あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part250
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part249
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1251428703/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 `ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
乙
>>1乙
6 :
残り滓の使い魔-07:2009/09/03(木) 01:11:57 ID:ZzBjDcrT
「行け!!ワルキューレ!!!」
ギーシュの指示と共に弾丸の如く飛び出したワルキューレ。青銅の拳で狙うのは、相手の鳩尾。そして、拳がワルキューレに炸裂しようとした時、
「そこっ!!」
ワルキューレの攻撃を紙一重でかわした悠二が、ワルキューレの懐に入り、その身を一刀両断する。
「何ぃっ!?ば、馬鹿な!!平民ごときが、僕のワルキューレを!?」
自慢のゴーレムを両断された事に驚きを隠せないギーシュ。対して、それをやってのけた悠二は、冷静に分析をしていた。
(あんな見え見えの直線的な動き・・・シャナやカルメルさんに比べれば、何でもない。それに・・・)
自らの左手の甲へと視線を落とす。刻まれたルーンが、淡い光を放っていた。
(体が軽いし、剣線も乱れない・・・これが、ガンダールヴのルーンの力か。これなら、自在法を使わずに済む!!)
決着を着けるべく、剣を構え直し、ギーシュへと突撃を敢行する。我を失っていたギーシュも、悠二の接近に気付き、すぐに増援を呼び寄せる。
「来い!!あいつを倒せ!!ワルキューレぇ!!!」
花弁から現れる六体のワルキューレ。それぞれが剣や槍を構え、悠二を迎撃せんと前に出る。だが、フレイムヘイズとの鍛錬により、相手の殺しを見切る事を習得した悠二にとって、そんな単調な攻撃など意味を成さない。
「ハァァアッ!!!」
次々迫りくるワルキューレ達と刃を交える事もなく、次から次へと刃を振るう。ギーシュ自慢のワルキューレ達は、ものの数秒で全滅した。そして・・・
「僕の勝ちだ・・・!!」
「ま・・・参った・・・!!」
自ら作った長剣を首筋に当てられ、ギーシュは降参を宣言した。最下級のドットとはいえ、平民がメイジを倒したと言う世紀の瞬間に、広場は大歓声に包まれた・・・
7 :
残り滓の使い魔-07:2009/09/03(木) 01:14:37 ID:ZzBjDcrT
「行け!!ワルキューレ!!!」
ギーシュの指示と共に弾丸の如く飛び出したワルキューレ。青銅の拳で狙うのは、相手の鳩尾。そして、拳がワルキューレに炸裂しようとした時、
「そこっ!!」
ワルキューレの攻撃を紙一重でかわした悠二が、ワルキューレの懐に入り、その身を一刀両断する。
「何ぃっ!?ば、馬鹿な!!平民ごときが、僕のワルキューレを!?」
自慢のゴーレムを両断された事に驚きを隠せないギーシュ。対して、それをやってのけた悠二は、冷静に分析をしていた。
(あんな見え見えの直線的な動き・・・シャナやカルメルさんに比べれば、何でもない。それに・・・)
自らの左手の甲へと視線を落とす。刻まれたルーンが、淡い光を放っていた。
(体が軽いし、剣線も乱れない・・・これが、ガンダールヴのルーンの力か。これなら、自在法を使わずに済む!!)
決着を着けるべく、剣を構え直し、ギーシュへと突撃を敢行する。我を失っていたギーシュも、悠二の接近に気付き、すぐに増援を呼び寄せる。
「来い!!あいつを倒せ!!ワルキューレぇ!!!」
花弁から現れる六体のワルキューレ。それぞれが剣や槍を構え、悠二を迎撃せんと前に出る。だが、フレイムヘイズとの鍛錬により、相手の殺しを見切る事を習得した悠二にとって、そんな単調な攻撃など意味を成さない。
「ハァァアッ!!!」
次々迫りくるワルキューレ達と刃を交える事もなく、次から次へと刃を振るう。ギーシュ自慢のワルキューレ達は、ものの数秒で全滅した。そして・・・
「僕の勝ちだ・・・!!」
「ま・・・参った・・・!!」
自ら作った長剣を首筋に当てられ、ギーシュは降参を宣言した。最下級のドットとはいえ、平民がメイジを倒したと言う世紀の瞬間に、広場は大歓声に包まれた・・・
なんでいきなり投下してるの?
予告したっけ?しかも上げてるし
9 :
残り滓の使い魔-07:2009/09/03(木) 01:17:54 ID:ZzBjDcrT
そしてその様子を、遠く離れた部屋から見届ける二つの影があった。
「ふ〜む・・・あれがガンダールヴの力か・・・」
「これで確定しました!!悠二君は、かの伝説の使い魔、ガンダールヴです!!早速、王宮にこの事を報告」
「ならん。」
真剣な顔つきでオスマンはコルベールの言葉を遮った。
「彼がかの強大な力を持つ伝説のガンダールヴならば、万が一にも王室の連中に存在を知られてはいかん。あのボンクラどもに戦の口実になる戦争の道具を与えることになっては堪らんからの。それに・・・」
昨日の悠二から聞かされた事を思い出す・・・
「彼は普通の人間とは一線を画しておる。兵器としてだけでなく、王宮に知れれば、何をされるか分からん。良いな、ガンダールヴに関しては、一切他言無用じゃ。」
「分かりました。」
オスマンの真剣な言葉に納得したコルベールは、それ以上は何も言わなかった。
(それにしても、ルーンの力の身であれほどの戦力とは・・・自在法とやらを用いれば、もはやワシ等の手には負えんのう・・・)
だが、あの少年ならそんな心配は無いと確信できるオールド・オスマンであった。
>>8 >予告
前スレの方でも確認したがしてない。
11 :
残り滓の使い魔-07:2009/09/03(木) 01:22:24 ID:ZzBjDcrT
すみません。出来上がったそばから投下してしまい、予告等の配慮を怠ってしまいました。
苦情や不満がありましたら、報告スレにて削除申請をなされても構いません。今回は私に落ち度があります。
いかなる処分をこの受けても、文句は一切いたしません。どうぞ、容赦なく削除なさってください。
いきなり過ぎてわけがわからん
まずsageろ話はそれからだ
作家の名を騙った荒らしじゃね?
秋の自爆テロか
>>14 改行の仕方が違ってたり、三点リーダー使ってない辺り、間違いないな。
>>14 なにしろ前の話とつながらない。
さらに一回もsageてない。
普通なら一回くらい気づくだろ。あと台詞が妙に自虐的で…
あとは分かるな?
ベルセルク・ゼロの人が本当に乙過ぎる……!
まさかこんなにも早く続きが読めるとは!
しかし生存フラグがあっさり覆ってしまうとはさすがベルセルクw
ウェールズどころかドロピーっぽい雰囲気の子まで瞬殺。個人的にスピンオフウェールズとかしていいんじゃねと思えたパーティ壊滅。
この三人に心が踊ってた俺にはプチ蝕が訪れた気分だ……。
しかしジェームズさんがさりげなく重要な事を言ってるんですが。
なりすましタイプのクラッカーだな
ガキどもの夏は終わったってのに
これからは暇な大学生の時代だぞ
そんなことするエネルギーがあるなら新作書けよと。
新作か……
SDKのプロットで悩みまくってるからなー
ルイズの髪を黒く染めてみやこさまー
……ありえねー
原作のどの時期を出すかだが、
鷹の団を抜けたぐらいの19歳ガッツだと随分砕けた感じだったんだろうな。
どうせ根無し草とハルキゲニアに骨埋める気になるかもしれん。
逆に鷹の団入団前の15歳ガッツだと打ち解けさえクリアしたら
黄金時代をこっちで迎えさせたり。
もちろんその場合はゴッドハンドはこっちに(こっちにも?)存在してて
ルイズが5人目たる真紅のベヘリット持ち。
後者はゴッドハンドとベヘリットだけ引っ張ってきて(ハルキゲニアに元から存在)
サイトに「俺が血反吐を這いずりまわってるおかげで!お前は人間以上って奴を気取ってられるんだ、ルイズ!」
って言わせた方が良いか・・・・・・・・・・
>>19 年中夏休みで、モニタに向かってるのを忙しいと称する人かもしれんぞ
前スレ
>>780 救われた…というのとは微妙に違う気がするが、ラスボスのユーゼスは敗北した後に
因果地平の彼方を漂っている所をルイズに引っ張られてきていたな。
パラッパを召喚して、誰も血を流すことなくラップでなんとなく解決…
てわけにはいかないか
山岡士郎を召喚して、あらゆる問題を料理で解決、とか
やっぱり荒らしだったか。予告してないし、上げてるし、終了間近のスレに投下なんてことしてるし
偽者だと思ったらやはりか
>>21 別にいつも通り終了後で呼んで、因縁ができたから〜とか適当に理由つければ大丈夫だよ
無理にテンプレにあわせなくてもいいんだし
>サイトに「俺が血反吐を這いずりまわってるおかげで!お前は人間以上って奴を気取ってられるんだ、ルイズ!」
スランさまの格好したルイズ想像して鼻血出た
このスレも読み手様増えたねえ、夏はもう終わりだってのに
>>21 SDKならハルケに異変があれば「お前らみたいなのがいるかぎり…俺は何度でもあらわれる…」と、4:44に出現するんじゃない?
それで
始祖は複数の人間の使い魔を従えた≒堕竜子は赤い水で複数の人間を従えた
使い魔との視界や感覚の共有≒赤い水の副作用による幻視
始祖の血筋のみに可能な虚無≒堕竜子の血筋のみに扱い切れるウリエンなどの異世界の武器
水の先住魔法と赤い水の関連性とかSIRENぽくオカルトに位置づけてしまえば…w
屍人マリコルヌ「ルイズちゃんの臭いがするよお…プオォォン」
・終了条件 学院からの脱出
ああ、ルイズみたいに魔法や武器を持たないキャラどこまで頑張るかがSIRENらしさだと思うんだ
SDKってスーパードクターカダの略?
だたつしじゃなくて武理実流だった……って話になるのか
00:00 トリステイン(orハルケ)にサイレンが流れ、一つの国が消えた。
みたいなシナリオ?
追い詰められて隠れたルイズが召喚すれば
八尾のかわりは教皇だな
>>26 はしばみ草料理対決で
生前のシャルルはジョゼフより美味しい料理を作れなくて
家族に当り散らしていた事があると発覚して
ジョゼフさんが改心するんですね
>>22 >鷹の団を抜けたぐらいの19歳ガッツ
その場合は鷹の団は追っ手に壊滅させられグリフィスは失意の内に死亡して
ゴッドハンドと骸骨の騎士が因果律が変わった事に驚くわけですね
まあその方が向こうの世界にとっては良い訳なんだが
あと才人はドロピーポジションでしょw
14:20から∞5を投下しますが、いいですか?
>>34 あっさりエンディング迎えたゴッドハンドと骸骨の下りにワロタ
SIEN
「誕生日おめでとう、タバサ」
アルヴィーズの食堂。そう言ってミツナリはタバサに綺麗に包装された小箱を手渡した。
「……ありがとう……ミツナリ……開けていい……」
「もちろん。タバサが今1番欲しい物だと思うぞ」
「……うわあ……何かな……」
わくわくしつつタバサが開けた箱の中身は、紐を通された2枚の板。それぞれ「S」「R」と書かれている。
(……何……)
箱の中身を目の当たりにしたタバサは、思わず心中でそう呟かずにいられなくなった。
「……あの……これは……」
正体不明のプレゼントに困惑するタバサの問いかけをよそに三成は、
「いや〜、いろいろ考えたんだけど、やっぱりタバサが1番喜んでくれるのはこれかなと!」
ひとしきり満足げに頷いた後、かすかに頬を赤らめてそっとタバサに尋ねる。
「喜んで……もらえたかな?」
そう言われてしまっては、タバサとしては声のみでも喜色満面にならざるをえない。
「……も……もちろん……これずっと欲しかった……一生大切にする……」
その日の放課後、タバサは教室でルイズと共に三成からのプレゼントの正体に頭を悩ませていた。
「……ルイズ……どうしよう……これ……何……」
「う〜ん、さっぱりわからないわ」
頭を抱えるタバサに、ルイズも有効な助言ができず困惑の表情だ。
「正直に『これ何?』って聞けばよかったのに」
「……聞けない空気だった……それにそんな事聞いたら……いつものように……」
『キミには失望した!! さらばだ!!』
『……捨てないで……ミツナリー……』
「あ〜、めんどくさ〜い……」
2人は気を取り直して板に書かれたアルファベットの意味について考える事にした。
「……『S』と『R』……何かの略かも……」
「となるとめがねっ娘フェチのミツナリの事だから、やっぱり眼鏡関連?」
その時、タバサの脳裏にある言葉が浮かび上がった。
「……あ……フジコフジ――」
「それは『F』と『A』! っていうか眼鏡関係無いじゃない!」
「……じゃあ……『スイカ』と『リンゴ』……」
「何でよ」
思いついた言葉をそのまま口に出しましたと言わんばかりのタバサの考えに、ルイズはツッコミを入れて自分の思うところを語る。
「相手はミツナリよ。もっと変態チックに決まってるでしょ。だから……、やっぱり……、『SM』?」
「……SM……」
タバサの脳裏に出現した地下牢では、素肌に革の下着を纏った三成が鞭を手にして彼女を待ち受けていた。
「……じゃあ……Rは……Rは何……」
「Rは……、ラ……、ラ……、ラン……ランドセル?」
「……ランドセル……」
タバサの脳裏に出現した三成は、赤いランドセル・黄色い帽子を装備してリコーダーを吹く彼女の姿を一心不乱にスケッチしていた。
「……駄目〜……どこへ行くのミツナリ……そっちは闇の世界……」
「タバサ、落ち着いて」
頭を抱え、右往左往し、しまいには教室の扉に頭をぶつけたタバサに、ルイズは何とか冷静さを取り戻させようとする。
「……もう私……頭パンパン……」
「落ち着いて、タバサ! 明日私がミツナリにそれとなく聞いてあげるから」
タバサは頭を抱えて床に突っ伏した挙句、ルイズの胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
「……ありがとう……ルイズ……」
翌日。
「あ、ミツナリ。ちょっといいかしら?」
廊下を歩いている三成にルイズが声をかけるも、
「タバサ! 昨日渡したアレの事なのだが……」
三成は彼女を無視していち早くタバサに駆け寄る。
「すまん、タバサ。ボクとした事が重大なミスをしてしまった。混乱させてしまってすまない……」
「……え……えっと……」
心底申し訳無さそうに告げる三成の様子に、タバサはその理由がプレゼントの正体に関する説明を怠っていた事だと考えた。……が。
「これを入れ忘れていた」
と紙袋を1つ手渡されて怪訝な表情になったのだった。
「……え……」
そしてその中身は「B」と書かれ紐を通された板。
(……増えたー……!!)
2人は日が暮れるまで思案するもまったく成果が出なかった。
「……駄目だわ、ギブアップ! 明日一緒に正直に聞くわよ。ね」
「……ルイズ……」
その夜、タバサは自室内の浴室で湯船に浸かりつつ溜め息を吐いていた。
「……はあ……(……ミツナリ怒るだろうな……)」
あれからほぼずっと三成からプレゼントされた3枚の札を眺めているが、手がかりの欠片さえ見つからない。
「……頭洗ってすっきりしよう……」
湯船から上がりぼやけた視界の中手探りでシャンプーの瓶を探すが、それらしい瓶は見つかったもののそれがシャンプーなのかリンスなのかはたまたボディーソープなのかが今ひとつ判別しにくい。
「……えっと……ん〜……目が悪いとどれがシャンプーでリンスでボディーソープかわかりづらい……」
ふとその時、板に書かれていた「S」「R」「B」の意味がタバサの脳裏に閃光の如く閃いた。
「……わかった……」
その夜以来、タバサの部屋の浴室にはシャンプー・リンス・ボディーソープの瓶に、それぞれ「S」「R」「B」の札が掛けられるようになった。
「なるほどね。それは近眼の人にしか出ない発想だわ」
「……そう……ミツナリの優しさがたっぷり詰まった『S』『R』『B』……」
「あー、そうなの」
共に教室に向かうルイズに三成からのプレゼントの素晴らしさをひとしきり説明したタバサは、三成の姿を発見して駆け寄る。
「……あ……ミツナリ……あれ凄く便利……ねえ……あれってどうやって作ったの……」
(ま、今回はいい話だったって認めるわ)
そう安堵するルイズの心情とは裏腹に、
「まず5分の1サントのプラ板を買ってきて、カッターノコで形を整えピンバイスで穴を開け、サンドペーパーで仕上げして、塗装前にはしっかりとサーフェイサーを……」
三成は事細かに製作工程を語り始め、タバサの頭上に多数の?を飛び回らせたのだった……。
(あ〜、最後にオタ臭が! 残念!!)
さてその夜、遙か遠き異国・ガリアの「無能王」ジョゼフは密偵からの通信をまとめた資料を読んでいた。
名前と裏腹に非常に有能であるジョゼフは、当然ながら情報の重要性を認識している。
「ほう、おぬしが興味を持ちそうな情報が来ておるぞ」
「と、申しますと?」
彼に答えたのはフード付きの黒ローブを纏った男性であった。ローブの胸元から垂れ下がった布にはおそらく文字だろう記号が描かれている。
「その使い魔召喚の儀式でな、人間を召喚したそうだ」
その言葉に男がにやりと笑う。
「それは確かに興味深いですね」
「使い魔の名はナグモミツナリ。ルーンは胸に刻まれたらしい」
「……今、『ナグモミツナリ』と言いましたね?」
「ああ」
「そうか、やつか……。召喚されたのはやつだったか……」
男はにやりと唇を歪め、愉快そうに呟き始めた。
「……やれやれ、我が姪にも一仕事してもらわねばならぬか」
ジョゼフは呆れた表情で傍に置かれた羊皮紙とペンを手に取る。
この一筆は後に1人の少女の手に渡る事になる。
……ローブの男の名は南雲鏡二。故あってこの地でガリア王に仕えている者であり、ガリアで勢力を増している新興宗教「めがねっ娘教団」の教祖であり、そして何より三成の実兄である。
以上投下終了です。
>>28 スタイルないのがあんな格好しても痛々しいだけじゃ・・・
>>43 逆に考えろ!転生前の体にコンプレックスがあるなら転生後理想通りになればいいじゃない!
……深淵の神にとの対話で
深淵の神「あるがままに あれ」
ルイズ 「……なら」
ルイズ 「胸を!!」
深淵の神「……………」
こんなやり取りシュール過ぎるw
そのままならそのままでモリガンとリリスみたいな感じでいいかもしれない。
>>43 馬鹿なことを言わないでくれよ、その痛々しさがいいんだよ。
ゴッドハンドになっても特に変化のない胸を見て落ち込む、とかさ。
ましてや本来は清純無垢の象徴とも言える『つるぺた娘』が
斯様なエロスの化身のごとき『おねえさま』が身に纏うべき衣装を纏うことにより
清純との対極とも言うべき妖艶さを得るという落差から生じる萌エロパワーは倍率ドンの倍プッシュよ!
まぁ、たしかに体型的にはロシーヌのほうが似合っt
>>44 その場合はちい姉さまがスランのコスしてる感じなんだろうなw
「胸を!」と願うのはエレオノール姉さまも似合う
いや彼女の場合は「男を!」か
>>42 ∞の人乙でした。
もしやと思っていたが兄が来てるぅぅぅぅうううう!
>>46 ゴッドハンド5人組みの格好したヴァリエール一家が頭の中に浮かんできたじゃねーかw
グリフィス・ルイズやスラン・カトレアにボイド・カリンはともかく残りの二人がアレなんだが
球技をやったらボールの役をやらされるコンビか
5分後くらいに、小ネタで姫狩りダンジョンマイスターからリリイ召喚を投下します。
51 :
魔王の使い魔:2009/09/03(木) 19:18:14 ID:EsGJEsQJ
ルイズが変わったのは、春の使い魔召喚の儀式からである。
と言っても、当時のわたしはルイズにさしたる興味を持っていなかったので、これは後になって友人に聞き知ったことだ。
ゼロのルイズが平民の女の子を使い魔にしたという話は、少しの間、話題になった。
リリイという名の、その使い魔は、コウモリのような羽根があったり、犬のような耳を生やしていたりと、どう見ても亜人であったのだが、
その女の子が大した能力がなさそうな人畜無害な見た目をしていたり、羽根があるくせに飛べなかったりということで、ゼロのルイズに亜人が召喚できるはずがないという偏見から、そう噂されたのだ。
魔法の成功率ゼロのルイズが使い魔の召喚に失敗して、その辺りを歩いていた平民の女の子を捕まえてきて仮装させて使い魔扱いしている。
そんな根も葉もない噂を流されて、しかしルイズは何の反応もしなかった。
友人に言わせると、ここからしてありえないということだが、わたしは、それをおかしいと思えるほどルイズの事を知らない。
そして使い魔召喚の儀式の翌日、ルイズの使い魔が決闘をすることになる。
相手は、ドットの土メイジ、青銅のギーシュ。
決闘に至った原因は、リリイのせいでギーシュが二人の女の子と付き合っていたのがバレて、フラれたとのことだが、そこはどうでもいい。
見た目はどうあれ、リリイは亜人である。ならば、その戦い方を見ておいて損はないだろうと、わたしは考えた。
もしも未知の魔法でも使いこなせるようなら、その知識を得ておくことは決して損にはならないのだから。
だけど、期待は裏切られる。
リリイは、普通の平民よりは強かった。
だけど、それだけの話。ギーシュの作り出した一体目の青銅ゴーレムを破壊したまでは良かったが、彼が六体を同時に生み出した後は、数の暴力に負けて敗れさった。
そこで、わたしのルイズとその使い魔に対する興味は消えた。
たから、わたしの使い魔である韻竜のシルフィードに、二人が夜になるとこっそりどこかに出かけていると聞かされても、何も思わなかった。
ルイズも、その使い魔も自分が興味を向けるだけの価値のある存在ではない。
その認識を改めたのは、かなり後になってからなのだけれど、きっかけになったのは、学院に土くれのフーケを名乗る盗賊が現れたときだったのかもしれない。
学院の宝物庫を襲ったフーケの討伐に名乗りを上げた三人の一人がルイズであった。
もっとも、実際に名乗りを上げたのはルイズだけで、残りの二人、キュルケはルイズに対抗してみただけであるし、わたしはそんなキュルケが心配で付き合っただけである。
そして、わたしたち三人とルイズの使い魔のリリイとフーケの情報を持ってきた学院長秘書のミス・ロングビルの五人はフーケのアジトと思われる廃屋に向かい、そこで奪われた宝物を見つけた後、フーケの巨大な土ゴーレムに襲われた。
この時、不可解なことがいくつか起こった。
わたしやキュルケでは、どうにも対抗できなかった土ゴーレムに、自分の身長よりも長大な剣を持ったリリイが立ち向かったのだ。
ギーシュのゴーレムにすら敵わなかったはずのリリイは、フーケの巨大ゴーレムと五分に渡り合っていた。
もちろん、巨体であり、いくらでも再生するゴーレムを剣一本で倒せる道理はない。
だけどゴーレムも、素早く動き剣で容易くゴーレムを切り裂くリリイを倒せず、しばらくの膠着状態の後。土ゴーレムは自然に崩れ落ちた。
52 :
魔王の使い魔:2009/09/03(木) 19:20:26 ID:EsGJEsQJ
その後である。
フーケは逃げ出したらしい、自分とミス・ロングビルは、あと少し辺りを調べてから帰るから、先に宝物を持って帰って欲しい。
そう、ルイズから連絡があったとリリイが言い出したのは。
思い返せば、ルイズとロングビルは、わたしたちが廃屋に入ったときに、周囲を見てくると言って姿をくらませたままである。
その時のわたしは、冷静な判断力を失っていたのだと思う。
メイジとその使い魔は、精神で繋がっている。だから、離れていても連絡をしてくることが出来るのだから、これは不思議なことではない。
その程度にしか思わなかったのだが、思い返してみれば、何故ルイズにフーケが逃げたと判断できたのかを疑問に思うべきだったのだ。
そう、これも後になって分かったのだが、フーケは逃げてなどいなかった。捕まり、拘束されていたのだ。ルイズの手によって。
ルイズの目的が、フーケを捕まえて官憲に引き渡すことではなく、自身の手駒とすることだと知ったのは、ずっと後になってからの話。
わたしたちに遅れて二人が帰ってきたとき、ロングビルは着ていた服が引き裂かれ、肌も露わな姿で憔悴した顔をしていて、その理由が分かったのは、これもかなり後になってからのこと。
ルイズは、フーケに襲われた結果だと言っていたが、それは嘘だろう。ミス・ロングビルの正体がフーケなのだから。
キュルケは何かを察していたが、その時点では教えてくれなかった。
ともあれ、そこでルイズとの縁は切れるのだと思ったのだけれど、そうはならなかった。
それから、何日もの日々が過ぎたある日のことである。
ルイズが、トリステイン魔法衛士隊の隊長と出かけるのを見かけたキュルケが、後を追うと言い出したのだ。
そして、その後わたしたちが魔法学院に帰ることはなくなる。
ルイズたちの目的はアルビオンに向かうことであり、とりあえず港町ラ・ロシェールの前で賊に襲われていた彼女たちに加勢したわたしたちは、不可解なものを見ることになった。
そこにいたのは、ルイズとギーシュと魔法衛視隊隊長でありルイズの婚約者であるワルド子爵。ルイズに個人的に雇われたのだと言って一緒にいた、目が死んでるミス・ロングビル。
そして、わたしたちと同年代の亜人の少女。
ルイズの使い魔と同じ種族に見えるその少女が、リリイ本人であると聞かされたときは、目を疑った。
何をどうすれば、あの小さな女の子が急に成長するというのか。
とはいえ、驚いてばかりもいられない。
夜も遅かったので、ラ・ロシェールに宿泊することにしたわたしたちは、ルイズたちが乗るアルビオン行きの船が出るまでの間、そこに留まることにした。
そして、二つの事件が起こる。
一つは、早朝のリリイとワルドの決闘。
かつてギーシュにすら敗れたリリイは、スクウェアメイジであるワルド子爵とすら互角以上の実力を見せた。
そして、もう一つの事件は夜に起こった。
アルビオンは今、王党派と貴族派に分かれて戦っていると聞く。
その一方。貴族派に雇われた傭兵が宿を襲ったのだ。
53 :
魔王の使い魔:2009/09/03(木) 19:23:23 ID:EsGJEsQJ
その時、ワルド子爵は二手に分かれて、片側が傭兵の足止めを、もう一方はアルビオンに向かう船に乗り込むべきだと主張し、わたしも同意した。
それは正しい判断であったはずである。真相を知っている今では、そうではないとわかるが、あの時点で知りうる情報からでは、それ以上に正しい判断ができるはずがない。
そのはずなのに、ルイズはその主張を退けた。
それが、仲間を置いて自分だけが逃げるのは嫌だなどという感傷であれば、わたしもワルド子爵も黙殺したのだろうが、そうではなかった。
どのみち船が出るのは、翌日である。ならば、それまでに傭兵たちを倒してしまえばいい。
そう言った彼女には、それができる自信があったのだ。
そして、現実に傭兵たちは、わたしたちの前に倒れた。
それは、ほとんどがリリイの仕業であった。
ルイズの防衛をわたしたちに任せて一人で突撃したリリイは、強かった。
それだけではない。いかにスクウェアメイジと五分に戦える実力を持っていても多勢に無勢、無傷で戦えるはずもないのだが、たとえ傷を負っても
ルイズの唱える聞いた事もない呪文ですぐに癒されていたのだ。それは、敵対している傭兵たちからすれば不死身の怪物と戦っているような錯覚を覚えさせただろう。
そうして全ての傭兵を打ち倒したわたしたちは、なし崩しに全員でアルビオンに向かうことになった。
何故、わたしとキュルケまで? と気づいたのは、勢いでマリー・ガラント号という船に乗った後。
その後、空賊に扮したアルビオン皇太子の乗った空賊船に襲われたり、それらと戦い皇太子の正体に気づかずに捕らえ拘束してしまったりという珍事はあったが、わたしたちは、無事にアルビオン王城ニューカッスルに到達した。
そこで初めて、わたしとキュルケは、ルイズたちの目的がトリステイン王女がアルビオン皇太子ウェールズに送った手紙の回収なのだと知ったのだが、それもどうでもいいことである。
より重要なのは、実はワルド子爵がアルビオンの貴族派レコン・キスタと通じており、手紙とウェールズの命を奪わんとしていたことであろう。
結論から言ってしまえば、彼は上手くやった。
手紙をルイズから預かり、ルイズと結婚式を挙げたいと訴え、ウェールズを王党派の軍人から引き離し、見事その胸を貫いた。
だが、そこには一つの計算違いがあった。
ワルド子爵は、ルイズには力があると信じていた。そして、その力を自身の欲望のために利用しようと考えていた。
実際、ルイズには力があった。だけど、それはワルド子爵に制御できる程度のものではなかったのだ。
結婚式の時、ルイズは遅れて礼拝堂にやってきた。
リリイとロングビルに持たせた大きな風呂敷包みが、なんだか不安を誘ったが、そこはみんなでスルーした。
そして、いざ始祖ブリミルへの誓いをというときになって、ルイズはワルド子爵に言ったのだ。
「何をそんなに焦っているのだ?」
その言葉で、わたしたちは気づいた。
幼いときからの知り合いで、婚約者であるはずのワルド子爵は、この旅の間、発情期の孔雀のようにルイズに自分をアピールし続けていた。
まるで、この機会を逃せば、もうルイズを手に入れることが出来なくなるのだというように。
ルイズを自身の手駒として手に入れようと考えていたワルド子爵の考えは、当のルイズ本人に看破されており、自身の望みが果たせないことを理解した彼は、正体を明かすと同時にウェールズの命を奪った。
そして、手に入らないのならばとルイズの命を奪わんとしたとき、ルイズが隠していた能力を見せる。
しえん
55 :
魔王の使い魔:2009/09/03(木) 19:27:11 ID:EsGJEsQJ
ルイズには、ワルド子爵と互角の戦闘力を持つ使い魔のリリイがいる。普通に考えれば、ワルドに勝ち目はない。
だが、風のスクウェアメイジには、偏在という魔法がある。
それは、自身とまったく同じ能力を持った分身を生み出す魔法。いかにリリイが強くとも本体を含めて五人ものワルド子爵に勝てる道理はない。
そして、リリイ以外の人間。わたし、キュルケ、ギーシュ、ルイズ、ロングビルの五人には、残念ながらワルド子爵に勝てるほどの能力はない。
ゆえに、ルイズの生存は絶望的なはずであった。
この時ルイズが使った魔法は、原理としてはサモンサーヴァントに似たものだったのだと思う。
離れた場所にいる者を召喚する魔法。違うのは、それらは複数であり、すでにルイズと契約を済ませ命令を聞く存在であったこと。
現れたのは、オーク鬼や翼人や吸血鬼といった亜人たち。
毎夜どこかに出かけていたルイズは、それらを倒し配下としていたのだ。ちなみに、前の事件でフーケを捕らえたのも、彼らだったのだという。
平民とは比較にならない強靭な肉体を誇るオーク鬼や、先住の魔法を使う翼人と吸血鬼。
それらは、ただでさえメイジにとってすら脅威となりうる戦闘力を持つのに、ルイズの下で働かされ戦いを繰り返すことで、それぞれがリリイと互角の実力を持っていた。
数で、こちらを蹂躙しようとしたワルド子爵は、より多くの数で敗れ去ったのだ。
だけど、ルイズは裏切り者であるワルド子爵を殺しはしなかった。
それが、婚約者への未練であるのではないかと思ったのは、一瞬のこと。
ルイズは、倒れたワルドの服を剥ぎ、同時にリリイにも脱ぐようにと命じた。
その後、何かを察したキュルケに一時放り出されたわたしは、しばしの時間の後、やけにグッタリした顔の皆と再会する。
全員。ルイズもリリイもキュルケもロングビルもギーシュも、妙に上気した顔をしていて服も乱れていたのだから、さすがにわたしにも何をしていたのか理解できるのだが、なんの目的でそんなことをしていたのかは分からなかった。
キュルケも、ルイズの目的は分かっていなかったはずなのに、躊躇いなく参加するのは如何なものか。
まあ、目的の方も尋ねてみればすぐに答えが返ってきたのだけど。
ルイズには、性魔術という魔法が使えて、それを使うと魔法を使うための精神力を簡単に回復できるのだそうだ。
それで、亜人たちを召喚するのに使った精神力を回復させた理由は、レコン・キスタを倒すことであるとルイズは言った。
無茶だ。と、わたしは思ったが、彼女には勝算があった。
礼拝堂に遅れてやってきたルイズたちが持ってきた荷物。それは、この城中から集めてきた宝物。
呆れたことに、火事場泥棒をしてきたルイズが運んできた物の中に古いオルゴールがあった。
それが、勝利をもたらすのだと言われても、納得できようはずもない。
とはいえ、思ったより早く攻めてきたレコン・キスタを相手に逃げる暇のなかったわたしたちには、ルイズの賭ける以外に他に手立てがなかった。
ルイズがオルゴールから得たものは、虚無の魔法。
その魔法が、どれほどの威力を持つものなのか、わたしたちは知らなかった。多分、ルイズも正確には予想できてなかったに違いない。
だって、一個人の使う魔法が、一撃で万単位の兵士を吹き飛ばすだなんて、誰に予想できるというのだ。
大爆発の魔法の後に敵兵士の襲いかかった亜人の群。それが、レコン・キスタを完膚なきまでに叩きのめし、敵軍の首魁クロムウェルすら虜囚にする。
SIEN
57 :
魔王の使い魔:2009/09/03(木) 19:29:36 ID:EsGJEsQJ
それで、全てはおしまい。
それが、思い違いであったと、わたしたちはすぐに思い知らされる。
ルイズは、別にアルビオンの王党派を救おうなどとは考えてはいなかった。
ただ単に、自分の集めた戦力とここで手に入れた魔法を試してみたかっただけなのだ。
そして彼女は、もう充分だと判断した。のみならず、クロムウェルから人の心を操るアンドバリの指輪というマジックアイテムすら奪い取った。
その結果、ルイズは彼女が欲するものの足がかりを手に入れたのだ。
この世界全てを蹂躙する力と軍隊を。
そうして初めて、彼女は自身の正体と目的をわたしたちに話す。
ここではない、ある世界での物語。
そこには、魔王と呼ばれる邪悪がいて、そいつは勇者たちによって倒された。
だけど、魔王は自身の魂だけを切り離し、使い魔に持たせ逃れさせた。
それをルイズが召喚してしまった。
魔王の魂を持つ使い魔を。
そして事故が起こる。
使い魔、リリイの持つ魔王の魂がルイズに入り込んでしまったのだ。
これは、お互いにとって不本意な事態であったろう。
ルイズとしては、そんな得体の知れないものに肉体を乗っ取られるなど、望んでいたはずがないし、魔王としても、少女の肉体に憑依するなど納得できようはずがない。
なにしろ、性魔術を使うに当たっては、男性を相手にしなくてはならなくなったのだ。リリイという、代わりを務めてくれるものがいなければ発狂していたかもしれないとは本人の弁である。
なんにしろ、魔王は自身の望みを叶えるために活動を開始する。
リリイを育て、戦力を集め、元の世界に帰る方法を探す。
封印された肉体を取り戻すために。かつて、自身を打ち倒した者たちを責め滅ぼすために。
今、レコン・キスタとアルビオン王党派を、アンドバリの指輪の力で手に入れたルイズは、ハルケギニアの全てを支配するつもりである。
元の世界を攻める戦力を手に入れるという理由ために。
そして、今わたしやキュルケはルイズの下でハルケギニアを征服する軍体の指揮を取っている。
わたしたちとは、わたしとキュルケとギーシュとワルドと、ついでに更に成長したリリイのこと。
ルイズがわたしたちに秘密を話したのは、ようするに仲間になれという宣言であり、それ以外の選択を許さないという通告である。
わたしたちに選択肢は与えられていなかったのだ。
ただし、わたしは条件を出した。
わたしタバサ、いや、シャルロット・エレーヌ・オルレアンの命は、母を守ること。復讐を果たすこと。そのためにある。その二つを叶えてくれるなら、従おうと答えた。
ルイズは、それを了承した。それどころか事情を聞いて、毒を飲まされ正気を手放した母を癒してくれるとまで言った。
58 :
魔王の使い魔:2009/09/03(木) 19:31:44 ID:EsGJEsQJ
その勇気があるならばと、前置きしてだったが。
母は、優しい人だったと記憶している。
その母が、魔王の配下となった自分を見てどう思うのか?
そんなことを今の今まで、考えていなかった、むしろ考えないようにしていたわたしは、自分に勇気などないことに気づかされた。
だからといって、ルイズの仲間になるのをやめるという選択肢はない。ルイズはそんなことを許さないし、あのままガリアで働いていても救いなどないと分かりきっていたのだから。
だから、ルイズの力を借りて連れ出した母は、今も気がふれたままであり、執事のペルスランに任せきりになっている。
わたしにとって意外だったのは、キュルケが素直にルイズの仲間になったことである。ギーシュのことはどうでもいい。
元々ルイズと仲がよかったわけでもはなく、ルイズの世界征服にも興味を持たないであろうキュルケが何故と思ったわたしに、彼女は苦笑と共に答えた。
「だってねえ。本当にルイズが魔王に完全に乗っ取られていたら、わたしたちは今生きてないわよ」
キュルケが魔王の過去の話を聞いて最初に感じたのは違和感であったという。
魔王が、自身の話した通りの存在なら、それは人の命を虫ケラの如く扱い、自分たちのことなど、さっさと口封じに始末しているか、どこかで使い捨てにしているだろう。
なのに、それをしなかった理由はどこにあるというのか?
それは、魔王に乗っ取られた身の裡に、ルイズ本人の心が残っているからに違いないとキュルケは考えた。
ならば、魔王からルイズに守ってもらっている自分としては、その借りを返さないわけにはいかないではないか。
そんなことを言う親友に、わたしは今更ながらに彼女がルイズを嫌ってなどいなかったのだと、それどころか好きだったのだと気づかされた。
そうでなくて、借りがあるからと、家族のいる祖国にまで戦争を仕掛けようという魔王に手を貸そうなどと誰が考えるものか。
わたしは、わたしと母を取り巻く過酷な運命から救ってくれたルイズに感謝している。
わたしは、キュルケまで、こんな運命に巻き込んだルイズを憎んでいる。
わたしは多分間違っているのだろう。だけど、今更道を違えることは出来ない。
この先、わたしたちにどのような結末が待っているのかは分からない。分からなくても進むしかないのだから。
59 :
魔王の使い魔:2009/09/03(木) 19:33:26 ID:EsGJEsQJ
投下終了。
別に、捻った内容でもないのに、書くのにやたら時間がかかった代物だったり。
書き始めたの、かなり前だったし。
牙のゼッドさん召還してアミル無双とか
GJ
久々にきたな魔王ルイズwww
良心がまだ残ってるのは珍しいけどアイツらしいっちゃアイツらしいか
そして召喚した使い魔が「ついで」扱いされてるっていうwww
乙
魔王に与したタバサが母親の治癒を諦めるってのはありそうでなかった気がする
ゼロ魔世界に来ても、別世界だと気付かない作品って何かあるんだろうか?
召喚されるキャラの世界で月が二つあって、全世界を回っていないから、ハルゲニアを未開の地と勘違いしそうな人間
よく覚えて無いんだけど
惑星Ziって月が二つなかったっけ?
予約なさそうですから、22:07位に投下してもよろしいでしょうか?
しえーん!
ドラゴンランスは月二つ
見えない月もあって本当は三つだが
lebel-17 「思想」
「力? 君達レコン・キスタは聖地奪還を目指しているのではないのかね」
「聖地などどうでも良いのです、力を手に入れなければならないのです」
聖地奪還を掲げるレコン・キスタに参加している子爵。
ならば同じ様に聖地奪還を掲げているのではないのか?
メイジにとって始祖ブリミルは絶対的なもの、間違っても聖地などどうでも良いとは言えないはず。
「聖地奪還がどうでも良いとは、子爵が求める力はなんだと……」
「虚無です」
そう子爵は、ラ・ヴァリエール嬢を見て言い切った。
その視線にラ・ヴァリエール嬢は狼狽、声を上げた。
「虚無……、始祖が使っていたと言われる伝説の?」
「彼女はその使い手なのです」
「……まさか、そんな力無いわ!」
「あるんだ、君が系統魔法を使えないのが証拠だ」
「どういう事だね?」
「……クロムウェルから聞いた話によれば、虚無の使い手は皆まともに魔法が使えないらしいのです」
貴族に生まれたからには、絶対に魔法が使えるはず。
ならば上手く使えない理由は何か、普通に考えればその理由など思いつかないだろう。
途絶えた虚無、虚無ゆえに系統属性が使えぬとなると……。
「……だから連れ去ろうとしたのかね」
「いいえ、彼女にはトリステインへと戻ってもらいます」
「なに? 子爵は無理やりにでも彼女を手に入れるのではなかったのかね」
「私が力を手に入れても、何の意味もありません。 彼女は彼女として、誇り高きトリステインのメイジとして、王と国の力になって欲しいのです」
「ならば何故裏切った、王と国のためと言いながらもこのような事を」
「……皇太子殿下、我が祖国であるトリステインの実情をご存知ですか?」
「いや、詳しくは知らないが……」
語りだした時と同じ様に、悲観した声が子爵の口から漏れる。
「アンリエッタ姫殿下のお父上である先王陛下がお亡くなり、今のトリステインは王を戴いておりません」
「ああ」
「なれば、次代の王で在らせられるのはマリアンヌ大后様か、先王の御息女であるアンリエッタ姫殿下で御座います」
「確かに」
「ですが、王宮は元より地方の下に位置する貴族であっても……、御二方を敬っては居られないのです!」
荒々しく、悔しさを露にして声を荒げる子爵。
「皆が世間を知らぬ大后様と、無知な王女様と影で罵っておられる! それだけに飽き足らず、己の私腹を肥やすために与えられた職で不正を行う! どこが貴族か! あのような見ることすら不愉快な屑どもに、これ以上国を荒らして貰いたくは無いのですッ!!」
最後には怒声、溢れんばかりの怒り。
その怒りで顔が歪み、感情を露にしている。
「王が王たる、先々代の王フィリップ三世のような、貴族達が自然に傅く様な力が。 国外にもその威光が通じるほどの、大きな力が必要なのです!」
「その為に力を求めるのか」
「そうです、レコン・キスタに狙われている今こそ、強大な力が王の元に必要なのです」
子爵が言っているのは抑止力と言う意味か。
待ってるぜ、しえーん!
「攻撃を始める前に、クロムウェルから命じられた事をお覚えに?」
「……僕の命と、手紙と、ラ・ヴァリエール嬢の身柄の確保、だったかね?」
「はい、非常に心苦しく言い難いのですが。 ……既に崩壊していると言っても過言ではないアルビオン、崩壊に導いたクロムウェルの傍に居るには何らかの手柄が必要だったのです」
「そうか、手紙やラ・ヴァリエール嬢の身柄を確保できなくとも、最悪僕を殺しておけば……」
クロムウェルの懐と言う一番深い位置、一番邪魔であろう王族を殺せたとなれば潜り込めるのも可能、か。
「……近づけた後はどうするつもりだったのだ?」
「目的のために奴は必ずやトリステインに牙を剥くでしょう」
潜り込んだ後に暗殺か。
自分の命令により他国とは言え敬うべき王族を殺しをした者が、自分に杖を向けてくるとは思いもしないだろうな。
「……手紙やラ・ヴァリエール嬢はどうしたと言うのかね?」
「手紙はその場で処分、ルイズには身を隠してもらい、秘密裏にトリステインに戻ってもらう予定でした」
「……そうか」
「私には体の良い言い訳にしか聞こえないけど」
僕とワルドの会話に割って入る声がひとつ。
気が付けば長い赤毛の、褐色の女性が立っていた。
「キュルケ! いつの間に……」
「さっきから居たわよ? ルイズが虚無ってあたりから聞いてたけど」
見れば床に穴が空いており、そこからまた一人と誰かが這い上がってくる。
「ふぅ、やっと外にって。 何でチーフは子爵を踏みつけてるんだい?」
金髪の、薔薇を持った少年と。
「もう最悪、何でこんなとこに一日も居なきゃいけないのよ」
と金髪縦ロールの少女が穴から出てきた。
「あんた達、無事だったのね」
「ルイズ? ここってどこなのよ?」
「ニューカッスル城の礼拝堂よ」
「流石はヴェルダンデ、ぴったりだ!」
「はいはい、今はそんな話してる場合じゃないの。 ウェールズ皇太子殿下とお見受けしますわ、ゲルマニアのキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと申しますの」
ツェルプストーと名乗った少女、それに続きグラモンとモンモランシと後に国柄の礼式で名乗る。
「僕はこのアルビオンの皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
貴族に名乗られれば、名乗り返すのが礼儀。
お互いに礼を済ませ、ツェルプストー嬢が言葉の続きを話し始める。
「子爵が裏切り者で、ダーリンに打ちのめされたんでしょう? で、このままじゃ命が危ないから、以前からか即興か、どちらかは分からないけど作った言い訳で皆の良心を引き出し国思いの貴族に、と言う風にしか見えませんわ」
「皇太子殿下もそうお思いになられるのでしたら、今この場で私の命をお断ちになってください。 我が身が王や国の為にならないのでしたら、存在する意味がありませんので」
「随分と思い切った事を仰るのね、まぁ魔法で多少甚振れば本性が出るでしょうが」
「両の手足を切り落とされようが、目玉を刳り貫かれ焼き潰されようとも、我が思いは変わりはしない」
「試してみましょうか?」
「好きなだけ試すが良い」
薄ら笑いのツェルプストー嬢が杖先から炎を浮かべ、向けられようとも平然と受け答えする子爵。
「待ちなさいよ! キュルケは関係ないんだから、少し黙ってて!」
「そんな言い方無いでしょ、こうやって脱出のルート作ってきたんだから」
「うっ……」
ふふん、とキュルケが笑みを作り、ルイズは悔しそうに息を詰まらせた。
「いや、そこまでする必要は無い。 子爵、最後に一つ聞きたい」
「何なりと」
「レコン・キスタは本当に聖地奪還を目的としているのか?」
「はい、国の統一を成し遂げ総力を挙げてエルフを駆逐する。 クロムウェルは本気でそう考えております」
「出来ると思うかね?」
「無理でしょう、アルビオンを落とし、トリステインをも手中に収めようとも、ガリアやロマリアによって簡単に瓦解する可能性があります」
「……国力と信仰か」
国土に見合う強大な軍事力と、ハルケギニアの総人口の9割以上とも言われるブリミル教徒。
軍事的圧力による外部からの崩壊と、教皇猊下の一言での内部からの崩壊。
どちらをとっても抗うのが厳しい、国家統一を成し遂げるには大きすぎる壁。
前者はトリステインを取り込み合わせても、国土の差は倍以上、かなり厳しいものになるだろう。
後者は暴挙的なクロムウェルに対し、ブリミル教徒としてふさわしくない異端認定を受けるかもしれない。
「クロムウェルはそれを理解していません、単なる夢想家……だったのなら良かったのですが」
「何かあるのかね?」
少しずつだが子爵の顔が青くなってきていた。
今更ながら、床の広がる赤い水溜りに気が付いた。
「これ以上は危険だな、治癒が使えるものは手伝ってくれ」
その言葉を機に、タバサ嬢とモンモランシ嬢が杖を取り子爵に治癒を掛け始める。
無論、チーフ殿には変わらず押さえつけて貰う。
怪我が簡単に塞がらないので、モンモランシー嬢が持ってきていた秘薬まで使い治療、そうして怪我を治した。
傷が塞がり、話せる状態に戻ると、子爵がゆっくりと語りだす。
「……クロムウェルは、虚無の使い手なのです」
「……まさか」
「私はこの目で見たのです、クロムウェルが虚無の魔法と称し……、死んだ者を生き返らせているのを」
その場に居るもの全てが一様に驚く。
「馬鹿な、死んだ者が生き返るなど……」
「私も最初はそう思いました、しかしながら生き返った者はしっかりと会話をこなしていたのです。 私の声にもしっかりと反応して……」
「……何たる事だ、それが本当なら……」
「恐らくは、私に皇太子殿下を殺害させた後に生き返らせ、手駒にするために命じたのでしょう……」
レコン・キスタも完全とは言えない、反抗する勢力、他の貴族達が居るだろうし。
トリステインを攻める前にアルビオンの王族を組み込み、王族も認めたと声高々に宣言でもして押さえるつもりだったのか。
「……つまりは」
「トリステインでも同じ手法を取り、反抗しようとする貴族達を押さえ込むでしょう」
「クッ……、なんと卑劣な」
これが本当なら奴らに死に様を見せ付けられない。
死んでしまえば奴らに利用されるだけではないか!
「皇太子殿下、本当に裏切り者の言葉を信じますの?」
「……信憑性は薄い、だがもし本当だったら取り返しのつかない事になるだろう」
「なら今ここで子爵を処分して、殿下は私達と一緒にトリステインへと向かえばよろしいのでは?」
そうすれば嘘でも本当でも、任務が達成できて殿下も死なずに済むじゃありませんこと? とツェルプストー嬢が言い切る。
「脱出するのでしたら、お早く。 もうすぐレコン・キスタが攻め入ってきます」
そのようなやり取りを気にせず、己の命がもうすぐ終わろうと言うのに先を急がせる。
やはり子爵の言う事は本当か、そう考え迷情。
「子爵、君の行いを他に知っている者は?」
「居ません」
「……単身で画策したと言うのか」
「はい、私の裏切りは同じ裏切り者でも知らないはずです」
「他に裏切り者が居ると言うのか」
「判明している者で10名以上、中には政治の根幹に触れる者さえ居るのです」
「……そこまで手を伸ばしていると言うのか」
「無論、私でも全ての裏切り者を知っている訳では有りません。 迂闊に協力を仰ぎ、私が知らない裏切り者の耳にでも入ったなら……」
トリステインの間諜として処分されかねない、と言う事か。
「ならばマリアンヌ大后様や、アンリエッタ姫に伝えても良かったんではないか」
「……それは、出来ませんでした」
「……知っているのか」
「はい」
アンリエッタなら間違いなく反対するだろう。
叔母上も恐らくは反対する、忠臣である子爵に王族殺しをさせるなどしないはず。
故に誰にも知らせず、反逆と王族殺しの罰を受ける事になると言うのに決断したのか。
「……子爵、君の心は何処にある」
「王と国に」
「……良いだろう、その言葉信じよう」
「随分と寛大ですこと」
「狭量たるのは王族としてあってはならぬ」
「間違いの代償は命ですのに」
「その時は受け入れよう。 チーフ殿、子爵を離してやってくれ」
「本当によろしいのですか」
その問いに頷く。
それを見たチーフ殿は立ち上がり、子爵の拘束を解く。
拘束を解かれた子爵はゆっくりと立ち上がり、軽く衣服の汚れを払い一礼。
「寛大なお心、真に感涙の極みで御座います」
「君が行った事の処分は僕が決めれる事ではない、トリステインへと戻り姫か叔母上の裁きを受けるが良い」
「どのような決定であろうとも、甘んじて受ける所存で御座いますが……」
歯切れの悪い言葉。
「……何をする気だね」
「ここに残りクロムウェルを討つ心算で御座います」
「出来るのかね? 手柄を何一つ持たず戻っても受け入れられまい」
「皇太子殿下を殺したと口先だけ伝えれば、クロムウェルなら信じましょう」
「なるほど、口頭の際に討つか」
「はい」
直接伝えたいと言えば、付いてくるか?
「信じると言った手前、それを認めたいのだが……」
「お認めください、クロムウェルを討ち、少しでも軍備を整える時間を……」
「……正直に言えば子爵を一人行かせたくは無い」
「当たり前ですわね」
ツェルプストー嬢がフンと鼻息を鳴らし、ラ・ヴァリエール嬢はそれを睨むように見ていた。
タバサ嬢はチーフ殿の隣に立ち、右手で竜の鼻先を撫でていた。
残りの二人、グラモン殿とモンモランシー嬢はその話を聞いて驚いていた。
「ならば自分が残ります」
「チーフ!?」
「……チーフ殿、よろしいのか」
「はい」
子爵を打倒した彼が監視に付くと言うなら、本当に裏切っていたとしても打ち倒せるか。
「ラ・ヴァリエール嬢、チーフ殿をお借りしてもよろしいか?」
「………」
そう言って見たラ・ヴァリエール嬢はチーフ殿と私を交互に見つめ。
「無事に戻ってくると約束してもらえるなら」
「約束しよう」
「すまない、ラ・ヴァリエール嬢。 チーフ殿をお借りする」
「……いえ」
「では二人とも」
「はっ」
子爵は一礼し、チーフ殿は頷く。
そうして脱出する者と残る者に別れた。
「……さぁ、行こうか」
外から聞こえる音、父上や家臣たちへの裏切りとなるだろうか。
いや、なるだろうな。
華々しく散り様を見せ付けると豪語していたのに、こうやって逃げ出そうとしている。
「……殿下、彼の者達なら喜んで殿下のために時間を稼ぎましょう」
「本当にそう思うかね?」
「逆にお聞きします、本当に彼の者たちが一緒に散って欲しいとお考えで?」
「……どうだろうな」
こんな私を見て父上はなんと思うだろうか、パリーならば何と言うだろうか。
今も城で戦っている臣下たちは、本当に喜んで時間を稼いでくれるのだろうか。
「……殿下、彼らの忠義を心に刻み付けるようお願い申し上げます」
「ああ、忘れぬよ」
忘れてなるものか。
報いるために刻みつけ、王権復興を成し遂げる。
そう強く思い、ラ・ヴァリエール嬢へと顔を向けた。
「ラ・ヴァリエール嬢、昨晩の返答を撤回させてもらうよ。 僕はトリステインへと亡命する、……死んで名誉を示せない情けない僕だが、受け入れてくれるだろうか」
「勿論でございます!」
「……ありがとう」
そうした会話が終わると、嫌でも争いの音が大きくなっていく。
もうすぐこの礼拝堂までレコン・キスタが攻めてくるだろう。
「……ルイズ、怖い思いをさせてすまない」
「貴方が裏切っていないなら、水に流すわ」
「ありがとう、気をつけて帰るんだよ」
「……そこまで子供じゃないわよ。 ……チーフ、気をつけて」
「ああ」
そう言って穴に入り込んで、姿が見えなくなる。
恐縮だが支援
「子爵、無事に帰ってくるんだ。 君は大変な事を仕出かしたのだから」
「勿論五体満足で帰り、裁きを受ける所存です」
子爵の応えに頷き、チーフ殿を見る
「……チーフ殿、後を頼みます」
「はい」
「まずは穴を塞ぐとしよう」
全員が穴に入り込んだ後、周囲を見渡す。
穴を塞げそうな物を探すが。
「……天井を落とせば良い」
ガンダールヴからそう言われ、天井を見る。
なるほど、天井を落として瓦礫だらけにすればすぐに皇太子を殺したと言う嘘がばれないだろう。
「……ガンダールヴ、僕が皆を裏切っていると判断した時はすぐにでも処分してもらって良い」
天井から視界を落とし、弾き落とされたレイピアを拾い上げる。
「……マスターチーフ、そう呼ばれている」
ウインド・ブレイクを唱え、天井に向けて打ち放つ。
風の突風が天井にぶち当たり、天井を支える支柱に大きな亀裂を入れた。
さらにもう一発、そうして支柱が耐えられなくなりミシミシと大きな音を立て始めた。
「……すまない、僕の我がままに付き合ってくれ。 マスターチーフ」
天井が落ち、崩壊する礼拝堂から二人抜け出した。
投下終了です。
いわゆる白。
敵本陣に潜入したり、敵指導者を捕らえに行ったりするのは普通ですよね。
乙です
白とは思わなかった、やられた!って気分ですよ
GJでした!
白っ……だとっ!?
漢をみせて華々しく散るのか、無様でもルイズの元に生きて帰るのか。
どちらにしても面白いですねぃ
投下乙です♪
GJ
ヒャッホゥ!白キターーーーー!!
しかし、感嘆文が少ないため未だに嘘をついてんじゃねぇかと疑ってしまう俺ガイル
もちっと感情のうねりを見せてほしかったなぁ…
「クロムウェル暗殺するぜ、イー」なことになったが
裏切り者ということも相まって子爵に頑強な死亡フラグが見えるのは俺だけ?
たった二人で敵本陣突入か…うん、チーフにはいつものことだ
>>63 ディスク2までのFF9の面々。忘れられた大陸にいるエーコなんかは除くけど、基本的にみんな霧の大陸の外のことはほっとんど何も知らないからね。
イーファの木が聖地で、ブラネ女王が海からトリステインに攻めてくるってのを考えたことがある。
ダブルムーン伝説というゲームガあったのを思い出した
めずらしいワルドだな、だがそれがいい
ワルドとビルゲニアって仲良くなれそうな気がする
ビルゲニアがヒゲマニアに見えたのは、俺だけじゃないハズだww
>>63 境界線上のホライゾンも二つあるな
それにヨーロッパがどうなっているかいまいち不明だ
いっそここは七つの月のしろしめす大地、ルナルより誰か召喚して、
「月が二つしかない!」と言わせるとか
テイルズのファンタジアは月が二つ
レヴァリアース、その続編の刻の大地も月が二つ
刻の大地は話の途中で打ち切りエンドにもならず作者が終了させてしまったけど
>>86 ”濡れた手の男(ウェットマン)”召喚とな?
駄目だ、あの男は人にやる気を出させる事に関しては一流だが、それ以外の駄目っぷりに周囲のゼロのルイズいじめが加速してしまう
剣神・熱田や軍神・鹿島がガンダールヴになったら何か変わるんだろうか
ワイルドアームズも月が二つだったな。
しかも、そのうちの一つがラストダンジョン。
>>90 どう考えてもガンダ補正より剣神・軍神補正の方が格上だしなぁ。
というか鹿島が嫁よりルイズにかまけてる姿が想像出来ん。
仮面ライダー555の木場さんならワルドについて行きそう
そこまでストーリー進む前に食堂で皆殺しにしちゃうかも知れんが
>>92 鹿島は召喚されたらかなりかわいそうだな
>>93 お前が想像してるそれは間違いなく木場さんじゃない
>>51-59魔王の使い魔、乙。
キュルケの考えとか、なかなか面白かった。
こういうキッチリまとまった短編は貴重だな。
>>91 WAは月よりも地表環境の違いでわかりそうな気もする。
>>96 宗教や迷信その他諸々で誰も足を踏み入れていない、
道や海路の先の土地と勘違いは効かないぐらいちがうんだっけ?
ハルケギニアの常識で言えば
木場さんは変化の魔法を使える獣人な訳だし
オルフェだとバレても、別に排斥されないだろうから
(疾走態でルイズのアッシーにされそうだが)
人殺すほど追い詰められはしないだろう。
>>97 一部地域以外は、ほぼ砂漠か荒野な世界だしな……と思ったけど、
EDじゃ森の中の道歩いてたりするし、召喚されて数日でわかる程ではないか。
「本当に信用できないのは○○だ」とか言って木場さんを騙してくれるような逸材も
トリステインには見当たらないしなぁ
>>101 ワルドの巧みな話術に期待しよう
そういえば木場さんは自前の剣と楯があるから生半可な武器は最初から要らないんだよな
デルフが上級オルフェノクの使用に耐えられるんならまだ話は別だが
剣としての役割以外の部分で活躍させれば問題ないか?
木場さんに限らず、オルフェノク…というか平成仮面ライダー怪人の大半は自前で武器持ってるからなぁ。
ファンガイアなんて剣と銃が標準装備だし。
確かにワルドは頭が回らないなwルイズに振られて興奮しだすし
クウガや、その怪人ならいいんじゃないか?
デルフを変身させて使いそう
>>104 だから期待しようって書いてるじゃないか
頑張って頭を捻ればちょっと騙すくらいはできるはずだ
文字通りに頭を捻られる可能性もあるけどな!
>>88 いつも思うんだが
デスティニーも月が二つだぞ?
TOD2を何週もして確認しているから間違いない
リメイクはやってないから分からないけれども
でも木場さんはけっこう情緒不安定な所があるからなぁ。
まあテンパってたから仕方ない面もあるんだけど。
たっくんがあまり上手に立ち回らない(説明を省く)せいもあるけど、木場さんは結構簡単に騙されてたイメージが付いてたわ。
まぁ人間とオルフェノクの共存を望んでた木場さんがエルフやらを排斥しようとする輩について行くことなんてあり得ないけど。
貴族の腐敗やら召喚直後のルイズによるハルケギニアの説明等々、結構木場さんが失望する材料はあるんじゃないかと。
木場さんもいいが、草加さんを…
>>107 そうだったのか。知らなかった
ファンタジアで月のことがよく言われるのなら、本棚調べたときに月についての記述があるからだと思う
劇場版でもTV版でも、最終戦後に召喚されれば、ある程度はルイズのワガママも聞いてくれる気がする
vs七万人でオーガに変身→一斉灰化とかやりたいww
>>102 木場さんが人間の時に使えば良いじゃない>デルフ
けどまぁ個人的には木場さんはそっとしておいてあげたいね、555本編での不幸っぷりときたら……
ここは啓太郎を呼ぶべきじゃないか?
洗濯は喜んでやりそうだし奇跡でカイザに変身できて
底無しのお人好しぶりにジョゼフも脱帽しかねん
ダディはえらそうな人がえらそうに言えばほぼ100%信用するからワルドの演説の見せ所だぞ
空気を読まず召喚してほしいキャラを言う。
SDガンダム三国伝から赤壁直後の御館様と大ホンタイさん召喚。
こいつらだったら五万だろーが七万だろーが問題ナシだ!
仮面ライダーは新規よりも今あるのを完結させて欲しい
はいはいゴルゴルの仕業ゴリゴリの仕業
延々と続く555話も
>>118が変なことを言い出したのも
全て乾巧って奴の仕業なんだ
ディケイドはこのスレを滅ぼす・・・・・・
あ?こういう時って特撮厨に合わせてゴムゴムの仕業とか鉄男って言っときゃいいんだろ?
特撮の話が嫌なら嫌とはっきり言えばいいのに
いってもやめないから嫌われてるんじゃないの?
ゼロ魔と絡めたらどうなるのかってな話しならともかく
特撮作品の話しに終始してるだけだから嫌がられるんだろ
特撮の話だけしたいなら特撮板の専門スレでやればいいんじゃねぇの?
そんなことよりウルトラマンの話しようぜ。
言っても「いやならスルーすれば?」とか「見なきゃいいのに」とか
言われて終了になっちゃうんだけどね。
スルーっていってもまわりはみんな特撮厨ばかりで、逆に自分がスルー対象扱い。
ゼロ魔クロスが好きだから見てるのに、見なきゃいいとか何様?となるんだと思う。
テンプレで型月が注視されてるけど、正直Tや特撮の方が
ルイズの錬金より危険だと思いますよキュルケさん。
ガキはスルーしてウルトラマンの話しようぜ。
と言ってもゼロ魔と絡めて話ている気がするんだが
>>129 絡めていても、いつもの○○召喚…やっぱ駄目か的なレスや
○○召喚しようぜとかから結局ハルケギニアはおまけ状態の特撮話に摩り替わるからね。
それに
>>128みたいな煽りも湧きやすいし、なんにせよ荒れやすい話題なわけよ。
じゃあ特撮作品とクロスさせてる作品はダメってこと?
今回は普通だったのに荒れるから侮れないな、特撮
過度な特撮厨がウザいだけ。
程度を超えればなんでもウザいのは当たり前。
嫌特撮厨乙。
いいからウルトラマンの話しようぜ。
クロススレでハルケギニアの話をすれば設定考察でやれと言われ
クロス先の話をすれば他でやれと言われる
とかく人の世は難しい みつを
>>130 そんな事言ったってここであつかうべき話題なんだから禁止されても困るんじゃない?
もう特撮は禁止でいいよ
この先話題にしただけでいちゃもんつけるだろうから
特撮ってなんだかんだ分野広いよな
仮面ライダーやらウルトラマンやらもシリーズものだけど
ナンバリングされたRPGみたいに共通設定があるだけで別物な分けだし
「特撮」というもの「個」としてみれば
一つのものに見えて話題によく挙がると思ってしまうのかもしれない
って水の精霊が言ってた
ガキでいいから別スレ立ててそっちでやれよ。いいトシこいた特撮厨のオッサン共よぉ
嫌特撮厨こそこのスレから出てけよ。
見たくないなら見なけりゃいいんだよ。
141 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 13:50:56 ID:RcMOMyhX
>>140 どう見ても荒らしなんだからスルーしろと
そういう反応を返し続けて嫌われてんだから
いい煽りだ
こういう開き直りの馬鹿がいるって時点で程度が知れる
いやいや普通に考えて
>>140が擁護派に成りすました荒らしだ
まぁ荒れるから話題禁止でいいんじゃね?
スレの平穏を思うなら考える余地なし。
本当にそう思うなら運営スレで言ってこい。
行けるものならな。
とりあえず運営でやれ
これからエースの人やディケイドの人は投下できないんですね?
とりあえず特撮が型月より危険なのはありえない
禁止にしたければ運営にいけ
ここでどれだけ禁止にしようとわめいても無意味だ
>>130 ちと納得しかけたが投下感想除いたこのスレの9割9分それに当てはまるじゃねーか
……夏も終わったってのに香ばしいねぃどっちも。
今日はまた随分と妙な空気だな。どっかから流れ込んできたのか?
風邪の予防には、外からウィルスを持ち込まないことも重要ですが、換気もまた重要です。
濁った空気は速やかに入れ換えましょう。
インフルエンザ流行中の沖縄からでした。
嫌特撮厨はわめいてないで全員運営議論行けよ。
どうせ不可能だけどな。
「あの特撮作品のキャラがルイズに召喚されました」スレを作るとか?
需要はありそうだ
特撮は詳しくないんで話題についてはいけんが、うざいとは思わんがなー。
他のどんな話題でも、知らなくても楽しんでるけどそういうときに、うざいって喚くやつが一番うざい。
要するに俺の気に入らない話はスレ違いとかそんな感じだろ
特撮をロボやゲームに置き換えれるし
要するに短気なだけか。
流れに身をまかせろよ
嫌特撮厨はロボコンやゴレンジャイ、わくわくさんの話すらするなという……
スモウライダーっていたよね
何の番組だっけ?
ゼロ魔と絡めた話を少しして
静かに投下すれば荒れないんだよ なんでこんなに荒らしたがるのか
今回はゼロ魔と絡めた話をしていたように見えるが
>>157 ここを知らないけど特撮は好きだしSSも書けるって人も居そうだしなw
下手すると、特撮を排除したここより盛り上がるかもしれないw
>>162 スッキリ!じゃなかったっけ?
主演の相方のお笑い芸人がなんか感動して?号泣してたような。
>>160見て激流に身を任せるトキとかは召喚しやすいかなと思ったんだがどうなんだろう
小ネタに居たのはきっと中に精密KI械が入ってるやつだ
問題起こす前にスモウライダー召喚か
ルイズは年齢的にちょうどいいのかねw
そういやちょっと昔の格ゲーって政財界の大物とかがラスボスだったりするがハルケギニアに召喚されたらどうするんだろう
自分の力で国を取るのか召喚主を立てて後ろから掌握するのか
そういう意味でクロコダイルが召喚されたSSの続き読みたかったな…
ギースが王都にギースタワーを建設したり、ルガールが死の商人やってたりするんですね、わかります
そういう点でいえば、小ネタの妖星のユダ様召喚はよかったな。
聖帝様召喚も、国家権力を無視して好きに暴れてくれるから見ててすっきりする。
ユダ様の続きは読みたいな
あの人策士の割には間が抜けてるからどこかで失敗しそうだがw
>>171 金と権力まではもってこれないからまず国盗りからだな
>>172 その点、体一つでのしあがる世紀末の皆さんはわかりやすいよな
ベガ様ならヴァリエール家をサイコパワーで洗脳か
虚無の担い手を新しい肉体候補にするかのどっちかかな?
こんばんは。12話執筆中、ふと思い立って気分転換に3話のおまけ話を作りましたので、そのご連絡にやってきました。
まとめwikiの3話に追加して載せてあるので、よろしければ12話を待つ間にご覧ください。
最初は追加分の話をこちらに投下しようと思ったのですが、あのおまけ話は3話の流れがあってこそ初めて活きてくる話――というか、単品ではいまいち寒いような気もしたので、wikiに直接追加という形を取らせていただきました。
楽しんでいただければ幸いと思います。
乙
でも「wikiへの直接投稿はお控え願います」とあるから
せめていったん避難所に投下されては?
てな訳で3話見て思い出したことが一つ、
フローラって小説じゃ白薔薇のフローラって呼ばれてたんだったね
>>177 ああ、その手がありましたか。
単品でもスレに投下するか、加筆修正という形でwikiに直接かで悩んでたんですが、
避難所にある投下スレのことをすっかり失念してました。
今後同じような機会がありましたら、そうさせていただきます。
木場の話題が出ててやったぜと思って話に乗ってみようと
ログを辿ってみたらなんか微妙に荒れ気味じゃないか。どういうことなの…。
ワルどんが木場の触手プレイで死んだら使徒再生で復活して強敵に、なんてのがあっても面白そうだね。
でもそうなるとキャラだけじゃなくクロス元の設定まで持ち込む事になっちゃうんだけれども。
ビアンカを引き合いに出さないのって元からの予定?
個人的にルイズを見てリュカが彼女を思い出すのって見てみたかった
>>181 元からの予定と言うよりは、その機会がないと言った方がw
ルイズとビアンカって、実は共通点はほとんどないですから。
年齢や体型もそうですが、ビアンカが単にお転婆であるのに対して、ルイズのそれはコンプレックスから来る無鉄砲ですし。
ところで18:10から19話の投下させていただいてよろしいでしょうか?
支援
Persona 0 第19話
二つの月光が見下ろす下、静かに戦いの幕は開けた。
ジョゼフは左手に持っていた酒瓶から血のように赤いワインを右手のグラスに注ぎ、残った酒瓶を投げ捨てる。
宙を舞った酒瓶はその中身を撒き散らしながら数秒の間くるくるとダンスを踊っていたが、やがて緑の石畳に落ち、粉々に砕け散った。
「出番だ、ニャルラトホテプ。せいぜい好きにするといい」
「言われずとも、見せてやろう私の力を!」
ニャルラトホテプはそう言いながらその体に備えた無数の触手を空に向かって高く高く掲げる。
まるでその先にある月を、そこから降り注ぐ輝きをその手に掴み、汚し尽くそうとでもしているかのように。
――不滅の黒!
ニャルラトホテプが触手を振り下ろした瞬間、夜がその色を失った。
正確には夜の闇よりもなお深い黒がその場すべてを塗りつぶしたのだ。
「何が起き……!?」
驚くルイズたちの体をぬるぬるとした何がか這いずっていき、その次に襲ってきたのは猛烈な嫌悪感と命そのものを吸い取られたかのような凄まじい倦怠感。
黒い何かがぬるりと音を立てて過ぎ去った後、ルイズたちは何者かが高々を嘲笑う声を聞いた。
「ふはははは、おかしい、おかしい、これはなんと言う無様か、我は無貌の神、月に吼えるもの、這いよる混沌ニャルラトホテプ!
すべての人間の影にして、運命を嘲笑う者――だと言うのにこのような形でしか現世に介入する手段を持たないとはな!」
その言葉と共にニャルラトホテプは触手を振るう、見るだけでもおぞましい黒い塊はルイズへと向かってまっすぐに伸び、そしてその足に絡みついた。
「ひっ! な、なにするのよっ イドゥン!」
イドゥンが爆発を使って触手を吹き飛ばそうとすると、それよりもなお早く、光のように動いた才人がその触手を断ち切っていた。
才人は油断なく硬化を施された太刀を構えると、普段の柔和な姿からは想像もできないほど壮絶な顔でニャルラトホテプをにらみつけた。
「暫く見ない間に良い顔をするようになったじゃあないか、くく、その闇が私に力を与えてくれる」
「黙れ、てめぇにくれてやるものなんて髪の毛一本たりともねぇよ!」
「ほぅ、ならば俺にはなにか与えてくれるのか?」
二人の話に割り込んだのはジョゼフ・ド・ガリア、無能王と呼ばれた虚無の担い手だった。
今その指には四つの色をしたルビーの指輪が光り、その手に吊るされたずた袋には四つの聖遺物が無造作に納められている。
すなわち
何も書かれていない本――――始祖の祈祷書
壊れたオルゴール――――始祖のオルゴール
香炉として意味を成さない香炉――――始祖の香炉
奇妙な形をした像――――始祖の石像
四つである。
この世界のものと、ジョゼフが滅ぼしたかつての世界で存在した秘宝と。
あわせれば揃えることなど造作もなかった。
その秘宝をルイズに向かって放りながら、ジョゼフは問いかける。
「そこのお嬢さんが虚無の魔法で俺の願いをかなえられるのなら、世界を滅ぼすを思いとどまってやっても構わんぞ?」
「あなたの、願い……?」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、トリステインの虚無の担い手よ。俺の目的はな……」
そう言ってジョゼフは天を仰いだ、そこに失った何かを見出すように。
悲しげに、寂しげに、星々の海を仰ぎ見る。
掲げた手の先には、無数の白い何かの錠剤。
傾けた掌からぼろぼろとジョゼフの口へと零れ落ちていく。
「もう一度、シャルルに会うことさ!
ばりばりと噛み砕き、嚥下する。
その白くちっぽな薬剤は、かつて「ペルソナ制御剤」と呼ばれていた。
対象の精神状態に作用し、ペルソナの暴走を押さえる為のものだが、しかしその一方でその対となる効果を持つものも開発されていたのである。
強制的に自らの内なる扉をこじ開け、もう一人の自分を呼び出す薬剤。
この薬剤は実験の被験者となった者達のコードネームから、やがてこう呼ばれることになった。
「ストレガ」と。
「うああああああああががああああああ!」
頭を抱え、血走ったジョゼフの体からゆっくりと立ち上がるもう一つの影。
蒼い髪の端整な顔をした青年の姿をしたそのペルソナは、高らかに己の名を名乗る。
「ボクはミドガルドロキ、全てを誑かし全てを騙す、神々のトリックスター。さぁラグナロクのはじまりだ」
「さぁヒラガサイト、ご主人様が大事なら防いで見せろ! 運命を手にする力を我が手に……合体、魔法……」
ロキがその手に生み出した光を、ニャルラトホテプが圧縮し、異形の円環がニャルラトホテプの触手の狭間で回り始める。
――――パンテオン!
ニャルラトホテプの触手からその円環が離れた途端、その闇を混ぜ込まれたその光は炸裂した。
ルイズたちを、それを庇ったサイトを、
何もかもを飲み込んで、極光が止まった夜を染め上げた。
体が、うごかねぇ。
ルイズはどうなったんだ?
動け、動けよ、俺の体。
俺はルイズを守るんだ……
――真っ白に染め上げられた視界、それがだんだんと開けてくる。
――目の前には最愛の人、少しだけ怯えた表情でサイトを見ている。
よかった無事だった、ルイズ。
よかった、本当によかった。
ジョゼフの奴、偉そうなこと言って置いて俺一人やっつけられなかったじゃないか。
あと少しだ、あの馬鹿をぶっとばしてそして帰ろう。
ルイズと一緒に、魔法学院へ帰ろう。
「るぅぅぅいぃぃぃずぅぅぅ」
――口から出た言葉はまるで少し前のおぞましい姿だったときのようだ。
――焼け爛れた肺と咽喉ではそんな程度が精一杯、だがサイトは自分がどうなっているのか分からない。
――だから無駄な努力を続ける、自分が守った仲間たちに向かって呼びかけ続ける。
――その呼びかけは、あまりにも唐突に終わった。
目に入ったのは、背後から胸を短剣で串刺しにされたルイズの姿。
こほりと血を吐き、驚いたように瞳を瞬かせ、そして何が起こったのか分からないままその場でよろめき。
そして足を踏み出した。
ルイズは落ちて行く、まっさかさまに地上へと転げ落ちていく。
あたかも、ラグナロクの際ユグドラシルから落ちるというイドゥンの乙女のように。
「ルイィズゥゥゥゥウウウウウウ!」
悲しき絶叫。
その遺体が塔の淵から真っ逆さまに落ちて行く姿を瞬きもせず見つめながら。
サイトの意識は、今度こそ完全に闇へと落ちた。
自らの心の底の底、昏い闇のなかから何かが這い上がってくる気配を感じながら――サイトは己を喪った。
時間は、ほんの僅かに遡る。
ジョゼフの奇妙な魔法は、才人の挺身を持ってしても拭いきれない傷をルイズたちに刻んでいた。
パンテオン――すべての神々を意味するその魔法には、如何なる力が秘められていたのか?
一番近くでその威力を受けたルイズの体には無数の切り傷や火傷、打ち身に凍傷、おおよそどうすれば一度にこのように多様な傷を負う事ができるのかと不思議になるほどの数多の傷が刻まれていた。
そのなかでも一番酷いのは右の脇腹の刀傷だ。
それでもルイズは震える足で立ち上がった。
ゆっくりと腕を広げ、仲間たちの前に立つ。
にやにやと笑うジョゼフの視点から仲間たちを庇うように。
「ルイズ……」
悔しそうなタバサの声。
ルイズの後に続こうと踏みしめた足はどうしようもないくらいに笑っていた。
そんなタバサを横目で見ながら、ルイズはただ虚勢を張る。
「どうしたのかかってらっしゃいよ! こんな攻撃屁でもないんだから!」
ルイズは自分の傷すら構う事無く、まっすぐに無能王に杖を突きつける。
それが愉快なのか、くつくつとジョゼフは笑みを深めた。
だから彼は笑いながらもその目では氷のように冷ややかに、ルイズのことを見つめている。
万が一、億に一にでも、ルイズが“虚無”の才能を花開かせることがないか?
その氷の眼差しは、僅かな期待と共に冷徹に一人の少女を観察していた。
そんなことルイズは気づかない。
ジョゼフは、ルイズを何があっても死なせる気がないことに気が付かない。
だからこれらはすべて茶番なのだ、月を臨む塔を再現し、かつての世界の有り様を再現し、そして己の命を使ってまで。
ジョゼフはゆっくりとゆっくりと機が熟すのを待っていた。
ルイズが、或いは才人が、その力を覚醒させることを今か今かと待ち続けていた。
殺すだけなら簡単だ、捻りつぶすことも造作もない、これだけの大舞台はすべてただそれだけの為に用意した駒。
あとは最後の駒を動かせば王手〈チェックメイト〉だ。
四つの虚無の力を暴走させ、平賀才人の肉体を媒介にして、強制的に〈時間門〉のゲート開く。
そのためには平賀才人と、仮初といえどもその主であるルイズにはどうしても生きていてもらわねばならない。
もっとも生きてさえいればどのような形だろうと構わないが……
「ほう、ならばもう一度いくぞ?」
故にジョゼフはこの演劇に身を浸す、やがてくる歓喜の時の為に、残り少ない命を削り落としながら。
道化の舞いを舞い続ける。
だがそんなことをルイズは知らない、知った事ではない。
彼女にとって今一番大切なのは、仲間たちを守ることだけだ。
痛みと出血で朦朧とした頭では、もうそれしか浮かんでこない。
脇腹に付けられた傷は小さいが深い、瞬く間に白いブラウスを真紅で染め上げていく。
苦痛は深く、感覚は鈍い。
だが鉛のようになった体から次第に痛みは薄れていった。
それは勿論傷が癒えたからではなく、ルイズがより一層死に近づいたからに他ならない。
本人以上に危険を感じ取った体が、感覚器などの生命維持に直接関係のない部分を切り捨ててでも命を繋ごうとしている必死の抵抗に他ならない。
だがルイズは自分の体からの必死の呼びかけを無視した。
今は自分の体を直すよりも、ありったけの力で無能王ジョゼフの癇に障るにやけた顔をぶん殴ってやりたかったから。
「望むところよ! 次は……」
感じたのは灼熱。
突然胸に炎の花が咲いたような、身を切るような熱さだった。
振り返れば、そこには俯きながら自分の背中へと寄りかかるタバサの姿。
その表情は、影になっていて見えない。
「死ね」
その言葉と共にタバサは再度ルイズに向かって短剣を突き立てた、鋭利な刃先は骨の間を縫ってルイズの小さな心臓を穿ち背中へと抜けた。
肺に血が流れ込み、ごぼりとルイズは吐血する。
時間がゆっくりと流れ、力を失った体が崩れ落ちる。
その刹那ルイズは見た。
タバサの瞳の奥に宿った狂おしいまでの憎悪を。
祈っていた、願っていた、ただ一心にひたすらに、ひたむきに。
ルイズへの復讐を望んでいた。
何故?
その疑問がルイズの心に満ち、そして霞むように消えていく。
死が這いより、心が終わっていく。
何もかもが虚無へと落ちていく。
「ジュリオ様の仇」
タバサは短剣を引き抜くとルイズの体を蹴り飛ばした。
弛緩した体がゆっくりと弧を引きながら宙へと踊り、そして真っ逆さまに頭から落ちていく。
風鳴りの音だけを引き連れて、一人きりで奈落へと堕ちていく。
その姿を最後まで看取ることなく、タバサは哀しそうに空を見上げた。
まるで人形のような感情の篭らない二つの瞳が、空に輝く昴の星を祈るように見つめる。
「タバサ、あなた・・・」
キュルケの言葉に、タバサは視線を向けることすらなく答えた。
「私は、タバサなんて名前じゃない」
だが本当の名前は分かる訳もなく、これまで人生を共に寄り添ってきた名前は大切な人の亡骸へと置いてきた。
今の彼女は名も無き幽霊、シャルロットの影。
あの人の理想をかなえる為なら、自分は影で構わないと――彼女は想った。
取り出したのは一つの仮面、以前ジュリオと二人で仮面舞踏会に行った時ジュリオから貰った青と白の仮面。
陶磁器の様な質感のそれを身に付けて、彼女はキュルケに向けて宣言する。
「私は影、あの子の影、それでもあえて名乗ると言うのなら」
そらを見上げる、その満天の星空に一つの星座を見つけ、彼女は以前ジュリオが語ってくれた内容を思い出す。
――ねぇジョゼット、この仮面に書かれている文字が読めるかい? これはスコルピオン、蠍って意味らしい、はは贈り物にしてはちょっと無粋かな?
好きだった、愛していた。
たとえ利用されているだけだったとしても構わなかった。
もし殺されるとしても、彼の役に立てるなら喜んで殺されただろう。
けれどそんな彼<ジュリオ>はもういない……
――けれどこの仮面には強い力が籠もっている、きっとキミを守ってくれると思う。それに蠍と言うのは不死の象徴だしね
殺されてしまった、無慈悲に、一方的にこの世界から消し去られてしまった。
こいつらに思い知らせてやりたい。
彼がどれだけ無念な思いを抱えたまま殺されていったのかと言う事を、どれほどの覚悟を持ってあの戦いに臨み、そして自分の死すら折りこんだ決意を持って戦っていたのかと言う事を。
「思い、知らせてやる」
分かっている、これが一方的で卑しい感情だと言うことくらい……彼女は嫌と言うほど分かっている。
それでも止められない、心の中に膨れ上がる憎悪を止めることができない。
もっと話をしたかった。
もっと笑顔を見たかった。
もっともっとキスして欲しかった。
未練は山積みで、後悔は海よりも深く、けれどどれだけ手を伸ばしてももう届かない。
――――初めから分かっていたことだった、あの日ジュリオがジョゼットの部屋を訪ね、この計画を打ち明けた時から決まっていたことだった。
「シャドウスコルピオン、それが貴女を殺す女の名前です」
あらゆる感情を仮面の下に押し込めて、ジョゼットは――いやシャドウスコルピオンは高々と宣言する。
滅びを告げるその言葉を。
「ぺ・ル・ソ・ナ」
呼び出すための媒介は拳銃ではなく透明な薬剤で満たされた注射針。
それを自分の首筋に突き立て、中身をすべて胎内へと流し込む。
無理やりこじ開けられるジョゼットの心の扉、その奥底からソイツはやってきた。
「私の憎悪よ、羽ばたいて……」
ジョゼットの、いやシャドウスコルピオンの言葉と共に。
世界は再び白に染まる。
「ごほっ、ぐ、ごほっ」
血の色に染まった粘膜状の塊のなかからやっとタバサは這い出した。
体中粘つく粘液塗れの不快感に顔を顰めながら、周囲を見る。
「みんなは、どこ?」
タバサからすればほんの短い時間しか経っていないように思えたが、ジュリオの体液には麻酔効果のある幻獣のものでも使われていたのか。
周囲に仲間たちの姿は一つもなく、戦いの跡の様子から随分と時間が経っているように思えた。
しかしおかしい、仲間であるタバサを敵に捉えられたまま先を急ぐような者は仲間たちの中に一人もいないはずなのに。
「なにかあった、そう考えるべき」
普段使っているものとは違う短い予備の杖をマントから取り出すと、タバサは〈フライ〉の呪文を唱える。
もはや一刻と言えども無駄にする時間などない。
この塔を上りきるには相当の精神力を消耗するだろうが、外壁を伝って屋上へ行くべきだろう。
「――――!?」
そう思って空を見上げたタバサの目の前を、人間大のなにかが横切った。
闇に揺れる桃色の髪、血に染まった制服、華奢な手足。
タバサは一瞬だけ惚け、そして気づく。
今目の前を通り過ぎた人の形をした塊が、一体なんなのかと言うことに。
「ルイズ!」
気づけばタバサは吹き抜けの欄干から飛び降りていた。
あたりは闇、血のような真紅の月と、骨のような白い月光の照らす終わらぬ夜は、時が止まったまま深けて行く。
「ああ、聖下――もうすぐ…………」
――タバサが抜け出した粘液の片隅で、僅かに人の顔のような形を残した肉の塊が、切なそうに呟いた。
支援
以上19話になります。
――思えば、小ネタから始まったこの作品も随分遠くまで来たものです。
テレビのなかでgdgdやってるだけと言われ、なんとか色々と絡ませようとしたあげく合体事故を起こしまくったこの作品も残すところあとわずか。
おそらくあと数話以内に完結できると思います。
もはやゼロ魔じゃねぇ! とか多重クロスとかふざけるの!? と言うお叱りもあるかと思いますが。
よろしければ拙作にあと少しだけお付き合いくださいますようお願い申し上げます。
それでは次回20話でお会いいたしましょう。
乙です。
全く先が読めないのでwktkしつつ正座待機。
>>180 >キャラだけじゃなくクロス元の設定まで持ち込む事になっちゃうんだけれども。
……いや、それ普通じゃね?
>>195 ハルケギニアにオルフェノクは存在するのかどうかってことじゃね?
そうそう、オルフェノク化現象は555世界特有のものだから、
普通はハルケギニアでその因子を持った人間がいる筈はないんで、
ワルどんの心臓を燃やしても単に灰になるだけで終わっちゃうんだよね。
だから彼を使徒再生で覚醒させるとなるとキャラだけじゃなく
555世界独自の現象も輸入する事になっちゃうという話。
(fateと555のクロスでは同じようにfate側のキャラがオルフェ化してたね)
つまり何が言いたいかというとペルソナの人乙!
クロス先の世界の設定は普通にシナリオを進めれば混ぜることになると思うけどね
自衛隊員やシエスタの爺ちゃんみたいに人も喚ばれてるわけだし
>>179ってさ、今後じゃなくて今回もやらんと不味くないの?
>>199 あんまりよろしくないとは思う
完全にwikiへの直接投稿だしなぁ
>>197 その辺は書き手次第かと。
書き手がハルケの人たちにもオルフェノク因子がある事すればその通りになるだけ。
見てきたけど投稿っていうよりは加筆修正レベルだよね
新規ページ作って追加しない限りは大丈夫な気もする
これ以上は運営スレ行きだろうけど
既に投稿してあるものを加筆修正しただけのつもりでしたが、
加筆してある以上は加筆部分を先に投下しなければならないということでしょうか。
そこまで問題だと言うのであれば、加筆部分を一旦取り下げますけど……
人は ただ 人であればいい
>>204 黒いの
自重
これがクロスした場合ブリミルが火のエルポジションか?
だとすると虚無=アギトになるか
つかオルフェノク化は強制的に死に近づいていく諸刃の刃だぞ
止めるには王に自分の人間である部分を完全に破壊してもらう=人間やめるしかないはずだ
>>203 おまけを追加しました、ってアナウンスをするなら追加部分を避難所に投稿しておいたほうが安全なようには思います
まぁ、微妙なとこだとは思いますがw
ああ妙案浮かんだ、加筆修正しました。でいいんだわ
これなら報告だけでも無くても波風立ちようもない
アギトとオルフェノク なぜ差がついたか 慢心・環境の違い
ゼロ魔世界には魔法が存在するけど
ハルケのメイジたちは 一応 普通の人間の範疇に収まってる…よね?
魔法で肉体改造とかしたら また違ってくるんだろうけど
>>204 ダミアンwwww
そういえばアギトとのクロスはまだ見た事ないなぁ。
記憶喪失になった翔一君が流れ着いたのは日本じゃなくて
ハルケギニアの海岸だった、みたいな感じでもいけそうやね。
居場所欲しがりなキャラだから、ルイズの使い魔という居場所が出来たら
文句も言わず嬉しそうに仕えそうな気がするw
たまに厨房で料理の腕を披露したりとか、学院の庭に
勝手に家庭菜園を作ったりとか、色々と想像が膨らむねぇ。
(破壊の杖ポジションのアイテムはマスィーントルネイダーでw)
>>205 虚無の素質がアギト因子か〜、それは面白そうやね。
虚無は勿論の事、ダミアンにとっては系統魔法を使う貴族の存在も
十分に抹殺対象になるかもなので、貴族にとっては恐怖の、
平民にとってはどうという事のない日々が始まりそうな予感…。
ゼロ戦の機銃で撃たれて生きてたりするのは普通の人間じゃないと思います
>>211 シエスタのひーじーさんが持ってきたのはGトレーラー一式となりそうだ
>>203 粘着がいますが加筆修正あつかいでいまのままで問題ないと思います。
現に改訂の相談があったときに改訂したのわざわざスレにあげないで
既存を改訂に差し替えて続きはスレに投下ってはなしになってました。
>>213 氷川さん、尾室さん、北條さん。誰がいいかね?
ダミアンというとダミアン・ルーウしか出てきません。
しかし幽霊とか肉体無い奴を召喚したら契約が難しそうだな。
ダグバ
東條
北崎
キング
このあたり呼んだら面白いことになりそう
ダミアンと言うとプリンス・オブ・ヘルなあの人しか(ry
アギトだのオルフェノクだの人類の進化系を話してるとゲッター線が首を突っ込んでくるぞww
メイジはゲッター線照射されても爬虫人類みたいに溶けないよな…………?
>>215 北条さんだと銀色のやつを持ち込んできちゃうぞw
でもアギトとのクロスをやるなら、是非話の内容を井上御大風にアレンジされたのが見てみたいな。
オスマンやギーシュが輪をかけた女好きになって、コルベールがもっと変人になって、
学院の意地悪な生徒達が不愉快極まりないDQNになったりとかして、
キャラの性格が極端にデフォルメされたりするのかしらん。
>219
それはシルフィードの方を心配した方がいいと思う
おい、特撮の話をするとまた変なのが出るぞ
竜と恐竜は同一か否か。
というかハ虫類に効くらしいからなぁ……
溶けても魂のレベルで洗脳されて戦力にされるから問題ない
・・・・・・・・ワルドの義手がドリルになるんですね、わかります
227 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 21:14:10 ID:ntqbCERG
ルイズ → ゲッターエンペラーを召喚
ジョゼフ → ラ=グースを召喚
ヴィットーリオ → 十三使徒あるいは時天空を召喚
テファ → 記すことすら憚られる極道を召喚
ハルケギニアは鋼鉄の赤鬼が行進し、ドグラがあふれ、魔獣が跋扈して、極道がガトリング砲をブッ放す魔界になる。
石川賢上位三強が出てきた時点で終わる
エンペラーは太陽系と同じくらいの大きさだし
ラ=グースの細胞>惑星くらいのでかさだし時天空は宇宙よりでかい
天元突破とエンペラーどっちが強いんだろう
竜馬「著作権もなにもあったもんじゃねぇな」
ちなみに石川賢作品だと魔獣の慎一が既に来てるし完結済み
小ネタの偽伝シャルロットが良い、ケンイシカワ的な意味で。
5000光年の虎を召喚して、『とらゼロ!』とか……
ヤクザ一人が来た時点で終わる気がする
236 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 21:41:51 ID:I8JaMU2V
どうもみなさんこんばんわ
月ごとフッ飛ばしてやる!
ってわけで投下予約がないようでしたら21:50くらいから
投下を行いたいと思います
よろしいでしょうか
支援
将造みたいな性格だとテファは苦手だろうなw
ルイズは・・・・使い魔になれと言った瞬間に半殺しにされそうだ
ワシはSS投下が見たかったんじゃ! 支援。
ヤクザか…
龍が如くから桐生一馬を召喚
ダイナマイト刑事並みに道具を自由に操るのにさらにガンダールヴが追加されたらどうなるだろう
241 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 21:51:02 ID:I8JaMU2V
ほいだらぼちぼち始めますね
―――――――――――――――――――――――――――
「オレは……」
魔法学院、学院長室。広く静かな室内で、オスマンから発せられた、カズキは人間か、という問い。
オスマンが過去に出会った男は、‘ホムンクルス’…人食いの怪物だった。
そして、その男と同じ‘錬金の戦士’を名乗った自分もまた、そうなのではないか?オスマンの疑念は、もっともである。
言いよどむカズキに、オスマンは続ける。
「我らの英雄を疑うのは、気が進まぬし、申し訳ないと思う。私には、君も彼と同様、人食いの化物とは到底思えん。
しかし、それでも……、彼のような例もあるのでは、な」
オスマンには、‘錬金術’のことは、ルイズ以上に話してしまっている。
ならば、あのことも話すべきなのかも知れない。
カズキは、意を決して口を開いた。
「すんません、オスマンさん。オレたち、嘘をつきました」
「ふむ…オレたち、とは?」
「えっと。オレと、ルイズと、キュルケさんと、タバサの四人です」
カズキが指折り数えると、オスマンは呆れたように言った。
「なんじゃそりゃ。今回フーケを捕まえた英雄たちではないか。それで、嘘とは?」
「実はオレも、『破壊の聖石』……『核鉄』を持ってます」
その言葉に、しかしオスマンも、大きな反応は見せなかった。
「ふむ。……ま、あれだけ知っておれば、ありえん話ではないの。と言うことはあれか。
ゴーレム相手に、『破壊の聖石』を二つも使った、というわけかね?」
「そうなりますね」
「君はあれか。いじめっ子かなにかか」
予想外な感想に、カズキは苦笑を返した。ともあれ、オスマンは続きを促した。
「それで?」
「ここからは、オレとルイズしか知らないんすけど……オレの『核鉄』は今、オレの体の中で、心臓の代わりになってます」
オスマンも目をむいた。
「オレは、‘錬金術'の闘いに巻き込まれて、一度死んだんです。そして…」
カズキは、ルイズに話したことと同じことを、オスマンに語った。
‘ホムンクルス'との出会い。『武装錬金』との出会い。そして、斗貴子との出会いを。
「……まさかこれに、そんな力があるとはのう」
オスマンは、その手に持った、ボロボロになっている『核鉄』を見やった。
まさか、死に掛けた人間を甦らせるとは…名づけた自分が言うのもなんだが、まさに『聖石』ではないか。
「オレの中の『核鉄』はある切っ掛けから、より強力な力を持つ、『黒い核鉄』であることがわかりました。
そしてオレは……オレの身体は、傍にいる者の命を吸い取ってしまう、存在するだけで、周囲に死をばら撒く化物になりつつある」
カズキは掌を見つめながら、言葉を終えた。
オスマンは息を呑んだ。
「なりつつある、ということは、なんじゃ。まだ人間でもある、と言うことかの?」
オスマンは、自分が殺めた男を思い浮かべた。彼もまた、人間と化物の狭間を彷徨っていたのだろうか?
「そこなんだよなぁ」
カズキは頭を抱えた。
「オレの体はもう、期間的に化物になってて、おかしくないはずなんです。
ルイズに『召喚』されたのが、完全にヴィクター化するまで、残り数日もない頃でしたから。
それどころか、ゴーレムとの戦いで『武装錬金』を使ったから、もう完全にヴィクター化してしまっても、おかしくなかった。
……あ、ヴィクター化ってのは、化物になることの通称ってことで」
『召喚』されて、既に十日以上が経過している。なのに、一向にヴィクター化が完了しないのは、どういうことか。
オスマンは自分の体調を測ったのか、不思議そうに口を開いた。
「ふぅむ。なんぞ、吸われとる感じはせんの」
「ルイズも、そう言ってました」
それに、キュルケやタバサも、気を失っていたロングビルや、ここに来るまですれ違った全員、急激に疲弊が訪れる様子はなかった。
今月のエンバーミングも面白かった。支援
243 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 21:52:20 ID:I8JaMU2V
「せめて、見た目のひとつも変わっててくれれば、判りやすいもんなんじゃが…」
「あぁ、変わるっすよ」
今度は、ヴィクター化したときの自分の外見を説明する。闘争心の高ぶったカズキの肉体は、蛍火の髪と、赤銅の肌を有する。
それを聞いたオスマンは、目を丸くした。以前のコルベールから受けた報告とは、だいぶ違う真相だった。
あのコッパゲールめ。適当なこと言いおって。
そう毒づくと、カズキに向き直る。
「……ちと、よいかな」
オスマンはそういうと、ボロボロの『核鉄』を杖に持ち替え、もう片方の手でカズキの左手を掴んだ。
そして、瞼を閉じ、短く呪文を紡ぐ。
「あ、あの…?」
「ふむ……なるほどのぅ」
重々しく唸ると、瞼をあける。厳しい表情をして、オスマンは言った。
「『水』の流れ……まぁ、生命力の流れにも、おかしいところはないの。健康な男性の流れじゃ。
お主の話が事実なら、その左胸に眠るそれは、我らの魔法にも引っかからんほど、自然な心臓の役割を果たしておる、ということになるんじゃが……。
胸の中にその、『黒い核鉄』とやらが入っておるのかは、一概にはわからんの、これは」
どうやら、魔法でカズキの肉体を探っていたようだ。そして、魔法学院学院長に、カズキは、ルイズの使い魔の肉体は、特に問題なし、と判断された。
まさか、ここにきて信じてもらえないのでは、と思い、カズキはあわてて言った。
「体を透かして見れる魔法とか、ないんですか?」
「んなもんあったら、私が率先して使うわい」
即答するオスマンは、ひとつ咳払いをしてから続けた。
「まぁ、ともかく。先も言ったとおり、『水』の流れを見る限りでは、健康な人間そのものじゃ。しかし、それは『水』の流れ方を見た場合、じゃがな」
「流れ方…?」
「問題は、もっと本質的なものじゃな。……そうじゃの、流れる『水』の許容量、とでも言えば、お主にも察しはつくじゃろ」
しばし考えて、なるほど、とカズキは頷いた。
「お主の肉体じゃが、今のままでも、生きるのに支障はない。
が……尋常ではない量の『水』が流れても、問題のないつくりにも、なっておるの。化物になるとは、良く言ったもんじゃ」
説明しながらオスマンは、額に汗を浮かべている。カズキは悲しそうな表情を浮かべた。
「はい。そして、それを満たすために、オレは、人の命を吸い取ることになります…そのはずなんです」
「ふむ……」
その状態のまま、オスマンはしばし黙考した。
この少年の身体は、確かに化物じみたものになっている。
人間としてまともな部分は、ほとんど残っていない。構造そのものは人間だが、許容量がまるで違う。
そして、彼の言が正しければ、その構造すら、既に違うものになるはずだ…だが、そうなっていない、というのは…?
「もうひとつ、いいかの?お主、ミス・ヴァリエールに『召喚』されてこっち、なにか変わったことは?」
問われて、カズキはこの世界に来てからのことを、思い返す。
いきなりキスされたこと。
変な文字が刻まれたこと。
携帯電話にルイズが驚いてたこと。
朝の着替えに、授業。ギーシュとの決闘。
ルイズと一緒に、図書館で資料を探したり、街に行って買い物したり。
そしてついさっきまで、盗賊フーケと、闘ったり……。
「変わったことだらけです」
カズキは、苦笑を浮かべながら言った。
オスマンも、そうか、と頷く。そして、続ける。
「……これは、私が今しがた思いついた推論じゃ。こうだったらええなっちゅー、願望もまじっとる」
「はあ」
「お主の肉体じゃが、おそらく……それ以上化物になることは、もはやあるまい」
「はあ……はあ!?」
間を置いて驚くカズキに、オスマンは先刻から掴みっぱなしの左手。その手の甲に刻まれた、仄かに輝くルーンを見せる。
244 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 21:54:00 ID:I8JaMU2V
「お主のこのルーン…これについては?」
カズキはぶんぶんと首を振った。
『召喚』された日から、カズキとともにあるルーン。仄かに輝き、武器を手に取ると、もっと輝くそれ。
「これが、いったい何の関係が…?」
「まぁ、落ち着くのじゃ。これは、伝説の使い魔、『ガンダールヴ』のルーンといってな。
あらゆる『武器』を使いこなしたという、伝説のルーンじゃ」
「……伝説の、使い魔」
いきなりそんなことを言われても、いまいちピンと来ない。思わず、首を傾げた。
「なんでオレに、そんなルーンが…?」
「それはわからん」
オスマンが即答すると、カズキはなんだそりゃ、と項垂れた。
オスマンはしかし、と続ける。
「お主の胸の中の、『黒い核鉄』とやら……もし、伝説のルーンが、それを『武器』として認識していたら…?」
そう言われて、カズキは目を見開いた。
『核鉄』――『武装錬金』は、‘錬金術'の闘う力。戦術兵器の、開発の成果だと、斗貴子は言っていた。
兵器、つまりは『武器』の大元である『核鉄』にも、反応しているのだとすれば…。
「このルーンが『黒い核鉄』に反応して、オレのヴィクター化を、抑えてくれている……?」
オスマンは静かに頷いた。が、即座に表情を崩す。
「ま、言っておいてなんじゃが、それが‘使いこなす’ことと同義なのかは、少々怪しいトコじゃな」
嘆息しながら、そんな所見を述べる。言われて確かに、とカズキも思った。
このルーンが剣や『武装錬金』に反応していた時は、体は羽のように軽くなった。しかし、今のカズキにそれはないのだ。
「じゃから、もうひとつ」
掴んだ左手を開放すると、オスマンはその長い髭を撫で付けた。
「もう一つの可能性。それもまた、そのルーンが関係はするんじゃが……」
カズキは、あらためて自分の手の甲を見やった。
ルイズに『召喚』されて、キスされて、激しい痛みと共に浮かんだ使い魔のルーン。
伝説のルーンというだけでなく、今度はなんだというのだろう。
「お主の話では、『召喚』されたときは、その化物になるまで、残り数日、じゃったな」
「……はい」
オスマンの言葉に、カズキは頷いた。ヴィクターと共に、月まで飛んで。そこからルイズに、『召喚』されて。
「その段階で、お主はミス・ヴァリエールの使い魔となった」
「そうです…けど……」
答えながら、カズキはその言葉の意味に、なんとなく察しがつき始める。
いや…まさか……そんなことが?
あの時、ルーンを刻まれる直前。自分の身体は、一瞬だけヴィクター化した。
まるで、入ってくる‘何か’を拒むかのように、肉体が反応したんだろうか。
そして、その‘何か’は、この左手に刻まれることで、治まった。
「おそらく、お主の残り少ない、‘人間’としての部分……それが、‘使い魔’に変わったこと」
考え込んだカズキに、オスマンは続ける。
「言い換えれば、そのルーンが、お主に刻まれたことが。お主が、ミス・ヴァリエールの使い魔になったことそのものが、
お主の身体を、その状態で留めておるの要因なのではないか、という推測じゃ」
オスマンは一つ息をついた。
「すると今度は、‘使い魔になること’そのものも、‘まったく別の生物になること’と同義になるんじゃが……、
人間が使い魔になったことなんぞ、聞いたこともないからのぅ。ましてや、化物になりかけの人間なんじゃ。
何が起こっても、不思議ではない。ひとまず私としては、こっちのほうをお勧めするかの」
伝説の使い魔になったことより、ただ、メイジの使い魔になったということ。
オスマンは、そちらを推してきた。
カズキは呆然としながら、自分の左手のそれを見つめた。
245 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 21:55:57 ID:I8JaMU2V
「でも、それは……」
「うむ、推論に過ぎん。が、お主の今の状態を説明するのに、他の可能性は考えられんからの」
「ヴィクター化の進行が、予測以上に遅れてる、ってことは?」
「おそらく、それはあるまい」
カズキは、オスマンが何故こうも言いきれるのかと眉をひそめた。
そんなカズキに、オスマンは問いかけるように言った。
「お主が自分で使ったんじゃろ?最後の一押しになりかねん、『武装錬金』を」
「そりゃ、そうですけど……」
だからと言って、伝説の使い魔になったから、あるいは、ルイズの使い魔になったから。
それによって、ヴィクター化が抑えられていたなんて話、突飛過ぎて信じられない。
じゃあ、オレのこれまでしてきたこと…斗貴子さんとの逃避行は。ヴィクターとの戦いで、一緒に月へ行った事は……無駄だったってのか?
どこか納得できない様子のカズキに、オスマンは諭すように切り出した。
「信じられん気持ちは、わかる。事実、この推測があっとるかどうかは、今後のお主の経過次第じゃからの」
そう、もし間違っていたとしたら、化物になったオレは、すぐそばの誰かを傷つけることになってしまう。殺すことになってしまう。
カズキの脳裏には、いの一番にルイズが浮かんだ。カズキをこの世界に『召喚』し、使い魔の『契約』を交わした少女。
負けん気が強くて、恥ずかしがり屋の頑張り屋で、いろいろ酷いところもあるけれど、根は優しくてかわいい、魔法使いの女の子。
「違う世界から来たお主に、我らの魔法を、始祖ブリミルの遺したその御業を、全部信じろとは言わん」
そんなルイズを。自分のために、心を痛めてくれたルイズを、間違っても、傷つけるわけにはいかない。
だから、オレは。
「じゃが……ミス・ヴァリエールの魔法だけは、信じてやってくれんか」
オレは――
『アルヴィーズ』の食堂の上階。そこは大きなホールになっていて、様々な催しに使われることが多い。『フリッグの舞踏会』もまた、この会場で行われていた。
着飾った生徒や教師たちが、豪華な料理が盛られたテーブルの周りで歓談している。皆、年に一度の舞踏会を満喫している様子だった。
カズキは一人、バルコニーの枠にもたれ、そんな華やかな会場をぼんやりと見つめていた。
あんな席に、冠婚葬祭に使えるとはいえ、学生服の自分じゃ流石に場違いなのもあるだろうし、今はそんな、浮かれた気分にもなれない。
ホールの中では、綺麗なドレスに身を包んだキュルケが、たくさんの男性に囲まれ笑っていた。
パーティの始まるついさっきまで、黒いパーティドレスを着たタバサと共になんやかやと話していたが、今はあっちに大忙しのようだ。
タバサもタバサで、一生懸命にテーブルの上の料理と格闘している。あんな小さな体によくあれだけの量が入るもんだと、ちょっと感心した。
それぞれに、パーティを楽しんでいるようだった。
「どうしたんですか、ムトウさん。せっかくのパーティなのに、お料理食べないんですか?」
ふと声がかかる。シエスタが、笑みいっぱいにそこにいた。
シエスタは、ハイ、と手に持ったトレイを差し出してきた。美味しそうな肉料理の皿と食器、ワインの壜、そしてグラスが載っている。
「ダメですよ。ムトウさんも、今日の主役の一人なんですから。ちゃんと楽しんでくれなきゃ、厨房のみんなが泣いちゃいますわ」
「ん、ゴメン。なんか、楽しめる気分じゃなくて」
申し訳なさそうに笑うと、シエスタは不思議そうな顔をした。
「あら、なんでですか?確かに、学院長秘書のミス・ロングビルがフーケだったことは、ショックでしたけれど……。
それを差し引いても、ムトウさんが、巷で噂のフーケを捕まえるのに一役買ってることのほうが、私たち平民には重要なことですわ。
もう、マルトーさんなんかすごく興奮しちゃって、今厨房ですごいことになってるんですから」
“『我らの剣』がまたやってくれたぞ!今度は世間を騒がせてる、『土くれ』のフーケを捕まえたそうだ!
なに!フーケは貴族からしか盗まないのか!?良いヤツじゃねえか!なにやってんだ、『我らの剣』は!!
まぁいい、とにかく今日の舞踏会じゃ、『我らの剣』も主役なんだ!お前ら、気合入れろよ!!”
シエスタは、そんな作業前のマルトー料理長の様子を、面白おかしく語った。
その光景が容易に想像できて、カズキも、マルトーさんらしいや、と思わず笑みをこぼした。
「そんなわけで、今日のマルトーさんは一味違うらしいんです。せっかくですし、どうぞ食べてくださいな」
そして、あらためてトレイを差し出してくる。数日前の御馳走よりも、すごいのだろうか。
246 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 21:57:33 ID:I8JaMU2V
そう考えると、一気にお腹が空いてきた。沸き立つ食欲には勝てず、トレイを受け取る。が、どうにも隣のワインが気になる。
「ありが…とう」
「あ、私の故郷のワインも、一緒にどうぞ。マルトーさんにお願いして、とっておきのを開けてもらっちゃいました」
「そ、そう…」
シエスタはどうしても、カズキに故郷のワインを飲んでもらいたいようだ。
手の空いたシエスタは、周りを見回してから、ぐっと伸びをした。
こんな華やかな席で、わざわざバルコニーに目をやる者もいないだろうから、見咎められることもない。
「そういえば、ムトウさん。ミス・ヴァリエールに『召喚』されたその日に、いきなり出て行くとか言ってましたよね」
早速料理を食べようとしたところで、シエスタが言ってきた。
そういや、ここに来たばかりの頃は、そんなことも言ってたっけ。
そんで、ルイズと話し合って、残ることになって……。
シエスタに顔を向けると、黒く澄んだ瞳と、目が合った。どこか、懐かしい気持ちにさせる眼差しだと思った。
「今もやっぱり、ここを出たいとは、思ってるんですか?」
シエスタが、不意にそんなことを尋ねてきた。
「これから、どうするつもりなんじゃ」
そろそろ学院長室から退室しようか、という段になって、オスマンが尋ねてきた。
カズキは静かに首を振った。
「正直、これからどうなるか、わかりません。ただ、このままオレがヴィクター化してしまった時は、オレのことをルイズに頼んであります」
オスマンは、一瞬目を見開いたがしかし、そうか、と頷いた。
カズキは、自分の左手を、そのルーンを見ながら、続ける。
「でももし、もしオレが本当に、これ以上ヴィクター化しないんなら……」
「元の世界に帰りたい、かね?」
その言葉に、カズキの心は揺れ動いた。
もしオレの身体が、ヴィクター化が進行しなくなって、周囲に死を撒き散らさないままなのだとしたら。
オレのために、泣いてくれたあの人を。オレが泣かせてしまったあの人を、泣き顔のままには、しておけない。
だけど……。
「オレと、同じような男がいるんです。名前は、ヴィクターって言います」
見つめた左手を握り、カズキは呟くように返した。
オスマンは、目を細める。ヴィクターという名前。耳に新しい。
「ほぅ」
「名前からわかるでしょうけど、オレの身体は、その男と同じ状態に近づいて…ました。
向こうの世界で、オレも、ヴィクターも、みんなが助かるための手段を試したんだけど、それは結局、上手くいかなくて。
それでオレは…オレだけが、この世界で、ギリギリ人間として、助かったとしても」
だけどヴィクターは、今も月に独りきり。
もし、自分がこれ以上、ヴィクター化しないのなら。
もし、この世界から、元の世界へ帰れるのなら。
「オレだけが助かって、みんなのところに帰るわけには、いかない」
「そのヴィクターという男も助けたい、と?」
カズキは静かに頷いた。オスマンは長い髭を撫で付けながら、うぅむ、と唸った。
「しかしのぅ…そのヴィクターという男、お主の世界におるのじゃろう?助けるにしても、どうするんじゃ。こっちの世界にでも呼ぶのかの?」
「う…」
カズキは言葉に詰まった。
「それにその話しぶりでは、その男、既に完全な化物になっておるんじゃろう?お主の場合は、まだ人間の部分が残っておった。
そして、その部分が使い魔になれたから、なんとかなっとるのかも知れん。が、さすがにそれはのう」
どんどん旗色が悪くなっていく。確かに、ヴィクターを助けたくても、その方法もわからない。
「ま、魔法でなんとかならないんですか?オレみたいに、魔法でこっちに呼んで、体を人間に戻して……」
そう食い下がるカズキに、オスマンは難しい顔で返した。
「こっちに呼ぶのは、お主と同じように『召喚』でなんとかなるかも知れん…が、
そもそもお主がミス・ヴァリエールの『召喚』でこっちに来ただけでも、人より少しばかり長く生きとる私も、聞いたことのない話じゃからの。
それに、体の状態を留めることは、お主という例があるから、なんとかなるかも知れん。が、そこからさらに、人間の方に戻すとなるとのう」
そう告げるオスマンに、カズキは悔しそうに歯噛みした。
「まぁ、元の世界に帰る方法についても、わかっておらんしの。できるかどうかわからんことを、あれこれ言っても詮無いことじゃ」
247 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 21:59:16 ID:I8JaMU2V
そしてオスマンは、じゃが、と、とりなすように言った。
「いろいろといわくつきの、思い出の品を取り返してきてくれた恩人のためじゃ。私なりにも、いろいろ調べてみるつもりじゃよ。
ひょっとしたらその男も、『破壊の聖石』をこの世界に持ちこんだ彼と、同じようにやってこれるかも知れんしの」
そうだ。すっかり忘れていたけれど、LII(52番)の『核鉄』も、‘ホムンクルス’の男と共に、何故かこの世界にやってきた。
つまり、何らかの方法はあるはずなんだ。オレと同様、やはり『召喚』なのかも知れないけれど。
「お願いします」
カズキはオスマンに頭を下げた。魔法のことは、魔法の専門家に託すしかない。もちろん、自分でも探すつもりではいるけれど。
「しかしのう…」
思うところがあるのか、決まりが悪そうに言った。
「これは、私個人の意見じゃが……お主はこのままこの世界で、ミス・ヴァリエールの使い魔を続けた方がええんでは、と思うとる。
まだ推論の域を出ておらんが、もしお主が、人間として生き長えるのなら……彼女はお主にとって、主人というだけでなく、命の恩人ということにもなるの。
それが例え、ミス・ヴァリエールにはそんな意図はなかったとしても、じゃ」
「それは……」
「我らメイジの間では、使い魔とは生涯の友、とも言える存在でな。そうそう切れぬ関係なんじゃ。
元の世界に戻るっちゅうのはお主、それこそミス・ヴァリエールの使い魔であることを、放棄するっちゅうことになる」
オスマンの言に、カズキはやはり、言葉を詰まらせた。
ルイズは、オレを召喚した。
そして、オレを使い魔にした。
それでオレは、救われているかも知れない。
確かに、誰も想定しない結末だし、そんなんで恩を感じろって方が無茶な話だ。
だけど。
ルイズはオレのために、フーケに立ち向かおうとしてくれた。
『武装錬金』を使ったオレを、心配してくれたのだ。
そんなルイズの使い魔をやめて、元の世界に帰る。
「それに、お主が元の世界に戻ること。彼女の使い魔をやめることは、要らん弊害を生むかも知れん。
例えば……お主がミス・ヴァリエールの使い魔であるうちは、この世界におるうちは、お主は人間のまま。
それが向こうの世界では、結局化物に逆戻りっちゅう事態も、考えられる」
カズキは、ごくりと息を呑んだ。
それはあくまで、推論に推論を重ねただけのものだ。だが、あり得ない話でもない。
元の世界でも、魔法が効くとは限らない。この身体が、残った人間の部分が、使い魔のままでいられるかわからない。
「そうなるくらいなら、お主はこの世界に留まったほうが、いいかも知れん」
一息置いて、オスマンはなおも続けた。
「そしてこれは、あまり言いたくはないが、お主、ミス・ヴァリエールに万一のことを、任せておるのじゃろ?
それなのに、自分が大丈夫だったから、元の世界に戻る……それはちと、勝手が過ぎるんではないかの」
カズキは思わず、それは違うと口を開いた。
「オレが、オレがルイズに‘それ’を頼んだのは……それは……」
最初は、『召喚』された日に、ルイズが話の流れで、物の弾みで言い出したことだ。この世界には魔法があるから。
それはヴィクター化した自分すら、殺せるかも知れない。そしていざという時は、ルイズがそれをすると言ったから。
自分としても、それを鵜呑みにしたわけじゃないけれど……でも、そう。自分でも、一度は納得したことだ。
「それ、は……」
次に話が出たのは、ほんの数日前のこと。ルイズから、最後まで自分の使い魔でいて欲しい、そう言われたときのこと。
召喚してしまったのが自分なら、始末をつけるのも自分だと、ルイズに改めて言われた時のこと。ルイズに、そう言わせてしまったときのこと。
だから、オレは残った時間を、ルイズの使い魔として過ごすことにしたのだ。
全てを、ルイズに放り投げて。
「まぁ、お主とミス・ヴァリエールのことじゃ。私がどうこう口出しすることでもないの」
今更過ぎることを、言ってのけるオスマン。ふと窓を見やると、陽がだいぶ傾いている。ずいぶん長く話し込んでしまった。
しばし悩んだ末、カズキは言った。
「……考えて、みます」
248 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 22:00:17 ID:I8JaMU2V
「ムトウ、さん?」
シエスタが、心配そうに声をかけてきた。そういえば、質問されていたんだっけ。
カズキはシエスタに一つ笑いかければ、会場の方を見ながら言った。
「実は、ちょっと迷ってる」
実際は、ちょっとどころではないのだが。
あれからしばらく悩んでも、結局、答えは出なかった。出せなかった。
流されるまま、ここにいる。
「そうなん、ですか」
カズキと同じ方向を見やりながら、シエスタは続けた。
「でも私は、ムトウさんが学院に残ってくれたらいいな、って思ってます」
「へ?」
「あ、いえその……!」
シエスタがわたわたとしだしたところで、ホールの壮麗な扉が開き、ルイズが姿を現した。
「ヴ、ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな〜〜〜り〜〜〜!」
会場の視線が、一斉に注がれる。呼び出しの衛士の、やたらと大きな声に、カズキもそちらに気を惹かれた。
そういえば、ルイズってそんな長い名前だったよなぁ、と思いながら、カズキがルイズに目をやると……
びっくりするほど可愛かった。
ルイズは長い桃色がかった髪をバレッタにまとめ、ホワイトのパーティドレスに身を包んでいた。
肘までの白い手袋が、ルイズの高貴さをいやになるぐらい演出し、その手に提げられた大剣が物々しさをやたらと醸し出していた。
ん、大剣?
皆の視線の先は、美麗に着飾ったルイズから、その手の大剣、鞘に収まったデルフリンガーに移っていた。
周囲の唖然とした空気の中、すぐ近くの衛士が、思わず口を開いた。
「ミス・ヴァリエール。やはり、帯剣したまま入場というのはその、趣向としても如何なものかと……」
本日の主役に対して、あまり強く出れない衛士である。ルイズは済ました顔でそれを流し、会場に向けて歩を進めた。
なにはともあれ、主役が揃ったことを確認した楽士たちは、どこか戸惑いながらも、音楽を奏で始めた。
これが大剣を持ってなければ、その美貌に惹かれた男たちが群がることだろう。
が、何をどう血迷ったのか、美少女のその手には、寄らば斬るぞと言わんばかりに大剣が携えられているのだ。
しかし、そんなルイズにかまってばかりもいられない。今日は年に一度の舞踏会。ホールでは、貴族たちがダンスを踊り始めた。
ルイズは、バルコニーのカズキを見つけると、そちらへあくまで優雅に、ずんずん近寄っていった。
「…あ!それじゃ!ムトウさん、楽しんでくださいね!」
すぐ近くにいたシエスタが、逃げるようにホールの給仕へと戻っていった。
ぽつんとその場に残ったカズキの前にルイズは立つと、大剣を抱えあげ、首を傾げた。
「楽しんでるみたいね」
「う、うんぐへっ!」
頷こうとしたところで、唐突に大剣を投げつけられた。ルイズはあー、重かったと肩を回そうとしたが、場が場なので言うだけにした。
「ってて。なにを……」
鼻の頭をさすりながら、思わず抗議の声をあげたが、ルイズの並々ならぬ威圧感に気圧された。
「どっかの使い魔が先に行っててって言うから、素直に部屋で待ってれば、何時まで経っても夕方になっても、さっぱり戻ってこないじゃない。
仕方無しに人を呼んで、着付けを手伝ってもらって、わざわざここまで、剣を持ってきてあげたんだけれど。
さて、その使い魔は、御主人様に何か言うことはあるかしら?」
249 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 22:01:16 ID:I8JaMU2V
そこまで言われて、カズキは本日何度目か、あ、と声にならない声をあげた。
そういや、オスマンさんの部屋を出てから、ルイズの部屋に戻ってなかったっけ。
カズキは、投げつけられた大剣を拾い上げた。ルイズの買ってくれた、魔剣デルフリンガー。
「えぇと、その、ゴメン。けど、なんでわざわざ、剣なんて持ってきたの?せっかくのパーティーなのに」
えらい軽い調子で謝られ、思わず青筋を立てそうになったルイズ。しかし、努めて冷静に返す。
「なんでって……あんたが部屋に戻ってこないからでしょうが。ありがたく思いなさいよね」
「は?」
そこにきてルイズは、ここまで言ってまだわからないのかと、不機嫌そうな顔になった。というか、不機嫌だ。
黙って、カズキの持った剣を顎で示す。
しかしカズキはカズキで、ルイズが何をさせたいのかわからず、頭上に疑問符を浮かべるばかり。
すると、いい加減じれったく思ったのか、ルイズは剣の柄を引っつかみ、鞘からえいと抜く。
錆の浮いた刀身があらわれ、その鍔がカタカタ揺れた。
「おいおい娘っこぉ。お前さんが抜いてどうすんだよ」
「っさいわね。文句なら、そこの鈍い『使い手』とやらに言いなさいよね。ほら、あんたもとっとと持つ!」
つんけん言いながらカズキに、ずいと柄を差し出す。おののきながらもそれを受け取ると、ルーンが反応したのか、身体が軽くなった。
伝説の使い魔、ガンダールヴのルーン。やはりこの力は、『黒い核鉄』を。ヴィクター化を、抑えてくれているのだろうか。
それとも……。
「どう?」
ルイズの尋ねるような声。その真剣な眼差しは、自分ではなく、剣を向いていた。
「ああ。昨日と同じさ。相棒は相変わらずのギリギリっぷりだぁな」
軽い調子で返すデルフリンガーに、カズキははっとした。
そういえばこの魔剣は、自分の身体の状態を、この世界で一番最初に見抜いた剣じゃないか。
ルイズは、自分の身体を、ヴィクター化の進行具合を調べるために、剣を持ってきてくれたのだと、カズキは今頃理解した。
「ギリギリなのは、この際いいの。良くないけど。問題は、そうじゃない方がどれだけ進んでるかよ」
ルイズは重ねて促す。魔剣はやはり、軽い調子で返した。
「良くわかんねえ方か?変わってねぇよ。言ったろ、昨日と同じだって。相棒は相変わらずのギリギリ『使い手』さ」
「ふぅん……で、それってこれから変わったりはしないの?」
デルフリンガーはうぅんと呻ると、鍔をかちかちと鳴らした。
「まず、ねぇんじゃね?『使い手』って、一回なっちまえば、そんな度合いが変わるってもんでもねーし」
「……そうなの。わかったわ」
そこにきてやっと、ルイズは表情を崩した。
「よかった……」
そう、安堵の息とともに、ぽつりと呟いた。
そしてその言葉が、表情が、カズキの中のもやもやを、一息に吹き飛ばした。
「ルイズ」
呼ばれると、ルイズは頬を赤らめて、あわてて取り繕うように言った。
「よ、良かったじゃない!あんた、なんか知らないけど、化物になることはないそうよ!ボロ剣の言うことだけど!」
「うん」
「ボロはひでーな」
「なによ、元気ないわね。もっと喜びなさいよ。あんたが戻ってこないから、あんたのために、わざわざこれをここまで持ってきてあげたのよ?」
「うん」
「これもひでーな。でたらめ言うぞ」
「そしたらあの店主に頼んで溶かしてあげるわ。ま、あんたもこれで心置きなく、わたしの使い魔ができるってもんよね」
「うん。ルイズ」
「な、なによ……」
ルイズの魔法を信じること。そして、ルイズを信じること。
さっきの言葉は、その一押しに、十分足りえたから。
「ありがとう。オレ、たぶんだけど……ルイズのおかげで、助かったと思う。救われたんだと思う。だから、ありがとう」
穏やかな口調で、カズキは言った。それは心からの、感謝の言葉だった。
250 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 22:02:51 ID:I8JaMU2V
ルイズはきょとんとした表情になると、頬をさらに赤らめた。
「そ、そうなの?」
「うん」
にっこり笑って、カズキは頷いた。ルイズは、なにがどうしてそうなるのかわからないが、そんな風に笑って肯定されたのでは、こっちも頷くしかなかった。
「な、なんか喋ってたら、喉、かわいちゃったわね」
思わずカズキから顔をそらすと、ルイズはそう言った。
カズキは、そういえば、と先刻シエスタのくれたワインを、グラスに注いで、ハイこれ、とルイズに手渡した。
「あ、ありがと。気が利くじゃない」
受け取ったルイズは、静かにグラスを傾けていった。なんだか、味が良くわからなかった。
ふとカズキは、ホールを見やった。紳士淑女たちが、音楽に合わせて踊っている光景が目に映る。
「そういや、ルイズは踊らなくていいの?」
グラスを傾けるルイズの手が、ぴたりと止まった。
ぎぎぎ、と首から上を、冷えた視線をカズキに向けて、ルイズは口を開いた。
「相手がいないのよ」
「なんで?」
「……舞踏会場に、ボロ剣抱えてやってきて、ダンスのお誘いなんかあると思う?」
なるほど、それは確かに合点がいく。それなら、ダンスのお呼びがあるはずもない。
「えっと……」
それはつまり、ルイズはオレのために。オレのせいで、パーティを楽しめないということなんだろうか。
そう思うと、カズキは申し訳なくなった。
ルイズはグラスを置いて、すっと手を差し伸べた。
「しかたないから、あんたで我慢してあげる」
カズキはきょとんとした。
「その……踊ってあげても、よくってよ」
目を逸らして、照れたように言って来る。その仕草が可愛く見えて、つられて照れてしまった。
「え、えーと。ああいうダンスって、やったことないんだけど」
ルイズも一瞬きょとんとすると、くすりと笑った。
「あら、ダンスは達人じゃないの?」
そう言われてカズキも、思わず苦笑を浮かべた。そして、ルイズの手を取った。
二人は並んで、ホールへと向かった。
カズキはルイズの動きに合わせて、足を動かす。そうすると、素人目にもなんとか曲に合わせて踊っているように見えた。
ぎこちなさは仕方ないが、それに眉を顰めるでもなく、ルイズも澄ました顔でステップを踏んでいった。
「ねえ」
「ん?」
「あんた、あの時言ってたわよね。わたしに、言わなきゃいけないことがあるって」
ステップを踏みながら、確認するようにルイズが言ってきた。
「あの時?」
「あんたね……。ゴーレムから逃げてる時に、言ってたじゃない」
そういえば、確かにそんなことも言っていた。カズキはあぁ、と頷いて。
「あれ、言わなかったっけ?ゴメン、って。昨日のこと、謝ってなかったからさ」
そう、タバサの風竜が降りてきた時に、ルイズとタバサに、カズキは謝っていた。
すると、ルイズの表情が固まった。自分の使い魔が、あんな状況で言いたかったことはいったいなんだろう、と期待してこれだ。
わなわなと、肩が震えそうになった。が、状況が状況なので、踊ることに専念する。
「……まぁ、いいわ。あんたって、そういうやつだし」
ルイズはそういうと、踊りながら俯いて、小さくため息をついた。ムードもへったくれもなくなってしまった。
カズキはカズキで、なにかマズいこと言っただろうか、と疑問符を浮かべた。
二人はそのまま、踊り続けた。
「わたしも、まだ言ってなかったわね」
251 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 22:04:22 ID:I8JaMU2V
ルイズは、思い切ったように口を開いた。
「ありがとう」
「ゴーレムの時のこととか、その……、いろいろ、助けてくれて」
ルイズは、そう誤魔化すように呟いた。
カズキは――。
――ありがとう。
屋上の給水塔で、斗貴子さんに、言われた言葉。
ただ、守りたいと思った人が、言ってくれた言葉。
そして、今――
「いいよ、気にしなくて」
みんな、ゴメン
オレ、こっちの世界で、助かった
「なんたって、オレはルイズの使い魔だから」
できれば、そっちに帰りたい
そんで、みんなに謝りたい
「それに」
けれど
オレはもう、そっちに戻れないと思うから
戻っちゃいけないと思うから
そう思ったから
ほんとゴメン
「何を隠そう――」
だから
「オレは、使い魔の達人なんだ」
さようなら、斗貴子さん
使い魔の達人 第十二話 ゼロの使い魔
252 :
使い魔の達人:2009/09/04(金) 22:05:46 ID:I8JaMU2V
以上です。
どうにかこうにか、一巻分が終わりました。まぁその、出来はともかくとして。
ここまでいろいろほったらかしだったので、
一巻分最後の回にオスマンさんに手伝ってもらっての、スーパー説明タイムになってしまいました。
設定の多さ=駄漫画って原作の和月先生も言ってますけど、まるまる一話説明回とか尋常じゃなく酷いことに。
本当はこういった設定は小出しにするのが良いのでしょうが、自分の構成力のなさに死ねます。
あと斗貴子さん、本当にごめんなさい。
お粗末
大変だカズキがTRれちゃった!このひとでなしー
>>さようなら、斗貴子さん
ここはやはりテファ辺りに斗貴子さんを呼んでもらって、カズキをぶちまけてもらうしかないのでは……
255 :
254:2009/09/04(金) 22:15:39 ID:u9Tjg9wn
忘れてた、達人の人乙でした
GJなんですが
> さようなら、斗貴子さん
ええええええええええええええええええぇぇ!!!!!
色々期待しなが楽しみに待ってます
TQNが自力で時空の壁を突破しそうだのう
あああああああああ。あのカズキが斗貴子さんに永遠の別れを告げた……。
これだけでカズキの心が伝わってくるかのようだ。
ルイズとの契約ルーンがヴィクター化を抑えていたとなると、
原作沿いに進んだらVS7万で瀕死になったときが最期だな。一体どうなるんだ……。
TQNがぶちまけてから俺らによる再殺を行い
バスターバロンによる粛清を執行する
いやむしろ抑止力がなくなって力ちゃんゲットに突っ走るに一票
えるんがーこわい
>>68の
lebel-17
って
level-17だと思うんだけど直してwikiに編集すべき?
男爵様が出たら、なんか物語が終っちゃうだろ。
>>204 虚無=アギトだとすると四系統はギルス?
あとアギト化の力を与えたのは火のエルじゃなくて光のエル。
>211
破壊の杖ポジションのアイテムはG3-Xの装備の方がいいかも。
>>217 ダグバと北崎は小ネタで無かったっけ?
ダグバは学園の人物ほぼ全部が殺され、北崎はルイズ以外全員死亡で。
あれ? 火のエルでよくなかったっけ?
竜崎ことLが召喚されたら
学院食堂のデザートは全て独占されるな
達人の人乙!
…キサマぁぁぁぁぁ!カズキィィィィィィ!!
斗貴子しゃんをあの廃人状態で放置プレイな挙げ句「さようなら」だとぅ!?
今回はいつも通りの自己犠牲の偽善ではない。それなりに責任を取る選択であろう、
が
その諦めの早さわなんだ?
キサマは一度魂をブチマけ業火で炙り極彩に散らす必要がありそうだ
>>323 当初は量産型フリーダムをキラカスタムしただけの代物なのに・・・・
後付すごいですね
達人の人おつー
カズキがNTRれちゃった・・・
今頃斗貴子さんどうしてんだろう
達人の人乙
カズキ、お前は忘れていないか?どんな不可能も可能にしてきた蝶人を…
今に次元の壁をも越えてダブルヒロインがやってくるぜ!
もちろんぶち撒けにな!
海上ヴィクター戦から帰還まで一ヶ月だっけ?
272 :
アノンの法則:2009/09/04(金) 23:31:09 ID:CSbo3n4W
達人の人乙
カズキぶち撒けエンドを想像した
予定が無いようなら投下始めます
273 :
アノンの法則:2009/09/04(金) 23:32:12 ID:CSbo3n4W
「……今日で三日」
一日の授業を終えたルイズは、食堂へ向かいながらそう漏らした。
もう三日だ。今日もアノンは帰って来なかった。
あの後、ルイズは学院中を探し回ったが、結局アノンは見つけることはできなかった。
学院の外に出たに違いない。
自分の使い魔の危険性を認識し、しっかりと管理するつもりだったのだが、あっさりと野放しにしてしまった。
探しに行こうとも思ったのだが、どこに行ったのか検討もつかず、また実技が全滅なだけに授業のほうもサボるわけにはいかない。
ルイズは頭を抱えた。
このままではヴァリエールは使い魔に逃げられた、などと噂が立つかもしれない。
いや、それだけならまだいい。
ルイズが心配しているのは、あの危険極まりない使い魔が、どこかで事件を起こしていないか、ということだった。
あいつは今、ツェルプストーからもらった剣を持っている。
剣。そう、凶器だ。
まったく、あの色ボケツェルプストー、なんと余計なことをしたくれたのだろう。
昨日も、のん気に「私のダーリンはどこ?」などと尋ねてきた。
何でも今度はもっと立派な剣をプレゼントしたいのだと言う。
とんでもない話だ。あのボロ剣だけでも十二分に危険だというのに。
「まさかもう死人が出てるんじゃ……」
ルイズの不安は募る。
呼び出した使い魔を御しきれないばかりか、無関係の者に危害が及ぶ。
それは、主としての責任や貴族としての誇り以前に、ルイズの人としての良心が悲鳴を上げる事態だ。
ルイズは、胃に穴が開きそうだった。
この分では、食事もあまり入らないかも知れない。
ルイズはきりきりと痛む腹を押さえながら、食堂へと向かい――そこで、メイドと楽しげに語らう、自分の使い魔を見つけた。
「……今日で三日」
シエスタはそう呟いた。
彼女が身につけているのは、モット伯の屋敷で着せられたような下品な衣装ではなく、学院のメイドが使う、ごく一般的なメイド服だった。
彼女はモット伯の屋敷へと雇い入れられた次の日の朝一番に、理由も告げられず、学院へと送り返された。
幸い、マルトーもシエスタの無事を喜び、今まで通り学院で働けるように取り計らってくれた。
だがなぜ、モット伯は雇ったメイドをすぐに突き返すような真似をしたのだろうか。
シエスタはあの日の夜の、気を失う直前の光景を思い出す。
氷の粒が月光を反射しきらめく中、錆びの浮いた剣がモット伯の体を引き裂き、床に血が――。
そこまで思い出して、シエスタは体を震わせた。
あれは、現実の出来事なのだろうか。
モット伯は学院にも出入りする王宮の勅使。
彼が殺されたりしたら、学院にその話が聞こえてこないはずが無い。
(でも…)
シエスタは厨房での仕事を片付け、貴族達が夕食を摂っているだろう食堂へと向かった。
扉から中を覗いてみるが、やはり目当ての人物は見つからない。
今日も昼の間、仕事をしながらシエスタはずっと、アノンの姿を探していた。
どうしても、あの夜の出来事を確かめたかったのだ。
だが、彼は見つからない。メイド仲間達に聞いても、この三日彼を見た者はいないと言う。
マルトーの話によると、アノンに自分がモット伯に雇われたと話をした直後から、行方がわからなくなったらしい。
一体どこにいるのだろう?
「あれ? シエスタ?」
諦めきれずに、なおも食堂の中を見回していたシエスタに、後ろから声がかけられた。
274 :
アノンの法則:2009/09/04(金) 23:33:33 ID:CSbo3n4W
「別に戻ってくる必要は無かったんじゃねーか?」
アノンの背中で、デルフリンガーが言った。
アノンはモット伯に為り代わり、シエスタを学院に送り返す様手配した後、三日間を屋敷で過ごした。
屋敷の使用人や衛兵達は、少々雰囲気の変わった主をいぶかしんだが、モット伯の体を取り込んだアノンはまさにモット伯自身。
例え、『ディテクト・マジック』でも彼の正体を見抜くことはできないだろう。
そうしてアノンは三日間周りを欺き、たった今、屋敷を抜け出して学院に戻ってきたところだった。
数日のうちには、学院にもモット伯が行方不明になったとの知らせが届くはずだ。
「それもそうなんだけどね…」
アノンは曖昧に答えた。
確かに、もうしばらく屋敷で『伯爵様』をやっていても良かったし、屋敷を出るにしても、わざわざ窮屈な使い魔生活に戻る必要もなかった。
それでも帰ってきた理由は、やはりシエスタだろうか。
「とりあえず、ルイズに言い訳しないと」
ただでさえ行動を制限されていたところに、三日も無断でいなくなったのだ。
食事抜きでは済まないかもしれない。
この時間なら、ルイズは食事中だろうと、アノンはプラプラと食堂に向かった。
そこで食堂を覗きこんでいる、見覚えのある後ろ姿を見つけた。
「あれ? シエスタ?」
「アノンさん!?」
振り向いたシエスタは驚いた様子で、声を上げた。
「その様子だと、またココで働けてるみたいだね」
アノンの声はどこか嬉しそうだ。
「あ、アノンさん」
少し躊躇う様子を見せてから、シエスタは思い切った様に口を開いた。
「あ、あなたはあの夜、モット伯様を……」
――殺しましたか?
自分が尋ねようとしている事のあまりの恐ろしさに、シエスタは言葉を詰まらせる。
「知らない」
「え?」
「ボクは、何も知らないよ」
アノンはまっすぐにシエスタの目を見て、そう言った。
一瞬戸惑ったシエスタだったが、すぐに理解した。
あれは、夢ではなかった。
そして、アノンはそのこと他言するなと言っている。
「そう、ですか」
シエスタはにっこりと笑った。初めて会ったとき以来の笑顔。
シエスタは思う。
そうだ。彼はモット伯を殺した。
だが、それがなんだと言うのだろう。
一生醜い男のおもちゃにされるはずだった自分を、彼は貴族の屋敷に乗り込んでまで、助けてくれた。
ずっと避け続け、口も聞こうとしなかった自分を、彼は救ってくれたのだ。
シエスタは、胸の前で手を握り締めた。
もし、彼に危険が迫ったなら、今度は私が彼を助けよう。
私の人生を救ってくれたこの人に、いつかきっと恩返しをしよう。
笑顔と共に、シエスタは密かに決意した。
275 :
アノンの法則:2009/09/04(金) 23:34:37 ID:CSbo3n4W
シエスタの笑顔に、アノンも笑みを返す。
「アノン!!!」
笑い合う二人を引き裂くように、突然怒声が響いた。
声のしたほうを見ると、鬼のような形相のルイズが、大股でこちらにやって来た。
「あ、ルイズ」
「『あ、ルイズ』じゃない!」
ルイズは、怒りのあまり頭が沸騰しそうだった。
「一体どういうことなのこれは! その女は何!? きっちり説明してもらうわよ!」
あたふたしているシエスタを押しのけ、アノンに詰め寄るルイズ。
そうとも、この使い魔はあっさりと言いつけを破って、三日もいなくなったのだ。
そして帰って来ていると思ったら、ご主人様をほったらかして、メイドなどと楽しげに話をしているではないか。
もしかしたら、このメイドとどこかへ出かけていたのかもしれない。
この使い魔を全力で管理すると決めたルイズとしては、納得のいく説明が無くては、いや、あったとしても許すわけにはいかない。
「あら、ゼロのルイズは使い魔をメイドに取られちゃったのかしら?」
後ろから不意に投げかけられた、からかうような言葉。
声の主は言うまでもなく、赤髪の美女、キュルケ・フォン・ツェルプストーだ。
その横では、いつものようにタバサが無表情に本を開いている。
「何ですって!?」
「かわいそうね。自分の使い魔に見放されるなんて」
挑発のための哀れみを込めたその言葉に、ルイズは矛先を変えて、キュルケに猛然と喰ってかかる。
「そんなわけ無いでしょ! 何よ、取られるって!」
「あなたがさっき大声で叫んでたセリフ。男を奪われた女そのものだったわよ?」
「う、奪うだなんて、そんな、私……」
恥ずかしそうに俯くシエスタ。
「あんたは何赤くなってんのよ!」
「ダーリン、私よりそんなメイドのほうがいいのかしら? 私あなたのためにまた剣を買ったの。今度は錆びたボロ剣じゃなくて、太くて大きい、立派なヤツよ?」
「ツェルプストー、この色ボケ女! 剣はいらないって言ったでしょ! あのボロ剣も引き取ってもらうわよ!」
ルイズはキュルケに掴みかからんばかりの勢いだ。
食堂の前で起きている大騒ぎに、だんだん人が集まりだした。
「なに読んでるの?」
「イーヴァルディの勇者」
怒り狂うルイズをよそに、アノンはタバサの本を覗き込んで、そういえば言葉は通じるケド、字は読めないなぁ、などと考えていた。
276 :
アノンの法則:2009/09/04(金) 23:36:07 ID:CSbo3n4W
場所は変わって、ここは中庭。
ルイズとキュルケの言い争いがエスカレートし、ついに二人は決闘をすると言い出した。
だが、流石に食堂の前でおっぱじめるわけにもいかず、彼女達は 夕食を済ませてからここにやってきたのだ。
アノンとしては、勝手にルイズの怒りの矛先が変わって、嬉しい限りだったのだが――。
「いいこと? ヴァリエール。あのロープを切ったほうが勝ちよ。私が勝ったら文句言わずに、ダーリンに私の剣を使わせなさい」
「わかったわ。ただし、私が勝ったらあのボロ剣を引き取ってもらうわよ」
「いいわ。勝てたら、ね」
不敵に笑うキュルケを、ルイズは歯を食いしばって睨みつけた。
「あ、あのぅ。アノンさんを的にする必要はないんじゃ……」
睨み合う二人に、恐る恐るシエスタが尋ねる。
「うるさいわね。あいつにはいいお仕置きだわ。ていうかあんた、なんでついて来てるのよ」
「あ、いえ。心配でして…」
「大丈夫よ。私が優しく『レビテーション』で受け止めるから」
情けも容赦もないルイズに、何か企んだような笑みを見せるキュルケ。
二人の貴族は、まったくやめる気は無いようだ。
確かに、メイジが三人もいれば、死んだりすることは無いだろうが……。
それでもやっぱり心配で、シエスタは双月に照らされた本塔を見上げた。
277 :
アノンの法則:2009/09/04(金) 23:36:53 ID:CSbo3n4W
「えーと。それで、何でボクは吊るされてるの?」
本塔の上からロープで吊るされたアノンは、同じく本塔の屋上から、自らの使い魔である風竜に跨って地面を見下ろす少女に尋ねた。
風が吹くたび、アノンはプラプラと揺れる。
「まともな決闘は危険」
タバサは感情の篭っていない声で、そう答えた。
地面からアノンを吊るしたロープを狙い、彼を落としたほうが勝ち、というこの決闘は彼女の提案だ。
地面には、顔を突き合わせて睨み合いをしているルイズとキュルケの二人、そして心配そうにこちらを見上げるシエスタが小さく見える。
「ココから落ちるのだって危ないよ」
「あなたなら、ここから落ちても平気」
ぴくりと、アノンの眉が動いた。
「…キミが、『レビテーション』をかけてくれるから?」
「私が、『レビテーション』をかけなくても」
タバサは相変わらず、感情の読めない表情でアノンを見つめている。
正体が、バレている?
誰もが平民だと言う中で、彼女は自分の正体に感づいているようだ。
モット伯の件がある以上、触れ回られると都合が悪い。
いや、もしかしたら、そこから嗅ぎつけてきたのかもしれない。
「『どこまで』、気づいてるのかな?」
偽りは許さない。
アノンはタバサを見据えて、そう尋ねた。
高い塔から吊るされている状況も忘れ、アノンはタバサの答えに集中する。
彼女は、どこまで気づいているのか?
それに次第では、今度はこの魔法学院で行方不明者が出ることになる。
「あなたは、人間ではない」
簡潔なタバサの言葉。
「それだけかい?」
「……」
黙りこんだタバサに、アノンはひとまず胸を撫で下ろした。
モット伯の件や“守人の一族”の能力までは知られていないようだ。
では、どこで気づいたか、だ。
「一体、どこで気づいたんだい?」
「それは…」
「当然なのね! あれだけ人外の気配を放ってたら、バカでも気づくのね!」
タバサが口を開こうとした時、突如別の女性の声が割り込んだ。
その直後、バグン、という重い音がして、タバサの使い魔の風竜が、きゅい!と悲鳴を上げた。
タバサが身の丈よりも長い杖で、風竜を思い切り殴ったのだ。
「今その竜が…」
「なんでもない」
「お姉さま! そいつからは危険な匂いがプンプンするのね! やっぱり関わらないほうが……きゅい!」
再び振り下ろされる杖。そして聞こえる女の声と、竜の悲鳴。
「その竜、しゃべれるんだ」
アノンの言葉に、タバサは諦めたようにため息をついて、地上を確認する。
ルイズとキュルケは、まだなにやら言い争いを続けていて、こちらを見上げるシエスタにも風竜の声は届いていないようだった。
少し安心して、タバサはもう一度杖で風竜を叩いた。
「痛い、ホントに痛いのねお姉さま!」
「人前で言葉を話すなとあれほど言った」
「お姉さまは『人間』の前で話すなと言ったのね。そいつは人間じゃないからセーフのはず…きゅいぃ!」
「命令の意味を理解するべき」
さらに風竜の頭に杖を振り下ろして、タバサはアノンに向き直って淡々と告げた。
「交換条件」
「なるほど。キミはその竜がしゃべれるってことを、他人に知られたくないんだね」
「あなたも自分が人外の者と知られたくないはず」
「…いいよ。お互いの秘密を口外しないことで、自分の秘密を守れるってわけだ」
「お姉さま、今度からはこいつがいてもしゃべっていいのね?」
タバサは軽くため息をつく。
探りを入れるはずが、間抜けな使い魔のせいで弱みを握り合う形になってしまった。
また杖で使い魔の頭を叩いてから、タバサは大量のハシバミ草を用いた、使い魔の教育プランを練り直し始めた。
278 :
アノンの法則:2009/09/04(金) 23:38:34 ID:CSbo3n4W
突然、アノンの後ろの壁で爆発が起きた。
「ゼロ! ゼロのルイズ! ロープじゃなくて壁を爆発させてどうするの! 器用ね!」
「アノンさん、無事ですか!? アノンさーん!」
二人と一匹が驚いて下に目をやると、腹を抱えて笑うキュルケと心配して叫ぶシエスタが見えた。
今の爆発はルイズの失敗魔法だ。
いつの間にやら、決闘は始まっていたらしい。
だが、ルイズの魔法はロープには命中せず、本塔の壁に大きなヒビを作っていた。
「あなたって、どんな魔法を使っても爆発させるんだから! あっはっは!」
ルイズはがっくりと地面に膝をついた。
今度はキュルケがロープを狙うようだ。
キュルケが杖を構え、ルーンを唱え始めた時――地上にいる三人を大きな影が覆った。
「な、なにこれ!」
「きゃあああああ!!」
キュルケが驚きに口を開け、シエスタは悲鳴を上げた。
大きな影の原因は、月明かりを遮る巨大な土のゴーレム。
ゴーレムは大きく振りかぶり、その巨大な拳で、本塔の壁を殴りつけようとしていた。
その目線の先には、ヒビの入った壁――及び、吊るされたアノン。
ゴーレムがこのまま拳を振り下ろせば、確実にアノンが巻き込まれる。
一番反応が早かったのは、タバサだった。
すばやく風の刃を作り、アノンを吊るしたロープを切断すると、すぐに自分も風竜に跨り、本塔から飛び立つ。
そのまま地面に向かって落ちるアノンは、ロープでぐるぐる巻きにされているにも関わらず、空中で器用に体勢を変えて難なく着地した。
アノンはゴーレムを見上げる。
「大きいな…」
見上げるゴーレムは三十メイルはあろうかと言うかなり大型のものだ。
ゴーレムの巨大な拳が、ヒビの入った壁に叩きつけられ、本塔に大きな穴が開いた。
辺りに壁の破片が降り注ぎ、キュルケはたまらず、そばにいたシエスタを掴んで『フライ』でその場を離れる。
だが、アノンはロープでぐるぐる巻きの状態。これを解かなければ動けない。
ロープを引きちぎろうと力を込めたとき、ルイズが駆け寄ってきて、何とかロープを解こうと悪戦苦闘し始めた。
「ルイズ、ココ危ないよ?」
「うるさいわね、このロープなんでこんなに固いのよ!」
「キミが結んだんじゃないか」
「黙ってなさい!」
「あ、上」
「え?」
ゴーレムが腕を引き抜いた拍子に、一際大きな瓦礫がアノンたちの上に落ちてきた。
二人が瓦礫の下敷きになる寸前、間一髪でタバサの風竜が二人を掴んで、瓦礫と地面の間をすり抜けた。
空に上がったシルフィードは、二人を掴んだまま、きゅいきゅい!と鳴いた。
感謝しろ、とでも言っているようだ。
「アレ、ゴーレムだろ? あんなに大きいのもいるんだな」
アノンがのん気に感想を述べた。
「……あんな大きい土ゴーレムを操れるなんて、トライアングルクラスのメイジに違いないわ」
「アレもトライアングルか……」
系統こそ違うが、自分の取り込んだモット伯もトライアングルだったはず。
その実力差にアノンは驚いていた。
同じトライアングルでも、実力はピンキリのようだ。
「それはそうと……キミ、さっきなんで逃げなかったんだ?」
その問いに、ルイズはきっぱりと答えた。
「使い魔を見捨てるメイジは、メイジじゃないわ」
アノンは、思わずルイズに見入ってしまった。
その瞳に宿る光に、どこか見覚えがあるような気がした。
279 :
アノンの法則:2009/09/04(金) 23:39:29 ID:CSbo3n4W
学院の城壁を蹴り崩し、地響きを立てながらゴーレムは草原を歩いていく。
その上を旋回するシルフィード。
肩に、黒いローブを着た人物が見えたが、顔までは確認できない。
「肩にのところに誰かいるわ」
苛立たしげなルイズに、タバサは冷静に言った。
「これ以上近づいたら、叩き落とされる」
「壁を壊してたけど……、何してたんだろ?」
「あの場所は宝物庫」
アノンの疑問に、タバサが答えた。
「あの黒ローブのメイジ、壁の穴から出てきたときに、何かを握っていたわ」
「泥棒か。しかし、随分派手に盗んだもんだね……」
地響きを立てて歩いていた巨大なゴーレムは、アノンたちの前で、突然ぐしゃっと崩れ落ちた。
残ったのは、月明かりに照らされた土の山だけ。
黒いローブのメイジの姿は、どこにも無かった。
280 :
アノンの法則:2009/09/04(金) 23:40:30 ID:CSbo3n4W
以上です
ではまた
アノンの人乙です。
おマチさん…とりあえず全力で逃げて…
やはりというかなんというかおマチさんに死亡フラグ
「わかったかい、姉ちゃん。
世の中にはどうしても勝てんヤツの一人や二人いるもんだぜ」
そういえばカズキとアノンは中の人が一緒だったな。
カズキとアノンの違いはカズキが主人公でアノンがラスボスだからな
284 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 00:28:10 ID:vkffxlhD
ラスボスといえばラスボスの人まだかな?
285 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 00:36:05 ID:37lbVIv6
アプトムの人が復帰する頃には投下してくれるんじゃねーの
ラスボスさんも待ち遠しいが
FFのラスボスさん二名も待ち遠しい
カオスからの召喚だと呼ばれてないのは
クラウドオブダークネス
いいですとも
銀髪鬼
未来魔女
親父
か、セフィロスはニブル前の召喚だったら・・・
原作で完全に悪役だった奴が使い魔になるのは難しいんだろうか
小ネタの羅将神ミヅキとか帝都物語の魔人加藤を長編で読んでみたい
>>286 何クラウドオブダークネスってきもい…
RPGキャラは一時期結構来てくれたのに、
今じゃ日替わりと黒魔の人以外まともに来なくなったからなあ…。
>>287 まあ、そう言うのは性格的にも能力的にも、基本的に使い魔になる事を承諾するような
奴等じゃない所か、最悪の場合いきなりルイズ達皆殺しとかも十分過ぎる程ありうる、
むしろそっちの方がキャラ的に自然な行動だったりする事がザラな連中だからな。
長編でやる場合にはそう言った展開を何としても避ける必要があるけど、難しいから。
まあ、ぶっちゃけ歴戦の勇者たちが揃いも揃って
小娘の接近を許している時点で御都合主義だから
ルーンの魔力やなにやらでOKさ
殺気もなにもないひ弱そうなただの小娘だからこそ
接近を許したという好意的な解釈もできる
適当に理由つけて契約しなければいい
もしくはしたと見せかける
>>287 こいつらは特に強化しなくても何とかしてくれるから大丈夫だろ
スター・ウォーズ 新三部作からメイス・ウィンドゥを召喚して
7万人の軍と戦ったら凄まじい事になるだろうな
ライトセーバーで兵士を何人も切り フォースでオーク鬼を吹き飛ばしたりとか
まさにメイス無双になるだろうな
クローン大戦見てて何となく思いついた
>>293 ビルから落ちてアボンとかいう、あの最期はないよな…………
>>293 なんでか知らんが7万人スミスのスミス無双が頭に浮かんだ
誰得
良く分からんがリボンの騎士を思い出した
よく考えると風で姫で騎士とかタバサしかいないじゃん
烈風はただのフェイクだな
たしか烈風は現役の時は男装だったから
姫騎士は無いんじゃないか?
元は下級貴族だし
「あなたって、本当に最低の屑だわ」
>>288 暗闇の雲(FF3ラスボス)のことじゃないのか
なぜかDFFだと女体化してたけど
もともとグラフィックは女な
パイオツカイデー
RPG系のラスボスかつ悪人過ぎないと言えばTOPのダオスとかどうだろう?
殺戮を好む訳でも無ければ戦闘狂でもないし、世界制服がしたいわけでも無くて、単に星を救いたかっただけだし。
エンディング後、デリスカーラーンに大いなる実りが無事到着するのを見届けた後ならあるいは……。
魔法つかえる相手が一杯いるわけだからさすがに七万蹴散らす程のタフネスも持ってないだろうし。
……まあ、チートかどうかと言われれば間違いなくチートクラスだけど。
銀河烈風カリン
ぅ〜〜〜っイエイッ
どうだろう? っていう人結構見かけるけどそういう人は何がしたいのさ
読みたいのか聞いてるなら勿論読みたい、迷わず書いてくれ
読みたいから誰か書いてくれって言いたいなら帰ってくれ
何をそんなカリカリしてるのさ
それは確実に烈風の影響だな
カ、カカカカカカリーヌ様の外伝だとッ!?
カリカリじゃなくてカカカカカでした、テへ♪
リス乙
>>305 小説板じゃ歴史変えようとした時にアーチェが間に入って八方丸く収まるエンドにどうにかもってったんだっけ。
>>307 単純に思ったことに対してあわよくば反応が貰えれば嬉しいなと。
スルーされればそれまで。
反応がかえってきて、尚且つしばらくその話題が続けばささやかな幸せを感じる。
理由はおおむねこんなもん。
>>311 なりダン小説の旅の終わりだよな?
ラストシーン、改変された世界でクレスとアミィが式挙げてて感動した記憶がある。
時空剣士無双は爽快だった。
初代なりきりダンジョンはゲームもノベライズも秀逸な出来だったなぁ。
リメイクされんものかしら。
あとサモナーズ・リネージュも。話は悪くないのにシステムがぐだぐだだったんだよなぁ…
原作のダオスはマナが希薄な星で戦っているから
常時瀕死状態だぞ?ゼロ魔世界だと先住魔法と似たようなものなのかな
そもそも時空転移を戦術として使用している時点で
最強のチート
しかしゼロ魔の世界感て貴族抜きにすればTOPとすごく共通点多い気がする?
実はゼロ魔世界がTOPの遥か過去か或いは未来で、貴族が実は血の薄いハーフエルフと言われても納得しそう。
デミテルの館で、「エルフの集落には暖炉がない、何故なら魔法で火を起こすからだ」
と言うくだりや、
エルフは人間には友好的・或いは無関心だけどハーフエルフを敵視してる点とか。
月が二つあるところとか。
ラ・ロシェールの世界樹とか。
そういえばテファがアーチェ召喚して、レコンキスタぶっ潰して「ねえさん、わたしにもお友達が出来ました」と言う話と。
ルイズがクラース召喚して、クラースを師匠にハルケギニア一周召喚魔法修行旅のプロットが死蔵したまんまだわ……。
機会があったら書きたいんだが……他にも書きたいものてんこ盛りだし、むぅ……
>308
「ねこ大好き」だからかなぁ
>>315 OVA描写持ってくるとアイツら全員メチャクチャチートだからな
下手すりゃ主人公とその親友がドベ二組なんじゃないかってレベルだし
それとは関係無しに新暗行御史の文秀召喚を考えたことがあったが
色々危険そうだし無理かな。ウェールズ辺りと絡ませたら面白そうなんだけど
>>315 よし、アンドバリの指輪を契約の指輪としてラグドリアンの精を召喚させるんだな?
ところで、絶対これ戦闘向きじゃねえorバトルものの作品じゃない作品のキャラを
召喚させた奴ってある?
アノンの人おつ
おマチさん編が終わってもまったり続けて欲しいな
アノン乙です。
そう言えば、植木と相対してた時も感心=見入ってましたっけ
植木の場合、損得無しに人を助けるもしくは理解不能な行動って所?
ところで、どうでもいいんだけど植木とベルゼバブってどこか絵の雰囲気似てない?
323 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 10:14:00 ID:iGBddwTP
ファンタジアもいいがエターニア勢もお忘れなく。
ウェールズとレイスの絡みとかヴェルダンテにビビるチャットとか面白そう。
個人的にはストーリー序盤のリッドに「国に任せておけ発言」させたい。
ちょっと攻略本とにらめっこして考えてみるわ。
エターニアでは晶霊と呼んでますが、実質的にゼロ魔の精霊じゃないですか。
となるとキールのような術者は人目がある所では力が使えないという制約を持たせられますね。ファラやリッドだと自力で戦うのであまり関係ないようですが。
>>315 案外、少しくらい意識して書いてたかもしらんね。
ぶっちゃけ王道から外れてないストーリーと設定だから、べつに全く意識せず被るのも普通にあり得るけど。
そういえばダオスって王様だし、ルイズやアンアンにご指導してくれそうじゃね?
ダオスが普通の王様の指導は無理な気がw
基本目的の為なら交渉より実力行使な方だし
てかTOSの設定的にダオスはハーフエルフになるぞw
>>325 >指導
ルイズ「ルイズレーザー!」
アンリエッタ「アンリエッタコレダー!」
こうかね?
>>327 エクスプロージョンじゃなくてビッグバンとかエクステンションでも使いそうなルイズになるぞw
で、どの、4角メイジが、テトラスペルを使うんだ?
>>322 カラーで見ると違うってわかるけどカラーじゃなかったら似てるしな。
そうかそうかシエスタの爺ちゃんは古代文明の末裔でタルブにある理解不明の機器を使い
ハルケギニア歴XXXX年のどこそこに飛ばしてくれ!、とストーリーは大詰めを迎えるんだな
ハルケギニアにラヴォス襲来とな
Jリーグカレーが何だって
マサオが召喚されるのか、カレーが召喚されるのか
そうだな、ありそうで無かったな
ラヴォス召喚
あるいは似たような性質の宇宙怪獣で・・・
ちょっと考え付いたので小ネタの構想に取り掛かってみます
BADENDになりますが
アノンがアマゾンに見えた俺
アナタタチハニゲルンディス!
>>326 ディオス・メルティアの国とは普通に外交していたぞ
最終的に魔科学兵器を使われて、マナが枯渇してしまったから
アレだけど。聖地を守ろうとするエルフに賛同して聖下と敵対するかもね
それより、いっそのこと結局死んじゃった魔術無し時間軸の真?チェスターを召喚してやれ
結局死ぬわ、そのことを親友のクレスには気づかれないわで悲惨すぎる
ダオスは洗脳はできるけど精神の病を治したりはできるのだろうか
>>341 逆に考えるんだ。
一見治ったように見えるが実は洗脳されているだけだと。
つまり何の解決にもなっていないわけだな?
非バトルものならシャーリー召喚があるよ。
ジョゼフがいたずらっ子になってたがw
後は小ネタのこなた召喚
鏡見るたび、後ろに死神が映るんだから
下手すりゃ悪化だなw
>>343 うん、その通りw
ただタバサ的にはマシかも?
もう召喚されているが
悪人ではないラスボスなら
アンリエッタにBOF4のフォウルを喚んでもらおう
需要と供給がピタリと一致するぞ……たぶん
>>342 ラングリッサー4で、そんなのあったね。
ボーゼル召喚とか考えてみるといいかもしれない。
もしくは、混沌の王。
>>295 嫉妬に狂って烈風になったタバサ
と見せかけて本当にカリンの若い頃を書いた甘ったるい恋愛小説だったらどうしよう
正体を知っている仲間から「姫様」とか呼ばれてからかわれているカリンとか
アークザラッドから闇黒の支配者召喚
…どうしよう、話が一切思いつかんorz
ボス系かー…小ネタで誰か白面の者を呼んでたよな。
特に恐怖抱かずに名前付けてもらって懐いてたような…w
以下遅レス
>82
つまり智の月が砕け散って魔法が使えなくなったハルケギニアで双月戦隊が爆誕!
キュルケがレッドで(ry
>258
何となくテファが母親から受け継いだ、エルフに代々伝わるパピヨン印の白い核鉄がとか一瞬思いついたw
そして実は各地で目撃されてるホムンクルスは、うっかり過去に飛んだパッピーが放ったカズキ捜索隊w
前回から だいぶ間が開いてしまいましたが、第5話 あがりました。
5分後から 投下します。
Misson 05「全系統使用不可」(前編)
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、貴族である。
由緒あるヴァリエール伯爵家の一員として生まれ 幼い頃より 貴族の掟・貴族の誇り・貴族のあるべき姿を教えられて育った。
全てが身についたとは言いがたいが、彼女の基本的人格は こうして形成された。
魔法、神が始祖に授けたとされる力。それを使う者、貴族。尊き血に連なる証。
魔法を使えない貴族。『ゼロのルイズ』。己が己である事を証明出来ない少女。力(魔法)への渇望。
そのルイズが手にした力、使い魔 『雪風』。
圧倒的な攻撃力を持った 最速の翼。
しかし、それは『魔法』ではなかった。魔法でないにもかかわらず、魔法以上の『力』をもつモノ。
雪風の存在によって、ルイズの内的世界に 価値観のパラダイムシフトが起きようとしていた。
魔法の意味。力の意味。そして、貴族の意味。
全てが変容する中で それでも彼女が変えようとしなかったもの、遠い日に 誰かから聞いた言葉。
『力には 責あり。大いなる力は、必ず大いなる責務を伴う。』
ルイズは考える。
ただの少女には手に余る 雪風の力、その使い道を。
雪風は異世界の兵器だった。となれば その力を十分に発揮するのは、『戦争』だろう。
だが、戦争など 何処にあると言うのか。身近に起きるものなのだろうか。
目を閉じている者には 何も見えない。
日常と言う狭い世界から 少しでも先に視線を向けたなら『戦争』は、すぐそこに在った。
隣国アルビオンは、クーデターによる内戦状態だった。
『レコンキスタ』を名乗る『貴族派』と 現在のアルビオン王家『王党派』の対立、燎原の火の如く勢力を拡大する反乱軍に、敗走する王国軍。
大勢は見えている。もう間も無く 貴族派による新生アルビオンが誕生するだろう。
レコンキスタが『聖地奪回』を旗印とし、その為に『ハルケギニア全土の統一』を表明している以上、戦争の拡大は避けられない。
手始めに狙われるのは、おそらくトリステインだ。
学生であるルイズが、(雪風の手助けがあったとはいえ)ほんの数日調べただけで これだけの事が判明した。
雪風が地形探査飛行に平行して実施した 各国軍事拠点への偵察でも、いずれの国も兵力増強に努めていた。
トリステインでは、ゲルマニアとの軍事同盟の噂はあるが、自国の軍備増強は未だ進んでいない。認識が甘いと言わざるを得ない。
雪風の世界の歴史に よく似た状況があった。ナチスドイツ、ポーランド侵攻、WWU・・・戦渦は世界を巻き込んでいく。
瓦礫の山、屍の大河、滅びの風。忌まわしき未来。 雪風は 事実に基づき 確度の高い予測をする。不確かな『予感』等ではない。
そんな未来、変えてみせる! ルイズは決意した。雪風を召喚したのは、きっと その為だ。
では 具体的に どうするか?
雪風一機で戦争を食い止める、これは無理だ。
雪風の弱点の一つが 継戦能力である。武器・弾薬の補給が見込めない現状では、全力での戦闘は 1ソーティだけしか出来ない。
弾薬切れの状態でも 他の能力を活かすためには、軍組織に所属する必要があるだろう。それも、空中戦を主体とする部隊。
その上で ある程度の自由裁量を認めてもらえる事。それが出来なければ 雪風の性能は活用しきれない。
まぁ、ただの新兵がそんな事を要求しても 通る訳が無い。
となれば、何か強力なコネでも使うしかないのだが、さて、そんな都合の良いモノが・・・・・・
ないこともなかった。
まずは『マンティコア隊』。ここならば ルイズの身内に 極めて強い影響力を持った人物がいる。
かなり我儘な要求でも通りそうだが、問題は、その人物を説得するのは、ほぼ不可能であると言う事。
ルイズ自身、
「そんな事をするぐらいなら、エルフの軍団に一人で突っ込んで行くほうがマシ!」
だと思っているので、この案は却下。
もう一人 『グリフォン隊』に、身内と言うか 将来身内になるハズの人物がいるのだが。
なにせ ルイズの幼い頃、酔っ払った父が冗談半分に交わした口約束が根拠であり、ここ数年は相手の任務が忙しく 時候の挨拶すら途切れている。
「賞味期限切れ」と言われてもおかしくない位だ。しかし 他にアテはない。
ルイズは、策を練ることにした。
今日は虚無の曜日、休日である。
街へ買い物に行くため ルイズが雪風の格納庫に到着すると、先客が待っていた。
「はぁい。街に行くなら 付き合うわ。アタシも乗せて!」
キュルケだった。
そこに舞い降りる もう一人と一匹。
「きゅいきゅい 今日こそ追い抜いて見せるのね!」
シルフィードは、このメンバーに対して 既に風韻竜であることを隠そうとしない。
初顔合わせのあの晩以降 彼女は周りに人目が無いのを確認するたびに、雪風に対して
「いっしょに飛ぶのね!
競争、競争、シルフィ 本気なら負けないのね!」
と 無邪気に挑発をしてきていた。
人目を気にしていたのは タバサの言いつけを守って偉かったが、いかんせん雪風の『Data-Link能力』を理解していなかったようだ。
当然 ルイズに筒抜けとなり、タバサにこっぴどく叱られた代わりに 秘密解禁となった。
使い魔の『最速チャレンジ』に関しては、タバサも、
「・・・新しい風の結界形状を試してみたいから、ヨロシク。」
と 結構ノリ気だったりする。
とにかく 今日も『秘密結社 雪風組』中枢メンバー全員集合である。
道中、ルイズは後席の友人に聞いてみた。
「ねぇ キュルケ。
貴女、卒業後の進路とかって 考えてる?」
「えっ 進路ぉ?
そうねぇ ウチの一族って言えば、まず『軍人』か『商売人』のどっちかなんだけど、
流石に 女軍人ってのは勘弁して欲しいから、やっぱ商売のほうかなぁ。
でも、雪風みたいなのを知っちゃうと、
『誰も見たことの無い様なモノを 自分の手で作り上げる』
なんてのにも、魅力を感じちゃうわね。
でも、どうしたの、急に?」
「うん、ちょっとね。
私は、魔法の方は相変わらず『ゼロのルイズ』でしょ。この先も どうなるか・・・
だとしたら、活かすべきは 雪風の力よね。
だから・・・・・・軍の方へ進もうかと思ってるの。」
「ふ〜ん。
まっ、アンタが自分で決めた事なら アタシはそれでイイと思うけど、『伝統重視』のトリステイン軍じゃ、雪風は使いこなせないわよ、きっと。
割と『何でもアリ』な ゲルマニア軍ならともかく・・・
ねぇ いっそ雪風ごと ウチに『亡命』しない?」
「ちょっと、『ツェルプストー』。本気なの? 私は、『ヴァリエール』なのよ!」
「あら、イイじゃないの。
そうなればアタシも、『ヴァリエールの女を口説き落とした、ツェルプストーの女』ってことで、両家抗争の歴史に 名前が残せるわ。」
「プッ。」
「アハハハハハハハ。」
幸い このバカ話は、機外にもれる事は無かった。
学院から馬で数時間の道のりも、雪風なら数分 シルフィに合わせてゆっくり飛んでも数十分である。
町外れの開けた場所に雪風を着陸させ、町の入り口まではシルフィに乗っていった。
ルイズが「武器屋に行く」と言うと、キュルケが驚いた。
「さっきの話じゃないけど、剣術の稽古でも始めようっての?」
「しないわよ。
そうじゃなくて、正攻法で入隊しても 雪風を生かしきれないのは私も判ってたから、一芝居打ってみようかと思うの。
その為の『小道具』を買おうと思って。」
「いいわ。『武器』の事なら、アタシもそれなりに詳しいつもりだから、まっかせなさい!」
キュルケは ルイズとタバサを引っ張って、ずんずん町を進んでいく。
ブルドンネ街の中央通りを外れ、二つほど奥の通りで武器屋を探す。
表通りの店のように スッ堅気ではないが、裏社会専用とまでは行かない 微妙なエリア。そこに一軒の武器屋があった。
「この辺でイイわ。」
「ねぇキュルケ、途中にもっと奇麗な店があったじゃない。なんでこんな汚い店 選んだの?」
「あのね、途中の店は、一軒目はオーダーメイド専門 二軒目も騎士専用で アンタなんか門前払いよ。
それに 武器ってのは、アンタが考えてるより ずっと高いの!
見てなさい。 この店のオヤジが涙目になる位 値引きさせてやるから!」
武器屋の店主は驚いた。
・貴族の
・美少女が
・三人も
自分の店に入ってきたからだ。 どう考えても、開店以来初めての出来事だった。
だが こんな事でオタオタするようでは、この界隈で商売は出来ない。
脈拍の上昇を隠し、来店に気が付かない振りをしながらダガーを磨いていると、
「ねぇ ご主人〜ん。」
先頭の赤毛の少女が擦り寄ってきた。
「アタシ 剣が欲しいの。アタシにピッタリの剣が。
でも 剣なんて買った事が無いから、どんな剣が欲しいのか 自分でもよく判らないの〜。
だから 選んでぇ、アタシにお似合いの カッコイイ剣を。
オ・ネ・ガ・イ!」
オヤジ、口元から涎を垂らしてヤニさがる。普段のコワモテは何処へやら。
ピチピチの美少女に豊満な胸をグイグイと押し付けて『オネガイ』されては、男としてはその要求に屈する以外の選択肢は 無い。
いそいそと店の奥に入って、手にして戻ったのは、店秘蔵の大剣!
「お嬢様、コイツは かの高名な ゲルマニアの『炎の錬金鍛冶』シュペー卿の作でごぜえやす。
惚れ惚れするような黒鋼に 白く輝く濡れ刃、ちょいと貴女様にゃデカすぎるかもしれませんが、
振り回す必要など ありゃしませんて。
お嬢様が お構えになる それだけで、
チンピラ盗っ人や幻獣の畜生ドモは、
尻尾丸めて逃げてくに決まってまさぁ。
振ったら振ったで 又スゴイ!
真っ直ぐブンッ!っと振るだけで、鉄の兜も真っ二つ!
何せ魔法が掛かってる。驚天動地メイジのチカラ!
ってこれはそちらのご専門でございやしたね。
加えて語るとするならば、散りばめられし宝石の数、
その数何と三十四個!
鞘より出でて 初めて判るその豪華さに、
敵も味方も目を奪われるって寸法でさ!」
このオヤジ、元は露天商の叩き売りでもやってたんだろうか?口上に 妙に熱がこもっている。
だが 出された剣を見て、キュルケの表情が変わった。
「へ〜ぇ、『シュペー卿の作』ですって。
これ 卿自ら打たれた『一本モノ』かしら?
それとも 工房でお弟子さん達が作っている『数打ち』?
あと、この宝飾だけど、シュペー卿といえば 赤のルビーを流れるように配置するのが特徴よね。
こんな 黄色や緑のクズ石を センス無く並べただけの駄剣、この店に『シュペー卿の作』として持ち込だバカがいるなら、一体何処の誰なのか教えて欲しいですわ!」
豹変した相手に、驚く店主。
「アタシはキュルケ・フォン・ツェルプストー。
シュペー卿の新作を 独占販売させて頂いております『ツェルプストー商会』の、末端に連なる者。
以後 お見知り置きを。」
「はっ はは〜〜〜〜!」
平伏する店主。水戸の黄門様が印籠を出したようなモンである。
「主。貴方も自ら武器を商う者とはいえ 卿の逸品など、実際目にした事は無いのでしょう。
アタシにこの剣を選んでくださったのは、まこと好意からのもの、騙す意図など無かったのでしょうが、こうしていらぬ恥をかいた、これも事実。
ならば、名誉挽回の機会を差し上げましょう。
後ろに居ります私の友も 今日 武器を求めに参りましたが、本当にズブの素人。
彼女の求めに応じて 良い剣を探してやって下さいますか?」
「もっ もちろんでゴザイマスゥ〜!!!」
「さ、ルイズ。これだけヤっとっきゃ 後はどんな要求したって大丈夫よ!」
「おでれーた!
そんな娘ッ子にやり込められるなんざ、ザマーねえな オヤジ!
いっそ 店をタタんで、坊主にでもなっちまうか?」
突然、後方から掛けられた声に 三人娘は驚いて辺りを見回す。
「おい!デル公。
でぇじなお客様なんだから、テメェは黙ってろ!て言うか 頼むから余計な口出ししねぇでくれ。」
これ以上の失敗は なんとしても避けたい店主 半泣き。
「ひょっとして インテリジェンスソード?」ルイズが訊ねる。
「そうなんですよ、お嬢様。
小汚いボロ錆剣じゃありますが、最初は『ウチの目玉商品』になるかと仕入れたんですがね。
ところが これがもう、性格悪い 口悪い、来る客来る客あんな風にアヤつけやがるから、買い手なんぞ出やしねぇ。
今じゃ 捨て値処分品入れの大樽のヌシでござんすよ。」
その樽の近くにいたタバサが、特売品の束に腕を突っ込み、一本の剣を引っ張り出す。
「・・・たぶん、これ。」
「おう、デルフリンガー様よ!
んっ?
おい 娘ッ子、オメエ 見かけによらず腕が立つみてぇじゃねぇか。どうだ、俺を買え!」
早速 売込みを始めたボロ剣に タバサは、
「・・・『インテリジェンスソード』
超高度な錬金技法により、意思と知能 言語能力を付加された剣。
ただし・・・
実戦においては『役立たず』。」
と にべも無い。
「おきやがれ!
お前ぇみてぇな青二才にゃ、俺様の六千年の戦闘経験ってヤツが 必要なんだよ!」
「戦闘中、集中力を削ぐようなアドバイスは無用・・・むしろ邪魔。」
「それじゃぁ・・・」
しえん
意外と相性のイイ?剣と青髪の少女は とりあえず置いといて、こちらは店主とルイズ。
「で お嬢様、いかような武器をお求めでごぜえますか?」
「そんなに特別な要求じゃないの。
とりあえず 剣か槍。
見た目はボロで構わないわ。切れ味もどうでもいいの。でも、地面に突き刺さらないようなのは論外ね。
重要なのは 頑丈なこと。お城の塔の天辺から落としても折れないぐらい。
あと 特徴がはっきりしてるのがイイ。絶対 他の剣と間違えたりしない様なヤツ。」
店主は以外だった。 普通 素人に「どんな剣がご希望ですか?」と聞けば、
『ダァーっとしたの』とか
『ギギューーンと斬れそうなの』
『ズバババーーーンとカッコイイヤツ』
てな具合に 抽象的になり易いのだが、ルイズの注文は具体的だった。
そのくせ 剣に切れ味を求めないなど、常識に反するようなところもある。
具体的な目的を持ってはいるが、その目的は 恐らく非常識なもの。
素人ではあるが、一筋縄ではいかない少女。
店主は、俄然 目の前の少女とその目的に 興味が湧いてきた。
「ところで、あのインテリジェンスソード、今の条件に照らし合わせると どうかしら?」
「はぁ、アイツは錆びちゃいますが 表面だけで 芯まで腐ってる訳じゃござんせん。
『塔から云々』は 試してみない事にぁ判りませんが、アイツの『自称:六千年』を話半分以下としても
、なげぇこと使われ続けた代物ですから、頑丈なのは間違いねぇでしょう。
それと あんなバカ剣は この世に一本しかありゃしませんよ。それも間違いねぇ。」
「じゃ アレで良いわ。で、おいくら?」
「あの樽の中のヤツは どれも一本 金貨百枚でごぜぇやすがね。
今回は、ゲルマニアのお嬢様との件もありましたんで、タダってのも考えたんですが、それじゃ商売じゃねぇ。
あっしにも 商売人の意地ってのは ありやすからね。
そこで、金貨一枚 ただし条件付とさせていただきやす。」
「条件?」
「へぇ。 後日、お嬢様に再度ご来店いただき、あのデル公が どんな酷い目に会ったのか、それを聞かせてもらいてえんで。」
ニヤリと笑う店主、それを不敵な笑みで返すルイズ。
「判ったわ。
そっちの方は 期待してもらってもいいかもね!」
購入を済ませて店を出る時点で ルイズは初めてデルフリンガーを手にした。それまでずっとタバサが持っていた。
店内では何か言い合いをしていたようだが 途中からぱったりと静かになった。どうしたのか聞いて見ると、
「やかましいので 『サイレント』を使った。」とのこと。
移動した事で やっとしゃべれるようになったデルフリンガー、
「ヒデーよ 青髪の嬢ちゃん、アンタ 腕も立ちそうだが 性格もスゲーな!
で、新しい持ち主ってのが、ピンクの嬢ちゃんかい。
お前さん、俺様を振り回せるような腕力もねぇ癖に・・・
んっ!おでれーた!! 嬢ちゃん、アンタ『使い手』?
イヤ んな訳ゃねぇ!嬢ちゃんはメイジだ。メイジが『使い手』に、使い魔になれる道理がねぇ!
だのに 何で『相棒』の気配がするんでぃ?!」
《マスター:報告
所持の剣より、プログラム『ガンダールヴ』用プラグイン、『デルフリンガー』を確認。
なお 同ソフトウェアと マスターの魔法発動プロテクトの間に パターン類似性を検出。》
「なななっ、なんでぇ 今の『声じゃねぇ声』は!」
驚くデルフに、ルイズの目が爛々と輝いた。
「あらっ デルフリンガー、貴方 雪風の声が聞こえたの?
へえ〜 そうなんだ。コレ 本当に掘り出し物だったのね。
さあ、デルフ!それじゃ あんたの知っている事 洗いざらい語ってもらうわよ!」
ブルドンネ街の中央通りに戻り、冷たいスイーツが有名な『凍れる果実亭』店頭のオープンカフェで、昼食を兼ねた『デルフリンガー尋問の会』が始まった。
「そうするとアンタは、始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』の剣だったって言うの?」
「・・・眉唾。」
キュルケとタバサは どうにも信じられないようだ。
「その辺は信用しても良いみたいよ。
『ガンダールヴ専用武器』って言ったのは、こいつじゃなくて雪風だから。」
「じゃぁ 始祖がアンタを作ったの?」
「知らね。
俺っちは 人間と違って 赤ん坊で生まれてくる訳じゃねぇ。気が付くと 或る日突然存在してたのさ。
人間だって 自分の製造過程を見てたヤツなんざいねぇし、見たいとも思わねぇだろ?
まぁ 人間にゃ、人間を作るためにヤル行為を 覗き見すんのが好きなヤツは いっぱい居るがな。」
「・・・『使い手』って 何?」
「忘れた。
多分 ガンダールヴ本人か その紋章を受け継いだ者だろうよ。
他にも何か意味があったかもしれねぇけど、忘れちまった。」
「紋章を受け継いだ者って、何人いたの?」
「さあねぇ。いっぱいいたような気もするんだが ほんの数人だったような気もするしなぁ・・・
思い出せねぇんだけど、一人だけってことぁねぇな。」
本心なのか、韜晦か、肝心な事はさっぱり答えないデルフ。
「使えない剣ねぇ。
ちょっと炙ってあげたら、ちゃんと喋る気になるかしら?」
呪文を唱え 掌に火球を出現させるキュルケ。
「・・・頭を冷やせば、思い出すかも。」
同じく 氷塊を出現させるタバサ。
「おわぁ、嬢ちゃん達 ちょっ ちょっと待ったぁ!」
「そうよ、もっとイイ手があるわ!
雪風、デルフリンガーのメモリに対し 強制検索を実施!」
《RDY》
《デルフリンガー:警告
『強制検索』により メモリーサーキット内に過負荷が掛かる危険性アリ》
「おい相棒 何だよその『強制なんたら』ってのは!
うっ、ガッ・ぎ・グゲッ・ごおぉぉぁ〜!」
テーブルの上で 悶絶するデルフ。
《マスター:調査結果
『魔法吸収能力』ならびに『緊急時身体制御・駆動能力』他判明。
未解読領域あり。
デルフリンガーのメモリー本体に 欠損は認められず。
メモリープロテクト等 確認できず。
記憶管理プログラムの呼び出しルーチンに 経年劣化バグがある模様。
修正不能。
類似検索:老人性痴呆症》
「そうよねぇ デルフって、六千歳のお爺ちゃんだものねぇ。ボケが進んでても仕方ないか。」
「ううっ なんか ヒデー事された上に、ヒデー事言われてるような気がする・・・」
「じゃ これ今回最後の質問にするから、しっかり思い出しなさいよ!
アンタと共に戦った『使い手』ってのが何人か居たとしてよ、
それが皆『ガンダールヴ』だったんなら 『御主人様』が居たはずよね。
ひょっとして その人達って、『虚無の・・・
そこまでだった。デルフ尋問会は、突然の爆発音によって中断された!
爆発したのは、ルイズ達のいる店から通りをはさんだ 向いの宝飾店だった。
煙を上げるその店から、五人の覆面男が現れ それを追うように血塗れの店員が這い出してくる。
「ごっ 強盗だぁぁぁ!」
賊の一人が 叫んだ店員に杖を向ける。エアカッター発動。首が飛ぶ。
「ギャー!」
「殺されるぅ!」
「逃げろぉぉぉ!」
白昼の王都トリスタニアに パニックが広がる。
タバサがテーブルを倒して盾にする。ルイズ、キュルケも杖を構えた。
だが 彼女等が攻撃するより早く、賊と彼女達の間に 大通りを塞ぐ黒い巨体が舞い降りた。
ワイバーン。竜の亜種で、その凶暴性から飼い慣らすのは難しいとされる。
通常の大きさは3〜5メイルだが、目の前のそれは10メイル近くあった。『黒ワイバーン』と呼ばれる ガリア北方の山岳種だろう。
すかさず、盗賊が戦利品を抱え その背に駆け上がる。力強く羽ばたいて 飛び立つワイバーン。
この間 爆発から僅かに五分弱の早業。城下の警備兵等は 未だ影もなし!
いやっ 否!
『盗賊めら、逃がすと思うてかぁ!』
風の魔法で増幅された大音声が 天空より響き渡り、エアカノン(エアハンマーの収束率強化版、より遠方への攻撃が可能)がワイバーンを襲う!
そして飛来する 五騎のグリフォン、魔法衛士隊だ!
離陸直後のワイバーンが、攻撃を受けて身を捩る。
乗っていた賊の一人が振り落とされ、フライを唱える間も無く地面に叩き付けられるが、残った盗賊団は 仲間を見捨てて飛び去る。
落下した男は、腰を強打した為動けなかった。迫る衛士隊に 錬金の核(コア)二個を投げる。
出現するドラゴ・ゴーレム 二体。体長五メイルの地竜を模したゴーレムで、土ゴーレムながら 竜鱗を模したその表皮は金属ゴーレムに迫る強度を持ち、火のブレスを吐く事も可能な代物。どうする!
「ユーゴ、貴様は逃げた賊を追え!サジマの別働隊がおって合流する。
残りの者で あの狼藉者を始末する!
手間取るでないぞ、これ以上 街に被害を出してはならんっ!」
「「「「はっ!!!!」」」」
隊長の指示が飛ぶ。
部隊最速(の逃げ足?)を誇る『脱兎のユーゴ』こと ユーゴ ムラーキチュが賊を追うが、ワイバーンも中々に速い。追いつけるか?
(雪風、緊急発進。逃走するワイバーンを追って。
グリフォン隊士が追いつけないようなら 足止めを実施。撃墜の必要なし。)
《RDY》
ドラゴ・ゴーレムに対する隊員三人は、グリフォンを降りて、地上で 前1後2の陣形を組む。先頭の者は杖を高く掲げ、後ろの者は前の者の肩に杖を乗せる。
唱えるのは ブレードの呪文。杖を中心に 魔力の刃を形成し剣とする術。だが それではゴーレムの巨体を切り倒す事は出来ない!
詠唱が終了、三人が声を合わせて叫ぶ!
「「「ブレード エクステンション!」」」
出現する巨大な風の剣。三名の術者の魔力を合わせる事で可能となる 三メイルを越える刃。それを 袈裟懸けに振り下ろす。
肩から胴に掛けて ばっさりと切断され、ドラゴ・ゴーレムは土に還った。
もう一方のゴレームと グリフォンに騎乗したまま対峙する隊長。しかし その鋭い目が見つめているのは 動けなくなった賊の男の方だった。
「魔法衛士隊 グリフォン隊隊長、ジャン・ジャック・ワルドである。神妙に縛に付けぃ!」
男に代わり、ドラゴ・ゴーレムがブレスを吐いて抵抗の意思を示す。難なくそれを回避するグリフォン。
ワルドが杖を構える。五十サント程の金属棒で 下部には紐を編んだグリップと房 中央やや下の辺りにはL型の突起が付いている。
『十手』と呼ばれる、東方からの流入品とも 場違いな工芸品の一つとも言われている逸品である。
唱える呪文は 部下と同じブレード エクステンション。
三人がかりの術を一人で発動させ、なおかつ部下よりも巨大な刃を造る、なんと言う強き魔力!
真っ向から振り下ろした大剣は、相手を真っ二つに切り裂いた。
勝負アリ! だが、賊の男は近付くワルドに向け ナイフを投げてなおも抗った。
ワルドはそれを杖で撥ね飛ばし、エアカッターで男の右腕を切り落として 言った。
「命だけは助けてやる。
貴様等の アジトの場所を聞き出す迄はな!」
小ネタ書き終えたら投下中だったでござる支援
さるさん喰いましたので 避難所に投下しました。
「いやー、流石は『グリフォン隊』」
「いよっ、『トリステイン最強部隊』!」
「『閃光のワルド』様は、王都の守護神ですな。」
ゴーレムは倒され、それを操っていた賊も捕えられた。城下の民にも安心が広がって 其処此処でグリフォン隊やその隊長を称える声が上がっていた。
実は、それを聞くのが ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵にとって 至福のひと時なのだった。
没落貴族の子供として生まれ、病気の母の薬代すら侭ならぬ極貧の日々を送った彼は、幼少の頃よりグレて悪の道を進んでいた。
日々、嘲りや憎悪の言葉 説教や罵詈雑言を浴びて育ったため、他人から『誉められる』という事がほとんど無かった。
あるきっかけからグリフォン隊に入隊し、厳しい訓練の末に正規の隊員になった際 当時の隊長から掛けられた「よくがんばったな!」の一言、
初めて賊を捕えたときに 被害者の家族から送られた、感謝の言葉、「ありがとうございました。」
その時の なんとも言い表せない気持ちの良さを、ワルドは今も忘れられない。
子供っぽいと笑わば笑え、彼はただ、『誉められたくて』犯罪取締りに励んでいるのだ。
そもそも 王都周辺の治安維持任務は、三つある魔法衛士隊による 月代わりの輪番制なのだが、隊長就任以来、
ワルドは受け持ち月以外でも 積極的にこの任務を継続してきた。
目的は『実戦訓練』。
「盗っ人どもに遅れをとる様な隊員では、本来の敵、侵略者から国を守る事など出来ない」だそうだ。
また 他の魔法衛士隊が、事件発生に当たって おざなりに犯人検索を行うのに対し、グリフォン隊は
徹底した捜査や密偵まで使って犯人を追う。
これにも目的がある。『諜報活動』だ。
「戦いは、奇麗事だけではない。清廉な騎士の魂に、汚れ仕事をする覚悟を併せ持ってこそ、真の強者」とのこと。
だか 先にも言った通り、本当の理由は
「住民達の目の前でカッコイイ所を見せて、褒め称えてもらいたい!」からである。
根は真面目なワルドゆえ、カッコだけつけて仕事は手を抜く等という事も無く、かといってバリバリの正義漢でもないため
やむにやまれぬ理由があっての犯罪には しばしば温情を持った裁きが下されることも。
それがまた 住民達の人気を呼ぶと言う好循環が出来上がり、トリスタニアは ある意味で理想的な警備責任者に守られているのだった。
そんなワルド隊長の視野に、とある人物が映った。
魔法学校の生徒だろうか? カフェーにいる 三人の少女の一人。
そのピンクブロンドの髪が、懐かしい記憶を呼び覚ます。
大恩ある ヴァリエール伯爵、その御三女。
勝気で 生意気で、そのくせ泣き虫な おチビさん。
まだワルぶって ツッパっていたあの頃の自分が、唯一 優しく接する事が出来た子。
厳格な母と キツい性格の姉に責められていたのを、よく慰めてやったっけ。
そう言えば 忙しさにかまけて、もう何年も挨拶にすら行っていなかった。
こんな義理を欠くような事をしてては、あの約束は もう・・・
通りの向こうから 少女が駆けて来る。
(大きくなったなぁ)
既に『女の子』ではない。その身体は『女性』である事を主張し始めている。
(まぁ 隣の赤毛の娘に比べると・・・かなり発育不足かな)
でも あの笑顔は昔のままだ。
思いにふけるワルド、その胸に 速度を落とすことなく飛び込んで、
ルイズは言った(衆人環視のド真中で)。
「逢いたかったよ、『ワルドおにいちゃん』!」
〈続く〉
前編終了です。
このSSのキュルケは、『軍事系財閥のお嬢様』と言う設定なので、かなり武器等に詳しいです。
(『新旭日の艦隊』電光号の副長みたいなカンジで。)
前回 予告でも書きましたが、『白ワルド』です。真面目に仕事してます。
(最近、白ワルド 流行ってるんですかね?)
第五話にして やっとアクションシーンらしいものが書けました。(でも 雪風は脇役。)
グリフォン隊のイメージは、まんま『火付盗賊改方』です。
ワルドには『鬼の平蔵』長谷川様程の貫禄はありませんが、部下からは慕われています。
後編は、グリフォン隊入隊試験他 テンプレイベントを離れたオリジナル展開を予定。
(名前欄 一箇所間違ってました。スイマセン。)
代理投下完了。
戦闘妖精の人、GJでした!
GJ
デルフww痴呆てww
ワルドおにいちゃん…だと…
白ワルドかっけぇ
ワルド『おにいちゃん』フイタwwwwwwGJ
乙!
ルイズwww ワルドの外聞も気にしてあげてwwwww
兎がいたなw
妖精さん代理さん乙でした
よろしければ小ネタ投下したいと思います
BADです
書いてる途中でエスカレートしそうになったのは抑えたので避難所ではなくこちらで
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは焦っていた
進級を賭けた春の使い魔召喚儀式にて、彼女は未だ使い魔の召喚を果たせずにいた
ゼロの汚名を返上し、自分を嘲笑う周囲の人間を見返すため、全身全霊で挑みながらも使い魔召喚を果たせない自分自身に絶望しつつある彼女が
それまで何度も繰り返した呪文をより力強く叫んだ
「宇宙の何処かの力強く生命力に満ち溢れた私の使い魔よ!私は心より求め訴えるわ!!我が導きに応えなさい!!」
その瞬間、誰もが想像せず気付かなかったが変化は起きた
天高くに召喚のゲートが開かれ、そこから”ソレ”は堕ちてきた
宇宙の彼方よりルイズによって召喚された力強く生命力に満ち溢れた異形が
「もう諦めろよ!”ゼロのルイズ”!!」
「いつまでも付き合っていられないわ!!」
いつも通りの失敗、呪文からのしばしの沈黙をそう判断したクラスメイトから野次が飛ぶ
「………く……うぅ……ッ」
どれだけ頑張っても失敗ばかり、自分は本物のゼロなのだ
ドゴォォォォォォォォォォン!!!!
そうルイズが本物の絶望に沈みかけたその時、彼女の背後で爆音が轟き、土煙が舞い上がった
ルイズは背後からの突然の衝撃に吹き飛ばされ、周囲の全員が不意を突かれてその目を土ぼこりから守るべく覆った
既に他のクラスメイトが召喚した使い魔が驚き、”ソレ”に恐れおののきパニックを起こす
しばらくして、立ち上る土煙が少しずつ晴れ始めた時ルイズは起き上がり、同時にクラスメイトから罵声が巻き起こる
「ゼロのルイズ!いい加減にしろよな!?」
「時間差で爆発かますとはゼロの分際で器用なことしてくれるじゃねーか!!」
しかし、ルイズには既にそんな罵声も耳に入っていなかった
爆発の起きた背後に”ソレ”の影を見ていた、ようやく魔法が成功した、その確信と喜びを持って
召喚された”ソレ”の正体を見極めんと目を凝らしたルイズが目にしたのは・・・
異形であった
うっすらと見え始めたそれは髪の長い女の形をしていた
青白い肌に豊満なバスト、目は赤く光り、口元に薄い笑いを浮かべた”ソレ”に
ルイズは本能から恐れを抱いた
女の形をした”ソレ”は上半身以外は形容しがたい醜悪な造形であった
羽のような、尻尾のような、臓物のような
爬虫類のようであり、水生軟体動物のようであり、様々な特徴が女の上半身を取り巻くように混在する奇怪な生物だった
悪夢的と言って良いその姿に恐怖感を抱いたルイズは歩み寄ろうとした足を止めた
その時、風が舞い、収まりつつあった土ぼこりが再び舞い上がり目を覆ったルイズは異形の姿を見失った
そして再び土ぼこりが静まった時、ルイズは信じられないモノを目にする
(え…どうして……?)
幼いころから魔法の使えない自分に唯一人、どんな時でも笑顔を絶やさず優しく接してくれた
(こんなところに居るはず無いのに……)
病弱で労わられながら領地から出ることも出来ず過ごしてきた
しかし労わられた以上に、優しさを周囲に返してくれる最愛の姉
カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌが目の前に居ることに
ルイズは混乱を禁じえなかった
自分は醜悪な異形を召喚して?目の前には異形に代わってちい姉さま?
異形とちい姉さまを見間違うなんて……、いやでもちい姉さまがこんなところにいるはずは無くて……???
そして目の前に居るカトレアが優しい微笑を浮かべ、ルイズに手を差し伸べる
「ルイズ…どうしたの?こっちへいらっしゃい」
その声も紛れも無く自分の記憶にあるちい姉さま…カトレアのものだった
「ちい姉さま…どうしてこんなところに?」
「どうしてって…サモンサーヴァントを行っていたのでしょう?
どうやらルイズの使い魔になるのは私みたいね」
苦笑するカトレアの言にルイズは驚愕する
「そ、そんな!ちい姉さまを使い魔にするなんて!! っていうか、え!? だって私が呼んだのは…!?」
違和感は大きい
先ほど目にした異形が消えたこと
病弱なカトレアが本当に召喚されたとして、あの激しい爆発と土ぼこりで平気なハズがない
何より、カトレア自身がこんなに落ち着いていられる状況でもない
この状況に対する様々な疑問が浮かんではルイズの脳裏を占め混乱を加速させる
儀式を引率している教師コルベールもまた、貴族、しかも召喚者の身内が現れるなどという前例の無い事態に混乱していた
しかし彼は教師であり、どのような状況でも事態を見極め、場をまとめなくてはならない
「ミス・ヴァリエール、確かにこれは非常に判断に悩む事態だ
だが使い魔の召喚は神聖で絶対の物だ、君は姉君を使い魔とする他無いんだ…」
そういった気負いが、悲劇を招くこともあるということを彼は失念していた
衆人環視の中でワルド「おにいちゃん」wwwwwwwwwwwwwwwww
間違いなくロリコンの噂が広がるwwwwwwwwww
「………」
コルベールとカトレアの顔を交互に見やるルイズ
カトレアは全てを受け入れる準備は出来ているとばかりに微笑を崩さず
コルベールは沈痛な面持ちで目を伏せている
意を決したルイズはカトレアに歩み寄る
(ちい姉さまを使い魔にするなんて…どうしてこうなっちゃったんだろう……)
正直に言えば嬉しい
平民の男や大嫌いなカエルを呼び出して契約するハメになるより、大好きな姉が使い魔になってずっと傍に居てくれるのは
心強いし何より安心する
同時に不安も大きい、病弱な姉が自分とこの学園で生活するうちに取り返しの付かない症状の悪化を招いたら?
どれだけ真面目に勉強しても成果を挙げられない自分の情けない姿を見られるのはとても辛い
ああ、でもこんな事態だ、カトレアの身体を優先するならきっと領地に連れ戻すことにはなるだろう
心配することなんてない……
今はただ、最愛の姉と一緒にいられることが嬉しかった
使い魔召喚は出来たのだから、停学も退学も無い、今日はめいっぱい甘えよう
あ、でもルーンを刻むのは苦痛を伴うはず……これは少し時間を置くようにコルベール先生に頼んで…
っていうか、私何やってんの?
ちい姉さまとキス???
え、これってなんかマズいんじゃ……///
そう考えるうちに、カトレアはルイズの両頬に手を沿えて姉妹は唇を重ねんとしていた
その頃、ヴァリエール公爵邸
”カトレア”は目に涙を浮かべ、手のひらの小さな小鳥の死を悼んでいた
翼が治れば、空に舞い上がることも出来たろうその鳥はほんの少し目を離していたうちにその全てを止めていた
そして”カトレア”の目から不意に更に多くの涙が溢れた
小鳥だけではない、大事な命がまた一つ、手の届かない場所へ連れ去られてしまった
「ルイズ……!?」
カトレアは窓の外、魔法学院の方を向いて、大切な妹の名をつぶやいた
ふいに頬に添えられた”カトレア”の手に力がこもる
獲物を捕らえた肉食獣の勝利を確信した力の入りに手加減は無く、ルイズの頭蓋にヒビが入る
「!?!?!?」
カトレア…否、目の前に居る”カトレアの姿をしたソレ”の目はカトレアの微笑を崩さない
頭蓋を割られんとする苦痛に叫び声をあげる前に、ルイズの唇は”カトレアの姿をしたソレ”によって塞がれ
悲鳴を漏らすことも出来なかった
ルイズの唇を割って”カトレアの姿をしたモノ”の舌が口腔に侵入し、口腔内をねぶり弄んだ舌が突如高質化しルイズの舌を切り取った
白目を剥いたルイズが力なく手をダラリと下げたのを見て
コルベールは事態の異常さにようやく気付いた
だが既に何もかもが遅い
もっとも、最初から気付いていたところでそれに抗う術は魔法学院の総力をもってしても皆無だったろうが
ドシャリ
”カトレアの姿をしたモノ”が両手を離し、ルイズの亡骸が地面に横たわる
助平根性で契約を見守っていた生徒たちは呆然と眼前の理解を超えた状況を見つめていた
コルベールは生徒へ逃げるように指示を出すのも忘れ、ファイアーボールによる牽制を仕掛けた
実験小隊の隊長として戦場にあった時代から衰えぬ戦士の感が警鐘を鳴らし続けている
『目の前に居るミス・ヴァリエールの姉の姿をしたソレがどれだけ危険な存在かを』
(マズイ、こいつはマズイ、この相手はあまりにも危険だ、みんな逃げろ、逃げなさい、学院に戻ってオールド・オスマンにこの”怪物”のことを報告して…)
本人は指示を出しているつもりだった、しかし自分が魔法のスペルを唱え続けて生徒への指示が出せていないことにすら気付いていない
もっとも、コルベールの普段とうってかわった姿に恐れおののいた生徒たちはそのほとんどが一目散に逃げ出し
学院へ駆け出していたため、その点はコルベールにとって救いだった
(……どうだ……?)
炎に包まれた”怪物”は真っ黒だった
コルベールが自ら禁じた、破壊効率を高めた殺傷のための炎の魔法によって完膚なきまでに焼かれ炭化していた
無論、コルベールも目の前の”怪物”がその程度で死滅するほど簡単な相手でないことは承知していた
しかしこれだけ焼かれれば少しは足止めになるだろうか
怪物へのダメージを確認するため、油断無く距離を置き、身構えながらコルベールは炎の中に立ち尽くす怪物を見つめていた
その時、怪物に変化が起きた
炭化した表皮が剥がれ、中から現れたのは――
コルベールはその顔を見て驚愕に目を見開いた
(これは……何の悪い冗談だ?)
目の前の光景と脳裏に蘇る20年前の光景が一致する
自分の罪、ダングルテールの虐殺、地方の村で蔓延した疫病の拡大阻止を名目としたたった一人の新教徒の抹殺の為に
その村が新教徒の村であっただけで、老いも若きも区別無く焼き払った
悔いても何もかもが遅い、あれほどのことをしでかしておいて、逃げ出して、破壊以外の炎を見出すことで償おうなどと――
忘れもしないその顔はダングルテールでコルベールが焼いた新教徒の女のソレだった
空虚な瞳で自分を見つめている、悪し様に罵るでもなく、ただ見つめている
理解を超えた突然のことに、コルベールは自分が今かつてない恐ろしい怪物を相手に戦っていることすら忘れ
20年前に引き込まれていた
そして更に炎に包まれ炭化した怪物の表皮が剥げ落ち、無数の顔が膨張した怪物の身体に浮かび上がる
それは全てコルベールの記憶に残るダングルテールの村人たち
幼い子供も若い女も老人も妊婦も…全てが空虚な瞳でコルベールを見つめ――
「うわぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁ!?!?!?!?」
コルベールは絶叫し、尻餅をついた、だが彼はその最後の時になっても罪から目を逸らすことは無かった
炎の中に浮かぶ村人たちの顔から目を逸らさず、意識を手放すことなく見つめ続けた彼の視界に
無数の触手が広がり伸びてコルベールの全身を貫いた
その後、学院に駆け込んだ生徒たちが要領を得ない報告で教師たちをかえって混乱させたことが
悲劇の拡大を招いた
ルイズの召喚した怪物はコルベールによって受けたダメージも修復し、学院へと襲来
事態を甘く見た教師たちの対応の遅れによって、怪物の学院内への侵入を許すことになってしまう
教師・生徒を問わず高ランクのメイジによる迎撃戦となったが
ソレの持つ高度な擬態能力は大勢のメイジの心の隙を、傷を突いて混乱を巻き起こし多数の犠牲を出した
更には教師ギトーやトライアングルの生徒タバサによる風魔法が敵を切り刻みバラバラにしてみせたことで怪物への有効性を見出したと思われたが
バラバラになった怪物の破片はそれぞれが独立した同種の怪物となって襲ってくるという予想外の事態を引き起こしてしまう
加えて、怪物と接触した生物もまた、低い確率ではあるものの怪物へ変容してしまうことが明らかになり
怪物と戦い傷を負ったメイジや使い魔が敵に回り、顔見知りへの攻撃を躊躇うものが続出した
そこに至って学院長オールド・オスマンは魔法学院の放棄を決定し、学院からの全員撤退とトリステイン王室への軍の出動を要請するも
増殖した怪物の追撃を振り切れず、怪物はトリステイン各地へ散ってゆきより被害範囲を拡大させることになってしまった
以後、怪物に冠する情報伝達の遅れと中途半端な攻撃は各地で怪物の増殖を招き
わずか数ヶ月でハルケギニアは滅亡寸前にまで追い込まれた
人の心を読み、自らの姿を擬態して襲い来る卑劣な怪物に齎される危機に
ついにはハルケギニアの人間にとって仇敵であるエルフとの連合に至り、多数の人間とエルフの犠牲の末に
怪物…後世に”天からの災厄”と称されるモノを聖地へ封印に成功した
数十年に渡る戦いにより、怪物に汚染されたハルケギニアの環境が安定するまでは
更に長い年月を経ることになる……
ハルケギニアに降った災厄 〜完〜
(ファイナルファンタジーZからジェノバを召喚)
ブリミルがドジって人間と同じ程度の記憶容量にしてしまったんですね>デルフ痴呆
シスコンですね分かりますwwwww>ワドル
というわけでジェノバ召喚でした
人間の意識読み取って擬態する設定って本編では意識しづらいんですよね
忘れらるる都での獄門セフィロスとか竜巻の迷宮のセフィロスとか具体例がないわけじゃないですが
明かされるのがその少し後だし(よく調べないとガスト博士のビデオなんて気付かないの多そうだし)
予定ではタバサが母の姿を、侵略され相対したジョゼフがシャルルを見るのも考えてましたが
長くなりすぎる気もしたので今回カットしました
誰か電王でかいておくれ
ジェノバの人GJ
<低確率で同種に
つまりこれらはコピーか
擬態に再生、強力な戦闘能力でおまけにコピーって…
古代種セトラはよくこんなの倒せたなぁ…
>>379 乙でした。
トラウマ刺激能力者を出して、タバサとジョゼフをカットしたのか
小ネタのスピード感を維持するためには正解なんだろうが、思いきったなぁ
読んでくださった皆様ありがとうございます
>>383 Z本編ではウィルス、CCだとアンジールに発現した双方向コピー能力ですね
そんな設定はあるもののZだとわりとあちこちに出てきてるけどそんなにコピーモンスターが出たりしないので
確率は低いものかなぁと思いました
>>384 描ききる自信が無かったというのもありますが
やっぱジョゼフはせめて書くべきだったかもしれませんねぇ
いっそハルケギニアの滅亡を見届けるのも悪くないと思った矢先にジェノバ襲来
シャルルに化けて目前に迫るジェノバと対峙して弟を殺した悔恨と
結局は自分に都合の良い言動で誘惑するだけの偽者に怒り激突・・・
気力を溜めて加筆も検討してみようと思いました
>シャルルに化けて目前に迫るジェノバと対峙して弟を殺した悔恨と
>結局は自分に都合の良い言動で誘惑するだけの偽者に怒り激突・・・
面白そうなシチュエーションではある
教皇の場合だったらどうなるんだろ?
>>385 Youもうside storyかafter story書いちまえYo
文や設定にも問題ないし
>>386 教皇の本心はまだ掴みかねるとこですが
表面通りならヴィットーリアに対しては侮蔑している様子
目の前に出てきても割り切ってしまうかもしれませんが
こういうのって思いが屈折してるのがパターンですからねぇ
この教皇は割り切ってるんだと思うんですが
ちなみに予定ではタバサは学院で切り裂いたジェノバの欠片が母になり
動揺したところでギトーもろとも・・・という予定でした
ジェノバの擬態能力とリユニオンのあれこれを描写する傍らでわりと呆気なく死ぬ展開
ジョゼフは掘り下げれば一本分にはなりそうなんで、なるたけコンパクトにやってみたいと思います
ジョセフは心がアレだからしぶとそうだ
ジェノバもさぞ困惑しただろうな
教皇とジョゼフの基地外コンビのお陰でハルケギニアが救われた!……何かヤダw
キュルケはどうなんだろうね。目立ったコンプレックスもないし、原作開始時点でそこまで
執着している人も(あまり)いなかったから案外ハルケギニアを救う側に回るのかもしれん。
というかルイズが後の世でハルケギニア滅亡の危機を招いた極悪人扱いされそうだ
だがキュルケだけは彼女はそんな人間じゃなかったと主張、貴族の座を剥奪されて世捨て人とか…
しかし何かまずいことが起きたらキュルケ&タバサが迎撃に向かう展開が多いからなあ…
>>393 逆に言うと、魔法学院生徒の中の実力者がそれしかいないってことでもあるな。
>>393 例えて言うなら、トリステインのヒロシとトオルってところかねぇ
他の生徒の出番があんまり無さ過ぎるせいで
ギーシュがタバサ・キュルケに次ぐ実力者なんじゃないかって気さえしてくる
>>396 キュルケタバサに吊るされた風のラインがいたろ
>>394 というか彼女たちのスペックが生徒としては異常なだけって気もするがな。
たしかマンティコアを召還できた奴もいたらしいから
キュルケ以上に潜在的に強いのはいそうなんだよな
>>364 白ワルドとかグリフォン隊のメンバーの活躍とかすげーGJだったけど誤字。
ヴァリエール家は「公爵」伯爵じゃないですよ。
コルベールって人格者に書かれることが多いけど、人よりも儀式の伝統の方を重んじたりしてるから割と一般的な貴族脳なんじゃないかな?
差別してるまではいかないけど平民を軽んじてる感じはする。
契約される一因を作った+決闘を止めなかったことから、嫌悪感を抱く奴がもっといてもおかしくない気がする。
つ 後付設定
もう一つのジェノバ、ラヴォスさん(ゲーム的にはこちらのが出るのは早いが)も呼んでしまおうぜ
ボスキャラ…
ととモノからライフゴーレム召喚…
強さがピンキリだからどれを呼ぶかでギーシュの運命が決まるw
ととモノ2からダンテ先生召喚…
最終戦後なら従うかも?
秋山異世界物語を21時55分
投下したいと思います。
まだ、テンプレ展開ですが、亀を見守るような形で見てくだされば幸いです。
「誰もおらんぞなもし。」
「そりゃそうよ、飯を早く切り上げて来たんだから。たく、私の使い魔がこんなに下品だなんて思わなかったわ。」
今ルイズと秋山は教室にいた、もちろん他の輩は今食堂だろう。
この数分後、秋山が。
「おー!変な姿の動物がいっぱいおるのー!!」
というのは目に見えているので、ここから時を少し早めた図書館に場面を移す。
ミスタ・コルベールはトリステイン魔法学院に奉職して二十年、中堅の教師である。
彼は今本塔の中にある、秋山もびっくりなくらいの量がある図書館の中で、秋山の左手に書かれたルーンの事を調べていた。
まず、生徒にも公開されてる場所には見当たらなかった。ので、教師のみが閲覧を許される『フェニアのライブラリ』の中にいた。
空中に浮く『レビテーション』を使って、手の届かないようなバリアフリーがなされてないような書棚の上の方までも探し、本を探っていた。
ようやく見つかった、始祖ブリミルの使い魔たちが記述された古書である。
その中の一説、秋山の左手に浮かんだルーンと比べ、ある使い魔とまったく同じである事に驚愕し、慌てて床に下りて、本を抱えながら学院長室に向かった。
その学院長室にはミス・ロングビルと呼ばれる容姿は美しいが婚期を逃した女性と。
100歳か300歳か…いつまで生き続けているのか全く分からない元気な老人オールド・オスマン氏がいた。
「オールド・オスマン」
ミス・ロングビルは、羊皮紙から目を離さずあくまで冷静に言う。
「なんじゃ、ミス…」
「暇だからといってお尻を撫で回すのはやめて下さい。」
オスマンは口を半開きにして、よちよちと四つん這いで歩きはじめる。
「都合が悪くなるとボケた振りをするのもやめて下さい。」
口を閉じ、四つん這いを止めて椅子に座ると、オスマンは何かを考え出す。
「真実はどこにあるんじゃろうか…、なぁ?ミス……」
「少なくとも、私のスカートに手を出しても無い事は分かります。ですからネズミを真下に忍ばせるのは止めてください。」
机の下にいるネズミがオスマンの肩に来る。
「おぉ、おぉ気を許せる友達はお前だけじゃ…。モートソグニル。」
モートソグニルと呼ばれるねずみは、ちゅうちゅうと泣いて
オスマンから出されたナッツをかじった。
「そうか、もっと欲しいか じゃがその前に報告じゃ…ほう…ほうほう、白か!うむ、しかしミス・ロングビルは黒に限る、そう思わんかね?」
「オスマン。今度やったら王室に報告します。」
「カーッ!王室が怖くて魔法楽員学院長が務まるかーっ!」
年寄りとは思えない迫力で怒鳴る。
「下着を覗かれたくらいでカッカしなさんな。そんな風だから婚期を逃すのじゃ、はぁーーーー
わかがえるのぅ〜〜〜〜、ミス…」
オールド・オスマンが堂々と尻を撫で回す。
婚期を逃す所に起こったのか、尻を又なでられたからおこったのかは不明だが、ミス・ロングビルがたつと。
「痛い。やめて。本当、もうしない。」
オールド・オスマンは頭を抱えてうずくまる。ミス・ロングビルは、荒い息で、オスマン氏を蹴り上げる。
そんな時間が、突然の乱入者にかき消される。
「オールド・オスマン!」
「なんじゃね?」
ミス・ロングビルは椅子に座り羊皮紙にペンを走らせている。
オスマン氏は、腕を後ろに組み堂々と立っている。
なんとも早業である。
「大変です!」
「なぁにが大変な物かすべては小事じゃ、小事。」
「これを、これをみてください!!」
コルベールは書庫で見つけたとある本をオスマンに渡す。
「これは始祖ブリミルの使い魔達ではないか。まーたこのような古い本を…」
「いいですから、これも見てください!」
コルベールは秋山真之の手に書かれていたルーンをメモしていた紙をを手渡した。
それを見た瞬間、オスマン氏が真剣な顔に変わる。
「ミス・ロングビル、席をはずしなさい。」
ミス・ロングビルはそういわれると、学院長室から退室した。
完全に出て行く事を確認すると、オスマン氏は話を続けた。
「詳しく説明するんじゃ、ミスタ・コルベール。」
場所変わりて、ルイズ達の元に。
ルイズは今、昼食を食べる為、食堂に向かっていた。
秋山は授業中風呂敷から本を取り出し、床に寝っ転がって読んでいた為、特に問題も無く授業は終わった。
「何読んでたの?」
「あー、孫氏の兵法じゃとか、色々じゃ。」
秋山の風呂敷の中には船内に色々あった役に立ちそうな物+本多数
が入っていた。
「何それ。」
「兵法書じゃ。」
ルイズは素っ気ない返事で返す。
「ふーん。ていうか、あんた、その布包み重くないの?ていうか私が恥ずかしいんだけど。」
「軽い位じゃなー、もしもの事も色々あるやもしれん。」
「着いた。あんた朝みたいな事、またしたら覚悟なさい。」
「ほいほい。」
「ごちそうさまでした。」
「はい、じゃあとっとと出てった出てった。」
「……。」
何も言わずに出て行く、そんなにあのネタは不評だったのか。いや、自分としても最終手段だったわけだけど
あそこまで怒られんとも言いたし。と、秋山はそう考えながら、食堂を出て行く。
「あ、あら。軍人さん……?あ、あの例の使い魔さんですか?」
「……御身さん、わいらに似た容姿じゃな。」
「は、ふぇ?私がですか?」
「いかにも可愛らしゅう姿形をしておるが、その髪と目はワイらに似とるな。」
ふむふむ、と物珍しそうに、否。その中に懐かしさも交えて目の前のメイドを観察していた。
「なんかよくわかりませんが、暇なんですか?」
「おう、暇じゃ。」
秋山は、はっはっはーと大笑いをする、目の前のメイドには変人としかうつっていないだろう。
多分。
メイドがケーキを皿に置いていき、秋山がそれが一杯はいったトレイを持ち、おやつを配り終えていく。暇と言い手伝ってくれといわれて
ついてけば「食後のおやつを配ってください、お願いします。」との事。
空腹秋山の心中には、一つあまらんか、一つあまらんか。と、それしかなかった。
その内、色恋男が仲間達とじゃれあっているのをみた。
「おい、ギーシュお前は今、誰と付き合ってるんだ?」
のぼさん(正岡子規)が見たら、どういう反応をするか。海軍士官学校にいた時、たまに聞こえたのぼさんの伊予弁が今でも懐かしい。
本当にいるかと思って左右を見たものだ。
「薔薇は多くの人を楽しませる為にある、つまり、僕に付き合うという概念は今はないのだ。」
兄上が見たら、どういう反応をするだろうか。
というか自分の周りには色恋を好まん人が多い気がする、という事を秋山は考えていた。
そんな中、これからおこる一事が、彼にとって幸となったか仇となったか、今は誰にも分からず。
その一事とは、そのギーシュとやらが一つ些細な行動をした時に起こった、彼のポケットから小瓶が落ちたのである。
別にギーシュの事をどうとも思ってない秋山は、とっとと拾いその色恋男に「落し物ぞな。拾われん。」と言ったが。
こちらの事を見向きもしなかった。
「落し物じゃぞ。持ちぃ。」
と、ギーシュの左肩に手を置き、引く。
するとギーシュは左からこちらへ向く。
その体勢からギーシュの手に小瓶を握らせる。
冷や汗を浮かばせたギーシュは小瓶を持ちながら。
「こ、これは私の物じゃない、何を言ってるのかな。」
とあくまで紳士的に、秋山の方へと返そうとしたが。
その小瓶の出所にギーシュの友人達が気づいた。
「その香水はモンモランシーの香水ではないか。」
「その鮮やかな紫色はまさに、それだ自分の為だけに調合している香水だ。」
「それがギーシュのポッケから落ちてきたってことは、つまりモンモランシーと付き合ってるって事だな!?」
ギーシュは多大な冷や汗をこぼしながら。
「チガウ。いいかい?彼女の名誉の為に言うが――。」
その時後ろのテーブルに座っていた茶色のマントの少女が立ちあがり、ギーシュの席に向かって、こつこつと歩いてきた。
「ギーシュさま……。」
ぼろぼろと涙をこぼし始める。
「やはり、ミス・モンモランシーと――。」
「彼等は誤解してるんだ。ケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは、君だけ――。」
言い終わる前にケティと言われている少女の張り手が炸裂した。
「その香水が出てきたのが、証拠ですわ!さようなら!」
ギーシュは頬をさする。
しかし、悪夢は続く、巻き髪の子が立ち上がって、ギーシュの目の前にくるまでにずかずかずかと、歩み寄ってきた。
「彼女とは、ただいっしょに、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけ―――。」
だくだくと冷や汗をたらしながら弁解する。
「やはり、あの子と付き合っていたのね。」
「お願いだ、モンモランシー咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りでゆがませないでくれ。僕までかなし―――。」
ギーシュの頭にワインがかけられた……。
最後まで台詞がいえないギーシュが可愛そうである。
その上「うそつき!」と怒鳴られている。
沈黙が流れた中、最初に言葉を発したのはギーシュだった。
「あのレディ達は、薔薇の存在の意味を理解してないようだ。」
正直どうでもよかったし、色々うるさそうだと予感した秋山は、とっととメイドからトレイを受け取り、歩く…前に呼び止められた。
「待ちたまえ。」
「あしか。」
「君が香水の瓶を取り上げたせいで――。」
「言わんとしとる事はわからい、しかしあしは悪くないと思ってるがの。」
「何故かね。」
「許可も取らんで2人も女を取れば、女方も怒るじゃろう。」
「確かにその通りだ。」と秋山に賛同する学生もいた。
ギーシュの顔に少し赤みが走る。
「知らないふりをした時点で、話をあわせるぐらいの機転があってもよいだろう。」
「知らん。」
「ああ、君は……ゼロのルイズが呼び出した、軍人だったな。そうだなそうだな、頭のお堅い血塗れの軍人にゃ無理な機転だったな、行きたまえ。」
ようするに殺人ロボットと侮辱した。
秋山は流石に、言葉に嫌味を交える事にした。
これが後の一事の決定打となった。
「国から乳吸う親の乳すっとる人は流石に頭が柔らかいの。あしらも参考にせにゃいかん。」
今、この発言で。この食堂にいる9割にケンカを売った、が、幸い切れたのはギーシュだけだった。
「どうやら、貴族がどれほどまでに重要かしらんようだな。」
「知らん、ただ座ってるだけの飯食らいとしか。」
「よかろう、礼儀を教えてやる。ちょうどよい腹ごなしだ」
ギーシュは立ち上がった。
「ほう、ケンカか。」
秋山一のカッサイモンの淳さんは売られたケンカは必ず買う信条がある。
しかし、兄の言葉も忘れてはいけない。
「引き分けにもちこめるか勝ちに走れるケンカ以外はするな。」
どうすればよいか、相手は空を飛んだりする事も考えられる、しかし。
空を飛んだらこちらを傷つけることは出来ない。
つまり空は飛ばれない…。
しかし、まず殴り合いにはならないと予測した。
「ヴェストリの広場で待つ。ケーキを配り終えたら、来い。」
斜め後ろにいたメイドが震えている。
「どうしたぞな?」と聞けば「貴方、こ、殺されちゃう」とだけ言い逃げていった。
「そりゃ、そうか。」
支援
どんな魔法を使うかも予測できない。
というか魔法自体いまだ分かってない。
感覚では分かるが、理では捕らえられない。
一番秋山が嫌いな物である。
「勝手に何してるのよ貴方!」
その言葉に驚き、後ろを見ればルイズがいた。
「怪我したくなきゃ謝りなさい。」
「面白いの。」
「は?」
「相手が何を使ってくるか分からんけ、それをどう倒すか、考えとる。それが楽しいんじゃ。」
「……狂ってるわ、勝手にしなさい。一度痛い目見れば、分かるはずよ。メイジと平民には大きな差があるわ、それは常識ではのりこえれないの。」
勝手にしなさいと言いながら、心配の顔も見せている。
秋山はなかなか可愛い所もあると思った。
考えが一つにまとまった秋山は、ギーシュの友人の一人に尋ねる。
「ヴェストリのうんたらはどこかなもし。」
「こっちだ。」
中庭、ヴェストリの広場には、噂を聞きつけた暇人で溢れ返っていた。
「諸君、決闘だ!!」
歓声が巻き起こる、本当に血を望んでるのは軍人ではなく平民なのだ。
「ギーシュの決闘だ、相手はルイズの使い魔の人間だ!」
ギーシュは歓声の中腕をふって、歓声にこたえている。
そして、やっと存在に気づいたという風に、秋山の方を向いた。
秋山とギーシュは、広場の真中に立ち、ギーシュだけが秋山を睨んでいた。
秋山はぽけーっと、上の空だった。
「怖気づいてるのかね?今だったら怪我をさせてから謝るという事で手がうてるが?」
「……。」
「必要無か。」
「……。」
秋山は返答に応じず。
ギーシュはここで間違いを犯す。
これは、恐怖で怯えた姿ではなく。
既に作戦なのだ。
「私は貴族だ、故に魔法を行使する。異論はうけつけん。」
「……。」
ギーシュがそういうと、薔薇を一枚空に浮かせて、それが地につくと、土人形を作った。
秋山よりでかい、女性の形をし、甲冑を着込んだ土人形だ。
「僕の二つ名は青銅。青銅のギーシュ、従い、青銅の土人形ワルキューレが相手する。」
相手が先に仕掛けた、相手はこの時点で作戦に乗った。
とはいえ、ここまで先は全てその場におくと言う作戦とは何重もほど遠い物である。
(7体かなも…しかし、青銅は硬し、いかんとするべきか。)
土人形の一体が秋山に向かって突進、その青銅製で出来た腕で秋山の腹に目掛けて殴る。
が、目の良い海軍職、餓鬼の頃からのカッサイモン、そして体格の差で避ける事は容易だった。
自分の方が背が高い場合、相手の腹に向けて殴るには腕を下に向けなければならない。
しかし、背が相手より高い場合は頭を狙いやすくなる。つまり、秋山の弱点は頭。
だが、あえて狙わなかったのは、痛めつけて終わらすというギーシュの意思か。
はたまたケンカをした事が無くて知識が無いか。
「こういう場合は……。」
「何をしたって僕のワルキューレに対しては無力さ――って逃げタァ!?」
「逃げる場合が勝ちとする日もありじゃ!」
何故逃げるか、おおよそ相手の土人形の性能を見る為だろう。
後ろをみやった。やはり、秋山の速度には敵わないようだ。
秋山のかけっこは犬の全速力と同じ速度が出る。
伊予の警官は秋山が悪さをする度に、捕まえようとしたが。
無駄だった。まぁ、家に警察が来て、親から呆れられる事はようあったようだが。
ならばここは。
「速さはあしの勝ちじゃな!一体だけならあしは一生捕まらん!」
「は、一体だけならな。が、私にはまだ6体いる。」
「なら、とっとと全部こっちに向かわせればよかろう、三体こようが四体こようが、こんな鈍足どもにつかまらん。」
「そうか、少し惜しいが、僕の輝かしい勝利の為だ、即効潰させていただこう。」
五体が来た一体は守りに付かせる気だろう、秋山は足を止め、壁を背にする、ずっと追いかけて来たワルキューレはおおよそ12歩分の距離がある。
ギーシュとは32歩分他の土人形は21歩分
突然秋山がその土人形に向きを変えて、走りだした。
「血、血迷ったのかね?なら、遠慮なく止めをさ刺させて頂く!」
ワルキューレとは2歩分の間合い、その他土人形とは7歩、ギーシュとは24歩。
ワルキューレは拳を握って秋山の顔に目掛けて、殴る。
しかし、避けた。懐に入ると、突然ワルキューレの両肩を掴み出した。
「よいしょー!」と、両肩にある手に力を入れて。
ワルキューレの頭の上に乗っかった。
「あぁ、僕の美しい芸術ワルキューレがっ!」
その高い所から見下ろせば、その他土人形との間合いも狭まっていた。
下にある土人形が手で足を掴もうとした瞬間、秋山は土人形の頭を大きく蹴った。
器用にも幅跳びのような飛び方をする、と、秋山の目の前にはギーシュと土人形一体しかいなかった。
考える必要は無い、その他の奴等は後ろにいるだけだ。
走れば勝ちだ。
「な…まずい!」
ワルキューレの向きを反転、すぐに走らした。
が、秋山も走ってくる。
秋山と土人形の差がどんどん広がる。
一体のワルキューレに秋山を止めれる訳が無く。
相手との体格差を生かして、ひゅるりとかわす。
「は、速く。こいつをなぐ――!」
距離は既に零、首と杖を握っていた手を?まれた。
ギーシュはこの時点まだ負けたとは思っていない。
何故ならこのポーズなら土人形が後ろから攻撃できるからだ。
そして、追いついた土人形が即座にパンチを繰り出す。
「が……ぐ――。」痛みから漏れる声が聞こえた
が、その攻撃は秋山には当たっていない。
何故か、それは、簡単な事。
秋山が機を見てしゃがんだだけである。
そんな一瞬の事に瞬時に反応できるわけが無く。
秋山を狙った土人形は、そのままギーシュの胸骨部分にあたった。
秋山の背中を狙っていたのだろう。
「あしの勝ちじゃな。」
「ッ――、ふっ……くっ――。」
既に息が出来ていない、どうやら骨に異常が発生してるらしい。
「る…ルイズの使い魔が勝ちやがった!!」
「黙られん!すぐに手当てできるもんを呼ばんか!死ぬぞ!!」
そういわれて、ギーシュの友人かと思われる人が即座に何人かギーシュを囲った。
時変わりて、学院長室
「やはり、あれは……伝説の――。」
「いや、ただたんに頭が出来ちょるだけにも見える、にしても清々するの。」
「呑気な事を、死に掛けてますぞ?」
「ありゃ痛がり性じゃ、見るに肋骨の一本にひび、心臓や肺に支障は無い。」
先程院長が作り上げた、特定の場所を写す鏡にはギーシュとその周りを囲っている生徒が写っていた。
「適当に3日魔法かけてりゃなおるんでねーの?」
「それならどうでもよいです、とにかく話を戻しますと。」
「あぁ、あぁ。ルーンが一緒じゃったんじゃろ?」
「それにあの速さ。」
「ありゃ、まだ常識内じゃ、人より少し速くてもしっくりこんの。」
「確かにそうですが……。」
「それにあの智謀はどちらかといえば神の頭脳の方が合ってる気がするがの。」
「はい…。」
「ま、良い。観察してそれらしい様子を見せたらそれはそれ見せなければ平和じゃ、良いな?」
「はっ――。」
目の前の光景に驚きを隠せないルイズは秋山に問うた。
「あんた、何で無傷なの。」
「ほりゃ、あたっとらんからの。」
「メイジのゴーレム一体ドットクラスでも傭兵3人程度の力はあるはずなのに?」
「そりゃ、面と向かえばそうじゃろう、あのパンチは正直速かった。じゃが、まずあしはゴーレムと対峙していない、逃げただけじゃ。」
「逃げるが勝ちって……まさかそんな。」
「こんな小さい学校の中で、差別がなんたら区別がうんたらなんてモンしいとっちゃったら、本当に強くなる事は出来んぞなもし。
あしがこの学校、いや。この世界で差別なくしちゃる。」
貴族にとって逃げる事は負けでしかない。
が、逃げの中にも勝ちがある、この事実はショックが大きい。
「ま、あの小僧が負けた理由は3つじゃ、一つに慢心、相手を軽く見るという行為はどのような状態でも避ける事、
現実を直視できる者が勝利する。二つ先手必勝とは相手に見つかってない状態からが一番よい、そうじゃな奇襲とかはその例じゃろ。
つまり、相手がどのような技を出すか分からない内はむやみに手出せば死ぬと言う事。
後は速度じゃ、いかに威力が高かろうが、自分の間合いに引き込める機動性を持ってないなら、意味は無い。」
「ふーん…、ま、私の使い魔なんだからこれ位できないとね、でも御褒美に何か買ってあげてもいいわ、何がいいかしら?剣?本?」
「本は文字が読めん、剣はこいで十分じゃ、ハンモックが欲しい。」
海軍時代船の中では主にこれで寝る、秋山にとって馴染みの一品である。
というかハンモック程度、学院内の倉庫から適当に掘り出せるだろう。
「そんなのでいいの?」
「あしは、贅沢はせん、ハンモックで十分じゃ。」
その後、秋山がハンモックを部屋につけて寝てから、日々のテンションがいつもより高かったそうな…。
投下完了です。
>>414の最初の方に?まれたとありますが、掴まれた。です国のところが旧字体の方になってたみたいですいません。
忘れてましたが、支援ありがとうございました。
乙です。
しかし、
>>406の2行目のルイズのセリフに違和感がw
貴族が食事のことを飯って言うなw
それはあれです。
ゲートを通る時の不思議魔法一つ目の効果。
「自動翻訳機能」
がバグったんでしょう。
すいませんでした。
>400
ご指摘ありがとうございます。
まとめにUPするまでに直しておきます。
>370
ウサ忠に気付いてくれた方がいて、嬉しかったッス。
乙です。
面白かったっす。
皆様、先ほどは感想ご意見ありがとうございました
早速ですが書いてみましたジョゼフ編
即興で書き起こすにもなんやら字数に比べて密度は低めかも・・・
まぁジョゼフ一人分の話なんで仕方ないかもしんないですが
お目汚し失礼します・・・
ハルケギニアは混乱を極めていた
トリステイン魔法学院にて行われた春の使い魔召喚の儀式
魔法学院の生徒たちの進級試験を兼ねたその儀式で、常軌を逸した怪物が召喚され
瞬く間に魔法学院を、トリステインを席巻し怪物のはびこる魔界へ変えたというのだ
メイジとしての優位性にあぐらをかき、自らの安寧を信じて疑わなかったトリステイン貴族たちがその圧倒的脅威に対抗しきれるはずも無く
領地を守り敗北するか、ゲルマニアやロマリア、そしてこのガリアに亡命するか、取るべき道は幾つも無かった
そしてトリステインから逃げ出す人々を追い立てながらその活動範囲を広げ続けた怪物はトリステインより隣国のゲルマニアに攻め入り
ロマリアもガリアも、果ては空のアルビオンですらその猛威を振るっている
怪物と接触した生物は、本来持つ身体能力に加え怪物の特徴を受け継いでその仲間になることがあるらしい
トリステインのグリフォン、マンティコアなどの幻獣もそれに毒され、アルビオンに攻め入っているのだという
怪物の眷属は場所を選ばず増え続け、もうこのハルケギニアに安住の地など何処にも無い
滅亡は目前に迫っていると、誰もが絶望に沈み、始祖への祈りを捧げる者で礼拝堂は溢れかえっている
そんな中、ガリアの無能王ジョゼフは迫り来る終末にもその壊れた心は恐怖に震えることは無かった
弟シャルルへの嫉妬、そして憎しみによって取り返しのつかない過ちを犯して以来
何をしても震えることの無い心
シャルルの忘れ形見の姪を死地に追いやっても
レコン・キスタを利用し、アルビオンに戦乱を起こして多くの命を散らしても
痛みも怖れも悲しみも無い
黒雲が強風に流される空を見上げながら、ふとジョゼフは思い出した
(ああ、そういえばシャルロット…愛しき我が姪は事の発端である魔法学院で命を落としたそうだったな……)
大切な弟の娘が死んだと報告を受けても、上の空だったか
自分は本当に薄情な男だ、挙句にこの世の終わりを目前にして、待ちわびた変化の訪れを前にして
ほんのわずかに期待に胸を躍らせたなど…
待て、焦るな。
焦って書いて焦って投下するとロクなことにはならんぞ。
世界の終わりに立ち会って、果たして自分は何を思い、この心は何かに震えるだろうか
命の終わりに恐怖するのだろうか
世の理不尽に怒るだろうか
それともこの退屈の終焉に歓喜するだろうか?
自信は無い、まるでない
きっとその時を迎えても今とさして変わるまい
シャルルが全てだった、自分と対等にチェスを打ち、自分を励ますのも、からかうのも、感情を共に出来るのは弟だけだった
そのかけがえの無い弟を自ら危めた時、俺の全ても止まった
分かりきっていたことだ、何をしても無意味だ
自分は何をしていたのか、多くの不幸を撒き散らし、苦しめることは俺の望みだったか?
道連れを求めたわけでもない、何をするのも分からなくなって、意味の無いことを繰り返してただけだ
黒雲を流して吹きすさぶ風が、胸の空虚な洞を通じて吹き抜けるようだ
(お似合いじゃないか…”虚無の担い手”の俺には)
今一度シャルルに会えることでもなければ、この心にはさざなみ一つ立ちはすまい…
(もし…今一度シャルルに出会えるなら…)
言うなれば、それは始祖の導きとでも言うのか?
吹き抜ける風の流れが変わった
このグラン・トロワの屋上に、自分以外の何者かが現れた
人の気配だ
(シャルル派の貴族がこの機会に俺を討ちにでも現れたか?)
くれてやってもいい、討てるものなら…そう思い振り向く
(俺は馬鹿か?)
報告には聞いていたハズだ
「やぁ…」
その男は青い髪を風になびかせて微笑んでいた
(あの化け物どもがどういうモノなのかなんて…)
自分と相見えたならこうなることくらい考えれば分かることだった
「久しぶりだね、兄さん…」
「シャルル…!!」
他人の記憶や思考に合わせて自信の外見・言動を変化させるのは
その怪物…本来の世界では”ジェノバ”と呼ばれたソレの能力だった
その高度な擬態能力で獲物の警戒を解きほぐし、ウィルスとも称された自身の遺伝子情報を他生物のそれに転写複製し
自身を中心とした新たな生態系の構築…侵略を行い
時には他生物の遺伝子情報を自らに取り込むことで自身を進化させる
それが”ジェノバ”の能力であり、目の前にあるのはまさに侵略を行うため怪物の取った仮の姿に過ぎない
ガリア王ジョゼフはこの短期間に集められた情報から眼前のソレの正体を把握していた
理性では何もかも理解している
目の前のソレがシャルルなどではないことを
化け物が自分を獲物と定めた為に、その姿をとっていることを
「シャルル…」
だがそれでも――
「兄さん、少し痩せたんじゃないかい?」
目の前のそれは紛れも無いシャルルの顔で声で――
「シャルル…!俺は…!!」
――始祖も神も信じていないこの男が縋りたくなる、そんな存在であった――
「分かっているよ、兄さん…
兄さんがぼくを殺してどれだけ苦しんだか
兄さんがその苦しみから逃れるために更に苦しみ続けていたことも…」
「シャルル…シャルル…!!」
――始祖の導きだか、神の計らいだか、そんなものを柄にも無く信じてしまいそうになっていた――
「だけどもう苦しまなくていいんだ
ぼくは恨んでなんかいないから…ぼくが悪かったんだ
ぼくの言葉がどれだけ兄さんを傷つけるか考えもしなかった」
――目の前に居る”シャルルの姿をしたモノ”は生前のシャルルそのものの穏やかさで、清らかさで――
――自分の記憶にあるまま美しい弟だった――
「シャルル…お前は俺を許すのか?許してくれるのか…?」
「もちろんだよ、兄さん
ぼくはいつだって兄さんの味方だからね
さぁ、手を取って…ぼくと一緒に来て欲しい」
――ああ、始祖だか神だか分からんが、感謝しよう――
「ああ、シャルルよ…俺を許してくれ…」
――俺の心がまた震える時が来たことを――
「こんなまやかしに僅かでも心を動かされた俺をッ!!」
――俺の心がこのような苛烈な怒りで動かされる時が来たことを!!
ジョゼフの怒りに任せた爆発が”シャルルの姿をしたモノ”を包み込む
爆炎の中から現れたモノはシャルルの上半身を頂点に抱いた歪な蝶のような、蛾のような青い異形
地面についた足?はとぐろを巻いた蛇の尻尾のようだ
シャルルに擬態した怪物―ジェノバ―が擬態は無意味と真の姿を現したのだ
黒雲を背景にした鮮やかな青色の粘性を帯びた体色は、グラン・トロワの屋根の色と相まって奇妙なアンバランスさをかもし出していた
「…シャルルは…何処までも清らかで美しい奴だった」
杖を構えてジョゼフはジェノバを睨みつけた
「ああ、あいつなら言うだろうさ
あいつは殺されても決して俺を責める事はすまい
あいつは優しいからな」
ジェノバから青い光が発されるがジョゼフはバックステップでそれを紙一重で避ける
「自分にも非があるなどと言って、俺を気遣う、そんな奴だ、あいつは」
ジェノバの体表から滲み出た液が泡立ち、風に乗って自分に向かってくるのを【爆発】で消し飛ばす
「俺の自慢の弟だ、あいつは…非の打ち所の無い俺の憧れだったんだ」
【加速】を行い屋根の上へ駆け上り、ジェノバを見下ろすジョゼフは詠唱を開始する
「貴様如き下劣な化け物風情が弄んで良い存在ではないのだ…ッ!!」
渾身の【エクスプロージョン】が発動しジェノバの頭部―シャルルを模した人型の上半身が納まった部位―から泡立つような爆発が巻き起こり
ジェノバを焼き尽くし塵と変えた
「…派手にやったようだな」
喪に服するかのように空を仰いだジョゼフの背後から
長い金髪を風になびかせ、帽子が飛ばされないように手で押さえながら一人の男が歩み寄ってくる
「ビダーシャルか、どうした」
エルフの青年ビダーシャルは背を向けたままのジョゼフに告げる
「かの怪物どもが我らの地にも攻め入ろうとしている
私もこれより本国へ帰還し、対策に当たらねばならない
悪いが、これでお別れだ」
ジョゼフの部下となる契約を反故にすることに多少の後ろめたさを感じつつも
同胞の危機より優先するわけにもいかないビダーシャルは、告げるべきことを告げて立ち去ろうとしたが…
「待て、ビダーシャル」
ジョゼフがそれを呼び止める
「まだ、何か望みがあるのか?」
「化け物どもを駆逐するなら手を組んだほうがやり易かろう」
背を向けたまま、エルフとの共同戦線を持ちかけるジョゼフ
その拳は硬く握られ、激しい怒りに震えていた
「手を組む…だと?」
「そうだ、貴様らは技術は高くとも応用が効かん
俺ならあの化け物どもを一掃するのに、貴様らエルフの力をより効率的に利用してやる」
歓喜に震えるような口調で高らかに語るジョゼフ
あるいは確かに歓喜に震えたのかもしれない
「あの化け物どもは精霊の力を汚す…その排除は何より優先されるべきだ、が、しかし…」
「ならば手をこまねいて滅ぼされるか!?
俺は認めん、あの化け物どもは、このハルケギニアから塵も残さず消し去ってやる!!」
ビダーシャルは別人のように活力に満ちたジョゼフに気圧されながら
その危うさを隠そうともしない苛烈さに、何処か頼もしさを覚えていた
頭に浮かんだその感情を否定しながらも、取るべき道は決めていた…
「化け物ども…シャルルを汚した報い、貴様ら全ての命で購わせてくれる…」
この後、ガリア王ジョゼフ主導の下
生き残ったハルケギニア諸国の人々はエルフと共同戦線を張りつつ
ハルケギニアを席巻しようとする怪物群に対する大規模反攻作戦を展開した
エルフにより精製された【火石】での広域殲滅戦を各地で展開し
人類はその生存圏の奪還、怪物群を追い詰めると引き換えに不毛の大地を広げた
【火石】による広域殲滅の限界を迎え、各地で怪物群との死闘が恒常化
しかし人類は着実に勢いに乗り、怪物群を追い詰めてゆき
ついに始祖ブリミル降臨の地―聖地―へと怪物群の主力を追い詰め、封印することに成功した
この戦いでガリア王ジョゼフは風竜の変異体と交戦し、討ち死にしてしまう
嘘か真か、この風竜の額には旧オルレアン公シャルルの娘、シャルロットに瓜二つの顔が付いていたとも言われるが
真相は定かではない
晩年のジョゼフはエルフとの同盟、ハルケギニア諸国の生き残りを纏め上げ
怪物群との戦いにおいても見事な指揮を行い
政治・軍事共に見事な手腕を見せて半生通した”無能王”の二つ名を見事に返上している
ジョゼフ一世亡き後、ガリアはその娘イザベラが継ぐこととなったが
即位からわずか半年で「器では無い」と自ら王位を退いた
その後はエルフに習い、共和制が敷かれることとなった
退位したイザベラは、その苛烈な性格でもって生き残った各地の怪物を掃討するためにその後の人生を費やしたと言う
疲弊しきったハルケギニアは、皮肉にもそれによって人類とエルフの融和が成され
以後数十年に渡って、怪物の生き残りとの戦いは日常化
破壊・汚染された環境の再生には更なる年月を費やすこととなる
また事の起こりを招いた虚無の伝承は
戦乱による秘宝の消失と共に歴史の彼方へと消え
以後は聖地封印にわずかに付随する話が伝えられるのみである
〜完〜
ってことで終了!
>>423 ええ、ちょっと舞い上がったかもしんないです
よく見れば前回分も脱字あるし・・・
休みはしっかりとって更正ちゃんとしたほうがよかったすね
とりあえず、ジェノバ召喚はこれにて書きたいもんは書いたつもりです
そしてタバサファンの皆様にはごめんなさい
タバサ関連の描写はこれおおよそ予定通りです
でもやっぱ自分でも納得しきれないとこがあったりも・・・
やっぱ未熟っすね
連載やってる方たちに心から敬意を表します
お目汚し失礼しました
ジェノバの人乙でした。
……そっか、一応FF繋がりだわ、これ。
というわけで他にいらっしゃらなければ23:00より投下したいと思います。
>>429 良くやった。次は長編のジェノバだな
個人的には似たような話が出来そうなラヴォスバージョンも見てみたいところだが
mission 08 A Sacrifice
ガァーン!
重い炸裂音が響き渡り、弾丸を撃ち込まれた木がボロボロになった。
「はぁっ……!」
息継ぎを一つして呼吸を落ち着けたアニエスが銃身を下ろす。
「ビスマルクにも大分慣れたようだな」
「……これに比べればハルケギニアの銃など玩具だな」
手にしたそれを見つめ、ため息をつく。
ジョーカーにより改造を施されたアニエスの銃は、もはや元の姿など見る影もなくなっていた。
即応性を高めるために銃身など、射撃に直接影響する以外の部分を極力切りつめたのが、このビスマルクである。その結果、威力の割に振り回しやすい銃になったが、反動が大きく、使うにはかなりの体力が必要になってしまっている。
本来ならばもうワンランク上のエクゼターにすることも出来ていたはずだったのだが、ジョーカーがこちらに来ていると知る前に改造に必要な「星々のかけら」は全て禁断魔法精製に使ってしまっていたのだ。
「もうワンセット、頼む」
「判った。G.F.イフリート、アビリティ弾薬精製」
鍛冶屋から格安で貰い受けた屑鉄の山に手を掲げ、通常弾へと精製する。
ちなみにスコールのライオンハートも同じようにして弾を精製している。
「はぁ、こりゃまたおっかねぇ音がするから何かと思えば……」
「!?お前は……」
「久しぶりだな、アニエス、レオン」
タルブ平原会戦の直前、スコール達に疑似魔法を広める存在のことを教えてくれた情報屋が、よぉ、と手を挙げていた。
彼がもたらした情報は、成る程大見得を切っていただけの事はあり、その人物らの容姿、名前、果ては住まいまでを網羅していた。
その情報を元にすぐさまラグナロクを飛ばし、辿り着いた先はガリア王国の王都リュティスであった。
少し離れたところにラグナロクを下ろすと、留守をジョーカーに任せてスコールとアニエスは城下町へと歩を進めた。そして情報にあった民家を訪れてみたが、そこには誰もいなかった。
周囲に聞き込んでみると、間違いなくビッグスとウェッジなる人物がここに住んでいるらしいのだが、ここしばらく姿を見ていないらしい。宮殿に仕えているから、何か用を仰せ付かったのではないのかとの事だ。
(ビッグスとウェッジ……どこかで聞いたことが有るような……)
皮肉でも何でもなく、スコールはこの名前を思い出せないで居た。まぁ、要人とも思えない一般兵と一般将校の、しかも一度しか戦ったことのない相手の名前をちゃんと記憶していろと言うのも無理な話ではあるが。
行き先も尋ねてみたが、流石に宮殿の仕事故か、辺りに知っている者は居なかった。
「どうする」
出来るなら、宮殿の方へも探りを入れたいのだが
「無理だろうな。トリステインの宮殿ならばまだある程度顔は利くから、内情を探ってもらうことも出来なくはないが……」
アニエスの言葉にスコールは小さくため息を着いた。
今日の所は出直そうと、ラグナロクへと戻ったところ
「ああ、委員長、やっと来てくれた。困ってたんだよ」
その入り口付近に大勢のメイジ達と、カードの束を手でいじりながら、言葉の割に余り困って居なさそうなジョーカーが居た。
「……この国のメイジ達か」
軽く周囲を警戒しながらジョーカーに近づく。
「この男がお前の上司か?」
その側に立つメイジがスコールを見る。
「一応、そうです」
その横柄な態度に呆れを感じながらも、こくりと頷く。
「我々に付いてきてもらおう」
「……仕事の依頼ですか」
「さぁな。我々はただ、お前達を連れてくるようにとしか言われていない。理由も知らされていない」
ぶっきらぼうな物言いに僅かに眉を顰めた。
それでも尚スコールが同行したのは、どんな状況になっても逃げ延びる自信があったからだし、仕事の依頼の可能性もあったからだ。
(ただ、それならこの部下らしきメイジ達にもその旨を伝えても良いはずだ。何のつもりだ……)
そうして案内された先は、リュティスでも有数の上級の宿であり、その事は造りを見ただけでスコールにも察せた。
「紅竜の傭兵を連れて参りました」
「おう、来たか。早く入れろ」
豪奢な造りの扉の前で先導するメイジが声をかけるとそういらえが有り、扉が開かれ中にはいるように促された。
部屋の中は薄暗く、何本かの蝋燭が燭台で燃えているだけだった。連れてきたメイジも外から扉を閉めてしまって部屋の中は二人きりだ。
「額に傷、ハハハ!聞いていたとおり、お前が伝説のSeeDだな!」
その部屋に一人、青い髪と髭を生やした男がゆったりとした椅子に座っていて、楽しそうに手を叩いた。
「……何故俺の事を」
若干の警戒を持ちつつ目の前の男を見据える。
「何、ミョズニトニルンに聞いたままだったからな。柄が銃のような剣、暗い茶色の髪、正に、正に!」
(ミョズ……ニトニルン……?)
もしこの場にアニエスを同伴していれば、その名についての補足をしてくれただろうが、始祖ブリミルの伝説についてはほとんど触れていなかったスコールは、それをただの名前として聞いた。
(聞いたことのない名前だが……俺のことを知っている?俺やジョーカーと同じで、呼ばれた奴なのか?この男に?)
「レコン・キスタの艦隊を破ったのも、お前のガーディアン・フォースとやらの仕業なのだろう?あれでもうトリステインは落ちたと思っていた俺の予想をあっさりと変えてくれたからな」
未だに名も明かさぬこの男、G.F.の事も認識しているらしい。
「……別にそれだけではない。擬似魔法を修得していた傭兵の多さも、勝因の一つだ」
「成る程、確かに聞くところに依ると擬似魔法を使う傭兵が、メイジと互角にやり合って見せたという事だな」
しきりに頷き、ニヤリと口元をゆがめる。
「擬似魔法を広めさせて正解だったようだな。平民がメイジと同等の力を持つとは」
「……何だと?」
「当初の俺の計画にはない筋道だが、ふむ、これは面白いな!」
「あんたは……あんたが擬似魔法を広めたのか?」
半ば愕然とした表情で尋ねる。
「応ともよ。ミョズニトニルンと共に呼ばれてきた男達に、ゲルマニアから南下させながら擬似魔法を広めさせたのは、この俺だ」
そのスコールの驚きに気分を良くさせたか、高らかに宣う。
(南下させながら……ビッグスとウェッジ!)
「何故だ!その口ぶりなら、擬似魔法が広まることでパワーバランスが崩れてハルケギニアに混乱を来すことは理解しているはずだ!ここに連れてきたメイジ達の数と言い、あんたはかなり上位の貴族なんだろう!?何故こんな事をする!」
「ふん、判らんのか?」
尋ねた途端に、つまらなさそうにスコールを見やる。
「お前の言うとおりこの世界を、ハルケギニアを混乱させたいからに決まっているだろう」
「……?」
言っていることの、理解が出来ない。
「ついでに言っておくと、そもそもアルビオンでレコン・キスタが蜂起したのもこの俺の差し金よ!どうだ、驚いたか?」
「……何の、一体何のために」
目の前の青髭の男に、まるで魔女と対峙したときのような薄ら寒さを覚えながらスコールは尋ねる。
「ははは、俺に直接その質問をぶつける奴は初めてだな。俺はなぁ……」
直後、スコールはこの男が一気に10は老けたように感じた。
「俺はただ、もう一度人並みに泣いてみたいのよ。この大地の全てを灰燼に帰せば、多少なりとも悲しくなるかと思ったのさ」
「泣く?」
この男は泣けない?いや、泣けなくなった?
「親しい者も攻め立てた。弟の嫁を狂わせ、姪を死地に追いやることも幾度と無くやってみたが、泣けん……」
それが、アルビオンに乱を起こし、擬似魔法を広めた理由か。手前勝手なそれだけの理由が。
先程感じた得体の知れない薄ら寒さは消え失せ、侮蔑の感情がわき上がってくる。
「どうだSeeD、俺を殺してみるか?ひょっとしたら自分が死にかければ泣けるかも知れん」
「断る」
はっきりと、そうスコールは言い切った。
「何故だ?俺を放置すれば、もっと大勢が死ぬのだぞ?それをお前は見過ごせまい」
「俺は正義の味方じゃない。ただの傭兵だ。自殺志願者に手を貸す気はないし、そもそもあんたは貴族だろう?貴族に手をかければ、俺だけじゃない。俺の仲間にも累が及ぶ。
もしホントにあんたが危険な存在なのなら、別の連中があんたを始末する。そしてあんたを討つのに俺の腕が必要なら、改めて俺の元に依頼が来る」
だから今は、この男に刃は向けない。
「……ふん、やはり実際に会ってみる物だな。人伝では判らなかったお前の人となり、多少は理解できたと思うぞ」
「話はそれだけか?……ならもう帰らせてもらう」
くるりと踵を返し、扉の方へ足を向ける。
「まぁ待て。お前があくまで傭兵だというのなら、どうだ?俺に雇われてみないか?」
「仕事は選ぶ」
短く言い切り戸をくぐるスコールを、青髭の男、ガリア王ジョゼフはその背を見送るのみだった。
世を混乱に陥れるためだけに、ライオンハート(獅子の心)を振るうつもりは、ない。
今回はここまで。投下宣言後人大杉になって一瞬焦った……
SeeDの人、乙っす。
まさかアニエスがビスマルクを使うことになろうとは。
ちょっとしたことなんですが、元ネタ的に間違っている部分を
mission 06
FF8におけるカードの名称はクァッド・ミストではなくトリプル・トライアド。
生命魔法精製を使えるのはアレクサンダーではなくセイレーン。
mission 07
G.F.を敵からドローしたときの文章は「○○を手に入れた!」
です。次の作品も楽しみにしています。
ジェノバの方GJ!
…なるほど。ブラコンStylishジョセフの最期は
シャルロットコピーシルフィか。
妥当と言えば妥当だが…
ガリアの血パネェwwwww
>>430 支援
ラヴォスは時空に歪みを起こしたりするあたり長編だな!
438 :
436:2009/09/05(土) 23:25:16 ID:V7OiVfol
しまった!リロードし損ねた!
SeeDの人乙!
この黒幕もジョセフだったとはwww
いかん、先が読めない
SeeDの人、乙です。
遂にジョセフ登場。ここのジョセフは黒か白か?そしてロマリアチームもどう動くか未知数の状態。
今後の動きを期待しています。
ラヴォスなら別にタバサ死ぬ必要ないだろうから楽しみではある。
エタナってるが「るいずととら」で
デルフをとらに活用させる手段って紅蓮みたいに鼻面に刺すのとかありかな
弾除けならぬ魔法除け
とらが紅蓮の真似事嫌いそーな気もするが
憚られるものがラヴォスで、ルイズの召喚の儀式で
ゲートが開いて未来に行ったルイズが惨状に愕然、
ぐらいまでは考えた事がある。
完結までどうしようもなく長くなりそうで断念したが。
クロノトリガー本編みたいに過去や未来にルイズ達が行って大なり小なり歴史を変える…。
タバサママンとかジョゼフとかコルベールの過去を変えてしまうのもありかな?
ラヴォスにジェノバか…いいよね、侵略って響きが
FF7が結構召喚され始めたか…いつになったらDQ7が召喚されるのだろうか
ふむぅ、ならば親善大使Mk-IIことウィダーシンを召喚してみてはどうだ?
マナ枯渇の不安のない世界、おまけにディセンダーもいないときて
ヒャッホウ!とすぐさま自分の世界を呼び出し
たいけど、遠く離れすぎてできないことにガッデム!
そしてルイズ(とその他)に八つ当たりってのが思い浮かんだwwww
まあMk-IIだから仕方ない
>>443 歴史が変わってタバサはシャルロットのまま、トリステインの留学も最初からなかったことに!
歴史が変わってジョゼフとシャルルは和解、レコンキスタの反乱も最初からなかったことに!
歴史が変わってダングルテールの虐殺は帳消し、アニエスはただの村民になってコッパゲは実験小隊の隊長のまま!
……難しいなぁ。
歴史変えちゃうと変えた分の恨みとか歴史に反撃されちゃうんだよな
時間を遡ってあれこれするってのは、面白くするにはかなりセンスを要求されるからな。
SS中で時間移動持ち込んだ作品って何かあったっけ?
俺は一つしかしらないけど。
時間を超えた戦いならブリミルをパーティーに入れられるんだろうな
クロノトリガーでもロボとの別れでその辺突っ込まれてたな。
仮にレコンキスタの反乱がなくなった場合、
まずアンリエッタからの依頼がなくなり、
いやそれ以前に何の障害もなくアンリエッタはゲルマニアに嫁ぎ、
下手するとワルドの裏切りもなくなり、
タルブでの戦いもなくなり、
ウェールズが死なないからゾンビ化もなくなり(惚れ薬騒動はあるだろうけど)、
アンリエッタが女王に就任しないから魅惑の妖精亭でのバイトもなくなり、
アルビオンへの侵攻なんてのも有り得ず、
基本的には平和な学院での生活が送られることだろう。
……まあ、その内にロマリアから使者かなんかが来て聖戦に駆り出されそうな気もするけど。
未来虚無「私は奴を目覚めさせたにすぎん、奴が召喚されたのは始祖の時代だ!」
という訳でブリミル様の時代に飛んで憚られる使い魔を撃破したついでに
エルフとの敵対フラグも潰して聖戦回避
ラヴォスはジェノヴァほど酷くは無いけど基本同じ事出来る
ジェノヴァよりは少年漫画的なラスボスに向いてる
倒した後でもお約束の怨念にもなって逆襲してくるし、ボスキャラとして大分優秀だな
使い魔の達人を読んでて思ったんだけど、不老不死系のキャラを呼んだら
大変な事になりそう。
『不老不死伝説バンパイア』のマリアとか『バッカーノ!』の不死者たちとか。
不老不死は権力者の永遠の夢だから、居るだけで戦争の火種になりかねん。
>>448 時間弄くるネタなら
ガンダールヴ・マリアンの孫であるシェスタ
ミョズニトルン・バルバトス
ヴィンダールヴ・正史ゾンビリオン
?・ジューダス
こんな妄想をしていたことがあった。
いや、厚いローブを身に纏い、腐臭をごまかすために強烈な香水を使用して
周りには動物しか寄りつかない神の左手ってのもアリかなと思って
おとし所が思いつかなくてやめたが
>>453 一度ブリミル様と共に戦うも歯が立たず、
「もっと虚無の担い手を集めなければ」みたいな展開の方が。
未来虚無は立場的にも耳的にもティファニアかその係累だな。
ふと思ったんだが、6000年前に聖戦フラグが潰されてたらルイズは虚無じゃなくなるんじゃね?
歴史改変は辻褄あわせが結構難しいよな。
そこら辺はセンスが必要になると思う。
考える分には面白いんだけどねw
虚無じゃなくなったら時間移動出来なくなって聖戦フラグ潰せなくなるんじゃね?
何てややこしいんだ、タイムパラドックス……。
そこを言ったら、原作でもラヴォス倒したらロボの時代でラヴォスの映像見れず
クロノ達はラヴォスを倒す決意をせず・・・となるしなぁ
時の最果てに行った事があれば、ある程度因果律から解放されるとか
なんとなくそれっぽくない?
なぜかアルティミシアが出てきた
そのラヴォスの昇華ver.
時の晶霊ゼグンドゥスを召喚しちゃった場合について
しかも時間系の何が難しいかって、二次創作だと人物関係や背景などが細部までわからない。
原作者ならある程度都合よく辻褄合わせられるし、物語の全てを知っていて好きに変えられるけれど、
それができないから多分に想像が入っちゃうし、
そもそもゼロ魔が完結してないし、後々矛盾が出てくるとさらに面倒になるという。
しかもクロスオーバーだから、時間旅行できるキャラなんてそれこそ限られてくるわけで。
その上でプロット組もうとするともうね……。
>>463 時間圧縮&ジャンクションで全ての時代の虚無の力を手に入れた
スーパールイズとラヴォスの壮絶な最終決戦が始まるんですね、分かります。
>>461 タイムパラドックスの解釈なんてそれぞれの受け取り方次第だと思うけれどもね
有名どころである夏への扉でも
タイムパラドックスに関してはなるようになるって締めていたしさ
>>456 >腐臭を誤魔化す
右手だよな?
それともマリアンってTODのじゃないとか、TODだとしても2かなんかでそういうバッドエンド的な何かがあったのか……?
ドラゴンボール式が一番楽でいいね、時間変えてもパラレルワールド1個追加で自分と自分が居た時間には全く変化ない
>>468 素でタイプミスしてしまった
ゾンビリオンの話です……
>>469 ファンタジア本編でもそうなるはずが
なんか強い因果の修正を受けてゲーム通りになった、って
なりダンでいっとった。
そういえばテイルズで「すでに起きてしまったことは変えられないんじゃないでしょうか」とか
タイムマシンという映画で「(死んだ)妻を救う為に作ったタイムマシンで妻を救えるものか」とラストに言われるシーンがあったなあ
つまり自分が時を遡るきっかけを消すのはアウトで
ラヴォスのような相手が勝手に引き起こしたり、
事故のようなもの(たまたま自分の母親が脚を失う日に飛ばされてしまうとか)はOKなんじゃないだろうか
関係ないけどサイトがゲートを通って過去のガンダに会ったのはただの夢だからなんでもありだったのだろうか
>>452 アルビオン安定してるなら、婚姻話がそっち行くんでない?
>>455 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル読んだら、登校地獄消えてました、とか
>>470 いや、こっちこそ重箱の隅をつつくようで申し訳ない。
D2は未プレイなもんで、せっかくD1で助けたマリアンが!?みたいに焦ってしまったんだ。すまない。
>>471 あれ、でも終盤チェスターと序盤チェスターは別人だよね?
魔術が無い世界から、ある世界にシフトして
時空転移した理由も失われた強力魔術インデグニションを求めて、ということに変わっていたし
>>475 ごめん、読み間違えた
元々いた世界はそのままで、自分たちだけシフトしちゃったってことだよね
ラヴォスで駄目ならフェイトちゃんとか時を食らうものとか竜神さまたちでも…
人類対エルフは人類対恐竜人とにたような構図だな、そういえば
ドラえもんならタイムマシンでブリミルの謎をさっくり解いてくれるはず
ドラえもんならパラレル西遊記からヒーローマシンが召喚されたら
使い方をよく知らなかった使用者のせいでエルフや人間が妖怪に淘汰される世界に
とある15歳の超天才科学者が
自分、ひいては世界に降り懸かる悲劇を変えるため
約100前の時代でご先祖様を犠牲にしてでも(死ぬ訳じゃない)
未来を変えようとしたお話を思い出した。
まあ、結局そいつはご先祖様と勝負をして…
過去と現在での伏線だと戦う司書シリーズを思い出した。
黒蟻の使い魔は面白かったなあ。
>>467 冷凍睡眠で未来にいったら自分しか作れないハズのものが睡眠中に作られてて
実はそれを調べようと過去にタイムスリップしたことで逆にそれを作ることとなり
結局は自分が作ってたってオチのやつか
アレって壮大な光源氏計画でもあるんだよねwww
タイムパラドックスが起きても、ゆでなら仕方ない
>>472 あれは遊戯王の記憶編みたいな感じで
ガンダールブのルーンの記憶から作られた架空の世界なんじゃないかと思う
SSで扱うタイムパラドックスに関してはYU−NO理論が便利
@Aという事象が起こったことが原因でBがタイムマシンで過去に戻る
ABは過去でAを起こらないようにする
その結果、@という歴史が内包された為に、Aという事象が起こる世界が形成させる
>歴史改変系
ぶりみのおっちゃんがこんなん言いそうで嫌や
ご苦労だった。
誠に見事な働きである。
反乱分子は鎮圧された。
未来に帰って十分休んでくれ・・・。
と、言いたいところだが、我々の未来をより輝けるものに、するために、
私はこの時代から新たな秩序を築くことにした。
さしあたり貴公らには私の獄滅極戮兵器群と戦ってもらう。
涙と鼻水の覚悟はよろしいか?
時が未来に進むと誰が決めたのかってやつか
過去に移動するのは
A→B
↑←↓
じゃなくて
A→B→A´
と。
いよいよもって死ぬがよいw
小ネタの偽伝シャルロットは、時を超えられる使い魔を手に入れた平行世界のシャルロットが、
原作のハルケギニアに介入してくると言う代物だった。
そういえば、リーンの翼でもサコミズ王が「過去の事実はリーン尾翼でも消すことが出来ない!!」とか嘆いていたな。
今と過去じゃ繋がっていても、世界が違うともいえるんだろうな。
歴史改変系ってのは、シナリオを作るだけでも相当な苦労をしそうだなw
まあ結局は作り手の好きなように解釈してもらって構わないんだがね
楽しませてもらってるんだし
歴史改変は、ほんとに緻密にプロット管理できないとなー
やってる自分で混乱するから
一番無難なのが、過去を変えたら現在はパラレルワールドにシフトしました、
次は過去を変えようと思ったけど、現在の結果はすでに変えようとした結果でした、
あたりだな
ちなみに余談だが、俺が知ってるなかで一番納得行かなかった過去改変ものは、
小学校のころに図書館にあった多分洋物翻訳のタイトル忘れたSFで、
「過去にいけることになった、恐竜を生で見られるようになったから研究者とかハンターとかが
その時代に飛びました→いろいろあってたくさん犠牲が出て、研究者のリーダーの弟とか
ハンターの下働きやってたのとかくらいしか生き残りませんでした→現代に戻ったら、弟は
研究リーダーのような扱いうけるし、下働き君は歴戦のハンターの風格でインタビューに答えてるよ
→そうか、過去でみんな死んだから、歴史が代わったんだ!」
>>492 なぁに、宇宙人が犯人のミステリとかに比べればどうと言うほどのこともない
クロノトリガーのイベントのように過去での行動で現在が変わるとか。
ハイパー干し肉をただでやると性格が良くなったように。
過去である王族と平民の恋をかなえると魅惑の妖精亭の名前が変わる。
スカロンが着ているのは魅惑のビスチェではなく別の物になる。
時間移動は、ドラゴンボールの人造人間・セル編みたいに
並行世界が発生するようなヤツくらいじゃないと色々とめんどくさいよな。
上手く設定を考えて作られた時間移動ものは面白いんだけど。
時間移動、つまりクロノアイズの出動ですね
「ルイズさん、貴方特に歴史に影響与える人じゃないので選ばれました」
>>496 虚無の使い手なのにそりゃねーよwwwwwwwww
>>497 原作的にこのセリフを言われる奴は超が付くほど重要人物だぞ確か。
>不老不死
超人ロックは何度か言われてるけど、探偵シリーズでの相棒リュウ・ハント辺りなら
不死身である事(致命傷でも問題なし。ただし痛いものは痛い)以外特殊能力ないし、結構いけるんでなかろうか
あの人、かなりお人好しだし性格的にも何とかなりそう?
>>480 焼き鳥の子孫(?)の、自称・火星人?
ハーレムパーティ築いてる相手に未来の家●図を持ち出すとか、恐ろしい切り札持ってたよなw
あの面子の中でハルケギニア来ても大丈夫なのってキティちゃんくらいじゃないだろうか
雪風の人テンプレ完全離脱かwwwwwww
今後が楽しみだ。
時間移動系で一番の問題は
多分いちいち細かい事に噛み付く読者
細かいことは気にするなの精神がないとな
最近は自分で物語を補完しようとしない読者が多いと某SF作家が嘆いていたな
ググレって言葉が非難されはじめてすらいるし、書き手の方々は大変だ
このスレにいれば読者様がいかに厄介かよーくわかります
行間とか説明されてない部分を想像することが楽しいと思うんだがなぁ
個人的には矛盾するような部分をどうにか繋げるようにすることとか
BLEACHからエビチリ召喚!
修学旅行の最中に召喚されたエビチリの運命は!?
頂きます
宮本武蔵が何かしたでござるか?は名言だと思う。
けどサイトとルイズは割と歴史に残る事やってるからな・・・
>>435 ご指摘ありがとうございます。順次訂正しておきます。
長谷川裕一作品だとダイソードとか。
>>499 体術、技術、兵法、学術、魔術(これについてはデメリットあり)
なんでもゴザレの無敵超人だしなぁ
非殺傷設定の脱げビーム標準のロボ軍団&機動鬼神を保有し、
時間移動による絶対回避、疑似時間停止、挙げ句の果てには
斬っても弾いても周りの対象を強制的に時間跳躍させる(ただし22年に一度の期間限定)弾を開発させたかんな。
そういやあれでも歴史改変モノはあったな。
>>512 あの破壊大帝を召喚するならかなりの技量が要りそうだな
・原語版メガトロンの冷酷非情さ
を再現しつつ
・千葉さんの強烈なアドリブ
も再現せにゃならんのだから。
不老不死だと、藤井八雲が思い浮かぶ。
まとめサイトに1作品あるけど、更新放置されてるのが残念。
DOD、Bエンドのカイムを召喚したら・・・
フリーザ「オレを不老不死にしてくれェーーーーー!!!」
今放送中の方でも佳境が近づいてるようです。
>>515 アヒルのおもちゃ浮かべて風呂につかってるあたり、原語版もアレだが。
しかし自分の故郷であんだけ凶悪なことしたんだから、ハルケギニアでも有機生命体を絶滅させかねん。
メガトロン呼ぶのなら初代の方がいいんじゃね?
ビースト世界では初代は行方不明になっているからちょうど良い。
不死身キャラと言うと無限の住人の万次さんか。
VSギーシュ戦でワルキューレに頭を刺されてバッタリから復活でヴェストリ広場パニックしか思いつかん…
吸血鬼系は使い古されたネタだろうか?
>>522 「使い古された」というほどではないけれど扱いが難しいのは確か
いわば「伝染病のウィルスマスター」を召喚するのだから簡単にハルキゲニア滅ぼせてしまう
それに基本的に召喚は昼日中に行われるから
日光に耐性のある吸血鬼・・・・・・デミトリとかかりんくらいでねすか?
吸血鬼と聞いて真っ先にDIO様とレミリアと若本が頭に浮かぶ俺
ゼロをふたつ並べて∞(MUGEN)の使い魔とかどう?
>>523 ヘルシングのアーカード、ZWEIUのアルウェン、月詠の葉月その他
他にも結構いるはず
ボクらの太陽の伯爵も吸血鬼だったような。
吸血鬼じゃなくて、柱の男はどうだ?
花丸森写歩郎とか
太陽光に弱いけど即死するほどじゃないって邪道なんだろか
GSから、ピエトロ・ザ・ブラドー召還とかもオモシロそうだ……
ルイズを苦手な強気な女の人というカテゴリーに書くと、強いはずなのに、スゴイはずなのにヘタレ
というよくあるパターンになりそうだけどね
Wizの不死王アドリアンもいるな。
吸血鬼は人間に対して比較的フレンドリーなヤツじゃないと
召喚即ホラー路線一直線になるから難しい…
つダレン・シャン
彼岸島の雅も太陽は全く関係ないタイプだな
問題はハルケギニアの人間が全員ハアハア言い出す事ぐらいか
>>519 メガちゃん「今日のゼロ魔は旅にグルメに温泉特集!視聴率はいただきだ!」
ルイズ「違うでしょ!」
ナイトウィザードの吸血鬼は基本日光平気
というか、平気なレベルじゃないとPCとして世界を救えないw
ルイズが呼ぶならダグラスかなぁ。スタイルがディフェンダーだから盾にぴったり。
ノーチェよぶといろんな謎があっという間に解き明かされるw
ならば闇の福音ことエヴァンジェリン・アタナシア・キティ・マクダウェルさんはどうだ?賞金首時代の。
使い魔そっちのけで復讐者タバサを手懐けて弟子にしたり、
ルイズに貴族がどうだのといびったり、アン様にそんなのが王女なのかといびったり…
…やりたい放題だな
彼岸島の雅の場合、普通にキュルケ辺りに焼き尽くされて終わる気がする。
日光が平気なだけの吸血鬼ではメイジに勝てそうに無い。
戦闘力なら石仮面のインスタントが作る屍鬼人の方が強そう。
よし、ロードス島戦記からバグナードを呼んでくるんだ
ノーライフキングで超天才な魔術師
ゼロ魔の世界にもすぐ馴染みそうだ
悪い意味で
ラヴォスは変な所で倒してしまうとそこで別EDになってしまうじゃないか
重要フラグ潰しはその時点で話の終わりになりそうだ
>>534 デルフ、キュルケに玩具にされるキティか。
受け指数が
ルイズ>>アンアン>キティ>越えられない壁>マリコルヌ
キティの指導を受けたタバサはビダーシャルを倒せれるだろうか?
>>523 蘭世および蘭世パパ
蘭世パパは初めのうちは太陽に当たるとちゃんと?焦げてたのにいつの間にかアフリカの太陽の下でも平気な体にw
>>536 ロードスで家名が分かってる奴って少ないよな
バグナードも家名が不明だし
そもそもドラキュラ伯爵が日光の下でも平気な人だ
>>542 スレインの家名(自分で命名)は「スターシーカー」だが
妻と娘にその姓を名乗るのを拒否られてる
シニスターはどうかしら
多分言うこと聞かないだろうけど
健康のために自分から進んで日光浴をする馬呑吐とかもいるぜ。
>>545 科学者系は研究のための資材とかを自分で調達しないといかんっつー縛りがあるからなぁ
シニスターも(例えば)電子顕微鏡なんかを自作するには資材から用意して
組み立てやらなんやら全部用意しなくちゃいけない
フォージなんかは「欲しい機械を理解できないけど作れる」というアレな超能力があるからなんとかなりそう
>>513 スタジオ秘密基地の漫画家兼魔法超能力者ノッカーズ、キャプテン・オーマイガーなんてどうだ?
技のレベルが1上がる毎に威力が100倍になると言う何とも大雑把過ぎる人
それか鶏のノッカーズなテンシマン
覚えた事がどんなに大事でも総て三日で忘れるから物語進みやしねぇ....
長谷川作品なら鋼鉄の狩人だろう
中枢部分を除けば木製というスゴいロボ
片手片足切り落とされても木の板を釘打ちすれば応急修理出来ます
・宝物庫の壁が頑丈だったから破壊ロボの装甲に使った
・ちゃんと中の物は宝物庫(破壊ロボ)に入れたままだから問題ない
奴ならこれくらいやるんじゃないか
岸和田博士にもおおむね関係ない
西博士とか岸和田博士とかトカ&ゲーやらを一般基準みたいに言われてもなぁ
>>541 作中一度も血をすっていないけどね。
あれはヴァンパイアであって吸血鬼ではないと思う。
ヴァンパイア十字界のヴァンパイアは生身で星間航行ができる超生命体の末裔だからな。
ストラウスは先祖返りっぽいし。
ストラウスは先祖がえりというか、どっちかというと地球産ヴァンパイアの新世代みたいな感じだったかな。
あと太陽が吸血鬼の致命傷つーか、陽光で灰になるというのは、映画のノスフェラトゥからだと聞いている。
ヴァンパイア(ハンター)繋がりでレイレイを。
ガンダ補正をフルに活かせるけどデルフは空気になるな。
返響器の方が使い勝手が良いだろうし。投擲にはちょうどいどいかも。
科学者系なら、
エリアル召喚でSCEBAIがまるごと付いてくる。ってのを考えた事があったなぁ。
(エリアルのフルメンテで 所内のコンピューターを全てリンクしていた。とかの理由)
当然、岸田博士や天本教授 研究所員A・Bに警備主任込みで。
原作終了後という設定なので、パイロット三人娘は不在。
博士が 無理矢理に、ルイズ・キュルケ・タバサをパイロットに任命。
コルベール・オスマン・アンアン達を丸め込み、反レコンキスタを錦の御旗にして、
ハルケギニア統一戦を始める。
更に、エリアルに違法搭載されたままの慣性制御装置回収のため 銀河帝国から
ハウザー館長以下、旧オルクスのメンバーも派遣されて・・・
纏め切れそうにないんで やめました。
>>549 鋼鉄の7人にそんなMS出てたっけ? と1分ほど混乱した
>>560 ちなみに同人誌「長谷川裕一ひとりスーパーロボット大戦 大外伝」ではリプミラから
宇宙用装備を借りてクロスボーンガンダムやダイソード、クロノアイズと共に戦うものの
いまいち本領を発揮出来なかった
「ポーの一族」からエドガーとアラン
エリアルか…セイバー召喚は考えたが…
何やっても死なない上に大概の敵を瞬殺出来るからなw
オルクスごとゲドー社の面々呼んでも抑止力にすらなりゃしねぇw
吸血鬼が日光を〜ってのは割と最近の後付設定。
伝承でも、小説のドラキュラでも日光で灰になるって設定はないからなあ。
数ある伝承の中なら、一つ二つはあるとは思うが。
吸血鬼の発祥はアジアで、その数も結構多い。
結論
ブラム・ストーカーすげえ
ブラム・ストーカーで思い出した
VPのブラムスを
どうも〜。毒の爪の使い魔の第53話が書き終わりました。
予定その他が無ければ15:30辺りから投下開始します。
灰になるかは知らんが、血を吸いに来た吸血鬼を足止めして、朝になったら退散するという話は聞いた事がある
庭に胡麻とかを植えておくと、種を数え始めて止まらなくなるそうな
それはそれとして、吸血鬼系召喚としては夜刀の神つかいED後の久米巡査とかどうですかよ
日光はフードかサングラスで目を隠していれば大丈夫らしいし、精神修行で吸血欲求は抑えられるようになった(完全克服かは不明)みたいだし
欠点は、首を切られた状態で夜刀の神つかい化したせいで、首がしょっちゅう外れる事というw 何故か首だけでも喋れるし
では、そろそろ投下開始します。
――アルビオン:ウエストウッド村・ティファニアの家――
ここウエストウッド村には十軒程度の家が建っており、子供達は三人で一軒に住んでいる。
だが、朝食と夕食はティファニアの家で取る事になっていた。因みに昼食は庭で取る事になっている。
子供達は食事中は無駄話もせずに行儀良くしていたのだが、食事が済めば凄まじいはしゃぎっぷりを見せた。
そんな子供達も、今はティファニアに家へと送ってもらっている。
「あ〜…漸く静かになったゼ」
煩い子供連中がいなくなり、静かになった居間の床にジャンガはだらしなく寝転がり、大きく伸びをする。
椅子に腰掛け、ティファニアに貰った食後のワインを飲んでいるアンリエッタがジャンガを振り返る。
「あの年頃の子は、あれ位元気なのが良いと思いますわ。わたくしも、あの子達ぐらいの時はルイズと一緒になって騒いでいましたから」
アンリエッタは在りし日を懐かしみながら微笑んだ。
その言葉に、ああ、とジャンガは納得する。
「そう言や……何時だかの品評会の時にお前がやって来て、あのクソガキとそんな事を話してたっけな…」
その時、部屋の外で盗み聞きした内容をぼんやりと思い返しながら呟く。――そして、ため息。
アンリエッタは小首を傾げる。
「どうかしたのですか、ジャンガさん?」
「ちょっとな…。――あのガキ共と同じ位のお前とあのクソガキが、一緒になって馬鹿笑いをしているのを想像すると…笑えてよ」
「そうですか」
アンリエッタがそう言うと、ジャンガは自嘲気味に笑う。
「…ま、俺はお前ほど楽しい思い出なんざ、欠片も無いがよ」
そう言って、ジャンガは思い出す。
ジャンガはアンリエッタの正面、テーブルを挟んだ位置でワインの注がれた小さめのグラスを持つ人物に目を向ける。
アンリエッタの捜索でこの村へとやって来たアニエスだ。
「そういや、お前もガキの頃は思い出したくない事があるんだっけな。ついこの間まで引き摺ってるような根深いのがよ…」
アニエスは無言でグラスの中身を見つめている。
――故郷を、友人を、家族を、己の居場所の全てを奪った相手へ復讐をする。
それが二十年間をがむしゃらに生きてきた己の全てだった。少なくとも、リッシュモンを殺した時までは…。
だが、あの亜人――ジャンガの言葉に彼女は復讐の空しさと無意味さを知り、新たな故郷――心の拠り所を見つけられた。
彼のお陰で自分は変われた…、大きすぎる借りだった。
(あれで口の悪さが無ければな…)
そんな事を考えながらアニエスはグラスの中身を飲み干した。
アンリエッタはアニエスとジャンガを見比べながら薄く笑みを浮かべる。
「誰しも、良くも悪くも子供の時はありますわ。そして、それに別れを告げ、大人となるのです…」
言いながらグラスの中のワインに目を落とす。
ユラユラと揺れるワインに鏡のように自分の顔が映る。
――ジャンガと彼女が意識を取り戻して数日後、アニエスがこの村へとやって来た。
アンリエッタの捜索でやって来た彼女の話を聞き、アンリエッタは直ぐにでもトリステインに戻ろうとした。
だが、それをジャンガは止めた。”傷が治るまで位は遊んでもいいだろ”などと言いながら。
アンリエッタは大分傷は治っているものの重傷には変わらず、無理をすればまた怪我がぶり返す恐れがある。
そんなつまらない事で”お気に入り”をジャンガは壊したくないのである。
更に付け加えれば、アニエスの話では今現在はアンリエッタの母であるマリアンヌが臨時で政治の杖を振っているとの事。
ならば、急がずとも直ぐに国がどうなる事も無い。このまま任せても大丈夫だろう。
ジャンガはそう判断し、暫くはここに止まる事を決めた。
娘に苦労を掛けてばかりだったその母親にジャンガは自分の親を重ねたのである。
苦労を掛けた分、肩代わりをしろと言うわけだ。
『親の心、子知らず』と言う言葉が在るが、ジャンガにしてみればそれは『子の心、親知らず』と言うわけだ。
ジャンガは大きく欠伸をした。
「そんな事自慢げに語るんじゃネェよ…」
そのまま視線を窓の外へと向ける。
真っ暗な夜空には月が浮かんでいた。交差し、白く輝く一つの月となっていた。
「虚無ね…」
ポツリと小さく呟き、この間の事を思い出す。
――ある日、傭兵崩れと思しき一団がこの村にやって来た。
彼等はどうやらレコン・キスタに雇われていた連中らしかった。
例の怪物や途中で乱入してきたガリア軍によってレコンキスタ側は壊滅し、彼等は報酬を得られなかったらしく、
本業である盗賊の仕事で稼がねばならなかったようだ。
ティファニアは村の代表として彼らの前に立ち、渡せる物は何も無いから出て行って欲しい、と気丈に振舞った。
しかし、連中も端から金目の物が在るなどとは思ってなかったらしい。
ティファニアやアンリエッタを見て、金貨何枚になるだろうなどと口にする所から、
どうやら今回は人攫いが目的だったようだ。
こんな無礼な行いをアニエスが見逃せるわけがなく、剣を抜き放った。
ジャンガも静かに寝ていた所を弓矢が枕代わりの薪に突き刺さって起こされた為、敵意むき出しで威嚇した。
だが、二人が男達と戦う事は無かった。
突然、ルーンが聞こえてきたのだ。しかも、それはジャンガには聞き覚えの在る物だったのだ。
唱えていたのはティファニアだった。ペンシルの様な細く短い杖を振りながら詠唱を続け、男達に杖を振り下ろした。
瞬間、男達の周囲の空気が歪む。
その歪みは暫くして消えてしまったが、男達は様子が違っていた。
呆けたような表情で立ち尽くし、辺りをきょろきょろと見回す。
そんな男達にティファニアはなれた様子で話しかけた。
偵察がどうとか、隊は向こうだとか、いろいろと話をし、それが終わるや男達は来た道を引き返していった。
そして、何が何やら解らずに立ち尽くしていたジャンガ達にティファニアは振り返る。
彼女曰く、彼らの”ここに来た目的の記憶”を消したとの事。
杖を振っていた事からもそれが魔法であることは容易に知れた。
記憶を奪う魔法などアンリエッタも聞いた事が無いが、ジャンガはその正体に薄々気が付いていた。
…答えを言ったのはデルフリンガーだった。
「そのハーフエルフの娘が使ったのは”虚無”だよ」
その夜、ティファニアは子供達をそれぞれの家に帰した後、三人(と一振り)に事の次第を話した。
彼女は、このサウスゴータ一帯を含めた広い土地を治めていた財務監督官の父と、その妾であったエルフの母との間に生まれたそうだ。
何故エルフがこのような場所で人間の愛人となっていたかは解らないようだが、二人が愛し合っていたのは事実らしい。
エルフが快く思われていないのは承知の事実であったため、ティファニアは母と共に家に閉じこもって暮らしていた。
だが、ある日、血相を変えてやってきた父から、自分達の事がばれてしまった事を告げられ、慌てて場所を移した。
父に仕えていた家来の一人の家にティファニアと母は匿われた。だが、父は二人の追放を拒んだ事で投獄。
二人の居場所はやがて突き止められ、王家の軍隊が押し寄せてきた。
父の家来の貴族は必死に抵抗したが適うはずも無く、二人の居る部屋へと兵隊達は押し寄せた。
母はティファニアをクローゼットに隠し、兵隊達の前に立った。
抵抗はしない、自分達エルフは争いは望まない、と言いながら。
だが、そんな母の言葉は届かず、魔法が撃たれる音が部屋に響き渡った。
そして、彼女のいるクローゼットの扉が開かれた。
しかし、彼女は捕まらなかった。誰かが助けてくれた訳ではない…、彼女を助けたのは彼女が唱えた先程の呪文だった。
それは財務監督官だった父が管理していた財宝の一つ、秘法と呼ばれる古ぼけたオルゴールから聞こえてきたのだそうだ。
最初こそ開けても鳴らないと思っていたが、彼女はある日気が付いた。
同じく秘法と呼ばれる指輪を嵌めてオルゴールを開くと、音楽が聞こえてくると言う事に。
しかし、その曲は自分以外の誰にも聞こえなかった。例え指輪を嵌めてもである。
そこでジャンガは目を細め、アンリエッタは目を見開いた。
似すぎている状況を知っているからだ。
ティファニアの話は続いた。
音楽を聞いていると頭に歌とルーンが浮かんだのだそうだ。
それが男達に向って唱えた物。そして、彼女を王家の軍隊から守った物だった。
王家の軍隊が居なくなった後、母の亡骸の前で泣き崩れていた彼女を連れ出したのは、父の家来だった貴族の娘だった。
気になったジャンガは、ティファニアに彼女を連れ出した女の名を聞いた。
マチルダ、と彼女が答えるとジャンガはため息を吐いた。
何となく気になってはいたが、ドンピシャだとは思わなかったのだ。
ガーレンがフーケをマチルダと呼んでいたのだから、間違いなくフーケの本名だ。
残念ながら既に彼女は、あの怪物の炎でゴーレムごと消し炭になっていた。…万が一にも生きてはいないだろう。
するとティファニアが知り合いなのかと聞いてきたので、ジャンガは適当にトレジャーハンター同士だと言った。
賞金稼ぎ以外で適当な仕事と言えば、以前の相棒と組んでやっていたそれしか思いつかなかったのだ。
真っ赤な嘘ではあったが、ティファニアはジャンガが姉と慕う彼女と知り合いだったと知り、大喜びだった。
その後は彼女の魔法が間違いなく”虚無”であるとデルフリンガーから説明がなされた。
アンリエッタはそんな彼女に、ここに住まう事の危険性を説いた。
虚無を狙う人間が大勢居る事、記憶を奪う方法がいつまで有効かは解らない事。
しかし、ティファニアはそれらの話を聞いても直ぐには首を触れなかった。
それは仕方がないとも言えた。父と母の件もあり、彼女は拒絶される事に恐怖を抱いていたのだ。
更に、彼女には子供達の面倒を見なければならない義務もある。
だが、同時に外の世界に強い関心も彼女は持っていた。
アンリエッタは子供達の事は自分が何とかする、と言ってティファニアを説得した。
結局、ティファニアはアンリエッタの傷が完治し、トリステインに戻る時に返事を出す事に決めたのだった。
…そして、アンリエッタのトリステインへの帰国は明日に迫っていた。
そこまで、ジャンガが思い返した時だ。
今の扉が開き、ティファニアが入って来た。
「よォ、ガキのお相手ご苦労さん」
「あ、ジャンガさん。あの、新しいワインを持ってきましたけど…どうですか?」
ティファニアは手に持ったワインの瓶を見せる。
ジャンガはニヤリと笑い、立ち上がるとティファニアの下に歩み寄る。
「気が利くじゃねェか」
そう言いながら瓶を受け取るや一気にラッパ飲みし、ぶはぁ〜、と親父臭い仕草で息を吐き出す。
「キキキ、美味ェゼ」
すると、ティファニアは心配そうな表情で俯く。
「どうしたってんだ?」
「…あの子が、ティムがまだ戻ってきてないから」
ああ、とジャンガは納得する。
夕食が終わるや”遊んでくる”とだけ言って、外に出て行った子供の事だろう。
「別にガキの夜遊びなんざ、ほっときゃいいんだよ」
「でも、あの子はこんな時間まで遊ぶ子じゃなかったし…」
「んなのそいつの勝手だろうが。いつもよりも長く遊びてェだけだろ。ガキと言ったって赤ん坊じゃねェだろが。
眠くなったら寝床に帰ってくるさ」
「だといいんですけど…」
ティファニアはまだ心配そうだ。
ジャンガは軽く舌打をする。
「そんなに心配なら、こんな森の中をとっとと出るんだな。
ガキ一人満足に好きに遊ばせられないんなら、ここは牢獄同然だな」
ティファニアは小さく息を吐いた。
それを一瞥し、ジャンガはワインを飲みながら窓際に歩いて行き、そのまま座り込む。
そこで、ふと思いついた。
「そうだ、ティファニア嬢ちゃんよ〜、あの歌いいか?」
「歌? ああ、あの歌ですか」
「ああ、そうだ。酒の肴には丁度いいゼ。ガキが戻ってくるまでぐらい構わねェだろ?」
「あ、はい」
ティファニアは頷き、飾ってあったハープを手に取る。暖炉の前に椅子を置き、そこに腰掛けた。
目を閉じ、ハープを奏でる。
〜 神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる 〜
〜 神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空 〜
〜 神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す 〜
〜 そして最後にもう一人……。記す事さえはばかれる…… 〜
〜 四人の僕を従えて、我はこの地にやって来た…… 〜
ティファニアの美声が居間に響く。
ジャンガは目を閉じ、静かに歌へと耳を傾ける。アンリエッタとアニエスもまた、それに習うように静かに歌を聞いている。
暫くすると歌は終わり、演奏だけが続いた。
その演奏を聞いているジャンガの脳裏には、辛くも懐かしい過去が蘇っていた。
それらは全てシェリーと、そしてバッツと過ごした日々の思い出だ。
――シェリーやバッツとの始めての出会い。
――スラムでのシェリーと暮らした日々。
――バッツとのトレジャーハンター、賞金稼ぎとしての日々。
――シェリーと月夜に踊った事。
――バッツと一晩飲み明かした事。
――マフラーを手渡された事。
――十字のマークを付けさせてもらった事。
数え切れない位の思い出が、一瞬のうちに、明確に思い出されていく。
デルフリンガーの弁によれば、この曲は始祖ブリミルが自らの故郷を思って奏でた物らしい。
故に”故郷”という物が詰まっているらしく、聞いた者が故郷を思い浮かべるのだそうだ。
…ジャンガにしてみれば故郷は、あの世界そのものではなく、シェリーやバッツと言った個人だったのだろう。
だからこうして様々な思い出が浮かぶのかもしれない。
ジャンガはこの歌…曲を酒の肴と言ったが、実際は二人の事を思い返せる為に他ならない。
ここ一ヶ月、ジャンガはこの曲を聞いている時が一番リラックスできたのであった。
そうして、暫く思い出に浸っていた。
ふと、思い出したかのように窓の外の月を見上げる。
「綺麗な月だな」
シェリーと静かに、バッツと飲み交わしながら、時折見上げていた月。
その所為か、一人になった後も、時折思い出すようにジャンガは月を見上げていた。
…まさか、そんな月で最後を迎えかけるとは、とんだ皮肉だったが。
ジャンガは苦笑する。
と、その時、ジャンガの左目の視界が揺らいだ。
ハッとなり、慌てて目を擦る。しかし、視界は陽炎のように歪む一方だ。
この現象はジャンガは嘗て一度経験した事が在る。
魔法学院の宝物庫から『土くれ』のフーケが『破壊の箱』を盗んだ事件で、
その討伐にルイズ達が向かい危機に陥った時、その事を”視界の共有”という形で教えたのだ。
袖を捲くり左手を見てみると、やはりルーンは輝いていた。
その時、揺らいでいた視界が正常に戻り、別の光景を映し出した。
その光景を暫く見て、ジャンガは苦虫を百匹ほど纏めて噛み潰したような表情を浮かべる。
「…あんのクソガキッッ!!!」
毒づき、大きく舌打をする。そんなジャンガの声にティファニアもアンリエッタもアニエスも驚きの表情を浮かべる。
「どうしたんですか、ジャンガさん?」
もしや自分の演奏が気に入らなかったのだろうか? などと考えながら、ティファニアは恐る恐る尋ねる。
光に弱いというのなら闇人だな
ルイズが冥府の門と繋げて開いてしまえば地上奪還の始まりになるし
人間の体を殻としていれば光には嫌悪を感じる程度、周囲の闇霊と生命力を共有しているため人間の体をバラバラにでもしなければ再生は可能
かつて異世界との接点のあった村タルブ。異教の村ダングルテールの村人失踪事件。
言い方を帰ればほらこの通r
気づかなかった…支援
ジャンガは壁に立てかけてあったデルフリンガーをひっ掴み、窓を開け放つと外に躍り出た。
慌てて窓際に駆け寄るアンリエッタ。
「ジャンガさん、どうしたんですか?」
ジャンガは振り返らずに口を開く。
「お前の親友がこの近くで化け物に襲われてんだよ!」
え? とアンリエッタが驚いている間に、ジャンガは猛スピードで森へと駆けだした。
――同時刻:ウエストウッドの森――
夜空から降り注ぐ月光が広場を明るく照らしだす。
広場の端ではルイズやシエスタが、枝や根に動きを封じられていた。
腕や足に絡みついた枝や根は女の力では到底外せそうもない。杖は既に奪われており、魔法も使えなかった。
しかし、彼女達――特にルイズとシエスタはそんな事は気にならないほどの恐怖を感じていた。
無論、その理由は自分達の前に現れた少女…否、吸血鬼である。
ハルケギニア最悪の妖魔としてあらゆる亜人や幻獣よりも恐れられている存在。
話で聞いたり本で読んだりして知ってはいたが、いざ目の前にすればやはり恐怖を感じる。
そんな彼女達を他所に、タバサとエルザは対峙していた。
「あはは、本当に久しぶり♪ また会えた事もそうだけど、わたしの事をおねえちゃんが忘れてなかった事はもっと嬉しい♪」
懐かしい友達に会ったように、エルザは笑顔で歌うように喋る。
そんな彼女とは裏腹に、タバサは油断無く身構えている。
「あなたは、あの時死んだはず…」
タバサの脳裏に浮かぶのは、悲痛な叫び声を上げながらジャンガに暗い森の中へと引き摺られて行くエルザの姿。
確か、あの後戻って来たジャンガは「まだ生きている」と言っていたが…、どうやって助かったのだろうか?
少なくとも、あの頃のジャンガが、相手に生き残れるような情けを掛けたとは思えないのだ。
そんなタバサの疑問をエルザは察したのか、笑ってみせる。
「わたしは確かに死に掛けたよ。あの亜人のおじさんに体中を切り刻まれて、森の中に捨てられてね。
でもね…ある人が助けてくれたの」
エルザは楽しい思い出を思い返すかのように目を閉じる。
あの日…、わたしはあの亜人に身体を切り刻まれて、森の中に捨てられた。
それもね、両手両足を切り落として、辛うじて死んでないと言う状態でね。
…そんなわたしに森の中の獣達が、集まってきたんだ…。丁度いい”餌”だったんだね。
今でもハッキリ覚えてる…、お腹を爪で割かれる激痛、肉を食い千切り血を啜る音、
獣の荒い息遣い、そして…生きたまま食われていく事に対しての恐怖…。
おねえちゃん想像した事ある? 生きたまま食べられていくのが、どれだけ恐ろしくて苦痛なのか…。
わたしも正直気が狂いそうだったな〜…、そして悔しかったな〜…。
おねえちゃんの血も吸えてなかったし…。
そしたら、急にわたしに群がっていた獣達が逃げ出したの。
どうしたんだろう? って思っていたら声を掛けられた。死にたくないか? ってね。
顔を向けたら、見かけない格好をしたおじさんがそこに立っていた。
そのおじさんは、わたしを助けてくれるって言ったの。ただし、自分の部下になれって条件を付けて。
その時はあんまり深く考えなかった。だって、死にたくないって事で頭がいっぱいだったんだもん。
だから、うん、って言っちゃった。
そしたら、おじさんはわたしを何処かに連れて行ったの。
何処って? それは言えないなぁ。だって秘密の場所だし。
まぁ…とにかく、そこでエルザの身体をおじさんは治してくれたわけ。
おかげですっかり元通り。それだけじゃなくて、色々凄いおまけをしてくれたの。
もう、あのおじさんには感謝をしてもしきれないわ。
…ただ一つ不満だったのは、少し行動に自由が無くなった事かな?
最近まで、好き勝手動かれると面倒だから大人しくしていろ、って感じな事言われてたし。
一度無視したらお仕置きされちゃったよ。…食べられてた時が増しに思える位のね。
だから、暫くは大人しくしていたわ。一度別のおじさんのお手伝いをしろ、って言われたぐらいで何もなかった。
「で、凄〜〜く退屈していた時、漸く好きにして良いって言われたの。
しかも、おねえちゃんと遊んで良いっておまけが付いて、わたしは本当に嬉しかった」
エルザは愛しそうな目でタバサを見つめる。
その目に宿っているのは純粋な愛情ではあるが、それ故に狂気に近い感情でもある。
ふと、エルザが何かを思い出したような表情を浮かべる。
隣に立ち尽くしていた少年を見た。
「お使いご苦労様」
「はい、エルザ様」
タバサはそのやり取りを見て――否、エルザを見た時から抱いていた疑問に確信を持った。
「やっぱり、その子は屍人鬼<グール>」
「そうだよ。おねえちゃんは前に見ているから解るの早いね。
特にお腹は空いてなかったんだけど、おねえちゃん達を誘うのに使うから。
だって、わたしが誘ったら、おねえちゃんは直ぐに解っちゃうし」
そう言って、エルザはタバサに微笑んでみせた。
そんなエルザとは対照的に、二人の会話を聞いていたルイズの顔は怒りで歪んでいた。
吸血鬼は血を吸った人間を一人”屍人鬼”として操れる、という事は知っている。
そして、一度屍人鬼になってしまった人間はもう戻れない事も。
だが、こんな年端も行かない少年を屍人鬼にするなど……酷すぎる。
「吸血鬼って冷酷で、狡猾で、残忍な妖魔だって知っていたけど、実物を見て尚更良く解ったわ!
確かに吸血鬼は最悪な妖魔ね! そんな小さな子供すら餌にするんだから!」
エルザはルイズをチラリと見る。
そして、タバサに視線を戻す。
「ねぇ、おねえちゃん、エルザが何を言いたいか解るよね?」
タバサは頷き、口を開く。
「吸血鬼も人間も、やっている事は変わらない」
エルザは薄っすらと笑みを浮かべる。
「そうだよね〜。人間だって動物の子供を食べてるよね〜。鳥の卵なんか、生まれてすらいないんだもん」
そう言いながらエルザはルイズに視線を向ける。
ルイズは一瞬言葉に詰まったが、直ぐに反論する。
「な、何よ? た、確かに…わたし達も生きている物を殺して食べているわよ。
でも、それは生きる為に仕方ない事よ!」
「エルザのような吸血鬼だって生きる為に人間の血を吸うの」
反論を更に返され、ルイズは更に言葉に詰まった。
すると、今度はシエスタが口を開く。
「でも、あなたはその子の血を吸ったのはわたし達を誘う為だって言ったじゃないですか!?
そんな事の為だけにその子を屍人鬼にするなんて……酷すぎます! その子の親が悲しみます!」
「エルザも親をメイジに殺されたよ」
ポツリとエルザは呟いた。
「エルザも悲しんだよ…、殺したメイジを憎んだよ…、三十年間寂しく生きてきたよ…。
人間だって吸血鬼から家族を奪うんだよ…、それは酷くないの?」
シエスタは口を噤む。
エルザは無表情にシエスタを見つめる。その視線に冷たい物を感じ、シエスタやルイズは背筋が震え上がった。
「人間も吸血鬼も変わらない…、それは命で遊ぶ所もね。鳥を籠の中で飼う事とか。
優しい言葉を掛けたり、餌を上げたり、寝床を与えたり、
愛しんでる…って言えば聞こえは良いけど、結局は檻の中で飼い殺しにしてるだけ…。
鳥に限らないけど…、自由を奪って自分達の都合の良い遊び道具にしてるのに変わりは無いよね」
エルザはそこで一旦言葉を区切る。
「もう一度言うよ? …人間も吸血鬼も変わらない、何も変わらないんだよ」
ルイズもシエスタも今度こそ黙ってしまった。
エルザは二人に興味が失せたか、少年に向き直る。そして微笑み、腕を振るう。
瞬間、真っ赤な花が咲いたかのように、少年の頭が爆ぜた。
タバサは目を見開く。ルイズ達も言葉も無く、目を見開いた。
「何を…」
タバサが呆然と呟く。
「もう必要ないもん、この屍人鬼」
エルザはあっけらかんと言い放つ。
「だって、エルザの屍人鬼は…」
言いながらタバサを指差す。
タバサは顔を怒りで歪めながらエルザを睨む。
「わたしを屍人鬼にする」
「ピンポ〜ン♪ そのとおり〜♪」
エルザは楽しそうな声で言った。
「おねえちゃんを屍人鬼にすれば、いつまでも一緒にいられるしね。エルザはおねえちゃんが大好きだもん」
タバサは早口でルーンを唱え、杖を振るった。
大きな氷の矢が一本飛ぶ。
エルザが動く素振りを見せるまえに、氷の矢は彼女の顔面を捉えた。
硬い物がぶつかる音が響き、氷の矢の勢いそのままにエルザの頭が後ろに反れる。
そこでエルザの動きが止まった。
しかし、タバサは油断無くエルザを見据える。
「や、やったのね…?」
シルフィードが呟く。
「酷いな〜、おねえちゃん…」
声が響き、エルザが反らした頭をゆっくりと元の位置に戻す。
その口には氷の矢が咥えられていた。
ピシ…、ピシシ…、バキンッッ!
氷の矢は罅割れ、噛み砕かれた。
口の中に残った氷の欠片をエルザはゆっくりと味わい、飲み込んだ。
口の周りをペロリと可愛らしい舌で舐める。
「冷たくて美味しい」
楽しそうな顔でエルザが言い、タバサは杖を握る手に力を込める。
エルザはそれを微笑みながら見つめる。
「素直になってくれるとは思ってなかったよ。ん〜、でもエルザも少し遊びたかったから、これで良かったかもね」
笑いながら右手でマントを掴む。
「それじゃあ、おねえちゃん……少しだけエルザと遊ぼ♪」
右手で掴んだマントをボールを投げるような仕草で目の前に突き出し、手放す。
その途端、マントが黒い拳の様な形に変わり、勢い良く前方に向かって伸びた。
タバサはそれを最小限の動きでかわす。
伸びたマントはその先に在った木々を容易く打ち砕いた。
「おねえちゃん、いい見切りだね?」
エルザがマントを引っ張ると、伸びた部分が瞬く間に縮み、元の大きさに戻った。
続けざまに今度は左手でマントの左端を下から上へと放り投げるように動かし、手放す。
再びマントが大きさを変え、鋭い刃の様な形状になる。
タバサはバックステップでそれを避けた。僅かに掠った前髪が数本、宙を舞う。
素早く体制を整え、『ブレイド』を唱える。
風の刃を纏った杖でエルザに切りつけた。
ガキーーーンッッ!
硬い物がぶつかり合う音が響き渡る。
タバサのブレイドによる一撃は、エルザが右手で盾の様に自分の眼前に広げたマントで防がれていた。
「くっ…」
「おねえちゃん強くなってるね。…って、前はおねえちゃん簡単に捕まったんだっけ?」
懐かしむような声で言いながら、エルザは防いでるマントでタバサの杖を押し返す。
強い力で押し返され、タバサは慌てて距離を取る。
マントを元に戻し、エルザはほくそ笑む。
タバサは油断無くエルザを見据える。
エルザは右手をマントの中へと入れる。
「吸血鬼は屍人鬼を操れるけど、数は一体が限界」
喋りながら、マントの中に入れていた手を取り出す。
それには何かが握られていた。
「…でも、今のエルザには他にもいるんだよ」
大きく右手を振り被り、握っていた何かを投げつけた。
”それ”の速度は尋常でなかった。予想外の速度に、タバサは一瞬反応が遅れてしまった。
タバサの右肩に”それ”は”噛み付いた”。
右肩に当たったそれは一匹の蝙蝠だった。夜闇に浮かび上がるほどに真っ黒な蝙蝠だ。
その目は血のように赤く、爛々と輝いている。
蝙蝠は鋭い牙で噛み付き、タバサの血を吸い続けている。
凄まじい激痛が右肩から全身へと広がっていく。
「早く外さないと、血が全部吸われちゃうよ?」
エルザが言う。血が全部吸われたら困ると思うが、言った本人は大して気にしていない様子。
それもそのはず。蝙蝠の一匹如きでタバサがやられるなどとは思っていないからだ。
タバサは蝙蝠を掴み、肩口から外そうと引っ張る。
しかし、蝙蝠はしっかりと噛み付いたまま、外れる気配を見せない。
ただの蝙蝠とは思えない顎の力だ。エルザの使い魔のようなものだろうか?
蝙蝠を操る吸血鬼などお話の中だけかと思っていたが…。
…悩んでいる場合ではない。今はこの蝙蝠を外さないといけない。
タバサはブレイドを唱えた杖で蝙蝠を薙ぎ払う。
切り裂かれた蝙蝠は一瞬分かれた姿を晒し、瞬く間に黒い霧に変わる。
それを見て、やはりただの蝙蝠ではないとタバサは確信した。
「これがあなたが言っていた…おまけ?」
「そう、おまけの一つ。面白いよね、こんな風に蝙蝠を操るのは」
風も無いのにマントが大きく靡き、左右に広がる。
闇より暗いマントの内側に、無数の赤い光が浮かび上がる。
驚く暇も無い…。次の瞬間、マントの内側から数え切れないほどの無数の蝙蝠が飛び出し、タバサへと襲い掛かった。
高速で突撃する蝙蝠の群れに次々と衝突され、タバサの身体に傷が増えていく。
しかし、タバサは冷静にルーンを唱え、杖を振る。
空気が渦巻き、巨大な竜巻が現れた。
竜巻はタバサごと蝙蝠の群れを飲み込み、巻き上げていく。
やがて、竜巻が消えると蝙蝠の群れは跡形も無かった。
地面に舞い降りたタバサは、杖を支えにして立ち上がる。そして、エルザをへと顔を向けた。
エルザは右手を掌を上にして、顔の高さまで掲げている。
その手の上に蝙蝠の群れが密集していく。
蝙蝠の塊は徐々に巨大化し、やがて一メイルはあろうかという一匹の巨大な蝙蝠へと変貌した。
エルザはニヤリと笑い、右手を振り下ろす。
巨大な蝙蝠がタバサ目掛けて飛び掛る。その顎がタバサの腹を捉えた。
鋭く巨大な牙が身体に食い込むや、巨大蝙蝠は血を吸い始めた。
苦痛に顔を歪めるタバサを見つめながら、エルザは顎に手を当てる。
「流石にこれはやりすぎたかな?」
「そうでもない」
背後から声がし、エルザは振り返る。
タバサがブレイドを唱えた杖で切りかかるのが見えた。
エルザはマントでそれを受け止める。
鍔迫り合いをしながら、エルザは後方を見る。
巨大蝙蝠はタバサに喰らい付いている。
再び目の前のタバサに視線を戻す。
「何で?」
「遍在、解り易く言えば意思を持った分身」
「分身か…、あの竜巻…それを隠す為でもあったんだ。おねえちゃん本当に凄い」
エルザは余裕の表情で笑っている。
そんな彼女の様子にタバサは緊張する。
パチンッ、と指を鳴らす音が響く。
瞬間、マントの隙間から大量の蝙蝠が噴出した。
「デル・ハガラース」
しかし、タバサもその程度は見抜いている。
素早く呪文を唱えて身を軽くし、高く跳躍し距離を取る。
マントの隙間から溢れ出した蝙蝠の群れはエルザの周囲を飛び回っていたが、やがてマントの中に納まった。
そこへ巨大蝙蝠が飛んできた。見れば遍在は既に消滅していた。
エルザは傍らに降り立った巨大蝙蝠の頭を撫でる。
そして、タバサを見据えて指差す。同時に巨大蝙蝠が飛び掛る。
タバサへと喰い付こうと、大きく顎を開き牙を除かせた。
冷静に相手を見据えながら、タバサは縦一文字に杖を振るった。
ブレイドの鋭い切れ味は、巨大蝙蝠の身体を難なく真っ二つに切り裂いた。
綺麗に左右対称に切り分けられた巨大蝙蝠は、飛んできた勢いそのままにタバサの両脇を通り過ぎる。
タバサはエルザを見据える。
エルザは静かに含み笑いをする。
「おねえちゃん、甘いよ?」
ハッとなり、タバサは慌てて振り返る。
瞬間、無数の蝙蝠が弾丸のようにタバサに突撃してきた。
まるで石の散弾を喰らったかのようだった。
タバサは一瞬で抵抗力を奪われ、地面に倒れ付す。手放した杖が、カラン、と乾いた音を立てて地面に転がった。
倒れ付したタバサの身体を、地面を突き破ってきた木の根がガッシリと拘束する。
「ふふ〜ん、あの蝙蝠は元々小さな蝙蝠が集まって出来てたんだから、こういう事も出来るんだよ」
エルザは得意げな表情でそう言った。
あの瞬間、タバサが切り捨てた巨大蝙蝠はタバサの両脇を通り過ぎると同時に無数の蝙蝠に戻った。
そして、無防備なタバサへ突撃を行ったのだ。
彼女の操る蝙蝠はまさに変幻自在である。
「さてと…、少し長くなっちゃったけど、これでお終いだね」
言いながら、エルザはゆっくりとタバサへと歩み寄る。
屈み込み、タバサの頭を両手で挟み込むように掴み、自分に顔を向けさせる。
タバサは苦痛に顔を歪めながら、それでもエルザを睨む。
「そんなに睨まないで。おねえちゃんはエルザの屍人鬼になるの。そして、エルザとずっとずっと一緒に暮らすの」
「きゅーーーーいーーーーー!!! そんな事はさせないのね!!!」
そんな怒鳴り声が響き渡る。
シルフィードが暴れているのだ。
「静かにしてほしいな…、いいところなんだから」
エルザは明らかに不機嫌な表情で呟く。念願が漸く叶う時だというのに、横槍を入れられたのだから無理も無いが…。
しかし、シルフィードは暴れるのを止めない。
エルザはため息を吐く。
「無駄だよ、そんな力じゃ振り解けないから」
「お姉さま! 許して欲しいのね! 今からシルフィ、一番大切な約束破るのね!」
そう叫ぶや、シルフィードは呪文を唱える。
「我をまとう風よ、我の姿を変えよ」
口語による呪文が唱えられるや、風が吹き、青い渦となってシルフィードの身体を包む。
突然の事にルイズ達は愚か、エルザも動揺を隠せない。タバサだけがそれを見つめている。
「な、何!?」
エルザの声が響く。
渦の中、枝や木の根が弾け飛ぶ音が響く。
やがて青い渦が消え去り、そこには一匹の風竜の姿が在った。
当然、風韻竜であるなどと知らなかったルイズ達は驚いた。
少なくともシエスタは完全にパニックである。
「あわわわわ!? イルククゥさんがシルフィード!? どう言う事ですか!?」
と、ルイズはシルフィードの正体に気が付いた。
「あ、あなた、もしかして韻竜だったの!?」
「きゅい! 説明は後なのね!」
シルフィードはエルザ目掛けて駆け出した。
怪我は治りきっていないので飛べないから走るしかないのである。
エルザは既に動揺から立ち直っていた。
「ふぅ〜ん…韻竜か。まだいたんだ、そんなの。そう言えば何処かで見た事があると思ってたけど…あの時の従者か」
全てを理解し、エルザは不適に笑った。
「でも、伝説の韻竜でも、今のエルザの敵じゃないよ?」
パチン、と指を鳴らす。
シルフィードの眼前の地面が盛り上がり、土の壁が姿を現す。
行く手を遮ろうとするそれを、シルフィードは巨体に物を言わせて強引に突き破る。
だが、突き破った瞬間、二本の黒い布がシルフィードの首と胴体に巻きつく。
シルフィードは暴れるが、巻きついたそれは外れない。
見れば、巻きつくそれはエルザのマントだった。
するとマントが動き、シルフィードの身体を持ち上げる。
直後、マントが振り下ろされ、シルフィードの身体を地面に叩き付けた。
マントは滅茶苦茶に動き回り、シルフィードを地面や木に叩きつけていく。
「や、止めて!」
タバサが叫ぶがエルザは笑うだけ…、マントの動きは暫く止まらなかった。
数分後…、漸くシルフィードは解放されたが、散々に叩きつけられた為に全身傷だらけで酷い有様だった。
エルザは再び指を鳴らす。
木の根が次々と地面から飛び出し、シルフィードの身体を幾重にも縛り付けていく。
それを見ながら、エルザは得意げに鼻を鳴らした。
「こんなところだね」
そして、再びタバサに視線を戻す。
「さてと…、今度こそおねえちゃんの血を飲ませて……って行きたかったんだけどな〜。
ちょっとつまらない事思い出しちゃったよ…」
何の事か解らないタバサは怪訝な表情をする。
エルザは後方を振り返る。
「ま、直ぐに済むし、楽しみは最後にとっておいた方が良いよね?」
そんな事を言いながら、エルザは歩みを進める。
そのまま歩み寄ったのは…カトレアだった。
エルザは興味深げにカトレアを見つめる。
「ちょっと! ちいねえさまに何かして見なさいよ!? 吹き飛ばして灰一つ残さないわよ!!?」
ルイズが噛み付くような勢いで叫ぶ。
エルザはそれを横目で一瞥し、カトレアに視線を戻す。
カトレアは幾分か恐怖を感じているようだ。やはり彼女でも吸血鬼は怖いのだろう。
エルザは優しく微笑んだ。
「怖がらなくて良いよ? おねえさんの血は吸えないから」
その言葉にカトレアだけでなく、全員が面食らった。
「それは…どう言う意味かしら?」
「どう言う意味も、言ったとおりだよ。おねえさんの血は吸えないの。そう言うおじさんとの決まりなの」
エルザはそう言ってマントの中に手を入れ、大きな物を取り出した。
漆黒のボディに紅い一つ目を付けた幻獣と思しきもの。
それにカトレアは見覚えがあった。実家でジャンガが自分の身体から摘出した、自身が患っていた病の原因だ。
「それは…」
「見覚えあるよね? おねえさんの身体の中に少し前まで入っていて、取り出された時に見ているんだし」
「それがカトレアの中に!? どう言う意味よそれは!?」
エレオノールが叫ぶ。エルザは振り返り、手にしたもの――デスササルンを見せる。
「これがこのおねえさんの病気の原因って事」
「「なっ!?」」
エレオノールとルイズは言葉を失う。
実家でカトレアの話から聞いていたが、これがそうだというのか?
理解すると同時に激しい怒りが二人の中を駆け巡った。
「あなたがカトレアの病気の原因を作ったのね!」
「ちいねえさまがどれだけ苦しんでいたか…、あんたよくも!!?」
エルザはため息を吐く。
「ちょっと違うな…。これは何もエルザがやった事じゃないよ?」
「じゃあ誰よ!? 誰がやったのよ!?」
「それは解らないな」
エルザは再びカトレアを見る。
そして、ニッコリと笑いながらデスササルンをカトレアに突き出す。
「まぁ、とにかく……おねえさんには、またこれを身体の中に入れてもらうよ」
エルザの言葉にカトレアは驚愕する。
「そんな…、折角元気になれて…ルイズや姉さんとこうして旅行が出来るようになったのに…。
どうして、またそれを身体に入れなければならないの?」
エルザは少し困ったような表情で首を傾げた。
「う〜ん…、実の所はエルザにも解らない。どうして入れなくちゃいけないのか…。
でも、おじさんから”また入れておいてくれ”って頼まれただけだし」
「ふざけないでよ!!! ちいねえさまは長い間苦しんできたのよ! 漸く元気になれたのにまた病気になるなんて…。
そんなの許せるわけ無いでしょう!!? ちいねえさまから離れなさいよ!!!」
ルイズの叫びにエルザは再度ため息を吐く。
「そんなの知らないよ。頼まれ事をしなくちゃエルザはおじさんに怒られるんだし。
それに、このおねえさんが病気になったって、エルザは痛くも痒くもないもん♪」
ルイズだけでなく、その場の全員が絶句した。
今の発言がどれだけ残酷なものか、目の前の幼い容姿の吸血鬼は理解しているだろうか?
いや、していたとしてもする事は変わらないだろう。
喰われる為に殺される家畜が可哀想になったからといって、止める者が何処に居る?
所詮、吸血鬼にとっては人間は家畜と変わらないのだ。
エルザは冷たい笑みを浮かべ、デスササルンをカトレアへと突き出す。
「さ、おねえさん。これを入れて…」
「いや…」
カトレアは思わず顔を背けた。
「怖くないよ。苦しいのも一瞬…だと思うし」
そう言った瞬間、エルザの視界からカトレアの顔が消えた。
「……え?」
何が起きたか解らない。
目の前の光景が凄まじい勢いで左から右へと流れていく。
流れる光景の中、木の破片が見えた。どうやら、木が砕けているようだ。でも、何に砕かれている?
――それが宙を吹き飛ぶ、彼女自身の身体で砕かれている事に彼女が気が付いたのは、
彼女の身体が地面へと叩きつけられた時だった。
「死にぞこないのクソガキが…、舐めた真似してくれるじゃネェかよ?」
吹き飛んだ相手を睨み付けながらジャンガは唾を吐き捨てた。
彼は森をあちらこちらを行きかい、今しがた漸くこの場所を見つけたのだ。
そこで例の吸血鬼がカトレアにデスササルンを突きつけているのを見るや、
彼は頭に血が上り、神速で駆け寄るやエルザの右側頭部に手加減抜きの蹴りを叩き込んだのだった。
「ジャンガ!?」
ルイズに名を呼ばれ、ジャンガは振り返る。
「よォ、クソガキ。こんな所に何の用だ?」
「あんたと姫さまを探しに来たんでしょうが! 他に理由がある!?」
「あ、そうかよ」
言って、ジャンガはカッターを飛ばす。
ルイズ達を捕らえていた枝や根が切り落とされる。
シルフィードやタバサも解放された。
「ありがとう、ジャンガさん」
解放されたカトレアが礼を言う。
ジャンガはその鼻先に爪を突きつけた。
「…何でお前が此処にいやがる?」
「ルイズがあなたを探しにアルビオンに行くそうだから、付き添いで」
「身体は良いのかよ? 無茶してまた壊れたらどうすんだよ!?」
睨み付けるジャンガにカトレアは微笑んだ。
「ジャンガさんのお陰で身体の調子良いですわ。本当にありがとう」
ハァ〜、とため息を吐くジャンガ。
しかし、直ぐに真顔に戻ると森の方へと目を向けた。
「…言いたい事は色々在るが、とりあえず下がってろ。邪魔だからよ」
ルイズが何か言いかけたが、シエスタが抑えた。
「あは、あはは、あははははは」
笑いながらエルザが森の中から姿を見せる。
その笑い方は何処となく不自然だった。
何か、感情を押し殺してるような感じがするのだ。
エルザが歩みを止める。
「おじさん…出て来てくれたんだ。あはは、嬉しいな…嬉しいな…。とっても嬉しいから…」
俯けていた顔を上げる。
「刻んであげる…」
両目はこれ以上無いくらいに見開かれ、口は歪に歪んだ笑みを形作っている。
大抵の者ならば恐怖に震え上がりそうな顔だが、ジャンガは鼻で笑う。
「ハンッ、刻みたいだァ〜? そりゃこっちの台詞だ。生意気なクソガキならまだしも、この女に手を出すとはよ…。
…微塵に刻んで魚の餌にしてやる」
「それならエルザはお腹を裂いて、木の枝に引っ掛けてあげる。コウモリとカラスにゆっくりと食べさせるんだから。
…こうやって出会えるのを凄く待ってたんだから。おじさんにもエルザの味わった苦しみを教えてあげたいからね!」
言いながらエルザはマントの中に手を入れ、何かを取り出した。
――巨大な鎌だった。彼女自身の身の丈よりも巨大な大鎌だ。
それを見ながらジャンガは小馬鹿にしたような笑みを浮かべる。否、事実馬鹿にしているのだが。
「そんなデカイもん扱えんのかァ〜?」
「エルザには小枝みたいなものだよ
エルザも不敵な笑みを浮かべる。
「そうかい? だが、小枝じゃ俺には掠りもしないゼ!」
そう叫び、ジャンガは駆け出す。
「小枝でも刺さり所が悪かったら死ぬよ? …これはおじさんの首を刈るけどね!」
大鎌を構え、エルザも駆け出した。
「オラッ!!!」
「それッ!!!」
――両者の爪と大鎌がぶつかり合う音が森の中に響き渡った。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上で投下終了です。
エルザのマント攻撃はメルブラの某夜の方のを参考にしてます。
やっぱり吸血鬼にマントは必要なアクセサリーだと思う。
ヴァンパイアの魔界の貴公子や、ディスガイアの暗黒饅頭つまみ食いした奴や、
ゲゲゲの鬼太郎の塩沢ボイスの吸血鬼もマント付けてるし。
では、アディオ〜ス!
支援
>>583乙!
夜の方ってあのカットカットの人かw
毒の爪の人、乙でした、
うーわ、こりゃいろいろあったけど、過去最凶クラスのエルザですね。正直ぞっとしました。
ウルトラシリーズでも吸血怪獣はいますが、バサラやデモスなどの不定形が多いので、こういう正統派の
吸血鬼は新鮮に怖いです。
とりあえず、皆様こんにちは、なにか吸血鬼がブームなようですね。私のほうも、いくつか吸血怪獣を出す案はありますが、
とりあえず今回は吸血怪獣ではありません。冷凍怪獣です。
ところで、先週はどうもご迷惑をおかけしました。今週は間違いなく64話です。
それで投下の準備ができましたが、10分くらいおいてから、問題がなければ投下を開始してよろしいでしょうか?
今回レス数は13、開始時刻はさるさん回避で00はさんで16:50よりでよろしくお願いします。
キター!支援!
キター
うーるーとーらーのしーえんー
ウルトラ支援!
64話
短い夏の日の終わり (後編)
冷凍怪人 ブラック星人
雪女怪獣 スノーゴン 登場!
「さっ、寒いっ!」
たった今まで、じっとしていても汗が噴き出すほどに暑かった気温が、木々に霜が降りるほどに
ぐんぐん低下していく。雪女怪獣スノーゴンの吐き出す冷凍ガスと、極低温の奴の体温が、
大気から急速に熱を奪っていっていた。
「いいぞスノーゴン、そのまま何もかも凍りつかせてしまえ!」
操っているブラック星人は、安全なスノーゴンの後ろから得意げに命令している。自身に
戦闘力がなく、指揮官が安全な場所にいるのは当然のことなのだが、その姑息さには正直腹が立った。
「あんた! 男なら前に出て戦いなさいよ!」
「はっははは、野蛮な下等生物らしいな。そんな手に乗ると思うか」
怒ったルイズが挑発してもブラック星人はまったく動かない。本来なら、指揮している
星人を倒すのが一番手っ取り早いのだが、奴も、自分の弱さをしっかりと自覚していると見え、
これでは手が出せない。事実、先代のブラック星人も自身たっぷりだった割には終始
スノーゴンに命令するだけだった。
だが、それだけにブラック星人の用心棒的存在であるスノーゴンは強豪である。冷凍ガスを
息を吐くように口から漏らしながら、氷上の覇者である白熊のような風貌で、二本足で
近づいてくる奴によってさっそく家が一軒踏み潰される。
「ちょっ、サイトどうすんのよ!?」
「どうするもこうするも……とりあえず、俺たちが囮になって時間を稼ぐから、テファはその
あいだに子供たちを逃がしてくれ!」
走って逃げながら、とりあえず才人以下いつもの面々はティファニアとロングビルを先に
行かせて反転した。目の前には、地響きを立てて向かってくる純白の怪獣が立ちはだかっている。
まさか、こんなところで怪獣と戦うことになるとは思わなかったが、多分この世界で怪獣との
戦闘経験が一番豊富なのは彼らだろう。臆すこともなく、その巨体の前に構えて立つ。
最初に作戦を立てるのは、もちろん独自に怪獣撃破経験のあるキュルケとタバサである。
「さあーて……怪獣と戦うのはこれで何度目かしらね。今度の敵は雪女か、さてどうしようかタバサ?」
「氷には、火」
「ま、そうなるわよね。じゃあわたしの出番ね。ふっふっふ、派手にいくわよお!」
自分が主役に選ばれて、キュルケはその赤い髪を文字通りに燃え上がらせるかのように
魔力の余波で逆立たせながら、炎の力を最大限に練り、タバサもそれに呼応して、得意の風を
炎にまとわせるかのように渦巻かせていく。
『フレイム・ボール!』
『ウィンド・ブレイク』
大きな炎の玉が、高圧の空気の気流に取り込まれることによって大量の酸素を含まされ、
一気に燃焼を加速させられて火炎竜巻となっていく。火と風、最高の相性を持つ二つの属性を
持つ二人の力が合わさることで生まれる力は、優にスクウェアクラスにも匹敵する。
「溶けて、燃え尽きちまえーっ!」
小さな山なら、瞬時にはげ山に変えてしまえるくらいの火炎竜巻が、えぐるようにスノーゴンの
腹に突き刺さっていく。その威力は、かつてムザン星人を倒したときにも匹敵するほどにも見える、
成長期の二人の魔力は、一日ごとにその力を増していっているのだ。
「すごい、これなら!」
普段キュルケをライバル視しているルイズも、巨大火炎竜巻の威容には圧倒される
しかなかった。これを食らえば、人間などは消し炭も残らないだろう。しかし、竜巻が
熱エネルギーと運動エネルギーを使い果たして消滅したとき、スノーゴンの胴体には
わずかな焦げ目がついただけだった。
「そんな、バカな……」
「ふっ、はははは! 頭の悪い人間どもよ。その程度の熱量でスノーゴンを溶かせると思ったか」
高らかにブラック星人は、愕然としているキュルケたちに勝利の宣言をした。スノーゴンは
まるでダメージを受けたようには見えず、雄たけびをあげてまた向かってくる。確かに、氷に
対しては炎が有効だと誰でも考える、しかし強力な火炎も、より低温の物体に対しては威力が
薄まる。さらに、攻撃が強力であった分だけ短時間で終わってしまったのもまずかった。
氷などの物体が熱せられると、溶けた水が表面で膜となってそれ以上熱が内部に伝わる
のを抑える作用が生まれる。これでは氷よりさらに低温の凍結細胞を持つスノーゴンには、
雪山で焚き火をするようなものだった。
すると、今度はルイズが「だったらわたしの魔法で!」と爆発魔法をぶつけてみたが、
これまた見事に跳ね返された。
「あらーぁ……」
本当は、こんなもので勝てれば苦労はないのだが、こうもたやすく跳ね返されるとやはり
がっかりする。けれども、スノーゴンもいい加減棒立ちで攻撃をずっと受け続けてくれるほど
親切ではないので、アザラシを前にした白熊同様に再び襲い掛かってきた。
「よーっし、逃げよう!」
「さぁーて、次はどうしましょうか」
また四人そろって仲良く逃げながら、キュルケは他人事のように言った。ルイズは、渾身の
魔法が通用しなかったことでキュルケがショックを受けるのではと思ったのだが、当の本人は
このとおり飄々としている。あまり自慢にならないが、怪獣相手には魔法が効かないことが
多いので、キュルケも失敗に耐性がついてきていた。それに、タバサも花壇騎士として
攻撃の効かない相手と戦うのはしょっちゅうなので、特に驚きもせずにキュルケに言われた
ように次の策を考えていた。
「今の攻撃が効かないとなると、正攻法じゃ無理、今は時間を稼ぐのが得策」
「やーっぱそうなるか、ルイズも敵に背を向けないのがなんとか言わないわよね」
「嫌味ったらしいわねえ、そんなことより、わたしはあんたの口から「ルイズは勇敢に戦って
名誉の戦死を遂げました」なんて言われるのだけはごめんなのよ」
「お前ら、こんなときによくそんなこと言ってられるな。右だ、避けろ!」
とっさに右へ避けたところに、スノーゴンの冷凍ガスが吹きかけられて純白の氷原と
化していく。圧倒的な体格差から、スノーゴンにとっては足元のアリに息を吹きかける
ようなものだが、まともに食らえばあの兵士たちのように白い彫像にされてしまうだけに
全力で回避しなければならない。
ウルトラ支援
「ひゃああっ、寒いっ! もうっ、この玉のお肌が霜焼けになったらどうしてくれるのよ!
あっ、でもわたしが氷の像になったら、世界遺産になって博物館に展示されるかも」
「あんたの像なんてうっとおしいもの、できた瞬間に帽子掛けにしてやるわよ」
「あっ、そうか、誰かさんには帽子をかけるでっぱりもないもんね。まな板?」
「なんですってキュルケーっ!」
「だからお前ら、ちっとは真面目にやれよ!」
すでに髪の毛に霜をまとわせながらも、いつもどおりに憎まれ口を叩き合うルイズと
キュルケに才人は呆れたが、こんな状況下でも平常心を保っていられる彼女たちを
見ていると、こちらまでなにか安心できてくるから不思議だ。
それにまったく、どうも最近逃げ癖がついてきたみたいで嫌だが、こっちが作戦会議を
やっている間、相手が黙って待っていてくれるはずもないので、最低でもティファニアたちが
安全な距離にまで逃げ切るまで、こっちは少々体力を使わねばならなかった。
「サイト、あいつになんか弱点とかはないの?」
「特にないっ!」
「断言するな! ちょっとは期待させなさい!」
と言われても、スノーゴンには特にこれといった弱点は存在しない。猫舌星人グロストの
ように極端なまでに熱に弱かったら火炎魔法でダメージを負わすこともできるだろうが、
スノーゴンを溶かすにはそれこそGUYSのメテオール『マクスウェル・トルネード』クラスの
火力が必要だろう。才人の持つガッツブラスターなら、ある程度のダメージは与えられる
だろうが、残弾が残り一〇発強にまで落ち込んでいる今はうかつに撃てない。
かくなる上は、方法は一つ。
「ルイズ、やるか?」
「それしかないようね」
才人とルイズは走りながら、右手の中指にはめられたウルトラリングを見つめると、
リングのエンブレムが小さな輝きをはなった。だが、キュルケとタバサの目がまだある。
けれど、そのとき強い羽音を響かせてシルフィードが空からやってきた。
「きゅーい!」
「やっと来たわね、ということはテファたちも逃げ延びたってわけね。タバサ、次は
空から攻めましょう」
「うん」
タバサとキュルケのコンビにシルフィードが加わったとき、この二人の実力は何倍にも
引き上げられる。以前エギンハイム村での戦いから二人とも言葉には出さなくともそれを
肌で感じ取っていた。
タバサが口笛を吹くと、シルフィードが舞い降りてくる。着陸している余裕はないので
滑空しながら近づいてくるのに、まずはタバサ、次にキュルケが飛び乗って、それから
ルイズと才人の番になったとき、二人は軽く目配せしあった。
「さあ、早く乗って!」
支援せざるを得ない
低速で滑空を続けるシルフィードからキュルケが叫んでくるが、二人はわざとそれに
遅れて、乗るタイミングを外した。すると、直線飛行を続けていたシルフィードを目掛けて
スノーゴンが冷凍ガスを吐いてくる。
「悪い、先に行ってくれ!」
「ルイズ、ダーリン!」
「もう無理、上昇して……」
シルフィードの翼が凍りつき始めたのを見て、タバサはやむをえず上昇を命じた。
冷凍ガスの白煙の中に、地上に取り残された二人の姿が消えていく。
だが、極低温に包まれて、体が氷に変わっていくのを実感しながらもルイズと才人に
恐怖はなかった。
「ルイズ、いくぞ!」
「ええ!」
白い地獄の中で、二人は唯一動かせた右腕を振りかざし、手と手をつないで光となった!
「ウルトラ・ターッチ!!」
絶対零度の封印を砕いて、光が空へと舞い上がり、形となって降りてくる。
「イヤーッ!!」
急降下キックがスノーゴンの鼻先をかすめ、あおりを受けただけで白い巨体が
あおむけに吹っ飛ばされる。
「ヌゥン!」
そして、夏の日差しに輝く雪煙を立てて、大地に降り立つ銀色の勇姿!
「ウルトラマンAだ!」
空の上からキュルケとタバサが、森の先からティファニアとロングビルと子供たちが、
森の木々よりはるかに高いその巨体を見上げて、頼もしそうに歓声をあげた。特に、
ティファニアたちウェストウッド村の人々はエースを見るのは初めてであったが、自分たちを
守って立ちふさがるその勇姿に、ジャスティスと同じ優しさと強さを感じ取っていた。
「がんばれー! ウルトラマーン!!」
構えをとり、起き上がってくるスノーゴンを見据えて、ウルトラマンAのアルビオンでの
最初の戦いが幕を上げた。
「ショワッ!」
木々を蹴散らしながら突進してくるスノーゴンをストレートキックで押しとどめ、
ジャンプして脳天にチョップを叩き込む。エースの連続攻撃が次々に決まり、分厚い毛皮
ごしからも、スノーゴンにダメージを与えていく。
けれど、スノーゴンの実力に自信を抱いているブラック星人も、声を高めてスノーゴンへと命令する。
「スノーゴン! ウルトラマンごときひねりつぶしてやれ!」
命令を受けたスノーゴンは、雄たけびを上げ、両手の鋭い爪を振りかざしてエースへ迫る。
体格では、エースが四〇メートルに対してスノーゴンが四五メートルと頭一つ違う。まれに、
山で熊と遭遇して睨み合ったり、投げ飛ばしたりした人の話を聞くが、そんな人たちもこんな
気持ちだったのだろうか。
(エース、あいつには捕まるな! 体を引き裂かれてしまうぞ)
才人は突進してくるスノーゴンを見据えて叫んだ。スノーゴンの怪力は怪獣界でも相当なもので、
かつての個体はその腕力にまかせて、ウルトラマンジャックを五体バラバラにしてしまっている。
そのときは、かろうじてウルトラブレスレットの力で再生に成功したが、エースはそういった
アイテムの類は持ち合わせていない。
(わかった、私もムルチのようにはなりたくないからな)
エースの脳裏には、超獣ドラゴリーと戦ったときに、乱入してきた巨大魚怪獣ムルチを
ドラゴリーが腕力のみで、体を引きちぎってバラバラにしてしまったときの光景が蘇っていた。
また、似たような例は他にもあり、どくろ怪獣レッドキングが有翼怪獣チャンドラーの翼を
引きちぎったりと、怪獣は腕力だけでもあなどることはできない。真正面からパワーの対決に
なるのを避けて、その攻撃力を右に左にと、うまく受け流しながら打撃を加えていった。しかし、
スノーゴンもまた人間に変身して会話をするほど知能の高い怪獣である。腕での攻撃が
かわされ続けるとみるや、第三の武器、鋭い牙での噛み付き攻撃を仕掛けてきた!
(危ない!)
(危ない!)
狼のような鋭い牙の羅列が迫ってくるのをエースと共有している視線で見て、才人とルイズは
文字的にはまったくで同じで音程の違う悲鳴を同時にあげた。
「ヤァッ!」
エースはスノーゴンの牙が首筋に食い込む寸前で、体をひねって回避に成功した。万一
こいつが食いついていたとしたら、エースの肩の骨が砕かれていたかもしれない。また、才人と
ルイズも、それぞれ小さいころに犬に吼えられたことがあるのを思い出していた。
(狂犬病予防は、してないだろうなあ)
野良犬や、どこかの家の番犬に吼えられた経験は多くの人にあることだろう。そして
その恐怖を大勢の人が強く印象に残すのは、原始の人類が狼や虎に怯えてすごした記憶を
遺伝子が本能として蘇らせるのかもしれないが、人間は進化の過程で理性によって恐怖を
乗り越えることができるようになっている。二人は本能的な恐怖を、どうせ相手は獣だからと
自分に言い聞かせてねじ伏せたが、なんにせよ、ジャックが一度はやられかけた強敵である。
だからこそ、ブラック星人も今回も用心棒として連れ歩いているのだろう。
「ふははは、その程度の打撃でスノーゴンを倒せると思ったか! 超獣などという面倒な
ものに頼らずとも、最後に勝つのは我々だ。スノーゴンよ、ゆけぇー!」
口の発光器官を強く輝かせながら、人間だったら間違いなく大口を開けて笑っている
ようにしながら、ブラック星人はさらにスノーゴンをけしかける。
(バカにバカ力をこうも楽しそうに自慢されると、さすがに腹たってくるわねえ……)
残念だが、牙と爪がある分接近戦ではスノーゴンにやや分があった。奴の言うとおり、
パワーの面ではスノーゴンは超獣にもひけをとらないだろう。このままではこちらが
不利だと、エースはいったん体勢を立て直すためにバックステップを使って、間合いを
取ろうと後方へと跳んだ。
「シャッ!」
瞬間的に五〇メイルほどの距離が開き、スノーゴンの爪が空を切る。近づかなければ、
どんなパワーであろうと恐れることはない。
だが、それこそを待ちわびていたかのようにブラック星人は高らかに叫んだ。
「いまだスノーゴン、エースもカチンカチンにしてしまえ!」
するとスノーゴンはその巨大な口を大きく開けて、白色の冷凍ガスをエースに向かって放ってきた!
「ヘヤッ!」
とっさに体をそらしてエースは回避したが。
(しまった、至近距離では逆に冷凍ガスが使えなかったのを自由にしてしまったか)
ガスを至近距離で放てば自分まで浴びてしまう恐れがある。だからこれまで奴は最大の
武器を使ってこなかったのだが、距離が充分開けばそれも解決する。エースは回避を
続けるが、スノーゴンは口からだけでなく、両手を合わせた先からも冷凍ガスを噴射
してくる。発射口が二つもあってはさしものエースでさえ回避しきれない。
「フゥン! グォォッ!」
体が凍結し始めて、エースから苦悶の声が流れる。
M78星雲、光の国の住人は寒さに弱い。個人差もあるが、かつてエースも雪超獣スノーギラン
との戦いでは吹雪の寒さに負けて、一時戦闘不能に陥ってしまっている。スノーゴンは
それをいいことに、動きの止まったエースに向けてさらに冷凍ガスを吹き付ける。
「エース、頑張れ!」
「負けないで!」
いまや陽光を除けば、すっかり真冬となってしまった森の一角で、夏服で寒さに耐えながら
ロングビルや、ティファニアたちが声援を送ってくれるのや、内側からのルイズと才人の激励を
受けて、エースはなんとか寒さに耐えようとするが、浴びせられ続ける冷凍ガスは急速に
体力を奪い、ついにカラータイマーも赤く点滅を始めてしまった。
(くそっ……このままでは)
スノーゴンの冷凍ガスの威力は予想以上に強力だった。エネルギーが急速になくなっていき、
タイマーの点滅が通常よりも早くなっていく。このままでは、本当にジャックの二の舞に
なってしまう! 調子に乗ったブラック星人は、スノーゴンの背中を眺めながら愉快そうに笑った。
「いいぞスノーゴン、そのままエースもバラバラにしてしまえ、ハハハハ!」
もはや勝ったも同然とばかりに手を叩いて星人は哄笑した。スノーゴンは、最後の力を
振り絞って掴みかかろうとするのに抵抗するエースを地面に押さえつけて、今にも首筋に
爪を突きたてようとしている。まさに、後一歩のところで逆転負けを喫した初代の雪辱が
晴らされようとしていた。
だが、ブラック星人もまた、他の数多くの侵略宇宙人と同じ、致命的な過ちを犯していた。
『ウェンディ・アイシクル!』
『ファイヤーボール!』
突然降り注いできた氷の矢と、炎の弾丸がブラック星人を襲い、とっさに避けた場所の地面を粉砕した。
「ちぇっ、外したか」
星人が驚いて攻撃のあったほうを見上げると、そこにはシルフィードに乗ったキュルケと
タバサが杖をかざして見下ろしていた。
「ぬぅ、貴様ら!?」
「要はあんたがあの怪獣を操ってるんでしょ。怪獣が向こう行っていてちょうどいいからね、
この隙にやっつけさせてもらうわよ!」
「なっ、なにぃ!!」
とたんに、炎と氷の大爆撃がブラック星人に襲い掛かる。こうなると、変身くらいしか能力の
ないブラック星人にはなす術がない。
「おっ、おのれ人間ごときが!」
「陰に隠れて偉そうに、人間をなめんじゃないわよ!」
「わたしたちは、そんなに弱くない」
逃げ回る星人に、二人の怒涛の攻撃が振りそそぐ。かつてははるかに強力なムザン星人と
戦ったこともある二人からしてみれば、ブラック星人ごときを恐れる理由はかけらもなかった。
ヤプールに乗じてやってくる姑息な侵略者、それもこれも人間が弱いものとなめられているからだ。
ならばその誤った認識を修正してやらねばなるまい。
「スノーゴン、早く来いスノーゴーン!」
ブラック星人は、さっきまでの余裕をかなぐり捨てて用心棒を呼んだ。
そのとき、スノーゴンはエースの右腕を掴み、今にも引きちぎらんばかりの腕力を込めて
いたのだが、命令とあっては仕方なく、エースを放して戻ってくるとシルフィードに向けて
冷凍ガスを吐きかけてきた。
「来たわよタバサ!」
「上昇」
「言われるまでもないのね!」
直撃を受ければ、シルフィードもろとも地面に激突して床に落としたワイングラスのように
なってしまう。もちろんそんなことは絶対お断りのシルフィードは、急速上昇してかわした。
そのため、ブラック星人へのとどめが後一歩のところで刺せなかったが、もう一つのとどめを
回避せしめて、なおかつ時間を稼いだことが戦局を大きく変えていた。
(エース、いまだ!)
スノーゴンが離れた隙に、エースは渾身の力を振り絞って起き上がると、腕を胸の前で
突き合わせて、光線技を放つのと逆の要領でエネルギーを体内で駆け巡らせた。
『ボディスパーク!』
エネルギーの体内放射によって、氷が飛ばされ、氷点下にまで落ち込んでいたエースの
体温が取り戻される。
蘇ったエースは自分に背を向けているスノーゴンに向かって、体をひねると腕をL字に組んだ!
『メタリウム光線!!』
三原色の美しい光の帯がスノーゴンの背中に吸い込まれ、一瞬置いてエネルギーの
反発による大爆発がスノーゴンを襲う。
「やったあ、ざまーみろ!」
キュルケの歓声が、エースの復活と形勢逆転を祝ってこだました。
一方、ブラック星人はまさかのウルトラマンAの復活に驚くも、まだ負けたわけではないと
スノーゴンに命令する。
「スノーゴン! エースのエネルギーは残り少ないはずだ。また凍りつかせてしまえ」
再び、スノーゴンの口と手からの冷凍ガスがエースに向かって吹き付けられる。
しかし、エースも同じ手を二度も食らいはしない。エースが両手のひらを合わせて
スノーゴンに向けると、冷凍ガスがみるみるエースの手の中に吸い込まれていく!
『エースバキューム!』
どんなガスでも吸い込む吸収技には、さしもの冷凍ガス攻撃も通用しない。やがて、
吐き続けた冷凍ガスも打ち止めとなったと見え、咳き込むと同時に止まってしまった。
「よーし、いまよ! やっちゃえ!」
キュルケ、タバサ、シルフィード、ティファニア、ロングビル、子供たちがそれぞれ
言葉柄は違えど同じ内容の声援を同時にエースに送った。もちろん、才人やルイズも
同感で、エースはその期待に十二分に答えた。
「ヘヤァッ!」
エースバキュームを解除して、一気に勝負に打って出たエースの両手が高温の
エネルギーに包まれる。
『フラッシュハンド!』
パワーアップしたパンチとチョップの連打が叩き込まれ、さらに高電撃を帯びた
キックが胴を、顔面を吹き飛ばす。
『電撃キック!』
連撃を浴びたスノーゴンの体は、攻撃された箇所から焼け焦げ、一気に体力を
削り取っていく。ブラック星人は焦って、なにをしているんだとスノーゴンに怒鳴るが、
もはや遅い。
「デャァァッ!!」
エースはフラフラになったスノーゴンの体を持ち上げると、真上に高く投げ上げて、
落ちてきたところを受け止めると、大回転して勢いをつけて放り投げた!
『エースリフター!!』
投げのエース最強技が炸裂し、スノーゴンの巨体が宙を舞う。
そして、その落下地点には……
「まさか、そんな、ゲェーーッ!!」
ブラック星人を見事下敷きにして、スノーゴンは氷原に大激突した。その振動
たるや、凍りついた森の木々が一斉に霜を落とし、地上にいた子供たちは宙に
浮かび上がってしまったほどだが、元々凍結細胞でできているスノーゴンは、
連打されて体の構造が弱っていたところに、大打撃を加えられた結果、体構造
そのものが一気に崩壊をきたし、先代が辿ったのと同じように、さながら崩れ落ちる
氷山のごとく大爆発して散った!
「やったぁー!」
砕け散ったスノーゴンの破片が、まるで雪のように降り注ぐ中、子供たちの心からの
歓声が森の中に高らかに鳴り響き、空の上ではキュルケがタバサを抱きしめて
ガッツポーズをとっている。
大勝利! 姑息な侵略計画を立てたブラック星人は、なめきっていた人間の逆襲を
敗因として、何一つなしえぬまま遠い星に散った。そして、助けを受けて辛くも勝利を
収めたエースは、熱を取り戻した夏空を見上げて飛び立った。
「ショワッ!!」
銀色の光が空のかなたへと消えていく。人々は、手を振ってその勇姿を見送り、
戻ってきた平和を喜んだ。
しかし、シルフィードに乗って村の上空を旋回しながら、キュルケは憂鬱な表情だった。
「キュルケ……」
「戦いには勝った……けど、代わりにあたしたちはあの二人を失った」
タバサは何も言えなかった。才人とルイズはシルフィードに乗り損なって怪獣の冷凍ガスの
直撃を受けた。あの超低温の中で無事でいられるとは思えない。
けれど、キュルケの目に鈍く輝くものが浮かびかけたとき、シルフィードの明るく軽快な
声が二人の耳に響いた。
「きゅーい! お姉さま、あれ、あれ、あそこ見て見てなのね!!」
「え? ……あ!!」
興奮したシルフィードの声に、怪訝な表情で地上を見下ろした二人は思わず間の抜けた
声を出してしまった。なんとそこには、才人とルイズがなんでもない様子でこちらに向かって
手を振っている姿があるではないか。
「おーい、おーい」
笑顔で手を振ってくる二人に、特に外傷などは見受けられない。その暢気な姿に、キュルケは
もう怒ったり喜んだりするどころか、完全に気が抜けてしまった。
「あいつら、人に心配かけちゃってくれて、もう!」
「しぶとい……」
「あの二人こそウルトラマンなのね! きゅいきゅいっ」
再び照り付けだした夏の日差しの前に、凍り付いていた森も溶け出してあるべき姿へ
戻っていき、避難していた村人たちも帰って、こうしてウェストウッド村を舞台にした二度目の
戦いは幕を閉じたのだった。
しかし、一局地での戦いに勝利したとしても、ヤプールとの戦いが終わったわけではない。
ブラック星人の言い残した言葉の意味、ヤプールは人間を集めているという、今この
アルビオンで進められているという計画を知った以上は黙っているわけにはいかない。
「わざわざ手間暇をかけて人間を集めて、奴はいったい何をたくらんでいるんだ?」
壊されたウェストウッド村の後片付けをしながら、才人はその答えを考えていた。
過去の事例として、ヤプールはその活動の末期に、マザロン人を使って地球上から
子供たちを一人残らず異次元にさらい、未来を奪って全滅をもくろんだことがあるが、
今度は老若男女問わずに人間を集めて、別に異次元にさらうつもりでもないようだ。
となれば、このアルビオンで何かに利用しようとしているのだろうが、それが皆目見当がつかない。
ただし、手がかりがなくはない。
「宇宙人が王軍に紛れ込んで動いていた以上、王党派を何らかの形で利用しようとして
いるんだろうな。こうなったら、危険だが王党派に探りを入れてみるか……だけど、
この国のことがさっぱりわからないおれが一人で行っても迷子になるだけだよな……」
ヤプールの動向を調査するといえば、ルイズはまずOKしてくれるだろう。キュルケや
タバサも手助けしてくれるに違いない。ただ、地理に不案内な自分たちがのこのこと
戦場近辺をうろつけば、最悪軍隊に追い回されることになりかねない。となれば、
現地の人の協力をあおぎたいところだが、ティファニアを危険に巻き込むわけには
いかないし、頼れる人といえばロングビルがいるが、せっかく里帰りしてゆっくりしている
ところに無理を頼んでいいものか……。
シエン〜、シエン〜、シエン〜、シエン〜
けれども、すでに大勢の人が王軍の下へ連行されてしまっている以上、捨て置く
わけにはいかない。まったく、せっかく夏休みをのんびり楽しんでいたというのに、
ろくでもないタイミングで現れてくれるものだ。休日出勤などといったくたびれるものが
ある会社には就職したくないと思っていたのに……。
「なんにせよ、人間をさらって奴隷にしようなんて企みをほっとくわけにもいかないし、
それに王軍と交渉に向かったミシェルさんも大丈夫かな……あの人のことだから、
簡単にはやられないと思うが……」
才人にも、他人を気遣うくらいの配慮はあるだけに、無理を言っていいものか、それとも
無理を承知で自分たちだけで行動するべきか、二重背反に苦しんだ。
「ともかく、今日はもう日が暮れるし、夕飯どきにでも相談してみるか」
焦っても仕方がない。今日はもう、みんな疲れているしエースもエネルギーを回復する
時間が必要だ。それに、一人で決めたらまたルイズに怒られる。また疲れるだろうが、
みんなで相談して今後のことを決めようと、才人は傾き始めた太陽を見て思うのだった。
一方同時刻、トリステインではアニエス以下の銃士隊が中心となって、国内に潜む
レコン・キスタ勢の内通者を狩り出すべく、あたりをつけておいたある騎士団の団員の
一人を尾行し、町の一角の宿場でパイプ役のアルビオン人と接触したところを捕らえていた。
「くそっ! アンリエッタの犬め!」
「言いたいことがあるなら今のうちに言っておけ、どうせ拷問にかけられれば強がる
元気もすぐになくなる」
縛り上げながらも悪あがきを続ける男を見下しながら、アニエスは無感情に吐き捨てた。
この後、間諜の男には普通の人間なら見ただけで失神するような苦痛の数々が
架せられることになるが、アニエスの使命は国家と国民に害をなす分子を早期に
取り除くことであるから、必要とあれば苛烈な処置もためらわない。第一、金銭に
目がくらんで国を売るような恥知らずに同情してやる価値は寸分もない。
「恨むのなら、こんな単純な手に乗った自分自身を恨むのだな」
その、侮蔑をたっぷりと込めた一言を聞くと、男は自殺しないようにかまされた猿轡を
音がするほど噛み締めて悔しがった。アニエスは、用心して行動を起こさない男に、
アルビオンの内通者がわかったから次の夜に逮捕しに向かうと偽の情報を流し、
その内通者から自分のことが漏れると焦った男が動いたところで捕まえたのである。
「徹底的に調べろ、どんな小さな痕跡も見逃すな」
部下たちに指示して、アニエスは間諜たちの持ち物を調べさせた。ミシェルがいなく
なってから、銃士隊全体の効率というか事務能力が落ちてきているので時間がかかって
しまっているが、それでも彼女たちは手馴れた動作で調べていき、やがて男の帽子の
生地の内側に書類が隠されているのを見つけ出した。
「隊長、こんなものが」
隊員の一人が差し出した紙を、アニエスは受け取って開いた。それは、何かの文章の
ようであったが、万一敵に発見されたときのためにであろう、意味不明な単語が並ぶ
暗号の体をなしていた。
シエン! シエン! シエン!
シエン! シエン! シエン!
「小ざかしい真似を、だが無駄な努力だったな」
アニエスは懐から、別の間諜から奪った暗号解読の乱数表を取り出し、ゆっくりと
頭の中で文章を組み立てていった。
「アル・ビオンは……現在……王党派へ……」
ともかく、調査を始めてこの男に行き着くまでは長かった。トリステインに張り巡らされた
スパイ網は単純ではなく、一度限りの運び屋や、ガリアやゲルマニアの諜報員も
混ざっているために操作は何度も行き詰まり、さらには最近のレコン・キスタ勢の
劣勢を知り、スパイ活動をやめて国外に逃亡したものまで多数いたために、末端から
一歩一歩根を掘り返し、詰まっては方向を変え、詰まっては方向を変えと、全員足を
棒のようにした結果、ようやく大物とつるんでいると思われるこいつに行き当たったのである。
「隊長」
「ふむ、どうやらアルビオンで王党派と戦っているうちに、トリステインが動かないように
内部工作を頼む文章のようだな。宛先は、言うに及ばずだ。だが、こいつも最近は
レコン・キスタを見限るように、前よりはおとなしくしていたはず。この、用心深く欲深い
こいつを動かすには、それなりに魅力的なエサが必要だろう。さて……」
彼女は、絶対にクロだと思っているが、かくたる証拠がないために逮捕できずにいる
政府内部の大物内通者の憎らしい顔を思い浮かべたが、気を取り直して暗号解読に
戻った。
「決戦に際して、ウェールズ皇太子はすでにこの世を去っていることになるでしょう……
政戦共に皇太子の力量に頼っている王軍など、彼がいなくては烏合の衆、我々は
これを撃破した余勢をかってトリステインに……」
「これは隊長、連中は王子を」
「うむ、卑劣な策謀に頼るレコン・キスタらしい。奴らは、王子を暗殺する気だ」
銃士隊の中に、さっと緊張が走った。しかし驚く者はいない、戦力的に劣勢なレコン・キスタが
敵の頭であるウェールズを狙うのはしごく当然の選択であるからだ。しかし、そんなことは
王党派も当然承知しているはずで、皇太子の身辺警護には気を使っているはずだ。
恐らく、今皇太子に近づけるのは信頼の置ける一部の者に限られるはずで、しかも
皇太子自身もスクウェアに近いトライアングルクラスの風の使い手と聞く、暗殺を
するとしても簡単にはいかないだろうが、連中はいったいどんな作戦で皇太子の命を
狙うというのか? それはこれからの文に書かれているはずで、アニエスはつばを
飲み込んで、その先の解読を続けた。
「むろん、皇太子も自らの身辺は厳重に警護していることでしょう。しかし、彼も人間で
ある以上必ず隙はあります。その点で我々はあなた様のご尽力もあり、絶対確実な暗殺者を
用意することに成功いたしました。この人選には感謝の意にたえません。まずは、あなた様の
忠実なるしもべである……その名は…………その、名は……」
そこに記されていた名前を読んで、アニエスは一瞬自分の目を疑ったが、すぐに
もう一度全文を確認しなおして、全身から血の気が引いていくのを感じた。
支援!
毎週日曜〜投下日だぁ〜
「隊長?」
自失していたところに、隊員の一人に声をかけられて我に帰ると、アニエスはすぐに
頭の中で情報を整理し、それによって導き出される最適な答えに行き当たって、
はじかれるように部屋のドアを押し開いて走り出した。
「隊長、どうなさったんですか!?」
「緊急事態だ! 私はすぐに姫殿下に話をせねばならん。お前たちはその二人から
可能な限りの情報を引き出せ、殺さなければどんな手段を使ってもかまわん!」
外に用意してあった馬に飛び乗り、一目散に王宮を目指すアニエスの耳に、
つぶされた豚のような悲鳴がわずかに響いてきたが、彼女はもはやそんなものに
かまいはしなかった。
その下町の宿から王宮、さらにアンリエッタの元にアニエスがたどり着くまでに
要した時間は三十分ほどであったが、彼女には無限に長く感じられた。
「どうしたのですかアニエス!? そんなに息を切らせて」
火急の要と聞いて、公務をマザリーニ枢機卿に任せてやってきたアンリエッタはアニエスの
尋常ではない様子を見て、思わず彼女に駆け寄って問いただした。
「最悪の事態です。時間がありませんので、大方は省略しますが、たった今捕らえました
アルビオンの間諜から得た情報に、近日中にウェールズ皇太子を暗殺するという
ものがありました」
「なんですって!? し、しかし、暗殺の危険は王党派も重々承知しているはず、むざむざ
ウェールズ様がやられるとは……」
アンリエッタも顔を蒼白にしたが、一国の王にとって暗殺の危険などは常にあるものである。
怪しい者がおいそれと皇太子に近づくことは不可能なはずで、食事にも厳重に毒見が
つくはずだ。
「それが、盲点を突かれました! 絶対に怪しまれずに、皇太子の至近に近寄れる
方法があったのです。その……暗殺者というのは……」
血を吐くように、暗殺者の名を報告したとたん、アンリエッタはひざを落とし、持っていた
王族伝統の杖をカーペットの上に取り落としたが、かろうじて意識だけは残していた。
「そんな、馬鹿な……でも……いいえ、だとしたら……」
「殿下、お気を確かに! 私も信じたくないのは同じです。しかし、この方法ならば確実に
ウェールズ皇太子の命を狙える以上、信憑性は限りなく高いのです。今は現実から
目を離している場合ではありません」
アニエスが正気を失いかけているアンリエッタを必死ではげましたとき、謁見の間に
銃士隊員の一人が駆け込んできた。
「報告します。間諜の二人が口を割りました。やはり以前からトリスタニアに潜伏していた
ときから、その者たちから軍や政治の内部情報を得ていたそうです」
「そいつが苦し紛れについた嘘ではないのだな?」
「はい、腕の関節を外してやったらあっさりと、我々しか知らないはずの銃士隊や魔法衛士隊の
ことも吐きましたので、間違いはないです」
ウル5魔〜シエン!
名無しが〜シエン!
内通者ってまさか・・・
所詮、金に目がくらんだ人間などこんなものであったかとアニエスは思ったが、それよりも
得た情報のほうが問題である。暗部の仕事も請け負う銃士隊は、当然尋問のエキスパートでも
あり、情報はきちんと裏を取り、その精度は高い。
「隊長……」
「ああ、これで以前奴隷商人をつぶしたときに、店主が我々の行動を事前に知っていたことも
説明がつく。ちくしょう」
その隊員は、アニエスがこんなに悔しそうな顔をするのを見たことがなかった。
「姫殿下、確かに一大事ではありますが、これは幸いであったかもしれません。この手紙が
今渡ってきたタイミングを考えませば、ウェールズ皇太子はまだ無事です。今からでも
間に合うかもしれません!」
すると、虚無に陥りかけていたアンリエッタの目に光が戻り、聡明な頭脳がすぐさま
フル回転を始めた。
「そうですね。こんなことをしている場合ではありませんでした。そうだ、烈風カリン殿と
グリフォン隊は今どうしています?」
現在もっとも早く行動できる部隊といえば、カリーヌに訓練を受けているグリフォン隊しかない。
しかし近衛兵から返ってきた答えは、彼女の期待に沿えるものではなかった。
「それが、現在長期飛行訓練のために東国境沿いにまで全部隊で遠征しておいでで、
連絡をとっても戻られるのは明日以降となります」
「ああ、それでは間に合わないではないですか! それに、訓練後ではカリーヌ様の
使い魔もグリフォン隊も疲労しているはず。こうなれば仕方ありません、アニエス、すぐに
アルビオンに飛びなさい!」
「御意!」
もとよりアニエスはそのつもりであった。この件には自分自身でけりをつける。それが
どんな結末を用意していようと。
「竜籠を使いなさい。それからあなたにはわたくしの勅命で、この国におけるあらゆる権限の
優先権を与えます。ラ・ロシュールの船を徴用してもかまいません、とにかく急ぐのです!」
羊皮紙に大急ぎで必要事項を書き込んだ権限委任状をアニエスに渡すと、彼女は
次にもっとも早い竜を用意するように命じ、さらに右腕であるマザリーニ枢機卿を呼び、
事情を説明した。
「すぐに国内の貴族たちを招集してください。それから、王軍はこれより第一級臨戦態勢に
入ります。場合によっては、数日中に出陣しなければならない事態にもなるかもしれません」
「御意に、しかし我らが動けば残った内通者を警戒させてしまうのではありませんか?」
「かまいません。もうそんな小さなことを気にしている場合ではないのです。それに、
このことが彼らに情報が漏れているのだとけん制することにもなるでしょう」
「わかりました。ですが軍を動かすにはそれなりの準備がいりますので、早ければ
早いほど戦力は下がるということをお忘れなくように」
王女に向かって、ここまで歯に絹着せずに忠告できるのは彼くらいのものだろう。逆に
見れば、それが彼の忠義心の強さを証明するものであったが、アンリエッタはとにかく
急ぐようにだけ命じると、彼を下がらせた。
謁見の間には、アンリエッタと近衛兵だけになり、窓からは赤みを増してきた陽光が
差し込んでくる。彼女は窓際に歩み寄ると、空を見上げて誰にも聞こえないようにつぶやいた。
「ウェールズ様、本当なら今すぐお助けに参りたい。しかし、非力なわたくしではあなたの
お役には立てない。せめて、この国の力がもっと強かったら、あなたを助けに兵を送れますのに」
ベロクロン戦で大打撃を受けたトリステイン軍はいまだ再建途上にあり、とても国外に遠征する
余裕などはない。今召集をかけた軍隊も、アルビオン王党派を援護するためのものではなく、
万一彼らが敗れたときのために、後方の逃げ道を確保して、レコン・キスタが勢いに乗って
トリステインにまでなだれ込んでこないようにするために、威嚇するためのものだ。むろん、
これにしても今すぐにというわけではなく、それなりに役立たせるようにするためには
時間をかけて準備しなければならない。お話のように「いざ出陣」と王様が言ったら「おおーっ!」
と兵士がついてくるわけではない。彼らに食わす兵糧、持たせる武器弾薬などはかさばり、
輸送のために専用の部隊が必要とされ、その輸送のために計画も必要なのだ。
「時間がほしい……アニエス、なんとしても、なんとしてもウェールズ様をお救いしてあげてください」
赤い光を受けて、アニエスを乗せた竜篭がアルビオンの方角に向けて遠ざかっていくのを、
アンリエッタは必死に祈りながら見守っていた。
続く
ウル5魔〜乙〜、乙〜、乙〜
以上です。今回も多数の支援をいただき、皆様どうもありがとうございました。
スノーゴンとの激闘、お楽しみいただけたでしょうか。
帰ってきたウルトラマンでは、ウルトラブレスレットがなければ本当にウルトラマンジャックを倒していたはずの
強敵ですが、エースはそんな都合のいいものは持っていないし、かといってレオのようにウルトラマンキングも
さすがにハルケギニアまでは来てくれないので、エースのバラバラはなしでいきました。
というか、メビウスの3話でミライはウルトラマンは新たな命を得て生き返ることもあるけど、それは必ず
成功するとは限らないと言ってましたが、エネルギーを補給すれば復活できるのは仮死としても、
ゾフィー(バードン)、初代マン(ゼットン)、セブン(シルバーブルーメ)、ジャック(スノーゴン)、エース(ファイヤーモンス)、
タロウ(バードン)、レオ(ブニョ)、ウルトラの父(ヒッポリト星人)など、みんなバラバラや串刺しやなんやらで死んでますよね。
けれど、今のエースには死んでも新たな命を授けてくれる者はいないので、ヤプールもなお執拗に狙ってくるでしょう。
もちろん、ウルトラマンはそんなことにはひるみません。
それにしても
>>295 まさか本当に公式のカリン様の外伝が? まいったな、カリン様の若かりし頃はもう書いちゃったってのに。
では、次回より暗雲立ち込めるアルビオン大陸、様々な陰謀が交錯するなかで、最後に笑うのはいったい誰か。
ウルトラ乙
乙。
超ウルトラ八兄弟で回想にスノーゴン戦が出てきた時は、
ウルトラマン物語でレオの戦いの参考としてシルバーブルーメ戦の映像が出て来た時に似た感覚を味わったものだなぁ。
ウルトラの人乙&GJ!
内通者って奴だよな。どう考えても。
エースの人乙でした。
カリン様の若い頃は……あれです。
修正可能なようならちょっと手を加えて、全く違うようなら完無視しちゃって良いんです!どうせファンフィクションです!
ウル魔の方乙でした!
暗雲な展開が来ましたね、果たしてウェールズは助かるのでしょうか?
そして内通者の正体は奴なのか、次回もWKTKです!
618 :
紫眼の使い魔:2009/09/06(日) 18:01:59 ID:iO7lAfs7
ウルトラの使い魔の方、乙!
もし何も無ければ、18時5分頃より小ネタとして『紫眼の使い魔』を投下するが大丈夫だろうか?
気体
wwwwktk!
621 :
紫眼の使い魔:2009/09/06(日) 18:05:42 ID:iO7lAfs7
ルイズが召喚したのは、一人の青年だった。
青年はルイズに反抗的だった。
いいや、言う事はおとなしく従っていた。
だが、その目は、従順な僕の物ではなく、狡猾とも言いがたい物だった。
それが気に入らずルイズは食事抜きなどの罰を与えた。
青年は、他の平民達と食事を取っていた。
それが気に入らず、しかしルイズにはこれ以上何をしても無駄だと思うしか無かった。
ただ、青年を使い魔と呼ぶよりは奴隷であるかのような扱いをしていた。
青年が平民達へ礼として手伝いをしていた時、事件が起こった。
一人の生徒が落とした香水の瓶を拾ってしまったことがきっかけで、その事件は発生した。
この事件の原因は、その生徒が二股をかけていた事であり青年に非は無い。
だが、生徒は八つ当たりの様に決闘を吹っかけた。
『平民はメイジに勝てない』。
これは、絶対の物。
覆す事がかなわない、絶対の。
誰もが、生徒が勝つと思っていた。
賭けが行われたが、誰も青年に賭けなかった。
だが、奇跡に近いものが起こった。
青年が勝ってしまったのだ。
その方法は、ただ生徒が気紛れに用意した青銅の剣。
生徒の操るゴーレムよりは精度の低いそれで、倒してしまった。
622 :
紫眼の使い魔:2009/09/06(日) 18:06:56 ID:iO7lAfs7
一人の少女が居た。
彼女は王族だった。
『だった』というのも、彼女の家は王族としての地位を剥奪されていたから。
今の王は叔父。 今の王女は従姉妹。
もしかしたら、先代の王が彼女の父を指名すればこれは違っていただろう。
だが、そうはならなかった。
父は暗殺された。
母は、心を壊された。
感情を封じたその少女は、シャルロットではなくタバサと名乗っている。
そんな彼女が召喚したのは一人の女性だった。
その姿は、彼女より後に召喚された青年とよく似たものだった。
後に分かったのが、二人は兄と妹だった。
双子の、兄と妹。
タバサは知る由も無かったが、彼女も双子だった。
双子の片割れたるタバサが別の双子の片割れを喚ぶとは、ある種の皮肉だっただろう。
もちろん、それを皮肉と思う者はその場に居なかったが。
召喚されたその時は目が見えなかったその女性は、タバサが母を救うために用意した薬を用い時が流れやがて視力を回復していった。
623 :
紫眼の使い魔:2009/09/06(日) 18:08:24 ID:iO7lAfs7
『土くれ』のフーケが盗んだのは、『死の剣』と呼ばれる剣だった。
その意味はオスマンしか知らない。
だが、その名からその強さを察することは簡単だった。
盗まれたそれを追うのは、オスマンの秘書であるロングビルとルイズと使い魔の青年、キュルケ、タバサと使い魔の女性。
フーケの正体はロングビル。
それはすぐに明らかになった。
もしもこれが。
ルイズの召喚したのが、日本人の少年ならば彼女は捕まるとはいえ無事だっただろう。
だが、死んだ。
『死の剣』を使えるのはただ一人。
ルイズの召喚した青年だけ。
だがその『死の剣』の力が振るわれる事は無かった。
青年の手に刻まれた使い魔のルーンの力によるところが大きかったのだろう。
『死の剣』を取り戻し、オスマンは語る。
その剣は、彼がまだ若い頃に偶然出会った者が持っており、そして渡したのだという。
その者は死を支配する者だった。
その者は『コレヲ持ツベキ仔ガ現レルダロウ』と言い、消えた。
そして、今。
オスマンの前にその者が言う者が居る。
オスマンはそれを持たせるべきか迷った。
だが、持たせてしまった。
それは、悪い結果をもたらすとも知らずに。
624 :
紫眼の使い魔:2009/09/06(日) 18:09:16 ID:iO7lAfs7
トリスティンの王女の依頼を受けてアルビオンへ手紙を返してもらいに行った。
だが、作戦は失敗してしまった。
レコンキスタに、トリスティン王女アンリエッタからアルビオン皇太子ウェールズへの恋文が渡った。
トリスティンの王女がゲルマニアの皇帝に嫁ぐ事は、白紙になった。
いいや、それだけならばまだ良かった。
『始祖ブリミルに誓って』。
その言葉が、手紙に書かれていたから。
それはゲルマニアへの侮辱と取られた。
形だけと化し国力は低下している、ただ歴史あるだけの小国トリスティンは、ゲルマニアを敵に回した。
孤軍となったトリスティン。
クロムウェルの支配するアルビオンと戦いの末にルイズは『虚無』の魔法を手にし。
そして、それは起こった。
タバサが行方不明になった。
同時に、使い魔の女性も。
ルイズとキュルケと、特に青年は探した。
そうして知る。
タバサはガリア王家の者だと。
彼女は今、そのガリア王に捕らえれていると。
そして、使い魔の女性は。
ガリア王により、殺された。
タバサの目の前で。
その噂を耳にした青年は走った。
走り走って王宮の隅にある池で見つけたのだ。
月の美しい夜。
まるで水面に映る月を手にしたかのように沈む、死せる乙女の姿を。
これはまさかアメジストスか…?支援
626 :
紫眼の使い魔:2009/09/06(日) 18:10:25 ID:iO7lAfs7
以後、トリスティンで戦争が起きた。
それは、まるで奴隷のように蔑まれた平民と誇りだけを振るう貴族によるもの。
貴族はメイジだ。
平民はメイジに勝つ事は出来ない。
だが、その絶対数は平民に圧倒的に劣る。
更には、貴族側には食料などの供給を行う平民が居ない。
軍といっても、フネの進行を決める指揮官は居ても動かす者は居ない。
作戦を立てても実行する者は居ない。
ロマリアからの援軍はあったが、そこに居る平民達のほとんどが寝返ってしまった。
ゲルマニアから援軍は届く事がなく、むしろ平民側へと行った。
ガリアの女王となったタバサはトリスティンへ援軍を送った。
ガリアの陣営に立つ彼女は、確かにその姿を見たのだ。
本来ならば、貴族側。
ルイズの傍に居るべき青年が、その真逆、平民側に。
平民達から『将軍閣下』と呼ばれ、平民達を指揮していたのを。
その青年は、『虚無』と呼ぶべきか不明ではあるものの、まるで死を操っているかの様に強かった。
その強さの一端には『ガンダールヴ』のルーンと『死の剣』がある。
強い。
僅かに貴族側に残った平民を殺し、ドットやラインクラスのメイジを簡単に殺していく。
その姿はまるで、死を背負う神のよう。
そう、まるで神々から『虚無』を授かった、ブリミルのよう。
タイトルでクロスボーン探偵団かと思ったぜ支援
628 :
紫眼の使い魔:2009/09/06(日) 18:13:07 ID:iO7lAfs7
戦場はむせ返るほど血の臭いに溢れていた。
貴族平民問わず転がる死体の上に立っているのは、ただ一人。
姉に庇われ、かろうじて生きていたルイズはその姿を目にする。
その姿は、自分の使い魔のもの。
だが。
白と紫の髪は、黒と紫になっていた。
死を招く、紫水晶の瞳を持つ男。
ルイズは、死の間際にその声を聞く。
「moiraよ、これが貴女の望むものか・・・・・・!」
――そして。
男の手により、冥府への扉が開かれた。
それこそが、永きブリミルの子孫による政治の終わりを告げる。
男にとって、無情な戦い。
『死人戦争』の始まりだった。
老婆であるとも、少女であるとも、詩人が語るように神話は語る。
万物の母たる創造主、運命の女神、『moira』。
影で笑うは、冥府の主、冥府の神。
操られるように、狂うように戦うは『紫眼の狼』、『アメテュストス』と戦場で呼ばれた男。
本来の名は『エレフセレス』。
その正確な名を知る者は、もう居ない。
Thanatos・・・・・・
629 :
紫眼の使い魔:2009/09/06(日) 18:14:30 ID:iO7lAfs7
投下終了です。
SH、第六の地平線、『moira』よりエレフセレス。
タバサが召喚したのはアルテミシアでした。
ルイズが死を見抜く能力を持った相手にやられたということは
ブリミル側の血筋には運命を読む能力があったのだろうか…
遅ればせながら、ウル魔の人乙。
スノーゴンに押し潰されたブラック星人を見て、デマゴーグにビルごと潰されたチェーン星人を思い出した。
にしても何だか緊迫してきたな。内通者は誰だろう?
あ、あともう一つ。
>ウルトラシリーズでも吸血怪獣はいますが、バサラやデモスなどの不定形が多いので
カリン様の話で出てきたギマイラは不定形じゃないですよね。
グールじゃないけど人間怪獣にしちゃうし、そうじゃなくても操るし、十分怖い相手でした。
>>51 だいぶ遅れたが乙
今まさに姫狩りプレイ中だったんでもう興奮しまくっているわ
まおーさまもエミリオより強い身体になれて良かったねw
長谷川裕一談義で思ったんだがHXL版侵略大帝様って結構な物語破壊者?
大帝波で溢れ出る悪のカリスマ(のみ)で小悪党とか洗脳しちまうからモットとかワルドとかが手下に……
モットは悪党じゃないしワルドは悪役だけど悪人じゃ無いよ……
ひとつ聞きたいんだが
ゼロ魔で印刷技術は発達してたっけ?
本は高いらしいからないんじゃないかな
シュヴルーズ先生は教科書として自分の書いた本を使ってるらしいが
>>634 小悪党というか、権力を欲する者には無敵
モット伯はともかくワルドはどうだろうなあ。まあ、ルイズに結婚迫った時の「世界を手に入れる」発言があるから、効くか?
ただし、ジョゼフに聞かなくて速攻土下座する姿が目に浮かぶわw
だって決め台詞が「ワシには、いつでも躊躇なく強い者に寝返る心の準備があるからだ!」なんだぜ
「その気ガス」でパーフェクトザク……もといパーフェクト大帝様化すれば、真実ハルケギニア最強の帝王となれるけどさ
(理性の歯止めを無くしてノッカーズ化させやすくする……だけのはずが、何故か大帝様はパワーアップした)
>>638 自分の本を教科書にして生徒に買わせてウマーですね?
大学にいるよね
>>636 現実では活版印刷術が発明されたのが1447年。これがきっかけで写本による人件費から高額だった本がある程度安くなって利用しやすくなった。
それを踏まえるとシエスタが本を買える。特にあんな本を買えるということは結構印刷術が発展してないと無理じゃないか?
なかったら平民は修道院に備え付けの図書室で本を読むくらいしかないと思う。だって写本高いもん。
技術的にも中世の物だし、近世レベルらしいハルケギニアじゃ土メイジ辺りが活版印刷術を発明していても不思議じゃないと思う。
印刷技術の前にあの世界に植物紙って有るのか?
見てる限りでは割りと上等な「紙」はあるっぽいけどな。
パピルスとか木簡の類じゃなく。
木版印刷でもあったんだろか?
どちらにしても、娯楽小説を平民が買えるとなると、そこそこ印刷されてないと無理だな。
もしかしたら念力で写本を一人で同時に大量にしてしまえる職人メイジがいるかもしれんが。
今、テイルズキャラで小説書いてるけど、1レス何行までなら投稿出来る?
板によって投稿出来る行が違うみたいなので
それ以前に識字率はどうなんだろ?
平民レベルで字が読めない人間なんてザラなんじゃないか?
>>645 じゃあ漫画家や小説家の類が召喚されたらそこそこヒット飛ばすことも不可能じゃないってことか。
男塾から大河内民明丸なんかが召喚された場合、【ハルケギニアの怪魔法、奇魔法】なんて出版するかも。
>>646 他の人の作品を見て大体で決めたらいいと思うけれど
案外、写本とか活版印刷とか面倒な中間技術すっ飛ばして
『本』その物を複製錬成しているのかもしれないな。
某猫型の「立体コピー」みたいに
紫眼の使い魔乙
moiraはサンホラのアルバムでは一番物語性があるけど、やっぱ元ネタ知らんと分かりにくいだろうな
しかしルイズはmoiraとか聞いても意味が分からんのではw
さて、自分が恥をかいてしまったわけだが
平民は基本的には字を読めないようだね
ジェシカはどうだろ
なにジョジョ?ハルケギニアの印刷技術の発展具合がわからない?
ジョジョ、それは無理に整合性を求めてるからだよ。
逆に考えるんだ、「本があるんだからそれでいいさ」と考えるんだ。
>>648 「ばけらの」のキャラなら色々と面白いことになるかも。
材料(紙とインク)があれば土メイジが練金で作れると考えるのが一番妥当かも
完成する本の内容は自分の考えた文になる感じで、ライン位なら問題無く量産出来ると
そうなるとシュヴルーズ先生が教科書に自分の書いた本を使ってる理由も説明つきやすいし
で、制作の練習に使われた物語の本とか、落ちぶれ貴族が資金を得る為に売却した本とか
小遣い稼ぎに土メイジがこっそり作った本とかが民間に流出すると
因みに広義の「紙」なら獣皮紙も紙だよ
筆記材料としての「紙」って意味だけど中世では紙と言えばまず獣皮紙って位の時期もあったし
あともう一つの可能性としてメイジが練金で植物紙を作っているのかも
自動筆記の魔法があったような
明治時代に日本に来てた外国人が、人力車の車夫が読書をしているのを見て
「こんな下層の人間まで文字が読めるのか!?」と日本の識字率の高さに
驚愕したらしいな。
今現在でも日本の識字率は世界でもトップクラスだからな。
流れと関係なくて申し訳ないのだが、
ルイズ達がサイトやssの主人公を平民って判断するのって何か明確な理由があったっけ?
664 :
やわらかめ:2009/09/06(日) 23:43:11 ID:GXeRxMid
ていうか、日本って識字率100%だったような・・・
杖とマントを持ってないからじゃなかったけか。
魔法使えても貴族じゃないとマントつけられないと思ったが。
外見と立ち振る舞いだろ。
パット見マント無しで判別できそうなのはトレーズ様くらいだ
どんな物までマントと思ってくれるんだろ?
陣羽織りとかポンチョはセーフなんだろうか?
真っ赤なマフラーは…
>>667 あ、なんかマントっぽいものつけてる
とは思うんじゃなかろうか
>>666 プリンス趙孔明が居るじゃないか
最萌トーナメント、明日ルイズですな
最萌トーナメントを召喚!
いや、むしろここは萌えだけにせずミス・ハルケギニアを開催!
>>667 風呂敷マントと剣道の小手を装備したシェゾ・ウィグィィをルイズはどう思うのか。
(シェゾ本人はカッコイいいと思ってる)
ちなみに風呂敷と小手は魔導物語:魔導士の塔の隠し最強装備。
変態だと思うんじゃねーの?
>>666 なら逆にマント装備で紛らわしいの喚んでみるとか
例えば棄てプリのシャノンなんて常時外套付けてるし西洋拵えの太刀は知らない人だと杖と間違うかも知れない
>671
オスマン「いけません、ウチの女生徒はみな美人ばかり、こんな企画の通る余地は……ああ、こうしてこうして……」
Wikipediaによると、日本の識字率はユネスコ調査で99.8%以上。ただし、信憑性はそれほどないらしい。
・なにができれば「識字」とするか
・視覚障害や精神疾患を持つ人を対照にするか
・外国人を含める場合、何語で検査するか
ぱっと考え付くだけでもコンマ1パーを変動させそうな要因はいくらでもある。おおむね95%異常と思えばOKだろう。
とりあえず、ホームレスでも新聞読めるうちは、貧富の格差が許容範囲内ってことで。
講義受けた時は95%前後って話だったな
戦争で小学校に行けなかった人がいたからひらがなも書けないって話だったんだが
どう考えてもそれが在日の人だったってのがなぁ…帰化した人とかを含めると95%前後らしい
識字率調べる担当が、ちょっとでも自分の担当区域の率を上げたいから、
「自分の名前を読み書きできたら識字」
なんてみなすこともままあったそうだよ。識字率の調査ってな。
いずれゼロ魔の世界では本が普通に売られる程度には識字。
平民はできなくても珍しくない。
という程度がわかってたらそんなに問題はないと思う。
妥当なところでは、貴族かその関係者がかなり多いけど娯楽が少ないので、わりと本が売れるとか。
平民でも都市部は識字率が高いのではないか、とも考えられる。
本関係で、読子さん召喚というのはどうか。
魔法使いでもマント着てないキャラ居るよな
QMAのキャラとか←これしか思いつかなかった
とにかくそういうのが召喚されたら、マント無いから没貴族って判断されるのかな
なんだアイツ!?今のは魔法か!?もしかして貴族!?
↓
マント無いし杖も持ってない、ひょっとしてエルフ!?
↓
なんかの間違いじゃね?やっぱただの変な平民だろ。
↓
異世界からきた?バカなこと言わないでよ。とりあえず使い魔になりなさいね。
みたいなパターンが多い気がする。
まさかこんなに返答がくるとは思わなかった。感謝する。
いいよ
きにすんなよ
>>682 そりゃまぁ、被召喚者以外は全く同じ舞台、同じ人物だものねぇ
とりあえずファンタジー世界には日本並みのお尻に優しい柔らか巻紙はないよ
秋山が参謀してた日本海海戦もね!
日本海軍の識字率の高さ(100%)
後は、貴族とかじゃなくても能力があれば士官になれる(海軍士官学校)
っていうのが結構大事だったね。
ルイズ達の世界って木皮船程度の技術Lvだけどさ、砲弾はどこまで進んでるのかな。
描写的には爆発してないから、榴弾じゃ無いのかと思えば、火災があったりするし。
ここらへん解決せんと続き書く時困る
>>687 大砲は青銅製で
砲弾は鉄球あるいはぶどう弾
だったはず…
>>682 1、耳がとがってもないのにエルフとかこじつけすぎる。
2、先住魔法使う亜人はエルフ以外にもいるのに、先住魔法を使ったからエルフとか見識が狭すぎる。
3、自分の理解できない方法で摩訶不思議なことが引き起こされたのに、未知のものに対する恐怖、興味、好奇心etc、とにかく関心が無さすぎる。
ざっと感じる違和感はこれくらいですかね。
そう言えばティファニアに対しては尖ってる耳を見た直後に「ぎゃあ、エルフ!」って驚いてたな
よく分からない服装や言動<ノートパソコン<先住魔法<耳
>>639 3は未知なる物という概念そのものが無いんじゃないかな?
なにしろ魔法で出来る事の範囲がかなり広いんだから。
原作でもノートパソコンをマジックアイテムとしか思っていなかったはずだけど?違ったっけ?
ファンタジーな世界でもそうそう簡単には異世界を信じてくれないもんなあ
むしろこういう創作物に慣れきった俺らみたいな人間の方が親和性高いかもな
学者とかそういった専門のヤツでもないかぎり
人間は先入観に捕らわれやすいからなぁ
「日本のオタクなめるな」とかいってあっさり順応してた召喚された
キャラいなかたっけ
魔法使って変な平民はないだろ
>>651 ギーシュの青銅人形も無駄に造形複雑にしてるから動きが不味いとかそういう話なかったっけ?
あれと一緒である程度以上複雑なものの錬金は難しそう
剣や槍でも何々卿の作品なんて売り文句も出るくらいで美しく、複雑なもの作れるのは
よっぽど熟練したメイジだけっぽいし、そうなると安くはならないと思うんだが
第一、できたとしても貴族が平民向けの安い本を量産して薄利多売するって意識がないと思うんだよな
んなことするくらいなら貴族向けのお高い本を作って売るほうに力いれそう
>>662 世界一の出版大国、本好きのお国柄でもあるな
>>687 焼き玉くらいはするだろ、メイジいるんだし
>>698 「爆炎の使い魔」ですね
是非とも復活を希望するものであります
「やめる気はない、戻ってくる」って言ってたし
>>662 「嫌日流」という本によると韓国は「文盲率1%未満の世界唯一の国」だそうですが(嘲笑)
メイジなら弾を加熱する間には魔法を直接たたき込んだ方が早いと思う
それに、大砲使うのは平民だろうからメイジが弾を焼くなんていう雑用じみたことをやるとは思えん
メイジが生半可に強くて上流階級でプライドもあるからなぁ
一面焼き野原にできるほど強いわけでもないからそういう工夫でメイジも圧倒できる…から普通の一般人が召喚されても平気なのか
>>700 ドットないしラインといったランクの低い「雑用専用メイジ」がいてもおかしくないと思うのです
炸裂弾作るほどのテクノロジーはないだろうし
焼き玉のやっかいさはファイアボールより上だと思うよ
基本質量兵器だから止めづらい、熱量もでかいので冷やせない、持続して焼き続ける、さらには射程が格段に長い
加熱っても焼くだけだから魔法の届かない遠距離で仕事ない間にやるんじゃないかね
運ぶのも楽だし
帆船にかまど作るのも大変だしメイジの有効活用だと思う
加えてファイアボール相当の魔法使えないドットやラインメイジが主流のはずだし
ガソリン作るにも不純物たくさんで大変みたいだしメイジも人間で機械じゃないから
腕の良い職人はいても大量生産ができないような世界だな
>>703 雑用専用に回すより
戦闘要員にまわした方が
戦力になるから雑用メイジがいないんじゃあないか?
若しくは腐っても貴族なので、
無駄にプライド高いから進んで雑用やりたがる奴がいないとか
ライン以下のメイジなんて大して戦力にならんだろ
魔力も大したことないし、弓の方がよっぽど怖い
707 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/07(月) 11:46:24 ID:0pG4yBbP
442 :Trader@Live!:2009/08/17(月) 19:03:56 ID:iMtm0Mqi
>>394 なるほどー。
今も騒いでる香具師が、なんで児童ポルノ規制法案がでてきたのか、その目的を勘ぐってくれればいいんですが。
自民党と民主党じゃ、児ポ法を打ち立てる目的が全く違う。
民主党のバックには中共・韓国がいるが、この二国、二次元文化(アニメ・漫画・ゲームetc)が金になることを知ったんだよな。既に日本の輸出産業の一角を担うって麻生総理も言ってたし。
だから、民主党を通して二次元文化を規制する。今は商業ベースだけかもしれないが、将来のクリエイターを育てる土壌となる、一次二次創作も規制するかもしれない。
自民党が児ポ法たてた理由の一つに、北朝鮮利権があるんだってな。
安倍総理や麻生総理がクスリやらパチンコやらサラ金やら、北朝鮮利権をシメてる間に、北朝鮮の連中が児童ポルノ作って売りさばいてたらしい。
児童を護るのも大事だが、北とそれに群がる汚物も一緒に排除する気だよ、自民党は。
---------------
>北朝鮮の連中が児童ポルノ作って売りさばいてたらしい
これはプチエンジェル事件とか、ヒルズでも噂される児童売春との繋がりのことかもね。
でも風や火じゃなくて土ドットのギーシュでさえ小隊長かなんかじゃなかった?
マリコルヌとかも船の上でウィンドカッターの打ち合いしてたし
貴族が自動的に士官になるのは別に珍しいことじゃないけどな
特にトリスティンは士官不足で学生から募集する位だし、雑用させるほどメイジに余裕があるとはとても思えない。
ワルドの弟でヨイド登場・・・なんてのはアリじゃろか?
外見はヒゲのないキレイなワルドっぽい感じでw
>>711親はなにを考えてワルドの名前を考えたんだよw
「ボクのなまえは善ド!ワルドの心から分離した良い心!ルイズのおっぱいちゅぱちゅぱしたい!」
「俺の名前は悪ド!ワルドの心から分離した悪い心!ルイズのおっぱいちゅぱちゅぱしたい!」
ワルドって家名じゃなかった?
やっべぇ、サトシの作者レベルに頭回ってなかったわ……
んじゃ、寝る
ワルドの名前はジャンだからコッパゲと同じだよ多分
ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだったかな多分
まあ、原作じゃアンアンによって御家お取り潰しになってるみたいだし、もはやワルドの家名を名乗るのは当人だけなんじゃねぇの?
裏切り者の名を受けて、全てを捨てて戦うワルド
ワルド主役で一本書いてみてくれよな。長編でも中篇でも短編でもよろし
>>720 長編なら避難所行きになるんじゃないかな。
短編ならこっちでも支障は無さそうだけど。
一つの話しで本編と冒険譚はルイズ側
どろどろのハード路線のはなしはワルド側って感じでやればこっちでも問題ないんじゃないかな
ぬう・・・ジェームズ・煩ド・・・
>>724 確かに美女とのなんやらがあるその系統のキャラにはあながち間違ってないかもしれんw
そういえばこういう映画系のキャラってなんかいたっけ。
魔法馴れしてるとなればハムナプトラの主役とかか
セガールとか。
あの野郎、秋の映画でゾンビと戦うらしいし。
逃げて!ゾンビ逃げて―!
じゃあワルドの隣の領地になんとかかんとか・フォン・ヨイドが居るとか。
ワルド領の位置に関する記述ってあったっけ?
>>728 ヴァリエールのご近所さんだったはず。他には特に記述無しだったかと
秋の東○まんが祭り!『セガールVSフランク・ウェスト!ショッピングモール大決戦!!』ですね!
これは見逃せない!!
だが善だろうが悪だろうが、ロリコンという評価は変わらないワルド
>>730 いや、いくらセガールでも食い物食っただけであらゆる傷を修復できる超人に勝てるとは思えないw
もうセガールVSアッシュ(Sマート)でいいじゃない
そうか、セーガールもついに人外と戦うようになったか
ゾンビの次はエイリアンだな
大きな用事中に思いついた
ルイズ爆熱時空
そう、メイズをルイズが呼び出す話し……と思ったんだが、
フォルナーであることや、歳の変わらん女メイズのスタイルやらで、劣等感を刺激するだけになりそうな
前半っていうか、プロローグに折れた、男メイズのことも考えると、パトラッシュと一緒に眠るしかないかな? とも思ってきた
いっそのこと普通の使い魔でいいじゃんよ
???「もけっ」
普通……か?
>>732 よく知らんがロリコンフェニックスとか言うの喚べば良いのか
もうキテレツ呼んじゃえよ
>>696 A君(17)の戦争の魔王田中和夫じゃないかな?
>>728 むしろワルドがバレバレの変装でそんな名前の空賊として出て来るんだよ。
月にあった鮫型戦艦で大活躍さ。
>709
何を縛るんだ。
>736
そうするとドゥルガーとかがタルブに鎮座してたり、エルザが不死機使いだったり、四つの指輪がクリスタルだったりするんだろうか。
5つ目がどこにあるか謎だが。
>>741 どうせなら
『侵攻作戦パシフィック・ストーム』から真田忠道少将を呼んじゃえよw
>>737 もけけダイアリーとか、クソ懐かしい
>>742 キャプテン・イード……何者なんだ一体……?
>>744 あの人はレッドサン・ブラッククロスにも登場したけど、結局どっちも作品自体が停滞してるからなあ。
てか、そんなものの話題まで出るこのスレの住人の趣味と年齢層の幅はどんだけ広いんだ?
>>746 恐らく60's後半-90'sあたりまでの年齢を網羅していると思われるw
主力は70's-80'sだろう。
>>747 まあ、まとめを見渡せばバビル2世や悪魔くんとか、古いのゴロゴロあるからなあ。
そういえばスレのタイトルどおりに色々な作品のキャラが召喚されてますけど、鉄人28号の『良いも悪いもリモコン次第』みたいな、どちらにでもなるようなキャラっていましたっけ?
その鉄人そのものがバビ山の話に登場してる
学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEADより毒島先輩召喚
ワルドの右腕切り落として「濡れるっ!」
避難所行き?
「この輝戸光!!ハルケギニアにおいても最も光り輝く
大社員となってみせるぞ!!」
「いや大社員じゃなくて立派な使い魔になりなさいよ。」
という電波を受信したが光の大社員がマイナーであることを知り、泣いた。
原作を読み返してみた。
あんなに強いのに、四人組の殺し屋メイジなんぞよりよほど強そうなのに
なんでああも小物臭がキツいんだろう
「ONE PIECE」のスパンダム
「異世界の聖機師物語」のダグマイヤに匹敵する小物臭さだ
仮にワルドがルイズに召還されてガンダなしに様々な敵と戦ったとする
なぜかヤムチャと同じ感じがする
>>752 ルイズ 「土メイジって格好悪いじゃない」
光&ギーシュ「土は格好良いですよ!」
そんなどマイナーなモン知ってる君と俺に乾杯
>>752 君は一人じゃない!
男爵校長もちぃちゃんのおしながきも恋愛ラボもどんと来いだ
あれ、恋愛ラボネタ結構合いそうだなキャラ召喚じゃなくて展開・設定的に
信長の忍びでもいいが
>>753 張った策謀が妙にみみっちいのと
振られて逆上したのが正体ばれた原因だからだな
登場シーンはモグラを吹き飛ばすところからだしな
ちぃちゃんのおしながき…
いろんなイベントそっちのけで食いしん坊バンザイな展開を幻視した。
無論ルイズはダメ母ポジションでw
>>753 かませな事と、ほのかに漂うマザコン臭のせいではなかろうか
よし、俺がワルド無双なSS書いてやるよ
そのうちな
んで、白くなるとカッコよく見えるのはなんでだろうなぁ
ジョナサン・グレーン召喚してワルドとマザコン丸出しな決闘をだな。
ジョナサンは人のコンプレックスにつけ込んで女をたらし込むのでルイズは色々と……
ワルド「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは私の母となってくれるかもしれなかった女性だ!」
ワルドは元々は三銃士第一部のラスボスなんだぜ
ワルド無双発生してるの既にあるだろ
ジョナサンと聞くと、立っているだけで威圧されそうである
立ち方と言い、効果音と言い
ワルドが裏切る前に活躍したのって、
風の魔法でサイトを矢から守ったのと、決闘と称して平民のサイトを一方的に嬲ったのと、
「半数が辿り着けば成功」とか言って裏口からコソコソ逃げ出したのと、
船の風石の代わりになって空賊に無抵抗で捕まったのぐらいだよな。
これで惚れることのできる女って、本当にいるのか?
ただし、イケメンに限る
なっ! 何をするだァ―――――ッ ゆるさんッ!
ワルド無双と言えば……折角無双パワー手に入れたのに、存在感が空気になってしまっているMtLのワルドは、次いつ登場するんだろう
サタンさまとシェゾの悪いところを混ぜればワルドになる
>>770 家名だけでは手に入れることの出来ないグリフォン隊隊長の地位を忘れちゃいかん。
ブータ召喚物のワルドはレコンキスタじゃなくトリステイン愛国派だけどいい所で止まってるのが悲しい
瀬戸の花嫁クロスのワルドは普通にかっこいい
原作からしてヒロインの婚約者で憧れの人とか滅茶苦茶おいしいポジションなのに
なんでこんな使い捨て同然の扱いなのか理解できない
引き伸ばしの犠牲になったとしか思えん
いっそ白モットとか白ワルドとか白ジョゼフとか皆白くして
だめだ戦争が起きねえ…Vガンダムからエンジェル・ハイロゥでも召喚して洗脳してしまおうか
>>770 つり橋効果だよつり橋効果
恋愛になっても長続きしないことが多いらしいけどw
>>779 みんなで仲良くぷよぷよ地獄でもやってればいいじゃない
ジョゼフがサタンさまポジションで
ライバルより頭悪いラブコメのほうが売れるからだろ
>エンジェル・ハイロゥでも召喚して洗脳してしまおうか
エンジェルハイロゥは洗脳装置じゃなくて白痴化装置
だれうま
ブラックホールクラスター
あれ、風魔法が強いからワルドは消えてタバサが浚われたってだれか言ってなかった?
>>783 むしろ『やる気がゼロになる』機械
……泳ぐ気持ちすらなくなってそのまま溺れちゃうんだぜ『息継ぎめんどくせ〜』
どうもこんばんわ
先日FFZからジェノバ召喚やらかした名無しさんです
最後の投下でさるさん喰らい眠気に勝てず力尽き、翌朝親戚の家に拉致られてました
遅くなりましたが、読んでくださった皆様ありがとうございました
ちなみに流石に長期化の予定は無いですが
ニブル前のセフィロス召喚はちょっと考えてます
>白雉化装置
富野つながりでゲル結界所有のバッフ・クランでも
ハルル様召喚で発信機辿って艦隊がハルケギニアにデスアウトとか・・・
ついでにカララとハルルを引き合わせたいイデまでハルケギニアに
あの人はもともとあんなもんで、出る時期を間違えただけなんだ
>>790 どう考えてもハルケ全文明オワタ\(^o^)/
今更だが虚無と最後の希望には期待してる。
やる気がゼロにと聞いて電撃!ピカチュウの巨大ヤドンが思い浮かんだ。
サカキでさえどうでもよくなるような代物だしジョゼフでも耐えられるかどうか…
>>769 ジョナサン…
変なマスク被って「死ねよやー」って叫ぶママンがいる人しか思い浮かばない。
「まぬけじくうはっせい」
>>743 タルブにあるのはカーリーの方で。
そしてアンアンがふたなr
サイモン=マーガス「そう、下がる力で総てをゼロにしてしまえばいいのだっ」
>>799 血筋的にふたなりはルイズとタバサも…て言い出したらエレオノールとカトレアとテファがふたなりという電波を受信した。
柊連司「呼ばれた気がする」
>>770 周りにいた男(サイト)より強いところを見せてアピールしてるんだろ
襲撃+決闘で強さ、宿屋で機転のよさ+二人っきりでつり橋効果狙い(失敗)、船の追い風で魔法の腕
アピール自体は問題ないと思う
>>797 あぁー
ルイズブレンをブラシで磨くルイズ
磨かれて嬉しそうなルイズブレンを見て満足気なルイズ
ほのぼのとした休日の昼下がり
こんな光景が脳裏を過ぎった
無機物召喚系――ハガレンから賢者の石、なんて召喚したら大変な事になるか。
争奪戦が起きたら血みどろの戦争に。しかも消耗品ですし。
ブレン召喚は何気にほのぼの風味になりそうな気がする
「私の想いを受けて生まれたバロンズゥは無敵なんだから!
ちい姉さまの為に死ねえーっ!」
みたいな叫びも聞こえてくるんだぜ
ワルド「氏ねよやー!」
まあオーガニック的な何かって単語が頻出するSSになるけどな。
毛先までツヤツヤツヤツヤなアレか
>>733がそんな事を言うものだからこんなん考えちゃったよ。(小ネタですらなくてスマソ)
『悪魔城ゼロキュラ』
悪魔城ドラキュラのシモン・ベルモンドを召喚。
鞭も第一段階でサブウェポンもない初期状態からスタート。
■STAGE1
プロローグ。
追いかけてくるルイズに接触されないよう時間内に避け続ければルイズが疲れてタイムアップでクリア。
接触された場合はルーンが刻まれて気絶し、強制的に次のステージへ。
※ルイズを攻撃するとタイムアップがなくなり、四方から魔法が飛んでくるようになるので注意。
・攻略ポイント
空中に配置された足場を上手く利用して跳ね回り、ルイズの追跡をかわしていこう。
■STAGE2
食堂からスタート。
野次馬の生徒を撃退しながら廊下を突き進み、ヴェストリの広場まで進むとワルキューレが出現。
7体のワルキューレを全て倒すと最後にギーシュが出てくるので、鞭で一回叩いて降参させればクリア。
※しつこく攻撃すると眠りの鐘で眠らされて引き分けになるので注意。
■STAGE3
深夜の学院。
背後から襲い来る火球と爆発を避けつつ庭園を突き進むと、本塔付近にてゴーレムが出現。
ゴーレムの肩に乗るフーケに一定量ダメージを与えるとゴーレムが退却してクリア。
オススメサブウェポンはギーシュ特製・青銅の斧。
■STAGE4
フーケの隠れ家。
森の魔物を倒しながら進むとフーケの隠れ家付近でゴーレムが出現。
この時、隠れ家内の箱を壊して破壊の『聖水』をゲットしておくと便利。
※腕に自信のある人はサブウェポン×同時鞭当てのウラ技でゴーレムを瞬殺してみよう。
■STAGE5
ラ・ロシェール岩場。馬を走らせつつ進む強制スクロール面。
並走する馬達を足場にしてルイズに飛んでくる矢を一つ残らず叩き落そう。無事宿屋までゴールすればクリア。
※ルイズに3回矢が当たるとゲームオーバーになるので注意。
・オススメ攻略法
ルイズの頭上でしゃがみ込んでずっと鞭を回し続けていれば楽勝でクリア出来るよ。
■STAGE6
ラ・ロシェール空港。スタート地点は燃え盛る宿屋から。
無限に現れる傭兵地帯をしのぎつつ街を突き進むと三度フーケゴーレムが出現。
ゴーレム撃破後は空港内へ。上方から落ちて来る即死判定の落雷を避けつつ階段を昇りきると仮面の男が出現。
(一定量ダメージを与えて仮面を破壊するか、時間切れで飛行船が出港すれば退却する)
仮面の男を退けて無事跳ね橋が閉じきる前に飛行船へ乗り込めばクリア。
※船に乗り遅れた場合はシルフィードに乗ってアルビオンへ向かう分岐ルートへ。
■STAGE7
ルイズ一行が乗り込んだ飛行船は魔物が巣食う幽霊船だった。
救援に来た海賊船に乗り込むべく、魔物を撃退しつつマストの頂上を目指す。
■STAGE8
ラストステージ。攫われたルイズを救出する為、悪魔の巣窟と化したニューカッスル城に突入する。
数々の難所を乗り越え、礼拝堂まで辿り着くと吸血鬼化したワルドラキュラが出現。
4体の分身を撃破し、最後に残った本体を倒せばオールクリア。
崩れ去るニューカッスル城を眺めつつ感動のエンディングへ。(1面にてルイズに接触されたか否かで内容が変化)
※クリア特典としてルイズがプレイヤーキャラとして使えるようになるルイズモードが出現。
続編のゼロキュラUではトリステイン中を歩き回るアクションRPG仕立てに。
…ステージ1をクリアするとどうなるんだ? エンディングか?
>>812 普通に次のステージに進むんだけれども
クリア時に入る得点が多めになるんよw
ハルケギニアをあのBGMでのしのしあるく筋肉男を想像してしまう
>813
但し、武器の威力、素早さ、耐久力の下がるハードモードと
それとも元のがイージーモードだろうか
>804
ブレン召喚なら、
プレート状態で召喚され、契約のキスでリバイバル。なんてシーンがありそうですね。
役どころでは、クインシー・イッサーがエレノア姉様、ジョナサンとバロンのポジションは、
性別を逆転させてイザベラとジョセフってのはどうでしょう。
ブレンの召喚は出来ても勇みたいな濃い富野節のキャラは召喚出来ないだろうなあ
キシン流奥義!
ルイズがプレートをブレンパワードにリバイバルした事により、ハルケギニア中で確認されていた謎の物体の正体が判明。
グランチャーが空を埋め尽くし、メイジが意味を成さない悲惨な戦争が始まる……なんて事になってしまうので、自分では書けないネタだなぁ。
しーろーのートーミノーはー
富野じゃーなくて白トミノー♪
>>817 姉妹スレで荒木節が再現されてるんだし富野節も大丈夫じゃないか?
勿論、俺には不可能だが。真の富野節を楽しむならハゲのインタビューと小説を読むべし
ああ、鏡俊也さんに弟子入りしてぇ……
>>820 IN MY DREAMのBGMでおk?
オーガニック的な何かでゼロ魔の登場人物の毒気が
根こそぎ抜け落ちていきそうだな
シーラ・ラパーナ浄化を!
悪魔城繋がりでドラキュラXのアルカードを。
使い魔の剣とデルフの二刀流で攻守において完璧だ!!
そういえばエルフ耳でも魔法使えないキャラっているよね。
SO2のチサトとか。
なせばなる!デルフリンガーは男の子
ゼントラーディとか。エルフ耳で魔法なし。
クラン・クランをマイクローン状態で召喚して、最初はエルフの子供と騒がれる。
宝物庫の中身がマイクローン装置で巨人に戻ってフーケゴーレムと肉弾戦。
まで妄想した。
>>779 白モットならシャーリー・メディスン召喚の奴がそうかもしれない。
更新が停滞気味なのが悲しいが。
フーケゴーレム30メートルあるんだが
大抵のロボットより大きいのよね
バルキリーと同サイズのプロトデビ……ゼントラーディの皆さんは如何程?
>>719 なぜか「ジャン・ジャック・ジャックポット・ジャスティスブレイカー・ドレスデン」という名前が脳裏を
>>829 ヴァルキリー(バトロイド形態)と同じくらい
うわ・・・なんか変な事言った
>>831は忘れてくれ
スパロボはバランスブレイカーになりゃせんだろか…
性能的に
wikiだと約10メートルってなってるな。三分の一
ガンダ補正つけて巨大な剣でも錬金で作ってもらえばなんとかなるかも。
>>834 おまえさん例えば5〜6メートルぐらいある人間に立ち向かえるか?w
>825
設定上だけなら回復魔法使えてもおかしくないんだよ
あとは悠久幻想曲シリーズのエルが魔法使えないエルフか
>>835 おいおい、30メートルのゴーレムに立ち向かったサイトはどうなるんだよ
関係ないが、「♪身長57m、体重550t〜」と言うフレーズで有名なコンバトラーVのEDを久々に聞いてみたら、
ほんとにそこの部分しか覚えてなかったことに気付いた
>>819 ピンク色のルイズブレン
オレンジがかった赤のキュルケブレン
スカイブルーのタバサ(シャルロット)ブレン
何となく淫猥な蛍光ピンクのアンリエッタバロンズゥだな
なんかキュルケブレンは途中で死にそうなイメージが
何故だ
黒いワルドグランチャー
エルフの発案地英国でも大人気なエルフ耳と言えばリンクだな
弓やらなんやらと武器や道具でカバー。一応魔力はあるけどね
ワルド「ルイズは、僕をメッセンジャー・ボーイにしたのか!
そのために見逃してくれたというのか!彼女は!」
こうですかわか(ry
>>829 約10mだね。
SDF−1マクロスの艦内構造からゼントラーディの体格がそれくらいだと推定して
格闘戦ができるようにバトロイドの全高を10mくらいに設定したら、実際には連中機動兵器に乗っててもっとでかかったです
という開発者涙目なエピソードがあるんだよなマクロス。
>>839 アンリエッタなら最初はグランチャー
後に誘拐イベントでバロンズゥに再リバイバル、というほうがちょっと格好良いかもしれない。
リンクは作中で喋る描写が少ないから少し難しいかもしれないけど、逆に交流をはかろうと四苦八苦するルイズという面白いものが見れそう。
FF[のゼルを召喚したくて、ネタ集めのためにまたプレイしてるんだが、だんだん風神と雷神がタバサとシルフィードに見えてきた。
お台場のガンダムを見た後では、全長約30メイルのゴーレムに剣で立ち向かうとか正気を疑いたくなるわ
全長18mのRX-78でも充分凄かったのに、更にその1,5倍なんだぜ……
>>836 PS版アンサンブル2の警告ボイスでは、何故かプロテクション(魔法)使ってるのよな
あの怪力エルフは、克服イベント通過後なのだろうか
あと、武器屋に住み込みしてるから、デルフ購入の件でも目利きでちょっと活躍できそうな
リンクな、以前召喚されてたけど音沙汰がないなぁ
アニメだといまいちスケール感の無いゴーレムだったけど、
確かに設定では実寸大ガンダムより大きいんだよね。
ルイズもさぞかし怖かったろうに・・・。
さらに言うなら、横にもでかいし腕もでかい。
腕を振り上げたらとんでもない威圧感だな。
エルフネタで悠久の車輪からってのを妄想したことはある
・ガーベラを召喚
髪の色と胸のサイズでルイズと共感
・キャッツポーを召喚
これなんてティファニア?
魔法使い共は堅固な城塞に立て篭もって抵抗を続けている
敵も必死だ
我々も手段を選んではいられない
火炎放射器だ
奴らを焼き尽くしてやる
>>816 「ねえルイズ、覚えてる? あの時の事…」
「ゴメン、姉様。覚えてない!」
汚物は消毒だ〜!!
>>848 まぁ環境的にある程度見慣れてるだろうし
何より母親があんなゴーレムより圧倒的に強い上に、お仕置き程度であのクラスのゴーレム感嘆に粉砕できるものぶっ放してくるから
>>811 どうしても魔界村でイメージ変換されてしまった。
ゴーレムVS鉄人28号
このスレにいると原作見てもいない作品の知識がどんどん増えて困る
増えすぎてもう何がなんだかほとんどわかんなくなってしまった
だれかワンピースから白ひげ召喚してくれ
ここは物乞いをするところではござらん
>>845 よし、俺式ファイナルヘブンのために惑星一周だ!
……スコールのブラスティングゾーンも人間技じゃないけど、ゼルやキスティスもびっくり超人だよなぁ。
>>848 そのサイズのゴーレムに単身立ち向かい
全盛期の力じゃないのに拳一つで粉砕したジール・ボーイ
マジすげぇ
ワルドの一人称が拳王様ばりに安定しない件について
>>825 アルカード「百にして一なるものよ、ここに集え!」
デルフ「俺を使えよ……」
ってな感じだな?
なんかファンタのCMを思い出すぜ。
アルカードはいい声すぎてヤバイ
アルカード召喚したらガチで風が最強になるな(ヴァルマンウェ的な意味で)
肉体スペックがバケモン、召喚使える、使い魔がいる、体力吸い取れるってどこのチートメイジさんですかって話になるな。
そこで、悪魔城伝説の アルカード召喚だろ。
>>868 もちろんアルカードの使い魔は「ぽちっとな」だな
ゼルダの伝説・・・・・・・・・にわとりかワンワン召喚
七万が十万だろうと無敵無双
ところでディケイド召喚2作はどうなったのだろう
ヒント:流行物は大体長続きしない
投下すると特撮はうんたらいい出す人がいるからしばらくはないんじゃねえの
そして流行物以外もほぼ長続きしない
流行物でもキッチリ完結させるのはプリキュアの人ぐらいだ
違わい、終局図は何となく頭の中にあるんだけど、そこに至るまでの経緯が長すぎるだけだい
アルカードは服装で貴族と思われるな。いや、間違いなく貴族なんだけどね。
あとヴァンパイア(ハーフ)と知ったらどう反応するだろう。
第一海兵師団Miller二等兵召喚
ところで陰陽師キャラとか召喚されたことあったっけ?
レッツゴー陰陽師?
>>880 陰陽師って符を使ったりもするじゃんその辺考えてたら、
「コア・イクスが符に問う……其は何ぞ」
と、まぁ影技のほうに思考が行きました……「G」の人復活しないかなぁ……
あと、アルカードでふと思ったこと、服装も佇まいもそうだが、気まぐれで本名名乗っても貴族と認識されるよな?
アルカード「ほう、お前が私を召喚したというのか? 面白い、私の名はアドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュだ」
いや、上記の台詞は言いそうもねぇがな……
まあ自分も孔雀王の王仁丸とか、夢枕獏の阿部晴明くらいしか知らないわけだが
(王仁丸は厳密には違うんだっけ?)
アルカードって日本名があったよな
符術師・・・・・・・一清道人召喚
そういやあれほど「濃い」連中揃いだというのにBF団も国際警察機構(国際警察連合でも可)
も殆ど呼ばれてないな
やっぱ主人公なハズのルイズの影薄くなり過ぎるのが原因か?
>>885 バビル召喚ではスーパー横山大戦〜ゼロ魔もあるよ!〜になってたからな
例の顔でタバサお出迎えするセルバンテスとかもう不振人物すぎて吹く
元ネタのほうも匂わせながらあくまで主題はゼロ魔ってなるとあんまり濃いのは使いにくいな
陰陽師ねぇ……
いっそギャグ日和の阿部さんで。
よく吐くけど。
>>884 生まれ変わって人間(日本人)になった、父上を見守りにご近所に住んでた時に
日本人としての【有角幻也・ありかどげんや】って名前も持ってる
陰陽師てっと・・・加藤保憲召喚がありましたよね。
陰陽師というと、よく触手と絡んだりする(ry
>>856 鉄人は風竜以上の速さで空を飛べるから
ゴーレムだろうが艦隊だろうが軽く蹴散らせるだろう
猫まっしぐらな人もいるな、陰陽師
>>892 しかし操縦者の目の届く所でないときちんと動けないので
その速さをイマイチ扱い切れないのもまた事実
まあ「鉄人!ガンバレ」ですんでしまいそうではあるが
「スーパー横山大戦」では鉄人を操縦するシエスタがステキ過ぎた
鉄人への命令は「いけ!」と「やれ!」で大体済むからなぁ
>>882 そこでコア・イクスかよw
普通にフォウリィーでいいじゃんw
そんな!符に伺いも立てずに?!
>>896 だって、原作で一番はやく出た【すいれーむ】だぜ? コア・イクス
符術師といえば金票さん。死んだ後に召喚されても全く喜ばないだろうなあ
死ぬ前だったらキレそうだけどw
逆に一番はじめのシーンでギャラリーに「る…ルイズが異世界人を召喚したぞ…!!」と言わせるキャラってどんなだろう
「異世界人」なんて概念が咄嗟に出てくるのは現代日本のオタクくらいだw
人型だけど亜人程動物的ではなくそれでいて人でもない生物か。
ジェダぐらいしか思い付かん。
寄生獣のミギーは原作でも初日に宇宙人呼ばわりされてたけどなあ
「確かに。私はハルケギニアのどんな図鑑にも載っていなかった」
予約がなければ投稿するが…
次スレの方がいいかな?
>>904 だいぜうぶだと思うのですよ
あと出来ればタイトルを教えて欲しいのですよ
失礼、なら17:00から投稿する
初投稿で、クロス元はバッカーノ!。
後ifもの。
題名は「赤目の使い魔」
いいですか?
908 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:05:57 ID:upIZUu9L
少し遅れた
ではスタート
雲ひとつ無い空、まさしく晴天の天気の下で、おおよそ似つかわしくない爆発音が響く
音源は、荘厳な造りの、西洋の王城を思わせる建築物。
しかし、それは城ではなくれっきとした『学校』であった。
名を、トリステイン魔法学院。その名の通り、魔術の教育を行う場である
今も、その建物の中では授業が行われている。それも、今後の成績、学校生活、ひいては人生さえも大きく左右する内容のものが。
そこに再び響く爆発音。
生徒が一人、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの、通算12回目の「サモン・サーヴァント」失敗であった。
909 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:06:44 ID:upIZUu9L
「………ぅぅぅぅぅうううううううっ!」
もうもうと立ち込める煙の中、桃色の髪を振り乱し、童顔の美少女ルイズは、その容貌に不似合いな癇癪を起こし、人目もはばからず歯噛みし、地団太を踏む。
彼女の視線の先、いち早く煙が晴れた爆発の中心には、前後で変わらず何も無い。それは、「サモン・サーヴァント」の失敗を如実に表していた。
その様子を見て、担当教師であるジャン・コルベールはかぶりを振る。
「ミス・ヴァリエール。残念だが、今日はここまでとしよう」
口調は諭すように優しいものであったが、それを聞いたルイズはびくりと体を震わせて、必死に食い下がる。
「そんな!お、お願いですミスタ・コルベール!どうか、続けさせてください!」
その必死な様子に周りの生徒から失笑が漏れるが、気にしている余裕は無い。
ほかの生徒が皆使い魔を連れている中、たった一人でいる自分へ向けられるだろう嘲り、侮蔑を思えば、何倍もマシだった。
910 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:07:43 ID:upIZUu9L
「時間も押している。それに、他の方達のことも考えるんだ」
彼の言うとおり、最初こそ生徒たちもルイズが失敗をするたびに、馬鹿にした笑い声を上げていたが、
五回目を超えたあたりからそれらも成りを潜め、顔に浮かんでいた嘲笑も、十回目を越える頃には単調な場景に対する辟易としたものへと変わっていた。
しかし、ルイズも引くわけにはいかない。
「お願いです……、どうか、後一回だけ…」
懇願するような彼女の様子を見て、コルベールは困ったように唸る。
彼とて、このまま彼女だけを未遂のまま終わらせるのは忍びない。
しかし、教師としての責務も軽々しく無視するわけにはいかない。
しばらく、彼は俯いて考えていたが、
「……これで最後だよ。必ず成功させなさい」
結局、天秤は生徒への情の方に傾いたらしい。
「は、はい!」
顔を輝かせて返事をするや否や、ルイズは直ぐに真剣な面持ちで魔方陣へと向き直る。
ワンチャンス。そう自分に言い聞かせ、彼女は大きく深呼吸をする。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴える! 我が導きに、応えなさい!!」
唱えるというよりは、叫ぶに近い彼女の呪文。
その後、暫しの沈黙が流れた。
成功か、とルイズは顔を輝く。
しかし、そんな彼女の目前で通産13回目にして本日最大級の爆発が起きた。
911 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:08:55 ID:upIZUu9L
爆風を身に受けながら、ルイズは膝をついた。
自分への情けなさ、恥ずかしさ。そのすべてがこみ上げてきて、その双眸に涙が浮かぶ。
「うぅ…」
思わず両手で顔を覆う。
おそらく、あと少しもすれば周りから貶され、罵倒され、蔑まれるのだろう。彼女は身をこわばらせた。
しかし、何時まで経っても周りから言葉らしい言葉はかけられない。
ざわ、ざわ、と聞こえるのはどよめきのみ。
流石におかしい、彼女はそう思って、恐る恐る顔を上げる。
そして見た。煙の中で揺らめく、確実の先程までなかったモノの姿を。
「あっ!」
ルイズの表情が歓喜にあふれた。
さっきまで浮かんでいた絶望の色は、最早顔面のどこにも見受けられない。
視界が晴れるのに比例して、彼女の期待も右肩上がりで上昇する。
知識の象徴であるグリフォンだろうか。はたまた力溢れるドラゴンだろうか。前置きの長さの分、上昇の比率も倍加する。
そして、煙が完全に消えた先にいたのは、
「…………………人間?」
それは、うつ伏せに倒れた人間であった。
体系から見るに男だろうか。茶色でセミロングの髪を紐でくくり、貴重となる上着、ズボンはどこと無く赤黒く、襟元は真紅となっている。見る人によると中世の貴族のような印象を与えるが、そう判断できる人物は少なくとも『この場』にはいなかった。
彼らにとって一番重要だったのは、それが魔獣でもなんでもなく、ただの人間であったこと。
そして二番目に重要だったのは、その者が貴族の象徴であるマントを身につけていなかったこと。
即ち、
「平民?」
遠めに見守っていた生徒の間で聞こえたこの一言。
まるで、それが起爆剤になったかのように、彼らの間で先程までの爆発にも劣らない大きさの笑い声が起こる。
支援
913 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:10:41 ID:upIZUu9L
「おいおい、何かと思ったら平民かよ!」
「少し期待しちゃったじゃない!」
……あんまりだ。
罵声を受けながら、ルイズは肩を落とした。
散々焦らしておいて、召還されたのは只の平民。これならば、延期してでも万全の調子で臨んだほうが良かった。
恨みますよ、始祖ブラミル。
「ミスタ・コルベール、儀式のやり直しを…」
「出来ない。残念だが」
最後まで言えずに否定された。
往生際が悪いと彼女自身も感じる。が、しかし、平民を使い魔にするなんてものも彼女にはありえない選択肢だ。
「お願いです!明日でも明後日でも幾らでも延期してかまいませんから!」
「伝統なんだ。ミス・ヴァリエール」
にべもなくコルベールは続ける。
「召還された以上、平民だろうがなんだろうがあの人間には君の使い魔になってもらうしかない。これは絶対の掟だ。」
万事休す。八方塞。ルイズは方と共に頭も垂らした。
のろのろふらふらとした足取りで、魔方陣の中心へと向かう。
男は相変わらずうつ伏せのまま動いていなかった。
ルイズは溜息をつくと、男の体を揺り動かす。
「ほら、起きなさい」
それでも、男はピクリとも動かない。
しばらく手を止めなかったが、数分経ったところで我慢の限界が来た。
914 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:12:14 ID:upIZUu9L
「いい加減に…」
しなさい、と言う言葉と共に、男の腹に手をまわして無理やり仰向けにしようとする。
しかし、
どろり。
手の広に不愉快なぬめりと暖かさを感じた。
「えっ?」
生理的な嫌悪からか、ルイズは素早く手を引っ込める。
見ると、手は袖口まで真っ赤に染まっていた。
「あ」
そこで、気付いた。
男の服の一部が切り裂かれており、服の赤黒さはそこから広がっているという事。
男の体の下から少しずつ赤い領域が広がっている事。
男が少しずつ、しかし確実に死へと向かっている事。
「あ、あ、あぁぁぁあああっ!」
取り乱したルイズを見て、コルベールが慌てて駆け寄る。
「どうした!ミス・ヴァ…!」
そして、目の前の惨状に気付いた。
驚愕して目を見開くが、年長者というだけあって状況の判断も早かった。直ぐに大声で周りの生徒に呼びかける。
「水系統のメイジを!他の者は救護室に向かえ!」
915 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:13:10 ID:upIZUu9L
何事かと覗き込んでいた彼らも、状況に気付くと血相を変えた。ある物は魔方陣のもとに走り、またある物は外へと飛び出していく。
「あ……あ…」
見ると、ルイズはまだ冷静を取り戻していなかった。
コルベールは落ち着かせんと彼女に駆け寄る。
「ミス・ヴァリエール、冷静になれ。出血は酷いが、まだ生きている」
彼の言うとおりその男の首筋はまだかすかに赤みが差している。
それを見て、ルイズもいくらか落ち着きを取り戻し、呼吸も落ち着いた。
そこに、
「う…ぁ………」
男の口元から、くぐもった呻き声が漏れた。
「だ、大丈夫!?」
いち早く反応したのはルイズだった。
男に顔を寄せ、大声で呼びかける。
男が顔を上げ、その目がゆっくりと開いていく。
そして、彼女と目が合った。
「…え……?」
916 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:14:17 ID:upIZUu9L
当惑の声を発したのは、ルイズ。
男の顔は、どちらかと言えば端正なほうだ。まだ若く、青年と呼ぶのがちょうど良い。
服の調子と相まって、どこか高貴な雰囲気を感じさせる。
混乱の原因は、男の目にあった。
本来白いはずの部分は、すべてが真紅に染められており、瞳は逆に淀みのない純白。
色相を反転したような眼球の中心に、すべてを飲み込むような漆黒の瞳孔。
明らかに、異常。
しばらく視線を交わしていたが、やがて男が静かに口を開く。
そこに見えたものによって、ルイズの頭は強制的に驚愕から恐怖へと変換された。
男の歯は、その全てが鋭く研ぎ揃えられた八重歯であった。
普通ならば切歯や臼歯が存在する場所にも、等しく槍のような犬歯が生えている。
その青年がいた場所では、その外見からしばしば「吸血鬼のようだ」と言われていたが、『この場』の吸血鬼はまた違う外見をしているため、そのような言葉を発するものはいない。
しかし、それ故にその容貌は周囲の人間を理解不能な恐怖へと叩き落す。
917 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:15:29 ID:upIZUu9L
口を開いた青年は暫しひゅうひゅうと呼吸をしていたが、
やがて、笑った。
笑うと、生えそろった八重歯がうまく噛み合わさり、その不気味さがさらに増す。
しかし、青年の顔に浮かんでいるそれは、まさしく微笑みといっていいほどに穏やか。
異常なコントラスト。周囲にいた人間はみなそう思った。
そして、青年は言葉を紡ぐ。
「やぁ…………」
あくまでも、優しく、朗らかに。
「友達に…ならないか?」
918 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 17:18:44 ID:upIZUu9L
投下終了。
バッカーノ!よりクリストファー・シャルドレードです。
お疲れ様ー
原作知らないので楽しみにしてます
乙。
誤字があるので気をつけたほうがいいぜ。特に固有名詞。
名前けっこういい加減に覚えてたりするよな。
シュヴルーズ先生をずっとシュヴェールズだと思ってた。
>>921 某皇太子「あんなおばさんの名前と合体させるとは失礼な。仮に合体するなら私はアンアンとアンアンしたい(もちろん性的な意味で)」
923 :
赤目の使い魔:2009/09/08(火) 18:31:31 ID:omwffFzC
「ブラミル」→「ブリミル」
「方」→「肩」
…orz
他に有るかな?
たまにマルコリヌかマリコルヌか分からなくなる事がががが
ずっとマゾコリヌだと思い込んでたよよよよよよ
そういえば学校にスクウェアクラスは何人いたっけ
他の人もそうだけど「召還」と「召喚」
意味が全く逆だからね
>>885 小ネタはわりとあるぞ。
内容的にはミスター味っ子風だった署長召喚とか。
>>928 そういえば大塚署長の能力に
「正太郎と鉄人に召集をかけて使役できる」
ってのがあったような
ハルケだとどうなるんだろう・・・ドキドキ
>>926 一応明言されているのは10巻以降のタバサだけ。
描写から見ると、オールド・オスマンと遍在を使えるギトー位。
後、スクエアに限りなく近いトライアングルは、コルベールとキュルケと10巻以前のタバサそれからおマチさん辺りではないだろうか?
そういやタバサはレベルアップしてたな
感覚的にはマリコルヌもトライアングルにはなってそうな気も駿河w
マリコルヌは恋愛絡みで嫉妬するとトランザムが起動されるよな
>>921>>924 ゼロ魔の人名でよくある間違いといえば…
×シュヴァルーズ
○シュヴルーズ
×マリコヌル
○マリコルヌ
×シェスタ
○シエスタ
×ジョセフ
○ジョゼフ
×ティファ
○テファ
×ヴィダーシャル
○ビダーシャル
ぐらいなもんかな?
マリコヌルだけ今までずっとマルコリヌだと勘違いしてたわ…
赤目って言うからミルズ大尉かと思ったぜ…orz
やだ…なんかこのスレヌルヌルする…
マリコヌルの覚え方は魔法少女マリー・コヌルちゃんでおk
なんか最近キャラ名隠してる奴多いな、読む前から地雷と分かるから読んで後悔するより幾分かマシだが
そうかギトー先生には偏在があったか…
ハリポタのやつ無いんかな・・・
性格故に表立ったことはしないものの平民には優しげにその力を使う
なんて魔改造シエスタを見たいがどんな作品がいいかのう
あと次スレの用意をそろそろ…
>>941 JOJOスレの波紋使いシエスタを思い出した
>>941 タルブに祖父から子へ子から祖父へ伝えられる魔法以上の強い力が流れ着いたなら…
>>882 お前は俺か。
マジでここ数日コア・イクス召喚のプロット練ってたぜ。
フォウリィーだと強すぎるし、コア・イクスだと程よい強さで
しかもメインの話にあまり関わってないので動かしやすい。
スイレームだと呪符発動までタイムラグがあるのがいい。
そのタイムラグを利用して緊張感を作り出せる。
しかも、罠や搦め手もできるから話にバリエーションが生まれる。
いざとなれば大アルカナや死爆符と言う大技もある。
誰か書いてくれねえかな、マジで。
マルヌリコルヌ
アルカードさんなら7万くらい余裕だな
ソウルスティール一発で完全回復して無限に戦える
>>942 お預かり作品の方に無かった
リンクくれ
JOJOは別サイトなんでリンクから飛べ
「仮面のルイズ」だったかな
>赤目の使い魔
元ネタ知らんが吸血鬼っぽい人なのか?
吸血鬼モノならバンパイアハンターDを呼んで欲しいな。
交渉しだいで、帰還する間は使い魔に付き合ってくれそうだし、
あまりの美貌に契約しようとして失神するルイズとか左手とデルフの
掛け合いとかも面白そう。
>>933 ×モンモンランシー
○モンモランシー
はどうだろう?
コア・イクスなんてキャラつかめるほど出番あったっけw
でも本編にフォウリィー以外スイレームってあんまり出てこないよね。
小説版に出てきたブロッシュとかはキャラも強烈で面白いかもしれない・・・ルイズがひどい目にあいそうだがw
>吸血鬼モノならバンパイアハンターDを呼んで欲しいな。
DのはもうあるんでまとめサイトにGO
アンタに俺の肉を食ってほしい
すまん誤爆った
なんかの吸血鬼ネタかと思った
このスレは
>>950を越えました。
そろそろ次スレを立ててください。
誤爆からネタを抽出とかいてドローする
AMON デビルマン黙示録過去編からシレーヌ召喚・・・してどうするってんだ
しかし、美樹ちゃん殺されてデーモンとの決戦に挑もうとしている明を呼んでしまったら
果たしてどうなるだろうか
サタン殺すことしか目的も生きる意味も残ってない明が
それを果たせない、しかし比較的平和な世界に来てしまったらば・・・
アイディンティティー崩壊してそれこそアモンに乗っ取られてハルケおわたになっちまうのかな
>>950>>953 正確にはジョゼフが浪蘭幻十を召喚した“ゼロの魔王伝”だね。
ルイズがD、テファがメフィストを呼んでいた。
>>958 あの明は完全に人間に見切り付けてるし、喚んでも意味ないだろ。状況把握する前に皆殺し
それだったらルイズを美樹ちゃんの代わりの存在にした方が物語が成立する気が
最後はジョゼフの喚んだ了と死闘を繰り広げ、闘いが終わった時にブリミルが降臨して完、だな
せめてスレが立つまでは自重した方が良いと思うんだぜ?
とりあえず、スレ立て挑戦してくるから期待しないで待ってて欲しいんだぜ。
962 :
使い魔の達人:2009/09/08(火) 22:19:21 ID:cNRzwhPg
>>962 おめでとう、ありがとう。GJ!
それにつけてもカズキてめぇ!
>>963 乙です〜
>>962 これからもがむばってください。
ふむ……ハラキリではなくお粗末と……
>>952 闘技祭で決勝に残る程度の実力で、
試合前に決勝の相手を闇討ちしようとする程度の腹黒で、
邪魔が入ると逃げる引き際の良さもあり、
クルダ傭兵として王と街を守る忠誠心を持っていて、
ガウを一方的にライバル視している。
十分じゃないかw
>>967 あと、傷を癒しに湯治に言って、その湯で出会った人と意気投合して怪しい雰囲気になる、とか
GEOでH×H立ち読みしてたらカストロ召喚したら結構役に立つんじゃね?って思った
偏在もどき使えるしマントつけてるから一応メイジっぽいし
>>962 >>963 乙なんだZE☆
もしもーし、蝶人さん?
お探しの偽善者の場所特定できたぜ?
あと、忠告だがブチ撒けの女連れていった方がいいぜ
>>967 取り合えず
>クルダ傭兵として王と街を守る忠誠心を持っていて、
ここが確実に面倒な事になるな。
それに、系統魔法以外の魔法を迂闊に使用すれば先住魔法扱いされるだろうし。
つーかさ、こいつに限らず術士系キャラ全般に言える事だけど、少なくとも自発的にゲートを潜る
可能性が皆無に等しいのがなぁ。
まずそこをどうにかする必要があるね。
それと「デルフ涙目、主に出番的な意味で」になり易いしなw
>>971 水平に足下にゲート開けば良いんでない?落っこちるよ。
事前の説明なかったにせよ結局はサイトが自分の意志で突っ込んだからなあ
不可抗力で突っ込んだパターンって原作には無いよね?
自分であんなあからさまに怪しいものに特攻するようなやつで面白い活躍が期待できそうなのってどんなキャラクターがいるだろ
>>971 アイザティースなら追っ手から逃げ切れなくなってゲートに飛び込むとかあるかも
ただ、相手を殺せば強くなる考えの持ち主だって事を考えると、いざ召喚してもかなり危険
サイトの意志といえばサイトって17歳なのに出会い系に登録してたよな
出会い系は18禁なはずなのに
赤目の人乙。
知っているか?
成田良悟作品関係で誤字脱字が起きると、成田病(感染症)と信者は呼ぶんだぜ……?
遅ればせながら赤目の人乙!
瀕死で喚ばれて「友達にならないか」ってことは1933終了時からってことか……
続きを楽しみにしてます。
あとあれだ、誤字脱字が多いのは成田病に感染してるからだよ。
978 :
赤目の使い魔:2009/09/09(水) 02:05:29 ID:YiqCjz/x
予想外に知名度が低くて泣いた。
まだまだマイナーなのか…
>950
目と口が異常なだけで、吸血鬼的な要素はほとんどありません。
強いて言えば、年取らないぐらい。
>976-977
調べたらサイトが作られててフイタ
診断に全部引っかかってさらにフイタ
人間が好きなキャラが召喚されたら戦争になったら戦うのだろうか
>>973 「こんな怪しいものは放っておけねえ。俺が飛び込んで確かめてやる」
「いや、そんな危険な真似させられるか。俺が行く」
「いや、俺が……」
「「どーぞーどーぞ」」
という流れでD倶楽部がw
カリン様の超聖水
ゴレイヌを召喚。ただしジェイソンさんの創造物の方の。
「作り物の扱いは慣れている」
「ああ、僕のワルキューレが一ひねりでっ!?」
「く、私のゴーレムをこうも容易く……」
「どうして貴様は偏在を見破れるんだ!」
>>978 フィーロ、ミリアアイザック辺りならそこそこ違ったんじゃないかなと予想
>>981 カリン様の聖水…なんて卑猥なんだ
と思ってしまった俺は病んでるかもしれん
>984
安心しろ。「かもしれん」はいらんw
>970
一応年代がずれることを考えて冬眠ポッドも準備だw
亀だが、赤目の人乙
クリスはセリフを考えるのが間違いなく難しいけど、頑張れ
詩人より余程マシだけどw
デーモンの召喚
>>987 「デーモンの召喚」の召喚なのか、デーモン小暮を召喚するのか
仮の姿である小暮某なら使い魔をやってくれんことも無いかもしれないと思ってしまうw
相撲が無いからダメだよなぁ……
>>988 契約時にルイズと合体してデビルマンレディーなルイズとか
うめ
ここで『梅』と言ったら品癪モノだろうか。
>>993 よくあることだから気にしない
むしろより斬新なアイデアでないとひんしゅくすら買えないぞ
>>990 そこで相撲文化を立ち上げてハルケに根付かせるんですよ!
宇目
お前ら閣下がヴォーカリストである事をまったく無視しておるなw
うめ
うめ
1000ならカリーヌ様は実はかわいい
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。