも順次規制だよな?
投下して、その後その内容が実は嵐目的であったとほのめかす名無しの書き込みが最萌にあった場合。
>>345 本人ではないですけど、それは何故ですか?
さっきから何か感情的になっていませんか?
一言だけ言わせてください
予約を取って限られた時間を削って作品を描いて投下してるのは書き手ならみんなそうでしょう
わざわざ場を荒らす為に
休みを潰して作品を投下していると思われたならそれでも結構ですが
>>342 でも議論スレ見ても要点がよく分からんのよねぇ…
いやホント真面目な話巻き込まれただけじゃ?
したらば管理人はそんなアホじゃないだろ?
>>348 管理人が総合的に判断するんじゃないの
議論スレの意味があんまりないような気がするなぁ
>>350 落ち着いてください
何なら私があなたの意見や発言をしたらばの関係スレに転載しても良いですよ
じゃあ投下終了後、何故自分が荒らしじゃないと証明せずに落ちたの?
かなりに人数が疑ってたのに
投下して少し意見述べてすぐ落ちたからここまで拗れたんだけど?
>>356 申し訳ありません
自分の都合で寝ました
>>356 リアルの事情はそれぞれあるんじゃねぇの
誰も彼もが議論が終わるまでパソコンの前にいられるわけじゃない
つうか、投下以外の時間でも確実にいてレスポンス返せとか無茶苦茶だろう
用事その他忙しさからネットしてない可能性もあるし、してたとしても常に覗けとかどんだけ負担かけるんだ?
というか議論スレ確認したらそもそも修正要求自体明確に上がってなかった
>>347 事後ならともかく事前に書き込みがありましたから。
>>348 事前にその書き込みがあり、内容が明らかに一致していて、その結果としと企画全体に問題が起これば可能性はあるかもしれません。
決定権は私にはないので断定はしませんが。
>>347 すげーな未来にどんなネタが落とされるか予知できるんだ、荒らしの人たちは
というか、流れ見てれば作品が気に食わないとかじゃなく犯行予告的なものと同一の内容だったというのが問題なのに
>>337で見当はずれな皮肉で問題点のピントずらしてる時点で俺の中では疑惑が灰色が黒になった感じだ
別人であるとかの証明とかに奔るだろうに普通は、できなくてもね
>>356 まさに議論相手よりも1レスでも後にレスを付けたもの勝ちな流れですね
不満であればずっと反対意見を述べ続ければ良いということになります
俺も言いすぎた
すまん
ただ最悪に近いタイミングで落ちたのが
せめて一言でもいいから自分は荒らしとは関係ありませんみたいなコメント残してくれてたら・・・・
>>365 こちらもすみません
しかし、あなたではありませんが、黒だとか灰だとかなんだか識別することに頑張っておられる方が
ずっとおられるのが気になります
>>363 適当にマーダー殺すマーダー殺す言ってれば、いつかマーダー殺す話にぶち合わるわ。
抜粋だけ見て勘違いしてる人いるみたいだけど、最萌スレ全体見てるか?
型月キャラ殺せ咲豚殺せマーダー殺して潰せと、〜を殺せのオンパレードだぞ。
たまたま当たったものをあたかも殺し予告っつーか、荒らし書き込みはそれだけだったの如く出されてるから勘違いしてる人多いんだろうが。
むしろ、殺せと言われてないキャラのほうが少ないぞ
>>345 そうか、悪いな。
となると、どこが感情的だったか指摘してもらえると建設的だな。頼む。
>>330 >今後の書き手としての権利を剥奪されるのは認めるとしても
つまり、それだけの事をやらかしたという自覚はあるわけね
とりあえず議論スレ行った方がいいんじゃない
◆1ZCuwzjAYc氏のレスは転載するとして
お前ら
「関係ありません」
↑これ素直に信じるの?
嘘だっ!って返すだろw
>>369 自演しててアンカーミスしてしまいましたか?
>>363 確かに投下前にSSの内容が予告されてたんだよな
>>367 そういう発言の内容ではなかったぞ
パロロワではマーダーを殺していったらロワが成り立たないぞみたいなもっと悪意のある発言だったな
前のSSでびりびりを殺したアリーを報復で殺してやるとも言ってたが?
>>372 だとしても否定はするべきでしょう。
嘘だと言われるから否定しない、というのは流石にどうかと。
>>370 いいえ、今後規制されてまで無理に書き手として作品投下する気がないだけです
投下した分の権利は保持致します
修正要求にも応えるつもりです
言って頂ければ転載しますよ
トリップは8文字キーならしたらばでも同じになるんでしたっけ?
みんな落ち着こうぜ
このままじゃ企画自体どうにかなりそうだ
とりあえず1ZCuwzjAYc氏に関しては上条・ひたぎSSの時に最萌スレでプロットを公開したのは不味かった
あれさえなければまだマシだったはず
ID:0ZkMD1Jyもそんなに必死になるくらいなら最初から議論スレで食い下がってれば良かったのに
>>370 ああ、一応形式的に言っておいて下さい。
自分は最萌で発言した荒らしとは無関係です、と。
普通は最初に言うものだと思いますが。
これでアニロワは読み手が駄々こねれば、作品を破棄できるということが証明されたな
>>380 あちらでのIDを晒しましょうか?
実は◆1ZCuwzjAYcに対しての質問提起発言ばかりしておりますよ
その後の展開に疑問があるだけです
>>374 いや潰してやるとうざいから殺すも、どっちも変な話だがキャラを殺す方向へ流す発言だろう。
悪意なんてあそこの書き込み全部に言えることだが滴るほど悪意にあふれてる。
そういう、キャラが死ぬ事前に〜を殺す書き込みがあったから問題視してる人いるが、
むしろ最萌スレのレスの切り取り方次第でほぼどのキャラに対してもできるぞ、この手の行為。
なにせ、数うちゃ当たると適当に疑心暗鬼を誘うような台詞を連打するだけでいいんだから。
キャラが死んだらその部分探して「ほら見たことか!」ってすればおしまいだ。
今後のことも考たほうがいい、似たようなケースいくらでも創造できるんだから。
そのたびに規制するのか? するしないの基準は何だ?
>>373 ズレてた?規制中だから携帯なんだ。
つか、レス安価ミスったからってすぐ工作疑い出すなんて熱くなってるみたいだぞ
おおうぜえうぜえ
>>386 ほぼ同意します
このままだと本当に「荒らし」に対して言質を与えたことになってますから
>>387 挑発するのはやめなよ
熱くなってるみたいにみえるよ
とりあえずみんな落ち着こうか
まずは何が問題か整理するべき
まとめみたいなのある?
>>393 そうですね。
お互いに言いたいことを言い合っているだけでは誰も納得できないでしょうし。
>>393 問題は一つ
「外部の本人か確認できない言動を理由に管理人が書き手の規制に踏み切ったこと」だ。
さらに言うのであれば、
「理由となった言動は、それ以外にも似たような言動が溢れており、ほぼ『どのキャラが死んでも』同じような事態を引き起こせるものだった」
こと。つまり、最悪の一手を管理人はうった。
質問スレの方にあのSSの疑問が出てるぞ
少し流れてるが
ID:5EnaKEXKさんのレスは発言内容的に触っちゃいけない人みたいなのでスルーさせてもらいます
したらばで問題整理しましょうか
いいんじゃないかな?
読み手あってのロワだし。読み手に都合悪ければ、適当に口実つけて破棄に追い込んで、信頼できる書き手だけに書いてもらえば。
それがアニロワの総意でしょ?
400 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 01:14:00 ID:pQe8L6o2
ふ……
l.玉}、
〔l`ーイ ふざけるなよ…!
/丁WYヾヽ
ハノ-―ー|ハ 戦争だろうが…
/ゞイ ト-'
_ r‐' / 丿 | 疑ってるうちはまだしも
/´V 屶|} /`ー‐┬‐イ
\\ ヾ_i/ ,/ | _」 それを口にしたら……
\___/| | ヽ ヽ
. ┌|__,| ゝニ< 戦 争 だ ろ う が っ・・・・・・!
>>396 問題は一つという書き方、また書き込み内容に「最悪」を使用するなど主観的です。
客観的に主張してください。
>>398 その方がよさそうですね。申し訳ありませんが携帯なので、氏の書き込みの転載はどなたかお願いします。
>>399 ひょっとしてそれはギャグで言っているのか
何か混乱してきた
正式な修正要求が出ない限り書き手に返答の義務は無い
まずこれは正しいんだよな?
>>401 でも実際そうだろ
「ロワと関係ない外部のスレの書き込みを理由に書き手を規制したこと」が問題だろう。
さらに、「理由となった言動は、それ以外にも似たような言動が溢れており、ほぼ『どのキャラが死んでも』同じような事態を引き起こせるものだった」
ことも事実だぞ
最萌えスレは最初からこの騒動が狙いだったのだよ!!!
問題まとめるなら避難所がいいのかな?
転載はお願いしたいのですが、
私が原因ではありますが、このスレをこのまま使うのは
正直他の作品投下の妨げになるんじゃないかと
どこか適切であろう場所が2ちゃんねる内にあれば
そこに発言用スレを立ててもいいでしょうか
なんか最萌えから大挙してやってきた感があるな
せっかくスレが落ちついたのに、なんでいまさらこんなに出てくるの
>>403 あ、あとルール外の行動に関しては正式な発議は必要ないみたい
◆zsYinY96dc氏の件で追加されたようだけども
作品投下されてないのに伸びすぎだろ
>>408 転載で事は足りるのでスレを立てる必要はないです
>>403 それは別に主な規制理由ではないと思いますが……。
>>404 主張内容以前に問題提起のつもりなら客観的に書くべきです。
内容を否定、もしくは肯定する意思は
>>401にはありません。
>>410 発議っていうのは、正式な投下や修正に対してやるものだからな
そこから外れたものまでいちいち考慮していられないってのもあるんだろう
>>408 別にここでも良いと思うよ。
議論もせずに一方的に規制されたんだからそこまですることはない
仮に1Z〜氏最萌の奴と別人だとしてもあのSSはまずいでしょ
一方通行の思考がそれまでの流れと完全に矛盾してるし
>>405>>412 まさにその通りの不安があるのです
今までもそのような経緯で使用不能に陥ったスレや企画を多く見てきましたから
最萌が関係する件に関与するのは初めてに近いですが
◆1ZCuwzjAYc氏のレスは抽出しましたが
アンカー先(アンカー無しのレスも含めて)の発言はどうしましょうかね
>>418 だとしてもそれはルールにのっとって修正の議論と要望出せば済むだろう。
今回のは、その権利すら奪うものだぞ
規制までの経緯
最萌スレで荒らし、嫌がらせ目的で作品を書くという予告らしき内容のレスが発見される
上記の同一の内容の作品が投下される
その後も予告らしき内容が投下される
これに対応すべく管理人に申請しこれ対応、該当作品書き手の規制が行われる
主張
・状況消去のみで規制するのは横暴である
→状況証拠はそろっている、ネット上での証拠提示は不可能である以上、規制する理由には十分である。
・規制までの線引きがあいまいである
→書き手を装い発言も可能ではないか?
→スレでの発言は投下前であり騙ることは不可能である
→似た内容は不特定多数であるため後付けは可能である
ここまでまとめた
後は誰か適当にまとめてくれ
しかしまあ、作品投下時の感想よりもこの手の議論で伸びるってのもいい皮肉だな。
こんなところに書く奴なんざいなくなっちまうぜ?
駄目だ問題点すら分からん
答えてくれた人には悪いけどもう降りますわ
管理人ってのはアニロワのすべての権限を掌握しているの?
最初からそういう権限が付与されていたの?
おかしくないか
権限って何のだよ
最萌スレで鳥出しした荒らし書き手に巻き込まれた形だからなぁ
管理人を責める気にはなれんが、気の毒だとは思う
あんな荒らしと同一視されるなんて、最大級の侮辱だ
まぁ発起人に近いからな
誰かしらまとめ役は必要なわけで、管理人氏以外にその任に耐えられる人間は現状いないだろう
いやあ……あんま大きな声じゃ言えんが、諸々の対応は遅いし、今回もこういう対応あっさりうっちゃうし、
敵人とは言い難い気が……
>>426 管理人氏は最初からそういうルールで動いていたの?
どこかにルールを記載しているの?
特例として、管理人権限で作品の破棄を行うことができます、とか。
管理人氏とて人の子
>>422 まとめ乙です。
一応、同一トリップで没投下されたSSのプロットが最萌スレにあげられていたらしい、というのを付け加えたほうがいいかも知れません。
私は未確認なのですが。
>>425 一応、賛成者は複数人いたという事実は報告しておきます。
少なくとも管理人氏だけの責任ではありませんよ。
つまり、今回の件で
最萌スレでトリ出し→SSの内容を書く→それに似た内容のSS投下
の流れで書き手を規制できることが証明されたな
>>429 このスレて言ってる時点で既に拡声器クラスにでかい声出してる
>>432 そんなあやふやな理由で強権を発動させたのですか?
したらばの方で書き込めないのでこちらで書き込みます
自分のトリップで抽出しましたが要点が纏まってないようなので
どなたかどういうことなのか教えていただけないでしょうか
>>434 それが最悪なんだよな……文字通り数限りなくそういうの溢れてるしなあ
萌え豚はそろそろ巣に帰りな
>>437 まずそのレスを議論スレに転載してきます
>>433 その賛成人が複数居た、という証明は出来るのですか?
IDなど簡単に変更できるわけで、IP自体は管理人しか閲覧することができない
管理人氏が強権を発動しようと思えば、好きなように話を展開できるのですよね?
>>437 ややこしいので後でお願いしたいですが……。
>>436 発起人は別です。
結論を出したのは管理人氏かも知れませんが、彼一人に責任を負わせるものではないと考えます。
ロワと無関係なスレの書き込みが何でそこまで問題になるのかさっぱりわからない
正直一部の人間がこの展開ヤダヤダ破棄しろってやってるようにしか見えないのがなんとも
トリってそんな簡単に分かるものなのか?
>>445 普通は分からない
だが分かり易いトリップキーならすぐ分かる事もある
ようは自己責任
>>443 何故管理人氏が結論を出せるのですか?
決断は管理人氏が行うと、どこかに明記されていますか?
最萌スレで鳥出し発言した書き手(=荒らし)がいた
同時期の書き込みに氏と同じ結果のSSを書くというものがあった
まとめて規制
氏のSSもリレー無視な部分があり、そういう目で見られやすかったというのもあります
>>449 >決断は管理人氏が行うと、どこかに明記されていますか?
規制の執行が出来るのは管理人だけというのは言われなくても分かると思うんだけど……
あら、8文字でもダメですか
◆XPfLEIiJ6Mは私です
>>452 つまり、管理人氏はアニメキャラ・バトルロワイアルの最高責任者なのですね?
とりあえず、最萌に考え得る限りの今後の展開を書き込んでくればいいんだな?
そもそもこの「◆1ZCuwzjAYc 」と同じトリの人物が
最萌でアニロワを荒すコメを書いて同時期に荒す内容と同じSSが予約投下された
から限りなく黒に近い荒しだと判断されたんだろ。
トリップが同じだけの別人でした、は無理じゃね?
>>442 あなたの発言を認めるならば、ありとあらゆる議論が無駄になります。
それならば、こうして発言しているあなたと私が別人であることすら他人にどう証明するというのでしょうか。
>>450 単純なトリップを使用する方に問題があります。これ以上はご自分で調べて下さい。
>>547 規制の執行が出来るのは管理人だけというのは言われなくても分かると思うんだけど……
永久ループって怖くね?
あの賛成○人以上で決議というのも疑問だったのですが
SS修正ルール時はともかく、規制発動で何個かの複数IDが賛同し
それが後押ししたということならば色々と疑心暗鬼になるのも仕方ありません
せめてフシアナして賛同するくらいのレベルの問題だと思います
ええい、本スレでやってもしょうがない。
ちくりスレに書き手氏の規制解除要求してきた。
したらばでやったほうが腰を据えられていいだろう。
ちょこっと調べてみたが、◆1ZCuwzjAYcは一発バレするほど単純なトリではないっぽいな
>>460 ありとあらゆる議論ですか
今回のような一方的な管理人氏とその取り巻きによる横暴に見えるのですが?
議論から数日も経っていないのに、本当に議論をし尽くしたのですか?
>>467 目の前の発言に反射的に噛み付かないで下さい。
意見を言うつもりがあるなら冷静になって。口数の多い方が勝ちというわけではないのですから。
反論も支持も早過ぎてまともには出来ませんので。
>>459 実際にロワスレに荒らしが現れたわけじゃないじゃん
>>467 じゃあ聞くけど何で賛成意見がちくりスレにあった時に反対意見を一つでもいれなかったの?
今更「やっぱナシで」とか外野からしたら後だしじゃんけんにしか見えないんだけど
ID:wrEbytYkはスルーで。話が通じる相手じゃない
>>459 鳥出しした荒らし書き手に巻き込まれたんだっての
すくなくとも問題の件まで管理人が好き勝手やってたようにはみえんがな
>>470 ちくりスレでその議論が行われていることを、どこかに告知しましたか?
私は先程知ったばかりなのですが。
何だか
>>430に対して反応がないようですね
議論スレも機能停止しているみたいですし
なんだかやはりゴネトクな流れになりそうですね
皆さん最萌スレを意識しすぎてますよ
>>473 小なりにしても問題には上がってたんだからしたらばぐらいチェックしとけよ…
管理人氏が規制する以外に最萌えからの攻撃を食い止められないからだろ
確かに状況判断以外に判断材料はないが、悔むならうかつな展開書いた自分を恨め
これ以上企画にダメージを与えるな
てか最萌えの住民ってν速みたいな人種なのかな
スレ見る限り大勝利とか言ってるし、そうだとしたらかなり悪質だから気にするなで済むレベルじゃないかも。
管理人氏に対しアクセス規制がなされ、それに応じる形で規制がなされました。
判断に問題があったかどうかは別として、管理人氏の独断や横暴ではないと自分は考えます。
今後ですが、既に誘導されている
【3rd既出制限】アニロワ2nd毒吐き外伝スレPart2【荒らし対策】(
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1235661336/)にて
まずは◆1ZCuwzjAYc氏と◆zsYinY96dc氏の規制に至るまでの経緯の整理を行ったうえで両氏の言い分を確認し、
その後、再度規制が妥当だったかの話し合いを行ったうえで、管理人氏に報告する形を取るのが妥当と思います。
SSの扱いに関しては、上記議論が終わった後で議論するのが妥当ではないでしょうか。
無知は剣にはなっても盾にはならないとはよく言ったもの
>>477 つまり、今後似たようなケースがガンガン起こるだろうがそのたび規制するのか?
草の根一つ残らない絨毯爆撃になるぞ。
今回やるべきだったのは、いかな最萌の意見であろうと屹然と無視、いっさい相手をしないことだったのに……
それなのに腰を動かしてこんな対応取ったらもっと最萌に書き込んでる側の思うつぼだぞ
>>478 にちゃんねる、というよりネット上の匿名掲示板に於いての基本を忘れてませんか?
名札をつけて荒らしを行う荒らしはいない
ですよ
>>479 了解です。以後、そちらに移動して議論を行いましょう。
484 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 01:57:02 ID:N9ypWmlg
荒らしにつられた時点で・・・・・俺も腹はたつけど悪質と言われても負け犬のとおぼえなんだよな・・・・
>>481 企画が円滑に進むような展開であれば、どこ発のプロットだろうが問題にはならんだろ
>>479 自分も了解です
皆さんも移動しましょう
遠藤、インデックス、荒耶投下します!
この流れをぶちこわしてくれ支援
同じく支援!
あらやんは予約されてるはず
>>485 じゃあサーシェス死んだSSも内容自体は特に問題は無いということになるな
支援
え? なにそのメンツ
というかあらやん予約済みなので無理です
予約してないから無理
「遠藤様、襲撃者が来ました」
「やはり…来たか…」
遠藤は舌打ちする。
ざわ……ざわ……
(この人間の禁忌と欲望をぶちまけた最高の娯楽を手離すのはいささか不本意だが…)
「ゲームの続行は不可能だと断定します」
「ならば致し方ない……。だが、このゲームはいつぞやまた形にしてみせる」
遠藤はスイッチを押した。
やっぱりな
インデックスさん空気過ぎて普通に参加者にいたのかとか思ってた
悪い意味でこの空気がぶち壊せる荒らしSSだなwww
501 名前: ◆PV.nOaaCrQ[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 18:23:09 ID:t8uIlVQY
美穂子、船井、ゆい、ムギちゃん、あらや 予約したいんですが…まだ、駄目でしょうか?
502 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 18:34:29 ID:UD1kAkHc
>>501 うん、まだダメだと思うよ
503 名前: ◆PV.nOaaCrQ[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 18:47:29 ID:t8uIlVQY
返答ありがとうございます
やっぱり、そうですよね…
504 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 19:08:11 ID:eLiyeP6E
大丈夫でしょ
トレ美穂SSの修正は実質破棄されたし
前の船井組SS投下から24時間たってるし
505 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 19:14:26 ID:UD1kAkHc
そうか、今の議論に決着付くまでダメかと思ってた。失礼
507 名前: ◆PV.nOaaCrQ[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 19:45:06 ID:t8uIlVQY
ん、予想おkなんですか?
なら、予約お願いします
とのことです。残念ながら無理ですね。
ま、いんでないの自分は荒らしですって証明を自らしてくれたんだし
あ、さっきから最萌えでゴネればいいんだなとかいうレスを延々繰り返してた人か
・荒耶は既に別の書き手が予約中
・既に予約が入っているキャラを含む予約と投下は禁止
・予約なしでの投下は禁止
結論:荒らし乙
魔術師、荒耶宗蓮。
それが我が名だ。
突然体が軽くなる。
「そうか……遠藤。ゲームは失敗に終わったか。よもや、サイモエが抑止力だとはな…」
荒耶の体はワープし、元の世界へと還る。
「アニロワ4thでまた逢おうぞ」
【荒耶宗蓮@空の境界 生還】
なにこのネタSS
いや今までのSSの中で一番面白いわ
◆fnRQEOQD1. 乙
誰かwikiに追加してくれよ
釣り針がでかすぎる
「遠藤様、参加者は全員元の世界に還りました」
「うむ。ではサイモエが息を潜めるまで我々も待避するとするか」
【アニロワ3rd 参加者50名生還 サイモエの介入によりゲーム中止】
―完―
投下終了です。
問題点があれば修正します。
黒服「はっ……夢か」
>>478 そういうレベルではないと思う。
あいつらキャラの狂信者だらけで、最萌トナメで自分の好きなキャラを勝たせるために、
嫌いなキャラや、ライバルになるであろうキャラの対戦相手にたくさんの工作表をねじ込んだり
好きなキャラを勝たせるために手段を選ばないキチガイの集まりだから
咲の登場人物じゃないほうのC並のキチガイの群れだと思った方がいい
ピンポーンッツ!
呼び出し鈴がなる。
私は胸を高鳴らせ、玄関へと駆ける。
「ピザ○ットで〜す」
箱を受け取り、テーブルへと持っていく。
箱を開くと中にはピザが入っていた。
――ああ、これが幸せなんだね。
荒耶さんは悪くないと呟きながらピザを口にする。
私、中野梓もピザを一切れ頬張る。
きっとこれからもこんな幸せが続いていくのだろう。
【中野梓@けいおん! PIZZA END】
支援ありがとうございました。
Wiki収録の際のタイトルは「最萌襲来!」でお願いします。
流れ速すぎて把握出来んから聞くが
ひろしが死ぬのが嫌だからごねてるの?
自分で把握して下さい。
無意味に長文だらけだから見る気起きないんだよ
何が不満で何を求めてるのか簡潔にしてくれんと
>>516 サンクス 最萌という所は知らんがそこに迷惑をかけたのね
一言で言うと「マーダーを殺すな」という感じ
◆zsYinY96dcって規制されるような事ってなんかやったんか?
>>518 「そこに」ではないな
「そこが」が正しいな
外部のスレの書き込みを見てロワ関連が勝手に舞い上がってるだけじゃん
実際に荒らされたわけでもないんだから無視してればいいのに
投下された内容って
あんたこれ投下後じゃん
議論は議論スレでお願いします。
>>524 これ荒らし発言には見えんわ
反論だろ、これ
つまり最萌スレに書き込んだだけで規制対象ってことかい
>>527 え、やっていいの?
萌え豚は帰った帰った
つまり◆zsYinY96dcが規制された理由は
・最萌スレに反論を書き込んだ
ってだけ?
議論スレで経緯を確認してください。
もちろん、そんな理由ではありません。
そんな理由だけではありません、の間違いですね。
スレ違い失礼。
仮投下スレでのことだけ見てもなんかなって感じだったしね
>>535 無用な煽りはやめて話をスムーズに進めてくれないか
なにが原因なんだい
把握も自力で出来ない人間が事態を知る必要はない
うっとおしいから黙ってろよ
つまり件の書き手にも理解させる気はないと
そういう事ですね
邪魔な人間はすべて強制排除
参加型とは名ばかりか
まぁ最終的には大長編書いてまとめる書き手が一人居れば成立する企画だから。
最大限に好意的に解釈すればふるい落としをかけてるだけなんだろう
なるほど。
そういう企画なんですね。
なぜ不特定多数が集まる2chで行っているんでしょうね?
毒吐きで話題になってたから久しぶりに見てみれば、まーたここはくだらないことで言い合ってんのな
もうしたらばや自サイトでやれよw
萌豚も墜ちたもんだな
こんなSSスレ一つ満足に潰せないとか
どんくりの背くらべ。
キモいんだよどっちも
うwwwはwww起きたらアク禁されてたwwwwwwwwww
ちくりスレで忠告しただけなのに管理人マジギレwww落ち着けよマジでwww
>>545 本ロワの対象は、2009年夏クールで放映が終了しているアニメ作品です。
※2009年秋以降に続編が放映された場合も、本ロワでは2009年夏クール終了時点でのシリーズの設定のみを対象とします。
だから無視していい
ふ……
l.玉}、
〔l`ーイ ふざけるなよ…!
/丁WYヾヽ
ハノ-―ー|ハ 戦争だろうが…
/ゞイ ト-'
_ r‐' / 丿 | 疑ってるうちはまだしも
/´V 屶|} /`ー‐┬‐イ
\\ ヾ_i/ ,/ | _」 それを口にしたら……
\___/| | ヽ ヽ
. ┌|__,| ゝニ< 戦 争 だ ろ う が っ・・・・・・!
拙速だから拙速だって言っただけだ
暴言吐いたわけでもない、単なる忠告だぜ?
それが速攻アク禁相当の荒らし行為扱いかよ?
管理人なら検索すりゃ分かるだろうけど、俺毒吐きにも殆ど書いたことないからな
お前が件の書き手二人のどちらかじゃない以上
@妄言で管理人をイメージを悪化させようとしてる
A巻き込み規制
の2つしか考えられないわけだが
あー笑った
なんだそりゃ、独裁政権かよ…
締め付けりゃ何とかなると思ったのかね…はぁ
ピンポイントで2人しか規制されてないのに巻き込みとかあるわけないだろ
>>551はネタか件の書き手だろ
ナイフを振り回しながら「自由を!自由を!」とか言われても
管理人がやりたい放題ってことですか。
批判する人間、自分にとって都合の悪い人間はすべて排除。
言論弾圧とは恐れ入ります。
アニロワにおいて、管理人は神のような存在なのですね。
他の人大多数の迷惑になりそうだから問題ある人を規制した
身も蓋もないこと言えばそういうことだよ
>>560 ねぇなんで反応すんの?
頭空っぽなの?
死ねば?
まあまあ
迷惑になりそうだったかなぁ
正直◆zsYinY96dcに関しちゃなんも問題ないだろ
問題ない
アーチャーと政宗のも破棄になってるな。
あれだけ露骨にキャラ違うとか散々文句言ってたら追い込んでるようにしか見えん。
>>565 散々つついた挙げ句修正させて
修正後に「修正前で問題ない」とか書かれたり
散々だね、あの人
逆に考えるんだ
議論スレでキャラが違うと言いまくれば破棄に追い込めると
今日明日の投下祭りもこのやり方で、破棄に追い込めそうな作品は追い込んでやるさ
作品によるんでないの
アニロワはあるメーカーの信者が多いし
型月キャラだけ「原作とキャラが違う」てツッコミがやたら多いよな
んな事言ったら憂とかどうなんだ、と
ピンポイントで書き手だけ規制なんていつ管理人が言ったの?
前も警告無しで削除やら規制したよね?
>>569 ロワ補正で別キャラ化とただ単純に誰だテメェの違いじゃねぇの?
>>571 修正依頼するほどのものかね
行動指針に多少のずれが起きた程度なのに
180℃変わったのを多少と言われても
ぶっちゃけ一方サーシェスと同じレベルだし
予定通りなら今夜4本、明日3本か。空気変わる投下ラッシュになるといいな
無限ループにならないことを祈るよ
無限ループって怖くね?
流れはどうであれアーチャーの話はもう決着してるんだからいいだろ。
ところで今夜辺りは予約の関係もあるし何本か投下がありそうだな
諸悪の根源は月厨か
あいつらどこにでも迷惑かけるな
型月ロワでもやって巣から出てこなければいいのに
最萌の次は月厨か
ホント敵作るの好きだねお前ら
>>580 あからさまこの上ない釣り針に食いつくとか、あんたドMか
流石に4rdはfate出てくるわけないよな
3thはよく見る間違いだが4rdはねーよ
>>582 そうだな。4rdには出ないな。
「4rd」にはな
3ラウンドじゃなくてサードなのな
言われてはじめて気付いた
投下します。
遅れてしまいすみません。
朝日が眩しい。僕――阿良々木暦は一人、街の中にいた。
そよぐ風は爽やかで、散歩をするのにちょうどいい天気だ。
でも、千石撫子は死んだ。
この暖かい日差しをもう感じることも出来ない。
真田のように、「千石が死んだ」なんて有り得ない、放送は嘘だと言ってしまいたかった。
信じたくなかった。
しかし、セイバーが言ったように放送は本当だ。【おくりびと】も、嘘偽り無く真実。
なぜなら僕の目の前には、【おくりびと】で顔を知った誰かの、もの言わぬ死体があったのだから――
◆ ◆ ◆
さっきの放送を聞き、【おくりびと】を見て分かったことは三つ。
千石撫子が死んだ。
八九寺真宵の近くで一人死んだ。
平沢憂の近くで二人死んだ。
つまり――
千石撫子は誰かに殺されたかもしれない。
八九寺真宵が一人を殺したかもしれない。
平沢憂が二人を殺したかもしれない。
自分の知り合いと、ここで出会った少女。
彼女たちに起こったこと。
それらは急に抱え込むには、少し重過ぎる。だから僕はちょっとだけ一人になりたかった。
セイバーたちにはトイレに行くといったが、薄暗くて寒い所にいたら自分の気分まで暗くなってしまいそうで、結局外を歩くことにした。
危ないことは分かっている。明智光秀や織田信長のような人物にいつ出会うか分からない。
でも、それでも今は一人でいたかった。
「僕ってこんなに情けない奴だったっけ……」
セイバーが探していた少女、プリシラは死んでしまった。それでもセイバーは放送の真偽について冷静に考えられるほど落ち着いていた。
それなのに僕は。
でもまあ、原因はわかっている。
【おくりびと】――誰かの命が消える瞬間、そのすぐ近くにいた参加者――の中に、八九寺と憂ちゃんがいたからだ。
誰かを看取った【おくりびと】。
誰かが死にゆく、その場にたまたま居合わせただけの【おくりびと】。
誰かの命をその手で絶った【おくりびと】。
彼女たちはこの中のどれなのだろう。十分な裏付けが取れない今は、何ともいえない。
それでも疑ってしまうのだ。彼女たちが、三番目の【おくりびと】だと。
特に憂ちゃん。僕は彼女に襲われた。たまたま運がよかっただけで、うっかりしたら僕はさっきの放送で名前を呼ばれていたかもしれない。
でも大丈夫。僕は憂ちゃんのお姉さんを見つけてくると約束した。
今考えてみると、仲間を殺されてあんなことをすると決めてしまったのかもしれない。
ならばますます急がないと。
八九寺は――きっと人を殺すなんてしないだろう。人の生死について、身をもって知っている彼女なら。
それでも早く、合流したい。
戦場ヶ原とも、神原とも。
千石のように……もう二度と会えなくなるのは嫌だから。
さて、そろそろ戻らないと。時計を見ると放送が終わってから三十分以上経っている。
駅からずいぶん歩いてきたみたいだ。
そう思っていたとき、見つけてしまった。
――一瞬、誰かがうつ伏せで寝ているのかと思った。
でもよく見たら、その太った男性の首からは真っ赤な血が流れていて。その周りは真っ赤に染まっていて。
ぴくりとも動かない。
「……マジかよ」
すぐに駆け寄ってその人を仰向けにする。
当然というか予想通りというか……もう、息をしていない。そしてこの顔、この人は――憂ちゃんに「おくられた」人だ。
何が起こったか分からない、という表情。
きっと急に襲われて、そのままだったのだろう。
「……埋めてあげないとな」
スコップは持っていたので、道具には困らない。一応武器のつもりで持ってきたのに、まさか正しい使い方をするとはな。
◆
思っていた以上に人一人が入るだけの穴を掘るのは重労働だった。せめてショベルだったらもう少し楽なのだろうけど。
そういえば、この人は首から血が出ていた。つまり考えるまでも無く首を刺されたのだろう――と、
「……っ!」
仰向けになっていたままの男性を、うつ伏せにする。
その首には凶器はなく、刺し傷、そして抉った跡があった。
それは、つまり――
『この男性は至近距離にいた人物に殺された』
凶器がない、つまり誰かが抜き去ったということ。
刺し傷、つまり誰かが刃物で刺したということ。
抉った跡、つまり刃物を刺してそのままでは無かったということ。
もし刃物を投げたのだとすれば、抉った跡を説明できない。
誰かの不意打ちだとすれば、同行者を生かしてはいけないと追うはずだ。
いや、そんなのを考えなくても一番近くにいたのは――憂ちゃんだ。
そしてもうひとつ――
『この傷は僕が刺されたナイフとは違う』
僕は憂ちゃんの武器を預かっている。あの時彼女が持っていたのは、黒いナイフだけ。
結論。
僕がしたことは何も意味は無く、憂ちゃんは今でも姉の為に、誰かを殺そうとしている。
【D-7/安藤守の遺体近く/1日目/朝】
【阿良々木暦@化物語】
[状態]:疲労(小)、精神的疲労
[服装]:直江津高校男子制服
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式、ギー太@けいおん!、
エトペン@咲-Saki-、ゲコ太のストラップ@とある魔術の禁書目録、
スコップ@現実(会場調達) 竹箒@現実(会場調達) 、
トラウィスカルパンテクウトリの槍@とある魔術の禁書目録、
スクール水着@化物語、【第1回放送までのおくりびと】のメモ
[思考] 誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。
基本:知り合いと合流、保護する。
1:僕は何を……
2:戦場ヶ原、八九寺、神原と合流したい。他にも知り合いがいるならそれも探す。
3:憂の姉を見つけたら、憂の下に連れて行く。
4:……死んだあの子の言っていた「家族」も出来れば助けてあげたい。
5:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。
[備考]
※アニメ最終回(12話)終了後よりの参戦です。
※回復力は制限されていませんが、時間経過により吸血鬼の血が薄くなることによって低下します。
※憂から情報を訊いていません。
以上です。
ご意見、指摘等ありましたらよろしくお願いします。
592 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:14:17 ID:3uVEDD/Y
投下乙です
落ち込んでる時に安藤の死体とご対面か
ああ、誰が殺したのか判っちゃったか
そして自分のした行為が仇となったことも
ありゃりゃ木さんの先が期待してしまうSSでした
投下乙です
ああ安藤の死体と御対面か、しかも誰が殺したのか知っているのか
そして憂のしたことに気付いたあららぎさん、切ないな
投下乙です
安藤を憂が殺したのわかったか・・・
その憂には因縁の蟹がついているし、もはや運命の二人か
再会した時、どうなるんだろう
今後が楽しみな展開です
投下乙。
あらら木くん、自分の失敗で犠牲者が出たことに気づいたか…
今更だが、憂ちゃんキャラ違いすぎだろ。
姉のために殺人ならわかるが、それが自分のためとか…
原作と乖離しすぎではないでしょうか?
同様の理由で破棄された、一方やアチャと同じレベルの改変だと思うのですが…
投下乙です。
他人の死に直面してだいぶ落ち込んでますね。
それと阿々々木暦の語りと語尾に違和感を感じた
部分が二箇所あったので指摘させていただきたいと思います。
>>587 千石撫子は誰かに殺された”の”かもしれない。
八九寺真宵が一人を殺した”の”かもしれない。
平沢憂が二人を殺した”の”かもしれない
>>589 一応武器のつもりで持ってきたのに、まさか正しい使い方をする”ことになる”とはな。←語尾に「な」は使わないかと思います
細かくなって申し訳ありません。
>>596 了解しました。
wiki収録後に修正で良いでしょうか。
>>595 あれは周りが書き手に圧力掛けたから書き手が破棄したんだけど?
キャラが違うとかUZEEEEEEEE
それで書き手がSSを破棄してたら後味が悪くなるんですけど?
投下乙です
あららぎさんに因縁フラグが立ったか
さて、どうなるのか
今後の展開に色々と期待できる良い話だと思います
>>595 変だと思うなら自分で次の話書いて補正しようぜ
いや、
>>596の方が化物語らしさは出ると思う
化物語勢は基本、文語体でしゃべったり思考したりするからその方が雰囲気は出ると思う
丸ごとそのまま使うかどうかは別として
602 :
600:2009/12/05(土) 19:34:14 ID:4uRfoJ5J
>>595 憂については最新話で結構フォローされてると思うけどね。
リレーの積み重ねでこんがらがってきた心理状態を
丁寧に整理して、蟹でリセット。
上手く処理されてるじゃないかな。
雑談程度ならここでもいいけど議論や毒が混ざりだすのは勘弁な
まだ大丈夫だろうけど投下に影響するかも
なるほど、ここでやれば型月厨もろともロワを追い出せるのか
揚げ足取りカッコ悪い
したらばの毒吐きに行け
投下乙です。
安藤はちゃんと埋葬して貰えてよかったね。
しかし、ありゃりゃ木さんは辛い立場だな。
さて、立ち直ることができるのか……。
ところでありゃりゃ木さんの年下の女の子に対する呼び方は、妹以外は初対面でも苗字呼び捨てだから、「平沢」って呼ぶのが正しい気がします。
姉と被ってるのを気にしたとしても忍の件をみるに憂と呼び捨てかな、と思います。
重箱の隅かも知れませんが、一応……。
ルルーシュ・ランペルージ、東横桃子、平沢憂投下します。
>>607 書いてる途中に気になったので確認したところ、以前の作品で「憂ちゃん」となっていましたので合わせました…が
原作でもちゃん付けをするのは、妹たちだけですよね。
以前の作品と合わせて修正して良いでしょうか?
◇ ◇ ◇ ◇
いささか物騒な邂逅を果たしたルルーシュとモモであったが、今は凪の海のように穏やかな雰囲気で食事を取っている。
無論海中にはどんな海流が渦巻いているか定かではないが、表面上は朝日を浴びながら朝食を取るワンシーンがそこに有った。
2人はキャンプ用の折り畳み椅子に腰をかけ、丸いテーブル上の皿に盛りつけられた食事に手を伸ばす。
クロワッサン、バターロールにトーストはもちろん、温かいスープにハムやサラダ、目玉焼きにオレンジジュース、
ティーポットに沸かされた芳しい香りと湯気を立ち上らせるダージリンティーまで用意されている。
1日の始まりからエネルギーを多めに補給しようという意図が見て取れる。
「次はいつ食事に有りつけるか分からないからな。栄養は取れる時に摂取しておくのがいいだろう。
食事は喉を通るようでなにより――――なぁ桃子。」
「……意地悪な言い方っすね。私にはしょんぼり落ち込んでる暇なんてないんすよ。
絶対先輩を生き返らせて見せるんす……!」
「100%とは言い難いが、奴らがそういう力を持っている可能性は十分あるな…フム、上々。」
紅茶の香りを楽しんでいたルルーシュがカチャっと音を立ててカップを皿に置く。
モモは大皿に盛られたサラダを小皿に取って、香り豊かなゴマだれ風味のドレッシングをかけている。
「それにはまず情報が必要だ。危険人物の特徴や力が分かれば生存率は上がるからな。」
「……分かってるっすよ。クチビルさんとは結構いい情報交換が出来たじゃないっすか。」
「ゼロや危険人物の情報が得られたのは僥倖だったな。ゼロの件はまぁ…今となってはどうでもいいことだ…」
ルルーシュは夜明け前に偽物のゼロによる演説を聞き、必ず殺すと怒り心頭だった。
“自分とは異なった世界から数人単位で連れて来られている”という情報を知らなかった為なのだが、
今はそれを知り、やりたければ自分の世界に帰って勝手にやればいいというスタンスになっていた。
ルルーシュの世界では意味を持つ仮面も、他の世界では腕のいい職人が作った高性能な仮面でしかない。
そのことよりもスザクやC.C.、ユーフェミアと合流する事を最優先に考えていた。
「とはいえ、必ず障害になるだろう。優勝を目指すお前の敵であることには変わりはない。」
「有無を言わせず銃で撃って来たっすからね。私もそう思うんすけど、
クチビルさんも模倣犯と殺しの罪をゼロに押し付けるような人を警戒してたっすよ。」
モモが船井のベンツに同行していた間、理解しているかも定かではない唯を相手に、
船井が自分に言い聞かせ再確認するように考察を語っていた事を思い出した。
「当然だ。俺たちが見かけるゼロは船井が遭遇した奴とは別の人間かもしれないぞ…?
そうだな…ゼロのマントが手に入った事だ…いっそ俺たちでゼロをやるのもいいな。
“狐”と“おかめ”と“ひょっとこ”の面ならスーパーで支給品バッグに入れたはずだ。」
冗談めいた言い方をしながら、3つの面をモモに見せてきた。
この会場に来ているルルーシュの知人はアーニャ以外全員ゼロの正体を知っている、
この戦場に限って言えばゼロが悪の代名詞、参加者に恐怖を与え、戦いを煽る存在として流布されるのも悪くない。
あの放送を利用できないか考え始める。
「ふんふん…それもいいかもしれないっすね。第一の模倣犯になろうって訳っすか。」
モモは目の前に座る男こそが真のゼロである事に気が付くこと無く、軽く納得した。
「一つ質問なんすが、クチビルさんと情報交換して直ぐ船に戻った筈なのに、どうして私より後に帰って来たんすか?」
「さぁ、なぜだろうな…?」
モモの質問にルルーシュは首を傾げて、誤魔化すように口元だけで笑った。
「ちょっと、ルルさん恍けるのはやめるっすよ。」
「これを聞けば、お前は1人でここから出ていくかもしれないな。」
割り込みすみません支援
「行かないっすよ…私には他に行くところなんて無いっすから。
クチビルさんの所…あそこは正直もう詰んでるっす…クチビルさん達に何かしたんすか…?」
ルルーシュは分かったと言うように目を伏せて、席を立ちあがり船室の中に入って行った。
少しして戻って来たルルーシュの手に何かが握られていた。
手で握るのにちょうど良いサイズで、チェスのキングを模したスイッチの様なものと、
心臓程の大きさで、機械の付いた透明な容器にピンク色の液体が入った得体のしれない物だった。
「この船はな…流体サクラダイトという物質を使って動力を得ている。」
「流体…何っすか…?」
よく分からない単語がルルーシュの口から出た事に、モモが疑問を差し挟んだ。
ルルーシュの世界では都市の発電やナイトメアフレームのエナジーフィラーなどに使用され、
その保有量がそのまま国家のパワーバランスに繋がる貴重な物質だが、モモは見た事も聞いた事も無い。
「サクラダイトだ。俺の世界ではエネルギーによく使われるレアメタルだ。」
「それで “流体サクラダイト”とやらがどうしたんすか……?ん……まさか…そのピンク色の液体が入った機械は…」
モモは今までの会話でルルーシュのやりそうな「ある事」が推測出来てしまった。
「フハハハハ…!お前分かって来たな。その通り…!サクラダイトを使った爆弾を幾つか作った。
船は後25キロしか移動できなくなったが、海を移動できるのは今だけだ。いずれ禁止エリアばかりになる。」
「……!!まさかとは思ったっすけど…やっぱり爆弾だったっすか……」
「爆弾の起爆もそうだが、船のミサイル発射管も取り外して、このスイッチで発射させるシステムも構築した。」
ルルーシュは自慢するように手のひらの黒いチェスの駒を模したスイッチをモモに見せる。
「チェスのキングっすか?支給品バッグってホント不思議っすね…私はルルさんに会うまで知らなかったっすよ。
まさか船があって、こんなに朝ご飯が食べられるなんて思わなかったっすよ。」
「支給品だけ武器という訳じゃないだろ…?消化器だろうが民家に有るナイフだろうが、ようは使い方次第だ。
この心臓大の爆弾一発で半径10m位は消し飛ぶ。灯油のポリタンクをそのまま使った特大の物も2つ用意した。
これならば宇宙開発局の展示場、タワーレベルの建物なら土台から崩せるだろう。」
ゼロであった頃も皇帝になった後も、爆発物を使い建物を崩壊させたりする機会が異常に多かっただけに、
爆薬の威力や、製造方法、何処にセットすれば建物を崩壊させられるかなど、十分すぎるほどに熟知していた。
敵の虚をつく爆破のタイミング、それによる戦局の崩し方などは神がかり的ですらあった。
黒の騎士団で自分が使っていた揚陸艇が手に入ったことでカードが揃いつつある。
「ウソ…っすよね?正直、手榴弾程度だと思ってたっすよ…」
「事実だ。この心臓大の物を1つ船井の車の下に取り付けてきた。
車の構造に詳しい奴でないと気付けない程度だが…排気管の類に見えるよう偽装してある。」
モモは意地の悪い気持ちで悪巧みを聞いていた表情を一変させ目を見開いて驚いた。
ルルーシュは何事も無かったかのように、再び紅茶のカップを手に取り一息付いている。
咄嗟にはそれが何を意味するのか理解できなかった。この人は一体何を言っているのだろう?
理解できる言語で話しているはずなのに、モモのこれまで培ってきた常識が、それを理解する事を許さなかった。
「“これ”と後2つ…この船に有ったパーツ類で作った盗聴器、発信機を船井の車に取りつけてきた。」
「無茶苦茶するっすね…?」
モモは驚きを通り越して、「おかしい」とか「異常」だなどと、突っ込む気も起こらなかった。
そんなモモをルルーシュは気にすることなく、またまた支給品バッグから古臭いCDプレイヤーを取りだした。
突然出てきたCDプレイヤーにモモは疑問を隠せない。
「外見上は、ただの大きく古いタイプのCDプレイヤーだが中身は全く違う。これは発信機と盗聴器の受信端末だ。」
「どうやって使うんすか…?」
「CDを聞くプレイヤーとしても使えるよう偽装してある。このイヤホンは当然だが盗聴した音声を聞くものだ。
発信機に関してはこのリモコンの液晶に、移動速度と矢印で上下左右斜め8方向の内、どちらに移動しているかが現れるようになっている。」
モモがそれを見て中をのぞいてみるとCDが入っているのが見える。
蓋を開けるとCDには「ジン 解読不能」と書かれていた。
電源を入れて液晶をモモが見ると、今は移動速度50、↑と文字が表示されている。
「へぇー…あのベンツが襲われたりしたら、どの辺で襲撃を受けているか分かるっすね。」
「そうだ。この戦場で一番大事なのは殺しの数でも、徒党の人数でもない、情報だ。
襲撃者のおおよその位置、能力、武装、特徴などが分かれば遭遇を回避し、対処する事も出来るだろう…?」
「クチビルさんたちは露払いっすか…」
「そんな所だ。位置情報と車内の音声で火器による襲撃か、魔法の類による襲撃か分かるだけで大分違う。
フフフフ…アレはもう快適な移動手段なとではない、走る棺となった…」
―――――そして…棺の上に乗るような罰当りにも消えて貰う…
「……」
ルルーシュは遠回しに、車に襲撃者が取りついたら爆弾を作動させると言い切った。
モモは加治木ゆみの復活を目指して全てを討つ覚悟を決めたつもりだったが、
例え同じ物を支給されたとしても思いつく事も無かっただろう。
「フハハハハ…!しかし船井も大失態だな。」
「何がおかしいんすか…?」
衝撃的な事実をあっさり語り、悪びれることもなく声を上げて笑い出したルルーシュに、モモは怪訝な表情をした。
「あの疑り深い男が、俺が憂を連れているように姉を連れて居るんだからな。
御同類が居るとは、笑いをこらえるのが大変だったよ。大した情報を出さなかった俺を見て油断したな。」
「人の悪そうなクチビルさんが、保父さんみたいになってたっす。」
「足手纏いの御守りで大事なことを見落とすとはな。」
「天然さんに、発作の様に取り乱す人を背負い込んでるっすからね。」
船井達に見つからないように、姿を消して彼らの一部始終を見ていたモモは、その光景をありありと思い出していた。
「だが…そろそろ足手纏いは切り時と考えているだろう。この辺が奴の限界…」
「あっ…!そう言えば…その話に出たゴスロリさんっすけど、どうするんすか…?」
モモは「俺が憂を連れている」という言葉を聞いて、思い出したように話を切り出した。
ルルーシュが薬局で船井や唯たちと出会って情報交換をする所や、
ある思惑から平沢姉妹を会わせまいとして、憂を船に戻そうとしていた所をモモは一部始終見ていたのだ。
予め船の中に潜んでいたモモがルルーシュを銃で脅して揚陸艇を出させたせいで。
揚陸艇を繋いだ所に戻っていなかった憂を、薬局から揚陸艇が止めていたあたりに放置してきてしまった。
「正直男1人と存在感の薄い女1人では怪しい。なぜこれだけ時間が経っているにも関わらず1人なのか…
よく見るともう1人女がいるじゃないか…しかもこんな船までどうやって……これが俺たちに出会った者の思考だ。」
「なるほど…ゴスロリさんは餌っすか…?ルルさんって本当に人間っすか…?」
先程からから不穏当な発言ばかりするルルーシュにモモは毒を吐いた。
「何とでも言え…分かっているようだな。
人を殺して不安定になっていた所を拾ってやったんだが、駒として使えそうにない。」
「……!」
「まぁ肉の盾や正義感の強い男をその気にさせる誘蛾灯の役割ぐらいが関の山だろう。」
「サラっと言うっすね……」
「今更お前に隠しても仕方ないだろう…?優勝狙いの癖に温い事を。」
ルルーシュが挑発するような言葉を投げかけるとモモはスネたように睨んだ。
(この人「悪い人」じゃない。極悪人っすよ…!爆弾…?人を殺すことに全く躊躇が無いっす。
頭はキレるし、他人を簡単に切り捨てられる人……クチビルさんご愁傷様っす…
この選択良かったんすかね…?先輩……)
それを受け流してルルーシュはカップに口を付けて、ダージリンティーの香りを楽しんでいる。
「ふん…イヤな感じっすね。で…ゴスロリさんは迎えに行くんすか…?」
「捨て置くという選択肢もあったが、いた方が徒党を組みやすい。まぁ保険だな。」
「何度も同じ所を行ったり来たりしてるっすねー。」
モモが投げやりにそんな言葉を返すと、ルルーシュが少し不機嫌な顔をした。
「お前が言うな…今船は戻りつつある。停泊は岸から100m程の海上が限界だ。」
「いつまでもプカプカ沿岸に浮いてると危ないっすからね。」
「フッ…警戒心が強いのは結構なことだが、視野狭窄と言わざるを得ないな。
俺は上陸前に薬局周辺の人影を入念にチェックした上で、揚陸艇を泊める所を決めたんだよ。
俺たちが船から離れている間に、薬局から揚陸艇までの間で戦闘が行われた形跡はなかった。
それに俺が奇襲や伏兵による襲撃を受けていないことから考えて、あの時点では安全地帯だった…という事。
船にはとんだ子猫が忍び込んでいたようだが――――」
ルルーシュはパンにバターを塗りながらモモにチクッと刺を差す。
「…。女の子を子猫呼ばわりとはキザな人っすね。」
「こういう仕様だ。ほっておけ。」
◇ ◇ ◇ ◇
モモはフォークで突き刺したハムを口に運んで、ちょぼちょぼと咀嚼している。
テーブル上の皿に幾つも盛りつけられた料理をバランス良く食べて、オレンジジュースで喉を潤す。
少し前にルルーシュの背中に銃を突きつけた事を忘れたように、投げやりで力の無い口調で会話を続けている。
ルルーシュも一時命を握られた事を気にすることなく、スラスラとモモ相手に憂をどうするかを説明すると、
置いてあった重厚な機関銃から、その上部に据え付けられたスコープを取り外した。
「岸から250m程の海上に停泊して、これで1時間監視…来なければ憂は置いていく。」
「で、行き先は?また工業地帯の方に行くんすか?」
「フン…何度同じ所を行ったり来たりするつもりだ…?そんな時間のロスはもう許されない。
こうしている間にも自衛の為のグループや徒党が出来つつあるだろう…後になればなる程入り込むのは難しくなる。
丁度隣のエリアだ、先に政庁を調査したい。確認したい事もあるしな…」
「確かにその通りっす。皆1人では限界を感じて仲間が欲しいと感じるはずっすから。」
ルルーシュは先刻の放送で、名簿に表記されていない参加者として追加で名を呼ばれた、
ユーフェミアの動向を気にしていた。
(悪趣味なこのゲームの事だ、ユフィをここに召喚した時期は間違いなく“あの時”だろう。
そうでなければ虫も殺せない彼女を参加者にしても、死体が一つ増えるだけだ。
どういう基準で集められたのか、この会場には日本人と思われる名前が多い。
ユフィが強力な戦闘力を持つ者に “あの命令”を実行して返り討ちにさせる訳にはいかないし、
その者の命を奪ってしまっても状況は最悪だ。ユフィが行きそうな所を探すしかないな。)
モモが返事をするまでの一瞬で思案した。
「――――いい答えだ。頭は回るようだな。」
「私だって1人では限界だったからこそ、ルルさんに声をかけたんすよ。」
「声かけたというのか…?あれを…?」
ルルーシュの出来のいい生徒を褒める様な言いように、茶目っ気が出てきたモモはしれっと「声をかけた」と答えた。
そう言いようにルルーシュはじと眼でモモを見る。
「まぁいい…戦力は確認しておきたい。前の能力は姿を消すことか…?」
「能力とかそういうのとはちょっと違うっす。学校とかにいるじゃないっすか…?
毎日同じ教室に通っているのに顔や名前を覚えてもらえない、存在感が薄くて休み時間にいつも一人でいるような…
1人で居る事に慣れて、煩わしさからコミュニケーションを放棄していたら、周りの人に全く認識されなくなったんすよ。」
「存在感が希薄な特性が極端になったものが、その光学迷彩じみた「ステルス」というわけか。」
モモの語る言葉に納得したように、ルルーシュが顔の横に手を添えるお決まりのポーズを取る。
「ルルさんは麻雀をやるっすか?」
「麻雀をやるか?」というモモの唐突な質問に、ルルーシュがハッと何かに気付いたような顔をした。
「ん…?フハハハハ…!そういうことか。存在感の薄いお前を、例の加治木ゆみが誘ってくれて学校で麻雀をやっている。
卓を囲んだ相手はお前の振り込みに気付かない…か。なるほどな。」
「ご名答…流石ルルさんっすね。麻雀と言っただけなのに一瞬でそんな事まで分かる解るんすね。」
麻雀という言葉だけを聞いて直結で答えに行きつくルルーシュの頭脳にモモは舌を巻いた。
これから加治木先輩とモモの関係、モモが麻雀を打つと局が進むにつれ対戦相手に捨て牌が見なくなり
勝手に振り込む、という話をするつもりだっただけに、思考を先読みされたような気がして戦慄した。
感情を排したデジタル的な判断力があり、驚異的な頭の回転で未来予知じみた思考の先読みすらするような人が、
本気で麻雀を打てばどんな打ち手になるんだろうとモモは思った。
「麻雀か…?ネット麻雀をやっていたことがある。俺はギャンブルと名のつくものには1度も負けた事はない。
チェスだけは幼い頃年の離れた兄に何度も負かされたが最後には勝ったしな。」
「へぇ…ルルさんって何やってる人っすか…?」
・・・・・
最後の対局だけはチェスではなかったのだが、ルルーシュはそれを億尾にも出さずチェスと言い切った。
「その他ポーカー、ハイアンドロー、ブラックジャックにルーレット、競馬にパチンコ、パチスロ…チンチロリンまで…
違った人生があったならギャンブラーになっていたかもしれないな。」
そんな事をルルーシュが何か懐かしい物を思い出すような顔をした。
アッシュフォードの学生だった頃はリヴァルのサイドカーに乗り賭場に繰り出していた事、
非合法の賭けチェスやギャンブルの類で自分とナナリーの生活費を稼いでいたなと思いだしていた。
眼を閉じれば浮かんでくる。
傍には何気ない日常があり幸せだった過去の走馬灯に幸せそうな表情を初めて見せた。
鬼畜の類だと思っていたルルーシュの柔らかい表情を見たモモは眼を見張り、緩く握った手の甲を口元に当てて笑った。
「うふふ、違った人生じゃなくても、ギャンブラーになればいいじゃないっすか。」
「フフ…まぁ…それは言っても仕方のないことだ。麻雀は打てる。で…それがどうした?」
作為の無い笑顔すら見せるほどルルーシュの態度と物腰がまた少し柔らかくなる。
「私たちの世界では麻雀が世界的な競技になっていて、中学や高校の部活で麻雀部っていうのが多いんすよ。
毎年全国大会が行われて強豪校なんて呼ばれている所も幾つかあるっす。
それはテレビでも中継されたりもして、大会で活躍した人や強豪プロは世間で栄誉と称賛を一身に受けるんすよ。」
「ほぉ……麻雀が強ければ……か。なんとも平和な世界で羨ましい限りだ。」
その失礼な言いようにモモはむっとした顔をする。
「平和で悪いんすか…?そんなの分かんないっす。自分の世界の事しか知らないっすから。」
「まぁ…そうだろう…すまないな。」
ルルーシュは自分の世界との文化の違いに気の抜けたような、感心したような声を上げる。
同じように学校の制服を着て、年齢も左程変わらないはずなのに、
血で血を洗う生涯を送って来た自分と、この少女の違いは一体どれだけなのか?
想像する事も馬鹿らしくなって思考を遮断した。
「だが…そんな世界なら居るんじゃないのか……?存在感が薄いというだけのお前に“ステルス”が宿るんだ…
そういう不利を物ともしない魔物……麻雀の主の様な奴が――――」
再びルルーシュの瞳は鋭くなり表情から笑みが消える。
モモの知りうる情報は全て絞り出す為、真剣に語りかけた。
「……いる…全国なら当然。確かに居るっす…県大会でも決勝レベルからチラホラ…って感じっすよ。」
「ギャンブル船はペリカを求める参加者を集める餌の類だと憂には言ったが……なるほど、認識を改めなければな……」
ルルーシュは判断を誤った…失態を犯したかもしれないと思った。
憂の申し出を反故にした事は過ちだったか…?情報が不足していた事も理由の一つだが、
もう少し熟慮するべきだったのだろうか?
麻雀しか能のないような少女たちを殺人ゲームに放り込む理由は何だ……?
“金で魔法を買った”
というこのゲームの根底…コンセプトについてモモと会話をしながらも深く思案をし続ける。
「お前たちの世界からは、ここに何人来ている?」
「スタート前に頭を吹き飛ばされた龍門渕桃華、加治木先輩と…風越のネコミミさん…清澄の部長さんは…
もう……いないっす…後は……私、風越のキャプテンさん、そして――――龍門渕の天江衣がいるっす……」
モモは泣き出しそうな暗い顔をして、愛する先輩と知った人間の戦線離脱を口にする。
そして最後にその名を絞り出した。龍門渕の天江衣と……
「ありがとう。だが、あだ名は止めろ。ネコミミと清澄の部長、風越のキャプテンの名は…?」
「ネコミミさんは池田華菜さん、部長さんは竹井久さん、風越のキャプテンさんは福路美穂子さんっす。」
池田華菜、竹井久、福路美穂子…確かにルルーシュの記憶と照合すると一致する名前だ。
「確かに放送で呼ばれた名だな。福路美穂子、天江衣か……どんな打ち手だ…?」
「福路さんは卓で起こっている全ての状況を見透かしたような打ち回しをして、他家を使って場を操ったり、
その驚異的な洞察力で危険牌を回避したりするっす。」
「お前のステルスに対して神眼と言ったところか…?俺の打ち回しに近いかもしれないな…」
ルルーシュは福路美穂子の打ち回しを聞いて、自分が打つ時のスタイルと似ていると感じた。
モモは再び話を続ける。
「そして魔物じみているのは天江衣……上がる時は必ず海底が付くんすよ。鳴いてズラしても引いてくるっす。
天江に場が支配されると他家は副露も出来なくなって、テンパイ率も異常に下がってしまうっす。
ここにはいないっすけど清澄の嶺上さんはカンをすると王牌が殆どドンピシャで、数え役満を上がったりしてたっす。
後おっぱいさんと嶺上さんにはステルスが効かなかったっす。」
「おっぱいさんって誰だ…!?名前で言え!しかし確立や場の運機を我が物にするような奴がいるのか…
麻雀以外の勝負事でも発揮されそうだな。」
「そういう訳っす。ステルス位ではどうにもならない魔物みたいな人達なんすよ。」
そう言いながらもモモは嬉しそうな表情をしていた。
残念ながら県大会で負けてしまったせいで、今年の全国には行けなくなってしまったが新しい目標が生まれた。
「そういう割には嬉しそうだな…?強い相手と戦うのは望む所と言う訳か…?」
「先輩は生き返っても卒業しちゃうっすけど、私はもっと強くなって来年は必ず全国に行きたいんすよ。」
◇ ◇ ◇ ◇
「大体お前達の事はよく分かった…そろそろさっき揚陸艇を止めた所が見えてきたな。
お前の責任だ。そのスコープで覗け、憂を見つけたら直ぐに岸に付けて回収する。」
「回収する」という言葉にモモは苦い物を飲んだような嫌な顔をした。
「回収っすか……あーあ。正直ルルさんと一緒に来たのは失敗だったかもしれないっす…」
「そうか…?俺はそうは思わないな。割といいコンビになるかもしれないと思っている。それには――――」
「ふん、それには……?」
柔らかい表情を浮かべていたルルーシュの顔から冗談の色が抜け落ち、鋭い眼光がモモを射抜いた。
出会ってから初めて見る本気の眼に緊張が走り、弛緩していた全身が硬直する。
比較的穏やかだった空気はピンと張り詰めモモの生唾を飲み込む音が聞こえる。
弱き人々を駆り立て幾度も奇跡を起こし希望を与えてきた男、世界中に暴虐と悪意を振り撒き絶望に叩き落とした男。
それはどちらでも変わらない…
―――――――――――――ゼロであった時の、皇帝ルルーシュであった時の矜持。
「撃つ覚悟と撃たれる覚悟……それをお前に求めたい。」
「撃つ覚悟と撃たれる覚悟……」
「――――そう…!このゲームを本当に勝ち抜きたければ力を示せ……!!」
「力っすか……そんなの……」
強い口調で煽るルルーシュにモモが自信のなさそうな表情を浮かべた。
女子高に通う普通の少女であるモモに出来る事と言えば麻雀ぐらいのもの。
先輩は雀力を買って勧誘してくれたようだが、恐らくそれすらもステルスなしの平手で打てば、
大会で当ったような強豪にはほぼ負けるだろう。
存在感の薄さゆえに周りの人間に気付かれないという特性、“ステルスモモ”だからこそ先輩の力になれたのだ。
「勝ち残るためには他の参加者を蹴落とさないといけない…そう言いたいんすか?私にはステルス以外力なんて無いっすよ…」
「力とは暴力や戦闘力の事ではない。戦う覚悟、決意、罪から逃げない勇気…つまり思いの力だ。」
「覚悟はしてるっす…絶対に生き残って先輩を生き返らせたいんすよ……!」
モモはスカートの上に組んだ小さな拳を握りしめて、改めて自分の願望を打ち明ける。
「桃子、お前は本当に引き金を引く事が出来るか…?
憂は1度引いたがもう無理だろう。自分の心を守るのに精一杯だ。次は撃てない――――」
モモの決意を試すようにルルーシュが問いかけを続ける、修羅の道を逝く覚悟が有るのか無いのかを…
「加治木ゆみただ一人を蘇生させる為に他人の屍を踏み付けにして、泥水を啜ってでも生き残る…
優勝すれば死者の復活という不確定な事象に自らを投げ込み、殺人を犯し続けたとして、
お前はその罪に耐えられるのか?その重みを引き摺って先に進む事が出来るのか…?」
モモは掴んだスカートをぐしゃぐしゃにして言葉を絞り出した。
「そんなのやってみないと…分からないっす。人なんて殺した事なんてないっすから。」
「皆過ちで人を撃つことは容易く出来るが、覚悟して敵を撃ち続ける事はなかなか難しい。
その引き金…俺が引いてやろうか…?俺の名の下に敵を討てばいい―――――
これから憂を回収したら言ってやるつもりだ、お前は悪くない……俺が命じると…な。」
その双眸は全く感情が感じられないほど無機質だが、口元だけは笑っていた。
「………ッ!!それは…いけない事っす……!やっぱり私が引き金を引いたら私のせいなんっすよ……!
いくらルルさんの命令だったとしても、私の罪ってことには変わりはないっす……!!」
その重荷を俺が代わりに持ってやろうかという甘い誘惑を、モモにしては珍しく強い口調で拒否する。
幸薄く内気で引っ込み思案な目立たない人間だと言っていたのに、
まっすぐ眼を合わせてくるモモを見てルルーシュは感心するような顔をした。
「東横桃子お前の覚悟に敬意を表そう。
緊急事態の時はお前に攻撃を命じるかもしれないが、引き金はお前が引け。いいな?」
モモは覚悟を決めて傍に置いてあったブローニング・ハイパワーを握りしめた。
「はい。私は自分の意思で引き金を引くっす……!」
「最後に…他人の屍を踏み付けにして進むものは、自らも撃たれる覚悟が無ければならない。
修羅の道を逝く覚悟はあるか…?」
「修羅道でも地獄の一丁目でも逝ってやるっすよ…!加治木先輩が死んだって聞いて私も一回死んだんすから。
死んで先輩に会うか、生き返らせてから会うかの違いしかないっす…!!」
「フハハハハ…!やはりいいコンビになれそうだ。これは何処の誰が仕組んだ組み合わせだ…?
展開次第では本当に俺かお前どちらかが生き残るかもしれないな。」
堅いルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの表情から一転、悪戯っぽい顔を見せて笑い声を上げた。
戦う決意、敵を撃つ覚悟を決めた“ステルスモモ”これ程の駒は中々手に入らないだろう。
チェスの駒で言うならさしずめビショップと言ったところか。
「私も生き残るのは剣や魔法を凄い力でブンブン振るう人じゃなくて、
ルルさんみたいな人なんじゃないかって思うっすよ。」
しかしルルーシュはここまでモモを煽ってはみたものの、何か引っかかりを感じる。
「とは言ったものの…メデタシメデタシとはいかないな。その決意が“ステルス”を消す恐れがある。」
「確かに激情に駆られて人に襲いかかったりしたら、丸見えになっちゃうっす。」
大きな泣き声のせいでレイ・ラングランと遭遇した時の事を思い出して口にした。
「やる気満々な所申し訳ないが無気力、無味、無臭の方がステルスは強く発揮されそうだな。
サラっと行けばいい、ただのゲームだと思えばいい。」
「ゲーム脳も大概にしてください…!さっきからなんなんすか…?
爆破だの駒だの、覚悟しろって言ったり、やる気出すなって言ったり…」
「ゲーム脳だと…?まぁいい…やる気を出さずに“こう”すればいいだろ…?
若しくは…そうだな…麻雀で対局相手の危険牌を捨てる時の感覚だ。」
ルルーシュ笑みを浮かべながら指で銃の形を作って撃つようなジェスチャーをした後、
思案してモモに麻雀で危険牌を切る時の感じで行けと牌を切るような仕草をした。
「なるほど…ちょっと今やってみるっすよ。」
モモがそう言って集中したような顔をすると、希薄だった気配が更に薄くなり、遂には見えなくなった。
その光景に数々のギアス能力者を知っているルルーシュも驚いたような顔を見せた。
光の屈折や、目の錯覚みたいなそんなチャチなものでは断じてなかった。
傍に居るはずのモモが透明人間のように完全に消えたのだ。
「これが正真正銘の“ステルス”か…やるじゃないか。足音を立てるように歩いてみてくれないか…?」
「了解っす。」
声を出す為に頭から肩までを幽霊のように出し、また消えていった。
見えている部分も首から下は煙のように捉え所がなく、肩から下は完全に消えていた。
「歩いてるっすよ。どうっすかね…?」
「参加者には気配に敏感な奴もいるだろうが…これは…そういうレベルじゃないな。
気配だけじゃない…音や匂い、人が動いた時に発生する風なども全く感じない。」
匂いという言葉を聞いた瞬間、モモは顔を赤くして“ステルス”を解除した。
「ちょっと…匂いって!やめるっすよ…!恥ずかしいっす。」
「誤解するな…!そういう意味じゃない。本当に無気配、無味、無臭、無音だった事に驚いている。
俺も憂も探索に行く前に体を流した。気になるならお前も体を流してこい。
格納庫に熱湯とシャンプーとボディーソープがある。水で調節して適温にするといい。しかし…
それは憂を船に乗せてからだな。」
「後で頂くっすよ。さっきのステルスはここに来てから一番調子が良かったんじゃないっすかね…?」
本気のステルスを解除したばかりだからなのか、まだ腕のあたりが煙の様に揺らめいている。
モモは腰に両手を当てて胸を張り得意げな顔をした。
「そうだろうな。船井達を追跡していた時は、余計な事を考えていただろう…?ステルスを使う時はその意識を忘れるなよ。」
「南場で完全に消えてバタバタ危険牌を切る時のあの感覚っすね。」
「そう平常心を心がけろよ。冷徹、非情…自らの精神を完璧な状態に保たなければならない。
人を殺す前の緊張や、殺した後のショックで心を乱したら死ぬと思え。」
「そうっすね。叫びながら人に襲いかかるなんてステルスとは程遠い行動っすからね。気を付けるっすよ。」
モモは何かに納得したように真剣な面持ちで頷いた。
加治木先輩を捩じ切って惨殺した浅上藤乃と出会った時、私は平静でいられるのだろうか…?
いや、そうしないといけないんだ、例え仇が相手でも取り乱したりしてはいけない。
私の目的は復讐じゃない、そう…邪魔者を消して優勝にたどりつくことだ。
モモはその先を見る事を決意した。
「後、切り札はいざという時以外は見せるな。この会場にいる参加者は特殊能力に制限が掛っている可能性がある。
持続時間や破壊規模、何度も力を使えないほどの疲労…あるいは能力のレベルなど。」
「ずっと消えてると“ステルス”の精度が落ちるってことっすか…?」
「恐らくお前の場合そうだろう。周りが全滅するまで姿を消せるような奴がいてはゲームにならないからな。
確実に制限が掛っているだろう…
逆に…普段から眼を“封印”しているような奴は、100%“それ”が強力な切り札だ。
歓迎できない遭遇戦もあるかもしれないが、戦闘はなるべく遮蔽物の多い所に誘導して行うように気を付けるべきだな。」
モモは驚いたような顔をすると、その考察に納得したようにフムフムと頷いた。
それと同時にそんな事まで深く考察しているという事は、
ルルーシュもなんらかの能力を持っているんじゃないかと疑問が湧いてきた。
「…?そんな事を考えつくって事はルルさんも何か能力を持ってるんすよね…?クチビルさんは魔法の存在にすら懐疑的だったっすよ。」
「ああ、俺の能力には確実に掛かっているな。まだ実験中だが……」
「どれだけ凄い力なんすか…?」
「機会があれば見せてやる…楽しみにしておけ。…ん?」
お楽しみは後に取っておけと言わんばかりに笑って目をそらすと、ルルーシュは何かに気付いて席を立った。
「ちょっと待つっすよ…!私の事ばっかり一方的に聞いてばかりでズルいっすよ…!」
「桃子、1時間待つ所かもう憂が見つかった。あの目立つ服だろう…なんだ…?宙に浮いているように見えるが…
おい…スコープで確認してくれ。憂の傍に何か居る…」
「もう、話をそらしてホントズルいっすよ…!はいはい了解、了〜解〜っす…!」
モモは一方的に情報を搾取された事が不服なようで、頬を膨らませて不機嫌そうにスコープを覗き込んだ。
岸壁のあたりをスコープ越しに覗き込みながら、舐めるように左右に動かし調査を始めた。
「ふんふん…別にゴスロリさんが居る以外は何も…って…ん?なんなんすかね…アレ…?」
「どうした…?裸眼では詳しく分からなかったが、やはり憂以外に誰か居たのか…?」
何かを発見したような怪訝な表情と疑問の声に、気になったルルーシュが隣まで近づいてくる。
モモは椅子に座ったまま体の向きを変えて、片目を瞑り両手を添えて憂の方を見ている。
「ゴスロリさんの下に何かいるっすよ…ん…?…あれ…マズくないっすかね…?蟹?大きくて、透明で…」
「何…?透明な蟹だと……?俺にも確認させてくれ。」
「どうぞ。」
モモはスコープを覗き込むのを止めて、ルルーシュに手渡した。
「なんだ…あれ、確かに俺にも見える…蟹…か…?憂の能力…?桃子、船をあそこに付けるぞ。」
「あっ、ちょっと待って下さい…置いて行くなんて酷いっすよ…!」
ルルーシュはスコープでそれを確認し終えると支給品バッグに仕舞い込み、武器などを入れ下船の準備をし始めた。
さっさと船を降りようとするルルーシュにモモは抗議の声を上げて、自分も席を立ちいそいそと支度をし始めた。
◇ ◇ ◇ ◇
平沢憂 朝の日記
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○月×日 7:50
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奇妙なモノに出会った。
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それが何なのかはよく分かんないんだけど、どういうモノなのかは本質的に分かった。
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私を助けてくれたのは神様なんだって、私を地獄から救ってくれたのは神様なんだって
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そんな事を頭じゃなくて、もっと心の深い所で感じたんだ。
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私は今まで何を思い悩んでいたのかな?今は酷くどうでもいいことのように思える。
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でも、地獄から救われたはずなのに、私はまだ地獄に居るんだよね。
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他の人を殺して1人だけが生き残れるというゲーム。さっきまでは重い気持ちだったんだけど
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今は心に羽根が生えたように軽くてなんとかなるって気がする。
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私に帰っていろと言ったルルーシュさんは何処に行ったんだろう?
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酷くて意地悪な人だけど時々冗談っぽく笑ったりする。
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私の心を抉るような事をズケズケ言う癖に、不意に優しくしたり掴みどころがない。
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本当にあの人はどういう人なんだろうか?年はあまり変わらないはずだよね。
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池田華菜さんや阿良々木暦さん、安藤守さん達とは違った感じがする。
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こんな所に居るのに全然気負った所が無くて、私だけが1人で心を乱しているみたいだった。
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そんなルルーシュさんと一緒に行動することにしたので、ここで待っている事にした。
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暇だったから鞄からヨーヨーを出して遊んでいようと思う。
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さっきからやってるんだけど、大分上手くなってきたかな。
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微妙な手首の返しやスナップが大事なのかな? きゅーんと機械みたいな音がする。
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全身のバネを使ったりすると更にいい感じになって来た。
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ヨーヨーが蛇のような動きでしゅるしゅると動くようになったよ。
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ちょっとした指先の力加減を変えるのがコツみたい。少し楽しい。
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私の意思で思い通りの軌道を通ってヨーヨーが動かせるようになって来た。
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さっきから蜂が周りをブンブン飛んでいて煩い、手元のヨーヨーを動かして殺そうと思った。
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指先の微妙な力加減で“蛇”を動かして、蜂の軌道にぶつけると真っ二つになった。
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次は応用編だね。腕や体も使って大きく振って、指先も細かく使って動かしてみようかな。
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ヨーヨーに付いているボタンを押すと手裏剣みたいなトゲトゲが出てきた。
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丁度、右に見える木の枝を丸坊主にするよ。ヨーヨーを大きく動かして、
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枝がある所を通るように軌道を左右上下に調節して、ぐにゃぐにゃ動かしてみると、
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視界に入って鬱陶しかった枝が音を立てて地面に落ちた。
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なんだか凄く楽しい気分になって来た。お姉ちゃんが文化祭で演奏してた歌を歌う事にした。
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ふわふわタイム。私の今の心はまさにそれだね。軽いノリで皆殺しにすればいいんだよ。
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あれ?これはホッチキスだったっけ?まぁいいかな。生きて帰ったらギターを始めよう。
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次に阿良々木さんに会ったらブチ殺して、お姉ちゃんのギー太を返して貰いたいな。
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あれはギブソン・レスポール・スタンダードっていう凄くいいギターなんだって。
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お姉ちゃんは一応姉妹だから無理には殺す気はないかな。
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そうそう、私が持っている手綱とムチを使うと、神様が言う事を聞くようになったよ。
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船が戻って来た。ルルーシュさんがこっちを見ている。あの人を裏切らないようにしないとね。
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◇ ◇ ◇ ◇
揚陸艇が格納庫の後ろの方を憂の待つ岸に接舷させると、扉は開き橋が掛った。
電気も消えている薄暗い格納庫の中から1人の男が、カツカツ靴音を鳴らしながらこちらに向かってくる。
よく見るとその後ろに影の煙ったように存在感の薄い少女が、男を追うように小走りで付いてきている。
ルルーシュ・ランペルージと東横桃子の2人だった。
「憂すまなかったな。無事か…それは…?少しトラブルがあって離れてしまったんだ。」
「あっ!ルルーシュさん何処に行ってたんですか?ずっと待ってたんですよ。」
こちらに向かってくるルルーシュの姿を確認すると、憂は待ち人の登場を喜んだ。
やはりルルーシュの物腰は自然体で全く気負った所も、油断するような所も見られない。
普段は几帳面に閉めている、制服の胸の中に手を入れているのは、何かを隠し持っているからなのだろう。
「確認したい事がある…それはなんだ…?お前の能力か…?」
「能力?これは“神様”なんですよ。この手綱と鞭を使うと私の言う事を聞いてくれるようになったんです。」
ルルーシュはあまりにも軽すぎる憂の物腰に妙な引っかかりを感じる。
先刻別れた時は顔も上げられない程、重く沈みこんでいたのにどういう事なのか疑問に思った。
「憂、何があった…?その雰囲気……軽くなっているな……」
「この“神様”が断ち切ってくれたんです。私の煩わしい物を全部…!」
「“神”だと…?何を…“ソレ”がお前の煩わしい物を断ち切った――――だと…?」
「ちょっと、…ルルさん…?ゴスロリさんの様子がおかしいっすよ…」
モモは隠れて見ていた重苦しい雰囲気で、今にも自殺してしまいそうな憂との違いに違和感を覚えた。
まるで何かから解放されたように、華やいだ笑顔を見せる憂を見て、ルルーシュの袖をクイクイと引っ張った。
「ああ、誰かの攻撃を受けたのか、雰囲気がおかしくなっている。」
「あの重苦しかったゴスロリさんが…えらく軽いっすね。なん…」
その時だ、ルルーシュの後ろで薄く煙ったように立ちつくすモモに向かって、
憂が手元で弄んでいたギミックヨーヨーを、手先だけで振るった。
“蛇”の様にのたうち回ったそれが寸分違わず、モモの顔を切り刻んで頭を破壊する寸前。
「止めろ…!俺を裏切るな……!!」
憂の動向を注視していたルルーシュが寸前の所で制止をかけた為、それは機械音を上げながら回収された。
憂の瞳はルルーシュを「裏切るな」という“ギアス”の制約を受けて赤く発光する。
「落ち着け…!こいつは新しい仲間だ…!契約したはずだ、俺が制止した者には手を出さないと……!」
「………ッ」
憂はモモを視認するなり笑顔のままで、突然顔面を破壊するような一撃を放った。
間一髪の所で憂の蛮行を止めたルルーシュはほっと一息ついた。
外見上はあまり変わらないが、モモの前髪がパラパラと重力に負けて落ちていく。
憂は何が悪いの?そういうゲームでしょうと言わんばかりに、首を傾けて不思議そうな顔でこちらを見ている。
「憂悪かった。報告が遅れた事は謝ろう。船に乗る時、敵の襲撃を受けそうになって一時離れた。
お前を放って行くつもりはなかったんだ。」
「そんな事があったんですか。暇だったので遊んでたんですよ。コレで。」
「(桃子、消えていろ。)」
「了解っす。(これからはああいうのも居るはず…心を冷静に保つっす…私は存在しない…。)」
憂は手に持ったギミックヨーヨーを、お気に入りのおもちゃを見せる様にルルーシュに見せてきた。
ルルーシュは傍にいたモモに小声で、姿を消すように命令した。
さしたる理由もなく、突然殺されそうになったモモであったが冷静に動揺を落ちつけ、
ルルーシュのアドバイスどおりイメージして“ステルス”を発動し姿を消した。
「憂…その…蟹のような物は大丈夫なのか…?」
「はい!私の言う事を聞いてくれますから。これ騎英の手綱っていうんですけど、
こういうのに言う事を聞かせる事が出来るって説明に書いてありました。」
支援
「分かった…こちらに来てくれ。船に乗り込んだら朝食を取るといい。」
「わかりました。行ってください。」
ルルーシュがそう言うと、憂は鞭を打って“ソレ”に声をかける。
透明なそれが憂を背に乗せて大きな体を前進させ始めた。
(…あの蟹の力か。こいつ心を完全切り捨てたのか…?とりあえず使い物にならない状況は脱したか。)
重苦しく鬱陶しかった憂が、信じられないほど軽い雰囲気になって、殺人を全く躊躇しなくなっている。
今までの憂なら敵を撃つ事も出来ず、足手まといになると思っていたのだが、今の状態なら使える。
透明な蟹に乗っている姿を見た時は内心驚いたが、手に入った武器がそれを制御する事を可能にしているようだ。
「…ねぇルルーシュさん聞いてますか…?私生きて帰ったらギターを始めようと思うんですよ。」
「ああ、いいんじゃないか…?俺はピアノやっていたからキーボードなら出来る。手伝ってやってもいいぞ…?」
「あはは、本当ですか…?約束ですよ。生きて帰ったら一緒にバンドをやるって。」
ルルーシュがそう言うと憂の表情が、更にパッと明るくなって機嫌が良さそうにコロコロ笑った。
(あのヨーヨーで寸分違わず桃子の顔面を狙い撃った。俺と居た時はあんな物に触れもしなかったというのに。
短い間にここまで使いこなせるようになったと言うのか…?器用な奴だな…銃火器の扱いを教えておくか。
“騎士”の素質があるのかもしれない。が…あまり強くなりすぎるとギアスが切れた時に危険だな…)
「で、ヴォーカルにベース、それにドラムも集めないといけませんよね。」
「そうだな。ヴォーカルはギターを弾きながらお前がやればいいんじゃないか。お前のバンドだ。
だが、それは帰ってからライブハウスなどでメンバー募集をかければいい事だ。
残念ながら…ここは殺し合いの戦場だからな…」
ルルーシュは憂に話を合わせてペラペラと機嫌が良くなるような答えを返す。
憂は少し考えるような顔をして、それもそうだなというふうに頷いた。
(フフフフ…いいだろう、ロロのように優しくしてやろう。兄の様に、恋人の様に甘い言葉で…
あの蟹が制御出来ると言うなら任せよう、カレンの様に戦場を駆けるエースになって貰うぞ。)
「そうでしたっけ…!うっかりしてました。皆殺さないといけないんでしたね。まずは…
――――阿良々木さんと言う人がお姉ちゃんのギー太を持っていたから、ブチ殺して返して貰いたいんですよ。
「阿良々木暦か…分かった。策と武器を授けると言う契約だったな…俺が協力しよう。」
「嬉しいな。」
姿を消してその会話を傍で聞いていたモモは頭がどうにかかなりそうだった。
憂のこの戦場で語るには軽すぎる言葉の数々と、それに優しく付き合ってやっているルルーシュを見て、
自分はこの人たちと一緒に居てマトモで居られるんだろうか?と不安になって来た。
(なんなんすか…?この会話…頭がぶっ飛んでるとしか思えないっすよ。ゴスロリさん頭が逝っちゃってるっすよ。
ルルさんもあんな会話にサラッと合わせているし…この人たち病気っすか…?)
◇ ◇ ◇ ◇
憂にも分かったように、ルルーシュやモモもそれがどういう存在なのか理解した。
その名は知らないが、思い蟹/重し蟹/思い神/重い神などと呼ばれる神の類である事に。
全く駄洒落の様なふざけた存在だが、この蟹は怪異として、ただそこにそうあるだけだ。
憂の願いに反応して、彼女の抱える姉に対する重い柵を絶ち切って重みを奪ったのも、
人間の細かい感情など理解しているわけではなく、ただシステム的に反応して力を使っているに過ぎない。
人の重荷、思いを断ち切って、代償に体重を貰う…ただそういう怪異なのだと…
その怪異はいま揚陸艇の格納庫に乗せられ海を渡っている。
「悪いが…お前に俺や桃子の思いをくれてやるわけにはいかないな…」
ルルーシュは軽くなった憂と“ステルス”を解除したモモを船に乗せてから、おもい蟹と1対1になれる期を窺っていた。
憂とモモはその存在を知らなかったが、上手く当てはまる存在をルルーシュは知っていた。
―――――――――――アーカーシャの剣で見た“集合無意識”の存在を。
人がペルソナの仮面を付ける以前の状態に近いのではないかと推測したのだ。
この怪異は人の意思以前の簡単な指向性しかもっていない……ならば……
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる――――お前の神たる力――――全て私に預けろ!!」
ルルーシュは両目を“封印”しているコンタクトを外して、切り札を切る事にした。
ギアスを発動するとクリムゾンレッドの両目から“絶対遵守”の力が飛び“神”の全身を血の色の様に紅く染め上げる。
命令を了承したのか、おもい蟹はまるで本物の蟹の様に真っ赤に染まり、自らの力を湯水のように与え始めた。
「―――ッ!!これは――――!!」
双眸を見開きギアスの力を発動し続け、“神”の力を奪い続けているルルーシュの頭に鈍痛が走る。
動けない程ではないが、これが断続的に続くと致命傷になる恐れがある……
(これがギアスの制限か…複雑な条件を指定した、長い命令を与えるのは苦痛を伴うと言う事だな……)
憂に「俺を裏切るな」とギアスをかけた時は、一瞬で終わらせたので痛みを感じる間もなかった。
あまり何度も使いすぎると、いざという時に反応が鈍って体が動かなくなる……そう言う事か。と
自分のギアスに掛かった制限を理解した所で、おもい蟹の力を全て奪いつくした。
おもい蟹は戦場ヶ原ひたぎの体重を傍にいた阿良々木暦にも返してしまったような大雑把さで、
怪異たる自分の持つ力を全て余すところなくルルーシュに預けてしまった、そう――――奪い返す力すらも。
“神”という存在だったおもい蟹はただの、巨大で馬力のある蟹に堕とされた。
「フフフフ…フハハハハハハハ……!!ビショップ、ナイト見習い、にルーク…ハンデはこれ位でいいか…?
さぁゲームスタートだ。この俺を戯れに蘇らせた事…全てを奪われ、人形になってから後悔せよ主催者共!!」
【E-5/海上/一日目/朝】
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス反逆のルルーシュR2】
[状態]:健康、満腹
[服装]:アッシュフォード学園男子制服@コードギアス反逆のルルーシュR2、単三電池×大量@現実、
[装備]:ゼロスイッチ(仮)@コードギアス反逆のルルーシュR2、CDプレイヤー型受信端末、リモコン、イヤホン@現地制作、
[道具]:基本支給品一式、ゼロの剣@コードギアス反逆のルルーシュR2、ミニミ軽機関銃(183/200)@現実 、
ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュR2、“狐”“おかめ”“ひょっとこ”の面@現実、
サクラダイト爆弾(小)×9、サクラダイト爆弾(灯油のポリタンク)×2@コードギアス反逆のルルーシュR2、
盗聴機、発信機×9@現地制作、
[思考]
基本思考:枢木スザクは何としても生還させる
1:東横桃子、平沢憂と行動を共にする。
2:殺しも厭わない。東横桃子、平沢憂、スザク、C.C.、ユフィ以外は敵=駒。利用できる物は利用する。
3:スザク、C.C.、ユフィと合流したい。
4:ユフィの動向が気になる。政庁に向かう。
5:偽ゼロの放送を利用して、混乱を起こし戦いを助長させる。
6:遠藤のベンツに襲撃者が取り付いたと判断した場合、サクラダイト爆弾を起動させる。
7:“金で魔法を買った”というキーワードが気になる。
8:首輪の解除方法の調査、施設群Xを調査する?
[備考]
※R2の25話、スザクに刺されて台から落ちてきてナナリーと言葉を交わした直後からの参戦です。
死の直前に主催者に助けられ、治療を受けたうえでゲームに参加しています。
※参加者が異なる時間平面、平行世界から集められている可能性を考察しています。
※モモから咲の世界の情報を得ました。主要メンバーの打ち筋、スタイルなどを把握しました。
※自分のギアスも含めて能力者には制限が掛っていると考えています。
※おもい蟹が怪異たる力を全てルルーシュに預けました。どんな力を使うかは後の人にお任せします。
※モデルガン@現実、手紙×2、遺書、カギ爪@ガン×ソード、皇帝ルルーシュの衣装@コードギアス反逆のルルーシュR2、
シティサイクル(自転車)、ジャージ(上下黒)、鏡×大量、キャンプ用の折り畳み椅子、消化器、ロープ、カセットコンロ、
混ぜるな危険と書かれた風呂用洗剤×大量、ダイバーセット、その他医薬品・食料品・雑貨など多数@ALL現実
揚陸艇のミサイル発射管2発×2機、ミサイル×4発@コードギアス反逆のルルーシュ
現在支給品バッグに入れています。
※揚陸艇の燃料…残り24キロ分
【黒の騎士団専用強襲揚陸艇@コードギアス反逆のルルーシュ】
1期12話[シャーリーと銃口]にてコーネリアを奇襲する際に、黒の騎士団が使用した強襲揚陸艇。
1度に4発のミサイルを撃つ事が可能、ナイトメアを3、4台搭載する事が出来、簡単な整備が出来ると思われる。
大きなボート状の形をしていて、作中では驚異的なスピードで海から陸に飛び出てナイトメアを粉砕した。
【サクラダイト爆弾@コードギアス反逆のルルーシュ】
コードギアス反逆のルルーシュ1期25話で登場
ルルーシュが「俺を撃ったらお前らも道ずれだ」という、なんとも悪役っぽい事を言って出したサクラダイトを用いた爆弾。
起爆させる間もなくスザクにルルーシュが倒されて、何事も起こらず地面に転がる事になったが、
本当に爆発していたらスザクとカレンを巻き込むほどの威力があるのだろう。
【CDプレイヤー型受信端末@現地制作】
スーパーマーケットで調達した古いCDプレイヤーを揚陸艇にあった機械設備とパーツで改造したもの。
発信機の情報を受信し、移動速度と上下左右斜め8方向のどちらに動いているかを矢印でリモコンに映し出し、
盗聴機で受信した音声をイヤホンで聞く事が出来る。CDプレイヤーとしての機能も残っている。
単三電池2本で6時間連続再生可能。
【ジンのCD@現実】
スーパーマーケットで調達していた。
コードギアス反逆のルルーシュ後期OPテーマ解読不能その他カップリング曲が収録されている。
クリリンっぽい声の女性ヴォーカリストが歌っており、JPOPの筈なのだが何を歌っているの分からない。
正に解読不能である。受信端末を他人に見られそうになった時の為に入れてある。
【ゼロスイッチ(仮)@コードギアス反逆のルルーシュR2】
原作でルルーシュがよく押す場面がみられる不思議スイッチを揚陸艇にあった機械設備とパーツで再現した物。
簡易版なのでサクラダイト爆弾の起動や揚陸艇から取り外したミサイル発射管の制御位しかできないと思われる。
やはりチェスのキングを模した形状をしている。
【東横桃子@咲-Saki-】
[状態]:健康、満腹、ステルス解除
[服装]:鶴賀学園女子制服(冬服)
[装備]:FN ブローニング・ハイパワー(自動拳銃/弾数15/15/予備45発)@現実
[道具]:デイパック、基本支給品(-水1本)、FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん!
遠坂凛の魔力入り宝石@Fate/stay night×10個
[思考]
基本:加治木ゆみを蘇生させる。
1:ルルーシュを利用し(利用され)、この場での生き残りを考える。
2:覚悟完了。ステルスを使う時は麻雀で対局相手の当り牌を切る時の感覚を大事にする。
3:この二人大丈夫か…?頭が逝っちゃってるすっすよ。
[備考]
※登場時期は最終話終了後。
※カギ爪の男からレイに宛てて書かれた手紙は中身を確認せずに破り捨てました。
【FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん!】
秋山澪愛用のレフティベース。
【FN ブローニング・ハイパワー@現実】
天才銃工ジョン・ブローニングが晩年に設計し、その死後FN社の技術陣によって1934年に完成した自動拳銃。
当時としては画期的なリンクレスのショートリコイルや、シングルアクション、着脱式マガジンへのダブルカラムの採用など、
近代オートマチックの基本要素が詰まった傑作で、後生の様々な銃に影響を与えている。
【遠坂凛の魔力入り宝石@Fate/stay night】
17年間休み無く織り上げた遠坂凛の切り札。
宝石の中で魔力を流転させ、本来保存できないはずの魔力をバックアップしており、
宝石に宿った念に乗せてそのまま魔力を開放することにより魔弾として戦闘に転用することが可能。
一つ一つの宝石の値段は数千万円もする非常に高価な代物。
【平沢憂@けいおん!】
[状態]:健康、拳に傷、重みを消失、ふわふわタイム
[服装]:ゴスロリ@現実
[装備]:ギミックヨーヨー@ガンソード、騎英の手綱@Fate/stay night、拳の包帯、おもし蟹@化物語、
[道具]:基本支給品一式、日記(羽ペン付き)@現実、桜が丘高校女子制服、カメオ@ガン×ソード、
COLT M16A1/M203(突撃銃・グレネードランチャー/(20/20)(1/1/)発/予備40・10発)@現実、
果物ナイフ@現実(現地調達)、阿良々木暦のMTB@化物語、包帯と消毒液@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor
[思考]
基本:ルルーシュとバンドを組みたい。皆を殺す。
1:ルルーシュさんの作戦、言う事は聞く。お姉ちゃんは無理には殺さない。
2:モモさんはルルーシュさんが仲間だと言っているので殺さない。
3:阿良々木さんに会ったらブチ殺して、お姉ちゃんのギー太を返して貰う。
[備考]
※ルルーシュの「俺を裏切るなよ」というギアスをかけられました。
※中野梓についていた「おもし蟹」と行き遭いました。姉である平沢唯に対する『思い』を失っています。
【COLT M16A1/M203@現実】
ベトナムのジャングル戦において使用されてきたM16A1 アサルトライフルにM203 グレネードランチャーを装着した画期的装備。
連射性の低さを補い、火力アップを図るために装着されたM203は40mmの各種グレネード弾を発射できる。
現在もアメリカ軍によって現役で使用されている高い能力を持った武装である。
【騎英の手綱@Fate/stay night】
神代の幻想種を従える為の手綱と鞭。
これを装着させる事でその相手のリミッターを強制排除し全ての能力を1ランク上昇させ、その超高速突撃で相手を粉砕する物理攻撃を放つ。
これだけでも脅威だが更に幻想種から発せられる膨大な魔力が守りをも固める。
攻防共にエクスカリバーに次ぐ威力を誇る宝具。
【おもい蟹】
人ひとりほどの大きさのある蟹の怪異。想い蟹、重石蟹とも呼び、土着の神様の一種でもある。
見えないし触れることもない。重く苦しい想いを持った人の目の前に現れ、想いを引き受け、一緒に体重を奪う。
想いを捧げた者からは、その想いに関する心の重さが失われ気が楽になる。
ただし記憶は消えないので、想っていたこととそれを失ったことによる新しい罪悪感が生じる場合もある。
体重はおおよそ1/10まで軽減するが、筋力など重さ以外に関してはまったく変化しない。衣服等は軽くならない。
また、蟹に重さを奪われたものはその分存在感も希薄になり、儚げな印象を他に与えることになる。
現在騎英の手綱で平沢憂に制御されており、その怪異たる力はルルーシュに奪われ赤く大きな蟹になり果てている。
投下完了です
乙です!
おもし蟹に乗っているゴスロリ憂…なんかすごい画w
ルルーシュは着々と駒を増やしてますねえ。
ところでギー太は「Noble phantasm」でありゃりゃ木さんが渡したはずなのですが、
その話の状態表に反映されていないようです。
こちらも見落としていたので申し訳ないのですが、これはどうするべきでしょう?
投下乙です
ここで急にルルが存在感出てきたな。運もあるがこういう集団を組み立てる手腕はさすがだな
船井組とありゃりゃ木さんが可哀そうだw 知らない間に死亡フラグが立ってるwww
モモは覚悟完了、憂も殺人人形化してるし怖いわw
投下乙です
憂が騎士見習いに!?
この3人の今後が楽しみになる話でした
ルルーシュがちょっと自分のことペラペラ喋りすぎかなと思ったけど、まあ許容範囲内だと思います
ちょっと質問
“自分とは異なった世界から数人単位で連れて来られている”という考えがどこから来たのかが読んでてよく分からず
少し唐突な感じがしました。カギ爪の遺書を読んだのですか?
>>648の部分は修正必要っぽいですね
それによって、憂の言動や目的も変化するでしょうし
>>648 いったん渡したけど、結局は回収した、ということだと理解していたけれど。
もう後続に続いているんだし、そう考えたほうが自然じゃない?
>>648 ギター、割と重いから
撲殺武器にならないように回収したんじゃね?
憂がそんな使い方するわけねーけど
あらららぎさんなら考える可能性はある
蟹が憑いてる本人以外見えないのではないかみたいな意見もあるけど
手綱をつけたおかげということにすればおk?
投下乙
船井組とルル組はダブルで知能派だな
しかし、仲間に振り回されてる前者と巧みに操ってる後者であったw
と、投下乙もいっておこ
>>あららさん
よーやく事態の重要さにきづいたか…
そっからの行動が重要だぞー
そして八九寺がえらいとばっちりだなw
近くのカイジがおくりびとの方が因縁もあっておもしろいと思ってた頃もあったけど
これはこれでどうなるか
>>ルル組
なんかいろいろ充実してるな
ロワをどう回していくかに期待
蟹は哀れだな
一部おもし蟹がおもい蟹になってました
感想ありがとうございます。
ルルーシュもモモも重い柵を抱えてますから、蟹が見えたと考えています。
ルルーシュは言うまでもなく、モモもかじゅ先輩の事で重みを背負ってしまっているので。
>>650 前の人の状態表に有りましたのでいいかなと
憂が世界中で暴れた皇帝ルルーシュを知らないこと、ふじのんみたいな存在を知った事や
空白でモモと色々会話があったと考えています。
投下乙!
この集団もこの集団でだめな気がw
ルルは自分で死亡フラグを積み立ててる気がするしw
投下乙です
ルルーシュはおもし蟹の力を手に入れて…どうなったんだ…
それにしても待っている間にヨーヨーを自在に動かせるようになるとはさすが憂w
660 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:37:54 ID:3uVEDD/Y
そろそろ代理投下していいかな?
ギャンブル船組投下します
投下乙!
集団になればなるほど、大量虐殺の話が書きやすくなるので、こういう話は助かります。
「では三十分間の休憩後、再びここに集まった後に行動を開始するとしよう」
利根川のその言葉により、希望を掴むための会議は一旦、幕を閉じる。
知人などの容姿や性格等の説明、各々に支給された物品の再確認、
更には今後の行動方針についてなど有意義な情報も多かったが、
脱出への明確な手がかりががあるわけでもなく、希望はまだ闇の中であった。
@@@@@
「まったく、二人とも何考えてるんだ? 捜索に参加するなんて無茶な事……」
エスポワール三階、食堂。
利根川から分配された特上寿司に舌鼓を打ちながら、士郎は目の前の少女達に再三の疑問をぶつけた。
「しつこいですわね、大丈夫だとさっきから言ってますの」
「わたしも、大丈夫だから」
それに、士郎と同じく寿司をつまみながら、白井黒子と秋山澪が答える。
捜索班と待機班。
先の会議で決定した今後の方針とは、メンバーを二つ以上のグループに分け行動するというものだった。
もちろん戦力の分散に対する不安の声もあったが、体力に余裕のある者が捜索に出たほうが効率がいいという利根川の提案に、
戦場に慣れている明智を始めとした多くの者が賛同しため、全員がその案を受諾する事となる。
そして、その議論の中で黒子と澪は捜索班に自ら志願したのだった。
「わかってる。白井さんはともかく、わたしがついてっても足手まといになるだけだと思う。
ここまでも二人の足を引っ張ってばかりだったし、正直、迷惑なだけかもしれない。
わたしは、みんなみたいに強くないけど……でも、それでもみんなの役に立ちたい。
怯えて守られてるだけなんて、わたしには耐えられないんだ」
吐露されるのは少女の想い。
仲間に対する罪悪感と、自分自身への不安。
「誰もが、最初から強いわけじゃないですわ」
それを受けてポツリと黒子が呟いた。
「例え、世界で七本の指に入るほどのチカラを持っていようと、最初からその位置にいたわけじゃない。
弛まぬ努力と本人の意思で、そこまで上り詰めたのですわ」
まるで遠くを――自分の手ではもう届かない場所を見つめるような表情で、少女は言葉を紡ぐ。
そんな様子を澪と士郎は無言で見つめるしかなかった。
「……申し訳ありません、話がそれてしまいました」
やがて、その空気を嫌がるように黒子は二人に謝罪する。
「大丈夫。言いたい事はわかったよ……ありがとう、わたしがんばるよ」
「しかたないな、俺ももう何も言わないよ。
ただ、二人とも無茶はするなよ」
士郎の言葉に澪と黒子は微かに笑みを浮かべながら頷いた。
@@@@@
「しかし使用済みブルマとは、カシさんはよい趣味をおもちですね」
「人を変態みたいに言うな!」
紺の布切れを手にそう呟いた少女に、カタログを捲っていた男は悲鳴に近い突っ込みを入れた。
「またまた、ご謙遜を。女子中学生の履いていたブルマを後生大事に持ち歩くなんて、極度の変態と世の中から罵られる事請け合いです!」
「だから、なんでブルセラ通いの変質者扱いなんだ!? だいたい、それは俺の物じゃないだろうがっ!」
そもそもの発端は会議室で各々の支給品を確認していた時の事だ。
拳銃や青龍刀等の武器や、一見役に立たなさそうなティーセットなどの道具が出てくる中、カイジの鞄から出てきたのは一枚のブルマだったのだ。
【神原のブルマ】
神原駿河の所有物であるブルマ。
現役女子中学生の使用済みである。
添付されたメモを思い出し、カイジは思わず頭を抱えたくなる
拳銃やスタンガン付き警棒と一緒に支給されていたからよかったものの、もしブルマ一枚だったらどうなっていたことだろう。
「そういえばそうでした、訂正します。
ブルマを鞄から取り出し、なおかつ握り締めるなんてカイヅさんは変態ですね」
「あれは、ただちょっと許せなかっただけで……」
「なんと! 中学生では不満だ、もっと若い女児の物がいいとおっしゃいますか!」
「違う! そうじゃなくて、あいつらがあまりにも馬鹿にしてると思ったからだ!」
そう、カイジが許せないのはあまりにもふざけた帝愛の行動だった。
少女の首を吹き飛ばすというショッキングな事をする一方で、使用済みブルマなんてふざけた支給品を紛れ込ませる。
それは遠藤達にとってこの殺し合いは単なる喜劇、見世物(ショー)でしかないと宣言されているという事に等しい。
改めて帝愛に対する怒りをつのらせるカイジ。
そんな彼に真宵はふと疑問をぶつけた。
「ところで、ぶるせらとはいったいなんでしょうか?」
そう言って、好奇心溢れる眼差しを向ける小学生女児。
カイジ、言葉に詰まるっ……!
思わずブルセラと口走ってしまったが、それはすでに死語。
小学生に通じるはずがない。
だが、八九寺真宵がその意味を知ったら、それをネタにいじられる事は必至!
気付かれていないうちにごまかすのが最良……!
「……お前にはまだはやい」
しかし、数瞬の懊悩の末に口から出たのはありがちなセリフ。
カイジはすぐに後悔する。
これでは暗にそういう方面の言葉だと白状しているようなものっ!
「なるほど、つまりは変態的な言葉だということですか。
やはり、カイジさんは変態の中の変態、変態オブ・ジ・イヤーという事に……」
「ここにいたか、カイジ」
カイジ達に声が掛けられたのは、ちょうどそのときだった。
突然ドアが開き、初老の男が室内に入ってくる。
「利根川か、いい所に」
「むむ、華麗にスルーされてしまいました」
これ幸いとばかりに、真宵のボケを聞き流す。
そしてカイジは利根川にカタログを差し出した。
「ペリカの使い道について相談したいと思っていたんだ」
「ああ、その件だが、実はすでに目星はつけている」
「やっぱり、参加者の現在地情報か?」
例え一時間とはいえ、知人の情報はやはり喉から手が出るほど欲しい物。
戦う力も持っている者や首輪を解除できそうな者を見つけ出し仲間にできれば、カイジ達にとっても僥倖である。
だが、カイジの言葉に利根川は首を横に振った。
「それは駄目だ」
「どうしてだ!? みんな知り合いを探してるってのに……」
「馬鹿が、探しているからこそだろう」
そう言って利根川がカタログ内の一頁を見せる。
・参加者の現在地情報……3000万ペリカ
「我々が捜索しているのは少なくとも8人。
対して手持ちのペリカはカードの分も合わせて1億5800万。
最大でも5人分の情報を、それも一時間しか聞き出せん」
「……つまり、情報を得るなら捜索する対象を選別しなければならない。
けど、そんな事をしたら不満・不信を募らせる人間は必ずでてくる」
その言葉に頷きながら、利根川はページを更にめくる。
「疑心暗鬼に囚われてしまえば、こんな即席チームなどすぐに瓦解するだろう
だから、今は参加者の情報にペリカは使えない」
「そうなる恐れのある情報を取るよりは別の物。
例えば、今の俺達に足りない、火力を補える物に使ったほうがいいって事か」
「まあ、ある程度は残してペリカを増やす元手にしなければならんが、大筋ではその通りだ。
だが、それ以外にも欲しい物がある」
そう言いながら利根川は手にしたカタログをカイジに差し出す。
「……なるほど、機動力か」
指し示されたそこには、一言こう書かれていた。
・軍用車両……4500万ペリカ
@@@@@
微風の吹く中、青空の下にグラハムはいた。
手すりの向こうにあるのは港の施設と廃村群、更に遠方には山と純和風の城砦の影。
そんな絵画のような風景を前にしているにも関わらず、グラハムはただ一点、自分の手元をじっと見つめていた。
そこにあるのは一本の青龍刀。
元々は八九寺真宵のデイバッグに入っていた物である。
とはいえ、これは別段、珍しい物というわけではない。
グラハムの胸中に引っかかっているのは、この刀に付属していた一枚のメモだった。
【五飛の青龍刀】
張五飛の青龍刀。
五飛はこれをガンダムのコクピットに常備している。
青龍刀の持ち主、張五飛。
それは名簿にも記載された名前である。
「ガンダム……やはり、あの少年も連れてこられていたか」
無論、この人物があの少年だと限ったわけではない。
7機存在するうちの、別機体のパイロットかもしれない。
だが、ガンダムの操縦者である以上、ソレスタルビーイングの一員であるのは確実。
少なくとも自分と同じ場所、同じ『世界』の出身者がここに存在しているという事だ。
(ならば、少年がここにいても――張五飛があの少年でもおかしくはない)
“ガンダム”と再び決着がつけられる。
そう考えただけでグラハムの胸は滾った。
「……グラハム」
突如かけられた弱々しい声に振り返ると、そこには不安そうな面持ちの天江衣の姿があった。
どうやらガンダムに対する想いが表情にまででていたらしい。
怯えさせてしまったかと、反省しながらグラハムは少女の頭に手を乗せる。
「もうすぐ時間か、わざわざ呼びにきてくれた事に感謝する」
「だから、頭撫でるなーー!」
@@@@@
暗く閉ざされた部屋に長身痩躯の男が蹲っていた。
まるでとぐろを巻く蛇のように。
あるいは巣を張った蜘蛛のように。
応急処置の際に巻かれた白い包帯の上から傷口を撫で回しながら、笑みを浮かべている。
(ふ……ふふふっ……さて、うまく入り込みましたが……
あの八人、どう料理して、どう頂きましょうか)
まだ見ぬご馳走を想像しながら明智は一時の休息を取った。
信を得た彼らをどう裏切り、どう追い込めば一番愉悦を得られるのか。
そのような想像を巡らせながら、実に幸福そうな表情をする。
やがて、大きくブルリと体を震わせると、男は体躯を起き上がらせた。
「さて、時間です……そろそろいくとしますか」
@@@@@
そして、会議室に再び彼らは集い、別れる。
互いの再会と無事を祈って。
@@@@@
「では、参りましょうか」
明智のその言葉に澪は静かに頷いた。
二人の乗るのは赤い馬具を身に着けた一頭の馬。
元々は天江衣に配されたそれは、戦国武将である明智に先の会議で譲渡されていた。
「そうだ、これなら軽いですし、あなたでも扱えるでしょう」
そう言って差し出されたのは一見、玩具のような銃だった。
「でも、この銃は明智さんが……」
「わたしは一介の武将、この剣があれば充分です。
それよりもこれは、あなたが持っていたほうがいい」
少し近未来的な形状のそれはニードルガンと呼ばれる銃。
本来は仮面をつけた反逆者の持っていた物だった。
「そして、もしもの時は……躊躇わずに撃って、敵を討ち果たしてください」
言葉と共に手渡されたそれは、澪が考えていたよりもずっと軽い。
「それでは、しっかりとつかまって下さい」
そう言って明智は馬を走らせ始める。
澪は危なっかしく馬の首につかまり、ただ前を見つめていた。
目指すは北西、『敵のアジト』
そこから西回りに島を巡る。
全ては仲間を探すために。
【B-5/廃村/一日目/午前】
【明智光秀@戦国BASARA】
[状態]:ダメージ(中)、傷は応急処置済み
[服装]:上下黒のスーツに白ワイシャツ
[装備]:信長の大剣@戦国BASARA、武田軍の馬@戦国BASARA
[道具]:基本支給品一式
[思考]:偶には搦め手もまた良し
1:まずは敵のアジトにむかう
2:裏切るタイミングを見計らう、もっとも愉悦が得られるタイミングで裏切る
3:途中つまみ食いできそうな人間や向かってくる者がいたら、同行者にばれない範囲で前菜として頂く
4:信長公の下に参じ、頂点を極めた怒りと屈辱、苦悶を味わい尽くす
5:信長公の怒りが頂点でない場合、様子を見て最も激怒させられるタイミングを見計らう
[備考]
※エスポワール会議に参加しました
【秋山澪@けいおん!】
[状態]: 健康
[服装]: 桜が丘高校制服
[装備]: ニードルガン@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実、モンキーレンチ@現実
[思考]
基本: 死にたくない。殺したくない。皆に会いたい。特に律に会いたい。
0:みんなの役に立ちたい
1:まずは敵のアジトに向かう
2:島を反時計回りに移動しながら、明智と共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先)
3:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒
[備考]
※本編9話『新入部員!』以降の参加です
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
@@@@@
人気のない小さな道を無骨なジープが猛烈な勢いで走る。
「もう少し優しく運転は出来ませんの!?」
「少し我慢していただきたい、道が舗装されていない」
後部座席からの文句に、ジープを運転するグラハムはそう返す。
「じゃあ、この道を抜けたら少しはマシに?」
「いや、このまま行ったら砂浜にでるから……しばらくはこのまんまだろ」
助手席で地図を見ながらそういう士郎に黒子はうんざりとした表情をする。
「わざわざペリカで手に入れたんですもの、もっと丁寧に扱えばよろしいのに」
グラハム・エーカー、白井黒子、衛宮士郎。
三人で構成される捜索班第2班はジープを走らせる。
捜索するはメンバーの探し人。
すなわち阿良々木暦、戦場ヶ原ひたぎ、セイバー、アーチャー、琴吹紬、田井中律、平沢唯、平沢憂、張五飛。
以上9名を探すべく、三人は南を目指す。
未だ希望は見えなかった。
【C-6/廃村/一日目/午前】
【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:健康
[服装]:ユニオンの制服
[装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30、軍用ジープ@現実
[道具]:基本支給品一式、五飛の青龍刀@新機動戦記ガンダムW
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。断固辞退
1:島を時計回りに移動しながら、士郎らと共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先)
2:張五飛と接触したい
2:主催者の思惑を潰す
3:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける
4:地図が本当に正確なものかどうかを確かめるために名所を調べて回る
5:衣の友達づくりを手伝う。ひとまずは一万ペリカを手にいれ、『麻雀牌セット』を買ってやりたい
【備考】
※参戦時期は1stシーズン25話「刹那」内でエクシアとの最終決戦直後です
※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※張五飛がガンダムのパイロット、少なくともソレスタルビーイングのメンバーであると知れないと考えています
支援
【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]: 健康、額に軽い怪我(処置済み)
[服装]: 穂村原学園制服
[装備]: カリバーン@Fate/stay night
[道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実
[思考]
基本:主催者へ反抗する
1:島を時計回りに移動しながら、グラハムらと共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先)
2:女の子を戦わせない。出来るだけ自分で何とかする
3:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒
4:黒子が辛そうにしている事に気付いていて、事あるごとに気にかけている
[備考]
※参戦時期は第12話『空を裂く』の直後です
※残り令呪:1画
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康、精神疲労(中)、空虚感
[服装]:常盤台中学校制服
[装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いをせずに脱出したいが……
1:島を時計回りに移動しながら、士郎らと共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先)
2:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒
3:衛宮さんはすぐに人を甘やかす
4:何もかも投げ出してしまいたい
[備考]
※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です
※空間転移の制限
距離に反比例して精度にブレが出るようです。
ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が130.7kg。
その他制限については不明。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※美琴の死により常に空虚感があります
空間転移は正常に使用できない可能性が高いです
@@@@@
支援
支援
さるったか?
そして、そんな捜索班の姿を四人は船の甲板から見送っていた。
「グラハムは……五人は大丈夫だろうか?」
「きっと、大丈夫ですよ」
そう言って互いに元気付けあう二人の少女を横目に、カイジと利根川は今後の予定について話し合う。
「じゃあ、俺から始めて二人で交互に見張りに立つって事でいいんだな?」
「ああ……三十分に一回、ラジコンヘリを周回させて、この近辺の状況を確認。
そして異常を発見したらレシーバーで連絡しあう。
これを捜索班が帰るまで続ける」
その言葉に頷くとカイジは甲板の端へと向かう。
そして利根川は、その反対にレシーバーを身につけたまま船内へと入っていく。
「それで、私達はどうすればよいのでしょう?」
そこには手持ち無沙汰な様子の二人の少女が残された。
【B-6/ギャンブル船/一日目/午前】
【伊藤開司@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康
[服装]:私服(Eカード挑戦時のもの)
[装備]:シグザウアーP226(16/15+1/予備弾倉×3)@現実、レイのレシーバー@ガン×ソード
[道具]:基本支給品、Draganflyer X6(残りバッテリー・20分ほど)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実
[思考]
基本:人は殺さない……なるべく……なるべく人が死なない方向でっ……!
1:エスポワールに近づく参加者を見張る
2:利根川を監視する意味で同行する
3:魔法、超能力を認めようと努力するが難しく、ちょっと困ってる
4:『5分の退室可能時間』、『主催の観覧方法』が気になる。
5:八九寺のボケは基本スルー。
[備考]
※Eカード開始直前、賭けの対象として耳を選択した段階からの参加。
※以下の考察を立てていますが、半信半疑です
・帝愛はエスポワールや鉄骨渡りの主催と同じ。つまり『会長』(兵藤)も主催側。
・利根川はサクラ。強力な武器を優遇され、他の参加者を追い詰めている。かつギャンブル相手。
・『魔法』は参加者達を屈服させる為の嘘っぱち。インデックスはただの洗脳されたガキ。
・戦国武将はただの同姓同名の現代人。ただし本人は武将だと思い込んでいる。
・八九寺真宵は自分を幽霊だと思い込んでいる普通人。
※エスポワール会議に参加しました
【利根川幸雄@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康
[服装]:スーツ
[装備]:即席の槍(モップの柄にガムテープで包丁を取りつけた物)、レイのレシーバー@ガン×ソード
[道具]:
[思考] 基本:ゲームからの脱出
0:ひとまず休息を取る
1:油断、慢心はしない
2:エスポワール会議組と脱出への突破口を模索する。他人は利用。
※天江衣が自分を嵌めたと思い込んでいます。
※ギャンブルルームについて情報を知りました。
※エスポワール会議に参加しました
【天江衣@咲-saki-】
[状態]:健康
[服装]:いつもの私服、ぬいぐるみを抱いている
[装備]:チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス反逆のルルーシュR2
[道具]:
[思考]
基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る
0:これからどうしよう?
1:エスポワール会議組と一緒に行動する
2:ひとまず一万ペリカを手に入れて、ギャンブル船で『麻雀牌セット』を手に入れる
3:そしてギャンブルではない麻雀をして友達をつくる
4:グラハムが帰ってきたら麻雀を教える
5:チーズくんを持ち主である『しーしー』(C.C.)に届けて、原村ののかのように友達になる
【備考】
※参戦時期は19話「友達」終了後です
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※エスポワール会議に参加しました
【八九寺真宵@化物語】
[状態]:健康
[服装]:私服、大きなリュックサック
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本:まずはお約束通り、知り合いを探してみることにしましょう。
0:これからどうしよう?
1:エスポワール会議組と一緒に行動する
[備考]
※「まよいマイマイ」終了後以降からの参加
※エスポワール会議に参加しました
※軍用ジープと4500万ペリカを交換しました
銃器などとペリカを交換したかどうかは後にお任せします
ペリカ残量、最大1億800万ペリカ(ペリカード分含む)
※会議室に以下の物が置かれています
基本支給品×3、神原のブルマ@化物語、ティーセット@けいおん!、特上寿司×21@現実、
空のワインボトル×4@現実、ルイスの薬剤@機動戦士ガンダムOO、
シャトー・シュヴァル・ブラン 1947 (1500ml)×26@現実、紬のキーボード@けいおん!
ペリカード(3000万ペリカ)@その他、7800万ペリカ@その他
【ギャンブル船について(追記)】
賞品の中に【参加者の現在位置(1時間) 3000万ペリカ】がある。
位置は要求者のデバイスにリアルタイム送信される。1時間有効。
更に長い時間有効なものは更に高額になる。
またギャンブルルームにおける『戦闘行為の禁止』には穴あり。
ギャンブルルーム外からの攻撃に対しての対応は不明。
タラップは船頭側と船尾側にあり、船頭側に駐車場がある。
施設の位置は、甲板下の3階にスイートルーム客室、食堂、会議室。2階にギャンブルルーム。1階に駐車場。他にも施設は存在している。
カイジ、利根川の大勝利により、Eカードを除くカードゲーム、ディーラーを必要とするギャンブルは現在使用不能です
【エスポワール会議の内容】
天江衣、グラハム・エーカー、利根川幸雄、白井黒子、秋山澪、衛宮士郎、伊藤開司、八九寺真宵、明智光秀
以上九人によって行われた情報交換
グラハムからガンダムがいる世界の事を聞きました
光秀は戦国の武将であると聞きました
黒子から超能力の存在を聞きました
士郎から聖杯戦争(サーヴァント情報含む)について聞きました
利根川より帝愛に関する話を聞きました
一方通行(アクセラレータ)という反射を特技とする危険人物が居る
魔法により本来通じぬ言語が通じるようになっているっぽい
l.玉}、
〔l`ーイ
/丁WYヾヽ
ハノ-―ー|ハ
/ゞイ ト-'
_ r‐' / 丿 |
/´V 屶|} /`ー‐┬‐イ
\\ ヾ_i/ ,/ | _」
\___/| | ヽ ヽ
. ┌|__,| ゝニ<
代理投下終わりです
賽は投げられたみたいな展開ですね
幾つかの誤解フラグやステルス光秀がある中でどう動くかな?
ハムさんがごひに注目するし澪は明智かよwww
投下終了か?
投下乙!
澪と明智に○○○○させようかな!
皆さん、投下乙
>からまりからまわり
ありゃりゃ木さん、気付いちゃったか……
下手に動かないかが心配だ
>ぶっ生き返す/ふわふわ時間
うぉ、憂のヤンデレ具合が加速したw
もやしは元気だなー
しかしこれはこっち来んなな集団に……
>試練NT
ここでバラバラになるか船組
……バイバイ、ミオ
まだステルスをやるみたいだけどいつ喰われてもおかしくはない
また墓石の発注か
>>681 殺し合いだなw
まあこの二人だと光秀の一方的な虐殺になるがwww
明智と澪ってカオスロワでもコンビ組んでるんだよなー
あっちの明智は実在のだけど
投下します。
出来れば支援お願いします。
例えば上条当麻にとって月詠小萌はどういう存在だったのか。
例えば上条当麻にとって御坂美琴はどういう存在だったのか。
今の上条当麻にはそれを判断しきることは出来ない。
それは彼が記憶喪失者であるからだ。
今まで彼女らと、どれだけのものを積み重ねてきたのか。
思い出せない。
思い出すことは無い。
正確に言えば。彼の記憶は破壊されているのだから。
きっとそれは悲しいことだった。
だから。
上条当麻は望んだ。
今までの思いを取り戻すことが出来ないのなら。
これから積み上げていけばいい。
代わりになんてならないけれど。
それでも積み重ねていくしかない。
きっといつか。
それまで以上のものを手に入れられると信じて。
悲しませないために。
誰にも言わずに。
一人で誓った。
だけどそれはもう果たせない。
月詠小萌は死んだ。
御坂美琴は死んだ。
未来なんて無かった。
幻想なんて混じりようの無い。
ただ、純粋な現実がそこにはあった。
□ □ □
―――なに、言ってんだよ、インデックス。
厳かにしめやかに。
第一回放送は終了した。
名簿未掲載の人物。
禁止エリア。
死亡者。
露骨なヒント。
そのなかで、見知った名前が何度か呼ばれた。
安藤守。
つい数時間前に出会い、そして再会を誓って別れた相手。
正直、あいつに関しては何も知らないようなものだ。
だけどそれでも。あいつは本気でこんな狂った殺し合いを止めようとしていたことは分かる。
そんなあいつが、死んでいいはずはない。
死んでいいはず、なかったのに。
月詠小萌。
この放送まで、ここにいることすら知らなかった恩師。
知りえたときには死んでいた。
まるで小学生のように幼い外見と広い度量。
記憶を失ってからでも何度自分は彼女に救われただろうか。
だが。その恩はもう返せない。永遠に。
御坂美琴。
記憶が消える前に何があったんだか、俺によくつっかかてくる中学生。
ビリビリ。超電磁砲。学園都市最強のレベル5。女の子。
俺を殺せなかったあの子。
俺の前で泣いたあの子。
何があっても守ると誓ったあの子。
死んだ。
禁書目録は事務的にその死を告げた。
空気が冷たい。
握り締めた手が痛い。
認めたく、ない。
「……嘘、だろ」
「その可能性は限りなく低いでしょうね」
俺、上条当麻一人しかいなかった筈の事務室に他の声が混じった。
はっとして顔をあげる。
戦場ヶ原ひたぎが、腕を後ろに回して、談話室の扉を開けて、立っていた。
「―――どういう、意味だよ。戦場ヶ原」
「言ったとおりの意味よ、上条くん。嘘をつく意味がない。ついてもすぐにばれる。そんな嘘をつく理由はない。
……少し考えればあなた程度の頭脳でも分かるはずよ?」
にこりともせずに、戦場ヶ原は言い切った。
その瞳は温度が低く、値踏みされているような感覚を覚える。
「―――知り合いが死んだのね?」
俺が何も言い返せずにいると、戦場ヶ原は続けて聞いてきた。
「……だったらなんだよ」
言葉がきつくなる。気分が悪い。機嫌が、悪い。
俺にこんなことを確認して、こいつは一体なにを言いたい――
「率直に聞くわ。上条くん
あなた、ひょっとしたら乗るのかしら――?」
□ □ □
支援
「な…………! お前、なに言って……?」
投げかけた言葉への反応は、予想していた通りの純粋な驚き。
やっぱりつまらない男ね。折角真似をして主語を切ってみたんだから、つっこみぐらいして欲しいものね。
そんなことを私、戦場ヶ原ひたぎは思う。
まあいいわ。それより今は訊いておきたいことがある。
「あなたこそ何を言っているのかしら、上条くん。知り合いが、死んだのでしょう?
それも大切な知り合いだったのでしょう? 一瞬でも、生き返らせたいとは、思わなかったのかしら?
主催者が信用できない? あいつらはそんなことしても喜ばない? 誰かを犠牲にして誰かを生かすなんて間違ってる――?
くだらないわね。それでも本当に大切なら、すがりたくなるものでしょう。恨まれたって、呪われたって、生きていて欲しいものでしょう。
世界全てを犠牲にしたっていいと思えるものでしょう――? そうじゃないっていうことは結局その程度にしか思ってなかったってことよね?
だとしたらそれはそれで悲しい話だと思わない? 特にあいつはそんなことを望みはしない、なんて。
死んだ人間は何も思ったりはしないわ。だったら、それは生きてる人間の問題よ。死人のせいにするなんて問題外。
生きてる人間が、自分の責任と自覚を持って、見捨てるか助けるか、選ぶべきじゃないかしら。
そうよ。生き返らせる手段があるのに、それを選ばないだなんて見捨てることとなんら変わりないわ。
それだけじゃない。そうね、復讐なんてものを考えたりは、しないのかしら。
誰かが死んだと言うことは、誰かが殺したと言うことで、間違いないでしょう。まさか、事故死なんてことはないわよね。
当然、上条くんの知り合いを殺した人間も存在する。その人のことが、憎くはないかしら?
腹いせにそいつを殺したいと、思ったりはしないのかしら。いいえ、自分の大切な人を殺した奴なんて死んで当然だとは思わない?
上条くん、聞かせてもらいたいの。ねえ、聞きたいのよ、あなたの言葉を。正義感たっぷりの甘い言葉を。
それは、あなたの大切な人が死んだ後でも、自己満足だと分かった後でも、十全に吐けるものなのかしら――?」
上条くんは暫し呆然と私を見ていた。
……嫌だわ。ひょっとして私の言ったこと、難しすぎたのかしら。
それとも、今更見惚れているとか。
困るわね。阿良々木くん以外の男の子からの好意なんていらないのだけれど。
はあ……。そんなことを考えているといつの間に立ち直ったのか目の前の愚鈍な彼がため息をついていた。
「……お前さ、俺に殺し合いに乗って欲しいのか?」
「聞いているのは私よ。疑問文に疑問文で答えろとあなたは学校で教わったのかしら?」
>>681 「耳そうじ」だと?!
ポルノかよ!!!!!!!!
呆れたような顔をしている上条くん。
ふうん。これはちょっと意外かもしれない。
彼はもうちょっと熱血に―――
「―――じゃあ、答えてやるよ」
ほらきた。
「戦場ヶ原、お前は言ったよな。大切な人なんじゃないのかって。ああ、そうだよ。
俺にとって、小萌先生は、掛け替えのない恩人だし、御坂は俺が絶対に守らなくちゃいけなかった奴だ」
朝の光が差し込む駅長室に彼の声が響く。
眼は私を見ている。真剣な瞳。
うん、阿良々木くんには似ていないわね。
そんな私を余所に彼は言葉を続ける。
「―――だけど、それでも! そのために誰かを犠牲にしていい理由になんてならねぇだろうが!
俺にとって大切な誰かがいるように、他の奴らにだって大切な奴がいるんだ!
放送で名前を呼ばれた14人、開会式で殺されたあの子にだってそういう存在がいたはずだ!
お前も阿良々木くんが大切なんだろ!? じゃあ分かるはずだ!
死んでいい奴なんていねぇんだよ! 殺されても仕方ないなんてことはねぇんだ!
大切な人を殺されたからって――その復讐をしていい道理なんてないんだよ……!
なあ、戦場ヶ原――お前だって分かってんだろ!? 誰も犠牲にしない道が一番いいってことぐらい!
だったら、だったらそれを目指すだけだろ……?
悲しいからって、考えることをやめて、楽なほうに逃げるなんて、そんなこと選べるかよ……!
そうだ。もしも。このゲームが誰かを犠牲にしなけりゃ生きていけないって言うんなら――」
――――俺が、そのふざけた幻想をぶち殺す。
上条くんは熱く言い切る。
迷いの色はない。
不思議。
どうしてこんなことを自分の知り合いが死んだ後でも、平然と言えるのかしらね。
本当に、大した「偽善使い」だ。
□ □ □
「上条くん。あなたのこと、少しだけ阿良々木くんに似てるかと思ってたけど、やっぱり間違いだったわ」
そして俺の言葉を聴いた戦場ヶ原の反応はこんなだった。
「阿良々木くんはね、誰にでも優しいの。でも、あなたは違うわね。――上条くん。あなたは誰にでも厳しいのよ」
……どういう、意味だろう。体中で高まっていた熱が引いていく。
というか、落ち着いて考えてみたら、こいつは結局俺に何を言いたかったんだ……?
戦場ヶ原はこの話はこれでおしまい、とでも言うように息を吐いた後、違う言葉を言う。
「……もう、大丈夫なのかしら?」
その台詞に気遣いの色を感じられて、俺はこいつの心理を理解できたような気がした。
「……戦場ヶ原、お前まさか、俺をさっさと立ち直らせるためにあんなこと――」
ゴトン。
俺の台詞の途中で、なにか重いものを落としたような音が響いた。
音源に向かって目をやると、それは戦場ヶ原ひたぎの足元。
そこに、なにやら『バールのようなもの』が落ちていた。
「…………」
「…………」
「あら嫌だ。気が緩んで落としてしまったわ」
「……あの、戦場ヶ原さん? その物騒な獲物で上条さんに、何をするつもりだったんでせうか……?」
俺の質問に戦場ヶ原はさらりと答えた。
「勿論、上条くんがゲームに乗る気だったときに、先手必勝といくために決まっているじゃないの」
「危険な女だーーーっ?!」
ずっと後ろに手を回していたのはこのためだったらしい。
……ていうかこいつ全然俺のこと信用してないし慰める気もねーですよ!?
「文房具って使い勝手はいいのだけれど、直接殺傷力に欠けてしまうのよね」
「思いっきり俺を殺す気だったな、お前!」
「そんなことよりも上条くん」
「俺の命の問題はそんなことなのか?!」
「そろそろ出発しましょう。ここに留まる意味もあまりないことだし」
俺の言葉は完全にスルーですかそうですか。
戦場ヶ原はデイパックより猫三匹を取り出して、変わりに『バールのようなもの』を入れた。
ああ、一回アーサーに邪魔されたからな……。先に入れてたのか……。準備万端なことですね……。
……ん? いや、ちょっと待て。
「……出発するってお前、もう大丈夫なのか? さっき倒れてたじゃないか」
「今しがたまでそれを忘れていた人に心配されても嬉しくはないのだけれど、大丈夫よ。
一時間ほど寝させてもらったわ。それに放送で告げられた電車の復旧は6時間後。
そんなにじっとしていられないわ」
「……大丈夫ならいいけどな。無理はするなよ?」
強がってるし、思想も行動も危険だけどこいつも女の子だし……
……って、何でこの女、上条さんを親の仇を見るような目で睨んでるんですか!?
「……誰にでもフラグが立つと思ったら大間違いよ」
「……えっと。ギャンブル船に行くんだよな。電車使わないってことは……どっち周りで行くんだ?」
なにやら呟いていらっしゃる台詞は無視して、気になったことを聞いておく。
今居るこの駅からギャンブル船の間には川があり直線で進むことは出来ない。
そのため橋のある右か左に進むことになるのだが……どちらの方がいいんだ?
「何を言っているのかしら、上条くんは。ギャンブル船には行かないわよ」
「……は? な、なんでだよ」
突然の戦場ヶ原の言葉。
どうやってギャンブル船に行くかばかりを考えていた俺は、少々面食らわさせられた。
「上条くん、あなたって本当に頭が悪いわね」
「お前は本当に性格が悪いよな!?」
隙あらば罵られてる気がするぞ!
しかしそんな俺のつっこみを、またしてもスルーして、戦場ヶ原はさらに問う。
「そもそも私たちがギャンブル船を目指した理由って何だったかしら?」
「それは……安藤に、ギャンブル船に集合って言われたから……あ」
「そうね、安藤って男は死んだわよね。そしてあの話をするのは私たちが初めてのようだった。
私たちと会った後でどれだけの人間と会えたのかしらね? まあ、少なくとも一人は確定しているけれど」
それは誰だ。なんてことは、流石に俺でも訊きはしない。
「そう、安藤を殺した人間。……今、私たちに持てる情報ではギャンブル船に多くの参加者が居るとは考えにくい。
だけれども、殺人者が待ち構えていてもおかしくない。そんな場所なのよ」
……なるほどな。確かにそう考えればメリットは薄い。
だけど、いいのか?
「……その集まってる数少ない参加者に愛しの阿良々木くんがいるかもしれないぞ?」
「――それは、どこへ向かっても同じことよ。それに、とりあえずギャンブル船を第一目標にするのをやめましょう、っていうだけなのだし。
別にギャンブル船に、今後一切何があっても絶対に近づかない、なんてつもりはないわ」
「お前がいいならそれでいいけどな……。で、当面はどこにいくんだ?」
「そうね……。当面の目標としては、近いということもあるし薬局でも目指しましょうか」
と、まあ。
では出発しよう、という空気になったときに。
なー。にゃー。にゃああ。
ちょっと待ったとばかりに猫三匹がまとわりついてくる。
……ああ。そうだな。うん、俺もわかるぞ。お前らの気持ち。
「……戦場ヶ原。とりあえず飯食ってからにしないか?」
□ □ □
偽善使いか
もぐもぐ。
はむはむ。
がりがり。
なあなあ。
なんとなく落ち着いたら気まずくなったのか。互いの会話は特にない。
八畳ほどの部屋に響くのは咀嚼音、猫の鳴き声。
基本支給品に付いていた、缶詰に乾パンの食事。
……あまり美味しくはないわね。
「なあ、戦場ヶ原」
なにかしら。
彼の声に目線だけで応える。
口に食べ物を含んだままで話すような、はしたない女ではないのだから。
「……殺すなよ」
あらあら、唐突に上条くんは何を言いたいのかしらね?
「阿良々木くんも、お前も、絶対に俺が守って見せるから。――だから、誰も殺そうとするなよ」
私は答えない。
彼は一方的に告げただけで満足したのか、ペットボトルの水を口に含んで、それ以上の会話を止めた。
私も気にしない。
阿良々木くんに会わせてくれるなら何も問題はないのだし。
ねえ、阿良々木くん。会いたいわ。
あなたは今どこで何をしているのかしら。
私のことを考えていてくれているかしら。
まさか他の女のこのことを思っていたりはしないわよね?
そんなことを一人で考えていても、当然返事はなくて。
やっぱり、それが少しだけ寂しいと思った。
【F-5/駅構内談話室/一日目/朝】
【戦場ヶ原ひたぎ@化物語】
[状態]:疲労(中)、食事中
[服装]:直江津高校女子制服
[装備]:文房具一式を隠し持っている、スフィンクス@とある魔術の禁書目録、
アーサー@コードギアス 反逆のルルーシュR2、あずにゃん2号@けいおん!
[道具]:支給品一式、不明支給品(1〜3、確認済) 、バールのようなもの@現地調達
[思考]
基本:阿良々木暦と合流。二人で無事に生還する。主催者の甘言は信用しない。
1:上条当麻に協力。会場内を散策しつつ阿良々木暦を探す。
2:神原は見つけた場合一緒に行動。ただし優先度は阿良々木暦と比べ低い。
3:ギャンブル船にはとりあえず行かない。未確認の近くにある施設から回ることにする。
[備考]
※登場時期はアニメ12話の後。
※安藤から帝愛の情報を聞き、完全に主催者の事を信用しない事にしました。
※安藤の死亡によりギャンブル船に参加者が集められているかは怪しいと考えています。
※猫三匹も食事中です
【バールのようなもの@現地調達】
何故か駅構内談話室にあった『バールのようなもの』
人を殴ったり、物を破壊するのに適した形をしている。
□ □ □
小萌先生。
御坂。
ごめん。二人とも。
俺は……何も出来なかった。
何も、してやれなかった。
インデックスは言った。14人が死んだと。
戦場ヶ原は言った。死んだ人間は何も思わないと。
だけど、俺は信じたい。
死んだ人間にも、消えてしまった思いにも意味はあると。
信じてる。
ごめん。
俺は二人を生き返らせない。
それは……戦場ヶ原の言うとおり、見捨てる、ということなのかもしれない。
それでも、死んでいい人間なんていない。
俺は二人のために他の人間を犠牲にしたりは、出来ない。
だから、俺は二人を救えない。
本当に。ごめん。
そして、
……待ってろ、インデックス。
必ずお前にそんな役目を押し付ける奴らから救ってみせるから。
もう二度とお前を泣かせたりしないから。
だって、それは。
きっと、消えてしまった『上条当麻』の望みでもあるんだから。
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康、疲労(小)、食事中
[服装]:学校の制服
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:インデックスを助け出す。殺し合いには乗らない。
1:戦場ヶ原ひたぎに同行。阿良々木暦を探す。戦場ヶ原ひたぎと3匹の猫の安全を確保する
2:インデックスの所へ行く方法を考える。会場内を散策し、情報収集。
3:壇上の子の『家族』を助けたい 。
4:そういえば……海原って、どっちだ……?
[備考]
※参戦時期は、アニメ本編終了後。正体不明編終了後です。
投下終了?
最後の最後でさるさんです……。
出来ればどなたか転載してください。
投下終了です。支援ありがとうございます。
そして、またしてもぎりぎりまで推敲していたので誤字脱字見落とし等が存在するかもしれません。
見つけた方は是非ご報告ください。
終了宣言前にさるか?
>>647 すいません。
憂にギターを渡してなかったのは状態表の表記ミスです。
実際は渡したままにしてます
投下乙です
偽善使いか、新しいな
さて、このコンビはどうなることやら
>>693 膝枕を作るのは光秀ですね、わかります
投下乙です
短いけど緊張したやり取りだな
上条さん、動揺したけど揺るがないな。誰にでも厳しいのか
ひたぎさんはひたぎさんで歪みねェなw 偽善使いか・・・
投下乙です
ひたぎさん容赦する気さらさらないw
上条さんはいつも通りみたいだな
放送でスタンスが変わった奴も大勢いるというのに上条さん歪みねぇなw
まぁ上条さんは誰が死んでも反応は同じだからな
それはそれで悲しいな、上条さん
馬鹿だな、そこが上条さんの持ち味
女でも容赦なく殴るその爽快さがいいんじゃないか
>>646 投下乙です。
気になった点がちらほらあります。
思い蟹は魔術や怪異と言った見識眼があるはずの荒耶ですら気づかないのに、能力的には一般人の桃子が視認できるのでしょうか?
また魔力を持たない憂がベルレフォーンを扱いこなせるのもおかしくないでしょうか?
仮にこれが通ると、憂が他の宝具を使えるということになりますよね?
真名解放したんならともかく、手綱ペチペチ叩くのに魔力なんざいらんだろ
>>712 >思い蟹は魔術や怪異と言った見識眼があるはずの荒耶ですら気づかないのに、能力的には一般人の桃子が視認できるのでしょうか?
「序」で、霊的な感覚が不完全だったと書かれてなかったか?
体が馴染んでなかったので、見えるものも見えなかったんだろ
なるほど、つまり騎英の手綱で叩けば、神様級の動物を一般人でも手なづけることができるんですね。
うん。そういう宝具だからね
まあ、正確には幻想種であろうとも制御可能という説明だから、神様はどうかわかんないんだけど許容範囲内だろ
馬イクにつけたらユニコーンになるのか、ペガサスになるのか
・・・ユニコーンだな、きっとw
>>714 なるほど、つまりゲーム参加時の荒耶は今の体に馴染んでない状態で、つまり桃子よりも下の状態であったというのに、梓を殺せたんですね。
>>718 全ての能力が一律して同じ水準に下がっている、なんて一言も書いてないからね
具体的にどの能力がどれくらいになったのかは書き手次第だよ
>>716 つまり、アニメで出てきたライダーのお馬さんがロワで出てきたとして、この宝具さえあれば憂でも乗りこなせるのですか。
なかなか強いアイテムなんですね。
ちなみに人間を叩いたらどうなるんですか?
>>720 あらやに対する知識があるのになんで宝具に対する知識がないのん
カマトトですかい
>>719 でも、霊的なものがない桃子が見えて、霊的なものが下がっただけの宋蓮が見えないというのも変な気がします。
>>721 空の境界はアニメを見て、原作も読みましたが、Fateはアニメを見ただけです。原作は18禁の上、時間がかかるのでしてません。
>>720 調教師が手綱と鞭で馬を叩いたら従わせられるよな?
じゃあ同じ人間が同じように手綱と鞭お前ぶっ叩いたらどうなると思う?
それと同じ
>>723 設定知らないのなら黙っていた方がお互いのためかと
>>724 その理屈だと蟹を叩いても従わせられないと思うのですが…
それが宝具の効果によるものならば、人間にも何かしらの効果があるのでは?と思い聞きました。
Fateは難しい設定がたくさんなんですね。
>>725 そうですね。手綱の件はFATEに詳しい方にお任せします。FATEのファンはプロフェッショナルな方たちが多く、矛盾があったら指摘してくれる優しい人ばかりなので、大丈夫ですね。
>>722 もう一度、関連のSSを読み直すことを強く推奨する
「♪Falling reinforced concrete」で、おもし蟹は梓に見えていたが、姿を消したことで見えなくなった
荒耶と遭遇したのはその直後
次に出てきたときには憂に視認されていて、今回の話に至るまで姿を消したという記述はない
おもし蟹は姿を消していない状態では荒耶と対峙しておらず、
姿を消した状態で荒耶を含めた誰かに視認された描写もない
>>723 PS2版も出てるけど
ところでそろそろ衣は寝ないとダメな状態な気がするんだが…
あいつ、行動時間が極端に短いのも特徴だし
あらやんの狂化の影響で興奮して眠れないとかなのかしらん
>>729 19話の直後ってことなら衣にしちゃ珍しく長く起きた後だからなぁ
あれ?今までのSS中で寝た描写なかったっけ?
失礼します。
予約していたものですが、完成したものの規制により投下及び仮投下できません。
取り急ぎネカフェにて投下しますが遅れるのは確実です。
3時半にはどうにかできますが待って頂けるとありがたいです。
待つよ
あらま
巻き添えかしらん
大規模規制で、したらばも規制を行うと完全にアウトだからな
仮投下も出来ないからネカフェに行くって書いてあるね
したらば規制も携帯ならピンポイント規制ができるけど、PCじゃどうしても巻き添えが出るからな
お待たせしてすいません。
刹那、バーサーカー、本多忠勝、トレーズ投下開始します。
ミストさん期待支援
城に入ってすぐにそれは見つかった。
バーサーカーは新たな武器を目当てに島の南側からここまでやってきたのだが、あっさりと目的は達せられてしまった。
今までこの山中にある城までくる参加者は誰もいなかったのであろうか。
この武器を使おうとはしなかったのであろうか。
いや、そうではない。
たしかに城中を調査したものはいなかったが、こんなモノを使えるのはこのバーサーカーか、もしくは好敵手と認めるあの巨大な鎧武者くらいのものであろう。
轟音。それは破砕の音。
この武器は厳重に封印されていたため、まずはそれをぶち壊す必要があった。
三メートル以上もの身の丈を誇る巨人は、その剛腕で安々と城の壁や天井を破壊していく。
どかん、どかんと壮絶な音が何度か繰り返され、その度に城は揺れ、空気が震える。
やがてむき出しになったそれは、余計な拘束を取り払われ、バーサーカーの眼前の地面に深々と突き刺さっているだけの姿となった。
あとは引き抜くだけだ。
巨大な両の掌を、ガッチリとそれに食い込ませるようにして強く握る。
伝説において獅子や幻獣を絞め殺すほどの膂力をもってしても、それが握りつぶされるということはなかった。
見立て通り。これはバーサーカーの武器としてふさわしい強度を誇っている。
そう確信して、抱え込むように掴んだそれを引き抜くためにパワーを全開にする。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
咆哮。
それとともに城が揺れた。
地が揺れた。
やがて、みきみき、めしめしと建築物がひしぎ、自重で砕けていく音。
山中にそびえる巨大な城は傾き、そしてやがて崩れ去る。
ずずぅん、と轟音がさらに一際大きく地を揺らし、土煙はまるで火山の噴火のようにもうもうと天高く巻き起こった。
やがてしばらくたち、再び山中に静寂が戻る。
膨大な土煙が澄み渡る青い空に散り去っていった頃、崩壊した城の瓦礫を背にし、その武器をかつぐようにして構える巨人の姿があった。
それは武器というにはあまりに大きすぎた。
大きく分厚く重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに――、
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
再び声を上げ、狂戦士は再び出陣する。
行き先は南だ。
まずはキャスターを探したいところだがあれから時間が経ちすぎた。
探してもそれは無為というものだろう。
ならばあの鎧武者だ。
セイバーやアーチャーなども残っているのならば、武器を手に入れたこの好機に障害となりうる存在はできる限りさっさと潰しておくに越したことはない。
そしてなにより血が騒ぐ。
狂戦士ではなく英雄としての血が。
数多の戦場と冒険を駆け抜けたギリシャの大英雄は、好敵手との三度目の邂逅を望んだのだった。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
咆哮をあげながら、バーサーカーは山林をましらのように駆け下りていく。
アインツベルンの森を縦横無尽に駆け巡ることのできる狂戦士の躍動。
咆哮は敵を呼ぶ戦士の名乗り。
俺はここに居るぞ、かかってくるがいいと、そう言っているのだ。
あっという間に工業地帯が見えてきた。
狂戦士が身を投じるべき戦場が。
◇ ◇ ◇
ひどく破壊された工業地帯を一台のトレーラーが疾駆していた。
設備が万全であればその背景にマッチしていたであろう大型車両を操るのは、運転席に座るトレーズ・クシュリナーダという男だった。
ここまで大規模な破壊とは、よほどの戦闘があったのだろう。しかし犠牲となった者たちの死体はなかった。
トレーラーに乗りながらの大雑把な探索ではあったが、見つからないからといって細かく調べるつもりになるほどトレーズに死体を漁る趣味はない。
遺品となった、もしくは戦闘のどさくさで誰かが落とした支給品があれば拝借できないかと思っただけである。
やがてトレーズは未調査の北方向へとハンドルを切る。
巨大なトレーラーはその質量で大気を殴りつけ、唸る音を上げさせた。
その音が轟、と残骸だらけの街並みに響き渡る。
トレーズの前方には工業地帯の切れ目、そして広がる草原が見えてくる。
ここまでか――、とブレーキを踏み、一旦その巨大な質量を停止させた。
こんな見渡しの良い草原に誰かがいるとは思えない。
どこからでも狙撃が可能だし、まして今は真っ昼間だ。狙ってくれといっているようなもの。
殺し合いが行われるこの地で、ここまで人がいる可能性が低い場所もない。
そろそろ当初の予定通りに西へ向かって他の参加者を探そうかと、トレーズは僅かに息をつき、今度は西に向かって方向を変えようとする。
「――む?」
何気なく見やった草原の向こう、草の緑色の中にほんの僅かの黒。
いや、赤か。
乾き、くすんだ血の色に似ている。
そう思い至ったトレーズは、目を凝らしながらそこへトレーラーを寄せる。
それはまるで草むらの中で隠れるようにひっそりと咲く花のような血溜まり。
確かに人はいない。
だが、人の死体はあった。
かくして敗北を求める貴族は千石撫子の小さな死体と対面した。
「……まずは冥福を祈らせていただこう」
トレーラーから降りて、壊れた人形のように横たわる、かつて少女だったものの前にやってきたトレーズは、まず胸に手を当てて黙祷。
そして胸の前で十字を切った。
死体の損壊具合を観察する。
年は十代のはじめくらいだろうか。
骨折によるものだろうと思われる青黒い内出血のあとがいくつか。
頸部の骨折も見受けられた。後頭部からの草むらに大きく広がった出血も。
死ぬ直前は意識を失っていたのだろうか。
損壊具合と比較して、死に顔は不思議と穏やかだった。
首輪をとるには切り落とすしかないが……だがエレガントとは言い難い。
主催打倒のためには、参加者たちの命を握るこの首輪をどうにかするのが先決だ。
遠藤とインデックスの心ひとつで、これは容易く参加者の命を奪う。
あの見せしめの少女のように。
それを回避するためにはどうにか解除してこれを外さなければならない。
その前にまずは構造を解析するなどの手順が必要だが、まさか自分の首輪でそれをやるわけにもいかない。
失敗イコール爆発による死、というリスクを背負うよりは、誰かの死体から摘出できれば問題なく調査が行えるのだ。
だが新たなる問題はその摘出作業だ。
それはつまり死体の首を切り落とすという残酷な行為である。
常にエレガントを信条とするトレーズ・クシュリナーダという男にとって、それはいささか心苦しいことだった。
自らの手で戦争を操り、暗殺すらこなしてきたが、できることならこんな幼い子供の眠りを妨げるような行為をしたくはない。
だが、と敗北を望む男は皮肉げに自らの口元を吊り上げる。
誰からも忌み嫌われることを目指すなら、これも必要な行為だろうと思い直す。
首輪を持っているということは誰かの首を切り落としたということ。
血糊が付着したそれは自らの悪行の十分な証明となるだろう。
トレーズは自分の腰に手を伸ばす。
握った刀の鍔が鳴る。
鞘走りの音。
ギラリと陽光をはね返す刀身。
物言わぬ死体の首元めがけて銀閃が疾走した。
◇ ◇ ◇
少女の首輪と、近くに落ちていた彼女のものであろう支給品の回収を終えて、トレーズは再びトレーラーに乗り込む。
この少女を殺した者はなぜ荷物を奪っていかなかったか疑問ではあるが、それを考えたところで知る由もない以上は無駄なこと。
入手した支給品には有益な武器も入っていた。
クセが強い感はあるが、その破壊力は上々だ。
試しに草原に向けて撃ってみたところ、それはモビルスーツすら破壊できるであろうほどの威力だった。
もしやそのモビルスーツすら支給されているのだろうか。
もしそうだとしたら僥倖だと思っていたこのトレーラーは、むしろハズレの部類とまではいかないが、この殺し合いでは当たり前に支給されているレベルのものだったのだろうか。
そんな考えが脳裏をかすめる。
「となると、帝愛はその強力な力を私達に与えても反抗など無理だと考えているということか。
油断が過ぎるといいたいところだが……カネで買った『魔法』という不可解な力を目にしてしまえばそうともいえないな」
わかっていたことだが敵は強大だ。
そしてその敵について分からないことが多すぎる。
なんせトレーズはどうやってここまで拉致されたのか、ここがどこなのかすらわかっていないのだから。
それを考えれば例え主催側が信用に値せずとも生き残る道は優勝しかないのではないかと思えてくる。
その事を理解しながら、それでも無謀と言われようとも戦い続けることができる人間はいるのか。
「ヒイロ・ユイ……ゼクス・マーキス、いや……ミリアルド・ピースクラフト。そして刹那・F・セイエイに福路美穂子」
トレーズは知っている。
世界を変えることのできるガンダムのパイロットたちを。
そしてそのために殉ずることができる、甘い理想を振り切ることができない不器用な親友を。
トレーズがこの地で出会った、理想や想いに燃える若者たちを。
リリーナ・ドーリアンは死んだ。
だが彼らが自分の知っている彼らであるならば、己の死を恐れるあまりに無様を晒すことだけはないだろう。
だからこそトレーズは彼らのための敗者となることができる。
「では再出撃といこう、殺し合いの混迷の中へと……む?」
エンジンを回し、トレーラーのアクセルを踏み込もうとしたときのことだ。
北の山から何かがやってきている。
まるで林の上空を飛び跳ねるように近づいてくる。
バーサーカー移動速すぎw
猿か何かか、と一瞬考えたが、それにしては遠近法がおかしすぎる。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
咆哮。
トレーラーのウインドウがびりびりと震えた。
身の丈は三メートル以上。
全身を包む鎧のような筋肉は鋼鉄のような重量感と迫力に満ちていた。
まさに巨人。
そしてその肩に担いだものがさらに異様だった。
それは武器というにはあまりに大きすぎた。
大きく分厚く重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに――――丸太だった。
ただの丸太ではない。
巨人が持つ丸太はやはり巨大だった。
太さは一メートルをゆうに越えるだろう。
長さも4〜5メートルはあるだろうか。
トレーズが知る由もないその丸太の正体は、第六天魔王こと織田信長の居城である安土城の柱だ。
本能寺の変において焼失し、現代には残されていない伝説の城。
歴史学的に考えれば宝ともいえる代物である。
バーサーカーの本来の武器である石刀が自身の神殿から削り出したものであることを考えれば、これも宝具のひとつと呼べるのではないだろうか。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
唸りを上げて巨人が丸太を振り回す。
トレーズはとっさにギアを握り締め、アクセルを踏み込んだ。
タイヤが路面との摩擦で煙をあげながらのバックダッシュ。
横殴りにするようにして飛んできた丸太は眼前をかすめ、横にある工場の壁を発泡スチロールか何かのように軽々と抉り飛ばす。
トレーズはその様にチラリと目をやり、そのまま猛スピードで後退してから大きな交差点のスペースを使って方向を転換。
走り出そうとするところへ、逃がすまいと巨人が回り込んだ。
まるで工場の施設を飛び石のように跳ね回り、縦横無尽の動きを見せる。
それを見て容易く逃げられそうにないと悟ったトレーズがハンドルを切った。
まるでドリフトのようにトレーラーが横滑りして直角のコーナリング。
交差点のアスファルトに焼けたタイヤの痕跡が刻まれる。
巨人から横方向へ逃げるように走行を開始。だがそれだけではない。
トレーラーの窓が開き、そこからトレーズはデイパックを突き出して、封を開ける。
彼の耳にはイヤホンマイク型のトランシーバーが装着されていた。
「システム、リポーズ解除。プライオリティをトレーズ・クシュリナーダへ。擬似GN粒子収束――」
デイパックの口から赤い光が溢れ出す。
その輝きはどんどん強くなっていく。
「ターゲットは丸太を担いだ巨人。首輪が認められることから<<バトルロワイアル>>参加者と思われる」
巨人が追撃してくる。
トレーラーの疾走に追いつくほどの脚力。
こちらは小回りが利かないので大通りを行くしかない。
ルートは容易く予測され、回り込まれるのは時間の問題だ。
「ターゲット認識確認、排除開始――」
ゆえに逃走と迎撃の両方をこなしつつ振り切らなければならない。
難易度は高いが、相手が問答無用で襲いかかってきた以上はそういっていられない。
南や西は袋小路、北へ逃げても山や森ではトレーラーはまともに走れないだろう。
ならば東へと向かいつつ、迎撃行動を行いながら振り切るしかない――トレーズは思考をまとめると同時に覚悟を決めた。
「――行けよファング!!!!」
赤い光をまとった一本の『牙』。大きさは2〜3メートルほどか。
高速でデイパックから飛び出し、空中へと舞い上がる。
光の正体は擬似GN粒子。
その光を収束、牙から撃ち出された紅光は巨人の行く手を阻むようにして、その足元へと着弾する。
アスファルトが爆ぜた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
瓦礫とミックスされた粉塵が間欠泉のように吹き上がって巨人の視界を覆った。
激烈な威力がアスファルトのその奥まで貫通した証拠だ。
凄まじい破壊力を前にして、さしもの怪物の動きが止まる。
その間にトレーラーは敵から遠ざかるように距離を取る。
牙は宙を舞い続け、走る大型車両の上空にピタリと付いて来ている。
「向こうは諦めるか……? いや――」
バックミラーで敵の様子を確認し、かの巨人が未だ戦意を失っていないことを確認。
巨人はその身の丈以上の巨大な丸太を握り締め、二つの眼は凶暴な紅い光を帯びている。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
「やれやれ、骨が折れそうだな……!!」
聴いた者の魂すら震わせるような凄まじい咆哮を背にして、トレーズは優雅に笑みを浮かべると更にアクセルを踏み込んだ。
◇ ◇ ◇
E-4南部。
そろそろ宇宙開発局の敷地に差し掛かろうかというあたりで、刹那・F・セイエイは相棒のホンダムこと本多忠勝と南に向けて移動していた。
リリーナを失い、その遺志を継ぐと決めてから宇宙開発局を目指して移動を開始したのだが、その歩みは早いとは言い難い。
信長や、あの狂戦士との戦いで受けたダメージはあまりに大きすぎたからだ。
食事、休息をとるだけで回復するような疲労や損傷ではない。
刹那自身の疲労は無理をすればなんとかなるほどにはなってきたが、忠勝の巨体の各所に刻まれた傷は痛々しくその痕を残している。
そんなものを見ていながら忠勝の掌に乗って楽をするのは心苦しかった。
だが不甲斐ない自分に対して、その巨大な鎧姿に熱き魂を宿した相棒はこう言うのだった。
――心配は無用。
理由はないが、その言葉にならない意志に刹那は動かしがたい強靭な信念を感じた。
きっと、だからこそ忠勝は強いのだ。体躯と剛力だけではない。揺るがない心で正義を貫く――正にガンダム。
刹那自身も、ガンダムマイスターを名乗るならばそうでなくてはならないと思う。
彼の掌に乗り、支給された食事を取りながらもせめて周囲の警戒は怠らない。
「ホンダムは……食べなくてもいいのか?」
「……」
「支給されてないのか?」
「……」
――心配は無用。
さっきと同じ言葉。
そんな忠勝に刹那は思わずクスリと笑った。
静かな街並みに忠勝の駆動音だけが響く。
しばらくそれが続き、そして異変が起こった。
「どうしたホンダム……?」
忠勝が何かを感じて見つめる方角。
空中から地上に向けて紅い光が撃ち出される。
ずずん、と重低音。
距離があるにも関わらず、刹那の方にまでかすかな振動が響いてくる。
眼を凝らせば巻き起こる粉塵がビルの谷間から垣間見えた。
「戦いが起こっているのか……しかもかなり激しいな」
刹那にはあの紅い光に見覚えがある。あれは擬似GN粒子の輝きに見えるのだ。
もしかしたらモビルスーツが、もしかしたらガンダムがあそこにいるのかもしれない。
――どうする?
相手がモビルスーツであれば自分にはできることはない。
このダメージで、また忠勝に負担を掛けることになってしまう。
傷つくだけならまだいい。もし、リリーナのように二度と取り戻せないようなことになってしまえば後悔のしようもない。
だからといってあの戦いを放置していいのか。
いや、良いわけがない。
戦いの犠牲になる者が増える事態を看過していいのか。
しかし――、
――どうする?
赤いモノアイを輝かせて忠勝が刹那に問うてきた。
鎧の隙間から陽炎のようなものが浮かび上がるのはその魂の熱さゆえか。
全身の損傷などものともせずと言わんばかりの戦意をすでにこの相棒は漲らせていた。
「そうか……そうだな」
敵を選んでいて世界を変革するなどできるものか。
勝つために戦うのではないのだ。それでは行き着く先はただの破壊者でしかない。
何かを創り上げるために戦う。
刹那が望む争いのない世界を創るために、忠勝の主君が望んだ天下万民のために、リリーナの望んだ平和のために。
「行くぞホンダム――――あの戦いを俺たちで駆逐する!!」
◇ ◇ ◇
狂戦士が跳んだ。
一瞬遅れて赤い光弾がビルの窓に撃ち込まれてガラスがキラキラと舞った。
一瞬、遅れて爆発がすべてを吹き飛ばす。
ビル内のガスか何かに着火したか。
これで何度目になるだろうか、トレーズの操るファングはあの怪物に対して一発もヒットさせることができずにいた。
このファングという支給品はセットになっていたイヤホン型マイクを使って攻撃行動を行う。
単純な指令によってほぼオートで命令を実行するので誰にでも扱うことができる。
だが、それゆえに現状ではモビルスーツのパイロットでもあるトレーズの技能は生かされない。
見かけによらず俊敏な動きを見せる巨人を捉えるには、パターン通りのオートでは不十分と言わざるを得ないのだ。
もっとも同時に運転もこなさなければならない現状で腕前を十全に発揮することはどちらにせよ難しいのだが。
牽制によってどうにかトレーラーに近づけさせることは防いでいるが、もちろんこのままでもたせても希望が見えるとは思っていない。
この状況を打破する何かが必要だ。
「むっ!?」
その時、もう一人の巨人が前方に姿を表した。
あの狂戦士よりもさらに一回り大きい鎧武者のような姿形をしていた。
挟み撃ちか――いや、これこそがこの状況を打破する要素だ。
瞬時の判断。
この状況でトレーズが挟み撃ちになるのは、巨人同士が味方であるときだけだ。
敵の敵は味方となるはず。このバトルロワイアルという状況下での可能性としてはこちらの方が大きいと判断した。
新たに現れた巨人の眼前でハンドルを切り――だがそこで捕まった。
さるか?
三度目の戦いか…
狂戦士による追撃の戦槌がトレーラーの後輪を掠り、たったそれだけで車体を弾き飛ばした。
「ぐうっ!!」
結果は失敗。
一際大きな質量が激突した重く鈍い音が響き、トレーズの脳髄を叩く。
やがて振動と騒音が収まって、かろうじて意識が保っていることを確認。
頭上にトレーラーのドアが見える。おそらく車体が横倒しになっているのだ。
まずはここから脱出しなければならない。
と、その時だった。
「生きているなら返事をしろ! ――お前は!?」
その声に反応してそちらを注視し、そして眼を見開く。
この状況でその声に聞き覚えがあればトレーズといえども驚愕するのは無理もない。
そして驚いているのはこちらに向かって銃を構える向こうも同じだった。
「トレーズ・クシュリナーダ……!?」
「刹那・F・セイエイ……!!」
巨人同士の三度目の邂逅が実現した。
またガンダムに変革を託す者、そして敗北を託した者の再会も。
【E-4南部/一日目/昼】
【トレーズ・クシュリナーダ@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康
[服装]:軍服
[装備]:サブマシンガン、片倉小十郎の日本刀 ゼロの仮面 マント、スローネツヴァイのファング(EN残量80%)
[道具]:基本支給品一式×2、薔薇の入浴剤@現実 一億ペリカの引換券@オリジナル×2、純白のパンツ@現実、千石撫子の支給品0〜2(確認済み)
[思考]
基本:全ての参加者から忌み嫌われ、恐れられる殺戮者となり、敗者となる。
1:この争いに参加する。生き残るのに相応しい参加者を選定し、それ以外は排除。
2:ゼロの存在を利用する。
3:福路美穂子と再会し殺戮者として殺される
[備考]
※参戦時期はサンクキングダム崩壊以降です。
※トレーラーは後輪部分を破壊されました。走行は不能です。
【スローネツヴァイのファング@機動戦士ガンダム00】
ガンダムスローネツヴァイの搭載兵器で、本来は親機(MS)から複数の子機(ファング)を射出し、遠隔操作で攻撃を行う。
擬似GN粒子によるビーム攻撃と、粒子を収束してビームブレードを展開しながらの突撃が可能。
このバトルロワイアルにおいては操作はイヤホンマイクによるセミオート操作で誰でも扱えるようになっている。
首輪探知機と同じくENは使用しない間に徐々に充電される。
【刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00】
[状態]:疲労(小)、精神的ダメージ、イノベイターとして半覚醒
[服装]:私服
[装備]:ワルサーP5(装弾数4、予備弾丸27発)@機動戦士ガンダム00、ボールペン型の銃(0/1)
[道具]:基本支給品一式×2(一食消費)、ランダム支給品0〜1(確認済)、9oピストル弾×5
[思考]
基本:世界の歪みを断ち切る。ダブルオーガンダムを奪還し島から脱出。
0:トレーズ……!?
1:宇宙開発局→都市部 の順に移動し、ガンダムを捜索。
2:専守防衛。知り合い、無力な民間人がいれば保護する。
3:サーシェス、グラハム、トレーズ、信長、光秀、バーサーカーを警戒。政宗は保留。
4:バーサーカーの情報を広め、また不死の秘密を解くため情報を収集する。
5:リリーナの知り合いを探し、その最期を伝える。
6:アーニャが気掛かり。
7:リリーナの理想を出来る限り引き継ぐ。
[備考]
※参戦時期はセカンドシーズン第23話「命の華」から。
※帝愛グループをイノベイターと関わりのある組織、あるいはイオリア計画の遂行者ではないかと疑っています。
※脳量子波により本多忠勝の意思を理解できます。ただし刹那から送信はできません。
脳量子波の受信範囲は広くても声の届く範囲ほどです。
脳量子波は忠勝が「考えたこと」だけが受信されます。本人が望まないことは伝わりません(忠勝の意識レベルが低下している時を除く)。
【本多忠勝@戦国BASARA】
[状態]:疲労(小)、胸部装甲破損(鋼板などにより応急修理済み) 兜、肩の装甲が一部破損 全身に細かな傷
[服装]:全身武者鎧
[装備]:武田信玄の軍配斧(石動配)@戦国BASARA
[道具]:デイパック
[思考]
基本:徳川家康(参加者にはいない)の遺志を継ぎ戦国最強の名に恥じぬ戦いをする。
0:バーサーカーを食い止め、戦いを駆逐する。
1:戦いに乗った者、主催者グループを打倒する。
2:刹那に伴い行動する。真田幸村と合流したい。
3:バーサーカーとはいずれ決着をつけたいが、まずは不死の秘密を解く。
4:信長は必ず倒す。
[備考]
※参戦時期は第12話で安土城へと向かっている途中。
尚、後述の飛行機能以外は主催者の力で修復された模様。
※バックパック内の装備は没収されているため、原作ゲームにおける攻撃形態、防御形態、援護形態使用不可。
他、ゲーム版での固有技、バサラ技が使えるかはお任せ。
※主催者側から飛行機能に制限が課せられています。短時間低空飛行には問題ありません。
【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:健康、狂化
[服装]:上半身裸(デフォルト)
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、食料(缶詰セット)、安土城の柱
[道具]:なし
[思考]
基本:イリヤ(少なくとも参加者にはいない)を守る。
1:立ち塞がる全ての障害を打ち倒し、イリヤの元へと戻る。
2:キャスターを捜索し、陣地を整えられる前に撃滅する。
3:次こそ本多忠勝と決着を着けたい。
[備考]
※“十二の試練(ゴッド・ハンド)”Verアニ3
・合計12回まで死亡してもその場で蘇生。状態を健康にまで回復。耐久力を大きく上回るダメージを受けた場合は複数の命のストックを消費。
現在残り蘇生回数4回。
・無効化できるのは一度バーサーカーを殺した攻撃の2回目以降のみ。
現在無効リスト:対ナイトメア戦闘用大型ランス、干将・莫耶オーバーエッジ、偽・螺旋剣(カラドボルグ)、Unlimited Brade Works
おもちゃの兵隊、ドラグノフ 大質量の物体
・首輪の爆発での死亡時には蘇生できない。
※参戦時期は14話 理想の果て直後です。
※エクスカリバーが黒く染まっています。
ファングが支給品だと………
投下終了です。
支援していただきありがとうございました。
ご意見ご感想ございましたらよろしくお願いします。
ファング怖いよファング……
柱ってなんていうかワイルドすぎるw
乙です
ファングかよ…
投下乙です。
ミスト氏はアニロワ筆頭の腕前を持つ書き手でもあり、最初の投下宣言から終始ドキドキしぱなっしでありました。
バーサーカーと忠勝の因縁、刹那とトレーズの因縁が今後どうなるのか楽しみです。
それにファングが支給品とは…ッ!
これで弱者でもサーヴァントに勝つる!
投下乙です
バーサーカは柱分捕り城壊したとかSUGEEEEEE!!
確かに奴なら可能だが怖いぞw
トレーズと刹那の戦場での再会は何を生み出すのか?
バーサーカーとホンダムの三度目の対決の行方は?
先が気になる切りでした
状態表にミスがありました。
千石撫子の首輪をトレーズの道具欄に後ほど追記したいと思います。
因縁の対決もこれで三度目か・・・
初回はややホンダム優勢、二回目は信長との連戦後でバーサーカーが圧倒
三度目はどうなる!?
後に繋げる展開で、ぶっちゃけなんというかホッとしましたw
投下乙でありました
投下乙です
まさかの丸太w
それ抜いたら城が危ないんじゃw
バーサーカーと本多忠勝の3度目の対峙だけど、今回はどうなるか……
内容にはあまり関係ないですが、バサカの身長は2.5mくらいだったような気が
乙でした
バーサーカー相変わらず無茶苦茶しやがるwww
リリーナの思想を受け継いだ俺がホンダムとトレーズの再会は何をもたらすか…乙でした!
でも一言言わせてくれ
安土城涙目wwwwwwwwwwwww
投下乙
ホンダム、バサカ三度目の邂逅か
これはいい次話への繋ぎ
しかしバサカがワイルドになったなあw
安土城、涙目wwwww
猛ダッシュして向かってくるバーサーカーとか怖すぎるだろ!ww
普通は体力温存とかするのにお前は何故そこまで走れるんだよwww
まじキングオブデストロイ
ルールに関する議論スレで話し合われていたルールですが、反対意見は無いようなので告知します。
【書き手氏の判断によるSSの修正について】
SSの展開が変わってしまうような加筆・削除等は、そのパートの続きが予約されるまでであれば可能です。
その際は一度修正内容を仮投下スレに投下しその旨を本スレに告知してください。
24時間以内に反対意見が出なかった場合は、その内容を正式採用とします。
なお修正稿を仮投下スレに投下しなかった場合、その修正は無効となります。
ただし、リレー小説の性質上、本投下後に展開に変更を生じる修正を行うことは極力さけてください。
誤字・脱字等の訂正は上記の限りではありません。
また、先程、ルールに関する議論スレで「予約破棄・期限切れした場合の再予約」に関して発議させていただきました。
意見をお願いします。
ルールに関する議論スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1258188493/
ファサリナ、ヒイロ・ユイを投下します
支援します
ヒイロは敵機体を見て僅かに驚きが浮かべた。
ファサリナの搭乗しているMS。
その姿は自分のよく知るガンダムによく似ていた。
だが、あの様なガンダム。いやMSをヒイロは見たこともなかった。
機体の名はガンダムヴァーチェ。
鈍重なイメージを持たせる分厚い装甲。
巨大なキャノン砲を肩部に装着し、拠点攻略などに重点を置かれた機体だ。
サウダーデは上空へ飛び上がった。ヒイロは敵機の見た目から素早い動きは苦手だと考え、空中からの射撃が有利だと判断したのだ。
飛行して相手に狙いを付けられないようにしながら、サウダーデの武装の一つである重粒子弾ライフルの引き金を引く。
重粒子弾の雨がヴァーチェに襲いかかった。
轟音と共に巻き添えになった周囲の半壊したビルは粉々に砕け散り、土煙を生み出す。
一見、ヒイロ有利の展開。しかし、ヒイロの内心は自身に失望していた。
サウダーデのスペックを生かし、空中を高速移動しつつの射撃。
いつもなら何の問題もない動作であった。だが、ヴァーチェに命中させられたのは精々半分。
本来の愛機であるウイングガンダム。いやMSならば、このようなミスは無かっただろう。
ただの機体ごとのクセ程度なら、ヒイロほどの実力なら問題なく動かせた。
ヨロイという世界も、技術も、設計理念も異なる機体。
たとえ慣れ親しんだコクピットに座っていようと、MSとヨロイではヒイロの想像以上に違いが存在したのだ。
「早い殿方は...。嫌われてしまいますわよ」
ファサリナの妖艶な声と共に、土煙の中から破壊の光が飛び出す。
その反撃はヒイロには十分予想範囲内の事であり、回避は容易い。
だが、土煙が晴れたとき、ヴァーチェは一切の傷を負ってはいない。
そちらの事実がヒイロに僅かながら驚きを与えた。
いくら全弾命中させられなかったとしても、多少は傷をつけられてもおかしくない。
ヒイロは落ち着いてビーム砲のトリガーを引いた。
今度はミスなどない。的確な射撃でヴァーチェに破壊の雨が降り注いだ。
だが、それもヴァーチェに届くことは無い。
今度はヒイロの目にもその理由がはっきりと映った。
ファサリナの妖艶な声がコクピットに響く。
「もっと...、もっと激しく攻めてもいいのよ」
ヴァーチェを覆う緑色の粒子にビームは全て防がれていた。
GNフィールド。
圧縮したGN粒子を展開することで強固な防御フィールドを形成する武装である。
その防御力は実体弾はもちろんビーム兵器すら防ぐほど。
「溜まってるものは出しても構わないですわ。こんな風に...」
「くっ……!」
サウダーデを遥かに上回る大出力のビーム砲。
ヴァーチェの真髄はその圧倒的な防御力。そして、そこからの砲撃だ。
ヴァーチェのGNキャノンは戦艦を撃沈するほどの威力を誇る。
直撃すればサウダーデでも一撃で落とされる可能性があった。
防御と火力ではヴァーチェが相手に勝り、機動力ではサウダーデが相手を大きく上回る。
故にお互い攻めあぐねるのが現状だ。
サウダーデはGNフィールドを破ることが出来ず、ヴァーチェには高速で飛び回るサウダーデを捉えることが出来ない。
これが本来のパイロットが搭乗していたならば、お互い状況を破る突破口を見出すことも可能だったはずだ。
サウダーデ本来のパイロットであるミハエル・ギャレットなら、電磁シールドを用いてビームを防いでの接近戦に持ち込めるだろう。
ヴァーチェ本来のパイロットであるティエリア・アーデなら、GNバズーカの火力をもっと活かしての強引な攻めも可能だろう。
機体のスペックだけ理解出来ても、それを最大限に引き出し、応用することは難しい。
他世界の機体に不慣れであること。それが拮抗を生み出す最大の原因となっていた。
この状況下で拮抗を破る手段は少ない。
一番良いのは機体に慣れ、その性能を十分に引き出せるようになることだ。
そして、自らの力量を十分に発揮して相手に打ち勝つ。
事実。二人とも慣れてきたのか射撃の精度は上昇し続けている。
だが、流れを変えるにはまだ足りないのだ。
ポルノかよ
膠着を打開する術を模索するヒイロの脳裏に一つの選択肢が浮かんだ。
ヒイロがデータを見た時には気がついたサウダーデの機能。
それがこのお互い攻めあぐねている状況を変える手段として有効であると。
「えっ!?」
余裕に満ちていたファサリナの声に初めて驚きが混じる。
サウダーデが武器形態である銃剣へと変形し、突っ込んできたのだ。
オリジナル7であるファサリナはサウダーデの武器形態への変形能力を重々承知している。
しかし彼、ヒイロ・ユイはヨロイをこのシュミレーターで初めて乗ったのだ。
たとえその機能を知っていたしても、ヨロイに慣れていない彼が変形して突っ込むとは予想もしていなかった。
敵の射撃の中を武器形態で突撃することは、猛火に身を晒すようなもの。
その危険性はヒイロなら十分承知のはず。
ファサリナは知らない。
ヒイロの愛機。ウイングガンダムにも武器変形に似たように機能があることを。
バード形態。高速移動用の巡航形態である。
人形から変形しての高速飛行はヒイロにとって慣れ親しんだもの。
銃剣という形態からこの武器形態は突撃にも耐えられる。
この拮抗を打開するに多少の強引さは不可避であるとヒイロは判断したのだ。
その判断は正解だった。
高速で接近するサウダーデに対し、驚きによりファサリナの判断が遅れたこともあって、対応出来ない。
天翔ける銃剣がヴァーチェの胸部を捉えた。
巨大な激突音が響く。GNフィールドは衝撃まで無効化は出来ないのだ。
ヴァーチェはその衝撃で大きく吹き飛ばされた。
「あら、意外と強引なところもあるのですね...」
ファサリナが態勢を立て直そうとした時には既にサウダーデは人型に戻り、その銃口はヴァーチェのすぐ近くにあった。
「この距離ならバリアは張れないな」
ヒイロは勝利を確信する。
小回りの効かない巨大な機体ではこの状況を脱するのは不可能だと。
だが、絶体絶命の危機にもファサリナは妖しく微笑んだ。
「でも、そんなに乱暴ですと...、花びらを散らしてしまいますわ」
その瞬間、ヴァーチェの装甲が弾け飛ぶ。
「何ッ!?」
ヴァーチェの予想外のアクションにヒイロはとっさに後ろに飛ぶ。
幸い、弾け飛ぶ装甲の勢いは弱い。問題なく距離をとることは出来た。
ヴァーチェは先程までは想像も出来なかった姿を晒していた。
鈍重な装甲を脱ぎ捨てた下には、先ほどとは打って変わって細身の体型。
頭部から伸びる赤いケーブルはまるで女性の髪の様。
それは細身の手足と相まってどこか女性的な印象を与える。
「装甲をパージさせたか」
「ガンダムナドレ...。どうやら、こちらの方が私に合うみたいですね」
サウダーデの銃口から牽制の意味を含めた重粒子弾が打ち出される。
だがそんなモノはもう、ナドレの戦いのステージを飾る一要素に過ぎない。
その姿は鈍い蛹から脱皮した蝶のごとく。
華麗なステップで重粒子弾の雨を掻い潜る。
先程は肩部のキャノン砲として用いていたGNキャノンを手持ち武器として隙を見つけては撃ち返す。
もはや戦況は互角。
飛び交う光弾。舞い上がる粉塵。
僅かに残っていたビルの残骸すら砕け散り、互いを遮るものなど何もない。
一対一。正々堂々とした戦いの場。
ヒイロの胸にほんの僅かだが、熱いものがこみ上げていた。
それは本人すら気付いていない。
ヴァーチャルなこの戦いで。いや、ヴァーチャルだからこそ。
作戦や目的など意識せず、ただ相手との技量を競う戦い。
普段とは違った戦いへの意識だった。
一瞬だがヴァーチェの動きが止まった。
当然、ヒイロはその隙を見逃さずに距離を詰める。そしてそのまま銃剣で斬りかかる。
だが、その刃がヴァーチェに届くことは無かった。
コクピットの計器から光が消えていく。
サウダーデはもう動かなかった。
モニターには戦いの結果を表す言葉が並ぶ。
YOU WINと。
◇◇◇◇◇
「降参です...。私の負けですわ」
「どういうつもりだ。あのままなら勝負は分からなかったはずだ」
シュミレーターから出てきたファサリナに、ヒイロは言い寄った。
ファサリナの紅く染まった頬。荒い呼吸。
普通の男性なら劣情を催すのも無理のない姿だ。
男を惑わす女性の色香が周囲に漂う。
しかしそんなこと、ヒイロにとってはどうでもいいことだった。
「ヒイロの実力は十分知ることが出来ました...。これ以上は時間の無駄です」
僅かに憂いを秘めた表情でファサリナは語る。
「それに...、いくらシュミレーターでもあのヨロイを破壊する気持ちにはなれません...」
サウダーデに対して、ファサリナが一体どのような思いを抱いているのか、ヒイロは知らない。
ただ、その顔を見てそれ以上追求する気は無くなった。
「……もういい。だが勝負は勝負だ。最初の約束通り、B-2に向かう」
ヒイロが心に抱く微妙な感情を受け入れてくれた事を感じ取ったのだろう。ファサリナの表情は既にいつも通りになっていた。
「ええ勿論です」
ヒイロはふと、シュミレーターの脇に小さな冊子が置いてあることに気がついた。
シュミレーターの解説冊子だった。
パラパラと捲った所、使用できる機体のスペックなどについて記載されているようだ。
「どうかしましたか?」
ヒイロはその内の一冊をバックの中に突っ込んだ。
「何でもない。行くぞ」
【C-3/憩いの館(地下ゲーセン内)/1日目/午前】
【ファサリナ@ガン×ソード】
[状態]:健康
[服装]:自前の服
[装備]:ゲイボルグ@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品2個(確認済み)
M67破片手榴弾x*********@現実(ヒイロとはんぶんこした)
軽音部のラジカセ@けいおん(こっそりデイバックに入れた)
[思考]
基本:ヒイロと協力して主催者を打倒する、それが無理だと判断した場合殺し合いに乗る
0:B-2の間欠泉へ向かう
1:ヒイロと共に行動する
2:間欠泉を調べ終わったら、早く新しい同士を集めたい
3:「カギ爪の男」が本当に死んだのかを確かめる
4:新たな同志が集まるまではなるべく単独行動は避けたい
5:明確な危険人物の排除。戦力にならない人間の間引き。無理はしない。
6:ゼロを名乗る危険人物の排除
[備考]
※21話「空に願いを、地に平和を」のヴァン戦後より参戦。
※トレーズ、ゼクスを危険人物として、デュオ、五飛を協力が可能かもしれぬ人物として認識しています
※ヒイロを他の惑星から来た人物と考えており、主催者はそれが可能な程の技術を持つと警戒(恐怖)しています
※同志の死に疑念を抱いていますが、ほとんど死んだものとして行動しています
※「ふわふわ時間」を歌っている人や演奏している人に興味を持っています
※ラジカセの中にはテープが入っています(A面は『ふわふわ時間』B面は不明)
【ヒイロ・ユイ@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:左肩に銃創(治療済み)
[服装]:普段着(Tシャツに半ズボン)
[装備]:基本支給品一式
コルト ガバメント(自動銃/2/7発/予備7x5発)@現実、M67破片手榴弾x*********@現実(ファサリナとはんぶんこした)
[道具]:B-2と記された小さな紙切れ@現実
『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム〜戦場の絆〜』解説冊子
[思考]
基本:主催側の技術を奪い、反撃する
0:B-2の間欠泉へ向かう
1:ゼロを名乗る危険人物の排除
2:今のところはファサリナと協力する
3:リリーナ……
4:人を生き返らせる方法……
5:ユーフェミアは……
[備考]
※参戦時期は未定。少なくとも37話「ゼロ対エピオン」の最後以降。
※D-1エリアにおいて数度大きな爆発が起こりました。
※ヴァンを同志の敵と認識しています
※ファサリナの言う異星云々の話に少し信憑性を感じ始めています。
※ファサリナのことは主催に対抗する協力者として認識しています。
※それと同時に、殺し合いに乗りうる人物として警戒もしています。
【『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム〜戦場の絆〜』解説冊子@オリジナル】
憩いの館、地下ゲームセンターにおいてあったシュミレーターの解説冊子。
シュミレーターにて使用できるMS、ヨロイ、ナイトメアフレームのスペックや武装などが記載されている。
なお、解説冊子は地下ゲームセンターに複数置いてある。
記載されている機体の種類や機体数については後の書き手さんにお任せします。
投下終了です。支援ありがとうございました。
投下乙です!
前の書き手の残した無茶なフラグを柔軟に解消した腕前は流石ですね。
ついにロボ同士の戦いの描写が・・・!
バード形態懐かしい、ゼロカスだとオミットされてるんだよな
個人的にはノーマルゼロの方が好きだw
面白かったです、投下乙でした
投下乙です
ロボの描写をここまで書けれるのは素晴らしいです
更に二人の性格がよく出てました GJ
しかし外にはリリーナの死体が・・・
バサカの雄たけびはゲームに熱中してて聞こえなかったのかなw
投下乙でしたー
投下乙
ロボの戦闘描写がグッドです
浅上藤乃、ライダー、セイバー、真田幸村、阿良々木暦代理投下します。
この地に来て初めての水浴びは、体のみならず心までさっぱりと洗い流してくれるようだった。
衣服を身につけた浅上藤乃は、そんな事を考えながらライダーと共に家を出る。
〜 シャワーシーンがあると思ったの? バカなの? 死ぬの? 〜
幾つか情報を交換しながら今置かれた状況を確認するライダーと藤乃。
藤乃はほとんど学校周辺から動いていなかったが、ライダーはE6の公園からD2まで来たのだ。
出会いも多く、この辺りの人の動きはある程度予想出来るようになっていた。
「これより西側は……行っても無為でしょうか」
藤乃がそう呟くもライダーは判断に迷っているのかはっきりと返事はしない。
「しかし東側は私が一通り抜けてきましたし……北上も良手とは思えませんね。わざわざ山の中に行く意味がわかりませんし」
そんな事を言いながらもライダーは何か目的があるのか足取りに不安な所はない。藤乃はただ静かに付き従うのみ。
目的地と思しき場所に着くと、ライダーの口元が僅かに緩む。
「ああ、やはりありましたか。これなら……」
それからのライダーの行動は、藤乃の想像の斜め上をいっていた。
金属の檻、真四角な内装はぶつかれば怪我をするとの理由で最近は何処でもあまり採用されない造りのはずだが、この部屋に限ってはそんな配慮とは無縁である。
そもそも不特定多数が入って良い部屋ではないのだから、社会的配慮などともある程度距離を置けるのだろう。
正面は一杯に張り詰められた強化ガラス。正面視界に限って言えばほぼ死角は無い。
目の前にはレバーが一本、これとは別に足元にもレバーがある。
また、電子操作が行えるコンソールがあり、ライダーはこれらの操作を澱みなくつつがなく執り行う。
「ライダーさん、運転出来たんですか」
「私はライダーですから。操れぬ乗り物など存在しません」
理由になってるんだかいないんだか。
がたんがたんと揺れる車体、きぃーっと金切り音が聞こえるのは古いせいではなくそういった仕様であるせいだ。
線路の上を我が物顔で突き進む電車。ライダーはこれを操っていたのだ。
投下乙です
この距離ならバリアは張れないな、に吹いたww
D-2駅は始発であり終着である。
ならば電車の車庫が、そう考えても不思議ではあるまい。
運休が続く線路上を、予備の電車を用いて一気に公園の方まで戻るというのがライダーの考えた侵攻ルートであった。
単体では攻略が難しいサーヴァント、アーチャーがこの周辺に居る。
しかし千里眼を持つ藤乃を擁していれば、ライダーにも充分勝ち目は出来るだろう。
せっかく手にした戦力だ、敵うという確信が得られたのなら即座に活用したい所だ。
途中、見咎められ狙撃を受けるかもしれない。
ちょうど良い、その時は電車という鉄の装甲で身を守り、位置を特定して仕掛けてやるまでだ。
アーチャーが最も厄介なのは、身を隠し狙撃を続けられた時だ。しかし一度でも捕捉してしまえばこちらには藤乃が居る。
地獄の底まで追い詰めて、撃ち滅ぼしてくれよう。
「あ、あのライダーさん……少し、スピード出しすぎでは?」
操縦席に共に居る藤乃が不安そうに問うが、ライダーは歯牙にもかけない。
「アーチャーの狙撃があるかもしれません。正確な着弾を避ける意味でも、速度は限界一杯まで上げます」
「は、はぁ……って前っ! 線路がっ!」
突然大声を上げる藤乃。
さもありなん、二人は預かり知らぬ事だが、これこそが電車運休の原因、バーサーカーが高架を支える柱を粉砕したおかげで線路が途中で途切れ、奈落の底へと大穴を開いているのだ。
「問題ありません」
「ありますって!? 線路が無くちゃ……」
「パンタが通っていれば充分です。行きますよ、舌をかまないでくださいっ」
電子装置に指を滑らせると、遙か後方から独特の機械音が響いてくる。
高架になっている線路は、バーサーカーの一撃で真ん中から崩れ落ち、へし折れた線路は斜め下に向かって伸びている。
無論、こんな線路にガイドされては奈落の底へ真っ逆さま。
なのでライダーは最後尾車両のエンジンを回したまま、最前車両のエンジンをがつんと力強く止める。
引っかかるように膨らんだ三両目、四両目、五両目は、容易に線路保持の限界を超え脱輪してしまう。
これが普通の線路であるのなら、お客様に多大なご迷惑をおかけする事必至の大事故を予感させるありえぬ一撃であるが、ライダーはこの地で電車に乗らんとするお客様方に、欠片の敬意も抱いては居なかった。
波打つように一両目も線路から外してしまう。このブレーキとの微妙な按分はどうだ。
足の裏、レバーから伝わる振動から電車のグリップを読み取り、適切で、確実な動作を行う、スーパードライビング。
線路を外れた電車は、砂利の上をがたがたと、それでいてパンタを外していないので速度も落とさずへし折れた高架に達する。
「フジノ! 射台を!」
言いたい事は、わかる。というかわかってしまった事が何というか悔しい藤乃は、しかし他に手は無いので気乗りはしないが依頼通り、力を解放する。
「凶がれっ」
高架の端が藤乃の力に応えて歪み、斜め上へと伸び上がる。
直後、電車はここを通過、射角をもらった電車は、速度も相まって容易く高架を両断する亀裂を飛び越していった。
パンタが電車と電線の間で押し潰され、車体が線路をこするのとはまた違う不気味な悲鳴が聞こえてくる。
それでも、電車が上に跳ね上がりすぎるのを防いだのは、横転せぬよう空中にてバランスを整えたのはこの電線であった。
「まだ安心するのは早いですよフジノ」
「……いえ、これ私にでもわかります。曲り、きれませんよこの速度じゃ」
E-2からF-2へと続く線路、ここは大きく弧を描いており、充分な減速が必要となろう。
しかるに、亀裂を飛び越す為に限界まで速度をあげた電車は既に必要減速など不可能な程、かっ飛んでしまっている。
「手はあります。この子を……信じて下さい」
「……この子って、コレ、ですか?」
線路から外れてしまったせいで、がたがたと激しく振動する電車を見下ろす藤乃。
ほどなくして先頭車両は線路へと復帰する。
本来ハンドルなぞない電車が線路を頼らずに曲る事、進路を変える事など不可能である。
しかし、この電車は先頭のみに機関車両を擁する常の電車にあらず。
最後尾の車両にも機関車を用いてあり、先頭車両に居ながらにしてこれを操れるのだ。
ここにライダー奇跡の車体過重移動スキルが加われば、電車は決して曲らぬ乗り物ではなくなる。
そう、ライダーは声高らかに叫ぶだろう。電車は曲る、曲る乗り物なのだと。
後部車両まで全てを線路に載せ終わると、ライダーは電車を更に加速させ、前へと車体過重を集中させる。
藤乃は、何か何ていうかもうどうにでもなれー的なオーラを漂わせつつドアの取っ手にしがみついている。
「行きます。コーナーリングフォースを稼ぐ手は、一つではないという事お見せしましょう」
遂に飛び込んだ距離にして1キロ弱のスーパー高速コーナー。
線路ががっちりと車輪を掴み、外に放り出されようとする車体を抑えつけんとするが、金属にも限界があり、外内の力のバランス次第ではいつ吹き飛んでもおかしくないゾーンへと突入する。
ライダーは全神経をレバーとブレーキに集中する。
綱渡りでは済まぬ、最早針渡りといっても過言ではない程か細い糸を、少しづつ少しつづ手繰り寄せ、最後の奇跡に辿りつかんと電車を信じる。
きんっ、重苦しくも甲高い音と共に、後部車両がアウト側に脱輪してしまう。
「ここですっ!」
ライダーの操作に従い、後部車両の機関が炎を上げる。砂利を撒き散らし、線路を飛び越えながらも車輪は確実に、大地を踏みしめ前へと突き進む。
向きを合わせるのは先頭車両の役目だ。
速度調整と後ろに引っ張られる車両の過重を計りつつ、最適な向きを、これしかないというピンポイントを。
これは吹っ飛んだと覚悟を決めた藤乃は、しかし急に揺れながらだが安定した車体に驚き、窓の外を見る。
お嬢様学校に長く居たせいか、はたまた生来のものか、品の良さはその身に染み付いていたのだが、そんな藤乃をして大口を開いたまま呆然とするなんていう真似を強要してしまう光景がそこにあった。
「……一体、これ、何が起きてるんです?」
先頭車両は左の登り線に、後部車両は何と隣の下り線に車輪ごときっちりとはまり、平行して走る事で外へと飛び出す力を見事分散する事に成功しているのだ。
ライダーは冷汗をぬぐいもせず、真正面を見据えたまま応えた。
「そうですね、複線ドリフト、とでも名づけましょうか」
1キロの高速コーナーが全て終わると、がきょん、という派手な音とともに後部車両が元の線路に復帰し、全ては事もなく電車は突き進むのだった。
難所を超えたライダー達はF3駅を超え、F5駅を一気に突っ切る。
ここまで妨害は一切無し。順調すぎる快適走行は、稀有な運転手ライダーにより電車の常識を覆すコースレコードを弾き出しながら、目指すD6駅に向かう。
F5駅で下車する方がアーチャーには近いとも思うのだが、宇宙開発局周辺より、雑然としたD6駅周辺市街地の方が電車を降りた後、狙撃を警戒しやすいと考えたのだ。
ホームに万が一人が居てもいいように、藤乃の頭を下げさせ、外からこちらの顔が見えぬよう自身も顔を伏せる。
ここでライダーは、次は停車予定駅であるしと藤乃にD6駅への千里眼使用を依頼する。
予め戦場の状態を把握する事が出来る。これが、ライダー藤乃組の持つ強力なアドバンテージの一つであろう。
「人影ありです。女一、男一が駅から出てすぐの所、線路東側出口。それぞれ女が剣、男が棒状の物で武装。そして駅構内に男一、武装は確認出来ません」
藤乃の報告通り、駅から出てすぐの道路に二人の人影。
ライダーは一瞬で決断を下す。
「攻撃を開始します。あれはセイバーです」
藤乃が何を言うより先に、ライダーは先頭機関車両と後尾の機関車両の二つに速度差を作り、故意に重心バランスを崩して脱輪を引き起こす。
狙いは上々、進路クリア、この速度、質量に突然襲いかかられては、剣の英霊セイバーとて対処なぞ出来まい。
引換に電車は再起不能なダメージを負うだろうし、巻き込まれるのも拙いので、ライダーは藤乃を小脇に抱え二両目まで戻る。
完全に脱輪し、鉄条網やら壁やら看板やらを弾き飛ばしながらなので、とんでもなく揺れる車体の中、ライダーは片手が完全にふさがっている事すら苦ともせず、残った片手を使って電車の上にひらりと舞い上がる。
軽業師ですらこうまで見事な挙動は行えぬであろう。身のこなしの軽さはサーヴァント随一と言ってもいい程だ。
すぐ電車から飛び降りるのはまだまだ危険が伴う。
下手をするとセイバーはこの奇襲ですらかわしてくるかもしれないのだ。
電車の屋根からセイバーが飛び出す姿を監視する。もちろん藤乃の千里眼もこういった場面ではアテに出来る。
はずであったが、ライダーが小脇に抱える藤乃は、がったがたに揺れる車体や腰を抱えられた不自然な体勢のせいか、千里眼に集中するのにてこずっている模様。
まだ身につけて間もない力なのだ、無理も無かろう。
しかしライダーの心配は杞憂であったのか、電車の脇から飛び出してくる人影は無く、セイバーと隣に居た男は電車にまともに突っ込まれてしまったようだ。
弾き飛ばされるかとも思ったが、そういった様子も見られなかったのでおそらくは潰されたのだろう。
如何な英霊とてこの質量に押し潰されれば死は免れまい。
突如、電車の速度が急激に変化する。
ほんの僅かな予備挙動でこれを見抜いたライダーは咄嗟に電車から飛び降り、安全と思しき通りに着地を決めると電車の動きに注視する。
「うおおおおおおおああああああああ!!」
「ぬうううううりゃああああああああ!!」
電車の前面から金と赤の閃光が溢れ出す。
まだ電車はアスファルトを削り、建物を抉り、並み居る建造物を蹴散らしながら突進を続けているが、まるで輝きに押し返されるかのように、徐々にその速度を落としていく。
避けるはあると思っていたライダーは、受け止めるなんてアホな選択をしたセイバーを呆れながら、感心しながら見守っている。
電車が跳ね回る側でもある事だし、流石にこの状況で手は出しかねたのだ。
藤乃に至っては、何がどうなっているのかすら把握出来ていない。
「行きますよユキムラ!」
「任されよせいばあ殿!」
一際強い光を放ったかと思うと、突進してきた電車を全身で受け止めていた二人、セイバーと真田幸村は、この莫大な質量を押し止めるどころか、何と何と放って投げ返してみせた。
ごろんごろんと発泡スチロールで出来ているかのように軽々と転がる電車は、横の民家六軒程を道連れに土煙と轟音を巻き上げ、その活動を停止した。
ライダーもこれには一言言わずにはおれなかったようだ。
「……剣の英霊というにはあまりに、力任せが過ぎませんか?」
電車を跳ね除けた怪物、セイバーは背に二メートルはあろうかという長大な刀を背負い、踏み耐えたせいでアスファルトに膝までめり込んだ体勢そのままに、周囲全てを圧する人の身に在らざる強力無比な覇気を漲らせる。
並ぶように立つ男、真田幸村は無手のままだらりと両腕を垂らし、信じられぬ偉業を成し遂げた興奮など微塵も見せず、険しい表情のまま不意打ちへの憤怒を顕にする。
「名乗りも上げず襲いかかるとは卑怯千万! 戦の礼儀も弁えぬ不貞の輩か!」
怒鳴り散らす幸村。もちろん、そんな言葉で反省する者などこの会場の何処を探しても見つかりはしないだろう。
ライダーともう一人の姿を認めたセイバーは、臨戦態勢を崩さぬまま冷笑する。
「騎英の手綱も随分と品格が落ちたものだな。例の幻想種には愛想でも尽かされたか」
「そうですね、憎まれ口を叩くぐらいしか今のあなたには出来る事は無いでしょう」
電車の衝突を腕力のみにて抑え込む。二人がかりとはいえこれを成し遂げるのにセイバーが消費した魔力は膨大な量であった。
セイバーは有り余る魔力を自在に振り回し、圧倒的な力で敵をねじ伏せる戦いを得手とする。
マスターが居ない今、消費した魔力を再び補充する事も叶わぬセイバーは、数度の吸血を行ったライダーと比べ、魔力という点においては圧倒的に不利な立場にあった。
だからといって戦闘を避けるようなセイバーではない。そして、魔力が不足している程度の理由で、セイバーはライダーに遅れをとる気などさらさらなかった。
これ以上は語るに及ばずと剣を抜こうとしたセイバーの前に、幸村がライダーとの間に立つように体を入れてきた。
「ユキムラ?」
「ここは某にお任せあれ」
「何を言う!? 私はまだ戦える……」
「では阿良々木殿はどうされるか?」
幸村は電車衝突の際何処かへ行ってしまった(間違いなくへし折れ潰されていると思われる)物干し竿に未練は無いのか、セイバーを安心させられるように力強く拳を打ち鳴らす。
「きゃつが何者かは存じませぬが、いずれ罪無き人を害する者であろう。何より某、こやつに聞かねばならぬ事があり申す。それにせいばあ殿ならともかく、阿良々木殿が戦闘に巻き込まれては無事には済みますまい。どうか、しばし彼を連れ避難をお願いいたす」
セイバーは幸村の気配に、セイバーがそうであるような魔力減少による弱体化の兆しを見出し事が出来なかった。
最初に出会った時と変わらぬ、否、敵を前にして比べ物にならぬ程の存在感と、暑苦しいまでの圧力を覚える。
今すぐに戦わせろ、そう言葉によらず全身から漲らせる幸村は、魔力が十分であったとしてもセイバーですら容易く勝利出来る相手ではないと思えた。
「……わかりました。敵を前に引くのは甚だ不本意ではありますが、そこまで言うのでしたらこの場はユキムラに任せましょう。ですが……」
真顔のままセイバーはきっぱりと宣言する。
「おまけが居ようとライダーごときに敗れる事は許しません。必ずや勝利するように」
「承知っ! 武田武将の底力とくとご覧あれ!」
藤乃はセイバーと幸村が話し合っている間に魔眼にて攻撃を、そう考えたのだが、気配をライダーに読まれ止められる。
「フジノはここ一番までは動かず、あちらの建物に隠れていてください。もちろんセイバーがこの場を去ってからですが」
「見逃すのですか?」
「ユキムラ、そう呼ばれる彼はおそらく戦国の武将でしょう。一人づつ確実に潰します。電車を踏みこたえて尚、セイバーですら魔力を著しく消耗したというのに、ユキムラはまるで損害を負った様子が見られません」
あなたが切り札です、タイミングを誤らぬよう、と告げ、ライダーは一人幸村へと向かっていく。
残された藤乃は全てがライダーの都合で進んでいる気がして不快に思ったが、今は、素直に従ってやると不満を飲み込み建物の影に隠れる。
当然戦闘は見えるようにしておくが、藤乃の目に映る景色は、正直夢か幻の類であろうと何度も自身を疑ったものである。
白と黒で遂になっている二本の刀、常の日本刀とは異なりまっすぐに伸びた刀身と、短めの刃はこれが忍びの用いる刀である証であろう。
両手で同時に武器を操るのも苦とせぬライダーは、この武器を持って幸村に迫る。
対する幸村は無手。武器など何一つ持たぬ武装解除状態。しかし、決して無防備ではなかった。
間合いはライダーが長い、そんな不利を物ともせず勇躍前傾姿勢にて刀を迎え撃ち、その隙間を縫うように拳をねじ込む。
二本の刀は霞でも狙ったかのように空を切り、中央ど真ん中、隙とも呼べぬ僅かな猶予を貫いて幸村の拳がライダーへと迫る。
完全にかわした、そう確信出来るライダーの見切りは、しかし見当が外れており、首がねじ切れるかと思う程の衝撃と共にライダーの体は宙を舞う。
真横に三回転、大地との距離感を容易く失ってしまいそうな速度であったが、ライダーは足を大きく開き、四つん這いになって着地を決める。
大地についた両肘、膝と脛が勢いそのままにアスファルトにこすりつけられた為、スレるような痛みを覚えたがこれを黙殺。
見切り損ねた原因の究明を、いや、原因はわかった。しかし理解が出来ない。
電車との衝突時に見えた赤き輝き、これが残滓のように幸村の体から漏れ落ちている。
確認が必要と、ライダーは再度幸村へと踏み込む。
今度は真正面からと見せかけ、前後左右に大きく跳び回って距離を測る。
そのライダーの身の軽さはどうだ、全身で飛び回っているというのに、目で追う事すら困難な速度で死角から死角を伝い、人知を絶するフットワークにて幸村を翻弄する。
「遅いわっ!」
幸村はライダーが間合いに踏み込んだ瞬間をそちらを見もせずに察し、肩ごしに裏拳を放つ。
あるを予測していたライダーだからこそ、今度は何とかかわしきる事が出来た。
そして、先程見切りを誤った理由が、今度こそはっきりとわかった。
振るわれた幸村の拳、これに赤い閃光が纏わりついているのだ。
魔力ではない。それならばわかる。
しかしかといって物理的な何かかというとそうでもないようだ。
熱き炎に近いナニカであるとは思うのだが、発火の為に必要なプロセスを踏襲しているようにもみえない。
敢えて言うのであれば炎っぽい何か。それが、魔術師のように回路を伝うような事もせず、英霊が自らの蓄えた魔力を放出するような形式でもなく、何故か突然幸村の体に纏われている。
威力の程はたった今ライダーが味わった。急所にもらえばただの一撃で死を覚悟せずばならない程の一撃である。
『なんなのでしょう彼は一体……あの武将も雷を放ってきましたが……』
ライダーが現界した時に得た戦国の世とやらの知識から大きく逸脱した存在であるようだ。
それでも勝てる。ライダーは一つ、動きのギアを上げた。
セイバーは幸村と分かれると、駅構内へと駆け込んだ。
電車を共に支えたからこそわかる。幸村は英霊と並んでもまるで遜色無い程の英傑であろうと。
見るからに無力な女性がライダーと共に居た事が少々気に掛かるが、彼ならば任せられるだろうとセイバーは自らに課した役割を果たしに行く。
電車が脱線した音は流石に暦も聞いていたようで、すぐにホームを走る姿を見つけられた。
事情を説明すると暦は少し返答を渋ったが、より以上に無念そうなセイバーを見たせいか、納得して逃走の道を選んだ。
戦闘が終わった頃を見計らって戻るというのも手ではあるが、一度北上して、先にデュオ達と合流する方が効率的であるし、再戦闘の必要が出た時も対応しやすかろう。
すぐに轟音が駅前から響いて来た。
人間同士の戦闘音とはとても思えぬソレを聞いた暦は色々と言いたそうにしたが、ぐっと堪えてセイバーと共に北へと向かって走り出した。
幸村は猿飛佐助という優秀な忍びを側に置いていた事もあり、ライダーのような変幻自在の立ち回りには慣れていた。
不用意に反応せず、コレと決めた一撃のみに対応する。
他に手が無いというのもあるが、幸村の鋭い動きと類まれな身体能力の高さ、戦国の世で鍛えに鍛え抜かれた反射神経により、ライダーをして切り崩す手が見えぬ程隙の無い構えとなる。
ライダーはここで大きく戦況を変える手を欲するが、まだ藤乃の出番には早い。
ならばと小十郎と同じ手で屠らんと構えるライダー。
牽制に牽制を重ね十二分に警戒心を煽った後、眼前にて閃光弾を使用、直後背後に物音を立て注意を引いておいて前から二刀にて一撃必殺。
入念な仕掛け、完璧にコントロールされた挙動と戦の間、何より幸村が知らぬはずの閃光弾による攻撃だ。
油断をするつもりはないが、ライダーは二度目という事もあって先より洗練された形でこれを仕掛けられたと思う。
「ぬあっ! おのれ目潰しとは!?」
決まった。完璧に。拍子抜けするぐらいあっさりと。
「おのれっ! 何処だ! 何処に居るかっ!」
めくらめっぽうに拳を振り回す幸村。
小十郎は警戒し防御に努めたものだが、どうやら幸村にそういった思考は存在しないらしい。
まるで風車のごとく右といわず左といわず前といわず後ろといわず、上の斜め下も何処もかしこも、死角全てを拳で埋める勢いで暴れまわる。
とんでもない運動量である。今まで受けに徹していたのが嘘のように激しく動き回り、ロクに近づく事すら出来ない。
戦場から僅かに離れたアスファルトが、軽い炸裂音と共に弾かれる。
電柱がぎしっと音を立てて揺れ動き、道路に沿って建てられたビル三階の窓がくぐもった音と共に破裂する。
「……なんです?」
幸村ががむしゃらに、やけくそといっていい勢いで振り回す拳から、目に見えぬ何かが発せられ、それが周囲の物を砕いているのだ。
いや、少しづつ、不可視ではなくほんのりと色づいてきた力は、赤く、紅く、朱く、緋く、染まりきった頃には、輝きではなく紅蓮の炎となって燃え盛る。
幸村の全身が炎に包まれ、絶叫と共に振り回される拳の先から、炎の弾が無作為無造作に放たれ続ける。
確かにこんな戦い方をするのであれば、非戦闘員の避難は必須であろう。
「戦国武将とは人間では無いのですか?」
近づくのも難しいとなれば、遠距離からの攻撃しかあるまい。
ライダーは手に入れていた飛び道具、佐助の十字手裏剣を振りかぶり、暴れまわる幸村の後背から投げつける。
「甘いわあああああああ!」
頭の後ろに両手を回し、後頭部の直前で真剣白刃取り。ありえないにも程がある。
もはや何故、などと理由を問う事すら面倒になったライダーに、幸村はまだ眩しさが残っているのか目を細めながら怒鳴る。
「こ、これは佐助の武器! 貴様のような雌狐めが使って良い武器ではないわっ!」
十字手裏剣を全力で地面に投げつけ、深く深く突き刺す事で、容易く抜けぬようにする。
「姑息な手など幾ら使おうと無駄な事よ! さあ次はいかなる手でくるか!? どんな技とてこの真田幸村には通用せぬぞ!」
次なる手を考える時間を欲したライダーは、ここで時間を稼ぎにかかった。
「……戦国武将、真田幸村。よもやとは思いますが、片倉小十郎を知っていますか?」
それは幸村もこの女を叩きのめした後に聞こうと思っていた事だ。
「貴様……やはり片倉殿を知っておるか!? 貴様が……貴様が片倉殿を!」
時間的にも幸村がライダーによる小十郎殺害を知っている可能性は低い。
怪訝そうに問い返すライダー。
「知っていたのですか?」
「おのれえええええええ! 片倉殿とは一時とはいえ同じ釜の飯を食った仲! 見ていてくだされ片倉殿! 今某が仇を取ってご覧にいれますぞっ!」
それまでも頭に血が上った様子は随所に見てとれたが、そんな様がそよ風に感じられるような大激怒。
何処から湧き出るものか、迸る熱気を伴った烈風が周囲を吹き荒れ、全身から放たれる紅光がアスファルトを、コンクリートを、転がる電車の鋼鉄をすら圧する。
「熱ぇっ血っ! 大っ! 噴っ! 火ああああああああ!」
おおきく振りかぶった足を前に振り上げ、一足にてライダーとの間合いを詰める。
もう烈な勢いで迫る幸村に、ライダーは虚を疲れたのか反応が遅れる。
いまこそ好機とばかりの幸村に、藤乃もまた速度が速すぎてフォローに回れない。
がまんをし続けていたのだろう。それまで守りに徹していたおかえしとばかりに、文字通り火のごとくライダーへと攻め入る。
サーヴァントをして、死んだと確信させる程の圧倒的な覇気を放った幸村は、しかし、ライダーの眼前に足を振り上げた体勢で、微動だにせず止まっていた。
「ぐうっ! 何たる様か!? このような事でどうして片倉殿の仇が取れよう! 動けっ! 動かぬか俺の足!」
ようやくライダーも気づけた。
セイバーもライダーも全く気付けなかったのだが、真田幸村は最初の電車を跳ね返した際、両足に大きな損傷を負っていたのだ。
踏ん張りすぎたせいで、両足の腱が切断されてしまう程の。
にもかかわらず、ここまで苦痛の顔すら見せず、あまつさえ戦闘行為なんて真似をしてのけていたのだから言葉も無い。
足とは全ての挙動の源となる。事に力を込めた動きにはすべからく足にて重心を支える必要が出てこよう。
この両足が思うように動かぬ状態で、幸村はライダーを相手に戦い続けていたのだ。
この戦いを、主人である武田信玄や従者である猿飛佐助、ライバルである伊達政宗が見ていたならすぐにそれと気づいていたろう。
一に攻撃、二に攻撃、三四も攻撃、五も攻撃な幸村らしからぬ、受けに回る戦いであったのだから。
十文字槍も無い幸村が、最後の最後に必殺の手段として取っておいた蹴りは、やはり怪我のせいで威力を発揮する事は出来なかった。
「……これで終りはしませんよね、ユキムラ」
「無論っ。かくなる上は、ただ拳にて打ち倒すのみっ!」
幸村の剛腕が、地面を掬うように下から、ライダーの顎めがけて振り上げられる。
仰け反りざまに左手の忍者刀を振り上げるライダーだったが、距離が近すぎたのか、幸村が残った腕を振るうと容易く払い落とされてしまう。
この距離ではまずいと考えたライダーは後ろに下がろうともするのだが、幸村の猛攻が許さない。
右拳、左膝、左肘、再度右拳、右回し蹴り……本当に足に損傷を負っているのか疑わしくなるような暴れっぷりである。
しかし、ここで引き下がれぬのはライダーも同様である。
動きに致命的な損傷を負った手負いを相手に、弱腰で対するなんて真似をしていては以後何人を相手にしても強気には出られぬであろう。
忍者刀を振るい、とにかく手数を出すのだと幸村拳弾幕の隙間を這い抜けるように攻撃を差し込む。
二人はほとんど足を止め、その場にて打ち合っている。
それは幸村の望みでもあったが、ライダーがそうせんと仕向けた事でもあった。
「フジノ!」
満を持して藤乃へ救援依頼を送る。
幸村ならば、初見ですら藤乃の能力をかわしえたかもしれない。
だからこうして動きを止める状況を立ち上げねばならなかったのだ。
それも、一瞬では藤乃が能力を打ち込めない。継続して、藤乃がこれなら当たると判断し集中し放ち命中させるまでの間、動きが取れぬ状況をだ。
今ならば、これをかわさんと不用意な動きを見せればライダーは幸村に致命的な一撃を加える事が出来よう。
藤乃も理解しているのか、即座に幸村へと力を放つ。
「凶がれ!」
緑と赤の螺旋は、高速で幸村へと走り飛ぶ。
気配は察していたが、これに対応する余裕をライダーは幸村に与えていない。
二色の糸のようなそれが幸村の首にからまり吸い込まれると、藤乃の螺旋はそこでようやく、幸村に影響を及ぼす力へと変化した。
「ガッ! ぎぃっ!」
奇妙な悲鳴は、首をひねり上げられた故か。
呼気を妨げられれば、発する声にも変化が生じようものだ。
ライダーは感嘆の息を漏らす。
藤乃のこの力に晒されてなお、直後に斬りかかったライダーの刀は手の甲で器用にはじいてみせたのだから。
しかしそれもこれまでだろう。
藤乃は確実にかつ素早く行動を停止させる為に首を狙った。
その判断は間違っておらず、程なく幸村も動く事を止める。
それを油断と呼ぶのは酷であろう。
最早打つ手も無くなったはずの幸村が、絶叫と共にこれまでにない攻撃を仕掛けてくるなどと、誰が予想出来ようか。
「ぬううあああああああああああっ!」
喉の奥に詰まり捻りかかった何かを吐き出すように、腹の底から空気を吹き出す。
今にも千切れ飛びそうな程首と骨にかけられた圧力に、幸村は筋力のみで逆らっていた。
超常の力により首を曲げる、良かろう認めよう。
だが、だからといってただ曲げられるだけなどと断じて認めぬ。
真田幸村の体はその全てが幸村の意思に従う強固な集団であり、細胞の一片に至るまで鋼の意思を持って敵に抗う。
骨が曲がるのなら、周囲を囲む筋肉がこれを防ごう。
首そのものが曲がるというのであれば、曲がらぬ部位が逆に捻り上がる事でその力を無理矢理にでも無に帰してやろう。
理屈、理論、世の理、全ては後で考えればいい事だ。
幸村の肉体は、まず先に全てを制する言葉を手にしており、それ以外は所詮、もののついで程度であろう。
炎も、赤い閃光も、十文字槍も、技の数々も、全てはおまけ程度の認識で良い。
真田幸村は、強い男だ。
これが真っ先にある事実。全てに優先する万物の定理。
武器や技があるから強いのではない。強いからそれら装備が映えるだけだ。
アトラス院などに篭って人の未来を探す、そんな理詰めの世界に足を踏み入れるようになって、人は退化したのではなかろうか。
根源の渦を求め、様々な事柄から目を背け、生者から生ける事象へと変化を遂げてしまうような、それこそが究極とでも言わんばかりの求道姿勢は、真に正しく道へと居たる手段なのであろうか。
ここに真理を求めず、しかしただ強き男が居る。
まるで幼児のような夢を求め、しかしそれだけに純粋に、人の善意を信じ幸福な生を送る果報者。
力を得るのは根源に、より真理に沿った選択を繰り返したからこそ。
幸村の強さに、そんな理屈は必要無かった。
数百年の想いも、御大層な世界観も、考えに考え抜かれ計算し尽くされた最適な世界も、世界全てを揺るがすような大変革も、幸村の夢と比してより高級であり強い想いを宿しているなどという事は無かったのだ。
「俺は! 絶対に負けんっ!」
幸村の両腕にこれは明らかに見てわかる紅蓮の炎が渦を巻く。
ライダーは即座に回避行動に入るが、至近距離での乱打戦を挑んでいた事が裏目に出た。
幸村が腕から炎を放つと、鳳凰となった紅き想いは、ライダーのくぐもった悲鳴と共にビルの窓を突き破り中へとライダーを叩き込んだ。
轟音が収まり、ビルからぱらぱらとこぼれ落ちた瓦礫が落ち着いても、ライダーが起き上がってくる気配は無かった。
そちらには目もくれず、幸村は一点を凝視していた。
既に力を放ってはおらぬ、しかしどうしても解せぬ、許せぬと姿を表したのは浅上藤乃であった。
これは藤乃が追い詰めに追いつめられて手にした力。
敗北こそ喫したが、あの式にすら通用した強力無比な、藤乃だけの力のはずだ。
それが一切通じない。これを座して見過ごすなど出来ようはずもなかろう。
許せぬ理不尽に、藤乃は言の葉で抗う。
すげえ・・・ 支援
これは面白い…
「凶がれ!」
幸村の背筋が僅かに揺れ、体勢を崩しかける。
しかし、彼女が宣言したのは一体何だ。
曲がれと、真田幸村に曲がれと、命じて来たのである。
武田に仕え、忠節を尽くし武人として恥ずかしくない生き方を誇りに思ってきた幸村に、この女は「曲がれ」と命じたのである。
これに従うぐらいなら、胸元の六文銭をそこらの犬畜生にくれてやった方がマシである。
「曲がらんっ!」
断固として許さじ。一本通った武田の筋を、曲げられるものなら曲げてみろと幸村は胸をそびやかす。
「凶がれっ! 凶がれっ! 凶がれええええええええっ!!」
「曲がらんっ! 曲がらんっ! 曲がらあああああああんっ!!」
何度も何度も、藤乃は幸村を曲げんと力を込め、全てを受けて立った幸村は、最後の最後までこれを許さなかった。
遂に疲労からか膝をつく藤乃。
顔を伏せては危険だともわかっているが、それでも、もう首をあげている事すら出来なかったのだ。
だから、とさっと布の塊を地に落としたような音が、何の音だったのか最初は良くわからなかった。
「……え?」
心底煩わしげに首を上げると、そこに居たはずの青年の姿は無い。
いや、仰向けに、大地に寝転がっているのが彼だろう。
意味が全くわからない。
両手を広げ、天を見上げたまま、何やら呟いている。
藤乃には最後までこの意味が理解出来なかった。
ひょっとして次スレ待ち?
今から立てるからちょっと待ってて
「凶がれ!」
幸村の背筋が僅かに揺れ、体勢を崩しかける。
しかし、彼女が宣言したのは一体何だ。
曲がれと、真田幸村に曲がれと、命じて来たのである。
武田に仕え、忠節を尽くし武人として恥ずかしくない生き方を誇りに思ってきた幸村に、この女は「曲がれ」と命じたのである。
これに従うぐらいなら、胸元の六文銭をそこらの犬畜生にくれてやった方がマシである。
「曲がらんっ!」
断固として許さじ。一本通った武田の筋を、曲げられるものなら曲げてみろと幸村は胸をそびやかす。
「凶がれっ! 凶がれっ! 凶がれええええええええっ!!」
「曲がらんっ! 曲がらんっ! 曲がらあああああああんっ!!」
何度も何度も、藤乃は幸村を曲げんと力を込め、全てを受けて立った幸村は、最後の最後までこれを許さなかった。
遂に疲労からか膝をつく藤乃。
顔を伏せては危険だともわかっているが、それでも、もう首をあげている事すら出来なかったのだ。
だから、とさっと布の塊を地に落としたような音が、何の音だったのか最初は良くわからなかった。
「……え?」
心底煩わしげに首を上げると、そこに居たはずの青年の姿は無い。
いや、仰向けに、大地に寝転がっているのが彼だろう。
意味が全くわからない。
両手を広げ、天を見上げたまま、何やら呟いている。
藤乃には最後までこの意味が理解出来なかった。
『幸村っ!』
「お、館様……」
『幸村あああっ!』
「お、や、かた、さま……」
『幸村あああああっ!』
幸村が筋肉の力で抗ったとて、首や骨格にかかった圧力が消えてなくなるわけではない。
「おやかたっ、さまっ……」
それらは藤乃必死の集中により、幸村の骨をすら砕く程にまでふくれあがっていた。
『幸村あああああああっ!』
首を筆頭に、背骨、肋骨、胸骨、ほか諸々、圧力に抗しかねて砕け散った骨の数々。
「お館さま……」
武田軍最強と謳われし勇者真田幸村とて、これだけの傷を前に、命を保つ事出来はしなかった。
『幸村ああああああああああああああっ!!』
「……お、やか、た……さま……」
【真田幸村@戦国BASARA 死亡】
【残り50人】
意識を取り戻したライダーは、呆然と立ち尽くす藤乃の肩を叩く。
ようやくライダーの存在に気付けたのか、藤乃は驚いて振り返った。
「あ、あの……私……」
ライダーは倒れる幸村を見て、その怪我から戦闘の経緯を推察する。
そして口元を、彼女にしては珍しく、打算の無い穏やかな気配と共に緩める。
「フジノ、誇っていいですよ。私達は勝ったのですから」
藤乃は誰かにそう言って欲しかったのだ。
決着なぞ何処でつくのかもわからないし、自分だけで勝てたとも思えなかったし、自分の力がこの結果に貢献していたと信じたくもあったのだ。
「ライダーさん、その……」
全てを認めてもらえた藤乃は、もう長い間、地の底を這いずるような薄気味悪い感覚と共に、忘れ去っていた簡単な事を思い出す。
誰かと一緒に何かを成し遂げる。
一人だけではない、他人とそう出来るというのは、何処かくすぐったいような心地良さがあった。
しかし、この気持をどう表現していいのかがわからない。
ライダーには是非伝えたい、そう、本心から思っているのに言葉が出て来ない。
「ん? どうしましたフジノ?」
「あ、あの……あり、がと」
今の藤乃にはこれが精一杯である。
笑みを深めるとライダーは次なる動きを宣言する。
「これは好機です。このままセイバーの追撃に移りましょう。アレが魔力を回復する前に討ち果たすのです」