アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part12
◇
今この人はなんといったのだろう
『竹井君を殺したのは私』
確かにそう言った
―――なら目の前のこの人は上埜さんの仇?!
福路の左目に殺意の炎が起こった
が
『自棄(やけ)になって危険牌を振り込むような人とは一緒に卓を囲みたくも無いわ』
竹井の蔑んだ顔が思い浮かぶ
―――さっき決めたばかりじゃない
かぶりを振って邪念を払う
目の前の青年の顔をまじまじと見つめる。自然と右目が開いていく
上埜さんの名前を出したときに奥歯を軽く噛んでいた
今まで見せたことの無い癖…誠実な今までとは全く違う
少なくとも上埜さんの存在、名前は私と出会うまで知らなかったはず
なのにわざわざ上埜さんの名前を出したのは私を揺さぶらせたいためで間違いない
揺さぶらせる意図は…こちらの出方を見るため?
意に反した行動に出たときは私を殺すため
この人は選別をしているんだ…!
◇
―――さて、どう出るか
絶望と怒りに縁取られた片目の少女…福路といったか
このまま向かってくるようならば見るべきところはない
復讐を諦め恭順を求めてくるようならば兵士として扱おう
妄執を捨て"巨悪"に立ち向かう…
突然目の前の少女が自分の顔を見つめる
いつの間にか閉ざしていた右目が開いている
―――しまった
自分の右腕は少女によって自由を奪われている
少女とはいえ六本の日本刀―重量にして10キロはあろう―を軽々と持ち歩く力だ
とっさには拘束を外せない
もし彼女の右目に特別な超常能力があった場合致命的なことになりかねない
内心冷や汗をかいたトレーズだったが、しかして何も起こらなかった
少女の青い右目は変わらずに自分を見つめている
全てを見透かすかのように
反して自分は何の考えも纏まらない
―――リズムを狂わされたか
つっと青い瞳の少女は立ち上がる
そのまま隣に移動し…トレーズの顔に自らの胸を押し付けて言う
「なんでも自分で背負い込もうとしないで下さい…
なにもかもうまくやろうとしたら、大変なんですから…
私が出来ることならなんでも相談してください…」
暖かな慈雨が降り注ぐ
少女の瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちていた
◇