アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part12

このエントリーをはてなブックマークに追加
681ひとりにひとつ ◆zsYinY96dc
―――この人は自ら悪役に成り下がろうとしている
自分からしてみたら悲しすぎる決意。到底真似出来る事ではない
選別を仕掛けて自ら悪役になり、そして道しるべとして果てるつもりだろう
―――たった一人で
自分を身を挺して護り、そして死んでしまった小十郎の姿がダブる
手段こそ違えどトレーズのやろうとしていることは小十郎と同じである
―――小十郎さんは死のうとしたことは一度もないって言ってたけど
抱きしめる手に力がこもる
―――この人は自ら死地を望んでいる
福路ははらはらと涙を流すことしか出来なかった
そして口をついてでたのはかつて池田華菜に対して自分が言った言葉
『先輩ってホント…おせっかいだし…』
そのとき池田が返した言葉を思い出す
―――でもね、華菜。アレはおせっかいじゃないの
いよいよ本格的にえづいてしまい呼吸が苦しい
―――あれは私自身に対する愚痴みたいなものだから
そう考えが至って改めて認識する
池田華菜という存在に自分を重ねていたことに
鏡映しになったもう一人の自分
それが福路美穂子の中の池田華菜だったのだ
そして自らの分身はもうこの世にいない
(華菜…華菜…)あとはもう言葉にならない
自らの分身を失った空白を埋めるかのように抱きしめる腕に力を入れる
今度こそ、失ってしまわないように。
トレーズはゆたかな胸に顔を埋めながら今度は本当に思いをめぐらせていた
「貴女はレディアンには、なれない…」
忠実なそして時に冷酷で時に慈愛に満ちた部下の名前を出してしまったのは何故なのか
トレーズ自身、分からなかった





トレーラーは再び動き出す。朝日に向かって
「ここから北東に行ったところに薬局がある。そこまでは送ろう」
手負いの人間が駆け込むであろう場所にトレーズは案内する
マローダー(殺戮者)とゲームに抗うもの―――わが心に刻まれしもの(エングレイヴド)
二者がぶつかり合う殺戮の宴の場と化しているかもしれない
だからこそ福路を向かわせる価値があった
「貴方はどうなさるんです?」
福路は再び右目を封印しシーツ一枚を身にまとい身を起こした
下腹部が幸福でズキズキする
「私は反対側に引き返し西側の市街地を周る」
ふと自らの”最大の理解者”を思い出す
「もし張五飛という男に出会ったのならば、よろしく伝えてくれ」
―――素晴らしい闘志を見せてくれるだろう
「…貴女ともう一度出会ったその時、もし私が道を踏み”正し”ていたのなら
 そして、その時に至っても私についてきてくれるというのなら
 そのときこそ貴女をこう呼ぼう。―――レディミホコ、と」
レディミホコ…よくワケが分からないが、その名に含んだ思いが福路には嬉しかった
「はい」
片目の少女は幸せそうな笑顔で受け入れた
「あぁそれと―――」
福路はディバックに入れておいた”それ”を引っ張り出した
「せっかくですけどわたし髪留めをするほど髪が長くないのでお返ししますね」
トレーズは"それ"を後ろ手に受け取り確認した
純白のパンツを
―――やはりこの女性は苦手だ
「文化が違う!」