乙ー
きろくしました
このままでんげんをおきりください
乙
友人に貸したらその母親にFC蹴飛ばされてセーブが消えた悲劇
でんでんでんでんでんでんでんでんでん!!おきのどくですが・・・・・・
>>1乙
おきのどくですが サモンサーヴァントは失敗してしまいました
なんで出てこないのよお〜〜〜〜〜!!!
じゅもんがちがいます
ゆうて いみや おうきむ
こうほ りいゆ うじとり
やまあ きらぺ ぺぺぺぺ
ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ
ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ ぺぺ
ところでゼロ魔のキャラでダイ大のストーリー攻略はどこまで可能だろう?
キラーマシンで詰むんじゃね?
ヒュンケルで無理。
デルムリン島から始まるとして
キラーマシンはまだしもハドラーの時点でダイがいなきゃどうにもならんだろう
おっさん辺りで通常攻撃一発がスクウェアクラスの数倍の威力の世界になるので
そこらへんでアウトだと思う
詰まるたびにパワーアップして乗り越えるから大丈夫です
>>9 誰が主人公なのかと、LVの上がりかたがどっちの世界準拠かじゃないかな?
最終的に味方に虚無4(5)人+使い魔3人+エルフ+現代(大戦中)兵器+コルベール+ゼロ魔世界の戦力が集まって
LVの上がり方がダイ世界準拠の上がり方なら、それなりに対抗できそーな気はするな
おっさん、ヒュンケル、バラン、ハドラーの味方〜中立になった人達がキャスト的にどう扱いかも問題だし
現行現代兵器まともに出たらそれだけでダイ大世界レイプされて終了するぞ
>>16 ゼロ魔準拠なら、現行のものでもなければ、まともにも運用もできない部分運用が限界と無いと思われる
流れ斬ってすまない。前スレ950以降見逃したんだけど、何か
特筆するような事書かれてたりした?
>>19 サンクス、読み逃して少々焦ったがそれならまあ問題は無いか。
>>16 無理だろ
ダイ世界は適当に攻撃するだけで現実の軍隊を壊滅させられる連中だらけだぞ
まず現実世界にはオリハルコンを破壊できる威力の武器がほとんどない
逆にそれがないわー
適当に攻撃するだけで壊滅とかバーン様クラスでやっと出来るかだぞ
バランだと竜魔人ドルオーラが必要になるぞ
基本的に戦術規模だからな、世界を問わずに軍隊展開舐めすぎだろう
それが可能だったら適当にダイ大世界が魔王軍に侵略されて終わってる
その前にオリハルコン破壊できないと決めつける根拠がなさ過ぎる
そこまで異常な堅さではないんだぞ
鬼岩城さんディスってんのですか?
ただの岩の塊に見せかけて砲台無傷っすよあの人
>>22 一撃で全軍滅殺する必要がどこにあるんだ?
>>23 中世の砲弾と近代戦の砲弾を同列に語られても、その、なんだ困る
自衛隊的vs巨大な物体的に考えて「やったか?!」「無傷だと?!」は美味しいと思うがw
>>24 一撃なんて全く言ってないんだが
適当にどころか真面目にやろうとしても難しいと言ってるんだ
前提条件を出さずに話し合ったらそりゃーすれちがうだけじゃない?
まずは脳内の双方の戦力出し合ってからはなしたら?
まあ、現代兵器ってのはバトル物において踏み台にされがちだしな
つかキリ無いから止めたら?
>>26 バーン様とか竜魔人ドルオーラ持ち出してる時点で前提履き違えてるようにしか見えんわ
既に複数のどっかのスレとかで検証とかされてるだろ、現代兵器比較とかなら特に
どうにもこのスレはダイ大関連ヨイショし過ぎて他をすべて踏み台扱いな奴が居着いてるんだよな
結構戦力評価は低いから検証系見てくると絶望するかもな
だからやめようぜ、絶対軍オタと信者(ネガティブな意味での)達の
意味の無い罵り合いになるんだから
ところでここはゼロ魔スレなんだが
違う、ここはダイ大とゼロ魔のスレだ。
新宿END……
そうは言っても最早SSの投下もありそうにないしなぁ。
このまま6000レスほどダラダラやって適当にこのスレ終了じゃね?
仮にチウが召喚されたらルイズはどう反応するんだろう
ルイズ「この、ドブネズミ!」
・・・びっくりするぐらい普通だな。そこはポップだろう?
>>36 初の魔法成功に普通に大喜びするんじゃない?
人間召喚なんて事故に比べれば、鼠の亜人なんてレアもレアだし
なるほど。そういう考え方もあるのか
>>35 獣王さんはまだ続き書くんじゃないの?
あの人の今までのペースから考えてもあわてるような時期じゃないよ。
まあ、他の投下はあるかどうかわからんけど。
>>40 すいません、やっと書き終わりました
まだ推敲していないので、投下は今日の夜か明日になるでしょうが
ペース遅くて申し訳ない
20:50頃から投下したいと思います
おお、噂をすれば影!
お待ちしてます。
虚無と獣王
26 虚無と襲撃者
一夜明けて。
体力を回復させたルイズは朝から精力的に動き始める。普段はシエスタが起こしに来るまで寝ている生活だが、やはり任務中という緊張感のせいか割と早く眼を覚ます事が出来た。
アルビオン行きの交渉をするには肝心のフネが来なければならないが、今のところラ・ロシェールの港にその姿はなく、ワルドの話では早くても午後に到着予定だという。
幸い船着き場の係員がフネが着き次第連絡をくれるとの事なので、それまでは一応自由に行動できるはずだ。
任務とは無関係である留学生コンビ、キュルケとタバサは昨日ワルドが見つけた古着屋へと出かけていった。
これはタバサが着ているのがルイズの予備の服であり、昨日朝早くに寝間着のまま連れ出したキュルケが微妙に責任を感じていたからである。
もっとも持ち合わせがなかったので、軍資金は傭兵たちから巻き上げた金貨の残りを流用していた。
実際あいつ等を捕まえたのは自分たちなんだから使う権利があるというキュルケの主張に、呆れながらもルイズが承知したのだ。
ちなみにタバサが借りているのは白い厚手のシャツと紺のキュロットスカートとニーソックスで、これはショートカットでスレンダーな体型の彼女に大変よく似合っていた。
最初にこの姿を見たとき、ルイズは微妙かつおかしな敗北感を覚えながらも、
「まあこれはこれで!」
と笑顔で親指を立て、キュルケはといえば
「ねえタバサ、あなた弟さんとかいない?」
と真剣な表情で訊ねていたりする。
タバサは同級生たちの反応に、彼女としては珍しく複雑そうな表情で「いない」などと答えた訳だが、
「まあそれはそれで!」
という親友の感想にもっと複雑そうな顔になった。
一方、残ったルイズたちは食料の調達に出ていた。
というのも、朝方使い魔に視覚を同調させたギーシュやワルドが、持ってきた食料の三分の二が無くなっているのに気付いて青くなったのだ。
保存食は自分たちも万が一の時には腹に入れなければならないのに、このペースで消費されてしまっては大変な事になる。
幸い港町であるラ・ロシェールは物資には事欠かない。
最近出回ってきた代用肉まで考慮すればそれなりの量が手に入ると見込み、彼らは開店と同時に食材店に押しかけ熾烈な交渉を展開するのだった。
ルイズとギーシュだけでは貴族としての主張を前面に出し過ぎて反感を買っていた可能性もあるが、ここには幸い世慣れたグリフォン隊隊長がいる。
宥めたりすかしたり譲ったり引かなかったりと様々なテクを使用し、最終的には互いに満足な結果となった。
いい仕事をした、と満足げな笑みを浮かべて握手を交わすワルドと店主を尻目に、従業員たちは荷車に大量の食材を積み込み始める。
まあどうぞ、と出された茶を店の中で飲みながらギーシュは呟いていた。
「しかし魔法衛士隊の隊長ともなると、ああいった交渉事にも長けていなければならないのだねえ」
横でルイズもうんうんと頷く。
「流石と言うかなんというか、色々凄いわ」
2人はいつか自分もああなりたいと願う。ただギーシュが楽天的に「僕ならなれるだろう」と考えるのに対し、ルイズは「わたしでも本当になれるかしら」とどこか悲観的な要素が入りがちではあるのだが。
もっともギーシュは楽天的すぎてこれまで努力を怠っていた部分があるし、ルイズも悲観が逆に負けん気に繋がったりもしているので、結局のところは人それぞれという事なのだろう。
その後3人は一旦ラ・ロシェールを出て使い魔たちと合流する事にした。交渉を張り切りすぎてかなりの量になってしまっていた為、宿に持ち帰るよりはワイバーンに括りつけておいた方がいいと判断したのだ。
食料を積んだ荷車を馬に引かせながら、彼らが話しているのはクロコダインの事だ。
「では彼は君たちに近接戦闘を教えているのか!」
ワルドはひどく感心した様子である。
使い魔がメイジに教えられる程の知性を持っているのもさることながら、自分が学生だった頃は近接戦闘に熱心な学生などほとんどいなかったからだ。
実を言えば、当初ギーシュは余り乗り気ではなく単にレポートの対価として参加しただけだったのだが、いつしか真剣に取り組む様になっていた。
考えてみれば伯爵家の人間とはいえギーシュは四男坊、武門の誉れ高い家系ではあるがしょっちゅう出兵しているので決して裕福とはいえない。
卒業後は確実に軍に入る、というか何とかして自分の食い扶持を稼がなければならない以上、戦闘訓練は早めにしておいて損はないと気がついた訳だ。
もう少し補足すると、ただ漫然と過ごしていた時に比べ筋肉が付いた気がするし、ワルキューレの操作もキレが出てきた感があり、食事も美味しく感じるようになった。
何よりフーケ討伐以降、女子の目が確実に好意的になっているのをギーシュは痛感していたのである。
何せモテたくてモテたくて仕方がない年頃の少年である、これでやる気が出ない訳がない。
そんな内実を知ってか知らずか、流石はグラモン家の男だと頷くワルドに対し微妙に後ろ暗い気持ちになるギーシュではあった。
一旦町を出た3人はグリフォンやシルフィードの手を借りて崖の上まで荷物を上げ、これからの方針を話し合う。
出航予定は明日となっているが、交渉次第では今日の深夜に早める事が出来るだろう。
今回ルイズたちは、非公式ではあるがマザリーニの部下という立場になっており、彼から最大限の便宜を計るようにと記された文書を持たされていた。
これを活用すれば民間のフネを徴発できない事もない。
最悪グリフォンとワイバーンに乗って直接アルビオンまで行く手もあるが、フネの方がスピードが出るし昨日の様な襲撃を受ける可能性がある。
幸いというべきか、町の噂では王党派と貴族派の決戦は一週間ほど先であろうとの事だった。
船主との交渉結果は早急に知らせるのですぐに動けるよう待機しておいて欲しい、というルイズの言葉にクロコダインは首肯する。
何にせよ昼までにはまだ2時間はあるのでルイズを連れて服でも見ようかと考えていたワルドだったのだが、当のルイズはそんなデートめいた思考など露ほども持ち合わせていなかった。
それどころかクロコダインと一緒に食事をしようなどと言い出す始末である。
ルイズとしては、自分たちは高級宿で豪華な夕食をしておきながら使い魔は野宿で非常食だった事に少し抵抗を感じており、またいつぞやの夢のせいか、この大きな獣人が自分に無断でどこか危険な場所に行ってしまうのではという危機感があった。
ワルドにとって更に想定外だったのがギーシュの提案だった。
どうせ昼食までここにいるのなら、最近お流れになっていた格闘訓練の稽古をつけてくれなどと言い出したのである。
ギーシュとしては先程の後ろめたさを解消したいという気持ちがあったのだが、クロコダインは襲撃があるかもしれないし体力を温存しろと消極的であった。
しかし精神力を使い尽くすまではやらないという条件をギーシュが出したのと、ルイズまでもが監督としてひとつ思いついた策があるので試させて欲しいと頼み込んだせいもあり、結局押し切られてしまう。
結果として、昨日桟橋の帰り道に若い娘が好みそうな雑貨屋やアルビオン風のコーヒーハウスだのトリスタニア風のカフェなどをチェックしておいたのに、予想外すぎる展開に口を挟めず静かに落ち込むワルドを臨時顧問とした2対1の模擬戦が開始される事とあいなったのである。
支援
ギーシュにルイズが作戦を伝授している間、ワルドは彼女たちとは少し離れた場所でクロコダインに質問を浴びせていた。
「君が彼らに近接戦を教えているというのは聞いていたんだが、まさかルイズもその中に入っているのかい……?」
声が微妙に震えているのは、彼がルイズの母親の過去を知っている数少ない人物の1人だからだ。
古からドラゴンの仔はドラゴンというが、あの泣き虫で一途なルイズが近隣諸国にまでその名を轟かせた伝説のメイジと似た道を歩んでいるのでは、というちょっとヤバめな懸念を抱かずにはいられないのである。
そんな内心を知る由もないクロコダインは簡潔に事実を述べた。
「流石に直接訓練に混ざったりはしておらんさ」
ワルドは胸をなで下ろす。
幼い頃からヴァリエール家に行く度に生ける伝説とは顔を合わせてきたし、今は亡き父を始めとして某公爵や某元帥、某宰相に某マンティコア隊隊長らが声を揃えて
「アレには逆らうな、いや、逆らってはいけません」
などと顔を青くしたり脂汗を流したり全員何故か途中で敬語になったりしつつも忠告されてきた。
幼い頃は胸躍らせた英雄たちの武勇の数々も、成長すればそれが誇張されたものというのが分かるものだ。
しかし軍に入ったワルドが知ったのは、かの武勲は全く大袈裟になどなってはおらず、それどころか若干控えめな描写でさえあったという事実なのであった。
メイジとして、また近衛部隊の大先輩としてあの人の事は尊敬しているのだが、正直言って妻として迎えるならばもうちょっと大人しく儚げで包容力のある女性がいい。
そう、例えば母のような……!
そんな、ルイズを含めた8割の女性が引くであろう事を考えるグリフォン隊隊長である。
それ故か、ルイズが監督として参加している事実についてはうっかりスルーしてしまっていたのだった。
ワルド子爵の目の前で、3メイルほど体躯を持つ獣人が、同じく3メイルはあるゴーレムと戦い始める。
青銅製の巨人は少々ぎこちないものの、それでもかなりのスピードで剣を振るっていた。
それに対し、クロコダインは手斧で猛攻を受け流している。見かけは鈍重そうなのだが、これはどうにも侮れないなとワルドは考えていた。
敵に任務の事を知られている以上、体力や精神力は温存しておくに越した事はないというクロコダインの一言により、今回の訓練は軽く流す程度となる予定である。
つまり今は手加減をしている訳で、にも関わらずこの動きというのならば接近戦を挑んだ際には相当手こずる事になるだろう。
またクロコダインの動きに隠れがちではあるが、ギーシュのゴーレムについてもワルドは警戒心を強めていた。
ドットメイジだというのは友人である彼の兄から聞いていたが、そうは思えぬほどゴーレムの操作は堂に入っている。
こちらも全力ではないのだとすれば、たかがドットと侮ると痛い目を見るかもしれない。
しばらくの間攻防は続いていたが、やはりというべきか流れはクロコダインに傾いていった。
正面から切り込んでくるワルキューレの剣を下から跳ね上げ、無防備になった腹部を空いた左手で殴りつける。
体をくの字にして吹っ飛ぶ青銅の巨人だったが、その瞬間後方にいて一連の動きを見ていたルイズが声を上げた。
「今よギーシュ!」
「任せたまえよ!」
ギーシュはかねてからの打ち合わせ通り、ワルキューレの操作を放棄して次の魔法を発動させる。
するとクロコダインの足下が急速に盛り上がって巨大な腕となり、そのまま足を拘束した。
更にギーシュは続けざまに呪文を唱える。
次に現れたのは通常サイズのワルキューレだったが、手には長槍を携えていた。
「もらったあ!」
そのまま動けないクロコダインに向けて槍を突き出させるギーシュだが、勝利を確信出来ていたのはここまでである。
「うおおっ」
何となれば、気合いと共にクロコダインがアースハンドをその剛力であっけなく粉砕し、同時に槍をむんずと掴んだかと思うとそのままワルキューレごと頭の上まで持ち上げ、地に叩き付けてしまったからだ。
「では、ここまでにしておこうか」
時間にして5分程度の訓練は、こうして終わりを告げたのである。
再びラ・ロシェールへと向かう道すがら、ワルドは今までの情報からクロコダインの戦闘力を見極めようとしていた。
幸いルイズたちはついさっきの訓練の反省点や改善点を列挙していて、こちらには注目していない。
昨夜における傭兵たちとの戦闘で彼はいち早く襲われるのを察知し、インテリジェンス・ソードで矢を両断している。
この剣はルイズの背丈ほどもあるにも関わらず軽々と振り回しており、また背負っている大戦斧の存在を考えると相当の腕力の持っているのに間違いはなく、動態視力や反応にも優れているだろう。
もっとも彼と接したのは昨日と今日の2日のみ、しかも真剣に戦っているのを目撃したわけではない。これまでの情報のみで評価を下す愚を犯す様では近衛隊の長は勤まらない。
初めて会った時に比べれば幾分身体能力やその人となりについて知る事はできたが、今後戦うにせよそれを回避するにせよ、その判断を下すには情報が不足している。
その為にもそろそろ彼女たちに一肌脱いでもらおうか、とワルドは次の一手を考えた。
昼前に入港してきたフネを待ちかまえていた一行は、船員たちが積み荷を降ろし終わるのを待たず交渉に入る。
何とか今日中にフネを出して欲しいという彼女たちの要望に、実のところ平民出の船長は腹を立てていた。
そもそもこのフネは客船ではない。
船員たちには休みが必要である。
燃料となる風石は必要最低限しか積んでおらずアルビオンが最接近するのを待たなければならない。
空を行く事に命と誇りを賭ける男としては、貴族様のわがままとしか思えぬ要請に従う気には到底なれず、上のような理由を羅列してなるべく穏便にこの件を断ろうとした。
しかし相手もさるものと言うべきか、こちらの口実に悉く対案を持ち出してくる。
寝る場所さえあれば文句は言わないし船長を初めとする船員たちには充分な保証をしよう。
足りない風石の分は風メイジがその代わりを務める。
何よりこれは多くを明かす事は出来ないけれど、一国の浮沈に関わる重大な任務の一環である。
ちょっと待ってくれと船長は思った。いきなりそんな事を真顔で言われても、どう対応すればいいのか判断に困る。
しかし彼らが船長に示した書類には、彼らに最大限の便宜をはかるべしという言葉と共に宰相マザリーニのサインがあった。
一瞬偽造なのではないかという考えが脳裏をよぎるものの、しかしこんな内容の書類を偽造するメリットがあるとも思えない。
また相手側が貴族としては破格の譲歩をしている事もわかる。
結局、船員を少しでも休ませ、また空荷では何なので食品などを積めるだけ積んでいくという船長の主張が受け入れられ、出発を今日の夜にするという形で話は纏まったのだった。
支援
「なにその服」
交渉が上手く行き、意気揚々と宿に戻ったルイズの第一声がこれであった。
夕食時にはまだ早く、食堂には数える程しか人数はいなかったのだが、その中でもキュルケとタバサはかなり目立っていた。
彼女たちがそれぞれ外国人だから、という理由ではない。このラ・ロシェールは港町、異国の人間は当然多いのだ。
では何故目立っていたのかと言えば、それはルイズの言葉からも分かるようにタバサの服のせいである。
上は船員がよく着ている白の水兵服(半袖)、下はやや大きめの、これまた白いキュロットスカート姿。
ショートカットで整った顔立ちを持つ、まだ未成熟な肢体の少女が通常荒くれ男が着ると相場の決まっている服を着用していると、何やら倒錯的な感覚を周囲に引き起こすものらしい。
「まあ見ての通りよ。素直な感想を言ってみなさい?」
プロデュースした張本人のキュルケが胸を張りながら問うので、仲間たちはそれぞれ思いのままに答えた。
「ま、まあツェルプストーにしてはいい選択だったじゃないの。べ、べべ、べ別にタバサの一人称を「ボク」にしてほしいだなんて思ってないんだからねっ!」
これでも、キュルケに対してルイズは最大限の賛辞を送っているのである。内容はともかくとしても。
一方ギーシュとワルドは何故か2人して食堂の隅へと移動し、こそこそと、しかし熱い口調で思いの丈をぶつけあっていた。
「さて、あの衣装についてどう思う、ギーシュ君」
「はい、僕が思うに、あれはとても素晴らしくて、とても素晴らしいものだと思います。任務中なのは承知の上で、ちょっとお土産にしたいくらいに……!」
うむ、と重々しく頷く子爵である。
「全く持って同意見だ。ただ、あれにはもう少し改良の余地があると考えるのだがどうだろうか」
「ええ。キュロットという選択は間違ってはいませんが、決して最適という訳ではない。ここはやはりアレでしょう」
不敵な笑みを浮かべるギーシュに、ワルドもまた同じ笑みを返した。
「ミニスカ、だね」
「ミニスカ、です」
意見の一致をみた2人は胸に喜びを満たし、更に考察を重ねていく。
「個人的にスカートの色は紺がいいと思うのですが?」
「本当に君とは気が合うものだね。とすると、水兵服を同色にするのもアリという事だな」
「何枚か買っておいて、どれが最もマッチするか確かめる必要がありそうですね。店を聞き出しておかないと……!」
「いや、おそらく服自体はトリスタニアにも売っているだろう。いや、やはりここは一流のテーラーに依頼してルイズ用に何着か仕立ててもらうとしようか!」
「流石は親衛隊隊長、オーダーメイドとは金の使い方が違いますね。でもボクには真似できません、いろんな意味で」
彼はまだ学生の身分であり、実家の家計が火の車になっている事からも贅沢は許されてはいなかった。
ワルドも親友を通してその辺りの事情を把握しており、この新しく出来た年下の同士を慰められないものかと考える。
「そうだ、この衣装をオールド・オスマンに見せるというのはどうだろう。ひょっとしたら近日中に学院の制服が替わるかもしれん……!」
「子爵様……やはり貴方は、ものが違います……!」
ひどく感激した様子のギーシュを見てワルドは満足感を得た。
いつだって賛辞は心地良いものである。それが志を同じくする者から送られているならなおの事だ。
ちなみにこの会話は充分に小さかった為ルイズやキュルケの耳には届いていなかったのだが、残念ながら只でさえ音に敏感であるトライアングルの風メイジの耳にはしっかりと響いていた。
そのメイジ、すなわちタバサはこの2人をどうしたものかと思う。ウィンディ・アイシクルが直撃すれば歪んだ思想も治るだろうか。
もっとも彼女は宿の中で攻撃魔法を使うほど常識外れでは無かったので、風の魔法を応用してワルド・ギーシュ両名の耳元に「全て聞こえている」と伝えるに留めておいた。
一瞬ビクンと体を震わせた男たちは顔を見合わせた後、ぎこちない動きでタバサの服を褒めたりハシバミ草料理を奢ろうと言い出してルイズやキュルケの不審をかう事になる。
話が脱線しすぎの勘はあるが、フルタイムで緊張しているよりは適度に息を抜いていた方がよいと、ワルドは今までの経験から学んでいた。
つまりはミニスカ云々も素人同然のギーシュをリラックスする為の一環であり、要は世を欺く仮の姿なのである。
とまあそんな感じの理論武装を完了させたワルドはキュルケとタバサに出航の時間を告げ、更にここから先は命の危険が飛躍的に高まる為、トリステインに直接関わりのない2人の同行は薦められないと告げた。
もっともこれは、事前にルイズが予想していた通りあっさりと拒否されるのだが。
ここのわるど……すごく共感できるのはなんでだろ 支援
キュルケはかつて父親にこんな事を言われた経験がある。
「ヴァリエールの人間はいじりがいがあるから、その時は全力でいじれ」
聞いた時はなんだそりゃと思ったものだが、婚約者攻勢にうんざりして強引に隣国の魔法学院に入学し、ルイズと知り合ってからその意味が分かった。
生真面目で誇り高く、どこか直情的なルイズは実にからかい甲斐があったからだ。
同時に自分の先祖がヴァリエールに対して色恋沙汰を連発した理由も分かる。
こんな性格の人間に惚れたり惚れられたりする相手なら、さぞかし奪い甲斐があるいいオトコ(オンナ)だったのであろう。
そんなわけで密かにキュルケはルイズにそんな相手が出来ないか虎視眈々と狙っていたのだが、今回婚約者が現れたと聞いてやっとその機会がきたかと内心小躍りしていた。
ところがその婚約者とやらに軽く粉をかけてみて、彼女はひどく違和感を感じ取ってしまったのだ。
全く、全然、これっぽっちも高揚感を覚えない。
キュルケはこれまで多くの者と浮き名を流してきた。情熱的な性格故にその付き合いは悉く長続きしなかったが、それでも相手にはそれなりに心浮き立つものがあった。
なのに、目の前に立つ男は間違いなくいいオトコでかなりのエリートである筈なのに、全然そそられないのは一体なぜ?
キュルケはワルドの眼をのぞき込み、その理由が分かった気がした。
この男、ひょっとしてルイズに惚れてないんじゃないのか。
ルイズがワルドに惹かれているのは手に取るように分かっていた。伊達に一年以上からかっていた訳ではない。
だが、どうせ奪い取るのであるならば、相思相愛でなければ面白くないしやりがいもからかい甲斐もない。
その点において、ワルドは失格もいいところだった。
なんの根拠もない話だがこいつはダメだとキュルケは一方的に断じる。
そう、これはヒゲがなんか気に入らない気障な野郎の言う通りに行動するなどゲルマニア人の沽券に関わるから、誰が何と言おうとアルビオンまで同行するだけの事だ。
決していじりがいのあるピーチブロンドの隣人をこんな状況で見捨てる気になれなかったなどとは、口が裂けても言えないし言うつもりもないキュルケであった。
表情にこそ出してはいないが、タバサは現在ある悩みを抱えていた。
そもそも彼女はキュルケの頼みでルイズたちの後を追ってきただけで、当然その時点ではその行き先などわかる筈もない。
だが方角的にラ・ロシェール方面に向かっているのが判明した時点で、彼女は実に嫌な予感に襲われていた。
そして最終目的地がアルビオンであることをルイズが宣言した時、その予感は現実のものとなってしまう。
流石に目的までは知らされなかったが、公爵家の娘が王女の訪問後に、ガリアで言えば花壇騎士団に相当するであろう部隊長と共に内乱中の隣国へ向かう以上、それがただの観光であるはずがない。
これまでトリステインとアルビオンはそれほど険悪な関係ではなかったし、彼女たちがまさかレコン・キスタ側と接触を取るとも思えず、となると何らかの理由でアルビオン王党派への使者という立場なのだろう。
無論これはタバサの憶測に過ぎないが、そう外れてもいないだろうと彼女は考えている。実際のところ外れていないどころか大当たりなのだが。
ともあれ、タバサが悩んでいるのは他でもない。
自分の正体が各国の首脳クラスの人間に見破られては困るのだ。
タバサ、というのは本名ではない。というのも元来この名は愛玩動物や人形・ぬいぐるみなどにつけるものであり、通常人にはつけないものなのである。
彼女の本当の名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン。
ガリア王ジョセフの姪であるが、諸般の事情により身分を隠しトリステイン魔法学院に留学生として入り込んでいる。
学院責任者のオスマンもタバサの事は去るガリア貴族の血縁としか知らされていない筈だ。
ただ、社交界デビューはまだだったとは言えガリア王家特有の青髪と、父母の良い部分だけを受け継いでいるような顔を見る事で正体を看破される可能性がある。
親友にすら打ち明けていない素性を、こんな大絶賛内乱中の他国で明かす訳にはいかなかった。
先日のアンリエッタ王女来訪時は興味がない振りをして身を隠していたが、このままアルビオンまで同行した時に同じ展開に持ち込めるとは限らない。
さりとてキュルケは完全にルイズについていく気になっているし、自分としてもここで彼女たちと別行動を取るのは気が引ける。
町のどこかに顔を隠せる仮面とか売ってないだろうか、などといささか浮き世離れした事を考えるタバサであった。
ヴァリエール公爵夫人がトリスタニアまで来る事は滅多にない。
軍務を離れたとはいえ、何かと所用が多く領地を離れがちな夫の留守を守るのを己の任と考えているからだ。
そんな彼女が、何年か振りに王都の地を踏んだのには当然だが理由がある。
今、トリスタニアのヴァリエール別邸でその理由を説明した4人の男たちが、揃って頭を下げていた。
彼ら、つまりヴァリエール公爵、グラモン元帥、マザリーニ宰相、オスマン魔法学院長というトリステインの重鎮たちは、皆一様に死刑執行を待つ政治犯のような表情で、上目遣いにカリーヌを見ている。
眼を閉じ腕を組んで沈思黙考しているピーチブロンドの夫人を前に、グラモン元帥は隣にいるオールド・オスマンに小声で話しかけた。
「なあ先生、アレがキレた時が先生の最期の見せ場だからな。元教え子をかばって華麗に散ってくれよ?」
オスマンは笑顔で元教え子にやっぱり小声で答える。
「こういう時は恩師を庇うのが定石じゃろう。なあに心配するな、『魅惑の妖精亭』のジェシカたんはしっかり私が面倒をみるからの」
「ッざけんなジジイ! 俺がどんだけなけなしの金をあそこのチップレースにツっこんでると思ってんだよ! 老い先短いんだからさっさと死んであの乳尻太股はこっちに任せとけってんだ!」
「ふわはははこういう時にモノを言うのは経済力じゃ! 貴様は草葉の陰でジェシカたんとイチャイチャしているのを血の涙流しながら見とるがよいわ!」
最初の小声はどこへやら、大声で繰り広げられる師弟の心温まる会話に、残りの2人である公爵と宰相は大急ぎで部屋の隅へと移動した。
次の瞬間、部屋の中に突如発生した突風がグラモン元帥とオールド・オスマンを吹き飛ばして壁に磔状態にする。
風はそれだけにとどまらず、あろう事か壁ごと子弟を隣室まで強制的に移動させた。
「相変わらず凄まじい威力ですな。あれはただのエア・ハンマーだと思うのですが……」
「まああれで手加減はしているんだ。もっとも本気を出されても後始末に困るがな、血糊を落とすのは面倒だ。……ところで屋敷の修繕費は当然王宮から出るのだろう?」
「ははは、戦争勃発の可能性すらあるこんな時期にそんな金が出る訳がないでしょう。領地経営は順調なんですから自前でよろしくお願いします」
そんな事を小声で話す、卓越した危機回避能力を発揮した夫とその友人にカリーヌは視線を送る。
2人は石のように固まりすいませんごめんなさいと謝りそうになるのをぐっと堪える事に成功した。
プレッシャーに負けて謝る事で逆に機嫌が悪くなり、強力無比な風魔法を体で味わう羽目になった過去が彼らにはある。
若い頃ならいざ知らず、この年であの威力の魔法を喰らうのは正直キツい。景気良く壁ごと吹っ飛んだ中年と老年の二の舞は御免だ。
「色々と言いたい事はありますがそんな時間はありませんね。準備が出来次第ラ・ロシェールへ向かいます」
静かな表情でそう告げる夫人に公爵らはほっと胸をなで下ろした。
事情が事情だけに頼みを断られる事はないと思っていたが、依頼に至るまでの経緯が彼女の逆鱗に触れないかとヒヤヒヤしていたのも事実である。
「正直に言えば、今の貴女にこんな事を頼みたくはないのです。本当に申し訳ありませんが、何卒……」
「カリーヌ、お前の実力は私が一番判っているが、実戦から遠ざかっているのも確かだ。くれぐれも無茶はしないようにな」
ここ数日の心労でまた痩せたのではないかという風情の宰相と、やっぱり身内に対しては心配性な夫に、元マンティコア隊隊長、カリーヌ・デジレは心配無用と言ってのけた。
必要な荷物などは宰相が既に手配しているし、長い付き合いのマンティコアと共にここまで来たので動きやすい服を着ている。
では、と一礼し部屋を出ようとする彼女を隣室から引き留める声があった。
「忘れ物じゃ、『烈風カリン』」
ダメージなどまるでなかったかの様な素振りで、オールド・オスマンは壊れた壁越しに何かを放って寄越す。
「!」
それはおそらくは銀貨数枚を魔法で加工したのだと思われる、顔の下半分を覆い隠すタイプの仮面だった。
「流石にこんなもんまで持ってきてはおらんじゃろう? 私の教え子たちをよろしく頼むぞ」
結婚してから一度も装着する事のなかった仮面で表情を隠し、しかしその眼に決意を漲らせながらカリーヌは今度こそ部屋を後にした。
昼食を軽くすませた後、ルイズ一行は出発準備をする者と、使い魔に町を出るタイミングを知らせる者の二手に別れる。
ルイズは一応、再度キュルケとタバサにアルビオンまでは付いてくるなと忠告したが、案の定受け入れられはしなかった。
そのキュルケらが今日はまだ使い魔に逢っていないからと町の外へ出た為、自然とルイズたちが宿に居残る事になる。
出発の準備と言っても部屋に置いていた荷物を一階に下ろしてまとめるだけだ。
大量の食料や万が一の為の野外テントなどはワイバーンにくくりつけていたので、持っているものと言えば身分証明や宰相等のお墨付き書類、後は服などの私物と1ダースばかりある水の秘薬くらいである。
キュルケたちも一時間ほどで戻ってきたのでそろそろ桟橋まで行こうかなどと話していると、にわかに外が騒がしくなってきた。
「ん? 何かあったのかな?」
暢気に首を傾げるギーシュと反対に表情を険しくしたのがワルドとタバサだ。
素早く宿の入り口へと走るタバサだったが、彼女を出迎えたのは10本以上の矢であった。
とっさに風の結界で矢の軌道を反らすのとほぼ同時に、後ろからワルドの放ったエア・ハンマーが中に突入しようとしていた男たちを外へと叩き出す。
タバサは横に並んだワルドに視線を送る。
「君も気付いたか。今の男たちの中に昨日我々を襲った者たちがいたな」
無言で頷きながら彼女の胸に疑念がよぎる。
あの傭兵たちは確かに官憲に突き出した。それが一日も経たないうちにこうして出てきてしまっているのはどう考えてもおかしい。
この町の憲兵がよほど無能なのか、そうでなければ何者かによって無力化されてしまったのか。
どちらにせよ外部からの応援を当てにできそうもない事は確かだ。
「何があったの!?」
おっとり刀で駆けつけたルイズに説明をする暇もなく、事態は更に悪化していった。
何となれば、一枚岩をくりぬいて出来ている筈の建物の天井が、音を立てて表の方へと『流れていく』のだ。
「な、なな、なんなのよこれー!」
宿の二階部分と一階の天井が丸ごと何かに吸い寄せられていったせいで、普段なら見える訳がない空が瞳に映る。
そしてルイズたちが見たのはそれだけではなかった。
山間で日が落ちるのが早いとはいえまだ十分に明るい空を背に、見覚えのあるゴーレムとその肩に乗る緑色の髪をもつ妙齢の女の姿。
「フーケ!」
脱獄不能と名高いチェルノボーグの監獄にいる筈の怪盗は、驚きの声を上げるルイズたちに不敵な笑みを浮かべて見せた。
以上で投下終了です
前回感想&支援ありがとうございました
烈風カリンの参戦が決定しました
フーケ襲撃が早くなりましたが、彼女の心理状態に関してはまた次回に
ワルドの態度は本編にある様に演技です
演技の筈です
ではまた
投下乙です
……演技って、どっちが演技でどっちが地なのだろうか?
このみの女性のタイプがフーケやカトレアというのは読み取れましたが!
投下乙です!
ワルドが結構まともにルイズの機嫌を取ろうとしている。
そして失敗しているw
乙!
ここでカリンさん参戦ですか。
あれ?もしかして今までの全クロスSSの中でもトップクラスにワルドピンチ?
フーケ「『仮面の変態にばれないように手を抜く』『ワニ男に捕まらないようにさっさと逃げる』
両方やらないといけないのが二重スパイの辛いところだね…覚悟はいいかい?私は出来てる。」
でもそこへ計算外のトリステイン最終兵器が…大丈夫かおマチさん。
乙でしたー。
確かに、このおマチさんはほぼ『詰み』の状態……町の外に待機しているクロコダインと、いつ現れるか分からない烈風の二人に挟撃される……もしそうなら、どうやって逃げ出すか楽しみです。
クロコダインとカリンが出会ってどんな展開になるか今から楽しみです。
とりあえずワルドさん、フーケさん逃げてー!!
このワルドは人生を演じきった方が幸せになれる、きっと。
見える…ゴーレムごと吹っ飛ばされてカリン様に洗いざらい吐かされる
フーケが見えるぞ!
ついでに跡で揃って正座させられるオスマンも…
>>そう、例えば母のような……!
色々と終わってる。
ってか、カリン様のカッタートルネードって、威力はともかく見た目はほとんど獣王会心撃だよね。
さすがに海中で大渦作れるほどの威力とは思えないけど。
逆に考えるんだ。
普通に10代で結婚してそうな社会のワルド母が、ワルドを生んだ後も異様に若いまま早世した美少女だったと。
>>65 13で結婚、14でワルド出産、18で死去なら理解出来るな
後ろでバカ4人は何やってのw
元帥殿はヨコシマしてるしw
>元帥殿はヨコシマしてるしw
急に元帥殿が尋常でなくしぶとい生物に思えてきた。
虚無獣の26話、訓練の部分が丸々抜けてませんか?
いつもまとめに登録していただき感謝しています
確かに訓練部分が抜けていたようなので、修正いたしました
乙です
保守
保守
74 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/27(日) 00:29:25 ID:t4LVpges
ほ
誰もいない……いったいどうしたのか。
投下も話題もないからだ。
話題合ってもゼロ魔ヘイトしたいだけの屑が元気なだけって事が続いてたし
保守
保護
ヘキサゴンスペルで【水・水・水・火・火・火】とかやれば
メドローアになったりするのだろうか。
そんな簡単に出来るならダイ世界で誰かやってると思うが
メドローアは虚無の範囲な気がする
クロススレでワルド超魔生物に改造ネタをやってるぞ
ヤツも力が手に入って本望だろう
どうしようもなく漂う小物臭さをどーにかすることが本筋なんだ
ハドラーが見ほれるほどの漢にキャラを改造してやってほしい
漢になるには行為に芯が出来ないとどんなに強くなっても雑魚か空気のような気がする
原作で早いところ母親やら聖地関連のネタを明かして欲しいところだが、もし明かされるとみんなそのネタで埋まりそーなのが問題だなw
超魔ハドラーが漢になったのも、強くなった云々より、それまでの権力に執着してたりバーン様のご機嫌伺いしてたり、な面を捨てて、
「打倒アバンの使徒」に全てを懸けたからだしなぁ。
権力や地位への執着だって、フレイザードくらい徹底してればある種の風格は出るものだけど、中途半端だと何事も小物臭くなる。
ワルドの行動骨子が分からんと、どうにもなぁ。
出番が無くなるとデルフですら始末するヤマグチ先生だからな
ワルドももう処分済みキャラな予感。
ワルドは精神面や視野狭窄の事で二流に見られる事がありますが、個人としての戦闘力は間違いなく一流の上位。彼が「ふっきれた」なら、相応の敵キャラに昇華出来そう。
……それが「ろうそくが消える寸前の一際強い輝き」という可能性がありますが。
ミストバーンが使いそうな比喩だな
ハドラーみたいにミストから尊敬される姿を見てみたいもんだ
主人公の踏み台というと聞こえが悪いけど、目的を持ったキャラクターとして登場させたんだから描ききってほしかった
すでに虚無、エルフ、虚無の使い魔たち、元素の兄弟、タバサやカリンさんやカステルモール等がいる以上
一流の下位くらいな気がする
ワルドが結婚式でルイズにふられた時なんかも、さっさと殺せばいいのに獲物を前に舌なめずり。
それは三流のする事だって軍曹が言ってた。
ウェールズは一瞬で殺せたのにねえ。
そういう隙がワルドを超一流への道から遠ざけてる。
もっと感情に流されずに作戦を実行できたならあれほど怖い人物は居なかっただろう。
強い。しかし精神的な隙が大きく一流になりきれない。まさに魔軍司令ハドラーだ。
強化するだけならメンヌヴィルと男爵型2身合体フレイザードもどきに改造するという手もある
ただし小物臭さはかえって悪化しそうだ
>男爵型2身合体フレイザードもどき
だったら右半身はおマチさんにするべきだと思うw
個人的には、ゼロ魔世界の強さ比較としては
ジョゼフ&シェフィールド>烈風様>元素の兄弟≧ルイズ&サイト(17巻時点)>ワルド>カステルモール>おマチさん
ってな感じだと思ってる。
>>95 強さ比較は、ゼロ魔だと戦闘の条件しだいでブレが激しいからするだけ無駄な気がするなー
特に元素の兄弟は魔法薬でのブーストがどんだけかかってるかが分からないので力量比較が難しいのと
ワルド>カステルモールも、ガンダールブ有り&力量上昇したサイトが偏在使って無いカステルモールに遊ばれてるのが判断難しい
ワルドを瞬殺した、ルイズが死にかけた時のサイトの爆発力が異常だった気もするからワルドの力量判断も難しいしねー
>>95 某ミケーネ文明が復活しそうだからヤメレw
コッパゲとかその面子のうち誰相手でも条件次第で勝利の糸を掴みそうだしなぁ
メイジの強さってスタンドバトルみたいなとことあると思う
不意打ち暗殺とかありでだいぶ差が出る
元々攻撃力過剰なんだから不意打ち有りならどうとでもなるに決まってる
攻勢に出れるなら、遠距離から偏在逐次投入出来る風サイキョーですね、わかります
>不意打ち有りならどうとでもなるに決まってる
そういうキャラは熱血ハドラー先生の特別講義で漢というものについて学ぶ必要がありそうだ
ワルドも爆炎の焔で魂に火をつけてもらえれば力量相応の漢に昇格できるかも
それにこの展開なら敵キャラから改心してルイズの伴侶等ハッピーエンドコースもありうる
ルイズと幸せに暮らすワルドは見たいな
目的が明らかになってないから改心とか書きにくいと思うけど
ゼロ魔の魔法って直接攻撃や支援は充実しているのに、先住の反射を除けば防御が紙っぽいのが……
確かに先制攻撃が出来るかどうかで勝率は大きく変わりそうですね。
>>104 数少ないメイジ同士の戦いのであるコルベールやタバサの描写を見るに、基本は魔法を魔法で迎撃するか防ぐっぽいな
元素の人曰く、魔法を攻撃に全割り振り、相手の攻撃は全部自力で対処してこそ真のメイジっぽいとか、漢前な事言ってたがw
ゼロ魔世界のメイジの最大の短所はMPの少なさだと思う。
13巻の酒場戦を見てすごく思った。
普通のファンタジーの魔法使いの半分もないかもしれん
MPって概念が無いもん
長期戦に弱いかと言うと精神力が感情に左右されてあっさりチャージされたりもするし
メイジとしてのランクも一時的に上がったりするしな
>>101 レオノフ・ザ・パペットマスターの様に本体は完全に戦闘区域外にいて
延々と遍在を送り込み続ける光景が脳内再生された。
>109
どこかに移転したらしいけど、前にNTにあったゼロ魔・巣ドラクロスで、延々とダンジョンアタックを繰り返す『ワルドの偏在』と言うのがありましたね。しかも本体は常に外にいるから、ブラッド達には倒した時のうまみが無いというのが。
一匹見たら三十匹状態のワルド……嫌過ぎる。
探索員としちゃ偏在は優秀だな
偏在が単独で長時間行動できる上リアルタイムに情報共有できるってのがチートだよな
量子論的な設定の魔法だけに極端な話数光年咲きでもリアルタイムに会話できるんだろうし
偏在の運用法に自爆特攻・通称神風が無いのが不思議なくらいだ。
>>113 スクウェアスペルなんだから不思議でもないんじゃない?
逆にアレ使える実力があるのに自爆特攻前提でないと勝てないような相手ってのが本来はレアだし
ダイ世界とクロスして、そんなバケモノ相手ばかりになれば、弱説的に自爆特攻頼りになりそうだがw
虚無、エルフ、風魔法の共同作業でヒビ入り火石を抱えた偏在特攻なんて、ダイ世界の住人にして見ても悪夢でしかないしw
火薬の発達遅そうだし、自爆するよりでっかい魔法でも唱えた方がいいんじゃないか、威力的に。
偏在特攻でもなぜか普通に生存するヒュンケルとおっさんが見える
ワルドABCDEF「「「「「「メ・ガ・ン・テ!!!」」」」」」
超強いじゃん
>>117 生命力の無い遍在じゃ爆竹みたいなしょぼい爆発になりそうだな
野菜の人「汚え花火だ」
>超強いじゃん
ワルドでそれができるなら
ポップが偏在習得して
「「「「「「「「「「メドローア」」」」」」」」」」
ができそうだ
バーン様あたりだとさらに応用で何をしでかしてくれることやら
>>120 マジレスすると、ゼロ魔の魔法は血統で使える、使えないが決まるから無理じゃね?
そこらへんも全部世界混ぜて、MP有れば誰でもゼロ魔世界の魔法使えるようなクロスにすると……ダイ世界側の生産職が一気に凄いことになるな
>>107 チャージなどさせるものか
遍在って凄い応用きく魔法なのに、本体が倒されるようなとこにいるからなあ。
本体から離れすぎると消えるとかあるのかね?
ぶそれんの月顔とか、幽白の朱雀とか1人でも残ってれば全復活できるというチート能力を持ちながら、全員まとめて突撃してまとめてやられるからなあ。
そうしないと倒すの超厄介っていう都合があるのは分かるけど、この手の能力はスキル:慢心も合わせて取得してるとしか思えなくなってきた。
黒の核晶や鬼岩城を考えると、魔界の技術革新が大変なことになりそうな……。
途中送信しちまった…
そして、ゼロ魔世界でダイ世界の契約による魔法行使が広まったとしたら
杖が必要なゼロ魔世界の魔法は戦闘では淘汰されそうだなー
見た感じも仕組みも先住魔法っぽいから、貴族の間で広まるかは微妙……かはどの程度世界が混ざるかしだいか
仮にモンスターまで出現してたら手段選んでる余地ないだろうし
どちらにしても気になるのは系統だな
ハルケの系統魔法にしてもダイ大の魔法使い/僧侶呪文にしても
例えばバーン様が系統魔法使えたなら火の系統になるのが妥当なところなのかな
ポップも火のほうが得意らしいけど
逆に風のスクウェアのワルドだと…バギ系しか使えねえとかなりそうだw
>貴族の間で広まるかは微妙……
ブリミル教が足を引っ張って異端審問、火炙りコースもありうるな
ザボエラあたりだとモンスターをモシャスで枢機卿などにすり変えて
未知の魔法の研究と対策を牽制・妨害してくるかもしれない
>>126 入れ替えたはいいけど、センスマジック1発でバレて排除されるんですね、わかります
細かい魔法はゼロ魔の方が使い勝手いいんですよね
ゼロ魔世界と比べるとダイ世界の魔法は戦闘に特化しているからな
三賢者やレオナはトライアングルクラス程度の強さはあるのかな
あいつら一応マヒャドやイオラ使えるだろ?
アレってトライアングルでおさまるのか?
ダイ大は使い手の魔法力によってメラ>メラゾーマだから
魔法の高級低級はあんまりアテにならない
トライアングルの軍人のメイジくらいの強さは有って
さらに回復魔法の分戦闘能力では上回りそうな気もするなー
トライアングルはトライアングルで、上限付近がコルベールやタバサにミノさんなどバケモノ多いから相手しだいって気もするけど
上級魔法と契約できるってのは一つの指標だと思うけどなー
ゼロ魔世界でも魔法の威力は結局魔力依存っぽいし
スクウェアってもギトーみたいなのもいるから…
メイジは職によりけりだからねぇ
ギトーはキュルケの炎をあっさり返してるしスクウェアの実力だけはあると思うよ
そんだけ実力あってフーケ討伐に行かなかったのは問題だがw
……30mゴーレム相手に食い合わせ悪かったからなんだろうなー
来るとわかってる炎球返すのとかは別にスクウェアじゃなくラインでも
エアハンマー一発でどうにでもなると思うんだけど
DQの回復魔法はハルケギニアのメイジからすると水のスクエアってレベルじゃないわなぁ
生きてさえいれば全回復に死者蘇生までできちゃうしね
つうかウェールズにザオリク掛けてストーリーをめちゃくちゃにできそうだな
つーか最後に意識を取り戻した一瞬ならベホマでも何とかなりそうな気もしてきた
むしろ薬草喰え、束で
ダイ世界の回復魔法は一人前賢者クラスのレオナのべホマでも
負傷回復と体力回復が同時に出来ないくらいの低性能なんで
攻撃が通ればなんとかなるんじゃね?
ヘボいのはあくまでレオナのベホマであってダイ大世界のベホマではないよ
あれが初期から額面通りの性能を発揮していたら対シグマ戦のポップ状態が当たり前になってたから
おっさんが目立たん
ヒュンケルのほうは不死身以外にも目立つ特技があるからいいんだけど
>>138-139 色々とまて、ベホマは戦闘中にどっちか全快できる段階でゼロ魔世界ではチートだし
レオナが弱いとかそう言うのではなく、ポップの魔法力が人間にしてはヘンタイすぎるだけだw
基準にするならむしろレオナだろう、ポップみたいなのがたとえば10人もあの世界の人間で生きて居るとはおもえんw
>>140 いやあ、レオナも相当特殊なケースだよ、なんせ賢者の卵
もっとも、それを言い出したらダイ大には真っ当な僧侶自体がさっぱり居ないんだけど
ホイミ使いの武道家とかニセとか引退済みとか三賢者(笑)とか
そうでなくても、ドラマ性を持たせるために呪文にはいろいろ制限かかってたもんなあ
呪文無効化当たり前、強化呪文使わなかったり回復呪文すら無効化したり
>>141 言い方が悪かったかな?
ベホマを使えるほどの使い手の中では平均的なベホマの効果なんじゃない?
まあ、ベホマを使った人自体作中ではポップとレオナしかでてきとらんけど
魔法は弱体化というか、万能ではなくなって対処法が出来てる感じだよね
強化系、弱体化系は出すとあきらかにバランス崩れるから出ないのか
他の魔法みたいに、魔法力で効果が変動するから使い勝手無くて廃れたのかw
バイキルトつかってもゲームみたいに攻撃力倍とかはならないんだろうなー
バーンやポップやマトリフは別格だから無視するとして、
ダイ大の世界の一般の魔法使いってどんくらいの強さなんだろうね
ロモスの大会にいた魔術師は大会の本戦参加してるし、三賢者は王属
だから、普通に凄い魔法使い(&賢者)のはず
偽勇者一行とかも、ロモス王が『覇者の冠』を与えようとしていた以上、それなりの評価があったはず
一般の魔術師ってどんぐらいの強さなんだろうか?
>>142 いや、言わんとしている事はわかってるよ
ただレオナ自信が「わたしのベホマでは〜」みたいなこと言っているから
自分のベホマがレベル不足で不完全なものである事は自覚しているんだろうと
そんで、上記までのは作中で使われたベホマに限定した話なもんで
あの世界の大多数の僧侶は不完全なベホマどころかベホイミまでしか使えないんだろうなとは思ってる
あと忘れちゃいけない
ベホマを使えるあのお方、バーン様のあのチートっぷりw
それにしても、ピオリムかかったラーハルトとかスカラかかったおっさんとか見てみたかったぜw
>>143 初期ハドラーくらいあれば超一流って気もする
一般の魔法使いは、そもそも「一般的な魔法使いが居るのか?」は置いといてまぞっほ以下っぽい気がする
……ああ、デルムリン島の鬼面導師のじーちゃんが優秀で一般的な魔法使いの強さじゃないかな?
まぞっほは実力だけなら2流の上くらいじゃないか?
修行の途中で逃げたみたいなこと言ってた気がするんだが
よく考えるとポップもたいがいチートだな、人間なのか疑いたくなるくらいだ
こんな変態が一般人代表キャラだと色々と困る
>>144 ピオリムが掛かったラーハルトは見たいけど、ピオリムが掛かったラーハルトは見えないというジレンマ
>>138 ちょっと茶目っ気を出して二フラムを唱えてみたりね!
そういやハドラーって魔王時代はベギラゴンすらつかえなかったんだっけか
>>136 ゼロ魔世界はゼロ魔世界で約一名自分の脳みそを異種族に移植という
とんでも行為をしちゃった人がいるからそっちけいはけっこうすごい
ザボエラやザムザと出会ってたら、研究仲間になってそうだw
そして、超魔生物に改造されるw
>そして、超魔生物に改造されるw
たぶん実験用素体はみんなの人気者ワルド君なんだろうなw
ダイ世界でベギラゴンは伝説一歩手前レベルの超呪文だと思うが
よくよく考えると、ベギラマってTの時は最強呪文だったんだよな。
その上ならそりゃ凄いよな。
一巻見た限りじゃメラゾーマより明らかにベギラマが強そうに思ってしまう
そのベギラマより上だから確かにすごい
レコンキスタにニフラムかけたら何人消えるだろう?
アンドバリの指輪で操られた死者の幹部が消滅したらかなり効果大だよね
炎系の呪文使って力づくで焼くよりMP的にも低コストだし
>>148 DBのク○リンみたいなもんだ。
実は人外規格外主人公の相方は、地味に地上最強人類。
つまり人外能力ガンダールブを持った主人公サイトの相方(のようなただの友達のような)ギーシュが今後人類最強の道をいくわけですね
お久しぶりです
21:50頃から投下を開始します
虚無と獣王
26 刺客と獣王
ルイズたちの前に不敵な笑みを浮かべて現れたフーケであるが、実のところそんなに余裕がある訳ではなかった。
むしろその内心は焦っていた、というかむしろ戦々恐々としていたと言っていいだろう。
二重密偵という立場上、白仮面に疑いを持たれぬように攻撃し、なおかつルイズたちを傷つけないようにしなければならないのだ。
何で私がこんな目に、と心中で色々な人物に毒を吐きながら知恵を絞った結果が今回の襲撃なのである。
まず襲撃をこの時間にしたのは、相手の虚をつく為だった。
昨日の例から考えて、襲われるとしたら暗くなってからだろうという心理を逆手に取った形だ。
町中で自分の十八番である巨大ゴーレムを出したのは森での戦いを振り返った上で、これに対抗できるのは使い魔のクロコダインだけであると判断したからである。
そのクロコダインが別行動を取っているこの機会こそが最大のチャンスであり、うまくすれば相手の戦意を奪う事が出来る筈だ。
更にそのゴーレムの材料として彼女たちが泊まっている宿を使ったのは、防御しにくくするのと同時に相手の動きを捉えやすくするという理由もあった。
建物には軽く固定化が掛かっていたが怪盗として名を馳せたフーケにとっては無いも同然であったし、傭兵たちもこれで攻撃しやすくなるというものである。
以上が白い仮面の男に説明した襲撃計画の全貌だ。
男も一定の効果を認めてGOサインを出したのだが、実はこの作戦に裏がある事には気付いていない様だった。
裏の目的は以下の通りである。
夕暮れ前に襲うのは確かに虚を突くだろうが、周囲が明るいのだから襲撃者の人数や動向は夜よりもわかりやすくなるのは自明の理だ。
ゴーレムは町中では木偶の坊同然だし、こんなバカでかい人型が現れれば、外で待機している使い魔たちにもすぐにわかる。主人が危険に晒されているのが一目瞭然である以上、最大戦速で飛んでくるのは想像に難くない。
大体ゴーレムを見て怯むような性格を彼女らがしていたらこんな任務には志願しないし、そもそも自分もこんな慣れない密偵をする羽目にはならなかっただろう。
宿の2階と天井が無くなれば確かに防御はしにくくなるが、その分空へは逃げやすくなっている。
フーケは昨日ルイズたちが町へ入る前からこっそり監視をしていた、というか命じられていたのだが、あの一行についている護衛と覚しきメイジは魔法衛士隊の制服で、なおかつグリフォンに乗っていた。
という事は風の、最低でもトライアングルクラスのメイジであり、戦地に向かう以上それなり以上の実力があると考えるべきだ。
トライアングルの2人は自分の身は自分で守るだろうし、魔法がダメなルイズと、あの名前は忘れたが何か気障っぽい土のドットメイジの生徒は護衛が守りきるとフーケは判断した。
後はクロコダインが到着するまで適度に時間を稼ぎ、彼にゴーレムが粉砕されたらどさくさにまぎれて逃走する、というのがフーケの考え出した裏プランである。
当初は話の通じそうなクロコダインに密かに連絡を取って事情を全部ぶちまけ、あくまで敵対している振りをしてもらうという考えもあるにはあった。
しかし直接会うには町の外に出なければならず、そこを仮面の男に見つかりでもしたらあっという間に正体がばれてしまう。
見つからなかったとしても、町を出た途端に目の良い風竜に速攻で捕捉されたあげく、手の出せない距離からえげつない攻撃を喰らいそうな予感がしたので断念せざるを得なかった訳だが。
支援〜
これだけ策を練っておいて何だが、それでもフーケに余裕は無かった。
なぜなら彼女自身がこの策通りに事が進むとは思っていなかったからである。
フーケは自分が貴族でなくなった日に人生という物は上手くいかないのが当たり前だという真実を強制的に学ばされ、以降始祖に祈りを捧げるなどという非生産的な行為はしなくなった。
物事は上手くいかないのが当たり前、それが現実だ。問題は、そんな現実を前にした自分がどう動くかだと彼女は考える。
フーケ/マチルダは収入の無い上に血の繋がらない扶養家族が多いという事態を前に、決して楽観的ではいられない事を充分に自覚していた。
ただ悲観論者になるのはどうにも趣味に合わなかったので、意趣返しの意味も込め貴族相手の怪盗などというヤクザな稼業に手を染めた。
始めた当初は今捕まる、すぐ捕まるという気分で事に及んでいたものだが、意に反して順調に怪盗稼業は順調に進んでいく。
あれ、けっこうチョロい? などと思って壁に署名を残してみたりしたが、それでも彼女は捕まらなかった。
それでトリステインでもトップクラスのマジックアイテムを求めて魔法学院に潜入したらこのザマだ。全くこの世はままならない。
(さて、あの娘たちはそんな現実って奴を知っているのかねぇ……!)
表面上はあくまで獲物を前にした狩人の顔で、フーケは時間稼ぎと思われない程度の攻撃に入るのだった。
「なんでフーケが!」
「知らないわよそんなの! って言うかトリステインの監獄はどうなってんの!」
「それこそ知らないわよ!」
ルイズとキュルケが不毛な会話を繰り広げる横で、タバサは黙々と風の結界を作り上げていた。
相手は矢をこちらに撃ち込んできているが、天井がなくなったせいで正面だけではなく上からも降ってくるので、自然と結界の範囲は大きくなってしまう。
ワルドが隙を縫って風魔法を放つが、敵もそれは織り込み済みのようで素早く隠れて被害を抑えていた。
「メイジ相手の戦闘に慣れている」
タバサの指摘にワルドは苦い笑みを浮かべて答える。
「メイジ殺しとまではいかないようだがね。ともかくこのままでは不味い、早くここを出た方がいいだろう」
「どうしてですか、子爵」
怪訝な表情のギーシュにワルドは説明した。
「ぼくがこの襲撃を指揮するなら、ここで我々を足止めしている間にフネを押さえるからさ」
移動手段はフネだけではないが、グリフォンやワイバーンではフネほどの速度は出せないし、体力の温存も考えるとあまり取りたくない手段だった。
「正直ここで戦力を分散させたくはないのだが、一刻も早く桟橋に向かいたいのも確かだ」
そこでタバサが自分とギーシュを杖で指さして「囮」と呟く。
更にルイズ、キュルケ、ワルドを指して「桟橋へ」と言いながら、勢いを増す矢の攻撃に対処した。
「ちょっと待って、いくら何でもギーシュと2人だけで囮は無理よ」
キュルケはどこか迷いを見せながら、それでも親友の判断に異を唱える。
傭兵の数は多く、更にあのフーケまでもがいるのだ。タバサの腕がどんなに立とうが勝ち目は薄い。
ギーシュに関しては最近の訓練で多少は使えるようになっているのだろうが、それでも荷が重いと思わざるを得ない。
しかしワルドの事をこれっぽっちも信用していないキュルケは、ルイズとこの髭を一緒に行動させるのは気が乗らないのも確かだった。
そんな友人の迷いを見抜いたように、タバサは付け加える。
「シルフィードがこちらに向かっている」
使い魔と視覚を同調させたのだ。慌ててキュルケも使い魔の視覚を確認すると、風竜の背に乗っているらしいサラマンダーが高速で町に向かっているのが分かる。
「フレイムとシルフィードは囮、残りは桟橋へ向かわせればいい」
一時的に別行動にはなるが、フレイムがこちらに残ればキュルケたちに最低限の情報は伝わる事を見越しての判断に、一同は賛成せざるを得なかった。
ギーシュなどは、出来ればクロコダインには対ゴーレム要因として参加して欲しいと思わないでもなかったのだが、ここはトリステインの武家として名高いグラモン伯爵の息子として、格好いいとこを見せるべきだと思い直す。
尤も、具体的にどうするかについてはその時に考えればいいやという辺りがギーシュのギーシュたる所以だろう。
「では急ごう。時間は金剛石よりも貴重だ」
ワルドの言葉と共にキュルケがファイヤーボールを放つ。
傭兵たちは巧みに遮蔽物に身を隠していたので通常ならこの火の玉も届かない。
しかし間髪入れずに放たれたタバサのエア・ハンマーが強引に魔法の軌道を変更させた。
予想外のコンビネーションに、向こうの攻撃は届かないと高をくくっていた傭兵数人が直撃を受ける。
同時にルイズが「ギーシュ、あれを!」と指示し、「わかった!」とギーシュが入り口付近の床に魔法を掛けた。
すぐに岩で出来た床に30サントほどの剣が20本近く生え、傭兵たちが魔法の途切れた隙をついて突入してくるのを防いだ。
丁度ワルキューレ錬成とアースハンドを混ぜたような形の魔法である。これは例の近接戦闘訓練の過程でルイズが思いつき、レイナールとギーシュが共同で形にしたという経緯があった。
あれと言われてすぐに対応できる辺り、ギーシュにも訓練の成果が現れてきたと言えるだろう。
「じゃあタバサ、あとよろしくね」
「ん」
「うわ僕の存在完全に無視されたよ!?」
キュルケは敢えて短く、しかし信頼を言葉に乗せる。
「気をつけて、タバサ。ごめん、本当にありがとう。あ、一応ギーシュも」
「ん」
「ついで? ねえ、僕はついで!? 何か扱いが違わないかい!?」
ルイズは後ろ髪を引かれる思いで、誠意を込めて級友に頭を下げる。
「2人とも派手に暴れてくれ、ただし無理はするな。特にギーシュ君、もっと君とは議論しなければならない事があるのだから……!」
「ん」
「分かっています。学院の制服が替わるのをこの目で見るまで、死ぬ訳にはいきません!」
ワルドは軍人として指示を出し、同時に新たな同士(若い女性の服装に関する趣味的な意味で)にエールを送る。
敵が怯んでいるのを確認し、ルイズを抱えたワルドとキュルケは『飛行』の魔法を唱えて裏口方面へと飛んでいった。
「行ったね。じゃあこれからはどうしよう、ぼくのワルキューレを突っ込ませるかい?」
タバサは首を横に振る。
「もうじき応援が来る。それまでに厨房からアレを取ってきて欲しい」
「アレ? ああ、アレのことかね」
タバサが指を指した先にある物を確認し、ギーシュはワルキューレを2体作り上げる。
盾で矢を防ぎつつワルキューレが厨房へ向かうのを確認しつつ、タバサはどこか違和感を覚えていた。
傭兵たちの攻撃は激しくこちらは苦戦している。にも関わらず何故か手加減をされている気がしてならないのだ。
考えてみて、答えはすぐに出た。
フーケのゴーレムがあまり戦闘に加わっていないのだ。
あの大きさのゴーレムで、こちらには屋根も天井もないのだからやろうと思えば容易に踏みつぶせる筈なのにそんな気配は微塵も感じられない。
どうにも手を抜いているという印象なのだが、その理由となるとまるで見当がつかなかった。
まあいい、とタバサはそれ以上考えるのをやめる。どんな理由があるにしろ、こちらへの攻撃が少ないのは好都合だ。敵か味方かはこの戦いの結果でイヤでも分かるだろう。
「準備は出来た! もうそろそろだと思うんだがどうかねー!」
ギーシュの声と共に厨房から2体のゴーレムがやけに大きな鍋を持って現れる。その中にはいい感じに煮えた油が並々と入っていた。
「もうすぐ」
タバサが答えるのと同時に、上空から何かが落ちてくる。派手な音と共に彼女たちの前に現れたのは虎ほどもある大きさのサラマンダーだった。
空には青い鱗の風竜とワイバーンが揃って輪を描いている。
「今」
タバサの合図を聞いたギーシュはそぉいやぁぁ!という奇妙な掛け声を上げて、ワルキューレに煮えた油入り鍋(特大)を入り口めがけてぶん投げさせた。
「フレイム、ブレスを」
間髪置かずにフレイムの喉がぐぅっと膨らみ、次の瞬間口から一抱えもありそうな大きさの炎球が飛び出す。
炎は狙い通りに床にまき散らされた油の池に当たり、あっと言う間に燃え広がった。
逃げ遅れた傭兵の一人が火に包まれそうになり、慌てて仲間たちが回収していく。
タバサはしばらくは時間稼ぎが出来そうだと判断、上空に待機している使い魔たちに風魔法を使って声を届けた。
「ルイズたちは先に行った。クロコダインは後を追って」
支援
宿への突入を完全に阻止されている傭兵たちを見て、フーケはそろそろ形だけでも攻撃に入る頃合いかなと思った。
空にはあの厄介な使い魔がワイバーンを操りながらこちらを見ている。
こちらの事情に通じているのか、その表情から読みとる事は出来ないが、どちらにせよ油断をしていい相手ではないのは確かだ。
とりあえず宿の入り口で燃えている炎を消す為にゴーレムを前進させる。30メイルの巨体を支える足は、いとも簡単に火とギーシュのアース・ブレイド(ついさっき命名)を踏みつぶした。
(さて、逃げるか攻撃してくるか、どっちかね)
逃げた場合は追えなかったと言い繕い、攻撃の場合はやられた振りをすると決めているフーケである。やる気のない事夥しい。
そんな彼女が操るゴーレムに、突然大量の花びらが襲いかかった。
赤い、おそらくはバラだと思われる花弁はたちまちゴーレムの表面を覆い尽くしていく。
何のつもりか分からず首を捻るフーケだったが、その花弁が一転、油に変わった瞬間敵の意図を察知した。
「ちょっと! 随分えげつないじゃないか!」
叫びつつゴーレムの肩から飛び降り『浮遊』の呪文を唱えるのと同時に、宿からサラマンダーのファイア・ブレスが飛んでくる。
着弾と同時にゴーレムは盛大な炎の柱となった。
実を言えばゴーレムは岩で出来ており、無理をすれば今まで通り操れない訳ではない。感覚的な問題で制御にはかなりの集中力が必要となるだろうが。
しかしフーケはそれをするつもりは毛頭なかった。むしろこの攻撃は好都合ですらあった。
クロコダインではなく学生たちの攻撃というのが微妙に癪に障るが、そんな事を言っている場合ではない。なるべく苦しんでいる様な動きをさせた上で、彼女はゴーレムの維持を意図的に解除した。
ゴーレムは燃えたまま砂と土と岩に戻り、熱をもった大量の土砂が周囲へと広がっていく。
「馬鹿野郎、気ィつけろよ!」とか「冗談じゃねぇぞ!」などと文句を口にしつつ慌てて退避する傭兵たちを尻目に、フーケは脱兎のごとく裏路地を全速力で駆けて行った。
この調子なら大丈夫だろうと、クロコダインはワイバーンを桟橋へと向かわせる。
フーケを追うつもりはない。というのも、学院を出発する前日に学院長から事の次第を聞かされているからだ。
その時に『あの女にも立場っちゅうもんがあるじゃろうが、本気でお主等に敵対してくるようならそれなりの対応をしてくれてかまわんぞ』と言われている。
早々に二重密偵という素性がバレるか、もしくは組織に忠誠を誓わせる為に何らかの手段で操られている可能性があるからだ。
とはいえさっきの戦いを見る限りでは、微妙に手加減をしているようにクロコダインには感じられた。
こちらの味方なら追っても意味はない。何より先行したルイズたちの方が彼にとっては余程心配である。
桟橋のある場所は合流地点として既に確認済みだ。
クロコダインは急げばまだ追いつけるだろうと、天を突く巨大な大樹を目指すのだった。
ルイズ、キュルケ、ワルドの3人は桟橋のフネが視認できるくらいの場所まで来ていた。
途中「あ、あの、重くないですか?」「いいやちっとも! 相変わらず羽の様だねルイズは」などという会話にキュルケが砂を吐きそうになったりしたが、懸念されていた待ち伏せはなく、フネに傭兵たちが群がっている気配も無い様に見える。
桟橋にフネは一隻しか係留されていない。普段はもっと多くのフネがあるのだが、白の国の最接近が明日なのと内乱の影響で隣国へ渡るフネが減少しているのだ。
些か寂しい光景ではあるが、乗る予定のフネが一目瞭然なのはありがたい。
抱き抱えられたまま、時折後ろを気にしているルイズにワルドは優しく声を掛けた。
「残った彼らが心配かい?」
「え? いいいやあの、そそ、そんな事は!」
頬を赤らめわたわたと手を振るルイズである。誰がどう見ても心配で仕方がないと判断するであろう態度だった。
「優しい所は変わっていないのだね、ルイズ。でも大丈夫さ。あのタバサという少女はトライアングルクラスの様だし、ギーシュ君もドットとはいえ昼間の訓練の様子を見てもかなり使えるだろう」
敵を全滅させろというのは無理だろうが、使い魔が来るまでの時間稼ぎなら余裕だろうというワルドに、ルイズは軽く頷くものの納得は出来ていないようだった。
「──向こうも心配だけど、こっちはこっちでヤバイんじゃない?」
どこか不機嫌そうなキュルケの声にルイズが前を見ると、彼女たちが目指す桟橋、すなわち大樹の枝に何者かが立っているのがわかる。
まだ日はあるがこれからの時間からは視認しにくくなるであろう黒い服、手には杖、鍛えているのが遠目にもわかる長身の男。
そして何より目につく特徴がひとつ。
「……仮面?」
そう、何を考えているのかその男は白い仮面をつけていたのだ。
「敵かしら? ていうか敵よね、そうに違いないわ」
「敵ね、というか味方であって欲しくないんだけど」
妙に息の合ったルイズとキュルケである。
まあ普通に生活していれば仮面をつけた男などに遭遇する可能性はゼロと言っても過言ではなく、思春期の少女たちがそんな感想を抱いても無理はない事かも知れない。
放っておけば止め処なく件の仮面について、容赦のない辛辣かつ率直な感想が2人の口から出ていたのだろうが、残念ながらそれ以上の意見の交換は見られなかった。
ワルドが前触れなく急旋回を始めてキュルケと距離を取り、そのまま不規則に進路を変えるような飛び方を始めたからだ。
それまでほぼ一直線に飛んでいたのが急に変わった為、ルイズはこれまで以上にワルドにしがみつきながら舌を噛まないよう口を閉ざす。
キュルケもワルドの真意を察し、ジグザグに飛行するよう心がけた。
何せあの趣味の悪い仮面は木の枝からこっちを狙い撃ち放題なのに対し、『飛行』の魔法を使用中のこっちは迎撃も防御も不可能なのだ。
同時に2つの魔法が使えないハルケギニアのメイジにとって、この状況はかなり危険なものであった。
大きく回り込んでフネに接触する手もあるが、相手も馬鹿ではない。こちらがそんな動きを取る事は予測しているだろう。
襲撃者があの仮面だけならまだしも、伏兵がいないとは限らない。迂闊な行動はできなかった。
支援
「どうしよう、こんな所で足止めされてる場合じゃないのに……!」
ルイズが焦るのは、自分が足手まといになっているのを自覚している所為もある。
自分がまともに魔法を使えていれば、少なくともこの場を切り抜けられると思ってしまうのだ。
「いや、大丈夫だ」
空中を切り裂くように飛びながら、使い魔に視覚を同調させたワルドが力強く呟く。その眼には宿には寄らず一直線にこちらに向かってくる相棒の見る自分たちの姿があった。
空中でグリフォンとランデブーを果たし、ワルドはルイズと共に使い魔に跨るのと同時に牽制のエア・ハンマーを放つ。
仮面の男が同じくエア・ハンマーで魔法を相殺する間にグリフォンのそばにキュルケが近寄った。
「あのセンスの悪いのを倒してから行く?」
「後顧の憂いは断っておきたい。が、君はルイズと一緒にフネまで行けるか?」
ワルドの質問に難しい顔をするキュルケである。
グリフォンライダーのワルドとしては、ルイズを乗せたまま戦うのは避けたいのが本音だ。戦闘時の動きにルイズが耐えられず落ちてしまう危険が高い。
かといって自力で飛べないルイズをキュルケに任せるのも問題があった。
ルイズの体重は同世代の女子に比べれば軽い部類になるが、それでもさして年の変わらないキュルケが抱えて飛ぶには負担が大きい。
仕方のない判断だったとはいえ、せめてここにタバサかギーシュがいれば。いささか現実逃避めいた事を考えてしまうキュルケだったが、ルイズの叫び声に現実に引き戻される。
「クロコダイン!」
見れば木の幹に沿う様に急上昇してくる大きな影があった。
「唸れ、疾風!」
怒号と共に大戦斧から生じた真空系呪文が仮面の男に襲いかかる。
男は凄まじい速度で風の防壁を作り上げダメージを押さえるが、完全には威力を殺しきれず後ろへ吹っ飛ばされた。
無論そのまま落ちる様なヘマなど起こす訳もなく、これもまたいつ唱えたのかも判らぬ『飛行』の魔法を駆使して近くの大きく張り出した枝の先に着地する。
「イルイル」
同時にワイバーンを魔法の筒に格納したクロコダインが同じ枝の根本側に取り付いた。
枝といっても普段はフネが係留されている桟橋である。幅は約10メイル、彼我の距離は大体20メイルといったところだろうか。
枝が平民でも歩きやすいように平らに馴らされているのは、これから戦う身としては有り難かった。
「こちらは押さえる、先に行け!」
叫ぶ獣人に異を唱えたのは、やはりその主である。
「でも!」
「自分の目的を忘れるな、ルイズ。ここで足止めされていては出来る事も出来なくなるぞ」
クロコダインはルイズに話しかけながら、決して仮面の男から目を離さない。
先程の所作で相手が手強いというのはすぐに感じ取れたし、これまでの経験として仮面を付けた敵には余り、というか全くいい思い出が無かったからだ。油断など以ての外だった。
「僕たちが乗るのはあのフネだ! そこから西北へ向かう!」
理性ではクロコダインの方が正しいと思いながらも、それで感情が押さえられる訳もなく顔を歪めるルイズを制する形で叫んだのはワルドである。
「すぐに追いつく! キュルケ、すまんがルイズを頼むぞ」
「任されてよ!」
キュルケにしても後ろ髪を引かれない訳ではないが、これ以上の問答はクロコダインの邪魔になると判断せざるを得ない。
「気を付けて! 待ってるから!」
ルイズの声をその場に残し、グリフォンはフネへと飛び立っていった。
「さて、行こうか」
そう言ってクロコダインは改めて斧を構え直す。
短い間とはいえ仮面の男が攻撃を控えていたのは、目の前の獣人とグリフォンライダーとの挟撃を恐れたからだろう。
男のクロコダインに対する答えは、矢継ぎ早のエア・ハンマーの連打であった。
枝の上では不可視の風の槌を避ける術もない。人間はもちろん、オーク鬼でも吹き飛ばされるであろう攻撃だったが、しかしクロコダインはまるで意も介さなかった。
両足に力を込めて、その場に踏みとどまるだけではなく一歩、また一歩と近づいてくる。
その歩みはゆっくりとしたものだったが、その分相手に与えるプレッシャーは重く、強い。
エア・ハンマーは通用しないと判断したのか、男はすぐに攻撃手段を変更した。
槌という「面」の攻撃ではなく、風を刃と為す「線」の魔法。
見えざる刃、エア・カッター。狙う先は一撃で命を絶つ事のできる急所、首筋である。
しかし野生の本能か戦士の経験か、クロコダインは咄嗟に身を低くしてそれを回避した。
(あれを、あのタイミングで避けるか……っ)
仮面の下で表情を歪める男だったが、それで攻撃の手を緩めるほど甘くはない。
続け様に放たれる風切り音と共に襲いかかる刃に対し、クロコダインは構えた大戦斧から爆裂系呪文を発動させた。
「唸れ、爆音!」
鉄製の巨大ゴーレムの腕を粉砕した魔法は、向かってきたエア・カッターのほぼ全てを相殺する。完全には威力を消しきれずマントの一部が切断されたが、被害はそれだけだった。
流石に一瞬怯んだ男の動きを見逃さず、クロコダインは一気に距離を詰める。
接近戦を彼が選択した理由は2つ。
1つは敵の動きがかなり速く、自分の遠距離攻撃は避けられる可能性が高いと判断したから。
もう1つは敵から感じられる生命エネルギー、即ち『闘気』が通常の人間に比べかなり薄かったからだ。この世界にいるのかは分からないが、亡霊剣士やゴーストに似た印象を受ける。
相手が何者かを判断するには接近戦が一番であると、クロコダインはそう考えていた。
闘気の大半を防御に回し、今までの歩みが嘘の様なスピードで距離を詰める。
仮面の男も近づけまいとエア・カッターを連発するが、鎧や鱗に白い傷を付けるだけで効果はかなり薄い。それでも一歩も引かずに攻撃を加え続ける所は賞賛に値するのだが、いかんせん分が悪いのは明らかだった。
もちろんクロコダインが痛みを感じていない訳ではない。『気』の力と意志の強さで、痛みや恐怖心をねじ伏せているだけだ。
闘気で強化できない右目だけをガードしながら、クロコダインはついに彼我の距離を5メイルまで縮める。
「おおおっ!」
彼がグレイトアックスで狙うのは杖を持っている右腕であった。
ルイズに付き合って授業に何度か参加しているお陰で、魔法には『虚無』を含めて5つの属性があり、それらを使うには杖が必要である事ぐらいは判っている。
しかし仮面の男は素早くバックステップ、紙一重で攻撃をかわす。
(その武器の大きさで連撃は出来まい!)
パワーはともかくスピードではこちらが上だと判断した男は敢えて距離を取らず、魔法を駆使した接近戦を挑むつもりだった。
自分の詠唱速度に余程の自信がなければ取れる戦法ではない。
これまでの攻撃は確かに通じてはいないが、男にはまだ使っていない魔法があった。
彼が最も得意とする、これまで数多くの敵を屠ってきた切り札の1つ。
自分でも今までで最速だと確信できる勢いで呪文を紡ぎながら、しかし男は仮面の奥の目を見開いた。
なんとなれば、クロコダインが両手で持っていた大戦斧を左手でホールドし、空いた右手で腰に差していた剣を抜いていたのだ。
「やっぱりここぞって時には俺だよなー!」
なぜか歓喜の声を上げながら迫るデルフリンガーだったが、けれど、残念ながらその刀身は男に届く事はなかった。
バチン、と空気が震えたかと思う間もなく、輝く雷の帯がクロコダインの身を焼いたからである。
「ライトニング・クラウドか!」
襲いかかった魔法の正体に気付いたデルフリンガーが叫ぶが、完全に予想外の攻撃にクロコダインは硬直し、その動きは鈍くなっていた。
彼が毎回ルイズと共にギトーの授業に参加していれば、風魔法の中に『雷雲』の呪文があると教わっていたかもしれない。
しかしクロコダインとて始終ルイズに付いている訳ではなく、また彼の常識では雷撃系の呪文は勇者や竜の騎士といった限られた者のみが扱える呪文だった為、不意を付かれてまともに攻撃を喰らう羽目になったのである。
(ライトニングは効果があるようだな)
男は密かに胸を撫で下ろす。雷撃まで効かなかったらそれこそ打つ手がないのだ。
実を言えば仮面の男にもそれほど余裕がある訳ではない。
この一戦で馬鹿にならない数の魔法を使っているし、何より未知の敵と戦うのは心身共に負担がかかる。
その敵がかつてないパワーとタフネスさを持っていればなおさらだ。
(今更出し惜しみは無しだ。恨まないでくれよ、使い魔君)
残り少ない精神力を振るって再び『ライトニング・クラウド』を唱えようとする男であったが、今度は彼が不意を突かれる番だった。
動きが鈍ったのはほんの一瞬だけで、クロコダインは焼けた腕で男の持つ黒塗りの杖を両断してのけたのである。
(……!)
驚愕の声を何とか飲み込みながら男は全力で後退した。
鍛えぬいた戦士、またはオーク鬼やゴブリン鬼でも痛みと驚愕により良くて気絶、大抵の場合ショック死するような威力の魔法を正面から受けてなお鋭い斬撃を放つなど、男にしてみれば正に悪夢を見ている様な気分である。
追撃をかけるクロコダインから目を離さず、懐にある予備の杖を出せたのはある意味奇跡的だった。
『飛行』で斜め上にある枝に飛び移り、およそ20メイルの距離を挟んで再度クロコダインと対峙する。
残り少ない精神力の全てを使ってでも倒さなければこちらがやられるとメイジとしての本能が叫んでいた。
(まさかここまでやるとはな。だが、もう幕引きの時間だ!)
唱えるのはやはりライトニング・クラウドだ。こちらの魔法は余裕で届くが、向こうがこちらを攻撃する術はあるまい。
男の判断はこの一戦の経緯を考えれば無理のないものであったが、彼はすぐにそれが間違いであったと痛感させられる事となる。
男の杖から雷撃が2連続で放たれるのと同時に、枝の先端まで来たクロコダインが、腰の後ろにマウントした青銅の斧を渾身の力で投げつけてきたのだ。
(なにぃっ!?)
悲鳴を上げる間もなく斧は亜面の男の胴を半分以上抉り、そのまま後ろに突き抜け落ちていく。
男はガクッと体勢を崩して枝に倒れ込む寸前、しかし霧の様に風にまぎれ、音もなく消えていった。
まるで、そこには誰もいなかったかの様に。
一方クロコダインも無傷ではいられなかった。
また雷が来るだろうと予想して手斧を投げた後は防御に専念していたのだが、それでも尋常でない痛みが襲いかかる。
以前にもっと強い雷撃系の攻撃を受けていたからこそ耐えられたが、その経験がなければ、またガンダールヴのルーン効果で若干ながら闘気の扱い方が向上していなければどうなっていたか。
だが、クロコダイン自身は耐える事が出来ても、その足下まで耐えきれる訳ではない。
狙いを定める為に枝先まで進んでいたのが災いし、2度のライトニング・クラウドで痛めつけられた木の桟橋が轟音を立てながら崩れていく。
「ぬおおっ!?」
「うおおおいおいおいおいちょっとヤバくねぇか相棒っ!?」
いかにクロコダインが無類のタフネスさを誇るとはいえ、この高さから地面に叩きつけられれば流石に命にかかわる。デルフリンガーが悲鳴を上げるのも無理はない話だった。
ワイバーンを呼び出そうと咄嗟に腰に手をやって、クロコダインはそこにある筈の『魔法の筒』がないのに気が付いた。
雷撃の余波でどこかに落としたものらしいが、運がないではすまされない。
「待ってちょっとヤバいってヤバいってこれー!?」
悲鳴上げっぱなしのデルフリンガーを無視しつつ、今度はグレイトアックスを掴んで魔法を発動させる。
「唸れ、疾風!」
空中で放った事で若干その巨躯が幹の方へと流され、更にその動きを加速させるようにクロコダインは尾を思い切り振り、反動をつける事で巨木に身体を近付けた。
「おおおっ!」
気合いと共に大戦斧を木の幹に突き刺して落下を防ごうとするが、そう簡単に勢いは止まらない。
「って何だ相棒俺を振りかざしてってやっぱこういう事かよ!」
斧だけではなくデルフリンガーまで楔にし、幹に大きな傷を付けながらクロコダインはようやく体を固定する事が出来た。
後は横移動しながら近くの枝まで辿り着けばいい。
ふと上を見上げれば、フネがゆっくりと桟橋から離れていくのが判る。ここから登っていっても、もはや出発には間に合いそうになかった。
伏兵がおらず、彼女たちが無事に乗りこめた様なのは喜ぶべき事であろうが、結局ルイズに合流できなかったのはクロコダインにとって痛恨事だ。
迂遠に思えても何とか下まで降りて、早急に魔法の筒を探さなければならなかった。
以上で投下終了です
支援&全開感想ありがとうございました
ではまた
投下乙でした。
激しくGJ!!
今回は戦闘シーンが特に面白かった
白い仮面の男が敵役としていい仕事してますね。
乙っす!
クロコダインが遍在を一目で見抜ける事が今後に影響を及ぼすのか
魔法の筒を探し出すのに手間取って間に合わなかったりするのか
先が気になるなあ
バラン戦のトラウマを引き起こしそうだw>ライトニングクラウド
しかし何でワイバーン筒に入れたんだろ
巻き添えを恐れたのか、2対1を嫌ったのか
足場悪いところじゃ、ガルーダ程じゃないにしろワイバーン有りの方が戦いやすいだろうに
乙
ダイ世界での仮面といえばキルバーンか
たしかに悪い思い出だろうな
キルバーンの仮面を切った時どうしてアバンは正体に気づかなかったんだろう?
切れ者とか頭脳は油断ならないとか言われてるのに、ピロロを見逃して行動を封じることもしなかったし・・・
そりゃそれはキルバーンがアバンにも見えないぐらいの速さで隠したからじゃないの
あとキルが死んだ(と思った)時は、ピロロは1人じゃなにもできないだろうと言ってなかったっけ?
さすがにおっさんにはおマチさんのこと伝えてたかw
これでおマチさんがカリン様とぶつかることはなくなったのか…な…?
ダイ大とゼロ使の相性の高さは異常。‥でもないか
アバンとかキルバーンとか搦め手で戦うキャラと相性がいいのは誰だろう
ジョゼフとかかな
まぁむしろゼロ魔相性のよさで異常って言葉が似合うのはダイよりジョジョなんだろうな
>>184 ルイズに学ばせても良いと思うし、教皇の参謀になっても良いと思う。
アバン先生に限れば、テファの所で主夫兼用心棒もこなせるぜ!
>>160 ヴァリエール公爵じゃないか?
ドラゴラム真っ最中のアバン先生を呼んだらやっぱ韻竜扱いなんだろうか?
変身をといても風の先住魔法で人に化けたとみなされるとか
>>187 確かあのスレでアバン先生を呼んだSSがあったと思う。
ドラゴラム真っ最中じゃなくともドラゴラムで竜に変身して見せたら韻竜扱いになるのではなかろうか。
あとメガンテって自分の精神力と生命力を全部攻撃エネルギーに変換するけど、
エクスプロージョンも寿命を全部使えば竜魔人ぐらい倒せるのだろうか。
>>187 ゼロ魔クロス本スレまとめサイトにアバン先生召喚SSあるよー
途中で止まってるけど面白いから読んでみるといいよ
さすがにライトニングクラウドは無傷ではすみませんか。
これが五倍となると食らうのはやばいですかね。
でもエアカッターやエアハンマーを真正面から食らっても平気なのってじゅうぶんすごいですよね。
クロコダインやタバサ、ギーシュが合流するのはいつになるのか。
クロコダインとウェールズの会話はぜひ見たいところです。
>>191 ジャンプ作品で自爆技ほどアテにならんもんは無いよな
ただしサイバイマンは除く
>>192 いや、あれは喰らった側も自爆系かませキャラ
やられキャラだが自爆系じゃないぞ
自爆でイメージが強いのは、十万の軍団を道連れにしたタルキン導師かな。
ロト紋だから、スレ違いだが……
グランドクロスも自爆技に近いものだと思うが。
まあ、一歩間違えば自爆だとは言われてたな
でもいつも使ったヤツは生き残ってるからかませにならないけど。
あれは不死身の男ヒュンケルの持ち技になった時点で自爆技ではなくなりました。
なんか、自爆同然の中でギリギリで生き残るコツを掴んだ、とか言ってたし。
まあそんなこと言ったらアバン先生だってポップだってメガンテ使いつつ生き残ったわけで。
ダイ大の中で自爆でちゃんと死んだキャラっているんかな。
あと、自爆特攻仕掛けたウェールズ殿下は実はまだ生きてました、てな話がそのうち来るのではないかと警戒してます。
ウェールズ生きてたらサイトと王子の間でビッチビッチしちゃうアン様が見れるのか
>>199 生きてたらサイトになんぞ惹かれずに、ウェールズとバカップルになるからビッチにはならないと思われるし
最新刊の現状で生き返っても二股なんぞしなくてウェールズ一筋に戻るだけのような気がする
そこで意気投合して穴兄弟になってしまうサイトとウェールズ
18禁なのが違和感ないアン様
メガンテの記念すべき犠牲者となった燃えるドジっ子、フレイムAのことを我々は忘れない……。
よくもフレイムAを!!
アバン先生の続きが見たいお
アバン先生はこのスレちゃうよ
見たいとおもったら書く。これだね
209 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/15(木) 21:52:53 ID:7Kb5aomB
おっさんが痛がってる所を見るとライトニング・クラウドは100〜150ダメージぐらいなの?
イメージ的にライデインとどっこいと思ってた…
あ〜はやく獣王会心撃見たい…フーケゴーレム戦で出なかったからいつ出るのか見当がつかん
おっさんもいいけどアバンストラッシュを炸裂させるダイが見たいな
あの作品のまとめのやつはもう更新しないのかな・・・
学院の使い魔を次々と傘下に収める獣王遊撃隊隊長も良いよね!
いつの間にか加わった、顔の下半分を仮面で覆う謎の隊員カリンちゃんがチート。
>>209 普通の人間なら1発で即死、金属製の短剣型のマジックアイテムへの脅しにも使えることから金属融解くらいの高温は出せると思われる
痛がるだけで済んでるおっさんが異常というか、ヒュンケル相手に直撃させた時に丸こげとポップが誤認したように、ライディンも普通は食らってら死ぬw
獣王会心撃は見たいよねー やっぱり大物相手以外は過剰火力すぎるから使わないのかね?
冷静に考えると、七万の軍勢相手にぶっ放すくらいの大技なのかな
ちなみにDQIXのメラゾーマは魔力MAXで331ダメージ。暴走とかテンションアップでさらにあがるけど。
1レベルだと30回死んでお釣りがくるわけだが、ダイ大中盤以降「ただの」メラゾーマなんて小技扱い。
そんなレベルの中で生き延びてきたおっさんの生命力を一般人と対比すること自体無茶だと言えよう。
激烈掌がミストバーンの足止めにもなってなかった印象が強すぎて会心撃の活躍するとこが想像できない
逆に人格面は問題あっても戦力的には頼れるダイ大キャラって誰だろう
ダイ大の技は基本的に単体攻撃用、多くて十人前後用だから直線方向には強いけど軍勢相手だと厳しい。
ドルオーラやカラミティウォールみたいに広い範囲のある技じゃないと万を相手にするのは辛いだろうな。
7万あいてでもベギラマとかは全体に効果があるんだろうか
>>217 先生とポップなら、機転と応用でなんとかするだろう。
ヒュンケルは似たようなことを実際やったんで、同じことをやるだけだろう。
おっさんも、ででんと居座って、手の届く範囲で無双するだけで、何とかなりそうな気がする。
ヒムも、スタミナは尽きない感じなんで、1対1を7万回繰り返せば何とか。
ラーハルトとマァムはどうだろう?
スピードで補えるか?
グループとか全体はゲームシステム上の便宜での概念だからそのまま適用するのはだめぽ
>>218 ベギラマでエンカウントしてないマップ上のモンスターを一掃できますか? なみに無茶だと思われる
通常の魔法だと、偽勇者がイオラで集合したデルムリン島の方々をなぎ払ってたので
上手く密集状態で対策を何も立ててない棒立ち状態の相手にイオラを叩き込んで数百人程度っぽいかねー?
>>217 ヒュンケルとおっさんは攻撃範囲が地味に広いから割と余裕
特にヒュンケルはブラッディー一発で万近く軽く葬れる
海波斬連発で余裕じゃないだろうか。
その千単位万単位の人間虐殺をした時点で彼らの価値は殆ど失せるんだけどね
>>222 どの時期のヒュンケルかによるんじゃない?
初期だと魔法の集中砲火in雷混じりや30mゴーレムin鋼腕とかが有ると辛いと思われるし
最終回後だと確かに万単位でいけそーな気もするが、そもそもHP1なので、戦っていいのかと言う問題があるw 戦ったらまず勝ちそうだがw
おっさんは会心撃なり激烈掌を出しながら、こうググッと腕?を横に動かせば……!
>>224 勇者陣営のジレンマ(枷)だよな、可能かどうかなら可能だが、倫理面で実行はまず無理と言うw
人の命の価値を知るだけに、殺戮者に堕ちれないのから実質戦争には向かないんだよね
ダイやバーンならわかるけどおっさんは無双するには厳しいだろ
ポップもサポートに向いてるし、仲間がいたりボス一人に集中できる状況とは違うから機転とかじゃ限界がある
そもそも勇者側のキャラが人間の軍隊を蹂躙するとこは見たくないんだよな
キルバーンなら音波兵器で広範囲に攻撃できるな
>>219 ラーハルトは割と楽勝っぽいイメージ。オリハルコン軍団の時みたいに。
マァムは……普通に苦戦以上はするんじゃないかな。自前で回復するから粘れるだろうけど。
激烈掌って、メドローアくらいしか効かないオリハルコンを破壊できるくらいの威力はあるんだけどね。
ベギラゴンやイオナズンなんかよりは遥かに強力だよ。
>>225 ラーハルト戦で背景の山まで一瞬で攻撃が到達+山に大穴空けて貫通
なんてことをさりげにやっているのでフレイザード戦あたりからおそらく可能
フレイザードは栄光を欲しがっていたから性格に目を瞑れば対人間で無双しても問題ないような
アバン先生ならラリホーやザメハを破邪の秘法で拡大して対処しそうだな。
……七万の「眠ることが出来ない兵」って地味に地獄絵図だな、勿論七万の方だが。
バラン死亡直後に冷静に進むことを選択できるあたり、
ヒュンケルとおっさんは必要なら7万戦で皆殺しすると思う。
二人とも戦士系で元は軍の幹部連中だし、戦争で相手を殺す覚悟はできているだろ
>>235 7万人な時点で、それを皆殺しにしたら敵だけじゃなくて指輪で操られてる味方も皆殺しなんだがそんなに殺戮者にしたいのかw
そこは「どうしようもないから仕方が無い」という判断になるんじゃないか?
操られている味方を倒さなければ、こちらがやられるとなれば答えは一つ。
ニア にげる
そもそも実力差的に1000人単位で当身ったりして気絶させ撒くって無力化させて恐慌状態引き起こせる存在なのに、大虐殺描写の話し繰り返し続けてる時点でお察し下さいだ
ヘイターが多過ぎる
原作からして現実兵器によるファンタジー蹂躙だから仕方がない
原作では別に現実兵器に置ける蹂躙とか無いんだが
ゼロ戦も結局騙し騙しで足りなくなった物を現地調達しながらの運用話しだし
戦車も押したと思ったらその後直ぐ負けそうになってた訳で
アバン先生は連載開始直後に島一つを丸ごと結界に包み込むという荒技をやってのけています。
しかも得意なのは破邪系の魔法なので、アルビオンにおける対レコン・キスタ戦で指輪の効力をかき消す事が出来るかもしれない?
敵中を駆け抜けつつ町も城もある大地に魔方陣書くのはさすがに大変そうだが
フェザー使えばできるかもな
マヌーサで混乱させるんだ!
お前が混乱してるだろ
ゲームシステムが全体がけだから7万相手
ザメハで楽勝でしたとかやられたら興ざめだけど
破邪みたいに秘術による下準備とかやって
大群を上手く魔方陣に誘導して発動とかならいいかも
正直あんなにかっこよくアバカム使うのはアバン先生だけだったw
7万の内、洗脳組は3万ぐらいで後は正気の敵軍じゃなかったっけ?(うろ覚え)
一番上手く対処できそうなのはアバン先生だろうな
おっさんじゃ皆殺しは無理だろ性格でも実力でも
おっさん無双が見たいのはわかるけど変な方向に期待しすぎなんじゃないか
中世程度の軍制、指揮能力じゃ戦線崩壊するだろ
一角が崩れたら後は連鎖的に行くよ
ウェールズとアン様の合体魔法をバーン様の後だしのつぶやきマホカンタで台無しにしてほしい
それがないのが洗脳の強みだろ?
実際圧倒的アドバンテージだよな
指輪は水系統の魔法を応用したもの
破邪は効果がないと思われる
前から思ってたんだが、七万を勘違いしている人が多いな
あれはアルビオン軍(魔法による洗脳兵含め)の進行を阻むこと
ダイ大のキャラは部隊の長を勤めた人間は多いし、自身の安全を確保した足止めができるはず
おっさんは会心撃を編隊の前方に2、3発打てば十分。耐久性高いから逃げるのも楽
中距離以上に強力な技を持っているのは総じて簡単に任務達成可能。しかも、敵の損害後極小で
アバンは呪文か、別の方法を考えるだろうな
七万が熱いのは才人あってこそ。近接戦闘のみだから特攻しか手段がない
正直、七万にこだわる必要はないだろう。キャラが違えば見せ場も違うしね
おっさんは「焼けつく息」が使えるから、いちばん簡単に無双ができると思うんだがな。
足止めとしては最上級の能力だし。
>>251 7万人の肝は、予想不可能で感知も無理な洗脳水を飲まない運の強さじゃね?
原作サイトのように泥酔するほど馬鹿騒ぎして酒飲むキャラじゃないと洗脳されて敵にまわると言うw
アストロンを唱えた!
ダメージを受けない!×7万
アストロンを唱えた!
ダメージを受けない!×7万
アストロンを唱えた!
ダメージを受けない!×7万
アストロンを唱えた!
ダメージを受けない!×7万
ルーラを唱えた!
>>253 物語が根本からぶっ壊れる発言は慎むように。大変に的を射とりますが
原作に近い七万を望むってなら、ラーハルトがお勧め
スピード特化型で近距離の白兵戦のみだからね。才人の超強化版と言える
ダイ大と比べてゼロ魔の魔法は応用に長けているのを利用して、魔槍の鎧が防げない魔法を数種設定するのも面白い
流れ弾の直撃で速力低下、とかね
ラーハルトは両親のネタを基に恋愛も出来る
使い勝手はなかなか
>>252 尚更無双する必要無いじゃん
風系統と組んで効率よく焼け付く息流して足止めするだけでよくなる
>>256 それは、十分に無双といえる行動だと思うがな。
殴り殺すだけが無双じゃあるまい。
焼けつく息で全員麻痺させて俺TUEEEeeeeeeという状態だろ?
>>247 最初期の攻撃力時点で一発で数百人死ぬ破壊規模だぞ
それが最終段階レベル+ルーン補正
ザボエラさんあたりに正規軍と洗脳組をちょっとパワーアップ改造をしてもらうしかない
オーク鬼を人間と融合させるとか
根本的な問題として、おっさんに限らずダイ世界のキャラを主人公にしての展開でvs7万のところまで原作準拠でいけるかが問題だな
個人的には3巻程度が原作なぞる限界じゃねーかと思う
>>259 そうとも限らん
各勢力の目的を精査して、必要な項目を拝借すれば、多少変異しながらも原作準拠は不可能じゃない
例えば、復讐戦の決断を促した王女(だったけ?)誘拐事件の目的は風のルビーだから、ストーリーに組み込みやすい
召喚者によってストーリーに手を加える必要はあるが、政情は動かしにくいんじゃないか
ルイズや召喚者が権力の中枢に相当の影響力を手にしない限り
>>260 7万人相手に一人で無双できるよーなのが、5万人包囲の2巻時点で何で無双しないの?
その時点で無双したら原作のストーリーが一気に崩れるよね
って、問題を解決しないと多少の変異ではすまないんじゃね?
>>261 滅亡が決定した国に助力する奴がいるならな。戦争を甘く見ないことだ
大概はウェールズの顔を立てるだろうよ
アバンやヒュンケル辺りはウェールズを生き延びらせる方を選択しそうなんで、情勢は大幅に変異するけど
こいつを召喚して何するかって構想が先に来るんだがな
それにもゼロ魔側の行動原理は重要。でないと自然に動かせなくなる
>>262 本気をだせばあの程度楽勝でしたかが、顔を立てて見殺しにしました(キリッ)とか
7万人後にアンアンとかからすげー恨み買いそうだなw
ウェールズの決意は固いし、本気で助けようと思わない限りは彼の意見を尊重するだろう
その死を確実にレコン・キスタ側が確認しないと後が面倒。ウェールズ自身の発言だ
そもそも、本気以前にあの時点でのアルビオン王国復興は無理
拠点は城以外制圧。軍は壊滅。革命の証として、王族の首は必須
これでどうしろと?
>>264 無双できるなら単独で勝てばいいんじゃね?
その後にトリステンに攻めてくるのはどう見ても明らかだから、無双できるよーな殺戮者ならレコンの戦力潰しとく理由にもなるし
>>264 >拠点は城以外制圧
正確にはニューカッスル城以外、ね。
ちなみにアルビオンの首都はロンディニウムだから、既に首都陥落済みな状態。
どう考えても負け戦ってことが決定済みだね。
>>265 魔法使いや幻獣満載の軍勢相手にまともに突っ込んでみろ
下手しなくても帰り道が遠くなるかなくなる
ルイズは同行できんぞ。どこに匿う?
トリステインの関係者でもないのに、国家に義理を果たす理由があるのか?
色々な側面を考慮してもリスクがでか過ぎる
人間キャラは最初から不可能
魔族のほとんどは人間社会の盛衰に興味を示さん
vs7万人にしても快進撃中に一時的な停戦からの奇襲食らって、さらに原因不明の味方の反乱まで併発して
命からがら唯一の港に落ち延びたところに、逃げ出す時間も無く追撃と言う負け決定だから大差ないかと
>>267 突っ込みは至極ごもっともだが、その前提を満たしてないよーなのはそもそも7万人相手に無双なんぞできん気がするよ
>>265 勝利条件の問題でしょ。
同時に全員を相手にできるわけじゃなし、別動隊に城を攻撃されたらおしまいなわけで。
対七万は、あの部隊を崩壊させればいいわけだから、包囲されている状況からの場合とは、かなり条件が異なる。
いい加減ヘイターがしつこすぎるなここのスレは
ヘイトヘイトとうるさいやつがいるな・・・
具体的には何も言えない奴なんだから、スルーしとこうぜ
ヘイターって長文の持論書きの事?
ゼロ魔とダイ大の主要キャラの能力を分析して、
ゼロ魔<ダイ大という事実を主張することじゃね?
276 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/17(土) 06:49:31 ID:Lkyg1ZOG
ジャンプでも上位の戦闘インフレ漫画だからそのあたりは仕方がない気もする。
どっちかというと他の作品を引き合いに出してゼロ魔の設定や展開を叩こうとするやつだと思う<ヘイター
へー、居たんだそんな奴
へー、居たんだな
へーいたーだなー
ヘイターってのはキャラの性格無視して無茶行為させたり、必要以上に他作品を踏み台陵辱させようとする連中だろ
この手のスレじゃ大抵使われてる言葉じゃん
ここの派生元スレでも常に出てくる
ここで一番酷いヘイトは勇者サイドに残虐行為させようとする話題を何度も繰り返す当たりじゃねえの
何度却下されても執拗に繰り返してるだろう
マンチキンだな
軍人とかが必要なら敵を皆殺しにするのは別に残虐行為じゃないだろ
VS7万はどう倒すかではなく、どう対処するかがクロスキャラの見せ場だと思う
効果的に無力化、恐慌状態して時間稼ぎできるなら全部殺す必要など全くない
一番いいのは凍てつく波動なんだが、ダイの登場キャラは誰も使えないのかな
時間かせぐだけならアストロンでいいじゃん
そんなのは議論する価値も無いからどうやって皆殺すかを考えようよ
>>281 軍人をDQシリーズが定義する勇者と同列にして語るなよ
ダイの勇者一行は軍に所属してないフリーなのに軍人とか
ゼロ魔関係のSSが投下されるスレの欠点は七万の話題だな
いい加減、鬱陶しく思えるほど繰り返されている。一つの場面に囚われすぎ
あれは才人だから盛り上がるんだし、別のシーンに熱が増すポイントを求めたほうがいいような
使い魔が別人になるんだから
七万に凍てつく波動って意味無くない?
実は幻覚で実数は少ないとか、皆強化魔法掛かってるとかじゃないとただの無駄骨じゃない?
それなら息系かマホトーン使う方がまし
>七万に凍てつく波動って意味無くない?
仮定だが凍てつく波動によってアンドバリの指輪による再生死体の活動停止と洗脳された生者の支配効果が解除される、とする。
この場合貴族の指揮官が倒れる、あるいは正気に戻ると数が多い分混乱の収拾がつかなくなる、だろう。
対七万を外すとなるとアルビオンでの見せ場が……獣王遊撃隊によるスニーキングミッションでアンドバリの指輪奪還とか?
7万イベントを回避するにはルイズが殿になるのをどげんかせんといかんからなあ
他に殿に相応しい部隊がいるか、あるいはそもそも戦況が不利にならないようにしないと
キーアイテムであるアンドバリの指輪にどう対処するかが問題だな
いっそ被害者である水の精霊ご自身に指輪奪還のご出陣を願って天誅を下してもらうとか
そんなの執筆もしない奴が心配する事じゃないだろ……
そしてだからと言って想定ルート羅列しまくると書いてる数少ない人の迷惑になる可能性が高くなる訳で
敵を抑えるんじゃなくて、逆に味方全員をルーラで一斉に退却させるとか
転移させた後に、そんな便利なのがあるなら最初っからつかえ! と、突っ込まれるんですね、わかります
ルーラはストーリーぶち壊しだなw
296 :
sage:2009/10/18(日) 13:36:15 ID:CiJG0FpV
ルーラは人数が増えると負担が跳ね上がるみたいだけどな5主の結婚式をみるかぎりは
物なら船一隻飛ばしても平気だけど
七万戦の肝は味方を逃がす為の時間稼ぎだし、やっぱタルキンのメガンテに惹かれるね
sageミスったごめんw
ダイの大冒険にタルキンなんてキャラいたっけ?
>>291 それやるとハルケギニアが水没してしまうがな
あと7万相手はわざわざ雑兵相手にせんでも直接クロムウェルの首取ったほうが早いんじゃないか
無双できるやつらなら中央突破で本陣に乗り込めるだろ
屋外なので高レベルキャラがトヘロスで素通り余裕ですねわかります
ギャグ漫画だと影が薄いキャラがいつの間にか敵の大将を倒していたという展開がありますが、ゼロ魔とダイ大のクロスじゃありえないしなぁ。
対七万の新しい展開……なかなかに難しい物です。
対七万の展開
・性格的にも戦術?的にも無双はしない
・ルーラで一斉に退却
・中央突破から大将首を狙う
・トヘロスで素通り
妖魔司教や死神の暗躍でみんなゾンビ化しちゃったので躊躇なく吹き飛ばす
ドルオーラで島ごと消滅させる。
皆殺しにして経験値を稼ぐ
ドラクエには、FFのディアのようにアンデッドモンスターに効率的な魔法とか無いんでしたっけ?
呪いを解いたりアンデッドを倒したり出来たなら、少なくない混乱を巻き起こす事が出来てかなり有利になると思うんですよ。
>>306 ニフラムとシャナクがある
どっちも破邪の秘法でパワーアップできそうだ
マホカトールの結界内に入れば指輪の効果も失われるかもしれんな
クロムウェルまで指輪持って中に入りこんだら無意味だろうけど
それ以前に死者や操られた亜人は入り込めないかな?
港ひとつを囲うくらいの大きさでもアバン先生なら大丈夫そうだ
港を囲んでも、その後が続かなくない?
>>304 ダイはやりそうにないから、理知的なお父さんがやるのか
>>306-308 そもそもの問題として、精霊由来のマジックアイテムの効果なので
そもそも邪悪認定や呪い認定されるかと言う問題があるな
>>310 魔界編まで続いて天界の精霊たちや破邪の洞窟についてもっと詳しい設定が解れば
ゼロ魔世界での設定のすり合わせもしやすくなっていたかもしれないが
作画と脚本の二人の現状からも期待薄だろうし
>>310 本来のあるべき心が無理矢理曲げられている、と考えれば破邪も可能だろうね。
無理だろ
ドラクエの魔法はあんま汎用性は無いぞ
役割分担がきっちりしてて、用途が合えば確実な効果がでるけど、少し違えば無理ってパターン
>>313 ニフラムやシャナクでメタパニが解除できるか? と言う話かと
マホカトールは大魔王の邪悪な意志からモンスターを保護したり邪悪なモンスターの出入りを禁じたりできるんだよな。
しかし魔王軍時代のおっさんはポップが作ったマホカトールの結界に弾かれていたが、
味方になったら素通りできたりするんだろうか。
相変わらずマホカトールで弾かれるとしたらおっさん気の毒だなw
ブラスは中から外へ出る事はできるみたいだったけど、あれは単に中からは出られるってだけで
邪悪と判断されなかったわけではないのかな?
大魔王の邪悪な意思の影響を受けているものを
人間の神様が弾いてるんじゃないかな
魔方陣の中から外には誰でも普通に出られるんじゃないか
オカルト話にはそんな魔方陣の話が結構出てくるし
魔法陣ってのは、本来は呼び出すものじゃなくて、呼び出したものから身を護るためのものだからなあ。
>>316 マホカトールで弾かれるおっさんは、四コマか何かで使えそうなネタだねw
>318
オカルトは詳しくないですけど、儀式によっては魔方陣の『外側』か『内側』のように召喚される場所が限定されるらしい。
外側に召喚する場合は、イケニエを外に、術者を内側にして儀式するらしい。
らしいらしいの繰り返しですが――アバン先生ならそういった内外の設定とか出来そうですね。
>>314 ルーラに関してはダイ世界ではやたら応用利いてたな
あれはルーラその物に応用が利いたんじゃなくて
ルーラの派生呪文が他にも設定されてただけってのが殆ど
リリルーラなら召喚されても帰れるかもしんないな。
劇中ではアバン先生しか使えない呪文だったが
リリルーラはアバン先生は媒体を使っていたから、媒体でマーキングした対象が無いと使えないのかもね
媒体使ってたのはキルバーンの時だけだ。
最初にダイ達に追いつくためにつかった時は触媒なし
超魔化の技術を使えば、
ルイズの胸を大きくさせることはできるのかな
それをおおきくするなんてとんでもない
残念だがその願いは超魔化の技術の力を超えている
>>326 ザボエラ「ワシにだって…出来ない事は…ある…」
ルーラはイメージした先に飛ぶのが基本でポップは応用で視界内ならどこでも飛べたんだよな
それよりもメラゾーマの応用の広さ、というか愛され方は異常
あそこまで使うキャラでピンキリな呪文も無いな
フィンガーフレアボムズとか「それはメラゾーマではない、メラだ」とかカイザーフェニックスとか?
まああれはバーン様が別格過ぎるだけな気もするけど。
でも、ヒャド系でもポップのヒャダルコは三賢者(笑)のマヒャドより強い、みたいな話があったな、確か。
コルベールさんのメラゾーマが、つまりはあの燃える蛇くんなんだろうか。
だとすると、やっぱりコッパゲさんは炎使いとしては凄いんだろうなぁ。
キュルケとタバサの合体魔法メドローアが見たい。そう思っていた時期が僕にもありました
ついでに使い魔も混ぜて超魔的な合体でフレイザードですねわかります
フレイザードって魔力の塊だからデルフリンガーが刺さったら即死ぬよね。
ゴーレムもガリアのアレも即死か
そういやデルフじゃ魔法剣は使えなさそうだな、なんとなく
使えたら使えたで魔法を纏わせている間は悲鳴あげ続けて煩そうではあるが
>>331 元魔王様(笑)の焼き尽くすまで消えない地獄の炎(笑)を忘れないで!
逆だろ逆
誰でも魔法剣状態がいけてしまうマジックアイテムだろデルフは
敵の魔法まで利用できる凄まじさだ
10巻でデルフにディスペルをかけて(まとわせて)ヴィダーシャルのカウンターを切り裂いた事があるからな。
だから魔法剣もできていいと思う。
デルフにディスペルなんか描けたら人格が初期化されそうだな。
>>339 二次創作ではなく原作も読むのおすすめ、または読み返すのおすすめ
>>340 デルフの出自ってどんなだっけ。
虚無で魂を移植したんだっけ?
>>341 あかされてないよ、復活するとしたらそのときに解説されるんじゃね?
復活するんかな。まあすると思うけど。
ワルドが復活するより可能性は高いと思う。
アバン先生復活とかって、あれは最初から計画されてた展開だったのかね。
死んだと思ってたらってのは2回目はアウトだろ。一回目でもだいぶテンション下がる
>>343 あれ? ワルドってもう復活してね? 別人かもしれんが
あ… アバン先生!!!
YES!Iam!!! チッチッ!
デルフは武器としての機能っぽくない補助機能が割とおいしい剣だから、
そっちで日の目を当ててやれば死にネタやらなくても出番取れたろうに。いとあわれ。
盾にくくりつけて装備とかかわいそうじゃないか
ピョン吉ならぬど根性ソードデル吉の盾。
吸いきれない魔力は盾のラジエーター的機能で排出します。
マンガとかで盾と剣の鞘が合体してるのがたまにあるけど、
ああいう盾があれば魔法を吸収する盾に……
ちょっと重いけどw
大魔王軍時代のヒュンケルと相性が良いよね。
剣に使っても良いし、頭に付けても良い。
デルフを頭に装着とか何の罰ゲームだw
さまようよろいとかを操って高性能化させられるかもしれんぞ
魔王軍最強の鎧だっけか、フレイザードが使ってたやつなら無敵だ
ロンベルク「このデルフリンガーを材料にすれば……
ダイ!お前のための『最強の剣』が出来るぞ!!!
やべっ、容易に想像できるw
>354
デルフ「やめて、おれっちを溶かさないで!!」
最新話後だったら復活フラグとして、ダイの剣の原材料にしちゃっていいような気もする
その場合に非常におしゃべりなダイの剣になりそうだがw
剣はもう十分あるので
デルフにはおっさんのための斧になってもらおう
ロン・ベルクほどの名工なら、デルフの意識を保ったまま新たな武器に生まれ変わらせる事が出来そうだ。
……どたまかなづち、とか。
完全にイジメ目的だよねw
>>353 ほら、あの兜から剣を取ると顔が微妙にカバーしきれなくなる所に、デルフをパチっと嵌めるんですよ。
スレ違いだろうが
>>351 リューナイトゼファーの聖騎士の剣か
アニメ版だと楯に合体させてメテオザッパー撃ってたな……
それは多分同系の龍王丸とかに倣った部分だな
鞘から抜かないと会話できないにも関わらず、
強敵相手じゃないと鞘から抜けないデルフリンガー。
よし、デルフはシグマにくれてやろうじゃないか!
必要な時だけ胸部から出してもらえるデルフリンガー。
シグマってデルフを必要としないキャラの筆頭じゃねーかw
フェンブレン?
「ツインソードピニング!!!」
ブ、ブローム
つーか体が最硬の「神の金属」でできていて殆ど全ての魔法を受け付けないとかチートに過ぎるな
登場した頃には勇者パーティーもチート化してたから脅威度はイマイチだったけど
そう言うのはチートじゃなくてただのインフレという
チートというのはゴメちゃんみたいな碁盤返し可能なモノを言うのだ
最近馬鹿の一つ覚えになんでもない強いだけの物事にチートチート連呼するのが沸いてきてる
すぐにバグっていう馬鹿もいるな
個人的には、ダイ大の強さの上昇具合には、読んでる時にはあんまり違和感を感じなかった。
まあだからこそ、その後暫くしてからダイ大の作中期間が数か月しか経ってない、て話を聞いた時には驚いたけど。
まあ、自分はその辺の基準かなり甘いかなぁ、と自分で思ってますが。
色々言われてるネギまも、まあ色々言われるのも分かるけど、有りか無しでいけば有りかな、と思ってるし。
ネギは考えずに画面の派手さを楽しむ娯楽で、ダイは熱血友情ストーリー重視の娯楽だから、
同じ強さインフレ展開でも、それぞれに見合った見せ方してると思うよ。
数ヶ月のストーリーか。という事はマァムや多分30歳以上の脂の乗ったおっさんは決して悪くないな(わずかな期間で武闘家になれるマァムもアレだが)
戦いのエリートのダイはともかく、数ヶ月で槍術をマスターしたりなかなか死なないヒュンケルや駆出しから呪文使いの頂点を極めたポップは人間辞めてるな
ドラクエである以上半分ぐらいゲーム要素があるからな
高い経験値が入ると一気にレベルが上がったりとか
脳内補完で数年ってことにすればおけ
>>377 >ポップは人間辞めてるな
いわゆるDBにおけるクリリン
おいおいクリリンは鼻がないんだぜ。人類であるはずがないだろう
その基準で言うと……最強の地球人はヤムチャ?
(獣人とか普通に居る地球で鼻が無い程度誤差だと思うが)
クリリンはハナクソ飛ばせて鼻が小さいだけって話しも出てくるから無いってのが真実かどうかはギャグ部分の深遠の底に隠れてる
才人はアバンストラッシュやグランドクルスのような闘気技はゼロ魔に
気そのものの概念が無いからまず使えないだろうけどブラッディースクライド
なら充分使えそうだな。
ドラクエIXのルイーダにいたデフォルトキャラの魔法使い・女は鼻が無い上にMr.ポポみたいな目だった。
鳥山明的には十分人類の範疇だよ、クリリン。
まあそんなこと言い出したら、ゼロ魔の緑とか青とかピンクとかのやたらパステルカラーな髪の色だって、人類の持ってる色素じゃあり得ないと思うけど。
ピンクはピンクブロンドでちゃんと現実に人類に存在してるよ
ルイズとか最初そう明記されてて極端にピンクなのは絵にする上でのデフォルメだったっぽくて今じゃ桃色呼ばわりだけど
見た目だけじゃない。頭の中身が桃色なんだ。
誰が上手いこと言えとw
上手い事もクソも元からちゃんとそういった揶揄こめての呼称だろ
>>384 ルイズがサイト、テファが家庭教師を召喚すれば!?
ドラムーン(素)を召喚
お久しぶりです
烈風の姫騎士を読んで頭を抱えつつ、新しい話を22:50頃から投下します
虚無と獣王
28 虚無と空賊
甲板にて絶賛作業中の船員たちは、突然グリフォンに乗ってやってきた珍客を見て大いに驚いた。
「船長はいるか! 話がある」
飛び降りるなりそんな事を叫ぶ青年を彼らは警戒心たっぷりの視線で迎えたが、幸いその中の1人が午前中に船長を訪ねてきた貴族だと気付き、船室へと走っていく。
ほどなくして現れた船長に青年、すなわちワルド子爵は急かす様に告げた。
「すぐに出航してくれ、このままでは危険だ!」
「ちょっと待って下せえ、下じゃ騒動が起きている様だが、一体何がどうなってんです」
短時間とはいえ30メイル級のゴーレムが出現すれば、流石に町から離れたこの桟橋でも騒ぎになる。
「何者かが襲撃をかけてきた。正体は判らないが、貴族向けの宿が襲われたのを考えると狙いは金や物資だろう。早く出航しないとここも危ないぞ」
ワルドはしれっと嘘を交えつつ船長に説明した。
馬鹿正直に『狙われているのはボクタチです』などと言った日には乗船拒否されるのがオチだ。
一方そんな裏事情など知る由もない船長らは揃って頭を抱えるのだった。
「事は判りましたが今すぐ出るのは無理ですぜ! 積み荷は全部積んだが肝心の風石が足りねえ!」
風石はフネにとって必要不可欠の燃料である。これが切れてしまっては為す術もなく地に落ちるしかないのだから、船長の言い分は当然のものである。
それに対してワルドが何か言いかけた時、突然下の方から白い稲光と轟音が響きわたった。
「何よ今の!」
交渉はワルドに丸投げして周囲の警戒に努めていたキュルケが思わず声を上げる。
その疑問に答えたのは同じく警戒中のルイズだった。
「ライトニング・クラウドだわ!」
こう見えて彼女は座学において右に出る者なしと言われる秀才である。
実技は基礎中の基礎である着火すら出来ないが、出来ないからといってルイズは勉強を怠る性格ではなかった。
それ故にクロコダインと対峙しているであろう、あのセンスの悪い白仮面の男が使った魔法もすぐに見当が付いたのだが、その知識は逆にルイズを不安にさせるだけだった。
ライトニング・クラウドは風魔法の中でも攻撃力が非常に高く、文字通り必殺の術として知られている。
まともに喰らった場合、クロコダインがどんなにタフでも無事に済むとは思えなかった。
ルイズは今すぐにでも下で戦っている己の使い魔を助けに行きたいと思う。
実際に行った所で足手まといになるのは重々承知していたが、それとこれとは話が別だ。理性で感情が制御できれば苦労はない。
それでも彼女がフネに踏みとどまっているのは、クロコダインが必ず追いつくと言ったからだった。
使い魔がそう宣言した以上は一心同体である主人がそれを疑うなど以ての外であると、ルイズはそう考える。
そんな婚約者を視界の隅に納めながら、ワルドは更に船長たちの説得にかかった。
「やはりこちらにも来ていたか。このフネの積み荷は何だね?」
「硫黄でさあ!」
「間違いなく狙いはそれだな。今はまだ僕たちの仲間が押さえているが、この先もっと襲撃者は増えるぞ」
そんなあと情けない声を上げる船員たちと比べ船長はまだ落ち着いていたが、ワルドはここぞとばかりに畳みかける。
「このままでは積み荷を奪われかねんし、万が一魔法戦でも起きて硫黄に引火でもしたら目も当てられんぞ! 船長、早く決断を!」
「ああもう、今日はなんて日だ! 仕方ない、出航するぞ! 旦那、ホントに風石の代わりになって頂けるんでしょうね!?」
「貴族に二言はないさ。そもそもフネが落ちれば僕らも道連れになってしまうんだ、協力を惜しむような馬鹿はしないよ」
そう言い残し、ワルドは後甲板へと走っていった。
「ルイズ、タバサとギーシュは無事に切り抜けたみたいよ。今からこっちに向かうみたい」
フレイムと視界を同調させたキュルケがそう報告すると、ルイズは少しだけ顔を綻ばせる。
どうやったのかは分からないが、傭兵たちやフーケをあの2人は見事撃退した様だった。
シルフィードを使えば桟橋までそんなに時間は掛からない。
タバサたちにとっては2連戦となってしまうが、あの仮面の男を挟撃できればその分合流もしやすくなるのだ。
係留されていたフネがゆっくりと桟橋から離れ、もう暗くなりつつある空へと飛び立っていく。
(無事でいて、クロコダイン。待ってるから……!)
ここからは姿を見る事もかなわない使い魔に、ルイズは声にならないエールを送った。
フーケや傭兵たちがそれぞれ逃げていくのを確認し、タバサとギーシュは大急ぎで荷物をまとめあげる。
重要書類の類はルイズが肌身離さず持っていたが、他の物は私物を除いては全て二等分した上でギーシュとルイズがそれぞれ持つ事にしていたのだ。
道中何があるか分からず、アクシデントで離れ離れになっても困らぬ様にと事前にオールド・オスマンから指示を受けていたのが見事的中した形である。
出来れば当たって欲しくない予想だったが。
屋根や天井がないのをいい事に、直接『女神の杵』亭に降り立ったシルフィードに2人とフレイムは飛び乗った。
未だに衛兵は来ていないのだが、事が済んだ今になって来られてもかえって困る。
事情聴取の為に拘束されれば、下手をすると明日になっても解放されないかもしれないからだ。
オーク鬼の居ぬ間に料理、そんなことわざを思い出しつつ彼女たちは青鱗の竜の背に乗って飛び立っていった。
後部甲板で、ワルドは1人杖を構えていた。
彼が唱えようとしているのは、フネを加速させる為の呪文ではない。
数ある系統魔法の中で最も特殊であり、風の魔法こそが最強であると言われる由縁ともなった呪文。
『遍在』である。
スクエアクラスのメイジにしか扱えないこの呪文は己の分身を複数作り出すという効果があった。
それぞれが独立して魔法を使う事が出来る上、各遍在が己の意志で行動可能な為、戦闘時はもちろん情報収集や敵地への潜入時などにも重宝する呪文である。
ただリアルタイムで互いの情報を共有していると『個』という感覚が薄れていき、遍在の数が多い程それに拍車が掛かって最終的には自我の崩壊を招くとされている為、多用するのは禁じられている。
ワルドはこれを運用する時は敢えて殆どの共有感覚を閉じ、遍在がどこにいるか程度の情報しか把握しない様にしていた。
遍在の蓄えた情報は呪文を解除すれば自然にフィードバックされる。
情報を共有化している時はうっかりミスをする可能性が高くなるのでそれを防ぐ、というのがワルドの判断だった訳だが、今回はそれが完全に裏目に出てしまっていた。
クロコダインの実力を把握するという目的でわざと決闘じみた対決を演出したのだが、魔法を解除する前に『遍在』の自分が消滅してしまったのである。
苦戦は予想していたが、まさか自分が敗れるとは思ってもいなかった為、相手がどんな戦いをしていたかさっぱり判らないというある意味間抜けな状態にワルドはなってしまっていた。
判明しているのは『遍在』の自分がライトニング・クラウドを複数回使ったという事ぐらいである。
まあ一撃必殺の色合いの濃い雷撃呪文を何度も撃ち込むという時点でとんでもない展開の戦いだったのだろう、というのはおおよそ想像がつく。
(実力を見誤っていたか。少し僕は調子に乗りすぎていたのかもしれないな)
軍の一部からはウォー・ホリックなどと揶揄される位、ワルドは暇さえあれば戦いの場に足を運んでいた。
研鑽を怠らなかった結果として20代半ばでグリフォン隊隊長に抜擢され、多くの者にその実力を認められる様になる。
それでも慢心を戒め、自分より年上であるマンティコア隊やヒポグリフ隊の隊長たち、あるいは『白炎』や『地下水』といった高名な傭兵メイジにも負けぬ戦闘経験を積むべく努力を重ねてきたつもりであった。
しかし現実に『遍在』は倒されているのだ。相討ちならばまだしも、一方的にやられた可能性もないわけではない。
やがて自分の前に現れたもう1人の自分に、ワルドは話しかけた。
「やあ子爵。するべき事は分かっているね」
「もちろんだとも、子爵。まずはラ・ロシェールへ赴きあの使い魔たちの現状を調べてこよう」
そう言って『遍在』のワルドは懐から白い仮面を取りだす。
「あとフーケにも後を追うよう伝えてくれ。死んでいなければだが」
「了解した」
「交戦する必要はない。くれぐれも見つからないよう、情報収集に努めてくれ」
慎重だね、と肩をすくめる『遍在』にワルドは苦笑した。
「情報収集だって立派な戦いさ。確実に相手を倒せるなら仕掛けるのも手だが、追いつめられた敵にしっぺ返しを喰らうのもつまらないだろう」
それもそうか、と仮面をつけたワルドは身軽に甲板から飛び降りた。そのまま『飛行』で闇の中へと消えていく。
分身を見送ったワルドは、今度こそ風石の消費を押さえる為の呪文を唱えるのだった。
日暮れを迎えたラ・ロシェールを風竜が飛ぶ。
目指すは町のシンボルでもある巨大樹だ。
「フネはまだいるかい?」
訪ねるギーシュにシルフィードと視覚を同調させたタバサは首を横に振った。
無事に辿り着いて出航したのならいいが、敵の別動隊にフネが落とされた可能性もある。
樹の周囲を見渡したタバサは、枝の一本が半ばから折れているのに気がついた。町に服を買いに行った時にはそんな様子はなかったので、おそらく戦闘があったのだろうと判断する。
更にシルフィードを加速させ、メイジ2人と使い魔3匹は丘の上にそびえ立つ樹の下に降り立った。
そこで彼らが見た物は、10メイルはあるだろう黒く焦げた樹の枝を持ち上げ、何かを探しているクロコダインの姿であった。
2人の姿を認めて無事だったかと微かに笑みを浮かべる獣人に駆け寄ったギーシュが素っ頓狂な声を上げる。
「一体何をしているんだねってちょっとひどい怪我じゃないか! だだだ大丈夫なのか!?」
すっかり暗くなっていたら遠目には気付かなかったが、白かったマントは黒く焦げて鎧も一部傷付いている。
更に左手の鱗は一部がめくれあがってしまっていて、滅多な事では表情を変えないタバサも顔をしかめていた。
「見た目ほど酷くはないさ。それより丁度いいところへ来てくれた。『魔法の筒』がこの辺りに落ちている筈なんだが、探すのを手伝ってくれないか」
樹の枝を持ち上げていたのはそれが理由かとギーシュ、タバサは思いつつ、使い魔たちに捜索するよう命じる。
彼らは夜眼が利く為、下手に主が探すよりは効率的だろうという判断だった。
「とにかく治療を」
「そうだよ、君は大丈夫かもしれないが見ているこっちが痛いから、今のうちに直したほうがいい」
ギーシュは荷物の中から水の秘薬を2本ばかり取り出してクロコダインに差し出す。
タバサは風系統のメイジで治療呪文は得手ではないが、トライアングルクラスであり、おおっぴらには出来ないもののシュバリエとしての活動でこの手の呪文は使い慣れていた。
高価な秘薬の効果もあり、怪我はゆっくりと、しかし確実に回復していく。
「やっぱりここにも敵がいたみたいだね。ルイズたちは無事にフネに乗れたのかい?」
ギーシュの心配そうな問いに、クロコダインは簡略にあらましを説明した。
クロコダインの話はごく短いものだったが、それでも質問者を驚かせるに充分な内容であった。
とはいえギーシュとタバサでは驚くポイントがそれぞれ異なっている。
ギーシュはクロコダインが言うところの風の槌(エア・ハンマー)、風の剣(エア・カッター)、雷(ライトニング・クラウド)を何度も喰らい、それでも軽傷と火傷程度で済んでいる耐久力に驚いていた。
特に桟橋に使われる大きさの枝をへし折る威力を持っているライトニングの直撃を、「少し痛いが我慢できない訳ではない」などと評された時には、思わずツッコミを入れそうになったものである。
一方タバサは敵である白い仮面の男に驚異と警戒心を抱いていた。
クロコダインの話では、敵の魔法は殆ど間髪入れずに彼に襲いかかってきたという。
それが本当なら、相手は尋常ではない実力の持ち主だ。
どんな魔法も呪文を唱えなければ発動しない。そして威力の強い魔法ほど詠唱時間は長くなる傾向にある。
ライトニング・クラウドを詠唱時間を感じさせない速さで撃ち込むなど自分の腕では出来そうにない。
それを可能にするには何らかのマジックアイテムを使用するか、もしくは才能のある者が血の滲むような修練を積むかのどちらかだった。
使っている魔法からして風メイジなのだろう。そしてクロコダインが倒した敵が『消滅』した事を考えると、敵は『偏在』を使えるスクエアクラスとみて間違いはない。
白い仮面というセンスはともかくとしても、決して油断のならない男なのは確かであった。
フネはかなりのスピードで空路を進んでいる。
ワルドの風魔法が推進力となっているのはもちろんの事、たまたま追い風であったのは日頃の行いの為せる業だったのだろうか。
何にせよワルドが後方で働いている間、ルイズとキュルケはあてがわれた客室で休んでいた。
ルイズなどは残してきた者たちが心配なのと、婚約者が働いているのに休むのは気が引けるのとでなかなか寝付けなかったのだが、キュルケは休むのも仕事のうちと割り切ってすぐに眠っていたりする。
ワルドがほとんど精神力が空になるまで魔法を行使した結果として、フネは通常の倍以上の速さで白の国へと向かっていた。
『女神の杵』亭から数ブロック離れた場所にある『金の酒樽』亭。その裏路地にフーケの姿があった。
もう完全に日は暮れていたが、ようやく『眠りの雲』の効果から覚めた衛兵たちが慌ただしく動き始めたのもあり、表通りはかなりざわついているようだ。
フーケは気配を消しながら『金の酒樽』亭の方を伺うが、雇い主である仮面の男の姿はない。
わざわざこの宿とは逆方向に逃げた上で、魔法でトンネルを作りここまで地下を通ってくるという周到振りのフーケであった。
当然その分は余計に時間が掛かっている訳だが、あの男はまだいない。
(返り討ちにあって死んだかね?)
など考えてしまうのは、フーケがあの使い魔の実力を知っているからだ。
まあそれならそれでさっさと逐電できるというものである。
まあ一応は明日の朝まで待つとして、とりあえず取りそびれた晩飯でも食べようと怪盗は廃屋じみた建物へと入っていくのだった。
結局『魔法の筒』の捜索は、夜半に差し掛かる頃までかかってしまった。
見つけたのはヴェルダンデで、木の下敷きになり半ば埋まっているのを探し出したのだ。
雷に撃たれるは数十メイルを落下するはと散々な目にあったものの、幸いにして壊れてはいなかったので、クロコダインは早速ワイバーンを呼び出した。
今頃になってやってきた衛兵たちは、タバサやギーシュが適当かつ嘘を交えながら対応し丁重にお引き取り願った訳だが、宿の主らの話を聞いて彼らが再び事情を聴きに来ないとも限らない。
ルイズたちとは随分と差がついてしまったが、距離と時間を取り戻すべく彼らは空へ飛び立っていった。
食事をしながらもフーケは警戒を怠ってはいなかったのだが、どういう訳か官憲の類が宿に現れる事はなかった。
流石にアルコールを摂る気にはなれず、いっそこのまま休んで精神力の回復に専念しようかと思い始めた段になって、ようやく待ち人が現れる。
現れたのはいいが、その恰好を見てフーケは持っていたスプーンをスープ皿の中にダイブさせた。
何となれば、件の雇い主は未だ仮面をつけたままだったのである。
あんな騒ぎがあったせいで町は騒然としており皆が警戒心を露わにしているにも関わらず、未だに仮面を外そうとしないこの男にフーケは頭痛を覚えた。
まあ冷静に考えると仮面なしでは雇い主かどうか判断できない訳だが、そういった理屈をどこかへやってしまう様な恰好なのも確かではある。誰がどう見ても怪しいからだ。
相手に口を挟む余地など与えず、彼女は強引に白仮面を路地裏へと連れ出した。
自分1人なら役人だの衛兵だのが来てもごまかす自信があるフーケだったが、正直こんな仮面と一緒にいては何もかもが台無しである。
そんな思いを知ってか知らずか、男はおとなしくついてきた。
「首尾は」
男が短く訪ねてくるのを聞いて、こちらの様子は把握していないとフーケは判断した。
「いいところであの使い魔がきてね」
彼女は敢えて忌々しげな顔を作り、肩をすくめてみせる。
嘘は言っていない。その後ゴーレムに一撃を入れたのが学生たちだというのを伏せているだけだ。
仮面の男はフン、と鼻を鳴らす。
「足止め程度の役目は果たして欲しいのだがな」
「生憎と盗みが本業でね」
フーケは男の皮肉を聞き流した。そもそも自分からレコン・キスタに参加した訳ではない。過剰な期待は迷惑であった。
「そういうアンタはどうなんだい」
「予定通り、連中はアルビオンへ向かった」
「は?」
思わず聞き返すフーケに、男はもう一度同じ台詞を、今度は『予定通り』に強いイントネーションを置いて言い直す。
(やっぱりコイツも負けたわけね)
そう思ったものの、口には出さないフーケである。この手の男が素直に負けを認めるとは思っていないし、他者からそれを指摘されて喜ぶとは到底思えない。
「で、これからどうするんだい? 『予定通り』に飛んでいった連中を追っかけるとか言うわけ?」
この騒ぎのせいでフネが出るかは微妙なところであった。あったとしてもこんな胡散臭い一行を乗せてくれるかどうか。
ルイズたちのように飛行可能な使い魔がいるか、もしくはレコン・キスタがフネを持っていればそんな心配もいらないのだろうけれど。
正直フーケとしてはここらで逃げたいというのが本音であった。
白の国に行くのは何かとリスクが高いのだ。自分の顔を知っている人間がいるかもしれないし、血の繋がらない自分の『家族』の存在がバレても困る。
ただこの場から逃げたとしても状況は好転しない事も彼女はよく分かっていた。
レコン・キスタからは追っ手がかかるだろうし、碌に組織の情報を持っていない彼女をオスマンが匿う理由はない。
……女の武器を使えばあっさり陥落しそうではあるが、それは出来れば最後の手段にとっておきたかった。
どのみち傭兵たちが当てにならない以上、この白仮面がレコン・キスタ本隊に合流する可能性が高いとフーケは踏んでいる。
というか、あのクロコダインと一戦交えているのだろうから、普通ならたった2人で連中に対抗しようなどとは思わないだろう。
本隊に合流できれば情報は盗りやすくなる。その手の仕事は怪盗時代の必須項目だったので、少なくと相手を傷つけないように戦うよりは気楽であった。
とまあ、さっさとオスマンの依頼を果たしてトンズラしようと考えるフーケに、仮面の男が何か答えようとしたその時。
突然、何の前触れもなく、路地裏に局所的な竜巻が発生した。
悲鳴すら上げず男は天高く舞い上がる。
暴風の中でもみくちゃになりながら大体20メイルくらいの高さに至ったところで、彼は一緒に巻き上げられた大人の頭ほどもある、以前は建物だったのであろう岩と激突した。
傍目にもかなりマズいんじゃないかと判る角度で首が曲がった後、男の姿は如何なる理由か跡形もなく消えてしまい、瓦礫だけが残される。
最後まで仮面が外れない様に押さえていたのは呆れるべきなのか賞賛するべきなのか。
全く現実感のない光景にフーケが呆然としている間に、竜巻は現れた時と同様、前触れもなく消滅した。
同時刻、精神力のほぼ全てをフネの加速の為に使ったワルドは『遍在』の消失を感じ取っていた。
前回の反省を生かし感覚同調をしていた矢先の出来事である。
船室で軽く休憩を取っていたのが幸いし、動揺を他人に悟られたりはしなかったものの、鼓動は激しく冷たい汗が背中を濡らしていた。
感覚同調はしていたものの、正直何が起きたのか全く分からない。
混乱する頭で考えてみるが、おそらく風魔法の直撃を受けたのだろうという、スクエア・メイジとも思えぬ結論しか出なかった。
身体が切り刻まれていない以上『竜巻刃』ではないと思うが、決して『竜巻』の威力ではない。
しかしあんな威力の風魔法など存在しない。少なくとも魔法衛士隊隊長の自分が知らない以上、そんな魔法が存在する可能性はないと言っても過言ではないだろう。
確かにドット・メイジとスクエア・メイジでは同じ魔法を唱えても威力は異なるし、その時の感情で魔法の威力が上がる事もさほど珍しくはない。
だが、常識的に考えて『竜巻』があんな威力になる訳がないのだ。
よって、あれは未知のマジックアイテムを持っている何者かの仕業ではないか。ワルドはそう判断する。
そう、あの攻撃が系統魔法ではなく先住魔法だとすれば、該当する風魔法がないのにも一応の説明は付くのだ。
ただ、クロコダインが先住の力を使えるのかは不明であり、まだ会って一日程度しか経っていないのだが、彼が後ろから声も掛けずに攻撃してくるような性格をしているようには思えなかった。
(おっと、これは買いかぶりかな)
ワルドは思わず苦笑する。
確かにクロコダインは武人めいているが、だからといって常に正々堂々と正面から敵に挑むとは限らない。相手の虚を突くのも立派な戦術だからだ。
しかしワルドには、他に自分を攻撃してくるような相手に心当たりはなかった。
敵が多いのは自覚しているが、自分がラ・ロシェールにいるのを知っているのは本当に極一部の人間に限られている。そしてその中にあんな非常識な魔法を繰り出すような輩はいない筈だ。
敵の正体やフーケの安否が気にならないと言えば嘘になるが、今の精神力で『遍在』を作るのは不可能だった。
(全く、何故こうも次々に厄介事が襲いかかるのか)
そんなことを思いながら、ワルドは精神力の回復に努めるべく目を閉じる事にした。
フーケは生きていた。
もっとも、今の場所からあと4歩ばかり前に立っていたら確実にあの『竜巻』に巻き込まれていただろうが。
実は、彼女の前には現在1人のメイジが立っている。相手がメイジだというのは手に杖を持っている事から分かった。
相手は自分と同じくらいの背丈で、編み上げブーツに厚手のズボンと上着、羽帽子を目深に被っている。
服装自体はフーケと大差のないものだが、一つだけ彼女とは大きな違いがあった。
なんとなれば、かのメイジの顔の下半分は仮面で覆い隠されていたのだ。そのお陰で相手が男か女かも判らない有様である。
ぶっちゃけ怪しい事この上もないが、自分が言える立場ではない。
白仮面を吹き飛ばしたさっきの魔法はこのメイジが唱えたものだろう。
一緒に飛ばされなかったのは故意か偶然か現段階では判断のしようがないが、油断出来ないのは確かだ。
袖口に隠した杖の存在を確認しつつ、フーケは相手の出方を待つ事にした。
万が一こちらの味方だった場合、先制攻撃して相手を怒らせてしまっては元も子もない。
同時に敵だった場合は相手の足下にトンネル掘って一目散に逃げようと心に決める。こちとらただの盗賊だ、あんな風魔法の使い手に立ち向かう気など毛頭ない。
「お前が『土くれ』のフーケか」
仮面のメイジはフーケの心中など察する気配もなく問うてきた。
その声は高からず低からず、少し高めの男の声にも、やや低い女の声のようにも聞こえ、フーケを一層困惑させる。
「確かに私がその『土くれ』だけど、いったい何の用だい」
警戒を解かぬフーケに、メイジはあっさりと告げた。
「学院長に話は聞いている。レコン・キスタの情報とこの町で何が起きていたのか、教えてもらおう」
フーケは目の前のメイジに悟られぬようにため息をつく。
「何が起きたかはある程度話せるけど、レコン・キスタに関しちゃ碌に調べはついてないよ」
帽子の向こうで眉を顰める気配をフーケは敏感に感じ取った。
あちらにしてみれば今まで何をしていたと言いたいのだろうが、生憎とこちらにも言い分はある。
「丁度調べようとした矢先に、何でか情報源が天高く舞い上がっちまってね。そのまま消えたところを見るとありゃ『遍在』なんだろうけど」
だから敵方に風のスクエア・メイジがいるのは確実だろうね、とフーケはそう言って肩をすくめて見せた。
相手は仮面の奥でちょっとばつの悪い表情を浮かべつつ、あれでも最小限の威力なんだがと考えていたが、残念ながらそんな内心はフーケには知る由もない。
ただ怒らせて得な相手ではないのは重々承知していたので、知っている事を伝えるのに抵抗はなかった。
昨晩の戦いと、ルイズたちが既に白の国に向かったらしいと話すと、仮面のメイジは考え込むような素振りを見せる。
「今日フネが飛ぶかどうかは微妙だと思うけど、空のお城に行く手だてはあるのかい?」
依頼主が消えてしまったのでフーケはレコン・キスタに連絡を取る術はない。
ただあの白仮面が『遍在』であった以上、近いうちに再び接触を図ってくるだろう。その時にこの性別不詳のメイジが傭兵とでも偽って組織に潜り込むのはさほど難しい話ではないのだ。
「悪いが先を急ぐ。使い魔で後を追うから、そちらはここでレコン・キスタのコンタクトを待て」
そうかい、と返事をしてから、フーケはふと思い出したかのように尋ねた。
「ねえ、私はアンタの事をなんて呼べばいいのさ」
メイジは一瞬の間の後にこう答える。
「そうだな。私の事は『サンドリオン』とでも呼んでもらおうか」
フーケは<灰かぶり>と名乗るその声に、何故か少しの笑みが含まれている様な気がしてならなかった。
流石はスクエアというべきか、ワルドの風魔法は風石の消費を抑えるだけに納まらず通常の飛行時よりも距離と速度を稼いでいた。
「まったく風メイジ様様じゃないか」
「毎回乗ってくれないっすかね」
マストの上部に据え付けられた鐘楼でそんな事を言い合う見張りの船員たちである。
この空域はアルビオンの貴族派が制圧してはいるが、頻繁にフネを浮かべているわけではない。
王党派との単発的な戦闘に巻き込まれるかもしれないし、数は少ないとは言え空賊などと呼ばれる無頼の輩も存在する。
そういった事情がなくとも急な天候の変化や最適な気流を読むのにも見張りは必要不可欠であった。
「っと、そろそろ交代の時間だな」
彼方の空が白くなりつつあるのを見て、ベテランの水夫が呟く。
相方の若い水夫があくびをこらえていると、下から交代要員が上がってくるのが見えた。
「よう、夜番お疲れさん」
「あいよ、特に異常はなかったぜ」
挨拶と申し送りを済ませ、2人は甲板へと降り体を伸ばす。
窮屈な鐘楼では出来ないストレッチを一通りこなし、ベッドへ潜り込もうと船内に戻ろうとする彼らに誰かが話しかけてきた。
「ああ、お疲れだったな」
「どうしたんです、船長」
初老の男は帽子の下の目を細める。
「なに、年寄りはどうも目が覚めるのが早くてな」
そんなもんスか、と笑う若手とは異なり、30台の水夫は船長が嘘をついているのを知っていた。
一介の水夫から叩き上げで自分のフネを持つまでになったこの男は、どんな時も下の者への気配りを忘れない。
「今から寝るんだろう? その前にどうだ」
船長は懐から小さな瓶を2本ばかり取り出した。
それはラ・ロシェールで最近売り出されたワインである。あえて小さな瓶にする事で価格を抑え、かさばらない上に小洒落たデザインで女性にも人気が高い逸品だった。
「いいんすか? いいなら遠慮なく貰っちゃいますが」
結構な値段であるのを知っている水夫が尋ねるが、船長は鷹揚に手を振ってみせる。
「気にするな。こないだの積み荷は割といい商売だったし、今回も何もなきゃあいい値が付くだろう」
この程度の出費はどうという事もない、という船長に、部下もそれならと小瓶を受け取った。
「しかしあれだな。風石はいつもより少ないってのに、ペース自体は通常より速いってのもおかしなもんだ」
風メイジってのは便利なもんだと感慨深げな船長に、船員2人は思わず吹き出してしまう。
「おいおい、いきなり笑い出すたあ気ぃ悪いな」
内容ほどには怒っていない表情の船長に、見張り中似たような事を言っていたのだと説明すると、彼は肩をすくめてみせた。
「これでかなりのお代まで頂いてるんだ、かなりの上客だと思わないか」
うんうんと肯く中年の水夫だったが、若手の方は異論がある様でしきりに首を横に振っている。
「でも女連れですぜ。しかもかなりの美人を2人も! これは減点と言わざるを得ません」
「嫉妬丸だしかよ。ていうか1人はまだ子供だったじゃないか」
軽く突っ込むベテラン水夫であった。
彼は運がいい。もしこの場にルイズがいたら大変な事になっていただろうから。
一方、若手の方は突っ込みに怯む様子もなく、逆にテンションが上がっていた。
「それがいいんじゃないですか……!」
「同意を求めるなや。悪いがお前と俺とは住む世界が違っていた様だ」
「感染るとイヤだからこっち来んな。それから陸に降りた後でうちの孫娘の半径30メイル以内に近寄ったらマジ殺す」
笑顔で、しかし可哀想なモノを見る目で上司2人が口々に言うのを聞いて、彼はやれやれという素振りをする。
「アンタ等はホント雅というものを解さないんだな。いいか、この世で一番大切なのは」
「なあ、なんでこんなん雇ったんだよ船長」
「最初は若いのに熱意のある奴だと思ったんだがなあ……」
「どう考えても熱意を向ける方向が色々間違ってるぞ……」
終わる気配を一向に見せない若手の熱弁を、右から左に聞き流しながら、彼らは「最近の若い者は」という、いつの時代にも存在するフレーズを思い浮かべていた。
そんなこんなでルイズたちが目を覚ましたのは、完全に夜が明けきった頃であった。
互いの部屋を出たところでバッタリ出くわしたルイズとキュルケは、学院にいる時と変わらぬ調子で言い合いながら甲板へ出る。
既に起きていたワルドは船員と何事か話し込んでいたが、ルイズたちの姿を見て手を振ってきた。
「おはようございます、ワルド様」
「ああ、おはよう。よく眠れたかい?」
「はい、おかげさまで。あの、ワルド様は大丈夫ですか?」
心配そうなルイズにワルドは笑ってみせる。
「昨夜は限界近くまで精神力を使ったが、幸いここのベッドは寝心地が良くてね。完調とまではいかないがそれなりに回復したよ」
ほっと胸をなで下ろすルイズであったが、突然後ろから覆い被さってきた級友に驚き声を上げた。
「ちょ、ちょちょちょっと何よキュルケ! 重いからどきなさいってば!」
何せこの女、ルイズより頭ひとつ身長が高い上に胸の大きさときたら倍どころではすまないのである。
こうも密着されると、乙女のプライドとかコンプレックスとかが強制的に刺激されてしまうのだった。
「重いとは失礼ねー。まあそんな事よりお腹すいちゃったんだけど」
「もう、仕方ないわね。とりあえずその辺に生えてる草でも食べてなさいよ」
「人を牛みたいに言うな! 大体フネに草なんか生えてる訳ないでしょ!」
律儀に突っ込むキュルケである。
少女たちのじゃれあいに苦笑する事しきりだったワルドは、3人分の朝食を確保するべく後甲板で操船している船長の元へ行くことにした。
「ねえ、ルイズはアルビオンには行った事あるんだっけ」
眼下の雲を眺めながら、やっとルイズの背から離れたキュルケが聞いてくる。
「あるわよ、もう6年くらい前の話だけど」
あの時は病弱な下の姉も比較的元気で、家族全員で旅行に行けたのがとても嬉しかったのを覚えている。
もっとも今にして思えば、あれはただの家族旅行ではなかったのだろう。
おそらく父は公爵家の当主として隣国の王族や大貴族たちに会っている筈であるし、母や既に王立魔法研究所に勤めていた上の姉も複数の宴の席に呼ばれていた記憶がある。
下の姉カトレアは病弱なのを、ルイズはまだ幼いのを理由に専ら留守番役であったが、実のところ親バカなヴァリエール公爵がなんのかんのと理由を付けて表に出したくなかっただけだという事までは流石に見抜けなかった。
長姉であるエレオノールにしても公爵はパーティ参加を渋っていたのだが、結婚適齢期がやや過ぎようとしていたり妻の視線が怖かったりで、結局黙認せざるを得なかったのだが。
「そういうキュルケは行った事あるの?」
ルイズの問いにキュルケは首を横に振った。
「アルビオンとガリアにはまだ行ってないのよ。ロマリアには随分小さい頃に行ったらしいんだけど、余り覚えてないわ」
大聖堂で迷子になって大声で泣いたなどと、事あるごとに親から聞かされてはいるが、そんな頃の話など知るかそんなもんと彼女は思う。
「トリステインには卒業までいるのだから、後はガリアだけね」
自由が利くうちに色んなところへ行っておきたいわ、と笑うキュルケであるが、これから行くアルビオンが内戦中だというのを忘れた訳ではない。
今考えても仕方がない事は考えないと割り切っているだけだ。
ふうん、と相づちを打つルイズだったが、鐘楼の船員からアルビオンを視認したという報告を聞き空を見上げた。
雲の切れ間から覗く巨大な岩肌、遠くに見える山脈と空に降り注ぐ大河、それはまさしく浮遊大陸アルビオンの偉容であった。
「話には聞いていたけど、実際目の当たりにすると凄いものねえ」
隣でキュルケが呟くのが聞こえる。普段は大人びている彼女がこの時ばかりはほんの少し幼く見えた。
「これからスカボローの港に到着ね。あとはレコン・キスタの間隙を縫って、何としてでもウェールズ王子に会わないと……」
「今タバサやクロコダインたちは空の上よ。流石にどれくらい離れているかまでは分からないけど」
フレイムと視覚共有したキュルケが告げる。任務内容をうっかり口にしてしまっているルイズに関しては、何も聞かなかったという事にした。
「みんな無事なのね!?」
詰め寄るルイズに、キュルケは目を凝らす様な表情を浮かべる。
「タバサとギーシュは大丈夫そうよ。クロコダインは……何かマントとか焦げちゃってるけど、外傷とかは無いように見える、たぶん」
フレイムはシルフィードやワイバーンほど視力に優れている訳ではない。少し離れたところを飛んでいるクロコダインの細かい怪我などは把握しようがなかった。
ルイズもそれは分かっているので、とにかく無事が確認できただけで良しとする事にする。
服が焦げているのはライトニング・クラウドのせいなのだろうが、大きな怪我はないらしいのできっと攻撃を寸前で見切ったりしたのだろう。
まさか直撃を3回も喰らっているなどとは思いもよらない。当たり前だが。
まあでもこの調子なら合流できるのも近いだろう。そんな風に思うルイズのはるか上、鐘楼から見張りをしていた水夫の声がした。
「右舷上方の雲中よりフネが急速接近!」
え? と戸惑うルイズをよそに周囲は俄かに慌ただしくなる。
作業中だった船員たちは動きを止め、幾人かは移動式の砲台へと駆け寄り、後甲板のワルドと操船を副長に任せた船長は揃って右舷へ走る。
「軍艦だな」
フネが近付くにつれ、自分たちの乗る『マリー・ガラント』号より一回りは大きく、船体には黒くタールが塗られているのが分かった。
そして何より、片舷に並ぶ20門以上の大砲がこちらに狙いを付けている。
「アルビオンの貴族派か……?」
船長は眉を顰めた。積み荷の硫黄は貴族派に売るためのものだ。こんなところでちょっかいをかけられる謂われはない。
急いで船員にその旨を手旗信号で知らせるよう指示するが、しかし相手の船からの応答はなかった。
どういう事かと思っていると、隣で『遠見』の魔法を使ったワルドが緊迫した声で忠告する。
「不味いぞ船長、あのフネは旗を掲げていない!」
基本的にフネは所属する国家や軍、家紋などを掲げているのが普通である。それがないという事から1つの推測が船長の脳裏をよぎった。
「空賊だ! 全速で離脱、雲の中に隠れろ!」
指示を受けた副長が舵を切るのと同時に、並行し始めた所属不明のフネが威嚇射撃を開始する。
ち、と舌打ちする船長の前で、黒いフネは停船命令を出してきた。
「どうします、船長!」
血気盛んな水夫たちが指示を求めてくる。民間船とはいえ武装はある、戦えないわけではない。
しかしこちらは移動式の大砲が3門なのに対し、あちらは片舷だけでも20数門の砲列があるのだ。まともにやりあって勝てる相手ではない。
隣に立っているワルドを見ると、彼は冷静に言ってのけた。
「すまないが今の精神力では勝ち目は薄いな。素直に相手に従った方がいい」
船長は大きく溜息をついて、停船するよう船員に指示を飛ばす。
「しかし!」
それでも納得のいかない様子の者に、船長は短く言った。
「積み荷などくれてやればいいが、お前たちの命はそうはいかん」
内心ではこれで破産だな、と思っているのだが、命さえあれば何とでもなるというのが彼のモットーである。また稼げばいいと割り切るしかなかった。
一方ワルドは接近してくるフネを見ながら前部甲板にいるルイズの元へと急ぐ。
(次から次へと飽きない旅路だが、しかしおかしいな)
最近は治安の悪化から活発化してきているとはいえ、あれほどのフネを空賊ごときが果たして維持運用できるものなのだろうか。
「ワルド様!」
心配そうに呼びかけるルイズに、ワルドは思索を中断した。
「空賊の様だ。抵抗はしない方が無難だろうね」
「あれだけ大砲がこっち向いてたらねえ……」
キュルケも忌々しそうに速度を同調させた黒船を見ながら同意する。
甲板に繋がれていたグリフォンは向こうの甲板から飛んできた『眠りの雲』によって既に無力化されていた。
「君たちは船室に隠れていた方がいいだろう」
「もう遅いようですわよ」
あっという間にフネとフネの間にはロープが張り巡らされ、慣れた様子の賊たちが乗り移ってくる。
その数、およそ20名強。全員が曲刀などで武装していたが、グリフォンの例からしてメイジも混ざっていると思われた。
空賊の頭と思われる男が船長を呼びつけている間にも、不躾な視線がルイズとキュルケに突き刺さってくる。
交渉、というよりは一方的な略奪を力で押しつけた頭は、少し驚いた様子で近付いてきた。
「こいつぁ驚いた。貴族まで乗ってるたぁな」
赤銅色の逞しい体躯に無精ひげ、左目に眼帯を巻いているという、まさに絵本から抜け出てきたかのような姿の男に、しかしルイズは怯んだ様子も見せない。
「下がりなさい、下郎!」
横でキュルケがもうちょっと対応を考えなさいよという顔をするが、彼女にしてもこんな男に話しかけられていたらおそらく似たような態度を取っていただろう。
ルイズの言葉に「下郎ときたか!」と大笑いした男は、手下たちに命令した。
「おい、こいつらも連れて行くぞ。うまくすりゃあ身代金をたんまりせしめられるだろうよ!」
以上で投下終了です
前回感想ありがとうございました
話が一向に進まず申し訳ない
ではまた
ん〜べりぃぐっどですねぇ〜
激しくGj!!
謎のサンドリオンの正体に今から期待が膨らみますw
それと地味にフレイムが活躍してるのがうれしいです。
>>393 アレはたまたま名前が同じの別の人だと思えば
いや、同一人物であるはずではない(少なくとも1巻の時点では)
投下乙です!
色々と、ワルドさん合掌、な包囲網が出来ていってる気がする。
そしてどんどんおマチさんの気苦労が増していってる気がする……。
サンドリオンさんは意外とうっかりさんですな。
しかし、実はまだ姫騎士読んでないんですけど、なんか新事実があったんか。
姫騎士はまだ買ってないけど、表紙の若烈風がエロイのだけは知っている
中身のカラーピンナップもえろいよ
つまり魔法衛士隊は、エロイ子に(;´Д`)ハァハァしたいから、明らかな見た目でも全力スルーしてるでおk?
>>413 1:胸が全く確認できないほど無い
2:女じやね? との質問に本人が男と主張
3:こんなバケモノみたいに強い娘が女の子のはず無いじゃないですか!
大体こんなもんじゃね? 同居人のサンドリオンが無頓着なのと、人員が減りすぎて問い詰めて抜けられても困るからって大人の事情だと思うけど
4:我が魔法衛士隊は、男の娘を大いに歓迎する!腕も立つならなおのこと良し!
ミョズはゴメちゃんを扱えるんだろうか?
生きたアイテムだから自分の意思があるし、多分無理なんじゃね?
同じ理由で武器全般を使いこなすガンダールヴでも、ダイの剣の力を100%使いこなせないと思う
武器自身が持ち手や使い手を選ぶような武器だと、逆に武器に振り回されそうなイメージだもの
もうそこまで行くと確定なんて出来ないだろ
SS書く作者がその問題にぶつかったとき好きに決めればいい範囲
書きもしない人が決め付けて良い物でもない
決め付けるというか、そういうのを「どうなんだろね〜」と考えてくっちゃべるのがこのスレの主旨なんじゃないですかね、多分。
100%使いこなす、と言っても、ダイの剣とか、あとロン・ベルクの星皇剣とかは、使い手のデタラメなパワーにも耐えることができる剣、だと思ってるんですけど。
鎧の武器シリーズとかブラックロッドとかグレイトアックスとか、あの辺みたいに武器単体になんかの効果があるもんなのかな。
仮に才人にダイの剣を持たせても宝の持ち腐れというか、ガンダパワーが発動しても、鬼岩城をぶった切れるとは思えん。
ダイの剣を使っても威力上昇しないなら、ダイはダイの剣と素手で威力かわらないとか変なことになるので、何かしらの威力上昇効果は有るだろうけど
それがあっても鬼岩城を個人で切るのは無理っぽい気はするけど、まずサイトには個人武芸で剣圧や闘気を飛ばせるようにならないとw(アルビオン編のアニメでやってた気もするが)
ダイの剣はただの頑丈な剣じゃないだろ。
造るときだってダイが側に居ないといけなかったし、自分を使うまでもないと判断したら一切使わせなかったし。
ダイの剣を使いこなすってのは剣が主と認めて協力するってレベルまでいった状態だろう。
ロン・ベルクだって剣が主を認めなければ本物にはならないって造るときに言ってたし。
鞘に入った状態で手に入っても、本編だと序盤はゴーレム戦とワルド戦あたりしか抜けなさそうだ
烈風カリンなら魔王ハドラーくらい倒せるかも。
召喚直後にダイを警戒するコルベール相手にも勝手に抜ける状態になって欲しい。
>>424 ダイの剣がダイ単体だと勝てないと認識するとか、どんだけコルベール先生が魔改造されてるんだw
メラを放つとカイザーフェニックスになる
コルベール先生。
そこはフェニックスじゃなくてスネークでしょ、炎蛇なんだし。
本気を出すと巨大化して分裂してヤマタノオロチになる。
「今のはフレイムボールではありません。着火ですぞ」
頭髪を生やす実験を繰り返すうちに偶然いつの間にか超魔生物になってしまったコルベール
過去カリンさんの描写がメラを使ったバーン様とちょっと被ったように見えた
>>429 過去どころか原作の初回登場時の描写からしてそんなもんです
実はタルブ見捨てて王都に全戦力集中してそれにヴァリエール家も参戦してたら
虚無なしでトリステンが勝ってたんじゃね? と、思う程度には
同じスクエアでもワルドとカリン様だと、それこそポップのメラゾーマとバーン様のメラゾーマ、くらいに差がありそうだからなぁ。
ワルドも、ポップのメラゾーマ(人間最高峰?)くらいには強いと思うんだけど。
そういえば、よく「ワルドの母は病弱で、ワルドは母の治療をするために急いで昇進しようとした」みたいな話をよく見るけど、これって公式だっけか?
原作の読み方がいい加減な上に二次創作で影響されまくってるから、いまいち記憶が曖昧だ。ペンダントに母の絵、は公式だったと思うけど。
烈風の姫騎士で、ワルド母とかって出てくるのかなぁ。あっちはそもそも未だ読んでないや。
ロリドさんにそんな設定あったかな
公式解説本にでも載っているのだろうか
保守
保守
435 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 21:03:58 ID:tI9peQQh
アルカディアのポップ逆行物おもすれー
スレ違いは控えようぜ
ルイズもダイ世界で暮らせば胸が大きくなるのではないだろうか
書き分け的に胸の谷間を作られるわけだな
保守
超魔生物は傷をうけたならすぐに再生するはずなんだ!
それなのに抜けた毛が生えてこないってことはコルベールはもう……
いいこと思いついた
ヒムみたいに昇格すればいいんじゃね
毛が生えてるかどうか確認する為に
頭をカチ割らなきゃならんわけだが
ヒムは兜で頭皮を暖めてたからフサフサになった
王女様が来るときのカツラですね、分かります
ハルケの水魔法のデタラメっぷりなら、植毛くらいできそうなもんだと思うんだけどなぁ。
もしくはフェイスチェンジで、一生髪がフサフサの顔を被って生きる。
>>447 それって一生カツラ被って生きるのと何が違うの?
ディテクトマジックで一瞬でばれる分、
上等な出来のカツラの方がましな気がするんだがw
水の秘薬に毛生え薬はあるけど、高価なので買う資金があったら研究に使ってる な、気がする
傷治す秘薬でさえ、実はかなり高価なんだよな
ルイズにとっては懐が痛い程度で済む額だが、騎士の年俸基準にすると割とエライ額だし
……チップレースだと1番もせずに稼げるけどね!
ダイキャラでルーン補正あってもおマチさんやワルドさんに苦戦してくれそうなキャラってだれだろう
苦戦するけど最終的に勝てるキャラとなると加減が難しいな……
ダイ大世界は中間の人があまり出てこないのかもしれない
まずガンダールヴが意味ないといけないから人間or人型モンスター
その上で物語の役割上ルイズに適度にストレスをかけつつ忠誠心があるor忠誠心を感じる可能性があるキャラか…難しいな
バダックさん
無理させると過労で倒れる
孫のわがままにつきあうつもりで頑張りそう
そこでまぞっほですよ
って書いた後で気付いた。まぞっほって、ポップ覚醒の第一歩を促したキャラじゃねーか。
使い方次第ではいけるかもしれない…………のか? でもじじぃだしなぁ。
ジジイとはヒーローの代名詞じゃ!
偽勇者一行で4人の使い魔を担当して・・・
複数のキャラが同時に召喚されるのは確かに読みたい
ヒュンケルとポップとか
>>450 遅レススマンがダイパーティに出会った直後のノヴァは?
ヒュンケルに助けられる直前くらいで・・・
ノヴァのマヒャドってスクウェアクラスにも十二分に対抗できるんでは?
長々とした詠唱無しに偏在4体まとめて凍らせそうなんだが。
おマチのゴーレムはノーザングランブレードで粉々だろうし。
原作版準拠だとゼロ魔魔法がショボく思えるかも知れないが、
無駄にエフェクト派手なアニメ版準拠だったら魔法スゲー(視覚的な意味で)と侮れないかもしれない。
ドラクエIXやってると魔法なんて弱い、って気持ちがしてくる。
もう破壊の杖は隼の剣改でいいよ。
>>460 なかなかの戦力でなんだかんだいってイケメンだしな。当たりだろ
ジョゼフの使い魔にザボエラを…
悪の度合いが高すぎてザボエラ立場無し
ロマリア教皇の傍に侍る使い魔が人語を解する巨大なネズミだったら…
何故か従う獣が増えるたびに怪我してるんですねw
お久しぶりです
20:50頃から最新話を投下します
虚無と獣王
29 虚無と皇太子
ルイズ、キュルケ、ワルドの3名は空賊船の船倉に監禁されていた。
当然ながら杖は取り上げられている。魔法は杖がなければ発動できない為、今の彼女たちはただの平民と変わらなかった。
扉には鍵を掛けられ、外には見張りがいるこの状態で出来る事は少ない。
キュルケは物珍しそうに船倉の中を見渡し、ルイズは内心の不安を表に出さないよう努めている。
そしてワルドは、空賊と名乗った者たちについて考えを巡らせていた。
(やはりおかしい。本当に連中は空賊なのか?)
襲いかかられた時も疑問に思ったのだが、一介の賊にこの規模のフネを維持・運営できるとはどうしても考えにくい。
船倉には酒樽や食料に混ざって、大量の火薬樽やうずたかく積み重ねられた砲弾がその存在を主張している。
(どう見ても軍艦規模じゃないか。それに連中の身のこなしは素人のものじゃない)
フネから『マリー・ガラント』号へと乗り移る時の手際といい、その後の制圧の手並みといい、どうも空賊というよりは訓練された軍人の様にワルドには感じられたのだ。
それに加え、どうにも腑に落ちない事が彼にはあった。
(何故だ、どうしてあいつらは僕とルイズたちを別々の場所に監禁しないんだッ!)
そもそも空賊なんてものは総じて無頼の輩であり、そういった者たちは女に目がないと相場が決まっている。
当然ルイズたちは別室へと連れ去られ身体検査と称してあんな事やこんな事をされてしまうというのがワルドの認識であった。
タイミングを見計らって、具体的には彼女らがブラウスとニーソックスのみの姿となったところで颯爽と現れ、悪党をちぎっては投げちぎっては投げの大活躍、ルイズは僕に惚れ直すという完璧な計画が台無しじゃないか!
と空賊に対する歪んだ偏見と20代とは思えぬ妄想力を全開にするワルドさんである。
(全く使えないにも程がある! 僕の期待を裏切ったな! 貴様らに空賊を名乗る資格はない!)
空賊と名乗った彼らが聞いたら憤死しそうな言い分であるが、魔法衛士隊隊長殿は一片の曇りもなく本気なのであった。
ちなみにキュルケはもちろんルイズも今現在ニーソックスなど履いていないのだが、それは言わない約束である。
ともかく、ワルドが心中に秘める『計画』において、ルイズはかなり重要なポジションにあった。
彼女を味方にする為に様々な手段を用いようとしていたのだが、どうにも上手くいっていない様な気がしている昨今なのである。
上記のような妄想も、そんな焦りから来ているのだ。半分は素だが。
実際のところルイズはワルドをかなり信頼しているのだが、逆に魔法が使えないコンプレックスを刺激されていたり、10年ぶりに現れた憧れの婚約者にどう接していいのかまだ微妙に距離感が掴めない状態にあった。
しかし衛士隊の仕事や修行としての任務、最近では『計画』の立案と実行で忙しい毎日を送るワルドにとって、そんな少女の内心を慮るにはいささか経験が足りない。
結果として変なところで生真面目なワルドとルイズは黙りがちになり、基本的に陽性なキュルケは居心地の悪さを痛感するのであった。
とまあそんな状態が一刻ほど過ぎた時、扉の向こうから空賊の1人が現れた。手には3人分のパンとスープを持っている。
「しかしまあ、何だってあんなフネに貴族様が乗っていたんだい?」
揶揄するような口調の男に、ルイズは短く「旅行よ」と答えた。
本当の理由を言える訳がないのだが、内乱状態の国に赴く理由としてはかなり説得力がない。ルイズ本人がそう思っているのだから、当然ながら空賊も納得しなかった。
「そりゃあ随分優雅なもんじゃねえか。しがない平民としちゃあやかりたいねえ」
扉の近くでこちらを油断なく見張っていた仲間の空賊も忍び笑いを漏らしている。
じゃあな、と再び扉の向こうへと姿を消した男をルイズは睨みつけた。
その後ろではキュルケとワルドがそれぞれパンとスープに手を伸ばす。
お世辞にも質の良いものではなかったが、腹に入れておかなければいざという時に動けないからだ。
「食べないの?」
スープに固いパンを浸しながら尋ねるキュルケに、ルイズは少し呆れた様な口振りで言った。
「緊張感ないわね。そもそも敵の差し入れたものをそんな簡単に口に入れるなんて」
「トリステインと違ってゲルマニアでは名より実を取るのよ。どんな奴が持ってきたって食べ物は食べ物でしょ」
あっさり返されてルイズは言葉に詰まる。
頭では一理あると思っているのだが、任務を妨害する者たちに苛立つ感情は抑えきれなかった。
一年以上ルイズをいじってきたキュルケにとって、その辺りの彼女の感情は手に取るように分かる。
「少しは食べないと大きくなれないわよ? 色んなトコロが」
分かるからといっていじるのを止めないのがキュルケ流であった。
「こう考えてはどうかな。スープとパンを僕らが食べる事で、連中の備蓄に打撃を与えている、と」
ワルドからもそんな言葉、というか助け船が出てきた為、ルイズは渋々といった風情で差し入れに手を伸ばす。
「食べたら今後の事について話し合おう」
ワルドはルイズらに声を出さないようゼスチャーしながら、ブーツの裏側に隠していた予備の杖を見せた。
なるほど、ぬかりないというか、油断できない男ね。
感心しきりのルイズとは異なり、キュルケはそんな風に思う。
実を言えばキュルケも服の間に、というか胸の谷間に小さな杖を予備として隠し持っているのだが。
「あの男たちが僕らにどんな対応をするかが今後の鍵だ。いざとなればグリフォンのところまで強行突破しなければならない」
頷く少女たちにワルドは続ける。
「ただし一介の空賊としては引っかかる部分があるのも事実だ。さっきの男にしても言葉は粗野だが余りにも隙が見あたらなかった」
怪訝な顔をするルイズにこれまでの疑問点(但し妄想は除く)を説明し、ワルドはこう締めくくった。
「僕の考えが正しければ、我々はじきに空賊の頭のところへ連れていかれるだろうね」
その頃トリステイン魔法学院では、とある女生徒がひどくやきもきしていた。
女生徒の名はモンモランシー。『香水』の二つ名を持つ水メイジである。
午前最初の授業が終わると同時に彼女は隣のクラスへと赴いた。
「レイナールかギムリはいるかしら」
顔見知りの同級生に聞いてみると、ちゃんと授業に出ていたという。
「どうかしたのかい?」
声が聞こえたのか、レイナールが眼鏡を直しながら教室の奥からやってきた。
「今日もギーシュが休んでるんだけど、何か知ってるかしら?」
「いや、何も聞いてないけどなあ」
少なくとも一昨日、王女が学院に来た日には何も言ってなかったとレイナールは思う。
念のためにとギムリにも尋ねてみるが、答えは同じだった。
「あいつがサボるのは前から結構ある事だろう。いちいち気にしてたら身が持たないんじゃないか」
ギムリなどはそう言って笑うのだが、一応モンモランシーを気遣い「どうせ女絡みだろ」という憶測は胸に秘めておく。
しかしモンモランシーの表情が好転する様子はみられなかった。というより険しさは増す一方である。
「どうしたんだ一体」
さほど親しくない自分たちにまで会いに来ている時点で真剣さが滲み出しているモンモランシーに、レイナールは困惑の色を隠せないでいた。
「……じゃあルイズが休んでいる理由とかも、聞いてない?」
「ヴァリエールも休んでいるのか!?」
ルイズはこれまで一度も授業を休んだ事はない。
魔法実技でどれだけクラスメイトから心ない言葉を浴びせられても、また体調があまり良くない時でも、彼女は生真面目に出席していたのである。
そんなルイズが何故か昨日と今日、教室に姿を現さないでいる。
普段から色々とルイズの世話を焼いている黒髪のメイドに聞いてみたところ、寮の部屋にもいないらしい。
ここのところギーシュとルイズの仲を疑っていたモンモランシーにとって、2人が同時期に休んでいるという事実は彼女から容易に平静さを奪い取っていった。
考えてみれば筆頭公爵家の三女と武門として有名な伯爵家の子息である。家柄的には問題ないと言っていいだろう。
もうこうなると想像は悪い方へと転がる一方だ。
近接格闘同好会での様子を知っているレイナールやギムリからしてみれば「それはないだろ」的なカップリングなのだが、不幸な事に争い事が嫌いなモンモランシーはそこまで会に参加しておらず、従って想像に歯止めはかからなかった。
ちなみにキュルケとタバサも全く同じ時期に休んでいるのだが、彼女たちは一年の頃からサボり常習犯として有名だったので、今回は偶然時期が重なっただけではないかとモンモランシーは考えている。
とにかくギーシュが帰ってきたらどうあっても、是が非でも、何としてでも、真相を聞き出さなければならないと、固く心に誓う彼女であった。
鬼気迫る様子に弱冠引き気味のレイナールであったが、ふと思いついた事を口にする。
「真面目なヴァリエールが休むなら先生に理由を告げていってないかな? 何なら僕が聞いてきてもいいけど」
丁度ワイバーンの件についてのレポートが書き上がった所であった。
課外授業として単位をくれる事になっていたので学院長に持っていかなければならないからそのついでに、というレイナールの提案にモンモランシーは一も二もなく賛成する。
じゃあ次の休み時間に行こうという事になったのだが、残念ながら学院長はここのところ王都に行き詰めで不在であった。
留守の間に秘書役を無理やり押し付けられていたコルベール曰く、ルイズの姉の調子があまり良くない為しばらく実家に戻るという伝達があったとの事だ。
ギーシュ、キュルケ、タバサについては休む理由は届いておらず、いつものサボリとみなされている様だった。
「まあ、家族の事情なら仕方ないわね。一応半分くらいは疑いが晴れたかしら」
胸を撫で下ろすモンモランシーに、半分はまだ疑っているのかと背筋を凍らせるレイナールとギムリである。
仕事を押し付けられる際に学院長から本当の事情を聴いているコルベールとしては生徒たちに正直に説明する訳にもいかず、用意されていた答えを告げるしかない。
彼は仕事に疲れたふりをして表情を悟られぬようそっと顔を伏せ、教え子たちの無事を始祖に祈るのだった。
しばらくして再び船倉に空賊が現れた。さっき忍び笑いをしていた痩せぎすの男だ。
「来な。お頭が会いたいと言ってる」
横柄な態度には腹が立つが、ワルドの予想が当たった事もあり表立っては何も言わず、ルイズは指示に従った。
狭い廊下を男の先導で歩いていくと周りから好奇の目で見られている事に気付く。
不躾な視線にルイズの不快感は高まる一方なのだが、ぐっと堪えて見せ物ではないとばかりに胸を張った。
敵に弱みを見せるな、常に毅然とした態度を取れという両親の教えを自然と思い出す。
そんな後ろ姿を身ながらキュルケはクソ度胸があるわねと感心していた。
とはいえ彼女も空賊の視線などどこ吹く風とばかりに自然体を保っているのだから、人の度胸を言えた立場ではないのだが。
さほど時間をかけることもなく、ルイズたちは廊下の突き当たりにある船長室に辿りついた。
案内の男が扉を軽く2回ノックすると、中から「おう、入れ」と張りのある声がする。
部屋の中には『マリー・ガラント』号を鮮やかな手並みで乗っ取った男が椅子に腰掛けこちらを眺めていた。
「早速だがちっとばかり聞きてえ事がある。アンタらは貴族派かい、それともいけすかねえ王党派か?」
すかさず王党派と答えようとするルイズを手で制し、ワルドはお頭と呼ばれる男に話しかけた。
「それを聞いてどうするつもりかね? ひょっとして、我々の身代金に関しての相談かな?」
「察しが良くて助かるぜ。王党派なら何の問題もねえんだが、貴族派に与してるとちっとばかり話が違ってくるもんでな」
頭は軽く肩をすくめる。
「じゃああんたたちは貴族派なのね!?」
ルイズが鋭い声を上げるが、空賊の答えは予想とは少し異なっていた。
いわく、彼らはあくまで貴族派とは対等の関係であり、『協力者』として王党派の人間がいないかこの空域のフネを『臨検』しているのだという。
「とまあそんな訳でな、流石に『協力者』の身代金を要求する訳にもいかねえだろう?」
頭の後ろで屈強な男たちがドッと笑った。
「生憎とわたしたちは王党派よ。ここから先は大使としての対応を要求するわ」
高らかに宣言するルイズは、更にそうしない場合は一言も口をきかないと付け加える。
もちろん自分が相当な無茶を言っているのを彼女は自覚していた。任務の事を考えるなら適当に話を合わせて相手を油断させた方が利口である事も。
ただルイズの性格的にそのような演技はこれっぽっちも向いておらず、加えて『敵』と認識したものに頭を下げるような真似は死んでもゴメンだと思ってしまったのだ。
実を言えば身体の震えが止まらない状態ではあるのだが、そこはそれ武者震いだと自分で自分に言い聞かせる。
そんなルイズの後ろでは、キュルケが片手で顔を覆い「アチャー」という表情を浮かべていた。
気持ちはわかるし共感もするけど、もうちょっと言葉を選びなさいよという台詞が喉から出そうになるのを何とか抑え込みながら周囲を見渡す。
空賊の頭は水晶のついた杖を持っている事からメイジに間違いないとして、護衛と思しき野郎どもは果たしてどうだろうか。
自分の魔法に自信がないわけではないが、これだけの人数を敵に回して勝てると思うほど過信はしていない。
いざという時はワルドを盾か囮にでもしてルイズを連れて逃げようと密かに誓うキュルケであった。
頭は別に怒った風でもなくルイズに問いかける。
「王党派なんざ明日には霞の様に消えちまうぜ。それよりゃ貴族派に手を貸しちゃどうだい? 腕のいいメイジは手厚く遇してくれるって話だ」
ルイズは先の宣言通り口をきかなかった。ただ表情が「寝言は寝てから言いなさい」と告げている。
「せめて名前くらいは名乗りな。お頭の前なんだぜ」
「そうだな、このままじゃ身代金をどこに請求していいか分からねえ」
痩せぎすの男を発端に空賊たちが揶揄するが、やはりルイズは喋らない。
極秘任務に就いている身で自分の素性を敵に通じている者たちに教えるつもりなど毛頭なかった。
その割に大使という言葉を出してしまっている辺り、詰めが甘いというべきだろうか。
ヴァリエール公爵なら甘いと表面上は言うだろう。オールド・オスマンならど素人の学生に何を求めているのかと呆れるだろう。
そしてこの場にいる空賊の頭はと言えば、大声で笑いだしていた。そこにルイズを嘲る色はなく、ただ本当に愉快だとでも言うように。
思わず呆気にとられるルイズに、頭は目元に浮かんだ涙を拭いながら話しかけた。
「いや失礼。まさかこんなタイミングで外国から大使が来るなどとは想像の外だったものでね、色々と試す様な事をしてすまなかった」
詫びながら彼は縮れた黒髪をあっさりと外す。眼帯と無精髭も本物ではなかった。
後ろに並ぶ男たちが一斉に杖を掲げる中、言葉もないルイズとキュルケにさっきまでむさ苦しい空賊の頭だった筈の金髪の貴公子は、笑みを浮かべて名乗りを上げる。
私がアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだと。
トリステイン王立図書館。
ここ数日オールド・オスマンは泊まり込みである調査に勤しんでいた。
国内最大の蔵書数を誇るこの図書館ならば、『鳥の骨』マザリーニに依頼されたレコン・キスタが使っていると思われるマジックアイテムについて手がかりを得る事が出来るのではないかと考えたのだ。
何せ敵がマジックアイテムを使っていると判明してはいない。
状況から見てその可能性が高いというだけで、本当に貴族たちが王を裏切っていないとは言い切れないからだ。
可能性はかなり低かったが。
取り敢えず、彼が最初に調べたのはアルビオン発祥の伝説や民話関係であった。
しかし膨大な数の書物を漁ったものの成果は得られず、残ったのは疲労感と徒労感だけだ。
それでもオスマンは老骨に鞭を打つかの如く次の作業に取りかかる。
元来勤勉さとはかけ離れた性格の学院長がなぜこうも熱心なのか。
実は依頼を解決した暁には、キレイなオネーチャンのいる店で好きなだけただ酒を飲んだ上で、彼の好みの若い女性を学院秘書として送るという約束をマザリーニと交わしていたのである。
それはもう、否が応にもやる気が出るといった寸法なのであった。
更に言うと、王立図書館の司書であるリーヴルという女性は若くて容姿端麗であり、つまるところ彼女は実にオスマンの好みのタイプだった。
もっとも彼の『好みのタイプ』は随分と幅が広いのだが、ともあれそんなリーヴルがオスマンのモチベーションを高める一因となっていたのは確かである。
そのリーヴルが差し入れた紅茶を飲みながらオスマンは1人思索に耽っていた。
(これでアルビオンの線は薄くなったが、さて、今度はどこにアタリをつけたもんじゃかのう)
反乱軍の首領の前身を考慮してロマリア関連を探るべきか。
それとも水の力を利用していると考えられるマジックアイテムの性質から当たるべきだろうか。
(水の力か……。水と言えば、一応ここは『水の国』なんじゃがな)
アルビオンが風、ガリアが土と例えられるのと同じく、トリステインは水を司るとされている。
(王家の者の多くは水系統の使い手、始祖より賜りし水のルビー、そういや昔は水精霊騎士隊なんてのもあったの)
そこまで連想した所で、ふとオスマンの脳裏に引っかかるものがあった。
(そうじゃ、確かあそこにはそのまんまな存在がおったじゃないか!)
オスマンは己の使い魔にリーヴルを呼んでくるよう命じつつ、大急ぎでトリステインが誇る景勝地、ラグドリアン湖に関する本を探し始めるのだった。
あまりといえばあんまりな告白に、ルイズの思考回路は一時的にフリーズしてしまっていた。
「あー、大丈夫かな、大使どの」
「やはり自己紹介に少し無理があったのでは、ウェールズ様」
困ったような皇太子に突っ込んだのは案内役をしていた痩せぎすの男である。
「そうか? アルビオン王立空軍大将とか本国艦隊指令長官なんて言うよりは通りがいいと思ったのだが……」
「いえ、肩書きの問題ではないでしょう」
「ついさっきまで空賊としてノリノリで演技してたんですから、突然『ボク皇太子です』などと言っても説得力に欠けると申しますか」
部下たちの言い分に、ウェールズは素直に肯いた。
「確かにそうだ。しかしノリノリで空賊を演じていたのは卿らも同じだろう。説得力の無さは私1人の責任とは言い難い筈だ」
肯いただけで、ちゃっかり責任を分担させようとする皇太子である。
「思うにこんな会話をしている事も、説得力の無さに拍車をかけている気がするのですが……」
部屋の隅にいたまだ若い仲間のメイジの台詞に、ウェールズ以下アルビオン空軍の面々はハハハこれは一本取られたなとひとしきり笑った後で、深く静かに俯いた。
「あ、ああ、あの、すすすいません失礼いたしました。……でも、失礼ついでと申しますか、ええと、本当にウェールズ皇太子様、なのですよね?」
一足先に立ち直ったキュルケに脇をつつかれ、ようやく再起動を果たしたルイズが慌てて口を開く。
慌てていたので言葉の内容まで吟味できず、そのまま思った事をしどろもどろに口にしてしまっていた。
「いや、大丈夫だろう。この方は本物の皇太子様だと思うよ」
そう答えたのはワルドである。
「お初にお目にかかります、殿下。私はトリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵と申します」
一礼するワルドに、空軍の男たちが数人「よう」「久しぶり」と声をかけた。
巧妙に変装していたが、よく見れば彼らは以前合同軍事演習において幾度か顔を合わせた事のある竜騎士隊の面々であるのにワルドは気がつく。
そうだった、あの時は確か模擬戦に負けた方が賞味期限ギリギリのアルビオン軍特製保存食を食べなくてはならないという裏ルールのせいで随分と必死になったものだった。
また休憩時間などには、王宮に勤めるメイドの服をミニスカにするにはどうしたらよいか、国を越えて熱く語り合ったのをワルドは懐かしさと共に思い出す。
おそらく彼らも、自分がただの空賊ではないと看破していたのと同じ様に、ルイズたちが物好きな貴族の旅行者などとは考えていなかったのだろう。
ワルドについては上記の理由からすぐに身元が判明したのだろうが、残りの2人については正体も目的も分からなかった為、様々に揺さぶりをかけて反応を確かめていたのだ。
(それにしても、皇太子自らがフネに乗って陣頭指揮を執るとはな)
王党派はそこまで追いつめられていたのかとワルドは察するが、それと同時に彼はある種の感動を覚えていた。
指導者が戦場に赴くのは安全面を考えると決して良い策とは言えない。
しかし、そもそも王族に限らず、貴族というものは平民を守る為に先頭に立つ存在であるべきなのだ。
その点において、間違いなく勇敢であろう皇太子に比べ、自国の現状は果たしてどうか。
ワルドが自分の「計画」を早急に実行しなければならないと心中で誓っている間に、完全に立ち直ったルイズは大使としての役目を果たそうとしていた。
「初めまして。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します。アンリエッタ姫殿下の命により密書を言付かって参りました」
ヴァリエールの家名を聞いて、ウェールズや部下たちがその表情を変える。
トリステイン王家の血を引く筆頭公爵家の一員がこの時期に大使として来る以上、おそらく国家を揺さぶる様な事態である事は自明の理であった。
更に懐から託された手紙を取り出すルイズの手元を見て、ウェールズはアンリエッタが彼女を相当信頼しているのだと判断する。
「失礼、君が手に填めているのは『水のルビー』かな?」
「は、はい」
成る程、と呟いて皇太子は優しくルイズの手をとった。
すると、ウェールズの指にあった大粒の水晶とルイズの水色の宝石が共鳴し、周囲に虹色の光を作り始める。
「風と水は虹を生み出す。叔父は2つの王家にかかる虹の橋だと言っていたよ」
叔父とはアンリエッタの父、すなわち数年前に亡くなったトリステイン王の事だ。
「王家の秘宝を持っているとは、君は本当に姫から頼りにされているのだね」
感心しきりの皇太子に、ルイズは曖昧な笑みを返した。
まさか秘宝とは知らず『路銀の足しにして下さい』なんて軽い感じで言われたなどとは、とてもじゃないが伝えられない。
さておき、密書を受け取ったウェールズは花押の押された蜜蝋に接吻すると丁寧に便箋を取り出す。
真剣な面持ちで最後まで読み終えた皇太子は、姫がゲルマニアに嫁ぐのは本当なのかと尋ねた。
ルイズとワルドが頷くと、彼は成程と小さく呟いて隣国の情勢に想いを馳せる。どこもかしこも追い詰められていくものなのだな、と。
「姫の願い、確かに承った。ただ、君たちには申し訳ないのだが、彼女が求めているものは既に処分してしまっていてね」
そう、アンリエッタからの手紙は貰った次の日に燃やしてしまっていた。次期王として育てられた身である。一個人としての思いを優先してなどいられない。
手紙の内容は一言一句欠けることなく脳裏に刻まれていたが、それは自分が墓まで持っていけばいい事なのだと、ウェールズはそう考えていた。
ルイズはこれで任務を果たしたことになるのかしらと考えていた。
一応マザリーニらは件の手紙が既に破棄されている可能性を考慮しており、そうでなかった場合は回収せよと言われている。
アンリエッタは自分の手紙が捨てられていようなどとは思ってもいない様子だったが、内容的には処分されていて良かったと言うべきだろう。
年頃の乙女としては思うところがない訳ではないが、流石に自国の浮沈が天秤に掛かっている状態でそんな主張をするつもりはなかった。
手紙が存在しない以上、あとはクロコダインらと合流した後で王城に戻り、アンリエッタに報告すればそれでいい筈だ。
「すまないがラ・ヴァリエール嬢。ひとつ頼みがあるのだが聞いて貰えるかな」
「は、はい」
突然ウェールズに話しかけられたルイズは慌てて考えを中断する。
「実は大使である君に譲っておきたいものがある。みすみす貴族派にくれてやるのも惜しい品でね、できればニューカッスルまでご足労願いたいのだが」
総攻撃までまだ数日の余裕があると言う話は、ラ・ロシェールでも耳にしていた。
クロコダインからは危険な事はしないでくれと言われているが、本格的な戦闘になる前に離脱すれば大丈夫なのではないかとルイズは思う。
なにより皇太子たっての頼み事を断れるほどの冷たさを、彼女は持ち合わせていなかったのである。
そんな訳で、ルイズらはこのまま賓客として『イーグル』号に乗りこんだまま、『マリー・ガラント』号を従えた状態でアルビオンを目指す事となった。
風竜とワイバーンの飛ぶスピードは、他の生物と比べ随分と速いものだった。
しかし快速を誇り、なおかつワルドの風魔法の後押しを受けたマリー・ガラント号や、残された風石を積めるだけ積み込んでいた戦艦イーグル号に追いつけるかといえば、答えは否である。
また彼らは空賊や貴族派に見つからない様にする為、半分雲に隠れながら進まなければならなかった。
マリー・ガラント号も同じ事を考えているのではないかとタバサは想像していたのだが、一向にその姿が見えない。
こちらとは航路が全く異なっているのか、それとも後先考えない速度で飛んでいったのか。
何にせよアルビオンに向かっているのは間違いないのだから、ルイズたちの無事を信じるしかなかった。
「しかしオスマン殿から聞いてはいたが、大陸がそのまま空に浮かんでいるとは思わなかったな」
感慨深げなクロコダインに、後ろにいたギーシュが声をかける。
「東方にはアルビオンみたいな島はないのかい?」
ルイズやオスマンたちといった一部の人間を除いては、彼が異世界から来た事は知られていない。
「ああ、巨大な人型の城塞や空を飛ぶ宮殿ならあったんだが」
「そっちも大概だと思うね!」
もっともな感想ではある。
「しかし城が人の形というのもスゴい話だなあ。まさか動いて敵を攻撃したりしないだろうね?」
「よくわかったな」
冗談で言った事を真顔で返されてギーシュは絶句した。
無数の砲門に狙われた時は肝が冷えたものだと笑うクロコダインに「冷えただけ!?」と突っ込む姿は、彼に少しだけ仲間の魔法使いを連想させる。
これでその巨大人型城塞をたった1人の少年が真っ二つにしたなどと言ったらどんな顔をするだろうか。
ちなみにギーシュと彼の使い魔がワイバーンに乗っているのは、シルフィードが竜としてはまだ幼いからである。対してワイバーンは成竜であり、その体躯も風竜より一回り大きかった。
さらにこの配置は仮に空中戦になった場合、小回りの利くシルフィードを身軽にしておくという思惑もある。
さて、密かにイーヴァルティの勇者の様な冒険ものの本を愛好するタバサにとって彼らの話はかなり気になるものだった。
ただ流石に周辺を警戒している今の状態で、ずっと聞き耳を立ててはいられない。
学院に帰ったら詳しい話を聞こうと、固く心に誓うタバサであった。
慣れない二重スパイをなんとかこなしているフーケから情報を得たサンドリオンは、随分長い付き合いのマンティコアに跨って空を駆けていた。
もっともラ・ロシェールを出発したのがクロコダインらと比べてもかなり遅かった為、完全に出遅れてしまっている状態だ。
飛びながら考えるのは、やはりルイズの事である。
先のフーケ追跡戦の話を知った時にも感じた事だが、どうしてこの娘は自ら危地に向かおうとするのか。
確かに貴族としてその選択が間違っている訳ではない。むしろ行くしかないような状況であったとも言える。
しかし、だからと言って周囲の人間が心配しないかといえば、それはまた別の話だ。
貴族であれば使えて当然である魔法を爆発という形でしか発動させられないルイズが、それでも諦める事なく努力を続けてきたのをサンドリオンはよく知っていた。
しかし、先月の使い魔召喚の儀式で彼女はサモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントを成功させている。
これからは一人前のメイジになるため研鑽しつつ、しかし少なくとも学生の間は平穏に過ごしていて欲しかったというのがサンドリオンの思いであった。
自分は今のルイズよりも若い頃に王族や自分の命に関わる重大な任務についた事もあったが、それはあくまで魔法衛士隊に入りたいという自分が選んだ道である。
後悔などしていないし、もしあの頃に戻れたとしても同じ行動を取るだろう。
だが軍属でもないルイズが向かっている地には3万もの貴族派が集結しつつあるのだ。加えて彼女と行動を共にしているワルド子爵には敵方の密偵ではないかという疑いが掛けられていた。
これで心配するなという方がどうかしている。これならまだ単独で内乱を鎮圧したり火竜をなぎ倒したりする方が気が楽だった。
オールド・オスマンによれば、ルイズの召喚した使い魔も似た様な思いを抱いている様で、任務の重要性を理解しつつもルイズを危険に晒す事には反対していたらしい。
兎にも角にも、戦場へと向かうルイズたちに一刻も早く合流する必要がある。
焦りを抑えながらサンドリオンは自身の切り札のひとつを使う事にした。
杖を構え、流れるように呪文を唱えると、すぐ横に自分と全く同じ姿が現れる。風のスクエアメイジだけが可能とする高等呪文、『遍在』だ。
続けてサンドリオンがマンティコアを包み込む様に風の結界を作り上げると、『遍在』は後ろ向きに竜巻のような風魔法を放ち始めた。
要はワルドが風石代わりに使った方法と同じ事をしているのだが、フネを加速させるほどの魔法を3メイルあるかないかのマンティコアで実行した場合どうなるか。
答えは、目にも留まらぬほどの凄まじい速度を得る事が可能となるのである。
おまけにサンドリオンの魔法は、ワルドのそれより更に強い風を生み出していた。
かつてトリステイン最強と謳われたメイジが、引退後は見せる事のなかった本気を発揮しつつある事に、まだ誰も気付いてはいない。
以上で投下終了です
前回感想ありがとうございました
今回名前だけでてきたリーヴルはPS2ゲーム第3弾の登場人物です
いつかこのゲームを元にしたネタを書けるといいのですが
次は年内に投下できればいいのですが、仕事が詰まっていて無理かもしれません
では、少し早いですが、皆様良いお年を
おつおつ
>既に処分してしまっていてね
アンリエッタ哀れすぎる。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
己の心に正直過ぎて欲望全開ワルドさんが爽やか格好良く思えるから困る。
それにしても、ここで始祖の秘宝出るのかな?だとしたら楽しみ。
今回も、各キャラの一方その頃や程よいアレンジのお陰で原作筋の展開も読み応えがありました。
作者さんも、よいお年を。
>>478 ウェールズが賢くなってるよね
カリンならダイ大世界で竜の騎士として戦えるだろうか?
厳しい性格とか似合いそうだと思ったけど
竜の紋章が無いから無理です。
カリンは初中期ハドラーより強かったり要塞ぶち壊したり出来んのか
乙
そうだよな、空飛ぶ宮殿とかとんでもな存在だよな
>>480 天界の生物兵器と並べるだけの強さなんて描写された事あったっけ?
個人的に、全盛期カリンは最終決戦時のマァムぐらいだと思ってる。
武道家とメイジじゃ比べにくいけど、総合的「強さ」で。特に根拠は無い。
拳銃いっぱつで死ぬような世界の人間じゃそれは無理だろ
マァムはカイザー5分の1くらいならほぼ無傷だったような
ダイ大キャラでも気合が抜けてれば傷つけられるし殺せるんじゃないの
ダイ大キャラは気合いが抜けてる時を基準にするの?
相手が身動きしないときに不意打ちすること基準にするならクロコダインでもないと耐えれなさそうだがw
最終決戦時のマァムつったらその装備効果も込みじゃないの?
全盛期カリンは杖その他完全装備で、マァムは全裸なの?
じゃあカリンちゃんもマァムも全裸で
全裸同士ならマアムのほうが強そうだけど、カリンも人妻としての経験豊富だしなぁ・・・
非武装なら杖無し魔法使用不可で相手にならない。
武装有りならそもそも魔法効かない。
あ、ライトニングクラウドはいけるか。でもマァムは戦闘中回復なんてのができるからなぁ。
1発くらったら終わりのカリンじゃ勝てんよな。
ライトニング・クラウドが有効だと気付くのにどれだけ掛かるかでも変わってきそう。
魔法が効かなかった時にとりあえず色々と試すんだったらすぐに分かるけど、
エルフの反射みたいなものだと認識しちゃうと不味いかな。
全盛期ヒョンケルさんとかの装備はデイン系以外完全無効なんだっけか
通常の戦法だとエアハンマーとかエアカッターで様子見しそうだし、ヘタすると雷が効くことに気付けずそのまま・・・
全盛期ヒュンケルさんは、HP1※だたし減らないだから……
雷系でもヒュンケルさんは普通に対応しそう
落雷に対してどこからともなく剣を投げたりする超人だし
鎧がなくてもヒュンケルは強い。 by ポップ
キャストオフするとHPが1から減りません。
あれはまあイベントバトルだからなぁ。パーティキャラがヒュンケルからヒム&ラーハルトに変わるための。
エクスデスVSガラフ戦みたいなもんです。
まあ、ヒュンケルはハドラーにも勝ってるし、バラン相手にもなんだかよく分からんうちに勝ったっぽい雰囲気になってたし、絶対負けない補正の持ち主だったのは間違いないけど。
そして、遅ればせながら獣王の人乙です。
王子が賢い。そりゃそうだよな。色ボケてなけりゃさっさと焼くよ、そんな手紙。
しかし、ワルドは本当にいいキャラだなぁ。
アルビオン軍の兵士たちとの過去エピソードもいい感じですし。
捨てキャラにするには勿体ないよなぁ。
しかし背後から迫るのは獣王&謎の戦士サンドリオンという二重の死亡フラグ。
生き残れるかワルド。おっさんはともかくサンドリオンは容赦無い感じだぞ。
原作のサイトVS5万もイベントバトルだよなー保守
逃げてー!5万の軍勢死ぬ気で逃げてー!
>>503 原作にサイトvs5万なんて無いので二次創作に毒されすぎだと思われる
サイトがテロったのはVS7万のほうだぜ
うん、あれはよい自爆テロだった。
映像媒体で万単位の軍を個人が蹴散らしたのって
映画のHEROくらい?
映画版HEROってそんなことになってるのか……
映画以外何があるの?
>>510 >>509に対する正しいツッコミはこうだ。
「キムタク主演の検察官ドラマじゃねえよ!」
>>511 何だ、そうなのか
てっきりアクションだけジェット・リーにでもやってもらってるのかと思ったぜ
>>508が言ってるのは中国武侠映画の方、だよね?
キムタクが数万の機動隊相手に無双しながら最高裁判所へ突入する、みたいな映画になってたら、それはそれで凄い面白そうだけど。
ある意味伝説だ。
>>505 あれ七万の軍隊の1部隊を襲って足止めしただけだから相手にしたのは多くて千人程度。
しかしそれを牧場で牛止めるようなもの、なんてルイズみたいにイヤミは言えんぜ。
>>514 ルイズがそんな事言ってたっけ? 記憶が風化してるな…読み直したいので何巻で言ってたか教えて欲しい
あれ何巻だったけな?
状況は覚えてるんだが・・・サイトが学院の女子とかに7万の足止めすごーいとかちやほやされて、嫉妬したルイズが牧場の牛止めるようなものでしょて切れた。
地の文で、7万を牛止めと同列に語るルイズ凄いとか書いてあったよな。
>>516 ありがと、学園でチヤホヤだと風呂場を覗くイベント近辺かな? 探してみます
(多分)その後にロマリアでサイト送り返しイベント入るから本気とは思えないが、その場の勢いと嫉妬チカラでスゲー失言だw
>>517 探して確認してきた。
9巻の126Pだな。
>>518 ありがとう……しかし、前後のつながりを見ると、これってイヤミじゃなくて
この巻序盤でちっぱいは正義(意訳)と誓ったサイトが自分とさっぱり話してなく別の女を口説いてるのに嫉妬してるだけじゃないかねー?w
そして、その後の必死のデレも空気読まずに居るサイト相手には言っちゃって良い気が少しした……何気に9巻から最新刊まででサイトもバカップルLVが上がってるんだなと実感
ダイ大にはバカップル対抗馬も、それに突っ込めるキャラも居ないな。
さすがにゼロ魔の主戦場であるラブコメという土俵では完敗だな。
>>513 キムタクが発見した新事実で容疑者をやっつけられるんだけど、
それを阻止したい容疑者側が大量の刺客を雇って送り込んでくるんですね。
イ・ビョンホンの事務官役はジェット・リーだな。
こんなバカSSどっかに無いかなw
基本が漢の世界だからな、恋愛要素が濃いのってポップくらいじゃないだろうか?
ヒュンケルやダイにも一応恋愛要素はあるけどあんまり濃くはないよね
新年保守
さらに保守
クロコダイーーーン!
>524
これはまさかテリーマン現象(別名・ヤムチャ現象)ッ!?
これだけやられても後遺症の無いおっさんすげー。
まあ薬草を食べるだけで外傷が塞がる世界だからなあ
スカラピオラバイキルト。
これでバーンとだって戦えるさ。
スカラ……カラミティエンドって防御力無視してきそうだし
ピオラ……ピオルム?ヒムとラーハルトとアバンの三人で一斉に突っ込んだのに全員迎撃されたし
バイキルト……ベホマ使えるし竜闘気とかなかったら回復されるだろうしそもそも天地魔闘でカウンター喰らって終わりな気が……
やっぱり焼けつく息で麻痺させてから首を落とすのがベストかな
おっさんならメドローアでもない限り、即死はしないよ・・・きっと。
心配しなくても即死演出がほぼ無いタイプの漫画だから
>>530 いや、真・バーンとくらべられても・・・・・・
俺もバーンって言われるとミストに身体を返してもらったバーン様を思い浮かべちゃうな
クロコダイン「オレのすべてを こめてぇぇつ!! 」
ポップ「ぶちかませぇぇーーツ!! おっさんッ!!」
クロコダイン「獣王会心撃ッ!!!」
バーン「く…! 余を…! この大魔王バーンをなめるでないわーーーつ!!」
ドガアアアアアアアアアアアン
バーン「しのいだり…! これで目の前の会心撃を迎撃すればっ…!
すべては終わりだーーっ!! 」
バーン「!?
た…ただの会心撃では無い!!!
これはッ…!! も…もう一つの… 逆回転の渦がああっ…!!」
クロコダイン「獣王激烈掌ッ!!!」
ズギャアアアアアアアアア
バーン「…お…おおおっ…!
いかなる武器にも勝るはずの… 余の… 腕がッ…!」
ポップ「…破った… 破ったぜえぇ!! 天地魔闘の構えーーッ!」
ヒム「…ブロック…見ろよ…!
オレたちが宿敵と認めた奴らは… やっぱりただ者じゃなかったぜ…!」
一瞬… であった…!!
大魔王が激烈掌で腕をねじ切られ よもやの事態に我を失ってから この瞬間まで…!
それは 時間にしても… 一秒にも満たない間だった!!
だが… その間に…!! クロコダインは次の行動を起こしていた…!!
クロコダイン「カアァーーーーッ!!」
バーン「う…オオオオッ…!あ… 熱い 全身が動かんッ!!」
クロコダイン「焼け付く息… オレの奥の手だ…
いかに大魔王とて無防備でくらえば…ッ 動くことはできんッ!」
クロコダイン「ガチガチに麻痺したところで首をはねる…! これがオレの必勝戦法よ!!」
バーン「っ!!」
クロコダイン 「大魔王の肉体とて 麻痺した状態では無敵の強度を保ってはいられまいッ!」
クロコダイン「…大魔王バーン 最期の時だ…!!」
ダメだ、すげえ想像出来ねぇw
魔王にフルボッコにされて、それでもまだ戦えるおっさんなら想像できるんだがなあ。
まさかのOSSAN?w
さり気なく鯔の魂も受け継いでるなw
原作じゃ面識ないのに…
生き別れた双子という裏設定があったからこそ、鯔の変わりに竜騎衆の海戦騎になったとかw
とりあえずお前らがおっさんが好きでしょうがないことはよくわかったw
ミスタ・アリゲーター「アバン流斧殺法!地轟撃!!」
とか。
グレイトアックスで魔法剣みたいなこと出来ないかな?
作中でもやったっけ?
ちょっとしたアバンストラッシュ気分だわい とは言ってた。
そういや言ってたなぁ……、ってことは出来るのかな。
ありがとう。
風で斬撃の威力を上げ、ヒットと同時に爆裂!とか?
でも、必殺技は「素手」なんだよな…
闘気を武器に込めるのが苦手なんじゃね?
師匠居ないし長年使ってきた素手の方が得意ってことじゃね?
誰かがおっさんにアバンの書熟読させておけば…
実はアバン流斧殺法とかあったんだろうか。武器も更に魔改造されてポールアクスになったりして。
あとは素手で師匠と言ったらブロキーナ師だな。…おっさんの体格で武神流の技を極めたら闘神化の予感w
>>549 チゥを兄弟子と言うおっさんか…お化けネズミが岩を砕くパンチ撃てるほどになるから、おっさんだと何処までバケモノになるやら
闘気を操れて、なおかつ手から放てるのって地味にレアスキルらしいんだよな
アバン先生もビーム系闘気は
数秒貯めて悲惨な威力(アニメだとヒュンケルに剣の一撃のほうが強いと馬鹿にされた)
と生命力の大半を使用するあれしか基本的には使えないみたいだし
原作でヒュンケルが槍殺法を訓練しだすときに他にも武器の種類はいくつもあるようなことを言ってた気がする
>>549>>552 wikiには
アバン流殺法には剣、槍、斧、弓、鎖(鎖は鞭状の武器)、牙(手に嵌めて用いる武器)が在ると書かれている
考えてみればラーハルトの鎧に組んである隠し武器を使いこなしてたしな
お、おっさんが?
手甲に仕込んであった剣を先生が使って大魔王に切り掛かった時の話では
このスレにはゼロ魔分が欠如しているので無理矢理ゼロ魔に絡めてみる。
ゼロ魔でアバン流刀殺法を学ばせたらよさそうなのってアニエスぐらいかな。
他は悪人だけどワルドとか。
ゴメの力ってどこまで願いがかなうのかな
・ジョセフを改心させる
・ルイズに召喚直後から魔法を使えるようにする
・ルイズの胸を大きくする
・カトレアの病気を治す
・エレオノールを結婚させる
・何年も前に死んだ人間を蘇生させる
・世界移動
このうちどこまでかなうんだろう
原作者に聞いてください
ダイ大世界の人間の神が創ったアイテムだから、
ルイズ世界の住人には効かないんではないか?
>>558 サイトが召喚されし書物「アバンの書」で覚醒。
言語の違いは考えない。ああ見えても実はみんな日本語なんだYO!
デパートの気球の垂れ幕には日本語書いてあったな
嘘から出た真か
勉強家のルイズが召喚して知識を吸収しまくってデルフで大暴れとか
アバンの書ってくらいだから、お料理についての言及は当然あると思いますが、
基礎鍛錬なんかと合わせて体作りについても詳しく載せているはず!
アバン流お料理+アバン流エクササイズでシェイプアップ!
これが貴族のマダムにバカ受けし、強大な影響力を持ったルイズによってハルケギニアが統一される日は近い!
>>563 ダイがアバンの書を読もうとしたときも漢字が読めずにひらがなだけを読んだ後にレオナに読んで貰ってるよな
そらにありしくせしか
>>551 いや、アバン流には牙(素手ないし手に嵌める武器)についても地・海・空のワザがあるはず
だから、素手でも空裂ないしアバストに相当するワザで闘気は放てるはず
っていうか、元祖アバンのグランドクルスは素手での空にあたるワザなのかな?
ま、剣で戦うほうが強いから出番はなかったので定かでないが
初期のデルムリン島時代のダイ(紋章なし)ですら、
ドラゴンのブレスや海をスッパリと切り裂き、自分の体よりもデカイ岩をバターのように叩き割る
しかもそのレベルですら当時のハドラーに指一本で攻撃をとめられてしまう
アバン先生など自分の体よりはるかにでかい岩を軽々と運んでいたし、
アバンやヒュンケルあたりはオーク鬼あたりと単純に腕力比べをしても負けんのでは
「こっちの仲間には倍は腕力の強い奴が〜」状態だろう
ライトニングクラウド(せいぜいライデイン程度?)とか喰らっても、
全然致命傷にもなんにもならなさそうな連中だし
バーン様のカイザーまともに喰らっても死んでなかったもんな
>>551 原作中で素手から闘気(竜闘気、魔炎気、暗黒闘気なども含む)をビーム状に放てる奴というと…
ダイ、バラン、アバン、ハドラー、ヒュンケル、クロコダイン、ノヴァ(命中精度が悪いらしい)、ヒム(自爆覚悟)、ザムザ、バーン…で全部?
結構数がいるし別に珍しくもないような。闘気ワザの使い手の過半は可能っぽいぞ
まあ、どいつもこいつも地上最強レベルまたはそれを凌駕する化け物ばかりなのも確かだが…
それにおっさんは手からは放てるけど剣とか斧とかからは放てない(と思われる)
武器から放つアバン流やノヴァの闘気剣などとは単に得意分野が違うだけ程度のことと思われ
>>570 ダイバラン、ヒュンケルは燃費が致命的に悪い
ハドラーは使えなかったはず
>>550 お化けネズミより素の能力は低いと思われる人間が岩を叩き割れるくらいになるアバン流と大差はないのでは
主にするのが武器と素手、の違いはあれど
っていうか、おっさんはアバン流の「地」のワザに相当する程度の、
力の効率的な使い方程度は武器にせよ素手にせよ既に習得してると思われる(歴戦の戦士なんだからしてなかったら話にならん)ので、
ド素人からスタートしたと思われるチウほどのパワーアップ度合いは見込めないと思うが
マァムは僧侶とはいえ元々バカ力だったし
やるとすれば魔法の無いおっさんは閃華は習得できんから、破砕拳に期待かな
ただ、元々戦士なおっさんは、いまさら素手の武闘家になるよりはそのまま武器を使って、
アバン流の斧技でも覚えるほうが効率からいっても妥当でしょう
「地」は充分そうだから「海」「空」を
斧からイオやメラを出す程度でアバンストラッシュ気分とか言ってるレベルから解脱するんだ!
>>571 魔炎気を手からダイに放ってるシーンがあるので確認されたし
また、魔王時代のハドラーが、闘気らしきものを使ってロカらカール騎士団を吹っ飛ばす場面も、
番外編に存在してます
燃費が悪いってのはドルオーラのことかな
紋章閃ってのもあるはず
燃費は定かでないがドルオーラよりは消費せず、山に穴を穿つくらいの威力はあるらしい
防御に専念したザムザには効いてなかったけど
ハルケギニア世界では「閃光」と呼ばれるほど早いワルドでも、
魔法なしで杖から真空波を出したりはできないし
ましてやドラゴンのブレスを切り裂いて逆にダメージを負わすとか、
剣で岩や地面をスパスパと切るとか、
それ何て物語の勇者?な世界だろう
しかしそれは、アバンの修行3日目の初期ダイが紋章なしでできたレベルに過ぎない
なんというか、ハルケギニア世界のメイジとダイ世界の人物ではレベル違い過ぎるような気が…
一般モンスターのアークデーモンとか呼ぶなら別だが、そんなの呼んでも…ねえ
チウでも召喚するか?
召喚されたでろりんが真の勇者になるまでの展開を描くとかいいかも
アイテム召喚は?
破壊の杖の代わりに魔槍か剣が保管されてて、ルイズを人質にして使い方を聞き出そうとするフーケと、
不敵にニヤリと笑ってから「アムド」と唱えて装着するルイズが浮かんだから言ってみた。
あらゆる魔法を弾く鎧のせいでいらない子になっていたデルフだが、
電撃(ライトニングクラウド)だけは防げないことがアルビオン行きの最中に明らかになり、
なんとか立場が……という展開か
あらゆる魔法が防げると自信満々に立ちふさがったら
防げるのはあくまでもドラクエのものだけってオチで直撃食らって煙噴くヒュンケルさん
ダイに負けた後に召喚されて何故か人型の姿に戻っている真バーン様を召喚して使い魔にして
戦いに負けた上使い魔にされてへこんで鬱になってるバーン様を見てみたい
いや、突然拓けた新天地を見てルイズの話とか全然聴かずにトベルーラ辺りで
ハルキゲニアの外まで確認にかっ飛んでくと思う。
>>575 修行をはじめて3日目とはいえ、あの生活環境で暮らしてきて、肉体的にはドラゴンの騎士であるダイをダイ大世界の一般人の基準として考えていいかというと疑問だな。
ゲームのほうだとゲーム内で3日ぐらいだと3レベル行かないぐらいかな。まだまだ一般人だね。
>>582 なにか勘違いしてんじゃないか?
別にダイ世界の一般人がハルケギニアの一般人より強いとか言ってんじゃないんだが
修行3日目のダイですらまだまだ未発達の初期メンバーに過ぎなかった(ハドラーには指一本であしらわれる)、
ダイ世界の「主要な人物」(アバンだのヒュンケルだの、ハドラーだの)では、
ハルケギニアのメイジと比べてレベル違わないか?といったのだが
ロモス武術会のゴメスとか、マリンスライムのマリべえといった
一般レベルでの達人や一般モンスターを召喚するというのなら話は違うけどね
ってことよ
ベンガーナ時代のポップですら、ドラゴンまとめて数体くらいは始末してしまえる強さだし
まあハルケギニアのドラゴンはダイの世界のドラゴンとはいくらか強さ違うのかも知れんけど…
魔王時代のハドラーさんの時点で既にエルボー一発でドラゴンをぶち殺すくらいのパワーは持ってるんだよなあ…
ま仮にも世界を支配しかかった「魔王」なんだから、ワルドさんとかそこらのスクウェアメイジよか弱いわけは無いってのはそりゃそーなんだが
でもそうなると魔王時代のハドラーさんよかずっと強いはずのバランとかダイとか召喚しても無双な展開にしかならないよなあ…みたいな
その辺、どうなんだろうかと思って
最終ダイが迷子になってる間に召喚されたとしたら多分無双はしないね
こんなものが正義であっていいはず云々って言うだろうから
>>573 なんか連載当時読者限定でもらえたものに
素手で闘気を放てるのはダイやおっさん、ノヴァくらいと書かれたとか
>>584 いくらか、どころじゃねぇ。
鉛球であっさり死んじゃうハルケの竜。ふつうの剣じゃ傷もつけられず、地面がひしゃげるほどの超重力くらって倒せるか五分五分のダイ大の竜。
>>587 とはいうても、実際道具類を使わずに闘気を放つ奴は原作見る限り他にも大勢いるしなあ
作者の勘違いまたは、「腕一本(掌とか拳とか)」から撃てるやつは、って意味かな
グランドクルスは両手(ないしは道具)を組む必要があるからか
ドラゴンにも種類あるしハルケとかDQ世界とか区別しなくてもいいんじゃないすかね
>>588 そしてその超重力喰らっても無傷で竜をひ弱呼ばわりする鯔と、
その鯔を雑魚扱いする不死身男に倍以上の腕力がある鰐
ハルケの竜って一応向こうの世界じゃエルフに次いで戦いたくない最強の幻獣らしいんだが……涙目だな
DQ世界には普通の「ドラゴン」の強力タイプであるダース・キースなどの竜が居るほか、
空を飛ぶスカイドラゴン系列(ダイ世界のノーマルなドラゴンは飛ばないっぽい)や、
甲羅しょったドラゴンとか、いろいろだな
ハルケのほうでは、判明してる限りでは火竜(所謂普通のドラゴン)と風竜(火竜よりパワーは劣るが飛ぶのが早い)、
それに古代の韻竜(知能が高く魔法使用可能)が判明してるか
ダイの世界だと知恵を持つ所謂韻竜は、冥竜王ヴェルザーが最後らしいな
>>591 ダイの世界でも、ドラゴンは魔族の次ぐらいに相手にしたくない相手じゃね?
魔界のモンスターとドラゴンじゃどっちが強いかな
まあ魔界のモンスターはノヴァなら60匹は確実にいける程度らしいが
ノヴァくらいならドラゴンでも60匹いけるような気もする
ベンガーナ時代のポップでも5匹前後はいけたし
まあ、ハドラーの軍団紹介聞く限り竜族が最強系列のモンスターなのは間違いなさそうだが
ゲームのDQでも、強敵の部類なのは確かだわな
その他のモンスターとそこまで違うわけでもないだろうけど
韻竜がエルフ並みに反射とか使えたらかなりやっかいだよな
ダースはどこにいても火吹いてくるから困る
>>594 魔界に該当する世界がハルケにはないから何ともだな。
ティファニアとラーハルトがハーフの悲哀について意気投合する展開
ティファの唯一の肉親であるマチルダに己の母親を重ね、助けるために暗躍する…
暗躍したくても耳尖ってるから騒ぎ→テファに飛び火して悲劇再発の予感
耳以前にラーさん顔紫だからなあ、そういえば
おっと、変な名前になってた
しかしラーさんならば、超高速移動で人に見えぬ死角から死角へ移動し、
命を刈り取る死神のような暗殺者に……
原作のイメージとあわないか
>>599-600 ラーハルト『耳は切り落として、顔を潰して仮面を付けるから大丈夫だよ!』
忠義発動したラーさんなら、それぐらいはやりかねないが
紫なのは顔以外もなんでないかい?
ラーハルト『 顔以外も焼いたりすれば大丈夫だよ!』
無茶だw
顔を潰してそれ以外も焼いてから気付いたんだけど、耳だけ削って人間並みの知能がある亜人ってのもダメなのかな?
あの世界じゃ亜人が町や街道に入るだけでもう駄目だろw
そうか、エルフだからヤベー!ってなるだけかと思ったけど、亜人でもダメか。
やっぱ全身火傷か、いっその事ゴーレムって事にでもするとか?
ヒュンケルが使っていた鎧の魔剣ならともかく、ラーハルトの鎧の魔槍は露出部分が多いですからね、体を隠すのは難しいかと。
あ、ヒュンケルがいつも鎧の魔剣姿でゴーレムのフリするのも面白そうだな。
無愛想で喋らないでいるのも苦じゃないだろうから本人も構わなそうw
>>609 そういうデザインというか色のゴーレムってのは無理?
シルフィードがガーゴイルで通るんだ、亜人だってガーゴイルでごまかせる
というか、あんなかわいげのある竜を見て大騒ぎして逃げ惑う村民見てると
一般庶民の常識における耐性のなさは半端ないと思う。
ただ、ガーゴイルが通用したのは先進国のガリアだってのもあるんでは。
>>607 亜人が傭兵してたりするので、実は割りとそうでもない
>>614 オーク鬼とかどうやって雇ってるんだろうね
報酬とかも気になるが
人肉人にくぅ〜…とか?
……ディオ?
保守
キュルケやタバサなんかがクロコダイン召喚したらどんなんなるだろうね?
キュルケの場合
キュルケ「慣れればダンディなおじ様じゃない。」
ルイズ「へー、あんたって年上趣味なんだ(原作でもコッパゲとくっついたしね)」
タバサの場合
きゅいきゅい「出番がないの〜〜」
ガルーダ「俺が風竜とやらの代わりに空輸係やるのは体格的にきついんですが。
正直、クロコダイン様だけで手一杯です。」
こんな感じだろうか?
>>619 異世界の存在を虚無以外が召還する整合性をつけないといけないから作者が大変になる
王家の血が入ってれば召喚可能(ただし低確率)という設定をでっち上げればいい
クロコダイン召喚だと和む感じの話になるだろうな
他にそんな雰囲気になりそうなダイ大キャラっているかな
ダイとか人間できてるからよさそうだけど
>>621 そこらへんをでっちあげると、ダイ世界のモンスターがゼロ魔世界で普通に見られるようになって
世界観そのものが大幅に変わるからやっぱり作者が大変になるだろうね
低確率というのがミソで、6000年でタバサがはじめてのケースっていうぐらいの確率、ということにすれば何も問題ない
前例が無いのは虚無以上に面倒な事になるのでは?
その設定の説明がデルフでも困難になるし
虚無ってダイ大でいえば光の力じゃなくて完全に暗黒闘気だな。
勇者側じゃなくて魔王軍の連中にこそふさわしい魔法な気がした。
どうかんがえても光ではないが暗黒でもないだろ
無属性にしか思えないが
世界扉や忘却、加速やエクスプロージョンのどこが暗黒寄りなんだ?
つうかモンスターぐらいいてもいいんじゃないか?
複合世界観って駄目なんだっけこのスレ?
>>629 スレてきには問題ないだろうけど、モンスターと一緒に呪文体系やアイテム、ゴールド等まで入ってくるだろうから作者が整合性つけるの面倒そうだな
>>627 というかルイズの精神力=暗黒闘気な気が…
負の力で溜まるってまさに暗黒闘気だし。
ようやく規制解除か。
>>546 >>535を見た後に素手とか言われると、
おっさん「…お…おおおっ…!いかなる武器にも勝るはずの…俺の…腕がッ…!」
とか想像しちまったぞ。
ところで
>>546ってコピペなんだな。あちこちで投下されてたみたいだ。
>>631 感情の高ぶりならほぼいけるんじゃないの?
ラ・ギアスのプラーナみたいな感じで
怒りや仲間のピンチなんかでもありじゃなかったっけ?
それはガンダの方じゃね?
虚無は溜め込んだストレスとか心にドロドロと沈んでるナニカだと思うが、もっといえば貯金できるような感情
いわゆる火と水の力の定義
あくまでも鬱憤とか衝動であって別に負じゃないぞ
>>634 明確に虚無が負の感情オンリーって記述は無かったはずたけど、どっかに書いてたっけ?
ルイズが浮気サイトへのイライラで何か溜まりやすいっぽい事はテファが学園に入ったころの乱闘のあたりで言ってたキはするけど
いや、その場で燃え上がるのと溜め込んでブチマケルの違いと言いたかった
溜められるなら正でもいいと思うがあるか?
ドモンの告白くらいだと思うぞw
レスして思ったが、ようするに恋するハートと同じになる気が
連レスすまん
石派ラブラブ天驚拳は虚無と同じエネルギーから発生したものだったのか。
ちょっと納得してしまったぞwww
溜められる正の感情ときいてコスモレンジャーが思い浮かんだ俺。
「宇宙の平和を守るため!コスモレッド!ただいま参上!!」
練馬と新宿の平和はどうしたのかと小一時間(ry
>>641 練馬の平和はネリマクイーンが守ってるから大丈夫だ
新宿の目みたいなマイナーなオブジェ使うとか、地方民には分かるまいて
おい、マイナーすぎてスレ止まったぞ
そりゃ少数人が半ば強引に独立したスレだからな
しょうがねえな、何か話題を。
バーン様ってラスボスとしての威厳がカンストしてると思うんだが、どうだろう?
老バーンでカンストしているせいか若バーン(真とは言わん!)になると
はっちゃけちゃってちょっと威厳度が下がっちゃってるよね。
老バーンも圧倒的な強さがあるから威厳もついてくるんであって、
双竜紋ダイと戦った時は、うっかり様子見で殺されそうになったりするお茶目な所もあるんだぞw
老バーンと光魔の杖のカリスマは圧倒的
魔人と化したダイに、我はダイ魔王バーンなり!!って叫んで真っ向勝負に行くバーン様はかっこよかった。
命乞いとかもせずに戦い続けたバーン様は、力が全てという自論を示し続けたな。
至高のラスボスの一人だと思うよ。
へたれないラスボスは貴重
だなー、バーン様は最初の方から名前出て存在感出してたし、へたれなかったもんな。
魔人化したダイに勝てないと悟っても、命乞いしたり姑息な手を使わずに二度と戻れないのを覚悟で鬼眼を解放して挑んできたし。
あと今更だが、とんでもない誤字やっちまった。
ダイ魔王じゃねえよ・・・大魔王だよ。
わざとじゃなかったのかw
神の涙なんて反則なアイテムで奇蹟を起こされて計画台無しにされても皆殺しにしてやり直す、だからな
ダイや人間を認めても自分の考えをあっさり変えることはなかったし、最後までかっこいいラスボスだったと思う
バーン様が最後まで最強の敵として誇りと威厳を持ちへたれなかったから、ラストの方はとにかく熱かったしな。
おっさんが戦力外通告された以外は、すごく良かった。
ポップが天地魔闘を破る場面とか、閃光のようにの名台詞、カイザーフェニックスをかき消すとか大活躍。
鬼眼王と化したバーンとの戦いでダイに継承された父の剣、握り潰されそうになってポップの言葉を思い出し閃光のように力を搾り出したダイ。
鬼眼王との戦いは敢えて台詞を書かないってのもいい演出だったな。
やっぱり魅力的な悪役ってのを上手く描かくのが大事なんだな。
>>655 あれは宇宙だから音が出ないってのもあるんじゃない?
最初は音もセリフもあるんだけど、真魔剛竜剣が折れてから擬音も無くなって行く
徐々に音の描写が減ってくしさ
ゼロ魔のジョセフも一応へたれないボスなんだけど
土壇場で改心しちゃうからなぁ、バーン様程カリスマを感じない
まあラスボスと中ボスだから立場も違うんだけども
鬼眼王はダサかった
ドラクエとしては魔王の第二形態は定番なんだがデザインはもうすこし何とかしてほしかった
ダサかったのは同意するが鬼眼城の元ネタという設定には肯けた
…というか鬼眼城のほうがカッコイイw
バーン様はもうちょっとかっこよくなると思ってたんだな。
まあダサい分、もう勝利のために全て捨ててきてるって感じもするけど。
というか、鬼眼城ありきのデザインだったから、微妙だったんだと思う。
あの城がバーン様の最終形態とリンクするという設定がいつできたのか知らないけど、
始めからそれありきで作っていたら、もっと違ったデザインになったはず。
>>656 あれは惜しかったな>ゼロ魔のジョセフ
よい狂王だったのに
バーン様で例えると、物語り中盤で神様が地上にでてくんな、太陽作ってやっから
とか言って、魔界に太陽と穏やかな気候作られてモチベーション崩壊するくらい足元が崩れる事されたから仕方ない
>661
狂王といわれて『試練場』と頭の中で続いてしまった。
……黒の結晶ですけど、あれ、爆発物としてではなくエネルギー源として使えれば地上信仰の必要性も薄れたような気がする。
例えるなら原爆と原子炉の燃料的な関係で。
制御不能だからなぁ、黒の結晶は。
それに、太陽光は単なる明りじゃないしねぇ。
黒の結晶は過剰魔力の塊だっけ?
戦争で使った火石とおんなじタイプだな
無限に魔力を吸収する鉱石を加工したもので、
臨界点を超えると、今まで吸収した魔力をすべて解き放つ物体。
>>666 マダンテの消費アイテムバージョンのようなものか
バーンを持ち上げる意見が多いようなので、俺はあえて否定意見を書く
ダイにしろバーンにしろ「すべてを捨てた」というが、
自分だけなら生き残れる状況で、でも仲間のために…とかなら覚悟の程も分かるけどさ
相手が強すぎてそうしなければ確実に自分も死ぬ(仲間も死ぬけど)って状況でやったことなので、
自分的にはあまりすごい覚悟には感じられんかったがな
勇者や魔王で無くたって、ぶっちゃけ俺だってそうしなきゃ死ぬって状況ならそうするだろうよ
個人的にはバーンもそんなに大物っぽくは感じられんがな
バーンは自分が最強だという自負があったうえで力こそ正義といってるわけで、
早い話が「俺が正義、何をやっても正しい。なぜなら俺は強いから」ってことじゃん
バーンのカリスマはあくまで強いからこその余裕で強さが並みならいってることはチンピラと変わらんと思うが
規格外に強いだけのただの悪党、以外の何者かには思えない
つわものには敬意を払うとか言うのも、ハドラーもバランも利用して使い捨てようとしたあたり口だけだし
地上をやるよとか平気で空約束をして、どの辺が敬意払ってるんだよ
ハドラーにチャンスをやったのも別に温情とかではなくまだ利用価値があると思ったからってだけだろ
自分では本当に敬意払ってるつもりかも知れんが行動の伴わない口先だけの敬意なんて誰もありがたがらん
人間に肩入れしてもろくなことはないとかもっともらしくダイに説いてたが、おまえが言うかとしか言えん
ハドラーやバランの末路を見る限り、バーンに肩入れしたってろくなことになるはずがない
都合が悪くなり次第始末されるのは火を見るより明らか
太陽がどうとかいう話はスケールでかいといえばでかいが、要は成果を挙げて魔界の民に崇め奉られたいだけなのでは
本当に忠実そうな部下で有能どころはミストバーンのみじゃないのかって気がする
力や権力、口先などにものを言わせて部下をかき集めてはいただろうが、そういうのとは別の崇拝・人望が欲しかったのかも
ミストは拾われた・必要とされた恩義で忠誠誓ってる人であってバーンの思想とかが好きなわけではなさそうだし
ハドラーやバランをスカウトしたのは人材不足ゆえなのかね
ダイを読んでた子供のころは素直にバーン様かっこいいと思っていたが、
大人になってから冷静に考えるとそこまで威厳のある大物とは思えなくなった
あと、クロコダインが忠誠心の塊みたいな描かれ方も大人になってから考えると疑問がある
今でもおっさんはかっこいいと思うし好きなキャラだが、忠誠心のキャラかといわれるとそうは思えん
ダイたちに命を救われたわけでもなけりゃ(命救ったのは魔王軍)
ハドラーたちに裏切られたわけでもない(敗北にもかかわらず命救ってくれた。ザボエラの甘言も別に裏切りでもなんでもない。受けたのは自分だし)
なのに今まで恩義があったはずの魔王軍に刃を向けてダイ達につく男のどの辺が忠誠心の塊なんだよ
人間はすばらしいと思った、それに気づかせてくれたのはダイやポップ達だった
だから俺はダイ達につく…ってのは自分のやりたいようにやってるだけだろ
忠誠心の男ならむしろ、「俺自身はお前達はすばらしいと思う。だが俺はあくまで魔王軍のために戦う!」だろ
結界で逃げられなかったダイ達と違ってバーンは逃げることもできたんじゃないかな
それでも戦うことを選んだのかもしれん
ハドラーを本格的に認めるようになったのは自分を追いつめるくらい強くなってからだと思う
それまでは口先だけって感じだからもっと敬意を見せてほしかったが
あと、力こそ正義って主張する根拠がただ自分が強いってだけだったら竜魔人ダイにフルボッコにされた時点でへたれるんじゃないか
自分より強い奴がいても変わらない気がする
おっさんが忠誠心を評価されるキャラじゃないってのは同意
ダイ達に魅力を感じたからってすぐ寝返るのは駄目だろと思った
ザボエラの姿を見て、それを容認している上層部を見て『魔王軍に大義無し!』とか叫んでくれたらまた違ったかもしれないけど。
>>671 まるで、アンデット軍団呼んで一国潰したヒュンケルやら
同じく各地で皆殺しにしまくってる魔王軍に人間側に納得されるような大儀があるような事言われても…
外道だろうと正面からの力押しだろうと人間からみたら殺戮集団じゃね?
おっさんが仲間になったのにしても、個人の主義と好み(ダイ達勇者を見ての人間への憧れ)の問題で大儀なんかじゃないしなぁ…
大義で言ったら、魔界に太陽を(地上吹っ飛ばしてでも)のバーン様は十分あるしな。
攻められる方的にたまったもんじゃないだけで
>>673 自分やら部下やらが地上のモンスター出身のおっさんにとっては、同意するわけにはいかなそうな大儀だったりするけどね
あと、地上を支配する気満々の初期ハドラー(後期はそんなの気にしなさそう)
ほかの連中は地上壊れるにしても気にしなさそうだよなぁ?
ザボエラだって人をバカにする態度とか地位への執着のせいで印象悪いが、考え方は別におかしくないんだよな
正々堂々としている武人はかっこいいけど一騎打ちみたいな戦いばかりするわけじゃないし
まあ合理的な考えでは納得できる部分も多いんだよな。
戦場での騙し討ちは当たり前だし。
フレイザードの言ってた戦場で女だとか関係ねえとか当然のことだし。
ザボは自分の本領じゃないのにわざわざ戦場に出てくるから小物臭さがグレードアップするんであって
影から人を使うのに徹してれば結構厄介な敵だったんじゃないかと思う
もっと子供を作りまくってザムザみたいに便利に使えば良かったのにな
>>678 実はもっといたんだけどザムザしか残らなかったんじゃね?
ザムザの焦り方見るとそんな感じがする
う〜ん、それならそれっぽいセリフくらいあるんじゃね?
他の兄弟みたいにならないとかさ
>>668 最期までその腕力正義を貫いたから、バーン様はカコイイんだよ
自分の信念を貫いたしな。
我は大魔王バーンなり!!って叫びからも、大魔王の誇りと自負があったんだよな。
正直あそこで逃げることもできたんだろうけど、逃げたりしなかったし。
大魔王からは逃げられない、そして大魔王は逃げない。
イイコトイッタ
「俺が正義、何をやっても正しい。なぜなら俺は強いから」っていうのは、ある意味バーン様のカリスマ性を体現する言葉だと思うけど。
グラップラー刃牙で「権力も知力も財力も、腕力で全てを押し通せなかった人間が持つ代替物に過ぎず、あらゆる事を腕力で押し通せる範馬勇次郎は世界唯一の腕力家だ」みたいなセリフがあったけど、それと同じようなものだと思う。
「だんだん強くなっていく」というのが基本の主人公勢の前に立ち塞がるラスボスとしては、むしろ正しい姿なのではなかろうか。
あと、色んな人が言ってるけど、ヘタれなかったしね。
正確には、汗かいたり、「うぅっ……」とか言っちゃったりしてるんで、完全に一切ヘタれなかった、というわけではないと思うけど、それでも小物化した印象はないし。
ちなみに、近年のジャンプで最もヘタれなかったラスボスは、志々雄真実だと自分は思います。
登場から退場まで、一切ぶれず揺るがず、追いつめられても汗の一つも浮かべない(汗腺無いんだけど)
結局最後まで剣心に負けることなく、無敗のままその強さに一切の瑕疵を付けずに、哄笑と共に跡形もなく散っていった。
和月先生が「悪の理想像」というのも頷ける、至高のラスボスだったと思う。
アレはシスコンでカリスマ暴落したので個人的には微妙
悪の体現の動機が逆恨みってちっせーなーと
シスコン魔人は志々雄の次の敵じゃなかったか?
シスコン魔人は志々雄編の次、人誅編の雪代縁ですな。
奴に悪のカリスマがない、というのは、連載当初から割と言われてた気がする。
志々雄がどこまでも昇りつめていくアッパー系の悪役だったから、今度はどんどん沈み込んでいくダウナー系の敵にしよう、とか思ったらしいですよ。
志々雄も悪役として至高だな。
まあ最後が自滅だったけど。
バーン様に当てはめると、鬼眼を解放したらパワーアップに体が耐え切れずに崩壊したって感じだからな。
ダイの悪役だと、やっぱりハドラーを推したい。
悪役じゃねーって? いや、悪だろ。あいつこそ、究極の敵役であり、悪だ。
それも、物語途中で己の矮小さに気付き、確固たる信念を持って不死鳥のごとく蘇るのは、最後の最後までヘタレなかったバーンには全くない魅力だろ。
ヘタレから、至高の悪役へ。そして、ほのかに香る友情。
奴こそダイの大冒険最高傑作のキャラといえる
>>687 しかし、作者としても悔いの残るダウナー系だったらしいけどね。
設定的には相当お気に入りだったらしいのだが……確かに、たった一人で剣心一味と戦う縁は見てみたい気がするが……無理なんだよな
まあ一人でこちらの主力を一蹴できるってのは、ラスボスのセオリーでもあるけど。
縁はラスボスだの悪党だの言う以前に、復讐鬼だからな。毛色が違うのは仕方ないか。
あの世界でそんな無茶な存在師匠ぐらいですから
どのボスよりも強いとか
あれは竜の騎士ならぬマッチョとか天狗の騎士のたぐい
天狗の騎士か・・・そりゃ、天狗は大元たどると彗星とか流星、天翔るものに行き着くけど。
お久しぶりです
21:50頃から最新話を投下します
おっさんが来てくれた!
虚無と獣王
30 虚無と王族
ルイズらを乗せた『イーグル』号は雲海を縫うように進んでいた。
後ろには『マリー・ガラント』号が続いている。
既に船長たちはウェールズの部下によって事の次第を明かされており、同時にある依頼を受けてもいた。
ワルドからはそれなりに高額な乗船料を得ており、硫黄に関しては前金でかなりの額を王党派から渡されている。
アルビオンに付けば残りの代金と前述の依頼金を払うとの事だったので、色々と思うところはあるが従うしかなかった。
逆らったところで『イーグル」号の砲門がこちらを睨んでいる現状が変化するわけでもない。貴族派相手に商売していた以上、彼らのシンパとして扱われてもおかしくはないのだ。
不満を述べる船員がいないわけでもなかったのだが、それは船長が「命があるだけ丸儲けだろう」と説き伏せている。
代金に関しても踏み倒されはしないと船長は判断していた。
吹けば飛んでしまいそうな王党派ではあるが、それだけに金を惜しむ様な真似はしまい。討ち死にしてしまえば金を取っておいても仕方ないのだから、と。
「彼らはついてこれそうかな?」
「なかなか良い操舵士がいるようです。何人かあちらのフネに配置しておりますので問題はないでしょう」
後甲板に出てきたウェールズの問いに、平行する『マリー・ガラント』号にいる仲間と風魔法を使って話していた副官が答えた。
そうか、と頷く王子にルイズが問いかける。
「しかし殿下。貴族派の包囲を如何に突破してニューカッスルへ向かわれるのですか?」
良い質問だ、と笑みを浮かべてウェールズは岬の先端を示した。
「あそこに見えるのがニューカッスルの城だ。しかしこのまま向かうわけにはいかない。忌々しいあのフネがいるのでね」
見ると、軍艦である『イーグル』号よりも更に大きなフネが浮かんでいるのがわかる。
片舷に数多くの砲を配置し、前部甲板にはご丁寧に竜騎士まで待機していた。
「あれが貴族派の旗艦、『レキシントン』号だ。元は空軍の最新鋭艦として建造されていたのだがね」
そもそもこの内乱は件の戦艦が貴族派の手によって乗っ取られた事から始まったのだという。
当時は『ロイヤル・ソブリン』と呼ばれていたフネは、貴族派が初めて勝利を収めた地の名を与えられ、今は散発的に城の方角に大砲を放っていた。
「あんなものとまともに戦っても勝ち目は薄い。そこで我々は別の港を使っているのさ」
雲でその身を隠しながら飛んでいた『イーグル』号は更に下へ、つまりは浮遊大陸の底の部分を目指し降下を始める。
後甲板の船員からの合図を受けて、『マリー・ガラント』号も若干遅れて雲海の中へと進んでいった。
雲の中、更に太陽光が大陸によって遮られているにも関わらず、鍛え抜かれた精鋭たちは迷う事なくフネを自在に操っている。
感心しきりの様子のルイズに、思わずウェールズは目を細めた。
信じていた者たちが次々と裏切り、今まさに王党派は滅びようとしている。
残った仲間たちも、そして自分も疑心暗鬼に陥りがちなこの状況において、感情を素直に表に出すルイズはウェールズにとって眩しい存在であった。
フネの頭上、つまりはアルビオン大陸の底にぽっかりと黒い穴が開いている。
大きさはおよそ300メイル、マストに灯された魔法の光に照らされたその穴の中を『イーグル』号は危なげなく進んでいった。
地形図と測量のみでこの芸当を難なくこなしているのだから、王立空軍の腕は確かなのだなとワルドは考える。
そしてレコン・キスタ側には、そこまで熟練した航海士がいないのだろうと予測していた。
(それにしても、霧の中の洞穴を通って秘密の港へ向かう、か)
いささか不謹慎だというのを自覚しつつ、ワルドはどこか楽しげにウェールズへと話しかける。
「まるで空賊ですな。殿下」
ウェールズもまた我が意を得たりという表情を浮かべて答えた。
「まさに空賊なのだよ。子爵」
幼い頃、母に寝物語として聞かされた自由を愛する空賊の話をワルドは思い浮かべていたのだが、どうやら皇太子も似たような事を連想していたらしい。
「いっそ空賊旗でも上げておけば良かったか」
「『これは空賊旗ではない、自由の旗だ!』ですな」
貴族にも平民にも親しまれ、舞台劇にもなった空賊の決め台詞に、周囲にいた船員たちは揃って笑い声を上げた。
「いや、このようなシチュエーションは意味もなく燃えますな、殿下!」
「ハハハ、君は随分話の判る男じゃないか子爵!」
どうやら肩書きなどとは関係なく、幾つになっても男というものは義賊とか秘密基地という存在にロマンを見出す生き物らしい。
もっとも、空賊の話は知っていてもそこまで思い入れのないルイズやキュルケにしてみれば、なんで彼らはあんなにも嬉しそうなのかと首を捻らざるを得なかったのだが。
暗かった周囲が突然明るくなったのは、周囲が発光性の苔に覆われているからだった。
地下にも関わらすこの鍾乳洞が港として活用されているのは、白く光る苔が周りを明るく照らしているのもあるのだろう。
既に桟橋には多くの人間が集まっており、フネが停止すると同時にもやいの綱を放った。
あっという間に『イーグル』号は岸壁へと固定され、ウェールズはルイズ一行を伴い港へと降り立つ。
「よくぞご無事で戻られました、殿下。それにしても今回は随分な大物を仕留めてこられましたな」
出迎えた背の高い老メイジが顔を綻ばせると、ウェールズはその肩を叩きながら言った。
「吉報だぞ、パリー。あのフネには大量の硫黄が積まれている」
ウェールズの言葉に、集まった兵士たちからは感嘆とも賞賛ともとれぬ、しかし熱狂的な何かをはらんだ雄叫びが上がる。
「留守中変わりはなかったか」
「叛徒どもからの最後通牒がございました。明日の正午、攻城を開始するとの事です」
町の噂よりも何日か早い総攻撃の通告に、ウェールズは間に合ってよかったと笑った。
「これだけの火の秘薬があれば、敵に王家の名誉と誇りを存分に知らしめて敗北する事ができるだろう」
連中にアルビオンの精鋭の死に様を見せつけてやろうと腕を掲げると、空軍の男たちは感極まった様子で一斉に杖を掲げる。
一方、ルイズは王子が何を言っているのかすぐには理解できなかった。
もちろん言葉が判らなかった訳ではない。
何故、あんなにも朗らかな表情で自分たちの敗死を口にできるのか。それがルイズには判らなかったのだ。
「ところで、そちらの方々は……」
パリーはウェールズに連れられてきた3人に目を向けていた。
兵民の服を着ているが立ち振舞いは明らかに貴族であり、しかし長年侍従を勤めた自分の記憶にはない者たちである。
いや、より正確に言うと背の小さいピーチブロンドの髪の少女は昔どこかで見た気がするのだが。
「こちらはラ・ヴァリエール嬢。非公式ながらトリステインの大使として来られたのだ。丁重にもてなしてくれ」
「かしこまりました」
表情を変えずに答えながら、パリーは心中に納得を得る。
ヴァリエール公爵夫妻なら宴の席や園遊会などで何度も目にしていた。
件の少女は確かにヴァリエール公爵婦人によく似ていたので、既視感を覚えたのであろう。
「さて、敵の動きが思ったよりも早いのでね。急かす様ですまないが、一度僕の部屋まで来てほしい」
その部屋は、およそ次期国王のものとも思えぬほど質素であった。
キュルケなどは、これなら寮の自分の部屋の方が余程豪華だなどと思ったくらいである。
「それで殿下。私たちに渡したいものというのは……?」
ルイズの問いに、ウェールズは椅子に座るよう促しながら答えた。
「まずはアンリエッタ宛の手紙だね。あとは指輪と、鳴らないオルゴールをひとつ」
手紙はわかる。指輪もまあ理解できる。しかし、鳴らないオルゴールってのは、何?
首を傾げるルイズの横ではキュルケが似た様な表情を浮かべていたが、二人の後ろに立っていたワルドは驚愕を隠しきれなかった。
「殿下! それは失礼ながら、いささか問題にはなりませんか」
「確かに父上の同意を得なければならないが、どうせ諸共に散るつもりのものだったからね。ここで君たちに預けるのに反対はされないだろう」
透明な笑みを浮かべる皇太子に、ワルドは言葉に詰まる。
「それにトリステインからの大使がここに来ているのは、連中も気がついてないのではないかな」
「いえ、残念ながらラ・ロシェールで2回程襲撃を受けています。その中に先日捕らえた筈の盗賊がおりましたので、お恥ずかしい限りですが、敵は我が国にも深く根を張っているのでしょう」
見通しがいささか甘かったかと、ウェールズは眉をひそめた。
「あ、あの、一体何の話をされているのですか」
男2人の会話についていけなかったルイズが口を挟むと、ウェールズとワルドは顔を見合わせた。
「いや、すまない、ラ・ヴァリエール嬢。そういえば肝心な事を伝えていなかったね」
「ルイズ。殿下が我々に預けようとされているのは『風のルビー』と『始祖のオルゴール』。つまりアルビオンにおける秘宝中の秘宝だ」
びき、とルイズの表情が凍り付く。
「まあ秘宝には違いないのだが、ルビーはともかくオルゴールはちょっとね。故障している訳でもないのに鳴らないという代物だ、ディテクト・マジックには反応するから全くの紛い物ではないのだろうが……」
「只でさえ始祖の関連する秘宝には贋作が付き物ですからな。我が国に伝わる『始祖の祈祷書』なぞ、偽書だけで軽く図書館ができると言われておりますし」
「王家としてもこの手のものは軽々しく表には出せないからね。実際オルゴールにもいくつかのレプリカを作成している」
知り合ったばかりにしては息のあった会話であったが、ルイズの方はそんな事に気付く精神的な余裕はなかった。
「そそそそんな大切な物をわわ私が預かるのですか!?」
『風のルビー』だけでも結構一杯一杯なのに、これ以上そんなものが増えたら胃に穴が開くどころの話ではなくなる。
確かに敵にくれてやるには惜しい代物であり、信用のおける誰かに渡すというのは間違った判断ではない。
ないのだが、それは誰かもうちょっとアルビオンの信用できる関係者に託して下さい、というのがルイズの偽らざる本音であった。
「だからこそ託したいのだ、ラ・ヴァリエール嬢。いや、この滅びゆく国に危険を冒してまで訪れた君にしか、もはや預ける事は出来ないのだよ」
ウェールズは笑みを浮かべていたが、どこか寂しげで、そしてひどく疲れている様にルイズの目には写った。
裏切るなどとは到底思えない面子が次々と敵に寝返るという、悪夢の如き現実に晒され続けた皇太子としては、他国人とはいえ『真っ当な貴族』としての行動をとったルイズならばという心境なのだろう。
「明日の正午、我々は『イーグル』号で出撃する。その隙に非戦闘員を乗せた『マリー・ガラント』号がここを離れる手筈になっているから、君たちはそれに便乗してくれたまえ」
王族自らが囮となるというウェールズの言葉に、ルイズもキュルケも絶句するしかなかった。
「情けない話ではあるが、城に残った人間の中に内通者がいないとも限らない。秘宝は明日、出発直前に手渡そう」
流石に父の許可もまだ得てはいない状態で渡すわけにはいかないと苦笑する皇太子に、ルイズは何とか言葉を返す。
「ウェールズ殿下。殿下は、その、アンリエッタ姫を愛しておられるのですか?」
「ああ。ラグドリアンで初めて会った時から、我が心は彼女と共にあった」
「ならば、何故、玉砕の道を行こうとされるのですか!? 亡命なされませ、姫様からの手紙にも、そう書かれていた筈です!」
アンリエッタの密書を読んでいた訳ではないが、彼女の性格ならば必ずそれを勧めるだろうとルイズは踏んでいた。
まだ年端もいかぬ少女の悲痛な叫びを、しかしウェールズは眉一つ動かさずに否定する。
「いや、彼女からの手紙にはその様な事柄は何一つ書かれてはいなかった。そもそも王位継承権を持つ者が、軽々しく自国への亡命など勧める訳がないだろう?」
そんな、と呟くルイズの横から、これまで沈黙を守っていたワルドが語りかけた。
「……我が国への亡命が、貴族派がトリステインへと侵攻する口実になると、殿下はそう考えておられますか」
「内乱ならともかく、他国に戦争を仕掛けるには大義名分が必要だ。仮に亡命したとすれば、私の存在は格好の理由となるだろうな」
それはウェールズにとって最も忌避すべき未来予想図だ。
貴族派がトリステインに攻め込む可能性がある以上、愛する女がいる国を守るには、一人でも多くの敵を道連れにする。
それこそが今の自分に出来る唯一の手段であると、若き王子は深く静かに覚悟を決めていたのだった。
ルイズは目の縁に涙を浮かべながら、けれど決して泣くまいとしている。
ウェールズが正論を述べているのは判るが、アンリエッタの友人として、この勇敢な皇太子に死んで欲しくはない。
しかしここまで固い意志で、王族として、また男としての維持を通そうとするウェールズを翻意させる事は出来ないと、ルイズが心のどこかでそう考えてしまうのも事実だ。
己の無力を噛みしめるルイズに、ウェールズは優しく微笑みかけた。
「非公式とはいえ君は大使なのだから、母国が不利となりかねない発言は慎みたまえ。その正直さは美徳であり、賞賛されるべきものではあるがね」
自分のために、そしてアンリエッタのために亡命を勧めるルイズにウェールズは好感を抱く。
政治的判断そっちのけで私情を優先するなど、大使としては失格だろうが、その心根の優しさやまっすぐな瞳は、死を覚悟した皇太子にとって福音のように感じられた。
「今夜はアルビオン最後の晩餐会が開かれる予定だ。君たちにも是非出席してほしい」
ここまで順調に飛んできたクロコダインたちであったが、日が沈み始めるのと同時に問題点が浮上した。
休息がとれないのである。
ワイバーンとシルフィードは精霊の力を最大限借りる事によって飛ぶ事による体力の消費を極力押さえていたし、フレイムやクロコダインは元々体力も耐久力も半端ではない。
ヴェルダンデには自前の毛皮があるし、そもそも気温の変動にはあまり頓着しない性質である。
しかしタバサは諸事情により鍛えられてはいるがまだ14歳である。風の防壁を張る事で体温が奪われないようにしていたが、その分精神力は削られていた。
ギーシュは最近体を鍛え始めたとはいえまだまだ優男の域を脱してはいない。
そして風の防壁は決して効果時間の短い魔法ではないのだが、ドットメイジが連発できるほど燃費の良いものでもなかった。
結果、ギーシュは申し訳ないと思いつつもクロコダインを風よけにしていたのだが、流石に気温の低下までは防ぎようがなく、今は予備の服を重ね着している状態である。
「そそそそそれにしてもも空というものはさささ寒いのだねねね」
ギーシュは別に興奮している時のルイズを真似ている訳ではなく、ただ単に歯の根があっていないだけだ。
昼間は「おお絶景だね! 風は心地いいし素晴らしいじゃないか!」などとご満悦だったのだが、今は半日前の自分を殴り倒したいと真剣に考えていた。
ヴェルダンデにしがみつきフレイムの尻尾(炎付き)で暖を取る姿はなかなかに間の抜けたものではあったが、当人としては生死に関わる問題だ。
「ギーシュ、今のうちに食事をしておけ。タバサもな。それと、アルビオンまではあとどれくらいかかりそうだ?」
シルフィードを可能な限りワイバーンに寄せたタバサは少し考えた後、「明日の昼までには」と答えた。
自分はともかくとしても、学生2人にそこまで休息なしというのは酷だろうとクロコダインは思う。
とはいうものの眼下は海だ、休めそうな場所はない。仮にあったとしてもルイズの事を考えると時間が惜しかった。
悩むクロコダインに解決策を告げたのはタバサである。
「魔法の筒」
そう、筒の中にいれば体力の損耗は避けられるのだ。代わりに回復もしないが、現状維持が出来るだけでも価値はあった。
問題は人間を筒の中にいれた事がない点だが、考えてみれば筒にモンスターの種類を選ぶ機能などない。
別世界のワイバーンですら対応可能なのだからおそらく問題はないだろう。
心中で自分自身にそう言い聞かせながら、クロコダインは小さな青銅製のフライパンを『練金』し、干し肉をフレイムの火で炙っているギーシュに魔法の筒を向けるのだった。
宴は盛大だった。
参加した者は全員園遊会のように着飾り、テーブルの上には上等な酒や料理がところせましと並べられている。
老齢故、近年は体調を崩し公の場には姿を現していなかった国王、ジェームス一世も今日ばかりはと祝宴に参加していた。
国王は立ち上がるのも一苦労という風情ではあったが、息子の肩を借りながら参加者に告げる。
明日の戦いを前に全員に暇を申し渡す。勇敢な諸君らがこれ以上犠牲になる必要はない。明朝、非戦闘員を乗せたマリー・ガラント号と共にこの忌まわしき大陸を離れよ、と。
それを聞いたイーグル号の乗組員や数少ない竜騎士隊員、側近のメイジは無論のこと貴婦人たまでもが、揃って王命を拒絶した。
「なあ、今なんて言ってた?」
「ああ、一人あたり敵を1000人倒せ、だそうだ」
「おいおい、それはまた随分簡単なオーダーじゃないか」
笑いあう騎士たちの横では、古参の船乗りたちが王の耄碌具合について議論している。
「やばいぞ、どうも国王はたったひとりで一番いいところを独占するつもりらしい」
「多分俺たちを追い出しておいて大活躍すればモテモテじゃよーとか考えてるんだろ。夢は寝てから見るもんだろうにな」
「馬っ鹿、ちゃんと聞こえるようにもっと大きな声で言えよ」
口では好き勝手に王への敬意など欠片もない事を言いながらも、彼らは1人たりとて敵に背を向けるのをよしとしなかったのである。
ばかものどもめ、と小さく呟いた国王は、感傷を振り払うが如く高らかに飲んで食べて騒げと周囲を煽るのだった。
ウェールズの要請に応じ、ルイズたちは晩餐に参加していた。
ドレスは借り物だが高級で品の良いものだったし、ルイズもキュルケも美しい少女である。美形というのは得なもので、何を着ても様になるのだった。
ルイズが着ているのは薄紫に銀の刺繍が入ったドレスで、細身の体に薄桃色の髪を軽く結い上げた姿はホールの中でも充分に目を惹きつける。
キュルケは光沢のある黒を基調としたドレスを身に纏っていて、燃えるような赤髪と小麦色の肌との対比が鮮やかで、そのボリュームのあるプロポーションもあり異彩を放っていた。
トリステインからの大使である事、空賊への対応などは既にイーグル号の乗込員らの口からもれていたらしく、彼女らにはひっきりなしに人が訪れて歓迎の意を示している。
最初のうちこそ、ルイズは大使として特大の猫をかぶって対応していた。
しかしイーグル号での毅然とした態度を誉めてくれた痩せぎすの男(実は空軍の幹部だった)も、しきりに大使とはすごいと感心する自分とさほど年のかわらぬ若い竜騎士も、ラ・ロシェーヌで見たものとは比べものにならない豪華な料理を勧めてくれる初老の侍従も。
明日にはみんな死地に向かうのがわかっているとなると、次第に気が滅入ってくるのは致し方ない事ではあった。
ルイズが理由をつけてホールを離れるのを見て、キュルケはこっそりとため息をつく。
明日の事は明日の事と割り切っているつもりの自分でも、正直きついのがあるのだ。いろんな意味で箱入り娘のルイズが耐えきれなくなるのは当然だろうと思う。
出来る事ならいつもの様に発破をかける形でフォローを入れたかったが、すぐに後を追うのは流石に抵抗があった。
加えて言えば、どんなにいけすかなくとも名目上は彼女の婚約者が一応この場には存在するのだ。
そんな訳でキュルケは魔法衛士隊の制服を着て貴婦人たちとの会話を軽妙にこなすワルドにいやいやながら話しかけようとして、ふと立ち止まった。
我ながら、らしすなさすぎる。
貴族主義のトリステインでそんなものはどこ吹く風とゲルマニア流を貫いてきたというのに、ヴァリエールの婚約者に道を譲るなどあってはならない事態だ。
アルビオン産の最高級ワインを一気に飲み干して、キュルケはパーティー会場から優雅に立ち去った。
ワルドの元にはルイズらに負けず劣らず人が集まっている。
背は高く、制服の上からでも鍛えられた体躯である事がわかり、トリステインでも特に実力のあるメイジが集められた魔法衛士隊の若き隊長で、尚且つ美男子となれば当然貴婦人たちの視線は集中した。
当初は演習で知り合った竜騎士隊のメンツや『イーグル』号の船員もいたのだが、女性たちが集まるにつれ、彼らは何故かワルドの背後にまわっていく。
「おっかしいなー。なんでこのワインはこんなにもしょっぱいんだろう……」
「それはお前が泣いているからだ、戦友。ちなみに俺はラインメイジなのに何故か今はスクエア・スペルが唱えられそうな心持ちになってるぞ?」
「奇遇だな後輩、オレもだ。つか誰だよあんなのここまで連れてこようって言ったの」
「王子です、先輩。だから言ったんですよ、A級の女の子二人も連れてる時点であいつは敵なんだって!」
「はっはっは……矢張りあの合同訓練の時ヤッておくべきだったな。後悔先に立たずとはこの事か」
「畜生、あの時メイドのミニスカ化計画にゾッコンだったのは擬態だったのかよ! 重大な裏切り行為だ!」
「アレ、なんでこんなトコロに決闘申し込み用の手袋があるんだろう……」
「まて、明日は決戦だぞ。無駄な精神力の消費は控えろ……。男なら拳で行け、暗いところで後ろからな」
「それはアルビオンの騎士としてエレガントとは言い難いですな。どうでしょう、小生は今ここにどんな傾国の全裸美女を前にしても強制的に賢者として振る舞わざるを得なくなる秘薬を持っているのですが」
「流石は侍従長殿、エレガントすぎて困る!」
見目麗しい貴婦人と軽妙な会話をこなしながら、ワルドは背中に冷たい汗をかいていた。風のスクエア・メイジはどんな小さな声でも捕捉しまうからである。
逆にルイズがこんな残念会話を耳にしていれば、当然メランコリックな気分にはならなかったのだろうが、生憎と彼女は風メイジではなかった。
ワルドは婚約者の動向に可能な限り目を配っていたので、当然ながら彼女がパーティー会場を離れる姿は捕捉している。
彼としてはすぐに後を追うつもりだったのだが、残念ながらそれは叶わなかった。ウェールズ皇太子がその場に現れたからだ。
「楽しんでおられるかな?」
「ええ、もちろん」
笑顔で答えながらワルドは思う。
(頼むからもうちょっと出のタイミングを測ってくれ!)
心中で何を思っていても態度には表さないのは流石というべきだろうか。もっともそんな態度のせいでウェールズはすぐに立ち去らず会話を続ける事になったのだが。
自分からは絶対に席を外せないワルドであったが、ここは仕方ないと無理やり割り切る事にした。
それにウェールズには個人的に関心があった。一国の王子と話をする機会など決して多くはないのだ。
「これは、あくまで私の個人的な意見ですが」
そう断った上で、ワルドはウェールズの眼を覗き込むように言った。
「我が国に亡命されるつもりはありませんか、殿下」
「それはないよ、子爵。ラ・ヴァリエール嬢にも言ったように、私がトリステインに赴けば貴族派に格好の開戦理由を与える事になる」
どこか透明な笑みを浮かべながら答える王子に、ワルドは更に言葉を重ねる。
「お恥ずかしい話ですが、レコン・キスタの手は既にトリスタニアの王城にまで伸びております。いずれ本格的に攻めてくるのは確実、殿下がここで亡命されてもさして影響はありますまい」
「ならば、なおのこと亡命は出来ぬな。勝てないまでも、アンの国に牙を剥く者を少しでも減らさなければ死んでも死にきれない」
それは王族としての責務か、メイジとしての意地か、愛する者を持つ男としての美学か、あるいはその総てか。
何れにせよウェールズは既に覚悟を決めてしまっていて、今更誰が何を言ってもそれは揺るがないのだと、ワルドは悟らざるを得なかった。
「……できる事ならば、殿下にはトリステインにて生まれて頂きたかった。もしそうだったのなら、私は貴方に無二の忠誠を誓っていたでしょう」
真剣な顔で言うワルドに、ウェールズは笑って言葉を返す。
「そういう子爵にこそアルビオンに生まれて貰いたかったな。そうすれば私もメイドをミニスカにする相談にも積極的に乗れただろうに」
「はっはっは、これは参りましたな!……ところであの愚連竜騎士隊員どもに何を吹き込まれやがりましたか殿下」
とりあえずルイズのフォローの後であいつら締めよう。心中でそんな決意を固めるワルドであった。
キュルケがルイズを見つけた場所は、長い長い廊下の途中だった。
月明かりに照らされた彼女の横顔には真珠のような涙が伝っていたが、キュルケはその事には触れずに声をかける。
「ハイ、なんでこんなところにいるのよ」
キュルケの存在に気付いたルイズは慌てて涙を拭った。
最近は互いに態度が軟化しているとはいえ、一応は仇敵同士なのだ。余り弱みは見せたくない。
そんな思いに反してルイズの涙はなかなか止まろうとはしなかった。
そんな状態の彼女はなかなか喋れず、キュルケも黙っていたため暫く沈黙が続いていたが、やがて意地を張るのを諦めたのかルイズが口を開く。
「ねえ……どうしてあの人たちはあんなにも明るく振る舞ってるの……? 明日には死んでしまうかもしれないのに……!」
対するキュルケの言葉は短いものだった。
「だからこそ、でしょ」
俯いていたルイズが顔を上げるのを見て、キュルケは更に続ける。
「明日がないからこそ、今を楽しまなきゃ損じゃない。気持ちはわからないでもないわ」
明日の事など何も決まっていない。楽しみを先に取っておいてもその前に死んでしまうかもしれないのだ。
だからこそ今を精一杯楽しもう、というのがゲルマニアの民の流儀であり、キュルケもその別に漏れなかった。
「そうじゃないの! どうして王子もあの人たちも進んで死地に向かおうとするのか、それがわからないのよ! 生きて帰るのを待ってる人だっているのに……!」
もはや溢れる涙を拭おうともせず叫ぶルイズに、キュルケは肩をすくめる。
「多分それよりも大切なものがあるんでしょ。そっちは余り理解できないけどね。大体あんただってよく言ってるじゃない。『敵に背を向けない者を貴族って言うのよ!』って」
「一緒にしないで! わたしは……!」
「死ぬつもりで言ってる訳じゃない、ってんでしょ? わかってるわよ」
感情が高ぶりすぎて言葉が出なくなっていた自分を補足する様なキュルケの台詞に、ルイズは思わず虚をつかれた。
「まあそれを根拠のない自信と取るか、確固たる信念と取るかは人それぞれでしょうけどね。個人的には嫌いじゃないわよ、そういうの」
キュルケは内心で(我ながら、らしくなさすぎるわね)と思う。ツェルプストーがヴァリエール家の人間に面と向かってこんな事を言うのは、ひょっとして自分が始めてではないか。
そんな内心を知ってか知らずか、ルイズは真剣な表情でキュルケに言った。
「ねえ、何か悪いものでも食べた?」
「そうそう、実はさっきの晩餐会で、ってなんでそうなるのよ!」
「いやだっておかしいでしょ普通に考えて。水の秘薬なら持ってるから、後は水メイジを呼んで貰って」
「いらないわよ!」
やっと調子がでてきたわね、とキュルケは内心胸を撫で下ろす。
実を言えば、今ここでワルドの事をどう思っているのかルイズに聞いてみたくはあった。
色恋沙汰に関してはかなりの経験値を積んでいるキュルケとしては、どう見てもルイズに対して恋愛感情を持っていないワルドに良い印象を持てないでいる。
ただ、あの男は止めといた方がいい、と言うのは簡単なのだが、相手が素直に忠告を聞くとは考えにくい。
先程まで王党派の行く末を嘆いていたルイズに追い打ちをかけるのも正直気が引けた。
そんなこんなで、結局キュルケはその件について言い出せないままルイズと共に晩餐会へと戻るのだった。
ウェールズとの歓談を終えたワルドは、傷心のルイズを慰めるべく城の中をさまよっていた。
婚約者の姿を探しながら考えるのは、今後の『計画』についてである。
トリステインへと戦場が移る前に、ワルドはレコン・キスタ内で確固たる地位を確保する必要があった。
今回の任務はその点においてうってつけだった訳だが、残念ながら肝心のアンリエッタ王女の手紙は既に灰になっている。
となると、後は強力なメイジで実質的な指揮官であるウェールズ王子か、病床にあるとはいえ求心力は未だ衰えぬ現国王を早急に舞台から退場させるのが一番効果的であろう。
幸いというべきか、身内の裏切りに関しては敏感になっている彼らも、流石に大使として来ている自分たちを疑っている様子はない。
おそらくは『イーグル』号におけるルイズの態度が疑いを寄せ付けない要因のひとつだろう。
(さて、どうしたものかな)
ワルドがレコン・キスタに参加した背景のひとつには、母国の王族や大貴族に対しての失望がある。
前王の死去から王位は空座となっていた。本来ならばマリアンヌ皇太后が即位している筈なのだが、未だに彼女は表舞台に立とうとはしていない。
唯一の嫡子であるアンリエッタも蝶よ花よと育てられてきたせいか、どこか浮き世離れしている部分が目立つ。今回の密使の原因となった恋文が、その一端を如実に表していた。
空位の期間が長引くにつれ、マザリーニやヴァリエール公爵などほんの一握りの良識家を除いて大抵の貴族が何らかの違法行為に手を染め、私腹を肥やしている。
伝統も格式も備えた大貴族たちはなかなか尻尾を出さないが、それでも王宮勤めをしている間にワルドは幾つもの噂を耳にしていた。
このままでいいのか。
トリステインを守る為に戦い、散っていった父。この国を家族の様に愛し、それ故に逝ってしまった母。
2人はこんな国の為に死んだのでは無い筈だ。
ワルドにレコン・キスタが接触したのはそんな折りだった。
彼らの言うお題目を頭から信じる程ワルドは純真ではなかったが、それでも仲間に加わったのは最近考えていた『計画』にこの組織が利用できると思ったからである。
この組織が胡散臭いものであるとわかるのに、それほど時間はかからなかった。
レコン・キスタに参加している何人かの貴族と接触してみたが、トリステインの腐敗貴族と大差ない考えの持ち主たちだったのだ。
要は王党派が持っている権益を自分たちの物にしたい、もっといい思いをしたいという事だけで、貴族としてどう国を治めていくかなど二の次三の次である。
では、そんな貴族たちを率いる男はどうだろうか。
レコン・キスタの首領が虚無魔法の担い手であるという話について、彼は眉唾物だと断じていた。
ジェームス一世が特に悪政をしていたわけでもないのに、忠臣ばかりが貴族派に寝返っているのは明らかに何らかの作意が働いているのだろうが、それが始祖の遺した魔法によるものだとは考えにくい。
水系統のマジックアイテムを使用するか、複数の水メイジが形振り構わず『制約』かけまくればそれで済む話だからだ。
虚無の系統がどんな魔法効果をもっているのかは6000年という時の中に埋もれてしまったが、普通そんなものが使えるならもっと派手に使うだろう。
ロマリア教皇の前で披露でもすればあっという間に時の人だ。それをしないという事は、何かしら後ろ暗い事情があるのだろう。
と、ここまで考えて、ワルドは苦笑した。
色々と理由を並べ立ててはみたが、要はウェールズを暗殺などしたくない自分に気がついたのだ。
晩餐会の席で亡命を薦めたのは、決して演技ではなかった。
自分の計画と天秤にかけた上で、なおかつ死なせるには惜しい人物だと思ってしまったのだ。その時点でもう自分の負けだとワルドは思う。
いずれにせよ、ウェールズを始めとする王党派は勇敢に戦い、散っていくのだろう。
イーグル号を脱出船として使わず、積み荷の硫黄をそのままにしているのだから、戦力の差がありすぎる王党派がどんな戦法を使うのかは概ね想像がついた。
上手く行けばレコン・キスタの首脳部にダメージを与える事ができる筈だ。
ここで自分が無理に暗殺という手柄を立てるより、幹部陣の欠けた組織の中枢に入り込んだ方がリスクは少ないのではないか。
暗殺するタイミングは開戦前の混乱に乗じてと考えてはいたが、確実性に欠ける。ルイズの前で手に掛ける様な事態になったら目も当てられまい。
正直ルイズに対して恋愛感情を抱いていないワルドであったが、今後の事を考えると悪感情を抱かれるのは避けるべきだった。最低でも『頼もしい婚約者』の地位は守らねばならない。
よし、暗殺は中止しようと心を決めたワルドは、振り返らないまま後ろに向けて話しかけた。
「で、何か用かね? そこの柱に隠れている君の事だが」
問いかけに応じて姿を現したのは、フードを目深に被った女である。
フーケでない事は隠れている時点で判っていた。彼女にはこんなに早く合流できる手段はないし、息遣いや気配の隠し方も記憶とは異なっている。
「──久しぶりね。一体こんなところで何をしているのかしら?」
「それはこちらの台詞だ。王党派の人間をスカウトでもするつもりかね」
そう、彼女はかつてワルドをレコン・キスタに誘い込んだ女だった。
以上で投下終了です。
前回感想ありがとうございました。
本当は先月に投下する予定だったのですが、色々あって遅くなってしまいました。
今月に入ってから体調不良が続いているので、次回投下も遅くなると思います。申し訳ありません。
708 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/10(水) 23:37:41 ID:zFqt2DwE
乙
やっぱバカだこいつら>龍騎士隊
乙
ワルドさんはどうなってしまうのか
ついでに謎の女性の正体は原作どおりあの人なのかフェイントしてダイキャラなのか
それともカリンさんがこれから外伝で戦うだろうあの女なのか
龍騎士隊のノリが学園の男子生徒と変わらんなぁ。
まあ、男はいつまで経ってもそうそう変わらない、ということでしょうか。
というか、このハルケギニアの男連中には、デフォルトで「バカっぽさ」が属性追加されてる気がする。
しかし、ワルドはいいキャラしてますね。
色々考えてるみたいだし、生き残るフラグと思いたい。
しかし、今のワルドの立ち位置って、トリステインとレコンキスタの間でどっちつかずで、結構危険なのではなかろうか。
どっちからも敵と見られる可能性もあるわけだし。
その辺、おっさんにフォロースキルを発揮してほしいところだなぁ。
そういや新刊でワの人が再登場したり教皇達の目的が明らかになったけど
深く関わってくる予定で考えていた内容と大幅に違ってたら、どう折り合いをつけるんだろう
途中で直すのかそのまま最後までいくのか
おマチさん「この作品は○巻時点の設定でお送りいたします。」
孤児院の子供たち「いたします!」
>ワの人が再登場
ワ→ワニでおっさん連想余裕でした
>>707 乙さん、おっ!
>どうでしょう、小生は今ここにどんな傾国の全裸美女を前にしても
>強制的に賢者として振る舞わざるを得なくなる秘薬を持っているのですが
侍従長がエレガント過ぎるwww
基本の品質が高いからこそ冴え渡るギャグが良いアクセント。
大筋だけ見れば大差ないのに、格段に魅力的な文になってるのが素敵。
良キャラなワルドには残って欲しいし、おっさんの活躍も早く見たいしでwktkですな
保守
保守
保守
717 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 20:33:35 ID:FEQG7GBU
ゴーレム戦で会心撃出さなかったらいつ出るんだろ…
ワルドや七万人が相手だとオーバーキル(当たれば)だしなあ…ビダーシャルかな?
なんとなくだけど、カリン様のトルネードカッターと撃ち合いになるんじゃないか、という気がする。
おっさんの代名詞をビダーシャル戦まで出さないのは引っ張りすぎだし(反射は突破できない気もするし)、
7万相手じゃ大虐殺にしかならないし。
ヒュンケルとかポップほどじゃなくてもサイトなみの頑丈さがあれば当たっても死なない気がする
足止めにもならなかった印象が強いんだよな
一応地面を数百メートル先までかるく削るレベルより数段上の威力っぽいんだよな
アバン先生ならミナカトールで
「何やら特殊な媒介を使っていたようですが、それに篭められた邪悪な遺志の干渉を断ち切ったのです」とかやれるが
おっさんだと7万戦自体避けた展開にした方が盛り上がるだろうjk。獣王大虐殺!とかキャラじゃないし。
双裂破がまだ残ってる。
たぶんヨルムンガンド戦はこれだろ。
レキシントンを粉砕
おっさんなら防御一択で時間稼ぎ完遂してくれるハズ
おっさんが仁王立ちしていたら、下手に迂回するという選択はとれんだろうしな。
ダイとかマァムはどうなんだろ
7万戦に限らず悪者じゃない人間とは戦いそうにないけど
>>726 お話を聞いてもらう方法はいくらでもあろうさ。
ダイだと、そのあたりの駆け引きはできないだろうけど、マァムは必要なら脅迫だってできると思うぞ。
もめごとの一番穏便な解決法であることも多いし。
ダイは理知的な父親を見習って竜魔人モードでアンギャーと威嚇すれば良いんだよ!
どうみても悪魔か何かだから誰もが一目散に逃げ出すはず!
適当な山を消すかでっかいクレーターでも作ってみせれば更に効果的!
アルビオンに穴が開く危険がw
サイトと同じことして無事生還してテファルートはしょる
それだけじゃないのか
>>729 そっからルパンダイブで逃走か、完璧だな!
そっか、考えてみれば、サイトだって峰打ちだかなんだかで殺しはしてないんだっけ。
それなら、ダイ、ヒュンケル、ラーハルト、ヒム辺りなら、普通に突破して指揮官ボコって普通に帰ってこれそうだな。
ポップやアバン先生なら、魔法でどうとでもしてくれそう。
マァムは微妙、だろうか。個人的に、感情全開ガンダールブで、マァムと同程度の身体能力か、と思ってる。
閃華烈光拳はある意味「殺し」に特化した技だから、殺さず、という条件では使いにくそうだし。
おっさんは、獣王のカリスマを使って近隣の動物たちを呼び集め、即席獣王軍でも組織すれば、普通に正面から押し返せるんじゃなかろうか。
おっさんは、焼けつく息という切り札がだな。
おっさんには地中移動という奥の手があるのを忘れるな。
総大将を強襲して離脱も可能だ。
ヴェルダンデとその同族数万を従えた、獣王地底軍団の誕生であった。
736 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 05:53:05 ID:gecFaETK
ヒュンケル無双がみてえ。
小ネタの人書いてくれないかな。
737 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 06:57:01 ID:Hxpdd92N
別サイト(個人サイト?)なんでスレチだと思うが、ショタの使い魔(原作終了直後ダイ召喚)ではワルド相手に竜魔人になったりそのままアルビオン軍をある程度虐殺しまくってたな
タルブ戦で終了したから七万戦はなかったが
ダイだとギーシュとの決闘とかなしに進んで最初から全然違う展開になりそうだ
7万戦とかそういう感じのイベントが起こらない気もする
初対面で「魔法なら使えるけど…?」の一言でサイトのトレースしないで済むしな。
バラン死亡直後の描写を見る限りポップ以外はなんだかんだいって
必要なら敵を殺せるとは思う
普通に意思疎通が可能であるモンスターたちと殺しあっている連中だからな
別にポップだってなんだかんだいって必要なら、って条件なら敵を殺せるだろ
竜騎衆やらナイトやらそれこそバーン様だって意思疎通可能なモンスター(魔族その他)なのに殺してるし殺しにかかってるんだから
単に各キャラで敵を殺すかどうか決める幅が違うだけ
ブラス爺「モンスター差別イクナイ!」
悪魔を殺して平気なの?
襲ってきたなら大丈夫。
殺す云々の話だと、おっさんやヒュンケルなんかは、魔王軍の将として国攻めして、明らかに人を殺しまくってるんだよね。
そのあと、いともあっさり人間側に入り込んだけど。
戦国の世なら、事情が変われば敵だった相手と鞍を並べることなんてざらにある、らしいけど。
ロモス王国やパプニカ王国の人たちの度量はハンパないと思う。
感情的な理由で貴重極まりない戦力をハブらないのは実に合理的。
やっぱ魔法がある世界だけあって精神が発達してるわ
んなこと言ったらゼロ魔の立場は・・・
だが乱世だからこそだ。
リアルでも平時に英雄は必要無だしな。
バランもあの時代大混乱の時代だったらハブられてなかろう
人類が世界ごと滅ぶかどうかの瀬戸際だから発達してるとかそういう次元の問題じゃないよな
>>747 ゼロ魔も最新刊で世界の危機なので呉越同舟頑張ろうになってない?
流れ的にワルドとフーケも仲間になりそうだし……アンアンがどう反応するかなぁ
>>749 勇者一行がその安全を保障しているというのも大きいと思うんだよ、ヒュンケルの場合。
レオナやらダイやらがそういうんなら、仕方ないかと思えるし、何か起こったら責任をとってくれるというのは大きい。
逆に、不当に差別したら、上から怒られるわけだし。
ゼロ魔だと……アンアンとルイズあたりが保証すれば、似たような効果はあるのかなぁ。
アンアンとレオナじゃ、カリスマ性と実行力が違いすぎるが。
カリスマ性の有無についてはさておき、ハルケギニアの宗教観を考えれば始祖に連なる王家の者が声明があれば内心は兎も角、呉越同舟は可能なのでは?
>>747 パトレイバーでこう言うセリフが有ります。
「戦線が遠のくと楽観主義が現実と取って替わる。
そして最高意思決定において現実はしばしば存在しない。
負けている時は特にそうだ!!」(うろ覚え)
落ち目の王国の貴族としては自分たちより優れた存在を認められないのでしょう。
>>752 あの世界だと、王様が最前線いるから認識のズレの問題なくね?
一番楽観主義だった人も船1つ失う程度で現状認識したし
>>753 王さまが最前線にいるかどうかで無く
権力者が現実を見て政治を行うか、自分の妄想の中で政治を行うかの差です。
>>753は最前線で現実見るから妄想で政治行うようなズレの問題はないって言ってるんだろ
っていうか、落ち目の王国だったかって原作で設定あったっけ?
>>752はゼロ魔の王国とバランのいた国を勘違いしてないか?
何か親スレの避難所の設定スレかき回してる奴が沸いてる臭が厳しい
落ち目の王国とはトリステインの事ですよ。
落ち目とは勢いなどが盛りを過ぎて下り坂になることです。
つまり、どん底まで落ち切っていたパプニカの事は差しません。
途中で送信してしまいました。
し、
情勢の判らないアルキード王国も差せません。
752はトリステイン王国、それ以外はアルキード王国の話だと思っていたからすれ違っていたってわけね
>>758-759 ところで、あの作品スレの避難所にある設定・考察で嫌われてる奴ってのは正解なの?
誰だよ凍れる時の秘法を使った奴は
日蝕の仕業じゃ
ゴメちゃんが呼ばれたらルイズは相当喜ぶ気がする。
なんか黄金に輝く水滴召喚
→「なんだコレ?『これが私の使い魔』?」
→使い魔が欲しいという願いを叶えてゴールデンメタルスライムに変化
→召喚・契約成功、誰も見たことのないような珍種、しかも可愛くて人懐っこい
→辛いときには励まし、嬉しいときには共に喜び、ピンチになると光り輝いてなんとかしてくれる
>>763 まとめの小ネタにそんな話があったような気が
他のスレでまでそれやられるとウザイなw
>>761 過疎ってる状態で続けるくらいだったら、いっそクロス総合のあの作品のキャラがルイズに召喚されましたに合併してもらったほうがいいんじゃないか。
あっちは最近アバン先生召喚が帰ってきたばかりだし、個別に進めるより活性化になると思うけどな。
強引に出てきたのに合併してもらうってのも虫が良すぎる話だ
とはいえ、スレの進むペースを見てると次スレにまでいってもな…
燃料となるSSが投下されないと……
スレの活性化は難しい話かもしれんな
いっそのことDQ系全般をこっちに移住してもらうとか。スレタイも変える必要も出てくるが。
……呼びかけが面倒だしこれも虫の良すぎる話か。ボツだな。
呼びかけたって他のドラクエ系が引っ越してくるメリットがないなw
このスレが落ちたりして次で消滅すれば自然と本スレと合流出来るんじゃない?
ローゼンあたりで前例もあるし。
かなり過激に出てきたスレだからな
しかも向こうで禁止されてるヘイト系も喜んでする奴が集まってたり
そんな勢いで出たんだから合流は無理と考えた方がいい
ローゼンは派生事態が違う訳で、事情が違いすぎる
ヘイト系は難しい問題だぞ
ゼロ魔はある意味原作からしてそういう要素持ちだし(ファンタジー世界に対しての現実兵器蹂躙)
度が過ぎてなければ結構受け入れられるけど
ここはアウトレベルなのが多いって事よ
作品の話しじゃないだろ
虚無と影にせよ、虚無と獣王にせよ、まったく問題はないと思うが。
>>778 初代スレが立った時の事情は知らないが、つまり住人たちの発言がヘイト気味って事かね?
ルイズがアレな子とかアンアンがダメの子とかは兵徒よりはむしろ愛だと思うが
アンアンは初登場時こそ脳味噌お花畑だったし、アルビオン遠征では復讐心が原動力だったけど、
そういった諸々を経験して自省した後の化け方は、ガリア王継戦争でジョゼフに高評価を受ける程だったぞ。
色恋に走りがちなところは変わってないとはいえ、ある意味原作中で一番成長したキャラかもしれん。
ルイズは……まあ、最初はヒステリーだったのが、今はレモンちゃんだしなぁ。
変わったと言えば変わったよな。その変化には賛否両論ありそうだがw
ルイズだって僅か1年と少しで、伝説の虚無を操り負け戦を何度も勝利に導いてきたちょーすごいメイジになってるぞ
個人戦闘力でも転移から魔法解除に回避不能の爆発とサイトを越えてそうなチートっぷりだし
確かにレモンちゃんだがw
ルイズがアレな子だったりアンアンがダメな子だったりサイトがゆとりだったりってのは、物語の展開としては当たり前というか妥当なとこなんだけどね。
そこから、少年少女の成長物語的な感じに話が進展するわけだし。
ルイズなんて初期の頃はツンデレのツン期真っ盛りなわけで、むしろ嫌な奴である必要があるんだろうし。
ポップなんかは最初の頃ヘタレポジションだったから、読者からも「ポップ要らない」とかって意見が来てたらしい。
それで編集者からも「ポップ殺しましょう」とか言われたものだから、原作者さんが必死になってポップの成長の重要性を語ったのだとか。
確かにヒュンケルとアバン先生みたいなキャラだけのダイの大冒険は、あまり面白そうじゃないなぁ。
785 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/25(木) 02:09:52 ID:fw0AYJkt
ダイの大冒険て、たしか作中時間で一年たってないんだよな。そう考えるとポップ
の成長とレオナの体つきの成長は異常だな
せめてその姫の成長がルイズにあれば…!
現実は非常である
暴君ルイズがアップを始めたようです
>>787 ルイズ「今のは『爆発』ではない…ただの失敗魔法だ」
今のは「爆発」ではない…ただの「開錠」だ
大魔王ルイズ「今のは爆発では無い、ただの治癒だ」
チウ「ん?僕呼んだ?」
792 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/25(木) 14:12:11 ID:fw0AYJkt
>>786 ルイズとマァムが同い年ってのがまた現実の厳しさを感じさせる
>>793 レオナはタバサと同い年という事実……!
全体的にちょっと年齢高い割りに幼く感じるよね
その辺はもう絵柄の問題の領域だから
ほぼ同年代ながら――キュルケだけが『同等の戦闘力』を持っている事実。ただしテファは別格。
798 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/25(木) 16:59:38 ID:fw0AYJkt
ルイズ=メラ
キュルケ=フィンガー・フレア・ボムズ
テファ=カイザーフェニックス
どうせあと200レス程度だし、このスレ消化してから次スレ行くか本スレに合流要請出すか決めようか
まとめ移行がめんどくさいけど本スレでいいだろう
今一人しか投稿してないじゃん
まとめwikiは折角あるんだから、あのままでも構わないと思うが。
それにしても本スレは前に荒れ気味の頃に見るの止めてから随分見てないな。
あれ? いまさら合流は無理で結論出たんじゃないの?
ごめん、ログ漁ったらそうでもなかったわw
結論までは出てなかったw
しかし、結構過激なヘイトなんかも集まって分離した、とかって話だったけど、なにがどうなってそうなったんだろ。
ダイの大冒険とゼロ魔へのヘイトって、関連する部分が分からんのだが。
その辺は初期からスレ見てれば判るが、定期的にゼロ魔を過剰にこき下ろしてダイ大を過剰に持ち上げる流れが発生してる
最初期なんかはそれ所か元スレの作品の悪口まで書く奴が居たから印象最悪なのかも知れんね
昔過ぎて全然覚えてないわ。
ポップ召喚でアンチ二次創作のスーパー化ポップみたいな連中が
記憶を刺激されて見えない敵と戦いだしてざわざわしたことなら覚えてるが。
そりゃそういうのは覚えてる人と覚えてない人が居て当然だ
そして最悪なのは、行った側所属者が覚えてなくて受け入れ所属者が覚えてる場合に発生するトラブルなんだよ
今ならそもそもあんま人がいないし問題ないと思うがなあ。
過疎は過疎なりに今のままやっててもいいじゃん
>>808 ここにあまり人が居ないのと、
>>807で懸念されてるトラブルに何の関係があるんだよ……
俺は分裂時のこともスレ初期のことも知らないが、現行ログを読んだ限りでは止めた方が良いと思うぞ
2ちゃんねるを見だして日が浅いのでちょいと疑問なんですが。
スレッドごとの『住人』って概念は、そんなに意味あるのかな?
ゼロ魔の二次創作が好きな人なら、ここもあの作品のの板も両方見てる、て人もかなりいるんじゃないかと思うけど。
住み分けとかって出来るもんなのかね。
見てる人もいるかもしれないが
見てない人もいる
比率が同じでもスレ住人が多いほどその総数は増える訳だからそれを考えないと確実にトラブルの元になる
>>811 一種の縄張り意識。困った思考する人は周りに対して困った行動に出やすい。
>>811 『かなりいるんじゃないか』の時点で答えは出てるじゃん
かなりってことは全部がそうじゃないんだろ? 住み分けてるじゃん
ってかこのスレ見てて「あの作品〜〜」スレを見てないのは少数派だろうけど
「あの作品〜〜」スレを見ててこのスレを見てない人は結構いるだろう。
>>815 それはまとめの足跡の数だけを見比べても一目瞭然、ここは一日400件がいいとこだけど、本スレのまとめのほうは18000前後はいく。
しかし、ここ一週間の書き込みだけ見ても、ここの過疎具合は目に見えてるからこのまま続けても先細っていくだけだと思うがねえ。
投下どころか雑談すらたいしてない状態じゃあ。
ここでも400件もあるのに驚いたw
先細って行くだけってのは完全にこちらの都合で、あちら様にゃ無関係のようなw
というか、
>>1見るとちゃんと運営議論用のスレあったんだな。
しかも誤爆だけで1レスもまともに使われてないww
>>343 すんごい亀レスなんだが
作者的にはあのメガンテでアバン先生死亡扱いだったが、読者人気(特に女性)が凄くて、復活させた。
と、どこかで見た覚えがある。
>>819 最終決戦で、ダイたちを知的にサポートしていける人がほかにいなかったから、というのもあるそうな。
アバン先生を復活させたのはキルバーンに対抗させるためだった、と聞くが
ポップが切れるといっても、経験はさほどではないし魔法のトラップ等に関する知識もあるわけがないからな
レオナはミナカトールが使えるだけだし、ましてバーンの側近とタメで戦えるような格もない
マトリフがパレスまで出張るわけにもいかんだろうし
指一本動かさずに遠隔操作の罠1つでポップを葬ってしまうような恐ろしい魔力罠使いの男と張り合えるのはアバン、ということか
主要キャラ達の師匠にして心の支えというポジションも、
モンスターを正面から蹴散らしながらデルムリン島一周して魔法陣を描き、
あまつさえ島全域を破邪魔法で覆ってしまうほどの破邪力もスゴイし
バーンの魔力で閉ざされた扉を開けたり、キルバーンの炎をあっさり吹き散らしたり
ラーハルトの復活は必要あったのかというのは個人的にやや疑問だが、
実は魔界編があった場合そっちで活躍させる予定だったとか
そういうのってどこで聞いてくるの?
普通にコンビニ版の本に載ってた内容だろ
コンビニ版って裏話載ってるのか
雑談さえほとんど進まないなら、こりゃもう先細って消滅していくしかないな。
無理に独立して進めても、もうダイ大のみの話題なんて語りつくされてるだろう。
そりゃダイ大の話しなんかここでしなくても該当スレで幾らでもできるからな
せめてこっちで始まった話が続いてる間はこのスレを維持した方がいいのでは
万一移行云々のごたごたに巻き込まれて未完になったりでもしたら悲しすぎる
せめてっつーか、普通に移行は無いだろ
問題の解決策が無いんだからさ
というか、あっちのスレでダイ大キャラ召喚ものって書いたらまずいのかな。
アバン先生召喚の話があったはずだけど。
専属スレは人が全然いなくなったのでこっちで書かせてください、みたいなことになったら、
別に無理して出ていけ、なんていう人もそうそういないと思うけど。
不味くない
あったね
そうだといいね、
>>807とか読んだ上で言ってるの?
なんかスゲー嫌われるような出て行き方をしてまで専属スレを立てたらしいんだけど、
俺らそんなこと知らねえし、人も少なくなったからまた混ぜてくださーい
いいよー
めでたしめでたし
・・・いや、無理か
そこは人々の善意に期待したいとこだけど、やっぱ無理なのかなぁ。
なんにせよ、とりあえずこういったゴタゴタで連載中の作品が消える、てな事態は避けたいな。
虚無と獣王は名作だと思うし。
なんかこう、人気もあって愛読していた漫画が、雑誌の統廃合とかに巻き込まれて打ち切り食らいました、みたいな心境になりそうだ。
なんかスゲー嫌われるような出て行き方をしてまで専属スレを立てたらしいんだけど、
俺らそんなこと知らねえし、人も少なくなったからまた混ぜてくださーい
いいよー
めでたしめでたし
・・・いや、無理か
そこは人々の善意に期待したいとこだけど、やっぱ無理なのかなぁ。
いいよー
めでたしめでたし
・・・いや、無理だろ
結局、過疎でも普通に続けてけばいいじゃん。
親スレからすれば一部に過ぎないこのスレ住人の、
そのさらに一部が過疎は統合すべきだって言ってるだけの状態でしょ。
しかも出てった後少し経ってから、向こうで連載してたダイ大作品をこっちに移すべきと態々向こうで言ったりとろくなことしてねえ
というかここで続けていけばいいだろ
ここは早々落ちないし
それでおk
大魔王様のお言葉は全てに優先される
このスレはもはや過疎っているッ!!!!?
負けぬッ!!負けるわけにはいかぬッ!!!
余は大魔王バーンなり!!!!
こんな超過疎状態のスレに、新規でSS書きたがる人はいないと思うし、雑談もまったく続いてない状態で、幽霊スレとして、
本スレでダイ大があがるのを妨害しつつ続けると? まあいいけどね。
( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
>>841 シンプルにしてベストな答えだな
無駄に長い文で反論しようとしてた自分のことまで笑えてくるw
保守
保守らなくていいよ
某USBの人ゼロ魔も読み始めたとか言ってたし、なんか書いてくんねーかなぁ
ダイであんだけ見事に完結させたら、今度はダイとは無関係で逝くだろう。
デルフ逆行無双とか
>>846 逆行した記憶も「忘れちまった」で済ませるわけですね
そろそろ獣王の人来てくれないかな
このスレ見たおかげでうっかりダイの文庫版揃えてしまったんで、このまま終わってしまうのは惜しいな
この過疎ぶりじゃあ、獣王の人ももう本スレか理想郷に移転したほうがいいんじゃないか。
またお前か
('A`)ウゼー
バラン召喚でカトレアさんに竜の血を飲まそう。
ムキムキになったマチョレアさん乙
>>853 PS2メタルサーガの筋肉聖教ENDを思い出した
・・・耐えられなくて死ねんじゃね?
いやマッチョ化じゃなくて竜の血にね
ジョジョスレに、バオーの血を飲んで最高にハイな状態になったカトレアいたな
命令する、投稿しろ。
鬱蒼とした森の中を、緑の髪を靡かせたちょっとキツ目の美女が息を喘がせながら全力疾走していた。
すらりと伸びた脚を勢いよく繰り出し美しいフォームで大地を蹴るたび、布地越しにもはっきりと分かる豊かな胸の膨らみが“ばるん!”と揺れる。
額に珠の汗を浮かべ、喘ぎながら酸素を貪る様がなんとも艶っぽい。
淫靡な曲線も露わなぴっちりボディスーツの上に外套を羽織り、膝上丈の黒革のブーツ&ロンググローブという盗賊スタイルで決めた“土くれ”こと我らがマチルダ姐さんである。
その後から、小山のような巨体が木々を押し倒して現れる。
身の丈約4メイル、頭のてっぺんに一本角を生やし、ゴワゴワした獣毛に覆われた下半身とつま先が蹄になった脚を持つ一つ目巨人(サイクロプス)だった。
“も゛ぁ――――――――――ッ!”
サイクロプスは人形アニメ独特のカクカクした動きで逞しい両腕を振り回し、鋭い乱杭歯の生えた口を開けて野太い叫び声をあげると、マチルダを追って猛然と走り出した。
「なんでこうなるのよ――――――――――っ!」
五日前
「金がない」
開口一番マチルダは言った。
クロコダインがティファニアに召喚されてから一年と九ヶ月、森の中の一軒家で慎ましく暮らしてきた二人と一匹だったが、さすがに無収入のままではいられない。
最初は逞しすぎる鰐男を助っ人に盗賊稼業を再開しようかと考えたマチルダだったが、相談を受けたクロコダイン曰く−
「俺も魔王軍に居た身だから過去のことについてはとやかく言えんが、悪人相手とはいえ義姉が盗賊と知ったらティファニアが悲しむぞ?」
そう言われてはマチルダも考えざるをえない。
そこで考えたのがトレジャーハンターへの転身であった。
実際ひとりで盗賊稼業を続けるよりも、モンスターの徘徊する遺跡で高価なアイテムを探すほうが、クロコダインという頼もしい相棒のアシストが期待できる点で危険度は低いと言えるかもしれない。
ティファニアに留守を任せて冒険の旅に出発したマチルダとクロコダインは、イチオツの街で船を雇った。
マチルダが裏稼業の伝手で探し出した船は、空賊くずれのヤルオ船長が指揮する密輸船ニゲト号で、見るからに胡散臭そうな乗組員の姿に苦虫を噛み潰したような顔をするクロコダインだったが、マチルダは笑って言ったものだった。
「ヌルポガの森へ船を出してくれなんて言ったって、堅気の連中じゃあ幾ら積んでも絶対に首を縦に振らないからね、せいぜい寝首を掻かれないようにするさ」
はたして出発して二日目の晩、マチルダとクロコダインは船の乗組員に寝込みを襲われた。
もともと息をするように嘘をついたり裏切ったりする彼らは、誰一人生きて帰ったものはいないと言われる魔の森で宝探しをするよりも、より確実な稼ぎ−土く
れのフーケに掛けられた懸賞金−を採ったのだ。
もちろん密輸船の乗組員程度にあっさり出し抜かれるマチルダとクロコダインではなく、大立ち回りのすえ誰かが不用意に放ったファイヤーボールが硝石の樽を
直撃、ニゲト号は空中で大爆発を起こし、マチルダはレビテーションで脱出、クロコダインは燃える船とともに真っ逆様に落ちていった。
「あのくらいでワニの大将がくたばるなんてことはないだろうけどね」
全く心配していないマチルダ、というよりクロコダインの心配をする暇などなかった。
森に降り立って五分もしないうちに襲ってきたディアトリマを土のゴーレムでどつき倒す。
その後もアンドリューサルクスやエンテロドン、カリコテリウムに鈴木綾一といったケダモノ達に息つく暇なく襲撃され、魔法の源である精神力がガス欠になっ
たところで現れたのがサイクロプスである。
そして−
「ご覧の有様だよ!」
結局南極サイクロプスに捕まったマチルダは荒縄でもって一抱えもある丸太に手足を縛り付けられ、木彫りの熊が鮭を担ぐように肩に担がれて一つ目巨人のねぐらへと運ばれた。
巨大な岩を箱型に組み上げたマイホームについたサイクロプスは、マチルダを縛り付けた丸太を地面に突き刺すと囲炉裏に乾燥した小枝を敷き、火打石で火を起こす。
火が勢い良く燃え上がると、サイクロプスはいよいよマチルダの料理に取り掛かった。
左手で丸太の端を持ち、ギョロリと見開いた単眼の前にマチルダを持ってくると、右手の指を器用に操って鋭い鉤爪を襟口に引っ掛ける。
ビッ!
巨人が無造作に指を動かすと、マチルダの着衣が胸元から臍下まで一気に引き裂かれ、艶かしい大人の女の白く輝く柔肌が外気に晒される。
必死になって身を捩り、少しでも縄が緩まないものかと暴れるマチルダだったが、固く結ばれた縛めはビクともせず、少しずつ服を剥ぎ取られながらポールダンスもどきを演じるだけに終わった。
無骨な外見に似合わず慎重かつ丁寧な作業で、マチルダの珠の肌に傷一つ負わせることなく危険な美女を下着姿に剥いたサイクロプスは、マチルダのあられもない姿をひとしきり鑑賞すると、丸
太を赤々と燃え盛る囲炉裏の上に翳し、舌なめずりしながら女盗賊の炙り焼きを作り始めるのだった。
続く?
ttp://tubox.skr.jp/ch/ascii2d/src/1273243854198.jpg
相変わらずセクシーかつレトロ冒険物語ちっくでノスタルジーを刺激するお
ものすごいお久しぶりな方が!乙です
いきなり一年と九ヶ月飛んでてフイタ
おお、新着がきてるじゃねえかw
鰐の人は
最近シンドバットの冒険を観たのかな
丸焼き職人の朝は早い。
ここヌルポガの森で丸焼きを作り続けるサイクロプスのロクさんの一日は、森での食材探しから始まる。
いい丸焼きを作るにはいい材料が欠かせない。
「一番いいのは人間のメス、それも二十代前半の処女なら最高だね」
今日は運よく最高の食材が手に入った。
早速仕込みに入るロクさん。
まず食材から余分な装飾を取り除く。
この場合も単に全裸にするのではなく、ブラジャーやパンティ、ガーターベルトにストッキングの類は着け
たままにしておくのがコツだという。
続いて代々伝えられてきた秘伝のタレに漬け込む。
食材を性的に興奮させる効果のある薬草が混ぜてあり、食材をこのタレに漬けることによって、肉がほぐれ
て旨みが増すというロクさん自慢の逸品だ。
タレに漬け終わったらいよいよ食材を火にかける。
ここで丸焼きの味の大半が決まるという大事な工程だ。
ロクさんの丸焼き作りはまさに職人芸だ。
普通の丸焼きはどんなに時間がかかっても一時間少々だが、ロクさんの丸焼きは、オークの丸太にハシバミ
草で編んだ縄に縛りつけた食材を囲炉裏で炙ること約半日、じっくりと時間をかけて焼き上げる。
表面はパリパリで中はジューシー、それでいて中の肉汁が逃げてしまわないよう、常に火を当てる向きを変
えながら、全体が均一の焼き具合になるように火を通していく。
まさに匠も技だ。
集中力が途切れると火の通りが不均等になって、微妙な風味が損なわれるのだという。
この手焼きの風味だけは、いくら高性能のものが登場しても機械では出せない
「コツを掴むまでは師匠に散々殴られたよ」
こうしてじっくり時間をかけて作られたロクさんの丸焼きは、はるばるロバ・アル・カリイエから買い求め
にやって来る常連客がいるほどである。
ロクさんの現在の悩みは後継者難だという。
「手間はかかるしそう儲かるもんでもないから、後を継げとも言えんしね」
丸焼き作りに打ちこむロクさんの、日々の支えはなんだろう?
「獲物が浮かべる恐怖に引き攣った顔、これが一番だね」
「あ…熱…い……」
囲炉裏の火が、捕われの女盗賊の瑞々しい肌を、ジリジリと焼いていく。
丸太を抱える恰好で拘束されたマチルダの全身は、止め処なく流れる汗でしとどに濡れ、燃え盛る炎の照り
返しを反射して妖しく輝く。
緑の髪が、薄紅色に上気した頬に張り付いて、艶っぽく喘ぐ口元に彩りを添える。
「ふぁ…ん、く、うぅっ!」
全身に塗りたくられた焼肉のタレは、甘い香りを放つだけではなく、タレに含まれた成分が肌に浸透するに
つれ、腰の奥からとろ火で炙られるような官能の炎が立ち上ってくる。
「あ、うぁああ……っ!」
息を荒げ、艶やかな緑の髪を振り乱したマチルダが、しなやかな肢体を切なげにくねらせ、大きさと秀逸な
形を兼ね備えた二つの胸の膨らみが丸太に押し付けられてグニグニと変形する様は、なんというか温泉街の
ストリップ劇場でステージに立つその道のプロのお姉さんそのものであった。
「ふ、くぅ!あぁッ!」
艶かしい弧を描いた細い背筋に、ゾクゾクするような微弱電流が走る。
成熟した肉体に染み渡る薬効によって、とろ火で肌を焼かれる痛みまでもが快感に変換されていく。
“くやしい…でも……ビクンビクンッ!”なんて展開になろうかというそのとき−
何処からとも無く聞こえてくるオカリナの音色。
いつの間にか空には暗雲が垂れ込め、湿った風が雷雨の接近を告げている。
次第に強さを増す風に乗って流れるメロディはアブドーラ・ザ・ブッチャーの入場曲にも使われたピンク・
フロイドの名曲「吹けよ風、呼べよ嵐」
その音色に如何なる魔術的効果があったものか、オカリナの調べを耳にしたサイクロプスは美女の丸焼きを
中断し、曲に合わせて手拍子を打ち、ステップを踏んで踊り始める。
サイクロプスの岩屋の前でオカリナを吹いていたのは頭に紫のターバンを巻き、ゆったりしたローブを纏っ
た浅黒い顔の男だった。
精悍な口髭を生やし、油断のならない目付きをした濃い悪党面のその男は、操り人形のように踊り続けるサ
イクロプスを先導して崖まで誘導する。
サイクロプスは自分に何が起こったのかも判らないまま、真っ逆様に谷底へと消えた。
男はサイクロプスの転落を見届けると、岩屋へと取って返す。
半ば失神状態のマチルダは、相変わらずあられもない下着姿で丸太に縛り付けられたまま、囲炉裏わきの地
面に放り出されていた。
男はマチルダの戒めを解くと、ぐったりと脱力した女盗賊のひと欠片の贅肉も無い、それでいて適度に脂肪
のついた抱き心地満点の身体を抱え上げ、そっと地面に横たえる。
次に腰に下げた皮袋を外し、袋の口をマチルダの艶かしい桜色の唇に寄せる。
男の手が袋を傾けると、とろりとした白濁液がマチルダの口に注ぎ込まれ、唇から溢れたイカ臭い粘液が、
細い頤を伝わり糸を引いて滴り落ちる。
あまりの喉越しの悪さに激しくむせ返り、怪我の功名で意識を取り戻したマチルダに、男は怪しさ大爆発な
笑顔を浮かべ、大塚周夫の吹き替えで言った。
「もう心配ない」
笑顔も口調も込められた感情も、お世辞にも“心配ない”と言えるものではなかった。
「あんたは…一体……」
何者だ?と言おうとした途端、男の髭面がマチルダの視界から急速に遠ざかる。
「こ…の……」
一服盛られたと知ったマチルダだが、長時間火責めにされ消耗しきった体では何もできず、あっという間に
意識を失ってしまうのであった。
森の奥深くにある岩山の麓のとある洞窟に、男のアジトはあった。
男は遠い昔、偉大な王に仕える大魔法使いだったのだが、王の愛妾を巡って己が主君と諍いを起こし―これ
にまつわる長く悲しい物語が存在する―故国を追われる羽目となった。
もともと人格的には色々問題があるもののメイジとしては有能だった男は、すっかり世を拗ねて性悪になり、
数多のモンスターを恐れて近寄るもののないヌルポガの森に秘密の隠れ家を作り、ときおり周辺の町や村か
ら家畜や人間を攫っては、悪魔の所業としか思われぬ邪悪な魔法実験を続けていたのだった。
作りかけのガーゴイルやガラス瓶に入ったキメラが立ち並ぶSAN値ギガ下がりな空間に、下衆な喜悦が滲む声がする。
「ようし、来い」
玉座に座って頬杖ついた男の前に、しなやかな影が進み出る。
深い谷間を形作る豊かな胸の膨らみと、ほどよくくびれたウエスト、キュッと締まったスポーティな尻、伸
びやかな太腿から細い脛へと流れるように続く優美な曲線。
それは薬で意思を奪われ、ボンデージ風の際どいコスチュームに着替えさせられたマチルダであった。
「ワシの前に跪け」
命じられるまま床に両膝をつき、成年向け雑誌の折り込みピンナップ風に男を誘うポーズを作ったマチルダ
が、曇りガラスのように濁った瞳―所謂レイプ目―で上目使いに男を見上げる。
「く、は…」
男の口の両端が、三日月形に吊り上がった。
「くはははははははははははははははははっ!」
両手を頭上に掲げ、狂った様な哄笑をあげる紫ターバン。
「ついにねんがんのめすどれいをてにいれたぞ!」
「ころしてでもうばいとる!!」
轟音とともに入口の扉がひしゃげた。
外開き式の鉄製の観音扉を内側に押し破って入ってきたのは、重厚な鎧と黒いマントに身を包み、右手に巨
大な戦斧を提げて直立する鰐。
「待たせたな、主役登場だ」
そう、獣王クロコダインであった。
「戦えカーリ!」
男が叫ぶと洞窟内の祭壇に安置されていた六本腕の神像が、コンボイ司令官がトランスフォームするような、
ギガゴゴゴという効果音とともに動き出す。
なんだコイツはという顔で見守るクロコダインと男の間に割り込んだ神像が、六つの手の平をグッと握ると
空っぽの手の中に奇術のように剣が現れる。
「ヤツを殺せ!」
神像は六本の腕をワキワキと動かし、六つの白刃をきらめかせてクロコダインに襲い掛かった。
ttp://a-draw.com/contents/uploader2/src/up20638.jpg
ロクさんwww
駄目だ、これ見ちゃうと人間の敵なのになんか憎めねぇ。ご冥福をw
そしてようやく和仁様登場。いやー、今回ぶっ飛んでるわ
本来の主は何やってるんだとか聞くのはヤボってもんなんだろーなwおマチさんが盗み辞めてるのはいいことだけど
ブリミル暦601X年初夏
人々はひび割れた赤土に己が足跡を刻印しつつ歩いていた
酷く暑い−
古い煉瓦塀の内側に建つ壮大な<本館>の中庭で、大勢の男たちの輪の中に一人の女が立っている。
歳の頃は二十台前半、きりりと引き締まった目鼻立ちと真一文字に結ばれた鮮やかな朱唇が、意思の強さを
伺わせる。
ゆったりしたブラウスと丈の長いスカートも、世の女性全てが羨望の眼差しを送る完璧なプロポーションを
隠しきれてはいない。
腰までなだらかに流した緑の髪は絹のように細く、うなじから覗くクリーム色の肌からは、むせるような女
の色香が漂っている。
ゆっくりと、固唾を呑んで視姦する男たちを焦らすようにゆっくりと、女の指が胸元のボタンを上から順に
外していく。
しわぶき一つ聞こえない中庭で、ブラウスとスカートが白磁の肌を滑る衣擦れの音が、やけに大きく感じら
れた。
着衣を脱ぎ捨て、妖艶な黒の下着姿を白日の下に晒す女に向って、獣欲を剥き出しにした男たちの野次が飛
ぶ。
「四つん這いだ〜」
「腰くねらせろ〜上下に動け」
「もっとワイセツにミダラにやれ〜」
「いい顔しろ〜」
女は妖しい微笑を浮かべると両手を頭の後ろに組み、石畳の上に両膝をついて淫靡な曲線を描く肢体をエロ
ティックに揺すり始めた。
第二席【怒りの鰐】
ありのままに起きた事を言う!
ヌルポガの森で悪い魔法使いの財宝を手に入れウハウハで帰ってきたら、ティファがナスビになってい
た!?!(by マチルダ
「こりゃー皇帝疫だねえ」
紫色に腫れ上がり色といい形といい“まさにナスビ!”といった有様になっているティファニアの顔を濡れ
タオルで拭きながら、マチルダは心底ウンザリした口調で言った。
「皇帝疫?」
「伝染病の皇帝って言われるくらい厄介な病気さ、アタシは小さい頃に経験済みだから無問題だけどティフ
ァくらいの年頃の娘が発病するとマジで命に関わるんだよ」
「母親の形見と言っていた指輪の力で治せんのか?」
クロコダインの問いに、マチルダは大袈裟に肩を竦めた。
「この病気の何が厄介かっていうとね、うかつに回復系の魔法を使うとウイルスまで元気になっちまうのさ」
「では?」
マチルダは腰をあげると、壁に掛かっていた杖とマントを手に取った。
「薬を買いに行くしかないってこと」
その老婦人を見たクロコダインの脳裏に【妖婆 死棺の呪い】という謎のフレーズが浮かんだ。
「悪いねえエンヤ婆」
「フェフェフェ、他ならぬマチルダ嬢ちゃんの頼みではのう」
マチルダの古くからの協力者だという老嬢が歯茎をムキ出しにして、抜け落ちた歯の隙間から空気を漏らし
ながら笑うと、鋭角的に突き出した鼻先が腐肉を啄むハゲタカの嘴のように上下する。
「それにしてもまあ−」
クロコダインに向って意味ありげな流し目を送り、ニタリと笑うエンヤ婆。
「行かず後家確定かと思ってたマチルダ嬢ちゃんが意外とやるもんだねえ」
「な、なななナニ言ってんだか!コイツはそんなのじゃなくてタダのえ〜とそう、居候よイソーロー!べっ
別に人間だったらとっくに迫ってるとか!もしヤっちゃったらやっぱり生むのはタマゴなのかとかそんなこ
と全然思ってないんだからね!」
耳まで真っ赤にして自爆しまくるマチルダにじゅうさんさい。
「あと頼んだからね――――――――――ッ!!!」
羞恥で肉体のリミッターを外したマチルダは、片手でクロコダインを引き摺りながらシベリア超特急のよう
な勢いで家を飛び出す。
「若いねえ…」
静けさを取り戻した室内で、のんびりほうじ茶を啜るエンヤ婆であった。
街を見下ろす丘の上で、ヒースの木陰に寝転びながら、クロコダインは青空をゆっくりと流れる鰯雲の群れ
を見ていた。
「あの街は色々と面倒なところだからアンタはここで待っとくれ」
そう言って一人で街に入ったマチルダが心配ではあったが、初見の人間が自分の外見にどんな印象を受ける
かを考えれば、一緒に行くことで余計なトラブルを生む可能性も無視できない。
「ここは“土くれのフーケ”のお手並み拝見といくか」
つい先日、森の中で遭遇した野党の一団を、新開発の三段逆スライド式可変ゴーレムで蹴散らすマチルダの
雄姿を思い出して苦笑するクロコダイン。
その時、欠伸をかみ殺しながら寛ぐ鰐男の片方だけ生き残った目に、互いに支えあいながらのろのろとおぼ
つかない足取りで丘を登る二つの小柄な影が映った。
「では、確かに」
書面を確認したマチルダは、大きく息をついた。
これで遅くとも明後日には、皇帝疫用に特別に調整された秘薬がウエストウッド村近くの、旧サウスゴータ
公の家臣が経営する宿屋に向けて発送される。
「私どもにお任せいただければ万に一つの心配も要りませんよ」
製薬の町として知られるブラウンズヴィルを含む周囲一帯の領主であるとともに、地元で医療に携わる水メ
イジの元締めでもあるデイヴィス・トゥルーグッドは、スコーンの欠片の乗った皿と空のティーカップが置
かれたテーブルの向いで優雅に脚を組むやり手の女秘書モードのマチルダの、スカートの裾から覗く白い脹
脛に粘液質な視線を這わせながら言った。
「特に貴女のような方には今後も末永く贔屓にして頂きたい」
テーブルの上に置かれたマチルダの白魚のような指を狙って伸びてくる脂ぎった中年の掌を巧みに掻い潜り、
年季の入った愛想笑いを浮かべながらマチルダが立ち上がったその時−
窓をブチ破って飛び込んできた衛士がドップラー効果を伴った悲鳴をあげながらマチルダの眼前を通過し、
前衛的なポーズを取って壁にメリ込む。
それと同時に耳に飛び込んでくる、聞き覚えのあり過ぎるサビの聞いた声。
「ええい雑兵ごときに用は無い!料理長…じゃない、領主を呼べ!」
「あの馬鹿…」
領主の屋敷の中庭では、クロコダインが衛士を相手に大立ち回りをしていた。
といっても鋼鉄の肉体と黄金の精神を持つ爬虫類型決戦兵器とモブ兵士では、タイガー戦車とスナドリネコ
ほどの戦力差が存在する。
相手を過剰に傷付けないよう微妙な力加減をしなくてはならない分、かえってクロコダインの方が戦い辛い。
そこに領主とともに駆けつけたマチルダの仲裁によって、戦いは衛士39人が重軽傷を負い、直立歩行鰐は
鎧がちょっと凹んだだけという結果に終わった。
「で、このバカ騒ぎの原因はナニ?」
クロコダインを問い詰めるマチルダの表情は険しく、口調は刺々しい。
「うむ、先刻待ち合わせ場所の林の中でボロボロになって街から出てきた兄弟を見かけてな、訳を聞いてみ
ると病気の両親の薬を買いに来たのだが平民というだけでまともに取り合ってもらえず、たまらず文句を言
ったら袋叩きにされたうえ罰金という名目で有り金全部取り上げられたというのだ」
「それで頭にきてカチコミかい…」
コメカミを押さえて首を振るマチルダの背中に、険しい声が掛けられた。
「ミス・ロングヴィル!」
絵に描いたように不機嫌な顔をしたトゥルーグッドが大股で歩いてくる。
「その薄汚い蜥蜴モドキは貴女のペットですかな?」
「貴様−
怒りの声をあげようとしたクロコダインの両顎を、女盗賊の腕がガッチリとホールドする。
実はワニは口を閉じる力は強いが開ける力はショボイ(by エクセル・サーガ)
「ここで下手を打ったらティファの薬がパアになっちまうんだよ!この場はアタシが収めるからアンタは何
もするんじゃないよ!」
クロコダインに釘を刺したマチルダは深呼吸をして気持ちを切り替えると、男の性欲中枢を直撃する取って
置きの微笑を浮かべてトゥルーグッドに向き直った。
「大変なご迷惑をお掛けしてしまい誠に申し訳ございませんでした、お詫びといってはなんですが…」
トゥルーグッドが何か言うよりも早く傍らに寄り添い、ピタリと身体を密着させたマチルダが、それ自体が
愛撫であるかのようななめらかな声で何事かを耳打ちする。
「ナニ?貴女がこの場で白昼ストリップ&全裸ムチ打ち受けるから許してやってくれ?フム、そこまで言う
のなら、というかゼヒそうしてくれ」
ttp://tubox.skr.jp/ch/ascii2d/src/1274450824544.jpg
874 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/23(日) 13:09:13 ID:LacjUiso
なんだ今の背景ww
ごまりさん?
半裸のヒュンケルさんはまだですか
どういうわけか半裸のキュルケさんに見えた
キュルケはいつも四半裸みたいなもんです
本当にお久しぶりです
問題なければ21:40頃から最新話を投下します
虚無と獣王
31 サンドリオンと獣王
宴が終わり、ルイズはメイドの案内で客室へと向かった。
明日は敵の侵攻前にウェールズから秘宝を預かった後、マリー・ガラント号で脱出する手筈になっている。
普段ならまだ起きている時間ではあったが、まさか寝坊する訳にもいかない。早めに横になるべく服を脱ぐと、ルイズはベッドへ潜り込んだ。
ほんの1週間前まで、自分がこんな事態に巻き込まれるなんて思ってもみなかった。
以前アルビオンに来た時は家族と一緒だった訳だが、彼らに6000年続いた国の終焉に立ち会う羽目になった事が知れたらどうなるだろうと、ルイズの脳裏にそんな考えが浮かぶ。
カトレアはきっと心配するだろう。動物たちに囲まれながら、無理をしてはいけませんよと優しく嗜める姿が目に浮かんだ。
エレオノールはなんで無謀な事に首を突っ込むのちびルイズなどと言いながら、ほっぺたを引っ張ってくる気がする。たぶん心配はしてくれているのだろうが。
両親については、正直想像がつかない。父も母も2人の姉も、例外なく強い力を持つメイジなのに、自分だけが魔法を正しく発動できない落ちこぼれである。
そんな娘が戦場に赴いたのを一体どう捉えるのだろうか。
詳しい事情はマザリーニかオスマン学院長から説明されるのだろうが、貴族として正しい行動だと、そんな風に思ってくれるだろうか。
心配をかけたくないという気持ちと、心配してくれるだろうかとという気持ちと、そんな矛盾する思いを抱えながら、いつしかルイズは眠りに落ちていった。
トリスタニアのヴァリエール別宅では、ここしばらく満足に寝ていない男たちが集まりつつあった。
その内の1人であるグラモン伯爵は、玄関で待っていた侍従から自分の到着が最後だと聞き、内心参ったなと思う。
ただでさえ約束の時間に遅れているというのに自分が最後という事は、嫌味の3つや4つは覚悟しておかねばなるまい。
もっともそんな思いは全く表に出さず、伯爵は優雅な笑みを浮かべつつ応接室に入ると「で、どうなってる?」と尋ねた。
ははは貴様の到着待ちだったというのに何様だ貴様、と獰猛な笑顔を浮かべる邸の主、ヴァリエール公爵の目の下には隈が浮かんでいる。
ただでさえ煩雑な公務に加え、今回の件で秘密裡に色々と動き回らなければならず、更にわずかな睡眠時間も目に入れても痛くない末娘の事が心配で心配で碌に休めてなどいなかったのだ。
「ワルド子爵がアルビオン貴族派と繋がっているという事実は、残念ながら浮かんではきていません」
そう報告するのはこの国の事実上の宰相であるマザリーニである。
こちらも調べ物+日頃の激務のお陰で、お世辞にも顔色が良いとは言えない状態だった。
「まあこんな短時間ではな。向こうも馬鹿じゃない限り足跡を残すような真似はすまい」
「私もそう思っていたのですがね、実は別方面で面白い事が分かってきました」
公爵の言葉に答えるマザリーニの顔には、うっすらと笑みが浮かんでいる。
「どうやら彼は、役職を利用して不正を働いている輩について独自に調べを進めていたようなのですよ」
「おいちょっと待て、そりゃあ一体どういうこった。それじゃあまるで……」
「我々がしようとしている『大掃除』を、ジャン・ジャックも考えていたと?」
アンリエッタ姫がゲルマニアに嫁ぐ際の混乱に乗じ、他国と接触するであろう獅子身中の虫を一網打尽にする計画を彼らは立てていたのだが、ワルドも似たような行動を取ろうとしていたのだろうか。
「そこまでは分かりません。単に彼らの弱みを握ろうとしていたのかもしれませんしね」
もっとも日頃から不正に対して憤りを感じていた様ですから、その可能性は薄いでしょうがとマザリーニは肩をすくめた。
「では、こちらからも分かった事を報告しておくかの」
言葉を続けたのは、今まで無言でワインを口に運んでいたオールド・オスマンである。
「まず例のアルビオン王党派の裏切りに関する件じゃが、該当しそうなマジック・アイテムがひとつあった」
ほう、と相づちをうつ元教え子たちに、オスマンは最近はめっきり教壇にも立っていないのう、と思う。
「ラグドリアン湖の主、水の精霊が所有する秘宝『アンドバリの指輪』、おそらくはそれが此度の叛乱劇の影に存在しておる」
「よりにもよって我が国から流出したマジック・アイテムですか……」
「それが本当なら確かに問題ですが、間違いないのですか? 水系統のアイテムなら他にもありそうなものですが」
頭を抱えそうになるマザリーニの横で、公爵が眉をひそめながら尋ねた。
「わしもそう思って色々と伝手を当たってみたんじゃがの、どうやら最近ラグドリアンの水かさが急激に増してきておるらしい」
齢100とも300とも言われるオスマンである。長い間魔法学院に勤めているのもあって、そのコネクションは多岐に渡っている。
「そのような報告は私のところには上がってきておりませんが……」
「あそこの領主は前に不祥事起こしたとかで交代してなかったか?」
「代々モンモランシ家だったんだがな。新しい領主が報告を怠っているのか、あるいは事態を把握していないのかもしれん」
その件に関しては、結局原因は不明なのだがともかく水位の変化があるのは確かなので、早急に確認が必要であろうという結論になった。
「さて、その『アンドバリの指輪』が使われているとして、こちらに対抗手段などはあるのですかな」
操られている者たちを正気に戻せるのなら、レコン・キスタの優位性を消す事ができる。
しかし、そんなマザリーニの問いにオスマンは首を横に振った。
「そうじゃなあ、相手はエルフの様に超強力な先住魔法を使っている、と言えばいいかの。ぶっちゃけ死者すら偽りの生を与えて思いのままに動かすなんて話じゃ、対抗手段はないに等しい」
「できるだけ指輪持ってる奴には会うなって事だな。打つ手がねえってレベルじゃねえぞオイ」
伯爵が呆れた口調でぼやく。
「実はもう1つ興味深い話があるんじゃがの」
「厄介な話では無い事を祈りますが、一体なんです」
「王立図書館の司書から聞いたんじゃが、どうもワルドはあそこの常連らしい」
グラモン伯爵は首を傾げた。
ワルドはグリフォン隊に入ってから、任務の他に暇さえあれば腕を磨くと称してオーク鬼を狩りに行ったり複数のメイジに単独で挑む訓練をしたりしていた筈である。
とても図書館に通う時間があったとは思えなかった。
そんな伯爵に公爵はあっさりと言い放つ。
「遍在だろう」
妻が風のスクエアであるせいか、そのからくりに思い至るのも早かったのだ。
一方マザリーニは思い当たる節があった様で、頷きながら尋ねる。
「老師、ひょっとして彼は聖地についての文献を読んでいたのではありませんかな。私が彼と接触した後、幾度か質問された事があるのですが……」
「正解じゃ、褒美はないがの。聖地がらみの本は偽書扱いのものまで読み耽っていたそうじゃよ。最近では始祖やその使い魔関連のものにまで手を伸ばしていたらしいが」
しかしよくそんな事まで調べましたな、と感心しきりのマザリーニに、オスマンは当然じゃよと鼻を高くした。
実を言えば司書のリーヴルへのナンパついでにふとワルドの事を思いつき聞いてみただけで、しかも利用者のプライベートについて語りたがらない彼女の代わりに答えたのは使い魔のペンギンだったりしたのだが。
もっとも、その無駄に渋い声の使い魔が報酬に鶏のフライを要求してきたのには流石のオスマンも驚いたものである。つか共食いと違うのかそれと思わず突っ込んだものだ。
美味ければそれでいいだろう? と返されたのでそれ以上はなんかもうどうでもよくなってしまったが。
「じゃあ次はこっちの番だな。一応グリフォン隊の連中は飲み潰しておいたぜ。監視はつけてあるが、あの調子だとすぐには起きられないだろうよ」
『魅惑の妖精』亭へ繰り出してどんちゃん騒ぎをさせたという伯爵を、オールド・オスマンは親の敵の様に睨み付けた。
想定の範囲内だったので他の3人はあっさりスルーしたが。
「飲みの最中それとなく探りを入れてみたんだがな、どうもアルビオンの貴族派と繋がってるようには思えなかったぜ」
本当かよ、お前率先して若いねーちゃんに粉かけててそんな探りなんて入れてたとは思えんのだが。
そんな言葉が喉まで出掛かる公爵たちであったが、ここでそんな事を言っても仕方がないとなんとか飲み込んだ。
「まあ2・3日は監視付きで軟禁させてもらいましょう。件の指輪で操られていないとも限りません」
場合によってはグリフォン隊を解散させる必要もあるとマザリーニは考える。その後の対応については敢えて考えない事にした。例えどんな流れになっても苦労するのは自分だと身に沁みて分かっていたからである。
「では私の番か。流石にアンリエッタ姫の降嫁の影響は大きい様でな、ようやく大物が尻尾を出してくれたぞ」
そう切り出したのはヴァリエール公爵であった。
正確には件の大物の手下や取引相手が尻尾を出したので、芋ずる式に黒幕が判明したのである。
「では、やはり?」
「ああ、高等法院の長さ。国内からの賄賂も大概だったが、ロマリアとは相当結びつきが強いようでな。今回の件ではそれなりに動揺したのか、動きが掴みやすかったぞ」
「リッシュモン卿は今回の本命でしたからな。せっかく手に入れた鬼札です、有効に使わせて貰いましょう」
聖職者らしからぬ悪い笑顔を浮かべるマザリーニに一同は苦笑した。
「それで、他には誰かいなかったのか? リッシュモンでこうなら下っ端クラスはもっと大慌てだろうよ」
「ああ、面白いくらい大慌てだったな。ただそんな連中を残らず罰していてはこの国の実務が廻らん。リストアップと監視は必要だが、ここは大物を並べて切り倒しておけば暫くは大人しくしているだろう」
王の死去以降、トリステインの腐敗は公爵らの想像以上に進んでいた。本当なら不正を働いていた貴族などこの際に一掃しておきたいのが本音なのだが、そうも行かないのが現実である。
「ところで応援に行った『サンドリオン』殿から何か連絡はありましたか?」
マザリーニの問いに、公爵は首を横に振った。
「昨日の今日だからな、まだ何も連絡はない。余裕があるならこちらに『遍在』でも飛ばすのだろうが……」
その言葉を聞いた事実上のトリステイン宰相は難しい表情を浮かべる。
「ラ・ロシェール辺りの船乗りたちの話ですが、どうやらアルビオン貴族派のフネの動きが普段以上に活発化してきているようです。いよいよ総攻撃が近いのではないかと」
その噂が本当だとすると、これまでの予想では何日かの余裕があったルイズらのアルビオン行にかなりの問題が生じる事になるのだ。
大人たちの顔が厳しくなるのも当然と言える。
「……なんにせよ、もう時間も遅い。今後事態がどう転ぶか想像もつかないが、いざという時に動けなくては話にならないだろう。そろそろお開きにしないか」
ヴァリエール公爵の提案に、他の3人は顔を見合わせた。
「……そういやグリフォン隊の連中に聞いたんだがよ、なんでも今日の昼過ぎからアテナイスのヤツが姿を消したらしいぜ? 心当たりはありませんかとか言われちまったよ」
グラモン伯爵が言うアテナイスとは、魔法衛士隊に古くからいる老成したマンティコアの事である。人語を解し魔法すら扱える恐るべき幻獣だが、最近は老齢を理由に任に就く事は少なくなっていた。
「まさか筆頭公爵家の首都別邸の裏庭に件のマンティコアがいるなんて事はなかろうな? ここのメイドに旅支度とかさせとったら只じゃおかんぞマジで」
オールド・オスマンのこの台詞は元教え子を心配しているのか、それともうら若きメイドに頼み事ができる元教え子に嫉妬しているのか、いささか判断に迷うところではある。
「昔のようなやんちゃは本当に勘弁して下さい。前にも言いましたが、ここで貴方に何かあればこの国は立ち行かなくなりますし、何より私が倒れますので」
内容的には冗談のようにも見えるのだが、ここ数日の激務のせいで目に隈を作っているマザリーニに真顔で言われると、何をどう考えても本気だとしか思えなかった。
「……そう口々に言わなくても解っているさ。そもそもアテナイスは偶々王城で見かけて『たまには出歩きたい』と言われたから連れて来ただけで、アルビオンへ単騎駆けしようなどとは思ってもいないとも」
爽やかでありながらどこか棒読み口調の公爵に、マザリーニらは揃って杖を出し、異口同音に『眠りの雲』の呪文を唱えたのだった。
水平線の向こうの空が白みかけ、太陽がその姿を出し始める頃、クロコダインらはようやくアルビオンらしき小さな影を目視で確認していた。
正確には視力に優れたシルフィードとワイバーンが他の面子に浮遊大陸の発見を知らせていたのである。
「このままなら、昼までにはなんとかできるか」
クロコダインは到着予想時間をそう見積もったが、実のところこれはかなりの希望的観測であった。
なにせルイズたちが現在どこにいるかも定かではないのだ。貴族派の妨害は勿論の事、下手をすれば警戒しているだろう王党派からの攻撃すら考えられる。
自分ひとりならまだしもギーシュやタバサが同行している以上、できる限り安全策を取りたい。
二人の力を侮っている訳ではないが、自分のようなモンスターをまるで人間のように扱ってくれる気のいい者達である。無傷で済むならそれに越した話はない。
特に今『魔法の筒』の中で休んでいるタバサは、本来この任務とは無関係の立場なのだ。
ルイズやキュルケ共々、何事もなくトリステインまで帰すのが己の役目だとクロコダインは思っていた。
「きゅい!!」
突然、斜め後方に首を巡らせたシルフィードが警戒の声を上げた。
「ど、どうしたんだい? 敵襲!?」
ウトウトしていたギーシュが慌てて周囲を見渡す。
「何か小さいものが凄い速さで接近しているようだ。少し予定よりも早いが、タバサに出てきてもらって確認を頼もう」
デルパの掛け声と共に現れた蒼い髪の少女に短く現状を告げると、彼女はすぐに『遠見』の魔法を使った。
「……マンティコアに乗った騎士。2人いる様に見えるけど、多分片方は遍在」
全く同じ姿をしているから、というタバサの報告にクロコダインは警戒の度合いを高める。
現時点では敵か味方か判らないが、ラ・ロシェールの桟橋で戦った白仮面のメイジの事を考えると油断は禁物だった。
「ギーシュ、今のうちに『魔法の筒』の中に入っておいてくれ」
「ちょっと待ってくれ、僕は戦力に入らないのかい!?」
少年らしい抗議に、クロコダインは苦笑しながら答える。
「お前の得手は『土』だろう。地上なら頼りにするところだが、ここではいささか不利ではないかと思ってな」
確かに空中ではアース・ハンドやアース・ブレイドで敵の足止めは出来ないし、ワルキューレを創造するにしてもゴーレムは飛べないのだから意味がない。
「わかった、でもせめてこれくらいは手伝わせてもらうよ」
ギーシュが造花の薔薇を一振りすると、花びらの1枚が青銅製の手斧に変化した。
「ラ・ロシェールで斧を無くしてしまったと言ってただろう? これはその代わりさ。『固定化』と『硬化』もかけておくよ」
最初にギーシュが作った格闘練習用の斧は、先の戦いで仮面の男に投げつけてしまっている。周囲を探せば見つかったかもしれないが、時間がなくそのまま放置してしまっていた。
クロコダインが「恩に着る」と告げる間にも、マンティコアに乗った正体不明のメイジはこちらへの距離を驚異的なスピードで縮めてきている。
『フライ』でシルフィードの背へと移ったタバサは口の中でウィンディ・アイシクルの呪文を唱え始めた。
同時にグレイトアックスを構えたクロコダインはいつでも真空系呪文を唱えられる様に身構える。
ギーシュは安全な『魔法の筒』の中へ避難したが、フレイムやヴェルダンデには有効な攻撃手段も防御の術もない。
ワイバーンも風竜程には機動力が高い訳ではなく、敵の攻撃を避けるのは難しい上、無理に飛び回ればフレイム達が振り落とされてしまう。
そこでグレイトアックスの真空系呪文を応用した風の防壁が生命線となるのだった。
もっとも、彼らの迎撃準備は結果として不発に終わる。
近づいてきた謎のメイジは魔法を使わずとも見える距離まで来ると、スピードを落として『遍在』を解除、更に害意がないのを示す様に杖を収めた状態で両手を軽く上げてみせたからだった。
正直なところ、サンドリオンの心中は穏やかなものではなかった。
マザリーニやオールド・オスマンからルイズの使い魔の容姿を詳しく聞いており、またフーケからは途中で合流したものと思われる風竜に乗った少女たちの情報を得ていた為、遠見の魔法でワイバーンと風竜を見つけた時は少なからず安堵していたのである。
しかし、肝心要のルイズ及び裏切り疑惑の濃いワルド子爵の姿が見えないのが近づくにつれ判ると、一度は安心してしまっていた反動もあってか、不安は加速度的に増加していった。
クロコダインもマントは黒く焦げ付き、その鎧も一部罅が入っていたりと明らかに戦闘を経ているのが一目でわかる。
相手がこちらを警戒するのは無理もない、というより当然の話であったのだが、ここで攻撃された場合喜ぶのは敵ばかりだ。
故に杖を納め攻撃の意志がない事を示した訳だが、相手がそれに乗ってくれたのは幸いであった。
味方同士で争うなど無益にも程がある。
「我が名はサンドリオン、オールド・オスマンからラ・ヴァリエール嬢の護衛を依頼され参上した。そちらは公爵令嬢の使い魔殿とお見受けするが?」
「如何にも。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが使い魔、クロコダインと申す」
一見すると人語を解するとは思えぬ鰐頭の獣人が流暢に主のフルネームを喋る様は、かなり堂に入ったものであった。
泰然とした態度と言い、ルイズが姉宛ての手紙に『その性質は武人の如し』と書いていたのも頷ける。
サンドリオンがそんな事を考えている間に、クロコダインは『魔法の筒』からギーシュを解放していた。
「こちらのメンバーは見ての通りだ。ルイズ、キュルケ、ワルド子爵の3名はフネで先行している。おそらくアルビオンへは既に上陸しているだろう」
その情報にサンドリオンは危機感を覚える。もしワルドが本当にレコン・キスタと通じているのなら、この状況を見逃す訳がない。
「ワルド隊長には現在トリステインからの離反の嫌疑が掛けられている。とにかく先を急ごう、詳しくは飛びながら話す」
この先はレコン・キスタの軍勢が包囲網を敷いている筈であり、本来なら慎重な行動が求められるのだが、そんな悠長な事をしている状況ではなさそうだった。
夜が明けるかどうかという時間にルイズは目を覚ました。
というより、脱出を前にしているせいか眠りが浅かったのである。
この後はワルドと共にウェールズから風のルビーと始祖のオルゴールを礼拝堂にて受け取る事になっている。
キュルケにはその間に他の荷物をもって『マリー・ガラント』号へ向かって貰う予定だった。今更な話ではあるが、そもそも彼女は部外者であり、トリステインの民でもないのだ。
本人もその辺りの事は充分認識しているらしく、昨晩打ち合わせた時にはあっさり承知したものだった。
普段なら「じゃあわたしも同行するわ」などと天邪鬼な発言でルイズ弄りをするのだが、流石に空気を読んだのだろうか。
着替えを済ませると同時に、控えめなノックの音がした。
キュルケはノックなどしない、というか『アンロック』で勝手に入ってくるタイプの人間なので、扉の向こうにいるのはおそらくワルドだろう。
急いでドアを開けると、そこにいたのはルイズの予想通りワルドの姿だった。魔法衛士隊制服に身を包んだ姿は、婚約者の贔屓目を差し引いても颯爽としている。
「やあ、おはようルイズ。準備はできたかい?」
「わたしはいいですけど、キュルケがまだ来てないの。荷物を預けないと……」
「あら、呼んだ?」
噂をすれば影というわけでもないのだろうがが、タイミングよくワルドの後ろから顔を出したのは件のキュルケだった。
こちらはルイズと同じく動きやすい平服を着ている。
「おはよう、ミス・ツェルプストー。『マリー・ガラント』号へはもう非戦闘員が向かっているから、そちらへ合流してくれたまえ。僕たちはすぐに礼拝堂へと向かう」
殿下をお待たせする訳にはいかないのでね、という言葉にルイズは慌て、キュルケは肩を竦めた。
キュルケを見送った後、2人は礼拝堂へと歩を進める。
ワルドは昨日よりも言葉少なで何か考え事をしている様にも見え、ルイズとしては話しかけるのも憚られる感じではあった。
(やっぱりワルド様も緊張されているのかしら)
少し違和感を感じはしたものの、彼女はそれを気のせいだと思う。
そもそも婚約者とはいえ10年も会っていなかった訳で、ここ数日の様子だけで相手の心情を正確に読み取るなど出来るはずもない。
だが、この時のこの判断を、ルイズは後悔する事になる。
以上で投下終了です
読んでくださった方や、前回感想をくださった方、ありがとうございました
次回は3ヶ月も間が開くことはないと思います
最速で乙と言わせてもらうぜ!w
乙〜
乙です〜
新話が来るたびに1から読み直してるが、相変わらずの面白さだなあ
で、読み直しててふと思ったんだが
クロコダインって尻尾を利用した攻撃はしたことあったが、噛み付いたことって無かったよな?
すげえ強そうなんだが・・・
おつおつ。
虚無獣が来た!
これでもうしばらくは戦える!!
このスレってクロコ的な意味でも年齢的にもおっさん率が高いな
サイトくらいの年齢のキャラが召喚される話は難しいんだろうか?
12歳:ダイ
14歳:レオナ
15歳:ポップ、メルル、スタングル
16歳:マァム、ノヴァ
18歳:エイミ、バロリア
20歳:マリン、でろりん、アポロ
21歳:ヒュンケル
22歳:ラーハルト、ずるぼん
つまりノヴァ召喚ですね
ノヴァ老け顔だな
アレか、実は剣で生命力吸われた副作用が登場時からあったのかw
たしかチウが10歳前後で一番年下なんだっけ
アルビナスたちは0才だが…
ワニが二作とも来てるとは!
お二人とも乙です。
で、いきなりなんだけど鰐男-07の画像ってまとめにないけどもう見れないの?
本文中にはbmpがあるけどものが見れない…
901 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/06/02(水) 05:36:49 ID:D00x33Fb
ゆうて いみや おうきむ
こうほ りいゆ うじとり
やまあ きらく ぎゅうう
ううう ううう うううう
ううう ううう うううう うう
獣王の人、乙です。
ぬうん、ワルドがウェールズ暗殺をやめにして生存フラグを立てたかと思えば、今回で死亡フラグが一気に2〜3本立った気がする。
ここのワルドはいいキャラしてるから、なんとか残ってほしいなぁ。
ヒュンケルを頼む・・・半裸のヒュンケルを・・・・・・
904 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/06/07(月) 22:03:46 ID:dCfJOwaf
ルイズの後悔って何だろう?
深読みは不要かな(普通に殿下死亡かキュルケ重症?)
獣王は基本ギャグタッチだからシリアスモードは緊張するな
ヒュンケル召喚は小ネタならあるけど続けるのが難しそうだ
アバンの使徒でルイズと相性がよさそうなのは誰なんだろ
相性で考えたらアバン先生本人しか思い浮かばん
鉄板ではあるなw<アバン先生
アバン先生はワイルドカードっつーか最終兵器っつーか
クロコダインは鍋料理にされて
余った皮はハンドバッグにされますた
アバン先生と相性が悪い奴なんてキル並の極悪人か、アバン先生の愛嬌が苦手な生真面目タイプぐらいしか思いつかない
使い魔的にもアバン先生はガンダールヴ以外でもどれでも相性良さそうだ
ガンダールヴも相手しだいでは相性よくない?
通常のゼロ魔世界ならオーバーキルもいいところだけど
他に召喚された使い魔しだいではアバン先生でも対処しにくいだろうしね
(最終戦闘後に落下中召喚されたバーン様を連想しつつ)
俺最近ゼロの使い魔のラノベ集めてるんだけど
あんまりルイズが好きじゃない…
アンリエッタはあんなにかわいいのにねぇ
やっぱ女は性格だなw
ルイズはアホの子可愛いの類だから
アン様はダメな子可愛い
まあゼロ魔はツンデレが売りですから
つん、つん、でれつん、でれつんつん♪
>>916 よざくらしじゅうs(ry
ヒュンケルが良いと僕は思いました。
そういえばダイダイには典型的なツンデレっていないな
そりゃその手のキャラって旧来人気が有った訳じゃなくて
判りやすいテンプレ化してから猫も杓子も真似して入れてる見たいな物だから
ハドラーとかヒムじゃね?>ツンデレ
バランだろ。思いきり悪意を交えて意訳すると
「勘違いしないでよね!大魔王を撃つ為であってあんたら(人間達)の為なんかじゃないんだからね!!」
的なこと言ってるし
ポップは良いツンデレに見える
気の迷いだ
ヒネてるようでいて、奴は正道を歩く男だ。
保守
次スレは980か、まだ先だなw
お久しぶりです
0:50頃から投下を開始します
虚無と獣王
32 『微熱』と獣王
礼拝堂のステンドグラスの下で、ウェールズは物思いに耽る。
今頃浮遊大陸の近辺には『レキシントン』号を筆頭に多くのフネが集結し、総攻撃の時間を待っている事だろう。
敵は5万、味方は3百。
どう考えても勝ち目はない。
しかし、死を前にした彼の心は、自分でも意外なほど落ち着いていた。
どんな人間にも寿命があるように、国というものにも命数が存在するのかもしれない。
もっともそれが今日であるなどとは、1年前には想像だにしていなかったが、運命なんてものは多分そんなものなのだろう。
心残りがないと言えば嘘になる。しかし自分が勇敢に戦った事は、あの優しい使者の少女が想い人に伝えてくれるに違いない。
ルイズにとって、その伝言はおそらく重荷となってしまうだろうが、彼女にはそれを乗り越える強さがあるとウェールズは感じていた。
もっとも、長年使えてくれた部下たちが次々と裏切る中、会って一日も経っていない他国の人間を信頼するというのも皮肉な話ではあったが。
ルイズがワルドと共に礼拝堂へ赴くと、そこには既に空軍大将の制服に身を包んだウェールズがいた。
「やあ、おはよう。こんな早い時間に呼び立ててすまないね、ラ・ヴァリエール嬢、それにワルド子爵」
笑みを浮かべる王子に、ルイズは慌てて頭を下げる。
王族を待たせてしまったのではとしきりに恐縮するルイズであったが、ウェールズは別に気にする様子もなかった。
「さて、名残惜しいが時間の余裕がある訳でもない。要件は手早く済ませるとしよう」
そう言って彼は傍らに置いてあった二つの小箱を手に取った。
一つは手のひらに収まるくらいの箱で、中には大きな宝石のついた指輪が赤い絹に包まれている。
昨日、ウェールズが身につけていた風のルビーだ。
もう一つの箱は40サント程の大きさで、中には装飾の入った木製のオルゴールが、同じく柔らかな絹に覆われていた。
「ウェールズ様、これが……」
「ああ、これこそがアルビオン王家伝来の秘宝、『始祖のオルゴール』だ」
とはいえ、昨日も言った様に動くのに鳴らないおかしなものだがね、とウェーズは肩をすくめてみせる。
王族らしからぬ所作ではあるが、『イーグル』号での部下とのやりとりからしても、どうやらこの若者は随分とフランクらしい。
「──確かにお預かり致します」
目に見えて緊張しながら、ルイズは恭しく二つの秘宝を受け取った。
「よろしく頼む。私の日記には『始祖より賜りし秘宝と共に天へと帰らん』などと記しておいたからね、連中が読めば暫くはごまかせるだろう」
レコン・キスタがウェールズの日記を読む保証はないが、始祖の秘宝を含め財宝の類を捜す確率は高く、その際王子の手記に目を通す者がいてもおかしくはない。
実際の所、持ち運べるサイズの芸術品や宝石などはとっくに避難する非戦闘員に分配済みだった。
わざわざ敵にくれてやる必要などないからだ。
逆に言えば、味方の軍資金として使う必要がない、つまりはこの戦いでメイジたちは全員討ち死にする覚悟だという事でもある。
昨夜の会談でウェールズに亡命の意思がないと痛感していたルイズは、せめて笑顔で別れを告げようと想った。
これから勝ち目のない戦いに赴く親友の想い人に何を背言うべきか迷い、それでも何とか口を開こうとした瞬間。
礼拝堂へ入ってから一言も言葉を発していなかったワルドが、初めて口を開いた。
「プリンス・オブ・ウェールズ──その命、貰い受ける」
ウェールズは一瞬何を言われたのか把握できず、しかし恐るべき速さで紡がれた『ブレイド』の呪文がワルドの杖剣の周囲に風を集めたのを目の当たりにして我に返った。
「子爵、君は……!」
風の防壁を紡ぐ余裕はない。それでもウェールズは身を捻って初撃をかわそうとする。
だが、ワルドのブレイドはその動きを見越したかのように彼の左胸へと突き出された。
婚約者の突然の凶行に、ルイズは茫然とする。
目の前の出来事を確かに見ているのに、思考も感情もそれに追いつかないでいるのだ。
それでもワルドが一足飛びにウェールズへと駆け寄り、杖剣を突き出した時は、我知らず悲鳴を上げてしまった。
「ウェールズ様!」
次の瞬間、まるでその声に呼応するかのように、礼拝堂の外から大人の頭ほどもある炎の塊がワルドめがけて飛び込んできた。
対してワルドは二つ名に恥じぬ速度で風の防壁を編み上げ炎を脇へと逸らしたが、その代償としてバランスを崩し、心臓を貫く筈だった『ブレイド』はウェールズの左肩を抉るに留まった。
肩を押さえながら素早く後退する王子を視線に収めつつ、ワルドは扉の向こうに立つ乱入者に感情のこもらぬ声で話しかけた。
「……君はもうフネに乗り込んでいると思っていたのだがね、ミス・ツェルプストー」
「良い女は時として気まぐれなものですわ、ミスタ・裏切り者」
荷物を背に不敵な笑みを浮かべながら、キュルケは油断なく次の一手を高速で考えていた。
相手は風のスクエアメイジ、しかも軍人である。
癪ではあるが、火のトライアングルとはいえ学生の自分が正面切って戦っても勝ち目は薄い。
只でさえ風と火では相性が悪いと先日の授業で思い知らされたばかりである。
故に、キュルケはその授業の後から考えていた策を使う事にした。
負けず嫌いの彼女はギトーに一泡吹かせてやろうと思っていたのだが、明らかに彼よりも格上で、なおかつ気に入らない事この上ないワルドなら相手にとって不足はないし、何より気に入らない男なので遠慮も必要ない。
こちらを敵と見なしたワルドが詠唱を始めるのに続き、キュルケもある呪文を唱える。
そして後から唱えたにも関わらず、呪文の完成は『閃光』の異名を持つワルドよりもキュルケのほうが早かった。
それもその筈、彼女が唱えたのは火系統魔法でも基礎中の基礎、ドットスペルの『発火』だったのである。
蝋燭に火をつける程度の魔法だが、その分呪文は短い。
そしてそんな弱い呪文が、ワルドの詠唱を中断させる事に成功していた。
何となれば、その小さな火はワルドの右目から2サントほどしか離れていない場所に出現したからである。
さしものワルドも目の前に火が生まれれば反射的に避けようとするし、集中力も乱れる。
これこそがキュルケの策であった。
ギトーと戦った折、キュルケは自分の杖先に巨大な炎を生み出した上で相手に向けて飛ばし、結果として跳ね返されている。
今思えばバカな事をしたものだ、とキュルケは思う。
わざわざ敵に向けて飛ばすから防御の時間を与えてしまうのである。
魔法は術者の感情やイメージに左右される部分が大きいのだから、対応する暇もない位置に術を発動させればいいではないか。
彼女はそう結論付け、そして実践したのであった。
ニューカッスルの城の位置はサンドリオンが承知していたので、クロコダイン一行はレコン・キスタの艦隊に注意しつつ先を急いでいる。
その中で、『青銅』のギーシュは、それはもうガッチガチに緊張しまくっていた。
麗しのアンリエッタを前にして、ほとんど脊髄反射的に今回の任務に志願してしまった彼だが、その時は落城寸前のニューカッスルへ突っ込む事態になるなど思いもしなかったのだから、まあ無理もない話ではある。
しかし、横に並ぶ自分よりも年下で、自分よりも事情を知らない筈のタバサはいつも通りの無表情であった。
これでは自分がおたおたしていては格好がつかない、とギーシュは思う。
斜め前を飛ぶマンティコアに騎乗したサンドリオンと名乗る謎の人物は、顔の下半分を覆う仮面のせいでその表情は伺い知れなかったが、傍目には全く動じていないように見えた。
ギーシュは実のところ、このメイジをかなりうさんくさいと感じている。
まずワルド子爵が裏切り者の可能性があるというのが信じられない。
クロコダインやタバサはそれなりに納得していたみたいけど、学院の女子制服をミニスカセーラー服にするという使命を帯びた彼が裏切りなどする訳がないじゃないか。
大体なんなんだあのサンドリオンというのは。
胸を見れば自分と同性なのは明らかなのに、腰から尻へとかけたラインは妙に艶めかしくてドキドキしちゃうだろ!
ええい、僕にはそんな趣味はないのに全くもって実にけしからん!
あまりじろじろ見てると、根拠はないがなんだかひどい魔法で吹っ飛ばされそうだから気をつけてるけど!]
とまあ緊張はどこか砂漠を越えて東方まで行ってしまったのではないかというギーシュの内心であった。
やや落ち着きを取り戻したギーシュは、後ろに控えるクロコダインの事を考える。
彼にとって、この鰐頭の獣人は強さの象徴であった。
知り合ってまだ一月も経っていないが、同級生たちと束になっても全然歯が立たず、あろう事か30メイル級のゴーレムを単独で粉砕してしまう規格外としか言い様のない力を持ちながら、決して驕らない。
そんな性格のクロコダインに、ギーシュは好意を抱いていた。
だからこんな状況下でも、彼は泰然と構えていると半ば確信していた訳だが、振り返ったギーシュは掛け値なしに驚く事になる。
クロコダインは片目を押さえながらその身を細かく震わせていたのだ。
「ど、どどど、どうしたんだねクロコダイン!?」
ルイズが乗り移ったかの如くどもるギーシュの質問に答える余裕は存在しなかった。
自分がまだ人間と敵対していた頃、驕りと油断から手痛い一撃を喰らい、二度と光を映す事は無い筈の左目に、目の前の光景とは異なる何かが浮かびつつあったからだ。
その目に映ったのは、立ち止まらずに何者かに向かって呪文を唱え続ける赤い髪の少女だった。
その目に映ったのは紅く染まった肩を押さえ血の気の引いた顔で何者かを睨みつける金髪の青年の姿だった。
直感的に、これは主であるルイズが見ているものだとクロコダインは理解する。
何らかの要因で彼女の視覚が己と同調したのであろう。
そして、同調しているのは視覚だけではなかった。
今のルイズの感情が、クロコダインの身を震わせているのである。
驚き、悲しみ、絶望、疑心、恐怖、後悔。
そして何より彼を震わせているのは、助けを求めるルイズの心の声であった。
召還される時に、鏡のようなゲートの向こうから感じたそれとは比べ物にならない程の、悲鳴じみた『声』。
そんな『声』を出させている原因は一体なんなのか。
クロコダインは次の瞬間それを知る事になった。
ルイズが視界に入れたくないと思い、しかしそれでも目にしてしまったもの。
それは、キュルケを風の魔法で吹き飛ばす、己の婚約者たるワルド子爵の姿だった。
矢継ぎ早にドットスペルを唱えながら、キュルケは内心で焦りを覚えていた。
第一の理由として、ぶっつけ本番のせいもありドットスペルとはいえ考えていたよりも精神力の消費が激しかった事。
今までとは違うイメージで魔法を発動させているので、その分余計な負担がかかっているのだろう。
第二の理由として、相手が慣れてきたのか動じない様になってきた事。
集中力を乱し呪文詠唱を途切れさせるのがこの作戦の根幹なのだが、それに対してワルドは異様な速さで順応しつつある。
その姿は呪文を唱える事のみに機能を絞ったガーゴイルを連想させた。
最後の理由として、ぶっちゃけた話こんなせせこましい作戦は正直自分の性格に合っていないという事。
大技で一気に決めたいという欲求をねじ伏せて小技を連発している現状だが、ちまちまドットスペルを唱え続けるとか一体どこのどいつが思いついたのか。
まあ実際キュルケ自身の発案なのだが、その辺りの都合の悪い事実はまとめてアルビオンより高い空の彼方に放り出し済みだ。
ルイズをからかう為だけの理由で開発した、彼女の失敗魔法に似せた『発火』をアレンジした爆竹っぽい小爆発の呪文をワルドの耳元で発動させながら、キュルケは次の一手を考える。
しかし、音と衝撃を物ともせずにワルドが発動した『風の鎚』によって、彼女の体は派手に吹っ飛ばされた。
一瞬、クロコダインの体が一回り大きくなった様に見えた。
異常に気がついたタバサが心配してシルフィードを接近させる。
「すまんがギーシュたちを頼むぞ」
言い終わらないうちに首根っこを捕まれたギーシュがこちらに飛ばされてきた。
「のぅわぁああぁ」
奇声を上げつつ必死に風竜の背にしがみつく同級生を視界の隅に収めつつ、タバサはクロコダインが怒りに支配されていると感じる。
「どうしたのだ」
見ればワイバーンを挟んだ反対側に、自分と同じ様にマンティコアを近付かせたサンドリオンがいた。
「やはりワルドは裏切り者だった様だ!今、キュルケと戦っているが……」
左目を押さえつつ答えるクロコダインに、皆の視線が集中する。
なぜそんな事がわかるのかと訪ねている時間はなかった。
本当なら一刻も早く救援に向かわねばならない。
「オレが先に行く。最短距離で敵の目を引きつけるから、お前たちは後から来い」
主を追ってヴェルダンデがシルフィードに移るのを確認すると、クロコダインはそう言ってワイバーンに全速を指示した。
ちなみにフレイムはと言えば、キュルケの元に一刻も早く辿り着くべく頑として動こうとはしなかった。
速度としては風竜の方が優れているが、強行突破するなら防御力の高い飛竜と自分が適任だとクロコダインは考えているようだ。
「付き合わせて貰おうか」
再び『遍在』を唱えたサンドリオンがそこへ割り込む。
マンティコアに乗った本体はそのままで、分身はクロコダインの後ろに廻りこむと風魔法で文字通り彼らを『後押し』する。
一瞬の間をおいて、凄まじい勢いで彼らはアルビオンへと飛び去っていった。
行く手にはニューカッスルを落とさんとするレコン・キスタ艦隊の姿があるが、全くお構いなしだ。
「我々も行こう」
本体のサンドリオンの声かけで、タバサたちは一旦高度を下げて雲の中に身を隠しつつ、アルビオンの下へ潜り込む様に進路を変更した。
(*゚∀゚)=3キタキター支援
幾つかの机と椅子を薙ぎ倒した末に、吹っ飛んだキュルケは地面と望まぬキスをする羽目になった。
何とか受け身は取れたものの、決して軽くないダメージが彼女を襲う。
殆ど間髪入れずに襲いかかる『風の刃』を直感のみで回避するキュルケだが、それでも長い赤毛の一部が無惨に切り飛ばされた。
衝撃や痛みを負けん気だけで押さえ込み、髪を斬られた怒りを力に変えてキュルケは小声である呪文を唱える。
これまでの人生の中でもっとも早いと自負できるスピードで紡いだのはこれまでのドットスペルではなく、『火』『風』のラインスペルに更に『火』を足したトライアングルスペルの『フレイム・ボール』だ。
大きさこそ15サント程度のものだが、発現した場所を考えると、それは驚異以外の何者でも無かった。
何故なら、その火球はワルドの『右膝と左膝の間』に生まれいでたのである。
そのまま真上へと跳ね上がる火の玉を、恥も外聞も身も世もなく大慌てで後退する事でワルドは何とか色んな意味で死に繋がる直撃を回避した。
回避や迎撃の為の魔法など唱えられる余裕などこれっぽっちもない。当たったらその場で人生終了だ。
しかし術者の意のままに追尾可能な魔法は、執拗に世の男性共通の急所めがけて飛び続けた。
それでも流石は『閃光』というべきか、ワルドは回避運動をとりつつ『魔法の矢』で迎撃に成功する。
これまでにない危機的状況をかいくぐったワルドであったが、彼を待っていたのは予想外の光景だった。
即死さえしなかったものの、重傷を負っていた筈のウェールズが立ち上がり、こちらに杖を向けている。
間髪入れずに放たれた『風の鎚』が彼の体を吹っ飛ばした。
キュルケは痛みを忘れて思わずガッツポーズを取る。
さっき自分が直撃を喰らった時、偶然とはいえルイズやウェールズの近くに飛ばされたのは運が良かった。
おかげで半ば茫然自失としていたルイズが我に返り、キュルケが抱えていた荷物の中から水の秘薬を取り出してウェールズに手渡す事ができたからだ。
受け取ったウェールズは激痛に苛まれながらも、『治癒』の魔法で傷を塞ぐ。
本当なら回復魔法を唱えるのは王子ではない方が良かったのだが、先祖代々『火』の使い手であるキュルケは水系統の魔法は不得手だったし、ルイズに至っては論外である。
何にせよこれで少なくとも2対1の構図となった。
ルイズは基本員数外としても、これで少しは戦いを有利に運べるだろう。
ウェールズの傷は完治した訳ではなく、単に傷口を塞ぎ血を止めただけであるが、それでも王族が味方についてくれるのはありがたい。
あわよくばここでワルドを倒してしまいたい。そう思うキュルケだったが、残念ながらそう上手く物事が運ばないのが世の中というものである。
吹き飛ばされながらもフライとレビテーションを駆使して軟着陸に成功したワルドが、表情を変えぬまま5人に増えたのだ。
「遍在か……!」
ウェールズが呻く様に呟くのを耳にして、キュルケの口から思わず舌打ちが漏れた。
左肩の痛みを強引に無視してウェールズは呪文を唱える。
ルイズの護衛という事で、また竜騎士隊メンバーの評からワルドに対して全く疑念を抱いていなかったのだが、これは自分が甘かったのだろうか。
死を覚悟していたとはいえ、ここで不意打ち的に殺されるのは御免だ。
(ラ・ヴァリエール嬢とフォン・ツェルプストー嬢だけは守る)
少なくともそれだけは、否、それぐらいの事ぐらいはしなければアルビオン王族としての沽券に関わる。
とはいうものの、状況は芳しくなかった。
本人と遍在で計5人のスクエアメイジが敵なのだ。こちらは自分が風のトライアングル、フォン・ツェルプストー嬢はおそらく火のトライアングルだろう。
ラ・ヴァリエール嬢は魔法を使っていないので判らないが、見る限りショックが大きくて攻撃などできるとも思えない。
心を許していた護衛が裏切ったのだから無理もない、とウェールズは結論付けて、風魔法でワルドの『風の鎚』を相殺した。
自然と闘いはウェールズが防御し、キュルケがオフェンスという形になっていた。
しかし防御しているとはいえ限界はある。特にキュルケは打ち身や切り傷が多い。積極的に攻撃している分、ワルドの攻撃にも晒されるからだ。
そんな中、彼女は戦闘中に判明したある事実に戦慄していた。
(こういう時にグラマラスなのは不利……!)
普段はルイズやタバサ、モンモランシーをからかえるだけの、学年一の大きさのバスト(グラモン&グランドプレ並びに男子生徒有志調べ)がこんなに不利だったとは思わなかった。
重くて肩がこるは暑くて蒸れるは攻撃避ける時揺れて痛いは、ルイズやタバサ並の哀れ胸とは言わないがモンモランシー位が丁度いいのではと思わざるを得ない。
級友たちの抗議や恨み節が聞こえてきた気がしたが、まあ気のせいだと聞き流す。
あと髪!ここまで伸ばすのにどんだけ苦労したと思ってるのかしらねこの全部クズな男略してゼクオ!
せめて纏めておくべきだったと今更嘆いても仕方ない。
仕方がないが普段から欠かさず手入れしていた己の髪が斬られて心穏やかでいられる女がいるか、いやない!
ちなみにさっきから精神的にハイテンションなのは、感情の強さがそのまま魔法の強さに直結するからである。
無理にでも怒っていればドットスペルとはいえ侮れない威力になるのだ。
実のところキュルケはかなり善戦していたが、それも長くは続かなかった。
もはや幾度喰らったかもわからない『風の鎚』でまた吹き飛ばされた彼女は、ついに立ち上がれず上半身を起こすのが精一杯となる。
「キュルケ!」
防御に専念していたウェールズの後ろから悲鳴じみた叫びを上げたルイズは、思わずファイアーボールの呪文を唱えた。
しかしワルドを狙った筈のそれは、全く見当違いの場所で爆発を引き起こしただけだった。
『固定化』がかかっているであろう礼拝堂の天井の一部に穴を開けるくらいだから威力に関しては申し分ないのだが、当たらなければ意味はない。
ルイズはギュッと唇を噛み締めた。
魔法を真っ当に使えない自分を責め、当たらなかったのはワルドに対する思慕が残っているせいかと自身を疑い、無力感に苛まれむ。
そして、こんな時にクロコダインを頼ろうとする弱い心に嫌気がさした。
彼を元の世界に帰すと誓っておきながら、こんな危険な場所に呼び出そうなど虫が良すぎると、どこか潔癖性の彼女はそう考える。
そうだ。誓いを忘れてはならない。
クロコダインを仲間の元へと送り届ける。
彼の主として恥じない立派な貴族になる。
「だから……」
今まで、衝撃の深さから積極的に動けなかったルイズの瞳に光が宿った。
「だから、こんな所で……!」
かつての婚約者に杖を向け、高らかに彼女は告げる。
「私は死ぬわけにはいかないの……!」
対して、ワルドは冷たい口調で返した。
「ルイズ、残念だがそう上手く事が運ばないのが世の中というものだ」
それでもルイズは最後まで抵抗しようと呪文を唱え始める。
ウェールズは防御の為のスペルを選択し、なんとか二人を逃がすタイミングを作ろうとする。
そして精神力が尽きかけているキュルケは、しかし不敵な笑みを浮かべてワルドに言い放った。
「確かに、思うようには行かないようですわね」
次の瞬間、なんの前触れもなく巨大な影が礼拝堂の屋根を突き破る。
その肩に乗ったサラマンダーが炎のブレスを三連続で畳み掛けるように吐き出した。
虚を突かれたワルドたちが、それでもかろうじて防御する中、遍在の一体が戦斧の一撃であっさりと消滅する。
赤銅色の鱗に覆われたその巨体はもはや見間違えようもない。ルイズは我知らずその名を叫んでいた。
「クロコダイン!」
かつてここではない世界で『獣王』と呼ばれた鰐頭の獣人は、少女を守る強固な壁となるべく浮遊大陸アルビオンへと降り立ったのだった。
以上で投下終了です
前回感想&今回支援、ありがとうございました
やっと書きたいシーン(キュルケのせこい作戦&見えない左目に映るルイズの視界)まで辿り着きました
次回で戦闘は決着の予定です
乙です!
寝てからゆっくり読む予定だけど、ついに合流かあ。
最近まとめしかチェックしてなかったんだけど虫が知らせてくれたのか来てみたらキテター!
見えない左目に映るルイズの視界とかカッコイイ!
これで味方にクロコ&フレイム&ワイバーン&サンドリオン(遍在)が加わったわけだけど
ワイバーンは礼拝堂でも全力で暴れるには狭すぎるというかルイズ達まで巻き添えにしかねない気がする
隅っこでブレスでも吐いてるしかないか?
マザボ交換してPC復活した!これから読むぞ!!
ワルドさん一人にえらい戦力投入されてるなぁ、この後もうひと波乱あるのか?楽しみです
分身したワルドさんがさらにまた分身するんだよ
これなら理論上ワルドさん一人で国も滅ぼせれる
保守しとくか
保守
941 :
sage:2010/08/26(木) 20:29:32 ID:F7nUwSHj
保守?
942 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/28(土) 05:49:59 ID:g11hEsqT
保守
偏在みんなでメガンテされたりしたら怖いな
保守
ho
946 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/16(木) 14:25:57 ID:Sdx21vhI
まったいらの人更新してくれよ
947 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 14:17:14 ID:qbUYCepo
とりあえず埋め
保守
949 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/22(水) 12:09:14 ID:oDMihBp7
期待上げ
950 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/26(日) 22:21:45 ID:zOCyDsjn
保守
さっさと埋めますか
埋め
953 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/29(水) 01:31:48 ID:AXuLlEEn
同意、埋めておく
埋め
埋め
ヒュンケルが見たいぜ・・・
長いことこれしか言ってないな・・・俺
ヒュンケルを召喚した中長編は読んだことがないな。
何度も死に掛けてルイズの心臓を悪くしそうだ。
実際に何度か心臓停止>ルーン消える>即蘇生を繰り返しそうだな。
いや、そんなに追い詰められるような危機がないか?
竜の紋章を見た禿はどんな反応するんだろう?
自分にあったら禿だから光ってるとかネタにされるんじゃないかと心配するのだろうか
ヒュンケルが召喚されたらタバサが戦い方を教わりにいったりするんだろうな、闘気で戦うメイジがいてもいいと思うんだ
ついでに、アバン流殺法の残り4つも披露して貰いたい。
え〜と斧・鎖・牙・弓だったっけ?
なぜか棍棒(戦鎚)を使った殺法がないけど。
おっさんがアバン流斧殺法を習得しなかったのが悔やまれる
ヒュンケルが槍の修行してたとき一緒に修行してればよかったのに
ネタ投下しようかな。
魔剣戦士召喚。
灼熱の溶岩の中、彼は不思議に穏やかな気持ちで己の過去と向き合っていた。
思えば、生きてこれたこと自体が奇跡のようなこれまでだった。
物心もつかぬうちに捨て子になった時。
育ての親を失った時。
師に刃を向け、返り討ちにあった時。
いつ野垂れ死にしてもおかしくなかったが、どの時も彼には救いの手が差し伸べられた。
つい先ほどだってそうだ。
……マアム。慈愛の天使。
見当違いの復讐に囚われていた自分を、彼女は救ってくれた。
だからこそフレイザードの奸知によって溶岩の中で死にゆく今でさえ、彼の魂は穏やかでいられる。
本当ならもっと手助けしたいところだが、勇者ダイ達は十分に強い。
彼がいなくても、きっとその使命を果たすだろう。
……マアム。
どうか無事で。どうか幸せに。さようなら……。
そして彼の意識は真っ白な闇の中に落ちて行った。
「……え〜と、これはどういうことかな?」
ところかわって緑の草原。
トリステイン魔法学院の教師、コルベールは何かが決定的に足りない頭を掻いていた。
魔法を一度も成功させたことのない女生徒がサモン・サーヴァント、使い魔の召喚に成功させたことに喜んだのも束の間、
その生徒が召喚したものは「人間の男」、しかも「死にかけ」だった。
使い魔のレベルは主のレベルに比例すると言うが、これはあんまりな結果である。
いつもなら我先に彼女をからかう級友達も予想の斜め下の展開に慌てふためき、
当の生徒、「ゼロのルイズ」も言葉も発せずわなわなと震えている。
「あの、ミス・ヴァリエール……?」
――いっそのこと男が死ぬのを待って、もう一度やりなおそうか?
そんな危険な誘惑を払いのけ、コルベールは言葉を続けた。
「とりあえず、契約済ませちゃおうか?」
目の前のこの男は、死にかけのくせに何故か絶対死なない気がしたのだ。
あまりに的確、且つ呑気なコルベールの言葉にようやくルイズが振り向き、
猛烈に反論しようとした時、コルベールの頭よりも輝く何かが降ってきて、その目の前に深々と刺さった。
見たことのない光沢をたたえた、抜き身の長剣。
主を追って現れた鎧の魔剣。
あまりに散々な事態に涙ぐむルイズには知る由もなかった。
その剣がどれほど凄いものなのか。
その剣の使い手が、どれほど強い人なのか。
ともかくもこうして彼、魔剣戦士ヒュンケルは異世界に召喚された。
乙です。
う〜んこの時点のヒュンケルは刀殺法すら未修得。
アバンの書が手に入るはずがないし戦士としてのレベルアップは難しいか?
乙
アバンの書が手に入るはずがない?
破邪の洞窟を制覇すると、そこはハルケギニアでした・・・でおk
そしてまさかの逆輸入! バーン様のマホカンタにルイズがディスペル使って完!
原作じゃ直後にグランドクルス使ってるし、いくらでも成長できると思う。
空の技だって理論部分は知ってるし、
アバンの書がないとできなそうなのは無刀陣くらいじゃないか?
棍棒や戦鎚は重量武器ということで斧に含まれるんじゃないかな?
一応刀殺法で免許皆伝をもらっているんだし、理論の部分を知らない技は存在しないんじゃね?
無刀陣だって、存在と理屈は知っていたわけだしな。
それに、槍だろうと斧だろうと基本となる理屈は同じだろうし、時間をかけて再構成すればそのうち使えるようになると思う。
一月にも満たない時間で達人レベルまで持っていくには、アバンの書が必要だろうけど。
この時点で一応剣の腕前はロンベルク級なんだっけ
ロンはおべっか言うタイプでもないし、トップレベルの腕前ではあるだろうな。
ガンダ―ルヴの力もあれば剣の技術を他に応用するのも易しそうにも思える。
鎧の魔剣付きのヒュンケルに、あらゆる武器を使いこなすルーンと魔法を吸収する剣が加わるのか・・・ゴクリ
そういやデルフが手に入ったら剣を兜から外さなくても良くなるんだな
デルフを背負ってたら、アムドした時に鎧の中に巻き込まれたりしてな
鎧の双魔剣か
鎧の魔剣の弱点をデルフでカバーできるようになるのか
日本刀みたく、鎧の魔剣にデルフが憑依する可能性も……。
正直なところ、鎧が自己修復してるところを見てみたい。
鎧部分全壊だったのに数日で治るとかどんな仕組みなんだか…。
剣が自力で持ち主の所に飛んでくるぐらいだから、
鎧の破片も自動的に剣の所に飛んでいってくっついて鞘に戻ったんじゃないかな
>979
ターミネーター2で散らばったT1000が元に戻ったときのような感じですかね?
981 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/17(日) 21:15:57 ID:vPV5PZoC
水を注して悪いが、
おっさんはヒュンケルを探して見つけられなかったことになるよなぁ、これ
おっさんが助けられなかったヒュンケルの分も以後頑張ってくれます。
色々と…、闘志の印を光らせたりとか
ボラホーンさん相手に自分で力比べしちゃうのか
おっさんが闘気を防御にも使えるようになればヒュンケル以上に鋼鉄の肉体になって、
きっとオリハルコンの親衛騎団の攻撃も跳ね返せる。
真バーンとの戦いでも瞳になったりせずいダイたちの盾になってくれる。
そんな夢を……見ました……
おまいらのせいで召還されたヒュンケルの物語より
ヒュンケルを見つけられなかったおっさんの物語を見たくなってしまったじゃないか・・・・
そもそもマグマに沈んだ人間を救助しようなどと考えるおっさんは
発想からして常軌を逸しているよな。
実際に生きてたヒュンケルはなおさらだけど。
988 :
982:2010/10/18(月) 01:54:10 ID:6eUwcohb
まあ、ハルキゲニアからこっちに戻ってきた時点で、
時間が進んでいなかった(逆浦島太郎?)ことにすれば・・・
・・・なんとかできそうとおもったが、戻った瞬間マグマの中(ry
あと、鎧の魔剣があるなら武器屋にいかずデルフリンガーに出くわさず・・・
ルイズ「剣かなんか買ってやんよ!」
ヒュン「いらn・・・(兜から剣を外して露出した顔面をダイに狙われたし、貰っとくか)お願いします」
生身でマグマに耐えるヒュンケルさんに
鎧化まで・・・・・・ゴクリ
おっさんが闘気を高めて防御力をアップ…だと…?
会心撃のモーションを見るに…
「むぅぅん!」(バカァン!)
「なっ、何ぃ〜!?オリハルコンで出来たワシの刃が!?鎧は砕けたのに何故!?」
「お…おっさん、オリハルコンより硬くなるのかよ…(あの鎧って直るのか?)」
ってな事態になるんですね判ります。
1.マグマ内でヒュンケルを捜索
2.見つからない
3.諦めずに捜索
4.やっぱり見つからない
5.適当にループした所でさすがに諦める
6.耐久力が大幅アップ
>>993 そして後々アバンの書を借りてアバン流斧殺法を習得
997 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/19(火) 23:42:08 ID:1p/N+3+c
>>995 おかげで助かったよ!!ありがとう!!!
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梅
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。