Fate/stay night & スレイヤーズ クロススレ3

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416名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/02(土) 22:13:42 ID:/jhX3JMG
test
417名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/02(土) 22:16:46 ID:/jhX3JMG
吹っ切ってはいけないものを吹っ切ってしまったようなゼルの笑い声があたりに響く。
「士郎、大丈夫か」
キン、と澄んだ音とともに剣が弾かれる。
降りしきる宝具を手当たり次第に弾いているとはいえ、やはり打ちもらしは出る。
その打ちもらしが士郎に当たる前、ガウリイがガードに入ったのだった。
「……うん。大丈夫だ。もう立てる」
自分は再起不能になったとばかり士郎は思っていた。
あれだけのダメージを受けたのだ。
人間の思いこみとして、その傷があっさり治るということには気づいていなかった。
しかし、さっきのリナの指摘で、自分が既に完治していることに気づくことができた。

――ならば、最初の目的を果たすまでだ

「イリヤのところに行くんだろ」
「ああ。……ごめん」
その言葉は、自分が始めた戦いなのに、それをガウリイたちに任せることへの謝罪だった。
ガウリイは、笑った。
「かまわないさ。ここは俺たちに任せてーーさっさと行け!」

少年マンガ的さわやかな問答を経て、士郎はイリヤのいる緊縛メイドゾーンへと向かった。
418思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2010/10/02(土) 22:18:02 ID:/jhX3JMG

――しかし

鋭い轟音が、彼の間近に着弾した。
思わず退く彼に、影が迫る。
翻るメイド服。ゆれるうさ耳。
そう、それは赤い方のアーチャーだった。

「悪いが、ここを通すわけには行かん」
赤いメイドガイは、眉間に皺を寄せ、双剣を構える。
その瞳には、強い意志が宿っていた。
「どういうことだ!何故あんたがギルガメッシュに味方するんだ?!」
思いも寄らぬ珍入者に、士郎が吠える。
アーチャーは、鼻でせせら笑った。
「別にあいつに味方しているわけではない。俺はただ、俺の敵を排除しにきただけだ」
ぎり、と奥歯を噛む士郎。

昔の剣豪は言った。敵は外にではなく心の裡にあると。
アーチャーの存在はまさしく、「自分自身」というものが敵になる――比喩ではなくそのものである。
その嫌悪感は、他人に対するそれの比ではない。
何かの考えに異常とも言えるほどに囚われ、ただそれ以外を考えられなくなる。
それは士郎の意志の強さの現れであり、それでいて恐ろしいほどの悪癖でもある。
それが歪みであることを、士郎は普段は意識せずとも、気づいてはいるのだ。
その悪癖を、他の人間の視点として見せつけられる。
それは、普通の人間の精神では耐えがたい、ある種の苦行とも言えるものだった。
419思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2010/10/02(土) 22:19:08 ID:/jhX3JMG
「オマエが何を望んでるか知っている。イリヤを助けた後でいくらでも決着をつけてやる。
 ……だから、そこを退け!!」
「いや、お前は何もわかっていない」
しかし、アーチャーは不思議なことに、何の温度も宿さない目で士郎を見た。
同じく自分を見つめる嫌悪感は相変わらず消えないが、今それは士郎には向かっていないようだ。

「今、私が決着をつけるべき相手はお前ではない。
 お前こそ、そこを退くんだな」
「……へ?」

言葉の通り、士郎を視線からはずし、どこか遠い目をするアーチャー。

「じゃあどうしてここにいるんだ。
 俺の邪魔なんかせずに、さっさと決着をつけにいけばいいじゃないか」
「わからんやつだな。私の決着にお前が邪魔だからに決まっているだろう」
士郎はキョロキョロと当たりを見回した。
ここにいるのは、自分、そして少し離れてイリヤとバーサーカーだ。
ギルガメッシュとガウリイと……何と言ったかややこしい名前の男は、向こうで戦いを繰り広げているし。
ランサーはそのさらに向こうでにやにやしているし。
今まで目立たなかったが、花魁姿の小次郎が、その横で優雅に茶など飲んでいる。
――いや、ひょっとして戦いではなく。

「お前、意外と女装コンテストに優勝するために必死なのか?」
心の底からイヤそうに士郎は問うた。
この男は他人としか思えないが、同時に自分の一面でもある。おかしな趣味を持ってたらイヤだなあと思うのは当

然のことと言えよう。
その言葉に、アーチャー自身も士郎とそっくりにイヤな顔をした。
「バカなことを言うな。別にこんな茶番に用はない」
きっぱりと言い切るアーチャーに、士郎は胸をなで下ろした。
420思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2010/10/02(土) 22:19:56 ID:/jhX3JMG
しかし。アーチャーの真剣な瞳は揺るがない。
はて、それでは自分以外に何か因縁のある相手でもいただろうか。
今回の聖杯戦争を思いだそうとして、記憶がからっぽになっていることに士郎は気づく。
焦っても思い出せない。…この空間のせいか?思いだそうとして頭痛までしてきたとき。
アーチャーが重々しく口を開いた。

「茶番には興味がないが……かぶったのが許せん」

「は?」
思わず間抜けな声を出した士郎に、アーチャーは、さらに言葉を続けた。

「何故メイドがかぶるのだ。メイドは俺だけでいい!!」
「まてえええええええええっ!!!」

ぐぐっと拳まで握りつつ言い切るアーチャーに、士郎は全身全霊でつっこんだ。

「何を言う。お前も思うだろう。形だけのメイドに何の意味がある?
 バーサーカーは茶が淹れられるのか。美味しいご飯が作れるのか。
 掃除は?洗濯は?
 ふっ。言っておくが私は全てをプロ並にこなす。
 メイドを名乗るには、それだけの技能が必要だ!」

「いやいやいやいやいやいや、そこなのか?そこ、こだわるところなのか?」

「だいたい、何故私はこんなにもかぶる?
 アーチャーのクラスもギルガメッシュとかぶっているではないか。
 これ以上のかぶりに……私は耐えられん!」

アーチャーは激昂し、唇をぎりりと噛んだ。
思わずぽかんと口を開けた士郎だったが、はたと最初の目標を思い出し、叫んだ。
「……オマエは、そんな馬鹿なことのために、イリヤをつるしておくのか?!」
「イリヤには気の毒だが、決着をつけるまでだ。時間はかからないだろう……退け」
二人の間に火花が散る。
風が――吹いた。
421思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2010/10/02(土) 22:22:44 ID:/jhX3JMG
「断る。オマエこそ、そんなに女装にこだわるならば」
二人に同時に力が満ちる。
――投影。彼らの唯一にして絶対の武装。

爆発する怒りと気合い。
士郎は、目の前の、敵を睨み、叫んだ。

「オマエこそ――女装を抱いて溺死しろ!!」

次の瞬間、剣戟の織りなす熱と衝撃が、その場を支配した。

ちなみに、本人たちはいたってまじめなのだが、あまりのことに、見ている方は非常に脱力した。
同じこだわり(?)にバツが悪くなった凛が黙ってうなだれたまま横を向く。
戦闘に入り、ぽかんと呆れたままだったリナが、やっと人心地ついたのか、声を発した。

「……アーチャーも凛と同じところが耐えられなかったのね
 ……なるほど、確かにマスターとサーヴァントは似たもの同士」
「そうですねえ、おまけに赤いのは凛さんと、存在すら士郎さんとかぶってますからね」

「なんか言ったゼロス?」
「いいえ、何も」
どこに行っても何を知っているのか尻尾をつかませないおかっぱ魔族は、
人差し指を唇の前に立てて、横に振った。
 
422名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/02(土) 22:26:03 ID:Uo7o1wTw
以上です。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/02(土) 23:34:49 ID:vHhtHYzi
女装を抱いて溺死しろ吹いた
紅茶返せwww
424名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/03(日) 00:13:47 ID:oetot8G0
乙でした!
女装を抱いて溺死しろで吹いたwwwwww
所々シリアスっぽいけど格好を想像すると決まらないなww
425名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/14(木) 10:56:42 ID:tTkKXyBa
小次郎だにゃん!ってネタを思い出した
426名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/23(土) 16:25:56 ID:BAwbgDg1
保守
427名無しさん@お腹いっぱい。:2010/11/11(木) 00:41:11 ID:OtkKYVQH
くそー、保守だ保守。
誰か女装を抱いて溺死しろを絵にしてみようぜ
428名無しさん@お腹いっぱい。:2010/12/24(金) 00:47:40 ID:3EQylKDs
ほしゅ
429思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 22:51:09 ID:Dou8SCKt
ガウリイとゼルは、ギルに善戦しているが、逆に善戦どまりとも言えた。
ギャグ仕様のゼルは無敵の防御力を誇るが、実はゼルも詰めが甘い属性。
いいとこを持っていくにはキャラとしてのパワーが足りなかった。
意外にも戦うとシリアス属性になってしまうガウリイは、ギャグが発動すると、逆に戦いには不利になってしまう。
彼の場合はギャグ空間の中で一人シリアスをやってること自体がある意味ギャグとは言えるが、
やはり最後のキメには弱い。
対するギルはさすがは英雄王と言えようか。
うっかりと慢心を存分に発動させながらも、最後のオチまではギリギリ踏みとどまっている。

つまり、女装に鞭に高笑いまでさせられるゼルには実に気の毒な事実ではあるが。
実はゼルは他の二人を圧倒するにはキャラが弱いのだった。

「あ、ゼルガディスさんが時々我に返り始めましたよ」
「ヤバいわね・・・」
さすがに自棄になったとは言えど、妙なところで結局は常識人。
ふっきったようでいて、高笑いの隙間に、『おれはなんでこんなことをしているのだろう』と我に返る瞬間。
ゼルガディスのギャグの持続性のなさが現れ始めていた。
心配する内容としては多少バカバカしいが、対する英雄王の攻撃力がギャグではない。
ゼルガディスの防御力の低下は、そのまま勝負の決着へとなだれ込みかねない。
あまりのバカバカしさに麻痺していたが、やっと「仲間の危機」という言葉が頭の中で像を結んだらしい。
リナとアメリアがシリアスな顔で心配を始める。
430思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 22:52:21 ID:Dou8SCKt
しかし。

「まあ、ボクも結局はうっかり属性ですから、心配しなくても決着はつかない気がしますけどね」
「へ?今、誰かいた?」
不思議そうな顔であたりを見渡すリナの視線の端に、アリスドレスを着た金髪の女の子・・・
いや、このコスプレっぽさは女装少年か・・・が笑いながら駆けていくのが見えた。
どこかギルに似ているような・・・?
いや、あのギルに似ているなどと言ったら各所(どこだ)から怒られそうなほどに
まっすぐで無邪気な顔をした少年だった。
「おや、どうやら存在と次元がズレ始めたようですね」
少年を見て、ゼロスがなにやら楽しそうに言う。
意味はわからないが彼がこういう風に何かを言うときには、たいていロクなことではないことはわかっている。
「何かヤバいわけ?」
胡乱な目で聞き返すリナに、ゼロスはぴこぴこと人差し指を振った。
「それは・・・秘密です」
「あっそ」
ひょっとしてこいつ単にキメ台詞を言いたかっただけじゃいのかと思わなくもない。
思わせぶり魔族を追求するのも時間の無駄である。
431思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 22:53:38 ID:Dou8SCKt
「ねえゼロスさん」
逆に少し人の悪い笑顔を見えたのは凛だった。
「ゼロスさんは参加しないんですか?」
「いえ、僕は・・・」
ゼロスは困ったような嫌そうな、とにかく渋い表情を作った。
「まあ、いろいろありまして」
彼らしくなく、言葉を濁すような口調に、凛が言う。
「この不毛な争いもいいかげんにして欲しいし。ゼロスさんなら止められるんじゃないですか?」
魔族がどんなものか見てみたい、という気もある。
挑発が透けて見える凛の言動に、ゼロスは表情を変えず続けた。

「まあ、全員を「止める」ことくらいはできますけどね」

特に気負うわけでもなく、ただ淡々と事実を言っただけの彼の言葉に、しかし凛の全身が粟だった。
彼女の中のすべての警報が危険音を鳴らす。
「ま、まー、あんたは死んだフリでもしていればいいんじゃない・・・?
人間なんかと争うのもバカバカしいでしょうし」
リナのフォロー(?)をどこか遠い世界のように聞きながら、凛はゼロスを見た。
人間のように、表情を変えて凄まれたわけではない。
しかしその『恐怖』の絶望的なまでの異質さは、彼女が今まで感じたものとは、どれも違っていた。
432思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 22:54:32 ID:Dou8SCKt
「それにしても、最初の、女装コンテストって趣旨はどこにいっちゃったんでしょう。
せっかくゼルガディスさんを綺麗にしたのに、あんまり意味がなかったような・・・」

お忘れの方も既にいらっしゃるかもしれないが、戦う男どもは全員女装である。

「そういえばリナ、審査ってどうやるつもりだったの?」
凛が思い出したように言うと、リナ・アメリア・ゼロスのスレイヤーズ組は真っ青を通り越して真っ白になった。
「・・・どうしたのよ?」
顔色が尋常ではない。おまけにガチガチ震えだしている。
「凛、それはね。
 名前を言ってはいけないあの方が」
「・・・それ、ファンタジー違いじゃない?」
ハリー・○ッターを知らないのだろうか、アメリアはリナと凛のネタがわからなかったらしい。
不思議そうな顔になった。
逆にどういうわけかゼロスにはわかったらしい。どういう仕組みなのか、なんだか消えかけている。
「とにかく、鶴の一声で
 頭の中に
 だめ、これいじょうはだめ」
「はあ・・・」
接点も免疫もない凛には、ぴんとこなかったらしい。
気を取り直したアメリアが、上手い具合に話を変える。
「でも、このまま終わらないんじゃ困りますよ」
「エンドレス・女装コンテストになってしまうわよね」
凛がうんうんと頷く。うまく話題をそらせることに成功したようだ。
「方法はないんですか?」
唯一、この世界を理解している・・・のかどうなのかは実際にはわからないが・・・
ゼロスを横目で見ながら、アメリアが言う。
ゼロスは首を横に振った。
「僕の口からは・・・。あの方は、この空間を望んでいらっしゃいますから」
「ふうん」
433思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 22:55:13 ID:Dou8SCKt
不審そうな目でゼロスを見たリナは、しかしにやりと笑った。
「まああたしも、手は、ないわけじゃないのよね」

「えええええええ?!」
アメリアが大げさに叫ぶ。
「あるんならさっさとやってくださいよお」
「でもねえ・・・」
リナが渋い顔をした。
「ある意味、反則というかオチとしては使い古されているからつまんないというか」
「でも」
凛がくい、と親指を戦う男共に向ける。
「ガウリイさんたち、ちょっとピンチみたいだけど」
「ありゃ」
先ほどまで拮抗していた戦いは、ガウリイ・ゼル組の一方的な防戦へと変わっていた。
「どうやらゼルガディスさんが我に返ってしまったようで」
見ると、ゼルガディスがすっかり暗雲モードである。
そもそも暗雲モード自体がギャグなので、完敗までには至っていないが、逆転は難しいだろう。

「まあギャグなので死なないだろうけど」
「そうですねー」

もはや見守る側にも全く緊迫感がない。
「士郎さんもちょっと不利みたいですよ」
アメリアの言葉に、凛が「うっ」と呻いてかたまる。
そもそもアーチャーは彼女のサーヴァントであるからにして、その勝利を願う立場にあるのかもしれないが、
だからといって士郎負けろ、とは思ってないようだ。
それに何より、『存在かぶり』に激しく反応する彼から、ちょっぴし凛は顔を背けたがっていたようだった。
だってマスターとサーヴァントは似たもの同士って言うじゃないか。
でもあれと同じとは言われたくない、そんな乙女心。

「と、とにかく、リナ、なんとかできるならちゃっちゃとカタをつけちゃった方がいいんじゃない?」
「そおねえ・・・まあ、それは最後の手段として」
ふう、と深いため息をつきながら、リナは立ち上がった。
「まずは『平和的に説得』してみますか」
「それはいいですね」
好きなキーワードに、アメリアは一も二もなく賛成した。
434思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 22:56:07 ID:Dou8SCKt
「みんな聞いて!」
集音マイクがぶっ飛ぶような音量の林原ボイスが不思議空間に響く。
どんなにうるさくてもピタリととまる魔法の言葉の効能はGPMをやったことのある方々ならばおわかりのことだろう。
全員が手を止めて、思わずリナをみる。

「争いは空しいわ。みんな、戦うのはやめて」
うるうる、と効果音が聞こえそうなぶりっこで、目の中に少女マンガのような星をきらめかせながらリナが訴える。

しかし。

「おまえが言うな」
ゼルガディスがとことんシラケきった目で言う。
うんうん、とガウリイが大きく頷いた。
「さっきお前さんだって・・・」
仲間からの反撃に、じろりと睨みつけ、リナは言葉を続ける。

「ともかく!女らしさというのは髪を振り乱して戦うことで決まるものではないはずよ」
「女らしさってのには異議を唱えたいんだけど・・・」
士郎が困ったように肩を落とす。

「争いで決着をつけるなんて」
「先ほどのミスコンで、率先して『争っていた』のは君じゃないのか、リナ」
アーチャーが心外だとばかりに鼻を鳴らす。
その場の全員が深く深く肯いた。

「えっと、あれ?」
どうして自分が一斉攻撃される流れになっているのか?リナは目をぱちくりさせた。
一瞬で乱れた自分を立て直したのは、さすがといえようか。
多少ひくつく頬とぴくぴくするこめかみを抑えながら、それでも一応『説得』を試みる。
435思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 22:57:27 ID:Dou8SCKt
「いや、あのね」
「イリヤとやらに間違った知識を与えたのは、そもそも貴様ではないのか?」
呆れ顔でギルまでもがつっこんだ。

「聞けーっ!」
全員つっこみを受けては話が進まない。ギャグな乙女モードをすっかり捨てたリナが、さすがに焦れて叫んだ。

なお、リナにつっこみを入れ始めた時点で一応戦いは終わっているため、
当初の目的は達成されていると言えるのだが、リナをはじめ、全員が気づいていない。

「そんなこと言われてもなあ」
ガウリイが頬をぽりょぽりょと掻きながら恨みがましく言う。
「こんな格好させられて、現実逃避しなきゃやってられんぞ」
「あんたは現実逃避で戦ってたんかい!」
「いやそういうわけじゃないが・・・」
困ったガウリイがゼルを見る。
「まあ、今更そんなことを言われても、はいそうですか、と言える状態でもないということだ」
「そのとおりだ。そもそも我は聞き分けのない者共に躾をしていたのであって、争っていたわけではない」
「キャラかぶりはまだ続いているしな」
「イリヤがまだ吊られたままだし、なによりこんな自分(?)を見たくない・・・」

ギャグとしてもシリアスとしてもすっかりグダグダになってしまっているのに、それでも続けるというのか。
やっぱりそれは男の意地、とかいう無駄なものだろうか。
リナは、はあ、とためいきをついた。

「まあ、こんな状態から実りのある決着がつけられるとは思えないんだけど」
リナの声のトーンが落ちる。
「いいかげん、見てるのもめんどくさくなってきたのよね」
「おい、リナ・・・」

つきあいの長いガウリイが、不穏な空気を捉え、思わず後ずさる。
436思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 22:58:11 ID:Dou8SCKt
「あまりにも古典的なオチだから、ちょっとさすがにどうなのかなと思って」
手を高くあげ、交差させる。
「『説得』で解決しようかと思ったのに・・・まあいいわ」」
風が吹き、リナの髪を揺らす。
自然の風ではなく、魔力による揺らぎである。

――黄昏よりも昏きもの
   血の流れよりも赤きもの

「な、なぜここでドラグスレイブ?!」
ゼルガディスが慌てて逃げようとするも、いったいどんな超自然的な力が働いたのか、
タイトスカートの足さばきに失敗してこけた。

――時の流れに埋もれし
   偉大なる汝の名において
   我、ここに闇に誓わん
   我らが前に立ちふさがりし

「ふん、どの程度の魔術かは知らんが、我にダメージを与えられるようなものではない」
余裕こいた我様がふんぞり返る。それ、負けフラグだから、と誰かつっこんでやれ。

――全ての愚かなるものに
   我と汝が力もて
  
「総員、待避――っ!」
アメリアが叫び、ギャラリーは全員、どこから取り出したのか鍋をかぶって地面に伏せた。

――等しく滅びを与えんことを!

「全部吹っ飛べ、ドラグスレーイブっ!」

説明しよう!
確かにドラグスレイブ一発では、彼らは仮にもサーヴァントであり、直撃しても来るとわかっていたら
ダメージなど全くなく防ぐことはできよう。
しかし、ここはギャグ空間であるからにして、爆発オチにはみんな吹っ飛ぶのが世界の選択であり、
法律よりもかたいお約束なのだ!!
437思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 23:01:59 ID:Dou8SCKt




ちゅどーん!!
438思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 23:02:45 ID:Dou8SCKt
というわけで。
空間自体がノリがいいというか、すっかり崩れた道場っぽい瓦礫の上に、青い空が広がる。
不自然に小山のように積みあがった瓦礫にたち、リナは物憂げにつぶやいた。
「いつも戦いはむなしい・・・」
「だから、お前が言うなっ!」
ぽこっと瓦礫の中から頭を出したゼルガディスが、ぼろぼろの姿ではいあがる。
お約束というか、彼の服は、見せてはいけない部分はちゃんと隠しつつ、ぼろぼろになっていた。
あちこちで、ぽこぽこっ、がらがらっという音がして、瓦礫に埋もれた人々が姿を表す。
ちなみに、戦っていた連中はぼろぼろになって、それ以外の人々は無傷であまり汚れもなく、無傷のままである。
リナの後ろで、やっと這いだしたのに瓦礫が頭にあたって気絶しているようなお約束っぽい音がするが、
それは今回本題ではない。
「何故だ、何故我がこんな目に……」
どういう物理現象が起こったのか全くわからないが、ギルの頭がドリフの爆発状態になっている。
「争いが虚しいと言いながら、結局は力で解決したと言わないだろうかリナぐぎゃ」
至極まっとうなつっこみをしたアーチャーにリナが投げた瓦礫がヒットした。
「ふふん。このリナちゃんが、やさしーく説得しているうちに言うことを聞いていればこんなことにならないのよ。
 まあ、これに懲りたら不毛な争いはやめることね」
士郎が全てを(主につっこみを)諦めたような表情でため息をついた。

「ということはリナ」
「ん?」
真面目な顔になったガウリイが、首をかしげた。
「この戦いは、リナの勝ちってことか?」
「……そうなるのかな?」
その真面目顔に、少し嫌な予感がするのはリナだけではないだろう。

「ということは、リナがコンテストの優勝者ってことだな?」

死の静寂が、辺りを支配した。
439思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 23:03:39 ID:Dou8SCKt
「なるほど!確かにそのようだな!」
あはははは、とキャラに似合わず馬鹿笑いをしたのはアーチャーだった。
「ふむ。甲斐性なしの言うことには一理あるな。
 我に勝ったその力量、高く評価するぞ。
 リナの優勝に異存はない」
瓦礫に腰まで埋まった姿勢でえらそうに踏ん反り返る英雄王。

「あ、あのねー、これは女装コンテストでしょーがっ!!」

いまいちコトの推移がわかっていないらしい。
リナは面食らった顔で、ガウリイの胸倉を掴み、かっくんかっくんと揺らした。
「だって、女の格好すれば女装だろ?」
「あ、え?え?え?」
確かに女の格好をするのは『女装』である。
現在のリナの格好は、空間と認識の狭間で多少のブレはあったが、
現在はセイバーと同じ凛のお下がりのスカートである。
女の格好をすれば『女装』?その定義に違和感を非常に覚えるが、
リナはすぐにそれを言葉にすることができなかった。
「甲斐性なしもたまには頭が回るようだ!リナの格好は女装だな!」
おそらくギルはその間違いにしっかりと気付いて、もうリナをからかうことに決めたらしい。
ぱちぱちと拍手をする。
「まさしく、そのとおりだな」
ぱちぱちと、アーチャーも拍手を続ける。
440思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 23:04:40 ID:Dou8SCKt
「え?え?え?」
まだ状況を理解していないらしい。
わたわたするリナから、やっと瓦礫から抜け出した士郎とゼルがそろそろと逃げ出す。
ガウリイも逃げたいようだが、がっちりとリナにヘッドロックをくらっているため、じたばたするのみである。

「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」

拍手の波は、さざ波となり、全員に感染した。
そこらへんが落としどころだと全員が悟ったらしい。
老いも若きも、スレイヤーズ陣もFATE陣も、満面の笑みで勝者を迎える。
世界が変わる。
青い空とガラスの地面。浮遊感と。

リナの青筋。

「あんたら……『女装』ってのは……『男』が『女の格好をする』ことでしょーがああああああああっ!!」

やっと核心に至ったリナの大声に、しかし動じる者は誰もいない。
終わりが見えたのだ。後は突き進むのみ。
「リナ、問題ないぞ。我は少年体型について異存はない」
そりゃセイバーさんにプロポーズしてるからギルガメッシュとしては問題ないだろう。
ロリコン趣味ではないと思うのだが。
というか論点ズレてないか?
「そうだなあ、特に胸」
うんうんと頷きながら、ガウリイが、言うてはならんことを言った。
彼は普段KYに見えて実は空気を非常に読む天然ボケ役なのだが、
やはり、女装させられたフラストレーションがあったのだろう。

そしてその瞬間、リナの目の前、青い空からいきなり『くす球』が出現する。
ぱかりと割れると、そこには『女装コンテスト優勝おめでとう!」と書かれていた。
あとがき空間はノリがいい。
441思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 23:06:56 ID:Dou8SCKt
「ふ、ふふふ」
地獄から響いてくるような、深く低い笑い声が、リナの口から忍び出る。
「ここまでコケにされるとわ。ふ、ふふふ」
リナの様子に、さすがに少しからかいすぎたか、と場が凍った。

「そもそも、まだ審査員がいないんだから、審査ができるわけないのよね。
 そうよね、正しい女装コンテストのためには審査員が必要よね。
 ちゃんと審査してもらわなきゃだめよね。
 そうよね、そのためにこんな女装コンテストなんてやってるんだもんね」
「リ、リナ……?」
ヘッドロックを外されたガウリイが、首を押さえながら、腰だけでずざざざざっと後ずさる。
何を予感したのか、アメリアが顔色をなくすくらいまで青ざめ、
ゼロスは微笑みながら青ざめるという妙な表情になった。

辺りに響く混沌の言語。
体を揺らす、魔力の奔流。
黒く湧き出る原始の闇。
阿鼻叫喚地獄絵図。

そして。

「審査員さんいらっしゃい!重破斬(ギガ・スレイブ)!!!」

混沌が、世界を染め上げた。
442思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 23:07:49 ID:Dou8SCKt
「うっ、わあああああああああああああああああああああっ!」
がばりと跳ね起きると、リナは、右を見て左を見て、何故か自分の両手を見て、現実を確かめた。
「うるさいぞー、リナ」
隣りの部屋と言っていいのか微妙な間取りではあるが、蔀戸の向こうで半分寝ぼけたようなガウリイの声がする。
ふはっ、とリナは大きく息を吐き、気分を落ち着けた。
ここは客人が現れる度に膨張するかに見える不思議空間・衛宮家のたくさんある和室の一つ。
リナの寝泊りしている部屋だった。
「なによー、初夢だってのに」
がくり、とリナは項垂れる。
「何が悲しゅうて、女装コンテストで優勝させられた上、
 重破斬で全てを混沌に還すなんて夢を見なきゃなんないのよ……」
がばっ、とリナは布団の中にもう一度勢い良くもぐりこんだ。
「あんな悪夢が初夢なんて認めないわ。
 絶対、一富士二鷹三茄子な夢を見てやるんだからっ!」

固い決意とともに、リナは再び夢の世界へと落ちていった。






<おまけ>
「まあねえ、あたしが主・人・公な夢なんだから、そりゃー『悪夢』に決まってるわよね☆」
「ううっ、せっかく割烹着の奥様風にキメてきたのに、出番がなかったなんてっ!」
443思いついたから書いてみた ◆vAaRO7zj8k :2011/01/01(土) 23:09:07 ID:Dou8SCKt
皆様、あけましたのでおめでとうございました。
よい初夢を。
444名無しさん@お腹いっぱい。:2011/01/02(日) 01:05:23 ID:yDcGmDXM
今から寝る夢が初夢なんだっけ。
コレ読んだ後に寝るのが怖いんだが、、、、

なんにせよ、GJ
445名無しさん@お腹いっぱい。:2011/03/09(水) 19:04:39.61 ID:6pzkLbEb
保守
446名無しさん@お腹いっぱい。:2011/03/10(木) 04:44:56.15 ID:EAcpEHPb
確定申告さえ、確定申告さえ終われば
447名無しさん@お腹いっぱい。:2011/03/31(木) 16:04:16.76 ID:PO5Mqrdu
あの作品のキャラが聖杯戦争に参戦しました
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1240585178/
448名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 22:39:36.25 ID:060XV/3x
fateXbleach fateXダイの大冒険

禁書Xbleach 禁書Xダイの大冒険

ssが見たい
449名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 09:47:03.07 ID:CPkn1GV4
>>448
×とXの区別も付かない池沼はお帰り下さい
450名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/08(金) 20:06:40.45 ID:zoRhWKcT
t
451名無しさん@お腹いっぱい。:2011/09/21(水) 22:02:05.79 ID:lq2lgblb
サーヴァントのナーガ
452名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/02(日) 18:59:15.23 ID:8N5VE5bT
クラス:平和主義者 フィリオネル=エル=ディ=セイルーン
453名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/20(火) 06:30:38.62 ID:7hExHpvL
アニメZEROの凛が魔術の練習してるシーンでスレ一巻のリナがアミュレット作ってるシーン思い出した
454名無しさん@お腹いっぱい。:2012/01/01(日) 10:30:37.14 ID:8ku38PSK
このスレの士郎ん家の正月は戦争だな。
お節と餅の争奪戦。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2012/01/22(日) 17:11:19.67 ID:TQRQd2CJ
ZERO版の切嗣がココのセイバー見たら
精神崩壊しそうだw
456名無しさん@お腹いっぱい。:2012/06/24(日) 23:41:43.89 ID:Z1HXtcXU
456
457名無しさん@お腹いっぱい。:2012/07/29(日) 21:56:46.63 ID:DyacbxYJ
保守
458名無しさん@お腹いっぱい。:2013/02/13(水) 23:44:49.76 ID:qQcAfZfZ
保守
459名無しさん@お腹いっぱい。:2013/02/23(土) 22:18:11.95 ID:UK1DK23P
ほしゅ。
460名無しさん@お腹いっぱい。:2013/03/14(木) 00:38:24.88 ID:C/2hbpoc
保守保守
461名無しさん@お腹いっぱい。:2013/03/26(火) 23:03:55.34 ID:sJCztjI4
>>453
同感。
というか宝石魔術そのものが全部そう見えちゃうなあ
462名無しさん@お腹いっぱい。:2013/04/23(火) 23:12:50.42 ID:3q69I2SA
保守
463名無しさん@お腹いっぱい。:2013/07/15(月) NY:AN:NY.AN ID:YUwKoBsY
保守
464名無しさん@お腹いっぱい。:2013/09/12(木) 12:48:49.78 ID:AeECjipN
未だに型月に勝てるとか抜かすゴキブリ禁書厨
禁書とか話にならんから引っ込んでろ
465名無しさん@お腹いっぱい。
ゼフィーリア国家に適当嫌がらせとして適当に創った適当ザナッファー500000000000匹を適当に放り込んだら適当にドラゴン狩りの代わりに適当ザナッファー狩りが流行しますか?適当ザナッファーは超新星爆発と同じ威力のビームを吐き出すスペックでお願いします。


//toro.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1352294669/560
こいつの独り言を神坂一先生への質問メールを送るか・・・・
ゼフィーリア最強厨ざまああああああWWWWWWWWW
魔族糞雑魚厨ざまああああああWWWWWWWWWWWWW