アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part12

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556ひとりにひとつ ◆zsYinY96dc
福路は線路の上を歩いていた
暖かな日の光が背中を射してほこほこする
夜の霜によってすっかり冷え切った身体を暖めながら振り返って駅を見る
胸に抱かれた六本の刀
コレを政宗に届けるとの決意を確認するために
コレを託した小十郎を思い返すために
何も出来ない自分をこの絶望的な状況の中守ってくれた人に感謝するために
そして守ってくれた人は既に居ないという現実を受け止めるために
駅に向きかえって頭を下げる
そしてまた振り返り風越の泣き虫キャプテンは歩き始める


第一回放送が始まったのはそんな時だった


名簿外の12人の中に自分の見知った名前は無かった
不謹慎ではあるが福路は豊かな胸を手で抑え、ほぅとひと息をついた

「―――今回の放送帯での死亡者を発表させて頂きます。 」

栗色の髪の少女は白い指を組みながらうつむいて一心不乱に祈る
「華菜だけは…上埜さんだけは…どうか…お願い…!」
我ながら身勝手な願いだと思う
しかし、だからこそ、その願いは真摯であった

だが

「―――【池田華菜】―――」

全身の力が抜けたように膝から落ちる
組んでいた指もほどけダラリと肩からぶらんと腕が下がる
全身の血が引いたかのようにただでさえ白い顔が死人かのようにさらに真っ白になる

そしてそんな彼女をあざ笑うかのようにあどけない少女の声は続ける

「―――【竹井久】 ―――」

瞬間、線路の砂利の上に膝を打ちつけ、額をグリグリと押し付ける
ガンッガンッと枕木に無差別に頭を打ちつける音が響き渡り
黒子がやる気を放棄した人形のようにでたらめに腕足首髪をぶん回す

「あはははははははははははははははははははははははは!!!!!!!
 よかった『 上 埜 さ ん 』じゃない!やったわよ華菜アアアアアア!
 だって上埜さんのはずが無いじゃない!
 だって上埜さんのこと私はずっと!!!ずっとよ?!
 ずっとだってずっとずっと三年!三年の間ずっと!
 華菜聞いて!上埜さんは無事!だって死んじゃったのは『 竹 井 さ ん 』だもの!
 やったあああああぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!!
 華菜ぁ!華菜ァ!聞いてぇ!聞いてよ華菜ァ!!!何で返事をしないの華菜!
 あ、そっかぁ!華菜も死んじゃったんだっけ!!!!!!!!!
 はははははははははははははははははははははは!!!!!!!!」

線路の上で血まみれになりながらダラリと腕を下ろし
背中をのけぞらせながら中天に向かって奇声を発す、
人間であったものがそこに跪いていた