あの作品のキャラがルイズに召喚されました part261

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら? そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part260
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1257509460/
まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃  `ヽ   .  ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2日替わりの人 ◆VZdh5DTmls :2009/11/28(土) 21:54:21 ID:UvAajSNm
新スレも立てられたことですし、投下します。
 
 ――目の前で、父が二匹の魔物に嬲られている。

 間断なく耳に響く、肉を打つ打撲音。
 全身を蝕む、疲労と鈍痛という名の束縛。
 首筋に当てられた、冷たい刃の感触。

 魂が永遠に地獄をさまよう――刃の主は、確かにそう言った。
 字すら読めない無学な子供である彼には、その言葉の意味はわからなかったが――それがとても恐ろしいことであることだけは、なんとなく理解できた。
 だが、このままでは目の前の父が命を落としてしまう。彼にとって、それは自分が死ぬことよりも、よほど恐ろしいことに思えた。
 しかし、彼は拘束から抜け出せない。彼を拘束する腕は、骨と皮で出来ているかのように細かった。なのに、その見た目からは信じられないほどの膂力でもって、彼の動きを封じている。
 極度のダメージのせいで思うように動けない体では、その束縛から逃げることはおろか、自ら死を選ぶことすらままならなかった。

 やがて――数え切れないほどの攻撃を受け続けていた父は、ついに膝を折った。

 どさりと音を立てて倒れる頑強な肉体。ゆっくりと床に広がる赤い水溜り。喉の奥から吐き出された父を呼ぶ声は、自分のもののはずなのに、なぜか遠く感じた。
 しかし、父はそんな体でなお、残った力を振り絞って立ち上がった。
 自らの死期を悟り、息子に最後の言葉を残そうとする父。



 だがヤツは――アイツは、そんな父に最後まで言わせることなく――






                                『メラゾーマ』






「――――ッ!」

 ハッとなり、リュカは大きく目を見開いた。
 最初に視界に飛び込んだ景色は、薄暗い遺跡の中――ではなく、あまり良い造りとは言えない狭い寝室であった。
 そこでやっと、彼は自分が眠っていたことを思い出した。あまりゆっくりと寝ていられるほど暇ではないので、ベッドではなく椅子に座っての仮眠である――もっとも、仮眠のつもりだったのが、夢を見る程度には深く寝入ってしまっていたようであったが。

「……あの時の夢、か。随分と久しぶりに見たもんだ……」

 ひやりとしたものを胸に感じて手を当ててみれば、湿った感触が手に伝わった。
 どうやら寝汗をかいていたようである。夢見が悪かったのもあり、あまり良い気分ではない。
 部屋の外を見てみれば既に日は昇っているようで、随分と明るかった。だが、いまだ早朝と呼ばれる時間帯であろうことは、日差しの角度や妙に静かな街の雰囲気で、察することはできた。

 ――ここはラ・ロシェール。アルビオン行きの船が出港する、トリステインの港町である。

 リュカが仮眠を取っていたのは、その街にある宿屋の一つ『金の酒樽』亭の一室である。
 彼は昨晩、クックルとメッキーから報告を受けてすぐ、プックル、シーザー、ホイミンを連れて魔法学院までルーラで飛んだ。そして就寝前のオスマンに事情を話してアルビオンまでの道を尋ね、シーザーの翼でラ・ロシェールまでノンストップで飛んで来たのだ。
 急いだ甲斐もあり、ここに辿り着いたのは夜明け前。そして街に入れないプックルたちを残し、一旦休憩を取ろうと適当に選んだ宿が、ここであった。
 通貨が違うせいで宿泊代金には交渉が必要だったが、『珍しい異国のコイン』というフレーズを武器にどうにか交渉を成立させ、部屋を取ることに成功した。

「そろそろ行くかな」

 つぶやき、リュカは手早く身支度を整え、多くない手荷物を持って部屋を出る。そのまま宿を出るために階段を下りると、酒場へと出た。
 この宿は、一階が酒場を兼ねた食堂となっている――のだが、階段を下りたリュカの視界に飛び込んできた景色は、酒場でも食堂でもなかった。その景色に一番近い表現は『廃墟』とでも言ったところだろうか。
 というのも、その酒場はまるで竜巻が店内を蹂躙したかのように、ありとあらゆる物品が散乱していたのだ。
 
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 21:55:20 ID:NMglEK3I
シエンスタ
 
「あー……」

 その惨状を見て、リュカはちょっとバツが悪そうに頬を掻く――実のところを言えば、その惨状を生み出した責任の半分はリュカ自身にあった。
 ちらりと酒場の脇に視線を向ければ、数えるのも馬鹿馬鹿しいぐらいの無数の男達が、死屍累々と床に横たわっていた。そいつらこそが、『責任のもう半分』のならず者たちである――ちなみに死者はいない。
 そんな中で無事なものといえば、カウンターとそこから向こう側ぐらいなものである。

 ――床に転がっている男達は、つい昨晩ルイズたちを襲撃した傭兵たちであった。

 昨晩、適当に見繕ったこの宿には、先客がいた。
 それは、昨晩の襲撃に失敗した傭兵たち。彼らは一見して金を持っていそうな出で立ちのリュカを見るなり、鬱憤晴らしも兼ねて強盗目的で襲い掛かったのだが……いかんせん相手が悪い。
 相手はたかが一人、貴族だろうとメイジだろうと、この人数には太刀打ちできない――とでも思ったのだろう。だが結果は現在の惨状が物語る通り、返り討ちである。
 そうやって自業自得とも言える状況に晒された傭兵たちは今、「つ、強えぇ……」だの「今日は厄日だ……」だの「俺、もう傭兵やめる……」だのと口々に呻いていた。そろそろ何人かが目を覚ましているらしい。
 また、彼らがルイズたちを襲撃した張本人たちであったことは、リュカにとっても都合が良いことだった。少し締め上げただけで、欲しい情報がすぐに手に入れられたからである。
 結果、情報収集に費やす予定だった時間を、丸々休憩に充てることができた。

 ――ルイズたちが乗り込んだ船は、順調ならば昼前にはスカボローの港に到着する。
 そこから王党派が立て篭もるニューカッスル城まで、馬で約一日――

 町の人々が活動を始める頃にでも出発すれば、シーザーの翼ならば上手くすればスカボローで合流できる。そうしたら、勝手な行動を取ったレックスたちを軽く叱ってやった上で、ルイズたちに協力すればいい。
 そんな予定を立てるリュカは、ゴールド金貨の詰まった麻袋を一つ取り出し、店の修繕費と迷惑料のつもりでカウンターの向こうに投げ入れ、宿を後にした。



 ――だが――
 まさかリュカも、まったく同じタイミングで自分と同じ夢を見ていた人間がいたなどとは、露にも思っていなかった。



 時刻は少々遡り、リュカが目を覚ましたのとちょうど同じ頃、その『同じ夢を見ていた人間』はといえば――

「――きゃあああああっ!」
 
 その人物――ルイズは、絶叫と共にガバッと身を起こした。
 その声に、傍にいた双子の視線が集中する。だが彼女はそれに気付かず、キョロキョロと怯えたような様子で周囲を見回した。
 右を見れども左を見れど、目に映るのは船の甲板の景色のみ――

「……え、夢……?」

 ややあって、今まで見ていたのが夢であることに気付き、ホッと安堵の息を漏らす。

 ――敵の襲撃を退けたあの後、ワルドは停泊していた貨物船の船長と交渉した。
 交渉の結果、貨物の運賃と同等の金額、そして『風』のスクウェアたる彼自身が足りない風石の代わりとなることを条件に、即出発することになった。
 本来無関係なキュルケとシャルロットはともかく、ギーシュを残すことに後ろ髪が引かれる思いがなかったわけではない。
 しかし襲撃者の大半を無力化したとはいえ、桟橋に来てまで襲撃された以上、馬鹿正直に朝の出港まで待とうものなら二度目、三度目の襲撃が来ないとも限らない。
 そういうわけでギーシュを残して港を出た一行は、疲労から船室に案内されるのを待てず、舷側に座り込んで眠ることになった。もっとも、貨物船である以上まともな客室などあるはずもなく、たとえ案内されたとしても乗組員の粗末な船室ぐらいしかなかっただろうが。

 ともあれ、それがルイズの今置かれている現状である。決して、薄暗い古代遺跡で魔物に嬲られるような、悲惨な状況ではなかった。

「どうしたの? 嫌な夢でも見た?」

「ん……そんなところ。大丈夫よ、なんでもないわ」

 心配そうに覗きこむレックスにそう答えると、彼は「そう?」と小首を傾げただけで、それ以上追究はしなかった。
 
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 21:59:09 ID:UVixnPCi
支援
 
 ――いったい何だったんだろうか、今の夢は。

 一人の戦士が、見るも醜悪な二匹……いや、三匹の魔物に、よってたかって嬲り殺される夢。
 夢と言うには、あまりにも生々しいリアルな夢。首筋に触れる刃の冷たさも、全身を蝕む鈍痛も、耳に届く痛々しい打撲音も、そして――鼻をつく血の臭いすらも、全てが濃密に再現されていた。
 自らの大切な者を人質に取られ、何の反撃も許されずに殺される戦士の死に様は、無惨と言うにはあまりにもむごいと言えた。
 だが――ルイズにはその夢の中で、何よりも気にかかることがあった。

 あの嬲り殺されていた戦士は……最後に自分に向かって、『リュカ』と呼んでいなかったか?

(だとすれば、今の夢はまさか――)

「ねえ! それよりも見てよ、あれ!」

 思索に耽るルイズの耳に、興奮したレックスの声が響く。
 その声にルイズは考えるのを中断し、ゆっくりと立ち上がりながら彼が指差す先に視線を向ける――そこには、巨大という表現では飽き足らないほどに巨大すぎる、雲に包まれた岩塊の姿があった。
 岩塊の上には山がそびえ、その端から滝が落ちているのが見える。滝は途中で雲に変わり、岩塊の下半分を完全に覆い隠していた。
 これこそが、『白の国』アルビオン。こうやって雄大な姿を確認できる以上は到着も近いような気になるが、実際にスカボローの港に到着するのは何時間も先だ。つまり、それほどの距離が離れていながらも、これほど大きく見えるということだ。
 その事実だけでも、この浮遊大陸がどれほどの大きさかは類推できるだろう。

「すごい、すごいよ! 島がまるごと空飛んでるよ! あれに比べれば、天空城がショボく見える! こんなの初めて見た!」

 しきりに「すごい」を連呼しては笑うレックスに、ルイズも思わずつられて笑う。もし今、世界が平和になったからと職務放棄して人間に成り下がったどこぞの駄竜神がこの台詞を聞いたら、思いっきり顔をしかめたことだろう。
 子供らしくはしゃぐレックス。その様子に微笑ましさを感じていたルイズは、ふと彼の腕についた傷に気付いた――そして思い出す。彼が昨晩、敵のライトニング・クラウドをまともに受けていたことを。
 彼はその上でなお攻撃の手を緩めずに敵を撃退し、更にはその傷まですぐに治してしまったが――

「ねえ、レックス……その傷」

「え? あ……完全に治ったわけじゃなかったのか。ま、いいや。一晩休んだし」

 言われて初めて気付いたかのように言うと、そのまま傷を放置した。
 ルイズはそんな彼の様子に一つため息を漏らし、懐からハンカチを取り出す。彼女は「ちょっとじっとしてなさい」と言って、そのハンカチをレックスの腕に巻いた。

「これでよし。傷をそのまま放っておくのは良くないわ」

「…………」

「ん?」

「あ、な、なんでもない」

 いきなり黙り込んだレックスに疑問の視線を向けるが、彼はどもりながら視線を逸らした。その頬は、若干赤く染まっていた。
 そんな彼の横顔を見ながら、ルイズは疑問に思う。日常で見せる、歳相応の元気な笑顔。戦闘の時に見せる、どこまでも頼りになる戦士の横顔。一体どっちが、彼の本当の顔なのだろうかと。

「ねえ、一つ聞いていい?」

「な、何?」

「ゆうべ、敵のライトニング・クラウドを受けたけど……その、痛くなかったの?」

 その問いに、顔を赤く染めていたレックスの顔が、途端に真剣なものになる。ルイズにハンカチを巻いてもらった箇所に視線を落とし、そこを手で押さえた。

「……もちろん、痛かったよ。すっごくね」

「でも、そんな素振りも見せずに攻撃してたわよね?」

「そりゃあ、ボクは死んでなかったから」
 
 
「……死んでなかったから?」

 さも当然とばかりのその言葉に、ルイズは怪訝そうに眉根を寄せた。
 死んでなければ攻撃できる――レックスの言うそれは、ルイズには極論以外の何物でもないように思えた。

「死んでなかったら、どんな状態でも戦えるってこと? そんなわけないじゃない」

「ところが、そんなわけあるんだよ。少なくともボクにとっては。心臓が止まるその一瞬まで諦めずに、勝利をもぎ取るために足掻き続ける――それぐらいの覚悟じゃないと勝てない敵、痛がってる暇すら許されない戦いを、ボクは経験してきたから。
 だからボクにとっては、死んでないってことは、イコール戦えるってことなんだ」

「そんな……」

 真剣な戦士としての表情で語るレックス。その言葉に、ルイズは二の句が告げられなくなった。
 レックスはいまだ11歳。まだまだ遊びたい盛りの子供である。そんな子供の口から、こんな言葉が飛び出してくる――その事実に、彼がどうしてここまで強いのかを、ルイズはなんとなく察した。
 だがそれと同時、これほどの強さを持つ彼がそんな修羅場を経験しなければならない事態とは一体何かと、想像するだけでも背筋の凍るような思いになる。そしてそんな修羅場に、なぜこんな子供が放り込まれなければならなかったのか、ということにも疑問を覚えた。
 並んで立てば、ルイズの方が肩の位置がわずかに高い――それを思えば尚更だ。
 そんな彼の小さな腕は、しかしそれほどの修羅場を潜り抜けた証拠だとばかりに逞しく、あの落下する中でルイズを仔猫のように軽々と受け止め、抱き上げていた。
 子供とはいえ、異性に抱き上げられた――その事実を思い出し、しかもそれほど嫌な気分ではなかったことに、わずかに頬が熱くなる。だがそんな微妙な心中はとりあえず脇に置いておき、レックスとの会話を続ける。

「レックスは……それでいいの?」

「いいも何も、それがボクに与えられた使命だったから。みんなが笑顔で日々を過ごすために、ボクだけが出来ることだったから」

「何よそれ?」

 使命――唐突に出てきたその単語に、ルイズは眉根を寄せた。
 だがそんな彼女の疑問に、しかしレックスはすぐに口を開くことなく、ポリポリと頬を掻きながら「んー」と言葉を濁した。

「ん……何と言われても、もう終わったことなんだけどね。今のボクには使命も何もない、激しい死闘を経験したことがあるってだけの、ただのレックスだよ」

「……そこは『ただの子供』って表現するところじゃないの?」

「ボクもう子供じゃないもん」

 揚げ足を取るかのようなルイズのツッコミに、レックスはぷぅと頬を膨らませて反論した。その反応が本人の言葉とは裏腹にいかにも子供っぽく見え、ルイズは思わずぷっと噴き出した。
 なんだかんだ言っても、やはり根っこの部分は子供である。色々と普通じゃないレックスにもそんな普通の部分が残っていることを再確認し、彼女は少しだけ安心した。
 だがレックスは、ルイズのそんな心の裡など気付いた様子もなく、その反応に「あーっ! 笑ったなー!」と騒ぎ出した。しかしルイズはそんな反応ですら微笑ましく思えてしまい、「はいはい」と苦笑するばかりである。

 と――ルイズはその時、隣で横になっているタバサに気付いた。

「で、それはそれとして……そっちはどうしたの?」

 ルイズが首を傾げるのも無理はない。タバサは横になっているものの眠っているわけではなく、むしろ今までずっと起きてたかのように目に下に隈が出来ている。よく見ればガタガタと震えていて、顔色もあまり良くはない。
 風邪でも引いたのか――そんなことを考えながら、続く言葉を口にしようとしたその時。

「こ、怖いんです……」

「え?」

「私、高いところ苦手なんです」

 その返事だけで、ルイズはだいたいの事情を察することができた。だったら、わざわざ皆と一緒にこんなところにいないで、無理を言ってでも船室の方を借りてればいいのに――と思う。というか、こんな調子であの浮遊大陸アルビオンに行って大丈夫なのか。

 と、そんな心配が脳裏をよぎった時――鐘楼に登った見張りの船員が、大声を上げた。

「右舷上方の雲中より、船が接近してきます!」
 
 
 その声に、船全体に緊張が走った。ルイズとレックスは、見張りの船員が示す方向に視線を向ける。
 そちらには、確かに船員の言葉通り、こちらに接近してくる船の姿が見えた。この船――『マリー・ガラント』号よりも一回りも大きく、舷側に開いた穴からは、二十門を越える大砲がこちらに照準を定めていた。

「いやだわ……反乱勢、貴族派の軍艦かしら」

「敵?」

「たぶん」

 ルイズのつぶやきに反応したレックスの問いに、彼女は曖昧に答えた。それを受け、レックスは剣に手をかける。
 レックスがその気になれば、連中が近付いた頃合を見計らい、大砲を撃たれる前にライデインで一掃することも可能だろう。事実、彼はそれをする気であった。
 だが――

「……やめて、お兄ちゃん」

「タバサ?」

 妙に弱々しい妹の声を耳にし、レックスは振り向いた。足を拘束されているような感覚に、そのまま視線を下に落とす。
 すると、そこでは――床に這いつくばったまま、レックスの右足に両手でしがみ付くタバサの姿。顔は完全に青褪め、今にも泣きそうな様子であった。

「何考えてるのかわかるけど、それだけはやめて。もし……もし万が一、お兄ちゃんがあいつらをやっつける前に大砲が撃たれたら、この船落ちちゃうよ。そうなったらって考えるだけで、私……怖い」

「大丈夫だって」

「いや。お願い」

 涙目で必死に訴えてくる妹に、レックスは肩をすくめた。
 天まで届くほど高い塔に昇ったこともあれば、それと並ぶほどの高山の山頂に、竜神の背に乗って飛んで行ったこともある。そんな経験をしておきながらも、彼女の高所恐怖症は治る兆しさえ見せない。
 そういえばあの時も、怯えるタバサを落ち着かせるのに大変だったなぁ……などと昔を懐かしみながら、レックスはやれやれと抜きかけた剣を鞘に戻した。

「とりあえずは様子見……かな」

 ぽつりとこぼしたレックスの意見に、ルイズもタバサも異論はなかった。
 そしてその頃には、ルイズの頭の中からは先ほど見た不吉な夢のことなど、完全に忘れ去られていた――



 ――そして、その後――

 ルイズが空賊の頭目に物怖じせずに啖呵を切ったり、レックスがそれを煽ったり、実は頭目の正体が王党派のウェールズ皇太子だったりと色々あり、ほとんど結果オーライ的な流れで一行は最終目的の人物と接触することができた。
 そんなわけで、王党派が立て篭もる最後の砦であるニューカッスル城――その真下の秘密の港に、ルイズたちは案内されることとなった。



 そして、数時間後――ルイズたちを乗せた『マリー・ガラント』号がウェールズ率いる『イーグル』号に拿捕された、ちょうどその空域にて。

「だいぶ近付いて来たわね」

 眼前に広がるアルビオンを見上げ、シルフィードの背に乗ったキュルケはぽつりとつぶやいた。
 今この場にいるのは、シルフィードに乗ったシャルロット、キュルケ、ギーシュの三人。そしてオマケで、シルフィードに掴まれてぶらーんとぶら下がっている、ギーシュの使い魔のジャイアントモール――ヴェルダンデ。
 ギーシュが言うには、彼ら一行が用があるのは、アルビオンの王党派らしい。ラ・ロシェールで傭兵の一団を退けて後顧の憂いを断った三人は、そのままシルフィードの背に乗ってルイズたちを追うこととなった。
 今現在、アルビオン王党派の所在地はニューカッスル城ただ一つ――つまり、そこまで追い込まれているということである。目的地はわかりやすいので、ルイズたちの道行きが順調ならば、どこかで必ず合流できるだろう。
 もっとも――わかりやすいはいいのだが、この状況では急がなければならないだろう。王党派はもはや、明日にも壊滅する見込みだ。
 
10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:03:39 ID:gSUpTXoB
支援!
 
「で――ここまで巻き込んでおいて、結局任務内容は話してくれないわけ?」

「勝手に首を突っ込んだのは君たちだろう。それにこれは密命なんだ。ぼくをアルビオンまで運んでくれるのは感謝するけど、それとこれとは話は別。さすがに話せないものは話せないさ」

 普段は口の軽いギーシュにこうまで言われては、さすがのキュルケも諦めざるを得ない。仕方ないわねとばかりに肩をすくめ、それ以上は追究しないことに決めた。
 そしてその代わりに、今度はシャルロットの方へと話を振る。既にだいぶ高くなっている太陽を見上げながら、「あとどれぐらい?」と尋ねた。

「ニューカッスルまで、直線距離なら風竜で半日もかからない。けど、アルビオンのほとんどは既にレコン・キスタの手の内。警戒網を潜り抜けながらだと、早くても明日の未明」

「遅ければ?」

「王党派の壊滅に間に合わない」

「そ、それは困る!」

 キュルケの追加の質問に淡々と答えたシャルロット。その返答内容に焦ったのは、当然ギーシュであった。
 ぎゃーぎゃーと騒ぎ出すギーシュを無視しながら、キュルケは「急いで」とシャルロットに伝える。彼女もわかったもので、コクリと小さく頷いてシルフィードに指示を送った。

 と――

「タバサ、後ろから何か来るわ」

 唐突に、キュルケが後方下に視線を向け、シャルロットに警戒を促した。
 その言葉に、シャルロットとギーシュは同時にキュルケの視線の先を追ってみる。
 すると――彼女たちの目に映ったのは、一直線にこちらに向かってくる『金色の何か』の姿。
 翼で風を打ち、大空を羽ばたいてやって来るそれは――

「あれは……まさかドラゴン? ということは、もしかして貴族派の竜騎士!?」

「いえ、あれは確か――」

 ギーシュはそれがドラゴンと見るや否や、最悪の展開を予想して青褪めた。しかしキュルケは対照的に落ち着いた様子で、記憶の中からそのドラゴンについての心当たりを探し出した……というより、あのサイズの金色のドラゴンなぞ、彼女の記憶には一匹しかいない。
 だがキュルケがその答えを口にするよりも早く、くだんのドラゴンは凄まじいスピードでシルフィードに迫り――そして急ブレーキをかけ、彼女たちの目の前で停止した。シルフィードが驚いたように「きゅい!」と鳴き、ギーシュが「わわ!」と腰を抜かす。
 だがキュルケは、目の前までやってきたそのドラゴンの姿に、自身の予想が正しかったことを確信した。

「やっぱり……シーザー! っていうことは――」

「君らは……キュルケとタバサ? なんでここに?」

「ダーリン!」

 シーザーの背からひょっこりと顔を出したリュカを見て、キュルケは嬉しそうに歓声を上げた。リュカの傍にはプックルと、あとは初めて見る青いクラゲのような生き物がいた。
 だが、彼らは一様として初めて見る格好をしていた。シーザーは胸当てと兜を、プックルもデザインは違うが同様に兜と、更にルイズも着ていた水の羽衣を身に付けていた。もう一匹も水の羽衣、帽子、盾を装備して、一見してよくわからない見た目である。
 無論、彼らを率いるリュカ自身も、普段の格好ではない。いつものターバンは巻いておらず、マントは惚れ惚れするような見事な一品になっており、光り輝く盾を持ち、背負っている大きな杖はドラゴンの頭部を模した形状をしている。

「ねえ、ダーリン……その格好は?」

「だからダーリンはやめてって何度も……まあいいや。ちょっと手違いがあってルイズと一緒に行けなかったから、急いで追いかけてるところだよ。状況が状況だし、事によったら戦場に突っ込むことにもなると思うから、こんな格好になったってだけさ」

「さすがにルイズも、五万に突っ込むような無茶はしないと思うけど……確かに備えは必要ね」

 リュカの説明に、キュルケは得心がいったとばかりに頷いた。
 正直、盾や兜はともかく、マントや羽衣に鎧以上の防御効果があるとは思えなかったが――リュカがそう言って用意したものであるならば、それらもおそらく見た目通りではあるまい。
 
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:05:08 ID:QD1ntreJ
>天空城がショボく見える!
ああ、哀れプサン・・・
 
「で、最初の質問に戻るけど、そっちはどうしてここに?」

「ああ、それはぼくが話そう」

 キュルケの質問に答え、最初の質問を改めて繰り返したリュカに、ギーシュが説明を買って出た。
 ラ・ロシェールの街で起きた出来事を掻い摘んで――多少、自分の活躍に脚色を加えてはキュルケにツッコミを入れられていたが――話し、ルイズとワルドの二人が先行したこと、そしてレックスとタバサが少し遅れてそれを追ったことを話した。
 そして最後に、自分たちがそれを大幅に遅れて追っているという話で、締め括った。

「なるほど……つまりレックスたちは、変わらずにルイズの傍にいるわけだね?」

「ラ・ロシェールに取り残されてた形跡はなかったから、無事に追い付いたと見て間違いはないと思うけど」

「あの二人がついていれば、さほど心配はないだろうね。実力だけで言えば、あの歳で既に達人レベルを超えているから」

「……みたいね。魔法衛士隊の隊長を一蹴した時は、開いた口が塞がらなかったわ」

 リュカの言葉に頷いたのは、キュルケである。先日の決闘の様子を思い出したのか、感心を通り越して呆れている様子であった。
 そして、リュカはそれから少し口を閉ざし、彼女たちから聞いた話を頭の中で整理する。それも数秒と経たずに終わり、結論が出たらしい彼はアルビオンの方に視線を向けた。

「さて――それじゃ僕は、これからスカボロー……だっけ? そこに向かって、可能ならルイズたちと合流するつもりだけど、君らはどうする?」

 その問いかけに、キュルケたちは顔を見合わせた。先ほど、あっさりとシルフィードに追い付いたシーザーの速度からすれば、スカボローまではさほどかかるまい。
 だが――

「……あなたはスカボローに行かない方がいい」

 リュカの問いに答える代わりにタバサが口にしたのは、警告であった。その内容に、リュカは「?」と首を傾げる。

「シーザーは目立ち過ぎる。今アルビオンは、ニューカッスル城を除いて全てがレコン・キスタの勢力下。何の警戒もなしにスカボローに行けば、きっと面倒なことになる」

「なるほど……それじゃ、直接ニューカッスルに向かった方がいいってことか。仮に追い抜いてしまうことになるとしても、そこで待ってればルイズたちもやって来る」

「でも、ニューカッスルはレコン・キスタに包囲されてる。それも難しい」

 シャルロットの意見に、リュカは考えを改めて計画を練り直す。しかしシャルロットは、それも難しいことを指摘した。
 もっとも、その条件は先行しているルイズたちも同様である。予定通りにスカボローに着いていれば、どうやってニューカッスル城に入城するかという最後の難題が待ち構えていることだろう。
 まあ、実際はそんな難題もスルーして、王党派の導きで既にニューカッスル城に直接向かっているところなのだが……ここにいる彼女たちには知る由もないことである。
 しかしそんなシャルロットの指摘にも、今度はリュカも考える素振りを見せず、自信ありげに笑って見せた。

「五万と言っても、そのほとんどは『ただの人間』だろう? 全滅させに行くわけじゃないんだから、突っ切るだけなら苦労はないよ。強大な魔物ひしめくエビルマウンテンでミルドラースに向かって突き進んでいた頃を思えば、楽な道行きだろうさ」

「……は? エビルマウンテン? ミルドラース? なんの話?」

「こっちの話。で――ついて来るかい?」

「やめとく」
 
 
 リュカの誘いに、シャルロットは即座に首を横に振った。さすがに、その無茶な提案には乗る気にはなれない。逆に、無謀だと言って止めようかと思ったぐらいだ。
 しかしそんな無謀も、彼が笑って言えば可能と思えるから不思議である。彼が「そう? じゃ、また後でね」とあっさり引き下がって去ろうとしたその背を、引き止める言葉は出てこなかった。
 ばっさばっさと翼をはためかせ、シーザーがアルビオンに向かって去って行く――その後ろ姿を見送りながら、キュルケがぽつりとつぶやいた。

「……ギーシュ、あんた一緒に行けば良かったんじゃない?」

「冗談じゃないよ」

 彼の自信が根拠あってのことであろうとも、あくまでも一般の学生に過ぎないギーシュには、それに付き合うだけの実力も度胸もなかった。
 もっとも――付いて行って命を落としたとしても、リュカからすれば「後でザオラルすればいいや」程度の認識であっただろうが。





 それから時は流れ、更に数時間後――日が暮れ、夜の帳が落ちた頃。

「いよいよ明日で終わりますね」

 王党派が最後に立て篭もるニューカッスル城を包囲する貴族派『レコン・キスタ』軍――その旗艦たる『レキシントン』号の甲板の上で、盟主たるオリヴァー・クロムウェルはぽつりとつぶやいた。
 先ほど、明日の正午に攻撃を開始する旨の最後通告を、王党派に突き付けたばかりである。それが終われば、貴族派の圧倒的勝利でアルビオンは我が物となるだろう。
 しかしその呟きに、隣に立つ人物――彼の秘書官たる『シェフィールド』は「ほっほっほっ」と笑った。

「終わり? 何をおっしゃいますか。アルビオンが手中に収まれば、次はこのハルケギニアの全てを制圧しにかかるのですよ。むしろ、始まりに過ぎません」

「そう……そう、ですな。始まりです。ハルケギニアを一つにして聖地を奪還するという我々の使命は、いまだ始まってすらいないのでしたな」

「そうですよ、役者も揃っていないことですしね。ほっほっほっ……このわたくしが『ミョズニトニルン』として呼ばれた以上、『ヴィンダールヴ』はおそらく――いや間違いなく、“彼”以外にあり得ません。いやはや、再会が待ち遠しいですよ……役者が揃う、その時が」

「彼……?」

 クロムウェルには理解しがたいことを言い始めた『シェフィールド』の台詞に、眉根を寄せた。
 その時――ざわざわとしたどよめきが周囲に広がり、行き交う靴音がバタバタと耳に届き始めた。にわかに慌しくなった艦内の様子に、クロムウェルは怪訝な表情になる。

「……何事です? そこの人、止まってください! 何が起こってるのですか?」

 ちょうど近くを通りかかった乗組員を呼び止め、事情を聞く。司令官に直接声をかけられたことで、その人物は足を止め、緊張した様子で直立不動になり、敬礼した。

「はっ! ただ今入った報告によりますと、後方より所属不明の竜騎士が一騎、我が陣営に突入してきたとのことです!」

「一騎? たかが一騎で、どうしてこの『レキシントン』号まで報告が届くのですか?」

「それが……再三の警告にも応じないのみならず、撃墜しようとした我が軍の竜騎士たちが軒並み返り討ちに遭い、更には信じられないスピードでこの『レキシントン』号に接近しているらしく――」

「所属不明の竜騎士、左舷後方より接近!」

「も、もうここまで!? 持ち場に戻ります!」

 急いで敬礼し、慌しく持ち場に戻る男の背を見送って、クロムウェルと『シェフィールド』は左舷の方へと移動した。
 
 
 船の縁から見てみれば、護衛艦の大砲が、乗組員のメイジらが放つ魔法が、雨あられと降り注ぐその中心で――それらを物ともせずに突っ込んでくる、黄金の鱗を持った巨竜の姿が見えた。その背には三つの影が見える。
 さすがに全てを回避しているはずもなく、いくらかは命中しているものの――そのたびに光が竜を包み込んで傷を癒していた。その光の発生源は、竜の背にいる三つの影の一つ、小さな青いクラゲっぽい生き物であった。
 その竜騎士は、撃墜される様子を見せず、どんどんと『レキシントン』号に近付いてくる。

 ――そして、『シェフィールド』は――

「ほっ――」

 いつもより1オクターブは高い声が、その喉から漏れ――

「ほっ、ほっ、ほっ――」

 若干、引き攣ったような笑い声を形成し――

「ほっほっほっ……ほーっほっほっほっほっ!」

 唐突に肩を震わせ、大声で笑い出した。

「シェ、『シェフィールド』殿……?」

 その尋常ならざる様子に、クロムウェルは一歩後ずさりながら、怪訝そうに声をかける。
 しかし『シェフィールド』はそれに答えず、しきりに笑い続け――やがて、竜騎士がまさに『レキシントン』号に最接近してきた頃にその笑い声を止め、口を三日月のような形にしてニタリと笑った。

「ほっほっほっ。噂をすれば影とは、よく言ったものですね……まさか、こんなところで会えるとは!」

 感激しているかのように言う『シェフィールド』。その視線の先にいる竜、その背中にいる男、猛獣、クラゲ――彼らは『風』の魔法、炎や吹雪のブレス、更には広範囲に迸る紫電などを放ち、周囲の竜騎士を撃墜している。
 そして、それを見る『シェフィールド』は――

「……手ぬるい。手加減してますね」

 嘲るような言葉を放ち、横にいるクロムウェルが「は?」と眉根を寄せた。しかし『シェフィールド』は、そんなクロムウェルの様子に構わず続ける。

「彼らに撃墜された竜騎士たちは、おそらく一人として死んではいないでしょう。相変わらず甘い人ですね――ですが、それでこそ“彼”です。
 こんな戦場にいながら甘さを保ち続ける……なんと素晴らしいことでしょう。彼に殺人を犯させることすらできない我が軍では、彼の行く手を塞ぐことなど到底できないでしょうね」

 言っているうちに、竜騎士は『レキシントン』号の真横を過ぎ去ろうとしている。
 ここまで近付けば、もはやその姿ははっきりと視認できる――『シェフィールド』の予想通り、やはりリュカであった。竜はグレイトドラゴン、猛獣はキラーパンサー、クラゲはホイミスライムだ。

「ほっほっほっ。しかしこのまま、素直に通り過ぎることができるとお思いですか? 再会の挨拶です――このわたくしの操る地獄の業火、よもや忘れてはいないですね?」

 言いながら、『シェフィールド』は右手の人差し指を天高く掲げた。その指の先に赤黒い火球が生まれ、回転しながらどんどんと膨れ上がっていく。
 『シェフィールド』の表情が、狂気すら孕んだ愉悦を見せる――

「受け取りなさい! そして思い出しなさい! あなたの父を奪った者を! あなたとあなたの愛する者たちを苦しめ続けてきた者を! あなたがこの世で唯一、一切の光を許さぬ純粋な黒い憎悪を向ける相手を!」

 叫びながら、もはや『シェフィールド』の掲げる火球は3メイルにも及ぶ大きさになり――



「そう、このわたくしの――ゲマの名を!」



 言って、『シェフィールド』――否、ゲマは、「メラゾーマ」と叫んでその手を振り下ろした。
 
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:12:14 ID:4fOl/oSB
ししえん
17日替わりの人 ◆VZdh5DTmls :2009/11/28(土) 22:12:34 ID:UvAajSNm
以上で投下終了です。
ここで『シェフィールド』の本名を出すかどうかは迷いましたが、ここまでバレバレで出さないのもなんですので、出してしまいました。
おおよその予想通り、ドラクエ史上ゾーマに次ぐ屈指の悪役にして、ミルドラースの影を薄くした張本人のゲマです。
ちなみに「左舷弾幕薄いぞ! 何やってんの!」と声優ネタをやろうかとも思いましたが、雰囲気ブチ壊しになるので断念しましたw
では、今回一つも出番がなかったワルドに黙祷しつつ、次回の投下を気長にお待ちくださいませ。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:16:20 ID:UVixnPCi
乙。

初プレイ時はそうでもなかったが、今になって「Xのラスボスはゲマでも良かったんじゃないのかなぁ」と思ったりする。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:17:15 ID:/ZwzoWXn
ミルドラース倒した主人公チーム相手にゲマじゃ役不足じゃ…
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:19:41 ID:GK5Q+RDf
>>19
えるしってるか しょうねんじだいのげまはたおせない

あのゲマはいくら攻撃しても涼しい顔で笑ってるんだぜ…
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:30:48 ID:EIcMMVoK
役不足とは才能のあるものがつまらない役しか与えられないという意味であり
>>19>>20をあわせると、>>19は正しい意味となる
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:35:09 ID:jyDMiHSi
倒す事は不可能ではないがLV99でもえらく手間がかかる上
勝っても負けたのと同じ扱いでストーリーが侵攻すると聞いたが
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:43:53 ID:txj5tnQB
日替わりの人乙でした
ゲマは自分中ではラスボスよりも印象に残る敵第一位っすね
>>20
少年時代のゲマはむっちゃ頑張れば倒せる
ただしイベントに変化は無いし、苦労に見合わなすぎる
24ゼロニスター代理:2009/11/28(土) 22:50:33 ID:Nnda1iyX
22:55からVol.4を代理投下します。
25ゼロニスター代理@:2009/11/28(土) 22:55:32 ID:Nnda1iyX
「ゼロニスター Vol.4」

 ――ゴオオオオ……
 深夜の空を空船が風を切って飛行する。
 その中の一室に設置されたラウンジでは、シエスタがバーカウンター内の男に話しかけていた。
「あの……、食券使いたいんですけど」
「見せな!」
「『虚無壺の会』のミスタ・クロムウェルから貰ったんです。これと引き換えでごはんが貰えるからって……」
「ふん……」
 バーカウンターの男は流しから取り出した三角コーナーを3人の目の前に置く。
「これだけしか残ってねーな」
「………」
 ルイズ・サタニスターが三角コーナーを睨みつけた時、
「へっへっへ……」
「ふん……」
 髪とあごひげを逆立てた筋肉質の男が薄ら笑いを浮かべつつサタニスターのあごを指で撫で、そばかすの女とチェックの帽子の男も3人に値踏みするような視線を向けていた。
「『サタニスター』っつったっけなあ、お前の名前……。知ってるぜ〜」
 そう言いつつ、チェックの帽子の男はサタニスターに頭から酒を浴びせかけた。
「『殺人鬼を狩る』そうじゃねえかよ。そんな女がこの空船に乗り込んでくるとはいい度胸だぜ!! テーブルを空けろお!!」
「あいよ」
 筋肉質の男の言葉にそばかすの女が手近なテーブルを傾け、上に置いてあったグラスや酒瓶を落とす。
 ――ドンッ
 筋肉質の男はその上に肘を突き腕相撲の体勢を取った。
「てめーの怪力はなかなかのものらしいじゃねえか。こいよ〜!! このエイモスとの勝負を拒むんなら、てめーのメシは三角コーナーの残飯だ……。しかあし、俺に勝てたらまともなメシにありつけるぜ。係のやつにもそう話を通してある」
「ミス・ナックルスター……、私サンドイッチ作ってきたので……」
「………」
 話しかけてきたシエスタに何も答えず、サタニスターは片手を上げて挑戦に応じる。
「念のため尋ねるわ。途中で勝負をやめるのはナシよね?」
「当ったり前だろ、バカヤロ〜!! 野暮な事言ってんじゃねえぞ、コラ」
「………」
 筋肉質の男もサタニスターに応えてテーブルに肘を突いた。
26ゼロニスター代理A:2009/11/28(土) 22:57:23 ID:Nnda1iyX
「READY!! GO!!」
「ふうんっ!」
 日焼けした男の合図で2人の勝負が開始され、組まれた腕はサタニスターの側に大きく傾く。
「始まったあーっ!! 早くも修道女が劣勢だぜえ!! みんな笑ってやれ!!」
「やっちまえ、エイモス!! そのまま叩きつけろーっ!!」
「ふんっ!! ふんっ!!」
 エイモスと呼ばれた筋肉質の男は血管の浮かんだ顔を引きつらせて力を入れ、サタニスターも汗を流しつつ歯を食いしばる。
 そんな中、サタニスター・エイモス戦のなりゆきを見守っていたルイズ・シエスタに、そばかすの女とチェックの帽子の男が歩み寄っていた。
「おおっと、小鹿を発見〜♪」
「!!」
「うふふ……、サタニスターが負けたらどうなるかわかってんだろうね?」
「この空船に『弱虫(チキン)』は必要無え。よってたかってぐしゃぐしゃに痛めつけられるぜ〜!!」
「そうなればお嬢ちゃん達も無事ではすまないねえ。……意味わかるよね? ふふふ……」
 2人の言葉にルイズは怒りも露わに彼らを睨みつけ、シエスタは固唾を飲んで戦いの行方を見守っていた。
「ぶっつぶせ、エイモス!!」
「エイモス!!」
「エイモス!!」
「エイモ……」
 エイモスコールを上げていた観客達が、ふと違和感を覚えた。
「……エイモス?」
「ん〜!! ん〜!!」
 圧倒的優位に立っているはずのエイモスの腕がその場からまったく動かず、本人も苦痛の呻きを上げているのだ。
27ゼロニスター代理B:2009/11/28(土) 23:00:05 ID:Nnda1iyX
 そして次の瞬間、
 ――ゴッシャア!
 鈍い音を立ててエイモスの手が握り潰された。
「ぎゃあああ!! 放せ!! 放せ!! 手え放せ、ちくしょう〜っ!!」
「エ……、エイモスの手があ〜っ!!」
「つっ、潰されたあ〜っ!!」
「どちらかの手がテーブルに付くまで勝負は終わらなくてよ!! 『お前もそれに同意したはず』!!」
「ぎゃひいい〜っ!!」
 激痛のあまり悶絶して椅子から転げ落ちるエイモス。
「エイモス!?」
『………!!』
 サタニスターの手に握られたままのエイモスの右手首に、ルイズ・シエスタを含め観客全員が言葉を失った。
 そしてその手首をテーブルに叩きつけ、
「私の勝ちよ……。文句がある奴は1歩前に出なさい」
「ひっ……」
 バーカウンター内の男は、慌てて缶詰やら果物やらハムやらをカウンター上に並べだす。
 そしてサタニスターはルイズ・シエスタに……正確には彼女達のすぐ傍まで来た男女に視線を向ける。
「あ……」
「い……、いや、アタシ達は……」
 歩み寄ってくる自分を何とか誤魔化そうとする男女のしどろもどろの弁明に耳を貸さず、サタニスターは4人に歩み寄る。
「私の頭に酒を浴びせたのは……、どっちの手だい」
「は……!?」
「どっちよ」
 さらに1歩接近するサタニスター。
「ひ……、左かな?」
 ――ドゴオッ!!
 サタニスターの左アッパーがそばかすの女の顔の下半分を粉砕した。
「ぶぎっ!!」
「うおおっ」
「ひいいいい! ひいいいい!」
 目の前で人間の顔が半分ちぎれかける様を目の当たりにしたチェックの帽子の男が、服を返り血で染めて悲鳴を上げた。
 泣き喚く男にサタニスターは最早興味を示さず、背中を向け居並ぶ面々を指差して宣言する。
「ここにいる連中全員に告ぐ……。私の使命はお前達『殺人鬼』を『狩りつくす』事。この使命は私の母から譲り受け、母は祖母から譲り受けている。先祖代々受け継がれる。殺人鬼の怨霊を無数に蓄えたこのナックルと共にね……!!
しかしこれはあくまでも先代から伝えられた使命『だけ』の話。私の本音は別にある……!! 私はね……、単にお前達が嫌いなのよ。金が欲しくて誰かを殺すは、特別な自分になりたくて誰かを殺すは、人をいじめるのが楽しいから誰かを殺すは……。
そして捕まれば今度は言い訳三昧。『病気だった』、『酒を飲んでいた』。極刑を免れる事ができないと見るや、世間や遺族にからかい文句を投げかける!! そんなみっともない害獣になりながら生きさらばえるくらいなら、あたしが楽にしてあげる」
 手近な女性の着ている服の胸元でナックルを拭い、サタニスターはルイズと共にラウンジを後にする。
「行くわよ、シエスタ。食べ物持ってきて」
「あっ……、はっ、はい!!」
 シエスタは慌てて愛想笑いを浮かべつつバーカウンターの男から食料を受け取り、ルイズ達の後を追った。
28ゼロニスター代理C:2009/11/28(土) 23:02:47 ID:Nnda1iyX
 翌朝、どこかの桟橋に横付けされた空船の船内にアナウンスが流れる。
『これよりは徒歩となります。各自愛用の武器をお持ちになってください。それ以外のお荷物はこちらでお預かりします』
 既に到着していた参加者達が新たに到着していた空船を見て、思い思いに雑談を交わし合う。
「空船が来たぞ!」
「予選に参加予定の殺人鬼達がまたまた新たにご到着だぜ」
「これで参加者は100人越えか」
「本選に出られるのはおそらく1〜2割……。ここからは完全に弱肉強食の世界だ」
 そんな時、ある一団が空船から一緒に下りてきた3人の女性らしい人影を発見する。
「……おい、何か顔色の悪い連中がいるぞ。泣きそうな面してやがる」
「さっきあれに乗ってるダチから連絡があった。『修道服を着た女とは戦うな』だとよ……」
 その一団に噂されているとも知らず、ルイズ・サタニスター・シエスタも桟橋を歩いていく。
「ミス・サタニスター、結局私達缶詰しか食べませんでしたね……」
「毒入り牛乳うっかり飲んだ件があったからね」
「嫌な事思い出させるんじゃないよ」
「ところで……、ここってハルケギニアですか?」
 桟橋のある建物の周囲は見渡す限りの原生林で、遠くに霞む山並みまでの間に人工建造物らしい物はまったく見えなかった。
「……さあ」
29ゼロニスター代理D:2009/11/28(土) 23:05:29 ID:Nnda1iyX
 桟橋のある建物から程近い広場に参加者達を集め、クロムウェルがマジックアイテムを使用して全員に声をかける。
『「ハルケギニア最強殺人鬼決定戦」の予選をこれより開始致します。私「虚無壺の会」のクロムウェルがルールをご説明致します。……と、その前に……』
 クロムウェルの後方から揃いの服に身を包んだ女性達が何人も現れ、参加者達の方に向かっていく。
「こちらをお受け取りください」
「どーぞ」
 女性達は参加者達に鞄から取り出した何かを手渡していく。
『皆様にお配りしている物は「革製ホルダー」でございます。ホルダーには10個のくぼみが空いております』
 ホルダーを受け取ったルイズは、くぼみの1つに金属製の小さな円盤がはめ込まれている事に気付いた。
(これは……、メダル……?)
『「虚無壺の会」の紋章が刻まれたメダルが、ホルダーに1枚だけはまっているのがおわかりいただけますかな?
それと同じメダルが森の中のあちこちに隠されております。それらを探し当てて……、ホルダーにはめていってくださいませ。3枚集めれば合格!! 大会本選に出場できます』
「な〜んだ、たった3枚かよ」
「案外優しいぜ」
 ホルダーを腕にはめるルイズ達3人の後ろで、メイスと拳銃を持った2人組が薄ら笑いを浮かべつつそう軽口を叩いていたが、
『ただし!! 武器を持って本選に出るならば、メダルは5枚必要となります。銃火器類や爆発物等構造が複雑な武器・メイジの杖の場合はメダル8枚!!
本選での戦いを勝ち抜くには……、メダル3枚の成績では「地獄を見る」とお考え下さいませ。
なおメダル10枚完全収集(コンプリート)された方は、本選においてシード選手として扱われます。シードの特典は――』
「待ちな、おっさん」
 そこまで言ったところで、背後から迫ってきた巨大な人影がクロムウェルの首根っこをつかんだ。
「あっ」
「『サイト』……!!」
「何か用かね」
「『森の中でメダルを集めろ』だと!? 殺人鬼に宝探しさせて何の意味があるんだ? 小学生のキャンプと同じに考えてねえか、この野郎……!!」
「単なる宝探しではございません」
 苛立たしげに叫ぶ才人をホルダーを配布していた女性達が制する。
「メダルを弱い者から力ずくで奪い取る行為も『あり』でございます」
「たとえ奪い取る際に相手を殺そうとも」
「やはり『あり』でございます」
「……それを早く言えよ」
 クロムウェルの首根っこから手を放し、才人は元いた場所に戻っていく。
「ふふ……、血の気の多いのは実に結構」
「……本選における『シードの特典』って?」
「途中で変な邪魔が入ったからわからなかったわ」
 サタニスター・ルイズの言葉に才人がぴくりと反応したが、それにかまわずクロムウェルは説明を再開する。
『試合条件について注文をつけられる権利が発生します。ある程度の「わがまま」が利くようになるとお考えください。もちろんそれなりの説得力も要求されますが』
 立ち止まった才人はちらりと振り返りサタニスター達を睨みつけたが、すぐに他の面々のいる所に向かう。
(覚悟しとけ……、サタニスター……!!)
 サタニスター達に露骨な敵意を向ける才人に彼の仲間は、
「あんまり熱くなるなよ、サイト」
「なってねえよ」
「なってるでしょ」
「なってるな」
30ゼロニスター代理E:2009/11/28(土) 23:07:43 ID:Nnda1iyX
『予選の制限時間は12時間。それまでにここに帰ってこれなかった者は失格となります。なお1時間ごとにこの場所から花火を打ち上げるので、帰る際の目安にしてください』
 全ての説明を終えたクロムウェルが懐から取り出した拳銃を構える。
「それでは用意……ドーン!! ……と言ったら始まるんですよ!!」
 クロムウェルの軽口に参加者たちは全員沈黙でもって応えたのだった。
「ふふふ……、流石は冷酷な殺人鬼達。ギャグで笑う明るい感情などとうに捨て去ったというわけか……」
「すべっただけなのでは」
 女性の1人からのツッコミを聞き流し、クロムウェルは改めて拳銃を構える。
 ――パアンッ!
「予選『メダル探し』、スタート!!」
 銃声と叫びを合図に、参加者達は一斉に走り出した。
「流石に今ここでメダルを奪い合う連中はいないようだな!!」
「当然だぜ!! 相手がメダルを貯めてから狙う方が効率がいい!! 今喧嘩を始める馬鹿はいねえよ!!」
 メンヌヴィルにそう答えた才人のすぐ横までサタニスターが駆け寄り……、
 ──バギャス!!
 突然の右ストレートが才人の顔面を襲った。
「うごおおおっ!」
 才人はたまらずもんどりうって倒れる。
「サイト〜っ!!」
「あ、あいつ〜っ!!」
 サタニスターはさらに倒れた才人に馬乗りになって顔面に連打を浴びせる。
「てめー、よくも教会ぶっ壊してくれたわねえ〜っ!! 許さんっ!!」
「行くよっ!! サイトはもう駄目だ!! それに元々はあいつが撒いた種!!」
 飴姫のその言葉に、3人は一路森の中へと向かっていったのだった。
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 23:09:01 ID:WBdpAhn2
日替わり乙りつつ支援
32ゼロニスター代理F:2009/11/28(土) 23:09:38 ID:Nnda1iyX
「サタニスタ〜ッ!!」
 絶叫と共に才人は起き上がった。
 その頭部は各所がへこんでいて、「バカ」だの「うんこ」だのといった落書きもされている。
「どこ行った!! がああ〜っ!! ……あっ!! 俺のメダルが無いっ!! ポケットに入れてたのに!!」
「おおっ、君まだ動けたのかい! 凄いねえ」
 才人の復活に気付いて、女性達とカードゲームをしていたクロムウェルが声をかけた。
「既に6時間経過しているが、頑張ってメダルを集めてくれ。本戦への参加には3枚必要……いや、君の場合は8枚だな」」
「8……、何だそれ!? 不公平だろ!!」
「機械類等の使用者は8枚必要と説明したぞ。君の体は機械じゃないのかね?」
「じゃあ聞くが、義手や義足を付けてるやつも8枚要るのか!?」
「ははは、そーゆうのはまた別だろう」
「それなら間を取って5枚にしろ!!」

 それからしばらく経って、1人原生林の中を行く才人の姿があった。
 彼はまだ知らない。
(くそっ……、結局8枚かよ。仲間達は俺を置き去りにしやがるし、ついてないぜ……。どこ行った、あいつら?)
 仲間達と出会う事は2度と無いという事を……。
33ゼロニスター代理:2009/11/28(土) 23:11:49 ID:Nnda1iyX
以上代理投下終了です。

(以下作者さんのコメント)
以上投下終了です。
しかし今更ながらこれは原作蹂躙とか言われやしないだろうか……。
何しろ「貫通のワルド」にメカ才人だもんなあ……。
……まあ今更変える気は無いけれど。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 23:52:23 ID:LUpYEv0w
日替わりさん久々に乙でした〜

>「弾幕〜」
ほんでリュカは「ドラゴンの杖にはこういう使い方も有るんだっ!」って言うんですね、判ります。
……いかん、ジャミが照準用レーザー到達させてしまう。



ゼロニスターさんと代理さん乙でした。

>メカ才人
改めてそう言われるとwww
35ゼロの黒魔導士代理:2009/11/29(日) 00:41:08 ID:MjQCJaMB
こんばんは、夜も更けてまいりましたが0:45ごろから代理行ってみようと思います
36ゼロの黒魔道士代理 第64幕1/9:2009/11/29(日) 00:45:04 ID:MjQCJaMB
「ぁああぁあああぁぁああぁああ!?」
砂屑よりも小さく、バラバラになってしまいそうになる。
声も、体も、記憶でさえも溶けていってしまいそうな、濃い『虹』の壁。
一瞬とも、永遠とも分からないぐらいの時間の中、ボクは、
溺れたときに水面を目指すように、飛空挺の向かう先、その小さな光に手を伸ばしたんだ……
 ・
 ・
 ・
「け、ケホッ……」
嵐の真ん中ほど、静かなものは無いらしい。
まとわりつくような『虹』も薄れて、視界が戻ってくる。
息が、少しだけ苦しい。
それが、まだ『生きている』って証拠みたいで、安心する。

「――倒れている暇は無いよ」
クジャの声に、甲板の向こうを見る。
青空が、『虹』でグネリと曲がって、
ラピスラズリのような色合いの、歪んだ縞模様を作りだしているその先。

「っ……!?あ、あれって……!?」

最初に見えたのは、その巨大な姿。
山かと思ったけど、それは違う。
山なら動いたりするはずが無い。
腕や、足があるはずなんて無い。

次に見えたのは、カラスよりも真っ黒な羽。
それが山の両側から、大きく、大きく伸び出している。
片側に1枚、反対側に2枚伸びた翼の影の1つ1つが、
ボク達を押しつぶしそうなくらいの迫力だった。

そして、最後に気付くのは山の中心。
山が何でできているかっていうこと。
よく見ると、小さな穴がいくつも開いている。
もっとよく見ると、それが窓なんだっていうことに気がつく。
小さくドアがあったり、真っ白な壁がズラッと並んでいたりすることに次々気付いていく。
まるでお城が……いや、まるでアルビオン大陸そのものが、山のように押し固まって動いているように見える。

山が、起き上がる。
よく見れば、そいつは人の姿をしていた。大きすぎて、簡単には信じられないけど……
尖塔でできた足が、砂の大地に沈みこみながら、その体を支え上げる。
羽と同じ夜の色にその体を染めながら、空の上までそいつが伸びあがる。
この世の名によりも大きく、この世の何よりも堂々と。

「黒い……アレクサンダー!?」
アレクサンダー。
一度だけ、見たことがある。
アレクサンドリアって街を守るために、ダガーおねえちゃんとエーコの出した『召喚獣』。
お城1つがまるごと動き出して、バハムートを一瞬でやっつけてしまうような、怖いぐらいの力をもっていた。
でも、あれはこんなに大きく無い。
これはアレクサンダーの5倍も、10倍もの大きさがある。
それに何より……

「――いやいや、純白の護り手の名は、こいつに相応しくないね!」
クジャの言うとおり、アレクサンダーは真っ白な羽だった。
誰かを守ろうとするような、真っ白で綺麗な輝きだった。
こいつの羽は、何もかもを引きずりこむように真っ黒で……
37ゼロの黒魔道士代理 第64幕2/9:2009/11/29(日) 00:45:46 ID:MjQCJaMB
「護り手とイメージを同じくするも、月の世界より下りし破壊の神、
 青き星を壊滅させんとした、強大凶悪なる動く要塞……」
クジャが、甲板の端までゆっくりと歩いて行く。
それを追いかけるように走りながら、立ち上がっていくそいつを見上げた。
ボクらを包み込む影は、まるで夜の闇のようだった。

「彼の者こそ、6000年前にヴァリヤーグを滅ぼした兵器!
 呼ばれた名ごと封じられた、神殺しの召喚獣!『聖地』の本当の姿さ!」
クジャが、大きく手を伸ばしてそいつの顔を見上げた。
だんだん、空の歪みが速くなる。
『虹』が渦の中心に集まっていく。
ギシギシと軋み始める飛空挺。
揺れるように空も砂も、黒い塊の真ん中に飲み込まれていく。
嵐よりも激しく、風が轟いて呻く。

「た、魂を吸いこんでる!?」
周囲の全てを飲み込むように、そいつが持ち上がる。
飲まれていく『虹』の音の重なりが、そいつの唸り声のように聞こえてくる。

「ふむ、しかし化け物でも呼び方が無いと、いささかやりにくいねぇ……
 エルフ風に『悪魔の門』?ハルケギニア風に『聖地』?しっくり来ないな……
 ――バブイル、巨人・バブイル!古に伝わる名を与えようか!」

黒いアレクサンダー……バブイル。
帽子をぎゅっと下げる。
ここまで来たら、もう退けない。
真っ黒に染まっていく『虹』を見上げながら、覚悟を決めなおした。



ゼロの黒魔道士
〜第六十四幕〜 悪魔の門 聖地

「『状況を!』」
伝声管の向こう側がまた慌ただしくなる。
「『右翼、軽微破損!』」
「『左翼……畜生!飛んでるのが奇跡だ!』」
「『エンジン、左翼に同じ――もちろん、落ちないようにはしますけど』」
瀕死。
人に例えるなら、かろうじて立っていることができるかどうかってぐらいの、ボロボロ具合。
荒れ狂う『虹』の嵐は、ボク達を守っていたこのブラック・ジャック号を、容赦なく痛めつけていた。
船のことが全く分からないボクでも、何となく感じてしまう。
足下のエンジン音はどこか弱々しくて、それでも必死に羽ばたこうとしているようで、
こんな状況じゃなかったら、「もう、いいんだよ」って、そう声をかけなくちゃと思うぐらいだった。

「ウェールズ艦長殿?」
クジャが伝声管にささやくように話しかけた。
誰かに耳打ちするような、そんな動きだった。
「『クジャさん!無事でしたか!』」
「“アレ”の準備は?」
ウェールズ王子の心配を軽くあしらうような感じで、伝声管に持たれながらささやき続ける。
まるで、酒場でとっておいたボトルを頼むような、そんな気軽な調子だった。
身にまとう空気というか、そういったものが全然場に合わない。
「……“アレ”?」
そんなクジャの余裕よりも、“アレ”が何なのかが気になってしまった。
38ゼロの黒魔道士代理 第64幕3/9:2009/11/29(日) 00:46:32 ID:MjQCJaMB
「『――主砲部!異常は!』」
「『だ、大丈夫で〜す……あ痛たた……傷1つ付けないようお守りしております〜!』」
そういえば、この艦の人って、みんな若い人達みたいだ。
……ウェールズ王子についてこれる人達を選んでついてきてもらった、ってことかなぁ……?

「なら、やることは1つ……」

……だから、かもしれない。

「『了解っ――諸君、昇るぞぉっ!!翼を立てろ!浮力最大!』」
「『浮力最大了解!』」
「『了解っ!土メイジ部隊!至急左翼を修繕せよっ!』」
船に乗っている人皆に、勢いがある。
瀕死だった船に、活気が戻る。
それは、フェニックスのように。
何度でも、甦るという、あの奇跡の炎のように。
ブゥゥンという低いけれども、輝くような振動が、足下から伝わってきた。

振動が伝わってくるのは、足の下からだけじゃなかったんだ。
「……デルフ?」
背中から伝わる、細かい震え。
デルフが、自分の作った鞘の中で、小さくなってブルブル、カチャカチャと音を立てていた。
それが心配になって、声をかけた。
「ん?い、いや、なんでもねぇよ?うん、は、はは……ちーっと寒気がするだけよ、うん、空は冷えていけねぇや……」
デルフには、珍しいくらいの細い声だった。
「……?」
剣が寒さを感じるって、そんなわけ……あぁ、デルフだったらあるのかなぁ?
『ブリザド』も寒いって言ってたし……
でも、こんな風に怯えたようなデルフを見るのが初めてで、なんかボクまで不安になってしまう。

「ビビ君、おしゃべりの暇は無いようだよ――」
クジャが、伝声管から顔を引き戻しながら、ボクの方を見ようともせずそう言った。
「え?」
「――どうやら、この素晴らしい主役のお出ましに、嫉妬しているらしい――っ!!」
クジャの視線の先、それは言葉で言い表すこともできないくらいの、極彩色の洪水だったんだ。
「うわわわっ!?」

まず飛び込んでくるのは、『虹』の塊。
『虹』の壁の外側まで飛んできて、ブラックジャック号の甲板をもいでいった巨大な光の弾。
それが大っきなホタルみたいに、自分の意志を持っているかのようにこっちに飛んでくる。
広げられた3枚のバブイルの羽から、いくつもの光の筋をともなって、次から次へと飛んでくる。

「――ほぅらっ!!」

「無念の響き、嘆きの風を凍らせて
        忘却の真実を語れ… ブリザガ!」

その大きさに圧倒されながら2つ3つをなんとか防ぎきったところで、

バブイルが、吠えた。

吠えたように聞こえた、が正解かもしれない。
それは飛空挺の上から見ていると、深呼吸をするような動きだった。
空の高いところで不気味な縞模様を描いている『虹』の流れが、
いよいよ急激になってバブイルに吸い込まれていく。
その音が、どんな飢えた猛獣よりも恐ろしく、砂漠の砂を巻き上げながら響く。

その音が、ふいに止んで……一瞬後には風の向きがまるっきり逆になっていた。
39ゼロの黒魔道士代理 第64幕4/9:2009/11/29(日) 00:47:28 ID:MjQCJaMB
『虹』の、波。
ボク達が通り抜けた『虹』の壁、あれのとびっきりに濃い部分が、波のようになって襲ってくる。
それは黒いアレクサンダー、バブイルを中心にして、周囲の空気を切り裂きながら、巻き込みながら、
輪のように広がってくる。

壁みたいに、ただそこに存在する障壁と、襲ってくる『虹』の塊は、
鉄の壁と鉄の剣ぐらいの差がある。
目に入った瞬間に、「壊される」、「殺される」、そう思わずにはいられなくなる。

大きすぎる。範囲が広すぎる。
例えばフレアや、クジャのホーリーでだって穴を開けるのがせいぜい。
全部を防ぎきるのは、まず無理。


「『速力維持!死ぬ気でふんばれ!ブースト準備っ!』」
「『これ以上風石は使えませんっ!浮力が足りなくなっちまう!』」
伝声管の向こうがさらに騒がしくなる。

「『蒸気機関をそっちに回すっ!構わず放出しろ!ここがふんばり時だ!』」
「『は、はいぃっ!』」
波が、迫る。
鋭い刃のような、『虹』。
「切られる」。
一瞬先の様子を想像すると、ズタズタに切り裂かれた自分と、真っ二つに割れた船の姿しか見えてこない。
それが現実になってしまうまで、あと何秒?
ううん。考えている時間すら無いほどに、それがどんどんと迫ってくる。

「『波を抜けるぞぉっ!風石ブースト……今だぁっ!』」
ウェールズ王子の声が、伝声管から高く吠えた。
「『ブーストっ!』」
足下のブゥゥンという振動が、高音のキィィンッという爆音にとって変わる。
それを合図にして、船がほぼ真上に、跳ね上がった。

「うわわわっわわわっ!?」
『虹』の波刃が、船の下の方でゴォッという地鳴りとも風切り音ともつかない轟き声をあげながら通り過ぎる。

避けれた。助かった。
……そう思うには、まだ早そうだった。

再びの、バブイルの世界を飲み尽くしそうな唸り声と、迫る『虹』の弾。
何重にも重なって見える色の洪水が、周囲の空気までも染め上げて、
ボク達の船を襲ってくる。

「『風石ブースト!続けて撃つぞっ!』」
「『は、はいっ!!ブーストッ!!』」
ウェールズ王子の声が伝声管から響く度、
船が縦に横に、踊るようにその向きを変えて『虹』の刃を潜り抜ける。

「情熱的なまでのフラメンコ……ふふふ、最高のショーだねっ!」
クジャがそう言うように、本当にダンスを踊っているみたいだなって思った。
……『最高のショー』っていうのは、大反対だけれどね……

「天空を満たす光、一条に集いて
        神の裁きとなれ! サンダガ!」
何しろ、周囲をとりまく『虹』の量は、海にある水よりも多そうで、
ちょっとでも気を抜いたら嵐の中でこの船は沈んでしまう。
それを『最高のショー』だなんて言える余裕、これっぽっちも無かった。
40ゼロの黒魔道士代理 第64幕5/9:2009/11/29(日) 00:48:12 ID:MjQCJaMB
「『だ、ダメです!気流が強すぎる!押し戻されます!』」
「『左翼です!お、折れるぅぅうう!?』」
「っちぃ!キリが無いね! しつこい演出は、駄作の元だよっ!!」
キリが無い。
本当に、キリが無い。
船が果たして進んでいるのか、戻っているのか分からない。
バブイルはずっと遠くで、巨大な姿のまま。
近づくほどに遠ざかる、蜃気楼のようにすら見えてくる。

「くっ……」
このままじゃ、船がボロボロに崩れてしまう方が早いかもしれない。
見えているのに、遠い。
それがこんなにももどかしいなんて、考えたことも無かった。


勢いよく、ガタンっと音がする。
何かが壊れた音ではなくて、ブラックジャック号のハッチが開いた音。
そこから飛び出てきたのは、とっても場違いでとっても大きな、文句の声だったんだ。
「――あぁっ!もうっ!このフネ、作りが分かりにくいっ!!」
「……ルイズおねえちゃんっ!?」
艦橋にいたはずの、ルイズおねえちゃんが甲板にまでやってきたんだ。
……どこかでぶつけたのか、額をちょっとだけ赤くしながら……

「迷ったじゃないのよっ!っんとにもうっ!――とりあえず文句は後ねっ!」
プリプリと怒りながら、船首の方に進み出るルイズおねえちゃん。
その姿は、いつもの、例えば教室で前に出て発表するときのような、
全く迷いのない、いたっていつもどおりの歩き方だった。

「――プリマドンナは出所を外さない、か。惚れ惚れするねぇ」
「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ……」
クジャの声をよそに、ルイズおねえちゃんが歌い始める。
このメロディーは確か……すっごい爆発魔法の詠唱?

「え、ちょ、ルイズおねえちゃん!?」
船首の方に、『虹』の弾が迫る。
せめてもうちょっと後ろに下がってもらおうと、声をかけても、
ルイズおねえちゃんは退かなかった。

「こんな遠くまで連れてこられてねぇ!わっけ分からない話聞かされて!
 黙って船ん中で振り回されてっ!むしゃくしゃしてきてしょうがないわよっ!
 私はお客様でも役立たずでも無いっ!私は――虚無の担い手なのよっ!!」
ふっと、重なる。
ルイズおねえちゃんの、最初に出会ったころの姿と。
『相手に後ろを見せないのが貴族よ!』と言ってフーケのゴーレムを見据えたルイズおねえちゃんの姿と。

あのときから、ルイズおねえちゃんは、ずっとまっすぐなまんまだ。
そう思ったんだ。
自分の考えた正しさを曲げようとしない、意地っ張りで素直じゃないけど、とっても強いまっすぐさ。
だから、今もこうして、敵の真正面で、とんでもない攻撃が来ているその前で、
決して目を逸らそうとせず、まっすぐに怒りながら、
まっすぐ杖を振るえるんだって、そう感じた。
41ゼロの黒魔道士代理 第64幕6/9:2009/11/29(日) 00:48:57 ID:MjQCJaMB
「『エクスプロージョン』っっ!!」
まっすぐに、吠える。
それが、コンサートの最後のシンバルのように、空の高くまでこだまして弾ける。
どんな禍々しい色合いも、塗りつぶすような白い光。
とっても眩しいけれども、目を覆いたくなるような強さじゃなくて、とても優しくて暖かい光。
それが『虹』をも跳ね除けて、
そして、弾けた。
「うわぁっ!?」
「――綺麗だねぇ。怒りと情熱の花弁が、フラメンコのリズムによく映える!」

ルイズおねえちゃんの激しいけれども優しい光がおさまると、
青空の切れ端が、ブラックジャック号の真上に覗いて見えた。
そこから射すわずかな光が、まるでステージのスポットライトのように、ボク達を照らしていた。

バブイルは、相変わらず遠くにいるけど、虹は出してこない。
ルイズおねえちゃんの爆発魔法で、怯んでしまったのか、
もしくは吸い込む『虹』が消えたことに驚いているのか、
ともかく不気味なまま沈黙して、そこにたたずんでいる。

「『――……しょ、衝撃波消滅!気流も静寂化!』」
伝声管から聞こえてくるのは、戸惑いの声。
……そうだよね。
こんな魔法、他に無いもの。はじめて見たら驚くのも無理は無いって思うんだ。
「『よし!一気に浮上!ヤツの頭に出るぞっ!!』」
でも、ウェールズ王子は流石だなって思う。
ちっとも戸惑わずに、すぐに指示を出せるんだから……

速度を上げて、ブラックジャック号が飛ぶ。
バブイルに近づいて、黒山のようなその体が一目でおさまりきらなくなる。
……やっぱり、とんでもなく大きい。
こんな奴を相手にしていたと思うと、体が震えそうになる。

「何でできてるのよ、アイツ……消すつもりだったのに、傷1つつけられやしないわ」
さらっと、とんでも無いことをルイズおねえちゃんが言う。
……この巨大な体を、山みたいなこいつを消すつもりだったの?

「いやいや、道を切り開くだけで十分さ。
 ……あれを『虚無』の魔法程度で破壊できるとは、僕も思ってもいないよ」
クジャがそれを慰めるようにニヤリと笑って見せる。
う、うーん……どっちがとんでもないんだろう……
ルイズおねえちゃんなのか、あのバブイルなのか……

「ったく何だってのよ……大体ねぇ!ビビ!」
「え、え?」
突然、言葉がこっちに向かってきて、びっくりしたんだ。

「あんたねぇ!私を何だと思ってるのよっ!」
「え……ルイズおねえちゃんはルイズおねえちゃんじゃ……?」
……むしろ、それ以外の何だって言うんだろう。
ルイズおねえちゃんは、とっても強いルイズおねえちゃんそのものなのに……

ペコンッとルイズおねえちゃんがボクの頭を小突く。
「あのねぇ!仮にも、私はあんたの主人なのっ!
 使い魔が働くなら、きっちり私の許可を取りなさい!黙って勝手に行かないで!」
少し、涙混じりに言われてしまう。
……ルイズおねえちゃん、心配してくれてたってことかな?
……なんか、すっごく悪いことをしたような気がしてきた。
「え、あ、そ、その……ゴメン……」
42ゼロの黒魔道士代理 第64幕7/9:2009/11/29(日) 00:49:45 ID:MjQCJaMB
「おぉ、怖い怖い――」
ボクが謝っている横で、クジャが茶化すように言った。
……うーん、なんか、腹が立つなぁ……
「クジャっつったっけ?あんたもよ!あんたも他人の使い魔を勝手にひっぱり出してねぇ――」
ルイズおねえちゃんが、怒る先をボクからクジャに切り替えたところで、
またガタンッて音がしてハッチが開いた。
「る、ルイズくーん、その辺でいいんじゃ……」
ギーシュが、相変わらずな調子で、顔を覗かせる。
その様子に、ちょっとだけ、笑ってしまいそうになった。
……うん、みんな無事で良かった……

「『――クジャさん!』」
そう安心していると、伝声管からウェールズ王子の声。
甲板の外側にはバブイルの巨大な姿はもう見え無くて、
身を乗り出さないとその姿は見えなかった。

真上。
そこから見てもバブイルはすっごく大きい。
アレキサンドリアやリンドブルムの巨大なお城よりも、『イーファの樹』よりも大きい。
巨大な体が大地に根を張って、真っ黒な羽も畳んだその姿は、巨人というよりももはや山そのものっていう風に見えた。
「ん、目指すポイント到達だね。
 では、素晴らしい力で盛り上げてくれたバブイルに、敬意を表して花束を!」
クジャが、伝声管に向かって指示を出す。
「『主砲、解放っ!』」
「『主砲、行きます!3,2,1……てっ!!』」
また船が揺れる。

今度は、ブゥゥゥンという羽ばたきの音じゃなくて、
ゴゴゴゴゴっていう唸るような音。
それに合わせて周囲の空気がまた変わる。
例えるなら……さっきまでバブイルが『虹』を吸いこんでいたときのような……
「……え!?」
またバブイルが動き始めたかと思って、身構えた。

でも、そんなことをする必要は全然無かったんだ。

真っ赤な、光。
ルビーよりも血よりも真っ赤で、まっすぐ伸びていく光の柱。
それがブラックジャック号の真下から伸びて、バブイルに到達した瞬間、
あの巨体から、耳を覆いたくなるような叫び声が聞こえてきたんだ。

この世のものとは思えないような、ビリビリと空気を揺らすような断末魔の叫び声。
赤い光が当たった場所から、黒い羽がみるみる灰色に変わって、溶けていく様子が分かる。

「うわっ!?」
「な、何よ今度はっ!?」
ルイズおねえちゃんとギーシュは、耳を塞ぎながらその様子を唖然と見ていた。

「ふぅ、花束の譲渡は上手くいったか……毒の仇華だけどね?」

クジャは平然とその様子を、甲板から身を乗り出して眺めて笑っている。
43ゼロの黒魔道士代理 第64幕8/9:2009/11/29(日) 00:50:34 ID:MjQCJaMB
……その様子を見て、この赤い光の正体を思い出す。
アレクサンダーを飲み込んだ、大空に浮かんだ真っ赤な目から出た光……
「これ……インビジブルの……!」
クジャが、使ってアレクサンドリアを、ガイアを混乱に導いた真っ赤な光。
……それをこんなところで見るとは思わなかった。
「そう、召喚獣や魂を吸引するための可愛い可愛い深紅の瞳……
 間に合わせで作った小型だけどね。初めて使ったにしては、上手くいったかな?」

「……って、ことは……」
「そう。このままバブイルを物言わぬ聖地に、ただの背景に戻すだけさ。
 核となる部分さえ吸い取ってしまえば、主役のいない舞台同然、あとは元通り……」
召喚獣の核となる魔力を抜き取れば、バブイルは元の街に戻る。
……アレクサンドリアのときは、クジャがその力を悪用しようとした、敵の光だったけど、
こうして味方になっている内は、赤い光がものすごく頼もしい。

ともかく、これで一安心だ。
ハルケギニアでこの巨人が暴れて、もっと酷い事にならずに済む。

……少し、気が抜けてしまっていたんだ……


「――やはり、我々の聖行を妨げる方々がいらっしゃったのですね」

ハッチの開く音も無く、伝声管からの声でも無く、
揺れるような、囁くような、そんな声が甲板の上に舞い降りた。

「……だ、誰っ!?」

振り返ると、水兵服ではない2人の男の人の姿があったんだ。
ブラックジャック号の中で見た記憶が全然無い、場違いな感じのする人達。

片方は、左右に眼の色の違う、ガラス細工のように綺麗な若い人。
ルイズおねえちゃんや、ギーシュと同い年ぐらいに見える。

そしてもう1人は、紺色の背の高い帽子と長い服を着た、金髪の優しそうな人。
こっちの人も綺麗なんだけど、何となく、違和感があった。
幽霊みたいに真っ白な肌だから?
音も無く甲板の上を歩いているから?
ううん、きっとその笑顔のせいだと、ボクは思った。
優しそうな笑顔なんだけど、どこかよそよそしい、
舞台用のお化粧みたいな、ワザと作ったような笑顔だと、何となく感じてしまったからだ。

「え、ま、まさか……」
ルイズおねえちゃんが口元をおさえて驚いている。
「金と紺の聖衣と帽子……きょ、教皇様!?」
ギーシュの言葉を信じるなら……
この人って、教皇様って言うぐらいだし、ものすごく偉い人なんだろうけど……
でも、その偉い人が何で突然?
44ゼロの黒魔道士代理 第64幕9/9:2009/11/29(日) 00:52:37 ID:MjQCJaMB
「これはこれは、はるばるようこそ。お初にお目にかかりますかね?」
クジャが丁寧にお辞儀をする。
舞台挨拶のように、ワザとらしい動きで、ワザとらしすぎるほど大きく。

「――嘘は、神の前では通用しませんよ。
 貴方には何度か出会っております……ロマリアに潜入してらっしゃった方では?」
教皇様の顔がより笑顔になった。
怖いぐらいに、笑顔だ。
怖い?こんなに優しそうなのに?
きっと、笑顔の後ろで笑ってないからだ、とボクは思った。
この人は、自分を『演じている』。そう直感した。
……誰が?何のために?

教皇様の笑顔の下から洩れたのか、ピリっとした空気が漂う。
それは『虹』と同じぐらい、また全然違う寒気だけど、凍えそうになるほどだった。

「ふふふ……あぁ、そうでしたそうでした。では、改めて自己紹介から始めましょうか?
 お久しぶりです、クジャと申します。えーと、それで貴方様はっと……
 聖エイジス三十二世様?あるいは親愛なるヴィットーリオ様?あるいは――」

クジャが、一呼吸を置く。
沈黙が、寒気をより引き立てる。

「裏切り者のフォルサテ――仮面の下の、真名でお呼びした方が、貴方のお好みでしょうか?」

教皇様の顔から、笑顔が消えた。
----

本日は以上でございます。
思い起こせば、投下開始が1年前の今日。
まぁ長いことやってます。
……そんな記念日に代理頼んでしまって申し訳ない次第でしてorz
規制の冬を抜けるのはいつでしょうか。
では、暖かい春までにはケリつけたいなぁなんて考えつつ。
お目汚し、失礼いたしました。
45ゼロの黒魔導士代理:2009/11/29(日) 00:56:18 ID:1dwYB4q1
最後の最後でさるさん食らった
以上で代理終了でございます
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 00:57:39 ID:ZVooNUYJ
乙ですた
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 01:16:45 ID:I7346nWQ
投下多いなー。いい事だ。
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 01:31:02 ID:NRy1Y2Tx
皆様、乙でした。
デビルマンの人も3話が避難所に投下されたし、今夜は本当にいい夜だ。

49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 06:45:47 ID:ITY5DbgL
黒魔さん代理の人乙でした。

この教皇……おいおいまさか本人かぁ?
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 08:03:12 ID:tMoVbHA6
黒魔も大詰めでとても面白い…
大トリの敵にバブイルの巨人ってのが
アレクサンダー絡みでまたうまいネタの使い方
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 10:26:57 ID:Sf26Vnsr
死んでなければ戦えるとか、後でザオラルすればいいやとか、もうまるっきりドラクエプレイしてるプレイヤーの感覚だな。
52ルイズと無重力巫女さん:2009/11/29(日) 10:58:06 ID:WKVuX6BY
黒魔の人、乙かれさまです。
教皇の正体が気になる。まさか本当にフォルサテなんじゃあ…

それとどうも。無重力の人です。
11時5分から作品の投稿をしたいと思います。
出来るならば支援の方、よろしく御願いします。
53ルイズと無重力巫女さん:2009/11/29(日) 11:05:34 ID:WKVuX6BY
 
平日ならば王宮で仕事をしている貴族や上流階級の商人をよく見かけるトリステインの王宮はいつもと違っていた。
王宮の門の前には当直の魔法衛士隊の隊員達が幻獣に跨り闊歩しており、いつもはこれ程厳重な警備ではない。
数日前からトリスタニアに住む人々の間ではこれは戦争の前兆かも知れないと囁き合っていた。
その話は三日前に隣国であるアルビオンを制圧した貴族派『レコン・キスタ』の存在もあって、現実味を帯びている。
王宮の上空を幻獣、船を問わず飛行禁止命令が出されたり、検問のチェックも激しくなったりすれば尚更である。
トリステイン軍のこの様な異常な行動に市民は恐怖し、いずれ来る戦火に今から怯えていた。

そんな状況であったから、王宮の上に立派な竜籠が現れたとき、警備の魔法衛士隊の隊員達は色めきたった。

三隊ある魔法衛士隊の内一隊であるマンティコア隊の隊長、ド・ゼッサールは部下を引き連れ王宮上空へと飛び上がった。
「全く、私の隊が警備をしてる時に限って厄介事が降ってくるな…」
苦労性の隊長は部下を率いつつ竜籠の方へ向かいながらふと愚痴を漏らした。
出来るならば何も起こらないでいて欲しかった。そうすればすぐに交代の時間がやってきて熱い紅茶とビスケットが食べられる。
まぁ過ぎた事と仕事にこれ以上愚痴を言っても仕方ない。と心の中で呟き、竜籠の方へ視線を移す。
立派な風竜に四隅を持ち上げられた巨大な籠の側面には見知った国旗が貼り付けられており、ゼッサールは目を丸くした。
縦長の赤地に3匹の竜が並んで横たわっているその意匠は、間違いなくアルビオン王国の国旗であった。
「アルビオン王国…だと?そんな馬鹿な」
ゼッサールのみならずその周りにいる隊員達も隊長と同じ事を思っていた。
滅び去った王家の印をつけた竜籠が堂々と空を飛ぶなど、あってはならない事だ。
だが、もしかするとうまく逃げ延びた王族達がトリステインへ亡命しに来たのかも知れない。
そう考えると目の前にある竜籠にも説明がつく。とりあえずゼッサールは竜籠の方へ近寄ろうとした、
しかし、ゼッサールが口を開く前に竜籠が急に高度を下げ、王宮の中庭へ降りようとした。
突然のことにマンティコア隊と中庭にいた衛視達が慌てふためき、一斉に槍や杖を竜籠に向ける。
籠を持ち上げていた風竜は武器を向けられているにもかかわらず平然と中庭の芝生に降り立った。
「ジャスティン、おまえはあの竜をなだめてくれ。俺がドアを開ける」
「了解しました」
マンティコア隊も地上に降り立ち、ゼッサールの指示でジャスティンと呼ばれた一人の隊員がマンティコアから降り、風竜にとりついた。
その間にゼッサールはいつでも呪文が唱えられるよう杖を構えつつ、籠のドアを思いっきり開けた。

そして、ゼッサールは籠の中にいた者達が自分の想像とは180℃違っていたことに、目を丸くした。
てっきりアルビオン王国の王族やその関係者(正妻や側室)が乗っていると思っていたばかりにその分反動が大きかった。
立派な風竜が持ち上げていた籠の中にいたのは、なんとうら若き美少女であった。それも二人。
「ふぁ…何よ、もう着いたの…?」
ゼッサールから見て左側のソファに寝転がっていた桃色がかったブロンドの少女が目を擦りつつそう呟いた。

そして右側のソファには珍妙な紅白の服(ゼッサールの個人的な感想)を着た黒色がかったロングヘアーの少女がその言葉に応えた。
「まぁ、降りたんだから着いたんだと思うけど…アンタ誰?」
黒髪の少女はそう言って、ドアを開けたゼッサールを指さした。
一方、指さされたゼッサールはそれに眉を顰めることも出来ず、呆然としながらも呟いた。

「まさかこんなに年の浅い少女二人が側室…なんてことは無いよな?」
54ルイズと無重力巫女さん:2009/11/29(日) 11:21:25 ID:WKVuX6BY


三日前 ニューカッスル城

「レイム…」
既に城の6割が炎に飲み込まれている中、ルイズは自分を助けてくれた霊夢の名を呟いた。
脇腹に出来た切り傷と右胸に致命的なダメージがあるのにも係わらずルイズの危機に飛んできたのである。
一体どうして?とルイズは不思議に思っていると、ふと左手の甲に刻まれていたルーンが光輝いている事に気がついた。
(使い魔のルーン…まさか、学院長の言っていたガンダールヴだっていうの?)
そんな事を考えていると、ふっとルーンから光が無くなり、それと同時に霊夢は仰向けに倒れた。
アッと思いルイズはすぐさま霊夢の傍へ近寄り、そして驚きの余り目を見開いた。
自分の記憶通りならば、今倒れている霊夢は傷を負っている筈である。
脇腹に浅い切り傷、そして右胸にはワルドにつけられた致命的な刺し傷。
今ルイズの目に何も異常がなければ、その二つの傷は『見あたらなかった』
それどころか自分と同じくらいに汚れていた服も綺麗になっており、脇腹に巻いていたリボンもちゃんと頭に戻っていた。
何故?と思いつつルイズは目を瞑って倒れている霊夢に声をかけた。
「あんた、傷はどうしたのよ傷は!?」
「ふぁ…?」
その一声で霊夢は目を開け、眠たそうな顔をルイズの方へ向けた。
顔色の方も健康と言っても差し支えなく、何処も異常はない。
まさかの事に、ルイズは呆然とするよりも先に怒りが沸々とわき始めてきていた。
一方の霊夢はというと、そんなルイズの態度を知らず、ボロボロになった彼女の姿を見て暢気そうに言った。

「どうしたのよルイズ…?雷にでも当たったかのような格好ねぇ」

何気無い一言により、ルイズの中の何かが再びプツンと切れた。
「こんの…バカッ!!!」
「イタァッ!!」
その瞬間、今のルイズに出せる力の約三分の二で霊夢の頭を叩いた。
寝ぼけている状態の霊夢に当然避けれる筈もなく、思いっきりルイズの攻撃を喰らってしまった。
ルイズにとって霊夢は使い魔(召喚しただけだが)であり命の恩人であるが、今の今までいつも召喚の儀式以降に堪っていくストレスの原因の大半も霊夢であった。
だから彼女が自分の目の前から去る前に一度だけその怒りをぶつけてやろと思ってはいたがいつもいつもその怒りを避けられていた。
そして今こんな危機的状況の中でやっと怒りをぶつけられた事にルイズは叩いた後に喜んで良いのか迷ってしまった。
一方の霊夢はと言うと、頭をさすりながら敵意むき出しの目でルイズを睨み付けながら口を開いた。
「何すんのよ。怪我人を虐めるのがアンタの趣味なの?」
霊夢のその冷たい一言にしかし、ルイズはムッとなり咄嗟に返事をした。
「アンタ自分の体見てみなさいよ。怪我なんて何処にもないじゃないの?」
「は?アンタ何言って…――――あ」
ルイズの言葉に霊夢はキョトンとした顔になり、自分の体を見て目を丸くした。
そんな霊夢を見てルイズはもう一言何か言ってやろうかと思ったが、その前に霊夢が口を開いた。
「やっぱりただの夢じゃなかったか…」
「夢じゃない?」
霊夢の口から出たその言葉に、ルイズは眉をひそめた。
一体どういう意味なの、と聞こうとしたとき。後ろから男のうめき声が聞こえてきた。
振り返ってみると、そこにはウェールズ皇子の死体があった。
ただの骸と成り果ててしまったアルビオンの若き皇太子を見て、霊夢が目を細める。
「…もしかして、ワルドに殺されたの?」
霊夢の言葉にルイズは何も言わず、ただコクリと頷いた。その瞬間―

「う…ウゥ…」

てっきり死んでいたと思っていたウェールズの指がピクリと動いた。
突然のことにルイズは驚愕し、霊夢は目を丸くした。
55ルイズと無重力巫女さん:2009/11/29(日) 11:26:13 ID:WKVuX6BY
左胸を貫かれて死んだのにも拘わらず、突然口からうめき声を出して指をいきなり動かせば誰でも驚く。
霊夢にとっては死者が突然動き出すということは少し珍しいくらいである。
だからこそルイズのように驚かず目を丸くしただけに留まったのだ。
それからスクッと立ち上がると、指をピクピクと動かしているウェールズ皇子の元へと近づいた。
「ちょ…ちょっとレイム待ちなさい!」
ルイズの制止も振り切り、霊夢はウェールズ皇子の傍に近寄り、声をかけた
「ちょっと、まだ生きてる?」
霊夢の口から出た、その言葉に数秒遅れて返事が帰ってきた。
「う…君…大丈夫だったのか…」
「まぁね、ちょっと夢の中で知り合いに助けられたわ。知り合いって呼ぶのは少し嫌だけど」
死んでいたと思われたウェールズが顔を上げ、霊夢の方を見つめてそう言った。
生きていた皇太子を見て、すぐさまルイズはウェールズの傍へ近寄り、声をかけた。
「ウェールズ皇子、大丈夫ですか!?」
「ミス・ヴァリエール……ワルドの奴め…どうやらわざと心臓を狙わなかったようだ…うぐ!」
ウェールズはルイズに微笑みつつ冗談に交じりそう言ったが、すぐに痛みで顔を歪めた。
左胸に出来た小さな傷からはドクドクと少しずつ血を流れ続けている。
心臓に直撃しなかった分、地獄のような痛みと出血がウェールズに襲いかかっているのだ。
応急処置もせずに、このままにしておけばすぐにあの世へ逝ってしまうだろう。
だがそれでも、ウェールズは痛みを堪えてルイズとその横にいる霊夢に話しかけた。

「もうこの城はお終いだ…地下の港にある竜籠で…脱出を…」
「喋らないでくださいウェールズ皇子!今すぐ応急処置を…!」
なんとかしようとルイズは思ったが治療道具は無く、それどころか応急処置の仕方も分からない。
一応擦り傷や軽い怪我の治療法は知っているのだが、こんな命に関わる大怪我の治し方は流石に知らなかった。
咄嗟に横にいた霊夢の方へ顔を向けたが、彼女の方ももうお手上げと言いたそうな顔である。
そんな顔を見てルイズは目を細めたが、霊夢は文句交じりにこう言った。
「もう諦めなさいな。どうせ応急処置をしても血の出すぎで死ぬのは時間の問題よ」
確かに霊夢の言うとおりである。ウェールズの体から流れ出た血の量は半端ではない。
応急処置を施してもすぐに死んでしまう。要は遅すぎたという事である。
一方のルイズは目の前にある人の死をあっけなく許すような霊夢の言葉に従うことが出来なかった。
「そんな事言わないでよ!―――――姫殿下の…姫様の思い人をむざむざ見殺しにしたりなんか私には…」
小粒の涙を流ししつつも霊夢に反論するルイズを、ウェールズが制止した。
「もういい…ミス・ヴァリエール。…彼女の、言うとおりだ…僕はもう助からないさ」
ウェールズはそう言うと、ポケットの中から一つの指輪を取り出した。『風のルビー』だ。
「ミス・ヴァリエール。僕からアンリエッタへのプレゼントと言って…渡してくれ」
そう言いながらウェールズはルイズに『風のルビー』を手渡した。
アルビオン王家の秘宝を手渡されたルイズは悲痛な面持ちになり、悟った。
――――――――もう、これ以上の説得は無駄なんだと。
「ウェールズ皇子…。――――わかりました。必ず手紙と共にお渡しします」
指輪を手渡されたルイズはコクリと頷くと『風のルビー』を胸ポケットに入れた。
小さくもゴツゴツとした感覚がルイズの胸を刺激し、その存在をアピールしている。
ようやくわかってくれた目の前の少女の顔を見てウェールズは微笑んだ。ニッコリと…
「頼むミス・ヴァリエール…。地下にある港の右端に風竜と竜籠がある…あの竜ならトリステインへ真っ直ぐ行くだろう。それに乗って逃げなさい」
ウェールズの言葉を聞き、ルイズはしっかりと、力強く頷いた。

「そして…アンリエッタにはこう言ってくれ。『このウェールズ、例え死のうとも常に君の傍にいる』と…」

瞬間―――三人のすぐ近くで爆発が起こり、霊夢が咄嗟にルイズの腰を掴み後ろへ下がった。
次いで、倒れているウェールズの直ぐ傍に榴弾が落ち…

爆発した。
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 11:26:42 ID:d+g8/IMk
ひゃっはー、今日はヒサブシリに投下ラッシュだぜぇ
おまけにウルトラの人も来るってんだからたまんねぇよなぁ


支援
57ルイズと無重力巫女さん:2009/11/29(日) 11:32:12 ID:WKVuX6BY


王の寝室というのはどこもかしこも豪華な造りをしている。
そしてその妻である王妃や王女の部屋も平民や低級貴族の居室とは比べたら失礼な程豪華な部屋である。
王宮の水系統メイジに怪我を治療してもらったルイズと霊夢の二人はアンリエッタ王女の部屋に招かれていた。
最初は中庭で衛士隊の者達と揉めてはいたが途中からやってきたアンリエッタのお陰でこの部屋へ来ることが出来た。
部屋に入った後、アンリエッタはルイズから手紙と――『風のルビー』を手渡され目を丸くした。
一体どうして…とアンリエッタが思ったとき、ルイズは任務の最中に起こった事の次第を説明した。
説明を聞き終えたアンリエッタは、顔を両手で隠し嘆いていた。
「そ…んな…ウェールズ…様。私が殺した…ようなものだわ」
泣きつつもそのような事を言うアンリエッタの気持ちは、ルイズにもある程度分かった。
愛する者を失い、更には自分が選んだ護衛が愛する者を殺したのだ。嘆くのは無理もない。
一方の霊夢は、まるで目の前で嘆いている王女の事など関係ない、と言いたいかのように紅茶を飲んでいた。
召喚の儀式以来の付き合いであるルイズは霊夢の態度に怒る事は無かった。目は細めたが。

アンリエッタはそれから数分くらい泣いていたがやがて手を下ろし、泣きはらした顔でルイズと霊夢の方へ顔を向けた。
「とりあえずは、ルイズ、そしてハクレイレイム…でしたね。無事に戻ってきてくれて何よりです」
その言葉にルイズは深く頭を下げ、霊夢はカラになったティーカップをテーブルの上に置き、軽く手を振った。
王女の言葉に手を振るだけという行為に流石のルイズもムッとし、立ち上がろうとしたがそれをアンリエッタが制止した。
「構いませんよミス・ヴァリエール。彼女のお陰で今こうして貴方がここにいるのですから」
ソレを言われルイズは固まってしまう。確かに霊夢がいてくれたから、こうして無事でいられるのだ。
(でもどうしてレイムの奴はアルビオンにいたのかしら…まぁそれも後で聞いてみようっと)
今回の無礼は姫殿下に免じて無かった事にしようとルイズが座り直したとき、改めてアンリエッタがこう言った。

「それに…彼女がアルビオンに行く原因を作ったのは私ですからね。多少の事は許さないと」

「あぁ、そうですか――――――――――って、えぇ…!?」
アンリエッタの口から出た一言に、ルイズは勢い余って立ち上がってしまった。



ザビエラ村―――――
ガリア王国の首都リュティスから五百リーグほど南東に下ったところに、その小さな村はある。
人口三百五十人程の村では最近になって『また』吸血鬼が現れ始めていた。
『また』というのは、つい数週間ほど前にも吸血鬼が現れ多くの村人達がその犠牲となった。
その吸血鬼はガリア王国から派遣された騎士を一度は殺したものの、再び派遣された騎士によって葬られた。
悩みの種が無くなった事もあり、『つい先程まで』村で大きな宴が行われて『いた』。
なぜ数週間経った後にそれを行うのか、というのは色々と込み入った事情があった。
死んでしまった村人達の葬儀や吸血鬼が『住んでいた』あばら家の解体など――本当に忙しい日々を送っていた。
そしてようやく全てが片づいた後に皆で食料や酒を持ち合い、和気藹々と村長の屋敷で宴を楽しんで『いた』。しかし…
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 11:32:14 ID:1WBC4Gem
無重力支援
59ルイズと無重力巫女さん:2009/11/29(日) 11:36:31 ID:WKVuX6BY



「ハァ…!ハァ…!」
ザビエラ村に住んでいる薬草師のレオンは、どうしてこうなってしまったのか。と思いつつも森の中を駆け回っていた。
彼の背後には自分の家があるザビエラ村があるが、もはやそこは彼の村ではなかった。
三十分前…吸血鬼を自分達の手で退治し、村の英雄と称えられたレオンと数人の仲間達は他の村人達と共に宴を楽しんでいた。
吸血鬼を欺くためとはいえ、自分たちすら騙していたガリアの騎士を追い越して吸血鬼を倒したのだ。そりゃ称えもされるだろう。
そんな楽しげな雰囲気を一気に崩したのは―――――――小さな羽音であった。
まずそれに気がついたのは、レオンと共に吸血鬼が住んでいたあばら家を燃やした男である。
既に酔っ払っていた男は窓に寄りかかり、ワイン瓶片手にリュティスで流行の歌を口ずさんでいた。
そんな時、ふと背後――つまりは窓の外からブ〜ン…と虫の羽音が耳の中に入ってきた。
男は思わず何かと思い振り返ると、これまで出したことのないと思ってしまうような悲鳴を上げたのである。
宴を楽しんでいたレオンを含めた他の村人達も何かと思い、そとらの方へと何人かが視線を移した。
すっかり太陽が隠れ、双つの月も今夜は雲に隠れているため窓の外は暗闇に包まれている。
しかし、屋敷の中の灯りのおかげで窓越しに此方を見つめている『ソレ』を見て、多くの者が目を丸くした。

もしもその存在をうまく言い表すならば…『妖精』という言葉が正しいであろう。

クリクリとした栗色の瞳に黒髪のポニーテール、更には人形に着させるようなメイド服まで着ている。
それ『だけ』ならば、伝説上の存在である妖精に巡り会えた事を村人達は始祖に感謝するであろう。

しかし、メイド服を着た可愛い妖精は右手武器として非常に一般的な『槍』を握っていた。

相手の体を貫くためだけに生まれたかのような流線型のフォルムを持つ槍の刃先には、ベットリとした赤い液体が付着していた。それも大量に。
その妖精は、窓越しにジーッと此方を見つめている。――否、自分を見て目を丸くしている人間達の様子をうかがっていた。
それから後の事は、今も尚レオンの脳裏に焼き付いている。
此方の様子をうかがっていた妖精が突如窓を割って屋敷の中に入ってきた。
そして次に背中から生えている羽からブンブンとうるさい音を出しながら天井を飛び回り始めたのだ。
恐らくそれが合図だったのだろう。ガラスの無くなった窓から次々とメイド服を着た妖精が一気に何十体も入ってきた。
突然の事に当然村人達はパニックに陥り、屋敷から出て行こうとする者や勇敢にも妖精の群れに突っ込んでいく者もいた。
しかし、突っ込んでいく者は危機を察知した妖精達に囲まれ、手に持っている槍で血まつりに上げられた。
人間を群れで刺す殺すその姿は、猛毒の針を持つ蜂の群れが敵にトドメの一撃を与えているかのようなものであった。
吸血鬼を退治したレオンや残りの仲間達も、呆気なく殺された村人を見て、部屋から出て屋敷の玄関を目指し走り始めた。
途中自分たちに気づいた妖精達に追われてしまい屋敷のあちこちを逃げ、その途中に仲間が二人もやられた。
ようやく屋敷の玄関から外へ出たとき、その行動が間違いであったとすぐに悟る。屋敷の屋根裏部屋にでも隠れていれば良かったのだ。

レオンと仲間達は見た。先に外に出ていた村人達の成れの果てを。
足下に転がる物言わぬ村人達の死体。そのどれもがミイラのようにカラカラに乾涸らびている。
そして、それらを辿った先には。雲の隙間から漏れる双つの月の光に照らされた少女がいた。
少々青色がかった銀髪に、白を基調としたドレスを着こなし。頭には赤いリボンを着けたナイトキャップを被っている。
だが、その顔には『笑み』が浮かんでいた。見る者を恐怖させる残忍な『笑み』が。

レオン達はその少女の顔と背中に生えている蝙蝠のそれとよく似た黒い翼。そして白いドレスに付着した返り血を見て、瞬時に恐怖した。
60ルイズと無重力巫女さん:2009/11/29(日) 11:40:57 ID:WKVuX6BY



――――自分たちは吸血鬼を倒したが、あれは手に負えない。

共に逃げた仲間達はあの『少女の形をした悪魔』に次々と殺されていった。
今森から抜け出そうとしているのは、レオンただ一人だけであろう。

――――きっとアイツはこれだけで満足はしない。もっと酷いことが起きる。

今のレオンには目の前に立ちはだかる枝を避けたり足下を注意する暇惜しかった。
その為服が木の枝に引っかかりたり、斜面をころがり落ちても走り続けた。悪魔に追いつかれないために。

――――誰かがこの事を知らせなければ、きっと取り返しのつかない事になる。

その役目こそ自分に相応しい。レオンはそう思いつづけながら一心不乱に走り続けていた。
夜中に森を走り回るなど自殺行為にも等しい。だけど走らなければいずれ殺される。
やがて数十分ぐらい走り続けた時、ようやくレオンは街へと続く街道を見つけることが出来た。

――――そうだ、俺は吸血鬼を見つけた男だ。こんな所で死ぬはずg

さあいよいよ街道に出ようとしたとき、ドサッ…。とレオンは倒れてしまった。
森の中で倒れた彼の後頭部には、青い柄のナイフが深く刺さっていた――――
61ルイズと無重力巫女さん:2009/11/29(日) 11:49:07 ID:WKVuX6BY
以上で、今回の投稿分は終わりです。
ようやくアルビオンからトリステインに帰ってくる事が出来ました。
個人的にはアルビオン編はもう少し短く…と思ったのですが長引いてしまった。
勿論。他の書き手さん達と比べれば自分なんて短い方だとは思いますが…
まぁ何はともあれ大分話の方が前進したとは思います。

今回支援してくれた方々。どうも有り難うございました。
ではまた来月…大晦日ぐらいにまた会いましょう。

※追伸
一昨日くらいに急ピッチで書いた為か、修正箇所がありました。すいません…orz

>>57

ザビエラ村―――――
ガリア王国の首都リュティスから五百リーグほど南東に下ったところに、その小さな村はある。
人口三百五十人程の村では最近になって『また』吸血鬼が現れ始めていた。
『また』というのは、つい数週間ほど前にも吸血鬼が現れ多くの村人達がその犠牲となった。
その吸血鬼はガリア王国から派遣された騎士を一度は殺したものの、再び派遣された騎士によって葬られた。
悩みの種が無くなった事もあり、『つい先程まで』村で大きな宴が行われて『いた』。
なぜ数週間経った後にそれを行うのか、というのは色々と込み入った事情があった。
死んでしまった村人達の葬儀や吸血鬼が『住んでいた』あばら家の解体など――本当に忙しい日々を送っていた。
そしてようやく全てが片づいた後に皆で食料や酒を持ち合い、和気藹々と村長の屋敷で宴を楽しんで『いた』。しかし…

上記の文章で消す筈の文章が残っていました。正しくは下記の文章です。↓

ザビエラ村―――――
ガリア王国の首都リュティスから五百リーグほど南東に下ったところに、その小さな村はある。
人口三百五十人程の村ではつい数週間ほど前に吸血鬼が現れ多くの村人達がその犠牲となった。
その吸血鬼はガリア王国から派遣された騎士を一度は殺したものの、再び派遣された騎士によって葬られた。
悩みの種が無くなった事もあり、『つい先程まで』村で大きな宴が行われて『いた』。
なぜ数週間経った後にそれを行うのか、というのは色々と込み入った事情があった。
死んでしまった村人達の葬儀や吸血鬼が『住んでいた』あばら家の解体など――本当に忙しい日々を送っていた。
そしてようやく全てが片づいた後に皆で食料や酒を持ち合い、和気藹々と村長の屋敷で宴を楽しんで『いた』。しかし…

お見苦しい所を見せてしまい、大変申し訳ございませんでした。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 12:23:23 ID:k50FJIFG
ガリア国民逃げて!
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 12:23:38 ID:tHoaHJNp
この土日はホントに投下が多いな、いいことだ
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 12:26:42 ID:LNaLQK/K
>>51
ザオラルはともかく、死んでなければ戦えるってのは、
ダイ大とかでもあるしな。(ヒュンケルのHP1とか)
それがドラクエらしさな部分もあるし、演出がくどくなければ別に良いと思う。
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 12:29:54 ID:k50FJIFG
何気にタバサに死亡フラグ?
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 13:59:11 ID:ofsVJtZA
クロード、リュウ、スコール

なんで楽しく読んでた作品は更新止まるんだー!?
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 14:31:48 ID:ny0fIwOx
>>66
他は知らないけどスコールの人は書き溜めらしいから辛抱強く待つといい
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 14:36:13 ID:YK6cWqdQ
霊夢の人乙でした。
ついにおぜうさま降臨…ガクガクブルブル
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 14:57:50 ID:gE8H1gwB
おぜう問答無用で虐殺開始とか、霊夢に退治されても知らんぞwww
70ウルトラ5番目の使い魔:2009/11/29(日) 15:41:50 ID:3SuRVaKh
皆さんこんにちは、76話の投下準備完了しましたので、進路上よろしいでしょうか。
問題なければ、10分おいて15:50より開始します。
71ウルトラ5番目の使い魔:2009/11/29(日) 15:46:57 ID:3SuRVaKh
すいません、sageそこねてました。
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 15:49:38 ID:KQYMuhpM
支援開始
73ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (1/14):2009/11/29(日) 15:51:17 ID:3SuRVaKh
 第76話
 伝説の勇者たち (後編)
 
 四次元怪獣 トドラ
 時空怪獣 エアロヴァイパー 
 超力怪獣 ゴルドラス 登場!
 
 
 アルビオン大陸とハルケギニアの命運を懸けた数日と誰もが認識する中で、
ウルトラマンAこと、才人とルイズ一行が想定外の四次元空間に迷い込んで
脱出に至難しているころ、二千のトリステイン軍を率いたアンリエッタ王女は、
ウェールズ皇太子が待つサウスゴータの陣地へ向けて進撃を続けていた。
「着いていけないものは置いていきなさい。たとえ半数でも、たどり着くことに
意義があるのです」
 聖獣ユニコーンに引かれた戦闘馬車から叱咤するアンリエッタの言葉に
応えるように、トリステイン軍は驚き慌てるアルビオンの人々を尻目に
猛進を続けた。
「ロングビルさん、あとどのくらいで到着できますか」
「は、この調子ならば、あと四時間くらいはかかるかと」
 道案内をするロングビルが、元アルビオン貴族と知るはずもないが、
アンリエッタは渋い顔をしたままで行く先を見つめている。昨晩、ロングビルは
アルビオンからタルブまでを一夜で到達したが、たった一人で間道や獣道を
踏破するのと、軍隊が行軍するには差があって、どうしても時間がかかって
しまうのだ。
「飛んでいけたらよかったのですが」
「仕方ありません。こうも雷雲が厚くては、飛行獣は自殺行為です」
 運の悪いことに、北から流れてきた巨大な積乱雲が頭上を覆い、連れてきた
グリフォン隊も飛ぶことができず、後方から走って着いてくるありさまだった。
だがトリステイン軍はアンリエッタの執念が乗り移ったかのように疲れ知らずで
進軍を続け、王党派の補給基地から貸与の名目で強奪同然に物資を
補給しつつ、途中ブラックテリナの被害を受けた町村にはいくらか看護兵を残し、
一七〇〇名ほどに減りながらも、あと四〇リーグほどの街にまでたどり着いた。
 それなのに、彼らはそこで思わぬ足止めを食らうことになった。
 突然、進行方向に立ちふさがってきた百人ばかりの白装束の一団、
最初はレコン・キスタの待ち伏せかと思ったが、その中から一人髭面の
老人が現れて、我々はロマリアの修行僧の一団で、名高いトリステインの姫君が
いると聞き、少しだけでもお話をと申し出てきた。
 アンリエッタは怒鳴りあげたいのをじっと我慢して、丁重に拒否しようとしたが、
彼らは話がかなわぬならばここは通さぬとばかりに道をふさぎ、仮にも聖職者を
力づくでどかすこともはばかられたので、謁見申し込みを司祭だという老人
一人だけに限って、仕方なく会うことにした。
「あなたが、わたくしに折り入ってお話をしたいという人ですか?」
「はい、ご高名なる姫殿下に、ぜひ我が神のご意思をお伝えしたく、
ぶしつけながら参上いたしました」
 その謁見の様子は、アンリエッタと彼女の護衛の仮面騎士以外は
見ることを許されなかったが、外で幾人かの兵士はひそひそと噂話をしていた。
74ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (2/14):2009/11/29(日) 15:52:22 ID:3SuRVaKh
「おい、なんだよあの薄気味悪い坊主の集団は?」
「知らんのか? 今ロマリアではやってるという新興宗教の連中だよ」
「新興宗教って、例の実践教義ってやつか?」
 実践教義という名を出して、兵士は苦い顔をした。
 ハルケギニア全土で、宗教といえば、この地に四系統の魔法をもたらしたと
いわれる始祖ブリミルを聖人としてあがめるブリミル教がその全てであり、
亜人が信仰する精霊を別とすれば、宗教はこれしか存在しない。そして
それらを一括するのが宗教国家ロマリアであり、その教皇は各国の王
以上の権威を持っている。
 ただし、それほどの巨大宗教ともなると組織も当然のように肥大化し、
神の名を借りた詐欺師的な拝金主義者の神父も数多い、実践教義とは、
そんな腐敗した体制から、始祖ブリミルの教え本来の姿に戻ろうと
いうものだ。
 とはいえ、ロマリアの現政体から見れば反動なので、当然ながら
弾圧の対象となるし、それらへの不満からテロリストまがいの行動を
とるものも多いので、ほとんどの人間は係わり合いになりたがらないのが実情だ。
 けれど、そう問われた兵士の同僚は首を横に振った。
「いや違うみたいだ。実践教義はともかく、ロマリアじゃあまったく新しい
宗教がいくつもできてるらしい」
「新しい?」
「ああ、なにせこのご時世だ。当てにならない教会に平民も貴族も
見切りをつけて、すがれるものにはなんでもすがってるんだろう。
はやってるのの一つは、ある預言者と名乗るやつが指導してるんだが、
いずれこの汚れた世界を聖なる炎で浄化なさる天使が、天国の門から
やってくるから、人々は天使をあがめたててその審判を待たねばならない、
って振れまわってるそうだ」
「天使ねえ、空から落ちてくるのは怪物ばかりだがな」
 兵士は、馬鹿馬鹿しいというふうに肩をすくめた。
「まあ普通はそう思うだろうが、世の中にはそういうのを信じるやつも
いるんだよ。けど、今来てるのはそんな中でも、一番やばいやつだな」
「やばいだって」
「聞いて驚くな。今この世界を襲っている数々の怪物や異変は、
六千年に渡って愚かな行為を続ける人間を滅ぼして、美しい世界を
作り直そうという神の意思であるから、我々人間は破滅を受け入れて
滅亡しなければならない、だとよ」
「馬鹿じゃねえのか」
 兵士は、今度こそ頭がおかしいのではないかと、顔の筋肉を
引きつらせたが同僚は真剣だった。
「だがな、考えてもみろ。トリステインはまだそこそこ豊かではあるが、
ロマリアのほうじゃ無数の小都市国家が群雄割拠してるからな、
平民たちは貴族に虐げられ、高い税金をとられ、戦争や野盗、
貧困に加えて、最近じゃあ怪獣まであちこちで頻繁に暴れている。
そんな中で親兄弟や財産を失った人間が、こんな世の中滅んでしまえ! 
なんて思っても不思議はないだろ」
 兵士は黙ってうなずくしかなかった。
75ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (3/14):2009/11/29(日) 15:53:20 ID:3SuRVaKh
 終末思想、世界の終わりを望む思想は人類の歴史に強く根を生やしてきた。
この世の中に絶望し、来世での救済を願う人々が世界を道連れにしようとする。
または世界へと復讐をしようとする心の歪んだ発露であるそれは、破壊によって
新たな再生をなそうと、ラグナロクやノアの箱舟の神話などの再現を夢見る。
 
 このときも、やってきた司祭は兵士の同僚の予想したとおりにアンリエッタに向かって。
「姫様、こたびの内戦の趨勢は、この国に一足早い破滅を将来せんと望む神の
おぼしめし、姫様はそのご意向に従い兵を引いて欲しく存じます。さすれば
トリステインにもいずれ我らが神の滅びの祝福がもたらされ、我らは将来神の国で、
人がいなくなった美しいこの世界を見下ろすことができるでしょう」
 と、しごくまじめに説教をしていたのだ。
 
 そんな様子を、二人の兵士は当然知るよしもなかったが、元々ブリミル教徒としても
かなり不信心な彼らは、そんな思想には一ミリグラムも感銘を受けることなくぼやいていた。
「いつの間にか、アルビオンにも勢力を伸ばしてきてたんだな。まあ、
内乱中のこの国なら、奴らに同調する人間には不自由せんだろうしな」
「だが、そんな連中は異端だから教会が取り締まるだろう?」
「教会にだって、人手があまってるわけじゃない。異端狩りの聖堂騎士団だって
人数には限りがあるから、根絶やしにするのは並大抵じゃないさ。第一、
その聖堂騎士団からも宗旨替えするやつも出てるそうだ」
「はぁ……しかし、世界の破滅だのなんだの、ろくなもんじゃねえな」
「まったくだ。だが、そんなもんに付き合わされる姫様も大変だな」
 二人の兵士は、早く出発できないものかと、火を分け合って煙草の
煙をくゆらせていた。
 
 そしてアンリエッタも、二人の兵士の期待通りに、司祭の要求を退けていた。
「司祭殿、ご忠告は聞かせていただきましたが、わたくしは神が人間を
見放したとは思っていません。まだ人間はあなた方の言うほど腐っては
いないと、わたくしは信じます。あなた方のご好意には感謝しますが、
これ以上話し合っても接点は見つからないでしょう。本日は、お引取り願いますわ」
 すると司祭は、明らかに不満そうな表情で。
「神のご意思に逆らうものには、天より滅びの使者が舞い降りて罰を与えますぞ」
「それは、あなたに神がおっしゃったのですか?」
「いいえ、さるとてもご高貴なお方のお言葉です。名は申せませぬが、いずれ
あなた様にも直接神の意思と、きたるべき最後の聖戦に参加なさるべく
お説きになってくださるでしょう」
「そうですか、ならばこの場で語ることはもうありませんね。では、失礼」
 アンリエッタは、それで司祭を追い出すと、遅れた分を取り戻すように
部隊に進軍再開を命じた。
76ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (4/14):2009/11/29(日) 15:54:38 ID:3SuRVaKh
 あっという間に見えなくなっていくトリステイン軍を、どかされた司祭たちの
一団はしばらく冷たい目で見守っていたが、やがて司祭は大きく宣言した。
「滅びの使者はすでにご降臨なさっている。破滅に逆らおうとするものは、
すべて神の御力によりて粉砕されるであろう!」
 歓声を上げて、破滅、破滅と叫ぶ彼らを、人々は誇大妄想の集団として、
白い目で見つめ、やがてつまらなそうに目を逸らしていった。
 トリステイン軍は、そのころにはとうにカルト宗教家たちのことなどは
忘れ去っていたが、アンリエッタはふとこれから向かわんとする先に、
なおも分厚く立ち込める黒雲が、ふと地獄の門のように不気味に
鳴動してうごめいているように見えて、身震いをした。
「いやな雲……天より滅びの使者が……まさか」
 ありえないとは思いつつも、アンリエッタはその不気味な黒雲と、
司祭の呪いの言葉が重なり合って、なかなか忘れることができなかった。
 
 
 しかし、たとえ世界に滅びが迫っているにせよ、破滅を自らの意思と力で
粉砕してきた者たちは、今日もまた人々を救うために飛び立っていく。
「ガンフェニックスストライカー・バインドアップ!」
 リュウ隊長の号令一過、地球では東京空港上空でガンウィンガー、ガンローダー、
ガンブースターが合体し、三機一体の最強大型戦闘機、ガンフェニックスストライカーの
形態となる。目的は、異次元空間に囚われてしまった旅客機、101便の救出だ。
「見えました。あれが目的の、異次元への入り口の雲です!」
 テッペイが指差した先に、明らかにほかの雲と違って、風に乗って流れずに
その場に滞留し続けている不気味な黒雲がガンフェニックスを待ち構えていた。
「レーダーに映らねえってことは、間違いねえな。ミライ、テッペイ、準備はいいな?」
「G・I・G!」
「コノミ、中に入ったらお前のナビゲートだけが頼みだ。しっかり頼むぜ!」
「G・I・G! リュウさん、マリナさんとジョージさんをよろしくお願いします」
 緊張した声を返すコノミに続いて、もしリュウたちの留守中に怪獣が現れた
ときのために残留するセリザワが、注意を喚起した。
「リュウ、冷静さを失うなよ。いかなる状況においても、指揮官だけは
最後まで氷のように心を研ぎ澄まさなくては、戦いには勝てん」
「肝に銘じておきます。ようし、フルパワーで突入するぞ!」
 コノミやトリヤマ補佐官たち、居残りの新人たちの見送りを受けて、三人を
乗せたガンフェニックスストライカーは、エンジンを全開にして異次元空間へと
突入していった。
 
「亜空間内へ突入成功、フェニックスネスト聞こえますか!?」
「ガンフェニックスへ、こちら感度良好です」
 どうやら、外部との連絡は問題なくとれるようだ。これで、このビーコンを
たどっていけば、出口を見失わずにすむ。次にテッペイは通信のチャンネルを
調節して、ジョージたちのいる101便へと連絡をとった。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 15:55:21 ID:E3lKiIfk
キター!    「ウルトラ!」「支援!」
78ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (5/14):2009/11/29(日) 15:55:45 ID:3SuRVaKh
「こちらガンフェニックス、101便応答願います」
「おお、やっと来てくれたか、待ちわびたぜ!」
 通信機からジョージの快活な声が響いてくる。後は、この電波を逆探すれば
101便にまでたどり着けることになる。電波の劣化具合から考えても、そう遠くは
ないはずだ。
「計算では、二〇分くらいでそちらを補足できるはずです。ですが、気は抜かないで
ください。なにせここは異次元です。まだなにが飛び出してくるかはまったくわかりませんから」
 レーダーもセンサーも役に立たない雲海の中を、ガンフェニックスストライカーは
電波だけを頼みに飛んでいく。その間、101便に何事も起こらないように、
リュウもミライも祈るしかなかった。
 
 それなのに、一〇分後に101便から飛び込んできたマリナの悲鳴は、
思わずリュウの血圧を上げさせた。
「こちら101便、怪獣に攻撃を受けてるわ! 至急救援をこう!」
「んったく、お約束かよ!」
 どうしてこういうときの悪い予感の的中率というのは一〇〇パーセントを
誇るのだろうか、リュウは吐き捨てると、ミライとテッペイに全速力で
急行することを告げて、スロットルを全開にした。
「リュウさん、僕が行きます」
 ミライがメビウスになれば、ガンフェニックスよりも早く現場につくことができる。
しかしそれはテッペイに止められた。電波を逆探して向かっている以上、
メビウスだけで先行しても異次元空間の中で迷ってしまうだけだと。
「ジョージ、マリナ、持ちこたえていてくれよ」
 リュウは、13:10を指したままで進むのが遅い時計の秒針を見つめて、
冷静さを失うなと自分に言い聞かせ続けた。
 
 そのころ、101便はマリナの言ったとおり、突如雲海から姿を現した怪獣に
襲われていた。
「くそっ、こんなところでやられてたまるか!」
 主操縦席に座ったジョージが、ガンフェニックスと比べて格段に効きが悪い
操縦桿と格闘しながら、怪獣の火炎弾を必死になって回避する。
「ジョージ、右上から来る!」
「ちっ、しつこい奴め」
 マリナがレーダーを見て怪獣の攻撃を教えてくれるので、101便は
なんとか攻撃を回避できていたが、旅客機は戦闘機と違ってコクピットの
視界も狭いし、急加減速にも向いていないので、こちらにはまったく余裕はなかった。
 この怪獣は、いわゆる両腕が翼になった飛行怪獣の一種と見られ、
まるで中世の伝説のワイバーンのような姿で、ドラゴンのような裂けた口から
火炎弾を吹いて襲い掛かってきたのだ。
「この新型機じゃなかったら、とうに落とされてたぜ」
 火炎弾や体当たりをかろうじて回避しながら、ジョージは自分たちが
乗っているのがイギリスの最新鋭超音速機でなければ、とてもこの
激しい攻撃には対抗できなかったと、冷や汗を流した。
79ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (6/14):2009/11/29(日) 15:56:58 ID:3SuRVaKh
「空中戦能力は前に戦ったアリゲラよりは低いけど、このままじゃ
いずれやられるわよ」
「それもあるが、こうも急機動を繰り返したんじゃ燃料がもたねえぞ!」
 燃料計の針は、二人の見ている前でみるみるゼロに近くなっていく。
巡航飛行を続ければ、まだ一時間は持つ計算だったが、これでは
異次元空間を脱出する前に燃料が尽きてしまう。
 また、急機動によるGは、メテオール技術の一部流用による小規模な
重力制御である程度の相殺ができているが、怪獣に襲われている
という恐怖感にさらされ続けた客室内の二百人の乗客がパニックに
陥るかもしれない。いや、実はそれよりも悪い事態が客室内では
起こっていたのだ。
 それは、まったくいくつかの不幸な偶然が重なって起きた出来事だった。
 まず、その男が数ある航空便の中から、たまたまこの101便を
選んだこと、その101便がこの時空間に飲み込まれてしまったこと、
そして、怪獣に乗っている飛行機が襲われて、男が不安にかられて
立ち上がった瞬間に、重力制御で相殺が間に合わない振動が
客室を襲い、男の懐から零れ落ちたそれに、たまたま下を見た
一人の乗客が気づいて悲鳴をあげたことだった。
「ひっ! け、拳銃!」
 タイミングの悪いことに、一人の銃器密輸犯が発見され、そこで
ハイジャック犯へと変貌してしまったのだ。
「こうなったら仕方ねえ! やいてめえら、死にたくなかったら
おとなしくしてやがれよ!」
 ただでさえ不安にかられていた密輸犯は、すっかり冷静さを失って、
こんなところで暴れてどうなるんだと説得する人の声にも耳を貸さずに、
持ち込んでいた小型拳銃を振り回して、おびえる人たちを威嚇していった。
 そのとき、当然ながらジョージとマリナは操縦でそれどころではなく、
拳銃を振り回す男に、乗客たちはなす術もなかったが、そんな中であのライオンの
尻尾とやらをもらった男の子は、例の風変わりな男のとなりで毅然としていた。
「坊主、怖いか?」
「怖くなんかないやい、ぼくは強いんだぞ」
 うさんくさいライオンの尻尾を握り締めて、歯を食いしばっている男の子は、
虚勢を張っているというのが見え見えではあったが、彼の目には幼いながらも
恐怖と戦う男の光があった。
「坊主は強いなあ、ならよーく見とき、あの悪党運が悪いでえ」
 男はぼそぼそと男の子にささやくと、調子に乗っているハイジャック犯を
横目で見て、ニッと笑った。奴は、自分の臆病さを隠すように両手に拳銃を
持って、通路を歩き回りながら周りを威嚇していたが、真ん中よりの席の
近くまで来たときに、彼から見て右側の席に座っていた男が、そこを
通り過ぎようとした隙に持っていた松葉杖を差し出して、足元をひょいと
すくって転ばせたのだ。
80ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (7/14):2009/11/29(日) 15:58:33 ID:3SuRVaKh
「うひゃあぁっ!?」
 間の抜けた声をあげてハイジャック犯はすっ転び、その手から二丁の
拳銃が取り落とされた。もちろん、犯人はすぐに拳銃を取り戻そうとするが、
そこでたった今犯人を転ばせた男が席から立ち、狭い飛行機の通路の中で、
しかも松葉杖をついて右足が不自由そうにもかかわらずに見事なステップで走り、
拳銃を犯人から遠くへと蹴り飛ばしていた。
「あっ、て、てめえなにしやがる!」
 犯人は怒鳴るが、すでに拳銃は何メートルもすべって、その先の席に
座っていた別の男に拾われていた。
「おいてめえ、それを返しやがれ」
 さらに隠し持っていた拳銃を取り出して犯人は怒鳴る。だが、二丁の拳銃を
拾い上げたその男は席から立つと微動だにすることなく、いやむしろ恐持ての
容貌にサングラスをかけた彼のほうが犯人を威圧するくらいの迫力を持って、
逆に犯人に向けて命令した。
「銃を捨てろ」
「へっ、素人が生意気な、銃っていうのはこうして……」
 犯人はそのおどし文句を最後まで言い終えることはできなかった。彼が台詞を
言い切るより早く、サングラスの男が西部劇の早打ちのように二丁拳銃を
構えたかと思うのと同時に銃声がこだまし、犯人が構えようとしていた拳銃は
はじきとばされて何メートルも離れた場所に転がっていた。
「動くな」
 サングラスの男は、今度は犯人に銃口を向けて冷然と命じた。素人などでは
ありえない、長いあいだ銃を友としたプロフェッショナルだけが放てる威圧感が
そこから発せられて、一瞬で丸腰にされて、さらに虚勢も根こそぎつぶされた
犯人はそのまま客室乗務員に取り押さえられた。
「ふん、なっとらんな」
 拳銃を客室乗務員に渡し、サングラスをはずした男は、情けなくも一発で
ちぢこまってしまった犯人にむけて吐き捨てた。すると、さっき犯人を転ばせて
拳銃を奪った松葉杖の男が、彼のそばにやってきて話しかけた。
「さすが、現役時代から腕は落ちていないようですね。搭乗時にちらりと
見かけて、もしかしてと思いましたがやはりあなたでしたか」
「失礼ですが、あなたはどちらさまでしょうか……いや、あなたにはどこかで
見覚えが……そういえばさっきの見事なステップといい、そうだ、三十年前の
オーロラ国際スキー大会で優勝した北山選手ではないですか。そうか、
そういえばあなたはMACの、ならば私を知っていても不思議はないですね。
ですが、MACは確か」
「お恥ずかしながら、負傷を機にリハビリ生活に入っていて、そのおかげで命拾い
しましてね。人生、なにがどう転ぶかわからないものです」
 苦笑いしながら、北山は不自由になった右足をさすっていた。
81ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (8/14):2009/11/29(日) 15:59:48 ID:3SuRVaKh
 だがハイジャック犯を取り押さえても、まだ101便が怪獣に襲われている
ことに変わりはない。ときたま急旋回に重力コントロールが追いつかなくなって
室内が揺れて、そのたびにどこかから悲鳴があがった。
 そんなとき、たまりかねたのか一人の女性が席を立って二人に話しかけてきた。
「やれやれ、下手な操縦ねえ。ずいぶんと機体に無理をさせちゃって」
「おや、あなたもこの飛行機に乗っていたんですか」
 サングラスの男はその女性と、一度だけだが前に会ったことがあった。
「お久しぶりですね。TACの解散式のときに引継ぎをして以来ですから、
もう三十年以上にもなりますか。ともかく助かりました、私の後輩たちが
あんまり危なっかしい操縦をするものですから、しかりつけてあげようかと
思ってたんですけど、あれでは席を立てなくて」
「なるほど、単独出撃で墜落数ゼロのあなたから見たら、彼らもまだ
ひよっ子ですか、ではさっそくお願いしましょう」
 にこやかにうなずいたその女性が操縦席のほうに去っていくのを、
北山とサングラスの男は頼もしそうに見送って、やがて安心したといわんばかりに
席に戻ると、北山は松葉杖を立てかけ、彼もサングラスをかけなおして、
過去何十回と繰り返した怒鳴り声を、操縦席の後輩たちにエールのように送った。
「まったく……ぶったるんどるぞ!」
 
 さて、客室でそんな騒動が起こっていると知るよしもなく、ジョージとマリナは
彼らなりに必死で怪獣から101便を救うために戦っていた。
 ガンフェニックスが到着するまであと五分、それまで非武装のこの機体で
耐えられるか。ジョージとマリナは、しだいに正確さを増してくる怪獣の攻撃を
どうにかかわしていたが、ついにエンジンの一基に命中を許してしまった。
「右、三番エンジン被弾! 推力が落ちるわ」
「しまった! くそう」
 四つあるエンジンの一つを失っただけなので、墜落はしないが推力は二五パーセントの
減少である。絶対音感を持つマリナの聴力が、機体が悲鳴をあげているのを
聞き取る。これではもう怪獣の攻撃を避けることができない。そして右翼から煙を
吐き出しながら動きの鈍った101便へと、怪獣がさらに体当たりを仕掛けようとしたとき、
さしもの二人ももうだめかと思った。だが、
「右四番停止、一、二番最大で右旋回よ!」
 突如座席の後ろから響いてきた声に、自失しかけていたジョージはとっさに
その指示にしたがって、エンジンと方向舵を操作すると、通常ではありえない
推進ベクトルを与えられた機体は、空中をこまのように右旋回して怪獣を
やりすごすことに成功した。
「やった!」
 窓外を通り過ぎていく怪獣を見送って歓声をあげたジョージとマリナは、
思い出したように後ろを振り向くと、そこには乗客の一人と見える落ち着いた
雰囲気をかもしだす壮齢の女性が立って、操縦席を覗き込んでいた。
「あなたたち、GUYSの隊員ですってね。筋はいいけど、まだまだ経験が
足りないわね。それじゃあ飛行機の本当の動きは引き出せないわよ」
 彼女はそう言うと、有無を言わさぬままジョージを主操縦席からどかさせて
自分がつき、唖然と見つめている二人の前で操縦桿を握った。
82ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (9/14):2009/11/29(日) 16:00:57 ID:3SuRVaKh
「どうしたの? 怪獣の位置を教えて」
「あっ、一〇時の方向、俯角四十五度から突っ込んできます!」
 マリナは慌ててレーダーを見直して叫んだが、101便は今の急旋回で
さらに速度を落とし、今度こそ回避できそうもなかった。それなのに、
操縦桿を握った女性は涼しい顔のまま、すばやくエンジン出力とフラップを
切り替えて、機体を瞬時に横倒しにしてかわしてしまったのだ。
「す、すげえ……」
「信じらんない」
 あの状況から、またもや軽々と魔法のように機体を操って回避してしまった
この人の実力に、二人とも初心者のころに戻ったように、ただ呆然と見とれた。
「おばさん、すごいです。こんな操縦法があったなんて、びっくりしました」
「あら、そういえばもう私もおばさんと呼ばれる歳なのね。でもあなたたちも、
あと五百時間も飛べば一人前よ」
 その一日三時間飛んでも半年近くかかる時間に、多少鼻白みはしたが、
そこでも女性差別はしないジョージが言葉を返した。
「いいえ、この扱いづらい機体をここまで操るとは、さぞかし名のある方では。
セニョリータ、よろしければお名前を……」
「名乗るほどのものじゃないわよ。それに、この子だってスカイホエールや
スワローのじゃじゃ馬たちに比べれば素直なものよ。それよりも、ほら
あなたたちの仲間が、そろそろ来てくれたみたいね」
 言われて慌ててレーダーに目をやると、いつの間にか映っている光点が
一つ増えて、それがぐんぐんと近づいてきていた。さらに、怪獣もそれに
気がついたと見えて、こちらから遠ざかり始めていく。
「ジョージ、マリナ、待たせたな!」
 無線から、聞きなれたどら声と、怪獣に向かって放たれるガンフェニックスの
ビームの輝きが、窓外から希望の光となって差し込んできた。
「リュウ、遅いぞ!」
「うるせえ! くらえ怪獣野郎! バリアントスマッシャー」
 ガンフェニックスストライカーのビーム攻撃が怪獣へ向かう。だが、命中直前
怪獣の頭頂部の角が赤く明滅したかと思うと、怪獣はまるで空間に溶け込む
ようにして消えてしまった。
「消えた……」
 
 
 そして、時を同じくして別の空間でも、才人たち一行がさらなる怪獣に遭遇して
向かい合う羽目に陥らされていた。
「でサイト、あのセイウチの化け物はなに?」
「四次元怪獣トドラ、この四次元空間に迷い込んだ人間を狙ってくる怪獣だよ」
「うん、予想が一〇〇パーセント的中した説明、ご苦労様」
 才人の説明を聞いて、ルイズがどうしてこう忙しいときに限って頼みもしない
トラブルが次々にやってくるのだと、世の中の不条理に疲れた声を出した。
 本当だったら、さっさとロンディニウムに乗り込んで、こっそりクロムウェルを
見つけてぶっ飛ばして、この件を終わらせているはずだったのに、運命の
女神という奴は、さらに何をさせたいのだろうか?
 しかし、こちらの事情などは当然おかまいなしに、四次元空間の白いもやの中を、
散乱している航空機の残骸を押しのけながらトドラが向かってくる。
「二人とも、たそがれてる場合じゃないわよ! さっさとあいつをやっつけないと」
「そうだ、こんなところで足止めを食らっている場合ではないぞ」
 迫り来るトドラを迎え撃とうと、キュルケとミシェルがそれぞれ杖をあげて
二人にも戦闘準備をするようにうながす。二人ともトライアングルクラスでは
相当な使い手の上に、才人のガッツブラスターは言うに及ばず、ルイズの
爆発魔法も至近距離ならばかなりの威力を発揮する。
83ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (10/14):2009/11/29(日) 16:02:16 ID:3SuRVaKh
「しょうがないわね」
 気は進まないが、目の前に立ちふさがるというならやむを得ない。才人と
ルイズもうなずいて、戦う覚悟をしようとした。
 だが、その前にタバサが自らの身長より大きな杖を、さえぎるようにしてかざした。
「待って……」
「どうしたのタバサ?」
「逃げよう」
「えっ!?」
 思いもよらないタバサの言葉に、全員が目を丸くした。
「こんなところで、体力と精神力を浪費している場合じゃない」
「うっ……」
「無理して、あの怪獣を倒す必要はない。目的は、あくまでクロムウェル」
 確かに、この先に出口があると決まったわけじゃないので、トドラと戦う必要性は
考えてみればまったくなかった。ただ目の前に立ちはだかってくるからというだけで
反射的に身構えてしまったが、無視してもなんら支障はない。
 懸念があるとすれば、ルイズなどの「敵に背を向けない」誇りである。以前に
比べればましになったほうではあるが、人間の芯というものはちょっとやそっとでは
変われるものではないが、そこは才人が先手を切った。
「見逃してやろう。ただでかいだけのセイウチをいじめるのも、かわいそうだしな」
「そうね、弱いものいじめは貴族の誇りに反するし」
 逃げよう、ではなく見逃してやろうと言い換えたのが、うまい具合にルイズたちの
優越感を満たした。才人も不器用ではあるが、始終貴族の中で生活していたら
貴族の扱いというものが多少はわかってきている。
 となれば善は急げ、動きの鈍いトドラから逃れるのはそんな難しいことではなく、
シルフィードに乗り込めば、あっという間に牙の届く範囲から離れることができた。
「やーい、ここまでおいで」
 トドラは飛べないし、飛び道具もないので才人は余裕だった。
 だがそれにしても、タバサが冷静に忠告してくれなかったら無駄な戦いを
してしまうところだった。この中では実戦経験の豊富なキュルケやミシェルにしても、
思考の行き着く先は基本『攻め』であって、今のタバサのように戦いを回避し、
身を守るための『受け』の姿勢はもろいところがある。また言うまでもないことだが、
相手がハリネズミやヤマアラシでも殴りかかりにいくルイズは『攻め』に傾斜
しすぎていて論外だ。
「そういえば、タバサがいなかったら、あたしなんて何回死んでることか」
 キュルケが少々自嘲してつぶやいた。
 無口で、何事にも興味なさそうにしているくせに、いざとなったらそばにいて
一番頼りになる。自分にはないものを補ってくれる、こんな得がたい友人を
持てたことだけでも、わざわざトリステイン魔法学院まで来たかいはあったと
彼女は思った。
84ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (11/14):2009/11/29(日) 16:03:37 ID:3SuRVaKh
 だがそのタバサは、いまだ地上をはいずっているトドラをじっと見下ろしていたが、
ふとその動きが妙なことに気づいた。
「どうしたの?」
「……あの怪獣、わたしたちを追いかけてこない」
「えっ? ……そういえば」
 言われてみて、一行はいっせいにトドラを見下ろしたところ、トドラはシルフィードには
見向きもしないで、航空機の残骸を踏み荒らしながら突進していく。最初はこちらを
エサにしようとしているのかと思ったが、どうやらただトドラの進行方向に偶然こちらが
重なってしまっただけのようだ。
「まるで、狼から逃げる羊のようだ」
 わき目もふらずに驀進するトドラを見て、ミシェルがそうつぶやいたとき、その悪い
予感は見事に的中した。霧の中から、トドラのものとは違う、別の怪獣の遠吠えが
響き渡ってきたのだ。
「あっ、奴の後ろを見ろ!」
 なんと、トドラの後ろの霧の中から、全身に黄金をあしらったような、さらに巨大な
怪獣が出現した!
「あんな怪獣見たことないぞ!」
 そいつは、単純なシルエットでは、もっともありふれたアロサウルス型の
怪獣だったが、体のあちこちに金塊を鎧のようにつけたような、荒々しい
スタイルに、兜のような金色の角をもったそれは、怪獣頻出期からメビウスが
戦ったものまで、ほとんどの怪獣のシルエットをだいたい記憶している才人の
知っているどれとも似ていなかった。
 つまりは、まったくの新種か、もしくはこの世界特有、またはさらなる異世界の
怪獣ということになる。
 その才人も知らない怪獣は、トドラに向かって驀進すると、トドラの背中を
思い切り蹴り飛ばして転がし、墜落していた戦闘機を五、六機まとめて
押しつぶさせた。
 さらに、仰向けになってもだえるトドラに、金色の怪獣は近づくと巨大な
脚を振り上げて、何度も腹を踏みつけて痛めつけていった。
「そうか、あの化け物セイウチは、あの怪獣から逃げていたのね」
 キュルケが、彼女らしくも無い冷や汗をぬぐいながら、トドラと、明らかに
トドラよりも格上の金色の怪獣の戦いを見つめた。どうやら、怪獣の
世界でも、この四次元空間でも食物連鎖のピラミッドは作用しているらしい。
 追いつかれて逃げられないと悟ったトドラは、覚悟を決めたと見えて、
振り返ると一〇メートルはある長い牙を降りたてて、金色の怪獣に反撃していった。
トドラは見た目どおりにただ大きいセイウチでしかなく、四次元空間という
場所に生息する以外に特徴や超能力、もちろん光線などは持ち合わせて
いないが、セイウチの最大の武器である膨大な体重を活かした、牙での
突きたて攻撃はあなどれない。
 だが、トドラが必死の反撃をしようと、体を起こして牙を振りかざしたとき、
金色の怪獣の角を中心に渦巻くような球体の障壁が現れて、牙を軽々と
はじき返してしまった。
「バリヤーだって!?」
 体格に加えて、そんな超能力まであったのではトドラに勝機はもはやなかった。
 呆然と見守る才人たちの目の前で、圧倒的な実力差を見せ付ける金色の
怪獣は、トドラの牙を掴むと怪力でへし折り、首根っこを掴んで持ち上げると、
勢いよく地面に叩きつけてとどめを刺してしまった。
「すごい……」
 短く断末魔をあげてトドラが絶命するまでに要した時間は、ほんの一分
程度でしかなかった。
85ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (12/14):2009/11/29(日) 16:05:06 ID:3SuRVaKh
 だが、彼らはそこでのんびり観戦などせずに、そのままさっさと逃げておけば
よかったのである。トドラを倒して、なお闘争本能の収まらない金色の怪獣は、
すぐ近くをうろうろと飛んでいるシルフィードを見つけると、角から電撃のような
破壊光線を放ってきた。
「しまった!」
 そう思ったときにはもう遅かった。彼らは自分たちが猛獣のショーを見ていた
わけではなく、サバンナの木の上でヌーがライオンに食い殺されるのを
見ていたことにやっと気がついたのである。
 それでも、機敏なシルフィードはとっさに翼を翻したが、やはり五人も
乗せていたのは厳しく、右の翼に命中されて、悲鳴をあげながら墜落した。
「……翼の皮膜を撃ち抜かれてる……わたしとしたことが、油断した」
 きゅいきゅいと痛さで泣きわめくシルフィードをなだめながら、タバサは
シルフィードの受けた傷が思ったより深いことに、自分の未熟を悔いながら
つぶやいた。
「飛べないの?」
「飛べなくはないけど、もう五人を乗せるのは無理」
 焦げ臭い匂いを翼から漂わせるシルフィードは、痛み止めくらいにはと
タバサがかけてくれる『治癒』の魔法で、ほっと息をついていたが、
そうしているあいだにも金色の怪獣は向かってくる。
「ああもう、結局戦うしかないんじゃない!」
 こうなればもう精神力温存とかは言っていられない。キュルケもルイズも、
なかばやけくそで杖を取り出すが、先制攻撃とばかりに繰り出された
キュルケの『フレイム・ボール』が、怪獣のバリヤーで跳ね返されて戻って
きたあげくに至近で爆発して吹っ飛ばされると、頭が冷えた。
「キュルケ! 跳ね返されるってわかってたはずじゃない」
「ごめんごめん、うっかり忘れてたわ。だけど、わたしの魔法で子揺るぎ
もしないとなると……」
 そう、同クラスのタバサの『ジャベリン』なども含めて、こちらの魔法の
ほとんどが効かないどころか、強い攻撃を撃つほどに跳ね返されて
こちらが自滅することになりかねない。
 怪獣は、勝ち誇っているのかなぶり殺そうとしているのか、思ったより
ゆっくりと向かってくるが、人間が走ったくらいで逃げ切れる相手では
ないのは確かだ。
 才人とルイズはウルトラマンAになるべきかと思ったが、この怪獣はかなり
手ごわそうで、勝てたとしてもこちらも相当に消耗し、それでは肝心の
クロムウェルを狙うときに力を発揮できず、先のブラックテリナのときと
同じ失敗をすることになる。
 しかし、逃げるにしてもそれをどうするかが問題である。シルフィードならば
スピードが出せるが、今は乗せられて三人がやっとというところ、それに
空を飛べなくては雲の中に入り口と、おそらくは出口があるであろうこの
四次元空間からの脱出はできない。大ピンチである。そのはずなのに、
なぜか才人の顔はにやりと緩んでいた。
「タバサ、二人どければシルフィードは飛べるんだよな?」
「え……できるけど」
 怪訝そうに答えたタバサの返答に、才人は不思議にうれしそうな顔をすると、
全員を仰天させることを言った。
86ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (13/14):2009/11/29(日) 16:06:58 ID:3SuRVaKh
「よし、みんなは先に飛んで逃げてくれ、おれとルイズがここに残る!」
 そこで全員が怪獣が迫ってきているのも忘れて愕然として、ついで
「なにを考えてるんだ」という主旨の怒声を上げ、さらに自分が犠牲に
なるつもりかに続いて、ルイズが、わたしもいっしょってどういうことよ、
いやいっしょはそれはそれでいいんだけど……と、しどろもどろに
なりながら叫ぶと、才人は殴られそうになるのを避けながら早口で
言い返した。
「待った待った! おれは正気だ、おれとルイズぐらいだったらシルフィードに
乗らなくても脱出する方法があるんだ!」
「なんですって!? どういうことよ!」
 またもや驚いて、才人に詰め寄ろうとしたルイズたちだったが、そこで自分たちが
怪獣に襲われていることを思い出した。ほんの十メイルばかし目の前に、金色の
怪獣の巨大な足が降り立って地響きを立て、さらに反対側の足が彼らの頭上に
降りかかってきたのだ。
「逃げろ!」
 とりあえずつぶれたパンケーキになってはなんにもならないので、危機感を
取り戻した彼らはタバサとキュルケの『レビテーション』でシルフィードを浮かせて
全力疾走に入った。
「で、さっきの続きなんだけど」
「まだ言うの!?」
「まあ聞けって、空を飛ぶ手段といっしょに、あの怪獣を撃退できるかもしれない手があるんだ」
 走りながらルイズたちはとにかくも才人の言う”方法”とやらを聞くと、一様に
目を丸くしたが、あのバリヤーを張って攻撃の効かない怪獣を撃退し、なおかつ
翼を得る方法はそれ以外なさそうだった。
「どうだ、やるか?」
 ルイズたちは、自信たっぷりというよりは、やりたくて仕方がないといった
才人の雰囲気に、どうにも不安であったし、必要なものが才人の世界のものなので、
作戦は理解できても本当にそんなことができるのか確信が持てずに懐疑的であった。
 それでも、才人がこれまで嘘を言ったことはなく、代案もなかったのでその作戦を
実行に移すことになった。
「それからミシェルさん、ちょっとこういうの作ってもらえませんか」
「ん? ああ、こんな簡単なものならすぐできるが、なんだこれは?」
 才人は足元に転がっていたなにかの残骸の鉄片を拾うと、それをミシェルに
頼んで棒状に『錬金』で整形してもらった。それは形はごく単純なL字に近いもので、
先端部だけは細かく注文したが、そこはトライアングルクラスの土のメイジ
だけはあって、走りながらでも危なげなく注文の品をこしらえてくれた。
「ようし、それじゃおれとルイズはあっちにいくから」
「わたしたちは、あいつをあの場所まで誘導すればいいのね」
 最後に確認をとってうなずきあうと、才人とルイズは一行から離れて
別方向に走り出し、残った者たちは別の作戦のために怪獣の陽動に移った。
タバサとキュルケが杖をあげて、それぞれ呪文の詠唱に入る。
87ウルトラ5番目の使い魔 第76話 (14/14):2009/11/29(日) 16:08:07 ID:3SuRVaKh
「さあーてと、『ファイヤーボール!』」
「『ジャベリン!』」
 二人の炎と氷が怪獣の眼前でぶつかりあって、派手な水蒸気爆発を
引き起こすと、金色の怪獣の注意がそちらに向いた。
「さて、これからが問題ね。精神力を節約しながら怪獣を誘導」
 これならば派手にやりあうほうが何倍もいいと、キュルケは自分に合わない作戦を、
それでも無表情で続けようとする親友の横顔を見ながら思うのだった。
 
 一方、別れた才人とルイズはある場所へとたどり着いていた。
「これ……本当に飛ぶんでしょうね?」
「たりまえだろ! 日本人で、これに乗りたがらない男はいないぜ!」
 息を切らしながら問いかけるルイズに、才人は誇らしげに答える。
 二人の目の前には、伝説の天空の戦士、ゼロ戦が再び飛び立つときを
待っていたかのように、静かに鎮座していた。
 
 
 だが彼らは知らないことであったが、その金色の怪獣の名は超力怪獣ゴルドラス、
さらにワイバーンのような空中怪獣のほうは時空怪獣エアロヴァイパーといい、
どちらも別の次元の時空間を荒らしまわっている凶暴な怪獣だった。
 しかしなぜ別の世界の怪獣が、同じ時空間に揃ったのだろうか?
 ただの偶然か、それとも何者かの意思か、この時点では誰にもわからない。
 
 続く
88ウルトラ5番目の使い魔 あとがき:2009/11/29(日) 16:11:05 ID:3SuRVaKh
以上、77話に続きます。支援してくださったお二方、どうもありがとうございました。
いやあまあ、今回は顔見せ程度だったザランガやメビウスのものを除いたらめっちゃ
久しぶりの平成シリーズの怪獣を登場させられました。敵役としては41話のサイクロメトラ
以来、実に35話ぶりと、数えてみたら平成シリーズのファンの方すいませんでした。
特に今回は24話以降一体も出なかったガイア怪獣もようやく一匹出せました。
とにかく、ティガ、ダイナ、コスモスらの怪獣は別個体ですむんですけど、ガイアの
怪獣には縛りが強いですから、面白そうな話を作れそうな怪獣はいっぱいいるんですが、
さすがにヤプールがメザードを使ったり、魔頭鬼十郎の設定無視してガンQを出す
わけにはいきませんからね。ですが、こういう展開に持ち込むことでようやく可能な
背景を作り出すことができました。
それでは、まだ山あり谷ありですがアルビオン編終結まで加速していくつもりですので、
また来週までさようなら。
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 16:12:01 ID:DUlgI6IX BE:2370274676-2BP(100)
乙です
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 16:17:30 ID:YK6cWqdQ
乙です。
色々妄想を掻き立てる展開でwktkしつつ正座待機。
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 16:40:43 ID:KQYMuhpM
ウルトラの人乙です。
天使の門、もしかして奴らがこの世界に・・・。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 16:41:45 ID:KQYMuhpM
>91
間違えました、天国の門です
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 16:45:11 ID:HV0h1+lM
支援間に合わなかったぜ
ウルトラ乙
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 17:19:25 ID:CqPxhNyF
乙。

……ウルトラの人が5日のめちゃイケを見たらどう反応なさるのか、非情に興味がある。
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 17:35:50 ID:jbIMJA/e
ウルトラの人乙です。
ノースサタンにやられた人をはじめとした、防衛隊OBの参戦にワクワクさせられました。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 18:12:10 ID:1xHQMXrG
>>94
是非とも出して頂きたい
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 20:10:22 ID:oqUZy7+D
いかん…おぜう様の虐殺開始と聞いて、ぎゃおーぎゃおーと吠えながらザビエラ村を蹂躙する(おぜうヘッドの)モーケレムベンベの姿が…
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 20:48:38 ID:Eu5/CBRD
どぜうもんを思い浮かべた俺は何かがおかしい
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 20:49:07 ID:47Uq5Rwq
避難所にデビルマン来てたな。お色気とバイオレンスを共に含んだ、
正しくダイナミック正しくナガイゴウってな感じだw
そして死ななくてよかったねギーシュw
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 21:29:07 ID:1xHQMXrG
避難所って感想を書いちゃいけないの?
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 21:30:22 ID:knWthQZe
デビルマンで気になったのは『ミスター』
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 21:38:02 ID:lwwAeXX2
神名綾人召喚
シエスタの家系がドーレムの末裔で血が青くなる
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 22:05:56 ID:SwQNyr+L
>>100
避難所に感想スレも毒吐きスレもあるよ。それにしてもよい週末だ。作者の皆様、乙です

実在の人物を召喚するのってむずそうだな。現実世界の技術を伝えることはできるが戦争クラスでの活躍となると。
地位と権力がないと真価を発揮できない外交官や政治家、軍司令官は召喚してもはじめはあまり活躍できないし
美形で強くて特技は喀血といわれている?青年剣士など、戦闘で強い連中もサイト召喚より面白くするのは大変そうだ

若き日の木下藤吉郎呼んで太閤立志伝か?
大穴でジョシュア・A・ノートン皇帝陛下もルイズ達が陛下のお言葉を信用してくれれば面白くなりそうだが
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 22:42:34 ID:+J9XfM6O
瀟洒とウルトラ来てたー
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 23:39:17 ID:G8DQI5sY
>>103
実在の人間はアウトー、じゃないのこのスレ
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 23:45:29 ID:tQQshoqB
まあ秀吉は色んな作品にメインで出てるし、その辺からやればおkだと思う。
ノートン1世陛下は……探せば何かメインで出てるんじゃないかな?
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 00:09:37 ID:9W9rImRj
>>103は実在の人物を召喚するなら、って前提で話してるから完全にアウトだろ。
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 00:11:19 ID:lgUajuDz
山田風太郎の「妖説太閤記」から召喚された秀吉だったら・・・
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 00:34:41 ID:Glo/nX2l
じゃあ戦国バサラの秀吉とか…
7万の兵が弓矢や魔法で攻撃してきても「ハァッ!!」と腕を一振りで全て跳ね返す。

ルイズ「あれ…?虚無いらなくない?」
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 00:43:16 ID:JOK2h+/Z
世界名作劇場系からの召喚が無いな。
フランダースの犬のネロとかすんなり順応しそうで良さそうだが。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 01:01:21 ID:OGqDcqnz
シザーマン(ダン)が召喚されました
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 01:17:52 ID:XjUC/kKD
>>61
これ下手するとゼロの使い魔サイドの蹂躙になるぞ。
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 01:21:51 ID:gOm9FYi1
ふと思った……ラングリッサーのキャラ召喚とか面白そうだな、と

ラング世界にも月が2つあるし、しばらく異世界にきたことに気づかない可能性もあるし
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 01:24:57 ID:25VLQaZt
最終兵器彼女の世界から喚んでみる。
シュウジ達高校生…戦力にならない
ちせ…最強。しかし誤動作・耐久力に問題あり、失敗爆発→兵器モード誤動作でルイズ達死ぬかも。
テツ以下兵士メンバー…弾薬あるうちは銃で応戦可能。
カワハラさんなどの非戦闘要員…戦闘は無理。技術持ちは技術提供など。 

ちせの耐久力はルーンによる修正とかで何とかなるかもしれないが、誤動作はどうしようもない。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 01:25:54 ID:CDwKwka5
>>113
しばらくどころかずっと違う大陸に来たとしか思わんのじゃないか?
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 01:33:14 ID:g2h4LDPv
>>112
クロス先の作品の信者の性質を考えろ
つまりそう言う事だ
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 01:40:10 ID:aPKgDEEC
太閤立志伝inハルケギニア

ルイズ「サル!『水の精霊の涙』を60日以内にとって来なさい」





ルイズ「失敗したですって・・・
     主命をなんだと思っているの!」

チュド〜ン


KOEI

118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 01:43:12 ID:yNvatU3E
>>114
ハルケでちせとシュウジが幸せになってくれたら…
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 01:48:22 ID:FJq/I9kH
ルイズ「KOEIは怖ぇ〜」
界王「ぷっ・・・くくくっ」
キュルケ「笑ったっ!界王が笑ったわっ!」
タバサ「・・・・・・」
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 02:03:00 ID:S7WXIQUh
>>112
既にされてますが何か?
こんだけ無法・非道をやらかすからには惨殺されるレベルのしっぺ返しを期待していいんだろーなー?おい?
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 02:09:07 ID:zD2UNoRl
>>117
無理ゲーwww
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 03:04:34 ID:hejEY3pQ
原作からしてレミリアと咲夜は人里を襲ってるからな。
けどここがハルケギニアで幻想郷と違う以上……
弾幕勝負が出来るのも霊夢しかいないし……
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 06:07:48 ID:0Hpj4Uxa
随分好戦的な妖精と健啖家なレミリアですね
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 07:55:52 ID:hhMr6IV9
問題はルーデル閣下を召喚したらどうなるかだな
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 08:15:47 ID:IPm5jYhy
レミリアが飲んでるんじゃなくて、おぜうが暴れてる後ろで妖精メイド達が採血してたりしてな
ハルケギニアで長期滞在する際に飲む分の血液確保に…w
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 08:24:33 ID:/YtcwKVo
霊夢を見つける事のみ考えるのならば適当に暴れ回るのが一番楽だからじゃないか?
幻想郷の住人ってハルケギニアの住人からば亜人か先住魔法の使い手にしか見えないでしょ。
だから普通に現れても攻撃されるのがオチだろうし、紫が指導者に協力要請に向っても霊夢の居場所を知ってるとは限らないし、それ以前に紫が胡散臭すぎるから相手が直ぐに協力してくれるとは思えない。
ならばこっちで暴れて『異変』を起こしてやれば霊夢からやってくる可能性が高い。加えて自分達を退治に来た敵を「霊夢連れてこい」とか言いつつ返り打ちにすればハルケギニア側も霊夢を探さざるを得なくなるから一番手っ取り早い。
瀟洒の人の所であったようにハルケギニアで幻想郷のルールを守る必要はないしね。まぁ、それでもお嬢様達はちょっとやりすぎな気もするけど。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 09:24:23 ID:1IMLC6yk
>>61
過去にゼロ魔連中の扱いが悪すぎて荒れた小説あるの覚えてるか?
下手すりゃそれの二の舞になるぞ。

ま、このままエスカレートしていけば全面戦争は避けられそうにないな。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 09:26:35 ID:g9LCBnhw
>>113
ラングは日替わりみたいにゲームネタ入れたら面白そうだ。
ギーシュのワルキューレは傭兵システムに似ているし。
そして破壊の杖ポジションはメサイアンソード。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 09:30:31 ID:hejEY3pQ
>>126
それにしても後のシリーズを考えるとあそこまで大規模に外道やらかすの紅魔館組ぐらいだよなあ
地霊殿組も安全とは言い難いが、好戦的では無いわけだし。おHはともかくとして。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 09:33:29 ID:kKbCqytx
こうやって難癖つけられてまた書き手が消えていくんだよね

ここの読み手は何様のつもりなんだろう
嫌なら読まなけりゃいいのに
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 09:49:22 ID:vATwyrvR
こういう流れになるのが目に見えてたから昨日はスルーしてたんだが
結局こうなるのか…
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 09:55:53 ID:WCB9AiO3
難癖以前にいかにも荒れそうな作品だからな…
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 09:55:55 ID:tqZAZOcH
文句は毒吐きで
本スレで暴れて雰囲気を悪くするのが目的なら知らんが、好きでこのスレにいるなら場所をわきまえような
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 09:59:00 ID:1pcAXqbf
>>94
宇宙の魔法使いか
レオに登場した奴は愉快犯や通り魔的な奴が多かったけど、こいつは平民を魔法でいじめて楽しむ貴族そのものだな
考えてみたらハルケギニアに一番ぴったりな星人かもしれん
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 10:15:25 ID:Xe4U/OQx
読み手様乙
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 10:27:14 ID:PSEEibxW
荒れてるな
瀟洒の人がとばっちりを受けなければいいんだが…
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 11:03:42 ID:Bsu5GP3p
まあとりあえず、気に入らないなら脳内スルー
それが出来なきゃタイトルをNGワード導入くらいはしてほしいもの
そうでなければ玉石混合どころか地雷原をひた走る二次創作SS界隈では無駄な心労が大きすぎる

あと、ただ難癖やいちゃもんをつける為だけに特定の作品を読むのは勘弁な
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 11:07:47 ID:TX5WSe0n
そういえば昔種や種死をやたらネガキャンするやつがいて
「嫌なら見るな」というレスに対して
「見ないとネガキャンできないじゃん」って返してたの思い出した
割とそれに近い感覚だよね
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 11:55:40 ID:rh7lLMbS
かなり鬱陶しいタイプだな
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 12:11:05 ID:hejEY3pQ
むしろここまでの長編だと大概楽しみに読んでた人だろうし、
そうとなると読んでた話が超展開になったらスルーはできまいさ
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 12:25:32 ID:7eAsn+Mv
ネガキャンは論外だが否定する人は肯定する人より深く理解するべきなのは確か
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 12:41:42 ID:Xe4U/OQx
>>140
ここまでちゃんと読んでたらよっぽどの間抜けじゃない限り予想通りの展開だよ
幻想郷サイドの話で「ただじゃすまさねえ」ってしっかり言ってるし
東方系を締め出したい奴がチャンスだと思って騒いでるだけじゃない?
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 12:59:42 ID:PSEEibxW
プロレスとかでよく、〜デスマッチとかやったり
「ぶっ殺せー」っとかいったりするが
ほんとに殺しが出ちゃったら大惨事になる

東方はたまにヤバげな異変も起こるが
最終的には酒飲みあってのほほんとして終了する
だがこの惨事はそれでは済みそうにないからな
ある意味東方側も蹂躙されてると言えなくも無い
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 13:33:27 ID:jZddn9Ng
人気があるみたいだし、ゼロ魔側に配慮しないといけないスレでやるより
単独スレを立てて好きにやった方が良いんじゃないか?

いや〜それにしてもさ、俺も好きだけどここまで人気があるとは思わなかったよ、東方先生
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 13:39:42 ID:yNvatU3E
とにかく続きは毒吐きでやれってんだ
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 13:55:35 ID:xBu+lCck
東方ProjectクロスSSスレ その2
1 :創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 22:13:51 ID:AtOARR8i
「幻想郷は全てを受け入れる。それはそれは残酷な話ですわ」
東方Projectと他作品とのクロスオーバーSSスレです。

http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1243430031/


東方系はここでやらせてもらえば良いんじゃね?
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 14:00:22 ID:WCB9AiO3
何にしろファンが多すぎる作品は大抵荒れるから作者も読者も気を使わなきゃならない難しい世界
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 14:10:33 ID:xBu+lCck
でも、多かったら多かったで単独スレが立てられるので羨ましい
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 14:35:53 ID:RMfdWVao
これが例えばヘルシング(別スレあるけど)で死の河やって大虐殺ならそういう作品だしで済むんだけどねえ
既に完結してwikiにおいてあるような作品にまで影響ないといいけど
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 14:39:30 ID:xBu+lCck
その発言で目が向いたりしてなw
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 15:02:18 ID:tqZAZOcH
運営で議題にしようとはしないんだな
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 15:44:50 ID:2GpaSwRm
あっち(ヘルシング)は特別フリーダムだけどな。別にこれぐらいはスルーすればいいんじゃない?
あんまりひどいなら避難所とか
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 16:27:43 ID:IPWDQm6r
作者の方々も、アホな荒らしに惑わされずに書き抜いてほしいな
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 16:29:21 ID:hejEY3pQ
考え無しの荒らし呼ばわりは荒れの元
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 17:23:53 ID:KGeNMjvG
勝手な荒らし認定やアホ呼ばわりとか、煽ってるだけだろ。
それとも自分は間違ったことは言ってないつもりなんだろうかね?
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 17:27:28 ID:m05Is94A
ククク、まるで白痴だな
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 17:56:25 ID:N7qtIaIY
取り敢えず避難所でやれ。
どっちの原作ファンも少し落ち着けや
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 18:18:01 ID:8/2IhNXm
>>156
ニャル様か?
それともコンターギオか?

ニャル召喚はわりと出てくる話題だが
さて、ルイーナを遺跡抜きで召喚したら設備に頼った軍備増強は出来ないんだろうなぁ
メリオルエッセはリ・テクの人間を素体にしてる説もあるけど
その場合…
ルイズがペルフェクティオを召喚して乗っ取られて…
コルベール:コンターギオ
タバサ:ラキ
キュルケ:イグニス
ギトー:ウェントス
シュヴルーズ:ウンブラ

こんな具合に変貌する様を想像してしまいました!
まぁルイズが召喚なんてしたら即座に直結しちゃってハルケ含む宇宙が無に還るのかな
一発ネタレベルの破滅的出オチキャラって他にどんなのがいるかね
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 18:23:31 ID:KAxKEFy0
>>158
「ククククまるで白痴だな」はアカギ(福本漫画のほう)だと思われ
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 19:15:39 ID:EcI6BGVZ
やっぱり型月と同じように荒れたか・・・・
東方も型月も最強厨でクロスオーバーになると対象作品蹂躙しがちだから困るんだよ
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 19:22:12 ID:vATwyrvR
東方とのクロスは今までもいくつかあったが、
ここまで荒れたのは初じゃね?
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 19:34:58 ID:/r/Zjj2p
>>158
仮に破滅の本体としてのルイーナを呼び出したら、多分フェリオと同じでルイズがペルフェクティオ化するんじゃね?
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 20:11:33 ID:WSgNu6jw
>>162
そう書いてあるように見えるんだが
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 20:39:50 ID:68NKOZ3e
>>113
妖精亭の店員がみんな兄貴になりそうだな
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 20:47:57 ID:mx1dPCHv
273 名前:無重力巫女の人 投稿日: 2009/11/30(月) 20:41:13 ID:i/s82Vks
どうも、無重力の人です。
今回投稿した26話についてですが後半部分を大幅に書き直しました。
改めて読みなおすとこれはやりすぎたと感じてしまいました。

以後このような事が無いよう善処いたします。



だとさ。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 20:48:26 ID:EcI6BGVZ
まとめ見たら無重力巫女さん書き直されてるwww
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 20:52:29 ID:f5O2ajvz
自分で気付けることは良いことだ。

それはさておき、>>164のせいでガチムチアッー!な地獄天国を想像したのだがどうしてくれる
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 21:00:13 ID:QHNNJHni
韋駄天の兄貴が召喚されたとな?
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 21:02:51 ID:HybK29Ea
韋駄天を召喚してしまいランニングシャツとトランクスで夜な夜な走り回るルイズとか
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 21:07:41 ID:29HziMxN
8「両腕両脚がまずボキッと折れて、そこにロッ骨にヒビが入り、ちょっと苦しくてうずくまったところに小錦がドスンと乗ってきた感じだろーか。なーに、軽い軽い!」
ル「いやよアホーッ!」
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 21:28:30 ID:hejEY3pQ
しかし変更結果がちぇんだと……わ、分かってやがる!!
172代理の人:2009/11/30(月) 22:13:55 ID:qChlrheb
代理です
OKでしたら、瀟洒な使い魔を投下させていただきます
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:16:40 ID:/t2V271X
瀟洒さん早い!支援〜
黒羽は誰かな〜
174瀟洒な使い魔 第7話 1/14:2009/11/30(月) 22:19:01 ID:qChlrheb
ルイズをも恐怖させた咲夜のガン飛ばしに思わず目をそらす女性。
そんな2人をスルーしつつ、亜人の女性が立ち上がった。

「さて、それでは咲夜さんも不思議そうにしてますし、説明会を始めましょうか。
 私は小悪魔、名前はありません。種族は見ての通りの悪魔です。
 パチュリー・ノーレッジという魔法使いの使い魔をやっております。
 こちらの方は紅美鈴(ホン・メイリン)さん、妖怪です。
 私達は幻想郷と言う所の紅魔館から来ました。どういう所かは咲夜さんから聞いていると思うので割愛しますね?」

「ほう。ミス・イザヨイにもようやく迎えが来たか。いや、もう、というべきかの?」

オスマンがそういうと、小悪魔は眉根を寄せて「うーん」と唸り、少しして円卓の上に人形を置いた。
金髪に赤いリボンをつけた、可愛らしい女の子の形をした人形だ。
咲夜はその人形に見覚えがあった。幻想郷に住む魔法使いで人形の製作や操作を得意とする、
アリス・マーガトロイドの持つ人形だ。

「まあ詳しい事情は我が主より。それでは……」

小悪魔は人形に手を触れると、その背を軽くトンと叩く。
するとその目から光が放たれ、その光は丁度円卓の中央に像を結ぶ。

「映像を投影するマジックアイテム? 遠見の鏡のようなもんかい?」

マチルダが呟いている内に、白と黒の波がうねる像が変化し、風景を映し出す。
まず目に付いたのは巨大な本棚、学院にあるようなものだが、
その背表紙に書かれた文字はハルケギニアの公用語であるガリア語でもそのほかの言語でもなく、
オールド・オスマンですら知らない全く未知の言語だった。

「そのようなものですね。これは対となる人形が見た映像を宙に投影し、
 また対となる人形に目の前の風景を投影させる能力を持ったマジックアイテムです」

小悪魔が解説をしている間に、さらに風景に変化があった。
横合いから少女が歩いてくる。ナイトキャップのような帽子を被り、
ゆったりとした白と紫の縦縞模様の衣服。そのうえからガウンを羽織った紫の髪の少女。
突然の登場にルイズたちがどよめく中、少女は悠然と椅子に座ると正面、
おそらくは今ここにある人形の片割れのある方向を見つめ、口を開いた。
175瀟洒な使い魔 第7話 2/14:2009/11/30(月) 22:20:16 ID:qChlrheb
《小悪魔、聞こえているかしら? 定時報告時間外にこれを起動したということは、
 咲夜が見つかったということかしら》

「はい、パチュリー様。命蓮寺の方々の協力もありましたし、比較的早く合流できました。
 接触の際少々事故は起こりましたが……ええ、少々です。少々ですとも。
 起こしたのは私ではありませんし」

「あ、小悪魔酷い! 落下軌道の調整したの小悪魔じゃない!」

「さて何のことやら」

猛然と小悪魔に食って掛かる美鈴をとりあえずスルーし、
咲夜は目の前に投影されているパチュリーと呼ばれた少女に視線を向ける。
パチュリーは一つ頷くと、小悪魔と美鈴に黙るように伝えて改めて口を開く。

《あら、本当みたいね。咲夜、元気だった? 突然異界へのゲートが開いて貴方を攫っていったから、
 それなりに心配はしていたのよ。貴方のお茶が飲めなくなるのは色々と残念だし》

「それなりに、ですか、パチュリー様」

《ええ、それなりに、よ。貴方は私のではなく、レミィの従者なのだから》

「成程。と、失礼しました、お話をどうぞ」

苦笑しながら言う咲夜にパチュリーは首肯すると、簡単に状況を解説する。
咲夜が謎のゲートらしきものによって連れ去られてより、パチュリーは小悪魔や美鈴を介して調査を行った。
そこで、咲夜を連れ去った『謎のゲート』による誘拐事件の被害者は咲夜だけではない事を知る。
他の地域でも、同様の現象による失踪事件が発生していたのだ。
被害者は誰もが幻想郷でも有数の実力者ばかり。ただの妖怪にそんな事が出来るはずもなく、
それほどの力のある妖怪も多くはなく、犯人は未だ不明。その時だった。
気晴らしにと参加した宴会の席で、参加者の1人が同じ現象で連れ去られたのだ。
その場面は多くのものが見た。そして場に居合わせた多数の魔法使いや知識人らにより、
それが幻想郷でも外の世界でもない、全く未知の異界へ接触したものを引きずり込む、
トラップのような性質を持った空間転移ゲートを生み出す魔法であることが判明した。

魔法であるならば、自分にどうにかできるかもしれない。
咲夜の主人であり、自分の友人でもあるレミリアの要請もあり、パチュリーはそれを研究し始めた。
僥倖であったのは被害者の1人の家族達が次元を超えることのできる船を所有していたこと。
さらにそこのメンバーの1人が非常に高い探知能力を持っていたこともあり、
転送先も比較的容易に突き止めることが出来た。

《まあそんな訳で、紅魔館からは小悪魔と美鈴、他の所から数名のメンバー選出して派遣したのよ。
 ただ、だからといってすぐに連れ帰る事も難しいの。問題がいくつかあってね》

「問題、といいますと?」

《単純に言えば帰還手段の問題ね。被害者の一人、聖白蓮率いる命蓮寺所有の船『聖輦船』では、
 片道の次元移動しかできない。戻る為には聖白蓮自身の力を持って船に力を充填する必要があるわ》

映像の中のパチュリーはそういって溜息をつくが、ソレを聞いてオスマンが首をかしげた。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:20:16 ID:PSEEibxW
支援「完全で瀟洒な支援」
177瀟洒な使い魔 第7話 3/14:2009/11/30(月) 22:22:04 ID:qChlrheb
「ふむ、ちょっと良いかの、ミス・パチュリー」

《パチュリー・ノーレッジ。魔法使いよ。あなたは?》

「おっと、これは失礼した。ミス・ノーレッジ。わしはオスマン。
 この世界、ハルケギニアの1国トリステイン王国の魔法学院、
 ようするに魔法を教える学校の学院長をしておる。先程すぐには帰還できぬと言ったが、
 実はな、30年ほど前にもそちらの『ゲンソウキョウ』より来訪し、帰還していった例があるのじゃ」

そう言って、オスマンは咲夜にも話した霖之助の話をする。
彼を迎えに来た女性の力を借りれば帰還できるのではないか? とも。
だが、それを聞いたパチュリーの顔は心底嫌そうな顔であった。

《貴方の言うその女性とは恐らく八雲紫のことね。幻想郷全体で見ても5指に入る実力者で、
 厳密には違うのだけど、空間を渡る能力を持っているわ。
 確かに彼女に頼めば簡単に咲夜は帰還できるでしょうね》

「なるほど、そんな力を持った人物であったのか……
 ならばそうした方が、とは思うのじゃが、どうもそれはしたくないといった感じじゃのう」

《大当たりよオスマン氏。アレは凄まじい力を持った妖怪……そちらの世界で言うなら亜人や妖魔といった存在よ。
 つまり『人間』ではない。故にその常識や倫理観もまた常人とは一線を画しているわ。
 性格もどうにもとらえどころが無くて胡散臭くて、苦手なのよね。
 それに、そういった相手に余り借りを作るのは得策ではないのよ。対価に何を要求されるか分かったものじゃない。
 八雲紫相手に借りを作るなんてぞっとするわね。少なくとも私は嫌よ》

パチュリーはそう言ってオスマンとの会話を打ち切り、説明を続ける。

《現状では聖白蓮が見つからないと聖輦船へのエネルギーの充填は不可能なのよ。
 一応こちらでも召喚ゲートの研究は続けているから、
 そちらが完成して双方向に行き来可能なものを作ることが出来ればあるいは咲夜だけは帰還可能だわ。
 一応、聖輦船は聖白蓮だけではなく他の面々の救出も目的にしているし、
 研究の方も捗っている訳でもないからもう暫くは我慢して頂戴》

「もう暫く、といいますと?」

《もう暫くはもう暫くね。一応ゲートの理論は概ね掴んではいるのだけど、
 実行に移すのはまだまだ先になりそうよ。何せ狙った位置にゲートを開く事が出来ない上に、
 私とそちらの世界では魔法の系統そのものが根っこから違うから消耗も激しいのよ。
 今のままではそっちにゲートを開く事は不可能ね。幸いそちらの世界にも魔法使いはいるようだし、
 協力してもらえれば研究もはかどりそうだけど》

パチュリーの視線を受けて、オスマンは厳かに頷く。
ルイズと咲夜の契約をする時、帰還手段の捜索や、それを止めないという条件で契約を行った。
そして今咲夜の故郷からの迎えが来ており、未だ未完成ではあるもののその方法も確立されつつある。
ならばそれに対しての協力は惜しんではいけない。オスマンはそう理解した。

「了解した。ただ、そちらの魔法についてもいくつか教えてもらえるかの?
 我が国の研究機関では下らんことしか研究しとらんでな。ありていに言って参考にはならん。
 それに、系統魔法以外の魔法を使う相手とこうして会話できるというのはまたとない機会じゃてのう」
178瀟洒な使い魔 第7話 4/14:2009/11/30(月) 22:23:31 ID:qChlrheb
《構わないわよ。私もそちらの魔法には興味があるしね。さて、それじゃあ咲夜、
 今度は貴方の事情を聞きましょうか。出来る限り詳細にお願いね》

咲夜は席を立ち上がり、ハルケギニアに来てからのことを話し始めた。
召喚された日のこと、条件付で契約に応じた時の事、
ギーシュと決闘し圧勝した事、デルルリンガーと出会った事、自分が伝説の使い魔になってしまったこと。
そしてフーケとの戦いと勝利、フリッグの舞踏会で美鈴が落ちてきたところまで話し、席に着く。

《なるほどね、大体分かったわ。それにしても美鈴……》

「は、はい、なんでしょうかっ!」

咎めるような口調に、美鈴が背筋を正して立ち上がる。

《あなた、飛べるんだから飛びなさいよ》

「…………あ」

いつかの咲夜のように硬直する美鈴。
幻想郷にいるある程度力の強いものは、方法は様々だがほぼ例外なく空を飛べる。美鈴もその1人である。
そういえばそうだった、と思い至り、咲夜の美鈴を見る視線に僅かに殺気が篭る。
やべえこのままじゃナイフが飛んでくる、そう思った美鈴は必死に弁解を開始する。

「い、いえこれはですね、ここの真上までは聖輦船に乗ってたんですよ。
 で、無用の混乱を起こさないように私らだけ降りようと思ったわけですが…… 
 ええ、私は普通に飛んで下りようと思ったんですよ!? でも小悪魔がいきなり蹴落としたんですよ!
 酷いと思いません? 酷いと思いますよね? ていうか酷いです! 
 おかげでパニクって飛ぶの忘れるし、咲夜さんにぶつかるし! まだおでこ痛いんですよ!」

熱弁を振るう美鈴であったが、周囲の反応は冷ややかだった。主に咲夜からの視線が冷たさを増している。
パチュリーは溜息を一つつくと、美鈴の傍らの使い魔に呆れた声で言う。

《小悪魔、何か弁明は?》

「私は悪魔としての本能に従い状況がより面白くなるようにあれこれやったまでですよ」

悪びれもせずに言う小悪魔。しかしその瞬間、その額にすこんとナイフが突き立った。咲夜によるものである。
小悪魔はそのままばたりと椅子ごと後ろに倒れ、びくびくと痙攣しだす。
その様子を見て、その場の全員は顔を青くしながら、全く同じことを考えたという。

このメイドを怒らせるのは本当にやめておこう、と。



《……さて。相互の情報交換を終えたところでメインイベントに入りましょうか、
 ハルケギニアのメイジさん達。主にそこの……ルイズとか言ったかしら?》

「な、何よ……」

パチュリーの浮かべた意地の悪い笑みに、ルイズはなんとも形状のしがたい怖気を感じた。
この感覚には何となく覚えがある。そうだ、何年も前に実家で花瓶を割って、
夕食の際吊るし上げを食らったときの居心地の悪さに似ている。
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:26:14 ID:0Hpj4Uxa
支援
180瀟洒な使い魔 第7話 5/14:2009/11/30(月) 22:26:14 ID:qChlrheb
《あなたが咲夜を召喚して使い魔として契約したメイジでいいのよね?
 いえ、大したことじゃないのよ。ただ運が良かったわね、と言いたかっただけ》

「どういう意味よ?」

《その通りの意味よ。そうね、たとえ話をしようかしら?
 貴方が大事に可愛がっていた犬が、突然誰かに連れ去られた。
 探して見つけ出してみれば、その犬は全く知らない赤の他人の家で飼われていた。
 勿論、犯人はその赤の他人。貴方ならどうするかしら?》

ルイズはパチュリーがたとえ話をした意図を測りかねた。何で今そんな話を?
だが、とりあえずはまじめに考えてみることにする。
大事なペットを盗まれたら普通怒るだろう。それが、自分が可愛がっていたのならなおさらだ。
まずひっぱたいてやろうか。一発では許さない。何発もひっぱたいてやろう。
謝っても許してやらない。沢山ひっぱたいてやる。
そう告げると、パチュリーは意地の悪い笑みをさらに深くした。

《そう、沢山ひっぱたくのね。ところで、さっきも言ったけど私は咲夜の主人ではないわ。
 でも、私の友人であるレミィ、レミリア・スカーレットは咲夜の主人にして、
 この場、紅魔館の主なのよ。さて、本当そっちに行ったのが美鈴と小悪魔でよかったわね?》

そこでルイズはふと気付く。このパチュリーと言う少女は自分を皮肉っているのだ、と。
『可愛がっている犬』は咲夜、『連れ去った赤の他人』とはすなわち自分。
そういえば咲夜に聞いたことがある。自分は紅魔館唯一の人間なのだと。
つまり、咲夜の主人とは亜人。しかも、正面からぶつかれば咲夜よりも強いらしい。
ルイズの顔から血の気が引く。自分はそんな相手の『お気に入り』を、
故意にではないとはいえ自分の従僕にするという理由で横から掻っ攫ってしまったのだ。
確かに自分は運が良いのだろう。咲夜の主人がこちらに来ていたら、何をされても文句は言えない。
問答無用で殺されているかもしれなかったのだ。有難う始祖ブリミル。そう心の中で祈る。

《まあ軽いジョークはさておいて、本番行きましょうか。
 レミィ、良いわよ、今人形そっち向けるわね》

そう言ってパチュリーは手をこちらに(正確には人形に)向け、顔の向きを変える。
映像の中ではぐるりと視点が回り、パチュリーより少し離れた場所にいた少女を映し出す。
それは、パチュリーのものに少し似たデザインの桃色の帽子を被り、
同色のドレスを纏った、青みがかった銀髪の少女。その真紅の瞳を見たとき、
ルイズは何故か物凄く嫌な予感がした。
その予感を裏付けるかのように少女は笑うと、口を開く。
181瀟洒な使い魔 第7話 6/14:2009/11/30(月) 22:27:10 ID:qChlrheb
《始めまして、ハルケギニアの魔法使い達。私はレミリア・スカーレット。
 パチュリー・ノーレッジの友人にしてこの紅魔館の主。そして……
 そこのメイド、十六夜咲夜の名付け親にして、主人にして、所有者よ》



瀟洒な使い魔 第7話『レミリアお嬢様に叱られるから』



ルイズは思考が停止していた。今目の前に一番会いたくなかった人物が目の前にいる。
外見はルイズより幼い少女だ。だが、その背からはコウモリの物によく似た1対の羽が生え、
笑む口元には牙がのぞく。そういえば亜人だとは聞いたが種族を聞いていない。

《この翼と牙が気になるかしら? そちらの世界には吸血鬼と言う存在はいないの?》

「「「えええええぇぇぇぇぇぇ!?」」」

メイジたちから驚きの声が上がる。それもそのはず、
ハルケギニアにおいて吸血鬼とは人の住む場所に潜り込み人知れず人の血を吸う、恐るべき妖魔だ。
だが先住魔法を使いこなすが羽は無い。翼を持つのが幻想郷の吸血鬼なのだろう。

《なんか凄い驚かれているようだけど。普通見て分からないかしら》

「こちらの世界の吸血鬼は外見的に人間と変わらないんじゃ、ミス・スカーレット。
 牙もあるが隠しておける。加えて、貴方のことは『人間ではない』と言う程度しか聞いていないでの」

不満そうに眉根を寄せるレミリアに、オスマンが捕捉する。

《あらそう。ま、安心して良いわよ。手のかかる妹がいてね。私はそっちに行けないし、
 そもそも無闇に人間を襲うのは私のプライドが許さないわ》

「え、あ、そうなの……」

ほっとしたように息を吐くルイズ。レミリアはそれを見逃さず、
先程のパチュリーのように非常に意地の悪い笑みを浮かべる。

《そういえばそこの桃髪の子、ルイズとかいったわね?
 よくもまあやってくれたものね、私の咲夜を掻っ攫って下僕にしたなんて。
 どうしてくれようかしら、八つ裂き? 晒し首? それとも、私の晩御飯になってみる?》

にこにこと愛らしい笑みを浮かべながらつらつらとルイズの処刑法を並べ立てるレミリア。
どれも嫌だ。というかそもそも死にたくない。隣にいる咲夜を見るが苦笑を浮かべて首を横に振る。
あのメイドにも勝てないものがあるのか、と妙に納得するも状況は解決せず。
マチルダは因果応報とでも言うように肩を竦め、
美鈴とかいう女性の方を見れば腕で大きくバッテンを作って『無理!』とジェスチャーで示している。
小悪魔という亜人はいまだ痙攣している。どうやら同性からの支援は受けられないようだ。
こうなればオスマンに頼る他ない。彼の方を見れば、うむと深く頷いて立ち上がる。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:27:43 ID:/t2V271X
支援。
ルイズオワタ?!
183瀟洒な使い魔 第7話 7/14:2009/11/30(月) 22:28:59 ID:qChlrheb
「お話の途中失礼しますぞ、ミス・スカーレット。
 先程の話を聞いておられたかと思いますがのう、ミス・イザヨイが召喚されたのはいわば事故じゃ。
 そもそも使い魔を召喚する為の呪文は、このハルケギニアの生物を召喚するものでしてな、
 ミス・イザヨイ、そして恐らくはゲンソウキョウのほかの方々のような、
 ハルケギニアの外の世界の生物、それも人間を召喚するようには出来ておらんのじゃ。
 勿論調査は行っておるが、そもそもこの世界では『外の世界』と言う概念そのものが無い。
 弁明にもならんかと思うが、けして意図的に攫っているわけではない事だけは了解してくれませんかの」

《そちらの召喚魔法は対象を特定できるものではないのかしら?》

「左様。自分と相性の良い、もしくは性質の似た生物を召喚するのが、『サモン・サーヴァント』でしてな。
 召喚される対象は全く特定できませんのじゃ。わしの使い魔は鼠じゃし、
 蛇嫌いのメイジが蛇を使い魔に召喚したという事例も在るくらいでしての。
 ある程度の方向性は定まっているのは分かっているが、何が召喚されるかまでは全くじゃ。
 貴族共も『使えるからいいや』『それは始祖への冒涜だ』とろくすっぽ研究もしておらんし」

《そっちのメイジってバカなのかしら》

「否定は出来んのう」

呆れたように言う2人。レミリアは溜息を一つ吐くと、改めてルイズのほうを見る。

《まあ、散々脅しておいてから言うのも何だけど、ルイズ。
 私個人としては貴方をどうこうする気は最初から無いのよ》

「え!? ええと、み、ミス、ススス、スカーレット。それはどういうことでしょうか?」

レミリアのその言葉に、先程までの恐怖とは別の意味で硬直するルイズ。
その頭にはクエスチョンマークが大量に浮かび、顔色は蒼くなったり赤くなったりと大変な事になっている。

《まあ、単純に言えば、貴方に興味が沸いた、と言うことね。咲夜、私の能力は何だったかしら?》

「よろしいのですか?」

《ええ、構わないわ》

「運命……そう、運命を操る能力。そうでしたよね?」

《正解》

―――運命を操る程度の能力―――

それが、幻想郷のパワーバランスの一角を担う紅魔館、その主人であるレミリアの能力である。
咲夜の能力のように戦闘に使われることこそないが、側にいるだけで数奇な運命を辿るようになったり、
場合によっては声をかけられただけで生活が一変するとも言われる強力な能力である。
眼に見える効果が無い為詳細は不明であるが、その中の1つに『他者の運命を観測する』というものがある。
これもまたレミリアにしか分からない為詳細は不明だが、
どうやらルイズの運命が非常に面白い、という事だった。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:32:13 ID:0Hpj4Uxa
支援
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:32:35 ID:yNvatU3E
支援
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:35:30 ID:2GpaSwRm
おおい、代理さん、なんか作者さんが書き漏れがあったってたさ。避難所の方に詳しい事書いてあるよ。
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:37:36 ID:l4uyoQZ4
代理の方が連投規制に引っかかったため代理の代理です。ID変わります。

《余り伝えすぎても面白くないから掻い摘むけど、貴方はとても面白い運命を歩む事になっているわ。
 だから咲夜、少なくとも帰還の準備が整うまではその子の側にいなさい。
 そして見届けなさい、その子が歩む運命を。土産話を期待しているわ》

「畏まりました、お嬢様」

本来の主の言葉に立ち上がり、恭しく一礼する咲夜。
レミリアはそれを見て満足げに笑い、立ち上がって背を向ける。

《ルイズ、とりあえず咲夜は暫く貸してあげるわ。使っても良いけど壊さないでね?
 あと返す時は洗って返しなさい。パチェ、私は散歩行って来るから後お願いね》

《はいはい》

映像の映っている範囲からレミリアが消え、少ししてドアが閉まる音がする。部屋を出たのだろう。
それを確認してから、パチュリーは改めて一同に向き直る。

《まあ、レミィのお墨付きも貰ったようだし、何とか首の皮が繋がったわね》

「生きた心地がしなかったわ……大体あれ、最初からどうこうする気がないなら、
 なんで私散々脅されたのかしら?」

《自分のお気に入りを掻っ攫われて腹は立ってたのかもね。
 実際、咲夜が消えて一週間くらいは本当に殺す気だったようだし。
 あの程度で済んでよかったじゃない》

ほんと始祖ブリミル有難う。これはもうロマリアへ巡礼に行かねばならないんではなかろうか。
紙一重で掴み取った幸運を噛み締めつつ始祖への惜しみない感謝を捧げていたルイズであったが、
ふと咲夜に肩を叩かれて我に返る。なにやらパチュリーが呼んでいるらしい。

「ええと、何かしら?」

《そういえば、貴方が浸っている間に咲夜に聞いたのだけど。
 貴方はなにやら面白い魔法を使うそうね? なんでも、通常の魔法が使えない代わり、
 強力な魔法による防護処理も粉砕するほどの爆発を起こせるのだとか》

「あ、ええ。私はどんな魔法でもそういう爆発しか起こせないの。
 だから魔法成功率ゼロの『ゼロ』なんて二つ名までつくし」

《それは攻撃に使う魔法でも、そうではない魔法でも?》

「例外なくよ。知る限り全ての呪文を試したんだから間違いないわ」
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:38:59 ID:l4uyoQZ4
ヤケクソ気味にいうルイズを見ながら、パチュリーは考え込む。
咲夜も言っていたが、このルイズという少女は異質だ。
ハルケギニアのメイジについてはまだ情報が少ないが、ここに来るまでに断片的に得た情報や、
今咲夜から聞いた話だけで見ても、『異質なメイジ』と判断せざるを得ない。
パチュリーは自分の中の何かが、むくりと鎌首をもたげる感覚を覚えた。
元来、幻想郷の魔法使いとは魔法の研究者でもある。
文字通り生まれながらの『魔法使い』であるパチュリーは、生まれながらの魔法の研究者とも言える。
だからこそ気になった。このハルケギニアは幻想郷とは全く違う魔法大系が存在する。
それだけでも興味をそそられるというのに、その中でも異質と思える存在がいる。
ルイズと言う1人のメイジは、パチュリーの知的好奇心を非常に刺激する存在であったのだ。

《興味深いわね……四大になぞらえた属性魔法、そして貴方のその失敗魔法。
 一人の魔法使いとして、是非とも研究してみたいわ。今度検証させてくれる?
 勿論対価は払うわ。例えば、幻想郷の魔法を教える、とかね》

「え!?」

《実際に確認したわけでもないから詳しく調査してみないと分からないけど、
 貴方の爆発は『失敗』というよりは『暴走』に近いのではないかと思うのよ。
 例えば魔力を注ぎすぎているとか、そもそもそちらの『系統魔法』が貴方の体質に合わないか、とか。
 少なくとも魔力が全く無いから魔法そのものが発動しない、というわけではないようだもの。
 それに、全ての魔法が同じ効果と言うことは、それがあなた固有の能力と言うことも考えられるわ》

「え? え?」

完全に研究者としての側面を露にしたパチュリーに、ルイズはあたふたと慌てる他ない。
その後暫く専門的過ぎて理解不能なパチュリーの持論展開に晒されたルイズであったが、
持ち前の頭脳でなんとか『異世界のメイジに興味を抱かれている』と言うことは理解した。
よく考えてみればルイズにとっても渡りに船である。
自分の魔法はどうやら通常の系統魔法とは全く違うものであり、
もし性質が幻想郷のソレに近いのであれば、幻想郷の魔法を学ぶことによって払拭出来るかもしれないのだ。
あの忌々しい、『ゼロ』の二つ名を。

そこに思い至った後は早かった、あれよあれよと言う間に話は進み、
ルイズは己の失敗魔法や、魔法に関しての知識を提供する。
パチュリーは定時連絡の際ルイズに幻想郷の魔法を教え、
それ以外のときは己の使い魔である小悪魔を家庭教師としてつけることで双方は合意に至った。
なお、このやり取りの間中小悪魔は気絶していた為本人の意図しない所で事態は進んでいたが、
後に主人に抗議した際『うるさい黙れ』の一言であしらわれた事を付け加えておく。



《さて、こんなところかしらね。余り長く繋いでいても疲れるし、何か最後に質問はある?》

周囲を見回しながら言うパチュリー。一同は顔を見合わせて少し考えるが、
まず咲夜から手が上がる。

「あ、それでは私から。この人形ですが、確か魔理沙が地底に行った時に使ったものですよね?
 次元を超えて通信できるほどのものだったとは思いませんでしたが……」
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:39:35 ID:f5O2ajvz
小悪魔が小悪魔的で実にベネ。支援
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:40:45 ID:l4uyoQZ4
《ああ、そういうことね。モノ自体はあの時の物よ。ただし若干の仕様変更を加えてはいるけど。
 主に通信面を強化しているわ。命蓮寺と聖輦船を中継基地にして長距離の通話を可能にしてみたの。
 理論上は地底最深部―月の都間の通話すら可能と自負しているわ。
 まあ、次元間の会話を可能にする辺りだけは紫の手を借りたけどね。
 レミィ秘蔵のワインを1本持ってかれてしまったわ、私も狙っていたのに》

ほんとあの妖怪に借りは作りたくないわね、と溜息を吐くパチュリー。
他にない?と声をかけた所、マチルダが手を上げる。

「あー、ちょっといいかい? 今日サクヤには話したんだけどさ、
 あんたらが帰るとき、あたしらも一緒にゲンソウキョウに行っても良いかい?
 アタシには妹分がいるんだけどちょっと訳ありでさ、別のところに引っ越したいところだったんだ。
 あたしらのことを誰も知らないくらい遠くまでね」

《移住希望、ってことかしらね。良いんじゃない? 紅魔館に住むならレミィの許可が要るけど、
 人里に住むんなら問題は無いだろうし。命蓮寺の連中も喜んで協力してくれるはずよ。
 あの人たちそう言うの好きだしね》

「そうかい。じゃ、そのメイレンジの連中にあったときに改めて頼んでみるさ」

嬉しそうに言うマチルダ。オスマンは『え!?』という顔で彼女を見ていたが、
直後わき腹にマチルダの肘を食らって崩れ落ちる。自分がサボれなくなるのが見え見えだからだ。

《さて、それじゃあそろそろ切るわね。あ、そうそう。咲夜に言っておく事があるんだったわ》

「私にですか?」

《正確には私ではなくあの閻魔様の言葉なのだけどね。
 貴方に会うことがあれば伝えておくようにと宴会のときに言われたのよ。
 『私の言葉を思い出しなさい。それを成すかどうかは貴方の自由ですが』だそうだけど》

「……分かりました。一応覚えておく、とお伝え下さい」

《会ったら伝えておくわ。それと、今回の件、霊夢は動かないわよ。動けないと言った方が正しいけれど。
 いつ戻れるか分からないような所に大事な博麗の巫女を放り出せない、って紫がね》

なるほど、と咲夜は心の中で納得する。博麗の巫女は『幻想郷』というシステムを維持する上で、
最も重要な外界と幻想郷を隔てる『博麗大結界』の管理者である。
博麗の巫女が幻想郷から居なくなるということは幻想郷の壊滅を意味する。
妖怪の賢者とも目される紫の事だから、なんとなればその辺りは何とかしてしまうのだろう。
が、普段は自分の式神(使い魔)に任せて寝こけているような妖怪の事だ。
大方そうするのも面倒だ、それに巫女さえ居れば幻想郷を維持することは出来る、
だから放って置いても問題は無い、とでも考えているのだろう。

「なるほど。了解しました。」

《さてルイズ、定時報告は大体週1の昼だから覚えておきなさい。
 予習復習も忘れない事。小悪魔が無茶振りしてきたら黙らせて良いわ》

「分かりました、先生!」
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:43:53 ID:l4uyoQZ4
この短時間ですっかりルイズはパチュリーを師と仰ぐようになった。
実際に魔法を使っている所こそ見せていないが高度なマジックアイテムを作れるメイジだ、
ルイズからすればその教えを請えると言うだけで有難い事だろう。
何より、大嫌いな忌々しい二つ名である『ゼロ』を払拭できる可能性があるのだ、
これはルイズならずともはりきるだろう。

《よろしい。それじゃ、また来週ね》

パチュリーがそう言って人形に手を伸ばすと、人形の目から放たれる光が途絶え、映像が消える。
少し前に復活していた小悪魔はその人形の背に手を伸ばしてとんともう一度叩く。
すると、人形はふわりと浮かんで小悪魔の横に浮かんだ。それを、見マチルダがひゅう、と口笛を吹く。

「遠くと会話できる上に勝手に動いて持ち運ぶ必要の無いマジックアイテムかい。便利だねぇ」

「素体はアリスさんっていう別の魔法使いが作ったんですけどね、この上海人形。
 ……所で、ここってお風呂あります? 実はここ一週間くらい水浴びだけでして……
 聖輦船でもお風呂はありましたが水や燃料を浪費できませんから、早々沸かせませんでしたし」

「ならば入るといい。そのくらいならば準備させよう。
 まだ舞踏会もおわっとらんじゃろうし、今なら貸切じゃぞ?」

今ここに居るオスマン以外の人間は、例外も居るが基本的に年若い少女や女性である。
そんな彼女達にとって、貸切でお風呂と言う言葉はあまりにも魅力的であった。



会議室から出てタオルなどを取ろうと部屋に戻ると、
廊下で待ち構えていたであろうキュルケとタバサが出迎える。

「お疲れ様サクヤ。故郷に帰れる算段はついたの?」

「まあなんとか、といったところかしらね。もっとも、もう暫くはこっちに居る事になりそうよ。
 そういえば、今からみんなでお風呂行くんだけど貴方達もどう?
 差し障りの無い範囲でならいくらか話してあげるわ」

好奇心の強いタイプであるキュルケがその言葉を聴いて否と言うはずもなく、
キュルケもまたタバサを巻き込んで風呂へと行く事となった。

所変わって、大浴場。ここは元々学院全ての女生徒や女教師達が一斉に入れるよう、
縦15メイル、横25メイルという、深さを除けばプールのような広さを持つ浴槽を有している。
湯には香水が混ぜられ、貴族の女子が入るに相応しい香りを放っている。
普段は大勢の少女達で賑わっている浴場だが、今この浴場を利用しているのは僅か数人。
各人が思い思いの場所で湯に漬かり、日ごろの疲れを癒している。

「あぁ……このなんかセレブでゴージャスな香りがなんとも……
 ここの皆は毎日こんなお風呂なんですねぇ、いいなあ、羨ましいなあ。ああブルジョワジー!」

「紅魔館の品位が疑われるからそれ以上貧乏臭い発言はやめなさい美鈴」

湯に身をゆだね浮かびながら叫ぶ美鈴と、その横ですこんと彼女の頭をはたく咲夜。
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:44:43 ID:f5O2ajvz
支援
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:45:31 ID:l4uyoQZ4
「ええと、タバサちゃんでしたっけ。お風呂で本を読むなんて本、痛みませんか?」

「問題ない、持ち込む本は固定化や他の魔法で保護している」

浴場でもなお読書に勤しむタバサと、それを横から覗き込む小悪魔。

「いやぁ、まさかつい二・三日前にガチでやりあった相手と知り合いになった挙句風呂とはね。
 このマチルダ、予想だにしなかったよ」

「ほんと、サクヤが来てから退屈しないわね。男漁りなんかよりよっぽど楽しいわ」

咲夜が来てよりめまぐるしく変化する日常に溜息を漏らすマチルダと、逆に楽しそうに笑うキュルケ。
だが、その一角で、怨念にも似たどんよりとしたオーラをまとう人物が1人居た。
浴槽の隅の方で桃色のロングヘアを湯に揺らめかせている、1人の少女。『ゼロ』のルイズである。
その視線はその場に居る全員、正確には全員の胸元、要するに胸に向かっている。
小さいを通り越してまっ平らなタバサを除き、その胸は例外なく出っ張っていた。
咲夜はまだいい。大きすぎず小さすぎないそれはまだ『美しい』と言う感想が浮かぶ。
だがそれ以外は駄目だ。極刑をもって然るべきである、とルイズは思う。

まずキュルケ。ヴァリエールの仇敵ツェルプストーの人間であると言う時点でアウトなのに、
あのはちきれんばかりに出っ張った胸は反則である。よって極刑に処すべきだ。
次にマチルダ。色々と世話になったが奴はあの『土くれ』のフーケだ。
程よく肉がつき、出るところもしっかり出ているあの肢体は反則だ。よって極刑に処すべきだ。
その次に美鈴。咲夜の知り合いだと言うから勘弁してやろうかと思ったが、
あの奔放に存在を主張する、湯に浮かぶほどの脂肪の塊は反則である。よって極刑に処すべきだ。
最後に小悪魔。師と仰ぐパチュリーの使い魔ではあるが、それとこれとは話が別だ。
キュルケや美鈴ほどではないが、豊満に飛び出た胸部は反則である。よって極刑に処すべきだ。

今ほど杖を置いてきた事を後悔したことは無い、とルイズが歯軋りしていると、
小悪魔が見られていることに気付いたのか、こちらに近づいてくる。
丁度いい、まずはこいつから血祭りに上げてくれるわ! と気炎を上げていると、
その小悪魔に手を掴まれて引っ張られる。予想外の事に対応が送れ、バランスを崩し前のめりに倒れる。
その軌道上には当然ながら小悪魔がおり、2人の身長差もあり、
ルイズの頭が小悪魔の胸元に飛び込む形になってしまったのは仕方のないことだ。

ふよん、とでも表現される感覚と共に、ルイズの視界が肌色に包まれ、
顔全体に柔らかい圧迫感を感じる。息は出来なくないが少し息苦しい。
なんだこれは。でもこの感覚はどこかで覚えがある。ルイズは記憶の糸を手繰る。
そうだ、確か2番目の姉に抱きしめられたときに感じた感覚に似ている。
ということは、つまり――――

そして、ルイズが『小悪魔の胸に顔を突っ込んでいる』という事実に思い至った直後、
ルイズの意識は闇へと落ちた。主に酸欠で。気絶する前のルイズの脳裏をよぎったのは、

―――なんで小悪魔なんて名前なのにここはこんな大きいのよ。

というどうしようもない事であったという。
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:47:04 ID:f5O2ajvz
私怨 違う いや違わない 支援
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:48:06 ID:l4uyoQZ4
ルイズを「のぼせた」としてメイドに医務室に連れていたせた後、
咲夜達は改めて湯に漬かり直していた。

「いやぁ隅っこで黒いオーラ垂れ流してるからちょっと一緒にお話しようと思っただけなのに、
 まさかこんな漫画みたいな展開になるとは……」

頭を掻きながら、頭の横の羽をパタパタと動かす小悪魔。
彼女個人としては全く予想外の事態だったためか、なんともばつの悪そうな顔をしている。

「ま、どうせ詮もない逆恨みでしょうからいい気味ね。
 さ、それよりどんな話してたのか教えて頂戴な」

キュルケがひらひらと手を振って咲夜たちを促し、咲夜達は先程の話し合いの内容を話し出す。
開始初期に咲夜のナイフで昏倒していた小悪魔は話の内容の大半を知らなかった為、
「なるほどー」等といいながら聞く側に回っていたりするのだが。
また、命蓮寺の話になるとタバサが何故か身を硬くしたが、その理由を本人は黙して語らず、
周囲に疑問を残した事を記しておく。




「……なるほどねえ。そりゃ確かに命拾いしたわね。運がいいわ、あの子。
 あ、そうだ咲夜。最後に行ってた、エンマ様の言葉ってのは何?」

話が終わると、キュルケはレミリア相手に顔を蒼くしていたルイズのくだりを思い出したのかくすくすと笑う。
そして最後の部分にやはり興味を引かれたのか、ずいっと身体を咲夜に寄せてきた。
やっぱり話さないと解放してくれないだろうなぁ、と嘆息し、咲夜は口を開く。

「大したことじゃないわ。その人、お節介焼きな人でね。
 貴方は人に冷たすぎるからもう少し人に優しくなりなさい、ってお説教されたわ。
 おかげで体にいいお茶を飲むようになったけど」

「それは、何か違う」

「そうかしら?」

タバサのツッコミをするりと受け流し、咲夜は浴槽から抜け出て入り口へと向かう。

「まあ、人間なるようにしかならないものよ。それがどんな良い事だったって、
 急にああしろこうしろなんていわれて素直に受け取る人間なんかいるわけ無いわ。
 特に幻想郷じゃあね。さて、それじゃあ私は上がらせて貰うわね。
 いい加減ルイズが目を覚ます頃合だわ」

そう言い残して立ち去る咲夜を見送ると、美鈴はふう、と溜息を吐く。

「うーん、全くの異世界に放り出されてちょっと変わってないかな、
 って淡い期待を持っては見ましたが、やっぱり咲夜さんは咲夜さんですねぇ」

「ゲンソウキョウに居た頃もやっぱりサクヤはあんな感じなのかい?」
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:48:35 ID:PSEEibxW
おっきいこあだと!許す!
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:50:09 ID:l4uyoQZ4
マチルダの相槌に、美鈴は「あんな感じの瀟洒なメイドさんでした」と語る。
美鈴は咲夜が幻想郷にやってくる前からずっと紅魔館におり、
咲夜が来たときは一時期色々と世話を焼いていた。もっとも、
主人のレミリアがあの性格であり、友人のパチュリーもまた本の虫で、
何も知らない少女を世話出来るような人材が美鈴しかいなかったというのもあるが。

「まあ来たばっかり頃はホント可愛かったんですよ。なんていうかこう、借りてきた猫と言うか。
 まあ私も母性本能刺激されるされる……いつのまにか私もさん付けで呼ぶようになりましたけど」

「へぇ。あの無敵のメイド長にも可愛らしい少女時代があったわけかい。
 ま、あたしも楚々としたお嬢様だった時分があったわけだし、別におかしかないやね。
 ……って、なんだいあんたら、その物凄い顔は」

「いや、ミス・ロングビルの今の性格から楚々としたお嬢様時代を連想することが出来なくて。
 どう考えてもおてんばで跳ねっかえりなじゃじゃ馬しか想像できないわよ」

もっともなキュルケの茶々入れに、全員が首肯する。
あまりにもあまりなそのリアクションに腹が立ったのか、マチルダのこめかみに青筋が浮く。

「ほっほーう……中々勇気ある発言をするじゃないか、ミス・ツェルプストー?
 でもあんたみたいに男とっかえひっかえしてるようなのに言われたかないのさ、あたしもね」

バキボキゴキベキ、とさあ撲殺準備完了とばかりに指を鳴らすマチルダに、
キュルケの背筋を冷たいものが這う。やべえ地雷踏んだ、どうにか話を逸らさないと……
殺気の篭ったマチルダの視線に思わず視線をそらしたキュルケの目には、
浴槽の隅っこで頭を抱えて縮こまる美鈴の姿があった。これだ! とキュルケの脳細胞に電流が走る。

「メ、メイリン! ほら、もっとサクヤの話を聞かせて頂戴!
 お屋敷に着たばっかりの頃とか、ネタはまだ尽きてないでしょ!?」

「はは、はいぃ! マ、マチルダさんも落ち着いて!
 今から取って置きの咲夜さんのネタをお話しますから!」

そんなこんなでなんとかなだめる事には成功。このままでは上せるからと一旦上がり、
脱衣所で美鈴を囲んで椅子を並べ、その『取って置きの話』を聞くことにした。

「そうですね、これは今から何年か前の話なんですが……」

そこまで言いかけて、美鈴の語りが止まる。何事かと思って美鈴を見れば、
その頬を掠めるようにして1本のナイフが壁に突き立っていた。全員の肝が一気に氷点下に突入する。
なぜなら、そのナイフの飛んできた方向には1人のメイドが居たからだ。
ただしメイドの名前は、十六夜咲夜と言った。

「あ、咲夜さんこれはええとそのあのなんといいますかですね……」

「ああ、別に良いのよ美鈴。場を和ませようとしたんでしょう?
 貴方そう言うのは得意だものね。まあ、全員歯ァ食いしばりなさい」

入り口に陣取った咲夜は立てた親指で首を掻っ切るジェスチャーを行った後、腕を一振り。
宙に浮いて切先を正面に向けた尋常でない量のナイフが、魔法のように出現する。
悲鳴が起こるのと、咲夜が指を鳴らすのとはほぼ同時。
その日、『不慮の事故』により女子大浴場、正確にはその脱衣場は全壊する事となった。
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:52:24 ID:l4uyoQZ4
7話冒頭部抜け分  一番最初に来るべき文章です。

***

フリッグの舞踏会が行われている頃、トリステイン魔法学院本塔、会議室。
そこには学院長であるオールド・オスマンをはじめとして、数名の人間が円卓の席についていた。
オールド・オスマンの秘書にして大泥棒、ミス・ロングビルことマチルダ・オブ・サウスゴータ。
学院の有るこのトリステインの王家、その傍流に当たる公爵家の令嬢、『ゼロ』のルイズ。
そして、その使い魔、『ガンダールヴ』こと十六夜咲夜。

それらの人物の視線を一点に集めるのは、円卓の上座に座る2人の女性。
1人は緑を基調とした見慣れない衣服に『龍』という字の刻まれた飾りがついた同色の帽子を被った赤髪の女性。
少し前、空から落ちてきて咲夜に激突した女性である。
もう1人は、黒を基調とした衣服に赤い髪、そして耳に当たる部分と腰の辺りから羽を生やした亜人の女性だった。

「……で、なんで貴方達がここにいるのか聞いても良いかしら? 美鈴。
 しかもよりによって私の上に落ちてくるのかもね」

「ええとですね」

額をさすりながら、美鈴と呼ばれた帽子の女性を睨む咲夜。

***

というわけで今回分は終了です。無重力巫女の人やウル魔の人乙でした。
4話から始まったフーケ編、ようやく終了です。一先ず一段落したのでちょっと休憩挟んで、
次回はここしばらく放置気味のあの人とか書いてみたいですねぇ。
他のみんなも書いてみたいんですが未だ書くべき時ではないのでもう暫く我慢。
なお、今回小悪魔のあたりとか人形の辺りとか体型とか、諸所で自己解釈的なものを挟んでおりますが、
あくまで『瀟洒な使い魔』での設定なのでオフィシャル的にはほぼ未確定の事象です。
そのあたりご了承下さい。

それではまた次回。まだ続くのでもう暫くお付き合い下さい。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:52:31 ID:0Hpj4Uxa
支援
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:59:48 ID:f5O2ajvz
代理終わりかな?乙。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:01:52 ID:PSEEibxW
瀟洒の人、代理の人、代理の代理の人乙でした
さて、これで下地が整ったわけですね
ここからの独自の展開に大いに期待
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:03:21 ID:UBzL77CL
>273 名前:無重力巫女の人 投稿日: 2009/11/30(月) 20:41:13 ID:i/s82Vks
>どうも、無重力の人です。
>今回投稿した26話についてですが後半部分を大幅に書き直しました。
>改めて読みなおすとこれはやりすぎたと感じてしまいました。

>以後このような事が無いよう善処いたします。

これさ、ここで騒がれたから「やりすぎ」を書き直したようにみえるんだけど、
毒吐きで言われただけだったらそうならなかったよね……。
こうなると、これからは他の作品まで毒吐きではなくここで大きい顔して言われちゃうね……。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:13:58 ID:vATwyrvR
咲夜さんの人、代理の方々乙でしたー
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:18:20 ID:0Hpj4Uxa
瀟洒な人も代理の人も乙でした
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:22:50 ID:hejEY3pQ
まあ作者は普通毒吐きなんか見ないだろうしな
心配しなくとも今回程アレじゃなければんな騒ぎにはなるまい
なったななったらでゴネ得で始末されるのみよ
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:33:15 ID:gbe9VmaY
作者自らやりすぎと判断した作品が普通に通ったのと、
ここで毒を吐いて作者がやりすぎと判断したように見えるのが不味い
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:33:52 ID:/t2V271X
瀟洒&代理&代理代理の人達乙でした。

おマチさん一家幻想入り決定!!能力は
おマチさん「土を操る程度の能力」
テファ「記憶を操る程度の能力」
ですかね?

タバサが命蓮寺を知っているようですが、向こうはどうなっている事やら。
後、他に入ったのは最低でも2人。しかも家族持ち。
白玉楼、永遠亭、守矢、地霊殿。候補は13人ですね。
多いよ!
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:37:14 ID:GNQgQPSo

さすがに代理の代理の代理まではいかないか・・・
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:50:18 ID:mx1dPCHv
書き直すかどうかは作者自身が判断して実行することであって、
いくらここで「ここがダメだ」「これはいけない」と言おうが作者自身が「別にいいじゃん、これで」と思ってりゃ、
書き直す必要は全くない。
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 00:05:29 ID:e41dRvwW
咲夜の人乙です。
おぜうさまwガクガクブルブル
あと咲夜さんマジパネェww
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 00:05:30 ID:s7AnhRt/
作者と信者以外の大多数が「やりすぎ」だと言ってたら、信者を連れて単独スレでやって貰った方が良いと思うけどな
ここにはテンプレとかあるし、今回みたいにそれに触れてたら論外だろう
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 00:08:35 ID:w3ncSxZM
つかいい加減スルーの魔法を使ったら?
あとどうしても続けるなら毒吐き行けば?
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 00:12:19 ID:tnTD9vq/
はいはい提督提督
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 00:13:24 ID:vWePSjGF
>>193 ふぅ…

それにしてもテファin幻想郷か…


紅魔館の500歳児「バカな…あり得るのか、こんなモノ(乳)がっ!?」
絶壁不良天人「認めん…認められるか、こんなっ!?」
幻想郷の素敵な閻魔「大きすぎる…修正が必要だ」
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 00:18:34 ID:qwAtHpkh
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 01:13:45 ID:QgfApEzZ
そんな事より鮫の話しようぜ
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 01:17:53 ID:L4UZw+cs
新宿鮫?
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 01:18:53 ID:JvHdQNA1
モンモンがアーロン召喚とか?
水の精霊とのKOUSYOUに赴くアーロンさん
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 01:20:23 ID:XluKZ0Ed
鮫島事件?
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 01:36:26 ID:ZgHqTx8R
鮫島事件か
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 01:54:45 ID:eXhwEmFV
いやな事件だったね…
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 01:58:29 ID:uzH87iy7
まぁ、どんなものを書くにしても後悔のないようにって事か。後の展開と精神に無理が出ないよう祈っている
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 02:55:59 ID:DcoRq0vO
ルールを守った上でね
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 03:58:06 ID:PoAfnotf
しかし改めて考えてみると、ジョゼフも大概色んな相手とキスしてんなぁ。

…ゲマとのキスシーンは想像したくない。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 04:08:25 ID:JZcb2fW/
メインキャラレイプされたならともかくモブいじっただけでスレから出てけとか
ここの読み手は何様なんだろうな
もう提督の時にほかの書き手も追い出したこと忘れたのか
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 05:10:29 ID:vWePSjGF
とりあえず今までの作品で一番幸せなジョセフは、愛しのシェフィのジョセフだよな。

他は日光ガリア村で殿様の格好してるジョセフか?w
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 05:46:14 ID:JZcb2fW/
やれやれ…
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 07:05:49 ID:R+eKmLym
>>224
案外アレかも知れん。
ジョゼフ側としては
「こんな奴にキスしたら後で嫌悪感とか後悔だとかの感情を感じられるかも知れん」
って割とノリノリでやってるかも。

まぁ、結局ムダっぽいけど。
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 07:39:56 ID:odJTNEfm
>>228
目から鱗が落ちた
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 07:51:26 ID:HlTfka0A
>>228
納得してしまったではないか、どうしてくれる
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 07:53:11 ID:TKU2Rfod
待て、いずれにせよキスシーンがあるっていう事実には変わりないw
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 07:57:24 ID:esA1lbsh
鬼に逢うては鬼を斬り、仏に逢うては仏を斬る…。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 08:40:22 ID:9GfkGQ0O
>もう提督の時にほかの書き手も追い出したこと忘れたのか
記憶が読み手憎しで混濁してるようだな
書き手が一気に減ったのは提督追放決議を無視したまとめ管理人のやり方に作者方が反発した結果だ
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 09:25:16 ID:G2BCO1V7
そういえばシュヴルーズ先生が召喚ってのはあるがコルベールが召喚ってのは見当たらないな
というわけてコルベールがマサキケイゴを召喚、地の鮫ゲオザークを共同製作して聖地目指してレッツゴー
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 10:08:06 ID:pBIEo3km
瀟洒の人のラストで非想天則のアレが頭に流れた。
テーレッテーテーレッテー
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 11:03:09 ID:DzgCMUpo
>>232
契約がすぐに解消される予感!
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 12:04:19 ID:RUmkOKy1
>>226
殿様の格好と言われたら何故かシンケンレッド連想された……戦隊に毒され過ぎだ俺

でも案外ジョゼフが殿召喚とかも良いかもしれん
文力で契約解消されそうだけど将棋に熱中したり文力の特訓するジョゼフとか
ルイズが源ちゃんかグリーン召喚とかも面白そうだけど


ハルケギニアは何気に外道落ち出来そうなの結構居るな
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 12:18:04 ID:Iiq7EHHq
シエスタが牛折神を復活させるのか
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 12:31:40 ID:bcvDJ8mH
マクロス7のremember16がルイズとモロ被りする。
俺だけだろうか
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 12:34:36 ID:w3ncSxZM
>>238

牛はテファだろJK。
…ルイズがアクマロか十臓召喚は面白いかも?
ルイズの身の回りの世話をナナシに任せて一見従順だが実は…とか
十臓は裏正折られた直後なら従うかも。
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 12:55:08 ID:X0eRTcgI
太夫呼ぶのが一番面白いかも
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 13:03:06 ID:s3+V8Yiq
メイド長の人来てたー

ルイズも師事する相手を得て伸びてけそうだなぁ
先に期待期待!
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 13:15:38 ID:w4z21xid
シンケンジャーの誰かを召喚したらやっぱり文力が先住魔法扱いされるのだろうか
…しかし系統魔法じゃ出来ないこと=先住魔法ってのも大概短絡的だよな

あと、SHT繋がりで何となく思いついたんだが
「敵に後ろを見せない者を貴族と呼ぶのよ!」
「いい台詞だ、感動的だな。だが無意味だ」
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 13:17:46 ID:nfLJ+7Uc
杖に近い道具使ってるんだから明らかに変則的な系統魔法か何か扱いだろ
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 13:19:38 ID:nswEvJL1
魔法が二系統しかない世界の住人だったら片方でできないことを魔法でやられたらもう片方と考えるのは当然だと思うんだが
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 13:23:58 ID:f0dAfixo
ヅカオタの姉ちゃんに付き合ってベルばらのDVDを見てたら
オスカルを召喚とか面白そうじゃ?と考えてしまった。
最終的にトリステインで革命が起こってしまいそうな予感もするけどw
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 13:58:29 ID:hmiBf3S4
WIKIからドラッグオンドラグーンのSSが削除されてるんだけど何かあったの?
カイムとアンヘルのやつ
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 14:08:13 ID:laC0UcIS
外道衆は三途の川の水がないと干からびて死ぬんだがなぁ
太夫と十臓はアクマロかに雇われてた間は彼から供給されてたんだろうが

それはそれとしてSHTからなら世界の破壊者を…
あるいはディエンド。対フーケ戦で「そのお宝は僕が先に狙ってたんだ。返してもらうよ」
そしてお宝を盗み尽くしたらさっさとどっか別の世界に。奴は単独で世界移動できるから。
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 15:01:42 ID:j2a/vlZQ
ディケイドもたぶん出来るはずなんだぜ
超電王でそれっぽいことしてたし
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 16:04:51 ID:5TvRWSPc
>>246
オスカルって実はかなりのオバサンなんだぜ?
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 16:24:23 ID:kOvhLFs3
ドウコクの御大将がルイズを気に入って…駄目だ、それにしても従うような人じゃない
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 16:25:32 ID:w3ncSxZM
ハルケギニアと三途の川がつながってることにすればよくね?
三途の川ってあの世だし。
…外道衆入りしたシャルルという電波を受信した。
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 16:29:40 ID:w3ncSxZM
>>251

御大将召喚は俺も考えたが…この間の放送観て断念したw
つか絶対に無理。水切れ前にトリステイン終了しちまうww
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 16:32:07 ID:kARopEJl
絶対召喚したら駄目なキャラ、スーパー戦隊の中なら俺はラディゲを挙げるね
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 16:42:52 ID:w3ncSxZM
>>254

デズモゾーリャもかなりヤバいぞ。
召喚したら最期としか…使徒になったルイズ無双しか浮かばないw
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 17:03:41 ID:iKv+ZJf8
アバレからなら仲代壬琴でもいいかもしれない。
死ぬ直前に呼ばれたなら元にも影響はないし、
ダイノマインダー爆発の危険性もガンダルーンの効果で抑えられるという事にすれば良い。

>>248-249
世界の破壊者なら既に呼ばれている。
例によって止まっているだけで。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 17:16:23 ID:w3ncSxZM
トップゲイラーごと召喚して嬉しさの限界突破したルイズの姿が普通に見えたw
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 17:27:05 ID:EMvhrlIl
12月、師走に入ったと思ったらアバン先生や東方不敗師匠に帰ってきてほしくなった
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 18:14:30 ID:Rmqa9NkF
師匠か…

スパロボWの正気に戻ったテッカマンアックスことゴダードを…
あ、クリスタル渡しちゃったんだっけ…
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 18:26:00 ID:S0vSBOOM
>>232
村正なんか召喚したら皆死んじゃう!
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 18:32:02 ID:1drEipbH
刀語からの七実召喚ものを考えてたり。
大河的に一ヶ月に一話づつ投下したいが、ネタが12話分集まらない…。
やはり七花召喚の方がいいんだろうかなあ。
うーんむ。
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 18:33:28 ID:w3ncSxZM
>>260

村 正召喚か…あいつしゃべったっけ?
乱人召喚したら面白いかも。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 18:52:22 ID:giNhpZ8D
( ◇)ズェァ!
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 19:00:23 ID:Mx1pchWm
いつか翔太朗とフィリップも召喚されたらいいなあ
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 19:14:09 ID:S0vSBOOM
>>262
中身は女の子です
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 19:34:18 ID:ynbSLlhK
なんやかんやでもう12月か…なんだか速い気がする
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 19:34:22 ID:QndRjgK5
>>247
経緯は知らないけど最近自サイトで公開始めたようだよ
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 19:48:42 ID:wSdIALQ4
>>264
ヨシダサーン ヨシダサーン
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 19:59:37 ID:RUmkOKy1
>>262
人の姿にもなれて性行為も出来ちゃう素敵存在


スパセンでヤバいのと言ったらマジレンのン・マ様とかじゃね?(くとるふ的な意味で)

親父召喚してウルザード無双とかみたいかも....
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 20:20:50 ID:3rO+EYr9
>>264
アキコ役がルイズに代わるだけであんまり日常の変化ないかもw
フィリップの星の本棚なら虚無や聖地の謎ものっけから調べられるだろうし
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 20:26:56 ID:OnRNZmhv
あれは地球の記憶だからハルケじゃ使えないんじゃない?
272ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:31:30 ID:mFeWhf65
以前書いてた奴を小ネタとして仕上げてまいりました。
もしよければ20:40より投下させていただいて宜しいでしょうか?
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 20:33:06 ID:GES0EgK+
ばっちこい事前支援
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 20:39:30 ID:DXd4MsvJ
帰りマンこと郷さん召喚
ハルケ製流星号を完成させたらコルベールと自動車修理工を開くけど
作品的に哀愁漂いそうだな
275ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:40:40 ID:mFeWhf65
「ゼロのルイズと大いなる子」
(ダイジェスト版)


・ブレンパワード より プレート を召喚
・契約に失敗して自分にガンダールヴを刻印
・サイトは東京でリバイバルしたブレンパワードに搭乗した際、ティファニアに召喚


第21話 「絶望の空を超えて」


 やぁ、マリコルヌ・ド・グランプレだよ。
 使い魔品評会の後からルイズの様子がおかしいと思ってずっと気にかけていたんだけど。
 なんと我等が麗しのアンリエッタ姫を使い魔のグランに乗せて、何処かへと連れ去って行ってしまったと言うじゃないか。
 全くいつか思い余って何かするかと思ってたけど、やりにもよってなんてことするんだよ!
 僕はミスロングビルを迎えに来たサイトって平民に掛け合って、ルイズの使い魔と似たゴーレムでアルビオンに向かった。
 ブレンパワード、サイトが乗る心を持ったゴーレムはそんな名前をしているらしい。
 ルイズのグランと大喧嘩したブレンがもう一度ルイズたちと会ったらどうなるかわかったもんじゃない。
 だけれどこの時の僕には、悔しいけどサイトとブレンに全てを賭けるしかなかったんだ。

「ウェールズ様」
「ア、アンリエッタ? 本当に、本当にアンリエッタ、君なのかい!?」

 グランのコクピットからウェールズに向かった姫様は、あわや地面に激突するかと言う寸前にレビテーションでふわりと浮かび上がられ、そして殿下の腕の中に抱きしめられた。
 ウェールズ殿下はこれは夢かと何度か瞳を瞬かせ、二度と離さないとばかりに姫殿下を抱きしめた後、唇を噛み締め震える手で姫殿下を突き放した。

「ここは君がいるべき場所ではないよ、アンリエッタ」

 感情が篭っていないかのような平坦な口調。
 けれどウェールズ殿下は嘘が下手だった、その言葉の一つ一つには血を吐くような想いが必死の努力で隠されていた。
 ウェールズ殿下は隠し切れない想いをなんとか心の奥底に封じ込め、アンリエッタ姫殿下に帰れと告げたのだ。

「嫌でございますウェールズ様!」

 だが姫殿下もまた必死だ。
 涙を流し、その髪を振り乱しながら、懸命にウェールズ殿下の胸にしがみ付く。

「ラグドリアンで、誓約の精霊の前で誓ったではありませんか、死ぬと仰るのならばわたくしも共に参ります」
「なっ、正気かアンリエッタ!? トリステインは、君の祖国はどうするんだ!?」
「知りませぬ、そんなことは知りませぬ。ウェールズ様どうかお傍に」

 私はグランのコクピットで熱烈な様子で悲劇演じる二人の様子を見ていた。
 いや悲劇と言うよりも喜劇か、これは。
 ウェールズ殿下はアンリエッタ姫殿下の居るトリステインを守るために命を賭した最後の戦いに向かおうと言うのに、アンリエッタはそんなもの全部放り出してウェールズ殿下共に死のうと言うのだから。
 おそらくは酔っているのだろう、王女と言う重責を忘れたいと言うただ一念が、淡い初恋でしかなかったアンリエッタの心を、命を捨ててでも相手を愛すると言う行動へと駆り立てているのだ。
 そんなことをしてもウェールズ殿下が哀しむだけと言うのが何故分からないのか。
 私はぎりと歯を食いしばり----そしてその不快な音で正気に帰る。

「やだ、私なんてことを考えているのよ」

 私は自分の体を掻き抱きながら己の思考回路に恐怖する、少し前の私はけしてこんな風な考え方をするような人間ではなかったはずだ。
 幼馴染で親友でもある、姫殿下のことを心の中でとはいえ悪し様に罵り、望みどおり死ねばいいなどと考えるような人間では…・…
276ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:42:02 ID:mFeWhf65

 そう呟いた途端に猛烈な頭痛と左手の痛みに襲われ、意識を失ったルイズはコクピットに突っ伏した。
 コントラクトの失敗で自分自身に刻んでしまった使い魔のルーン、かつてはグランを怯えさせるだけの邪魔者にしか思えなかったガンダールヴと言う名の伝説の力が朦朧とした意識のなかで語りかけてくる。

『グランチャー(Grand child)----恒星間航行艦オルファンが生成する内外の脅威を排除する自立型生体兵器
オルファンにとって人間の抗体反応に働きをすることからイサミケンサクにより抗体(アンチボティ)と呼称される
個体ごとに独自の意志を持ち、操縦者と同調することによりさらに高い性能を発揮する』

「しかし同調の進行は機体との同一化を促す結果となる、すなわち母体であるオルファンへの依存、人間を仲間とは思えなくなることによる他者への関心の喪失。また初期の段階では拒否反応により精神の不安定化、事故防衛本能の暴走により攻撃性の激化などが起こりうる」

 私は何を言っているんだろう? そんなことを思いながら指先一つすら動かせない状態でルイズは呟き続ける。

 ----それはオルファンに対する抗体化と使い魔のルーンの主に対する洗脳効果が拮抗した結果だった。
 その二つはもともとそれほどまで精神と言う部分で劇的な効果を及ぼすものではなかった。

 せいぜいがオルファンに対する依存心を刷り込むと言う程度の。
 或いは主に対して好意を刷り込むと言う程度の。

 ソノ程度のものでしかないのだ。
 だがグランチャーへの同調とルーンの効果が互いに互いを主人であるルイズに対して害を及ぼす存在であると判断し、その影響を排除しようと互いにルイズの体のなかで荒れ狂っているのだ。

『ダいジョウBU?ルイず』

 グランチャーのコクピットに、たどたどしいハルケギニア語でルイズを心配する言葉が浮かぶ。
 だがそれを読むことができる者は、もはや誰も居なかった。 


277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 20:42:14 ID:OnRNZmhv
支援
278ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:43:00 ID:mFeWhf65

第22話「幸せの意味」



 ルイズのグランチャーは恐ろしい存在だってサイトって平民は言うけれど、あたしには邪気なんていうものは感じ取れなかったわ
 けれどどうしても胸騒ぎがするから、親友のタバサと一緒にルイズたちの後を追いかけることにしたの。
 けど全速力で飛ぶと風竜ですら追いつけないって、ルイズは一体どんな化け物を呼び出したよ!?
 しょうがないからせいぜいのんびりと空の旅って思ってたら、背後から悲鳴を上げる豚をぶらさげながら飛んでいくどこまでも濃い海みたいな蒼い機体。
 話を聞くとサイトと名乗った平民は、グランチャー目の仇にしているみたい。
 火を囲んで皆で眠りに付くとき、悪夢に魘されながら目に涙を浮かべて「母さん」と呟いた姿が、あたしの脳裏から離れなかったのよ。


 目を覚ますとウェールズ殿下からこれからアンリエッタ姫殿下との結婚式を行うと告げられた。
 その為に私に巫女の役目をやって欲しいと言うことだ。
 この非常時に何をやっているんだろうかと思ったが、この非常時だからこそなのだろう。
 俯いてしまった私に何を思ったのか、ウェールズ殿下は小さな銀の鐘と小さな瓶に入った紫色の薬を手渡した。

「これは王家の秘宝、眠りの鐘と禁制の忘却の秘薬だよ。使うことなんてないと思っていたんだけれどね、ミスヴァリエール頼まれてくれるかい?」

 ウェールズ殿下は私に姫殿下を裏切れと、そう言っているのだ。
 確かにそれは姫殿下の為にはなるだろう、だが裏切ったと言う事実だけは私が一生背負っていくことになる。
 私は一瞬悩んだ後、ウェールズ殿下に向かって深く深く頭を下げた。

「謹んで、お受けいたします」
「ありがとう、ミスヴァリエール。本当に感謝するよ」

 そう言ってウェールズ殿下が頭を下げた時、殿下の私室の扉が開いて花嫁衣裳に着飾ったアンリエッタ姫殿下が飛び込んできた。

「ウェールズ様!」
 
 さすがトリステインの至宝、長いウィッグで腰まで伸ばした髪のは無数の金銀で出来た髪飾りが結び付けられ、その体に身に帯びた少し大きめの純白に輝くウェディングドレスは思わず嫉妬すら抱いてしまうほど。
 だがなによりも心の底から湧き上がる愛によって、姫殿下ご自身がこの世界にあるどんな宝石よりも煌めかしく光輝いているように私には思えた。

「綺麗だ、ああ綺麗だよアンリエッタ」
「愛しておりますウェールズ様」

 二人はきつくきうく抱きしめあう、まるでお互いを二度と離さないとでも言うように。
 だから悲しい、これほど幸せそうなのに殿下が姫様を裏切っていると言うことが。
 そしてそれに姫様の親友である私が加担していると言う事が。
 この場において、ただ一人姫様だけが道化。
 悲しくなって私は窓の外で膝を付いた私の使い魔を見上げる。
 彼の名はグラン。 
 桃色の装甲に身を包んだ、臆病で優しい、物言わぬ私の騎士。
 グランはその小さな窓から私のことを心配そうに覗き込んでいた。

「大丈夫、グラン。私は大丈夫だから……」

 そう言って部屋を出る殿下と姫様の後について、私は歩き出した。
 たとえその道の先に悲しみしか待っていないとしても、殿下と姫様が最期の絆を紡ぐ為には必要なことだと思えたから。
 けれど同時に思ってしまった。
 それが姫様の願いだとしても、姫様を殿下へお連れしたことそのものが、間違いだったのではなかったか?
 本来なら出会うことが出来なかった二人を出会わせてしまったことが……
279ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:44:08 ID:mFeWhf65
 振り返れば窓の外にはグランの顔。
 暗い思考に沈みこむ私を見送るように、その表情の刻めない装甲の下から心配そうに私のことを見守ってくれていた。
 大丈夫、そう返答しようとして――唐突に閉じられた扉が私とグランを遮った。
 自分で決めたことだから、懺悔も謝罪も許されないと、私は思った。

「これより始祖の名の下に、新郎ウェールズ・テューダーと新婦アンリエッタ・ド・トリステインの婚礼の儀を執り行います」
 
 互いの手を握り締め、殿下と姫様は幸せそうに礼拝堂の床をしずしずこちらへと歩いてくる。
 体一杯に幸せを詰め込んだみたいな姫様の隣で、ウェールズ殿下は幸せそうな表情の中にアルビオンの空よりもなお空虚な瞳で私を見た。
 すべての感情が飽和してしまった故の混沌とした空虚をその瞳に宿し、殿下は私に目配せする。
 “願わくば、彼女に幸福な一時の夢を”
 私はこくりと頷き、手の中にある銀のベルを握る。

「新郎ウェールズ・ド・テューダー。あなたは新婦アンリエッタ・ド・トリステインを永遠に愛することを誓いますか?」
「ああ、あの日から僕の心はずっとアンリエッタと共にある」

 その言葉に姫様の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。

「ウェールズ様、ウェールズ様!」
「新婦、アンリエッタ・ド・トリステイン。新郎ウェールズ・ド・トリステインを永遠に愛することを誓いますか?」
「はい、誓いますっ……誓います」

 正直結婚式なんてまともに参加したことなんてない、それでもこんなおままごとみたいな略式の結婚式でも十分姫様は幸せそうで……
 だから次の瞬間に起こったことを、私は決して許すことが出来なかった。

「それでは、誓いの口付けを……」

 ゆっくりと二人の顔が近づいていき――その誓約が果たされることはなかった。
 突然礼拝堂が大きな揺れに襲われ、私は思わずその場に手を着いた。

「レコンキスタかっ!? くそっ、まさかこのような時に攻めてくるなど!!!」

 先ほどまで束の間の安寧に浸っていたウェールズ殿下は一瞬で死を覚悟した戦士のものに戻る。

「ミスヴァリエール、アンリエッタを頼……」

 轟音が響いたかと思うとウェールズ殿下の体がブレた。
 高速で飛来した物体がウェールズ様を貫いたのだ。
 だがこの時私は何が起こったのか分からなかった、側で見ていた姫様もそして指されたウェールズ様もきっと何が起こったか分からなかったと思う。
 だが一瞬の、永遠とも思えた長い混乱が終わる。
 その次に響き渡ったのは、悲痛な姫様の叫び声だった

「イヤァァァァアアアア!?」

 ウェールズ様はまるで磔刑にされたように、その上半身を巨大な刃で刺し貫かれ、礼拝堂の壁に縫いとめられていた。
 どうみても即死の傷、だが悪い冗談のように血を流しながらそれでも瀕死のままでウェールズ殿下は生きていた。

「殿下、ウェールズ殿下、ウェールズ、返事をしてウェールズ!?」

 姫様がウェールズ殿下にしがみ付き、その体を抱きしめ、無き縋る。 
 だが私は姫様の姿を少しも見ていなかった。
 何故ならウェールズ殿下を刺し貫いた敵に意識のすべてを持っていかれていた。
 だって礼拝堂の壁を真っ二つにして現れたのは……

「グラン……チャー?」

 漆黒の装甲を持った、私の使い魔と同じ存在だったのだから。
280ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:45:46 ID:mFeWhf65



 第27話 「憎悪と愛と」
 
 お前は誰だと尋ねられたなら。
 僕の名はジャン・ジャック・フランシス・ワルド、故郷を裏切った最低の男さ。
 そう答えることに決めていた。
 だが僕にはそれ以外己の望みを叶える方法がなかった以上、後悔はしているが迷ってはいない。

 僕の母は“虚無”の担い手だった。
 息子である僕を愛し、故郷であるトリステインを愛し、呼び出した使い魔を愛した僕の母は。
 愛するが故に死なねばならなかった。
 僕だけが知っている。
 聖地にはオルファンと呼ばれる巨大な存在が転がっていて、もしそれが一度目を覚ませばハルケギニアすべての命を吸い尽くして月へ至るのだと言うことを。
 母はそれを防ぐためにオルファンと一つになった。
 ――僕は、かあさんを助けたい。

 たとえすべてを裏切り、母が守ったものをすべてを壊したとしても。
 母さんを、解き放ってあげなければならない。
 それが僕が己に課した使命だったんだ。





「つき合わせてすまんな、グラン」

 ワルドの声の漆黒のグランチャーはただ身体の軋む音だけで応じた。
 子供の頃から続く長い長い付き合い故に、一人と一体の間には言葉は不要。
 それでもワルドが声をかけたのは、これが己のわがままだと言うことを噛み締めるためなのかもしれない。

「しかし何故ルイズとアンリエッタ姫が此処にいるのだ……」

 ワルドは不快そうに呟く。
 一度は忠誠を誓った相手と、薄汚れた姿をけして見せたくない相手、その二人が一緒にいることが、まるで始祖が自分自身に与えた罰であるように思えた。

「いや理由など重要ではないな、大事なのは“俺”の役に立つかどうかだ」

 そう言うとワルドはグランチャーのコクピットのなかから惚けたようにこちらを見上げるルイズと、ウェールズに縋って泣き続けるアンリエッタを見下ろす。
 



 黒いグランチャーはゆっくりとウェールズの身体から突き立った刃を引き抜くと、剣状の物体をルイズたちに向ける。
 その武器はソードエクステンションと言う名で呼ばれる武器だった。
 グランチャーのリバイバルの際本体と一緒に出現する、グランチャーの用の装備である。
 グランチャーの装甲と同じ物質で出来たこの武器はただでさえハルケギニアの治金技術では再現できない硬度と弾性を持っているが、それに加えてアンチボディの動力源であるオーガニックエナジーを圧縮し、放出する媒介ともなる。
 つまりは剣でありながら、まるで銃のように凝縮させたエネルギーを弾丸として放つことができるのだ。

 ルイズは血で染まったその切っ先を睨みつけながら、こくりと唾を飲んだ。
 黒いグランチャーの乗り手がどういうつもりなのかは分からないが、もし攻撃してきたらただではすまないだろう。
 その場合、なんとしても姫様だけは逃がさなければ……
 
「やぁ、僕の小さなルイズ。元気にしてたかい?」

 油断なく「敵」を見据えながら思考にふけるルイズに向かって唐突に声が掛けれたのは、次の瞬間のことだった。
 見れば黒いグランチャーの、ちょうど女性の子宮にあたる部分のコクピットが開き、中の人物が顔を覗かせていた。
281ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:48:21 ID:mFeWhf65
「ワルド……様?」

 信じられない、そう言った様子でルイズは呟く。
 これは悪い夢か何かではないか、と。
 だがそこにあったのはルイズが望んだ悪い夢などではなく、ただ悲しい現実が横たわっているだけだった。

「簡潔にいこう!ルイズ、俺の望むものは三つだ」

 ワルドは一本人差し指を立てる。

「まずはウェールズ皇太子の命」

 その言葉を聞いて真っ先に反応したのは、ウェールズの死に呆然を膝を付いていた一人の老いたメイジだった。

「きさまぁぁぁぁあぁああ! 薄汚い貴族派かぁぁぁあああ!」

 杖を構え、真っ向からワルドへ向かって突撃するバリー。
 だがまるでワルドは羽虫でも追い払うように、グランチャーの手を振るわせる。
 結果としてバリーは全速力で目の前に発生したチャクラの力場に突っ込むことになった。
 嫌な音を立てて骨が砕け、黒いグランチャーが手を振る動作に従ってその小さな身体が舞う。
 
「二つ、アンリエッタ王女の手紙」

 床に叩きつけられ昏倒したバリーなどもはや見向きもせず、ワルドは食い入るようにルイズを見つめる。
 ――その熱の籠もった瞳のなかにまるで救いを求めるような色があったことに気づいていれば、この場にいる者たちの未来はきっと違うものになったであろう。

 だがルイズにはそんな時間は残されていなかったし、混乱しきった彼女にそんなことを求めるのはあまりにも酷すぎる話だ。

「そしてルイズ、キミッ!?」
「グラン!」

 ワルドはその言葉を最後まで言い切ることなく、グランチャーのコクピットから転げ落ちた。
 慌てて〈浮遊〉レビテーションを唱え、見上げたその先に居たのは。

「なるほど、これが君の使い魔と言う訳だね。ルイズ」
282ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:49:37 ID:mFeWhf65
 薄桃色の装甲を持った、ワルドの使い魔の相似の存在。
 ルイズのグランチャーが、窮地にあるルイズを救う為にワルドのグランチャーの腰に頭から組み付いていた。

「だが甘い、今の好機にグランごと真後ろから僕を串刺しにするべきだったね」

 そう言って顔を上げたワルドの目の前には。
 
「姫様、ウェールズ皇太子を連れてお逃げください! 私の使い魔で」

 その瞳の決意を秘めた、一人の戦士が立っていた。
 震える右手で杖を構え、それでもただその誇りと覚悟で己を鼓舞して。
 まるで英雄譚のなかから出てきた強大な敵に挑む勇者のように、〈無能〉ゼロの少女はワルドの前に立ち塞がる。

「ははは、ルイズ、そうか僕に挑むと言うんだね! 素敵だ、素敵だよルイズ。ますます君を手に入れたくなった」

 ワルドはしゃらんと音を立てて鈍色に輝く剣杖を引き抜く、その剣先に映ったワルドの顔は狂ったような凶笑が浮かんでいた。

「よろしいならば決闘だ! ルイズ、僕がこの決闘に勝ったらどんな手段を使ってでも君を僕のものにさせてもらう!」
「あなたなんて死んだってお断りよ! さぁ姫様、お早く! グラン、姫様をなにがあっても守りきりなさい!」

 ルイズに急かされ、アンリエッタは冷たくなっていくウェールズを抱えながらルイズグランの差し出した掌の上に乗り込んだ。
 絶望に追い立てられながら、閉じていくコクピットのなかからルイズを見る。
 アンリエッタの目には、これほどの地獄のなかにあってさえ、ルイズは宝石の如く輝いているように思えた。
 なんとか無事に帰って来て欲しい、心のどこかでアンリエッタはそう思いながら、始祖に祈ろうとしてやはりやめる。
 彼女の愛するウェールズにこんな悲惨な運命を与えた始祖が、ルイズを守ってくれるはずなどない。
 そう思えたのだ。

「ルイズ……」

 王女の呟きは虚空に溶け、その下ではスクウェアとゼロのはなから戦いすらなりもしない決闘が始まろうとしていた。
 王子の血で染まった礼拝堂で、戦いがはじまろうとしていた……


283ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:51:03 ID:mFeWhf65
第23話 「Resurreccion」

     
 私はずっとワルド様に憧れていた。
 幼かった私が秘密の隠れ場所で泣いていると、いつも迎えに来てくれた私の王子様。
 ずっと会っていなかったその人が、どんな理由でこんなことをしているのかなんて私には分からない。
 けれど姫様を傷つけると言うのならどんなことをしてでも私が止める。

 ありがとう、そしてごめんなさいグラン。
 きっと私は帰れないから……




「げふっ」

 もはや何度目になるか分からない突風がルイズの小さな身体を吹き飛ばし、ルイズは礼拝堂の石畳へと這い蹲った。
 元より勝負になるはずなどなかったが、下手に抵抗したせいでルイズの今様子は酸鼻極まりない有様となっている。
 体中大小問わず傷だらけで、ぼろぼろになった制服にはその血が滲み乾いて斑模様の毛皮のよう。
 転がった際に痛めたのか右足は真っ赤に腫れあがり、熱を持って鈍痛を主に訴え続ける。
 そして何よりその桃色ブロンド髪が一房、半ば頃から切り落とされている。
 それでもルイズは立ち上がった。
 震える足を自分の手で叩きながら起き上がり、ワルドに向けて再び杖を構える。

「驚いたな、まだ立てるとは。そしてその身のこなし……ふむ」

 ワルドの視線はルイズの左手で強烈な光を放つルーンに向けられていた。
 ガンダールヴ。
 始祖の左手であり、あらゆる武器を使いこなしたとされる使い魔の証。
 その効果が発動しているのだとすれば、ルイズがまるで武術の達人のような動きでこちらの攻撃を見事に受け流し続けているのも頷ける。

「ならばその翼をもぐとしよう」

 ワルドが唱えるのは己が最も得意な呪文。
 即ち……

「ユビキタス・デル・ウインデ!」

 風の遍在、その魔法を使った瞬間ワルドの姿が霞みのように一瞬ブレたかと思うと、次の瞬間には四人のワルドがルイズの目の前に立っていた。

「あ……」
「チェックメイトかな?」
284ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版:2009/12/01(火) 20:52:49 ID:mFeWhf65

 ワルドたちはルイズの手を押さえ、後ろ手に捻りあげた。
 それでも三人がかりで可能限り痛くしないように取り押さえるところが、ワルドなりの優しさなのかもしれない。

 ワルドはルイズの顎を掴むと、その顔が触れるか触れないかと言う至近距離まで己の顔を近づける。
 
「ルイズもう一度言う、俺のものになれ」
「い、いやよ! そんなことするくらいなら舌を噛んで死んでやるわ!」

 ルイズの言葉にワルドはくつくつと笑う。

「それでこそ僕の伴侶に相応しい、いいだろう手に入らないのなら力ずくで奪うのみさ」

 ワルドは一度顔を離すと、その唇を舌で湿らせる。

「此処が礼拝堂でよかったな、愛を誓うにはこれ以上の場所はない」

 ワルドの顔がゆっくりと近づいてくる。
 背後に回った遍在の一人がルイズの頬を抑えているため、舌を噛むことすら出来ない。

「あ……いやっ、いやぁ……」

 これから何をされるのか? そのことに思い至ったルイズの顔が蒼白になる。
 じたばたと暴れるが、どだい少女の細腕で大の男、それも鍛え上げた軍人の腕力に抗えるはずもない。

「さぁ、ルイズ、誓いの、口付けを……」

 ルイズは諦めたようにきつくきつく目を閉じた、助けを求める相手すらないこの異国の地で、自分はかつて憧れていた相手におぞましく蹂躙されるしかないのだと。
 ルイズの瞳に涙が浮かぶ、それでも最後の心の底で輝き続ける矜持が彼女に命乞いをさせることなく。

 だからその奇襲は、ワルドが油断した最大のチャンスに狙いたがうことなくワルドの胸を貫いた。

「ガッ!?」

 何が起こったのか分からないままワルドは背後を振り返る。
 そこには信じられない人物がいた。

「アンリエッタ、守る」

 ブレイドを纏わせた杖を引き抜き、無表情な顔でワルドのことを蹴り飛ばしたのは、どう見ても先ほど殺した筈のウェールズ・テューダーそのものだ。

「ウェールズだとぉぉぉおおおおおおおおお!?」

 あまりの驚愕に集中が途切れ、遍在の動きが止まる。
 その隙を見逃さす、ウェールズは返す刀で遍在の一体を切り裂くとそのままルイズの手を取り礼拝堂の床を蹴った。

「アンリエッタ、守る」

 再び同じ言葉を繰り返し、ウェールズはルイズとワルドたちの間に壁となるように立ち塞がった。

「なんだこれは、これは悪夢か? 亡霊が俺の前に立つんじゃない!」

 ワルドの感情を含んだエア・カッターが飛ぶが、それをウェールズは身を挺して防いだ。
 だがその一撃でウェールズの左手が切り落とされ、ごとんと音を立てて地面に落ちる。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 20:55:06 ID:Rmqa9NkF
支援
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 21:12:16 ID:w3ncSxZM
さるさん?
287前略代理人:2009/12/01(火) 21:12:38 ID:EnkN47sY
「ひっ」

 ルイズは引き攣った声をあげるが、当のウェールズはなんの痛痒も感じていないように同じエア・カッターでワルドに逆襲する。
 そのあまりの異常さに、ワルドは理解できない怪物を見る瞳でウェールズを見た。

「なんだお前は、ウェールズではないのか? お前はなんだ、なんなんだ!?」

 混乱するワルドと同じように、ルイズもまた混乱していた。 
 目の前のウェールズには先ほどの傷が跡形もない、此処を出た後、強力な先住魔法なり奇跡のようなマジックアイテムなりのいんちきな手で完治したのだろうか?
 いやそれにしたって仮に衣服に乱れ一つないのは明らかにおかしい。
 それにこのウェールズには感情と言うものが感じられなかった、あのような目にあわされたワルドに対する憎悪や怒りが欠片も感じられないのだ。
 そして先ほどから呟き続けるこの言葉。

「アンリエッタ、守る」
「ウェールズ――様?」

 ウェールズは硝子球のような瞳でルイズを見た後。 


「アンリエッタ守るアンリエッタ守るアンリエッタ守るアンリエッタ守るアンリエッタ守るアンリエッタ守るアンリエッタ守るアンリエッタ守る
守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る」

 壊れた玩具のようにその言葉を繰り返す。
 その時ルイズの頭に宝物庫が盗賊に荒らされた際、学院長が言っていた言葉を思い出す。

 ――土くれのフーケめ、宝物庫から金目のものをごっそり持っていきおった。特にスキルニルは惜しかったのぅ、血を与えた人物の能力をそっくりにコピーし、血を与えた人物の命を遂行する魔法人形だったんじゃが。

「まさか、スキルニルなの?」
「アンリエッタ、守る」

 そう言って、ウェールズの姿をした何者かは無表情に頷いた。
 そしてワルドグランとルイズグランがあけた壁の大穴を杖を持っていない方の手で指し示す。

「アンリエッタ守る」

 彼が何を言いたいか、ルイズには痛いほど理解できた。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、その使命謹んでお受けいたします」

 ウェールズに頭を下げるとルイズは走り出した、だが目指すのは外ではなく……

「ふざけるな!人形ごときが俺の前に立つんじゃない! ルイズを止めろグラン!」

 ワルドの命令を遂行しようとグランチャーが腰をあげるよりも、ルイズがグランチャーのコックピットに滑り込むほうが僅かに早かった。
 ルイズは手を大きく広げ、コクピットの縁をなぞるようにすると、グランチャーに向かって語りかける。
288前略代理人:2009/12/01(火) 21:13:41 ID:EnkN47sY
「お願い、私の話を聞いて……」

 ルイズの言葉のワルドグランの瞳が赤く明滅する。
 迷っているのだろう、かつての主人と似た気配〈オーガニックエナジー〉を持つ少女と、長い間連れ添った相棒と、どちらの言うことを訊くべきか?
 
「大切な人を守らなければいけないの……だからおねがい、力を貸して」

 ルイズの言葉と共にその左手が強い光を発する。
 ワルドグランの瞳が狂ったように明滅する。

 ワルドグランは何度も躊躇うように己の主人を見た後……

「馬鹿なっ!? 何故だ、何故だグランーーーー!?」

 ルイズをコクピット乗せたまま、ゆっくりとその場を離陸する。
 オーガニックエナジーを放出する際出るチャクラ光を身に纏いながら、ゆっくりとニューカッスルを離れていく。

「ありがとう、本当にありがとう」

 涙を流ししゃくりあげるルイズを乗せて、グランチャーは離れていく。


「待て、待って、僕を、僕を置いていかないで……グラン、グラン、グランチャー――――母さん!」

 フライの魔法を使って飛び上がるワルド、その足をがっしと掴んだのは。

「アンリエッタ、守る」

 ウェールズの血によって死の間際のウェールズの遺志を継いだただの一体のスキルニル。
 ルイズに王家の秘宝を手渡した際、もしものことがあってもいいようにウェールズが用意しておいた策は、己の役目を果たしきった。
 最後にその無表情な顔に、人形とは思えない幸せそうな表情を浮かべると。

「離せ!離せぇぇぇぇええええ、母さんが、母さんがいってしま――」
「カッタートルネード」

 スキルニルは、唱えておいた魔法を解き放った。




 次回予告  最終話『絆』

 
 ワルドグランを奪って姫様を追いかけたのは良かったんだけど、ウェールズ様の死で心を乱された姫様に攻撃されちゃった。
 なんとか説得しようとしたんだけれど、私の言葉じゃ姫様の心には届かない。
 手をこまねいているうちに私のグランチャーが巨大化していく。
 姫様と戦場に溢れる貴族派の傭兵たちの命を吸っているんだと、何故か私には理解できてしまった。
 けど駄目です姫様、そんなんじゃ誰も救われないじゃないですか!
289前略代理人:2009/12/01(火) 21:16:08 ID:EnkN47sY
56 :ゼロのルイズと大いなる子:2009/12/01(火) 20:58:10 ID:GMZy9dfA
投下は以上になります。
支援代理投下に感謝いたします。
このような駄作でも、ほんの僅かでも誰かが楽しんでいただけるなら幸い。
それでは失礼致しました

-----------------------------------------------------------------------
ということで代理終了でござる。
ところで、こちらはサイト殿が他作品のキャラになってるのは有りだったんでござるな。
そうとは知らなかったので驚いたでござるが、これからのネタレス時には夢が広がりんぐでござる。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 21:22:11 ID:GES0EgK+

なにこの続きが気になる引き
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 21:59:33 ID:Y3CVwzBG
まさかここでブレンネタが読めるとは
乙!
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 23:32:12 ID:NAvrNr5/
>>271
問題ない
ハルケギニア
トリステイン
ルイズ

ゼロの使い魔
を引き当てればいいんだ
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 00:20:22 ID:k4Iov0ZE
>>292
それもうネタバレだよね、判っちゃうよね!?

小ネタの方でもこなたがゼロ魔持ってゲートくぐろうとして夢から覚めるってのあるけど、長編でやるのは有りなのかな……
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 00:36:31 ID:BHLpRoYB
ぶっちゃけカーストきつくて行動制限ありすぎるから、いかに原作知識あったとしても一般人はまず生き残れないんだけどね。
ガンダ補正ついただけで綱渡りしていくサイトはけっこう異常。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 01:00:17 ID:WGyGe+eC
生き残ることすら出来ないのかよ……
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 01:05:37 ID:mt3jarGs
サイトに付いてるのはガンダリウムじゃなく主人公補正
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 01:06:42 ID:BWwoxiWn
大丈夫だ
主人公補正さえつけば
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 01:54:23 ID:e9OF1jJq
主人公補正は投げ捨てるもの
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 06:32:34 ID:afHuXamk
異世界人という付加効果(スキル)でも有るんじゃないか?

俺が中世にいっても異端として処刑されるだけ。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 11:00:48 ID:dCIUvA65
サイトはガンダム補正がついてるからな
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 11:08:42 ID:4E60QZMH
サイトガンダム……mk2?
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 12:54:55 ID:FEpPqUG5
冷暖房もTVも無い、貴族じゃないからでかい風呂もたぶん自由に入れない、好きな飯も食べられない
そんな世界に適応できるんだからサイトは凄いよ
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 13:08:12 ID:2F11vSGf
辻政信召喚
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 13:29:20 ID:lN+/xzGF
サイトはサウナに馴染めなかったから五右衛門風呂を勝手に作ってたはず。
まあ、学院にいる時にしか入れないけど。
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 14:35:34 ID:Sn1t0/9L
>>298
あえて主人候補生を投げ捨て、逆境に立って自らの素質を開花させるのか。
それで行き着く先が何なのかはわからんが。

でもサイトだと主人候補生が無かったら2巻辺りで危ないな。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 14:39:14 ID:D73nZMyM
>>305
いや、ギーシュ戦にたどり着くか着かないかだろ
無事にたどり着いても補正無きゃ死んでても何らおかしくない
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:00:36 ID:Q4TO/Oq8
ルイズ役の釘宮さんが事務所に過労死寸前するんじゃないかって位
薄給でこきつかわれ続けてるのが可哀想だ。
くぎゅをハルケに召喚してゆっくりさせてあげてね!
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:02:06 ID:mt3jarGs
> 逆境に立って自らの素質を開花させるのか
首尾よく失敗せずに開花できる時点で
いや、素質がある時点で主人公補正
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:08:15 ID:7nGkU9pr
>>307
売れっ子だしいい暮らししてるのかと思ってたんだが声優って儲からないのかね?
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:12:04 ID:UU8vsOiK
神谷明が言うには儲からないようで
ナレーションとかしてる人は別なんだっけ?
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:17:42 ID:1KMhcTb5
主人公補正がなかったらルイズの折檻で死去
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:18:10 ID:QcyzQdNP
>>309
安すぎて数こなさないとやってけない。

キャリア積むとギャラも当然あがるから仕事がなくなる。

そもそも制作費自体がかなり低いから声まで金を回せない。
というか画を作る側はさらに悲惨な状況・・・・
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:23:48 ID:OFDqQ/MD
キン肉マン2世は、
ギャラの問題で神谷さんが出られなかったんだよな〜
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:33:01 ID:ddCFK8ya
そうすると、強力若本はなんであんなに出まくってるんだろう・・・
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:35:40 ID:1KMhcTb5
余談ですが宮崎駿はプロの声優が嫌いらしいですね
だから昨今は可能な限りプロを使わない

しかし上手いプロより下手な素人の方がいいっつーのもなんだかなー
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:37:56 ID:lN+/xzGF
でも出演料は下手な素人の方が高かったりするんだよね
変に有名人使うから
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:41:19 ID:QcyzQdNP
>>314
名前で客呼べるから。

スレ違いなんでこれで自重する。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:42:50 ID:m69dO4aC
>>315
オーバーなリアクションが嫌いで、あくまでリアリティを重視するために声優素人を起用してるらしいね

でも話題作りのためにお粗末な流行のタレントをつかうのはなぁ。昔は高山みなみとか出てたのに
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:43:19 ID:ALuE8m9U
リアリティどころかただの棒^^;
320ARX-0:2009/12/02(水) 15:44:03 ID:JEg3dEc3
たった今頭をよぎったフルメタのアーバレスト(アラストルサイズ)を
召喚するネタを誰か投下してくれないだろうか
だめだったらこっちで何とかするかもしれない
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:49:50 ID:D73nZMyM
>>320
とりあえず氏んでこいよ
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 15:59:51 ID:dCIUvA65
ルイズが釘宮理恵を召喚
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 16:01:35 ID:7nGkU9pr
ルイズ「(この平民、私よりおっぱいが小さいわ、ぷぷっ)」
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 16:01:52 ID:Vo6Ig6v4
ルイズがナギを召喚
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 16:37:36 ID:ICG9PTQY
誘拐した者全てにダメ出ししてきたってことは召喚したルイズも例外ではあるまい
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 16:40:13 ID:MC9kLKMw
ナギは財力あってのキャラだからな
体一つでだとかなり辛そう
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 16:41:28 ID:ICG9PTQY
ヴァリエールの屋敷に引きこもることになるだろうw
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 16:47:10 ID:Eot1Pb37
そしてハルケギニアにMANGAブームを巻き起こす
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 17:06:15 ID:SCp+wcnI
カリンたんの隠し子とか言っても通用しそうだ
無実を証明するために多額の金額を請求するナギの姿がそこに
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 17:08:34 ID:afHuXamk
ルイズが戦略自衛隊一個師団を召喚しました…

戦闘機、戦車、支援車両含む部隊が現れる。しかもNERV本部攻撃の為実弾装填済み。
破壊の杖のありがたみが無くなる。
返答次第で学院制圧作戦が始まるかもしれない。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 17:50:27 ID:MChLQoQw
ナギッ
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 18:29:43 ID:1+HHyrBn
>>330
それをどうやって従えさせるかが問題
一個師団ともなれば補給も十分用意してあるだろうからルイズの言う事を聞く理由がない
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 18:45:23 ID:e9OF1jJq
>>331
ジョイン

ジョイン

トキィ
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 18:54:44 ID:FM2/g10h
ルイズがネギを召喚
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:07:53 ID:G17RSQVj
田んぼに生えてるあの?
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:10:20 ID:NgwqPxGw
>>335
畑だよ
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:11:00 ID:msiYjsoB
マガジンのアレか
なぜか頭に浮かんだのはミクだが
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:25:54 ID:a9noAKYi
俺はネギ星人がうかんだ
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:31:37 ID:e9OF1jJq
ドンパッチソードが…
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:32:27 ID:sGmoXT10
ミンナネギスキネー
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:32:52 ID:gcTVbIJl
ねぎぼうずのあさたろうもいるぜ
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 20:09:35 ID:klf7Ks0g
>>323
下手するとエレオノール姉さまより小さいかもしれんぞw
壁というか盆地に近いんじゃないのか?w
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 20:17:23 ID:18fuMoMF
釘宮の絶壁っぷりは驚愕の域
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 20:28:47 ID:MCFjVkOp
まさかの窪地
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 20:30:07 ID:oTiGNO/q
>>326
あいつの経済に関する才能は本物だからなぁ。
ルイズからもらった小遣いをもとに、ハルケギニア全域を支配する巨大財閥を立ち上げる、立身出世の物語というのはアリじゃないか?
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 20:35:00 ID:MC9kLKMw
>>345
詳しくどうやったかを書いていったらおそらく職人の知識の方が足りなくなるな
やるとしたらギャグとして気付いたら脈絡なく荒稼ぎしてましたという展開になりそう
347赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 20:47:09 ID:JiBLSDj5
何時もより暇を持て余したお陰で、早めに書き上げることが出来ました。
予約が無いようでしたら、8:55より投下を。
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 20:48:48 ID:gWU5gEUk
事前支援
349赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 20:56:09 ID:JiBLSDj5
それでは。

  アルヴィーズの食堂 堂内

トリステイン魔法学院の中心に位置する本塔。その中に、『アルヴィーズの食堂』は存在した。
『小人』の名を冠するそれは、名前に似合わず全生徒の食事を一手に賄える程の規模を誇っている。
日の位置は既に真上を越し、堂内は朝以上の喧騒に包まれていた。
しかし――その中の何処にも、目立つピンクブロンドの髪を見出すことは出来なかった。

「……ここじゃないか」

表情を変えずに、青年――クリストファーは言葉を紡ぎだす。
ルイズが教室を飛び出してから数時間。教室がある程度見れる様になった頃には、時刻は既に午後へと突入していた。
流石に昼食を取る位はするだろうとタカをくくっていたが、どれだけ目を凝らしてもルイズの姿は見えない。
どうやら、先の諍いは思った以上に彼女の心へ響いた様だ。
クリストファーは軽く溜息を吐き、踵を返して寮塔へと向かおうとする。
其処に、声が投げ掛けられた。

「あら。貴方、ルイズの使い魔じゃない」

振り向くと、そこには複数の男に囲まれた(性格には、彼女が侍らしているのだが)少女がいた。
褐色の肌に、燃える様に赤い長髪。

――確か、名前は……

「キュルケ……だっけ?」

350赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 20:56:52 ID:JiBLSDj5
クリストファーの言葉を聞いて、少女――キュルケは艶かし気に笑う。
周囲の男達は、突然自分達の世界に乱入してきた彼を訝しげに睨んだ。

「ルイズは一緒じゃないの? その様子じゃ、あの娘の尻拭いが終わったのはついさっきみたいだけど」

所々煤に塗れた彼を見て、キュルケは尋ねた。
クリストファーはどう答えた物かと思案したが、結局「ま、ちょっとね」と肩を竦めて誤魔化す事にした。
キュルケは少し逡巡するように彼を見詰め、小さく溜息を吐くと、立ち上がり男達を後にする。
彼らはキュルケに名残惜しそうに、クリストファーに忌々しげに視線を寄越していたが、キュルケが一睨みすると渋々他の空いている席へと散っていった。
近付いて来るキュルケに、クリストファーは笑いながら言葉を投げかける。

「良かったのかい? 随分とお楽しみ中みたいだったけど」

「いいのよ。あいつ等、私の言うことは大抵聞くし。……それに、私にとっての『お楽しみ』はこんなもんじゃないわよ?」

試してみる? と言わんばかりに誘惑的な笑みを投げ掛けるキュルケ。
クリストファーは、そんな彼女に苦笑を持って、柔らかな拒否の意を示した。
彼女は幾らか不満げな表情をしたが、それは直ぐに消え去り、代わりに言葉が彼女の口から飛び出す。

「ルイズを探してるんだったら、まだ此処には来てないわよ。擦れ違いになるかもしれないし、待ってれば?」

「いやあ……、あの様子じゃ、抜く可能性も無きにしも非ずと言うか……」

キュルケが呆れた様に、クリストファーへと視線を寄越す。

「貴方、一体何言ったのよ。あの娘、性格はあんなんだけど、傷つき易いんだから気を付けなさいよね」

「君には言われたくないなぁ」

351赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 20:57:39 ID:JiBLSDj5
その言葉を聞いて、キュルケは「確かに」と苦笑する。

「だけど、あたしの場合はある程度仕方ないのよ。あの娘の家系とは……まあ、少なからず因縁があってね」

「へえ」

クリストファーは素直に驚いた。此処の生徒たちは表面上随分と平和を享受しているように見えたが、水面下ではそんな関係を孕んでいたのか。
貴族制が存在している所から考えれば、兵力を用いての抗争等もしばしば起こっているのだろう。
メイジだって、その力を鑑みればそれらの中枢を担っている事は想像に難くない。
しかし、キュルケはそんな彼の考えを裏切るような言葉を紡ぎだした。

「例えば、あたしのひいひいひいお爺さんはルイズのひいひいひいお爺さんの恋人を奪ったし……」

「……は?」

「後、ひいひいお爺さんはあの娘のひいひいお爺さんの婚約者を寝取って……そうそう、ひいお爺さんも確かあの娘の家の妻を……」

そこまで言った所で、キュルケはクリストファーの冷めた視線に気付き、慌てて言葉を付け加える。

「あ、いや、勿論それだけじゃなくて戦争のたびに殺しあったりもしてるのよ? 領地だって隣同士だし」

それでも、クリストファーの呆れたような視線は緩まない。キュルケは軽く咳払いをして場の空気を強制転換する。

「とにかく、あの娘にとって我がツェルプストー家は不倶戴天の仇敵なのよ。……ま、あたしに取っちゃ至極どうでもいい事なんだけどね。最初に突っかかって来たのはあの娘の方よ」

「……だったら、無視でも何でもすれば良いじゃないか。彼女、皆から無能って意味で『ゼロ』なんて呼ばれてるんだろう?」

『メイジの実力を知りたくば、使い魔を見よ』と言う言葉があるらしい。
今朝方彼女が連れていたフレイムとか言うサラマンダーは、確実に使い魔として上位に食い込む力を持っているだろう。
故に、彼女がメイジとして相応の実力を持っているであろう事は簡単に予測がつく。
そんな人間が、メイジとして底辺に見られている彼女を相手にするとは思えなかった。
すると、彼女は静かに彼へ答えを返した。


「あたしは、彼女が無能だなんて思ってないわよ」


352赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 20:58:49 ID:JiBLSDj5
「おや、意外すぎる答えだね」

予想外の返答に、クリストファーは目を丸くする。
今朝のやり取りから見て、てっきり彼女もルイズを下に見ているものと思っていたからだ。

「彼女、座学なら学年トップなのよ。ま、魔法があんなんだから、その分努力したんでしょ」

そんなクリストファーの反応を見て、キュルケは笑いながら続きを紡ぐ。
その笑顔はまるで――自分の妹を、自慢するような表情だった。

「あの娘がまるっきり『無能』だってんなら、勿論相手にもしないわよ。だけど、あんな必死な様子を見せられたら、宿敵として相手しないのも失礼じゃない?……まあ、反応が面白くてついつい苛めちゃうってのも有るけどね」

楽しそうに話すキュルケを見て、クリストファーは一つの考えに至る。
シエスタが娘を心配する母親なら――彼女は、まるで姉だ。
出気の悪い妹をからかいつつも、優しく見守る姉。

これなら、たとえ彼女が『こちら側』に来たとしても――
まだ、『普通』との繋がりを保っていられるかもしれない。
自分は、もう戻れない。彼女を、『異常』へと導くことしか出来ない。

――だけど、彼女達がいれば……。

そこまで考えた時――彼は羨望でも嫉妬でもなく、只純粋に彼女を『心配』している自分に気がついた。

――なんだよ。
――僕、まだこんな感情あったんだ。

そう心で呟いた彼は、いつもの様に笑った。
楽しそうに。嬉しそうに。そして――何処か、寂し気に。

353赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 21:00:41 ID:JiBLSDj5
「何よ、急に笑ったりなんかして」

言いながら、キュルケはクリストファーを訝しげに睨む。自分の話を笑われたかと思ったからだ。
クリストファーは慌てて言葉を返した。

「いや、ちょっとした自己発見をね」

その言葉を聞いても、キュルケは視線を緩めなかったが、やがて、気が付いた様に声を上げた。

「そういえば、まだ名前聞いてなかったわね。何時までも貴方じゃやり難いわ。教えてくれる?」

「ああ、忘れてたよ。僕はクリストファー。クリストファー・シャルドレードだ。……まあ、彼女を見守るもの同士、仲良くしよう?」

そう言って、クリストファーは楽しそうに笑った。キュルケも、釣られて同じ様に笑う。

――ああ、『普通』の人とこんな風に笑い合ったのって、初めてかも

彼は、研究所や『吸血鬼(ラミア)』にいた頃には味わったことの無い充実感を感じていた。
その感情は、最早粉々に壊れた彼の心にも――
確かな安らぎとなって、響いていた。


――と、此処で終わってればこの時間は単に彼にとっての幸せな記憶として残ることになったのだろうが、
この後に起こる出来事によって、それは不幸な時間として残ることになる。

尤も、『不幸』となるのは――

その、原因の方だったのだが。


354赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 21:01:38 ID:JiBLSDj5
平和な食堂には不釣合いな、ガラスの砕ける音が笑い会う二人の耳を打つ。
誰かがグラスでも落としたのかとキュルケは音源を探るが、その視線が捉えたのは、頭を葡萄酒で真っ赤に染め崩れ落ちる男子生徒と、
その原因であろう割れた酒瓶を握り締め憤然とした顔をする巻き毛の女子生徒の姿だった。
両手で顔を覆って走り去っていく女子の背も、視界の端に捉えられる。
状況からある程度事情は察しが付いたが、男の顔を見てその考えは確信に変わる。

――グラモンとこの、馬鹿息子じゃない。

自分を薔薇に例える、ギーシュという名のどうしようもないキザ男だ。
度量が小さく、幾ら『微熱』の名を冠するキュルケにとっても、誘惑する気すら起きない典型的な小物である。
しかし、端正な顔立ちをしているせいで、ある程度の女性が寄ってくるものだから性質が悪い。
最近も、何人かの女生徒に手を出していると風の噂で聞いていたが……

――ま、因果応報よね。

自分の事を棚に上げ、勝手なことを考えるキュルケ。
これで、あの男も少しは懲りただろう。そう思って彼への関心をなくした彼女だったが――

「君が軽率にも香水のビンを拾い上げたお陰で、二人の名誉に傷が付いた! どうしてくれるのかね!」

内容口調、共に下卑た声を聞き、思わず目を剥いて声の許を仰ぎ見る。
立ち直ったギーシュは、あろう事か手近にいたメイドを糾弾し始めたのだ。
当のメイドは、必死に頭を下げて許しを請う。そばかすのある、可愛らしい顔をした少女だ。
周囲の人間は、言葉ではギーシュを非難しているが、その表情から状況を楽しんでいることは明白だ。
ちょっとしたイベントだと思っているのだろう。
キュルケは小さく舌打ちをする。だからトリステインの貴族は嫌いなのだ。プライドと本当に貴族に必要な気品を取り違えている。

355赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 21:02:49 ID:JiBLSDj5
「行きましょう。見ていて気持ちの良い物じゃないわ」

放って置いても、その内終わるだろう。
ギーシュは、度量の小さい小物だ。それ故に、こんな所でメイドに手を上げる度胸もないだろう。
あの二人の女子生徒にも、何処まで手を出していたのか怪しいものだ。
そう思って、キュルケはクリストファーの方を見たのだが――

其処に、彼の姿は無い。
慌てて見渡すと、彼は既に騒動の中心へと向かって歩いていた。

そして、ギーシュの肩を叩き――


                         ・ ・ ・


ギーシュ・ド・グラモンは、焦っていた。
事の始まりは、彼のポケットから転がり出た香水だ。
その香水は、モンモランシーが自分自身のために調合しているものであり、それを持っていると言うことは、彼女と付き合っているという事実に直結する。
直ぐに拾って戻せば事なきを得たのだろうが、案の定、通りかかったメイドに拾われてしまった。
必死で誤魔化そうとしたが、周囲の人間がその様子を見て、モンモランシーとの付き合いを言い当ててしまう。
そして、想定した最悪の事態が起こった。二股をかけていた一つ後輩のケティには頬を張られ、ドミノ式に浮気がばれたモンモランシーには、葡萄酒の瓶で一撃をもらった。
この時点で、彼にとっての最善の道は二人を追いかけ頭を下げることだったのだが、衝撃と焦りで混乱した彼は、最も茨の道となる行動を取ってしまう。
即ち、香水を拾い上げたメイドを糾弾してしまったのだ。
突然怒声を浴びたメイドは、身体をびくりと震わせ、必死になって許しを請うた。
『多くの人を楽しませる薔薇でいる』と言う彼の行動理念は、既に頭には無い。

説教をするうちに、頭への衝撃も薄れ、焦りも消えてきた。
ここまでにして、後のことを考えよう。そう思って、話を打ち切ろうとしたのだが――

唐突に、彼の肩が叩かれる。

356赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 21:03:32 ID:JiBLSDj5
――何だ、取り込み中だということも分からないのか。

そう思った彼は、眉を吊り上げ、無礼な乱入者を一喝しようと振り返ったのだが――

場に不釣合いな、禍々しく赤い目と、鋭い牙が彼の言葉を押しとどめる。

――コイツは確か、『ゼロ』のルイズの……

空気を読まずにヘラヘラと笑う男を見て、鎮火した筈の怒りが、再び燃え上がる

――平民風情が、貴族の言葉を遮るとは何事だ!

そして、顔を歪ませて肩に掛かった手を振り払おうとし――

彼の視界は、そのまま九十度傾いた。

――は?

当惑する彼の目の前で、赤目の男は横に飛んで行く。
コンマ何秒か遅れて、彼はようやく気が付いた。

――ああ、何だ。
――飛んでるのは、僕か。

其処まで考えが至った所で――
彼の半身は、硬い衝撃に包まれた。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 21:07:11 ID:n7ZvDpC4
支援
358赤目の使い魔-08:2009/12/02(水) 21:07:16 ID:JiBLSDj5
異常で終了です。
はい、やっとこさ決闘に入りました。
書きたいことも溜まってきてるので、展開を早めて行きたいものです。
10話目までには、次の展開へ持っていければ…


それでは。
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 21:12:39 ID:eBk5twbO
乙でした。
クリストファー容赦ねぇww
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 21:18:30 ID:Sn1t0/9L
赤目の人乙かれさまです。
ギーシュ君吹っ飛ばされたー!
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 22:09:07 ID:5NKRWlTI
>>302
キャンパーからすると結構普通な世界だな…。
昔世界中から人が集まる一週間のキャンプが日本であって行ったらシンガポールの軍人上がりの人が防寒用荷物アルミマット一枚で余裕かましてたよ。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 22:10:26 ID:xNZSKsdI


ギーシュ君、吹っ飛んだー!!
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 22:28:07 ID:faZVbH+o
>>361
キャンパーってウザいね。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 22:38:51 ID:LtiIXzRP
乙!
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 22:39:57 ID:q9T6zdw1
Damn Camper!
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 22:44:27 ID:RokGSDKX
嬉しい……嬉しい話を(ry
赤目の人乙! いやぁ、続きが楽しみだ
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 23:59:32 ID:ISyS8weN
どせいさん召喚
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 00:04:56 ID:J/LfH1Bq
星飛雄馬召喚
369赤目の使い魔-08:2009/12/03(木) 00:44:46 ID:1+uJvS3m
>>358
異常って何やねん。
ちょっと、クレアにすり潰されてきます。
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 00:54:39 ID:E0EmnvD3
>>369
らめぇぇぇぇ!
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 00:58:48 ID:liZ6EpvH
ルイズは本当にうっかりやさんだゲマ〜
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 01:33:10 ID:y2O6ugEu
>>369
成田病って本当怖いな……油断していた結果がコレだよ!!

職人のみんな、感染注意。な!?
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 08:06:48 ID:k3k0AD6e
保管庫の無重力見たらちぇんが可愛かったw
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 09:58:12 ID:LxjycbPi
レイフォン召喚
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 11:19:06 ID:N59kT+09
>>368
スポーツ関連の作品は、召喚したとしても話を作りようもないわな。
せいぜい小ネタで強引にトーナメントにするくらいしかない。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 11:23:36 ID:YGQOVDiA
>>375
スポーツネタなら小ネタの丹下段兵、長編のゴールドアームなどの傑作があるでよ
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 12:44:24 ID:THXLjcds
ナイトガンダム召喚。
あの異常な紳士ならルイズのツンもまったく気にしない気がする。なんせ善の塊だし。
まあ、セットでサタンガンダムもどっかに落っこちてきそうだけど。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 14:09:30 ID:r0NYyXKK
しかしBB戦士コミックワールド版。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 14:23:56 ID:uHP4hBWe
相羽シンヤ(ラダム解放)を召喚
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 16:36:52 ID:50IyDW0B
クロノトリガーから子供時代魔王のジャキ召喚。
潜在能力と地位は高いけど魔法が使えないと呼ばれてるあたりルイズと似てる。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 16:38:17 ID:raIwZeyx
でもあいつは意図的に隠してるんじゃなかったか
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 17:25:15 ID:yhifIdQz
>>379
始祖アイバか
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 17:29:03 ID:ijBIZ/p0
>>382
バンプレオリで一番女運の無い主人公自重。
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 17:36:59 ID:tfvSiL20
中身放置で村正の真改さんや正宗召喚
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 18:06:39 ID:VPzNsz3c
俺の名前を言ってみろぉ!!(以下略
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 18:21:59 ID:tySQRv2V
ジョン・シャフトだ!
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 18:58:34 ID:PVGbrKgP
>>379
スパロボWの綺麗なシンヤかどうかで話しが変わってくるな。
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 20:00:16 ID:VQNpYSye
Dボゥイにクリスタル渡してるからテックセットできんぞ
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 20:11:22 ID:yhifIdQz
素体で十分強いから大丈夫じゃない?
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 20:19:44 ID:ijBIZ/p0
てか相羽さん家ってチートスペック兄弟(妹)だったような。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 20:22:03 ID:RjRg04ub
シンヤはどっちかってーとジョゼフに召喚されるよなぁ
スパロボWや特典映像の最後のアレも捉え方次第だけどルイズに召喚されてもアリだが
クリスタルは、アレだ
本編で砕けた描写も無いし、ハルケギニアに漂着した設定で何処かで出そうと思えば出せる
宝物庫だと兄さんまでこっち来てる風になっちゃうしアレだけども

・・・オスマン助けたのがバルザックで宝物庫にソルテッカマンで
クリスタルの無いシンヤが紛い物中の紛い物で戦い抜く皮肉もアリかもな
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 20:34:10 ID:ijBIZ/p0
ケンゴ(若本)タカヤ(シスコン)シンヤ(ブラコン)ミユキ(ブラコン)
だから無難にテファが若本よんでアルビオンがラダムに乗っ取られる
って展開かな。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 20:45:35 ID:J/LfH1Bq
クニミツ召喚
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 21:00:25 ID:4FpRqjbu
>393

政治に目覚めたルイズの秘書になってトリステインの国政を
立て直すために色々するんですね クニミツの政 わかります 
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 21:03:38 ID:zjPPmcFf
>>393
鉄拳の女忍者が思い浮かんだのは多分俺だけ
あの人、妖刀吉光を欲しがってたからデルフで釣られ…ないな、多分盗むw
396世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:44:35 ID:uGXfCh+G
お久しぶりです
予約がなければ21:50くらいから投下はじめようかなぁと思います
397世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:50:10 ID:uGXfCh+G
 
【――まぁ、俺っちは別に構いやしねぇけどよ】

屋根のない、まるで荷車のような馬車に揺られながらデルフリンガーがカタカタと、どこか呆れたように言葉を発する。
馬車に乗っているのは暁、ボー、ルイズ、キュルケ、タバサ、そして手綱を握るロングビルの六人。
日差しを浴びながら街道を行く馬車に乗った一行は、状況が状況ならピクニックのように見えただろう。
だが――現実はそれほど平和ではない。

【有名な盗賊を捕まえに行くのがこんな子供ばっかりって、いつから世の中はそんなメイジ不足になったんだ?】

この面々が学院に押し入った賊――『土くれ』のフーケ討伐隊である。



『神秘の鎧、確かに領収いたしました。 土くれのフーケ』

学院の――しかも宝物庫の壁に大穴をあけられた挙句、そんなふざけたメッセージとともに学院最大の秘宝と言われる『神秘の鎧』が盗まれたとあって、
翌日の学院は蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。

侵入した賊の名は『土くれ』のフーケ。神出鬼没のメイジの盗賊である。
フーケのメイジとしての腕前は『土』系統のトライアングルクラスと言われ、生半可なメイジでは歯が立たない。
だがそこは多くの優秀なメイジが集うトリステイン魔法学院。すぐに強力な討伐隊が結成され、今回ばかりはフーケも捕まるだろう――話を聞いたものは、誰もがそう思った。
しかし、現実に優秀なメイジたち――教師陣が奔走したのは責任の追求と擦り付け合いであり、オールド・オスマンが討伐隊を募った際にも我こそはと杖を掲げる者は誰一人としておらず
それどころかお互いがお互いに『お前が行け』と言わんばかりの視線を送る始末だった。

「で、お嬢さんがたが名乗りを上げた、と」
「仕方ないじゃない、誰も杖を掲げなかったんだもの」

どこか憮然とした表情でルイズが言う。
度胸も気概も誇りもどこかに置いてきてしまったような大人たちを尻目に、我こそはと杖を掲げたのが――他でもない、ルイズだった。
そしてそれに触発されたようにキュルケ、タバサ、ギーシュの三人も杖を掲げた。ギーシュは薔薇だったが。
彼女たちは目撃者としての証言をするためにその会議に出席していただけであり、討伐隊に参加する必要があったわけではない。
当然ながら教師陣からは反対意見が出た。しかしそれはルイズたちの身ではなく自分たちの立場のほうを心配しているようで――暁は苦笑を、ボーは苦々しげな表情を顔に浮かべながら、その様子を眺めていた。

【でもよ、普通こういう危険なこと子供にやらせねーだろ。何で許可したんだよ】
「あの仙人みたいなじいさんよく許可したなとは俺も思う」

結局キュルケとタバサはメイジとしての実力を、ルイズは使い魔の強さを認められた形となり、学院長であるオールド・オスマンによって彼女たちは討伐隊として任命された。
ギーシュだけはメイジとしての実力が備わっていないこと、使い魔も暁やボーほど強くないこと――彼の使い魔はジャイアントモールと呼ばれる大きなモグラである――を理由に参加を許されなかった。
彼はずいぶんと悔しそうにしていたが、暁としてもそればかりはフォローのしようがない。
そもそも賊の討伐に子供を向かわせること自体が謎である。正常な思考の持ち主であるなら、おそらく許可などしなかっただろう。
398世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:51:22 ID:uGXfCh+G
「オールド・オスマンなりに深い考えがあってのことだと思います。彼は本当に偉大な魔法使いですから」

そしてルイズたちを手伝うために同行することになったのが彼女――ミス・ロングビルである。
ルイズたちとオールド・オスマンを除けばあの場で腰が引けていなかったのは彼女だけだったし、そもそもフーケの居場所を突き止めたのが他でもない彼女だったため、暁としても同行に異論は無い。
しかし――と御者を務めるロングビルの背中を眺めながら、暁は考える。

(疑われそうなことをしれっと言いやがったのは、何でなんだ?)

彼女が報告したまでの距離は徒歩で半日、馬で四時間――正直言って、簡単に調査ができるような距離ではない。
もしかしたら何かしら便利な魔法が存在するのかもしれないが、教師陣の中にも違和感を抱いた人間がいた様子だったので、それはないのだろう。
それでも彼女の堂々とした態度と、その後すぐにオールド・オスマンが討伐隊を募りはじめたことで、誰一人としてその部分を追求することはできなかった。

(……何が出てくるか楽しみにしておくとするか)

この先ではきっと、何かが起こる
そしてロングビルがその『何か』を知っているのだろう。
勘と期待に基づいたあまり当てにならない予測を巡らせながら、暁は少しだけ口を笑いの形に歪めた。

「まぁ、俺にとってはありがたいことだけどな、あの強盗と戦う機会はもうないだろうと思ってたし」
「……あんたたちってほんとメイジを怖がらないわよね。一回戦ってもう嫌になった、とかないの?」
「あると思うか?つーか、勝手に討伐隊に立候補して俺たちを巻き込んだご主人様が何を言ってるんだよ」

杖を掲げた際のルイズの態度は暁の目から見て、それこそ大人たちが無様に思えるほど堂々としたものだった。
確固たる決意、あるいは自信。そんなものを内に秘めなければあんな態度など取れはしない。

「何を言うか暁、ルイズは我々の力を信頼しているからこそ杖を掲げたのだ。ここで期待にこたえてこそ真の漢というものだぞ」
「……たまにお前の前向き思考がうらやましくなるぜ」
「貴様が後ろ向きすぎるのだ。そんな慎重にならずとも我々世界最強コンビの手にかかれば、あの程度の土人形などどうということはないわ」

ルイズの内に自分たちへの信頼があるのか、単に暴走して立候補しただけなのか。
そんなことは暁にはわからないし、そもそもさほど興味は無い。
ただ、再びフーケと戦う機会が巡ってきたことは暁にとって喜ばしいことであったし、その点でルイズへの感謝の気持ちもある。
それでも、前途は多難である。

「……ボーの自信っていったいどこから出てくるの?」
「そういう考えるだけ無駄なことは考えないほうがいいぜルイズお嬢さん。ストレスが溜まるだけだ」
「暁、貴様今ものすごく失礼なことを言わなかったか?」

現状暁たちがあの巨大なゴーレムをどうこうする手段は存在しないに等しい。
そしてそれはルイズたちも理解しているはずだ。
にもかかわらず彼女たちの様子がいつも通りなのは彼女たちの強さによるものか、はたまた理解できないほど暗愚なのか。
399世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:52:06 ID:uGXfCh+G
「どうせなるようにしかなりませんわよ。気楽に行きましょう」
「キュルケお嬢さんもずいぶん適当なんだな?」
「私はアカツキがどうにかしてくれると信じてますもの」

――考えているのはもしかして自分だけか?
暁の脳裏にそんな言葉がよぎる程度には、無言で手綱を握り続けるロングビル――彼女に関してはわからないだけだが――を除いた面々には緊張というものが見られなかった。
穏やかな微笑を暁に向けているキュルケを筆頭に、いつも通り本を読むタバサ、いつも通り自信満々のボー、
唯一ルイズのみが気負ったような表情を見せていたものの、どうも会話を続けているうちに肩の力は抜けたらしい。
今ではいつも通りの少女へと戻ってしまっている。

「緊張感のない連中だな……」
【何言ってんだ相棒、俺っちにはお前さんも緊張してないように見えるぜ?】
「俺はいいんだよ」
【……お前さんも大概だな】

デルフリンガーの声は、これ以上ないほど呆れ返っていた。


400世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:52:49 ID:uGXfCh+G
【そういやぁよ、神秘の鎧ってーのはどういう代物なんだい?】
「ああ、俺もそれはちょっとばかり興味あるな」

――神秘の鎧。
学院から盗まれた大仰な呼び名を持つ宝物には、デルフリンガーのみならず暁もボーも興味があった。
暁とボーはそういう『大仰な代物』を巡る争いに身を置いていたが故の職業病に近い感覚だったが。

「えーっと、確か学院長のご友人のミノタウロスが着ていた……」
「完っ全に間違えてるわよ、ヴァリエール。頭でっかちの割に、胸と一緒で肝心なとこが足りないわねぇ」
「う、うるさいわね!間違ってると思うんならあんたが説明しなさいよツェルプストー!」
「はいはい」

まずルイズが説明を始めたものの、記憶の深層を掘り起こしながら自信なさげに語るその内容はものの見事に間違っていたらしい。
容赦ないツッコミを入れたキュルケが、こちらは自信満々といった様子で語り始める。

「『神秘の鎧』……それはオールド・オスマンの古いご友人が着ていたとされる鎧です。
 その堅さはダイヤに勝り、軽さは布にも劣らない。さらには着ている者に片手でミノタウロスと切り結べるほどの力を与える、と伝えられていますわ。
 オールド・オスマンのご友人はそれを着て、ナイフでオーク鬼の群れを切り裂いていった、と学院長は自慢してらっしゃいましたわね。
 まぁ私には、ただの変な服にしか見えませんでしたけど――どうかなさいまして?」

自分の説明に対し驚愕の表情を見せた暁とボーにキュルケは怪訝な表情を向ける。
多少は興味を引けるだろうか――そう思いながら語ったのは事実だが、さすがに彼らの反応がここまでとはキュルケも予想していなかった。

「……まるでどこぞの筋肉服ではないか」
「やっぱりお前もそう思ったか」

暁もボーも、それによく似た説明を必要とする『鎧』に心当たりがあった。
無論、それが『神秘の鎧』であると断言できるわけではなかったが――もしそうだとするのならば、持ち出されたのが妙に近代的なケースだったことも説明がつく。
不思議そうな表情のキュルケたちに苦笑を向けながら暁は考える。

(万が一『神秘の鎧』が『アレ』だった場合は、かなり笑えるんだがな)

普通に考えれば暁の想像している物品がこちらの世界に来ている可能性など、大陸の両端で放した蟻が真ん中で出会う可能性よりさらに低い。ないに等しいとすら言える。
だが――かなりの偶然、理不尽が重ならなければ起こりえないそれが実際に起こっているような予感が、暁にはあった。
何しろ、考えるのも馬鹿らしいほど低い可能性の果てに、暁とボーはこの世界に立っているのだから。


401世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:53:31 ID:uGXfCh+G
「着きました、ここです」

ロングビルの言葉とともに馬車が停止する。
そこは昼間だというのに薄暗い、鬱蒼とした森。

「気味が悪いわね」

ルイズは明らかに緊張していた。
口にこそ出さないがキュルケも同様だろう。タバサは――相変わらずだったが。
暁やボーにとっては特に何も感じないただの森なのだが、そういう場に馴染みのない彼女たちの恐怖を掻き立てるには十分な舞台設定なのだろう。

「いやですわ、暗くて怖い……」
「あんたはなんで人の使い魔にぴったりくっついてるのよ!」
「だってー、すごくー、こわいんだものー」
【……これ以上ないほど棒読みだな】

あからさまに演技とわかる態度でキュルケが暁の腕にしがみつき、それを見たルイズが怒る。
緊張を紛らわしたい――そんな意図が見え隠れしたものの、普段から学院内でよく見る光景がそこにはあった。
そしてそんな平和な喧騒の中、暁は一人視線を森の中へと向けた。

(見られてんな)

森に入ってから、何者かの視線が暁たちに張り付いている。
それは敵意も殺気も感じられない、ただ観察しているだけといった視線だったが、視線の主がわからない以上警戒を解けというのは無理な相談である。
普通に考えれば視線の主はフーケである。むしろそれしか心当たりはないと言ってもいい。
しかし暁にはフーケが自分たちを観察する理由は思い浮かばなかったし、
敵であることがわかりきっている暁たちへの視線に敵意が込められていない理由も想像できなかった。

【どうかしたのか?相棒】
「ん?ああ、なんでもねぇよ」

どこの誰かもわからない視線の主を探しても、おそらく見つけることは出来ない。
むしろ、それで時間を浪費するほうが余程問題だろう。
そう結論付けた暁は苦笑を浮かべ、警戒だけはしつつもそのまま進むことを選択する。
そしてしばらく歩いた後、彼らは開けた場所にたどり着いた。
そこは学園の中庭ほどの広さに森が切り取られた、光差し込む空間。
402世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:54:14 ID:uGXfCh+G
「あの中にいる、という話です」

ロングビルの指差した先――空間の中心には、ポツンと一軒の廃屋が佇んでいた。
元は木こりでも住んでいたのだろうか、朽ち果てた炭焼き用と思しき釜と壁板が外れた物置が見える。

「人の気配なんざしないけどな」

確かにこの場所は盗人の隠れ家としては非常に『らしい』。
何者かが最近この小屋のあたりを行き来したのだろう、その痕跡も若干ながらのこっている。
だが、今現在は人の気配がまったくない。

「見てくるから、お嬢さん方はボーとその辺で待ってな」
「では私は裏から回り込んでみます」
「ああ、頼むよ秘書さん」

ひらひらと手を振り暁が入り口へ、ロングビルが裏手へとそれぞれ移動を始める。
フーケを倒すだけならゴーレムを作り出す暇を与えず、奇襲で倒す方法が最も手っ取り早い。
無論それは暁にとってはくだらないことこの上ない方法だったが故に、彼は心からフーケの不在あるいは待ち伏せを願っていた。

デルフリンガーを構えたまま小屋の壁に張り付き、窓から中を伺う。
見えたのは、埃の積もったテーブル、転がった椅子、崩れた暖炉……人影も隠れる空間もありはしない。
そこはおおよそ誰かが生活しているとは思えない空間だった。
そして暁の目は、あまりにもあっさりと取り戻すべき品物を発見する。
部屋の隅に積み上げられている薪の山。
その脇に無造作に置かれたひとつのケース。
それは確かに見覚えのある、昨晩盗み出されたケースだった。

【えれぇあっさり見つかったな、オイ】
「拍子抜けするほどにな」

再度小屋の中へ視線を巡らせながら暁は考える。
普通に考えれば罠の可能性が高い。
この小屋は隠れ家というには人が入った痕跡が少なすぎ、保管庫というには物が少なすぎる。
だが、こんな学院から遠い場所で罠を張って待ち構える理由もまったく思い浮かばない。
というより、普通ならこんなところにいたことが学院にばれることなど、ありえるのだろうか。

(普通に考えても駄目なのかも知れんな)

苦笑とともに答えの出ない思考を放り投げ、暁はルイズたちを小屋のほうへと呼び寄せることにした。


403世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:55:16 ID:uGXfCh+G
「罠はない」

ドアに向けて杖を振るったタバサが呟く。
彼女の手によって開けられたドアには、確かになんら仕掛けは施されていなかった。

「けほっ、何ですのここ。埃っぽすぎやしません?」

空気が入り込んだことで室内に積もりに積もった埃が舞う。
光を浴びてキラキラ輝くそれは、埃だと思い込まなければさぞかし幻想的な光景なのだろう。
もっとも埃だと思わなくてもこの空間に一歩踏み込めばキュルケのように咳き込み、現実を思い知らされるのだろうが。

「まぁ、隠れ家でも何でもないことだけは確かだな」
【だなぁ】

足元を見ながら苦笑する暁と、それに呆れたような声で同意するデルフリンガー。
二人の視線の先――デルフリンガーに視線があるのかはわからないが――には、たった一度ドアからケースのある場所までを行き来した跡がしっかりと埃の海に刻まれていた。

「タバサお嬢さん、ケースに仕掛けがないかも見てもらえるか?」
「わかった」

やはり罠以外には考えられない状況だが、それならばすでに何かなければおかしい。
道、ドア、そして室内。ここにたどり着くまでの場所にはまったく何も仕掛けられていなかった。
小屋ごと吹き飛ばすこともありえるのだが、キュルケとタバサによれば小屋自体にもなんら仕掛けはないらしい。
この調子ならおそらくケースそのものにも仕掛けはないだろう。

(ゴーレムで小屋ごと踏み潰すとかか?)

暁が後ろを振り返ると、窓の向こう側にボーとルイズが見えた。
念のためにと外で残った二人である。

(方法としてはそれでも半端なんだよな、確実性がない)

外でなにかあれば、ルイズはともかくボーは確実に気付く。
ボーは脳まで筋肉の詰まった馬鹿だが、戦士としては超のつく一流である。
そんな彼を誤魔化して巨大なゴーレムを出現させ、彼が気付く前に小屋を踏み潰すなどさすがに不可能と言わざるをえない。
どこかの段階で小屋の中にいる三人は外に脱出してしまうだろう。

(何かやりたいことがあるのか、それとも自らのゴーレムへの信頼か)

いずれにせよ考えても結論は出ない。やはり相手の思惑は暁が想像できる範疇に存在しないのだろう。
暁が本日何度目かのその結論にたどり着いたとき、タバサの何も仕掛けはないという声が聞こえた。


404世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:56:01 ID:uGXfCh+G
小屋の中で作業する暁たち三人を窓の外から眺めながら、ルイズは一度大きなため息を吐いた。
暁たちがいる中と、ルイズのいる外を隔てているのはたった一枚の朽ちかけた壁。
だがルイズには壁の向こうが途方もなく遠いように感じられた。

――主人であり、メイジである自分が先んじて小屋に入るのが本来あるべき姿だったはずだ。

しかし現実は違う。先陣を切ったのは暁だったし、メイジとしての役割を果たしたのはキュルケでありタバサであった。
ルイズはそれが悔しくて、悲しくて仕方なかった。
この時、もし目の前に悪魔が現れて『力が欲しいか?』と問うたならばルイズは迷わずイエスと答えただろう。

「なぜそんな顔をする必要がある」

彼女に声をかけたのは悪魔ではなく、ボーだった。
いつもと比べれば少しだけ険しいその表情を見て、ようやくルイズは自分が情けない思考の沼に沈んでいたことを自覚した。

「……なんでもないわよ」
「なんでもなくはあるまい。そんな泣きそうな顔をしているお前は初めて見る」
「なんでもない、本当になんでもないのよ」

無様だと思った。
放っておいてくれればいいのに、とも思った。
ルイズにとってこの任務は『ゼロ』の汚名を返上するまたとない機会になるはずだった。いや、なって欲しかった。
だが今となっては『実際にはそんな機会はやってこないだろう』という諦観すら芽生えている。
そもそも彼女に確固たる勝算があったわけではない。
ルイズの背中を押したのは彼女自身の意地と、暁とボーならなんとかしてくれるのではないかという期待。

――今にして思えば、自分自身の力はまったく関係ない。

自分はいったい何をしたかったのか。
それすらもわからなくなったルイズはボーに背を向けた。

「キュルケとタバサがうらやましいのか?」

背中に投げかけられた言葉はあまりにも的確で、残酷で。
うつむき、何も答えないルイズの背中を見つめながらボーは続ける。

「魔法が使えればあの場所にいたのは自分だった――とでも考えたか?」

ただ確かめるような問いかけ。
にもかかわらずその一つ一つが、まるで糾弾されているかのようにルイズの胸に突き刺さる。
泣きたかった。
逃げ出したいと思った。
だがそのどちらもルイズにとって到底許せる行動ではなかったが故に、実行されることはなかった。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 21:56:12 ID:jPUePeG+
支援
406世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 21:56:50 ID:uGXfCh+G
「以前も言っただろう。自分で自分を否定するな」
「わかってるわよそんなこと!」

そして、限界まで溜め込まれた感情が決壊する。
どこか遠くで自分自身を惨めと蔑む自分の存在を感じながらも、ルイズは吼えた。
泣かなかった、逃げなかった。だがそれももう無理だ。

「わかってるけどどうしようもないじゃない!魔法が使えない貴族なんて――」
「魔法が使えるものを貴族と呼ぶのか?魔法が使えればそれだけで人の上に立っていいのか?」

ボーの瞳は、声音はどこまでも静かだった。
ルイズだけでない何か別なものを見るように、言い聞かせるように。
波立っていた心が急速に静まっていく。

「お前は魔法が使いたいだけなのか?」

(違う)

拳を強く握り締めながら、思考を搾り出す。
それはルイズにとって確固たる答え。
魔法が使いたいだけ――そんなことは、ありえない。

「違うだろう。貴族というのは――」

弾かれたようにボーが後ろを振り返る。
つられるようにルイズも視線を上げ――目を見開いた。

「出たか!」

大地が森を突き破り、隆起していく。
それはさながら空へと向かい伸び続ける豆の木のように、どこまでも高く。
徐々に人の形へと変化していくそれは、あまりにも馬鹿らしいサイズで。

「ゴーレム……!」

ルイズの呟きに呼応するかのように、ゴーレムの進攻が始まる。


407世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 22:00:07 ID:uGXfCh+G
 
「下がっていろルイズ!」

叫びとともにボーは地を蹴った。
向かう先は、考えるまでもなくゴーレム。

「ぬぅおおおおおおおおおお!!」

中空で放った蹴りがゴーレムの腹部へと突き刺さる。
身体全体に伝わるのは確かな手応え。
土くれをまるで肉片のように撒き散らしながらゴーレムの体が大きく傾ぐ――が、倒れない。

「くそっ!」

視線の先――そびえる土の巨体はまるで山のようで。
これほどまでに巨大な存在との1対1の戦いなど、ボーにとって完全に未知の世界である。
故に何が有効打になりえるのか、どうすれば有利に立ち回れるのか。何一つわからない。
ただ一つ間違いないことは、先ほどの一撃には何の意味もなかったということ。

「よかろう――」

ボーの顔に浮かぶ表情は笑み。
それは彼の心を高揚感が支配していたが故の表情。
目の前に存在するのは乗り越えなければならない壁。
恐れる理由などなく、挑まない理由は存在しない。

「相手にとって不足はないッ!」

ただ、愚直なまでに前へ。
ボー・ブランシェが再び跳躍する。


408世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 22:00:52 ID:uGXfCh+G
(何、コレ?)

眼前で繰り広げられるのは、信じ難い光景だった。
トライアングルクラスといわれるメイジの作り出したゴーレムに、一人の平民の男が素手で立ち向かっている。
現状を誰かに伝えたとして、一体何人が信じるだろう。
自らの五体のみを武器として巨大なゴーレムに立ち向かう人間など、英雄譚や御伽噺ですら目にする機会はない。
懐に飛び込み、強烈な打撃を打ち込み続けるボーと、その大きすぎるリーチを持て余し、速度で勝るボーととらえきれないゴーレム。
体勢を崩したゴーレムの立てる地響きはまるで咆哮のようで。
それはまるで英雄譚のクライマックス、勇者が魔王を打ち果たさんとする光景によく似ていた。

(すごい――けど)

しかしこの瞬間、ルイズの心を支配していたのは勇者への賛美や歓喜ではなく、不安と焦り。
理由など、考えるまでもない。

――ボーの攻撃が一切ゴーレムに通じていない。

戦闘に関しては素人のルイズですら感じ取れるほどに、状況はボーにとって圧倒的に不利。
ボーの放つ一撃一撃がゴーレムの身体を抉り、そのたびに巨体は大きく揺れる。
だがそれでもゴーレムは倒れない。倒れる気配すら感じない。

(なんで)

ゴーレムは人ではなく、魔王でもない。ただの土くれの人形だ。
人形は痛みを感じず、疲労も蓄積されない。多少の傷で機能が失われることもない。
さらに悪いことにゴーレムを構成しているのが土であるため、多少の損傷は周囲の土を使いすぐに再生してしまう。
これまでのボーの行動にはせいぜい『術者に雀の涙ほどの魔力を使わせた』程度の意味しかなく、ボー自身が消費する体力を考慮すればまったく採算は取れていない。

(なんで勝ち目がないのに向かっていくのよ)

ボーが現在の状況を理解していないはずがない。
それでも彼は引くそぶりすら見せず、それが当然のことであるかのようにゴーレムに立ち向かい続ける。

(私は――)

拳を握り締め、ルイズは考える。

(何でこんなところに突っ立っているの?)

許せなかった。
使い魔が一人強大な敵に立ち向かっているにもかかわらず、それを見ていることしかできない自分自身が。
確かに主人を守るのは使い魔の仕事であり、現在の状況が間違っているわけではない。
それでも、ルイズにとって今の自分の姿はあまりにも情けなかった。
409世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 22:01:36 ID:uGXfCh+G
『魔法が使えるものを貴族と呼ぶのか?魔法が使えればそれだけで人の上に立っていいのか?』

思い返すのは、先程のボーの問いかけ。
多くのメイジ――貴族はこう問われればおそらくイエスと答えるだろう。
魔法が使えるからこそメイジは平民の上に立ち貴族を名乗る。それはハルケギニアの不文律なのだから。

(違う。絶対に違う)

真の貴族とは、ただ魔法を使えるだけの存在のことではない。
ゲルマニアの貴族のように金で成り上がった者のことでもない。
ルイズにとっての貴族とは、子供が憧れる英雄によく似ている。
それは彼女が誰よりも歪んだ人生を送ってきたがゆえに抱く夢なのかもしれない。

「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」

言葉に込めるのは強い決意。
視線の先にあるのはルイズの理想によく似たあり方を貫く一人の男。
そしてルイズはその魔法も使えない平民の背中の向こう側を見据える。
いつか絶対に追いつき、追い抜いてみせると。

「貴族があの程度の敵、恐れるわけがないでしょう!」

なれないとは思わない、叶わぬ夢だとも思わない。
ありったけの信念をぶち込み、震える腕で無理やり杖を振るう。
空気が、爆ぜた。


410世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 22:02:17 ID:uGXfCh+G
男が一人――森の奥からルイズたちを見つめていた。
変わった意匠のコートに身を包んだ、どことなく場にそぐわない空気を漂わせる男である。
彼の目には敵意も、殺意もこもっていない。ただ観察しているといった様子で戦況を見つめ続ける。

――ボー・ブランシェはゴーレムに勝つことができない。

戦闘開始後すぐに、男はそんな結論を出した。ボーの行動は無駄でありまったく価値がない、と。
現時点ではあの筋肉達磨が勝てる要素が見当たらない。
無論負ける要素も見当たらないが、それではなんの意味もないのだ。

(相手が人間大だったら、ってところかね)

ボーが弱いかと問われれば、答えはノーである。
仮に挑めと言われれば丁重にお断りしたい。男のボーに対する評価はそれくらい高い。
それでも、男にはボーに勝利の目はないという確信がある。
巨大なだけのゴーレムならば、ボーは多少時間はかかろうとも破壊して見せるだろう。
だが今彼が対峙しているゴーレムは『巨大なだけ』ではない。
男の知る限り、ボーはそのプラスアルファをどうにかする術を持っていない。
それがこの戦いの全てであり、戦いは男にとって無意味な消化試合のはずだった。
だがルイズが杖を振るい、巻き起こした爆発――それが状況を変える。

(凄まじいな、まるで大砲の直撃だ)

ゴーレムの頭部で巻き起こった爆発が顔面のおおよそ3分の1を吹き飛ばし、土くれをまるで肉片のようにように撒き散らす。
爆発の規模、威力ともに申し分がない。もし対象がゴーレムではなく人間ならば余裕で死んでいるだろう。
『ルイズの魔法』に感心しているのか、男の顔に浮かんでいるのは愉しそうな笑み。

(なるほど、なるほど。彼女がそうか)

新しい玩具を見つけた子供――男の顔に浮かぶ多くの喜びと若干の悪意を混ぜ合わせたような表情は、そう表現するのが適切だろう。
彼の目的はまるで別のものであり、思春期特有の悩みを抱えた少女など興味の外であった。
だが今では彼の興味の対象は完全にルイズへと移っている。それほどの驚きを『ルイズの魔法』はもたらしたのだ。

(非常に面白い展開になったね。だが――敵を倒すには後一歩足りないぞ?)


411世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 22:02:58 ID:uGXfCh+G
二度目、三度目の爆発がゴーレムの身体を抉る。
グレネードが炸裂したかのような爆発は大きな衝撃をゴーレムへと叩きつけ、
ボーの打撃とは比べ物にならない量の体積をゴーレムの身体から引き剥がしていく。
ルイズが『ゼロ』であることを象徴する魔法の失敗、爆発という現象。
本来無価値であるはずのその現象に与えられたのは『暴力』という存在価値。
並の魔法など問題にならない異質な力が今、存分に真価を発揮していた。

「一体何なのよコイツ!」

しかしそれは同時に、ゴーレムの圧倒的な力をも浮き彫りにすることとなる。

――再生能力。

土が舞い上がり、爆発が抉った体表へとまとわりついていく。
そして土がゴーレムの傷を埋め、ゴーレムの姿はもとの無傷の状態へと。
ゴーレムが土くれで創り出されているが故に存在する『作り出す素材には事欠かない』という利点。
その利点をを最大限生かしたその能力が、脆くやわらかいという欠点を完全に埋めていた。

「このっ!このッ!」

諦めずボーは打撃を、ルイズは爆発をそれぞれ繰り出し続ける。
一撃一撃は面白いように直撃するものの、どれだけ当てようと致命打にはなりえない。
そしてそんなゴールの見えない我慢比べの途中、ボーが幾度目かの飛び蹴りを放ったとき、大きな変化が起こる。

「ぬおっ!?」

蹴り脚の先にあったのはこれまでのような土の塊ではなく、粘土。
ゴーレムの体のごく一部、ボーの打撃が当たるであろう箇所のみに起こった変化。
ボーの身体はその粘土の壁を突き抜け、まるで沼に飲み込まれたかのようにゴーレムの体内へと消えた。

「ボー!」

ルイズの腕が振り上げられ、そして止まる。
この瞬間、彼女の心にあった感情は二つ。ボーを救い出さなければという焦りと、今爆発を起こせばボーを巻き込んでしまうかもしれないという不安。
その二者択一がルイズを迷わせた。
もし彼女に少しでも実戦経験というものがあればすぐさま答えは出、身体は動いていたのかもしれない。
だが迷いに縛り付けられた身体は爆発を起こすことも、逃げることも選択できないまま。
結局彼女が混乱という呪縛から開放されたのは、眼前でゴーレムが腕を振り上げた後。

(嘘――)

慌てて振り上げられた腕に向かい爆発を起こすが、遅い。
容赦なく迫り来るのは、巨大な質量を伴った『死』。
酷く緩やかな時間の流れの中、ルイズに芽生える諦観。
もう駄目だ、自分はここで死ぬのだ――と。
諦観が芽生えたのはほんの一瞬。だがその一瞬が、彼女の足を止める。
412世界最強コンビハルケギニアに立つ:2009/12/03(木) 22:03:38 ID:uGXfCh+G
(こんなところで――)

気付けばゴーレムの腕はもう目前まで迫っている。
悔しかった。この程度で諦めようとする弱い心のまま消えてなくなるのは嫌だった。
だが、ルイズのそんな意思など知らぬとばかりに具現化した死は彼女に迫り――。

(え?)

瞬間、ルイズの身体を風が攫った。
まるで馬上のようなスピードで景色が流れていく。
そして離れた場所で響く、轟音。その段になってようやくルイズは自分が抱きかかえられていることに気付いた。

「ったく、世話の焼ける」

何が起こったのか理解できないままルイズは声の主――自分を抱きかかえる使い魔を見つめる。

――物語で英雄に救われた人々は、こんな感情を抱くのだろうか。

逆光の中苦笑を浮かべる暁の顔が、途方もなく頼もしいように映った。


―――――――――――――――――


今回は以上になります。
続きはまた書きあがり次第に。
お粗末さまでした。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 22:04:19 ID:y3d0+wRU
ラリーか?!ラリーなのか?
それはさておき私怨!
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 22:21:55 ID:XhV8CbNX
最強コンビの人、乙です

……ああ、ボーはやっぱりいいキャラだな
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 22:25:03 ID:p8ByWin8
乙でした。
ラリー?そして暁かっけぇ。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 22:31:22 ID:lCUhbzTG
乙乙
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 22:49:06 ID:Vt7gDcU2
最強コンビの人、乙!
やっぱりボーは、子供を相手だと、良い事言うよな
ルイズにどんな影響を与えていくのか、楽しみ
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 23:25:47 ID:22hyv5YI
あれ?
久々に見ようとしたら消えてる作品がいくつかありますね・・・

ツカイマグルイとかが消えてる・・・

作者さんから削除要請でもあったんですかね?
それとも荒らしできえたんですかね?
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 23:33:24 ID:ijBIZ/p0
>>418
とりあえずいろいろあった。
その話が出ると荒れるから細かい事は避難所で聞いてくれ。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 00:31:07 ID:R0ob+k2Y
FF6のゴゴに使い魔のものまねをやってもらおう
ゴゴはパーティーメンバーが使える魔法を全て使用可能という設定だからルイズが一緒にいれば虚無も使える
421ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/04(金) 00:41:36 ID:afyyZlZq
こんばんわ。
『ルーンファクトリー3』より主人公マイスを召還する話を投下したいと思います。
こうやって投下するのは初めてなもので、変なところも多いと思いますがその辺はご勘弁ください。

注意:しょっぱなから『ルーンファクトリー3』のネタバレが入っています。
まだクリアしてない、もしくは未プレイの方はくれぐれもご注意ください。

では、0:45頃より開始します。
422ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/04(金) 00:46:09 ID:afyyZlZq
そこはまるで海の底のようだった。
海そのもののように青い空間に、きらびやかに差し込む陽の光。
古代の神殿を思わせる脊柱に、あたり一面に広がる色とりどりの珊瑚。
おもわず引き込まれそうになる美しさと、どこか冷たさを感じさせる空間。
その真っ只中に男はいた。
その体は傷だらけで、血があちこちからにじみ出ている。呼吸も荒く、持っている剣を杖代わりにして方膝を突きながらもようやく立っている状態だ。
しかし、その目からは闘志は消えず、目の前のモノをキッと睨み付けている。


男に立ちふさがるは竜。
蒼く美しい鱗を輝かせ、光に照らされ七色に煌く巨大なヒレを優雅に泳がせている。
見るものを圧倒する巨躯と、睨まれれば震え上がりそうな瞳、対峙するだけで押しつぶされそうになるプレッシャー。



それは伝説、ノーラッドに伝わる4匹の神竜の一角
 


『己の無力をかみ締め、波に溺れよ!!』
そう言い放ち、巨竜はその巨大なヒレを大きく広げ、互いに打ち付ける。
瞬間、あたりの水が渦巻き、巨大な渦潮となって男に襲い掛かる!
ぐっとうめきながらその水の流れに耐える男。しかしその水流はあたりのものを巻き込みながらさらにその強さを増していく。
石が、岩が、木片が、その流れに呑まれ、弾丸のように男へと撃ちつけられる。

あまりの水量に息が詰まりそうになる。流れる石や木片が、体をしたたかに打ち激痛が走る。限界に近かった体をさらに痛めつけられ、まるで濁流に飲まれる木の葉のように弄ばれ続ける。
だが、それでも男の目からは光は消えない。あらゆるものを飲み込まんとする水流のなか、歯をかみ締め、残る力を振り絞りながら、ゆっくりと確実に竜の元へと近づいていく。
「あきらめる・・・もんか・・・! 絶対に・・・あきらめないっ!!」
男は耐える。凄まじい水流にも、体を絶えず打ち続ける石くれや木片にも。
ただ、ひたすらに。崩れ落ちそうな体を必死にささえ、ただ前へ。


全ては、自分が信じる人のために。愛する人を助けるために。

「はああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
最後の力を振り絞り、地を蹴って右手に携えた剣を、竜へと振り下ろす!
剣は光を描きながら、竜の胸元へと深々と突き刺さった・・・!
423ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/04(金) 00:49:14 ID:afyyZlZq
ハルケギニア トリステイン トリステイン魔法学校


「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」

声の主。ルイズの渾身の呪文のもたらした結果は
強烈な閃光といつも以上の、それこそ過去最大の大爆発であった。

「そ・・・そんな・・・」
最後のラストチャンス。進級の条件である『サモン・サーヴァント』。この日のため懸命に努力した。『ゼロ』からの脱却のため、ひたすらに、がむしゃらに頑張ってきたにもかかわらず、結局失敗に終わってしまった。

こんな大事な局面ですら自分の魔法は成功しない。いつだって魔法の成功ゼロの『ゼロ』のルイズ。

悔しさ、情けなさ、惨めさが少女にのしかかり、ルイズは崩れ落ちるようにひざをついた。
顔を地面に向けたまま、手の中の草を握り締める。その両目からこぼれた涙が地面へいくつも落ちていった。

「・・・ミス・ヴァリエール。残念ですが・・・」
そういいながら担当の教師、コルベールは少女の肩に手を置いた。
この少女がどれだけ努力してきたかを彼は知っていた。だからこそ、この試験だけは無事に通してやりたかったが・・・
「試験はまた明日に回しましょう。気を落とさずに・・・ お?」
ふと、爆発の中心部に何かいるのに気がついた。


「ふえ?」
そんな彼の様子に気づいたのか、ルイズは涙で滲んだ目でそこをみた。
まさか。もしかして。そんな気持ちで徐々に煙の晴れていく爆心地をじっとみる。


そこにいたのは、一言で言えば羊だった。


1メイルにも満たない小さい体躯。茶褐色の肌にふわふわモコモコの金色の巻き毛。小さなどんぐりのような帽子を頭に載せ、腰にはベルト、首には青いスカーフがまかれている。


「や・・・ったの・・・?」
状況が信じられず呆然とする。涙と一緒に目をこすり、爆発の中心で倒れているそれを再び眺める。
確かにいる。自分が呼び出した使い魔が。
瞬間、沈んでいたルイズの顔に血色が戻り、ばっとその場から立ち上がる。
「や・・・やったわ! 成功したんだ!! 私・・・召還できたんだ!! あはははは!!」
さっきまでの沈んだ気持ちもどこへやら。 両手を振り回しながら感動に打ち震える。

「ゼロのルイズが成功!?」「冗談だろ・・?」などといった声も聞こえるが、もはや彼女の耳には聞こえちゃいない。

「おっと・・ミス・ヴァリエール。喜ぶのはその辺にして、そろそろ契約のほうを」
「あ、はいっ!!」
コルベールに促され、ダッシュで自分の召還した使い魔へ近づくルイズ。そして横たわるそれをじっと見つめる。


かわいい顔・・・
羊にみえるけど・・・ むしろ幻獣? きっと珍しい種族に違いないわ。それにこの毛、すっごくふわふわで柔らかそう・・・ 高級綿だってここまでの柔らかさはないわね! 


本音をいってしまえば、ドラゴンだとか、グリフォンだとかかっこよく強い使い魔を呼びたかったところだが、もうそんなことはどうでもいい。 なにせ、自分の魔法初成功の証なのだから。
うきうきしながらそれに「コントラクト・サーヴァント」を行おうと抱きかかえた時、ルイズの手にぬるりと何かがついた。
「え・・・? 何・・・?」
その手に付いたものを見た瞬間、ルイズの口から悲鳴が上がった。
424ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/04(金) 00:52:30 ID:afyyZlZq
異変に気づいたコルベールが走りよると、真っ青な顔をしながらルイズはその手を差し出した。
「せ・・先生・・ これ・・これ・・・」
その手からは、紅い液体が滴り落ちている。そう、彼がこれまで幾度となく目にした・・・
そこからの彼の行動は早かった。
「誰か!! 誰か水系統の先生を呼んできてください! それから治癒の使える人は至急この子の手当てを!急いで!!」
突然のことに騒然となる広場。突然のことに戸惑いながらただならぬ気配を察したのか、生徒たちは戸惑いつつも行動を始めていた。
その喧騒の中心で、ルイズは自分の呼び出した使い魔を震える手で抱え続けていた。



気がつけば、闇の中に立っていた。
あたりを見回してもそこには何もない。そこに広がるのは暗闇ばかり。
その闇のなか、ぼんやりと周辺を見回す。

ここは・・・・? 僕は・・・どうなったんだ・・・? 
僕は何をしていた・・・?

そうだ確か、『彼女』が連れ去られて・・・アイツと会って・・・
・・・彼女・・・? アイツ・・・? 
何だろう、ひどくぼやけている。うまく考えがまとまらない。思い出せない。



戸惑う中、突如聞こえる咆哮。
振り向いた瞬間に目に入るのは大量の水。
何が起きたのか考える暇もなく水の中へと取り込まれる。必死でもがこうとするが、体が動かない。なすすべなく水流へと飲み込まれていく・・・・



「-――――――っつ!?」
 

声にならない声を上げつつ、体を持ち上げた瞬間激痛がはしり、彼は再びそこに倒れこんだ。
ぼんやりとしていた頭がゆっくりと覚醒していく。それと同時に見慣れない天井が目に映る。
少しからだが痛む。もう一度起きようとするがうまく力が入らない。とりあえず視線だけをあたりへ向けた。
近くに窓がある。眩しさを感じたのはこれのせいか。
そしてようやく自分がベッドに寝かされ、体のあちこちに包帯が巻かれているのに気がついた。
まだ少し痛む体をどうにか起こし、回りを見渡す。自分が寝ていたベッドのほかにもいくつかベッドがおかれている。すこし古めかしい印象はあるものの、ベッドが多いことを除けば普通の部屋だった。

ベッドがおかれているということは、ここは病院だろうか。

そんなことを考えていると、入り口と思わしき場所にメイド服を着込んだ黒髪の少女が現れた。
手にはトレイを持ち、その上には食事と思わしき容器が湯気を立てている。
少女と目が合った瞬間、少女はひどく驚いたようで、手に持っていたトレイを危うく取り落としそうになるが、寸でのところで落とすのは防いだようだった。
425ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/04(金) 00:54:43 ID:afyyZlZq

『・・誰だろう・・この子は・・ いや、それ以前にここは?僕は・・・?』

「ミ・・・ミス・ヴァリエール! あの子が!あの子が目を覚まされましたよ!!」
一瞬唖然としていた少女だったが、はっとした様子で手のトレイを机に置くと、ベッドの脇に声をかける。

その時、彼はそこに人が眠っているのに気がついた。
ベッドの脇にうつぶせになるようにしてピンクがかったブロンドの髪の少女が眠っている。
すうすうと寝息を立てるその姿はとても可愛らしい。自分の体に巻かれた包帯を眺め、この子が看病してくれたのだろうかとふと考える。
そうこうしてるうちに、黒髪の少女がブロンドの少女の肩をゆさぶり、うーん・・・とうめきながら、寝ていた少女が目をさます。
「うーん・・・何よ・・・人が寝てる時に・・・あ」
しぶしぶと言った感じで顔を上げた少女と目が合う。とりあえず何か言おうとした瞬間、少女の目に涙が浮かぶのが見え・・・

「この・・・馬鹿羊―――――――――――!!!」

そう叫ぶなり、体をつかまれ、ガクガクと揺さぶられた。
衝撃が痛んでいた体に響き、その痛みにおもわず「うっ」とうめき声をあげる。
その剣幕に黒髪の少女が慌てて止めに入る。
「ミ、ミス・ヴァリエール! どうか落ち着いてください!」
「し、召還したときから主人に迷惑かける使い魔なんて聞いたことないわよ! 私が・・・どれだけ! どれだけ心配したか!」
ひとしきり振り回されてから唐突に手を離され、再びベッドに転がる。
ついでに転がった拍子に頭を打った。

「あー・・・あのー・・・」
打った頭をさすりながら、ここがどこなのか、自分はなぜここにいるのか。とにかく話をしようと呼びかけるが、目の前の少女たちには聞こえてはいない

「ですが、この子はまだ目を覚ましたばかりなのですから・・・ そんなに乱暴にしては傷が開いてしまいます!」
「すみませーん・・・」
「ぐっ・・・ そ、それはそうかもしれないけど、こ、こっちだって本当に心配してたんだから・・・
それに! 使い魔には使い魔の立場ってのを・・・」
「あのーーーー!!」

目の前で繰り広げられる喧騒に埒が明かないと判断し、精一杯の声を張り上げる。

「ああ!もう!!さっきから何なのよ! 人が話してる・・・最・・・中・・・」
さかんに大声を張り上げていた少女の声が小さくなる。 みてはいけないようなものを見るように、ギギィ・・・とでも音を立てそうな感じで、ゆっくりとこちらを振り向く。黒髪の少女の反応も似たような感じだ。ぎょっとした顔でこちらを見ている。

若干の違和感を感じながらも彼はようやく、少女たちに声をかける。
「・・・あの、ここはどこでしょうか? 僕は一体・・・」

ごく普通の疑問だ。質問する本人にすれば、起きたら突如知らない部屋に寝かされ、あまつさえ見知らぬ人間がそこにいて勝手にすすめていくのだから。 だから本来はそんなに驚くことじゃない。問題なのは

質問してきたのがどうみたって羊だったということだ。

『しゃ・・・しゃべったあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
少女二人分の悲鳴が、治療室へと響き渡った。
426ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/04(金) 00:58:51 ID:afyyZlZq
以上で投下終了です。

不自然なところもあるとおもいますが、どうぞよろしくお願いします。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 01:00:04 ID:1oFNyVxg BE:3555412079-2BP(100)
乙です
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 01:09:18 ID:qGuJMCQ0
乙ゥ
続き待ってます
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 01:39:06 ID:rNjvOd5q
かっこいいオヤジを描かせたら皆川亮二が一番だと思う
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 01:39:56 ID:rNjvOd5q
すいません誤爆です
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 01:57:26 ID:yq8U4cTe
え?通りすがりのサラリーマン登場要求だったんだろ?
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 03:01:36 ID:/BoL2RAO
羊の人乙!
さぁーて変身ばれイベントが楽しみだ!
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 03:06:33 ID:sBlw2FFx
AMRSならコアを召喚して欲しいな
リーマンは通りすがりにオスマンを助けたり、タルブで忍者道場やってる感じでw
あと「女王」に助言は外せないか
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 07:20:43 ID:rAbNXakz
ハルケギニアにマグロがいるかどうかでマイス君の懐具合が決まるな……
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 09:15:24 ID:iOWXVlBE
3はやってないけどラグナみたいに無駄にレベル高いルビーで荒稼ぎ(一応バグなんだっけ?)に相当する資金調達の方法はあるんだろうか
正体バレるのが楽しみだけどゼロ魔で喋る動物なら人間に変身しても問題ない気がしてきた
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 12:05:51 ID:0cBW9HR5
マイスの変身にはベルトが関わりますから、特別なマジックアイテムと思わせる事が出来ればまた違うかも?
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 12:37:21 ID:kzJEi9PA
>>429
富士鷹ジュビロの描くオヤジもかっこいいよ!
小ネタで召喚されてた『瞬撃の虚空』のケンジロウじいさんとか!
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 12:52:46 ID:FqjPDekO
ジュビロの年寄りはルシールが良すぎた
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 13:34:14 ID:jr14AGGL
鳴海呼んだらルイズは子供扱いかねとか思ったがたいして年の差はないんだよな
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 13:57:17 ID:BRv7Dd2n
「顔無し」がいつのまにかワルドと入れ替わってるんですね
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 14:39:28 ID:39YZzRZU
フランシーヌやエレオノールのいない世界なんて興味ないでしょ、あいつ
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 14:49:55 ID:by9GalnL
嫁き遅れの姉さんがどうかしたか?
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 15:20:18 ID:3mQa6vDI
×誰か(何か)がいないと役に立たない奴ってのはちょくちょく話題に出るけど、同伴で召喚しちまえばいいんじゃないの

>>434
やっぱマグロを喰ってる奴はだめだな……を召喚して、あまりの見掛け倒しさにがっかりするルイズが浮かんだ
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 15:33:27 ID:BRv7Dd2n
アレは通常の魚雷で死んでしまうような見掛け倒しだがそれほどの火力を持つメイジはそうはいないだろうから
(脚力は尋常でないしね)意外とつかえるのでは?
問題は浮遊大陸に連れて行けないことだが

まあそれよりはゴードン大佐呼んだほうがいいのは確か
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 15:38:10 ID:2V0s9FWh
>>435
春〜秋は連作作物でかなり行ける
オマケに収穫時にルーンが大量に出てスキルも上がる
冬は釣堀があるから、そこで1日中ブリを釣って
全部刺身にしたら1日で100万Gオーバーは確実
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 16:46:38 ID:893fHckJ
ジラの場合は機動力も十分驚異だけど、繁殖能力のほうが厄介そう。
原作みたいに一発で殲滅できるとは思えないし、下手に子供を攻撃しようものなら怒った親に最大時速480リーグで追っかけられる事になる。
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 17:11:38 ID:8FZWrMWs
>>443 例えば戦闘機パイロットを呼んだら機体とセットとかか…
発展系で、支援機材の整った基地とかも付いてきそうなもんだが…
こんな感じで
ルイズがF-15J/DJ他数十機と築城基地を召喚しました。
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 17:33:45 ID:YQ+3cUSK
このマイスはドラゴンと戦う所までストーリーを進めていた……と言うことは、かなり高い技能とレベルを持っている筈。
多対一で戦う事が普通なので、対ワルドは不明ながら流石にギーシュに苦戦する事はあるまい。
……がんばれ、ギーシュ。
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 17:39:50 ID:BRv7Dd2n
>>447
そこまで行くと命令の指示系統まで確立した状態で呼ばれるので
ルイズに従う理由がない
むしろルイズを超えてアンリエッタとかに接触すると思う
しかもその辺に接触したとしても稼働率はさほど高くない、っつーか劇的に下がる

結論   エルトリウムとかバトル7あたりのクラス呼ばないと近代兵器は役に立たない
450TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:35:03 ID:jBaowAFM
問題がなければ1840から投下します
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 18:38:37 ID:yO3Z+vF9
支援するでありまするー
452TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:40:07 ID:jBaowAFM
第二話 ゼロのルイズ


「才人、起きろ。」

クラースと才人が異世界ハルケギニアに召還されて、一日目の朝がきた
才人はクラースの声に未だ眠気が残っている中、顔を拭いながら起き上がる
「ふわぁ……あっ、おはようございます、クラースさん。」
「おはよう…よく眠れたかな?」
「はい、それなりに。」
寝袋で寝るのは初めてだったが、意外とよく眠る事は出来た
そのまま床で寝ていたら、体中が痛くて仕方なかっただろう
「それは結構…さて、使い魔としての仕事を始めるとしようか。」
使い魔…一瞬、それがどういう意味なのか才人は理解できなかった
だが、後ろのベッドでルイズが眠っているのを見て、ようやく今の状況を思い出した
「ああ、そう言えば俺達こいつの使い魔になったんだっけ…夢だったらよかったのに。」
そう言って、自分の頬を軽く抓る才人…痛みを感じるので、これは夢ではない
「夢であるように、とはいかないさ…さて、私は洗濯に行ってくるから、君は彼女を起こしてくれ。」
クラースは才人を諭すと、昨日ルイズが投げて寄越した下着類を拾い集める
「良いんですか?俺がやれって言われたのに…。」
「何、少しばかり外で朝の空気を吸いたいからな…じゃあ、後は頼むぞ。」
後の事を才人に任せ、洗濯物を籠に入れてクラースは部屋を出る
扉を閉めると、洗濯を行う為に下の水汲み場へと向かう
「確か、此方の方にあるのだったな。」
昨日の夜、少しばかりこの辺を散策しており、洗濯を行う場所も大体把握していた
クラースは静かな廊下を歩き続ける…まだ朝が早いためか、人の姿は見えない
「それにしても、魔法学院か…こうして見ると、まるで城だな。」
自分が通っていた王立学院や、知っている学校とは比べ物にならない
そこはやはり、貴族を教育する為だけはあるのだろう
「ああ、あったあった…此処だな。」
その後、階段を下りて中庭に出ると、クラースは目的の場所へと到着する
そこには既に先客がおり、この学院に雇われていると思われるメイドが洗濯を行っていた
クラースがある程度近づくと、気付いたメイドが此方へと振り向く

「おはようございます。」

黒髪のメイドは微笑みながら、クラースに向かって頭を下げて挨拶する
おはよう、とクラースも挨拶を返すと彼女の隣に並んだ
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔だが…洗濯は此処で行うので良いのかな?」
「そうですけど…じゃあ、貴方が噂のミス・ヴァリエールの使い魔さんなんですね。」
「噂?」
自分達が噂になっていると言われ、それについてメイドに尋ねる
「はい、もう噂になってますよ…ミス・ヴァリエールが黒髪の少年と全身刺青の男を召喚したって。」
そう言えば、昨日ルイズの部屋に行く途中に此処の生徒達とすれ違っていた
そこから、自分達が使い魔である事が周知されたのだろう
「ああ、申し送れました…私、本学院で生徒の皆さんのお世話をさせて頂いているシエスタといいます。」
「私はクラース・F・レスターだ…よろしく、シエスタ。」
互いに自己紹介を終えた後、シエスタはクラースの体をじっと見つめた
「それにしても、本当に全身刺青なんですね…一体何の為にしているんですか?」
「これは、特殊な術を使う為に必要なものなのでな…後、刺青ではなくペイントだ。」
本当は刺青にしたかったのだが、ミラルドの事を考えて消えにくいペイントを使用している
術を使うと聞いて、シエスタは驚きの表情になる
「術を使うって…もしかして、貴方メイジなんですか!?」
「まあ、此処の定義に合わせるのならそうなるかな…とはいえ、今は彼女の使い魔という立場だが。」
そう言うと、クラースは洗濯物を取り出して、洗濯を始める
「ああ、メイジの方に洗濯をさせるわけには…。」
「私は貴族ではないから、気にしなくて良いぞ…だから、君は君の仕事をすれば良いさ。」
「ですけど…。」
シエスタが止めようとするが、クラースは洗濯を続ける
最初は戸惑うシエスタだが、結局自分がやらなければならない洗濯に取り掛かった
453TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:42:22 ID:jBaowAFM
「凄いですね、クラースさんって…メイジなのに洗濯がお上手で。」
慣れた手つきでルイズの洗濯物を洗っていくクラースに、シエスタは関心する
普通、メイジは貴族なので、こうした家事仕事は出来ないと思っていたからだ
「昔、仲間と旅をしていたのでね…自然と身に付いたのさ。」
研究を行っていた事はミラルドに任せっきりだったが、あの旅では当番性で行われていた
ミントから指導を受けながら悪戦苦闘していた頃を思い出しながら、クラースは答える
「旅をされていたんですか…一体どんな所に行かれたんですか?」
「そうだな…風が吹く谷や、マグマが煮えたぎる炎の洞窟、とある一族が暮らしていた坑道とかだな。」
洗濯物を洗いながら、簡略的に自身の冒険談を語るクラース
それを、シエスタは仕事をしつつも目を輝かせながら聞く
その間に時間は流れ…二人が洗った洗濯物は竿に干された
「よし、これで終了…だな。」
風に揺られている洗濯物達を見ながら、クラースは額の汗を腕で拭った
「すいません、私が洗う分まで手伝って貰って……。」
「何、これから才人…もう一人の使い魔君と一緒に世話になるからな、これくらいは当然だ。」
しばらく此処で生活する以上、ルイズを含む学院の人間との交流は重要になる
それなりに関係をもてれば、色々と勝手が良くなるからだ
「でしたら、もう一人の使い魔さんと一緒に空いている時間に厨房に来てください…手伝ってくれたお礼がしたいですから。」
ああ、行く事が出来たらな…と、彼女とまた会う約束をする
シエスタは礼をすると、次の仕事へと向かっていった
「さて、部屋に戻るとするか…もうそろそろ我らの主も起きているだろうしな。」
シエスタと別れ、クラースはルイズの部屋へ戻る事にした

………………

「ん?あれは……」
ルイズの部屋がある辺りまで来ると、才人とルイズがいるのを見つけた
二人の前にはもう一人いる…服装からして、どうやらルイズの同級生のようだ
隣には、彼女の使い魔と思われるサラマンダーらしき火蜥蜴の姿もある
何やら、ルイズと言い合い(ルイズが一方的に言っているようにも見えるが)になっているようだが…

「あっ、クラースさん。」

一番初めに才人が気付き、クラースに向かって声を掛ける
才人の言葉に、それに続いてルイズとその同級生もクラースを見る
「あら、もう一人の使い魔さんの登場のようね。」
「クラース、遅いじゃない!!」
「朝からやけに騒がしいな…どうしたんだ?」
ルイズの方を見てそういいつつ、クラースは才人達に歩み寄る
赤髪の少女は良く見ると、ルイズと同年代とは思えぬ程の美貌とプロポーションを持っていた
何より、その強調されたバストはミント並みか、それ以上であろう
「騒いでいるのはゼロのルイズだけですわ…この子ったら、礼儀が無作法だから」
「五月蝿いわよ、ツェルプストー。」
同級生に向かって、ルイズが噛み付くように告げる…どうやら、仲はイマイチ良くないらしい
取りあえず、クラースは自己紹介を行う事にした
「我が主が無作法で申し訳ない…私は昨日より主の使い魔になったクラース・F・レスターと申します」
それなりに無礼のないよう、頭を下げて自分の名を告げるクラース
ルイズが「ちょっと!!」と声を荒げるが、気にせずに話は続く
「私はキュルケと申します…そしてこの子は私の使い魔のフレイムですわ。」
キュルケが自分とサラマンダーの自己紹介をすると、火蜥蜴は口から軽く炎を出す
「それと、別に畏まらなくてもよろしいですわよ、ミスタ・レスター。」
そう言うと、キュルケはゆっくりと此方に近づいてくる
454TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:44:18 ID:jBaowAFM
「ルイズから話は聞いておりますわ…異国から来たメイジだそうですわね。」
「一応、そういう事になるかな。」
キュルケの問いに、クラースは彼女の言葉通り普通に答える
昨晩、ルイズと話し合って自分達は東にあるロバ・アル・カリイエの出身だという事にしておいた
自分はそこのメイジで、才人は使い魔であるという設定だ
「そして、特殊な術をお使いになるとか…その体に刻まれた刻印から察するに、とても強力な術のようですわね。」
「そうよ、クラースの術に比べれば、あんたの火蜥蜴だって霞んで見えちゃうんだから!!」
まるで自分がそうであるかのように、ルイズが得意げにキュルケに告げる
「まあ、それは興味深いですわ…もし宜しければ、私にご教授頂けません事?」
キュルケは自慢の胸をクラースの腕に押し付けながら、召喚術を見せてくれるよう頼む
彼女の色気も合わさって、普通ならこれを受けた男性の殆どは彼女の頼みを断らないであろう
「悪いが、私の術は無闇やたらに見せびらすものではないからな…お断りさせて頂こう。」
だが、クラースは失礼のないよう、彼女から離れつつ申し出を断った
大体、そんな事で呼び出しては、流石のシルフも怒るだろう
感の良いキュルケは、彼は見せ掛けではなく本物だという事を察した
「つれないお方…でも、私貴方に興味が沸きましたわ。」
うっとりとした瞳を向けるキュルケ…ルイズは、この時のキュルケが危険である事を知っていた
この女は、恋をするとこのようになるのだ
「無駄よ、キュルケ…クラースには奥さんがいるんだからね。」
「あら、そうですの…ですけど、それくらいで私の恋の炎は消える事はありませんわ。」
念の為に釘を打つルイズだが、その釘も恋多き彼女の前では無意味に等しかった
「ミスタ・レスター、ゼロのルイズに飽きたら私の所にいらしてください…何時でも歓迎いたしますわ。」
畏まった口調でそう言うと、彼女はフレイムと共に一足早く食堂へと向かっていった
「行ったか…しかし、君の友人は色々と強烈だな、ルイズ。」
キュルケの姿が見えなくなった後、クラースは苦笑しながらルイズにそう告げる
だが、彼女を自分の『友人』扱いした事に、ルイズは憤慨する
「あんな奴、友達でもなんでもないわ。」
そう、彼女の実家であるツェルプストー家とルイズの実家であるヴァリエール家は宿敵同士である
恋に戦場に、幾つもの因縁を持つ両家
それを語ろうとするが、それを止めるようにルイズのお腹の虫が鳴る
「ん…まあ、この事はまた後で話すとして…早く食堂に行くわよ。」
食欲の方が勝ったルイズは、一足先に食堂へ向かって歩き出した
その後に続いて才人とクラースも歩き出し、クラースは才人の横へと歩み寄る
「才人…彼女を起こすのは大変だったんじゃないのか?」
「よく解りましたね…あいつ、俺に下着の準備から服の着せ替えまでさせたんですよ。」
逆らったら、ご飯抜きだって言うし…才人はクラースにルイズに対する文句を言い続ける
まあ、それが貴族だからな…と、そんな才人を宥める
「それにしても…。」
しばらく愚痴が続いた後、才人が腑に落ちないといった表情で言葉を漏らす
「ん、どうした?」
「いや、さっきのキュルケって奴…ルイズの事を「ゼロのルイズ」って呼んでたんですよ。」
「ああ…そう言えば、呼んでいたな。」
恐らく、『ゼロのルイズ』とは二つ名の事なのだろう
才人は、その『ゼロ』が何を意味するのか、疑問を感じているのだ
「ルイズに聞いても、教えてくれなかったし…何か意味があるのかなぁって…。」
「ふむ、ゼロか…果たしてそれは…。」

「ちょっとぉ、何ゆっくり話なんかしてんのよ、朝食に遅れちゃうじゃない!!」

クラースが答えようとすると、既に先の方まで行ったルイズが二人に呼びかける
話をそこで中断すると、二人は駆け足でルイズの所へ向かった
455TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:46:09 ID:jBaowAFM
『使い魔生活スタート』
クラース「さて、私達の使い魔生活が始まったわけだが…今の所の感想は?」
才人「最悪ですよ、あいつ目の前で着替えるわ、下着を用意させるわ、服を着替えさせるわ…。」
才人「おまけに、全然羞恥心見せないし…俺、男としての自信なくしそうです。」
クラース「完全に召使の扱いだな…何、可愛い彼女が出来たと思えば少しは気が紛れるさ。」
才人「冗談じゃないですよ、あんな奴。」
才人「確かに顔は良いのは認めますけど、それ以外は全然駄目じゃないですか。」
才人「性格は高慢で最悪だし、胸はぺったんこだし、地位とかで俺を振り回すし…。」
才人「そんな奴と恋人だなんてこっちからお断りしますよ。」
才人「大体、あんな女に恋人なんて出来るんですかね?」
才人「あんな女を恋人にしたい奴って、余程の変人ですって。それから……。」
クラース「お、おい、才人…後ろ…。」
才人「えっ、後ろ……げっ、ルイズ!?」
ルイズ「ルイズじゃなくて、ご主人様でしょ……この、馬鹿犬〜〜〜!!!!」
才人「ぎゃああああああああ!!!!!!」
クラース「男の急所を強烈なキックが…切ないな、才人。」
『宿敵ツェルプストー』
ルイズ「ああ、むかつく…朝からツェルプストーが私の使い魔に色気振りまいてくるなんて。」
才人「随分あいつの事を嫌ってるんだな…何かあったのか?」
ルイズ「というより、あいつの家とね…私の家とツェルプストー家は昔から因縁が多いのよ。」
ルイズ「あいつはゲルマニア出身の貴族で、ツェルプストー家は家の領地と国境を挟んだ隣の領地を治めているの。」
ルイズ「だから昔から、ゲルマニアと戦争が起こったら、ツェルプストー家と何度も殺しあった歴史があるのよ。」
クラース「血の因縁、というわけか…何とも恐ろしいものだな。」
ルイズ「それに、あいつの家は色ボケの家系で、昔からヴァリエール家にちょっかいを掛けてくるのよ。」
ルイズ「何度あいつの一族から、家の一族の恋人や婚約者、果ては奥さんまでが奪われた事か…もう、考えただけで腹が立つ〜〜〜。」
才人「…恋に戦場に…大変なんですね、メイジって。」
クラース「そうだな。」
『使い魔の故郷 クラースの場合』
ルイズ「ねぇ、クラース…あんたの故郷ってどんな所?」
クラース「私の故郷か?そうだな…自然が多い、のどかな所だな。」
才人「そうそう、それに住んでいる人達も良い人ばっかりなんだぜ。」
ルイズ「あんたには聞いてないわよ…じゃあさ、クラースはそこで領主様だったりするわけ?」
クラース「いや、そうじゃない…私のいた所は此処のようにメイジが貴族や王族というわけではないからな。」
クラース「大多数が魔術は使えないが、聡明な貴族や王族が国や地方を治めているんだ。」
ルイズ「ふーん…魔法も使えない貴族や王族が国を治めるなんて、変なの。」
才人「俺はクラースさんが領主とは思わなかったな、だって何時もミラルドさんの尻にしかれてるし…いててっ!?」
クラース「はははは、口は災いの元だとアーチェから学ばなかったのかな、才人君?」
才人「す、すいまふぇん……。」
ルイズ「?」
『見せてくれ』
クラース「頼む、一度だけ…一度だけで良いんだ」
ルイズ「嫌よ。」
クラース「そこを何とか…私達の今後を考えればな…よい付き合いというのも必要だろう。」
ルイズ「そ、それはそうだけど…。」
クラース「だから、見せてくれ…君の奥底にあるそれを…。」
ルイズ「……悪いけど、今は気が乗らないからまた今度ね。」
クラース「ああ、ルイズ…少しだけでも良かったんだが…。」
才人「く、クラースさん、ミラルドさんがいるのにあいつに何をしようとしたんですか!?」
クラース「何って…参考がてらに、ルイズの魔法を見せて欲しいと頼んでいただけだが?」
才人「へ?」
クラース「しかし、彼女は中々頑固でな…どうしても見せてくれないと言うんだ。」
クラース「で…何で彼女の魔法を見せてもらうのに、ミラルドの名が出てくるんだ?」
才人「えっ、いや、別に…何でもないですよ…はは、ははははははは…はぁ。」
クラース「?」
456TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:48:05 ID:jBaowAFM
ルイズに連れられ、クラースと才人はアルヴィーズの食堂へとやってきた
アルヴィーズとは小人の意味で、壁際にある人形達は夜になると此処で踊るらしい
ほう、それは興味深いな…と、クラースは人形達を眺める
「良い?トリステイン魔法学院で教わるのは、魔法だけじゃないのよ。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーの元…。」
「はぁ、はぁ…へぇ。」
隣ではルイズが二人に説明を行っていたが、クラースは人形に夢中で、才人は適当に相槌をうつだけだった
「…という訳で本当なら此処には貴族しか入れないけど、二人は私の使い魔だから特別に入れるのよ。」
解った?と、説明を終えたルイズは二人が理解できたかどうか確認をとる
「ん…ああ、解った。」
「俺も解ったから、早く飯食べに行こうぜ…腹減ったし。」
本当に解ったのかしら…二人の返事に納得いかないながらも、そのまま奥へと進む
二人もルイズの後に続く…三人が食事を取るのは真ん中の、二年生のテーブルだ
ある程度テーブルに近づくと、周囲の生徒の目が自分達にあつまっていくのが解った

「おい、見ろよ…あれがゼロのルイズが呼び出した使い魔だってさ。」
「あれが…冗談だろ、あれが使い魔だって?ただの平民じゃないのか?」
「いや、どうやらあの刺青をした使い魔って異国のメイジらしいぜ…昨日コルベール先生が…。」

同時にひそひそと、自分達の事で話し合う生徒達…ルイズは上機嫌でどんどん進んだ
クラースと才人もそれ程気にせず、彼女の後へと続く
そして、テーブルの前に立つと、朝食とは思えない食卓を見回した
「しかし、豪勢な食卓だな…朝からこれだけ食べて、大丈夫なのか?」
「貴族ならこの位当然でしょ?さあ、クラースは私の隣に座って…あんたは私達の椅子を引く。」
気が利かないわね、と早く椅子を引くよう才人を促す
仕方なしに椅子を引いてルイズを座らせる才人、クラースは自分で指定された席に座った
最後に才人も椅子に座ろうとするが、それはルイズに止められた
「此処に座れるのは貴族だけで、クラースは特別よ…あんたはそっち。」
そう言って指差した先は床だった…そこには一枚の皿がある
皿の上にはそれぞれ硬そうなパンが2切れと、質素なスープがあるだけだった
「床?しかもこれだけ?お前等貴族はそんだけ贅沢なもの食べられるのに?」
「オマケにはそれ位で十分でしょ、それとも食べない方が良い?」
そう言われると同時に、ぐぅと才人のお腹が鳴る
食わないよりはマシだ…もっと文句を言いたかったが、仕方なしに才人は床に座った
しばらくして、此処で行われる食事前の祈りの唱和が開始された

「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ、今朝もささやかな糧を我に与えたもうた事を感謝いたします。」

全然ささやかじゃねぇ〜〜、祈りの声を聞いて才人は切実にそう思った
唱和が終わった後、賑やかな声と共に朝食が始まる
才人も取りあえず食べる事にした…パンは固く、しっかり噛まないと食べられない
スープも殆ど具が入っておらず、冷めていて美味いとは言えなかった
「ああ、美味い美味い…美味すぎて、涙が出そうだ。」
ルイズに聞こえるくらいの声で、言葉とは裏腹に彼女を批判する
だが、それを痛くも痒くも感じていないルイズは、食事を取り続けた
「……それだけだと腹が空くだろう、ほら。」
それを見かねたクラースは、空いている皿に食べ物をつぎ分けると、才人に差し出した
「えっ、良いんですか?」
「ちょっとクラース、勝手にオマケに餌なんか与えないでよ。」
才人は受け取ろうとするが、ルイズがそれを呼び止める
「建前的に、彼は私の使い魔だからな…私がどうしようが勝手だろ?」
「そ、それはそうだけど…もう良いわ、勝手に餌でもあげなさいよ。」
投げやりに答えると、それ以上は何も言う事無く、ルイズは自分の分を食べ始めた
その間に才人は皿を受け取り、感激のあまり手を震わせていた
「クラースさん…あ、ありがとうございます。」
「何、私は君の保護者だからな…責任がある以上、それを全うしなければ…。」
だが、既に才人はローストチキンに齧り付き、話など全く聞いていなかった
やれやれ、現金だな…と苦笑しつつ、クラースもまた自分の朝食を食べ始めた
457TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:50:07 ID:jBaowAFM
朝食が終わった後、今度は朝の授業にルイズと共に出席する事となった
これは異世界の魔法を詳しく知りたいクラースにとって、待ち望んだ時間だった
「異世界の魔法か…ようやく、この時が来たか。」
まるで子どものように笑みを浮かべながら、早歩きで足を進める
「クラースさん、楽しそうですね。」
才人にとって、こんなに楽しそうなクラースの姿を見るのは初めてだった
何時も研究ばかりしていたので、こんな一面がある事が少し驚きだ
「ああ、もう待ちきれないのさ…ルイズは魔法を見せてくれなかったからな。」
そのルイズは、自分達より一足先を、二人より早く歩いていた
クラースの言葉にビクンとルイズが反応するが、二人はそれに気付いていない
「……さ、此処が教室よ。」
ルイズに案内されて到着した教室には、既に生徒達が席に座り、その使い魔達の姿もある
中にはクラース達を見て、食堂の時と同じようにヒソヒソと話をしている
「食堂の時もそうだったけど…何か俺達、有名人になった気分ですね。」
「私はあまり好かんな…ああもこそこそ話されるのは。」
能天気な才人に反し、クラースは軽い嫌悪感を抱いていた
クラースは帽子を深く被って、視線を避けようとしたが…

「はぁい、ミスタ・クラース♪」

そんな生徒達の中で、クラースに声を掛けたのは、今朝出会ったキュルケだった
此方に向かって手を振っており、クラースも軽く手を翳して応答する
ふと、視線を隣に座っている少女へと移した
「………。」
その少女は青髪に眼鏡をかけ、他の生徒達とは違う雰囲気を漂わせていた
少女は本を黙々と読んでいたが、クラースの視線に気づき、彼と目を合わせる
ほんの数秒間だけ…目を合わせた後、彼女の方が先に視線をクラースから本へ戻した
「クラース、何してるの…早くこっちに来なさいよ。」
「…ああ、解った。」
クラースもまた、それ程気にせずにルイズ達が向かった机へと向かう
「それにしても、授業か…アルヴァニスタ王立学院に通っていた頃を思い出すな。」
懐かしき学生時代…良くも悪くも、色々な思い出が残るあの頃
それを思い出しながら、クラースは席に座った
「此処はメイジが座る席なの、あんたは床に座りなさい。」
「あのなぁ、こんな窮屈な場所で床に座れるかよ!!」
隣では才人とルイズが席の事で一悶着起こしていた
しばらく口論が続いたが、結局才人もまた席に座る
「(この二人…まるで、アーチェとチェスターだな。)」
かつての旅の仲間二人の事を思い出すクラース…同じように喧嘩する姿も
二人が座ったと同時に、扉から先生と思われる中年の女性が入ってきた

「皆さん、おはようございます…春の使い魔召喚は大成功のようですわね。」

入ってきたのは、ミセス・シュヴルーズ…土系統を得意とする学院の教師だった
彼女は生徒達の使い魔を見回し、最後にルイズの使い魔であるクラースと才人に目を向ける
「ミス・ヴァリエール、一日遅れですが使い魔を召喚できたそうですね…何でも異国のメイジとその使い魔だとか。」
教員達にも、コルベールを通じて二人の事はそう伝わっていたらしい
全員の目が、ルイズとその使い魔達へと向けられる
「まさか、あのゼロのルイズがちゃんと使い魔を召喚できるとはなぁ…。」
「でも、人間を二人も呼び出す辺りは、流石ゼロのルイズだよな。」
「つーか、本当にあの二人使い魔なのか?金を払って雇っただけじゃないのか。」
だが、周囲の生徒達は素直にルイズの成功を誉める気はなかった
本来なら怒るはずであろうルイズだが、そのような素振りは全然見せない
「(ふふん、何とでも言いなさい…あんた達がクラースの力を知ったら、腰を抜かすんだから。)」
クラースを召還できた自分は、もうゼロのルイズなんかじゃない
きっと、魔法だって……
そう思っている間に、ミセス・シュヴルーズの授業は始まった
458TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:52:07 ID:jBaowAFM
その後、二人にとって初めての魔法の授業は順調に進んだ
ミセス・シュヴルーズのこの世界の魔法についての講義を、才人はそれなりに聞いている
隣では、クラースが講義の内容をメモに取っている

「ふむ、この世界の魔法は5つの属性…火、水、土、風、伝説と言われる虚無の五つで成り立っているのか。」
「そして、属性を足せる数によってメイジのレベルが決まる…。」
「一つはドット、二つはライン、三つはトライアングル、四つはスクウェア…」
「此処では魔法をかなり生活面に反映している…これはエルフ達の生活に通じるものだな」

こんな具合にぶつぶつと呟きながら、メモを取り続けるクラース
隣ではルイズもまたノートを取っており、勉強する二人に挟まれた才人は少し居心地が悪かった
ちょっとこの空気を和らげるつもりで、才人はクラースにある質問をする事にした
「…ねぇ、クラースさん?」
「どうした、才人?」
才人に尋ねられ、クラースはペンを置いて振り向く
講壇では、ミセス・シュヴルーズが石ころを取り出している所だ
「クラースさんって、魔術に凄く興味を持っているんですよね。」
「ああ…魔術はエルフの英知の結晶、彼等とその血を引く者だけが使えるのは前に説明したな。」
その間に、ミセス・シュヴルーズは杖を振るって、石ころを輝くモノへと変える
ゴールドかとキュルケが騒ぐが、石ころは真鍮に変わっただけだった
これは土系統の魔法『錬金』であり、スクウェアクラスでないと金は作れないらしい
「限られた者だけが使える力、魔術…何時の頃からか、私はその魅力に引かれ、自分自身で使えないかと思った。」
その為に、魔術に関する知識を学び、それを行使する為の研究を続けてきたのだが…。
「結局魔術は使えずじまいで…今はこうして召喚術を習得するに至ったんだ。」
「ふーん…でも、あんな凄い召喚術を使えるのに、何で今更魔法なんか学ぶ必要があるんですか?」
正直、才人にとって召喚術の方が凄いと思っていた
アーチェの魔術は確かに凄かったが、クラースの召還術の方がより神聖で、偉大に感じられたからだ
「…君から見ればそう思うのだろう。だがな、召還術は……。」
「では、誰かに錬金の実践をやってもらいましょうか。」
ミセス・シュヴルーズの言葉が聞こえ、二人はそこで一時会話をストップした
その視線を生徒たちへと向け、やがてその一人に目を留める
「そうですね…ミス・ヴァリエール、貴方にやってもらいましょう。」
選ばれたのは、ルイズだった…周囲の視線が一気にルイズへと集まる
同時に、周囲にどよめきが走る
「…え?私ですか?」
当てられた本人も、自分がやる事になるとは思っていなかったようだ
「そうです。此処にある石を貴方の望むものに変えてごらんなさい。」
自分が指定されてもルイズは戸惑い、中々立ち上がろうとしない
「どうしたんだよ、行かないのか?」
「折角の機会だ、君の魔法を是非見せてもらおうかな。」
そんな事を知らない二人は、ルイズに声を掛ける
ルイズは少し考え…やがてクラースを見つめた
「ねぇ、クラース…私、あんたみたいな凄いメイジを召還出来たのよね?」
「ん、どうしたんだいきなり?」
「……ううん、何でもない。」
クラースが『本当に』いる事を確認し、ルイズの中である決意が生まれる
「ミセス・シュヴルーズ、ルイズは……。」
その間に、キュルケが申し出ようとするが、それは最後まで言われる事はなかった
ガタン、と音を立てながらルイズが立ち上がり、彼女の申し出を遮ったからだ

「解りました…やってみます。」

ルイズは力強く言うと、前へ向かってゆっくり歩き出した
459TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:56:35 ID:jBaowAFM
「ちょっと、ルイズあんた…。」
「黙ってて、キュルケ…私はもうゼロのルイズなんかじゃないわ。」
止めようとするキュルケだが、ルイズはそう反論して彼女を睨む
ルイズの自信を帯びた声にそれ以上何も言えず、その間にルイズは先へ進んだ
「(そうよ、私はゼロなんかじゃない…だって、クラースを召還出来たんだから。)」
今ルイズを支えている自信の根拠は、クラースの存在だった
彼は先住魔法を使える凄腕のメイジ…これは、ルイズが勝手に思い込んでいるだけだが
そんな彼を召還できた自分なら、もう以前のような失敗は繰り返さない筈だ
「(出来る、絶対出来る…だから、頑張れ、私!!)」
そして、遂にルイズは皆の前に立った
目の前には、既にミセス・シュヴルーズが錬金の為に用意した石がある
「さあ、ミス・ヴァリエール…錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです。」
「…はい。」
既にミセス・シュヴルーズの話は半分ほどしか聞こえず、錬金の方に集中していた
「さて、見せてもらうかな…彼女の実力を。」
「でも、何か様子が変じゃないですか…キュルケもそうだし、他の連中だって…。」
才人の言う通り、生徒達…特に一番前に座っている者は机の下に隠れてしまった
だが、クラースはルイズの魔法を見ようと夢中で、その事に気がつかない
「………」
そんな中、ルイズは小さな声で呪文を唱え…杖を石に向かって振り下ろした
呪文を受けた石は、眩い光に包まれる…クラースと才人が見守っていたその時……

石が大爆発を起こした

「うおっ!?」 「うわっ!?」
突然の大爆発、それによって起こった爆風でクラースと才人は椅子から転げ落ちた
だが、二人はまだ良い方である…下の方はより悲惨な事になっていた
教卓や一番前の机は吹き飛び、そこに座っていた生徒達はボロボロの姿になっている
「…………。」
爆心地にいた呪文の発動者であるルイズも、ボロボロの姿になっていた
彼女の後ろには、爆発をもろに受けて吹き飛んだミセス・シュヴルーズの姿もある
「な、何だ…一体何が起こったんだよ。」
頭を打った才人は打った箇所を押さえつつも、何とか立ち上がる
爆風で帽子がずれたクラースも立ち上がり、二人は目の前の悲惨な光景を目の当たりにする
「凄い爆発だったな…あれは、小規模ながらエクスプロードのようだったが、発生源はやはり…。」
そう言いながら、クラースは錬金を唱えたルイズを見る
彼女はハンカチを取り出すと、顔についた煤を吹きながらこう言った

「ちょっと…失敗だったみたいね。」

…と
ルイズの魔法に呆然としていた生徒達が、それを聞いて怒りを露にする
「ちょっとじゃないだろ、ゼロのルイズ!!」
「いつだって成功確立、ほとんどゼロじゃないか!!」
「今回の爆発だって、過去最悪だろ!!!」
教室中から、ルイズに向かって放たれる言葉の数々
そんな中、クラースと才人は顔を見合わせる
「クラースさん、あいつの二つ名って……。」
「ああ…『ゼロのルイズ』とは、こういう事だったのか。」
魔法が上手くいかないルイズ…彼女はこの世界では落ちこぼれだったのだ
クラースの視線の先には、生徒達から暴言を受け続け、酷く落ち込む彼女の姿があった
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 18:57:39 ID:qGuJMCQ0
支援
461TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 18:58:21 ID:jBaowAFM
………………


「才人、ゆっくりゆっくり…手を滑らせるなよ。」
「は、はい。」
その後、クラース達がいた教室で…ミセス・シュヴルーズや生徒達の姿は既になかった
そこには、窓ガラスを一緒に運んでいる才人とクラースの姿があった
二人は落とさないよう慎重に、最後の窓ガラスを枠にはめ込んだ
「…よし、これで片付けは全て完了だな。」
「やっと終わった…長かったなぁ。」
ようやく片付けの終わった教室を見回しながら、才人は疲れた腰を叩く
ルイズの魔法によってその後授業は中断、三人は後片付けを義務付けられた
やっと終わった頃には、もう昼食前となっていた
「ご苦労だったな、才人。」
「クラースさんもご苦労様でした。」
二人は互いに重労働を労い、少し休む為に椅子に座り込んだ
何せ壊れた教卓や机、椅子、窓ガラスの片付けから新しいものの取替え等やる事は沢山あった
だから終わるのがこんなに時間が掛かったし、体もくたくただった
「俺、あんだけ働いたの生まれて初めてでしたよ…お腹も空いたし。」
「そうだな、もう昼になったし…ルイズ、昼食に行かないか?」
体を少し捻らせて、クラースは奥の方に座っているルイズに声を掛けた
彼女は自分が起こした爆発の片付け作業に参加する事無く、二人に背を向けたままだった
「あいつは別に行かなくても良いじゃないですか、作業には全然参加しなかったし。」
「しかしだな…。」
そう言いながら、才人もルイズを見る…相変わらず背を向けたままだ
作業中も何度も声を掛けたのに、動くどころか返事も返さない
クラースに言われて、放っておいたが…
「…おい、飯食いに行かなくても良いのか、ゼロのルイズ。」
原因である彼女が何もしない苛立ちも募って、才人はそう呼んだ
一瞬だけ、ビクッと彼女の体が震える
「才人、そう言うのは止めろ…彼女は…。」
「おいおい、魔法がゼロなのは解ったけど、耳までゼロになったのか?」
クラースが諌めようとするが、才人のルイズへの暴言は止まらない
「それにしても、ゼロのルイズか…魔法の成功率ゼロ、それで貴族って言うんだから面白いもんだよな。」
昨日からの鬱憤を晴らすように、才人はルイズを馬鹿にし続けた
ルイズは何も言い返さないが、体だけがふるふると震えている
才人はそれに気付いていない
「確か、貴族は魔法をもってしてその精神となす…だっけ?だったらゼロのお前が貴族を名乗るのは筋違いだろ。」
「才人、いい加減にしろ。」
「でもクラースさん、あいつは…。」
クラースが才人を止めた時、座ったままだったルイズがいきなり立ち上がった
そして、二人に向かってずんずん進んでいく…表情は前髪に隠れて見えない
「な、何だよ、お前…」
「……な。」
「えっ?」
才人の前まで近づいたルイズが何か言ったが、小さくて聞こえない
何を言っているか聞こうと立ち上がると…次の瞬間に返ってきたのは、パチンという乾いた音だった
462TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 19:00:19 ID:jBaowAFM
何があったのか最初解らなかった才人、しばらくしてルイズが何をしたのかが解った
左の頬がじんじんと痛む…先程の音は、彼女が自分の頬を叩いた音だった
「お前、何する……。」
ぶたれた痛みからルイズを睨みつけるが、彼女の顔を見て戸惑いがうまれる
ルイズは…その可愛い顔を悔しさから歪ませ、瞳から大粒の涙を流していた

「あんたが…魔法も使えない平民が、私を気安くゼロなんて呼ぶな!!」

そして、自分を侮辱した才人に向かって怒鳴りつける
その剣幕に、才人は何も言い返せなかった
「あんたには解らないでしょうね、私がゼロと言われる度にどんな思いをしたかなんて…私が…どんな……。」
そこまで言うと、ルイズは二人に背を向けた…これ以上自分の泣き顔を見せない為に
「出来ると思ったのよ、クラースを召還できたから…もう私はゼロのルイズじゃないって…でも、結局私は…ゼロのルイズのままだった。」
「ルイズ……。」
二人の様子を傍観していたクラースが、ルイズの肩に手を乗せようとする
だが、ルイズはその手を振り払い、今度はクラースを睨み付ける
「同情なんてしないで…どうせあんな凄い魔法が使えるあんただって、私の気持ちなんか解らないんだから!!」
「ルイズ、落ち着け…私は別にそんなつもりは…。」
「五月蝿い、五月蝿い…あんた達三日間ご飯抜き、それと今日一日私にその顔を見せないで!!!」
ルイズはそう言い残すと、そのまま教室から飛び出していった
残された二人…特に才人は、ルイズが去った後を見続ける
「あいつ……。」
「やれやれ、全く耳を貸さなかったな…大変な事をしてしまったな、才人?」
クラースの言葉に、才人は何も言わずに俯く
ルイズに打たれた頬を触った…まだジンジンと、痛みは残っている
「痛いか?それは今回の事に対するお灸だな…よく解っただろう、相手の傷を抉る事の酷さが。」
「でも…あいつは俺達をこんな世界に呼び出したし…俺に散々…。」
「だからと言って、ルイズを傷つける理由にはならんだろう…あの涙を見て、何も感じなかったのか?」
「それは………。」
そこまで言われて、才人は何も返せなかった…が、クラースの言いたい事はよく解っただろう
沈黙の時が流れる…しばらくして「はぁ」と溜息をつくと、クラースはその場から動き出した
「クラースさん、何処へ……。」
「とりあえず、此処を出よう…何時までも此処にいるわけにはいかんだろう。」
此処での片付けはもう終わった以上、長居する必要はない
「でも、あいつは顔を見せるなって……。」
「別にルイズの所に行かなくても、適当にこの辺を歩くのも良いだろう…まだ、全部を散策出来たわけじゃないからな。」
そう言って、教室の出入り口へと向かう…才人はそのまま動かない
「才人、行かないのか…此処にいたって、何も進展なんかしないぞ。」
クラースの呼びかけに、少しばかり戸惑った様子を見せたが、最後は黙って彼の後を追う
二人は教室から出ると、そのまま広場の方へと向かっていった
463TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 19:02:07 ID:jBaowAFM
「さて…今はしばらく此処で時間を潰すか。」
誰もいない広場に到着した後、クラースは芝生に座り込んだ
才人も同じようにクラースの隣に座り、青空を眺めた
「………。」
しかし、才人に見えるのは青空ではなく、先程のルイズの泣き顔だった
頬の痛みも今は感じないが、未だにあの顔がくっきりと頭の中に残る
「…才人、ほら。」
そんな時、隣にいたクラースが何かを投げてよこした
反射的に受け取ってみると、それはブレッド…パンだった
「流石に三日も飯抜きだと堪えるからな…昼はこれでしのごう。」
「クラースさん…本当、何処からこんな物を…」
「何、私は他の人より便利な道具袋と不思議なポーチを持っているだけさ。」
疑問をはぐらかすと、自分の分を食べ始めるクラース…才人も同じようにパンを頬張る
ルイズが朝食の時に寄越したパン切れよりかは、何倍もマシな味だった
「……はぁ。」
だが、それでも美味しいとは思えなかった
半分も食べない内に、溜息と共にそれ以上は口に入りそうになかった
「おいおい、そんな溜息を出すな…こっちまで不味く感じるだろう。」
「す、すいません…。」
クラースの言葉に一応答えるが、才人の表情は相変わらずだった
やれやれ…と、先程までとは正反対の彼の様子に、溜息をつく
「…ルイズの事、悪いと思っているなら後で謝っておけ…少しは、罰の期間が短くなるかもしれんぞ。」
「えっ…いや、その…そうですね。」
クラースの言葉に最初は戸惑うが、最後は正直に答える
確かに、先程ルイズに対して言い過ぎた…まさか、あんな事になるとは思わなかった
「すいません、クラースさん…俺のせいでクラースさんまで巻き添えになっちゃって。」
「全くだ、私まで巻き添えにする事はないだろう…もう、帰る方法を考えるの止めにするかなぁ。」
「す、すいません…すいませんから、それだけは…。」
クラースの辛口な発言に、才人は必死に謝る
冗談だ、と笑みを浮かべながら答えると、クラースは芝生に仰向けになる
「ゼロのルイズ、か…通りでルイズが私達に魔法を見せてくれなかったわけか。」
魔法を見せたくても、出来ないから見せる事が出来なかったのだ
「あいつ、魔法が使えないからずっと馬鹿にされていたんですね。」
「ああ…この世界は、魔法を使える貴族や王族が上位にいる世界らしいからな。」
そんな社会の中だからこそ、色々と辛い想いをしてきたのだろう
それは、あの時の彼女の涙から想像出来る
「…ねぇ、クラースさん…あいつがどうしたら魔法を使えるようになるか解りませんか?」
魔法学者なんでしょ、と魔法に関して知識のあるクラースに尋ねてみる
「ルイズが?そうだな…う〜む…。」
クラースは考えてみる…何故、彼女の魔法は爆発ばかりを起こすのか
そして、かつての旅の途中で起こったある出来事を思い出した
「以前…私が旅をしていた頃、アーチェが魔術を発動する際に、失敗して暴発するという事があったんだ。」
「あのアーチェさんが…意外ですね。」
自分の前では魔術を巧みに操っていた彼女が、そんな失敗をした事があるのに驚いた
「でも、それがルイズの魔法と何の関係が…。」
「それとルイズの魔法は非常に良く似ている…恐らく、彼女自身が力をコントロール出来ず、結果行き場を失った魔力が爆発という形で発動しているんじゃないだろうか?」
「じゃあ…ルイズが上手く力をコントロール出来れば、魔法が使えるようになるんですか?」
「だと私は思うが…流石に、そうなるまでの過程は解らんな。」
それに、この世界の魔法については詳しく知らないので、これは仮説にしか過ぎない
知れば、ルイズが魔法を使えるようになる方法が解るかもしれないが…
「もっと知らねばならないな…この世界の事、魔法の事…図書館があればいいんだが…。」
これだけ大規模な学院なら、多くの知識があると思うのだが…
「クラースさ〜〜〜ん。」
その時、クラースの名を呼ぶ若い少女の声が聞こえてきた
二人が同時に振り向くと、向こうからメイドがやってくるのが見えた
464TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 19:04:09 ID:jBaowAFM
「ん、シエスタじゃないか。」
「どうしたんですか、こんな所で…お昼寝ですか?」
やってきたのは、朝一緒に洗濯をしたシエスタだった
どうやら、此処にいるのを見つけてこっちに来たようだ
「クラースさん、この人は?」
「ああ、彼女はこの学院付属のメイドのシエスタだ、朝洗濯に行った時に世話になったんだ。」
「シエスタです、貴方がミス・ヴァリエールのもう一人の使い魔の…才人さん、ですよね?」
首を傾げながら、シエスタは才人に確認の為尋ねる
「あ、はい、そうです…俺平賀才人って言います。」
よろしく…そう言って才人は名を名乗り、手を差し出して握手を求める
普通で良いですよ、と答えながらシエスタはその手を握った
「それで…何でこんな所に?」
「何、このもう一人の使い魔君がご主人様を怒らせてな…今絶食中なんだ。」
「うっ…。」
クラースの少し突き刺さる言い方に、思わず苦悶の声を漏らす才人
「まあ、そうなんですか…それなら、お腹空いているんじゃありませんか?」
「パン一つ食べたから、少しは満たされてはいるな。」
正直に言えば、パン一つではあまりにも足りなかった
教室の片付けという肉体労働で、随分と腹が減っていたからだ
「それだけじゃ足りないでしょう…お二人とも、良かったら厨房まで来ませんか?賄い食ですけどご馳走しますよ。」
「ん、良いのか?」
「はい、折角ですから今朝の洗濯のお礼という事で。」
それなら、別に断る理由もないし、誘いに乗っても問題ないだろう
シエスタの申し出に、クラースは頷いて答える
「そうですか…では、ご案内しますね。」
此方です、とシエスタは二人を案内する為に先へ進む
クラースは後に続くが、才人は残ったままだった
「どうした、才人…こないのか?」
「いや、俺あの子に何にもしてないから…それに…。」
そこまで言って、才人は黙る…まだルイズの事を引きずっているようだ
クラースは黙って才人のそばに近寄ると、その胸を軽く叩く
「ルイズに謝ると決めたんだろ…言い過ぎたって。」
「えっ…は、はい…。」
「だったら、それで良いじゃないか…何時までもウジウジするんじゃない。」
君らしくないぞ、とその頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でる
イタタ、と才人は顔を顰めるが、やがて笑みを浮かべる
「…そうですね、俺らしくないですよね、こんなの。」
「そうだ、それで良い…で、行くのか?」
「そりゃあ、勿論…。」
才人が返事をする前に、ぐぅと腹の虫がなる…気持ちの整理が出来た事で、体が正直になったようだ
「やれやれ、本当に君は現金な奴だな…ははは。」
「へへへ…。」
クラースは呆れ気味に、だがそれが良いとばかりに笑った
才人も釣られて、一緒に笑う
「お二人とも、早くこっちに来てください。」
既に本塔の出入り口までいっていたシエスタが、少し大きな声で二人に呼びかける
話はそこまでにすると、二人はシエスタの所へ駆けていった
465TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 19:06:42 ID:jBaowAFM
70 名前:TALES OF ZERO あとがき[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 15:34:25 ID:cXp8eyT.
以上で投稿終了、ほぼ原作と同じ流れです
変更点と言えるのは、才人とルイズの関係ですかね
クラースという保護者がいるのと帰還の邪魔をされた為か、原作より才人がルイズにはっきりと物言いします
あと、今後の二人の関係も、原作とは違う形にしていこうかと思います
例えば、やたらめったらキスしたりしないとか(テイルズではキスは殆どないですから)
次回はご存知、ギーシュとの決闘です
話の流れは原作に沿った前後編で、クラースと才人両方の見せ場を作っています
その後は、タバサの冒険の一話を展開する予定です
では、次回お会いしましょう、さよなら


これで今回の分はすべてです
しかし、仕事疲れのせいか、代理投稿を頼む所にあとがきと書いてしまった…
466TALES OF ZERO代理:2009/12/04(金) 19:08:04 ID:jBaowAFM
以上、投下終了
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 19:09:33 ID:qGuJMCQ0
テイルズの人、代理の人乙でした
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 19:11:24 ID:YQ+3cUSK
作者さん、代理さん、乙でしたー。
やはりスキットの再現率が高い……
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 19:18:04 ID:zjZNDoI7
原作のクラースさんとやらは知りませんが、
女性の洗濯物を冥土の脇で平然と洗っている姿は
如何な物かと思います。

470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 19:27:23 ID:+D7B2eZs
クラースの人、代理の方、乙でした。
スキットの再現度の高さに顔枠で会話する三人が容易にイメージ出来たw
ってか、クラースさん、マジックポーチ持ってきてるのかww
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 20:30:10 ID:Sk4zWLvC
ギーシュレベルなら本で撲殺くらいは出来そうなクラースさんの人乙
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 20:45:07 ID:cT8fzc5a
クラースさんの人、代理の人乙でした
クラースさんがホントいい保護者だ
>>470
ファンタジアってマジックポーチあったっけ?
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 21:05:48 ID:AF2QggXl
夢であるように乙です。スキットが見てて楽しいw
決闘はやっぱり才人が担当すんだろーか
でもクラースさん保護者だから静観ってこともいないだろーし
どう料理するのか楽しみかも
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 21:07:47 ID:+D7B2eZs
>>472
あるよ、装備してないと効果ないけど
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 21:09:27 ID:cT8fzc5a
>>474
ああ、アクセサリであったか。
マジカルポットと勘違いしてたわ
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 21:22:00 ID:maNRaGlZ
テイルズの人と代理の人乙です
これ見てPSP版買っちゃったよ
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 21:39:35 ID:APTrVAvH
クラースさん乙

俺も今日ちょうどテイルズで閃いてたが
デスティニーのソーディアンってコアさえ無事なら晶術使えるんだよね?
刀身が無くても

ファンダムでの損壊状態のディムロスが召喚されて落胆したけど
契約したら声が聞こえるようになって、剣としては役立たずだけど
ルイズが晶術使えるように〜とか考えた
ぶっちゃけ、刀身無いディムロスと錆び剣デルフの掛け合い見たいだけなんですがね!!
どう考えても仲悪そうですが
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 21:47:03 ID:pfiD9Y5V
デルフにマスターになる素質があると申すか貴様
479使い魔の達人:2009/12/04(金) 22:14:56 ID:AF2QggXl
どうもみなさんこんばんわ
特に予約がなければ22:25あたりから投下を行いたいと思いますが
よろしいでしょうか
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 22:18:38 ID:/BoL2RAO
>>479
事前支援だ!
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 22:20:18 ID:3txnKstw
>>477
ギーシュと決闘して終わってるのがあるよ
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 22:23:43 ID:qGuJMCQ0
支援
483使い魔の達人:2009/12/04(金) 22:25:15 ID:AF2QggXl
そいだらぼちぼち始めますね
前回のあらすじ:アン様がきました

――――――――――――――――――――――――――――――
 ルイズの部屋を突然訪れてきた黒ずくめの少女。
その正体は何を隠そう、その日学院にやってきて、熱烈な歓迎を受けたばかりの、アンリエッタ王女その人だった。
 アンリエッタは、膝をついたルイズを見て、感極まった表情を浮かべてルイズを抱きしめた。
「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」
「姫殿下、いけません。こんな下賎な場所へ、お越しになられるなんて……」
 抱きつかれながら、ルイズはかしこまった声で言った。
「ああ!ルイズ!ルイズ・フランソワーズ!そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい!
あなたとわたくしはおともだち!おともだちじゃないの!」
「もったいないお言葉でございます。姫殿下」
 態度を和らげるよう促すアンリエッタにしかし、ルイズは堅い口調のまま返す。
 そんな二人の様子を、カズキはぼけっと眺めていた。


  使い魔の達人 第十四話  王女の依頼


「やめて!ここには枢機卿も、母上も、あの友達面してよってくる欲の皮の突っ張った宮廷貴族たちもいないのですよ!
ああ、もう、わたくしには心を許せるおともだちはいないのかしら。昔なじみの懐かしいルイズ・フランソワーズ、
あなたにまで、そんなよそよそしい態度を取られたら、わたくし死んでしまうわ!」
「姫殿下……」
 どこか逼迫した様子の王女に、ルイズは顔を上げた。
 ルイズと目を通わせて、アンリエッタはすかさず言葉を重ねる。
「幼い頃、いっしょになって宮廷の中庭で蝶を追いかけたじゃないの!泥だらけになって!」
 はにかんだ顔で、ルイズが応えた。
「……ええ、お召し物を汚してしまって、侍従のラ・ボルトさまに叱られました」
「そうよ!そうよルイズ!ふわふわのクリーム菓子を取り合って、つかみ合いになったこともあるわ!
ああ、よくケンカになると、いつもわたくしが負かされたわね。あなたに髪の毛をつかまれて、よく泣いたものよ」
「いえ、姫様が勝利をお収めになったことも、一度ならずございました」
 懐かしそうに言うルイズ。どうやら二人、すっかり思い出話に花を咲かせたらしい。
「ルイズは会った頃からだけど……あの王女さまもなんていうか」
 二人をぼんやり観察しながら、カズキはひとりごちた。その続きを、魔剣が引き継ぐ。
「ま、お転婆娘ってやつだぁな。よくわからんけど、結構なんじゃねえの?子供は元気が一番ってな」
「だね」
 最初からだが、すっかり外野なカズキとその相棒であった。
「失礼、姫さま……聞こえてるわよ、そこ。静かになさい」
 すると、ルイズがぎろんと睨んできた。あちゃあ、と思いながら苦笑いを返す。
 そしてそこでアンリエッタは、藁束の上であぐらをかくカズキに気づいた。
「あら、ごめんなさい。もしかして、お邪魔だったかしら?」
 カズキとルイズを交互に見ながら、アンリエッタは頬に手を添えて恥ずかしそうに言い出した。
「お邪魔?何故です?」
「だって、そこの彼、あなたの恋人なのでしょう?いやだわ。わたくしったら、つい懐かしさにかまけて、とんだ粗相をいたしてしまったみたいね」
「へ?恋人?」
 間抜けな返事とともにルイズは、カズキと目を見合わせる。カズキもまた、面食らったような顔になっていた。
 思わず頬を染めたルイズは、大慌てで手やら首やらぶんぶん振りながら、アンリエッタに言った。
「ち、違います姫さま!あれ!あ、あれはただの使い魔です!こ、こここ恋人だなんて、ご冗談にもほどがありますわ!!」
「まぁ、使い魔?」
 アンリエッタはきょとんとした面持ちで、カズキを見つめた。
 カズキもカズキで、なんか前にもこんなことあったよなあ、と思いつつも、頬を染めて困惑していた。なんだかんだで、顔に出やすい性質なのだ。
 あの時は確か、みんなに斗貴子さんがカノジョだって間違われたんだっけ。
斗貴子さん、笑ってはいたけど、ちょっと本気で怖かったよなぁ。すぐにみんなですいませんしたし。
484使い魔の達人:2009/12/04(金) 22:27:15 ID:AF2QggXl
 ……みんな、今頃なにしてんのかな。
 そこまで考えて、カズキもぶんぶんとかぶりを振った。
斗貴子の、まひろの、元の世界の面々の顔を、思い出すだけでどうしようもなく、切なくなってしまうのだ。
 頭の中でみんなに謝罪しながら、なんとか思考の外に追いやる。
 そうだ、もう、戻れない……戻らないんだ。目の前に集中しろ。
 そう、そんで今度は、ルイズが間違われて……いやこの場合、オレが勘違いされてんのかな。ルイズの恋人、だから。
 そんな風に考え込むカズキを見て、アンリエッタ王女は小首を傾げた。
「人にしか見えませんが……」
「あ、どうも。人です」
 ギリギリだけど、と心中で付け加えてから一礼すると、アンリエッタは、どこか納得したようにひとつ頷いた。
「そうよね。はぁ、ルイズ・フランソワーズ、あなたって、昔からどこか変わっていたけれど、相変わらずなのね」
「好きであれを、使い魔にしたわけじゃありません」
 憮然としながら、ルイズ。ちょっと酷い言い様だけど、こっちが弁解する前に、王女様の誤解もなくなったようだ。
 しかし……。と、カズキはひとつ唸った。目の前には、確かに昼間見た王女様だ。
「ルイズって実はスゴい?」
「なにが……っていうかあんた、さっきからなにその態度。姫さまの前で、不敬にも程があるわよ」
 いまだ藁束の上のカズキを、ルイズはたしなめた。そういえば、ルイズはさっきから膝をつきっぱなしだ。
そういやそうだ、とカズキも立ち上がって、ルイズに倣う。そんな二人に、アンリエッタが苦笑しながら言った。
「かまいませんよ、ここは、あなたの部屋なのですから」
「いえ、そうもいきません。これもわたしの監督ですので。で、スゴいって、なにが?」
「あ、うん。ルイズって、お姫様と知り合いなんだろ?それも、昔からの」
 すると、今度はルイズとアンリエッタは目を見合わせた。再び、お互いを懐かしむように笑うと、ルイズは口を開いた。
「そうね。姫さまがご幼少のみぎり、恐れ多くもお遊び相手を務めさせていただいたの」
 そして、アンリエッタに向き直る。
「でも、感激です。姫様が、そんな昔のことを覚えてくださってるなんて……。わたしのことなど、とっくの昔にお忘れになったのかと思いました」
 王女は深いため息をつくと、ベッドに腰掛けた。
「忘れるわけないじゃない。あの頃は、毎日が楽しかったわ。なんにも悩みなんかなくって」
「姫さま?」
 その憂いを含んだ声に、ルイズは心配になってしまった。
「あなたが羨ましいわ。自由って素敵ね、ルイズ・フランソワーズ」
「なにをおっしゃいます。あなたはお姫様じゃない」
「王国に生まれた姫なんて、籠に飼われた鳥も同然。飼い主の機嫌ひとつで、あっちに行ったり、こっちに行ったり……」
 窓の外の月を眺めながら、寂しそうに言うアンリエッタ。ルイズの手を取ると、にっこり笑って言った。
「結婚するのよ。わたくし」
「……おめでとうございます」
 その声に悲しいものを感じたルイズは、沈んだ声で返した。
 重い空気が辺りを包む。さらに加重をかけるかのように、アンリエッタの深いため息が、部屋に響いた。
 めでたい話をしたばかりだというのに。アンリエッタを案じたのか、ルイズが訪ねた。
「姫さま、どうなさったんですか?」
「いえ、なんでもないわ。ごめんなさいね……、いやだわ、自分が恥ずかしいわ。あなたに話せるようなことじゃないのに、わたくしってば……」
「おっしゃってください。あんなに明るかった姫さまが、そんな風にため息をつくってことは、なにかとんでもないお悩みがおありなのでしょう?」
「……いえ、話せません。悩みがあると言ったことは忘れてちょうだい。ルイズ」
「いけません!昔はなんでも話し合ったじゃございませんか!わたしをおともだちと呼んでくださったのは姫さまです。
そのおともだちに、悩みを話せないのですか?」
 ルイズがそう言うと、アンリエッタは嬉しそうに微笑んだ。
「わたくしをおともだちと呼んでくれるのね、ルイズ・フランソワーズ。とても嬉しいわ」
「友情だなあ」
「なんだかねえ」
 外野が何か言ってるが無視。ともかく、アンリエッタは決心したように頷くと、語り始めた。
「今から話すことは、誰にも話してはいけません」
 それから、カズキのほうをちらっと見た。
485使い魔の達人:2009/12/04(金) 22:28:36 ID:AF2QggXl
「え、えーと。オレたち、いない方が良いのかな?」
 傍らの魔剣を掴んで訊ねるカズキに、アンリエッタは首を振った。
「いえ、メイジと使い魔は一心同体。席を外す理由がありません……どうなさいました?」
 アンリエッタがそんな声を上げるので、今度は何だとルイズが見てみると、カズキが顔を俯かせてどんよりしていた。
 それはいつかの浜辺で、斗貴子と交わした言葉。
 ああ、そうか。斗貴子さんとは……六週間、もう、過ぎちまったもんな。
 だから、今はオレ、ルイズと一心同体なのか……。
 どうやらアンリエッタの何気無い例えが、カズキの心を抉っては、奈落へ叩き落す一言になったようだ。
「おーい、相棒ー。どしたー」
「それで、姫さま?」
 いちいち構っていても仕方がないので、あっちは剣に任せて、ルイズはアンリエッタを促すことにした。
 そして、物悲しい調子で、アンリエッタは語り出した。わりといい性格をしている。
「わたくしは、ゲルマニアの皇帝に嫁ぐことになったのですが……」
「ゲルマニアですって!」
 ルイズは驚いた声をあげた。何を隠そう、ルイズはゲルマニアが大嫌いなのだ。
「あんな野蛮な成り上がりどもの国に!」
「そうよ。でも、しかたがないの。同盟を結ぶためなのですから」
 なんとか復活したカズキは、壁の向こうを見やりながら、この会話隣に漏れてないよなぁ、とちょっと心配になった。
 アンリエッタは、ハルケギニアの政治情勢を、ルイズに説明した。
 アルビオンの貴族たちが反乱を起こし、今にも王室が倒れそうなこと。反乱軍が勝利を収めたら、次にトリステインに進行してくるであろうこと。
 それに対抗するために、トリステインはゲルマニアと同盟を結ぶことになったこと。
 同盟のために、アンリエッタ王女がゲルマニア皇帝に嫁ぐことになったこと……。
「そうだったんですか……」
 ルイズが沈んだ声で言った。アンリエッタが結婚を望んでいないのは、口調から明らかであった。
「いいのよ。ルイズ、好きな相手と結婚するなんて、物心ついたときから諦めてますわ」
「姫さま……」
「礼儀知らずのアルビオンの貴族たちは、トリステインとゲルマニアの同盟を望んでいません。二本の矢も、束ねずに一本ずつなら楽に折れますからね」
「三本だともっと折れないよね」
「相棒おめえある意味すげえよ」
 ルイズが一睨みすると萎縮する使い魔の少年に、アンリエッタはそうですね、と笑いかけて、ひとつ咳払いすると続けた。
「……したがって、わたくしの婚姻をさまたげるための材料を、血眼になって探しています」
「もし、そのようなものが見つかったら……いえ、まさか……?」
 わざわざこんな話をしてくるくらいだ。その材料が、実在する、というのだろうか?
ルイズは顔を蒼白にしてアンリエッタの言葉を待つ。返事は、アンリエッタの悲哀に満ちた首肯から始まった。
「おお。始祖ブリミルよ……、この不幸な姫をお救いください……」
 王女は顔を両手で覆うと、床に崩れ落ちた。随分と芝居がかった仕草だ。
「言って!姫さま!いったい、姫さまのご婚姻をさまたげる材料ってなんなのですか?」
 ルイズも興奮した様子でまくしたてる。両手で顔を覆ったまま、アンリエッタは苦しそうに呟いた。
「……わたくしが以前したためた一通の手紙なのです」
「手紙?」
「そうです。それがアルビオンの貴族たちの手に渡ったら……、彼らはすぐにゲルマニアの皇室にそれを届けるでしょう」
「どんな内容の手紙なんですか?」
「……それは言えません。でも、それを読んだら、ゲルマニアの皇室は……、このわたくしを許さないでしょう。
ああ、婚姻はつぶれ、トリステインとの同盟は反故。となると、トリステインは一国にてあの強力なアルビオンに立ち向かわねばならないでしょうね」
 ルイズは息せき切って、アンリエッタの手を取った。
「いったい、その手紙はどこにあるのですか?トリステインに危機をもたらす、その手紙とやらは!」
 アンリエッタは、首を振った。
「それが、手元にはないのです。実は、アルビオンにあるのです」
「アルビオンですって!では!すでに敵の手中に?」
「いえ……、その手紙を持っているのは、アルビオンの反乱勢ではありません。反乱勢と骨肉の争いを繰り広げている、王家のウェールズ皇太子が……」
「プリンス・オブ・ウェールズ?あの、凛々しき王子さまが?」
 アンリエッタはのぞけると、ベッドに体を横たえた。
486使い魔の達人:2009/12/04(金) 22:31:15 ID:AF2QggXl
「ああ!破滅です!ウェールズ皇太子は、遅かれ早かれ、反乱勢に囚われてしまうわ!そうしたら、あの手紙も明るみに出てしまう!
そうなったら破滅です!破滅なのです!同盟ならずして、トリステインは一国でアルビオンと対峙せねばならなくなります!」
 ルイズは息を呑んだ。
「では、姫さま、わたしに頼みたいことというのは……」
「無理よ!無理よルイズ!わたくしったら、なんてことでしょう!混乱しているんだわ!
考えてみれば、貴族と王党派が争いを繰り広げているアルビオンに赴くなんて危険なこと、頼めるわけがありませんわ!」
「何をおっしゃいます!たとえ地獄の釜の中だろうが、竜のアギトの中だろうが、姫さまの御為とあらば、何処なりともむかいますわ!
姫さまとトリステインの危機を、このラ・ヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・フランソワーズ、見過ごすわけにはまいりません!」
 ルイズは再度膝をついて、恭しく頭を下げた。
「『土くれ』のフーケを捕まえた、このわたくしめに、その一件、是非ともお任せくださいますよう」
「このわたくしの力になってくれるというの?ルイズ・フランソワーズ!懐かしいおともだち!」
「もちろんですわ、姫さま!」
 ルイズがアンリエッタの手を握って、熱した口調でそう言うと、アンリエッタはぼろぼろと泣き始めた。
「姫さま!このルイズ、いつまでも姫さまのおともだちであり、まったき理解者でございます!永久に誓った忠誠を、忘れることなどありましょうか!」
「ああ、忠誠。これがまことの忠誠です!感激しました。わたくし、あなたの友情と忠誠を一生忘れません!ルイズ・フランソワーズ!」
 カズキはそんな二人を見て、半ば呆れ気味に呟いた。
「なんか、お芝居でも見てるみたいだな」
 今度は遠い世界へ旅立っている二人には、聞こえなかったみたいだ。そのかわり、すぐ後ろのデルフリンガーが応えてくれた。
「お互いが、自分の言葉に酔ってんだろうさ。それより相棒、いいのかい?お前さんのご主人様は、自分から戦争中のアルビオンに行くと言ってるぜ」
 途端に、あ、と声をあげ。言われて気づいた。戦争なんて、元の世界じゃテレビの向こうの話だから、いまいち現実感は沸かないけれど。
「となりゃ当然、使い魔のお前さんも、その相棒の俺も行くことになる。俺としちゃあ、使ってもらう絶好の機会だから嬉しいもんだが……相棒はどうするね?」
 ルイズは、王女さまのためならどこへだって行くとは言っていたけれど……。どうにも勢いで言ってるような気がする。これはさすがに、放ってはおけない。
「なあ、ルイズ。せっかくのところ悪いんだけど、ちょっといい?」
「あによ」
「本気でその、アルビオン、ってトコに行くつもりなの?戦争やってて、危険なんだろ?」
 ルイズは嘆息した。この使い魔は、同じ部屋にいて何を聞いていたのだろうか。だが、それよりも。
「あんた、姫さまの前でそんな……」
 睨んでくるルイズを、指先で涙を拭いながらアンリエッタが制した。
「構いません、ルイズ。主人の身を案じるのは、使い魔として当然のこと。けれど……」
 俯き、しばし黙考しては、アンリエッタはルイズに言った。
「そうね、そうなのよ。ルイズ。やっぱり、あなたに頼むのはだめ」
「そんな、姫さま!」
 ルイズは悲鳴にも似た声をあげた。アンリエッタは、まるで夢から醒めたような面持ちで、ルイズを見つめた。
「あなたの言葉には、わたくし本当に感動したわ。だけど……いいえ、だからこそ、あなたには頼めない」
「それでは手紙は……、この国の未来は、どうなさるのですか!?」
 ルイズの問いに、アンリエッタは苦い顔になった。他に頼める者は居ないのだろう、二人はあたりをつけた。
 おそらくルイズが依頼を受けたのも、王女さまに直に会えた懐かしさと、覚えてもらっていた嬉しさ。それが要因になったのは、間違いない。
 だけど、きっとルイズは、それがなくても依頼は受けたんだろう。
カズキは今しがたのルイズを見て、これまでのルイズを思い出して、改めてそう思った。
 ルイズはやさしい、そして強い女の子だ。ちょっと無鉄砲で考えた足らずで、負けず嫌いなところがあるけれど。
「じゃあ、オレが行きます」
 だから、カズキはそう言った。
 当然、二人は驚いた顔をカズキに向ける。
「何を言ってるの。あんた、わたしの使い魔なのよ。そんな勝手、許されると思ってんの?」
「そうです。それに、わたくしの大事なおともだちの使い魔を、単身危地へ赴かせるなど、できるはずもありませんわ」
487使い魔の達人:2009/12/04(金) 22:33:12 ID:AF2QggXl
「だけど手紙を取りに行かないと、この国が危なくなるんですよね?それに、ルイズを行かせたくないってのは、オレも同じ気持ちです。
オレも、ルイズに死にに行くような真似はして欲しくないし、もちろん死んで欲しくなんかない。
それにオレ、こう見えても危険な目に遭っても平気っすから」
 心配無用と笑うカズキにしかし、ルイズは首を縦に振るはずはなかった。
「じゃあ、わたしも一緒に行くわ」
「ルイズ!?」
「使い魔だけを危地に向かわせるなんて、そもそも主人のすることじゃないもの。
あんたが行くって言うんなら、わたしも行くわ。もともと、わたしが受ける依頼だし」
「なに言ってんだ。こんなときのための使い魔なんじゃないのか」
「あんたみたいなどっかズレてる使い魔に、こんな重要任務、任せられるわけないじゃない。
それに、あんた一人でウェールズ王子のところまで辿り着けたって、事情が事情だもの。信用してもらえるかしら?」
「それは、ルイズだって同じじゃないか」
「あんたね……」
 ルイズはちちち、と指を振ると、薄い胸を張って自信満々に言った。
「わたし、トリステイン貴族。それも、由緒ある公爵家の三女。あんたよりかは、信用あるの」
「じゃ、じゃあ、オレだってその使い魔だ」
「それ、わたしが居なくてどうやって証明するの?」
 ぐ、とカズキは思わず呻いた。そして、思いついたように左手の淡く光るそれを掲げる。
「こ、これ!使い魔のルーン!」
「そうね。ルーンがあったわね。で、誰の使い魔なのかしら。貴族派のメイジかも知れないわ」
 いよいよカズキは顔をしかめてしまった。しかし、頷くわけにもいかないので、ルイズをぐっと睨めつける。
しかしそれはルイズも同じ。どちらも一歩も譲る様子はなく、アンリエッタなど、睨み合う二人に挟まれて、困惑してしまっていた。
 すると、ルイズの部屋の扉が勢い良く開かれる。
「君たちいい加減にしないか!姫殿下の前でみっともない!」
 ルイズとカズキに造花の薔薇を突きつけて、いきり立ちながら入ってきたのは、なんとギーシュであった。
 しかし二人が、突然の闖入者にそのまま視線をスライドさせたので、闖入者のほうが思わず呻き声をあげた。
「……って、ギーシュ、なんでここに?ここ、女子寮よ?」
「あ、ああ。いやなに、薔薇のように見目麗しい姫さまのあとをつけてみればこんな所へ来てしまうじゃないか。
それでドアの鍵穴からまるで盗賊のように様子を伺っていれば……まったく、君たちは」
 ギーシュが嘆息交じりに呟く中、ルイズは歯噛みした。
「姫さま。どうされます?話を聞かれてしまっていたようですが……」
「え、ええ」
 アンリエッタはやはり困惑気味に相槌を打った。まだルイズとカズキの話にも、決着はついていないというのに。
 そしてそれは、さらに面倒な方向へ転がっていく。
「そう!姫殿下!その困難極まりない任務、是非ともこのギーシュ・ド・グラモンに仰せ付けますよう!」
「え?あなたが?」
「お前、言ってる意味わかってんのか?」
 ギーシュは薔薇をルイズ、カズキに突きつけながら答えた。
「少なくとも、姫殿下の御前で口論しだすようなメイジとその使い魔よりは、わかっているつもりさ」
 そんな科白に、ルイズは思わず頬を染め、唇を噛んだ。それもこれも、このいまいち融通の利かぬ馬鹿使い魔のせいだ。
「グラモン?あの、グラモン元帥の?」
 アンリエッタが、きょとんとした顔になってギーシュを見つめた。
「息子でございます。姫殿下」
 恭しく一礼するギーシュ。まぁ、と笑うアンリエッタは、またややこしくなったと内心辟易し始めていた。
 しかし、これは願ってもない話だ。まだ学生の身ではあるが元帥の子息ともなれば、ルイズやその使い魔よりは、まだ頼れる人材だ。
気疲れし、判断力が鈍くなったアンリエッタの瞳には、ギーシュはそう映った。
「わたくしの力に、なってくれますの?」
「姫さま!?」
 ルイズが悲鳴にも似た声を再度挙げる。
「任せていただけるならば、望外の幸せにございます」
 熱っぽい口調のギーシュ。しかし、そこにカズキから横槍が入った。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 22:34:39 ID:yq8U4cTe
しえん
489使い魔の達人:2009/12/04(金) 22:35:49 ID:AF2QggXl
「ちょい待ち、ギーシュ。まさかお前、一人で行くとか言い出すんじゃないだろうな」
「なんだい、自分だって言ってるくせに。当然、ぼくの使い魔は連れて行くさ。心配ならいらないよ?
いくら以前、決闘でいいところまで持っていかれたとはいえ、使い魔の君に心配されるほど落ちぶれちゃいない」
「なに言ってんのよ。こいつにコテンパンだったじゃないの。そのくせアルビオンに乗り込もうだなんて、頭沸いてんじゃないの?」
 さらにルイズが一撃を加える。ギーシュは顔をしかめたが、すぐに余裕の表情をつくった。
「その言葉、そっくりお返しするよ。聞けば以前の広場での誓いを成すため、連日図書館でさまざまな資料を漁ったり、
フーケを捕まえたりといろいろ努力してはいるようだけど……、肝心の魔法の方は相変わらずさっぱりだそうじゃないか。
魔法ひとつ満足に成功させられないのに、アルビオンに行こうとは。いくら使い魔君の腕が立つと言ったって、無謀だとぼくは思うね。
それに、いまだその使い魔の躾もできてないと見える。よもや、姫殿下の前であんな見苦しい口論を始めるとは」
 やれやれと首を振った後、次いでカズキを見やった。
「君も君だ。姫殿下も仰られていただろう?メイジと使い魔は一心同体なんだ。なんでもない、秘薬の採集とはワケが違う。危地に赴くのであれば、尚更さ。
それを、まぐれとはいえぼくに……メイジに勝った使い魔のくせに、危険だからと勝手に主人を置いていこうとはね。
さしものルイズとて、覚悟くらいは出来てるだろう。なら君も、せめて主人を守りきるくらいの気概を持ってはどうかね?」
 そんなギーシュに、二人は憮然とした顔を向けた。
「あ、あの……みなさん?」
 懐かしい友人に会いに来たはずが、よもやこんな展開になるとは。
アンリエッタの声も届かぬ一触即発気味の場の空気に、王女はすっかりまいってしまった。
「なあ、もう三人で行きゃいいんじゃねえの?」
 これ以上は見てられないのか、唯一の外野が呆れ声で建設的な意見を出してきた。
 三人は素面になって魔剣を見やれば、各々顔を見合わせた。
 ギーシュにしてみれば、使い魔は居ても、実質一人でできることには限界がある。威勢の良いことは言ったが、正直不安は尽きない。
だが、決闘でカズキの実力は良く知っているし、自分にはゴーレム『ワルキューレ』がある。
ならば、内乱のアルビオンを突っ切り、王党派までの往復くらいは出来るのでは、とだいぶ楽観的に考えた。
 カズキにしても、何があるかわからない戦地。先日のフーケのときとは危険度は段違いだし、今度はキュルケやタバサも居ない。
それにルイズは、斗貴子のように自分で自分を守れるわけでもない。失敗魔法は強力だが、必ず当たるものでもないのだ。
守りきる自信がないわけではないが、ルイズに危険なことはなるべくして欲しくないのが、なによりの本音だった。
だがしかし、ルイズがアルビオン行きをやめないだろうことは、カズキにも良くわかっている。
ならば、ルイズのために。ルイズが守りたいこの国のために、彼女の使い魔として、自分も力になるしかない。
そう、覚悟を決めようかと、ギーシュが入ってくる寸前にはちらと考えていたほどだ。
そして、闖入者のギーシュ。その実力は、やはり決闘を通して良く知っているつもりだ。
そのギーシュも、共にアルビオンに行くと言うのならば……多少の危険は、なんとかなる。そんな風に思えていた。
 ルイズはとにかく、トリステインのためにもアルビオンに行き、手紙を取ってこれるのならば何でもよかった。
 一本では折れやすい矢も、二本ならば折れにくくなる。そして、三本ならば――。
「じゃあ、それで」
「仕方がないね」
「いいわ」
 各々が頷くのを見て、アンリエッタは安堵の息を吐いた。とにかく、この剣呑とした雰囲気が解消されたことが、一番嬉しかった。
「それでは姫さま。この三名で任務を執り行いますが……急ぎの任務なのですか?」
「え、ええ。アルビオンの貴族たちは、王党派を国の隅にまで追い詰めていると聞き及びます。敗北も時間の問題でしょう」
 ルイズは真顔になると、アンリエッタに頷いた。
「早速明日の朝にも、ここを出発いたします」
 アンリエッタは、そう言うルイズにおずおずと訊ねた。
「……本当に行くの?ルイズ」
490使い魔の達人:2009/12/04(金) 22:37:26 ID:AF2QggXl
「申し訳ありません、姫さま。このルイズ、なんとしても愛する姫さま。そしてトリステインのため、役に立ちたいのです」
「姫殿下。心配には及びません。ぼくと、彼女の使い魔も共に行くのです。必ずや、目的のものを手に入れて無事に帰還してみせましょう」
 ギーシュが気障ったらしく助け舟を出した。カズキも首肯して、同意を示す。
「大丈夫ですから、任せてください」
 アンリエッタはしばし三人の顔を見渡せば、やがて頷いた。
「……ありがとう」
 ルイズとギーシュの顔が、明るくなった。
「ウェールズ皇太子は、アルビオンのニューカッスル付近に陣を構えていると聞き及んでいます」
「了解しました。以前、姉たちとアルビオンを旅したことがございますゆえ、地理には明るいかと存じます」
「旅は危険に満ちています。アルビオンの貴族たちは、あなたがたの目的を知ったら、ありとあらゆる手を使って妨害しようとするでしょう」
 ギーシュがごくり、と唾を飲んだ。なるべく目立たないようにしようとか、考えているのだろうか。
 アンリエッタは机に座ると、ルイズの羽ペンと羊皮紙を使って、さらさらと手紙をしたためはじめた。
 突っ立ったまま待つのも退屈なのか、隣のギーシュにぼそりと訊ねた。
「あれ、なにしてんの?」
 ギーシュは顔をしかめた。少しくらい、静かに待てないのか。仕方なしに説明する。
「皇太子から、手紙を返還してもらうための依頼状、かな。姫殿下直筆のものならば、王党派からの信用はなにより高いからね」
「なるほど……じゃあ、あれがあれば」
「あれだけあっても、あんた一人じゃ結局信用されないでしょうね。然るべき人物が届けてこそ、意味があるのよ」
 然るべき人物とは、やはりルイズのことだろう。釘を刺され、カズキは肩を落とした。
「いい加減、覚悟決めなさいよね」
「わかってるよ。危険なことは、オレが引き受ける。だから、無茶はしないでくれよ」
 いい加減聞き飽きたとでも言うように、ルイズはそっぽを向いた。
「なあに、ぼくも行くんだ。心配は無用さ」
「ああ。ギーシュもよろしくな」
 そうこうしてるうちに書き終えたアンリエッタは、自分の書いた手紙をじっと見つめ……、そのうちに、悲しげに首を振った。
「姫さま、どうなさいました?」
「な、なんでもありません」
 アンリエッタは顔を赤らめると、決心したように頷き、末尾に一行付け加えた。それから、小さい声で呟く。
「始祖ブリミルよ……。この自分勝手な姫をお許しください。でも、国を憂いても、わたくしはやはり、この一文を書かざるをえないのです……。
自分の気持ちに、嘘をつくことはできないのです……」
 密書だというのに、まるで恋文でもしたためたようなアンリエッタの表情だった。ルイズはそんなアンリエッタをじっと見つめるばかり。
 アンリエッタは手紙を巻くと、杖を振って、巻いた手紙に封蝋をし、花押を押した。その後に、ルイズに手渡した。
「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょう」
 それからアンリエッタは、右手の薬湯にから指輪を引き抜くと、それもルイズに手渡した。
「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守りです。お金が心配なら、売り払って旅の資金にあててください」
 ルイズは深々と頭を下げた。カズキとギーシュも、それに続いた。
「この任務には、トリステインの未来がかかっています。母君の指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、あなたがたを守りますように」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
以上です
去る十二月一日はカズキの誕生日でした
お粗末
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 22:39:15 ID:qGuJMCQ0
乙でした
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 22:39:58 ID:yq8U4cTe
乙でした
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 22:52:37 ID:APTrVAvH
達人乙
こちらも幾らか異なる雰囲気がよい感じ

そして遅くなりましたが
>>478
ルイズの二刀流(?)で彼女を挟んで錆び剣と折れ剣の罵り合いとかが想像してたんすよ
剣が剣を〜ってのは流石にないっしょw
でも考えてみればネクロスだかネグロスだったか地球を核で滅ぼす一因になった奴みたいな名前の
自律行動する剣のモンスターも居ましたっけねぇ
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 22:55:13 ID:wpih0fT4


>>幼い頃、いっしょになって宮廷の中庭で蝶を追いかけたじゃないの!泥だらけになって!
この一文で蝶華麗な追いかけっこの映像が脳内に浮かんだのは秘密だ
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 23:34:23 ID:CG1Vmd02
蝶々の妖精さんを姫様とルイズが追いかけるんですね
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 00:14:23 ID:SgzdWJOD
達人ktkr
乙。ルイズも武装練金使えるようならないかなー土のスクエアとか言ってパピヨンのあれとか。小ネタにはあるんだよな
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 00:42:23 ID:o8PKemZj
>>496
そこはルリヲヘッドだろう中の人的に
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 00:47:43 ID:wHQn1bHg
主食は(サイトの)脳みそですか
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 00:50:12 ID:+4sUwFaK
>>497
そりゃ母親だろう
中の人のは防空壕だったはず
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 00:57:02 ID:ZmjWFQvG
ヴィクターの娘は釘宮だったのか
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 01:31:58 ID:OIAX/PQu
質問だけど、召喚元の作品原作で描かれてないor公式設定が造られていない部分にオリ設定を入れるのはNG?
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 01:37:10 ID:17mdiEuW
ベルセルク・ゼロの人がワルドへの当て馬みたいな感じで、オリジナルっぽいメイジ出してた
から問題ないのでは?
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 01:39:16 ID:mS8/DI+u
描かれてないのをいいことに好き放題やっちゃうようなのは論外だが、
そうでなくても元の作品に小うるさいファンが付いていたら叩かれる可能性はある

504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 01:48:27 ID:GudJ6HOn
公式設定が作られてないのって例えばシエスタの料理を旨いと感じたりすることとか?
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 02:03:45 ID:kT5pV2ou
例えば東方なんて原作の描写が割と淡泊で曖昧だから、
空白部分を補完せずに書こうとすると途端に難易度が跳ね上がるな
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 03:03:34 ID:hgd6pKpa
物によっては原作なんて関係ないような物になってるから
そんなに気にする必要はないと思う。
507501:2009/12/05(土) 03:10:01 ID:OIAX/PQu
具体的に言うと、「ドラゴンボール」のフリーザのビジネスについての設定なんだ。
なんで『宇宙一』なんて言いながら、わざわざ星の地上げなんてやって他人に売り付ける商売をしているのか。
『星のコレクション』という自分の趣味のついでにやっているとしても何故?
欲しいものが有れば、(それが暴力で奪えるものなら)奪い取れば良いのだし、フリーザに何のメリットが?

その疑問を補完する自分の(ネットの各サイトも参照にした)推測をオリ設定として組み込んで、
無理なく「ルイズに使い魔として従うフリーザ」というフリーザ召喚SSを書こうと思ったので。
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 03:10:39 ID:1e0oDtjN
好きにすればいいことよ
大事なのはその辺じゃないしね
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 08:18:19 ID:dNpVoBte
長編での強キャラ召喚の場合、キャラの持ち味を発揮させつつ、いかに一方的なハルケ蹂躙を回避するかが重要になると思う
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 08:30:59 ID:hctKAJti
召喚キャラによるハルケギニア蹂躙と、それに抗う者の戦い――と言うのも良いのでは?
ゼロの蛮人はかなり面白かったですし。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 08:32:24 ID:6xP66a8h
フリーザとか股恐ろしく難易度高いのをww
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 09:04:41 ID:DJdoYnaW
フリーザ様が格下におとなしく従うなんて想像できんぜ
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 09:11:47 ID:6UpbUq+F
「原作のこの言動・行動はこういう意味だったのか」って説得力を持たせることが出来て、
なおかつクロス元のキャラクターと矛盾しなければOKだとは思うけど、
人によってはオリ設定ってだけで拒絶反応を示す人もいるからなぁ。
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 10:11:40 ID:r8do8iwO
唐突だが格闘ゲームから投げキャラって呼び出しにくいよな。

フーケのゴーレムとか投げられそうにないし…
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 10:14:27 ID:n4WycZLU
速攻生徒会辺りの投げキャラなら、30bゴーレム投げても違和感無いかも
鉄腕能力です!とかで万事解決
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 10:16:42 ID:v6Zz4YZ2
骨法は無敵ぢゃ!!!
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 10:20:31 ID:wyT4EZU0
力任せに分投げるタイプじゃなければ、崩して転ばせりゃ良いんじゃない
ガンダールヴとの相性は悪いけど
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 10:46:43 ID:1TZMuHmI
人形重機ダンヴァーを召喚してフーケのゴーレムとガチンコ殴り合い
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 11:04:11 ID:+wHQ4cX6
>>514
KOFのクラークなら軍人だし召喚された武器の扱いも問題ないぜ
格闘戦は武器使わないしガンダールヴいらないんじゃないかという
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 11:12:57 ID:YbOe8mXb
人型重機と聞いて直ぐにゲンバー大王が思い浮かんだ俺はもう駄目かもしれないw
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 11:26:46 ID:9XAizd7J
さあ 働 こ う か
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 11:31:05 ID:z0PU2aNy
あんなでかいの投げられるのはFF6のマッシュくらいじゃないか
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 11:33:33 ID:DyWiN3B7
マッシュならジョゼフに喚ばれて欲しいな。
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 13:03:43 ID:wAOQpnyp
>>522
サンデー某漫画のお師匠様なら投げられるかも
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 13:17:20 ID:SgzdWJOD
>>502
『鉄屑』だっけか? あれクオリティ高かったな、ベルセルク知らなかったからベルセルクの方のキャラかと思ってた
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 13:19:33 ID:Jbr93FJx
>>522
DMC4のネロももしかしたら投げられるかもしれん。
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 13:30:33 ID:wHQn1bHg
週末を望んでいるのだッ!
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 14:18:18 ID:Ex8ILjI0
>>527
うっせぇベクターキャノンぶつけんぞ(´・ω・)
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 14:36:31 ID:y4/W/Qia
「原作で少しだけ触れられたキャラクターの過去の出来事に肉付けする」はOKかな?
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 14:41:43 ID:HGgKdRX1
説得力があればいいんじゃない
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 14:59:51 ID:ZgDhWP0G
>>529
どう書くにせよ注意書きで説明しておいた方が良い。
しなかったばかりにキャラ違くない?って文句言われた作品もあったし。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 15:18:41 ID:GudJ6HOn
>>525
なんとなくあの展開はベルセルクの「エキサイティングエンジョイ」とか叫びながら粗暴を働くやつを思いだした
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 15:40:35 ID:Pkt0LSeH
>>519
いくら軍人だろうと投げキャラに武器なんて邪道だよ邪道
その点大門先生なら完璧だな
そういやだいぶ前にKOFから京と庵同時召喚ネタ考えてたの思い出した
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 15:43:05 ID:hoRQXLkX
パズルの人最近見ないな
他の作品も面白いがあれ好きだ
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 15:45:41 ID:djfnDuHR
>>529
説得力と勢いがあれば問題ないと思うよ
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 15:49:17 ID:Vs2hkD7M
>>522
魔列車にメテオストライクは誰でもやるよな。
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 17:08:55 ID:x42pSLSg
マッシュの兄貴のエドガーって王族で魔法も使えて普通の戦闘も可能で更に機械にも強い
…凄すぎじゃね?
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 17:12:38 ID:7srT0Xip
魔法は魔石のおかげだし格闘は特筆する強さでは無いし挙げるなら機械強くてイケメンぐらいじゃないか?
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 17:15:13 ID:tYpwnEVU
女性を分け隔てなく愛するよ
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 17:35:15 ID:BWQJvBBe
ルイズがゲリマンダーを召喚したようです
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 17:52:12 ID:1TZMuHmI
>>538
王としての知識や交渉力もあるから王家やアカデミー、ゲルマニアとかに強力なコネを持てそうだ
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 17:52:25 ID:gzswTtXH
えっ?萬田はんを召喚?
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:09:24 ID:EtzNbDLw
折れた聖剣ラングリッサーとオメガ召喚とか電波が来た

ほら、最後に「人助けも悪くねぇな」って言ったし、ルイズの使い魔も
コルベールが人助けだと思ってとか説得したら、なりそうじゃね?

まぁ、ゲームのEDの後だと力使い果たして死んでるけど、そこはご都合主義で
なぜか体調万全で復活しちゃえばいいのよ
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:16:19 ID:wXLtSvEa
軍人で格闘や射撃が得意なジェイソン・ボーンなら、ルイズを守れる。
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:18:10 ID:cwc9F1nq
オメガっていうとFF5かFF:Uが真っ先に思い浮かぶ
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:39:54 ID:HGgKdRX1
オロチの力召喚でオメガ・ルイズですね
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:45:14 ID:Wnoaumnh
>>546
個人的にはNBCのミズチを呼びたい所だな
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:45:36 ID:yRTKUR/T
「オメガ・ルイズ!ジャンパーソンを始末するのだ!!」
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:51:09 ID:BHIGnNWU
アニメやゲームみたいな架空のキャラクターじゃなくて
実在する人物(しかも存命で今も活躍中)とかは流石に不味いかな?
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:52:35 ID:1e0oDtjN
アウトだろうなあ
作品から召喚だし、ブロントさんもアウトだったしな
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 18:55:35 ID:GVlwj313
衣川館以後の義経やラオス以後の辻政信みたいに、虚構になった人物ならともかく実在人物は駄目じゃなかったけ?
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 19:23:31 ID:wyT4EZU0
ラングシリーズの人物は普通に順応しそうだよな
ナールやジュグラーみたいな人外ならルイズ的にも中りだろうか
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 19:29:06 ID:wyBbp+8Z
じゃあ実在するモノは駄目かな、小ネタのPARみたいな
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 19:36:07 ID:Wnoaumnh
小ネタ程度ならいいんじゃね?
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 19:58:13 ID:jn8wF6Pj
プレッシャー星人なら
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:05:03 ID:3CHBYgI5
ウルトラセブンが召喚されたら終止ハルケ人を糾弾する内容になってしまうな
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:08:38 ID:Vs2hkD7M
小泉ジュンイチローあたりならOKだと思うんだが。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:17:28 ID:iJtPfwVU
SEEDの人帰ってきてくれぇぇぇええええ!!!
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:17:56 ID:H84lOORB
結構です^^
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:18:26 ID:adTuXrTg
>>557
そうだな、小泉純一郎は無理でも小泉ジュンイチローなら行けるな。
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:20:04 ID:GVlwj313
水戸光圀は駄目で水戸黄門はOK?
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:23:14 ID:mS8/DI+u
ご老公一行が呼ばれる小ネタがあった希ガス
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:23:14 ID:1e0oDtjN
時代劇の諸国漫遊爺さんならおkちゃうか?
というか面白そうだな
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:26:23 ID:Ld0kbcEo
>>510
獣王星の住人達を召還とかどうかな。
間違いなく蛮族なんだけど惑星バルカンで生き残った連中だし
並みのメイジじゃ太刀打ちできなそう。
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:29:37 ID:Ld0kbcEo
>>564
「バルカン」じゃない、「キマエラ」だった。スマン
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:35:22 ID:ZmjWFQvG
>>555
アイツ呼んでどうすんだよww
痔でキレるぞww
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:35:38 ID:VeWMaJi5
ルーデルとヘイヘと舩坂軍曹は実在人物ですかそれとも人外ですか
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:43:30 ID:GVlwj313
>>567
するとこのケースは、あなたがフィクションであるところのヘイヘ物語を発表すれば、ルイズが召還してもOKとなるのかな?
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:45:12 ID:Vs2hkD7M
>>568
急降下爆撃は仮想戦記扱いでいいでしょうか?
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:46:01 ID:1e0oDtjN
現実なのでダメです
現実のが小説よりアホとは言え
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:55:00 ID:mxAICpP1
>>566
しかしマジで映画に出やがる…
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 20:57:02 ID:GVlwj313
個人的に「急降下爆撃は仮想戦記扱い」でも可なのですが
それでは「第二次世界大戦」でスターリンやチャーチルが呼べるようになってしまうので・・・
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:04:23 ID:44gHuEEj
ここでたまに話に出ていた理想郷ってサイトでも、>>501>>507>>529みたいなのは歓迎されないの?
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:07:54 ID:wiiXASIn
そもそも理想郷ってどこにあるんだろう
ググってもよくわからん
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:08:41 ID:WpzgTQ/C
英訳すると君は幸せになれるかもしれない
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:09:21 ID:4AxG4R9W
パラダイスか
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:10:56 ID:BGX8KRNJ
>>576
それじゃ楽園だろw
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:11:46 ID:DJdoYnaW
あrかぢあでググれ
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:20:13 ID:44gHuEEj
>>575
ユートピア?
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:20:43 ID:tkrcBZ7T
みんな、優しいなぁw

まぁとりあえず、管理人様には迷惑かけないことだな
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:23:22 ID:Vs2hkD7M
>>575
アレを和訳するのなら、理想郷よりは桃源郷に近い。
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:26:17 ID:wiiXASIn
>>575,578,580,581
おかげで見付けたっぽい。サンクス
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:26:17 ID:ON7eIG0B
>572
>それでは「第二次世界大戦」でスターリンやチャーチルが呼べるようになってしまうので・・・
WWUあたりってのは 微妙ですよね。
紀元前とかギリシャ・ローマ時代とかなら、歴史上の人物召喚しちゃっても 何も問題無い様な気もするんですが。
ヒトラーとかゲッペルスとかなら、ガリア・ロマリアに召喚される小ネタなんかも出来そうだし(理想郷むきかな?)
ちょっと前の日露戦争から、大河ドラマの人が召喚されてる事だし、やれないこともないのでは?
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:29:39 ID:5ycwWZ3e
仮面ノリダーなら問題ないかな
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:30:12 ID:9Yow7pJB
ちなみにアレはギリシャ語なんだよな。ユートピアは英語。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:31:57 ID:44gHuEEj
>>578
ありがとう。
何かヤバイサイトに飛ばされそうかと思ったけど、そうじゃなかったんだな……。
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:32:53 ID:1TZMuHmI
絶対に笑ってはいけない魔法学院24時
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:49:41 ID:adTuXrTg
>>584
ハルケギニアにジョッカーが居るのかよw
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 21:56:52 ID:9LJI0JqW
>>588
数十年前にキ〜ングジョッカーっ!が召喚されるなり迷い込むなりすれば問題ない
でもその場合、元の世界にジョッカーがいないので
改造前の木梨猛召喚で召喚後にノリダー改造になるか
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 22:05:25 ID:Sv+H9AUE
そういやヒトラーとラストバタリオンがファンタジー世界に召喚されたおかげで大事になるって小説あったな
ブラスルーンだっけか
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 22:08:28 ID:Ld0kbcEo
ふと、ジオン公国がハルケギニア上空に召還される話が浮かんだ。
ギレンとかは嬉々としてハルケ侵略とかするんだろうな。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 22:11:54 ID:VnaeA/9S
>>545
オメガならオメガスプリームが真っ先に思い浮かぶ
召喚しても自力で帰還出来そうだから意味がないが

クロス元では所属元の関係で人間サイドに属しているが、
個人的には人間を嫌っている(人間全滅しろレベル)ってキャラが召喚されたクロスってあります?
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 22:14:51 ID:Sv+H9AUE
>ふと、ジオン公国がハルケギニア上空に召還される話が浮かんだ。
上空なら落下するだけだが
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 22:15:51 ID:9QF1DEqu
>>592
日替わり使い魔で主役じゃないけど召喚されてるな

リメイク版の場合は嫌ってないかもだけど
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 22:40:24 ID:cJ9WT15l
ジパング世界から召喚したらどうだろう >WW2の人物
 
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 22:53:11 ID:M8WvPDC+
くたばり損ないの草加少佐ですねわかります
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:03:55 ID:A2znDdEu
ジパング昔はワクワクしながら読んだんだけどな・・・
あんな終わりかたしちゃって。
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:16:21 ID:BWQJvBBe
>>592
その論理で行くと不細工なずんぐりむっくり(by破壊大帝)も自力で帰れたりすんのかね
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:19:18 ID:1TZMuHmI
ダルタニャン物語の人物を召喚したらかなり混乱しそうだ
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:20:19 ID:8VGVuwhh
むしろオメガトライブ……

ルイズが絶望してなきゃ脳が沸騰して即死か、そうでなくても洗脳されちまうが。
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:21:08 ID:E7EPhwv1
>>592
しかし奴は、エネルギー切れで爆発するという理不尽な特性(?)があってだね
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:28:27 ID:Sv+H9AUE
>>599
時代が前後してかぶる上に名前同じ連中沢山だもんな
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:36:14 ID:5ycwWZ3e
紺碧の艦隊シリーズとか、漫画、アニメ化した架空戦記からの召喚はどうかなあ
さすがに山本元帥なんかはやばいだろうが、征徒から藤堂守、レッドサンから真田少将みたいに
架空の将官なら問題なかろう

また、ラバ空から双戦、旭日からホルス16、レッドサン外伝から飛鳥
ラグドリアン限定になるだろうが超戦艦日本武尊、氷山空母ハボクック、不沈戦艦紀伊
超弩級空母大和、超超弩級戦艦土佐、超大型護衛艦やまと、戦艦空母信濃
などなど召喚してやってきたガリア軍なんかを艦砲射撃や航空攻撃で壊滅とか、
ただ、仮想戦記とゼロ魔をいっしょに読んでる人がどんだけいるかわからんが
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:39:23 ID:+gpuZ5bd
>>600
オメガ・ブーストとか、タイムゲートを潜ったオメガブーストとレスター中尉が行き着いた先はハルケギニアだった
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 00:08:02 ID:FTlK/upq
ルイズ「何てもの私の頭に乗せてるのよ!」
から始まり、途中で二つ名が「エキセントリックスーパースターのルイズ」に なるのか。
606605:2009/12/06(日) 00:14:34 ID:FTlK/upq
安価忘れ>>600
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 00:16:19 ID:GXngKzsW
>>603
コルベールが無茶苦茶パワーアップしないと整備に補給ができそうにないな
電子部品まで魔法で直すんじゃないか
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 00:23:59 ID:M7gNjk7P
ずんぐりむっくりな破壊大帝と聞いて、わくわく7のラスボスが頭に浮かんでしまった。

アレは魔界大帝だが
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 00:27:58 ID:NML3Zbc6
>>603
「皇国の守護者」から天龍の田中さんが呼ばれてしまいました、とか
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 00:34:42 ID:ZmbmX1EF
>>600
ハルより梶君喚んだ方が面白そうだ。
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 00:45:22 ID:mdhp61Fa
ルイズがマグマ星人(エイプリルフール版)を召喚したようです

>>1だけどツンデレツルペタ魔女っ娘に召喚された

1:マグマ星人
どうしよう
安価>>10

2:
またマグマ星人か

まで想像してあれこれマグマ星人じゃなくていいなって正気に戻った
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 00:55:53 ID:ooPFmbTh
>>611
むしろダークザギさんを呼ぶべき。
ザギさんならいかにパワーに差があろうと、ルイズが正義を目指すなら負けてくれるだろうし。
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 01:16:18 ID:uzBKLOHs
でもザギさんはリアルで合うとギャップがありすぎるらしいぞ
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 01:20:04 ID:SYE4LLMs
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 01:21:54 ID:yQGCk0gH
現実の偉人(戦争関係限定)で召喚ならヒラコー先生新作の漂流者のネタを使えば何とかなると愚考してみる。

メガネの受付さんが現実の偉人達をハルケギニアに送るという感じで。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 01:53:18 ID:i4uRH2Cb
プーチンは普通に活躍できそうだから恐ろしい、っていくらなんでもアウトか
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 02:05:58 ID:G4jK5kYP
>>587すげえ観てみたいwww
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 02:06:49 ID:G4jK5kYP
すまんsage忘れた
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 02:14:55 ID:jPnVwL6b
>>615
>ドリフ
あれはクロスとして、と言うか二次創作として取り扱うにはまだ色々と情報が少なすぎだよ。
今後を待った方がいいだろうね。
いつまで待てばいいかは判らんが。
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 02:16:26 ID:OkL8Ey6i
>>616
普通の高校生が活躍してるから、元KGBで今やロシアの支配者なんて化け物なら余裕じゃない?
実在の人物だからそのまま出すのは無理だろうけど
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 02:21:09 ID:nxdg2Png
屁理屈捏ねて強引にここで実在の人物ネタやろうとするなよ
どうしてもやりたけりゃ別にスレ立てりゃよかろ
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 02:25:41 ID:lCza21wa
>>617
サイトとギーシュの決闘がものすごくしょっぱい上に
肉ばなれ起こして終了とかやらかしそうだ
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 02:32:40 ID:9fvq8E7N
>>616
プーチンと聞いてウサビッチの方が浮かんだ
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 03:31:48 ID:HhJ8iHVT
あれも召喚したらなかなか面白そうだw長編は辛いだろうが
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 06:25:03 ID:Br5Q4LSr
>603
紺碧の艦隊は、元々 転生ネタの話だから、理想郷のほうがイイかも。
キャラを借りるより、『後世』の設定を借りて ゼロ魔キャラを大量転生させるとか。
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 07:14:16 ID:46pS5H+Y
>>625
お前は一体何を言っているんだ?
まあ、少なくともお前の言っている設定を流用したゼロ魔キャラ転生小説はここでやられても困るが、
そもそも603はそんなくだらない小説を書きたいと言っている訳でもないんだから要らぬおせっかいだろ。
死ねよクズが。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 08:38:22 ID:08nG8W7p
仮想戦記…『女皇の帝国 内親王那子様の聖戦』とか『女子高生=山本五十六』とかか!
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 09:41:18 ID:FlEQSqKa
プーチン召喚・・・
契約のキスしようと迫るルイズの背後に
なぜか注射器持った護衛の部下が出現して注射して黙らせるとか
コマンドサンボと柔道で七万を無表情に絞め倒していくとかそんなのしか浮かばんw
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 10:00:14 ID:JAsQAgrX
ウサビッチのキレネンコ…
いや、何でもない
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 10:39:25 ID:3bti9CwU
ベネディクト16世「ルイズ、アナタニふぉーすノミチビキガアランコトヲ・・・」
ルイズ「・・・なんか違うくない?」
コルベール「コーホー……my student」
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 11:01:34 ID:zwyZnr6X
>>380
魔法王国ジールも魔法が使えない者を差別する国だったって所も似てるな


クロノならルッカ召喚も見たいな

せいぜい20世紀前半程度の科学力しかないように見えるA.D.1000年に
テレポートマシンやゲートホルダーや二足歩行ロボットを独自に作成する天才だから
ハルケギニアでもなんとかして機械を作れそうだし

少女みたいに見えて実は19歳で結構年長だから包容力あるだろうし
(クロノクロスの設定だと孤児院を作る人だし)

魔法使えるし、魔法無くても強いし

カエル嫌いってところがルイズとかぶるし
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 11:03:42 ID:OWQ/TuFo
>>626
気持ちはわからんでもないが最後は余計だろ
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 11:34:01 ID:zwyZnr6X
>>583
ゲッ「ペ」ルスじゃなくて「べ」が正しいらしいよ

>>590
鋼の錬金術士の映画版もそんな感じの話だったっけ?
実際に見てなくて評論呼んだだけだからよく知らないけど
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 11:38:58 ID:lCza21wa
>>631
電気に頼らなくて比較的小型の機械ならあっという間に作り上げられそう
系統も火だしキュルケやコルベール先生とも相性良さそうだ
でもその分ルイズがぶーたれるかな?
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 12:04:39 ID:NML3Zbc6
>>630
ベネディクト16世「ルイズ、おまえに世界の半分を与えよう」


>>633
ゲッペルスは英語でゲッベルスはドイツ語って丸眼鏡のバイエルン人がいってた
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 12:48:22 ID:RYAamYbt
「MAR」のギンタを召喚
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 13:44:07 ID:Wcg46T5E
ルッカはガンダールヴよりミョズニトニルンの方が合ってそう
ルイズじゃなくてジョゼフが召喚したほうが役たつかもね
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 13:54:46 ID:Yy+Vo+qC
普通にドラゴン戦車とか作ってるし結構科学力高いんじゃね?<クロノ世界の現代
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 14:15:19 ID:57jhVKiD
>>636
絵のないメルなんておっぱいの大きいルイズだよ
640ウルトラ5番目の使い魔:2009/12/06(日) 14:41:48 ID:onWxUpKj
みなさんこんにちは、あっという間に12月ですが、今年の残りも頑張って書き抜こうと思います。
そういうわけで、第77話の投下準備ができましたが問題ないでしょうか。
よろしければ、10分後の14:50より開始いたします。
641ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (1/14):2009/12/06(日) 14:52:44 ID:onWxUpKj
 第77話
 時を渡るゼロ
 
 時空怪獣 エアロヴァイパー
 超力怪獣 ゴルドラス 登場!
 
 
 並行宇宙、我々のいるこの宇宙は一つではなく、様々な違いを持った別の世界が
無数に点在しており、それぞれの世界では同じ人物がまったく違う人生を歩んでいる
こともあるという。
 それをパラレルワールドといい、その存在を提唱するものを多次元宇宙論という。
 たとえば、ウルトラ兄弟のいる地球のある世界をAとすれば、このハルケギニアの
ある世界はBということができる。普段、それらの宇宙は互いに干渉することは
ないものの、ごくまれになんらかの理由でこれらを行き来することができるように
なることがある。
 それらは故意、あるいは事故の場合もあるが、ルイズの使った召喚魔法、
チャリジャの時空移動とイザベラの召喚魔法が偶然に重なったとき、グランスフィアの
超重力圏内に呑まれたウルトラマンダイナの時空移動などがある。
 だがそんななかでももっとも恐ろしいものは、時空を超えてやってくる侵略者の存在である。
 その最たるものであるヤプールの異次元空間も、広義的に見れば並行宇宙の
一つとも言え、並行宇宙からの攻撃は容易に反撃できないために、悪質さは
数ある侵略方法の中でも群を抜く。
 今も自らの空間で復活を遂げたヤプールは、ハルケギニアを拠点として力を
ためていずれ地球への攻撃をかけるだろう。
 ただし、ヤプールもウルトラマンたちも考えもしていないことだが、あまりにも
数多くありすぎる並行宇宙の中に潜む悪意は、本当にヤプールだけなのだろうか?
 
 そんな謎だらけの異世界の一つ、四次元空間、別名を時空界、時空間とも
いうそれは、いまだ人類のとぼしい科学力では理解することのできない魔境。
 そこへ不幸にも吸い込まれてしまった才人、ルイズたちの一行は、キュルケたちが
超力怪獣ゴルドラスを引き付けているあいだに、この四次元空間の中で、唯一
完全な形で現存していた空を舞う翼、ゼロ戦を蘇らせようとしていた。
 
「申し訳ありません。あなたのゼロ戦、お借りします」
 コクピットによじ登った才人は、操縦席に突っ伏した形で事切れている旧日本海軍の
パイロットの白骨に向けて、感謝と侘びを込めて手を合わせると、大きく深呼吸を
して恐る恐る白骨に手をかけた。
 が、飛行帽をはずして理科室でよく見かける石膏細工のような頭骨があらわになると、
さすがに心音が抑えきれる範囲を外れて、しかめた顔を背けたい欲求に襲われた。
「サイトー! はやくしなさいよ」
 下からルイズが怒鳴ってくるが、死体に手をかけるというのは覚悟していたつもりでも
やはり気が楽ではなかった。親戚のじいさんの納骨に参加したことはあるが、
あのときは火葬後でバラバラだったが、今回はもろに骸骨である。才人は単なる
普通科の学生であって、外科医志望でも生物学者を目指してもいなかった。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 14:53:42 ID:JAsQAgrX
sien
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 14:53:56 ID:p92V6m/Q
また規制されたけどいつものようにウルトラ支援
644ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (2/14):2009/12/06(日) 14:55:27 ID:onWxUpKj
 それでも、死体といっしょに飛ぶわけにはいかないので、心の中で念仏を
唱えながら、目をつぶって飛行服ごと遺体を翼の上に運び出した。
「すいません、あなたを連れてはいけないんです。お叱りは、いずれ
あの世でお受けしますので」
 死者への冒涜もはなはだしいが、自分たちも彼と同じところに行くわけには
いかないので、心の中で謝りながら遺体を降ろそうとすると、飛行服の
ポケットから黒皮の手帳がこぼれ落ちた。
「軍人手帳か……お預かりしていきます」
 泥棒みたいだが、いつか地球に戻れるときが来たとしたら、遺族に
返す機会も巡ってくるかもしれない。本当は遺骨を持って行きたいところだが、
それは無理な以上仕方がない。
 才人は可能な限り丁重に遺体を降ろしていったが、降りたところで
偶然にも頭骨がころりと回転して、うつろな空間になった目が
ルイズを見つめた。
「ひっ!」
「なんだ、怖いのか?」
「ば、馬鹿言うんじゃないわよ! た、たかが死体、動くわけがないんだから」
「気にするなよ、普通は死体が苦手なのが当たり前だ」
 普段気が強いだけにびびっているルイズというのは非常に貴重だ。
もちろん、遺体をだしにしてルイズをびびらせようなどと罰当たりなことは
考えていないが、ルイズも骸骨が怖い普通の女の子なのだと再認識
できて、才人はなんとなくうれしかった。
 そして、才人は遺体を離れた場所にあった別の日本機の残骸のそばに
鎮座させると、気合を入れなおすように顔を両手ではたいて叫んだ。
「ようし、飛ばすぞ!」
 彼が命と引き換えにしてまでも残したこのゼロ戦、無駄にするわけにはいかない。
「それでサイト、これどうやって飛ばすの?」
「ちょっと手間がかかるから、おれの言うとおりに手伝ってくれ。とりあえず、
これを使うんだ」
 才人はそう言うと、ルイズにさっき作ってもらっておいた鉄製の金具を
手渡して、扱い方を説明すると翼の上によじ登っていった。
 完全な形で残っていた操縦席に乗り込んで操縦桿を握ると、左手の
ガンダールヴのルーンが輝き、ゼロ戦の操縦方法が頭に流れ込んでくる。
「さあて、それじゃいくか。ようしいいぞ、ルイズ言ったとおりにしてくれ!」
 発進準備を整えた才人は、エンジンのそばで待っていたルイズに合図をし、
ルイズはわけがわからないままだったが、とりあえず言われたとおりに、
そのエナーシャ・ハンドルという器具を言われたところにはめ込んで、
力いっぱい回した。
645ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (3/14):2009/12/06(日) 14:57:58 ID:onWxUpKj
「まったくもう、どこの世界に主人に力仕事させる使い魔がいるのよ、
普通逆でしょう、がっ!」
 イライラを力に変えたルイズが、固いハンドルを小柄な体からは想像
できないような勢いで回していくと、やがてエンジンから大型バイクを
押しがけするような重厚な音が響いてきた。昔のレシプロ機のエンジンは、
ただコクピットからスイッチを入れただけでは始動できず、こうして外から
整備員などに手動で回してもらう必要があるので、最初にゼロ戦に触ったときに
エナーシャ・ハンドルが必要だと知っていた才人は、わざわざミシェルに
頼んでいたのだ。
「ようし、いいぞ……」
 次第に回転音が強く、さらに安定していき、それが最大限に達した
ところで才人は主スイッチを入れて叫んだ。
「コンターク!」
 それはコンタクトをなまらせた、接続を意味する単語で、昔のパイロットたちが
皆叫んでいたらしいその言葉に、ゼロ戦は喜ぶようにエンジンを猛烈な
爆音とともに蘇らせた。
「エンジン始動……すげえ、すげえぜ」
 栄エンジンが息を吹き返す快い振動を感じ、目の前で高速回転を始める
プロペラを見つめながら、才人は伝説をその身で存分に味わい、感動に全身を
震わせていた。むろん当然のことながら、現代のレベルでいえばゼロ戦は
当の昔に実戦では役立たない過去の遺物であり、速度、上昇高度など現代の
戦闘機の足元にも及ばない。
 だが、たとえば現代の航空自衛隊の主力であるイーグルなどは知らなくても、
ゼロ戦の名を知らない男子はいない。おもちゃ屋でも、航空機のプラモデルで
トップに並んでいるのはゼロ戦をはじめとするプロペラ機がほとんどだ。
ほかにも、一隻で一国を滅ぼす威力を持つ原子力空母や弾道ミサイルを
迎撃する性能を持ったイージス艦などよりも、実際にはたいした戦果を
あげられないままに沈んだ戦艦大和が、いまなお圧倒的な人気を誇るのはなぜか?
 答えは簡単だ。それらの兵器には現代兵器が強さと引き換えに失って
しまった、戦う男の美しさ、その姿を見るだけで心を奪われてしまう、言葉では
言い表せないかっこよさ、戦争の論理うんぬんなどくそ食らえといった
最強のロマンが宿っているからだ!
「よっしゃあ、ルイズ乗れ! いくぞ!」
「だからあんた、さっきから誰に命令してるのよ! 主人はわたしであんたは
犬でしょうが!」
「犬か、上等だ! だったら征空八犬伝といこうか。発進するぞ」
 テンション上がりまくりの才人は、犬扱いも全然気にしていない。
 これがゼロ戦一機だけだったり、もしルイズとケンカしていたりなどして精神的に
落ち込んでいたりなどしていたら、まだ冷静さを保っていたかもしれないが、
懐かしい地球の香りをたっぷりと嗅いだ上に、全日本男子の憧れを実行
できるのだから燃えないほうがどうかしている。
646ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (4/14):2009/12/06(日) 14:58:38 ID:onWxUpKj
 ルイズを自分の前に座らせると、才人は風防を閉じて操縦桿を引いた。
昔の小柄な日本人の体格に合わせたゼロ戦のコクピットは、子供とはいえ
二人乗りには少々狭かったが、プロペラの回転がさらに上昇し、残骸の
あいだに開けた道を滑走し始めると、緊張しながらスロットルをあげて、
一五〇メイルほど加速した後、ぐっと操縦桿を引き込んだ。
 すると、重量を相殺するのに充分な揚力を得た翼は、空気に乗るように、
ゼロ戦を再び天空へと押し上げ、銀翼の戦士は新たな命を得て完全に
復活をとげた!
「飛んだ! 飛んだぜ!」
「すごい、こんな鉄の塊がこんな速さで、あんたの世界の技術って
ほんとどうなってんのよ」
 五メイル、一〇メイルとどんどん高度を上げていくゼロ戦から白亜の
世界を見下ろして、才人は喜びの、ルイズは驚愕の叫びをあげた。
 が、のんきに喜んでばかりはいられない。霧の向こうから爆音をも
超えるゴルドラスの遠吠えが聞こえてくると、才人はいまごろみんなが
必死であの強力な怪獣の相手をしてくれているのを思い出した。
「ルイズ、しっかりつかまってろ!」
「えっ、きゃあああっ!?」
 急旋回したゼロ戦の遠心力に押し付けられて、とっさに才人に抱きついた
ルイズが顔を赤らめているうちにも、ゼロ戦は霧を突き抜けていき、数秒後に
巨大なタンカー船を持ち上げてシルフィードに投げつけようとしている
ゴルドラスの前に出た。
「あんなでかい船まであったのかよ、この空間はいったいどうなってんだか」
「言ってる場合じゃないわ、助けないとみんなぺちゃんこよ」
「そうだな、じゃあいくぞ!」
 ゼロ戦は旋回しながら加速すると、タンカー船を振り上げているゴルドラスの
右側面から接近していき、距離が三〇〇メートルになった時点で機首から
火線をほとばしらせた。主翼の二〇ミリ機銃は射程が短く弾道が低いので
もう一つの武装である七・七ミリ機銃による攻撃だ。
 軽快な音とともに放たれた数百発の弾丸は、ゴルドラスの目元に当たって
はじき返されたが、やつの注意を引くには充分だった。
「サイト、来るわよって、わあああっ!?」
 こっちに向かって投げられた十万トン級タンカーが迫ってくる光景は、
まるで空が降ってきたような圧迫感をともなってルイズに悲鳴をあげさせたが、
ガンダールヴのルーンのおかげでベテランパイロット並の技量を発揮
できるようになっていた才人は、掴み取ろうとした木の葉がひらりと
逃げるように回避すると、ゴルドラスの前をすり抜けて速度を落とし、陽動に
当たっていたシルフィードに並んだ。
647ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (5/14):2009/12/06(日) 14:59:21 ID:onWxUpKj
「悪い! 遅くなった」
「ダーリン、そ、それ本当に飛ばせたんだ」
「……どういう理屈?」
「サイト、お前ってやつは、すごすぎるぞ」
 三者三様で目を丸くしている顔がおかしくはあったが、彼女たちは
ゼロ戦を飛ばすまでのあいだ、この怪獣の光線に耐えながら陽動
してくれていたはずなので笑うわけにはいかない。
 また、同時に頼んでおいた誘導のほうだが、怪獣の進行方向にちょうど
目的のB−29の残骸が転がっている。傷ついたシルフィードで、
しかもこちらの攻撃が一切効かないこの怪獣を、それでも短時間で
きちんと陽動してくれるとはさすが彼女たちだ。
「あの銀色のところへおびきよせろってことだったけど、これでいいのよね!?」
「ああ、上等だ!」
 本当に、こんな危険な作戦を引き受けてくれるとは、才人は自分が強く
信頼されていることを感謝すべきであった。そして、向こうが信頼に
応えてくれた以上、今度はこちらの番である。
「それで、おびき寄せたはいいけど、この後はどうするの?」
「もう十分だ、あとはこっちにまかせて離れててくれ!」
「もういいって、あの怪獣をいったいどうするつもりなんだ!」
 ゼロ戦の爆音に邪魔されながらなので、キュルケやミシェルと
ほとんど怒鳴りあいながら話をしていたが、才人はすでに作戦ができていた。
不愉快なものだが、バリヤーでこちらの攻撃をことごとく無効化できる
この怪獣にダメージを与えるには正攻法では無理なのだ。
 だが、それまでを説明している時間はなく、撃ちかけられてきたゴルドラスの
雷撃光線を、シルフィードは左に、ゼロ戦は右にととっさに回避した。
 もう、ああだこうだと言っている時間はない。才人は意を決すると
機首をゴルドラスへ向けた。
「すげえ怪獣だ、こんなのが地上に現れたらどれほどの被害がでるか」
 超能力、怪力、そしてこの凶暴性、生息地が時空界だったことは
幸運というしかない。なので、間違っても自分たちについてアルビオンまで
来てもらってはかなわないので、ここでおいとま願わなければならない。
「ルイズ、ちょっと操縦桿頼む」
「えっ、ちょ、どうすればいいのよ!」
「まっすぐ立てて動かさなきゃいいよ」
 簡単に頼むと、才人は風防から身を乗り出し、ガッツブラスターを
取り出して構えた。残弾は少なく、チャンスはただ一回、しかもそれは
ガンダールヴのルーンがあるとはいえ神業に等しい。けれど、才人は
自分を信じて全身の力を抜き、ゴルドラスの足元になったB−29の残骸へ
めがけてトリガーを引き絞った。
648ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (6/14):2009/12/06(日) 15:00:47 ID:onWxUpKj
 青いレーザーがB−29の銀色の胴体に吸い込まれていき、直後
目を開けていられないほどの火炎が吹き上がってゴルドラスを
包み込んだ。B−29に積み込まれていた六発の一トン爆弾の
一つの信管をレーザーが射抜き、総計六〇〇〇キログラムの火薬と
積載されていた燃料を瞬時に誘爆させたのだった。
 ゼロ戦もその爆風のあおりを受けて大きく揺らぎ、才人はルイズの
手の上から手を添えて、機体を失速寸前から立て直した。
 これではとてもバリヤーを張る間も無く、ゴルドラスはその姿を
完全に火炎の中に消し去った。
「あ、あわわわ……」
 操縦桿を握ったまま腰を抜かしているルイズから操縦を引き継ぐと、
才人はゼロ戦を同じように愕然と見守っていた皆の乗るシルフィードの
隣に並ばせた。
「や、やったわね。すごかったわよ」
「いや、あれで仕留めきれたかどうか……ともかく今のうちにここから
離れようぜ」
 小さな町を廃墟にするくらいの弾薬量だったが、相手は怪獣である、
通常兵器で簡単に倒せれば苦労はしない。むろんミサイルやレーザーで
倒せることもあるが、全体のごく一部であって大半はウルトラマンの
光線でも簡単には倒せない頑強さを持っている。
 ともかく、爆炎に包まれて向こうもこちらを見失っているであろう今が
チャンスだ、ダメージ量を確認できないのは残念だが、怒った怪獣に
追いかけられるよりはましだ。
 才人はゼロ戦をシルフィードでも追いついてこれるくらいに速度を調整すると、
並走してゴルドラスに背を向けて離脱していった。
 そしてそのすぐ後に、霧を貫いてゴルドラスの怒りの遠吠えが
響いてくると、一行は一様に胸をなでおろして、あの爆発に耐える
ような怪獣と戦わずにすんだことを神と始祖に感謝した。
 ちなみにこの後、自らに傷をつけたハエ二匹を見失ってしまったゴルドラスは
巣を荒らされたことに怒り狂い、時空界を操る能力をフルに利用して、
メビウスたちのいる地球やハルケギニアとは違った世界に時空界を
拡大させて、巨大な巣を作ろうと画策するのだが、今の時点で才人たち
には関係のないことであった。
 
 が、ゴルドラスのテリトリーから離脱して出口を探す才人たちにはさらなる
脅威が襲い掛かってきていた。
「ドラゴン!? いや、また別の怪獣だとお!」
 高度を上げて出口を探そうと思ったとたん、雲海から引き裂くような鳴き声
とともに、巨大なワイバーン型の怪獣、あのエアロヴァイパーがこちらにも現れたのだ。
「巨大セイウチ、金色の竜に続いて今度は巨大飛竜なんて、まるで怪獣動物園ね」
「のんきなこと言ってる場合じゃないぞ、あんなのに当てられたらひとたまりもないぜ」
 ゼロ戦をひねらせてかわしながら、才人はここが自分の知っているよりはるかに
危険な場所だと焦り始めていた。とにかくまずい、あの怪獣に比べたら
シルフィードでさえ荒鷲と小雀だ。アルビオンへの出口を見つけるどころか
速攻でエサ決定だ。
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 15:01:00 ID:JAsQAgrX
sien
650ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (7/14):2009/12/06(日) 15:02:09 ID:onWxUpKj
 才人は本能的にゼロ戦をシルフィードとは逆の方向に旋回させた。固まっていては
いい的の上に、お互いが回避の邪魔になる。それに、シルフィードにとっては
不愉快この上ないだろうが、ゼロ戦に比較してシルフィードは遅すぎる。
 そして二手に分かれたこちらに対して、エアロヴァイパーは迷うことなく
ゼロ戦をターゲットに選んで攻撃を仕掛けてきた。
「ちぇっ、こっちがハズレかよ!」
 シルフィードのほうに向かってくれと考えていたわけではないが、どうも
自分には不幸を呼び寄せる黒い羽の女神がついているように才人は思えた。
とはいえ、女神や妖精には程遠く、飛行機にとっては天敵のグレムリンのように
凶暴だが、なんでか嫌いになれない美少女をひざの上に乗せた贅沢な状態で、
エアロヴァイパーVSゼロ戦の前代未聞の空戦が開始された。
「ぶっ飛ばすぞ、舌噛むな!」
 至近距離まで引き付けたエアロヴァイパーを、才人はギリギリで機体を
ひねりこませて回避した。
 大きさ、速度、火力のすべてで上回るエアロヴァイパーに対して、ゼロ戦が
優位に立てる要素はただひとつ、空中格闘戦、いわゆるドッグファイトでは
世界最強といわれたその身軽な旋回性能しかなかった。
「見たか、図体だけのうすのろめ、ん? ルイズどうした」
「も、もっろ、おとなひく、操縦、しなさいよね」
 がどうも、ルイズのほうは急旋回に体がついていけていないようだった。
自分の胸に顔をうずめて目を回している姿は可愛くもあるが、このまま
吐かれでもしたらちとかなわない。
 それなのに、何度かわしてもエアロヴァイパーはまるでそれが目的で
あるかのように、シルフィードを無視してゼロ戦にばかり攻撃を仕掛けてくる。
「くそ、これもヤプールの策略なのか……?」
 まるで自分たちを狙い撃ちにしてくるようなトラブルと怪獣の襲撃には、
その背後に悪意が存在しているのではないかと自然と疑いを持たざるを
得なかった。だが、同時にわずかな違和感も感じていた。それは、自分たち
すなわちウルトラマンAを標的にするとしたら間違いなくヤプールしか
考えられないが、ヤプールが才人とルイズの二人がエースだと気づいた
節はいまのところない。
 それならば、ヤプール配下の別の宇宙人が独自にということも考えられるが、
これほどの怪獣たちが生息する空間を操れるとはいったい何者が……
「サイト、来る来る、くるってば!」
 しかしそんなことを悠長に考えている暇はなく、襲ってくるエアロヴァイパーを
避けるほうが先決だった。
「やろ、これでも食らえ!」
 すれ違いざまに、今度はゼロ戦の主要兵器である二〇ミリ機関砲を撃ち込んだが、
やはり怪獣の皮膚にはまるで通用していなかった。
 それを見て、タバサやキュルケも援護射撃をしてくれようとしているようだが、
魔法の射程はせいぜい一〇〇メートル近所のうえに、弾速も銃弾より遅いために
とてもでないがエアロヴァイパーを狙うことすらできていなかった。
 だがしかし、彼らはエアロヴァイパーがただの飛行怪獣だと思っていたが、実は
こいつには恐ろしい能力が備わっていた。再びゼロ戦に突進してきた奴の角が
赤く発光したかと思った瞬間、才人とルイズを乗せたゼロ戦はエアロヴァイパーごと
空間に溶け込むようにして消えてしまったのだ。
651ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (8/14):2009/12/06(日) 15:04:39 ID:onWxUpKj
「えっ、消えた!?」
「サイト、ミス・ヴァリエール、どこだー!」
「……しまった」
 後に残された一行は、二人の乗ったゼロ戦を探し続けたが、ゼロ戦も
エアロヴァイパーももう姿を現すことはなく、不気味に静まり返る時空間の中を
虚しく飛び続け、やがて目の前に現れた黒い穴のような雲から脱出に成功した。
 まるで、お前たちにはもう用はないと誰かの意思が働いたかのように。
 
 けれど当然ながら、才人とルイズはまだ無事で生きていた。
「くそっ、いったいここはどこなんだ!?」
 いきなり怪獣の作り出した不思議な空間に包まれてしまった二人の乗った
ゼロ戦は、これまでの白い霧に包まれた時空間から一転して、うっそうとした
針葉樹林の生い茂る、地平線まで続くジャングルの真上を飛んでいたのだ。
「サイト、今度はいったいなにがどうなったのよ!?」
「おれが聞きたいよ! ああもう、行けども行けどもジャングルと岩山ばかり、
これじゃあまるで……」
 だが才人は最後まで言おうとした言葉を飲み込んで前を見つめた。
 はるかかなたから何か鳥のようなものが飛んでくる。最初はあの怪獣かと
思ったが、一回り小さく、さらに数十匹の群れをなしている。
「あれは……おいおいおい」
 近づいてくるにつれ、それが鳥などではなく巨大な皮膜でできた翼を
持った恐竜映画などでおなじみの、代表的な翼竜であることがわかった。
「プテラノドンだ!」
 仰天した才人は慌てて群れの進路上にいたゼロ戦を急旋回させた。
プテラノドンの全長は七メートルにも達し、ぶっつけられたらゼロ戦でも
あえなく墜落してしまう。
 が、プテラノドンの群れは見慣れないゼロ戦の姿をエサ、あるいは
敵だと思ったのか、まとめてゼロ戦を追撃してきたのだ。
「じょ、冗談じゃねえ、おれたちはエサじゃねえぞ」
「ちょっとサイト、あのでかい鳥なによ? プテラノドンってなに!?」
 慌てる才人にルイズは怒鳴りつけるが、ルイズの言うとおりにプテラノドン
なんかが平然と飛んでいるとは、さすがにハルケギニアでもありえないだろう。
ということはまさか……
「ルイズ、どうやらおれたち恐竜時代にタイムスリップしちまったみたいだ!」
「って、わかんないわよ! キョウリュウってなに? タイムスリップってなに!?」
「要するに、大昔に来ちまったってことだ!」
「大昔ってどれくらい!?」
「だいたい六五〇〇万年くらい前だ!」
「ろ、六五〇〇万年!?」
 考古学などまだ存在しないハルケギニアのルイズには、その巨大な
年数は到底理解不能なものであったが、低空からあらためて地上を
見下ろせば、草原では二足歩行の黒い肉食恐竜と背中に無数の鋭いとげを
生やした四足歩行の恐竜が戦っており、湿地帯ではさすがにゼロ戦の
加速にはついてこれずに置いていかれたプテラノドンの群れが着水して、
牛みたいに巨大なトンボのヤゴをついばんでいる。
652ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (9/14):2009/12/06(日) 15:06:33 ID:onWxUpKj
 これは信じたくはないが、本当に白亜紀かジュラ期の恐竜時代に
迷い込んでしまったみたいだ。二人は対処能力が自分たちの限界を
超えてしまったと感じて、精神内のウルトラマンAに助けを求めた。
〔どうやら、あの怪獣には時空を超える能力があったみたいだな。
私にも一度経験があるが、この時代で我々を恐竜の餌食にでも
しようとしているのだろうか〕
「ど、どうしよう。恐竜時代なんて、これならハルケギニアのほうが百倍ましだ」
「こらサイト! ハルケギニアのほうがましってなによ、のほうがって!」
 パニックになっている二人はただでさえ狭いコックピットの中で
ぎゃあぎゃあと暴れるが、恐竜はそのまま現代に出現するだけでも
怪獣扱いされることもあるくらいに巨大な存在である。地上に下りて
生きていける確率は一パーセントもない。
 だが、一度タイム超獣ダイダラホーシによって奈良時代に行った
ことのあるエースは比較的安心していた。
〔心配するな、あの怪獣が通った時空間の歪みを探せば追いかける
ことができる。私が案内するから、それに従って操縦してくれ〕
「わ、わかった」
 才人はともかくエースの誘導に従ってゼロ戦を操縦した。右、右、少し上昇と、
何もないように見える方向へ向かって機首をめぐらせていくと、やがて
白亜紀の空が唐突に消えて、またあの時空間の雲海が見えてきた。
「や、やったあ……」
 ほっとした才人は思わず計器盤に突っ伏そうとしてルイズを押し倒す
格好になってしまい、顔を赤らめたルイズにしたたかに顔をはられた。
 だが、これこそウルトラ兄弟一の超能力使いで、技のエースの異名をとる
ウルトラマンAの真骨頂『時空飛行能力』の一端、エースは時間軸をも
飛び越えることができる! エアロヴァイパーもさすがにここまでは
読めなかったのだ。
 ただし、自由に時空を飛ぶためには時空を歪ませている元凶である
怪獣を倒さなければならず、まずは奴を追う必要があった。
〔二人とも油断するな、どうやらあいつは追撃をくらますためにいくつかの
時空を通過したようだ、なにが出てきてもおかしくないから気を引き締めろ〕
「あっ、はい!」
 もみじを貼り付けた顔を引き締めて、才人は操縦桿を握りなおした。
 次に来るのは古生代か原始時代か、雲海が開けたときにまた
アルビオンとは違う太古の空が広がった。
 
 それから後のことは、恐竜時代が主であったが、行く度に死ぬような
目にあった。
653ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (10/14):2009/12/06(日) 15:08:08 ID:onWxUpKj
 ある世界では恐竜を食っていた金色の三つ首の龍と極彩色の巨大蛾の
戦いに巻き込まれかけ。
 またある世界では巨大なイモ虫と、どこかの宇宙人が送り込んできたのか、
腕が鎌になって腹部に回転カッターがついたサイボーグ怪獣が戦っていて、
あやうくそいつのバイザー状になった目から放たれた光線に撃ち落され
そうになった。
 次は大和時代あたりだったので安心かと思えばヤマタノオロチみたい
なのが出てくるし、まったく安心できずにどこでも逃げるのに必死だった。
 極めつけは、いつの時代かさっぱりわからないが、燃え盛る巨大な
石造建築の都市の中で、ウルトラマンに似た無数の巨人ととてつもない
数の怪獣たち、そして黒い巨人たちによる最終戦争を思わせる戦いの
ただ中に放り出されたときである。これはもうタイムスリップというより
完全に別の世界だろと怒鳴りたくなったが、かろうじて出口にたどりつく
ことができた。ちなみにこのとき、エースは黒い巨人たちの中に、
どこかで見たような姿を見たような気がしたが、どうしても思い出す
ことができなかった。
 そしてやっと時空間に逃げ込むと、才人とルイズはまったくいったい
古代ってのはどうなってたんだ、つくづく昔は恐ろしかったんだなあと、
現代に生まれたことを神に感謝するのであった。
 
〔どうやら次が最後のようだ、そこで決着をつける気だろう〕
「もう……最後にしてほしいです」
「死ぬわ……」
 二人とも、行く世界行く世界で悲鳴を上げまくって完璧に憔悴しきっていた。
精神世界からナビゲートするだけのエースが多少恨めしいが、文句を言う
気力も残っていない。
 けれども次で最後ならばそこで怪獣を倒せば元の世界に戻れる。
 だが、そこで彼らに『次の世界までは襲われないだろう』という油断が
生まれたのは否定できないだろう。気を抜いた一瞬の隙を突いて、
正面からエアロヴァイパーが戻って攻めてきたのだ!
「なにぃっ!?」
 とっさに回避したが、油断していたせいで反応がほんのわずかだけ遅れて、
直撃は避けられたが機体が衝撃波を受けて大きく揺さぶられた。
「やろ、こざかしい手を使いやがって!」
 直下型地震を受けたように振動する機体の上で毒づいたものの、衝撃波の
ダメージはエンジンに及んだらしく、それまで好調に動いていたエンジンが
急に咳き込み始めた。とたんに、急に舵の利きが悪くなり、速度がガタ落ちに
なっていく。エアロヴァイパーは後方から反転してくるというのに、これでは
もう避けきれない。
654ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (11/14):2009/12/06(日) 15:10:13 ID:onWxUpKj
 しかし、もう変身する以外に手は残されていないと二人が覚悟しかけた瞬間、
ゼロ戦の上を突如現れた三つの影が高速ですれ違っていった。
「なんだ!? あのジェット機は」
 振り返った二人の目に映ったのは、見慣れない形の一機の青いジェット戦闘機と、
その左右を固めて飛ぶ二機の赤い戦闘機の姿で、彼らは二人の乗ったゼロ戦には
気づいていないように通り過ぎていくと、その先で待ち構えていたエアロヴァイパーへ
向けてレーザーで攻撃を始めていった。
「味方なのか……? くそっ、エンジンが!」
 何者なのか見届けたかったが、咳き込んでどんどん回転数が落ちていく
エンジンは機体の自重を支えきれずに墜落を始めた。いくつかのスイッチを
試してみるが、生き返る様子は残念ながらない。こうなったら、せめて
どんなところでもいいから地面のあるところに降りてやると、才人は残りの
ゼロ戦の浮力を使い切って最後の世界に飛び込んだ。
「今度はいったいどんな世界のどこの時代だ!?」
 次元の壁を潜り抜けて出た先には、一面の青空と赤茶けた岩と砂が
延々と続く砂漠が待っていた。またもやアルビオンではなかったが、
とりあえず恐竜や怪獣がお出迎えしてくるような世界ではなさそうだった。
しかし、酷使したエンジンはそこで大きく咳き込んだ後で、事切れるように
完全にプロペラを停止させてしまった。
「あ……」
 推進力を失った機体はもはやグライダーでしかなく、いくら安定性に
優れたゼロ戦とはいえ半分墜落に等しい状態で、急速に降下し始めた。
「きゃぁぁぁっ! 落ちる、落ちる、落ちてるぅぅ!」
「黙ってろ! 舌噛むぞ!」
 眼下は岩石砂漠、当たったらゼロ戦なんかひとたまりもない。けれど
才人はなんとかゼロ戦を操って、岩と岩の間のわずかな滑走できる
スペースに機体を滑り込ませることに成功した。
「不時着成功、ルイズ、生きてるか?」
「あんたといると、心臓がいくつあっても足りないわ」
「まあそう言うな、お前にもらったガンダールヴのおかげで命拾いしたんだし」
 才人はほっと息をつくと風防を開いた。ゼロ戦は完全に停止し、エンジンは
かかるかどうか、試してみなければわからないが、しばらくは休ませたほうが
いいだろう。
「こりゃ直るかなあ……ん、ルイズどうした?」
「サイト、あの建物、なにかしら?」
「え?」
 ルイズに指差された方向を見て、才人は思わず息を呑んだ。
 そこには、黒焦げになった巨大な金属製の建造物が、薄い煙を上げながら
横たわっていたのである。
 
 
 一方そのころ、別の空間でもガンフェニックスが再び現れたエアロヴァイパー
との戦闘に突入していたが、時空間内を自在に飛び回る奴の機動力に苦戦を強いられていた。
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 15:10:55 ID:dmiSwpD1
支援
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 15:11:38 ID:RTNyZkAz
>プテラノドンの群れが着水して、 牛みたいに巨大なトンボのヤゴをついばんでいる
某空の大怪獣を思い出すな〜…。支援!
657ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (12/14):2009/12/06(日) 15:11:46 ID:onWxUpKj
「今度こそ当ててやる!」
 一斉発射されたガンフェニックスのビーム攻撃をエアロヴァイパーは下降回避して、
反撃の火炎弾を放ってきた。当然、ガンフェニックスもこれぐらいは回避するが、
一筋縄で勝てる相手ではなさそうだった。
「ちっ! やるな。テッペイ、あの怪獣の分析はすんだのか?」
「アーカイブドキュメントに該当なし、新種の怪獣です。気をつけてください」
 エアロヴァイパーはこれまで執拗に攻撃していた101便から、まるで彼らが
やってくるのを待っていたかのように、今度はガンフェニックスに対して
狙いを変えて仕掛けてきた。そのすばやい動きにはさしものガンフェニックスと
いえどもてこずる。
「よし、こうなったら分離して三方から攻撃だ!」
 業を煮やしたリュウがガンフェニックスの分離を決断したとき、エアロヴァイパーの
角が光り、その異常を検知したテッペイが叫んだ。
「リュウさん、時空間が歪曲を始めました。奴は、僕らをどこか別な時空に
送り込むつもりです!」
「なんだと!? くそっ、止めてやる」
「無理です、もう間に合いません。衝撃に備えて!」
 その瞬間、ガンフェニックスはエアロヴァイパーによって別の時空間へと
転移させられ、気がつくとどこか見知らぬ荒野の上にいた。
「ここは、どこだ?」
 機位を取り戻したリュウはとりあえず周りを見渡した。あの怪獣の姿は
いつの間にか消えている。けれどGPSにも反応はないし、フェニックスネストとも
連絡がとれないところを見ると、元の世界に戻ってきたというわけではなさそうだった。
「テッペイ、どうなっているんだ?」
「もしかしたら、あの時空間はただの異次元ではなく、別の時空同士をつないで
行き来することを可能とする、ワームホールに近い性質も持っていたのかもしれません」
「つまり、ここは奴の巣?」
「わかりません。大気組成は地球と同じですが、それよりもなぜ101便を
無視して僕らだけを引き込んだのか……獲物としては、ガンフェニックスとは
比べ物にならないはずなのに」
「そういえば、ジョージさんたちは大丈夫でしょうか?」
「それは大丈夫だと思うよ、出口までの進路は確保したから、まっすぐ
飛び続ければいずれ脱出はできるはずだ」
 あの二人の技量ならば、脱出にさして苦労はしないはずだが、
それよりも今度はこっちが脱出に苦労しそうになってきた。
 さらにそれもあるが、ミライはかつてボガールをはじめて見たときのように、
あの怪獣の背後にざわめくような悪意を感じていた。もしも、あれが
破壊本能に従って動くだけの怪獣ではなく、何者かの意思を受けた
生物兵器だったとしたら。
「ミライ、なにぼおっとしてるんだ?」
「あ、いえ……ちょっと気になったことがあったもので」
「ウルトラマンの直感ってやつか? お前の言うことはよく当たるからな」
 リュウにそう言われてミライは少し照れたが、内心は決して愉快なものではなかった。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 15:12:20 ID:dmiSwpD1
sage忘れ、申し訳ない
659ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (13/14):2009/12/06(日) 15:14:09 ID:onWxUpKj
 この、決して表には出ずに裏で人知れずに糸を引くやり口を、まだ誰にも言った
ことはないのだが、ミライにはよく似たものに覚えがあった。
 それは今思い出しても夢だったのではと思うのだが、以前奇妙な反応を
探知して横浜へ調査に行ったときに、ミライは世にも不思議な経験をしたのだ。
”七人の勇者を目覚めさせて、共に侵略者を倒して”
そのときの超時空を超えた想像を絶する事件の顛末と、究極の光と闇の
壮絶なる一大決戦は到底筆舌に尽くせるものではないが、この恐るべき
事件の元凶となった存在は、並行宇宙を越えて存在して、複数のパラレル
ワールドから強力な怪獣軍団をそろえて攻めてきた。
 最終的に時空を超えて結集した七人の勇者の力を合わせることによって
勝利できたが、闇の権化は最後に言い残した。
”我らは消えはせぬ、我らは何度でも強い怪獣を呼び寄せる。人の心を絶望で
包み、全ての並行世界からウルトラマンを消し去ってやる”
 まさか、あのとき奴は完全に消滅したはず……それとも、そんなことを
するような奴がまだいるとでも? 不安は不安を呼び、さしものミライも
表情を暗くしかけたが、レーダーのアラームとテッペイの言葉が彼を
現実に引き戻した。
「前方に金属反応、人造構造物のようです」
「わかった。降下してみよう」
 やがて高度を下げたガンフェニックスの見下ろす先に、完全に破壊された
超巨大な要塞のような建物が見えてきたが、その傍らにはそれにも増して
リュウたちを驚かせるものが横たわっていた。
「おい見ろ! あれはさっきの怪獣じゃないか?」
 なんと、さっきまで戦っていたはずのエアロヴァイパーが、五体バラバラの
無残な死骸となって砂の上に散乱していたのだ。
「ほんとだ……コンピューターのデータと特徴が完全に一致、同一個体に
間違いありません。生命反応はなし、完全に死んでいます」
「どういうことでしょうか? 僕たちと別れたあとに、何者かに倒された
のでしょうか?」
「いや、僕たちがこちらに来てから五分程度しか経ってないはずなのに、
あれはどう見ても死後一時間近くは経ってる」
「なんだって!?」
 本職が医者のテッペイが診たてたのだから間違いはないだろう。
五分前に別れた怪獣が、死後一時間経った死骸で見つかる。
この矛盾はいったいなんなのだろうか? 目の前の、破壊された建物と
何か関係があるのだろうか。
「ようし、着陸して調査するぞ。ミライ、テッペイ、いいか?」
「G・I・G!!」
 こういうときは、とにかく行動するに限る。リュウはガンフェニックスを
用心のために岩山の影の目立たないところに着陸させると、勢いよく風防を開いた。
 
 
 この宇宙は、絶対的な単一者の手によって動かされているわけではない。
660ウルトラ5番目の使い魔 第77話 (14/14):2009/12/06(日) 15:15:15 ID:onWxUpKj
それが善であろうと悪であろうと、宇宙が宇宙として存在しはじめたときから、
そこを支配する概念は個ではなく多であった。
 それは当然、ウルトラ一族やヤプールをはじめとする数ある強豪宇宙人たちも
例外ではなく、この宇宙におけるハルケギニアという小宇宙にしても、大小多くの
国家が乱立していることからも明らかだ。
 そんな中で、世界はアルビオン王国の滅亡か再建か、ヤプールの作戦が
成功するか失敗するか、当事者たち以外の故意、無意識も含めて、遠慮なく
歴史書の一ページに濃いインクで落書きをしようとしていた。
 王党派とレコン・キスタをまとめて消し去ろうとしているクロムウェルに率いられた
レコン・キスタの空中艦隊は、まるで進路を譲るように晴れていく黒雲のあいだを
ぬって進撃していく。
 アンリエッタは全軍を率いて、一刻も早くウェールズの元に駆けつけようと
ユニコーンに拍車を入れる。
 ガリア、ゲルマニアも、今後の流れ次第では即座に軍を動かせるようにと
情勢を観察することに余念がなく、その一方で地理的にもっとも遠く離れた
宗教国家ロマリアは、不干渉を決め込んでいるのか不気味なまでに沈黙していた。
 また、国家というマクロの次元のほかのミクロの人々の中でも、魔法学院では
何も知らないオスマンが生徒のいない学院を寂しがり、トリスタニアでは今日も
エレオノールがアカデミーで研究に没頭し、魅惑の妖精亭では夜に備えて準備する
ジェシカやスカロンたちが忙しく働いて、ガラクタを集めて屋根裏で連日爆発を
繰り返す三人組に怒鳴り声を上げている。
 ガリアでは退屈をもてあましたイザベラが、暇つぶしにタバサを呼びつけて
無理難題を吹っかけようかと思ったところで、伝書用ガーゴイルを切らして
いましてと言い訳するカステルモールを、なら遊びに行くから用意しな! と
無理に『フェイス・チェンジ』をかけさせて城下のカジノへ出かけていった。
 ラグドリアン湖は今日も静かな水をたたえ、噴火が収まった火竜山脈には
火竜や動物たちが帰ってきた。
 クルデンホルフ大公国ではベアトリスが新しくできた、同じく来年学院に
入学予定のメイジの少女三人の取り巻きに囲まれて高笑いし、遠く離れた
エギンハイム村では人間と翼人の様々な声がにぎやかに響き渡る。
 
 互いの存在を知らないまま、どんな場所でも時間は一瞬も止まることなく
進み続けている。
だがそんな中で、もし一切の目的を持たずにただ破滅だけを望む存在がいて、
その邪魔となる最大の障害を排除しようとしていたとしたら? 表舞台には
上がらずに、影から糸を引くそんな存在がいたとしたら?
 ハルケギニアの誰一人として知ることもなく、全世界の未来の命運を
懸けた運命のときが、舞台裏で始まろうとしていた。
 
 
 続く
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 15:16:03 ID:JAsQAgrX
otu
662ウルトラ5番目の使い魔 あとがき:2009/12/06(日) 15:19:00 ID:onWxUpKj
以上です。今週も皆様ありがとうございました。
ウルトラQでトドラのいた時空間にあったゼロ戦は壊れていて使い物になりません
でしたが、これは別の機ということでご了承ください。
あと、エアロヴァイパー先導で才人たちが巡った異世界観光ツアー、行った世界を全部
わかったらお見事です。まあ私も今冬はM78星雲や惑星アマールに旅立つつもりですが、
どの世界もまともに行ったら死にますわな。日本に生まれてよかったよかった。
ウルトラ兄弟も連年映画にかりだされて大変そうですがウルトラの火を消さないために
頑張って欲しいものです。もしゼロ魔が映画化するとしたら、ゴジラとハム太郎も
やったことですしウルトラマン×ゼロの使い魔同時上映とかが夢ですが、さすがに
そりゃないでしょうね。
では、また来週。
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 15:32:15 ID:RTNyZkAz
ウル魔の人、乙でした。
この流れだと、本気であのサギ天使達がやって来かねないですね…。
個人的には超空間波動怪獣が好みですがね。
そして、例の三人組も健在なのが解って嬉しい限り♪

>エアロヴァイパー先導で才人たちが巡った異世界観光ツアー、行った世界を全部わかったらお見事です
『モスラ3 キングギドラ来襲』『ゴジラ ファイナルウォーズ』『日本誕生』までは解りました。
最後は題名忘れましたが、ティガが黒くなる話ですよね?
あと、幼虫は某サイボーグ怪獣と直接対決はしてませんでした。最後も戦ったのは成虫だし。
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 15:35:48 ID:RTNyZkAz
>>663
あと、恐竜食っていた時の三つ首龍は若い時で、黒かったはずです。はい。
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 15:36:47 ID:SYE4LLMs
おつおつ。
びおらんてともすら
がいがん
くらやみのおろち
12/12
ちーむらいとにんぐ

合ってるかな?
666ウルトラ5番目の使い魔:2009/12/06(日) 16:04:39 ID:onWxUpKj
>>663
お見事です。最近東宝DVDコレクションを買ってるので洒落で入れてみたネタですがお詳しいですね。
原始モスラとガイガンの描写は作中に描写がなかったのでwikiのモスラの原始モスラの項を参考にしたんですが、実際はそうでしたか。
ヤングギドラは黒でしたっけ? まあカイザーギドラも最初劇場で見たときには真っ黒に見えたし、どうも記憶がちょっと混乱してましたかな。
むろんこれはあくまで洒落なので、作中にゴジラが出てきたりとかはしませんが、そういうネタを見つけて楽しんでくれるとうれしいです。
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 16:22:16 ID:AuA0zTBr
ウルトラの人乙です。
モスラ、ゴジラの世界に行くとは、並行世界は厄介ですね。
そしてガイアのあの話しの舞台にミライ・サイト達がやって来たと言う事は
我夢達との出会いを果たすのでしょうか?
次回もWKTKです!
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 16:22:23 ID:gqJD/Pr0
クロノトリガーの世界は田舎の村にまで冷蔵庫や水道などのインフラが行き届いてるわりに衣住のレベルが19世紀なみで
銃器が存在するくせに兵士のメインアームが鎧槍剣だとかの変態世界なので考察が難しい
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 16:31:25 ID:SYE4LLMs
技術はそれなりにあるけど、銃弾の大量生産とかやる人いないんでは?
技が強力なせいで銃器使いは好事家扱いとか。非力なルッカくらいしか使ってないし。マールの使ってる弓も銃と遜色ない威力だし。
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 17:09:11 ID:t8s7SjNR
ttp://www35.atwiki.jp/anozero/pages/7617.html

なんか頭の悪い解説ページが出来てるのだが
これって解説作るって話が上がったり、ここか避難所で投下でもされたの?
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 17:13:34 ID:lvi1lGI4
>>670
原作見ないで投下する馬鹿のためかと。
もうじき冬休みだろうし
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 17:16:02 ID:yb5qT57u
>原作見ないで投下する馬鹿のため
そのためにトップページにwikipediaへのリンクがあるんだろ?
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 17:26:22 ID:hSIa1KhB
>>670
削除でいいな
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 17:36:58 ID:hX9GmILE
削除ォッ!
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 17:38:05 ID:FNebAwva
ウルトラさん乙です。ガイアか…大好きだぜwwww あと赤い戦闘機のくだりで一瞬エスコンが浮かんだ
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 17:50:46 ID:1eGoaMV5
あらよっ
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 18:51:27 ID:ooPFmbTh
>>670
どんなページだったのコレ?
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 18:56:18 ID:UrBO5ZJ7
>>677
登場人物の名前に、CVと簡単な説明っぽいモノを一言ずつ添えて羅列してた
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 19:02:52 ID:ooPFmbTh
>>678
それこそゼロ魔のWikipedia記事でも見りゃあいいものを、なして……?
原作読まずにSS書こうなんて考えているヤツのためか?
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 19:45:59 ID:57jhVKiD
>>679
原作みないでssなんて書けるの?
681名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 19:48:12 ID:cTQhn2Rv
アニメならネットで見れるだろーに

>>680
つ 香水イベントでシエスタに拾わせるヤツの大半
682名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 19:49:43 ID:+ipbOs+n
違法って分かってる?
683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 19:59:56 ID:+eQUdIdC
現行法では視聴するだけならグレーだな
黒にしないかと議論してたが
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:03:03 ID:utmhMjza
>>669
ルッカが持ってるのはエアガンだっけ。
まああの世界は中世前に超文明があったから科学技術はわりとワガママが言えるなw
685名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:13:51 ID:hQYYc5oF
シエスタに拾わせるSS書く人は
そのタイプのSSだけを読んで書いたからな未読派もいるかもしれんが
・そっちのほうがそのキャラに合ってるから
・そっちのほうが好み・盛り上がる展開だと判断してるから
みたいに、単に好みで改変してるだけの人もいるだろうから一概にそうとは言えないんじゃね?
俺も原作の喧嘩吹っ掛ける展開よりシエスタに拾わせて〜な展開のが好きだし。
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:16:47 ID:GGwP1u9g
>>685
召喚された奴に拾わせるよりも、シエスタに拾わせて、恩義から助けに入るって展開の方が俺も好き。
もちろん、主人公によっては自分から拾いにいってフラグ立てるのもアリ。
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:25:19 ID:fQ/1WNxD
・シエスタに食事をめぐんで(?)もらう
・お礼に自分から給仕の手伝いをする
・ギーシュが落とした香水を「おい、落としたぞ」と渡そうとする
・ギーシュと口論になる
・決闘へ

この一連の流れに違和感を感じるキャラと、そうでないキャラってのがいるからな。
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:43:00 ID:lT3yQeuU
まずそのイベントをスルーする展開もたまに見るけど、あれも好きだな
ギーシュだって鬼畜じゃないんだからメイドを殴るはずもないし。大人なキャラは学生の諍いに口出さなそう
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:47:33 ID:57jhVKiD
深く考えていくとギーシュのシエスタへの八つ当たりって不自然なのかね
個人的ではそうでもないんだけど
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:48:20 ID:Br5Q4LSr
・落し物をわざわざ拾ってやるほど 親切じゃない
・実体が無い
・食堂に入れないぐらいの巨体
上記に該当するキャラを召喚した場合、香水イベントをやろうとすると
シエスタを代役にするのが 無難なのでは?
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:49:38 ID:GGwP1u9g
あとは巻き込まれ体質が常になってるキャラとか
692ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/06(日) 20:56:57 ID:k385a0+2
こんばんわ。
2話目ができたので投稿したいと思います。
他に予定がなければ21時から開始します。
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:57:18 ID:0wLtdF52
支援!
694名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 20:58:02 ID:fQ/1WNxD
>>689
才人に八つ当たりするのはよくて、シエスタに八つ当たりするのはいいのかって話になるのかな。
まあギーシュのフェミニストぶりが平民にも適用されるかどうかは書き手次第だとは思うけど。
695ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/06(日) 21:02:40 ID:k385a0+2
トリステイン魔法学校
大陸ハルケギニアの4カ国の1つであるトリステインのメイジ育成学校。
長い歴史を誇る由緒正しい魔法学校。
その治療室のベッドの上で、彼はもらったシチューをすすっていた。
小さな体とその手には少し大きい、人間用の容器とスプーンを持ち、少し大きさの違いに戸惑いつつもシチューを食べていく。 
食事を続けながらちらりと横に視線を向ける、感じるのは自分にさっきから向けられる2種類の視線。
1つは興奮。もうひとつ好奇。

そんな視線にさらされ、なんだか見世物にでもなったような気分になり、気恥ずかしさと戸惑いを感じるが、空腹だったのと、シチュー自身のおいしさから食事を続ける。
さっきからずっとこんな感じだ。
彼は何故こうなったのかと内心ため息をついた。


時間は少し前にさかのぼる。
唐突に自分たちに話しかけてきたその羊に大混乱に陥った少女達だったが、次第に落ち着いたらしく、一斉に彼へ何者なのかを問いただしてきた。 特に桃色の髪の少女の方が。

話を聞けば本来、動物が口をきくということはないらしい。
犬や猫といった生き物なら使い魔の契約とやらをした際に人語を話せることもあるらしいが、彼はどうみたって羊だ。
亜人という線もあったが、それでも人語を話せるような種族はひどく限られており、少女らの記憶に彼のような亜人は存在しないとのこと。主に桃色の髪の少女が力強く断定してきた。
(彼女によると最近動物や幻獣、亜人の図鑑をみる機会が多かったらしい。何故かは教えてもらえなかったが)
仮に実は羊も契約によってしゃべれるということだとしても、それは他の誰かが既に使い魔の契約をしていたということが前提となり、それもありえない。
なにせ彼自身を桃色の髪の少女(ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと名乗った)が召還したのだから。人の使い魔を呼び出すなどというのはありえないらしく、事実彼の体には使い魔の証のルーンがなかった。
それでは人語を理解するあんたは一体何なのか? というのが自分を召還したという少女、ルイズの疑問らしい。
率直にいって、彼はその質問に答えることが出来なかった。

彼は記憶を失っていた

自分が何者なのかはもちろんのこと、何をしていたのか、どこから来たのか、そういった情報がすべて抜け落ちていた。
召還された時に負っていた怪我のせいでは? というのは黒髪の少女(シエスタというらしい)の説だ。 彼の傷は相当なものだったらしく、大量に出血もしていたため、記憶障害を起こしたとしてもおかしくないのでは・・・ とのこと。


結局彼が何者なのかがわからず、多少がっかりとするルイズ。
しかしそれ以上に気分がふさいでいたのは他ならぬ彼のほうだった。それも当然だろう。
起きてみれば自分が誰かわからない。自分が何をしていたかもわからず、全く見知らぬ場所へ放り出されたとなれば不安にならないほうがおかしい。
自分のおかれた状況の過酷さにますます気分が沈みそうになるが、そんな中彼の腹からくぅと音が鳴った。どれだけ過酷な状況でも、気分が沈んでいても腹は減る。
それに気づいたシエスタが、持ってきたシチューを彼にあげることを提案し、(元はルイズのためだったらしい)ルイズもしぶしぶながらそれを了解したため、彼は召還されてからようやくの食事にありついたのだった。
696名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 21:04:51 ID:7exOihIj
サガフロ系が全部10/3で止まってる…どれも先の展開が気になってしょうがないぞ
697ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/06(日) 21:05:50 ID:k385a0+2
彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは興奮していた。
これまで散々にゼロと笑われ、嘲られ、軽蔑され続けた自分が魔法を、サモン・サーヴァントを成功させたのだ。
そして呼び出された使い魔は、神聖で、美しく、そして強力な使い魔・・・ とまではいえないが、愛らしく、人間並みの高い知能を併せ持った全く未確認の幻獣だったのだから。
『メイジの実力をみるなら使い魔をみよ』これはハルケギニアのメイジの常識だ。
なら、これだけの幻獣を呼び出せた自分はきっとゼロではない。この使い魔をみせればきっと今まで自分を馬鹿にしてきた連中だって見返すことができるはず
魔法だってきっと使えるようになる・・・
皆の驚く顔(特にあの赤髪の女!)を思い浮かべながら、ルイズは喜びと期待に胸を膨らませていた。


彼女、シエスタは困惑していた。
自分の隣の少女、ミス・ヴァリエールが使い魔を呼び出せたことは聞いていた。
しかし、ひどい怪我をしていたということで、あまりそれをじっくりと見る機会はなかった。
他に治療や看病をしていたメイジやメイドたちの会話を聞いたところによれば、未確認のかわいい幻獣だとは聞いていたのだが・・・
そこでシエスタはシチューを食べ続けている彼をながめる。

一見ぬいぐるみかと間違えそうなほど小さい体。見るものを魅了する愛くるしい顔。長く垂れ下がる耳。その小さい体にぴったりの赤いベルトに、どんぐりを模した帽子と青いスカーフ。全身を覆う、ふわふわモコモコの金の巻き毛。
そんな生き物が、小さな体に似合わぬ大き目のスプーンで、少々その大きさに戸惑いながらも必死に食事を続けている。

はっきりいって、むちゃくちゃかわいい

もう正直、今すぐにでもその小さい体を抱き上げて、ふわふわの毛に思い切り顔をうずめ、
頬ずりをしたくなるよーな衝動にかられそうになるが、さっき無茶してはいけないといった手前と、彼を呼び出した少女が間違いなく怒るだろうという予想から、必死に抑えていたのだった。
そんな少女は、彼が大きいスプーンを落としそうになってあたふたする様子をみて『はぅ・・・』と悩ましげにため息を漏らすのだった。
698ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/06(日) 21:06:44 ID:k385a0+2
「あの、これどうもありがとうございました」
ようやくシチューを食べ終え、彼はカラになった容器とスプーンをシエスタへ差し出した。
「・・・え? あ、はいどうもおそまつさまでした」
ちょっと意識がトリップしかけていたシエスタだったが、声をかけられてようやく戻ってこれたらしく多少慌てつつも容器を受け取った。
「ちょっと! それ元は私のだったんだからこっちにもちゃんとお礼いいなさいよ!」
「あ、はい、すみません・・・ どうもありがとうございました」
主人の自分へお礼がなかったことへ不満をもらすルイズだったが、彼が素直に礼をいったのに多少気をよくしたのか、はたまた機嫌がよかったのか、フンと鼻をならして引き下がった。
「ふふ、それにしてもよっぽどおなかがすいてたんですね。これあなたには少し大きかったはずですけど」
そういいつつ食器を片付けるシエスタに、「あはは・・・」 と彼はすこし恥ずかしげに笑みを返した。
そしてそんな中、ルイズはすっと席を立つ。
「さて、あんたの食事も終わったことだし、あんたには!正式に!私の使い魔になってもらうわ!!」
そういいつつルイズはビシッと彼へ指を突きつけた。
「・・・え?」
あまりに突然のことに思わず気の抜けた返事を返す。
「『え?』じゃないわよ!あんた人の話聞いてなかったの!?あんたは私に、使い魔として召還されたの!だからあんたには私の使い魔になる義務があるの!」
拒否権などないといわんばかりの勢いで、ルイズは彼に詰め寄る。
「ちょ・・・ちょっと待ってください! そんな使い魔だとか義務だとか、いきなりそんなこと言われても・・・」
戸惑いを隠しきれず、抗議の声を上げる彼にルイズは明らかにむっとした表情を浮かべる。
「何よ。あんた、私に呼ばれたくせに私の使い魔になるのが嫌だっていうの!?」
「嫌とかそういう問題じゃなくて・・・ あまりに唐突過ぎますよ! そんな突然に言われたって・・・」
さっさと使い魔になれと主張するルイズ、突然すぎると抗議する彼。
お互い譲らず、睨み合う二人だったが、突如にやりとルイズは笑みを浮かべた。
「・・・あんた、自分がひどい怪我してたのは知ってるわね? 下手すれば命に関わるほどの」
「まあ、この体を見れば大体は」
それがどうかしたのかと、彼はルイズに声を返す。
「あんたの怪我を治すのに結構高価な秘薬使ったのよ? ・・・貴族でなきゃとても払えないような強力なやつを」
ルイズの話に一瞬きょとんとする彼だったが、急にはっと気がつき、ばっと問いかえるような視線をシエスタへ向ける。
「ま、まさか・・・」
「あ、はい。確かに怪我の治療の際に秘薬をつかったそうです。秘薬代は全てミス・ヴァリエールが負担されたとか」
シエスタのその言葉を聞いた瞬間、勝ち誇った笑みを浮かべつつ、ルイズは再び彼へ指を突きつけた。
「そう!つまり私はあんたの命の恩人というわけよ!!」
「うぐっ!!!」
明らかに動揺する彼だったが、まだルイズの攻撃は終わらない。
「それに・・・あんた、記憶を失くしているのよねぇ・・・?」
「う・・・」
「そんなあんたが、仮に外に出たとしてもうまく生活できるのかしら?」
「うう・・・」
「記憶もない、行く当てもない、ないないづくしのあんたには・・・」
「ううう・・・」
「私の使い魔になるしかないのよ!!!」
そう言い切ったルイズの言葉に、『バッターン!』と彼はベッドに倒れこんだのだった。
「残念だったわね。あんたが私の使い魔になるのはもう最初から決まっていたのよ!」
おーほっほっほ! と高らかに笑い声をあげるルイズと、ベッドに倒れこんだままの彼の姿をみて、まるで昔見た童話の悪の女王様みたいだなー、と思ったシエスタだったが無論口には出さず、若干の哀れみを込めつつも、ベッドに突っ伏したまま動かない彼を眺めるのだった。
699ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/06(日) 21:08:15 ID:k385a0+2
「と、いうわけで早速契約の儀式の『コントラクト・サーヴァント』を執り行うわ!」
「もう好きにして下さい・・・」
テンション上がりっぱなしのルイズのと対照的に、彼はがっくりと肩を落としつつ答えた。
「怪我のこともあるから、寝てる間は自粛しなさいっていわれてたんだけど、起きたからにはもう大丈夫よね」
そういいつつ、ルイズはベッドの上から彼を抱き上げた。
シエスタが羨ましそうな顔でこちらを見ているような気がするが、今は契約が先なので無視する。
予想以上に柔らかく、ふわふわであったかい彼の毛の感触を確かめつつルイズは彼の顔をこちら側へむけた。
「それじゃ、はじめるわよ?」
「うん」
彼がうなずいたのを見て、若干緊張しつつも『コントラクト・サーヴァント』の呪文を唱え始める。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
呪文のあと持った杖を彼の額に置き、そっと彼へと口付けした。
彼の目が驚愕に見開かれるが気にすることなく、すっと唇を離す。
「な・・・なにを・・・」
驚きと戸惑いと羞恥の混ざったような声を出そうとした彼だったが、突如左手に凄まじい熱を感じておもわずうずくまった。
「うっ・・・ぐうぅぅぅぅ・・・!!」
「使い魔のルーンが刻まれているのよ。しばらくすればおさまるわ」
「そ・・・そういうことはもっと早く言って・・・うっ!」
ルイズの言葉のとおり、しばらくすると熱さはじきに収まっていった。
熱の収まった左手をみる、とそこには見たことのない文字が浮かんでいた。
「それが使い魔のルーンよ。これであんたは名実ともに私の使い魔というわけ」
たのしそうに笑うルイズとは対照的に、彼は自分に刻まれたルーンを呆然と眺めていた。


「そういえば使い魔になったのに名前がないんじゃ不便よね」
その言葉に、ルーンを眺めていた彼はルイズへと振りむいた。
「あんた、本当に何も覚えてないの? 自分の名前とかも?」
「そう・・・ですね。やっぱり忘れてしまっているみたいで」
思い出そうとはしてみるものの、やはり頭にもやがかかったように感じてしまう。
「そう・・・それなら・・・そうね!ここはこの私が、あんたにふさわしい名前をつけてあげるわ!」
きらりと目を光らせながらそう宣言するルイズに、彼はなんだか、非常に嫌な予感がした。
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 21:08:23 ID:zwyZnr6X
支援

>>669>>684
ルッカの初期装備はエアガンだね
火薬が不要だからハルケギニアでも弾を仕入れやすいけど威力が足りないだろうなー
いっそのことロボと一緒に召喚されれば強力なんだが
701ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/06(日) 21:10:30 ID:k385a0+2
―――数十分後―――
「うーん・・・もういっそ・・・毛がモコモコしてるから『モコモコ』とか?」
「あー・・・でもそれってちょっと安易すぎません?」
「あ、やっぱりそう思う?」
いつの間にか名づけ提案に参加したシエスタと、いい案が出ずうんうんうなり続けるルイズを尻目に、彼は必死に自分の名前だけでも思い出そうと奮闘していた。

大体、この自分を呼び出したルイズという少女がどういう性格をしているかは理解したつもりだった。
おそらく、この少女は一度名前を決めてしまえば、自分がどれだけ抗議しても決してそれを曲げないだろう。
自分が気に入るようないい名前だったならいいが、もし変な名前でもつけられたりしたら・・・
そこまで考えて彼は思わず恐怖に身を震わせた。しかも、今の彼女らの会議の様子をみていれば明らかに後者だ。絶対にそうだ。
ならば、そうなる前に!絶対に!自分の名前を思い出さなければならない・・・!
彼女らが『モコル』だとか『モッキーナ』だとか言い出す前に!!
今まで以上に、最大限に頭を働かせて必死に思い出す。
だんだんまとまりつつある向こうの様子をみていれば、もはやそう時間はないだろう。
―――思い出せ・・・思い出すんだ!―――
ぐっと目を閉じ、唇をかみ締め、自らの体を痛いほどにかき抱く。
そして、彼の頭でふっと何かがつながり・・・

「決めたわ!あんたの名前はずばり!『モコロッシュ』に・・・」
「思い出したあぁぁぁぁぁぁ!!」
ルイズが高らかに死刑宣告を出そうとした瞬間に、彼は立ち上がっていた。
「な、何よ急に大声出したりして。」
「思い出したんだ!思い出したんだよ!僕の名前を!!」
急なことに若干驚いた様子のルイズだったが、彼は必死に言葉を続ける。
「『マイス』!僕の名前は『マイス』だ!!」
声を張り上げ、主張する彼だったが、実際のところ確信は持っていない。
ただ、なんとなく浮かんだその名前がとてもしっくりするような気がしていたのだ。
「マイス〜? ホントにそれ名前あんたの名前?」
「ホントだって! 本当に今思い出したんだ!」
「・・・そんな名前より『モコロッシュ』の方がいいような・・・」
「マイスにして下さいお願いします」
明らかに不満顔のルイズに向け、彼ことマイスは土下座して頼み込んだのだった。


結局、マイス必死の頼み込みと、さすがにみかねたシエスタの口添えもあり、不満そうにしつつも、彼の名前をマイスにすることをルイズに了承してもらえた。
702ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/06(日) 21:12:22 ID:k385a0+2
「それで?あんた他に思い出したことないの?」
「すみません・・・ これ以上はやっぱり・・・」
その後、マイスとルイズは治療室で、マイスの記憶について話し合っていた。
ちなみに、シエスタはいない。どうも他にも頼まれていた用があったらしく、長居しすぎのに気づき、青い顔をして大急ぎででていった。
そして後に残った一人と一匹で会話していたのだった。
「せっかく名前を思い出せたんだし、もうちょっと何か思い出せることとかないの? 例えばあんたの種族名とか」
「そうは言われても・・・ やっぱりこれが限界かなぁ・・・」
「そんなこといってないで、少しは努力しなさいよ」
「これでも精一杯頑張ってるつもりなんだけど」
そういいつつも、マイスは再び何でもいいから思い出そうと考え始める。
自分が何者なのか、自分はどこで何をしていたのか、思い出そうとするもやはり考えはまとまらない。
何かとても大事なことを忘れているような気がしていたが、考えが出てこない以上どうしようもない。
なんでもいい、少しでも思い出せれば・・・ と願いをこめつつより一層思考を深めていき、そして・・・


「思い出したあぁぁぁぁぁ!!」
「ええ!? そっちが!?」
ガタンと音を立てながら席から立ち上がるルイズ。ぎょっとしつつそちらをみるマイス。
「リュックよ!!」
「は?リュック?」
突然でてきた一言に訳がわからないという顔をするマイス。ルイズはかまわず続ける。
「あんた、召喚された時にリュック持ってたのよ。記憶がないから覚えてないでしょうけど。」
「え、そうなの?」
「ええ。だからそのリュックの中身を調べれば・・・」
そういわれ、マイスもルイズが何を言いたいかに気がついた。
「・・・僕の記憶につながるものがあるかもしれないってこと?」
「そうよ!」
そういわれ、マイスは顔を輝かせた。
「そ、そうか!! だったらそのリュックを・・・」
そこまで言った瞬間ルイズはばつの悪そうな顔をした。
「・・・ないのよ」
「・・・え?」
予想外の一言に固まるマイスに、怒ったようにルイズは大声を張り上げる。
「だから!今ここにはないの!! 持ってかれちゃったのよ!!!」
「え・・・えええええぇぇぇぇぇ!?」
あまりの予想斜め上のことに、マイスは大声を上げてしまっていた。
703ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/06(日) 21:13:11 ID:k385a0+2
――――――――――――――
「えっと、要するに、そのリュックはコルベールさんって人が持っていってしまったんだよね?」
「そうよ。ミスタ・コルベール。召喚の儀に立ち会ってた先生よ。」
憮然とした顔でルイズはそう言い放つ。その時のことを思い出しているのか、顔がしだいに怒りで赤く染まっていく。
「全く!!突然リュックを取るなり『これは預かっておきます』よ!? 返してくださいって頼んでも、あんたが目を覚ますまでダメだって!! 使い魔の物は主人の物だってのに!!」
「いや、なんでさ」
明らかに最後の一言はおかしいとツッコミを入れるが、ルイズはあっさりと無視した。
「まだ私も中身を見てないのに・・・ 使い魔の主人差し置いて! あのコッパゲ!!」
次第にヒートアップしていくルイズの様子に、慌ててマイスが声を出す。
「ま、まあまあ。その人は僕が目を覚ますまで預かっておくって言ってたんだよね? ならもう返してもらえるよ。」
「そうね・・・ もうこれで文句はないはずよね」
そういいつつ、ルイズは席から立ち上がり、扉の前に立つ。
「何してんの。あんたも来るの!」
「え!? 今からいくの?」
「当たり前でしょ!! 善は急げ!そうと決まったらさっさといくのよ!!」
ベッドへつかつかと歩み寄り、マイスの手をぐっと引っ張る。
「わ、わかった!わかったから!そんなに引っ張らないでよ」
「ほら!だったらすぐ立つの! 早く来なさい!」
そしてルイズは治療室の扉を勢いよく開け放った。
「さあ、行くわよ! 私のリュックを取り戻しに!!」
「いや、だから違うって・・・」
そんな会話を交わしつつ、一人と一匹は治療室を後にしたのだった。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 21:13:30 ID:lT3yQeuU
支援
ベルトはないのかな?
705ルーン・ゼロ・ファクトリー:2009/12/06(日) 21:15:23 ID:k385a0+2
以上で投稿終了です。

投稿してから気がついたけど、ちょっと最初らへんの行が長すぎた。(エラー出されたし)
wikiにまとめるときには、もうちょっと見やすくします。
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 21:21:53 ID:OkL8Ey6i
>>636
信じねぇ

だっけ?
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 21:57:48 ID:JiDsTY7a
乙でしたー
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:12:06 ID:hX9GmILE


原作知識ゼロだけど読んでて楽しいな
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:38:30 ID:8/7m56Rs
乙です
>>「思い出したあぁぁぁぁぁ!!」
>>「ええ!? そっちが!?」
ってゆー掛け合いが楽しいw
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:48:12 ID:hdZrNsVV
乙でした〜。
なかなかに面白いです。GJ!
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 22:54:44 ID:SYE4LLMs
おつおつ。こっちでも牧場経営したり嫁さん漁ったりするのかね?
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 00:12:22 ID:z/tz7SJN
トリステインに最強のファーマーの名がとどろく日も近い
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 00:13:56 ID:70exe5Yq
オスマンの「嫁を探してやる」という申し出が実現する時が遂に……ッ!w
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 00:25:40 ID:naHJgvCi
ルイズが孫悟空
キュルケが猪八戒
タバサが沙悟浄召喚して聖地を目指す『東遊記』
ほぼオリ展開になるだろうが
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 00:47:40 ID:gO0duLI8
>>714
それは普通の「西遊記」ですよね?
「最遊記」の方じゃないですよね?
もし「最遊記」のメンツなら間違い無くルイズ達は最初からオワタですね。
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 01:02:03 ID:aMVoYlKm
>>681
原作既読だがここで読んでばっかいるせいで一時期マジでシエスタが拾うと勘違いしてた俺のような奴もいるぞ

どこかのSSで魔法は二つ同時に使えないみたいなことが書いてあったからてっきり全部そうだと思ってたが、
タバサの冒険読み返したらフライの途中で魔法つかったりも一応出来るみたいだし
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 01:37:53 ID:xnco4bEk
>>715
俺には「西」でも「遊」でも無く、「東」と書いてあるように見えるぞw
718名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 01:39:28 ID:xnco4bEk
二つ目は「最」だったw
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 01:56:19 ID:PLkX43Uk
つか三蔵無しの悟空は危険過ぎるだろう
720名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 02:07:41 ID:8dnMdV2a
なまかゴクウと内村ならOK
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 02:42:30 ID:BRoX0XbF
アソボット戦記……いやなんでもない
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 02:58:37 ID:Pw/Fr0w+
ここまでマチャアキ無し。以下しむら禁止。
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 03:09:12 ID:w67AZ7Uh
>>716
>タバサの冒険読み返したらフライの途中で魔法つかったりも一応出来るみたいだし

mjd?
理論上可能だけど現実的には無理みたいな認識だったんだが
どこに書いてるか教えてくれ
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 03:50:15 ID:aMVoYlKm
>>723
すまぬ書き方紛らわしいかったな
その認識でおkかと思う
一応ソースはタバサの冒険一巻の六十ページ
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 04:39:52 ID:oGumC40j
ものごっつい頑張れば出来なくはない、ってとこなんかね。
そうまでして飛ぶくらいなら魔法となえた方がいいや、ってやつは多そうだ。
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 04:41:55 ID:0lxEf6NR
じゃあ、少年悟空、初期ヤムチャ、ウーロンで
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 08:06:22 ID:v3X/XUWp
悟空が月見て大猿になって暴れちまう
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 08:26:40 ID:Ifh9Z77A
二つも有るから変身頻度二倍
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 08:29:19 ID:LqSqbdna
アルビオン行きの時が地獄だな
満月×2だろ
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 08:41:06 ID:c8Gntx3/
しっぽを斬るという発想が出るか出ないかだな。
元々赤ん坊の悟空は大猿変身前提で地球征服のために送り込まれてた奴だから下手すりゃ潰されちまう。
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 08:46:27 ID:5ry5XVj1
ガンダ効果で大猿悟空が制御されたりしたりして
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 09:06:03 ID:3Nz+YKnf
ルイズを気に入ったゴクウはルイズを片手に掴み城を登りだす
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 09:19:38 ID:QptjLsnQ
>>732
キングコングか
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 09:25:08 ID:nYzEMJVR
幼少ゴクウ召喚は呼んでみたいなぁ誰か書いてくれ
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 09:45:06 ID:aZjeFo6x
>>728
確かベジータ曰く、サイヤ人は1700万ゼノ以上のブルーツ波で大猿化する。
そして宇宙に月を持つ惑星数あれど、何故か大きさに関係なく満月じゃないと
1700万ゼノのブルーツ波は発生しないとかなんとか。

これはあくまで月1個あたりのブルーツ波の量についてのみ言及しているとも解釈できる。
また満月でなくても、1700万ゼノ未満でブルーツ波が発生していると解釈できなくもない。

月齢とブルーツ波の増加量の関係次第で、2つの月のブルーツ波が
合計1700万ゼノ以上で数日間続くなんて事もあるかもしれない。

大猿化しっぱなし?
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 09:56:23 ID:4mDmNAiv
サイトが初めて見上げた二つの月……両方満月でしたっけ?
だとすると悟空が召喚された日にトリステイン魔法学園は……何時ごろの悟空かで戦闘力が大幅に増減するから大変な事になるかもしれない。
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 11:55:09 ID:NHjJ1XdK
幼少ゴクウでも大猿化すれば亀仙人どころか初期のピッコロ大魔王超えるしね。伊達や酔狂で単独で送り込まれるわけじゃない。
確実にハルケギニアは壊滅するね。しっぽの事も知らんだろうし。
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:25:46 ID:nrksPkm2
どんな動物呼んでも契約してルーン刻めば大体は従わせれるわけだし
大猿悟空だってなんとかなる気がするが
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:53:00 ID:i8GxnjBV
ルーン刻んでも従わないようなのはサイボーグクロちゃんのクロぐらいかな
壁がないから支配もされないし支配もしないって言われてるし
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 12:57:34 ID:Vmo8KuN8
ガンダールヴのルーンに従わせる効力はあまり無いのでは?
別のルーンならいいだろうけど
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 13:14:00 ID:TEksxQUg
サイヤ人を精神支配すると聞くと、どうしてもブロリーとパラガスが浮かんでしまう
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 13:17:19 ID:Uj7xb0bm
心臓病で死んだり機械で精神操作されたりと意外とつけいる隙があるな>サイヤ人
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 13:39:48 ID:Mv+AEkf9
生き物の使い魔であったら、やたら強力な作品からのクロスでもハルケギニア特有の病原菌を受けて死亡と
いう事態もありそうだな。サイトはバカは風邪をひかないってやつか。
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 16:03:37 ID:BqiUpXq1
>>739
アイツは究極の自由人(…自由猫?)だからな

最初はなんて奴なの、あの馬鹿猫!って思ってても
次第に「アイツみたいに気にしなければ生きるの楽だろうなぁ」と揺れるルイズ
でも持って生まれた山より高いプライドが……といったところか
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 16:29:52 ID:Mv+AEkf9
>>744
来たら来たで行くところの建物がのきなみ瓦礫の山と化すぞ、なにせ破壊のプリンスだからな
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 16:35:07 ID:aqrD1oPv
ルーンに抵抗したりする使い魔とか誰かいたかね
あとルーンの効力が無かったりする使い魔、まあこれは話の展開上もったいないが
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 16:42:37 ID:sfe74GL5
なのはさん、てかレイハが故郷の記憶を抑える効果をブロックしてたな
あとどういうわけかルーンがルイズについたってのは何個が見た気がする
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 16:52:56 ID:j8Y8b3Pj
ポップがシャナクで解呪してたな
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 16:54:27 ID:Qe44pABe
>>735
恒星
750749:2009/12/07(月) 16:55:48 ID:Qe44pABe
ミス
>>735
恒星=惑星系のL2にちょうど衛星が引っかかっていたらどうなるんだろうねぇ。
後は、月食のときとか。
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 17:00:55 ID:Qe44pABe
ついでに思い出したが、ナメック星の3つの太陽では変身しないんだよね。
物理的に考えて、他の太陽の光を反射していないはずがないし。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 17:01:24 ID:0lxEf6NR
>>743
つまり才人は悟空より強い
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 17:06:01 ID:nrksPkm2
>>752
!!

でも戦ったらサイトが負ける!不思議!
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 17:49:04 ID:SqRGcwOd
ヴィンダールヴは他人の使い魔であっても獣なら何でも従えられるんだっけ
大猿サイヤ人も恐らく扱えるんだろうと思うと恐ろしい
日替わりのリュカもヴィンダールヴだが、あのリュカだったら恐らくゲーム上の制限も取っ払って仲魔増やせるんだろうなぁ
ルイズの使い魔がヴィンダールヴでそれを存分に活用できるのって何があるだろうね
同クロス作品から一緒に色々モンスターとか流入してくる感じで
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 18:07:27 ID:j8Y8b3Pj
>>754
でもサイトはケダモノなのにジュリオ従えられないよ
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 18:14:27 ID:QxftwjXN
ロードオブヴァーミリオンのニドかリシアはどうよ?
アルカナの力で人だろうが神だろうが使い魔に出来るのにヴィンダールヴが加われば鬼に金棒状態になるぞ。
モンスター流入に関してもアルティメットスペルで解決可能だけど…これじゃハルケギニア蹂躙にしかならんな。
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 18:19:01 ID:8jeNtld6
>>754
ヴィンダールヴの持ち主が人間を獣だと認識した場合、どうなるんだろう
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 18:23:24 ID:uxT5tIZ9
「家畜に神はいない!!」の人とか?
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 18:27:00 ID:cbhB/01z
あの人は学院生にとって反面教師以外の何者でもないだろw
あとどう考えても更正せずに裏切りそうなんだがwww
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 18:35:40 ID:xiD5C68a
ヴィンダールヴの力の対象は……人間以外だとエルフにも適用されてしまうし、人語を解するかどうかだと様々な先住種族にも適用されてしまう。
人間にとって『理性』と呼ぶべき物が無い生き物全般だとしたら……BETAにも効くかな?
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 18:42:52 ID:TvzFfsw7
ヴィンダールヴって要するにバトルナイザーなしで成り立つレイオニクスみたいなもんだろ
ブルトンで次々に怪獣をハルケギニアに呼び寄せたら無敵じゃん
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 18:58:01 ID:QBa47Uz/
原作だとジュリオがシルフィード(人間形態)の肩に触れて眠らせた描写があったはず
逆に考えると体に触れないと効果がないのかな?

まあ、SSだと獣と話せたり普通に仲良くなったりで結構自由にやってる感じだけど
原作で詳細が明らかになると逆に書きづらくなりそう
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 19:03:26 ID:llwWaEYG
人語を解する知能が有っても「獣」なら操れるが、知能や理性が低くとも「人(亜人)」なら操れないのかもしれない。
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 19:11:41 ID:nYzEMJVR
ヴィンダ本人と子作りできれば人とみなして操れない、できなければ獣(人外)とみなして操れる。非生物は操れない

これでおk
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 19:20:10 ID:3Nz+YKnf
>>764
サイトを操れないということはジュリオは女であり男でもあるのか…
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 19:21:47 ID:3Nz+YKnf
>>746
魔王の邪気さえものともしない欲望を抱いているゴクドーなら
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 19:33:40 ID:llwWaEYG
>>766
ゴクドーは間違いなくアルビオン編でルイズを密書とルビーごとレコンキスタに売り飛ばすな。
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 19:38:22 ID:Qe44pABe
それ以前に、フーケの一件ですでに取り返しがつかないぐらい脱線しそうだが。
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 20:05:57 ID:ZXp7htq5
>746
確か「ラスボス」のユーゼスが クロスゲートで洗脳効果を排除していました。
アプトムはガンダ発動で獣化しそうになるのを押さえ込もうとしていた。
こんなとこですかね。
あと、「戦闘妖精」は、あとがきか何かで
『心が震えないから、ほとんど効果なし』って書いてあったような…
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 20:41:40 ID:/vH90x6Q
つー事はジャムとか幻獣とか呼んだらヤバいな。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 20:44:22 ID:gO0duLI8
青い使い魔のDMC3のバージルも抵抗してたね。最近は丸くなったみたいだけど
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 20:46:03 ID:gO0duLI8
追記、虚無の魔砲使いの魔王様こと高町なのはもレイジングハート使ってガードしています。
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 21:05:13 ID:HFZ5y8Lx
>>735
そういえば衛星が複数ある場合はどうなんだろうね。
少年悟空を呼ぶとなるとそれが一番の問題になるし。
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 21:31:59 ID:4bKKHFG2
ガラスの仮面から北島マヤ召喚
体力も真冬の夜に蕎麦を100軒配達した事から問題無し
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 21:35:30 ID:+894F0sB
>>773
洗脳効果で夜になるとうつになって戦えないとかにすればいい
いい具合にバランス調整出来るし
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 21:53:04 ID:/7XP/VYE
大猿悟空はテファなら制御できるんでは?
たしか大猿悟飯を友達の竜(名前忘れた)が歌かなんかで一時的に大人しくしてた気がする
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 21:58:04 ID:kT9+gBRz
たかがバランスの問題で捏造設定付け加えるのってどうなのよ
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:04:07 ID:+894F0sB
>>777
バランスは冗談だが
ルーン効果が精神にどれほどの影響を与えるのかはまだ未知数だろ
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:07:08 ID:/No3e8DE
ガンダム逆襲のシャアからギュネイ・ガスを召喚

……すんません。「ワルドはロリコン」発言をしてもらいたいだけです
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:19:31 ID:BFO83rcE
>>779
ワルド「私はガンダールヴとの決着と、聖地の奪還以外に興味がない。……マチルダは私に優しいしな」
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:22:17 ID:TvzFfsw7
>>780
そーゆうキャラで通してれば消えることはなかったろうに、不憫だねえ
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:34:48 ID:70exe5Yq
>>778
お前は一体何を言っているんだ……?
原作で明らかになっているルーンの効果の一端だってお前のくだらん捏造設定と矛盾するだろうが。
まずは原作を読め。話はそれからだ。
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:37:16 ID:9YxFhi4i
コブラとか呼んだらどうなるんだ?
ルーンがサイコガンに刻まれるのだろうか?
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:39:49 ID:/No3e8DE
ルーンが精神に影響を与える云々は、タバサが仮説を言っただけで、何一つ証明はされていないはず
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:42:19 ID:Qe44pABe
ルイズのそばにいると、望郷の念が収まるらしいが、
たった一例をもとに結論を出すのは乱暴だしなぁ。

対比実験をしないと何とも言えん。
786名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:47:59 ID:xnco4bEk
>>783
某コラの影響で、ルイズがフーケに踏み潰されそうに場面や、
ウェールズがワルドに殺される場面に現れるのが目に浮かんだw
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 22:48:39 ID:xnco4bEk
>>785
最愛の人と一緒に居れば、ホームシックなんざ吹っ飛ぶぜ!
みたいな感じかもしれないしね!
788名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:02:24 ID:/vH90x6Q
ルイズが熱気バサラとファイヤーバルキリーを召喚したようです…
最初の一言目が「俺の歌を聞け!突撃ラブハート!」
何が出てきても歌う。フーケだろうがワルドだろうが姫様の前だろうが歌う。

別の所でちゃっかり呼ばれたガムリン木崎… 
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:04:21 ID:Qe44pABe
バサラはすでに呼ばれてるな。

まぁ、予想どおりの展開の小ネタだった。
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:10:55 ID:c8Gntx3/
まぁあいつの場合どんな形にしろ確実に効果は現れるからな。伊達や酔狂でなく歌エネルギーだし。
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:22:18 ID:N2D4iWbZ
宇宙モノなら星方武侠アウトロウスターとのクロスが見たいぜ。
聖地は銀河の龍脈への門とか、エルフは実は道使いとか妄想してみる。
792名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:22:45 ID:SmugDGaw
>>766
ご…極道兵器…
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:24:39 ID:KD8/cH2D
歌エネルギーといえばゼレーニン
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:26:07 ID:4i9OoEgm
よろしい。ならばエンジェルリンクスだ。
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:27:23 ID:+894F0sB
>>782
悪かった。与太話にそこまで真剣にならないでくれ
796名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:35:13 ID:fOZj8oSU
>>791
最初はライトシールドのみ装備、破壊の杖が古式銃で竜の羽衣がアウトロースター号だったりするんですね
それで連載再開はいつですか?
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/07(月) 23:49:07 ID:kT9+gBRz
アウトロースター世界が基盤になると魔法の原理とか全部宇宙英雄から持って来る事になるな
798名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 00:06:06 ID:mxXmVw7N
ルイズがマザー2からネスを召喚
当初はPKキアイで活躍しまくるネスだったが
中盤以降でホームシックが発動して戦えなくなる……
ってのがちょっとだけ頭をよぎった
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 00:06:22 ID:MvArE0KS
>>797
基本的にあの世界の魔法って全部ナノマシンだったっけ? クラートゥの
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 00:26:58 ID:TRMNweuP
「優秀地方組織」を表彰へ=民主
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009120700824
 民主党は7日の常任幹事会で、先の衆院選で優秀な成績を収めた都道府県連を来年1月16日の党大会で表彰することを決めた。政権交代への貢献度が高かった地方組織を明らかにし、来年夏の参院選に向けて党内を引き締める狙いがある。
 今後、選考を進め、当日に鳩山由紀夫代表(首相)と小沢一郎幹事長の連名で表彰状を贈る。衆院選の小選挙区の勝敗に加え、党員・サポーターの獲得数や日々の活動実績なども考慮する。(2009/12/07-21:01)

困ったことにガチの件
801800:2009/12/08(火) 00:28:03 ID:TRMNweuP
ごめんなさい、誤爆しました
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 00:40:12 ID:CG6qCteR
>>784
17巻のサイトはあきらかに洗脳されたとしか思えないくらいルイズ崇拝が
すごかった。
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 00:42:19 ID:o3+ZHv7p
ティファに魔法をかけられそうになったときの
サイトの反応は正直異常だったし
後でサイトもあん時の俺バカじゃねえのって言ってるな
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 00:45:46 ID:o3+ZHv7p
ごめん。これ以上は考察スレ行きだし
あの反応は未知のものへの恐怖って線もありえるんだよね
まあ、他人が唱えたものでも虚無なら精神が何らかの反応を示すものだけど
805虚無と最後の希望:2009/12/08(火) 00:49:58 ID:Qp41K2va
予約がなければ0:55辺りから投下したいのですが、よろしいでしょうか?
後トリップ付けた方が良いのかな。
806虚無と最後の希望:2009/12/08(火) 00:57:57 ID:Qp41K2va
ああ、容量オーバーする……。
スレ立てした事ないので何方かスレ立てお願いできませんか?
807名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 00:58:08 ID:BXIMg/c3
待ってました!
808虚無と最後の希望:2009/12/08(火) 01:07:53 ID:Qp41K2va
立ててみますので少々お待ちを。
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 01:09:02 ID:XRAmiXMv
何という寝る前のご褒美か!
810虚無と最後の希望:2009/12/08(火) 01:12:10 ID:Qp41K2va
次スレです、投下はこっちで。
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1260202238/
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 01:38:45 ID:vFcvy5Fk
>>809
寝返る前のご褒美かと読んで噴いたw
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 01:57:09 ID:UQEliNRX
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ____
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---―――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_
813名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 01:58:49 ID:UQEliNRX
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ____
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---―――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 02:00:22 ID:UQEliNRX
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ____
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---―――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 02:04:05 ID:UQEliNRX
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ____
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---―――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 02:05:12 ID:UQEliNRX
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ____
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---―――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_
817名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/08(火) 02:05:59 ID:UQEliNRX
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ____
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---―――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_
818名無しさん@お腹いっぱい。
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ____
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---―――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_