らき☆すたSSスレ 〜新天地アニメキャラ板〜

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1名無しさん@お腹いっぱい。
パー速より引っ越し。
「らき☆すた」のSSを書いて盛り上がろうではないか

・どんなジャンルでもどんどん投下したまへ〜 by こなた
・でも、他所からの作品の無断転載は絶対ダメよ! by かがみ
・あとね、あんまりえっちなのはちょっと恥ずかしいから遠慮してほしいな by つかさ
・長編作品はタイトルをつけてもらえるとまとめるときとかに助かります! by ゆたか
・パロディとかクロスオーバーとかもおっけーだけど、
 あんまり度が過ぎると他の人に引かれっから気をつけろよなー by みさお
・できればジャンルを明記するようにしてほしいの。
 特定のジャンルが苦手な人もいると思うから…… by あやの
・初めてでもよっしゃーいっちょ書いたろかって人大歓迎するでー by ななこ
・お題を出せば書いてくれる職人さんもいるっス。ネタのため……
 いや、いろんなお話を読んでみたいんで、いいお題があったら書いてみてください! by ひより
・そしてそして、SSだけじゃなくて自作の絵もOK!
 投下された絵は美術室に展示されるからジャンジャン描くべしっ! by こう
・注意! 荒らしへの反応は絶対ダメ。反応する悪い子は逮捕だ! by ゆい



(避難所)
 PCから->http://jbbs.livedoor.jp/auto/5330/
 携帯から->http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/auto/5330/

(まとめサイト)
 http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/

(SSスレ用画像掲示板)
 http://www.sweetnote.com/site/luckystar/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/27(日) 21:28:09 ID:4FyFepFn
こなた「やっとこさこっちに引っ越せたねー」
かがみ「そうねえ」
こなた「んで初めて来る人的に何すりゃいいかわかんないかもだから」
かがみ「うん?」
こなた「簡単にキャラ紹介をするよ!」
かがみ「え?」
こなた「まずつかさ!カモーン」
つかさ「バルバル!」
かがみ「!?」
こなた「つかさは大人しそうに見えて実は黒いのだ!しかも怒ったら手をつけられない、料理に酢を撒き散らして暴れるぞ!」
つかさ「バル!」
かがみ「いやいや何よこれ!?つかさー?もしやこなたさんに飼われてませんかー?」
つかさ「バル?」
こなた「かがみーん?何言ってるのかなー?」
かがみ「はあ……」
こなた「そして!みゆきさーん!」
みゆき「このみゆき様さ!」
かがみ「!!?」
こなた「みゆきさんは普段は美人で真面目な優等生、ところがその裏の顔は世界の統治者!
     一部の事情を知る者たちからは、『グレートメロンみゆき』の名で恐れられているぞ!」
みゆき「はっはっは!」
かがみ「みゆきー?こいつに仕込まれて演技なんかしなくてもいいんだからねー?」
みゆき「何ぃ……?」ゴゴゴゴ
かがみ「あ、いや、ごめん……」
みゆき「『なさい』は?」
かがみ「……ごめんなさい」
こなた「以上、キャラ紹介でしたー!それじゃ、新入りのみんな、良いらき☆すたSSライフを〜」
つかさ「バル!」
みゆき「構わん!」
かがみ(やってらんねー……)
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/27(日) 22:18:29 ID:qHuOhXc0
ゆたか「お姉ちゃんたち、飛ばしてるね……」
みなみ「自己紹介になってない……」
ひより「ネタには困らないから私はああいうのもいいかなぁー、なんて」
パティ「このスレのショート・ストーリィはフィクションでアり、ゲンサクのセッテイ・ジンカクとはナンのカンケイもアりませン!」
みなみ「それは……せめて人格はそれなりの……」
ゆたか「み、みんながハメを外しちゃってるお話もあるってこと……かな」
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/27(日) 22:29:07 ID:gAvcm6JC
壁|ω・)…
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/27(日) 22:31:00 ID:xTkkuYVm
>>4
  ンコー
壁]゚∀゚)ノ‐=≡●
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/27(日) 23:45:31 ID:HtS2paoY
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50
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/27(日) 23:47:05 ID:HtS2paoY
うし、50行いける!
8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 00:05:33 ID:jEr4bUez
>>6
一瞬荒らしかとオモタw
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 00:40:08 ID:jEr4bUez
☆ お知らせ ☆

らき☆すたSSスレでは、現在第16回コンクールを開催中です。
日程としてはすでに投稿期間は終了し、投票期間中となっております。
本日の24時が締切なので、時間が残り少ないですが、一票をお願いします!

コンクール参加作品→http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1517.html
投票所→http://vote3.ziyu.net/html/lkst1vi.html
10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 02:33:16 ID:d+paq2vS
カキコテスト
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 02:37:37 ID:d+paq2vS
書き込めた。
プロバイダ規制解除されたっぽい。

>>1
スレたて乙
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 06:18:39 ID:sL0vRpth
>>11
オメデト酢
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 07:27:49 ID:/gNdPhkV
つかさ「ちょっと知能がないこなちゃんだよ」



みゆき「んっ……あっ」
こなた「みゆきさん何してるのー?」
みゆき「あ、泉さん。実は目薬を注そうとしているのですが、上手く出来なくて……お恥ずかしながら」
こなた「? ふーん……?」

みゆき「よろしければ、お願いしても良いでしょうか?」
こなた「え? いいけど……」



こなた「じゃあ刺すよー?」
みゆき「はい、注してください」
こなた「……えい」プス
みゆき「――――なぁっ!?」

みゆき「あぁぁぁああぁぁぁあああぁぁっ!?」ゴロゴロ
こなた「え? なんで!?」


つかさ「なんでじゃないよねー」
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 07:36:09 ID:o0h0RhiS
こう「>>1乙っと」
山さん「>>1乙」
毒さん「>>1乙」
ひより「あのー、こうちゃん先輩はともかくお二人の出番があるとは…」
こう「あったらひよりんのノルマ倍っと」


大輔「>>1乙っと」
ひかげ「大輔知ってる人いるの?」
15名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 11:46:08 ID:TLdBeNIr
>>7
50どころか最大60行だぞ
これは個人的にちょっとした革命
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 12:06:22 ID:BF2QWX7z
−隣の芝生−

こなた(やっぱみゆきさんくらい、ドーンと大きくなりたいなー)
みゆき(かがみさんくらいが、ちょうど良さそうなんですよね…)
かがみ(つかさくらい小振りな方が、可愛く見えそうよね)
つかさ(いっそ、こなちゃんくらい無ければ、諦めもつくのに…)

四人「…はぁ〜」
17名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 12:19:36 ID:/gNdPhkV
かがみ「あー、こなたの着替え見たいなぁっ! もう!」
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 13:21:30 ID:nAcYoPVL
>>1
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 17:35:56 ID:TLdBeNIr
 * わかる人だけわかればいい声優ネタ

こなた「いやー、かがみにあんな一面があるとはねぇ」
かがみ「は? いきなり何の話よ?」
こなた「お風呂の中でうみゅみゅ〜なんて悶えちゃってさ、かわいいねぇー」
かがみ「すまんが全っ然意味がわからん」
こなた「隠さなくてもいいって。私は恋に恋するかがみんを応援するよん」
かがみ「だからわかるように話せって」
こなた「あ、今晩はお祝いしよーか。赤飯とハッサクで!」
かがみ「……???」

白石「はっさくはっさく〜っと♪」
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 19:33:39 ID:sL0vRpth
>>19
>わかる人だけわかればいい
いくねぇよ!
わ、わからんから、教えてくれ
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 19:55:01 ID:7rhBNyJF
>>17
かがみ「先生!どうして私はB組じゃないんですか!?」
ななこ「な、なんや、なんでそんなにB組が良いんや?」

かがみ「泉こなたとか好きだからっ!!」
ななこ「・・・( ゚Д゚)」

キーンコーンカーンコーン
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 21:12:01 ID:o0h0RhiS
そしてこなたと入れ替えでB組に
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 21:17:27 ID:TLdBeNIr
かがみ「残念賞ー!!」
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 21:41:27 ID:/gNdPhkV
>>21-23の流れにクソワロタw
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 00:02:02 ID:pcc3x/9O
 >>21-24 この流れマジウケるww
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 02:04:06 ID:/LsCnU9s
つかさ「おねえちゃんがあんなに夢中に…こなちゃんのくせに…」
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 03:55:19 ID:U4Isx+2F
こなた「みゆきさんさ」
みゆき「はい」
こなた「実は暗算とか得意だったりする?」
みゆき「ええと……得意とまで言えるほどの自信はありませんが」
こなた「おー、んじゃ、322+456は?」
みゆき「778ですね」
こなた「おーすごっ!そしたら6666+8989は?」
みゆき「15655ですね」
こなた「おーすごいすごい!んじゃ12345+98765は?」
みゆき「えー……111110ですね」
こなた「おーやるなーそんじゃ……」


かがみ「問題出してる本人は答え合ってんのかわかってんのかしら」
つかさ「さあー」
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 06:55:16 ID:i4e36tri
>>27
ミュウツー乙w
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 08:21:11 ID:mO3MRjX0
すみません、遅くなりました。
第16回らき☆すたSSコンクール大賞は
ID:ylOeKiI0氏作『明けない夜が来ることはない』に決定いたしました。
副賞は同票により、
ID:FIRHoZs0氏作『雨だれ』
ID:N9wzUkE0氏作『うたたねの間に』
ID:Mxn4OPo0氏作『伝えたいこと』
の三作品になります。
みなさま、おめでとうございます!

これにて、第16回らき☆すたSSコンクールを終了いたします。
作者の方々、読者の方々、運営の方々、お疲れ様でした!
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 08:22:25 ID:mO3MRjX0
投票結果はこちらです
http://vote3.ziyu.net/html/lkst1vi.html
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 08:48:49 ID:0OpQ5ob/
コンクール大賞副賞、おめでとう!
そして、改めて板引っ越しおめでとう!
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 12:41:24 ID:k5dcimeD
副賞大杉ワロタ
みんな乙〜
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 17:55:50 ID:N38zKjYY
つかさ「ゆきちゃんは胸おっきいし、くびれはあるし、スタイルいいよね…どうしたらそんな風になるの?」

みゆき「はい、実はある物を使ってまして…」

つかさ「ある物?」

ーーーー

みなみ「……。(ペタペタペッタンコ」

♪チャラララチャラララ〜
みなみ「(バシャバシャ←洗顔中」

♪Ah〜CAN'T GIVE YOU GATSBY〜

みなみ「(バシャバシャ←洗顔中」

バッ!

みなみ「……。(ボンキュッボン」

♪GATSBY〜

ーーーー

みゆき「という風になるわけなんですよ?」

つかさ「ほんと!?買ってくる!(ダッ」
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 18:38:20 ID:6+WHQz7A
コンクールお疲れ様でした
副賞が三作品で大賞との差が一票と、凄い接戦でしたね
受賞された方、おめでとうございます
俺も副賞に入れましたので、ありがとうございます

ホントはレビューを投下する予定だったのですが、PCの故障でデータが飛んでしまって、今回は見送ります
どころか、しばらくはSS自体が書けなくなりそう… orz
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 19:48:46 ID:jidHWuMO
コンクール運営大賞副賞お疲れ様おめでとう!
今回はコメントもらえただけで満足だw
だが次回はトップを狙う
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 20:04:00 ID:jUYJMxrF
トップを狙え!
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 20:09:37 ID:U4Isx+2F
次のコンクールは11月だな
こっちに引っ越してきたことで作品数が増えてくれると嬉しいが
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 21:20:42 ID:jUYJMxrF
引っ越しにちなんで短編書こうとしたけど筆が進まないや…
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 23:26:42 ID:opLUrGZa
今更ながら引越し乙

そして前スレ>>1000に俺歓喜
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 00:16:13 ID:51yEioqj
そーいやレビューまだー? 前回の三人のうち一人は書いてたような
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 00:41:53 ID:BeNjESdc
>>40
とりあえずワードパットは使えるようになったんで、書き直してみる
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 00:45:28 ID:51yEioqj
>>41
がんばるなあ。俺なら心折れてやる気でないわ。
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 05:40:26 ID:9ZaSpE7Q
なかったか?レビュー
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 07:08:02 ID:MmTAd37Y
せっかく引っ越ししたんだし、レビューよりもっと新しいものに目を向けようぜ!
具体的に何といわれると思いつかないけどな!


こう「最近のノベルゲーってループ物が多くてね。食傷気味だよ」
やまと「ループ?」
こう「ある登場人物が記憶を蓄積しつつ一定期間を繰り返すタイプのストーリーってのかな」
やまと「ふーん」
こう「よりよい結果を求めてーとかなんとか言うけど、新鮮味がない人生なんてつまんないよね」
やまと「……そうね」
こう「どしたのやまと、ずいぶん顔色悪いけど」
やまと「なんだか嫌な記憶がよみがえってくるような……」
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 12:28:07 ID:wpN2LVX/
プチ祭レベル10

出されるお題、条件が難しすぎる玄人向け
しかし書き後たえはある

もはやプチではなくなってしまったイベントだっ
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:03:03 ID:MMBLARIN
レビューを書いてみたんで投下します。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:04:10 ID:MMBLARIN
「おっす、こなた」
「あ、いらっしゃい。かがみん」
「何見てるの?」
「これ?らきすたの二次創作SSのコンクール作品だよ。私も投稿したんだよね」
「ふ〜ん、あんたこういうのも見るのね。本業の作家の方は大丈夫なの?」
「まぁ、ぼちぼちねー。かがみんも読んでみなよ」
「え?私はいいわよ」
「そんなこと言わずにさー、ほら!!」
「こら、顔をディスプレイに押し付けるのはやめろ。余計見えないじゃないの」

「どう?」
「ま、まあまあ面白いじゃない」
「でしょ?じゃあ早速レビューを始めよっか!実はそのためにかがみんを呼んだんだよね」
「ちょっと!聞いてないわよ」
「細かいことは気にしちゃダメだよ。じゃあいきましょー」

48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:06:16 ID:MMBLARIN
エントリーNo.01『かなちまった夢?』

「夢オチ…と見せかけての正夢オチか…」
「正直、みんな出世し過ぎ…と思わなくはないわね」
「まあね。でも4人の関係は変わってないって言うのがポイントだよね」
「将来、社会的地位が変わっていってもこんな風な素敵な関係が築けたらいいわね」
「ちゃんと最初と最後で原作ネタを入れてきれいにまとめてあるのも評価高いよ」
「顔文字には賛否両論あると思うけど、原作ネタのところだけ使うというメリハリがあるから私的にはアリね」
「ところでさ…」
「ん?」
「かがみがもし本当に総理大臣になったとしたら、児○法だけは…」
「知らないわよ」


エントリーNo.02『Daydreamer』

「7巻収録予定の原作ネタだね」
「私は正直、コミックス派だから分からなかった部分もあったわ。原作を読んだらまた評価は変わると思うけど」
「二次創作のSSは原作による共通認識がないと通じない部分も多いからね。特に、キャラクターに関しては知ってるか知ってないかで作品の評価は全然変わってきちゃうよね。それを補って説明を増やすと、テンポの良さが犠牲になるし」
「珍しくまじめに語ってるわね」
「ま、一応作家だしね。それに二次創作についてはコミケでも話題になること多いし」
「はいはい、結局そこに行きつくわけね」

49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:07:10 ID:MMBLARIN
エントリーNo.03『うたたねの間に』

「これがこなたの作品?」
「うん、そうだよー。みゆきさんの一人称に苦労したんだよね」
「ふ〜ん、じゃあ次いこっか」
「うわ、かがみん冷た!!!」
「自分で書いた作品にレビューはできないでしょ?」
「う…確かにそうだけど」


エントリーNo.04『寝てろっ!』

「カオスね」
「カオスだね」
「でも確かに夢ってこんな感じよね。脈絡も突拍子もないことが次々起こるというか」
「カオスを書くのも難しいよね」
「そうね。全くの意味不明でも面白くないし、適度に笑わせることのできるカオスって言うのは意外に難しいわよね」
「その点、この作品はその部分がすごくうまいというか、センスなのかな?」
「こういうのを書くとき、考えてやってるのか、それとも頭の中にスラスラ浮かんでくるのか、気になるところではあるわね」

50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:08:16 ID:MMBLARIN
エントリーNo.05『夢の未来へ』

「無限ループって怖くね?」
「ループも、そうだけど、読んでると時折夢なのか現実の話なのか分からなくなってくるのも怖いわね。たんたんと物語が進んでいくのも怖さの演出としていいわね」
「構成が複雑だから、頭使って読んでないとこんがらがるね」
「そうね。その分、地の分の説明がちょっと多かったのが気になるわね」
「予知夢を見る能力はゆーちゃんがそれを望んだからってなってるけど、ループの方はどうなのかね?それがはっきりしてたらすっきりまとまったんじゃないかな?」
「でも、分からないからこその恐怖というか薄気味悪さはあるから、結局は好みの問題じゃないかしら」


エントリーNo.06『あなたが欲しい』

「これも分類としてはホラーかしら?」
「でも、ところどころに笑いがあるし、救いもあるからNo.05とはだいぶ趣が違うよね」
「そうね。それに、みゆき達の現実世界と、私とつかさの夢の世界を並行してうまく進めているから読みやすいわね。こういうのはなかなか難しいものだけど…」
「私としてはそれより、みゆきさんに百合属性があったことのほうが興味あるんだけど…」
「あのなぁ。二次創作なんだから真に受けるなよ」

51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:08:57 ID:MMBLARIN
エントリーNo.07『伝えたいこと』

「会話のテンポが良くてすごく読みやすいわね」
「そうだね。最初の方は話だけだと怖いはずなのに、スラスラ読めるのはオチがある程度分かるのもそうだけど、会話を見てるのが楽しいって部分が大きいよね」
「多くの登場人物が出てくるのに、しっかり誰のセリフかがわかるって言うのは、かなり技術もいるし、キャラの特徴をしっかりつかんでいないとできないわね」
「ストーリー、テンポ、そしてちょっとしんみりするラストと、僅差の副賞も納得の良作だね!」


エントリーNo.08『雨だれ』

「つかさとみなみちゃんの組合せって珍しいね」
「そうね。それでも自然に書けてるのはキャラをよく理解している証拠ね」
「曲を連想させるような静かな文章だけど、ストーリーにぐいぐい引き込まれるよね」
「続きが気になるっていうのも大きいわよね。展開が二転三転するのに最後はきれいにまとめているのはすごいと思うわ」
「モチーフになった曲も気になるね。聴いてみようかなー」
「へ〜、あんたアニソン以外も聴くんだ」
「なんて失礼な!あんまり聴かないけど…」

52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:10:10 ID:MMBLARIN
エントリーNo.09『明けない夜が来ることはない』

「すごいよね」
「うん、すごいわね。なんたって大賞だからね」
「文章自体も頭ひとつぬきんでてる感じだけど、実在する書物の説明とか、状況に応じた引用とかがすごいんだよね」
「大学進学、っていう人生での大きな転機を説得力を持って書いてることも作品の価値を高めてるわね」
「誰もが悩む時期での葛藤、そしてそれを乗り越えるっていう過程がしっかり書かれてるからね」
「考えさせられる人も結構多い作品なんじゃないかしら」


エントリーNo.10『いつまでも』

「ホラーかと思わせて、ほのぼのした話かと思ったら…」
「こういうギャップを使うことで、恐怖も倍増するよね。持ち上げてから落とすというか」
「少し短すぎたのが残念ね。まあSSってそういうものだけど…」
「うまくまとまっているけど、もう少し読みたかったかなって思っちゃうよね」

53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:10:58 ID:MMBLARIN
エントリーNo.11『夢と言う奴は』

「これもカオスね」
「適度に都合がよくて、変なところで都合が悪いってのはよくあるよね」
「夢の中でこれは夢だって気づいちゃうのもたまにあるわね」
「寝るときには授業中だったはずなのに、最後は同窓会ってことになっちゃってるのは少し気になるね」
「それも含めて夢だってオチなんじゃないかしら」



「以上、今回は11作品でした」
「大賞と一票差の副賞に3作品と今回かなり僅差の接戦だったわね」
「方向性の違う作品が多かったから票がバラけたのかもね」
「そうね。バラエティーに富んでて読んでてかなり面白かったわ」
「作者、読者、運営のみなさん、お疲れ様でした。また次回のコンクールで会いましょー!!」





「っていう夢を見たんだけど」
「知らないわよ。ってか意味不明すぎるわ!」



おわり


54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:11:47 ID:MMBLARIN
以上です。
すでにお分かりかと思いますが『うたたねの間に』の作者です。
こなた≒作者みたいになってますけど、そこは夢オチってことで勘弁してください。
初めてレビューを書いてみたんですがやっぱり難しいですね。
自分の文章力も全然なのに、まして人に何か言うなんておこがましかったかなとも思ったのですが…
まあ参考程度に見ていただけたらいいかな。あくまで主観的なものなので。
作者、読者、運営の方々本当にお疲れ様でした。
ではまた!

55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 17:26:10 ID:9ZaSpE7Q
いずみ「やっぱり私ってマイナーなんですかね」
山さん「そりゃ〜コンプティークの方だけしか出番ないし」
毒さん「隠れオタクだから隠しキャラみたいになってるよね」
いずみ「お二人に言われたくありませんよ…」
やまと「本編に出番があるだけマシじゃないの」
山さん「他校じゃしょうがないよ」
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 18:44:06 ID:tx5pOA1O
>>54
乙。レビューがあると書いてよかったと思えるよ
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 19:05:16 ID:lnPbJuyW
>>54
乙です
レビューあるなら、コメントフォーム無理して付けてもらうこともなかった。
付けてももらえない方が多いしね。
ありがとう。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 21:50:44 ID:YX7xRfx/
>>54

ありがとう、そして乙!
いいんじゃない?このレビュー。
過不足無い評価だったと思うよ。
それにあんたもなかなかの作品書ける作者なんだし!
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 22:32:44 ID:chNc2zcL
レビュー擁護がウザすぎるスレですね^^
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 23:50:17 ID:MmTAd37Y
こう「レビューおっつかれさーん!」
やまと「お疲れさま。……私たちは今回は見送り?」
こう「板引っ越しの直後にいきなりってのは、初めて来た人が面食らいそうだったからねー」
やまと「そう」
こう「読む人のことを考えるのは書き手の義務だしね? 賛否両論あるから様子見かなーってのも」
やまと「客観的な評価を入れられないせいで自信をなくしてるって素直に言えばいいのに」
こう「……まあ、うん。あっははは……」


こう「そんなわけで、このレスはまとめには含まないこと!」
やまと「ネタですらないものね」
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 23:58:11 ID:Idp8Iyfc
乙〜こっちにひっこおしてきたのね
これからもがんばりましょ〜
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/01(木) 12:27:56 ID:04IsRHmn
/=ω=.\フッジサーン♪
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/01(木) 18:35:03 ID:t/WrLyTu
   /=ω=.\やぁやぁ、かがみん。チョココロネはるかい?
かがみ「え? ないけど(なんだあの格好・・・)」

   /=ω=`\フッジサーン・・・
かがみ(かわいいかも・・・)
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/01(木) 18:53:20 ID:t/WrLyTu

/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\

  /=ω=.\ こ こ ま で ま と め た /=ω=.\

/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\/=ω=.\
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/01(木) 19:41:53 ID:rRiVcmZh
>>64
乙。特大チョココロネをやろう
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/01(木) 21:29:09 ID:t/WrLyTu
こなた「やったー」ムシャムシャ
 
 ド ク ン !

こなた「ぐはっ」
こなた(やはり私は正しかった・・・が・・・ま・・・)バタッ
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/02(金) 00:19:26 ID:8uAHDdxV
>>66
つかさ「が・・・ま・・・カエルがどうかしたのこなちゃん?」
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/02(金) 03:21:27 ID:ysuTr8oe
かがみ「準備はいいか、野郎ども・・・って何よこの修行僧みたいな服、変なタスキもかかってるし!」
こなた「かがみんお腹空いたよかがみん」
かがみ「うっさい、ガタガタ抜かしてると撃ち殺すわよ!」
つかさ「はぅ〜、私いつの間に髪の毛伸びたんだろ?うう〜、アホ毛が治らない〜」
みゆき「あらあら、皆さん元気一杯で何よりですわ
けど運転中は喧嘩しないでくださいね」
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/02(金) 11:48:52 ID:I4zmMrLh
>>68
こなた「なんかさ、みゆきさんがいつにも増して怖いんだけど」
つかさ「うん。なんだか笑顔なのに怖いよね」

こなた「いやぁ、それにしてもお腹がすいたねぇ。街はまだかい、かがみんや?」
つかさ「お姉ちゃーん、わたしも早く休憩したいよ〜」
かがみ「あんたら、文句ばっか言ってないで少しは静かにしてなさい!ここで降ろすわよ!……はぁー、なんで私がコイツらの保護者役やってるのかしら」
みゆき「賑やかでいいじゃないですか。それに、保護者役は適役だと思いますよ?」
かがみ「冗談キツイわよ、まったく」

つかさ「……なんか、お姉ちゃんもいつもより怖い気がするね、こなちゃん」
こなた「いやいや、あの目つきの悪さといい、かがみはいつもと全く変わりな――うわぁっ!?ちょ、発砲はナシだって!!当たったら死ぬって、かがみん!!」
かがみ「うっさい!よけるな!いっぺんシね!」
みゆき「みなさん本当に賑やかですね。運転中に喧嘩しないでくださいと言ったはずなんですが」
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/02(金) 12:35:30 ID:dzrQLKmt
こなた「大阪城は誰が作ったでしょうか?」
かがみ「え?」

こなた「大阪城は誰が作ったでしょうか?」
かがみ「何? クイズか? えーと……」

かがみ「確か豊臣……」
こなた「ぶー、正解は大工さんでしたー! あ、みゆきさーん! もんだーい!」スタコラサッサ

かがみ「……なんなんだ」


みゆき「大工さんですね^^」
こなた「そ、即答!?」ガビーン
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/02(金) 13:35:31 ID:jtmuH33w
>>70
みゆき知ってただろww
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/02(金) 14:11:18 ID:jtmuH33w
ある夜のこと、こなたが夢を見ているとある人物と遭遇した
それはいつも居間で写真立てに飾られているその人
しかし、こなたは目の前の人物に言いようのない違和感を覚えた

「お母さんだよね?」
「ええ」

人物は答える

「"きなた"よ」
「え?」

こなたは聞き返した

「"かなた"って名前じゃなかったっけ」
「うん、そういう日もある」

こなたは当然湧き上がる疑問を投げかけた

「日によって違うの?」
「正確には気分しだいで」
「気分ねえ」
「うん、とても幸せな時は"かなた"。今私はちょっと満たされないから"きなた"」
「他の名前にもなるの?」
「そうね。苦しい時は"くなた"。けだるい時は"けなた"」
「ふーん」

こなたは一考すると、再び問いかけた

「私とか先祖もそういうのあんの?」
「うん、気分や体調によって色々変化する」
「そうなんだ」
「私の母は"うなた"から"おなた"」
「ふうん」
「こなたは"こなた"から"そなた"まで変化するのよ」
「あー、どんどん文字が進んでってるね」
「そう」

こなたは頷く

「今のこなたは正確には"すなた"ね」
「なんで"す"?」
「多分寝てるから」
「なるほどねえ」

ふふ、とその人物は微笑み返す
やがて視界の全体が霞がかり、こなた、もといすなたは目を覚ました
すなたは脂の溜まった目をこすりながらこう言った

「"ひなた"が生まれるの何年後くらいだろ」
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/02(金) 14:31:58 ID:D2JPNO0D
宮河ひなた「うふふふふふふ」
鈴木大輔「宮河〜、お前の姉さん様子がおかしいぞ」
宮河ひかげ「また萌え分でも切れたんじゃない?」
ひなた「私は無視なのね>>72
大輔「やっぱおかしいって!」
ひかげ「だから気にしないでよ。宿題教えてくれって言ったのそっちなのに集中してよ」
ひなた「好きな子の家でそれは酷よひかげちゃん。お姉ちゃんちょっと>>72に真意問いにいくから…変な事しちゃ、メッ、よ?」
大輔「し、ししししませんよ!!!」
ひかげ「?いってらっしゃい」
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/02(金) 23:04:43 ID:dzrQLKmt
>>72
あなた、かなた、こなた、ひなた
以外は意味不明だなw
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 01:36:21 ID:K1WSlUtl
つかさ「こんなんもらったよ?」
かがみ「なにこれ?」
つかさ「ディケ●ドライバー」
かがみ「そのドライバー、紅に返しなさい!」
つかさ「え〜。これかな?」
かがみ「ちょ、つかs」

KAMENRIDE DONDACADE!!!

かがみ「あんた、自分で何してるか分かってるの?」
つかさ「いまから15の世界巡ってくるね。」
かがみ「それは!」

FINALATTACKRIDE NA,NA,NA,NANOHA!!!

かがみ「つかさぁ!」
つかさ「ドンダケイドスターライトブレイカー!」

クワットロ「うそ・・・。」バタッ…。ドガーン!

かがみ「何あれ・・・?」

こうして私たち4人の15の世界をめぐる旅は始まった・・・。

???「この世界のお高良はいただきなの、あふぅ。」
???「泉こなたの世界もドンダケイドに破壊されてしまった、おのれドンダケイドめ・・・。」

To be continue 〜Lucky-Star Dondacade〜
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 01:41:00 ID:K1WSlUtl
うん、ヴァイスとディケイドとらき☆すたを混ぜただけなんだ。
それは全て乾巧とゴルゴムとディケイドのせいなんだ。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 02:49:39 ID:dqiOq7zB
そのうち天道そうじろうとかなんたらあきらとか出てくるわけですね、わかります
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 08:17:10 ID:K1WSlUtl
>>77
クロックアップを真面目なことに使わなさそうで困るわwwww
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 10:00:56 ID:1jkf3t4d
こなた「ふっふっふっ……」
つかさ「こなちゃん?」

こなた「コンビニの1番くじでこれを手に入れたのだぁー!」ババーン
つかさ「わぁ、私の人形だぁー」

こなた「クオリティ高いっしょー」
つかさ「すごいねー。でも……」
こなた「ん?」

つかさ「変な事しちゃ、その……やだよ?」///
こなた「……( ゚ω゚)」

こなた「よーし、先ずはこのスカートをー♪」
つかさ「や、やめてよー><」


かがみ「一方、私はG賞のこなたを狙っていた」スミマセン モウイッカイ!
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 10:51:21 ID:zkFG1lPb
つかさとみゆきさんやばいだろ(性的な意味で
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 16:11:08 ID:OSlp8dXk
こなたはかがみではなくつかさで喜んでいるのだな
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 19:31:12 ID:V96uYYhY
>>81
かがみで喜んでる所をうっかりかがみに見られたりしたら
ありとあらゆる変態を発揮され腰が立てなくなるほど色々されるからじゃね?
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 19:54:08 ID:1jkf3t4d
(=ω=.)ウンウン
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/03(土) 23:17:33 ID:smCBP5kt
あとね、あんまりえっちなのはちょっと恥ずかしいから遠慮してほしいな
あとね、あんまりえっちなのはちょっと恥ずかしいから遠慮してほしいな 
あとね、あんまりえっちなのはちょっと恥ずかしいから遠慮してほしいな 
あとね、あんまりえっちなのはちょっと恥ずかしいから遠慮してほしいな 
あとね、あんまりえっちなのはちょっと恥ずかしいから遠慮してほしいな 
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 00:02:18 ID:ZGHgQO8b
注意! 荒らしへの反応は絶対ダメ。反応する悪い子は逮捕だ!
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 00:32:46 ID:BPiG3sDs
PS3 Presented By White Stone

「こなた…そう、この未来を救える唯一の人間」

少女はその時、運命をまだ知らなかった

こなた「そんなのやってみてからじゃなきゃわかんないじゃん?」

みゆき「この良き新しい世界の始まりに感謝しなければと…」

かがみ「わかってるわよ、私がツンデレってくらい」

ゆたか「お姉ちゃん!って…読んでもいいのかな?」

仲間に出会うことで動きだした物語

そうじろう「だれもがだ!!さぁ渡すんだそのラキスタを!」
こなた「そんなことさせない!」

そして少女は知ることになる

つかさ「こ〜なちゃん、みぃつけた」

みなみ「潰す、それだけです」

逃れられない運命というものを

こなた「私は助けたい!けど力が足りない!皆、力を貸して!」
かがみ「あったりまえでしょ?」

戦え、世界のために

???「あら?忘れちゃったのあたしを」
こなた「まさか、あなたは…」

戦え、己のために

あやの「そうやってあなたは他人を傷つけていくのよ」
こなた「違う!」

戦え、運命のために

あきら「ひょっとして初めての敗北ってやつ?」
こなた「うぅわぁぁぁぁぁぁああああ!」

刮目せよ、その運命…

→→→RAKI☆SUTA←←←

2010 Spring
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 08:21:00 ID:J5fd7apm
こなた「寝る前にちょっとスレ確認しとこ」

カチカチッ

こなた「お、新着きてるねどれどれー」

224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 08:18:08.46 ID:KAg3a/Mi0
保守


こなた「あーなんだ保守かー……えーとこのスレは? おっこれも新着が」

196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/04(日) 08:20:14.73 ID:2Ka0Sayy0
age


こなた「……寝よ」
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 08:49:50 ID:R8RX6nb1
>>87どこのスレの話だそれは。
言わないと寝てるところにかがみを送り込むぞ
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 12:30:09 ID:IwZDTvjY
>>86
壮大ww
90しゃっくり:2009/10/04(日) 14:34:23 ID:c1MEsGkX
投下いきます。

題名の通りのベタネタです。
たぶん6レスくらいです。
91しゃっくり:2009/10/04(日) 14:35:55 ID:c1MEsGkX
 とある日の朝。登校してきた泉こなたは、前を歩く友人の双子、柊かがみとつかさを見つけ声をかけた。
「かがみとつかさー、おはよー」
「あ、おはよう、こなちゃん」
「…ひっく…こなた、おはひっくよう」
 振り返りながら返事をした二人。そのかがみの方に、こなたは眉間にしわを寄せて、首をかしげた。
「どしたのかがみ…しゃっくり?」
「そうなんだよ。なんだか、朝から止まらないらしくて…」
 つかさがこなたに答える間も、かがみは定期的にしゃっくりを繰り返していた。
「なんか、かがみのしゃっくりって上半身が大きく動くね。見てておもしろい」
「大変なんだからひっく。笑い事じゃないわひっく」
 しゃっくり交じりの言葉が恥ずかしいのか、かがみは不機嫌そうな顔をしてこなたとつかさより前を歩き出した。
 定期的に揺れるその背中を見ながら、こなたは今日一日どうすべきかを思い、ニヤリと唇の端を吊り上げる。
「…こなちゃん。悪い顔になってるよ…」
 それを見たつかさが、不安そうにつぶやいた。


- しゃっくり -


「と、言うわけでだね。かがみのしゃっくりを止めるためにも、みんなで驚かそうと思うわけだよ」
 ホールルーム前の朝の教室。こなたは一緒に入ってきたつかさと、すでに教室にいた高良みゆきの二人にそう提案した。
「しゃっくりですか。確かに止まらないとなると、大変ですね」
 みゆきはこなたの言葉に頷くが、すぐに少し困った顔をして首をかしげた。
「でも、脅かすというのはどうでしょうか?しゃっくりと止める方法としては、あまり効果が望めないと聞きますが…」
「みゆきさん」
「はい?」
「効果があるかどうかじゃない。わたしが楽しめるかどうかだよ」
「そ、そうですか…」
 ビシッと親指を立てて言い切るこなたに、みゆきは思わず冷や汗をたらしていた。
「わ、わたしは見てるだけでいいかな?驚かすとか、自信ないし…」
 つかさが遠慮がちに手を振りながらそう言うと、こなたはひどく不満げな顔をした。
「なにいってるんだよ。つかさはトップバッターなんだからね」
「あ、もうこなちゃんの中では参加決定してるんだ…っていうか、順番も決まってるんだ…」
 つかさがどこか諦めたように呟くと、みゆきがその隣でため息を吐いた。
「多分、二番手はわたしかと…」
「そうだね。こなちゃんは、真打ちとかやりたがりそうだもんね…」
 そして、二人そろってため息を吐いた。


92しゃっくり:2009/10/04(日) 14:38:14 ID:c1MEsGkX
 一時間目の授業が終わった休み時間。つかさは廊下の角に身を潜めていた。てっとり早く普通に驚かせようとしているのだ。
 教室移動があるため、かがみは必ずここを通るはずだ。つかさは角から顔を出し、廊下の先を見た。そして、かがみがこちらに向かってきてるのを見つけ、再び角に身を隠す。
 つかさは近づいてくる足音に耳を澄ませた。急いでいるのか、足音の間隔が短い。十分に近づいてくるころを見計らい、つかさは角を飛び出した。
「わっ!!」
「ひゃあっ!?」
 かがみにしては、可愛らしい悲鳴とガシャンッと何かが床に落ちる音。
「あ、あれ…?」
 目の前にあるはずの、かがみの顔がない。いや、視線の少し下に髪を左右でふたくくりにした頭が見えた。しかし、それは屈んでいるわけでなく、普通にそういう背の高さであったわけで、しかもかがみとは全然違う見知った顔だった。
「つ、つつつかさ先輩…い、一体なにを…?」
 その少女、小早川ゆたかが怯えた目でつかさを見上げる。
「え、えーっと…」
 つかさは言い訳を考えるより、先ほどの音が気になって床を見た。そこに落ちていたのは、見事に上下がさかさまになっている弁当箱。
「こ、こなたお姉ちゃんがお弁当忘れてたから、も、もってきたんですけど…その…えと…」
 ゆたかが見る見る涙目になっていく。
「…ごめんなさい」
 つかさは思わず土下座で謝っていた。そして、二人に気がつかなかったのか、その横をかがみがしゃっくりをしながら通り過ぎていった。


「つかさは、失敗っと」
「いたたたっ!痛い!痛いよこなちゃん!ごめんなさーい!」
 つかさのこめかみを拳でグリグリしながら、こなたはみゆきの方を見た。
「期待してるよ、みゆきさん」
「あ、あまり期待しないでください…あと、つかささんをそろそろ解放してあげた方が…」
 自信なさ気にそう言うみゆきは、自分の成否よりもつかさの安否のほうが心配になっていた。


93しゃっくり:2009/10/04(日) 14:39:28 ID:c1MEsGkX
 二時間目が終了した後の休み時間、みゆきは先程のつかさと同じ場所に待機していた。
 移動先の教室から、かがみが戻ってきたのを確認すると、みゆきはつかさと違いかがみの前に姿を見せた。
「かがみさん。少し、よろしいでしょうか?」
「ん?ひっくみゆき?どうしたの?ひっく」
 かがみが目の前に立つみゆきに、しゃっくり交じりにそう聞くと、みゆきは目をつぶり呼吸を整えてから、後ろ手に隠していたものをかがみに差し出した。
「すみませんが、この風船を持っていただけますか?」
「え?あ、うん…ひっく」
 かがみは思わず受け取ってしまった風船を眺めた。かなり膨らんでおり、自分の頭より大きい。かがみはなんでこんなものをと、当然の疑問に思い至り、それを聞こうとみゆきの方を見た。
「あれ?た、たしかここに…」
 当のみゆきはあせった様子で、スカートのポケットを探っていた。
「どうしたの?ひっく」
「え、えっとシャープペンシルを確かポケットに入れたはずなんですが…落としたのでしょうか」
 体のあちこちを、困りきった顔でまさぐるみゆきを見て、かがみはため息としゃっくりを同時に出した。
「シャーペンならひっく、わたしの出すわよ。ひっく、ちょっと持ってて」
「あ、はい、すいません。お手数かけます」
 かがみはみゆきに風船を渡すと、持っていた筆箱からシャープペンシルを取り出し、みゆきの持つ風船に突き立てた。
「っっっっっっっ!?」
 派手な音を立てて風船が割れ、みゆきは声にならない悲鳴を上げて尻餅をついた。
「なななななにするんですか、かがみさん!」
 抗議するみゆきに、かがみは眉間にしわを寄せた。
「なにって、ひっく割りたいんじゃないの?風船にひっく、シャーペンだし」
「そ、そうなんですけど…こうじゃないんです…」
 完全に涙目になっているみゆきに、かがみはよくわからないといった風に、首を傾げて見せた。
「えーっと、ひっく。用事終わったんなら、わたしひっく教室に戻るわよ」
 そう言い残して歩き出すかがみ。その手をみゆきが掴んだ。
「あ、あの…教室まで連れて行ってください…腰が…抜けてしまいまして…」


「みゆきさんも、失敗っと」
「…まだ、心臓がドキドキいってます…」
「さすがはかがみ。なかなか手ごわいね」
 こなたはしばらく、腕を組み目を瞑って考えていたが、ゆっくりと目を開けグッと拳を握った。
「よし、ここはいよいよ真打の登場だよ。かがみに、目にものを見せてやろうではないか」
 不敵な笑みを浮かべるこなたに、つかさとみゆきは不安げな視線を向けていた。
「大丈夫…なのかな?」
「泉さんのことですから、無体な真似はしないとは思いますが…」


94しゃっくり:2009/10/04(日) 14:41:23 ID:c1MEsGkX
 三時間目が終了した後の休み時間。
「へろー。かがみいるかーい?」
 軽い調子で挨拶しながら教室に入ってきたこなたを見て、かがみが怪訝そうな顔をした。
「何かひっく…用なの?」
「うん、ちょっとかがみに言いたいことあってね」
 こなたはかがみのそばまで来ると、その手を自分の両手で包み込むように握った。
「な、なに?ひっく…どうしたの?」
「聞いて。とっても大切な話なんだよ」
 滅多に見ないこなたの真剣な表情に、かがみは息を呑んで表情を引き締めた。
「わたし…わたしね…かがみの事、愛してるの!」
 教室の中が一瞬で静まり返る。その静寂の中で、かがみがしゃっくりをしながらニコッと微笑んだ。
「ありがとうひっく…わたしもよ、こなた…ひっく」
 さらに深い静寂が教室を支配する。かがみのしゃっくりだけが響く中で、こなたはあんぐりと口をあけたまま、錆び付いた機械人形のような動作で教室から出て行った。
「…ひっく…冗談よ」
 こなたが出て行ってしばらく後に、かがみが呟いたその一言で、教室は元のざわめきを取り戻した。


 昼休み。ひっくり返って中身がぐちゃぐちゃになった弁当を、こなたは沈んだ表情で突いていた。
「…予想外だった…まさがかがみがわたしを…」
 ぶつぶつと呟くこなたを、つかさとみゆきが心配そうに見ている。
「こなちゃん、なにやったんだろ?」
「さあ…その事は分かりかねますが、とりあえず失敗したと見ていいのでは…」
 みゆきの言った失敗という言葉に、こなたがピクリと反応した。
「そう…失敗だったよ。今日のかがみは非常に手ごわい。悔しいけど、それは認めよう」
 そして、こなたは勢いよく立ち上がり、拳を握り締めた。
「ここはアレしかない!マッシュ!オルテガ!ジェットストリームアタックだ!」
 こなたの叫びに、教室が静まり返る。その中で、つかさとみゆきが同時に首をかしげた。
「えーっと…誰さん?」
「ジェット…えっと…何でしょうか?」
「もー、二人ともノリ悪いなー」
 不満そうに口を尖らせながら、こなたは腕を組んで椅子に座った。
「わ、分からないのに、乗れないよこなちゃん…」
「ま、ようするに三人で力合わせてやろうってことだよ」
 こなたの言葉に、つかさがホッと息をついた。
「なんだー、そういうことかー…で、具体的にどうするの?」
「はっはっは。お任せあれ、玄徳殿。この孔明、すでに策を用意しております」
 大仰な身振りを交えてそう言うこなたに、つかさはもう一度首を傾げて見せた。
「えっと…誰さん?」
 そのつかさの隣で、みゆきがなんとも言えない表情をしていた。


95しゃっくり:2009/10/04(日) 14:43:17 ID:c1MEsGkX
「さて…ひっく…帰るかなっと」
 放課後。教科書やらノートやらを鞄に詰め込んだかがみは、こなた達を誘って帰宅するために席を立った。
「かがみさん!大変です!」
 そこへ血相を変えたみゆきが、教室に飛び込んできた。
「みゆき?…ひっく。今度はなに?」
「た、大変なんです!こんなところでのんびりしてる場合じゃありません!」
 まくし立ててくるみゆきに、かがみは苦笑いを返した。
「だ、だからなに?ひっくて…大変ってだけじゃ分からないって…ひっく」
「つ、つかささんが…つかささんが複数の男子に体育倉庫に連れ込まれて…!」
 そうみゆきが言った瞬間、かがみは残像を残すほどの勢いで教室を飛び出していた。


「つかさーっ!!」
 妹の名を叫びながら、かがみは体育倉庫に飛び込んだ。
「…お、お姉ちゃん…うぅ…」
 そこにいたのは、乱れた服装で涙目のつかさ。
「誰!?誰がこんなことを!?」
 かがみはつかさに駆け寄り、その服装を整えてあげた。
「…こなちゃんが…むりやり…」
 つかさの言葉に、かgまいの手が止まった。
「…こなたが?」
 どういうことだろう。確かみゆきは複数の男子生徒だと言った。必死で頭を働かせ、かがみは一つの結論に至った。
「こなたが、男子に頼んでつかさを?…そんな…」
「あ、あの…お姉ちゃん…?」
 かがみの様子がおかしい事に気がついたつかさが、恐る恐る声をかけた。
「…こなたが…こなたがこんなことを…こなたが…」
 つかさは、かがみの背後に憤怒の表情の仁王像が見えた気がした。
「お。お姉ちゃん!ドッキリ!これドッキリだから!」
 姉のただならぬ気配を察して、つかさが慌ててネタばらしをする。
「…ドッキリ?」
 つかさの言葉に、かがみがキョトンとした顔になる。
「そ、そう、ドッキリ…お姉ちゃんのしゃっくり治そうって、みんなで驚かそうって…」
「…で、当のこなたは?」
「え、うん…こなちゃん、バラしちゃったからもう出てきていいよ」
 つかさが体育倉庫の奥にそう呼びかける。
「………あれ?」
 が、奥からは誰も出てこなかった。
「泉さんなら、先ほどのかがみさんの仁王像を見て、凄い勢いで逃げていきました…」
 代わりに、入り口のほうからみゆきが困ったふうにそう言いながら倉庫内に入ってきた。
「えー、こなちゃんひどいよ…ってか、こなちゃんもゆきちゃんもアレ見えたんだ…」
 二人の会話を聞きながら、かがみは大きくため息をついた。
「ってことは、今日のあんたらの変な行動は、全部わたしのしゃっくりを止めるためだったってこと?」
「はい、そうなりますね」
 みゆきの答えに、かがみはもう一度ため息をついた。
「そうならそうと最初から言えば…あー、それだと意味ないか…」
「だ、だからね、善意からやったことだし、こなちゃんもあまり責めてあげないで欲しいかなって…」
 そこまで言って、つかさはこなたが『わたしが楽しめるかどうかだよ』とか言っていたのを思い出したが、話がややこしくなりそうなので黙っていることにした。
「こなたのことだから、自分が楽しむの優先してたんじゃないの?」
「…う、それは…」
 しかし、かがみには分かりきっていた事らしく、つかさは絶句するほかなかった。
「ま、結果的にしゃっくりは止まったみたいだから、いいけどね」
「あ、そう言えば止まってますね…こういうやり方でも止まるものなんですね…」
「偶然かもしれないけどね」
 感心したように何度も頷くみゆきに、かがみは苦笑して見せた。
「それで、お姉ちゃん…こなちゃんは…」
「あー、うん、責めないわよ…その代わり、愛してあげるわ」
「…は?」
「…へ?」
 かがみの言葉が理解できず、つかさとみゆきは顔を見合わせた。
96しゃっくり:2009/10/04(日) 14:45:23 ID:c1MEsGkX




 次の日の朝。学校に向かって歩くこなたは、自分のへばりついているかがみを見てうんざりとした表情をを見せた。
「あのー…かがみ?」
「なに、こなた?」
「少し、離れてくれないかな?」
「やだ」
 一蹴されて、こなたは深いため息をついた。こなたの方が背が低いため、非常に不自然な格好になっているが、かがみは気にも留めていないようだった。
「っていうか、なんでまた急にこんな事を?」
「何でって、告白してきたのあんたのほうじゃない…あんなに直接的なの初めてで、わたしもつい本音がでちゃったわ…」
「い、いや…あれはその…」
「だから、もう隠さずにいきましょう…わたし達の愛を遮るものは何もないのよ」
「えー…違う、違うよかがみ…こんなのかがみのキャラじゃない…」
 傍から見てるといちゃついてる様にしか見えない二人の少し後ろで、つかさとみゆきが心配そうに見守っていた。
「なんだか凄い事になってる…」
「そうですね…なんだか、かがみさん楽しそうです」
 学校に近づくにつれ、周りの生徒の数がかなり増えてきた。そしてその大半が、こなた達を奇妙なものを見る目で見ている。
「かがみ…人増えてきたし…その…」
「なに、こなた?見せたくない人でもいるの?いいじゃない。見せ付けてあげましょうよ…わたし達の愛を」
「違うよー…違うんだよかがみー…」
 結局、こなたが恥ずかしさに耐え切れなくなるまで、かがみの愛は続いたとさ。



- おしまい -
97しゃっくり:2009/10/04(日) 14:47:23 ID:c1MEsGkX
以上です。

俺は俗に言うしゃっくりを止める方法で、止まったためしがありません。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 16:41:10 ID:R8RX6nb1
>>97GJ
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 17:00:08 ID:ZGHgQO8b
>>97
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 19:55:27 ID:ifZoZFyS
柊家の午後

「かがみんや。腕をあげたのう」
「あんた相手に、いつまでも負け越してるわけにもいかんからのう」
 かがみとこなたは、古いテレビゲームで対戦中。

「あー、メシはまだかい?」
 つかさがそういうと、
「はいはい」
 いのりの娘が茶碗に少量のごはんをよそってもってきた。
「はもはも」
 つかさは、本日5回目の昼食である。

「つかさもすっかりボケてしまったな」
「つかさがボケてるのは、昔からじゃん」
「そりゃ、ボケの種類が違うわ」

「あー、メシはまだかい?」
「はいはい」
 本日6回目の昼食。
「はもはも」

「いつもすまないね」
 かがみが、いのりの娘にそういうと、
「これぐらいなら、まだいい方ですよ。まつりおばさんに比べれば」
「確かに、まつり姉さんは酷かったな」

 弁護士事務所をたたんだかがみが実家に身を寄せたのと、夫を亡くしたつかさが同じく実家に身を寄せたのは同時だった。そのときには、先客としてまつりもいた。
 かがみは独身のため、他に頼るところがなく。
 まつりは一人娘が嫁いでいった相手方が転勤族。つかさの場合は、二人の娘のうち姉が大阪で弁護士をしていて、妹は嫁に行った先が転勤族。いずれも親の面倒を見れる状態ではなかった。

 いのりとまつりはもうこの世にはない。
 いのりは死ぬ直前までしっかりとしていたが、まつりの晩年はボケが酷くていのりの娘も手を焼いていた。
 現在、神社は、いのりの娘が婿さんと一緒に切り盛りしている。

「泉さんは、今日も夕食はうちでいいですか?」
「お願いするよ」
「メシ代とるぞ」
 テレビ画面上では、かがみの分身が猛攻をかけていた。
「かがみんのケチ」
 こなたの分身が軽くそれをいなしていく。
「あんた、最近うちにたかりっぱなしじゃろ」
「いいですよ、かがみおばさん。一人ぐらい増えてもたいしたことはありませんし」
「いつもすまないね」

「あー、メシはまだかい?」
「はいはい」
「はもはも」

 柊家ののどかな午後は、こうして過ぎていく。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 20:14:46 ID:pYVHwaYX
>>100
なんだか知らんが、恐怖を感じてしまった…
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 20:18:09 ID:G3qKQpBf
>>100
なんという地獄絵図
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 20:31:43 ID:+FRbdnhz
>97
こなたにいじられるかがみもいいけど、逆にこなたをやりこめるかがみもいいね。

>100
60年後の柊家って感じか。
現実にはそのころの社会はどうなってるやら。
104秋の夜に:2009/10/04(日) 21:41:09 ID:R8RX6nb1

ついさっき思いついたSS投下
タイトルは「秋の夜に」で



それは珍しく星が見えた秋の夜。
私は親友の八坂こうとその後輩の田村ひよりさんの三人で歩いていた。

「これで満月なら秋の風流になるっスね」
「今夜は違うけどね。それに九月過ぎちゃたし…どうかした、やまと」

ぼんやり空を見上げていた私は、こうの言葉でビックリさせられた。
心臓に悪い。そう抗議しようとして、ようやく私はこう達からだいぶ離されているのがわかった。

「秋の四辺形を探してただけよ」
「秋の四辺形?そんな星座ありましたっけ」
「ペガススの大四辺形だっけ。えーっとどこだろうなぁ…」

秋の四辺形。春の三角形や夏、冬の第三角と同じようなもの。
ペガスス座を表す4つの星で作られた四角形で、こうが言ったような「ペガススの大四辺形」や「秋の四角形」とも呼ばれている。

105秋の夜に:2009/10/04(日) 21:43:39 ID:R8RX6nb1
星の明るさは良くないが、比較的見つけやすい。
ギリシャ神話だとこの四辺形は「窓」と呼ばれ、神の目が見えたらしい。
実際のところ、あの中で星が見えた事は一度もない。あるらしいが、かなり暗いらしい。見えた事がないのでらしいとしかいえない。

「へぇ、知らなかったっス。夏の大三角なら知ってるんですけど…あれ、ペガサス座じゃないんですか」
「ラテン語読みだと、ペガススになるんだって。だからペガススで合ってる。あったよやまと、あそこ」

ひよりさんに説明している間に、こうが見つけてくれた。やっぱり四辺形の中に星は見えない。

「でも永森さん、天体観測の趣味があったんですね」
「ないわよ。小学校で聞いて覚えていただけ」
「嘘嘘。ホントはね、アレだけ寂しそうだからなんだよひよりん」

106秋の夜に:2009/10/04(日) 21:45:14 ID:R8RX6nb1
…だって、そう思ってしまったのだから仕方がない。
春の大三角形はうしかい座、おとめ座、しし座の3つ。
夏の大三角形ははくちょう座、こと座、わし座の3つ。
冬の大三角形はオリオン座、おおいぬ座、こいぬ座の3つ。
だけど、秋の四辺形はペガスス座だけ。
他の星座と一緒にいない。他の星座と組んでいない。他と違って四辺形で、それだけで一緒にいない。覚えてもらえない。
だから、寂しそうだと思った。それだけ。


「にしても寒いね〜。やっぱこういう時は」
「キャッ!」

いきなりこうが抱きついてきた。

「危ないじゃない!転んだらどうするの」「親友のスキンシップだよ、いやぁやまとって暖かいね。…で、やまとさんの間違いを訂正」
107秋の夜に:2009/10/04(日) 21:46:34 ID:R8RX6nb1
「四辺形の北東の星ってさ、ペガススじゃないんだよ。アンドロメダ座の星」

言われて空を見上げた。確かにペガススの隣にアンドロメダがある…というかむしろあれは。

「密着してるよね、今の私たちみたい。ホント暖かい」
「人をカイロみたいに使わないでよ。でもどうして?」
「あの星さ、二重所属だったんだって。で、それがわかったからアンドロメダ座になったらしいよ」
「いい加減ね」
「そうだね」
「ふたつだったんだ…」
「うん。だからあれは、寂しくなんてないんだよ」
「そうね」
「そうだよ。というわけで!」

ようやくこうが離れてくれた。ひよりさんはどこへ

「晩ご飯さっさと食べて帰ろっか」
「こう、ひよりさんが悶え苦しんでるみたいなんだけど…」
「ダメっス、自重するっス、先輩で妄想なんて人として」
「…五分で元に戻すから待ってて」

大丈夫らしいけど、何か背筋に悪寒が走る。今夜は早めに寝よう。

「あっ」

今ならくっきりと、四辺形の「窓」の中に星が見えた。

〜了〜
108秋の夜に:2009/10/04(日) 21:49:10 ID:R8RX6nb1
やっぱり思い付きで書くものではないと反省。
一応星座のところはおおざっぱですがあってるはず。
ではさらば
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 21:53:06 ID:6WINRESQ
60年後noアニメ//
60年後noAKIHABARA・・
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/05(月) 21:55:07 ID:+vEIIK7L
>>108
日常の中にサラっとロマンがある感じだな GJ
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/06(火) 19:33:21 ID:sLtjmGUD
>>108
星好きの俺には良い話だったよ。
ペガススの胴体が四角いのは知ってたが、その四角を秋の四角形って呼ぶのは初めて知ったぜ
GJ
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 00:56:52 ID:swSSZ3RA
金曜日の夕方
ここはアニメーション研究部の部室、みさおを招いてのデッサン大会が終わり、現在品評会中である

「お、これ私かーうめえな」

みさおがひよりの絵をちらと見て言う

「どうもッス。個人的にはあやのも頑張ったんスけど」
「あーうめえぜ、あやのも」

みさおは感心した様子で絵を眺める
すると他の部員の絵を見ていたこうが寄ってきた

「おー今回あやのも頑張ってるじゃんひよりん」
「どうもッス」
「腕上げてるんじゃない?」
「そうッスねえ、でももっと勉強しなきゃって思ってるッスね」

ひよりが照れ笑いする

「そういやさ」

絵を鑑賞していたみさおが不意に口を開く

「私だけ呼んでもらってっけど背景は呼ばなかったのか?」
「あー、声はかけたんスよ」

ひよりが答える

「でも描かれるのは恥ずかしいって」
「あーなるほどな。それも無理ねえか」
「背景先輩も照れ屋ッスね」

みさおとひよりは笑い合った
外では、六時を知らせる鐘の音が、カーン、カーンと鳴っていた
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 12:32:48 ID:pwiiti6h
ないないと思ったらこんな板に…
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 17:46:45 ID:yZ7wOPnP
前回、らき☆すた6巻を発売日3日前に名古屋駅で入手できたんで、今回も7巻を売ってないかと思ってやって来たんだが……。

無かった(´・ω・`)
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 17:48:31 ID:gv0FNbQo
>>113
自分も避難所みるまで引っ越したの気付かなかったよ

つうわけでコレどうぞ

つ【蕎麦】
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 19:45:02 ID:lloWN7PP
>>113
まとめサイトでブックマークしといた俺に死角はなかった
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 20:20:21 ID:vuFhNoKn
ゆい姉さんの誕生日だったようだ。
おめでとう
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 20:39:50 ID:Rmbr6M1a
ゆい「聞いとくれよ〜きよたかさん台風のせいで帰って来れないんだよ〜」
こなた「ねえさん、だから警察の貴女が酔っぱらい運転でうちに来ないでください」
ゆたか「仕方ないよお姉ちゃん、自然現象だし。今夜泊まっていくでしょ?」
ゆい「そうだ!会いにいけばいいんだ!」
こなた「ねえさんだから酔っぱらい運転!しかも台風だよ!」
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 21:16:15 ID:kgIbySf9
「自然現象」が「酔っ払い運転」にかかってるんだと勘違いしてギョッとした
ゆーちゃんはそんな子じゃないぞ俺
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 21:41:12 ID:w50tng7B
>>119
俺もそう思ったわ
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/08(木) 17:17:27 ID:YhhBapTN
台風で仕事が休みになったので完成できた。
長編です。
興味のない方はスルーで。
計算では15レスくらい使います。
122選択  1:2009/10/08(木) 17:20:21 ID:YhhBapTN
 今日はこなちゃん、午前中から元気がない。
休み時間も、何か調子が悪い感じが私にはした。
お昼休みもお姉ちゃんとの会話もほとんどしないで
なにか考え事をしているようだった。
何気に聞いても、答えてくれなかった。
お姉ちゃんは徹夜のしすぎと言って終わらせてしまった。
そして、あっと言う間に放課後がきてしまった。

こなた「帰ろうか、かがみは?」
つかさ「お姉ちゃんも、ゆきちゃんも委員会の会議だよ」
こなた「あ、遅くなるって言ってたね、二人で帰ろうか」 
今日はこなちゃんと帰ることになった。
帰り道。
こなた「つかさ、せっかくだから、ゲーセンに寄っていかない」
つかさ「私は下手だよ、ゲームやってもすぐゲームオーバーになっちゃうし・・・」
こなた「まあまあ、ちょっとだけ、それに見てるだけでもいいから」
つかさ「それじゃ、ちょっとだけ」
普段ならお姉ちゃんと一緒に誘われる、私だけを誘うのは初めてのような気がした。

 ゲームセンターで私達はしばらく遊んだ。でも思ったとおり、私は見ているだけになった。
一時間くらい遊んだかな。それから特にすることも無いから帰ろうとした時だった。

こなた「つかさ、ちょっと見て欲しいものがあるんだ、それで相談があるんだけど」
つかさ「えっ?」
こなちゃんが私に相談、想像もつかない、でもこなちゃんは真剣な顔で私をみている。
つかさ「こなちゃん、相談なら私よりお姉ちゃん、ゆきちゃんの方がいいんじゃないかな・・・」
こなた「いいや、つかさにしか言えない事なんだ、いいかな」
つかさ「そこまで言うなら・・・」
こなた「ありがと、ついてきて」

 こなちゃんは私の前を歩き出した。私はその後を付いていく。
見せたいもの、相談、何だろう。私じゃなきゃダメな相談って・・・
こなちゃんの後ろ姿を見ながら相談は何か色々考えていた。

 こなちゃんはこなちゃんの家の近くの公園の倉庫裏に案内した。
つかさ「こなちゃん、どんな相談なの、深刻な相談なら私・・・何もできないよ」
こなちゃんは黙って倉庫裏にあるダンボールを退けた。
そこに一匹の子猫がいた。三毛猫の子猫だった。
つかさ「かわいい・・・」
私は子猫を抱こうと近づこうとした。
こなた「あっ、つかさ、気をつけて」
それと同時だった。
『フー』
子猫は唸り声をあげた。毛が逆立っている。口も開けて威嚇している。私は一歩後ろに下がった。
こなた「一昨日見つけたんだ、子猫、でも・・・この調子で・・・手に負えないんだ」
つかさ「何かあったのかな、こんなに怒ってるなんて」
こなた「分からない、虐められたのかな、餌も食べようとしないんだよ」
つかさ「まだ小さいから餌よりミルクがいいかも」
こなた「そうか、それじゃ家から持ってくる、ちょっと待ってて」
そう言うとこなちゃんは、家に向かって走って行った。
123選択  2:2009/10/08(木) 17:23:38 ID:YhhBapTN

 子猫は私を見ているけど、警戒している。
私はまた猫に近づいた。また唸り声をあげてきた。
つかさ「にゃーん、怖くないよ」
そう何回も言いながら少しつつ近づいていった。子猫は唸りながら後ろに逃げていく。
でも後ろは壁で行き止まり。子猫は逃げられなくなった。私はさらに近づく。そして手をゆっくり子猫に近づけた。
つかさ「怖くないよ」
手を近づけると子猫は口を大きく開けて私の指に噛みつこうとした。
ここで手を引くと子猫はきっと驚いてよけいに私を嫌いになる。手をそのまま止めて子猫のさせるがままにした。
そこで子猫は何度か私の指を噛みつこうとした。しばらくすると私が敵意がないことに気が付いたのか。
唸り声が止まった。
つかさ「寂しかったんだね、もう大丈夫だよ」
ゆっくり手を動かして子猫の体に触った。もう抵抗してこなくなった。そのまま頭をなぜた。
毛の逆立ちもなくなった。そして甘えた声で鳴き出した。やっと子猫らしくなった。

こなた「つかさ・・・ナウシカ」
びっくりして後ろを振り返った。こなちゃんがミルクとお皿を持って立っていた。
つかさ「こなちゃん、いつからそこに」
こなた「子猫がつかさを噛み付こうとした辺りから、私じゃできなかったよ、つかさにナウシカを見た!」
つかさ「ナウシカって・・・大げさだよ」
こなた「ミルク、持ってきたよ」
こなちゃんは私にミルクとお皿を渡した。お皿にミルクを注ぐと私は子猫の前にお皿を置いた。
子猫は走るように近づいてお皿のミルクを貪るように飲み始めた。
こなた「やっぱりつかさに来てもらって正解だった、さすがツンデレの妹だね、扱い慣れてる」
つかさ「ツンデレって・・・一匹で怖かっただけだよきっと・・・でも、確かにこの子猫お姉ちゃんに性格似てるかも」
こなた「ところで・・・相談の話なんだけど・・・」
つかさ「この子猫をどうするかってこと?」
こなちゃんは無言で頷いた。
こなた「このままにはしておけない、里親を探したいんだけど・・・」
つかさ「こなちゃんの家はだめなの?」
こなた「猫そのものは問題ないと思うけど、でもお父さん、猫アレルギーなんだよね」
つかさ「・・・」
こなた「花粉症でもあるから・・・さすがに無理っぽい、つかさの家はどう?」
つかさ「私の家は・・・以前お父さんに犬飼っていいって聞いたことあるんだけど、ハッキリした返事はもらえなかった、でもダメとも言ってなかった」
こなた「大丈夫そう?」
つかさ「お母さん、まつりお姉ちゃん、いのりお姉ちゃん、みんな動物好きだよ、よく一緒に動物番組とか見るし」
そこで一人忘れていたことに気付いてしまった。
つかさ「だめだ、お姉ちゃん・・・」
こなた「かがみ?、なんでさ」
つかさ「お父さんに犬飼っていいって聞いたとき、お姉ちゃんが居て大反対された・・・」
こなた「う・・・よりによってかがみかい、それじゃかがみがOKだせば飼えそうだね」
124選択  3:2009/10/08(木) 17:24:47 ID:YhhBapTN

 気付くと子猫はお皿のミルクを全て飲み干していた。そして私の靴の上で丸くなって寝ていた。
子猫をそっと両手でつかんで抱き寄せた。
こなた「もうその子猫すっかりつかさを気に入ったね」
つかさ「飼ってみたい」
こなた「それもかがみ次第か、かがみをどうやって説得するかだけど・・・口では敵わないし」
つかさ「私から話してみる、お姉ちゃんならきっと許してくれる」
こなた「悪いね、こんなことまでさせて、それまで子猫、ここにおいて置くしかないかな」
つかさ「でも、ここだと夜冷えそう・・・神社の裏に私しか知らない秘密の倉庫があるんだけど、そこなら大丈夫そう」
こなた「秘密の倉庫?」
つかさ「そう、子供の頃見つけたの、中学まで使ってた・・・でもこの子猫、どうやって神社まで運ぼうかな、さすがに歩いては無理かな」
こなちゃんは少し考えていた。
こなた「それなら大丈夫、今日、ゆい姉さんが遊びにくるんだ、車で送ってもらうように言うよ」
つかさ「ありがとう」
辺りを探し、小さなダンボール箱を見つけてその中に子猫を入れた。そして倉庫の奥に隠すように置いた。
こなた「とりあえず、ゆい姉さんが来るまで、家で待ってよ」
つかさ「うん、その前に、あの子猫、名前付けないと」
こなた「名前ね、ツンデレ猫だから かがみ でいいんじゃない」
つかさ「・・・その名前だと私が呼び辛いよ・・・三毛猫だからミケ」
こなた「んー、まあ、それでいいや」

 私達はとりえずこなちゃんの家で待つ事になった。
おじさんは仕事の打ち合わせで出かけていた。ゆたかちゃんもまだ帰ってきていなかった。
成実さんがすでに遊びに来ていた。早番で早く勤務が終わったと言っていた。
こなちゃんは早速理由を言って私を家まで来るまで送ってくれるように頼んでくれた。
成実さんは快く引き受けてくれた。でも、私を送ってくれる間、動物を育てるのは大変だよと
耳が痛くなるまで言われた。私に責任が重くのしかかる。うまくミケちゃんを家族の仲間にできだろうか。

 成実さんに神社の前まで送ってもらった。鞄とミケの入った箱を車から取り出した。
ゆ い「それじゃ、つかさちゃん、がんばってね」
つかさ「ありがとうございます」
その瞬間、車は猛スピードで走り去った。

 とりあえず私は神社の秘密の倉庫に向かった。中学まで使っていたけど、特に何かを隠していたわけではなかった。
こんな時の為に覚えただけ。
箱の中のミケちゃんを見る。まだぐっすり寝ていた。寝姿がとってもかわいい。
私は決意を新たに箱を倉庫に隠した。
そして、家に着いたた。落ち着いたらとりあえず要らないタオルとかを倉庫に持っていこう。

つかさ「ただいま」
家に入ると、お姉ちゃんはまだ帰ってきていなかった。しかし、お姉ちゃん意外がみんな居る。丁度いい。
つかさ「ちょっとみんないいかな」
まつり「なによ、改まって」
つかさ「えーと、私、猫を飼いたいんだけど・・・いいかな」
いのり「唐突ね・・・猫か・・・私は構わないわよ」
まつり「猫ね、いいね、私もいいと思う」
ただお「・・・つかさが自分で世話をするなら」
み き「猫ね、そういえば今まで飼った事なかったわね、皆がよければ」
まつり「なんでそんな話を?」
つかさ「いや、友達が子猫を分けてくれるって言ってくれたから」
まつり「なら話は決まりよ」

つかさ「やったー」

 思ったより反応がよかった。みんな気持ちよくいいって言ってくれた。
これならお姉ちゃんも・・・期待がいっきに膨らんだ。
125選択  4:2009/10/08(木) 17:26:17 ID:YhhBapTN

 夕食の準備が終わった。まだお姉ちゃんは帰ってこない。
つかさ「お姉ちゃん遅いね」
いのり「さっき携帯に電話したら、駅に着いたって言ってからもうすぐじゃないの」
しばらくすると。
かがみ「ただいま」
つかさ「おかえり」
お姉ちゃんの様子がちょっとおかしい。苦虫を噛んだような顔をしていた。
学校で何かあったに違いない。こんな時に限って、ミケちゃんの事が聞き難くなった。
み き「おかえり、すぐにご飯にしましょ」

 私達は居間で食事をした。楽しい会話が弾む。でも、お姉ちゃんだけ黙っていた。もくもくとご飯を食べていた。
ミケちゃんの話をいつするか、そのチャンスを探していたけど、今のお姉ちゃんはそんな話をする状態じゃない。
まつり「かがみ、どうしたのさ、さっきから黙っちゃってさ」
かがみ「別に、どうもしないわよ」
いのり「学校で何かあったの、まあその様子だと話してくれそうにないわね」
まつり「つかさがかがみに話したいことがあるみたいだけど」
まつりお姉ちゃんが話のきっかけを作ってくれた。でも今はあまり話したくなかった。
かがみ「なによ、つかさ話したいことって」
つかさ「えっと、こなちゃんが子猫を拾ったんだけど、こなちゃんの家じゃ飼えなくて、私が飼おうかって言ったんだけど」
かがみ「つかさが、猫を?」
つかさ「うん」
かがみ「皆は?、お父さん、お母さん、姉さん達・・・」
皆は笑ってお姉ちゃんに答えた。
お姉ちゃんは一瞬笑ったように見えた。でもすぐにもとのけわしい顔に戻った。
かがみ「つかさ、本当に猫を飼うの」
つかさ「うん」
かがみ「私、この前言わなかったっけ、動物を育てるってことがどんな事かって」
つかさ「知ってる、それでも飼いたいと思った、ミケちゃん、かわいい子猫だよ」
かがみ「みけちゃん・・・って、こなたに何言われたか知らないけど、私は反対するわ」
つかさ「お姉ちゃん・・・私、ちゃんと世話する」
かがみ「どうかしら、以前、朝顔に水あげるの忘れて枯らした事あったじゃない」
つかさ「そんな昔のこと・・・あれは小学校の頃だよ、今は違うよ、絶対そんなことしないよ」
かがみ「何度言っても同じ、私は猫飼うの反対」
信じられなかった、いくらお姉ちゃんでもここまで反対されると私も怒らずにはいられない。
つかさ「お姉ちゃんの分からず屋、もう子猫は預かってきてるから、反対しても飼うからね」
かがみ「なんだって、もう一回言ってみろ」
つかさ「何度だって言うよ、分からず屋、分からず屋、分からず・・」

 頬を叩く乾いた音が響いた。私の頬をお姉ちゃんは叩いた。初めての事だった。
思わず私も叩き返した。これも初めての事だった。
お姉ちゃんはもう一度私を叩こうと手を上げた時、まつりお姉ちゃんがお姉ちゃんの手を掴んで止めた。
かがみ「まつり姉さん放して、こいつにもう一発食らわせないと」
いのりお姉ちゃんは私の両肩を掴んでいる。
私はもうお姉ちゃんを叩くつもりはなかったけど、私の手はお姉ちゃんをもう一回叩こうとしていた。
私はいつの間にか涙を流していた。
お姉ちゃんは私に頬を叩かれて鼻血が少し出ていた。それを拭おうともせず私を睨んでいた。
ここまで反対されるとは思わなかった。叩かれた事よりそれが悲しくて涙を流した。
126選択  5:2009/10/08(木) 17:28:32 ID:YhhBapTN

 お母さんが大きくため息をついた。
み き「いい加減にしなさい、二人とも、食事中に」
まつり「かがみ、つかさの喧嘩初めて見たわ、つかさも意外にやるわね」
み き「まつりは黙ってなさい、猫を飼うのはかがみ意外賛成よ、どしたのかがみ、らしくないわよ」
かがみ「・・・」
み き「かがみ、少し自分の部屋で頭冷やしてきなさい」
お姉ちゃんは黙って自分の部屋に向かった。
み き「つかさ、子猫すでにもう預かってるって言ったわね、さっきと話がちがうじゃないの、子猫はどこにいるの」
つかさ「・・・神社の・・・秘密の所」
み き「つかさも先走りすぎだわね、だから喧嘩になるのよ、つかさも自分の部屋で少し頭冷やしなさい」
私は部屋に向かおうとした。
み き「待ちなさい、つかさ、食事の準備中、タオルとか用意してたわね、それは子猫のため?」
私は黙って頷いた。
み き「自分の部屋に行く前に、子猫の世話してあげなさい、もう始まってるわよ、つかさ」
つかさ「それじゃ、ミケちゃん連れてきていい」
み き「それはまだ、かがみがあの調子じゃね、もう少し待ちましょう、この季節なら外でも大丈夫でしょ」
お母さんは私に微笑んでいた。

 お母さんに言われたとおりタオルとミルクを持って倉庫に向かった。
倉庫に着いて早速ミケちゃんの世話をした。ミルクを飲ませている間にタオルを箱にひいた。
飲ませ終わるとしばらくミケの遊び相手をしてあげた。
タオルの箱の中で丸くなって寝るのを確認して自分の部屋へと戻った。

 自分の部屋でお姉ちゃんの事を考えていた。叩かれた頬がまだ少し熱い。
今までこんな喧嘩したことなかった。私を一番理解してくれたし理解していたと思っていた。
なんでそこまで反対したんだろ、その理由が知りたかった。喧嘩する前なら聞けたけど、もう聞けない。
そんな考えが頭の中をグルグル回っていた。

 どのくらい時間が経ったか、ノックする音がする
み き「つかさ、入るわよ」
入ってくると、おにぎりの入った皿を私に渡した。
み き「ほとんど食べてなかったでしょ」
つかさ「ありがとう」
おにぎりを食べた。
み き「お父さん、私、いのり、まつり、でかがみと話し合ったわ、あの子も頑固ね、猫飼うの反対しか言わないのよ」
つかさ「お母さん・・・」
み き「でもね、その理由を聞くと、言葉を濁らせちゃってね、本心を言ってくれないのよね」
つかさ「もう飼えないのかな」
み き「私が怒ったらね、かがみが飼う条件出してきたわよ、この条件を達成できたら飼ってもいいって」
つかさ「どんな条件なの」
み き「つかさが一人で次の日曜まで子猫の面倒をみれれば、だって」
つかさ「それでいいの」
み き「さすがに昼は無理よね、昼は私とお父さんで世話するわ、朝と晩、しっかりね」
つかさ「分かった頑張る」
み き「朝起こすのもダメって言われたわよ、つかさは朝弱いわよね、私はそれが心配」
つかさ「お姉ちゃんを見返してやる」
お母さんは笑っていた。
み き「明日の朝、世話に行くとき私に声かけて、子猫の居る場所を教えてもらいたいの」

 私は早速目覚まし時計の時間を今までより一時間早くセットした。
いつもより早く寝た。お姉ちゃんに負けたくない。次の日曜くらいの世話が出来ないと思ってるんだ。
127選択  6:2009/10/08(木) 17:29:53 ID:YhhBapTN


 目覚まし時計が鳴った。私は飛び起きた。
急いで準備をして、お母さんを呼ぶ。そして、倉庫へと向かった。
心配だった。ミケちゃんがお母さんを警戒してしまわないかと。
でもそれは心配だけで済んだ。もうミケちゃんは人を怖がらないみたい。
一通りの世話を済ませて家に戻ると、玄関でお姉ちゃんと出合った。もう学校へ行く姿になっている。
かがみ「さすがに初日に寝坊はしなかったみたいね」
すごくいやみに聞こえた。
つかさ「悪いけど、もう飼うのは決まったと同じだよ」
かがみ「せいぜい頑張りな、私は先に学校に行ってるわよ」
お姉ちゃんはそのまま駅に向かって歩いて行った。
お母さんはため息を一回ついた。

 私も遅れて学校へ行く準備をして学校に向かった。
教室に入ると、こなちゃんとゆきちゃんが私に駈け寄ってきた。
そして、お姉ちゃんのことを聞いてきた。様子がおかしいって。
朝の時間では話しきれないからお昼休み話すって言った。
お姉ちゃんは多分お昼休み私た達のクラスに来ない。

 お昼休みなった。思った通りお姉ちゃんは私た達の所に来なかった。
早速こなちゃん達が私の所に来た。私は昨日起きたことを全て話した。
話したおかげでなんかスッキリした。
気が付いてみると、こなちゃん、ゆきちゃんは呆然と私を見ていた。

こなた「やっぱりつかさはかがみの妹・・・だね、あのかがみに反撃できるなんて、見てみたかった・・・喧嘩」
つかさ「私のした事って・・・間違ってたのかな」
こなた「今更なに言ってるの、ここまで来たら、かがみを見返してやりなよ」
みゆき「今、つかささんはかがみさんの出した課題を進行されているのですね、今朝からのかがみさんの態度を理解できました」
こなた「かがみも意地が悪いね、つかさの弱点を攻めるなんて」
つかさ「ごめんね、みんなを巻き込んじゃって、お姉ちゃんもしかしたら、もう二度と来てくれないかも」
みゆき「大丈夫ですよ、かがみさんはそんな人ではありません」
その時、お姉ちゃんが昨日帰ってから不機嫌だったことを思い出した。
つかさ「ゆきちゃんに聞きたいことがあるのだけど」
みゆき「なんでしょうか」
つかさ「昨日、放課後お姉ちゃんに何かなかったかな、昨日家に帰ってから機嫌が悪かったから、それに帰りも遅かったし」
ゆきちゃんはしばらく上を見て考えてから答えた。
みゆき「昨日は、私とかがみさんで意見が合わなくて・・・会議が長引きました、最後は多数決で私の案が採用されたのですが、かがみさんは不服そうでしたね」
つかさ「それじゃ、喧嘩しちゃったの」
みゆき「いいえ、このような事は頻繁にあるので・・・しかし、かがみさんがその事で機嫌を悪くされたのは想像できますが・・・」
こなた「言い出すタイミングが悪かったね、でも、かがみが猫嫌いだったとは思わなかったよ、野良猫とか見かけるとかがみ、微笑みかけているの見たことあるから
    大丈夫だと思ったんだけどね、分からないもんだね」
つかさ「私も、そこまで反対されるとは思わなかった、そういえば、お姉ちゃん、みなみちゃんのチェリーちゃんを触ったところ見た事ないな」
みゆき「かがみさんがチェリーちゃんを見ていた時、さりげなく聞いたことがあります、犬は飼いたいと思いませんかと」
つかさ「で、なんて言ったの」
みゆき「犬は好きだけど、見ているだけはいや・・・と言っていました、私には意味が分かりませんでしたが、それ以上私は聞きませんでした、かがみさんが悲しそうな顔をされたので」
こなた「それは関係なさそうだね、犬だしね」
つかさ「ところで、頼みたいことがあるんだけど」
こなた「何」
みゆき「何でしょうか」
つかさ「猫の世話の仕方を教えてもらいたんだけど、特に子猫だし、失敗もしたくないし」
こなた「悪い、猫とか犬とか飼ったことないから、そうゆうの分からないんだ」
みゆき「私も、お恥ずかしながら・・・図書室にそういった本があるのを見ましたが」
つかさ「そうだよね、飼ったことないとなかなか分からないよね、図書室で調べるよ、ありがとう」
こなた「私も付き合うよ、子猫に関しては私が発端だからね」
つかさ「ありがとう・・・」
みゆき「すみません、私は、委員会の・・・」
つかさ「あ、別にいいよ、これは私の問題だから」
128選択  7:2009/10/08(木) 17:30:51 ID:YhhBapTN

 昼休みは終わった。
放課後、私とこなちゃんは図書室で猫の育て方の本を調べた。良さそうなのを何冊か選んで、ポイントをノートに書いた。
しばらく時間が経つと、こなちゃんが私をジーと見てることに気が付いた。
つかさ「どうしたの、休憩する?」
こなた「いや、どうしても想像つかなくてね、つかさがかがみを叩く場面が」
つかさ「・・・」
こなた「その逆も・・・かがみがつかさを叩くのも、私は何度も殴れてるけどね」
つかさ「私も分からない、なんでお姉ちゃんを・・・」
こなた「それでふと思ったんだ、ゆーちゃんが私を叩いたらどうするかなって」
つかさ「・・・どうするの」
こなた「分からない、けど、叩き返すことはできないかな・・さすがに・・・つかさはこれからどうするの?」
つかさ「これからって?」
こなた「このまま喧嘩続けるの?」
つかさ「続けたくない、でもどうして良いか、わかんないよ」
こんちゃんは少し間を置いてから話し出した。
こなた「こんな時はね、謝っちゃえばいいんだよ、私の時なんか謝るとすぐ許してくれたよ」
つかさ「こなちゃんもお姉ちゃんと喧嘩したことあるんだ」
こなた「まあね」
図書室にある掛け時計を何となく見た。
つかさ「あ、そろそろ本気出さないと、時間内にまとめられないよ」
こなちゃんの意外なアドバイスにちょっとびっくりした。でも今、そんな事を考えている余裕はない。
私は夢中になって本を書き写した。
それでも、時間内にまとまりきれなかった。しかたがないので一冊を選んで借りることにした。

つかさ「ごめんねこなちゃん、すっかり遅くなっちゃって」
こなた「いいよ、今日はバイトもなかったし」
校舎を出たとき、お姉ちゃんとゆきちゃんにばったり出会った。
こなた「おお、かがみにみゆきさん、奇遇ですな」
みゆき「泉さん、つかささん、調べ物は終わったのですか」
こなた「私たちじゃまとまり切れなくて、本借りたよ」
みゆき「そうなんですか、泉さん、こちらへ」
ゆきちゃんはこなちゃんをバス停の方に呼んだ。こなちゃんはゆきちゃんの方に走って行く。
私とお姉ちゃんが残った。普段なら楽しい会話もするけど、そんな気持ちにはなれない。
でも昨日お姉ちゃんを叩いたのは謝りたかった。
つかさ・かがみ「「昨日は、ごめん」」
つかさ・かがみ「「!」」
お姉ちゃんも同じ事を思っていたみたい。こなちゃんのアドバイスがなかったら謝れなかった。
つかさ「お姉ちゃん、昨日は叩いちゃって・・・鼻血まで・・・」
かがみ「別にいいわよ、先に手を出したのは私だし、それに、叩かれて分かった、つかさが本気だってこともね、それだけは認めてあげる」
つかさ「それじゃ、ミケを飼っても・・・」
かがみ「勘違いしないで、今でも飼うのは反対だから、約束は守ってもらうわよ」
私は悲しくなった。
かがみ「なにしけてるよ、みゆきから聞いたわ、さっきまで、猫のこと調べてたんでしょ、今のつかさなら訳無いでしょ、この程度の事」
つかさ「お姉ちゃん、教えて、なぜ反対なの、その理由教えて」
お姉ちゃんは黙ってしまった。しばらく私の方を見たままだった。
かがみ「見てるだけなんて・・・」
つかさ「見るだけ?」
かがみ「つかさに言っても分からないわよ、バスが来ちゃうわよ」
お姉ちゃんがバス停の方を向くと、少し遠くでこなちゃんとゆきちゃんが私達を見て笑っていた。
かがみ「こなた、なに見てるのよ、見せ物じゃないわよ」
こなた「見させてもらったよ、美しい姉妹愛を・・・」
かがみ「うるさいー」
129選択  8:2009/10/08(木) 17:32:18 ID:YhhBapTN

 お姉ちゃんの怒鳴り声が響いた。ゆきちゃんが私に手を振っている。ゆきちゃんもお姉ちゃんに喧嘩を止めるように何か言ってくれた。そんな気がした。
こなちゃんとゆきちゃんのおかげでこんなに早く仲直りができた。私も手を上げてゆきちゃんに返事をした。

 結局、お姉ちゃんは猫を飼いたがらない理由を教えてくれなかった。言いたくない事なのかな。ただ猫が好きとか嫌いとかそんな事を超えた何かが理由なのは分かった。

 私達四人は駅で別れた。そして、お姉ちゃんにも先に帰ってもらった。
ペットショップに立ち寄った。少し歯が生えていたみたいだから、もう離乳食を与えてもいいみたい。
お母さんから預かったお金で、猫の離乳食を買った。その他、必要と思われるものを買い揃えた。
それから、猫の首輪を買おうとしたけど、買えなかった。まだ正式に飼うと決まったわけじゃない。

 家に帰ると、お父さんが決まったことがあると私に言った。
それは、もし飼えないと決まったら、お父さんの知り合いに猫を飼いたがっている人がいる。その人に引き取ってもらうことになったと。
さすがにお姉ちゃんもそれには少し驚いたようだった。でも私は安心した。
ミケは私が成功しても失敗しても捨てられることはない。でも、私が育てたい。今までよりも強くそう思うようになった。

 平日の間、朝晩、私はミケの世話をした。朝は目覚ましよりも早く起きる。晩はミケちゃんが眠るまで遊び相手をしてあげた。
後半になると、晩の世話にいのりお姉ちゃん、まつりお姉ちゃんが見に来てくれた。世話は私がすることになっているので、見ているだけだったけど、
二人ともミケちゃんを可愛いと言ってくれた。でも・・・
本当はお姉ちゃんに来て欲しかった。ミケちゃんを見ればすぐにでも家に連れてくれる。そう思った。
お姉ちゃんは仲直りしても猫の話すらしようとはしなかった。

 そして土曜日になった。土曜は特に用事がなかったのでお昼の世話も私がやるとお母さんに言った。
お母さんは心配してくれたけど、今の私はミケちゃんの世話をするのが楽しくてしかたかがなかった。
あっと言う間に時間は過ぎた。晩の世話を終え自分の部屋に戻るとお姉ちゃんが居た。
かがみ「悪いわね、黙って入っちゃって」
つかさ「別に・・・何か用なの」
かがみ「特には無い、明日で約束の日になるかなって」
つかさ「そうだね、でも、お姉ちゃん、私が世話してるところ一回も見に来なかったね、ズルしてるかもしれないのに」 
かがみ「見る必要なんかない、これを見ればね」
お姉ちゃんは私の机に置いてあったノートを取って開いた。
かがみ「猫の育て方・・・よく纏められてるじゃない、一部こなたの字が混ざってるわね、あいつにしてはよくやったわ」
つかさ「お姉ちゃん・・・」
かがみ「本当は、半分くらいの日数で合格でもよかった、でもお父さんがあんなこと決めちゃったから引っ込みがつかなかった、悪かったわね」
つかさ「まだ明日が残ってる、謝るなら明日にして」
お姉ちゃんは笑った。
かがみ「つかさ、意外に頑固ね、それにその自信、私の負けは認めるわよ、もう何も言うことはないわ」
つかさ「・・・ありがとう」
かがみ「明日・・日曜の朝、見に行っていいかな、子猫、ミケって言ってたわね、三毛猫なの?」
つかさ「うん、こなちゃんは かがみ がいいって言ってたけど」
かがみ「かがみ?、なんで私の名前なのよ」
つかさ「見つけたとき、凶暴だったから・・・」
かがみ「あいつ・・・今度会ったららタダじゃおかない」
つかさ「こなちゃんは凶暴なんて言ってないよ、ツンデレだって」
かがみ「どっちだって同じよ、って、凶暴なんて誰が言った・・・!、つかさ!」
私は笑った。遅れてお姉ちゃんも笑った。
明日、楽しみだな。
130選択  9:2009/10/08(木) 17:33:30 ID:YhhBapTN

 今日も目覚まし時計より早く起きる。もう日課になりそう。
小鳥のさえずりが心地よい。休日のせいか家はまだ静か。まだだれも起きていないみたい。
ベットから起き上がり一回大きく背伸びをした。
一通りの身支度をして居間に移動した。
ちょっと早いけど、ミケちゃんの世話をするかな。早く合いたい。
餌と水を用意をした。そして、神社の倉庫へと向かった。

 倉庫に着くと、静かな事に気が付いた。
おかしいな、いつもなら私がくるとダンボールから飛び出してじゃれついてくるのに。
寝てるのかな。まだ早すぎたかな。そんな事を思いながらダンボールを覗いた。
やっぱりまだ寝てる
つかさ「みけちゃん」
やさしく呼びかけた。反応がない。昨日遊びすぎたかな。疲れてるんだね。
つかさ「ミケちゃん、ご飯だよ」
起こすつもりで少し声を上げた。・・・えっ、なんかおかしい。全く反応がない。
つかさ「ミケちゃん、起きて、起きて」
何度も叫んだ。反応がない。私は思わず手に持っていた。餌と水を落としてしまった。お皿から水と餌が地面に散乱した。
そのままダンボールに駆け寄り、ミケちゃんを抱きかかえた。
するとみけちゃんはゆっくり目を開け一言『ニャー』と鳴いた。
つかさ「どうしたの、調子が悪いの、元気ないよ」
意識があるのが分かった。すぐダンボールに戻してタオルをかけてあげた。
そして、思い当たることを考えた。何も出てこない。
ご飯も、うんちも、昨日は正常だった。なんで、分からない。
ノートに書いてあるポイントを思い出してみても自分がなにかしたとは思えない。
もうノートに書いてあることは見なくても思い出せる。
ミケチャンの目が再びゆっくりと閉じていく。
私は焦った、何をしていいか分からない。ふと図書室から借りた本を思い出す。まだ返していない。
そうだ、あの本なら何か分かるかもしれない。
つかさ「ミケちゃん、ちょっと待ってね、すぐ戻るから」

 私は走った。今までないくらい本気で、息が辛い、心臓もパンクしそう。それでも走った。
家に飛び込むとお姉ちゃんが驚いて私を見た。起きたばかりなのか、髪の毛を結っていない。
かがみ「ちょっと、つかさどうしたのよ」
私は返事もすることなく自分の部屋に入った。そして借りた本を見た。気が動転して思うような項目が見つからない。
そこにお姉ちゃんが私の部屋に入ってきた。
かがみ「返事もしないで、何があったのよ」
つかさ「なんでもない、なんでもないよ、ちょっと疲れただけ、そう、疲れただけなんだから」
かがみ「何言ってるの」
お姉ちゃんが私に質問してくる、知られたくない。
私は本を持ったまま部屋を飛び出した。そして、そのまま家を出てミケちゃんの所に向かった。

つかさ「ミケちゃん、しっかりして、今、助けてあげるから」
ミケチャンは前より力のない声で鳴いた。
その場で本を見る。・・・見ても分かるわけがなかった。
ミケをタオルに包んでそのまま抱きかかえた。
タオル越しにミケを撫でてあげた。それしか出来なかった。
ミケから力が抜けていくのが手に伝わってくる。
これで私は悟った。もう何もできない。
つかさ「目を開けて、もう一回鳴いてよ、じゃれついてきて」
私は何度もそう語りかけた。
そして、ミケちゃんは・・・動かなくなった。
涙が出てくる。涙はミケを包むタオルに落ちていく。
私は声を出して泣いた。まだ朝早い、私の鳴き声だけが響いていた。
131選択  10:2009/10/08(木) 18:00:28 ID:YhhBapTN
 もう涙が出ない。そのくらい泣いた。
ミケチャンをタオルを包んだままダンボール箱にそっと置いた。
この次にやることが頭をかすめる。皆になんて言えばいいのか。
でも、そんな事を考えている余裕はなかった。

かがみ「つかさ、これはどうゆうことなの、こんなに餌散らかせて」

 後ろからお姉ちゃんの声が聞こえた。約束の時が来た・・・はずだった。
私はゆっくり後ろを振り向いた。
そこには髪を結っていないお姉ちゃんが立っていた。私の様子がおかしいから、準備もそこそこに来たに違いない。
私の顔を見たお姉ちゃん。お姉ちゃんは何も話さないで私を見ている。分かってしまった。言い訳にしかならいけど。言うしかなかった。
つかさ「私、図書室でちゃんと調べたよ」
かがみ「知ってる」
つかさ「餌もカロリー計算したんだよ、ノートに何度も計算したよ」
かがみ「そうね」
つかさ「気温だって、低くも高くもなかった」
かがみ「解ってる」
つかさ「うんちの状態もちゃんとチェックしてた・・・それなのに」
涸れたはずの涙がまた出てきた。
かがみ「つかさは・・・悪くない」
その言葉を聞いた瞬間に私はお姉ちゃんに抱きついて泣いた。さっきよりも大きな声をだして。
お姉ちゃんに何を言われても、反攻しないと覚悟していた。
かがみ「こんな事になるなんて」
それだけ言うとお姉ちゃんは私を優しく包んでくれた。
私はそのまま残りの涙を全て使い切るまで泣いた。

 だいぶ落ち着いた。私はお姉ちゃんから離れた。
ダンボールに居るミケチャン見ながら私は話した。
つかさ「何も出来なかった、あれだけ調べたのに、何もできなかった」
お姉ちゃんは黙って聞いている。
つかさ「私の手の中でゆっくり弱っていくのを、見ていただけだった、見ていただけ・・・!」
聞き覚えがある言葉。お姉ちゃんが言った言葉。その言葉を私が口にしていた。
それに驚き私はお姉ちゃんの顔を見た。お姉ちゃんは目を閉じていた。
かがみ「そう・・・見ていただけ、つかさ、意味が分かったみたいね」
さらに驚き聞いた。
つかさ「お姉ちゃん、いつそんな事を、何か飼ってたなんて知らないよ」
お姉ちゃんはゆっくりと話し出した。
かがみ「小学校五年生、時期は今頃・・・子猫を拾った、つかさは知らないはず、私一人で育てたから」
つかさ「どこで・・・」
かがみ「学校の体育館裏・・・」
つかさ「知らない、そんなの知らなかった、いつも一緒だったのに」
かがみ「一緒ね、確かに、でもね、クラスは違ったでしょ、そのくらいの事はできる」
つかさ「なんで、内緒にしてたの」
かがみ「今思えば勘違いだった・・・つかさが猫を怖がったことがあったのを思い出してね、家で飼うのを反対されると思ったから・・・」
つかさ「そんな・・・私、猫を嫌いになったことないよ」
かがみ「そうよね・・・聞きもしないで、勝手にそう決め付けてた」
お姉ちゃんは悔しそうに一回倉庫の壁を叩いた。
そして私に同意を求めるうように、訴えかけるように話し出した。
かがみ「子供の私に何ができる、出来ることは、給食の残りをあげるくらい、カロリー計算どころの話じゃない、酷いものよ、
    ある日、急に弱りだしたのよ、タオルもなかった、知識もなかった、私の手の中で・・・弱っていくところを、見ていただけ、
    そんなのやだ、見てるだけなんて、あんな思いなんてもうしたくない、・・今なら解るよね、つかさ」
お姉ちゃんは急に涙を流しだした。いつものお姉ちゃんらしくない、気弱で、自信のない、そんな姿だった。
そして、反対していた理由が分かった。
132選択  11:2009/10/08(木) 18:02:57 ID:YhhBapTN


つかさ「お姉ちゃん、私に課題をくれたのは、お姉ちゃんのように失敗しないようにしてくれたんだね、ありがとう」
この言葉にお姉ちゃんは喜ばなかった。
かがみ「つかさ、あんたはお人よしよね、何でそんな良い方に考えるの」
つかさ「違うの・・・」
かがみ「つかさの子猫を見たくなかった・・・見るときっと情が移る、だから喧嘩してまで猫を遠ざけた・・・それだけ」
私はしばらく何も言えなかった。
かがみ「卑怯よね、自分は何も出来なかったのに、それを妹に押し付けて・・・でもつかさはやったわね、完璧じゃない、
    今の私でもそこまではしなかった・・・笑ってもいいわよ、怒っても、叩いても、私はもう何も言う権利もない・・・」

 更に弱気になってしまったお姉ちゃん。でも、お姉ちゃんに対して怒ったりするような感情はなかった。
つかさ「私は完璧じゃないよ、私・・・お姉ちゃんを羨ましいと思った」
かがみ「それは、皮肉、それとも嫌味」
つかさ「私、ミケちゃんを見ていれば良かったと思ってる、本を家に取りに行くことなんかなかった」
かがみ「・・・何でよ」
つかさ「もうダメなのは何となく分かった、でも、お姉ちゃんに負けたくなかった、それで本を取りに行ったんだよ」
お姉ちゃんは黙って私の話を聞いている。
つかさ「そんなのは、どうでもいいよね、もしかしたら、本を取っている間に死んじゃったかもしれない、もうそれと同じだった・・・
    お姉ちゃん、最後まで子猫を見守ったんだよ、私より凄いよ、こんなこと出来ないよ、立ち会えるって奇跡だよ」
かがみ「やっぱりあんたはお人よし、そんな事誰も言わないわよ・・・」

 お姉ちゃんはそのまま私に抱きつき泣いてしまった。今まで溜めていた涙を吐き出すように。私のように声には出していないけど、分かる。
私とは比べ物にならない悲しみを感じた。お姉ちゃんは誰にもこの事を言わないで一人でずっと心で泣いていたんだね。

 お姉ちゃんは落ち着くまで私よりも時間がかかったような気がした。
お姉ちゃんは泣き止むと、その場にしゃがんだ。結っていない髪の毛が垂れ下がって顔を隠してしまった。そのまま動きそうになかった。
私は落ちていた餌の入っていたお皿と水の入っていたお皿を拾った。
かがみ「どこへ行くの」
お姉ちゃんは髪の毛を手でかきあげて私を向いて話した。
つかさ「餌と水を持って来ようと思って、溢してあげられなかったから、最後に・・・そう思って」
お姉ちゃんはしばらく私を見てから話した。
かがみ「待って、私も・・・したいことが・・・手伝って」
お皿を地面に置いてお姉ちゃんの近くに寄った。するとお姉ちゃんは立ち上がりポケットから何かを取り出した。
つかさ「首輪?」
かがみ「そう、・・・・・・こづかい貯めて買った・・・付けることが出来なかった首輪、今日、つかさに渡そうと思ってた」
つかさ「そうなんだ、私は飼うのが決まったら買おうとしてたんだけど」
かがみ「付けて・・・いいかな」
私はダンボールからタオルに包まれたまま、ミケを取り出してお姉ちゃんに差し出した。
かがみ「寝ているみたいね、今にも起きそう」
お姉ちゃんはミケちゃんに首輪を付けた。私はそのままダンボールにミケちゃんを戻した。そしてお皿をまた拾った。
かがみ「周り汚れているわね、私、掃除しておくわ、この倉庫に掃除道具あったわよね」
つかさ「ありがとう」

 家に戻り台所に餌を取りにいくと、いのりお姉ちゃんとお母さんが居た。
いのり「つかさ、今まで何してたの、かがみも居ないし」
み き「また子猫の事で喧嘩してないわよね・・・つかさ、どうしたの」
お母さんは私を見て異変に気が付いたみたい。でも、今は言えない。言いたくない。
つかさ「帰ってから話すよ、それまで・・・何も聞かないで」
お母さんといのりお姉ちゃんは顔を見合わせ首をかしげた。
二つのお皿に餌と水を入れていると、そこにまつりお姉ちゃんが入ってきた。
まつり「お腹空いた、朝ごはんまだかな・・・つかさ居るじゃん、これから餌ね、今日で最後、かがみもこれで納得するわね」
まつりお姉ちゃんも私に異変に気が付いたみたい。私を見ると何も言わなくなった。
私は何も言わずそのまま神社へと向かった。
もう溢さないように、ゆっくりと向かった。違う、行きたくなかった。この餌は持っていっても無くなることはない。空しい。
楽しくじゃれ付くミケちゃんの姿しか思い浮かばなかった。
普段の倍の時間をかけて倉庫に着いた。
133選択  12:2009/10/08(木) 18:04:50 ID:YhhBapTN
 
倉庫に着くと、私が落として撒き散らした餌はきれいに無くなっていた。
お姉ちゃんが居ない。掃除道具を片付けに行っているのかな。
餌をあげるために、ダンボールに向かった。
ダンボールの中にミケの姿がない。お姉ちゃんが持って行った?。どこへ。なぜ。
しばらく呆然とダンボールを眺めていた。
『ニャー』
後ろから聞き覚えのある鳴き声がした。見なくても分かる。でも後ろを振り向けない。幻だったらやだ。
『ニャー』
もう一回同じ鳴き声、さっきよりも近づいている。振り向きたい。そんな気持ちが強くなってきた。
「つかさ、悪戯だったら怒るわよ」
後ろからお姉ちゃんの声、とても強い口調。いつもの怒った時のお姉ちゃんの声。私はゆっくり振り向いた。
振り向くとお姉ちゃんが居た。口調とは違って微笑んでいる。そして、お姉ちゃんは私の足元を指差した。
足元を見ると・・・子猫が私の足にすりよっている。
つかさ「ミケちゃん」
叫んだ。
かがみ「また餌を溢すなよ、掃除が大変なんだから」
何が何だか分からない。
つかさ「これは・・・何で・・・」
かがみ「そんなことより、お腹が空いてるんじゃないの、餌、欲しがってるわよ」
そう言われて慌てて餌の入ったお皿と、水の入ったお皿をミケに前に置いた。
飛びついて餌を食べだした。私はしゃがんでその様子をただ見ていた。
かがみ「やっぱりつかさはつかさだったわね、タオルで包んだままでよく猫の状態が分かったわね、感心したわよ」
つかさ「へ?」
かがみ「へ・・・じゃないわよ」
つかさ「思い込み・・・だった?」
かがみ「さあね、そんなの知らない、でも・・・そんなのどうでもいいじゃない」
つかさ「うん、そうだね」
お姉ちゃんもしゃがんでミケちゃんを見た。顔の前にきた髪の毛を手くしでで後ろに梳かす。
かがみ「掃除終わったらいきなりダンボールから飛び出したわよ、捕まえようとしてたらここから離れちゃってね」
つかさ「きっと、お姉ちゃんの猫が助けてくれたんだね」
かがみ「・・・つかさ、あんたね・・・」
私に文句をつけようとしたのはすぐ分かった。でもすぐにやさしい口調で、
かがみ「そうかもね・・・」
そう言った。
私たちはその後はただ黙ってミケちゃんが餌を食べてる様子を見ていた。
134選択  13:2009/10/08(木) 18:06:26 ID:YhhBapTN

 お皿の餌と水を空にするとミケちゃんは、自らダンボールに入りそのまま寝てしまった。
かがみ「まったく、こっちの気も知らないで・・・無邪気なものね」
つかさ「そうだね」
安心しきって寝てるミケちゃん。生きている・・・幻じゃない。喜びがどんどん湧いてくる。
つかさ「やったー、ミケちゃん、また一緒に遊ぼうね」
思わず叫んだ。するとおねえちゃんは急に真剣な顔になり、ミケちゃんに付いていた首輪を取ってしまった。そして私を睨んだ。
つかさ「どうしたの」
私がお姉ちゃんを騙そうとしていたと思っているのかな。恐る恐る聞いた。
お姉ちゃんは私に首輪を渡した。私は首をかしげた。意味が分からない。
お姉ちゃんは静かに話し出した。
かがみ「つかさ、本当に飼うつもり」
つかさ「そうだよ、あれは本当に死んだと思ったんだよ、嘘じゃないよ」
お姉ちゃんは笑った。
かがみ「つかさにあんな演技ができるとは思わないわよ・・・これは、最後に聞きたかった事・・・つかさに条件つけた時からそう決めていた」
つかさ「聞きたかったこと・・・?」
お姉ちゃんはさっきよりも真剣な顔になった。
かがみ「猫の寿命は短い、人よりもずっと短いわ」
つかさ「それがどうかしたの」
かがみ「つかさは耐えられるかどうか聞きたい、いつかくるこの仔猫の 死 を」
つかさ「えっ?!」
かがみ「よく考えて、その時にくる辛さはきっと、さっきよりはるかに重いわよ」
その時、急にミケちゃんが私の手のなかで弱っていく光景が浮かんでしまった。
かがみ「私は耐えられそうにない、・・・これが・・・飼うのを反対した理由・・」
もう当分涙なんか出ないと思っていた。それなのに、目が潤んでくる。更にお姉ちゃんは話し続ける。
かがみ「それから逃れる事もできる・・・お父さんの知り合いに引き取ってもらう」
つかさ「そんなこと・・・出来ない・・・」
かがみ「目が潤んでるわよ、それでも飼いたいなら・・・その首輪をつけなさい、その後はもう私は何も言わない・・・」
お姉ちゃんはそのまま後ろを向いてしまった。
つかさ「そんなの簡単だよ、選ぶまでもないよ」
私は首輪を寝ているミケちゃんの首につけようとした。手が止まった。手が急に重くなって首に手が届かない。
つかさ「おかしいな、付けられないよ、お姉ちゃん、何でかな」
お姉ちゃんは黙って後ろを向いたままだった。ミケちゃんは静かに眠っている。涙でミケちゃんが歪んで見える。
つかさ「ずるいよお姉ちゃん、最後の最後にこんなこと言うなんて、ずるいよ・・・」
お姉ちゃんは何も言わない、後ろを向いたまま。
どんどん涙が出てくる。でも、この涙は何かが違う、さっきまでの涙とは何かが違う。分からない。
135選択  14:2009/10/08(木) 18:07:54 ID:YhhBapTN

 ミケちゃんに首輪をまわした所から何もできない。どのくらい時間が経ったか。
お姉ちゃんは後ろを向いたままだった。私がどちらを選ぶか待っている。
まつり「つかさ、かがみ、いつまでそこに居るつもり、朝ごはん片付けちゃうよ・・・二人とも・・・なにを・・」
私たちの帰りが遅いのが心配になったのか、お父さん、お母さん、いのりお姉ちゃん、そして、まつりお姉ちゃんまで来た。
かがみ「もう少し、このまま考えさせてあげて・・・つかさがどっちを選んでも、何も言わないで受け入れてあげて」
まつり「受け入れるって・・・つかさ、泣いてるじゃない、あんた達、まだいがみ合ってるの・・・」
まつりお姉ちゃんは私の方に近づこうとした。お母さんがまつりお姉ちゃんを止めた。

 皆の視線が私に集まる。お姉ちゃんだけ後ろを向いていて表情が分からない。
ミケちゃんに合ってから今までのことが次々に思い出してくる。
それと同時にお姉ちゃんの言葉が重く頭に響く・・・
ミケちゃんは静かに寝ている。私がどちらを選ぶのか待っている。
時間だけが過ぎていく。




 私は・・・決めた。
つかさ「お姉ちゃん、私は・・・」


 
こなた「・・・そんな事があったんだ」
つかさ「うん」
みゆき「・・・」
こなた「しかし、かがみも意地悪だな、あの場面の後にそんな選択肢を与えるなんて、ゲームでもなかなか無いよ」
つかさ「わたしも決めるのに時間がかかったよ、こなちゃんなら、どっち選んでた?」
こなた「私?、つかさ、私はつかさに引き渡しちゃったんだよ、もう答えは出てるよ」
つかさ「でも、飼いたかったんでしょ」
こなた「私、ゆい姉さんに、かがみと同じようなこと言われてね、つかさの気持ち分かるよ」
つかさ「そういえば、成実さん、私を送ってくれた時、私に何度も猫のことで注意してた」
こなた「お父さんの猫アレルギーがなくても、同じことしたかな・・・」
つかさ「そうなんだ・・・」
こなた「ところでみゆきさん、さっきから黙ってるけど」
みゆき「・・・何か、ドラマのような出来事で、何も言うことができません」
つかさ「ゆきちゃん、どっち選んでた?」
みゆき「私も、誰かにお譲りしてたかもしれないですね」
つかさ「どうして」
みゆき「それは、チェーリーちゃんとみなみさんを見ていてそう思いました、私に動物の世話は出来そうにありません」
つかさ「そうなんだ・・・」
みゆき「難しい選択であったと思います」
こなた「そうだよつかさ」
つかさ「・・・」
こなた「ところでかがみは?、まだ来ないね、どうしたんだろ」
みゆき「はっ、いけない、委員会の会議でした・・・すみません、失礼します」
ゆきちゃんは慌てて筆記用具を用意して教室を出て行った。
こなた「さすがみゆきさん、ドジっ子だね」
つかさ「かなり慌ててたね」
こなた「会議だとかがみ達遅いね、待ってる?」
つかさ「ごめん、今日は早く帰らないと・・・今日はミケちゃんの餌当番の日だから」
こなた「そっか、じゃ帰ろうか・・・ねえ、ミケ、見に行っていいかな」
136選択  15:2009/10/08(木) 18:08:45 ID:YhhBapTN
 

 あれから一ヶ月が過ぎた。あの時、私はお姉ちゃんに首輪をつけたミケちゃんを見せた。そう、私は飼うことを選んだ。

 あれだけ反対していたお姉ちゃんも進んでミケちゃんの世話をするようになった。
猫はお散歩する必要がないから皆で餌当番だけ決めた。
いつの間にかお姉ちゃんになついたミケちゃん、家族に愛敬を振りまいて、すっかり家族のムードメーカになった。
外ではおてんばぶりを発揮して近所の子供達の人気者になった。

 ミケちゃんに首輪をつける時考えた。
お姉ちゃんの言うように、いつか耐え難い悲しみが私達家族を待っている。
私だけを考えると、進学、就職、その他・・・家を出ることもあるかもしれない。
そうなればもっと早くミケちゃんとの別れがきてしまう・・家族とも・・お姉ちゃんとも・・そんな事まで頭を過ぎった。

 それでも私は飼う方を選んだ。
ほんの少しだったっけど、育ててみてそう思った。あの時、最後に流した涙がそう予感させた。
そんな悲しみよりも、もっと大切なものをくれるような気がしたから。
それが何かは分からないけど、もう貰っているかもしれない。・・・そうだよね、お姉ちゃん。

つかさ「こなちゃん、改まってどうしたの」
こなた「私は、ミケを見捨てたんだよ・・・やっぱり行き難い・・・」
つかさ「ミケちゃんを見たかったらいつでも来ていいよ、それに、見捨ててなんかいない、こなちゃんの選択、あれで良かったと思うよ」
こなた「でも・・・私はつかさのように・・・できなかった・・・」
つかさ「答えは一つじゃない、ミケちゃんを見れば分かるよ、行こう、こなちゃん」

泣き出しそうなこなちゃんに私は笑顔で返した。


137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/08(木) 18:10:09 ID:YhhBapTN
お粗末でした。

コンクール作品を書き終わったてすぐに浮かんだストーリです。
みんな泣いてばかりだったので最後は笑顔で終わらせた。
つかさは笑顔がいちばんいい。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/08(木) 18:12:21 ID:YhhBapTN
追記
10レス目から規制がかかって10分くらい?書き込みできませんでした。
10レス以上のSSを投下する人は時間を多く取って余裕をもって
投下してください。
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/08(木) 19:15:10 ID:IbzT8cVX
ハートフルだわー
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/08(木) 22:35:31 ID:dthTGK4x
ハッピーエンドで良かった…
GJ!
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/08(木) 23:03:02 ID:3YMJDypU
展開の仕方が上手で引き込まれた
とにかく、GJ!!
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 15:18:00 ID:xy5Ow/9g
7巻見てたら色々ネタに出来そうな気はするんだけど、するだけでなにかもどかしい

とりあえず、岩崎母の名前がわかって少し嬉しい
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 15:39:21 ID:A7rneQ+Y
*おおっと*
正式な発売日まではネタバレは勘弁してくれよ
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 16:18:48 ID:xy5Ow/9g
あれ…何でもない普通の本屋に売ってたから、とっくに発売日かと思ってた…
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 16:34:42 ID:wlF9zXkP
コンプかなんかで明かされたんじゃないの?
単行本が初出?みなみ母の名前
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 17:11:12 ID:uikBckx6
>>145
単行本のキャラ紹介が初だな
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 18:06:54 ID:IEoNZdei
つかさ「これでよしっ、と」
こなた「つかさ、今何したの」

つかさ「明日発売の本をkonozamaで注文した、」
こなた「ダメだよっ!」
つかさ「ふぇ!?」

こなた「明日発売の本をkonozamaで注文!? つかさは早く読みたくないの!?」
つかさ「え? だから注文したんだけど」
こなた「分かってないね。ネット注文だと数日遅れるのがデフォなんだよ」

つかさ「そ、そうなんだ」
こなた「そう。だからその注文はキャンセルして、明日一緒に買いに行こーよ」
つかさ「うん。わかった」


よくじつ!

こなた「あれー? ここも売り切れっぽ、」
つかさ「おい、ふざけんな」
こなた「ひぃっ」
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 18:37:16 ID:yEUI1pes
>>143
発売日今日っぽいよ。
まんが王の発売予定リストでは今日になってた。

それはそうと、7巻ネタ満載だな。
新キャラとか、そうじろうのフ○チンとか…。
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 19:00:53 ID:1JMLw+Hc
ネタバレする奴は来ないでください^^
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 19:28:12 ID:CNL347KF
しかし単行本派にとってはいずみなんてネタバレにもほどがあるだろ。ほのかさんはそれほどバレじゃないような
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 20:42:43 ID:G5gaG0l2
>>147
つかさが切れたw
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 20:44:26 ID:awka3l73
 7巻、角川の公式発表では10月10日発売だけど。
 アマゾンでも既に在庫ありになってたし、今回は早売りのところが多いのかもね。

 我が最果ての地の本屋にはなかったけどな。
 明日あればいいのだが……。台風のせいで遅延の可能性もあるのが不安なところ。
 だからといって、アマゾンで注文すると3日はロスタイムが出るし。
 辺境の地はつらいぜ。

 6巻のときは、ネタバレ禁止期間設定したっけ?
 1年以上も前だから忘れちまったい。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/09(金) 20:50:51 ID:G5gaG0l2
確かに7巻のネタを使って
SS書いたりするのはまだ早いかもね
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/10(土) 00:48:43 ID:7iuMir7t
>>150
どっち派かは個人の自由だしなー。ネタバレと言えるのは名前の方じゃね
単行本でしか見られないから。つか、お前がバレしてどうするw

>>152
特になかったな。一応発売日なればおkって感じだった
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/10(土) 02:06:39 ID:Hxm4nI+l
らき☆すた】埼玉新聞65周年記念Ver.

「泉こなた」 ねんどろいど
http://www.47club.jp/shop/g/g10006131/

「柊かがみ」 ねんどろいど
http://www.47club.jp/shop/g/g10006141/
156 ◆99/tzfnSzY :2009/10/10(土) 13:16:29 ID:xh7n1pb1
                          _. - ._             _
                      /. -−- \             l `i   __
                         //      ヽ          } ´ ̄ ´ '´ う
                     |{      /\  ____  j     /
      ( ヽ              '.l.   ___/    ヽ´  ー-=ニ.¨`7     r '
   r──’ `ヽ            .ゞ ' ´         '.       `丶、  /
 (´_ ̄       ヽ         /             |       \  \/
 ‘ー⊂.         \      /  ,    l  |    |、        ヽ‐-,ヽ
      ̄ ̄\     \.     /  /     !  ∧   ||ヽ__|     ∨ `
          \     \  /  /     | / '   ||'´ヽ l      l. ', 
            \     \l  '    |  ,ィ´′ ∨ ハ. |   Nヽ.   |、 i
              \     \l.    |  /|/     / /       ',   |、ヽ!       
                \     ヽ、.  | i       ∨    三三 ハ.  ! \
                  \.   /\ | | xィ彡        ・{ l. ∧ /
                /\ /   }'ヽ! "´       ,、_,   l |∨ ∨
                  / /   /   \     ‘7´  )   .ノ |     l
               {      /    ',\    、__,. ' ,/  |    /
                 \   /      ', ヽ----r ' ´ |   |  ./
                 | ー ´         ',  ',   ヽ    |   |  /
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/10(土) 20:13:28 ID:HjGMx5Dr
こなた「ねえかがみ」
かがみ「ん?」
こなた「私をどうするつもりかな」
かがみ「特に何も」
こなた「そっかあ」
かがみ「いやまさかそんなわけないでしょ」
こなた「えーやっぱり?」
かがみ「うん」
こなた「なるほどねえ」
かがみ「……」
こなた「……」
かがみ「え」
こなた「えんとつ」
かがみ「ツンデレ」
こなた「冷蔵庫」
かがみ「コロッセウム」
こなた「村瀬さん」
かがみ「ん」
こなた「んー……んらまってぃ」
かがみ「隕石衝突」
こなた「ツンデレ」
かがみ「レジャースポット」
こなた「東京はこわい」
かがみ「イライラするほどユートピア」
こなた「明日は明日のマイ・ラプソディ」
かがみ「はいNGワード、こなたの負け」
こなた「ああしまったー」
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/10(土) 21:44:20 ID:MrYrZ40Y
7巻見たぜ。 そうじろうの 「 フルチン ☆ 」 素晴らしかったねぇ〜。
つーか ゆーちゃん 幾度となくそうじろうの下半身眺めてきたわけだから、
そのうち、 そうじろうによって放出される超強力性的パワーでパンツぐしょぐしょになって
[ ある日、 ゆたかは深夜仕事をしているそうじろうの書斎に行き、

「 おじさん、 実は私、 おじさんのことが・・・ /// 」 ]

いっておくが俺は荒らしではないぞ。

159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/10(土) 23:15:06 ID:F72Rmp8+
パンツぐしょぐしょておねしょの事だろうからな
全然セーフだろ
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/10(土) 23:20:52 ID:2tSTNugX
>>159
流石というか、かわし方を心得てらっしゃる

でも違うと思う
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/10(土) 23:26:42 ID:3+inLdIC
7巻をみた
柊家の話が多かったのが意外だった。
かがみのイメージと違った所が見れたのも結構ネタになりそうだな。
それと画風がまた変わったような気がする。

162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 00:10:12 ID:8qfUkl+i
確かに画風どんどん変わっていってるな。
できれば昔の感じに戻してほしいんだが、・・・四巻辺りに。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 00:31:05 ID:TGdD43ad
※7巻ちょいネタバレ注意

こなた「らき☆すた7巻発売日キター!」
かがみ「そうねえ」
こなた「そういうわけでせっかくなんで」
かがみ「ん?」
こなた「7巻レビューしちゃおうと思いまーす!」
かがみ「えぇっ!? はぁ……ん、ちょっと?」
こなた「ん?」
かがみ「レビューってまさかあれ、全部やんの? 一個一個?」
こなた「うん」
かがみ「ええぇっ!?」
こなた「じゃあまず最初、『パワーゲーム』! 
     うーん、よくある系のネタだねー、格ゲーをわかっていらっしゃる!」
かがみ「始めちったよ……」
こなた「それから次、『自称最強』! これは次の『理想と現実』と合わせて8コママンガっぽくなってるねー。
     そーそー、格ゲー経験者のあるある!」
かがみ「はあ」
こなた「そん次の『お邪魔してます』は……」


……


こなた「……えーと、『ワンボタンミス』は、うん、いいね、それから……
     ……ああーもういいや、メンドくなってきた……」
かがみ「全く……誰がどう考えてもこんなの完走できるわけないだろ……」
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 02:03:28 ID:UiHrsgZZ
かがみ「たっだいま〜♪」
つかさ「おかえり、お姉ちゃん。なんかご機嫌だね〜」
かがみ「まあねw」
つかさ「何かいい事あったの?」
かがみ「らき☆すたの7巻が発売したから買ってきたの!」ジャン
つかさ「あ、しまったぁ、発売日忘れてた〜><」
かがみ「あははざまあww…じゃ、私堪能してくるから」ノシ




かがみ「ハァハァ…こなたぁ…、ふ、ふふ…これで最低1年は生きていけるわ…!」
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 05:25:48 ID:IrUjJUlL
7巻ネタばかりワロタwwww
ひよりんと同じくSSの創作案が浮かんでこないおまいらに乾杯
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 05:31:34 ID:sDs5BjqB
*7巻ネタバレ

こう「というわけで勧誘すべきかどうかって話よ」
山さん「ひよりんのクラスの若瀬いずみさんかぁ」
毒さん「無理っしょ。隠れオタな人はアニ研入らないと思うよ」
こう「それがさ、夏あけたらバレるっぽいらしいよ」
毒さん「何、ひよりんばらすの?」
こう「んにゃ、例の留学生にもバレてたらしくて」
山さん「向こうの人はオープンだかんね。そりゃ時間の問題」
ひより(って私こうちゃん先輩には話してませんよね?なんで知って)
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 11:48:09 ID:ZaKwEFxM
そうじろうはち○こをトイレットペーパーの芯で包んでから
2Fのトイレに行けばよかったという気がしないでもない。
そうすればゆーちゃんもあんな目には…w
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 11:53:20 ID:a+yEggK5
>>167

 いやいや、 ゆーちゃん にはこれからも悲惨な目にあってもらわねば・・・。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 12:40:12 ID:L9EAhOQZ
みなみ「>>168さん、話があるから体育館の裏に来て……大丈夫、すぐ終わらせるから」
170かがみ小話:2009/10/11(日) 12:56:31 ID:Na3RRnTG
投下いきます。

多分、7か8レスほど。
171かがみ小話:2009/10/11(日) 12:59:11 ID:Na3RRnTG
 それは、ある日の学校帰りから始まるお話。
 わたし、柊かがみが体験した、少し不思議なお話。
 とはいえ、それほど長い話でもないし、小話といった程度なんだけど。



― かがみ小話 ―



 最初にわたしの双子の妹である柊つかさの異変…と言うほど大げさなものでもない、落ち込んだ表情に気がついたのは、友人の泉こなただった。
「つかさ、なんか暗いね。どうしたの?」
 ストレート。それが彼女の持ち味。一見するとオタクでインドア派とはとても思えない、人懐こい表情をしてるせいで、その持ち味は強力な武器となる。
「もしかして、誰かと喧嘩した?…んーと、家族の誰かとか」
「う、うん…今朝、ちょっと…ね」
 図星をつかれ、つかさはそう答えた。この勘のよさもこなたの武器だ。おかげで隠し事が苦手なつかさは、恥ずかしいことや悩み事やら、色々こなたにほじくり返されることが多い。もっとも、その件に関しては、わたしもつかさの事は言えないけれど。
「あの…わたし達で、何かお力になれることはあるでしょうか?」
 遠慮がちにそう言ったのは、もう一人の友人である高良みゆき。フォローを入れたり、解決策を提示したりと、こなたがほじくり返す役ならば、彼女は優しく埋める役だ。
 この二人と話すと、大抵の悩みはどうでもよくなったり、すっきりしたりする。こういう友人を持てたことは、ありがたいことだと思う。もっとも、こなたの場合は、彼女自身が悩みの種になったりして、素直に感謝できないのだけれど。
「ありがとう、ゆきちゃん。でも、大丈夫だよ。そんな大げさな話じゃないし、何が悪いか分かってるし、後はわたしが謝るだけだから」
「…そうですか」
 つかさの言葉に、納得はしたけど心配だ。みゆきはそんな表情をしていた。
「喧嘩した家族って、まさかかがみじゃないよね?」
 こなたがそうわたしに振ってきた。なんかニヤニヤしている。こういう時は大抵分かってて聞いてるのだ。
「違うわ、まつり姉さんよ。わたしはつかさと喧嘩なんて滅多にしないわよ」
「まーそうだろうね」
 やはり、分かってて聞いてきたらしい。そうならいちいち聞かなくても良いだろうに。
「かがみとつかさじゃ喧嘩しないじゃなく、喧嘩にならないだろうからね」
「なにそれ?」
 こなたの言ってることが分からず、わたしは首をかしげた。
「かがみが一方的につかさを…ってこと」
「なんだそりゃ?わたしがつかさにDVでもしてるってか?」
「ご明察ー」
 とぼけた口調でそう言うこなたの脳天に、わたしは拳を打ち下ろした。
「…ほらー、そうやってすぐ暴力振るぅー」
 頭を抑えながら、大げさに痛がるこなた。泣いてるようにも見えるが、当然嘘泣きだ。本気で殴ったわけじゃなく、軽く小突いた程度だから、痛いことあるわけがない。
「かがみさんも泉さんも、喧嘩をしては駄目ですよ」
 みゆきが仲裁に入ってきたが、その顔は少し笑っている。彼女も分かっているのだ、本気で喧嘩などしてないことを。見るとつかさも少し遠慮がちに笑ってりる。良かった。少し気が楽になったみたい。


172かがみ小話:2009/10/11(日) 13:03:12 ID:Na3RRnTG
 みゆきと別れ、こなたとも別れて、電車の中にはわたしとつかさだけになった。その途端に、つかさの表情が重く沈む。
 こなたたちの手前、軽い喧嘩のようなことを言ってみたが、実は二人の喧嘩はかなり深刻だ。
 滅多なことでは人に怒鳴ることのないつかさが、まつり姉さんに向かって大声を張り上げていた。
 まつり姉さんも、姉としての意地があったのか一歩も引かず、結局わたしがつかさを引き剥がすような形で学校に連れてきたのだ。
 何が原因かは聞いていない。でも、つかさは自分が悪いと思っているようだった。
 今までの経験からすると、十中八九悪いのはまつり姉さんなんだろうけど、つかさは人のことを悪く思う前に、自分を悪く思ってしまう。つくづく損な性分だと思う。
「…家に帰りたくないな」
 そう呟いた言葉は、つかさの心からの本音だったのだろう。


 家の最寄の駅につき改札をくぐったところで、わたしはある用事を思い出した。
「ごめん、つかさ。ちょっと本屋に寄っていきたいんだけど…」
 わたしが手を合わせながらそう言うと、つかさは少しうつむいて、考え込むようなしぐさをした。
「…じゃあ、わたし先に帰ってるね」
 そして、顔を上げて言ったその言葉に、わたしは心底を驚いた。てっきり、一緒に本屋に来ると思っていたからだ。
「ごめんね、お姉ちゃん。変に気を使わせちゃって…でも、こういうこと後回しにするの、良くないと思うから」
 どうやらつかさは、わたしが本屋に寄るといったのをそういう風に解釈したらしい。
 そうじゃなく、本屋には本当に用事があったんだけど…今日でなくても良かったし、やっぱりそういう気持ちもわたしにあったのだろうか。つかさに少しでも気持ちに余裕を持たせる時間を与えたい、と。
「大丈夫だよ。お姉ちゃんが帰ってくるまでには、ちゃんと仲直りしてるから」
 気が弱いところはあっても、芯の強いところもある。わたしはつかさのそういうところを、思い出していた。そして、わたしが必要以上に心配性だったということも。
「じゃあ、お姉ちゃん。また後でね」
 手を振りながら、家に帰るつかさ。しかし、家とまったく違うほうに向かっている。わたしは、つかさにちゃんと聞こえるように、大きな声で注意した。
「つかさ!家はそっちじゃないわよ!」
 つかさが見えなくなってから、呆れ半分でため息をつくと、わたしは本屋に向かい歩き出した。




173かがみ小話:2009/10/11(日) 13:05:54 ID:Na3RRnTG
「え、まだ帰ってないの?」
 家に帰ったわたしは、つかさがまだ帰ってきていないことをお母さんから聞き、ひどく驚いた。目当ての本がなかなか見つからず、家に帰ってきた頃にはもう日が落ちかけていたのだ。いくらなんでも、つかさがわたしより遅いはずがない。
「そうなのよ…やっぱり、朝のことが…」
 お母さんが心配そうに呟いた。わたしもそう思ったが、別れる前につかさが見せた決意を信じたくもあった。
「どこうろついてるか知らないけど、お腹が空いたら帰ってくるでしょ」
 後ろから聞こえる能天気な声。見ると、まつり姉さんが階段を上っていくところが見えた。わたしはその物言いに少し腹が立ったが、わたしまで姉さんと喧嘩になんて事態は避けたかったので、我慢することにした。
「まつりには、わたしから言っておくわ」
 そういうお母さんにわたしは頷くと、自分の部屋に戻るために、階段を上がった。


 部屋に入ったわたしは、つかさに連絡を取ろうと携帯を開いた。電話にしようかメールにしようか少し迷い、とりあえずメールを送ってみることにした。
「…あれ?」
 画面に出たのは送信失敗の文字。何度試しても送信できない。わたしは今度は電話をかけてみることにした。
『おかけになった電話番号は、現在使われておりません…』
 無機質な女性の声がした。電波が届かない所にいるとか、電源が入っていないとかなら分かるけど、電話番号が使われてないって、一体どういうこと?
 確か昨日はちゃんと電話できたはず。今日の内につかさが電話番号を変えてしまった?…ありえない。今日は一日つかさと一緒だった。
 授業中に抜け出してなら可能かも知れないけど、そんなつかさらしくない行動はこなたかみゆきが話題にしそうだ。
 駅で別れた後なら…と、わたしはそこで思い直した。わざわざ電話番号を変える必要なんてない。電話をかけられたくないなら、電源を切ってしまえばいいんだ。番号を変えてまでなんて、つかさらしくない。
「…ねえ、かがみ」
 背後から聞こえてきた声にドキリとする。振り向いてみると、いのり姉さんが青褪めた顔で立っていた。
「な、なに?ノックもしないで入ってきて…」
「かがみ…つかさの携帯に電話してみた?」
 さっきの女性の声が脳裏に蘇る。姉さんも心配になって、つかさに電話をかけてみたんだろう。わたしは姉さんに向かい、黙って頷いた。
「おかしいわよね。電話番号が使われていないって…これ、どういうことなの?」
「わたしにもわからない…わからないよ…」
 なにかが起こってる。わたしはそんな気がした。



174かがみ小話:2009/10/11(日) 13:07:12 ID:Na3RRnTG
 つかさを除く家族全員が難しい顔をして、居間のテーブルについている。テーブルの上に広げられているのは、それぞれの携帯。誰がかけても結果は同じだった。メールは届かず、電話はそんな番号など無いと言われる。
 わたしは念のためこなたとみゆきに電話をかけてみたが、二人ともつかさのことは知らないようだった。わたしの様子からなにかを悟ったのか、二人とも何か協力できることはないかと言ってきたが、わたしはもしつかさが来たら連絡を入れておいて欲しいとだけ伝えた。
「…探しに行ったほうがいいんじゃない?…おかしいよこれ」
 いのり姉さんがそう呟く。声音は落ち着いているが、手が少し震えているのが見えた。
「そうね…」
 お母さんもそれに同意して頷く。まつり姉さんは、わたしの横でずっと黙ってテーブルに突っ伏して頭を抱えていた。多分、今回のことが一番こたえているのはまつり姉さんだろう。自分のせいでつかさが帰ってこない。そう思ってるに違いない。
「今日はもう遅いから、やめた方がいいと思う。明日探してみて、見つからなかったら、警察に捜索願だすしか…」
 そう冷静に言ったのは…わたしだった。なぜだろう。つかさがこんな状況だというのに、わたしはひどく冷静だった。
「か、かがみ…つかさのこと心配じゃないの…?」
 傍目にわたしがどう見えてるのか分からないけど、お母さんは少しおびえている風に見えた。
「心配よ。でも、今から探しに行っても見つかる可能性は低いと思うの…探しに出る方が危険だろうし」
 そう言ったものの、わたしは言葉ほどつかさの事を心配はしていなかった。つかさを信頼している?いや、そんなもんじゃない。よく分からないけど、何か確信のようなものを感じていた。
「…かがみの言うとおりだな。探しに出るのは明日にしよう」
 今まで一言も喋らなかったお父さんが、そう言って立ち上がった。
「お、お父さんまで…」
 お母さんも立ち上がり、居間を出ようとしていたお父さんを止めた。お父さんはなぜかわたしの方をチラッと見た。
「大丈夫だよ。これは、心配するほどのことじゃない」
 そして、お母さんにそう言って、尾間を出て行った。お母さんも何か言いながら、お父さんについていく。
「お父さん、何か知ってるのかしら…?」
 わけが分からないといった風に首をかしげ、いのり姉さんも居間を出て行く。
「…姉さん。わたし達も部屋に戻ろ?」
 未だに頭を抱えたままのまつり姉さんに、わたしは声をかけた。しかし、姉さんに動く気配はまったく無い。仕方なくわたしは、まつり姉さんをその場に残して居間を出ようとした。
「…土下座して謝るくらいするからさ…帰ってきてよ…」
 後ろから、まつり姉さんの呟きが聞こえた。


 その晩。わたしの携帯は何度も着信音を鳴らした。多分、こなたとみゆきからだろうが、わたしは何故か取る気がせず放置した。つかさが見つかったという連絡だとは、一度も思うことはなかった。



175かがみ小話:2009/10/11(日) 13:10:28 ID:Na3RRnTG
 次の日。わたしは学校を休み家に待機していた。お父さんとお母さん、それにいのり姉さんがつかさを探しに出かけ、その間につかさが戻ってきたときのためにわたしが家にいてるというわけだ。まつり姉さんも家にいるのだが、へこみきって部屋に閉じこもってしまっている。
 今のテーブルに置いた携帯をじっと見ながら、わたしは本当に何もせずに待っていた。この携帯をつかさが鳴らすことは無いだろうし、家につかさが自分で帰ってくることも無いだろう。わたしは何故かそう確信してる。そんな事いやなはずなのに、昨日からおかしい。本当に。
「ただいま」
 真後ろで声がして、わたしは驚いて凄い勢いで振り返った。そこには、驚いた顔のお父さんがいた。
「お、お父さん…驚かさないでよ」
「いや、びっくりしたのはこっちだよ。急に振り返るから…何度か声をかけたんだけどね。気づかないようだったからね」
 わたしはまだドキドキいってる心臓を落ち着かせようと、胸に手を当てて深呼吸をした。時計を見てみると丁度正午。お父さんはお昼を食べに戻ってきたのだろうか。
「…つかさは?」
 わたしが念のためにそう聞くと、お父さんは黙って首を振った。まあ、そうだろう。見つかるはずがない。
「…まただ」
「ん、何がだい?」
「ううん、なんでもない」
 またわたしは、つかさが見つからないと確信してる。本当にどうにかして欲しい。
「ところで、まつりはどうしてる?」
「部屋にいるわ。ずっとへこんでるみたい」
「そうか…」
 お父さんはあごに手を当て、うつむいて少し考えると、わたしのほうを見た。少し表情が険しい。
「もう、まつりが喧嘩のことを蒸し返すようなことは無いと思うからね…かがみ、そろそろつかさを家に返してあげてもいいんじゃないか?」
 お父さんは何を言ってるの。まるで、わたしがつかさをどこかに隠してるみたいな言い方だ。
「…お父さん、それどういうこと?」
「やっぱり、無自覚か…」
 そう言って、お父さんはまたあごに手をあててうつむいた。
「かがみがつかさと分かれたのは、駅前だったね?」
 そのまま、わたしに質問してくる。
「うん、そうだけど…」
 お父さんが何を考えているか分からない。けど、なにか大切なことのような気がする。
「その駅前に、歪みの痕跡があったんだ。多分、つかさはそこからちょっとした歪みにはまったんだろう」
「な、何それ…?」
「歪みにはまったから、つかさからは家も家族も見えなくなって、僕たちからつかさが見えなくなったんだろうね」
 言っている意味がさっぱり分からない。お父さんは、こんな変なことを言う人だっただろうか。
176かがみ小話:2009/10/11(日) 13:13:11 ID:Na3RRnTG
「かがみ、よく思い出して。駅前でつかさに何が…いや、何をしたんだい?」
 そう聞かれて、わたしは考え込んでしまった。
「何って、何も…ただ、わたしが本屋に寄るって言ったら、つかさが先に帰るって…それで分かれて…」
 何もおかしなことなんかないはず。
「…分かれて…あれ?…あの時、つかさは…」
 無いはずなのに、何かが引っかかる。その引っかかりに意識を集中させると、強烈な違和感に行き当たった。
「お父さん…おかしいよ…あの時つかさは、道を間違えてた…」
 そう、つかさは家に向かう道を間違えた。だからわたしは指摘した。だけど…。
「ほんとに…ほんとにつかさは道を間違えてたの?」
 違和感。心底おかしいと思う。あの時は、たしかにつかさが道を間違えてたと思ったのに。
「かがみ。その時、つかさに何か言ったかい?」
「…そっちじゃないって…言った…家はそっちじゃないって…」
「なるほど…それがきっかけだったんだね」
「きっかけ?」
「ああ。そのかがみの言葉がきっかけで、つかさは家までの帰り道を間違ってると歪められたんだ」
 わたしは、あの時意識すらしなかったことを思い出し始めた。わたしは、つかさとまつり姉さんを会わせたくなかったんだ。また喧嘩になるんじゃないかって怖かったんだ。だから、そっちじゃないと言ったんだ。つかさはちゃんと家に帰ろうとしてたのに。
「お、お父さん…わたし…どうして…」
 寒気がする。これは恐怖だ。わたしがつかさを、歪みとやらにはめてしまったんだ。そして、わたしは無意識にそのことを知っていた。だからつかさが見つからないと思ったし、こなた達の所に行くことも無いと分かっていた。そんな自分自身が、たまらなく怖かった。
「大丈夫だよ、かがみ。それはつかさの事を、大事に思ってたということだからね」
「で、でも…わたし…わたし…」
「よく考えて。つかさは今どこにいる?かがみは何をつかさに伝えたらいい?」
 恐怖で混乱しているわたしに、お父さんが優しく問いかけてくる。
 その瞬間わたしの頭によぎったのは、小学生の頃の思い出。大きな遊園地で、つかさが迷子になったときの思い出。
 あの時も、わたしが何かに見とれて、つかさに注意を払ってなかったから、つかさは迷子になった。わたしは必死になってつかさを探した。そして、遠くにつかさの姿を見かけて…そこまで思い出したところで、わたしは家を飛び出していた。


 玄関を出て、左右を見回す。姿は見えないけど、きっとつかさは近くにいる。つかさは、遊園地の時と同じように、ただ迷ってるだけだ。迷わせたのはわたしだ。だからわたしは、あの時と同じように、つかさにちゃんと聴こえるように、大きな声で叫んだ。
「つかさ!こっちよ!」
 目の前に、つかさがいた。疲れきったその顔が、わたしと後ろにある家を見て安堵の表情に変わる。
「…お姉ちゃん…そっか…やっと、帰ってこれたんだ…」
 つかさがわたしの胸にもたれかかる。わたしはその体を、思わず抱きしめていた。
「ごめん、つかさ…ほんとにごめんなさい…」
「…うん?…どうして、お姉ちゃんあやまってるの?」
 つかさの疑問には答えずに、わたしは何度もつかさに謝った。


 お父さんが言うには、今回のことは偶然に偶然が重なった結果だそうだ。あの場所に歪みがあり、そこできっかけとなった言葉を口にした。そんな偶然など、ほんとにごく稀なことだという。
 だから、気に病まなくていい。お父さんはそう言いたかったのだろうが、わたしのつかさに対する罪悪感は消えなかった。
 あの時、つかさにきっかけの言葉を言った時、わたしは確かに歪んだものを見ていた。
 無意識とはいえ、わたしは歪むことを知っていたんだ。知っていて、きっかけを作ってしまった。だから、そんなわたし自身をわたしは許せなかった。



177かがみ小話:2009/10/11(日) 13:16:30 ID:Na3RRnTG
 翌日。わたしとつかさは登校するなり、昨日の欠席についてこなたとみゆきに詰め寄られた。
 そのあまりの剣幕に、メールやらなにやらを全部無視してたことを思い出した。
 わたしは二人に謝りながら、この二日間の出来事を話した。最初は適当なことを言おうかと思ったけど、結局ありのままを話すことにした。たぶん、こんな突拍子も無い話は信じてもらえないだろうけど。
「それは、なんとも不思議な話ですね」
「うん、事実は小説より奇なりを地で行ってるね。さすが、神社の娘だよ」
 予想に反して、二人ともわたしの話をあっさりと信じていた。
「いや、家が神職だからとかは関係ないと思うぞ…っていうか、二人ともよくこんな話信じられるわね。話してるわたしが言うのもおかしいけど」
 わたしが呆れ半分でそう言うと、こなたとみゆきは顔を見合わせて微笑んだ。
「な、なによその反応…」
「いえ、別に…わたしはかがみさんが、そのような嘘をつく人じゃないことを知っていますから」
「そ、そうなの…」
 みゆきの言葉が、なんだか照れくさい。
「それに、かがみは嘘つくの下手だしねー。嘘ならすぐ分かるよ」
「…そうかよ」
「なぜ、わたしにはそんな反応なのかな」
 こなたは、どういう反応を期待してたんだろうか。
「まあ、そういうわけだから、二人ともごめんね。だいぶ心配させちゃったみたいで…」
 わたしがそう言うと、こなたは何故か首をかしげた。
「さっきから何回も謝ってるけど、もしかしてかがみ、全部自分のせいだって思ってない?」
 こなたの言葉に、わたしは思わず身体を強張らせてしまった。こいつは、どうしてこうも何の前触れもなく確信をつくのよ。
「…図星?しょうがないなーかがみんは」
 黙っているのを肯定と受け取ったのか、こなたはお手上げのジェスチャーをすると、つかさのほうを向いた。
「つかさはどう思ってるの?かがみのこと恨んでる?」
 相変わらずのストレート。そんな聞きづらいことを、よくもこうさらっと聞けるものだ。
「…最初、ちょっとだけ」
 つかさが言いづらそうに口にした言葉は、けっこう意外なものだった。
「で、でもね、少し考えたらそうなった大元の原因はわたしがまつりお姉ちゃんと喧嘩したことだし、最後にはかがみお姉ちゃんが助けてくれたわけだし…」
 慌てて、わたしへの恨みを否定するつかさ。でも、なんでだろう。つかさが少しだけでもわたしを恨んでたって知ると、少し心が楽になった気がする。
「まあ、お互い様ってことだろうね。ちょっとくらいはお互いにやましいところがあったほうが、結構うまくいくもんだよ。たぶん」
 なぜか得意そうに言うこなたに、お前はそんなことが言えるほど人間関係豊富なのかとつっこみたくなったが、こいつはこいつなりにわたしたちの事を気遣ってるのだろうと思い、余計なことは言わないことにした。こなたもいつもみたいな余計なことは言ってないし。
178かがみ小話:2009/10/11(日) 13:18:29 ID:Na3RRnTG
「それにしても、つかささん。お体のほうは大丈夫なのですか?話からすると、丸一日歩き通しだったみたいですが…」
「うん。大丈夫。昨日、家に戻れてから、ご飯食べてしっかり寝たから」
 みゆきの質問につかさは気丈に答えるが、本当は少し無理してる。多分、授業中に寝るだろうな。
「でも、ほんとに良かったねつかさ。ちゃんと戻って来れて」
 今度はこなたがつかさにそう言った。
「歪み、だったっけ?それのこと分かってる人がいたから良かったけど、いなかったらつかさはずっと向こうに行ったままだったよね」
 余計なこと言っちゃったよ。こなたの言葉を理解したつかさの顔が、みるみる青くなる。わたしは結局こうなるのかと、大きくため息をついた。
「みゆき、こなた押さえといて」
 わたしはみゆきに指示を出すと、自分の鞄に手を突っ込んだ。
「ちょ、ちょっとみゆきさん?なに?」
 みゆきに羽交い絞めにされたこなたが戸惑っている。っていうか、こういう指示に素直に従うみゆきもどうかと思う。
「さてこなた、ここにワンカップもずくがあるんだけど」
 わたしは鞄から取り出したものを、こなたの鼻面に突きつけた。こなたはそれをみて露骨に顔をそらす。
「な、なんでそんなモノ持ってるんだよ…」
「今日のお昼に食べようと思ってたのよ…で、これを今からあんたの体のどこかの穴に突っ込むから、口以外から選びなさい」
「なにその地獄の選択肢!?」
「おすすめは目よ」
「それもずくじゃなくても嫌だよ!ってかそこ穴じゃない!」
「ふし穴でしょ?」
「ひどすぎる!」
「お、お姉ちゃん。こなちゃん本気で嫌がってるよ…」
 わたしを止めようとしながらも、少し笑っていうつかさ。わたしにもずくを突きつけられて、涙目になってるこなた。困った顔をしながらも、こなたを離そうとしないみゆき。
 それらを見てると、なんだか気落ちしてることが馬鹿らしくなってきた。
 そして、今頃になってつかさが戻ってきたことを良かったと、心から思えた。



 あ、結局もずくは、みゆきに食べ物を粗末にしないように言われたから、こなたの口に突っ込むことになったわ。どうでもいいことだと思うけど。



― 終 ―
179かがみ小話:2009/10/11(日) 13:20:45 ID:Na3RRnTG
以上です。

ホラーっぽいものを書いてみようかと思いましたが、失敗したようです。

途中、何度か「長すぎる行があります」とエラーが出ました。
結構こまめに改行しないとだめなようです。
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 15:57:06 ID:m8udvzq1
7巻ネタバレ注意



7巻P82「精神的ぶらクラ」の後日談

 埼玉県警取調室
 ダン!
(ゆい)「今日という今日は許さないよ! おじさん!」
(そうじろう)「ゆいちゃん。あれは、わざとじゃないんだ。わざとじゃないんだよ……」
(ゆい)「往生際の悪い奴め! いい加減、吐け!」

(かがみ)「お邪魔しまーす。柊かがみ法律事務所、取調べ立会いに参りました」
(ゆい)「こんな奴に弁護士なんかいらないよ、かがみちゃん」
(かがみ)「まあまあ、悪人にも人権はありますから。でも、私が弁護士役で登場って無理ありますよね。どう考えても弁護士になれるのは、何年も後だし」
(ゆい)「コンプエースじゃ、時系列シャッフル状態だし、いいんじゃね?」
(かがみ)「メタな話はこれぐらいにしておきましょう」

(ゆい)「そうだね。今は、この悪党から自白をとるのが最優先だしね」
(そうじろう)「わざとじゃないんだよぉ〜(T_T)」
(かがみ)「わざとじゃないみたいですし、刑事事件にするのは難しいのではないですか? 過失わいせつ罪なんてありませんし」
(ゆい)「それじゃ、ゆたかが報われないよ。あれからショックでずっと寝込んでるんだからね」
(かがみ)「それは、民事訴訟で損害賠償請求するということで手を打ちませんか? 不法行為なら過失でも成立しますから。私がゆたかちゃんの弁護につきますよ」
(ゆい)「おお、やってくれるかい! がっぽり慰謝料ふんだくってやってくれ!」
(かがみ)「では、ご両親に話を通しておいてください。ゆたかちゃんの法定代理人は、ご両親になりますので」
(ゆい)「さっそく電話してくるよ」
 ゆい、退室。
(そうじろう)「かがみちゃんは味方じゃないのか〜(T_T)」
(かがみ)「そうじろうさん。慰謝料として、充分なお金を用意しておいてください。それでは、失礼いたします」
 かがみ、退室。

(そうじろう)「そんな〜(T_T)」



*関係ないけど7巻感想
 今までつながりなかった人たちが、怒涛の勢いでつながってきた。かなめはひよりんかな。彼女は、なにげに交友関係広い。
 柊家強し。さすがはらきすた最大勢力(総勢6名)だ。
 ゆい姉さん、出番増えたよね。
 ひかるちゃんとふゆきちゃんの間に真の友情を見た。ふゆきちゃんは、やっぱりいいね。
 episode 217の題名。掛詞を使うとは、なかなか風流。
 8巻の最初は、新キャラ委員長をいじるネタで埋め尽くされそうな予感。「間近で立ち止まった両者」は、ベタすぎるのに、思わず噴いた。
 あきら、本編進出おめ。
 大原弟。らきすたでは希少な弟キャラ。頑張れ。
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 19:04:19 ID:y/eNqH/z
7巻みた
ふゆきセンセとひかるセンセが素晴らしすぎた

ふおぉあぇぁあぉぉぉぉいあいっ
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 19:41:29 ID:a+yEggK5
>>181はそうじろうの身長♪
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 20:58:28 ID:He3EvGoL
>>179
GJ!
面白かったよ?
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 21:07:13 ID:SEJjG5MX
>>182
181cmって事?
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 21:19:22 ID:a+yEggK5
>>184

Ach, ja. ちなみに俺は 188 。
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/12(月) 17:05:54 ID:NIz/Fl4M
>>179
自分にはこのくらいの重みが丁度いい、あまりキツいホラーは・・・
面白かった。GJ
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/12(月) 17:19:30 ID:NIz/Fl4M
>>108
むかーし、子供の頃、プラネタリウムを見に行ったのを思い出した。
三角だの四角だの解説でやってたな。
星座はあまり詳しくないけど、宇宙とかSFが好きになった切欠になったかな・・・
GJ
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/12(月) 17:41:45 ID:AocewzQe
そうじろう「ゆーちゃんにも見られたことだし、これからは堂々と行くか!」

そうじろう「ほぉーら、ゆーちゃん。ちんコプターだよー」プルプル
ゆたか「Σ(゚ω゚ノ)ノ」


そうじろう「こなた。ゆーちゃんが口聞いてくれないのはなんでなんだぜ?」
こなた「・・・(=△=.)」
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/12(月) 17:43:48 ID:NIz/Fl4M
だめだろ・・
7巻でそうじろうが壊れていくw
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/12(月) 20:54:51 ID:EYctX8TB
>>188
昔、修学旅行の風呂場でやってた奴いたな、ソレ
俺やダチは『ちんこドラム』で迎撃したがな
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/12(月) 21:22:21 ID:NIz/Fl4M
ちんこドラム
想像もつかん
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/12(月) 21:34:01 ID:HxBlHbOa
>>188

貴方様というお方はなんと素晴らしい伯爵様なのでしょう !
まぁ、 いわゆる GJ ! でも俺だったらこうするなぁ・・・。 ↓

そうじろう 「 ゆーちゃん にも見られてしまった事だし、 これからは堂々と行くか ! 」

そうじろう 「 ほぉ〜ら、 ゆーちゃん。 チンコプター だよぉ〜。 」 バラバラバラ

ゆーちゃん 「 カプッ 」

そうじろう 「 ?! うぉわっ、 だっ、 ダメだよ ゆーちゃん ! そ・・・そんなに強くしたらぁ・・・・・・。 」

  ガチャッ

こなた 「 ねぇお父さん、 私暇だから久しぶりに格ゲーでも・・・・・・。 」

そうじろう 「 !! 」

  ズギューン゛!! ズギューン゛!! ズギューン゛!! ズギューン゛ !!

そうじろう 「 ぎゃあぁぁぁ !! 」
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/12(月) 21:37:31 ID:3k4Aj1pL
つかさ「そういえば、男の子の遊びっていうか特技で……」

つかさ「ちんこドラムってあるけど、なんでそう言うのかなぁ?」


こなた・かがみ・みゆき
「………………(゚Д゚)」
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/12(月) 22:22:02 ID:8vBDAaoz
パティ「ひよりん、ココが新宿二丁目デスカ?」
ひより「むしろ、地獄の一丁目かと…」
パティ「雄の臭いがプンプンするぜェ!」
ひより「うっ…惨事はマジ勘弁っス…」
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/13(火) 02:23:39 ID:qnmOY9u+
>>179
遅ればせながら俺もGJさせてもらう。
鬱展開は勘弁・・・な俺にとっても、
このくらいの重みが丁度よろしい。

ちょっと不思議な、いいお話と感心させていただいた。
展開や読みやすさもGOODですた。
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/13(火) 03:40:56 ID:9av5u2Cw
ゆたか「〜♪」
そうじろう「ん? ……ゆーちゃん、それジブリの曲だよな?」
ゆたか「あ、そうですよ。ちょっと前に出たアルバムです」
そうじろう「そうか……」
ゆたか「おじさん?」

そうじろう「かなたの声にそっくりすぎる……」
かなた(実際、私が歌ってるんだけどねー)
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/13(火) 11:08:58 ID:Hu6sTPDX
>>196
ん?
ジブリの曲で、島本須美が歌ってるのって、あったっけ?
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/13(火) 12:29:48 ID:hwNw9SyW
最近発売された島本須美が歌うジブリ曲集だと思う
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/13(火) 16:56:24 ID:3LQ8eU+r
こなた「またミサイルが飛んできたらしいね」
かがみ「遺憾ね」
こなた「日本もさ、ちゃんと対策練ればいいのに。何とかの一つ覚えみたいに遺憾遺憾遺憾て、それで何が変わるのさ」
かがみ「遺憾ね」
こなた「日本は超兵器の国だよ?オーバーテクノロジーの国がそんなんで良いわけ?」
かがみ「遺憾ね」
こなた「もうこっそりオキシジェンデストロイヤー作るしかないね」
かがみ「遺憾ね」
こなた「かがみ…」
かがみ「遺憾ね」
こなた「かがみの[ピー]」
かがみ「友愛リストにこなた追加、と」
つかさ「(アーメン)」
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/13(火) 21:35:09 ID:vvbLGihW
こなた 「 かがみぃ〜。 」

かがみ 「 何、こなた ? 」

こなた 「 これ、実は昨日私が作った レモンティー なんだぁ。
     もし良かったら味を確かめてもらえないかなぁ ?
     やっぱり人の意見も聞きたいし・・・。 」

かがみ 「 別に良いわよ。 どれ・・・。 」 コクコク

こなた 「 ( ニヤニヤ ) 」

かがみ 「 ・・・・・・・・・。 」

こなた 「 ・・・・・・どうだった ? 」

かがみ 「 ・・・・・・・・・。 」

こなた 「 ( ブフッ、そりゃ沈黙するよね ! だってそれ私のオシッコだもん ! ) 」

かがみ 「 ・・・・・・・・・。 」

こなた 「 ・・・・・・・・・ ? ( バレたか ?! ) 」

かがみ 「 ・・・うん、とても美味しかったわ ! どうも有り難う、こなた。 」

こなた 「 えっ ? あ・・・あぁ、う・・・うん、それは良かったなぁ・・・。 」

こなた 「 ( えっ ?! い、いや、なんかおかしいよ、これ ?! ) 」


かがみ 「 それにしてもその [ レモンティー ] 、 とっても [ こなたの風味 ] がしてて
     [ メチャ ] 美味しかったわぁ〜。 」


こなた 「 !! 」
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/13(火) 21:47:46 ID:wvgFETIl
みなみのお母さんの名前がさり気に出ててびっくりした
作品内じゃないのかよとw
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/13(火) 22:40:55 ID:hwNw9SyW
まったくひでぇ扱いだぜw
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/13(火) 22:58:05 ID:34XPro9L
名前で呼んでくれそうな人がゆかりさんしかいない上、ゆかりさんとほのかさんの絡み自体が少ない…
そりゃあ本編で判明しないな
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 00:55:33 ID:O+z1rFml
単行本未読だが、本編で呼ばれてたわけじゃなかったのか
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 01:18:45 ID:Z/AXfa3t
本編じゃなくて7巻で本編と本編の間にある人物紹介?見たいな感じでさらっと出てたw
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 01:58:30 ID:6XnoC5SM
チェリー「俺が活躍している7巻を1人7冊は買え」
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 03:52:49 ID:OX3Nxwi1
>>206
柊家の金魚「僕の活躍は?」
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 03:55:22 ID:NRiK9HZA
>>207
そういやお前見ないな

……かがみに食べ   
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 07:07:47 ID:TUasDCEC
姿は見ないが、つかさに守られてただろ
210鏡の前に一人:2009/10/14(水) 09:20:15 ID:v5xyGNQ+
短編投下します。
ちょっとホラー注意。
211鏡の前に一人:2009/10/14(水) 09:23:26 ID:v5xyGNQ+
「ま、何にしても明日からの準備が肝心なんだけど」
「というわけで今日はもう解散しようよ、私、お腹ぺこぺこー」「私もー、お姉ちゃん、帰りにコンビ二寄っていい?」
「もう、仕方ないわねー。なんて、私も寄るつもりだったんだけどさ」
「では、そろそろ出ましょうか? 校門が締まってしまうかもしれませんし」
 この子らはそういった他愛もない、ありきたりなやり取りをして教室を後にする。
 そして、すっかり遅くなりほとんど人気のない廊下をウチと共に進む。
「それにしても夜の学校ってすっごく不気味だよねー」
「そうね、こんな風に人の気配がないと……昼と同じ場所でも、やっぱり……ねェ」
「なんや柊、二人とも、実は怖がりやな?」
「うぅっ、そ、それは……」

 本職というか張本人のあんたらがそんなんでどないすんねん。

「つかさはともかく、かがみは意外やなー。案外、見かけによらず、可愛いとこあるんやな」
「くぅっ……先生こそどうなんです? 仕事で残ってるとき、怖くならないんですか」
「全然だいじょうぶ。ウチはオカルトを信じへんからな」

 オカルトなんて分類にして怖がったら可愛そうやしなー。

「うっ、なんかズルい……」
「あー、教師にそんなこと言うんか? せやったらおもろい話教えたろ」
 こんなやり取りをきっかけに、3階の踊り場にある鏡にまつわる怪談を聞かせたった。
 今みたいに夜遅くに残っていた生徒が鏡を覗き込むと、鏡の中に自分以外の誰かが映っていて、鏡の中に引きずり込まれたというありがちな話や。
「あう……あううううゥ! こ、怖いよーっ!」
 で、案の定というべきかつかさが物凄く怖がっとる。
 話の矛盾点などを語って安心させ、現場に向かった。
 これからが肝心や、うまくいくかいな?
「な、何も写ってないですよね?」
「もちろんやって。なんやったら、ほら――」
 一呼吸し、意を決し口を開く。

212鏡の前に一人:2009/10/14(水) 09:26:56 ID:v5xyGNQ+
「なんか写っとるか? ウチ一人やろ?」
 うまくいってくれ。ちと、いや、物凄く寂しいが、このままじゃアカンやろ。

「は、はい……ふう……でも怖いなぁ」
「そこまで怖がることはないわよ。けど、ちょっと不気味ではあるけどね」
「怖さを隠し通そうとするかがみ萌え♪」
「う、うっさいわよ!」
「じゃ、怖くないの?」
「うう……その……ちょっと不気味なだけよ」
「同じじゃん」
「違うわよ! こ、怖くないんだから!」
「なら、サイトのオカルト話いっぱい教えたげる。ちゃんと聞いて、きっちり感想返してよ」
「ううう……わ、わかったわよっ!」
 相変わらず、あの子ららしいやり取りが繰り広げられる。
 このやり方でもアカンかったか。

「おーし、そんじゃお疲れさーん」
「先生さようならー」
 そうして、あの子らは校門をくぐり……。
「……消えてもた。これで何度目やろな?」
 体育祭の打ち合わせで遅くなった帰りに、あの子らは……。
 それからずっと、毎晩この調子で同じやり取りを続けとる。
 このままじゃアカンと思ってたら、ネットであの怪談を見つけた。使えると思ったんやけど。
「鏡には本当にウチ一人しか写ってなかったこと、おかしいと思わんかったんか。どないしたらあの子らに納得させられるんやろなー」
 職員室へ戻る。
「……泣いとらんで? 夜遅うなって眠くなってあくびしただけや」

213鏡の前に一人:2009/10/14(水) 09:27:46 ID:v5xyGNQ+
以上。

今頃になって萌えドリルにはまってます。
みゆきシナリオ冒頭の先生の台詞で真っ先にこんな話を思いついてしまった。
ありきたりかなー。
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 12:19:26 ID:TUasDCEC
いきなり始まってよく分からんのだが
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 12:35:52 ID:2P7lqSvp
つかさとかがみが鏡に映ってないって話?
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 15:45:39 ID:MpDatwJx
モンハンネタがあるのに吹いたw
こなたは双剣かね
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 19:25:53 ID:riqRP2zr
>>213
こなた達が現実世界から消えてしまったという話でいいでしょうか??
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 20:07:30 ID:nnR3+VLJ
学校帰りに事故か何かで死んでしまって、幽霊が死ぬ直前の下校時の行動を繰り返してるってことでは。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 20:52:34 ID:dQV/hrUi
ゆーちゃん について

16〜17 歳で身長 138 cm って正常なの ? それとも軽度の発達障害 ?
 悲観するわけではないが、まじめに心配・・・。
220鏡の前に一人:2009/10/14(水) 20:54:02 ID:nqlIYFaz
冗長、説明過多になると思ったが削りすぎたか、わかり辛くてすみません。
>218さんのとおりです。
萌えドリルみゆきシナリオにて「なんか写っとるか? ウチ一人やろ?」この台詞が出たとき、同伴してるつかさ達も写らないのは不自然との思いから書きました。
もっとも、黒井先生だけ皆から離れて鏡の前に立っていたなら別に不自然でもなんでもないことに今頃になって気づいたわけですがorz
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 21:00:06 ID:TUasDCEC
>>219
所詮、漫画だし
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 21:03:43 ID:5JthU/F/
元も子もないが、それを言ったらこなたは三つ口だし…
手術しないの?虐められてない?とかいう話にも…
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 21:10:12 ID:DeUzCXkQ
みゆき「私が将来治します」
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 21:15:19 ID:K72sZ9cG
>>223
みなみ「それでは私の胸囲も……」
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 21:20:00 ID:dQV/hrUi
>>223

いや、治さんで良い ! 心配ではあるがこのままの方が可愛らしくて良い。
だいたい ゆーちゃん より 52cm も上の俺にとったら羨ましくてしょうがない。
あ〜ぁ、俺も ひより ぐらいの身長が良かったなぁ〜・・・。
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 21:30:41 ID:NORDEdGL
>>224
つかさ「胸を大きくするにはね、血管に空気を送るのが良いんだって。
    空気に含まれる何とかって物質が、成長を促進してくれるらしいの。よかったらやってみなよ」
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 21:33:51 ID:bRLwPhm6
>>226みなみ「……説得力、ないですね」
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 21:51:02 ID:ihyhQXRA
>>219
低い人はそれくらい普通
俺の妹は二十歳過ぎてるが140無い
ってか、家族で一番高いのが俺の162
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 22:18:21 ID:dQV/hrUi
>>228

ご返答頂き有り難うございます。 じゃあ 16 歳で身長 190cm って異常 ?
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 22:19:43 ID:DeUzCXkQ
答え:個性
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 22:24:49 ID:dQV/hrUi
>>230

え〜 ?!
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/15(木) 00:29:52 ID:X5wJTSr3
>>219
発達障害ってのは自閉症やアスペルガー症候群などの脳の障害。

で、体格についてだが年齢別の平均身長で調べたら小学校高学年のソレに該当するから、個人差のレベルを逸脱してる。本編でも体が弱いという描写があるから厳密に考えるなら何らかの病名はつくかと思われ。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/15(木) 01:48:50 ID:Bj35PUdw
投下します。4レス程度。
7巻ネタバレ注意とかもう書かなくていいよね。
234スタートライン:2009/10/15(木) 01:49:43 ID:Bj35PUdw

 陵桜学園を出ると、既に夜の帳が空を覆っていた。

 正直、ここまで帰りが遅くなるなんて思ってもみなかった。そういえば親にも連絡を入れていない。
 ポケットの中の携帯電話を手に取って待ち受けを見ると、思った通り、メールが一件に着信が二件入っていた。どちらも母親から。
 心配させてしまったかなと息をつき、それから私は携帯を耳に当てて通話を開始する。

「もしもし。……うん、用事で遅くなっちゃった。これから帰るね」


 八月二十八日、夏期講習の最終日。
 同時にこの日は約一ヶ月ぶりにクラスメイト全員が集う登校日でもある。
 早い話、自習が午後過ぎまで続くようなもので、みんな課題もそこそこに友達とのおしゃべりを楽しんでいるというわけだ。

 さらには、まだ夏休み中だというのに委員会まで開かれるのだから困ったもの。ついでにできることはしてしまえという方針なのだろうか。
 クラスの委員長を務めているこの私、若瀬いずみも当然参加しなきゃならない。
 そのあと黒井先生にも「ついでの用事」で呼ばれ、気が付いたらこの時間だった。

 先生からは「遅くなるんは引き止めたウチの責任やし、今日は晩メシおごったるわ」なんてお誘いをもらっていたけど、
そこまでしてもらうのは逆に悪い。そこに親への連絡を忘れていることも思い出し、それを断って今に至るというわけだ。

「夜に下校っていうのも新鮮だし」

 ――そういえば、今日発売の漫画があるんだったっけ。
 本屋に寄りたいのはやまやまだけど……お腹も空いてるし、まっすぐ家に帰ろう。


 そんなことを考えながら駅までの道を歩いていると、少し先の街灯の下に何かの影が見えた。
 ……車も人通りも少ない道だ。私はちょっとだけ警戒しながら、意識しない風を装って歩みを進める。

 近づくにつれ、影の正体が判別できるようになってくる。
 人だ。電柱に手をついてうずくまっている。ポニーテールで、ジャージ姿の……女の子。
 その人がぜいぜいとひどい呼吸を繰り返していることに気付いた瞬間、私はその子のもとへ駆け寄っていた。

「あの、大丈夫ですか!?」

 背後から声をかけられて驚いたのだろう、彼女はびくりと肩を震わせる。

「い、や、……平気で――」
「えっ」
「えっ」

 聞き覚えのある声。やがて振り向いたその顔は――

「! 委員長!?」
「なっ、田村さん!?」

235スタートライン:2009/10/15(木) 01:50:30 ID:Bj35PUdw
 駅までの道のりを、今度は二人でゆっくりと歩いていく。

 昨日から始めたランニングで、考え事をしながら走っていたらやりすぎていた。田村さんはそう話してくれた。
 道もわからなくなっていたので徒歩では帰れず、電車を使うことにすると言うので駅まで一緒に行くことになったのだ。
 走りすぎるのはともかく、自分のいる場所がどこなのかわからなくなるほど集中することなどあるのだろうか。
 そんな疑問をなんとなく口にすると、

「ここんとこ本のネタ出しが詰まり気味でねー。運動しながらやってみたら? って先輩に言われて」

 そんな答えを不意に返してくるものだから、私は反射的に周囲を確認してしまった。

「あ、そっか。外でこういう話はやめた方がいいかな?」
「やー……まあ、ね。今は人いないから大丈夫」

 そうなのだ。私は自分がオタクであることを、家族以外の人間にはひた隠しにしている。
 偶然に偶然が重なって、田村さんにはそれがバレてしまったのだ。


 事の発端は夏のコミケ。
 目的のサークルも全て回ることができ、何もかもが順風満帆だったはずのあの日。
 ノルマの買い物を終え、私はカタログのサークルカットを頼りに会場をブラつき始めた。それが最大のミスだった。

 たどり着いたサークルで試しに読んだ本は実に私好みの絵柄・作風だったのだけれど、
 机を挟んで座っていた作者がなんと彼女、クラスメイトの田村ひより!
 隠れオタを自負する私はこの想定外の事態にただテンパることしかできず、まともな挨拶もしないままその場を離れてしまった。

 あ、本はしっかり買ったけど。

236スタートライン:2009/10/15(木) 01:51:55 ID:Bj35PUdw
「……私は描く側作る側に回ったことはないから何だけど、やっぱり本の一冊にも苦労が凝縮されてるんだね」
「いやー、ホントに毎回難産で。一度でいいからすんなり描き上げてみたいなぁ」

 しかし、だ。

「子供なんて産んだことないのに。……ふふ」
「それは物の例えってヤツだよ――って、なんか笑われた!?」

 田村さんは思っていたよりも話しやすい人なのかもしれない。
 こんな込み入った話ができる友人が、やっぱり少しは欲しい――

「一生懸命なんだなって。もし良かったら、田村さんのこと応援させて?」
「え、え、ええっ!? いい、いや、私より面白い本書ける人は世界にごまんどころか数え切れないほどいるし!」

 そう、面と向かってこんなことを言われたら照れてしまうのも当然だと思う。私だって少し、いやかなり顔が熱い。

「コミケで買った本、すごく面白かったから。また今度読ませてね」
「あ、はは。ありがとぅ……」

 耳まですっかり紅くなり、ぎこちない笑顔を浮かべる田村さん。
 恥ずかしさを押し殺して、私も特上の笑顔を彼女に返した。


「そうだ、私の携帯のアドレス。これからよろしくね」
「こ、こちらこそ……」


237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/15(木) 01:53:20 ID:Bj35PUdw
以上でした。3レスだった。

ep215といずみを無理やり繋げてみた、という感じです。
自分的にいずみはこんな感じの子かなーという妄想。わずか32コマではこれが限界…!
本連載では今後間違いなく、さっぱり全然違う展開になっていくことでしょう。

ランニングしながらネタ出し、自分もやってみようかしら。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/15(木) 09:15:06 ID:15vqS5Qn
>>237
俺いずみが気に入っていてさっそくSS読めて嬉しかったネタも本編にでても可笑しくないくらい自然で良かったよ!次のやつを楽しみにしている
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/16(金) 13:22:55 ID:K0ANcm2S
かがみ「お、なんだか懐かしい曲」
こなた「ポケモンハートゴールド! ついに出た金銀のリメイクだよ!」
かがみ「いやー、面白そうだけどさすがにこの年でポケモンはねぇ」
こなた「赤緑の頃から大きなお兄さん向けだけどね」
かがみ「え……」
こなた「そりゃあもう色々と」
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/16(金) 14:54:06 ID:eMsAtnE9
GB音源に出来るところが素晴らしいよな!
売切れで持ってないけど(´・ω・`)
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/17(土) 02:08:17 ID:9kMDdUTf
>>237
乙です。
いずみはまだキャラのイメージが掴めない。隠れオタか・・・。
7巻を見た限りだとプライドが高そうな感じを受けるのだが・・・早速バレちゃってるね(ひよりとパティ)
今後の展開でこのキャラの好き嫌いが決まりそうだな。
242腕輪:2009/10/17(土) 02:26:57 ID:P/vN5UhT
投下いきます。

多分4レス。
243腕輪:2009/10/17(土) 02:27:51 ID:P/vN5UhT
 とある休日。小早川ゆたかは、徹底的に部屋の掃除をしようと思い立ち、そのまま勢いあまって物置の整理まで始めていた。
 物置の奥のほうを整理していると、なにか輪のようなものが落ちているのが見えた。ゆたかは気になって、それを拾い上げた。
「…うん?」
 ゆたかは、自分が拾い上げたものを手に首をかしげた。
「腕輪、かな?」
 拾ったものを手にはめてみると、丁度いい感じの大きさだ。プラスチック製の、子供がはめるようなおもちゃの腕輪。
「…子供のおもちゃがまだ丁度いい大きさのわたしって…」
 自分が行った行為が示した事実にゆたかが落ち込んでいると、部屋の扉をたたくノックの音が聞こえた。
「はーい」
 返事をしながらゆたかが物置から出ると同時に、ゆたかの部屋に従姉妹の泉こなたが入ってきた。
「ゆーちゃん、どこから出て来るんだよ…」
「え、あ、うん。ちょっと部屋の掃除のついでに、物置の整理もしとこうかと思って…」
 物置から這い出てきたゆたかを胡散臭げに見つめるこなたに、ゆたかは頭をかきながら答えた。
「で、ゆーちゃん。今日、食事当番だって覚えてる?」
「うん、覚えてるけど」
「で、今の時間は?」
 ゆたかはこなたが指差した目覚まし時計を見た。午後七時。食事の用意どころか、すでに食べ始めてるような時間だ。
「…うそー…」



― 腕輪 ―



244腕輪:2009/10/17(土) 02:28:56 ID:P/vN5UhT
「…はぅ…ごめんなさい…」
 テーブルに着いたゆたかは、こなたとその父親、自分の伯父であるそうじろうにひたすら頭を下げていた。こなたかそうじろうが代わりに用意したようで、テーブルの上にはちゃんと食事の用意がしてあった。
「いやまあ、たまにはこういうこともあるだろ」
「まさかゆーちゃんが、こんなボケをかましてくれるとは思わなかったよ」
 自分の失態を快く許してくれる二人に、ゆたかはますます申し訳ない気持ちになった。
「しかしこなた、仕事で部屋に篭ってた俺と違って、お前はもっと早く気づけたんじゃないか?」
「え、あ、それは…」
 そうじろうの質問に、こなたは頬をかきながら言葉を濁した。
「それに、食事の準備をしたのこなただろ?随分用意が良かったけど、もしかしてゆーちゃんが時間忘れてるの知っててほっといたんじゃないか?」
「え、えーっと…」
 そうじろうの追及に冷や汗を垂らして顔を背けるこなた。
「…こなたお姉ちゃん、ホントに?…」
 その視線の先には、真剣な眼差しで見つめるゆたかがいた。
「…ごめんなさい。おっしゃる通り、ゆーちゃんが掃除に夢中になってるの知っててほっときました」
 場の雰囲気に耐えられず、こなたは思わず頭を下げてしまっていた。
「お姉ちゃん、どうして?ちゃんと言ってくれれば良かったのに」
「いやー、ちょっとゆーちゃんを困らせてみたかったというか、しょぼくれてるゆーちゃん、可愛かったよ。うん」
「ええー、そんな理由で…」
「ああ、こなた。その辺りはグッジョブだったぞ」
「おじさーん!?」
 なぜか拳をつき合わせている泉親子に、ゆたかはどう言っていいか分からないでいた。
「ところで、ゆーちゃん。手につけてるそれなに?」
 ふと、こなたはゆたかがなにか手につけているのに気がつき、それを指差して聞いた。
「え?…あ、つけたままできちゃったんだ」
 ゆたかは自分の手首にはまったままの腕輪を眺めた。
「物置の整理をしてたらね、奥から出てきたの。子供のおもちゃみたいなんだけど…って、どうしたの?」
 腕輪を見つけた経緯を話している最中に、ゆたかはこなたとそうじろうが微妙な表情でこちらを見ているのに気がついた。
「お父さん、あれって…」
「ああ、ゆーちゃんの部屋の物置とはな。盲点だったよ」
「え、えっと…探してたんですか?これ」
 ゆたかが慌てて腕輪を外そうとする。それを見ていたそうじろうは、顎に手を当てて少し考えるそぶりを見せた。
「んー、まあ、ゆーちゃんが気に入ったのならあげるよ」
 そして、笑顔でそう言った。
「えっ…」
「ちょ、ちょっと、お父さん。あれって」
 ゆたかが驚くより先に、こなたが驚いてそうじろうのほうを見た。
「いいんだよ、こなた。さて、話ばかりしてないで食べようか」
 有無を言わさず腕輪の話を切ろうとするそうじろうに、ゆたかは複雑な表情をし、こなたは呆れたようにため息をついた。



245腕輪:2009/10/17(土) 02:31:13 ID:P/vN5UhT
「…んー」
 夕飯が終わった後、ゆたかは自室のベッドで仰向けに寝転がり、手にはめた腕輪を眺めていた。
「なんだったんだろう、これ。気になるな」
 どう見ても、普通の子供のおもちゃ。よく見ると、ところどころ塗装がはげていて、かなり古いものだと分かった。
「ゆーちゃん、入っていい?」
 しばらく腕輪を眺めていると、ノックの音と共にこなたの声がした。
「うん、いいよ」
 ゆたかが答えると、こなたがドアを開けて部屋に入ってきて、ゆたかが寝転んでるベッドに近くに座り込んだ。ゆたかは身体を起こし、ベッドのふちに腰掛けた。
「その腕輪なんだけどね」
 前置きも無しに、こなたは本題を切り出した。
「昔、お父さんがお母さんにプレゼントしたものなんだって」
 こなたの言葉に、ゆたかは驚いて腕輪を見つめた。そうじろうがこなたの母親である、今は亡きかなたへの贈り物。自分が考えてる以上に大切なものだったのではないかと、ゆたかは感じていた。
「小学生くらいのときに…って普通思うけど、プレゼントしたの大学卒業してすぐの頃だって」
 ゆたかは腕輪から視線をこなたに移した。こなたはそれを受け、いたずらっぽく笑うとお手上げのジェスチャーをした。
「わたしが知ってるのはそんだけ。お父さんが何考えてそれをプレゼントしたのかとか、受け取ったお母さんがどう思ったのかとか、そもそもなんでそんなものプレゼントすることになったのかとか、さっぱり分からないんだ」
 そこまで話すと、こなたは大きくため息をついた。
「その腕輪見るとね、思うんだ。知らないこと、結構あるんだって。お父さんのことも、お母さんのことも」
 少し赤らめながら、照れくさそうに頭をかくこなたに、ゆたかは手から外した腕輪を差し出した。
「ゆーちゃん?」
「これ、わたしよりこなたお姉ちゃんが持ってたほうがいいと思う」
 こなたは差し出された腕輪をしばらく見つめた後、首を横に振った。
「それは、お父さんがゆーちゃんにあげたんだから、ゆーちゃんのものだよ」
「で、でも…」
「普段が普段だから、信用できないかもしれないけど、そういう事には何か意味があると思うんだ。お父さんなりの、ね」
 ゆたかは差し出したままの腕輪を見て、そしてまたこなたを見た。その視線を受けたこなたが、もう一度首を横に振る。
「わたしは分からないよ。お父さんの考えてること、分からないこと多いから。でも、一つだけ言えるとしたら、悪い意味じゃないってことかな」
 そう言って微笑むこなたを、ゆたかはなんとも言えない気持ちで見つめていた。そして、腕輪を自分の手にはめなおした。
「…大事にするよ」
「うん、そうして」
 こなたは満足気にうなずくと、立ち上がり大きく伸びをした。
「んー、柄じゃない話すると疲れるなーっと」
 そして、そのまま部屋のドアへと向かう。
「あ、そうだ。ゆーちゃん」
 ドアに手をかけたところで、なにか思いついたようにこなたはゆたかの方を振り向いた。
「少なくともゆーちゃんを口説こうとは、お父さんも考えては無いと思うよ」
「そ、そんなこと分かってるよ!」
 思わず大声を出してしまったゆたかに、こなたはニンマリとした笑みを向けると部屋を出て行った。
246腕輪:2009/10/17(土) 02:32:10 ID:P/vN5UhT
「もう、こなたお姉ちゃんは…」
 ゆたかは頬を膨らませると、またベッドに横になった。そして、腕輪を見つめため息をつく。
「…全然、分かんないな」
 そうじろうがどう思っているのか、こなたがどう感じているのか、ゆたかはまったく分からなかった。娘であるこなたですら知らない物語の詰まった腕輪。それをあげる意味、もらった意味。考えれば考えるほど、分からなくなっていく。
「どうして、聞かなかったんだろ…?」
 思わず口から漏れてしまった独り言。こなたはこの腕輪の存在を知っていた。にもかかわらず、詳しいことは何も知っていなかった。どうしてそうじろうに教えてもらわなかったのだろうか。こなたは気にならなかったのだろうか。
 不思議な親子だと、ゆたかは思う。小さな頃からなんとなく、この家に住むようになってからはっきりと。お互いをどう思っているのかなんとも掴みづらい。
 ただ、信頼はあるのだと思う。ゆたかは腕輪を眺めながらそう思った。亡き母親のものだった腕輪をあげること。父はそれを躊躇せず、娘はそれに意味があると言った。そこにはお互いを信頼する心があると、ゆたかには思えた。
 自分にもその信頼を分かることができるだろうか。この家の家族をもっと知りたい。ゆたかは腕輪を眺めながら、そんなことを思っていた。



「みなみちゃん、おはよう」
「…おはよう」
 翌日。ゆたかは待ち合わせの場所で友人の岩崎みなみと合流し、一緒に学校へと向かった。
 しばらくして、ゆたかはみなみが自分の鞄を見ているのに気がついた。
「みなみちゃん、どうかした?」
 ゆたかが立ち止まってそう聞くと、みなみはゆたかの鞄を指差した。
「…え、いや。それ、なにかなって」
 ゆたかの鞄には、昨日の腕輪が紐でぶら下げられていた。
「あ、これ?学校行くのに、腕につけるのはあんまり良くないかなって思ったんだけど…鞄につけてても変かな?」
「…そんなことない…たぶん」
 どう言っていいか分からず、みなみは困った顔をした。それを見たゆたかが、クスッと笑う。
「あんまり、気にしないでよ。みなみちゃん」
「…う、うん」
 歩き出したゆたかを、みなみが追いかける。自分が家を出るときにようやく起きてきたこなたが、この鞄を見たらどう思うだろうか。みなみの前を歩きながら、ゆたかはそんなことを考えていた。



― おしまい ―
247腕輪:2009/10/17(土) 02:35:18 ID:P/vN5UhT
以上です。

七巻の設定で書いてみようかと思ったけど、自分の作風にパティは混ぜ辛い…。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/17(土) 17:34:32 ID:9kMDdUTf
>>247

こうゆう情緒的な内容に外国人が入ってくるとなかなかストーリ構成が
うまくいかないよね。
自分もパティはなかなか作品に組み込められなくてね。・・・

無理にキャラを入れないで自分の好きにキャラを動かした方がいいと思う。GJでした。

249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/19(月) 01:49:09 ID:bJGzRTIF
>>97
ひゃっくりから思いもよらない展開だった。GJ

ひゃっくりをとめる方法・・・
@お茶碗に水を入れて箸を十字にして茶碗に置きます。
A箸を押さえながら十字に区切ったお茶碗の水を一口飲みます。
Bお茶碗を箸ごと90度回転させて同じように水を一口飲みます。
AとBを繰り返します。1〜2回転させれば不思議とひゃっくりは止まります。

昔、おばあちゃんから教えてもらったひゃっくりのとめ方、お試しあれ。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/19(月) 02:02:38 ID:zj2CMSWX
座って腹式で限界まで息吸って限界まで止める
これだけでふつう止まる…ハズ

パティは本当に難しい。彼女をメインに話を書ける人はすごいと思うな
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/19(月) 21:41:42 ID:1oUvD199
え?
しゃっくりって、ひゃっくりとも言うの……?
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/19(月) 23:16:15 ID:bJGzRTIF
どうやらしゃっくりが正解
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/19(月) 23:18:01 ID:LipW7j86
つかさ「へーちょ……うぅ、しゃっくりが止まらなーちょ」
かがみ「え?」

つかさ「しゃっくりがね」
かがみ(それ、しゃっ……くり?)
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 12:25:48 ID:hlJMvYqd
みゆき「ここの支払いは私に任せてください」
こなた「おぉー、さすがみゆきさん!」
かがみ「悪いわね」
つかさ「ゆきちゃんありがとー」
みゆき「いえいえ^^」

会☆計「お会計2516円になります」
みゆき「えーと……」バリバリ

こなたかがみつかさ
「…………(゚Д゚)」
みゆき「何か?」

こなたかがみつかさ
「別に何も」

こなた(みゆきさんの財布って……)
かがみ(あれはネタなのかしら? つっこむべきか……)
つかさ(今時マジックテープ式かよー)
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 12:36:36 ID:Lk0c8Foc
何でだろう…
こなたはマジックテープの使ってても違和感なさそう…
てか使ってそうなイメージすらある…
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 13:38:31 ID:b23mgftd
バリバリどこでも流行ってんなw
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 14:43:47 ID:HL+0BTUk
コンクールのお題募集中
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 18:23:07 ID:Go8KINl2
確かキャラはダメだったよね
コンクールお題 「占い」
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 18:31:10 ID:hlJMvYqd
>>255
まだちっちゃいからな
使ってても気にされないレベルw

お題なら「宝物」
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 19:07:33 ID:dTln9xkQ
「殺人事件」かな。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 19:29:57 ID:/SVt/QR5
「引っ越し」か「蕎麦」
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 20:03:59 ID:DMAACAOd
ひより「二つ名メーカー再び!…っつーわけで、委員長とみなみんのお母さんの分をやってみたっス」
ゆたか「こういうの、勝手にやっていいのかな…」

若瀬いずみさんの二つ名は…「歪曲(エクソダス)」です

ひより「…まあ、ある意味歪んじゃいるけどね」
ゆたか「エクソダスってこんな意味だっけ…?」

岩崎ほのかさんの二つ名は…「叛乱刹那(アンノウンオーバードライブ)」です

ひより「うん、すごい。言葉の意味はよくわからないけど、なんかすごい」
ゆたか「おばさんのイメージ変わっちゃいそう…」



みなみ(…二つ名メーカーか…チェリーはどうなんだろ)

チェリーさんの二つ名は…「暗転絶望(ショットガンエクリプス)」です

みなみ(…………恐っ)
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 20:20:22 ID:hlJMvYqd
幻想殺し(イマジンブレイカー)
思い出した
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 23:03:32 ID:bY6c2OQV
お題こっちで募集するのか?
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 23:20:35 ID:+y9XXGlC
>>264
>>257があったのでお題を書いたのだが?

せっかく引越してきたのだからオープンでいいんじゃない???
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/20(火) 23:29:30 ID:bY6c2OQV
>>265
うんわかってる。前回までずっと避難所の方で募集してたからちょっと疑問に思っただけ。
こっちで募集するのは別にいいと思う。

お題は『水』で
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/21(水) 00:55:50 ID:JG10VxXY
募集中ですお題スレにどうぞ〜
ってだけで前からオープンにやってるがな
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/21(水) 10:52:06 ID:gGe+b90f
『水』いいね!
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/21(水) 15:08:18 ID:ZhNDdCfP
お題「トリック」で。
殺人トリックとかSF的なトリック、叙述トリック……
上級SSよろ
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/21(水) 21:32:58 ID:8M6T7LWW
「殺人事件」に一票。
のほほんとした雰囲気から転換できる予感。
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/21(水) 22:44:59 ID:SKOD5bK3
せっかくの新スレなんだし、みんなが書けるようなお題にしようよ
殺人事件とかねーよ
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/21(水) 22:47:20 ID:mrB7bvrN
『水』はいいとおもった。
誰でもかけて、それでいて難易度も自由自在そうだ。
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/21(水) 23:41:16 ID:K0ndGZWt
まあ、最終的に投票で決めるんだからとりあえず案を出すだけ出していけばいいと思うよ
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 00:35:53 ID:hQLdq0qJ
『新世代』どうかな

必ずしも世代交代や政権交代とは限らないけれども
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 14:51:16 ID:8eoqZ8cf

こなた「大激論! 峰岸さんのファーストキスはいつだったのか!?」
かがみ「私もそれは気になるけど、激論するほどのことじゃないだろ」
こなた「いやいや、これは超ウルトラ重要問題ですよ、奥さん」
かがみ「誰が奥さんだ」
こなた「7巻101ページの1コマ目のみさきちを見る限りじゃ、小学校3、4年ぐらいかね。さすがは峰岸さん、私たちとは違って大人ですなぁ」
かがみ「日下部は子供っぽいところがあるから、あれで中学生という可能性もあるような……」
こなた「言われてみれば、確かに。う〜ん。ここは、手っ取り早くみさきちに聞くか」
かがみ「最初からそうしろよ」

みさお「わりー。それは言えねぇぜ。あのあと、あやのに怒られちゃってさぁ……」
かがみ「怒られたんだ……」
みさお「……思い出したくもないぜ」

こなた「なんか、聞きだせるような雰囲気じゃないね……」
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 17:26:00 ID:cTcE9fXL
http://lotte-fits.jp/dance/play_dance.php?v=7m58J5-N0Dw
らきすたの映画近日公開!?
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/22(木) 22:57:46 ID:JWVgCZic
こう「ランニング始めたんだって? 続いてる?」
ひより「イヤー、三日は続いたんスけど足首痛めちゃって……療養中っス」
こう「つまり三日坊主と」
ひより「まぁ、結果的には……」
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 12:26:35 ID:aykBBeJf
こう「カンニング始めたんだって? 続いてる?」
ひより「イヤー、三日は続いたんスけど先生に見つかって……謹慎中っス」
こう「つまり三日坊主と」
ひより「まぁ、結果的には……」


すまん、つい
279ツンデレラ:2009/10/23(金) 12:37:29 ID:mf3PhF69
投下行きます。

たぶん5レスほど。
280ツンデレラ:2009/10/23(金) 12:38:23 ID:mf3PhF69
 ただいまより、陵桜学園臨時演劇部とその他有志による演劇『ツンデレラ』を上演いたします。
 人によっては不快な表現があるかもしれませんが、舞台に物等を投げずに、最後までごゆっくりご鑑賞ください。

 …っていうか、コレ。誤植じゃないの?


「お姉ちゃん、そろそろ始まるよ?」
「…つかさ…主役に釣られてタイトルをよく確認しなかった、一週間前のわたしを殴ってきて…」
「が、頑張ってお姉ちゃん…」



― ツンデレラ ―



 とある時代の、とある国のとある町。ツンデレラと呼ばれる娘が住んでおりました。
 ツンデレラは素直で可愛らしく、優しい両親と共に幸せに暮らしておりましたが、母が流行り病で亡くなり父が再婚をしてから、ツンデレラの生活は一変しました。
 継母とその二人の連れ子は、可愛らしいツンデレラが気に入らず、父親が単身赴任で留守にしているのをいいことに、ツンデレラにスカートの丈が短い邪道なメイド服を着せ、まるで家政婦のようにこき使いました。
 ………いや、いいんだけどね。
「よかあるかい」
 ツンデレラさん、その一言で『素直で可愛らしい』って部分が吹き飛んだんだけど。
「いいわよ別に…」
 まあ、それはともかく、今日も義理の姉達がツンデレラに意地悪をしに来ます。
「ちょっとツンデレラ!」
「実姉だぁ!?なんでまつり姉さんが!?練習のときは日下部だったじゃない!」
「何を言ってるのよ。わたしはあなたの義理の姉妹の妹の方。まつりじゃないわよ。そんなことより、わたしの部屋の掃除。何あれ?あれで掃除したつもり?雑すぎるじゃない、やり直して」
「…うーわー…なんかすっごい腹立つんですけど…」
 ツンデレラさん。演技、演技。
「うぅ…はい、分かりましたお姉さま。今すぐに…」
「ちょっと、ツンデレラ。わたしの服の洗濯。何あれ?あれで洗濯したつもり?雑すぎるわよ。やり直して」
 義理の姉妹の姉の方も、ツンデレラをいびりに来ました。ってかこれ言い難い。
「…いのり姉さんまで…峰岸だったはずなのに…ってか本気で殺意が沸くんですが…」
 ツンデレラさん。演技、演技。
「くぬぬぬぬ…わ、わかりましたお姉さま…すぐにやり直します…」
 さらには継母までもが、ツンデレラをいびりにきます。
「うん、誰かは予想はつくけど…」
「ツンデレラ。お母さん、ちょっと欲しいぬいぐるみがあるんだけど…」
「いびりじゃなくておねだりだ!」
「しかもぬいぐるみときたか!」
「可愛らしさをアピールするにも歳考えて!」
「…くすん、ちょっとくらいいいじゃない…」
 ま、まあそんな感じで、ツンデレラは不幸な生活を送っていたのでした。



281ツンデレラ:2009/10/23(金) 12:39:37 ID:mf3PhF69
 ある日のこと。ツンデレラの家に、お城から舞踏会開催のお知らせが届きました。聞けば、お城の王子様はお年頃。うまく目に留まれば、その花嫁になることも出来るでしょう。
 出会いに飢えた継母と二人の姉は、はりきってこの舞踏会に参加することにしました………えーっと、継母さん?あなたは出会いに飢えるのまずくないですか?
「演技よ、演技」
 …うん、まあいいけど…一応、あの人に報告だけはしときますんで。
「それだけはやめてー!」
 えーっと気を取り直して…コホン。ツンデレラも、華やかな舞踏会に出たいと思っていましたが、当然意地悪な姉たちが許してくれません。
「ツンデレラ!あなたは留守番してわたしのドラクエのレベル上げをしてなさい!クエスト勝手にやったら怒るわよ!」
「めんどくさっ!」
「あ、それじゃわたしのヴェスペリアの料理スキル上げもお願いね」
「さらにめんどくさっ!ってか同時にやれってか!」
「それじゃお母さんはねー」
「可愛さアピールは却下ね」
「…いってきます…」
 こうして継母たちは舞踏会に出かけ、ツンデレラは一人寂しく家でDSとPS3を起動させるのでした。



282ツンデレラ:2009/10/23(金) 12:41:12 ID:mf3PhF69
「…料理スキル上げがマジめんどくさい…」
 姉に言われたことを律儀にやりながら、ツンデレラはため息をこぼしました。
「はぁ…わたしも舞踏会に行きたいな…美味しい料理とか、美味しい料理とか、美味しい料理とか…」
 なにしに行くつもりなんですか。
「え、料理出ないの?」
 いや、出るけど…うん、まあいいや…そのツンデレラの願いが聞こえたのか、部屋に光り輝く不思議な扉が表れ、中から魔法使いが現れました。
「練習のときから思ってたけど、なんかこのシチュに覚えが…」
「はっはっは。気にしちゃ駄目だよかがみん…じゃなくてツンデレラ」
「…この名前をあんたに言われるとなんかむかつく」
 まあ、思うところは色々あるでしょうが、とりあえず話を進めてください。
「さて、ツンデレラや。あなたは舞踏会には行かないのですかな?」
「そりゃ行きたいけど…この服じゃあ、ね」
「ふふふ、この魔法使いにおまかせあれ…マハリクマハリター」
 呪文古っ。
「こ、これって…」
 魔法使いが杖を振りながら呪文を唱えると、ツンデレラがまばゆい光に包まれ、着ていたスカートの丈の短い邪道なメイド服は、スカートの丈が長い正道なメイド服へと変わっていました。
「さあツンデレラ。これであなたも舞踏会に…」
「いやいやいや、ちょっとまて」
「なにか問題が?」
「おおありだ。これスカート伸びただけでしょうが。ってかこれでお城行ったら、舞踏会の参加者じゃなくてメイドと間違えられて働かされるってオチになるだろ」
 ツンデレラのまくしたてるようなツッコミに、魔法使いはため息をつきます。
「わがままだなー。そういうオチを期待してる観客もいるでしょうに」
「いねーよ」
「はいはい分かりましたよっと…テクマクマヤコンテクマクマヤコン、きれいなドレスになれー」
 ツンデレラを再度まばゆい光が包み、ツンデレラの服が豪華なドレスへと変わりました。
「…おぉー」
「オーケーツンデレラ。これでどこからどう見ても凶暴には見えないね」
「それ、褒めてないよな?」
 ツンデレラは姉たちにも引けをとらない綺麗なドレスに喜びましたが、別の問題に気がつき顔を曇らせました。
「もうこんな時間…今から歩いてお城に行っても、舞踏会には間に合わないわ」
「はっはっは、心配後無用。それもわたしにお任せあれ」
 魔法使いはその辺にあったカボチャとネズミのぬいぐるみを並べると、呪文を唱えながら杖を振りました。
「ラミパスラミパス、ルルルルルルー」
 こなた、ルが一つ多いわ。っていうかそれ元に戻る呪文だから。
「細かいことは気にしなーい」
 まあそれはともかく、今度はカボチャとネズミがまばゆい光に包まれ、カボチャは馬車に、ネズミはそれを引く馬へと変わりました。
「…日下部…なにやってんだ…」
「…しらねー…姉役下ろされたかと思ったら、馬やれって…くそーこうなったらありえねえ速さで城まで連れてってやらあ」
「いや、日下部。ここ舞台だからな?走るには狭いからな?」
 舞踏会に出る準備が整い、ツンデレラは馬車に乗り込みました。そのツンデレラに、魔法使いが声をかけます。
「あ、そうそうツンデレラ。一つだけ忠告」
「なに?」
「わたしの魔法は日付が変わるまでしか持たないからね、それまでには帰って来るんだよ」
「わかったわ」
「うん…それじゃ、楽しんどいで」
「あ、魔法使いさん…」
「ん?」
「その………あ、ありがと…」
 そっぽを向きながら呟くツンデレラに、魔法使いは親指を立てて答えます。それを合図に、馬車が走り出しました。
「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 こうしてツンデレラは、ありえない速さでお城へと向かいました。

 …なにか舞台袖のほうでクラッシュ音が聞こえましたが、気にしないでおきましょう。



283ツンデレラ:2009/10/23(金) 12:42:22 ID:mf3PhF69
 さて、お城の大広間ではすでに王子様目当ての着飾った貴婦人たちが、舞踏会を楽しんでいました。
「…なんで練習に呼ばれないかと思ったらモブかよ」
「こ、こうちゃん先輩落ち着いてくださいッス」
「ミてくださいユタカ!メロンにナマハムがノってマス!リッチでス!」
「リッチなんだ…」
「みさちゃん、頭から突っ込んでたけど、大丈夫かしら…」
 …まあ、一応貴婦人だと思ってください。
「あ、あれは…」
 参加者の一人が、大広間の階段に現れたこの城の王子に気がつきました。
「皆さん。我が城の舞踏会にお集まりいただき、感謝いたします。今宵は時間の許す限り、存分にお楽しみください」
 王子の言葉に、舞踏会の参加者どころか、観客席からも黄色い声援が上がります。
「…みなみちゃん、普通にかっこいいんだけど…」
「…はまり役過ぎる…ってかなんであんなノリノリなんだろう…」
 王子は、自分のダンスパートナーを探して大広間を見回します。そして、一人の娘に目を留め、その傍に歩み寄りました。
「お嬢さん、もしよろしければ、わたしと踊っていただけませんか?」
「…へ?わ、わたし?」
 こらこらこらこら。その子違う、その子違う。
「…えー」
 不満そうな顔しない。
「え、えっとみなみちゃん。この劇終わったあとでなら、ね?」
「…オーケーゆたか。また後で」
 フォローありがとうございます。
「い、いえ。こちらこそみなみちゃんがすいません…」
 …コホン。王子はダンスパートナーを探して大広間を見回します。そして、一人の娘に目が留まりました。その娘は、他の着飾った貴婦人たちとは違う、目を奪われるような美しさを持っていました。
「…もぐもぐもぐ…あ、これおいひい…」
 …おいこら、ツンデレラ。
「…ほへ?」
 ほへ?じゃありません。なに本気で食いに入ってるんですか。
「え?あ、あーそうだった、ごめん。今どこだっけ?」
「貴女のような美しい女性を、わたしは初めて見ました。どうかダンスパートナーとなることを、お許し願えますか」
 とっとと終わらせたいのか、王子が強引に話を進めます。ってか棒読み。
「…はい、喜んで」
 はいはい、ツンデレラも料理から目を離しなさい。
「まだ食べてないのあったのに…」


284ツンデレラ:2009/10/23(金) 12:44:15 ID:mf3PhF69
 大広間に流れる優雅な音楽に合わせ、ツンデレラと王子は互いの手を取り踊り始めました。まるで長年付き添ってきたかのように息のあった二人の舞は、大広間にいた参加者たちが思わず手を止めて魅入ってしまうほどに美しいものでした。
 ツンデレラは魔法使いとの約束も忘れ、この夢のような時間に酔いしれていました。
 しかし、大広間に響き渡った日付が変わる零時を知らせる鐘の音に、ツンデレラは魔法使いの言葉を思い出しました。
「あ…ご、ごめんなさい!」
 ツンデレラは王子を突き飛ばし、大広間から逃げ出しました。
 この鐘の音が鳴り止めば、魔法は解けてしまう。あせるツンデレラは、階段を駆け下りる際に、履いていたガラスの靴の片方を落としてしまいました。
 しかし、拾い上げている暇はなく、ツンデレラは靴を残したまま、城の前に停めてあった馬車に乗り込み、全速力で馬を走らせました。

 …あ、またクラッシュ音。


 城から少し離れた場所で、魔法が解けたのか馬車はただのカボチャに戻り、ツンデレラも元のメイド服に戻ってしまいました。
 ツンデレラは、しばらくその場にボーっと突っ立っていましたが、夢が覚めたことをみとめ、ため息をつきました。
 ふと足元を見ると、ガラスの靴の片方だけが魔法が解けずに残っていました。ツンデレラはそれを拾い上げ、大事そうに胸に抱え家に向かって歩き出しました。


 その頃お城では、王子がツンデレラの残したガラスの靴を手に取り、ある決意を固めていました。
「…よし、出番終わり。ゆたか、待ってて」
 違うでしょ。
「…この靴の持ち主を探し出し、わたしの妃とする…必ず」



285ツンデレラ:2009/10/23(金) 12:45:59 ID:mf3PhF69
 舞踏会から数日後。突如やってきたお城の使者に、町は騒然となりました。
「よくきけー。このガラスの靴に足がぴったりの娘を王子の嫁にする。我と思う娘は遠慮せんと名乗り上げいやー」
 使者の布告に、町中の女性が我先にとガラスの靴に挑戦しましたが、不思議なことに誰一人靴に足を入れることが出来なかったのです。
 ツンデレラの二人の姉も当然挑戦しましたが、やはり靴に足を入れることは出来ませんでした。
「ツンデレラ。あんたもやってみる?」
 どうせ入りっこないと思ったのか、姉の一人がツンデレラにもやらせてみようと言い出しました。
「え?わ、わたしは…」
「ま、ダイエットも失敗するようなあんたじゃ無理だろうけどね」
「…姉さん。グリム童話版のシンデレラだと、姉が靴にサイズ合わせるために足の肉削ったりするの知ってるかしら?」
「ご、ごめんなさい…」
 姉に言われたツンデレラは一旦家に戻り、布に包んで置いてあったガラスの靴を持ち出すと、使者の前へと行きました。
「んー、次はお前か?」
「は、はい」
 ツンデレラは布を解き、ガラスの靴を使者に見せました。
「そ、それ…まさか…」
 使者が驚く中、ツンデレラは自分の持っていたガラスの靴を履き、もう片方の足に使者が持ってきたガラスの靴を履きました。靴はまるで吸い込まれるかのようにツンデレラの足にぴったりと合い、その瞬間ツンデレラの身体をまばゆい光が包みました。
 そして、光が消えたその場に現れたのは、舞踏会に参加したときのドレス姿のツンデレラでした。
「おお。その姿、間違いない。あの時のお嬢さんや。これで、王子も喜んでくれはるわ」
 ツンデレラはそのままお城の使者に連れられ、お城へと向かいました。


 そして、その様子をあの時の魔法使いが、屋根の上からじっと見守っていました。
「少し回りくどいかったと思うけどね…お幸せに、わたしの可愛い娘よ…」
 呟きと共に、魔法使いの姿は掻き消えていきました。


 こうしてツンデレラは王子の妃となり、末永く幸せにくらしましたとさ。



― 終劇 ー



キャスト

ツンデレラ 柊かがみ
魔法使い 泉こなた
王子 岩崎みなみ
いじわるな継母 柊みき
いじわるな長女 柊いのり
いじわるな次女 柊まつり
馬 日下部みさお
貴婦人A 八坂こう
貴婦人B 田村ひより
貴婦人C パトリシア・マーティン
貴婦人D 小早川ゆたか
貴婦人E 峰岸あやの
お城の使者 黒井ななこ

ナレーション 泉かなた



「…ねえ、ゆきちゃん」
「なんでしょう、つかささん?」
「…大道具係って大変だね」
「…そうですね」
286ツンデレラ:2009/10/23(金) 12:47:38 ID:mf3PhF69
以上です。

誰かやってるんじゃないかと思って、まとめの方で検索してみたら一つたりとも引っかからなくて驚いた。
ベタ過ぎて誰もやらなかったんだろうな、と。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 15:43:01 ID:SmCOBZNW
>>286

みなみが面白かったw

シンデレラネタ自体はどこかで見た気がするけど、どこだったかな
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 20:09:25 ID:CwovhVcj
>>286
乙です。 面白かったGJ

>>287シンデレラネタはOVAで使ってるかな?
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 20:21:05 ID:aykBBeJf
>>288
舞踏会を武道会にしたやつですね
あの発想は面白かったな
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 21:31:23 ID:7CVkpPLm
>286
乙です。
ストーリー自体は最後まで普通に進んだのが意外だった。
劇ものはたいてい途中でぶち壊れる印象がある。

シンデレラネタは、エロパロスレの方で
ひよりんがシンデレラ役のとこなたがシンデレラ役のとがあった覚えが。
ほかにもあったかもしれないが。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 21:55:46 ID:2aD+Pxnr
らき☆すたのカレンダーであったね
あれは、小神あきらがシンデレラ、王子が高良みゆきだった
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/23(金) 23:30:52 ID:G0ut53a/
 ☆ お知らき ☆

来月より開かれる らき☆すたSSスレ 第17回コンクール のお題投票を明日24日0時より開始します。
もしお題の案をまだ抱えている方がいましたら、今日中にお書きください。


前回もだが全く慌ただしいな!
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/24(土) 00:01:56 ID:dqcYXrhQ
0時になりましたのでお題投票を開始します。
投票所はこちら↓

http://vote3.ziyu.net/html/rakithem.html


投票期間は10/24(土) 0:00:00 〜 10/27(火) 23:59:59 となっております。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 01:52:46 ID:DldfOsuy
みゆきさん誕生日おめでとう!
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 04:18:04 ID:K7k5oR6N
つかさ「ゆきちゃんの誕生日プレゼント、何にしようかな…お姉ちゃんな決めた?」
かがみ「まだよ…こなたは?」
こなた「ブラジャー」
つかさ「ええっ!?」
かがみ「ちょ、おま、またそんな…」
こなた「あの素晴らしい乳を飾るに相応しいものをだね…」
かがみ「わかった。わかったからもう言うな…てか乳言うな」
つかさ「う、うーん…こなちゃん…らしいね」



誕生日当日

つかさ「ゆきちゃん、誕生日おめでとう!これ、みんなからのプレゼントだよ」
みゆき「ありがとうございます…こんな風に祝っていただけるなんて…とても嬉しいです」
こなた「これだけ喜んでもらえると、こっちも嬉しくなるもんだねえ」
かがみ「うん…まあそれは良いんだけど…ねえ、こなた」
こなた「なに?」
かがみ「あんたのプレゼント、箱見た感じだとアクセサリーっぽかったけど…ブラじゃなかったの?」
こなた「…なんかね…凄く高かった…流石にモノが違うと相応しいブラも違うっていうか…ちゃんとした下着ってけっこう値が張るだね…」
かがみ「…まあ、確かにあんたのは安くつきそうよね」
こなた「ひどっ」
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:11:25 ID:9XD7cn7+
投下行きます。
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:13:04 ID:9XD7cn7+
重なる記憶

「う〜ん」
 ひよりは、頭を抱えていた。
(なんで、パティがここにいるんだろ……?)
 一年生の三学期、盛大にお別れパーティをやって、空港で泣きに泣いて別れたはずなのに。
 二年生の一学期、パティは留学生としてそこに存在している。
(あれ? でも……)
 しかし、一年生のときに留学生なんていなかったという記憶も確かに存在しており、それは今の現状と矛盾なく連続性をもっていた。
(うう〜……)
 つまり、高校一年生の期間について、異なる二つの記憶が混在しているわけで。
 じゃあ、現状と矛盾している記憶の方は、夢か何かだったのか?
 いや、それにしてはあまりにも鮮明すぎる。

「田村さん、どうしたの?」
 ゆたかが、心配そうに声をかけてきた。
「いや〜、今度のイベントのネタが出なくて」
 とっさにそうごまかす。

 とりあえず、朝のホームルームから今日の学校での一日が始まった。
 普通に授業が進んでいき、昼休みはみんなで一緒にお弁当を食べながら話をして、午後の授業が終わり、放課後となった。
 みなみは保健委員の仕事で早々に席を外し、ゆたかはこなたと一緒に帰っていった。
 残ったのはひよりとパティ。
「ヒヨリ、ちょっとイイでスか?」
 パティにつれられて、校舎の屋上へ。
 パティは、ひよりをじっと見据えると、こう切り出した。
「ヒヨリ、キョネンのオウトウサイのチアはオボえてまスか?」
 ひよりは、目を見開いた。
 そして、ブンブンと首を縦に振った。
「オー、やっとナカマをミツけました!」
 パティは、ひよりの両手を握ってブンブンと振り回した。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:13:56 ID:9XD7cn7+
 話を聞けば、パティも、昨年一年間を陵桜学園に留学していた記憶とアメリカのハイスクールで過ごした記憶が重なっているということだった。

「うーん。これってどういうことなんだろうね。脳の病気とかなんじゃ……」
「ビョウキでも、フタリともオナじキオクというのは、おかしいでス」
「確かにそうだよね。医者にいっても相手にされなさそうだし……うーん……。あっ、そうだ。ここは、高良先輩に相談してみるとか。先輩は博識だから、こういう事例も何か知ってるかも」
「それは、グッドアイデアでス。さっそく、レッツゴー」



 というわけで、二人で高良邸に押しかけ、みゆきに事情を話した。
「おや、お二人もそうなのですか。これは奇遇ですね」
「えっ、高良先輩もっスか?」
「私の場合は、記憶が重なったのは、高校一年生の二学期のときでしたが」
「先輩の場合は、どんな感じで?」
「私は一人っ子ですけれども、もう一つの記憶の方では、兄がいたんです。こちらでは、その兄は従兄ということになってますが」
「そうなんスか。でも、これっていったい何なんですかね?」
 ひよりは、肝心の本題に入る。
「平行世界という概念はご存知ですか?」
 ひよりとパティは、うなずいた。
 アニメでもマンガでもラノベでも同人誌でも、パラレルワールド物は、定番ネタの一つだ。
 二人にとっては馴染みのありすぎる概念であった。
「平行世界の同一人物の記憶が、コピーされてきた。私はそういう仮説を立ててます」
「コピーっスか。移動じゃなくて」
「記憶が移動したのだとすれば、もう一人の私が記憶喪失になって困っているでしょうから。私としては、コピーであってほしいです」
「確かにそうっスね」
「何かの強い思いが、世界の壁を越境して、記憶をコピーさせたのでしょう。お二人とももう一つの世界の方では、別れがたく思っていたのではありませんか?」
「そうでス。ワタシはとてもナゴリおしかったでス。ミンナとずっとイッショにイたかったでス」
「私もそうっスね」
「よかったではありませんか。願いが叶ったのですから」
「そうっスね。前向きに考えることにします。ありがとうございましたっス」
「いえいえ。私は仮説の一つをお話ししただけですから。間違っている可能性もあります。それはともかくとして、初めのうちは記憶の重なりに戸惑うかもしれませんが、すぐに馴染むと思います。また何かありましたら、ご遠慮なく相談にきてください」
 二人は、改めて礼を述べて、高良邸をあとにした。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:14:47 ID:9XD7cn7+
 別れ際、ひよりが、
「先輩、つかぬことをお聞きしますが、その従兄の人って結婚なされてるんスか?」
「ええ。昨年ご結婚なさいましたよ」
「そうなんスか……。いえ、変なことをお聞きしてすみませんした」



 二人で、帰路につく。
 その途中で、
「ヒヨリ、ミユキのイトコのケッコンがどうかしたのでスか?」
「いや、世界の壁を越境して記憶をコピーさせるほどの強い思いってのを考えてたら、気になっちゃって……。定番でしょ? 実の兄じゃなかったら結婚できるのに、ってのはさ」
「オー、なるほど。ミユキのネガイはザンネンなことになったのでスね」
「でも、なんかこう創作意欲が沸いてきた。禁断の恋を叶えるために、平行世界を渡り歩く巨乳美少女。これはいける!」
「オー、グッドアイデアね。ツギのコミケがタノしみでス」

 結局のところ、何があろうとも、自重などこれっぽっちもない二人であった。

終わり
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 10:16:52 ID:9XD7cn7+
以上です。

 原作でのパティの設定仕切りなおしを逆手にとって、みゆきさんの兄設定の黒歴史も絡めた話にしてみました。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 12:58:28 ID:EetG3pPB
みゆき誕生日おめでとう!
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 19:36:03 ID:IspxSpD6
みゆきよ、どんどん大人っぽくなるが良い
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 20:44:07 ID:mIpP82x2
そういえば去年のみゆきさんの誕生日は(当時まだ出し切られていなかった)キャラクターのお題だったんだよね、コンクールが。
もちろんお題はみゆきさんだったけど、あれから1年か……早いなぁ
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 21:59:13 ID:oZiGrqwf
マジで?早ぇなw
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 23:04:08 ID:cq+Kr6fB
つかさ「ピンクの呪い? う〜んなんだっけそれ」
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/25(日) 23:25:38 ID:hafihmDl
>>300>>305

お前ら本当に呪われるぞ・・・ ? みゆきに金縛りされたりして・・・。
307出張先で……:2009/10/25(日) 23:44:16 ID:TWGnqKoH
みゆきは今、ある研究所近辺の社員寮にいた。
本来の勤め先から遠く離れた、山の麓に建てられたその寮で、みゆきは1週間ほどの出張生活を送っていた。
3日目の研修を終え、疲れた身体を癒す間すらもなく、みゆきは今日も残務をこなさなければならなかった。
みゆきは自前のノートパソコンに今日得たデータを打ち込んでいく。
以前のデータと見比べて、おかしな点がないか何度となく確認する。
コンマ1のずれが大惨事を引き起こしかねない。そんな数式を見るみゆきの目は極めて真剣なものだった。

夕食の買い物を終え、みゆきが寮に着いたのは6時を回った頃だった。
そして今、モニターの端に見えるのは9:30。3時間以上、みゆきはこうして数字と向き合っていた。
みゆきは溜息を1つ吐き、首を横にならす。コキッコキッと骨の鳴く音が聞こえる。
手を肩に添えて強く押してみる。弾力は思ってた以上に感じられなかった。
「疲れました……」
眼鏡を外して天井を見上げてみる。
蛍光灯の光に目が眩みそうになり、みゆきは目を瞑って軽く瞼の上をマッサージをし、それから立ち上がって小さなキッチンへと向って行った。
少し遅い夕食だった。
「自炊ができればいいのですが……」
スーパーの袋からお弁当を取り出す。家に帰ってもやるべき事は沢山あり、
料理の時間すらも惜しんで仕事に打ち込むみゆきだった。
お弁当を電子レンジで暖め、みゆきは思い出した様に仕事用のバッグから携帯を取り出した。
308出張先で……:2009/10/25(日) 23:50:17 ID:TWGnqKoH

ランプの灯しがメールの受信を伝えていた。
最初のは朝の8時にきたものだった。
「かがみさん」
『みゆき、誕生日おめでとう。そっちは出張だっけ?案外そっちで春がきたり、とか?
 この前できなかった話もあるし、時間が空いたらまた一緒に食事しましょう』
「ありがとうございます。かがみさん。出会いは残念ながら……」
それから正午にもう1通。
「つかささん」
『ゆきちゃんおめでと〜。あれ?お誕生日今日で良いんだよね?間違ってたらごめんね。
 最近新しいお菓子の作り方覚えたんだよ?今度ゆきちゃんにもご馳走してあげるね。じゃ、またね』
「ええ、私の誕生日は10月25日、今日です。つかささんのお菓子、私、大好きです。楽しみにしています」
そして夜、8時を回ったところでもう1通届いていた。
「こなたさん」
『みうぃきさ〜ん、おめ〜。ちゃんとメール届いてる?着信拒否なんかにしてないよね?
 そうそう。今日はみゆきさんの誕生日だったので、それっぽい事をしてみました。画像参照』
「そんな、拒否なんかにはしませんよ。……画像、ですか?えっと」
画像を表示させてみる。
そこは机の上だろうか、コレクションらしいフィギュア類と共に、学生時代、4人で撮った写真が飾られ、
その中心には、白い、苺が沢山乗せられたデコレーションケーキが置かれていた。
更にケーキの上には『みゆきさんおめでとう!』と書かれていたチョコの板までもが乗せられていた。
「……これ、この為にわざわざ?……こなたさん、頑張りすぎです。でも、ありがとうございます」
こんな祝い方などしてもらえるとは思ってもおらず、みゆきは驚いていいのやら呆れていいのやら、
でも、そんなサプライズに胸を暖かくするみゆきだった。
卒業して何年も経ち、年に数回しか会えなくても、それでも昔と変わらず接してくれる友人達。
みゆきは掛替えのない友人達へ心からの感謝の言葉を延べ、食事も忘れてメールを打ち出すのとともに、
そしてその事に集中するあまり、最後の1通、ゆかりからのお祝いを見落としていたのであった。
「みなさん、ありがとうございます。みなさんの役に立つよう、一層がんばります!」

『みゆきちゃん、お誕生日おめでとう。みゆきちゃんがいなくって、お母さん寂しい。
そうそう、最近悪い風邪が流行ってるみたいだから、身体に気をつけてね。
 それとね、昨日TVでね(割愛)。お仕事頑張ってね。母より』

(終わり)
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 00:01:23 ID:OWI/mCR3
>>308
いいねぇ。和めるSSだ。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 00:15:10 ID:PYpjPXF0
>>299
GJ!

パラレルワールドとは興味深いネ
みゆきさんは相変わらずのフラグクラッシャーだなw
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 16:12:52 ID:OWI/mCR3
こなた「ふぅああぁ〜」
かがみ「さっきから随分あくびしてるわね」
こなた「んー何だろうねー。あくび止まんない〜ふぁぁ」
かがみ「ちゃんと寝てる?」
こなた「うんにゃあんまり〜、徹夜とかザラだけどねーふぁ」
かがみ「それが原因じゃないの?」
こなた「さあ……そういやしゃっくり止める方法はいくつかあるけどあくび止める方法ってよく考えたら無いね〜」
かがみ「そうねえ……」
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 19:20:09 ID:yNxy8IKA
>>311
あくびを止める方法が無いのは、身体の異常であるしゃっくりとは違い、あくびは生理現象であるということがあるのではないでしょうか。
また、しゃっくりは連続性があるのに対し、あくびはほとんどが一回で終わりますので、特に止める必要性が無かったと考えることもできますね。
どうしても止めたいのであれば、最近の研究でエンドルフィンの分泌により、あくびを抑えられるというのがありますので、泉さんの場合なら、お好きなゲーム等に集中するようにすれば、止まるのではないでしょうか。
もっとも、一番良いのは、あくびが出ないようにしっかりとした睡眠を取る事なのは、言うまでもありませんね。

以上。拙いながら、わたし高良みゆきが解説させていただきました。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/26(月) 21:54:26 ID:FoMu187q
>>312

俺だったら太ももにモルヒネ打つぞ ?
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 12:23:37 ID:e/284J8D
こなた「さーて歯磨き歯磨きっと…お父さんが使ってるか。ちょっとまたないと」
そうじろう「…げほっ!げほっ!ごほっ!」
こなた「ちょっ!大丈夫!?どしたの!?」
そうじろう「…歯磨きして口すすいでて、その水でついうがいをしてしまった…」
こなた「…しっかりしてよー」
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 21:22:22 ID:7osScCNJ
コンクールお題投票済みでない人は今日までなのでよろしく↓

http://vote3.ziyu.net/html/rakithem.html
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/27(火) 23:17:05 ID:lFo1CX98
こなた「ねぇ、かがみー」
かがみ「なによ」

こなた「私達の本が10周年になったらどんなタイトルの本が出るのかな?」
かがみ「は? 急に何よ」

こなた「私達の先輩4コマ漫画が本日、10周年記念本をね」
かがみ「あー、なるほどね。そうね……やっぱり、らき☆すたのシンボルからして言えば」

みゆき「みwikiぺでぃあ、ですね」テクテク

かがみ「みゆき……」
こなた「なんか、本当に出そうな気もするね」
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 00:15:09 ID:wJx17LkT
第十七回らき☆すたSSコンクールのお題は『水』に決定しました!
携帯やキーボードを手に皆さん奮ってご参加くださいね!

みゆき「みなさん、DHMOという薬品はご存知ですか?」
つかさ「DHA?」
みゆき「それは青魚です」
かがみ「DHC?」
みゆき「それは化粧品です」
こなた「DHL?」
みゆき「それは運送業者です」

みゆき「DHMOというのは青緑色の化学物質なんですが、世界の犯罪者の90%以上が日常的に摂取していて、ものすごい中毒性があり、禁断症状に陥り死に至ったケースも多々あります」
つかさ「へぇ……」
みゆき「金属を腐食させたり地形浸食を引き起こしたり、原子力発電所や重化学工場でも使われます。また自然界にも存在するので酸性雨にも含まれているんです」
こなた「そんな怖い薬品もあるんだ……」
みゆき「悪性の腫瘍から摘出されたりもしますね。食品に混入している場合も多いですし、体内に蓄積されることもあります」
つかさ「そうなんだ……」
こなた「恐ろしいなぁ……」

みゆき「……ふ、あは、あははは」
つかさ「ゆきちゃん?」
みゆき「ああ、いや、すみません、何でもないんですが、こうも見事に信用されてしまうなんて」
こなた「え?」
みゆき「いえいえ、DHMOというのはDihydrogen Monoxide、つまり一酸化水素のことなんですが、かがみさん、一酸化水素の科学式はお分かりですか?」
かがみ「ええ、今になってようやく分かったわよ……ほら」
 ┏━━━━┓
つ┃  H2O ┃
 ┗━━━━┛
つかさ「これは……」
こなた「水、だよね……」
みゆき「だから、私は嘘は申し上げていませんよ。水は本来わずかに青緑色です。……でもちょっとすっきりしました」
つかさ「え?なんで?」
みゆき「こんなデタラメな説明でも、お二人は私の話を真剣に聞いて下さったからですよ。それだけ信頼されてるのだな、と」
かがみ「悪かったわね、途中で聞くのやめちゃって」
みゆき「いえいえ、でも、泉さんにつかささん、私のお話を聞いて頂けたのはありがたいんですが、あの、その『あとでチェリオをおごれ』という表情で私を見るのはちょっとやめていただきたいのですが」


みゆき「青緑色といえばマレーシア国有石油企業のペトロナスですよね」
かがみ「普通女子高生は知らないわよ」
みゆき「青緑色といえばバブルの頃のレイトンハウスを思い出します」
かがみ「何歳だっつの!」
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 13:39:34 ID:GvmnmQJn
かがみ(『水』……水着……スク水……)

かがみ(こなたのスク水……)

かがみ(ハァ……ハァ……)


つかさ「うーん残念だけど、それで書く人っていないんじゃないかな……」
かがみ「!?」
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 21:47:21 ID:A0UF1+uQ
>>317
こなた「ペトロナスっていったらトムスだね」
みゆき「泉さん、そこはやっぱりZ4でしょう」


つかさ「お姉ちゃん、何の話か全然分からないよ……」
かがみ「大丈夫よ。私も分からないから」

通じなかったらゴメソ
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:06:13 ID:G76Vhraa
>>318自分が着て襲う発想はないのか
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:23:06 ID:gGWfFdAj
>>318

ここの掲示板、 もし美水かがみ先生が見ていたとしたら相当ショック受けるだろうな・・・。
もう既にキャラクター全員イメージ崩壊されているだろうし、 「 真面目さ 」 が売りの
かがみがそこらへんにいる精神異常を来した異常性欲変態レズ Bitch になってやがるし・・・。
やっぱりこういうところって見ている物なのだろうか・・・ ? ・・・んな訳ないか・・・。
H なサイトとかにも らき☆すた の誌とかがあるが、 恐らく美水かがみ先生はその存在に
気づいているのだろうな・・・。 だが実際のところ、 どんな心境に陥っているのだろうか・・・ ?
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:28:25 ID:J3RtNXZQ
>>321
あえて釣られてマジレスしよう






原作でもアニメでもコミケネタや2chネタ入れてるのだから
二次創作があるくらい、察してないわけねーだろwwww
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:37:57 ID:dePjrC+W
こういう文章構成がおかしいレスは
何らかのスクリプトだと思われる
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 22:56:52 ID:zbuNvsca
今更www
VIPの時からこうだからwww
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 23:31:35 ID:gGWfFdAj
>>322>>324

 ご返事頂きどうも有り難うございました。 まぁ・・・本当に今更だよなぁ・・・。
・・・まっ、 所詮は 「 他人事 」 。 私達が楽しければそれで良いのだ。
 許される範囲内での話だが・・・。
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 00:17:14 ID:xg9oP+7q
>>319
あなたとは良い友達になれそうだ
専門的な話すぎてすみません

今回のお題『水』、あまりに範囲が広くて悩むなぁ
人によって『水』の解釈が違うからきっとバラエティ豊かだと思う
>>318さんがすでにぶっ飛んだ解釈をなされたしww
13作品くらい集まりそうな予感
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 00:36:43 ID:3wDBf5hV
>>317
こなた「H2Oかぁ…」
かがみ「何よ」
こなた「♪大人の階段のーぼるー、キミはまだー、シンデレラさぁー」
かがみ「歌うなー!!アンタ一体、いつの時代の人間なんだ!!」
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 00:57:00 ID:B+qvmfQW
なぜそんな具体的に13作品…
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 11:36:09 ID:xg9oP+7q
こなた「みゆきさん田園調布から引っ越すんだって!?」
みゆき「え?」
こなた「テレビでやってたよ、永田町に住むんだよねぇ」

田園調布から首相官邸に居を移した鳩山みゆきさん……をニュースで見たわ
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 12:33:24 ID:lN7KpWVy
一人で盛り上がってるとこ悪いが、水ってそんなにバラエティ豊か?
全くネタが思い付かんわ
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 21:24:10 ID:vkrLUgWj
水爆でこなたん家吹っ飛ばすべ。
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 22:32:24 ID:nHSXTH4I
>>330
単体だとあんまり豊かとは言えないな

が、水に関係してればなんでもおkと考えれば、そうでもないだろう
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 23:00:31 ID:lN7KpWVy
なるほど、じゃあ>>331を目指すわw
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/30(金) 18:18:13 ID:w3uVf+VD
水くさいとか水入らずとかもOKか
335きー兄さん:2009/10/30(金) 23:45:28 ID:I6Qnxl6j
投下いきます。

コンクール前の軽い一作とうことで、3レスほどです。
336きー兄さん:2009/10/30(金) 23:47:13 ID:I6Qnxl6j
「こなた、こなたじゃないか」
 とある休日。泉こなたと柊かがみが町をぶらついていると、後ろから男性に声をかけられた。振り向いたこなたは、驚きに目を見開いた。
「きー兄さん!?いつ戻ってきたの!?」
「ついさっきだよ。久しぶりに大きな連休が取れたからね」
 親しげに話してるところを見ると、こなたの近しい知り合いではあるとかがみは判断したが、どこの誰かはさっぱり分からない。
「…ねえ、こなた。誰?ってか兄さん?あんた一人っ子じゃなかったっけ?」
 かがみがこなたを肘でつつきながらそう聞くと、こなたは首をかしげた後ポンッと手を叩いた。
「あー、そっか。かがみは知らないんだ…えーっと、この人は成実きよたかさんっていって、ゆい姉さんの旦那さんだよ。だから、きー兄さん」
「なるほど」
 かがみは納得して頷いた。たしか、単身赴任で新婚早々離れ離れになってると、こなたから聞いたことがある。
「ゆい姉さんは知ってるの?」
「いや、前のクリスマスの時みたいに驚かそうと思って、連絡なしで戻ってきたんだ」
「いたずら心もいいけど、ちゃんと連絡しないとまた入れ違うよー」
 従姉妹の旦那。親戚とは言え、血はつながっていない。それにしては、やけに親しく話すなと、かがみは不思議に思った。



― きー兄さん ―



 こなたがきよたかに初めて会ったのは、中学二年の頃だった。
 従姉妹である小早川ゆいに、高校時代から付き合っている恋人がいるとは聞いていた。常に熱暴走気味というか、どこかネジが外れていると言うか、そういった感じのゆいの恋人であるから、さぞ変人だろうと予想もしていた。
 しかし、実際会ってみると物腰は柔らかく、ひたすらに人の良さそうな感じを受けた。同級生の男子はもちろん、今までに会ったどんな男性とも違う雰囲気に、こなたは胸の高鳴りを感じていた。何度か会ううちに、その胸の高鳴りははっきり恋と呼べるものになっていた。
 しかし、彼は従姉妹の恋人。近い将来に、結婚するつもりだとも聞かされた。だからこなたは、自分の想いを隠した。消えて欲しいのに消えてくれない想いを抱いて、日々を過ごした。
 そして、高校二年の六月。ゆいときよたかは結婚した。
 ジューンブライド。なぜ、このうっとうしい梅雨時に結婚するのが幸せなのか。みゆきに理由を聞いても、あまり納得は出来なかった。
 でも、このシトシトと降る雨は、空が自分の代わりに流してくれる涙なんだ。そう考えると、少しばかり気は楽になりそうだ。こなたはそんなことを考えながら、ぽっかりと穴の開いた心で、梅雨の空を見上げた。



337きー兄さん:2009/10/30(金) 23:48:50 ID:I6Qnxl6j
「…なーんて…」
「かがみ。かがみ!」
「…って、うわ!?こなた!?」
 こなたに急に声をかけられ、かがみの妄想は半ば強制的に中断させられた。
「なにボーっとしてんだよー。さては話聞いてなかったなー」
「ご、ごめん」
 むくれるこなたにかがみが謝ると、こなたはすぐに表情を緩めた。
「ま、いいや。そういうことだから、わたし買ってくるね。かがみはきー兄さんとここで待ってて」
「えっ?あ、ちょっ」
 かがみが止める間もなく、こなたはとてとてと効果音が聞こえてきそうな足取りで、どこかへ行ってしまった。
「…話聞いてないの分かってるのに、説明なしで行くのな…」
 かがみはため息をついて、きよたかの方をチラッと見た。なんと言うか、少しやりにくいというか居づらい。
 素性は知ってるものの、今日初めて会った見知らぬ男性と二人きり。あまり経験のないシチュエーションに、かがみはどう話して良いか分からいし、どう話しかけられても困るような気がした。
「面白い子だよね。こなたって」
「え、あ、そ、そうですね」
 いきなりきよたかにそう言われ、かがみは少しどもりながら答えた。しかし、話題としては悪くないとかがみは思った。お互いが知ってる第三者の事なら、あまり不都合もなく会話が出来るはずだ。
 きっと良い人なんだと、かがみは先ほどの妄想の中の人物像があまり的外れではないと、確信した。
「いつも何かと振り回されてます…」
「ゆいといい、そうじろうさんといい、ああいう感じの血筋なんだろうね」
 挙げた名前のなかにゆいの妹であるゆたかと、そうじろうの妹で自らの義理の母であるゆきが入っていないのは、その二人はきよたかから見て普通に見えているいうことだろう。
「…いや、ゆたかちゃんは見えているっつーか普通にまともだろうに…」
「え?」
「い、いえ、なんでも…」
「…恥ずかしい話だけど、僕は自分の親戚がどれだけいるのか把握してなくてね」
 唐突に、きよたかはそんな事を言い出した。
「…はあ」
 きよたかの意図が分からず、かがみは思わず生返事で答えてしまった。
「親戚付き合いってのが薄かったんだ。だからゆいに出会って、泉さんたちを知って…本当に驚いたよ」
 確かにあの親子には驚かされることは多い。けど、それは親戚云々とは関係ないことだ。そんなことを思いながら、かがみは黙ってきよたかの話の続きを待った。
「付き合い方が濃いというか、一つ屋根の家族みたいだというかね…ゆいも当たり前みたいに泉さんちに遊びに行ってるし」
「それは…」
 と、かがみは何かを言うとして、何も言えなかった。考えてみれば、自分の家もそれほど親戚づきあいが良い方じゃない。きよたかと同じく、親戚の正確な数も把握していない。
「ゆき義母さんは『あの二人は根っからのひきこ…インドア派だから、ちゃんと構ってあげないとね』って言ってたけどね」
 漏れかけた失言まで律儀に真似するきよたかに、かがみは思わず苦笑してしまった。
「でも僕はね、かなたさんの事が大きいんじゃないかって思うんだ」
 思ってもみなかった名が出て、かがみは驚いた。泉かなた。こなたの母親。故人だ。
「僕がゆいと付き合いだした頃にはもう亡くなっていたから、会ったことはないんだけど…素敵な人だったって聞いてる。そうじろうさんにとって、かけがえのない人だとも」
 かがみは会ったことどころか、かなたに関する詳しい話もよく知らない。知っていることは、こなたによく似ていると言うことだけだった。
「人が好きなんだって、そうじろうさんが言ってたよ」
「人、ですか…」
「うん。人との繋がり、関わり、絆…そういったものが好きなんだって。そのかなたさんに、そうじろうさんが影響を受けて、それがこなたに受け継がれて、僕たちも二人に影響されて…かなたさんの想いは、どんどん広がっていくんだと思う」
 死してなお、その想いは広がっていく。その発端であるかなたがもし生きていたら、こなたはどのような人物に育っていただろうか。かがみはそんなことを思っていた。
「…あの、でもどうして、その話をわたしに?」
 そしてかがみは、話の最初から抱いていた疑問を、きよたかに聞いてみた。
「こなたから、君は親友だって聞いてたからね。君にも伝わってるんじゃないかって思ったんだよ。君が気づいてなくてもね」
 確かに、こなたと出会ってから人の見方が少し変わったかもしれない。かがみはきよたかの言葉に納得し、そしてこなたが自分の事を親友だと紹介してくれてたことに、少しばかり嬉しさを感じていた。
338きー兄さん:2009/10/30(金) 23:49:56 ID:I6Qnxl6j
「あの…こんな事聞くのアレなんですけど…こなたはわたしのこと、どういう風に言ってました?」
 かがみがそう聞くと、きよたかは少し考えて答えた。
「家が神社で巫女さんなんだって?」
 目の前の男性の印象だとか今までの話だとか、色んなものが音を立てて崩れるような感じをかがみは受けた。なんというか、すさまじい脱力感だ。
「って、そうじろうさんだったら言うんじゃないかな」
「…ええ、言われましたよ。初対面のときに…っていうか、色々聞いてるうちからどうしてそこをチョイスされるのか…」
 血は繋がって無くても家族なんだ。朱に交わって赤くなったんだ。かがみはそう実感していた。
「…わたしも、だよね…」
 そして、さっきの妄想を思い出し、かがみは地面に両手をつきたい気分になった。
「それにしても、こなた遅いな…っと、もうこんな時間か。かがみちゃん、悪いけどこなたに僕は先に家に帰ったって伝えておいてよ」
「え?」
「それじゃ、また」
「あ、ちょっと………いっちゃった」
 軽く手を振りながら去っていくきよたか。急なことだったので、かがみは何も言えずに、その背中を見送っていた。



「おまたせー…ってあれ、きー兄さんは?」
 しばらくして戻ってきたこなたは、辺りを見回しながらかがみにそう聞いた。
「先に家に帰るって。あんたが遅いからよ」
「そっかー、残念。せっかくこの青い青汁、試してもらおうと思ったのに」
 少し気落ちした感じを見せるこなたは、手にペットボトルを持っていた。中の液体は爽やかとは程遠い、おどろおどろしいと言う表現がぴったりの青い液体が入っていた。
「…なに、それ?…ていうか見た目怖いんだけど」
「ほら、見てよこのジュース。青汁なんだけど、色がほんとに青色なんだよ。味が気にならない?」
「確かに気になるけど…やばい予感しかしないわよ、ソレ…」
 冷や汗を垂らしながら一歩下がるかがみに、こなたが詰め寄る。
「よし、かがみ飲んでみて」
「い、いやよ!」
「いーから飲んでレポートしてみてよー…もしかしたら、ダイエットに効果ありかもよ?」
「ないないないない!ありえないから!…ってか、あの人!こういうの予見して逃げたんじゃないでしょうね!?」
「きー兄さんはそんなことしないよー。まあ、いいから飲んでみれ」
「…ってか自分で飲みなさいよ」
「…死ぬかもしんないじゃん」
「生死かかるのかよ!絶対飲まんわ!ってか、人に飲まそうとするなー!」

 結局そのジュースは半分ずつ飲んだのだが、その後二人して三日ほど食欲不振に陥ったとさ。



― おしまい ―
339きー兄さん:2009/10/30(金) 23:51:21 ID:I6Qnxl6j
以上です。

某ペプシのあずきを飲んでみましたが、なんというか薬くさかったですね。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 10:25:00 ID:rsgeb4/m
>>339ペプシの変わり種はだいたい薬くさいよな
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 10:26:54 ID:gtPx1XpO
>>339

 投稿面白かったよ。 あまりきー兄さんが登場する話って無いから丁度良かった。
それと俺はドイツに旅行しに行った際、 色が青い「 ゲータレイド 」 を発見して
飲んでみたよ。 結構美味しかった。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 11:12:47 ID:gtPx1XpO
>>333

こなたんの淫水飲むっぺ。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 17:54:16 ID:59MEkEQZ
>>339
すごい、キー兄さんでss作れるなんて・・・
GJです。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 18:16:46 ID:rJmBwHvV
飽きすた
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 19:08:18 ID:QGC4IO0J
それ☆すた
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 20:39:01 ID:FvIV4L4v
つのだ☆ひろ
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/31(土) 20:44:51 ID:gtPx1XpO
なんじゃ☆それ
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 06:30:20 ID:tcYAZIY2
やまと「マンガとかだと、料理で砂糖と塩を間違えるってあるらしいけど」
こう「かなり古典的だけどね」
やまと「卵焼きの場合って、どうなるのかしら。学校の友達が、味付けで砂糖だ塩だって揉めてたのよ」
こう「…確かに。卵焼きの塩か砂糖かはベタな間違いかどうか…ちなみにどっち?」
やまと「砂糖」
こう「いや塩でしょ」


こう「でまぁ、大喧嘩。やまとも熱くなっちゃって」
ひより「その熱くなった永森さんがすごくみたいっス!」
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/01(日) 22:22:13 ID:UMdIXNGr
>>348

ひより「……んー、そういやスイカも悩むッスね」
こう「ん?あー……塩かけるかかけないかって?」
ひより「あーそれもありますけど、砂糖って選択肢もあったり」
こう「スイカに砂糖かー……えー元からでも甘くない?」
ひより「それがやっぱウマいんスよ!塩とか自分ちょっとわからないッス」
こう「そおー?塩かけると結構おいしいよ?」
ひより「えーでも砂糖は……」


ひより「……とまあこうちゃん先輩にとっちゃ二度目の塩か砂糖か論争だったわけッスよ」
やまと「そう」

ひより「んで、どんぐらい熱くなったんスか?あの時は」
やまと「……別に」
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 00:00:02 ID:hXP8YbKa
 = 開催宣言 =


「hello everyone!patricia martinデス!」
「コレヨリseventeenth literature contest at "lucky star SS thread"ヲ開催シマス!」
「themeはズバリwaterデス!」
「ソレデハミナサンハリキッテゴ応募クダサイネ!here we go!」


みなみ「……わかりにくいのと情報不足なので私からお伝えします。ただいまより第17回コンクールを開催します。
     テーマは『水』です。投稿要件など詳しいことは下記のアドレスをご参照ください。
     概要→http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/72.html
     参加規約→http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/673.html
     なお、現在プロバイダが規制に遭っている方がいらっしゃると思いますが、
     それによって本スレに書き込めない場合は避難所のスレ
     http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/auto/5330/1184852988/
     に投下してください。
     それではみなさんたくさんのご応募、お待ちしております……」
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 07:11:28 ID:+kxNAF4L
規制されて仕方なく携帯で書き込んでる人にオススメ!
http://pk2ch.saneda.com/

他のスレで見かけたので引っ張ってきました
これならPCで書き溜めたSSも投下できるよ!
ただし携帯持ってないとダメだが…

352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 16:45:51 ID:5LXNhD+U
避難所の方に投下きてるな

宣言乙
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/02(月) 19:03:32 ID:kMtlffDD
−みさちゃんと柊ちゃんとリラッタヌとわたし−


みさお「なんかちょっとみねーうちに、リラッタヌまた増えてんなー」
あやの「うん。新しいの見つけると、つい買っちゃうの」
みさお「よくみたらコレ、背中にチャックついてるのな」
あやの「かわいいでしょ?」
みさお「かわいいかはあたしにはわかんねーけど…チャック開けたら毛深いオッサン出てきたりしたら嫌だよなー」
あやの「………」



みさお「…んで、もう三日あやのが口きいてくれないんだよー」
かがみ「お前が悪いとしか言いようがないな…」
みさお「なんとかなんねー?」
かがみ「ふむ…考え方を変えてみたら?」
みさお「と、いうと?」
かがみ「峰岸がそこまで怒ってるのは、相手が日下部だからよ」
みさお「あたしが嫌いだってか」
かがみ「逆よ。好きなリラッタヌを好きな日下部に…好きな物を好きな人にけなされたから、それだけ怒ってるのよ」
みさお「う、うーん。そーなんかな…で、そう考えたら解決すんのか?」
かがみ「多分なにも解決しないわね」
みさお「ぅおおぉぉぉい!!」
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 23:31:06 ID:sB8sAVid
ちと、試しカキコ
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 23:37:13 ID:sB8sAVid
>>351のを試してみたが、いけそうだ。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 07:05:25 ID:GA0yIH59
そいつぁー良かったぜ!
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/06(金) 23:10:56 ID:IxFtgEf1
-しばらく前の漫研の部屋にて-

かがみ「な、何よ!あ、あんた!つかさに何かしたら許さないからね!」
つかさ「お姉ちゃん、大丈夫だよ。私に任せて。」
かがみ「何言ってるのよ!相手は化け物よ!あんたが勝てるわけないじゃない!」
つかさ「大丈夫だよ・・・だって私は・・・。」

KAMENRIDE...

つかさ「通りすがりの仮面ライダーだから!」

DECADE!

かがみ「へ!うそ?つかさが仮面ライダー!」
つかさ「汚物は消毒だぁ・・・っと。」

KAMENRIDE...RYUKI!
ATTACKRIDE...STRIKEVENT!

ひより「・・・てこんな感じでどうッスかね?」
こう「ベタ過ぎてだめ。それにこれ見たらつかさ先輩怒ると思うよ?
泉先輩がディケイドネタしつこいぐらい振っててうんざりしてたから。」
ひより「・・・じゃあ、私が妹のモデルで、その兄がかめn」
こう「1,2,3,ライダーキック!いい加減ライダーネタから離れろ!
はんぶんこ怪人ならぬはんぶんこ女子高生にするぞ!」

窓から蹴り飛ばされ、茶色で硬い天国に向かうひよりは思った。

つか、こーちゃん先輩も使ってるじゃないですか、ライダーネタ・・・。
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 12:51:59 ID:veg/OXK3
こなた「ついに規制解除だー!!」
かがみ「よかったじゃない、コンクールに間に合って」
こなた「いやぁホントホント。もしこのままダメだったら『お試し●』でも使おうかなんて思ってたトコだよ」
かがみ「よくわからないけど、一応レスする手段はあったのね。ともかく、これからコンクール作品投下するんでしょ?」

こなた「……実は、どうせ規制中だからってまったく手をつけてない状態で」
かがみ「書きなさいよ! 避難所だってあるでしょーが!」
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 21:52:49 ID:bqoz18ox
こなた「あ、歯が落ちてるよ」ヒョイパク
かがみ「んな!? そんなもん拾うな口に入れるな!!」

こなた「ksk」
かがみ「え?」
こなた「kskkskkskkskksksksksksksk」
かがみ「こ、これは加速しちゃう装置!?」
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 22:01:09 ID:JyRmOxp7
ksk
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/08(日) 19:46:00 ID:clGkWw+Q
ksk
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/09(月) 00:01:56 ID:VL7OLoek
いつもより早めに仕上がったのでコンクール作品行きます。7スレ予定。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/09(月) 00:03:07 ID:VL7OLoek
 水だ。辺り一面が水、水、水。いや、何も水をぶちまけたわけじゃない。それに風呂場でもプールでもない。
 しかしながらここに水があることは至極当然だろう。そしておそらく、これ以上たくさんの水を貯めておける場所は日本には存

在しないと思う。

 そう、日本最大の“貯水池”、琵琶湖の真ん中に、私たちはいた。


L'amour Est Bleu
〜マザーレイクと侘寂[ワビサビ]の心得〜


 1.

 私たちが3年生になって早半年、終わってみればあっという間の夏休みも終えて少しずつ受験に向けて学年全体の雰囲気が

殺気立ってきた9月だが、私たちは今一つ目の休戦協定、すなわち修学旅行の真っ最中だった。
 今年から修学旅行の行き先が京都・奈良から京都・滋賀に変わった。何でも、今年から我が陵桜学園が文部科学省のスー

パーサイエンスハイスクールに指定されたとかで、どうやら理系科目に力を入れなければならなくなったらしい。
 その結果文系科目、すなわち日本の歴史に触れるための奈良よりも、琵琶湖の水質などの理系分野に触れられる滋賀県に

行き先が変わり、しかもそのついでに修学旅行のコストまでもが下がった。昨年から集めていた積立金の額は例年と同じだっ

たので、余った予算分のボーナスとして、私たちは琵琶湖の外輪船・ミシガンに乗って琵琶湖をクルージングできることに相成

ったわけである。
 正直に言えば文系の私たちにとってスーパーサイエンスハイスクール指定など何の恩恵もなく(積極的に恩恵を享受しようと

しなかった私にも責任はあるが)、むしろ文系蔑視とさえ思ったこともあったが、今回限りは陵桜学園が指定されて良かったと

素直に思った。
 私たちの班は同じ3年C組からいつもの4人。小早川ゆたか、田村ひより、クラス委員長の若瀬いずみ、そして私、岩崎みな

みだ。
 私は仮にも日本海運の先駆者・日本郵船の創始者にして三菱財閥の祖・岩崎弥太郎から続く岩崎家の人間だというのに―

―たとえ分家だとしてもだ――、未だに客船などに乗ったことがなかった。もちろん偶然といってしまえばそれまでなのだが、ど

ことなく今までの18年近い人生を勿体なく過ごしてきてしまったような気がして、だからこそこの生まれて初めて外輪船で感じる

大海原(いや、大湖原だ)を心から嬉しく思い、また強く惹かれていたのだ。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/09(月) 01:20:40 ID:YvB6YIz8
>>363
規制で書き込めなくなったそうです。
避難所にて続きを投下しています。
365コンクール作品「水たまり」:2009/11/10(火) 23:53:31 ID:gF33lqbD
コンクール作品の投下いきます。

おそらく8レスほどです。
366コンクール作品「水たまり」:2009/11/10(火) 23:55:54 ID:gF33lqbD
 その日の放課後は雨だった。それほど強く降っているわけではないが、昨日から降り続けているため、町のあちこちに大小さまざまな水たまりが出来ている。
 その中をいつもの四人は、いつものように家路についていた。
「ふんふふーん♪」
「…雨だってのに、えらく上機嫌ね」
 四人の先頭を鼻歌交じりに歩く泉こなたに、そのすぐ後ろを歩く柊かがみが胡散臭げにそう聞いた。
「今日の野球中継はドーム球場じゃ無いんだよねー。この分だと中止だよねー」
「そういうことか…」
 嬉しそうに言いながら軽やかにターンを決めるこなたに、かがみはため息をついた。
「ねえ、こなた。今日の中継の球場って、関西の方よね?」
「そうだよー」
「…向こうは晴れよ」
「なにーっ!?」
 心底驚いた顔を見せるこなたに、かがみはやはりため息をついた。
「全国の天気予報くらい見なさいよ…」
「理不尽だー!なんでこっちは雨なのに向こうは晴れなんだよー!」
「いや、わたしにキレられても困るけど…」
 そんな二人の様子を少し後ろの方で笑いながら見ていた柊つかさは、となりを歩いていた高良みゆきに話しかけた。
「でも、こう雨が多いとお洗濯が大変だよね」
「そうですね」
 みゆきはつかさに答えながら、ポケットから携帯を取り出した。
「先ほど母から、洗濯物を取り入れ忘れて濡らしてしまったと、メールが入ってまして…」
「あー、それわたしもよくや…あ、あれ?雨って昨日から降ってたよね?どうして干したの?」
「それが、三十分ほど止んだときに、このまま晴れると思って干したらしいんです」
「それは…あるのかなあ…」
 少し苦笑い気味になったつかさに、みゆきは恥じ入るように俯いた。
「こなた!前!」
 いきなり聞こえたかがみの鋭い声に、つかさとみゆきははじかれた様に前を向いた。
「ふえ?」
 そして、こなたの間の抜けたような声。



― 水たまり ―



367コンクール作品「水たまり」:2009/11/10(火) 23:58:25 ID:gF33lqbD
 パチャッと、軽い音がした。
「かがみー…やっちゃったー…」
 こなたが情けない顔をしながら、情けない声でかがみの方を向く。その足元には、結構広くこなたの足首まではある深い水たまり。
「だからちゃんと前向きなさいって言ったのに…」
「うぇー冷たいー」
 情けないを通り越して、なんだか泣きそうな顔のこなたを、つかさは苦笑しながら見ていた。
「こなちゃんがあんな大きな水たまりにはまるなんて、後ろ向いて歩いてたのかな…ねえ、ゆきちゃん」
 そして、みゆきの方を向いて、首をかしげた。
「…ゆきちゃん?」
 みゆきは表情の無い顔で、水たまりにはまっているこなたを見つめていた。
「…わたしは…長靴が…」
「え、長靴?長靴が何?ゆきちゃん?」
 みゆきの様子がおかしい。よく見てみると、少し震えているようにも見える。みゆきが何を呟いているのかよく聞こうと、つかさが顔を近づけようとした。
「きゃっ!?」
 しかし、その動作は足にかかった水の冷たさで中断された。つかさが水の飛んできた方を見ると、こなたが足を振り上げた格好で、かがみが大きく身をかわした格好で、それぞれ固まっていた。
「もうー…なにするんだよ、こなちゃーん」
 つかさが濡れた足を気にしながらこなたにそう言うと、こなたはむくれた表情でかがみのほうを向いた。
「かがみが避けるからだー」
「いや、水かけられそうになったら普通避けるだろ…ってか、言い訳の前にまず謝れ」
 反省の色の無いこなたを、軽くたしなめるかがみ。それを見ながらため息をついたつかさは、再びみゆきの方を向いた。
「こなちゃんはしょうがないなー…ゆきちゃんは水かからなかった?」
 みゆきは俯いて、自分の足もとを見ていた。どうやらみゆきの足にも、水がかかったらしい。しかし、みゆきは水がかかったことを気にしているというよりは、何かに耐えているように身体を震わせていた。
「…えーっと…その、みゆきさん…ご、ごめん…」
 さすがに様子がおかしいことに気がついたこなたが、謝りながらみゆきに近づいた。その接近に気がついたみゆきはゆっくりと顔を上げ、左右に首を振った。
「…わたし、長靴じゃないから…ごめん…ごめんなさい…長靴じゃ…ないから…」
「えっ…あの…みゆきさん?」
 みゆきが何を言ってるのか分からず、こなたはさらに近づいた。みゆきはなにかに怯えるように、近づいてくるこなたから離れる。
「…いやっ!もうやめてっ!」
 そして、みゆきにしては大きな声を上げ、さしていた傘を放り出してその場から走り去った。
「あ…れ…?」
 こなたは唖然と走り去るみゆきも見つめ。その姿が見えなくなると、つかさとかがみの方へと顔を向けた。
「これ…わたしのせい?」
 水たまりにはまったときとは違う、本当に泣きそうなこなたの表情。つかさはどうしていいか分からず、こなたとかがみを交互に見ていた。
「確かに、水をかけたのはこなたが悪いんだけど…」
 かがみはみゆきが放り出した傘を拾い上げ、丁寧にたたんだ。みゆきらしいなんの飾り気も無い、シンプルな白い折りたたみ式の傘。
「あの反応はらしくないっていうか…おかしいわね」
 そう言いながら、かがみはため息をついた。そして、いまだ雨の降り続く空を見上げた。明日には雨は止む。確か天気予報ではそう言っていたはす。そんなことを思いながら、かがみは手に持ったみゆきの傘に視線を移した。



368コンクール作品「水たまり」:2009/11/11(水) 00:00:21 ID:gF33lqbD
 翌日。雨はすっかり止んで、青い空が広がっていた。しかし、道路にはまだいくつかの水たまりが残っている。その中を、かがみとつかさは学校に向かい歩いていた。
「ゆきちゃん、やっぱりでないや…」
 つかさが手に持った携帯電話を見ながらため息をついた。昨日から何度もメールを送ったり電話をかけてみたが、みゆきからの返信は来ず、電話に出ることも無かった。
「そうね…」
 かがみも同じくみゆきに連絡を取ろうとしたが、まったく反応は無かった。
「こなたも出ないのよね…」
 自分の携帯を眺めながら、かがみがため息をつく。
「まあ、あいつは無視してるのか気づいてないのか、後にしようとして忘れてるのか分からないんだけどね」
 そう言いながらかがみは携帯をたたむと、スカートのポケットにしまった。そして、未だに携帯を見つめているつかさの方を向いた。
「つかさは、みゆきの事で何か心当たりないの?」
 かがみがそう聞くと、つかさは首を横に振って携帯をたたんでポケットにしまった。
「こなちゃんはどうなんだろ?…やっぱり落ち込んでるのかな」
「たぶん、嫌われたと思ってるんでしょうね…あいつ、みゆきの事尊敬してるようなところがあるから、ショック受けてるんだと思う」
 かがみは答えながら、今日返すつもりで持ってきたみゆきの傘を見つめた。
「ゆきちゃんがこなちゃんのこと嫌うなんて…そんなことないよね?」
 心配そうにそう呟くつかさに、かがみは黙って頷いた。


 こなたとみゆきのことが気になっていたため、学校についた二人はまっすぐにB組の教室に向かった。
「こなたっ!?」
「こなちゃんっ!」
 教室に入ったかがみとつかさは、自分の机に座っているこなたを見つけ、同時に声を上げた。
「…あ…う…」
 うつむいていたこなたは、二人の声に顔を上げて何か言おうとしたが、言葉にならずに再びうつむいた。
「どうしたのよ?随分早いじゃない」
 思っていたより激しい落ち込み振りを見せるこなたに驚きながらも、かがみはこなたに近づきその肩を叩いた。
「みゆきは…まだ来てないのね」
「…うん…出来るだけ早くみゆきさんに会って、昨日のことちゃんと謝ろうって思ってたんだけど…」
 顔を上げずに答えるこなたに、かがみはみゆきの傘を手渡した。
「かがみ…これは…?」
 手に持った傘を見ながら、戸惑うこなた。そのこなたに、かがみは微笑みかけた。
「みゆきが来たら、こなたからそれ返してあげて。そういうきっかけがあった方が、話しやすいでしょ?」
 こなたは傘とかがみを交互に見た後、少しだけ表情を和らげた。
「うん…ありがとう、かがみ」
「次の休み時間、また来るからね…つかさ」
「なに、お姉ちゃん?」
「ちゃんと見てあげといてね。なんかちょっと不安だからさ」
「うん、分かったよ。任せといて」
 気負い気味に答えるつかさにかがみは苦笑すると、傘を見つめたままのこなたの背中を軽く叩いて、自分のクラスへと向かった。



 一時間目の授業が終わり、かがみはこなたたちの教室へと様子を見に行った。
「…ん、柊か」
 教室に入ろうとドアを開けると、丁度中から出ようとしていた、こなた達の担任である黒井ななこと鉢合わせた。
「泉の様子、見にきたんか?」
 かがみが何か言う前に、ななこがそう聞いてきた。
「え?…そう、ですけど…」
 急に出てきたこなたの名前に不安を覚えながら、かがみが呟くように言うと、ななこはため息をついた。
「…まあ、なんぞあったんは分かるんやけど…理由もなんも分からんしなあ」
「はあ…」
 要領を得ないななこの言葉にかがみが生返事を返すと、ななこはバツが悪そうに頭をかいた。
「担任として無責任や思うけどな、うちには話してくれんかったから…悪いけど、頼むわ柊」
 そう言ってかがみの肩を叩き、ななこはその場をトボトボと歩き去った。それを少しの間見送った後、かがみは教室へと入った。


369コンクール作品「水たまり」:2009/11/11(水) 00:02:28 ID:gF33lqbD
 教室に入ったかがみが見たのは、机に突っ伏して自分の腕に顔を埋めているいるこなたと、その背中に手を添えているつかさ、そしてその二人を心配そうに見ているほかの生徒たち。
「ちょ…ちょっと、こなたどうしたの?みゆきは?」
 かがみはこなたに近づきながら、周りを見渡した。少なくとも見える範囲にみゆきの姿は見えない。
「お姉ちゃん…ゆきちゃん、今日お休みなんだって…」
「え…」
「それで、それ聞いたこなちゃんが泣いちゃって…『わたしのせいだ』って」
 つかさの言葉を聞き、かがみは先程のななこの歯切れの悪さに納得がいった。昨日のことを知らなければ、訳も分からないだろうし対処のしようもないだろう。
「こなた…顔、上げられる?」
 かがみがそう聞くと、こなたは顔を埋めたまま首を横に振った。
「わたしのせいだよね…みゆきさん来ないの、わたしのせいだよね…」
 こなたのくぐもった呟きに、かがみは頭をかいた。
「だと、話は簡単なんだけどね…」
「どういうこと?」
 思わず漏れたかがみの言葉に、つかさが疑問を投げかける。
「え、あー…みゆきの方にも原因あるんじゃないかなって。昨日のみゆき、明らかにおかしかったからね」
「…うん、そうだよね」
 つかさは頷きながらこなたの方を見た。
「にしても。あんたもらしくないわよ」
 かがみはこなたの頭に手を置くと、軽く一撫でした。
「いきなり泣き出すなんて…いつもみたいに、のんびり構えてなさいよ」
「で、でも…」
 思わず顔を上げ、何か言おうとしたこなたの口に、かがみは人差し指を当ててこなたの言葉を止めた。
「そうしないと、みゆきが来たときに困るでしょ?」
 かがみの言葉にこなたはしばらく口をあけて呆けていたが、やがて制服の袖で涙を拭うと、ぎこちないながらも笑みを浮かべた。
「そうだね。わたしがこんなんじゃ、みゆきさんが来たときにまた困らせちゃうね…もっと嫌われちゃうよ」
 そう言いながら、こなたは照れくさそうに頭をかいた。それを見ていたつかさは、こなたにつられるように微笑んでかがみのほうを向いた。
「お姉ちゃん、凄いね。わたし、こなちゃんにどう声かけていいか全然分からなかったのに」
「そ、そう…?」
 つかさに褒められ、かがみは照れくさそうに指で頬をかいた。そのかがみに、今度はしっかりとした笑顔に戻ったこなたが、顔を近づける。
「いやまったく。かがみんの愛を感じるよ」
「…やっぱ、あんたはもう少し落ち込んでなさい」
 茶化してきたこなたの頭を、かがみは軽く小突いた。
「あ、そうだ。放課後、みゆきの家に行こうと思うんだけど、わたし一人で行くわ」
 そして、思い出したようにそう言ったかがみに、こなたとつかさが訝しげな視線を向ける。
「かがみー。そこは一緒に行こうって誘うシーンじゃないの?」
 そういうこなたに、つかさも頷いて同意する。
「昨日の事があるからね。話聞くにしても、何するにしても、こなたがいるとみゆきがやりづらいと思うのよ」
 かがみがそう言うと、こなたは少し不満そうな顔をしながらも頷いた。
「…お姉ちゃん、わたしは?」
 そのこなたの横から顔を出しながら、つかさが自分の顔を指差しながらそう聞いた。
「つかさがいると、わたしがやりづらい」
「えぇー」
 つかさは不満そうな声を上げたが、こなたは納得がいったかのように手を叩いた。
「なるほど。妹の前で友人を拷問するのは忍びないと」
「ええっ!?お姉ちゃんゆきちゃんにそんなことするの!?」
「…するか。せめて尋問位にしときなさいよ」
「尋問はするんだ」
「しないわよ…っていうか調子戻しすぎだろ。いつも通りどころか、いつも以上じゃないの」
 眉間にしわを寄せながらそう言うかがみに、こなたは少し柔らかく微笑みかけた。
「そこはそれ。かがみんの愛が、注入されすぎたということで」
「わたしのせいかよ…やっぱ、もう少しそこで突っ伏して泣いてろ」
 そう言いながら、かがみもこなたに微笑み返した。



370コンクール作品「水たまり」:2009/11/11(水) 00:06:25 ID:RH5OaJ/n
 放課後。かがみはこなた達に言った通りに、一人でみゆきの家に来ていた。呼び鈴を押そうと門に近づくと、玄関のドアが開きみゆきの母であるゆかりが出てきた。
「あら、かがみちゃん」
「あ、こんにちは」
 かがみが挨拶をしながら軽く頭を下げると、ゆかりは自分が出てきたドアの方を見て、またかがみに視線を戻した。
「もしかして、みゆきに会いに来てくれたのかしら?」
「はい、そうですが…」
「わたしは今からお買い物なのよねー…んー…ま、かがみちゃんなら良いわね」
 そう言いながらゆかりは、玄関のドアを開けて中を覗きこんだ。
「みゆきー。かがみちゃんだったから入ってもらうわよー」
 そして、中に向かってそう言って、また玄関を閉めた。
「じゃ、そう言う事だから、あとよろしくね」
 ゆかりはかがみに手を振りながら、横を通り抜けて買い物へと向かった。
「あ、そうそう」
 ふと、ゆかりは何かを思い出したように、かがみの方に向き直った。
「あの子がなにしちゃったか分からないけど、わたしに似て繊細なところあるから、あんまりきつい事言わないであげてね」
 そう言ってゆかりはもう一度かがみに手を振ると、少し急ぎ足で歩き出した。
「…どこが繊細なのかしら」
 かがみは、ゆかりに聞こえないように小さく突っ込みを入れると、玄関のドアに手をかけた。
「………」
 しかし、そこで動作が止まる。
「…わたし…ゆかりさんにまで攻撃的な人物だと思われてるのかなー…」
 ドアを開ける動作を再開しながら、かがみは深くため息をついた。



 家に入ったかがみは、みゆきの部屋の扉の前に立ち、ドアノブを握って大きく深呼吸をした。そして、結構な勢いでドアを開け放つ。
「うーす。元気?」
 そんな感じの軽快な挨拶をしながら部屋に入るかがみ。部屋の中では、かがみを待っていたかのように、みゆきがベッドに座っていた。
「あんま元気そうじゃないわね…ってかひどい顔ね」
 かがみはみゆき近づき、その顔を覗き込みながらそう言った。髪はボサボサのままで、表情は暗く、目の端には泣いた後も見える。普段のみゆきからは想像もつかないような有様だ。
「…あの…なんの御用でしょうか?」
 恐る恐るみゆきがそう聞くと、かがみは鞄の中から紙の束を取り出した。
「今日配布されたプリントと、委員会の資料。これ届けに来たのよ…あと、ついでに昨日のこと聞きにね」
「…そっちがついでなんですね」
「そ、ついで。わたしはツンデレだから、口が裂けてもそっちがメインだとは言えないわ」
 かがみはおどけてそう言いながら、手近にあった椅子をベッドの傍に引いてきて座った。それを見ながら、みゆきは少し眉間にしわを寄せた。
「かがみさん、いつも自分はツンデレじゃないって仰ってるじゃないですか。それに、クラスが違うのにプリントとか持って来られるなんて、わたしの家に来る理由付けをしてるとしか思えません」
「…ネタにマジレスとか…」
「え?…マジレス…なんでしょうか?」
「さあ?こなたが前に言ってたのを真似てるだけだから、意味はよく知らないわ」
 お手上げのジェスチャーを交えてそう言いながらも、かがみはみゆきがこなたの名が出たことで身を強張らせたのを見逃さなかった。
「…なんだか、かがみさんらしくありませんね」
 不満気に聞こえるような口調でそう言うみゆきに、かがみは微笑んでみせた。
「そうね、らしくないわ。昨日のみゆきも、今日のこなたも…らしくないことだらけよ」
 かがみが、こなたの部分を強調してそう言うと、みゆきは顔を伏せてしまった。
「泉さんが…どうかなさったのですか…?」
「泣いたらしいわよ。あんたが休んだって聞いたときに」
「…そんな…どうして泉さんが…」
「あんたに嫌われたって思ったみたいよ」
 かがみのその言葉に、みゆきは顔を上げた。
「ち…違います!…そんな、嫌うなんて…」
「じゃあ、今日学校来てちゃんとそう言えば良かったじゃない」
 かがみがそう言うと、みゆきはまた顔を伏せてしまった。
「…怖かったんです…泉さんにご迷惑をかけてしまいましたから…顔をあわせるのが怖くて…」
「あれくらい、あいつからいつも受けてる迷惑に比べたら、全然たいした事無いと思うんだけど…」
 かがみは呟くようにそういうと、大きくため息をついた。
「まあ、こなたは迷惑だなんて思ってないわよ。自分のせいだって思ってるからね。お互いそう思ってるみたいだし、ちゃんと顔つき合わせて話し合いなさいよ」
「でも…」
 みゆきはまだ顔を上げようとはしなかった。そのみゆきの顔を、かがみが強引に覗き込む。
371コンクール作品「水たまり」:2009/11/11(水) 00:09:23 ID:RH5OaJ/n
「昨日、なんであんな事したのか聞かせてくれない?」
「…どうしてですか?」
「そこをスッキリさせれば、いつものみゆきに戻ってくれるような気がするから」
 みゆきはしばらく黙っていたが、やがて唇をあまり動かさないくぐもった声で話し始めた。
「かがみさんは、いくつくらいまで長靴を履いていましたか?」
「長靴?…そうねえ…小学校の三年くらいまでは履いてたかしら」
「わたしも、それくらいまでです…でも、あの日は長靴を履きませんでした…」


 その日は前日から続く雨で、町のあちこちに水たまりができていた。普段なら長靴を履いて学校へ行くのだが、みゆきは新しく買ってもらった靴をどうしても履きたくて、長靴ではなくその靴で学校に行った。
 その帰りの事だった。学校で友人に靴を褒められて浮かれていたのか、みゆきは大きな水たまりにはまってしまったのだ。靴を台無しにしてしまった悲しみと、足に滲みてくる水の気持ち悪さに、みゆきは動けなくなってしまった。
 そこに、別の小学校の男子が数名通りかかった。その男子たちは水たまりで立ちすくんでいるみゆきを面白がり、取り囲んでみゆきの足に水をかけ始めた。
 みゆきはただ怖くて泣くことしかできなかった。何度止めてと訴えても、余計に面白がらせるだけで誰も止めてはくれず、男子達が飽きるまでみゆきは水をかけられ続けていた。


「なるほど…ね」
 みゆきの話を聞き終わると、かがみは納得したように頷いた。
「昨日のこなたに、その時のことを重ねちゃったってわけ?」
「はい…この事はほとんど忘れていたんですが。昨日の水たまりにはまった泉さんを見て…」
 多分こなたの小学生じみた体格も関係してるのだろうと、かがみは思った。もしかしたら、その時のみゆきの身長が、今のこなたと同じくらいだったのではないかと。
「…こなたが聞いたら、凄く複雑な顔しそうね…」
 かがみは思わずそう呟いてしまったが、みゆきには聞こえなかったらしく、言葉を続けた。
「…足に水がかかったときに、はっきりとその時の恐怖を思い出しました…そして、そんなこと絶対に無いはずなのに…無いはずなのに、わたしは泉さんがあの時の男の子たちのように水をかけ続けてくるんじゃないかって…」
 みゆきはそう言いながら、肩を震わせていた。泣いているのか、少し嗚咽が聞こえてくる。
「偶然とは言え、トラウマ穿り返しちゃったってことか…」
 かがみはみゆきを見ながら少し考えると、立ち上がり部屋の扉へと向かった。
「ちょっと台所借りるわね」
「…え?」
 突然のかがみの行動に対処できず、みゆきは呆けたように部屋から出て行くかがみを見つめていた。


372コンクール作品「水たまり」:2009/11/11(水) 00:10:40 ID:RH5OaJ/n
 しばらくして戻ってきたかがみは、手にガラスのコップを持っていた。中に入っているのは、少量の水。
「…あの…かがみさん?…それは一体…」
 みゆきは訳が分からず、かがみにそう尋ねた。
「うん、これはね…こうするの」
 パチャッと、軽い音がした。
「…え?」
 みゆきは何が起こったのか分からずしばらく呆けていたが、顔に水が垂れてきたことで、かがみが自分の頭にコップの水をかけたのだと理解した。
「な………何するんですか!」
 思わず、みゆきは大きな声を出してしまった。
「おお、怒った」
「怒ります!なに考えているんですか!」
 わざとらしく驚くかがみに、みゆきはベッドから立ち上がり詰め寄っていた。
「…泣きもしないし、怖がりもしないじゃない」
 かがみは、間近まで迫っていたみゆきの髪を撫で付けて、微笑んだ。
「今のコップの水も、水たまりの水も、どっちもただの水…なにも怖いことなんてないのよ」
「…かがみ…さん…」
「怖くないのよ…みゆき」
 かがみが言い終わると同時に、みゆきは顔をかがみの肩に預けもたれかかった。
「大丈夫、みゆき?」
「…はい…」
 かがみは弱々しく返事をするみゆきをベッドに座らせ、自分もその横に座った。
「みゆき、カメムシって知ってるよね?」
「はい…臭いが凄い虫ですよね」
「そ。わたしね、昔それを頭から大量に浴びたことがあるのよ」
「…え…」
 みゆきは絶句してかがみの顔を見た。その視線を受けて、かがみが悪戯っぽく笑う。
「つかさってさ、引っ込み思案なところあるじゃない。だから、小さいころは男子のからかいの対象になることが多かったのよ。それで、その度にわたしが出張って相手を懲らしめてたのよ。つかさをいじめるなーって」
 かがみは照れくさそうに頬をかいた。
「こんなのこなたに聞かれたら、小さいころから凶暴だったんだとか、言われそうだけどね」
「いえ、でもつかささんを守るためですから…」
「うん…でね、その内に男子の間でわたしを倒そうって事になったらしくて、その作戦が袋いっぱいのカメムシを頭から浴びせるってのだったのよ」
 その光景を想像したのか、みゆきは少し眉間にしわを寄せた。
「…あの…それ、やっぱり…」
「ええ、臭かったわよー。さすがにアレはわたしでも泣いたわ。もう、大泣きよ。実行した男子が、謝りながら一緒になって泣き出すくらい泣いたわ」
 その時の事を思い出し、かがみは心底嫌そうに鼻をつまんだ。
「そんな風にね、心の傷とかって多かれ少なかれ誰にでもあると思うのよ。つかさにもあるだろうし、なんか自信ないけどこなたにもあると思うの」
 そう言いながらかがみは、濡れたみゆきの髪を手櫛で整え始めた。
「そういうのには、ちゃんと折り合いつけていかなきゃいけないんだけど、どうしても難しいって言うなら…ちゃんと、頼りなさい」
「頼る…ですか?」
「家族とか…友達とかに、ね」
 みゆきはかがみに身を任せながら、目を細めた。
「…はい」
 そして、小さく…しかし、はっきりと答えた。


373コンクール作品「水たまり」:2009/11/11(水) 00:15:02 ID:RH5OaJ/n
「んじゃ、帰るわね」
「はい。ありがとうございました、かがみさん」
 すっかりと遅くなった時間。みゆきはかがみを玄関先で見送っていた。
「明日、学校来れるわね?」
「はい、もちろんです」
 みゆきはかがみの質問にしっかりと答えた。
「…そうそう忘れるところだった。みゆきの傘こなたが持ってるから、明日ちゃんと受け取っておいてね」
「え?…あ…忘れてました」
「おいおい…って忘れるっていえば、こなたが持ってくるの忘れるかもしれないわよね。後でメール打っとくか」
 いかにも嫌々ながらといったかがみのしかめっ面に、みゆきは思わずクスッと笑ってしまった。
「じゃ、また明日ね」
「はい、また明日です」
 お互いに手を振り合い、みゆきは家の中へと戻り、かがみは門をくぐって…足を止めた。
「…何やってるんですか、ゆかりさん?」
 かがみが向いた先には、門柱に隠れるようにして立っているゆかりが居た。
「えーっとー…帰ってきたら、なんかお邪魔になりそうな雰囲気だったから、隠れて見てたの」
 そう言いながら小さく舌を出すゆかりに、かがみは大きくため息をついて見せた。



374コンクール作品「水たまり」:2009/11/11(水) 00:17:16 ID:RH5OaJ/n
 翌日の朝。登校途中で会った四人は、連れ立って学校へと向かっていた。
「ほい、みゆきさん。これ傘」
「はい、すいませんでした」
 こなたが差し出した傘をみゆきが受け取り、大事そうに鞄へしまった。
「それにしても、かがみー。いくらなんでもこんな大事なものわたしだって忘れないよ。あんなしつこくメールしてこないでよー」
「心配だったのよ。ここであんたが傘忘れたら、なんか色々台無しになりそうな気がしたのよ」
 そんな話をしていると、少し前を歩いていたつかさが、道の前方を指差した。
「あれ、あの時の水たまりじゃないかな?」
 そこにあったのは、大きさが半分くらいになった、あの日の水たまり。
「まだあったんだ」
 こなたが感心したように呟いた。
「ここ、日が当たらないみたいだから、なかなか乾かないのかもね。
 近くの建物を見ながら、かがみがそう言った。
「…泉さん。少しこちらに来ていただけますか?」
 そして、みゆきがそう言いながら、こなたに手招きをした。
「ん、なに?」
 こなたは言われた通りにみゆき近づいた。
「その辺りに立ってもらえますか?」
 みゆきが指定したのは、水たまりの淵の辺り。こなたは首を傾げながらも、みゆきの指示に従った。
 かがみやつかさも不思議そうに見ている前で、みゆきは水たまりの中へ自ら足を踏み入れた。
「えいっ」
 そして、小さな掛け声と共に足を蹴り上げ、こなたの足に水をかけた。
「…え」
 こなたは呆気に取られながら、みゆきと濡れた自分の足を交互に見つめた。
「一昨日のお返しです」
 そう言いながら、悪戯っぽく微笑むみゆきに、こなたは苦笑いを返した。
「…そーきたかー…くそーなんか可愛らしくて怒れない…」
 そのこなたの隣で、かがみが頬をかきながら呟いた。
「どうでもいいけどみゆき。今が下校中じゃなくて登校中って忘れてない?」
「…あ」
 みゆきの動作がぴたっと止まる。
「…そ…そうでした!どうしましょう、泉さん!?」
「いや、どうしようって言われても…足濡らしたまま授業受けないと駄目なのかな…」
 慌てふためくみゆきと、心底困り顔のこなた。その二人を見ながら、かがみは大きくため息をついた。
「途中でコンビニ寄って靴下買っていって、学校で履き替えればいいでしょ」
 言いながらかがみは、大きく足を踏み出した。
「…お姉ちゃん、前!」
 そこに、つかさの鋭い声。

 パチャッと、軽い音がした。



― 終 ―
375コンクール作品「水たまり」:2009/11/11(水) 00:19:09 ID:RH5OaJ/n
以上です。

最後行数ミスって9レスになりました…。
久しぶりにかがみに良い役を振ってみたら、なぜかつかさが空気に。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/11(水) 17:17:56 ID:yvHmwmR1
かがみ「11月11日だし、ね?」

こなた「だからっていつもと変わらないくらい買ってない?ポッキーとプリッツ」

かがみ「そっそうかしら?」
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/11(水) 17:37:57 ID:57RvSOOd
>>375
乙! 面白かったぜ
オチもナイスだw そしてみゆきさんカワユス
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/11(水) 18:25:50 ID:00mR1ZYS
>>376
ずっと何かあると気になってたが
そっかポッキーの日か

こなた「いいいい」
かがみ「……?」

っていうネタをずっと妄想してたわw
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/12(木) 13:26:55 ID:TVAmusSg
test
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/12(木) 18:05:18 ID:BE3ap8hd
>>379
おめでとう
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 00:08:31 ID:5J2ph412
誰もレスされる方がおられませんようでしたら、5分後に投稿させていただきます。
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 00:13:32 ID:5J2ph412
誰もレスされないようですので、投稿させていただきます。

タイトル:テレビショッピング
レス数:2レス

それでは投稿いきます。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 00:14:36 ID:5J2ph412
「なんか面白い番組やってないかしらね。」
「そうだねぇ。」
“ピッ”
『こなたと』
『みゆきの』
『『テレビショッピング!!』』
「ブッッッ!!」
「わぁ、こなちゃんとゆきちゃんテレビショッピング始めたんだ。」
「つかさ、ボケるポイントが違うわよ。」
「へ?」



         テレビショッピング



『今回紹介する商品はこちら、超吸水タオルです。』
『普通のタオルと同じように見えますがどこか違うのですか?』
『はい、こちらのタオル、なんと質量の100倍の水分を吸い取ることができるのです。』
『100倍!?すごいですね!』
『さっそくその性能を試してみましょう。』

「こなた、ものすごい棒読みね。もう少し上手にやりなさいよ。」
「あはは・・・そうだね。」

『こちらにバケツに入った水があります。』
『なるほど、この中にタオルを入れる訳ですね。』
『いいえ、違います。』
『へ?』
『えい。』
『わぁぁぁぁぁぁ』
“バッシャーン”

「うわぁ、こなちゃんびしょ濡れ。大丈夫なのかな、お姉ちゃん?お姉ちゃん??」
“じゅるるる・・・”
「お、お姉ちゃん!?」
「なに?」
「よだれ・・・」
「あ・・・」
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 00:15:32 ID:5J2ph412

『ふぇぇん、ひどいよ、みゆきさん。』
『すみません、泉さん。これもこのタオルの性能を試すためです。』
『え?』
『こちらのタオルを使えば、このように濡れしまっても、あっという間に水分を吸い取ることができるのです。』
『ああ、そういうこと。』
『それではさっそく試してみましょう。泉さん、失礼します。』
『うん、お願い。』
『ゴシゴシ』
『ワクワク』
『ゴシゴシ』
『ワクワク』
『ゴシゴシ』
『ワクワ・・・』
『はい、終わりです。どうですか、体中の水分が吸い取れていますでしょう?』
『・・・』

「確かに吸い取れてるわね、“体中の水分”が。」
「こ、こなちゃん、干物になっちゃってるよぉぉ。」

『今なら特別特価、4枚セットで1000円でのご提供です。』
『・・・』
『さらに本日中にお買い求めいただいた方にはもう1枚付いて5枚セットとさせていただきます。』
『・・・』
『電話番号は0120のみゆき様さ、0120のみゆき様さ、です。お間違えないよう、お願いします。』
『・・・』
『本日はここまでです。皆さん、さようなら。』
『・・・ミ、、z“この番組は宝グループの提供でお送りいたしました。”

「・・・」
「・・・」
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 00:16:31 ID:5J2ph412
以上です。
なんか、その・・・ごめんなさい。石投げないでね。
本当は別の作品の予定だったのですが、諸事情によりこちらにしました。
元々小ネタとして考えていたものなので、短い作品となってしまいましたが、楽しんでいただければ嬉しく思います。
感想等よろしくお願いします。
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 00:19:53 ID:5J2ph412
>>385

すみません、言い忘れいましたが、コンクール参加作品です。
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 07:22:23 ID:RFBP9FGO
>>385 実演販売・・・面白かった。こなたの干物が想像できないw

自分もコンクール投稿します。
タイトルは:樹雨
レス数は一応23レス使う予定です。

おそらく9レス目と19レス目に規制で数10分書き込みできない
と思います。
その他の規制で書き込めなくなったら避難所に移動するかもしれません。
388樹雨  1:2009/11/14(土) 07:24:32 ID:RFBP9FGO
 夏休み、こなちゃんの提案で温泉旅行に行くことになった。もう2回目、
卒業をして、毎年の恒例となりつつあった。

つかさ「お姉ちゃんどうしたの、何か考え事」
お姉ちゃんは何か物思いにふける様に居間の机に頬杖をついていた。
かがみ「ん?、何でもない」
つかさ「もしかして明日の旅行のこと」
かがみ「え」
つかさ「どうしたの、さっきから上の空で・・・」
お姉ちゃんは私の問いに何なら慌てて私の方を向いて話し出した。
かがみ「あ、そうそう、明日の旅行のこと、こなたが旅行の企画全部任せろって言ってたじゃない、それが心配だったのよ」
つかさ「ああ、そういえば泊まる旅館とかまだ聞いてないね」
かがみ「まさか、まだ何もしてないって事は・・・ないだろうってね」
つかさ「んー、私もちょっと心配になった」
そこに私の携帯電話にメール着信音がした。携帯を確認した。
つかさ「お姉ちゃん、こなちゃんからメールだよ、噂をすれば・・・だね」
かがみ「・・・で、内容は」
つかさ「明日の集合時間に遅れないように・・・だって」
かがみ「・・・返信しておいて、そのまま一字一句同じ内容でね」

 お姉ちゃんは嘘をついている。私には分かった。さっきは旅行の事で考え事なんかしていない。もっと別の事を考えていたに違いない。
でもそれ以上私は聞かなかった。話せるような内容ならとっくに私に話してる。
明日は楽しい旅行、お姉ちゃんも悩み事は忘れていたいはず。

 次の日、まだ日が昇る前、私達は駅に向かっていた。こなちゃんと待ち合わせの場所。ゆきちゃんは目的地の駅で合流することになっていた。
駅の入り口に着くと、もうすでにこなちゃんが待っていた。
こたな「おはよう、お二人さん、遅かったね」
つかさ「おはよう、こなちゃん」
かがみ「うーす・・・」
こなた「かがみ、なにか元気ないね」
かがみ「え、そう?、普通でしょ・・・」
お姉ちゃんは、そう言うと改札口の方に向かって行った。
こなちゃんは私の方に寄ってきて私の耳元でささやいた
こなた「どうしたのかがみ、昨日喧嘩でもした」
つかさ「してないよ、昨日からあんな感じなんだ」
こなた「そうなのか、もしかしたらあの日だったり?」
つかさ「そこまでは聞いてないし、いくら私だってそこまでは分からないよ」
こなた「まあ、いいや、途中で気分悪くなられても困るしね」
かがみ「何やってるの、早くしないと電車来ちゃうわよ」
大声で私達を呼ぶ。お姉ちゃんは既に切符を買い改札口に入っていた。私達は急いで切符を買ってお姉ちゃんを追いかけた。
389樹雨  2:2009/11/14(土) 07:25:54 ID:RFBP9FGO

 それからのお姉ちゃんは普段通りのお姉ちゃんだった。電車に乗ってからはこなちゃんと楽しいそうに会話をしていた。
現地に着くとゆきちゃんと合流した。現地からはレンタカーを借りて名所巡りをした。
かがみ「こなた、あんたいつの間に運転免許なんか取ったのよ」
こなた「別に内緒にしてたわけじゃないけどね、ゆい姉さんの勧めでね、何となく取ったんだ」
こなちゃんの言葉は誇らしげだった。
つかさ「凄いねこなちゃん、私も運転免許取ろうかな・・・」
みゆき「私も教習所に通っています、まだ取得には時間がかかると思いますが・・・」
かがみ「へー、みゆきもか、私も取ろうかなー」
こなた「かがみは止めた方がいいよ」
かがみ「なんでよ」
こなた「かがみの性格だと・・・分かるよね、つかさ、みゆきさん、ゆい姉さんといい勝負しそうだよ」
私とゆきちゃんは何も言えなかった。
かがみ「なによ、こなた・・・それに二人まで・・・」
その後、しばらく沈黙が続いた。

こなた「はい、到着・・・今日の宿だよ」
こなちゃんは車のエンジンを止めた。車を降りると、人里離れたちょっと寂しい感じの町・・・村だった。
何だろうこの感じ、初めて来たはずなのに一度来たことあるような不思議な感じだった。
こなた「ちょっと予定より早かったかな、ここの温泉は隠し湯なんだよ」
みゆき「そうなんですか、この雰囲気、都会では味わえないですね」
こなた「そう言ってもらえるとうれしいな、調べるのに苦労した甲斐があったよ」
みゆき「かがみさん、つかささん、どうされたのですか」
かがみ・つかさ「「えっ?」」
ゆきちゃんに言われて私は我に返った。ゆきちゃんはお姉ちゃんにも同じ事を聞いている。私はお姉ちゃんの方を向いた。
お姉ちゃんも私の方を向いた。目が合う。しばらくそのままの状態になった。
こなた「・・・今朝のかがみといい、今度はつかさまで、姉妹そろってどうしたんだい」
こなちゃんは不思議そうに私達を見ていた。
つかさ「車を降りたら、ここ、以前見たような景色のような感じになっちゃって・・・」
みゆき「デジャ・ブ・・・既視感ですか、私は一度もそういった感覚になったことはないのですが、不思議ですね」
こなた「で、かがみも?」
かがみ「・・・まぁ、そんな所ね、悪いわね、折角の旅行なのに・・・」
こなた「双子でデジャブなんて・・・フラグ立ったかな」
かがみ「何言ってるの、きっとうちの神社の風景に似てるからでしょ、行きましょ」
こなた「相変わらずだねかがみは、じゃ宿屋に案内するよ、歩いて5分くらい」
こなちゃんは駐車場を出て私達を案内する。ゆきちゃんはデジャブと言っていたけど、確かに見たことある風景・・・
お姉ちゃんは神社の風景に似ていると言ってたけど・・・私にはそんな感じはしなかった。
歩いているうちに懐かしささえ感じてしまう程だった。

 宿屋の入り口に着くと、私達は立ち止まった。そこには一際大きな木がそびえていた。幹は太く、周りの木を圧倒するほど高く、枝葉を傘ののように広げている。
そして、幹にはしめなわが飾れていた。
つかさ「凄い・・・こんな木を見るの初めて、うちの神社にもないよ、こんな大きいの」
私は思わず見上げた。
みゆき「凄いですね、銀杏ですか・・・」
こなた「その銀杏、樹齢千年は超えてるらしいよ」
つかさ「へー、こなちゃんよく調べたね」
私はその木の根元に近寄った。両手を広げてみたけど幹の太さは私の何人分もある。
こなた「つかさ、こうゆう木ってね、この辺の人々の喜怒哀楽を見てきてね、怨念が溜まっていくんだよ・・・ほら、つかさの後ろ・・」
急に怖くなってお姉ちゃんの後ろに隠れた。
かがみ「なにまだ暗くもないのにバカ言ってるのよ、まさか、百物語でもするためにこの旅館選んだのか」
こなた「はは、まさか、ちょっとつかさをからかっただけ、それに今日は運転して疲れた・・・そんな事する元気ないよ」
390樹雨  3:2009/11/14(土) 07:27:03 ID:RFBP9FGO

 その時、私の頬に冷たいものが当たった。頬に手を当てて、手を見た・・・濡れている。今度は頭に同じ感覚が来た。
空を見上げた。太陽が出ていて雲ひとつ無い青空。今度は腕にも、ぽつぽつと雨のように水が降ってきた。どうやら木から水が落ちているみたい。
こなちゃんのさっきの言葉を思い出した。
つかさ「木から水が落ちてるよ・・・怨念の涙かな・・・怖い」
私はお姉ちゃんの背中に隠れるようにうずくまった。
皆は、両手を広げて手のひらを空に向けた。
こなた「ほんとだ、晴れているのに雨?、お天気雨かな」
かがみ「雨じゃないわね、この銀杏の木からしか落ちてないわよ、不思議ね」
二人は、私とは違って怖がりもせずに銀杏の木を見上げていた。するとゆきちゃんが思い出したように話し出した。
みゆき「これは・・・樹雨ですね」
つかさ「きさめ?」
みゆき「そうです、霧が木の枝葉に付いて水滴となって落ちる現象ですね、山林でよく起きるそうですよ」
こなた「さすがみwikiさん、相変わらず冴えますね」
つかさ「でも・・・霧なんかないよ・・・」
みゆき「霧がなくとも、空気中の水蒸気が飽和状態なら物に触れると水になることがありますね、雲とかは空気中のちいさな塵に水蒸気が水の粒になってできるそうです、
    焚火とか、煤が上空に上がるとその煤に水蒸気が水になって付き、雲になり、やがて雨を降らすこともあるそうですよ・・・この銀杏の木は
    枝、葉が沢山あるので水を呼び易いのかもしれません・・・それでも珍しいですね、このような現象は」
つかさ「そうなんだ・・・よく解らないよ」
かがみ「樹雨・・・」
そよ風が吹き始めた。大きな銀杏の木はゆっくりと左右に揺れる。樹雨は今までよりも激しく降ってきた。私達は銀杏から少し離れた。
こなた「雨宿りによく木陰に入るけど・・・これだと逆だね・・・・・・そろそろ宿屋に入ろうか」
私達が旅館に向こうとお姉ちゃんだけ銀杏の木から離れようとしなかった。
つかさ「どうしたのお姉ちゃん、行こう」
かがみ「私・・・もう少し見ていたい・・・すぐ行くわ」
こなた「かがみ、そんなに珍しいかな、まぁいいや、先に部屋行ってるね」

 私達三人は先に旅館へと入った。樹雨を見ているお姉ちゃんは悲しげだった。
車から降りた私のこの感覚といい、なにかこの村にはあるような気がしてきた。なんだろう。

 旅館の部屋でくつろいでいると、程なくお姉ちゃんが部屋に入ってきた。少し早いけど私達はそのまま温泉に入った。
こなちゃんの言うように隠し湯だけあってとても気持ちのいい温泉だった。そのまま夕食になり、もう一度温泉に入った。
温泉から出ると、今までは深夜までいろいろおしゃべりなんかするけど・・・こなちゃんは疲れていたらしく寝てしまった。
残った三人もゆきちゃん、お姉ちゃん、私の順に寝てしまった。その眠りはとても深かった。とても。とても・・・


391樹雨  4:2009/11/14(土) 07:28:23 ID:RFBP9FGO

 まつり「つかさ、おきなさい」
まつりお姉ちゃんの声がする。おかしい、この旅行にまつりお姉ちゃんは居ないはず。
まつり「お母さん、つかさ、まだ起きないよ」
み き「しょうがないわね、つかさ、起きなさい、朝ごはん片付けちゃうわよ」
え、お母さんまで居る?。私はふとんからゆっくり起きた・・・・あれ?旅館に居るはずなのに、見たこともない部屋に私は寝ていた。
つかさ「こなちゃん、ゆきちゃんは、どこ」
まつり「誰よそれ、寝ぼけてないで、仕事の準備しなさいよ、ただでさえ日照りで大変なんだから、お父さんとかがみはもう田んぼに向かってるわよ」
みんなの姿が違う、時代劇を見てるような格好をしている。ふと自分を見ると同じような着物を着ていた。
これは・・・夢?、そう夢だ、そうに違いない、旅行に行って田舎に来たもんだからきっと時代劇の夢を見ている。そう思った。
つかさ「夢だよね、これは、まつりお姉ちゃん、お母さん」
まつり「はぁ、まったくこの子は」
まつりお姉ちゃんは私をげんこつで私の頭を小突いた。痛かった・・・目が覚めた。少なくともこれは夢ではなさそう。私はふとんから起き上がり、着替えた。
なぜか着物の着方を知っている。着物と言っても浴衣のようなもの。そういえばいのりお姉ちゃんが見当たらない。
つかさ「いのりお姉ちゃんはどこかな」
まつり「あんた本当に大丈夫?、いのり姉さんは去年隣町に嫁いでいったでしょ、しっかりしてよね」
急ぐように身支度をして、まつりお姉ちゃんと仕事に行く事になった。訳がが分からないのでまつりお姉ちゃんの後を付いていくしかない。
家の扉を開けると、外に出ると、あたり一面田んぼが広がっていた。振り返りってみると、旅館はではなく長屋のようなわらぶき屋根の家が建っていた。
これが私の家・・・なのかな。
まつり「仕事に行く前に御神木にお祈りして行くわよ」
家の前に大きな銀杏の木・・・旅館の前にあった銀杏の木と同じ・・・ちょっと小さい気がするけど、同じだ。
つかさ「御神木・・・」
まつり「そう、この木のおかげでこの村はどんな干ばつにも耐えられてきた、この木が雨を呼んでくれるのよ」
真剣に私に話していた。そして、まつりお姉ちゃんは両手を合わせて祈った。私も両手を合わせた。
まつり「今度ばかりはどうなるか・・・」
つかさ「どうして?」
まつり「分からない?、もう一ヶ月も雨が降っていないのよ、樹雨も降らなくなってきた・・・樹齢七百年・・・今までこんなことなかった・・・」
樹齢七百年?・・・何が何だか分からない。
まつり「さあ、仕事に行こう」
つかさ「仕事って何?」
まつり「つかさ、朝からおかしいわよ、田んぼでお父さんの手伝いよ、まさか・・・また、逃げ出す気じゃないわよね・・・」
まつりお姉ちゃんは私を疑いの眼で睨んでいる。この世界の私って・・・サボってばかりいたのかな・・・私も同じようなものかも・・・
つかさ「そんな事無いよ」

 私はまつりお姉ちゃんの後を付いていった。しばらく歩くと、二人が田んぼで作業をしている姿を見つけた。
よく見ると・・・お父さん、ちょんまげだけど・・・どう見てもお父さん。そしてその隣りに髪を二つに分けて結っている、ツインテールの・・・・お姉ちゃん。
お父さんは私達を見ると寄り合いがあると言い田んぼを後にした。
そしてお姉ちゃんは私達を見ると怒った声で、
かがみ「まつり姉さん、つかさ、遅いわよ、何してたのよ」
まつり「私は普段どおりよ、つかさが寝ぼけちゃって遅れただけ」
お姉ちゃんは私の方を向いた。そしてため息を一回ついた。
かがみ「まったく、いつも先に寝てるのに・・・はい、昨日の続き頼むわよ」
お姉ちゃんは私に鎌を渡した。お姉ちゃんから鎌を受け取ったその時、私の脳裏に稲妻のような衝撃が走った・・・・記憶が頭の中から湧き出してくる?。

 私はこの村で生まれた。農民のただ介、お父さん・・・名前が少し違う、母のみき、子供の・・・長女いのり、次女まつり、そして、双子の姉妹としてかがみと私が居る。
今と全く同じ家族構成。私達家族は代々受け継いでいる農地で生計を立てている。生活は裕福な方なのかな・・・・
この村は樹雨を降らす銀杏の木のおかげで毎年豊作、幸せな毎日を過ごしていた。
目が覚めた時、まつりお姉ちゃんが言ってたけど、去年いのりお姉ちゃんが隣町へと嫁いでいった。この時代には珍しく恋愛結婚だったらしい。今は五人家族で暮らしている。
こなちゃん、ゆきちゃんは・・・私が知る限り一回も合った事がない。これが大まかな記憶だった。
392樹雨  5:2009/11/14(土) 07:29:23 ID:RFBP9FGO
 かがみ「つかさ、さっきからボーとしちゃって、どうかしたか」
私は我に返った。昨日の続き・・・そうだ、私は昨日、雑草刈りをしていた。
つかさ「昨日の続きだね、向こうの田んぼはもう終わってるから、こっちからね」
かがみ「そうそう、お願いね、まつり姉さんは・・・」
まつり「私はお父さんのやりかけを片付けるわ」

 私達はそれぞれの仕事を始めた。お姉ちゃんをふと見た。あの髪の結い方・・・私の知ってるお姉ちゃんとまったく同じ。
結び目がリボンじゃないけど、もしかしたらお姉ちゃんも私と同じように旅館からここに飛ばされて来たかもしれない。
試してみよう。どうやって試そうかな・・・こなちゃんの名前を出してみよう。
つかさ「お姉ちゃん」
かがみ「なによ」
つかさ「昨日、こなちゃん遊びにこなかった」
かがみ「コナチャン・・・?、誰よそれ」
まつり「寝起きにも言ってたわよね、誰?」
つかさ「私の友達・・・遊びに来なかったならいいよ、気にしないで」
知らないのかな・・・そうか、この世界に合わせてるんだ、まつりお姉ちゃんの反応が気になって本当の事が言えないんだ。二人だけになったら話そう。
しばらく時間が経つと、道具を取りにまつりお姉ちゃんが家に取りにいった・・・。今しかない。
つかさ「お姉ちゃん、二人きりだね」
かがみ「そうね、疲れたなら少し休んでもいいわよ」
つかさ「なんか変だと思わない」
お姉ちゃんは作業を中断して私を見た。
かがみ「・・・何も・・・変じゃないじゃない、そんな事言ってるつかさが変よね」
つかさ「昨夜、お姉ちゃんどこにいた」
かがみ「・・・からかってるの、つかさ、冗談はご飯の時だけにしてよね」

 お姉ちゃんはまた作業に戻ってしまった。お姉ちゃんは、お姉ちゃんじゃない。へんな言い方だけど・・・私の居た世界とは違うお姉ちゃん・・・・
どうしよう、私は元の世界に戻れるのかな、どうやって来たかも分からないのに帰り方なんか知るわけもない。
それにしてもこの世界はどこなんだろう・・・家の前にあった大きな銀杏の木・・・樹雨も降るみたいだし、旅館の前にあった木とほぼ同じ形だった。
そしてまつりお姉ちゃんが樹齢七百年って言ってた。
三百年前の旅館の村に居る・・・って考えた方が自然かな・・・・確かこうゆう小説お姉ちゃん好きだったな。私は読まないけど、こうゆう物語は大抵一晩寝れば元に戻る・・・
それに期待するしかない。
でも不思議、私の家族が全員いるなんて・・・そいえば私は車から降りた時デジャブを感じた、お姉ちゃんもそうだった・・・たぶん私達家族の前世なのかもしれない。
鎌をお姉ちゃんからを受け取った時、この時代のつかさの記憶が頭に入ってきた。これなら私はこの時代のつかさとして居られる。
帰れる時までこのままこの時代のつかさで居させてもらおう。
393樹雨  6:2009/11/14(土) 07:30:33 ID:RFBP9FGO


E頭の整理がついた頃。そこにまつりお姉ちゃんが戻ってきた。どのくらい経ったか、お姉ちゃんがまつりお姉ちゃんに話しかけた。
かがみ「お父さん、寄り合いに行くって言ったけど・・・何だろう」
まつり「まさかとは思うけど・・・」
かがみ「まつり姉さんもそう思うの?」
まつり「・・・もし、選ばれたら・・・やっぱり?」
かがみ「・・・一昨日決めたじゃない、今更何言ってるの」
まつり「決めたって言ったって・・・本当にいいの?」
かがみ「これは・・・私が決めた事だから・・・」
二人の話していることが理解できない。まだ記憶が完全に戻っていないのかな。でもなにか深刻な事なのは分かる。二人の顔は真剣だった。
つかさ「何の話してるの」
まつり・かがみ「「つかさには関係ないこと」」
二人に思いっきり言われた。そこまで言われるともうそれ以上聞く気にはなれない。私は雑草刈りに戻った。

まつり「もうすっかり日が落ちたわね、今日はこのくらいにしましょ」
かがみ「そうね」
まつり「へぇー、つかさ、今日は逃げなかったわね、それに、今までで一番捗ったんじゃないの」
つかさ「そうかな・・・」
私達は帰り支度をした。
お姉ちゃんとまつりお姉ちゃんの会話が気になっていた。私に何かを隠してる。
この世界の記憶はあの時ほぼ思い出したみたいだけど、思い当たる事は全くなかった。

 家に戻るとお母さんが夕食の準備をしていた。私は誰からも言われることなくお母さんを手伝った。
食事の準備が終わり、お父さんの帰りを待つ・・・なかなか帰ってこない。
つかさ「お父さん遅いね」
み き「そうね・・・」
なんかおかしい。みんなの表情が暗い。
つかさ「どうしたの、田んぼの時といい、さっきから・・・」
み き「お父さん・・・どうしたのかしらね、お腹が空いたけど、帰ってくるまで待ちましょ」


 外はもうすっかり夜になった。お父さんが帰ってきた。
ただ介「ただいま・・・」
み き「おかえり、遅かったわね」
ただ介「・・・まだ皆、ご飯食べてなかったのか、悪い事をしたな」
まつり「そうだよ、お腹空いた、早速食べましょ」
急ぐように皆は食事を終わらせた。私はマイペースで食事をする。
つかさ「お父さん、なんでこんなに遅かったの」
ただ介「それは・・・」
お父さんは言葉を詰まらせた。私は首を傾げると・・・
かがみ「あ、そうだ、私、今日水汲み当番だったわ、忘れてた、行って来る」
お姉ちゃんは家の外に出て行った。
あれ、水汲み当番、私の記憶が間違っていなければ今日の当番は私のはず。
つかさ「水汲み当番、今日は私じゃなかったっけ」
み き「えっ?、そうだったかしら、それだったら・・・つかさも手伝ってきなさい」
つかさ「そうだね」
私は残ったご飯を片付けてお姉ちゃんの後を追った。
394樹雨  7:2009/11/14(土) 07:32:14 ID:RFBP9FGO

 外は真っ暗・・・街灯も無い時代だし当たり前かな、でも今夜は満月、月の明かりで周りは見える。
水汲みに行ったはずなのに、お姉ちゃんは御神木の前に立って木を見上げていた。私はお姉ちゃんに近づいた。
つかさ「お姉ちゃん、水汲み当番・・・今日は私じゃなかったっけ」
かがみ「そうだった・・・かな、この際だし、一緒にやろう」
つかさ「うん、早く終わるしね」

 水汲み場に着くと・・・川の水は普段の半分以下になっていた。
かがみ「酷いわね・・・そのうち水も汲めなくなるわよ」
つかさ「そうだね・・・お姉ちゃん、さっきあの木に雨が降るようにお願いしたの」
お姉ちゃんは何も答えない。
かがみ「つかさ・・・」
私を呼ぶ。なにか様子がおかしい。何か私に言いたいのは分かった。
つかさ「どうしたの、何か私に言いたい事でも?」
かがみ「・・・何でもない、さっさと終わらせましょ」

 水を汲み始めてすぐのことだった・・・私はつまづいて桶の水をこぼしてしまった。
それを後ろから見ていたお姉ちゃんは、いきなり怒り出した。
かがみ「何やってるのよ、貴重な水なのに・・・」
つかさ「ごめんなさい」
お姉ちゃんはさらに私を怒鳴りつけた。
かがみ「もう我慢できない、今まで我慢してたけど、この際はっきりさせておく」
つかさ「な、何のこと?」
かがみ「つかさ、あんたって、つくづくとろいわね」
つかさ「・・・そうだね、それは否定しないけど・・・」
かがみ「子供の時からそう、私が居ないと何も出来ない、周りの子からいじめられてばかりいたじゃない」
つかさ「・・・そうだったけど・・・今更、そんな話して、どうしたの」
お姉ちゃんは私を見下すような目で話し出した。
かがみ「私はね、あんたがお荷物でどうしようもなかった、寺子屋で習ったことすぐわすれちゃって・・・何度恥ずかしい思いをしたか」
つかさ「お姉ちゃん、いつも一番だったよね、凄いと思ってるよ」
かがみ「私はね、もう我慢できない、こんな奴が私の妹なんて、しかも双子だなんてね」
私は耳を疑った。今まで私にそんなことなんか一回も言ったことないのに。現代のお姉ちゃんも本心はそう思ってるのかな。
なぜか目から涙が出てきた。おかしい、現世のお姉ちゃんなら事言うわけがない、でも涙は止まらない。
つかさ「私は・・・」
かがみ「そうやって自分が追い込まれるとすぐ泣く・・・最低ね、泣けば解決できるとでも思ってるの」
夢であってほしい、こんなの夢だよ、夢なら早く覚めて欲しい。私はそう思った。
お姉ちゃんは更に畳み掛ける。
かがみ「何か言いなさいよ、あまりに図星で言い返せないか、笑っちゃうわね」
お姉ちゃんは笑い出した。
かがみ「スッキリしたわ、明日から私達は姉妹でもなんでもないから」
つかさ「お姉ちゃん、それ・・・本心なの」
かがみ「本心じゃなかったら何よ」
つかさ「・・・私、この世界に居ないほうがいいみたいだね、今晩寝ればきっと夢から覚めて元に戻れる」
かがみ「なに訳の分からないこと言ってるの」
つかさ「ここに居るお姉ちゃんは私の知っているお姉ちゃんじゃない・・・」
家に戻った。

いのり「つかさ、早いわね・・・って、どうしたのよ、涙なんか流して・・・そうか、かがみと・・・話したんだね」
つかさ「何も話してないよ、私・・・もう寝る」
布団を敷いて私は床に入った。寝れば元に戻れる・・・
お姉ちゃんの言葉が頭から離れない。私は布団を頭から被り目を閉じて強引に寝た。
どのくらい時間が経ったか、やっぱり眠れない。しばらくしてお姉ちゃん・・・が水汲みから帰ってきた。
その後、お姉ちゃんといのりお姉ちゃんが何か言い合いをしていたけどあまり覚えていない。
やがて部屋が静まっていく。みんな寝てしまったよう・・・そのうち睡魔がゆっくりと私の意識を遠ざけていく。
やっと眠れる・・・・帰れる。
395樹雨  8:2009/11/14(土) 07:33:38 ID:RFBP9FGO



 蝉の鳴き声がうるさい。蝉の音で私は起きた。辺りを見渡すと・・・・昨日のままだった。寝ただけでは元の世界に戻れないみたいだった。
体を動かすと手足に痛みが走った。昨日の雑草刈りで体を動かしたせいで筋肉痛になったみたい。腕を摩りながらもう一回辺りを見回すと、誰もいない。
外は明るくなってるけどまだ日は昇っていない。仕事に行くにはまだ早いはず。不思議に思いながら家から出た。
お父さん達が御神木に並んで祈っている・・・・。あれ、何かおかしい。
お姉ちゃんだけ白い服を着ている。白装束・・・。髪の毛は後ろで一つで結っている・・・。
私は皆に近づいて聞いた。
つかさ「何してるの・・・こんなに朝早くから」
しばらくすると、お母さんが祈りを止めて私の方を向いた。
み き「つかさ、あなた、何も聞いてないの、昨夜水汲みに行った時、かがみから聞いたんじゃないの」
つかさ「何も・・・聞いてないよ」
お姉ちゃんは黙って祈っていた・・・。まつりお姉ちゃんは祈りを止めて私の方を見た。そして、指を指した。
まつり「昨夜選ばれたのよ、名誉なことよ・・・」
つかさ「選ばれた・・・何のこと」
まつりお姉ちゃんの指差す方向を目で追った。家の屋根。そこに弓矢が刺さっていた。白い羽の弓矢だった。
つかさ「弓矢・・・白い羽・・の」
まつり「白羽の矢が立ったの・・・分かるでしょ・・・私達姉妹の仲から人身御供を差し出すのよ」
つかさ「人身御供って生贄?・・・どうして」
ただ介「村の掟・・・日照りが続いてね、もうどうすることもできないんだよ、雨を呼ぶ為に、村の未婚の娘を人身御供に差し出すことになっている」
つかさ「日照りって・・・たった一ヶ月じゃない、そのくらいのことでそんな事しなきゃいけないの」
ただ介「一ヶ月じゃない、もう三ヶ月も雨は降っていない・・・御神木の樹雨でかろうじてこの村だけ持っていたんだよ、その樹雨も降らなくなってきた・・・
    人身御供が選ばれて三日間雨が降らなかったら・・・この御神木に人身御供を縛り付けて槍で・・・これ以上私は言えない・・・」


つかさ「お父さん、こんなこと許されていいの、こんな事したって雨なんか降らないよ」
ただ介「村の・・・掟だ。絶対なんだよ、破れば・・・私達家族全員が・・・」
お父さんの言葉は弱々しくなっていく。
つかさ「それで、なんでお姉ちゃんなの」
皆は黙ってしまった。私は更に問う。
つかさ「なんで、私に黙ってたの、私も未婚の娘・・・だよ、人身御供の条件に入っているよ・・・・」
み き「村の掟ではね、複数居た場合、末妹を差し出すことになっているのよ・・・」
お母さんはお父さんに寄り添って泣いてしまった。
つかさ「私・・・なのに・・・なぜお姉ちゃんが・・・」
まつり「それは、みんなかがみが決めたことだよ、自分が犠牲になるってことも、つかさに内緒にするってこともね、かがみ、あんた馬鹿だよ・・・」
まつりお姉ちゃんも泣き出した。私はお姉ちゃんを見た。
396樹雨  9:2009/11/14(土) 07:35:05 ID:RFBP9FGO


 お姉ちゃんは両手を合わせてお祈りをいている。お姉ちゃんは祈りを止めて私に近づいた。
かがみ「つかさ、寝ていればよかったに、そうすれば別れを言わなくて済んだ」
つかさ「起こさなかったのも、お姉ちゃんが決めたの」
お姉ちゃんは無言で頷いた。
かがみ「私は姉じゃないんじゃないの、昨夜、そう言ってたじゃない」
つかさ「あんな事言われたら誰だって・・・何で・・・」
かがみ「お互いに嫌いになれば・・・別れが少しは楽になるかなって・・・でも、あんな芝居じゃ無理ね・・・まつり姉さんなんかすぐに気付かれたわよ」
お姉ちゃんは苦笑いした。
かがみ「つかさは見事に騙されてくれた・・・」
つかさ「お姉ちゃん・・・馬鹿だよ、生贄なんて私でいいのに・・・」
かがみ「そんな事言うもんじゃない」
つかさ「何故、お姉ちゃんが・・・何で」
お姉ちゃんは微笑んでいる。
かがみ「私はね、心を踏みにじるような掟が嫌いなの、なにが末妹なのさ、反攻したくなった・・・」
つかさ「それだけの理由で」
かがみ「それに・・・つかさには荷が重過ぎるでしょ」
つかさ「お姉ちゃん、そんなに私は子供?、双子だよ、歳も同じ、馬鹿にしないでよ」
かがみ「これでいいのよ・・・」
私はお姉ちゃんに抱きつき泣いた。

 日が昇り始めた。朝日が御神木に当たり金色に輝いて見える。
ただ介「どうやら、時がきたようだ」
お父さんの目線を追うと・・・村人数人と杖を持ったお役人が遠くで人身御供を待っている。三日間逃げないように監視するために監禁するとお父さんは言った。
お姉ちゃんは私の両肩を両手で掴み引き離した。
かがみ「じゃ、みんな行ってくるね」
つかさ「お姉ちゃん」
叫んだ。私の声にお姉ちゃんは振り向いた。そして私に近づいた。
かがみ「まだ、人身御供・・・完全に決まったわけじゃないでしょ、まだ望みはあるわよ」
つかさ「でも・・・この天気・・・」
お姉ちゃんは私の頬に垂れた涙を人差し指で掬い取った。涙がお姉ちゃんの人差し指の上で丸い雫となった。それをお姉ちゃんは自分の目線まで持って
くると、じっと見つめた。そして、私に語りかけるように話し出した。
かがみ「つかさがそれじゃ雨は降らないわよ、雨が降るって強く思って・・・三日間・・・私も祈るよ、それでも降らなければ・・・
    泣いてくれればいいよ、今みたいに・・・それだけでいい、それだけで・・・この涙、宝石みたいね」
お姉ちゃんは手を朝日にかざした。雫は太陽の光を浴びて宝石のように輝いていた。
つかさ「お姉ちゃんは泣かないの、強いんだね」
かがみ「そりゃそうよ、つかさの姉だからね」
お姉ちゃんはかざしていたいた手を軽く握り締めて胸元に当ててしばらく目を閉じた。
つかさ「お姉ちゃん・・・・」
お姉ちゃんは目を開けると私ににっこりと微笑んだ。
痺れを切らしたのか、杖を持ったお役人が私達に近づいてきた。
かがみ「もう行かなきゃ・・・」
お姉ちゃんはお役人の方へ歩き出した。
私はお姉ちゃんを追いかけようと走り出すとお父さんが私の腕を掴んで止めた。
つかさ「お姉ちゃん」
私は何度も叫んだ。でも、お姉ちゃんは振り返ることはなかった。
村人達に連れられていくお姉ちゃんを私達は見えなくなるまで見送った。
397樹雨  10:2009/11/14(土) 08:05:11 ID:RFBP9FGO


 時間は冷酷に過ぎていく、あっと言う間に夕方になった。空は相変わらず雲ひとつ無い・・・ 
お姉ちゃんと御神木の前で遊んだ事、寺子屋で一緒に学んだ事、病気になった時、看病してくれた事・・・
この時代の私の記憶が思い出として浮かんでは消えていく・・・
同じ・・・、現代のお姉ちゃんと全く同じ。もう昔も現代もない、お姉ちゃんを助けたい。
・・・御神木・・・銀杏の木、みんなあの木のがしたことなのかも。私がこの時代に飛ばされたのも、雨が降らないのも・・・
まつり「つかさ何処に行くの」
家を飛び出した。まつりお姉ちゃんに答えることなく夕日に赤く染まる御神木の前に私は立った・・・
つかさ「お願い、雨を降らせて、少しだけでいいの」
・・・銀杏の木はただ静かにそびえているだけだった。
つかさ「何で・・・旅行の日、あんなに樹雨を降らせてくれたじゃないの、それともお姉ちゃんの生き血が欲しいの、そんなに欲しいの、本性は悪魔の木じゃないの」
私は御神木の幹を両手で殴った。巨木はびくともしない。
つかさ「こなちゃん、ゆきちゃん、助けて、お姉ちゃんが殺されちゃうよ・・・」
ゆきちゃん・・・そう言えばゆきちゃんが言っていた。樹雨が降る訳を・・・その後何か言っていた・・・・焚火・・・
そう、焚火の煤が雲を作るって・・・まくいくか分からない・・・けど考えている時間はない。
つかさ「ゆきちゃん、試してみるよ」
私は家に入るなり叫んだ
つかさ「お父さん、家に薪はないかな」
ただ介「薪・・・御神木の枯れた枝とかを倉庫に保管してあるけど・・・どうしたんだい」
つかさ「ありがとう、あと、お母さん、種火貸して」
み き「いいけど・・・何するの」
つかさ「焚火だよ、それとご近所さんに頼んで、なるべく強火でご飯を作るようにって・・・できれば焚火をするようにって」
お父さんとお母さんは不思議そうに私を見つめた。

 私は薪を家と御神木のちょど中間の距離に運んだ。そしてキャンプファイアーみたいに薪を組み立てた。
そして枯葉を下に敷き詰めた。そして祈った・・・雲ができますように、雨が降りますように。
お母さんに借りた種火を枯葉に移した。

 乾燥した枯葉は瞬く間に燃えた。そしてすぐに薪に火は燃え移った。
力強く火は組み上げた薪を覆った。立ち上る煙はまっすぐ空へ昇っていく。もう空はすっかり暗くなった。その暗くなった空は立ち昇った煙を溶け込むように吸い取っていく。
こんな煙じゃ足りない。もっと薪を持ってこないと。何度も倉庫を往復して薪を焚火の近くに積み上げた。
このくらい在ればいいかな。後は火が消えないように見張ってるだけ。
種火をお母さんに返しに行った。
つかさ「種火、ありがとう」
み き「どうしたの、その手、傷だらけじゃない」
つかさ「薪を運んでいるうちに傷つけちゃった」
み き「こっちに来なさい、手当てしてあげる」
つかさ「そんな時間ない、火を見てないとね」
私は焚火を見守るためにすぐに家を出た。
398樹雨  11:2009/11/14(土) 08:06:14 ID:RFBP9FGO
 夜が更けてきた。焚火は赤々と燃えている。風は無く相変わら真上に立ち昇る。そこにまつりお姉ちゃんが家から出てきた。
まつり「もう夜遅いわよ、いい加減に焚火消して家に戻ろう」
つかさ「この焚火で雲を作るんだよ、そして・・・雨を呼ぶ・・・」
まつりお姉ちゃんは呆れた顔になった。
まつり「つかさ、かがみがあんな状態になってるからって・・・夏に焚火をして自分を追い込んでる、つかさの気持ち、分かるわよ」
つかさ「そんなんじゃないよ、それに、願を懸けているわけでもない・・簡単に言えば・・・科学の実験だよ」
まつり「カガクノジッケン・・・何よそれ」
そうだった。ここは三百年前の世界・・・理屈を言っても分かってもらえない・・・
つかさ「これで雨が降る・・・そう、ゆきちゃんはそう言った・・・」
まつり「誰よそれ・・・焚火なんかしたら雨の神様だって、御神木だって怒って雨なんか降らさないわよ・・・」
つかさ「あと三日しかないよ、それまで火を絶やさないようにしないと」
まつり「聞いてるの、つかさ、私は止めなさいって言ってるのよ」
つかさ「まつりお姉ちゃん、私はお姉ちゃんを助けたいだけ・・・火はちゃんと見てるから、御神木を怒らすようなこともしないよ・・・」
まつり「火と水は喧嘩するのよ・・・」
つかさ「私は・・・火じゃなくて煙が欲しいんだよ」
私は薪を一つ焚火の中に放り込んだ。
まつり「つかさ・・・とうとう気が触れてしまったんだね・・・かがみのことは、私だって・・・つかさ、正気に戻って」
まつりお姉ちゃんは私の肩を抱きしめて泣いてしまった。しばらくするとまつりお姉ちゃんは私から離れた。
まつり「白羽の矢が立った家は・・・重罪以外は許される、もう、好きにしなさい」
まつりお姉ちゃんはそのまま家に戻って行ってしまった。

 私のしてる事って、この村の人々はみんなまつりお姉ちゃんと同じ反応をするのかな。
お父さんもお母さんも・・・そうなると協力してもらえそうにない。私一人で三日間・・・出来るかな。
でもやらないと・・・雨が降るまで、今、私が出来ることはこれだけ。

 日が昇る・・・一日経った。蝉の鳴き声が村中に響き渡る。私は空を見上げた。雲ひとつ無い快晴・・・。
日が昇ると気温もいっきに上がった・・・夜は我慢できたけどさすがに汗がでてきて喉が渇く。お腹も空いた。
水も飲みたい。でも焚火も見ないといけない。わずか一日で私はヘトヘトになってしまった。
「つかさじゃない、いつから雨乞い始めたのよ」
後ろから私に話しかてくる。聞き覚えのある声・・・私は声のする方に振り返った・・・いのりお姉ちゃん。
いのりお姉ちゃんはこの村が干ばつになったことを聞いて心配になって様子を見に来た。
この村は御神木のおかげで雨乞いをする必要がなかったので誰も知らなかった。
隣町は雨乞いをよくするするといのりお姉ちゃんは言った。
隣り村の雨乞いは焚火をして笛や太鼓で演奏しながら踊るというものだった。隣町もその雨乞いを始めた所と言っていた。
私が焚火をしていた事をいのりお姉ちゃんは凄く驚いていた。

 いのりお姉ちゃんが家に入ろうとした時、家の屋根を見て驚愕した。
いのり「・・・白羽の矢・・・なぜ、雨乞いもしないで・・・早すぎるわよ・・・よりによって私の家だなんて・・・」
つかさ「あと二日しかないよ、お姉ちゃんが人身御供になって・・・」
いのり「かがみが・・・何故、つかさじゃないの」
私は何も言えなかった。その私の表情を見て察したようだった。
いのり「そうか・・・かがみらしいわね・・・かがみを助けましょ、私、協力するから」
そう言うといのりお姉ちゃんは竹でできた水筒を私に渡した。そしてそのまま家の中に入っていった。
水筒の水を飲むと今までの疲れと眠気が消し飛んだ。薪を幾つか放り投げて焚火の勢いを上げた。
399樹雨  12:2009/11/14(土) 08:07:22 ID:RFBP9FGO

 
 ふと、御神木を見た。そして近づいた。よく葉を見ると所々に枯れているものがあった。
つかさ「御神木さんも水が欲しいんだね」
いのりお姉ちゃんからもらった水筒の水を根元にかけてあげた。瞬く間に水は土に吸い込まれた。
つかさ「このくらいじゃ足りないよね、でも、これで終わりなんだ」
あれ、汗が引いている・・・そうかここは木陰・・・わざわざ炎天下で焚火を見なくても焚火を見張れる・・・ばかみたい
私は一人で苦笑いをした。
つかさ「ここで涼ませてもらうね・・・それに、悪魔の木、なんて言ってごめんね、雨が降らないのは誰のせいでもないよね」
御神木の根元に腰を下ろして焚火を見張った。すごく心地よい。木にそっと抱かれているような、そんな感じがした。


 気が付くと日が昇っていた・・・あと一日。木陰越しに空を見上げた・・・相変わらずの快晴・・・
家からいのりお姉ちゃんが出てきてた。
いのり「おはよう、つかさ、ご飯食べてないでしょ、これを食べて、それと水筒かしてくれる」
つかさ「ありがとう、でもあまり食欲なんだ・・・」
水筒とおにぎりを交換した。
いのり「まだ一睡もしていないんでしょ?、ご飯くらいは食べないと身が持たないわよ」
いのりお姉ちゃんは水筒に水を入れ始めた。
つかさ「あと・・・一日しかないよ」
いのり「そうね・・・私の村も雨乞いやってるはずなんだけどね・・・お日様も頑固ね・・・」
いのりお姉ちゃんは空を見上げた。すると家からまつりお姉ちゃんが家から出てきた。
まつり「・・・つかさ、ごめん、気が触れたなんて言っちゃって・・・焚火が雨乞いなんて知らなかったんだよ」
つかさ「別にいいよ、それより、お父さんとお母さんは・・・どうしたの」
まつり「お父さんは薪を調達しに行ってる、お母さんは・・・あれから泣いてばかりだよ・・・」
いのりお姉ちゃんは満タンにした水筒を私に渡した。
いのり「私も最後まで居たいけど・・・このままだと・・・うちの旦那の親戚がちょうどつかさ達と同じ年頃なのよ・・・
    雨乞いでも雨が降らないと・・・私の村も人身御供をするかもしれない・・・」
まつり「それならもう帰りなよ、もう姉さんはこの村人じゃないんだし・・・来てくれてありがとう」
いのり「お母さんに挨拶していくわ」
いのりお姉ちゃんは家に戻っていった。
まつり「それよりつかさ、顔色悪いわよ、家に戻って寝てきなさいよ、焚火は私とお父さんで見るから・・・ご飯も食べてないじゃない」
つかさ「喉が渇いていたんだよ・・・それに眠くないよ」
私は水筒の水を飲んだ。
まつり「いいから少し休んで、かがみを思う気持ち・・・もう十分だよ」
つかさ「あと一日だし・・・それに木陰って気持ちいいから休めるよ」
まつり「分かった、焚火は私が見るから、つかさはそこで休んでて、それでいい?」
つかさ「うん」
まつりお姉ちゃんは焚火に何個か薪を放り投げた。

 しばらく休んだら調子が良くなった。
つかさ「まつりお姉ちゃん、交代しよう」
まつり「つかさ、あんたよく二日も出来たわね、私はもう半日で降参だよ」
つかさ「はい、水筒」
まつりお姉ちゃんは水筒の水を飲みながら御神木の木陰へと移動した。
お昼からはお父さんも参加して、焚火の勢いは一段と強くなった。それでも空は何も変化はしなかった・・・。
400樹雨  13:2009/11/14(土) 08:08:32 ID:RFBP9FGO

 お姉ちゃんは今頃どうしてるかな。なにも悪いことをしていないのに監禁されてるなんて。
雨が降らないだけで人を平気で犠牲にできるこんな時代、今すぐにでも現代に戻りたいと思った。けど・・・
私は知らない、ゆきちゃんが教えてくれた以外に雨の降らせ方を。
この世界から三百年も経っているのに、天気を自由に変えることすら出来ない。この時代とたいして変わってない。
時間がゆっくり流れている。忙しい現代より私に合ってるかもしれない。
この世界にはこなちゃん達は居ないけど・・・家族はみんな居る。ここで一生を暮らしてもいいかな・・・なんてね。
お姉ちゃんが無事に帰って来てくれればだけどね。

ただ介「これで水瓶にある水は全て使ってしまった、飲み水は川の水を汲んでくるしかない」
まつり「川って、もう川の水も干上がってきてるんじゃないの」
ただ介「そうだよ、このままだと、かがみが犠牲になっても・・・すぐ後を追うようだな・・・」
まつり「なによ、かがみと別れてからの方が酷いじゃない、この天気どうなってるのよ・・・」
ただ介「もう日の出まで半時ほどしかない・・・」
まつり「つかさ、よくやったわ、もうどうしようもないよ、つかさ、聞いてるでしょ、もう終わり、終わったのよ」

 終わりたくない、終わらせたくない。
つかさ「まだ半時あるよ・・・」
ただ介「もうじき、御神木に村人が人身御供の準備をしにやってくる・・・私はそれを迎えに行かなければならない」
お父さんはうなだれながら去っていった。
つかさ「準備・・・また早いよ」
まつり「もう・・・焚火、消すわよ」
まつりお姉ちゃんは杖で焚火を崩しはじめた。私はそれを眺めていた。
もう私にまつりお姉ちゃんを止める元気も理由もなかった。

 日の出前、村人達が御神木の周りを囲むように集まってきた・・・。お姉ちゃんを張り付ける準備をしだした。
家からいのりお姉ちゃんが出てきた。お母さんを支えるように一緒に出てきた。
いのりお姉ちゃん、自分の村に帰らなかった。お母さんの側に居てくれたんだ・・・嬉しかった・・・。
お母さんは目を真っ赤に腫らせて俯いている。いのりお姉ちゃんに寄りかかって歩く元気もないみたい。
祈りお姉ちゃんと目が合った・・・声をかけようとしたけど・・・言葉が浮かばない。しばらく見つめあった。

 村人がざわめき始めた・・・終に来てしまった。
遠くから列になって近づいてくる。先頭にお父さん、その後ろに、お姉ちゃんがいる。
数人の杖を持った役人と・・・槍を肩に抱えている男のひとがお姉ちゃんの後を付いてくる・・・もう見ていられない。

 また村人がざわめいた・・・御神木の方を向いた。
御神木の枝からぽとり、ぽとりと水滴が降ってきた。その水滴の数は次第に増えてくる。樹雨が振り出した。
村人は張り付けの作業を止めた。樹雨の勢いはどんどん強くなっていく。
風を感じた。生暖かい急に風が吹き始めた。御神木はゆっくりとゆれ始めた。樹雨の勢いは更に強くなる。樹雨は音を立てている。
御神木で作業していた人達はたまらず木から離れた。
もう日は昇っているはずなのに日の光が射してこない。空を見上げた。ねずみ色の雲がそらいっぱいに広がっていた。
額に冷たい物を感じた。額に手を当てその手を見た。濡れている。今度は頬に、首に、頭に、次つきと冷たい物が当たる。

 私は目を閉じ、渾身の力を込めて叫んだ

「雨だよ、お姉ちゃんを放して」

401樹雨  14:2009/11/14(土) 08:09:32 ID:RFBP9FGO

 急に静かになった。何も音がしない。ゆっくりと目を開いた・・・私は部屋に立っていた。
あれ、ここは・・・旅館の部屋、足元を見ると布団が敷いてある。私は布団の上に立っていた。服は旅館の浴衣を着ている。
辺りを見回した。こなちゃんとゆきちゃんが気持ち良さそうに眠っている。
今までのは全部夢だった・・・のかな。最後にお姉ちゃんと雨が降ったのを喜びたかった。それより人身御供は中止になったかどうかも分からない。
窓を見るとまだ日の出前、うっすらと明るくなっている。ふと気が付いた。お姉ちゃんが居ない。
また辺りを見回した。お姉ちゃんが寝ていたはずの布団が空になっている。
お姉ちゃんがどこに行いったのか・・・あそこしかない。

 旅館を出て銀杏の木へ向かった。銀杏の木、夢で見たより大きくたくましい。その根元にお姉ちゃんは居た。お姉ちゃんは木を見上げている。
後ろから近づき話しかける。
つかさ「お姉ちゃん、どうしたの」
お姉ちゃんは振り返りもしないで木を見上げたまま答えた。
かがみ「おはよう、珍しいわねこんなに早く」
お姉ちゃんの声、なんかとても懐かしく感じた。
つかさ「私、夢を見たみたい、とてもリアルな夢だったよ」
お姉ちゃんは何も言わなかった。私は話を続けた。
つかさ「三百年前のここに行った夢、そこに家族みんなが居たんだよ、お父さんだけちょっと名前がちがってて、おかしいでしょ、そこではこの銀杏の木は御神木って言われてたよ」
お姉ちゃんは黙っている。
つかさ「あの旅館があったところが私たちの家があった所、そこで暮らしてた、あっ、そうそう、いのりお姉ちゃんがね・・・」
かがみ「隣町へ嫁いでいったんでしょ・・・」
つかさ「えっ・・・何で知ってるの」
かがみ「同じ夢ね、一週間前私の見た夢と・・・」
つかさ「それじゃ、旱になって、白羽の矢が立って・・・」
かがみ「私が人身御供になった、でしょ」
つかさ「そう・・・私の代わりに」
かがみ「ここまで話が合うと・・・気持ち悪いわね」
402樹雨  15:2009/11/14(土) 08:10:20 ID:RFBP9FGO


 お姉ちゃんの夢はどこまで見たんだろう、もしかしたら続きを知っているかもしれない。

つかさ「お姉ちゃん、私の夢、最後が分からないんだ・・・」
かがみ「最後?、最後って何の」
つかさ「雨が降って・・・お姉ちゃん、助かったのかなって」
かがみ「・・・助かったわよ、雷が槍に落ちね、槍が使い物にならなくなった・・・不思議と槍を持ってた人は無傷だった・・・」
つかさ「よかった・・・私、これが一番知りたかった・・・」
かがみ「でもね、これが最後じゃない」
つかさ「最後じゃないって・・・何」
かがみ「どうせ夢なんだから・・・そんなの知ったって・・・」
お姉ちゃんが振り向いて私を見た途端、話すのを止めた。そして私から一歩退き驚きの表情を見せた。
かがみ「つかさ、あんた、その顔どうしたのよ」
つかさ「顔?」
手を頬に当ててその手を見た。手が真っ黒になった。煤が顔に付いていた。
つかさ「三日間、焚火したから・・・煤が付いたんだね・・・お風呂も入ってないや、汚いね」
かがみ「その手はどうしたのよ、傷だらけじゃない・・・」
お姉ちゃんは私の手を掴んだ。
つかさ「薪を運ぶときに付いた傷・・・」
かがみ「何、何なのよ・・・」
つかさ「私、お姉ちゃんを助けたかった、だから、雨を降らすしかなかった、ゆきちゃんの方法を試すしかなかった」
かがみ「みゆきの方法って何の事よ・・・まさか、嘘でしょ」
つかさ「あれは夢じゃなかった・・・良かったね、お姉ちゃん助かって・・・本当に・・・」
その時、急に眠気と空腹そして喉の渇きが私を襲った。体中が痛い・・・気が遠くなっていく。
かがみ「つかさ、どうしたの、しっかりしなさいよ」
つかさ「なんか疲れた・・・力が入らない、眠りたい」
お姉ちゃんにもたれかかった。
かがみ「つかさ、つかさ・・・」
お姉ちゃんが私を呼ぶ声が何度も聞こえた。声がどんどん小さく聞こえていく・・・目の前が暗くなっていった。
403樹雨  16:2009/11/14(土) 08:11:20 ID:RFBP9FGO


 目が覚めると、病院のの部屋で寝ていた。
かがみ「目が覚めたみたいね」
お姉ちゃんが私の側で座っていて心配そうな顔で私を見ている。目を病室の周りを見回した。
窓が赤く染まっている。夕日・・・もう半日以上私は意識を失っていたみたい。
つかさ「お姉ちゃん・・・私」
かがみ「つかさ、あんた昨夜なにしたのよ、極度の疲労、栄養失調、脱水症状、って昨日は電車と車で移動が主であまり動いていないじゃない」
つかさ「ごめんね、旅行、台無しにしちゃたね」
かがみ「そんなの気にしないで、さっき点滴が終わったわよ、今日中に意識が回復したら明日には退院できるって先生は言ってたけど、よかったわ」
私はまた周りを見渡した。
つかさ「こなちゃんとゆきちゃんは・・・もしかして怒って帰っちゃった?」
かがみ「そんな事するわけないでしょ、こなたのやつがレンタカーの借用期限を間違えてね、延長手続きをしにみゆきと行ったわよ、
    昨日までのこなたは見直したけど、まだ詰めが甘いわね」
つかさ「よかった・・・」
かがみ「とりあえずつかさは今晩この病院に泊まって、私達は旅館に戻るから」
つかさ「うん」
かがみ「そうだった、意識が回復したら、食べさせるように言われてたんだ」
お姉ちゃんは慌てて、看護士さんを呼んだ。看護士さんから受け取ると私の目の前に置いた。トーストとコップ一杯の水、シンプルな献立だった。
かがみ「悪いけど御代わりはないわよ、急にいっぱい食べると良くないんだって」
私はお姉ちゃんの話すよりも早くトーストを食べた。お姉ちゃんはじーと私の食べる姿を見ていた。
私は食べながら、お姉ちゃんの方を向いた。
かがみ「いや、つかさがそんなにがっついて食事をするの初めて見るような気がしてね」
つかさ「・・・」
話そうとしたけど、パンが口の中で詰まりうまく話せない。
かがみ「なに慌ててるのよ」
水の入ったコップを私に渡した。私は一気に水を飲み干した。
つかさ「トーストがこんなに美味しかったなんて、この水も・・・今まで飲んだどの水より美味しい」
かがみ「なによ、まるで何日も食べていないみたいじゃない」
私は一回深呼吸をして一息ついた。
つかさ「・・・それより私は続きが聞きたいな」
かがみ「続き、何の」
つかさ「私が倒れる前、最後じゃないって言ってたよね、どうせ夢だからって」
かがみ「・・・」
お姉ちゃんは急に黙ってしまった。
つかさ「そんなに言い難いことなの」
404樹雨  17:2009/11/14(土) 08:12:09 ID:RFBP9FGO


 お姉ちゃんはしばらく黙っていた。
かがみ「雨が降った所でつかさの夢は終わったって言ってたわよね」
つかさ「うん、突然旅館に戻ってた」
かがみ「その先は見れるはずないわよ」
つかさ「見れないはずって・・・」
かがみ「そのまま倒れて、亡くなったのよ」
つかさ「亡くなった・・・私、死んじゃったんだ」
かがみ「そう、私が開放された時にはもう虫の息だった・・・」
つかさ「三日間、ちょっと無理しただけなのに・・・」
かがみ「ちょっと所じゃないじゃない、一睡もしないで、水分もろくに取らず、三日間もご飯食べなかったら危ないわよ」
つかさ「そうなんだ・・・私、死んじゃったんだ」
かがみ「掟通り、つかさが人身御供になっただけ」
つかさ「私は犠牲になるつもりなんてなかったよ、またお姉ちゃんに合いたかった」
かがみ「あんたは、死んだから知らないのよ、残された私達があの後どれだけ苦しんだと思ってるの、あの木を見る度に
    つかさを返してって・・・そう訴えてきた、旅行に行く前も、旅館に着いたときも、今朝も、その時の事を思い出していたんだから・・・」
お姉ちゃんは少し怒り口調だった。
つかさ「あの木は生贄なんて欲しくなかったと思うよ」
かがみ「なんでよ、あの状況だとそれしか考えられないじゃない」
更に怒り出した。
つかさ「雨乞いしている時、あの木は枯れそうだった、焚火の番をしている時、木陰で休んだけど、気持ちよかった、
    私を守ってくれていた感じだった、きっとあの木も私と一緒に雨乞いをしてくれてた」
かがみ「さっきから、まるでその時に居たように話して・・・夢のレベルじゃないわね」
私は傷だらけの手を見ながら話した。
つかさ「夢じゃない、私はあの世界にいたよ、そのおかげで、ゆきちゃんの言った事が役に立った」
お姉ちゃんは少し間を空けてた。
405樹雨  18:2009/11/14(土) 08:13:22 ID:RFBP9FGO


かがみ「みゆきが樹雨の話をしている時、夢を思い出した・・・監禁されてた時のことを、家の方角から煙が立ち昇っていた・・・
    監禁されたことはそこしか覚えていない・・・けど、なぜが急に頭に浮かんだ」
つかさ「お姉ちゃん、見てくれてたんだね、私達の雨乞い」
かがみ「人身御供から開放されて、いのり姉さんが居たから、いのり姉さんの村の儀式だと思ってたけど・・・」
お姉ちゃんは私の手を見た。
かがみ「・・・つかさ、あんた、顔が煤だらけだったわね、一晩であんなに衰弱するはずない・・・あの時代のいつから居たのよ・・・」
つかさ「白羽の矢が立った日の朝」
お姉ちゃんはしばらく考えていた。
かがみ「普段どおりのつかさだった・・・」
つかさ「お姉ちゃんから鎌を渡された時ね、あの時代のつかさの記憶が湧くように浮かんできた・・・だから分からないと思うよ、
    でもね、お姉ちゃんも一緒に来たと思ってお姉ちゃんに聞いたんだ・・・こなちゃんって、覚えてない?」
かがみ「私の見た夢はつかさほど鮮明じゃない、そんなに細かい所まで・・・」
急にお姉ちゃんは立ち上がった。
かがみ「・・・言った、確かに・・・」
つかさ「ここまで同じ記憶なら、もう偶然じゃないよね」
かがみ「そういえば、つかさがこなたを初めてあだ名で呼んだとき、妙な懐かしさを感じたけど、この事だったのか」
お姉ちゃんは病室の窓を見た。
かがみ「夕日が綺麗ね・・・ここからでも泊まってた旅館が見えるわね」
つかさ「本当?」
私は起き上がった。
かがみ「まだ寝てなくちゃ」
つかさ「もう大丈夫、みたい」
お姉ちゃんと並び窓を見た。村が一望できる。この病院は高台に建っている。
つかさ「本当だ、見えるね、あの銀杏の木も見える、やっぱり大きいね」
お姉ちゃんの顔が曇った。
406樹雨  19:2009/11/14(土) 08:14:56 ID:RFBP9FGO


かがみ「私はあの木・・・どうしても好きになれないわね、つかさがどう思っても、あの木の為に犠牲になった事は変わらない」
つかさ「犠牲って、前世の私の事だよね」
かがみ「前世ね、私は生まれ変わりなんて信じられないけど、そう言う事よ」
私は窓を開けた。夕日がもう沈みかけていた。生暖かい風が入ってくる。雨乞いの最後に吹いた風と同じ風。
つかさ「私ね、前世のつかさの記憶、多分ね、全部覚えてるよ」
かがみ「そう・・・」
上の空で答えた。興味がないみたい。
つかさ「この高台、子供の頃よくここで遊んだよね、目を瞑ると思い出すよ、今と同じように夕日を一緒に見てたよね、
    それにあの銀杏の木・・・あの木の周りでもよく遊んだ、樹雨の中を駆け抜けたり、実を獲ったりしたよね、
    銀杏の実って素手で触れると被れるんだよ、初めて触って被れた時、お姉ちゃんに手当てしてもらった、
    あとね、寺子屋でお姉ちゃんいつも一番だった、今と同じだね、あとね・・・」
私はありったけの記憶をお姉ちゃんに話した。
かがみ「もういいわよ、それがどうしたのよ」
お姉ちゃんは怒鳴った。
つかさ「分からないのお姉ちゃん、私は死んでいないよ」
かがみ「はぁ?」
つかさ「私は助けられた、あの銀杏の木に、そして今、ここに居る」
かがみ「なに訳のわからない事を、あの時、つかさは死んだのよ、私が、家族が、村人が、みんな見てる」
つかさ「あれは人形みたいなものだよ、私が死んだことにしないとお姉ちゃんそのまま張り付けにされたかもしれないでしょ」
かがみ「人形って・・・誰よ」
つかさ「この手、傷付いてるでしょ・・・多分、今の私の体・・・」
かがみ「・・・それじゃ、今そこに居るのは誰よ」
つかさ「私は、一つになった・・・そんな気がする、鎌を渡された時、今の私と、昔の私が、そうすると一つ体が残るから・・・」
かがみ「・・・」
お姉ちゃんは窓を閉めた。
かがみ「こなた達遅いわね、なにやってるのかしら」
つかさ「お姉ちゃん、私、冗談で言ってないよ、あの木はお姉ちゃんも私も助けたかったんだよ」
私は強い口調で言った。
かがみ「つかさすごい想像力ね、その話田村さんにしてあげなさいよ、喜ぶわよ」
つかさ「そんなつもりで言ったんじゃないんだけど」
そうか・・・私にはいくらリアルな体験でも、お姉ちゃんには夢の中の出来事。私達の前世が干ばつで苦しんでいる話なんか興味ある訳がないし・・・
ましてお姉ちゃんは人身御供になっちゃってる。
もうこの話は止めよう。これ以上話しても悲しくなるだけ。この体験はもう私の心の中にしまっておこう。それにもう全て終わった事。
407樹雨  20:2009/11/14(土) 09:00:30 ID:RFBP9FGO

つかさ「お姉ちゃん、こなちゃん達遅いね」
話題を変えた。しかしお姉ちゃんは何も話さない。窓の夕日を見ているだけだった。
つかさ「私、もう随分元気になったよ、もうそのまま旅館に戻れるくらい・・・」
お姉ちゃんは何も話してくれない。今までの私の話がしつこすぎかな。
つかさ「明日の予定ってこなちゃんから聞いているの・・・」
かがみ「つかさ、無理に話題を変えなくてもいいわよ、いや、変えようとしてたのは私だったわね」
静かに優しくゆっくりと口を開いた。
かがみ「つかさの体験、私の夢、あれは本当にあった出来事」
つかさ「お姉ちゃんもうその話はいいよ、せっかくの旅行だし、もう忘れよう」
お姉ちゃんは私の方に向いた。
かがみ「私ね、昨日レンタカーから降りた時からなんとなく分かってた、私の見た夢が本当の出来事だったってね、
    今朝の銀杏の木でのつかさの話、そして、つかさが倒れた時確信に変わったわ」
つかさ「それなら何であんな態度取ったの」
かがみ「夢のままにしたかっただけ、それだけよ、つかさが死んだなんて夢にしておきたかった、
    つかさと話してると、どんどん夢の中へ引き込まれてね、それが怖くなってあんな態度をとったのよ」
するとお姉ちゃんは改まったように私の正面に立った。
かがみ「つかさの前世の思い出話を聞いているうちに私も思い出したわ、人身御供で監禁されてた時の事をね・・・
    監禁された部屋で震えていた、怖くて、死ぬのが怖かった、部屋の隅っこで震えて泣いていた家族の名前を呼びながら・・・つかさ・・・怖かったよ・・・」
急に声が震えて目が潤みだした。そして私に抱きついた。私に初めて見せた弱気な姿だった。私は呆然とお姉ちゃんを見ていた。
夕日はもうすっかり沈んだ。空は真っ赤に焼けている。病室が赤くなっている。お姉ちゃんは私から離れた。そして私の手を両手で握り締めた。
かがみ「つかさ、助けてくれてありがとう・・・これが言いたかった、あの時・・・」



 突然出入り口のドアがゴトゴトと音を立てた。私達は扉の方向を見た・・・なにやらささやき声で話している。
「・・・押さないでよ」
「そこだと・・・見えないもので」
「バレちゃうじゃん、もっと右にずれて・・・」
お姉ちゃんはしのび足で扉に近づいた。そして扉を一気に開けた・・・こなちゃんとゆきちゃんが扉の前に立っていた・・・
かがみ「こなた、あんたレンタカーの用事はどうしたのよ・・・」
こなた「えーと・・・もう終わったよ・・・」
お姉ちゃんはこなちゃんを睨んでいる。
こなた「ほら、かがみ、姉妹で水入らず、邪魔するの悪いと思って・・・」
かがみ「だから・・・覗いてたのか、最低だな、みゆきまで一緒にやるなんて」
みゆき「えーと、その、なんと言いますか・・・ごめんなさい」
二人はお姉ちゃんに睨まれて首を竦めて立っていた。
かがみ「いつから居たのよ」
みゆき「・・・つかささんが、意識を回復されたあたりからかと・・・」
こなちゃんとゆきちゃんは入り口で申し訳なさそうに立っている。
かがみ「こなた、みゆき、そこに居てもしょうがないでしょ、入りなさいよ」
みゆき「すみませんでした・・・」
こなた「別にいいじゃん・・・ブツブツ・・・」
かがみ「なんか言いたい事があるのか」
お姉ちゃんがこなちゃんを睨んだ。
こなた「ごめんなさい」
懐かしいこなちゃんとゆきちゃんの声・・・そんな感じがした。
408樹雨  21:2009/11/14(土) 09:01:31 ID:RFBP9FGO

みゆき「つかささん、もう起きて大丈夫なのですか」
つかさ「もうすっかり元気・・・でもあの旅館の温泉入りたい」
かがみ「そうね、あの温泉はいいお湯だったわ、明日、入りましょ」
こなた「ところで、つかさ、かがみ、さっきまでの二人の会話、私にはさっぱり分からなかったけど、なんの話をしてたんだい」
こなちゃんが割って入ってきた。
かがみ「こなたには関係ないことよ」
みゆき「私も知りたいです、何かとても感情が入っていました、興味あります」
かがみ「みゆきまで・・・何でもないわよ」
つかさ「こなちゃん、ゆきちゃん、知りたい?・・・私達家族の時を越えた不思議な物語を」
こなちゃん、ゆきちゃんの目がらんらんと輝いた。
かがみ「つかさ、余計なことを・・・何でもない、つかさ話さないで・・」
つかさ「確かお姉ちゃん、田村さんに話したら、って言ってたよね、こなちゃん達にも教えなきゃ」
お姉ちゃんは顔が赤くなった・・・話されるのが恥ずかしいみたい。でも私は話したくてしょうがなかった。
つかさ「うんとね、旅行に行く前ね、お姉ちゃんは夢をみました・・・」
かがみ「勝手にしなさい、私は先に旅館に帰ってるわよ」
お姉ちゃんは、そのまま部屋を出て行ってしまった。
私はそのまま二人に今までの事を話した。あの木を見つけてくれたこなちゃん、雨の降らせ方を教えてくれたゆきちゃん、お礼だよ。

 
 また元の生活に戻った。夢のようなそうでないような不思議な体験だった。
次の日、旅館を離れるとき、銀杏の木は樹雨を降らせて私達を送ってくれた。

 家に帰って、今までの話を家族にした。みんなその銀杏の木を見たいと言ってた。
来年、家族でその旅館に行こうって約束した。・・・けど、お姉ちゃんはその時は留守番するって言った。
誘えば誘うほどお姉ちゃんは行くのを拒んだ。そのうち私は諦めて誘わなくなった。
409樹雨  22:2009/11/14(土) 09:02:31 ID:RFBP9FGO


数ヵ月後・・・

 日曜日、お姉ちゃんと私は久しぶりに神社の手伝いをしていた。
かがみ「巫女服も久しぶりね、つかさ」
つかさ「そうだね」
かがみ「つかさ、こなたには教えていないでしょうね」
つかさ「うん」
かがみ「さて・・・大晦日の準備、倉庫の整理しましょ」
私たちが倉庫に向かうと、一人の女の子が花壇の片隅でしゃがんで泣いていた。
つかさ「お姉ちゃん、あの子、迷子かな」
かがみ「どうかしら・・・きっと近所の子だね、見覚えがあるわ」
つかさ「私、ちょっと見てくる・・・」
かがみ「最近は物騒だから誤解されるわよ、止めなさいよ」
つかさ「大丈夫、今私、巫女だから」
かがみ「おいおい、それじゃある意味こなたと同じだぞ・・・」

私は女の子に近づき声をかけた。
つかさ「どうしたの」
女の子は泣いていて話してくれない。私はしゃがみ込んで女の子と同じ目線になった。もう一度声をかけた。
つかさ「どうしたの」
女の子「学校で・・・飼ってた・・ウサギが死んじゃったの・・・」
つかさ「悲しいね、でもね、泣くならウサギさんの所でね」
女の子はまた泣き出してしまった。
女の子「お供え・・・のね、お花がないの・・・」
つかさ「お花が欲しいんだね、お母さんは?」
女の子「お買い物・・・」
どうやら女の子は死んだウサギさんに供える花が欲しいらしい、花壇の近くに居た理由が分かった。
この女の子花を摘もうとしているみたい、このまま渡してもいいけど・・・お花も詰まれると悲しいかな・・・
つかさ「お花がなくても、大丈夫だよ」
女の子「でも・・・友達・・・みんな、持って来る・・・」
つかさ「お花は要らないよ」
私は女の子の頬に伝わる涙を人差し指で掬った。指に雫のように丸くなった。そして日の光にかざして見せた。
つかさ「綺麗でしょ、宝石ののうに光ってる、お嬢ちゃんの涙だよ」
女の子は私の指を眩しそうに見ていた。
つかさ「ウサギさんの所に言ったら、いっぱい泣いてあげて、そして涙をいっぱい見せてあげて、それだけでいいから、それだけでウサギさんは喜ぶよ」
女の子は無言で立ち上がり、そのまま学校の方に歩いて行った。
私はかざした手を胸に当てて目を閉じて祈った。ウサギさんの為に。そして女の子が見えなくなるまで見送った。

かがみ「つかさ・・・それって」
つかさ「お姉ちゃん見てたんだ、覚えてる?、すごく心に残ったからやってみた・・・あの子、分かってくれたみたい」
かがみ「あれは、樹雨が止んだ時、葉に付いてた雫が太陽の光に反射して綺麗だったから、つかさの涙をそれに例えた・・・今思い出したわよ」
つかさ「そんな意味があったんだ、知らなかったよ、雨乞いの願をかけてたんだね」
かがみ「それより、あの子に花の一、二本渡してやればよかったのに、あの花壇の花はいっぱいあるんだしさ」
つかさ「人身御供の事を思いだしちゃって、お花が可哀想になったから」
かがみ「大げさね」
お姉ちゃんは笑った。

 家族みんなであの木を見たい。そんな気持ちが急にこみ上げてきた。一人でも欠けちゃだめ。
銀杏の木を嫌っているように見えたけど、樹雨を涙に例えたお姉ちゃん。誰よりも銀杏の木を慕っている。
銀杏の木もきっとお姉ちゃんに会いたいと思ってる。お姉ちゃんをもう苦しませたくない。誘ってみよう。もう一回。
410樹雨  23:2009/11/14(土) 09:03:29 ID:RFBP9FGO


私は一回大きく深呼吸をした。
かがみ「どうしたのよ、いきなり」
つかさ「私達って今、幸せだよね、昔と違って人身御供なんてもう無い」
かがみ「そうね、あんな事は無くなったわね」
つかさ「あの銀杏の木、私達家族をこの時代に移してくれたのかもしれない、もう一回やり直すために、
    それに、きっと、こなちゃんやゆきちゃんも、いつの時代が分からないけどあの木に関わっていたと思うよ」
かがみ「またつかさの想像が始まった」
呆れた顔した。それでも構わず話した。
つかさ「私はこの家族に居てよかったと思ってるよ、お姉ちゃんはどうなの」
かがみ「そんなの・・・聞くまでもないでしょ」
私はお姉ちゃんの正面に立ち改まった。
かがみ「何よ」
少し驚いた表情をした。
つかさ「私ね、旅館を離れるとき、あの木にお願い事をしたんだ」
かがみ「何をお願いしたのよ」
つかさ「皆、三百年後もまた同じ家族で会えますように・・・」
お姉ちゃんは少し間を置いて話した。
かがみ「そういえば私、あの木にお礼を言ってなかったわね、もう一度見たくなったわ、あの木を・・・もう一度」
つかさ「お姉ちゃん、留守番はなしだよ」
かがみ「そうね、私も・・・あっ、もうこんな時間じゃない、大晦日の準備忙しくなるわよ」
つかさ「うん」
お姉ちゃんは走り出して行った。

 私はあの銀杏の木を思い浮かべながら問いかけた

「これで、良いんだよね」



411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 09:05:18 ID:RFBP9FGO
お粗末でした。

んー、今回は難しかった。何度も書き直した。相変わらず台詞中心の作品です。だらだら長くなりすぎて全て読んでくれるか心配です。


このssの容量、50KBを超えてしまいました。前コンクールでも二つに分けた作品がありましたね、
もし分けるのでしたら、雨が降ってつかさが叫ぶ所、13スレ目で分けて頂けるとありがたいです。
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 17:28:04 ID:MSOjCQLm
久しぶりにイラスト投下
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org359184.jpg

>>385
笑えたぜw
GJ

>>411
おぉ、長いな。まとめられたら読むよ乙
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 18:43:05 ID:P9E91psA
>>411
乙。大丈夫だ、最初23レスって見たときはなげぇなw
と思ったけど、読んだら全然気にならなくて一気に読めた
すごく面白かったぜ。GJ!
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/14(土) 22:16:43 ID:kJtErUWJ
>>412
超こなたwww
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/15(日) 09:51:41 ID:9Sl1eGZs
>>412
読んでなかったのですか。イラストがラストシーンのイメージと
妙に一致しているのは偶然かな。(超こなたは出していませんがw)

>>413
感想ありがとうございます。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/15(日) 13:09:10 ID:9Sl1eGZs
コンクール投稿期限も半日を切りました。

規制なんかんもあるので出来るだけ早く投下した方がいいですよ。
特に10レス以上の作品を考えているならなおさらです。
10レス目がアクセス規制で30分投下できません。
時間ギリギリで投下するならば最初から避難所で投下することをおすすめします。

以前時間切れでコンクールから除外された作品があった。
ああゆうのはあまり見たくないから。
あと少し、がんばりましょう。 

余計なお世話だったかな。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/15(日) 23:32:38 ID:OmkTjvHN
規制されていなかったらコンクールSS投下します
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/15(日) 23:39:03 ID:OmkTjvHN
ごめんなさい、何回ためしても長すぎる行がありますって弾かれます
避難所で出直してきます。

ほんとうにすいません
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 00:05:53 ID:WdewQB2k
みなさん規制されてるみたいなので代わりに宣言します

第十七回コンクールの投稿期限がきました。
皆様お疲れ様でした。

以上
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 00:08:09 ID:JeEx53Sw
こなた「コンクールおつかれさま〜」
かがみ「はい、お疲れ様」
こなた「長いのやら短いのやら、合計七作品…思ったより少ない?」
かがみ「そうね、やっぱり規制かしら」
こなた「あれでやる気削がれちゃった人もいそうだしね」
かがみ「あと、お題の難度も高かったのかしら?水ってかなり身近なものだから、ちょっとしたものから着想を得られるかと思ったんだけど」
こなた「身近すぎて逆に難しかったんじゃないかな。解釈もとことん広くなるし」
かがみ「なるほどね」
こなた「かの円谷英二も言ってるじゃない『特撮は水が一番難しい』って」
かがみ「いや…それ、なんか違うぞ…」
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 00:10:58 ID:WdewQB2k
>>418
長すぎる行があります。で投下できない。
おそらく花言葉の作者さんかな?
なんか自動改行してくれないみたいですね。
適当な長さで改行すればいいみたいですよ。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 00:23:32 ID:WdewQB2k
>>420
全部で9作品みたいですよ
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 00:26:27 ID:Q21hwYvY
避難所で報告しましたが、こちらにも。

「水滴の季節の向こう側」と「花言葉」をwikiにコピペしたのですが、
コピペミスって「花言葉」のページ名の作者のIDが「水滴の季節の向こう側」の作者と
同じになってしまいました。余計な手出しをした不手際をお詫びいたします。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 00:33:12 ID:JeEx53Sw
おおおっ?
20分で二作品とか予想だにせんかった
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 19:14:22 ID:JeEx53Sw
−みさちゃんと柊ちゃんとビンテージと泉ちゃん−


みさお「へへー、今日はいいモノ発掘できたぜー」
あやの「よかったね、みさちゃん」
こなた「…そんな古臭いジーンズの何がいいんだか。なんかえらく高かったし」
みさお「うう、相変わらずわかってくんねーのな…希少もんなんだよ、そういう価値がでるくらいいいものなんだよ。ってかこれでも安い方なんだぜ?」
こなた「…うーん」
みさお「ひーらぎー…なんとかビンテージの良さを伝えてやってくれよー」
かがみ「いや、わたしもよく知らないんだけど…そうねー…プレミア付いたレトロゲームみたいなもんかしら。メタルスレイダーグローリーとか」
こなた「なるほどっ!」
みさお「伝わりやがった!」
あやの「さすが柊ちゃんね…でも、なんか違うと思うの…」
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 19:42:37 ID:M7Gq8+s7
今回のコンクールSSはなんか変化球ばかりで評価に困るな
美点と欠点でプラマイ0点になってしまって
まともな評価点をつけられないというか
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 22:23:36 ID:l4vqa+yP
お題が水で直球はどんなのだよ
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 22:36:50 ID:g/L2fSnY
こなた「北アルプスの天然水はおいしいね!」
かがみ「さよう」

みたいなのだと思う
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/16(月) 23:04:08 ID:WdewQB2k
水 って難しい。
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 00:22:37 ID:oZtgmDvt
ネタがわかなかった・・・
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 00:29:40 ID:2z8fK8oA
今回はレビューが楽しみだ
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 00:51:03 ID:2z8fK8oA
避難所より 投票所はこちらです
http://vote3.ziyu.net/html/rakicon.html
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 12:18:12 ID:+6p/tfme
ひより「委員長と泉先輩が結婚したら泉いずみになるんスよね? いやぁ、楽しみッス!」
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 12:55:35 ID:3qYwg0zx
かがみ&こなた「コンクールに参加された皆さん、お疲れさま(です)!」

かがみ「今回はみなみちゃん大活躍ね」

こなた「そだね〜。どれもみなみちゃんらしさが出ててよかったと思うよ〜」

かがみ「言うまでもないけど、他の作品も良かったわよ?」

こなた「かがみ〜、ツンデレがそんな素直じゃダメだよ」

かがみ「(華麗にスルーして)それにしても、今回は珍しく二桁届かなかったわ
ね」

こなた「ス、スルーされた… (気を取り直して)うん、まあ、やっぱり規制でモ
チベーション下がった人が多いんじゃないかな」←俺

かがみ「お題が抽象的だったからってのもあるんじゃないかしら?」

こなた「それもあるかもね〜、まあ少数精鋭と考えればいいんじゃん」

かがみ「それだと、まるで、沢山ある時は質が低いって言ってるように聞こえる
ぞ」

こなた「別にそういう意味で言った訳じゃないもん。かがみの意地悪!」

かがみ「よしよし、良い子だからそんな事言っちゃ、めっ」

こなた「か、かがみ?どうしたの?」

かがみ「こなたったら、お母さんって呼びなさいっていつも言ってるでしょ?」

こなた「言ってないから!ねえ、なんなの!?何でいきなり母性本能発揮しだし
たの!?ってちょ、やめて、え、アッーーーー」


なんか自分が何をしたかったのかがわからん

435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 12:59:40 ID:3qYwg0zx
うわぁ、420氏がすでに同じようなの書いてたよorz
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 19:05:37 ID:HLVacj4r
どどんまい!!ちょらぁぁあー!!!
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 19:35:28 ID:XUkdLvkj

>>433
かがみ「誰よそのいずみってめす豚は!こなたは私のものよ!」
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 19:44:28 ID:SEt00oqo
−先輩−


女子「先輩!今帰りですか?」
ゆたか「う、うん…」
みなみ「…?誰?」
ゆたか「一年の子でね、ちょっと前に…」
女子「色々お世話になっちゃいまして」
ゆたか「先輩って呼ばれるの慣れてなくて…ちょっと恥ずかしいんだけどね」
みなみ(…可愛い)
ゆたか「みなみちゃん、今笑ったでしょ…」
みなみ「…ううん」
女子「あっと、お引き留めしてすいませんでした。それじゃ、ゆーちゃん先輩またです!」タッタッタッ
ゆたか「そ、その呼び方止めてって…」
みなみ「………」
ゆたか「みなみちゃん笑ってるよね!?後ろ向いてごまかしてるけど、絶対笑ってるよね!?もー!」
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 19:56:49 ID:HLVacj4r
いずみ×こなた 泉こなた

!?
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/18(水) 00:39:26 ID:SYj6cVvv
>>433
何故だか分からんが笑ってしまたww
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/18(水) 03:17:04 ID:PnzKanus
カキコテスト
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/18(水) 03:18:03 ID:PnzKanus
ようやく規制解除になった。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/19(木) 00:40:42 ID:sIX7SmjS
田村家

ゆたか「あ、おトイレ借りていい?」
ひより「ああいいッスよどうぞー」

パティ「本棚ノマンガ読ンデテモイイデスカ!?」
ひより「ああ、いいッスよー」

いずみ「わざわざお茶出してもらってごめんねー」
ひより「ああ全然いいッスいいッス」

ひより(何だろうなあ──自分ちにいるとどんな当たり前のことでも感謝されてすごくいい人になった気分──)パァー
444命の輪の罪:2009/11/20(金) 01:27:33 ID:N5Na/Cqe
投下いきます。

コンクールが終わって、腑抜けた頭でだらだら書いた命の輪のシリーズです。
たぶん、5レスほどになります。
445命の輪の罪:2009/11/20(金) 01:28:25 ID:N5Na/Cqe
「で、どうなのよ最近は」
 とある日のこと。こなたの家に遊びに来たかがみは、あいさつもそこそこにそう言った。
「どうって、なにが?」
「旦那よ。そろそろ籍入れて半年になるでしょ?なにか変わった話とかないの?」
「変わったって…まあ、毎日ラブラブとしか言いようがありませんな」
 両手を腰に当て、胸を張ってそう言うこなたに、かがみはため息をついた。
「あーそうですか…で、具体的には?」
「具体的…えーっと…手、つないだりとか…髪撫でてもらったりとか…」
「お前には失望した」
「なんでさっ!」
「あんたの事だから、もっと過激なのをちょっと期待してたんだけどね」
「そんなの期待しないでよ…ってか恥ずかしくて言えないよ」
 不機嫌そうにそう言いながらお茶をすすった後、こなたは何か思い出したように手を打った。
「あ、そうだ。そう言えばこの前みなみちゃんが、先週の日曜日に自分の家の近くでダーリンを見かけたって言ってたよ」
「みなみちゃんちの?そんなところ行くのね。何してのかしら」
「うん、なんか知らない女の人と歩いてたって」
「…は?」
 かがみは絶句した。そして、こなたのいつものゆるい笑顔をしばらく眺めた後、恐る恐る声を出した。
「…女の人?」
「うん。ショートカットで美人で凄い巨乳だったってさ。みなみちゃん、まだ胸のこと気にしてるんだね。巨乳のところをやたら強調してたよ」
「い、いやそんな事どうでもいいんだけど…歩いてただけなの?」
「うん。腕を組んで歩いてたってさ。凄く密着してたって」
「………」
 かがみは再び絶句し、天を仰いだ。こなたは未だにゆるい笑顔を見せている。
 そんなはずはない。そんなことありえないと、かがみは自分に言い聞かせているのだが、どうしてもその考えに行き着いてしまう。
 もしかして、ここまで聞いておいて、こなたは気がついていないんじゃないだろうか…と。
「…ねえ、こなた」
「ん、なに?」
「それって浮気じゃないの?」
「…へ?」
 友達付き合いを始めてから数年。かがみは初めて目が点になったこなたを見た。



― 命の輪の罪 ―



446命の輪の罪:2009/11/20(金) 01:29:26 ID:N5Na/Cqe
「うそだー!嘘だといってよかがみー!」
「落ち着け。落ち着けって…ってーかまとわりつくな」
 かがみは、急に取り乱し抱きついてきたこなたの頭を掴んで自分の身体からひっぺがした。
「まだ浮気と決まったわけじゃないでしょ?」
「だっでーだっでー」
 鼻水まで垂らしながら泣きじゃくるこなた。しかし、その動きがピタリと止まった。
「…いいだしっぺ、かがみじゃん」
「え、いや、それは…みなみちゃんから聞いた時点で普通はそう思うだろうって…」
「…普通はそうなんだ…そうなんだー!」
 再び泣き始めたこなたに、かがみはため息をついた。
「あーもー…あんたの旦那が普通だとは思えないわよ…」
「ダーリンを変人呼ばわりするなー!」
「…うあー…めんどくさいー…」
 かがみは頭を抱え、とりあえずこなたを落ち着かせるために拳を握り締めた。


「…落ち着いた?」
「…はい」
 椅子に座って聞くかがみに、こなたは正座で答えた。
「でも、殴ることは無いと思います…ってかなんで殴られなきゃいけないのですか、かがみ様」
「壊れたモノ直すにはこれが手っ取り早いのよ」
「モノあつかいとか、ヒドスギル…」
 こなたは殴られた頭をさすりながら、正座を解いて胡坐をかいた。
「でも…ホントにどうなんだろ…」
 不安そうに呟くこなたを見て、かがみはため息をついた。
「本人に聞くのが手っ取り早いんだけど…彼はどこ?」
「バイト」
「へー、ふらふらしてるかと思ってたんだけど、働いてるんだ」
「うん。なんか知り合いの紹介だって。大学卒業したら、そこに就職するつもりだから、今のうちに仕事覚えとくんだって」
「一応先の事考えてるのね…なんか、浮気するような人間とは思えなくなってきたわ」
「でしょ?」
 得意気に胸を張るこなた。かがみは椅子の背もたれに体重を預けると、腕を組んだ。
「でも腕組んで歩くなんて、普通ないわよね」
「…うん」
 かがみの言葉に項垂れるこなた。かがみは今度は顎に手を当てて、考え込むしぐさをした。
「ちょっと腑に落ちないわね」
「なにが?」
「みなみちゃんちの辺りって高級住宅街じゃない。そんなところの人と知り合う機会って、あんたの旦那にあるのかしら?」
「そういや…そうだね。デートの場所にしてもおかしいし」
「なんかこう、すんなり噛み合わない話ね…」
 二人して考え込んでいると、玄関の方からインターホンの音が聞こえた。
「あれ、お客さん?…かがみ、ちょっと待っててね」
「うん」



447命の輪の罪:2009/11/20(金) 01:30:26 ID:N5Na/Cqe
「こんにちは、かがみさん」
 こなたに連れられて部屋に入ってきたのは、手に紙袋を持った友人のみゆきだった。
「みゆき?どうしたの?」
「はい、泉さんの旦那様に少し用事がありまして…」
 そう言いながらみゆきは部屋を見渡した。
「いらっしゃらないようですね」
「うん、ダーリン今バイト中」
「旦那に用事って、なにかあったの?」
 かがみがそう聞くと、みゆきは手に持った紙袋を少し上げて見せた。
「先日少し頼み事を聞いていただきまして、そのお礼にと」
 かがみは呆れたように両の手のひらを上に向けた。
「律儀ねえ。そんなのメールでも打っとけば…って、そういえばメルアド分からないわね」
「はい、残念ながら…分かっていれば、都合のよい日を聞くことが出来たのですが」
 なんとなく噛み合わない認識にかがみが苦笑していると、横からこなたが顔を突っ込んできた。
「ダーリンのメルアドはわたしだけのものだー」
「なんだその妙な独占欲は…ってか別に知りたくないわよ」
「ダーリンのメルアドは知る価値ないっていうの!?」
「そのめんどくさいキャラやめい!」
 かがみはこなたの額に手刀を落として黙らせると、みゆきの方に向き直った。
「でも、頼み事聞いてもらたって、よく連絡取れたわね」
「えーっと、それはですね。先週の日曜日に、こちらの方に出かけてきたときに偶然会いまして、そのままわたしの家まで来ていただいたのです」
「………」
「………」
「わたしの家は少し遠いですから、本当に無理を言ってしまって申し訳なくて、それでこうしてお礼を…って、あの…どうかなさいましたか?」
 微妙な表情で固まっているこなたとかがみに気がつき、みゆきは不安そうに二人の顔を交互に見た。
「先週の日曜日…」
「みゆきの家の近く…」
 こなたとかがみはそう呟きながら顔を見合わせ、再びみゆきの方を向いた。
「ねえ、みゆき。ちょっと聞きたいんだけど…もしかして腕組んで歩いたりとかしてた?」
「はい、しましたが…あの、なにか駄目だったのでしょうか…?」
 みゆきが不安げにそう呟いた直後、額が引っ付くくらい間近にこなたが接近していた。
「みゆきさんかーっ!!」
「ひぃっ!?」


448命の輪の罪:2009/11/20(金) 01:31:20 ID:N5Na/Cqe
 静かな部屋の中に、時計の秒針の音だけが響いていた。
 部屋の中央には、正座をさせられているみゆきとその正面で正座をしているこなた、そして椅子に座って背もたれに顎を乗せているかがみの姿があった。
「さて、みゆきさん」
「はい…」
「どうしてダーリンを誘惑したのか、聞かせていただきましょうか」
「いえ、その…誘惑とかそんなのでは…」
「っていうかさ」
 二人の会話に、背もたれに顎を乗せたままかがみが口を挟んできた。
「ホントにみゆきなの?みなみちゃんは知らない人って言ってたんでしょ?みゆきならみゆきって言いそうなんだけど」
「みなみさんが…えっと、それは…多分ウィッグを付けて眼鏡を外していましたから、わたしだと気づかなかったのではないかと…」
「なるほど、ショートヘアってのはそれか…」
「変装までしてなんて、完全に黒だね。こればかりは、みゆきさんだからって容赦しないよ」
「ま、ままま待ってください泉さん!は、話を聞いてください!」
 立ち上がり拳を鳴らすこなたに、みゆきは慌てて両手を振って見せた。それを見たこなたは、再び正座の姿勢に戻った。
「聞きましょう」
「えっとですね…実はあの人とデートをすることになりまして…」
「あの人って…あの人?」
 かがみがそう聞くと、みゆきは黙って頷いた。
 少し前に行われた陵桜学園三年B組の同窓会。そこでみゆきはクラスの副委員長をしていた男性に告白され、そのまま付き合うことになったという。
 みゆきのいうあの人とはその人のことなのだろうと、かがみは納得した。
「それでですね、着ていく服を選んでたのですが、デートというのは初めてでしたから、どういう服が良いのか迷っていたところで泉さんの旦那様にお会いしまして…」
 みゆきはそこでこなたの方をチラッと見た。こなたは憮然とした表情をしていたが、とりあえず攻撃してくる意思は無いと感じられ、みゆきは話を続けた。
「男性の方の意見も聞いてみたいと思いまして、わたしの家にご足労願って色々アドバイスをいただいていたんです」
「ふーん…まあ、女性遍歴がこなたしかないあの男に、どういうアドバイスが出来るのかってところは置いといて…腕組んでたのはどうしてなの?」
 憮然としたまま何も言わないこなたに代わって、かがみがみゆきにそう聞いた。
「えーっと…その時に、髪形を変えたり眼鏡を外したりしたらどうかという話になりまして…」
「ああ、それでウィッグ付けたりとかやってたんだ」
「はい。それで、お恥ずかしい話なのですが、わたし高校のときより視力が落ちたらしくて、眼鏡を外すと足元がおぼつかなくなるんです。それで、旦那様に支えてもらっていたんです」
「ああ、そういうこと」
 かがみはそう言いながらこなたの方を見た。こなたは未だ唇を尖らせているものの、表情はだいぶ和らいでいる。かがみは少し安心してみゆきの方に向き直った。
「腕を組もうって言われたときには、少しドキドキしてしまいましたが…」
 余計なことを。かがみは頭を抱えたい衝動に駆られた。
449命の輪の罪:2009/11/20(金) 01:32:06 ID:N5Na/Cqe
「…そ、それ…旦那の方から言ったの…?」
「はい、そうです…が…」
 聞くかがみも、答えるみゆきも、それを感じていた。こなたの方から漂ってくる冷たい空気。冷や汗が頬を垂れるのが分かった。
 二人が恐る恐るこなたの方を見ると、冷気の根源は実に爽やかな笑顔を浮かべていた。
「ありがとう、みゆきさん。よく分かったよ。疑っちゃったりしてごめんね」
 声も実に爽やかだが、その奥に潜むモノに、かがみもみゆきも恐怖を押さえることができないでいた。
「あ、あの…や、優しい方ですよね…無理を言ったのはこちらなのに、お気遣いいただいたりして…い、泉さんが添い遂げたいと思ったのも頷けると…」
 みゆきはフォローをしようとしているのだろうが、その言葉はこなたには届かないだろうとかがみは思った。その優しさに下心が隠れているのは明白だからだ。
「うんうん、分かってるよみゆきさん。でも、そろそろダーリン帰ってくるし、今日は帰ってもらえるかな?二人でじーっくり話し合いたいからさ」
「あ、あの、泉さん…できれば穏便に…」
 自分が巻き込んだせいだと思っているのか、なんとかこなたをなだめようとするみゆきを横目に、かがみはこっそりと部屋を抜け出した。



 かがみが泉家を出てしばらく歩いたところで、前方から見知った顔の男性が歩いてくるのが見えた。
 バイト先の制服なのだろうか。薄汚れたつなぎの作業服を着た、こなたの旦那だ。
「あれ、かがみさん。家に来てたのかい?」
「…ええ、まあね」
 先に声をかけてきた旦那ののん気そうな表情に、かがみはため息をついた。
「あんたは今帰り?…まあ、自業自得なんだけど、気をつけなさいよ」
「気をつける?何に?」
 かがみはもう一度ため息をつくと、さっきの出来事を旦那に話した。
「あー、あれがばれたのか…そりゃ大変だ」
 全然大変そうに聞こえない口調に、かがみは心底呆れ果てていた。
「で、どうするの?」
「どうするって、そりゃ帰るよ」
「大丈夫なの?あのこなた、わたしでも怖かったわよ」
「さっきかがみさんも言ったけど、自業自得だからね。罪に対する罰は受けるよ」
 本当になんでもない事のように言う旦那に、かがみは一際深いため息をついた。
「っていうか、最初は冗談のつもりだったんだけど、おもしろいうくらいみゆきさんが本気にするもんだから、つい調子に乗ってね…」
「そう言うのは自重しなさいっての…特にみゆきは、親しい人間相手には疑うって事忘れちゃう娘だから」
「うーん…まあ、次があったら気をつけるよ」
「次があったらね…ま、生きてたらまた会いましょ」
「まだ、死ぬ気はないよ」
 手を振りながら、家に向かって歩き出す旦那。その背中に小さく祈りの言葉を呟き、かがみもまた家に向かって歩き出した。



― おしまい ―
450命の輪の罪:2009/11/20(金) 01:33:15 ID:N5Na/Cqe
以上です。

規制解けてて良かった…。
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 18:58:53 ID:/n+F817m


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                                 ま と め 完 了

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452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 19:17:11 ID:73meYC1k
こなた「まとめ乙!…と、いうわけで作ってみました乙カレー!」
かがみ「…なんじゃそりゃ」
こなた「自分で言うのもなんだけど、美味しくできたよ。食べる?」
かがみ「いや、わたしはちょっと…」
こなた「ああ、ダイエット」
かがみ「…はっきり言わないでよ」
こなた「ま、それじゃしょうがない…つかさー、みゆきさーん、食べよー」
かがみ「…うぅ」
つかさ「うわー…こなちゃん、これすごく美味しいよ!」
みゆき「ホントですね。こんな美味しいカレーは食べた事ありません」
こなた「流石にそこまで褒められると照れ臭いな…」
かがみ(そ、そんなに美味しいの?…ひ、一口くらいなら)
こなた「…って言ってる間にもう空だ」
かがみ「なにーっ!?」



かがみ「…はっ?…夢か…」
つかさ「お姉ちゃーん。今日の晩御飯カレーなんだけど、確かダイ」
かがみ「食べるわよ。たっぷりと」
つかさ「えっ…ダイエットしてたんじゃ…」
かがみ「ダイエット?なにそれ食べられるの?美味しいの?」
つかさ「えーっと…わたしは食べてくれる方がうれしいからいいけど…」
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 19:28:05 ID:bEnnmYar
>>451
wikiの更新パネェwww
蝶乙!!
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 21:04:30 ID:zm+8FWqS
こなた「マクロスの映画、そろそろやるね〜」
かがみ「とりあえずチケット買わされたけど」
つかさ「めったにこういうのは観ないけど、楽しみだね」
パティ「乙女ロードがまた賑わいマスね!アルト×オズマ!アルト×ミシェル!Oh!ミシェル!」
かがみ「…この子も?」
こなた「…すいません。特典欲しさにチケット何枚も…」
つかさ「…どんだけ」
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/21(土) 20:05:44 ID:I32/id00
−やるせない−

こなた「…かがみー」
かがみ「どうしたのよ?暗い顔して」
こなた「すっごく楽しみにしてたゲームが、発売日一週間前に急に一月延期になったから、みゆきさんのおっぱい揉んできていい?
かがみ「…とりあえず落ち着こうか」
こなた「これで何度目だよー…もうかがみのでもかまわーん!」
かがみ「やめんかー!」
456むねぺったんガールズの日常:2009/11/21(土) 21:24:08 ID:g7z3U9P7
ででで でっでん!

ぺったん ぺったん もちぺったん!
ぺったん ぺったん つるぺったん!
ぺったん ぺったん むねぺったん!

こなた・ゆたか・みなみ
「むねぺったんガールズぅ〜♪」



第1話 爆誕! 貧乳娘。

目指す者 「ここが研究所かー」
研究する者「よく来たね。あそこに三人の貧乳がいるだろ?」

こなた「いきなり何さ」
みなみ「・・・」
ゆたか「え? あの・・・え?」

むねぺったんガールズはたまたま一緒に行動していた。
しかし不幸な事に少年と老人に見つかってしまったのだ!!

目指す者 「あの子たちを捕まえれば良いんですね? わかりました」

少年はポケットから野球ボールの様なものを取り出してしまったのだ!

目指す者 「いけ! 野球ボール!」

ゆたか「きゃっ」
みなみ「危ない!」

いつもクールで冷静な 岩崎みなみ。
時に優しく、時に強く。むねぺったんガールズの中ではずば抜けた学力と慎重を誇る。
口数は少ないが、胸は三人の中で1番ぺったんこだぞ!

みなみ「たっ!」
目指す者 「なにぃ!?」

ボールを弾かれた少年は狂った狂戦士の様に慌てふためいているぞ!

457むねぺったんガールズの日常:2009/11/21(土) 21:24:52 ID:g7z3U9P7
みなみ「大丈夫? ゆたか」
ゆたか「うん。みなみちゃんありがとう」

いつも天使の様な微笑みを見せる 小早川ゆたか。
相手を萌やし、存在するだけで癒しの効果を持つ。むねぺったんガールズの中ではお色気担当の職を任命された。
身体は小さいが、これでも三人の中で胸は2番目に大きいぞ!

こなた「誰だか知んないけど許さないよ!」

元気と馬鹿さ、そして誰よりも友を大事にする『むねぺったんガールズ』のリーダー 泉こなた。
見た目とは裏腹に天才的な運動神経、格闘能力を持つ。むねぺったんガールズのお姉さん的ポジションを獲得している。
これでも最年長。胸は三人の中で1番大きいぞ!

目指す者 「たいして変わらねぇじゃねぇk――」
こなた「ぺたんこパンチ!」

研究する者「これは・・・むねぺったんガールズ」


こうして、むねぺったんガールズは誕生した。
その脅威は世界中に知れ渡り、やがて世界中の組織に狙われる事となった。

???「むねぺったんガールズ・・・面白いわね」


 −次回予告−

 突如私たちの前に現れた謎の組織「orz」。
 その組織は私たちの力を試すとか言ってモンスターを繰り出してきたんだ!
 絶対に負けるもんか! 誰が相手だろうと勝ってやる!
 次回、ぺったんモンスター第2話。
 「むねぺったんガールズ VS 究極宝玉獣」
 みんなもぺたんこGETだぜ!
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/21(土) 21:27:12 ID:g7z3U9P7
試験的に1週間に1話というものを書いてみる。
パロディ色強いけどよろしくな!次回は来週の土曜日
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/21(土) 22:08:28 ID:QJgrorQV
断る!
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 02:31:06 ID:T8PWsOUu
>>458
テレビ番組みたいだなw期待
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 03:15:36 ID:7FbZrFjh
総じて、彼方にあるものは。【そうじろう視点/短編】1-3

ジャンル:ほのぼのに見せかけたシリアス
※軽く捏造入っております、構へん構へんという方だけどうぞ






ねえそうちゃん、この子はどんな子に育つのかしら
きっと、そうちゃんみたいに優しい子だわ
そうちゃんの優しさは溢れ出ているもの、きっと、この子にまで零れ出すぐらいに与えてるよね
そうだと良いなぁ、そうなってくれるとうれしいなぁ
わたし、そうちゃんに倖せにしてもらったもの
この倖せを独り占めなんてできないわ、この子も、きっと他の誰かを倖せにするわ
わたしじゃなくていい
できれば、そうちゃんを倖せにしてほしい
この世に生まれてきたことを、うれしいと思ってほしい
そう思ってくれれば―――私は、それこそ倖せなのよ、そうちゃん
どんなことよりも―――そうなのよ
そうちゃん、そうちゃん
この子は、きっとそうちゃんを愛してくれる
わたしの分まで、愛してくれるわ
だから、そうちゃん
お願いよ―――お願い




この子はきっと、そうちゃん以上に不器用になるわ
だから、そうちゃんが「感情」を教えてあげて
恋をすることを、喜ぶことを、悲しむことを、怒ることを、笑うことを、教えてあげて
倖せを―――教えてあげて
ね?
お願いね
ゆぎきりげんまんだからね、そうちゃん
大好きだからね―――そうちゃん




「あ、起きた?お父さん」

懐かしい夢を見た。かなたの夢だ。
ふんわりとしていて、真っ白に包まれていて―――でも、内容ははっきりと覚えている。
こなたが生まれる前、かなたと話したときのこと。
今でも時々、夢に見る。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 03:20:57 ID:7FbZrFjh
夢を見るのは、まだ俺がかなたを忘れていない、まだ充分過ぎるぐらい愛しているという証拠になってくれればと何度も思ったが、
この年になってまでそんな夢見がちな意見は呟いてはいられない。まだ忘れられないし、愛しているが、夢を見るのは脳の造りに基づいた習慣だ。

…いや、誓ったではないか。
こなたが俺の傍にいるときは、俺はいつでも夢見がちな大人でいようと。
恋や愛を大切にする、父親でいようと。
決意―――したではないか。
忘れた訳ではない。
忘れてはいけない。

「…おとーさん、聞いてる?まぁだ寝ぼけてるの?」
「あ?ああ、すまん、ぼーっとしてたよ」
「こたつで寝たら風邪引いちゃうよ、布団行きなよ、もう11時だし」

どうやら俺はこたつのぬくもりに負けて眠ってしまっていたらしい。
テーブルの上にはノートパソコンに、とっくの昔に冷めてしまった熱燗、
テレビは深夜のニュースを淡々と読み上げる、アナウンサーの姿が映っていた。
俺の娘は仕方がないといった見事な呆れ顔で、起き上がった俺の隣に腰を下ろす。

「お酒を飲みながら書くと、変な文章になるよねぇ」

ノートパソコンの画面の、文字の羅列を眺めながら、こなたがにやにやと俺の顔を覗き込んできた。
ああ、失敗した。何故今日になって執筆活動をしながら飲酒などしてしまったんだろう。
寝起きとアルコールの成分で呆けた頭に、その疑問の回答は返ってこない。まぁいい、どうせ大したことではないだろう。
こなたの、ん?と言いたそうに面白く笑いの表情を浮かげている顔の頬を軽く抓り、黙ってろと明るく注意してやった。
こなたは、ひっどーい!せっかく起こしてあげたのにー!と騒いでいる。

「…ねえ、お父さん」
「ん?何だ?」
「もしかして、寂しいの?」
「え?」

急に、先程までのころころ変わる表情をいつも通りの無表情に変えて(無いものに変えるなんて、文法的に変な感じはするが)、こなたが尋ねてくる。
娘の視線は、俺の所有するノートパソコンの画面に向けられていて、それが何故か気になり―――俺も視界を画面に向けてみた。
そこに書かれていたのは。

「……………っ!ち、ちが…っこれはだなぁ!」

そこに書かれていたのは、意味不明な文章の最後に、いっそ孤立したかのように挙げられていた―――…
「かなた」
の、文字。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 03:22:58 ID:7FbZrFjh
何故こんな単語を。
そして、選りにも選ってこなたに見つけられるなんて。
まずいことなど何もない。
何もないはず、なのに。
どうしてこんなにも―――動揺しているんだ、俺は。

「……………っ」

どうしよう。
どう言い繕えばいいんだ。
早く、早く何か言わないと―――。

こなたが俺を見ているのに―――どうして、何も言えないんだよ。
かなた―――教えてくれよ。






「私、自分を責めてないよ」






「……………えぇ?」

俺は、間抜けな声を出すしかできなかった。

「お父さんもお母さんも、大好きだよ」
「……………」
「寂しい思いさせてごめんなんて、言わない」
「……………」
「私を、産んでくれてありがとう」
「……………」
「私、

生まれてきて、倖せだよ

これ以上なく―――倖せなんだよ」





「ありがとう、お父さん、お母さん」
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 03:25:17 ID:7FbZrFjh




かなた。
心配いらないみたいだよ。
俺達の子供は―――こんなにも、良い子に育ってくれた。
お前も、安心するだろう?

「…どういたしまして、こなた」

俺がそう答えると、こなたは心底うれしそうに笑顔を浮かべた。
嬉しいことや、悲しいことや、愛すること。
これからも、教えて、教えられて生きていけそうだ。
















そうちゃん
良かったね
わたしも―――解ったよ

Fin.

今見てみたらタイトルが意味不明でしたw
最初のレスの、1-3ってのは忘れて下さいな
初投稿お邪魔しましたー
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 22:19:05 ID:cpxmIQzE

―マジググるの禁止―

いずみ「まったくパトリシアさんは…私も堂々とオタクだと言うことができてたらなぁ」
ひより「私は委員長みたく隠せていたらと思うことが多いけど…」
いずみ「『生き方を比べちゃ駄目さ 未来は誰にでも無限』なんて歌詞の歌があるけど、つい比べちゃうよね」
ひより「そんな歌あるんだ、知らなかった」
いずみ「え?知らない?」



ひより「…ってことがあったんですが、何の歌か知ってます?」
こう「それって…『KEEP ON DREAMING』の二番じゃない?」
山さん「ひよりんは知らないかもね」
毒さん「とりあえずググらないでね、見る目変わるだろうし」
ひより「???」
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 20:48:05 ID:Z4HSM85k
コンクール作品投票本日まで
まだお済みで無い方は協力お願い〜

http://vote3.ziyu.net/html/rakicon.html
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 20:58:25 ID:dP2X5SBz
>>461-464
いいお話でした。
ただ、ひとつ気になった点が。
かなたはそじろうのことを「そう君」と呼んでる、原作アニメ共に。
そこ以外は、しんみりしたすばらしいお話でしたよ。

>>465
うっかりググって納得w
思わずニヤリ、でした。
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 22:30:43 ID:4bbY/uiz
>>461-464
そうじろう・かなた関係の作品は作ったことが無い。
というより作れない。こうゆうのを見ると羨ましくなる。GJ
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 23:31:58 ID:CCy4KMBu
知らない方が幸せな時もある

ゆたか「こなたお姉ちゃーん」
こなた「どしたの、ゆーちゃん」
ゆたか「先週号のマガジンでこんなのがあったんだけど」
『クンニしろオラァァ!!』
こなた「こっ…コレはっ…(汗)」ギョ
ゆたか「 ク ン ニ っ て な に ? 」
こなた「…なっ…何かなぁ……(汗)」ダラダラ
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/23(月) 23:38:57 ID:4bbY/uiz
>>469
知らない方が良いかもしれない
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 00:24:23 ID:Z9ZFSnaH
そこでゆい姉さんの出番ですよ
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 00:45:08 ID:cO0a1Jv4
みなみ「ええ、お知らせします。コンクール大賞・副賞作品が決定いたしました。
     大賞は『エントリーNo.05:ID:RFBP9FGO氏:樹雨 』、
     副賞は『エントリーNo.04:ID:5J2ph412氏:テレビショッピング 』
     です。
     両作者さん、おめでとうございます。
     また、惜しくも賞を逃れてしまったその他七人の作者の皆さん、それから投票者の皆さんもお疲れ様でした。
     では、これにて『第十七回らき☆すたSSスレコンクール』を終了いたします……」


みなみ(主催も投票所の設置もやって作品のまとめも途中までやって参加もして……0票か……ふう)
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 01:26:11 ID:qzKlveJE
確かにみなみ大活躍だったのに票入ってないなぁ
誕生日でもないのにこんな引っ張りだこ……“水”のイメージに一番合ってたから人気あったと思ってるんですけどね

主催の方&みなみさん、本当にお疲れさまでした。ありがとうございます!
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 07:21:56 ID:cO0a1Jv4
今回はレビューは無いのかのう
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 20:13:42 ID:7wZ2rdz2
レビューがないと終わった感じがしないね
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 21:41:44 ID:PuAcQRai
主催、参加者もみんなも乙!賞とれた人はおめでとう!
今回もクオリティー高い作品ばかりで投票迷ったぜ
みなみ率の高さには正直驚いたガ
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 22:12:40 ID:Sp67l3vb
レビュー(笑)
みたいな事いう奴が居たから書く気なくなったんだろーね
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 23:53:55 ID:7wZ2rdz2
そんな事もあった。
それが原因ならもう何も言うまい。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/24(火) 23:57:01 ID:a7pIq6dK
いや、単にそれなりに忙しいのと、他に書きたいのがあるからなんですが…。
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 00:02:36 ID:gXAWzc75
あまり重く考えると何だし。
このままスルーで。
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 00:06:44 ID:djJARFYu
レビュー書いた経験あるのって4人?
第8回から書いてる人と第12回から書いてる人と第13回から書いてる人と前回書いた人と。
この中の一人くらい書いてても……とか思うが。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 00:19:22 ID:UFMkkcyN
人に求むな
自分でやれ
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 05:27:01 ID:r7gJP0tW
No.08はもっと評価されていいと思った
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 10:05:20 ID:oZbiKQCl
こなたとかがみん、ヤってくれるかい?

こなたとかがみんYes we can!


ひより「どうッスか? このネタ!」
こう 「うん、ひよりん少し休んだ方が良いよ」

ひより「ぐへへ」
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 12:32:11 ID:KgcE97yo
−冬の定番−


つかさ「あ、お姉ちゃん。肉まんの新しいのでてるよ」
かがみ「どれどれ…ふーん…これは、是非こなたに勧めないとね」
つかさ「こなちゃん、こういうの好きなの?」
かがみ「んー…どっちかってーとわたしが」
つかさ「???」


こなた「…これ?」
かがみ「うん。かなりお勧め」
こなた「まあ、ハズレじゃなさそうだけど…うーん…まあ、いいんだけどね…」

こなた「すいませーん。この特選肉まん こんがり風味ください」

かがみ「…よしっ」
こなた「ご満足ですか、かがみさん?」
かがみ「ええもう。録音もバッチリ」
こなた「…どうでもいいけど、流出とか勘弁してよ?」
かがみ「そんなことするはずないじゃない。わたし一人で独占よ」
こなた「…じゃ、次はかがみね」
かがみ「へ?」
こなた「まさか、わたしに勧めといて自分は食べないとか言わないよね?」
かがみ「そ、それは…」
こなた「言わないよね?」
かがみ「わ、わかったわよ…」

かがみ「す、すいません…特選肉まん…こ、こんがり風味ください」

こなた「かがみ…そんな恥ずかしそうにぼそぼそ言うとなんかエロいよ」
かがみ「わ、わかってるわよ!演出よ、演出!」
こなた「まあ、とりあえず動画で撮っておいたから」
かがみ「うぅー…」


店員(…こんがり風味特選肉まんに、名前変えとくか…)
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 22:41:32 ID:djJARFYu
prrr...
みゆき「あ、すみません、肉まん一万個ください」
ピッ

こなた「流石だなあ、はにかむこともなくさらっと言ってのける」
つかさ(問題はそこじゃないと思う……)
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 22:59:22 ID:YNS2qADY
>>485
>>486
色々とギリギリじゃねぇかww
突っ込んだら負けなの?
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 23:11:34 ID:gXAWzc75
>>483
人それぞれ価値観が違うからね、たまたま票が取れなかっただけかもしれない。
今回0票だった作品もこれから読んだ人が感動するかもしれない。
タイミングとか、その時の状況とか色々な要素があると思うよ。
それが『コンクール』だと思う。

>>485-486
なんか小学生っぽいけど・・・思わず笑ってしまった。w
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 23:43:28 ID:sTT6av/O

じゃあ 「 ウルトラマンコスモス 」 もダメじゃん。


五七五七七

ケン 君よ 僕の相棒 貴方だけ 何と言おうと ケン 君にする

ケン 君よ 君は一体 何をする 誰かが言った ケン クンニする
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 00:03:25 ID:cyoruuas
らきすたに下ネタは似合わんなぁw

>>483
普通にスレに投下されてたとしたら素直に賞賛してたわ。
ただコンクールのテーマとか考えると投票の対象にはならなかった。
「2番目3番目に良いと思ったSSを挙げてください」みたいな項目があったとしたら
かなり挙がるんじゃね? 文章力は今回トップレベルだと思うし。

まあテレビショッピングに投票した自分が言うのもアレだけどNE!
491sage:2009/11/26(木) 00:10:00 ID:Jh26Gw3j
「樹雨」みたいなのが並んでたらあたしゃもう投稿できんわww

・・・・したことないんだけど
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 01:00:19 ID:GnMm+GLp
かがみ「こなた、あんた達もにも住民票出されるらしいわね」
つかさ「こなちゃん、おめでとう」
みゆき「かがみさんやつかささんに次いで、本当におめでたいです。こなたさん、おめでとうございます」
こなた「いやいや、どうもどうも」

みなみ「ゆたか、おめでとう」
ひより「いや〜、うらやましいですな〜。ゆ〜ちゃん、おめでとうっす!」
ゆたか「あ、ありがとう、2人とも。でも、私までもらっちゃっていいのかな……」

パティ「……」

らしいね。
パティがないのは外国籍だからか…
てかゆ〜ちゃんの地元どこ?
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 01:01:36 ID:0gyuBtMY
−染まる−


みゆき「…と、いう訳なんです」
こなた「へー、そうだったんだ。みゆきさんは何でも知ってるなー」
みゆき「何でもは知りませんよ。知ってることだけ、です」
こなた「………」
みゆき「…ええっとー」
こなた「…みゆきさん、もしかして最近かがみになんかラノベ読まされた?」
みゆき「は、はい。西〇維新という方のを…」
こなた(頭よくて、眼鏡で巨乳でって、なんか通じるものがあったんだろうか)
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 01:14:02 ID:zqiaSpEK
ゆたか「お姉ちゃん、ちょっと」
こなた「ん?」
ゆたか「何となく気になってね、USBメモリってなんで"USB"って言うの?」
こなた「ああそれはねえ」

こなた「アメリカって"USA"って言うじゃん」
ゆたか「え? うん」
こなた「だからアメリカに対抗してイギリスがすごいの作るぞってってできたのが"USB"なんだよー」
ゆたか「へえー」


ゆたか「さすがに嘘だよね?」
こなた「ありゃバレた?」
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 07:34:10 ID:qjQM0veV
>>493二人とも負けてる…
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 07:40:27 ID:qjQM0veV
こう「やまと、誕生日おめでとう!」
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 12:39:48 ID:amjBBj87
 -コナタ-

       __,,_
     __.'´   `<
  ε  >l!/ /ハ\l
 (   |l l'lイ・J・ノ|
  しー─ し ─ J


かがぶー
捕獲レベル1

かがぶー「1って何よ!」

       _「Yフ  
     :'´ /⌒ ヽ  
     !  / ハヽ ! ヒョイ
     iヘ| ゚ 〆〃ハヽ〉>   
      (つλ(´・J)ル  あ…
      く/   v v 
       しlノ 


こなた「いただきます」ムシャムシャ
ひよる「これがレベル1ッスか? 凄い美味しいじゃないッスか!」
こなた「うん。これは私のフルコースのメインディッシュに決まりだね」



このスレでジャンプ読んでる人は居るのかな?
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 14:44:22 ID:RH6auuAS
>>492
ゆい姉さんともども出身は埼玉県内みたいだよ
でも春日部の陵桜まで通うのは遠いというと……西端の秩父や小鹿野まで行かないにしても、ある程度西のほうじゃないかな?幸手や春日部は千葉との県境だし

パティは分からんなぁ……今回のコンクールでオハイオ州という設定もあったが
理にかなってるとは言えるけど、オフィシャルじゃない以上何とも言えない

田園調布はさすがに宣伝する気はないのかな
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 21:27:44 ID:zqiaSpEK
こなた「mixiアプリってあるじゃん」
かがみ「あああれ」
こなた「そん中にさ、漢字テストってのがあるんだよね」
かがみ「へえ」
こなた「それやっててさ、そしたら問題に『入内雀』ってのが出てきてさ」
かがみ「えー知らないわそれ……何て読むわけ?」
こなた「『にゅうないすずめ』って読むらしいんだけどさ。そんで何じゃそいつ!って思ってググってみようとしてさ、
     検索欄に『にゅうないすずめ』って入れて変換したらさ」
かがみ「うん」
こなた「一発目の変換で『乳無い雀』って……」
かがみ「……そう……で、どうフォローすればいいの私は」
こなた「イイヨ聞いてくれさえすれば……」
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 22:38:19 ID:mxWJ6sx4
しかしこなたかがみつかさはまじ萌えるよね リアルに彼女にしたい みゆきさんはいらない
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 22:47:49 ID:zqiaSpEK
その後彼の姿を見た者はいない……
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 22:55:55 ID:MW6kinSN
>>492
単にテレビシリーズに準じてるだけじゃないの?
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 23:07:33 ID:srMDpaqB
>>500
ごめん。俺、みゆきさんとつかさ、それにみなみ、こなたにひよりにゆーちゃん、そしてパティ派なんだ…

知的美人萌えかつ、巨乳萌えの俺はどうしたらいい?てゆーか、オールマイティーじゃん俺…

貧乳キャラもいるじゃねーか!!ってツッコミは無しの方向でお願いします
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 23:09:12 ID:amjBBj87
( ^o^)ちくしょう
505たゆ:2009/11/27(金) 00:44:33 ID:/a3dewGd
投下いきます。

コンクール終了後に「水」「みなみ」というキーワードで思いついた話です。
たぶん3レスほどです。
506たゆたう:2009/11/27(金) 00:46:41 ID:/a3dewGd
 浮いている。今の自分の状況をわたしはそう感じた。
 でも、空に浮かんでいるのとは違う。手足を動かすと少し重い。何か抵抗を感じる。
 そして、ゆっくりとだが流れを感じる。わたしは流されている。
 そう、これは水だ。この浮遊感は浮力だ。
 大きな川のような場所で、わたしはゆっくりと流されているのだ。
 その感覚が心地よく、わたしは目を瞑り、すべてを流れにゆだねた。



 目を覚まし、上半身を起こしたわたしが最初にしたことは、自分の布団の中を確認することだった。
 幼い頃から幾度となく見るこの夢。最初に見たのは幼稚園の頃だった。
 そして、わたしはその時おねしょをしてしまった。
 それ以来、この夢を見たときはおねしょをしていないか確認するのが癖になってしまっていた。
 もちろん、高校二年にもなった今では、おねしょなどしていない。するはずなど、ない。



― たゆたう ―



 朝、学校についたわたしは、友人である小早川ゆたかとの会話の中で、今朝の夢の話を出した。
 この夢について、彼女がどういう見解を示すのか興味があったからだ。
「………ええっとー…その…」
 長い沈黙の後の歯切れの悪い態度。何故かわたしと目をあわさないようにしている。
「…どうかしたの?」
 わたしがそう聞くと、ゆたかは俯いてしまった。何か、ゆたかの気に障るようなことを言ってしまったのだろうか。それとも夢の内容がゆたかのトラウマに触れるようなものだったのだろうか。
「…ゆたか…その…」
 とりあえず、ゆたかに何が不味かったのか聞いてみようと声をかけると、急にゆたかが顔を上げた。
「みなみちゃん。わたし、誰にも言わないから」
 そしてゆたかは、決意を秘めた目でそう告げた。意外と頑固なところがあるゆたかは、こういう時頼もしく感じる。
 …えーっと、そうじゃなくて、なんで秘密にする必要があるんだろう。ただの夢の話なのに。
「いや、あの、ゆたか…?」
「大丈夫だよ、みなみちゃん。わたしこう見えても結構口は堅いんだから。みなみちゃんの恥ずかしい秘密は守り通すよ」
 あれ?わたし?恥ずかしい秘密?そんなこと話したっけ?
「…お、おねしょはわたしも幼稚園の頃までしてたから…こ、個人差だと思うし…」
 ああ、ゆたかもそれくらいまでしてたんだ、変な共通点だけどちょっと嬉しいな。
 …いや、そうじゃなくて。ゆたかも同じなら、そんな硬く考えることは無いような…確かに言いふらされたらちょっと困るけど。
「でも、そんな恥ずかしいこと告白してくれたのは、信頼されてるみたいで嬉しいよ…」
 なんでこんなに深刻なのだろう。まるでわたしが今朝おねしょしたみたい………え…いや、ちょっと待って。まさかゆたかはそう勘違いしてるの?違うよね?ありえないよね?
「でも、この歳でおねしょとかはどこか体が悪いのかも知れないし、病院の先生に相談した方がいいかも…」
 ああああああ!誤解してるー!
「ゆ、ゆたか…それはちが」
「うーす、みんな席つけよー」
 わたしがゆたかの誤解を解こうと声を出すと同時に、教室のドアが開く音と担任の黒井先生の声。
「あ、先生だ。みなみちゃん、また後でね」
 ああああああ!もータイミングの悪いー!
「…みなみちゃん。がんばって」
 何を頑張ればいいの、ゆたかー!



507たゆたう:2009/11/27(金) 00:49:07 ID:/a3dewGd
 その後の授業はほとんど集中できなかった。ゆたかのことを考えると、まったく気が気でない。
 ゆたかは黙っていると言ったけど、なにかの拍子にぽろっと漏らしてしまうかもしれない。
 それに、ゆたかは何かと表情に出やすいから、その辺りからばれるかもしれない。
 特にひよりやパティには気をつけないと、彼女たちは少し押しの強いところがあるから、聞かれるとゆたかは話してしまうかもしれない、
 なんとか早めにゆたかの誤解を解かないと。最低でも学校内で解いておかないと、ゆたかが家に帰ってしまったら最悪だ。
 彼女の家には泉先輩が居る。わたしの胸の悩みを見抜いた勘のよさといい、こちらの都合を考えない喋りといい、人の秘密を暴くために居るかのような人だ。正直、ゆかりさんの次くらいに苦手だ。

 とか思っていたんだけど、何かタイミングが悪くてゆたかと上手く話が出来ないまま、ずるずるとお昼休みまで来てしまった。
 でもまあ、一緒にお昼ご飯を食べるから、ここで確実にゆたかと話せる。幸いにも、ひよりとパティは部活の先輩に呼ばれてるらしく不在だ。
「やふー、ゆーちゃんこんちゃー」
「あ、あれ。こなたお姉ちゃん、どうしたの?」
 ああああああああ!なんで貴女がここに来るんですか!しかもまた制服で!中学生にしか見えませんって!
「どうしたのはないよー。ほら、ゆーちゃんお弁当忘れてたでしょ」
「あ、ホンとだ…ありがとう、お姉ちゃん」
 なんでこんなタイミングでそんなドジっ娘をー!………いや、少し落ち着こう。悪いのはゆたかじゃない。変な話を迂闊に喋ったわたしだ。ここは冷静にゆたかが迂闊なことを言わないように見守らないと。
「ところでゆーちゃん。みなみちゃんが、なんかこっち睨んでるような気がするんだけど」
「み、みなみちゃん?え、えっと…警戒してるのかな…」
 …いきなり迂闊なこと言ってるし…。
「警戒…ふーん…ゆーちゃん。もしかして、みなみちゃんのことで何か隠してる?」
 鋭すぎる!
「え、ええええっ!?し、してないよ!わたし、何にも知らないよ!」
 あああああああ!それ思い切り『わたし隠してます』って態度だよゆたかー!
「ほほー。何を隠してるのかな?ほれほれ、お姉さんに言ってみ?」
「だ、だめだってお姉ちゃん…」
 頑張れゆたか………いや、何をやってるのわたし。見てないで止めないと。少しきつい言葉になっても構わないから、泉先輩を止めないと。
「絶対に言えないから…みなみちゃんがこの歳でおねしょ」
「ちがーう!わたしがおねしょしたのは幼稚園の時の話だからー!!」
 驚いた。心底驚いた。わたしってこんな大きな声が出せたんだ。チェリーに手で餌をあげようとして噛まれてしまったときにも、こんな大きな声は出なかった。
 静まり返る教室。止まってる時間。後ずさってるゆたかと泉先輩。
「…そ、そうだったんだ…わたし誤解してたみたい…ご、ごめんね…」
 とりあえず、ゆたかの誤解は解けていた。



508たゆたう:2009/11/27(金) 00:50:23 ID:/a3dewGd
「みなみちゃーん。ごめんなさいってばー」
 机に突っ伏しているわたしの体を、ゆたかが謝りながら揺さぶってくる。
 ううん、ゆたかは悪くないよ。何か星のめぐりが悪かったんだよ、きっと。
 それに、これをきっかけにクールで出来る人とかいうわたしのイメージが少し崩れたら、それはそれでちょっとラッキーかなーって思ってみたり。
「みなみちゃん、ストレスたまってるんじゃない?」
 いつのまに買って来たのか、缶コーヒーを飲みながら泉先輩がそう言った。っていうかまだ居たんですか。
「流れに逆らわないで、ゆったりと流れてみたい…そういう願望なんじゃないかな。みなみちゃんが見た夢って」
 そうなのだろうか。わたしはずっと、自分は周りに流されやすい人間だと思っていたのだけれど。
「周りのじゃなくて、自分の流れね。自分がこう流れたいってのにずっと逆らってたら、そりゃストレスもたまるよ」
 …この人は他人の心を読めるのだろうか?しかも、わたしでも気づかなかった奥底を。
「ま、先輩面しての戯言だから、あんまり気にしないでよ」
 そう言って、にこやかに笑う泉先輩。
「…ありがとうございます」
 わたしは、その先輩に意識せずそう言うことが出来た。
「んー…言葉が気に入ってくれたのならいいんだけど、お礼はちょっと違うかな。さっきゆーちゃんから、へんなこと聞きだそうとしたお詫びみたいなもんだし」
 照れたように頬をかく泉先輩を、わたしは今素直に尊敬している。みゆきさんといい、わたしは本当に人生の先達というものに恵まれているようだ。
「それに、みなみちゃんにはゆーちゃんと仲良くしてもらいたいからね。わたしのせいでそれがこじれたりとかしたら、家に居れなくなっちゃうよ」
「…どうしてですか?」
「いや、ここだけの話なんだけどね…実はうちで一番の権力者はゆーちゃんなんだよ」
「ちょ!?お姉ちゃん何言ってるの!?」
「…怒らすと怖いよー」
「う、嘘!嘘だからね、みなみちゃん!わたし怖くないよ!?」
 わたしには、このひどくマイペースな先輩のように、自分の流れに身を任せることは急には無理だろう。
「…そうですね。わたしも、ゆたかを怒らせないよう注意します」
「みなみちゃんまで、何言ってるんだよー!」
 だから、あの夢のようにゆっくりと、わたしはわたしの流れを知っていこうと思う。



― おしまい ―
509たゆたう:2009/11/27(金) 00:53:36 ID:/a3dewGd
以上です。

個人的に、無口な人は頭の中ではえらいことになっているような気がします。
それにしても、どちらかというと第十六回の「夢」の方に近いかなあと思ったり。
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/27(金) 01:50:16 ID:neuryLgg
>>509
無口なみなみなは誤解されやすい。その辺りがうまく表現されていると思う。

みなみ・・・クールなようで枯れそうな花に水をあげるような優しさ。
前コンクールの雨だれのイメージなんだけどね。

今回の水のお題でもみなみを出そうか考えた。
これほどみなみの作品が多く投下されれるとは思わなかった。
みなみって不思議な魅力がある。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/27(金) 06:41:47 ID:a16Icid4
「らき☆すた」4:00〜全話+OVA 放映中

http://www.justin.tv/010101010101010100
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/27(金) 07:13:28 ID:NCUz5tfC
持ってるからいいや
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/27(金) 22:50:15 ID:0V5wUKxz

>>511

あれ、 確か貴方 「 らき☆すた Part492 」 でお会いしたような・・・ ?
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 08:17:01 ID:Q4tI9UQ7
>>509
読みやすかったよ。ちょっとコミカルな地の文も良かった。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 17:57:42 ID:Q4tI9UQ7
こなた「つかつかー……つか……んー」ボソボソ
かがみ「は?」
こなた「ああ聞いてた? あのさあ、つかさが動物になったら何てしゃべるんだろうって思って」
かがみ「はあ……随分ぶっ飛んでるわね」
こなた「まあね、うーん……みゆきさんだったら『みゆみゆ』でしっくり来るんだよねー」
かがみ「あーまあわかるような……あんたの場合『こなこなー』とかね」
こなた「かもねー……あ!」
かがみ「ん?」
こなた「かがみの場合は『がみがみがみ』じゃん! うるさそー」
かがみ「そう結びつけるか……」


こなた「あ、つかさのしっくりくるのあった」
かがみ「どんな?」
こなた「バルバルバル」
かがみ「あー……」
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 20:29:47 ID:Jr6b6QuJ
>>515
つかさ、バルタン星人の親戚か?w

さてと、投下するお!
517むねぺったんガールズの日常:2009/11/28(土) 20:32:05 ID:Jr6b6QuJ

第2話 むねぺったんガールズ VS 究極宝玉獣

前回までのあらすじ!
むねぺったんガールズの活躍により、少年とじーさんの野望は打ち砕かれた。
すごいぞむねぺったんガールズ! 


 ――それから数日後。

こなた「良い天気だ。ピクニックをするにはずぇっこーの機会だね」

ある晴れた日の事、こなたのその一言から、むねぺったんガールズは三人仲良く山へピクニックに来ていた。

ゆたか「空気がおいしいね! みなみちゃん!」
みなみ「そうだね。ところで先輩」
こなた「なにー?」
みなみ「その大きい荷物は一体・・・」

みなみは、ちょっとピクニックに行くというレベルではないこなたの荷物がとても気になっていたのです。

こなた「あー、これはね」

???「楽しくピクニックごっこは終わりよ!!」
こなた「スパイダーマン・・・生きていたのか!?」
かがみ「子供の命と・・・って何を言わせてるのよ!」

ゆたか・みなみ
「・・・(゚ω゚)」

みなみとゆたかはいきなり置いて行かれた。

かがみ「貴重な登場シーンを・・・ぐぬぬ」
こなた「乗ってくるほうが悪い。で、何なのキミは」

かがみは何で仮面付けてるのに名前表記そのままかがみなのよ! と心の中で突っ込みを入れながら
はぁ、もうどうでもいいわ。と話を進めた!

かがみ「私は秘密結社『orz』の幹部かがみ! って自分でも言っちゃってるじゃない!」
こなた「さ、みんなあっち行ってお弁当たべよー」テクテク
ゆたか・みなみ
「わーい(∩´∀`)∩」

かがみ「ちょ、待って! えぇいもう! カモン!」
こなた「!?」

かがみがカモン! と叫ぶと、崖の下で待機していたと思われる魔物が姿を現した!
518むねぺったんガールズの日常:2009/11/28(土) 20:33:18 ID:Jr6b6QuJ

かがみ「むねぺったんガールズ! あんた達の力を見せてもらうわ! 行け究極宝玉獣RD!」
究極宝玉獣RD「がぉー(^q^)」
ゆたか「わっ、何あれー!」
みなみ「ゆたか、下がって」
こなた「そんな馬鹿な!」

かがみ「あら? 何をそんなに驚いているのかしら?」
こなた「究極宝玉獣ってタイトルに書いてあったからてっきりドラゴン系だと思って色々準備してきたのに・・・なんだよその犬はぁー!」

こなたは背負っていた荷物の中身をバラまける。その中には壺やら大きな剣や鎧が入っていた。

ゆたか「えぇー! それお弁当じゃなかったのーΣ(゚ω゚ノ)ノ」
かがみ「ふん、世の中そんなに甘くないってことね。さぁ覚悟!」

 究極宝玉獣RD。体中に無数の宝玉を埋め込んだ高価な犬。見た目とは裏腹に非常に凶悪なモンスターだ!
必殺技は光り輝く宝玉で相手を惑わすレインボーフレア!

究極宝玉獣RD「(U^ω^)わんわんお!」ピカー
ゆたか「わぁー、きれいー・・・」
かがみ「今だ!」

宝玉に目を奪われてしまったゆたかにかがみは捕獲用の網を投げつける。

みなみ「ゆたか危ない!」ドンッ
ゆたか「キャっ」
みなみ「あぁー」ジタバタ

間一髪、ゆたかを救う事ができたみなみだが、逆に自分が捕まってしまった。

ゆたか「みなみちゃん!」
こなた「このぉー!」
かがみ「撤収よRD!」
究極宝玉獣RD「おk」

かがみの上空に来ていた一機のヘリコプターに一人と一匹は乗り込んだ。
519むねぺったんガールズの日常:2009/11/28(土) 20:35:06 ID:Jr6b6QuJ
こなた「待て! 私たちの力を見るんじゃなかったの!?」
かがみ「えぇそうよ。だからサンプルとして一人捕まえたの。この子は良い研究材料になりそうよ。胸も1番無いみたいだし」
みなみ「・・・っ」
ゆたか「みなみちゃん!」
みなみ「大丈夫・・・心配しないで」ニコッ
ヘリコプター「行くぜ!」

みなみを乗せたヘリコプターはあっという間に上空に舞い上がり、見えなくなってしまった。

ゆたか「みなみちゃん・・・私のせいで・・・うぅ・・・」
こなた「ぺたんこパンチ!」

何もできなかった自分に、こなたはただ地面にぺたんこパンチを叩きつける事しかなかった。

こなた「・・・行こう」
ゆたか「・・・」
こなた「月面基地へ!」
ゆたか「うん!」



 −次回予告−

 さらわれたみなみを救出するため、ついに月面基地にたどり着いたこなた達。
 しかし、そこにはかがみが率いるorzの部隊が待ち構えていた。
 襲い来るorzの猛攻に苦戦を強いられる二人、果たしてみなみを救う事はできるのか?
 絶体絶命のピンチのその時、桃色の髪の少女が現れる!
 次回、新機動戦記ぺたんこW、第3話「ウィキペディアと呼ばれる女」
520むねぺったんガールズの日常:2009/11/28(土) 20:36:56 ID:Jr6b6QuJ
以上。テンション高くて申し訳ない。それではまた土曜日に!
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/28(土) 23:05:50 ID:0jqJwBeT
面白いIDだ
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/29(日) 19:04:02 ID:QcPz1Vlg
>>490
ちゃんとした考えで投票してるね。それに、それはレビューそのものだよ。
今度レビュー書いてみたら?

>>520
雰囲気が『怪傑かがみん』に似ているけど同じ作者?
間違えていたらごめんなさい。

次回を楽しみにしています。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 00:58:35 ID:l+zkP+oa
>>522
なんでそんな上から目線なんだよw 
吹いたわ
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 02:59:25 ID:+qNHdNKO
投下いきます。

※強烈な黒つかさ注意 あと胸糞悪いかもしれません
525とりとめのない犯行記:2009/11/30(月) 03:00:39 ID:+qNHdNKO
ここは我が家の台所だ。
銀の流し台と、白いまな板と、褐色の食器棚がある。
床にはフローリングの板の隙間の直線が平行に走っている。
そのうちいくつかに、血が流れていて、その上に姉の死体がある。
そして私はその血を刃先から静かにこぼす包丁の柄をまだ左手に握っているところだ。

私は柊つかさ。姉は柊かがみ。
今日は土曜日で時刻は昼の十二時。まだ布団を出て十分と経っていない。
つまり私の一日はこの殺人に始まったわけだ。
それを不幸なこととか、憂鬱なこととか、今そういうことは考えていない。
そんなことは要らぬことであった。
むしろこの後をどうすべきか考えていた。
いや、考えると言うよりも、どうしようか、という言葉を頭に浮かべるだけで、実際は死体とその周りを茫然と見回しているだけだった。

私はこれを隠す気など全然なかった。
むしろ見せびらかしたい、この事実を誰かに視認してほしいという気すらあった。
私を異常者と思うかもしれない。
むろん私はそんなつもりはなく、自分はいたって正常な人間だと言い張る自信がある。
その根拠を言うなら、例えば、これから私はこの現場を家族あるいは誰か他人に見つけられ、何かしらあって、結果的に法律によって裁かれることはわかっている。
そして私はそれに対して特に抵抗する気もない。

法律──そういえばこの姉は法律を学びに大学へ通っていたのだった。
私には、いったい法律の何が面白いかはわからない──むしろ私は法律が嫌いだ。
それはこの姉によって──私の心の「嫌いなもの」のゴミ箱へ、姉とともにまとめて捨て去られたものだ。
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 03:01:19 ID:+qNHdNKO
姉への嫌悪感は大学の頃から積もり始めた。
それまでは──良くも悪くも、私は姉を心底から頼っていたと思う。
その頃はまだ、この姉は私にとっての「頼れるおねえちゃん」だった。
例えば、中学や高校の頃は、寝坊しそうな私をいつも起こしに来ていた。
起こされるのは決して愉快なことではなかったが……しかし起こされなければ結果的にもっと憂き目に遭うのだから、これは私にとって多分ありがたかったのだ。

しかし大学に入ってからとなると違った。
姉はいつも自分の通学前に私を起こしにきた。
それまでと違うのは、私が授業のない日や、授業はあるが遅くから始まる日にも来ることだ。
当然私は姉に文句を言った。
「今日はないから起こしに来なくてもいいよ」
姉ははじめこれへの返答を溜息だけで済ませていた。
だが次第に要らぬことを付け加えるようになった。
例えばはじめはこういうことを言った。
「だってあんたこの前遅刻したんでしょ……私が起こさなかったらいつまでも寝てるじゃない」
私は渋々起きた。
確かに一度起こされたがまた眠り、始業時刻を過ぎてしまった日がこの少し前にあった。
姉の言うことは少なくとも正しかったかもしれない……しかし私にはそれが姉が無用な世話を焼くことに対する言い訳にしか聞こえなかった。
そして日が経つと姉はさらに癪にさわることを言い出した。
「あんたはホントどうしてそんなにだらだらしてるの? 起きなさいよ今日も授業あるんだし」
私にとってこれはただの挑発でしかなかった。
私はかっとなり、嫌々起きる仕草を見せたが、姉が一息ついて部屋を出るとすぐさま布団を深く被り、終わらぬ愚痴を呟き続けた。

その後間もなく、姉は他の姉(私にはこの「かがみ」以外に二人の姉がいる)や父・母に私の怠慢のことを愚痴り出した。
愚痴は食卓で嘲笑を含んだ嫌味となって、その姉らから私に浴びせられた。
私は心底腹を立てていた。
そのとき「姉を殺したい」という願望が芽を吹いていたかどうかはよく覚えていない。
ただこういった事柄が私にとって姉が「ムカつくやつ」だということを決定づけたことには間違いない。

そして今日も姉は私に嫌味を言い放った。
「ホントあんたの取り柄は料理だけね」
私はかっとなり野菜を切っていた包丁を振り上げようとしたが、こらえた。
代わりによくも包丁を持った私に向かってそんなことを言う勇気があるものだ、と心底侮蔑した。
そんな所にさらに姉は言葉を加えてきた。
「全くねえ、本当は授業のない日でも起きるべきよ、しっかりしないと。この先やっていけないわよ?」
姉は流しで手を洗い始めた。
私はこの二度目の挑発に心を制御できなかった。
日頃のストレスもあったのかもしれないが──とにかく我を忘れていた。
そして石鹸の泡を丹念に指になじませている姉の後頭部めがけて、包丁の刃先を振り落とした。
527とりとめのない犯行記:2009/11/30(月) 03:02:18 ID:+qNHdNKO
私は再び腹を立てようとしていた。
なぜなら最後に姉のこぼした一言があまりに癪にさわったからだ。
最後の一言、というのは死に際のおぼろげな嘆息ではなく──「この先やっていけない」という言葉だ。
おそらく姉は何か考えがあってこんなことを言ってのけたわけではなかろう。
こんなものはただの虚構だ。
むしろ全うに何かを考えていれば、こんな軽薄な言葉は出るはずもない。

私はこういった正論が嫌いだ。
現実の観察を伴わない理想や主義ありきの型にはまった戯言を聞く度に、私はいらいらしていた。
よくよく思えば高校の頃の教師も、特に受験間際、やたらと中身の薄っぺらな正論を言い放っていたものだ。
もっとも、それは今はどうでもよく、いちばん嫌悪を抱かせたのは姉のこぼす正論だったが。
姉は勘違いをしていた。
すなわち、「全ての人間は勤勉であるべきで、憲法の義務に従って労働し、社会に奉仕しなければならない」といった主義に洗脳されたような人間だった。
姉は勤勉だったから、そういった自分の肌に合うイデオロギーを喜んで受容したに違いない。

私は、こういう人間にはならないでいよう、と思った。
つまり、理想や主義にとらわれてその言いなりになる自分を良しとし、そうでない他者を軽蔑し排斥するような人間には──。
代わりに、人間の本質こそを受け入れようと思う。
所詮この世の中は主義などでは動いていないのだ──誰もが自分の信条をもとに、また時として気まぐれで行動している。
そういった全ての物を受け入れようではないか。

少し可笑しくなった。
犯罪者がこんな立派な物言いをするなど滑稽なことだ。
もちろん、取り調べの警官の前でこんな詮無い主張を並べたてるつもりはない。
むしろ最低限の返事だけして早く済ませてしまおう。
警官は、私の主義など興味もないし、私もこんな主義は実のところどうでもいい。

主義、という言葉を使った。そう、主義なのだ。
私が「勤勉主義」を否定したことにしても、姉を反面教師にして自分はそうせぬようと考えたのも。
主義を否定して生まれるものもまた主義なのだ。

一体どうして、母の胎内を共有し、一つ屋根の下に育てられた姉と私が、こうも方向の異なる主義を手に入れたかはわからない。
しかし主義に関して私達は敵対していたことは確かだ。
大げさに言えば、これは主義と主義のぶつかり合いの戦争だ。
528とりとめのない犯行記:2009/11/30(月) 03:03:01 ID:+qNHdNKO
……いや、そんなものでもないかもしれない。
実際私の犯行の決め手となったのは、腹が立ったから、ただそれに過ぎない。
それを主義とするなど滑稽この上ない。
しかしあえて「主義」という語を使うなら、「もともと主義で敵対していた者を殺す機会が偶然にも生まれた」、ということにでもなるだろう……

そんなことを考えたあたりで、段々とどうでもよくなってきた。
これ以上は考える意味もなさそうだし、興味も失せてきている。
今考えたことは一切忘れてしまおう。
それでまずいことなど何もない。

それからしばらくして、私は留置所へ送られた。
あまりに暇なので昼の続きでも考えようかと思ったが、どうにもやる気にならないのでやめた。

これから私は裁判にかけられ、判決を言い渡され、おそらく刑務所暮らしになる。
その裁判では皮肉にも、姉が目指そうとしていた、「弁護士」のお世話になることになる。
しかし私は、別にそのことに嫌悪感はないし、素直に身の回りに起こることに従おうと思う。

ところで、罪を後悔しているかと言うと、それは微妙だ。
犯行動機が一時的なものであるとはいえ、結果的に私にとって煩わしいものは消えたのだ。
その旨味を味わえるのは刑務所を出てからということになるだろうが、まあそれでも構わない。
もし後悔するような気になったなら、その時は思い切り後悔すればいいのだ。

どうせ人間なんてそんなものだ。
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 03:04:48 ID:+qNHdNKO
以上。2レス目sage忘れてもうた。
なんかえらいムカついてたので書かせてもらいました。
弁解しておくと、別に自分は法律が嫌いなわけじゃないです。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 07:16:13 ID:Vv3dG7QE
>>522
違いますよー

しかし、反応薄いなぁ……もうこの手のSSは読まれなくなったんだね
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 08:00:48 ID:+qNHdNKO
>>530
大丈夫読んでるから。
しかし感想の仕方がわからなかったんだわ。
面白かったと思うよ。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 12:16:20 ID:1RFLQ03R
−いたずらの裏側で−


三年B組同窓会

「なあ、アレ結局どうなったんだ?」
「アレって?」
「ほら、お前卒業式の日に、隣のクラスの柊呼び出して告白するからって、机に手紙入れにいっただろ」
「あーアレ…柊の机にさ、先に別のヤツが手紙入れててさ、止めたんだ」
「そうか…」
「まあ、あの柊が俺なんか相手するとは思えないし、あの手紙のおかげで諦める踏ん切りがついたってもんだよ」
「…うし、今日はとことん飲むか」
「おう」


こなた(ごめんかがみ!わたし余計なことした!超余計なことした!!)
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 20:26:18 ID:hveYzAsW
>>529
つかさ・・・

>>532
片思いは片思いで終わるのが殆ど。
はるか昔、告白したことを思い出してしまった。もちろん結果は・・・です。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 21:33:52 ID:sB8xoCmh
最近、既出ネタ多いな
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:11:34 ID:l4uyoQZ4
量が量だけにしゃーない
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 22:25:39 ID:hveYzAsW
全ての作品を把握するのは難しい。1レス〜長編まであるからね。
もしかしたら他のssサイトでも似たような作品があるかもしれない。
全てオリジナルってなかなか難しいかも。
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:04:52 ID:Vv3dG7QE
>>529
末っ子って何かといろいろ言われるんだよね

>>531
そう言ってもらえると救われるよ
ありがとう
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:28:22 ID:Kd0ZcX42
>>536
難しいってか普通に考えたらまず無理
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/30(月) 23:58:28 ID:yYIqiWEb
なんか結構な行数で書き込めるみたいですね
やってみるかな
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/01(火) 00:25:21 ID:ub5ANwXu
>>15に60行いけるって書いていありますね。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 18:22:24 ID:WFYf3pMj
らきすたメンバーが楽器使うとしたら何が似合うかね

みなみは原作ではピアノだけども個人的にちっちゃいバイオリンが似合うと思う
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:19:57 ID:TBcWfXLM
>>541かがみはギターだな。往年のロックスターのようにそれを床に叩きつけるんだ
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:31:52 ID:YPqidxxg
つかさはリコーダーのイメージが強すぎるw
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 19:39:29 ID:WmbAP0if
オーケストラに例えるなら
バイオリンは主題を弾くので主人公のこなた
つかさはゆったりしてるからコントラバス
かがみはなんとなくビオラ(こなたと同じバイオリンでもいいかな、第二バイオリンでこなたと掛け合う)
みゆきは知的にチェロ
みさおは元気に打楽器全般
あやのは静かにハープ
ゆたかは可愛らしく管楽器でフルートとかピッコロあたり
みなみは哀愁があるオーボエ
ひよりは自分のイメージ的には低音の管楽器ファゴット辺り

と勝手にイメージしてみた。
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 22:10:35 ID:WFYf3pMj
>>542
かがみ「またダイエットに失敗したぁー」ガシャンガシャン
つかさ「お姉ちゃんやめてー(>△<)」ミー

バンド的だとやっぱかがみはギターが似合うね
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 23:04:08 ID:btl2jGcE
ゆい:つかさ
みお:かがみ
りつ:みさお
むぎ:みゆき

こうなる
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 23:10:40 ID:WFYf3pMj
>>546
こなたが除外される日がくるとわ…w
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/02(水) 23:27:29 ID:SdIRqAcF
メイン4人に強引に当てはめなくていいなら俺もみさおだと思
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 03:26:40 ID:rsf00NfY
久しぶりにSS投下します。
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 03:28:38 ID:wDWUkwIA
どうせなら質の高いのを頼むぜ
551夜明け:2009/12/03(木) 03:31:55 ID:rsf00NfY
夜、私は夢を見た。

夢の中で、私は会話をしていた。
全く知らない人と……
全く知らない場所で……
でも、私はふと気づくまでは、自分が今いる場所も、今話している相手のことも全く気にならなかった。
ここは、私のいるべき場所で、この人は私が心を許して話せる人間だ。
そう思っていた。
そして事実そうなのだ。
この夢の中では……
私が夢を夢と認識するまでは……

気づいてから急に怖くなった。
ここはどこなのだろう…話しているのは誰なのだろう……
こなちゃんは?ゆきちゃんは?お姉ちゃんは?
必死で見知った世界へのカギを探し、そして携帯電話がポケットに入っていることに気づく。
これで電話をすればいい!
溺れているところに投げ込まれた浮き輪をつかむように、ぐっと携帯を握りしめた途端、覚醒の気配を感じた。

勢いよく飛び起きる。
夢とはわかっていても空気を求めて水面から必死で顔を出そうともがくように

552夜明け:2009/12/03(木) 03:32:37 ID:rsf00NfY
いやな夢見ちゃったな……

上半身を起こしてあたりを見渡すと、3人が私とは対照的に穏やかな表情を浮かべて眠っている。
そう、今日はこなちゃんが言い出した卒業旅行に4人で来ていたのだ。
今いる部屋はその旅行先の民宿の一室。
ここに自分がいる経緯をなぞるように思い出す。
あまりにもリアルな夢のせいで少し頭が混乱している。

どうしよう……目がさめちゃったよ

どうやらしばらくは寝れそうにない。
しばらく悩んでいると、窓から差し込んでくる月の光が目に入った。
おいでおいで、と優しく語りかけてくるその光に吸い寄せられる。
私はパジャマのままで外に出た。
私たちの民宿は前に黒井先生たちと海に来た時に泊まったところだ。
海までは歩いてすぐ
夏には人がいっぱいいるはずの海もこんな季節のこんな時間には誰もいない。
風、波の音
星、月の光
世界に私一人しかいないような錯覚に陥る。

さっき見た夢を思い出す
知らない場所、知らない人
これから訪れるだろう場所、これから出会うかもしれない人

星は、変わらず輝き続けるだろう
私が生きている間はおそらく
でも私は変わっていく
月は、変わらず廻り続けるだろう
私が死んでもおそらく
でも私の人間関係は変わっていく

そしてそのときはもうすぐそこに迫っている

寒い…
まだ冬が明けきってないのだろうか、それともこんな真夜中だから冷えるのかな
違う
心がそう感じさせるんだ
怖い
心の中の寒さがその壁を突き破って肉体からも体温を奪っていく
苦しい
さっきまで優しく見守っていてくれていたはずの海が急に牙をむく
意識が海の底に引きづり込まれる
息が…苦しい
精神がおぼれて悲鳴をあげたい衝動に駆られた時、後ろからの声に私は引き上げられた。

553夜明け:2009/12/03(木) 03:34:15 ID:rsf00NfY
「つかさ?」


「こなちゃん?」
「どったの?つかさ。こんな時間に。ぼーっと立ってたけど大丈夫?」
「うん。もう大丈夫」
「ホントに?」
「……うん」

「こんな時間に何してたの?」
「あのね、いやな夢……見たんだ」

「それで寝れなかったからすこし歩こうかと思って」
「そっか、起きた時つかさがいなかったから心配したよ」
「ごめんね」
「無事だったならいいよ」

「無事……じゃないかも」

「え?」
「こなちゃんは怖くない?」
「何が?」
「卒業しちゃうこと」
「なんで?」
「なんでって……」
「新しい生活に、とか?」
「いろいろ変わっちゃうのが」
「怖い、かぁ。あんまり感じたことないなぁ」
「夢の中でね」
「うん」
「私、全く知らない人と話してるの……」
「それで?」
「それだけ」
「それだけ?」
「うん」

554夜明け:2009/12/03(木) 03:35:19 ID:rsf00NfY
「私ね、中学校のときに仲の良い友達がいたんだ。だけど高校に入ってからは電話もしなくなっちゃった」
「うん」
「あんなに仲が良かったのに……でも今はもうそのことが自然になっちゃったし、ほとんどの時間はその子のこと自体忘れちゃってるんだ」

「だからね……怖いんだ。これからみんな大学生になったらこなちゃん達とも会わなくなって、最終的には全部忘れちゃうんじゃないかって…」

「私はあんまりそういうこと考えたことないな。基本的に今が楽しければいいっていうか、あんまり先のことは考えない」
「うん」
「それでよくかがみなんかには怒られちゃうけどね」
「……そうだね」
「だからつかさの言うようなことは考えたことないな。でも」
「……?」
「そんなに心配する事じゃないよ、多分」
「そう……かな?」
「私も中学校のころ仲が良かった子がいてね」
「そう言ってたね」
「今は全然連絡取ってないけど」
「うん」
「でもそれでその子と関係が切れたなんて思ってないよ」

「高校に入って新しい友達ができて、連絡とらなくなってさみしく思ったこともあったけどそうやって変わっていくことは悪いことじゃないよ、多分」
「でも、私は怖いよ、こなちゃん達と離れていくのが」
「だったら積極的に連絡を取ればいい話だよ。昔の人も遠く離れても、手紙とかで連絡し合ってたんだから」
「そっか、じゃあ私、こなちゃんに手紙を書くよ、いっぱい」
「……はは、つかさってほんとそういうとこホント天然だよね」
「ふぇ?」
「現代なら手紙じゃなくてもいつでも電話やメールで連絡取れるじゃん」
「はぅ、でもこなちゃんメール返してくれないし」
「むぅ、つかさに一本返されるとは」

555夜明け:2009/12/03(木) 03:36:13 ID:rsf00NfY
そう言いながらこなちゃんは嬉しそうに笑った。
つられて私も笑った。
二人並んで空を見上げる。

星は、変わらず輝き続けるだろう
私が生きている間はおそらく
でも私は変わっていく
月は、変わらず廻り続けるだろう
私が死んでもおそらく
でも私の人間関係は変わっていく

そしてそのときはもうすぐそこに迫っている

暖かい……
そう感じるのは朝が近づいてきたから?
ううん、きっとそれだけじゃない


白んだ空が長い夜の終りを告げようとしていた。

556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 03:38:20 ID:rsf00NfY
以上です。
こんな時間に人がいるとはw
って書きこんでる自分が言えることじゃないですが…
ご期待に沿えたかは自信ありませんw
なんとなく卒業をテーマに書いてみました。
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 03:43:57 ID:kZQz3NzM
>>556
つかさとこなたの組み合わせ好きな俺にはタマランww
あったかい雰囲気に和んだぜGJ

最近は偶然投下と居合わせることも珍しいよな
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 03:49:12 ID:wDWUkwIA
GJ
つかさとこなたの組み合わせってまったりしているのがいい
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 17:43:10 ID:/QKpg8bq
突然スレ違いの質問失礼します。

ssを書くとき自分はほとんど一人称で書いている。
理由は一人の視点で書いた方がストーリがうまく運んでいけるからなんだけど。

三人称はすごく難しいと思った。
登場キャラの心情や動作を描写しないといけないし、
ストーリの焦点が定まらない。

でも一人称だと主人公が見ていない所とか居ない出来事の描写とかが表現できないんだよね。
三人称でss書く時のアドバイスとかがあると助かります。
560むねぺったんガールズの日常:2009/12/05(土) 19:49:21 ID:+3fYDZZd
なんという過疎ードテイマー

>>556
乙!
良い話だけど、それ以前につかさとこなたの組み合わせに和んでしまったw

>>559
確かに三人称はムズイ。

俺が言えるアドバイスとしてはキャラが変わる節に入ったら
所変わって、とか、一方その頃、とか文の始めに付ければ少しは書きやすくなる
という事しか言えないッスよ!

逆に一人称で他の人の描写を入れたかったら、描写を入れたいキャラに説明させれば良いんじゃないかな?

こなた「あれ? どうしたの?」
かがみ「いや、駅前のコンビニに居たらどーのこーの」

↑もちろん全部説明させると奇麗じゃないからいろいろ省略しなきゃだが。
こんぐらいしか言えん


さて、本日も投下しますか!
561むねぺったんガールズの日常:2009/12/05(土) 19:50:39 ID:+3fYDZZd

第3話 ウィキペディアと呼ばれる女

前回までのあらすじ!
楽しくピクニックに来ていた3人の前に突如現れた『orz』の幹部、かがみに
みなみがさらわれてしまった。残された二人はみなみを救出するべく動くが果たして・・・。


ここは月面基地。

かがみ「さぁ。あなたの力を見せてみなさい」
みなみ「・・・」
かがみ「何で黙ってるのよ」
みなみ「見せてみなさい、と言われても・・・何をすれば・・・」
かがみ「何って・・・何かあるでしょ?」
みなみ「よく・・・わかりません」
かがみ「( ゚Д゚)」

 ――一方こちらはこなたたち。

こなた「月面基地に着いたよー」
ゆたか「待っててね、みなみちゃん!」
orz団員「うわー! 不法侵入者だぁー! orz」
orz団員「もう駄目だ―orz」
orz団員「しかもぺったんこだぁーorz」

こなた「なに・・・この人達は・・・」
ゆたか「酷いよぉー><」
こなた「とりあえず、ぺたんこパンチ!」

( =ω=)つ)Д゚)

orz団員たち
「ぬうぇあーーーーーーーーー!!」

???(あれ!? こんな展開聞いてませんよ!?)


 ――みなみサイド。

かがみ「とりあえず、いろいろ準備するからこの部屋で待っててくれる?」

そう言われたみなみは客間と書かれた部屋に入る事にした。

みなみ「牢屋だと思ってた・・・ホッ」
みなみ(それにしても・・・これからどうしようか。何とか逃げださないといけないんだけど)

???「あら? 誰かいるの?」
みなみ「え?」
あやの「こんにちわ」
みなみ「あ、こんにちわ」

客間の奥から出てきたのはカチューシャで前髪を上げている少女、あやのだった。
562むねぺったんガールズの日常:2009/12/05(土) 19:51:40 ID:+3fYDZZd
あやの「あなたも捕まったの?」
みなみ「あなたもって事はあなたも?」
あやの「ふふ、そうよ。私はあやの。あなたは?」
みなみ「・・・みなみです」
あやの「みなみちゃんね。みなみちゃんはどうして捕まっちゃったのかしら?」
みなみ「えーと・・・(胸がないからなんて言いたくない)」
あやの「あ、言いたくないんだったらいいのよ? 辛いこと思い出させちゃってごめんね」
みなみ「いぇ・・・」

 ――こなたサイド。

こなた「敵はあらかたやっつけちゃったね」フフン
ゆたか「やっぱりお姉ちゃんはすごいなぁー」

ゆたか「あ、あんなところにお部屋があるよ?」
こなた「ホントだ。入ってみよっか」

かがみ「させないわよ!」
  ド    ン   !

こなた「なんだかがみか」
かがみ「な、ちょ! なんだは無いでしょ!?」
ゆたか「みなみちゃんを返してください!」
かがみ「お断りよ。飛んで火に入るなんとやらってね。あんたら二人も捕まえてあげ、」
こなた「ぺたんこパンチ!」

( =ω=)つ)Д´)グェ

かがみ「きゅう・・・」バタッ

???(えぇぇえぇぇー!?)

こなた「これがぺたんこの力だよ。身をもって味わってね」
ゆたか「わーい、勝ったんだね」

???(予告では私が助けたりする話って聞いてたんですけど。おかしいですねー・・・)
563むねぺったんガールズの日常:2009/12/05(土) 19:52:29 ID:+3fYDZZd

こなた「客間・・・とりあえず開けてみよっか」ガチャ

みなみ「? あ、先輩。ゆたか!」
あやの「あら? お迎え?」

客間ではみなみとあやのが、こたつでお茶を飲んでいた。ぬくぬくだ!

こなた「やっほー、みなみん。どうやら無事みたいだね」
みなみ「はい。ご心配おかけしました」
ゆたか「みなみちゃんホントに大丈夫なの?」
みなみ「うん・・・大丈夫。ゆたかの方こそ怪我とかはしてない?」
ゆたか「私も大丈夫だよ。お姉ちゃんが守ってくれたし」
こなた「いやいや〜」ニマニマ

あやの「お別れね。少しの間だったけど話せて楽しかったよ」
みなみ「あやのさんも一緒に・・・」
あやの「ううん。私はまだ良いの」
みなみ「何故?」
あやの「待ってる人がいるから。みなみちゃんに迎えに来てくれる人がいるように、私にも助けに来てくれる人がいるの。
    私はその人を待ちたい」

こなた「あの人、誰だろ?」
ゆたか「看守さんかなぁ?」

みなみ「・・・分かりました。じゃあ」
あやの「うん。またね」ノシ

564むねぺったんガールズの日常:2009/12/05(土) 19:53:38 ID:+3fYDZZd
みなみ「お待たせしました」
こなた「うん、じゃあ行こっか」

みなみ「・・・そういえば。どうやって月に来たんですか?」
こなた「・・・知らない」
みなみ「え?」
こなた「気づいたらここに・・・」
ゆたか「ふぇ〜〜ん、どうやって地球に帰るの〜><」

???(ここですね!?)
???「その件につ――みなみ「・・・ここが月基地なら。地球に帰る宇宙船か何かがあるはずです」
こなた「おぉーそっかー! さっすがみなみん!」
みなみ「いえ・・・」
???「あ――こなた「よーしじゃあ宇宙船で帰ろー」
ゆたか・みなみ
「おぉー」

三人は格納庫へと向かっていった。

???「・・・」


みなみ(それにしても・・・)

☆☆☆

ゆたか「私も大丈夫だよ。お姉ちゃんが守ってくれたし」
こなた「いやいや〜」ニマニマ

☆☆☆

みなみ(私にも・・・頭脳だけじゃなく、ゆたかを守れる力が欲しいな・・・)

みなみの悩みの種が、またひとつ増えた。因みに一つ目の悩みは言うまでもない。


 ーー一方そのころ。

かがみ「いたたた・・・も〜。いきなりパンチなんてひきょ、」
???「てい!」パァン
かがみ「ぐぇ」

みゆき「私はウィキペディアと呼ばれる女、みゆき! よく覚えておいてくださいね!」プンスカプン!
かがみ「な・・・なんなのよ・・・」ガクッ


 −次回予告−

 みき「ぺたんこファンタジー:アンリミテッド。
    予言します。
    こなた。ゆたか。みなみ。むねぺったんガールズを追い求める冷酷なる者に、愛の光が炸裂する。
    『みなみー思い出のオルゴールー』
    次回もアンリミテッドな導きを・・・」    
565むねぺったんガールズの日常:2009/12/05(土) 19:56:05 ID:+3fYDZZd
以上。今回は急ピッチで仕上げたためセリフだらけになってしまった。
こんなネタでも一週間に1回は結構大変だw
書きなれてる人はそうでもないだろうけど
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 22:58:27 ID:WM/Fxydg
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:51:48 ID:/QKpg8bq
>>559
アドバイスどうもです。
人称はあまりこだわらない方がいいようです。避難所で詳しく解説してあった。
今まで通り一人称でいくかな。
っと言ってもまだストーリが思い浮かばんw

>>565
続きを楽しみにしています。
568WALS-1:2009/12/06(日) 02:22:50 ID:7mw9B/R/
投下行きます。

忘れたころに第一話。
色々あってモチベーションが下がりまくってたんです…。
569WALS-1:2009/12/06(日) 02:24:01 ID:7mw9B/R/
「ねえ、ホントにここでいいの?」
 少女は部屋の外でドアの側の壁にもたれかかり、中を調べている少年に苛立ちを込めてそう聞いた。
「うん、間違いないはずだよ」
 なんの躊躇もなく答える少年に、少女はため息をつく。
「…つっても、ここって枯れた遺跡でしょ?あんただって何回か来たことあるじゃない」
「そうだけど、条件に当てはまるのが、この辺りだとここしかないんだ」
「まあ、あんたがそこまで言うなら文句言わないけどね」
 そう言いながら腕を組む少女に、今度は少年がため息をつく。
「…さんざん文句言ってたじゃないか」
「ん、なんか言った?」
「いや、何も言ってないよ」
「どうでもいいけど、来たことある遺跡だからって、油断して変なトラップにかからないでよ?」
 そう言って少女は部屋を覗き込み少年の方を見たが…そこに少年の姿はなかった。
「あ、あれ?…ちょっとどこ行ったの!?」
 慌てて部屋に飛び込み、少女は中を見渡した。よく見ると、部屋の中央にぽっかりと穴が開いている。
「あんたバカでしょーっ!!」
 穴に向かって叫ぶ少女の耳に、少年の間抜けな悲鳴が聞こえた。



― わいるど☆あーむずLS ―

第一話『喋る銃と渡り鳥』



 背中が痛い。何か固い場所で寝ているようだ。そんな違和感を覚え、こなたは目を覚ました。
「…どこ、ここ?」
 上半身を起こし周りを見てみると、石造りの狭い部屋の中いる。どうやらここの床に寝ていたらしい。
 自分は確か学校の教室で授業を受けてたはず。なぜこんな所に居るのだろうか。
「…いてっ」
 こなたは夢かどうかを確かめるために頬を引っ張り、痛みに顔をしかめた。夢ではないようだが、それだと今の状況にまったく説明がつかない。
『ああ、やっと目が覚めたね』
 戸惑うこなたの耳に、誰かの声が聞こえた。こなたは慌てて部屋の中を見渡したが、人らしき姿はまったく見えない。
『こっちだよ。君の右手の近く』
 こなたは自分の体を支えている右手の方を見た。底に落ちていたのはつややかに黒光りする、リボルバー式の拳銃だった。それを拾い上げてみる。
『とりあえず、君の名前を教えてもらえるかい?』
「うわぁっ!?」
 拳銃から聞こえてきた声に驚き、こなたは思わず部屋の隅へと放り投げてしまった。
『ひ、ひどいなあ…』
 文句を言う拳銃を、こなたは恐る恐るといった感じで再び拾い上げた。
「ご、ごめん、ちょっとびっくりしちゃって…」
『まあ、いいや。それで君の名前は』
「えーっと、わたしはこなた。泉こなただけど…」
『オーケー。パーソナルネームはこなたで登録っと…僕は形式番号 A-ARMS01。呼称はアガートラーム。今から君のパートナーなるARM(アーム)だ』
 得意げにそう言うアガートラームを、こなたはしげしげと眺めた。どう見ても普通の拳銃で、どこにこんな人と会話が出来るようなハイテクが詰まっているのかまったく分からない。
「ねえ、ここは一体どこなの?なんでわたしここにいるの?」
 とりあえずこなたは、いろいろ知ってそうなアガートラームに今の状況を聞いてみることにした。
『ああ、ここはね…えーっと…あれ…?』
 急に自信がなさそうな声になるアガートラームに、こなたは首をかしげた。
『…おかしいな。メモリーに制限がかかってる…』
「どういうこと?」
『ぶっちゃけ記憶喪失だね』
「ふざけんな、このポンコツ」
 こなたは今度は自分の意思でアガートラームを部屋の隅へと投げつけた。


570WALS-1:2009/12/06(日) 02:25:26 ID:7mw9B/R/

「…えーっとこれとこれと…これ、かな」
 こなたは部屋のあちこちから、アガートラームに言われたとおりに、いろいろなものをかき集めていた。
 肩掛けの鞄に弾薬ケース。それに腰に巻く銃のホルスター。それらを身につけ、アガートラームをホルスターに収めようとした。
『あ、ちょっと待って』
 その動作をアガートラームが止める。
「ん、どしたの?」
『何があるか分からないから、弾を装填しておいたほうがいいと思うんだ』
「何があるって言うんだよ…」
 こなたはかなりの不安を覚えながら、指示通りに弾を装填した。
「正直、リアルでこんなの使いたくないんだけどな…」
『いや、そうも言ってられないんじゃないかな』
 アガートラームがそう言うと同時に、部屋の外から何かの足音が聞こえてきて、こなたは思わず体をすくませた。
「な、なに?」
 ゆっくりと部屋の出入り口のほうを見る。壊れているのか最初からなかったのか、この部屋にドアというものはない。そこから、茶色い毛並みの獣が部屋に入ってきた。
「い、犬?…いや、狼かな…ってか、なんでこんなところに?こういうのって山とか森に居るんじゃないの?」
 不機嫌そうに唸る狼を前に、こなたは弾の装填を終えた銃を構えながら、その銃に向かってそう聞いた。
『さあ、僕に聞かれても…』
「…ポンコツ」
 こなたは呟きながら、しっかりと狼に向かって狙いをつけた。当たるかどうかは分からないし、生き物を撃つのには抵抗がある。しかし、このままだとただ襲われるだけだ。
 やらなければやられる。その思いで、こなたは引き金を引いた。カチンと、乾いた後だけが部屋に響く。
「え?あれ?な、なんで?」
 こなたは慌てて何度か引き金を引いたが、まるで弾が入っていないかのように空撃ちを繰り返すだけだった。
『逃げた方がいいかもね』
 アガートラームがそう呟くと同時に、狼が飛び掛ってきた。こなたは床を転がってそれを間一髪でかわすと、そのまま部屋を飛び出した。


「このポンコツー!」
 こなたは万感の思いを込めてそう叫びながら、部屋と同じ石造りの廊下を全力で駆け抜けた。
『いや、困ったね。なんで撃てないんだろ』
「ひとごとみたいにいうなー!!」
 先がなかなか見えない長い廊下。こなたは走りには自信があったが、荷物を抱えている上に相手は狼である。どんどん距離が縮まってきているのが、吠え声と足音で分かった。
「こんなわけの分からない所で、わけ分からないうちに死ぬなんて絶対やだ…」
 そんな泣き言を呟きながら、そして実際半分泣きながらこなたが走っていると、部屋があったのか横道があったのか、廊下の右手から人影が出てくるのが見えた。
 こなたはその人影に助けを乞おうとしたが、それより早く人影はこなたに銃を向け叫んだ。
「伏せてっ!」
 その声に反応して、こなたはヘッドスライディングのように床に這いつくばった。それと同時にすぐ後ろまで来ていた狼がこなたに襲いかかろうと飛び上がり、その直後に重い銃声が響いた。
 こなたが顔を上げ恐る恐る後ろを振り向くと、かなり後ろに吹っ飛ばされた狼が廊下に横たわり動かなくなっていた。
「大丈夫だったかい?」
 声をかけられ、こなたは今度は前を見た。先ほどの人影である、一人の少年が床に倒れているこなたに手を差し出していた。
「…あ、ありがとう」
 その手を取って立ち上がりながら、こなたは礼を言った。
 その少年は自分より少し年下に見え、ジーンズに破れの目立つTシャツ、その上に赤いジャケットを羽織ったラフな格好だ。そして左腕には、やけに目立つ大きな金属製の篭手をはめていた。
「こんなところに人が居るとは思わなかったよ。ARMを持っているみたいだけど、君も渡り鳥なのかな?」
 こなたにそう聞きながら、少年は持っていた銃に弾丸を込め直し始めた。アガートラームより銃身も銃口もかなり大きな、ハンドキャノンとでもいうべき大型の銃だ。いかにも重そうなそれを、少年はそれを軽々と扱っている。
「え、えっとー」
 とりあえずどう答えていいか分からず、こなたは言葉を濁した。
「そ、その…ARMとか渡り鳥とかって何?」
「…え?」
 少年は動作を止めて瞬きをした。こなたの言うことが分からないとでもいう風に。
「…ど、どう説明すればいいんだろ…」
 こなたは信じてくれることを願って、とりあえず自分の境遇を話すことにした。



571WALS-1:2009/12/06(日) 02:29:01 ID:7mw9B/R/
「…ニホン…サイタマ…渡り鳥じゃなくてジョシコーセー…」
 少年はこなたの説明を聞いて、腕を組んで考え込んでしまった。
「え、えっと…とりあえずここはどこなのかな?」
 その少年に、こなたはそう聞いた。
「ここはファルガイア南東部のレデス荒野の遺跡だけど…」
「…う…」
 今度はこなたが腕を組んで考え込んでしまった。世界中の地名を知っているわけではないが、とりあえずこなたの知っている地名ではない。
「そ、そのファルガイアってのは、地球のどの辺りなのかな…」
「…え?…いや、そのチキューてのが何か分からないけど、ファルガイアってのはこの星の名前だよ」
「…マジですか…」
 こなたは頭を抱えたくなった。この少年の言うことを信じるなら、ここは地球ですらなく、どこか別の星かあるいは別世界だということになる。
「なんでこんな漫画かゲームみたいな展開になってるんだよ…」
「え、えっと…なんだかさっきから凄く話が噛み合わないんだけど…結局君はいったい…」
「はっきりとは言えないけど、多分異世界人」
 こなたがそう言うと、少年はまた腕を組んで考え出した。
「え?じゃあ君はエルゥ族?…いや違うか。あれは異世界とは違うし、エルゥならARMを知らないはずないし…」
「…また知らない単語が出てきた…もうやだ…」
 こなたがもうどうにでもなれな心境に陥っていると、少年は腕を解いてこなたの方を見た。
「まさかとは思うけど、君は魔族じゃないよね?」
「…はい?」
 単語自体は聞きなれているものの、まさかリアルでこんな質問をされるとは思わず、こなたは目が点になってしまった。
「なに?なんでわたしが魔族?」
「いや、ファルガイアの伝承にね、遥か昔に異世界から魔族が侵略してきてってのがあって…」
「その魔族ってのは人間そっくりなの?」
「…水銀の血に鉄の体だって言い伝えが…」
「ぜんっぜん違うよね!わたしそんな硬そうに見えないよね!?なんならほっぺたとか突いてみますか!?プニプニですよ!?胸とかお尻とかあんまないけどちゃんと柔らかいですよ!?なんなら触ってみますか!?揉んでみますか!?」
「い、いや、ごめん…ごめんなさい」
 こなたのあまりの剣幕に、少年は思わず謝ってしまった。
「…あ…わ、わたしもごめん…なんかちょっとイライラしちゃって…」
 そして、我に返ったこなたも、少年に向かって謝った。二人の間にしばらく沈黙が続く。
「…え、えっと…砂獣に追いかけられてたみたいだけど、ARMは使い慣れてないのかな?」
 なんとか話題を変えようと少年がそう言うと、こなたは首をかしげた。
「砂獣?」
「ほら、さっきの狼だよ」
 少年はこなたの疑問に答えながら、先ほど撃った狼のところに向かった。この世界でもアレは狼でいいんだ、などと思いながらこなたも後に続く。
「…なにこれ?」
 そして、こなたは驚きに目を丸くした。狼の死体があるはずの場所には、砂がうず高く積まれているだけだった。
「これを見て」
 その砂の中から、少年は鈍い光を放つ赤い宝石のようなものを取り出した。
「これはライブジェムって言ってね。これをコアにして、砂が生物と化するんだ。それが砂獣だよ」
 少年から手渡されたライブジェムを、こなたはしげしげと眺めた。砂がこれで生き物へと変わるとはどうにも信じがたい。
「獣って言っても、中には人型で知能を持つのもいたりして、決まった形はないんだ。ただ全部の砂獣に言えることは一つだけ…確実に人を襲って殺そうとすることだよ」
「れ、例外なしに?」
「まあ、知能を持ってる砂獣の中には人をなかなか殺さないのもいるけど、それも長く苦しめるためだしね」
 さっぱり分からない出自に、納得のいかない行動原理。そんな危険な代物が、まるで当たり前のようにここには居るらしい。そんな世界に放り出されたということを理解したこなたは、急に不安と恐怖を覚えた。
「あのさ…これ、撃てないんだけど、どうしてか分かる?」
 こうなったら身を守る術が欲しい。そう思ったこなたは、少年にアガートラームのことを聞くことにした。
572WALS-1:2009/12/06(日) 02:30:30 ID:7mw9B/R/
「どこか故障してるのかな…?」
 こなたからアガートラームを受け取った少年は、弾装の中や銃口を覗きこんでしばらく調べていたが、やがてこなたの方を向いて首を振って見せた。
「詳しいことは工具もないし調べられないけど、見た感じは特に問題はなさそうだね」
「そっか…壊れてると思ったんだけどな…」
「あ、もしかしたら君はアクセスのこと知らないんじゃないかな?:
「アクセス?」
「うん、アクセスってのは精神接続の事で、ARMってのは使用者と精神的な接続をしないと使えないんだ」
「…う、うーん…それだとわたしには使えないのかなあ…」
「大丈夫だと思うよ。アクセスの難しさは、ARMの構造の複雑さに比例するからね。これくらいの単純な構造なら、コツを掴めばすぐだよ…それにしても…」
 少年のアガートラームを見る顔つきが段々と緩くなっていく。
「綺麗なARMだなあ…ほとんど人の手が入ってないように見えるけど、もしかしてこのままで出土したのかな?だとすれば、レアなんて代物じゃないよね…」
「あ、あの、もしもし?」
「迂闊だったなあ。こんなARMがこの遺跡に残ってたなんて…前に来たときに、もっとよく調べとくんだった…」
「…駄目だこりゃ」
 もはやウットリとしか言いようのない少年の表情。こういった表情を、こなたは嫌というほど知っている。そう、オタクが自分の世界に浸っている表情だ。
「もしもーし!」
「え!?…あ、な、何かな?」
 こなたが少し強めに呼びかけると、少年は慌てて表情を取り繕ってこなたの方を見た。
「えーっと、とりあえずそのアクセスってのを教えて欲しいんだけど」
「あ、ああ、そうだね…」
 少年は思い切り名残惜しそうにこなたにアガートラームを返すと、自分のARMを手に取り構えて見せた。
「イメージとしては、ARMを自分の手の延長として捉えるんだ。手を動かすのと同じ感覚で、自分が弾丸を射出するようなイメージをするんだ。つまり、ARMと自分の心を通わせること…それがアクセスだよ」
「う、うーん…」
 抽象的でよく分からない。こなたはそう思ったが、とりあえずやってみようと廊下の向こうに銃口を向けた。
 意識を弾を飛ばすという行為に集中する。すると、こなたの頭の中で何かがカチリと音を立てた気がした。そのまま引き金を引くと、乾いた銃声と共に弾丸が射出された。
「で、できた…」
「すごい…一回でアクセスに成功するなんて、そうあることじゃないよ。もしかして君はかなりの才能があるんじゃないかな?」
 手の中のアガートラームを眺めながら呆然とするこなたに、少年は惜しみない賛辞を送った。
『アクセス確認。機能とメモリの一部の制限を解除』
「わあっ!?」
 いきなり聞こえた声に、こなたは思わずアガートラームを取り落としそうになった。
「な、なに?いきなり…ってか、なんで今まで黙ってたの?」
『いやー、なんだか喋るタイミングがなかなか掴めなくて…』
 人間であれば頭をかきながらであろうアガートラームの台詞に、こなたはため息をついた。ふと、少年のほうを見ると、こなたの方を見て唖然とした表情で固まっていた。
「え…もしかして、今の声はそのARM?」
「うん、そうだけど…」
「すごい!喋るARMなんて初めて見たよ!」
 少年はこなたの手ごとアガートラームを掴んで、キラキラした目で見つめた。
「どういう仕組みなんだろう!工具があればバラしてみるのに!」
『マジやめて!』
「…いや、少し落ち着こうよ」
 こなたはあきれ果てながら、空いている手で少年の肩を叩いた。それで少年はハッと我に返った。
「あ、ああ、ごめん…えっと、それでこれからなんだけど…えーっと…そういや名前聞いてなかったっけ」
 少年がそう言うと、こなたは手を叩いた。
「あ、そういや忘れてた。わたしはこなた。泉こなただよ。で、このARMはアガートラーム」
「僕はロディ。ロディ・ラグナイト。改めてよろしく」
 名乗りながら差し出されたロディの手を、こなたは握った。皮製の指ぬきグローブの上からだというのに、なんとなく温かさを感じる。
「僕はもう目的を果たしたから、ここから出るだけなんだけど…良かったら、一緒に来るかい?」
 手を離した後、そう提案してきたロディにこなたは即座に頷いた。
「そうしてくれればありがたいよ。まだ色々聞きたいし、砂獣とやらに襲われたらわたしだけじゃ不安だから…」
「うん。それじゃ行こうか、こなたちゃん」
 そう言って廊下を歩き出すロディ。
「あ、うん…」
 ちゃん付けとか、もしかして年下に思われてるのかな…などと思いながら、こなたはロディの後ろについて歩き出した。


― つづく ―
573WALS-1:2009/12/06(日) 02:31:18 ID:7mw9B/R/



次回予告

こなたです。
自由度が売りのRPGで、イベントを採り逃したりしないように何個も予備セーブ作ってると、「あれ?もしかしてわたしこのゲーム楽しんでないんじゃ?」とか思ったりして、不安を感じたりしてませんか!?

次回わいるど☆あーむずLS第二話『荒野の星』

ていうか、どのセーブがどういう状況なのか分からなくなって意味なかったりするよね。
574WALS-1:2009/12/06(日) 02:33:43 ID:7mw9B/R/
以上です。

ワイルドアームズ側のキャラの性格を、らきすたにあわせて少しいじったら、何故かロディ君がARMオタクに。
57512日:2009/12/06(日) 20:06:28 ID:8V5YOZ2k

こう「もうすぐだねぇ12日」
やまと「なにかあるの?」
こう「復活じゃん」
やまと「……」
こう「ヤマト復活編」

『スカル』

やまと「さぁ、お前の罪を数えろ!」
こう「な、なんでやまとがそれ知ってるの?!」
やまと「最近、銀色の巨人にすごく親近感をおぼえるのよね」
こう「いやそれ関係ないから!」
やまと「ならバトルナイザーの方がいい?」
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 19:45:12 ID:SirwpmvP
>>574
ヤマトか・・・
ヤマトがガミラスを殲滅した時の
古代の台詞はまだ印象に残ってる。
戦闘物だったけど戦争が空しいものと教えられたね。

シリーズ化と映画化が続いて初代の印象が薄れてきたけど
復活編には期待したい。とスレ違いのコメントを入れてみた。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 22:20:21 ID:W+1xCu7z

 >>576

顔に ゲロ 掛けるぞ。
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 22:58:05 ID:4fzwHoz/
なにがなんだか┓(´ー`)┏
579むねぺったんガールズの日常:2009/12/12(土) 19:43:46 ID:6HQyYvgj
第4話 みなみ−思い出のオルゴール−

 みき「柊家の夜へようこそ。私はみき。母なる者。
    圧倒的な力を持つ少女、こなた。あやのとの出会いと別れ。
    そして、運命は今、ピュアなる心の持ち主、彼女を呼んでいる・・・」


まつり「呼んだ?( |▽|)」ガチャ
 みき「ひゃっ! まつりじゃないわよ」
まつり「てゆーか何してんの? 水晶玉なんて持ち出して」
 みき「もー、せっかくの気分が台無しよ・・・( >Δ<)」




ゆたか「よいしょっと。みなみちゃんこれはここで良いよね?」
みなみ「うん。・・・ごめんね手伝わせちゃって」
ゆたか「良いんだよ。私がやりたいって言ったんだから^^」
みなみ「ありがとう」

今日は休日。ゆたかは部屋を整理するというみなみの手伝いに来ていた。
因みにリーダーのこなたは今日は愛用のパソコンで色々してるようだ。

みなみ「・・・あれ?」
ゆたか「どうしたの?」
みなみ「これは・・・」

みなみが手にしている物は小さな小箱。

ゆたか「これってオルゴールかな?」
みなみ「うん。これは私が4歳の時のクリスマスにもらったオルゴールだ・・・」
ゆたか「へぇ〜。みなみちゃんが4歳の時のプレゼントかぁ〜」
みなみ「あの時、胸が大きくなったら良いなって願いながら寝てて。朝起きたら枕元にこれが置いてあった・・・。
    だからこのオルゴールの曲は胸を大きくする分泌信号が含まれてると判断した。
    サンタさんも胸が大きい私に興味があったのかもしれない・・・」
ゆたか「へ、へぇ〜( ゚ω゚ )」
みなみ「えっ? あ! 違う、そうじゃない///」カァー

思っていた事を口に出してしまい、それをゆたかに聞かれ激しく顔が赤くなってしまうみなみであった。

ゆたか「ね、ねぇ。そのオルゴール開けてみてよ。どんな曲なのか聴いてみたいな♪」
みなみ「う、うん。私もどんな曲か忘れちゃったし、聴いてみよう」

みなみはオルゴールの小箱を開いた。しかし・・・。

ゆたか「あれ?」
みなみ「動かない・・・壊れちゃってるのかな(´;ω;`)」

その時だった。
580むねぺったんガールズの日常:2009/12/12(土) 19:45:06 ID:6HQyYvgj
パティ「ハッロー! ここにキュートなガールたちが居ると聞いてやってきましたー!」バンッ
ゆたか・みなみ「!?」

みなみの部屋に凄まじい胸の持ち主、パティが姿を現した!

パティ「OH! 本当に小柄でキュートな女の子たちが二人も♪」
ゆたか「小柄? みなみちゃんは大きいの――ハッ!」
ゆたか(この人、胸を見て判断してるんだぁー)
みなみ「・・・(#・∀・)」

パティ「二人ともお持ち帰りして私のコレクションに加えてあげマース!」
ゆたか「どうしようみなみちゃん!」
みなみ「くっ・・・」

部屋の入口にパティが居るため、逃げ出す事はできない。どうするみなみ!?

みなみ「orzの刺客・・・?」
パティ「オーズ? なんですかそれは?」
みなみ(orzじゃない? なら新しい敵対勢力!?)

パティ「大人しくしてくださいね? 大丈夫! 悪いようにはしませんデス!」
みなみ(こんな時、泉先輩ならぺたんこパンチで突破するけど・・・私には・・・。
    どうしたら・・・)

ゆたか「えいっ」ガバッ
パティ「ワッツ!?」
みなみ「え!?」

隙を見たゆたかがパティにしがみ付き、ベッドに押し倒した。

みなみ「ゆたか!?」
ゆたか「みなみちゃん今のうちに逃げて!」
みなみ「!?」
パティ「やってくれマスね!」

予想外の出来事に立ち尽くすみなみ。

みなみ「そんな、ゆたかを置いて逃げるなんてできない!」
ゆたか「みなみちゃん」
みなみ「ゆたか・・・」


―――
――



かがみ「ねぇ、これ全部読まなきゃだめ?」
こなた「え、あぅー・・・たはは。ごめん無理して読まなくてもいい・・・かな?」
かがみ「そう。じゃ、私帰るね」
こなた「うん。また明日ねー」

こなた「・・・」

こなた「小説家の道は遠いなぁー・・・」

                                    完


ご愛読ありがとうございました! 泉先生の次回作にご期待ください!!
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/12(土) 19:47:35 ID:6HQyYvgj
終わりです。テレビ番組のように、視聴率が悪ければすぐに終わるのさ。
今回は試験的にやってみたけど、今度はちゃんと書きためて立派な文章で頑張ってみようと思う。
ではノシ
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 00:53:53 ID:mTAgX8Rj
>>581
お疲れ様でした。
まとめサイトに載れば感想が見れるかもね。
っと言ってもなかなか感想はもらえない。
しかし感想がないと言ってもその作品が悪いわけじゃない。
現に自分が泣いてしまったほど感動したのに感想を書き込まなかった作品が
いくつもある(このスレ、他スレ含めて)
理由は・・・うまく表現できそうになかったり、時間がなかったりかな。
感動した=感想を書く、ではないね。
他の人はどうだか知らない。




 

583命の輪の器:2009/12/13(日) 13:36:55 ID:n4zsN5vp
投下行きます。

命の輪のシリーズで、大体3か4レスほどです。
584命の輪の器:2009/12/13(日) 13:37:55 ID:n4zsN5vp
「分かってるわよ。そう何度も言わなくても、ちゃんとやるわよ…もう!切るわよ!」
 かがみは携帯電話の通話を切ると、乱暴にたたんで鞄に突っ込んだ。
「ったく…そんなにうるさく言わなくてもいいじゃない」
 愚痴をこぼしながらしばらく歩き、ある家の前で足を止める。
「…で、結局ここに来ちゃうのね…」
 かがみは泉家を見上げると、ため息をつきながらインターホンのボタンを押した。
『はーい。ちょっと待って下さいねー』
 スピーカーからこなたの声が聞こえ、その直後にはバタバタと家の中から足音が聞こえてきた。
「…なんかせわしないわね」
 とりあえずかがみは、こなたが玄関から出てくるのを待った。



― 命の輪の器 ―



「あれー?かがみ?」
 玄関のドアを開けたこなたは、そこにいたのがかがみである事が意外な風に目を瞬かせた。
「そうよ。誰だと思ったの?」
「いや、てっきりネットで注文したのが届いたのかと思って」
 そう言いながら恥ずかしそうに頭をかくこなた。それを見ながら、かがみはため息をついた。


「あんた、ネット通販とか嫌いじゃなかったっけ?」
 玄関でかがみが靴を脱ぎながらそう聞くと、こなたは眉間にしわを寄せた。
「嫌いってわけじゃないよ。ただ、お店で買う方が好きなだけだよ」
「ふーん…じゃ、今回はネットでしか買えない様な物だったの?」
 靴を脱ぎ終わったかがみは立ち上がり、こなたと並んで部屋に向かって歩き出した。
「いや、そうじゃないんだけど…色々やることあるからね。昔みたいにそうちょくちょく店に行けなくなったんだよ」
 二人がこなたの部屋に入ると、一人の幼児がこなたの足に抱きついてきた。その可愛らしい姿に、かがみの顔が緩む。
「やっぱ、可愛いわね…」
「ふふーん。でしょう?」
 かがみの呟きに得意げに答えながら、こなたはその幼児…自分の娘を抱き上げた。
「ごめんねー、急に出てっちゃってー。お目当てのゲームじゃなくてかがみだったよー」
 デレデレな甘い口調で娘に話しかけるこなたに、かがみは思わず苦笑してしまった。
「娘ほっといてゲーム受け取りに行くなんてしてたら、その内グレるわよ?」
「グレないよー。その分ちゃんと愛してあげてるもん」
「そうですか…ってーか」
 かがみは部屋を見渡し、PCの傍に積みあがってる箱を見てため息をついた。
「子持ち人妻になっても、ゲームは積むのね」
「んーまあ、わたしの性といいますかね…」
「こんなにいっぱい、どんなのやってるのよ?」
「普通にエロゲ」
「普通じゃねえ!ってか育児しながらエロゲするな!」
 かがみは大声を上げた後しばらく肩で息をし、とりあえずベッドにでも腰掛けようとしたが、いつもの場所にベッドがないことに気がついた。
「あれ、あんたベッドはどうしたの?」
「もう全然使わないから片付けちゃった」
「ふーん…」
 仕方なくかがみはそのまま床に腰を下ろした。
「じゃあ、寝るときどうしてるの?」
「ゆーちゃんが居た部屋を寝室にしたんだ。そこで三人で寝てるよ」
 そう言いながらこなたも床に腰を下ろし、膝の上に娘を乗せた。
「この子が生まれる前はダーリンの部屋で寝てたんだけどね」
「ふーん、じゃあ結婚したときから使ってなかったんだ…じゃあ、もっと前に片付ければいいのに」
「執筆の合間の仮眠に使ってたんだけどね。誘惑がすごいんでちょっと自重しようかと…」
「…あんたの場合、ゲームと漫画とテレビをなんとかするべきだと思うんだけど」
 ふと、かがみはこなたがじっと自分の顔を見つめていることに気がついた。
585命の輪の器:2009/12/13(日) 13:39:31 ID:n4zsN5vp
「な、なによ…」
「今日は何がうまくいってないの?」
 唐突にそう聞いてきたこなたから、かがみは思わず目をそらしてしまった。
「な、なんでそう思うの?」
「最近のかがみの行動パターン。何かうまくいかないことがある度に、わたしんち来てる」
「…そうね…」
 かがみは素直に認め、ため息をついた。
「やっぱり旦那さん関係?」
「うん…まあ、あと仕事とね」
「仕事…そういや、きょうは平日なのに随分早く来たね。ってか仕事場からそのまま?」
 こなたはそう言いながらかがみを上から下まで眺めた。私服ではなくスーツ姿で、頭もプライベート時のツインテールではなく、首の後ろ辺りで束ねただけの髪型だ。
「家のことがあるからって、早めに帰ってきたのよ」
「それでここに来てたら、また色々言われるんじゃない?」
「大丈夫よ。どうせ向こうは午前様だから」
 そう言ってかがみはまたため息をついた。あまりのため息の多さに、こなたまでなんだかため息をつきたくなっていた。
「新婚さんなんだから、もっとラブラブしてればいいのに」
「…できないわよ、そんなの」
「つかさんところはラブラブなのに」
「アレと一緒にしないで…」
 そう言いながらまたため息をつくかがみに、こなたは苦笑して見せた。
「やっぱり、結婚してからつらくなった?」
「そうね…なんか色々噛み合わなくなってきて…結婚前はこんなことなかったのに」
「どうしてもきついってのなら、家庭か仕事どっちかやめちゃえば?」
「…え?」
 こなたの唐突な一言に、かがみは唖然としてしまった。
「そ、そんな簡単にやめられるわけないでしょ…」
「そっかな?こういう決断は早い方がいいと思うけど」
 言いながらこなたは、膝の上の娘の頭を撫でた。娘が嬉しそうに笑う。それを見て、こなたも微笑んだ。
「どっちかをおろそかにしたらされた方が可哀想だし、最悪どっちもうまくいかないままでズルズルいっちゃうかもしんないし」
「それは…そうなんだけど…」
 呟きながら項垂れてしまったかがみを見て、こなたは困りきった顔で頭をかいた。
「んーまあ、ちょっと極端な意見だったとは思うけどね…」
「…そうね」
 こなたのフォローの言葉にも、かがみは気のない返事を返すだけだった。
「重症だなあ…」
 こなたがどうしようかと悩んでいると、かがみは不意に顔を上げてこなたをしっかりと見据えた。
「あんたはどうなの?」
 かがみのその質問に、こなたは首をかしげた。
「わたし?わたしがなに?」
「仕事しながら家庭持つってこと、どう思ってるのかなって…あんたは家で仕事してるから、参考にはならないとは思うけど…」
 こなたは娘の頭を撫でながらしばらく考えた。そして、目を瞑ってかがみに答えた。
「…わたしはかがみと同じように外で働いていたら、この子を産んだときにそっちをやめてたと思う。結婚したときは学生だったから、その時はどうとかはわからないけどね」
「意外ね…あんたは自分のわがまま通すかと思ったけど」
「わがままだよ」
 こなたは目を開けて微笑んだ。
586命の輪の器:2009/12/13(日) 13:41:33 ID:n4zsN5vp
「この子が学校とか行きだしたらさ、帰ってきたときに家でちゃんと待っててあげたいっていう、わたしのわがままだよ」
「…そう」
「わたしのお父さんはさ、ずっとこの家を守ってきたんだって、最近思うんだ」
「おじさん…?」
 唐突に出てきた父親の話に、かがみは首をかしげた。
「うん。もし、お父さんが外に出て働いてたら、わたしは誰も居ない家に帰ってきてたんだなって。そうならないように頑張って、家族が待っててくれる家にしてきたんだなって」
 かがみは何も言えず、ただこなたの顔を見ていた。
「まあ、お父さんは若いころから物書き目指してたみたいだから、結果的にそうなったって話でもあるんだけど…」
 こなたは大きく息を吐き、天井を…父の書斎がある辺りを見つめた。
「お父さんも、もう歳だしさ…次はわたしの番だなって思うんだよ。お父さんみたいに上手くいかないかもしれないけど、ちゃんとこの家を守ってさ、この子の帰ってこれる家にしたいんだよ…母親として、ね」
 再びかがみのほうを向き微笑むこなたに、かがみは何と言っていいかわからなかった。父親への思い、母親へのこだわり。そういうものを考え、頑張って成し遂げようとしてる。しっかりと繋げていこうとしている。
「…そんな自分だけで全部やろうなんて、思わなくていいんじゃない?おじさんは一人だったから、そう頑張るしか無かったんだろうけど、あんたにはあいつがいるし…」
 結局、言えたのはそんな言葉だった。
「だからわがままなんだよ。全部わたしがやりたいっていう、わがままなんだよ」
 こなたは笑顔をまったく崩さずに答えた。
「ダーリンにはそれを見守っててさ、上手くいかない事があったら少しだけ支えて欲しいなって…これもわがままかもしれないけどね」
 そう言うこなたに、かがみはなんだか笑いたい気分になった。
 あれもやりたい、これもやりたい、困ったときは助けて欲しい。高校のときと根本の部分は何も変わっていないのだと。ただ、その内容と大きさだけが変わってきているのだ…母親という立場になった事で。
「っと、ごめんねかがみ。なんだかわたしの話ばっかりしちゃって」
「…ううん」
 かがみは謝るこなたに首を振って見せた、
「あんたは、大きくなったわね…」
 そして、呟くようにそう言った。
「むー…それは高校卒業してから一センチも伸びてないわたしに対して言うことですかな…」
 むくれるこなたに、かがみは思わず吹き出してしまった。
「違うわよ。体の事じゃなくて心の方…器って言うのかな。それが、あんたはほんとに大きくなったなって、そう思ったのよ」
「そ、そっかな…」
 照れるこなたを見て、かがみはため息をついた。
「それに比べて…わたしは何やってるんだろうな…」
 そして、思わず携帯の入った鞄のほうを見てしまう。
「んー…」
 こなたはしばらく頬をかきながら考え、なにか思いついたように人差し指を立てた。
「大丈夫だよ。かがみはやればできる子とは違うから」
「…は?」
 かがみは間抜けな声を出してこなたの方を向いた。
「なんだそれ…?」
「やればできるじゃなくて、やりたいことをちゃんとやってきたって事。だから今度も大丈夫だよ」
「…なにもかも上手くやれてきたわけじゃないわよ」
「うん。でもそれは、細かいところだけでしょ。大きなところはちゃんとやれてきたんだから、大丈夫だよ。わたしは…そう思ってるよ」
 やはり笑顔でそう言うこなたに、かがみは今までとは違った意味でのため息をついた。
「…あんたには、かなわないな…時間守れだの、宿題ちゃんとしろだの、うるさく言ってた高校の時が嘘みたいよ」
「あ、うるさいって自覚あったんだ」
「…悪い?」
 茶々を入れるこなたに、かがみは眉間にしわを寄せた。
「いやいや、かがみにうるさく言われたからこそ、今のわたしがあるわけですよ」
「調子のいいこと言っちゃって…」
「…あ、そろそろ晩ご飯の支度しなくちゃ」
 たまたま視界に入った時計を見て、こなたがそう言った。
587命の輪の器:2009/12/13(日) 13:42:35 ID:n4zsN5vp
「え、もうそんな時間?」
 かがみも時計を見た。そんなに話し込んでいたつもりは無かったが、時計の針は随分と進んでいた。
「かがみ、どうする?」
「え、どうするって?」
「ご飯。食べてく?」
「えーっと…」
 かがみが少し悩んでいると、鞄の中の携帯が着信音を鳴らした。
「…っと、ちょっと待ってね」
 かがみは携帯を取り出し、メールをチェックした。そして、その携帯を今度はスーツのポケットに入れて、鞄を持って立ち上がった。
「今日は帰るわ…ごめんね、時間取らせちゃって」
「いえいえ、どういたしまして」
 なにやらせわしなく部屋を出て行くかがみに、こなたはニヤついた笑みを浮かべていた。



 泉家をでてからしばらく歩いたところで、かがみはポケットから携帯を取り出して開いた。そこにうつっているのは『さっきはごめん』と、たった一言のメール。
「…わたしも、甘いなー」
 それだけで許そうとしてる自分に、かがみは笑いたくなった。
「さ、がんばろ。こなたに負けてられないわ」
 かがみは大きく伸びをして、少し早足で自分の家へと歩き出した。



― 終わり ー
588命の輪の器:2009/12/13(日) 13:43:55 ID:n4zsN5vp
以上です。

よく考えたら首の後ろ辺りで束ねるだけって、黒井先生の髪型だ。
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 13:48:46 ID:797R6/fH
乙ぅ
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 19:35:48 ID:mWGHTkVI
>>588

 乙。
 個人的には、キャリアウーマンのかがみには、黒井先生のヘアスタイルが非常によく似合うと思う。
 かがみは、家庭も仕事も納得できるまできっちりこなそうとする完璧主義者みたいな感じはするよね。
 これがみゆきさんなら、ごく自然に両方のバランスをうまくとれるような気がする。天然の完璧超人のイメージゆえか。
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:29:11 ID:B8sOJbX9
うんうん、 人生についてのお話はいつもしみじみするなぁ。


さて、 ブランデー でも飲むか。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/17(木) 21:13:33 ID:FCvlwYxp
こなた「バンドやるならやっぱギターだよね」
みゆき「花形ポジションですよね。わたしはキーボードが楽しそうだと思ってます」
つかさ「わたしは楽器とかよくわかんないから…」
こなた「いや、別に実際にやるわけじゃないからさ。わたしだってギターなんて全然わかんないし」
つかさ「あ、そうなんだ…じゃあベースかなあ。後ろの方だからなんか目立たなくて済みそう」
こなた「こんなところまで引っ込み思案でいなくても…」
みゆき「ボーカルを兼任していただくのはどうでしょう?つかささんは可愛いらしい方ですから、きっと注目されますよ」
こなた「おお、それいいねー」
つかさ「無理だよー。ゆきちゃん変なこと言わないでー」
かがみ「よーっす。なんの話してるの?」
こなた「お、かがみ。バンドするならどの楽器やりたいかなって。かが」
かがみ「ドラム」
こなた「…即答だね…ってかまだ最後まで言ってない…」
かがみ「ド・ラ・ム」
こなた「え、あ、うん…わかってるから…」
かがみ「ドーラームー」


みゆき「かがみさん…何かありましたか?」
つかさ「えと…また体重が増えたって…」
みゆき「…ドラムは運動量ありそうですからね…」
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/17(木) 21:55:11 ID:/P+Vn0Bb
そろそろこなた達がアイドルになる日だな
この過疎も少しは盛り上がるだろうか…
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/17(木) 22:53:58 ID:WKI4ljr6
>>592
その後、ステージで意気揚々とスラップを打ちまくるつかさの姿が
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/18(金) 00:21:45 ID:+MAmT4Ru
>>581
俺は好きだったぜ
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/19(土) 00:17:27 ID:mmV73jjr
テストノドントサウルス
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/19(土) 00:22:08 ID:QnYTArni
受験で来られなくて久々に来てみたらこんな過疎ってるのか……

盛り上げられないのが悔しい
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/19(土) 00:51:57 ID:zXdvbHfC
こなた「書き込み成功。規制解除を確認。そしてまたすぐに規制食らうわけですね?わかります」
ゆたか「><」
こなた「どったの?ゆーちゃん」
ゆたか「「ゎ」って書き込んだら煽られたー!せっかく規制とけたのにー><」
こなた「良くも悪くも若者文化は批判されるものですからな…」
ゆたか「友達だってみんな使ってるのに」
こなた「この問題に関して、日本語のプロフェッショナルであられる泉そうじろう先生、お願いします」
そうじろう「え、俺?ま、まあ、良くも悪くも若者文化は批判されるものだからな。
      間違った使い方だが、それを自覚してネタとして使う分なら良いんじゃないか?
       テストや書類なんかでやられたらやり直しさせられるだろうが。
       ああ、もし俺が先生だったら、この一点だけで赤点つけるぞ?」
こなた「うわぁ…シビアだ…。…だそうだよ?ゆーちゃん」
ゆたか「ありがとうございます!おじさん、お姉ちゃん!早速煽り返さなきゃ」
そうじろう「煽り?え、あ、ちょ」
こなた「あーあ…」
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/19(土) 11:06:30 ID:a3wzWzSw
ゆーちゃん精神崩壊
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/19(土) 23:08:19 ID:DMXPAo2h
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/19(土) 23:08:36 ID:eYrruH8W
来週のトロステーションにらきすたw
こりゃー良いネタになりそうだw
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/20(日) 10:20:31 ID:yoTJBT/g
来春二期やるらしいな
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/20(日) 10:34:11 ID:lPg/Gc64
楽しみだなぁ・・・ 「 Glu"cklich ☆ Stern 2 ( Zwei ) 」 。
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/20(日) 18:56:01 ID:B8AExUhd

ゆーちゃーん

おめでとぉー

605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/20(日) 22:35:39 ID:lPg/Gc64
>>602

第2期は中止だ !! ネオ の野郎が裏切りやがった !!!
くそっ !! ケツを蹴っ飛ばしてやる !!
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/20(日) 22:48:25 ID:yoTJBT/g
なんだってー/(=ω=.)\ナンテコナタ
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/20(日) 22:51:39 ID:p6a2yJyf
つかさ「ネオ麦茶?」
こなた「ネオ生命体ドラス?」
みゆき「ネオン、でしょうか?」
かがみ「……」
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/20(日) 22:58:42 ID:p2o0Bvzp
>>607
ひより「全部違うッス!!シルエットフォーミュラに出て来た、ネオガンダムッスよ!!」
こなた「マニアックなガンダムキタコレ!!」
かがみ「それも違うと思う。てか、何で田村さんがシルエットフォーミュラのネオガンダムを知ってるんだ」
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/21(月) 07:18:23 ID:2vnsHmPT
>>608
こう「むしろ何故柊先輩がシルエットフォーミュラを?」
やまと「ネオスなら知っているけど…」
こう「やまとも、銀色の巨人から離れようよ」
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/21(月) 08:08:35 ID:OftuLlmo
みさお「コンタクト融合!」
あやの「え?コンタクトレンズ?」
611ガチンコ:2009/12/21(月) 08:58:29 ID:6RN+Ofhj
竹原「それよりお前ら何期生じゃ?」
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/21(月) 12:11:54 ID:21DJrqar
そうじろう「ネオガンダムは特にマイナーガンダムとは思わんなあ。マイナーというからにはDガンダムとかメガZとかZプロンプトとか…」
こなた「なにそれ、わたしも知らない…」
かがみ「流石と言おうか…」
みゆき「カットグラとかはどうでしょう?」
そうじろう「…それ、オーラバトラーだよ」
みゆき「…そうでした」
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/21(月) 21:47:50 ID:2vnsHmPT
こう「鳳凰ガンダムや信玄ガンダムなんかもマイナーかな?」
毒さん「武者系列は違うでしょ、海賊騎士キャプテンレッドやガンセイバーZとか」
山さん「ならあえてガンレックスを」
ひより「…もう千成将軍でいいっス」
やまと「ならばガンドランダーで」
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/21(月) 22:11:19 ID:LnstGS3l
ひより「あ」
山さん「どうしたの?」
ひより「ガンボイジャーはマイナーッスよ、タイムボカン風ガンダム、みたいな」
こう「ガンボイジャーなんて知らないよ」
山さん「あとGチェンジャーなんてのもあったよね?」
ひより「何かあったッスねー」
こう「Gチェンジャーなんて誰も知らないんだけど…」
やまと「確か、途中で頓挫したシリーズだったと思う」
ひより「敵の親玉の元祖SDが出ないまま終わったシリーズだったっすよね」
こう「元祖SDって、古くない?」
ひより「元祖SDの中にはゴッドマーズみたいな機兵『ガンジェネシス』やマクロスみたいに戦艦からガンダムに変形する『ジェネラルガンダム』があるんスよ!!」
こう「ちょっと待てひより、途中から話がおかしくなって来てない!?」
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/21(月) 22:25:54 ID:OftuLlmo
みさお「あやのー、ガンタンクって知ってるかー?」
あやの「え?うーん…何それ?」
みさお「へへっ、勝った」

かがみ「何に勝ったんだか…」
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/22(火) 23:04:41 ID:0uMwloFR
【らき☆すた】こなた×かがみPart31【こなかが】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1261486680/
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/23(水) 08:17:15 ID:1AhacCML
ゆたか「とかちつくちて><」
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/23(水) 09:38:10 ID:/YzVSKId
みさお「柊ぃー、お前はいいよなー、どうせ私なんか…!!」
かがみ「とりあえず、落ち着こうか」
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/23(水) 19:55:04 ID:7SliL1iT
毒さん「ミックミックにしてやんよ〜」
ひより「?」
毒さん「ひよりん、私の名前を言ってみろ」
ひより「えっと…毒島たまきでしたっけ」
毒さん「そりゃ山さんの名前だよ。山辺たまきなんだから。私の名前はどうした」
こう「毒さん、わかってるほうが寒いからやめて」

解答:毒島みく
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/23(水) 22:34:40 ID:1AhacCML
この新作ゲームでネタを補充するの巻
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/25(金) 11:56:06 ID:STOnjwxQ
ゆたか「♪〜」
ゆたかはiPodで音楽を聞いていた
ゆたか「…チコタン殺したの誰やっ!!」
こなた「ちょ、ゆーちゃーーーん!?」
622ファーストクリスマス:2009/12/26(土) 02:52:11 ID:R3BXM2wQ
投下行きます。

PCの調子が悪くて間に合わなかったクリスマスSSです。
原作エピソードの裏側を捏造したもので3レスくらいです。
623ファーストクリスマス:2009/12/26(土) 02:52:50 ID:R3BXM2wQ
 とあるクリスマス前のこと。
 学校の休み時間に、泉こなたとその友人である柊つかさはクリスマスの話題で盛り上がっていた。
 その中で、つかさはこなたに定番の質問をぶつけてみることにした。
「ねえ、こなちゃん。こなちゃんは何歳くらいまでサンタさん信じてた?」
 その質問を聞いたこなたは、しばらくの間ぽかんとした後、呆けたように呟いた。
「…え…サンタさんって実在しないの?」
「…どんだけー」
 予想外の答えにつかさはしばらく唖然としていたが、なにやらショックを受けてる様子のこなたに、慌ててフォローを入れようとした。
「こ、こなちゃん結構純真なんだね…」
 なんとなくフォローになっていない気もしたが、つかさは話を続けることにした。
「プレゼントはどうしてたの?わたしの小さい頃は、枕元において『サンタさんからだよ』って言われてたけど」
「お父さんから直接もらってたよ。『うちはサンタさんがこないみたいだから、俺が代わりにプレゼントしてやる』って言って」
「…うわー」
 もうどう言っていいか分からず、つかさはただこなたの顔を見ていた。
「お父さん…ずっとわたしを騙してたんだ…」
 震える声で呟くこなたを見ながら、つかさは定番の質問をしたことを後悔していた。



― ファーストクリスマス ―



「お父さんの嘘つき!」
「ま、待ってくれこなた…」
「待たない!バカ!大っ嫌いだ!」
 成実ゆいが泉家に入ると同時に、二階の方からそんな会話が聞こえてきた。そしてすぐ後にはこなたがドスドスと足音をたてて階段を下りてきて、ゆいにはまったく気づく様子も無く自分の部屋に入り乱暴に扉を閉めた。
「…どしたんだろ?」
 ゆいはしばらくあっけに取られていたが、とりあえず自分の伯父でありこなたの父であるそうじろうに聞いてみようと、二階にある書斎へと向かった。



 ゆいが書斎に入ると、そうじろうは座机の前で胡坐をかき、なんとも難しい顔で腕を組んで目をつぶっていた。
「おじさん、ばんちは」
 ゆいが声をかけると、そうじろうは目を開けてゆいの方を見た。
「ああ、ゆいちゃんか…いらっしゃい」
「こなた、どしたんです?なんか凄い怒ってるみたいでしたけど」
 ゆいはそう聞きながら、座机を挟んでそうじろうの前に座った。
「あー…その…サンタの嘘がね、こなたにバレたんだ」
「あー、アレですか…」
 なんとも言いにくそうに答えるそうじろう。その答えにゆいは一度納得して、そしてしばらく考えた後にそうじろうの顔をまじまじと見つめた。
「え?こなた、アレまだ信じてたんですか?」
「ああ、どうもそうらしい…」
「…おねえさん、心底びっくりだ…」
「ああ、俺もそれにはかなり驚いたけど…それ以上に、こなたがあんなにも怒ったのに驚いたよ」
 そうじろうがそう言いながらため息をつくと、今度はゆいが腕を組んで難しい顔をした。
「そうですねー…こういっちゃ何ですけど、こなたって伯父さんの言うことまったく信用してないって思ってたんですよねー」
「…ひどっ」
 ゆいの言葉にそうじろうはショックを受けたように俯いたが、すぐに顔を上げてゆいを見た。
「なあ、ゆいちゃん悪いんだけど…」
「こなたの様子見てこい…ですか?」
 そうじろうがすべて言い終わる前にゆいがそう言うと、そうじろうは苦笑いを浮かべ、頬を書きながら頷いた。
「そうですね…あのこなたの様子じゃ、伯父さんだとまともに話せなさそうだけど…でも、わたしにも話すかどうかわかんないですよ?」
「その時はまた別の手を考えるよ」
「そですか…じゃ、とりあえず行ってみます」
 ゆいはそうじろうにひらひらと手を振って見せながら、書斎を後にした。



624ファーストクリスマス:2009/12/26(土) 02:55:48 ID:R3BXM2wQ
「やほー。こなた、元気ー?」
 こなたの部屋に着いたゆいは、ノックはしないものの、いつもの勢いではなく少し遠慮気味に扉を開けて中に入った。
「…こなた?」
 部屋の中からはなんの反応も無く、部屋の半ばまで来たところで、ゆいはベッドにうつぶせに寝ているこなたを見つけた。
「こなた、寝てる?」
 ゆいが声をかけると、こなたは少しだけもぞもぞと動いた。
「…起きてる」
 くぐもった声でそう答えるこなたの横、ベッドの縁の辺りにゆいは腰を下ろした。
「えーっと…なんて言うかねー…」
「お父さんがわたしの様子見てこいって?」
 どう切り出そうかゆいが悩んでると、こなたがあっさりと本題を言い当てた。
「んー…まあ、そんなとこ」
 ゆいは先ほどのそうじろうと同じように、苦笑いを浮かべながら頬をかいた。
「…わかんないんだ。自分でもさ」
 こなたは体を仰向けにすると、顔だけをゆいのほうに向けてそう言った。
「なんであんなに怒ったんだろうって…バカとか嫌いとか言ってさ…」
 なんとなく寂しそうに見えるこなたの顔。ゆいは何か言わなければと思い、口を開いた。
「こなたは、ホントに信じてたの?サンタさんのこと」
 口を吐いて出たのは、そんな質問だった。
「うん、信じてた…ずっと」
 こなたは視線を天井に移した。まるで、どこか遠いところを見るかのように。
「今でも覚えてるよ。クリスマスっての、初めて知った時のこと…幼稚園の頃だったかな」
 こなたは上半身を起こし、ベッドの上に胡坐をかいた。
「良い子でいれば、プレゼントくれるって、すごくドキドキしたよ…でも、うちにサンタさんは来なかった」
 こなたは溜息をついた。少しもの寂しげな、普段見せないこなたの表情に、ゆいもまた寂しさのようなものが胸の奥からこみ上げてきた。
「その次の年も、その次も…ずっとサンタさん来なくて、それでわたしずっと考えてたんだ。どうして、うちにはサンタさんが来ないんだろうって」
「こなたが良い子じゃ無かったから?」
「うぐっ…ちょっと否定できないところが…いや、それも有るような気もするけど、そうじゃなくってさ」
 思わず口を挟んでしまったゆいの言葉を、こなたは手を振って否定した。
「わたしの家は、みんなと違うからじゃないかなって思ったんだ」
「んー…」
 ゆいは顎に手を当ててしばらく考えた後、少し言いにくそうに口を開いた」
「それって、かなたさんの事?」
「…うん」
 こなたが頷く。
「みんなはわたしの家が少し変だって感じてたみたいだし、わたしもそれは思ってた。だからサンタさんは来ないんだって思ってた。だから…」
 こなたはまたベッドに仰向けに寝転んだ。
「…仕方ないって思ってた。サンタさんが来ないの仕方ないって…お母さん居ないことはどうしようもないから」
 そのまま、こなたは目を瞑った。そのこなたにゆいが優しく声をかける。
「こなたの記憶力は凄いね。そんな昔のこと覚えてるんだ」
「えー…ここでそんな台詞出るんだ」
 その言葉にこなたは目を開け、ゆいをジト目で見つめた。視線をうけて、ゆいは頬をかいてばつの悪そうな顔をした。
「いやー…お姉さんにはちょっと話が重いかな…って」
「うん、まあそんな気はしてたよ…でも、そんなゆい姉さんだから、こういう話ができるのかもね」
「それは褒めてくれてるのかな…」
「たぶん」
 言いながらこなたは体を起こし、壁にもたれて座った。その横にゆいも同じように壁にもたれて座る。
625ファーストクリスマス:2009/12/26(土) 02:58:28 ID:R3BXM2wQ
「今年はこなたにとって初めてのクリスマスだねー」
「…どういうこと?」
 急にそんなことを言ったゆいに、こなたは首を傾げて見せた。
「サンタさんが居ない、初めてのクリスマスだよ」
「ああ、そういうこと…そだね。もう、サンタさんは居ないんだ」
 こなたは天井に視線を向け、溜息をついた。
「でも、一回くらいは来て欲しかったな」
 思わず漏れた子供らしいこなたの言葉に、ゆいは苦笑した。
「伯父さんのこと、まだ怒ってる?」
 そして、こなたにそう聞いた。
「少しだけ…これだけ長いこと騙されてたんだから、簡単にはちょっとね」
「そっか…でも伯父さんは」
「悪気はなかった…でしょ?わかってるよ。わたしのお父さんだもの」
「…そっか」
 しばらく二人して沈黙した後、ゆいは唐突に両手を勢いよく合わせた。
「よし、お姉さんいい事思いついたよ」
「え、なに?」
「こなたはクリスマスになんか用事ある?外に出かける用事」
「一応あるけど…」
「じゃ、それを利用してだね…」


 翌日。いつも通りに朝食の場に現れたこなたを見て、そうじろうは安堵の溜息をついた。
「こなた…あのな…」
「昨日のことならもういいよ。あんまり引きずるの、わたしも嫌だし」
「え、あ…そ、そうか…」
 昨日のことでとにかく謝ろうと思っていたそうじろうは、こなたに出鼻をくじかれた形で押し黙ってしまった。
「あー…こなた…その…クリスマスなんだが…」
 それでもなんとか考えていたことを言おうと、そうじろうは口を開いた。
「クリスマス?…あー言うの忘れてた。わたしその日帰るの遅くなるから」
「…へ?」
「アルバイトのさ、コスプレ喫茶でクリスマスデーやるんだ。それで遅くなるよ。ゆい姉さんもきー兄さんが帰ってくるようなこと言ってたし、今年はクリスマスパーティーは無理かも」
「そ、そうか…」
 がっくりと肩を落とし、そうじろうは今度こそ完全に黙り込んでしまった。


 そしてクリスマス当日。こなたは日が落ちてすっかり暗くなった公園で、ブランコをこいでいた。
「…いくらあのお父さんでも、そろそろしびれ切らしてる頃かな」
 ポケットから出した携帯で時間を確認すると、ブランコから降りておいてあった鞄を拾い上げ、中にある綺麗に包装された箱を確かめた。
「上手くいくといいんだけど…」
 ゆいがこなたに提案したのは、クリスマスに逆にプレゼントするということ。しかし、ただ渡すだけのでなく、夜遅くに帰って見せて、怒られる寸前にプレゼントをするという、少し意地悪なものだった。
「結構、緊張するねー」
 気持ちを落ち着かせるために、こなたは冬の冷たい空気を大きく吸い込み、プレゼントの入った鞄を軽く叩いた。
「サンタさんも、プレゼント配るときはこういう気分なのかな」
 そう呟いて、こなたは何かに気がついて立ち止まった。
「…そっか…サンタだ」
 もう一度、鞄の中のプレゼントを確認する。クリスマスにプレゼントを渡すという行為そのものが、サンタという存在なのではないだろうか。こなたはそう思った。
「ま、相手は不純極まりない大人だけどね…」
 そう呟いて、こなたは少し足を速めた。日が変わらないうちに…クリスマスのうちに渡さないと意味が無いからだ。
 ずっと、クリスマスプレゼントは父がくれたもので、サンタがくれたものではなかった。それは、こなたがずっとそう感じていたからだ。
 でも、今日のこのプレゼントは違う。これはサンタからのプレゼントだ。他の誰でもない、こなた自身がそう思うからだ。
「ゆい姉さん、違ったよ…」
 今日はサンタが居ない初めてのクリスマスなんかじゃない。

 泉家に、初めてサンタが来るクリスマスなんだ。



― おしまい ―
626ファーストクリスマス:2009/12/26(土) 02:59:24 ID:R3BXM2wQ
以上です。

シリアスシーンにゆい姉さんほど難しいものは無い。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/26(土) 13:47:58 ID:yL9Q8k2F
こなた(公式ガイド第二弾熟読中……)
こなた「ほほう、かがみのお父さんとお母さんは、二人とも趣味が旅行で得意科目が日本史なんだ」
かがみ「うん。二人でよく旅行に行ってるわよ」
こなた「趣味と教養が合うお二人さん。ホント仲よさそうだよね。四人も子供がいるのもうなずけるね。つかさに妹ができる日も近いんじゃない?」
かがみ「いやいやいや。いくらなんでも、高齢出産で母体が危ないって」
こなた「みきさんは、永遠の十七歳だから大丈夫」
かがみ「そういう問題じゃないから」
みき「お父さんがいいなら、私は全然かまわないけど」
かがみ「ちょっと、お母さん」
つかさ「妹かぁ、楽しみだなぁ」
かがみ「つかさまで!」


ひより「私は、山さん先輩のプロフィールに納得っスね。この手のキャラは素顔を現したら超絶美形ってのが定番ネタっス。醜いわけないっスよね」
こう「でも、なんでそれがコンプレックスなんだろな?」
ひより「美少女というよりは、宝塚系美形タイプなんじゃないっスか? 山さん先輩も、リアルじゃ同姓趣味はないでしょうし」
こう「なるほど」


*公式ガイド第二弾感想
 相変わらず、左利き率が異常だ。新たにプロフ判明したキャラも、ほとんど左利き。
 書き下ろしラフの作者コメント、みゆきさんへの愛があふれていたな。作者的にひよりが扱いやすいってのも。
 特別書き下ろし4コマでやまと登場、オメ。
 「かがみンち」のトイレシーン、吹いた。
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/26(土) 17:00:57 ID:Ysog7/hb
>>627
俺の近所では売ってなかった羨ましす(´・ω・`)
山さんはブサだと思ってたんだけど違う見たいだなw
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/26(土) 19:24:02 ID:PFwb00xI
泉こみゃた「うひゃっほう♪ かがみんかがみん♪」
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/27(日) 01:17:48 ID:bKL+Ti48
第2段いろいろ判明したことあったな〜
学力比とか運動力比とか面白かった
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/27(日) 06:37:24 ID:rbfMR04y
ひより「高良先輩と毒さん先輩と若瀬いずみさんが三人共委員長…浮いてるなぁ毒さん先輩」
毒さん「よく言ったひよりん。やさこ〜、ひよりんがノルマ追加して欲しいって」
ひより「き、聞いてたんですか?勘弁して下さい毒島先輩!」
山さん「コンプレックスって、わかってても指摘されると嫌だからねぇ」
こう「とりあえずページ倍で勘弁したげなよ」
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/27(日) 08:25:51 ID:OSwRLuLM
>>626

633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/28(月) 14:59:17 ID:FOUpzfSY
こなた「どーせ私バカだもん」
かがみ「バカなの?」
こなた「え?」
かがみ「バカなの? 世界トップクラスのバカなの? 
     全国どの交番でも『バカの家はどこですか?』って聞いたらあんたの家を教えてくれるほどバカなの?
     道を歩いてたら『チリンチリン』って音がして『風流だな』って思ったらあんたの頭が鳴らしている音でガッカリするの?」
こなた「ちょ……」


つかさ「ごめん私頭良くないから……」
かがみ「バカなの?」
つかさ「え?」
かがみ「バカなの? 海外で『BAKA』と言ったらあんたの事くらい有名なの?
     風邪気味だから医者に行ったら『バカにつける薬はありません…』って泣かれるほどなの?
     ブラックジャックもキリコを薦めるの?」
つかさ「えええ……」


みゆき「この前もドジって言われてしまって」
かがみ「バカなの?」
みゆき「はい?」
かがみ「バカなの? 医者に行って『風邪気味で』って何度言っても額に聴診器あてられるほどのバカなの?
     ラーメン屋行って『並』って言っても『バカ盛り一丁!』と言われるほどなの?
     メーテルと一緒に銀河鉄道のったはいいけど、途中黙って置き去りにされたの?」
みゆき「そう言われましても……」
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/28(月) 17:32:32 ID:bJ4MZET9
こなた 「 かがみの・・・ 」
つかさ 「 お姉ちゃんの・・・ 」
みゆき 「 かがみさんの・・・ 」


こなつかゆき 「 馬鹿〜っ !!! 」


かがみ 「 誰に向かって口聞いとんじゃゴルア゛ァッ !!! 」


ダーンッ ! ダーンッ ! ダーンッ !


こなつかゆき 「 ひいいぃぃ〜っ !!! 」
こなた 「 さ・・・さすがかがみ凶暴伝せ 」


ダーンッ !


こなた 「 ・・・・・・・・・ ぐはっ 」 ドサッ
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/28(月) 17:58:14 ID:7R9yOwr0
みさお「ヴぁーヴぁっヴぁっヴぁっヴぁっ。ヴぁヴぁっヴぁヴぁーヴぁーヴぁ、ヴぁヴぁヴぁんヴぁヴぁヴぁー?」
かがみ「黙れヴぁか」

みさお「ヴぁヴぁー……」
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/28(月) 18:22:27 ID:uUt4PHXB
何だこの流れw
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/28(月) 18:33:31 ID:/y/Puf9Y
かがみ「馬鹿なの?」
ひより「馬鹿ちゃいまんねんぱーでんねん」
かがみ「馬鹿でしょ?そのネタ通じると思ってるの?何人がタケチャンマンを知ってると思ってるの?ブラックデビルすら怪しいのよ?
受けると思ってるの?知ってる年じゃないでしょ?明石家さんまだと気づけると思うの?バイキンガーZはないと思わないの?
まだ仮面ノリダーの方がマシでしょ?笑う犬の生活関係なら問題なしでしょ?仮面ノリダーV2はありなの?うすらとんかちゲロジョッカーって歌詞は変でしょ?」
ひより「………」
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/28(月) 22:27:12 ID:yqGEJQY0
こなた「…ねえ、かがみ」
かがみ「んーなに?」
こなた「いや、この公式ガイドブックなんだけど」
かがみ「うん、それが?」
こなた「…胸を除いた総合スペック、お父さんがトップっぽいんだけど」
かがみ「………え?それ笑うところ?」
こなた「いや、まあ見たっておくれ」
かがみ「…ホントだ…ってか運動力があんた抜かしてトップて…とことん無駄スペックな」
こなた「オタクはともかく、学力上回ってるのがみゆきさんだけって」
かがみ「家事は流石に得意な三人に負けてるけど…それもそんなに差がないわね」
こなた「…アリエナイ。なんだこのすげえお父さん」
かがみ「…いや、あんたの父親だよ」
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/28(月) 22:27:57 ID:bJ4MZET9
Dumm ☆ Stern

Ohh ?! Haha, schauen ! Die 「 Glu"cklich ☆ Stern 」 schauen a"hnlich abfall !! Hahaha !!
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/29(火) 13:50:38 ID:ctzJZXdE
かがみ「バカなの?」
メガネ「……」
かがみ「みゆき、何とか言いなさいよ。ダンマリ決め込んで、綾波レイ気取りなの?死ぬの?」
メガネ「……」
みゆき「すみませんかがみさん、それ…私のメガネですらありませんよね?うふふふ…(※黒い笑顔)」ゴゴゴゴゴ
こなた「あれ?みゆきさん怒ってる!?ひょっとして、怒ってるぅぅぅ!?;」
かがみ「バカなの?それ位察せない程バカなの?日本が年々ハワイに近付くみたいに」
こなた(天の道を指すポーズ)「おばあちゃんが言っていた…バカは死ななきゃ直らないってな。どれ、かがみんがのた打ち回って死ぬのを手伝ってしんぜよー」
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/31(木) 04:04:51 ID:BxReMqqY
パティ「タコカってきましターッ!」
こなた「…え?蛸?うわっ一匹丸ごと…なんでまた…」
パティ「ミチバタでコドモがうたってマシタ。おショウガツにはタコあげて♪…ト」
こなた「………」
ゆたか「…これ、どうしよう」
そうじろう「…とりあえず天ぷらにでもするか」
パティ「ニッポンのおショウガツ、オクがフカいデス!」
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/31(木) 09:21:54 ID:SjjvMn/k
とある神社の午前10時


 柊家の神社境内。大晦日の午前中。
 元旦に向けて様々な準備が進められている。


「はぁ……」
 そんな中、まつりは、境内の枯葉を集める箒の手を休めて、ため息をついた。
 ここ最近の出来事を思い出す。
 個人的に一番の事件といえば、夫と離婚したことだ。
 妹の弁護士かがみに弁護を頼み込んで、離婚調停で何とか一人娘の親権をもぎとったものの、養育費については両親に頼ることになってしまった。かがみへの弁護報酬も結局、親が出してくれた。
 そして、自分自身も実家に世話になっている始末。なんとも情けない有様だった。
 ただの居候でいるわけにもいかないので、こうして巫女として実家の家業を手伝っている。この神社は、巫女の処女性にはこだわらない方針なので、バツイチ子持ちでも巫女として働くことは可能だった。
 何もかもがずっしりと心にのしかかってくる。
 夫と離れ離れになってしまったことが、一番つらかった。なんだかんだいっても、やっぱり愛してはいたのだ。


「なに辛気臭い顔してるのよ」
 振り返ると、そこには姉のいのりがいた。
 巫女服ではなく、神職の装束をまとっている。元旦に向けて、母みきと一緒に、お守りその他のもろもろのものを作る儀式を行なっていたのだろう。
 婿を神主として立ててはいるが、柊家は基本的に代々女系。もろもろの儀式も、直系に一子相伝が基本だ。代々女子しか生まれないという状況が神社創設以来ずっと続いているため、そうならざるをえないというのが実態だった。
 そういうわけで、母みきも姉いのりも、ちゃんと神職の資格はもっている。
「はぁ……」
「そうやって、悪い縁に縛られてると、運気が逃げるわよ」
「悪い縁?」
「良縁もあれば、悪い縁もあるってこと。どちらにしても、それが呪縛であることには変わりはないけど」
「呪縛……」
「その呪縛に縛られない一番の方法は、きれいさっぱり切り捨てること。過去のことを引きずらないこと。まつりならできるでしょ?」
「それって、私がお気楽な性格だっていいたいわけ?」
「それがまつりでしょ。そのあんたがここ最近そんな調子だから、あの子も心配してるわよ」
「……」
 なんということだ。何よりも守りたい一人娘に心配をかけたうえに、それに気づいてもいなかったとは。


 ふとあがった歓声。
 見れば、いのりの娘とまつりの娘が、巫女服を着てはしゃぎまわっている。
 まつりは、娘のもとに走っていき、一緒になってはしゃぎまわった。
 そうしていると、何もかも思い煩うことすら馬鹿馬鹿しくなってきた。
 そうだ。姉のいうとおり、自分は自分らしくお気楽に構えていればいいのだ。


「枯葉の掃除ぐらいちゃんとしなさいよね、まったく」
 いのりはそうぼやいてから、何かを小声で唱えた。
 すると、つむじ風が起こり、枯葉を巻き込むように集めて、境内の端っこに寄せていった。
 いのりは、それを見届けてから、神社に向かって歩いていった。元旦に向けて、もう一仕事あるのだ。
 背後から聞こえる歓声は収まる気配はない。
 午後には、つかさも双子の娘とともにくることになっている。そうなれば、ますますにぎやかになるだろう。


終わり
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/31(木) 11:40:34 ID:BxReMqqY
かがみ「大晦日ね…」
つかさ「そうだねー」
かがみ「…味噌煮込みうどんが食べたいわね」
つかさ「へ?急にどうして?」
かがみ「Oh!味噌か!…なんつって」
つかさ「…もしもし、こなちゃん?あのね、お姉ちゃんがね…」
かがみ「わーっ!?待ってつかさー!」
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/31(木) 12:23:52 ID:b4SGW9md
ネトマスにて新キャラ
鳥課長(男)
ロザンナ(女)

はたしてSSに使えるだろうか
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/31(木) 18:25:44 ID:7aZXqM1h
そもそもこのスレは続くのだろうか
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/31(木) 21:53:03 ID:vSzklqWn
>>645

Bitte tun nicht sagen traurig ding ・・・ .
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/31(木) 23:00:20 ID:vBFm47ae
Japanese only…
648名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/01(金) 00:32:55 ID:XFkDZ852
おまえら
あけおめことよろ
649名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/01(金) 08:55:04 ID:ocr9Ti7d
こなた「新年あけましておめでとうって事で御神輿しよー!」
かがみ「そうね。じゃあ、せっかくだからPSP専用ソフト『らき☆すたネットアイドルマイスター』の御神輿わっしょいをしましょう」

こなた「新年早々かがみがCM!? 珍しいー」
かがみ「良いでしょ別に。ほらやるわよ♪」
こなた(なんか嬉しそうだね……)

こなた「よーし、ならどっちがポイント稼げるか勝負だよ」
かがみ「私はこなたを選択するわ!」

☆☆


わっしよい♪ わっしよい♪
こなた「順調順調〜♪」

ひぁ〜///ひぁ〜///
かがみ「…………」

こなた「かがみ失敗しすぎでしょw」

ひぁ〜///ひぁ〜///
かがみ「…………」

こなた「かがみ?」

ひぁ〜///ひぁ〜///
かがみ「…………」

こなた「あの……そう連続でやられると流石に恥ずかしいんだけど……」

ひぁ〜///ひぁ〜///
かがみ「はぁはぁ……」

こなた「新年早々変態かがみんかようわーん!」ダッシュ


という訳であけましておめでとうございます
650名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/01(金) 09:14:00 ID:djSlsgqh
あけ☆おめ
651名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/01(金) 15:24:32 ID:ayMBBRMg
>>649
ワロタwww初プレイで苦戦したわっしょい…

あけおめ!
652名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/01(金) 15:38:08 ID:fQmxHk/L
あけましておめでとうございます。

正月SS書いてるけど、相変わらずPCの調子が悪くて三が日中にも間に合うかどうか…。
653名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/01(金) 17:08:12 ID:YTcC6yo4
こなた「ちょ、お父さん、朝からこんなに酔っ払っちゃって」
ゆたか「おじさん、お姉ちゃん、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
こなた「ゆーちゃんあけおめ〜、ことよろ〜。こちらこそよろしくね」
そうじろう「うぃ……ひっく……、おお、ゆーちゃん、おめでとう。よし。ゆーちゃんにもとっておきの挨拶を披露してしんぜよう」
ガシ!……ゆーちゃんの手を掴み
そうじろう「明けまちんねん!」
ゆたか「え?」
そうじろう「おめでた○きん!」
むにぃ!……その手を股間に押し付けた!
ゆたか「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
そうじろう「ふひ……ふひひひひ……ゆーちゃんの手の感触……ふ、ふひひひひひひ……」
ゆたか「お、お、お、お姉ちゃーーーん!!!」
こなた「よしよし。犬に噛まれたと思ってすぐ忘れるんだよ?ゆーちゃん。よしよし、よしよし」
そうじろう「……ふひひ……ふひひひひ……ああ、あのちっちゃな手、中学時代のかなたを彷彿させるなぁ……ふひ……ふひひひひひひ」
ゆたか「ひーん!!!」
こなた「よしよし……よしよし……」
そうじろう「ふひひひひ……ふひひひひ……ああ、ゆーちゃんの手が俺の……ふひ、ふひひひひ……」
こなた「(おめでたくないよ!?新年!?)」
654名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/01(金) 17:20:50 ID:ocr9Ti7d
>>651
同志よwあれ初プレイはタイミング分からんよなw
655 【大吉】 【1752円】 株価【42】 :2010/01/01(金) 21:17:32 ID:Gg/GWgqR
>>653
そうじろう自重www
酔いが覚めたあとは土下座しまくりだろうなあ
656名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/02(土) 12:34:15 ID:tzc6J8Ik
この日以来泉家から一切のアルコールが消滅した…
657名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/03(日) 13:31:23 ID:/MnXsVo/
−初詣にて−

こなた「ご縁がありますようにと、五円玉をいれたいが財布に無いっと…お父さん、五円玉ある?」
そうじろう「いや、ないなあ」
こなた「そっかぁ」
そうじろう「こなた、そういう時は十円でもいいぞ」
こなた「へー、そりゃどうして」
そうじろう「十円だからな『十分な縁に恵まれますように』ってな」
こなた「…うさんくさー」
かがみ「…ものは言いようって感じね」
そうじろう「…新年早々信用ないのね」
つかさ「い、いい解釈だと思いますよ…」
658名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/03(日) 15:38:48 ID:vL1m6chK
つかさの口調がおかしい
659名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/03(日) 15:58:53 ID:/MnXsVo/
そうじろう相手には一応敬語を使うと思う
660ひよりの業:2010/01/04(月) 11:14:31 ID:QdRClM3R
短編投下いきます。
661ひよりの業:2010/01/04(月) 11:18:50 ID:QdRClM3R
 泉先輩の家に皆で集まってあれこれお喋りしてたら、BGMがわりに点けていたテレビから妙な笛の音が聞こえてきた。
テレビ「はいッ、お客さまにお辞儀を。はいッ、グッド・アイデア、スロー・ダウン」
 アラビア風の衣装を身につけた男性が笛を適当に鳴らすと手前に置いた箱から三色の蛇が出入りし、巧みな話術とともにクネクネ動いたり蓋を開け閉めしている。

かがみ「あはは、この前つかさが笛の練習してたけどこんな感じだったわよねー」
つかさ「ここまで滅茶苦茶じゃないよ〜」
ひより(きゅぴーん)
 つかさ先輩があんな衣装を着て笛鳴らして…いいかも。

こなた「学園祭でコレやってみよっか」
つかさ「わたしが蛇使いさんやるとしたら、箱の中の人はお姉ちゃんかな〜」
テレビ「はい、お客さまにお辞儀を。(ヘビが手に噛みつく)あッイテテ、イテテ、イテテ……(腋毛を摘んでヘビの口に入れる)はい、よく噛んで。(緑のヘビ、引っ込む)」
ひより「!?」

妄想内つかさ『えっと台本だと腋毛を……あうう、私ツルツルだから無いよ〜』
妄想内かがみ『ちょっ! 演技だけでいいんだってば!』
ひより「いかんいかん……!! 先輩をこんな目で見るようになってはーー!!」

かがみ「……? でもさ、このコント、話術もそうだけど相方の蛇も結構難しいわよ? このクネクネとした動きとかテンポのいい出し入れとか、一匹ならともかく二匹を両手で扱うなんて無理無理」
みゆき「でしたら三人で箱に入ってそれぞれが一匹づつ担当してはどうでしょう? 位置を工夫して二人はうまく隠れては」
ひより「!?」
662ひよりの業:2010/01/04(月) 11:21:07 ID:QdRClM3R
妄想内かがみ『ちょっ! こなた、どこ触ってるのよ!』
妄想内みゆき『狭いんですから仕方ありませんよ』
妄想内こなた『ほらほらもっとくっついて、観客にバレちゃうよかがみ』
ひより「うあああーっ自重しろ自重しろ私ーっ!!!」

かがみ「……? でもさ、分担するのもそれはそれで難しそう。こうやって二匹がくっくのはうまく呼吸とか合わせないとダメじゃない?」
テレビ「なに、腰使うんじゃあねえ。それは千葉の栄町でやってきたばかりだろ。(大口を開けた赤と緑、噛み合う)キッス・オブ・ファイア、ニャニャニャニャーン」
ひより「!?」

妄想内みゆき『い、泉さん何を…!?』
妄想内かがみ『ちょっ!? こなた、ここじゃダメ……いやいや、するのは蛇のほうだってば!』
妄想内こなた『役になりきらないと呼吸とか合わないよ。ほらほら騒いだら観客にバレちゃうよかがみ〜ん♪』
ひより「やめて!! これ以上私をオカシくさせないでっ!!」

こなた「……? ところで、レッドスネークとグリーンスネーク、どっちが攻めでどっちが受けなんだろう?」
かがみ「……あんたは」
ゆたか「あれ? 田村さんどうしたの? ちょ、ちょっと、どうしようお姉ちゃん! 田村さん気絶しちゃった!」
663ひよりの業:2010/01/04(月) 11:21:45 ID:QdRClM3R
以上。
テレビで東京コミックショウ見たら瞬時につかさの笛の練習とリンクしこんな話が発生しました。
664良き日:2010/01/10(日) 03:52:19 ID:zSZd+C1n
投下いきます。

PCの不調で遅れに遅れたお正月SSです。
665良き日:2010/01/10(日) 03:53:21 ID:zSZd+C1n
「ほい、みゆきさんおまたせ」
 そう言いながら泉こなたは最後の皿をテーブルに置き、椅子に座って待機していた高良みゆきの正面に座った。
「いえ…」
「おせちの余りくらいしかなかったけど、良かったかな?すぐに食べれそうなのってこれくらいだったからさ」
「あ、はい。十分です」
 みゆきはテーブルに並べられた皿を見た。ピザやスパゲッティにローストチキン。以前こなたから聞いたことあるとおりの、洋風おせちだ。ナイフやフォークではなくお箸が付いている辺りが日本人なんだなと、みゆきはおかしなことを考えてしまっていた。
「あ、あの…泉さんは、食べないのですか?」
「わたし?…んー、さっき食べたばかりだからねー」
「そうですか…」
 食べづらそうにしているみゆきにこなたは少し困った顔をすると、手近にあった小皿に料理を少し取り分けた。
「ま、折角だし少し食べるよ」
「…すいません」
 こなたのその行為を、一人で食事をすることに躊躇してる自分への気遣いだと感じたみゆきは、こなたに向かって軽く頭を下げた。
「これでかがみみたいに太ったら、みゆきさんのせいだからね」
「そ、それは…えと…いただきます」
 自分の気遣いを茶化すこなたの言葉に、みゆきは誤魔化すように手を合わせ、箸を手に取り料理を口に運んだ。
「…おいしい」
 思わず出た感嘆の言葉。それに答えるように、こなたは得意げに腕を組んでいた。
「でも…ほんとにすいません…急に押しかけてきた上に、こうして食事までいただいて…」
 料理を口に運びながらも器用に喋るみゆきに、こなたは手を振って見せた。
「いやいや、こういう奇抜なお正月も良いもんだよ」
「…奇抜ですか、わたし…」
 そう言いながらも、みゆき自身これほどおかしな正月は無かったなと、ピザをかじりながら思っていた。



― 良き日 ―



 一月二日。正午を少し過ぎた頃。こなたは今日一日部屋で積みゲーの消化をすると決め、そのとおりに実行していた。
 初詣やお年玉といった主な正月行事は元旦に済ませてある。それに父であるそうじろうは出版関係のパーティーに出かけていて帰りは遅くなり、居候の小早川ゆたかとパトリシア・マーティンは友人の家に泊まりに行っていて帰ってくるのは明日になる。
 つまり今日一日家にはこなた一人であり、なんの気兼ねもなく積みゲーの消化に当たれるということだ。
 ちなみにいつも気兼ねをしているのは、やっているのが十八歳未満は購入禁止の代物、つまるところのエロゲーだからだ。
「…んふふー、いーねー…こりゃ当たりだ」
 自分が女子大生である事を忘れたようなエロオヤジ目線で画面を見ているこなたの耳に、玄関のインターホンのなる音が聞こえた。
「んもー、誰だよ。いいところなのにー」
 そう文句を言いながら、こなたは念のためにセーブをしてモニターのスイッチを切って玄関に向かった。


666良き日:2010/01/10(日) 03:54:18 ID:zSZd+C1n
「あ、あれー?みゆきさん?」
「明けましておめでとうございます。泉さん」
 玄関のドアを開けたこなたが見たのは、晴れ着姿で深々とお辞儀をするみゆきだった。
「あ、うん、おめでとう…ってかどうしたのみゆきさん?田舎に帰ってたんじゃ…」
「えっと…それがその…ふらっと戻ってきちゃいました」
「えー」
 舌を出しながら『えへっ』という台詞が似合いそうな顔ではにかむみゆきに、こなたはなんとも言えない表情をするしかなかった。


 とりあえずこなたはみゆきを自分の部屋に通した。部屋の真ん中辺りに敷いた座布団にちょこんと座り込む晴れ着のみゆきは、ちょっとした日本人形のようだな、とこなたは思った。
「でも元旦は向こうに居たよね?メールにそういうこと書いてたし」
 先ほどゲームをしていた時に使っていた椅子に座ったこなたが、ベッドの上に放りっぱなしの携帯を見ながらそう言うと、みゆきは頷いて見せた。
「はい、そうです」
「えらく早く帰ってこれたねー。飛行機でも使ったの?」
「いえ、夜行バスを利用しました」
「夜行ってそりゃまた…ってかその格好で?」
「はい、そうですけど」
 そのバスに乗り合わせてた人には、さぞ違和感のある光景だっただろうと、こなたはみゆきを眺めながら思った。
「それでですね、戻ってきたのは良いんですが、家の鍵を持っていないことに気がつきまして、携帯も忘れてきたらしくどうしましょうってなりまして…」
「それでわたしんちに?」
「…はい」
 あきれ果てたと言わんばかりのこなたの視線に、みゆきは顔を赤くして身を縮ませた。
「真っ先にわたしんちって事は、わたし相当暇してると思われてるんだねー」
「い、いえそういうわけでは…ただつかささん達は三日までは神社のお手伝いでお忙しいでしょうから…」
「だから暇なわたしの所に来た?」
「あ、いえ、それは…その…すいません…」
 しおしおと縮んでいくみゆきを見て、こなたはとりあえずゲームを中断させられた事への意趣返しはできたと満足そうに頷いた。そして、ふと思いつくことがあった。
「そういや、みなみちゃんちには行かなかったの?ゆーちゃん達が泊まりに行ってるから、いると思うんだけど」
 こなたがそう言うと、みゆきは目をぱちくりとさせ、しばらくポカンとした表情をしたあと「…あ」とだけ呟いた。
 二人の間に部屋の中だというのに冷たい風が吹いたような気がした。
「…みなみちゃんが聞いたらどう思うだろ、コレ」
「…すいません、この事はどうかみなみさんにはご内密に…」
 これ以上はないというほどに縮んでしまったみゆきから視線を逸らし、こなたは溜息をついた。と、そのこなたの耳にクーッと小さな音が聞こえた。みゆきに視線を戻してみると、みゆきは真っ赤な顔でお腹のあたりを押さえていた。
「…今の、みゆきさん?」
「あ、いや、その…すいません…昨日の晩から何も食べてなくて…」
「…お腹の音まで可愛いなあ、この人は」
 こなたは頬をかきながらみゆきを眺めた。呆れられてると思ったのか、みゆきはますます顔を赤くして身を縮める。
「みゆきさん。お腹空いてるなら、なんか食べる?」
「え、あ、えと…」
 みゆきは迷うように視線を泳がせた。
「…はい」
 そして、小さく頷いた。



667良き日:2010/01/10(日) 03:57:38 ID:zSZd+C1n
「…ごちそうさまでした」
 みゆきが箸をおいて手を合わせる向かいで、こなたはあんぐりと口をあけていた。
「お粗末さまでした…ってか、みゆきさんよく食べたねー」
 お節のあまりとはいえ、それなりの量があったはずなのだが、テーブルの上の皿はすっかり空になっていた。こなたも一緒に食べてはいたが、付き合い程度に少し食べただけで、ほとんどみゆき一人で食べたようなものだった。
「す、すいません…食べ始めたら止まらなくなりまして…」
「いや、謝ることじゃないと思うよ」
 そう言いながら、こなたは立ち上がってテーブルの上の皿を片付け始めた。それを見て、みゆきも立ち上がる。
「あ、手伝います」
「いやいや、みゆきさんはお客なんだから、部屋に戻って待っててよ」
 皿に手を伸ばそうとするみゆきを制して、こなたは片手に重ねた皿を持ったまま、空いた手でみゆきを部屋の外へと押しやった。
「で、でも…」
 少しばかりみゆきは抵抗したが、部屋の外に追いやられたころには諦めたのか、そのままこなたの部屋へと向かった。
「やれやれ、わたしの友達は手伝いたがりさんが多いなー。任せるところは任せてくれればいいのに」
 そう呟いてから、こなたは自分の胸の辺りを見た。
「…ま、信用ないからだろうけど、ね」
 そして溜息をつくと、こなたは持っていた皿とテーブルに残っている皿を流しに入れ、冷蔵庫から白い液体の入ったビニール袋を出してきて、鍋に入れて火にかけた。
「さて、みゆきさんが猫舌ってのは聞いたこと無いけど…あんまり熱くしないでおこうかなっと」
 鍋の中の液体が温まるにつれ、キッチンに甘い香りが広がっていく。こなたは頃合を見て、その液体…甘酒を二つの湯飲みに分けて入れた。



 お盆の上の湯飲みが揺れないように、こなたは慎重に階段を下りていく。
「…ととっ…ちょっと入れすぎたかなこりゃ…」
 階段を下りきり、自分の部屋の方を向いたときに、こなたの耳に声が聞こえた。そして、その瞬間にこなたの動きがぴたりと止まった。
「…ま…さ…か…」
 聞こえてくるみゆきとは違う声。この家には、今こなたとみゆき以外の人間はいないはず。しかし、こなたにはその声に心当たりがある。
「…こりゃまずった…」
 こなたは走り出したい衝動に駆られたが、持っている甘酒を放り出すわけにもいかず、ゆっくりと自分の部屋に向かった。

668良き日:2010/01/10(日) 03:58:34 ID:zSZd+C1n
 こなたが器用に足だけで部屋の扉を開け中に入ると、予想していた通りの光景が目の前にあった。
 みゆきがこなたのパソコンのモニターを真っ赤な顔をしたまま食い入るように見つめているのだ。画面に映っているのは、先ほどこなたが放置していたゲームのエロシーン。聞こえてきていたのは、その女性キャラのエッチな声だ。
 こなたは部屋にある座卓の上に持っていたお盆を置くと、みゆきの背後に立った。
「…みゆきさん。熱中してるとこ悪いんだけど…ちょっといいかな?」
 こなたが出来るだけ優しくそう声をかけると、みゆきはビクッと肩を震わせ、ゆっくりとこなたの方へ振り向いた。
「あ…いえ…あの…これは…その…」
「うん、電源切らずにほったらかしにしてた、わたしのせいだから…とりあえず、切っとくね」
 こなたはみゆきが手放したマウスを握って、パソコンの電源を落とした。その間にみゆきはその場を離れ、床の上に正座をし、そのまま顔を両手で隠して突っ伏してしまった。
「みゆきさん、大丈夫…?」
「…出来ればこのまま消えてしまいたいです…」
 本当に消えてしまうんじゃないかと思うほどのか細い声で呟くみゆきを、こなたはなんとも言えない表情で見つめた。
「ま、まあとりあえず、甘酒でも飲んで落ち着こうよ…」
 そして、座卓の近くに座って、そこに置いてあった湯飲みを手に取り、みゆきに勧めた。
「…すいません…なんていうか、色々と…」
 恐縮しながらこなたの傍に座り、湯飲みを受け取るみゆき。
「…良い香りですね…」
 そこから立ち上る甘い香りに、思わずほっとした表情を浮かべる。それを見たこなたも、安堵の表情を見せた。
「ちょっとぬるかったかな?」
 一口飲んだこなたがそう言うと、同じく一口飲んだみゆきが首を振った。
「いえ、丁度良いですよ」
「そか、じゃ良かった」
 言いながらこなたは湯飲みに口をつけた。
「初めて飲みましたけど、甘酒って美味しいんですね」
「…へ?」
 感心したように呟くみゆきに、こなたは驚いた顔をした。
「みゆきさん、飲んだこと無いの?」
「はい。実家でふるまわれてはいるのですが、なぜかわたしは飲むのを止められてまして…」
「ふーん」
 何か理由があるんだろうか。だとしたら飲ませたのはまずかったかな。こなたはそんなことを考えたが、飲ませてしまったものはしょうがないと開き直った。


669良き日:2010/01/10(日) 03:59:27 ID:zSZd+C1n
 二人とも湯飲みの半分ほど飲み終わった辺りで、こなたはみゆきが甘酒を飲むのを止められる理由を知った。
「…ふぃー」
 大きく溜息をつきながら、ゆらゆらと左右に揺れるみゆき。要するに酔っているのだ。
「甘酒で酔うなんて、漫画の中だけかと思ってたよ…」
 飲んだことが無いというのは、飲んでるときの記憶が無いんだろうななどとこなたが思っていると、気持ちよさそうに揺れていたみゆきが真っ直ぐこっちを見ていることに気がついた。
「どしたの、みゆきさん?」
「泉さん。ぐだぐだです」
 開口一番わけがわからなかった。
「え、えっと…なにが?」
「わたしがです。泉さんの家に来てから変なことばかりしてます。恥ずかしいかぎりです」
 言いながらみゆきは湯飲みを座卓の上に置き、四つんばいでこなたに近づいていった。
「い、いや、珍しいみゆきさんが見れたし、特に問題ないかと…」
 何か危険な予感を感じたこなたも、湯飲みを座卓の上に置いた。それを見計らったように、みゆきがこなたの腰の辺りに抱きついてきた。
「そーですよねー。泉さんはそーいうんです。お優しいですから、泉さんはー」
 そのまま甘えるようにお腹の辺りに顔を擦り付けてくるみゆきに、こなたはどうしていいかわからずされるがままになっていた。
「でもそれじゃダメなんですよー。わたしはもっとしっかりしなきゃダメなんですー」
「そ、それはどうして…?」
「でないと、泉さん頼ってくれないじゃないですかー」
「ふぇ?」
 みゆきの言ってることがわからず、こなたは首をかしげた。
「わたし知ってますよー。泉さん、高校の時にかがみさんに宿題を写させてももらったりしてたでしょー」
「う、うん…」
「どうしてわたしじゃダメだったんですかー?確かにかがみさんはしっかりしてますし、頼りがいがありますけど、わたしだって宿題くらいちゃんとしてましたよー」
「い、いや、それはなんていうか…」
「もーそんな意地悪する泉さんは、こなたさんって呼んじゃいますよー」
「脈絡が無さ過ぎる!」
 突っ込むこなたを無視しみゆきは体を起こすと、こなたの首に右手を回し、左手の人差し指でこなたの鼻の頭をつんつんとつつき始めた。
「ほらほらー呼んじゃいますよー。こなたさんーって」
「いや、もう呼んでるんじゃ…うん、もう好きにして」
 諦めの境地で呟くこなたに、みゆきは嬉しくてしょうがないという風な笑顔を見せた。
「ふふふー…こ・な・た・さ・ん」
 一言ずつ区切ってそう呼ぶと、みゆきは両手でこなたを突き飛ばし、両手で顔を覆っていやいやと首を振った。
「いやーん、もう。恥ずかしいですー」
「…わたしは痛いよ、みゆきさん」
 扉の側の壁まで転がったこなたは、ゆっくりと体を起こしながら今のみゆきをどう止めようか考え始めた。と、唐突にこなたの横の扉が開き、誰かが部屋の中に入ってきた。
670良き日:2010/01/10(日) 04:00:27 ID:zSZd+C1n
「あ、はっぴーにゅーいやー!こなた元気ー!?」
 そう元気よく大声を上げながら入ってきたのは、巫女服を着たかがみだった。
「ってー新年の挨拶は昨日したじゃなーい」
 自分で突っ込みを入れた後、かがみはみゆきに近づいていった。
「なにーこなた晴れ着?お正月だからおめかし?結構似合ってるわねー」
 そして、みゆきの首に腕を回しながらそう言った。
「かがみさーん。わたしはみゆきですよー」
 みゆきがそれにほわほわと答える。
「いや、かがみ、わたしこっちだから…ってかもしかして酔ってる?」
 こなたが突っ込みながら良く見ると、かがみの顔は真っ赤で表情はトロンとしていた。かがみはこなたを見て目をパチクリさせると、
「あー、そっちがこなた。んじゃー…ゆたかちゃん、ちょっと見ないうちに大きくなったわねー。もうこなた抜かしてるんじゃないー?」
「かがみさーん。わたしはみゆきですよー」
「…だめだこりゃ」
 呆れた口調で額に手を当てて天井を見上げるこなた。そのこなたの傍に、かがみが近づいてきた。
「こなた、こなたー」
「ん、なに?」
「コレおかわりー」
 かがみは手に持った湯飲みを揺らしながらそう聞いてきた。
「…それわたしの甘酒…」
「こなたさーん、わたしもおかわりー」
「…へいへい…」
 こなたは溜息をついて、空になった二つの湯飲みをお盆に乗せた。



「泣く子と酔っ払いには勝てないってね…」
 そう呟きながらこなたが部屋から出ると、玄関のインターホンが鳴った。
「…次はつかさに違いない」
 こなたはとりあえずお盆を階段に置くと玄関に向かった。


671良き日:2010/01/10(日) 04:01:18 ID:zSZd+C1n
 玄関のドアを開けると、こなたの予想通りにつかさがいた。かがみと同じく巫女服で。
「…こ…こなちゃ…ん…お姉ちゃん…来てる…?」
 しかし、つかさは酔っ払ってはいなくて、息も絶え絶えな状態だった。
「ど、どうしたのつかさ?とりあえず水飲む?」
「う、うん…」
 こなたはつかさを家の中に入れてキッチンに向かうと、三人分の甘酒を鍋にかけ、水をコップに入れてつかさのところに戻った。
「ほい、つかさ。水だよ」
 玄関でぐったりと寝そべっていたつかさは、起き上がってこなたからコップを受け取り、その中身を一気に飲み干した。
「…ふいー…ありがとう、こなちゃん」
 礼を言うつかさに、こなたは頷いて見せた。
「で、かがみのことなんだけど」
「あ、そうだ。お姉ちゃんやっぱりここに?」
「うん。なんか酔っ払ってたけど…なにがあったの?」
「えっと、それが…まつりお姉ちゃんが無理やりお神酒飲ませちゃって…それで酔ったかがみお姉ちゃんが、急にこなちゃんに会いに行くって言い出して自転車で…」
「自転車って確か車両扱いだから、飲酒運転で捕まるんじゃ…」
「うん、だから止めようと思ってわたしも自転車で追いかけたんだけど、お姉ちゃん凄く速くて全然追いつけなくって…」
「結局ここまで来ちゃったのか…ま、とりあえず部屋にいこうか」
 こなたはそう言って階段を上り始めた。
「あれ、こなちゃんの部屋そっちだっけ?」
「ん、ちょっと甘酒温めてるから、取りに行って来る。先に部屋に行っててよ」
「ううん、わたしも運ぶの手伝うよ」
 つかさはそう言ってこなたの後に付いて階段を上り始めた。


 こなたとつかさはそれぞれ二つずつ湯飲みを乗せたお盆を持って、こなたの部屋へと向かっていた。
「こなちゃん。四っつあるけど、他に誰かいるの?…一つだけお茶だし」
「うん、今頃かがみと酔っぱらいどうしで談笑してると思うよ」
「そ、そうなんだ…」
 苦笑い気味になったつかさを引き連れて、こなたは自分の部屋の扉をまた足で開けて入った。
「くー」
「すー」
 部屋の中では、かがみとみゆきが重なり合うように眠っていた。
「…こなちゃん、寝ちゃってるよ…ってかなんでゆきちゃんが…」
「…う、うん…おかわり頼んどいてこれかー…」
 こなたはとりあえず二人を起こそうと、お盆を座卓に置いて近づいた。
「ねえ、二人ともこんなとこで寝ないでよ…」
「…んー…こなたー」
 そのこなたの手をかがみががっちりと掴む。
「へ?」
「…こなたさーん」
 そして、反対側の手をみゆきが掴んだ。
「え、ちょ、ちょっと二人とも…」
 そのままこなたは引きずりこまれ、かがみとみゆきに挟み込まれる形になった。
「いや、あの…離して…」
「わーこなちゃんもてもてだー」
「つ、つかさ。そんな棒読みで…ってか助けてよ…」
 こなたは三人の様子を自分の分の甘酒をすすりながら眺めるつかさに助けを求めたが、つかさは微笑んで首を横に振った。
「もうちょっと見てたいかな」
「…えー」
 こなたは、実に幸せそうな顔で自分の腕に絡み付いているかがみとみゆきを見て、溜息をついた。
「ま、しょうがないか…」
 こなたは諦めたように目を瞑ると、二人に身を任せることにした。
 そして、こなたもまたゆっくりと眠りに落ちていった。



672良き日:2010/01/10(日) 04:03:28 ID:zSZd+C1n
「…う…ん…?」
 こなたは身を起こし、目をこすった。
「あ、起きた。こなちゃんおはよう」
 寝ぼけ眼のこなたに、つかさが声をかけてきた。
「わたし、寝ちゃってた?」
 あくび交じりにそう聞くこなたに、つかさは頷いて見せた。
「かがみとみゆきさんは?」
 こなたがそう聞くと、つかさは苦笑して部屋の隅っこを指差した。こなたがそちらを見ると、まったく同じように膝を抱えて顔を伏せっているかがみとみゆきの姿があった。
「…二人ともどったの?」
 こなたが聞くと、つかさは困ったように頬をかいた。
「えっとね。二人ともこなちゃんより先に起きたんだけど…もう酔いはさめてたんだけど、酔っぱらってる時のことぼんやりと覚えてたらしくて…」
「…なるほど」
 こなたは頷くと、かがみたちの方に歩いていき、二人の間に座り込んだ。
「さて、二人ともわたしに言うことは?」
「…ごめんなさい」
「…すいません」
 こなたの質問に、かがみとみゆきは同時に謝った。
「ふむ…いやまあ、気にしてないけどね」
 こなたはのん気にそう言うと、立ち上がり大きく伸びをした。そして部屋の時計を確認する。
「かがみ達、帰らないとまずいんじゃない?もう夕方だよ」
 こなたの言葉に、かがみがハッと顔を上げた。
「そ、そうだ…巫女の仕事ほったらかして来たんだっけ…うわーどうしよう…お父さん怒るだろうなあ…」
 そしてそのまま頭を抱えた。
「怖いの?二人のお父さんって温厚そうだったけど」
 こなたがつかさにそう聞くと、つかさは頷いた。
「うん…普段優しい分、怒るとね…」
 二人が話してる間に、かがみは立ち上がって少し乱れた巫女服を直していた。
「…つかさ、帰りましょ」
 そして、つかさに向かってそう言うと、ふらふらと部屋の扉に向かい、そのまま出て行った。
「ま、待ってお姉ちゃん…それじゃ、こなちゃんまたね」
 つかさもこなたに別れの挨拶をすると、かがみを追いかけて扉を出て行った。
673良き日:2010/01/10(日) 04:04:36 ID:zSZd+C1n
「…さて、と」
 こなたは二人を見送ると、未だに部屋の隅にいるみゆきの傍に近づいた。
「みゆきさんはどうすろ?」
「…どうしましょう」
 考えがまとまらないのか、みゆきは力なくそう答えた。
「家の鍵ないんだっけ?このまま止まってく?」
「…そうですね。そうします」
 やはり力なく答えるみゆきに、こなたは溜息をついた。
「しっかりしてよみゆきさん。こんなの恥のうちに入らないよ」
 こなたはみゆきの隣に座り、その肩を軽く叩いた。
「あと、迷惑でもないよ。食事してるときにも言ったけど、奇抜なお正月も良いもんだよ」
「…そうですか」
 みゆきはようやく顔を上げ、こなたの方を向いた。
「すいません…色々気を使わせてしまって…」
「だから気なんか使って無いって…しょうがないなーみゆきさんは」
「で、でも…」
 まだ何か言おうとしているみゆきの額に、こなたはでこピンを食らわせた。
「痛っ!?…な、なにをするんですかー…」
「今日の分はこれでチャラ。それでいいでしょ?」
 こなたが微笑みながらそう言うと、みゆきは額を擦りながら渋々頷いた。
「さて、そろそろ晩御飯の支度しないと」
 こなたがそう言って立ち上がると、みゆきも同じく立ち上がった。
「わたしもお手伝いします」
「…お詫びにとか言わない?」
「言いません。泊めていただけるお礼に、です」
「なるほど…おーけー。じゃ、手伝ってもらおうかな」
「はいっ。ではこなたさん、わたしは先に行ってますね」
 みゆきはそう言うと、少し早足で部屋の扉を出て行った。
「そんな張り切らなくても…」
 こなたは少し呆れ顔でみゆきの後を追い、廊下に出た所であることに気がついた。
「こなたさんって…呼び方直ってなかったね」
 こなたはしばらく考え、嬉しそうに頷いた。
「今日は良い日…だね」
 そして、今日の晩御飯は少し豪華にしよう…そんなことを思いながら、キッチンへと向かった。


― おしまい ―
674良き日:2010/01/10(日) 04:05:32 ID:zSZd+C1n
以上です。

いや、ホントいまさらですなー。
675名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/10(日) 08:29:33 ID:HBKPHlDn
>>674
みゆきさんカワユス

ごちそうさまでした。ああいえ、すごく面白かったです!
ほのぼのしててよかったです。思わずニヤついてましたw GJ!
676名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/10(日) 17:44:51 ID:urI2aXLh
ここは平和だな
エロパロから引っ越すか
677名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/10(日) 18:00:09 ID:urI2aXLh
>>674
むしろ正月が終わった今の方が自分の過ごした正月と対比できて面白かったです
本当にいい話で終わるSSを見て心が洗われます
678名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/10(日) 22:39:39 ID:YEP6L40/
エロパロ荒れてんの?
679名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/10(日) 22:56:18 ID:6ZKpDKR/
平和だけど過疎ってるスレにようこそ
680名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/11(月) 00:51:54 ID:swcP4vaV
>>674
和んだGJ
こういうほのぼの系は読んでて癒される
681名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/11(月) 08:54:17 ID:8Cgt9Gzz
投下行きます。
682加賀雪:2010/01/11(月) 08:55:29 ID:8Cgt9Gzz
昔ながらの喫茶店のような音を立てて扉が開く。
私がひいきにしている飲み屋の扉の出迎えの音だ。

「いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」
「あら、今日は一人じゃないのよ。あとからもう一人来るわ」

私はこのバーを行きつけの店にしていた。
落ち着いている雰囲気が気に入ったということもあるが何より加賀雪という幻の銘酒を扱っている店だからでもあった。
仕事で失敗したとき、行き詰ったときはここで一人で飲むのが習慣になっていた。
でも今日は、一人ではない。

「珍しいですね?誰が来るんですか?」
「高校時代の親友よ」

マスターの言葉は私にその親友と初めて会った時のことを思い起こさせた。

___

683加賀雪:2010/01/11(月) 08:57:42 ID:8Cgt9Gzz
「はじめまして、柊さん。よろしくお願いします」

そう自己紹介したときのみゆきの印象は今でも強烈に残っている。

あ…この人には敵わないな…

そんなことを思ったのは初めてだった。
今までは、どんな人にも初めから敵わないなんて思うことはなかった。
もともと、負けず嫌い性格もあり、努力さえすれば、どんな相手に対しても負けない、劣等感を感じることはないというあさはかな考えを知らず知らずに持っていた。
それがみゆきの本当に上品な、余裕のある言葉づかいを聞いたとたんにこれはかなわないな…と思ってしまったのだ。
この人は私との勝ち負けに拘ることなんてない…
直感的にそれを悟った途端に私が持っていた自信は打ち砕かれた。
私がとてもつまらないことで勝敗をつけ、そのことを気にしていないみゆきの方が上等な人間に思えたからだった。
だから私たちの出会いは、私にとってはあまり良いものではなかったのかもしれない。

第一印象は間違っていなかった。
実際にみゆきは、委員会ですぐに中心的な人物となり、先生にもその能力を高く評価されていた。
私も、みゆきを尊敬していた。
その一方で、はじめて嫉妬という醜い感情が私に芽生えてくるのを見て見ないふりをしていた。

みゆきに対する劣等感が爆発する事件があった。
きっかけはつかさだった。
その日、つかさはいかにみゆきが頼りになり、すごい人物であるかをうれしそうに語っていた。

「それでね、高良さんすごいんだよ。あっという間に難しい問題も解いちゃうし…それにそれにね〜」
「ふ〜ん」
「分かんないところとかも聞いたら優しく教えてくれてね…それに」
「じゃあこれからは宿題も高良さんに教えてもらえば!」

今思い出しても、自分が恥ずかしくなる。
でもその時の自分は、みゆきに対する劣等感と、つかさが自分よりもみゆきを頼りにするんじゃないか?という焦燥感でいっぱいいっぱいになってしまったんだと思う。

「お姉ちゃん?」
「そんなに高良さんがいいならもう勝手にすればって言ってるの!私もう寝るから・・・おやすみ!」

私何言ってるんだろう、最悪だ…
その日は、みゆきに対する嫉妬と自分への情けなさで、ベッドの中で涙を流した。
684加賀雪:2010/01/11(月) 09:00:36 ID:8Cgt9Gzz
そんなみゆきともあることがきっかけで仲良くなった。
きっかけはやっぱりつかさだった。
ある委員会の集まりの後だった。
私とみゆきは二人で残ってやる仕事があった。
なんとなく居心地の悪さを感じたので何か会話のネタはないかと探す。

「高良さん。今日はなにかいいことあったの?」

この日のみゆきは、委員会の最中からなにかご機嫌な様子だった。

「あ、柊さん。分かってしまいましたか」

そう言って恥ずかしそうに笑う、その仕草も可愛かった。
くそ、その笑顔は反則だ。と今思えばこなたが考えそうなことを考えていた。

「実は、柊さんの妹のつかささんに、ゆきちゃんと呼ばれたんです。お恥ずかしながら、私今まで、下の名前で呼ばれることがなかったのが悩みで、なのでうれしくて…」

なんだそりゃ…拍子抜けした。
と同時に、私が勝手に抱いていた『高良さん』のイメージが一気に崩れた。
今なら不思議なことではないと思えるけど、みゆきがそんな小さなことを悩んでいるなんてその時の私には、想像つかなかったのだ。

「そう……なんだ」

そのとき私は、完璧超人な、でも等身大の高校一年生の『みゆき』に初めて出会った。

「じゃあさ、私もみゆきって呼んでいいかな?」
「もちろんです。では私も柊さんのことかがみさんとお呼びしてよろしいでしょうか」
「もちろんよ」

そこからは、私が抱いていた悪感情が嘘のように仲良くなった。
抱く感情一つで、人間関係が大きく変わることを学んだ。
きっかけは本当に小さなことだったけど…


____
685加賀雪:2010/01/11(月) 09:02:11 ID:8Cgt9Gzz
「お久しぶりです。かがみさん」

昔の出来事に思いを馳せているとと後ろから声をかけられる。
振り返らなくてもわかる、親友の声だ。

「こうやって直接会うのは久しぶりね」
「そうですね。かがみさんは弁護士のお仕事でお忙しいですし」
「それはみゆきもでしょ?有名病院の敏腕美人医師で有名みたいじゃない?」
「そんな…私なんてまだまだ未熟ですよ」
「ふふ、変わってないわね」

そう、みゆきはいつでもこうだった。
誰もが認める頭脳、能力を持ちながらも謙遜して表に出したりしない。
いや、みゆきはきっと本当に自分はまだまだ未熟だと思っているのだろう。
だからこそ、みゆきの謙遜は、本人にとって謙遜ではなく本音で、それだから聞いていて嫌味がない。
もっとも時々、そんなみゆきをいじりたくなるこなたの気持ちもわからなくはないけど…

「どうしたのですか?」
「ちょっとこなたの憎たらしい顔を思い出してね」
「泉さんですか、久しくお会いしていませんね」
「そうね。私も最近は会ってないわ。電話は時々するけどね」
「そうですか。泉さんはお元気でしたか?」
「相変わらずよ。っていうかこの前みゆきに電話で話したとき以来、こなたに電話してないなぁ」
「そうなんですか?てっきりかがみさんと泉さんはもっと頻繁に連絡しているのかと」

そう言えばそうね…
高校や大学の時はよくこなたと頻繁に電話を掛けあっていた。
お互いが忙しくなってからその回数は減っていたけど、私は電話の回数が減った気がしない。
その分みゆきと電話をする回数が多くなったからだ…と私は気付いた。

「ところでみゆき、最近仕事の方はどう?」
「やっぱり、忙しいですね。自分で選んだ道なのであれこれ言うつもりはないですけど」
「愚痴の一つや二つ言ったって罰は当たらないわよ。私しか聞いてないし」
「そうですね…やはり理想と現実の隔たりと言いますか…患者さんの意思以外の面で思うような治療ができないときに歯がゆさを感じますね」

なぜみゆきなんだろう…その理由に気がついた。
みゆきが私ととても似ている立場にいるからだ。
686加賀雪
「私もそうね。上の人間が正直何を考えてるのかわからなくなることもあるし、依頼人があまりに無理難題を言うんで閉口したこともあるわよ」
「正直、患者さんの中にも無理なことを言われる方はいますね」
「どこにでもいるのね。文句なんて言っちゃいけないんでしょうけど…」

世間的な評価とプレッシャー、力の及ばないところにいる上役の現場無視の独断専行、依頼人や患者からの理不尽な要求…
自分で望んで、苦労して掴み取った筈の未来
だから文句は言いたくない…文句を言うのは筋違いだ…
分かってる、分かってはいるけれども

「たまに、言いたくなっちゃうわよね」

それを優しく受け止めてくれる存在
何を言うわけでもなく、何も解決しないけれどただ共感してくれる存在
それが高良みゆきという存在なのだろう。



「今日は楽しかったですね」
「たまにはこういうのもいいわね」
「またこうやって飲みたいですね」
「いいわね。お互い忙しいからなかなか難しいかもしれないけど」
「また連絡しますね」
「そうね。私も暇な時は電話するわ」

そのとき私が乗る電車がホームに入ってきて私たちは別れを告げた。

電車から降りると、一通のメールが入っていることに気がついた。
みゆきからだった。

『今夜はお付き合いいただきありがとうございました。かがみさんに愚痴を聞いてもらったおかげでだいぶ気持ちが楽になった気がします。また明日からお互い頑張りましょう』

みゆきも私と同じように感じてくれていたのだろうか。
さしもの完璧超人も、ガス抜きが必要なのかもしれない。

改札を抜けて階段を上る。
地上への足取りがいつもより少しだけ軽くなった気がした。