あの作品のキャラがルイズに召喚されました part258

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら? そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part257
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1255522303/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃  `ヽ   .  ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/21(水) 20:21:21 ID:vqSc+6RL
この輝戸光!!
>>1乙することにおいても最も光り輝く
大社員となってみせるぞ!!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/21(水) 23:39:19 ID:iN2JYvzP
>1
乙。おでこが光りますように。
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 00:31:27 ID:pBrM7YKm
>>1
乙。

>>4だったら前スレ1000が見るのはルイズに召喚される夢。
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 01:56:02 ID:wiRhiq/N
>>1 乙、
>>2 乙、いや、OYSTERかよ? チュ〜っす。

カリン様話。コッパゲがFUSAFUSA、またはちみっちょの頃とか絡むかなぁ?
お父様との馴初めとかやるのかなぁ? ワルド母とか出るのかなぁ?
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 02:31:59 ID:gpghITvF
いちおつー
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 04:15:52 ID:70SWtQBi
>>1

オリオン座流星群みてルイズに召喚されることを祈ったのは俺だけじゃないはず
8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 07:38:12 ID:DVbL2njF
原作の方でカリンママが残した因縁がルイズに降りかかる展開とかあるのかな?
……たとえばコルベールの禿げは心因性のもので、その原因がカリンさんの若き日の事だったとか。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 10:13:16 ID:10YN/zFQ
グラモン家が女好きなのも、アンアンが暗愚なのも、長女が結婚できないのも全部カリンママのせいにしようぜ

これだけで短編書けるな
10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 11:08:12 ID:jxEY9CnQ
>>9
その逆に、昔グラモン家は残虐な軍人家系で、カリーヌと戦って負けて、弱体化したが単なる女好きに落ち着いたという展開もありだな。
長女は幼いころはさらに暴虐で、カリーヌにせっかんされてようやくあのレベルとか。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 14:29:27 ID:iEBf3xOh
デルフを食べるボルト・クランク。
デルフを叩き折る孫悟飯。
デルフに重破斬吸わせようとするリナ。
デルフを錬金するエドワード・エルリック。

喋るからとりあえず投げ捨てる瀬能ナツル。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 15:16:03 ID:iVUt36Mp
カリン様話読みました。

30〜40年前程度の話のようです。

お父さん出てると思われます。家名は明示されていませんが、領主の息子でモノクル付けててカリン様とラブコメっている以上間違いないかと(笑)

ということで、ルイズのお父様はピエールという名前で水系統らしいです。

いや助かった(笑)。ちょうどこの情報がほしかったところで。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 15:18:49 ID:bkQyaSpp
ゼロの使い魔・総合スレ(ネタバレアリ) Part14
ttp://love6.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1247962591/
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 15:28:36 ID:q0N/IxJ6
ピエールってあのスライムナイトの?
15名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 15:32:47 ID:P+vt0a27
ピエール瀧ってなんのキャラだっけ?
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 15:53:38 ID:f3pND5Xx
暗闇の中でモノノケがダンス♪
17名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 15:55:15 ID:FtJHTRZ/
ピエールと聞くと馬っぽい鳥を思い出す
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 15:57:27 ID:UZccd6u3
変態する、コスモス荘の宇宙犯罪人の下僕ピエール(CV成田剣)を思い出した
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 16:03:04 ID:1YsI7v+5
ピエールとカトリーヌという名曲があってだな
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 16:05:41 ID:G7oSlTd0
>>18
あれってナリケンさんだったのかwwww
あの頃から色物キャラを演じてたんだなw
成田剣だらけの使い魔大戦とか出来そうだ。

ガンダールヴ:忠義の嵐ジェレミア卿
ヴィンダールヴ:ピエール(ただし自分があらゆる動物に変身する)
ミョズニトニルン:無限の欲望スカ博士
記すことも憚られる:???
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 16:06:46 ID:c1+19sKd
>>15
宇宙のステルヴィア
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 16:16:24 ID:XSc1Twxk
>>20
つ 記憚:統べし聖剣シュン

従わない。世界移動したらエターナル以外の記憶から消え去り
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 17:26:28 ID:3nS7hqdQ
「合体してぇよぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜!!!!」
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 17:32:36 ID:Rhb14Xt7
ふふ・・・デッドエンドシュート
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 17:33:05 ID:vHofFRiF
>>22

それだとデルフリンガーが永遠神剣の一本だったりして
出会おうものなら早々『世界』に砕かれて吸収されて出番が終わりになりそうだ
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 20:04:58 ID:1LcC0sCk
アクエリオンの麗花を呼んで皆不幸に
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 20:39:19 ID:MsLgmgIz
学院とバカ田大学が姉妹校になってルイズたち皆バカに
「これでいいのだ!」
28TALES OF ZERO 作者:2009/10/22(木) 21:39:11 ID:AhC5mC0w
どうも、TALES OF ZEROを書いている作者です、お久しぶりです
一ヶ月も経ちましたが、プロローグ後半を投稿したいと思います
何の支障もなければ、50分辺りで投稿させて頂きます
29ゼロHiME:2009/10/22(木) 21:40:43 ID:fXAU7DVh
やっとこさ第二十二話完成したんで、3ヶ月ぶりに投下しま
進路クリア?
30ゼロHiME:2009/10/22(木) 21:41:46 ID:fXAU7DVh
っと、リロードわすれてた;
出直してきます;
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 21:41:50 ID:+aYmtPN4
>>29
一レス前も見えないの?
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 21:42:49 ID:OAGfM/ml
>>31
下げる事もできないの?
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 21:44:24 ID:Yo17bcNK
>>31
うぜええええw
34TALES OF ZERO 1/9:2009/10/22(木) 21:51:33 ID:AhC5mC0w
プロローグ後編 第三の世界へ


才人がアセリアに召還された翌日、彼の姿は近くの川にあった
村の洗濯場で、悪戦苦闘しながら洗濯を行っている
「ほらほら、もっとしっかり・・・丁寧にやらないと駄目だよ!!」
「は、はい!!」
村のおばさん達に指導されながら、洗濯板を使って洗濯物を洗う
この世界に洗濯機という便利なものがないので、こうして洗濯物を洗わなければならない
文明の利器は偉大なんだなぁ…と、その有難さを実感していた
「それにしてもあんた災難だねぇ・・・クラース先生の召還術に呼ばれたんだって?」
いつの間にか召還の事は村全体に広まっていたらしく、才人の事は知られていた
その為、最初にミラルドに紹介して貰った時にすんなりと受け入れられた
「ええ、まあ・・・取り敢えず、帰る目処が立つまで皆さんのお世話になります。」
「あの人は悪い人じゃないんだけどねぇ・・・もう少し、考えてやってほしいねぇ。」
「ああ、この前なんてオーガなんか呼び出したから、もう大変だったしねぇ。」
クラースの話から始まるおばちゃん会議・・・こういうのは、何処の世界でも変わらないらしい
その会話の嵐の中に入り込めない才人は、しっかりと洗濯物を洗っていく
「まあ、クラースさんは世界を救った勇者だからねぇ・・・多少の事は目を瞑ってあげないと。」
「世界を救った?クラースさんが?」
クラースさんが世界を救った…その言葉に、才人は驚きの声をあげる
「おや、アンタクラースさんの事知らないのかい?」
俺をこの世界に召還した、変な格好のおっさん・・・それくらいの認知だった
才人が頷くと、おばさんは信じられないといった顔をする
「あんた、本当にあの魔王ダオスを倒したこの村の英雄の事を知らないのかい?」
「魔王ダオス?魔王なんていたんですか!?」
更に魔王まで…やはり、此処はファンタジーの世界なんだなぁ
「魔王も知らないなんて、余程遠い所から来たんだね・・・良いかい、3年前にね・・・。」
何も知らない才人に、おばさんの一人が3年前の出来事…魔王ダオスについて語りだした

魔王ダオス・・・その男は突如として、この世界に姿を現した
彼は東の大国ミッドガルズに、強力な魔物・魔族によるモンスター軍を率いて戦いを挑んだ
彼と、彼のモンスター軍によって幾つもの村や町が破壊され、多くの人命が奪われた
二年に渡る戦いの末、ダオスは4人の勇者達によって倒される
そのダオス討伐の立役者の一人が、召還術士クラース・F・レスターなのである

「…という事で、今世界が平和なのもクラース先生のお陰なんだよ。」
「(へぇ、あの人そんなに凄い人だったのか・・・只の入れ墨したおっさんじゃなかったんだな。)」
人は見た目に寄らないと言うが、まさにその言葉はクラースに当てはまると思った
話が終わってしばらくした後、洗濯物を洗い終えた才人は、それを干す
干された洗濯物は風に揺られ、これで朝の洗濯は終わった
「これで終わりっと…ありがとうございます。」
「解らない事があったら何だって聞きな、教えてあげるからさ。」
「はい。」
異邦人だというのに、クラース達だけでなく村の人達も優しく接してくれる
此処の暮らしも悪くないなと思いつつ、才人はクラースの家へと戻っていった
35TALES OF ZERO 2/9:2009/10/22(木) 21:53:12 ID:AhC5mC0w
「この本は右側の本棚…こっちの本は奥から二番目の棚に入れて」
「はい。」
洗濯物が終わって朝食を取った後、今度は掃除を始める事になった
ミラルドによって分けられた本を、指定された本棚に片付けていくという作業である
その全てが魔術や召還術に関するもので、クラースが出しっぱなしにしたものだ
「でも、本当にこの世界には魔法とかあるんですね…凄いな。」
自分が今持っている魔術書を見ながら、才人は感嘆の声を漏らした
試しに本を開いてみるが、見た事のない文字で書かれていたので読めなかった
「(全然読めないな…そう言えば、何で字は読めないのに言葉は通じるんだろ?)」
字がこうなら、言葉だって違うはずなのに、何故かクラース達とは会話が出来る
理由を考えてみるが……思いつかない
「(まあ、別に良いか…普通に言葉が通じるなら、それで良いし。)」
深く考えるのを止めると、持っていた魔術書を閉じて本棚へと押し込む
「魔法がない…貴方の世界には、魔術は存在しないのね。」
「あ、はい…魔法なんて、俺の世界じゃ空想の中の産物でしかないんで。」
本の片付けを続けながら、才人は自分の世界の事を話す
此処とは違う別の世界の事に、ミラルドは興味深そうに耳を傾ける
ある程度話をした所で、ふと才人はある疑問を抱いた
「そういえば…何でクラースさんも、ミラルドさんも異世界の事に理解が深いんですか?」
普通、異世界から来たなんて思いつかないだろう
あっさりと受け入れられたので、あまり深く考えてなかったが

「ああ、それはクラースも時々未来に行ったり、異世界にいったりするからよ。」
「へぇ、そうなんだ、成る程納得……ってええ!?」

あやうく流してしまう所だったが、才人は驚きの声をあげる
ついでに、持っていた百科事典を落としてしまい、その角が足にぶつかった
「っ…いってぇ!!!」
重みのある百科辞典の強烈な一撃を受け、思わず叫び声をあげる
あらあら、大丈夫…とミラルドはクスクスと笑いながら才人が落とした辞典を拾い上げた
「そうね…確かダオスを追いかけて未来に行ったり、子孫に呼ばれて未来に行ったり、別世界の危機だからって異世界に行ったり…。」
痛みのあまり蹲る才人に代わって辞典を元ある場所に返しながら、件の事を話す
「他にも、色んな理由で時間や世界を越えたりしたかしらね。」
「さ、流石英雄…そんな事も造作もないって感じですね。」
やはり、世界を救った英雄は伊達ではないらしい・・・足をさすりながら才人はそう思った
因みに、他にも異世界でクイズを出しに行ったり、闘技場で仲間の応援をしたりもしている
「でも、それだったら俺を元の世界に返す方法なんて、すぐ見つかりますよね?」
「どうかしら…クラースは難しいかもって言ってたから。」
期待とは裏腹の言葉に、ガクッと頭を下げる…そう上手くはいかないらしい
「そうですか…もし返る方法が見つからなかったら俺、一生此処で暮らさなきゃいけないのかなぁ?」
そこから段々と落ち込んでいく才人…今の彼には、先が真っ暗だった
此処の暮らしは悪くないとは先ほど思ったが、やはり自分の世界に帰りたいのだ
「……。」
どんどん落ち込んでいく才人を見かねたミラルドは、彼の傍にしゃがみ込んだ
才人が顔を上げるのと同時に、その体を優しく抱きしめる
「み、ミラルドさん!?」
突然の抱擁に驚く才人だが、ミラルドはそのまま優しく彼の頭を撫でる
「そう落ち込まないの…きっとクラースが帰る方法を見つけるだろうから、それを信じなさい。」
ね、と優しく才人を励ます
その温かく、優しい抱擁に才人は自分の中で何かが温かくなっていくのを感じた
やがてミラルドが離れると、才人はゆっくりと立ち上がった…もう、足の痛みは引いている
「解りました…俺にどうこう出来る問題じゃないし、それしかないですもんね。」
「そうそう、その調子…じゃあ、片付けの続きをしましょうか。これとこれを、奥の本棚に入れてきて。」
彼女から新たに本を渡された才人は、片付けを再開した
36TALES OF ZERO 3/9:2009/10/22(木) 21:54:30 ID:AhC5mC0w
「才人君、これを君に渡しておこう。」

才人が召還されてから三日後、珍しくクラースが研究室から姿を現した
手には、鞘に入った長剣が握られている
「何ですか、それ…剣?」
「ロングソード…私達の世界では一般的な剣だ、これを護身用に使うといい。」
クラースは剣を差し出し、才人はそれを受け取る
剣の重みに思わず落としそうになるが、何とか剣を持ちなおす
「剣って…俺、剣なんて使えませんよ?」
「この世界には、魔物が存在している…万が一の為に備えておいた方が良いだろう。」
ダオスがいなくなって平和になったとはいえ、魔物による被害が無くなったわけではない
時折、人里にやってきて害を与える魔物も少なくないのだ
「そ、そうですか…じゃあ。」
才人は試しに剣を抜いてみた…その名に相応しい、長い剣だった
かなり使い込まれており、初めてなのに意外と手に馴染んでいる
「これ…かなり使い込んでますね。」
「ああ、私の仲間の剣士が使っていた剣だ…これぐらいしかなかったんでね。」
「ふーん……よっ、おっとっと。」
才人は構えようと剣を振り上げた…が、思ったより重い
その重さに耐え切れず、体をふらつかせてしまい、剣を下ろした
「ちょっと…俺には無理みたいです、剣を使うなんて。」
「そうか…年季が入っている剣なら、君でも使いこなせると思ったんだが。」
才人はロングソードを鞘に戻すと、近くの壁に立てかける
「まあ、暇な時に剣の稽古でもすると良い…備えあれば、憂いなしと言うからな。」
出来れば、使うような事にならないと良いんだけど…
そう願う才人だが、ふとこの剣の持ち主だった人物に興味を持った
「ねぇ、クラースさん…この剣の持ち主って、クラースさんと一緒に魔王を倒した人なんですよね?」
「ん…ああ、そうだ…クレス・アルベイン、我々の前に立ち、剣と盾となって戦った、勇敢な青年だ。」
赤いマントと鉢巻、鎧を纏ったアルベイン流剣術の使い手…
もう会う事のない彼の後姿が、クラースの脳裏に思い浮かぶ
「(しかし、意外とクレス達とは何度も再会してるがなぁ。)」
英雄となった為の因果か、もう会えない筈なのに何度も共に戦った
出来れば、また会う事になるような事態が起こらなければ良いのだが…

「へぇ、悪の魔王を倒した英雄が使っていた剣かぁ。」

そんな時、才人の何気ない言葉を聞き、今度はダオスの事を思い出した
誰にも理解されず、ただ一人時を越えて戦い続けてきた男の事を…
「魔王ダオス、か……あいつは、ダオスは悪などではないさ。」
「えっ・・・。」
それを考えていたからか、クラースはダオスが悪である事を否定する
「あいつにも守るべきものがあった…ただ、その為に戦っただけだ。」
だからと言って、やった事が許されるわけでもないがな…と、クラースは付け加える
そう、あいつにも守るものが…守りたい世界があったのだ、その為に奴は……
そして本棚から本を数冊取り出すと、研究室の方へと足を運ぶ
「魔王にも守るべきものがあったって…どういう事ですか?」
何も知らない才人が尋ねると、クラースは一呼吸置いて振り返る

「そうだな…この世に悪があるとすれば、それは人の心…という事さ。」

そう言い残し、クラースは再び研究室へと戻っていった
「・・・・・・どういう事?」
クラースの言った事がよく解らない才人・・・彼がその言葉の意味を知るのは、まだ先の事である
37TALES OF ZERO 4/9:2009/10/22(木) 21:56:03 ID:AhC5mC0w
「やっほー、遊びに来たよ〜〜〜♪」

召還から一週間後、この日はクラースの家に客が訪ねてきた
床を磨いていた才人が見ると、客はピンクのポニーテールをした、元気のいい少女である
背中には、何やら色々と入った風呂敷を担いでいる
「あら、アーチェ…いらっしゃい。」
「ミラルドさん、こんにちは…クラースいる?」
「ええ、クラースなら下の研究室の方に……。」
ミラルドが彼女を招き入れる…アーチェと呼ばれた少女は、ミラルドと挨拶を交わした
少しばかりの会話が終わった後、今度はきょろきょろと辺りを見回している
そして才人を見つけると、此方に歩み寄ってきた
「ふーん、あんたが平賀才人君?クラースが召還術で召還しちゃったって子は?」
「えっ・・・まあ、そうだけど・・・君は?」
「あたし?あたしはアーチェ・クライン、魔女っ子アーチェちゃんよ♪」
そう言ってウィンクするアーチェ…魔女っ子って何?
そんな事を考えていると、奥からクラースが現れた
「やっと来たか、アーチェ…私は早く来るように言った筈だが?」
「良いじゃん、良いじゃん、こっちも色々準備とかあったんだし。」
そう言ってテーブルに風呂敷を置くと、紐を解いて中身の物を取り出した
中には、本やら宝石やら聖水やらが色々ある
「取りあえず、ルーングロムさんに頼んで色々貰ってきたけど…何とかなりそう?」
「ふむ…そうだな、今後の研究次第だな。」
アーチェの中にあった本を捲りながら、クラースはそう答える
「大丈夫だって、あたしも手伝うからさ。」
「…そうだな、アーチェのハーフエルフとしての知識や発想は参考になるからな。」
本を閉じて、笑みを浮かべるクラース…どうやら、希望を見出せたようだ
二人が会話を交わす中、才人がミラルドに尋ねる
「ミラルドさん、あの人もクラースさんの仲間だった人なんですか?」
「そうよ、アーチェは村の北東にあるローンヴァレイに住んでいるハーフエルフなの。」
よくファンタジーものに登場するエルフが、このアセリアには存在する
また、この世界ではそのエルフの血を引く者のみが魔術を使える
「エルフの血を引いてるって事は…やっぱり長寿だったりするんですか?」
「そうね、数百年・・・あるいは数千年ぐらいって言われてるわね。」
「ほ、本当に…凄いなぁ。」
流石、ファンタジー世界…もう、なんでもありな気さえ感じてくる
此処に来てからというもの、才人はこうした感嘆の声を何度も漏らしていた
そういう話を聞くと、彼女への見方も変わってくる感じがした

「だったら…あんな姿でも実は百歳を越えたおばあちゃんだったりして…。」

ぼそっと言ったつもりが、アーチェには聞こえたらしい
彼女が何かを小言で言うと、突然才人の頭にアーチェの雷が落ちた
「みぎゃああああああああ!!!!!!!!」
才人の悲鳴が木霊する…雷が落ちたといっても、それは比喩表現ではない
彼女が唱えた魔術…ライトニングが才人を感電させたのだ
一応、威力は弱めていたのだが、それなりに痛かった
「あたしはこれでも19歳よ、おばあちゃんなんて言うのは百年早いわよ!!!」
真っ黒焦げになってしまった才人に、アーチェのお叱りが飛ぶ
「大丈夫か、才人君…だが、口は災いの元という事を実感できただろう。」
「そうよ、女性に年齢の事を言うのは禁句なのよ。」
そんな才人に、クラースとミラルドは注意を施す…ちょっと遅すぎたが
「イテテ…解りました、でも……。」
起き上がった才人は、アーチェを見る…自称19歳のハーフエルフの少女
その彼女の貧相な胸を見て、彼はまたもや一言多い失言を吐いた

「………歳の割には、胸は平原だよなぁ。」

クラース邸に、再びライトニングの閃光と、才人の悲鳴が木霊した
ああ、胸の事も禁句なんだな…と、後で目覚めた才人はそう思った
38TALES OF ZERO 5/9:2009/10/22(木) 21:57:44 ID:AhC5mC0w
召還から半月後…半月も経って、才人も少しは此処の暮らしに慣れてきた
今日も朝から洗濯、掃除、買い物とこの家でやる事をこなす
「今日で半月か…本当、早く帰れると良いよなぁ。」
アーチェやクラースの知人達の協力もあって作業は進んでいるが、それでもまだ時間は掛かるらしい
でも、着実に成果は出てきているそうなので、期待しても良いとの事だそうだ
早く帰れる事を願いながら買ってきた食材をテーブルの上に置くと、アーチェが奥から姿を現した
「ふぅ、疲れたから休憩、休憩っと……あっ、才人君じゃん。」
「あ、アーチェ…さん。」
思わず後ずさる才人…自業自得とは言え、初対面時の事がまだ尾を引いているようだ
「何よぉ、思いっきり警戒しちゃって…あー、疲れたから喉渇いちゃったなぁ。」
「えっ…あ、はい、何か飲み物持ってきますね。」
この前の一件以来、才人はアーチェに頭が上がらなくなってしまっていた
それに、自分の送還の手伝いをしてくれる事も理由にあり、すぐに台所へと走っていく
解ればよろしい、とうんうん頷くアーチェの目にテーブルの上にある食材が止まった
「あっ、食材買ってきてたんだ。」
そう言って、アーチェは才人が買ってきた食材を眺める…女の子だけあって、料理とかが好きなのだ
その間に才人が戻ってきて、コップに入れたミルクをアーチェに差し出す
アーチェはその一杯を一気飲みすると、何か思いついたようにぱあっと表情が明るくなった

「よーし、折角だからこのアーチェ様がビックリする程美味しい料理をご馳走してあげるわね♪」

アーチェが料理をする…それを聞けば、彼女の腕前を知る者は誰もが止めるだろう
だが、クラースは地下の研究室、ミラルドは村の会合に出ていて今はいない
そして、本人としては才人との親睦を深めるつもりなだけなので、余計性質が悪い
「えっ…そんな、悪いですよ。」
「いいの、いいの♪あんたはそこで座って待ってなさい。」
アーチェは買ってきた食材を幾つか持って台所へと向かっていった
まあ、断るのも悪いか…と、才人はそれ以上何も言わずに椅子に腰掛けて出来るのを待つ事にする

そして、待つ事1時間……

「じゃーん、これがアーチェさん特性フルコースだよ♪」
テーブルには、色とりどりのアーチェの料理が並んでいた
『見た目は』美味しそうな料理に、思わず才人は顔を綻ばす
「すっげぇ……こんなに沢山、本当に食べて良いんですか?」
「どうぞ、どうぞ、いっぱい食べてあたしのミリキに惚れ惚れしちゃいなさい。」
アーチェに勧められ、才人はテーブルに並ぶ料理達をもう一度見つめる
最初は何だかんだあったが、この人優しいんだな…
頂きます、と才人はそう言って持ったスプーンでアーチェの料理をすくい、口へと運んだ
『地獄』が始まるとも知らずに……

・・・・・・・・・・・・

「ミラルド、アーチェと才人君はどうしたんだ?」
その後…研究室に戻ってこないアーチェを呼びに、クラースがやってきた
既に戻ってきていたミラルドは、そんなクラースに無言で指を刺す…その先には
「ちょっとぉ、悪かったって言ってんだから、出てきなさいよぉ!!」
「ハーフエルフ怖い、ハーフエルフ怖い、ハーフエルフ怖い………。」
ドアを叩いて呼びかけるアーチェ…その向こうで、恐怖に震えながら呟き続ける才人
何度呼びかけても、才人が部屋から出てくる事はなかった
「うーん、何が悪かったのかなぁ…やっぱ、隠し味にローパーの肉汁を使ったのが悪いのかなぁ?」
美味しくなるって聞いたのに…と、アーチェは頭を悩ませる
クラースはその様子を見て、一発で何があったのか理解できた
「成る程、納得した……彼も災難だったな、アーチェの××料理人の腕前の犠牲になるとは。」
3年経っても、彼女の腕前は成長していない…一体何時になったら上手くなるのやら


この日、才人の頭にハーフエルフ=凶悪(色んな意味で)という図式が完成する

彼は後に巨乳ハーフエルフと出会うまで、このトラウマを拭えないのであった
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 21:58:57 ID:wiRhiq/N
支援
40TALES OF ZERO 6/9:2009/10/22(木) 21:59:13 ID:AhC5mC0w
才人がアセリアに召還され、もう一ヶ月が経とうとしていた

この一ヶ月間、才人は色々な事を体験した

クラースが使うという召喚術を、この目で見たり

アーチェの箒に乗せてもらって空を飛んだりもした…二、三度落ちかけたりもしたが

色々な事があったが、別れの時もまた近づいていた


・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・。」

地下の研究室では、クラースが送還術用の新たな魔方陣を描いていた
後ろでは、頭の後ろで両手を組みながらアーチェが見守っている
「クラース、大丈夫?」
「声を掛けるな、集中できん。」
クラースは間違えないように、精神を集中させて作業を続ける
特殊な術具を使い、術式を描いての送還術…少しでも間違えば、この術は失敗する
最後の一文字を描き、遂に送還術用の魔方陣が完成した
「完成だ…おそらくこれで彼の住んでいた世界と繋がる筈…アーチェ、才人君を連れてきてくれ。」
言われたとおりアーチェは上に上がり、数分後には才人とミラルドを連れて戻ってきた
「クラースさん、元の世界に返れるって本当ですか!?」
アーチェから話を聞き、帰れるかもという期待から才人は興奮している
「ああ、これが上手く発動したらだがな……見ててくれ。」
興奮する才人を落ち着かせ、クラースは送還術の詠唱を始める
召還術の時と同じように、魔方陣が輝きだす

「我が名は、クラース・F・レスター…指輪の盟約を解き放ち、彼の者をあるべき場所へと送還する。」

精神を集中させ、ゆっくりと詠唱を続ける
周りの術具が詠唱に呼応し、中央の空間に作用し始める
目の前で、光が集まり始め、ゆっくりと大きくなっていく
「何か、凄い…何て言うんだろ、言葉に出来ないな。」
「そりゃあ、このアーチェ様とクラースが考えて完成させたんだもの、凄いのは当然じゃん。」
「二人とも、静かに…。」
ミラルドに注意され、アーチェと才人はそれ以上何も言わずにクラースを見守る事にした
集中して詠唱するクラースにこの会話は聞こえておらず、彼は儀式を続ける
やがて、詠唱を終えると、軽く腕を振るって最後の言葉を告げる

「次元の扉よ、開け…彼の者の住む世界へ」

儀式が完了したと同時に、目の前の光が強く輝き…次元の扉が開かれた
大人一人分の大きさになった光の扉が、魔方陣の中央に現れる
その先には、才人の良く知る光景が広がっていた
「才人君…この光景に見覚えがあるか?」
クラースが確認をとるが、才人はゆっくりと光の扉に近づく
食入るように目の前の光景を見る…そこには、巨大な高層ビルが並び、車が道路を行き来している

「はい、間違いないです…これは俺の世界…東京の街です!!」

繋がった…アセリアと、地球が
俺、家に帰れるんだ…才人の顔から笑顔がこぼれた
41TALES OF ZERO 7/9:2009/10/22(木) 22:00:37 ID:AhC5mC0w
「ふーん…これが、才人君の世界か。」

ゲートから見える光景を見ながら、アーチェはそう呟いた
今この場にいるのはクラースとアーチェの二人…才人とミラルドの姿はない
彼は今、上に行って帰る準備を行っている
「これってさ、トールで見た地下都市に似てない?」
「そうだな…才人君の話によると、超古代文明並みに科学が発展しているらしいからな。」
かつて自分達が立ち寄った超古代文明都市トール…廃墟となったあの都市の光景が頭をよぎる
だが、目の前に見える都市郡は、トールとは違って活気に満ち溢れていた
「結構面白そうな所だよね…ねえ、あたし達も才人君の世界に行ってみない?」
「駄目だ、このゲートは一方通行だからな…向こうに行ったら、戻ってこられなくなるぞ。」
「ちぇ、つまんないの。」
不満たらたらの表情でアーチェがそう言うと、丁度才人とミラルドが戻ってきた
元々手荷物が少なかった為、手早く帰る準備が出来たようだ
「来たか…帰る仕度は済んだか?」
「はい、大丈夫です…でも、これでクラースさん達ともお別れか……。」
何だかんだで、此処で一ヶ月過ごした事は新鮮で、とても楽しかった
この門をくぐったら、二度とアセリアには来れない…クラース達とももう会えなくなる
今生の別れだと思うと、自然と才人の瞳から涙が流れる
「ほらほら、帰れるんだから泣かないの、男の子でしょ!!」
「そうよ、ご家族の方だって心配しているでしょうし…はい、これ。」
アーチェが才人を慰め、ミラルドは包みに入ったアップルパイを差し出した
これは今日のおやつだったのだが、せめてものこの世界の思い出の品として才人に渡す
「ぐすっ、ありがとございます…俺この世界に来た事、皆さんの事、絶対忘れません。」
「ああ、別れは終わりではない…永久に想う事こそ、共にあると言う事なんだ。」
かつて、共に戦った仲間がその母から聞いたという言葉を、クラースは語る
才人は涙を拭うと、開かれた地球へのゲートへと歩んでいく
ゲートをくぐる前に、もう一度クラース達の方を振り返る
「さようなら、ミラルドさん、アーチェさん…クラースさん。」
「さようなら、才人君……あら?」
最後の別れの言葉が告げられた…その時、ゲートの異変に先に気付いたのはミラルドだった
全員が反射的にゲートの方に視線を向けると、ゲートの先にある東京の風景が歪み始め…消えた
変わりに、ゲートの光が別のものへと変わっていく
「えっ…な、何、一体何が…」
近くにいた才人は異変から離れようとしたが、手がゲートに触れてしまう
すると、まるで獲物を捕まえた獣のように、ゲートが才人を引き擦り込み始める
「わわっ、抜けない…た、助けて!?」
「才人君!!!」
どんどんゲートに引き擦り込まれる才人を、近くにいたクラースが助けようとその手をつかむ
だが、彼の力でも才人を引き摺り出す事は出来ず、逆に飲み込まれていく
「クラース!!」
「来るな、お前達も飲み込まれるぞ!!!」
助けようとするアーチェとミラルドを、クラースが静止する
だが、その直後に二人の体はゲートに飲み込んでいき…

「うわああああああああああああ!!!!!!」

才人の悲鳴を残しながら二人の体はゲートの向こうへと消え、それと同時にゲートも消滅する
周りの術具も壊れ、魔方陣にも亀裂が入って、送還術は使用不能になった
「嘘…消えちゃった……。」
「クラース、才人君!!!!」
残されたアーチェは呆然となり、ミラルドが叫ぶが、二人はその声に答える事は出来なかった。


この日、クラースと才人はアセリアから姿を消した
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 22:00:47 ID:wiRhiq/N
支援だ。どうした?
43TALES OF ZERO 8/9:2009/10/22(木) 22:02:10 ID:AhC5mC0w
クラースと才人が消えた少し前…魔法が世の理を成す世界、ハルケギニアのトリステイン王国…


「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。」

トリステイン魔法学院のある広場にて、少女の声が聞こえる
召還の儀式から翌日…ルイズは再びサモン・サーヴァントを行っていた
杖を構え、使い魔を召還する為に呪文を唱える

「五つの力を司るペンタゴン、我の運命に従いし『使い魔』を召還せよ!!!」

詠唱が完成したと同時に爆発が起こる…だが、そこには使い魔の姿はない
「また失敗ですね、ミス・ヴァリエール」
付き添いで彼女の成功を見守っていたコルベールの顔も、深刻な表情となる
昨日の失敗から、今日へと召還を変更したものの、先程から失敗ばかりである
「はぁ、はぁ、はぁ……何で、何で成功しないのよ!!」
爆発が起こった場所に向かって、ルイズは叫ぶ
放課後から始めたこの儀式によって時間は掛かりすぎ、辺りも暗くなってきた
コルベールとしては、流石にこれ以上は召還の儀式を延長するわけにはいかなかった
「ミス・ヴァリエール、昨日に引き続きこの調子であれば、残念ながら留年という事になるしか…。」
この学院の生徒が2年生に上級する条件が、この使い魔召喚である
呼び出された使い魔の属性によって、今後生徒が学ぶ系統を特定する為だ
その為、使い魔を召喚できないルイズは留年するしかない
「そ、そんな…ミスタ・コルベール、もう一度…もう一度させてください。」
必死に食い下がるルイズ…留年にだけはなりたくない
そんな事になれば皆の笑い者だし、何より家族に合わせる顔がない
「ですが、もう既に何度もやって駄目でしたから…今年は運が悪かったという事で…。」
「お願いします、先生…もう一度…でないと、私…私!!」
ゼロのルイズだって認める事になってしまう…そう言おうとしたが、声には出せなかった
彼女の瞳からは涙が溢れ、悲しみと悔しさからこれ以上の声が出なかっただからだ
「ミス・ヴァリエール……。」
コルベールはルイズの悲痛な訴えに、しばらく黙った後……
「…では、次が最後のチャンスです…これに失敗すれば貴方は留年です、良いですね。」
昨日と同じように、最後のチャンスをルイズに与えた…正真正銘、最後のチャンスである
「は、はい!!!」
何とか最後のチャンスを手に入れ、ルイズは袖で涙を拭うと、もう一度杖を構える
次が失敗すれば、自分は終わりだ…出来る限り精神を集中させる
そして、使い魔召喚の詠唱を開始する

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。」

唱える呪文一つ一つに、力を込める

「五つの力を司るペンタゴン、我の運命に従いし『使い魔』を……。」

そして、一呼吸置き…目を見開きながら、最後の呪文を唱えた

「召還せよ!!!」

その最後の一声が辺りに響いた時…奇跡は起こった
彼女の目の前で、光が輝いていたのである
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 22:03:07 ID:gbxf9M4Y
支援
45TALES OF ZERO 9/9:2009/10/22(木) 22:04:26 ID:AhC5mC0w
「これは……。」

コルベールが驚きの言葉を漏らす
サモン・サーヴァントの時に現れるゲートが、彼女の目の前に現れたのだ
あれだけの回数を失敗したので、この成功に驚きを隠せなかった

「……嘘、成功した!?」

当の本人であるルイズもまた、驚きのあまり成功した事にすこし経ってから気付く
最後の最後でサモン・サーヴァントが成功した…が、これで終わりというわけではない
次は、このゲート先にいるであろう幻獣が此方に来なければならない
そして、その幻獣と『契約』を交わす事で、初めて使い魔召喚の儀式は完了するのだ

「(お願い、早くこっちに来て…そして、私と契約して。)」
「…………ぁぁぁぁぁぁぁぁ」

誰も見た事がないような使い魔が来る事を願うルイズ…すると、ゲートから何かが聞こえてきた
もしや、幻獣の雄たけびか…思わず胸が弾むのだが…

「うわああああああああああ!!!!!!!!」

だが、それがはっきりと聞こえてき始めてくると、人間の男の悲鳴のようにも思えた
一体何が…その直後、ゲートの中から悲鳴と共に何かが飛び出してきた

「うわっ!?」 「ぐえっ!?」

出てきたのは、二人組の男…クラースと才人だった
ゲートに飲み込まれた際に絡み合った二人は、突然出口に出た事で派手に草むらに倒れる
しかも、クラースが思いっきり才人の上に倒れたので、思わず才人はカエルを潰したような声をあげる

「へっ……」

目の前の光景に、一瞬何が起こったのか解らなかったルイズ
コルベールも、人間が二人も出てきた事から、驚いて目を丸くしている

「んん…どうやら、出口に出たようだな…此処は一体…。」
「ううっ……く、クラースさん、重い…。」
「ん…おお、すまんすまん…すぐにどこうか。」

そんな二人に気付かず、才人とクラースは何とか立ち上がると、身に付いた土を叩き落とす

「イテテ、あー気持ち悪かった……それにしても何処なんだ、此処?」
「どうやら、ゲートから見えたトーキョーとは違うようだが…。」

此処は一体何処なのか…それを探ろうと、辺りを見回そうとする
その間、ようやく自分が人間を召喚した事に気付いたルイズは、首を振って気を確かに持った
そして、自分に気付いていない二人に向かって「ねえ、ちょっと!!」と声をかける

「「ん?」」

二人はようやくルイズの存在に気付き、声の主と目を合わせた
すこしの間が空く…やがて、ルイズは今思っている疑問を二人に投げかけた

「あんた達……誰?」

自身の鳶色の目で、二人を捕らえながら……
その一言が、これから始まる壮大な物語の幕開けになろうとは、誰も知る由もなかった…
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 22:04:38 ID:JD1KYHY3
紫煙〜
47TALES OF ZERO 後書き:2009/10/22(木) 22:10:48 ID:AhC5mC0w
以上、無事に投稿が終了しました
こんなに長く投稿が延びてしまってすいませんでした、何せリアルが忙しかったので
取りあえず、ようやくクラースと才人はハルケギニアに召喚されました
次回から本格的に、二人はゼロの使い魔として活躍する事になります
他のテイルズオブシリーズのキャラ…お祭り作品にあまり出ないキャラ、テイルズオブバーサスに登場出来なかったキャラ
そんなキャラを中心に他シリーズのキャラを出していきたいと思います
では、次回までさよなら…そして、支援ありがとう
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 22:18:56 ID:gz8KEnVD
乙でした。
サイト…(/_;)ウッ
49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 22:30:20 ID:D1qBinO0
ティルズの方乙でした
いやいや、召喚前にまず別世界と言うのも中々新鮮な展開ですね
続きも楽しみにさせて頂きます
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 22:55:11 ID:ijbCzwDu
乙でしたー
やってることがまんまエルフなクラースさんはどうなってしまうのかw
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 23:06:18 ID:D1qBinO0
+   +
  ∧_∧  +  ゼロHiMEマダカナ
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 23:19:05 ID:s/tk3iJn
乙っす〜
クラースの方はそのうち某時空勇者がきてくれそうだなw
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 23:34:25 ID:HtloPHeN
乙でした。
帰れると思った途端にハルケギニアに召喚ってw間が悪すぎだろう才人
しかも送還ゲートに被さる形で召喚ゲートが設置されるしw
続きを楽しみに待っています。
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 23:48:39 ID:fQQbnXXI
おお、テイルズの人乙
さてルイズはどっちと契約するのかな、両方?

>>30
お待ちしてます
55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 23:57:18 ID:es5gvALA
乙っした。
ベルセリオス辺りを地味に期待したい。
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 23:57:29 ID:cCilGx68
テイルズの人乙でした


そろそろ「さあう゛ぁんといろいろ」の人が恋しくなってきた
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 00:37:11 ID:BhhMNs79
>>51
SSスレでAAは止めようぜ……
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 00:42:07 ID:fDTU5naI
乙です
アーチェたちのほうでも対策練ってくれそうで、そこは安心できそうですね

>>53
このSS世界においては、ルイズ本人だけでは召喚できずに失敗続きの所に、
クラースのゲートが援護する形になって成立した、と言う可能性も


59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 01:42:41 ID:Xx4UVlIt
精霊魔法が使えないと
ただの変なイレズミ入れたオッサンのクラースさん乙
でもテイルズシリーズのキャラの中ではトップ3に入るくらい好き
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 01:47:14 ID:QNZ3YW9Z
>>57
べつにこんくらいはいいだろ
AAやめろって言う方が要領勿体無い
そしてこのレスも勿体無い
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 01:51:54 ID:ds9pRKxn
別にこのスレ限りで終わりってわけじゃないんだから勿体ないもくそもないだろ
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 01:57:18 ID:lz9AVH68
はたもんば「スレにそぐわない雑談をする罪人はぁぁぁ!首をぉぉぉ斬るぅぅぅぅ!!!」
うん、わかってるよ。ゴメン。


ぬーべーの妖怪は割とキャラが立ってるから小ネタ書くには結構良いと思うんだ。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 02:08:02 ID:BhhMNs79
>>60
どのくらいなら良いという基準なんて無いし、AAみたいな必要無いもんで容量食うなんてアホらしいだろう

>>61
スレ立てとかスムーズに出来なかったら面倒だし、それが投下に被る可能性が増えるだろう
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 02:23:24 ID:KQz7GfaQ
そういやクラースの召還術って精霊と契約してその力を借りて行うわけで
ハルケギニアだと先住魔法とか異端扱いなりそうで心配だw
あと世界も違うんだからハルケ世界の精霊と契約しなおすんだろうか
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 02:43:24 ID:jyo1r7a/
>>64
そういや精霊の力を借りた魔法なんだから確かに分類としては先住魔法だw
契約した相手を呼び出す、だから厳密には先住魔法とも違うけど、
そこんとこどうなんだろうな?
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 03:04:24 ID:WzGRWzDL
一方ルイズは「もやしもん」からオリゼーを召喚したが細菌なので見えず契約できなかった
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 03:15:52 ID:V0P9Mrmr
A・オリゼーくらいハルケギニアにもいる、というかあるだろ最初から
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 03:24:44 ID:H0zHgaZm
契約の指輪の中に精霊がいるとか?
クレーメルケイジとかなら話は楽なんだが
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 03:25:50 ID:EXxfqJMK
クラースさんなら召喚されし書物でもギーシュくらい倒せそうだな
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 03:26:43 ID:+zwdDZKN
みごとにタイミングかぶったんだなあ
ゼロHiMEのドンマイ
テイルズの人乙

>>66
マスコットサイズに巨大化して幻想入りならしてたぞ、ニコニコの話だが
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 03:48:14 ID:KQz7GfaQ
>>69
本人がいくら武器だと認識していてもガンダーが本を武器と認めてくれずルーンが発動しない可能性w
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 04:02:38 ID:vS/1bv4N
ピンナップマグで無双ですね
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 04:10:44 ID:BhhMNs79
人を殺せるガンガンは認識されるんだろうか?
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 04:21:00 ID:BIp5D/qT
独歩ちゃんの拳は刃物と認識されるよ
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 05:32:57 ID:c7Hlch0s
てか、クリア後なら熊とか一撃で撲殺するんだよなあの人
本で
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 05:44:57 ID:9tWrhTnV
RPGではよくある事だけど、そういうのって腕力と本の強度のどっちに呆れればいいんだろうな
ゲームによってはピコピコハンマーやハリセンで撲殺することもあるし、あと魚とか
ガンダールヴは魚を武器と認識するか否か
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 06:38:21 ID:x1U+tSPo
宝物庫には破壊の杖としてSかV仕様のデッキブラシがあるんだな
あれなら武器として十分すぎるほど強力だ
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 06:48:25 ID:9rPsuDnw
テイルズの人、乙です
……このクラースさんは、武器をモット伯のおうちでGETしそうだな……

>>76
オーフェンに出てきた奇人集団【SSW(死んだ魚でレスリング)】を思い出した
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 07:01:40 ID:gwbnB/ck
>>78
俺が>>76で思い出したのは戦国BASARAの利家だw
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 07:27:18 ID:/mfRO2ig
そういえばクラースは生まれつき魔法を使える相手には少し嫌みを言いたがるんだよなw
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 07:54:20 ID:rOIfIbxf
>>76
わたあめとか天ぷらとかネギとかカジキとかチョコバナナとか釘バットとかモップとかハリセンとか銀玉鉄砲とか軍手とか法螺貝とか傘とかで人殺したりモンスター倒したりするゲームもあるしな
何処までなら武器になるかは謎だが
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 08:06:57 ID:ES7Q8HzN
そうそう。UFOとかリモコンとかうちわとかで戦うゲームもあるんだし。
【たぶん違うゲームの話をしている】
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 08:09:51 ID:V0P9Mrmr
わたあめ→糖尿病
天ぷら→家康
ネギ→絞殺
カジキ→刺殺

なんだ結構いけそうじゃないか
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 08:28:42 ID:Nw7Q23nx
>>83
天ぷら→家康
ってなんだよww
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 08:39:43 ID:8g69gzss
家康って鯛の天ぷらにあたって体調崩して死んだんだっけ?
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 08:40:29 ID:rOIfIbxf
>>84
徳川家康の死因が天ぷら
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 08:49:51 ID:iGCuau6A
武器っぽくない武器の話なら。
ファミコン時代の某アメリカネズミのアクションゲームじゃ、
「彼らが血なまぐさい武器なんか使うわけないでしょうHAHAHA肖像権侵害で訴えマース!」
ってこと言われたんで

「消 し ゴ ム 投 げ つ け て 存 在 抹 消」

になったんだっけ。そっちのほうがヒデェと思った小学生時代。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 08:54:44 ID:YigroZwh
ワルド「HAHAHA!どうしたガンダールヴ!口ほどにもないな!」
アメリカネズミ「なんてこった!ワルドは五人!こっちのイレイザーは3個!ミスは許されないぜ!」
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 09:39:09 ID:lug2w5a0
ロールシャッハさんならヘアスプレーでも
冷蔵庫でも「武器」になるな。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 09:48:44 ID:Q6u2GiW5
シャッハさんは……
色々とマズイ……

ジョゼフがシャッハさんを召喚したら……
ゴメン、正直想像ができない
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 09:55:02 ID:/mfRO2ig
道具としても武器としても上手く扱うといったらキートンさんだな
あの人は場合によっては戦車まで壊せるときたもんだ
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 10:27:50 ID:h6sKor8X
コミケカタログとかNEO−GEOのROMカセットなんか
鈍器としてルーン認めてくれそう

あと武器っぽくない武器を扱うならヤツでしょう

♪おーれーのー ぶーきーを 知ってるかい
 「モップ!柱時計!コショウ!」
 きょーおーも じーけんーだー
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 10:42:10 ID:1CQUznQY
シャドウハーツシリーズの色物枠キャラなら道端に落ちてるものでも無造作に武器にしてくれるさ
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 10:57:43 ID:B7fs9SbA
>>91
キートンと聞いて真っ先に出てきたのはゲッターだった……

「0.01秒の世界を見せてやるぜ!」
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 11:26:40 ID:j7tkDb7i
何でも武器にするならBAGIのガイアを推挙。
本人曰く、「数滴の水すら武器になる」と豪語してますし。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 11:29:21 ID:n/x3h8jE
うん、まぁ色々言ってるけどさぁ
それで面白くなると思ってるんなら書けば?
こんなのあるぜーってだけ言われてもこっちゃ面白くもなんともないし
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 12:05:19 ID:5NultVCa
またループしそうなw
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 12:19:59 ID:o+1KqKdw
ハンガーヌンチャク
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 12:20:40 ID:Nie+DM+X
フリゲからの召喚は有りなんだっけ?
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 12:29:20 ID:V0P9Mrmr
前例はあるね
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 12:43:29 ID:h6sKor8X
突然ですが、ルイズ達の動きが速すぎて結局ワルドが
最後まで合流できなかったっつー作品あったと思うのですが
どれかご存知ありません?
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 12:48:09 ID:ES7Q8HzN
ソードワールドのイリーナとヒース召喚物じゃなかったっけ?
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 13:06:16 ID:h6sKor8X
そのとおりでした、多謝!
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 13:30:07 ID:PHO/gVRA
クラーフをグラーフと見間違えてしまった
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 13:33:03 ID:YigroZwh
力欲しくありません
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 13:55:28 ID:ZiAc7I+A
>>66
オリゼーは細菌じゃないぞ。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 14:05:15 ID:jyo1r7a/
>>106
まあ眼に見えない菌には違いないさ
あいつら合体すると巨大化するけど、
アレが目視できるのはただやすだけだからなぁ
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 14:32:24 ID:Q6u2GiW5
第四の使い魔の能力が菌を見、操る能力だったんじゃ?
109ゼロニスター ◆AS3lWBPbwBc6 :2009/10/23(金) 14:45:37 ID:K9j1+Ki1
14:50からVol.3を投下します。
110ゼロニスター@ ◆AS3lWBPbwBc6 :2009/10/23(金) 14:50:46 ID:K9j1+Ki1
「ゼロニスター Vol.3」

「牛乳……、牛乳は要らんかね……」
 朝靄に煙る町を、1人の男が牛乳瓶を積んだ荷車を引いて歩いている。
「美味しいよ……、とっても濃いんだよ……」
 早朝の路上には誰もいないにもかかわらず売り歩くように呟く男。その顔には不気味な笑みを浮かべているような奇怪な仮面。
「加工乳なんか目じゃないぜ……」
 ――ガシャアッ!
 男は牛乳瓶を2本手に取ると、道端の民家に設置されていた牛乳瓶受けの箱に乱暴に放り込んだ。
「へっへっへ……、夕方の騒ぎが楽しみだあ。デュマさん、あんたもついてないなあ……」
 トリスタニアの林で牛乳配達員の遺体が見つかるのは後日の事である。「彼」が殺して配達員になりすましたのだ。
 彼の名はデリバリー・ヘル。町は間も無く彼のもたらす恐怖に覆われる。
111ゼロニスターA ◆AS3lWBPbwBc6 :2009/10/23(金) 14:53:36 ID:K9j1+Ki1
「ミス・ヴァリエール!! ミス・ナックルスター!! 事件です!!」
 それから数時間後、町で発生した事件を知ったシエスタは教会へと急いでいた。
「町で牛乳を飲んだ人達が大変な事に……うっ!?」
 勢いよく教会の扉を開けたシエスタは言葉を失った。
 何があったのか教会内の壁といわず床といわず至る所に穴が開いたり亀裂が入ったりしていて、ルイズ・サタニスターは立つ事さえままならない様子で家具の残骸で体を支えつつ息を荒げていた。さらにサタニスターのナックルがシエスタの足元に転がっていたのだ。
「ミ……、ミス・ヴァリエール!? ミス・ナックルスター!?」
「ぬかったわ……。あたしとした事が……」
 シエスタは慌てて2人の元に駆け寄る。
「何があったんですか!?」
「不運その1、変な牛乳飲んだみたい……」
「ええーっ!! 飲んだんですか!? 今先生方が大騒ぎされてるんですよ!? あれは異物がでたらめに混入されていて……、死人も出てるんです!! お二人とも敵が多いのに……。何で宅配の牛乳を飲むなどという迂闊な真似をしたんですか!!」
「あたしだって新鮮な牛乳が飲みたいのよ!!」
「それよりシエスタ……、あなたは逃げなさい」
 逆ギレしてシエスタを殴るサタニスターを制するようにルイズが話を続けた。
「え?」
「不運その2!! 敵襲よ!! あほみたいな格好の敵が襲ってきたから吹き飛ばしたけど……、まだくたばってない!」
 その時、シエスタの背後の扉に音を立てて亀裂が入る。そして次の瞬間、
 ――ドゴオッ!
「サタニスターっ!! まだ勝負はついてないぞーっ!!」
 扉を周囲の壁ごとぶち破って、全身金属鎧で固めたような人物が3人の前に現れた。
「きゃあああ〜っ!!」
「あんたまだ私達とやる気!? そっちだって結構こたえてんでしょ!?」
「うるさい!! お前らは必ずぶっ倒す!! お前らを倒せば周囲が俺に一目置くのは間違い無い!! 仲間は『まだ戦うな』って言ってたけど知った事か!! 俺の手柄――!!」
 全身から火花を散らしている金属鎧がそこまでまくし立てたところで、突然その動作が鈍くなった。
「くそ……、動力系統が故障したか。体の動きがひっかかる感じがするぜ……、ぬうう……」
「イ……、インテリジェンスアーマー!? 何でこんなのがいるんですか……!?」
 金属鎧の隙を見逃さず、ルイズは教会入口近くに転がっているナックルを指差す。
「シエスタ!! 床に落ちてるナックルスターのナックルを拾って!!」
「装着前にあのメカ野郎にぶっ飛ばされて転がったのよ!! どっちが格上かこいつに思い知らせてやる!!」
 慌ててナックルに駆け寄って拾い上げるシエスタ。そんな彼女にナックルスターは奇妙な忠告をする。
「こ……、これですね!! ミス・ナックルスターの武器……」
「あっ、それと……、何か見えても無視して!!」
「えっ!?」
112ゼロニスターB ◆AS3lWBPbwBc6 :2009/10/23(金) 14:56:19 ID:K9j1+Ki1
 次の瞬間、シエスタの目の前に死んだはずのモット・貫通のワルドが出現した。
(殺されろ……呪われろ……)
(お前も来い……)
 いや、2人だけではない。いつの間にかシエスタの周囲には数十人もの生気の無い人影が出現し、彼女に呪いの言葉を吐いていたのだ。
「え……!? え……!?」
(地獄に落ちろ……)
(死ね……死ね……)
(くたばれ……)
(手首切れ……)
「あ……、あわわ……」
「シエスタ!! そいつらにかまっちゃ駄目!! 早くナックルをこっちに投げるのよ!!」
 サタニスターの叫びも人影達の恐るべき姿と呪いの言葉に半ば恐慌状態のシエスタには届かず、
「ああああああああ!!」
 あまりの恐怖と衝撃にシエスタの両耳からは鮮血が噴出し、股間からは**。
「あひいいい〜っ!!」
「シエスタ!!」
(何やってんだ……!?)
 悲鳴を上げるシエスタと彼女を何とか落ち着かせようとするルイズ・サタニスターだったが、金属鎧にはシエスタの身に何が起こっているのかさっぱり理解できないようだった。
「ナックルから手を離せば『そいつら』は消えるわ!! 投げなさいっ!!」
「ひいいっ!」
 やけくそになったかのようにシエスタはナックルを放り投げ、
 ――ガッシイイ!
 宙を舞うナックルにサタニスターは1発で両腕を突き入れて装着した。
「はあっ、はあっ……。い……、今のはいったい……!?」
 人影の消失を確認して、荒く息を吐きつつ落ち着きを取り戻そうとするシエスタ。一方サタニスターは自分の周囲に出現した人影達を睨みつける。
「あたしの鉄拳によって敗北を喫した殺人鬼の怨霊どもよ、あたしの邪魔をする気かい? あたしを誰だと思ってる? このサタニスターに殺された時の恐怖を思い出させてあげようか!?」
(……ひっ!?)
(……ひいいいい!)
(……サタニスターだああああ!!)
 サタニスターの気迫の前に、人影達は恐怖の叫びを上げて消滅していった。
「ふん!」
「ミ……、ミス・ナックルスター……、今のは……?」
「何でもなくてよ!!」
「それより奴をぶっ倒さないと……」
 シエスタに背を向けたまま答えてよろよろ立ち上がるルイズ・サタニスター。
「まだ戦う気なんですか!? 顔色悪いのに……」
「当然!! 私達の教会を荒らした報いを与えてやるわ」
「上等だぜ、サタニスター……」
 2人が立ち上がるのとほぼ同時に、金属鎧も体中から火花を飛ばしつつ強引に体を動かし始めた。
(駄目です……!! いつものお二人なら1人でも勝てるかもしれませんけど……、今は毒を盛られた状態なのに……!! どうしましょう……、どうしましょう……。私に何ができるのでしょう……!?)
113ゼロニスターC ◆AS3lWBPbwBc6 :2009/10/23(金) 15:00:12 ID:K9j1+Ki1
「来なっ、機械野郎!!」
「うおおおお〜っ!!」
「今のお二人を倒してもあなたの手柄にはならないです!!」
 互いに一撃を浴びせるべく駆け寄っていくルイズ・ナックルスター。2人を迎え撃つ金属鎧にシエスタは毅然とした態度で叫んだ。
「なぜならミス・ヴァリエールもミス・ナックルスターも、毒を盛られて手負いの状態だからですっ!!」
「何い!? 『毒を盛られた』だと!? どういう事だ!? 説明しろ」
「シエスタ!! でしゃばるんじゃないわよ!!」
 サタニスターの静止にも耳を貸さず、シエスタは金属鎧の説得に入る。
「この町で牛乳に異物が混入されるという騒動が起きています。お二人も被害に遭っています。異物の成分はまだわかっていません。
今のお二人を倒せても……、それは『毒入り牛乳』のおかげですよ? そんなので勝って嬉しいですか? 『毒入り牛乳のおかげで勝てた自分』に誇りとか感じますか?
不用意に変な牛乳を飲んだお二人にも落ち度はありますが、今ここで倒したらもう取り消しはきかないですよ?(ど……、どうか逆上されませんように……!!)」
 シエスタの言葉に、金属鎧は彼女を威圧するように1歩前に出る。
「……なあお前、俺がそんな事にいちいちこだわるやつだと思うか?」
「ええ、思いますとも。さっき言ってましたよね……。『(俺)1人の手柄だ』とか何とか」
「……!! じゃあ質問を変えるぜ。なぜサタニスター達をそこまで庇いだてするんだ?」
「そ……、それは……、ミス・ナックルスターもミス・ヴァリエールも友達だからです。友達を庇うのにいちいち理由が要るんですかね!?」
「おい、サタニスター」
 金属鎧はシエスタに視線を向けたままサタニスターに声をかけた。
「何よ」
「あとでこいつを褒めてやれ。何の力も持たない女の子が体を張ってお前を守ろうとしたんだ。……それから覚えとけ。俺の名は平賀才人。『例の大会』でお前を倒すのは……この俺だ!!」
 ――ゲシッ!!
 叫びと共に才人はサタニスターが装着しているナックルを殴りつけると、出入り口に向かっていく。
「じゃーな。今日のところはその子の顔を立てといてやるぜ」
 才人が去っていったのを見送って、シエスタはようやくひと心地ついた様子になる。
「……ミス・ナックルスター、あとでお風呂借りてもいいですか?」
「あいつが壊したよ」
114ゼロニスターD ◆AS3lWBPbwBc6 :2009/10/23(金) 15:04:47 ID:K9j1+Ki1
『トリスタニアの宅配牛乳に大量の水の秘薬が混入された事件ですが、なんとたった今犯人から声明文が届きました!!
文中には意味不明な表現がありますが、それも含め全て読み上げてみたいと思います』
 その日の昼、遠見の鏡ではデリバリー・ヘルが起こした事件の騒動を報じていた。
『えー……、
「今回の事件は私デリバリー・ヘルの怒りを示すものである。
私はアカデミー研究員のエレオノール・アルベルティール・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールに対し、ウサギ耳・スクール水着・羽・オーバーニオーソックス着用で研究活動を行うよう文書にて伝えたが、愚かなアカデミーは56回にわたって私の指示を無視した。
今回の事件はその報復と考えよ。私の要求が聞き入れられない限り……」』
 とある厨房。1人の男が遠見の鏡から流れる音声を聞きつつ煮立った大鍋の中身をかき混ぜている。
 その大鍋の中では、ぶつ切りにされた野菜類に混じって人間の生首も煮られていた。
『「同様の事件はくり返されると考えよ」』
「信じられねえ変態野郎だな。世も末だぜ、ったく……」
 ――「トリステインからの食人鬼」 マルトー・シュバルツマン

『「なお、『例の大会』に参加する者に告ぐ」』
 とある街角。マントを纏った少女が、キャンディー片手に店で売られている遠見の鏡の画面を眺めている。
『「大会中の食事には十分気をつけたまえ。私はお前達に負けるつもりは無い」』
「たわけた事抜かすんじゃないよ、ケツメド野郎が……。あー、早く大会始まんないかな……」
 ――「サビエラの吸血嬢」 ブラッドロリータ

『……以上が声明文の文面であるわけですが、はたして「大会」とはいったい何を意味するのでしょうか?』
 とある工房。顔を仮面で覆った女エルフが、真っ赤に熱せられた刃物を金槌で叩いている。
 刃物を水につけて冷やした後仮面を外した女エルフ……ビダーシャルは、水差しからグラスに注いだ水を1口飲んで呟く。
「『大会』まであと1週間……。どいつもこいつもテンパッてきだしたね。私の事見守ってね、パパ……、ママ……」
 その視線の先には、開けられた小さな鞄に入っている男女1組の人形があった。
115ゼロニスターE ◆AS3lWBPbwBc6 :2009/10/23(金) 15:08:11 ID:K9j1+Ki1
『こういった無差別殺人を引き起こす犯人の傾向としては、現代社会のルールを逸脱して見せる事で自分に万能感を感じるというタイプが最も多く考えられ……』
「うおらあああ〜っ!!」
 ――ゴッシャアッ!
 回転しながら着地した勢いのまま、毛皮の服を纏った青年が遠見の鏡を叩き割った。
「なあサイトよ。俺はなあ……、悪党には2種類存在すると考えている。仲間内での秩序を守れるタイプと、勝手な行動を起こしてはチームに迷惑を……」
「『迷惑』? 別にお前らに迷惑かけたつもりは無いぜ」
「『足並みを揃えろ』って言ってるんだよ……。『サタニスターはまだ殺さん』という意見で俺達はまとまってたよな? 『大会で殺す』という話だったよな?」
 そう声を荒げる青年の顔には毛が生え始め、牙も爪も鋭く伸びていった。
「それをふまえた上でお前に問う!! 自分の力を周囲に誇示したいというだけの動機で、お前はその取り決めを破った……。これは俺を!! 仲間を!! なめていたからこそ為せる業だろう、違うかサイト!?」
 ――メンヌヴィル
 小太りの少年も乱杭歯を剥き出しにして才人を睨みつける。
「しかもサタニスターへの攻撃を途中で『取りやめた』のは……、デリバリー・ヘルの牛乳を飲んで弱ってるのが面白くなかったからだそうじゃないか」
 ――石牙のマリコルヌ
「それだったら初めっから襲わずとも結果は同じだったって事だな〜っ!! 自分1人で納得してるんじゃあねえーっ!!」
 ――ガシャアッ!
 メンヌヴィルは才人めがけて力任せに遠見の鏡の残骸を投げつけた。
「やめときな、メンヌヴィル!!」
「女がしゃしゃり出るな!!」
 ――バギャン!!
 飴姫が左腕を大きく振った瞬間、壁に幅20サント・長さ4メイルはある巨大な亀裂が深々と刻まれた。
 正体不明の斬撃の威力はそれだけにとどまらず、その延長線上の空を飛んでいた鳥の翼までも切り落とす。
「……うむ!!」
 切り裂かれた壁の亀裂から一刀両断にされた鳥が墜落する様子を見て、メンヌヴィルも頭が冷えたらしく顔が元の青年のものに戻る。
「『大会』は!! 1対1の決闘式で行われるわ。対戦相手はくじ引きで決められる。あんた達2人が対戦相手としてぶつかるようであれば、その時存分にやり合えばいいさね」
 ――飴姫
「でもその前に人数を振るい落とすため『予選』が行われ、その予選で一定のポイント数を稼げたやつだけが本戦に参加できる。そのためにはあたし達は『一応その場では』協力し合う必要があるんだよ。
だから喧嘩はするな。あたしだってあんた達に対しては何かと我慢している……」
「……ちっ」
 飴姫の言葉に舌打ちしつつも才人は矛を収めた。
(しかしそれにしてもサタニスター……、薬を盛られた状態でこの俺と渡りあってたとは……。屈辱だぜ……)
116ゼロニスターF ◆AS3lWBPbwBc6 :2009/10/23(金) 15:12:15 ID:K9j1+Ki1
 そして1週間後!!
 雨のラ・ロシェール。停泊している空船の前にルイズ・サタニスター・シエスタの姿があった。
(『大会』の招待状によれば、この港に迎えの者がいるとの事)
(待っていなさい、殺人鬼ども……!! ビダーシャル……、才人……、デリバリー・ヘル……、その他大勢……!! お前達に引導を渡すのは、このサタニスター!!)
「ミス・ヴァリエール、ミス・ナックルスター!! 頑張ってくださいね!! それじゃ!!」
 そそくさ帰ろうとするシエスタの肩をサタニスターはがっしりつかむ。
「一緒に来いって言ったでしょ。付き人がいてくれた方が何かと助かるもの」
「嫌です〜っ!! 付き人ならミス・タバサにやってもらえばいいじゃないですか!!」
「タバサは牛乳事件の処理に終われてて、少し遅れるのよ!! 大丈夫だってば!! 何があっても私達が守ってあげるから!!」
 言い合っている3人の前に、停泊している空船から1人の男が降りてきた。
「ようこそお越しくださいました。私、『虚無壺の会』のクロムウェルと申します。招待状を拝見……」
 クロムウェルに促されてサタニスターは招待状を彼に手渡す。
「では改めまして、ハルケギニア最強殺人鬼決定戦へようこそ……。
こちらは『虚無壺の会』が出場者の方々のためにご用意致しました、専用空船でございます。ビュッフェ・シャワー・ベッド完備でございますよ。
会場への到着は明朝を予定しております。他の出場者との同乗になりますので、無駄な争い事はなるべく避けた方が賢明かと……。くくく……」

 3人が甲板から船内に入ると、多数の先客達が一斉に彼女達の方に視線を向けた。
 長剣を手にした者、ナイフが収まった鞘を首から提げている者……。一見すると平凡な服装で武器も持っていない者も多いが例外無く剣呑な雰囲気を漂わせている。
(船内に血が付いてます……。もう誰かが殺し合ったんです……!!)
(シエスタ……、絶対に連中と目を合わせるんじゃないわよ……)
117ゼロニスター ◆AS3lWBPbwBc6 :2009/10/23(金) 15:15:25 ID:K9j1+Ki1
以上投下終了です。
「本文長すぎ」エラーの修正で間が開いてしまって申し訳ありませんでした。
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 16:16:41 ID:VY+r7OfE
>>117
専ブラ入れたらいいと思うよ
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 16:48:07 ID:GJwxBE7d
>>118
ネットカフェで投稿してるとか、専用入れたくても入れられない環境の人なんじゃないの。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 16:49:43 ID:X+huC5PE
janeとか適当にUSBに入れて持ち運べばおk
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 18:10:44 ID:ZiAc7I+A
>>107
コロニー作れば目視できるようになるぞ。
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 18:27:08 ID:jyo1r7a/
>>121
まあそうなんだが、それだと動けないじゃないかw
それにそういうのじゃなくてあのマスコット状の姿でないと絵面がすげえ微妙っぽい。
難しい話だなぁ……
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 18:42:01 ID:6LJMeIVR
もやしもん……ルイズがぼやくと、次の日部屋に文字の形をしたカビが生えている?
何か怪物に取り付かれたのではないかと怯えるルイズだが、ごく普通に自然界に存在する存在なので誰も脅威を調べる事が出来ないという。
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 18:52:54 ID:Nie+DM+X
そうえもんはあれで本気になれば超凄い能力だぞ。
レコン・キスタ全員を一晩でダウンさせられる能力だからな。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 18:53:12 ID:BvECDNpe
菌か・・・

近藤さんのタマ菌(アニメ版)を召還

・・・ごめん、悪かった
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 18:57:12 ID:GWCrVSb2
ゼロ繋がりで仮面ライダーゼロノスを
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 18:58:24 ID:3tansN1p
ゼロとくれば、ロックマンXのエックスを呼ぶしかあるまい
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:03:41 ID:jyo1r7a/
>>124
だよな。風邪菌とかに頼んで将官クラスの連中を風邪引かせるとか、
食料にカビ生やして兵糧攻めをする事もできる。
問題と言えば菌が言う事聞いてくれるかどうかなんだが。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:12:01 ID:dBr4DP6V
もう召喚済みだけど両さんをルイズ側で召喚したら
初っ端のルイズの退学問題を盾に大金をせしめ
寿司という料理を食堂で出したら瞬く間にハルケでブームになって商売に乗り出す
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:15:32 ID:jyo1r7a/
>>129
そして調子こきすぎて失敗して無一文になる、まで読んだ
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:35:06 ID:/mfRO2ig
天才科学者にしてカビの支配者…バイキンマンか…
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:36:17 ID:/mfRO2ig
>>130
そして次の話では元通り普通の使い魔としてスタートかw
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:39:35 ID:ZiAc7I+A
>>128
たしかに、マツタケ菌の誘致に失敗していたからな。
確かに、コレラとかペストとか天然痘とか操れれば強力だけど。
史実でも、戦争の結果に疫病が関与したこともあるし。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:47:52 ID:OeUCAmeu
>>133
投石機で糞尿や動物の死骸を……だったか?
城物語にそんなのが書いてたような、なかったような
135ゼロHiME:2009/10/23(金) 19:48:41 ID:tEXSda0z
19:50ぐらいから第二十二話を投下したいと思います
進路クリア?
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:50:41 ID:ZYzBO1Lj
つうか、遠征の類で兵站と並んで最大の問題が病気だよ
免疫ない状態で未知の菌にやられるなんて9割死ぬだろ
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:51:18 ID:GWCrVSb2
ゼロノスは自分自身の存在を賭けて戦っています
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 19:52:55 ID:sMctPuZ9
>>135
よーそろー
139ゼロHiME:2009/10/23(金) 19:52:59 ID:tEXSda0z
大丈夫そうなんで投下はじめます
140ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十二話 1/5:2009/10/23(金) 19:57:24 ID:tEXSda0z

 アンリエッタとゲルマニア皇帝の婚姻が発表された翌日、ルイズはオールド・オスマンから呼び出しを受け、学園長室に向かった。

 「おお、ミス・ヴァリエール。旅の疲れは癒せたかな? 此度の件、姫殿下から伺ってた時には、
どうなることかと思うたが、無事に帰ってきてくれてなによりじゃ。まあ、ワルド卿のことは残念な
ことじゃったが……なんにせよ、おぬし達のおかげで無事に同盟は締結され、トリスティンの危機は
去ったのじゃ。来月には無事ゲルマニアで姫様の婚儀も行われることじゃろうて」

 ルイズが現れるとオスマンは立ち上がって迎え入れ、その労をねぎらった。

 「私は姫様の友人……いえ、貴族として当然のことをしただけです」

 そう答えて頭を下げるルイズをオスマンはしばらく黙って見ていたが、思い出したように懐から一冊の本を取り出し、ルイズに手渡した。

 「……これは?」
 「トスリテイン王家に代々受け継がれてきた始祖の祈祷書じゃよ」
 「そうですか……って、そんな重要な国宝がどうしてここに? しかも何故、私にお渡しになるんですか?」

 ルイズは驚きで手渡された『始祖の祈祷書』を思わず取り落としそうなりながらも、怪訝な表情でオスマンの顔を見つめた。

 「実はトリステイン王室では古来より、王族の結婚式の際に貴族より選ばれし巫女が『始祖の祈祷
書』を手に、式の詔を詠み上げる習わしがあっての。その巫女に姫様は、ミス・ヴァリエール、そなたを指名したのじゃよ」
 「姫様が?」
 「その通りじゃ。巫女は式の前より、この『始祖の祈祷書』を肌身離さず持ち歩き、詠み上げる詔を考えねばならぬ。無論、草案は宮中の連中が推敲してくれるじゃろうが」
 「私が式の詔を……」

 急な事態に絶句するルイズに向かって、オスマンは更に話を進める。

「ここだけの話だが、そなたの選出には諸侯の一部から反対の声があっての。しかし、姫はそれらの
意見を一蹴してそなたを巫女に指名したのじゃ。これほど名誉なことはあるまいて」

 アンリエッタは周囲の意向を曲げてまで、幼い頃、共に過ごした自分を巫女に選んでくれたのだ。その好意を無碍にすることなどできようはずもない。

 「わかりました、謹んで拝命いたします」
 
 ルイズはきっと顔を上げてオスマンに答えると、受け取った『始祖の祈祷書』を大事そうに胸に抱える。そのルイズの様子にオスマンは目を細めて微笑んだ。

 「そうか、引き受けてくれるか。姫もさぞかし喜ぶじゃろう」

 
 その日の夕刻、静留は風呂に入っていた。風呂といっても学院の寄宿舎にある貴族用の大浴場ではなく、裏手にある使用人が使う掘っ立て小屋のような蒸し風呂である。

 「……こういうんも悪くないんやけど、やっぱ湯船が恋しいどすなあ」

 サウナの中、タオル一枚だけの格好でシエスタと並んで座った静留が額の汗をぬぐいながら呟く。

 「うふふ、静留お姉さまったら……でも、その気持ちは分かります。出来るならお湯に浸かりたいですよね」
141ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十二話 2/5:2009/10/23(金) 20:00:47 ID:tEXSda0z
 「あれ、シエスタさんは湯船のあるお風呂に入ったことあるん? ルイズ様から平民は蒸し風呂が普通や聞いたけど?」
 「私の故郷――タルブ村っていうワインが特産の村なんですが、温泉を利用した公衆浴場があるんですよ。だから、蒸し風呂はあまり慣れませんね」

 そうチロリと舌を出して答えるシエスタの様子に、静留はくすりと微笑むと、その手をつかんだ。たちまちシエスタの頬が真っ赤に染まる。

 「ほな、そろそろでましょうか。さすがにもう限界やわ」
 「は、はい、お姉さま」

 二人は蒸し風呂の外にある水浴び場へと移動すると、据えつけられた石のベンチに腰かけ、水桶に入った濡れタオルを取り出して火照った肌にびっしょりと浮かんだ汗を拭き始めた。

 「ふう、そよ風が心地ええわ」

 そう言って微笑む静留の姿をシエスタはうっとりと見つめる。
 
(夕日に輝く艶やかな栗色の髪、ハリのある綺麗なバスト、すらりと細いウエスト、きゅっと引き締まったヒップ……やっぱり静留お姉様は素敵です)

 「あの、シエスタさん……そんなに見つめられると照れるんやけど」
 「えっと、熱さで少しのぼせたちゃったかもしれませんね。あ、そうだ、お背中お拭きしますね」

 急に静留から声をかけられたシエスタは慌てて言い繕うと、その背中を拭き始めた。数分後、一通り拭き終わったのを
見計らったような静留の「はな、お返し」という言葉に促され、シエスタは静留に背を向ける。

 「シエスタさんの肌はきめが細かくてええなあ」
 「そんな、静留お姉様こそ私より白くて綺麗じゃありませんか」
 「あらあら、それはお世辞でも嬉しいおすな――ん?」

 シエスタの背中を拭いていた静留は、その首筋に何かを見つけて手を止めた。それは1サント大の紅い焔のような形の痣
――紛れもないHiMEの印だった。

 「シエスタさん、この首筋のとこにある痣やけど……なんかの怪我とかの跡どすか?」

 静留は内心の動揺を隠し、平静を装ってシエスタに問いかける。

 「ああ、この痣ですか? これは生まれつきです。家族では私と祖母だけにしかないんですけどね」
 「そうどすか……それにしてもシエスタさんはお婆はんが大好きなんやねえ」
 「はい。村の人たちからは『女傑』なんて呼ばれてましたけど、優しくて聡明だった祖母は私の誇りなんです」

どこか誇らしげなシエスタの答えを聞きながら、静留は思考を巡らせる。

 (一体、どういうことやろ? たまたまHiMEあるいはHiMEの因子を持つ人間がこの世界に迷い込んだいう
ことなんやろか。確かにシエスタさんの目や髪、肌の色は日本人と変わらんけど……)

 「あ、あの……」
 「はい、なんどすか?」

 静留は一旦思考をやめて遠慮がちに声をかけてきたシエスタの方へと顔を向けた。

 「実は来週か再来週にまとまった休暇をいただけることになったんですけど……えっと、その、よろしければ静留
お姉様を村にご招待したいなあと……」
142ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十二話 3/5:2009/10/23(金) 20:04:14 ID:tEXSda0z
 「ええよ」
 「はい、みんな歓迎してくれると思います……って、いいんですか!?」

 てっきり断られると思っていたシエスタは静留の答えに驚きの声を上げた。

 「別にそんな驚かんでも。せっかくのシエスタさんのお招きや、断るなんてできますかいな。なにより温泉入るチャンスを逃すなんて勿体無い」
 「そうですか。でも、お姉様が傍を離れて遠出するのはミス・ヴァリエールがお許しにならないのでは?」
 「それならルイズ様も一緒に行くいうことにすればええ。何、きっと説得してみせますさかいに安心してや」
 「は、はあ……」

 (せっかくの二人っきりで距離を縮める作戦が……まあ、コブつきとはいえ、お姉様と一緒に里帰りが出来るだけでもよしとしましょう)

 シエスタは目論見が外れたものの、そう思い直すことにした。しかし、後にこの選択を悔やむことになるとは知らないシエスタであった。


 「ルイズ様、ただいま戻りました……何してはるんどすか?」
 
 入浴後、湯冷ましにのんびりと学院内を散歩した静留がルイズの部屋に戻ると、ルイズは椅子に腰掛け、机に置かれた古ぼけた大きな本をみつめて何かを考えごとをしていた。
 
 「ああ、これ? 姫様の結婚式用の詔よ。私、それを読み上げる巫女に選ばれたの」
 「へえ、そらまた大事なお役目もろうてしまいましたなあ」
 
 静留はそう言いながら背中から抱きつくようにしてルイズの手元を覗き込む。するとルイズは顔を真っ赤にしたかと思うと、静留の抱擁を解くように勢いよく立ち上がった。

 「……そ、そういえばもう夕食の時間ね。わ、私、食堂いってくるわ」

 ルイズはそう早口でしゃべると、まるで逃げ出すようにして部屋から飛び出していった。残された静留はしばらくそのままあっけにとられていたが、やがて目を閉じてため息をついてくすりと微笑む。

 「……おやおや、ちょっとルイズ様には刺激が強すぎたやろか。まあ、ああいう初心なとこが可愛いんやけど」
 「そうか? 帰ってきてからずっとあの調子だぜ、もう少し娘っ子は素直になった方がいいと思うがねえ」

 壁にたけかけられたデルフからやや呆れた口調で発せられた言葉に、静留はどこか苦笑するような表情を浮かべて答える。

 「素直にどすか……それはそれで困るんやけど」
 「なんでい、姐さんにしては歯切れ悪いじゃねえか。俺は難しいことはよくわからねえが、人間なんて他人からの好意を貰えてる間が華ってもんさ」
 「そうかもしれませんな……ほな、うちも厨房で食事いただいてきますわ」
 
 そういい残すと静留は部屋から出て行った。そして一人残されたデルフは静留の足音が遠ざかるのを確認するとぼそりと呟いた。

 「……やれやれ、姐さんがあの調子じゃ娘っ子も苦労するぜ」
 

 そして一夜明けて翌日の昼休み。学院の東側のアウストリ広場のベンチに腰かけ、ルイズは一生懸命に何かを編んでいた。
143ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十二話 4/5:2009/10/23(金) 20:06:54 ID:tEXSda0z
 いつもなら昼食後には静留にキュルケ、タバサを加えた四人でお茶を飲みながらのんび
りとくつろいで過ごすのだが、夕べの一件を引きずって静留と一緒にいるのが気まずくな
ていたルイズは、それを断ってここで編み物をすることにしたのだった。
 編み棒をせっせと動かしながら時折、手を休めてかたわらにある『始祖の祈祷書』を開
き、結婚式の詔を考える。
 だが、しばらく白紙のページを眺めた後、ルイズは手にした祈祷書をぱたんと閉じて物
憂げにため息をつく。
 
 「はぁ……何やってるんだろ、私……」

 そう呟いて手にした編み掛けた30サントほどの長さのマフラーを見つめる。それは下
手の横好き程度の腕前のせいか、捻くれた毛糸のオブジェにしか見えず、ルイズは再びた
め息をついた。

 「おやおや、お茶もしないでどこへいったかと思えば……ルイズ、こんなとこで何してるのかしら?」
 
 キュルケはそう言ってどこか面白がるような表情を浮かべるとルイズの隣に座った。

 「朝食の時に話したでしょ、姫様の結婚式の巫女に選ばれたって。だから結婚式の詔を編み物しながら考えてるのよ。邪魔しないでくれるかしら」
 「邪魔って……あなた、八つ当たりもほどほどにしなさいよね。どうせシズルとなんかあったんでしょうけど」
 
 ルイズはキュルケの言葉にキッと顔を上げて言い返そうとするものの、図星だったので押し黙ってしまう。

 「……その顔は図星か。何があったか知らないけど、悩みがあるなら相談に乗ってあげるわよ」
 
 キュルケはわざとらしい笑顔を浮かべてルイズに肩に手を回す。

 「……肩に手なんか置いて何企んでるの」
 「企むだなんて滅相もない。私たちの祖国は同盟国になったんですもの、これからは仲良くしましょうよ」
 「どういう理屈よ、それ」

 ルイズはジト目でキュルケを睨むが、そこではたと思いつく。キュルケは自他共に認め
る学院きっての恋愛の達人だ。ルイズからはいいかげんに見える彼女だが、相談事、特に恋愛に関しては皆の信用が厚い。

 (癪だけどここは恋愛の達人のアドバイスとやらを聞いてみようじゃないの)

 そう決断するとルイズはキュルケに夕べの一件を話して聞かせた。

 「……ねえ、今の話し聞かなかったことにして帰っていいかしら」
 「なによ、いまさら悩み聞くって言った自分の言葉を反故にする気?」
 「あのね、抱きつかれて逃げ出すとか相談以前の問題よ……初心すぎるにもほどがあるでしょ」
 「別に今まで抱きつかれたぐらいで逃げたことなんかないわよ。でも、夕べはシズルに
抱きつかれた瞬間、胸の奥と頭がかぁっと熱くなって気がついたら逃げ出しちゃってたの
……私、どこか病気なのかしら」
 
 不安そうに尋ねてくるルイズの様子に、キュルケは目をぱちくりさせた後、呆れたような表情を浮かべて口を開く。

 「安心なさいな、ルイズ。それは病気じゃなくて、あなたがシズルを本気で好きになったって証拠よ」
 「へっ……」
 「それ以外に何が原因があるっていうのよ。今までは自覚がなかったから平気でいられ
144ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十二話 5/5:2009/10/23(金) 20:08:49 ID:tEXSda0z
たんでしょうけど。まあ、正直に恥ずかしいから急に抱きついたりしないようにお願いし
て、徐々に慣れるしかないわねえ」
 「慣れるよう善処してみるわ」
 「なら、頑張りなさいな。ぐずぐずしてたらタバサやあのシエスタとかいうメイドに先
越されちゃうわよ」

 キュルケはそう言い残すと学院のほうへと帰っていった。その後姿を見送った後、ルイ
ズはぼそりと呟いた。

 「……そういえば、どうやってシズルに話を切り出せばいいのかしら」
145ゼロHiME:2009/10/23(金) 20:09:55 ID:tEXSda0z
以上で終了です。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 20:57:28 ID:koI6tJ0T
乙でした
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 21:46:02 ID:IlmWWx+y
女傑って祖母誰だろ
正義の味方か広目天の使い手か
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 21:49:56 ID:ZiAc7I+A
>>134
いや、もっとストレートに侵略者が伝染病を持ってきて、
免疫を持っていない相手の国の人間がばたばた倒れていったことが……
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 22:05:51 ID:OeUCAmeu
>>148
ああ、あるな。
原作で保菌者は才人かシェフィールド……
ビダは微妙だの
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 22:10:39 ID:HIbF5zEM
そういえばここって商業作品じゃなくてもいいのか?
何か気になったんだが…
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 22:23:40 ID:1x3wlqX+
>>131
そういやあいつ空飛べたんだっけ
自分でも忘れてた描写があったけどw
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 22:34:25 ID:/H+d3ZOR
>>148
ファイレクシア病ですね、わかります
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 22:36:25 ID:ckOsfusn
>>151
自力でも飛べるけどUFOに乗って飛んだほうが早いんじゃね?
いざという時には戦闘モードに入れるんだし
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 23:05:27 ID:gxWdBaCN
>>150
基本アウト。超メジャーで作者が2次創作OKって言ってるのは認めてるね。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 23:10:38 ID:mpdJ4u4Q
メジャーでないのは制作者があんまり目立ちたくないというのが結構あるし、
そうでないのは痛い信者か、当人の売名行為と言う事になるから
止めておいた方が無難だな。
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 23:14:22 ID:miTZC4Lx
昔話とかなら別にかまわんがね
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 23:24:46 ID:Zmh3nSyB
>昔話とかなら別にかまわんがね
じゃあ、「俺のじいちゃんが昔ハルケギニアに召喚されてたらしい」なんて
タイトルでもおkって事かい?
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 23:27:33 ID:HIbF5zEM
>基本ダメ
そうか、ならいいんだ。うん
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 23:54:50 ID:en9XAd8+
>>157
何言ってんだお前。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:08:08 ID:bLxXmR1Y
>>153
水鉄砲やらラケットやら巨大ハンマーやら虫取り網やら手やら色々出せる上に
二足歩行ロボットに変形できる能力までもつバイキンUFOって実はかなりのチートなのかもしれんな。

やられたら当然もとの世界にバイバイキーンだよな。
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:08:52 ID:P/2Cs51N
つーか基本的には2次創作の時点で全部アウトじゃないか?
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:14:13 ID:FMOSPwgu
>>161
何言ってんだお前。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:14:27 ID:O1ZWLN/4
>>159
そいつフィギュアの選手とかなんじゃね?
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:14:58 ID:Hxx0Kbtp
>>161
オリジナルの非商業作品など眼中にないとでも言いたそうだな。
あーでも、個人的にはおもいっきしマイナーなツクール作品から召喚とか読んでみたい気もする。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:15:07 ID:0XujwAi6
クロスさせた結果三次創作になったらアウトってこっちゃないん?
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:15:34 ID:O1ZWLN/4
ここじゃ無理だから他で探した方が良いんじゃね?
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:18:29 ID:0QwbHdE0
ここで何がアウトだのセーフだの話すこと自体がナンセンス
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:20:29 ID:O1ZWLN/4
避難所に行けってことかな?
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:23:23 ID:Hxx0Kbtp
そもそも、2次創作の話をしてないのになんで3次になるからアウトなのかと。
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:29:35 ID:MA+GjVDI
非商業禁止の基本は
「SS作者のオリキャラをクロスと言い張って登場させる」
のを防止するためのルールなんだよね

なので、即売会出品、または同人ショップで委託販売されている程度に
知名度のある作品なら問題ないと思う
オンラインの超有名作品はどうなるって問題も残るけど……
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:40:07 ID:CP7aY0Y3
先生、シルフェイドシリーズも超メジャーに入りますか
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:50:37 ID:+T+OCNpf
ゼロ魔とのクロスSSをお披露目する場所はここ以外にもあるんだから、
テンプレで判断できないような場合は他の場所でやれば良いんじゃね?
もちろんそれが許可されているところね。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:50:58 ID:OtLdFgWX
ってか即売会やら委託販売されてる程度で知名度あるとか言われても
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:53:42 ID:xgerrcka
長谷川裕一ひとりスーパーロボット大戦のような
「商業作品の作者が自ら出した二次創作の同人作品」の場合はどうなるんだろうか
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:54:38 ID:G/sHYBhe
>非商業禁止の基本は〜
成る程。確かにな、納得しました。ありがとうです。
いや、BSFのロベルトがゼロの世界に行ったらどんな感じかなぁって。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 01:01:10 ID:cPkPtFeK
>>161
商業作品だろうと、非商業作品だろうと、権利者に無断で二次創作を執筆している点では同じ。
どちらにせよアウトと言う事には変わりない、って事を言いたいんだと思うよ。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 01:11:10 ID:PcV/xW29
よーしじゃあ議論はそのくらいにしてデジタル所さんの話でもしようか
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 01:28:39 ID:FWJ7I8EG
満腹チョコバー大好きな犬が出てくるんだよね?>デジタル所さん
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 01:44:31 ID:J0OlUyfU
>>175
BSFって何だよと思ってぐぐったらminoriのエロゲが出てきたでござる
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 01:48:07 ID:G/sHYBhe
>>179
亞日屋かブレイブストーリーファイナルでググるんだ。
俺は好きだが嫌いな人は嫌いだろうな、アレ。
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 02:00:39 ID:jAyJCzWI
また荒れそうな話題ですまないが
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8564718
の最後ってここのSSのゼロの魔砲使いかな?
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 02:01:54 ID:0QmY9JXb
荒れるとわかっているなら避難所で聞け。
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 03:08:13 ID:+i54KRiD
にゃー!
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 03:42:17 ID:FMWNbD6h
避難所で非難…しよ?


メジャー作品のメジャーから吾郎召喚
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 03:47:37 ID:NRRBnI98
たとえばクロスボーンガンダムからトビアを召喚する場合、本編に時間的余裕がないので「大外伝」設定(パラレルワールド)のトビアを召喚するのはありやなしや。
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 03:52:18 ID:os5urhpx
>>184
ルイズと吾郎はめちゃくちゃ相性悪そうだな
話すたびに喧嘩になってそう
それと野球が無いと流石に吾郎召喚の意味がないな
魔法学院ならぬ魔法野球学院とか?
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 03:55:01 ID:M3H7JhdW
ギーシュ「いいだろう…、決闘だ!!」

忍者係長「ククク…、立ち振る舞いからして、相当な手練なのであろうな!!殺気が違っておるわ!!」

ルイズ「ギーシュはドットメイジで、その上戦いの経験なんて無いわよ?」

忍者係長「ぬううッ!!」
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 04:19:50 ID:v1RVNhou
>>186
五郎は何だかんだでチームメイトを引っ張っていくから、ルイズとの仲も何とかなるよ!
大事な所では絶対に負けるから、フーケ討伐かウェールズ暗殺後のワルド戦でゲームセットだろうけどね!
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 06:02:00 ID:XOgHvymn
>>186
野球がないならゴールドアームみたいに広めればいいじゃない!!
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 09:11:26 ID:ocxBjG2x
攻殻のレギオスの都市戦や、Gガンダムのガンダムファイトように、ルールを定めた『戦争の代理行為』をゼロ魔でやって、その競技が野球というのは無理がありすぎるか。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 10:45:56 ID:UMggQx6t
なにその野球人形
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 10:48:09 ID:Rsy5y7k6
バーチャロンの代理戦争システムは貴族が許さないだろうしな。
QBの女王制をやるにしても、カリーヌが支配者になる光景しか見えぬ
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 11:55:26 ID:a27CfPgW
確か前に競輪をハルケ全体に広めた使い魔がいたような…
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 12:13:57 ID:KSJRkfiO
だ っ た ら 麻 雀 で 勝 負 よ !
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 12:19:57 ID:DJbLl+Yw
>麻雀で勝負よ!
丁度今咲のDVD借りてきて見てた
あの作品のキャラも変にチートだよなー
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 12:22:04 ID:1z7Sycgu
麻雀は気合の問題だろ

ジュンイチローでも呼ぶ気か?
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 12:42:38 ID:e6MWWzzh
アカギ「死ねば助かるのに」
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 12:44:50 ID:rvxIBWZa
ざわ・・・
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 12:58:31 ID:jIHm8w7e
咲・ジュンイチロー・アカギ

後一人は誰だ? イ鬼か、それとも竜か
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 13:01:24 ID:DJbLl+Yw
ここで黒シャツの哲也が登場、満を持して
というかアカギとジュンイチロー相手じゃ咲では役者不足だと思うなー
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 13:04:33 ID:Gr3hpsjc
始祖の雀卓
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 13:05:44 ID:1z7Sycgu
じゃあ
傀、アカギ、哲也、ジュンイチローの四人で
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 13:10:44 ID:DJbLl+Yw
問題は誰がどこに呼び出されるか、だな。
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 13:28:07 ID:ZuZjNlbi
>>147
黒髪の女傑…
乙のレナとか?
あれもHIMEだし

するとおかんはアリカか、そしてシエスタ遺伝的にどんどん巨乳に
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 13:36:40 ID:62NUsjSk
持杉ドラ夫召喚とか
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 14:00:09 ID:itr/10y3
鷲巣様はワシズ時代で呼ばれるかアカギ時代で呼ばれるかが問題だな
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 14:18:38 ID:9gyCjZ6O
>>190
もうあったような
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 14:19:37 ID:Gr3hpsjc
>>207
ボクシングネタで似たようなのを読んだ記憶があるな
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 14:19:58 ID:v1RVNhou
>>199
馬圓楽
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 14:53:02 ID:wVDMMU+L
>>199
タバサがサイコロ得意だから、ツバメ返しができれば相当強いぞ
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 15:09:13 ID:/EGtL2Rb
幽遊白書から海藤召喚とかなら自分のフィールドでバトルができるな。
アルビオンで、○○を言ってはいけないでワルドとバトル。
うん、地味だ。
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 15:11:57 ID:bpdBskVl
>>211
それはそれで奇妙な緊迫感とかでそうでいいなあ
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 15:17:54 ID:b6VpA1I+
強いけどそれを使っても手順を踏まなければ勝てないような能力は
相手が誰であれいい勝負になりそうだな。
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 15:20:12 ID:EV5MXkTl
城戸のほうが長期的には向いてるかもしれん
三人一緒が一番やりやすいのだが
あいつらって条件さえ整えれば7人とも渡り合えそうな気もするのだが・・・

あとついでに思い出した連携させれば敵なし軍団
ワイルドアームズ4のブリューナク
故人を除いて何故か全員出てきてしまった
さぁ、ルイズは誰を選ぶのでしょうか

とりあえずガウンがいつものあの格好で出てきたら
まずスルーされるんだろうけど
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 15:37:42 ID:muptBdnI
天地創造くらっても最盛期のアカギなら何とかしてくれる
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 15:39:15 ID:PDSD/14S
清流光神ハクジャオー、クルメイザー、琉神マブヤー……。
ローカルヒーローって軽く調べてみただけでも結構カッコいいのが揃ってるんで、誰か
召喚してくれないかな。特にマブヤーは是非読んでみたい。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 15:42:23 ID:ZFDVM8Rw
こないだ最終巻が発売になった
レイモンドからレイモンド召喚.....

ルイズがミズキ化するだけか
ドコニデモ小窓一つで原作も崩壊するし
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:05:52 ID:tibdYTDV
>>214
あれでルイズがえらびそうなのは誰だろうな
ヒューゴか真面目兎だろうか
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:24:51 ID:/1+KdBr3
ユウハクのゲーマー、余裕の快進撃を見せるもののガリア王ジョセフにチェスゲームを持ち出され死亡
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:31:15 ID:imivcyMi
久々に来たらこのキャラが召喚されたらこうなる的な予想スレっぽくなってるな
変な深読みしないで誰か召喚しとけよ、それがギャグであれシリアスであれよ
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:32:21 ID:XOgHvymn
いや、元々がキャラが召喚されたらこうなる的な事を語るスレだからしょうがないだろ
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:36:26 ID:4s8psI0t
>>220
だから元々そういうスレだと何d(ry
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:36:34 ID:Ig+1vNe1
ぶっちゃけ雑談が本来の目的だからな
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:37:43 ID:FUsNNdtm
ネタはあるし大まかな流れも頭の中で出来てるけど、なかなか文書で上手く出てきません orz
エコーナイト1の盲目の占い師と赤いナイフなんですが
225ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/24(土) 16:43:31 ID:3UA++kaz
>>224
まずは恐れず、一文目を書いてみましょうや。
それができないんだったら、1シーンを脳内で映像化するとかね。
恐れていたら何もはじまりませんよ?

ってなわけで、投下が無いとお嘆きの皆さまのちょっとした慰みになればと、駄文投下と参りたいと思います。
16:50頃より失礼いたします。
なにとぞ、よろしくおたのもうします。
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:44:02 ID:1z7Sycgu
飲みに行く前に事前支援
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:47:15 ID:FUsNNdtm
>>225
支援します
…まあとりあえず書いて見なきゃ始まんないわな
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:50:07 ID:bLxXmR1Y
>>220
君みたいなのをクレクレ君っていうんだっけ
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:50:09 ID:Ibkrc5AY
「雑談しかしてないな。いいから誰か書けよ」だの、
「何べんも言ったがハルケギニアは『近世』な」だの、
「召喚対象は自分の意志でゲートくぐるんだぞ?」だの、
2スレに一回は出てくるな。
230ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/24(土) 16:50:20 ID:3UA++kaz
投下開始です

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2人だったウェールズ王子が、1人だけになっても、まだ光がうねっているようだった。
地面から湧きあがるような、虹色の光の渦。
何百、何千っていう蛍の群れが、飛び交っていて、そうした風景を作り上げてたんだ。
「あの……ウェールズ王子、なんですよね?」
ルイズおねえちゃんが真っ先に聞く。
水面に映る蛍のせいか、まだ夢の続きを見ているような、そんな感じだったんだ。

「あぁ、何時ぞやは世話になったね」
ウェールズ王子は、お姫さまを抱きかかえていたんだ。
親鳥が雛を守るように、優しく包み込むように。
「いえそのあの……失礼ながらご本人、でいらっしゃいますよね?」
「あぁ、本物さ……この想いも、全部」
ルイズおねえちゃんの質問に、船乗りさんの服を着ているウェールズ王子がポツンと答えたんだ。
どこか、寂しそうに、でも、誇らしげに。
「では、今先ほど消えた方はやはりレコン・キスタの……」
「いや、彼も……本物だったさ、間違いなく……」
王子さまの目から、あったかそうな涙が言葉と一緒にポツンと落ちた。
「え?」
「いや、わっけ分かんねーわ。流石に」
「……?」
でも、ボク達にはその意味が分からなかったんだ。
アンリエッタ姫が無事なのはいいことだし、
このウェールズ王子が本物なんだとしたら、いいことだと思うんだけど……

「ははは……何にせよ、皆に迷惑をかけ――ぶわっ!?」
風が、振り落ちた。
辺りを舞い続ける蛍のカーテンを切り裂くような、鋭い風だったんだ。
「コカー!」
真っ黒なその風が鳴いた。
それはボクの帽子よりも何倍も大きそうな……
「……カラス?」
「――!あのカラスは!!」
アンリエッタ姫が知っているみたいだ。
じゃぁ、誰かが飼ってたりするカラスなのかなぁ?
確かに、羽のツヤとかもテッカテカに光っているから野生っぽくはない。

「っ!?しまった、『風のルビー』か!!」
ウェールズ王子が杖を取りだす。
杖の差す先には、さっきのカラスが、溶けた夜会服の間をつつきまわっている。
そのクチバシには、輝くような2つの光が見える。
よーく目を凝らして見ると、それは輪っかになっているみたいで……
「2つの指輪?」
「『エア・カッター』!!」
風が、弾ける。
ザザザと流れるように、カラスをめがけてまっしぐらに。
「コカァーッ!」
それを悠々と、翼を一降ろしするだけで空に舞い上がって、カラスは避けたんだ。
「速っ!?」
タダのカラスじゃないみたい。でも、何で指輪を……?
231ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/24(土) 16:51:31 ID:3UA++kaz
「――逃さないよ!」
頭の中の「何で?」を吹き飛ばす、凍りつくような声がした。
「!?」
淡いスミレ色の光の弾が、カラスにきりもみしながら襲いかかる。
「カーッ!」
それを左右に器用に避けるカラス。
空中をジグザグに、ダンスするみたいに。
「コカカァーッ!!」
後一歩だったんだ。光の弾がカラスにぶつかるのは。
でも、その直前、丁度カラスの翼の大きさぐらいだからボクの身体ぐらいかな?
そのぐらいの大きな光の塊……いや、『穴』だと思うんだけど、
その光の『穴』がカラスの目の前に現れて、カラスを飲み込んだんだ。
それで、光の弾がカラスに追いついたところで……
シュポンッて消えちゃったんだ。
光の『穴』も、カラスも。カラスのくわえていた指輪も。
「き、消えたっ!?」

「――即興劇は苦手だよ。役者が皆好き勝手に動いてさ」
湖のほとり、森の奥から、そいつは現れた。
先に声がしたから、光の穴ほど唐突じゃなかったけど、
それでも、やっぱり突然の登場だと思ったんだ。
「お前は……!!」

見たく、無かった。
会いたく、無かった。

「――そういえば、お互い五体満足で出会うのは久しぶりかな?ビビ君――」
流れるような銀髪をかきあげて、まとわりつくような、凍りつくような声で、ボクを呼ぶ。
「クジャっ!!」
いくつもの「何で?」よりも先に、ボクはデルフを構えていた。


ゼロの黒魔道士
〜第六十幕〜 The Stage is Set


クジャがいる。
それだけで、何もかもの説明がつくとおもったんだ。
「クジャ、お前が……!」
タバサおねえちゃんのことも、さっきの2人のウェールズ王子も、
全部こいつが仕組んだこと、そう考えるたら、全部がぴったりおさまる。
こいつは、皆を苦しめるようなことを、このハルケギニアでもやっていたんだ!
そう思うと、ボクの中の何かが、メラメラと燃えるような思いがしたんだ。
こいつがここにいることが、何よりの証拠じゃないか!

「それにしても――『船長殿』、勝手に船から飛び降りるのは感心しないよ」
デルフを構えたボクを無視して、クジャがウェールズ王子に話しかける。
『船長』?ウェールズ王子のことかなぁ?
「それはその……すまない」
ウェールズ王子がしょぼんとした顔になる。
何で?何でウェールズがこいつに謝るの?

「おまけに何だい?肝心の指輪は奪われて……
 せめて『彼』が無事なら、どういう魔法でゾンビ化させてたか分析できたものを……」
前も見たことがある、指揮者のような大げさな身振り手振りでクジャが言う。
「……君、まさかこうなることを予期していたのかい?僕を生かしたあの日に」
ウェールズ王子は疲れた泣いていた。
……そうだよね。自分自身と戦うなんて、誰だって嫌だもんね……
「まさか!そこまで万能じゃないさ!こうも面白い事になるなら、もっと演出したよ!
 そうだな、王宮を使ったかもね。ここは綺麗だけど観客はいないし……」
232ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/24(土) 16:52:17 ID:3UA++kaz
『オモシロイコト』、クジャは確かにそう言った。
「クジャ……お前が、全部裏で……!!」
やっぱり、クジャが全部仕組んでたんだ。
もしかしたら、アルビオンの戦争や、タルブ平原の戦いも、こいつが引き起こしたことかもしれない。
許せないって、そう思ったんだ。
皆を苦しめる、ことが。それを引き起こす、こいつが。

「裏で全部操れてたら、こうも苦労しなくて済むんだけどねぇ」
クジャがこっちを見てふふんと笑った。
一瞬でも、ひるんでしまった自分が情けない。
デルフを握る手が、少しだけ震える。
「ビビ、あいつがクジャなの?」
「相棒〜あいつ、そこまで悪ぃヤツじゃねぇぞー?」
ルイズおねえちゃんや、デルフの言葉は聞こえはするけど、
ボクはずっとクジャをにらみ続けていたんだ。
負けるつもりも、退くつもりも全然無い。
そんな気持ちで、ずっと。

「――これはこれは!トリステインの王女様であられますね!ご戴冠のお喜びを申し上げるのが遅れまして……」
クジャは大げさな身振りでお辞儀をしているところだった。
ウェールズ王子に抱かれた、アンリエッタ姫がうすぼんやりと立ち上がろうとしていた。
「……どちら様?」
「アンリエッタ、無理に立たなくても……」
ウェールズ王子の手を優しく振り払って、アンリエッタ姫は立ったんだ。
そして、クジャの顔を真正面から見つめた。
クジャの本性を、暴くような真剣な目で。
「大丈夫。私、そんなに弱く無いですから……それで、貴方は何処の誰なのです?」
「ふぅん。噂と違って、籠に飼われた鳥じゃないってわけだ……」
クジャがニヤリ、と笑う。
何だか寒気がするような、そんな嫌な笑い方だ。

「いや、自己紹介まで遅れまして!ウェールズ君の上司、になるでしょうか?クジャと申します」
「ウェールズの?」
「僕の命の恩人さ……ちょっと人使いは荒いけどね」
「えっ!?」
今、ウェールズ王子は何て言った?『命の恩人』?
「あぁ、ビビ君!あのときは世話になったね!
 そう、あの後……僕を救ったのは、このクジャ君なんだ」
クジャが、ウェールズ王子の命を救った……?
嘘だ、そんなの、クジャがするわけがない。
「う、嘘だっ!だって、だって……」
だって、あいつは、皆を苦しめるような、そんなことをずっと、ずっと……
「ビビ?」
「相棒、大丈夫か?」
あぁ、寒気が止まらない。
さっき刺されたところがまだ痛む。
やっぱり、体に穴が開くっていうのはきついみたいだ。
でも、ボクはクジャから目を離すつもりは無かった。
もし、ルイズおねえちゃんも苦しめるつもりなら、例えボクの体が壊れたって……
233ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/24(土) 16:53:04 ID:3UA++kaz
「んー?あぁ、怪我をしているようだね。ここの水魔法は遅効性だからねぇ。効果はあっても……」
クジャは、そう言うとフフフと笑いながらボクに近寄ってくる。
デルフをまっすぐ構えて、いつでも攻撃できることをボクは示した。
「あんまり暴れないで欲しいね。君が苦しむのを見てもおもしろくも何とも無いよ」
やれやれ、と首をふりながら、クジャはくるくると指を動かしたんだ。
例えて言うなら、普通の子供のお母さんとかが、
子供にやる『痛いの痛いのとんでけー』っていうおまじないをやるような、そんな指の動きだったんだ。
その指の動きに合わせて、小さな光の渦が、ボクの足元から湧いてくる。
振り払おうとしたけど、体が拒絶した。
くそっ、クジャは何をするつもりなんだ?
やがて光が体の中に浸みこんでいって……
「……え?」
体が、楽に動く?寒気も全然しない?
「『ケアルガ』、と。全快したかい?それとも、もう1回かけておこうか?」
『ケアルガ』、ボク達の世界の回復魔法だ。
それも、最上級クラスの……
「……どういうつもり?」
クジャが、ボクを回復した?
頭が、混乱しそうだった。
だって、こいつはクジャで、クジャはボク達の世界で皆を苦しめて……

「フフフ――姫と王子は真の愛を泉の畔で語りたり!恋愛劇は一区切りだけどね、まだ劇場は閉演前だよ!」
クジャの動きに合わせて、蛍が舞う。
空へ向かって大きく、大きく。
「舞台が全部整って、もうすぐ終幕のカーテンが開く、後は役者を待つばかり!
 あぁ、ビビ君、君がもたもたしているから、『虹』が出てきたじゃぁないか!」
「『虹』……?」
湖の表面が、グネリと動いたような錯覚がした。
蛍が相変わらず空に向かってチラリチラリと舞っていく。
あれ、さっきまでこんなに蛍、多かったっけ……?

『湖』がぐねりと持ちあがる。いや、『蛍』?いや、ただの『光』?
正体がまったく分からない。
とにかく、『それ』は天に向かって渦を巻くような、光の柱になって突然伸びたんだ。
蛍や水面の光を、全部飲み込んで。
歪むようないくつもの虹のような色とりどりの光の柱。
それは決して綺麗なものじゃなくて、この上なく不気味なものだったんだ。
グネグネと赤が青を切り裂いて紫のヒビを作れば、
黄色と緑がオレンジ色を埋め尽くすようにかき乱していく。
それぞれの色がそれぞれの色を憎んでいるような、そんな歪んだ光。
「な、何これっ!?」
「蛍……いえ、『幸運の帯虹』……!?」
『幸運』?いや、そんなものなわけがない。
ここから感じるのは……あらゆる嫌な感情をつめこんだような、そんな禍々しさ……
「流石は水精霊の住まう地、反応が一頭速いようだねぇ」
その禍々しい光を背に受けて、クジャは笑っていた。
禍々しい、あの凍りつくような笑顔で。

「クジャっ!何をたくらんでいるんだ!」
デルフを、構える。こんどこそ、まっすぐ、震えることもなく。
これ以上、何かするようなら……絶対に、許さない。
「わた、相棒っ!だからちょいと落ち着けよっ!?この兄ちゃんそんな悪くは……」
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:53:07 ID:Ig+1vNe1
黒魔道士どの、支援させて頂きますぞ

あとそろそろウルトラな人が来る頃だな
235ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/24(土) 16:53:46 ID:3UA++kaz
「アンリエッタ王女様、真に勝手ながら、ウェールズ君をもう少しだけ預からせていただきます。
 あぁ、それと、貴女の臣下であり友人である彼女達も……」
ボクの睨みを無視するように、クジャがアンリエッタにひざまずく。
彼女達って……
「え、わ、私もっ!?」
ルイズおねえちゃんと、ボクも?やっぱり、クジャは何かをたくらんでいる。
「アンリエッタ、すまない!帰ったら全てを打ち明けるから!!」
「――どうやら、事は私の知らぬところで動いていますのね?何が何やらさっぱりですが……」
アンリエッタ姫は、クジャから視線はそらさない。
でも、何か様子がおかしい。

「ご想像がおありで助かります。ただ、事実は貴女の想うよりも悪い方向であるとお考えください」
「――分かりました。虚言は無いと判断します」
アンリエッタ姫は、クジャから視線を外して、ウェールズ王子に向き直ったんだ。
そこには、疑いや当惑っていったものはちっとも感じない。
クジャを信用している……?
だって……だって……クジャだよ?なんで、信用してしまうの?

「……ウェールズ。今すぐ愛を誓えとは申しません。それに、申せません……だから、せめて……」
「誓おう、アンリエッタ。必ず帰ってくると!」
そう言って手を取り合う王子さまとお姫さまから視線をクジャに戻す。
ボクは、せめてボクだけは、絶対に騙されるつもりは無い。
「クジャ!答えて!お前、一体……!」
「――真実を知りたければ、ついて来なよ。もちろん、その覚悟があればだけどねぇ?」
ボクの考えていることに答えているようで、全然答えていない。
ボクを見ようともせず、クジャは空の一点を見た。
「真実だって?」
「――そうさ!真実を求め、いざ旅立つとしよう!」
大げさな手振りで、空の何かを呼んだ、そう見えたんだ。
「うわっ!?」
風が巻き起こる。
湧き立つような虹の柱を尻目に、堂々とそれは舞い降りた。
カラスのように真っ黒で、いくつもの風を巻きつけたそれは。
「ふ、船!?」
船。そう、まさしくそれは飛空挺だった。
ボク達の世界にあるのに近い、でもちょっと違うけど、ともかくそれは飛空挺だったんだ。
「こいつぁー豪勢だなぁ」
デルフが口笛でも吹きそうな感じでとぼけてそう言った。
デルフは、何とも思ってないのかなぁ?
いつも、『嫌な予感がする』とか『おもしろくなってきた』とか言うのに……

「皆さま、終幕の舞台へご案内いたしましょう!暴かれる真実の終幕へ……」
少なくとも、ボクは嫌な予感がしたんだ。デルフじゃないけども……
クジャの舞台挨拶みたいな大げさな身振りと、闇夜のように真っ黒な飛空挺、
歪んだ虹色の光の柱、それと……『真実の終幕』っていうのに……


----
ピコン
ATE 〜英雄と言ふものは〜

「な、なんだこれはっ!?」
三百メイルも離れていないところまで、彼は来ていた。
英雄らしからぬことに、彼は出るタイミングを失っていたのだ。

「び、ビビ君?ルイズ?え、っと……それと誰だ、あれは?」
少々距離があるために、個人の特定まではできない。
英雄らしからぬことに、彼はそれ以上近づくことを躊躇っていた。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:54:44 ID:3nprSp7y
>>224
続けよう、とするからネタに詰まって書けなくなる事もある
一度読み切りなり、ギーシュ/フーケ戦辺りでオチがつく3〜4話程度の短編なりで書いてみたら?
237ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/24(土) 16:54:45 ID:3UA++kaz
「大体なんなんだ、あの物体は!?風車か?」
ただ、この距離でも天に昇る虹光の渦と、漆黒の回転する羽を持ったそいつは見えた。

「乗り込んでいく……ってことは乗り物か。船のようなものか?」
トンガリ帽子の少年や、桃色の髪の毛の少女が、銀髪の人物に導かれて乗り込んでいく。
少なくとも、あれは乗り物である。
車輪が無いし浮いていることから、空を飛ぶ類の乗り物であることは彼も理解できた。

「……少なくとも、ただごとじゃぁ無さそうだな」
虹色の光の柱。
流石に頭の鈍い彼でも、それを『不吉』と直感できないほど鈍くは無い。
何かが起こっていることは理解できた。

「(モンモン、すまないね)」
そっと、恋人に謝る。
危険を直感したためだ。
そんな場所に愛する人を連れてはいけない。
つい先日だって、エルフとの戦いで危ない目に合わせたばかりなのだ。
もうあんな恐ろしい目で彼女を泣かせたくなかった。

だからといって、ここで退くわけにはいかない。
何故なら。
「ギーシュ・ド・グラモン!ビビ君のライバルとして!ここで行かねば男が廃る!」
ギーシュはメイジである。貴族である。そして何より、男の子である。
カッコ悪くなるようなことを進んでやるような男の子など、この世には存在しないのだ!

都合の良い(あるいは悪い)ことに、
彼女の恋人や、その友人でもある2人の学友はまだ青髪の少女の屋敷に残っている。
ギーシュは少々退屈になったため、一人散歩に出ていた。
つまり……今、彼の志を止める者は誰もいないのだ。

ギーシュは走った。
件の黒い巨大な乗り物が飛んでいく方向に。
「『錬っ金っ!!』魔導アーマー装着っ!!」
ギーシュは跳んだ。
足を『錬金』による魔導アーマーで強化して。
「とりゃぁあああああっ!!――おっとっとっととぉぉ!?わわわわっ!?」
ギーシュはしがみついた。
若干バランスを崩しながら、乗り物の翼の付け根に。
「ふ、ふふん!こ、この僕にかかれば朝飯前だね!」
ギーシュは笑った。
冷や汗をかきながら、ニッと笑って見せた。

英雄と言うものは、必ず遅れてやってきて、自分から事件に首をつっこむものだ。
どこかの誰かが、そんなことを言っていた。
それはまさしく、ギーシュ・ド・グラモンのことを差していた。

漆黒の船は闇夜を駆ける。
どこに向かうのか、何が目的なのか、ギーシュは全く知らないままに。
238ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/24(土) 16:55:32 ID:3UA++kaz
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投下完了です。
60幕、コツコツ続けて、やっと舞台が整った形です。
思えば投下開始からおよそ1年ですか。こんな駄文にお付き合いくださいましてありがとうございます。
これから色々ツッコミどころ増えて参ります。
笑って許してとは申しません。もう毒でも卵でもぶつけてください。
さて終幕、参りましょうか!
では、お目汚し、失礼いたしました。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 16:56:16 ID:3nprSp7y
うは、投下中になってた
支援します
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 17:00:38 ID:FUsNNdtm
魔道アーマーって便利だなぁwww

>>236
ごめん、短編なんだw
それでもなんか頭の中で納得いく文章が浮かんでこない
人が葛藤してそして壊れていく過程を書くのって難しいっす
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 17:31:42 ID:/a1aIQLx
おそらくゼロ魔二次創作における、死亡フラグ回避率第一位のギーシュ。
傍から見れば自爆そのものの行為なのに、何故か期待をさせてくれますね。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 17:53:52 ID:tibdYTDV
乙。ガリア組が黒幕かと思えばロマリア組が黒幕なのかな?
続きも続いたり60話。期待に胸を膨らまさざるを得ないな。
ビビ−クジャ間のわだかまりをどう解消するのか、その辺りも多いにきになる。
頑張ってくださいー
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 18:55:56 ID:NGwNnx+R
乙。

しかし、『○○ったんだ』とかいう言い回しがやけに多いな。
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 19:37:58 ID:llaV8gw5
黒魔さんはそういう作風なのです。
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 20:09:14 ID:h1OZY+fr
ジルオールのネモとか召喚したら、ギーシュが通いつめそうだよな(好感度確認的な意味で)

そしてほとんどの答えが「ま、お友達ってとこだな」と言われてガックリ力尽きる。
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 20:27:40 ID:H80ixcuB
ジルオールか…
キャラ立ってるヤツが多いから誰喚んでも面白そうだね。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 21:33:47 ID:ZS0vRy6S
黒魔さん乙です。
俺の待ち望んだクジャが来てくれたので思わずクジャのテーマ再生。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 21:59:57 ID:l77CGHPA
>>246
無難そうなのは、ゼネテス・アンギルダン・エステルかな
シャリ来たら始祖の願い等を叶え、色々面白くなりそうだが
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 23:22:51 ID:/TPxrIwK

ギーシュ、ゴキブリのよーなまねを…
けど、だからこそギーシュらしいな。
かっこわるいけどかっこいい、富樫や虎丸、ウソップみたいなキャラだよなあ。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 23:39:09 ID:ySkvXmGw
ゲス野郎としてワルドやモット伯が死ぬ展開はあるけどさ
ビッチなアンアンが死ぬ話は見た事がない
話の展開として無理なのは腐っても女王だからか
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 23:39:32 ID:7XujSBiG
右京「ああっ、僕とした事がこんな落とし穴に引っ掛かるなんて・・・・ところで、最近は黒マントが流行なんでしょうか?」
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 23:51:23 ID:UMggQx6t
特命係にお帰りください
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 23:54:54 ID:5SOzzuBX
右京さん強いからけ、きっとガンダ補正はいったら相当になるなw
右京さんとルイズの相棒というのは面白そうだな、書くのは相当難しいだろうが
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:00:08 ID:AFs1Tna/
ドラゴン使い兼チート使いことワタルさんを召還
どんなチートをみせてくれるのだろう
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:17:29 ID:FEp39jQC
>>250
ビッチビッチ過剰に騒いでるのが外野ばっかだからじゃないかな
ホイホイ問題イベント起こしてくれるとやりやすいからやってるだけで、書き手にそこまでのアンチはあんまし居ない気がする
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:20:12 ID:C4MEkHYU
アン様はビッチじゃなくてどうみてもビッチな聖女だし
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:27:09 ID:IphjHNwo
血を吐く方の人かと思った>右京さん
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:27:20 ID:SI02/tT6
>>250
大幅に設定改変してみたらいくらでも可能なんだがね

例えばアンアンが虚無の使い手で、タルブ編で怒りに突き動かされて自ら攻めてたら
ワルド辺りに殺られて、その時初めて使い手がルイズに移動とか
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:28:00 ID:lK57F7VG
というか、アンアンを本気で嫌いな人はそもそも出番をあげない気がする。

昔からよく言うだろう。好きの反対は嫌いではなく無関心だって。
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:30:35 ID:FEp39jQC
それだと嫌ってなくね
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:35:30 ID:fc1r30VR
わげものだば、「ほんずなし」ば「ビッチ」ってすだな?わいは、すらねすてあったじゃ。

(若い人達は「愚か者」のことを「ビッチ」と言うんでしょうか?まあ、知りませんでした)
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:36:49 ID:mZn0fkEf
一応、サイトにちょっかい出した(?)ことに由来するんじゃなかんべか
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:47:02 ID:B2qjzMaf
最初の段階でウェールズに惚れてなければ
口さがない者にビッチなどと呼ばれる事も無かったであろうに。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:53:05 ID:6i1fPGZ4
あーーー早く原作の方進んでくれねーかな

話を膨らませづらいわー
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 00:55:38 ID:lHHT8Gxg
個人的には本編終わってくれ!と思ってる
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:07:42 ID:SI02/tT6
普通にいうが、嫌いだからすぐ殺しちゃうってのは少しナンセンス。

親しい人達がみな死に、自分に自信のある人ならステイタスをトコトン落とす。
美貌に自信がある人なら顔を傷付ける。プライドが高い奴なら家畜同然の扱いをする。そんな感じ。
そんで周りが可哀想だ可哀想だとすり寄ってくると悲劇のヒロインぶってウザいから周りはみな無関心。
つまり完全に孤立させる。

本気で嫌いならすぐに殺さないで最低こんくらい、いや確実に上記以上のことはするよ、
と、特殊な性癖を持つ俺が言ってみる。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:08:18 ID:9a3CQMIw
>>264
>>265
ノボル「残念だったな!まだまだ引っ張りますよ〜wwww」
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:11:26 ID:mZn0fkEf
ノボルもだが、真にそれを言いたいのは出版側であろう
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:13:27 ID:si/G+E43
チャーリーを脳内召喚してみた
チョコマカドタバタ動いて楽しいんだが、しゃべってくれないからSSにならん
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:19:05 ID:uX79KXyc
>>266
特殊な性癖と自覚してるのに普通にナンセンスと反論するとはこれ如何に
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:38:56 ID:+1wTadFV
Louise and Little Familiar’s Orderってのを読んだがあのルイズのゴミさ加減には血管ぶちぎれそうだわ
作者はアンチを増やしたいのか?
ルイズへのSEKKYOUはイベントで流されていいわいいわになってるし、なんかルイズが基地外のままでいさせようとするみたいでうざすぎる
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:49:50 ID:JG3W1VSX
こんばんは。時刻は丑三つ時。予約がないようなら5分後に投下します。

真・女神転生からカオスヒーロー(悪魔合体後)を召喚します。
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:51:42 ID:m3NUpPXG
おおカオスヒーローだ!
二人目だ!
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:54:12 ID:uX79KXyc
合体後とは支援するしかない
275カオスヒーローが使い魔:2009/10/25(日) 01:55:26 ID:JG3W1VSX
それではいきます。
「カオスヒーローが使い魔」


暗い廊下の向こうから強い力の波動を感じる。地獄の魔王達を滅ぼしてきたのか・・・。
でなければ此処、カテドラルの最深部にはたどり着けない。

かつて弱者だったその者は、廊下の向こうを見据えて拳を握る。
俺は誰にも負けない力を手に入れた。力を手に入れるためなら何だってやった。
それこそが俺の生きる意味。そして世界の掟。力こそ正義なのだ!

剣を鞘から抜く。自然と持つ手にグッと力がこもる。さあ、来い!かつて親友だった男、そして
俺の最大の宿敵!お前を倒し、俺はさらに強くなる!

「俺は力を手に入れた。もう誰にも負けない!」

そう言い終わると目の前にアイツの姿が現れた。神を殺し、悪魔を使役する男。
人間のくせに、人間離れした力の持ち主。迎え撃つは人間をやめ、その身に悪魔の力
を宿す混沌の化身。互いの力は計り知れない。

調和とバランス。自由と混沌。二人の信念をかけた死闘が今はじまる・・・。


はずだった。



東京とは違う世界。そこはハルケギニア。魔法を使う貴族が魔法を使えない平民を支配する。それがハルケギニアの秩序。
そんなハルケギニアにカオス属性の魔人が呼ばれてしまったようです。
276カオスヒーローが使い魔:2009/10/25(日) 01:56:25 ID:JG3W1VSX
ハルケギニアにあるトリステイン国。そこにある魔法学院では貴族の子供達が魔法や礼儀作法を学ぶために、日夜勉学に
勤しんでいる。そこで新学期に行われる「春の使い魔召喚の儀」。
順調に生徒達は新しいパートナーを召喚し、安堵の表情に包まれている。残る生徒はあと一人。だが・・・

最後に残された少女が目を閉じて集中し、呪文を唱え始める。異変はその時すでに起こっていた。
春の日差しが心地よい暖かさであったのに、突然寒気に襲われた。生徒達は季節の変わり目だしまだ冷たい風が吹いても
おかしくないと、あまり気に留めなかった。
さらに少女が呪文を唱え続けると、何故か身体が震え始める。
あと少しで呪文を唱え終わる頃になってその場にいた全員の頭に同じ言葉が浮かんだ。


<とてつもなく恐ろしい悪魔の気配がする・・・>


呪文を唱え終わった少女の頭に声が響いた。


―ここに、とどまりますか?


少女は目を開き、頭の中でこう答えた。

―もちろんよ!


さらに頭の中に声が響く。

―― ほ ん と う に 、 と ど ま り ま す か ?

ゆっくりとそれでいいのか、本当に後悔しないのかと聞き返してくる声。そんな事をいわれると決意が鈍る。
もしや自分はとんでもない間違いをしてしまったのか?自信が崩れ不安に襲われた時、少女は選択を変えようとする。

―や、やっぱりやめるわ!



・・・・・・・・




―― 逃 げ ら れ な い !
277カオスヒーローが使い魔:2009/10/25(日) 01:57:47 ID:JG3W1VSX
そしてドーンという爆発。一体何が来るのか全くわからない。得体の知れないものを呼び出してしまうよりは、失敗のほうが
いいとこの時ばかりは思ってしまった。

爆発で巻き起こった煙が晴れると、そこに現れたのは見たことも無い格好をしている人だった。


「何だここは?」
何が起こった?さっぱり理解できない。ついさっきまで海に浮かぶカテドラルに居たはずだ。
それがどうしてこんなところにいる?アイツの仲魔が使った幻術か?頭上には青い空が
果てしなく広がっている。地面には草が生えている。ここは東京なのか?だとしたら
いつ洪水の水が引いたんだ?空だって霞んで汚れていて青空なんて最後に見たのは
大破壊前だ。

「ちょっとあんた」
いきなり後から声がする。反射的に跳んで相手と距離をとる。チッ、なんてザマだ!
今のが悪魔からの攻撃だったら確実に致命傷だ。
殺気全開、戦闘体制、目標補足・・・?

「あん?」
気の抜けた声が口から出てしまう。自分の後にいた奴の正体はピンク色のド派手な頭をした
チビのガキだった。その後には同じ服を来た奴らがこっちを見ていた。制服か?まるで
学校みたいだな。

「アンタ誰よ?」
ピンク頭のチビが話しかけてきた。
「お前こそ誰だ」
「質問に質問で返すんじゃないわよ!」
そこにハゲ頭のオッサンが割り込んできた。
「ミス・ヴァリエール、やめなさい」
鋭い眼光でこちらを伺っている。このオッサン、少しはやるみたいだな。無造作に立っちゃいる
が、手に持った杖で何時でもこっちの行動に対応できるようにしている。
しかし悲しいかな、彼との実力の差は明らかである。

遠巻きに見ていたトリステイン魔法学園の生徒はピンク頭の少女が召喚したモノが放つ異常な
波動にほぼ全員が青ざめいていた。それは生まれて初めて味わう殺気。近づくな、見るな、
早く逃げないと死ぬぞ、という恐怖に捕らわれているのだ。
「ゼロのルイズが失敗でとんでもないものを呼び出してしまった」
みんなの頭にはそう浮かんでいた。

「生意気な平民ね!逆らうとッ!」
ピンク頭の少女、ルイズが言い切る前にその口をハゲ頭のオッサン、コルベールが手で塞いでしまった。
「失礼・・・大変失礼なのですが貴方は何者なのでしょうか?」
出来るだけ彼を刺激しないように質問する。表情は平静を装っているが、全身から緊張による汗が噴出し、
コルベールの顔は汗が雫になって垂れている。
278カオスヒーローが使い魔:2009/10/25(日) 01:58:52 ID:JG3W1VSX
「悪いが先にこっちの質問に答えてもらうぜ。ここはどこだ?洪水の水は何時引いた?」
「・・・ここはハルケギニアのトリステイン魔法学院です。洪水は私の知る限り起こっていません」
「はるけぎにあ?・・・おい、東京じゃないのか?」
「トーキョー?どこの国でしょうか?」
「カテドラルはどこだ?」
「なんですかそれは?・・・申し訳ないがそろそろ貴方が誰か教えていただけますか?」

最初、答える気は無かったが敵ではなさそうだし、仮に刃向かって来ても余裕で倒せるので教えて
やる事にした。

「俺は魔人だ」

その答えを聞いた瞬間、コルベールの手で塞がれていたルイズの口から歓喜の叫び声が飛び出した。
その答えを聞いた瞬間、コルベールは顔面蒼白になり抑えていた体の震えが止まらなくなった。

「おい、俺はどうしてここにいる?」
その質問に歓喜の表情で意気揚々とルイズが答える。
「感謝しなさい!私が使い魔召喚の儀式でアンタを召喚したのよ!!」
仁王立ちのポーズをしながらその台詞を言い終わったとき。あたりの気配が変わってしまった。
まず全く物音がしなくなってしまった。さっきまでは風が吹けば草木がざわめき、鳥が鳴いていたのに。
空気が鉛のように思い。体を動かそうとするとまとわりつき、体の運動を妨害する。
そしてものすごく寒い。ルイズ、コルベール、クラスメートの全員がガタガタ震えていた。

「この俺がッ・・・ガキの使い魔に、召喚されただと・・・?」
みんな死ぬ。ルイズのバカが逆鱗に触れやがった。クラスメートはそう思った。
だめだ、これほど強力な相手に私では生徒を逃がす時間稼ぎにすらならない。コルベールはそう思った。
何よこれ。何で私、自分の使い魔に怖がってるのよ。ルイズはそう思った。

コツン、コツンと静かな足音を立てて死を運ぶ魔人がルイズの前に立つ。彼の怒りは最高潮。
怒りの真っ赤なオーラが彼の全身から溢れ出し、ユラユラと空間を捻じ曲げ、物が歪んで見える有様だ。
魔人が静かに抜刀した。右手に持った剣を高く振り上げる。誰も動けない。それが当たり前のように
違和感無くその光景を見つめる。
ルイズは最後に魔人の目を見た。怒りで激しく血走っている。顔は半分、マスクで覆われているので見えないが
その表情は悪魔も逃げ出すほど恐ろしいに違いない。

魔人もルイズの目を見た。見えてしまった。ルイズがそのまま顔を伏せていれば剣は首を刎ね飛ばしていた
だろう。魔人は見た。少女の瞳にある、力への渇望を。

―――これは力を求める渇いた魂。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:58:56 ID:7+2MJWQA
>>254
ポケモンのワタルは、金銀でロケット団員に向けて破壊光線ぶっ放させたとき、
コイツはロケット団よりもやばいんじゃないかと思った。
280カオスヒーローが使い魔:2009/10/25(日) 02:00:51 ID:JG3W1VSX
何故かそんな声を魔人は聞いた。そしてふと人間だったころの自分を思い出した。
無力で弱くて何も出来なかった自分。そんな自分が嫌で、とにかく力を求めたあの頃。
何故だろう、そんな自分と目の前のガキが重なって見えるのは。
「・・・力が欲しいか?」
「ほ、欲しいわ。誰にも負けない強い力がッ!」
精一杯の勇気を振り絞って答えるルイズ。魔人は動かない。
「力を手に入れてどうする?」
「いつも私をバカにして見下していた連中を見返してやりたいのよ!その為なら何だってするわ!もう
魔法を使えない出来損ないの貴族だなんて言わせない!」
「何でもするか・・・いい覚悟だ。」
そして魔人は剣を納めた。
「お前見所あるぜ。いい機会だから遊んでやる。ここが何処かもわからねぇしな」
ルイズの表情が輝く。
「ってことは、使い魔に」
「ならねぇよ。少なくとも俺より弱い奴の使い魔にはな」
そして一気に落胆する。
「期待させといて、それを裏切る。基本戦術。」
見ていたタバサがポツリとそんなことを言ったが、誰にも聞こえなかった。

「俺は魔人 カオスヒーロー 今後ともよろしく・・・」

とても強いけど、変な名前だ。思っても誰も口には出来なかったのは言うまでもない。
281カオスヒーローが使い魔:2009/10/25(日) 02:02:34 ID:JG3W1VSX
今回はここまでです。それではおやすみなさい。
お休みのあいだ、悪魔に体をのっとられないようお気をつけて。
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 02:04:36 ID:m3NUpPXG
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 02:16:12 ID:8XHEatex
>>271
ルールを守れないなら来るな
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 02:17:49 ID:OFjv/mbq
乙。カオスヒーロー的にはルイズの心情は痛いほど理解できるだろうな。
このコンビが今後どうなっていくのか大期待。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 03:20:03 ID:Ev5D3cqe


カオスヒーローの登場演出に吹いたw
まあ曲がりなりにも魔人だから間違いじゃないわな
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 04:04:25 ID:iRx+Zhal
カオスヒーロー乙
文章もいいし、楽しみにしてます
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 07:45:47 ID:KfYSHvu3
乙でした。
投稿終了時の下りと言い、作者さんは良くメガテンを解ってらっしゃる。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 08:11:59 ID:afIZGCLq
>>268

最近の漫画は原作でドラゴンボールZ級の引き伸ばしだから質が悪い。
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 08:47:00 ID:5KYav06A
>に げ ら れ な い !
ですよねーw

真1は未プレイだから彼がどんな道を歩んだのかは
知らないけど、SJでもカオススタンスは割と好きだったから期待しちゃう
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 09:27:21 ID:Ub4Rv0Hs
真1はマジ名作。
3Dダンジョンが苦にならないんだったらプレイするべし。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 09:47:49 ID:hfo9u8zd
SJも発売されたことだし、DSで1,2ともにリメイクしてくれないかなぁ
悪魔増やしてさ…なかなか手に入らないんだよね

それはともかくカオスヒーローこんごともよろしく
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:23:11 ID:5KYav06A
>>290
探しても見つからんのよねぇ。

マニアクスからアトラスワールドに入ったんで
昔のネタについていけないのが悲しい。
真2はドミ版があったりしたけど流石にアレには手が出せなかったw
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:37:19 ID:OFjv/mbq
>>289
ネタバレ上等なら避難所のスレで聞いてみるとか、
ウィキペディアとかそっち系の所で探してみるのもいいかもな。
この主人にしてこの使い魔あり、って感じで俺はなるほどと思ったよ。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:41:45 ID:Ub4Rv0Hs
>>292
あー。GBA版はプレミアついちゃってるからなーw。
スーファミ版ならバーチャルコンソールでダウンロード販売してるけどさすがに今更スーファミ版をお勧めするのはきついw
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:44:21 ID:4w3vCAac
そっか、確かに『力を求める渇いた魂』だよな…文字通り自分に合った使い魔を呼んだわけか。
…ただよりによってあの時あの場から呼ばれた不快感は、いいんだろうか?
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:47:53 ID:MSsB+w5S
カオスさん乙
ルイズさん、浮かれる気持ちもわからんでもないですが相手見て空気読めw
ロウやヒーローはどうなってるんでしょうねぇ、どうやらニュートラルルート進んでるようですが
ロウが出てくる場合はやっぱロマリアなんでしょうけど
>>292
真1も中古店で探せばPS版なら結構ありそうな気がしますけど
最近PSはコーナー縮小してるから見つからないのですかね
リサイクルショップの片隅にもゲームとかありますんで、よければそっちも当たってみるとよろしいかと
普通のゲームショップより格安ですよ

ハザマ召喚とか何度か考えたけど
ED後のアキラだったらどうだろなぁ、小説だと人間の姿にも戻れると取れるのだが
ハルケに呼ばれて場違いな工芸品の中にバイクがあって喜んだり
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 11:12:39 ID:TPFS+7jZ
アポロガイスト召喚でルイズびっくり
マントしてるし魔法衛士隊っぽいレイピア装備してるしで、
普通に仮面の騎士だと思ってくれそうなのだ
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 11:22:29 ID:vWxUxZwp
魔人カオスヒーローにシンパシーを抱きそうなキャラも、神人ロウヒーローに共感しそうなキャラもいるけど、
超人ザ・ヒーローとともに歩めそうなキャラはいないよな、ハルケ世界って。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 11:32:59 ID:gp0oxeIr
ジャックフロスト、ジャックランタン、ジャックリパーを召喚とか。
フロストはタバサが、ランタンはキュルケが、そしてリッパーはルイズ。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 11:45:22 ID:Ub4Rv0Hs
そしてタバサの中にある憤怒や憎悪を吸ってジャックフロストがじゃあくフロストに進化するんですねわかります
愛を知ってもじゃあくフロストになるらしいけど

そしてランタンにも進化系を〜w
え?ルイズ?ジャック少佐でも呼んでればいいよ。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 11:46:03 ID:MSsB+w5S
>>294
スーファミ版といえば
カオスヒーローの合体で組み合わせによっては時に致命的なバグが発生する可能性があるとどっかで見たな
魔法だけ全部覚えてるけど後はMP初めとしてカス以下の能力になっちゃってハマったとか・・・
>>298
そんな本来合わなそうな奴らも抱え込めるのがニュートラルクオリティ・・だと思ってる
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 12:34:38 ID:ndImFmRo
>>297
ルイズを花嫁にし虚無の担い手のライフエナジーを吸収して
ハルケギニアで最も迷惑な存在になろうとする未来しか見えないのだ
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 13:15:26 ID:KfYSHvu3
小ネタにルイズが閣下喚んでるのが有るけど、アンアンが閣下召喚とか読んでみたい。
頂点に立つ者の心構え(如何に下に丸投げして自分はさぼるか)を伝授する閣下。
最後は連れ戻しに来た財務大臣に捕まって強制送還。

番外編は魅惑の妖精亭にてマザさんと財務大臣の愚痴り合いw
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 13:37:02 ID:QYEDn1mQ
>261
ほんずなし"ば"じゃなくて、ほんずなし"どご"な。
ばだと、〜は、〜をだぜ
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 13:50:36 ID:hfo9u8zd
ダークヒーローことフロストエースが仇を追ってハルケギニアに颯爽と登場
強さを求めてはや数作品じゃあくフロストのじゃあくんが強いやつを求めてやってきた
皇帝陛下万歳!!フロストキングが世界氷結の野望を胸に、ご光臨召された!
サマナーに憧れ召喚術を身につけた、尖るもみ上げのライホウくんがまだ見ぬ仲魔に会いにきた
進化する究極のスーツを身にまとい、バースの調査はお手の物、ないたりわらったりできなくしてやる!デモニホ見参!

いやぁ〜フロスト一族は無限の可能性を秘めていますなぁ
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 13:55:48 ID:RfChbWBV
>>306
大魔王にすら匹敵する力を持つ最強のフロスト、ルシファフロストも忘れるな
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 14:09:17 ID:hfo9u8zd
>>306
安価ミスってんぞww
そんなのもあるのか!すごいなフロストって
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 14:14:26 ID:lDRQ6FKl
メガテンは全くやった事ないが、ドラクエのスライムみたいなもんか
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 14:16:33 ID:hfo9u8zd
>>305
キングフロストの間違いだった
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 14:29:44 ID:RfChbWBV
>>307
安価ミスってたな…言われるまで気付かんかった…

GBA版デビルチルドレンで隠し仲魔として出てるな
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 14:46:59 ID:C4MEkHYU
フロストキバトドスのことも思い出してあげてください
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 14:53:52 ID:ryxg6Cou
ランタンとリッパーも思い出してあげて!
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 15:26:37 ID:7UXSFob0
シャ○ア「フロストと言うなら何といっても」
オ○バ「僕たちの事を忘れてもらっては困るよね兄さん。」
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 15:33:29 ID:jm0IYPdv
カテゴリーFは不要です
315ウルトラ5番目の使い魔:2009/10/25(日) 15:45:53 ID:VOpSYAr9
ねこ舌星人グロストの名前はフロストをもじったのかな?
こんにちは皆さん、10月もあっという間に終わりですが、今月最後の投下を開始したいと思います。
問題なければ10分後より開始します。
316ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (1/13):2009/10/25(日) 15:56:46 ID:VOpSYAr9
 第71話
 死を呼ぶ黒い二枚貝
 
 円盤生物 ブラックテリナ 登場!
 
 
 破滅は、あまりにもあっけなくやってきた。
 あと一日で、アルビオン王党派とレコン・キスタが全面衝突しようとしているとき、
才人とルイズたちは、その両陣営の決戦を利用して恐るべき計画を進めているで
あろうヤプールの企みを看破するべく、手を尽くしてその影を追っていた。
 しかし、彼らの予想を裏切って、事態は最悪の展開を迎えた。
 
「総員戦闘準備、すべてのメイジと兵士はただちに配置につけ!」
 けたたましくラッパの音が鳴り、風魔法で増幅された声が放送となって、王党派の
陣地を駆け巡り、それを聞いた兵士が前線へと駆け出し、平民たちは店じまいを
して避難所となっている南西地区へ走っていく。
 それが、始まりであった。
 
 そのころ、才人たちは兵士の姿に変装して、前線の陣地の中を調べていたが、
突然の戦闘配置命令にとまどっていた。
「おいお前、これは何事だ?」
 アニエスは、近くを走っていた立派な鎧をまとった曹長クラスと思える兵士を
一人捕まえて、事情を問いただした。普通なら、ここで「邪魔だ!」と怒鳴り
つけられるところだが、威圧感満点のアニエスに襟首を掴まれて睨まれると、
その兵士は驚いて説明を始めた。
「よ、予定が早まったんだ。レコン・キスタの連中が一日早く動くって情報が
入って、こっちも動くことにしたんだそうだ!」
「なんだと? それは確かか」
「そ、そうだ。これからウェールズ皇太子ご自身が陣頭指揮なさるそうだ!」
 その曹長の階級章をつけた男は、言うだけ言うと、アニエスの手を振り切って
前線のほうへ走っていった。残された六人にも、等価の緊張が駆け巡る。
彼らは元来、予言や運命めいたことを本気で信じるようなことはしなかったが、
このときは、いわゆる運命の時がやってきたことを肌で感じ取っていた。
「どういうこと? 決戦には、あと一日時間があるはずじゃなかったの」
「バカねルイズ、多分ミシェルを殺しそこなったから、予定を早めたのよ。まさか、
人間一人に逃げられた程度で、ヤプールが予定を変えるとは思わなかったけど、
隊長さん、これは好機では?」
 キュルケの問いかけに、アニエスは強くうなずいた。
「ああ、まだ陰謀の全容を明らかにできていないのは痛いが、こうなれば
水際で食い止めるしかない。意表をつかれたのは事実だが、向こうも
準備期間を短縮して事を起こしたのだ、用意が完璧なはずはない」
「ええ、ヤプールがなにかを仕掛けてくるとしたら、このタイミングしかない
でしょうしね。ウェールズが出てくるってことは、決戦しかないんだもの」
「ああ、ともかくここを出よう。このままでは身動きがとれん」
317ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (2/13):2009/10/25(日) 15:57:39 ID:VOpSYAr9
 一同はうなずきあい、巻き込まれては大変と前線から脱出を始めた。
 
 しかし、彼らが行動するよりも早く、敵は次なる手を打っていた。
 
 再び、風魔法での放送が陣地全体に流れ、ウェールズの演説が始まると、
彼に心酔する将兵たちはすぐに聞き入りはじめた。
 
「我が忠勇なるアルビオンの勇者諸君、いよいよレコン・キスタとの決戦の
ときが迫った。まずは、ここまで私を連れてきてくれた諸君らの忠誠心に
深く感謝の意を表しよう。しかし、我々はまだ勝ってはいない、諸君らに問う、
この内乱はなぜ起きたのか、そう、一部身の程をわきまえない貴族たちの
邪悪な野心によってだ。それが、この国を傷つけ、始祖よりこの国を与えられた
王家の誇りに泥を塗ったのだ。今こそ我々は、この国を正統なる形に戻す
ための正義の杖となって戦わねばならない」
 
 傍から聞いていれば白々しいが、熱っぽさを増していくウェールズの声に
呼応して、兵士たちからも共感と興奮の叫びが響いてくるのを、人の壁に
阻まれてウェールズの姿が見えない才人やルイズたちにもはっきりとわかった。
「な、なんなのよこの空気は?」
 人間同士が戦う戦場などははじめてのルイズは、たちこめる異様な熱気に
本能的な恐怖を感じはじめていた。アニエスやミシェル、ロングビルには
経験があるが、やはり何回感じてもいい気分はしない。
「集団心理、あるいは群集心理というやつだ。人間というものは、群れから
排除されまいとするために、本能的に周りの人間がおこなっていることに
合わせようとする心理が働くんだ」
「にしたって、これは……」
 ミシェルの説明にも、ルイズはとまどうばかりだが、周りからはすでに
「ウェールズ皇太子万歳」「アルビオン万歳」「勝利を我が手に」などに
混ざって、「反逆者に死を」「我らこそが正義」「天誅を下すべし」といった
正気を疑いだすような言葉が聞こえ出し、群集から理性が消失しはじめ
ているのが感じ取れた。
「人間の理性というのはもろいものだ。十人のうち八人が蛮行をおこなえば、
残りの二人が善人だとしてもたいていは八人に従う。お前にも、似たような
経験の一つや二つはあるだろう」
 そう言われると、ルイズや才人にも心当たりはあった。学院でルイズが魔法を
成功させられず、ゼロと侮蔑されるとき、笑い出すきっかけを作るのは数人だったが、
それが五人、六人と増えていき、やがては教室中が合わせたように笑っていた。
 才人も、学校で掃除当番だったとき、一人がさぼりだしたら、誰かが
まねをしだし、やがて普段まじめな者も、自分もさぼらなければいけないのでは
ないかと、掃除をやめていた。
 これらは小規模なものだが、政治や戦争ではこの群集心理が最大限に
利用される。要は一種の催眠効果だが、最高指導者が憎め、殺せ、我に従えと
いう声が、偉い人が言っているから、周りの人もやっているから、これは悪いことでは
ないのだろうと、個々人の理性もモラルも破壊して、一人の意思がそのまま
群集の意思に摩り替わってしまうのだ。
 もっとわかりやすい例をあげれば、『赤信号、みんなで渡れば怖くない』である。
「どうやら、ウェールズという奴には、扇動家としての才能があったらしいな」
 いつの世でも、大衆の最大の支持を受けるのは、彼らに甘美な夢を見せて
くれる者と相場が決まっている。その点で言えば、ウェールズは容姿や
発声などが、英雄活劇に登場する、悪大臣を倒して国を救う王子様という、
大勢の人々が思い描く英雄像にぴったり合致するから、何の抵抗もなく
人々に指導者として受け入れられたのだろう。
318ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (3/13):2009/10/25(日) 15:58:26 ID:VOpSYAr9
 しかし、それはよい方向へ向けば、歴史を建設的に動かす原動力と
なるが、ひとたび邪悪な野心を持つものがやれば、略奪や殺戮を正当化
する最悪の盗賊集団を作りかねない。そしてこの場合、どう考えても
後者のようだった。
「これは、無理してでもウェールズを抑えておくべきだったか」
 熱狂の度を上げていく群衆の声を聞いているうちに、アニエスは王党派の
軍を離れて、遠くに見えるところで歩を止めていた。ここまで興奮の度合いが
上がってしまえば、前線に戻ることは危険だと判断したのだ。しかも、歓声は
王党派軍だけでなく、後ろからも聞こえてくる。つまり、平民たちもウェールズの
声に乗せられているということになる。
 恐らくは、レコン・キスタ陣営でも似たようなことがおこなわれているはずだった。
戦いを始めるにいたって、自分たちを絶対正義の使途、敵を絶対悪の非人間
だと思い込ませ、殺人の罪悪感を消し去るのは古今東西戦争の常套手段だ。
 風に乗ってやってくるウェールズの言葉は、いつの間にか洗練されたものから、
レコン・キスタへの憎しみをむき出しにしたものへ変わっていた。「国を奪った
レコン・キスタの豚どもを殺せ、皆殺しにせよ、やつらは人間ではない、
王家の血筋に手をかけた汚らしい虫けらだ、殺せ、殺せ、殺し尽くせ」と。
さらにその声に兵士たちの「殺せ」「殺せ」の声が連呼して続き、さしもの
この六人も背筋に蛇がはいずるような悪寒を感じていた。
 そうして、群集の歓喜が狂気へと変わったとき、それは起こった。
 一瞬、歓声がやんだかと思ったとき、それまで整然と隊列を組んでいた
軍隊の兵士たちが、貧血でも起こしたようにそろってよろめき、全体が波打つ
ように無言のままうごめいたのだ。
「……?」
 ルイズが、夢遊病患者のようにふらつく兵士たちを見て首をかしげた。
そして、よろめく兵士たちの中の一人が、離れて見守っている自分たちに
気がついたとき。
 
「敵がいるぞぉーっ!」
 
 その叫び声がとどろいたとき、それまで整然とレールの上を走っていたと
思われたアルビオン王党派の運命は、脱線してブレーキの壊れた機関車
のように暴走を始めた。
「敵を、殺せ、殺せ」
「あれは、敵だ、敵だ」
「殺せ、殺せ、殺せ……」
 力を失っていた兵士たちが、手に持った武器を次々と構えると、口々に
殺意を表す言葉を叫びながら、焦点を失った目を幽鬼のように輝かせて向かってくる。
「な、なんなの!?」
「馬鹿! 逃げるんだよ」
 もはや、手遅れだということを彼らが悟るのに時間は必要なかった。
 意味を考えるのは先だ、この状況で棒立ちしているのはバカしかいない。
踵を返して全員一目散に駆け出すが、それが引き金になったかのように、
兵士たちから鉄砲の一斉射撃が襲い掛かってきた。
319ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (4/13):2009/10/25(日) 15:59:14 ID:VOpSYAr9
「うわっ! 撃ってきやがった」
 銃弾が周囲ではじけて、鈍い音を立てる。距離があるため当たらなかったが、
その射程がアニエスを驚かせた。
「馬鹿な、この距離で銃弾が届くだと!?」
 ハルケギニアで使用されている前込めのマスケット銃の射程は、およそ
一〇〇メイルくらいしかないはずだ。それなのに、奴らの銃弾は一五〇メイルは
離れているはずの自分たちのところまで余裕で届いてきた。
 しかもそれだけではない。なんと、単発式で一発撃ったら弾込めに数十秒は
かかるはずのそれが、地球の歩兵銃のように連射してくるではないか。
「どうなってるの? こんな強力な武器じゃなかったはずなのに」
「そうか、思い出したぞ!」
 才人は、ロングビルが持ってきた武器についていたエンブレムの意味を
やっと思い出した。それは、かつてウルトラ警備隊の時代に、子供に
おもちゃの武器を配り、さらに子供を催眠状態にした上で、おもちゃの
武器を本物に変えて、子供の軍隊で地球を征服しようとした星人がいて、
そいつが使っていたのが、あの奇妙な形のワッペンだったのだ。
「なるほど、アンドロイド0指令を応用したってわけか!」
 今の状況は、そのときの状態に非常に酷似している。それで、才人には
ウェールズのそばにいるという参謀長の正体が読めた。だが、それで
事態が改善するわけではない。
「サイト! あんたそういう重要なことは、もっと早く思い出しなさいよね!」
「すまん! ほんとにすまん!」
 そうは言っても、数千ある怪獣事件を完璧に覚えきるということは簡単ではない。
それでも、アンドロイド0指令を下敷きにした作戦だというのなら、大体の
見当はつく。
「ヤプールの作戦ってのは、王党派とレコン・キスタの軍隊を洗脳して
兵隊にすることだったのか?」
 しかし、事態は彼の予想したほどに単純ではなかったのである。
 逃げる彼らの行く先に、避難しているはずの平民たちが、次々と虚ろな
表情で現れて、壁のように立ちはだかってきたのである。
 
「え……まさか」
 
 そのまさかであった。こちらの姿を見つけた平民たちは、奇声を
張り上げると、手に手に棒切れやシャベル、つるはしなどの凶器に
なるものを振り上げて、ゾンビの群れのように襲い掛かってきたのだ。
「きゃあっ、なんなのよ!」
「パニックになるな、円陣を組んで身を守れ! ミシェル、お前も手を貸せ」
 アニエスの指示で、六人は背中合わせに丸く陣形を組んで、襲ってくる
人々を迎え撃った。ミシェルも、ここに来る途中の川原で拾っていた
自分の杖を渡されて、自分を背負っているせいで戦えない才人の
代わりに呪文を唱える。
 しかし、ただの人間相手に殺すような攻撃をするわけにはいかず、
キュルケのファイヤーボールを、相手の手前で炸裂させて炎の壁を作り、
ルイズの爆発でけん制し、ミシェルが土壁を作って防御するが、
正気を失った人々は、吹き飛ばされはしても、痛みを感じていないように
起き上がってくる。
320ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (5/13):2009/10/25(日) 16:00:13 ID:VOpSYAr9
「ちくしょう、どうなっているんだよ!」
 ついさっき、ソーセージを買った屋台のおじさんが、目を血走らせて
包丁を振り下ろしてくる。その顔に、あのときソーセージを一本おまけして
くれた気さくさはなく、殺人鬼のような狂気に溢れている。
「ミス・アニエス、これじゃすぐに押し切られてしまいますわよ!」
 石を投げて応戦していたロングビルが、焦りを隠せずに叫んだ。
平民たちが操られているのは確かだが、ここで彼らを正気に戻す
方法がなくては、いずれ圧倒的な人数の差に押しつぶされてしまう。
「ミシェル、屋根の上への道を作れ!」
 アニエスに言われて、ミシェルは土魔法で地面を隆起させると、
近場にあった倉庫の上への道を作り、急いでその上に駆け上がった
あとで道を消して、追撃を絶った。
「屋根の上に逃げて、一安心か、こんな映画を前に見たな」
 才人は昔観た、地底から襲ってくる怪獣と砂漠の町で人々が戦う映画の
ワンシーンを思い出してつぶやいた。あのときは確か、トラックの屋根から
岩から岩へと逃げていたと思うが、高いところに上がって、周りを
見渡すと、もうすでに陣地全体の平民たちが暴徒化しており、逃げ場は
どこにも残っていないとわかって愕然とした。
「軍隊と、平民、合わせて十万人が、いっぺんに洗脳されてしまった
というのか!?」
 さしもの豪胆なアニエスやロングビルも、視界を埋め尽くす暴徒の
群れには平静を保ってはいられなかった。人間の心を操る魔法と
いうものはあるが、ここまでの人数を、しかも当然ながらレコン・キスタ軍も
同じように操られているであろうから、総勢二十万人を一瞬で操作するとは、
たとえエルフの先住魔法でも不可能だろう。
「隊長、見とれている場合ではありません。登ってきましたよ!」
 ミシェルに言われて、はっとして倉庫の下を見下ろすと、群集たちが
次々と倉庫の壁をよじ登ってくる。見ると、近場のほかの建物の屋根にも
人々が上がってきており、飛び移ることもできない。
「くそっ! ミス・ツェルプストー、飛んで逃げることはできんのか?」
「わたくし一人だけならできますけど、この人数を抱えて、あの距離を
飛ぶのは無理ですわ」
 アニエスは歯軋りをしたが、魔法とて万能ではないことを彼女も
よく知っており、せいぜい登ってくる暴徒を叩き落とすのが精一杯で、
それも一時しのぎにしかなるはずがなかった。
「くそっ、これまでか」
 十万の暴徒のど真ん中に取り残され、脱出する術はもはやない。
倉庫の屋根の上には、こちらが払い落とすよりも多く暴徒どもが
上がってきて、しだいに屋根の中央に追い詰められつつあった。
 しかし、六人があきらめかけたそのとき、空のかなたから耳慣れた
風竜の鳴き声が聞こえてきたのだ!
「きゅーい!」
「あ、あれは!」
「シルフィード!? タバサ、来てくれたのね!」
321ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (6/13):2009/10/25(日) 16:02:38 ID:VOpSYAr9
 まさに、天の助けとはこのことだった。タバサは、突風を起こして
迫りきていた暴徒を払い飛ばすと、すぐさま六人をシルフィードの上に
乗せて飛び立ったのだ。
「助かったわ、いいところで来てくれてありがとう」
「死ぬかと思ったわ、それにしてもでっかく借りができちゃったわね」
 やっと胸をなでおろしたキュルケやルイズが、変装用の鎧を脱ぎ捨てながら
口々に礼を言うのを、タバサはいつもどうりの無表情で。
「ナイスタイミング」
 と、だけ答えて、その後アニエスやミシェルの姿があるのを見て首をかしげた
様子だったが、才人が簡単に補足説明した。
「というわけで、今じゃ間違いなくおれたちの味方だよ。おれが保障する」
 ミシェルの素性を聞いたタバサは表情を変えることはなかったが、
才人の真剣な様子と、ミシェル自身の「だましていてすまなかった」という
言葉に、「そう、わかった」とだけ答えると、花壇騎士として常備している
特製の傷薬を黙って渡してくれた。
 
 空中から見下ろすと、すでに洗脳操作は両軍に完全に行き届いたと
見えて、眼下には死人の群れのような人間しか見えず、それらは
次の命令を待っているかのように、その場でうごめき続けている。
ここまでくれば、これまでに見つけた数々の不審な証拠や出来事が、
すべて一本の糸につながって見えてきた。
 まず、ウェールズとクロムウェルを操り、戦闘をこう着状態にした上で、
ブラック星人などを使って、平民も可能な限り集め、好待遇でウェールズへの
信頼感と、依存心を植えつける。さらに、その間に特別製の武器を持たせ、
それを持った者を洗脳する準備を整える。
「そして、集められるだけ集めたところで、ウェールズの演説で精神を
高揚させて、闘争心を昂らせた段階で操作するという計画か」
 アニエスの推理は、そのほとんどが事実を指摘していた。確かに、二十万人の
洗脳ともなれば、これだけの時間と手間をかけてでも成功させたい作戦には
違いない。だが、当然ながら洗脳とはなにかをするための手段であって、
作戦の最終目的ではないはずだ。
「いったい、これほどの人間をいっぺんに操って、なにをする気なんだ?」
 二十万人の洗脳、それは確かに想像を絶するが、問題はその手段よりも
まず、それをした目的であった。才人たちははじめ、それらの大軍団で
ハルケギニアを攻め落とすとか、集めた人間の生体エネルギーを利用
するなどと考えたのだが、群集がクモの子を散らすように、無秩序に
散開し始めると、アニエスはヤプールの目的がそれらよりはるかに恐ろしい事に気づかされた。
「そうか! なんてことだ、奴は二十万人の暴徒を、そのまま利用する気なのだ」
「どういうこと? わざわざ操った人間を、なんで手放すのよ」
「馬鹿! 二十万人もの武器を持った暴徒どもが国中にばら撒かれてみろ、
アルビオンは一ヶ月と経たずに壊滅するぞ」
「なっ!?」
 才人たちは愕然とするしかなかった。一口に二十万人といっても、
それを兵隊として扱うのならば、トリステインやゲルマニアなどの軍が
総力をあげれば撃退することもできる。しかし、無秩序にばらまかれた
二十万の獣の群れを殲滅するのは並大抵ではない。二十万人の
軍隊を倒すのと、二十万人の盗賊を捕まえるのでは、どちらがより
困難なのかは目に見えている。
322ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (7/13):2009/10/25(日) 16:03:23 ID:VOpSYAr9
 アニエスやミシェルも、レコン・キスタなどとは比較にならないほど悪辣な
ヤプールのやり方に、怒りを覚えた。
「おのれ、なんて卑劣なことを考えるのだ!」
「悪魔の所業だ……」
 これならば、洗脳後は細かな操作をする必要はなく、暴徒と化した人間の
凶暴性にまかせれば、あとは高みの見物を決め込むだけでいい。準備段階で
見破られる心配はまずなく、作戦が発動してしまったら一瞬でことがすむ。
「ともかく、今のうちに止めないと取り返しがつかなくなるわ!」
「そうよ、早くしないとテファたちも危ないわ!」
 キュルケとロングビルも、さすがに焦りの色を隠しきれなくなっていた。
ここで暴徒たちを止められなければ、アルビオンは間違いなく蹂躙され、
その後洗脳された人間たちは、トリステイン、ゲルマニアなどにも下ろされて、
想像するだにおぞけが走る人間同士の殺し合いがなされることになるだろう。
 もちろん、タルブや魔法学院も同様の目に遭うはずだ。ルイズと才人も、
そんなことは絶対に許しておけない。
「サイト、敵のやり口を思い出したんでしょ、方法はないの?」
「確か、洗脳をコントロールしている星人がいるはずだ。そいつさえ倒せれば」
 才人は、兵士たちが操られているのは、武器についている奇妙なエンブレムが
洗脳電波(離れたところに思念を送る魔法のようなものと説明した)を受信しており、
それを送っている者が、恐らくは人間に変身して近くにいるはずだと説明した。
「なるほどね。けど、ちょっと待ったぁ! これだけ人がいちゃあ、誰に変身して
いるかわからないじゃない!」
 ルイズはかんしゃくを爆発させたが、才人の後ろで彼に寄りかかりながら
考えていたミシェルは、見当をつけていた。
「落ち着け、ミス・ヴァリエール、これまでのことを思い出してみろ。武器を用意し、
この舞台のお膳立てを整えた人間が、ウェールズのそばにいたはずだ」
「そうか、参謀長! 身元不明だっていう、あいつね」
 言われてみれば簡単すぎる答えに、ルイズは指を鳴らして脳内機械の
歯車が噛み合った心地よい感触を楽しんだ。
 そいつが、ヤプールの使者だと考えれば、というよりその行動を見てみると、
ほかに考えようがない。人間に化けることは、周りから怪しまれずに侵略計画を
進められるので、昔から宇宙人たちにもっとも多用されてきた手段であり、
ヤプールも、手下の宇宙人を人間に化けさせて潜入工作をさせる作戦を好んでいた。
アンチラ星人、メトロン星人jrなどがその例である。
「つまりは、参謀長を見つけ出して締め上げればいいわけね」
「なんだ、簡単でいいじゃない」
 ルイズとキュルケは、いつもの不和とは正反対に、同時に肉食獣のような
凶悪な笑みを浮かべた。元々二人とも頭は人並み以上にいいほうなのだが、
どちらかというと行動派に性格は属する。また、もう一つ共通することとして、
殴られたら殴り返さないと気がすまないという、淑女とは程遠い一面も持っていた。
 ただし、ルイズはそれ以外にも、怪我をいいことに才人にぴったりと張り付いて
離れない誰かに対する怒りを、ぶつけてやろうという、八つ当たりに似たことを
たくらんでいたのだが。
 けれど、それで方針が決まりかけたと思ったとき、ロングビルが眼下の
草原の一角を指差して叫んだ。
323ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (8/13):2009/10/25(日) 16:04:42 ID:VOpSYAr9
「ちょっと待って! あそこにまだ無事な人がいますわ」
「えっ!」
 驚いて、シルフィードから体を乗り出して見下ろすと、草原の端を、まだ洗脳されて
いなかったらしい平民が数人、暴徒化してしまった群集から死に物狂いで逃げて
いる姿が見えた。
「おい、助けようぜ!」
「待って、今降りたら私たちも巻き込まれかねない!」
 才人は当然助けようと言ったが、キュルケが彼らのすぐ後ろから追いかけてくる
人の波を指差して止めた。
「なに言ってるんだよ、見殺しにする気か?」
 それでも才人はあきらめなかったが、タバサはシルフィードを降下させようとはしなかった。
「これ以上の人数は、シルフィードが持たない」
 そう聞いて、才人もやむを得ずに歯軋りした。成体の風竜ならば、二十人くらいを
背に乗せて飛ぶこともできるが、なにせシルフィードはまだ幼生体なので、
七人でも定員オーバーに近く、これ以上乗せたら暴徒たちのど真ん中に墜落しかねない。
「だけど、逃げられるように援護するくらいはいいだろう。このままじゃ追いつかれて
撲殺されてしまうぞ」
 それには、タバサも同意してくれて、追いかけている暴徒たちの頭上から魔法で、
氷の壁を作って、彼らが逃げる時間を稼いだ。
「ようし、今のうちに逃げてくれよ!」
 才人は、逃げながら手を振ってくる人たちに、大きな声で声援を送った。
このまま走れば、その先にはミシェルが流されてきた小川があり、そこを
渡りきれば、あとは街道に出られる。
 しかし、彼らがその小川の川原にまでたどり着いたとき、才人たちの顔は
一瞬で凍りついた。なんと、川原に彼らが足を踏み入れたとたん、川原に
散乱していた無数の貝殻が、まるで生き物のように飛び上がって彼らの
顔や体に張り付いていったのだ!
「なっ、なんだあれは!?」
 貝殻の群れに、ヒルのように食いつかれて人々があまりの激痛に
もだえ苦しむのを見て、ルイズなどは思わず目をそむけてしまったほどだ。
しかも、恐怖はそれでとどまらなかった。やがて人々の体に張り付いた
貝殻が、ランプのように不気味に点灯しはじめると、取り付かれた人たちは、
魂を失ったような表情になり、そのままふらふらと元来た暴徒たちのほうへと
歩き出していったではないか。
「寄生生物……?」
 ロングビルが、こみ上げる嘔吐感に耐えながらつぶやいた言葉は、アニエスでさえ
背筋をぞっとするにふさわしいものだった。人間に取り付き、思うがままに操る
生き物、それがヤプールの用意した第二の手であり、いつの間にか人々は
そのテリトリーのど真ん中に住まわされていたのだ。
 そして、それに気づいたときには、その恐怖は才人たちにも襲い掛かってきていた。
突然、才人の後ろから手が伸ばされてきたかと思うと、はっとする間もなく
彼の首にその腕が巻きついて、強い力で締め上げてきたのだ。
「が、はっ!? ……ミ、ミシェルさん!?」
324ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (9/13):2009/10/25(日) 16:06:11 ID:VOpSYAr9
 首の骨が折れるのではと思うくらいの締め上げに、とっさに手を差し込んで
耐えながら、やっとのことで振り向いて才人は愕然とした。
「はははは! 死ねぇ!」
 目を疑う以外になにができたであろう。そこには今まで自分に寄りかかって
いたはずのミシェルが、吊り上げた目と歪めた口元で狂気の笑いを浮かべながら、
嬉々として自分の首を締め上げてきている顔があるではないか。
「きゃあっ! ア、アニエス、どうしちゃったの!!」
「キュルケ……やめて!」
「きゅーい! いたーい!」
 しかも、横目で見ると、なんとアニエスとキュルケも、ルイズとタバサに
襲い掛かって、どう見ても本気としか見えない殺意でそれぞれの首を絞めており、
ロングビルはシルフィードの頭にナイフを突きたてようとしている。誰も、明らかに
下の人々同様に正気を失っていた。
「ミシェルさん……や、やめてください……」
 必死で才人は訴えたが、殺人鬼と化してしまったミシェルには届かない。
傷を負って弱っているとはいえ、ミシェルの腕力は才人を上回る。しかし、
明らかに操られている相手に、無理な反撃はできず、タバサも体格で
上回るキュルケを振り払えず、杖を取り上げられてしまって抵抗も
できていなかった。
「サイト、た、助けて!」
 アニエスに押されて、シルフィードの上から半分近く突き落とされかけた
ルイズが悲鳴をあげても、才人はどうすることもできなかった。このままでは、
三人とも絞め殺されるか投げ出されて、それを免れてもシルフィードが墜落すれば
全員死んでしまう。
「く、くそぅ……」
 頭に回る血流がさえぎられて意識が遠くなっていく。このまま、仲間に殺されて
死ぬのか、まだ何もできていないのにと、才人の心に絶望がよぎった。
 だが、そのときこの中で唯一生き物でないために無視され、シルフィードの
背中の上に放り出されていたがゆえに、状況をずっと冷静に見守っていた
デルフの声が才人の耳に響いた。
「相棒! 貝殻だ、その姉ちゃんの胸の中の貝殻が犯人だ!」
「!」
 その声で一気に意識を覚醒させた才人は、ミシェルの服の中に黄色く
輝く物体を見つけると、すかさず手を差し入れてそれを引きずり出し、
シルフィードの硬い皮膚の上にたたきつけた。
「この野郎!!」
 それは、陶器が砕けるような乾いた音を立てて、破片をシルフィードの
背中の上にばら撒いたが、一瞬後にはタールのような青黒い粘液に
なって、そのまま空気に溶けるように消えてしまい、同時にミシェルも
がくりと力が抜けて崩れ落ちた。
「こいつが……」
 才人は痛む首を押さえながら、その不気味な貝殻の最後を見届けたが、
デルフの「早くみんなの貝殻も取ってやれ!」という言葉と、今にも
落とされそうなルイズの悲鳴を聞いて、すぐさまアニエス、キュルケ、
ロングビルの貝殻も取り出して砕いた。
「ぬ? 私は……」
「あれ? あたし、どうしてタバサにのしかかってるの?」
「え、私、なんでナイフなんか? きゃあっ! シルフィードさん、大丈夫!?」
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 16:08:17 ID:xGl6Dh7B
胸に手を突っ込むとはなんとハレンチな…支援
326ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (10/13):2009/10/25(日) 16:08:56 ID:VOpSYAr9
 目を覚ました三人は、それぞれ記憶が飛んでいることにとまどいながらも、
正気に戻ったようだった。ただし、ミシェルは暴れたことによってまた傷が
開いてしまったようで、体を押さえてうずくまっていたが、才人に背中を
さすってもらうと落ち着いた。
「大丈夫ですかミシェルさん?」
「うう……ありがとうサイト、だいぶ落ち着いたよ」
「よかった、ルイズ、お前は大丈夫か?」
「ええ、助けてくれてありがとうサイト……でもね」
 命が助かったというのに、なぜか下を向いて陰鬱な声で返事をした
ルイズに、才人は怪訝な顔をしたが、半瞬後に彼の体はシルフィードの
反対側の、ギリギリ落下寸前の位置にまで吹き飛ばされていた。
 
「あんたさっき、ミシェルの胸に手を突っ込んだでしょうがぁー!!」
 
 激昂したルイズが、一瞬前に才人の顔面をしたたかにヒットした鞭を
振りかざして怒鳴った。
 そう、ルイズはさっき才人が貝殻を取り出すために、ミシェルの胸元に
手を入れたのを見ていたのだが、あのときは死にそうでそんなことを
考えている余裕もなかった才人は、理不尽な暴力に黙ってはいなかった。
「お前な、時と場合を考えろ! あのときほかにいったいどうしろって
いうんだよ!!」
「うるさいうるさいうるさい! あんたみたいな破廉恥犬なんか、なんかあ!」
「落ち着けっての、こんなことしてる場合じゃないだろうが!」
「うるさーい! どうせあんたはあれでしょ、大きいほうがいいんでしょうが!」
 そう言われてみれば、なんとなくやわらかい感触が手のひらに残っているような
気もするので、ルイズの怒りももっともかもしれない。さらに、ルイズはそれに加えて、
才人が自分より先にミシェルの身を案じたのが気に入らなかった。むろん、
才人としては、傷の深いミシェルのほうを優先しただけだったので、それは
理不尽な八つ当たりに過ぎないのだが、これは理屈ではなく感情の発露なのだから、
論理的に反論できるはずもなかった。
 しかし、ルイズが怒りのままにさらに才人を蹴り上げようとしたとき、ミシェルが
才人の前に、たいして動かない体をおして立ちふさがった。
「よせ、サイトは、また私を助けてくれただけだ。それ以上やるというなら、
私が相手になるぞ」
 その瞬間、ルイズの怒りはやり場を失って空中をさまよった。ミシェルが、
本気で才人を守ろうとしていることが、ルイズにもわかったからで、それが
恋心なのか、それとも恩義を返そうとしているからなのかは、キュルケたちとは
違って初心な彼女にはわからなかったが、その口が次の言葉をつむぎだす前に、
気を取り直したアニエスがルイズの肩を掴んで、押しとどめた。
「やめろ、今はそんなことをしている場合ではなかろう。ケンカがしたいのなら、
あとで三人でゆっくりやれ」
 身分ではルイズよりずっと下だが、圧倒的な貫禄差を感じさせるアニエスの
命令に、ルイズは才人を睨みながら息を大きく吸い込んで、怒りを心の中に閉じ込めた。
「いいこと、あんたがした不埒な行為は、あとでゆっくり断罪してあげるからね」
 素直でない、と、キュルケは思ったが、こういうのがルイズの感情表現方法なのだから、
いまさら変えようもない。人によっては、そんな屈曲したものを嫌悪することもあるだろうが、
ルイズとて、その未熟さゆえに苦しいのだ、そしてだからこそ、その芯はとても
純粋で、とてももろく、本当はとても優しくてかけがえのないものであることを、
彼女はよく知っていた。
「ともかく、我らが意識を失っていたあいだに、なにがあったのか説明しろ」
「あ、はい」
 やっと解放された才人は皆に、貝殻に操られていたことを説明した。
327ウルトラ5番目の使い魔 第71話 (11/13):2009/10/25(日) 16:10:49 ID:VOpSYAr9
「私たちが、操られていただと!?」
「ああ、あちこちの売店でおまけでもらったこの貝殻、こいつもヤプールの
仕掛けのうちだったんだ」
 驚くアニエスの前に、才人はパーカーのポケットの中から、残っていた
最後の一枚の貝殻を取り出してみせると、彼女もそれが川原で人々に取り付いた
ものと同一であると納得した。幸い、才人のものはポケットのさらに内側に
ガッツブラスターが納められていたために取り付けず、残っていたのだが、
握っているあいだにもすごい力で体に取り付こうとするので、すぐに叩き割ってしまった。
また、ルイズはさらに幸運だったようで、アニエスに押し倒された際に、
ポケットの中の貝殻は押しつぶされてしまっていた。
「まさか、そんなところにまで仕掛けを隠していたなんて」
 ヤプールは、人間の心のあらゆる油断と隙に付け込む、いったいどこの誰が、
気のいいおじさんの屋台の中に、恐るべき悪魔の申し子が隠れている
などと思うだろうか。これは、武器を通したものと、この貝殻みたいな生き物を
利用した、二段構えの洗脳作戦だったのだ。
 そしてさらに、この貝殻が川原に大量に散乱してたことから、ルイズは
はっと一週間前の、サウスゴータ地方に来る前に、小川で休息をとったときに
見つけた貝殻と、この貝殻とが完全に一致することに気づいた。もしあれが、
この貝殻と同じものだとすれば、汚染はすでにアルビオン全体に広がっている
ことさえありえる、それどころか。
「ちょっと、あの貝殻、アイちゃんが宝物にするって持ち帰ってなかった!?」
「なんだって! そういえば、お友達のしるしだって、テファにあげてたような……」
 ロングビルの顔から血の気が引いた。もし、あれをティファニアが身に着けていた
としたら、彼女自身の手で可愛がっている子供たちを殺してしまうことにも
なりかねない。いや、同じことがもはやアルビオンのどこで起きたとしても
不思議ではないのだ。
「お願い! テファのところに戻って、あの子たちが、あの子たちが危ないわ!」
「落ち着いてくださいミス・ロングビル、今からではとても間に合いませんわ! 
それよりも、この貝殻もいっせいに動き出したということは、操っている大元が
いるはず、それをなんとかするしかないですわ!」
 錯乱しかけたロングビルを止めて、ルイズは才人に、こんな貝殻を操る奴は
いなかったのかと尋ねたが、才人とてありとあらゆる怪獣事件を知っている
わけではなく、結局原因不明で終わった事件や、防衛隊が結成される以前や、
防衛チームMAC壊滅中に起きたアウトオブドキュメントの事件などは、
記録が少なくて、現れた怪獣の写真や名前程度しか公表されていないのも
数あるので、才人にもこれだけではわからなかった。
 けれど、もうお手上げかと、皆の顔に悔しさがにじみ始めたとき、シルフィードが
空の上を睨んで、威嚇のような声をあげた。
「シルフィード……あの雲の中……なにかいるの?」
 失われた古代の風韻竜であるシルフィードの感覚をタバサは信じた。
さらに自らも、風の系統としての感覚を研ぎ澄ませると、頭上の雲から、邪気の
ような不気味なものを感じて、タバサは迷うことなく最大の魔力を杖に込めて、
特大の空気球をその雲にぶつけた!
『エア・ハンマー!』
 突然のタバサの攻撃に驚く一同の眼前で、特大の風圧をぶつけられた
雲は気流を乱され、千切れ砕かれて消えていく。だがその中から、
全長七八メートルもの巨体を現したものに、一同が慄然とし、才人が
その恐るべき名を思い出すのに、半瞬とて必要はなかった。
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 16:16:27 ID:dDsDQIZy
小泉純一郎はねぇだろう支援
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 16:29:27 ID:dDsDQIZy
837 名前:ウルトラ5番目の使い魔 投稿日: 2009/10/25(日) 16:14:28 ID:XilqXMAw
あと少しのところで、残念ながら規制にひっかかってしまいましたので、どなたか代理よろしくお願いいたします。
本当に申し訳ありません。



代理いきます。
330代行:2009/10/25(日) 16:30:18 ID:IWDpI/gD
「な、なんなのよ、あのグロテスクな怪物は!?」
「円盤生物、ブラックテリナ!」
 無数の触手を生やした、黒色の空飛ぶ超巨大二枚貝、それだけでも、
その怪獣が持つ、生物でありながら感情を感じさせない無機質な
不気味さが、それを見る人間の背筋を凍らせるには充分であった。
そしてさらに、空中に不気味に静止するそれが、その巨大な貝殻を
開き、中から花火の火花のように無数のピンク色の物体、そう、あの
貝殻を噴き出し始めたとき、彼女たちは、これが何万人もの人間を
狂わせた、紛れもない張本人であると知った。
「あいつが、ヤプールの本命か! 皆、この貝殻の雨を浴びるな! 
また操られるぞ!」
 アニエスの言ったとおり、この無数のピンク色の貝殻こそ、小型円盤
生物の一種であるテリナQであり、人間に取り付き、思うが侭に操る
ブラックテリナの分身だった。
『ファイヤーボール!』
『ウィンドブレイク!』
『錬金!』
『念力!』
 頭上から、雨のように降り注いでくるテリナQの大群に、四人のメイジは
それぞれの魔法で振り払おうとし、才人とアニエスも剣を振るって
叩き落とそうとするが、数百数千と降り注いでくるテリナQは、間隙を
塗って次々と彼らの体に食いついていった!
「うわぁっ!」
「やめっ……」
「いやぁっ!」
「ああっ!」
「あぅっ!」
「きゅ、きゅいっー!」
 アニエスが、ミシェルが、キュルケが、タバサが、ロングビルが、さらに今度は
シルフィードまでがテリナQの餌食となって意識を奪われていく。
 才人とルイズは、ウルトラマンAと合体しているおかげで操られることはなかった
ものの、その代わりにテリナQはヒルのように二人の顔や腕など体のあらゆる
部分に食いつき、血が噴き出すほどの激痛を与えていく。
「あぐぅぅっ! ル、ルイズ」
「痛い、痛い痛いぃ!」
 すでに皆の体には数十のテリナQが吸血鬼のように吸い付いて、
もう引き剥がすことはできそうもなかった。しかも、再び操られてしまった
アニエスたちが、武器を持つことさえできなくなった二人に迫ってくる。
「ちくしょう! こんなところで、やられてたまるかぁーっ!!」
 そのとき、才人はルイズを抱えて、シルフィードの背から飛び降りた。
すぐにとてつもない風圧が二人を襲い、頭上にアルビオンの大地が
急速に迫ってくる。
 しかし、地上へとまっさかさまに落ちていく二人のあいだで、二筋の
光が走り、激突寸前に二人を包みこんでテリナQを吹き飛ばした。
 
「フライング・ターッチ!!」
 
 合体変身! 草原の上に、土煙を上げてウルトラマンAが着地する。
 
 間一髪のところで、二人はエースへの変身に成功した!
 そしてエースは、空の上になお轟然と滞空し、テリナQを撒き散らしている
ブラックテリナへ向けて、地を蹴って飛び立つ!
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 16:30:55 ID:dDsDQIZy
「な、なんなのよ、あのグロテスクな怪物は!?」
「円盤生物、ブラックテリナ!」
 無数の触手を生やした、黒色の空飛ぶ超巨大二枚貝、それだけでも、
その怪獣が持つ、生物でありながら感情を感じさせない無機質な
不気味さが、それを見る人間の背筋を凍らせるには充分であった。
そしてさらに、空中に不気味に静止するそれが、その巨大な貝殻を
開き、中から花火の火花のように無数のピンク色の物体、そう、あの
貝殻を噴き出し始めたとき、彼女たちは、これが何万人もの人間を
狂わせた、紛れもない張本人であると知った。
「あいつが、ヤプールの本命か! 皆、この貝殻の雨を浴びるな! 
また操られるぞ!」
 アニエスの言ったとおり、この無数のピンク色の貝殻こそ、小型円盤
生物の一種であるテリナQであり、人間に取り付き、思うが侭に操る
ブラックテリナの分身だった。
『ファイヤーボール!』
『ウィンドブレイク!』
『錬金!』
『念力!』
 頭上から、雨のように降り注いでくるテリナQの大群に、四人のメイジは
それぞれの魔法で振り払おうとし、才人とアニエスも剣を振るって
叩き落とそうとするが、数百数千と降り注いでくるテリナQは、間隙を
塗って次々と彼らの体に食いついていった!
「うわぁっ!」
「やめっ……」
「いやぁっ!」
「ああっ!」
「あぅっ!」
「きゅ、きゅいっー!」
 アニエスが、ミシェルが、キュルケが、タバサが、ロングビルが、さらに今度は
シルフィードまでがテリナQの餌食となって意識を奪われていく。
 才人とルイズは、ウルトラマンAと合体しているおかげで操られることはなかった
ものの、その代わりにテリナQはヒルのように二人の顔や腕など体のあらゆる
部分に食いつき、血が噴き出すほどの激痛を与えていく。
「あぐぅぅっ! ル、ルイズ」
「痛い、痛い痛いぃ!」
 すでに皆の体には数十のテリナQが吸血鬼のように吸い付いて、
もう引き剥がすことはできそうもなかった。しかも、再び操られてしまった
アニエスたちが、武器を持つことさえできなくなった二人に迫ってくる。
「ちくしょう! こんなところで、やられてたまるかぁーっ!!」
 そのとき、才人はルイズを抱えて、シルフィードの背から飛び降りた。
すぐにとてつもない風圧が二人を襲い、頭上にアルビオンの大地が
急速に迫ってくる。
 しかし、地上へとまっさかさまに落ちていく二人のあいだで、二筋の
光が走り、激突寸前に二人を包みこんでテリナQを吹き飛ばした。
 
「フライング・ターッチ!!」
 
 合体変身! 草原の上に、土煙を上げてウルトラマンAが着地する。
 
 間一髪のところで、二人はエースへの変身に成功した!
 そしてエースは、空の上になお轟然と滞空し、テリナQを撒き散らしている
ブラックテリナへ向けて、地を蹴って飛び立つ!
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 16:31:45 ID:dDsDQIZy
>>330
お、かぶったか。
そちらに任せます。
333代行:2009/10/25(日) 16:32:06 ID:IWDpI/gD
「ショワッチ!」
 対して、ブラックテリナは、無数に生やした触手の先についた
爪を振りかざしてエースを迎え撃とうとするが、決して逃がすものかと、
エースはブラックテリナの頭上に出ると、そのまま真上から、
奴の貝の上の部分を踏みつけるようにして、一気に地上に引きずり下ろした。
「デヤァッ!」
 ブラックテリナとエースは、高度一〇〇〇メートルの上空から、
無人の草原を選んで、轟音とともに隕石のように着地した。
「ヘヤアッ!」
 立ち上がったエースは、まだ生きているブラックテリナへ向けて構えをとった。
ブラックテリナのほうも、貝の特性を活かして、地上へ激突したというのに
ほとんどダメージはなく、部屋の壁をはいずるクモのようにうごめいている。
 
 かつて、ウルトラマンレオを暗殺するために送り込まれたブラックスター
八番目の暗殺者が、今度はエースを抹殺するために、その不気味な
姿を脈動させ、攻撃の機会をうかがっている。
 けれど、今まさに激突しようとしている両者を、ヤプールが冷ややかな
目で見守り続けているのに、エースは気づいてはいなかった。
 
「フッフッフッフ……現れたなウルトラマンA、さあブラックテリナと戦うがいい、
そうしなければ人間どもを救うことはできないぞ。しかし、ブラックテリナに
勝ったときこそ、貴様の最期となるのだ! ウワッハッハッハッハ!」
 
 
 続く

以上です。はじめるタイミングをミスって、規制でご迷惑かけてすいませんでした。
もはや原作のアルビオン編はどこへやらという感じですが、お楽しみいただけたら幸いです。
しかし、これらの話を書くに当たって、レオの円盤生物編を観なおしてみましたが……
一応いい歳になった今でもすごく怖かったです。
 
それでは、今回はこのあたりで失礼いたします。
334代行:2009/10/25(日) 16:33:11 ID:IWDpI/gD
>>332
宣言無しで書き込んでしまい申し訳ありませんでした。


代理終了します。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 16:36:30 ID:dDsDQIZy
ともあれ乙でした。

しかしGUYSのアーカイブドキュメントに記述されてる事件の経過って、やけに詳細に記録されてるんですねぇ。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 16:54:43 ID:b9QM24LZ
>>199
個人的に咲は役不足感が…命張ってないし
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 17:00:17 ID:B2qjzMaf
>>199
氷のK
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 17:00:22 ID:9xeG/xyb
レオの敵は通り魔がモチーフなんだったっけ
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 17:00:35 ID:WbyvxkwJ
>>336
>>200で既出
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 17:30:25 ID:h8jaTlS6
ウルトラ乙
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 17:37:45 ID:b9QM24LZ
スマン…

ガンダルーヴの能力だとアカギの武器は銃か牌…
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 17:42:37 ID:KMuanH41
倍プッシュだ!
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 17:58:31 ID:O2ZuJm9Z
遅くなったけど、ウルトラの人乙、そしてGJでした
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 18:10:23 ID:FuPkIApP
メガテンから投下来てるとは。乙です
初メガテンはデビチルだったからSJでのフロストエース再登場が嬉しかった
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 18:10:29 ID:OFjv/mbq
乙です。ひっそりと仕込まれていたトレマーズネタに不意を撃たれてお腹痛い……w
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 18:11:22 ID:tUXJHekm
そういや今までの作品で酒飲みシエスタとか戦場に出るマリコルヌが出た作品って無かったよな?
後者は彼の初の見せ場だというにwww
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 18:19:11 ID:2HW24mHv
タバサのイカサマ見破りイベントを鷲頭にやらせたらひどいことになりそう
具体的に言うとトマが裏切るように仕向けて血の海とか
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 18:40:50 ID:8bsUT/Hw
>>346
酒飲みシエスタだったら、絵板にも投下されてた「この料理を作ったのは誰だ!」なネタがあったな。
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 18:41:57 ID:FfAiD31L
戦場に出てアハトアハトに吹っ飛ばされた上に射殺されたマルコメならいたが
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 18:57:26 ID:hBPbKsKA
>>349
kwsk
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 19:21:41 ID:fmjbwuNP
>>346
酒飲みシエスタは……たしか姉妹スレのゼロの兄貴で見た気がする
マルコメは仮面のルイズで戦う覚悟を決めてたな
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 19:21:44 ID:OFjv/mbq
>>349
それマリコルヌじゃなくてヘルシングの少佐じゃないのかw
小太りしかあってねーぞw
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 19:38:06 ID:9xeG/xyb
悪魔くんのやつじゃないか確かそれ

復活してくれんかな
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 20:14:35 ID:FfAiD31L
そうそうそれそれ

……言われてみれば少佐のような
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 20:56:03 ID:bwnSjXvc
アハトアハトに吹っ飛ばされるデブは自分はHELLSING少佐しか知らないな〜

この人召喚されてもジョゼフ位しか協力しないだろ。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 21:00:07 ID:3jW0aDdU
ドラグナーの三人を召喚したら
ケーンなんて素でも超人だからな
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 21:06:43 ID:OFjv/mbq
>>353
ああ、そういうSSがあったのな。知らんかった。
ヘルシングの少佐も全く同様の死に様を晒してたからな……
奇しくも体型同じだし。

>>355
同じ狂人としてほんと合いそうだしな、性格。
使い魔は主人と似たタイプが召喚されるというのなら、
裏を返せばジョゼフ以外には召喚できないとも取れるが。
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 21:11:02 ID:WbyvxkwJ
カバー裏から召喚すれば良いじゃないか
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 21:51:24 ID:gQ8mMe0n
タバサが入った賭場がもし、カイジやアカギの世界の住人によって運営されていたなら……ッ!
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 21:52:49 ID:2HW24mHv
>>357
テファが召喚したらどっちがどっちを汚染するかちょっと気になる
転がり方によっては少佐が汚染されて平和ボケ→テファが記憶を消して魂の救済→ピンチに復活して〜
みたいな王道展開になるかもしれん

まあ普通に考えれば里帰りしたフーケから裏社会に首突っ込んでテファ放置でいつもの少佐殿で以下同文なんだろうけど
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 21:56:09 ID:lSXmsAQC
>>347
ワシズ時代か

>>360
あの人はピンチに復活してもいきなり活躍出来るタイプじゃないような
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 22:03:24 ID:IphjHNwo
銃を撃っても当らんしな、あの人
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 22:07:55 ID:FfAiD31L
ああ、一応こういうスレがあるんだわ

HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました part11
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1243265888/
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 22:11:15 ID:OFjv/mbq
事前に綿密に綿密に作戦を練って、かつ人材に恵まれてるからこそのあの描写だしな
最低限前衛担当と頭脳労働担当が居ない事には話しにならない。
てかあの人、カリスマしかないんじゃないのか、とりえ。
気がついたらレコンキスタ乗っ取ってそうだけど。
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 22:13:38 ID:E3TYGIgL
時としてカリスマこそ最も重要だろうよ。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 22:28:53 ID:OFjv/mbq
>>364
俺もそう思うよ。
ただ、だからこそ1人じゃ何も出来ないよね、と言うことを言いたかった。
他者を動かしてナンボってキャラでもあるしさ。
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 22:29:34 ID:2HW24mHv
「召喚されてました」ならともかく「召喚されました」だとあんまりかねえ

>>363
まとめウィキは一緒だからかつい混同しちゃうんよねえ、すまぬ
タバサとオオカミの話とシュレの話は好き
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 22:37:30 ID:9xeG/xyb
地盤が全く無い所から組織作れる人じゃなさそうだしなあ
先ず偉い人に抜擢されて部下を最初から持ってたりじゃ無いと本領発揮は無理だろ
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 22:57:46 ID:TPFS+7jZ
桜玉吉っぽく「つかいまのそねみ」みたいなタイトルで
悪酔いしてウォォーと暴れるシエスタが見てみたいね
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 23:19:26 ID:XUHrFRat
>>356
別の虚無の使い手に召喚されたマイヨさんに出番を取られるようになる。
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 23:30:09 ID:DzptOPIf
どっかの海賊王になる人みたいだな
あっちは戦闘もいけるけどさ
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 00:03:43 ID:IphjHNwo
ぐるぐると目を回しながら犠牲者を踏みつけ、片手に持った一升瓶を振り回しているデフォルメ化シエスタとか…
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 00:32:21 ID:wsH0hqCS
「召喚されてました」と聞いて他国でとんでもないキャラが召喚されていてあっという間に征服されて
ルイズとサイトがただのモブキャラ扱いでストーリーが完結するの想像してワロタ
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 00:59:47 ID:vcGezEcN
亀過ぎるけどHiMEの人乙
百合はたまらんぜ
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 05:33:34 ID:ZEWbhBUX
ウォータァーベッドォォーッ!!
と、叫びながら延々とルイズを殴り続けるシエスタですね。
(海のトリトンを歌いながら)w
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 05:34:08 ID:IW8k9Pv9
>ぐるぐると目を回しながら犠牲者を踏みつけ、片手に持った一升瓶を振り回しているデフォルメ化シエスタ
二次創作でお馴染みのBIG萃香を真っ先に思い浮かべたのは絶対に俺だけじゃないはずだ。

酒といったらハヤテの雪路だな。同じピンク髪の妹を持つちいねえさまとの絡みがみたい。
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 08:42:30 ID:Q9wyEVx+
>ぐるぐると目を回しながら犠牲者を踏みつけ
ここまで読んでゲッター線にやられてんのかと思った
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 09:18:00 ID:TnsPv6em
カオスヒーロー召喚を読んで思ったけど、この導入ってすごく強いキャラ召喚で使いまわし出来るね。

白面のものとか伝承族とかミュウツーとか絢爛舞踏とかセリスとかワードナーとか
もちろん細部は色々別だけど使えそうなのが思いついてしまった。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 10:12:10 ID:1BV1FkLa
他人のSS使いまわしとか何言ってるんだろう。
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 10:21:59 ID:QUJFYJVP
ゴミを思い付かれても困る
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 11:09:44 ID:7UyqbTCO
>>378
結果的に似るのは、まぁ仕方ない。
元々原作があるところに代役をぶち込んでるだけってのが、端的に言えばこのスレの主旨だから、いくつかの系統にパターン化されるだろうし。

けど最初から似せるの前提ってのは、まずいっしょ。
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 11:52:29 ID:URcqiPrh
「似た様なキャラで違いを出す」のが書き手の醍醐味というものです
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 13:03:13 ID:qav81bKt
これが天然のクズか
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 14:07:54 ID:Q3dHMXo+
世の中には「収斂進化」という概念が有ってだな
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 14:21:44 ID:4pffMHcU
てかオリ展開にならない限りある程度は似せて書くでしょうに。
「あの方法って良い手だよね。応用できないかな?」ぐらいの意味で別に丸パクリしてSS書こうって意味じゃなかったんだろう。
ただ、ちょっとばかし言い方が悪かったというか表現力が貧困で文章力が足りなくて駄文しか書けなかっただけなんだよな?
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 14:25:38 ID:WTLzfVHM
そうだと願いたいがなあw
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 14:27:01 ID:1M94coJX
志村ーなにひとつフォローになってねぇー
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 14:27:35 ID:dbX90yY8
>>385
3行目フォローになってないぞw
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 15:12:24 ID:b6GW+H+S
今日から俺は!から三橋召喚…してもワガママだからルイズの言うことは聞かないだろうな
まあメイジに遅れをとることはないだろうが
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 15:29:57 ID:2JRytK7u
似せて書くって、別に似せようとはしないだろ……
結果として似たような話になるならまだしも、似せて書くて……
391代行:2009/10/26(月) 15:35:13 ID:nwUJAb+k
そろそろ毒吐き行こうな。
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 15:35:22 ID:QGEnr3By
>>389
馬鹿なの? 死ぬの?
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 15:38:05 ID:qMIRKd1P
これはいろいろ使いまわしできる汎用性の高い作品ですね!=糞テンプレSS投下乙!


394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 15:41:32 ID:ZjJtpvlX
>>391
そろそろ代理を外そうな。
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 16:07:54 ID:edF2vYjr
また投下ラッシュとかあったら盛り上がるんだけどなあ。
タグ付け論争も終着したことだし、プリキュアの人カムバーック、せめて旧作品をwikiに戻してください。
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 16:10:53 ID:scfGY7uf
あれだけ見事な自爆を魅せて戻ってきたら凄いなw
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 17:19:44 ID:icIrCgjg
何かスレの空気が悪いし口も悪い奴が多いな今日は
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 17:47:16 ID:UOKa16ap
反抗期だな
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 18:59:35 ID:UoF7vNcn
ふと気になったんだけど、
8巻で才人が死んでるのかどうか確かめようとしてルイズがサモン・サーヴァントを使ってるけど、
この時点で他の作品のキャラを召喚したらダメなのかな?
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:02:26 ID:foCDFuHd
>>399
小ネタで電王のウラタロスが召喚されてるね
やってもいいとは思うけど、ルイズが酷い精神状態から始まるから
すごく考えないといけないかも知れない
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:04:47 ID:UoF7vNcn
>>400
なるほど。
自殺未遂前とシェフィールドに襲われてる時の二つがあるけど、いずれにせよ扱いは難しそうだな。
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:07:09 ID:1M94coJX
完結作品では錬金術師ヘルミーナが呼ばれてたな
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:28:54 ID:HhmRyBzm
>>400
何せ「他のが呼び出される=実質的にサイト死亡確定とルイズが認識する」だからな。
そこからのルイズの精神立て直しは困難を極めるのは間違いない。
更に言えば呼び出された奴が何者であれ、相当に拗れるのも目に見えてるし。

ルイズからすれば「何でサイトじゃなくてお前が出てきた。お前なんか消えてしまえ」とか
暴言言い出してもおかしくない状況だし、呼ばれた側からしても「こっちの都合も考えず
いきなり勝手に呼び出した上に暴言とかふざけんな」と言う反応を示しても不思議じゃない。
要するにこの状況だと双方が歩み寄る可能性が、それこそゼロと言っていい位低いんだよなぁ。

何にせよ相当難易度は高いだろうね。
鬱展開が不可避な以上、そう言うのが好きでない限り書く側のモチベーション維持も難しそうだし。
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:34:19 ID:UfIu8ISs
「その人の望む姿に化ける」タイプとか
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:39:25 ID:Y+iGzl1H
青タヌキを呼んじゃう

サイトを出せと頼む

とりよせバッグでサイトが出てくる

これで問題ない
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:39:54 ID:xX0hdC2c
まとめのエデンの林檎おもしろすぎる
更新されたの一昨年だし続編は期待できないな
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:40:13 ID:M0NACAPs
>>403
一番難易度が低そうなのがドラゴンボールのシェンロンだな
あいつが召喚されれば

神龍「願いを(ry」
ルイズ「サイトを生き返らせて!」

サイト復活

ていう小ネタ的な扱いしか出来なさそうだけど
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:48:05 ID:MPVUAPuf
天の道を往き総てを司る人「そんなことよりここに豆腐はないのか?」
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:48:23 ID:PdnFYvk0
アウターゾーンからミザリィ呼んで
七夕の竹を……
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:53:17 ID:s/F/7E7D
>>407
神龍「願いを(ry」
ルイズ「サイトを生き返らせて!」
神龍「なんだこの死体は……まだ生きているではないか」
と、某ミンチな博士の台詞を言う神龍を連想してしまったw
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:53:29 ID:UfIu8ISs
あるいはサイトを確かに生き返らせるが
何らかの代償、あるいは災厄をハルキゲニアに解き放つ奴で
そのアフターケアに走り回る事になるルイズとサイトとか
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:56:14 ID:Bo3MIqDG
>>409
あのお猿とママンは俺のトラウマ
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:59:49 ID:BX+MKSlf
究極のドラゴンボールの悪夢がハルケギニアに……
他の星に行けないから初っ端から詰んじゃうね
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 20:05:49 ID:URcqiPrh
ルイズ 「胸をっ!わたしの胸をGカップにしてくださいっ!」
シエスタ「サイトさんは?あとお姉さまの病気とか」
ルイズ 「それより胸よ!今しかチャンスはないわっ!」
神龍  「その願いはわが力を超えている」
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 20:07:45 ID:foCDFuHd
Wからダブルドライバーを召喚。ついでに才人も召喚。
そんな一発ネタ過ぎて毒にも薬にもならない絵を投下します。
ttp://paint.s13.dxbeat.com/up/src/paint_20555.png
話題のタネにでもなったら恐悦至極。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 20:12:42 ID:nAt6pq5F
>>412
バキ?
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 20:14:20 ID:MjiR9S6t
未完作品に未完作品クロスさせるとか
絵に勝るとも劣らないダメオーラが漂ってるな
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 20:17:11 ID:JcexmnZ1
そういや妖魔夜行シリーズから妖怪を呼び出したらどうなるんだろな?
周りを見ればドラゴンとかサラマンダーとかが普通に居るし、人間相手に正体を隠す必要が無さげなんだが…

正体を明かせば人間に存在を忘れられて消えるって事にはならんよなぁ?
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 20:32:58 ID:qMIRKd1P
ルイズ「再召喚してサイトが出てこなかったら・・・ええい勇気を出すのよ!わが名は(ry」

ヤムチャ「ここはどこだ」

ルイズ「エクスプロージョン」

ヤムチャ(例の爆死AA)
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 20:39:59 ID:Nqv4FU4O
サイトが死んで茫然自失するルイズが再召喚したのは一本のバラとゴジラ細胞の詰まったカプセルだった
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 20:44:21 ID:mFJqHBP1
>>415
ワルドがナスカメモリ差しそうな気がしてならない。

>>417
ゼロ魔×未完作品のクロスなんて今に始まった事じゃないだろうよ。
イチャモンは毒吐き行きんさい。

>>418
確か存在を信じてもらえる事が存在に繋がる世界観だったよな、妖魔&百鬼。
下手すると召喚された瞬間消滅する可能性も無いではない。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:06:28 ID:BX+MKSlf
>>420
コルベール先生が「ゴジラを完全に殺すへびくん」を開発するんだろうか
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:11:18 ID:KFfO2WVO
>418
むしろ百鬼でクロスさせるなら水色の髪のチャイカみたいに
ゼロの使い魔を信じる者たちのせいでハルケギニアが隠れ里化
現在世界のサイトのところへ、妖怪「ルイズ」がやってくるみたいな話にしたほうが……
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:11:41 ID:GdGb2mPv
最後はコッパゲがゴジラと共に海に沈んでエンドだな
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:18:26 ID:wsH0hqCS
>>422
メカキングギドラの首w
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:20:01 ID:O4zgf3cz
その後太陽怪獣コッパゲールが登場してAと戦うのか
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:29:34 ID:EtUIZVmF
男なら〜 誰かのために強くなれ〜♪
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:38:13 ID:tzKIUrhg
>>399
確かシャナが呼ばれてえらい事になっていたはず。
しかもそこへ生きていたサイトがやってきて(声優ネタ的に)えらい事に。

>>415
ルイズがサイクロンを持っているということは
ルイズはハルゲ世界のあらゆる知識を持っている?
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:42:50 ID:Mi+kBEqi
>>428
ルイズは座学で優等生という設定があったはず
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:51:03 ID:vNzn2/ze
>>427
ネクサスか。
姫矢さんはコッパゲ、憐はちい姉さま、副隊長はアニエス、孤門はサイトで
役割分けれるな。
問題はザ・ネクストことハムの人役が思いつかんことだな
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:52:22 ID:iTwaYKsz
ハムの人役が思いつかないのなら、別所哲也を召喚すれば良いじゃない
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:53:04 ID:foCDFuHd
>>417
ごめん

>>421
全裸になってヴァリエール公爵に「自慢の婿の誕生です」って言うワルドですね

>>428
単に始祖の祈祷書所持者だから(本持ってる)だとか
16巻の舞台で「風の剣士ヒリーガル・サートーム」だから「サイクロン」
んで、「虚無の担い手」で「ジョーカー」
お互いがお互いを所持して相乗りするみたいな ごめん
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:53:12 ID:mFJqHBP1
>>429
そういえば実践以外は優秀なんだよな。
虚無の担い手候補でさえなければあるいは学院主席を狙えたかもしれん。
運命ってのは残酷なもんだなあ
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:54:34 ID:Mi+kBEqi
>>430
シエスタのひーじーさん
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:57:59 ID:Jfnuu7gI
最新刊じゃ普通に強くなってるし
ルイズが普通の系統だったら実技も超優秀だったと思う。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:59:48 ID:ktZs9YC1
>>433
系統魔法が使えなかったからこそ、人の倍以上の努力を積んだ側面もあるかもしれない
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 22:05:37 ID:mFJqHBP1
>>436
それもあるか。
しかし、下手に土系統だったりすると姉と比べられて今よりちょいマシぐらいにはひねくれそうだよな。
そういえば親父さんは何系統なんだっけ? 曽祖父だか祖父だかが火系統ってのは覚えてるんだが
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 22:12:01 ID:UoF7vNcn
>>437
かなり高い確率で水
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 22:13:24 ID:UoF7vNcn
なぜsageがついてない……
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 22:17:25 ID:mFJqHBP1
>>438
水×風=土(長女)・土か水(次女)・虚無(三女)か。
ルイズはともかくとして魔法の系統って遺伝はあんまり関係ないのかな。
でも確かグラモン家長男は土系統だったか?
まあこれ以上は考察スレ向きの話か
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 22:35:07 ID:iTwaYKsz
>>439
慢心、環境の違い
442カオスヒーローが使い魔:2009/10/26(月) 23:07:08 ID:dPlZ9Yrt
こんばんは。丑三つ時には早いですが予約がないようなら5分後に投下します。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 23:07:46 ID:Nqv4FU4O
少なくともハルケギニアにヘドラは出現しないな
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 23:09:54 ID:mFJqHBP1
おお、早いな! 超支援。宜しく頼む!
445カオスヒーローが使い魔:2009/10/26(月) 23:13:11 ID:dPlZ9Yrt
それでは行きます。
「カオスヒーローが使い魔」

「コルベール先生、私はやはり留年ですか・・・?」
ルイズは崖っぷちに立たされている。
「難しいですね。一応召喚には成功していますし、彼も今のところ暴れる気は無い。
しかし、使い魔にはならないと言っている。こんな事は初めてです。私の裁量では
決められません。オールドオスマンに指示を仰がねばなりませんね。」
コルベールとしても可愛い教え子を留年させたくはない。失敗続きのルイズが召喚に
成功し、とんでもなく強力な魔人を召喚したのだ。本来なら褒め称えるべき事なのだ。
「ミスタ・カオスヒーロー。ここは一先ず、お互いの情報交換をするべきだと思います。
我々はお互いの事をもっとよく知るべきです。申し訳ないが学院までご足労願えますか?」
「いいぜ。どうやらここは本当に東京じゃないみたいだしな。また金剛神界みたいな所に
飛ばされちまったようだし。話ぐらいは聞いてやるよ。」
その言葉を聴いたコルベールは深い感謝の意を示した。
「何よ、強いからって偉そうに。」
その光景を見たルイズは腕を組み、ぷんすか怒っていた。自分が召喚したのに契約を拒否された
のだから怒るのも無理も無い。だが無理矢理契約をしようものなら斬り殺されるだろう。
どうにかしてあの魔人を自分の使い魔に!
「ルイズ、やめたほうがいいわ」
その考えを知ってか知らずかキュルケが声をかけてきた。
「どう考えてもあの魔人は人の手に負えるものじゃないわ。」
「うるさいわね!誰がアンタの言う事なんか聞くもんですか!」
この二人、犬猿の仲である。まぁ仕掛けるのはいつもキュルケの方からなのだが。
さらにタバサもルイズに声をかけてきた。
「あんな強力な魔人、召喚された例なんて聞いたこと無い。従えた人間の話も聞いたこと無い。
ルイズ、貴女は凄い。」
滅多にタバサが褒める事なんて無いので二人とも驚いた。
「ま、まぁね。私だっていつまでも無力でいるつもりは無いわ。」
「さぁみなさん!色々ありましたが一度解散します。自分の召喚した使い魔と親睦を深めてください」
コルベールの言葉を合図に生徒達は解散した。その光景を魔人は少し驚いてみる。
「空を飛べるのか。」
「ミスタ・カオスヒーローは空を飛べないので?」
「翼がないからな。そんな魔法も使えねぇ。」
「では我々は歩いて帰りましょう。」
「ルイズって言ったか。お前も飛べるのか?」
ルイズはムスッとしながら魔人を見て
「飛べない」
としか言わなかった。魔人もそうかとしか答えなかった。魔人は飛べないから弱いとは考えていない。
戦う時は確かに不利だが、空を飛べる悪魔と何度も戦い勝ってきた。だから別に絶対飛びたいとは
考えていない。
だがルイズは魔人の考えなど知る由もない。そっけない態度から小ばかにされたと受け取ってしまった。



446カオスヒーローが使い魔:2009/10/26(月) 23:14:50 ID:dPlZ9Yrt
歩きながら三人はお互いの世界について話し合っていた。魔人の元いた世界の話を聞いた二人はその内容に
絶句してしまった。天使と呼ばれる神の軍団とそれに対抗する魔王達の軍団。2つの勢力の戦争で栄華を
誇っていた街並みが一瞬で荒野になったり、敵対するものを排除するために世界が洪水にのまれたり。
「信じられません・・・」
「人間の住む世界じゃないわ・・・」
想像を絶する世界から来た魔人に対してさらに畏怖の感情が高まった二人。
「まぁ弱い奴は死ぬだけよ」
それが当たり前といわんばかりの魔人。そんな彼はこの世界の話を聞いて少し興味が沸いて来た。魔法を
使える貴族による支配。使えない平民は労働階級に。法と秩序の世界だ。彼と敵対していた勢力の望んだ
世界が一つの形としてここにある。気に食わないが、見物していくのも悪くない。
召喚されるのは初めてだが、異世界に来たのは経験済みだ。
その事もあってどこか余裕を持っている魔人だった。

魔法学院トリステインに到着した三人はそのまま学院長であるオールドオスマンのいる部屋に直行した。
ヨーロッパの城を感じさせる造りに、魔人は見入っていた。人間だったころ、写真やテレビでこんな感じ
の建物は何度か見たが、中に入って見たことなど無い。まだ残っていた好奇心を刺激されキョロキョロしな
がら歩いていた。
「なに見てんのよ。そんなに珍しい?」
「あぁ、珍しいな。俺がいた世界にもこんな建物はあったが、きっともうぶっ壊れて一つも残っちゃいねぇ
だろうしな。」
学院長の部屋は塔の最上階にあるが、その前に別室で待たされる事になった。コルベールは先に行って事情を説明し、
ルイズは授業があるのでそこで別れた。
「待たされるのは好きじゃないが、しばらく大人しくしてやるか」
ソファにドカッと腰をかけ、両手を大きく広げて背もたれにまわし、足を思いっきり伸ばして天井を仰ぐ。
この世界にも召喚術があった。アイツも悪魔どもを召喚して戦わせていたな。召喚する方法は違うがやらせることは
こちらの世界でも似たようなもんだろう。自分じゃ出来ないから誰かにやらせるんだ。非力な連中だぜ。

「お待たせしました。ミスタ・カオスヒーロー、ご案内します。」
メガネをかけエメラルドグリーンの髪をした美人の女性が現れた。知的な感じがするが裏の顔もありそうだ。
その姿を見た魔人はヒュ〜っと口笛を吹いて答える。向こうの世界でも美人はいたが、こっちの美人も悪くない。
しかし、髪の毛がどうしてこんなに派手な奴ばっかりなんだ?
ドアの前まで案内されると女は「失礼します」といってどこかに行ってしまった。
447カオスヒーローが使い魔:2009/10/26(月) 23:16:16 ID:dPlZ9Yrt
「最初が肝心だ。舐められちゃいけねぇ。」
そういうと魔人はドアの向こうにいる人物に向かってとんでもない殺気を放ち、中の様子を伺った。
中にいたオールドオスマンとコルベールは心臓が止まるほどのプレッシャーを感じ取った。ドアを開ける前に
斬り殺されそうな空気。二人とも沈黙し、額を汗が流れ落ちる。
「長生きはしてみるもんじゃな。半信半疑だったがこれは嫌でも信じるわい、コルベール」
「百聞は一見にしかず。私の言ったとおりでしょう」

コルベールの話には尾ひれがついていると思っていたオールドオスマン。これほど強力な者を長い人生
で見たことなどない。まさに神話クラスの力ではないか。
「ところでわしら、何か機嫌を損ねる事でもしたのかのう?次の瞬間に首と胴体が離れそうな気がするんじゃ」
「なめられない様に威圧しとくってところでしょうか・・・」
「威圧ってレベルの殺気じゃないぞこれは。お〜い、わしらお前さんの実力はよ〜くわかった!だから
そろそろやめてくれんか〜?」
ドアの向こうにいるであろう人物に向かって声をかける。コルベールも視線はドアに向けられたままだ。
やがて殺気は収まり、ドアノブがカチャリと音を立てて回った。たったそれだけの事なのに二人とも息を殺して
ドアが開くのを待つ。キィ〜、という古びた音と一緒にドアがゆっくり開く。そして開ききったドアの先に
殺気の主、魔人カオスヒーローの鬼気迫る姿が、無い。

「・・・?」
何が起こったのかわからない。しばし呆然と誰もいない空間を見つめていると、
「どこ見てんだよ」
オールドオスマンの左後ろから声がした。
バッと振り返ると腰に手を当て、立っている魔人がいた。
「・・・驚かさんでくれ、心臓が止まるかと思ったわい。」
「ちょっとしたサプライズだ。楽しめたろ?」
「お願いですからやめて下さい、貴方がやると洒落にならない。」
すでに二人は体の震えが止まらない状態だった。
「とっくにわかっていると思うが、俺をなめると命が無いぜ。それを踏まえて話をしろ。いいな?」
「肝に銘じておこう」
汗をぬぐいながらオスマンが答える。全く、ミス・ヴァリエールはとんでもない奴を召喚してくれたのぅ。
そう思いながら冷や冷やしていた。
「まず俺がどうして召喚されたのか、そこから詳しく話せ。さっきそこのコルベールから大体聞いたが
確認しておきたい事もあるしな。」
「わかった。君が呼ばれたのは・・・」
448カオスヒーローが使い魔:2009/10/26(月) 23:17:35 ID:dPlZ9Yrt
魔法学院トリステインで毎年行われる春の使い魔召喚の儀。これを生徒達は行い、一生従う自分の使い魔を召喚
する。召喚される者は様々で、竜なんかも呼ばれる事もある。そして必ず共通しているのは「ハルケギニア」の
住人だという事。異界の住人が呼ばれるケースは聞いたことが無い。
そして召喚された者は主と契約を交わし、一生を主とともに生きていく。

「ありがとよ。大体わかってきたぜ」
「信じがたいが、やはり君は別世界の住人の様じゃな。ハルケギニアでトーキョーという国や、カテドラルという
海に浮かぶ巨大な建物も無い。そもそも一瞬で世界が荒野になったり、大洪水にのまれたといった歴史がこちら
には無いのでな。」
「俺の世界も学校で魔法は教えてくれなかったぜ。貴族は大昔にいたがな。」
「そして、言いにくいことなんじゃが」
「何だ?」
「貴方が元いた世界に帰る方法です・・・」
二人ともうつむいて中々切り出さない。その様子を見て一つの予感が魔人の中で生まれた。
「言ってみろよ」
「残念じゃが、召喚した者を元の場所に返す術は、無い」
この魔人に嘘をついてもしょうがない。むしろ嘘をついた場合、問答無用で殺されかねない。いや、この答えを
口にした瞬間殺される気もした。それでもオールドオスマンは正直に答えた。
「そうか、なら自力で帰るだけだ。」
意外にも魔人はあっさりと聞き入れた。
「お、怒らないのですか?」コルベールが恐る恐る尋ねる。
「想定の範囲内って奴だ。さっき召喚された者は一生、主と生きていくって言ったろ?となればわざわざ追い返す
術なんて誰が使うんだ?」
「その通りじゃ。しかし、無いからといって諦めることは出来ん。術が無いのなら探せばいいのじゃ。」
「いい事言うじゃねぇか爺さん。」
「では、それまでの間学院に居てくれんか?出来れば君を召喚したルイズの使い」
「俺は自分より弱い奴のパシリになる気はねぇぜ」

即答である。しかも空気が重くなり始めている。
「だが、あいつは見所がある。今ならカオス属性になれるな・・・」
「何の事じゃ?」
「こっちの話だ。何度も言うが使い魔にはならねぇよ。まぁ俺より強くなったら話は別だが。」
それは絶対無理だろうとコルベールが心の中で突っ込む。
「要するにガキのお守りをすればいいんだろ?本来なら冗談じゃねぇ。お断りだ。ってとこなんだが、特別だ。
契約はしねぇがな。」
「いやいや、それでも一向に構わんよ。その間はこちらで生活面の援助をするということでいかがかな?」
「期間は俺が帰るまでだ。それから俺が帰る方法をちゃんとてめーら探しておけよ。当然俺も自力で探すが。」
「では決まりですね。それと一つお願いがあります。」
コルベールが真剣な顔つきになって魔人の前に立つ。そして両手を合わせてこういった。
「生徒達はまだまだ未熟です。あなたの逆鱗に触れる事もあるでしょう。そんな生徒は私共で対処します。
ですから、どうか・・・」
魔人の前でコルベールは跪いた。
「生徒を傷つけないでください!」
コルベールは祈る。懇願する。神にも等しい存在に、太刀打ちする事すら敵わない。ならばもう、彼の取れる
手段はこれしかなかった。だがしかし、この行為は逆に魔人の怒りを買ってしまう事になるなど誰が考え付く
ものか。
449カオスヒーローが使い魔:2009/10/26(月) 23:18:22 ID:dPlZ9Yrt
「ふざけるな!何だそれは!戦いもせずに相手に媚び、ご機嫌をとるとはどういうことだ!?そうじゃねぇだろ!
てめぇが真っ先にする事は、てめぇの大事な物を守るために強くなる事だろ!それを放棄して俺に媚びるんじゃ
ねぇ!祈るな!すがるな!そんな暇があったら少しは強くなったらどうなんだ!?それともそれがこの世界の、
魔法が使える貴族様のやり方か!!どうなんだ!!答えろ!!」

オールドオスマンもコルベールも反論できなかった。魔人の言葉が胸に突き刺さる。
「痛いところを突かれるわい。」
「お恥ずかしい限りです。」
「けっ、これだから弱い奴はキライだぜ。」
舌打ちする魔人。
「まぁ俺も最初からこの力を持ってたわけじゃねぇ。偉そうな事言っちまったな。」
気まずくなってしまった空気を感じ、部屋から出ようとする。出る間際に
「俺は快楽殺人鬼じゃねぇ。売られたケンカは買うけどな。」
そう言って歩いて出て行った。残された二人は顔を見合わせる。
「コルベール。」
「はい。」
「一日でも早く彼を元の世界に戻す方法を探せ。死人が出る前にな。そしてこれがもっとも大事な事じゃ。
お互い、強くならねばならんのぅ。」
最後の方はオールドオスマンの口元が緩んでいるようにコルベールは見えた。なぜかコルベールも少し微笑んでいた。
「えぇ、本当に。憧れすら感じますよ」

学院長の部屋をでて本塔を降りた魔人は大事な事に気がついた。
「やべぇ、俺の部屋はどこだ・・・?」意外と間抜けであった。
空を見ると夕焼けがはじまっていた。何年ぶりだろうか、こんな赤い空を見るのは。東京に居た時はいつも曇って
いたし、空を見る余裕もなかった。見ても何も感じなかっただろう。そんな感情も捨てたと思っていた。
だが今はこうして空を眺めているのも悪くないと思ったのだ。
「どうかしてるぜ・・・これも異世界の影響って奴か?」
さらにぐるっと空をみて「なるほど、やっぱり異世界じゃねぇか。」とつぶやいた。
東京では絶対に見ることの出来ない光景。二つの月が暗い空に浮かび始めていた。

「待ってろよ。すぐに戻って決着をつけてやるからな」
魔人の決意は固い。
450カオスヒーローが使い魔:2009/10/26(月) 23:19:49 ID:dPlZ9Yrt
今日はここまでです。それではおやすみなさい。
お休みのあいだ悪魔に身体をのっとられないようお気をつけて
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 23:27:10 ID:mFJqHBP1
乙。まあこうなるよな……
この後に控えているイベント考えると色々寒気がしないでもないw
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 23:30:19 ID:EtUIZVmF
アッガイタソがハルケで大暴れ
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 23:43:15 ID:DGXVb8mn
ワルドがまた一人瞬殺されるのか 楽しみだ
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 00:34:38 ID:3DaYnRGd
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 00:43:50 ID:n1I5cUXE
乙です。
まぁこうなる罠w
とりあえずギーシュとおマチさんイ`w
ワルドは…どうでもいいやw
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 01:49:36 ID:Cw+tRXJJ
>>399
ちょい亀だが、長編だとヘルミーナ召喚の奴がそれだな

ただ、全編オリ展開の上にルイズが半分以上壊れてるけど
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 01:53:48 ID:dBH/K1j0
亀な上にガイシュツというおち
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 01:58:40 ID:slr2EJ6l
カオスヒーロー乙です。
何故だろう、ティファの使い魔がアリスの分霊のような気がしてた(滝汗)
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 03:03:02 ID:xwGrB79G
展開潰し?
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 06:42:12 ID:uzUytc9S
>>455
カオスヒーローはなんだかんだ言って空気の読める、情で動く子。
悪いようにはならない筈さ!

空気の読めないワルドは全殺し確定だろうけどw
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 11:30:26 ID:0bCui1oo
マルクスとエンゲルス召喚
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 11:35:32 ID:9kKh9/ON
有史が6000年もある世界なら君主論みたいな書がゴロゴロある気がしないでもないが
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 11:46:17 ID:Zhn1e77L
>>462
んな書よりエロ本のほうがありがたがられる世界だから
人間、やっぱ一番にくるのはご立派様だよ
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 12:10:26 ID:PTo7Sh3G
ttp://www31.atwiki.jp/zeronosousuke/
フルメタの宗介召喚って、ここのまとめwiki以外にあったのね
ティファにかなめが召喚されて、宗介がルイズと寝食共にしてると知ったら面白そうだ
ルイズはルイズで対抗心むき出しでその事を強調してきたりして
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 12:25:08 ID:0WBuaM5c
カオスヒーローの人乙でした
原作最後の方で嬉々としてパートナーを紹介してくる辺り、なんだかんだでヒーローに心許してくれてたんだなぁ、と。
そんなカオスヒーローが上手く描写されてると思います。これからも楽しみに待ってます。
…この頃のカオスヒーローってレベルいくつだっけ…?

>>457
>亀な上にガイシュツというおち
おちと言うよりむしろ追い撃ち
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 14:38:11 ID:c3WmRZH3
>>465
よく覚えていない。だいぶ昔のプレイだし。けど…
この辺りだとLV80以上は無いとまったく歯ごたえが無いと思う。
カオス系のラスボス近くなんだから90越えてるんじゃないかな。
文字通り中級はおろか上級の神をも超える強さのはず。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 15:25:49 ID:03DPasn3
カオスヒーローはレベル99になってるね
ベルゼブブも99で仲魔のセラフ最強なガブリエルが96

ちなみにご立派様は82だ
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 15:43:54 ID:XyLvISBu
>>433
その場合、間違いなくミニ・エレオノールが出来上がる気がするw
でも劣等生じゃないルイズがサイトを召喚しちゃったらどうなるんだろうか?
周りの反応も「ヴァリエール嬢が平民を!?」みたくなりそうやね。
でもってルイズにギヌロされて「あいや、ご立派な使い魔ですね〜えへへ」みたいな。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 15:46:53 ID:PTo7Sh3G
学生エレオノールがサイトを召喚するってIFも良いな
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:02:25 ID:Xqvf7Hau
逆に誰が召喚してもサイトしかでてこない
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:08:05 ID:zX7rEAMF
男含めて全員と契約する、大ハーレムサイトかw
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:08:36 ID:SDwSXz16
クローンサイトだと!?
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:09:42 ID:WLUnjo3C
そういう話題はIFスレに持っていってね。
そういえばクロスものではルイズがクロスキャラを、別の誰かがサイトを召喚というパターンもあるよな。
対応力高いやつだから、どこへ行ってもすぐ慣れるところが使いやすいんだろう。
銃士隊に放り込んでアニエスにスパルタ特訓されて、さらに百合の園にうずもれていく……これもIFだな。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:11:08 ID:Xqvf7Hau
百合の花ということはサイトではなくサイコちゃんですね
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:15:44 ID:plqo1fDk
僕はちっぽけな青い果実でしょ
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:24:07 ID:XyLvISBu
>>474
サイコが首輪されて鞭でしばかれるとかもう18禁になるぞw
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:46:30 ID:PihLtjMG
最初こそ布を切り裂くような悲鳴をあげてその後すすり泣いてたのに
次第に免疫ついて声を押し殺し頬を紅潮させるだけの反応になるとな
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:48:19 ID:jVmAXWI1
カオスヒーロー乙です
こうギラギラとした感じ、たまらないっすね
カオスさんは弱いものの気持ちも分かるだろうから、ワルドもお待ちも悪いようにならないような、なるような
やるならスパッとやって貰いたいねっ
479ゼロHiME:2009/10/27(火) 16:51:37 ID:2fcgudDj
>>477
続きはIFスレでやろうぜ
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:55:06 ID:9kKh9/ON
天使が召喚されてハルケギニアを統べる女王を決める格闘大会が開催されるんですね。わかります。
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:58:16 ID:9kKh9/ON
>>468
そういえばルイズは公国の娘が手を出すなと親に言われるような家柄なのに取り巻きの生徒とかいないね。
むしろ苛められてるとかある意味なかなかすごい。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 16:59:19 ID:Xqvf7Hau
天使=ナナエルって考えるのが普通なんだろうけど、ナチュラルに天使=ノボルで想像してしまった俺はどうすればいいんだろう・・・

483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 17:13:48 ID:aGwT3wVw
魔界天使ならジブリールなんだが。
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 17:20:48 ID:0WBuaM5c
超昂天使ならエスカレイヤーですね
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 17:31:29 ID:chtBOAph
愛の天使ラブやん!見〜〜〜参ッ!!
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 17:45:34 ID:aVtI/CDn
「チャオズは置いてきた、この戦いにはついてこれそうもない」
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 17:46:50 ID:rDNAxHDs
>>481
半分他国になっているが故の遠慮ってのも有るんじゃないか?
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 17:49:33 ID:3p0tHXfQ
聖乳をこぼしてはいけません
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 17:51:13 ID:8yAdMQSN
天使・・・
サンダルフォン・・・檜山の
あかん、ベジータやティトゥス呼んだほうがまだマシだw


>ラブやん
ワルドに召喚されてルイズをモノにしようとしたら
ことごとく裏目に出て滅茶苦茶
な絵しか想像出来ませんw
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 17:55:59 ID:Ab3PFqJa
魔界の天使って言ったらマジカルミヤコを思い出す
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 18:05:12 ID:42NTt+AV
ラブやん召喚してもラブ穴で速効帰ってしまいそうな気がしないでもない


普通にサイトを召喚して恋愛成就させるためにラブやんがくればいいのか
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 18:09:15 ID:K2wW46w5
天使と言われてもエウシュリーちゃん達しか出て来ない。
すれ的にジブリールであるはずなのに……悔しい
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 18:13:33 ID:1Ukw1nw7
フルメタならミョズとしてテッサ召喚
普通に強いな
自分でマジックアイテム作りそうだし
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 18:23:34 ID:rDNAxHDs
>>493
ウィスパード能力がハルケギニアでも使えるかどうかは、甚だ疑問だな。
テッサやレナードの説明聞く限り同一時間軸上でなければ受信出来る気がしない。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 18:35:24 ID:8yAdMQSN
仮に受信できたとしても
未来千鳥(仮)にハルケの知識まであるか・・・何でもアリぽいが
それこそ設定的に未来千鳥(仮)がミョズということにするしか

テッサは潜水艦作るくらいだけど
レナードは獲得済みの知識の応用だけでもハルケで十分色々出来る気がする
ジョゼフのとこでアレコレやるのが定位置って感じだな
ただレナードの計画、具体的な理屈は忘れたがハルケでやっても効果は無いような気もするねぇ
過去を変えるならジョゼフにとっても魅力的かもしれんが
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 18:38:33 ID:TxR7oVg+
天使と言われてDQ9が思い浮かんだ
イザヤール召喚できれば当たり。エルギオス召喚してしまったらハルケ終了のお知らせ。
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 18:48:18 ID:WFI4SPs+
>>496
和解後ならむしろ始まるぜ>エルギオス

ここまでロリコン天使アブデル無し
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 18:55:16 ID:/rNN5vbR
天使でテンテンくんが出ないだと…!?
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 18:56:21 ID:9kKh9/ON
>>498
盲点な上にそいつはルイズにぴったりなダークホースだw
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 19:00:38 ID:qKOZqbDX
>>491
そのネタってヘルスレのシュレの人がやってたな
>呼ばれたそばからすぐ帰る
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 19:07:03 ID:ldiSSZTm
なぜか銀狼怪奇ファイルが出てきた

天使のような〜♪
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 19:15:17 ID:plqo1fDk
アデレートでビームバリアに引っ掛かった直後のΞガンダムを呼んだら
ルイズってクェスと似た所があるしハサのタイプかも知れん
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 19:25:35 ID:wPTEbB72
天使といえば…・・・
秘められた秘密の超パワーを隠していて、実は王家の血筋を引くSランクのハンターな漆黒の堕天使
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 19:28:31 ID:1Ukw1nw7
天使といえばセフィロス
もしくは
プリッシュ
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 19:30:28 ID:AarEnojt
羽生えてたしケフカでええやん
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 19:30:39 ID:Xqvf7Hau
天使のワッカついてるカカロットさんとか
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 19:50:24 ID:Dn/80bPR
Vガンのエンジェル・ハイロゥ
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 20:02:50 ID:8yAdMQSN
>>498
たしかにぴったりだw
サイダネ袋の中には虚無のサイダネとかあるのだろうか・・・
と、思ったが
でもあれってサイダネ入ってないから何でも入れられたので
虚無の才能持ちのルイズは天翼じょうろの水かければ即使えるようにはなるけど
他の才能は与えられないんだろうな・・・
逆に順番待ちのジョゼットとかだと何でも与えられるのかもしれんが

>>504
ニブルに行く前の状態だったら立派に主人公張れると思うのだ
むしろ帰らないほうがいいです・・・
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 20:43:25 ID:v64XWsKR
天使・・・・そらのおとしもののイカロスはどうだろう?
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 21:00:01 ID:Ab3PFqJa
同じ作者の作品からサリエルつれてくるとか
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 21:05:13 ID:9kKh9/ON
>>508
ルイズの頭の中には昔テンテンくんが吹いたクックベリーの種が入っているんだよ
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 21:14:43 ID:94XsdC1L
天使っつったら課長バカ一代のあいつだろ

「あなたの願いをかなえてさしあげます」
「…?!じゃ、じゃあ、みんなと同じように魔法を使えるようにして!」
「うーんそれはちょっと…」
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 21:17:45 ID:etPgdZ4y
ギーシュを迎えに天使が降りてきた
すぐモンモンが天使を殴り倒した
その後押し寄せた大量の天使も全て倒した
なんとかギーシュは救われた
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 21:20:58 ID:/Lk5awxn
…使徒?
515瀟洒な使い魔 第2話 1/9@代理:2009/10/27(火) 21:25:14 ID:NVc0QEt8
翌日ルイズが目を覚ますと、隣で寝ていたはずの咲夜の姿はなかった。
周囲を見回すと、この学院のものではない、スカート丈の短いメイド服が視界に入る。
あれ?こんなメイド学院に居たっけ。ていうかなんで平民が私の部屋に居るのかしら。
ああ、そういえばこの平民は使い魔だっけ。昨日は一緒に寝たのよね、そういえば。
名前は確かサクヤとかいったかしら。平民の癖に魔力があるし、異世界の住人だとかいうよく分からない使い魔。
そう寝ぼけた頭でとりとめもないことを考えていると、あれよあれよと言う間に着替えさせられ、髪を梳かされる。
数分後には一部の隙もないほどに完全な形で身だしなみが整った自分がそこにいた。

「……なんか釈然としないんだけど」

「こういうこともメイドの勤めでしょ? ほら、もたもたしない」

なおもぶつぶつと文句を垂れるルイズの背中を押しながら部屋の外に出る。
すると、虎ほどもある巨大な蜥蜴を連れた燃えるような赤い長髪の少女と出くわした。
途端、ルイズの眉尻が跳ね上がり機嫌がレッドゾーンに突入する。
咲夜はここ数日で築いた薄い交友関係から名前を拾い上げる。確かキュルケと言う名前だったはずだ。
トリステインの隣国ゲルマニアからの留学生で、ルイズとは先祖代々いがみ合ってきた仲だと言う。

そのいがみ合いの系譜は子孫である彼女らにも受け継がれているらしく、事あるごとにこうしてにらみ合う。
もっとも、キュルケがからかってルイズがムキになる、というのが実情だが。
魔法使いとしてもかなりの腕前らしく、ボタンがいくつか外されているシャツから覗く豊満なスタイル、
そして何より歳や身長でも、何一つとしてルイズが勝っているところはない。
それがなおのことルイズの敵愾心を煽るのだろうなぁ、と思案しつつ、キュルケに話しかけてみる。

「おはようキュルケ。フレイムも元気そうね」

「あらサクヤ、ようやく観念したのかしら?」

「ええ、とりあえず暫くは使い魔をやってみようと思うわ。改めてよろしくお願いね」

そんな感じで言葉を交わしていると、背後から殺気にも似た威圧感を感じる。
ルイズの短い堪忍袋の緒が切れそうになってるな、と咲夜は直感し、
「それじゃあ、先に行くわね」とキュルケに次げてルイズとともにその場を後にする。

「……まったく、サクヤも大変そうね、ルイズのお守りだなんて。
 フレイム、使い魔同士、仲良くしてあげなさいね?」

キュルケは苦笑しながら傍らの使い魔に語りかけ、フレイムはそれにボッ、と軽く火を噴いて了承の意を示した。



瀟洒な使い魔 第2話「メイドと青銅のドットメイジ」
516瀟洒な使い魔 第2話 2/9@代理:2009/10/27(火) 21:26:39 ID:NVc0QEt8
朝食が終わればルイズは授業である。よって咲夜も手が空くため、ルイズの部屋の掃除、洗濯などの雑用をこなす。
元々紅魔館に居た頃も屋敷の雑務はほとんど自分一人でやっていたので、
ルイズの部屋自体はそれほど時間をかけずに終わってしまう。
いつも屋敷でやっている「裏技」でやれば、この魔法学院全域の掃除すら昼には終わってしまうだろう。
つまるところ、暇なのである。

こうした時に何をしているのかと言うと、ルイズ以外の部屋の掃除などの雑用である。
屋敷一つをほぼ1人で切り盛りするためか、幻想郷に居た時の咲夜の仕事量は異様なほど多い。
そんな中で何年もやってきているためか、なんとなく仕事をしていないと落ち着かないのだ。
そうオスマンに話すと「ではメイドに混じって色々やってくれんかのう、給金は出すぞい」と頼まれた為、
今このようにして雑用をこなしている。これも職業病と言うものであろうか。

そうこうしているうちにどうにか仕事も一段落し、一休みとなる。
掃除用具を仕舞った後に向かうのは食堂。正確に言うならば、そこの厨房である。
出迎えるのは学園付きのコック長であるマルトーや、同じく学園付きのメイドであるシエスタ。
この数日間で親しくなった数少ない知り合いで、異邦人である咲夜でも快く迎え入れてくれた。
オスマンに衣食住の保障を取り付けるより先に彼らと知り合っていたために咲夜が今まで生きてこれたといっても、
過言ではないだろう。まあ、出会っていなかったら出会っていなかったでどこかから失敬していたかもしれないが。

基本的に出されるものは残り物や賄いであるが、幻想郷に居た時とは余り違いがない。
というか、幻想郷に居た時より豪華である。何せ咲夜は人間とは食べるものが違う吸血鬼を筆頭に、
比喩表現抜きで(種族的な意味で)化け物揃いである中で唯一の人間であった。
そのため寮を作る必要はなく、自分の分だけに限って言えば豪華に作る必要性は余りなかったのである。
貴族達の食事は量が多い。しかも全部食べるわけではなく手付かずで残る料理も数多く、
咲夜に回ってくるのはそう言った物の場合も多い。しかもマルトーの力作ばかりである為、不味いはずがない。
昔よりかえって栄養状態がよくなったような気がする、とは3日目の夕食の際彼女が漏らした呟きであったりする。

「ご馳走様でした、マルトーさん。今日の料理もまた格別に美味しかったですよ」

「なぁに、貴族連中の残り物で良ければまだ山のように残ってるぜ?
 おかわりが欲しけりゃどんどん言ってくれよ!」

そう言ってシエスタに追加の料理を持って来る様に指示するマルトーであったが、
これ以上食べ続けると教師の1人であるミス・シュヴルーズのようになってしまいかねないので丁重に断り、
何とか話題をそらそうとする。

「そろそろ生徒の昼食の時間でしょう? 腹ごなしにお手伝いさせてもらいますわ」

「おお、そういえばそんな時間だったな! それじゃあ遠慮なく手伝ってもらうとするか!」

なんとかこれ以上栄養状態が良くなることは避けられたようである。
517瀟洒な使い魔 第2話 3/9@代理:2009/10/27(火) 21:27:54 ID:NVc0QEt8
かくして咲夜は今、トレイに乗せたデザートを配って歩いている。今日のデザートはケーキのようだ。
すいすいと淀みなく椅子の間を抜け、無駄のない動きでケーキを配って行く。
自分の受け持ち分は全て配り終えた後ふと何かを蹴飛ばしたと思ってそちらを見ると、
色の着いた液体の入った小さな小瓶が転がっていた。香水の瓶だろうか?
拾い上げて周囲を見回すと、金髪にフリル付きのシャツを着た少年が友人であろう少年達と談笑していた。
恐らく彼のものだろう、と推測した咲夜は、邪魔をするのも悪いのでテーブルの上にそれを戻して置く。
こうしておけば気付くだろう。そう思考して、咲夜は厨房へと戻っていった。
一休みしていると、食堂の方がなにやら騒がしくなっていたようだが、
ルイズ絡みのことではなさそうなのでそのまま食後の紅茶としゃれ込んだ。

「さて、昼休みもそろそろ終わりのようだし、午後の授業くらいはルイズに付き合いましょうか」

「なんだ、もう行っちまうのか? 腹が減ったらいつでも来てくれよ!」

軽く手を振って答え、厨房を出る。すると、さっきの少年が物凄い剣幕で駆け寄ってきた。
両の頬には綺麗な平手打ちの跡があり、少し離れたところでは友人であろう少年達がくすくすと笑いながらその様子を眺めていた。

「ききき、君だな! さっき僕のテーブルの上に香水の瓶を乗せたのは!」

「そうだけど、貴方のものじゃなかったのかしら?」

「いやあれは僕のであってるが……お陰で2人の少女の名誉に傷がついてしまった! どうしてくれるんだ!」

少年の言っている事がよく分からない。どういうことなのだろうかと後ろに居る少年達を見ると、
その中の1人が腹を抱えながら解説する。

「あの香水、そいつが女の子からもらったプレゼントなんだよ!
 そいつさ、だっていうのに他の女の子と付き合ってたりしてて、お前が香水を返したのが原因で二股がばれたんだ!
 ばれるくらいなら最初から浮気なんかするな、って言う話だよな!」

なんだそれ、と咲夜は思った。まるで言いがかり、というか言いがかりそのものじゃないか。馬鹿じゃないのかこいつ。
咲夜の視線が困惑から哀れなものを見るような視線に変わったのを察したのか、
少年の顔が段々と赤く染まっていく。拳は硬く握られ、小刻みに震えだす。
相当怒ってるなぁ、と思いつつ嘆息し横を通り過ぎようとすると、肩を掴まれた。

「痛いのだけど、離して貰える?」

「残念ながらそれは出来ないな、メイド君。そういえば君には覚えがあるぞ、
 確かあのゼロのルイズが召喚した使い魔だったね?」

「ええ、そうよ? 貴方が二股をかけていたことと私がルイズの使い魔であることと、何か関係があるのかしら」

少年のこめかみに青筋が浮く。確かに全く関係ねぇや!と友人達が大笑いする。
肩と掴む手に力がさらに加わった。

「……知ってるかい? メイジにはこんな言葉があってね。
 『メイジを見るときはまず使い魔を見ろ』。なるほど、あのルイズの使い魔らしい口ぶりだ。
 まあいい、仕事は出来るようだが所詮平民、口の効き方を知らないのも道理だ。
 では本題に入ろう、僕が君に何を求めているのか、分かるかい?」
518瀟洒な使い魔 第2話 4/9@代理:2009/10/27(火) 21:29:18 ID:NVc0QEt8
「興味ないわね。この後はルイズに付き合って午後の授業を見に行く事にしているのよ。
 見等外れの逆恨みに付き合っている暇はないわよ?
 それとも、貴族のお坊ちゃんは流れのメイドと戯れるのをお望み? 御免被るわ」

肩にかかった手を払いのけて歩を進める。
幻想郷に居た頃からこうして突っかかってくる相手は叩き落としていたものだが、
今はルイズの使い魔兼学園付きのメイドという立場であり、そこらをうろついていたような妖怪とは事情が違う。
迂闊に怪我をさせてしまってはそれはそれで問題だろうと食堂を出ようとすると、少年達が道を塞いでいる。

「なあ使い魔さん、悪い事は言わないよ、あいつに謝ったほうがいいぜ?
 ほら、あいつプライド高いから。そろそろ切れるんじゃないかな」

そういわれて振り返ると、額に手を当てて不敵に笑っている少年がいた。

「ふう、僕としたことがつい熱くなってしまったようだ……
 よくよく考えてみれば所詮平民の言う事、しかも聞くところによれば遥か遠く、東方の生まれだそうじゃないか?」

もっと遠くだし別に幻想郷で生まれたわけでもないのだけど、と思いつつも、とりあえずは話を聞くそぶりを見せる。

「ならば礼儀を知らずとも仕方ない、しかもゼロのルイズの使い魔だ、
 察しが悪いにも程があるのもまた道理! だが無知は罪であり、罪は裁かれねばならない!
 礼儀を知らない平民に礼儀作法を教え込むのもまた貴族の、このギーシュ・ド・グラモンの務めである!」

そして薔薇の花を匂いをかぐようにかざし、おもむろに咲夜を指差した。
その目は一見冷静に見えるが口元がひくついていたり、腕がプルプルと震えていたりするため、
咲夜は「ああ、怒りが収まったわけではないんだなぁ」と半ば呆れながら溜息をつく。

「故に僕は君に決闘を申し込もう! 名乗りたまえ、平民!」

「十六夜咲夜。ケンカがしたいなら最初からそういって欲しいわね。そういうのなら嫌いじゃないのに」




ヴェストリの広場でギーシュとゼロのルイズの使い魔が決闘をする。
そんな話を耳にしたルイズは、授業の準備も放り出して広場へと直行した。
広場には既に人だかりが出来ており、中央に開いた空間では咲夜と少年……ギーシュ・ド・グラモンが対峙していた。
ギーシュは咲夜に対してなにやら口上を語っていたが、咲夜はソレを興味なさげに聞き流している。
周囲から聞こえてくる呟きから察するに、咲夜がギーシュに言いがかりを付けられ、
そのまま決闘へともつれ込んだらしい。「戦いは得意」だと言っていたが、何かあってからではまずい。
ギーシュはメイジとしては最下級の「ドット」だが、それでも平民はメイジには勝てないのだ。
そう感じたルイズは人垣を押しのけ、咲夜へと近づいていく。

「ちょっとサクヤ! どういうことなのこれ!?」

「あらルイズ、案外早かったわね。見ての通り、売られた喧嘩を買ったまでよ。
 それに何より、そろそろご主人様に自分の実力を見せておいてもいいじゃない?
 言ったでしょ、『こういうことは大得意だ』って」
519瀟洒な使い魔 第2話 5/9@代理:2009/10/27(火) 21:31:14 ID:NVc0QEt8
もっとも、あんな坊やじゃ本気になる前に殺しちゃいそうだけど。
そう呟いてルイズをギャラリーの方に下げ、手を一振り。その手の中に、魔法のようにナイフが1本現れる。

「さて、それじゃあ始めましょうか。ルールはどうするの?」

「ここは平民の君にも分かりやすいようにシンプルに行こう。参ったといった方の負け。 
 僕に限りこの薔薇の造花……これが僕の杖だ。これを手放しても負けと言うことにしよう。
 怪我をしないうちに降参したまえよ?」

「あら、優しいのね? それじゃあ私もハンデをあげるわ。このナイフ1本で戦ってあげる。
 貴族のお坊ちゃんを針山にしてしまったら問題でしょう?」

咲夜はナイフを手の中でもてあそびながらくすりと笑う。
それがきっかけになったのか、ギーシュが薔薇を振り上げる。花びらが一枚地面に落ち、
それが瞬く間に鎧を纏った女性を象る。ギーシュの十八番、ゴーレムの生成だ。

「そういえば二つ名を名乗っていなかったね。 僕の二つ名は「青銅」。
 「青銅」のギーシュだ。僕はメイジだ、魔法を使っても卑怯だとは言うまいね?」

「まさか。こんな可愛らしい魔法を卑怯だなんて言ったら、貴方がかわいそうでしょう?」

「……っ! ワルキューレ、その無礼者に現実を教え込んでやれ!」

哀れみを含んだ咲夜の挑発にギーシュが吠える。
ギーシュの絶叫に応えるようにゴーレム……ワルキューレが駆け、咲夜に殴りかかる、はずだった。

「遅すぎるわ」

そんな呟きとともに、咲夜はその横をするりと通り過ぎる。
その瞬間金属と金属がぶつかり合う音が連続し、ワルキューレがバラバラに分解した。

「な……!?」

ギーシュが驚愕に表情を強張らせる。自慢のワルキューレが、一瞬でバラバラに砕けたのだ。
ルイズにも、ギャラリーにも、何も見えなかった。咲夜が横を通り過ぎた。
ただそれだけにしか見えなかったのだ。しかし、今何が起こったのかを認識できた人物が1人居た。
ギャラリーの最後尾、蒼い髪を短く揃え、身の丈を超える長い杖を抱いたルイスより小柄な少女。
その横には赤い髪の少女……キュルケが並び、横目で少女を見ながら話しかけている。

「ねえタバサ、今の見えた? 何があったの?」

タバサと呼ばれた少女は軽く頷き、ポツリと呟く。

「あのメイドが切り刻んだ」

「へぇ……ただのメイドかと思ったけど、案外やるじゃない」

「只者じゃない。おそらくは『メイジ殺し』」

「あんたがそこまで言うとはね。今度ゆっくりお話を伺ってみたいもんだわ」

キュルケはそう一人ごちると、視線をタバサから決闘へと移した。
520瀟洒な使い魔 第2話 6/9@代理:2009/10/27(火) 21:32:49 ID:NVc0QEt8
「いまのでお終い? もっと歯ごたえがあると思ったのだけど、期待はずれだったかしら」

「う、な、何故だ、僕のワルキューレがぁぁっ!?」

にこやかに微笑みながら歩を進める咲夜。ギーシュは半ば恐慌状態に陥りながらも次々にワルキューレを生み出す。

2体目生成、やはりすれ違い様に『分解』した。
3体目生成、今度は頭頂から開きにされた。
4体目・5体目生成、手足を切り飛ばされて地面に転がった。
6体目生成、盾を持たせた。無駄だった。
7体目生成、槍も持たせた。2体目よりさらに細かく『分解』した。

何故だ、何故だ。適当に痛めつけて降参させるつもりだったのに。
なんでワルキューレがこんな風にばらばらになるんだ。自分はとんでもない相手に喧嘩を売ってしまったんだろうか。
そんなギーシュの葛藤には関係なく、咲夜は歩み寄ってくる。
顔は微笑んでいる。白い肌、銀色の髪、蒼い瞳。ギーシュのお眼鏡にかなうほどの美人だと今更ながらに気づく。
だが目が笑っていない。あんな目は今まで見た事がない。自分は何をされるんだろうか。
ワルキューレのようにバラバラにされるんだろうか? そんなのは嫌だ。怖い、怖い、怖い怖い怖い――――
ギーシュの表情が恐怖一色に染まる。身を一歩引こうとしたその瞬間、首筋にちくりとした痛みを感じた。
振り返ればそこには1本のナイフ。咲夜の持っていたものだろう。ただそれは、『何の支えもなく』『宙に浮いていた』。
なんだこれは、あいつはただの平民じゃないのか? まるでこれは……魔法じゃないか。
理解不能な事象にギーシュの思考が一瞬真っ白になる。そして気がつけば、咲夜に胸倉を掴み上げられていた。

「ま、まいっ……」

パァン!

空気が破裂するような音と共に、ギーシュの頬が張り飛ばされた。
周囲が唖然とする中、返す手の甲でもう一度張り飛ばす。往復ビンタである。

「ちょ、ま」

パァン!

ギーシュに二の句を告げさせず、往復ビンタが繰り返される。
手首のスナップを聞かせ、右に左に打ち据える、
途中ギーシュが何かを言いかけるが無視する。

「お」

パァン!

また何かを言いかけたようだが、こうなると中々手が止まらない。
10回、20回と繰り返すうち、流石にこれ以上は不味いのではないかとルイズが咲夜を止めに入った。

「さ、サクヤ! もうギーシュは参ってるわ! もう止めて上げなさいよ!」

「あら、でもまだ『参った』って言葉聴いてないわよ?」

笑みを崩さずに繰り返される往復ビンタ。そろそろギーシュの頬が餌を詰め込んだリスのようになって来る。
喋る暇も無く打ち据えられているのだ、参ったと言えるはずがない。
521瀟洒な使い魔 第2話 7/9@代理:2009/10/27(火) 21:35:36 ID:NVc0QEt8
「『参った』と言う言葉が出せない以上、決闘をやめるわけには行かないものね?
 それにルイズ、身の程知らずにはきちんと身の程を教えてあげないと。
 それこそ、トラウマになるくらいに」

だめだこいつはやくなんとかしないと。
今更ながらにとんでもないのを召喚してしまったと焦るルイズであったが、ルイズでは咲夜を止められそうにない。
何か方法がないかと頭を高速回転させ……地面に落ちた薔薇を見つける。ギーシュの杖である。
それを拾い上げ、咲夜に突きつけた。

「ほら、ギーシュの杖! もうとっくにこいつは杖を手放してるわ! この決闘は貴方の勝ち!
 だからもうその手を離しなさい! いいわね! ねえ皆!」

「仕方ないわねぇ。……ギーシュ君だったかしら、これからは言いがかりをつけるなら相手を見てからにしたほうが良いわよ」

ルイズは周囲に同意を求め、全員が頷く。
咲夜が手を離し、ギーシュはようやく往復ビンタから解放されたのであった。
友人の1人が駆け寄り、腫れ上がった頬に治癒魔法をかけ始める。
それを一瞥すると咲夜はその場を後にし、ルイズがそれを追いかける。
その場にいる全員が思った。彼女だけは怒らせるまい、と。




「……ふむ。コルベール君、彼女をどう見るね?」

決闘からここまでの咲夜の様子を魔法によって見ていたオスマンは、傍らのコルベールに問いかける。
コルベールは少し考え、先ほどまでの咲夜の行動を思い返し、口を開いた。

「……彼女は相当に実戦慣れしていますね。まだ実力の10分の1も出していないでしょう。
 一体どれだけの修羅場をくぐればあれほどまでに練り上げられるのか、見当もつきません」

「なるほど。コルベール君が言うのであればその見立てに間違いはなかろうな。
 ミスタ・グラモンの首の後ろにナイフを浮かせていた技、あれはただの『念力』でもあるまい。
 少なくともワシのみる限り、あのナイフは一瞬でミス・イザヨイの手からあそこまで移動しておる。
 それこそ、まるで魔法のようにな。して、コルベール君。例の件だが……」

オスマンがそう言うと、コルベールは頷いて古い書物と1枚の紙片をデスクの上におき、書物を開く。
紙片には使い魔のルーンらしき紋様が描かれており、開かれた書物にも全く同じ紋様が描かれている。
この書物の名前は『始祖ブリミルの使い魔達』。メイジたちが一般的に使う『系統魔法』をもたらした人物、
始祖ブリミルが従えたという伝説の使い魔の事が記されている書物である。

「ミス・イザヨイのルーンは一字一句寸分たがわずこの『ガンダールヴ』のルーンと同じです。
 これは一大事ですよ、オールド・オスマン!」

「そうじゃな。かの伝説の使い魔はあらゆる武器を使いこなし、一騎当千の武勇を誇ったという。
 じゃが、強い力と言うものは必ずいらぬ厄介も寄せ付けるものじゃ。
 コルベール君、この件、ワシが良いと言うまで他言無用じゃ。良いな?」

「ええ。分かっております。特に王室やアカデミーには知られないようにしなければ……」
522瀟洒な使い魔 第2話 7/9@代理:2009/10/27(火) 21:36:57 ID:NVc0QEt8
「『参った』と言う言葉が出せない以上、決闘をやめるわけには行かないものね?
 それにルイズ、身の程知らずにはきちんと身の程を教えてあげないと。
 それこそ、トラウマになるくらいに」

だめだこいつはやくなんとかしないと。
今更ながらにとんでもないのを召喚してしまったと焦るルイズであったが、ルイズでは咲夜を止められそうにない。
何か方法がないかと頭を高速回転させ……地面に落ちた薔薇を見つける。ギーシュの杖である。
それを拾い上げ、咲夜に突きつけた。

「ほら、ギーシュの杖! もうとっくにこいつは杖を手放してるわ! この決闘は貴方の勝ち!
 だからもうその手を離しなさい! いいわね! ねえ皆!」

「仕方ないわねぇ。……ギーシュ君だったかしら、これからは言いがかりをつけるなら相手を見てからにしたほうが良いわよ」

ルイズは周囲に同意を求め、全員が頷く。
咲夜が手を離し、ギーシュはようやく往復ビンタから解放されたのであった。
友人の1人が駆け寄り、腫れ上がった頬に治癒魔法をかけ始める。
それを一瞥すると咲夜はその場を後にし、ルイズがそれを追いかける。
その場にいる全員が思った。彼女だけは怒らせるまい、と。




「……ふむ。コルベール君、彼女をどう見るね?」

決闘からここまでの咲夜の様子を魔法によって見ていたオスマンは、傍らのコルベールに問いかける。
コルベールは少し考え、先ほどまでの咲夜の行動を思い返し、口を開いた。

「……彼女は相当に実戦慣れしていますね。まだ実力の10分の1も出していないでしょう。
 一体どれだけの修羅場をくぐればあれほどまでに練り上げられるのか、見当もつきません」

「なるほど。コルベール君が言うのであればその見立てに間違いはなかろうな。
 ミスタ・グラモンの首の後ろにナイフを浮かせていた技、あれはただの『念力』でもあるまい。
 少なくともワシのみる限り、あのナイフは一瞬でミス・イザヨイの手からあそこまで移動しておる。
 それこそ、まるで魔法のようにな。して、コルベール君。例の件だが……」

オスマンがそう言うと、コルベールは頷いて古い書物と1枚の紙片をデスクの上におき、書物を開く。
紙片には使い魔のルーンらしき紋様が描かれており、開かれた書物にも全く同じ紋様が描かれている。
この書物の名前は『始祖ブリミルの使い魔達』。メイジたちが一般的に使う『系統魔法』をもたらした人物、
始祖ブリミルが従えたという伝説の使い魔の事が記されている書物である。

「ミス・イザヨイのルーンは一字一句寸分たがわずこの『ガンダールヴ』のルーンと同じです。
 これは一大事ですよ、オールド・オスマン!」

「そうじゃな。かの伝説の使い魔はあらゆる武器を使いこなし、一騎当千の武勇を誇ったという。
 じゃが、強い力と言うものは必ずいらぬ厄介も寄せ付けるものじゃ。
 コルベール君、この件、ワシが良いと言うまで他言無用じゃ。良いな?」

「ええ。分かっております。特に王室やアカデミーには知られないようにしなければ……」
523瀟洒な使い魔 第2話 8/9@代理:2009/10/27(火) 21:38:51 ID:NVc0QEt8
コルベールは書物を閉じると、一礼して学院長室より退出した。
オスマンは瞑目し、咲夜の左手に刻まれたルーンを思い浮かべる。

「ワシの代で虚無が蘇るというのか……始祖ブリミルも余計な事をしてくれたものじゃのう……」

溜息と共にそう呟き、部屋の外で待機していたロングビルを呼び戻すべく声を上げた。




その日の夜、咲夜は与えられた私室で休んでいた。
与えられた部屋はルイズの部屋の隣で、丁度空いていた部屋だったらしい。
もっとも、何故空き部屋だったのかは大体見当がつく。あえて口には出さないが。
そろそろ眠りに着こうかとランプに近づくと、誰かがドアをノックした。
ルイズだろうか、1人じゃ眠れないなんて可愛いところもあるものね、と苦笑しながらドアを開けると、
そこに居たのはルイズではなかった。ルイズよりも背が高く、燃えるような赤髪を持った少女。
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー であった。

「はぁい、サクヤ。今日は大活躍だったわね?」

「あら、キュルケじゃない。立ち話もなんだから中に入ったら?
 何にもないところだけど、外よりはマシだわ」

キュルケを招きいれ、テーブルを挟んですわり、向かい合う。
身長は咲夜と同程度であったが、その過剰なまでの色香、そして豊満な肢体は、
彼女から発散される魅力を「少女」ではなく「女性」としてのものに変えていた。

「昼の決闘、見てたわよ。凄かったじゃない」

「まだ本気の10分の1も出してないわ。流石にこういう場所で刃傷沙汰は不味いでしょ?」

「それに最後に見せたアレ。杖もなしにやってのけるなんて凄いわ。メイドじゃなくてメイジだったのかしら」

キュルケは興味深げに咲夜を見つめる。情熱に溢れ、好奇心旺盛。そしてなにより、気が多い。
それが、ここ数日で咲夜が知ったキュルケの性格であった。
そんなキュルケに、咲夜はオーバーに肩をすくめ、苦笑交じりに否定する。

「魔法使い(メイジ)じゃないわね。どっちかというと奇術師(マジシャン)、といった所かしら?」

「中々奥ゆかしいのね。別にとって食おうって訳じゃないわよ。
 ただ知りたいだけ。人間の使い魔なんてほんと今までにないことじゃない?
 そかもそれがあのルイズが召喚した使い魔だって言うんだから、気になってしょうがないわ。
 そう思っていたところにあれでしょう? 韻竜は喋らない、って奴かしら。
 実力者ほど、無闇に力をひけらかさないものよね」

視線にさらに力が篭る。キュルケの二つ名は『微熱』。主に恋愛的な意味で使われることの多い名だが、
どうやら、興味を持った事に対してもそれは適用されるようだ。
咲夜は溜息を一つつくとその場を離れ、チェストの上においてあった差し入れのワインの瓶とグラスを手に取る。
グラスにワインを注ぐと、片方をキュルケ、片方を自分の側に置いた。
524瀟洒な使い魔 第2話 9/9@代理:2009/10/27(火) 21:40:16 ID:NVc0QEt8
「どちらでもないわ。これは本当。ただ種も仕掛けもないだけ。
 貴方達の言うところの魔法ではない、とだけ言っておくわね」

「話す気はない、ということ?」

「奇術師にとって手品の種は命より大事よ。簡単に手の内を明かすわけにはいかないわね」

「……そう、残念だわ。どうやら、それを聞き出すにはまだまだ親密にならないといけないようね?」

等と言いつつも、キュルケはちっとも残念そうではない。
むしろ、さらに好奇心を刺激されたという顔でグラスの中のワインを煽ると、
咲夜へと目配せをする。はいはい、と言いながら2杯目を注ぎ、咲夜自身もワインに口をつけた。

「そういう貴方も中々手強そうね。あのギーシュ君よりも、よっぽど」

「ギーシュなんかと一緒にしてもらっちゃ困るわね。
 私の名はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
 そして私の二つ名は『微熱』。情熱と破壊の象徴たる『火』のトライアングルよ。
 いくら貴方でも、一筋縄じゃ行かないんじゃないかしら?」

その燃え盛る炎のような髪を悩ましげにかき上げ、不敵な笑みを浮かべる。
ああ、そういえばあの魔法使いもこんな感じだったわね、と、
咲夜は幻想郷に居る1人の魔法使いを思い出す。
もっとも、身長もスタイルもキュルケのほうが遥かに上回っているが。
トライアングルといえばメイジとしては一流だ。教員のほとんどもトライアングルであることだし、
少なくとも学園ではトップクラスの才能を持つということなのだろう。

「へぇ、ドットではないと思ってたけど、トライアングルとは中々やるのね。
 でも、あまり油断しない方がいいわよ? 世の中にはそんなランクなんて関係無しに、
 一切合財張り倒す非常識な手合いも居るんだから」

「あら、実体験?」

「ええ。人間としては強い方だと自負してたけど、あんな非常識な相手にはちょっと勝てる気がしなかったわね」

その言葉に、キュルケはさらに興味を引かれたようだ。ぐいと身を乗り出し、咲夜に顔を近づける。

「決めた。今夜は貴方とおしゃべりをして過ごす事にしたわ。
 それにサクヤ、ワインなんかを出すと言うことは、最初から長話をするつもりだったんでしょう?」

「まあね。私も聞きたい事がないではないし、とりあえずワインがなくなるまで、ということでどうかしら?」

心底楽しそうなキュルケの言葉に、咲夜は苦笑しつつ返した。
これは今夜は寝れそうにないなぁ。ワインがなくなっても、きっと何処からか新しいのを持ってくるわ、この子。
咲夜のその予想は不幸にも大当たりし、その夜咲夜はずっとキュルケのおしゃべりに付き合わされたと言う。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 21:48:14 ID:VjJs10WX
乙ー
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 21:55:59 ID:hJFAITKk


てか代理でも投下前に予告をお願いします
527瀟洒な使い魔 第2話 あとがき@代理:2009/10/27(火) 22:02:26 ID:NVc0QEt8
======
以上、投稿終了です。
1話を収録してくれた方有難うございます。
スレでの指摘で誤字を発見したのでタイトル・本文を若干修正しました、ご了承下さい。
週1ペースくらいで出して行けたら良いなぁと思いつつもこの辺りで。
お付き合いくださり有難うございました。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 22:09:48 ID:MZi18O49


ギーシュに圧勝は予定通りとしても、往復ビンタは受けた!
まっくのうち!まっくのうち!
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 22:14:22 ID:d/xEcTCB
ごく最近の作品で天使ならベヨネッタに登場するもの(※敵)ぐらい
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 22:57:26 ID:Wou5o/bx
天使というとモズグズ様とかどうだ。
やたらとキャラが濃いし。
……単身でもブリミル教に喧嘩売りそうだな。
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 23:00:16 ID:Cp9Wx3d8
>>530
モズグス様だ!
モズクズでもモズグズでもない!
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 23:02:48 ID:/Lk5awxn
もずく酢…いやなんでもn
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 23:06:35 ID:Wou5o/bx
素で間違えたorz
ちょっと教典の一撃くらってくる。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 23:23:58 ID:plqo1fDk
サクヤと聞いてKAIKANフレーズを思い出した
とりあえずルイズは趣味でないな
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 23:35:25 ID:7oyo2ODw
アンジェロアグナス

こいつ召喚するくらいならクレド兄さんでいいわ・・・
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 23:45:49 ID:ldiSSZTm
>>532
( 0M0)
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 00:15:51 ID:w+ZuVfYz
ダディヤーナザァンナズェミテルンディス
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 00:20:16 ID:UAio5pBK
モスフングスがどうしたって?

FFTのアルテマも一応天使って名前ついてなかった?
あとザルエラとか
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 00:40:05 ID:W4Zt70su
天使ならゾグですね
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 00:41:57 ID:jzFNnkds
>>510
マリコルヌの救世主の方が面白いかもな
あいつのメインウェポンは槍だし
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 01:45:52 ID:cmU/SoWC
>>537
( 0W0)<ダリナンダアンタイッタイ…
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 02:33:30 ID:AGfkMj0f
天使といえばアブデルだろう
奴なら狂喜しながらルイズに踏まれるに違いない
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 02:51:13 ID:bck5II1m
だが彼は美(ロリ)を通じて神を賛美するという建前がある以上、エホバが創造した世界では無いハルケギニアを容認出来るだろうか
屁理屈こねまわしてなんとかするとはおもうが、そこまで説得力ある文章書ける奴いるかな
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 02:53:48 ID:lepEWS6u
鬱陶しがられるだろうなキュルケ……
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 02:56:24 ID:Gi/DYEs8
瀟洒乙ー
おしおきはいっそのことお尻ぺんぺんでも・・・いやなんでもない
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 03:05:07 ID:xPP+ekkM
瀟洒の咲夜さんはどんな過去があったのか気になる
大抵神主が曖昧にキャラ作るから東方の二次創作では作者毎にいろんな話になってるし
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 06:08:09 ID:wTys/q/c
ちょっと遅れたけど瀟洒の人乙っした

>あんな非常識な相手にはちょっと勝てる気がしなかった
勝負の方法が弾幕ごっことはいえ、チート能力者だらけの中でよく頑張ってるよね>魔理沙
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 08:01:05 ID:dbaFNNPs
チートっつったら魔理沙は装備がチートだけどな
ミニ八卦炉一つで山焼き払えるんだぜ?
なんにしてもメイド長の乙でした。更新もはやそうだしこれからも期待
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 08:09:31 ID:Iy0tvpV5
>>543
ハルケもエホバが生み出したことにすればいい。

あと、異教の神である天照大神も否定しなかったみたいだし。
美少女だからだけど。
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 08:16:02 ID:dQexD9sc
それに八百万の神も解釈の違いで容認してたしな。
奴個人とすればエルフとも仲良く成れそうだ。
551LFO作者:2009/10/28(水) 13:45:23 ID:ygBUYBVg
こんにちは。予約等が無ければ5〜10分後に投下したいです。
針路はクリアーですか?
552LFO作者:2009/10/28(水) 13:55:41 ID:ygBUYBVg
予約無いようですね。では投下します。

ラ・ロシェールとタルブ村に対するレコン・キスタの襲撃が起きてから二日後の虚無の曜日の昼前時。ルイズは自室の中で勉強していた。
実際には教科書の一部暗唱くらい余裕で出来ているのだが、調子に乗って日々の積み重ねを疎かにする事は出来ない。実技が全く出来ない以上、他人を見返す方法は学科しか残っていないからだ。
静かなものだとルイズは思う。つい二ヶ月ほど前までこんな状態だったとは……騒がしい感覚も慣れると実に恐ろしいものである。正直に言えば慣れたくも無かった。
本人にとって今の環境が良いだけに学習はすこぶる捗っていた。一生懸命に集中していれば多少気に病んでいることもあっさりと忘れるものである。
しかしそれでも腕や手先は痛くなる。窓も朝から閉めっぱなしのためにどこと無く空気が澱んでいる感じがする。ルイズは気分転換を図るために、背伸びをした後窓を開けた。
初夏を思わせる新緑の匂いが、からっとした心地よい風と共に室内に入ってくる。これであともう少しだけ勉強に精が出ることだろう。
外を幅広く見ると、皆週に一度の休日くらい羽を伸ばしたいのか遠出をしているらしく、学院の敷地内に人影は見られない。実に静かなものである。
ところが、やおらその静けさを破る物が現れた。扉に王家の紋章、白百合を記した一台の小型馬車が猛スピードで学院の正門から入ってきたのだ。
馬車はやがて広場の一つに停まる。そして殆ど間を置かず、一人の正装した男性が馬車から転がり出るように降り、学院の本塔へと大急ぎで向かっていった。
その一連の流れを見ていたルイズも、窓を閉め、脱兎の如く学院本塔に向かって駆け出した。
別に野次馬根性とか貴族にあるまじきそんな下卑た理由からではない。ルイズ、延いてはヴァリエール家は王宮と浅からぬ繋がりがあるからだ。
ルイズ自身は小さい頃、先王の忘れ形見でもあり王女でもあるアンリエッタの遊び相手をしていたことがある。そしてヴァリエール家の出自は王家の庶子であるからだ。
現在に至っても、殆ど親だけ、それも掠める程度とはいえ様々な親交がある。また、王家にとって何がしかの危機が訪れた時、ヴァリエール家は救国の志士のほぼ筆頭として動いてきた。
一体王宮で何が起こっているのかは分からない。だが、微力でも自分の力が役に立てるのなら……そう思った上でのルイズの行動だった。

Louise and Little Familiar's Orders「The clock is ticking to catastrophic destruction」

学院の本塔にある学院長室。その扉がかなり乱暴に5回叩かれたのは、王宮からの使者が到着して5分と経っていない頃だった。
室内で相も変わらず水煙草をふかしていたオスマン氏は、至極のんびりとした声で返答した。

「誰じゃね?」

その答えは開かれた扉と共にやって来た。

「王宮より馳せ参じました!突然の御無礼を御許し下さい!アルビオンがトリステインに対し攻撃を開始!
ラ・ロシェールにて駐留していた王軍は全滅!現在我が軍は近郊のタルブ村と首都トリスタニアの間にて陣を展開中!
従って学院におかれましては、安全のため生徒及び職員の禁足を願います!!」

その言葉にオスマン氏は慄然とする。手に持っていたパイプをうっかり落としてしまうところだった。

「攻撃を開始とな?これが戦争だというのであれば宣戦布告はなされたのかね?そもそもアルビオンとは不可侵条約を結んでおったじゃろう。」
「それが、近隣の生存者の意見を総合、また!王宮に届けられた如何なる報せを精査しても、アルビオン側から宣戦布告という物はありませんでした!」
「そうか。破られた条約に手順無用の攻撃のう……」

オスマン氏は神妙な面持ちで椅子に座り直す。
彼もまた貴族である。『戦争ごっこ』好きの貴族がこの国ならず各地にごまんといる事も、各地では取るに足らない小競り合いが起きていた事も知っている。
この職に就いてからもそういった事は何回も起きたし、それを原因にしていちいち休校とか学院を閉鎖だとかはしていられなかった。
今回の一件は今までの物に比べて明らかに違う。何せ相手は条約破棄に最後通牒、果ては宣戦布告も無しにこちらに向かって攻撃してきたらしいのだ。
最早戦争と呼べる状態ではない、一方的な蹂躙であることは愚者でも分かる。次は一体何をしてくるというのだろうか。
遠くを見つめるような目でオスマン氏は言った。

553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 13:57:41 ID:ygBUYBVg
「事によると禁足令だけではすまんことになるかもしれん……して、手に入った情報は他にもあるかね?」
「はっ!何分現在でも情報が錯綜、混乱しておりますゆえ、詳細は判然としませぬが、ともかく、敵は巨艦を中心に戦列艦が二十隻ほど。上陸せし総兵力はゆうに五千近くかそれ以上に達すると見積もられます!
先述の通り、ラ・ロシェールに駐留していた我が軍の主力艦隊は既に全滅。各方面からかき集めた兵力は僅か二千!現状を鑑みても、未だ国内では戦の準備が整わず、緊急配備出来る兵はそれで精一杯との事!
それよりも問題なのは制空権という地の利を今や完全に奪われてしまったことです!敵軍は空より砲撃をくわえ、我が軍を蹴散らすでしょう!」
「それでは……こちらの本隊とはまだ本格的な戦闘にはなっていないということじゃな?」
「行軍が順調に進んでいるならば、あと数時間の後にアルビオン軍と接触するものと思われますが……」
「ふむ。して……他国からの援助は望めぬのかな?」
「それに関しては既に特使がガリア、ゲルマニアに対して派遣されております。しかしゲルマニアは、アンリエッタ姫殿下の一件が明るみに出た際に硬化させた態度を未だ緩和させておらず、軍派遣は不許可になるが最早必定。
ガリアに関しても早々と中立宣言が出され、例え今後如何なる形にせよ援助が認められたとしても、先陣の到着は三週間後になると予想されています!」

それを聞いたオスマン氏は特に表情を変えるまでもなく、使者の見解に耳を傾ける。数瞬の間があって、それからオスマン氏は口を開いた。

「そうじゃろうな。いや、これは考えるまでもない愚問だったか。
じゃが、今回の一件を参考の一つとして迎え入れるならば、ガリアが中立を最後まで守ってくれるかどうかもまた怪しいものじゃ。
教育者がこのような言葉を吐くのは憚られるが、あの国におる無能王はかような事態になっても傍観を決め込むことじゃろう。
ともかく我が国は一国で、あの強大なアルビオン軍を相手にせねばならなくなったということじゃな。王宮からはそれ以外に何ぞ達しの事項はなかったかね?」
「いえ、現時点でお伝えする事は以上で御座います。ただ……」
「ただ、何じゃね?そう畏まる事は無い。何でも言うてみよ。」

その問いかけに使者は言い難そうな表情をしたが、一息吐いた後落ち着き払って言った。

「これは、あくまでも私自身の予測の一つですが……近日中に王宮から学徒出陣の要請が出るかもしれません。
先程も申しました様に、王軍は現在、戦闘を行おうにも士官が不足しております。国中のメイジが、軍役免除税を満額納めたごく一部の貴族以外、全員が動員されているにも拘らずです。
士官不足を解消するためには最早これしかないかと。更に事態が困窮した場合、年齢の引き下げや女生徒の予備士官教練も課せられるかと推察されます。」
「それだけは何としてでも避けたいものじゃな。婦女子が巻き込まれ被害を被る時点でその国における戦争は……負けたも同じじゃからな。」

王宮からの使者に対しても、オスマン氏はさらっと敗戦を匂わせることを言う。彼としては王政府がそんな手段に出たなら、何が何でも生徒達を守るつもりだった。
守るべき者が自分の手から意に背いてぼろぼろと零れていくのは、誰にとっても良い感情の抱けるものではない。なら、それを防ぐためにあらゆる手段を取らなければならない。
例えそれが、結果として王政府を敵に回すような事に陥ってもである。
それに……例えこれが国の存亡がかかっている戦だとしても、無闇に戦地へ動員させて殺し合いに慣れさせるような事はさせたくない。
臆病者と言われてもいい。嘗て歪められた意図の下に殺人を行い、今も激しい罪の意識に密かに悩まされている人物を彼は少なくとも一人知っている。

「そうならないための我々です。では、私はこれにて失礼します。」

だが使者は特段うろたえるでもなく短く返事をし、一礼した後部屋を出て行った。
その足音がしなくなってから直ぐ、オスマン氏は扉一枚を隔てた外にいる人物に向かって声をかける。

「話は全て聞いていたんじゃろう、ミス・ヴァリエール?ならば、君は今から先ず何をすべきなのか……わしが言わんでも分かるの?」

殆ど間を置かず扉の外から駆け足の音が聞こえた。それを聞いたオスマン氏は、満足そうな表情をして再び水煙草をふかす。
しかし直ぐに彼は後悔した。誰か一人でも自分の見繕った護衛を付ければ良かったと。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 13:59:10 ID:ygBUYBVg
シエスタは八人の兄弟達とミーを連れて一旦森に逃げていた。
父からの言いつけでもあったし、最初の内は他の住人達もやって来たので、森に隠れていれば或いはと考えていたのである。
しかし、アルビオン軍が森に火を放ち出した事で状況は悪化した。焼き殺される事に恐怖した住民達は、観念してアルビオン軍に投降していったのだ。
そんな中、シエスタは悩む事もせず、子供達を連れてその場から首都のトリスタニアの方向に向かって逃げることにした。
その場に留まっていてもどうせ最後は焼殺されてしまう。かといって投降したところで相手が自分達に何もしないという保証も無い。
侵略した国が侵略された国の法を守る必要は無いのだ。牛馬の様に扱き使われた挙句、口封じのために殺されるかもしれない。
だが、トリスタニアには母方の親戚の経営する酒場がある。子供と一緒に身を隠すにはあまり褒められた場所ではないかもしれないが、この際四の五の考えている時間は無い。
彼らなら事情を汲んで自分達を入れてくれるかもしれないと、そう考えた上での判断だった。
しかしそうしたために、自分が同じ村民から恨まれるのではないかといった思いにさい悩まされることにもなった。
襲撃のあった日から三日後のユルの曜日。遠くにある峰々に太陽が半分以上隠れ、夜の帳が降りかけている今、彼女らはタルブの村からおよそ100リーグ離れた場所にある森の中の小さな街道を進んでいた。
「もう歩けない」、「家に帰りたい」と次々に駄々を捏ねる子供達を宥め賺し、時にはおぶさりながらようやくここまで来ることが出来た。
しかし目指す場所までは、大雑把な見当にせよ更にあと100リーグ以上ある。今までの調子でどう頑張ってもあと四日以上はかかる。
森や川を散々通って来たために、全員の服はあちこちが汚れ、破れていた。体も汚れ、節々が酷く痛む。
しかも逃げ出してからは食事も取らず、互いに互いを起こしあう形をとって殆ど一睡もせずに歩き続けたので、皆疲労困憊の身である。
だがそうそう簡単に止まる事は出来ない。自分達の人数は村全体の人数からすれば一割にも満たないだろうが、いつ追っ手が現れるか分からない状況では、多少村から離れたところで安全とは言えなかった。
それでもシエスタは兄弟達の健康を案じていたので、小さな村の傍を通りかかった時に、一日でも良いから何所かの民家に泊めさせてもらえないかと努力した。
だが何も持ち合わせが無い事、全員で十人という人数、乞食の様な汚い身なり、そして侵攻のあったタルブからの避難民といった事が原因となって、全ての相談者に断られてしまった。
「こっちだって苦しい生活をしているんだから、一晩とはいえ子供十人を泊める慈善事業なぞやっていられない」といった趣旨の事は当然ながら、「家に、延いては村全体に問題を持ち込まないで欲しい。」といった事も言われた。
勿論シエスタも兄弟達のため必死になって食い下がったが、最後にたずねた家にて家人に桶の水を唐突に正面からかけられた時に彼女は全てを悟った。
全神経を逆撫でさせられるような相談者の言葉と行動は、結局厳然たる事実に基づいて行われていたのだ。
誰かが自分達を助けてくれる、などという甘ったるい希望に縋って、のこのこと‘お願い’をした事は間違いだった。
村から脱出したあの日以降、心の片隅に抱いていた「何所かに良心的な人がいるかもしれない」等という感情自体、初めから持つべきではなかったのである。
兄弟達に何て言えばいいんだろう。シエスタはそう思いながら子供達の待つ村の入り口まで戻った。
兄弟達はシエスタの周りにわあっと寄ると、次々に自分達の要望を口にする。

「お姉ちゃん、お腹が空いたよう。」
「お家に帰りたいよ……お父さんとお母さんに会いたい。」
「僕もう歩くの嫌だ。ねえ、どっかで休もうよ。」

その声を聞くごとに心の中で罪悪感が募っていく。いつもは何でもそつ無くこなす姉と思われているのに、こうも何一つしてやれないなんて。何とか喉を震わせてお詫びをする。

「ごめんね……お姉ちゃん、約束一つも守れなくて……」

555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 14:00:08 ID:ygBUYBVg
シエスタはその場にがっくりと膝を付き、目に涙を浮かべて彼らを何も言わずにひしと抱き締めた。
そんな事をしたところで彼らの一切の欲求を満たせる訳も無かったが、一番年長の彼女まで何もかも諦めてしまったら、彼らは全ての指針を失ってしまう。そしてその先には死しかない。
だから、どんな時でも利己的になってはいけない。何しろシエスタが自分の判断で子供達をここまで連れてきたのだ。最後までどうにかしてやる必要が責任者にはあるのだ。
そんな中シエスタは、兄弟達から少し離れて皆の様子を伺っているミーに目をやる。
彼女もやはり最初の内は彼ら以上の強烈な駄々を捏ねていた。だがシエスタの兄弟達にとって、ミーは全ての元を正せば只の部外者である。
故に幼子ばかりとはいえ微妙な心理が働いたのか、兄弟達は姉に対して家族として駄々を捏ねるものの、ミーに対してはそれを棚上げし、終いには「お姉ちゃんに文句を言うな」とも取れる視線を送った。
直接口で言われるよりもそれはミーの心を酷く傷つけたらしく、時間が経つに連れて彼女が駄々を口にする回数は減っていった。
そんなミーを案じて、シエスタは努めてにこやかに声をかけた。

「ミーちゃん、大丈夫?」

止むを得ない事情があったとはいえ、五歳児が三日間不眠不休で100リーグ近くも歩かされたのだ。大丈夫もへったくれもあったものではない。
ミーはその問いかけに対し蚊の鳴くような声で「うん。」とだけ答えた。年齢を考えても静か過ぎる態度が気になったので、シエスタは幾つか質問してみる。

「本当?眠くない?お腹は空いてない?どこか体で痛いところはある?」

しかしその質問に対しても、ミーは口を固く結んだまま黙って首を横に振るだけ。
いつもはやんちゃというかかなり生意気な感じのするヒメグマも、空腹と疲労からやつれきった感じでその場にへたり込んでいる。
過酷な状況が続いたためにミーは知ったのだ。泣き言をいくら言ったところで何にもならないという事を。
それと同時に、この世界でやっぱり自分は誰にも甘えられないんだとも思った。
この場にいるシエスタだけではなく、魔法学院の中にも確かに優しく接してくれる人はいる。でもその人達にもきちんと両親や兄弟姉妹がいて、家族という輪を作っているはず。
そして所詮赤の他人でしかないミーは、その輪の中にずかずかと入っていく事も引っ掻き回すことも許されない。
例えそれが、本人が意図せずして行ったことだとしても、相手にはそれが単なる我が侭に見える時もあるのだろう。
ミーは幼いながらに色々と足りない頭で思考の結果を出した。もう誰にも芯から甘えちゃいけない、そんな気にはとてもなれないと。
シエスタはそんなミーの心境の変化を理解した。それからしゃがみこんで自分の胸元に抱き寄せた後、ミーの背中をそっと撫でる。
しかし彼女の涙は既に枯れ果てていたのだろうか。声も出さずにシエスタに寄りかかるだけだった。

「ごめんなさい。私が勝手に連れて来たのにこんな目に遭わせちゃって……あともう少し、あともう少しだけ我慢してね。」

シエスタが涙交じりにそう言うと、ミーは目を閉じて頷く。
しかし……どう考えても現状があと少しでどうにかなるとは到底思えなかった。何か上手い解決方法があるというわけでもないのに。
とはいえ、ここで立ち止まっていたって余計に事態は悪化していくだけだ。シエスタは一頻りミーを抱いてから、昂然と頭を上げ、すっくと立ち上がる。

「みんな……叔父さんの所まで歩くけど、ちゃんと来てくれる?」

シエスタの問いかけに、子供達は小さく「はい」と言って頷く。勿論叔父さんの所に辿り着くのは容易い話ではない。
暫くの間はまた、休憩も食事も無しに行路を歩み続けなければならないが、ここに居続けても現状解決が図れない今、採る道は最早これしかないのだ。
シエスタは夕日が沈んだ方向からトリスタニアのある方向を見つけ、直ぐにそこに向かって歩き出す。そして兄弟達とミーもそれに続くように歩き出した。
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 14:02:01 ID:ygBUYBVg
それからおよそ四時間程経過した頃であろうか。一台の二頭立て馬車が異常な速度で村に入ってきた。
馬車といってもそれほど立派なものではなく、行商人が使うような屋根無しでかなり使い古された感じのする荷車であった。但し、それを操っているのは行商人ではない。
一人の小柄な人間が御者台から降り立ち辺りを見回す。やがて一番近くにあった割と大き目な屋敷の扉に近付いた後、数回戸を叩いた。
直ぐに中から、答えるのも面倒臭そうな調子の返事が聞こえてくる。相手が真剣にこちらの相手をする気が無いのは簡単に分かった。
やがて、壮年期手前にしては割りと見栄えも良く、臥体もそこそこ良い一人の男が扉を開ける。
男はかなりムスッとした表情をしている。そしてベース並みに低い声で訪問者に対しぶっきらぼうに質問する。

「誰でぃ、こんな時間に?」

答えはない。その代わり、胸にあるペンタゴンのマークが入った金属のリボン留めを、屋敷の中から出る蝋燭の光に反射させる。
貴族の印であるそれに気付いた男は、突然態度を豹変させた。

「っと……これはこれは貴族様。このような夜分に、吹けば飛ぶような屋敷に住んでおるこの私めに一体何用でございましょう?」

すると、その貴族は童女を思わせる可愛らしい声で質問した。

「一つだけ質問があるの。それに答えてくれるだけで良いわ。最近この村を訪ねた人の中で、黒い髪をした15歳くらいの女の子と、茶色い髪をした5歳くらいの女の子がいなかった?」

その奇妙な質問に対し、男はほんの数秒だけ首を傾げていたが、一気に何かを思い出したのか、途端に元の口調に戻って話し始めた。

「ああ、それなら今日の夕暮れ時にそれらしいのが家に来やしたよ。尤も、その二人以外にも子供がわんさといましたけど。」
「わんさと?」
「ええ。さっき貴族様が言った二人以外にも八人位いやしたよ。何でもここから大分離れた所のタルブって村から逃げて来たらしいんですけどね。
話を聞けば、『村が攻撃を受けた。避難してやっとここまで来れたんですが、一日だけでも泊めてくれませんか?』って言うんですよ。」

そこで男は、思い出すのも忌々しいといった調子で話を続けた。

「でもね、家の中を見りゃ分かりやすけど、子供十人も泊めれる余裕なんてこれっぽっちも無いもんでさぁ。
それに連中の格好の酷さっていったらありゃしない。しかも、ぼろ布纏った様な状態で、見返りに貰える物が何一つとしてないんですぜ。
まったく!こっちは布施屋じゃねえんだ。あんまりにもしつこいんで水をぶっ掛けて追い返してやりやしたよ。
それとどうやら、他の家にも同じこと訊いてたみたいですぜ。まあ、結果は当然家と同じでしたけどね。」
「そう……それで、その後その子達は一体どこに行ったの?」
「確かトリスタニアに行くって言ってましたぜ。親戚筋がいるからそこまで行くだとかなんとか。
まあ、こっから150リーグはありそうな場所まで、馬車も無しに子供の足で行くんだ。ありゃあ、確実に途中のどっかで野垂れ死んじまうだろうね。……まさか貴族様はあいつらの関係者で?」

話を聞いていた貴族は何も言わず、ただ両の目を鋭く光らせる。男は慌ててその場を取り繕うよう言った。

「おいおい、俺を責めないで下さいよ?仕方なかったんすから!貴族様だって領地経営苦しい時に、俺みたいなみずぼらしくて素性も分からない平民を屋敷の中に泊めさせる訳がないでしょう?!
それと同じこってすよ!それに断ったのは俺だけじゃないんすから!」

その弁解に対し相手は何も言わない。十秒ほどの沈黙が続いてから、あることを男は尋ねられた。

「ねえ、この村で馬を換えることは出来るの?それと、ランプ一つと食料があったら少しくれないかしら?」
「へぇ、それでしたらここから5軒向こうに交換所がありやす。ランプなら家に古いのが一つありやすけど……」

男は一旦家の中に入っていく。数分後、彼は古びたランプ一つと数切れのパンや干し肉、そして数種の野菜を持って来た。

「安心しなさい。さっき尋ねて来た連中と違って見返りはちゃんとあるわ。」

そう言うと、男の目の前にポケットを探って出て来たらしい10枚の金貨が出てくる。その額は、ランプ一つと少々の食料と交換するには十分すぎる額だ。男は一瞬ぎょっとしてその金貨をまじまじと見つめた。

「いいんですかい?こんなに貰っちまって?」
「別にいいわ。その代わりこのお金は大事に取っておくことね。追い返した女の子の様な人達がもっと来るだろうから。」

それから直ぐに、男の目の前で扉がばたんと閉められる。男は「儲けた」という顔をしたまま、寝床のある部屋に引っ込んでいった。
557LFO作者:2009/10/28(水) 14:06:01 ID:ygBUYBVg
馬車に戻った貴族ことルイズは、ランプに火をつけ、それから食料を荷台に積んでいた麻の袋に入れる。
それから馬に鞭をいれ、馬車を一転、トリスタニア方向に向けて走らせた。
昨日の昼前、学院長室の外でアルビオンの攻撃の報せを聞いたルイズは、一旦寮に戻って残り少なくなっていた今季分の小遣いを全部引っつかんだ後、直ぐに馬車を借りてタルブの村の方向へと向かったのだ。
もっと早く、探しやすくしたいのなら風竜を使い魔にしているタバサにでも訊けただろう。
だがルイズとタバサは全くと言っていいほど接点が無い。よくキュルケと一緒にいるのを目にしたことはあるが、ルイズにとっては殆どそれきりの存在である。
例え探すのに協力が得られるとしても、自分の使い魔の事に関しての事で、他人に対してひょっとすると平身低頭せねばならないという事は、ルイズの矜持をちくりと刺した。
それに、またキュルケが首を突っ込んでくる可能性がある。もうこれ以上使い魔の事であの女に引っ掻き回されたくないルイズは、どうしてもそれだけは避けたかった。
学院を出てからは昼夜を通して馬を駅で何回も換え、しかも通常より速いペースで走らせたので、馬が潰れかけることもしばしばあった。
それから、タルブの村まで残り100リーグを切る頃になってルイズは虱潰しの聞き込みを始めることにした。
いきなり攻められたのなら馬車で逃げている余裕は無い。そこまで遠くまでは急に行けないと見越してのこととはいえ、流石に骨の折れる作業になる事を覚悟していた。
だがそうまでした甲斐があったという物。短時間でここまで来て、しかも当たり始めて三つ目の村で手掛かりが見つかった事は僥倖と言う以外に他無い。
食料はあるし、一時的に体を横たえられる荷台もある。後は明かりを頼りに、トリスタニアへ通じる街道にある次の村で、聞き込みをすれば良いだけである。もっと運が良ければ聞き込みをしている最中にばったりと会うかもしれない。
それにしても、とルイズはミー達を拾った後の事について考え出していた。
子供が他にも数人いることについては計算外だった。人数としては荷台に乗れないということではないが、荷重が増えたことによって馬車は速度低下することだろう。つまりはそれだけ学院に戻るのが遅くなるということである。
それに最初ルイズは、シエスタはトリスタニアに親戚がいるからそこに行くと語っていたそうなので、シエスタと数人の子供達をトリスタニアに降ろし、自分とミーは学院に戻るという案を考えていた。
だが、王宮の使者からもたらされた情報がほぼ事実ならば、国土の一部が敵に占領された以上、首都も間も無く攻撃の波に晒されることになる。
それを考えると、そこから少しでも離れた所にある魔法学院に連れて行った方が、まだ身の安全が守れるというものだ。
だがもし、相手が魔法学院も攻撃してきたとしたら?可能性が無いわけではない。何せ相手は今回の攻撃において不可侵条約も、戦争における外交ルールも守らなかったのである。
利益が何一つ無さそうにみえても、学院を攻撃してくると言うことは十分に考えておかねばならない。
そうなったら自分の家で、或いは自分の家の領土で、とも考えたが、同じ事を考える人間達はまだまだ他にもいることだろう。
大体、そんな時までずっと面倒を見なければならないという義理は無い。彼女らと同じ平民からすれば残酷な話だが、どこかで見限る必要があるというのだ。
いつか来るであろうそれを……果たして自分はしてしまうのだろうか?
頭の中に次々と状況が悪くなるシナリオが浮かぶ。しかしながら、そんな先の事は誰にも分からない。敢えて例えるならその道は、今自分が進んでいる道と同じようにまだ闇に包まれている。
何も知らないような雰囲気の双月が静かに地上を見下ろす中、ルイズは只管に馬車を隣村に向けて走らせる。
そしてその跡には馬の足跡と荷台の轍、そして静けさが残るだけだった。


投下終了します。今回かなり御都合主義とも言えるシーンがあったので、自分の力量不足を感じる次第です。
あと途中、投稿時の名前を入れるのを忘れてすみません。
ではまた。出来たら近日中に投下したいと思います。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 14:40:36 ID:QjN+RdxZ
支援
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 17:49:31 ID:9LzqTyII
なんつーかシビアだなぁ…
というかミーもこういう時こそ駄目元でモンスターボールからポケモン出してみりゃいいのに
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 17:53:16 ID:LkuGK20N
乙〜
あのモンスターボールが開く日は近い…のか?
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 18:00:02 ID:ePk4MB4d
乙でした。
暴走覚悟でモンスターボールからポケモンを解放する『覚悟』を、小さな女の子がしなくても済む日が訪れればいいのですが……カタルシスを期待してしまう自分がいます。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 18:29:13 ID:fa5XWyfP
ワールドヒーローズのマッドマンを召喚したらアレって区分的には先住魔法に分類されるんかしら?

あまりにフリーダムな精霊の使い方にビダーシャルが切れそうだけどw
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 18:36:52 ID:8j6J36Mn
仮面を外すとイケメンに分類されるのがまたイロモノ度数上げてるんだよな、アイツ
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 18:53:10 ID:GWhtl8Pi
いや、マッドよりもロシアの怪僧をだな。
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 19:08:31 ID:sDHfEa6o
最終鬼畜全部怪僧ということで戦国バサラのザビィとワーヒーのラスプーチンと
葛葉ライドウのラスプーチンまでは思いついたのだが四人まであと一人足りないな。
誰かいいのいないかな?
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 19:13:55 ID:mgO1M5F4
怪僧といえば南光坊天海
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 19:16:32 ID:T1NBVjQD
グイード・ボルジア
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 19:17:50 ID:RGajJz1/
酢堂玉金和尚
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 19:21:12 ID:oSj82Y5B
一休さん
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 19:32:09 ID:Om6lLfqC
竜水
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 19:34:04 ID:b6Ytme8M
最遊記の三蔵
コルベールとおマチさんとオスマンとで麻雀やりかねん
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 19:46:55 ID:YKah78nT
ミーの人乙です。
ルイズが救出に向かったか。
ちょっとは関係修復に向かってるんでしょうか。
でも未だ「キュルケやギーシュにされるくらいなら自分が行った方がマシ」ってのがあるので、母性というか妹に対するような愛情をもってミーに接する事が出来るようになるのを楽しみにしてます。
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 20:45:17 ID:MNP5aNSp
マッドマン式タバサママン治療法とか浮かんでしまった…

錯乱して叫ぶママンを囲んで、マッドマン&精霊ダンサーズが踊り狂い、その隣で無表情でドンドコと太鼓を叩くタバサ
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 20:46:33 ID:o55Us1YU
ヤンキーモノからの召還ってあんまりないね。
エリートヤンキー三郎から三郎軍団を丸ごと召還。
金目のもの盗んだり、酒盛りして食堂を全焼させたり
コッパゲの発明品を破壊したりする様子が目に浮かぶ。
三郎は蛮族の王として恐れられるんだろうな。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 20:48:36 ID:fVP/fuDU
自分も何か書こうと思ったけど、アニメしか見てないことに今さら気付いた。

やっぱり書くなら原作読んだ方がいいんでしょうかね。
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 20:57:48 ID:5lbYl1u3
短編ならあまり気にしなくてもいいんじゃね?

ただまあ、アニメだとあやふやな、
いろいろ細かいことも分かるからなあ

長編SS書くなら1〜3巻ぐらいは古本で買っても
損はしないんじゃないかと
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 21:02:03 ID:fVP/fuDU
なるほど。
明日あたり古本屋巡りしてきます。
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 21:05:14 ID:A7pTIbiC
>>575
キャラも世界も理解が深まると思います。
ついでにアニメは原作を読んでる人からするとツッコミどころもあります。

>>565
一部に絶大な人気を誇る怪僧ウルージさんか、うしおととらの破戒僧凶羅
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 21:05:34 ID:tILX5pbU
test.
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 21:09:39 ID:uIIpqHp2
女犯坊竜水和尚は既に小ネタであるんだよな
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 21:41:56 ID:W4Zt70su
アニメはアニメの良さがあります。明らかにアニメ主体で書いている人もいますし、釘宮病の患者がうじゃうじゃいますので
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 21:43:03 ID:MjWM493s
>>577
新品買って原作者に金入れてやれよ。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 21:48:33 ID:xZrl1Sdm
みんなで手を繋いでエネルギーを溜めて虚無を打ち込みます
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:00:03 ID:PpfvyATo
走れ 高速の〜 北花壇警護過激団♪
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:03:51 ID:kURfOuVn
ミーの人でシェスタは身体売るって手段があるんじゃないかと外道な事思った
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:04:09 ID:wCed/779
腰溜めで気を練り上げて両手で虚無を撃ち出す超必殺技伝授。
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:08:27 ID:A4EE8toa
エクスプロージョンを使わざるをえない
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:13:37 ID:f+n1i3Eg
ゲタで馬乗り回すんですね
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:21:32 ID:FmOz9+Qf
>>573

リアルに想像したww
俺の緑茶を返せww
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:26:55 ID:uIIpqHp2
マッドマンはゲームだけでは余りにも資料が少ないので
元ネタの諸星大二郎の「マッドメン」も読むべし
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:30:44 ID:RGajJz1/
アエンの仮面を召喚
聖地からゼロ戦のようなカーゴが飛んでくる
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:45:46 ID:66BNG4Hz
>>542
誰が危ないってタバサが危ない
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 23:08:08 ID:Cp2qiB4K
>>589
それでシャル母が正気を取り戻してカトレアも健康になったら更に大変なことに。

ところで↑こういった人たちの疾病をWizardryのMADI一発で治すのはやっぱりまずいよね?
HAMANやMAHAMANならまだしも。
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 23:15:00 ID:5lbYl1u3
>>593
タバサママンは、毒と言うより呪いに近い物と考えればいいさ
カトレアさんは病気だと明言されてるし、
さすがにMADIで終わりだと盛り上がりに欠けると思うな

まあ、結局は話の展開次第だろうけど
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 23:21:46 ID:f+n1i3Eg
>>593
MADIでも老衰やエナジードレイン、それに伴うステータス低下は直せないし、
小説版だと「魔法じゃ直せない傷」なんてのもこさえてたし、
完全に万能ってわけでもないんじゃないかなー

でもまぁ、結局はそれを利用する作者さんの匙加減次第だよね
それで面白く出来るならいいとおもう
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 23:30:24 ID:MjWM493s
脳筋キャラが「汗かけば治る!」とか言い出して
タバサママンに無理やりランニングをさせる展開を期待。
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 23:37:03 ID:7jFyPUqN
そして本当に治る展開なら読む
598ナイトメイジ:2009/10/28(水) 23:44:34 ID:TizIs6uV
50分から投下します
599ナイトメイジ:2009/10/28(水) 23:52:03 ID:TizIs6uV
新しく姿を現した通路はそれまでの自然にできた洞窟とは違い、明らかに人の手が加わっていた。
左右の壁、それに天井と床は切り出した石で隙間無く組まれているし、それを照らし出す等間隔に設置された魔法の光源まであって明かりに困ることはない。
空気は幾分湿っているが、不快と言うほどではない。むしろさっきまでいた肌寒い洞窟よりも過ごしやすいくらいだ。
最後に通路に入ったベルはギーシュの背中を見つけると
「ほら、もっと前に行って」
とか言いながら、ぐいぐい前へ押していく。
ベルはどんどんせっつくが、その度にギーシュはどんどん不安になってしまう。
「な、なあ。何で僕が前に出なければいけないんだい?」
「それはね、ギーシュ。あなたが……」
振り向いたギーシュの眉間にベルの指がびしぃっと空気がうなりそうな勢いで突きつけられた。
「今日の主役だからよ!」
ベルは今までことさらギーシュをぞんざいに扱ってきた。
それはもう何かあると使い倒している。
ギーシュも四男とはいえ、軍では元帥を務める名家グラモンの家の人間だ。
貴族に、時には人間に対する仕打ちなのかと疑問を覚えるほどのこともあったが、それでもギーシュがベルに従っていたのは彼女に人を従わせるなにかがいあったからだろう。主に威厳以外の何かが。
だから、こんな言葉がベルの口から出てきたときにはルイズもぽかんとしていたし、ギーシュも同じだった。
「しゅ、主役?」
「そう、主役よ」
面食らうギーシュにベルはさらにたたみかける。
「さらに、英雄よ!」
「英雄、僕が?」
その言葉を頭の中で反芻し、繰り返したギーシュは驚愕から解放された。
「ヒーローよ!」
「ヒーロー?」
かわりにギーシュの顔には明らかな高揚が浮かんできている。
「PC1よ!」
「ぴーしーいち?」
いや、それはなんだかよくわからない。
わからないが、ギーシュはマントをバサリとはためかせ、薔薇を口元に添えた。
「ともかく僕は頼りにされているわけだ」
「そう。で、英雄物語を題材にしたタペストリーとか挿絵とかは見たことあるでしょ?」
「もちろん」
「その中で主役はどんな位置に描かれている?」
ルイズもその質問の答え考えてみた。
昔実家で読んだ本、教会のステンドグラスにトリステインの城に飾ってあるタペストリー。
それに絵画。
それらには共通点があった。
ギーシュも同じ結論に達したらしい。
「先頭に描かれているね」
「そう、だからあなたは先頭に出ないといけないのよ」
「なるほど!よくわかった」
ギーシュの周りで自信が星となってきらめいているように見えるのは気のせいだろうか。
「でも位置が悪いわね。もうちょっと前に出て」
「わかったよ」
「まだ」
「このへんかい?」
「まだまだ」
「ここでいいかな」
「もうすこし」
ベルはとか何とか言いながらギーシュをみんなから5歩ほど前に押し出す。
「少し離れすぎじゃないかな」
「なにいってんのよ」
拳をぐっと握りしめてベルは鼓舞の声を発した。
「その位置が一番見栄えがいいのよ!」
「そ、そーなのか!」
「かっこいいわよ!」
「そーかい!」
まことに、実に、それはもー晴れやかな笑顔にルイズはいささかどころではなく、かなり不安を覚えていた。
何かこういうパターンに覚えがあったからだ。
600ナイトメイジ:2009/10/28(水) 23:52:47 ID:TizIs6uV
「さあ、ギーシュ。出発の合図よ!」
「うむ、みんな、前進だ!僕についてくるんだ」
ギーシュは舞台劇の役者のような足取りで通路の奥深くに進んでいく。
あっけにとられていたルイズはその場に立ち止まっていたが、こめかみを押さえたキュルケがなにも言わずに前を促したので、嫌な予感がしながらも後についていった。


ルイズたちがギーシュを先頭に行進を始めてから少しした頃。
「はーい、みんな。歩きながら聞いて」
ベルは突然両手を打ち鳴らして教師のような口調でみんなの注目を促す。
他に見る物もないので変化のない通路を眺めていたルイズはその声に耳を澄ました。
「こういうふうな場所をね、私たちはフォートレスと呼んでいるの」
「フォートレス、ですか」
さすがは研究者といったところか。
いち早く興味を持ったコルベールは首を前に突き出してベルの言葉に耳を傾ける。
「そう。フォートレスの奥には何か大切な物──少なくともフォートレスを作った人には大切な物がしまわれているわ。あるいは、フォートレスを作った人自身が奥に身を潜めていることもあるわね」
「大切な物や人を外敵から守る。なるほど、それで砦、フォートレスというわけですね」
「フォートレスはいくつかの方法で外敵から内部を守るの。その一つが、フォートレスの内部に人を入れないようにする方法ね。さっきの封印された扉はその典型ね。扉の開け方を知らなければ中に入れないものね」
とうとうと流れるように説明するベルは気分よさげだ。
「でも、侵入を許したらフォートレスは無力というわけではないわ。別の方法で中にある物を守るのよ。その一つが」
突如ルイズの視界の中でギーシュの姿が消える。
「うわあああああああああああああああああ」
その声はあっという間に遠ざかり、消えた。
「トラップね」
「ああっ、ギーシュが!」
あまりにいきなりでとっさには気付かなかったが、さっきまでギーシュが立っていた床はいつの間にか消え失せてぽっかりと穴が開いている。
つまり落とし穴だ。
「ねえ、聞いた?ルイズ。うわー、だって。うわー。いい叫びよね。やっぱり、初心者はいいわ。初々しくって」
「って、落ち着いている場合じゃないでしょーが!」
「大丈夫よ。たぶん」
「あんたねえ」
やたら楽しそうなベルの胸ぐらをつかもうとしていると、どうにかギーシュが落とし穴から這い上がった。
結構ボロボロだが生きているので、ここはよしとする。
「それから次の注意なんだけど」
ギーシュはへこたれず、落とし穴の向こう側に立ち上がり、さらに奥へ進もうとする。
「一つトラップをしのいだからって油断していると次にまたトラップがあることもあるから」
「うわあああああああああああああああああ」
すぐさまギーシュが叫び声とともに姿を消す。
落とし穴の向こう側にもすぐに落とし穴があってギーシュは落ちてしまったのだ。
「あ、ん、た、ねえええ。わかってやってるんでしょ。どこに落とし穴があるかわかってるんでしょ」
「そりゃ、私はフォートレに慣れてるからこれくらいならよくわかるわよ」
「じゃあ、教えてやりなさいよ!」
「なにいってんのよ。後ろから熟練者があーだこーだと言って、それに従うだけって面白くないでしょ。こういうのは自分で考えてやるから面白いのよ」
「そういう問題じゃないわよ」
「そ、そうだよ。ミス・ゼファー」
どうにかまた這い上がったギーシュが肩で息をしている。
今度は立ち上がっても落ちない。
落とし穴三連発はないみたいだ。
「これじゃ身が持たない。せめて罠の見つけ方を教えてくれ」
とたんにベルは目を伏せて、肩を落とす。
あからさまにがっかりした。
「ギーシュ、それは貴族のやることじゃないわ。罠を見つけて外すなんて盗賊のやることよ」
「盗賊だって?」
「そう。あなたも貴族なら、漢なら、そんな真似をせずに罠は全て耐えて、はじき返して、踏みつぶしなさい!」
「しかし……」
「これは真の漢にしかできないことなのよ。だからこれは漢探知と呼ばれているわ」
「漢探知?」
「そして、これは一部業界で最高の英雄と称えられているある男も得意としたことなの」
「そうなのか!」
「あなたならその男に匹敵する英雄になれると思ったんだけど……無理ならしょうがないわ。別の方法にしましょう」
「待ってくれ!」
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 23:53:06 ID:zMvfrzRN
支援!
602ナイトメイジ:2009/10/28(水) 23:53:52 ID:TizIs6uV
その時のギーシュの瞳には挑戦者だけが持つ光が宿っていた。
なんかこー、的外れな気もするけど。
てゆーか、そそのかされてるとゆーか、のせられてるとゆーか。
「僕に続けさせてくれ。これは僕の役目だ」
「そう、任せたわ」
そしてギーシュは無意味に頼もしげな背中をみせ、通路の奥に突き進み
「うわあああああああああああああ」
落ちた。
それはもう豪快に。
「しかし、ミス・ゼファー。あれはちょっと……私が変わりましょうか」
「うわああああああああああ」
心配げにギーシュの落下を見るコルベールの提案に、ベルはびっくりするほど真摯に答えた。
「先生、痛くなければ覚えないわ」
「ですが……」
「うわああああああああああ」
「ギーシュはね、ああやって一回落ちるたびに単に罠の対処法を学んでいるだけじゃないの」
「と、いうと?」
「うわああああああああああ」
「先を行く者の、人を率いる者の責任も学んでいるのよ」
はっと息をのむコルベールの指はどことなく震えていた。
「だからね。先生。彼がこうやって学ぶ機会を奪わないであげて」
コルベールはためきをつき、はげ上がった自分の頭を恥ずかしそうになでた。
「うわああああああああああ」
「どうやら私は教師としては大変な間違いをするところでした」
コルベールとベル。
2人は落ちていくギーシュを見つめる。
「うわああああああああああ」
かたや生徒を見守る教師の目で。
かたや馬を見る調教師の目で。
そして2人は同時につぶやいた。
「よし、がんばれ」
「よし、がんばれ」
「あんた達ねえ」
「うわああああああああああ」


何度となく落ち行くギーシュを見てルイズはふと気付いた。
「ちょっと、ベル。よく考えたら落とし穴くらいフライを使ったら全然飛び越えられるでしょ」
「そうね」
「ギーシュも忘れちゃってるのよ。教えてあげなさいよ」
ベルはちらりとギーシュを見て、口の前に人差し指を当てた。
しゃべらないで、と言うことだ。
「それに気付いてみんながフライを使ったらどうなると思う?」
それはもちろんみんな空を飛ぶことになる。
「ルイズはフライ使えないんでしょ。みんなが飛んでるのに一人だけ歩きたいの?」
「あう」
あれ、飛べないの私だけ?と思ったのは一瞬だけ。
それよりも一人だけ歩くみっともなさが気になってしまう。
「それに落とし穴に落ちるとしたらルイズだけになるわよ」
それは嫌すぎる。
痛いし。マヌケだし。
「ギーシュのおかげ落とし穴に落ちずにすむんだから、応援してあげなさいよ」
ところで、錬金のおかげで土から青銅や真鍮を作り出せるハルケギニアでも鉱山での採掘は行われている。
貴金属の錬金は困難を極め、採掘する方が遙かにコストがかからないからだ。
さて、鉱山を掘り進めていくと時に地中から毒ガスが発生することがある。
これを素早く見極めるために鉱山の中にカナリヤを連れて行く。
カナリヤは常にさえずっており、何かおかしなことがあるといち早く泣き止むため、これで毒ガスを検知する手がかりとするのだ。
この話を本で読んだとき、ルイズはかわいそうだと思ったものだ。
その時と同じ心持ちになったルイズはギーシュを見つめ、そしてつぶやいた。
「よし、がんばれ」
603ナイトメイジ:2009/10/28(水) 23:54:55 ID:TizIs6uV
「うわあああああああああああ」


「って、そんなわけに行かないわよ!」
よい子のみんなは同じようなことがあったら教えてあげよう。特に中の人には。
忘れちゃいけない約束だよ。
マジ悲惨だし。1人欠けるとフォートレス突破きついし。
ベルが何故こんなことをしてるかって?それは悪い子だからさ。
「これだけが理由じゃないんだけどね」
「そーゆー理由は最初から外しなさいよ」
ベルが耳に手を当てて通路の奥を指さす。
何事かと思いながらもルイズは通路の奥に耳を澄ませた。
前にいるギーシュや後ろのキュルケ達もそれに気付いてじっと耳を澄ませている。
最初は小さすぎてどんな音かも判別できなかったが次第に音は大きく、はっきり聞こえてくる。
それは空気の唸りだった。
どんな唸りか。似たような音は聞いたことがある。いや、むしろ良く聞く音だと言っていい。
夏ごろに良く聞く音。花壇や花畑で良く聞く音。
だが、それよりはずっと大きいし、数も多い。
目を前に向ければ通路の奥から唸りの元が姿を現しつつあった。
「系統魔法では二つの魔法を同時に使うのは難しいんでしょ?今回は早めに気付いたけど、ああいうのにいきなり襲われたらフライを使っていると素早く対処できないじゃない。だから歩いたのよ」
「あ、あ、あ」
「あんまり早くゲームオーバーになられてもつまらないしね」
ベルの不穏当な発言も耳に入らない。
通路の奥から来たもの。そっちの方に目は吸い付けられていた。
「あれ、あれ、あれ」
「ああ、あれ?フォートレスの番人、クリーチャーね」
ハルケギニアには通常より巨大な生物がいくつも存在する。
その一つがギーシュのジャイアントモールであり、今通路の奥からあらわれたベルが言うところのクリーチャーだ。
それを知るタバサが名を口にした。
「G(ジャイアント)ホーネット」
その名の通り、花壇でみたのよりずっと大きいハチがルイズ達に近寄っているのだ。
「ところでルイズ、知ってる?ある地方ではあれのことをスズメバチって言うのよ」
「スズメ?」
「スズメくらい大きいところからそういう名前がついたんですって」
「どこがスズメよ!」
いや、大きいなんてものじゃない。むしろ巨大だ。
個体差はあるが大きいものだと子どもくらいの大きさがある。
そんな巨大なハチが群れを成し、羽をふるわせてルイズ達に向かって飛んできているのだ。
「あー、あー、あー」
ルイズはハチの顔があんなに怖いことを始めて知った。
あまりありがたくないことに巨大なおかげで細部までよくわかるのだ。
顎を鳴らすかちかちという音も加わっていっそう怖い。
「まずいですな。逃げられませんぞ」
コルベールが眼鏡に手を当て、前に出た。
Gホーネットの群れの方が明らかに人間が走るより速い。おそらくフライを使っても追いつかれるだろう。
それなら魔法で迎撃したいところだが、彼我の距離と移動速度を考えると使える魔法はせいぜい1回。だが、ここにいるメイジ全員で魔法を使っても1回では全滅はもとより退けるのも難しいだろう。
コルベールは自身の持つ最大の攻撃力と攻撃範囲を持つ魔法を考え、その使用を断念した。
あの魔法ならGホーネットの群れを確実に燃やし尽くせるだろう。だが、場所が悪い。こんな逃れる場所のない密閉空間ではGホーネットのみならず、自分自身や生徒達まで巻き込んでしまう。
落とし穴を利用する方法もあるが、効果は未知数だ。
そんな使い方はできない。
「こういう場合は、囮がハチを引きつけてその間に後ろから魔法を打ち出すのがセオリーね」
囮?その方法が有効なのはわかるが、凶悪なGホーネットの群れに飛び込む危険を誰が冒すのか。
この場にいるベルともう一人以外はそう考えた。ただ、ギーシュは何か覚悟を決めたように杖を握りなおしていた。
「シエスタ、出番よ」
「ちょっと待てえ!」
この時点ですごい人選をしているような気がする。
「シエスタはメイドよ!なんてことやらせるつもりなのよ」
「そーだ、やめろ。やめてやれ。いや、そこの使い魔がやれ」
同意はシエスタの背中から得られる。インテリジェンスソードのデルフリンガーだ。
「あら、これが適材適所というものよ」
604ナイトメイジ:2009/10/28(水) 23:55:42 ID:TizIs6uV
「てめええええええ」
言っている間にシエスタは背中の大荷物を地面に落とし、デルフリンガーを両手に持つ。
構えるではない。
そんな上等なことがメイドにできるはずがない。
ただ、持っただけだ。
「シエスタ、ゴー」
「はい!」
止める暇などありはしない。
かけ声一つで飛び出したシエスタはGホーネットの群れに飛び込んで気合い一閃……と言いたいがそんな格好のいいものじゃない。
剣で戦うと言うより使い方のわからない剣をぶんぶん振り回しているだけだ。あんな長い剣を振り回せるだけすごいと思うけど。メイドというのは意外に腕力があるらしい。
当然そんな剣ではいくら大きくても飛び交うハチにかすりすらしない。
「頭下げろ!嬢ちゃん」
「きゃっ」
膝をかがめたとたんに髪の毛がふわりと舞う。。
尻の針をつきだしたGホーネットがシエスタの頭上をかすめたのだ。
だが安心する間もない。直後に、残りのGホーネットが一斉にシエスタに襲いかかる。
「い、いけません。早く魔法を!彼女を助けるのです!」
コルベールのあわてた声に促されたルイズは、キュルケ達と一緒になって魔法を飛ばすべく呪文を全力の速さで唱える。
炎の塊が空中に形を成し、空気が攪拌されて切り裂かれる音が通路に満ちる。
「そんなに慌てることもないのに」
ベルだけがやけにのんきだった。


実際その通りだった。
タバサの作った竜巻がGホーネットを吹き散らし、中に混ぜた氷の塊が羽を切り刻んだ。
ルイズの失敗魔法は……察してあげて欲しい。
特に有効なのはキュルケ、コルベールの操る火の系統魔法だ。
2人の火のメイジが放つフレイムボールは狙い定めた目標を決して外すことはない。
例えよけても命中するまで追い続けるし、一度爆発すれば周りにいるGホーネットまで巻き込む。
群れのただ中にいるシエスタを巻き込む心配もないので好きに放てるのだ。
落ち着いて距離を取って対処できればGホーネットはメイジの驚異にはなり得ない。
だが、そのために群れに突っ込んで囮となっていたシエスタはと言うと、それはもう大変な有様だ。
Gホーネットは野生の本能に従って敵に殺到。
ギーシュがワルキューレを援護に突っ込ませたものの、Gホーネットの攻撃を一身に受けてしまった。
おかげで剣を振りまわすだけのシエスタでも足止めできたのだが。
結果、槍の穂先のような針でぶっすり刺されて致命傷、こそなかったものの体のあちこちを刺されてた上に毒まで受けてしまった。
それでも生きているのが不思議と言えば不思議なのだが。
「ねえ、大丈夫なの……」
ルイズが心配するのも無理はない。
手も、足もぷっくり腫れてしまっている。
額も同じで、右目が半分しか開いていない。
「だれか、ハチに刺されたときの魔法知っている人いない?秘薬はない?」
普通の小さいハチに刺されたってとても痛いのだ。
あんな大きなGホーネットに刺されるならどうなるかわからない。
わからないが早めの治療に越したことはない。
「やけに親切ね。このあたりの貴族は平民には薄情だと思ってたんだけど」
「ベル、あんたには貴族ってものについて一度じっくり話し合う必要があるわね」
まあ、ベルがあんまりにも無茶苦茶やらせたってのもある。
あんな殺人蜂の群れに剣の扱いも知らない女の子を差し向けるなんてどうかしてる。
「あの、ミス・ヴァリエール。私なら平気ですから」
「そんなわけにはいかないでしょ」
振り返ったルイズは目をむいた。そして、こすった。見間違いではないかと思ったからだ。
さっきまで赤くふくれあがっていたシエスタの手足、それに右目をふさいでいた額の腫れがすっかり引いていた。
「え、あれ?治った?」
「はい、治しました」
「だって、刺されたんでしょ?あんなに腫れてて。平民が?」
「やですよ。平民だって虫さされくらい治せますよ」
ああ、そうか。
平民は病気にかかったり怪我をしたなら自然に治るのを待つしかないかと言えばもちろんそうではない。
魔法が使えない平民には平民なりの治し方がある。
605ナイトメイジ:2009/10/28(水) 23:57:55 ID:TizIs6uV
裕福な貴族であるルイズは怪我や病死をしたら多少費用がかかっても魔法や秘薬で治してしまうのでそういうことには疎い。
「ベル様に教えていただいた方法なんですけどね」
「ベルぅううううううう!」
当たり前だが民間療法は魔法に比べれば格段に低い。
少なくともさっきまでぱんぱんに腫れていた顔が一瞬で治るなんてのはあるはずがない。
「あんたシエスタになに教えたのよ」
「大したことないわよ。特殊能力って言ってもわからないわよね。そうね……特技みたいなモノね」
「特技みたいなものって。あれで?」
おいしいご飯が作れますとか、編み物が上手ですとかと同じように言われても困る。
「そうよ。練習して重い物を持ち上げられるようになりましたとか、人より体が丈夫ですとかと一緒。両方の手が利き手です、なんてのとも一緒ね」
「そ、そうなんだ」
「そうなのよ」
今まで知らなかったけど、どうやらそういうものらしい。
魔法以外にもある人体の神秘とか、すごさと言うものに関して改めて感銘を受けるルイズであった。
いまいちおかしいような気もしたけど。


「大変!シエスタ。まだ腫れてるとこがあるわよ」
「ええっ、どこですか?」
「胸がまだ腫れてる」
「そこは違います!」
606ナイトメイジ:2009/10/28(水) 23:59:32 ID:TizIs6uV
今回はここまでです

シエスタはヒーラーです。
特殊能力が習得して、デルフが防御向きなのでキャスター過多のこのパーティではディフェンダー代わりに使われてしまいました。
早く本業のアタッカーとかディフェンダーとか必要です。
しかも、ハルケギニアでは魔装とか買えないのでかなり無茶してます。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 00:06:43 ID:R5sYkYu0
お疲れ様です
ギーシュ…ワルキューレ前に立たせればいいじゃない
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 00:12:29 ID:rbUPKzex
GJです。
ギーシュ…アレ?目から水がwww
ベル様マジ外道www
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 00:14:03 ID:wDtt6dnU
>>607
先人いわく
>「ま、初心者にはよくあることよ。自分の使える魔法を忘れるなんてのは」
>「あるの?」
>「あるのよ。で、事が終わった後に気付くのよ。あれを使っておけば簡単に解決できた、て」
>「そ、そうなんだ……」

大体魔法仕掛けの従者を前に立たせるなんて英雄のすることじゃないわ、とベル様なら仰られるだろう
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 00:18:55 ID:YkNhe1ON
おつおつ。ギーシュ最高だな。
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 01:08:25 ID:tEx0qfxg
>>586を書き込んだあと唐突に思い付いた…

ギーシュ「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。ん?
ルイズと言えば、ゼロのルイズか!!」

612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 01:31:56 ID:BLK1M7J3
ナイトメイジ乙。アニメしか知らないけど
柊とベル様が好きで毎週見てたわ。
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 07:27:02 ID:mK+BGN4A
乙ー。重箱の隅突くようで悪いがフレイムボールでなくてファイヤボールではなかろうか
それともフレイムボールってあったっけ
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 07:41:02 ID:lsgwavEO
ところで、シエスタはヒーラー/落とし子?
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 09:43:49 ID:jbdZ6Mwk
>>613
キュルケが使ってた
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 10:06:38 ID:jaMky0yI
ファイアがドット
フレイムがラインだったかね
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 10:27:00 ID:yTfe0LMc
ナイトメイジ乙ですー
ベル様外道w。そのうちステキなぽんこつぶりを発揮してくれると信じてます。

>ところで、シエスタはヒーラー/落とし子?
落とし子ってバステ回復手段あったっけ?
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 13:16:39 ID:HbnQIKhl
>>616
トライアングル版だと炎を自在に操れるのかもね
炎蛇みたく
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 15:50:42 ID:J7blvxwx
トライアングルやスクウェアまでくると十人十色な感じだと思うな
だから技名のあるものなんかより個性的な巨大ゴーレムだとか変幻自在に動く火だとかが出てくるんじゃないだろうか
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 16:45:47 ID:LdEeGUz0
大魔王のメラゾーマは一味違うみたいなもんか
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 18:16:28 ID:jbdZ6Mwk
>>617
バステ回復はヒーラーの方じゃね
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 19:55:42 ID:p5BhkNng
>>621
BS回復は落とし子にもある。
もちろんヒーラーもあるので、シエスタは落とし子ではなく別のクラスかもしれない。
マッドマン・シエスタとか。
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 20:09:46 ID:NtZ3qC4g
> あれ、飛べないの私だけ?
シエスタ、フォートレス内で飛べるのか
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 22:32:25 ID:LdEeGUz0
今日はなんか極端に書き込みが少ないな。
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 22:39:30 ID:c0j/+Cv0
規制中やからね
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 04:27:16 ID:9a9vx/+O
規制された……
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 12:54:18 ID:ZbVdMD/G
オーガがルイズに召喚されたら……

ダイヤモンドを錬金出来るメイジとして認識される?
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 13:39:53 ID:SzJlgwUj
一瞬オーガスと読み間違えた
桂木桂だったらルイズにも手を出すんだr…いや流石に無理か?
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 14:05:51 ID:UNN1vNhQ
ズブ濡れになったままで アクセルを踏み込んで あの頃の情熱を揉み消す
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 14:09:32 ID:YHWRkZaI
>>628
モームやリーア、マーイに反応してないからな
キュルケくらいでないと無理でない?
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 14:12:31 ID:BHnLnUJZ
規制ウザす・・・

ナイトメイジの人乙です
ベル様最高すぎるw
これ読んで初めてNW知ってリプレイとか買うようになったぜ
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 14:57:59 ID:AatP5w6j
>>628
とりあえず、エマーン人が亜人扱いされるのは確定的に明らか
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 20:38:09 ID:/UiKK9oC
>>629
ネクサス召喚ということか
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 21:28:00 ID:H9FiAh4l
エマーン人って20歳で生理あがっちゃうんだっけ
なかなか大変だな
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 21:40:58 ID:UNN1vNhQ
巨大な戦闘機らしき物体を召喚

中から人の声が
「暑っ苦しいなぁここ・・・おーい、出してくださいよ。ねえ?」
636代理:2009/10/30(金) 21:42:59 ID:QlqD72R3
避難所に代理依頼が来てたので投稿します
637黒き天使デビルマン代理:2009/10/30(金) 21:44:35 ID:QlqD72R3
『たとえそのためにいっそう悲惨な目に逢うとしても。破壊の中にのみ、わたしの残酷無残な心は、安らぎを見出すことができる。』
                                        「失楽園」下巻
                                        ジョン・ミルトン/翻訳 平井正穂
                                      

倒壊した無数のビルの瓦礫に腰を下ろし、半ばから折れたカビくさいタバコとすら言えぬ代物を咥え、全裸の少年──不動明は妙になまあたたかい空気を肌で感じながらしばしの休息をとった。
どんよりと曇った灰色に染まる夜空、鼓膜に痛痒が走るほどの静寂、先ほどの戦いがまるで嘘のようだ。
鈍色に光るペイントの剥げかけたコーヒーの空き缶をちらりと横目で見ながら、つまらなそうに一つ欠伸をする。
皮膚に刻み付けられた無数の生傷──明はデーモンの鋭い大角で穿たれた胸板を指腹で撫でた。軽い痛みに眉根をひそめる。
デーモンどもの血糊を浴びた若くしなやかな裸体がどこか背徳的でエロティックだ。
赤、青、透明、様々な色に彩られたデーモン達の粘つく体液をべっとりと付着させた右腕を脇腹で拭う。
臓物のにおいがした。殺したデーモンどもの臓物の匂いだ。

吹き飛ばされ、瓦礫に押しつぶされ、バラバラに散らばった黒く焼け焦げた数百体にも及ぶデーモンどもの肉片に一瞥もくれず、明は次のデーモンどもの巣をどうやって探り当てようかと思案する。
捻じ曲がったジッポーライターのヤスリを親指でこすり、折れたタバコに火をつける明。とび散るジッポーの火花が目にしみた。
降り始める霧雨。雨音も聞こえぬ静かな雨だ。
0・5ミリ以下の小さな雨粒が、火をつけたばかりのタバコの端にまとわりつき、くゆるタバコの紫煙に混ざって蒸気を立ち昇らせる。
何の前触れも無くぬうっと目の前に現れた白光を放つ楕円形の巨大な鏡──双眸に反射する鏡のおびただしい光が明の神経を苛立たせた。
生き残りのデーモンの仕業かと考えた明は注意深く辺りを探った。だが、己以外の存在を感知することは叶わなかった。
どうやらただの雑魚ではないようだ。明はすぐさま変身を開始する。

「小賢しい真似をするじゃないか。さっさとそのツラを見せたらどうだ、この薄汚いデーモンどもよッ」
激しいメタモルフォーゼが明の全身の骨格を軋ませた。細胞の一つ一つが目を覚ます。靄がかったゆらめく酩酊感覚と殺戮への切望。
脈動する血管が膨張し、鋼の如き筋肉が音と立てて盛り上った。
十本の指から伸びるブラッククロー、大きく裂けた唇の端から覗く獰猛な鋭い牙、漆黒の闇を纏った翼が背肉から飛び出す。
デビルマンへと変貌を遂げた明。
鏡めがけて右の拳を叩き込む。最初に手首が、次に肘の部分までも鏡に呑み込まれた。凄まじい力で腕を引きずられていく。
右腕の筋肉繊維がブツン、ブツンと引き千切れ、悲鳴をあげた。
このままでは力負けしてしまう──それならばとデビルマンは地面を踵を蹴り上げ、渾身の力で鏡に向かって身体ごとぶつかった。
638黒き天使デビルマン代理:2009/10/30(金) 21:45:58 ID:QlqD72R3
真昼の陽射しの中でルイズは同級生達の心無い嘲笑を小さな背に浴び続けた。少女の相貌が悔しさのあまりつらそうに歪む。
少女に救いの手を差し伸べる者は居ない。少なくともこの場所には居ない。暖かい言葉を投げかけ、慰める者など皆無だ。
肌寒い。もう春だというのに、風がやけに冷たかった。大きく深呼吸し、息を整える。
誰でもいい。誰でもいいから来て、悪魔でも……悪魔でもかまわないッ、お願いだからッッ……。
胸元に構えた杖──思考を停止させ、カラカラに渇いた咽喉奥から声を搾り出す。ザラついたルイズの小さな唇からこぼれる呪文。
何度も何度も唱え続け、その度に失敗に終わる呪文。心臓がまたぞろ激しくノックをし始める。
ビーフジャーキーのようにカラカラになった舌の付け根を動かし、ルイズは詠唱する。
もつれそうになる舌──構わずにあらん限りの声で叫んだ。咽喉が張り裂けんばかりに叫んだ。
「五つの力を司るペンタゴンよッ、始祖ブリミルよッ、いいえ、悪魔でもかまわないッ、どうかわたしに力強く美しく素晴らしい力を秘めた使い魔をお与えくださいッッ!」

腹の底から響き渡るような、それは苦悩に満ち溢れた少女の魂の叫びだった。
叫びとともにまばゆい閃光がひらめき、地面を抉る。爆音が炸裂し、鼓膜を振るわせた。
爆風が広がった。突風が身体を貫く。宙に舞い上がる砂の粉塵と土煙、雑草の張りついた土片が弾け飛び、ルイズのマントを打った。
突如として激しい変化を見せ始める空模様。
濃青の空を太陽ごと包み込んでいく不気味な暗雲、迫る闇の帳が一筋の光すら見逃す事無くその手に捕らえる。
猛り狂る稲妻。雷鳴が猛獣の如く激しく吠え立てた。稲光が地平線の彼方を走り抜け、黒い雲が重苦しい雨粒を地に降り注ぐ。
驟雨がルイズの頭上を濡らし、大粒の雨と暗闇が皆の視界を遮る。

ルイズは泥濘に足を取られないように注意しながら、直径五メイルほどのクレーターの中心部分に目を凝らす。
雨粒のせいでおぼろげだが、しかしはっきりとした存在がそこにあった。向こう側に佇む人影がこちらをじっと見つめていた。
いつのまにか雨が止んでいた。だが、それに気づく者はこの場にはいなかった。
人影の輪郭がはっきりとした瞬間、コルベールを含めた周りの生徒達は凍りつき、呼吸を忘れた。
顔の筋肉を引き攣らせ、相貌を蒼白に褪色させるコルベール。
「あ、悪魔だ……ルイズが悪魔を召喚したぞッ!」
生徒のひとりが明に人差し指を突き出し、声を張り上げる。次に溢れ出たのは人々のざわめき。
ただひとり、頬を薄桃色に上気させ、興奮するルイズ。
ルイズの身体の熱のせいで服に染みこんだ雨水が湯気を立たせた。願いは叶った。ルイズの必死の祈りは悪魔に届いたのだ。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 21:46:27 ID:rieH0/ec
支援
640黒き天使デビルマン代理:2009/10/30(金) 21:47:57 ID:QlqD72R3
力強く悠然と立ち上がり、デビルマンは彫像のように身じろぎもせずに辺りを目で追った。
黒い蝙蝠の羽根を象った翼を天高く広げ、闘争本能にギラつくデーモンの血に飢えた両眼を人間達に向ける。
人間──何故人間がいる。アーマゲドンによって人類は滅びたはずだ。デーモンめ、ふざけた真似をするではないか。
明は歯を食いしばり、両手の拳を握り締めた。その明の行動が生徒の恐怖心を更に煽る。ルイズだけが顔を輝かせていた。
貪欲に敵をむさぼる巨大な牙、岩すら引き裂くであろう爪、毛穴から噴き出すアドレナリンと血の生々しい臭気。
艶のある黒いベルヴェットのような大きな翼。下半身を覆う黒い獣毛に尾骨から生えた黒い尻尾がたなびくように風に揺れている。
何よりも素晴らしいのはその眼だ。
情熱と激情をたたえたマグマのように煮え滾り、同時に残酷無残で冷酷な極寒の吹雪のようなその眼だ。

異貌ではあるが精美で雄渾なデビルマンの肢体にルイズは魅了された。
周りの人間からすれば悪夢だが、ルイズの瞳にはそれがどんな使い魔よりも雄々しく、荒々しく、猛々しく、そして美しかった。
これほど見事な使い魔を……否、悪魔を召喚できたのだ。自分はもうゼロではない。
高揚した精神がもたらす高度なオルガズムにも似た陶酔に導かれ、ルイズは感嘆の息を唇から漏らした。
だが、ああ、だがその使い魔は傷ついている。胸に酷い怪我を負っている。痛々しい。
無防備にルイズが明に目前に歩み寄った。デビルマンが牙を剥いて少女に何かをしきりに訴える。

「ひ、ひいッッ」
恐慌に囚われた数人の生徒が思わず後ずさった。けたたましい悲鳴がデビルマンの耳殻に篭る。
明の発する言葉を生徒達は言葉と理解できずにいた。明の言葉は生徒達に通じず、悪魔の咆哮として彼等に激しい威圧感を与えただけだ。
鼻に皺を寄せ、鋭い牙を剥き出しながら激しく唸るデビルマンの姿に彼らは地獄の野獣が自分達を威嚇しているように感じずにはいられなかった。
ルイズを止めることも忘れ、事の成り行きを固唾を呑んで見守るコルベール。
「大丈夫よ、心配しないで私は貴方を傷つけたりしないわ」
敵意が無いことを相手に示しながらルイズがデビルマン──不動明の傷ついた胸に手を伸ばす。
熱い。灼けるような熱さがルイズの掌に流れる。
641黒き天使デビルマン代理:2009/10/30(金) 21:48:54 ID:QlqD72R3
ルイズがその小さな掌で傷の程度を懸命に確かめた。酷い傷跡──人間ならば死んでもおかしくはない。
だが、自分の召喚した使い魔は重傷を受けても意に関さぬように平然としている。
人間離れした逞しく強靭な筋肉──デビルマンの内側に宿った生命力の奔騰にルイズは眼を見張った。
デビルマンが静かに少女の行動を眺める。
ルイズが己に対して敵愾心の無いことを悟り、だからこそ明は為すがままにされながら、少女を振り払おうともしなかった。
不思議な娘だ。デビルマンの姿を見て怯え、恐れおののかない人間など自分の知る限りでは皆無だった。
それどころか少女は自分の傷ついたこの身体を労わろうとさえしている。こんな人間がいたのか。そもそもこれは現実なのか。
だが、少女の掌の温もりと慈しみは紛れも無く本物だ。その勇気と優しさにデビルマンは心の中で少女にカーテンコールを送る。
野獣の眼差しはいつのまにか穏やかな聖職者の如き光を讃え、少女を見守っていた。
──人間の娘よ、ここがどこなのか教えてくれ。そしてお前は何故俺を恐れないのか。傷ついた俺の胸を労わる優しき少女よ。
デビルマンの投げかける言葉は唸り声としてむなしく響くだけ。

向こう側で他の人間達が自分を指差しながらひそひそと何かを喋っている。
周りの人間達のやりとりに明が耳を傾ける。残念ながら会話──彼等の言葉を理解することはできなかった。
話しかけても無闇に相手を怖がらせるだけだと思った明はあきらめるように口を閉ざした。
異形とも言える存在が吠え立てるを止め、ルイズに身を委ねた光景を眼の辺りにするとコルベールをはじめとする一同が安堵に胸を撫で下ろす。
元より明にはメイジ達に危害を加える意思などない。
そもそもが人間に対してさほどの興味も無い。明が望むのは全てのデーモンの抹殺のみ。つねに頭にあるのはデーモンをどうやって殺すかだ。
明が警戒心を見せたのは最初にこれがデーモンの幻惑ではないかと疑ったからだ。疑惑の念は消えうせ、代わりに困惑がデビルマンの脳を支配する。
冷静さを取り戻したコルベールが戸惑うような表情を顔に張り付かせたデビルマンの姿を物珍しそうに観察する。
「ふむ、どうやらこちらに対して敵意はないようですね。しかし、見れば見るほど恐ろしくも強そうな使い魔ですね。素晴らしい。

さきほど吠えたのは混乱していたからでしょう。さあ、ミス・ヴァリエール、彼に接吻を」
「はいっ」
顔を輝かせたルイズが、嬉々としてデビルマンの唇に口づけを交わそうと精一杯、飛び跳ねる。
少女の不可解な行動に、デビルマンは訝しげな表情を浮かべ、ルイズの正面から身体をずらした。
ルイズの涙腺に涙が篭った。それでも必死ですがりつくように明の腰に抱きつく。明はルイズの身を案ずるように身を屈めた。
──どうしたんだ。俺に何を伝えたい。悲しいが俺はお前の言葉が理解できないんだ。
泥で足を滑らせたルイズが上体を崩した。デビルマンが腕でルイズを抱きとめる。                   
偶然の産物か、それとも天の悪戯か。その拍子でルイズとデビルマンの唇が重なり合った。
642黒き天使デビルマン代理:2009/10/30(金) 21:51:53 ID:QlqD72R3
代理終了
デビルマン(原作漫画版)より不動明(デビルマン)召喚のようです
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 22:25:54 ID:OO+vEsZw
デビルマンの人乙でした。
この明はたぶん…(/_;)
ウッ
ルイズ…明を幸せにしてやってくれ。
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 22:29:45 ID:KZTOLD+6
うおっ、デビルマン面白っ!
これは続きが楽しみだぜい。
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 23:03:46 ID:No/+0DUE
願わくば、この明は幸福になれますように。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 23:24:32 ID:Z/KJKS08
ムリダナ
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 00:14:49 ID:JzJfnqsd
デビルマン来たあ!大好きな原作版だし嬉しい!!
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 00:31:35 ID:1zZiQ6x/
原作漫画版のデビルマンとなると、ほぼ確実にサタンが追いかけてきそうな
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 00:44:59 ID:MirSX9Fy
サタンとルイズが明を取り合うんですね
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 01:12:02 ID:7ANn1T/d
デビルマン乙
使い魔のルーンはデビルマンをも調伏し支配下にしてしまうのだろうか
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 01:12:14 ID:kDfP1oSh
実はルイズが
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 01:24:01 ID:YV21KhG0
不動明にしては、えらいやさぐれてるなぁと思ったが、しかしアレの後ならこんなもんかも知れんな。

地獄に落ちた後だと、変に落ち着きすぎてたし。
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 04:44:51 ID:6eVPI5vW
デビルさん、乙。

すわ、ルイズの首チョンパENDか!!
654名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 11:16:51 ID:zFjQzCzt
・・・でギーシュとおマチさんとモットとワルドはいつやられるのでしょうかw

ギーシュあたりは最初からびびって戦わない可能性もあるけどw
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 12:07:52 ID:jhWmwOAt
何に挑んでも不思議ではないKYさがギーシュのいいところ。
だからこそ、噛ませ犬四天王の切り込み隊長なのだ。
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 12:49:42 ID:uGc1JBZ9
サタンは明ラヴだから・・・
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 13:10:13 ID:sc3WMuP9
>>656

元カノを首チョンパしたしなw
…ルイズイ`w
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 13:45:47 ID:zDiEO0gj
意外とデビルマン知ってる人がいて嬉しいなあ
もうかなり前の漫画だけど、初めてあの最終回を読んだときは、しばらく何もする気起きなくなったキカイダー並のトラウマコミックw
今後の投下が楽しみだ
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 14:15:49 ID:MdxRNXhs
>>658
ある意味永遠の名作ですよ
劇場版はなかった事にしたほうが全人類の平和のためにいいと思うです(笑)
ただコレとイデオンが「とりあえず全て滅ぼしちゃえばオチ付くよね」と
カンチガイした作品が増やしたのはかなり問題
まあ永井と冨野に罪は無いのですが
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 14:39:38 ID:x8WNQXJf
ペンタゴンとか言ってる所のルイズがバキ絵で再生されたのは俺だけじゃないはず
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 15:03:45 ID:bpbBprUj
>>657
この世にいないからって自分で自分ハラませて生み出すぐらいだしなw
>>659
エヴァの庵野も仲間に入れて。
説得力も実力もない奴がやると職務放棄にしか思われないから
やっちゃ駄目実例ですね。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 15:53:55 ID:PqptShn+
規制とけたかテスト。そろそろ投下したいよー
663ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/31(土) 15:55:09 ID:PqptShn+
あ、いけた……
というわけで、規制とけた嬉しさで投下したいと思います。
16:10ぐらいより失礼いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 16:06:53 ID:qIWv/d0y
お、とけたのか
これから投下ラッシュ来るかなぁ、と微妙に期待してみる
665ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/31(土) 16:09:59 ID:PqptShn+
投下開始でございます

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船の名前は『ブラック・ジャック号』。
名前のとおり、外側がカラスの濡れた羽のように真っくろ黒の飛空挺だ。
でも、中は外側と違って、金や赤色で目がチカチカするような作りだった。
あちこちにゲームをやる台とかがあって、空飛ぶカードスタジアムって感じがする。

……ルイズおねえちゃんは、ウェールズ王子と一緒に今は船長室にいる。
あのウェールズ王子なら、多分信用できる……と思う。
目を見ていたら、分かる。あのウェールズ王子は本物だって。
でも、今も『悪意』に満ちた魔力を感じる。
どちらのウェールズ王子のものでも無かった、ラグドリアン湖で感じた嫌な空気。
……となると、これを出しているのは、一人しか考えられない。

「――入るよ」
パタンという軽い音がして、その一人が入ってきた。
船尾に近い方の客室、ボクとデルフがいるその部屋に。

「クジャ……」
ボク達黒魔道士を、『人殺しの道具』として作りだし、ガイアを混乱に陥れた張本人……
寒気がするような透き通った白い顔を、ボクは何度見ても許せそうに無かった。

「ふぅ――やっぱり、再会は青空の下がいいね。君の顔が曇っている」
ボクの顔が、曇っている?
そうかもしれない。でも、それを隠すつもりも無い。
「……何を考えているの?何が狙いなの?」
許せない。許さない。
ボク達の仲間の命をもてあそんだ、こいつだけは。
それでも……こいつが言っていた『真実の終幕』って言葉がひっかかって、ここまでついてきてしまった。
そのことに後悔をしてしまう。
ルイズおねえちゃんを、危険な目に合わせてしまうかもしれないからだ。
でも、もうここまで来てしまった。
だから、ボクは知りたいんだ。それが、どんなことに繋がってしまったとしても。


「質問を質問で返すのは下品だから嫌いなんだけど――先に聞かせてくれないか?」
クジャがやれやれとため息をつく。
ボクが座っていたベッドの前に、椅子を持ってきて腰をかけた。
「……何?」
間合いが近くなる。ボクは警戒をしてデルフをギュッとにぎりしめた。
「僕を――君は、僕を……」
一瞬の、ためらうような表情。
床から、天井、部屋の真ん中のテーブル、それからベッドと……順繰りに視線を躍らせるクジャ。
それがようやくやっとボクに合わせられて、クジャは決心したように聞いてきたんだ。

「殺すために、再び生まれたのかい?」
とんでもなく、訳の分からない質問を。



ゼロの黒魔道士
〜第六十一幕〜 死神を倒す者
666ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/31(土) 16:10:59 ID:PqptShn+
『あぜんとする』って、こういうことを言うんだろうなってそう思ったんだ。
ボクが、クジャを殺すために生まれた?
意味が分からない。

「――お、おいおい、ミョズの兄ちゃんよぉ?いきなしそういうこと言うかぁ?
 相棒、根ぇは真面目な良い子なんだからよぉ、ほれ、質問の訳分かんなさに固まっちまったぜ?」
デルフの声でその『あぜんとする』状態から戻ってきたんだ。
丁度『レビテト』から地面に降り立った感じ。

「僕も、至って真面目だよ――ビビ君、君は……僕の死神として生まれたのかい?」
死神?ボクが、クジャの?
「……どういうつもり?」
「ん?」
「そうやって、ボクを混乱させて……それが楽しいの?それがお前の狙いなの?」
間違っても、ボクはそんな理由で生まれてきたんじゃない。
ボクは、人殺しの道具じゃない。ボクも、他の黒魔道士のみんなだって。
生まれてきた意味を考えるのって、よく分からなくて頭がこんがらがってくるけど、これだけはハッキリ言える。

「ガイアで、テラで……好き勝手に暴れて、皆を苦しめて……もういい加減にしてよっ!!」
クジャなんかに、生まれてきた意味を決められてたまるもんか!
ボクは、ボクなんだ!クジャの勝手になんかさせるものか!!

少しだけ、間があった。
ボクの声が、狭い船室の中で飛空挺のエンジン音にかき消されるのに充分なくらいの。
「――良かった……」
天井を仰いで、クジャがそうつぶやく。
それがボクには芝居がかった仕草に見えて、なんだか無性に腹が立ったんだ。
「何が良かったって言うのっ!?ふざけないでっ!!」
ボクの言葉を聞こうともせず、クジャは顔を覆った手を自分の頭の後ろへもっていった。
「君は、君のままだった……安心したよ。ようやくね」
しゅるりとバンダナみたいな額を隠していた布をほどく。
クジャのおでこには、ボクの左手に描かれているのと似たような……
ルーン文字が描かれていたんだ。

「……何の真似?」
封印を解いた、とかそういうことのような気がしたんだ。
狭い船室だから、デルフがあるボクの方がやや有利な空間。
でも、クジャの船だから罠を前もってしかけてあるかもしれない。
油断しないようにボクはあらゆる感覚を研ぎ澄ませた。

そうすると、本当に色々と感じる。
木と鋼でできた船室の床の継ぎ目、エンジンが回ることによってできる振動、
誰かが動いてきしむ床の音……

「この地の始祖とやらは、僕には『知恵』を、君には『勇気』を与えたらしいね。
 ……その『勇気』をほんの一欠片だけ分けてもらいたい」
それと、クジャの付けた香水の匂い。
薄いけども、鼻にまとわりつくような花の香り。
ボクはクジャを睨みつけた。
デルフの間合いにクジャがいる。
変な動きをすれば、いつでも間違いなく斬りかかれるように、そう備えた。
667ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/31(土) 16:11:53 ID:PqptShn+
そんなボクの動きを見て、クジャは少しだけ口の端っこを歪ませて笑った。
悲しそうに?いや、気のせい。それかきっと演技だろう。相手はクジャだ。油断しちゃいけない。
「今から、ちょっとした告白をする。
 気に食わなかったり、耳障りだったら……そのまま斬り捨ててくれ」
元からそのつもりだ。言われなくても分かっている。
「……」
でも変だと思ったんだ。
あまりにも、あまりにも無防備なクジャの様子が。
だから、まずは聞くことにした。
構えは解くことは無いように、油断しないようにして。

「――君も薄々感づいているとは思うけど……僕達は、一度死んだ」
「……うん、知ってる」
それは、知っている。
ボクは間違いなく、死んだ。
みんなともっと一緒に冒険したかった。でも、別れの時って間違いなく来る。
ボクは、ガイアで間違いなく死んだんだ……

「――何の因果か、死んだはずの僕達はこの世界に黄泉帰った……召喚獣のような形でね!
 僕は、君より3年前に喚ばれた。僕に良く似た、世界を恨んで、憎んで、壊したいほど愛していた男にね……」
そうだ。ボクはルイズおねえちゃんに召喚されたんだ。使い魔として。
でもまさかクジャもそうだったなんて考えもしなかったんだ。
世界を壊したいほど恨んで、憎んで?
……そんな歪んでいる感情のために、ガイアのみんなが、黒魔道士のみんなが苦しんだんだと思うと、やるせなくなる。

「僕がどれだけ喜んだことか分かるかい?もう一度、生きれるんだ!という喜びだよ?
 僕は全てに、君達に負けて……滅ぶべき運命を受け入れるしか無かったというのに……」
……少しだけ、共感できてしまうのが悔しい。
死ぬ前に、何度思ってしまったんだろう。まだ生きてられたら、もう少し生きてられたらって。
どこへ行こう。何をしよう。時間を気にしないでそんなことが考えられたらなって。
だから、このハルケギニアに呼ばれたことが、本当に……嬉しかったんだ。

「もう後悔はしたく無かった。だから、決めたのさ。
 もう一度生まれたことに意味を、そう、君のように意味を見つけてやろうってね」
「ボク……みたいに?」
クジャの言っている意味が分からない。
クジャは思うがままに、感情のままに暴れていたという記憶しか無いからだ。
ボクにとってのクジャは、とんでも無く悪いヤツで、絶対に許せないヤツで……

「君は――この愚かな僕が生み出した存在。
 この僕と同じ、短く限りのある作られた命」
このボクを、作った男……
悲しいけど、これは変えることができない事実だ。
今言われて気付いたんだけど、クジャもボクと同じように作られた存在だったっけ。
皮肉だなって、ちょっと思ったんだ。
クジャはボクや他の黒魔道士を人殺しの道具として作り上げた。
でも、そのクジャ自身だって、自分の生みの親に破壊の道具として作られたんだ。
……ボクと同じように、短く限りある命を与えられて……

「なのに、君は……僕と違って、悩まなかった。苦しまなかった。前へ進んだ。
 君は、僕と違って……とても強かった」
クジャが自分の寿命を知ってしまったときのことを思い出す。
一つの世界を滅ぼすぐらいの、魔力の嵐。
怒りや悲しみの全てを自分以外の誰かにぶつけるように、クジャは狂って暴れた。
クジャは受け入れることが、できなかったから。自分が死ぬっていうことに。
いつか別れがくることに耐えられなかったから。
668ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/31(土) 16:12:49 ID:PqptShn+
「そんな……ことない」
でも、ボクが別に死ぬってことを受け入れたわけじゃない。
やっぱり、死ぬことは怖くて、耐えられそうに無くて、一人ぼっちになりそうで……
ただ、みんながいたから前に進めた。それだけなんだ、と思う。

「君や、君の仲間みたいになりたくて、必死だったよ!できる限りのことはしたつもりさ。
 でもね、怖くなったんだ……君が召喚されたって聞いてね……」
「……ボク?」
クジャの身体が、少し震えているように見えた。
心なしか、顔が青白い。
……違う違う、きっと化粧のせいだ。騙されるもんか!
「考えたんだ。僕や、君が召喚された意味……
 1つ怖いことを考えてしまってね。笑うなよ?
 もしかしたら、僕が生まれたこと、それ自体が『罰』なんじゃないかなって思ってしまってね」
「……『罰』?」
生まれることが、『罰』?
そんなことって、ありえないと思うんだ。
生きることが『罰』なんて、そんな悲しいことが……

「僕が生まれたのは、君に殺されるため……
 何度も何度も生まれては、僕が作った存在に殺される……
 ふさわしいと思ってね。あの憎いガーランドを殺した罪人に与えられる、永遠の輪廻という罰さ」
「そんな……」
クジャを作った人……ガーランドっていう男は、クジャが殺した。
だから、ボクに殺され続けるのがクジャにとっての『罰』?
ボクが、クジャにとっての死神?
……馬鹿げている!
ボクは、そんなものになんて絶対なりたく……

「お笑いだろ?でも、罰を与えられても仕方が無いとは思ってたんだ。
 実際、この世界に来て僕ができたことはといえば、目的は違っても同じことばっかりだったからね!
 武器商人として暗躍したり、王様貴族に取り入ったり、魂の無い人形を作ったり……」
「っ お前!?やっぱり!!」
次の瞬間、デルフをクジャの額に突きつけていた。
少し、クジャの皮が切れて血がにじんで出る。
やっぱり、クジャはクジャだった。
ありとあらゆる汚いことをやって、戦争を巻き起こして、人殺しをして、みんなを苦しめる……
それがクジャなんだと思うと、頭の中まで真っ赤になりそうだった。

「仕方が無かったんだ!多くの命を救うために!奪ってしまった分を取り戻すために!
 精一杯の償いのつもりだったんだ!僕が今までしでかしたことへのね!」
クジャは自分に突きつけられたデルフを避けようともせず、
自分から滴り落ちる血をぬぐおうともせず、『償い』という言葉を言った。
奪ってしまった分を、取り戻す?
……そんなこと、できないほど、奪ってしまったというのに……
ボクはそう思ったけど、一緒にこうも思ったんだ。
(じゃぁ、どうやったら償えるの?)って……
669ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/31(土) 16:13:49 ID:PqptShn+
「――でも、結局僕の手は血塗られているようだ……また、多くを苦しめて、傷つけた。
 ウェールズ王子だって、僕が救わなきゃ苦しまずにすんだのにね。
 いや、救えなくても一緒か。僕は笑えるほど無力だ……そうだろ?笑ってくれよ……」
笑うことなんて、できやしなかった。
ウェールズ王子の言葉を信じるなら、王子さまは間違いなくクジャに助けられた。
迫るレコン・キスタの軍勢の中、死体の代わりにウェールズ王子と瓜二つの人形を置いて、
王子様の方は他のアルビオン軍の人達と同じように鎧ゴーレムの中に隠して逃げたんだって……

でも、そんなことをしても、ガイアの戦争で死んだみんなは戻ってこない。
苦しんだ黒魔道士のみんなは救われない……
でもでも、そのことを非難しても、何になるっていうんだろう。
ボクはそのみんなのために、何ができるというの?
あぁ、なんだかボクの頭の中がこんがらがってくる……

「――必死に、仮面を被った。『死神』と呼ばれた昔馴染のね。
 演じていなければ、また『生きられなくなる』って恐怖に耐えられなかったからさ……」
ボクを自分を殺す『死神』って思っていたクジャがそう言う。
許せない。許さない。
そう思っていた。
でも、どうして?ボクはクジャのことを理解してしまうんだろう。
分かりたくないのに、分かってしまうんだろう。
クジャもボクも……結局は似ていたってことに……

「結局、僕は君のように強くなれなかった。死ぬことが怖いただの臆病者なのさ……」
ボクは、強くない。
クジャと同じように、死ぬのが怖い。
死ぬのは嫌だし、誰かが死ぬのを見るのも嫌だ。
……ただ、仲間がいたかいなかったかの違いだったんだ、とそう思う。
クジャとボクを分けたのは、それだけだったんだって……


「ミョズの兄ちゃんよぉ?まぁ〜、顔ふけや。折角の男前が台無しだぜ?」
少しの間の沈黙を破ったのは、デルフだった。
それに引きずられるように、ボクは質問をすることにした。
「……クジャ、そういうことをボクに言って、どうしたいの?」
自分の弱さをこうも言うクジャなんて、今まで想像もできなかったから。

「――すまない。君の前なら、僕の心を打ち明けても良いって思えてね……
 不思議なものだろ?僕の愚行を知っているのは、この世界では君ぐらいのものなんだから」
額の血を、巻いていたバンダナでふき取りながら、クジャが椅子から立ち上がる。
「……それで?」
デルフを下げながら、ボクはそれを見ていた。
クジャのしたことを許すつもりはない。許さない。
でも、今は、デルフを向けるべきときじゃない。なんとなく、そう思ったから……

「これで少し楽になったし、君が僕の『死神』なんかではなく、僕の憧れた君自身であるということが分かった……
 だから、協力して欲しいんだ。その『勇気』を、僕に貸してくれないか?」
さっきまでの泣きそうな顔や、
今まで見たことのある人を小馬鹿にしたようなニヤニヤ笑いじゃなくて、
スッとした真剣な表情で、クジャが言ったんだ。
ボクをまっすぐに見て。

「……誰かを苦しめたり、傷つけることならいやだ!そんなことをするなら、お前を許せない……」
それだけは、絶対だ。
そんなことをするぐらいなら、ボクはクジャの望んでいるとおりにクジャの『死神』になってやる。
670ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/31(土) 16:14:33 ID:PqptShn+
「――大丈夫さ。この手の届く範囲を、守りたい。それだけの目的なんだ。
 少々、ポケットに入りきらないぐらい、手の届く範囲を広げてしまったけどね。
 あとは、最終舞台だけ……協力、頼めないか?」
でも、クジャに協力する?
……それはどうなんだろう……
「……ボクは……」
決心が、つかなかった。
第一、クジャが何をやりたいのかがまだ見えてこない。
そこに軽々しく協力する、なんて言えるわけが……

「――相棒?ミョズの兄ちゃん?ちょーいと、話の腰折るんだけどよ?」
「……え?」
「何だい?」
デルフに顔を向ける。
デルフは相変わらず呑気そうな声でカラカラ笑っていた。
「ちょーいと、窓の外によぉ……ちーっと思いもかけてねー野郎が……」
デルフに言われて、船室の丸窓を見る。
窓の外って言っても、さっきと同じように真っ暗な空が広がっているだけで……
「……?……!?え!?」
「おやおや……これはこれは珍客が」

空以外のものが、間違いなくそこにあった。

「――やと、気付いテくレタ……」
「ぎ、ギーシュぅっ!?」
鼻水を垂らして、泣きそうな表情のギーシュが。
サラサラのはずの金髪がボッサボサになってしまっているギーシュが。
窓の外から張りつくようにこっちを見ていた。
「寒イかラ……早グ入レて、びビ君……」
なんで……なんでギーシュがこんなところにいるの?

----
ピコン
ATE 〜ざわめく森〜

空中大陸アルビオン、そのウェストウッド村はいたって平和だった。
それは今宵も同様であり、
子供たちのすやすやという寝息が虫の音と合わさって聞こえるだけの、
極めて平穏な夜であった。

そんな中、ただ一人が、別の音を聞きつけて寝床から出てきていた。

「何かしら……?」
禁忌である自分の耳を隠そうともせず、薄手の布に豊満な体を包んだ少女。
存在自体が禁忌である王族とエルフの間の子、ティファニアである。
既に宵闇の刻。
今日も今日とて熱心に働き、疲れているはずなのに寝付かれなかった。
671ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/10/31(土) 16:15:48 ID:PqptShn+
「ざわめいている……?」
木々が風にゆれてざわめく。ただそれだけ。
それだけであるのに、何かが妙だと彼女は感じていた。
顔も知らぬ母から受け継いだ尖ったその耳が、その声を聞いていた。
「何?これ?何なの?」
何とも形容しがたい、風の音とは異なる音。
呻き声?喘ぎ声?それとも叫び声?
風に乗ったわけではなく、風を起こしながら、それらの音が不協和音のように重なって耳に届く
「……気持ち悪い……」
自然、口をおさえるティファニア。
魔法の才は『虚無』の呪文である記憶消去に関する物しか覚えておらぬ身ではあるが、
彼女の潜在的な感覚の鋭さが、その不快感を何倍にもしていた。

何かが、何か良からぬことがこの森の外で起こりはじめている。
そう彼女に感じさせるには過分すぎるほどの音色であった。

「――っ誰!?」
口を押さえながら、暗がりにそれを問う。
藪の中、暗闇の奥の底、そこに人影が確かに見えた。
村の子供であってくれ、とそう願う。嫌な予感が治まらない。
明らかにその影はティファニアの身体よりも背が高く、
大人の男性が存在しないこの村にはあり得ない姿であった。
「……ね、姉さんたすけ――」
踵をかえし、逃げようとする。
『忘却』の呪文を相手にかけようにも、このような暗がりでは困難と判断したためだ。
何より、気分の悪い音がまだ続いている。
その音から逃げるように、姉の名を呼ぼうとした。
あいにくクジャの仕事でここ数日は外に出ている姉の名を……

2歩、3歩。
それ以上の逃走は許されなかった。
「――ぐむっ!?」
風よりも早く、その影はティファニアを襲った。
黒いローブを着込み、顔の見えぬその影は。

「――最後の1ピース、確かに手に入れた」
くぐもった男の声で、そう呟く黒き影。
月光にティファニアの金髪が揺れる。
その身体を、だらりと男の腕の中で投げ出して。

木々がざわめく、いたって平和な夜だった。

今、このときまでは。

----
以上でございます。
ギーシュはよく訓練されているから大丈夫だけど、
良い子のみんなは、飛空挺の外にへばりつくなんて真似はしないでね!
まぁそんなこんなで、10月も終わりですか。
今年中にどこまで書けますでしょうか……
どうか今少しお付き合い願えればと思います。
そんな感じで今後の投下ラッシュに期待しつつ……お目汚し、失礼いたしました。
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 17:27:33 ID:pk3lyU6h
>>655
KYどころか、むしろ空気を読みに読んでるからこその行動だよ
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 17:39:33 ID:psJlKIU1
黒魔さん乙です〜

ビビとクジャの協力か……
トランスクジャとかが味方になったら強そうですな〜アルテマ連発。
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 18:08:51 ID:YmhHhBa8
乙でした
いよいよ最後に向かってるって感じですな
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 20:48:09 ID:jhWmwOAt
乙です
ギーシュはシリアスブレイカーだなあ
それにしても、クジャの言うことはどこまでマジか……涙を道具にする悪党が最悪だっていうけどはたして……
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 20:53:56 ID:ZRn/u2JQ
右京「これはすみませんルイズさん
どうも僕は箪笥や鞄の中を覗く癖があるので、ハハハ。自分でも困ったものです」
ルイズ「いいから今さっきナニ隠したのか見せなさい!」
677汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:40:43 ID:PqptShn+
代理スレにあがってたんで、代理参ります。
23:50より失礼をば
678汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:50:15 ID:PqptShn+
投下開始です----
 窓に張り付き、荒い鼻息で窓の外をにらむ主殿。
 この主殿は危ない、と九朔は考えた。
 挑発とまる分かりの売り言葉に、後先考えずその場で簡単に乗ってしまう。
 侮辱と判断すれば噛み付き、侮蔑だと判断すれば噛み付き、不敬と判断すれば噛み付き……。
 とにかく少しでも主殿を侮辱すれば怒りを顕にする、はっきり言えば非常に幼稚な性格と言える。
 まるで扱いの難しい爆弾のよう、それも少しの揺れで簡単に起爆するくらいの。

「……主殿、落ち着いてくれ」
「何よ!」
「何よ、ではない。 もう少し落ち着くべきではないのか?」
「落ち着けるわけないでしょ! 平民なんかにあんな事言われて、黙っていられるもんですか!!」
「だからこそ落ち着かなければならぬだろうが。 主殿はいちいち言葉を額面通りに受け取り過ぎておる、聞き流す位の器量を持ってみてはどうだろうか」
「そんな事できないわ! 無礼な平民は確り躾けて……」
「確かに我らは爵位を持たぬ身、しかしながらこの地と我らが住まう地とはまったく持って違う、そこを考えて欲しい」

 平民が九割以上の世界の人間に、いきなり召喚されてこちらは貴族だから平伏しろと言われても早々納得は出来はしないだろう。

「もしかしたら我らは帰れないかも知れぬ、それを理解している紅朔は多少イラ付いているのだ」
「うっ、それは……その……」

 実際の紅朔は小旅行気分であろうが、ここは主殿の癇癪を抑えるために役立ってもらう。
 それを知らぬ主殿はもごもごと口の中で言葉を転がす、それは精一杯の努力であろう。
 主殿も多少は罪悪感を感じているようだった。

「難しいなら言わなくても良い、それだけでも十分に気持ちは伝わる」

 こういう性分、貴族としての在り方を叩き込まれているのだろう。
 言う通りに平民に下げる頭など持ち合わせていないにもかかわらず、謝ろうとする姿勢は悪くはない。

「主殿はなんと言われようとも聞き流す、いや、許してやれるような存在になって欲しい」
「……侮辱は許せないわ、誇り高き公爵家の……」
「その嘲笑が意味の無い物だと思えば良い」
「は?」
「言ったであろう? 主殿はおそらく虚無であると、呪文を知らずして虚無の魔法を使う事有らず。 主殿は永遠に魔法を使えぬ訳ではない、『今』魔法を使えぬだけであるとな」

 他の者は系統魔法の呪文を知っているだけ、主殿は伝説級の代物であるために容易に知れるものではない。

「事実を知らぬ者たちを、逆に笑ってやるぐらいの器量を持てばよい」

 そう続けて言った。

「……本当に、そう思ってるの?」
「そうとしか思えん、でなければ紅朔が主殿の魔法を使えない理由が立たない」
「そう……、なんだ」

 事実、紅朔はあの金髪少年貴族の血を取り込み、『土』の魔法を使った。
 ならば先の召喚の際、主殿の血を取り込んだ時から魔法が使えるようになっているはずだ。
 だが現実は使えない、主殿には血に宿っている魔法の力が無い、カケラさえ感じられない。

 その理由に実は主殿は貴族の子ではなかった、という可能性も考えたがすぐに捨てた。
 貴族の血が一切流れていないならば、魔法行使による爆発は起きるはずも無いし、そもそもサモンサーヴァントが成功するはずも無い。
 他にも実は主殿には人外の血が流れていた、と言うのも考えたがやはり違う。
 『人外』で有るからには人とは違う血が流れている、だが主殿の血はあの金髪少年貴族と基本構造が同じ、人間の血が流れている。

 他にも幾つかはあるが、どれもが現実的ではないか、違うと判断できる材料がある。
 であるからに、最も可能性が高い『虚無』の属性が浮かび上がる訳だ。
 伝説と言われるからには系統魔法とは源流が違うのかもしれない。
 血に流れる魔法の力が無ければ、根源である『魂』から魔法の力が生まれているのだろう。
 ……断定するには情報が足りなさ過ぎるが。
679汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:51:42 ID:PqptShn+
 不満を募らせベッドに座るルイズと、そう考えながら椅子に座る九朔。
 呪文が分かれば即詠唱、と言ったルイズのため、心構えや準備をするよう諭しておくことにした九朔は話を繰り出した。

「よもやこれから我等の魔術を目にする機会が増えるかも知れぬ故、主殿には感情の精練を学んで欲しい」
「……例えば?」
「怪異に対する耐性、精神的強度の上昇を狙いたい。 魔法の精度や威力にも精神は絡んでくるであろう?」
「まぁ……そうだけど」

 うーん、と唸り出す主殿。
 やはり地位も階位も無い、平民たる我に教わりたくないか。

「そ、そう言う訳じゃなくてね……。 ほら、あの……あれ、とか、また見て訳分からなくなりたくないし」
「確かに、だが主殿には僅かばかりだが耐性が出来ておろう。 おそらく次に見ても前後不覚には陥りはすまい」
「そうなの? それなら……」

 ショゴス程度の狂気ならば十分に人は対応できる、ある程度の才覚を有していれば『魔術師<マギウス>』になれるのだから。
 問題はさらに上を目指す時、三次元までしか対応できない人間が別次元の怪異を相手にする時だ。
 四次元、五次元の高位存在でありながら低い二次元などからも干渉が可能と言う異形たち。
 認識できない物を認識する必要がある為、それに耐え切る精神力が必要になる。
 常軌を逸した訓練を行ってさえも、耐え切れない者など山ほど居る。

 そう言った者の中から登り上がってくるのは才覚を有した、常人とは一線を画した人間。
 壊れにくい複雑な精神の構造をした者、高い強度を持つ精神防壁を張り巡らせれる者、あるいは狂いながらも正常な思考を可能とする矛盾した者。
 そこからさらに高みへと上り詰める者、強力な魔導書を手にすることが出来る者たちは皆『壊れている』と言っても過言ではない世界。
 己を破壊してまで上り詰めるのは一様にして、強大な力を持つ恐るべき異形のものどもに魅入られた者たち。
 異形の神の知識を得る為に、異形の神を滅ぼす為に、異形の神を復活させようとする為に。

 自分のために、他人のために、異形のために。
 どれにしても精神力が必要となるのだ。
 言葉通り折れぬ曲がらぬ擦り切れず、如何様な衝撃にも耐える強靭な精神。
 無論そのようなものたちに慣れるために厳しい訓練をするわけもなし、さすがに主殿にそこまで求めはしない。
680汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:52:32 ID:PqptShn+
「それで、訓練って何するのよ」
「精神統一、正なる感情と、負なる感情。 それを拒まず迎合し『一』つと出来た時には、主殿は一つ高みへと登れるであろう」
「よくわかんないけど、それで魔法が使いやすくなるのね?」
「正確には準備、と言うところであろうな」

 魔術を使うための準備、如何に精神が乱れ崩れていようとも即座に立て直す。
 怪異と戦うために必ずや必要になる、この世界では必要ないかも知れぬが。
 精神状態によって魔法の効果は増減するならば、精神の常に平安に保てば一定の効果を。
 感情を操る事が出来れば、さらなる効果が望めるだろう。
 どちらも行えるようになれば、魔法に良い結果を与えられると思われる。

「そうさな……、自身を律すると言うのが正しいか」
「律する、ね」
「うむ、感情を内に溜め、ここぞと言う時に爆発させる。 言うは易し、行うは難しと言った所だが」
「いうはやすし?」
「口で言うのは簡単だが、実際やるのは難しいと言う我が居た世界の教訓だ」
「……へんなの」
「口だけで目標が達せられるなら、人間は遥か高みへと進んでいるであろうな」

 なればこのような諺など生まれてはおるまい。

「……いや、話が逸れてきたか。 要は感情の制御、揺れぬ心を持って欲しいのだ。 つまり、先ほどの簡単な挑発に乗らぬような」
「……それで、結局はどうするのよ」
「我慢だ」
「……はぁ?」
「今の主に求められるのは耐える事」

 魔術師の訓練を行っても主殿は簡単に音を上げるだろう。
 ならば手堅く主殿だけで行える『我慢』から学んで欲しい。

「……なにそれ、なんかすごい事言ってる様に感じたけど、そんなの大した事無いじゃない」
「ふむ、本当に『大した事ではない』と?」
「あ、当たり前じゃない!」
「では、主殿の我慢が出来ている雄姿を、しかとこの目に焼き付けていただこう」
681汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:53:18 ID:PqptShn+
 そうしてその時からルイズが我慢する訓練が始まった。
 内容は簡単、侮辱されても『一言も反論しない』の一点。
 蹴ったり殴ったり、物理的な反論も禁止。
 それこそ睨むのも禁止にしようとした所に、ルイズの猛反発を食らった九朔。
 その猛反発を押さえ込むのも簡単ではあったが、訓練の締めに使う事にしたので今回は睨むのはありと決まる。

「では主殿、そろそろ夕餉の時間だ」
「分かってるわよ!」

 長い事話していたら、日はすでに落ち始めて窓の外の景色を真っ赤に染めていた。
 フンと鼻息を鳴らし、勢いよくドアを開け大股で部屋を出て行くルイズ。
 どう見ても躍起になっており、我慢くらい簡単にこなしてさっさと次の訓練に移ろうと言う魂胆が透けて見えていた。

「……我慢は難しいぞ、主殿」

 今のルイズは昔の、彼の両親と出会う前と似ていた。
 己に誇りを重ねて脆い鎧を作り、侮辱されれば烈火の如く怒りを滾らせる。
 他者の忠言でも耳に入れず、そんな事は無いと突っぱねる。

 堕ちる螺旋、誰かの手助けが無ければ堕ち続ける傾斜。
 九朔と紅朔、胎動する血肉と魔の断わり/理、己が己であるそれが壊れた時の悲しみ、虚脱、苦しみ。
 己が壊れる感覚、生涯最も二度も味わいたくない感情、それを味わってほしくは無い。

「届かぬかも知れぬ、だが届くかも知れぬ」

 抱擁する険悪、その現出に耐え切れるか。

「届いても、届かなくても支える心算? あれが生きている間、ずぅっとそばに居る心算?」

 その心配の最中窓の外から声、からかい外へと逃れていた紅朔が窓枠に座っていた。

「それが無い事位分かっておろう」
「私? それとも向こう?」
「どちらもだ」
「どうかしらね、向こうは分かっていないようよ?」

 紅朔が笑みを浮かべ、見つめる先はドア。
 そこに立つのはルイズ、表情は怒りか悲しみか、どちらとも付かない色を貼り付けていた。
 後を追ってこなかった我を引っ張りに戻ってきたのだろう。

「こんな能無しの小娘一人に関わらず、さっさと東へ向かえばいいじゃないの」
「なんですって!」
「ほら、もう忘れてる。 僅かばかりにさえ耐える事が出来ない貴女、それがどうして力を操れよう?」
「ッ……」

 紅朔の言葉に、やはりすぐ噛み付くルイズ。
 言われて気が付き、悔しそうに唇を噛んだ。

「貴女は力を持たない方が良いわ、持ってしまえばすぐにでもその身を滅ぼす。 それも周囲を巻き込んでね」

 断言するように言って、一瞬だけ険しい表情を作った紅朔は哂う。

「多分よ、多分だけどアカシック・レコードにも干渉を許される……。 いえ、許させている力がどれほどの物か理解していないでしょう? これは神域にさえ届く所業、もはや魔法と言えぬ神秘を貴女程度の人間が使いこなせると?」
「うるさい! あかなんとかよくわからない事言って、それが何だって言うのよ!」
「紅朔、もう止めておけ」
「物知らずの子供にやさぁーしく教えてあげてるだけじゃない、止める必要があるの?」

 やはり哂う。
682汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:54:24 ID:PqptShn+
「知りたいのでしょう? 虚無というものを、それがどれほど凄いのかを」
「あんたたちは別の世界の生き物なんでしょ! こっちに来てから三日も経ってないのに──」
「識っているわ、少なくとも貴女と同等にはね」
「なんで、どう言う事よ!」
「血は力、血は知識、血は命、体の隅々まで流れる生命の水は全てを識っている」

 故に、我らは『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』の全てを。
 喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、さらには記憶、言葉や行動の端々まで須らく識っている。

「な、ななな!?」
「貴女のあーんな事やこぉーんな事まで識ってるわよぉ」

 凄まじいほどにいやらしい笑みを浮かべる紅朔、それを見てルイズが顔を赤くし始めた。
 なにか恥ずかしい事を思い出しているのか、……真逆かあれとかか。

「紅朔! からかうのは止せ、いい加減に事を進めたい」
「あら、少し弄るだけでコロコロ変わるのが面白くて」
「くぬぅ! あんたね!」
「主殿も、このような挑発に一々……」
「アンタもし、ししし知って……」

 顔を赤くしたまま、ルイズは九朔を見た。

「……識っている」
「………」

 数秒、見つめ合った後にルイズは向きを変え、机へ歩を進める。
 歩き机の傍に寄り、引き出しからある物、鞭を取り出した。
 取り出してからも無言、また向きを変えて九朔へと歩み寄る。
 そうして。

「忘れろーーーー!!」

 と大きく杖を振りかぶり、九朔へと振り下ろす。
 当たれば痛い事間違いなし、それ所か皮膚が裂けたりしてもおかしくは無い。
 が、ルイズの身体能力で振るわれる鞭は、九朔からして見ればハエが止まるような遅さであり。
 その場から動かなかったり、自ら当たりに行かねば何度振ろうとも九朔に当たる事は無い。

「避けるな!」
「そんなものが当たればどうなるか分かっておろう!?」
「いいから忘れなさい! 避けるな! 当たれ!」

 当たっても怪我をするだけで記憶が無くなる訳が無い。
 だからこそ。

「!」
「駄目よね、本当に」

 ルイズが無闇矢鱈に振り回していた鞭が、足を止めた九朔の頬に当たった。
 破裂したような音とともに当たった衝撃でほんの僅かに九朔の髪が揺れ、その頬には赤い鞭の跡が付いていた。

「この事に付いては申し訳ないと思っている、必要の無い記憶は封じておくので寛大な容赦を」

 痛がる素振りを見せず、そうして膝を着いた。
 頭を垂れる、あるいは臣下の礼。
 トリステインの礼式とは違うそれでも、礼儀を象った物だと言うのがルイズには分かった。

「………」
683汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:55:18 ID:PqptShn+
 部屋に声は響かない、九朔は膝を着いて頭を垂れたまま。
 ルイズはそれを見下ろして立ったまま。
 紅朔は笑みを作ったまま、ただその光景を見つめている。

「………」

 ただ待っている、許そうと許すまいが九朔はルイズの声をただ待っている。

「……いいわ、許してあげる。 でも絶対に私の記憶は封じておく事、いいわね!」
「ご容赦、真に感恩の極み」
「あらあら、許しちゃうのねぇ。 許さなかったらそのまま出て行こうと思ったのだけど」

 助かっちゃったわねぇ、許してあげて。
 と肩を揺らしながらもクスクス哂う。
 その声を咎めず、九朔は立ち上がり口を開いた。

「それでは主殿に幾つか説明しておこう、先の『アカシック・レコード』に聞き覚えは無いであろう?」
「……無いけど」
「教える前に一つ、これは『おそらく』、『多分』と言った予想的な物に過ぎない。 言った事全てが事実ではないと覚えていてほしい」
「わかったわ、で。 あかしっくれこーどって何よ」
「ありとあらゆる出来事を記録している概念、と言った所か」
「ありとあらゆる?」
「ああ、どんな些細な事でも書き記された本だと思えば良い、普通は見る事も触れる事も出来ない物ではあるが」
「それで、その本がどうだってのよ」
「はぁ〜? 本当に頭がないわよねぇ。 貴女、ちゃんと脳みそ入ってるの?」
「ッ……!」
「『ありとあらゆる』よ? 過去も現在も未来も、全ての事が書き記されているのよ? 話の内容、お嬢ちゃんはしっかりと理解できるんですかぁ〜?」

 喉から出掛かった声を口元で押さえ、紅朔を睨むルイズ。
 紅朔は容赦無しに馬鹿にし始めていた。
 訓練になるために咎めず、先に進める。

「そう、『ありとあらゆる』だ」

 そうして左手の甲をルイズへと向ける九朔。

「このルーン、間違いなく特殊なものでもある。 通常の使い魔の印とは違い、限定的なアカシックレコードへのアクセス権限が込められている」
「……どう言った意味が?」
「とある項目、おそらくは『武器』についての閲覧権限であろう。 剣でも弓でも、武器と名付く物ならそれの最適な使用方法がこのルーンを付ける者に与えられる」
「知らない使い方も分かるって事?」
「うむ、これがただ身体能力の向上だけであったなら問題なかったのだがな」
「そうよねぇ、ただでさえ窮極とも言える知識の宝庫へのアクセス権利を、限定的にとは言え他人に付加させるんだから」

 やれやれ、と肩をすくめる紅朔。

「……何、そんなにすごいの?」

 その言葉に紅朔は大きくため息を、思い切りわざとらしく吐く。
 また一瞬で頭に怒りが上るが、相手にしていたら限が無いと気が付いたのか紅朔を見ないようにしたルイズ。

「何の力の無い者にでも、このルーンを刻み付ければ受動的にだが知識が与えられると言う事」
「それを刻み付けられる貴女は、区分の制限無しに閲覧できるかもしれない」
「全ての情報を収めた窮極の書、それこそ未来展望すら可能である」
「み、みらい……」
「そのような神々でしか触れ得ぬ物に、主殿は触れ得る可能性を持っていると心得た方が良いかと」
「神々……あ、どんな事でも載ってるのよね?」
「うむ」
「なら……」

 思いついた、そんな表情で顔を輝かせたルイズ。
684汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:56:24 ID:PqptShn+
「主殿がそこまで到れないかも知れぬので、過度の期待は寄せないほうが良いかと」
「……なら期待させるような言い方するんじゃないわよ!」
「それについても申し訳ない」

 おそらく主殿の姉、病気のカトレア殿の治療方法を知りたかったのだろう。

「まぁそれは良いわ、まずは魔法を使えるようにならないと……」
「確かに、全てはそれからであろう」
「お嬢ちゃんは能無しのままじゃ嫌だものねぇ〜」
「………」

 主殿は紅朔に視線さえ向けず、そっぽを向く。
 だがこめかみには青筋が立っている、口や視線に出さないだけでかなり怒っているようだ。

「何事も一歩から、まずは足場を固めるほうが先決であろう。 主殿には張り切り過ぎずこなして欲しい」

 主殿は焦りが積もっている、我らが召喚された事で多少は緩和されているが。
 今現在もその他の魔法は成功していない、このまま魔法が使える状態が続けばまた解消した分以上に溜まってしまうだろう。
 フラストレーションが長きに渡って続いている以上、精神に異常をきたす可能性もある。
 主殿が怒りやすいのもおそらくそれの諸症状の一つ、上手く怒りで発散させているようではないし、むしろ悪い方向に向かっている可能性が高い。
 だからこそ感情の制御、ただ魔法を使いやすくする為だけではなく、心身ともに効率良く過ごせるための物でもある。

「見てなさいよ、あんたが言う訓練なんてすぐにでも終わらせてやるんだから!」

 顔をそむけながら言うルイズを見て、軽く笑う。

「期待させていただくとしよう」
685汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:57:20 ID:PqptShn+
 夕餉、夕食の時間を過ぎても話し続ける。
 九朔にしてもルイズにしても、話す事聞いておく事に損は無いと判断したからだ。
 異世界の人、九朔が話す事はルイズにとって時空間的な外の話であり、普通ならばどうやっても聞けない話ばかり。
 耳を傾けるには十分すぎる話だった。
 そうやって話す中で一番の問題点は、やはり二人の左手にあるルーンだった。

「確証を得る為武器を握ってみなくてはならないな」
「そうね……、それじゃあ次の虚無の曜日に見に行きましょう」

 頷く、多種多様な武器でしっかり確認しておきたい。
 学院の衛士が持つ武器だけでは確証を得るには心許ない。

 学院の宝物庫にもあるらしいのだが、『確かめるので開けてください』と言っても通じは済ない。
 魔法が掛かった武器と言うのももちろんあるが、大体は『固定化』などによって物理的強度が高いものが精々だろう。
 刀身に炎を纏っているとか、振り下ろせば風の刃が走ると言ったような物はそれこそ伝説級。
 貴族の子弟が通う学院の宝物庫とはいえ、そのような物は収められては居ないだろう。

「それはそれとして、夕食はとうに過ぎてしまったが」
「あ」

 真剣に取り合ってくれたのだろうか、ただ簡単に流してくれるより好ましいのは確かか。





「厨房で何か作ってもらおう」

 ルイズは頷き、立ち上がり部屋を出て行く騎士殿。
 そうして部屋に残るのは二人。

「………」

 気まずい雰囲気、なのはピンクブロンドだけでこっちとしては何てこと無い。
 足を組み椅子に腰掛けたまま、ただピンクブロンドを見る。

「……何よ」
「なにも」

 そう一言、笑みを作ってただ見つめ続ける。
 このピンクブロンドは予想が現実になるほどの成長を見せるのだろうか。
 それともやはり予想は予想、現実に落ちこぼれとして生きていくのか。

「言いたい事があるならはっきり言いなさいよ!」
「あは」
「何よいきなり笑って!」

 ちょっと長めの休暇程度にしか思ってなかったけど、結構面白いことになりそう。

「黙ってないで何とか言いなさいよ!」

 どこまで至るか、しっかり見せてもらいましょう。

「人の話を聞けって言ってんのよ!」

 日が落ちて夜、ルイズの部屋でただ喚き声だけが聞こえてきていた。
686汝等、虚無の使い魔なり 代理:2009/10/31(土) 23:58:17 ID:PqptShn+
代理投下完了でございます。
まだOCNの方々は規制ですか。
はやく治られて投下ラッシュが来ることを願っております。
では、失礼いたしました。
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 03:11:19 ID:UB0II60a
乙です
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 09:11:07 ID:NVkd1k6r
乙ー
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 11:49:56 ID:+2VLYzRK
他の板も規制の嵐が吹き荒れてるみたい
せっかくの日曜なんだ、ウルトラの人がくる前に直ることを祈っております
デモンベインな方、代理な方お疲れ様でした
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 11:52:53 ID:ME4ve/2K
ここまで書き込みが少なくなるなんてな
休日なのに
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 14:24:43 ID:l5fW+Ii8
その割に案外避難所も静かだね
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 14:38:01 ID:vUGNHFp3
流れが作られないと、そりゃ止まったままじゃね。
693ウルトラ5番目の使い魔:2009/11/01(日) 15:45:35 ID:ZvI3J7Uj
>>689
期待していただけて、どうもありがとうこざいます。
 
皆さんこんにちは、規制が厳しいとのことですが、どうやらここは免れていたようなので、
11月はじめの投下を開始しようと思います。
問題なければ15:50より開始しようと思うのでよろしくお願いします。
694ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (1/14):2009/11/01(日) 15:51:21 ID:ZvI3J7Uj
 第72話
 ヤプールの罠! 赤い雨の死闘
 
 円盤生物 ブラックテリナ
 円盤生物 ノーバ
 高次元捕食体 ボガール
 頭脳星人 チブル星人 登場!
 
 
 ヤプールの尖兵として、無数のテリナQをばらまき、何万人もの人間を殺人鬼に
変えた恐るべき怪獣、円盤生物ブラックテリナ、こいつを倒さない限り、テリナQの
汚染はアルビオン全体にとめどもなく広がり、やがてはこの巨大な浮遊大陸全土が
意思を奪われたゾンビの群れに占領されてしまう。
 才人とルイズは、同じように取り付かれてしまったキュルケたちを救うためにも、
これまで散々やりたい放題をしてくれたヤプールに思い知らせてやるためにも、
怒りを込めて変身した。
(ヤプールめ、まさか円盤生物まで復活させているとは……だけど、正体が
わかったからにはつぶさせてもらうぜ!)
(よくもひどいめに合わせてくれたわね。この恨み、みんなの分も合わせて、
百万倍にして返してあげるわよ! そうでしょう?)
(ああ、ヤプールがなにを企もうと、すべて粉砕してみせる。いくぞ!)
 二人の意思を受けてウルトラマンAは、無感情に悪魔のプログラムを進める
漆黒の巨大貝に、ためらうことなく挑みかかっていった!
 
「ヘヤァッ!」
 エースは、草原から再び飛び立とうとしているブラックテリナを捕まえて、もう一度
地面に引き摺り下ろした。
「デヤッ! ダアッ!」
 そのまま、押し倒したブラックテリナへ向けてエースは枕を殴りつけるように、
パンチとチョップを叩き込んでいく。なにせ、ブラックテリナは全長こそ七八メートルと
かなりの長さを持つが、二枚貝に触手がついたような体形からもわかるとおりに、
全高はエースのひざくらいまでしかない。
 しかし、いくら小さいとはいってもブラックテリナも怪獣である。貝殻を閉じた
状態ではエースの攻撃も充分な効力を発揮できずに、逆に先端に鋭い爪が
生えた触手を振りかざしてエースを襲ってきた。
「デャッ!」
 ブラックテリナの触手に巻き込まれる前に、エースはバックステップで距離を
とると、浮遊して貝殻を開いて、体内にある目でこちらを睨みつけてくる
ブラックテリナに構えをとった。普通、二枚貝に目玉はなく、精々光を感覚的に
検知することしかできないが、こいつは普通の貝でいえば内臓に当たる
ところに人間のような眼球が二つついているという、他に類を見ないほど
おぞましい姿を持っているのだ。
695ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (2/14):2009/11/01(日) 15:53:38 ID:ZvI3J7Uj
 体当たりを仕掛けてくるブラックテリナを、エースはがっちりと捕まえると、
そのままさらに人のいない方向へと投げ飛ばした。
「デヤァァッ!」
 森林地帯へ、木々をへし折りながらブラックテリナは転げながら墜落する。
このまま草原で戦い続けていたら、ブラックテリナに操られた人々を巻き込んで
しまいかねないから、エースは足元を気にして満足に戦えないのだ。
 そのため、その心配さえ取り除いてしまえば容赦する必要はない。
「トオッ!」
 森の中から浮遊してくるブラックテリナへ、エースは走る。
 しかし、ブラックテリナも貝殻を開くと、体内から火花を噴き出して森に
引火させ、山火事を起こしてエースを近寄らせまいとしてきた。
(エース、消火しよう)
(ああ)
 接近を阻む炎の壁に向かって、エースは両手を突き合わせて向けると、
その先から消火剤を強烈な勢いで噴射した。
『消火フォッグ!』
 消防車の何百倍という水量の放出に、山火事もみるみるうちに消えていく。
(ようし、今だ!)
 むき出しとなったブラックテリナへ向けて、再度エースの攻撃が始まる。
炎が消えても、なおも触手を振り回して接近させまいとするブラックテリナへ
向けて、突き出したエースの両手の先からひし形の光弾が発射された。
『ダイヤ光線!』
 五連続で発射されて光弾は、爆発を起こしてブラックテリナの表面を焼き、
何本かの触手がちぎれとんだ!
「ヘヤァッ」
 チャンスは逃さず。残った触手の攻撃をかいくぐり、ブラックテリナの本体を狙う。
しかし貝殻を閉じた状態ではこちらの攻撃も効かないために、エースは
奴が殻を閉じて本体を防御する前に、その間に手を差し入れてこじ開けようとする。
「ヌォォッ!!」
 渾身の力で、閉じようとあがくブラックテリナの力をねじ伏せて、
殻の中に隠された本体が徐々に白日にさらされていった。
(ようし、そのまま本体をやっつけてしまえ!)
 ブラックテリナは貝の形をした怪獣であるために、貝殻の中身は内臓が
むき出しであり、内部の防御力は皆無に等しい。実際、レオと戦った
ブラックテリナも、空中攻撃で善戦したものの、貝殻を無理矢理こじ開けられた
あとで内臓をつぶされて倒されている。
 だが、ブラックテリナには、生物兵器として改造されて感情はなくても、
生命の危機に瀕して自らを守ろうとする生物としての本能は残っている。
こじ開けられそうになる寸前、触手でエースの気を一瞬引いた隙に、
その巨大な貝殻を閉じてエースの左腕を挟み込んでしまったのだ!
696ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (3/14):2009/11/01(日) 15:54:48 ID:ZvI3J7Uj
「グォォッ!」
 まるで巨大な万力に締め上げられたかのように、エースの左の
腕に激痛が走る。その光景には、安全のために通常は感覚を
切ってあるはずの才人とルイズでさえ、精神の顔を引きつらせて
しまったほどだ。
(やばい、早く引き抜いてくれ!)
(だめだ、食い込んでいて抜けない!)
 エースは全力で引っ張るが、ブラックテリナの貝殻は深く食い込んでいて
抜ける気配がない。しかも、右手だけではこじ開けるのに力が足りない。
このままでは、骨をへし折られるか、悪くすれば腕を挟み切られてしまう。
 才人は、なんとかしてブラックテリナの弱点はないものかと考えるが、
そうすぐには思いつかない。しかし、ここでルイズはブラックテリナの形を
間近で見て、ふとあることを思い出した。
 それはしばらく前のこと、学院で才人に得意げに料理を食べさせる
シエスタを見て不愉快になり、衝動的に厨房に駆け込んだとき、ちょうど
そこでは貝料理を作っていた。もちろん、知能指数と頭のよさは関係ない
というふうに、考えなしにルイズは「わたしに料理を教えなさい!」と、
コックに詰め寄っていったのだが。
「えー、ではこのオオホタテ貝ですが、こういうふうに殻をがっちり
閉じていますので、そこで隙間から包丁を差し込んで貝柱を切れば……」
「もういいわ……」
 そこで、生の食材を調理する現場の生々しさに負けてしまったルイズは
速攻でギブアップしたのだが、後になって思い起こすと情けないこと
この上なかったので、迷惑かけたおわびとしてシエスタに菓子折りを
届けてもらったのだが、嫌な記憶というのは強く印象に残るものである。
ただし、嫌な記憶=無駄な記憶という方程式は成り立たない。
(そうだ、貝柱よ! 貝柱を切れば貝は閉じられなくなるわ!)
 そうか! と、エースの脳裏に希望の光がきらめいた。ブラックテリナとて
貝には違いない。その急所は!
「デヤァ!」
 ブラックテリナの尾部、上下の貝殻が接着している箇所に狙いを
つけると、エースは右手にエネルギーを集中させて、白く輝く丸い
カッターを作り上げた。
『ウルトラスラッシュ!』
 エースは、ウルトラマンの八つ裂き光輪と同じ形の円形ノコギリを
整形すると、通常は投げつけるそれを手持ちの刃物のように、
直接ブラックテリナの尾部に向かって振り下ろした!
「ヘヤァ!」
 光のカッターと、硬い貝殻がぶつかりあって火花を上げる。
 だが、カッターの刃の先端は、確かに殻のつなぎ目の隙間を抜けて、
その奥にある貝柱に致命的な傷を刻み付けていた。
(開いた!)
 その瞬間、これまで強烈な力で閉じようとしていたブラックテリナの
貝殻が、まるでゴムの伸びたカスタネットのようにだらしなく口を
大開きにした。当然、今がチャンスだと、エースはすぐさま左手を引き抜いて、
もはや決して殻を閉じることはかなわずにもだえるブラックテリナを持ち上げて、
力いっぱい空高く投げ上げた。
「トォォッ!」
 バランスをとることができずに、ブラックテリナは回転しながら
どんどん高く飛んでいく。
(とどめだ!)
697ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (4/14):2009/11/01(日) 15:56:42 ID:ZvI3J7Uj
 これまでだ。エースは飛び上がっていくブラックテリナを見据え、
もう地上の人々に影響を及ぼさないだけの高度に上がったと
確信すると、上空めがけて両腕をL字に組んだ!
 
『メタリウム光線!!』
 
 輝く光が立ち上り、吸い込まれるようにブラックテリナへと直撃した。
 その、圧倒的な光の力の前には、身を守るもののなくなったブラックテリナの
本体は到底耐えられない。閃光とともに、体内に収納していた数万のテリナQを
燃え盛る火花にして振りまきながら、黒い殺し屋は火炎に包まれて、木っ端微塵に
爆裂して消え去った!
 
(やった!)
(よっしゃあ!)
 燃え尽きたブラックテリナの最期に、ルイズと才人は同時に喝采をあげた。
 エースは、まだしびれる左腕を押さえて、じっとブラックテリナの燃え滓の
煙を見つめている。
(さすが、かつてはレオを苦しめただけはある。意外にてこずってしまった)
 円盤生物と戦うのはこれが初めてだが、超獣とはまた別種の怪獣兵器の
威力には、エースも穏やかならぬものを感じていた。
 けれど、これで少なくともキュルケたちや、平民たちを操っていた本体が
死んだために、テリナQも効力を失い、洗脳も解けたはずだ。見下ろすと、
平民たちが怪訝な顔で、きょろきょろとしながら立ち尽くし、彼らにとっては
突然現れたはずのエースの姿に驚いている。
 また、時を同じくして、アルビオン中にまかれたテリナQも同時に機能を
停止し、取り付かれて刃物を振り上げたり、馬車を暴走させていた人々も
すんでのところで正気を取り戻していた。むろん、アイが持ってかえって
ティファニアに預けられたものも同様で、彼女は子供たちが昼寝をしている
寝室に、なぜか包丁を持って立っている自分の姿にきょとんとしていたが、
あと一分遅かったら……まさに間一髪だったことを、知るよしもなかった。
 シルフィードの姿は見えないが、彼女たちのことだからまず無事だろう。
 あとは、兵士たちにかかったほうの洗脳だが、それはエースよりも
才人たちで動くほうがやりやすい。
 これで、やるべきことはすんだと思ったエースは、空を見上げて
飛び立とうとした。
 
 そのとき!
 
「ヌワァッ!」
 突然、飛び立とうとしたエースの背後から、鞭のようなものが伸びてきて
エースの首に絡み付いてきたのだ。
(こ、こいつは!?)
 鞭を掴み、振り向いた先に現れていたものを見てエースは愕然とした。
例えるのならば、巨大な赤い照る照る坊主、球形の頭にうつろな
穴で口と目を描き、垂れ下がった布のような体の左手側から鎌の
ような武器を覗かせ、右手側から伸びてくる長大な鞭のような触手が
エースの首へと絡み付いている。
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 15:57:40 ID:IBfINYlF
チブルって沖縄の方言で「頭」って意味だったっけ支援
699ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (5/14):2009/11/01(日) 15:58:00 ID:ZvI3J7Uj
 その、数百数千ある怪獣の中でも、他の追随を許さないシンプルかつ
不気味なシルエットは、才人にブラックテリナ以上の衝撃をもたらした。
(円盤生物ノーバ! そんな、二匹目の円盤生物だってのか!?)
 間髪いれずに襲い掛かってきた円盤生物の連続攻撃、そうだ、ウェールズを
操っていた張本人であるノーバも、この戦場に潜んでいたことを彼らは
知らなかったのだ。
 そして、エースを掴んだままノーバは眼下の平民たちを見下ろすと、
その涙滴型の空洞状になった口から、真っ赤なガスを噴き出して、霧のように
彼らを包み込み、たった今ブラックテリナの洗脳が解けたばかりの人々を
まとめて凶暴化ガスの餌食にしてしまった。
(ま、まさか……ブラックテリナは、最初から囮だったのか?)
 あっという間に状況を元に戻されてしまったことに、エースも才人も
そうとしか思えなかった。考えてみれば、ノーバはメビウスと戦った個体も
自分の偽者のマケットノーバでメビウスのエネルギーを消耗させ、
そこを狙うというずるがしこい戦法を使っている。もちろん、ノーバの
能力ではブラックテリナとは違って、人間を凶暴化させられても
操ることはできないので、ブラックテリナがやられた場合の保険
という意味合いもあったのだろうが、暴徒をアルビオン中に溢れ
かえらせようというヤプールの作戦からすれば、どちらでも問題は
ないので、テリナQで派手に人間を操ってウルトラマンAの気を引き、
全力を出しつかせたところを狙っていたのだろう。
 そんな、正々堂々とはほど遠い戦い方しかしないヤプールの
やり口に、誇り高いルイズは怒りが爆発する。
(本当に、どこまでも卑劣で姑息な奴らねえ!)
 その怒りはエースにも伝わり、エースは腕に力を込めて、ノーバの
鞭を振りほどき、猛毒ガスで周囲を赤く染めていくノーバに構えをとった。
 だが、エネルギーの減少だけはいかんともしがたく、エースの
カラータイマーは無情にも点滅を始める。対して元気一杯のノーバは
鞭と鎌を振り上げて、その無機質な外見には不似合いな凶暴な
叫び声を上げてエースに向かってくる。
「シュワッ!」
 鞭攻撃をかわして、ひらひらとした胴体にキックを打ち込むが、なんとも
手ごたえらしきものが感じられない。また、鎌での攻撃を右腕で受け止めて、
頭部へとパンチを打ち込んでも、のけぞりはするがまったく表情が変わらないので、
才人にしてもルイズにしても、まるでロボットかガーゴイルを相手にしているようで、
とても生き物を相手に戦っているとは思えない気味の悪さを感じ続けていた。
(こんな奴らと、レオは戦い抜いたのか)
 かつてMACステーションを奇襲して、おおとりゲン以外のステーションにいた
全隊員を殺し、次々に人間社会に潜入して、人々を騙し、利用し、地球侵略を
狙い続けた円盤生物群の恐ろしさを、エースは肌で感じ取っていた。
700ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (6/14):2009/11/01(日) 15:58:56 ID:ZvI3J7Uj
 しかし、だからこそこんな奴らにこの世界を好きにさせるわけにはいかない。
エースは残り少ないエネルギーを両手に集中させて、ノーバに叩きつけた!
 
『フラッシュハンド!』
 
 高エネルギーの電撃によるパンチやチョップには、さしものノーバの
手ごたえのない体にも焦げ目をつけて、引き裂くような悲鳴と共にダメージを
与えられていく。
 けれども、ノーバが空に向かって叫び声をあげると、それまで夏空を
見せていた空が見る見るうちに暑い雲に覆われ、ぽつりぽつりと雨が
降り始めた。
(これは、赤い雨……)
 血のように真っ赤な色をした雨が、たちまちのうちに豪雨となって、
世界を赤一色に染めていく。
 そう、ノーバは照る照る坊主を模した姿をしているが、赤い雨を呼ぶ
能力はあっても晴れることは決してない。真紅に包まれた世界の中で、
エースと赤の世界の支配者との第二ラウンドが始まった。
 
 しかし、赤い雨はノーバに元気を取り戻させはしたが、同時に奴自身にも
思いもよらぬ副次効果を呼んでいた。群集から離れた場所に不時着した
おかげで、猛毒ガスの影響範囲から逃れられ、今まで気を失っていた
シルフィードに乗ったキュルケやアニエスたちが、冷たい雨に体を打たれる
感覚で、目を覚ましていたのである。
 彼女たちは、視界を覆い尽くす赤一色の世界に驚いたものの、雨音を
上回る轟音をあげて戦うエースの姿を認めると、すぐさまシルフィードを
飛び上がらせて周囲の状況を確認し、自分たちがどうするべきかを考えた。
「エースを援護しましょう。あたしたちの実力なら可能だわ」
 最初に、もっとも簡単な意見を述べたのはキュルケだった。確かに、
メイジ三人が風竜に乗って戦う威力は大きく、以前にムザン星人を
倒した経験からも、彼女の自信は当然のものといえたが、それは
即座にタバサが否定した。
「無理、この豪雨の中では、炎は無力化されるし、土も風も威力は
半減する。むしろウルトラマンの邪魔になりかねない」
「あ、そっか……じゃあ、わたしたちにできることはないの?」
 頭の回転は速いが、基本的に単純にものごとを考えたがる
キュルケは行動に行き詰ったが、そこは戦闘指揮官として確かな
戦術眼を持つアニエスとミシェルが、すでに情報を分析していた。
701ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (7/14):2009/11/01(日) 15:59:48 ID:ZvI3J7Uj
「ミス・タバサ、この竜を王党派軍の先頭へもっていってくれ。
そこにウェールズと、この状況の半分を作り出したやつがいるはずだ」
 アニエスは、最初に王党派軍を操っているものが、ウェールズの
そばにいる参謀長であるであろうことを忘れてはいなかった。彼女は、
傷の治りきっていないミシェルに直接雨が当たらないように、自分の上着を
着せてやり、ミシェルも副長としての役割を考えて、アニエスの考えを補強した。
「幸い、竜などの幻獣は飛んでいませんし、この雨では対空攻撃の
精度も落ちるでしょう。むしろ、この雨は好機です。敵が念入りに準備を整えて
作戦を起こす奴ならば、恐らく自分の計画が成功するか見届けようとするでしょう。
そこを逃げられる前に勝負をかけましょう!」
 むろん、ほかの誰にも依存はなかった。そうと決まれば、タバサは
シルフィードをエースとノーバの戦いを避けて飛ばし、殺意を撒き散らして
広がりつつある群集と軍隊の上へと向かった。
「そういえば、ミス・ルイズとサイトくんは大丈夫かしら……」
 ロングビルが、目を覚ましたときになぜかいなかった二人を気遣ってつぶやいた。
目覚めたあとで、まずはシルフィードで飛び上がって探したが、周りには
二人の姿はなく、あの二人のことだから無事だとは思っていたが、
やはり自分の生徒のことは気になるようだ。もちろん、その気持ちは
この中の誰もが共通のはずだが、一番才人の身を案じているはずの
ミシェルは力強く自らの思いを吐き出した。
「あいつは無事さ、きっとどこかでしぶとく生き延びていて頑張って、
あとでひょっこり顔を出してくるに違いないよ」
 片目をパチリと閉じて、微笑む彼女の表情には、いつのまにか才人が
ウルトラマンを信じるのと同じ輝きが宿っていた。
 
 そのころ、本物のヒーローのようにミシェルの信頼を一身に受けているとは
知るよしもないが、才人はなおもウルトラマンAと共に戦っていた。
(光線が来るぞ!)
 ノーバの目が光ったと思った瞬間、才人は叫んだ。ノーバの武器は
猛毒ガスだけではない、その両眼から太いレーザー光線が発射されて、
寸前で回避したエースのいた先で、木々を十数本吹き飛ばす爆発を起こす。
「トォォッ!」
 反撃のキックがノーバの頭を打ち、巨大なメトロノームのようにノーバの
体が大きく揺れ動く。こちらのエネルギーもとぼしいが、ここで負けるわけには
いかないという才人たちの思いが、エースを支えていた。
 
 そして、エースとノーバの戦いが激化しているのを横目で見ながら、
シルフィードは雨にまぎれて、ついに王党派陣営の本陣であったウェールズの
元へとたどり着いていた。
「王党派のVIPも当然のごとく全滅ね……ウェールズ皇太子は?」
702ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (8/14):2009/11/01(日) 16:00:35 ID:ZvI3J7Uj
 シルフィードの下には、王軍の中核であったはずの将軍や騎士がやはり
ゾンビのような無残な姿で徘徊している。昨日まで輝かしい栄光を見つめていた
彼らには悪夢だろうけれども、虚栄に釣られて集まった彼らの悪夢が
大勢の人々の悪夢に拡大する前に、事態を収拾しなくてはならない。
このゾンビの群れの中に、たった一人、したり顔で笑っているやつが
いるはずだ、そいつを見つけ出さなくては。
「いたぞ、あれだ!」
 最初に赤一色の風景の中から、唯一この惨状で平然と立っている人影を
見つけたのは、もっとも視力のよいアニエスだった。兵士たちを見下ろす
壇上に悠然と居座って、薄ら笑いながら、死兵となった大軍を眺めている
老人が、犯人でなくてなんだというのか。
 さらにミシェルも確認して、壇上の老人のそばに、一人の豪奢な服を着た
青年が倒れているのがウェールズ皇太子その人だと断言した。レコン・キスタに
対する復讐心を、ノーバによって利用されるだけ利用されて、最後に全軍の
闘争心をかきたてるのに使われると、利用価値がなくなったとたんに
ぼろ雑巾のように見捨てられ、ノーバが抜けて抜け殻のようになった
その姿は、もはや凛々しかったかつての面影はどこにもなく、心の闇に
とらわれ続けた者の哀れな末路のみをさらしていた。
「一国を統治する者として、情けない限りだな」
 アニエスの酷評に反論する者はいない。彼の事情はどうであれ、彼自身の
心の隙が敵に付け入る暇を与え、このアルビオンを壊滅に追いやったのは
事実だからだ。
 それに、ロングビルにとっては彼はかつて自分の一族を離散させた男の
息子に当たる。もちろん、親の恨みをその子に向けることは、彼らが自分たちに
したことと同じということはわかっているが、その心中が穏やかなろうはずもなかった。
「皮肉なものですわね。私は王家の権勢を守るためにあなた方に追放されたけれど、
そのおかげで、こうして今はあなたの醜態を見下ろすことができます」
 人生、なにがどう転ぶかわからない。ティファニアの件がなければ、
ロングビルもこの操り人形の一人にされていたかもしれないのだ。
かといって感謝する気は毛頭ないが、彼女もまたヤプールの道化に
されていた過去を思うと、ウェールズを他人事だとは思えなかった。
 彼女は、もし私やテファの父がまだ健在ならば、強い権限を持ち、有能で
忠実な太守であった彼らはクロムウェルなどにつけこまれる隙を与えずに、
もしかしたらこの反乱は未発に終わったかもと、そんな想像さえ浮かべていた。
「結局は、自分の手足を切り離して立っていられなくなった国の最後なんて、
ヤプールにつぶされなくてもこんなものなのかしらね」
 有能な臣下や、忠臣の咎を攻め立てて追放し、ひたすら王家に媚を
売るものばかりが残れば、国は当然のように弱体化していく。もちろん、
それはウェールズの責任ではなく、先王ジェームズ一世の厳格な
法統治ゆえなのだが、その人間より法を重んじる厳格すぎる姿勢が、
かえって自らの足をすくったことになる。法は人を守るべきものであり、
支配するものではないはずなのに。
703ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (9/14):2009/11/01(日) 16:02:56 ID:ZvI3J7Uj
 だが、それでもアニエスはアンリエッタ王女から賜った、ウェールズ皇太子を
救出するという任務を忘れてはいなかった。
「不本意であるが、王女殿下の命令だから助けてやる。それに貴様は、
こんな事態を招いた責任をとってもらわねばならんからな」
 倒れているウェールズは、洗脳が解けただけであるから恐らく生きている。
ロングビルは多少しぶい顔をしたが、この内乱が終わったあとに国を迅速に
立て直すには、ウェールズが中核として必要であるとわかるので自分を納得させた。
 それに、ウェールズもこの内戦が始まる前までは、本当に人望高い立派な
王子だったという。ただ軍事的、政治的才幹が乏しく、反乱を抑えられなかったのは
彼にも責任の一端がないとはいいきれないが、それも彼自身はまだ二十にも
届かない若年で、精神的に成熟しきっておらず、またアンリエッタ王女のように
アニエスやマザリーニのような信頼できる副官もおらず、裏切りが続く中で
猜疑心の虜になっていったのは、人間として仕方があるまい。
 目が覚めたら、ウェールズにとってはつらい現実が待っているであろうが、
そのときはトリステインのアンリエッタ王女が支援を惜しまずに、彼さえ
その気になればトリステイン、アルビオンの両国に深い友愛が結ばれることも
充分にありえる。
 それに、本当に許せないのは、そんな孤独なウェールズの心を道具のように
もてあそび、数え切れないほどの不幸を撒き散らそうとしているものたちのほうだ。
 彼女たちは、あれをやると目配せしあうと、赤い雨にまぎれて一気に上昇し、
死角から一気に老人めがけて急降下した!
『ジャベリン!』
 空気中の水分、すなわち赤い雨を凝結させた真紅の氷の槍がタバサの
杖の先で瞬時に形成され、彼女はそれを真下の老人へ向かって勢いよく振り下ろした。
「やったか?」
 ジャベリンが、老人の胴体に突き刺さり、枯れ木のような小柄な体がよろめき、
攻撃をおこなったこちら側を凝視してくる。それで、彼女たちは今度こそ一〇〇%の
確信を得た。胴体をぶち抜かれて、生きていられる人間などいるわけがない。
 彼女たちはシルフィードから飛び降りてウェールズを回収し、さらに油断なく杖の先を
老人に向ける。
「おのれ、まだ生き残りがいたのか、小ざかしい虫けらどもが……」
 参謀長だった老人は、胴体に氷の槍をつきたてたまま、憎憎しげにつぶやいた。
そこには、自らの立てた計画に従わなかった異分子に対する憎しみが満ちていたが、
そんなものに彼女たちはかまわず、キュルケが一笑のあとによく通る声で勝利宣言をした。
「人間をなめるから、そういうことになるんですわ。さっさと正体を現しちゃいなさい。
せめて楽にあの世に行かせてあげるわよ」
 すると、老人はキュルケの挑発に激昂したかのように醜く顔を歪ませると、
その頭が見る見るうちに膨らんで、直径一メイルほどの大きな球体の下に目と口が
ついた頭部に変形し、ついでジャベリンを打ち込まれた胴体は逆に見る見る縮小し、
クモの足のような触手がだらりと下がった。風船のような異様な姿の星人へと
変形したのだ。
704ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (10/14):2009/11/01(日) 16:04:47 ID:ZvI3J7Uj
 アニエスが、キュルケがつばを飲んでその異形を睨みつける。
「それが、貴様の正体か」
「胴体は見せかけだったのね、どうりでジャベリンも効かないわけだわ」
 頭脳星人チブル星人……それが、参謀長の正体。
 こいつこそ、かつてウルトラ警備隊の時代にアンドロイド0指令という、子供を
洗脳して兵隊にする計画を立てた張本人であり、その準備の周到さと
人間の思考の盲点を突く悪賢さをヤプールに見込まれて、奴に雇われた
宇宙人の一人であった。
「油断しないで……」
 タバサが注意を喚起すると、皆がそれに従った。これまでの経験から、
宇宙人はそれぞれ特殊能力を持っていることが多く、うかつに手を出せば
どうなるかわからないからだ。
 対して、チブル星人は奇怪な鳴き声を発しながらも、変身してからは一言も
人間の言葉を発しなかったが、奴の鳴き声に合わせるように周りの
人間たちがゆっくりと振り返ってその武器を、彼女たちに向けてきた。
「兵隊たちが!」
 剣や槍、杖がゆっくりと彼女たちの方向を向いてくる。こいつは、その巨大に
発達した脳を利用して、脳波指令によって一気にその受信機を身につけた
大量の人間を操ることができる。
 だいぶん散らばっているとはいえ、王軍の本陣であるから精鋭ぞろいで
まだ三十人は残っている。これだけの兵隊から一斉攻撃を受けたら
いくら彼女たちでもひとたまりもない。
 しかし、アニエスは事態を改善する最短で最良の方法を選んだ。
自らの剣を不気味に浮遊し続けるチブル星人へ向かって投げつけたのだ!
「ちょ、アニエス!?」
 キュルケが叫んだときには、すでにアニエスの剣はチブル星人を深々と貫き、
その後頭部にまで貫通、致命傷を与えていた。
「え……」
 アニエス以外の全員が呆然とする中で、チブル星人は壇上の床に落ちて、
少しのあいだ足を痙攣させていたが、やがてまぶたを閉じると、そのまま
氷が溶けるように雨の中に消えていってしまった。
「よ、弱い……」
 あんまりにもあっけなさ過ぎる星人の最期に、一同はそろってあっけに
とられてしまった。いちかばちかで人間たちを操っている星人を狙おうとした
アニエスも、予想を上回りすぎる戦果に喜ぶ気も失せてしまったほどだ。
 だが、チブル星人は頭脳と引き換えに体を退化させてしまった宇宙人なので、
その脆弱さは人間以上で、過去もウルトラセブンのエメリウム光線一発で
簡単に倒されてしまっている。自らの代わりに戦わせるアンドロイドや、
人間の洗脳計画を立てるのはその裏返しともいえた。
 どっちみち、星人の見た目の不気味さに警戒して、手を出せずにいた
キュルケやタバサは騙されたようで不愉快だったが、星人が死んだ
おかげで、武器を上げかけていた兵隊たちも、糸の切れたマリオネットの
ように次々と泥の上に倒れていった。
705ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (11/14):2009/11/01(日) 16:06:04 ID:ZvI3J7Uj
「なんか釈然としないけど、洗脳は解けたみたいね。王子様のほうはどう?」
 キュルケに問われて、彼を介抱していたロングビルは、洗脳の後遺症で
昏睡状態に陥っているけれど、生命には別状なさそうだと答えた。あとは
ほかの人間も正気を取り戻したあとで、本職の医者に見せるしかあるまい。
 ただしウェールズを連れて行くわけにも、かといって見ず知らずの自分たちが
ここに残るわけにもいかないので、彼を司令部用と思われた近くの大き目の
テントに運んで、そこの簡易ベッドの上に寝かせた。
「わたしたちにできることはここまでね。とりあえずこれでヤプールの計画は
頓挫させられたのかしら」
「いや……まだあの赤い怪獣がいる。あれを倒さない限り、ヤプールは何度でも
計画を立て直せる」
 タバサがいまだに降りしきる赤い雨のかすむ先で、なおも戦い続けている
ウルトラマンAとノーバの戦いを仰ぎ見ると、キュルケはふっとため息をついて、
それから気持ちを切り替えるように、濡れた髪をかきあげた。
「そうか……三段構えの作戦とは、その執念には恐れ入るわね。でも大丈夫よ、
エースが負けるわけないじゃない」
 陽気にウィンクしてみせ、一行はそうだなと互いと自分に確認しあった。
 ウルトラマンAとノーバの戦いは、まさに佳境を迎えていた。
 エネルギーがブラックテリナ戦で消耗していたとはいえ、エースは
ノーバと互角以上に渡りあい、追い詰めていっている。これならば、
もうエースの勝利は揺るぎないだろう。そう思い、彼女たちはこの戦いの
最後を見届けるべく再び飛び立とうとしたが、その直前で笑顔を引きつらせた。
 なぜなら、ノーバに今まさにとどめを刺さんとするエースの背後に、
どす黒い次元の裂け目が出現したからだ。
「あれは……エース、危ない!」
 キュルケとロングビルが絶叫し、その声がエースに届くのと、エースの
背中に青黒いエネルギー弾が炸裂したのはほぼ同時だった。
 
「グワァァッ!」
 無防備な方向からの奇襲を受けて、エースは吹き飛ばされて地面に
うつぶせに倒れこんだ。
(あ、あれは……まさか)
 次元の裂け目からその姿を現し、エースに不意打ちをかけたその怪獣を、
才人はよく知っていた。かつて、健談宇宙人ファントン星人が地球に落とした
非常食料『シーピン929』が圧縮を破って巨大化し始めた事件で、GUYSは
シーピンを宇宙空間まで移送する作戦を立て、才人はその光景を生中継で
見ていたが、作戦開始寸前にそいつは突如現れた。
(高次元捕食体、ボガール……)
(馬鹿な、円盤生物に続いて、ボガールまでも復活させたというのか!)
 エースすら、目の前の光景を信じられなかった。ボガールのことはエースも
知っているが、宇宙の星々の生命を食い荒らし、果てしなく強大化を続け、
なおかつ宇宙警備隊の追撃もかわし続けた、あのボガール一族の中でも
特に進化したこいつを蘇らせられるとは、この短いあいだにヤプールの
力は想像を超えて巨大化していたのか。
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 16:07:24 ID:IBfINYlF
チブル星人のあまりの弱さに泣いた
707ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (12/14):2009/11/01(日) 16:07:39 ID:ZvI3J7Uj
 そのとき、赤い雨の中にとどろくように、異次元のかなたからヤプールの
忘れようもない声が響いてきた。
 
「ふぁーはっはっは! 罠にかかったな、ウルトラマンA」
「ヤプール!」
「先日のノースサタンに続いて、ブラックテリナに、さらにノーバをも連戦して
倒しかけるとはさすがだな、だがここまでは敵ながらあっぱれとほめてやるが、
まだエネルギーは残っているか?」
 やはりそれが狙いだったのかと、エースや才人たちは内心で歯噛みをしたが、
それよりも、これほどの怪獣軍団をヤプールが作り上げていたことが脅威である。
「ヤプール、貴様どうやって円盤生物やボガールまでも蘇らせたのだ?」
「ふははは! 以前お前たち兄弟の末っ子と戦ったロベルガーやノーバは、皇帝の
命を受けて俺が再生に協力したのだ、ボガールは、怪獣墓場に漂っていたのを
復活させるのには骨を折ったが、以前貴様に言っただろう。この世界に
満ちるマイナスエネルギーの規模は地球をしのいでいる。我らの捨て駒
として充分役に立ってくれたこの国の王子一人にしても、復讐心、猜疑心、
破壊衝動、わしがあれこれ手を加えるまでもなく、闇のとりこになっていた。
おかげで、軍団の再編も滞りなく進んでいるわ!」
 ヤプールの一人称がコロコロ変わるのは、奴が多数の意識の集合体で
あるからだろうが、ホタルンガ戦のときにヤプールが言っていたことが、
ここまでだったということがエースを愕然とさせた。
 人間の汚れた心、マイナスエネルギーの発生にとって、ハルケギニアの
中でも特に内乱中のアルビオンが有力だったのは今さら驚くことでもないが、
超獣だけならまだしも、系統のまったく違う円盤生物やボガールまでも
これほどの数を操っているとは。
「貴様が、この国の争いを画策したのか?」
「ふん、我らは人間同士の小ざかしい争いになどは興味はない。それどころか
感謝してもらいたいものだ。中々こっけいな見世物ゆえに、少々長引くように
してやったが、我らが手を加えなければ、あやつらは当にどちらかが皆殺しに
なるまで戦い続けて、貴様の嫌がる大量の死者が出ていただろうからな」
 盗人猛々しいとはよく言ったものだ。それでも、アルビオンの人々が自ら
生み出した、貴族にとっては権力欲、支配欲、平民にとっては戦争に便乗した
金欲、物欲また双方に共通する復讐心、持てる者、身分が上の者への妬み、
嫉み、それらの邪念が、怪獣という形に変わって自分たちに襲い掛かって
きているのは間違いなかった。
「ウルトラマンAよ、もう一度聞くが、こんな醜く歪みきった世界を、守る価値
などがあるのか?」
「ヤプールよ、その問いに対する私の答えは常にイエスだ。人間には
醜い心も確かにある。しかし、美しい心を持った人間も決して絶えはしない。
この世界にそうした人が一人でも残っている限り、私は戦う」
 正義と悪、光と闇、守るものと壊すもの、そして未来を信じるものと
奪おうとするものは、けっして相容れることはなかった。
708ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (13/14):2009/11/01(日) 16:09:30 ID:ZvI3J7Uj
「ふふふ、まあ貴様ならそう言うだろうと思ったが、まだまだ我らの計画は
序の口だ! 無数の怨念を滞在させているのはこの国だけではない。
貴様一人がいくら奮闘しようと、この世界の滅亡は止められぬ! 
ウルトラマンA、貴様が守ろうとした人間の心が蘇らせた悪魔によって
死ぬがいい、ゆけボガール、エースを食い殺せ!」
 ヤプールの声が終わるよりも早く、ボガールは自分に命令するな
とばかりにヤプールの声の響いてきた空間の歪みに、腕から発射した
波動弾を撃ち込んで消滅させると、エースに襲い掛かってきた。
「ヘヤッ!」
 突撃してくるボガールを正面から受け止めて、力負けすることなく
エースは食い止めた。もうカラータイマーの点滅は相当に早くなって
いるが、まだまだ不完全なボガールにやられはしない。
 けれど、正面のボガールを受け止めた隙に、エースの背後から
ノーバが鎌状の左腕を振り下ろしてきた!
「ヌワァッ!」
 火花が散って、エースの巨体が崩れ落ち、倒れこんだエースを
ボガールが蹴り上げる。
(くそっ、挟み撃ちかよ)
(もう……ほとんど力が残ってないっていうのに)
 勝ち誇るボガールを見上げて、才人とルイズは苦しげな声を漏らした。
通常はエースは二人の安全のためにと、肉体のリンクを切ってあるが、
ダメージの蓄積量が一定を超えると二人にもダメージが行ってしまう
こともある。以前のザラガス戦で、エースの受けた目潰しが二人にも
反映されてしまったことがその顕著な例で、今はまだ疲労感が
襲ってくる程度だが、このままでは二人とも衰弱が進んでしまう。
 なのに、残りわずかな生命力を振り絞って、エースは立った。
(だが、やるしかない! ここで負けたら、何十万という人間同士が
殺しあう惨劇が生じてしまう)
 それを避けるためにも、エースは引くわけにはいかなかった。むしろ、
そうしてエースの退路を絶つことも、ヤプールの策謀が悪辣極まりない
ことを示すよい証左であっただろう。
 ただ、そのために同化している才人とルイズまで生命の危険に
晒すことはエースの本意ではなかったが、ここで引いて世界が
地獄と化することは、二人にも承知できることではなかった。
(おれなら大丈夫だ、だから気にしないで戦ってくれ)
(このくらいで、へたる……わけないでしょう。余計なことを、気にせずに……
さっさと終わらせちゃって)
 二人とも、フルマラソンの後のような疲労感に襲われているはずだが、
文句の一つも言わずに、わずかな自分の生命エネルギーさえ
分け与えてくれた。
 その思いを無駄にしないためにも、エースは二体の凶悪怪獣へ向けて立ち向かう。
709ウルトラ5番目の使い魔 第72話 (14/14):2009/11/01(日) 16:11:43 ID:ZvI3J7Uj
「トァァッ!」
 だが、心とは裏腹に、エースのエネルギーは底を切り、疲労も限界に
達していた。
 ボガールとノーバが同時に光弾と光線を放ってくるのをエースは避けられずに、
直撃を受けて思わずひざをついた。
「グゥゥ……」
 動きの止まったエースに対しても、二匹は攻撃の手を緩めずに、ボガールの
尻尾が蛇のように伸びてきてエースを突き倒し、飛び上がって円盤形態に
なったノーバが、高速回転しながらカッターのようになったマントで体当たりをかけてくる。
「ウワァァッ!」
 もし、エースが万全の状態であったならば、ボガールとノーバの二匹が相手でも
充分に戦うことはできただろうが、ヤプールの言うとおりに、スノーゴン、ノースサタン、
ブラックテリナときて、この二匹と、あまりに短期間に続いた連戦によって、
エースのエネルギーは衰亡しきっていたのだ。
 そしてついに、ノーバがエネルギー切れ寸前に陥ったエースを、後ろから
鞭と鎌で羽交い絞めにして動きを封じると、ボガールは背中に羽のように
収納されていた捕食器官を、牙がびっしりと生えた口のように大きく広げて
迫ってきた!
(くそっ、おれたちをエサにするつもりか!)
 才人はボガールの意図を正確に見抜いたが、エースのカラータイマーはもう
消滅寸前にまで点滅を早めて、たった一つの光線を撃つエネルギーも、
組み付いたノーバを投げ飛ばすだけの体力も残されてはいなかった。
(くそっ、負けられない、負けるわけにはいかないんだ!)
 それでもエースの心は折れないが、今頃ヤプールは念願だった宿敵の最期を
前にして、異次元で大笑しているだろう。命令に従わないとはいえ、ボガールは
飢えを満たそうと、捕食器官を全開にして着実にエースに迫ってくる。
 
 しかし、ヤプールはエースを倒すことに固執するあまり、一つだけ完全な
計算違いを犯していた。
 はじめからこの戦いをじっと見守っていた一対の眼、それはずっとウルトラマンAと
その敵を値踏みするように、戦いの一部始終を冷徹な思考で監視し続けていたが、
その者にとって、宇宙の調和を乱す存在、ボガールの出現を持ってついに動いた。
 天空を覆い尽くしていた黒雲が切り裂かれ、陽光とともに一筋の光の矢が
今まさにエースを捕食しようとしていたボガールの背中に突き刺さったのだ!
 
『ダージリングアロー!!』
 
 爆発とともにボガールが吹き飛ばされ、その余波で驚いたノーバの力が
緩んだ隙に、エースは脱出に成功した。
(あれは……)
 エースは、そしてキュルケたちは、晴れ渡っていく空の下で、金色の光に
包まれながら、血のようだった赤い雨とはまったく対照的に、邪悪を焼き尽くす
炎のような力強い真紅にその身を包んだ戦士を見た。
 
「もう一人の……ウルトラマン」
 
 光に圧倒されるように消えていく暗雲を背中に見ながら、誰のものとも
しれない呟きがシルフィードの背に流れたとき、本来交わるはずのなかった
異世界の光が、最初の邂逅を果たしたのだった。
 
 続く
710ウルトラ5番目の使い魔 あとがき:2009/11/01(日) 16:14:35 ID:ZvI3J7Uj
以上です。支援してくださったIBfINYlFの人、ありがとうございました。
これまで連載を応援してくださった皆さん、ついにお待ちかねの二人のウルトラマンの
共演です。特に彼らはライブステージなど以外では、これまで共演がありませんでしたので、
私も早くここまで書きたくてがんばってきました。
昨年の超8兄弟や、今年のオールライダーもそうですが、ヒーロー同士が同じ舞台で
戦うほど胸躍る光景はありません。
さて、書くのがいっそう楽しくなってきたところで、来週までしばしさようなら。
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 16:17:35 ID:IBfINYlF
乙。

>お前たち兄弟の末っ子

一瞬タロウのことかと思っちまったぜ。
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 16:20:51 ID:J6m0j/Fa
ここで切るのかよGJ!
wktkしつつ正座待機。
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 16:40:07 ID:MMuhDK/D
くあああああ、美味しい所で切るなぁ
また一週間後が楽しみだぜ
やっぱ次回の最後は世界が異なるとはいえ二人のウルトラマンが夕焼けをバックに握手を交わすんですね
燃えすぎてしまいます
次回も楽しみにさせて頂くです、はい
714名無しさん@お腹いっぱい:2009/11/01(日) 18:37:51 ID:MsRISPuj
ウル魔の人、今回も超GJでした!
遂に来た!宇宙正義の使者・ウルトラマンジャスティス!来週の2人の共闘がマジで楽しみっすwww

ただ、個人的にウェールズ皇太子がアニエス達に酷評されてやたら扱き下ろされてたのが可哀想に思えてしょうがなかった・・・。
アンリエッタ同様、ウェールズにも名君として活躍する名誉挽回の場を与えて欲しいです。アニエス達が評価を改める位の大活躍をw
次回も期待して待ってますw
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 18:43:17 ID:yfAFvjsF
生きている限り、諦めない限り、挽回は必ずできるさ。
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 19:10:38 ID:qkq8A5AN
このSSでアスカが元気なのを見て喜んでると、映画で復活ですって。
ここが呼び水になってくれたような気がしますよ。
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 19:48:40 ID:l4wPjusI
ソニック・ザ・ヘッジホッグを召還したいと思ってプロット書こうと思ったら
GCしか所持してなかったせいで無印ソニアドとソニアド2しか知らねぇ。
シルバーとか、好きになれそうなキャラなのに知らないとか・・・
718名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 20:55:32 ID:z6cbjuzg
ここは敢えてメガドライブを購入するんだ!
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 21:14:19 ID:YaAVyaPr
そこはゲームギアだろう
720名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 21:34:15 ID:NVkd1k6r
wiiでバーチャルコンソール買うってのが一番現実的だな
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 23:04:49 ID:bW/9rKW+
>>717
待ってるからね!
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 11:49:35 ID:V8P4z2wP
規制解除やっとキタ('A`)
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 12:29:05 ID:xSc6k6yz
>>711
タロウが末っ子ってイメージが強いけど、今は
ゾフィー、マン、セブン、ジャック、エース、タロウ、レオ、アストラ、80
そしてメビウスが末っ子のウルトラ10兄弟だからな。
ちなみにヒカリを入れるかは、まだ明確じゃないみたい。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 16:51:44 ID:PoSPUNyQ
>>723
ネクサス・・・と言うかノアは?
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 18:04:50 ID:g3Kp1bez
875 :無重力巫女の人:2009/11/02(月) 17:49:39 ID:s3WbXspE
どうも、無重力の人です。
規制を喰らってしまい書き込めない状態です。
申し訳ありませんが、何方か代理投稿を御願いします。

---------------------------------------------------------------

ということで、他の作者さんの投下が無ければ6時7分から代理投下します。
726無重力巫女の人 : 代理:2009/11/02(月) 18:07:16 ID:g3Kp1bez
レコン・キスタの奇襲にニューカッスル城は混乱の渦中に叩き落とされた。
容赦ない砲撃に城壁はおろかその周囲にいた者達が巻き込まれた。
破壊された城壁の下敷きになる者や吹き飛ばされ壁に叩き付けられた者までいる。

もはやニューカッスル城には安全な場所と無傷な場所は存在しない。
レコン・キスタからの砲撃はまるで積み木の城を一気に崩すかのようにニューカッスル城を破壊していく。
その内大砲から発射された砲弾の一つが掘っ立て小屋の火薬貯蔵庫に直撃し、貯め込んでいた黒色火薬が大爆発を起こした。
明日の決戦にと急ごしらえで作られた貯蔵庫は、皮肉にもその火薬を持っていた王族派の者達に牙をむいた。
たちまちニューカッスル城の各所から煙と炎が上がり、遠慮無くニューカッスル城を赤色に染め上げていく。
時を見計らって城内に入ってきたレコン・キスタ軍の武装したメイジ部隊と無数の傭兵達が城に篭もっていた王族派の貴族達を容赦なく殺す。
やがてその行為がエスカレートし、抵抗してこない女子供達すらその毒牙に掛かりあの世へと召されていく。
正にその光景を四文字熟語に当てはめるなら「阿鼻叫喚」や「死屍累々」というものが相応しいであろう。

そして今、燃えさかる城内を一人の青年が走っていた。
この城に立て篭もっているジェームズ一世の息子、ウェールズ皇太子である。


火の手から逃れつつもウェールズはルイズ達がいた中庭の方へと向かっていた。
本当なら詰め所の方に行き敵が潜り込んでいたことを伝えたかったのだがもはやそうもいかない。
この状況だと詰め所の中には誰もいそうにないし、何よりもう何もかも終わりだ。時間は残り少ないのだ。
しかし、アルビオンの外からやってきたあの二人の少女だけは何としても逃がさなければいけない。
ウェールズはそう思いつつ中庭まであともう少しの時、ふと前方から誰かが走ってくるのが見えた。
一瞬だけ敵かと思ったが、すぐに相手が自分が捜していた内の一人であるルイズだという事がすぐにわかった。
武装した敵ではなく見知ったブラウス姿の少女の姿を見てウェールズは内心ホッとした。
「ミス・ヴァリエール!丁度良かった、今君を捜して―――ウッ!」
その瞬間、ルイズのタックルが見事ウェールズの腹に直撃し二人仲良く地面に倒れてしまった。
一体何事かと思いウェールズがルイズの顔を見ると、瞬時に何かあったのだと悟った。
涙を流しすぎて充血してしまった鳶色の瞳を持つルイズは仰向けに倒れているウェールズの胸の中で泣きじゃくっていた。
更には小さくて可愛い口で「私が弱かったから…弱かったから。」しきりにそんな事を呟いている。

手には貴族の命とも言われる杖を持っておらず、それらしいモノを腰に差してもいない。
ルイズの言葉を何も言わずに聞いている時、ふとウェールズはもう一人の少女がいない事に気が付いた。
「ミス・ヴァリエール。すまないがミス・レイムは一体何処に―――」
「おぉ、今日の僕は始祖ブリミルに見守られているようだ」
忘れようもない男の声が後ろから聞こえ、ウェールズは咄嗟に後ろを振り返った。
そこには、ルイズの魔法で用水路に吹き飛んだと思われていたワルド子爵がいた。
「ワルド子爵!?確か貴様は用水路に吹き飛んだはずでは…」
「確かに私は吹き飛んだ。だが始祖ブリミルは僕を守ってくれてるんだ」
ワルドは楽しそうに言うと腰に差していた杖を手に持った。
「でも悲しいかな。生きているのは良いのだが、果たしてこの状況で任務を達成できるかどうか…」
「任務だと…?レコン・キスタからのか…!」
ウェールズがぽつりと呟いた言葉にワルドは「ああ」と頷き話し始めた。
「僕がレコン・キスタの幹部達から言われた任務は次の内四つ…一つ目はルイズを我がモノにすることなのだが…これはもう無理だな」
そこまで言ったとき、すぐ近くでもの凄い爆発音と共に地面が揺れる。
ウェールズは泣き続けているルイズを抱いたまま辺りを見回すが、ワルドは気にせず喋り続けた。
「二つ目、アンリエッタが姫殿下がウェールズ皇太子に送った手紙を奪うこと。…まぁこれはもうすぐ達成できる」
そこまで言ったワルドは気を取り直すように二、三度咳をすると話しを再開した。
「…それから三つ目だ。ルイズの傍にいたレイムとかいう少女を捕まえることなのだが…生憎私が殺してしまった」
「何だと…?するとミス・ヴァリエールの近くにあの子がいなかったのは…」
ワルドの言葉にウェールズは目の前にいる男を強く睨み付けた。
霊夢の名前を聞いたルイズはというと途端に体が震え始め、それを見たワルドが追い打ちを掛けるかのように口を開く。
727無重力巫女の人 : 代理:2009/11/02(月) 18:08:17 ID:g3Kp1bez

「ルイズ、自分を責める事はないさ。今の君はあの娘を助けられるだけの力が無かった。ただそれだけさ?
 だから君はあの娘が僕にやられた後も、本能に従いここまで逃げてこられたのさ。」

そのの言葉にルイズはキッとワルドを睨み付けた。
ワルドは、その瞳から溢れる感情を感じ取り笑顔になる。
ワルドは両腕を大きく広げ、ルイズに話し掛けた。
「その瞳だルイズ、それが人を強くさせる。もっと僕を憎むと―――ム!」
言い終える前に、いつの間にか呪文を唱えていたウェールズが「エア・ハンマー」を発動させた。
空気で出来た鎚が当たる前にワルドは瞬時に呪文を唱えて杖を振り、風の障壁を展開する。
結果ウェールズのエア・ハンマーをワルドの魔法が相殺し、強い衝撃波が生まれた。

「キャアッ!」

その衝撃波は不運にもルイズの小さな体を吹き飛ばした。
ウェールズはハッとした顔になり吹き飛ばされたルイズの方へと視線を向けた。
「ミス・ヴァリエール―――」
「そして最後の四つ目は……貴様の首だウェールズ!」
瞬間、隙アリと言わんばかりにワルドが「エア・ニードル」を唱えウェールズの元へと走り寄った。
咄嗟に気が付いたウェールズはその場でしゃがみ、ワルドの攻撃を回避する。
逆に隙を見せてしまったワルドのアゴにキックをお見舞いし、それは見事直撃した。
アゴに強力な一撃を貰ったワルドは勢いよく吹き飛び、先程プードル犬が飛び出してきた部屋の中へと突っ込んだ。
部屋の中は炎で真っ赤に染まっており、たちまちの内にワルドも先程の犬のようにその体が火に包まれた。
壮絶な悲鳴を上げてワルドはジタバタと火の中で藻掻き、すぐにピクリとも動かなくなってしまった。
それを見届けたウェールズはフゥ…。と溜め息をつくと自分の後ろで気を失っているルイズの方へと体を向けた。

「ミス・ヴァリエール。大丈―――――ぶ?」
その言葉を言い終える前に突如左胸に鋭い痛みを感じたウェールズは言葉を詰まらせてしまう。
かろうじて後ろへ振り向くと、そこには先程焼死したばかりのワルドが無傷で立っていた。
どうして?と言ったが口からは言葉の代わりに赤い血が出てきた。
ウェールズを刺したワルドは思いっきり杖を引き抜き、人差し指でウェールズの背中を軽く小突いた。
たったそれだけで、まるで糸が切れた人形のようにウェールズが地面に倒れた。
自分が成すべき事の内一つを終えたワルドは満面の笑みを浮かべたとき、丁度ルイズが起きあがった。
そして目の前でウェールズが胸から血を流して倒れているのを見て悲鳴を上げた。
「ウェールズ皇子!!」
「おやおやルイズ、あのまま気絶していれば彼の死に直面しなかったものの…」
ワルドの言葉にルイズは更なる罪悪感を感じ、それを誤魔化すかのようにワルドに向かって叫んだ。
「うるさいうるさい!アンタさえいなければみんな死ななかったのよ!」
しかしワルドは何を言うのかという表情になり、ルイズに話し掛ける。

ただしそれはルイズと向き合っている方の『ワルド』からの声ではない。
「僕の所為だと…それはひどい。ルイズ、二人が死んだのは君の所為なんだ」
ハッとした顔になり後ろを振り向いたルイズは驚いて目を見開いた。
なんと自分の後ろにもう一人のワルドがいたのだ、今自分と向き合っていたあの男が。
つまり今この場には二人のワルドがいるという事になる。
「君の中にある力がそうさせる。どんな人間でも未知の力の前では勝手に死んでゆくのさ」
そして今度は左がわにある窓から四人目のワルドがルイズの前に現れた。
連続して起こる出来事にルイズの頭も混乱し始める。
「そういう場合は、力を持つ人間を飼い慣らすか―――殺すかの二択だ」
そして五人目は自分の前にいる一人目のワルドの後ろから歩いてやってきた。
五人目を確認したルイズは、混乱しつつある頭の中からある風系統の呪文を思い出した。

―――『風』は遍在する。風の吹くところ、何処となくさ迷い現れ、その距離は意思の力に比例する。

三年生の教科書に載っていた説明文を思い出し、ルイズは思わず後ずさってしまう。
風系統が最強と呼ばれる原因を作った内の一つである魔法を前にしていることに。

それは、『風のユビキタス(遍在)』。
簡単に言えば、一度に幾つもの自分を作り出すことができる魔法である。
728無重力巫女の人 : 代理:2009/11/02(月) 18:09:46 ID:g3Kp1bez


うつぶせになって倒れていた霊夢が目を開けたとき、まず自分がどこだか分からない空間にいる事を知った。
そして一通り見回した後、霊夢はポツリと一人呟いた。
「白は嫌いじゃないけど、この空間の造り主はちょっとやりすぎてるわね」
辺り一面真っ白で、そして不気味なくらいに静かなところだ。
ふと頭上を見上げるてみると、ポッカリと穴が空いていることに気がついた。
その穴からは無数の星と双つの月が浮かぶ夜空が見えた。
「でもま、案外その造り主は近くにいるかもねっ…と!」
とりあえずそう呟いて立ち上がろうとしたが体が動かず、仕方なく霊夢は倒れたまま辺りを見回した。
だだっ広い白色の空間には自分以外の者は見あたらない。

もう一度立ち上がろうと霊夢は体に力を入れるが動く気配はない。
悲しいことに、両手両足だけがジタバタとむなしく動くだけであった。
どうしようもない事が分かると霊夢は力を一気に抜き、思い出したかのようにこう言った。
「そういえば私、ワルドとか言う奴に胸を刺されて用水路に落ちたのよね…」
そこまで呟くと少し傷がどうなってるのか見たくて堪らなくなったが、すぐにその気は失せた。
首だけは動くが体や手足が動かないので確認することが出来ないからだ。
「…にしても、ここって何処なのかしら。冥界…ってわけじゃなさそうだし」
そんな事を呟いた瞬間、ふと前方から下駄の音が聞こえてきた。
カッカッカッ…。耳の奥にまでハッキリと聞こえてくる下駄の音に霊夢はじっと前を見据える。
すると突然目の前から赤い着物を羽織った小さな黒髪の女の子が現れた。
その子は下駄で走っていたためかつまずいて転んでしまい、霊夢の直ぐ傍で倒れた。

少女は倒れたまましばらくはピクリとも動かなかったが、やがてその小さな体がプルプルと震え始めてきた。
そして口からはすすり泣くような声も聞こえてくる。霊夢は思わず声を掛けようとした。
しかし、霊夢の口から言葉が出る前に上の方から何者かが少女に声を掛けた。
729無重力巫女の人 : 代理:2009/11/02(月) 18:10:59 ID:g3Kp1bez

――――ほらほら、何を泣いているのかしら?もうすぐで空にたどり着けるわよ

胡散臭いが何処か優しい響きを持っている。そんな声を聞いた霊夢は一瞬だけ目を丸くした。
偶に神社にやってきては談笑したり酒を呑んだり、別に必要も無さそうな事を教えてくれる存在。
博麗の巫女と共に幻想郷を守っている゛彼女゛の声を聞いた少女は、泣くのをやめた。
そしてゆっくりと立ち上がり、ゴシゴシと目を擦った後に顔を上げ、遙か上にある穴から見える夜空を仰ぎ見た。

――――さぁ、立ったのなら飛び立ちましょう。貴方は飛べるのよ!

再び頭上から響いてきたその声に、少女は意を決してその場で勢いよくジャンプした。
そして地面から離れた少女の体はそのまま浮き上がり、段々と空へ登っていく。
今までよちよちと歩いていたひな鳥が空へ飛び立つかのように少女は飛んでいってしまい、穴をくぐってこの空間から出て行った。
誰の助けもなく、励ましの言葉だけで飛んでいった少女は自由を手にすることが出来たのだ。
その光景をじっと見つめていた霊夢の耳に、あの声が聞こえてきた。

―――そこの貴方も、立ったらどう?それとも一度やられて、もうやる気が起きないのかしら

「うっさいわね…」
まるで自分をバカにするかのような言い方に、霊夢は眉をしかめて呟いた。
そしてその言葉に負けて堪るかと、再び体に力を入れていれると。スクッと霊夢は立ち上がれた。
多大な疲労と、脇腹と右胸に深い傷があるのにも拘わらず、霊夢は立つことが出来た。
霊夢は空を飛んでいった少女と同じように顔を上げ、頭上の穴から見える夜空を見上げた。

―――例え地面に何度たたき落とされても立ち上がり、そして空へ飛び立つ。貴方は昔からそうでしょうに。霊夢?

とうとう自分の名を呼んだ゛彼女゛の言葉を合図に、霊夢は飛び上がった。
先程の少女のものとは比較にならないほどの速度で一気に上昇し、真っ白な空間から抜け出した。
霊夢がいなくなり、人っ子一人いなくなったその空間に゛彼女゛の声が響いた。

――――頑張りなさい霊夢。今の貴方は二つの宿命を背負っているのだから


730無重力巫女の人 : 代理:2009/11/02(月) 18:12:08 ID:g3Kp1bez

五人のワルドに囲まれて動けないルイズの背中をワルドが唱えた『エア・ハンマー』が襲いかかってきた。
為す術もないルイズは先程のように吹き飛び、壁に叩き付けられた。
凄い勢いで壁に叩き付けられたのにも拘わらずルイズは意識を保っていた。気を失っていればどれ程良かったことか。
何せ杖もない、何の妙案も浮かばない、助けもない。こんな状況でどう希望を持てというのか。
ならばせめて起きあがらずに目を瞑って死んでいるふりでもしてみようかと思ったが、そうもいかなかった。
今度は別のワルドが唱えた『エア・カッター』がルイズの傍にあったイスを切り裂き、ルイズは反射的に立ち上がりその場から離れた。

燃えさかっている城内とは真逆に冷たい壁の感触を背中で感じたルイズは辺りを見回した。
五人のワルドが自分の方へ杖を向けている。何も守れない自分を相手に。
ちゃんと元の世界に返してやると約束した霊夢を見殺しにし、更にはウェールズ皇太子も殺してしまった自分を。
ほんの数十分前に起こった二つの出来事を思い返し、ルイズは無意識的に呟いた。
「どうしたのよワルド。どうして五人がかりで無力な私を殺そうとするのよ…そんなに私が怖いのかしら?」
言った瞬間、一体何を考えているんだ。とルイズの顔が青くなった。
そんなルイズに対して、五人いる内の真ん中にいるワルドが肩を竦めてこう言った。
「僕は警戒しているのさ。もしかしたら土壇場で君が僕と遍在達の攻撃をスイスイと避けるような事があったらお手上げだ」
ほぼ冗談のように聞こえるワルドの言葉を、このような状況なのにも拘わらずルイズは鼻で笑った。
「頭沸いてるんじゃないのアンタ?そんな事が出来るのはレイムぐらいしか――――…うぷ」
そこまで言ったとき、ルイズの頭の中で数十分前の出来事が蘇ってしまい。吐き気が彼女を襲った。
喉まで来そうな胃液を出すまいとルイズは口を押さえ、その場に座り込んでしまう。
頭と胸の中に、何か黒い雨雲のようなモヤモヤとした何かがルイズの体をじわりじわりと浸食していく。
その様子を、まるで喜劇を見るかのような楽しそうな表情で見つめていた五人のワルドが呪文を唱え始めた。『ライトニング・クラウド』だ。

辺りの空気が冷え始め、ルイズの敏感な肌を刺激する。
ワルド達が一撃必殺の呪文を唱えていることに気がついたルイズの目は絶望に染まっていた。
もう希望など無い。この先の自分にあるのは『死』だけだ。途端に目から一筋の涙が零れ、体が震え始める。

「……けて。」
無意識的に、ルイズの口から言葉が出てきた。
それは彼女の口から滅多に出ることはない、他者を必要とする悲願の声である。

よく偉い将軍や元帥は「戦場での死こそは貴族にとって至高の殉職」というが、あんなのは嘘だ。
彼らは今の自分のように現実の『死』に直面していないから綺麗事を言える。

「…て。たす……て。」
しかし、その言葉はちゃんとした形を成していない。
途切れている言葉など、意味を持たないのだ。

きっとどんな色々な意味で『酷い』人間でなければ目前の死に恐怖するだろう。
それこそが人間であり、人間と人外との違いである。人外は人を狩るから人間の気持ちなど知ったことではない。
「お願い…。………けて。」
しかし、『死』に怯えない人間というのも、存在することは存在する。
性格は様々ではあるが。彼らは皆一様に普通の人間とは違う宿命や、人生を歩んできた。
だからこそ多少のことでは怯えず。だからこそ普通の人間達からは敬遠され、忘れ去られる。
彼らはそれを回避するために人に迷惑を掛けたり人外達から守ってあげたり、時には取り返しのつかいない事をする。

「誰か… 助 け て ! 」 
何度か呟いた後、ようやくその言葉がちゃんとした形を持てたとき。
それに応えるかのように彼女を守る『盾』が再び主の元へと馳せ参じた。
731無重力巫女の人 : 代理:2009/11/02(月) 18:13:10 ID:g3Kp1bez
呪文を唱え終えたワルド達が一斉に杖を振り下ろそうとした瞬間。『少女』がガラスのない窓から侵入してきた。
突然のことに反応が出来ず、窓側にいた遍在は『少女』が持っていた剣で杖の先端と首を切り落とされた。
首を切り落とされた窓側のワルドはフッと消え去り、ついで消えた遍在の傍にいた遍在の喉を細長い刀身が貫いた。
無念の叫び声を上げることが出来ずに三人目も消え去り、『少女』は剣を手放し左手に持っていた御幣の先を真ん中のワルドに向けた。
真ん中にいた本物のワルドは有り得ない。と言いたげな顔で咄嗟に呪文を中断し、その場に伏せた。
残り二人の遍在達も、本物のワルドと同じく有り得ない。と言いたそうな顔のまま御幣の先端から出た無数の菱形の物体にその体を包まれた。
瞬間、その菱形の物体がピカッと光ったかと思うと大爆発を起こして二人のワルドを消し飛ばし、本物のワルドは吹き飛ばされる。

吹き飛ばされたワルドは受け身を取ると素早く立ち上がり、目の前にいる『少女』に杖を向けて叫んだ。
「馬鹿なっ!何故生きてるっ!?何故――――」
「うっさいわね。起きたばっかりの私の耳に気に障る声を入れないで欲しいわ」
お世辞にも綺麗とは言えない言葉遣いでワルドにそう言った『少女』はお札を取り出し、投げ放った。
目にもとまらぬ速さで投げられたお札はワルドの服に貼り付いた。
そしてワルドが気づく前に『少女』は素早く呪文のような言葉を唱えた。
「―――生きている…のだっ!」
瞬間、貼り付いたお札が先程の弾幕のようにピカッと光り――――そして爆発した。
ほぼ零距離の爆発を喰らったワルドは口から血を吐きながら吹き飛び、『少女』が入ってきた窓から地面へと落ちていった。
その後、城内から響く悲鳴や杖と剣が交わる音に混じって下から嫌な音が呆然としているルイズと『少女』の耳に入る。
わずか一分間の間に起こった突然の出来事に、ルイズは驚いていた。
今目の前にいるのは、自分とほぼ同い年の黒髪少女であり、ちょっと変わった服を着ている。
左手に持っている御幣も、先程ワルドを倒したあのお札も、全てがハルケギニアとは違う別の世界で生まれた物である。
異世界など有り得ないが、それでも今目の前にいる少女はルイズ自身が呼び寄せたのだ。
そしてルイズは、かつてもこの様な光景を見たなー。と思いつつ、自分の目の前に立っている少女の名を呟いた。

「…霊夢。」
その名前を呟いたとき、ルイズの胸と頭の中にあった変な気持ちが消え去った。
まるで太陽と青空を隠していた黒い雨雲が消え失せるかのように。

一度はワルドに右胸を貫かれ、生死の境をさ迷った霊夢の左手には刻まれた使い魔のルーンが光り輝いていた。
始祖ブリミルが従えていた四の使い魔の内の左手であり、始祖の盾と呼ばれた『ガンダールヴ』のルーンが。
732無重力巫女の人 : 代理:2009/11/02(月) 18:14:28 ID:g3Kp1bez
881 :無重力巫女の人:2009/11/02(月) 17:57:35 ID:s3WbXspE
以上で投稿は終わりです。
可能であるならば何卒代理投稿を御願いします。

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ということで、代理投下を終了します。
作者さん乙でした。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 18:16:41 ID:pjcXZFSc
無重力巫女乙です
東方勢のハルケギニア入りが楽しみです
734無重力巫女の人 : 代理:2009/11/02(月) 18:16:54 ID:g3Kp1bez
すみません、一つ言い忘れていました。
>>728-729は元は一纏めだったのですが、改行が多過ぎると怒られたので分割させて頂きました。
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 18:50:48 ID:Zi/lt2QI
>>717
なんという俺
期待してる
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 20:10:31 ID:Mm/GS53k
>>724
ノアは兄弟たちとは完全に別の世界の存在じゃなかったか
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 20:20:36 ID:WGIQcwgR
>>717
目覚めた聖地のモンスターに7つに割られたハルケ大陸を元に戻すべく旅するのか?
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 20:22:18 ID:uBJVcsMj
ハルケギニア・シュリー城の戦いにて敵の決死隊の自爆に巻き込まれて殺された軍曹
それに怒る二人の海兵隊
戦いは決死隊を皆殺しにするまで続いた
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 20:45:37 ID:xC6idUnW
ソニック系つったら
フーケと一緒に怪盗やってるルージュなんてのは考えた事がある。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 21:50:57 ID:0p17wRy7
無重力さん乙ー

ソニック……
カオティクスですら出たアニメでも見事にはぶられたファングに愛の手を
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 22:32:17 ID:asxVjjEe
>>724
ノアっつーかネクサスは次元移動の間に、五兄弟と一回共闘してる話をどっかで見た記憶がある。
なんつーかウルトラの星で伝説になるかならないか位の言い伝えになってそうだ。兄弟のような元が生命体の進化的でなく宇宙意識の集合体な出どころな気配がする。
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 11:08:46 ID:Q4mZoB83
月1の楽しみキター!
相変わらず文章力が高い
無重力の人乙でした
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 12:04:01 ID:Iq67Rs+k
>>713
夕日はウルトラヒーローの見せ場だからな、特にセブン対メトロンはもはや伝説
ハルケギニアだったら妖精亭の二階あたりで侵略計画を立ててたりして
しれっと妖精亭のメニューにある眼兎龍茶
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 12:55:37 ID:NmvCtIMk
六畳一間にちゃぶ台に夕日
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 13:43:16 ID:IRLI4igp
メトロン星人はあの独特の愛嬌のあるフォルムも愛される要因だなw
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 14:16:46 ID:27rXC0ST
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org326882.jpg.html
なんとなく張りたくなった
747瀟洒な使い魔 代理:2009/11/03(火) 17:46:53 ID:5fKHQm4g
世間は寒いです。規制の波もまた寒いわけで。
代理依頼されましたので代理参ります。
17:55ごろより失礼いたします
748瀟洒な使い魔 第三話1/7:2009/11/03(火) 17:55:06 ID:5fKHQm4g
代理投下開始です
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「トリスタニアに買い物に行くわよ!」

あれから少し経った虚無の曜日。
現代で言う日曜日に当たるこの日は、トリステイン魔法学院も当然のことながらお休みである。
咲夜の部屋でたむろしていた咲夜・タバサ・キュルケの3人は、ルイズのそんな一言に首を傾げた。

「買い物って……何を買うのよルイズ。必要なものは大体揃ってるから今の所欲しいものは無いけど?」

愛用のナイフの手入れをしながら、咲夜が言う。

「……虚無の曜日」

手に持った本から視線を外さず、ぽつりと呟くタバサ。

「買い物って言うけど、お金は大丈夫なの? いっつも失敗魔法で物を壊してぴぃぴぃ言ってるくせに」

マニキュアを塗りながら、溜息混じりにキュルケも口を出す。

「ああもう、ツェルプストーに心配される筋合いはないわよ!
 お金がなかったらそんな事言うはずないでしょ!? 大体、咲夜はともかくなんであんた達がここに居るのよ!」

顔を真っ赤にして怒鳴るルイズに、キュルケはアメリカンに肩をすくめてわざとらしく溜息をつく。

「あら、だってサクヤと私はまんざら知らない仲じゃないもの。
 夜にワインを飲みながらおしゃべりする位に仲が良いのよ?」

「否定はしないわ。まあ、話して楽しい相手だとは思うけど」

あの日から、キュルケはよく咲夜の部屋に遊びに来る事が多くなった。
夜は毎日と言うわけではないがこの間のように酒を酌み交わしながら語り合い、
それ以外でもなにかにつけて咲夜の部屋へとやってくる。
そしてその際に何故かタバサも連れてくる事も多く、一応は咲夜の主人であるルイズも加え、
咲夜の部屋はいつもこのようにかしましい。主にルイズとキュルケの口論であったが。

「ぐぬぬぬぬ……と、とにかく! いつまでもそのメイド服ばっかりじゃ主人の私が変な目で見られるわ!
 服だって色々買ってあげるから買い物に付き合いなさい、サクヤ!」

「まったく、ヴァリエールの女は嫉妬深いわねぇ。使い魔を独占したいんだって素直に言えばいいのに」

「うるさいうるさいうるさーい! 色ボケツェルプストーにだけは言われたくないのよ!」

またぞろ口論を始めた2人を尻目に、咲夜は自分の姿を省みる。
持っている服は紅魔館で着ていたメイド服1着。それに加えてこの学園のメイド服を予備として貰っているが、
下着などは体格の似ているメイドから借り受けるなどしてごまかしていた。
服はメイド服だけでも不満はないが、下着は新しいのを買っておくべきだろう。
そう結論付けると、横で本を読んでいるタバサの肩をつつく。
749瀟洒な使い魔 第三話2/7:2009/11/03(火) 17:56:05 ID:5fKHQm4g
「タバサ、トリスタニアって、どんなところ?」

「この国の王都」

「ああ、都なのね。じゃあ武器屋とかはあるのかしら」

タバサは質問の意図を測りかね首を傾げるが、一先ず頷く。

「私の得物ってナイフなんだけど、やっぱりスペアを確保しておいた方がいいかな、とも思うのよね。
 そういう所があるなら見ておきたいのよ。買わないまでも、どのくらいの相場なのかは知っておきたいし。
 折角だし、タバサも一緒に行かない? まあ、キュルケが誘うだろうとは思うけど」

「……わかった」

タバサはそう言うと、今まで呼んでいた本にしおりを挟んで閉じ、テーブルの上に置いた。
虚無の曜日は日がな一日本を読んでいるタバサだが、キュルケの言う事には比較的素直に従う。
それが友情から来ているのか、それとも何を言っても無駄だという諦めから来ているのかは分からないが。



瀟洒な使い魔 第3話「トリスタニア・ブルドンネ街を行く」



それから少しして、魔法学院の正門では3人が咲夜を待っていた。
1ヵ月分の給金を前借りしに行った咲夜を待っているのだ。
タバサの横には風竜の幼生、タバサの使い魔シルフィードが寝そべり、主人の命令を待っている。
少しして咲夜が戻って来た。手には皮袋を持っている、あれが今月分の給料なのだろう。

「お待たせ皆。それじゃあ行きましょうか」

「乗って」

先に乗ったタバサに促され、ルイズとキュルケがシルフィードの背に乗る。
それを確認し、咲夜がふわりと浮く。それに驚いたルイズが思わず声をあげた。

「えぇっ!? サクヤ、あんた『フライ』が使えるの!?」

咲夜は非常に返答に困る。幻想郷においてはある程度の力のあるものは大概が飛べるため、
まさか驚かれるとは思っていなかったのだ。

「魔法と言えば魔法なのかしら……意識して使ったことないのよね、これが。
 私は魔法使いって訳でもないし。幻想郷……私の住んでいたところでは、
 ある程度以上の力があれば大体は空を飛べるのよ。決闘も魔法なんかを派手に使った空中戦がメインだし。
 さ、私は自分で飛ぶから早く行きましょう。時は金なり、って言うしね」
750瀟洒な使い魔 第三話3/7:2009/11/03(火) 17:56:51 ID:5fKHQm4g
咲夜がそう言うと、タバサが軽く首を振ってシルフィードの背を叩く。

「乗って」

「いいの? 4人も乗って重くないかしら」

「シルフィードの方が速い」

ここからトリスタニアまでは馬で3時間。飛んで行っても問題はないのだが、
タバサがここまでいうのなら乗ることも吝かではない。
それに、幼生とはいえ風竜である。確かに自分が飛ぶよりは速いのだろう。

(……何より楽よね)

そんな咲夜と3人を乗せ、風竜は一路トリスタニアへと飛ぶ。




トリスタニア。トリステイン王国の王都であり、人類に系統魔法をもたらした始祖ブリミル、
その末裔が代々住まう場所。そのためか活気に溢れ、大通りには沢山の露店が並んでいる。
咲夜達が立っているのはメインストリートであるブルドンネ街。
その道沿いにある店の1つ、ルイズの目的地である服屋に入ろうとしたところ、不意に後ろから声をかけられた。

「やぁ御一行。こんな所で会うとは奇遇だね!」

胸元にフリルの突いたシャツを着た金髪の少年。ギーシュ・ド・グラモンである。
先日の決闘の後、ギーシュは二股をかけていた少女達に謝罪。もう1度双方から平手打ちを食らうも、
なんとかその片方と関係を修復する事に成功した。ただその性格の根本は変わっていないため、
その内また浮気して張り倒されるだろうな、というのが周囲の見解でもある。
4人はギーシュを一瞥した後、何事も無かったかのように店に入ろうとする。慌てて呼び止めるギーシュ。

「ま、待ってくれ! 特にミス・イザヨイ! 話を聞いてくれないか!」

「……用件は手短にお願いしたいのだけど」

何処となく冷ややかな咲夜の視線に目を合わせないように軽く視線をずらし、ギーシュは咳払いをする。

「あ、ああ。あの後冷静になって考えてみたが、どう考えても僕が悪いという結論に至ってね。
 詫びの印のプレゼントでも買おうかと思ってここに来てみたら、偶然君達に出会ったというわけなんだ。
 ここで会ったのも始祖ブリミルのお導きだ。ミズ・イザヨイ、こんな事は償いにならないのは承知しているが、
 服を買うのであれば僕からもプレゼントさせて頂きたい。如何かな?」

優雅に一礼するギーシュ。4人は顔を見合わせ、どうしたものかと話し合う。
構う事はないわ、無視してさっさと買い物しましょ、というルイズ。
プレゼントぐらい貰っておいて損はないんじゃない? というキュルケ。
どうでもいい、といつもの無表情で呟くタバサ。
ギーシュを蚊帳の外に女4人であれやこれやと議論を交わし、出た結論はと言うと。

『財布が増えたと思いましょう』

という、咲夜の残酷な一言であったという。
751瀟洒な使い魔 第三話4/7:2009/11/03(火) 17:58:09 ID:5fKHQm4g
服屋で咲夜の服を見繕い、露店を冷やかし、街を巡り、そろそろギーシュの懐が寒々しくなってきたところで、
咲夜達は裏路地にある一軒の店の前に立っていた。剣のマークを描いた銅の看板を掲げた店。武器屋である。

「ミス・イザヨイ。こんな所に何の用があるんだい?
 僕の財布はそろそろ寒々しくなってきたわけだが」

ギーシュが首をかしげる。キュルケやルイズも同じように怪訝な顔をしている。
学院を出る前にタバサに言った、ハルケギニアにおけるナイフの相場を確認するために訪れたのだが、
それを言った時口論していた2人には知る由はない。

「自分の得物のスペアを確保しようかと思うのよ。
 変えなくても相場くらいは確認しておきたいし」

「あ、そういう事……まあいいわ、ギーシュのお陰でサイフには余裕もあるし、
 ナイフくらいなら買ってあげてもいいわよ」

「あら、気前がいいのねルイズ。それじゃ、お言葉に甘えようかしら」

そう言うと、咲夜達はギーシュとキュルケを店の前に残し店内へと歩を進めた。



武器屋の中は昼だと言うのに薄暗く、ランプの頼りない明かりが周囲を照らしている。
周囲には剣・槍・盾等の様々な武具が雑然と並べられ、店の奥では店主であろう中年の男が暇そうにパイプをふかしていた。
男は咲夜達に気付くと眉をひそめたが、タバサやルイズのタイ留めを見ると慌てて居住まいを治して立ち上がる。

「おっと、貴族のお嬢様方。うちはお上に目付けられるようなこたぁなんもしてませんぜ?
 それとも、何かご入用のもんでも?」

「ケッ、よく言うぜ! 大方このお嬢ちゃんらをカモにしようって算段だろ?
 見え見えなんだよこのタコ親父!」

揉み手をせんばかりに不自然な笑顔で客を迎えた店主であったが、
不意に横合いから飛んできた暴言に一瞬で顔が引きつる。
咲夜達が声のした方を見ても誰もいない。余り広い店内でもないので、どこかに隠れたというわけでもないようだ。

「あ、あれ! ねえサクヤ、あの剣が動いてる!」

声のした辺りを見ていたルイズが指を指す。その辺りには乱雑に剣が積んであるだけだったが、
よく見ればその中の1本がカタカタと動いている。咲夜が手に取ってみると、左手が淡く輝き、体が軽くなる。
そして、この剣の使い方を「身体で」理解する。先日のギーシュとの決闘の際にも感じた感覚だ。
使い魔のルーンを刻むと、稀に特殊な能力を授かる者もいるという。
自分もそうなのだろうか、と思いながらも手に取った剣を眺める。
大きさは1.5メイルといった所か。鞘から引き出してみれば表面には錆が浮き、ボロボロといった有様。
これではあんな乱雑に置かれていたのも当然だろう。こんな物、売れるわけがない。

「インテリジェンスソード」

なぜか付いて来ていたタバサが、ナイフを品定めしながらぽつりと呟く。
インテリジェンスソード。魔法によって自我を与えられた剣。ただ喋る以外に何ができるというわけではないらしく、
その外見や口の悪さが災いして長いこと埃を被っていたらしい。
デルフリンガーと言うらしいそれと二言三言言葉を交わしていると、不意にデルフリンガーが黙り、驚いたような声を出す。
752瀟洒な使い魔 第三話5/7:2009/11/03(火) 17:58:59 ID:5fKHQm4g
「へぇ、こいつはおでれーた。まさか『使い手』の手に握られる日がまた来るたぁ思わなかったぜ。
 お前さん、持ち合わせはあるかい? あるんだったら俺を買いな。損はさせねぇぜ」

「ごめんなさいね、欲しくないわけではないんだけど、私の武器ってナイフなのよ」

おもむろに鞘に戻し、軽く埃を払ってから元に戻す。残念ながら持ち合わせはそれほどない。
前借した給金も、多少色をつけてもらったとはいえ多くはない。
店の主人に聞いてみたところ、このデルフリンガーですら金貨で100枚は必要なのだそうだ。
喋る剣は珍しい。欲しくないといえば嘘になるが、咲夜の得物はナイフだ。剣など買ってもしょうがないのである。
タバサと一緒にナイフでも見ようか、と踵を返すと、デルフリンガーが物凄い勢いでまくしたて始めた。

「お、おい! 頼む、俺を買ってくれよ! おい親父、厄介払いのチャンスだぞ、半額くらいにして売り込めって! な!」

最早恥も外聞もない。彼の言うところの『使い手』が何を指すのかは分からないが、
咲夜はそれほどまでに彼が待ち望んだ存在なのだろう。
何となくその剣に同情が沸いたルイズは、必死に自分を売り込むデルフリンガーと、
それを瀟洒にスルーする咲夜との間に割ってはいる。

「ねえサクヤ、ここまで言ってるんだから買ってあげなさいよ……なんかもう可哀想になってきたわ。
 お金足りないんだったら私が出してあげるし、出せる範囲なら」

「あら、悪いわね。それじゃあ頂こうかしら。おいくら?」

「厄介払いもしたかったことですし、100のところを50で十分でさぁ。
 ったく、コレでようやくお前ともオサラバだな、デル公」

憎まれ口を叩くも、この店主の口ぶりからして心底嫌っては居ないようである。
手のかかる悪餓鬼、といった風だろうか。そう思いながらも、ルイズより預かったサイフから金貨を50枚ほど取り出す。
ついでに、ナイフのコーナーから投擲に適したナイフを数本選ぶとカウンターに持っていく。

「これもお願いするわね。100で間に合うかしら?」

「ひのふのみの……へぇ、確かに。うまくやれよ、デル公」

「ケッ、てめぇに言われなくても分かってらぁ」

デルフリンガーを背負いベルトをたすきがけにすると、タバサがナイフを一本抱えて持ってきた。
どうやら彼女もナイフを探していたようで、ナイフも小ぶりではあるが実用性が高そうである。
咲夜はルイズと共に入り口で待ち、タバサがこちらに歩いてくるのを確認してから外に出た。



その日の夜。咲夜は部屋のベッドに寝転びながら、今日買ったばかりのインテリジェンスソード、
デルフリンガーとあれこれと雑談をしていた。
ルイズがどうの、とか、店主の頭がどうの、とか、そういったたわいもない話を続ける内、
いつしか話題は今日デルフリンガーとであった時の事に移っていた。

「そういえばデルフ、貴方私のことを『使い手』って言ってたけど、あれはどういう意味かしら?
 私の得物はナイフだし、今まで剣を使ったことはないわよ?」

「ああ、あれか……実は俺も詳しい事はわからねえっつーか、忘れちまってるんだわ。
 これでも長いこと剣やってるからよ、あんまり昔の事は忘れちまったんだ。
 でもよ、かなり昔、お前さんみたいな奴に握られてた、って感覚だけは覚えてるんだよな」

「私みたいな、か……」
753瀟洒な使い魔 第三話6/7:2009/11/03(火) 17:59:59 ID:5fKHQm4g
咲夜はギーシュとの決闘、そして、デルフを握ったときのあの感覚を思い出し、
左手に刻まれたルーンを見る。オスマンはこのルーンを「珍しいルーン」だと言った。
そして、今までの生活の中で「人間の使い魔」というものは他に類を見ないものであることを知った。
ならばこのルーンがなんであるかが分かれば、あるいはこの物忘れの激しい魔剣の出自も分かるかもしれない。
それに、自分の身体に起きたこの異変も。

「ま、俺も色々思い出そうとはしてみるからよ、お互い頑張ろうや。宜しく頼むぜ、相棒」

「……そうね。まだまだこの世界にも不案内だし、宜しくお願いするわ、デルフ」

とりあえず明日はオスマンのところにこのルーンについて聞きに行ってみよう。
そんな事を考えながら、咲夜は灯を消し、眠りに着いた。



時は遡り、ルイズが咲夜を呼び出すよりも前。トリステインの隣国、ガリア王国は王都リュティス。
その王城であるヴェルサルティル宮殿の一室にて、一人の男が立ち尽くしていた。
蒼く色づいた髪、古代の剣闘士のような、しっかりと筋肉のついた雄々しき肉体。
きりりと引き締まった端正な顔に、それを引き立てるかのようにそよぐ髪と同色の髭。
このガリア王国の支配者、ジョゼフ1世その人である。

その若々しい美丈夫然とした外見に似合わず、彼の評価は国内外共に低い。
内政をさせれば国が傾き、外交をさせれば国を誤る。人呼んで『無能王』ジョゼフ。
貴族としての存在意義とも言える魔法の才能に乏しく、気分屋で皮肉屋。
その上、彼の今は亡き実の弟であるオルレアン公シャルルが魔法の天才であった事もあり、
長年にわたり父母や臣下に軽んじられていた。
国王に即位するに前後してシャルルが暗殺され、時期が時期でもあったので口さがない者達、
またシャルルを慕っていたもの達よりは『簒奪者』とも呼ばれる。
それも当然だろう。事実、彼がその意思で実弟を死に至らしめたのだから。

そんな彼は今、自室にて杖を構え、呪文を口ずさんでいた。
呪文の名は『サモン・サーヴァント』。使い魔を呼び出す魔法である。
自分に魔法の才能がないと知ってよりは使う気も起きなかった魔法であるが、
今しがた不意に思い立って呼び出してみよう、と思ったのだ。
さて、自分の使い魔はどんな生き物であろうな、と思いを馳せる。
魔法の才能など皆無に等しいのだから、そう行った類のものであろうか。
鼠か、虫か、いや、もしかしたらオーク鬼やトロール鬼やも知れぬ。
そんな事を考えている内に呪文は終わっており、数瞬後、目の前に輝く鏡のようなものが現れる。

「ほう、『サモン・サーヴァント』は成功するのか。さて、鬼が出るか蛇が出るか……」

そして、鏡に変化が起こる。何かが出てきたのだ。
肌色で、平たく、同色の細い棒が5本突き出ている。手だ。それも、女の手である。
それは見る間にこちら側に姿を現し、黒い袖、頭頂周辺が紫に染まっている茶髪、そしてすぐ後に全身が現れた。
こちら側に引き込まれた勢いのまま、べちん、と言う音と共に女性が倒れる。
いい音したなぁ、と想いながら、ジョゼフは女性を助け起こした。
754瀟洒な使い魔 第三話7/7:2009/11/03(火) 18:01:00 ID:5fKHQm4g
「おい、大丈夫か? 随分といい音がしたようだが」

返事はない。よく見れば気絶しているようだ。と言うか、人間が召喚されるなんて思っても見なかった。
とりあえず彼女をベッドに寝かせ、さてどうしたものかと思案する。
ひとまず魔法は成功したようだ。でも人間の、それも女が呼ばれるというのはどういうことか。
男が呼ばれなかっただけマシであろうか。余りそういったことに興味のないジョゼフであったが、
流石に男と口付けを交わす趣味はない。
女をよく見てみる。年の頃は20代後半と言った所か。よく見てみればかなりの美女である。
ガリアでは見ない服装や顔立ちから見るに、おそらくは噂に聞く東方のものであろう、と辺りをつける。
使い魔は、自分と似たタイプのものや、相性の良い物が召喚される、と聞いたことがある。
ならばこの女もどこかしら自分と通じるものがあるのだろう。
あるいは、この者ならば自分のこの心に生じた虚無を真に理解してくれるやもしれん。
そう思いかけ、ジョゼフは首を横に振る。

「いや、ありえんな。この胸の内の虚無は、何者にも理解は出来ぬ。
 そんなことは、シャルルをこの手にかけてよりずっと、分かりきった事ではないか」

ジョゼフは自嘲気味にそう呟くと、声を殺し、低く唸るようにしてしばし笑い続けた。



それから少しして、女性が意識を取り戻した。
目覚めてすぐは多少戸惑っていたようだが、こちらの事情を簡単に説明してやると落ち着いた。
彼女自身もメイジであったようで、理解が早いのは助かった。
聞くところによれば、ハルケギニアとは違う異世界より召喚されたらしい。
自宅で寛いでいたところ目の前にゲートが現れ、誰かに呼ばれているのならば応えねばならない、と
召喚に応じたようだ。送り返す手段はないが、戻る手段がないではないと言うので問題は無いだろう。

「さて、契約についてだが……余としては別にしてもしなくても構わぬのだが。
 お前のような人間を使い魔にした場合どうなるのか。そこには興味がないではない」

「私も魔法使いとして興味がないといえば嘘になるのですが……
 その、キスしか契約の方法はないんですか? 私も外見どおりの歳ではありませんが、
 流石にちょっとばかり恥ずかしいのです」

「その辺りの苦情は始祖ブリミルに言ってくれると助かる。
 一応余の祖先に当たりはするが、確かに余もよくもまあこんな魔法を考えたものだと思うぞ」

その後語り合う事しばし。結局魔法使いとしての好奇心に負けたのか、彼女は契約を承諾した。
呪文を唱え、口付けを交わす。普通の男であれば心躍る場面であろうが、
ジョゼフの心は不自然なほど平静だった。やはりこの程度では心躍らぬか。
内心で毒づき、彼女と交わした契約の様子を見る。
彼女の額が輝き、ルーンが刻まれる。ふとそのルーンがどこかで見たことのあるものだった気がして、
配下を呼び、そのルーンについて調べさせる。面白いものなら良いがな、と、
呼びつけた者がジョゼフと彼女を見てたいそう驚いたのを思い出し、笑みを浮かべた。
そして、ジョゼフはあることに気づく。余は今しがた使い魔としたこの女の名を知らぬ。
これから暫くは共に在るであろう人間の名を知らぬのも何だ、と思い、名を尋ねる。

「名前、ですか。そうですね、ばたばたしていてすっかり忘れておりました。
 私の名前は――――」



――――その使い魔の名は、聖白蓮と言った。
755瀟洒な使い魔 第三話あとがき:2009/11/03(火) 18:01:58 ID:5fKHQm4g
======
以上で終了です。
前回レスをくれた方々、代理投稿や収録をしてくれた方々、有難うございました。
いつまでこの更新ペースが維持できるかはわかりませんが、もうしばしのお付き合いを。

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以上代理投下完了
さて、俺も執筆に戻りますかね
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 18:45:30 ID:6hWZ9LqR
作者も代理投下の人も乙
まさかの南無三
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 19:12:34 ID:Lf5141/U
おおう、最新作から聖さん登場。
個人的に、まだいまいちキャラが掴みきれてない人物です。
しかしまあ聖人さんなわけだし、ジョゼフが浄化されたりするのかしらん?

ちなみに、ジョゼフの召喚シーンを読みながら、一心に「チルノ来いチルノ来い」と祈ってました。
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 20:23:53 ID:3I0P5lwm
咲夜さんの人、代理の方乙でした。
しかし、白蓮さんとは予想外
でもあの人マジでいい人だから
まず、戦争なんか手伝わないよなぁ…
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 20:34:21 ID:tBQo5nQi
更新乙です。
って、ミョズ役聖ですか!!
この人でどうやってレコン・キスタ動かすのん?どっちかというと反乱とか止める側に回るほど良い人ですよ?
もしくはジョゼフ改心フラグ?
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 23:38:43 ID:q7HQpxTm
聖さんの場合、戦争を手伝わないは確実だろうけどそれ以外にもタバサが押し付けられるはずだった任務も進んで受けそう。
そして、任務が終わるたびに何かしら連れて帰って来て、気が付くとジョゼフの周りは人外魔境に…。
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 00:09:35 ID:PYTM6YVl
ソニックキャラを呼んだらコルベールとトルネード号の強化に明け暮れるテイルスや
ナックルズと組んでトレジャーハンターで一獲千金を狙うフーケ
アカデミーで研究されるカオスエメラルドの暴走で生まれた怪物を追うシャドウとシルバーらが見られそう
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 00:42:10 ID:JlZZslZR
乙。
……ってここで聖が出てくるとは思わなかった
どうなるんだこれはw
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 01:12:13 ID:fKAnR8P0
日本未翻訳のアメコミが召喚元はNGかな?
作品自体は日本製?なんだけれど。
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 01:13:19 ID:4qS+KSdN
ややこしいね、また
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 02:10:07 ID:e+Bk9yGn
>>763
別に良いんじゃね?
翻訳された物が問題なくて、翻訳されていない物がNGなんて縛りはないんだし。
読もうと思えば読めるんだから。
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 02:31:42 ID:RcNk7Cvs
つまり彼は原作に習って英語で書くけどいいかなと言ってると見た
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 05:08:07 ID:VM2/B8yI
>>763
元ネタがどうとかよりも内容だと思うからとりあえず書いてみたら?
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 05:19:11 ID:1lSqOEeY
瀟洒の人乙! 今回も面白かったです。

狂王の所はビューティーバb… 白蓮さんか〜、イザベラが懐きそうw
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 06:25:23 ID:LgTsScRy
咲夜の人乙でした。
聖さん召喚か…ガリアの人達が凄く白くなりそうだw
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 06:57:41 ID:ck665Dle
咲夜さんの人乙でした
しかしこれはハルケギニアに聖輦船来襲フラグだな、
魔界に行けるぐらいだからハルケにも来れるだろう
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 11:03:17 ID:XxIfZKGI
さいきんこのスレの存在を知ってまとめwiki読んだけど、気さくな王女に吹いてラストに泣いたよ
鬼作裏ルートそのままの終わりかと思ったけど、ああひっくり返るとは
772763:2009/11/04(水) 14:55:19 ID:3eRyidOU
おけみたいなので、書けたら投下しにきます。
モノはTransformers,All Hail Megatronです。
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 15:15:26 ID:CPN1Tiss
電王更新されてないけど保管庫の日付は最近になってる
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 15:47:50 ID:m2XfaoN8
>>773
タグづけの副産物だろう。
 
そういや最近来てくれないけど、カービィの人、ミーディアムの人、社長の人カムバーック
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 16:58:46 ID:WDn7hoMb
>>772 破壊大帝とな …危うく千葉トロンを基準に考えるところだった
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 18:28:33 ID:vtzVjlcp
>>775
俺のエビチャーハン!
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 19:26:39 ID:5WrjcDS7
デレるイザベラ様って破壊力高過ぎなんだよなー

つーかイザベラ様って結構胸あるよな?
大人気ない性格&タバサの血縁って事で誤解してて、初めて公式絵を見てフリーズした記憶がある。
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 21:14:12 ID:X1sRat+d
>>775
千葉と見てふと思いついた小ネタ
元ネタの映画を見てエピローグを覚えてない人には何コレ言われそうだけど
停滞気味のとこにアンプル刺すつもりで投下します

タイトルは『使い魔23』
779使い魔23:2009/11/04(水) 21:15:39 ID:X1sRat+d
『使い魔23』

審判は下された

愚かな争いを繰り広げ、母なる星を汚し尽くし、数え切れぬ命を奪った罪深き人類
その末裔たちが贖罪の旅を終え、再生した母なる星へと舞い戻った

しかし・・・人が作りし審判者は彼らを認めはしなかった

母なる星が再生へと向かう中、宇宙へ飛び立ちながらも
人々は互いに争うことをやめられず
審判者の眼前でもなおそれは繰り返されたゆえか

今、二つの都市宇宙船もろともに地球人類最後の生き残りが根絶やしにされんとしていた・・・

しかし、一人の青年がこの方舟を統べる歌姫の心を動かした
彼は愚かなまでに真っ直ぐで、世の道理を知らぬ、いや知ったことではないとばかりに理想を追った
褒められたものではないだろう、だが、歌姫は彼の真っ直ぐな心に賭けたのだ
社会が、人が変わっていくために
新たな時代の担い手として、彼が人を、世界を変えていくことを信じて
再生された緑の大地に眠る、もう一人の自分が待ち望む存在を送り出すべく
彼女は力を尽くしたのだ・・・

[FINAL PROTECTION MODE]
780使い魔23:2009/11/04(水) 21:16:53 ID:X1sRat+d
「どうせ死ぬなら、明るいところでダチの顔見ながら死にてぇな・・・」
そんな言葉を受けたからなのか、みんなで外を目指した
激しい揺れは収まり、とても今から自分たちが真空の世界にその屍を漂わせるとは思えなかった
「ねえ、イヴに会えたの?」
「ああ、イヴに教えられたよ、昔憧れたカッコいい大人になれってさ・・・
 ・・・もう遅いけどね」
(もし、まだ生きられるなら
 俺は大人になりたい、映画とかで憧れた、自分の理想のかっこいい大人に
 B・D・・・あんたの言ったとおりに、生きられる限り、思うままに、自分の憧れを目指して・・・)
階段を上り終える、天井の亀裂から日が差し込んでいた
暖かな太陽の光りが

外には雄大な自然が広がっていた
自分を呼ぶ仲間たちが居た、みんなが生きていたことに安堵し、喜んだ
気づけば仲間たち以外にも大勢の人々がそこに居た
イヴのくれた未来へのチャンス
俺たちはこれからを精一杯生きよう・・・
この再生された故郷・・・<地球>で
781使い魔23:2009/11/04(水) 21:18:23 ID:X1sRat+d
・・・とか気分出して浸ってたら

「なっ・・・なっ・・・何なのよコレェェェェェェェェェェ!?!?!?!?」

・・・下の方からけたたましい叫び声が聞こえた
事情を飲み込めず混乱する奴がいるのもわかるが、少し落ち着け
そう、思って見下ろしてみる
・・・遥か下の方は草原で、黒い服・・・マントか、を着た大勢がいる
うぉ、なんか反射した!眩しッ!!
気づけば遠くに西洋の城みたいなのが見える、戦争前から残った遺跡か何かだろうか
さすがに都合よく日本に着陸ってわけにはいかないみたいだな
とりあえず、あいつらに事情を説明して、バイクであの遺跡見学でもしてみるか!!
「よーし、みんな行こうぜ!!」
『オォーーーッ!!!!』

ルイズが未来を託された珍走団と遭遇する数十分前の話だった
ちなみにバハムートが落着したことによる犠牲者は奇跡的にゼロである

続かない

メガゾーン23 -PRATU-のエピローグからバハムートごと矢作省吾とトラッシュ軍団召喚
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 21:22:33 ID:cetuqpUw
ツンデレも胸がある人ももう一杯いて間に合ってますので・・・
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 21:23:59 ID:nMUHu6fX
>>772
誰を召喚するのか聞いてもいいかな?

>>775
アドリブが凄いだけで千葉トロンも結構冷酷なキャラだぜ。
タランスを殺すつもりで脱出ポッドを破壊装置に突っ込ませたり、ネメシス号でぎっちょんとごっつんこをバラバラに吹っ飛ばしたり。
リターンズじゃどえらいことになっちゃってるし。
タランスの裏切りを見抜いてるところからして結構賢いみたいだから召喚してもまず契約させてくれんかも。
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 21:59:59 ID:jKwUlbFv
>>771
周りで絶賛されてたから一応最後まで読んだけど、俺はなぜかクスリともホロリともこなかったなあ。終始「うーん」て感じ。
まあタバ冒はちゃんと読んでたけど、元ネタ「きさく」は名前だけ知ってて、やったことは無かったし、
笑いのネタにしてもナチュラルに笑うべきギャグシーンなのか、それとも元ネタをよく知ってることありきで笑うべきギャグシーンなのか迷う時が多々あった。
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 22:24:05 ID:BW0jpKBc
ソニックについてだけど展開が思いつかずボツろうかと思ったが、
別にそんなこと無かったぜ!
時間はあんまり無いけどちょくちょく書く。
786名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 22:42:23 ID:3eRyidOU
>>783
タバサ:サンダークラッカー
ルイズ:サンストリーカー
どちらも裏切り者で生死不明ですが。
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 22:59:32 ID:ZkrZT5Ol
>>774
流れちまうこっちだけじゃなくて避難所の応援スレにも書くと、
作者さんの目に留まりやすいかも

>>784
そういうのは避難所の毒吐きでお願いします。
788名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:04:34 ID:lYxu6nPe
>>787
毒吐き行くほどでもないだろ
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:12:06 ID:hx6suZUi
別に口汚く罵ってるわけでなし
どっちかってーと語らんかの方じゃね?
少なくとも毒吐きじゃねぇとは思う
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:12:17 ID:ZkrZT5Ol
いや〜、行っておいた方が良いだろ〜
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:13:04 ID:ZkrZT5Ol
>>789
口汚く無ければ良いって話でも無いんじゃね?
792名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:15:33 ID:16seVaDc
>>775>>783
やるんならジョセフが召喚する方が合うかも。そうなるとどっちが上手になる事やら。
メガトロンはおとなしく従う素振りを見せていながら国を乗っ取る事を考え、
ジョセフはソレを知った上で使い魔にしている。
だがメガトロンはそれすら織り込み済みで、ジョセフは・・・以下エンドレス。
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:15:37 ID:ZkrZT5Ol
つーか、語らんかは>>1に『欠点・難点を挙げるときも「誉めつつ貶せ」』ってあるし、>>784は無理じゃないか?
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:18:16 ID:6uA2nb6S
なんでそんな必死なの?
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:21:12 ID:ZkrZT5Ol
>>794
ちょっと過剰な位に保護しないとSSを書いてくれる人が居なくなっちゃうじゃん?
796名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:24:11 ID:0bjYRMV/
去年の今ごろは週に2スレも消費されててよかったなあ〜
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:27:35 ID:A61aoMvC
召喚相手を表記しない時点で駄作なのは分かってるだろうに

スルーしろよ
798名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:44:42 ID:GoUq0nak
>>796
ま、盛者必衰ってやつさね
仕方ないよ
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:48:48 ID:8PHRClJi
アニメ見直してて思ったんだけど
タルブ戦でフーケが出てきたんだけど、あれはアニメオリジナルだよな?
まとめwikiにある作品でタルブ戦でフーケ出てくる作品ってあるの?
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:53:10 ID:QM6r1aJ4
あるよ
801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 00:42:56 ID:0v7Zm2In
そういえばアニメじゃティファニアの家に子供もいなきゃフーケさんもいないね
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 01:11:36 ID:y6aKybrT
>>800
あるんだ
どれかわかる?
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 01:33:48 ID:Tvzwk6tB
いいかヴァリエール、お前とツェルプストーは一人一人では単なる火だ
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 01:37:15 ID:deuvn/zl
ただし火と火が合わさることで炎となる!
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 01:45:00 ID:+xErbtPn
>>802
うたわれるもの、だっけ
ハルクオってやつ

あとはジョジョスレの「銃は杖より強し」

あとは忘れた
806名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 01:53:44 ID:Akb0xGyw
>>805
おしい
ハクオロだ
漢字で書くと白皇
807名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 01:54:33 ID:Akb0xGyw
俺のIDがAKB0・・・
メンバ全員脱退かよ
808名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 02:33:43 ID:5qYMxT3k
召喚されすぎに注意ってとこか
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 03:17:41 ID:+4ZFL08y
順にハルケに召喚されていくAKB48メンバー

しかし日本視点で
一人、また一人と消えていくメンバー
どれだけ厳重な警備をしようと、あざ笑うかのように消えていく
そして誰もいなくなった……

と書くとちょっとしたホラーだな
810名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 06:38:09 ID:UENmV85a
ロマリアの武器庫に眠っているのがAK-47じゃなくてAKB48……。
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 10:14:47 ID:cUzv2YvV
人間を固定化とな
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 10:39:17 ID:hp2bkVJ0
>>810
オスマンの秘蔵コレクションですね
813名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 11:08:57 ID:yr24dWIr
多人数で強くて条件付きで従う人達…
つ十二仙
つ十天君の一部
つ十六翼将
後が浮かばないorz
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 11:20:18 ID:QO3VTcMs
>>813
八部衆の幾人かは協力してくれそう
具体的にいうとレンゲとダン以外
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 11:53:02 ID:TfeNNThc
十傑衆とか九大天王とか
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 12:16:55 ID:iQ8JgLOy
>>813
闇の書(夜天の書)からヴォルケンリッター
あとあれだ
トップの言うことに無条件で従うような集団を丸ごと呼んでトップを従えれば

ミリオンズ=ナイブズ(融合体)率いるガンホーガンズの皆さんを
817名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 12:18:42 ID:0MRlgLMC
LFOの人は確かに先が見えない展開をしているとは思う。色々作品を見たけど、アルビオン側がタルブとラ・ロシェールの占拠に完全成功したやつってなかなか無かったような気もするし。
けどまぁ、欲を言うならせっかく『ポケモン』って作品から『何か』を召喚するんだったらポケモンの方が話が弾んだ気もする。
それにあの作者はルイズが嫌い云々というよりミーが嫌いだからあんな展開にしてるんじゃないかな?
ポケモン映画は三作目まで劇場に見に行ったクチだけど、アニポケ好きの間じゃミーは、引き篭もりで我が侭で自己中、おまけにチート使いって事で印象はあまり良くないし。
長文&チラ裏スマン
818名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 12:39:40 ID:4Hy+P/BI
ラティの方はほとんど進んでないしなぁ……
819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 12:41:42 ID:QO3VTcMs
>>815
あいつら話聞いてくれない上キャラが濃すぎてルイズたち、というか作品自体が
飲み込まれてしまう。
だから「スーパー横山大戦」も挫折した
衝撃のダンナなんか「我にビッグファイア以外の者に忠誠を誓えというのかぁ!」と
エラいことになりそうだ
820名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 12:46:06 ID:deuvn/zl
>>819
セルバンテス叔父様は小ネタで召喚されてはいたんだが…
九大天王はなんだかんだ言って大作の面倒みるし相性は悪くないんじゃないか

アルベルトを使いたいならルイズとサリーを重ねてみればいいんじゃないか?
821名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 12:58:10 ID:QO3VTcMs
>>820
「燃え尽きる日」の方の九大天王だったりして
822名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 13:07:28 ID:deuvn/zl
そっちは無理っぽいな…
あれ見てるとOVAの印象がどんどん崩れてった

けど相変わらず子供好きなセルバンテスおじさんはいけそうだ
823名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 13:31:32 ID:7+JLfWWm
いきなり出てきた怪しい髭眼鏡ターバンのおじさんに思わず泣いてしまったルイズをあわててあやすセルバンテス小父さんと申しましたか
「やぁやぁ、悪かった。おじさんが悪かったから泣き止んでくれたまえ。ほら、飴ちゃんをあげよう」
824名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 13:56:33 ID:hp2bkVJ0
お池にはまったミーちゃんが〜♪
825名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 15:49:16 ID:3Owyqlif
ルイズのパートナーなら、やっぱり人間爆弾のあの人な気も
826名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 15:54:03 ID:31ONwMtU
ノーズファンシーキャノン!
827名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 16:05:26 ID:2xjoZGHR
ノーズフェンシング!
828名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 16:27:48 ID:Q8+eQEc1
ギャアーーーッ
829名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 16:46:06 ID:6X84VMv+
次鋒レオパルドンがルイズに召喚されたSSですね
830使い魔23:2009/11/05(木) 17:48:53 ID:70m1jmk+
>>816
そのトップは絶対従ってくれねぇw
最終回後なら見守るくらいはしてくれそうだが

複数の人たちねぇ・・・
八卦衆とか鉄甲龍が無い世界なら条件次第で従う人もいるだろう
耐爬は契約には応じないだろうけどな
ナイトクォーターズ・・・絶対無理
オデッサ・・・トロメアは人が好いから結構簡単に契約に応じてくれることだろう
っていうか、オデッサでまともなのあいつだけな
カイーナだったらリスク承知で自力で帰還しようとするだろう
預言者・・・活動目的や実現手段自体が無くなるが、どいつもこいつも超個人主義って感じなので無理臭い
ブリューナク・・・こいつらも活動目的を失い、ラムダは異世界に干渉しようとまでしないと思われる
ベリエールの力を使えばすぐ帰れるだろうし
ヴォルスングとフォーカード・・・ベルーニと人間の壁がそのままメイジと平民のそれに移行
ハルケ絶滅計画を進行させる

・・・ワイルドアームズの敵どもは個人レベルでならそこそこ居るんだけどなぁ
ブリューナクなんかはルイズの厄介にならんでもひとりでやっていけるのがほとんどだ
怨霊から開放されたヴォルスングがメイジと平民の壁を取り除くべく頑張る話なんかは読んでみたい気もする
831名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 18:46:14 ID:ddoq3Gzr
○人衆みたいな集団で1番人数が多くて全員の名前や能力も判明してる奴等って何だろ?
832名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 18:50:33 ID:VMURjQlM
水滸伝の百八星
あとはそれが元ネタの星矢のスペクターとか……
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 18:51:20 ID:2fbYY4+1
ラムネ&40。
834名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 19:11:52 ID:7udFPZ/X
規制が解けたらラッシュが来るかと思ったら……
835名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 19:36:11 ID:7ex0EM4q
>>832
スペクターって名前が分からないまま倒された雑魚も混ざってなかったっけ?
836名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 19:39:49 ID:VMURjQlM
>>835
今調べたら……そうみたいね
しったかスマンw
837名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 19:54:01 ID:+4ZFL08y
四稲家の人々の、月の里の12月衆の一人、卯月に従う忍者百人とか
838名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 20:28:13 ID:yr24dWIr
複数召喚…あとは…
つ半熟忍法帳のレズくの一共
つ薫と犬神×10
つ博覧亭の榊と付喪神共
つペルソナシリーズの主人公と仲間達
…書いててなんだが…従うか微妙な…つかレズくの一共はエライ事になりそうだwエロ的な意味でw
839名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 20:45:27 ID:TxrqAHob
BLEACHとるろ剣の10なんとか、仏ゾーンの阿修羅くんたち、ゼオライマー
840名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 20:47:02 ID:TxrqAHob
>>837
最後ので、透と百人の忍者を思い出せた
841使い魔23:2009/11/05(木) 20:50:12 ID:70m1jmk+
ペルソナか・・・
異聞録だとルートとタイミング次第で変わるが
雪の女王編の後のセベク編で幽霊屋敷からユガに飛ぶ時に・・・とかなら
なんかギーシュとの決闘も交渉でアレコレなんてしそうで楽しい
3のストレガだと、影時間が無ければただの見た目からやべぇアウトローだよねぇ
P3ネタだとなんやかんやで影時間あるのがほとんどぽいけど
立場への執着も無ければジンやチドリは思うところあるかもしれんが
タカヤは使い魔になることも条件次第で呑むかもしれん

って、制御剤がねーじゃん・・・orz
842名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 21:01:28 ID:bj1G8I6G
>>841
とりあえずコテ外しとけ
843名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 21:03:49 ID:TKdskWyp
最初は外し忘れたのかと思ったけど、二回目ってことは違うか
なんでこいついつまでもコテ付けてんの?
844名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 21:05:43 ID:SrZzbZ1X
ソロモン72の魔神は全員の名前と能力は判明していたっけ?
もっともルイズに制御しきれるかどうか疑問だが。
845名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 21:31:59 ID:TxrqAHob
七人の小○は黒服エージェントが召喚されちゃうからダメか
846名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 21:38:08 ID:70m1jmk+
素で外し忘れだよ!!orz
指摘されなきゃずっとこのままだったよ・・・
すまん、そしてありがとう・・・

ちなみに駄文は本当に忘れてかまわんですたい
規制の所為でかどこもかしこも過疎ったような状況が苦しかったんだ・・・
847名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 21:47:37 ID:TxrqAHob
忘れて構わんって、直後に「イラネ」ってレスが付いただけのもんで何を言ってるんだ……
848名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 22:20:36 ID:+xErbtPn
短編として剣と魔法と学園モノ。の1パーティを呼んだ話は考えたことあるな
一言も喋らせないで

時間ができたら書いてみよう……
849名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 22:23:43 ID:y/TBBmMq
>>840
それだと最初からルイズの後ろにヒグマがいるんじゃね?
850名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 22:39:12 ID:56GGl1wn
>>844
大体分かってるけど、本によって一部の魔神がバラバラだったりする
デカラビアかわいいよデカラビア
851名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 23:05:44 ID:oV/y/vbJ
タルブ村の竜の羽衣をR-TYPEとかのシューティングゲームの機体にするなら
どの作品のどの機体がいいだろうか。
852名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 23:12:02 ID:7udFPZ/X
超時空戦闘機ビッグバイパー
もちアルビオン艦隊はビッグ・コアやクリスタル・コア
853名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 23:19:13 ID:0juu5o47
×ビッグバイパー
○ビックバイパー
854名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 23:36:19 ID:V55w8sNH
>>851

ゼビウスのアレ
855名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 23:46:20 ID:/aGhc0Jb
STGと聞いて思いつき

シタースケインのSTG・RefleXから自機パイロットの平賀才人を召喚、
竜の羽衣は同サークル制作STG・ALLTYNEXのパイロットが残した自機

一発ネタで限界くさい上にゼロ魔蹂躙も確定してそうだ


……一応もうちょい練ってみるかね
856名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 23:56:18 ID:5m04JsLY
>851

857名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 00:01:23 ID:dSpw050J
>>856
そいつは防衛専用だと思うw
858名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 00:10:54 ID:KeGLiFt1
タルブで上から降りてくる竜騎士を次々と撃ち落し、
たまに上空を通り過ぎる戦艦を撃ち落せば高得点なんですねわかります
859名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 00:31:58 ID:Rp2LQmMq
>>856
それだけでGMが浮かんだのは僕だけ?

GMは (凸)  なのに。

860名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 01:02:53 ID:9pOT2fWd
>>859
安心しろ、俺もだ
(凸)ならフーケのゴーレムにやられてしまうだろうな
861名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 01:06:14 ID:qZ6EN0GO
でもまあ、ビームスプレーガンでも、M72よりは強力じゃね?
862名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 01:15:14 ID:9SU8wIcO
ビームスプレーガンじゃ30Mの土の塊は壊せんよ
863名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 01:28:21 ID:qZ6EN0GO
貫通力重視の66mmLAWの成形炸薬弾で木っ端微塵になるようなのが相手なら、オーバーキルな程だと思うぞ。
864名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 01:31:52 ID:RSAcNsEo
ビーム兵器だと破壊できる体積が少なすぎて再生速度を追い越せそうに無いから逆に実弾兵器が活きるんじゃないかな
つまり陸ジムとか
865名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 01:34:37 ID:WRsvwA6B
おま……
仮にもチタン合金の装甲と
ビーム兵器搭載のGMが
何が悲しくて土ゴーレムに負けなければいかんのだ

全高105mの(凸)呼ぶぞこら
866名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 01:44:54 ID:wR3QBs5v
何が悲しくてって、あの機体そういう役回りだろ
867名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 01:51:03 ID:mKDuRmb7
シューティングゲーム?セガガガガのR720
瀬賀太郎セガの全キャラクターを操る。
868名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 01:56:20 ID:TmXV7H+F
>>865
30Mの大きさでぎっちり詰まった土だぞ
そんな質量ぶつけられたら中身スカスカのチタン合金なんかあっさり潰れる
869名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 02:01:38 ID:fkFc0Bin
ここは何かとエースで引っ張り凧のジムストライカーで
アーケード版での動きはまさにMSガンダ、当たらなければd(ry
870名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 02:14:30 ID:9Z1BHKCl
>>864
ビーム兵器の場合熱量のおかげで着弾点で爆発が起こるからゴーレムの残骸で近場の味方がやばそうだ
871名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 02:15:09 ID:ld4wFBAe
ビームサーベルじゃダメなの?
872名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 02:19:30 ID:SbVfWXeZ
ロボでガンダムで喚べそうな奴というと・・・・

隊長のザクさんならなんとかなるかな?
873名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 02:34:57 ID:NSx0UKuH
黒騎士中隊でいいよ
874名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 04:17:08 ID:DHn/Mz04
ビーム兵器も実弾だけどね。ガンダム世界のは重金属をレーザーで加速してぶつけてるんだっけ?

隊長さんのザクならルイズに振り回されるトホホ具合が似合うが、整備の旧ザクに教え導かれるルイズも捨てがたいな。
875名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 04:20:23 ID:vk/fWu3n
シューティングでなぜか一番にマリオRPGのかぶとむしがでてきた
876名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 04:25:50 ID:DHn/Mz04
シューティングか・・・・
俺の場合、ふと考えてみて真っ先に出てきたのは光速船のアステロイドの砲台だ。
877名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 05:17:31 ID:tQ0NwYIA
シューティングと聞いてイダテンの兄貴が真っ先に浮かぶんだが…
爆発の後に何故かポージングをとりながら、降臨してくる神々しいマッチョの兄貴

一同『何かスゲェのが喚ばれたっ!?』
878名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 06:47:04 ID:OZ9KWVLw
曲がりなりにも本物の神様だしな、韋駄天の兄貴は。
ジョゼフの使い魔が弁天の姐さん(やる気無し)に、
教皇の所はボ帝ビルになっちゃうのか…
879名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 07:15:04 ID:ykytG2NT
土ゴーレムに負ける(凸)談義で、サクとかシムとか連想してしまったw
あれこそまさに土ゴーレムにすら負けそうだよなぁ。
880名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 07:21:49 ID:VCd/PQ+e
>>879 踏まれて、ペシャっと潰れてヒラヒラと風に舞うんですね、分かります
881名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 07:44:59 ID:2J20s1eC
>>880
想像出来た。トニたけ絵でwww
882名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 07:47:23 ID:JN5kSFqN
>>877
超兄貴のイダテンと聴いて…

登場したら既に瀕死
→たまたま目の前にいた木こりがイダテンそっくり
→木こりに全てを託してイダテン死亡
→アドン&サムソン登場
→木こりはイダテンと勘違いされたまま旅が始まる…

と言うストーリーラインを思い出した。
このイダテン(偽)が召喚されたら…(涙
883名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 08:01:14 ID:VlpJL1aB
召喚された時は肉体美あふれるマッチョなのにワルドと戦う頃にはヒョロヒョロになってるんですね。
884名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 10:06:16 ID:YezjniOT
30mゴーレムvs地面を埋め尽くすサク
どう考えてもゴーレムの勝ち
885名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 10:30:19 ID:yng4gBVa
でもBETAは地を埋め尽くす小型種が戦術機を圧倒しているぞ

まあサクがBETAなみの戦闘力と闘争本能持ってるかどうかはかなり疑問だが
そーいやサクとかシムって全長幾らくらいなんだろ
15,6Mくらいあるはずだ
886名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 11:52:02 ID:lZEVxkyx
>>849
ルイズの後ろにピグマンが、に見えた
東映版ならともかく真版ピグマンなら割りと当たりだと思うんだ
問題はどっちの手にルーンが出るかだな
中の人的な意味で
887名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 12:02:11 ID:OxGfP/tv
軍ならパタポンかな。ハルケギニアにマーテルがなければ死体の山が連なるだろうけど。

ただルイズにパタポンを指揮ができるかは怪しいな。すぐに「ガッカリー」「かみさま落ち着いて!」とか言われそうだw
888名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 12:02:39 ID:yng4gBVa
東映版は生身でマジンガーと渡り合うツワモノですぞ
もっとも「居なかった事」にされてしまいましたが
よし、じゃあ「サーガ」版にしようか
・・・・・・・・見た目が異形な以外特徴ねーな
本人にどの程度の戦闘力があるのか分からず仕舞いだったし
889名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 13:15:18 ID:8AdFD6Ml
東映版ピグマンは真のあしゅらやブロッケンより間違いなく強いだろうからな
終盤のマジンガーをガチで苦戦させてる
890名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 14:35:29 ID:n+JQsvsV
土と金属じゃあ密度が違うからゴーレムがいくらでかくても
砂糖菓子の弾丸は打ち抜けないっていうそのままになるだろうなあ
891名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 15:02:09 ID:wR3QBs5v
フーケゴーレムに一番サイズが近いのはΞとペーネロペーか、だいぶでかいなw
892名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 15:40:13 ID:9pOT2fWd
サイコが40mだからな
893名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 15:58:32 ID:QIaRBJNQ
最近のじゃあデストロイの38mあたりか、もっともほんとに怖いのはキレたステラだが
というかロボットよりも搭乗者の性格のほうが恐ろしいことのほうが多い
894名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 16:05:48 ID:FQK3Chz7
そういえばからくりサーカスの序盤だと、人形をロボット扱いする奴がいたっけな…

…からくりサーカスから阿紫花召喚なんてのを思いついた
真夜中のサーカスで自動人形相手にプルチネルラで無双してたあたりから呼べば…
895名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 16:11:00 ID:Bhg/WBfQ
ガンダムユニコーンのクシャトリヤはクィン・マンサのダウンサイジング機体だから
30m級かと思ったら…頭頂高は22.3mと意外に大きくなかった(νガンダムが頭頂高22m、全高24m。
バインダー部分含めた全高だと30mいくんだろうけどね。
896名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 16:12:30 ID:k9Kpe8pP
>>894
まとめスレにあるじゃん
ギーシュとの決闘あたりで中断してるけどw
897名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 16:14:21 ID:nsH+HjBr
そろそろスレ違になってるでー
898名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 16:45:04 ID:QIaRBJNQ
ともかく、ガンダムとかロボットでフーケゴーレムとやりあうんだったら、ビームライフルで一発は味気ないから
鉄人みたいにがっぷり四つに組んで戦ってほしいな。
899名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 16:48:08 ID:FQK3Chz7
ならいっそケドラwithガラダブラとか呼んだらどうだろうとか言ってみるテスト
900名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 17:01:38 ID:k9Kpe8pP
ガンダムOOのクロスネタがまとめwikiにあるけど召喚のみの1発ネタで終わってるな
まぁ、MSなんか持ち込まれても話は広がらないだろうな
タルブでカプルとかボルジャーノンとかが発掘とかならまだしも
901名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 17:15:48 ID:rGYPZJt2
本スレの方ではなぜかとらドラの高須竜児召喚で盛り上がってた。
902名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 17:17:42 ID:GVKAloBw
>>900
MSに限った事じゃないが、巨大ロボを安易にゼロ魔の話で運用しようとすると、大概の場合図体とか
過剰過ぎる火力とかの所為でかなり使い所が限られるからな。
903名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 17:31:53 ID:k9Kpe8pP
>>902
ルイズが召喚してテンプレに原作イベントをこなそうとするから良くないのかも
テファ編なら貴族派なり王党派なりいきなりバトル展開
ジョゼフ編ならミョズの能力フル稼働で魔改造ヨルムンガント量産計画
ヴィットーリオ編ならいきなり聖戦発動
904名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 17:47:14 ID:9pOT2fWd
ヴィット「青き正常なる世界のために!」
とか言い出すのか
905名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 17:49:15 ID:FQK3Chz7
ヴィット「ィやったァァァァァァァァ!!」(CV.勇者王)

こうですね、わかります
906名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 17:51:25 ID:OxGfP/tv
心理学者呼んだら真っ先にルイズは「あああああんたは、ご、ごごごごご主人様に向かってえ〜」←このドモリ口調を治すためのカウンセリングを受ける
907名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 18:00:21 ID:Od6BPGo8
なるほど。
ゆうメンタルクリニックのマンガに出てくる先生と看護師召喚か。
…実在人物が元だけど
908名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 18:40:41 ID:n903mPGJ
魔法が使えない方はメンタルへ!
909名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 19:04:31 ID:9Z1BHKCl
>>884
ネタ元的に大量のサクにまとわりつかれて敗北するゴーレムの絵しか思い浮かばないんだが
910名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 19:17:04 ID:SbVfWXeZ
あの世界でも使えるMSというと、
D・Dザクというごく一部の人間しか覚えていないであろう
量産性と操作性を追求した究極もMSが一応あるのだが・・・・
911名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 19:21:38 ID:VCd/PQ+e
ゴーレムにサクがまとわりつく→ゴーレム、手足振り回してサクを振り落とそうとする
そのうちに間違ってサクを1、2体踏んずける→ゴーレム素っ転ぶ

俺の妄想力だとこの辺が限界だわw
912名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 19:33:44 ID:fJLjia8s
ガンダムとかなら、自動で修理してくれると便利だよね。
あとは強敵の戦いもあるだろうから、成長してくれたら良いかもね。
ついでに数で押し切られない為にも分裂とか出来ると良いよね。

>>887
パタポン召喚ならまとめwikiにあるよ、たぶん
913名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 19:44:00 ID:9u8lF6BC
>>912
全部満たすとなるとデビルガンダムとその眷属しか思い浮かばないんだがw
あれって最終的には増殖の果てに空間そのものを完全に同化して
宇宙規模で外に向かって侵食を続けるとかいう話をどっかで見たような・・・
914名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 19:58:25 ID:FQK3Chz7
その辺はゲッター線に通じるものがあるな

そういえばコーウェン&スティンガー召喚の人はどこいったんだ?
915名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 20:03:51 ID:kicsEA1O
魔獣戦線とのクロスは最後が見事な虚無り方で関心したなぁ
916名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 20:08:34 ID:Dzy+tSWX
>>914
あの初っ端からインベーダーに寄生されてたやつかw
あれあそこから話しを続けようがないでしょwww
(文字通り蹂躙される)
917名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 20:10:01 ID:9Z1BHKCl
>>910
あれを使いこなせるほどの人間がハルケには一人もいねえwwww
918名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 20:12:21 ID:57/pUElG
いや待て
文明的に、自動販売機の前で泣きそうなところは資格を満たしているのでは・・・?
919名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 20:18:12 ID:aIHzsfUO
使い魔キリシア様(ミョズ)謹製のピンク色のザクポンで単身アルビオンに潜入するルイズが見えた
920名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 20:24:50 ID:gB9gCv6V
映画直後のνガンダムならゴーレム相手に組んず解れつの格闘をしてくれるに違いない
921名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 20:29:09 ID:fJLjia8s
>>913
それでもアルティメットガンダムなら、アルティメットガンダムならなんとかしてくれる。
922名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 20:58:56 ID:LbS4Yauz
アルビオン大陸取り込んでデビルアルビオンですね、わかります。
923名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 21:02:04 ID:1KnM1Nfb
タルブにホワイトドールと呼ばれる石像があってだね・・・
924名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 21:02:29 ID:FQK3Chz7
で、ルイズとサイトの石破ラブラブ天驚拳でハートの穴開けられて消滅ですね、わかります
925名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 21:02:59 ID:6zYcx2TG
サクは18Mな
926名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 21:09:29 ID:SbVfWXeZ
容量やばいんで次スレ挑戦してみます。
927名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 21:11:46 ID:SbVfWXeZ
次スレ

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part259
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1257509460/
928名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 21:29:25 ID:2J20s1eC
>>927

>>923
二つの月の内どっちをディアナ様の居る月にしようか
929名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 22:08:55 ID:nrR1OxPe
水兵服に興奮したギーシュたち的にはセーラー服姿のガンダムってどう写るんだろうな?
930名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 22:11:39 ID:uarS3xoD
>>929
アレは、単純に興奮したポイントが違っているんだろうから、
ガンダムに着せても反応はないと思われ。


外国人に、日本の学生もののAは人気があるんだよ。
女の子が水兵のコスプレしているという視点で。
931名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 22:14:57 ID:ICd0RQYw
だからヅダにしろとあれ程…
932名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 22:23:46 ID:mDNFS+Am
>>840
真理とヒグマ も一緒にな
933名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 22:58:51 ID:jYA+V5GC
>>929
それでもマルコメなら……マルコメならやってくれる!
934名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 23:09:48 ID:AYABpq5z
>>877
兄貴召喚は考えた事はあるんだが、己の文才の無さが呪わしいわ。
プロットは完結まで考え付いたというのに。
とにかく一番の欠点である地の文を書けるようにならんと。

>>891-892
ここのクロスSSでは結構簡単に勝っているケースばっかだけど、
実際にはとんでもなくデカイヤツと戦っている事が分かるな。
935名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 23:13:56 ID:pCtzm6Bl
>>910

確かにハルケギニアの連中に三つ以上ボタンのある機械が使えるとは思えないが……。
して、ぢ体大はどの国にあるのかな?
936名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 23:42:25 ID:/in3gW8q
ボタン三つとかいくらなんでもなめすぎだろ
文明レベルはともかく知能レベルは似たようなもんなんだ
教えれば(そして素直に教わる気があれば)おぼえるよ
937名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 00:09:01 ID:Ky468/cD
サイト「四則演算って判る?」
ルイズ 「全然」


さすがに↑は「ねーよwwwww」と思ったわw
ハルケギニアなめんな、地球人。
938名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 00:12:23 ID:rlq5hiuK
>>936
君はあの大学のレベルというモノをわかっていないw
939名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 00:20:12 ID:sc+cegTm
>>937
読んでないんで見当違いかも知れんが、それは四則演算という言葉が分からなかっただけじゃ?
940名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 00:42:59 ID:QTFgFvQb
少なくとも魔法学校に数学の授業はないんだよな
まぁルイズなら教えれば使えそうだけど
941名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 00:49:40 ID:djuafSM7
>>934
アニメではジムくらいのサイズだから、みんなそんな感じで書いてるんじゃねぇか?
942名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 01:14:53 ID:u+SaKiIf
むしろサイトが四則演算という言葉を知っていたことに驚いた
943名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 01:17:57 ID:Tv5cUahU
一応受験戦争を勝ち抜いてんだから・・・w
944名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 01:24:44 ID:5dhj4Wn9
>>934
ぶっちゃけ40メートルとかノボルが良く考えなかっただけじゃないかねぇ。
印象的には4、5メートル位としか思えんw
945名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 01:33:38 ID:EyTuq474
考えるな、感じろ!
946名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 01:39:50 ID:kz7tpsnK
サンレッドさんストップ!ストップ!
947名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 01:42:52 ID:Ky468/cD
>>944
だよね。
送電用の鉄塔が大体30m以上あるらしいだけど、あんなの巨大な土砂の塊をLAW1発でどうこう出来るもんじゃないw
肩に乗っているマチルダ姉さんだってあまりの高さに身がすくんでしまってもおかしくないレベルだと思う。
948名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 01:51:38 ID:0hoD9JRW
どう考えても30mは無理があるし、想像し辛い
大きくても10mくらいまでしか思い浮かばない

要するにサイコガンダムを生身で相手してるようなもんだろ?
普通に考えたら天災規模ならいけるかもしれんが、半端な炎とかじゃへのつっぱりにもなりゃしなさそうだ
それに立ち向かおうとしたルイズは真の愚か者か、命知らずか…サイトも大概だけどね
949名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 02:06:25 ID:cq2kgkWR
ジムぐらいの大きさ…

ゴーレムの真ん中に乗って死ぬフーケ
ゴーの意志で全滅するハルケギニア
が一瞬うかんだ
大きさの問題はあれだ
心理的なあれだよ
950名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 02:07:29 ID:JhBBP57+
>>948
でもデルフリンガーがあれば互角だよ
951名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 02:23:29 ID:ndmDJDi3
「宇宙空間は弁当が腐らなくていいなぁ」「ばい菌が死んじゃうもんなぁ」
こんなネタ誰が判るんだよw

ロバ・アル・カリイエでも死なんだろ。ぢ体大生ならw
952名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 02:50:17 ID:0JSZKVjt
tesuto
953カオスヒーローが使い魔:2009/11/07(土) 02:53:45 ID:0JSZKVjt
こんばんは。予約がないようでしたら5分後に投下します。
954カオスヒーローが使い魔:2009/11/07(土) 02:59:34 ID:0JSZKVjt
それでは行きます。
「カオスヒーローが使い魔」

ルイズは授業が終わり、夜になっても帰ってこない魔人に怒りを感じていた。
「あのバカ!自由すぎるわよ!何で私のところに来ないのよ!」
契約をしていないとはいえ、ルイズは絶対に使い魔にするつもりである。だが、相手は決して許さないだろう。
「どうしたらいいかしら。」
そういえばあの魔人はこんな事を言っていた、え〜っと確か

――ならねぇよ。少なくとも俺より弱い奴の使い魔にはな。――

ルイズは頭を抱えてしまった。結局難題である事には変わりなかった。あいつより強くなる。それが条件なんて
始祖は私に何か怨みでもあるんだろうか・・・。
考えていたら段々腹が立ってきたので何かに八つ当たりしそうなその時に、部屋のドアがノックされた。

「失礼します、ミス・ヴァリエール。ミスタ・カオスヒーローをお連れしました。」
メガネをかけたミス・ロングビルがドアを開けて一礼する。後にはあの魔人が立っていた。
部屋に入って彼が何か言おうとする前にルイズの怒りが爆発した。
「ちょっと!何でこんなに遅くなるのよ!先生達と話してきただけなんでしょ!?」
怒りで目が釣りあがっている。歯もむき出しで今にも噛み付いてきそうだ。
「道に迷ったついでに見物してただけだぜ。その前になんでお前に怒られなきゃなんねぇんだよ?」
「ミスタ、あれを見物とおっしゃいますか・・・。案内を頼まれ貴方を追いかけるはめになった、私から言
わせてもらうと走り回ってグルグルしていただけだと思います。」
オールドオスマンの部屋を出た後、せっかくだから学院の中を見物していた魔人。しかし傍から見れば、
風のように走り、そのまま壁を上って屋根の上に立ったかと思うと夜空に向かって大ジャンプ。追いかけていた
ロングビルは目を丸くしながら必死に追いかけていた。それを学院中で行っていたのだから追いかけるロング
ビルとしては災難以外の何物でもない。
955カオスヒーローが使い魔:2009/11/07(土) 03:00:51 ID:0JSZKVjt
「出来れば学院を走り回るのはやめて頂きたいものです。それではこれで。」
疲れきった表情で出て行くロングビル。
「何してんのよ。っていうかそんなことしてたの・・・。」
あきれてものが言えないルイズ。
「久しぶりに悪魔がいない夜を満喫したぜ。」
「当たり前でしょ!こっちはあんたの世界みたいに物騒じゃないわよ!」
「そのかわりロクな人間がいねぇな」
「何でアンタにそんなこと言われなきゃいけないのよ!」
「そのうちわかるぜ。ところで俺はどうやらこの部屋で過ごさなきゃいけないらしいが、お前はいいのか?」
そんな事を訪ねるとルイズは当然のように答えた。
「使い魔は主人のそばに居て常に守るものよ。あんたの役目なんだからこの部屋に居ても問題ないわ」
「そうかそうか。じゃあ俺は寝る。久しぶりのベットだ。ありがたく使わせてもらうぜ」
「何でアンタがベットなのよ!アンタは床に決まってるでしょ!」
「俺に勝ったら譲ってやってもいいぜ」
そういって魔人はルイズの目を睨み付ける。
「ふ、ふざけないで!」と言いつつも、やはりたじろいでしまう。
「お前よ、もっと強くなる努力したらどうだ?力が欲しいんだろ?偉そうにするのは自由だが
実力が伴ってないぜ」
「な、なんですって!?」
「弱い犬ほどよく吠えるってことだ」
そういって魔人はベットの上にドサッと身を投げてそのまま仰向けで寝てしまった。
「い、言わせておけば!」
ルイズは杖を手に取り魔人に向かって魔法を使おうとした。ベットに目を向けた時、横になっている魔人の姿
が消えていた。
「・・・?」
部屋のどこにも居ない。後ろを取られたかと思ったがやはり後にも居ない。不思議に思いつつ、首をかしげながら
独りになった部屋で就寝する事にした。いきなり戻ってきて脅かされるんじゃないかと少し警戒していたが、
魔人は結局現れる事はなかった。

「だめだな、久しぶりのベットは逆に体にあわねぇぜ」
彼はルイズが杖をとるため一瞬目を離したときに窓から屋根の上に飛び出していた。すでに人間ではない彼に
とって、もはやベットの上も岩の上も同じものだ。
「しかし、黙って泣き寝入りするかと思ったんだがな。さすが見込みは十分だ。元の世界に戻れるまで、
この世界をカオスに導いて見るのも悪くねぇかもな」
ルイズはその犠牲者となるのか、それとも・・・。
956カオスヒーローが使い魔:2009/11/07(土) 03:01:58 ID:0JSZKVjt
朝。本来なら新しい使い魔が主人を起こし、身の回りの世話をする。
主従関係を教える第一歩と言ったところだろう。が、
「ちょっと、何で起こしてくれないのよ!」
「頼まれてねぇし、聞くつもりもねぇな。目覚ましセットして自分で起きろよ」
「何よ目覚ましって!あぁ!早く着替えなきゃ!そこのクローゼットから着替えをだして!」
「自分でやりな。甘ったれてんじゃねぇ」
そういってさっさと魔人は出て行った。「使い魔のくせにー!」と叫び声が聞こえたが無視していく。
「さて、飯でも食いにいくか」
そういえばこっちの世界の飯は初めてだな、と思いながら廊下を歩いていると向こうから尻尾が炎に包まれている
トカゲ、サラマンダーが歩いてきた。
「こっちにもサラマンダーがいるのか。向こうだと悪魔合体で造るのに苦労するってアイツが言ってやがったな」
しゃがんでサラマンダーに向かって話しかける。
「よぉ、お前も召喚されたのか?」
返事をするかのようにきゅう、と鳴いたサラマンダー。
「やっぱりそうか。ところでお前らはマグネタイト無しでも生きていけるのか?」
首をかしげ、「何を言っているのかわからない」と態度で示す。
「なんでもねぇ、気にすんな。じゃあな」
そういって立ち上がると廊下の向こうからサラマンダーの主人が歩いてきた。キュルケである。
「あなた、今フレイムと喋ってなかった?」
「さぁな。それより飯食いてぇんだがどこで食えるんだ?」
「一応食堂があるけど・・・。あそこは貴族専用よ。いくら貴方でもあそこに行くのはお勧めできないわ」
その時ルイズが走りながら魔人を追いかけてきた。慌てていたのか、髪も服装も乱れたままの格好だ。
「待ちなさいよ!なんで私を置いていくの!それからその女と喋っちゃだめよ!」
「お前が寝坊したのが悪いんだろう。それから俺が誰と喋ろうと自由だ」
「そうよルイズ。それにまだ契約はしてないんでしょ?だったらいいじゃない。彼は使い魔じゃないんだし」
「うるさい!契約はしてないけど私が召喚したんだから私が主人なのよ!ほら、こっちきなさい!」
ルイズは魔人の腕をガシっと掴むとそのまま歩き出した。最後にキュルケを睨み付けてその場を去った。
「彼、カオスヒーローって言ったわね。最初は物凄く危険な気がしたのに、今ではそれがあまり感じないわ。
殺気だけで死にそうだった。意外といい奴なの・・・?」
困惑しているキュルケの足元でフレイムがきゅう、と鳴くとキュルケはフレイムを撫でて自分の部屋に戻っていった。
957カオスヒーローが使い魔:2009/11/07(土) 03:03:26 ID:0JSZKVjt
食堂の入り口についたルイズと魔人。すでに入るまでもなく、食欲をそそる香りが充満している。
「まともな飯も久しぶりだな、さっさと行こうぜ」
「ダメ」
ルイズはあっさりと宣言する。
「今朝私を起こさなかった罰よ。おまけに洗濯もしないしキュルケのバカと喋ってるし!私の言う事聞かないから
朝ごはん抜きよ。ここでまってなさい。いいわね!」
ドカドカ足音を立ててルイズは言ってしまった。
「・・・そんなこと言われても守るわけねーだろ」
そして堂々と正面入り口から食堂の中に入っていった。生徒達と教師達の視線が集まってくるのがよくわかる。
「おい、何で平民がいるんだ?」
「何者だ?」
「怪しい奴だ」
「誰かが仮装してるんじゃないの?」
ざわざわと辺りが騒がしくなっている。そんな事はお構い無しに空いてる席に座ってテーブルに用意された、でかい
肉の塊に手を伸ばす。「朝からこんなもん食うとは、こいつらどういう胃袋してやがるんだ」それが魔人の率直な
感想である。だが、彼も久しぶりにまともな食事にありつけるので、朝からお腹がもたれそうなメニューでも構わず
食べ始めていた。
「うめぇ!こんな美味い物生まれて初めてだぜ!」

大破壊後の東京では生きていくのに精一杯で食料など非常食のレーションを食べれればマシなほうである。彼の場合
大破壊前も家庭の事情でまともな食卓など一度もなかったのである。
958カオスヒーローが使い魔:2009/11/07(土) 03:04:38 ID:0JSZKVjt
そんなわけで彼が夢中になって食事していると、当然、
「何やってんのぉおおお!」
ルイズがやってくるわけである。
「外で待ってなさいって、言ったわよね!?」
「あぁ、そう言われたが俺はわかったとは返事してねぇぞ」
「屁理屈いうな!」
「まぁそういうな、こんな美味い物生まれて初めてなんだ。まったくお前らが羨ましいぜ」
「ここは貴族専用の食堂なのよ!貴族じゃなきゃ入っちゃいけないの、わかる!?」
「ギャーギャーうるせぇな。みんな見てるぞ。貴族ってのはそんなに騒がしいものなのか?」
「あんたを見てんのよ!」
ルイズに怒鳴られ口答えしながらも、食べる事は決してやめない。口に物が入っているのにどうして普通に話すことが
出来るのか、不思議なものである。
「これはリンゴか?味も形もそっくりだな。ほれ、お前も食えよ」
片手で差し出しながらガブリと噛み付く。しゃきしゃきした歯ごたえもリンゴだ。もうこいつに何言っても無駄た。
そう悟ったルイズは呆れて自分の席に戻っていった。
周りの生徒も「なんだかよくわかんねーけど、先生達もこの人止めないからいいんじゃない?」という意見で落ち着いた。
教師陣の食卓ではオールドオスマンとコルベールが
「絶対に彼に手を出すな。聞けないものはそれ相応の処罰を下す」と言ったので、訳がわからずも言う事を聞くし
かなかった。

朝食が終わり午前の授業が始まる。魔法学院の授業とはどんなものか、興味があったので魔人はルイズについていく
ことにした。無論、退屈だったらすぐに抜け出す算段だ。
959カオスヒーローが使い魔:2009/11/07(土) 03:06:36 ID:0JSZKVjt
生徒達が集まり、それぞれの席につく。みな使い魔を従えているのでやたら賑やかな気がする。サラマンダー、カエル、
モグラ、蛇、フクロウ、窓の外にはドラゴンもいる。
だが、だれも魔人を見ようとはしなかった。あの強烈な、触れば死ぬような殺気を浴びせられた経験からの判断だ。
「おはようございます、皆さんおそろいですね」
中年の女性の教師が入ってきて、教壇の前に立つ。
「春の使い魔召喚の儀。お疲れ様でした。このシュヴルーズ、毎年皆さんの使い魔を見るのがとても楽しみなのです」
ニコニコしながら話すシュヴルーズ。教室を見回し、後ろの壁に寄りかかる魔人に目がとまる。
「中には、変わった使い魔を召喚された方が、」
「そんな人いません!」
クラス全員の声が一致して響き渡る。生徒達はあの魔人の機嫌を損ねる真似だけはしてはならない。そう悟っている。
「そ、そうですね・・・。それでは授業を始めます。今日は錬金です」
教壇の上に握りこぶしぐらいの石の塊を置く。そしてなにやら呪文を唱え、杖を振ると、なんと石の塊が光り輝く
物質に変化した。
それを見た魔人は驚いた。錬金術は魔人のいた世界にもあった。しかし、結局石を金にする事は出来なかった。
その代わり、様々な副産物が生まれたり化学の元になった、と聞いた気がする。
「せ、先生!それは金ですか!?」
目の色を変えてキュルケが質問する。
「いいえ。これは真鍮です。私には金を錬金する事はできません。さて、それでは手本も見せた事ですし、
皆さんに挑戦してもらいましょう」
それから各自で錬金の実践がはじまった。石を銅に変えたりドロドロにしてしまったり、鉄にしたりと様々だ。
だが、ルイズは何もしないで教科書を読んでいた。そんな彼女を見てシュヴルーズは
「どうしました?貴女もやってごらんなさいな」
教室に緊張が走った。皆動かしていた手を止めて、ルイズを見る。シュヴルーズはそんな様子に首をかしげた。
「先生、やめたほうがいいと思います」
代表してキュルケが意見する。
「何故です?」
「危険だからです」
「何故、危険なのです?」
キュルケがごくりと息をのむ。この先生、なんにも知らないんだ・・・。これから起こるであろう現象を言っても
きっと信じてもらえないだろう。そう思っていた矢先、
「わかりました。やってみます」
ルイズが杖を手に取り立ち上がる。
「ルイズ、やめて」
キュルケがそれを止めようとする。
「大丈夫、彼女はきっとやり遂げます。物凄い努力家と言う事は有名ですよ」
呑気にシュヴルーズはルイズを応援する
960カオスヒーローが使い魔
魔人は何となくその様子を眺めていた。他の連中はビクビクしているが、腕を組んで立ったままの姿勢を変えずに。
「おちついてイメージするのです。あなたが望むものを強くイメージして。そうすれば出来ます」
ルイズが呪文を唱える。それを見た途端生徒達は全員机の下か、教室の外に避難しはじめた。
さすがにそんな光景を見た魔人もおかしい事に気がつく。ルイズを観る。魔力が高まり目標物に狙いを定めている。
だが、それはどう見ても他の連中が行っていた錬金とは魔力の流れ方、質、量、どれをとっても違うものだ。
東京で敵対する悪魔が何度か使ってきたことがある魔法に似ている。それは最強の攻撃魔法。そんなものが今、目の前で
発動しようとしている。
「冗談じゃねぇぞ」
あんなものが発動すれば教室はもちろん、自分だって無傷じゃ済まない。魔人の身体をもってしてもあの魔法は喰らい
たくないのである。
ルイズが杖を石に向かって振り下ろす。その瞬間、目の前に魔人が飛び込んできた。右手で石を掴むと窓の外に向かって
思いっきり投げ飛ばした。窓の外に飛び出した石は強い閃光を放って大爆発を起こした。衝撃波で窓ガラスは粉々に
砕け散り教室は悲鳴に溢れかえる。幸い怪我人は誰一人いなかった。

手をパンパンと払いながらルイズの方を振り返る。
「まさかメギドを使えるとはな。それで気に食わない連中を吹き飛ばす気だったんだろ」
魔人が陽気に話しかける。弱い奴だと思っていたが、それは自分の思い違いだったようだ。
「そんな事するわけないでしょ!私は錬金がッ、錬金がしたかったのよッ!」
目から涙が溢れそうになるのを我慢して、唇を噛み締め、魔人を真っ直ぐ睨みつける。手は強く握り締められていて
身体はプルプルと震えていた。
「ゼロのルイズ・・・またやりやがった」
教室からそんな声がちらほら聞こえてくる。
「だからやめろって言ったんだよ」
「ルイズも意地張るのやめて欲しいわ」
「教室がメチャメチャだ。どうすんだよこれ」
聞こえてくるのはルイズに対する不満ばかり。シュヴルーズも驚きを隠せなかった。
「まさか爆発が起こるなんて・・・。残念ですが、失敗の責任は取ってもらいます。教室の掃除をあなたにしてもらいます。
よろしいですね?」
「はい」
震える声で返事をする。まただ。またやってしまった。どうして自分は魔法が使えないのだろう。召喚はできたが
結局契約は結べてないし。もう嫌だ・・・。流石に挫けそうになる。
魔人は適当な生徒をつかまえて気になる事を聞いていた。
「おい、あいつが魔法を使うといつもこうなるのか?」
「そ、そうです。あいつが魔法を使うといつも爆発して失敗するんです。だからついた二つ名がゼロなんです」
失敗ねぇ。見事な威力のメギドつかまえて失敗って事はねぇだろう。魔人はそう考えていたが、
「メギドしか使えないってのも確かに物騒だな」
と思い直した。