アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part12

このエントリーをはてなブックマークに追加
562ひとりにひとつ ◆zsYinY96dc



精神的な疲労の果てにぐったりとした福路はなおも続く放送を聞き流していた
そして死亡者リストの中に小十郎の名前があがっていることを確認すると
砂利と土と擦り傷と血でぐちゃぐちゃになった顔に大粒の涙が流れた
一番大事にしていた人も
一番大切にしていた人も
自分を身をもって守ってくれると言ってくれた人も
もう、この世にはいない
空気を読まず天と地を燦燦と照らす太陽の下
右目を閉ざした少女は枕木に額を押し付けて嗚咽に喉を枯らす
心の虚は巨大化して胸のブラックホールに自身の四肢が飲み込まれていく
嘆く言葉すら思いつかない
ただ声にならないうめき声を上げながら身を右に左によじる

「…どうして…どうして私の大切な人ばかりがどうしてどうして死んでしまうの…」

ようやく口をついたのは今まででは思いもつかないただの愚痴
しかしそれが思考の口火となった

―――死ぬ…いや『殺された』のだ

このくだらないゲームに殺されたのだ

福路の中で殺意が芽生えた
それはふつふつと湧き上がる怒りの中であっという間に生長し
福路の腕を首を腰を柔らかな胸を豊かな太ももを縛り付ける


       『      殺       す     』


少女の目に生気が戻る

殺す

今まで考えたことも口に出したことも無い言葉

殺す

ここに送り込まれて以降封印してきた恐ろしい、忌避してきた言葉

殺す

しかしなんと甘露な甘美な響きであろうか

「殺す!」

福路の顔に笑顔が戻る
下級生たちに絶えず見せてきた満点の暖かい笑顔
目標を見つけたからにはぐずぐずしていられない
足元に散乱した刀を拾い集めると線路から駆け下り倉庫に向かって走り出した