アニメキャラ・バトルロワイアル3rd part12
5/6【けいおん!】
○平沢唯/○秋山澪/○田井中律/○琴吹紬/○平沢憂/●中野梓
3/6【咲-Saki-】
● 竹井久/○天江衣/○福路美穂子/ ● 池田華菜/●加治木ゆみ/○東横桃子
5/6【新機動戦記ガンダムW】
○ヒイロ・ユイ/○デュオ・マックスウェル/○張五飛/○ゼクス・マーキス/○トレーズ・クシュリナーダ/●リリーナ・ドーリアン
5/6【戦国BASARA】
○伊達政宗/○真田幸村/○織田信長/○明智光秀/○本多忠勝/●片倉小十郎
6/6【とある魔術の禁書目録】
○上条当麻/○御坂美琴/○白井黒子/○一方通行/○月詠小萌/○海原光貴
6/6【Fate/stay night】
○衛宮士郎/○セイバー/○アーチャー/○バーサーカー/○ライダー/○キャスター
4/5【空の境界】
○両儀式/○黒桐幹也/○浅上藤乃/○荒耶宗蓮/●玄霧皐月
3/5【ガン×ソード】
○ヴァン/○レイ・ラングレン/ ● カギ爪の男/○ファサリナ/●プリシラ
3/5【逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
○伊藤開司/○利根川幸雄/●兵藤和尊/●安藤守/○船井譲次
5/5【コードギアス 反逆のルルーシュR2】
○ルルーシュ・ランペルージ/○枢木スザク/○C.C./○ユーフェミア・リ・ブリタニア/○アーニャ・アールストレイム
4/5【化物語】
○阿良々木暦/○戦場ヶ原ひたぎ/○八九寺真宵/○神原駿河/●千石撫子
3/3【機動戦士ガンダム00】
○刹那・F・セイエイ/○グラハム・エーカー/○アリー・アル・サーシェス
52/64
※書き手枠で決定した下記の12名は、バトルロワイアル内で参加者に支給されてた名簿には名前が記載されていません。
中野梓@けいおん!、片倉小十郎@戦国BASARA、月詠小萌@とある魔術の禁書目録、海原光貴@とある魔術の禁書目録
玄霧皐月@空の境界、プリシラ@ガン×ソード、兵藤和尊@逆境無頼カイジ、安藤守@逆境無頼カイジ、
船井譲次@逆境無頼カイジ、ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス、アーニャ・アールストレイム@コードギアス、千石撫子@化物語
バトルロワイアルのルール
【原則】
64名の参加者が残り一名になるまで殺し合う。
【スタート時の持ち物】
各人に支給されたデイパックの中身は以下の通り。
地図、名簿、食料、水、メモ帳、筆記用具、ルールブック、デバイス、腕時計、懐中電灯、
応急処置セット(絆創膏、ガーゼ、テープ、ピンセット、包帯、消毒液が詰められた救急箱)、ランダム支給品(各人1〜3個)。
【名簿について】
64名中、52名の参加者の名前が記載されている。
未掲載の12名については、第一回放送の際に発表。
龍門渕透華の名前は最初から掲載されていなかった。
【ルールブックについて】
ルールが書かれた小冊子。開会式中でインデックスが語った内容とほぼ同一。優勝特典についても記されている。
【デバイスについて】
現在自分がいるエリアがデジタル表記で表示される機械(【A-1】といった具合に)。方位磁石としての機能も兼ね揃えている。
【禁止エリアについて】
六時間に一回の頻度で行われる放送ごとに、三つずつ増えていく。
参加者が禁止エリアに踏み込んだ際、首輪が起爆する(爆破までに時間差や警告があるかどうかは不明)。
【優勝者への特権について】
優勝者には賞金として10億ペリカ、そしてその賞金で買い物をする権利が与えられる。
ペリカの使い道は以下の通り(これはルールブックにも記載されている)。
・元の世界への生還――1億ペリカ
・死者の復活―――――4億ペリカ
・現金への換金――――9億ペリカ
・その他の願い―――――要相談
※1ペリカ=10円。10億ペリカ=100億円。
【作中での時間表記】
【深夜:0:00〜1:59】
【黎明:2:00〜3:59】
【早朝:4:00〜5;59】
【朝:6:00〜7:59】
【午前:8:00〜9:59】
【昼:10:00〜11:59】
【日中:12:00〜13:59】
【午後:14:00〜15:59】
【夕方:16:00〜17:59】
【夜:18:00〜19:59】
【夜中:20:00〜21:59】
【真夜中:22:00〜23:59】
書き手向けルール
※詳細はまとめwikiにて確認をお願いします。
http://www29.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/24.html 【状態表について】
SSの最後には下記の状態表をつけてください(服装と備考の欄は、必要なければ省略してください)
【エリア/場所/経過日数/時間】
【キャラクター名@作品名】
[状態]:
[服装]:
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本:
1:
2:
3:
[備考]
【予約について】
予約をしたい場合はしたらばの予約スレ(
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1256477871/)に
トリップをつけて予約したいキャラ名を書き込んでください。
予約期限は3日(72時間)です。予約期間中に申請すれば2日(48時間)の延長ができます。
予約の延長は、一回の予約につき一度だけ利用できます。
あるキャラの予約が行われた時点で、他の書き手はそのキャラを含んだ予約または作品投下が出来なくなります。
予約は予約期限切れ、予約破棄宣言、対応する作品投下のいずれかを持って解除されます。
予約期限切れ、予約破棄宣言の場合、その時点を持って予約されていたキャラの予約が可能になります。
対応する作品投下の場合、その作品に対して24時間以内に修正・破棄の要求がなければ、その作品のキャラの予約が可能になります。
【支給品・キャラの能力に関する制限について】
まとめwikiの制限一覧を確認してください。
http://www29.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/23.html ★企画に興味を持ったら★
当企画への参加に資格は必要ありません。どなたでもどんどんどうぞ。
但し、企画の円滑な進行のため、守るべきルールは存在します。
特にSS書き手として参加される方は事前に以下の「書き手用ルール」のページをお読みください。
企画への参加は「SSを書く」、以外にも「絵を投稿する」「MADを投稿する」「感想を書いてスレを盛り上げる」
等様々な形があります。そういった形での参加も大歓迎。みんなの技術を持ちよって企画を楽しみましょう。
5 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 11:24:11 ID:9DP4wxbx
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 20:18:01 ID:zTV7UBJV
今までまったくSSをこのロワで描いた実績のないトリの書き手が
キャラ殺すだけで終わるってどうなんだろうな
この突然死みたいなの流行れば明日にでも終わらせるよこのロ
>>7 全キャラであれやられたら、ロワが成り立たないですからねぇ
ほんと、せっかくそこまでしばらく良作ラッシュが続いていたのに
さて
田井中律、キャスター、投下します
あれ?
なんだかおかしな感じがして、あたしは目を覚ました。
気がつくと、あたしは立っていた。
両足を地面について、普通に立っていた。
目を覚ましたら自分の体が地面に対して縦の状態だったなんて、多分かなり珍しい体験だと思う。
これは夢?
どうだろう?
体の感覚は、ちょっと……いや、かなりだるい感じ。
頭は……こっちもなんだかぼんやりした感じだ。
やっぱり夢かな?
さっきは目が覚めたと思ったけど、実は夢を見ているだけなのかな?
でも、その割に周りの景色は妙に現実感がある。
どこかの教会の礼拝堂って感じ。
もし夢じゃないとしたら、なんであたしこんな所で突っ立っているんだろう?
考えてみよう。
まずはお約束、あたしは誰?
田井中律だ。
よし、自分のことは分かる。
それじゃあ、眠る前の事を思い出してみよう。
眠る前に、何があったんだっけ?
実は、さっきから思い出そうとしているんだけど、これがなかなか思い出せない。
でもまあ、さっきは他の事も考えながらだったし。
よし、ちょっと集中して思い出してみよう。
…………ぐらぐら?
………ふらふら?
……くるくる?
…ふわふわ?
くらくら?
うーん、なんか眠る前のあたしの記憶ってそんな感覚の事ばかりだった気がする。
じゃあ、その前は?
その前って、何があったんだっけ?
確か……先生だ。
どこかで教師をやってるって言う人に出会って……、それでどうしたんだっけ?
あ、懐中電灯。
暗かったから、懐中電灯を点けたんだ。
それで……。
そこまで思い出して、あたしは背筋に冷たいものが走るのを感じた。
嫌だ!
もういい!
思い出したくない!
そう思ったけど、そこまで思い出してしまったあたしの脳みそは、その先も芋づる式に思い出していった。
それで……その先生の顔に……三つ目の目が出来て?
それから…それから、別の男の人が来て。
そうだ、あたしはその男の人に無理矢理麻薬を飲まされたんだ。
それでおかしな気分になって……。
寒気がして、あたしは今までだらりと下がっていた腕で自分の体を抱いた。
「あら、お目覚めかしら?」
「ひっ!?」
そんなあたしに、後ろから声がかかった。
驚いて振り向くと、そこには濃い紫色の服を着た女の人が立ってた。
あたし、この人知ってる。
確か、麻薬を飲まされたあとに出会ったんだ。
もしかして、麻薬を飲まされておかしくなっちゃってたあたしを介抱してくれたのかな?
そういえば、今はあのくらくらする感じが引いてる。
薬の効き目が切れたのかな?
それで、この女の人だけど確か他にもう一人、男の人と一緒に居てその男の人に呼ばれてた名前は……。
「えっと、キャスター、さん?」
「覚えていてくれたのね。嬉しいわ」
その女の人──キャスターさんは唇の両端を持ち上げて答えた。
フードみたいなのを被っているからハッキリと表情は見えないけど、声も嬉しそうだったし笑ってるんだと思う。
「ごめんなさいね、寝ているあなたも可愛かったけど、もっといろいろな角度から見てみたくなって」
「えっと、あの……」
え?
ってことはあたしが立った状態で目を覚ましたのは、この人が寝ていたあたしを立たせて観察していたから?
方法は分からないけど、今のキャスターさんの言葉を信じると、そういうことになるのかな?
「キャスター、さん?」
「ん、なに?」
それで思い出した。
眠る前にあたしが考えていた事。
『注文の多い料理店』。
色々きれいにされたあとで、猫に食べられる話、だったと思う。
あたし、この人に食べられちゃうんだって思ったんだ。
「あの……あたし……食べられちゃうん、ですか?」
「あら、うふふ」
こんな事を面と向かって訊いてしまうなんて、やっぱりあたし、まだ頭がぼんやりしてたみたいだ。
少し後悔したけど、一度口にしてしまった言葉を元に戻すことは出来ないし、仕方ない。
それを聞いたキャスターさんは、笑いながらあたしの方へ近寄って来た。
食べられる!?
逃げなきゃと思ったけど、足がすくんで動かなくて、結局あたしは身を固くするくらいしか出来なかった。
そんなあたしの横を、キャスターさんはすーっと通り過ぎていった。
…………助かった?
やっぱり人が人を食べるなんて、そんなことある訳ないか。
そんな風に考えて、あたしは少し緊張を解いたんだけど、
その時を狙っていたように、キャスターさんが後ろからガバッと抱き付いてきた。
「…………ッ!?」
あたしはあまりの驚きに悲鳴すら上げられなかった。
人間、本当に驚くと、声出なくなるんだな。
と、一瞬遅れてあたしの中のどこか冷静な部分が他人事のように考えてた。
「もしかして、食べてほしいのかしら?」
「いえ、そういうわけじゃ……」
キャスターさんは、あたしの耳元でそう囁いた。
それと一緒に、自分で自分の身を抱いていたあたしの両腕を、後ろからほどいていった。
まだ体がだるくてロクに抵抗できないあたしは、せめて耳元で囁くキャスターさんの言葉を否定しようと口を開いたんだけど……。
──さわさわ
「あぅぅ」
不意に身体を襲った変な感覚に、思わず何の意味もなさない声を上げてしまった。
──さわさわ
分かった。
キャスターさんがあたしの胸を触ってるんだ。
不意打ちでビックリしたあたしは、しばらくそのままキャスターさんに胸を触られ続けてた。
そうしている内に、キャスターさんの手はあたしの体の下の方へと移動してきた。
お腹の上を通って、おヘソ、そしてその下の部分へと……。
「……ひゃ…うぅ」
情けない声が出た。
仲のいい女の子同士ならじゃれ合って胸に触れるくらいはあるけど、あの部分は他の人に触られることなんてまず無い。
あたしは今度こそ抵抗しようと思って、背中のキャスターさんに振り返ろうとしたんだけど、
その瞬間に、キャスターさんの指があたしの太ももをツーっとなぞったせいで、あたしは脚から力が抜けて膝がカクッと折れた。
それで、気付けばあたしがキャスターさんに寄り掛かる体勢になっていた。
もうあたしは、ただでさえ、すごくだるかった体を自力で支えることが出来なくなってしまって、
そのままキャスターさんに、後ろから支えてもらうしか無かった。
「んっ」
キャスターさんは、そんなあたしの襟元に手を伸ばしてくると、
あたしの着ている服の襟をはだけてさせながら、ようやくさっきのあたしの質問に答えた。
「そうね、少し魔力を使っちゃったから、今のうちに補充しておくのも悪くないわね」
魔力?
補充?
もしかして、キャスターさんは魔女とか吸血鬼とかそういう仲間なのかな?
だとしたら、さっきあたしが目を覚ました時に立っていたのは、魔術とか妖術とかそういうので身体を操られていたせい?
なんて考えてる間にキャスターさんは、はだけた服の襟をゆっくりと引っ張って、
露出したあたしの首と右肩の間あたりに、口を近づけてきた。
首筋にキャスターさんの息が当たって少しくすぐったい。
「あ……ぁ……」
続いて同じ場所に、何か固いものが当たる感触を感じた。
キャスターさんの歯が当たってるんだ。
きっとこの後、その歯があたしの皮膚を食い破って、それで血をたくさん吸われて、あたしの人生終わってしまうんだ。
あぁ……短い人生だったな。
死にたくないとは思う。
けど、きっと抵抗しても無駄だろうなとも思う。
今の体じゃあ、大した抵抗も出来ないし、
たとえ体が元気でも、この人が本当に吸血鬼とかなら抵抗しても無駄だろうし。
それに、もしこの場から逃げだせたとしても、あたしに麻薬を飲ませたあの男の人。
次にあの人に会ったら、きっとあたしは殺される。
カギ爪の男以外、全員殺せと言われたけど、一人も殺せてないし。
それに、多分あたしに人殺すなんて無理だし。
なんかもう、絶望的だ。
結局、あたしは死ぬしか無いのか。
それならいっそ、ここでひと思いに…………。
澪、ゴメン。せめて最後にもう一度会いたかったけど、無理みたい。
…………
……
…?
観念してギュッと目を閉じたあたしだったけど、いつまで経っても首筋に痛みは来なかった。
さっきから、キャスターさんの息が首筋にかかって、少しくすぐったいだけ。
「ふわ……ぁ……?」
あ、今のはたぶんキャスターさんに首筋を舐められたんだと思う。
濡れた首筋が空気に触れてひんやりする。
「安心して、まだ食べないわ。こんなに可愛いのに勿体無いじゃない」
キャスターさんが、また耳元で囁いた。
耳にキャスターさんの息が当たる。
くすぐったい。
「あぁ……ぁ…」
しかも、キャスターさんは囁きながら、さっき舐めたあたしの首筋に指を這わせている。
多分、本人はなでてるつもりなんだと思うけど。
「でも、もっと魔力が必要になったら、その時は遠慮なく頂くわね。いいかしら?」
「あ……はぃ……」
肯定してしまった。
だって、せっかく今は食べないって言ってくれたのに、ここでキャスターさんの機嫌を損ねて、やっぱり今食べる!
なんて言われたら嫌だったから。
「フフッ、いい子ね」
その甲斐あってか、キャスターさんの声色はどこか満足気だ。
はだけてたあたしの服の襟を直して、その後頭までなでてきた。
「うぅ……」
何の解決にもなっていない気がするけど、とりあえず今は助かったみたい。
それが分かると、あたしは一気に緊張が解けてずるずると床に崩れ落ち、ペタンとお尻をついてしまった。
「あら、どうしたの?」
キャスターさんが少し心配そうに声をかけてきた。
いけない。
何とか立ち上がらなきゃと思うけど、脚がちっとも動いてくれない。
もしかして、腰が抜けちゃったのかな?
「あ……ごめんなさい。
脚に……力が……んっ………入らなくて」
仕方なく、あたしは正直に自分の状態をキャスターさんに告げた。
ここで嘘をついても仕方ないだろうし。
「あら、それは大変ね。そこで横になったらどうかしら?」
キャスターさんはそう言ってあたしに手を差しのべながら、もう片方の手で礼拝堂に並んでいる長椅子の一つを指さした。
「あ……はい」
断る理由も無いし、あたしはキャスターさんの手を借りてどうにか長椅子までたどり着くと、そこに腰かけた。
あたしに手を貸してくれたキャスターさんも、その横に並んで座った。
「さぁ、いらっしゃい」
「……え?」
そう言って、あたしの横に座ったキャスターさんが自分の膝のあたりをポンポンと叩いて何か誘っている。
なんだろう?
一瞬、キャスターさんの意図が分からなくて、あたしはキョトンとしちゃったんだけど、
続けて放たれたキャスターさんの言葉で、キャスターさんの行動の意味はすぐに分かった。
「ひ・ざ・ま・く・ら」
「あ……はい、ありがとう、ございます」
どこかウキウキした様子でそう言うキャスターさんの好意(?)を断ることは、今のあたしには出来なかった。
だって今、あたしの命はキャスターさん次第なわけだし、素直に言うこと聞くしかない。
普段のあたしなら、ゴロンとラフに寝っ転がるところだけど、今はなるべくキャスターさんに気に入られるように、
出来る限りお行儀良く横になって、キャスターさんの太ももの上に頭を乗せた。
それで、お腹の上で手を組んで、目を閉じて……どうだろう?
ちょっとは可愛い感じになってるかな?
なんて、そんな事を考えていたのもつかの間。
こんな状況だというのに目を閉じると猛烈な睡魔が襲ってきて、あたしはあっという間に眠りに落ちていった。
【C-5/神様に祈る場所/一日目/早朝】
【田井中律@けいおん!】
[状態]:睡眠中 膝枕されてる
[服装]:ゴシックロリータ服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(懐中電灯以外)、九字兼定@空の境界、その他不明0〜2個
[思考]
基本:澪に会いたい。
1:…………
※二年生の文化祭演奏・アンコール途中から参戦。
※レイの名前は知りません。
※ブラッドチップ服用後。
※ゴシックロリータ服はけいおん!第6話「学園祭!」の際にライブで着ていた服です(ただしカチューシャは外してある)
【キャスター@Fate/stay night】
[状態]:健康、魔力消費(小) 膝枕してる
[服装]:魔女のローブ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2個(確認済み) 、バトルロワイアル観光ガイド 、さわ子のコスプレセット@けいおん!、下着とシャツと濡れた制服
[思考]
基本:優勝し、葛木宗一郎の元へ生還する
0:可愛い子……
1:奸計、策謀を尽くし、優勝を最優先に行動する
2:『神殿』を完成させ、拠点とする。
3:黒桐幹也が探索を終えたら『死者の眠る場所』へと探索に行かせる。
4:他の参加者と出会ったら余裕があれば洗脳。なければ殺す。
5:会場に掛けられた魔術を解き明かす
6:相性の悪い他サーヴァント(セイバー、アーチャー、ライダー、バーサーカー)との直接戦闘は極力避ける。
7:優勝したら可愛い子をつれて帰ってもいいかもしれない……。
[備考]
※18話「決戦」より参戦。
以上、投下完了です
なんというか、書いているうちに当初の予定と全然違う方向に……
17 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 21:46:37 ID:sDwF0GpP
投下乙です
なんじゃこりゃwww
え〜と、今、ロワの最中ですよね?
キャス子さん、違う意味でロワ充してるよwww
律もおとなしくしてるしかないかw
乙です…キャス子さん自重しろwwwwww
何律っちゃんの大事なとこを触ってんだよwwwww
えと、投下乙です
それにしてもこのキャスターさんノ(ry
・お知らせ
現在、しらたばの避難所スレで放送案の採用方法を決定する作業を行っています
詳しくは避難所スレまで
投下乙w
キャス子さん満喫してるなあw
律もレイに麻薬で飼われるよりはずっとマシ・・・かなw
このままいけば神殿も完成しそうだし、鉄壁の守りを見せてほしいぜ
投下乙
キャスター何しているんだ
律も律でもう少し抵抗を…でもこれこれで(ry
澪→黒子に剥かれる、士郎に下着とか見られる
憂→全裸になる、ルルにほぼ全裸見られる
律→キャス子に生まれたままの姿にさせられる、揉まれたり触られたり
これはつまり…
,.ィ , - 、._ 、
. ,イ/ l/  ̄ ̄`ヽ!__
ト/ |' { `ヽ. ,ヘ
N│ ヽ. ` ヽ /ヽ / ∨
N.ヽ.ヽ、 , } l\/ `′
. ヽヽ.\ ,.ィイハ | _|
ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、 | \ けいおん勢は
.  ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ >
. l  ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__ 一般人枠と見せかけた
゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ トr‐' /
l `___,.、 u ./│ /_ エロ枠だったんだよ!!!
. ヽ. }z‐r--| / ト, | ,、
>、`ー-- ' ./ / |ヽ l/ ヽ ,ヘ
_,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´ ./ \、 \/ ヽ/
-‐ '''"  ̄ / :| ,ゝ=< / | `'''‐- 、.._
/ !./l;';';';';';';\ ./ │ _
_,> '´|l. ミ:ゝ、;';';_/,´\ ./|._ , --、 | i´!⌒!l r:,=i
. | |:.l. /';';';';';|= ヽ/:.| .|l⌒l lニ._ | ゙ー=':| |. L._」
l. |:.:.l./';';';';';';'! /:.:.| i´|.ー‐' | / | |. ! l
. l. |:.:.:.!';';';';';';';'| /:.:.:.:!.|"'|. l' │-==:|. ! ==l ,. -‐;
l |:.:.:.:l;';';';';';';';| /:.:.:.:.:| i=!ー=;: l | l. | | / //
l |:.:.:.:.:l;';';';';';';'|/:.:.:.:.:.:.!│ l l、 :| | } _|,.{:: 7
l |:.:.:.:.:.:l;';';';';'/:.:.:.:.:.:.:.:| |__,.ヽ、__,. ヽ._」 ー=:::レ' ::::::|; 7
. l |:.:.:.:.:.:.l;';';'/:.:.:.:.:.:.:.:.:.|. \:::::\::::: ヽ ::::::!′ :::| .:/
. l |:.:.:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! /ヽ::: `::: :::: ....::..../
お知らせ
したらばの議論スレにて先日投下されたNrR3asMF5RA氏のSS「不幸」の内容に関する修正発議がなされました
意見のある方は先日制定された修正議論のルールを確認した上でしたらばの議論スレにおこしください
なお議論期間の上限は修正発議がなされた11/20 22:15より72時間となります
ナ ゝ ナ ゝ / 十_" ー;=‐ |! |!
cト cト /^、_ノ | 、.__ つ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・
∩00 ∩
⊂ニニ ⊃ ⊂ ニ )-- 、
,. ---ゝ ) | レ'/⌒ヽヽ
( (´ ̄ ̄ / / ノ.ノ ○ O
ヾニニ⊃ ,`'∪ ⊂ニ-‐' ` z.
_ _ / yWV∨∨VVv`
> `´ < | i' -== u ==ゝ.
. / M ミ |r 、| , = =、 !
l ,ィ卅ノ uゞト、.ゝ |!.6||v ー-゚ l l゚-‐' |
| |「((_・)ニ(・_))! |ヽ」! u' L___」 v | ,' // イノ \ ヽ ゝ
|(6|! v L_.」 u リ | /l.メ ,.-─--‐-、 | / /`/ィ'__> u /∠ヽ! .!
/| ,イ )⊂ニ⊃( !\ | / l ー-─‐-‐' ! / /⌒y' ==== _ ,'== レ、 !
.-‐''7 |/ `ー-、ニ,.-イ ト.、 /l/ ヽ. = /ト7 l.{ヾ!,' `≠°' ゙゙ 〈≠゚.y/ i
/ | |. ⊥ -‐'1_|\ ` ー--‐ ' ノ / ヽ,リ u u r __ ヽ. ,'/ !
∩00 ∩ ,イ´ l__l \ /_,. '-‐''7! ト、 v ___ーY1 |
⊂ニニ ⊃ ⊂ ニ )-- 、 ヽ、,ゝ、 _,,.ゝ-‐'''"´ /.! !. \. └-----' / |\.|
,. ---ゝ ) | レ'/⌒ヽヽ ヽ/ヽ /, ! i | \. ー / |. \
. ( (´ ̄ ̄ / / ノ.ノ ○ ○ / l / 1|! l | \ ,イ !
ヾニニ⊃ `'∪ ⊂ニ-‐' / | / !| ‖ |\ \, ' | ‖|
まさかカイジでこのAAがあるとは思わなかった
だがつまり残りの唯と紬も遠くない内に…
まさかの船井酒池肉林ルート……だと……!?
船井「ごち・そう・さん♪」
船井・・・大躍進・・・?
起こりうるのかっ・・・そんな奇跡・・・ミラクルがっ・・・ !
素朴な疑問なんだが、参加者たちはいつトイレを済ませてるんだろう
バーサーカーがトイレを壊(ry
たまにトイレに行く描写があるSSあるけど、ないやつは描写されていないけど行っていると脳内補完
いちいち行動の全てを描写は煩雑になるから適度に脳内補完している
ぼっとん便所は死亡フラグ
役者は前のSSとの幕間に用を足してるに決まってるだろ
たまに幕間をまったくとってあげない書き手がいるけど、もうちょっと配慮してやれよと思う。
俺の美穂子はうんちとかしないから
恐怖のどん底に追い込んで失禁させりゃいいんだよ。
徳川家康だって山県昌景に追い詰められた際、ウンコもらして逃げ回ったらしいからな。
信長「戦場では垂れ流しが基本!」
BASARAの連中にウォシュレット使わせるんですねわかります>トイレ
魚首烈兎!尻を舐めるとは面妖な!
見てえw
39 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/21(土) 20:02:58 ID:/dpKXH5H
業務連絡
業務連絡
日曜夜(月曜0時)に予約解禁の可能性があります
まだ本決まりではありませんが予約する予定の方は気を付けてください
734 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/05(木) 22:28:21 0 ?PLT(12040)
>>732 上条さんがギャンブル船で衣ちゃんと逢うとか緊張するな!
356 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/12(木) 00:15:55 0 ?PLT(12040)
989 名前: ◆L5mMuLNUiM[sage] 投稿日:2009/11/12(木) 00:14:27 ID:7sdAF2Pk
あのすいません
今頃になって申し訳ない気持ちでいっぱいになってきたので今回のSSは破棄します
やったーーーーーーーーーーーーーー
小萌先生生存フラグきたあああああああああああああああああああ
433 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/12(木) 00:53:43 0 ?PLT(12040)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13136/1257953306/18 ひどいお・・・
もう作品投下したのに余所者扱いなんて・・・
いや余所者だけど現に
833 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/15(日) 02:57:21 0 ?PLT(12040)
正直上条さんになら掘られてもいい
351 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/17(火) 20:49:17 0
小萌先生と藤のんの予約取って来た
ちょっと藤のんをぶちのめしてくる
605 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/17(火) 22:09:52 0
そのふじのんをぶちのめすプロット描いてきた
今から描く夜通し書くよ
114 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/18(水) 21:00:32 0
俺の小萌先生のへの愛を仮投下してきた
もう限界だと思った
472 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/19(木) 01:51:32 0
小萌先生を生かしたのはいいが
実際もう手詰まりでござる
ちゃんと最後まで書くけどな
上条ちゃんがギャンブル船に着くまで生かす
65 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/20(金) 01:07:07 0 ?PLT(12040)
みんな迷惑かけてゴメンね
僕はバトロワからもう身を引きます
立てた城をあっさり崩されるようなこの無常観にもう耐えられない
80 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/20(金) 01:10:57 0 ?PLT(12040)
いや久々に堪えた
そういう企画なんだと理解してない自分も悪かった
実に無駄な時間を過ごしたよちくしょう
たんぽぽ工場の仕事に精出すお
116 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/20(金) 01:25:00 0
あー・・・つかっ厨、ふじのんvs小萌書いたのか
あれはよく書けたと言っておく
もし気を取り直したら、一通さんと上条さんのを書いてくれると嬉しい
少なくともアンタが一回書けば、それだけで一回分生き延びるんだよ
191 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/20(金) 01:56:13 0
592 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/11/20(金) 01:49:03 ID:a0qSulD2
そういう企画なんだし別にいいよ
後は好きにやってくれ
つかっ厨マジで恥ずかしいからやめろ
201 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/20(金) 01:57:48 0 ?PLT(12040)
>>191 もう恥などかきつくしたわー
で、その捨て台詞吐いてログ消した
ブックマークも消した
今日はもう寝る
834 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/21(土) 20:06:52 0
上条さんを救えるのはお前だけだぞ
男なら最初に決めたことはやり通せよ
839 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/21(土) 20:09:32 0 ?PLT(12040)
>>834 いや無理だろうな
超電磁砲が寝てる間にガトリング掃射とか阿呆な奴がいるし
どんなに書いても3レスくらいで殺されるよきっと
それが面白いとか思ってるし感性が違うんだな
913 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/21(土) 20:40:39 0 ?PLT(12040)
個人的な感想だが
アーチャー:敵が来た。俺に任せろ!
敵ガトリング掃射 超電磁砲死亡
アーチャー:そいつはもう死んでる
なんだこの哀れなピエロ
919 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/21(土) 20:47:51 O
>>913 完全に不意をつかれたわけだ
まぁアチャーならあるある
っていうか禁書勢殺しの流れ作ったのはお前さんだろ…
926 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/21(土) 20:58:03 0 ?PLT(12040)
>>919 だからガンガン殺せばいいんじゃねーの
捨て鳥でも何でも使ってよ
キャラが減るって事は進行も早まるけど
そのキャラを使ってSS描こうとした人間も減るってのも理解してんなら
好きなだけ殺せよ
最後は自分と数人しか描かないオナニーになってもいいんじゃねー
そういう企画なんだし
965 名前:メロンさんex@ご利用は紳士的に[sage] 投稿日:2009/11/21(土) 21:12:53 0 ?PLT(12040)
今年の最萌でもあんなにぶち切れた事はなかったな
血迷って書き手コテのトリばらそうかと思ったが
まだ他所で揉めてるみたいだし水を差すような事はしない
別に投下した文全部に修正要求出れば応じるし破棄してもいい
もうロワという企画に愛想が尽きたし
この企画を理解してなかった俺がバカだっただけ
触れるな。彼らと俺達は分かり合えない。決して。
それをお互いに理解しないといけない。
つーわけで既にリレーしてあるけどつかっちゅの書いたSSは
こっちである程度修正していい許可が下りたわけか
酉晒してないから本人とも確定してないけどな
騙る厨なんて法螺吹きの集まりだからこのくらいの騙りは平気でする
ここで何度も粘着していいから、語るにはこないで
僕が涙目になるから
でもコテ付きでここまで騙るとは思えない
萌え豚はどこにいても迷惑だなー
いかねーよ。もし行った奴がいるとしたらそいつは只の荒らしだ。
パロロワ民ってのは自分たちが異常なものを好んでる、って自覚してる奴だけが名乗っていいんだ。
だから他所に勝手に話題持ち込むようなのはパロロワ好きでもなんでもない。
それが分かったら帰れ。二度と来るな。
>>48 僕は一応書き手出身だから書き手としてはきます
RTPとしてだけど
一々返事しなくていい。
後、書き手を続けるっていうならトリ変えて二度とそっちに自分が書いたと分かるような書き込みをするな。
他所でパロロワの話題を出す奴は荒らしだからだ。
それが出来ないなら消えろ。
最後に個人的感情で言わせて貰えばお前程度の書き手はいらない。
何でキチガイにレスするかな
生存本能の修正が一向にできない様子だね
>>51 >最後に個人的感情で言わせて貰えばお前程度の書き手はいらない。
この時点でこいつもお察しくださいだとわかるだろ
>>51 キャラを残虐に殺しといて「ざまあああwww」とか言ってる奴にキチガイ呼ばわりされるいわれない
理詰めで行くと異常なんだよね…
俺みたいに人間の本質的な部分に迫ったキャラを見たい人もいるかな?
>>55 >俺みたいに人間の本質的な部分に迫ったキャラを見たい人
が
俺みたいに「人間の本質的な部分に迫ったキャラ」を見たい人
じゃなくて
「俺みたいに人間の本質的な部分に迫ったキャラ」を見たい人
に見えてスゲー奴が現れたと思ってしまった
>>56 それはすげえw
あんま意味変わらないかもだけど俺はキャラの生き様というか死に様をみたい、って感じかな。
何を考えどう死んでいくのか見てみたい。
ネットカフェからなのでリンクなど細かいところは手が回りませんでしたが、取り急ぎ自作のwiki収録と修正完了しました。
デイパックと麻雀牌の追加、魔力消費の削除などです。
デイパックがティーパックに見えた俺はめちゃもて厨
>>54 顔真っ赤だなお前^^
巣に帰れよ
臭いんだよ
連絡事項
少し急ではありますが、放送案の締切ならびに放送後の予約解禁のスケジュールは下記の通りとなります。
詳しくはしたらば避難所スレまで
・放送案締切 今日の21:00
・放送案投票(放送案が複数になった場合) 今日の22:00〜23:00
・予約解禁 今日の24:00(月曜日0:00)
なお、現在議論中のパートに関する予約解禁は今日の24時には間に合わないと思われます。
詳しくはしたらば議論スレまで
65 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 03:07:57 ID:JBqTU1xL
告知あげ
【連絡事項】
うざキャラトップ9
ゆっくり霊夢&ゆっくり魔里沙(東方)
きめえ丸(東方)
ウザク(ギアス)
葬志貴(MUGEN)
池田華菜(咲)
ところ天の助(ボーボボ)
出張ロワ厨(ア○ロワ)
妹の存在を否定する姉&信者(各アニメ)古龍種のみなさん(モンハン)
スレ住人のみなさんに連絡です。
現在、上記の内の『ウザク』『池田』『ロワ厨』がアニロワを荒らしております。
『池田』は死にました。残りの2人を早急に抹殺しましょう。
さて雑談しますか
とりあえず節目だしこれまでの死者について語りますか
じゃあ最初の死者から語るに決まってるし
学校組が死んだり生き返ったりまた死んだりとせわしなさすぎるとは思わないかい?
見せしめっておいしいよね!
ある意味一番目立つよね!
死者スレに行ったり来たりの学校組が不憫すぎる
安藤はあからさまに生存フラグを立てすぎたのかねえ・・・
かぎ爪の遺言は色々使えそうだったけど
一応、遺言はヤンデレさんの持ち物の中に入ってるけどね
全員に死にざまを目撃されているからな
MVPは池田かな
最初の死者だし
本スレを賑やかにしたし
池田だし
放送前だしそろそろマーダーランクについて語ろうか
殺害数を考えないのなら強さやヤバさ的に信長とバサカだろうな
おそらく憂ちゃんが二位に食い込むことになるのが恐ろしい
事故を含めるとけいおんが作品別ではダントツだな
これ以上はちょっと厳しいかもしれんが
あぁでも五人ともしばらく死にそうにないからどんどん記録を伸ばすかも
五飛投下します
F-7、そこには巨大なホールが建っている。
周囲の都市部中央に位置するそこには、人の気配が全く無い、あたりは静寂に包まれている。
しかし、その静寂は、そこへ近づく一台のバイクが発する騒音によって破られた。
ゲーム開始より誰も立ち入らなかったその場所に、最初の訪問者が訪れようとしている。
「ただのホールにしてはあまりに大きすぎるな……やはり、この地図に記された施設には何かあるのか?」
そう言ってバイクを降りた男の名は張五飛、しかし今はゼロと名乗っている。
彼は、F−6地点で船井達とすれ違った後、バイクでこのホールの前までやって来ていた。
その理由は一つ、武器の調達である。
彼の行動方針は参加者の脅威となる事、そのためにゼロを名乗り、参加者全員の抹殺を宣言した。
しかし、それだけでは十分な脅威とは言えないだろうと彼は判断したのだ。
真に脅威足りえるには絶対的強者であることが前提として必要だ、そのためには中華刀と拳銃だけではまだまだ火力不足と言える。
なにより己がが脅威となる前に、殺し合いに乗った者に倒されてしまったら話にならない。
早急に強力な武器を手に入れる必要がある、と彼は判断した。
そのためにどう行動するべきか?
彼は考えた結果、ある仮説を立てた。
『この地図に記された施設には、何か主催者側からの「仕掛け」が施されているのではないか?』
そもそも「殺しあえ」などとのたまい、ゲーム開始からやたら手の込んだ演出をしてきた連中だ。
この島の各所に殺し合いを煽る仕掛けが施されていてもおかしくない、いや寧ろその可能性が高いくらいだ。
その仕掛けとはおそらく「隠された武器」
もちろん武器であるという確証は無い。
しかし、その仕掛けが弱者に勝ちの目を見せる程の物であるならば、恐らく武器の類だろうと踏んだのだ。
そして、本当に「仕掛け」が有るとすれば、それは地図に記される施設に違いない。
殺し合いに乗った者の手に渡る前に確保し、火力不足を補う。
そうして彼はこのホールにやって来た。
「周囲に人の気配は無いな…。」
そう呟きながらも警戒を解くことはなく、彼は自動ドアの前に立った。
ウイーン・・・
無機質な音をたてて、ガラスの扉は何の抵抗も無く彼を施設の中へと受け入れた。
入ってすぐの広々としたエントランス内部には、五つの扉があった。
扉の配置は正面の壁にに三つ、左右に一つずつ。
「……これは何だ?」
五飛は思わず呟いていた。
扉にはそれぞれ対応する広間の名前が記されてある。
どうやらこの施設は全部で五つの広間を有しているらしい。
そして彼は更に奇怪な物を発見する。
「入場条件・・・だと・・・?」
それぞれの扉にはその先の広間の名前だけでなはく「入場条件」までもが記されていた。
支援
右の扉から順に
1『平和の広間:参加者を一人も殺害していない者のみ入室可能、ただし同行者2人以上が必要』
2『四暗の広間:参加者を四人以上殺害した者のみ入室可能』
3『一発の広間:ゲーム開始から6時間以内のみ入室可能、6時間経過後に室内に居る者の首輪は爆破される』
4『国士の広間:第六回放送後のみ入室可能』
5『 』
となっている。
「最早、ここがただのホールじゃない事は明白だな。」
何故か、最後の扉だけは名前も入場条件も記されては居なかった。
不可解だったが、それは今考える事では無いだろう。
彼はまず『平和の広間の扉』に手を掛けた。
「…?」
しかしドアノブを回せない、どれだけ力を込めても手が表面を滑ってしまうのだ。
「……っなぜだ!?」
ためしに一発、銃弾を打ち込んでみてもドアには傷一つ付かない。
「馬鹿な……本当に、魔法だとでも言うのか!?」
二番目と四番目そして五番目の扉も同様だった。
しかし三番目の扉に手を掛けた時。
ガチャリ・・・。
扉は呆気なく開いた。
「やはり条件を満たした扉しか開ける事が出来ないのか、ならば急いだほうがいいな。」
条件が本当ならば首輪爆破の件も事実なのだろう。
早急に探索して脱出すべきだ。
彼は意を決して、扉の内側へと侵入した。
扉の向こうは非常に狭い廊下になっていた。
二人並んでは通れないだろう窮屈な通路が続いている。
いくつかの曲がり角を曲がった後、彼はようやく廊下の突き当たりのドアにたどり着いた。
ここが広間の入り口らしい。
「しかし、ここまで入り組んでいるとは…もしかすると本当に存在するのかもしれんな。」
彼が武器の調達場所にホールを選んだのは、比較的近所に在ったからという理由だけではない、この島にMSが存在する可能性を考えてのことだった。
殺し合いの道具としては強力過ぎるゆえ、その可能性は低いかもしれない、しかしゼロではない。
更に、一体だけでなく複数あると仮定するなら、そう強力すぎることもないのではないか。
少なくとも、『隠された武器』としてこれ以上強力な物は無いだろう。
彼の価値観ではそう感じられた。
ならばもしMSがあるとして、隠せる施設があるとしたらそれはどこか?
彼は『太陽光発電所』『城』『敵のアジト』そしてこの『ホール』に目星をつけたのだった。
結果、距離的に一番近かった『ホール』にやってきたわけだが、どうやらこれは正解だったらしい。
「ただのホールにしてはあまりに大きすぎること」
「手の込んだ仕掛け」
そして何より、『一発の広間の扉』の内側に入ってから聞こてきている
「謎の機械音」
「間違いない・・この施設は何かとんでもない物を隠している…」
口元を期待に歪めながら彼は目の前のドアを開いた。
結果から言うと、そこに彼が期待した物は無かった。
施設全体に比べて、かなり小さな広間の中央に一つ机がある。
その上に、USBメモリと防弾チョッキ、それに妙な布が置いてあるだけだ。
広間の中には入り口以外に扉は無い。
「ここはまだホール全体の中央部にも達していないはずだ、ハズレだったのか?」
結局彼は、この施設に何が隠されているか分からないままホールを出ることになった。
「他の扉を開く条件を満たしてからまた来れば言いだけのことだ、幸い収穫が無かったわけではない。」
あの広間で見つけた物だけではない。
実在する仕掛け。
魔法と思わしき不可解な現象。
これらを見ることが出来ただけでも価値があった。
「魔法か・・・とても信じられないが、ただのトリックにも思えない、何にせよ油断は出来ないな。」
そう呟いた彼は、再びバイクに跨り次の目的地に向かって走り出す。
周囲はまだ薄暗い。
しかし、青みがかった空の色は夜明けが近いことを告げていた。
【F−7/市街地/一日目/早朝】
【張五飛@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康
[服装]:マリーメイア軍の軍服 分厚いマント
[装備]:ラッキー・ザ・ルーレットの二丁拳銃(銃弾2発消費)@ガン×ソード ゼロの仮面@コードギアス 刹那のバイク@機動戦士ガンダム00 防弾チョッキ@現実
[道具]:デイパック、基本支給品、干将・莫耶@Fate/stay night USBメモリー@現実 ファサリナさんの三節棍@ガン×ソード
[思考]
基本:オレが参加者の脅威となる!
1:殺し合いに乗ったものは倒す。
2:ゼロとして『戦う意思』のない者達を追い詰める。……それでも『戦う意思』を持たなければ――
3:『太陽光発電所』『城』『敵のアジト』のどれかを目指し移動する
4:移動する過程で人の集まる場所に立ち寄り、参加者を見つけ次第、1か2の行動をとる
5:扉を開く条件を満たしたらまたホールに戻りたい
6:人間の本質は……
[備考]
※参戦時期はEndless Waltz三巻、衛星軌道上でヒイロを待ち構えている所です。
※バイクはデュオの私物だと思っています。
※船井たちの顔をはっきりと確認できたかどうかはわかりません。
※主催側が語る「魔法」について真剣に考え始めました。
※島にMSが隠されているのではないかと疑っています。
※妙な布が三節棍だと気づいていません。
支給品解説
【ラッキー・ザ・ルーレットの二丁拳銃@ガン×ソード】
ラッキー・ザ・ルーレットがロシアンルーレットで使っていたもの。
リボルバータイプのため、銃弾の装填数は6つ。
予備弾薬が一緒に支給されているのかは不明。
【ホールについて】
内部に五つの広間を有する巨大な施設、各広間にはそれぞれ入場条件がある。
右の扉から順に
1『平和の広間:参加者を一人も殺害していない者のみ入室可能、ただし同行者が2人以上必要』
2『四暗の広間:参加者を四人以上殺害した者のみ入室可能』
3『一発の広間:ゲーム開始から6時間以内のみ入室可能、6時間経過後に室内に居る者の首輪は爆破される』
4『国士の広間:第六回放送後のみ入室可能』
5『 』
条件を満たした者に同行していれば、誰でも入室可能?
扉の内部では謎の機械音が響いている。
『一発の広間』は一番小規模な広間で、机が一つとアイテムが三つ有るだけの部屋、アイテムは現在、五飛がすべて回収済み。
それ以外の広間の中身は後の書き手さんにお任せします。
『 』の入室条件に関しても後の書き手さんにお任せします。
USBメモリの中身も後の書き手さんにお任せします。
以上です
支援ありがとうございます
投下乙です
これは意味深な仕掛けが出てきましたなw
麻雀の役の名前の部屋か
そして現時点でそれを知ったのはごひだけだがどうなることやら
すいません
トリップミスってますね
多分長いトリキーを使ってるんじゃないか?
2ちゃんねるとしたらばじゃ認識するトリキーのバイト数が違うとか聞いたような。
とりあえずしたらばで投下終了宣言をしてくるといいと思う。
避難所でもいいかも。
まあ、別にどっちでもよさ気だよ。
>>92 投下乙です。
トリップですが、トリキーの最初の8バイト(半角8文字、全角なら4文字)だけ入れて書き込めば
したらばと同じトリップが出ると思います。
了解しました
ありがとうございます
投下乙です
おお・・・こういう条件付きのは面白いな・・・
何があるのか楽しみだ
アイディア良いと思います、乙でした
98 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 21:12:44 ID:QGrC2MDZ
連絡事項
突然で申し訳ありませんが今日の24:00(月曜日0:00) に予約解禁の予定でしたが
SSの修正により一部のキャラが予約出来ない状況の為、予約解禁をもう一日延長させてもらいます。
関係者並びに読者の皆様にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
投下乙です
なんとも怪しい扉、しかも麻雀と関係した名前と来るか
でも時間制限の割に大した道具じゃないな…いやUSBが実は味噌か…
拙作「生存本能」の状態表について、時間帯を「深夜」→「黎明」へ修正いたします。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
ルルーシュ・憂の話の修正が完了しました。
誤字脱字やちょっとした表現、ギャラのセリフ、状態表など修正させていただきました。
状態表の修正点ですが、ミニミ機関銃の弾丸消費
ルルーシュの[備考]欄にいくつか考察していた項目を追加しました。
憂の[備考]欄に「まだ裏切るつもりはない、裏切った時にギアスが発動する」と修正させていただきました。
拙くて申し訳ない限りですが、後を書く方にお願いします。
102 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 00:40:12 ID:F3Z5R22Z
死者が確定したので第一放送を代理投下します
『――おはようございます』
空中を疾ったノイズに続くように、音が流れる。
朝焼けに散らした光の粒子と電波を介して届けられる無機質な声。
おはようございます。
主催者から投げ掛けられる、二回目の『おはよう』。
既に夜は明け、月の代わりに太陽が、夜虫の鳴き声よりも照りつける日差しへと意識が逸れる。
『おはよう』とは朝、一日の始まりを象徴する言葉だ。
当然、この時間帯でこれ以上に適切な挨拶はないだろうし、単語の用途にも間違いがあるわけではない。
だが、これほどまでに『殺し合い』という空間にそぐわない言葉も中々存在しないだろう。
朝とは始まり。そして、この催しは終わりへと近づくためのモノ。
相反する二つの要素がぶつかり合う。
一日目午前六時。吐き出されたのは皮肉なほど、集められた人間に『日常』を想起させる言葉だった。
六十四を一へと削り落とす舞台へと、最初の幕間が訪れる。
◇ ◇ ◇
『おはようございます。インデックスです。
六時間が経過しました。一回目の定時放送を開始したいと思います。
尚、以後の放送においても同様ではありますが、放送内容の問い合わせには応じられません。ご了承下さい。
戦闘行為の最中にある方は、一度その状況から離脱されることを推奨します。
………………。
…………。
……。
よろしいでしょうか。それでは連絡事項を伝えます。
名簿に記されていない参加者、禁止エリア、そして死者の発表。
事前に伝えておいた事柄以外に一つ、こちら側からの連絡があります。
島内に設置された自動運行の列車についてですが、現在、諸事情で運行休止状態にあります。
詳しくは各駅構内の電光掲示板を参照下さい。
現時点では六時間後の本日正午付近に復旧予定ですが、作業の進行に遅れがあった場合は先送りになる可能性もあります。ご了承下さい。
島内での移動の際にはご一考頂けると賢明かと。
それでは続きまして、名簿未掲載の人物の名前を読み上げます。
【アーニャ・アールストレイム】
【安藤守】
【海原光貴】
【片倉小十郎】
【玄霧皐月】
【千石撫子】
【月詠小萌】
【中野梓】
【兵藤和尊】
【船井譲治】
【プリシラ】
【ユーフェミア・リ・ブリタニア】
以上、十二名です。
正確な文字の表記に関しては本人、もしくは関係者との接触時にお尋ね頂ければ。
聞き逃した方のため、もう一度だけ、繰り返させて頂きます。
【アーニャ・アールストレイム】
【安藤守】
【海原光貴】
【片倉小十郎】
【玄霧皐月】
【千石撫子】
【月詠小萌】
【中野梓】
【兵藤和尊】
【船井譲治】
【プリシラ】
【ユーフェミア・リ・ブリタニア】
以上、十二名。名簿に掲載されている五十二名と合わせた六十四名。
これが今回の帝愛グループ主催による《バトルロワイアル》の正式な参加者になります。
先の説明で『六十五名』と我々は発言しましたが、これは正確な数ではありません。
ゲーム開始前に死亡した【龍門渕透華】は正式な参加者には含まれません。
続いて、禁止エリアについて。
三時間後の午前九時以降、立ち入り禁止エリアが三つ増加します。
お手元の島内地図をご覧下さい。
今回の閉鎖エリアは【A-7】【B-7】【F-4】の三カ所です。
そして、最後になりましたが、《バトルロワイアル》開始から現在まで、今回の放送帯での死亡者を発表させて頂きます。
読み上げる順番は、こちらの確認した大まかな時系列、死亡順での報告になります。
厳密な死亡時間とは齟齬がある可能性があります。ご了承下さい。
【カギ爪の男】
【池田華菜】
【竹井久】
【玄霧皐月】
【加治木ゆみ】
【中野梓】
【月詠小萌】
【兵藤和尊】
【安藤守】
【片倉小十郎】
【プリシラ】
【千石撫子】
【リリーナ・ドーリアン】
【御坂美琴】
今回の死亡者は十四名。そして、現時点での残り参加者の人数は五十名になります。
私からの連絡事項は以上を持ちまして終了させて頂きます。六時間後の第二回定時放送でまたお会いしましょう。
最後に、遠藤の方から皆様へのメッセージがございます。それでは』
◇ ◇ ◇
『おはよう、諸君! 《バトルロワイアル》は満喫しているかな!
流石に六時間も経って、まだ現状が理解出来ていない愚か者はいない……そう俺は思いたいっ……!
さて。定時連絡自体は終わったわけだが、こうしてわざわざ俺が話している理由……それはなんだと思う?
余裕のある参加者ならば、俺が現れたことにブーイングをしたい者もいるかもしれない。
俺だって分かってはいる……!
むさ苦しい中年の男の声より、可愛らしい少女の方が数段『ホッ』とする……これは全くもって自然な反応っ……!
凄惨な殺し合いの中だからこそ、人は求める……癒しをっ……清涼剤をっ……!
それだけじゃない! この放送の最中は、間違いなくゲームにおいて『一番安全な時間』でもあるっ……!
睡眠……食事……その時間さえ惜しむ猟犬がこの時だけは牙を休めるっ……!
六時間に一度の安らぎを壊された諸君らは非常に憤慨しているだろう。
が、少しだけ考えてみてくれ。こっちだって鬼じゃない……諸君らの幸せの時間を壊してまで、話すだけの理由があるっ……!
さぁ、少しだけ考えてみてくれ。
今、インデックスの口から十二名の名前が呼ばれ、名簿が完成した……。
断っておくが、挙がった名前に嘘はない。
先の十二人は確かにこの島に存在するし、死亡者として名前を呼ばれた者は既に事切れているっ……!
だがこの定時放送で、大抵の人間はこう思ったはずだ。
『随分と、同じ名前が読み上げられるものだな』……と。
どういう、意味だと思う? これはヒントっ……いや、俺からの『ご祝儀』だと思って貰いたい!
物事を深く考える癖を付けておくのは決して悪いことじゃないっ……!
次は……正午だな。昼飯を食べながら、余裕を持ってこの放送を聞けるような人間が一人でも多く出ることを祈っている。
暴飲暴食は身体に毒だが……朝も昼も抜いて、まともでいられるほど人間の身体は頑丈に出来ていない。
それでは、これで本当の意味で放送を終えるとしよう。諸君らの奮戦に期待するっ……!』
◇ ◇ ◇
朝が終わり、状況は次のステージへと移行する。
ノイズの消滅と共に、人間の様々な感情が交差する狂乱の舞台の幕が――上がる。
【第一回定時放送終了(ゲーム開始六時間経過)@残り五十人】
106 :
インターミッション――《第一回定時放送》 ◇tu4bghlMIw 代理:2009/11/23(月) 00:46:58 ID:F3Z5R22Z
代理投下終了です
改行の為、少し変更させてもらいました
遠藤、下が回るなw
でも重要なことも言ったような気が?
さて、これを聞いて参加者がどう動くか
放送乙です
最終的に死者14人中8人が名簿外になったのか
遠藤さん意味ありげなこと言っているがこれは本当にヒントになり得るのか?
櫓が可哀想…
禁止になっていく以上、そういう場所が出て来るのは仕方ない
探偵コクトー君と武器探し人ハゲうーへーに頑張って貰って、
土地の残るフラグを立てていってもらうしかない
火山だの城だの面白そうな施設はまだまだあるし
人だけじゃなく、施設もサバイバルだったんだな
櫓はさらっと士郎が調べてるしなぁ
112 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 14:33:42 ID:uu0myHwj
連絡事項
予約解禁の目途が立ちましたので今日の24:00(火曜日0:00)に予約の解禁を行います。
興味のある方は振るって募集してください。
そしてこれまで関係者にご迷惑をお掛けしたこと、深く謝罪いたします。
許さん
アニキャラバトルロワイアル
予約バトルロワイアル
書き手バトルロワイアル
施設バトルロワイアル
115 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 17:53:16 ID:ZWXWLil+
久しぶりに来たら安藤が死んでるなんて…
意気込んでてもカギ爪に言い訳しながら
結局仲間を裏切る姿を書きたかったのに
なんだかんだで死亡フラグ立てまくってたし仕方ないんじゃね
つーかあと六時間で予約合戦か…
今回は前と違って生存者の3分の2が埋まると予想
さすがに登場話とは違うから2.3パート余ると思う
118 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 21:00:55 ID:uu0myHwj
後三時間で予約解禁か
なんだかんだで予約は埋まっちゃうんだろうね
で「まだまだ人がいるから大丈夫!」って諸問題に蓋して突き進み、
本当にどうしようもない状態になって初めて立ち止まる、と。
ジャンロワと同じ軌道だな…
人気ある組ってどのへんかな
筆頭、神原
ギャンブル船
刹那ホンダム
あたりか
あとバーサーカーが便利にあっちこっちにおよばれしそう
信長とアーニャがどこまで続くかは気になるところ
>>119 ジャンプロワは主催トリオが圧倒的に強すぎるので
最初から破綻するのは目に見えていた
破綻の理由に主催は一切関係なかったけどな
ギャンブル船は間違いなく奪い合い・・・!
いやややこしいから残ると見た
だがギャンブル船は優先的に処理しないと詰むぞ
ギャンブル船沈没させようぜ
船組と船井組がいいな
若本繋がりで信長を投入だろ
よし衣の謎の力発動で船沈没だ
まず夜が明けるから確実に無理だな
132 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 23:07:34 ID:uu0myHwj
後一時間か
どきどきする
予約合戦激しすぎワロタ
結構船井組人気なんだな
有効なのはコレくらいかな
406 名前: ◆tu4bghlMIw[sage] 投稿日:2009/11/24(火) 00:00:00 ID:NXhjo0XA
ルルーシュ・ランペルージ、平沢唯、平沢憂、琴吹紬、船井譲治、東横桃子、レイ・ラングレンで予約。
407 名前: ◆fQ6k/Rwmu.[sage] 投稿日:2009/11/24(火) 00:00:00 ID:Ulytp6hU
セイバー、阿良々木暦、真田幸村を予約します
10 名前: ◆WWhm8QVzK6[sage] 投稿日:2009/11/24(火) 00:00:01 ID:Zj8ScJfM
戦場ヶ原ひたぎ、上条当麻を予約します
411 名前: ◆0hZtgB0vFY[sage] 投稿日:2009/11/24(火) 00:00:02 ID:hmU8ZYmY
天江衣、グラハム・エーカー、利根川幸雄、白井黒子、秋山澪、衛宮士郎、伊藤開司、八九寺真宵、明智光秀予約します
413 名前: ◆1U4psLoLQg[sage] 投稿日:2009/11/24(火) 00:00:03 ID:o9P2.KUk
ヒイロ、ファサリナ予約します
414 名前: ◆zsYinY96dc[sage] 投稿日:2009/11/24(火) 00:00:00 ID:vCCyYMu2
トレーズ・クシュリナーダ、福路美穂子予約します
417 名前: ◆SDn0xX3QT2[sage] 投稿日:2009/11/24(火) 00:02:03 ID:ck/vkUsU
神原駿河@化物語、伊達政宗@戦国BASARA、枢木スザク@コードギアス を予約します。
この様子だと予約即投下はないっぽいか
余り
・海原光貴 [E-2/線路沿い/一日目/早朝]
・ゼクス・マーキス [D-6/デパート/一日目/早朝]
・一方通行 [C-6/草原南東部/一日目/早朝]
・戦場ヶ原ひたぎ [F-5/駅構内談話室/一日目/早朝]
・上条当麻 [F-5/駅構内事務所/一日目/早朝]
・デュオ・マックスウェル、両儀式 [D-6/駅前/一日目/早朝]
・ライダー [F-3/駅付近線路沿い/一日目/早朝]
・田井中律、キャスター [C-5/神様に祈る場所/一日目/早朝]
・黒桐幹也 [C-5/神様に祈る場所・礼拝堂/一日目/早朝]
・荒耶宗蓮 [E-5/展示場 地下/一日目/早朝]
・浅上藤乃 [E-2/学校・3F化学室/一日目/早朝]
・張五飛 [F-7/市街地/一日目/早朝]
・アリー・アル・サーシェス [E-5/市街地 路上/一日目/早朝]
・バーサーカー [E-3/工業地帯/1日目/早朝]
・刹那・F・セイエイ、本多忠勝 [E-4/市街地/1日目/早朝]
・織田信長、アーニャ・アールストレイム [E-2/橋/1日目/早朝]
・ユーフェミア・リ・ブリタニア [E-1北東部/路上/一日目/早朝]
・ヴァン [F-1/エリア中央部/1日目/黎明]
ひたぎと上条さんは予約されてるよ
放送後の動揺が覚めやらぬ船に光秀襲来とか楽しみすぎるw
むむ、こうか
・海原光貴 [E-2/線路沿い/一日目/早朝]
・一方通行 [C-6/草原南東部/一日目/早朝]
・デュオ・マックスウェル、両儀式 [D-6/駅前/一日目/早朝]
・ライダー [F-3/駅付近線路沿い/一日目/早朝]
・田井中律、キャスター [C-5/神様に祈る場所/一日目/早朝]
・黒桐幹也 [C-5/神様に祈る場所・礼拝堂/一日目/早朝]
・荒耶宗蓮 [E-5/展示場 地下/一日目/早朝]
・張五飛 [F-7/市街地/一日目/早朝]
・バーサーカー [E-3/工業地帯/1日目/早朝]
・刹那・F・セイエイ、本多忠勝 [E-4/市街地/1日目/早朝]
・織田信長、アーニャ・アールストレイム [E-2/橋/1日目/早朝]
・ユーフェミア・リ・ブリタニア [E-1北東部/路上/一日目/早朝]
・ヴァン [F-1/エリア中央部/1日目/黎明]
ここで光秀をギャンブルに誘えたら凄い
いや案外乗ってくるのか?
バサカ、ホンダム組も来たな
しかし動かしにくいとはいえユフィとヴァンは人気無いなぁ。。
まあ位置が悪いのも関係あるんだろうな
ヴァンにはカギ爪死亡のリアクションに加えて1/1橙子さん人形というオマケまでついてるからなw
てかあいつ、酔っ払って爆睡してたことね?
放送聞き逃してたら笑うぞw
次々に予約が埋まってくなw残りちょっとだ
ユフィはしばらくボッチにしてルルやスザクの方から探させればいいんじゃない
確かにユフィはしばらく泳がしたほうがよさそうだなw
船組やら北上している連中やらが分散するだろうし
第一回放送で影響力の強い死者は誰になるだろうか?
一番はダントツでカギ爪なのは間違いないw
>>150 ビリビリも影響でかいと思うぞ
上条さんはまだ大丈夫そうだが
海原と黒子には確実に影響出るし前者はマーダーになりかねん
上条さんは誰が死んでも反応は一緒っぽいけどなー
リリーナの死はヒイロとゼクスに甚大な影響を与えそうではある
っていうかゼクスがどう動くか全く分からん
よりによって次に邂逅するのがサーシェスだし
それじゃまるで上条さんが阿呆みたいじゃないですかー
記憶がないんで仕方ないんです><
ヴァンが反応してくれなかったらプリシラが……
カギ爪さんとユフィ(死んでないが)は影響がでかいだろうな
155 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 10:46:37 ID:2mfpbVAx
とりあえずアニロワ1stから唯一通勤している衛宮士郎に賞を贈りたいと想うのは自分だけ?
1st2ndの士郎さんはどんな感じだったの?
投影できない士郎じゃ、ちょっと頑丈な盾にしかならなくない?
1stは盾死。
2ndはカリバーンや干将・莫耶を投影して結構頑張った。
まあ今回はロワ内で投影覚えて活躍してもいいじゃない。
さくっと死ぬかもだけどさ。
>>156 弓の腕は達人レベルだと思うの
どこから調達するかが問題だし、援護に徹する性格じゃないから意味ないけど
>>152 動かし方に困るから次で処理するんでしょ
さすがエロゲ最低主人公の1人に名を連ねる士郎さんだぜ
警告を無視し何の危機感もなく丸腰で登校。凛に殺されかける。
懲りずにまたも丸腰で学校へ。ライダーに殺されかける。
不用意に戦闘地域に顔を出し、セイバーの捨て身の攻撃で事なきを得る。
またしても単独行動し、イリヤに監禁され、アーチャーを捨て駒にして脱出。
のこのこ冬木教会に出かけあっさり捕まり、ランサーを捨て駒にして脱出。
/\___/ヽ
/'''''' 士郎'''':::::::\
. | (。), 、(゚)、.:| あばば・・・セイバーは女のこだからあふッうっ・・・
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| おうッ・・ああッ戦っちゃ駄目ぇ・・・・・
. | mj |=‐ァ' .::::|
\,〈__ノニニ´ .:::/
/ノ ノ -‐‐一´\
士郎さんだから仕方ないね!
桜ルートの士郎さんならガチでかっこいいんだが・・・
あのバサカとガチ戦闘した時はもはや別人のようだったからな
理想を求めすぎて足手まといになる、セイバールートが酷すぎる
>>156 2ndでは折角対主催組で拠点に集まったのに(しかもイリヤとも合流)「皆に美味しい中華料理を食べて貰いたいから」という
アホ過ぎる理由で食料調達の為に単独行動→ロワ中最強クラスのマーダー(東方不敗)に人質に取られるというマヌケっぷり
書き手が強引にでも話を動かしたかったんだろうけどあんまりだったな
ひでえw
それじゃ山岡の士郎さんだろw
料理の買い出し町まで 出かけたら〜 東方 不敗に 捕まる〜 士郎〜♪
サザエさんの歌に当てはめればこんな感じだったな>2ndの士郎
でも実際そんくらい迂濶だよな
原作は知らんがこのロワには関係ないし
アニメの士郎さん駄目な面ばかり出てるからなぁ…
アーチャーの腕さえ移植すれば士郎だって……!
>>168 それしたらもれなく時限爆弾付き
これ一応ゲームであるが、説明さえちゃんとされれば実現可能なんだよなー
まず無理そうだが
>>168 ギャルゲロワでそれやったら
見事に時限爆弾奉仕マーダーになられましたとさ
マーダーは腕のせいじゃなくてルートのせいだと思うけどなあ。
時限爆弾は仕方ないけど。
ここからさらに剣製を使えてアヴァロンを備えたパーフェクト士郎になればガンダムだって敵じゃないぜっ!
……10秒ぐらいで自滅しそうだが。
桜ルートの士郎の駄目っぷりは異常
ヒロインの本性を見たら即バッドエンド。ヒロインを忘れて男に告白する始末
アニメだと内面描写がないから駄目っぷりが倍率ドン
なんだかんだ言ってみんな士郎好きなんだなw
アニロワで士郎さんに期待しちゃ駄目ってことだなw
今度の映画ではマシになってるといいけど
ららららさんに期待してます
>>172 Fate把握してないんだが、男男のBAD END的なルートもあるのかw
Fateの声優陣は士郎が嫌いで、アーチャーや我様が好きな人が多いと聞いたが
>>176 無茶した反動で記憶が消える→ヒロインを忘れる→(ここで分岐)
1.ラスボスとの決着直後に実はラスボスが好きだったとツンデレを自覚
2.ヒロインじゃない少女の名前を思い出して俺が代わりに死ぬと言い出す
……そんな話だっけ?
つーか2がトゥルーエンド……のはず。
あれは確か省略されたイリヤルートの片鱗
というか、分岐すると1、2両方見てトゥルーだろ
グッドエンドだとコトミーでてこねーよ
麻婆とのタイマンよりは黒セイバーをタイマンで倒した場面の方が好きだな
結局BADだけど
おいおい、ひたぎと上条さんは二人だけでいったい何話使う気なんだよ
そろそろ他の奴と絡んでもいいんじゃないかww
ガハラさんたちはアチャと合流するようです。追加予約あり。
ヴァン代理投下しようとおもうのだがいいかな?
そこはあの日のままだった。気がつくとヴァンは長く赤い絨毯の上に立っていて、目の前に自身が打倒した師がいた。
「ガドヴェド……? なんで」
「何を呆けている。今日はお前の――お前たちの記念すべき日だというのに」
「んあ?」
周りを見れば、どこか見たような連中が長椅子に座っている。ヘンなカップル、ヘンな水兵、ヘンな水着の女とヘンな下着の男。
ヘンな……。そんな多くの人間の中に、見知った顔があった。自分にもっとも近い、最前列の長椅子だ。
「ウェンディ、これはどういうことだ」
するとエビフライのような髪型の少女は驚いた顔をして、
「何言ってるのよヴァン。あなたの結婚式じゃない」
隣で短い青髪の女がため息を吐く。
「そうよ。ウェンディやアタシをつっぱねて結婚するんだから、幸せになりなさいよね」
「はあ?」
そこで初めて、隣に誰かがいるのに気づく。純白のウェディングドレスに身を包んだ女性。
顔はベールに覆われて、誰かは分からない。
「それでは誓いの口づけを」
神父であるガドヴェドがそういうと、ウェンディたちとは反対側の席が沸く。
『よっしゃ。一発キツいのをお見舞いしてやれ』『我が弟子よ、正義のキッスというものを見せてやれ』
『うむ。口付けとは神聖でなければならん』『わしじゃだめかい?』『駄目にきまってます!』
「…………」
ヴァンは恐る恐るベールを剥ぐ。もしかしたらエレナかもしれない。そうでないにしても、相手が誰かは気になる。
「ヴァン」
そこにいたのは……。
「プリシラ……」
自身を好きだといってくれた、少女の姿がそこにあった。その顔は笑っていて、泣いていて……よくわからない表情だ。
「ごめんね、ヴァン。返事を待つのも聞きにいくのも、できなくなっちゃった」
「それはどういう」
その先は口から出ることはなかった。彼の視界は少女の顔が大部分を占め、その涙がきらきらと輝いているのが見える。
やがて自分が何をされているのか認識した時、自身と重なっていたプリシラは突然体勢を崩した。
「おい! どうし……」
抱き上げようと手を伸ばすが、彼女の体に触れることなく、腕は少女を通り過ぎた。何度やってもそれは変わらない。
まるで雲を掴もうとしているみたいだ。
「くそっ、くそっ! なんで掴めない!」
「ヴァン、『死』とは何だろうな」
顔を上げると、ガドヴェドは悲痛な表情をヴァンに向けていた。
そこで初めて周囲の人間が消え、教会だったはずの場所が真っ暗闇な空間になっていたことに気づく。
「お前は私と同志を斬った。しかしそれがはたして『死』なのだろうか」
「何わけのわからないことを言ってやがる!」
人は斬られれば死ぬ。そして死んだ人間は生き返らない。
その絶対原則をヴァンは叫ぶ。すると強面の男はふっと顔を綻ばせる。
「そうだ、それでいい」
そこでヴァンの視界はブラックアウトした。
「うっ……」
朝日が目にささるような感覚とともに、ヴァンの意識は覚醒していく。
どうやら調味料に酒が含まれていたらしい。もうあの弁当は食えたものじゃない。
男は直前まで使っていたみりんのボトルと喰いかけの弁当を、とりあえずそばで未だに眠り続けている女性の前に置いておく。
もしかしたら食べるかもしれないし、食い物を粗末にするのは気が引けた。決しておしつけたわけではない、決して。
「…………」
寝る前のことを思い出す。カギ爪、レイ、ファサなんとか……。死んだはずの奴らがなぜか生きていて、ここにいるらしい。
…………。
…………。
…………。
「まあいいか」
そういうことは会った時に考えればいい。もしかしたら間違って載せたのかもしれない。
少なくとも自分は直接カギ爪の死を見ている。そっちの方が、こんな紙切れの情報より絶対に真実なのだ。
「なんかまた腹減ったな」
それからしばらくして、弁当と牛乳をひとつずつ平らげたヴァンは、再びショッピングセンターに舞い戻っていた。
することがあるわけではない。少なくともあそこにいるよりはマシだろうという考えだ。
「お……」
そこでヴァンはあるものを見つけた。男ならば――いや、ここはあえて漢と表記させてもらおう――誰しもが興味を抱くであろうそれに、その漢も例にもれず、興味津々という面持ちで向かっていった。
数十分後、ヴァンはとある機動兵器――モビルスーツ(MS)を操っていた。
オレンジのカラーリングをしたそのMSの名は、アリオスガンダム。
ほかにも色々な種類があったが、ヴァンはこのMSの変形機構が自身のヨロイであるダンと似ているのでこれを選択した。
「なかなかいいもんだな」
そう感嘆するヴァンの顔は、まるで少年のような輝きを放っていた。
アリオスはヴァンの意のままに宙を浮かび、空を舞う。停止、着地。
GNビームサーベルをふりまわす。再び飛翔。今度は変形し、飛行形態で中空を漂う。
「これからどうするかな」
空を見上げ、ふと考える。当面のメシは確保した。アリオスを手にした今、暇で時間を持て余すことはないだろう。
…………。
…………。
…………。
「まあいいか」
とりあえず、アリオスの改造でもしよう。意気揚々と追加武装と思われるパーツを調達するその男の姿を、緑のデュアルアイは静かに見守っていた。
仮にこのガンダムに意志と発声機能があるならば、おそらくこう言うだろう。
『こんな状況で何をしているんだ、この馬鹿は』、と。
【E-1/模型店内/1日目/朝】
【ヴァン@ガン×ソード】
[状態]:満腹、アリオスに夢中
[服装]:黒のタキシード、テンガロンハット
[装備]:ヴァンの蛮刀@ガン×ソード 、アリオスガンダム@現実
[道具]:基本支給品一式、調味料×大量、徳用弁当×6、1L入り紙パック牛乳×5
[思考]
基本:何をしたらいいのか分からないが、自分の感情の赴くまま行動する
1:とりあえずこれ(アリオス)で遊ぶ
2:向かってくる相手は倒す
3:主催とやらは気にくわない
[備考]
※26話「タキシードは明日に舞う」にてカギ爪の男を殺害し、皆と別れた後より参戦。
※ヴァンは現時点では出会った女性の名前を誰一人として覚えていません。
※死者が蘇生している可能性があることを確認しましたが、結論は保留にしました。
※蒼崎橙子の人形@空の境界はF-1に放置しました。
※第一回放送を聞き逃しました。
【アリオスガンダム@現実】
ガンダムの支援機を支援するガンダム。一部からは船の備品だと思われている。パイロットの必要性は賛否両論である。
●MSの最大特徴を再現する1/100シリーズ。アリオスガンダムの“変形”機構を再
現しながら、より組み立てやすいパーツ構成を実現。
●飛行形態へ変形可能。先端は分かれてクローに。各種ロック機構で変形も簡単。
●遊び方を考慮した変形後のロック。変形機構を利用した力強いポージング表現が可能。
●付属品:GNビームサーベル x 2、GNツインビームライフル x 1、GNビー
ムシールド、武器用握り手×2(左右)アクションベース対応ジョイントパーツ(MS
用・飛行形態用2種)
定価:\2,730
しかもフラグらしきものも一切立たないしなw
ららら木さんと上条さん
似たところもありそうなのにね
ただ、インデックスが真っ裸になった時の反応は分かれそうだ
代理投下終了。
とりあえず誰かと合流せんとえらいことになるぞヴァーンwwwwwwww
ガンプラって・・・
これがありならアニメ誌現地支給で各世界の把握もありってこと?
投下乙です
放送聞かなかったのは良かったのか悪かったのか
そしてついにハブラレルヤさんが・・・!
あのプラモには携帯充電器として隠された機能が・・・!
乙です
ヴァンさんなにしてんすかw
ガンプラは刹那が喜々として作りそうだが、さて
ガンダムプラモコーナーw
ハムが見たら壊れそうwww
>>190 アニロワには伝統的に現地支給品がヤバイって裏設定がある
そのうちロボットとか平気で出てくるからこういうのが嫌なら去れ
今回はダブルオー(ダブルゼロ)とW(ダブル)ガンダムゼロという美味しい絡みもあるからな
ケロロが参戦してないことが悔やまれるな
ピザハットに続いてバンダイもスポンサー企業か!?
ガンプラで魔法を買ったのか
ガノタなその道の人でもいたんだろうか
投下乙です
ヴァン、序盤の流れからプリシラの死に気付くかと思ったら……なに呑気にガンプラで遊んでいるんだよwww
一瞬モノホンに出てきたかと思って驚いたぞw
投下乙です
おまえはwwwww
一人はロワでこんなことする人間は出るんだよな
恐慌状態よりは遥かにマシだけど憧れないのは何故だろうw
まあ、怖そうな組み合わせの予約は他にもあるしな
ギャンブル船より同作キャラ同士の船井組関係の方が怖そう
船井組とルルーシュ組、それにレイの同時予約だもんなw
投下乙です
ヴァンおまwwwww
遊ぶなwwwww
ヴァンってぐうたらしてても「働け!」じゃなくて「似合うってからしい」だから困るw
そこが魅力の一個なんだがw
ファサリナ、ヒイロ投下開始
早朝から行動を開始し、目的地にたどり着いた次の瞬間。
二人の耳にも、その放送が届いた。
・・・・・
『……今回の放送帯での死亡者を発表………死亡順での報告になり………【カギ爪の男】 ……今回の死者は以上……それでは…』
ストン・・・と尻餅をつく音が辺りに響いた。
「そんな……!」
その放送の内容にファサリナは全身から力が抜け、地面に崩れ落ちる程の衝撃を受けていた。
それは彼女にとって、考えうる限り最悪の事態。
起こりうる可能性として確かに意識していた、しかしまさか本当にこんな事になってしまうとは。
これからだったのだ、紆余曲折あったが何とか一人の心強よい協力者を得ることができた。
この絶望的な状況でやっと少しの希望が見えてきたというのに。
ようやく、これから彼女の信じる一人の男、いや彼女の夢そのものを守るために動き出そうとしていたというのに・・・。
「同志…」
まさか、その対象がこんなにもあっさりと死んでしまうとは・・・。
同志の悲報にファサリナは一瞬目の前が真っ暗になった。
(私は……これからどうすれば…)
行動の指標を失った彼女は、ノロノロと思考する。
根本的に行動方針を変えなければならない。
(残された道は……殺し合いに乗る?)
しかし、それは正に茨の道だろう。
主催者の強大さをいち早く理解した彼女は、この殺し合いがいかに過酷な物か…他のどの参加者よりも理解している。
(それでも…やらなくては…世界の…私の夢が…)
絶望的状況に突き動かされ、彼女が一つの意志を固めようとしたその時。
「感情に従って行動するのは正しい」
傍らに立つ少年の声が聞こえた。
「だが、動揺に駆られた短絡的行動は必ず取り返しの付かない失敗に繋がる、冷静になれ…ファサリナ」
これはヒイロ自身に経験の在る事だった。
トレーズ・クシュリナーダの罠に嵌り、自ら連合の平和主義者達を手に掛けてしまった事を、ヒイロは忘れたことが無い。
そんな経験があるヒイロの言葉だからこそ、それは異様な説得力を伴ってファサリナの胸に響いたのかもしれない。
「ヒイロ……」
湧き上がってきていた絶望感と焦りが、少しだけ引いていくのをファサリナは感じた。
「すみません…取り乱してしまって……」
心中で半ば混乱しかけていた自分と違って、この少年は常に冷静だ。
「別にいい、だが状況が変わった、一度物事を整理する必要がある。いったん館の内部で落ち着くべきだ」
「そう…ですね」
今は兎に角、いったん状況を整理する必要がある。
一人で途方にくれながら考えるより、この少年の意見が聞きたい。
自分がこれからどう行動するか決めるのは、それからでも遅くは無いだろう。
未だ重苦しい顔つきだが、ファサリナはなんとか立ち上がり、そして見上げた。
エリアC-3
そこに立つ『憩いの館』を
第一回放送前、二人は同志および他の参加者と接触するために、この憩いの館へとやって来る事を決めていた。
ファサリナは南下しようと提案したが、ヒイロが反対し、山中に行こうと言い出したのだ。
「どうしてですか?山中などに長く留まろうとする者は少ないはず、より多くの参加者に接触するならば、工業地帯に向かうべきでは?」
「いや、それだと出会う人物があまりに無差別すぎる、あくまで俺たちが探すのは同志だけだ」
「同志が、山中にいる可能性が高いという事ですか?」
「そうだ、殺し合いに乗った者は人が密集しそうな地域に行くだろう、なら逆に平和主義者である同志が向かいそうな場所は?」
「なるほどぉ、人があまり集まらない場所……ですか」
「推測だがな」
「分かりました、では一度この『憩いの館』まで行ってみましょう、そこで誰も居ない場合は、南下することも考慮する、ということで良いですか?」
「……それでかまわない」
こうして、二人は徒歩で山中を歩き、憩いの館までやって来た。
時間軸は現在へと戻される。
館の外観は、一見してホラーハウスのようだった。
三階建ての木造建築物が、もはや倒壊寸前の如く傾いている。
「これは…中に入っても大丈夫なのでしょうか・・・?」
「玄関の状況しだいでは、侵入は諦めた方が適作かもしれん」
しかし館の内部はその外観とは間逆にしっかりとした館のようだった。
壁や床は小奇麗でしっかりと掃除されいる、とても倒壊寸前には見えない。
玄関から入って正面はいきなり壁で、左右に長い廊下が続いていた。
清潔な絨毯が廊下の奥へと伸び、壁に掛けられた幾つものランプに照らされている。
左右どちらの廊下を覗いても階段は見当たらない。
廊下突き当たりの曲がり角の奥にあるのだろうか。
「外と中とで全然違いますねぇ…」
「ここまでくると異常だな、外観はホログラムか何かで偽装しているのか、何の目的があってのことかは知らないが、少なくとも倒壊の危険は無さそうだな」
そうして、二人が左右どちらの廊下を進もうか決めかねていた時。
「!!」
「!!」
左の廊下奥から、やたら甘ったるい歌詞の曲が大音量で流れ出してきた。
『キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI♪揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ♪』
「何でしょうか……歌?」
「既に人が居るのか?いくぞ」
「あ…ちょっと…待ってくださぁい!」
すぐさま、左側に向かって走るヒイロを追って、ファサリナもまた廊下を駆けた。
流れる歌を聴きながら。
『いつもがんばる♪(いづもがんばる)キミの横顔♪(ギミの横顔)』
(なんだか心が軽くなるような歌ね)
きっと、この歌を作り上げた人達は、本当の意味で平和な環境に身を置き、自分の世界を愛していたのだろう。
この曲には、ファサリナにそう思わせる何かがあった。
最低でも彼女は、自分のいた惑星で、このような歌を聴いたことが無かった。
(きっと素晴らしい人達なのでしょうね、もし出会うことができたら、是非お友達にないたいです)
ただし、この会場で出会うことは無ければいいが、と付け加えてファサリナはその思考を打ち切った。
その歌は左の廊下の突き当たりにある部屋の中から聴こえてきていた。
ファサリナが部屋の扉の前にたどり着く頃には、既にヒイロは部屋の中へとずんずん進んでいた。
「これは…音楽室?」
部屋奥の四並べられた机の上にCDラジカセがあった。
謎の曲は、ここから流れていたらしい。
『ふわふわ時間♪(ふわふわ時間♪)ふわふわ時間♪(ふわふわ時間♪)ふわふガチャ!!……』
ヒイロがラジカセの停止ボタンを押すと、曲の再生は即終了した。
「ああっ……」
背後から何故か残念そうな顔をしたファサリナが部屋に入ってくる。
「どうかしたのか?」
「…いいえぇ、別になんでもありませんよ」
「……?」
その部屋は、とある女子高等学校の音楽室そのものだった。
参加者の内、数人の少女がこの部屋を見れば、一瞬日常に回帰したと感じてしまうかもしれない。
館の中に何故こんな部屋があるのかまったくもって謎だが、そもそも外観の仕掛けからして謎なのだ、考えても仕方がないと二人とも思った。
机の横にはホワイトボードがあり『めざせ武道館!!by軽音部!』と記されている。
「武道館を目指せ…だと?この軽音部と言う奴はなんだ?主催の仲間か?」
しかし地図上に『武道館』などという地名は無く、このメッセージは現状意味不明だ。
「さて、この辺で良いだろう」
「そうですね」
並べられた四つの机に対応するように、傍らに4つ椅子が並べられている。
ふたりはそこに、ゆったりと腰掛けた。
正直気が休まる場所ならもう何でも良かったと言うのが本音だろう。
ヒイトとファサリナはとりあえずこの「軽音学部の部室」を現状整理の話し合いの場とした。
これからが本番。
歩きつかれた足を休ませる事が出来ても、まだ彼等が緊張を解く事は無い。
そこから、しばらく議論し、ようやく二人は本当の意味で落ち着く事が出来た。
話した内容は以下の3つ
@同志は本当に死んだのか?確認する術はあるのか?
A死んだとして、ファサリナはこれからどうするのか?
B主催に対抗する為にまず何をするのか?
まず『@同志は本当に死んだのか?確認する術はあるのか?』だが
おそらく、同志は八割方死んでいるだろうとヒイロは考察した。
生きているパターンとして、もっとも単純なのが放送が虚偽だった場合だが。
同志を探す前からヒイロはこう語っている。
『このルールに説得力を持たせるつもりでいるのなら、予定されている放送、特に一回目は正確に事実を提示するだろう』
これにはファサリナも同意見だった。
だが、そこで更に、ヒイロはもう一つのパターンを提示した。
そもそも、同志がこの島にいなかった可能性だ。
つまり、名簿が虚偽である可能性。
この島に同志とそれに従うファサリナが呼ばれ、この早期に同志が死亡したと言う放送。
もしかしたら、主催者側はこの放送を聞いた彼女が何を思うか計算していたのではないか。
彼女を殺し合いに乗せる為だけに、名簿に「カギ爪の男」を記し、早い段階で死んだと放送する。
また、虚偽でなくとも何故同士だけが「カギ爪の男」などと抽象的な表記なのか?
ファサリナは、自分やヴァンの名前が名簿にあることから同志本人だと解釈したが、この表記では「誰か別のカギ爪をつけた男」である可能性も出てくる。
(同士がまだ生きているかもしれない…?本当に…?)
そうであってくれればどれだけいいかとファサリナは思う
だが、これはあくまで希望的観測だ。
しかし、ありえないと言い切れる話ではない。
一応、想定される可能性として考えておいても良いだろうと二人は判断した、最低でも同志本人が死ぬ場面を目撃した者に出会うまでは・・・。
次にAだ。
これが一番重要なこと。
二人の今後の動向を左右する重要な事柄。
一度は動揺に突き動かされて、殺し合いに乗る決心を固めかけたファサリナだったが、ここに到るまでには十分落ち着くことが出来ていた。
そして、冷静になった彼女が下した結論は。
「とりあえずは、同志が本当に亡くなっているのかどうかを、確認したいと思いっています」
ひとまず様子を見る事だった。
同志が生きている可能性がある以上迂闊に殺し合いなど始められない。
とりあえず、同志の死を目撃した人を見つけてから決めても遅くはないだろうと彼女は判断した。
そしてなにより・・・。
「それに、あなたは『主催者の技術を奪い反撃する』といいましたね」
「そうだ」
「それが本当に成功すれば、彼らから『人を生き返らせる力』とやらも奪えるかもしれません」
「だから…俺に協力すると?」
「私は少し、貴方に掛けてみたいとも思えるようになりました」
彼女は主催の強大さに恐怖し、同志が死んだと聞かされた時も、とっさに殺し合いに乗ることしか浮かばなかった。
しかし、もっと早い段階でヒイロは『主催から技術を奪う』と宣言している。
この少年の精神力の強さは半端な物ではない。
ならば一度そこに掛けてみても良いのではないか?
主催を倒すなど、正直到底不可能な事ではないかと思う。
だが、この殺し合いを勝ち抜くことと主催を打倒すること。
そのどちらが難しいかなど、今は決められない。
(ここはもう少し待ってみましょう)
今はヒイロと共に主催者打倒に向けて行動し、とりあえず同志の死を確かめる。
そして、もしヒイロと共に主催者を追い詰めることが出来るのなら良し。
だがもし、何も出来ないままヒイロが死に、参加者が順調に減っていってしまうような事になれば・・・。
(このゲーム盤が主催者打倒に傾くのなら私も主催打倒に徹し続けましょう、けれど、ひたすら殺し合いが苛烈するようならば私も殺し合いに乗ります)
これが今より彼女の行動方針となったのだ。
「了解した、今はひとまずお前と協力することにしよう」
「ありがとうございます」
「だがもし、お前が殺し合いに乗るような事があれば……」
「私を殺す……ですか?」
少年はただそれに対して、無言で頷いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで話が纏まったにもかかわらず最後のBは意外と難航した。
まず、この屋敷を十分に探索して、それが終わるまで誰も参加者が訪れなれれば、移動を開始する。
ここまでは二人とも同意見だった。
しかし、「どこに移動するか」で二人の意見が分かれたのだった。
「まずこの間欠泉に向かう」
「さらに山を上るのですか?何故です?」
「これだ」
そう言ってヒイロは一枚の紙を見せた。
それはヒイロの支給品の一つ。
『【B-2】と記された小さな紙切れ』である。
「そのような紙切れ一つの為に行動するのですか?」
「一人三つしかないと思われる支給品の一つにただの紙切れ…あまりに素っ気無さ過ぎて逆に不自然だ、これで何か無い方がおかしい、もしかすると主催に繋がる何かが有るかもしれない」
「私は反対です、主催者に対抗するならすぐに南下して、一人でも多くの新たな同志を集めなくては……」
「ならお前がそうしろ、ここからはしばらく別行動だ」
「いけません、私達はまだたったの二人、単独行動など…」
「俺は一人でもいい、そのほうが慣れている」
「………わかりました、一旦休題にしましょう、先に屋敷内の探索を済ませてからもう一度話し合う事にしましょう」
「わかった」
こうして二人の議論は一旦幕を閉じる。
部室に有ったティーセットとお菓子で少しお腹を満たした後、二人は屋敷の探索を開始した。
外観的には三階建ての屋敷だったのだが、内装がここまで違ってはそれすらも断言はできない。
とりあえず、二人は今いる1階を探索した後、階段を発見できれば順に二階、三階と順に探索していく事にする。
意外と階段はすぐに見つかった。
部室を出て左て、つまり玄関側からは曲がり角で見えない位置に階段があった。
ただし、その階段は上の階に向かう物だけではなかったのだった。
「地下…か」
上の階へと昇る階段の横に、地下へと続く階段があった。
「どうしましょうか?」
「これより潜入する」
「ええっ…ちょっと待ってくださいな」
ヒイロは勝手にどんどんと地下へと降りていく
またしてもヒイロを追いかけながらファサリナは、今後もずっとこの調子なのだろうか?と少し苦笑いを浮かべる。
しかし、行動方針をまとめた彼女の心はさっぱりとしていた。
前を走る少年の背中が頼もしく見える、依然としてヒイロはこの殺し合いにおける彼女の希望だった。
-------------------------------------------------------------
率直に表現すると地下は温泉とゲームセンターだった。
地下面積の大部分は巨大な温泉が占め、温泉の入り口からすこし右手の小規模な空間にゲームセンターがあった。
まるで旅館の地下のような状態だ。
温泉の方は後で調べる事にして、二人は隣のゲームセンターを優先して捜索する事にした。
備え付けられた、ゲームの種類はそう多く無い。
特に目を引くものは
・ギャンブルゲーム(麻雀)
・パチンコゲーム(CR戦国BASARA)
・アクションゲーム(ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム〜戦場の絆〜)
この三つだった。
もはやこの島の定番になりつつある麻雀ゲーム(オンライン対戦可能、血液掛け可能)に触れながらファサリナがたずねる。
「ヒイロ、これらはいったい何の機械ですか?」
「麻雀をゲームで出来るようにした機械だ、知らないのか?」
「麻雀を機械で……では牌の移動などもすべて機械が?」
「そうだ全て画面の中で行われる、というかゲームを知らないのに麻雀は分かるのか」
次にパチンコ。
これは、なんだか五月蝿かったのでスルーした。
最後に、アクションゲーム。
これには、二人とも強烈に興味を引かれた。
カプセル型の筐体が、でんっ、と四つ並んで置かれている。
その四つの筐体の中間にタッチパネル式のターミナルが有った。
「これは…ウイングガンダムのコックピットか?」
一番左端の筐体の中を覗きのんだヒイロが驚いたような声をあげた。
筐体の中はヒイロが良く知るガンダムのコックピットだった。
筐体の内部は全方位360度がモニターとなっており、リアルな草原の仮想空間を映し出している。
順に見ていってみると、四つの筐体の中は全て違う様式のコックピットになっていた。
「これは・・・」
右から二番目の筐体を覗いたとき、ファサリナも声を上げた。
そこは、四つの中で一番奇怪なコックピットだった。
そもそも、シートがない所から他とは大きく違う。
更に、他の四つのモニターとは違い、前方しか仮想空間が映し出されていない。
ほぼ全体にわたって、青い炎のような背景を移していた。
「なんだこのコックピットは?」
「これは、ヨロイの操縦席です、それもオリジナルセブンの…」
「ヨロイ?」
「私の惑星での戦闘用巨大ロボットの名称です」
「惑星…」
これについても後で話しある余地が有るなと、ヒイロは思った。
「つまり、自分の動かし慣れているコックピットを内包する筐体に入れということか」
「そのようですね」
ヒイロは一旦、筐体から離れターミナルを見る。
タッチパネル式のモニターには「ルール説明」とだけ表示されている。
ヒイロが指で触れると、ただちに音声による説明が開始された。
〜『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム〜戦場の絆〜』ルール説明〜
@インデックスです、これより当ゲームセンターに備え付けられているアクションゲーム『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメア〜戦場の絆〜』の説明を開始します
Aターミナルの左右にあります4つ筐体の中から、お好きな操縦席をお選びください
B各操縦席に御搭乗なられましたら、内部に取り付けられているスタートボタンを押してください
C筐体のドアが閉じられ密閉状態になりますが心配はいりません、ゲーム終了後にドアのロックは解除されます
D次にモードを選択してください、当機には『練習モード』と『本番モード』があります
E『練習モード』では敗北しても勝利しても特に何もありません、しかし『本番モード』において掛け金ゼロで敗北した場合には敗北者の首輪は爆破されます、逆に勝利者には賞金が与えられます
Fなお、『練習モード』は各参加者一人に付き5回までしかプレイできません、ご了承ください
Gその後、NPCと対戦するか、プレイヤー同士で対戦するかを選択してください
Hステージと使用機体はランダムで選ばれた物になります
Iステージと使用機体の説明の後、ただちにゲームが開始されます
K最後に、等ゲームはオンライン対戦と乱入システムにも対応しております、この島に取り付けられています全ての操縦席と対戦可能です
J以上で説明を終わります、では皆様心ゆくまでお楽しみくださいませ
ぷちっ
とマイクの切れる音がして、ルール説明は終了した。
「オンラインと乱入か…この機械はこの場所以外にも幾つか点在すると見ていいな」
「そうでしょうねぇ、まさかこんな方法での殺し合いもあったなんて……」
「ゲームを利用した殺人か、これなら弱いものでも身体的実力差は有る程度埋まるか」
「なんだか面白そうですねぇ、一度やってみましょうか?『練習モード』で対戦…」
「遊んでいる暇はない」
「いえいえ、これは遊びではありませんよ?」
「どういう意味だ?」
「負けたほうは、勝ったほうの行動方針に従う、いかがです?」
「つまり、俺が勝ったら、館の探索後は俺の好きに動いていいと?」
「ええ…、ただぁ、私が勝った場合はぁ…一緒に南下してもらいますよぉ?」
ヒイロは暫く考えた後
「いいだろう」
ファサリナの提案を了承した。
これから、しばらく協力して活動する仲だ。
もう一度お互いのの実力を確認しておきたい。
そういう思考も双方にはあった。
そうと決まれば、二人の行動は素早い。
ヒイロは左端の筐体に、ファサリナは右から二番目の筐体に乗り込んでいった。
筐体がロックされ密閉状態になったあと、ヒイロは一人物思いにふける。
(俺は甘いのか?)
昔の彼ならファサリナと協力関係を続ける事は無かっただろう、同志が死亡したと放送された時点で最早彼女は不穏分子。
危険の芽は早いうちに摘んでおくべきだ、しかしヒイロはいまだ彼女と行動を共にしている。
幾ら主催を倒す戦力になりえるからと言って、殺し合いに乗る可能性のある人物と行動を共にするなど、以前のヒイロなら絶対にしなかっただろう。
こんな風にヒイロを変えたものはなんなのか。
さまざまな人物達との邂逅。
そして、目を閉じた彼の目蓋の裏に一人の女性の姿が映し出された。
(リリーナ……)
彼女の理想を信じられると思っていた。
こんな所で死なせるわけにはいかないと思っていた。
しかし、彼女はもうこの世にいない。
(人を生き返らせる力…)
それは、どのような物なのだろうかとヒイロが考えていた時
「ヒイロ?ヒイロくん?聞こえてますか?」
いつの間にかサイドモニターに小さくファサリナの顔が映し出されていた。
スピーカーから彼女の音声通信が聞こえてくる。
目を開き、ヒイロは操縦桿を握った。
選択されたステージは『廃墟』に決定されたらしい、崩壊したビル群がモニターの向こうに広がっている。
「ああ、聞こえている」
「よかったぁ…眠っちゃったのかと思いましたよ?」
いつの間にか全ての設定が完了し、もうすでにゲームは始まっていたようだ。
しかし、周囲にファサリナの機体の姿は見えない。
「どうやら、お互い離れた位置からスタートするようだな」
「そのようですねぇ」
レーダーには一つ機影がある、ファサリナの機体の位置だ。
ここから直接は視認出来ない距離だが、そう離れた位置でもない。
「本気でいくぞ」
「望むところです、貴方の実力をみせてくださいね」
それきり通信は途絶え、ファサリナの顔もサイドモニターから消えた。
いよいよ真剣勝負という事らしい。
「さて、見た事も無い機体だが、どう戦うかべきか……」
自分にあてがわれた機体は、今まで見てきたMSとは根本的に作りが異なるようだ。
武装も把握しないまま、ファサリナの機体を探しに行くわけにはいかない。
サイドモニターに表示される己の搭乗機の機体情報を読み上げながら、ヒイロは戦略を練る。
おそらく、機体の不慣れさは向こうも同じ。
ならば慣れない機体をいち早く使いこなした方が、勝利する事となるだろう。
やがて、全ての戦闘準備は整った。
「任務了解……ウェイクアップ、サウダーデ」
彼は、座りなれた操縦席で、使い慣れない機体を起動させる。
現れた敵機体に照準を合わせ、呟いた。
「……ターゲット確認……排除開始」
【C-3/憩いの館(地下ゲーセン内)/1日目/朝】
【ファサリナ@ガン×ソード】
[状態]:健康 、若干の精神疲労
[服装]:自前の服
[装備]:ゲイボルグ@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品2個(確認済み)
M67破片手榴弾x*********@現実(ヒイロとはんぶんこした)
軽音部のラジカセ@けいおん(こっそりデイバックに入れた)
[思考]
基本:ヒイロと協力し主催者を打倒する、それが無理だと判断した場合殺し合いに乗る
0:ゲーセンでヒイロに勝つ
1:館内を探索する
2:ヒイロと共に行動する
3:南下して、新しい同士を集めたい
4:同志が本当に死んだのか確かめる
5:明確な危険人物の排除。戦力にならない人間の間引き。無理はしない。
6:ゼロを名乗る危険人物の排除
[備考]
※21話「空に願いを、地に平和を」のヴァン戦後より参戦。
※トレーズ、ゼクスを危険人物として、デュオ、五飛を協力が可能かもしれぬ人物として認識しています
※ヒイロを他の惑星から来た人物と考えており、主催者はそれが可能な程の技術を持つと警戒(恐怖)しています
※同志の死に疑念を抱いていますが、ほとんど死んだものとして行動しています
【ヒイロ・ユイ@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:左肩に銃創(治療済み)
[服装]:普段着(Tシャツに半ズボン)
[装備]:基本支給品一式
コルト ガバメント(自動銃/2/7発/予備7x5発)@現実、M67破片手榴弾x*********@現実(ファサリナとはんぶんこした)
[道具]:B-2と記された小さな紙切れ@現実
[思考]
基本:主催側の技術を奪い、反撃する
0:ゲーセンでファサリナに勝利する
1:館内を探索する
2:B-2の間欠泉に行きたい
3:ゼロを名乗る危険人物の排除
4:リリーナ……
5:人を生き返らせる方法……
6:ユーフェミアは……
7:今のところはファサリナと協力する
[備考]
※参戦時期は未定。少なくとも37話「ゼロ対エピオン」の最後以降。
※D-1エリアにおいて数度大きな爆発が起こりました。
※ヴァンを同志の敵と認識しています
※ファサリナの言う異星云々の話に少しずつ信憑性を感じ始めています。
【憩いの館について】
外からはホラーハウスに見える。
三階建て?最低でも二階建て。
玄関から入ってすぐに、廊下の真ん中に出る。
玄関から左側の廊下の奥に、軽音部の部室完全コピー部屋が有る。
部室内の机の上のラジカセはファサリナさんがっこっそり回収しました。
机の上にティーセットが置きっぱなしになってます。
地下あり、構成は温泉とゲームセンター。
割合は温泉が大部分を占める。
これ以外の構成は後の書き手さん任せです。
【憩いの館、地下ゲームセンターについて】
血液使用可能なオンライン麻雀はここにもある。
シュミレーターによるアクション対戦ゲームあり。
ルールは以下
・四つの筐体と中央にターミナルという構成。
・四つの筐体の内部はシュミレーター、左から順にガンダムw、00、ヨロイ、KMFの操縦席に対応。
・『練習モード』と『本番モード』がある
・『本番モード』は掛け金ゼロで負けると死ぬ、勝つとペリカか景品が貰える。
・『練習モード』は勝っても負けても、何も起こらないが。一人五回までしかプレイできない。
・ステージ及び使用機体は完全にランダム。
・オンライン対戦可能だが、他の施設にもこれ有るかどうかは他の書き手任せ。
・ちなみに乱入も可能。
現在ヒイロとファサリナが『練習モード』で対戦中、以下設定
ステージ:廃墟
ヒイロの機体:サウダーデ・オブ・サンデイ@ガンソード
ファサリナの機体:???
ファサリナの機体は次の書き手任せ
以上で投下を終了します
218 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 08:22:59 ID:f/kF9REu
乙です!
戦場の絆www
誰か、一般人で勝てるようなゲーマーがいないものか・・・
衣とかちょっとニュータイプっぽくてどうだろう
ヒイロはやっぱり強靭だね
ファサリナ踏み止まったか
戦場の絆面白そうで良いと思います
投下乙でした
これヒイロ単独行動だったら脆い面を見られたかもなー
ぶれるよーなキャラじゃないけど確実に動揺はしてただろうな。
自分よりテンパってる人を見ると冷静になれるって言うしなー
ファサリナのキャラは同志以外に尽くしてこそ魅力的だな
ヒイロと刹那の邂逅が待ち遠しいw
投下乙です
この二人は二人ともが「どうしてこうなった」状態になるかと思っていたが、うんヒイロ強いわ
戦場の絆ktkr
本職の人らはともかく一般人だと誰が強いのだろうか…
225 :
◆PV.nOaaCrQ :2009/11/25(水) 17:35:32 ID:pEcrd6v6
浅上藤乃投下します。
初投稿ですがよろです!
226 :
少女ふじの〜3rd eye ◆PV.nOaaCrQ :2009/11/25(水) 17:42:54 ID:pEcrd6v6
小萌との一件から藤乃はすぐに小萌を探そうとせず、科学室で体を休めていた。
その理由はもうすぐ放送が近いからでもあったが、慣れない千里眼の使用による休息のためでもあった。
早く始まらないかな……。
今こうしている間にも、あの三人が私のことを誰かに言ってるかもしれない…。
今度は相手のほうから話しかけられたり、殺されるかもしれない……。
あぁ……そうしたら私
――もっともっと沢山殺せる
あの、化け物みたいな人と同じくらい怖い人に会えるかもしれない。
そう思うとてもとても悲しくなってきて……、私は一人静かに笑いました。
『おはようございます。インデックスです』
そして、やっと放送が始まった。
『それでは続きまして、名簿未掲載の人物の名前を読み上げます【玄霧皐月】…【千石撫子】…【月読小萌】…』
玄霧皐月。その名前には覚えがある。私の学校の教師だったはずだけど、今の今までこの状況なので忘れていました。
だけど、教師……とても嫌なこと思い出してしましました。
『今回の放送帯での死亡者を発表させて頂きます』
私はこの言葉を聞き、意識を放送へと集中させる。
もし、この放送で先輩が呼ばれたら私は…。
『読み上げる順番は、こちらの確認した大まかな時系列、死亡順での報告になります。厳密な死亡時間とは齟齬がある可能性があります。ご了承下さい。………【玄霧皐月】』
さっそく知っている人の名前が出て驚きました。
だけど、私にとってはそれほど重要なことではないのですぐ次の名前を聞く準備に入る。
227 :
少女ふじの〜3rd eye ◆PV.nOaaCrQ :2009/11/25(水) 17:44:09 ID:pEcrd6v6
『……【月読小萌】』
…………え。
月読小萌?今、放送ではそう言った?そう…あの教師は死んだんですか…………。
――許さない。許さない。許さない。許さない許さない。許さない許さない許さない。許さない!!
私があんなに痛くて痛くて仕方がなかったのに…あの教師は死んでしまった。
私の目にあんな事をしたのに、私にとても熱い思いをさせたのに……死んだなんて許さない。
そうして、私があの教師に心の中で怒りをぶつけていると
『…………【千石撫子】……今回の死亡者は十四名。』
と、聞こえてきました。
そう、それを聞いて私は嬉しかったです。
これで、私のことを悪く言う人は琴吹さんだけになりましたから。
それに、その琴吹さんが生きてるということは…おかしいです。
一緒にいた千石さんは死んで、琴吹さんだけが生きている。琴吹さんが千石さんを殺したかもしれないと思うととても愉快で。
そして第一に先輩の名前が呼ばれなかった…。それだけで、嬉しいです。
†††††††††††††††††††††††
浅上藤乃は学校から出てどこかへと一人向かっていた。
そして少し歩き、彼女は目的地へと到達した。
そう、そこは……
「見つけました…月読さん」
そう、さっき放送で呼ばれた月読小萌の死体のところだった。
228 :
少女ふじの〜3rd eye ◆PV.nOaaCrQ :2009/11/25(水) 17:45:28 ID:pEcrd6v6
そもそも、なぜ藤乃は小萌の場所がわかったか?
それはそう、言わずもがな彼女がこの殺しあいで手に入れた千里眼によるものだった。
放送を聞き終えた後、彼女がすることは学校から逃した琴吹紬を探すことではなく、大好きな先輩を優勝させるために誰かを殺すことでもなく、その先輩を探すことでもなく…憎い月読小萌の死体を…凶げることだった。
「酷いです…私があんなに苦しかった時、痛かった時、こんなに…こんなに幸せそうな顔で死んで」
酷いです…。
だから、そうあなたの守りたいものを私が全部凶げちゃいます。
だって、こんな酷い人の教え子も知り合いもきっと…そう先輩を危険な目にあわせるから。私は先輩を守るために、あなたの守りたいものをなにもかも…。
私がやろうとしていることはとてもとても惨いことだというのは分かっているけど。
……仕方ないんです。
「だから、まず最初は」
あなたから…。
そうして、少女はいくつもの命を奪ってきた言葉をつぶやく。
「凶れ」
誰もいない静かな民家に一人の少女の声と何かが捻じれる音が響く。
小さい少女の足はあり得ない方向に捻じれている。
「凶れ」
たくさんの教え子を導いてきた手は捻じれ、中の肉が顔を出す。
「凶れ」
少女の声は、まるで玩具を手に入れた子供ように明るく。
しかし、その声と正反対に目の前の小さい少女の膝が、胴が捻じれていく…。
支援
230 :
少女ふじの〜3rd eye ◆PV.nOaaCrQ :2009/11/25(水) 17:47:08 ID:pEcrd6v6
「凶れ。凶れ。凶れ凶れ」
そして、同じところも捻じられ、ぶちゅという音とともに壁に何かがへばりつく。
そして、あの幸せそうな顔だけが残り…
「凶れぇぇぇぇーーーーーー!!!」
という声とともに捻じ切られた。
民家の扉が開き入ったときより服が赤くなっただけでそれ以外は変わりない少女が出てきた。
そして、少女が出てくるときには家の中には………………一つのモノしかなかった。
「先輩は…私が守ってあげます」
そう言って少女はまた歩き出す。
【E-2/学校近くの民家/一日目/黎明】
【浅上藤乃@空の境界】
[状態]:千里眼覚醒・健康
[服装]:礼園女学園制服(血塗れ)
[装備]:軍用ゴーグル@とある魔術の禁書目録 、参加者詳細名簿@アニロワ3rdオリジナル、デリンジャー(0/2)@現実
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1 、かすがのくない@戦国BASARA×8本、拡声器@現実、予備弾薬@現実
[思考]
基本:幹也の為、また自分の為(半無自覚)に、別に人殺しがしたい訳ではないが人を殺す。
1:名簿に書いてあった、学園都市の人物を先輩のことを聞いてから、先輩の為に優先的に殺す。
2:それと同時に琴吹紬を探して凶げる。
3:それ以外の人物に会ったら先輩の事を聞き、申し訳ないが凶る。
4:幹也に会いたい。
5:逃げた罰として千石撫子の死体を見つけたら凶る。
[備考]
※式との戦いの途中から参戦。盲腸炎や怪我は完治しており、痛覚麻痺も今は治っている。
231 :
◆PV.nOaaCrQ :2009/11/25(水) 17:49:05 ID:pEcrd6v6
以上で投下終わりです
―――こうして、書き手の報復合戦第二ラウンドが始まりましたとさ
投下乙です。
とりあえずこの話を投下しようと思った経緯と氏の考えるこの話の意図、説明の方よろしくお願いします。
>>232 おいKG
ロワに出れなかったからって煽るような事やってんじゃねーよw
ロワで死体殴りを見れるとはw
ロワらしい狂気を感じさせる作品だった
235 :
◆PV.nOaaCrQ :2009/11/25(水) 18:33:36 ID:pEcrd6v6
>>233 前回のSSの藤乃の思考を見て、一度落ち着いたものの千里眼で見える位置に(近くの民家)
いた小萌を藤乃がなんにもしないのはないと思いました。
原作でも藤乃は意外としつこいですし見つけたらこうするかもしれないと思い
投下しました。
それに、こうすれば一層藤乃の狂気がわかりやすいと思い…。
>>222みたいに不快に思う人がいるのはわかってましたが…。
投下乙です
ふじのんこえー
ロワらしい狂気が感じられてよくできてると思います
投下乙です
まあ自然な流れだしいいと思うよ
しかしふじのんこえー
ムギー逃げてー超逃げてー
投下乙です。
実にロワらしい展開かと。
死体はむやみやたらに損傷するものだからなー。
>>235 とりあえずそういう手合いにいちいち返事する必要はないです。
投下乙
藤乃すげーこえぇ
紬にとって最悪な鬼ごっこが始まったな。
そういえば藤乃はどの程度爛れてるのかな?
短い中にもインパクトがあるなあ
とりあえず学校はひと段落ってことで、次からどこと絡んでくか楽しみだ。投下乙です
投下乙です
>機械人形の館 ◆1U4psLoLQg
ファサリナさん踏みとどまったとはいえ危ういか
それにしてもこれ傍目からはただゲームで遊んでいる風にしか見えないな
>少女ふじの〜3rd eye ◆PV.nOaaCrQ
ふじのん怖ェェェ
容赦ないよ、この人w紬は見つかったらかなりヤバいな
ところで
>1:名簿に書いてあった、学園都市の人物を先輩のことを聞いてから、先輩の為に優先的に殺す。
ってあるけど藤乃が学園都市のこと知る場面どこかにあったけ?
投下乙
これは盛り上がってきたwww
243 :
◆PV.nOaaCrQ :2009/11/25(水) 22:30:48 ID:pEcrd6v6
>>241 参加者詳細名簿はそこまで書いてなかったのを忘れてた。
修正案って思考の変更程度ならここでおk?
したらばの代理スレの方へお願いします
>>243 一つ案を出すなら小萌の名簿に知り合いの情報が載っていたとか
以前没になった学校組のSSにそういうものがあったから
あーあ
最萌スレやっちまったね
正確には没じゃなくて破棄になったカルネアデスの板でした
今までsage忘れていたorz
詳細名簿の事もあるので1は削除しようかと思うんですがどうでしょうか?
ご随意に。
特に議論スレで決められたわけでもないので自由に直してください。
仮投下スレに落とした後、避難所かここに報告下されれば十分でしょう。
みなさん投下乙です
◆1U4psLoLQg氏
おお、ファサリナさんが持ちこたえた!
このまま対主催路線でいくのかどうか、期待です
◆PV.nOaaCrQ氏
藤乃こわいなw
空の境界は未把握だけど、このキャラの変態性がよくわかる作品でした
それでもいいと思います
質問なんだけど
死体損壊が最優先なんだから、次は撫子の死体損壊じゃないの?
小萌先生に苦しめられたから死体まで甚振ったんでしょう。
別に撫子にそこまでこだわる理由はないですし。
見つけたら凶げるよ、って書いてあるよ
ああ、そういうことだったのか
そういうキャラなんだとばかし思ってた、thx
小萌の場合近くにあって、見つけたからだろ
撫子も見つけたらそうするだろうが、わざわさ捜しはしないだろう
いやごめん、優先して死体捜して壊してるみたいだったから、原作でもそういう欲求のあるキャラなんだなと勘違いしてたんだ
ほんと、スレ汚しすいません
また怖い予約の組み合わせが来たなw
ふじのんはDQNどもに輪姦され続けて金属バットでフルスイングされたりナイフで刺された復讐のため
って名目でDQNども凶げまくってたらなんだか殺人自体が楽しくなってきちゃったってキャラです
◆PV.nOaaCrQ氏へ
藤乃の時間帯が黎明(02:00〜04:00)になっていますがそれではおかしいのでwikiに載った際にでも修正お願いします
ヒイロ、ファサリナ話の修正をしたらばの方に投下いたしました。
全体的に細かいところと中盤の描写の加筆、状態表加筆などです。
投下乙ー♪
小萌テンテー早くも3rd死体損壊王決定だなww
因みに、俺的には死体損壊度的に1stはタバサ(アーカードに食われる)、2ndはつかさ(マオにめった打ち、トドメにかがみに首切られて海の藻屑)
異論は認める
かじゅが頭以外粉々で今までダントツだったんだがなぁ
死体弄びはほどほどにな
エスカレートしてカニバリズムに走りそうだから困る
モモが生き残って学校に着いたらやりそうで困る>カニバリズム
カニバリズムはパワーアップフラグですね、分かります。
……りお先輩がいればなぁ。
代わりに律にも地味にフラグ建ってるが。
ムギがいるから、そこらへんの情報を手に入れる材料はしっかり揃ってるんだよなー
どうなるんだろう
さすがに平日3日はきついか
延長多いな
魔眼対決来たか
これは楽しみだ
果たしてふじのんでサーバントに届くかどうか
完成したので刹那、忠勝投下します。
『――諸君らの奮戦に期待するっ……!』
遠藤の声が一回目の放送の終わりを告げる。
どこからともなく流れた音声を一つの影が確かに聞き取る。
その主は三河の徳川家康を主君とする、本多忠勝。
重厚な鎧に覆われたその勇ましい体躯はまさに戦国最強の名に相応しい。
帝愛グループなる軍団に関する情報は少ない。
だが、このバトルロワイアルなるものを開催しただけで充分すぎた。
許すまじ帝愛グループ。家康公から頂戴した仁の心には到底容認できない。
武田軍のあの赤き若武者の言葉を借りれば今の忠勝は燃えている。
非道極まりない帝愛グループへの怒りが、己の身を燃やすかの如くに。
咆哮も、ただ一言の言葉すらもいらない。
忠勝は右腕を強く握りしめ、己の感情をとき伏せる。
今は機ではない。鍛えぬいた己の武を揮うにはもう少しの時間がいる。
先刻の戦で負った傷も完全には癒えていない。
そして何より忠勝は提案を受けていた。
この場で知り合い、自身の意思をくみ取ってくれる人間から。
彼の仮初の同盟主――先程からペンを走らせている青年には考えがあるらしいのだから。
「14人……か」
名簿上の名前を囲む作業に勤しんでいたペンが止まる。
同時に漏れた声に少なくとも喜びは見られない。
その声の主の名は刹那・F・セイエイ。
彼は忠勝に運ばれ、とある建物の陰に身を潜めていた。
放送が始まる前に気を取り戻せたことは不幸中の幸いだろう。
やがて刹那は名簿を、そして同時に地図をデイバックに戻す。
御世辞にも浮かばせる表情は冴えたものではなく、刹那の感情を色濃く現している。
「乗っているやつは確かに存在している。残念だが……やはり認めないわけにはいかない」
何も全ての人間が自分達と同じように、この殺し合いの駆逐を望んでいると思ったわけではない。
先程の戦いで遭遇した織田信長、漆黒の巨人、レイ・ラングレンの三人。
持ち合わせる理由は違えども彼らは殺し合いに乗っている。
そして6時間で14人――多いのか少ないのか果たしてわからないが――あの三人だけの数字とは思えない。
きっと居るのだろう。彼らと同じように乗り、そして実際に他者を殺した人物が他に何人も。
やりきれない想いが身を焦がす感覚を刹那は覚える。
彼らが何故バトルロワイアルに身を投じたかはわからない。
だが、どんな理由であれ目の前に立ちふさがるのであれば力を奪うしかないだろう。
紛争の撲滅。ソレスタルビーイングが目指す世界に、こんな殺し合いは必要ないのだから。
やがて刹那は別の事に思考を回し始める。
「やはり生きているのか、アリー・アル・サーシェス……!」
思わず語気が強まる。
アリー・アル・サーシェス。
俗に言う戦争屋だが、刹那にとってそれだけでは終わらない。
幼き頃、ただ故郷を守るために、その日を生き抜くために身を置いたテロ組織。
灰色に埋もれた記憶には絶えず戦場の感覚が、そして同胞の断末魔と肉が焼ける臭いがこびりついている。
サーシェスはその場に居た。そのテロ組織を率いるリーダーだった。
未だ個の主義、主張を確立出来ていない刹那にとって、サーシェスは信頼に値した。するしかなかった。
たとえサーシェスがただ金と殺しのために、そのテロ組織を率いていたとしても――
だが、今更に過去を振り返っても、それは足跡を眺める行為でしかなく、特に得るものはない。
「……?」
「ああ、すまないなホンダム。やつは古くからの知り合いだ……いつかは断ち切らねばならない縁で結ばれた、な」
サーシェスは少なくとも一人は手に掛けただろう。
奴ならやれる。そう断言出来る事がなんとも恨めしいが事実だ。
類まれな戦闘センスは勿論のこと、撤退の機を誤らないあの判断力は明らかな脅威だろう。
忠勝にサーシェスがいかに危険であるかを簡潔に伝えながら、刹那は倒すべき存在を改めて把握する。
サーシェスと先程の三人――彼らは歪んでいる。
レイに至ってはまだ対話の余地はあるが、それも突然の裏切りにより当てには出来ない。
そして未だ見ぬ、殺し合いに乗った者達と自分達は争っていかなければならない。
もう、これ以上の犠牲は出したくはないのだから。
たとえばあの少女のように――そう思えば、刹那は不意に口を開いていた。
「ホンダム、覚えているな。リリーナ・ドーリアンというあの少女が掲げた……完全平和主義の理念を」
当たり前だ。
そう言わんばかりに忠勝は刹那を見据える。
群雄割拠の戦乱の世に、全ての人間が互いに手を取り合う平和な日本を目指した徳川家康。
忠勝の主君である家康にリリーナ・ドーリアンの理想は通じるものがあった。
故に忠勝も悔やんでいる。リリーナをバーサーカーに殺されてしまったことに。
刹那は忠勝の意思を見透かすかのように頷きながら更に進めていく。
「誰しもが武器を捨て、対話による協調を世界単位で行う……きっと戦争も根絶されるだろう。
大国から見れば小さな紛争でしかない、民族間の争いも戦闘行為の全てが」
それは理想の世界だ。
あのクルジス抗争の中、光が見えなかった世界で戦い抜いた刹那にとってはそれ以上望むものはない。
しかし、それは容易ではない。
「だが、簡単なことではない。リリーナが言っていたように、人類は戦いを繰り返し、そして今も戦っている。
トレーズ・クシュリナーダのような歪みすらも生み、戦いは俺達人類にとってあまりにも慣れてしまった。
俺は……ソレスタルビーイングは望んだ。変革を招く一石が、この世界には必要だと思った。
戦ったんだ、俺たちは。ガンダムで……手に入れた力で世界の変革と再生を目指して」
それは忠勝に向けた言葉ではなかったかもしれない。
戦争根絶を掲げ、全世界の戦闘行為に介入行動を行ったソレスタルビーング。
刹那はその一員として、ガンダムマイスターとしてガンダムを駆り、幾つもの戦場を巡った。
軍事活動の停止を、ガンダムという軍事力で行うという行動理念には一種の矛盾が孕んでいる。
だが、たとえその矛盾を背負おうとも、ソレスタルビーングはイオリア計画の元に活動を続けた。
全ての戦争の根絶に必要なものは武器ではなく、対話による協調だ。
その協調を形成するには先ず世界が一つの意思に統一される必要がある。
ソレスタルビーングを共通の敵と見立て、地球連邦という取り敢えずの団結を得た世界は戦争根絶に向け一歩を踏み出したことだろう。
しかし、イノベイターの支配が地球を覆いだし、刹那は再びソレスタルビーングとして戦った。
その目的は――戦争の分絶、そして地球の再生だ。
リリーナが掲げた完全平和と手段は違えども、目指した先はそう差異がない世界。
「だから俺は……悔しい。
リリーナを護れなかった自分自身を。
リリーナが掲げた完全平和主義の理想が、彼女と共に潰えてしまったことに……」
だから刹那はただ、悔しさを覚える。
知り合って間もないが人一人が死んだのだ。
決して軽いことじゃない。軽いことにしてはいけない。
それも自分の判断ミスによるものだ。
黙って刹那の言葉も聞く忠勝も想いは同じだろう。
家康公に通ずる理想を持っていたリリーナに、忠勝は悪い感情を抱いてはいない。
「だが、俺達には何も出来ないのか。
こうしてリリーナの死を嘆くしか――いや、そうじゃない。
そうじゃないハズだ……そうだろう、ホンダム?」
おもむろに刹那は立ちあがる。
デイバックを担ぎ、聳え立つ忠勝を刹那はまっすぐ見据える。
両目に宿る意思は決して弱々しいものではない。
忠勝は待つ。この小さな相棒が何を言わんとしているかを、とある推測をもってして。
そして忠勝は確信する。
やはり自分の感覚は正しかったことを。
「完全平和主義……その理想、俺達が手伝えばいい。
リリーナ・ドーリアンという、平和を望んだ少女が居たという証明を、完全平和の実現をもってして成す。
平凡な道ではないことはわかっているが……だが、それでも俺はやってみせたい。
だからだ。今、俺達がするべきことはこの戦いの駆逐……やはりそれしかない」
この場にはソレスタルビーングの仲間は居ない。
名簿に記載されていない12人も知っている名前はなかった。
だが、一人の仲間も居ないわけではない。
忠勝、そして共に戦ったアーニャも居る。
もしかすればリリーナの知り合いもこの場に居るかもしれない。
一人一人では織田信長やバーサーカーのような存在に駆逐されるだろう。
しかし、集団を形成すれば、同じ理想を抱く仲間と手を組めば話は違ってくる。
その筈だから――刹那は希望の火を消そうとはしない。
「往くぞ、ホンダム。
リリーナの夢を夢で終わらせないためにも、先ずはこの歪みを断ち切る――俺達の力で!」
ホンダム眼球部分が一際赤く発光する。
その光の眩しさはとある仕事を務めた。
――応!!
力強い返事の代わりを確かに。
【E-4とD-4の境目/市街地/1日目/朝】
【刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00】
[状態]:疲労(大)、精神的ダメージ、イノベイターとして半覚醒
[服装]:私服
[装備]:ワルサーP5(装弾数4、予備弾丸27発)@機動戦士ガンダム00、ボールペン型の銃(0/1)
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品0〜1(確認済)、9oピストル弾×5
[思考]
基本:世界の歪みを断ち切る。ダブルオーガンダムを奪還し島から脱出。
1:宇宙開発局→都市部 の順に移動し、ガンダムを捜索。
2:専守防衛。知り合い、無力な民間人がいれば保護する。
3:サーシェス、グラハム、トレーズ、信長、光秀、バーサーカーを警戒。政宗は保留。
4:バーサーカーの情報を広め、また不死の秘密を解くため情報を収集する。
5:リリーナの知り合いを探し、その最期を伝える。
6:アーニャが気掛かり。
7:リリーナの理想を出来る限り引き継ぐ。
[備考]
※参戦時期はセカンドシーズン第23話「命の華」から。
※帝愛グループをイノベイターと関わりのある組織、あるいはイオリア計画の遂行者ではないかと疑っています。
※脳量子波により本多忠勝の意思を理解できます。ただし刹那から送信はできません。
脳量子波の受信範囲は広くても声の届く範囲ほどです。
脳量子波は忠勝が「考えたこと」だけが受信されます。本人が望まないことは伝わりません(忠勝の意識レベルが低下している時を除く)。
【本多忠勝@戦国BASARA】
[状態]:疲労(大)、胸部装甲破損(鋼板などにより応急修理済み) 兜、肩の装甲が一部破損 全身に細かな傷
[服装]:全身武者鎧
[装備]:武田信玄の軍配斧(石動配)@戦国BASARA
[道具]:デイパック
[思考]
基本:徳川家康(参加者にはいない)の遺志を継ぎ戦国最強の名に恥じぬ戦いをする。
1:戦いに乗った者、主催者グループを打倒する。
2:刹那に伴い行動する。真田幸村と合流したい。
3:バーサーカーとはいずれ決着をつけたいが、まずは不死の秘密を解く。
4:信長は必ず倒す。
[備考]
※参戦時期は第12話で安土城へと向かっている途中。
尚、後述の飛行機能以外は主催者の力で修復された模様。
※バックパック内の装備は没収されているため、原作ゲームにおける攻撃形態、防御形態、援護形態使用不可。
他、ゲーム版での固有技、バサラ技が使えるかはお任せ。
※主催者側から飛行機能に制限が課せられています。短時間低空飛行には問題ありません。
投下終了しました。
なにかあればお願いします。
投下乙!
「俺たちがホンダムだ」チームは立脚点を得たって感じか。
このコンビは、只々、応援したい。
ヒイロ・ユイとの会合も待たれる。
おっつおつ
夜明けが似合うコンビやね
しかし薬局から離れたか…
投下乙
この二人は正義の漢って感じで、カッコイイな。
今後の活躍に期待だね
282 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/27(金) 02:14:58 ID:sABKaDMt
投下乙
刹那はリリーナの掲げてた理想に惹かれ始めたか
宇宙開発局へ向かうのか。誰か目撃するかも?
それと疲労がキツそうだから休んだ方がいいぞ
海原光貴、投下します。
支援
彼女が死んだ。
そう聞いた瞬間にいったい何を考えたものか分からなくなってしまった。
それでも手は事務的に動いて情報を写し続ける。
そんな自分の冷静な部分が、少しだけ煩わしく感じた。
軽く頭を振る。そんなことで気が紛れる筈も無いのだけれど。
不思議と、涙は出ない。
何故だろうか。
彼女が死んだということを信じていないから、か?
違うだろう。
確かに彼女は学園都市数多の能力者の頂点に立つレベル5。
死角より放たれた攻撃にすら反応する電磁波網。戦略級の破壊力を誇る超電磁砲。
滅多な事では死なないように思える。
しかし、その能力が如何に強力だろうとも彼女は殺し屋でも軍人でもない、ただの女子中学生なのだ。
今まで人を殺したことなんてなかったし、これから殺す気も無かっただろう。
だから彼女は本当の人殺しにはきっと敵わない。
笑顔で近づいて背中から刺したか。疲れて寝込んだところを襲われたか。殺意の無さを利用しての特攻か。
少し考えただけでもこれだけ浮かぶ。
それに、今流れた放送は参加者にとっては数少ない情報入手源だ。
主催者がそこに嘘を混ぜればそれだけ信頼は落ちる。
そして、もしそうであるならば分かる人間にはすぐに嘘だと分かってしまう。……例えば、本人などには。
主催者―――帝愛グループはこの殺し合いをゲームと言った。そして、勝ち抜いた場合の報酬も用意している。
つまり、詳しい理由は分からないが帝愛グループはただの殺し合いでなくゲームという形式をとった殺し合いをさせたいのだろう。
ゲームの進行役が信頼を無くしてしまったらゲームは成立しない。
だからこそ……この放送は全て真実が語られている可能性が高いだろう。
ああそうだ。彼女は十中八九死んでいる。
では、何故自分は泣かない。泣けないのか。
彼女には、幸せでいて欲しかった。
笑っていて、欲しかった。
自分のような後ろ暗い世界とは無縁なところで。
傷つかないで、欲しかった。
本当は自分が……彼女を守ると言えたなら、どんなに良かっただろう。
だがそれは幻想殺しの少年に託した。
そのほうが自分にとっても、彼女にとってもいいことだと、思えたからだ。
でも彼女は死んだ。
彼は、彼女を守ることが出来なかった。
辛い。
彼のせいにして怒りで悲しみを紛らわせようと思う自分が醜く思えて仕方がない。
無力さ、無情さ。そして、圧倒的な現実。
痛くて、苦しい。
それでも涙は零れない。
一体それは、何故なのだろうか。
□ □ □
朝の日差しに照らされた、誰もいない学校の廊下を一人歩く。
どうやらここでは激しい戦闘が行われた後らしい。
校舎は所々壊れていた。それも場所によっては手酷く。
一階と二階を結ぶ階段など完全に崩壊している。一体どうすればこうなるというのだろうか。
案内板によれば3階にあるという史学準備室に向かいながら、そんなことを考えた。
そう。今、海原光貴ことエツァリは黒曜石を手に入れるために学校へと赴いていた。
彼女が死んだ。では自分は何をすればいいのだろう。
そこに迷いが生まれたから……空虚なまま、何もしないよりはと思い当初の予定通りに動いている。
ひょっとすると、優勝して彼女を生き返らせればいいのか?
―――いや、それはきっと彼女が悲しむだろう。
あの少年や、後輩の少女を犠牲にしてまで彼女が生きたいかといえば……そんなわけはないのだから。
もちろん本音を言えば全てを犠牲にしてでも、彼女には生きていて欲しい。
ああ。他に何も出来ないと言うのなら、いっそのことそんな想いなど裏切って―――
―――いや、待て。
主催者は本当に願いを叶える気があるのか。そんな技術を持っているのか。
それも疑問だ。
技術に関して言えば不可能とは言わない。
世界には死者蘇生の神話には事欠かない。
もっとも有名だろう聖書における救世主の復活、ギリシャ神話におけるオルフェウスの妻エウリュディケー、北欧神話におけるバルドル、
日本書紀や古事記などにも記されている。
それらを元に術式を組み立てれば或いは。
しかし、問題もある。
それらの神話においてほぼ例外なく死者蘇生は困難で条件の厳しいものだ。
そうそう容易に再現できるものではない。
―――待て、だからこその回数制限か?
金により叶えるという手法はどうも回りくどいものだと感じていたけれども……条件が厳しく簡単に蘇生を行うことが出来ないのではと仮説を立てれば納得がいく。
そこで賞金を与えてその範囲内での願いを叶える……。なるほど。弱みを見せずに叶える願いに限界があることを示すいいシステムだ。
と、いうことは主催者は願いを叶える意思があるのか。
―――いや、それは断定できない。
金が全てだと言い切った連中が、その気になれば簡単に葬れる優勝者にすんなり賞金を渡すだろうか……?
「殺し合いはもうしたくないと言う意見が多く聞こえたから途中から首輪の起爆装置は停止してあった。
こちらの不手際で少しその解除が遅れてしまったが。ゆえにこのバトルロワイアルは無効となる。よって賞金は出せない」
―――ぐらいのことはいいそうだ。
ごねるなら首輪を爆破すればいい。そもそも優勝者を生還させるつもりがあるかどうかすら、怪しい。
つまり、現時点での予想では。
主催者は信用できない。が、死者蘇生の技術を持っていてもおかしくない。
と、いったところか。
―――なんてことだ。
優勝すらも、彼女を確実に生き返らせる方法とは考えられないと言うことか。
自分の冷静さが、嫌になる。
単純に優勝を目指し、彼女のためだと殺しまわれたら―――それはどれほど心安らかだっただろうか。
自分を正当化して、どろどろとした心を解き放ち。誰も彼もを殺して殺して―――力尽きて死ぬ。
―――それはきっと、とても魅力的な誘いだった。
しかし、その方法は選べない。
確実でなく,彼女の望みどおりではない方法など。取れるはずが無い。
出来ることならば。
では自分が彼女の為に出来ることがあるというのなら。
それは、なんなのだろうか。
□ □ □
結果から言えば黒曜石は存在した。史学資料室ではなく同じ階の職員室に。
「―――しかし、これは何とも……」
綺麗に研磨された黒曜石。ストラップが通してあり、袋に入ったままだったそれは「パワーストーン“黒曜石”」と書いてあった。
包装されていたので何かと思いあけてみたが、誰かが用意しておいたプレゼントだったのだろうか……?
一応、本物の黒曜石には間違いは無いようだから『トラウィスカルパンテクウトリの槍』の術式を使うことは出来るだろうが……
術式用に調整してないので使用できて2、3度が限界といったところか。
また、少々尖ってはいるがナイフには程遠い形状なので、元々余り高くない精度がさらに下がっているだろう事が予想できる。
至近距離からの一撃にかけるくらいしか出来ないだろう。
―――まあ、それでもないよりはずっとましだ。
そんなことを考えながら振り向くと、そこには一人の少女の遺体が転がっていた。
支援
「――……あなたは、どんな風に考えてどう生きたんでしょうね」
いや、それを遺体と呼んでいいものなのか。四肢は捻じ曲がり内臓は飛び散り骨は形すらとどめていない。
どうすればこんな死に方をするのだろう。自分の『トラウィスカルパンテクウトリの槍』でも、こうまで執拗に人を甚振りはしない。
魔術か、能力によるものだろう。それも強力な。そう、見当をつける。
しかしこれはどう見ても近代兵器の仕業には見えなかった。
学園都市に潜入し、魔術結社出身のエツァリは魔術、能力のどちらについても知識がある。
そこから導き出した答えは、これは魔術の仕業ではないだろうということ。
基本的に魔術には元となる神話や伝承が存在する。そのためある程度だが使用した跡を見ればその癖のようなものが見えてくる。
しかし、この死体にはそれがない。あるのはただ暴力的な意思だけだ。
なによりこの単純にねじ切られた後。これはテレキネシス系の能力者が使うものと考えられる。
レベルでいうならば……4ぐらいだろうか。直接見たわけではないし、他にもっと出来ることがあるならば5ということも考えられるが……。さて。
そして、ここから導き出せることは。
例え相手が人畜無害そうな丸腰の少女であったとしても……決して残酷な殺人者ではないなどと言うことは出来ないということだ。
こんな能力があるというのなら、武器は必要ないだろう。甘い顔をして近づいて、不意に攻撃を仕掛けることが出来る。
学園都市の能力者は皆十代の子供というところからも……十分に信憑性のあることに思えた。
―――彼女も、そうして殺されたのかもしれない。
優しい彼女のことだ。力の弱い参加者を装って近づけば無碍にすることは無いだろう。
そんな彼女の好意を利用して―――殺す。
ありえない話ではない。
ねじ切れた少女の死体をもう一度眼をやる。
虚ろになった目からは、涙の流れた跡がある。
開いた口は、何を言い残したのだろうか。
捩れた体は、もう人間にすら見えない。
似ていない。
全く似ていない。
精々が制服を着た少女である、というぐらいなのに……
何故だろう。
この名前も知らない少女が、彼女に被ってみえる。
虚ろに、曲げられて、捻られて、晒されて。
そうやって、彼女も死んでいる。
好きなのに。
―――殺そう。
何の混じりけもなしに海原光貴は、エツァリは、そう思った。
□ □ □
主催者が信用できない。彼女の世界を守りたい。彼女に生きていて欲しい。彼女を殺した奴を殺す。彼女を殺したかも知れない奴を殺す。
全部やらなきゃいけないってのが、彼女に惚れた男の辛いところだ。
自分は一体何を悩んでいたのだろうか。
簡単なことじゃないか。
マーダーを全員殺す。上条当麻や白井黒子を守る。主催者を打倒して―――死者蘇生の業を手に入れる。
そして、彼女を生き返らせればいい。
勿論、問題はある。
マーダーは強いだろう。自分では勝てないかもしれない。
上条当麻が死んだらどうする。彼には死者蘇生の術は効かないかも知れない。
首輪をどうやって外せばいい。これがあるうちは打倒主催など夢また夢である。
これだけじゃない。考えれば考えるだけ、穴は存在し確実さは減っていく。
――――それでも、こうするしかない。
エツァリは彼女に生きていて欲しい。笑って生きていて欲しかった。
そしてそのときに隣にいるのは、自分でない暖かい場所の人間であるべきだ。
だから、そのためなら何でもしよう。どんな不可能と思えることでも。身を削ってでも。
自分勝手な理想だと分かっているけれど。
それでも、この幻想だけは決して譲れない。
まだやることが残ってる。
だから、涙は流せない。
くちゅり。
中途半端に固まった血液が立てる音。
血に塗れた床を踏み少女の死体へと近づく。
その眼が不意に自分を睨んでいる様な気がして。それを無視して包丁を取り出した。
首輪の回収は簡単だった。
殆ど原型を留めていなかった体は首と胴も皮一枚で繋がっているような状況だったからだ。
既にどうしようもなく壊れた死体とはいえ、首を切るのは少々後味が悪い。
死体を捌くのには慣れているほうだと思っていたのだけれど。それでも気分は悪くなる。
彼女を―――投影しているのか。この名も知らぬ少女に。
そうなのかもしれない。
そうなのだろう。
だが必要なことなのだ。主催者の呪縛から逃れるためには、サンプルが必要なのだから。
護符の為にと比較的傷の少ない箇所から皮膚を採取し立ち上がる。
うつろな瞳が。生首が。こっちを見ている。睨んでいる。
彼女が。責めるような眼で。口を開き―――
「 」
―――それは何も言いはしない。
居た堪れなくなってデイパックから取り出したタオルを彼女の顔にかけた。
……死体なんて見慣れたはずだったのに。
答えは出ない。
その代わりに、一つだけ宣言しておく。
「―――殺します。貴女を殺した人間を。貴女を殺そうとした人間を。貴女を殺すかもしれなかった人間を。みんな」
そして、気付かされる。
自分の持つ殺意に。
純粋な復讐心に。
何だ。
理屈を捏ねて格好をつけてはみたものの。
俺はただ。
彼女を殺した奴が憎くて憎くて仕方がないだけじゃあないか。
「その通り」
―――少しだけ。誰かが笑ったような気がした。
□ □ □
海原光貴は歩き出す。
名前。放送でそう言われたのだから自分の正体――エツァリ――はばれていないのだろうか。
それとも知ってあえてそう呼ぶのか。
まあいい。
如何にも日本人である外見に外国人の名前では使いにくい。
どうせ暫くはこの顔を捨てるつもりはなかったのだ。
都合がよかったと考えよう。
主催者の考えは気になるけれど。
今は考えていても仕方ない。
さて、とりあえずは落ち着いて護符を作ることの出来る場所を見つけよう。
だが、マーダーは殺す。
どんな手段を使ってでも。
「―――ああ、そうだ。彼に会ったら文句の一つでも言わせて貰わないと」
そして彼女の世界を取り戻す。
それだけでいい。
それ以外は、何もいらない。
【E-2/学校 校庭/一日目/朝】
【海原光貴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康、疲労(小)
[服装]:ブレザーの制服
[装備]:S&W M686 7ショット(7/7)in衝槍弾頭 包丁@現地調達 、黒曜石のパワーストーン@現地調達
[道具]:支給品一式、コイン20束(1束50枚)、大型トランクケースIN3千万ペリカ、衝槍弾頭予備弾薬35発
洗濯ロープ二本とタオル数枚@現地調達 、15センチほどの加治木ゆみの皮膚
[思考]
基本:主催者を倒し死者蘇生の業を手に入れて御坂美琴を生き返らせる。
0:マーダーは殺す。
1:手に入れた皮膚から護符を作るために落ち着ける場所を探す。
2:これ以上彼女の世界を壊さない為に上条当麻、白井黒子を保護
3:バーサーカーと本多忠勝を危険視
[備考]
※この海原光貴は偽者でその正体はアステカのとある魔術師。
現在使える魔術は他人から皮膚を15センチほど剥ぎ取って護符を作る事。使えばその人物そっくりに化けることが出来る。海原光貴の姿も本人の皮膚から作った護符で化けて
いる。
※タオルを一枚消費しました。
※主催者は本当に人を生き返らせる業を持っているかもしれないと思っていますが信用はしていません。
※上条当麻には死者蘇生は効かないのでは、と予想しました。
※加治木ゆみを殺したのは学園都市の能力者だと予想しています。
【黒曜石のパワーストーン@現地調達】
何の変哲もない黒曜石のパワーストーン。通販やらみやげ物売り場で売っていそうなものである。
海原は『トラウィスカルパンテクウトリの槍』を使えば数回の使用で破損。
また精度も良くないだろうと予想しましたが実際に使用していないので詳細は不明です。
投下終了です。支援感謝です。
寝不足のため推敲不足で誤字脱字など見逃しているかもしれないです……。
見つけたならご報告下されれば幸いです。
投下乙
これは???いわゆるPKK?
てっきりマーダーになるかと思っていたがそうきたかw
投下乙
まさか、マーダーキラーになるとは・・・。
このキャラの心理描写をここまで書けるってすごいな
投下乙
>決意の火
俺とホンダムはいいコンビだ
この二人に朝日がよく似合う
>僕にその手を汚せというのか
海原葛藤してるなー
今はマーダーキラー的な動きをするみたいだけど、まだ不安定っぽいからどう転ぶかわからん
後細かいことかもしれませんが、首輪の回収をしているのに海原の所持品の中に首輪がないのはこれいかに?
投下乙
この心理はいいな
1つ気になったのは、文中に「マーダー」って普通に出てきちゃってることか
ロワ的なお約束抜きだと微妙に不自然な単語だし、状態表はともかく地の文では別の単語選んだ方がいいかも
299 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/27(金) 03:21:05 ID:sABKaDMt
投下乙
乗ってもおかしくなかったけど主催者への不信もあってマーダーキラーか
なんか物凄く不安なんですがw
確かにここまで心理描写を書けるのは凄いです
しかし加治木ゆみの皮膚とはまた爆弾なw
対主催PKKヤンデレ風味とは、中々おいしいポジションについたな
TV放送登場1話キャラとは思えん
>>299 厄いよねぇ>加治木の皮膚
なかなか面白い伏線残したなw
投下乙
うおー・・・海原をここまで描けるのはすごいな
PKKいいじゃないの
サーシェスを見つけられるのか、見つけられたとして勝てるのかは別として、頑張ってもらいたい
投下乙
海原の考えは見ていて楽しみな部分が多かったよー
しかしPKKって個人的に誤殺と結びつくのはきっとネガティブ過ぎるのだろう
投下乙です
>決意の火 ◆40jGqg6Boc
刹那とホンダムはリリーナの理想を継いだか
やっぱりこういう奴らはカッコいいな
リリーナも草葉の陰で喜んでいそう
>僕にその手を汚せというのか ◆1aw4LHSuEI
海原は困難な道選んだな
それにしても加治木の皮膚とかwもし顔変えてモモに会ったりしたら・・・
でもまずは藤乃と鉢合わせしなくてよかったな、千里眼で見つかる可能性もあっただろうに
投下乙です
やっべぇどっちも熱い
俺たちはホンダムだチームはまだ大丈夫そうだけど
海原はまだちょっと不安定か?
ホンダムチームはウイング勢との邂逅に期待
指摘感謝です。
wiki収録時に自分で気づいた分も含めて修正しておこうと思います。
ホンダムチームはウイング勢と対面する前に目立つんだけどなw
まず船井組や上条組に目撃されないか?
ホンダムは怖がられそうだけど
バサカはそげぶされるとまずいが、
ホンダムは誤ってそげぶされても大丈夫だなw
なんか新トリ見覚えのあるトリごちゃまぜで進んでるが、「アニ3の書き手」と言えるような書き手って誰がいるだろうか
思い付くのはやっぱトリのインパクトでミストさんだが
個人的には多人数を捌いた人が印象的
大乱戦とギャンブル船を書いた人とか
あ、二つとも書き手は別人だよ
まあ2ndからの継続組は強いやな
ホンダムは刹那の支給品だろ
投下乙!
俺とホンダムはほんと主人公してるなあ。
決して饒舌じゃないんだけれど強い意志が溢れ出ているというか。
海原の方は心理描写がすげえな。
ほんとびりびりのことが好きなんだなってひしひし伝わってきたぜ
五飛、荒耶投下します。
支援
放送を聞くために身を潜めたのは何の変哲もない市街地の一角である。足となるバイクは一時停めた。
一見すると隠れる場所など無さそうに思えるが、路地の隙間に潜り込めばそう簡単に見つかることはない。
オペレーション・メテオの実働部隊として徹底した訓練を受けた五飛は、人間の死角となる場所をよく知っている。
日の出を迎えた黄色い空に、放送は染み渡るように広く届いた。
「リリーナ・ピースクラフト・・・・・・死んだか」
誰にともなく、五飛は一人呟いた。
視線は空に向けられているが、そこには誰の顔も浮かんでいない。最初の説明と同じく一組の男女が行った放送は、方や機械のように事務的で、もう一方はやたら感情的だった。
ここに至り、五飛は初めて与えられた荷物の中から名簿を確認する。誰がいようと関係ないと打ち捨てていたが、曲がりなりにも知人の死を聞いたことが契機となった。
リリーナの唱える完全平和主義は、戦争を無くすために武力を放棄しろと主張する。
人類が戦争を手放せない生き物であることを見ようとしない。戦いに生きることしか知らない兵士は無惨に切り捨てられる。
その事実に我慢できず、五飛はマリーメイヤ軍に身を投じた。
連中は連中でリリーナを担ぎ上げる算段のようだが、これで大幅に修正せざるを得まい。別姓ではあったが、名簿には確かにリリーナの名前があった。
平和の象徴が死んだことで、世界はまた戦争への道を歩み始めるだろう。過去を忘れたがる連中にとって、とてつもない刺激に違いない。
遠藤とか言う男が漏らした『祝儀』の意味も自ずと知れる。死者の大半が名簿外の人物ということは、連中は最初から死ぬために用意されたということだ。
首輪の力を見せつけるために敢えて殺された金髪の女と同じく、そうした連中はわざと危険の多い場所に配されたのだろう。
この島がいかに危険であるか知らしめるために。
「気に入らん連中だ」
覚悟のない者を無理やり戦いに巻き込むなどと。
名簿外でこそないが、リリーナの死が早々に伝えられたのも似たような意図があるのかも知れない。戦いに身を置かない者にとって、彼女の死は確かに大きいだろう。
五飛自ら『脅威』として歩く意味ももう薄いかも知れない。この期に及んで自分から戦おうとしない下衆がいるとしても、構う義理はない。
五飛にはそれ以上に気にかかることが生まれていた。
トレーズ・クシュリナーダ。
一年前の大戦で戦死したはずの人物が、名簿に平然と載せられている。止めを刺したのは五飛自身だ。あのときの屈辱は忘れようにも忘れられるものではない。
ミリアルド・ピースクラフトのように極秘裏に生存が確認されたわけでもない。少なくとも五飛はそのような情報を掴んだことはなかった。
トレーズは意に沿わぬ延命を受け入れる男ではない。こんなところでむざむざ生き恥を曝していることがより奇妙に思えた。
「なぜオレはこれを見ようとしなかった・・・・・・?」
更に五飛を訝かしめたのは、これ程の情報を6時間あまりも放置していた、軽率なまで己の迂闊さだった。
見知った名前こそありはしても、五飛にとって重要な名はもうない。強いて言えばヒイロぐらいだ。その意味で、名簿を重視しなかったことを誤りとは思わない。
だが、そこに記されたトレーズの名が疑念を生んだ。揺っては返すそれが、さざ波のように五飛を浸食していた。
まるで無意識が忌避したようだ。五飛に見せるのを何者かが拒んだとさえ思える。
おかしいと言えば、ホールの仕掛けはいかにも大がかり過ぎるのではないか。娯楽施設のアトラクションのような趣向には、もっと考えるべき意味があったのではないか。
ひたすら前へと傾いた五飛の思考は、本当に五飛自身のもだったのか。
「何者だッ!」
背中越しに感じた視線に、五飛は躊躇わず持っていたナイフを投げつけた。
回転する大型の刃物が弧を描き、観察するようにこちらを見定めていた気配の主に襲いかかる。
研ぎすまされた五飛の狙いに狂いはない。にも関わらず、返ってきたのは金属が金属を叩くがぃん、という軽い音だった。
「・・・・・・」
五飛は静かに歩み寄ると、赤錆びたドラム管に空しい傷を付けたナイフを回収した。
刃に己を映す。上物のナイフは刃こぼれ一つ付かない。代わりに、傷つける何者をも見つけられずにいた。
気配は霧のように消えていた。
人間はおろか動物の影さえないが、気のせいではない。両肩に、暗い深淵から伸びる触手のような強い執着がわだかまっている。
間違いなく、何者かの意志が五飛を見ていた。
「・・・・・・少し慎重に動く必要があるようだな」
支援
◇
末法と終末が纏めて訪れたような仏頂面をした男がいた。
「知人の死に、冷静さを取り戻したか・・・・・・張五飛」
魔術師、荒耶宗蓮である。
荒耶は何かを確認するように己が額を撫でさすった。そこは丁度、たった今五飛の投げた宝具に差し抜かれた箇所だ。
だと言うのに、一滴の血潮さえ流れていなかった。石膏に掘られた溝のように深い深い眉間には、かすり傷一つない。
荒耶もそれを不思議とは思わなかった。英霊の刃をその身に受けたのは荒耶の肉体ではなく、思念に過ぎない。
再度確認したところ、五飛は既に出立した後らしい。会場の狂化を促進させる力からも一応は脱したようだ。荒耶はもう、彼の男への興味をほとんど失っていた。
海を境に、埠頭から対岸を走るバイクを発見したとき、荒耶はともすれば五飛を抹殺する覚悟でいた。
これ以上要らぬ混乱を招くならばという心算だったが、己が目的のために動き出した以上無理な介入をする必要はない。
然るべき流れの後に出会えば、然るべき相手としてまみえよう。
この上、参加者の枠を越えてまですべきことは何もなかった。誰もが耳を澄ませた放送さえ荒耶にとっては時間の浪費に過ぎない。
荒耶はたった一つの息さえ吐かず、方針を錬るよう偽装していた地図を畳むと陰鬱を塗り固めた体で歩き始めた。
【F-6/市街地/一日目/朝】
【張五飛@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康
[服装]:マリーメイア軍の軍服
[装備]:ラッキー・ザ・ルーレットの二丁拳銃(4/6)@ガン×ソード、干将・莫耶@Fate/stay night、防弾チョッキ@現実
[道具]:デイパック、基本支給品、ファサリナの三節棍@ガン×ソード、ゼロの仮面とマント@コードギアス、刹那のバイク@機動戦士ガンダム00、USBメモリー@現実
[思考]
1:トレーズの存在と『魔法』に対する疑念
2:戦おうとしない者と弱い者への怒り
3:MSの可能性がある施設を探す
4:扉を開く条件を満たしたらまたホールに戻りたい
5:人間の本質は……
※参戦時期はEndless Waltz三巻、衛星軌道上でヒイロを待ち構えている所です。
【F-6/宇宙開発局/一日目/朝】
【荒耶宗蓮@空の境界】
[状態]:健康
[服装]:黒服
[装備]:ククリナイフ@現実
[道具]:デイパック、基本支給品、S&W M10 “ミリタリー&ポリス”(6/6)、.38spl弾x53、鉈@現実、荒耶の不明支給品(0〜1)、梓の不明支給品(0〜1) 、久の不明支給品(0〜2)、
[思考]
基本:式を手に入れ根源へ到る。
1:式を追って北部へ赴く。
2:必要最小限の範囲で障害を排除する。
3:利用できそうなものは利用する。
※首輪はダミーです。時間の経過と共に制限が緩んでいきます。
支援
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。
投下乙です
ごひは死ぬかと思ってたら間接的にトレーズのおかげで助かったのか?
これはこれで皮肉だが冷静になれたか?
ゼロの衣装は脱いで煽るのは止めたみたいだけどバレたら大問題だぞw
うーへー自分を取り戻したか
これでトレーズと会うときが楽しみになってきた
やはりこうでないとな
投下乙でした
投下乙
五飛、生き延びたか
会場に狂化促進効果とは、精神弱い一般人達はヤバイかもな
ゼロうんぬんはどうなってしまうのだろう・・・
投下乙!
遂にトレーズの存在に気づいたか!
予約の時点でごひ死んじゃうかなと思ったけどこれは予想外。
荒谷も荒谷でこれからが怖いなぁ。
投下乙
ごひ、トレーズに気付くのおせーよwww
まあ、いつもの感じに戻ったのはよかった
あらやんの次の狙いどこは一体……
後一ヶ所マリーメイアがマリーメイヤになってるとこがあるんでWiki収録後にでも直してやってください
投下乙です
五飛はトレーズのおかげで命拾いか
それにしてもあらやん不気味だぜw
さて、明日は作品がどんどん来そうで楽しみだ
予定では7つだっけ?
延長されてるのが8つだよ
駆け込み投下はお止め下さいだな。
時間間際に一気に来たら仮投下スレ使っても下手したら期限に間に合わない。
投下終わったら続いて投下しますって言っとけば大丈夫さ
流石に書き終わってるけれど投下被り避けて待機してくれている書き手さんに、
期限もう切れてるぞって文句言う奴はいちゃいけねえよw
ただ駆け込み多数だと感想が減りそうでちょっと残念
書き手の都合があるから仕方ないか
代理投下します
「よかった。ナナリーはいないのね」
駅へ向かう道中、放送とあいなったユーフェミア・リ・ブリタニアは名簿と地図に筆を入れていた。
幸い知り合いが死者として呼ばれることもなく、禁止エリアも今のところ気にする必要はない。
それでも。
「もうこんなに……」
まだ始まって数時間しか経っていないのに、十四の尊い命が消えてしまった。
それはユーフェミアにとって信じたく、また信じられないことであった。
これは戦争でもなければ弾圧でもないのだ。なのに、もうこんなに減っている。
その矛先がいつ自分やルルーシュ――――スザクに向けられるのかわからない。
(それを止めるためにも)
ユフィは荷物をまとめ、歩を進める。あのゼロの偽物がこの殺し合いを促進させているのは間違いない。
それを止め、皆の誤解を解き、結束して主催者の企みを打ち砕く。それが今の自身がなすべきこと。
(だけど困ったわ)
そのために政庁に向かおうにも、先ほどの放送によると電車はしばらく使えないらしい。
その場合、地図を見た限りでは山を登ってその後橋を渡るか、学校の下に位置する橋を渡って、また橋を渡るしかない。
どちらもかなりの距離を歩くことになる。
「この格好じゃ厳しいわね」
見た目を重視したドレスと靴では、さすがに山道や荒れ地を踏破するのは難しい。
ユフィは悩んだあげく、申し訳ないとは思いながらも人のいないブティックに入ることにした。
駅前だけあって、店はそれなりにあり、品揃えもいい。
本当なら代金やそれ相応の品を置いておくのだが、今の自分にはそんな持ち合わせはなく、仕方がないので拝借した品物と自身のサインを記したメモ用紙をカウンターに残すことにした。
「何だか私じゃないみたい」
クリーム色の上下一体のスーツに身を包んだ自分が鏡の中にいる。
靴はハイヒールではなく、ローヒールであるローファーにした。
腰のあたりのベルトをいじりながら、アンダーウェアを探していたら、だんだん楽しくなってきた。
こんな風に服を選んだり着たりすることなどほとんどない。
お抱えの職人やデザイナーが自分に似合いそうな、あるいは自分の意のままに作ってくれるので、このように既製品を物色することは今まで皆無なのだ。
(みんなこういうこと、友達や恋人とするんだろうな……)
自分――いや、自分を含めた周囲がブリタニアとかエリア11とか関係なところで生きていれば、こうしていたのかもしれない。
ルルーシュをビックリさせよう、とナナリーと一緒に大人っぽい服やアクセサリーを身につけてみたり、みんなには内緒でスザクと二人で食事や美術鑑賞をしたり……。
「スザク……」
手に取っていたタンクトップをキュッと握り締める。彼もまたこの殺し合いに参加させられ、どこかにいる。
あの頑なな彼のことだ。きっと誰かを守りつつ、ここからの脱出の策を練っているだろう。
会いたくて仕方がなかった。いつものように自分の名前を呼んで、傍にいて、支えてほしい。
でなければ、心が押し潰されてしまいそうになる。
(駄目ね。騎士が頑張ってるんだもの。主君がくじけてちゃ)
わずかに滲んだ目をこすり、手早く試着室に残りの衣類を持っていく。
ここにはあのルルーシュもいるのだ。頭は働くが、体力はからっきしの彼が。自分ばかりが非力なわけではないのだ。
それでも。
やはり。
会いたい。
■
他人に合わせる。すなわち、自分に嘘をつく。
自己の目標とは相反するこの行為に、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアは嫌悪こそすれど、否定はしない。
結果的にその行為がなくなればそれでいいのだ。大事の前の小事でしかない。
『――おはようございます』
織田信長にあらかたの入れ知恵をした時、放送が始まった。
すぐに名簿と地図を用意するが、そばにいる戦国武将は腕を組んでいるだけ。何もしない気か。
「よろしいのですか?」
「我にこのようなものは意味を為さぬ。どれだけ愚民が、武人が骸となろうと、戦場が狭まろうと、侵略し、蹂躙す――――事もなし」
「失礼いたしました」
詫びつつも、マリアンヌは内心でため息。
やはり人選ミスだろうか。といっても、選り好みできるほどの余裕はない。
しばらくはこの男を頼りにするほかない。C.C.とは音信不通で、この自称『魔王』とよく似ている夫ともコンタクトは取れないのだから。
『それでは続きまして、名簿未掲載の人物の名前を読み上げます』
まず最初に自分――正確には宿主の名前が呼ばれた。これは予想通り。むしろ呼ばれない方がおかしいレベル。
しかし最後に呼ばれた名前がマリアンヌに動揺を与えた。
『【ユーフェミア・リ・ブリタニア】』
(えっ……)
聞き間違いと思ったが、再度その名は呼ばれた。ユーフェミア・リ・ブリタニア。
息子と娘が小さい頃からなかよくしていた女の子。
純真無垢な優しい少女だったが、ルルーシュのギアスによって自分の意志とは関係なくその手を血に染め、死後『虐殺皇女』の汚名を着せられた。
そう、死んだはずなのだ。遺体も存在するし、自分のような特殊能力もない。確実に完全に死んだ少女。
(やはり主催者は死者蘇生が可能なのね)
そう考えるのが妥当だ。主催者がこの殺し合いを人間の愛憎劇として楽しむというなら、『同姓同名の別人でした』なんてシナリオは用意しないはず。
また、参加者に《魔法》を示すには、格好のデモンストレーションに違いない。
しかしこれは予想外であった。ルルーシュとスザクの対応も考え直さなければならない。
まあ、これは放送が終わった後でも十分。マリアンヌは再び放送に耳を傾けた。
『今回の閉鎖エリアは【A-7】【B-7】【F-4】の三カ所です』
しかし――。
禁止エリアに指定されたエリアにバツをつけつつ、改めて地図を見渡すと、どうも腑に落ちない。
『政庁』や『薬局』、『城』はまだ分かるにしても、『象の像』、『神様に祈る場所』、『死者の眠る場所』、『廃ビル』などは殺し合いの舞台としてどうだろうか。
自分が主催者ならば、『KMF格納庫』や『軍事基地』などを置くだろう。その方が参加者の闘争本能を刺激し、殺し合いをもっと円滑に進められるはずだ。
そうでないにしても、わざわざこんなものを地図に載せたりはしない。
(いえ、その考え方そのものが間違っているのかもしれないわね)
逆に、『載せる必要があった』と考えればどうだろうか。そう、たとえばそれそのものに意味はなくても、連動させることによって何らかの……。
――まさか。
思い当たるものはある。しかしそれが殺し合いに何の関係があるのだろうか。それが成功すれば、争いなど無意味になるのに。
(違うわ。利用したのは基盤だけ。土台にしたに過ぎないんだわ。だって『ラグナレクの接続』は)
『そして、最後になりましたが、《バトルロワイアル》開始から現在まで、今回の放送帯での死亡者を発表させて頂きます』
マリアンヌはすぐに思考を切り替え、名簿に目を落とす。
呼ばれた人間の横にバツをつけていくが、幸運なことに知っている者が呼ばれることはない。
ルルーシュもスザクもユーフェミアも生きているようだ。無事とは限らないが。
「『竜の右目』が逝ったか」
信長がぽつりともらしたが、それだけだった。憤慨も歓喜もない。
あるとすれば、微量な失望といったところか。
やがて放送が終わり、マリアンヌは痛む頭を無視しつつ信長に進言する。
「『廃ビル』に向かうのがよろしいかと愚考します」
「ほぅ。なにゆえそう考える。申してみよ」
おもちゃの兵隊に弾丸を込めつつ、『魔王』は顎をマリアンヌに向ける。
彼女は一度頷き、地図を信長の前に広げる。
「ご覧ください。この島の至る所に用途・趣旨不明な建築物があり、それが地図に記されています。これには主催者の何らかの意図があるかと」
「ふむ。しかし単に目印として用意したとも考えられるのではないか」
「はい。ですがそれならもっと適当なものを用意するかと愚考いたします。廃墟は場合によっては目印となりえませんので」
「『象の像』とやらもそれに含まれるが……、あれが近くにいるか」
「はい。いくら信長公といえど、再び相見えるのは時期尚早かと。今は兵と武器を集め、その後臨むのが上策」
『象の像』へ行くことはマリアンヌも考えたが、まずはあの化け物と距離をとることを優先した。
あの不死の秘密を解き明かさなければ、殺すことは不可能なのだ。消耗戦になれば勝てる見込みはまずないだろう。
死んでしまっては意味がない。
(“コード”とは違うようだけど)
どちらにしろ、あれはまだ着手すべきではない。それを信長も察したのか、顎をさすり、その後馬に跨る。
「よかろう。彼の地へ向かおうぞ」
「ありがとうございます」
謝意などまったく含んでいない礼をした後、マリアンヌは荷物をまとめ、歩きだした軍馬に続く。
『皆殺し』しか考えてないような奴だ。明確な行き先を理由とともに示せば、従ってくれるだろう。そんな思いつきが功を奏した。
(これが『ラグナレクの接続』を模したものなら……)
施設内、あるいは地下にそれを実行させるための装置――思考エレベーターがあるはずだ。
それが『制限』と『首輪』を管理しているのではないか。マリアンヌはそう推察した。
『ラグナレクの接続』とは、夫であるシャルルと、その兄V.V.が幼少時より悲願としてきた、「嘘のない世界」を創生する計画だ。
これが成功すれば、全人類が他人に思考をさらけ出す状態となり、さらには過去に死んだ人間の記憶や思念までもが感知できるようになるとされていた。
これならば思考は単一化され、争う意味はなくなる。バラバラだったみんながまたひとつになるのだ。なんてすばらしい。
『ラグナレクの接続』には世界中に点在するギアス関連の遺跡と連動させる必要がある。今回はその縮小版と捉えるのが妥当だろう。
しかしこればかりは実際に行って調べてみないとわからない。
(もう一つの可能性としては……)
息子であるルルーシュが用いた、ゲフィオンディスターバーを搭載させた電車。
これの場合は『首輪』に関してしか立証できないが、《魔法》で『制限』も可能にしていると仮定するならば、十分その可能性はある。
しかし放送によれば現在は運行休止状態。これをどう判断するかが問題なのだ。
各駅に車両を停車させているかもしれないし、効果範囲が広いのかもしれない。
実際に首輪で実験したいところだが、これにはサンプルが必要だ。自分で試すのはリスクがあまりに大きすぎる。
(『廃ビル』を調べた後、電車の方も調べてみようかしら。あ、それと船があれば『遺跡』も)
そんなことを考えていると、目の前に影が差した。どうやら信長が馬を止めたらしい。
「信長公、何か」
「あれは貴様の家の者か」
前に出て、見れば、そこにいるのは確かに同じ出身の者だった。もっとも、血縁関係はないが。
おそらく髪の色が似ているからそう思ったのだろう。それがすぐに斬り捨てなかった理由か。
(ユーフェミア……)
件の少女ともう出会うとは。しかし彼女そのものにあまり価値はない。
ルルーシュとスザクの餌にはなるが、それまで生き残れるかどうか。おそらく連れていても足手まといになる。どうしたものか。
「はい。彼女は優秀な頭脳を持っています。従えるには適当かと」
「それは余が決めることよ。愚昧であればその場で屍に変えてくれる」
「お望みのままに」
その応対に信長は口角を吊り上げる。実際、マリアンヌは情報と状態如何では、ユフィを排除しても仕方がないと考えていた。
たとえこの場で『魔王』が斬り捨てようとも、それを口実にあの二人に信長を敵視させればいいだけのこと。
そのとき自分は彼女を守れなかった、と息子たちの前で悔恨の涙を流せばいい。
あの二人のことだ、不満は口にしても殺しはしないだろう。悪評ならいくらでも構わない。どうせすぐに無に帰するのだから。
「すみませーん!」
こちらに気付いたユフィが手を振りながらやってきた。なぜかスーツ姿であったが、それは気にするところではない。
問題は彼女がどこまで知っているか、だ。
「あら、その制服はナイトオブラウンズの」
「アーニャ・アールストレイムと申します。ユーフェミア様」
ユフィのそばまで近づく。そして跪き、頭を垂れる。本来、ナイトオブラウンズは皇帝直属の騎士なので、こういうことはしないのだが、状況が状況だ、あまり無礼が過ぎると何をされるかわからない。ここは一応の敬意を示して様子をうかがう。
「ではあなたは『日本人』ではないのですね」
どこか嬉しそうな声。肯定の返事を返すと、今度は信長の方を向いた。
「あなたは『日本人』ですか?」
――――ズキッ
(!? 何この痛み)
突然、胸の奥――心臓のあたりが激痛を訴えた。なぜ。今までの頭痛がギアスによる制限であったのではないのか?
そのまま蹲るような体勢でいると、背後から『魔王』の声が聞こえた。
「いかにも。余は日の本を闇に――」
空気の漏れるような音。よく知っているものだ。これは消音器をつけた銃によるもの。
そして遅れて聞こえたドサッ、と何かが落ちる音。おそらく馬上の男が転落したのだろう。
――――ズキッ
「かっ……はっ」
たまらず倒れ、仰向けになる。その時マリアンヌは見た。
深紅の点滅する瞳を。
振動しながら構えられた拳銃を。
笑顔のまま涙を流し、震える少女を。
(まさか、これはギアスの……)
どうして考えなかったのだろう。『ギアス能力者の制限』の他に、『ギアス自身の制限』があることを。
例えばルルーシュのように人を従えるギアスは簡単に徒党を組ませる。そうなれば主催者の望むような『ゲーム』にはならない。
ただの群像劇――いや、勧善懲悪か――になってしまう。
しかし、下手にギアスそのものを封じてしまえば、ルルーシュの特色を殺してしまい、やはり殺し合いとして成立しない。
だから二段構えの制限を設けた。おそらく複数のギアスが接近すると、相殺されるか、弱体化されるのだろう。
(このままじゃ私、消えちゃう……)
一度アーニャに体を返して、機会を……。
もう、予定、メチャクチャね……。
■
「え……どうして……」
ユフィは目の前の状況が理解できなかった。なぜか目の前で鎧を着た男の人が倒れているのだ。
自分はただ目的地へ向かって歩いていたはずなのに。
「あれ……?」
ぼんやり、そう本当にぼんやりだが、何かしたような気がする。
そう、男の人が何か言って、それで自分は……。
「これで私、撃ったの……?」
いつの間にか握られていた拳銃を怯えた目で見つめる彼女。
銃はそれを肯定するように、硝煙をうっすら吐いていた。
「小娘ぇ、それでこの征天魔王の不意をついたつもりか」
「え……?」
信長は死んではいなかった。とっさに左腕の篭手で銃弾を防いでいたのだ。
それは当然一時的に握力を失うことになり、おかげで持っていたおもちゃの兵隊を手放してしまっていた。
「私は……」
「この辱め、ただ殺すだけでは償いきれぬわ。四肢を削ぎ、腸を引き摺りだし、獄門に懸けてくれる」
「いや、いや……」
詰め寄る武将と後ずさる皇女。長い刀が眼前の女の血を啜らんと、切っ先を天に向ける。
ユーフェミアはじりじりと離れていたが、不慣れな靴のせいか、尻餅をついてしまい、逃げられない。
足がすくんで動かないのだ。それもそのはず今まで命の危険は幾度もあったが、ここまで絶望的なものは初めてだ。
護衛はおらず、援軍も望めない。どう考えても八方塞がり。
いやだ、死にたくない。帰るんだ、ナナリーや姉であるコーネリアのもとへ。
そう、ルルーシュとスザクと一緒に。優しい世界が待っている。自分が作り上げた『日本』が。
そこでまた、昔のように、ルルーシュとナナリーと……。スザクだって……。
スザク……スザク……スザク……。
助けて――助けて――助けて――。
「まずは右脚――」
「スザクゥゥゥウ――――――――!」
■
『征天魔王』 織田信長は学校に向かって歩いていた。マリアンヌが逃げ出す時に使った馬を奪還することも考えたが、今は休養を優先した方がいいと判断した。
もちろん、憤懣やるかたないのは言うまでもない。しかし、そうした感情による消耗が死に繋がることをこの戦国武将はよく知っている。
将が死ねばそれで戦は、その国は終わってしまうのだ。時には引くことも覚えなければならない。
「是非も無し、か。フン」
疲労が限界まできている。平素はこの程度でへばることはないのだが、やはり『制限』のせいだろうか。
あのうつけどもめ、小賢しいことを。
学校――字で察すれば塾のような教育施設だろうか。これも不要な建築物のひとつ。視察する必要があろう。
早々にこの呪縛をなんとかせねば、天下布武など夢のまた夢。
信長はそう考えるが、マリアンヌはルルーシュのような学生がいるため、学校の必要性は少しはあると判断し、進言しなかった。
もっとも、今となっては彼の第六天魔王が知る由もないのだが。
(愚民の戯言に耳を貸すなど、どうかしておったわ)
信長の中に、もはや人への信頼、許容など皆無に等しかった。誰も彼もが己が首を狙って画策する。
明智光秀がいい例だ。結局信じられるのは自分だけ。他人など己の欲を満たすだけの道具にすぎない。
弱肉強食、古今東西永久不変の真理。
「往くは覇道。修羅の道よ」
そのためにもまずは、体を休めねば。
【E-2/校門前/一日目/朝】
【織田信長@戦国BASARA】
[状態]:疲労(極大) 全身に裂傷
[服装]:ほぼ全損の鎧
[装備]:物干し竿@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、予備マガジン91本(合計100本×各30発)
[思考]
基本:皆殺し。ただし使えそうな者は奴隷。拒めば殺す。
1:ひとまず『学校』で休息と同時に視察。
2:目につく人間を殺す。
3:信長に弓を引いた光秀も殺す。
4:もっと強い武器を集める。
[備考]
※光秀が本能寺で謀反を起こしたor起こそうとしていることを知っている時期からの参戦。
※マントは千切れてもう使い物になりません。
※ルルーシュやスザク、C.C.の容姿と能力をマリアンヌから聞きました。どこまで聞いたかは不明です。
■
「スザクゥゥゥウ――――――――!」
その声で、アーニャ・アールストレイムは覚醒に至った。なぜ自分はこんなところで寝ているのだろう。そんな疑問はすぐに吹き飛んだ。
(嘘、ユーフェミア様……)
目の前に、死んだはずの第三皇女がいる。その事実は強烈だったが、それ以上に、その彼女が斬り殺されそうになっていたのがアーニャを驚愕させた。
体は無意識に動いた。呼吸と同じ、まるで自然の動作のように、銃を構え、撃っていた。
ラウンズに上り詰めるだけの、血の滲むような訓練の賜物。
「ぬぅ!?」
着弾する寸前、刀で弾かれた。それでいい。
これは殺すための戦いではない。守るためのもの。
「死なせない」
AK-47を連射しながら、立ち上がり、ユーフェミアの前に躍り出る。
いつの間にこんなものを持っていたんだろう、という新たな疑問も、薬室から吐き出される空薬莢と同時に捨てた。
鎧姿の男はたまらず銃弾をマントと刀を駆使して後退していく。しかし、7.62mm弾は容赦なくマントを食い破り、鎧を打ち砕く。
刀が折れなかったのは男の技量か、名刀故か。
「その制服、まさかラウンズの」
その後ろ姿を見た皇女は驚いたように口を開く。アーニャはそれに応えず、傍観を決め込んでいる軍馬を片手で指差した。
「乗ってください。ここから離脱し、安全なところまでお連れします」
足もとに落ちていた銃を足に引っ掛け、カラシニコフ(AK47)の弾切れと同時に持ちかえる。
その時、奇妙な既視感をアーニャは覚えた。
(リリーナを撃った銃……?)
もちろんそんな場面に出くわした覚えはないし、リリーナの死を彼女は知らない。
しかし、ぼんやりと、そう、霧のような、ノイズのようなものが混じったビジョンが『視えた』のだ。
いくら精神そのものが別個であろうと、記憶に使われる脳はひとつ。
ギアスの弱体化がその境界を曖昧にし、記憶が同期しかけているのだ。
それでもアーニャに立ち止って考える暇はない。驚くほど反動のないアサルトライフルを撃ち続けながら、乗馬を果たしたユーフェミアと合流する。
「マリアンヌゥゥゥゥゥウ! 我を謀ったかああぁぁぁああっ!」
「言ってる意味、不明」
アーニャが乗ったことを確認し、ユーフェミアは馬を走らせる。
乗り手が変わったというのに、馬は意外にも従順だった。
「追っ手は私が引き受けます。ユーフェミア様は進路を」
「は、はい!」
ユーフェミアは手綱をぎゅっと握り締める。動揺している時は、かえって何かをやらせる方がいい。気が紛れるから。
「よくも、よくもこの第六天魔王をぉぉをををぉぉおぉおお!」
「だから意味不明」
なおもユーフェミアを襲わんとする信長に、ナイトオブシックスは振り向きベレッタを発砲。
さすがに連射性能が劣るため、刀と鎧に弾かれる。
「しつこい男」
しかし速力を奪うことはできる。足もと、次に男がいるであろう場所への予測射撃。
やがて鎧武者は足を取られ、盛大な土煙を上げて転倒した。馬はすでに加速を終え、追っ手がもう追いつくことはできない。
アーニャは銃のリロードをすませ、そこでやっと前を見る。
いやな汗が流れた。
「ユーフェミア様、どこへ」
「荷物をすべてバッグへ入れてください――早く!」
どうやらヘンなスイッチが入ってしまったらしい。もう止まらないだろう。
速度を考えても、曲ることも止めることももう不可能だ。たしかにそこならばもう追いかけてくることはないだろう。
しかし、そこへ逃げるのは予想外であった。というか、それを予想できる人間がいたら自分の前に連れてきてほしい。精神鑑定を受けさせたいから。
軍馬が向かう先には何もなかった。いや、正確には青い空と白い雲があった。それと荒涼とした大地。
すなわち、崖。
「飛びます!」
否定も悲鳴も口から出なかった。ただ口を「あ」の形にして呆然としていた。
大地と別れる瞬間、なぜか同僚の顔が脳裏をよぎった。アーニャは目に涙を湛えたまま、引き攣った笑みを浮かべる。
――――スザク、あなた女の趣味、悪すぎ――――
巨大な水柱の中心に、二人と一頭はいた。衝撃やらなんやらはすべて馬が受け止め、その余波で二人はまるで水責めにあったかのようである。
「ゲホッ、ガハッ」
なんとか浅瀬には着いたらしい。足がつく。
バッグに銃器や携帯は入れたので、大丈夫だとは思うが、もし防水加工がなされてなければ……いや、そもそもこんなことする自体が――。
「むちゃくちゃ」
「よく言われます」
笑顔でそういう第三皇女殿下を殴りたいと思ってしまう自分は不敬だろうか。不敬なんだろうな、やっぱり。
ユーフェミアはアーニャがそんなことを考えていることなど知るわけもなく、のんきに空を見上げて――――、
「あ、見えました」
指差す方を見て、アーニャはとりあえず携帯電話を出すことにした。どうやら問題なく作動するようだ。
「……記録」
『綺麗な虹』
二人同時に感嘆し、それが何だか可笑しくて、二人は笑った。
デバイスを地図と照合すると、どうやらここは『遺跡』らしい。
「さっきからそう言ってるじゃない」
ユフィ曰く、それを見越しての暴挙らしいが、一言くらい相談してほしかった。
いや、あの状況では難しかったろうが、それでもどこか釈然としない。
「ユーフェミア様は」
「ユフィ」
「……?」
「皇位継承権は返上しました。あなたを騎士にすることは万に一つもありません」
特別扱いはするな、ということだろうか。たしかに指揮系統は異なるから従う理由はないが、それでも皇族。
貴族とはやはり身分が違う。いや、そういうことを好まないということなのだろう、彼女は。
スザクもそんなことを言っていたような気がする。
「わかった、ユフィ」
「よろしくね、アーニャ」
「イエス・ユア――――ごめん」
どうも慣れない。しかし彼女はそれが面白いようで、人差し指を口に当てて笑っている。なんだかな。
この孤島を調べてみると、どうやら神根島に似ているらしい。
自分はデータでしか知らないが、ユフィは実際に見たことがあるそうだ。人の気配はなく、恐らく誰もいない。
それを知ると、彼女はすぐさま自身の服を掴んだ。
「え? だっていつまでも着ていると風邪をひくわ」
ほら、アーニャも――抵抗するべきかどうか迷っているうちに、裸に剥かれてしまった。
羞恥心がないといえば嘘になるが、まあ、同性間だし……。濡れた服は岩場で干し、馬に食料を与えた。
ユフィの無茶でボロボロで、生きているのが不思議なくらいの軍馬は、おいしそうにパンを口に運んだ。よっぽど空腹だったらしい。
「ふぅ。疲れた」
「うん」
ふと隣を見れば、たくましい――そう、たくましい二つのものが。それに比べて自分は……なさけない。
成長すればこうなるのだろうか。いや、彼女が特別なのかもしれない。
「うらやましい」
むんず、と掴んでみる。このボリューム、一体何を食べればこんな風になるのだろうか。恐るべし、ブリタニアの遺伝子。
「へ? んっ、ア、アーニャ!? やっ……ぁはぁん。やだっ……だめぇ」
「スザクはよくて私は駄目なの?」
顔を埋めてみると、ふっくらとして柔らかい。どこか懐かしい感覚。スザクもこれにやられたのだろうか。
「スザクはこんなことしません! やあんっ、吸っちゃだめぇ……」
まあ、主従の関係は抜きしても、彼女を護ろう。スザクも生きていると知れば喜ぶはずだ。しかしこれはなかなかどうして……癖になりそう。
「……記憶」
さて、どうしたものかしら。この状況で交代して、力が足りなくて消滅というのは避けたい。
おそらく時間経過で回復すると思うのだが、それにどれほどの時間が必要なのだろう。
まあ、ユーフェミアのギアスは日本人が近くにいないと発動しないから、しばらくは大丈夫なんだけど。
マリアンヌは考察する。図らずも自分は今神根島を模した場所にいる。ここも可能であれば調べたいと思っていた場所。
思考エレベーターが使えるなら、一度アクセスしてみたい。そこに『制限』と『首輪』に関するものがなくても、『ラグナレクの接続』が可能ならば実行するだけだ。
それに、あそこには夫がいるはずだから、何らかの形で援軍を送ってくれるよう頼める。
そうなれば、こちらの勝ちだ。
【F-2/孤島/一日目/朝】
【アーニャ・アールストレイム@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:疲労(小)、ずぶ濡れ
[服装]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ベレッタの予備マガジン(4/4)、AK-47の予備マガジン×2(7.62mm弾)、麻雀牌×3、
ベレッタM92(7/15)、AK-47(30/30)、おもちゃの兵隊(0/30)@とある禁書の魔術目録、アーニャの携帯@コードギアス 反逆のルルーシュR2
[思考]
基本:主催者に反抗する。
1:まずは一休み。
2:ユフィを護衛し、スザクと合流する。
3:リリーナ……?
[備考]
※リリーナの死をぼんやり認識しています(アーニャ)。
※不??完全ながら交代直前のマリアンヌの記憶と同期しました。
?マリアンヌの思考
基本:C.C.と合流したい
1:ギアスの回復を待つ
2:『遺跡』を調べたい。
[備考]
※少なくとも21話より以前からの参戦です。
※マリアンヌはCの世界を通じての交信はできません。
また、マリアンヌの意識が表層に出ている間中、軽い頭痛が発生しているようです。
※意識の上位はマリアンヌであり、マリアンヌはいつでもアーニャと交代することができます(その度に頭痛の頻度・強さは増す)。
※『ギアス能力者の制限』と『ギアス自身の制限』が存在し、ギアスによる存在であるマリアンヌは『ギアス能力者の制限』として頭痛、
『ギアス自身の制限』として発動しているギアスに接近すると激痛を感じ、時間が経てば経つほど弱体化し、最悪消滅します。
スザク、私はあなたに会いたい。ユーフェミア・リ・ブリタニアとしてでなく、ただのユフィとして。
そして優しい世界を一緒に作りたい。私にとって、それが本当の本当に大切なものだから。
だから死なないで、スザク。
私も『生きる』から。
だから――――。
【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:中程度の疲労、決意、ずぶ濡れ
[服装]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、H&K MP5K(SMG/40/40発/予備40x3発)@現実、アゾット剣@Fate/stay night、H&K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数2/12発/予備12x2発)@現実、豪華なドレス
[思考]
基本:他の参加者と力を合わせ、この悪夢から脱出する。自分にできる事をする
特殊:日本人らしき人間を発見し、日本人である確証が取れた場合、その相手を殺害する
0:ア、アーニャそこはだめぇ……
1:服が乾くまで休憩
2:偽ゼロの存在を全参加者に知らせる
3:政庁で放送施設や通信施設を探し、全参加者に呼びかける
4:殺し合いには絶対に乗らない
[備考]
※一期22話「血染めのユフィ」の虐殺開始前から参戦。
※ギアス『日本人を殺せ』継続中。特殊条件を満たした場合、ユフィ自身の価値観・記憶をねじ曲げ発動する。
現在は弱体化しているため、ある程度の意識レベルで抵抗すれば解除可能。
今後も発動中に他の発動しているギアスと接近すれば弱体化、あるいは相殺されます。時間経過により回復。
会場において外部で掛けられたギアスの厳密な効果・持続期間に影響が出ているかは不明。
※ギアスの作用により、ヒイロのことは忘れています。
※ラウンズの正装と山中 さわ子のスーツ@けいおん!、下着類が岩場に干してあります。
極楽浄土とは何だ。苦しみのない世界? 飢えのない世界? 争いのない世界?
否! 否――否――否――否――否――否――!
断 じ て 否 !
そう! 目の前に広がる空間を極楽と、桃源郷と言わずして何と言う!
むさ苦しいおっさんに付き合ったのは何のためだ? そう、このときのためだ!
釈迦よ、あなたが与えし苦難! 見事乗り越えてみせましたぞ!
おお、なんと。まだ女というには幼すぎる裸身をさらけだし、あまつさえ恥部を隠そうとしない。
その少女が、一方の成熟した――それでも若いと言わざるを得ない――乙女の豊満な山城を攻略しておる。
その柔らかそうでいてなおかつ弾力をもつその巨城の天守閣がちらちらと顔を出し、やがて天を見上げる。
なんと淫靡なことか。思えば今まで周りはガサツで汚い野郎ばかり。同僚もその乱暴で下劣な行いに辟易しておった。
それに比べて女子の尻の何と柔らかいことか。手もまるで絹糸で包んだかのように繊細で、儚げだ。それを二人も味わえるなんて。
自分は何て果報者だ。三国一といっても相違ないであろう。おっと、今度は二つの山城の間にできし桶狭間に顔を埋めおった。
それと同時に聞こえるまるで天女の誘いのような嬌声。戦場でも平素でも決して味わえないこの楽土、しかとこの眼に焼き付けさせていただく!
…………。
……………。
…………………。
ふぅ。
【伊達軍の馬@戦国BASARA】
[状態]:ボロボロ、ずぶ濡れ、賢者状態
[思考]
基本:誰にでも従う。乗った人をできるだけ落とさないようにする。
1:生きててよかった。眼福眼福
2:正直辛い
3:もう身投げは勘弁してください
[備考]
※バイクのハンドルとマフラーっぽい装飾類を失くしました。見た目では普通の馬と大差ありません。しかし、色々な意味で「馬イク」です。
1000 名前: ◆qh.kxdFkfM[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 04:24:26 ID:V0DUCR2A
以上で投下を終えます。偶然にもきりがよいのは幸か不幸か。
問題なければ代理投下お願い申し上げます。
シリアスに書いていたはずなのに、なぜ……。これがギアスか。
代理投下終了
投下乙
どちらか死ぬかと思ってたけど生き残ったか、良かった……と思ってたらwwwけしからん。
とりあえず馬イクそこ変われ。
代理投下乙
ユフィは死ぬと思ってたが生きてるぞ。よかった
織田軍団はあっさり解散。さすがにしばらく休憩か
で、この馬はナニをしてるねんwwwwwww 俺と変われw
投下乙でした
なんというエロス、けしからん!
…ギアスじゃしょうがないな
投下乙です
信長様にしてみれば部下の裏切りだがアーニャにしてみれば当然の行動だよな
でもユフィ、元々の素もあるがスザクの影響か無茶な行動に拍車が掛かっているな
まあそんな感想も最後で全部吹き飛んだわw
なんだよ!全裸の女子が孤島で文字通り乳繰り合ってあろうことか――
>「スザクはこんなことしません! やあんっ、吸っちゃだめぇ……」
おいちょっと待てwアーニャ自重しろw殺し合いの最中に何してんだお前らwww
よし、いいぞ!このまま次の放送まで18禁展開にまで突入してくれ!
そしてわざわざ馬の一人称やっておいてそれかよwww
いくら今までむさ苦しい漢ばかり乗せていたからって喜びすぎだろw
しかもなにマジマジと見てやがるんだ、そこ代われ!!!
おかしい、明らかに感想の配分が変だ?
これぞまさしくバトル・エロワイアル
いいぞも(ry
まだ半日もたっていないのに裸眼ピーピング+αという偉業を達成するとは
某温泉ダマも真っ青だな
しかし馬イク、テメーはろくな死に方しないぜ!
ルルーシュ・ランペルージ、平沢唯、平沢憂、琴吹紬、船井譲治、東横桃子、レイ・ラングレン 投下します。
平沢憂はその名前が呼ばれた瞬間、思わず両手で自身の口元を抑えてしまった。
だが、自然と漏れ出した嘆きを打ち消すには少しばかり時間が足りなかった。
その名前は三度、呼ばれた。
最初の二回は名簿から漏れた十二人の参加者の一人として。
そして、最後の一回は――これまでの六時間で命を落とした人間として。
「そん、な……梓ちゃん……」
憂の胸の奥で、何かが崩れるような音が響いた気がした。
もちろん、どんなに衝撃的な出来事に遭遇したとして、『心』という曖昧なモノが実際に壊れてしまうことはない。
精神、気持ち、想い…………形を持たないソレらは常にあやふやな概念に過ぎないのだ。
でも、だからこそ――際限なく、その歪みは少女という存在自体を蝕む腫瘍と成り果てる。
梓ちゃんが、死んだ?
つまり【中野梓】という名前が放送で読み上げられたということ。
たった六文字の言葉に自ここまでショックを受けるなんて、想像していなかった。
いや、むしろ彼女がこの島に来ていることすら自分はつい先程初めて知ったのだ。
覚悟はしていた…………はずがない。
ショックに備える体勢を一切取る余裕もなく、乗客として乗り合わせていた飛行機の落下に巻き込まれたかのような感覚。
ノーガードの心に非情に身近な場所にいた人間の『死』が抉り込んで来る。
…………どうして、こんなに悲しいんだろう。
憂は自身の幸せを守るために、人を殺める決意を固めた。
そして、実際にそれを実行している。しかも一度だけはない。二度。二人の人間を既に殺めている。
当然、放送で名前も挙げられていた。【池田華菜】と【安藤守】という名前が、しっかりと。
故に、平沢憂は完全な殺人者であり、正道を振り返ることなど出来るはずのない異端者だ。
『人を殺した』という事実は決して拭い去ることなど出来ない烙印となって、今でも掌に焼き付いている。
憂は知っている。肉を突き破り、神経を切断する感触を。
人間が簡単には死なないイキモノであり、同時に簡単に死んでしまうイキモノであることを。
だが、この気持ちは何だ。
胸の奥から湧き上がってくる不可解な衝動は?
鼻の辺りの鈍痛は?
両眼に溢れ出しそうな液体は?
覚悟を決めたはずなのに。
お姉ちゃんがいる――そんな幸せを守るために、他の人間を皆殺しにすると、決意したはずなのに。
今更。そう、今更だ。二人も殺しておいてこの期に及んで……知り合いの死を悲しむ権利があると言うのだろうか。
あるはずが、ない。むしろ、あってはならない。
確かに、梓ちゃんは掛け替えのない友人だった。
最初、名簿の中に彼女の名前があったとしたら――もしかしたら、自分の行動は全く正反対のモノになっていたかもしれない。
だけど、それは仮定。起こり得なかったIFに過ぎないのだから……!
「…………ククククッ」
「! ル、ルルーシュ……さん?」
突如としてもたらされた傍らの制服を着た少年の嗤い声に、憂の背筋がピンと伸びた。
少々長い黒髪と、恐ろしいほど整った端正な容姿。
紫の瞳が与える印象は非情に艶やかであり、見ているだけで思わず溜息が漏れてしまいそうだ。
少年の名前はルルーシュ・ランペルージ。
現在、憂が行動を共にしている謎の人物だ。彼は自身のことをあまり語ろうとはしない。
「ルルーシュさんも……誰か知り合いが……?」
憂は恐る恐る問い掛けた。
自身の幸せのために、人を殺す決意を固めた――とはいえ。
何もかもを簡単に吹っ切ってしまえるほど憂は強くはない。そして、本来は誰よりも優しい少女なのだ。
だからこそ、不安だった。慰めが欲しかった。仲間が欲しかった……のかもしれない。
「――いや、俺の知り合いに死んだ人間はいない」
「そう……ですか」
だが、ルルーシュはすぐに向き直ると憂を胡乱げな眼差しで見つめた。
その瞳に奥には、放送前とは何か違う輝きが宿っているようにも思えるのだが、それを裏付ける証拠もない。
単なる気のせいだろう、そう憂は結論付ける。
彼は先程まで纏っていたウェットスーツを脱ぎ捨て、憂の支給品だった『アッシュフォード学園男子制服』に身を包んでいる。
『この服にまた袖を通すことになるとはな……』と、ルルーシュは呟いていたが、どうやら彼と関係性のある学校の衣服だったらしい。
「とはいえ、お前は違うようだな」
「う……っ」
「今、梓と言っていたな。中野梓。ほう、名簿外の参加者か」
ルルーシュが自身の名簿を見つめながら呟いた。
「友人か」
「……はい」
「まったく……そう堅くなるな。泣きたいなら好きにすればいい。文句を言うつもりはないぞ?」
「……結構です!」
揚陸艇に乗り込んでから、憂はルルーシュの言葉通り、シャワーを浴び、渡されたゴシックロリータ風の服に着替えていた。
そのデザインは普段の憂ならば絶対に着ない華美な服で(軽音部のメンバーが去年のステージで着ていた服に近い)、
こんな衣装を勧めてくる彼には妙な趣味でもあるのではないか、と思わず疑ってしまったほどだ。
「……しかし、意外だったな」
「え?」
ルルーシュがぽつりともらした言葉に、憂は小さく首を傾げた。
「お前に知り合いの死を悲しむほどの余裕が残っている、とはな」
「なっ……!?」
「大切な姉は無事だったのだぞ。安心こそすれ、悲しむべき場所ではないと思うが」
「ッ――!」
絶句、した。
憂はルルーシュに唯に関することは何も話していない。
だが、彼は見事に憂の心中を言い当て、今も涼しい顔を浮かべている。なんで、どうして……!?
「『何故、私が人を殺す理由が分かるのか』という顔をしているな」
「……ぁ……う……!」
「簡単な推理さ。お前はどう見ても何の能力も持たない普通の女だ。
殺し合いをしろ――と強要されても、簡単に頷くことなど出来るはずがない。あるとすれば、せいぜい自衛のための殺人程度だろう。
ここで注目するべきは、お前がどうも何らかの目的を持って動いているらしき点だ。
服すら着ずに俺の揚陸艇を追いかけて来た。あの時ばかりは流石の俺も目を疑ったぞ?
それに、だ。手当たり次第に殺しているだけならば、俺の力を借りようなどとは考えないはずだ。これだけの材料があれば、後は誰にでも分かる――」
つまらなさそうな瞳で、ルルーシュは驚愕の表情を浮かべる憂を見下ろした。
「大切な人間、おそらくは――『姉のために』人を殺そうと思ったんだろう?」
憂は、その問い掛けに答えることが出来なかった。
それは、ひたすら――否定し続けていた事柄だった。
矛盾を孕んだ言葉であると、頭の隅では理解しつつも受け流していた真実だった。
「ちがっ……」
「先程、姉の名前を俺が出した時の反応も妙だった。いや――異常、だった」
「別に、嘘をつく必要はない。責めるつもりもない。俺は事実を確認しているだけだ」
鋭利なナイフのようにルルーシュの言葉は憂の心肝へと突き刺さる。
柔らかい肉を引き裂いて、冷酷なまでに彼女の行動に理由を付ける。全てを、解体する。
なんで……!?
どうして、そんなこと言うのっ……!
平沢憂が人を殺す理由――ソレは、いわゆる狂人の論理なのだ。都合の良いこと事柄を抽出したに過ぎない。
阿良々木暦と憂が遭遇した際、彼女は自身が人を殺す理由を彼にこう説明した。
『阿良々木さんは勘違いしてます。私はお姉ちゃんの為にしてるんじゃありません。自分の、為なんです。
お姉ちゃんの為なんて言ったら、悲しむじゃないですか』
そして、河原で安藤守を殺した際の返り血を流していた時、自身の行動を振り返った彼女はこう結論付けた。
『この戦いで私がお姉ちゃん以外を殺し尽くす事とお姉ちゃんは無関係! 』
狂って、いる。破綻している。
誰だってそう思う――憂以外は。
決して理解されることはない。否、理解されるわけがない。なぜならば――
「……埒が明かないな。平沢憂、俺の質問に答えろ――――決して、俺を『裏切る』ことなく」
ルルーシュが口にした『裏切り』という単語に、憂は反応せざるを得なかった。
ソレは、絶対遵守の言葉。反故することの出来ない王の意志。
混濁とした精神意識に飲み込まれ、完全に普段の自分を見失い、錯乱した平沢憂の核心へと迫る唯一の手段。
「お前は、この島において何故、人を殺す。そして――何故、殺した?」
「あっ……ぅ……!! 私…………は……、」
ルルーシュの血のように紅い瞳が、憂を見ていた。
全てを見透かされるような。全てを掌握されるような、大海の如き意志の氾濫に飲み込まれる。
憂は虚ろな輝きを双眸に宿し、必死に偽ってきた自分自身を丸裸にすることを強制される。
――――本当は、気付いていた。いや、気付いていないわけがなかった。
わたしは、日記を持っている。
この島で起こった出来事を、誰かを殺した事実を記す絶望ノートを。
どうして、日記なんて物を書こうと考えたのか?
わたしにはそもそも、日記を書く習慣なんてないのだ。
じゃあ、唐突に日記を付けようと思い立った理由は?
しかも殺し合いの場で、だ。あきらかにおかしい。普通に考えたら、異常としか考えられない。
つまり、それは――
『お姉ちゃんのために殺す』という、本心を隠すために『自分のために殺す』と言い訳をしていたのではなく。
「……自分が死にたくないから……殺していたんです」
『自分が死にたくないから殺す』という、醜い本心を覆い隠すために、唯を免罪符代わりにしていたに過ぎないのだ。
それが、私がずっと押し隠していた事実。
本当の、私。
▽
「そうか」
予想外の答え、だった。そのまま『姉のために殺した』と肯定の言葉が返ってくるとばかり思っていたのだが。
ルルーシュ・ランペルージ、またの名を神聖ブリタニア帝国第九十九代皇帝・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
だが、このバトルロワイアルという殺し合いの場において、その肩書きは何の意味も持たない。
それは、ルルーシュの名前がランペルージ姓で名簿に登録されていたことが裏付けているのかもしれない。
ブリタニア皇帝として、ではなく、あくまでルルーシュという一人の少年としての行動――
それこそがこの場で自分に求められているのではないか、朝焼けに輝く海面を視界の端に収め、ルルーシュは再度、思案する。
(……見込み違いだったか?)
目の前で絶望に染まりきった表情を浮かべている少女をルルーシュは見下ろす。
彼女は『駒』だ。それ以上でもそれ以下でもない。
だが、当然――従順な駒にも資格というモノは求められる。
(ギアスは十分に効果を発揮しているようだな。ただ、ギアスのサンプルとしての役割……程度か。
実際に、俺の手足となって働いて貰う駒としては不穏な要素が多すぎるな)
平沢憂に対するルルーシュの認識が最も近い相手。
それは『毎日、アッシュフォード学園の屋上の壁に印を付けるギアス』を掛けた女生徒であった。
ルルーシュが絶対遵守の力を入手した際、ギアスの継続時間を調査するための実験台とした少女。
制限下の状況を意識したギアスサンプルとしては、これ以上ないほどの比較対象だろう。
また、これはルルーシュも知らない完全な余談ではあるが、彼女は戦乱が拡大した後、ブリタニアの本国に帰還している。
おそらくではあるが、現在でも生存しているはずだ。
しかし、彼女に掛けられたギアスは一年が経過した今となっても依然、健在なのである。
ブリタニアと日本の時差は八時間。彼女は今でも夜になるとアッシュフォード学園のあるエリア11へと足を運んでしまう。もちろん、家族に静止されるわけだが。
そのため、夜は家の中に監禁される生活を送っている――という裏話。
(ここで、むしろ――――俺にとっての問題は、)
ルルーシュはスッと視線を憂から外した。
揚陸艇は宇宙開発局エリアから離れ、一路工業地帯を目指していた。
F−4が禁止エリアに指定はされているものの、
この付近水路自体は二エリアに跨っており、使用可能であると判断した故の行動だ。
だが、それ以上にルルーシュにはこの場で優先すべき問題が発生してしまった。それは、
(…………ユフィ!)
ユーフェミア・リ・ブリタニア――ユフィが、この殺し合いに参加しているという事実である。
(『死んだ人間を蘇らせる《魔法》』とやらをコレで否定することは出来なくなった……か。
ユフィは、死んだはずだ。間違いなく。そう…………間違いなく、俺が、殺した)
もしも、ユーフェミアが死ななければ――ルルーシュ達の道筋は全く異なるモノになっていただろう。
それほどに、大きな影響をもたらした死だった。
ルルーシュとスザクの間を引き裂き、
イレヴンの意志を完全に反ブリタニアへと駆り立て、そして巡る憎悪と復讐の連鎖。
全ての始まりは、ルルーシュのギアスの暴走。行政特区日本の失敗。
死後、『虐殺皇女』という汚名を被ることになった心優しき少女の末路――
(切り替える、必要がある。いや、切り替えざるを得ない。
俺はまだ冷静さを保つことが出来た。だが、アイツは…………スザクはどうだ?
アイツにとってのユフィという存在は――限りなく重い。俺、以上に)
今のスザクはユフィの『騎士』であった頃のスザクとはまるで違う。
少なくとも、何もかを放り出して暴走を始めてしまう――という可能性は否定出来る。
だが、内心に抱いた感傷は計り知れないだろう。スザクが虐殺の現場に駆け付けた時、全てはもう終わった後だった。
ユフィを守れなかった、死なせてしまった――同じ種類の後悔をルルーシュとスザクは抱えている。
だからこそ、
(俺は、ユフィを見つけ出さなければならない)
同じ過ちを二度、繰り返すことは絶対に出来ないと考えてしまう。否、考えるしかない。
死んだ人間は生き返らない。それは当たり前のことだ。だからこそ死は尊く、不可侵的な輝きを帯びる。
かといって、生き返った命を無駄にすることなど出来るはずもない。
(他にも問題はある。ユフィに掛けたギアスについてだ。
ギアスに関する調査は行ったが……『対象が死亡した際ギアスの効果が継続するかどうか』だけは分からない。
もしも、あの『虐殺ギアス』が未だに効力を持っているとしたら――)
そして、この空間において、ユフィに更に人を殺めさせるわけにはいかないのだ。
配布された名簿を見るに、今回のバトルロワイアルの参加者の大半は日本人である。
条件に一致する人間のなんと多いことか! つまり、この状況でルルーシュに求められる行動は――
「あの、ルルーシュさん」
「……どうした」
「その、大丈夫ですか?」
黙り込んでいたルルーシュの態度から不安を覚えたのか、傍らの憂がこちらの顔を覗き込みながら尋ねた。
「問題は、ない。とにかく、もうすぐ上陸だ。それまでに要らない物や支給品の整理をしておけ」
「ギャンブル船には……いかないんですね」
「ああ。あそこは単なる『餌場』に過ぎんからな。この段階の目的地としてはリスクが大きすぎる。却下だ。
ひとまず、上陸する。海上にいては、他の参加者と遭遇することも出来んからな」
浮いた施設の多い会場内ではあるが、その中でも特に『ギャンブル船』は一際異彩を放っている。
『ペリカ』というルールを提示された参加者にとって、ギャンブルという言葉の持つ意味は大きすぎるのだ。
自ずと、参加者が集まることは予想出来るが……逆に、警戒して距離を取る人間も多いはずだ。
(スザクやC.C.も動いているだろうが……いつまでも俺が遊んでいる訳にも行くまい)
そうだけ考え、ルルーシュは行く先を見据えるのだった。
▽
(最悪、やなっ……!)
本音を胸中に隠したまま、船井譲次は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、今後の策を練っていた。
「あずにゃん…………」
E−4薬局内。船井達一行は血まみれで現れた琴吹紬を保護し、この薬局に運び込んでいた。
そわそわしながら、依然眠ったままの紬を唯が見守っていた。
紬の色素の薄い髪や桜が丘高校の制服に染み付いていた血液は軽く湿らしたバスタオルで拭われた程度で、完全に処置された訳ではない。
唯が必死になってブレザーなどは脱がしたものの、ブラウスにまで染み込んだ血液はどうしようもない。
まともな着替えも見つからないのだ。結果、スカートや紺色のソックスには所々、赤黒く変色した液体が付着している。
(後手っ……完全な後手っ……! 取り返しの付かない失態っ……!
この嬢ちゃんは気付いとらんようやが……見誤ったわ……ここまでのものだったなんて……!)
そう――唯は、まだ状況の深刻さに気付いてない。
それだけが船井に残された数少ないアドバンテージだったのかもしれない。
放送明け、想像通り十二人の名簿外の人間と六時間までの死者が発表された。
船井の直接的な知り合いの生死に関しては大して語るべき所はない。
中野梓という唯の後輩が名簿外の参加者として集められており、既に死亡していたことで一悶着あったのだが、ソレも船井にとってはさほど重要な問題ではない。
この放送において、彼を何よりも驚愕させた事実。それは――
(十四人やて……!? ありえんっ……早すぎるわ……! 『様子見』に出たのは裏目に出たんかっ……!?)
死者の数、である。
十四名の死亡者。これはシンプルに考えると『十四人、人を殺した人間がいる』と変換することが出来る。
当然、一人の者が複数の人間を殺したとも考えられるし、複数の人間が一名にリンチを加えたという思考も可能だ。
一概には成立しない論理。おそらく序数的には不正解の論理。
だが――『見』に徹しなかった殺人者が十人前後存在する、と考えて間違いはないだろう。
このペースで死者が出ると考えるならば、一日も経てば参加者の数は二桁を割り込む。
そして、何よりも船井にとって気に掛かったのは、殺し合いに放り込まれた直後から殺害行動を取る参加者の多さだ。
一般人にとって、『殺人』とは日常生活における最大のタブーである。
当然、《バトルロワイアル》という殺人ゲームに放り込まれたとして、人殺しに対する罪悪感や禁忌の感情は決して簡単に消えることはないだろう。
加えて、自分自身が殺すだけではない。自分『も』殺される可能性があるのだ。
結果、最初は様子見に徹する人間が多いのではないか――――そう考えている嫌いが船井にはあった。しかし、
(しかもなんや、この名簿外の参加者の死亡率の高さはっ……!?
オレ以外の名簿外参加者で生き残っとるんが【アーニャ・アールストレイム】【海原光貴】【ユーフェミア・リ・ブリタニア】 の三人だけ……!
十四人の死亡者中、八人が既に事切れとる……嬢ちゃんの後輩も含めてっ……!
偶然なわけあるかいっ! これは……認めたくないが……名簿外の十二人は…………『死体候補』なんやないか!?)
このあまりに不自然な名簿外参加者の死者の多さが船井に天啓をもたらしたのである。
つまり――この後付けの参加者達は、バトルロワイアルの序盤において脱落することを前提に選出されたメンバ−なのではないか、ということ。
実際、参加者の初期配置は帝愛グループ側が自由に操ることが出来る。
好戦的な人間の側に、『餌』を置いて殺しを促すくらいのことは…………平気でやる!
(あの仮面の男――【ゼロ】言うたか。アイツも……濃厚やな。
もう少し……気付くのが遅れとったら、オレも完全に詰んどったかもしれん。
『最初にある程度の死者を出すことで、他の参加者に殺人を促す』っちゅー論理なわけや……!
しかも、今回死んどるのは女ばかりっ……これが怖いっ……!
つまり『ゲームに乗ってる連中は女だろうと容赦はしない』……そういう裏付けや。
ハッキリしたわ。これは持久戦なんかやない……完全な…………短期決戦っ……!)
カンフル剤。加速剤。ブースター。
例えば、一番最初の放送で死者が少なかったら参加者はこう考えるだろう。
『意外と、殺し合いに乗っている人間は少ないようだ。これは信頼出来る人間も多いかもしれない』と。
だが、それは帝愛グループが後ろに付いている裏社会のゲームとしては有り得ない。
裏切り、憎しみ、欺瞞、偽装、自己保身……そんな薄汚い人間の奥底に溜まっている澱のような感情を帝愛の人間は好むのだから。
(身の振り方…………考え直さんとあかんようやな)
そんなことを唯と紬を視界の端に収めながら、船井は考えた。
ここまで『盾』として唯と行動を共にしてきた船井ではあるが、彼女と同行して得たものは何もなかった。
それどころか、見事なまでの『お荷物』まで背負い込んでしまう始末である。
このゲームは過酷だ。油断すれば船井でさえ、あっという間に足元を掬われてしまう。と、いうことは――
「うっ……あああああああああああああっ…………!」
「む、ムギちゃんっ!?」
そこまで、船井が考えた時、突如として眠っていた紬の唇から苦悶に溢れた叫び声が漏れた。
中野梓が死んだ――という事実を一方的に突き付けられ、グッタリしていた唯も瞳をカッと開いて飛び起きる。
「ごめんっ……なさい……わた、私のせいでっ……!
加治木……さんっ……撫子ちゃん……! 浅上……さんが……加治木……さんを……!」
「ど、ど、どうしよう……ムギちゃんが……!?」
「落ち着けっ……よく見るんや、寝言やで寝言! うなされてるだけや!」
あたふたと半泣きになりながら、左右を見渡す唯。どうしたら良いのか分からないのだろう。
確かに、対処に困るシチュエーションではあると船井も思う。
それにどうやら紬は目覚めたわけではなく、悪夢を見て怯えているだけらしい。
(加治木に撫子……これは、どっちも放送で呼ばれた名前やな。
つーことはこの嬢ちゃんが浴びとった返り血はこの二人のどっちかのモンってことか。
あとは浅上…………名簿に名前があったな。確か【浅上藤乃】だったか。
……あん? 待ちや――この嬢ちゃん、まだ死んどらんやんけ!? つまり…………『乗った』人間ってことか…………?)
船井はここで一度、方向転換を決意した。
明らかな足手まとい二人である唯と紬を切り捨てようかと考えていたのだが、
どうやら紬の持っている情報はそこそこに有用性が高そうである、という判断を下した形である。
殺人者の情報は喉から手が出るほど欲しい。
手口、容姿、能力…………対策を練ることで、生存率は格段に上昇するのだ。
その時、だった。
――薬局の入り口の方で、ドンッ、という人と人とがぶつかり合う、鈍い音が響き渡ったのは。
「あっ…………!?」
「ど、どうしたんですか。船井さん?」
「……どこまで鈍いんや、嬢ちゃんは。…………人や。外に他の人間がおるっ……!」
「ええっ!?」
「アホ! 顔出したら撃たれるかもしれんで!
亀のように頭を突き出し、唯が入り口の方を眺めようとするのを船井は窘めた。
本当に、どれだけ抜けているのだろうか。この平沢唯という少女は。
今の行動など、相手が銃を構えた人間だとしたら、狙撃されていてもおかしくなかったというのに。
「ちっ……!」
船井はデイパックを背負い直し、ポケットの中にしまったナイフの位置を確かめる。
あくまで護身用だ。船井程度の力で倒すことの出来る相手は相当に限られる。
ただ、現れた人間を吟味する――時間があればいいのだが。
チラリ、と横目で薬局の裏口の位置を船井は確認した。
格闘技や戦闘術に長けた人間が相手ならば、重要なのはとにかく戦わないことだ。
唯と紬を囮にして、出来るだけ素早くこの場から脱出する――
「ど、どどど、どうすればいいんでしょう!」
「静かにしいや。ええか、落ち着くんや」
唯を宥めつつ、船井は自分だけゆっくりと後ずさる。
決して、彼女に気取られないように(大袈裟に逃げ出しても唯ならば、気付かないかもしれないが)
そして――僅かな時間をおいて、入り口の向こう側から人影が顔を出した。
「……警戒しないで貰いたい。断っておくが、もちろん殺し合いには乗っていない。
俺はルルーシュ。ルルーシュ・ランペルージ。参加者の一人だ」
現れたのは黒髪と、黒の制服が特徴的な少年だった。
いや、更に特筆すべきはその驚くべき整った容姿だろうか。
そして、爛々と煌めく紅の瞳の少年に――――ルルーシュ・ランペルージに船井達は出会った。
▽
(男一人に意識を失った女。そして…………こいつが【平沢唯】か)
こんな口調で話すのはなんとも久しぶりだ、ルルーシュはそんなことを思いながら遭遇した三人を見渡す。
着ている服も、名簿に書かれた名前。
まるで一昔前の自分に戻ったような錯覚に捕らわれそうになる。
もちろん、そんな夢が叶うはずもないのだが。
「乗ってない、か。まぁそうすんなりとは信用できんな」
「ふ、船井さんっ。酷いですよ! そんないきなり人を疑うなんて!」
「アホか。簡単に信じる人間の方が、むしろ疑わしいっ……! そういう場所やで、ここは」
「むむむむ……」
唯が顔を顰めた。
だが、その仕草からは全く真面目なニュアンスが感じ取れない間抜けそのものである。
ルルーシュは、早くもこんな姉だからこそ憂が殺人を行うことにしたのだろう――そんなことを考え始めていた。
(憂とこの姉を合わせなかったことは、どう影響するか……?)
薬局にルルーシュ達が足を踏み入れ掛けた時――不思議な出来事が発生した。
何が起こったのかはよく分からなかったのだが、妙な『何か』が薬局の中から飛び出してきて同行していた憂と衝突したのである。
先程のやり取りを経て、憂は完全に意気消沈状態だった。心ここに在らず、という奴だ。
結果、その『何か』を回避することは出来なかった。
とはいえ、その隙に顔を出した相手側の少女――平沢唯を一方的にルルーシュだけが確認することに成功した。
既に唯の外見情報を得ていたルルーシュはすぐさま、憂へ『一旦、離れていろ』と命令を下した。
理由は簡単だ。『簡単に、唯と憂を遭遇させるわけにはいかない』と考えたためである。
(憂が殺人を犯す理由……それは本人すら意識が及ばないレベルでねじ曲がっている。
だが、少なくとも姉である平沢唯の存在がその大きな割合を占めていることは事実。
不用意な接触を許すことは、出来ない。十分に吟味してからでなくては――)
ルルーシュはそう結論付ける。まだまだ駒は必要だ。
姉と妹、深い絆で結ばれた血縁関係にある人間には何か利用価値があるかもしれない。
だが、逆に状況を悪くするような再会を歓迎するわけにはいかなかった。
「もっともな意見だろう。このような環境で、人を信頼することは難しい。
とはいえ、俺の眼にはあなた達二人は非常に息の合った関係であるように見えるが……」
「ど、どうしましょう、船井さん。褒められちゃいましたっ」
「……別に褒めとるわけやないやろ。誰でもコレくらいは言えるで」
「そんなっ! 絶対に褒めてくれてますよ! ですよね!?」
「あ、ああ……」
だが、唯と会話を試みてから数分。ルルーシュは早くもとある疑念にぶち当たっていた。
(なんだ、このアホ具合は……!? こんな状況でまだこんな平和ボケした思考が出来るのか!?
いや、だか待て。この露骨なまでの天然っぷりは俺への牽制の可能性がある……!)
つまり、唯が――完全に駄目な人間にしか見えない、ということだ。
このポンコツ具合はあの平沢憂と本当に姉妹であるかどうか、疑惑の目を向けたくなるレベルだ。
とはいえ、少し話した程度で全てを見定めることは出来ないとも思う。
すぐ側で眠っている女。
そして船井と呼ばれた胡散臭い男と合わせて、ルルーシュは更なる情報交換を試みる――
▽
「はぁっ……はぁっ……!」
薬局を飛び出した時、誰かとぶつかったような気がしたけれど、正直よく覚えていないっす。
黒髪の男の子と、茶色い髪の女の子がいた……ような。曖昧っす。
予感は、していました。
だから――その名前が呼ばれた時、とにかく私は冷静にならないといけないと思ったっす。
なのに、どうして、こんな。
衝動的な行動を取ってしまったんでしょう。
これは、殺し合いの最中だっていうのに。
私はどこかの誰かのように、デジタルの打ち手じゃないので徹頭徹尾、理性的な行動を取ることなんて出来ません。
だけど、そうそう不用意な打ち込みをしてしまうほど、迂闊な性格ではないと思うっす。
わざと牌を切る時に音を立てたり、点棒を置く時にうるさくしたりするくらい。
それにそういう『目立つ』行為をしたとしても、大抵、誰にも気付いて貰えないことの方が多いくらいで。
だから、あんまり意味とかないっす。
私のリーチはダマと同じ。
私は誰にも振り込まない。
リーチに当たり牌を打っても、相手がフリテンになるだけ。
私は――存在しない。
だから、あの人がこの世界から消えてなくなったということは、また私の存在が消滅したことと等しくて。
でも。それでも。
あの人がいないからこそ、私はしっかりしないといけない。自分をしっかり持たないといけない。
そう必死になって自分へいい聞かせていたはずなのに。
本当に、不思議な話っすよね。
おかしい、っすよ。私は、自分を落ち着けようと物凄く頑張ったんすよ?
結局、限界まで張り詰めていた糸が、ぷつん、と切れるのは突然でした。
そのきっかけになったのはやっぱりあの人の名前。
不思議な巡り合わせだと思いました。
実際に、ソレは悪趣味なまでに運命的な遭遇だったんだと思うっす。
だってあの、眉毛さんの口から『加治木』なんて言葉が飛び出したんすよ!
普通、驚かないはずがないと思うんすよね。
完全に掴むことなく千切れたと思っていた線が繋がった瞬間でした。
だけど、その名前を聞いた瞬間、私の中でなにかが燃え上がって……爆発して。
まぁ、何だかんだでこういう有様です。
自分で思っていた以上に、私の中であの人の影響力は大きかったようで。
「………………先輩」
走って、走って、走って……。
辿り着いたのは朝焼けを反射してキラキラと輝く堤防でした。
素晴らしい光景だと思いました。なんて美しい光景なんだと思ったす。
でも、こんな情景を先輩は見ることが出来ないと思うと、胸の奥から不思議な感覚が込み上げて来るわけで。
「…………先輩」
私には一つだけ夢があったんす。
だけど、それは私だけの夢ではなかったはずっす。
私と、先輩と……そして鶴賀学園麻雀部全員の夢っす。
県予選に勝って、全国で戦う――そんな、未来。
「……先輩」
だけど、それはあくまで表向きの目標に過ぎなかったわけで。
聞きましたよね。
『もし、あさっての県予選で負けちゃったりしたら、私と先輩が一緒にいる意味ってなくなっちゃうんすか?』
って。帰り路、二人で歩いていた時に。
はっきりとした言葉、貰えませんでした。
でも、私は別に答えは何でもいいと思うっす。
ただ、そこに、先輩がいさえれすれば。
一緒に居ることが出来れば。
私は、それで。
それで、きっと…………良かったんだと思うっす。
「先…………輩」
放送で聞こえて来た名前が、先輩の名前が、加治木ゆみという名前が。
今まではその名前を耳にするだけで、嬉しい気持ちになることが出来たのに。
どうして、こんなにも私は悲しい気持ちになっているんすかね。
おかしいっすよね。ホント。
先輩も――そう、思いませんか。
「せ……ん…………ぱい……!!」
溢れ出したモノは涙。止めどなく頬を濡らす液体。
どこまで走ってきたのか、もう私には完全に分からなくなっていたっす。
両手を堤防のコンクリートの路面に付けて、私は力の抜けた身体に縋りつくような格好になります。
ぽたり、ぽたりと。
細かい砂の粒子に汚れた白亜色が黒く濁っていきます。
落ちた雫はぱしゃんと潰れて、散って、弾けて。
私の両眼がまるで真っ黒い雨雲にでもなってしまったようでした。
吹き付ける海風が涙でグショグショになった頬を冷たく撫でさすります。
私はその凍えるような感覚に、半ば衝動的にブレザーの袖で瞼を荒々しく擦りました。
でも、どれだけ拭っても、拭っても、私の瞳は泣きじゃくるのを止めてくれなくて。
「先輩……先輩……せん……ぱ……ぁい……せん……ぱ……」
もうそうなってしまったら、後はグチャグチャでした。
涙も鼻水も際限なく溢れ出します。
喉の奥がカラカラっす。舌は痺れて、鼻の頭がつーんと痺れます。
擦っても擦っても涙は止んでくれないので、私の顔は真っ赤になってしまいます。
ひっくひっくとしゃくり上げる音。漏れる嗚咽。
声にならない声が重なって、外の世界が完全にどこかへ行ってしまいます。
「ぜ……ん……っ……ぱ……い……」
おかしいっす。変っすよ。
何で先輩が死なないといけないんすか! なんで、死んで……!
だって、先輩はいつもカッコよくて、冷静沈着で、すごく頼りになって。
私を残して、先に死んでしまうことなんて、絶対にありえない……そう思っていたっす。
なのに、なんで……どうして……!
「先輩が……いなく……なったら…………わたしは、どうすれば……いいんすか……」
意識がどんどん不思議な方向に尖っていく感覚でした。
普段、人から全く存在を感知されることなく、真っ暗な天の岩戸に閉じこもっているような私。
だから、私は外の変化から取り残されていて、私もそれに慣れて完全にコミュニケーションを放棄していました。
そこに現れたのが先輩でした。
私を求めてくれた。私を必要としてくれたっす。
だから――私を見てくれる人は一人だけいれば、それで良かったのに。
「わたしを……見てくれる人が……いなくなって…………しまったっす」
これから、私はどうすればいいんすか……。
先輩のいない世界に意味なんてない――と、全てを投げ出すのも一つの選択肢かもしれません。
でも死ぬことを、別に私が自分でやる必要もないような気も。
私が他人に自分の気配を察知されない『ステルス体質』であるとしても、存在自体はしているのですから。
殺されることは……きっと簡単っす。
だけど、残酷なことに――この結末を変える手段が一つだけ残されているわけで。
これは《バトルロワイアル》という殺人ゲーム。
そこにはルールがって、優勝者がいて、優勝賞品があります。
死者の復活―――――四億ペリカ。
優勝賞金が十億。蘇生が四億。元の世界へ返るのに一億。
そういうこと……なんすかね。
何もせずに生きて返るなんて……無理ってことなんすかね。もう、私に残された道筋は――――
「…………女、か」
声が、しました。
男の人の、声。まるで私へと問い掛けるかのような声。
完全に閉じた世界の中で泣きじゃくっていた私を、頭の上から見下ろすような声。
「誰かが、死んだか」
ハッとして、私は声のする方を振り返りました。
路面に蹲っていた私の背後、数メートル先に金色の長髪をたなびかせた男の人が立っていました。
切れ長の瞳に白い肌。身に纏っている衣装は、まるでどこかの国の民族衣装のよう。
所々破れたソレは、彼がこれまでの間に複数の戦いを経験していたことを証明していたのかもしれません。
「あっ……!?」
男の人の手には無骨なデザインの拳銃が握られていました。
私のステルスは決して万能ではありません。
大きな音を立てたり、大騒ぎをすれば気付かれてしまうこともあるわけで。
例えば、今のように――大声で泣き叫んでいたりした場合ならば、当然の如く。
それは、私がこの島にやって来てから、初めて一人の人間としてはっきり他の参加者に確認された瞬間でした。
勘違いや気のせいではなく。明確な意志を持った存在として。
私は私――東横桃子として、認識されたのです。
「丁度いい所で出会ったものだ。女、一つだけ聞きたいことがある。お前は……」
男の人は瞳は虚ろでした。
左肩は銃で撃たれたのでしょう。血が滲んでいます。
そして、男の人は私に銃口を向けて、小さな声で呟いたのです。
「夢を、奪われた者が……どうなるか知っているか?」
今にも消えてしまいそうな押し殺した、声で。
その言葉を聞いて、私は思いました。
――この人は、本当に私を見ているのだろうか、と。
▽
憂はルルーシュの言いつけ通り、薬局から揚陸艇へと帰る道の途中だった。
つい先程まではルルーシュと共に行動していたのだが、
薬局の入り口付近で妙な『何か』と衝突した後、一人でその場から離れるようにルルーシュから命令されてしまったのだ。
「……お姉ちゃん」
憂の目的は自身の幸せを守るために、この殺し合いで優勝することだった。
夢、である。普段通り、お姉ちゃんと笑い合って楽しく過ごしたい――という儚い夢。
だが、ルルーシュとの問答の末、憂の中でそれがよく分からなくなってしまっていた。
ありとあらゆる行動が矛盾していた。
意識も、想いも、理由も、何もかもだ。
自分自身のために人を殺す――という、明らかに普段の平沢憂とはかけ離れた思考。
姉に迷惑を掛けたくない――と思いつつ、既に二人の人間を殺している。
そして、自分が姉のために人殺しをしていることを複数の人間に看破されてしまった事実。
日記を書く――という行為。それ全て。
『逃げ道を与えないために日記を書く』という思考自体がもう完全破綻している。
この一連の行いが現実と向き合うことからの逃走である、と意識すら出来ていない。
何もかもが…………よく分からない。
「……私は、どうすればいいんだろう」
有り得ないのだ。分からないのだ。
例えば――とある一つの仮定をしてみる。
一番シンプルで、理解しやすい私が殺し合いを受諾した理由付けを、だ。
『私はお姉ちゃんが幸せであればいいと思った。だから殺す。お姉ちゃんのために、殺す。
お姉ちゃんがお姉ちゃんらしくいられる未来を守るために殺す。私が泥を被る』
という、思考。
醜くて、自分勝手で、自己犠牲的で……だけど、それでいて分かりやすい。
そこには歪みあるが矛盾はない。倫理的な問題はあるが一応の筋は通っている。
だが――自分はこのような思考を行うことはなかった。
殺す理由に『お姉ちゃん』を据えることを不自然なまでに恐れた。
どうして、だろう。
お姉ちゃんが私がやったことを知れば傷ついてしまうことは分かる。
お姉ちゃんは抜けているようで、芯の通った人だ。
可愛らしくて、争いとは根っから無縁な存在だ。
妹が、人殺しであると知ったら…………誰よりも悲しみ、涙を流すであろう人だ。
だからこそ、思う。
本当に本当の意味で私がお姉ちゃんのことを考えるならば――人を殺そうなんて、考えてはいけなかったのではないか、と。
これは決して否定の出来ない事実だった。
私は、お姉ちゃんが妹が人殺しだと知った時、絶対に悲しむと分かっていたのだ。理解していたのだ。
想像力が足りなかったのではない。しっかりと考えていた。私は冷静だった。
なのに、私は殺した。
池田華菜さんのお腹をナイフで刺して殺した。騙して殺した。
安藤守さんの背中をナイフで刺して殺した。騙して殺した。
「お姉ちゃん……」
もう、私は戻れない。お姉ちゃんが大嫌いな人殺しになってしまった。
いや……それ以前に、私にはお姉ちゃんと合わせる顔が既に、ないのかもしれない。
私は、初めは人を殺すことを躊躇っていた。
だけど、池田華菜さんに銃を向けられた時、その意識は完全に反転した。
発露されずに震えていた感情はあの瞬間、確かな形を成した。
私の命を守るために、生き残るために――殺意へと姿を変えた。
その行為の意味に、私はずっと気づけずにいた。だって、それは――
「……あれ」
フラフラと歩いていた私は、自分がどうやら揚陸艇を繋いだ波頭とは微妙に離れた場所にやって来ていることに気付いた。
緩慢な動作でデバイスを取り出す。器具は現在位置を『E−5』であると示していた。
そこは、不思議な場所だった。
何が不思議なのかは分からない。ただ、何となく妙な気分になる。
何もない、のに。
だけど、何もないことがむしろ不自然に思えてしまう。そんな場所だった。
「……なに、これ」
そんな時、だった。
不自然に何もかもが消え失せた路上にて。
数刻前、『とある少女』が世界の全てに絶望して命を落としたその場所で。
少女は――――行き遭うことになる。
「あなた……誰……?」
押し潰されそうな重い思いに縛られた少女の末路。それは常に儚い終焉を迎えることしか出来ない。
憂は知らなかった。分かっていなかった。
つまり、自分はとっくに『選んでいた』ということだ。
命を、取るか。
それとも。
夢を、取るか。
憂は命を、取った。
つまり、姉への想いを――――『切った』のである。
一番大切だと思い込んでいたモノは、気付けば、とっくの昔に切り捨てていたらしい。
だけど、残滓となった感情だけは未だにその中を漂っている。
混濁した、混沌の想いが憂を縛り付けている。それに悩まされている。それにしがみついている。
そして、それは辛い。とても、苦しい。
解放されたくても、決して消えることのない後悔となってこびり付いている。
重い/思い――『しがらみ』になっている。
「私を……助けてくれる……の……?」
だから、少女が現れた《怪異》に対して、頭を下げることは半ば必然だった。
仕組みや理屈なんて、分からなくても問題はなかったのだ。
ただ、憂は思い悩むことを止めたかった。
解き放たれたかった。
心の拠り所が――欲しかった。
人を殺した罪悪感から逃げたとある少女が命を落としたその場所で、《怪異》は影を潜めていた。
奇しくも似たような縁で繋がれた少女が――蟹と行き遭ったのはどのような偶然だろう。
「お願いします……私を、楽にして下さい」
そして――代償として、少女は失うことになる。
彼女が誰よりも求めた夢を。
大切な人への思いを。
平沢唯に対する、平沢憂の重みが――消え失せる。
【E-5/路上/一日目/朝】
【平沢憂@けいおん!】
[状態]:疲労(小)、解けた髪、拳に傷、重みを消失
[服装]:ゴスロリ@現実
[装備]:果物ナイフ@現実(現地調達)、拳の包帯、おもし蟹@化物語
[道具]:基本支給品一式、日記(羽ペン付き)@現実、桜が丘高校女子制服、
ギミックヨーヨー@ガンソード、COLT M16A1/M203(突撃銃・グレネードランチャー/(20/20)(1/1/)発/予備40・10発)@現実、
騎英の手綱@Fate/stay night、阿良々木暦のMTB@化物語、カメオ@ガン×ソード、包帯と消毒液@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor
[思考]
基本:???
1:蟹……?
[備考]
※ルルーシュの「俺を裏切るなよ」というギアスをかけられました。
※中野梓についていた「おもし蟹」と行き遭いました。姉である平沢唯に対する『思い』を失っています。
【COLT M16A1/M203@現実】
ベトナムのジャングル戦において使用されてきたM16A1 アサルトライフルにM203 グレネードランチャーを装着した画期的装備。
連射性の低さを補い、火力アップを図るために装着されたM203は40mmの各種グレネード弾を発射できる。
現在もアメリカ軍によって現役で使用されている高い能力を持った武装である。
【騎英の手綱@Fate/stay night】
神代の幻想種を従える為の手綱と鞭。
これを装着させる事でその相手のリミッターを強制排除し全ての能力を1ランク上昇させ、その超高速突撃で相手を粉砕する物理攻撃を放つ。
これだけでも脅威だが更に幻想種から発せられる膨大な魔力が守りをも固める。
攻防共にエクスカリバーに次ぐ威力を誇る宝具。
▽
「…………夢、っすか」
男の人の銃口を見据え、私は小さく呟きました。
「どうして、私にそんなことを聞くっすか」
「理由などない」
「……よく分からないっす」
「そうだろうな。俺にも……よく分からないのだから」
なんっすか、それは。
自嘲めいた歪んだ笑顔を浮かべ、金髪の男の人が虚ろな表情を浮かべました。
悲しい笑顔だと思いました。こんな顔で人は笑えるんだ、そう思わざるを得ない笑顔でした。
この時、私はとあることを感覚的に悟ったわけで。
つまり、この兄さんも――『さっきの放送で、誰か死んだことを知った』んじゃないか、って。
「……どうにも、ならないと思うっす」
銃を、突き付けられている。
それはつまり、命そのものを握られていることと等しいわけで。
自分がこれからどういう行動を取るのか――それが半ば決定しかけた瞬間の出会いでした。
結果として、私の中ではこの場をどう乗り切ればいいのかがイマイチ見えていなかったというのが本音で。
支給された武器で応戦するでもなく、もう一度ステルスを試みるでもなく。
――この兄さんと話してみよう、そんなことを思ってしまったわけっす。
「奪われた夢は……もう戻ってくることはないと思うっす」
何が自分に求められていたのかは分からなかったっす。
だから、思うがままの言葉で語るしかないわけで。
まるで、自分自身に喋り掛けているような、そんな感覚でした。悲しい、気持ちでした。
「これは……あくまで、私の夢に関する話っすけど」
小さく断って、言葉を続けます。
「今思えば、私の夢は……ほんの些細なものだったと思うっす。
ただ、先輩と一緒にいたい……平和に……穏やかに楽しい時間を過ごしたい……それだけっす。
麻雀をやるのは好きっすけど、やっぱり一番はそこに先輩がいたことが大きくて。
先輩が、私を見つけてくれたことが嬉しくて。そして、先輩がいたからこそ、私は頑張ることが出来たっす」
だから、先輩がいなくなった今は――
「その『先輩』とやらは、死んだのか」
「…………そうっす」
「名前は」
そう尋ねる兄さんの声には不思議な趣がありました。
冷たい、色。自分は既に誰かを殺している――その事実を肯定するような響き。
「生憎と、兄さんが考えているのとは違う人間だと思うっす。私の先輩は……女性なので」
「……そうか」
「そうっす」
少しだけ驚いたような表情を兄さんが浮かべました。
……そんなに変っすかね?
「加治木ゆみ……っていう人なんですが。でも誰がやったか、人伝で名前だけは知ってるっす。
浅上……ええと、何とかさんっす」
「……浅上藤乃、か」
「たぶん、それっす」
思えば、私がクチビルさん達から離れてしまった発端はあの言葉にありました。
不意に音としてもたらされた先輩の名前。そして、殺した人間の名前。
全く想像出来なかった情報が天から降って来たに等しかったんすから。
「……復讐を、」
「え?」
「……復讐をしようとは思わないのか」
底冷えするような瞳で兄さんが私を真っ直ぐ見つめました。
その『復讐』という言葉がやけに乾いて聞こえたのは気のせいだったのでしょうか。
「あー……復讐っすか」
「大切な者を殺された時、残された者はその相手を心底憎悪する。
この手でその身体を引き裂いても飽きたらず……死んだ人間の無念を果たすことだけを考える亡霊に……復讐者に、なる」
「……そういう考えもあるってことっすか」
思えば、この時が初めてだったっす。
先輩を殺した相手に復讐をする――という考えが私の頭の中に浮かんだのは。
どうして、そういう発想が今の今まで出て来なかったのでしょうか。
何となく思うに、それは、私が先輩を殺した相手を全く知らないからじゃないかと。
私は…………今だって、先輩が死んだことすら、信じたくないっす。
なのに、すぐさま復讐を考えるなんて……まるで積極的に先輩の死を肯定しているみたいじゃないっすか。
分かっては、いるっす。この《バトルロワイアル》において、放送は絶対。
放送で死んだと言われたのだから、生きているはずがない――そんな風にさえ思うっす。
「…………俺は、夢を見ていた」
兄さんがゆっくりと口を開きました。
「それは、悲しい……夢だ。決して埋まらない苦しみと……怒りと……悲しさに溢れた夢だ」
「……その夢は、どうなったっすか?」
どこか遠くを見つめ、私ではない誰かに語りかけるように兄さんが言葉を紡ぎます。
兄さんが私に話しかけて来たのは、きっとかなり不思議なことなのでしょう。
それだけ、関わりの深い相手が亡くなった…………と考えてもいいのかもしれないっす。
泣きじゃくっていた小娘に胸の奥の感情をぶつけてしまう程度には。
「夢は、終わった…………いや、」
兄さんの握り締めた拳が揺れていました。
噛み締めるように。
終幕を迎えたような表情で。
なにかが、抜け落ちたような瞳で。兄さんはゆっくりとその台詞を吐き出しました。
「結局、終わることさえ――――出来なかった。カギ爪の男が死んだ、今となっては。
シノを殺した男を……俺はこの手で殺すことが出来なかったのだから」
終わることすら出来ない、夢。
誰かが死んだのならば、夢は終わるのではないだろうか、私はそんなことを思いました。
ですが、兄さんは『夢は終わることさえ出来なかった』と語ったっす。
それはいったいどういう意味なのでしょうか。
兄さんにとっての、夢のおわり、とはいったい?
「……邪魔をしたな」
そう呟くと、兄さんは私に向けていた銃口を下ろしました。
「私を、撃たないんすか」
「それも理由がない」
「……理由、っすか」
「あくまで俺が人を殺すのは手段に過ぎない。目的が消え去った今となっては意味などない」
肩を竦めて兄さんが言いました。流れる海風が金色の髪をざわつかせていました。
太陽の光を反射した海面がきらきら光って、眩しいくらい。
こんなにも清々しい朝なのに、私も、兄さんの心の中も、悲惨なくらい暗澹とした色に染まっているのでした。
「……優勝する、という方法もあるんじゃないっすかね」
「優勝? ……ああ《魔法》か」
「そうっす。蘇生させる、という考えもないわけじゃないと思うっす」
「ふざけているのか。死んだ者が生き返ることなど絶対に有り得ない。出来るか出来ないか、という話ではなくてな」
ぽつりと呟いた私の『蘇生』という言葉に兄さんは眉を顰めました。
それは今まで私に見せていた虚ろな表情とは全く異なったいたように思います。
目尻は釣り上がり、口元は大きく歪んで。
噴き出した鬼気迫るような憤怒の感情に、私は背筋に冷たい物を感じ取りました。
「絶対に……有り得ない……っすか」
「ああ」
そして、兄さんはそれだけ言い残すと私を一瞥すると、背中を向けました。
「……私は、東横桃子っす」
「…………レイ・ラングレンだ。もう会うこともないだろうが」
「兄さんは、これからどうするつもりっすか」
「……さぁな。それはむしろ俺が聞きたいことさ」
それっきり、でした。
別れの挨拶など、あるはずがなくて。
コツンコツンと叩く靴裏の音が鼓膜を揺らします。
コンクリートの大地は決して揺らぐことはなくて、その堅固さが恨めしくもあって。
ほんの数分の邂逅が終わり――そこには地面にへたり込んだままの私だけが残されたのです。
「私が、これからやることは――」
▽
(俺は、何がしたかったんだろうな)
レイは自分自身へと問い掛ける。
もちろん、それは今し方のやり取りに対して、だ。
東横桃子と名乗った少女との不思議な会話について、レイは頭の隅で思考を重ねる。
(カギ爪は、死んだ。しかも、放送が正しいとするならば、この殺し合いにおける一番最初の死者だ)
それは、どのような意味を表しているのだろうか。
今まで、己がその身体を八つ裂きにすることだけに心血を注いでいた相手は呆気なくその命を散らした。
戦う力を持たないか弱い少女よりも、先に。誰よりも、早く。
(本当に奴は死んだのか。その死は正しいのか。それを確かめたい気持ちもある――だが、特にソレを目的とする気にはなれない)
拳を強く握り締める。もはや行き場を失ってしまった銃口を見つめる。
レイにとっての『夢のおわり』はもう、絶対に訪れることはないのだ。
カギ爪の男に、復讐を果たすという願いは――果たされることはなかった。
(あんな今にも消えてしまいそうな女にすら縋りたくなってしまうとはな。
ジョッシュ、お前に会ったなら無様だと笑われそうだな)
偶然の出会いだった。
だが、桃子とレイの状況は酷似しているようで全く別の形をしている。
レイにとってのカギ爪の男は――復讐対象。
桃子にとっての加治木ゆみは――恋い焦がれる相手。
夢を奪われた者達の末路が、たとえ同じような寂寞の果てへと通じていたとしても。
二人の境遇を重ね合わせることは出来ない。
(俺は…………)
だから、共通していることなど、漠然と転がっている事実しか存在しなくて。
終わりを迎えることさえ出来なかった夢。
悲しい夢。悪夢の日々。そして、幕を閉じることなく消滅した夢。だから――
(探すのか……? 目的を……? 俺が、ここで……?)
過ぎ去った夢にこの先も囚われ続ける――それしかないのだ。
【D-4/路上/一日目/朝】
【レイ・ラングレン@ガン×ソード】
[状態]:疲労(大) 肋骨を数本骨折 左肩に銃創(処置済み) 脇腹に浅い銃創
[服装]:武士のような民族衣装(所々破損)
[装備]:ベレッタM1934(8/8)、平バール@現実
[道具]:基本支給品一式×1、デイパック、ドラグノフ@現実(3/10)、ドラグノフの弾丸(20発)、9mmショート弾(64発)
ブラッドチップ・3ヶ@空の境界 、GN首輪探知機@オリジナル、麻雀牌@咲×31個
[思考]
基本:???
1:???
[備考]
※参戦時期は第8話〜第12話のどこかです。
▽
「平沢唯……なんだったんだ、あの女は……!」
F−5の沿岸線に駐留してあった揚陸艇。
唯達との情報交換を終え、マザースペースとも言うべき船内に帰ってきたルルーシュは大きく溜息を付いた。
「憂、どこにいる!」
ルルーシュは沸騰しそうな頭と煮えくり返った腹の中とで折り合いを付けるのに必死になっていた。
髪の毛を掻き毟り、不満げにブリッジの中央に置かれた作業机に視線を移す。
そこにはルルーシュと憂の荷物の中で、すぐには必要とされないであろう道具が集められていた。
(平沢唯……とんでもない馬鹿……それも、あの玉城が可愛く見えてくるような筋金入りの……!
本当にあの女はまともな教育を受けてきたのか? どうしてあんなにノホホンとしていられるんだ?
どこか異常があるわけでもない。断じて、演技をしているわけでもないだろう。
だというのに、何故あんな……!)
ルルーシュの第一目標は平沢唯の見極めであった。
情報交換自体は船井であろうと、唯であろうとおそらく可能な局面。
両者と言葉を交わしつつ、効率的に唯という人間を分析する――というプランだったのだが。
結局、判明したことは――ルルーシュの想像以上に、平沢唯の脳内はお花畑であった、という悲しい事実だった。
(アレのために憂が人を殺して行っていた、ということか。いや、『アレだから』と言った方が適切か……納得、出来るな)
姉妹両方を何とか手駒に出来ないか、と考えていたルルーシュの目論見はこれで完全に外れたことになる。
さすがに、姉の方は『使えない』というレベルではない。
あんな天然娘を手元に置いていては、むしろ足を引っ張られる可能性の方が高いくらいだ。
(とはいえ――偽ゼロとの接触情報を入手することが出来たのは大きな前進だな。
移動手段としてバイクを使っていたということは、行動範囲は相当広いと考えていい。
揚陸艇を中心とした移動では若干、不便があるな。
一度、東の海岸に船を着けて陸路で探索を続けるべきか……)
そこまで考えて、ルルーシュはとある事実に気付いた。
呼びかけたはずの憂から反応がないのである。ルルーシュは憂に一度、薬局から離れていろ、と命令した。
もちろん、それは先に揚陸艇へ帰っているように……という意味だったのだが。
「……帰っていない、だと。どうなっている……?」
すぐさま、まさか他の参加者に襲われたのだろうか、という考えが浮上する。
しかし、揚陸艇と薬局を結んだ線上において、最近、戦闘が行われた痕跡はなかった。
呆けていたせいで道を間違えた……?
そんな、馬鹿な――
「――――動かないで欲しいっす」
その時だった。考え事をしていたルルーシュの背中に冷たく堅い『何か』が押し当てられたのは。
ルルーシュは瞬時に、それが拳銃であることを察知した。
隠れていた――だが、それにしては腑に落ちないことがある。
つまり、揚陸艇の船内は人間が潜むには狭すぎる、という点だ。
ブリッジ内に関して言うなら、中に人間がいて気が付かないわけがない。
そして――誰かが、ブリッジに入ってきた気配は感じなかった。実際に扉も全く動いていない。
それでは、背後の人物はどうやってこの中に……!?
「どういう……ことだろうな、これは」
「驚いたっすか?」
「ああ。正直言って、今でも信じられないよ」
「一度、船を出して欲しいっす。陸と繋がったままだと危ないので」
「チッ……」
ルルーシュは女の言うとおり、コンソールを操作し、揚陸艇を発進させる。陸が遠ざかる。
これで明確に憂と離ればなれになってしまったわけだ。
(…………ギアスユーザーと似た力、か?
気配を消す能力……それならば、大きなアドバンテージだ。何の力もない一般人よりも断然、強力な駒になる……!)
声は女。しかも大分、若い。
気配を消すのが上手い――という言葉では括れない。
少なくとも、その領域を遙かに超越している。
結果、この背後の人物は異能力者ではないか――という仮説に辿り着く。
「私がこんな物騒な真似をしているのは理由があるっす」
「だろうな。わざわざこんな面倒な手段を取っているのだから。君が明確な殺人者だったなら俺は既に殺されている」
接近戦。しかし相手が女であるならば、ルルーシュにも勝機が見えてくる。
単純な腕力でこちらがg劣っている可能性は、おそらく低い。身体もまだ拘束されていない。
そして――――こちらには最終手段として、絶対遵守のギアスがある。荒々しい手段に出ることも可能だろうが……。
「で、そっちを『悪い人』だと見込んでお願いがあるっす」
「俺が悪い人? 何かの間違いじゃないかな」
「少なくとも、良い人は『姉妹の再会を邪魔しない』と思うのは私の気のせいっすかね」
「……ほう」
ルルーシュは胸中で感嘆を上げると同時に、己の失態を呪った。
この女はおそらく、ルルーシュが平沢姉妹を出会わせなかったことを知っているのだ。
あの場面をどこからか監視していた、ということだろう。
そして、憂と行動を共にしていたルルーシュがこのような行動を取ったのは『裏があるから』に他ならない。
つまり――ルルーシュが腹に一物抱えた人間であると知りながら、この女は交渉を持ちかけているのである。
「力を、貸して欲しいっす」
「……何のために」
「もちろん、生き残るためっす」
「どうして俺を誘う? 一人で好きにやればいいだろう。
例えば、お前の能力を使えば、他人に気付かれず多くの『星』を稼ぐことも出来ると思うが?
それにわざわざ俺と交流を持つ必要もないだろう――見つからないように、消えていればいい」
推定混じりではあるが、相手が異能力者であることを前提にルルーシュは問い掛ける。
背後で小さく息を呑む音が聞こえた。微妙な沈黙。
空白故の肯定。どうやらルルーシュの言葉はある程度、的を射ていたと考えていいようだ。
「私は絶対に生き残らないといけないっす。だから『今』はまだ積極的にそういうことをするつもりはないっす。
あと、こうして接触しているのは、痛感したからっす。
この島には…………私の理解を遙かに越える要素が多すぎる。
ただ潜んでいることは長期的に見ると、ジリ貧……! どうにもならないっす……!」
ある程度、理性的な考えは出来る、ということか」。
だが、銃を使って脅迫するとは、白よりも灰色に近い人物なのかもしれない。
そして同じく灰色であるルルーシュにコンタクトを取ってきた。
なるほど――願ったり叶ったりの状況だ。
喉から手が出るほど欲しかった駒が自分から飛び込んできた――
「なるほど。理解した。その提案に乗ろうじゃないか。俺はルルーシュ・ランペルージ。君の名前は?」
「東横桃子っす。じゃあ……ゆっくり、振り返ってくださいっす」
ルルーシュの背中に押し当てられていた拳銃の感触がなくなった。
つまり、当面の危機は回避することが出来たわけだ。
気配を断つ能力者、か。どのような手練なのかとルルーシュは若干後ろに下がりながら、振り向いた。
そこには、
「……日本人、か?」
「見れば分かるっすよ」
そこにいたのは、妙に存在感の希薄な少女だった。
紺色のブレザーに黒のロングストレート。
意外と上背はあるが、こうして一対一で会話をしているだけなのに――彼女を見失いそうになる。
(さて、これからどうしたものか……ユフィのこともある)
そんなことよりも、今の焦点はこの東横桃子を駒として利用する方法を考えることだろう。
ギアスを使えば彼女の目的を明らかにすることは容易い。
だが、不用意なギアスはこちらの身を滅ぼす。『奥の手』として温存するべきかもしれない。
互いの情報を交換するだけならば、特にギアスは必要ない。
真偽をこちらで判断すればいいだけの話だ。
また、憂を回収するのも悪くない。だが、彼女が非常に危険で不安定な人間であることは間違いない。
このまま捨て置くことも選択肢の一つに加えるべきだろう。
だが、ユフィの保護を最優先で考えた際、帰ってくるから分からない人間を待つことは大きなタイムロスに繋がる恐れがある。
「とりあえず、よろしくっす。イケメンさん」
「……その呼び方は止めろ」
「ダメっすか……じゃあ…………もやしさん?」
「どこから出て来たんだ、その呼び方は!?」
「いや、何となくっす。ヒョロッとしてて高いじゃないっすか」
「……普通に呼べ。名前ぐらい」
「じゃあ、普通にルルさんって呼ぶっす。私のことは桃子でもモモでもお好きなように」
「…………桃子か。了解した」
「あらら」
とりあえず、食えない相手ではあるようだが。
――さて、どう動くべきか。
▽
結局、私はあの兄さんのように『人が生き返ることなど有り得ない』と断言することが出来なかったわけで。
もう一度、先輩と出会えるのなら、どんな手段を使ってでも――そう考えてしまう私がいるっす。
だけど、あの出会いのおかげで、私は今、私でいられるのかもしれません。
あのまま兄さんに会うことがなければ、半ば狂乱状態になって他の参加者に襲い掛かっていた。そんな風に思うっす。
大っぴらに人を殺す――そんな、ステルスとは正反対の行動を取ったら、逆に、すぐさま私は殺されてしまったかもしれません。
だからっすかね。
あの『手紙』をこの揚陸艇の中で見つけた時、私は不思議な気分になったっす。
ブリッジの作業机の上に無造作に置かれていた封の切られていない三つの手紙と既に読まれた痕跡のある手紙。
全て『カギ爪の男』という署名がされている。
未開封の三つにはそれぞれ『ヴァン君へ』『レイ君へ』『ファサリナ君へ』と宛名書きがしてあった。
カギ爪の男。
兄さんは、その男の人が死んだという事実を処理し切れずに亡霊のような表情を浮かべていました。
それは、きっと、形は違ったとしても――私と似た感情の隆起だったはずで。
兄さんの目的は、復讐。カギ爪の男という人に復讐をすること。
じゃあ、どうして……その復讐相手が兄さんに手紙なんて物を書いて寄越さなければならないのか。
結果、残された遺書を読んだ私はとある真実に触れたわけで。
つまり、カギ爪の男は――――自殺したということ。
復讐相手は、殺されたのではなくて自殺、していた。
あの凄まじい憎悪は怒りは慟哭は、並大抵のモノではなかったっす。
兄さんは、おそらく大切な人をこのカギ爪の男に殺されたんだと思うっす。
そんな相手に対して――――どうして、手紙なんて書けるんだろう。私はそんなことを思ったっす。
私は物凄く不快な気分になったっす。
理解、強調、平和、話し合い、幸せ……。
語感の綺麗な言葉が男の遺書には沢山並んでいたっす。この文面だけを見れば、男は平和の使徒にしか見えないはずっす。
だけど――私は兄さんを知っていたっす。
だから、一人の男の人をあれだけの復讐鬼に仕立て上げた男の人の言葉に心の底から…………ムカムカしたっす。
そんなわけで、思わず『レイ君へ』と書かれていた手紙をビリビリに破ってしまったわけで。
…………多分、あの手紙を見たら、兄さんも同じことをしたと思うっす。なんとなくっすけど。
多分、私とあの人はもう会うことはないでしょう。
特別思い出すこともないでしょうし。ただ、丁度よく居合わせて、少し話をしただけ。
それが全部っす。
……先輩。
私、がんばるっす。がんばるっすよ。
だから、私を見守っていてください。
絶対に、私は負けません。
そう――これからは、ステルスモモの独壇場になるはずっす!
私は生き残って、そして――もう一度、先輩に会いに行きますから!
【G-5/海上/一日目/朝】
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス反逆のルルーシュR2】
[状態]:疲労(小)、
[服装]:アッシュフォード学園男子制服@コードギアス反逆のルルーシュR2
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ゼロの剣@コードギアス反逆のルルーシュR2、ミニミ軽機関銃(190/200)@現実
[思考]
基本思考:枢木スザクは何としても生還させる
1:東横桃子を利用し、現状の把握や状況の打破策を講じる。現時点では他の参加者を殺害する意志はないが……?
2:スザク、C.C.、ユフィと合流したい
3:偽者のゼロは生かして帰さない、今後ゼロを騙る者は破滅させる
4:首輪の解除方法の調査、施設群Xを調査する?
[備考]
※R2の25話、スザクに刺されて台から落ちてきてナナリーと言葉を交わした直後からの参戦です。
死の直前に主催者に助けられ、治療を受けたうえでゲームに参加しています。
※参加者が異なる時間平面、平行世界から集められている可能性を考察しています。
※モデルガン@現実、手紙×2、遺書、カギ爪@ガン×ソード、ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュR2、
皇帝ルルーシュの衣装@コードギアス反逆のルルーシュR2、シティサイクル(自転車)、ジャージ(上下黒)、
鏡×大量、キャンプ用の折り畳み椅子、消化器、灯油のポリタンク、ロープ、カセットコンロ、
混ぜるな危険と書かれた風呂用洗剤×大量、ダイバーセット、その他医薬品・食料品・雑貨など多数@ALL現実
が揚陸艇のブリッジの机の上に置かれています。
【アッシュフォード学園男子制服@コードギアス反逆のルルーシュR2】
アッシュフォード学園の男子生徒用の制服。学生服を基調にしたデザイン。
【東横桃子@咲-Saki-】
[状態]:健康、ステルス解除
[服装]:鶴賀学園女子制服(冬服)
[装備]:FN ブローニング・ハイパワー(自動拳銃/弾数15/15/予備45発)@現実
[道具]:デイパック、基本支給品(-水1本)、FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん!
遠坂凛の魔力入り宝石@Fate/stay nightx10個
[思考]
基本:優勝を視野に入れつつ、自分の生還を目指す。加治木ゆみを蘇生させる。
1:ルルーシュを利用し(に利用され)、この場での生き残りを考える
2:生還優先であるが、もしもの時、人を殺すことが出来るかはイマイチ分からない
3:船井達からルルーシュに乗り換えしたが、船井の策自体は気になっている
[備考]
※登場時期は最終話終了後。
※カギ爪の男からレイに宛てて書かれた手紙は中身を確認せずに破り捨てました。
【FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん!】
秋山澪愛用のレフティベース。
【FN ブローニング・ハイパワー@現実】
天才銃工ジョン・ブローニングが晩年に設計し、その死後FN社の技術陣によって1934年に完成した自動拳銃。
当時としては画期的なリンクレスのショートリコイルや、シングルアクション、着脱式マガジンへのダブルカラムの採用など、
近代オートマチックの基本要素が詰まった傑作で、後生の様々な銃に影響を与えている。
【遠坂凛の魔力入り宝石@Fate/stay night】
17年間休み無く織り上げた遠坂凛の切り札。
宝石の中で魔力を流転させ、本来保存できないはずの魔力をバックアップしており、
宝石に宿った念に乗せてそのまま魔力を開放することにより魔弾として戦闘に転用することが可能。
一つ一つの宝石の値段は数千万円もする非常に高価な代物。
【E-4/薬局/1日目/朝】
【平沢唯@けいおん!】
[状態]:健康、紬が心配、テンション↓
[服装]:桜が丘高校女子制服(夏服)
[装備]:ジャンケンカード(チョキ)@逆境無頼カイジ
[道具]:デイパック、基本支給品(+水1本)、ジャンケンカード×十数枚(グーチョキパー混合)、不明支給品x0-2
[思考]
基本:みんなでこの殺し合いから生還!
0:あずにゃん……
1:ムギちゃん……大丈夫だよね…?
2:船井さんを頼りにする。
3:友人と妹を探す。でもどんな状況にあるかはあんまり考えたくない……
[備考]
※東横桃子には気付いていません。
※ルルーシュとの会話の内容や思考は後の書き手さんにお任せ
【船井譲次@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康
[服装]:私服
[装備]:ナイフ、コンパス。他にも何かあるかは後続にお任せ
[道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品x0-2 遠藤のベンツの鍵@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor
[思考]
基本:優勝か別の手段か、ともかく生還を目指す。
0:ルルーシュとの情報交換は……
1:紬が目を覚ますのを待って、情報を得る。聞き出すのはひとまず唯に任せる。
2:唯の友人らを探す方法を考える。利用できそうなら利用する。
3:仲間を勧誘し、それらを利用して生還の道を模索する。
4:絶対に油断はしない。また、どんな相手も信用はしない。
[備考]
※東横桃子には気付いていません。
※登場時期は未定。
※ルルーシュとの会話の内容や思考は後の書き手さんにお任せ
【琴吹紬@けいおん!】
[状態]:精神的ダメージ大 、撫子への罪の意識、『制服を着た女子生徒』に対するトラウマ、気絶中
[服装]:ブラウス、スカート
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、忍びの緊急脱出装置@戦国BASARA×2、ランダム支給品(1〜2、未確認)、桜が丘高校女子制服(血濡れ)
[思考]
1:撫子ちゃん……ごめんなさい……。
2:『浅上藤乃』が恐ろしい。殺されたくない。
3:友人達が心配。非常識な状況下で不安。
4:阿良々木暦に会ったら、撫子の事を――――
[備考]
※浅上藤乃の殺人を目の当たりにしたトラウマで、『制服を着た女子生徒』を見ると彼女の姿がフラッシュバックします。
精神的に回復すれば軽減されるかもしれません。
※ルルーシュとの会話の内容や思考、ムギが会話中に起きたかどうかは後の書き手さんにお任せ
※E-3北部〜E-4北部間の何処かに千石 撫子の死体があり、すぐそばに彼女のディパック(基本セット、ランダム支給品1〜3入り)が落ちています。
以上、投下終了。たくさんの支援ありがとうございました。
ルルと唯達の会話は盛大に投げました。うん、構成上。
投下乙
もうモモの優勝エンドでいいよ!
失礼、噛みました。
なんともゾクゾクした。
レイがいいな。復讐対象を失うってさて、どうするか……?
すでにマーダーとして少なくない人間に認識されてるってのも色々つらい立場だが。
憂はやっちまった感じになってきた。というか騎英の手綱は蟹に乗れってことなのか?w
ルルーシュは危険なフラグばっかり抱えるね。逆に長生きしそうな気もするがいつ爆発するときがきたら……。
船井は後手後手だなあ。数少なくなった書き手枠兼カイジ枠だから頑張れ。負けるな人生に。
唯はかわらねえなあ。むしろそれが強みになってる。ルルーシュに早速あほの子呼ばわりだが最早誉め言葉です。
ムギは……どうなんだろうな。色々背負うことになったけどそれを克服することは出来るのか。
モモは藤乃の詳しい情報は聞かなかったんだな。まあ、知ってしまえばある意味相性良すぎるからなあ。
マーダーになると決意した分けでもないみたいだが……さて、どうするか。
投下乙です。
むぅ、レイがどうなるのか怖いというか何と言うかですな。
桃子は何かやたらかっこいい……そして冷静だ。 それが怖いとも言うけど。
多数のキャラ同士の噛み合いがとても上手でした、GJです!
投下乙
憂が危うすぎる……想いをなくしちゃうのはもはや死亡フラグだぜ
モモの独自の語りがかっけぇ
投下乙です
レイの言葉に出来ない心情とモモの想い、痛いほど感じました
憂はここに来て迷った末に蟹か。これも先が読めない
唯はルルから見ても掴みかねる存在かw
船井は確かに後手後手だ。今後はどう動くか気になる
複数のキャラを動かす手腕が凄いです GJ!
うおお、ここであずにゃんも行き会ったおもし蟹か・・・なんとも数奇なめぐり合わせだな。
皇帝ルルーシュの冷徹さは異常wR2終盤の戦いは完全に悪党VS悪党でしたねw
ルルーシュはスタート時点で皇帝服を着てて、アッシュフォードの制服は確か持っていなかったはず
スーパーマーケットでジャージを調達して着てましたよ。
前の人も書いてるしどっかでカジュアルは服を調達したとかでもいいんじゃないでしょうか?
妄想してたベンツを船に積み込んで船井組と合流するという目論見は外れましたw
レイ兄さん切ないなぁ、全てを失って最後に残った復讐すらなくなってしまうなんてな
>440
ですから、ルルーシュは憂が持っていた「支給品の制服」を着ていると表記されておりますよ。
442 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 22:20:26 ID:qZGkgonE
天江衣、グラハム・エーカー、利根川幸雄、白井黒子、秋山澪、衛宮士郎、伊藤開司、八九寺真宵、明智光秀
これより代理投下します。
水飛沫を浴びた裸体は昇ったばかりの陽光を照り返し、夜を徹して動き続けた目に眩しく映る。
一糸纏わぬ姿で腰まで水に浸かり、ゆっくりと水面に沿うよう手を伸ばす。
火照り赤みを帯びた肌に、染み渡るような冷たさが心地良い。
「……うぁっ……」
時折全身を貫く痺れるような感覚は、苦痛ではなく悦楽を誘う。
全身を水下に埋める。
興奮と歓喜に上気していた頬が、今度は刺すような冷たさに怯え震える。
左手の甲に右手の平を置く。
ゆっくりと滑り上げ、肘裏、二の腕、肩、そして胸元を這わせた後、今度は下へとずれ動く。
体の正中を嘗め下り、鳩尾、腹部、そして……
「んふぅっ……」
水中より顔を上げると、右手の平に、愛おしげに舌を這わせる。
動くのに飽いたのか体中を弛緩させ、全てを流れるに任せた。
ぽかっと顔のみが浮いていたのが、徐々に胸元から下へ、下へと浮かび上がる。
完全に水平になる頃には長髪は大輪の花のように広がり、くすんだ青に彩を添える。
世の女性が揃って羨む程の白き肌を惜しげもなく陽光に曝け出すが、惜しいかな白磁には月こそが相応しい。
「……んっくっ……」
僅かな刺激すら拾ってしまう敏感な体は都度僅かに水面下へと沈み込むが、それもまた雅なりと逆らう事もせず為されるがまま漂う。
どれ程そうしていただろうか。
頃合は良しと身を起こし、ざぶざぶと水から上がる。
均整の取れた肉体は装飾など不要とその美しさをひけらかす。
不健康とすら思える程の白い肌の下には、しなやかでいて強い筋肉が脈打っている。
ただ歩いているだけで猛きバネを予感させる両の足や、何気なく振られる腕の位置が武術の理にのっとっていたりと、わかる者が見ればただものならずと見てとれよう。
局部を隠す事すらせぬのは余程の自信があるせいか。
確かに、それは繊細な容姿に似合わぬ剛直、聳え立つ五重塔、天をも貫く神の槍であろう。
全身に痛々しい打撲傷を負っていながらも、その男、明智光秀は確かに美しかったのだ。
明智は近くの民家にあった衣服を身につけると、どうにも収まりが悪いのか首を何度も傾げる。
上下濃い黒のスーツ、中には律儀に白いワイシャツを着込んでいるが、流石にネクタイまではしていない。そもそもやり方がわからぬのかもしれない。
部屋に張ってあったポスターを参考に身につけてみたが、着物より随分と着易いし、何より生地が良い。
どう織ってあるのかもわからぬ細かな織り目といい、まるでざらつく事のないすべすべの触れ心地といい、明智の知る衣服より数段上等な造りとなっていた。
襟元は少し苦しいせいかボタンを二つ外している。
当人に良し悪しの判別はつかないが、細身の体のせいか、すらっと伸びた長い足のせいか、はたまた背なにかかる程の長髪故か、ラフに着こなしたスーツはこれ以外無いというぐらい明智に似合っていた。
「さ、て、どうしたものでしょうか」
荷物を手に取った明智は、そう一人ごちた。
>>441 すいません。ゼロのマントを持ってたりうまいこと出来てますねw
ルルーシュのEカードはなしになりましたか.、モモとルルーシュが果たしてどうなるのか楽しみ。
◇
利根川は意を決して扉を開いた。
案の定、まさか人が居るなどと想像もしていなかった衛宮士郎は、驚き大きく後ずさる。
「うわっ! 人!?」
「ああそうだ。わしの名は利根川幸雄。このゲームの参加者の一人だ。お前は?」
うろたえながらも士郎はしかしきちっと名乗り返す。
「え、衛宮士郎です。えっと……そ、そうだ。利根川さんは、その、殺しあって生き残ろうと思っていますか?」
「わしのような老人に殺し合いなど出来てたまるか。お前もそうであってくれるとありがたいのだが」
「も、もちろんですよ! 殺し合いなんてしてたまるか!」
相貌を崩した利根川は、隣の部屋に居た事と申し訳ないが聞き耳を立てていた事を正直に口にする。
事情を察した士郎は快くこれを許し、部屋の中にいる黒子と澪に声をかけ、四人での話し合いの場が設けられた。
激しい動揺を見せていた澪も、黒子の慰めのおかげか既に随分と落ち着いていた。
簡単な自己紹介を交わした後、利根川は皆が先走った行動など起さぬよう注意深く話し始めた。
「まず最初に明言しておきたい。わしには人殺しなぞ出来んし、そのつもりもない。それでも死にたくは無いので何とかこの地を脱出したいと思っている」
改めてそう口にした後、核心に入る。
「わしはこのゲームを企画進行している『帝愛グループ』に所属していた」
三人が息を呑むのが利根川にもわかったが、すぐに畳み掛けるように言葉を繋ぐ。
「だが、奴等にとって好ましくない存在であったわしは、今こうしてこの地に首輪付きで放り出されている。もしお前達が脱出をと考えているのであれば、わしの知識が役に立つかもしれん」
すぐに黒子が口を開こうとしたが、利根川はそれを手だけで制する。
僅かに腰を落とし、震える澪の前に立つ。
「驚かしてしまったな、すまない。だが最初に言った通り、わしは誰も傷つけるつもりはないし何とか皆で脱出をと考えておる。信じては、もらえんか?」
先程士郎にも見せた笑み、人の心をくすぐるあけっぴろげな笑顔には、親しみや友愛といった感情が満ち溢れていた。
「え……えと……」
「はははっ、構わぬよ。無理はせずとも少しづつわかってもらえればいい」
利根川幸雄は生まれながらにして帝愛のナンバー2であったわけでは無論無い。
彼にも若い頃はあり、下積みの時代があり、部下より上司の方が多い時代はあったのだ。
下手な会社なぞ比較にならぬ程厳しい競争を勝ち抜いてきた彼が、ギャンブルに強いだの、会長の機嫌取りが優れているだののみの男なはずはないのだ。
事に人をまとめるといったスキルを、膨大な配下を抱える帝愛のナンバー2まで上り詰めた男が苦手としているはずがない。
それは、非現実を日常としていた黒子や、歪んでいると評される士郎が相手でも通用する、いや、人間が相手であるのなら通じぬ相手など居ない応用力に富んだスキルだ。
集団の中で自分の望むポジションを得るよう立ち回るなど、彼にとっては息をするのと同じぐらい自然に行える事であろう。
「利根川さん、それで帝愛というグループはそもそもどういった存在なのか……」
「あの遠藤とかインデックスっていうのは……」
「…………(もじもじおどおど)」
三人(二人?)の質問にも丁寧に答え、簡単な自己紹介と共に四人は帝愛に関する共通認識を得た。
帝愛グループとは財閥のような利益を追求する集団であり、関わる事業は多岐に渡る。
カジノなどのギャンブルも範疇であったが、それが高じてのゲームである可能性が高い。
ただ利根川が居た頃は少なくとも魔法などという話は無かったし、ましてやここまで露骨な形で法を犯すような事もなかった。
遠藤もインデックスも聞いた事の無い名前であり、二人はあくまで表に出る顔であって恐らく企画運営している者は他に居るだろうと。
「随分と悪趣味なグループにいらっしゃったのですね」
黒子の言葉に利根川は苦笑で返す。
「事業は多岐に渡ると言ったろう。右手と左手が何をやっているのか知っているのは極一部のみだ。元々ギャンブル部門と金貸し部門はリスキーすぎてわしは好かんかった」
「後ろ暗い気配ぐらいはわかりそうなものですけど」
「だとしても家族や部下の生活を放って仕事を投げ出す真似も出来ないし、確たる証拠を手にしているわけでもないしな。まだ……若い君達には難しい話かもしれんが」
利根川の世知辛い話に重苦しい空気が漂うが、殊更に明るく利根川は続ける。
「だが、事ここに至ってはそんな事も言ってられん。大人は、大人の責任を果たすとしよう」
「アテにさせていただきますわ」
利根川に非難出来る部分はあるにせよ、彼の立場も理解出来た黒子はそれ以上の追求を行わなかった。
無論全てを無条件で信用するつもりもないが、少なくともこうして堂々と姿を現し、自らに不利とも思える情報をすら忌憚無く提示する姿勢からは、疑わしき所作は見受けられなかったのだ。
「あっ、あのっ……」
不意に、今にも消え入りそうな声が聞こえた。
澪は熱心に利根川から様々な事を聞きだそうとしている黒子と士郎を見ている内に、自分が何も出来ず怯えるのみな事を恥ずかしいと思うようになっていた。
同い年の士郎はこんな信じられない事件に巻き込まれているというのに、自分の意見をはっきりと持っていて、相手が大人でも物怖じせずに話しかけている。
同じ女の子でしかも年下の黒子に至っては、あの怖い黒服の人相手に堂々と渡り合うなんて真似までしていた。
翻って自分はどうだと考えた時、これを恥じる程度には澪は自尊心を持ち合わせていた。
だから、ともかく、口を開こうと思った。
「あっ、あのっ……わ、私も、手伝う。何が出来るか、わかんないけど……その……」
何と言ったものかわからぬままに、どもりがちにぽつりぽつりと告げる澪。
黒子と士郎は同時に笑みを見せ頷くと、澪はやはり顔を赤らめるが、今度は俯いたりはせず照れた顔のまままっすぐに三人を見返していた。
放送が、船内に響き渡ったのはこの直後である。
◇
一休みを終えたカイジと真宵は、隠れ潜んでいた民家の客間にて放送を聞き終える。
ふらふらと歩いていたら放送が聞こえてきて、だれだれが死にましたと言われてもぴんと来ないのが正直な所であろう。
真宵は何とも反応しようが無いと、隣に座るカイジに目を向ける。
ちょっと後悔した。
見るからにわかる。これはヒドイ。何だこのみっともない生き物は。むしろ哀れさすら感じられる程の無様さである。
それと気付かれないようにすすすっと距離を置く。
締まりの無いにやけ顔は、ようやく言葉を思い出したのか立ち上がって叫び出した。
「死んだ!? あの悪党が! 会長が死んだだって! 他の参加者か!? 誰かが奴を倒したっていうのか!?」
よしっ、よしっ、と何度もガッツポーズを決め、隠す事すらしない歓喜を全身で表す。
真宵は部屋から出て、入り口から覗き込むようにカイジの奇行を見守っている。
突然、カイジの空気が変わる。
「……そうだっ、待てっ! この放送が真実である保証なんて何処にも無いっ! 利根川の事もあるっ……短慮は、厳禁っ……!」
一転、険しい顔になり拳を強く握り締める。
そのまま固まっているのは何かを考えているせいか。
しばらくそうしていて、ようやく周囲に真宵が居ない事に気付いたらしい。
「ん? あいつ何処行った?」
真宵は部屋を出た廊下から、顔だけをひょっこりと覗かせつつ答える。
「変質者から避難してます」
「誰が変質者だ!」
「いきなり奇声を上げて踊り出したあなたです」
自覚はあるのか言葉に詰まるカイジ。
「わ、悪かった。その、とんでもない悪党が死んだって聞こえたんでな。あいつのせいで、俺の仲間は……」
「どの方ですか?」
「兵藤和尊、帝愛グループの総帥だって聞いていたんだが……ゲームに参加させられ、あまつさえ既に死んだだと? ……そんな楽天家の夢想誰が信じるかっ!」
更に安藤、船井といった見知った名前を読み上げられ、内の安藤は既に死んだという。
奇妙な話だが、兵藤の死を信じぬカイジは安藤が死んだと言われればそれはありうるかな、と納得してしまう。
帝愛グループの名が出た以上、人の一人や二人死んでいてもおかしくはないとも思うからだ。
「……どの道、利根川を問い詰めればわかる事だ」
体力も回復した事であるしと、カイジは待ちの姿勢を捨てエスポワールへと向かう決心をする。
こうしている間にも新たな死者が増えているかもしれず、その死者の群に、カイジが加わらないとも限らないのだから。
『安藤……お前には恨みしかないが、それでも一度は仲間だったんだ。……仇は取ってやるからな』
◇
黒服からギャンブルの内容を確認したグラハムと衣は、利根川が帝愛の人間であるとの言葉は真実だと確信する。
そもそも、こんなゲームに無理矢理参加させられた者達の前で、帝愛の人間であったなどと口にしたらいきなり袋叩きにされてもおかしくはない。
黒服のように自身を守る何かが無ければ、到底出来る事ではなかろう。
ついでとばかりに利根川という人物について訊ねてみたが、やはり「知らん」とにべもない返事である。
ではと戻ろうとした二人の足を止めたのは、ギャンブル中でも聞き落とす事のないよう、備え付けの船内放送からも聞こえるようになっていた定時放送であった。
グラハムは問題無い。未掲載の人物にも死者にも知り合いは居ないのだから。
衣はどうかと様子を伺ったグラハムは、彼女が両手をきゅっと握り締めたまま震えているのを目にする。
「……知り合いが居たのか?」
すぐに返事があったのがグラハムには意外であった。
「つい先日、大会で戦った者の名が……池田は、あまり覚えておらぬが、加治木は中々に猪口才な奴であった……」
「麻雀の大会か?」
「うむ……正直、信じられぬ。あの時卓を共にした者が既におらぬなどと……」
透華を失った瞬間を思い出したのか僅かに身震いすると、すがるようにグラハムを見上げる。
潤んだ瞳で、しかし訊ねる事すら憚られるのか口を真一文字に引いたまま、グラハムの瞳をじっと見据える。
グラハムは、なるほど、子供を持つというのはこういう事かと小さく息を吐く。
「私の名はグラハム・エーカー。フラッグファイターにして、宿敵ガンダムを倒す者。愛成就するその日まで、決して倒れぬ者の名だ」
昂然と胸を張るグラハムに、ただそれだけで衣が笑みを取り戻せたのは、為した男がグラハム・エーカーであるからだろう。
例え言葉の真意はわからなくても、グラハムが自らに刻んできた生き様が、発する言葉に覇気をもたらす。
ガンダムを倒す、その為だけに幾たびも死線を潜り抜け、更なる死地へと身を躍らす勇猛果敢なる兵士の言葉が、凡百のソレと同等であろうはずがない。
恐れる気も無く死地へと向かう勇敢な軍人達の信頼を一身に受けて尚、小揺るぎもせずグラハム・エーカーであり続けた男は、このゲームの中にあっても、やはりグラハム・エーカーのままであった。
「無用な心配は兵士への侮辱だぞ衣」
「……うんっ!」
戦友からの信頼とはまた別種であるが、衣が向ける希望に満ちた視線は、グラハムに新たな力を与えてくれると信じられたのだ。
とても居心地悪そうにしている黒服を他所に、ほほえましく見つめ合う二人。
頼むから他所でやってくれと嘆く黒服へのフォローは、思わぬ所からなされた。
「む?」
グラハムがその気配に気付いて目をやると、少女が階段を駆け下りギャンブルルームへと姿を現したのだ。
「ひっ!?」
グラハム達の姿を認めるや、小さい悲鳴をあげギャンブルルームを通り過ぎ、更に下へと逃げていく。
恐怖に歪んだ顔が印象的であった少女。咄嗟の事にどう判断したものかグラハムが迷っていると、上から更に別の人間が駆け下りてくる。
「秋山! おい秋山待てって!」
少女と同い年ぐらいの男が現れると、迷っていたグラハムも行動を起す。
銃を抜き、強い口調で静止するよう警告すると彼は足を止めた。
「君が誰かは知らないが、怯え惑う少女を追いかけるのは一体どういう理由からだ?」
男、衛宮士郎は人が居た事に驚いた様子だったが、慌ててグラハムの行動を咎める。
「お、おいっ! ここで戦闘は厳禁だろ! それ撃ったらアンタが危ないぞ!」
「民間人を守るのが軍人の役目だ」
ちらっと黒服を見て動く様子が無い事を確かめたグラハムは、薄笑いを浮かべ士郎に向き直る。
「……やはり相打ちに持ち込む程度の猶予はあるようだな」
「待ってくれ! 誤解だって! あの子知り合いが放送で呼ばれたせいで錯乱してるんだ! 今の状態で外になんて出たら彼女が危ない!」
与えられた情報は少ないが、時間も無い事を理解したグラハムは衣を見下ろす。
「わかった。衣はここで隠れているんだ。黒服が何を言おうとギャンブルには手を出すんじゃないぞ」
衣もまた状況を把握したのか、何かを言いたそうにしつつも口をへの字に曲げて我慢する。
グラハムは良い子だと衣の頬に手をやると銃を懐に収める。
「すぐに戻る。急ぐぞ少年」
「え?」
「私も共に行く。君が不埒な行為をせぬよう監視する意味でもな」
「え? え? あ、ああっ、えっと、……はい」
急な展開に頭がついていってない士郎であったが、急がないと彼女が危険であるので色々聞きたい事を後回しにして一緒に追う事にした。
◇
部屋に残るは二人。白井黒子と利根川幸雄。
衛宮士郎に後を任せた黒子は、改めて放送の内容を間違えぬようメモ帳に書き記す。
ただえんぴつの走る音のみが妙に大きく部屋に響く。
ぱきっ
芯が折れた音。
こちらは名簿に直接書いていた利根川が音に気付き顔を上げるが、シャープペンに持ち替える黒子を見て、問題無しと作業を続ける。
利根川は随分と筆の遅い黒子に合わせて時を待ち、メモ帳をしまった所で声をかけた。
「そちらで知人が呼ばれるような事は無かったのか?」
利根川は黒子への評価を一段階下げる。
予期されていたはずの質問なのに返事が遅すぎた。
「……いえ」
「そうか」
以降言葉を発する事もなく、中野梓の名が続けて呼ばれた事で大きく取り乱し部屋から逃げ出していった澪を待つ。
衛宮士郎は健康そうな若い男性であり、同い年とはいえ澪に追いつくのも難しくは無いだろうと、その点に関して特に心配はしていなかった利根川は、にも関わらず無用に不安を感じているのか無言になった黒子に僅かながら失望する。
賢すぎるのも良くないが、かといって愚かすぎるのも考え物だ。
小娘一人が喚き逃げ出した程度でここまで大人しくなるなどと精神が脆すぎる。今までは強がっていただけか。
無言のままでいれば向こうから耐え切れず発言すると踏んでいたのだが、どうやら利根川の方から話を振らねば進まないと口を開きかけた所で、黒子はぼそっと呟く。
「一人、居ました。すみません」
「ん?」
「御坂美琴14才、エレクトロマスターのレベル5、極めて強力な電撃を操ります。破れ死亡したという……言葉が信じられぬ程に」
「電撃? エレクトロ……何だって?」
「自在に電気を操る超能力です」
素っ気無くそれだけを伝えると、席を立って一言だけ利根川に断る。
「顔を、洗ってきます」
有無を言わせず立ち去る黒子に、利根川は良いとも悪いとも答えず見送った。
廊下の足音に聞き耳を立て、不審な挙動が無い事を確認すると、トイレにでも行ったかと思考を継続する。
考えるべき事は山ほどあるのだから。
客室にトイレは備え付けられていたが、年頃の少女が出会って間もない男性が居る中これを使用出来ぬのも道理であろう。
自身の持つ超能力に関して一切伝えられていない利根川は、走り去った澪を追うのに黒子の能力が適しているにも関わらず使用しなかった点も追求しようが無いはずだ。
そんな言い訳を自分に施し、ここでならばと今にも破裂しそうであった理性の檻の封を切る。
こんな状態で、瞬間移動など出来るはずがない。
女子用トイレ洗面台の前に立ち、溜めに溜め込んでいた毒気を肺が空になる勢いで吐き出す。
目の焦点が合わず、呼吸も千々に乱れ、恐らく脈拍すら正常を保ててはいまい。
血管が浮き出る程に充血した目、荒々しく上下するもいからせたまま落ち着く気配すら感じられぬ両肩、可憐さと美しさを伴った容貌は見る影もない程醜く歪んだまま凝固している。
爪が食い込む程握り締めた手、黒子はこれを振り上げ、正面の鏡に叩きつける。
手の甲ではなく並んだ四本の指側を鏡にぶつけると、歯止めが利かなくなったのか逆の腕でも同じ事を始める。
「馬鹿っ!」
壁にすえつけられた鏡は、破壊を目的とせぬ打撃では微動だにせず。
「馬鹿っ! 馬鹿っ! 馬鹿嘘つきっ!」
続いて放たれた左手は、それと意識せず拳槌にて行われ、みしっと鏡は音を立てる。
「嘘ですわっ! こんなヒドイ嘘っ! ひどすぎる嘘をっ!」
繰り返される衝突は、黒子の意識によらず効果的な打撃を生み出す時もある。
「どうしてあんな事言うんですの!? お姉さまは、私は、そこまで恨まれるような事をしましたか!?」
手ごたえが変わる。そこからは早かった。
「嘘つきっ!」
一筋の亀裂。
「嘘つきっ!」
四つ又に別れ、更に八つに。
「嘘つきいいいいいいっ!!」
粉々に砕けた鏡。黒子は、洗面台に縋りつくように崩れ落ちる。
呼吸をすら放棄した運動は容易く限界を迎え、後に意識の空白を残す。
失われた酸素を充分に取り戻した黒子が、最初に思ったのは両手に感じる鈍い痛み。
「……どう、しましょう、これ」
砕けたガラスの破片で切れた両手。
激昂が収まりまず気にかかったのは、自身の痛みと他人から見られる自分の姿である事が、黒子は無性に悲しかった。
◇
グラハム達が去った後、残された衣はというと誰が来ても良いように隠れる場所を探していた。
まず目に付いたのはルーレットを行う台の下。
大きめの台は彼女の小柄な体が隠れるに充分であったが、下の柱が随分と太く、台自体も低く作られているせいかうまく入りきる事が出来ない。
それでも苦労して奥へと入り込むと、ようやく一安心とばかりに息をつく。
黒服男は参加者達に味方する事を当然禁じられていた。
だが、あまりといえばあまりにすぎるので思わず口をついて出る。
「……おい、尻が丸見えだぞ」
スカートで覆われてはいるが、身をかがめているせいかお尻のラインが綺麗に写る。
無論こんなガキに興味なぞない黒服にそういった意図は無いし、むしろあったら放置しているだろう。
「うひゃうっ!」
大慌てでもぞもぞと動くが、やはり隠れきれず、逆にスカートがたくしあげられてその下がほのかに見え隠れしはじめた。
「こ、これでどうだ?」
繰り返すが黒服はガキなぞに興味は無い。
例え世に幾百幾千とこの状況を、素敵なパライソラッキースケベを期待しているロリコン共が居ようと、彼にとっては死ぬ程どうでも良かった。
「……それ以上入れないのならそこは諦めろ」
黒服は黒服なりにこの場で参加者を待ち構える間、恐らく繰り広げられるだろうコンゲームを期待していた。
命を賭けた必死なやりとりを、一部の隙すら許さぬギリギリの戦いを、と心構えを整えていたらコレである。
注意深い者達が容易くギャンブルに手を出さないのは予測出来た事だが、その為にこの場に居る人間としては、是非ギャンブルに挑んで欲しいとも思う。
そんな黒服の願いは即座に叶えられる。
「おいっ! そこの黒服! ここは本当にエスポワールなのか!」
衣が慌ててルーレット台に隠れようとして失敗している。
最早こんなガキに用なぞ無くなった黒服は、期待に満ちた心が表に出ぬよう自制しつつ用意してある言葉を紡ぐ。
「そうだ! ギャンブル船、希望の船『エスポワール』のギャンブルルームへようこそ!」
帝愛でも有名であった他に類を見ない常識外れの男。
身一つで利根川を破り、当時の会長兵藤和尊にまで手をかけた奇跡のギャンブラー、伊藤開司のような男を、黒服は待っていたのだ。
なので、その後ろにひっついている衣より小さい子供の存在はさらっと無視する事にした。
カイジが黒服からギャンブルルームの説明を受けている間、真宵は暇そうに足をぶらぶらと振っていた。
衣は、これぞ千載一遇、審念熟慮も必要であるが、機を逃しては道は開けぬと前へ進む。
友達は作れる、そう信じ続けていればとグラハムも言ってくれたのだ。
衣は彼を信じるように、彼の言葉もまた、信じてみる。
「わ、私は天江こよも……じゃ、じゃなくってころも、衣だ!」
真宵に向かって自己紹介。
返事を期待していると察した真宵は、つまらなそうに視線を向ける。
「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」
大きく真後ろにのけぞった後、衣はへなへなとしりもちをつき、ここに第一ラウンド終了と相成ったわけで。
黒服との会話の途中であったカイジは見るからに嫌そうな顔をする。
「……お前それ会う奴全員に言ってるのか?」
「うるさいですカイイジさん」
「名前を間違えるなと何度言わせる気だ……」
「失礼、かみました。カジさん」
「完全に別人だろそれ……」
つっこみスキルというには甚だ心許ないが、それでもこの数時間でそれなりに返事はするようになったらしいカイジ。
「誰しも失敗はあります。こよもさんも間違えてころもと名乗っておりましたし……」
涙目でしゃくりあげかけていた衣は、何くそと不屈の闘志で立ち上がる。
「違う! ころもはころもだ!」
「ほら、またかんだ」
「かんだのはこよもの方だ! ころもはころもで! それ以外に名など無いっ!」
「わかりましたころもさん。それと繰り返しになりますが、あなたが嫌いなので話かけるのは遠慮してください」
痛烈なカウンターにより二ラウンドKO。
完全にやる気を削ぎ取られた衣は、俯き加減にひっくひっくとしゃくりあげる。
目の端からこぼれる雫は敗北の証。
大慌てなのはカイジである。いきなり出会った少女を泣かすなぞ、まともな人間なら心が痛んでしかるべきである。
「こ、こらお前! 何て事言い出すっ! あー、えっと、ご、ごめんなさい」
しかしカイジ、幼女を慰める術なぞ知らぬ。
そもそも対人折衝能力も著しく低い、社会不適合者である。
女っ気なぞと無縁なカイジが、同世代の人間とのスムーズな交流すら為せぬカイジが、接点すら存在せぬ子供を相手にしたカイジが、どうして衣を慰められよう、いや出来まい。
際物なれど、社会人として立派に成立していたグラハムとは比べるべくもないのである。
案の定、びえーんと泣き出してしまう衣。
「あー、カイジさん最低です。女の子を、それもこんな小さな子を泣かすなんて貴方は本当に人の子ですか? いや変質者なのは知っていますが」
「誰がどう見てもお前が原因だろうが!」
わいわいと騒々しいギャンブルルーム。
呆れ顔の黒服のみが、新たな乱入者の登場に気付けた。
「ようこそ、ギャンブル船エスポワール、ギャンブルルームへ」
乱入者は黒服に一瞥をくれた後、唯一居る顔見知りに向け、黒服同様呆れ顔で問うた。
「……お前は一体、何をしているんだカイジ?」
聞き覚えのある声に顔を上げるカイジは、その先に、捜し求めていた相手を見つける。
「やっぱりここに居やがったか利根川っ!」
◇
利根川は伝えるべき事を伝えきれずなし崩しに半数が欠落してしまい、どうしたものかと思案にくれていた。
そうこうしている間に黒子も部屋を出てしまい、一向に戻ってくる気配が無い。
もし三人に騙されているとするなら、これは由々しき事態であろう。
だが利根川は心底それは無いと確信している。
三人の善意を信じているわけでは無く、自身の人物眼に自信があるだけだが。
部下を使って仕事をするのに慣れすぎたのか、こうして自分が動く感覚がまだ思い出しきれずにいる。
ガキ共の機嫌取りなど本来利根川の仕事ではない、とはもう考えない。
覚悟を決めたのだ。壇上から見下ろすのではなく、自らも会場に降り立ち、泥に塗れ、手間を、労苦を重ね、勝利に至ると。
自己暗示の一つや二つ、容易く出来ずして帝愛でのし上がるなど夢のまた夢よ。
数十年の時を社会の暗部にて生き抜いた男は、暗き誇りを胸に部屋を出る。
戻らぬ黒子にメモを残し、再度グラハム、衣と対決する為に。
階段を降り、ギャンブルルームに至った利根川は、その場に居た人物を見て幸運は我にありとほくそ笑む。
伊藤開司、絶望的な生存率のギャンブルを、不屈の闘志と見事な機転で乗り切った超がつくイレギュラー。
この男も参加していると聞いた利根川は、是非とも手駒、いや、共に戦う同志としてカイジを欲した。
のだが、こうして出会えたカイジはというと、子供相手にぎゃーぎゃーと場も弁えず騒いでいた。
失望の大きさは察してあまりある。
それでも自制が利いていたおかげで、乱暴なコケにするような口調は避けられた。
「……お前は一体、何をしているんだカイジ?」
すぐに気付いたのか怒鳴り返してくるが、そこに死地を乗り越えた圧倒的なまでの生命力は感じられない。
「やっぱりここに居やがったか利根川っ!」
グラハムの姿は見えず衣は何だか知らんがガキっぽくぴーぴー泣いているし、もう一人ガキが増えている。
武装の有無と、室内の隠れ得る場所に注意しつつ、利根川はカイジに歩み寄る。
「何をしている、と聞いたんだ。カイジ、このゲームに参加させられたお前は、一体何をしているのだ」
意図が察しきれぬのか睨みつけながらも、カイジの怒鳴り声が止む。
利根川は言下の意味すら取れぬカイジを見て、今の利根川をして自制が難しい程の怒りを覚えた。
「平和を享受しぬるま湯に生きた余人ならいざしらず、お前までもがまだ『本気』になっていないというのか!?」
「な、何を言って……」
突如現れた利根川の怒声に、衣は驚き泣くのをやめ、真宵もまた呆気に取られたまま利根川とカイジを交互に見るのみ。
「予想は出来ていた! ああ、出来ていたとも! あれほどの集中力と勝負強さ、ここ一番の覚悟がありながらエスポワールへと墜ちてきたお前には、決定的でどうにもならぬ弱点があるだろうとな!」
黒子達との邂逅では完全な自制に成功したが、利根川を地獄の底に叩き落した張本人であるカイジを前に、その無様な姿を目にして冷静でなどいられなかった。
「お前は追い詰められるまで、いや、お前の精神が限界と認めるまでは例え追い詰められていようと決して動かない!
いや、体は動いている。だがっ! 肝心要のお前の脳が働いていないのだ! 白痴のごとく状況に流されるのみで、
状況改善に動こうとしない! お前は! どうしようもない程に! 社会生活が困難なレベルで怠惰な人間なのだよ!
それだけならばただ他人の餌として無様に飲み込まれていくだけだ。だがっ! お前はもう知っているのだろう!
自分にどれだけの力があるのか! 戦いさえすれば誰にも負けぬ覚悟を自身にすら見せ付けているのだろう!
なのに何故まだそんな惚けた顔で遊んでいるっ! 何時まで眠っているつもりだ! さっさと目を覚ませカイジ!
ここは既に何時死んでもおかしくない戦場の只中だぞ! 本気を出す前に死ぬ真のクズに成り下がるつもりか!?
お前ならば! とうに脱出に向けてプランの一つや二つ、実行に移していてもおかしくはないはずだろう!」
利根川は一方的にカイジを弾劾する。その気迫は、コンビニで店長に逆らう程度が関の山であるカイジに抗えるレベルではない。
「そ、それは……お、お前を見つけて、聞くべき事を聞きだしてから……」
弱腰なカイジの言葉が燃え盛る利根川の怒りに油を注ぐ。
「このっ……馬鹿者が! わしを見つけてどうする!? 何故そこから思考を進めない! ハナっからわしを頼るだと!?
こんな、こんな大馬鹿にこのわしが…………わしが全てを知っているとでも!? わしにさえ会えれば脱出出来るだと!?
これは帝愛の仕掛けた死のゲームだぞ! そんな安易で甘えた思考が通用しないのはお前も良く知っているだろう!
こうして説教を受ける事自体ありえぬ幸運だと何故わからん! ああっ、くそっ! 目覚めてから出直せと言いたい所だが、
今のわしにもそんな猶予は無いっ。だからそのままでも構わん。わしが貴様を叩き起こしてやるっ……」
「お前、一体何を言ってる……」
「わしと共に来いと言っているんだ! 目覚めたお前とわしならば! 事がギャンブルなら絶対に負けんっ!」
まさかまさかの共闘の申し出。
「はっ、ははっ、利根川。まるでお前も単なる一参加者だと言っているように聞こえるぞっ……! それを、信じろというのか利根川!」
「会長の死、わしの首輪、あくまで判断材料の一つであって、決定的な証拠たりえぬ……
しかし、その決定的な証拠とやらをこの場にて一体誰が証明してくれる。
何か一つでも確証を持てるような事柄がこのゲームにおいて存在すると思っているのか?
万事に確証を得られぬリスキーな戦いっ……! なればこそのギャンブルだろうっ……!」
利根川の言葉を遮るように、カイジはルーレット台に拳をたたきつける。
「ふざけるなっ……! 俺は、お前がやった事を決して忘れないっ……! 石田さんや佐川の無念を!
犠牲になった者達の絶望を! 俺の命を弄んだ怒りを! 俺は、お前の口車にだけは金輪際乗ってやらんっ……!」
カイジに向け、ゆっくりと歩を進める利根川。
その眼前に憤怒の顔を突き出す。
「そうだカイジ。ようやく、らしくなって来たではないか……野良犬には野良犬の誇りがある。
如何に強大な相手であろうと決して怯まぬ、考えられぬ捨て身っ……!
自暴自棄とは似て非なる、奴隷が皇帝を滅ぼすそれが最後の、絶望の光だっ……!」
至近距離にて睨みあう二人。既にカイジは利根川に気圧されてなどいない。
「俺がお前を監視する。ここが例え地の底、地獄の最奥であろうと、お前の好きにだけはさせないっ……!」
「やってみろ。お前という抑止力がわしの逃げ道を塞いでくれる。この地を圧倒的な勝利と共に脱出する。その為だけに全てを注ぎ込めるよう、わしを抑え続けてみせろ!」
カイジは利根川をいまだ倒すべき強大な敵であると考えていた。
そして利根川もまた、カイジに敗北し、その実力を自らに匹敵すると認めている。
互いが互いを、全てを賭して倒すに足る相手であると信じていればこそ、極限のゲームにおいて、信用ではなく信頼に足る相手として見られるのだ。
「このゲームの真髄、それは……『信じる事』だ。わかるかカイジ」
「全てを疑うのではなく、信じられる部分のみを信じる。帝愛のルール、出会った人間達、お前の言葉……全てに嘘がある。しかし、同時にある真実を掬い出し、見極めるっ……!」
「全てを疑い、同時に全てを信じる……僅かでも間合いを見誤れば死だ。そこまで踏み込んで、初めて勝利の道が見えて来るっ……!」
唐突にカイジは振り返り、真宵をまっすぐに見据える。
「真宵、お前が幽霊だったって話、俺は信じよう。帝愛が言う魔法も、全てを俺は受け入れてやるっ! その上でっ!」
誰よりも自身に向けてカイジは言い放つ。
「このゲームに……ふざけた人殺し共に……俺は勝つっ!」
◇
グラハムと士郎の二人がギャンブル船に戻ると、二人にとって予想外すぎる光景が広がっていた。
「……どういう話だこれは?」
「……何でさ」
ギャンブルルームにて青年が一人、例の血液を吸いだす装置を付けたままポーカー台の前に座っている。
すぐ横には利根川が一緒になってカードゲームに興じている。
衣は観戦に徹しており、隣に椅子を持ってきた少女と何やら会話を交わしている。
ギャンブルルームの主である黒服がディーラーであるようで、カードの束を手に持っている。
グラハムの姿を見た衣は椅子から飛び降り、とてとてと嬉しそうに駆け寄ってくる。
「グラハム! どうであった!」
「すまん、見失ってしまった。だが、動転しただけという事らしいし、いずれ落ち着けば戻ってくるだろう。それより……」
「ああこれか。中々に見物だぞ、利根川もカイジという男も随分とヤるようだ」
血液を採取する装置に血はただの一滴すら吸われておらず、卓には紙幣が山と積まれているのだ。
「コール」
カイジが余裕を持って宣言し、カードを開く。
ツーペアであるが、続いて開いた親はワンペアしか出来ていなかった。
グラハムも士郎も声をかけ何事かを確認したかったのだが、二人共血液を賭けるというゲームのルールを知っており、文字通りの真剣勝負であるとわかっているので、下手な真似は出来なかった。
代わりに衣が、カイジは利根川の知人であり、真宵はその連れであると説明する。
ギャンブルに自信のある二人は、血液を賭け、ポーカーでディーラーに勝負を挑んだのだ。
序盤こそ負けもあったが、回数を重ねる毎に敗戦は減っていき、今では常勝無敗となっている。
際限なく詰まれる紙幣の束。
この理由を、衣は正確に見抜いていた。
「カウンティングだな、と言っても全てを暗記は出来ぬだろうが……後は悪魔じみた洞察力。既にあのディーラーは細かな癖の一片に至るまで二人に抑えられておる」
呆気に取られるグラハムと士郎の前で、当然のごとく勝ち続ける二人。
その額が一千万ペリカを越える頃、ディーラーは苛立たしげにカードを台に投げ捨てる。
「これまでだっ! 一つのゲームで得られる限度額を越えた! これ以上お前達はポーカーを行う事は出来ない!」
カイジと利根川の二人はにこりともせず、視線を交わす。
「それと! 次からはこんなサービスは無しだ! ゲームに参加するのは一人のみ! 他の者の助力があったなら、それはイカサマを行ったとして首輪を即刻爆破する!」
サービスも何も、完全に別室で行うでもないギャンブルで、他の者が口を出すのは自然な流れであろう。
何処までが助力で、何処からが助力で無いかの明確な線引きを決めさせた後、決定に逆らうでもなくカイジは紙幣の束をごそっと、利根川に渡す。
「お前の体力で血液を賭けるのはマズイだろう」
「フンッ、当然だ。金があるのなら金を賭ける。わしはお前と違って賭けたものによって集中力が増減したりはせん」
「せいぜい増やしてくれよ。でないと次の俺の勝負がつまらなくなる」
「ほざけ若造。おいディーラー、次はブラックジャックだ。さっさと用意しろ」
勝負を利根川に任せたカイジは、グラハム達を見つけると歩み寄り話しかける。
簡単な自己紹介を済ませたると、グラハムは不審な表情を崩さぬまま問いかける。
「……まさか血液を賭ける奴が居るとは思わなかった。勝つ目算でもあったのか?」
「最初から致死量全てを賭ける程間抜けじゃない。なら、血とはいえ金と変わらねえよ」
「だとしても調子に乗りすぎではないか? あれだけ勝ったのだ、次もまた運が向いてくれるとは限らんぞ」
これには衣が答えた。
「いや、次も利根川が勝つ。最早あのディーラーでは利根川もカイジも手に負えん。戦うべき所から逃げ出すような三流では話にならん」
カイジは意外そうに衣を見直す。
「へぇ、良く見てるなお前」
「おそらく一つのゲームでの限度額なぞ無いのであろう。それを無理にこじつけて強引にゲームを終わらせた。二人のカウンティングは完璧ではなく、まだまだ戦う余地はあったというのにだ。あの時点で格付けは済んでおる」
こうまでコケにされる程黒服は弱くはない。
だが彼にも制限があり、それは命に関わる事であるが故に、どうしても最後の一線を越えられないだけであった。
無論そんな心の機敏も、とうに二人に見抜かれている。
利根川の賭け方が強烈であったせいか、ものの十分も経たぬ間にブラックジャックも終わってしまう。
煽るように利根川は、最早台車を使わねば運べなくなった金の束をカイジにつっ返す。
「おいカイジ。奴はルーレットが得意だそうだぞ」
「上等だ、俺が決着をつけてきてやる」
「侮ってミスるなよ。ルーレットは見極めるのに少し時間がかかるぞ」
「ならお前はその間にグラハム達と話をまとめとけ。真宵! もう少しかかるから大人しくしてろよ!」
「はーい」
意外に素直なのはカイジがただのヘタレでないとわかったせいか。
戻った利根川を、衣はグラハムが見た事もない剣呑な表情で迎える。
「やるではないか利根川。カイジ共々、全てが終わったなら衣と麻雀で勝負せぬか?」
グラハムは衣の常ならぬ気配に気付けたのか僅かにだが眉を潜める。
当然、こしゃくな罠にかけてくれたと思っていた利根川は、端から衣をただの子供だなどと思っていない。
「破滅を賭けられるというのであれば、幾らでも相手をしてやろう。が、今はそんな暇は無かろう」
「わかっておる。ふふっ、楽しみが増えたぞ。月の出る夜に必ずや相見えようぞ」
ちょっとついていけない真宵は、同じくついていってないだろう士郎を探すが、何時の間にかその姿が見えなくなっているのに気付く。
「はて、一体どちらに行かれたのでしょう?」
◇
士郎はギャンブルルームに黒子が居ないのを不審に思い、客室に探しに行っていた。
部屋には黒子の姿は無く、利根川が残した書き置きのみ。
『女性ならば仕方が無い部分はあるが、時間がかかりすぎるのは他人に迷惑がかかる。出来る限り場を弁えるように』
との注意書きがある事から、ああ、なるほどと得心した士郎は、一応女子トイレの前まで行く。
声をかけるのは非常に憚られるが、それでも状況が状況だ。これを確認せぬままには出来ない。
「おーい白井、居るのかー? 居たら返事だけでいいからしてくれー」
返事は無し。
もう一度呼びかけると、中でごそごそと動く気配がした。
「あー、居るんならいいんだ。俺達はギャンブルルームに居るから、済んだらそっちに来てくれ」
士郎の言葉を聞いているのかいないのか、黒子はトイレの中から姿を現す。
「…………すみません、体調が優れなかったもので……」
顔色を見られぬよう心持ち頭を伏せ、両手は背の後ろに。
それだけで誤魔化せてしまうのは士郎が抜けているおかげか、黒子が巧みなせいか。
「そっか、無理はすんなよ。みんな……っていうか何かぞろぞろと人が増えたんだけどさ。ギャンブルルームに居るから、落ち着いたら白井も来てくれよ」
「人が、増えた?」
「ああ、一気に四人も増えた。今利根川さんと知り合いのカイジさんが下でギャンブルしてるんだ。凄いぜあの二人、あっという間に一千万ペリカも稼いじまったんだ」
「それは……なるほど、惚けている場合ではありませんね……」
うまく隠せていたのだが、流石に下から覗き込むような真似をされてはどうしようもない。
「え、衛宮さんっ、いきなり何を……」
「ああ、やっぱり顔色悪いよ。いいから休んでおけって、後は俺が何とかするから」
「しかし……」
「ああっ、もうっ、白井は女の子なんだから。辛い時はちゃんと辛いって言っていいんだぞ。白井が頑張ってるのは俺も知ってるけどさ、調子が悪い時ぐらい頼ってくれよ。ははっ、流石に白井程頭は良くないけど頑張るからさ」
女の子なんて言葉を真顔で言われ驚いたせいだろう。
何を言うんだと抗議しようと身じろぎした時に、思わず隠していた手を前に出してしまったのだ。
「おい、白井……お前それ、怪我してるじゃないか」
慌てて隠すがもう遅い。
士郎が腕を引っ張ると無理に逆らう事も出来ず、切り傷だらけの両手が顕になる。
「どうしたんだよ一体!」
「……転びました」
物凄く苦しい言い訳だが、士郎はその点は何も言わず、近くの客室に引っ張り込むと傷の治療を始めた。
「痛いんなら痛いって言えって。恥ずかしい事でも何でもないだろ」
「…………」
士郎はデイバックから救急箱を取り出すと、乱雑にならぬよう丁寧な処置を施していく。
消毒液を使い、ガーゼを当てて、包帯を巻いていく。
黒子は無言でされるがまま。
士郎も余計は事は言わないので、包帯が肌をする音のみが耳に入る。
「……あまり、甘やかさないで下さい……」
「ん?」
「何もかも投げ出して、逃げたく、なっちゃいます……」
「……そっか」
これで完成、と士郎は黒子の両手を揃えて握る。
「その時は俺に一言声かけてくれよ。女の子一人じゃ、逃げるだけでも大変だろうしな」
顔中が歪んだ黒子は、士郎の手を振り払い、その場でくるっと回って背を向ける。
「どうしてっ……どうしてこんなっ……」
「白井?」
「お姉さまがあんな事になったのに……何で私はまだ息をしてるのですかっ……何で私は痛いなんて思えるんですかっ……何で……何でっ!」
『優しくされて嬉しいなんて思っているんですか! お姉さまは、もうそんな事考える事も出来ないのに! 私は悔しくて悲しくて、身動き取れない程絶望してるはずなのにっ!』
士郎も黒子に倣って背を向ける。
「見られるの嫌だろうからそっぽは向いておく。けど、一人で居るのは良くないと思う」
黒子からは弱々しい、今にも消え入りそうな返事がかえってくる。
「……やっぱり衛宮さん、甘やかしーです……」
「かもな」
だから士郎は、後ろから聞こえてくる音も気付かないフリをしてやるのだった。
◇
士郎と黒子の二人はギャンブルルームに向かいながら、幾つかの事柄を話し合う。
黒子の瞬間移動という超能力に士郎は驚いていたが、今は使えないので皆に言うのは止めて欲しいといわれ、士郎は簡単に頷く。
表面上は平静を取り戻した黒子であるが、心の内に決して埋めえぬ虚無と、治める事敵わぬ激情の嵐が共に存在している。
この状態で正確に演算出来る自信は黒子にも無かった。
士郎も若干の魔術が使えるという事を黒子に説明したが「強化」の魔法しか使えず成功率も低いので、これも敢えて口にして変に疑われるのもどうかという黒子の意見により、聞かれるまで話さないという事にあいなった。
二人がそんな事を話し合っていると、あっと言う間にギャンブルルームに着いてしまう。
ちょうど、ルーレット対決の決着がついた所であった。
「衛宮さん、あのうず高く積まれた紙幣って……」
「勝った分だよなぁ。台車丸々一台分ってどんだけあるんだ一体」
ルーレット台を前にしたカイジは、まだまだこれからと気を吐く。
「どうした……アンタは取り返さなきゃならないんだろ……恐らく、帝愛から提示されている限度額がある……損害がそいつを越えないように、しなきゃならないんだよな。さあ、いっぱいまで行こうぜ。俺はっ……! とことんっ……! 付き合うっ……!」
素人が見てもわかる程明らかな形で精神の均衡が崩れているディーラーは、ただカイジに言われるがまま、ボールをルーレットに放ろうとした時、ソレが起こった。
『既に貴方に預けられている金額を逸脱しております。即座にギャンブルを中止して下さい』
ギャンブルルームに響き渡る声。
つい先程放送で聞いた女の声だ。
黒服はその場にがっくりと崩れ落ち項垂れる。
カイジ、利根川の二人が稼いだ総額、一億二千三百万ペリカ。元手ゼロからの開始であるから、これは全て黒服の負け分に等しい。
これほどの金額を、たったの一時間弱でむしり取ったのだ。
カイジ、利根川恐るべしである。
『カードゲームはEカードを除き全て終了、ルーレット等ディーラーが必要なギャンブルもこれにて閉鎖となります。長らくのご愛顧、ありがとうございました』
嫌味ですらなく淡々と告げる口調は、少女の物でありながら無機質に過ぎるせいか成人女性のそれに聞こえる。
よろよろと部屋の隅に向かった黒服は、そこにあった椅子に深く腰掛け、以後言葉を発しようとしなくなった。
こうしてギャンブルルームでの一回戦、利根川カイジ連合による対黒服戦は圧倒的勝利に終わった。
利根川は既にグラハムとの話し合いを終えていて、曰く、オリジナルギャンブルは確かに利根川の言う通りであったと、信用を得る事に成功。
先の失礼な態度は酒故の事、情けない話ではあるが、どうか許して欲しいと利根川が謝罪したのも、良い方向に働いていた。
まるでギャンブルがわからない真宵に対し、都度説明するといった形の衣は、少しづつだが打ち解けた会話も出来るようになった。
カイジと利根川は相変わらず仲が良いのだか悪いのだかわからないが、とりあえず、今ここで揉めるつもりは無いらしい。
黒子も見た目は落ち着いたようだし、グラハムは軍人だけあって頼れる男性であるようだ。
ようやく安定してきたようだ、そう考えた士郎は、澪を探しに行くべく皆に話を通そうと口を開きかけ、止まった。
きぃっと扉が軋み、両開きのそれを押し退けるように長身の男が部屋へと入ってきた。
濃い黒のスーツを着込み大剣を担ぐ銀髪の男。
グラハムが皆を代表して問う。
「君は?」
「明智光秀と申します。皆さんは、一体どうしてこのように集まってらっしゃるので?」
「このゲームとやらから脱出する為に、協力したいと思っている人間が自然と集まった。これから色々と相談しようと思っていた矢先だ」
「それは素晴らしい。民を殺さず脱出するというのであればこの明智光秀、戦国の世を生きる武将の誇りに賭けて、お力添えさせていただきましょう」
後ろを向いて手招きをする光秀。
扉の影からおずおずと姿を現したのは秋山澪であった。
驚いた士郎が駆け寄ると、澪はみんなに向かってぺこっと頭を下げる。
「ごめんなさい、勝手な事して……」
しっかりと自分を取り戻している澪を見て、士郎達は安堵の吐息を漏らす。
そして、澪を連れて来てくれたこの男、明智光秀に信頼の眼差しを向けるのだった。
◇
光秀は座り込んで震える澪の着ている服に目を付けていた。これもまた随分と上等な造りだ。
育ちも良さそうであるし、充分すぎる食事を取っていると思われる血色の良さが、裕福な環境を想像させる。
「お一人ですか? 大丈夫、危害は加えませんよ」
いずこかの姫であろうか、少なくとも恥女や人殺しのような荒事に慣れた気配は持っていない。
「何やらお疲れのご様子。急がなければならない用事でもありましたか?」
「…………えっと」
どうやら怖い人では無いようだと澪は思い始めたが、こうして改めて問われても、全速力で走っていた理由なんて自分でもよくわからない。
「怖い人でもいましたか?」
澪はふるふると首を横に振る。
「嫌な人は?」
またも首を横に振る。
「では……嫌な事は?」
ずーんと重苦しい空気を背負う澪。
光秀は澪から視線を逸らし、彼方の空を眺める。
「実は、私も嫌な事がありまして」
「え?」
「つい先程聞こえた声は、私の大切な人が……死んだと。私のあずかり知らぬ所で、大切な、大切な方……猛き竜の右目は二度と私と相見える事は無いなどと……」
光秀の横顔を見ていた澪は、光秀が急に振り向き儚げな笑顔を見せてきたせいで大層驚く。
「そんな事あってはならないので、私はこの声を信じない事に決めました」
あまりにあっさりと発生した問題をクリアしてみせた光秀に、澪はただ呆気に取られるのみ。
当の光秀はというと、手を差し伸べ澪に立ち上がるよう促す。
「お勧め、ですよ」
「は、はいっ……」
独特の話し口調や染み入るような深みのある声のせいか、澪は光秀の言葉に引き寄せられる。
後輩が見知らぬ所で死にました、貴女もまた同じ運命です。なんて言われるより余程信じられるだろう。これらが全て嘘であるとするのは。
「全てをあるがまま受け入れなければならないなんて法、何処にもありません。全ては貴女が思うままに為すべきでしょう」
小難しい言い方になってきたせいか、光秀の真意を汲み取る事は出来なかったが、それでも解決に至る道を示してくれた光秀に、澪は感謝の言葉を述べる。
光秀は笑って受け入れ、これまでにあった事を問うと澪は洗いざらいを説明し、ではギャンブル船に戻ろうとなったわけだ。
さて、今回は少々趣向を変えてみますか。
血に塗れた衣服ではなく、当地の文化に合わせたものに着替え歩み寄りを見せ、静かに、穏やかに心の中に染み渡る。
愛する者を、眼前にて失う絶望、後悔、無念、恐怖……これは、出会うなり殺し合うだけでは得られぬでしょう。
それに、この地はどうも勝手が違う。
建物にしても出会う人々の衣服にしても、そもそも支給品だのといった道具達がわからない。
一呼吸置くのもまたよろし、かと。
彼女、秋山澪さんの話ですと、随分と善人が多いようですし、私も……ああっ、浅井長政のような正義を語るのもいいですねぇ……クックフフッ……
◇
議長は年齢からか利根川が引き受ける事になった。
とにもかくにも、お互いわからない事、不明瞭な事、ありえない事が多すぎる。
中途半端な知識程無意味で有害なものはない。
ならば現時点で確認しうる事を皆で共有すべし、との議長利根川の言葉に皆が納得した結果である。
ちなみに会議室はギャンブル船の3Fの大広間を用いている。
それぞれが席につき、利根川の言葉を待つ。
一番最初に先程利根川が黒子達に語った内容を皆に説明し、利根川が帝愛に居た事、カイジがそれと戦った事を説明した。
その際、黒子達に不自然に思われぬ程度に、カイジに対しても嘘とは取られない繊細な話し方を利根川はしていた。
つまり、利根川は仕方なく帝愛に従っていたと、カイジ以外にはそう伝わるような言い方をしたわけで、この辺はもう老練という他あるまい。
それからしばらく経ち、既に皆が思う様話を繰り返した後であり、このまま話をしても埒が明かぬと議長の判断を求められる。
三十分近く、各人が好き放題といっても過言ではない程フリーダムに意見を述べていた中で、利根川は一人冷静に状況を見続けていた。
「まず、申し訳ないが基準をわしに置かせてもらう。その上で話を続けるので、意見ある時は前提を忘れぬように。
わしの常識からは、白井の言う超能力の存在は正直理解出来ぬ。が、その不可思議な力に、明智も出会ったという話だな」
「ええ……幾ら攻撃を仕掛けようと、まるで鏡に剣を突き入れているかのように……全てが反射されてしまいました」
明智のこの言葉を聞いた黒子は、当初憤怒に席を立つ勢いであった。
一方通行(アクセロリータ)と呼ばれる黒子の知る強力な超能力者の持つ能力だ。
同じく強力な超能力者である御坂美琴を倒しうる、というより一方通行レベルでなくば御坂美琴は倒せぬと黒子は断じる。
彼が殺し合いに積極的であるとの明智の言葉は、黒子にそんな想像図を突きつけたのだろう。
「現状超能力に関してはこんな所か。次に、これもまた判断に苦しむのだが……明智、お前は織田信長の配下である戦国武将だと?
本能寺の変の最中ここに来たと。グラハム以外の全ての者が、歴史的人物として明智光秀を認識しているのだが。
更に名簿に載っている織田信長、真田幸村、本田忠勝、伊達政宗、片倉小十郎も本当に歴史上の人物であると」
明智もまた信じられぬといった顔をする。
「皆さんは、遠き未来から来られたと……いやはや、てっきり許しがたき裏切り者、悪辣非道な不忠者と罵られていると思っておりましたが……後世ではそれなりに評価されてるとかで、少し驚いています」
「もっとも、明智が歴史上の人物であったとしても、今の我々にとっては別にどうという事もないのだがな。
武術に長けているというその腕をアテにさせてもらうぐらいか。そして極めつけが……」
これはもうどう言っていいものやらと利根川は悩むが、仕方無いのでそのままを口にする。
「ガンダムと呼ばれる巨大……ああっ、口にするのすら憚られるが……ロボットが居て、それを倒す為に、
グラハムはロボットのパイロットをしていると。西暦2307年の、宇宙には居住空間となる巨大な箱が浮かぶ世界で」
凄い! かっこいいぞグラハム! と感激してるのは衣だけである。
こういう事を言い出す人が居るって時点で既に怪異ですね、とは真宵さんのお言葉だ。
「この地は日本だとばかり思っていたが、こうなってくるとそれすら疑わしくなるな。というかグラハム、ロボット云々と抜かすお前は何故日本語で話をしているんだ?」
「日本語? 確かに日本でも使われているだろうが、ユニオンの言葉をたった一個の経済特区程度で括る意味がわからんのだが」
言葉が通じていない。
もう一度、と口を開きかけた所で、鋭い声を発したのはカイジであった。
「待てっグラハム! お前もう一度『日本』と言ってみろ!」
「ん? 『日本』がどう……」
カイジは、愕然とした表情でグラハムを見やる。まるで、バケモノか何かを見るように。
「……利根川、いや、他の誰でもいい、グラハムの口元を良く見ていろ……口の動きと、発せられる言葉が、ズレているっ……!」
全員が、そうグラハムもが確認する。
利根川が魔法、と呟くと皆押し黙る。少なくとも、利根川に近い常識を持った人間にこの現象を説明出来る者など居なかったのだ。
そしてそれは数百年先の未来人であろうと、ダンディにスーツで決めた過去の偉人であろうと、超常を常とする超能力者であろうと、説明など出来ない事象。
最後に、ずっと押し黙っていた士郎が黒子に断りを入れ、これだけ非常識が並ぶのならと自身が出会った事件について語る。
聖杯戦争と呼ばれる、魔術師達の戦いを。
元幽霊の真宵、全部それなりにだが受け入れる。
テレポーター黒子、未来過去問わず、時間移動に関する出来事には懐疑的、だが、士郎の言う聖杯戦争は信じる。
雀士衣、全部良くわかっていないが、パイロットのグラハムはかっこいい。
バンドマン澪、そりゃ頑張っていこうと思ってるけど、これに返事しろって無理。
正義の味方士郎、聖杯戦争なんてネタ振っといてロボットは信じられないとか言い出せず苦悩している。
(海が好きじゃない方の)カイジ、流石に後悔っ……! 何でも信じるとかっ……! 言い過ぎたっ……!
フラッグファイターグラハム、超能力に魔法いずれも脳量子波研究の延長か? しかし、過去の世界に来てしまっただと?
武将光秀、未来の世界に魔術妖術ですか。なるほど、世界はいつも不思議でいっぱいですね(←さらっと受け入れてる)
一般人利根川、 貴 様 等 自 重 し ろ ……頼むから、せめて理解の及ぶ範囲にしてくれ……
こうして各人が持つ情報を共有する事は出来た。
だが、それだけであった。
それぞれが咀嚼し、理解しきるまでにはまだまだ時間がかかる。
ゲームの転覆をと考える人間が集まり、膨大なペリカをその手にした。
各々の出身世界の違いを知り、それらを忌憚無く語り合える程度には信頼関係も作られている。
しかし、そこから先、新たな戦略を如何にして組み上げるか。
暗中模索は続く。情報も、装備も、まだまだ足りないっ。皆で脱出する為には、もっとたくさんの力が必要となろう。
……既に、たった一人が生き残る程度であるのなら、充分なだけのモノは揃っているのだが。
アクセロリータwwwww
一方通行(アクセロリータ)www
【B-6/ギャンブル船・3階会議室/一日目/朝】
【天江衣@咲-saki-】
[状態]:健康
[服装]:いつもの私服、ぬいぐるみを抱いている
[装備]:チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス反逆のルルーシュR2
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1(グラハム・衣確認、ペリカは無い)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る
1:エスポワール会議組と一緒に行動する
2:ひとまず一万ペリカを手に入れて、ギャンブル船で『麻雀牌セット』を手に入れる
3:そしてギャンブルではない麻雀をして友達をつくる
4:まずはグラハムに麻雀を教える
5:チーズくんを持ち主である『しーしー』(C.C.)に届けて、原村ののかのように友達になる
【備考】
※参戦時期は19話「友達」終了後です
※グラハムとは簡単に自己紹介をしたぐらいです(名前程度)
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。
※参加者は全員自分と同じ世界の人間だと思っています
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※エスポワール会議に参加しました
【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:健康
[服装]:ユニオンの制服
[装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2(グラハム・衣確認、ペリカは無い)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。断固辞退
0:エスポワール会議組と一緒に行動する
1:主催者の思惑を潰す
2:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける
3:地図が本当に正確なものかどうかを確かめるために名所を調べて回る
4:衣の友達づくりを手伝う。ひとまずは一万ペリカを手にいれ、『麻雀牌セット』を買ってやりたい
【備考】
※参戦時期は1stシーズン25話「刹那」内でエクシアとの最終決戦直後です
※衣とは簡単に自己紹介をしたぐらいです(名前程度)
※刹那・サーシェス以外の参加者が自分とは違う世界の人間であることに気づいていません
※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※エスポワール会議に参加しました
【利根川幸雄@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康
[服装]:スーツ
[装備]:Draganflyer X6(残りバッテリー・20分ほど)、即席の槍(モップの柄にガムテープで包丁を取りつけた物)
[道具]:基本支給品一式、シャトー・シュヴァル・ブラン 1947 (1500ml)@現実×26本
:特上寿司@現実×61人前、予備バッテリー残り×4本、空のワインボトル×4本
[思考] 基本:ゲームからの脱出。
1:油断、慢心はしない。
2:エスポワール会議組と脱出への突破口を模索する。他人は利用。
3:カイジと共に得た一億二千三百万ペリカの使い道を考える
※天江衣が自分を嵌めたと思い込んでいます。
※ギャンブルルームについて情報を知りました。
※エスポワール会議に参加しました
【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]: 健康
[服装]: 常盤台中学校制服
[装備]:
[道具]: 基本支給品一式、ルイスの薬剤@機動戦士ガンダムOO、ペリカード(3000万ペリカ)@その他、不明支給品(0〜1)*本人確認済み
[思考]
基本: 殺し合いはせずに澪や士郎の知り合いを探し出しゲームから脱出するけど、もうそんな事もどうでもいいかもしんない
0:エスポワール会議組と行動を共にする
1:情報の為にギャンブルをするか否か。
2:互いの信用できる知り合いの探索
3:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒
5:衛宮さんはすぐに人を甘やかす
4:何もかも投げ出してしまいたい
[備考]
※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です
※空間転移の制限
距離に反比例して精度にブレが出るようです。
ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が130.7kg。
その他制限については不明。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※駐車場のない船尾側から入ったため、武田軍の馬@戦国BASARAを見ていません。
※エスポワール会議に参加しました
【秋山澪@けいおん!】
[状態]: 健康
[服装]: 桜が丘高校制服
[装備]: なし
[道具]: 基本支給品一式
[思考]
基本: 死にたくない。殺したくない。皆に会いたい。特に律に会いたい。
0:エスポワール会議組と行動を共にする
1:知り合いを探す
2:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒
[備考]
※本編9話『新入部員!』以降の参加です
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※駐車場のない船尾側から入ったため、武田軍の馬@戦国BASARAを見ていません。
※エスポワール会議に参加しました
【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]: 健康、額に軽い怪我(処置済み)
[服装]: 穂村原学園制服
[装備]: カリバーン@Fate/stay night
[道具]: 基本支給品一式、モンキーレンチ@現実 、不明支給品(0〜2)*本人確認済み
[思考]
基本:主催者へ反抗する
0:エスポワール会議組と行動を共にする
1:女の子を戦わせない。出来るだけ自分で何とかする
2:セイバーや黒子、澪の信用できる知り合いを探す
3:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒
4:黒子が辛そうにしている事に気付いていて、事あるごとに気にかけている
[備考]
※参戦時期は第12話『空を裂く』の直後です。
※残り令呪:1画。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※駐車場のない船尾側から入ったため、武田軍の馬@戦国BASARAを見ていません。
※エスポワール会議に参加しました
【伊藤開司@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康 疲労(小)
[服装]:私服(Eカード挑戦時のもの)
[装備]:シグザウアーP226(16/15+1/予備弾倉×3)@現実
[道具]:デイパック、基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考]
基本:人は殺さない……なるべく……なるべく人が死なない方向でっ……!
1:エスポワール会議組と一緒に行動する。
2:利根川を監視する意味で同行する
3:得たペリカ(利根川と二人で一億二千三百万ペリカ)を如何に使うか考える
4:魔法、超能力を認めようと努力するが難しく、ちょっと困ってる
5:『5分の退室可能時間』、『主催の観覧方法』が気になる。
6:八九寺のボケは基本スルー。
[備考]
※Eカード開始直前、賭けの対象として耳を選択した段階からの参加。
※以下の考察を立てています。
・帝愛はエスポワールや鉄骨渡りの主催と同じ。つまり『会長』(兵藤)も主催側。
・利根川はサクラ。強力な武器を優遇され、他の参加者を追い詰めている。かつギャンブル相手。
・『魔法』は参加者達を屈服させる為の嘘っぱち。インデックスはただの洗脳されたガキ。
・戦国武将はただの同姓同名の現代人。ただし本人は武将だと思い込んでいる。
・八九寺真宵は自分を幽霊だと思い込んでいる普通人。
※デイパックの構造に気付いていません。
※エスポワール会議に参加しました
【八九寺真宵@化物語】
[状態]:健康
[服装]:私服、大きなリュックサック
[装備]:
[道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品×1〜2 紬のキーボード@けいおん!
[思考]
基本:まずはお約束通り、知り合いを探してみることにしましょう。
1:?
2:エスポワール会議組と一緒に行動する。話し相手は欲しいので。でも微妙に反応がつまりません!
3:阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎを捜す。
[備考]
※「まよいマイマイ」終了後以降からの参加。
※デイパックの構造に気付いています。
※エスポワール会議に参加しました
【明智光秀@戦国BASARA】
[状態]:ダメージ(大)疲労(小)
[服装]:上下黒のスーツに白ワイシャツ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式 、信長の大剣@戦国BASARA
[思考]:偶には搦め手もまた良し
1:一刻も早く信長公の下に参じ、頂点を極めた怒りと屈辱、苦悶を味わい尽くす。
2:信長公の怒りが頂点でない場合、様子を見て最も激怒させられるタイミングを見計らう。
3:途中つまみ食いできそうな人間や向かってくる者がいたら、前菜として頂く。
4:この美味しそうなチームを、如何に頂くか……
[備考]
※エスポワール会議に参加しました
【ギャンブル船について(追記)】
賞品の中に【参加者の現在位置(1時間) 3000万ペリカ】がある。位置は要求者のデバイスにリアルタイム送信される。1時間有効。
更に長い時間有効なものは更に高額になる。
またギャンブルルームにおける『戦闘行為の禁止』には穴あり。
ギャンブルルーム外からの攻撃に対しての対応は不明。
タラップは船頭側と船尾側にあり、船頭側に駐車場がある。
施設の位置は、甲板下の3階にスイートルーム客室、食堂、会議室。2階にギャンブルルーム。1階に駐車場。他にも施設は存在している。
カイジ、利根川の大勝利により、Eカードを除くカードゲーム、ディーラーを必要とするギャンブルは現在使用不能です
【エスポワール会議の内容】
天江衣、グラハム・エーカー、利根川幸雄、白井黒子、秋山澪、衛宮士郎、伊藤開司、八九寺真宵、明智光秀
以上九人によって行われた情報交換
グラハムからガンダムがいる世界の事を聞きました
光秀は戦国の武将であると聞きました
黒子から超能力の存在を聞きました
士郎から聖杯戦争(サーヴァント情報含む)について聞きました
利根川より帝愛に関する話を聞きました
一方通行(アクセラレータ)という反射を特技とする危険人物が居る
魔法により本来通じぬ言語が通じるようになっているっぽい
27 名前:試練2/逃げ場なんて、無いかもよ ◆0hZtgB0vFY[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 22:19:00 ID:xRHKXqaU
以上で投下を終了します。代理投下の方、よろしくお願いします
28 名前:名無しさん[] 投稿日:2009/11/28(土) 22:33:10 ID:9wJmUXjA
さるさんです
代理の代理、お願いします
というわけで代理代理投下終了です
投下乙
余り覚えられてない池田カワイソスwwww
投下&代理投下乙です
この状況は確かに自重しろだなwww
明智大暴れと思ったらここでステルスだと? おかげで澪は生きてるがこれは死んだ方がよかったかも
一方さん、誤解されてるぞ。黒子、気が付いてくれ
カイジ勢無双かよ。かなりの金額が手の入ったがこの先どうなる? 確かに一人なら・・・
投下乙
いやぁすごい集団が出来ましたね。
しかし光秀がステルスになるとは・・・さてどうなることやら・・・
あと一方通行(アクセロリータ)に吹いたwww
投下乙
アクセロリータw
あと時期的にカイジは会長の名前知らないだろ
Eカードで対決する前に会長とご対面してるから対面後、対決前から呼ばれたのかも
両儀式、デュオ=マックスウェル、一方通行投下します。
支援
マシンは風を切り、舗装された道の上をひたすらに北上する。
後ろへと流れる風はハンドルを握る少年の三つ編みを後ろへとなびかせる。
少年の名はデュオ・マックスウェル。
ガンダム02ことガンダムデスサイズのパイロットであり、コロニーから送り込まれた破壊工作員である。
その彼が今、目にしているのは朝焼けに照らされた黄金色の草原。
夜と昼との境目にのみ現れる幻想的な風景だ。
コロニーではまずお目にかかれないそれに、デュオは思わず目を奪われる。
ああ、こんな時でもなければバイクを止めて見入ってもいいくらいだ。
そう、こんなふざけた殺し合いの最中でなければ、だ。
「おい」
そんな彼に真横――サイドカーから声がかけられる。
短く切りそろえた黒髪を風になびかせるのは、両儀式という名の女。
だがその名前以外、正確な目的も、この場所に誰か知り合いがいるのかもデュオは知らない。
(……ま、俺も人のことは言えないけどな)
デュオもあの場所に集まった8人に自身の素性は明かしていない。
まぁバカ正直に『テロリスト』などと名乗れるはずもないのだが。
「ん? どうした?」
「そろそろだ。バイクを止めとけよ」
声につられ、時計を見ればあと少しで長針と短針が一直線に並びそうになっていた。
確かに放送を聞き逃しては元も子もない。
頼まれたアジトの調査も6時間後に駅に戻ればいいというルーズなスケジュールだ。
取り立てて急ぐような場面でもない。
周囲を警戒しつつ、森――地図上で言うと『死者の眠る場所』を取り囲んでいる――の近くでバイクを止めると、
そのまま木陰にバイクを寄せ、腕時計が6:00を指し示すのをじっと待つ。
『――おはようございます。インデックスです』
そして、放送が始まった。
* * *
「ちっくしょおおおおおおっ!」
声を張り上げ、側にあった木に拳を力任せに叩きつける。
拳が痛み血が滲むが、こうでもしなければあふれ出る苛立ちを押さえきれない。
放送で呼ばれた死者の名前でデュオが聞き知った名前は3つ。
先ほど名前を聞いただけの『千石撫子』を除けば、デュオが知っている名前は彼と面識がある人物だ。
――リリーナ・ドーリアン。
いや、今やリリーナ・ピースクラフトと言った方がいいか。
完全平和主義を唱える、今や地球圏で知らない者のいない女王様。
初対面の時、撃たれそうだったところを助けたのに怒られたことは、昨日のように思い出せる。
何があろうと完全平和という理想を曲げないだろう彼女が、こんな場所で長生きできるとは思わなかったが……早過ぎる。
気がかりなのは、あのお姫様にぞっこんだったヒイロがどんな行動に出るか。
まさかヤケを起こすほど短絡的じゃあないとは思うが……。
――プリシラ。
正直、心のどこかで覚悟はしていた。
あの狂人みたいな男が出没するこの場所で、彼女はあまりにも無邪気だった。
大した武器もなく、ロクに戦えなかっただろう彼女は殺し合いに乗ったものからすれば、格好の獲物だろう。
『合流を蹴ったのだって、俺たちとはやっていけねぇってことじゃないのかねぇ』
数時間前の自分の言葉に苛立ちを覚える。
そんな暢気な場所でないのは、十二分に承知していたはずだろうに。
それに、だ。今は駅にいるセイバーのことも気に掛かる。
プリシラの死に一番ショックを受けているのは間違いなくあいつだろう。
とにかくあいつは余計なものを背負い込みすぎる。
どこの王様だったか知らないが、そんな生き方、自分も周りの人間も辛すぎるだろうに。
「わかっちゃいた……わかっちゃいたが、やりきれないぜ……」
彼女らの死を嘆くデュオ。
ふいに視線を横にずらせば、そこには先ほどと寸分たりとも変わらず、木に背を預ける式の姿がある。
その表情には一部たりとも変化がなく、いかなる感情の揺らぎも見出せない。
だがバイクを止めるよう指示したことからも、気になる人間がいないわけではなさそうだ。
「なぁ、アンタの知り合いは――」
だが、その言葉は強制的に遮断される。
隣の木に叩きつけられた、飛来物によって。
「――ッ! こっちだ!」
一瞬呆けるも、とっさにディバックからデスサイズのパーツを取り出すと、飛び込んできた両儀と身を寄せ合い、決して広くないスペースに身を隠す。
そして程なく襲い掛かる第二波がガンダニュウム合金製の盾に直撃する。
ハンマーで叩かれたような衝撃が連続して壁越しに響く。
支えた左手に走る痺れに顔をしかめながら、最初に飛んできたものを目視する。
デュオの視線の先、大きく傷ついた幹にめり込んでいるのは――、
「缶コーヒー!?」
そう、飛来物の正体は手のひらサイズの未開封スチール缶。
信じがたいが、襲撃者は何らかの方法で缶コーヒーを撃ち出しているのだ。
たかが缶コーヒーといえど、水分の詰まった鉄の塊。
直撃すれば骨折は確実。
かといってこのままでは決して状況は好転しない。
衝撃を受け続けている左手だって何時までも持つわけじゃない。
だが反撃しようにも銃と違い発射音がしないため、敵の正確な場所がわからない。
「くそっ、このままじゃジリ貧だぜ……!」
だがそのデュオの目の前で式はふらり、と立ち上がる。
「お、おい! 危ねぇぞ!」
「簡単なことだ。これをやってる奴を――殺せばいいんだろう」
言うや否や、彼女は加速した。
9メートル近い距離を一瞬にしてゼロへと還す古流武術の失われた歩法。
その技術によって彼女が向かうのは森の中。
暗闇の中にひっそりと立つ一際巨大な樹木へと駆け寄る。
接近を察知したのだろう。
大樹の陰から新たに3本のスチール缶が、式を迎撃する。
対する式は身をひねって最小限の動きでそれらを回避。
流れるような動作で懐からルールブレイカーを取り出し、更に加速する。
「邪魔だ」
青白く光る両の目がその木の"死"を直視する。
ルールブレイカーが振るわれ、紫色の軌跡を描く。
ただ、空を切るような軽い一撃。
だがそれだけで太い樹木はあえなく倒壊した。
あらゆるモノが内包する不完全な自身の破壊への願望――"死"そのものを断たれ、殺されたのだ。
ただ斬られたのとは違う。
倒された残骸を良く見れば、葉は枯れ、幹枝から力が失われていることが見て取れるだろう。
「んな!?」
だが、そんな理屈を知る由もないデュオは驚愕に目を見開く。
彼から見れば、式がナイフで木を倒したようにしか見えない。
チェーンソーでも叩き切れないような巨木を、式の細腕が一瞬で破壊したのだ。
その光景は、異常、超常、理不尽以外の何者でもない。
驚愕するデュオを尻目に、その現象を引き起こした本人は更に闇に潜む何かに向けて返す刃を振るう。
その刃に追われる様に、倒壊する木の陰から白い影が飛び出す。
白い影の正体は人。おそらくは――少年。少なくとも傍から見ていたデュオにはそう見えた。
性別がわかりにくい、という点では相対している式と似ているかもしれない。
だがその方向性はまったくの別種だ。
人形めいた式に対し、少年はどこかバケモノじみている。
黒い服から伸びるのは妙に細長い両手足。
白い髪と透き通るような肌の中、真っ赤な瞳が浮き上がって見える。
血の気のまったくない白い頬には朱色の線が走り、そこからは赤い液体が流れ出している。
少年が手にしていたのが缶コーヒーということからも、間違いなく下手人なのだが他に手にしているものはない。
てっきり巨大なパチンコか何かの小型射出機の類を持っているかと思ったのだが。
少年は自身の頬から流れ出す血を見て、驚愕の表情を浮かべている。
自身の手についた血を見つめていたその瞳は、やがて相対する少女へと向けられる。
「テメェ……何しやがった」
その問いかけに式は答えない。
むしろそれ被せるように、更なる質問を返す。
「――お前、超能力者か何かか」
「あン? それがどうした」
「別に。訊いてみただけだ。
それに――お前が何をしているかなんて関係ない。
力を"殺せ"ば、そんなものあってもなくても同じことだからな」
白青の静謐な視線と、真紅の獰猛な視線が真っ向からかち合う。
「チッ……"アイツ"と同じのが2人も3人もいるってワケかよ。
だったら……手加減する必要はねェよなァ!」
次の瞬間、デュオは我が目を疑った。
少年が手首のスナップだけで投げたはずのスチール缶は、唸りを上げ放たれたのだ。
弾丸もかくやというスピードで式に襲い掛かる。
だが常識ではありえないその光景に、式は驚くそぶりすら見せず行動に移る。
「「なっ!?」」
期せずして、デュオと少年の声が重なる。
それは式の取った回避方法があまりにも常識はずれだったからに他ならない。
式は――跳んだのだ。
いや、それは"飛んだ"と表現したほうがいいかもしれない。
まるで猫のような身のこなしで、鬱蒼とした木々をかわしながら真上に跳躍。
森林の深青に純白の着物が踊る。
それを見たデュオは一瞬、ここがコロニー内であるかと錯覚する。
それほどまでに重力を感じさせない跳躍で、白髪の少年に襲い掛かる。
「チッ!」
だが、対する白髪の少年も後方へと跳ぶ。
少年の足が行ったのは軽いバックステップ。
だがその距離は"軽く"などで表現されるものではない。
その距離、約十メートル。
真正面からでも常人には無理な距離を少年は跳び、式の攻撃を回避して見せた。
「おいおいおい……勘弁してくれ」
その光景を見ていたデュオは一人ごちる。
ふわりと浮かぶような両儀式の跳躍、跳躍を無理やりに数倍に伸ばしたような少年の跳躍。
自分たちガンダムパイロットも大概人間離れしているとは思ったが、ここにいる連中はそれどころではないらしい。
アレならまだトロワのサーカスジャンプのほうがよっぽど物理法則にのっとっている。
そんなデュオの視線の先で、黒髪の少女と白髪の少年は一定の距離を持って対峙する。
その距離は僅か数メートル。
式にとってその程度の距離が意味を成さないのは先ほど証明されたばかりだ。
だが対する白髪の少年も奇妙な前傾姿勢をとる。
構えそのものは素人くさいが、逆にそこからどのような攻撃を繰り出すのか想像し難い。
だが、それでも向かい合う以上、対抗手段となりえるのだろう。
つまりこの数メートルは互いに一撃必殺の間合い。
両者の間に緊張が高まり、周囲の木々をざわめかせる。
デュオもフェイファーツェザリカを構え、事態が動くのを待つ。
だが、
「――やめた」
ふいに式が構えを解いた。
「お、おい! 何やってんだ!」
「もういい、白けた。デュオ、後はお前の好きにしろ」
そう、心底つまらなそうに零す。
その行動に誰よりも困惑しているのは、相対していた白髪の少年らしい。
いぶかしむような目でこちら側を見ている。
「おい、なめてンのかよてめェは!」
「なめてるのはどっちだ。
今、確信した。お前――、最初からこっちを殺す気なんてなかっただろ。
なんだ、せっかく楽しめるかと思ったのに興醒めじゃないか」
「……式、そりゃ一体どういう意味だ?」
デュオの問いかけに、式はめんどくさそうな視線を返す。
「俺達はこいつの特訓につき合わされたんだよ」
「特訓?」
「あの缶を投げてくる攻撃――
俺には効率のいい戦い方を探しているように見えた。
殺す気がないのに人に向けて撃ったのは、反撃を受けない距離と最長狙撃距離の見極め……どうせ、そんなところだろ」
少年から返されるのは舌打ち。
それは『認めなくはないが肯定』ということなのだろう。
つまりこれは殺し合いではなく、単なる接触であったということだ。
一歩間違えば大怪我ですまなかったのだから怒りを覚えないと言えば嘘になるが、
『怒れ』と言われて怒れる人間は人間はごくごく少数であろう。
少なくともデュオはそういう人間ではなかった。
怒るタイミングを失ってしまったデュオは『俺もとんだお人よしだよなぁ』と独りごちながら、銃口を下ろす。
「……ったく、どいつもこいつも自分勝手すぎるぜ……。
おい、そこのお前。まずは名前ぐらい教えやがれ」
「……一方通行(アクセラレータ)だ」
ぽつりとつぶやいたその言葉が、名前だと気づくのに一瞬遅れる。
セイバーといい、普通の名前のほうが少ないのかね、ここは。
まぁ自分たちの名前だって半分コードネームのようなものなのだが。
「そうかい。オレはデュオで、こいつが式だ」
自身の名を名乗ったデュオに一方通行が僅かに反応する。
真っ赤な両目を丘の向こうに向ける。
「――テメェの知り合いのプリシラって女の死体なら、この草原の向こうだ」
「なっ!」
「勘違いすンじゃねェ。やったのは鎌を持った気色悪ィ変態野郎だ」
その言葉に式は隠しもせず嫌悪の表情を浮かべる。
だが自身も似たような表情を浮かべているに違いない、とデュオは思う。
彼らの脳裏の浮かんだのは間違いなく同じ人物なのだから。
――明智光秀。
この殺し合いに嬉々として乗っていた気持ちの悪い男。
攻撃を行いつつ歓喜する。
攻撃を受けても愉悦に浸る。
まともな神経を持って相対すれば十人が十人同じ感情を抱くに違いない。
やはり、まだこの近くにいやがったか。
「……他に用がねェならオレァ行くぜ」
「おい! ここは情報交換するところだろうが、普通は!」
「バカかテメェは?
さっきみたいな物音立てた場所で情報交換する何ざ、どうぞ撃ち殺してくれって言ってる様なもンだろが」
確かにさっきの戦いで周囲に物音が響き渡った可能性は十二分にある。
「動いてなけりゃD-6のデパートにゼクスって奴がいる。聞きたいならソイツにでも訊きやがれ」
「ゼクス……ゼクス・マーキスか!?」
「あン? 知り合いか? その顔を見るに仲良しこよしの関係ってわけじゃなさそうだがなァ?
――まァ、俺には関係ねェけどな」
先ほどから、言葉の端々に違和感を覚える。
一方通行の言葉を額面どおりに受け取れば――、
「おい、ってっことは……お前はゼクスのところに戻らないのか?」
「はン、アイツとは元々そこらで出会っただけの間柄だ。
情報は交換したしな、今更合流したところで大したメリットがあるとも思えねェ。
それに……あんなクソ野郎がそこらにいるンなら……チンタラやってるヒマはねェみたいだしなァ……!」
そう言って一方通行が浮かべるのは飢えた獣のような凶悪な笑み。
「あー……だったら、俺らと一緒に行動するってのは……」
「ハッ、それこそまさかだ。テメェらと仲良しこよしとか死ンでもごめンだ。
それにな――」
そのまま赤い視線を式に向ける。
「――何より、その女とオレが"合う"とは思えねェ」
「――ああ、それは俺も同感だ」
まったくだ、とデュオは内心、二人の言葉に同意する。
デュオとて奇人変人の相手は散々してきているが、この2人の潤滑油になれる自信はさらさらない。
そもそも自分は他人に合わせるのは得意だが、まとめあげるのは柄じゃない。
「……所で、お前、どこか行くあてはあるのか?」
「あン? テメェに言う必要があるのかよ」
「情報が欲しいならのD-6にある駅に寄ってみろ。
そこには遮蔽物も多いし、まだ何人かいるはずだ」
式の台詞にデュオは面食らう。
「おい式、何勝手に言ってんだ!?」
「別にいいだろう。こいつも一応は『バトルロワイアルを壊す側』ってわけだ。
だったらあいつらと会っても別に問題はないだろ?」
式はそう言うが、デュオの疑念は晴れたわけではない。
あの跳躍をできる人間がただものであるはずはないし、そもそもプリシラを殺したのがコイツでないという保証はない。
そんな危険人物を協力関係にある彼らの元へ送るのは、あまりにも無謀すぎる。
だが一度渡された情報は止めることは出来ない。
一方通行は口の端を吊り上げると、笑みを形作った。
「ハッ、そうかい」
背中を向け、デュオたちが来た道を南下し始める。
式はその姿を見送ることなく踵を返し、木陰に隠してあったバイクへと歩き出す。
そして、呆然とするデュオに向けて振り返り、口を開いた。
「行くんだろ? そのプリシラって奴が死んだところに」
* * *
そして数分後、彼らは血溜りの中に倒れこむ少女の骸を発見した。
探す必要はなかった。
草原の緑をぽつんと染める赤い色はあまりにも目立ったからだ。
全身につけられた傷が、決して安らかな死に様ではなかったことを示している。
嬲るようなこのやり方、確かにあの男らしい。
だが、あの一方通行と名乗った少年の疑いが晴れたわけじゃない。
「……しかし、あいつを行かせて良かったのかね?
オレからしてみりゃ、かなりヤバい奴に見えたけどな」
「いや、大丈夫だろ」
疑念に満ちたデュオの声とは正反対に式の声は暢気とすら感じられるものだ。
「何だ、嫌に自身ありげだが、何か根拠でもあるのかよ?」
「ああ、だってあいつは俺みたいに殺人を嗜好するモノじゃない。
かといってあの男みたいに殺戮を快楽とするでもない。
結局のところ、"手段"としてしか人を殺せない――ただの人間だ」
……その声色がどこかうらやましそうに聞こえたのは、きっと錯覚だろう。
それよりも先ほど口にした言葉には気になるところが一箇所あった。
「……ちょっと待て。
その言葉をそのまま受け取ると、お前は殺人犯ってことになるんだが……」
「ああ、そうだよ。俺は"殺人鬼"って奴だからな。
――何だ? 気になるか」
「……別に。ある意味じゃ、俺も似たようなもんだ」
その言葉に今度は式が怪訝な表情を浮かべる。
デュオは殺人鬼ではない。
だがそんな理屈、自分たちが殺したOZ兵士やその家族にとっては関係ないことだろう。
彼らにとって自分は殺人犯、破壊者、――死神。
そんなものと同じだろう。とはいえ、殺戮者に落ちる気などさらさらありはしないが。
それよりもデュオにとって気になるのは、先ほどの巨木を倒した一撃なのだが。
だが、今の状態で聞いたところで理解できるとは思えない。
正直なところ、まだ混乱しているのだ。
戦闘中に見せた人間離れした挙動を含めて。
(……本当に同じ人間か、こいつら)
そんな胡乱げな視線を式に向けざるを得ない。
それに先ほどの言葉は裏を返せば『明確な目的があれば殺人を戸惑わない』ということだ。
あの不可思議な力とあわせて、危険人物であることに変わりはない。
今からでも後を追うべきか?
そう考えた矢先、デュオは朝日を受けて照り返す、"それ"を見つけ、苦笑する。
「……ったく、ヒイロといい、気遣いの判りにくいヤツがどうして多いもんかね」
亡骸のそばに置かれていたのは一本のコーヒー缶。
無造作に置かれたそれは、まるで彼女に対する手向けのようだった。
死体を埋めるわけでもない、直接弔うわけでもない。
だが、そこには何らかの感情の証があった。
「……ま、とりあえずは信用してもいいのかもな」
一方通行に関する感想をそれで締めくくり、血の気を失った顔をまっすぐに見据える。
その表情は先ほどまでの少年のものではない。
ガンダムデスサイズのパイロット、"死神の相棒"デュオ・マックスウェルのものだ。
「悪いな……仇を討つことぐらいしかやれることはなさそうだけどな」
最後にもう一度黙祷してデュオは少女の亡骸に背を向け、歩き出す。
道具のない状態で埋葬するのは
デュオがバイクに跨り、イグニッションキーを回す。
するとすでにサイドカーに乗り込んでいた式が口を開く。
「それで……これからどうするんだ。
あの白髪頭の言うとおりゼクスとやらに会うのか?
それとも当初の目的どおり『悪のアジト』とやらを目指すのか?」
どうやら式自身は決める気がさらさらないらしい。
どうでもよさげな表情に戻り、背後のシートに体を預ける。
ゼクス……いや、ミリアルド・ピースクラフトとの関係は決していいものではない。
かつてはOZの将校として敵対する位置にあり、今だってホワイトファングの首魁として敵対している。
その上、妹を失った彼がどのような行動に出るか。
直接会ったことがない分、ヒイロ以上に予想がつかない。
だがこんな状況は彼にとっても不本意だろう。
もしかしたら一時休戦ぐらいは出来るかもしれない。
一方で当初の目的どおり悪のアジトを目指すという選択肢もある。
プリシラの遺体を確認したため時間を消費したし、探索時間はいくらあっても足りない。
何らかの物証のようなものがあればあの真田幸村を納得させやすくもなるだろう。
「……さて、どうしたもんか」
予想通り、隣からの返答はなし。
デュオはハンドルを指で叩きながら、思考する。
そして、彼の出した結論は――
【C-6/草原南東部/一日目/朝】
【デュオ・マックスウェル@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康
[服装]:牧師のような黒ずくめの服
[装備]:フェイファー・ツェリザカ(弾数5/5)@現実、15.24mm専用予備弾×93@現実、
BMC RR1200@コードギアス 反逆のルルーシュR2
[道具]:基本支給品一式×2、デスサイズのパーツ@新機動戦記ガンダムW、メイド服@けいおん!
[思考]
基本:なるべく殺したくはない。が、死にたくもない。
1:『敵のアジト』に向かい、中を調査。正午までには『D-6・駅』に戻り、詳細を報告。
もしくは『』にいるというゼクスと接触する。
2:明智光秀、平沢憂には用心する。
3:デスサイズはどこかにないものか。
[備考]
※参戦時期は一応17話以降で設定。ゼクスのことはOZの将校だと認識している。
正確にどの時期かは後の書き手さんにお任せします。
【両儀式@空の境界】
[状態]:健康、光秀へのわずかな苛立ち
[服装]:私服の紬
[装備]:ルールブレイカー@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
[思考]
1:とりあえずデュオと一緒に敵のアジトまで行く。その後も共に行動にするかは未定。
2:黒桐は見つけておいた方がいいと思う。
3:光秀と荒耶に出会ったら、その時は殺す。
4:首輪は出来るなら外したい。
[補足]
※首輪には、首輪自体の死が視え難くなる細工がしてあるか、もしくは己の魔眼を弱める細工がしてあるかのどちらかと考えています。
※荒耶が生きていることに関しては、それ程気に留めてはいません。
※藤乃は殺し合いには乗っていないと思っています。
H
【C-6/草原南東部/一日目/朝】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康 能力使用不可能
[服装]:私服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、缶コーヒー×14、ランダム支給品×1(確認済み)
[思考]
1:このゲームをぶっ壊す!
2:打ち止めを守る(※打ち止めはゲームに参加していません)
3:D-6駅にいるという奴らに接触する。
4:機会があればプリシラの遺言を伝える
[備考]
※知り合いに関する情報を政宗、ゼクス、プリシラと交換済み。
『一方通行の能力制限について』
【制限は能力使用時間を連続で15分。再使用にはインターバル一時間】
【たとえ使用時間が残っていても、ある程度以上に強力な攻撃を使えば使用時間が短縮されます】
【今回の使用はあまりに過度の能力だったため、次からは制限される可能性があります】
ゼクスのいた世界について情報を得ました。
主催側で制限を調節できるのではないかと仮説を立てました。
飛行船は首輪・制限の制御を行っていると仮説を立てました
----------------------------------------
以上です。
多大な支援ありがとうございました。
感想、矛盾点等の指摘お待ちしております
支援
投下乙です
式も一方も彼ららしい邂逅ですねw 付き合わされる死神さんは可哀そうw
プリシラへの彼なりの弔いか、安らかにお眠りください
一方さんは駅へと向かうがセイバーや真田と相性がいいとは思えないんですがw
さて、アジトに向かうか、それともゼクスとご対面か
投下乙
一瞬だけ乗ってしまったのかと疑ったぞwww
あれじゃあ黒子に誤解されても文句言えんな・・・
あと一方通行(アクセラレータ)がさっき投下された一方通行(アクセロリータ)が違うんですと言ってるようにしかみえないwww
阿良々木暦、セイバー、真田幸村、投下開始します
>道具のない状態で埋葬するのは
ここは書き忘れ?
千石撫子が、死んだ。
*****
「虚言! 全ては帝愛らの虚言でござる!!」
駅の中、真田幸村は大声で叫んだ。
虚言とは、ついさっきあった放送の事である。
3人ここに集った中で行われた放送に、幸村は我慢がならなかったらしい。
「片倉殿が亡くなられたなどと!!
あのような方が、こんなところで斃れられるはずがない!
そもそも、このような一方的な死亡告知など、信じるに値せず!
恐らくは我らを惑わす為、彼奴らめ嘘の死者の名前を挙げているのでござる!
そう思わぬでござるか、せいばあ殿!!」
同意を求めてセイバーに顔を向ける幸村。だが、それに対するセイバーの顔はいたって冷静なものだった。
「いえ、ユキムラ。
私はその可能性は低いと思う」
「なっ!! 何故でござるか!」
「確かに私達はここに至るまで、まだ誰の死体も目撃していない。死者の虚偽。確かに可能性が無いわけではない。
ですがユキムラ。もし生存者の名前が読み上げられてしまったなら、そんな嘘はすぐに明らかになる。
例えば、ここで貴方の名前が挙げられたなら嘘はすぐに分かる」
「しかし! 某たちにはわかっても、他の方にはわからぬ!
政宗殿や忠勝殿を追い詰める為に、某の名を上げることも!」
「そんなことをすれば、その後の放送で少なくとも私と貴方、コヨミを追い詰める事はできなくなるでしょう。
私たちが放送の嘘を伝えた相手もそう。
あからさまな嘘はすぐに伝達できます。よって、生存者の名前を読み上げても意味がない」
「ぬうっ……!
ならば、拉致! そう、それでござる!
奴らは未だ片倉殿たちを捕らえている! あるいはもう一度捕らえた! それならば!」
幸村が更に上げる可能性に、セイバーはため息をつき被りを振る。
「ユキムラ。
それは希望的観測でしかないのはわかっているはずだ。
それに彼らの目的は私達に殺し合いをさせることのはず。
わざわざ介入してしまうことは最小限でしょう。ですから、彼らがわざわざ名簿に載せた人物、放送で追加した人間を捕まえたりして
自らの興が削がれる事をするとは思えない」
「ぬ……うっ。
し、しかし!そうでなければ片倉殿が!ましてや阿良々木殿の」
「ユキムラ!」
セイバーの静止に幸村はしまった、と言わんばかりに口を手で抑えた。
そして二人は視線を自然に移動させる。
その先には、座ってこっちを見ている阿良々木暦がいた。
「も、申し訳ないでござる阿良々木殿!某……」
「ああ、いいって………大丈夫………僕だって、もう落ち着いたから」
そう言って静かに小さく笑う阿良々木暦。
だが、セイバーも幸村も感じていた。
その笑顔にはまるで力が無く、そして彼から感じる感情の漏れを。
例えるなら、燃え滾る炎を鉄でできた球の中に封じ込めたような感覚を2人は感じていた。
炎自体は外に漏れず見えもしないが、熱は鉄を通して外に漏れて感じる事ができる。
そんな何かがひしひしと阿良々木から感じられる。
阿良々木暦は平静を装いながら、ある『感情』を抑えきれずにいる。
その原因は明らかにさっきの放送だった。
本人は隠していたが、放送で2回名前が挙がった時の反応のタイミングで一体誰の名前に反応したのかは丸分かりだった。
阿良々木はしばらくしらばっくれていたが、結局2人の気迫に根負けして白状した。
彼は『千石撫子』の名前に動揺したのだと。
軽く千石撫子との関係を話した後、幸村がさっきの虚言説を取り上げたのだ。
彼としては、片倉の死も撫子の死も否定したかったのだろう。後者は勿論阿良々木の為に。
だが、それは希望的観測。自分たちにとってしかメリットのない『こわれた幻想』だ。
セイバーは幸村があからさまに燃え滾る赤い炎ならば、阿良々木は静かに燃える蒼い炎のように感じた。
阿良々木はクールそうに、飄々そうにしていながらそうではないのだというのを悟り始めていた。
彼は未だ、千石撫子の死に何か考えているのだと。
(シロウの名は呼ばれなかった。私以外の4人のサーヴァントも同じく。
ですが、シロウの性格から言って彼がこのような場で危険な位置にいるのは明白。
………早く合流しないと――ん?)
ふとセイバーは何か小さな振動を感じた。
連続的に、短い周期で何回も起こる振動。それは彼女の持つデイパックから伝わってきている。
(デバイスは手元にある……まさか、私がまだ確認していない支給品?)
読んでいるうちから投下が来るから感想書く暇ないよ支援
セイバーは振動するデイパックに手を入れて、すぐにその震えるものを掴み引っ張り出した。
それは一見手元のデバイスに見えた。
しかし手軽な大きさに液晶画面という点は同じでも、その他の細部がデバイスとは違った。
機械なのは明らかだが、セイバーは幸村と違い現代のある程度の知識を聖杯によって与えられている。
時代錯誤な感覚に陥る事はない。
「せいばあ殿!そ、その奇怪な振動を放つ物体は一体!!」
「さっき説明したデバイスと似たようなものです。どうやら機能は違うようですが。
む。これが説明書でしょうか」
セイバーが機械の裏にセロハンテープでくっつけられていた説明書に目を移動させた瞬間、
機械の液晶が自動的に輝きだした。どうやら電源が自動的に入る機能のようだ。
「せ、せいばあ殿!」
「ユキムラ、落ち着いてほしい。気持ちは分かりますが、これは『そういうものだ』と割り切った方がいい。
それより……」
画面には【1日目午前0:00〜午前6:00】という文字が現れた。
それが程なくして消えると、新たに画面に表示されたのは2つの画像。
「これは……」
それは2人の少女の顔写真だった。それが左右に置かれ、その間を線が遮り境界を作っている。
そしてその写真の上にはそれぞれ3文字分のスペースがあった。
左の少女の上には【死亡者】。
そして右の少女の上には、二人とも一瞬眉をひそめる名称があった。
その名称は――【おくりびと】。
******
「悪い。セイバー、幸村。
僕ちょっとトイレ」
程なくして近づいてきた阿良々木を含めた3人が機械の情報を全て見終わった後、彼はそう言い出した。
二人の答えも得ずに立ち上がる阿良々木にセイバーが声をかけた。
「待ってください。コヨミ。
なぜデイパックまで持っていく?」
「もし誰か襲ってきたら大変だろ?大丈夫だって。
そんなことになったら2人を巻き込みやしないさ。僕1人でここから逃げ切る」
「そ、そんな阿良々木殿!」
そうやって突っぱねる阿良々木にセイバーは追い討ちをかけた。
「コヨミ。まさか貴方」
「1人で行きやしないって。危ないじゃないか、そんなの」
「貴女を1人にさせるわけには」
「セイバー……僕は女の子と同じトイレ入るのはちょっと」
「…………」
「こわっ!セイバーこわっ!!大丈夫、大丈夫だから!」
色々誤魔化しながら阿良々木はトイレのある方へと走っていった。
それを見守るセイバーに幸村は話を変えたいのか叫んだ。
「しかしせいばあ殿!この情報さえあれば天下無敵!
これがあれば危険人物は一目瞭然ですぞ!!」
機械を手にして振りながら幸村はそう言った。
確かに機械からは多くの情報が手に入った。
死亡した人物全員の顔写真。その中には幸村の知る片倉や阿良々木の知る千石撫子の顔もあった。
そして、それに対応する【おくりびと】の顔写真。
だが、そんな幸村にセイバーは冷ややかな視線を向ける。
「ユキムラ。もしコヨミの前でそんなことを言っていたら大変な事になっていたと私は思います」
「な、何ゆえでござるか! この【おくりびと】とは、つまりは下手人ではござらんか!
せいばー殿がそう言ったのでは!」
「ユキムラ……私はそんなことは言っていません」
どうやら彼は解釈を間違えているらしい、とセイバーはため息をついた。
確かにそういう解釈もできるが、彼にはちゃんと説明しなければいけないらしい。
「ユキムラ。この説明書に書かれている【おくりびと】の定義。それは
『死亡者の死亡した瞬間、最も近くにいたその時点での生存者』です。
ここまでは理解できていますか?」
「わかっておりまする!
つまり! その者を切り捨てた者はその瞬間目の前にいる! つまり、【おくりびと】とは下手人のことでござろう!」
セイバーは激しく嘆息し頭を抑えた。
真田幸村。
戦国の武将ということから、最初は英霊とも考えたが、それならばクラス名で上げられるはずだしそもそもそういった気配を彼からは感じない。
というわけで却下したのだが、どうもそれは正しかったかもしれない。これほどの猪なものが武将を務めていられたのだろうかと疑問に思うのは
騎士王として仕方ない考えだろう。
>>539 そういう時は避難所に感想書けばいいんじゃないの支援
「いいですかユキムラ。
もし貴方が同行していたスザク。もしもあなたと彼が一緒にいる時に彼が遙か彼方から撃たれて死亡したら、彼の近くにいるのは誰ですか?」
「某でござる!」
「…………では彼を殺したのは?」
「当然、狙撃した下手人!!」
「…………では貴方はその下手人なのですか?」
「何をわけのわからぬことを! 某が枢木殿を殺すなど……………………………………おおっ!?」
「ものすごく間が空きましたが、わかったようですね」
「つ、つまり……共にいた者という可能性があると?」
確かに普通に考えれば、死んだ瞬間に1番近くにいた人物とはその人間を殺害した者だという可能性は高いだろう。
しかし、狙撃によって殺害者が離れていてかつその近く他の者がいたならば……その人間が【おくりびと】となる。つまり冤罪だ。
「それに、襲撃者は必ずしも2人組の両方を殺すとも限らない。1人だけ殺して離脱。
その1人をもう1人でその死を見とったならば、その人物も【おくりびと】になります。
ユキムラ。【おくりびと】は必ずしも殺人者だとは限りません」
「う、むむむむ! しかし、そうなると…」
幸村は手元のメモを見た。そこには表示されていた【おくりびと】の中から死亡者の方に顔があった3人を除いた10人の顔の特徴が書かれていた。
死亡者が14人なのに数が足りないのは、重複していたのが2人いたからだ。
書いたのはセイバーで、幸村がわかりやすい言葉にするのにかなり苦労したのが伺える。ちなみにこれは阿良々木、セイバーも同じメモを持っている。
メモの内容(幸村版)は以下の通り。
黒肌の巨漢<ばあさあかあ>(二人分)『気高さを感じる少女、桃髪の童女』
白髪に黒服の少年?『ぷりしら』
紫髪に目隠しの女<らいだあ>『片倉小十郎』
茶髪を纏めた少女<平沢憂>(二人分)『髪を真ん中で分けた少女、眼鏡に太めな男』
前髪の長い男『髪を二つに分けた黒髪の少女』
額が広い少女『めがねをかけた短髪の男』
髪を二つに纏めた少女<八九寺真宵>『鼻に染みのある老人』
緑髪に長い髪の女『茶色の短髪の少女』
太眉の少女『千石撫子』
顔写真だけなので当然名前はわからない。
だが、それでもわかる人物はいた。
セイバーが2人を、阿良々木が2人を知っていた。ただし2人ともそれに気づいた時には苦い顔をしていた。それぞれその意味合いは違っていたが。
ちなみに、これは余談だが。
もしも枢木スザクがC.C.について、両儀式が荒耶宗蓮について細かい素性、外見までも話していたなら。
もしも阿良々木暦が平沢憂から姉の友人情報まで聞きだしていたなら。1人を除いた【おくりびと】全員の名前が特定できたのだが―――これはありえたifでしかない。
「どの者も、下手人のようにも思えるし……いや、しかしもし同行していただけの罪なき者ならば……いやいや、しかしそのようなことはむしろ少ないのでは……。
う、うぐぐぐぐぐぐぐ」
「ユキムラ。頭から煙が出そうに見えます」
それも仕方ない。
セイバーはむしろ、これこそがこれを支給した帝愛の意図だと思っている。
もしもこの【おくりびと】が同行者なのか、それとも下手人なのかわからないということを知ってしまえば――情報を知った人物の【おくりびと】への
判定はグレーゾーンになる。
一見黒と見なせないだけマシに見えるだろうが、そうではない。
もし自分が知る、自分が信用できる人物がいたとして。もしその人物について何の情報もなければ自分はそれを白と判断していられる。
だがもしそれが【おくりびと】となっていたら。
白と思えたはずの判定はグレーになってしまう。
これこそがこの機械の毒。
「ううう。しかしせいばあ殿!
少なくとも片倉殿の【おくりびと】であるこのらいだあ!こやつはほぼ間違いなく下手人と見てよいというのは真でござるか?」
「ええ。彼女が人間と共に行動するとはあまり思えない。おそらくコジュウロウは彼女の餌にされたのでしょう」
「ぐうう!許すまじらいだあ!このばあさあかあもまた許せぬ!
聞けば理性もなく荒れ狂う獣のような男!しかもその相手はどちらも女子供!
このような男、この真田源次郎幸村、捨て置けぬ! 必ずやばあさあかあは某が討ち果たしてみせましょうぞ!」
「気をつけてください。バーサーカーは」
「1回では倒せぬというのでござろう!1度で駄目ならば10度!10度で駄目ならば100度討ち果たす!
それこそが某の戦いでござる!」
いや、それでは駄目なのだが……とセイバーは言おうとして口を閉ざした。
ついサーヴァントについて話しすぎてしまった。
幸村はともかく阿良々木がその話に特に突っ込んでこなかったのは幸いか。
いや、恐らく……それどころではなかったのだろう。
「そしてこの白髪の者!ぷりしら殿を殺したのはおそらくはこの者!
某の勘が、この者から凶悪な気配を感じているでござる!
髪の色もあの明智光秀と同色!怪しい、とても怪しい!
せいばあ殿!この者には最大の警戒をしたほうがいいですぞ!」
「…………」
(私もプリシラの【おくりびと】を見たときは動揺しましたが……。
プリシラ、すまない。
私が留守を任せたばかりに貴方を死なせてしまった。
ですが、貴方の言葉で私は決意する事ができた。
貴女が遺したものは、ここにある。
ですから、どうか眠っていてください。あなたの無念は必ず晴らします。
白髪の少年(多分)………もし彼がプリシラを殺害したのなら、その時は)
そしてセイバーは視線をトイレの方へやった。
おそらく彼の精神状態は尋常なものではない。
千石撫子の死すら彼の精神を揺るがしたというのに。
彼が逃した平沢憂は、前後はわからないが2人の【おくりびと】だった。
彼の知る八九寺真宵は、ある老人の【おくりびと】だった。
死んだ千石撫子は見知らぬ少女の【おくりびと】でもあった。
そして彼は……千石撫子の【おくりびと】の顔を知った。
【おくりびと】による毒。
それを1番その身に受けているのは、間違いなく阿良々木暦だ。
彼が果たしてトイレで何を考えているのか。
もしかしたら、自分1人だけでどこかに行こうとしているのかもしれない。
そうだとしたらその目的は友人達を捜す為か。それとも―――撫子の【おくりびと】を捜すためか。
(コヨミ………どうか、先走らないでください)
彼女はどうか、彼の蒼い炎が暗く燃え上がらないことを願った。
【D-6/駅・トイレ?/1日目/朝】
【阿良々木暦@化物語】
[状態]:疲労(小)
[服装]:直江津高校男子制服
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式、ギー太@けいおん!、エトペン@咲-Saki-、ゲコ太のストラップ@とある魔術の禁書目録、
スコップ@現実(会場調達) 竹箒@現実(会場調達) 、トラウィスカルパンテクウトリの槍@とある魔術の禁書目録、
スクール水着@化物語、【第1回放送までのおくりびと】のメモ
[思考] 誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。
基本:知り合いと合流、保護する。
1:???
2:戦場ヶ原、八九寺、神原と合流したい。他にも知り合いがいるならそれも探す。
3:憂の姉を見つけたら、憂の下に連れて行く。
4:……死んだあの子の言っていた「家族」も出来れば助けてあげたい。
5:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。
6:千石……八九寺……
7:太眉の少女については……?
[備考]
※アニメ最終回(12話)終了後よりの参戦です。
※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。
【D-6/駅構内/1日目/朝】
【セイバー@Fate/stay night】
[状態]:健康、魔力消費(小)
[服装]:普段着(白のシャツに青いロングスカート)
[装備]:七天七刀@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1(未確認)、死亡者・おくりびと表示端末、【第1回放送までのおくりびと】のメモ
[思考]
基本:人々を守る。
1:上記の『望み』を実行する傍ら、自分のなすべきことを一から考え直す。
2:駅を訪れる人物を見定める。危険人物が乗り込んでくるようなら、率先して対処。暦をフォローするか?
3:【おくりびと】に関しては慎重に判断する。特に白髪の少年。ただしライダー、バーサーカー、憂は危険人物とほぼ断定。
4:士朗ともう一度話がしたい。
5:明智光秀、織田信長、ライダー、バーサーカーの4名を倒す。
[備考]
※参戦時期はアニメ20話途中、士郎との喧嘩直後から。
※千石撫子、八九寺真宵について情報を知りました。具体的な内容は後続の書き手に任せます。
【真田幸村@戦国BASARA】
[状態]:健康、右手に軽い打撲(治療済み)
[服装]:普段通りの格好(六文銭の家紋が入った赤いライダースジャケット、具足、赤いハチマキ、首に六文銭)
[装備]:物干し竿(ステンレス製)×2@現実
[道具]:基本支給品一式(救急セットの包帯を少量消費)、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考]
基本:『ばとるろわいある』なるもの、某は承服できぬ!
1:武田信玄のことは何があろうと守る。
2:『敵のあじと』に乗り込む……ためにも、今は我慢。デュオと式、スザクの帰りを待つ。
2:怪我をしている伊達政宗、名簿に記載されていない参加者の中にいるかもしれない知り合い、 ルルーシュとC.C.を捜す。
2:主催を倒し、人質を救い出す。
2:これは戦ではないので、生きる為の自衛はするが、自分から参加者に戦いを挑むことはしない。
2:争いを望まない者は守る。
2:織田信長と明智光秀は倒す。
2:あらあら殿とせいばあ殿の御身は、某が守り通す!
2:『えき』に近づく輩は、この真田幸村が成敗いたす!
2:明智光秀、織田信長、らいだあ、ばあさあかあの4名を倒す。
※武田信玄が最優先であること以外、本人には優先順位をつけるという発想がありません。矛盾もありますが気づいていません。
[備考]
※長篠の戦い後〜武田信玄が明智光秀に討たれる前の時期から参戦。
※MAPに載っている知らない施設のうち、スザクにわかる施設に関しては教えてもらいました。
※スザクとルルーシュのことを、自分と武田信玄のような主従関係だと勝手に思い込んでいます
※バーサーカーやライダーについて情報を知りました。
【死亡者・おくりびと表示端末@オリジナル】
セイバーに支給。
放送終了後に端末に情報が配信、更新される。
その放送で発表された6時間分の死亡者とその死亡者の死亡した瞬間、最も近くにいた人物【おくりびと】の顔写真のみが並んで表示される。
写っている範囲は顔は間違いなく写るが、下の範囲がどこまで写るかは不明。
キーを押すことで次の死亡者に画面が切り替わる。
表示される順番は配信時にランダム決定、以後固定。これは死亡順番で名前を推定されたり名前順で特定されるのを防ぐためである。
第1回放送までの死亡者、おくりびとの対応、表示順番は以下の通り。
死亡者/おくりびと
竹井久/中野梓
リリーナ・ドーリアン/バーサーカー(殺害者織田信長は射撃、かつリリーナを掴んでいたのがバーサーカーの為)
加治木ゆみ/千石撫子(殺害者藤乃が撫子たちより離れていたため)
プリシラ/一方通行
片倉小十郎/ライダー
池田華菜/平沢憂
中野梓/荒耶宗蓮
カギ爪の男/安藤守
玄霧皐月/田井中律(レイの殺害方法が狙撃だった為)
月詠小萌/バーサーカー
安藤守/平沢憂
兵藤和尊/八九寺真宵(アジトの中に誰もおらず、1番近かった参加者がアジトより南を進んでいた八九寺真宵、伊藤開司だったため)
御坂美琴/C.C.
千石撫子/琴吹紬
投下終了です。延長期限に間に合わせる為に投下がすぐになってしまったのは申し訳ありません。
感想、意見、矛盾点などありましたら、是非お願いします
それではトレーズ・クシュリナーダ、福路美穂子投下します
>>550 別に気にしないでください
ただの名無しの我儘ですから
さて読むか
煙を吐かない煙突とがらんどうの倉庫と灯を消した工場を電線が縦横無尽に結ぶ工業地帯
そこに太陽に向かって大音量を響かせながら爆走する一台のトレーラーがあった
操るはOZ元総帥トレーズ・クシュリナーダ
身に付けるはゼロの仮面
響くは日本の魂「演歌」
早朝にかけて走らせていたが
曲がりくねり交互に入り組む工業地帯独特の複雑怪奇な道は
トレーラーの巨体もあって万能の天才である総帥すらも大いに悩ませたが
ようやくと大通りに出たため今は気ままな爆走状態である
そして天才はいかなるときもリラックスする術を失わない
過度の緊張は人を疲労させ正しい判断を失わせる事を知っているからだ
リラックスする方法は状況により異なる
最善はもちろん睡眠をとること
次に入浴、音楽・映画、人によってはプラモデルを組み立てたり
よりアグレッシヴに柔軟体操、T字バランスを取るものも居よう
そしてトレーラーなどの大型車両を走らせる際は大音量で音楽を聴く
コレが一番のリラックス法だ
このトレーラーの持ち主もそれは心得ていたようで
ダッシュボードの中は演歌の音楽データで満ち満ちていた
これだけのデータがあれば長距離を移動するには全く不自由はない
しかも全てが珠玉の傑作選
ことにフェニックスといわれた女性の唄はどれも心を打つものばかりであった
兵たちのリラックス法として各MS内にこのデータを入れてもいいかもしれない
ソウルフルな演歌はマーチにぴったりであろう
第一回放送が始まったのはそんな時だった
そして数分後、トレーズはハンドルを人差し指で神経質に叩いたのちに
やや硬めにハンドルを握りまたトレーラーを走らせた
◇
少し待ってくれ
余韻に浸らせて
福路は線路の上を歩いていた
暖かな日の光が背中を射してほこほこする
夜の霜によってすっかり冷え切った身体を暖めながら振り返って駅を見る
胸に抱かれた六本の刀
コレを政宗に届けるとの決意を確認するために
コレを託した小十郎を思い返すために
何も出来ない自分をこの絶望的な状況の中守ってくれた人に感謝するために
そして守ってくれた人は既に居ないという現実を受け止めるために
駅に向きかえって頭を下げる
そしてまた振り返り風越の泣き虫キャプテンは歩き始める
第一回放送が始まったのはそんな時だった
名簿外の12人の中に自分の見知った名前は無かった
不謹慎ではあるが福路は豊かな胸を手で抑え、ほぅとひと息をついた
「―――今回の放送帯での死亡者を発表させて頂きます。 」
栗色の髪の少女は白い指を組みながらうつむいて一心不乱に祈る
「華菜だけは…上埜さんだけは…どうか…お願い…!」
我ながら身勝手な願いだと思う
しかし、だからこそ、その願いは真摯であった
だが
「―――【池田華菜】―――」
全身の力が抜けたように膝から落ちる
組んでいた指もほどけダラリと肩からぶらんと腕が下がる
全身の血が引いたかのようにただでさえ白い顔が死人かのようにさらに真っ白になる
そしてそんな彼女をあざ笑うかのようにあどけない少女の声は続ける
「―――【竹井久】 ―――」
瞬間、線路の砂利の上に膝を打ちつけ、額をグリグリと押し付ける
ガンッガンッと枕木に無差別に頭を打ちつける音が響き渡り
黒子がやる気を放棄した人形のようにでたらめに腕足首髪をぶん回す
「あはははははははははははははははははははははははは!!!!!!!
よかった『 上 埜 さ ん 』じゃない!やったわよ華菜アアアアアア!
だって上埜さんのはずが無いじゃない!
だって上埜さんのこと私はずっと!!!ずっとよ?!
ずっとだってずっとずっと三年!三年の間ずっと!
華菜聞いて!上埜さんは無事!だって死んじゃったのは『 竹 井 さ ん 』だもの!
やったあああああぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!!
華菜ぁ!華菜ァ!聞いてぇ!聞いてよ華菜ァ!!!何で返事をしないの華菜!
あ、そっかぁ!華菜も死んじゃったんだっけ!!!!!!!!!
はははははははははははははははははははははは!!!!!!!!」
線路の上で血まみれになりながらダラリと腕を下ろし
背中をのけぞらせながら中天に向かって奇声を発す、
人間であったものがそこに跪いていた
あ、ごめん
投下したなら最後まで投下よろ
精神的な疲労の果てにぐったりとした福路はなおも続く放送を聞き流していた
そして死亡者リストの中に小十郎の名前があがっていることを確認すると
砂利と土と擦り傷と血でぐちゃぐちゃになった顔に大粒の涙が流れた
一番大事にしていた人も
一番大切にしていた人も
自分を身をもって守ってくれると言ってくれた人も
もう、この世にはいない
空気を読まず天と地を燦燦と照らす太陽の下
右目を閉ざした少女は枕木に額を押し付けて嗚咽に喉を枯らす
心の虚は巨大化して胸のブラックホールに自身の四肢が飲み込まれていく
嘆く言葉すら思いつかない
ただ声にならないうめき声を上げながら身を右に左によじる
「…どうして…どうして私の大切な人ばかりがどうしてどうして死んでしまうの…」
ようやく口をついたのは今まででは思いもつかないただの愚痴
しかしそれが思考の口火となった
―――死ぬ…いや『殺された』のだ
このくだらないゲームに殺されたのだ
福路の中で殺意が芽生えた
それはふつふつと湧き上がる怒りの中であっという間に生長し
福路の腕を首を腰を柔らかな胸を豊かな太ももを縛り付ける
『 殺 す 』
少女の目に生気が戻る
殺す
今まで考えたことも口に出したことも無い言葉
殺す
ここに送り込まれて以降封印してきた恐ろしい、忌避してきた言葉
殺す
しかしなんと甘露な甘美な響きであろうか
「殺す!」
福路の顔に笑顔が戻る
下級生たちに絶えず見せてきた満点の暖かい笑顔
目標を見つけたからにはぐずぐずしていられない
足元に散乱した刀を拾い集めると線路から駆け下り倉庫に向かって走り出した
大通りに差し掛かったところで福路は強力な光を浴びた
爆音とともに巨大な小山が猛烈な勢いですぐ目の前まで近づいてくる
唐突に圧倒的な質量を持って迫り来る死を前に風越のキャプテンは
やっぱりスローモーションのように映るものなのね
と妙に感心し六本の刀を胸に、立ち尽くしていた
運転席の人、仮面をかぶってる
きっと前方不注意ね。
殺意をもっての暴走じゃなくてただの事故なのでしょうか
逆光だから反応が遅れたのかも
コレはトラック?いえ、やたらと頑丈でそして今まで見たどんなものより大きい
こんな大きいのは無理
ピカピカに整備されてるからきっとこの車の持ち主は車が大好きなのね
それにしてもビームが上を向いてるのはなんででしょうか
あぁそうか線路を乗り越えるつもりだったのね
それにしても眩しい…
世界全てが真っ白に塗りつぶされていく中
福路美穂子は取り留めのない思考をめぐらせるのをやめた
コレでもう狂う必要もなくなる
「華菜…上埜さん…待たせてしまってごめんなさい…今行きます…」
殺到してくる”死”に片目の少女はその身を委ねた
◇
トレーラーを運転するトレーズはいつに無く無口であった
思考も纏まらず堂々巡り
これでは壊れたレコード盤、終わらないワルツを踊る間抜けな舞踏会だ
なにをそんなに混乱する必要があるのか
目の前に小高い丘が見えた。位置からしてこれが地図を横断する線路であろう
ふとステレオをミュートにしたままだったのを思い出し演歌をまた流しだす
前方の注意を逸らしたのはほんの刹那であった
普段の彼なら決して犯さないであろうミス
だがその刹那に唐突に目の前に黒い影が飛び込んできた
とっさにハンドルを切り横転しかねないほどにブレーキを踏む
けたたましい音を立て道路に黒い軌跡を残しつつトレーラーは止まった
■
ふと気がつくと福路は麻雀卓の前に居た
周囲を見渡すと間違いなくここは風越の麻雀部部室
十卓以上が立ち並ぶ部室の中は騒然としていて卓の中の声しか聞こえない
周りに流されること無く麻雀に集中できるすばらしい場所
そして日々の戦績がそのままランキングに直結する激しいせめぎ合いの場
福路の対家に座るのは…
「上埜さん?!」
思わず立ち上がり叫んでしまう
目の前にいるのは紛れも無くおさげを結った竹井久
しかしその身に包むのは清澄高校の制服ではなく…風越の制服
「どうしたの、美穂子。さぁもう半荘いくわよ」
竹井にそう薦められると片目の少女は腰を落ち着かせ頬を赤らめると胸に手を置いた
心臓の音が手を伝わなくても体中に響く
「この半荘は焼き鳥だったから…でも今度こそ和了るわよ〜」
闘志をむき出しにして、それでも微笑を浮かべて竹井が宣言する
「一度も和了れないなんて竹井さんらしくもない」
福路もまた微笑み返す
卓の中央に牌を入れ洗牌する。同時に卓上に牌山がせりあがる
―――楽しい
素直にこの空間がいとおしく思った
「そうねぇ…でも」
牌を四つ取りながら竹井が切り出す
「不死鳥はその身を焼き滅ぼして、その炎から新しく生まれ変わり飛び立つのよ」
福路もまた牌をちょんちょんと取りながら答える
「そう簡単には行きませんよ?私も負けませんから」
理牌して手元を見る
(あら?)
牌が読めない。白牌ばかりという意味ではない。読めないのだ
困惑する福路を見て竹井が神妙な顔で言う
「知ってる?夢の中では新聞って…読めないのよね」
瞬間全てが崩れ去りあたりは上も下も分からない真っ暗な空間が広がるだけになる
ここに居るのは体中に血がこびりつき、髪も振り乱して六本の刀を腕に抱いた福路と
清澄の制服を身につけたいつもの竹井のみ
「お互い、本当にもう交わることさえ出来ない所まで…来てしまったのですね」
血塗られた腕を交差して胸に押し付ける。直前までの幸せも先刻までの狂気ももうそこにはない
「そうね…自棄(やけ)になって危険牌を振り込むような人とは一緒に卓を囲みたくも無いわ」
―――やはり私のことを怒っている
―――ゲームに乗ろうとした私を許せないんだ
第一放送を聴いたときとはまた違った、そしてそれ以上の絶望感が福路の足元をぐらぐらと揺らす
そんな福路を見やりながら竹井は微笑みながら人差し指を傾ける
「でもまだ終わりじゃない。あなたにはまだ点棒が残ってる
あなたの所の池田って子は持ち点が0になってから頑張ったじゃない
それに比べたらまだリーチが出来るだけ希望はあるわよ」
無茶苦茶な慰め方だが福路にとっては竹井がまだ自分を見捨ててないという事実が重要だった
「ここからまた飛びたてるのでしょうか?」
嬉しさと悲しさが交差して何が何やら分からない。自然と涙が零れてきた
竹井は福路の涙を指で掬うと、右手を取る
「出来るわ。だってあなた名門風越のキャプテンじゃない」
そこで景色が光に包まれていった。竹井の姿も光の中に消え去っていく
「待って上埜さん!わたしは―――!」
福路は光に向かって叫ぶ
「もう一局だけでもいいから、あなたと打ちたかった…っ」
あとはもう光しか見えなかった
■
「"ゼロ"であるならばあのまま轢殺するべきだったのかもしれないな」
剣をしっかりと抱きしめながらベッドの上で気絶している少女を肩越しに見つつ仮面を脱ぐ
しかしそれはエレガントではない
トレーズにとって理由はそれだけで十分だった
トレーラーの巨体を縦横無尽に暴れさせたため周囲に甚大な被害を及ぼしたが
彼の矜持を守ることにはどうやら成功したらしい
少女の身体は血まみれではあるが、その多くは額からの出血であり
おでこにバッテン印を作るだけで怪我の処置は済んだ
むしろ予想以上に血を失っているらしく輸血作業に時間をとった
適応する保存期間内の血液があった事は僥倖という他ない
「上埜さん…」
何度となく少女が呟く
参加者リストに名前がないことからおそらくは少女の恋人であろう
なんにせよ、彼女が意識を取り戻さないことにはどうしようもない
全てはこのスリーピングビューティの本質を見極めてからだ
ふと少女の瞳に涙が浮かんだ為それをスッと指で掬う
「う…ん…」
どうやら気がついたようだ
まるでおとぎ話そのものだな
微笑しゼロの仮面とマントをカーテンの内に隠す
◇
―――シャワーを浴びるのはいつくらいぶりだろう
そう考えてつい先日合宿所で露天風呂に入ったばかりだということに気づいた
もはやものすごく遠くのことのような気がして愕然とする
多くのことが片目の少女の周りで起き続けていた
カッターナイフとホッチキスの少女・小十郎との出会い…別れ
眼帯の女性・そして池田と竹井の死
たった六時間。麻雀にして6半荘。一日の学校生活にも満たない時間
急激な変化はしかし受け入れるしかない現実として福路に突きつけられ続けている
一旦精神の平衡を崩してしまった片目の少女は、だが今では冷静さを取り戻していた
―――あんな夢を見るということはやっぱり私は殺し合いを望んでいないってことだわ
夢が天からの差し出し物だというロマンチシズムを横に置くと
所詮夢は自分の中の考えを投影したものでしかない
判断材料を集め最良の選択をし続ける
それが麻雀でいう推し引きであり
風越のキャプテンはその選択において、おそらくは世界でも最高峰のセンスを持っていた
そこに対してある程度の自負はある
だからこそ竹井に夢の中であんな台詞―名門風越のキャプテン―を言わせたのだ、と
―――でも風越の制服を着た上埜さん、可愛かったな
微笑を浮かべながら身体についた泡をくまなく洗い流しシャワーの栓を締める
自分の中の考えは決まった
何のことは無い。今まで通りだ
殺し合いには乗らない
政宗に刀を返す
全員が帰ることの出来る手段を探す
あとは自分を保護してくれたトレーズというあの青年についてだ
目に付いた人間全てを殺すという人には見えなかった
殺そうとすればいつでも殺せるはずだった自分を保護した点から言ってもコレは間違いない
身のこなしから言って小十郎と同じく軍人、それも物腰から言ってかなり偉い人だろう
身の起こし方の不自然さから過去に大怪我を、それも命に関わる重傷を負っている
隙なく自分を観察していたあの瞳から見て元々は慎重な人物なのだろう
動作の端々から動揺が見られたから、もしかしたら既に見知った人を失っているのかも
とにかくも彼に対して自分の出来ることなどたかが知れている
だが問答無用で殺されることは、無い
なら彼の質問には全て真摯に、自分の知っていることを全部伝えるべきだろう
脱衣所には黒を基調とした服と白い布地が置いてあった
やたらとボディラインを強調した服だがそれは問題ない
福路にとって不思議だったのは白い布地だ
「なにかしら?穴が三つ開いてるけど…髪留め?」
かなり伸縮性のある布らしく、見た目小さいその布地は片腕一本分には伸びた
しげしげと眺めた挙句布地はとりあえず無視することにする
ブラジャーが無いことには大変なことになるので
やや残念ではあるが今まで着けていたものを使うことにした
―――それにしても
手のひらの小さな布地を見つめて思う
「かなり風習の違う世界の人なのでしょうか?」
■
ソファーに腰掛け談笑する一組の男女
年の差は見受けられるものの傍から見れば恋人同士に見えるかもしれない
「なるほど、君の世界では日本麻雀が世界的な競技になっているのか」
「閣下の世界では取るに足らない遊戯なんですね、私にはそのほうが驚きです」
紅茶と基本支給品の中にあった軽く温めたマフィンを肴に
互いの認識を埋めあう姿もまた恋人同士に見えるかもしれない
「竹井君や、池田君、片倉君には気の毒なことをした」
トレーズが爆弾に手をかけた
「閣下も大切な方を亡くされたようで…」
目を伏せて福路はジョーカーを切った
片目の少女の洞察力については今までの会話で理解している
いきなり自分を閣下と呼び、世間話から切り出すソツの無さは驚嘆に値する
だが自分の動揺までも把握されていたとは意外だった
「リリーナ・ピースクラフト、か」
天井の照明設備に視線を逸らし考えをめぐらす振りをする
その死が自分にこれほどの動揺を与えていた事自体が驚きだった
だが他にこの動揺を表しうる事象は無い
―――あと敢えて言えば目の前の少女だが
彼女の説く完全平和主義が絵空事ではなく胸中で共感を得ていたのか
確かに彼女亡き後の世界を考えると如何様にしても纏まるものも纏まらない
―――自分はいつしか彼女の存在を機軸にして構想を練っていたのだな
対主催の流れを画策する彼にとって死者の蘇生は既に計画の外のこととなっている
五飛たちのいずれかが生還したのちの地球圏について
彼らになんらかのアドヴァイスを送るべきだろう
「大切、というほどのものでもない。ただ、あとの始末が面倒だというだけだ」
視線を戻し、あらかじめ用意していた台詞を出す
◇
「嘘、ですね」
重要な局面での手牌からの即切りは下家にプレッシャーを与える手段として
初級〜中級者には有効ではある
ただし上級者相手ではただ単に自分の思考時間を縮める悪手でしかない
しかし対話においては畳み掛けに際して有効
今まで獲得したトレーズの癖から手の動きを見抜き右手を両手で包む
「打算だけではないのでしょう?」
◇
完全に機先を制された形になったが慌てる必要はない
片目を閉ざした少女に対する自分の優位はゆるぎない
分からないのは何故相手の神経を逆なでしかねない行動をするか、ということだ
人の所作を凝視し、次々と相手の先を読み人の出方を伺う優等生
同級生からはさぞ疎まれたことであろう
哀れには思うがまだ選定は済んでいない
なればこちらも続けて爆弾を投下するのみ
「…麻雀部員といったね?実は君に出会う少し前、私はネット麻雀に興じた
対戦相手は誰といったかな…もしかしたら君の知り合いかもしれない」
対面の手を包み込んだまま片目の少女はやや興奮をもって答えた
「誰でしょう?東横さん?それとも天江さんでしょうか」
―――案の定いまだ生存しているであろう知人の名前を出したか
「いや、アレは確か…竹井だったかな…」
目の前の少女は傍目にも哀れなほどに動揺していた
「もう察しがついてもいいんじゃないかな?
この地では全ての行為が、無論遊戯も殺し合いにつながっている
竹井君を、彼を殺したのは私だよ
明確な殺意をもって、ね」
黒いミニスカートを穿いた少女は力なく膝から落ちた
◇
今この人はなんといったのだろう
『竹井君を殺したのは私』
確かにそう言った
―――なら目の前のこの人は上埜さんの仇?!
福路の左目に殺意の炎が起こった
が
『自棄(やけ)になって危険牌を振り込むような人とは一緒に卓を囲みたくも無いわ』
竹井の蔑んだ顔が思い浮かぶ
―――さっき決めたばかりじゃない
かぶりを振って邪念を払う
目の前の青年の顔をまじまじと見つめる。自然と右目が開いていく
上埜さんの名前を出したときに奥歯を軽く噛んでいた
今まで見せたことの無い癖…誠実な今までとは全く違う
少なくとも上埜さんの存在、名前は私と出会うまで知らなかったはず
なのにわざわざ上埜さんの名前を出したのは私を揺さぶらせたいためで間違いない
揺さぶらせる意図は…こちらの出方を見るため?
意に反した行動に出たときは私を殺すため
この人は選別をしているんだ…!
◇
―――さて、どう出るか
絶望と怒りに縁取られた片目の少女…福路といったか
このまま向かってくるようならば見るべきところはない
復讐を諦め恭順を求めてくるようならば兵士として扱おう
妄執を捨て"巨悪"に立ち向かう…
突然目の前の少女が自分の顔を見つめる
いつの間にか閉ざしていた右目が開いている
―――しまった
自分の右腕は少女によって自由を奪われている
少女とはいえ六本の日本刀―重量にして10キロはあろう―を軽々と持ち歩く力だ
とっさには拘束を外せない
もし彼女の右目に特別な超常能力があった場合致命的なことになりかねない
内心冷や汗をかいたトレーズだったが、しかして何も起こらなかった
少女の青い右目は変わらずに自分を見つめている
全てを見透かすかのように
反して自分は何の考えも纏まらない
―――リズムを狂わされたか
つっと青い瞳の少女は立ち上がる
そのまま隣に移動し…トレーズの顔に自らの胸を押し付けて言う
「なんでも自分で背負い込もうとしないで下さい…
なにもかもうまくやろうとしたら、大変なんですから…
私が出来ることならなんでも相談してください…」
暖かな慈雨が降り注ぐ
少女の瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちていた
◇
―――この人は自ら悪役に成り下がろうとしている
自分からしてみたら悲しすぎる決意。到底真似出来る事ではない
選別を仕掛けて自ら悪役になり、そして道しるべとして果てるつもりだろう
―――たった一人で
自分を身を挺して護り、そして死んでしまった小十郎の姿がダブる
手段こそ違えどトレーズのやろうとしていることは小十郎と同じである
―――小十郎さんは死のうとしたことは一度もないって言ってたけど
抱きしめる手に力がこもる
―――この人は自ら死地を望んでいる
福路ははらはらと涙を流すことしか出来なかった
そして口をついてでたのはかつて池田華菜に対して自分が言った言葉
『先輩ってホント…おせっかいだし…』
そのとき池田が返した言葉を思い出す
―――でもね、華菜。アレはおせっかいじゃないの
いよいよ本格的にえづいてしまい呼吸が苦しい
―――あれは私自身に対する愚痴みたいなものだから
そう考えが至って改めて認識する
池田華菜という存在に自分を重ねていたことに
鏡映しになったもう一人の自分
それが福路美穂子の中の池田華菜だったのだ
そして自らの分身はもうこの世にいない
(華菜…華菜…)あとはもう言葉にならない
自らの分身を失った空白を埋めるかのように抱きしめる腕に力を入れる
今度こそ、失ってしまわないように。
トレーズはゆたかな胸に顔を埋めながら今度は本当に思いをめぐらせていた
「貴女はレディアンには、なれない…」
忠実なそして時に冷酷で時に慈愛に満ちた部下の名前を出してしまったのは何故なのか
トレーズ自身、分からなかった
■
トレーラーは再び動き出す。朝日に向かって
「ここから北東に行ったところに薬局がある。そこまでは送ろう」
手負いの人間が駆け込むであろう場所にトレーズは案内する
マローダー(殺戮者)とゲームに抗うもの―――わが心に刻まれしもの(エングレイヴド)
二者がぶつかり合う殺戮の宴の場と化しているかもしれない
だからこそ福路を向かわせる価値があった
「貴方はどうなさるんです?」
福路は再び右目を封印し乱れた黒い衣装を気持ち、直した
泣き腫らして左目がまだ赤い
「私は反対側に引き返し西側の市街地を周る」
ふと自らの”最大の理解者”を思い出す
「もし張五飛という男に出会ったのならば、よろしく伝えてくれ」
―――素晴らしい闘志を見せてくれるだろう
「…貴女ともう一度出会ったその時、もし私が道を踏み”正し”ていたのなら
そして、その時に至っても私についてきてくれるというのなら
そのときこそ貴女をこう呼ぼう。―――レディミホコ、と」
レディミホコ…よくワケが分からないが、その名に含んだ思いが福路には嬉しかった
「はい」
片目の少女は幸せそうな笑顔で受け入れた
「あぁそれと―――」
福路はポケットに忍ばせていた”それ”を引っ張り出した
「せっかくですけどわたし髪留めをするほど髪が長くないのでお返ししますね」
トレーズは"それ"を後ろ手に受け取り確認した
純白のパンツを
―――やはりこの女性は苦手だ
「文化が違う!」
さるか?
【E-4/一日目/午前】
【トレーズ・クシュリナーダ@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康
[服装]:軍服
[装備]:サブマシンガン、片倉小十郎の日本刀 ゼロの仮面 マント
[道具]:基本支給品一式×2、薔薇の入浴剤@現実 一億ペリカの引換券@オリジナル×2 黒の騎士団のトレーラー 、純白のパンツ@現実
[思考]
基本:全ての参加者から忌み嫌われ、恐れられる殺戮者となり、敗者となる。
1:この争いに参加する。生き残るのに相応しい参加者を選定し、それ以外は排除。
2:ゼロの存在を利用する。
3:福路美穂子と再会し殺戮者として殺される
[備考]
※参戦時期はサンクキングダム崩壊以降です。
【E-4/薬局前/一日目/午前】
【福路美穂子@咲-Saki-】
[状態]:健康
[服装]:黒の騎士団の服@コードギアス、穿いてない
[装備]:
[道具]:支給品一式、不明支給品(0〜1)(確認済み)、六爪@戦国BASARA
[思考]
基本: 殺し合いには乗らない。対主催の仲間を集める
1:薬局に向かい政庁→公園→学校→ホール→展示場→タワーと周り同志を募る
2.:みんなが無事に帰れる方法は無いか考える
3.トレーズと再会したら、その部下となる
4.:伊達政宗を探し出して六爪を渡し、小十郎の死を伝える
5.:阿良々木暦ともし会ったらどうしようかしら?
6.張五飛と会ったらトレーズからの挨拶を伝える
[備考]
登場時期は最終回の合宿の後。
※ライダーの名前は知りません。
※トレーズがゼロの仮面を被っている事は知っていますが
ゼロの存在とその放送については知りません
【黒の騎士団の服@コードギアス】
黒の騎士団発足時に井上が着ていたコスチューム
超ミニスカ
【純白のパンツ@現実】
福路美穂子がかぶったパンツ。
例えそれを髪留めとしか認識できなかったとしても驚いたり引いてはいけない
我々とは文化が違う
以上です
支援ありがとうございます
乱文失礼しました
乙!俺の美穂子が精神崩壊しなくてよかったぜ
投下乙です
ありゃりゃ木さんはやっぱり堪えたか。セイバーや真田も動揺したが二人ともスタンス変更はないか
しかしこんな支給品が出て来るとは。真田さん、早合点はいけないぞ
偶然だろうがこれは一方さん包囲網か?
うわあ、これは乗ったと思ったらそこへトレーズ様登場か
夢の中で諭されて持ち直しただけでなくトレーズ様の挑発に愛情で返すとは
ここでレディアンさんの名前が出るとは流れが変わったのか?
そして最後に穿いてないっておまwwwww
ヒストリエかwww
投下乙
『おくりびと/燃える火のように』
なんともまぁ扱いが難しい支給品が出たものだな・・・
阿良々木が早まらなければ良いが・・・
つーかこの投下ラッシュで一方通行の誤解フラグが着々と進んでいくwww
『ひとりにひとつ』
いやぁ精神崩壊しなくて良かったですねwww
あのままマーダーになるのかと・・・
あと文化の違いってwww
遅くなってしまい申し訳ありません。
伊達政宗、神原駿河、枢木スザク投下します。
『クルルギドノ! クルルギドノ!』
「なに? ハロ」
『セイチョウ、マダ? セイチョウ、マダ?』
「もう少しだよ」
『モウスコシ! モウスコシ!』
夜は既に終わりを告げようとしていた。
昇りはじめた太陽の光に照らされる街は、街灯しか明かりのなかった時とは違って見える。
といっても、変わるのはあくまでも印象だけ。
ここにある風景がスザクにとって有り得ないものであるという事実は変わらない。
八年前までの"日本"になら、こういった場所もあっただろう。
だが、今の世界には存在しない。
ここにあるのは"日本"が"エリア11"になった時に失われてしまったはずの街並み―――これがスザクの認識である。
「異世界、なのかな。本当に……」
思わず漏れた呟き。
それはスザクがこの島に飛ばされた直後、もしかしたら、と考えたこと。
理由はふたつあった。
ひとつめは、10億ペリカの使い道として書かれていた『元の世界への生還』という表現。
"元の世界"ということは、ここは"別の世界"―――そう捉えることは、できなくはない。
そしてもうひとつが、この街並みの異常性。
だが、スザクがここが異世界である可能性を考えたのは、本当に僅かな時間のことだった。
どちらの理由も、異世界などというものの存在を肯定するにはあまりにも弱すぎる。特に前者はこじつけに近い。
だからスザクは自分の考えを一度は捨てたのだ。
その後スザクは当然のこととして、この島にいる人間は皆、神聖ブリタニア帝国を知っている、
皇帝ルルーシュとその騎士である自分は、世界の敵として憎まれ命を狙われているものと考えて行動した。
しかし実際は、スザクが今までに出会った者たちは全員が、ブリタニアのこともスザクのことも知らないと言った。
もちろん、その言葉を完全に信じたわけではない。
一度は捨てた異世界の存在という考えが頭に浮かびはしたが、それを全面的に肯定できるような根拠も無い。
このバトルロワイアルに関して、確証をもって「絶対に間違いない」と断言できることを、スザクは何ひとつ持たない。
それでも決めなくてはならなかった。
自身の行動方針を―――どのリスクを選ぶのかを。
スザクは、ここが異世界かどうかはともかく、真田幸村も阿良々木暦もセイバーもデュオ・マックスウェルも、
ブリタニアを知らず、少なくともルルーシュ個人の命を狙うことはないものとして行動することを選択した。
その結果が、チームを組もうという提案。
全てを疑い、自身の行動に枷を嵌めるのは、デメリットが大き過ぎる。スザクはそう判断したのだ。
更にスザクは、ハロに収められた情報を入手する手段を求め、単独行動を取ることを決めた。
そして、今に至る。
『セイチョウ、ツイタ? セイチョウ、ツイタ?』
足を止めたスザクの周りをハロが跳ねる。
スザクの目の前には、ただ、政庁、とだけ書かれている門がある。
その門の先にある建物は、スザクが"政庁"という言葉から連想するものとはかけ離れていた。
灰色の、四角い、七階建てのビル。
ブリタニア式の建築物でさえない。だが、この近辺の風景から予想していた範囲内ではある。
むしろこの街の中に、トウキョウ租界にあったような政庁が建っていたら不自然極まりないだろう。
「ハロ、おいで」
スザクが両手を差し出すと、ハロはまるで飛びつくようにその腕の中へと跳ねた。
そしておとなしくスザクに抱きかかえられる。
『クルルギドノ! クルルギドノ!』
「少しの間、おとなしくしててくれるかな?」
『リョウカイ! リョウカイ!』
腕の中のハロを見ながら、スザクはふと、アーサーのことを思い出した。
スザクがアーサーと初めて出会ったのは、ユーフェミアと初めて出会った日。
怪我をしていたのをユーフェミアが助け、アーサーと名前を付けた。
今では一応スザクの飼い猫ということになっている。
しかし、アーサーがスザクにおとなしく抱かれることはあまりない。抱かせてくれたと思ったら噛みつかれる。
アーサーのつれない態度に落ち込んだことは一度や二度ではない。
それでもスザクはアーサーが好きだった。アーサーは特別だった。
もしもここで命を落とせばもう二度と会えないし、
生きて戻ることができたとしてもそう遠くない未来―――"枢木スザク"が世界から消える時には、別れなければならないけれど。
そんなことを想いながら、スザクは門を抜け、さらに入口の前まで進む。と、自動ドアが音をたてず静かに開いた。
少しの間立ち止まり、様子を窺ってから中へと入る。
フロアは蛍光灯の灯りに照らされていた。
かなり広い。
通路の両脇に婚姻届や出生届などの受付カウンターがズラリと並び、突当たりには幾つかのソファとテーブルが置かれている。
正面にあるエレベーターは、四階に停まっていることを示すランプが点いていた。
スザクはエレベーターがある方へと歩を進める。
スザクの目当てはエレベーターではなく、おそらくエレベーターの近くにあるであろう建物内部の案内図だ。
そしてそれは予想通り、エレベータのすぐ傍、入口からは死角になっている壁に貼られていた。
一通り確認する。目についたのは最上階である七階にある『情報管理室』の表示。
ハロの中の情報を閲覧できる機材がある可能性が最も高いのはここだろう。
案内図で階段の位置も確かめる。
入口からは見えなかったが、ソファが置かれていたあの場所の更に奥にあるらしい。
辺りを警戒しながら階段へと向かう。
人の気配はしない。
何か今後役に立ちそうな物があればと思ったが、有用な物は見当たらなかった。
もっとしっかり探せば何か発見できるかもしれないが、今はハロが優先だ。
ソファとテーブルの置かれたスペースは、入口から見えたのは一部分だけだったらしい。
実際に来てみるとかなり広く、ソファの数も多い。五十人は余裕で座れそうだ。
壁に沿って飲料の自動販売機が三台、その横にはマガジンラックが並んでいる。
今は空だが、かなりの量の雑誌類や新聞が置けるだろう。
他にもテレビが二台。
一目で誰もいないとわかるその空間を、スザクは真っ直ぐに階段へと向かおうとした。ちょうどその時―――
テレビの電源が、ひとりでに、入った。
『突然の無礼を、まずは詫びよう』
機械によって加工された声が響く。
テレビの画面には、スザクのよく知る仮面が、映っていた。
『私の名はゼロ。諸君と同じ、このバトルロワイアルの参加者だ』
――――違う。
すぐにわかった。
これはルルーシュではない。
仮面こそスザクのよく知る物だったが、その仮面の下にある服装や体格が、口調が、パフォーマンスが、違う。
何よりも
『人々よ、我を恐れよ! 私はここに、諸君ら全員の抹殺を宣言する!』
掲げる理念が、ルルーシュとスザクが創りあげようとしている"ゼロ"とは、明らかに違っている。
『諸君らが本当に『生きている』と、自らの行いが『正しい』と確信があるのなら――抗ってみせろ!』
その言葉を最後に、テレビはついた時と同様、勝手に消えた。
「殺し合いの中で正しく進化ねぇ…… Ha!詭弁だな。アンタはそうは思わねぇか?」
スザクは背後から聞こえた声に振り返り――そして、驚きに目を見開いた。
声がしたこと。それ自体に驚きは無かった。
ゼロを名乗る人物の映像が流れだしてすぐ、スザクはその気配に気づいていた。
相手に殺気が無いことも、おそらくは自分の存在を隠すつもりが無いのであろうということも。
スザクが驚いたのは声がしたこと、人がいたことではなく、
「奥州筆頭、独眼竜、伊達政宗。
面倒な段取りは無しにしてえ。アンタが殺し合いに乗ってないなら、話をしたい」
振り返った先にいたのが、戦国武将だったことだった。
その隣には、殺し合いの場には不釣り合いなほどの笑顔を浮かべた女子高生が立っている。
「神原駿河。主な武器は加速装置だ」
「すみません。何故だかわかりませんが、加速装置は自分の武器のような気がします」
「それは、不思議なこともあるものだな」
「で、アンタの答えを聞かせてもらおうか?
さっきのゼロって奴の言ったことをどう思ってるのか。殺し合いに乗ってるのか、乗ってねぇのか」
再び政宗に問われ、スザクは少し考えて答える。
「自分は、ゼロの意見に賛同するつもりはありません。積極的に人を殺し優勝を目指すつもりもありません」
スザクの言葉は、政宗の質問に対する答えにはなっていない。
だが、今のスザクには"乗っていない"と断言することはできなかった。
優勝を目指すつもりはないが、ルルーシュと自分の身を守る為なら相手を殺すことを躊躇うつもりもない。
誰も殺さないとは言えない以上、『殺し合いに乗っていない』と答えることは憚られた。
「なるほどね……まあいい。このgameに付き合う気が無いってんなら、それで十分だ」
スザクの真意を見透かしたかのように言い放つ政宗。
政宗もまた、スザクとは事情も理由も異なるものの、場合によっては人を殺すことを躊躇わない人間だ。
「伊達さんと神原さんがこのバトルロワイアルに対し否定的な意見を持っているのであれば、
自分としてもお二人と話をすることに異論はありませんが―――神原さん」
「? なんだろう?」
スザクは神原を、より正確にいえば包帯の巻かれた神原の左腕をじっと見つめ、言った。
「その左腕の怪我、大丈夫なんですか?」
◇ ◇ ◇
「私としては、枢木殿のお役に立ちたいのは山々なのだ。
出会って早々私の身を案じてくださったこと。いくら感謝の言葉を連ねても、到底足りるものではないからな。
しかし筆頭が説明した通り、私たちが会ったのはマーキスさんと一方さん、そしてエロ可愛いプリシラさんだけ。
枢木殿が捜しておられるルルーシュ・ランペルージという人と、C.C.という人のことは知らないのだ。力になれず、本当に申し訳ない。
かわりと言ってはなんだが、枢木殿が望むのであればこの神原駿河、脱ぐことは辞さない覚悟だ。
この男好きのする素敵なボディ。思う存分、弄んでほしい」
『モテアソンデ! モテアソンデ!』
「自分はお礼を言われるようなことはしていませんし、ルルーシュたちの件に関しても知らないのであればそれは仕方のないことです」
「遠慮する必要は無いぞ、枢木殿。なんだったら、縄で縛ったり鞭で打ったり口汚く罵ってくれても構わない。
死なない範囲でのそういうプレイは許容範囲。むしろ大好物だ」
「いえ。遠慮しているわけではなく、神原さんたちには何の責任もないのですから」
「そんなに固辞するとは、もしかして枢木殿は、縛られたり打たれたり罵られるほうが好きなのか?
私はマゾなのだが、枢木殿が望むのであれば持てる力の全てを使い、甚振らせていただこう」
「あの、神原さん。さっきから気になっていたのですが、その『枢木殿』という呼び方はやめていただけないでしょうか。
自分と神原さんは、それほど年齢も違わないようですし」
「そうか。では今から『くるるん』と呼ばせていただくことにしよう、くるるん」
「それは少し恥ずかしいです」
「我儘だな、くるっくーは」
「くるっくー……?」
「『枢木』の『くる』と、『スザク』の『く』で、『くるっくー』だ」
「ああ、なるほど」
「などと言ってはみたが枢木殿。私はブリタニアという国は知らないが、それでも騎士様を相手に礼を欠くわけにはいかない。
ハロちゃんだって『枢木殿』と呼んでいる。だから、枢木殿は枢木殿だ」
『クルルギドノ! クルルギドノ!』
窓際のソファに並んで座る政宗と神原。
テーブルを挟んで向かいのソファに座るスザク。と、その横で跳ねる赤いハロ。
彼等の情報交換は、政宗と神原が名簿に記載された自分たちの知り合いの名とゼクスのプランをスザクに伝え、
スザクが政宗と神原にルルーシュとC.C.のことを知らないかと訊ねた、そこまでは非常に順調だった。
「ところで枢木殿。枢木殿と、そのルルーシュさんという人はどういう関係なのだ?」
「それは……」
「私としては、枢木殿とルルーシュさんとの関係に興味を抱かずにはいられない。
こうして捜しているくらいだ。ただの顔見知りというわけではないのだろう?
ルルーシュさんとは一体どんな男性なのか。そして、枢木殿は攻めなのか受けなのか。そのあたりのことを詳しく――」
「やめときな、神原駿河。アンタのそのBL talk は常人には理解不能だ。
それに、仮にアンタが言うところの『BLの素養』ってヤツがあったとしても、コイツはお前の質問には答えねえよ」
言って政宗は、スザクへと身を乗り出した。自然と二人の距離は近くなる。
「アンタは武里谷亜とかいう国の騎士で、ルルーシュとC.C.って奴を捜してる。
ルルーシュとC.C.って奴に関しては、名前と外見の情報以外を俺たちに差し出すつもりは無い。そうだろ、枢木スザク?」
口調も、声音も、至って普通。
だが、政宗の瞳は穏やかではなかった。相手を射抜くような、挑戦的な視線。
それをスザクは顔色ひとつ変えずに受け止め、真っ直ぐに返す。
迷うことなく。怯むことなく。
「はい。申し訳ありません」
「謝るこたぁねえ。俺はアンタに名簿に載った知り合いやゼクスたちの話をしたが、これはあくまでこっちの都合。
出会ってすぐの人間に事情を喋らねえって判断は何も間違っちゃいねえさ。俺たちに何を話し、何を話さないかは、アンタの自由だ」
「―――はい」
一瞬たりとも目を逸らすことなく答えたスザクに、政宗は唇の端を上げる。
答えは訊く前からわかっていた。知りたかったのはスザクの本質。
ほんの短いやり取りの中で垣間見えたそれは、政宗を満足させた。
「そういうことだ。だから余計な詮索はするんじゃねえぞ、神原駿河」
「わかった。筆頭がそう言うのであれば仕方がない。
残念だが枢木殿とルルーシュさんの関係を追及するのは諦めて、筆頭と枢木殿とでアレやコレを妄想することで妥協しよう」
「人を使って妙な妄想するんじゃねえよ」
「枢木殿が私と筆頭に何を話し、何を話さないかが自由なのであれば、
私が枢木殿と筆頭でナニを妄想し、ナニを妄想しないかも自由なのではないだろうか?」
「そんな自由は認めねえ。俺をアンタの妙な妄想に巻き込むな。やるならゼクスと一方通行でやりな」
「そのカップリングでのシチュエーションは、既に48パターン妄想済みだ。
それに、戦国武将と異国の騎士という組み合わせは斬新だと思わないか? 私はこの胸の昂りを抑えられそうにない」
「抑えろ。この変態庶民が」
『ヘンタイショミン! ヘンタイショミン!』
「駄目だよハロ、そんなこと言っちゃ。すみません神原さん、ハロが失礼なことを」
「詫びの言葉は必要ないぞ、枢木殿。私が変態なのは事実だ」
「……………………」
「何故そこで黙るのだ。私は是非とも枢木殿に突っ込んでいただきたい、いろいろな意味で」
「あの、いろいろな意味というのは……」
「おい枢木スザク。アンタそろそろ、この変態の言うことをいちいち真剣に考えるのは無駄だってことを学びな」
「酷いことを言うな、筆頭は。 センサーで動きを感知して自動で水が流れるトイレに驚いて素っ頓狂な声をあげたという、
愛おしいエピソードの持ち主とは思えないぞ」
神原の言葉に、政宗の顔色が一瞬で変わる。
向かいに座っていたスザクはそれに気づいたが、隣りに座る神原は気づかない。
気づいたとしても気に留めることはなかっただろうが。
「トイレで水が流れるのに驚く奥州筆頭、独眼竜・伊達政宗。
そんな貴重なシーンが見れると分かっていれば男子トイレまでお供したものを、私は本当に惜しいことをした。
その場を目撃した枢木殿に嫉妬してしまうことを、どうか許して欲しい」
「自分も声を聞いただけで、目撃したわけでは……」
「そうなのか?」
「はい。伊達さんは個室に入ったので」
「大だったのか」
「そうではなく、鎧があるからだと思いますが」
「しかし枢木殿。目撃はしていないとのことだが、筆頭が驚いた時の声を聞けただけでも幸運だと思うぞ。
私は既に筆頭と五時間以上の時間を共に過ごしているが、まだそんな場面に出くわしたことが無いからな。で、どんな声だったのだ?」
「どんなって……あまり上手く表現できないのですが……」
そう言いつつ、スザクが、センサーで動きを感知して自動で水が流れるトイレに驚いた政宗があげた声を再現しようとした、
ちょうどその時――――
「Shut up!!」
フロアに政宗の声が響いた。
政宗が手にしていたドラムスティックは、一本はスザクに、一本は神原に突き付けられている。
政宗の動きがしっかりと見えていたスザクも、いきなり殺されたりはしないと確信する程度には政宗を信じている神原も、
この行為に恐怖を感じることはなかったが。
「死にたくないなら、その話はこれで終わりだ。You see?」
政宗の言葉に、二人は素直に頷いた。
『シャラップ! シャラップ! ユーシー? ユーシー?』
政宗の言葉を、ハロは素直に真似をした。
スザクが壁に掛けられている時計を見上げる。
時刻は五時半を少し過ぎたところ。
「伊達さん、神原さん。自分はここに用があって来ました。先にそれを済ませてしまいたい。
申し訳ありませんが、話の続きは後で、ということにしていただけないでしょうか?」
唐突に、スザクはそう切り出した。
スザクは政宗と神原に、ルルーシュとC.C.を捜しているということしか伝えていない。
真田幸村と阿良々木暦のことは話していないのだ。彼等が互いに相手を捜していることを知っていながら。
最初は話すつもりだった。
政宗と神原が殺し合いに乗っていないのであれば、スザクには幸村と暦のことを隠す理由がない。
にも関わらず話すのを止めたのは、もしも放送で幸村と暦の名が死者として呼ばれた場合、二人がどう行動するかが読めなかったからだ。
だからスザクは、政宗と神原との会話を放送後まで引き延ばしたかった。
だが、放送までは後三十分近く。話を延ばすにも限度があるし、何より不自然だ。時間を無駄にしたくもない。
断られることは覚悟のうえで、スザクはいったん二人と別れて行動することを提案した。
そしてそれは、あっさり通った。
「構わねぇぜ。行ってきな、枢木スザク」
「いいのか、筆頭?」
「ああ。俺たちもこれからこの建物の中を探索する。終わったらここで落ち合うってことでいいか?」
そう言う政宗の表情を見て、スザクは話の続きを放送後にしようとしている自分の意図が政宗に知られていることを悟る。
「はい。わかりました。―――行くよ、ハロ」
立ち上がって二人に頭を下げると、スザクはハロと共に階段を登っていった。
「じゃあ俺たちも行くか」
政宗は立ち上がると、右手で腹部を押さえた。
「どうかしたのか、筆頭」
「いや、何でもねぇよ」
事実、何でもなかった。本当は痛むはずの場所であるにも関わらず。
政宗の認識では、長篠の戦いの際に鉄砲で撃たれた傷はまだ癒えてはいない。
だが、この島へ来てからというもの、一度として痛むことはなかった。
そして十数分前、トイレへ行った時に確認してみれば、傷口は跡形もなく消えていたのだ。
「……魔法、ねぇ…………」
その政宗の呟きは、既に歩き出していた神原までは、届かなかった。
◇ ◇ ◇
政庁七階、情報管理室。
七階のフロアのほぼ半分を占める部屋に大量のコンピュータやパソコンが並ぶ様は壮観である。
置かれた機材を見ながら部屋のほぼ中央まで来たところで、スザクは横で跳ねているハロに問いかけた。
「ハロ。ここで、君の中に入ってる情報を見ることはできるのかな?」
ハロは辺りを跳ねまわる。
コンピュータを確認しているらしい。
『デキナイヨ! デキナイヨ!』
しばらくしてハロが出した答えにスザクは溜息を吐く。
予想していた答えではあった。
ハロはスザクの知らないような高度なAI。
それに対してここに置かれているコンピュータやパソコンは、ブリタニア製ではないものの基本操作程度なら想像がつく、
つまりはスザクの知っているレベルの技術で作られていると思われるものばかりだった。
技術レベルが違えば、ハロの情報の読み取りができないのも当然といえば当然だ。
「……試してみてもいいかな?」
ハロにそう尋ねてから、スザクは手近にあったコードを手に取る。
だが―――情報を閲覧できるかどうか以前に、コンピュータと接続する為にコードを繋ぐことができなかった。
端子の規格がまるで違うのだ。
他のコンピュータや、棚の中にしまわれていたパソコンも確かめてみたが、ハロと接続できる端子を持つ物は見当たらなかった。
これではどうしようもない。
スザクはいったんハロの情報の閲覧を諦めて、ここにあるコンピュータから情報を引き出すことを試みる。
しかし、何台か操作してみたものの、どの機材にもこれといったデータは保存されていなかった。
政庁内の他の場所も見ておきたい。これを最後の一台にしよう。
そう決めてスザクは部屋のいちばん奥のコンピュータへと向かう。
操作パネルの左上に、赤いランプが点いている。それは、ビデオメールの着信を知らせるものだ。
コンピュータを操作し、そのメールを確認する。
送信元はタワー、受信時間は二時間ほど前になっているビデオメールを再生する。
その内容は、先程見た偽者のゼロの映像。
画面を見るスザクの表情が険しくなる。
『ドウシタノ? ドウシタノ?』
「……何でもないよ、大丈夫」
ハロの問いかけに答えたスザクは、いちばん近くにあったノートパソコンをコンピュータへと接続した。
本当はこんな映像データはすぐにでも消してしまいたかったが、
映像の中に偽者のゼロの正体に関するヒントがあるかもしれないと思うとそれもできない。
データをパソコンへ移した後で、コンピュータのビデオメールを消去する。
気がつけば、時計の針は既に六時を指そうとしていた。
スザクは壁を背凭れにして床に座るとノートパソコンをデイパックにしまい、かわりに名簿と地図、筆記用具を取り出す。
「ハロ」
『ナァニ? ナァニ?』
「もうすぐ放送があるんだ。その間、静かにしててほしいんだけど」
『リョウカイ! リョウカイ!』
そう答えたハロはスザクの横で動きを止めた。
スザクとしては喋らないでいてくれればよかったのだが、ハロは飛び跳ねることも控えることにしたらしい。
『――おはようございます』
あまりにも普通の挨拶が、放送の第一声だった。
簡単な前置きと電車の運行休止についての連絡の後、名簿に記載されていない参加者の名前が読み上げられる。
『【アーニャ・アールストレイム】』
最初に呼ばれたのは、スザクの知る人物だった。
しかし、その名前が呼ばれたことに対する驚きはあまり無い。
アーニャはナイトオブシックス。優秀な軍人であり、有名人でもある。
スザクはアーニャにいて欲しくないと思っていたが、同時に、いるかもしれないと思ってもいた。
だから、衝撃は少ない。
次々と呼ばれる名前を、スザクは名簿の余白に手早くメモしていく。
『【ユーフェミア・リ・ブリタニア】』
十二人目の名前が呼ばれたその刹那、スザクの手が止まった。
「え…………?」
自分が出した声にもスザクは気づかない。気づけない。
そんなスザクに構うことなく、放送は名簿外参加者の名を繰り返す。ユーフェミアの名前も再び呼ばれる。
放送の内容は禁止エリアへと移り、更に死亡者の発表へと移る。
死亡者の中にルルーシュとC.C.の名前が無かったことにも、スザクは何も感じない。
スザクは、何も、考えられなかった――――
◇ ◇ ◇
『諸君らの奮戦に期待するっ……!』
第一回放送は終わったその時、政宗と神原は政庁五階、会議室にいた。
「あのプリシラって奴、殺されたみてぇだな」
「ああ、放送が事実ならそうなのだろう……さっきまで元気で、普通に会話していたのにな」
「神原駿河」
「なんだ? 筆頭」
二人の間に流れる空気は重い。
神原の顔からは、いつもの笑みが完全に消えている。
「名簿に書かれてない参加者十二人。その中に、アンタの知る人間はいたのか?」
政宗が問う。
神原は俯き、少し考えてから口を開く。
「ああ。千石ちゃん――千石撫子という子とは面識がある。阿良々木先輩の妹さんの友達なのだが、とても可愛らしい女の子なのだ。
阿良々木先輩より四歳年下だということだから、私とは三歳差だな。まだ、小さいと言ってもいい年齢だ。
しかし、参加者としてだけではなく、死亡者としても名前を呼ばれてしまった。
きっと今頃、阿良々木先輩は悲しんでいるだろう。
阿良々木先輩のことだ、もしかすると千石ちゃんだけじゃなく、十四人全員の死を悲しんでいるかもしれないな。
自分の所為だと悔やんでいるかもしれない。誰にでも優しいのだ、阿良々木先輩は」
「アンタ自身はどうなんだ? 神原駿河」
「私は……」
そこで、神原は一度、言葉を区切った。
僅かに顔を政宗から逸らし、そして言葉を続ける。
「私は、阿良々木先輩とは違う。誰も死んでほしくないと願い、誰が死んでも悲しむような、そんな優しさは持ち合わせていない。
人が死ねば、それは少しは悲しんだり憤りを感じたりはするが、戦場ヶ原先輩と阿良々木先輩以外の死であれば
最終的には諦めたり、仕方がないと割り切れる――――と……そう、思っていた。
だが、どうやら違ったようだ」
そう言う神原の表情は、政宗からは見えない。
「実はな、筆頭。私はゼクスさんたちに会った時、戦場ヶ原先輩と阿良々木先輩のことを
同じ学校の先輩だとしか言わなかったが、本当はただの知り合いではないのだ。二人とも、私にとって大切な人だ」
「知ってるよ」
「どうして……」
「バレバレだ。ゼクスと一方通行も気づいてるだろうな。枢木も気づいててもおかしくねぇ」
「そうか……。私は、もしも戦場ヶ原先輩や阿良々木先輩が死んでしまったら、この島にいる人間を皆殺しにしてでも
二人を生き返らせようとするかもしれない」
神原は顔を上げ真っ直ぐに政宗を見た。
政宗は何も言わず、ただ神原の視線を受け止める。
「でも私は、人を殺したりなどしたくはないし、仮に後で生き返らせることができるとしても二人が死んでしまうのは絶対に嫌なのだ。
だから筆頭、お願いだ。戦場ヶ原先輩と阿良々木先輩を捜す協力をしてほしい。そして二人を守ってほしい」
「なんで今までそう言わなかった?」
「私はきっと分かっていなかったのだ。人が、簡単に死んでしまう生き物だということを、分かった気になって分かっていなかった。
間違えていたんだ。借りを作るのは嫌だったから黙っていたのだが……私の意地など、
戦場ヶ原先輩と阿良々木先輩の命とは比べるのも馬鹿らしい程度の価値しかない。借りは返せても、命は取り戻せないのにな。
筆頭。私は守りたいのだ。戦ってでも、借りを作ってでも、私は戦場ヶ原先輩と阿良々木先輩を、守りたい。
失いたくはないんだ…………」
「―――行くぞ。神原」
政宗はそう言うとドアを開け廊下へ出る。
その後を慌てて追う神原。
「待ってくれ、筆頭。どこへ」
「とりあえずこの建物ん中を一通り見て回る。残りは六階と七階だ。それが済んだら枢木スザクと合流して話を聞く。
アイツは何か知ってそうだからな。言いたくないモンを無理矢理聞きだす趣味はねぇが、キッチリ話しといたほうがいいだろ。それから」
「それから?」
「決まってんだろ」
政宗が、勝ち誇ったような表情で神原へと振り返る。
「戦場ヶ原ひたぎと阿良々木暦を捜しに行くんだよ」
◇ ◇ ◇
放送が終わって数分。
スザクは、情報管理室の床に座り込んだままだった。
『クルルギドノ! クルルギドノ!』
ハロがスザクの周りを飛び跳ねる。
『ドウシタノ? ドウシタノ?』
「ハロ……あれ……? 放送は…………」
『オワッタヨ! オワッタヨ!』
「……そう…………」
床に散らばったままの名簿と地図に視線を落とす。
名簿に記載されていなかった参加者の名前以外に、禁止エリアと死亡者も書き込まれている。
スザクには、ユーフェミアの名前が呼ばれた以降の情報に関して、メモを取った覚えがない。
だが、そこに書かれている文字は明らかに自分自身の筆跡で――――ユーフェミア・リ・ブリタニアの名も、書かれていた。
ユーフェミア・リ・ブリタニア。
それはスザクが騎士として仕えた最初の主君。
スザクが唯一、心からの敬愛と忠誠を捧げ、同じ未来を夢見て共に歩むことを誓い、真の意味で騎士として仕えた相手。
「……ユフィ…………」
どうして、ユフィがここにいるんだ。
「……どう…して………」
ユフィは死んだ。
僕が看取った。僕が彼女の最期の言葉を聞いたんだ。
「……どうして!」
真田さんや伊達さんが、本当に戦国武将なのだとしたら。
帝愛が時間を遡る術を持ち、それを使って参加者を集めたのだとすれば。
それなら、生きていた頃のユフィを連れてくることもできるだろう。
――――違う! 僕が知りたいのはそんなことじゃない!!
「なんで……なんでユフィがっ……!」
何故、ユフィなんだ!?
他の誰でもなく、何故、最期まで優しい世界を望んでいたユフィが、こんな殺し合いに巻き込まれなくちゃならない?
「ユフィ、は……」
今、どうしてるだろう。
ユフィには殺し合いなんてできない。身を守る術だって持たない。
それにユフィは、人を殺すくらいなら、自分が殺されることを選ぶ。
ユフィはいつ殺されてもおかしくない。
誰かが守らなきゃ―――誰が?―――僕、が……?
「……違う…………」
本当にこの島にユフィがいるなら、守りたい。
僕がこの手で、今度こそ彼女を守りたい。もう、死なせたくない。失いたくない。ユフィに……会いたい。
「僕が……俺が、やるべきことは……」
会いたい。もう一度。
ユフィの笑顔が見たい。ユフィの声が聞きたい。
「……俺は、ナイトオブゼロ、だから…………」
ユフィを捜さないと。
ユフィを、守らないと。
「俺が守るべきは、ルルーシュだ……」
でも……僕の手は、あの頃よりも汚れてしまった。
友達を売って地位を手に入れた。ラウンズとして戦場で多くの敵を討った。
フレイアで、租界を殺した。何千万の命を奪ったんだ。
ユフィが望まないことを、僕はどれだけした? どれだけの罪を犯した!? どれだけこの手を血に染めた!!
「……ゼロレクイエムを成し遂げることが……俺のやるべきことだ」
僕は今だって人を殺し続けてる。これからも殺し続ける。
もう、後戻りはできない。
ユフィには――――会えない。会えるわけ、ない。
「今の俺は、ルルーシュの剣……揺らぐわけにはいかない……」
僕はもうじきルルーシュを殺す。ルルーシュを殺して、ゼロになる。
ユフィを殺してその死を利用した、ゼロに。
「……たとえユーフェミアでも……ゼロレクイエムの障害となるなら……俺が」
僕はもう……ユフィを、守れない…………
「ユフィ…………」
――――ああ。そうか。
今の僕は
フレイアを撃った大量虐殺者で
悪逆皇帝の皇帝の騎士で
世界の敵で
憎しみの象徴で
消えたんだ。
ユーフェミア・リ・ブリタニアの騎士である枢木スザクは、もう、僕じゃない。
ユーフェミア・リ・ブリタニアの騎士である枢木スザクは、もう、世界のどこにも、存在しない――――
「ユフィ!!」
スザクの固く握られた拳が壁を叩いた音が室内に響いた。
その拳は、壁をズルズルと伝い、そして床へと力無く落ちる。
切れた口唇からは血が流れ、だがそれをスザクは知覚しない。
「ユフィ……ユフィ……ユフィ……!」
震える声でたった一人の名を呼び続けていることさえ、スザクには自覚が無い。
自分の周りで『クルルギドノ』と繰り返しながら跳ねるハロの存在も意識の外だ。
「……ユフィ…………」
だからスザクは、この部屋へと入って来た政宗と神原に気づけない。
「こんな所にいたのかよ、くる――」
言いかけた台詞を最後まで言い切るより前に、政宗はスザクの様子が明らかにおかしいことに気づいた。
後ろにいた神原もすぐに気づく。
それほどに、スザクは異常だった。
「枢木殿、血が出ているぞ。何かあったのか?」
「おい、どうしたってんだ?」
スザクの口が、ユフィの名を呼び微かに動く。だが、音は出ていない。
政宗は、神原の声にもハロの声にも反応する様子のないスザクの胸倉を掴んで強引に立ち上がらせる。
「枢木スザク! 何があったのか、ちゃんと説明してみな!!」
政宗の怒声に、スザクはようやく、ゆっくりとだが状況を把握する。
「……伊達、さん……すみません……」
「謝れなんて言っちゃいねぇんだよ」
「すみません。でも、本当に何でもありません、から……」
政宗がスザクから手を離す。
「なんでもない、ということはないだろう。枢木殿」
「いえ、本当に……なんでもないんです。大丈夫、ですから……
ああ、そうだ。死亡者と禁止エリア、メモしていたら見せていただけないでしょうか。間違いがないか確認したいのですが……」
「……それなら、これを使ってくれ」
神原がデイパックから自分の地図と名簿を取り出す。
スザクはそれを受け取ると、自分の物と照らし合わせた。
内容にズレは無い―――ユーフェミアの名前は、神原の名簿にも書かれている。
スザクが名簿と地図を確認している間、政宗は室内の様子とスザクの状態を観察していた。
争った形跡はどこにも見当たらない。スザクが何者かに攻撃されたという線は薄い。
となれば、原因は放送。
名簿に記載されていたのかどうかはわからないが、ルルーシュとC.C.以外に知り合いがいて、ソイツが死んだのだろう。
政宗は、スザクの異常の理由をそう推測した。
「ありがとうございました」
スザクは丁寧にお礼を言って、神原に名簿と地図を返す。
「枢木スザク」
「はい」
「アンタは俺たちに話さなきゃならねぇことは、もうねえのか?」
「えっと……あの……」
スザクが言葉に詰まる。
この部屋に入って来た時のような"何も見えていない"、"何も聞こえていない"という状態ではないものの、
今のスザクに冷静に物事を考えることができないことを政宗は見て取った。
だが、だからといって政宗には、スザクが落ち着くのをのんびり待つつもりはない。
「―――行くぞ、神原」
「では枢木殿、私はこれで失礼する。枢木殿も、ルルーシュさんとC.C.さんに会えるといいな」
部屋を出て行こうとする政宗と神原の後ろ姿を見ながら、スザクの思考はようやく、二人へ伝えなければならないことへと辿り着く。
「待ってください!」
スザクの声に、政宗と神原が立ち止まり、振り返る。
「What?」
「何かあるのか、枢木殿」
「お二人にまだ話していないことが……
僕は、伊達さんと神原さんに会う前に、五人の参加者に会いました。
セイバー、デュオ・マックスウェル、両儀式、それから……真田幸村と、阿良々木暦の五人です」
神原が、襲いかかるかのような勢いでスザクへと詰め寄る。
「本当か、枢木殿。今の言葉、本当に……本当に阿良々木先輩に会ったのか!?」
「はい」
「それはいつだ? どこで?」
「ちょっと落ち着きな、神原駿河」
「何を言っているのだ筆頭。落ち着いてなどいられるわけがないだろう。
枢木殿。阿良々木先輩が今どこにいるのか、分かるのか?」
「阿良々木くんは……真田さんもですが、今はD-6にある駅にいるはずです」
スザクは幸村や暦たちとチームを組んだ経緯など、要点だけを掻い摘んで説明した。
「筆頭。すぐに枢木殿と一緒に駅へ向かおう」
満面の笑みを浮かべる神原の言葉を、しかし政宗は一蹴する。
「俺は行かねぇ。駅にはアンタら二人で行きな。
枢木スザク。アンタ、女一人きっちり守って駅まで連れてくくらいはできるだろ?」
「それは、構いませんが……」
「どうしてだ筆頭。真田さんもいるのだぞ?」
「Ha! 俺と真田幸村は敵同士。主催をブッ潰す為の協力はできるかもしれねぇが、わざわざこっちから会いに行くような仲じゃねぇんだよ」
「筆頭が攻めで真田さんが受けではないのか」
「俺にBLの素養はねぇっつってんだろうが」
「受けとか攻めとかはわかりませんが伊達さん。一人で行動するのは危険では?」
「アンタだって単独行動してるんだろ」
「……そうですけど」
「それに俺は、大勢で群れていちいち話し合って、なんてやり方は性に合わねぇんだよ。
俺は今から、円形闘技場と憩いの館を通って、B-3の城まで行く。真田幸村には、用があるなら追って来いって伝えな」
それだけ言って、政宗はスザクと神原に背中を向けて歩き出す。
「心配すんな。戦場ヶ原ひたぎと、ルルーシュとC.C.って奴に会ったら、十二時までなら駅まで、それより後だったら
三回目の放送の時にゼクスが言ってた象の像まで連れて行ってやるよ」
「あの!」
スザクに声をかけられ、政宗は足を止め振り返る。
「あの……」
ユーフェミア・リ・ブリタニアとアーニャ・アールストレイムに出会ったら―――スザクはそう言おうとして
「……すみません。なんでもありません」
しかし、出会ったらどうして欲しいのかを思いつけず、結局何も言えなかった。
今の自分では会えない。
それだけははっきりと分かっていたが。
「筆頭。私には筆頭の決めたことに口を出す資格はないが、しかし私は筆頭に死んで欲しくはないと思っている。
だから……気を付けてくれ」
「Okey. アンタたちも殺されんなよ」
「はい。伊達さんも」
『マタネ! マタネ!』
「ああ。――――神原駿河」
「なんだ、筆頭?」
「二人のうちの片方とはいえ、会いたい奴の居場所がわかってよかったな」
振り向くことなくそれだけ言って、政宗は一人、部屋を出て行った。
政宗を見送った後、スザクは出しっぱなしにしていた地図と名簿をデイパックへとしまい神原へと声をかける。
「じゃあ、僕たちも行きましょうか」
『シュッパツ! シュッパツ!』
「ああ。早く阿良々木先輩に会いたいぞ」
嬉しそうに言う神原を、スザクは複雑な想いで見つめていた。
会いたい人に会える。そしてそれを純粋に喜ぶことができる。
今のスザクには、そんな当たり前のことができない。
ユーフェミアがこの島にいる。
スザクにとって、決して死なせたくない、守りたい存在が、この島にいる。
だがスザクは、ユーフェミアを守ること為に行動することを自分で自分に禁じた。
会いたい。
そう口にすることさえ、スザクはできない。
スザクは、縛られていた。
自分に縛られていた。自分で自分を縛っていた。
一度出てしまった答えは、覆らない。
ユーフェミア・リ・ブリタニアの騎士である枢木スザクは、もう、世界のどこにも、存在しない――――
【D-5/政庁七階/一日目/朝】
【神原駿河@化物語】
[状態]:健康、腕に縄縛紋あり
[服装]:私立直江津高校女子制服
[装備]:縄@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2(未確認)、神原駿河のBL本セット
[思考]
基本:殺し合いをしたくはない。
1:枢木スザクと共に『D-6・駅』へ行き、阿良々木暦に会う
2:戦場ヶ原ひたぎに会いたい
3:真田幸村に出会ったら、政宗からの伝言を伝える
4:伊達政宗のことが心配
[備考]
※アニメ最終回(12話)より後からの参戦です
※左腕のことやレイニーデビルに関する情報は誰にも話していません。
※政宗を戦国武将の怪異のようなもの、と考えています。
※知り合いに関する情報をゼクス、一方通行、プリシラと交換済み。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランに同意しています。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。映像データをスザクが消したことは知りません。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:健康、「生きろ」ギアス継続中
[服装]:ナイトオブゼロの服
[装備]:赤ハロ@機動戦士ガンダムOO
[道具]:基本支給品一式、レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード、バタフライナイフ@現地調達、湿布@現地調達
ノートパソコン@現地調達、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考]
基本:ゼロレクイエム完遂の為、ルルーシュ、C.C.と共に生還する(特にルルーシュを優先)
1:……ユフィのことは…………
2:神原駿河と共にいったん『D-6・駅』に戻る。
3:明智光秀、平沢憂には用心する。
4:ルルーシュ、C.C.を捜して合流。
5:ルルーシュに危険が及ぶ可能性のある要素は排除する。
6:確実に生きて帰る為の方法、首輪を外す方法を探す。
[備考]
※ラウンズ撃破以降〜最終決戦前の時期から参戦。
※主催がある程度の不思議な力を持っている可能性は認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。
※少なくとも『真田幸村』が戦国時代の武将の名前であることは知っています。
※参加者が異世界から集められている可能性、別の時間軸から集められた可能性を、僅かですが考えています。
※もしかしたら『敵のアジト』が『黒の騎士団のアジト』ではないかと少し疑っています。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランを政宗と神原から聞きました。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、それがタワーから送信された物であることを確認しました。
支給品紹介
【ノートパソコン@現地調達】
枢木スザクが政庁七階『情報管理室』でみつけたノートパソコン。
少なくともブリタニア製ではなく、端子の規格が違う為ハロと接続することもできない。
中に入っているデータは、五飛が演じたゼロの映像のみ。単体ではネットへの接続はできない。
伊達政宗は、二人と別れるその瞬間まで、おくびにも出さなかった。
故に、神原駿河は気づいていない。
故に、枢木スザクは気づいていない。
政宗が外へ出た時には、夜は完全に明け、街は陽の光に照らされていた。
街並みは政宗にとって未知のものでも、東の空にある太陽は政宗が知るものと同じだった。
政宗がいた戦国の世とバトルロワイアルが行われているこの島。違う部分も多くあるが、同じ部分も少なからずある。
政宗は知らなかったが―――この島には、片倉小十郎がいた。
戦国の世でそうだったように、この島でも小十郎は『竜の右目』だった。
だが、片倉小十郎は既に死んだ。
死んだ以上は捜す必要はない。何かを伝えることはもうできない。会うこともできない。
政宗は、小十郎のことを神原とスザクに伝えることはしなかった。
「小十郎…………」
誰もいない街の中で、政宗はこの島で初めて、その名を呼んだ――――
【D-5/住宅街/一日目/朝】
【伊達政宗@戦国BASARA】
[状態]:健康
[服装]:眼帯、鎧
[装備]:田井中律のドラムスティク×2@けいおん!
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1(武器・確認済み)
[思考]
基本:自らの信念の元に行動する。
1:小十郎……
2:『円形闘技場』『憩いの館』を経て『城』へ向かう。
3:主催を潰す。邪魔する者を殺すことに抵抗はない。
4:信長、光秀の打倒。
5:ゼクス、一方通行、枢木スザクに関しては少なくとも殺し合いに乗る人間はないと判断
6:戦場ヶ原ひたぎ、ルルーシュ・ランペルージ、C.C.に出会ったら、12時までなら『D-6・駅』、
その後であれば三回放送の前後に『E−3 象の像』まで連れて行く。
[備考]
※信長の危険性を認知し、幸村、忠勝とも面識のある時点。長篠の戦いで鉄砲で撃たれたよりも後からの参戦です。
※神原を完全に信用しているのかは不明。城下町に住む庶民の変態と考えています。
※知り合いに関する情報をゼクス、一方通行、プリシラと交換済み。
※三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランに同意しています。
政宗自身は了承しただけで、そこまで積極的に他人を誘うつもりはありません。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。映像データをスザクが消したことは知りません。
※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。
以上で投下終了です。
今回は期限をオーバーし、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
また、たくさんの支援ありがとうございました。
問題点がありましたら、ご指摘お願いします。
投下乙
筆頭とスザクがカッコイイな・・・
小十郎の死をおくびにも出さない筆頭・・・
ユフィに逢いたくても罪悪感から逢えないスザク・・・
こういうのもいいな・・・
筆頭もスザクも、最後の一言が切ないな・・・
投下乙
俺もこの二人はカッコイイと思った
でも、でもスザクは騎士とか関係なくこういう時は素直に人に助けを求めてもいいと思うのに・・・
せつないな・・・
J・A・P! J・A・P!
うぅ・・・かっけえよ・・・スザクも筆頭も
スザクこらえたか・・・放送中ウザクなんて言ってごめんよ
筆頭がハードボイルド決めてるのに、相棒の馬イクときたら・・・
皆さん投下及び代理投下乙
外出&うたた寝の間にこんなにも投下されているとは…
>過去からの刺客
ユフィ、なんとか生き延びれたか…
一瞬マジで信長公を討ち取ったかと思ってひやりとしたぜ
おい、馬、そこを変われ
>夢を過ぎても
復讐の相手がいなくなるとただただ虚しくなるんだなと、兄さんを見ていると思う
しかし憂は恐ろしいフラグを手に入れたなwww
姉はお花畑呼ばわりされてるのに
>試練2/逃げ場なんてないかもよ
ギャンブル船はまとまりつつあるな
しかし本気を出したカイジと利根川すげえ…
光秀は無双かと思いきやまさかのステルス、これは1st、2ndでのジンクスはまだ残っているのかっ…
>とある死神の〈〈接触遭遇(エンカウント)〉〉
うん、式と一方さんはあわなさそうだ
そういやプリシラって埋葬してもらったんですか?
>おくりびと/燃える炎のように
おくりびと…これはいい支給品だ
ありゃりゃ木さんが早まらねばいいが
しかし何この一方さん包囲網…偶然だよね?
>ひとりにひとつ
キャプテンはなんとか持ちなおしたか
文化の違いてwwwww
>騎士失格
スザクも筆頭もかっこいい
神原…少しだけ真面目モードか
みなさん投下乙です
>夢を過ぎても ◆tu4bghlMIw
唯への人物評価が相変わらず酷いwまあ仕方ないけどね
それとついさっきガン×ソード見終わった身としてはレイ兄さんがすごい印象的だった
「夢を、奪われた者が……どうなるか知っているか?」のセリフがぐっときた
>試練2/逃げ場なんて、無いかもよ ◆0hZtgB0vFY
当初は呑んだ暮れだった利根川の株がここにきて急上昇!
敵だったカイジに発破をかけるとか完全に良いライバルポジション
そして悲痛の黒子の心情と士郎の何気ない優しさにホロっとしつつ、普通に紛れ込む光秀パネェェェ
>とある死神の≪接触遭遇(エンカウント)≫ ◆DzDv5OMx7c
どこか素直でない一方さん、いつか誤解がとんでもない事になりそうな気がする
そしてガン×ソード見終わったせいか改めてプリシラの死を思い出して・・・
あと直前のアクセロリータの印象が強烈過ぎて正しいアクセラレーターに違和感を覚えてしまったw
>おくりびと/燃える火のように ◆fQ6k/Rwmu.
おくりびと、これまたいろんな意味で不穏な道具が出てきたな
それにしても幸村は見ていて飽きないな
でももう少し落ち着けwもうセイバーが御屋形様の代わりに殴ればいいよw
>ひとりにひとつ ◆zsYinY96dc
一瞬キャプテンが狂気に身を委ねたのかと思ったw
俺はそっちのキャプテンもなかなか魅力的で好物だったが、恒例夢イベントで持ち直したか
あとパンツ穿いてないとか言語道断!咲世界ではパンツが存在しないのか・・・
(しかし逆にあるとも証明できない・・・悪魔の証明やシュレーディンガーの猫に通じるものがある・・・)
>騎士 失格 ◆SDn0xX3QT2
ああ、スザク・・・会いたいだろうけど会いづらいよな・・・
神原は神原で久しぶりのシリアスモードで変態じゃない神原が新鮮だった
そして筆頭・・・やっぱり相当堪えていそうだ・・・
『ひとりにひとつ』ですが
>>576部分だけ修正します
以下変更した文を投下します
―――この人は自ら悪役に成り下がろうとしている
自分からしてみたら悲しすぎる決意。到底真似出来る事ではない
選別を仕掛けて自ら悪役になり、そして道しるべとして果てるつもりだろう
―――たった一人で
自分を身を挺して護り、そして死んでしまった小十郎の姿がダブる
手段こそ違えどトレーズのやろうとしていることは小十郎と同じである
―――小十郎さんは死のうとしたことは一度もないって言ってたけど
抱きしめる手に力がこもる
―――この人は自ら死地を望んでいる
福路ははらはらと涙を流すことしか出来なかった
そして口をついてでたのはかつて池田華菜に対して自分が言った言葉
『先輩ってホント…おせっかいだし…』
そのとき池田が返した言葉を思い出す
―――でもね、華菜。アレはおせっかいじゃないの
いよいよ本格的にえづいてしまい呼吸が苦しい
―――あれは私自身に対する愚痴みたいなものだから
そう考えが至って改めて認識する
池田華菜という存在に自分を重ねていたことに
鏡映しになったもう一人の自分
それが福路美穂子の中の池田華菜だったのだ
そして自らの分身はもうこの世にいない
(華菜…華菜…)あとはもう言葉にならない
自らの分身を失った空白を埋めるかのように抱きしめる腕に力を入れる
今度こそ、失ってしまわないように。
トレーズはゆたかな胸に顔を埋めながら今度は本当に思いをめぐらせていた
「貴女はレディアンには、なれない…」
忠実なそして時に冷酷で時に慈愛に満ちた部下の名前を出してしまったのは何故なのか
トレーズ自身、分からなかった
■
トレーラーは再び動き出す。朝日に向かって
「ここから北東に行ったところに薬局がある。そこまでは送ろう」
手負いの人間が駆け込むであろう場所にトレーズは案内する
マローダー(殺戮者)とゲームに抗うもの―――わが心に刻まれしもの(エングレイヴド)
二者がぶつかり合う殺戮の宴の場と化しているかもしれない
だからこそ福路を向かわせる価値があった
「貴方はどうなさるんです?」
福路は再び右目を封印しシーツ一枚を身にまとい身を起こした
下腹部が幸福でズキズキする
「私は反対側に引き返し西側の市街地を周る」
ふと自らの”最大の理解者”を思い出す
「もし張五飛という男に出会ったのならば、よろしく伝えてくれ」
―――素晴らしい闘志を見せてくれるだろう
「…貴女ともう一度出会ったその時、もし私が道を踏み”正し”ていたのなら
そして、その時に至っても私についてきてくれるというのなら
そのときこそ貴女をこう呼ぼう。―――レディミホコ、と」
レディミホコ…よくワケが分からないが、その名に含んだ思いが福路には嬉しかった
「はい」
片目の少女は幸せそうな笑顔で受け入れた
「あぁそれと―――」
福路はディバックに入れておいた”それ”を引っ張り出した
「せっかくですけどわたし髪留めをするほど髪が長くないのでお返ししますね」
トレーズは"それ"を後ろ手に受け取り確認した
純白のパンツを
―――やはりこの女性は苦手だ
「文化が違う!」
修正なら仮投下スレですよー
エングレイヴドという単語を見て、何故かチャーハンを思い出した
乙です
ああ、そういうことか
下腹部がズキズキwww
そろそろ次スレかな?
誰か立てれる?
代理投下行きます
支援
放送が終わった。
つまり、6時を経過したということだ。
朝の光が東から洩れてくる。
アーチャーとC.C.はそれを別の家で眺めていた。
御坂美琴の亡骸を、壊れた家から運び出して。
二人の間に会話はない。
どちらも押し黙ったまま、美琴が死んでから一言も喋っていない。
表情の顕われに違いはあるが、憂いた顔をしているのは同じだった。
アーチャーはゆっくりと腰を上げ、立ち上がる。
「ここで隠れていろ。しばらくしたら戻ってくる」
静かにドアの方へと向かう。
C.C.はそれを見届け、
「――また同じ過ちを繰り返すつもりか?」
沈黙。
いや、応えはない。
一瞬だけの静寂が染み渡る。
「確かに、あれは私の失態だと認識している。相手が誰であろうと距離的に家に置いておくべきではなかった。
誰も治癒が出来ないというのに、戦闘範囲内に無防備な人間がいてはいけない」
ソファに寄りかかるように座る緑髪の女と、出口の前で背中を向けて佇む赤い男。
お互いを探るかのように、睨み合う。
「そう、私が治療を行えないことは最初に言っておくべきだった。そうでなければ…」
「私が敵を逃がしたようなもの……そう言いたいんだろ、お前は」
疲れたようにC.C.は呟く。
「見ればわかる傷だったよ…。まともな医療設備がないここではどうあってもこいつは助からなかった。
あったところで間に合う負傷でもなかったが……お前を呼ぶべきじゃなかったな…」
自分に目の前の男を止める権利はない。
そう感じていた。それでも、
「答えなど知れている。目の前で人が死ぬのは誰だって嫌だろう。彼女は最期の力を振り絞り
それを実行したに過ぎない。それに何の疑問がある?」
「だが……私は、こんな…」
「貴様の事情は知れないが、あの娘には助けるべき人間として見られていたんだろう。それだけだ」
誰かを助けるのに理由はいらない。
それだけの、事実だった。
磨耗した英霊は嘲笑う。
そう云えば、自分には最初から理由などなかったな、と。
この理想すら借り物でしかなく、まるでロボットのように動いていただけ。
歯車はいずれ擦り切れて、存在を完全に破綻させた。
「ここら一帯は虱潰しに探す。危険人物も含めてな。お前に対する危険は限りなく減るだろう。
それと私が戻るまでここを出ないことが懸命だ。その身体では、おおよそ持つまい」
これが最善。
同じ過ちを繰り返さないというのならば、争いから遠ざけて然るべきだ。
これで見つけられたなら、運が悪いとしか言いようがない。
「ちょうどいいさ。少し独りで考えたかったからな……」
ルルーシュを探したいところだが、この体力で行動しても足手まといになるのは目に見えている。
アーチャーに探させた方が手間が省けるというものだ。
「そうだ、一つ訊いておく」
「何だ?」
少し考え、躊躇い、C.C.は言葉を続けた。
「死者の蘇生が、在り得ると思うか?」
「――――――」
アーチャーは何と捉えただろう。
しかし、それは彼女には気にならない。
「不可能とは言わん。だが、アレはおおよそ実現できない代物だ」
まさに魔法の域。
それを成し遂げる者は、まさに人外の類と云えるだろう。
「魔法、か。まあ期待しないでおくよ…」
「どうした。何か思い当たることでもあるのか?」
「いや、何でもないよ。訊いてみただけさ」
そうか、と言い。
アーチャーは扉を閉めた。足音は遠ざかっていく。
C.C.は、一つ溜息をついた。
「事情を知らなければ……か。当然だな」
本質を知らぬものならば普通に接される。
御坂美琴がC.C.を助けたのも、きっと道に迷った人を助ける程度の感覚でしかないのだろう。
知らないからこそ優しくなれる。
しかしこの少女は、C.C.の本質を目の当たりにしても同じことが出来ただろうか。
答えはわからない。彼女は、もう死んでしまっているのだから。
691 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 17:37:37 ID:88I4cbNY
支援
息絶えた少女はベッドの上に寝かせられている。
それを一瞥し、C.C.は天を仰いだ。
(叶うのならば…訊いてみたいところだな)
死者蘇生は可能か、とアーチャーに問うた理由。
それは、先程の放送にあった。
ユーフェミア・リ・ブリタニア。
C.C.にとって、そしてルルーシュにとって、すでに過去の存在。
死んでしまった人間が、何故存在しているのか――。
【E-5/市街地 一軒家前/一日目/早朝】
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:疲労(大)、左の肩口に噛み傷、わき腹・太腿・頭部から出血(全て徐々に再生中)
[服装]:血まみれの拘束服
[装備]:オレンジハロ@機動戦記ガンダム00
[道具]:基本支給品一式 誰かの財布(小銭残り35枚)@???、ピザ(残り63枚)@コードギアス 反逆のルルーシュR2
[思考]
基本:ルルーシュと共に、この世界から脱出。
不老不死のコードを譲渡することで自身の存在を永遠に終わらせる――?
1:体力が回復するまで隠れておく
2:ルルーシュと合流する
3:利用出来る者は利用するが、積極的に殺し合いに乗るつもりはない
[備考]
※参戦時期は、TURN 4『逆襲 の 処刑台』からTURN 13『過去 から の 刺客』の間。
※制限によりコードの力が弱まっています。 常人よりは多少頑丈ですが不死ではなく、再生も遅いです。
※E-5から立ち上った超電磁砲の光が周囲から見えたかもしれません。
◆◆◆
自分には叶えられない。
そんなことは初めから分かっている。
ここにいる者をどれだけ救えるだろう。
救われた者がいたとしても、それは自分の所為ではない。
遠い昔に抱いた理想など、とっくに磨耗している。
だから自分の願いは叶わない。
そう、衛宮士郎の抹殺さえ――。
限りない平行世界で、喩え自分が過去の衛宮士郎を殺したとしてもさしたる意味はない。
守護者の座に登録されてしまった自分の存在は、永遠に消えないからだ。
最初から気づいていた。
衛宮士郎の抹殺など、自己満足でしかないと。
何も変わらないというのに無意味な望みを持つ。
これでは生前と全く同じだ。
つまるところ、今の自分は意味がない。
ただ消え去ることしかできないのだ。
――本当に、そうだろうか。
それでも、自分はこうして存在している。
物事には必ず意味がある。無意味なモノなど存在しない。
今の自分に与えられた意味。それが過去の改竄でないとしたら。
俺には、すべきことがあるんじゃないか――。
少女の死に顔が思い出される。
彼女は何を思い、何を願っていたのだろうか。
それはもうわからない。彼女は、死んでしまったのだから。
だが、確実に分かることは。
そうだ。
死んでも構わないなんて思っていたはずがない。
それを自分の失態で壊してしまった。
そんなことは、もう二度と起こしてはならない。
自分がいくら動いたところで世界は救われない。
それでも、救われる命はあるんじゃないか。
生前の行動は無意味な理想を追い求めるだけだったが、その過程は意味があったはずだ。
もう一度、もう一度だけ、振り向いてもいいだろう。
今の状況は、奇しくも聖杯戦争に似通っている。
もしかすれば、あの時と類似した状況によって何か見つけられるかもしれない。
無駄だと結論付けるのは、思考停止に過ぎない。
自分は、まだ答えを見つけてすらいないじゃないか―――。
前方を見つめる。
周囲の見回りはあらかた終わった。
あの男の姿は見つからなかったが、これからも念入りに探すつもりだ。
あの手合いは生きている限り殺戮を続けるだろう。
今度出遭った時は、どんな手を使っても殺さねばならない。
「…セイバー」
思えば、最初に救えなかったのは彼女だ。
彼女が未だに聖杯を求めて彷徨っているのだとすればそれはとてもつらいことだ。
彼女にとっても、自分にとっても。
セイバーは、今この場にいる。
ならば会ってみるのも悪くないだろう。自分の真名を告げるかどうかは別として。
目前には駅が見える。
放送でも言われていたが、少し調べてみたい。
未だにどのサーヴァントも脱落していない以上、万全を整えるためにあらゆる地形を把握すべきだ。
そうして、赤い弓兵は朝日を受けながら走り出した。
答えを得られなくとも構わない。もとより死んだ命。
それがここにあるのなら、どう動こうとも無為にはならない筈だ。
もし何かが悟れたのなら、それが、自分が聖杯に望んだ本当の願いなのかもしれない。
あげてもたw;
【E-5/市街地 /一日目/早朝】
【アーチャー@Fate/stay night】
[状態]:健康 魔力消費(小)
[服装]:赤い外套、黒い服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×3
[思考]
基本:本当の“答え”を見つけ出す。
1:この場において過去の改竄は無駄。
2:情報を集めつつ、衛宮士郎とセイバーを捜し出す。
3:荒耶、赤毛の男(サーシェス)に対し敵意。
[備考]
※参戦時期は衛宮士郎と同じ第12話『空を裂く』の直後から
※凛の令呪の効果は途切れています
※参加者は平行世界。またはそれに類する異界から集められたと考えています。
38 名前: ◆WWhm8QVzK6[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 23:43:30 ID:jO3nnm8E
投下終了です。
修正。C.C.の状態表で
【E-5/市街地 一軒家前/一日目/早朝】を【E-5/市街地 一軒家/一日目/朝】
に変更
一つ目代理投下終了
残り約30kb
容量的に見ていけそうなのでもう一つ(15kb)代理投下行きます
支援
「おいおい、もう少しゆっくり話せってーの」
壁に名簿を押し付けて、サーシェスは氏名を殴り書く。
新たに加えられる12名の参加者。サーシェスはどれも聞き覚えのないものばかり。
ヨーロピアン?アジアン?アメリカン?ハーフ? レッツ・リスニング。
一瞬で流れる指令を聞き逃すようでは軍人は勤まらない。これまで培った語学を生かすいい機会だ。
【あーにゃーあーるすとれーむ】 【あんどーまもる】 【うなばらみつき】【くろぎりさつき】
【せんごくなでこ】 【つくよみこもえ】【なかのあずさ】【ひょーどーかずたか】
【ふないじょーじ】 【ぷりしら】 【ゆーへみありぶりたにあ】
予期されていた苦労はいとも容易く解消された。
サーシェスはいとも簡単に12人の名前を聞き分けることが出来たのだ。
インデックスの放送がわかりやすい物だったからか。
よそ様の氏名をすんなりと認識すること――これはサーシェスにとっても少し意外だった。
名簿を見れば、そこはちょっとした異文化交流。同郷を探し当てるのは用意ではない。
ゆっくりと区切って聞かされたとしても、こうも綺麗にこなせるものだろうか。
「……ま、こっちとしちゃ楽で助かるぜ、帝愛サンよ」
サーシェスは浮かび上がりかけた疑問にあえて目を瞑った。
多種多様な言語を交えた人名解読の列挙を自分が遂行できたのは。
これまで遭遇した者たちと言語疎通のトラブルに見舞われなかった。
それは運がよかったから。
“俺たちは・・金で魔法を買ったんだからなっ・・・・!”
この戦場でもっとも旨みがある客は帝愛。
ささいな疑問は相手のサーヴィスにケチをつけるようなものだ。
せっかくお膳立てしてくれたのだから、このビッグウェーブに乗るしかない。
自分はしがない戦争屋。
支援
ようは“殺し”さえすればいい。それが与えられた愉悦。
他のことは、よほどの事がない限り考えないでおく。
それは思考の放棄ではなく、最優先事項に全神経を注ぐため。
サーシェスはシャッと横線をメモに走らせる。
「命あっての物種ってもんよ……ドジふんじまったなぁ兄弟! 」
サーシェスの知っている人が死んだ。
スクリーン越しじゃない。本で覚えたわけでもない。噂話でもない。
直接顔と顔を向かいあわせた人が死んだ。
出会ってすぐ別れた。不満だけが残った。親しくなかった。むしろ敵対していた。
それは、12人の参加者のうち、唯一わかっていた【かたくらこじゅうろう】の名。
(だがよ、うかうかしてらんねぇな。ちいっとばかし“遠回り”しなきゃ俺もお陀仏)
手痛い仕打ちを受けた小十郎も、サーシェスにとっては終わった話。
誰かが小十郎の死について問い詰めるまでは、忘却の彼方に飛ばし続けるだろう。
サーシェスの目下の予定は接触と利用。
闇雲に殺しにかかるようでは、第一回放送の苦戦を繰り返すこととなる。
6時間を経て、サーシェスはこのバトルロワイアルの全容を少しづつ理解し始めていた。
参加者は、年齢や職業を問わず(素性がどうであれ一見してはわからない)に選ばれている。
参加者は好戦的な者もいれば人道的な偽善者もいる。
参加者は、何かしらの殺しの手段(武器? 技術? 帝愛が言っていた“魔法”?)を持たされている。
参加者の戦闘力の水準は高い。自分(サーシェス)程度の力量でも、お世辞には長生きできない。
もっともっと賢く立ち回る――すべて殺しをスムーズに遂行する――ゆえに調べる。
交通機関や著名な名所の把握。そして現地調達を行うために。
「なぁ、てめぇはいったい何を見てやがるんだ……? 」
サーシェスは顔をあげて、目を凝らす。
自分の前に立ちはだかるデパート。その上のテラスの窓ガラスに佇む長髪の男。
ここから遠い向こうをじっと眺め続ける男の姿。夜に映えるブロンド。
サーシェスは迷うことなく、デパートに侵入した。
◇
人を見かけで判断するなとはいうが、人の本性は見かけに現われやすいものだ。
最初に彼を近場で観察し始めたときから――もっといえば彼と直接対峙したときから、納得していた。
(へぇ……どんなエリート様かと思いきや)
サーシェスはテラス内の影に隠れて男の情報を探る。
年齢は自分よりも年下……30代、20代、いやもっと……。
見慣れない軍服を着ているが、たたずまいは高い階級持ちを匂わしている。
(でもあの目はどっちだ? 現実と理想で揺れ動きやすい年頃にしては、いやに鉄面皮だ)
こちらの気配にまったく気づいていない平和ボケか、気配を察知してもあえて放置しているキレ者か。
サーシェスはテラスの入り口付近に身を移した。非常階段からいつでも逃げられる道だ。
(ま、ここはひとつ踊らされてやりますかね……)
そして、右足を軽く振り上げる。
何かが当たり激しく揺れる。じゃらじゃらと物が磨れる音が静かなテラスに響く。
鳴子。サバイバルでは敵の侵入を気取らせるための初歩的なトリック。
うっかり足を引っ掛ければ、音が発生し、仕掛けぬしに敵の侵入を知らせてくれる。
「うわーなんじゃこりゃー」
サーシェスはわざとらしく転び、自分の情けない様子を見せ付けた。相手の腹を探るために。
鳴子を仕掛けることにはデメリットがある。それは“誰かが近くにいる”と足跡を残すこと。
鳴子を仕掛けた側は鳴子の音が聞こえなければ、トラップとして活用できない。
敵と直接対峙する用意――すなわち接近戦を得意とする者。その他のトラップと絡めて使う者、すでに逃げ道を確保している者。
あのブロンド男はそのどれでもない。
サーシェスはすでにデパート内の地図から把握している。エレベーターと非常階段の位置は彼から遠い。
朝日に照らされるテラスにはワイヤーや釣り糸のような罠を浮かび上がらせることもない。
かろうじて武器はある。これだけ距離をとっていれば、入り組んだデパート内を逃げ切る自身はある。
「痛ぇ……ドジふんじまいました。まいったまいった」
残る可能性は、罠をしかけたのが彼ではないケース。
つまり彼には仲間がいて、彼自身は腕利きかもしれない。
もうひとつは何の意味もないケース。単なる陽動の1つ。
サーシェスの不安は今も無くなっていない――。
支援
支援
704 :
代理2:2009/11/29(日) 17:51:44 ID:88I4cbNY
「はじめまして。おたくは?」
サーシェスは鴨になりきることで、相手の出方を観た。
相手が馬鹿な戦争屋ならこの瞬間襲い掛かってくる――NO
相手が馬鹿な善人なら、心配して近寄ってくるか、震えて動かない――NO
相手が利口な善人なら、こちらを探るために様子を見る――YES
相手が利口な戦争屋なら――やはり様子を見る――YES
「すまない。それは私の仲間がしかけたものだ。悪く思わないでほしい。
できればそのままにしてくれるとありがたい。話を聞いてくれるだけでいい」
サーシェスの賭けは、ほんの少しだが更に有利に働いた。
仲間がいるということをわざわざ口にしたこと。
嘘か真かさておき、相手は重要な手の内を明かした。つまり表面上は――
「私はゼクス・マーキス」
――限りなく善人よりの行動をとるタイプ。
「どうぞ。こちらも手詰まりで困ってたんです」
ゼクス・マーキス。名簿には最初から記されていた男。
礼儀正しさは、相手の公正さを裏付ける。話したがりやには話させればいい。
サーシェスはひた隠し、引き続き目の前の青年に善意を押し売りした。
いわゆる営業モードである。
「私が目指すものは、コネクションの形成だ」
放たれる手口。それは殺し合いの真っ向否定だった。
ゼクスは話す。自分のいた世界も、自分の仲間の存在も。
「君と別れたら、私は他を目指す。おそらく仲間はここには戻ってこないからな」
いついつどこで自分たちがどうしていたのか、これからどうするのか。
これまで何があったのかも。次から次へと情報開示。
サーシェスはあんぐりと口を開くしかなかった。
これほど美味しい展開があるだろうか。望んではいたが、ここまで期待してはいなかった。
(……やべ、まったく信用できねぇ)
これが全て真実であったなら、自分はどれほど有利であっただろう。
しかし戦争屋として培われた経験が、サーシェスを素直にさせない。
させるわけがない。どの世界に、初対面で、この状況で情報を吐露する相手がいただろうか。
第一印象とは打って変わったゼクスの中身に、サーシェスは肩を落した。
サーシェスはゼクスの言う全てを信用することなど有り得なかった。
705 :
代理2:2009/11/29(日) 17:52:44 ID:88I4cbNY
「それじゃあ、ゼクスさん。私はこれからどうすりゃいいんですかね」
その決定打となってしまったのは、サーシェスに最も身近な『ガンダム』だった。
ゼクスのいた世界とサーシェスのいた世界ではガンダムの扱いはまるで違う。
サーシェスにはゼクスが“ガンダムを知ったかこいて、話している”ようにしか思えなかった。
「私と同じことをしてくれればいい。仲間を集ってくれ。
第三回放送で君が『E−3 象の像』にて、信頼出来る仲間を引き連れてくれるだけで充分だ」
異世界の存在だの、戦国武将だの、すべてが疑わしい。
この男の言葉のどれを信ずるの値するのか。
この男に貴重な時間を割くほどの価値はあるのか。
「わかりました。私はアリー・アル・サーシェス。あいにく面識のある奴はいません。
しがない傭兵やってます、私の世界はごくごく普通の世界ですよ。
ずっと隠れてましたが……ま、あんたのような人がいるんなら話は別だ。
その話、私もなるだけ協力しましょう……吉報を待っててください」
サーシェスは軽くお辞儀をして、テラスを後にした。
自分の名前を話したのは、それだけで利益があるからだ。
ゼクスはきっと他のやつらに自分の名前を出すはず。
知り合いがほとんどいない現状では、こういったささいな信用が生きてくる。
(あのアホの言葉を信じるやつはいねぇとは思うがな。ま、無いよりはマシだろう)
ゼクスの情報で信頼できるかもしれないもの。
それは彼の知り合いがヒイロ・ユイ、トレーズ・クシュリナーダ、張 五飛であること。
それは彼が一方通行、伊達政宗、神原駿河の3人と会ったということ。
この2つは直接本人に会えば真偽がハッキリするからだ。
あわよくば相手の信頼を勝ち得ることができるかもしれない。
「ゼクスさんよ、“なるだけ”協力してやるぜ。
せいぜい俺を仲間として周りに触れ回ってくれや」
サーシェスのサーシェスによるサーシェスの円滑な殺人行為のために。
戦争屋はデパートの階段を走る。
支援
707 :
代理投下:2009/11/29(日) 17:57:16 ID:WSSRHibJ
【D-6/デパート内/一日目/朝】
【アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:疲労(中)、腹部にダメージ、額より軽い出血(止血済み)。
[服装]:赤のパイロットスーツ
[装備]:ガトリングガン@戦国BASARA 残弾数50% 果物ナイフ@現実 作業用ドライバー数本@現実
[道具]:基本支給品一式、 ガトリングガンの予備弾装(3回分) ショットガンの予備弾丸×78 文化包丁@現実
[思考]
基本:この戦争を勝ち上がり、帝愛を雇い主にする。
1:周辺を見て回り、できれば組める相手を見つける。
2:殺し合いをより楽しむ為に強力な武器を手に入れる。組んだ相手を騙すことも辞さない。
3:ゼクスは胡散臭いが、彼の知り合いに接触する価値はある。
4:アーチャーとの決着をいずれつける。
【備考】
※セカンドシーズン第九話、刹那達との交戦後からの参戦です。
※ゼクスからもらった情報はあまり真面目に聞いてません(確かめようがないので)。話半分程度。
ヒイロ、トレーズ、五飛、一方通行、伊達政宗、神原駿河に会った時に裏づけが取れればいいと思ってます。
※この世界の違和感(言語の問題等)は帝愛のせい、ということで納得しているようです。
※何処に向かうかは次の書き手さんに任せます。
◇
708 :
代理投下:2009/11/29(日) 17:58:57 ID:WSSRHibJ
大切なものは、目に見えない。
1人目は、金で魔法を買ったとのたまう遠藤勇次
2人目は、幼さとかけ離れて事務的に死を処理したインデックス
3人目は、自分の誇りを貫くことを良しとする一方通行
4人目は、耽美の言葉しか耳に入らない神原駿河
5人目は、武士であることを主張し、ただの人間であることを忘れるために吼える伊達政宗
6人目は、仲間の約束をすっぽかし、好奇心旺盛に生きたプリシラ
私にとっての7人目は、妹。
最愛なるリリーナ・ドーリアン。いや、リリーナ・ピースクラフト。
“別れることで悲しくなるのなら、仲良くなんかならなければ”と泣くあの娘に。
“仲良くなった事は決して無駄なこと、悪い事ではなかった”とキツネは告げる。
――あなたを腹の足しにできるから。
彼女は私に出会う前に、キツネに食べられてしまった。
色づく麦畑をのような髪をした、平和を全身で訴えるあの子を。
いずれこうなることはわかっていた。
リリーナが平和の前に殉死することはわかっていた。
ならば、なぜ探さなかった。
初めて出会う仲間たちを作ることを選び、旧知の妹を選ばなかった。
ここはOZではない。ここは私の住む世界とはまったく違うもの。
私はリリーナが選んだ道を、信じていたから、何もしなかったのだ。
リリーナを探しにいけば、それはリリーナの生き方を否定することになっていただろう。
間違ってはいない。あの時も、あの時も、そうだった。
リリーナは、死んでいたかもしれない。
「見逃してくれ……甘い私を」
いずれ、こうなっていた。
歯車が掛け違えば私と妹はいつ死んでもおかしくなかったのだから
ここで、それが起きたのは、その数多の可能性の1つに過ぎない。
私も長くない。ここで骨を埋める覚悟も
「――何が“星の王子様”だ! 」
星の王子様ゼクス・マーキスの慟哭がテラスに木霊する。
本当に大切なものは、いつもそばにあると思っているから、忘れやすい。
残された者は、死んだ者に対し何を思うのか。
ゼクスが選び取った道は、一方通行が鼻で笑った道。
コネクションを形成し、一つの《グループ》を作り続ける。
腹に一物を持っていようが関係ない。妹が選んでいたであろう道をあえて進む。
裏をかかれるのは大いに上等。それは戦争では当たり前の話だ。
愚かな男と言われるのは百も承知。
そう言ってくれる人間が、この世界では生き延びる。
その時は自分が表舞台から降りればいい。
「リリーナ、あの世で見届けるのだ。戦いがいかに汚く卑劣であるかを!」
709 :
代理投下:2009/11/29(日) 17:59:56 ID:WSSRHibJ
【D-6/デパート内テラス/一日目/朝】
【ゼクス・マーキス@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康 激しくゆれる感情
[服装]:軍服
[装備]:真田幸村の槍×2
[道具]:基本支給品一式
[思考]
0:デパートを後にし、東を目指す。一方通行はどこかで出会えれば良し。
1:新たな協力者を探す。どんな相手でも(襲ってこないのなら)あえてこちらの情報開示を行う。
2:第三回放送の前後に『E−3 象の像』にて、一度信頼出来る人間同士で集まる
[備考]
学園都市、および能力者について情報を得ました。
MSが支給されている可能性を考えています。
主催者が飛行船を飛ばしていることを知りました。
テラスには鳴子のトラップが仕掛けられています(音が鳴るだけのもの)。仕掛けたのはゼクス。仲間が仕掛けたというのは嘘。
悪人が集まる可能性も承知の上で情報開示を続けるようです。
サーシェスには特に深い関心をしめしていません(リリーナの死で平静を保とうと集中していたため)。
710 :
代理投下:2009/11/29(日) 18:02:33 ID:WSSRHibJ
タイトルは
Miriarudo―Le Petit Six Prince―
代理投下終了です。尚、行数オーバーの為、状態表を分割しました。
代理投下乙
二人ともいい具合に揺れてるな。アーチャーは少しだけ前向きになったのか?
不安定だが頑張って欲しい
ゼクスさん、それは困難だけど自分なら纏めれるの裏返しか? それとも自滅するのも計算の内か?
変なヤツを加えるぐらいなら少数でもいいから厳選した方がいいぞw
サーシェスは他の獲物を探しだしたか。そいつらが危険だw
投下乙です
>Parallel insistence ◆WWhm8QVzK6
アーチャーもC.C.も切ないな
そういえばギアス勢は揃いも揃ってR2時間だからユフィの件があるのか
アーチャーは悩みまくりで答えは出るんだろうか
>Miriarudo―Le Petit Six Prince― ◆zg9MHZIP2Q
リリーナ死んだらゼクスも平静は保てないか
それにしてもサーシェスの暗躍は怖いな
はてさて象の像に集まるのはどんな面子になるんだか
拙作『騎士 失格』の状態表に、情報の抜けなどミスがあった為、修正したものを仮投下スレに落としました。
内容の確認をお願いします。
次スレ立ててきます
スレ立て乙
717 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 21:33:15 ID:88I4cbNY
スレ立て乙
バーサーカー代理投下します
紅蓮の海を突き抜け北上し、ある工場の一角に狂戦士は腰を下ろす。
先程の乱戦にて失われた魔力を回復させる為、少々休息が必要だ。
ならば休息のついでに今後の事を思考しよう。
まずはあの焔の海より持ち出した少女の亡骸。
数多の弾丸によりその身を打ち貫かれ、全身を赤く染めている。
顔に傷が無いのが唯一の救いだろうか。
死者を無碍に扱う事が出来ぬゆえ、ここまで運んできた。
ゆえにこの場に捨て置くという思考はない。
かといって今の己では少女を十分に弔ってやる事はできない。
ならばせめて、この少女の亡骸がこれ以上の辱めを受けぬよう人気のない所に安置するとしよう。
首輪を解除しようとする輩が、その首を切り落とし首輪を手に入れ様とするかもしれないからだ。
だが自分の目的は一刻も早く、主であるイリヤの元にたどり着く事。その為に全ての参加者をせん滅する事。
一々人気のない場所を探している暇はない。
だからその場所自体はまたあとで考えるとしよう、それよりも優先する事が己にはあるのだ。
それはそれとして出来れば今は、他の参加者には会いたくないものだ。
会えば己は本能のままに殺戮を開始する、そうなれば戦いの余波で少女の遺体がどうなるか分からない。
少女の亡骸を気にかけながらの戦闘など、狂戦士たるこの身には不可能だ。
もし戦いの余波に巻き込まれてしまえば、どうなるかは目に見えている。
仮に今この場に力の無い参加者が表れたとしよう、そうなれどうなる?
決まっている、相手を破壊しつくす唯それだけの事。
『理性』より『本能』が勝る、それが狂戦士としての己の性であり枷なのだ。
だからこそ休息をしている今は、誰にも会いたくはない。
少女の亡骸の事はこれでいいとして、次は現状の己の武器だ。
先の戦いで手にしたこの剣。
己の本能が警告を発している、この剣を他者の手に渡すなと。
この漆黒の剣、いかな英雄の宝具かはしれないが一度その力を解き放てば、己の残りの命全てを根こそぎ奪いかねない力を秘めている。
それほどの神秘を内包している事を狂戦士は感じ取る。
それもその筈、“最強の幻想”として聖剣のカテゴリー内では最上位に位置する剣。
そこらにある、凡百の剣とは格が違う。
もし大英雄・ヘラクレスとしての己ならばこの上なく最上の武器にもなりえただろう、だが狂戦士・ヘラクレスにおいてはそうはいかない。
狂戦士たる今の己ではこの剣の真名の開放は行えない。
それはまだいい、最大の問題は己にとってこの剣はいささか小さいということだ。
バーサーカーからすれば短剣やナイフの様だとまでは言わないが、何となく物足りないきがしなくもない。
無論それで戦えないというわけではない、大英雄としての技術があるならば十二分に戦える。
だが狂戦士としてかつての技術が一部封印されている今は、忠勝に持っていかれてしまった斧の様に、自らの剛力を存分に生かせる獲物の方が好ましい。
己の培った業を封じられているならば、引き換えに手にした強力を越える剛力で補うのみ。
ならば武器を得る為にどこに向かう?
いや、そもそも武器を調達できそうな場所が近くにあるのか?
ないならば他の参加者を襲い、武器を奪った方が効率がよいだろう。
そう思いつつバーサーカーは跳躍する。
手頃な建物屋根を飛び渡り、あるいはよじ登りそこから辺りを見回す。
すると北の山に城が立っているのを見つける。
ヘラクレスの生きた時代の常識からすれば、城があるならばそこを守る兵士が存在する。
ならばその兵士が武装する為の鎧や武器があるやもしれない。
加えて、宝物庫には宝具が隠されている可能性もある。
真名が解放できずとも、宝具そのものは並みの武具より格段に優れた存在である。
むしろ宝具があるならば、他の参加者の手に渡るほうが危険。
さらに付け加えれば、見失ったキャスターがあそこに陣地を築いたならば、それこそ難攻不落の要塞になりかねない。
ならば次に目指すべきは城だ。
ここに呼ばれて既に三度も殺されている、なかなかに豪傑達が集まっているようだ。
血沸き肉躍る。
尋常なる戦いは望む所、拒む理由はどこにも無い。
だが己の目的を間違えてはいけない、自分の目的は兵達との決闘ではなく、主を救うために参加者たちをせん滅する事。
だと言うのに、まだ唯の一人も殺す事が出来ていないとは何たる無様。
それでも大英雄の名を頂いた者か、狂戦士の所業だと言うのか!?
ここは一度必殺を期す為に己の装備を整える。
確実に完全に、相手を壊して斃して滅して打ち破るため。
一刻も早く主の元にたどり着くために。
ふと視線を下げれば山の中腹に古びた洋館らしきものが……
あんな所にあの様な洋館があっても、わざわざ足を運ぶ者はおるまい。
…そうかそれならば、この少女の亡骸はあそこへ安置するか。
そう思考し、リリーナの亡骸を抱えなおすとバーサーカーは北へと駆け出した。
川を越えのを駆け抜けるその途中、一回目の放送が訪れるが
名簿外の参加者
死者
禁止エリア
だが、この狂戦士には殆どがどうでもよかった。
例え、その腕に抱き抱える少女の名が呼ばれていたとしても、さりとて気にする事もない。
ただ記憶の片隅に禁止エリアの位置だけを記憶した。
幾らか経ちバーサーカーは洋館の前にたどり着く。
この様な倒壊しそうな洋館ないに留まる酔狂はおるまい、それはそれで好都合。
だが自分の巨体では玄関から入る事は出来そうになく、無理に侵入すればそれを引き金にして洋館が倒壊する恐れもある。
しかたなくバーサーカーは、リリーナの遺体を館の玄関にそっと横たえる。
運が良ければ、心ある誰かがこの少女を弔うだろう。
ならばと、狂戦士は歩みを進める。振り返る事無く。
今の己が気にかけるのはただ一人。
その一人の少女の元へ確実にたどり着くため先を急ぐ。
全ての参加者を血の海に沈める為に。
「■■■■■■■■■■■■――!!」
咆哮
それは次なる死闘への期待か勝利への誓いか、バーサーカーは驀進する。
バーサーカーは気がつかなかった。目の前の館の地下に二人の参加者がいる事に。
だがそれは仕方がない事だ。
憩いの館にはある一つの仕掛けがしてあった、それは内部にいる参加者の気配を遮断するというものだ。
ここは名前の通り、憩いの場所なのだ。
戦闘行為の禁止の処置こそされていないものの、ある程度戦闘にならない様に、または回避する為の仕掛けがいくつかなされている。
館内の参加者の気配の遮断はその一つだ。
もしその処置がなされていなかったなら、バーサーカーは本能のままに殺戮を開始しただろう。
だが結果として戦闘は起きなかった。
それは今は亡きリリーナにとっては嬉しい事だろう、自分の亡骸を弔う事が起因してヒイロが命の危険に晒されてしまうなど、微塵も望んでいないのだから。
さて、ヒイロがこの洋館を出るときに、突如現れたリリーナの亡骸を見てどう思うかそれは神のみぞ知る。
【C-3/憩いの館付近/1日目/朝】
【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:健康、狂化
[服装]:上半身裸(デフォルト)
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、食料(缶詰セット)
[道具]:なし
[思考]
基本:イリヤ(少なくとも参加者にはいない)を守る。
1:城に向かい武器を探す。
2:立ち塞がる全ての障害を打ち倒し、イリヤの元へと戻る。
3:キャスターを捜索し、陣地を整えられる前に撃滅する。
4:次こそ本多忠勝と決着を着けたい。
[備考]
※“十二の試練(ゴッド・ハンド)”Verアニ3
・合計12回まで死亡してもその場で蘇生。状態を健康にまで回復。耐久力を大きく上回るダメージを受けた場合は複数の命のストックを消費。
現在残り蘇生回数4回。
・無効化できるのは一度バーサーカーを殺した攻撃の2回目以降のみ。
現在無効リスト:対ナイトメア戦闘用大型ランス、干将・莫耶オーバーエッジ、偽・螺旋剣(カラドボルグ)、Unlimited Brade Works
おもちゃの兵隊、ドラグノフ 大質量の物体
・首輪の爆発での死亡時には蘇生できない。
※参戦時期は14話 理想の果て直後です。
※エクスカリバーが黒く染まっています。
※E-2南西部から中央部にかけてバーサーカーが通った破壊跡ができました(多数の家屋・電柱・街路樹・線路の残骸あり)。
※銃撃により一度、コンテナにより一度、都合二度死亡しました。
以上で代理投下を終わります
乙です
おいいいいい
ヒイロとファサリナゲームしてる場合じゃねえええええ
質問。
十二の試練無効リストでUnlimited Brade Worksってどういうこと?
UBWは単なる無限剣製空間でしかなく、アニメでバーサーカーを六回?殺したのは
六振りの強力な宝具でそれぞれ(まとめて打ち出したのかもしれませんが)殺したからではなかったかと。
固有結界内での一切の投影武器による攻撃ということでしょうか?
>>725 UBW展開中使われた宝具は
アニメ版では明記されてないからじゃないの
俺はUBWの結界自体が無効だと解釈してる
だから単体でハルペーだの赤原猟犬だのは効くと解釈してるよ
特定しようがないからまとめて一括りってことかな?
アーチャーの対バーサーカー戦術がかなり狭められた気がしますが、強力な銃火器を投影すれば問題ないのかな
投下乙です
バーサーカーがえらく紳士的で驚いたw
でも武器ならその辺りで丸太でも調達してもいけそう
それにしてもこれはヒイロは館から出たらびっくりするだろ
乙です
二人とも命拾いしたがヒイロが山の方に行ったら……
そしてリリーナの遺体とかきついな……偶然とは思わないかもな
>>728 そもそも、バサカ登場回から状態表に書いてあったような・・・
狭められたってのは今言うことではないべ
纏めて一括りにするかどうかは書き手次第でしょう
カラドボルグとUBWを分ける意味がないし
あい。
まぁ二人が出会わなければ問題にならないことですしね。
そういえば、マスターだと相手の宝具とかみたら情報がわかる、って能力は残ってるのかな
例えばえみやんがバサカをみたら、ゴッドハンドverアニ3の能力は判明するのかな
銃のような複雑な機構の物は投影出来ない設定があったような気がするぞ
それは士郎だけ
>>735 じゃあ、何でアーチャーは原作でそれしなかったと思う?
原作とか関係あんの?
原作で銃なんか投影して何になるんだよ
銃が効かないのがデフォなのに
739 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 00:38:19 ID:mpF5Nywg
新スレでもこういう議論は困る
剣を投影する方が遥かに魔力コストが安いからだろ
剣との相性◎って感じだ
>>738 えみやんのとーちゃんは銃で渡り合っていたぞい
まぁアーチャーは最新式のリール投影出来るからなw
衛宮切嗣 読み:えみや きりつぐ
「魔術師殺し」と呼ばれる傭兵じみた魔術師。
魔術は「研究する目的」ではなく「手段であり道具」と見ている異端であり、礼装に銃火器を用いる希有な存在。
通常火器としてワルサーWA2000及びキャリコM950、魔術礼装としてトンプソン・コンテンダーと魔弾「起源弾」を用いる。
また、オリジナル魔術「固有時制御」をもつ。
儀式が煩雑で大掛かりである時間操作を戦闘用に改造したもので、
固有結界の体内展開を時間操作に応用、簡易儀式のみで自身の肉体のみに時間操作を施す。
自身の時間を早めて高速体術を、逆にゆるやかにして索敵を逃れるなどの用法を持つ。
反面、解除した時の反動が大きく、解除時には自らの肉体を大きく傷つける諸刃の剣。
切り札は自らの第十二肋骨で作った魔弾「起源弾」。
相手に自らの起源「切断」と「結合」を発現させるもの。
この銃弾に魔術防御をとってしまうと魔術回路が暴走し、回路がズタズタにされて元とは異なる形でつなぎなおされるため、
致命傷・もしくは魔術師として再起不能となる。
物理防御できないよう、装甲車でもなければ防げぬほどの大火力に仕上げてあり、魔術師がこの弾丸を防御した瞬間、その敗北が確定する。
逃げ道を一本残しておきながら、そこに予測不能かつ致命的な罠をおくこのやり口は作中でも「悪辣」と表現されている。
こいつロワ向きだよなw