アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part12
ソファーに腰掛け談笑する一組の男女
年の差は見受けられるものの傍から見れば恋人同士に見えるかもしれない
「なるほど、君の世界では日本麻雀が世界的な競技になっているのか」
「閣下の世界では取るに足らない遊戯なんですね、私にはそのほうが驚きです」
紅茶と基本支給品の中にあった軽く温めたマフィンを肴に
互いの認識を埋めあう姿もまた恋人同士に見えるかもしれない
「竹井君や、池田君、片倉君には気の毒なことをした」
トレーズが爆弾に手をかけた
「閣下も大切な方を亡くされたようで…」
目を伏せて福路はジョーカーを切った
片目の少女の洞察力については今までの会話で理解している
いきなり自分を閣下と呼び、世間話から切り出すソツの無さは驚嘆に値する
だが自分の動揺までも把握されていたとは意外だった
「リリーナ・ピースクラフト、か」
天井の照明設備に視線を逸らし考えをめぐらす振りをする
その死が自分にこれほどの動揺を与えていた事自体が驚きだった
だが他にこの動揺を表しうる事象は無い
―――あと敢えて言えば目の前の少女だが
彼女の説く完全平和主義が絵空事ではなく胸中で共感を得ていたのか
確かに彼女亡き後の世界を考えると如何様にしても纏まるものも纏まらない
―――自分はいつしか彼女の存在を機軸にして構想を練っていたのだな
対主催の流れを画策する彼にとって死者の蘇生は既に計画の外のこととなっている
五飛たちのいずれかが生還したのちの地球圏について
彼らになんらかのアドヴァイスを送るべきだろう
「大切、というほどのものでもない。ただ、あとの始末が面倒だというだけだ」
視線を戻し、あらかじめ用意していた台詞を出す
◇
「嘘、ですね」
重要な局面での手牌からの即切りは下家にプレッシャーを与える手段として
初級〜中級者には有効ではある
ただし上級者相手ではただ単に自分の思考時間を縮める悪手でしかない
しかし対話においては畳み掛けに際して有効
今まで獲得したトレーズの癖から手の動きを見抜き右手を両手で包む
「打算だけではないのでしょう?」
◇
完全に機先を制された形になったが慌てる必要はない
片目を閉ざした少女に対する自分の優位はゆるぎない
分からないのは何故相手の神経を逆なでしかねない行動をするか、ということだ
人の所作を凝視し、次々と相手の先を読み人の出方を伺う優等生
同級生からはさぞ疎まれたことであろう
哀れには思うがまだ選定は済んでいない
なればこちらも続けて爆弾を投下するのみ
「…麻雀部員といったね?実は君に出会う少し前、私はネット麻雀に興じた
対戦相手は誰といったかな…もしかしたら君の知り合いかもしれない」
対面の手を包み込んだまま片目の少女はやや興奮をもって答えた
「誰でしょう?東横さん?それとも天江さんでしょうか」
―――案の定いまだ生存しているであろう知人の名前を出したか
「いや、アレは確か…竹井だったかな…」
目の前の少女は傍目にも哀れなほどに動揺していた
「もう察しがついてもいいんじゃないかな?
この地では全ての行為が、無論遊戯も殺し合いにつながっている
竹井君を、彼を殺したのは私だよ
明確な殺意をもって、ね」
黒いミニスカートを穿いた少女は力なく膝から落ちた