乙です。
ちょい最後あたりが急かな、と思わなくはないけど仮面ライダー同士の闘いがようやく…!
記憶がちょこちょこ戻りつつある(0w0)
橘さんとの闘いで一気に…ってその後どうなるんだよ(^^;
475 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 00:00:43 ID:BRpG2gCr
さっそくのお叱りありがとうございます。次回からは気をつけたいと思います。では時間になりましたので投下したいと思います。
タイトルは「マクロスなのは」です。
プロローグ
ここは銀河中心付近の小惑星帯。そこにはある大船団が潜伏していた。
巨大な小惑星に横には同じぐらい巨大な1隻の船が見える。それは全体がオレンジ色に塗装されており、多数の戦闘艦が
周囲に展開していた。
かつてマクロスギャラクシーのメインランドと呼ばれたこの移民船からは、人の営みが感じられず、運用する人≠ヘまる
で機械の歯車のように働いていた。
その内部はバイオプラント船のため海は無く、地面は無骨な鉄の床が覆っている。
天井は初代マクロスからの伝統で空が映し出されているが、それすら工場群から吐き出されるスモックによって曇っていた。
本来なら環境維持部門の誰かが空気の清浄化を行うところだが、今そこは誰もいない。
なぜならギャラクシーの人の大部分がある研究≠ノ回されていて、意図的に無視されているのだ。その研究施設では、そ
れが大詰めを迎えていた。
「ついに見つけた。」
施設に妖艶な声がこだまする。
その声の主は、マクロスフロンティア船団を壊滅の一歩手前にまで追い込んだ張本人、グレイス・オコナーだ。彼女はフロン
ティアの遠隔リモート端末……いやこれは正しくない。意識をほぼ完全移行した自立クローンが撃破されたのと同時に、オリ
ジナルとしてここ、ギャラクシーで蘇生を果たしていた。
そんな彼女が蘇生からずっと打ち込んできた研究の結果が目の前にあった。
彼女の表示する画面には図式化された地球と、破線で結ばれたフォールドゲートが写し出されている。
しかし、画面下に表示されているタイムゲージは2060年現在ではなく、2008年9月〜となっていた。この頃はまだ異星人
との遭遇によって発生した第一次星間戦争が始まっておらず、統合戦争と呼ばれる人間同士の戦争があった。
それは来るべき異星人との対話に当たり、地球の国家を統合するという名目だったが、それに反対する国家群との戦いは
長きに渡った。この年はその戦争の末期に当たる年だ。
「やっとあなたのお姉さんに会えそうよ。」
彼女は机に飾ってある写真立てにそう告げる。そこには科学の万能を信じる純粋な学者であった頃の自分と、同僚だった
ランシェ・メイ。そして紫色の髪をしたおばあさんが写っていた。
グレイスはほの暗い笑みを浮かべるとそのおばあさんの名を呼ぶ。
その時、背後のドアが開いた。
「主任。ゲートの準備、整いました。」
彼はそれだけ報告すると踵を返し、部屋から出ていく。
今このギャラクシーはグレイスの完全な支配下にあった。なぜならインプラントによって強力な精神操作がかけられており、
自我のない存在にされていたからだ。
グレイスは立ち上がり、無造作に写真立てを掴み上げると、壁に向かって放り投げる。それはガラスの割れる音と共に、床
に四散した。
「遂に開く!プロトカルチャーへの道を!」
グレイスは笑うと、部屋から出ていった。
誰もいない部屋にデスクトップコンピューターの冷却ファンが静かに唸る。彼女の残した画面には、ある画像が表示されて
いた。その画像は地球の衛星からの写真らしく、端に月が写り込んでいる。しかしこれもタイムゲージは先の図と同じだった。
そしてもっとも特徴的なことに、その時代なかったはずのフォールドゲートが写し出されており、それに入っていく機体があっ
た。
その機体は不思議な青白い光の粒子に包まれており、まるで鳥のようなシルエットを描き出している。その中央に写る機種は
普通のジェットエンジンのため宇宙に出られないはずの初代可変戦闘機VF−0『フェニックス』だった。
476 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 00:02:24 ID:s6zeHD6o
*
3ヶ月後。
バジュラ本星突入作戦から1年が過ぎたバジュラ本星では、到達したフロンティア船団によって、着水したアイランド1を中
心に着々と人≠フ住むところを拡げていた。
現在では総人口の半数がアイランド1を離れ、近くの岸を中心に半径1キロに渡って都市を形成している。
初期に行われた検疫では、人類もゼントラーディも遭遇したことがない細菌は確認されておらず、比較的速い移住が行わ
れている。
しかし、その星の生態系を壊す恐れからまだ農業などは行われていない。今はその影響を確かめるテストが行われている
が、結果は上々であり、米などの栽培は十分可能であるとのことだった。
その惑星は船団の名称を継いで「フロンティア」となり、地球のマクロスシティ(統合政府)からも30番目の開拓星として認可
が来ていた。
首都「アイランドワン」美星学園 第2キャンパス
そこは本家アイランド1にある破壊された美星学園のカタパルトの代わりに、航宙科の生徒の為に作られた施設である。
今そこでは1人の青年が通常重力下用にカスタムしたEXギアを着て、そこに敷設されたリニアカタパルトを発射体勢にして
いた。
「よし!」
彼はカタパルトグリップを強く握ると、射出スイッチを押し込む。
カタパルトはEXギアもろとも彼を時速50キロまで加速し、打ち出した。
彼は上昇を続ける。その昔船団内を駆けた様に。しかし違うことがある。0.75Gだった重力が今では1G弱であること、そし
て空に際限がないことだ。
船団では3000メートルも上がると、煩わしい警告と忌まわしい強化ガラスの壁があった。
現在の高度は6000メートル。
しかしヘルメットのバイザーを介した彼の眼前には白い雲の海と、地平線まで伸びる青い空しかなかった。
彼の着用するEXギアは軍でも使われるパワードスーツ兼緊急脱出用の飛行服で、バルキリー(人型可変戦闘機の通称)
でも使われる熱核タービンエンジンを備えている。
以前の特殊化学燃料ロケットモーターから改良されたこのEXギアは、大気圏内では空気を圧縮膨張させて飛ぶため理論
上は無限の航続能力があった。
しかし調子に乗って飛び続けるとフロンティア中央政府の定める空域を軽々超えてしまうので、彼は数度旋回飛行するとア
イランドワンへの帰路についた。
市街に到達して高度を落とすと、市内から人より一回り大きな緑色をした虫が飛んできた。第2形態のバジュラだ。
しかし以前「バジュラは危険。そいつらがいる限り、空は戦場になる!」と、言っていたこの青年は、何の対応もとらなかった。
果たしてバジュラは青年を襲そうのだろうか?
答えは否だ。
それはじゃれるように彼の周囲を飛ぶと、平行して飛び始めたのだ。
バジュラとは突入作戦以来共存共栄関係にあり、完全に無害化していた。
それは新たな遊び相手を見つけたのか、市街地内に降りていく。
その市内にはたくさんの人の営みがあった。
道行く人々の笑顔と躍動。
ビルの建築に汗を流すゼントラーディ(巨人族)のおじさん。
民生用にデチューンされたデストロイド(人型陸戦兵器)の中で、昼食の弁当をかき込む土木会社の青年。
公園では数組のカップルが平和な時を過ごしており、その周りを子供達が走り回っている。
どうやらさっきのバジュラはその子供達の元に向かったらしい。子供達はバジュラを混ぜて鬼ごっこのようなものを始めた。
しかしその子供達の保護者も微笑ましそうに彼らを見守っている。
人間との生活によって、犬以上の個々の知能を持つことのできるようになったバジュラは、十分人との生活に馴染むことが
できた。
そして、街頭の大型ホロディスプレイからは歌声が聞こえてくる。この星への道を切り開き、バジュラとの和解をもたらした
2人の歌姫の声が。
彼─────早乙女アルトは耳についたイヤリングをさわると、学園への帰路についた。
477 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 00:04:26 ID:BRpG2gCr
続けて1話目にいきます。
「マクロスなのは」
第1話 フォールド事故 たどり着いたのは魔法の世界
キャンパスに戻ると待っていたのは、最近彼女ができたという2つ年下のルカ・アンジェローニだった。
「またカタパルトの無断使用ですか?先生に怒られるのは先輩だけじゃないんです。もう少し気をつけてください。」
彼はミシェル亡き今、アルトに注意できる唯一のチーム構成員となっていた。
しかしアルトは約束を守らない悪ガキのような笑みを浮かべると「あぁ、すまんな。」と答え、奥のロッカーへと向かっていく。
ルカは「ミシェル先輩がいればな…」と小さく呟き、後を追った。
そんな彼らは3時間後、機上≠フ人となっていた。
乗っているのはさっきのEXギアとは出力が1万倍以上も違う可変戦闘機VF−25Fメサイアバルキリーだ。
今バルキリーにはFASTパック(スーパーパック)と呼ばれる追加装備とフロンティアの大企業『L.A.I社』の開発したスーパ
ーフォールドブースターが装備されていた。
しかし何よりサブシートには、無骨な戦闘機にはあまり似つかわしくない、力を入れれば簡単に折れてしまいそうな体格を
した、緑色の髪の少女が乗り込んでいた。
彼女は、現在相方のシェリル・ノームと「娘(ニャン)フロ」というデュエットを組んで人気爆発中の時の人、ランカ・リーだ。
今彼女とアルトは、地球のマクロスシティで行われる第一次星間戦争終結50周年コンサートで歌うためにそこへ向かっ
ている最中であった。
しかしなぜわざわざ軍用機であるVF−25で行くのだろうか?
無論それには理由がある。実はコンサートの登場時に、かつてガリア4での暴徒鎮圧を、演出として再現するのだ。その
ためバルキリーのパイロンにはあの時と同様、合計4個の大型フォールドスピーカーが装備されている。
また、アルト機の他にも相方のシェリルやマネージャーのエルモを乗せたマクロスクォーター。そしてクラン大尉指揮す
るピクシー小隊など多数のSMSの機体が護衛している。しかし特筆すべきはバジュラ達も護衛に付いていることだった。
*
アルトは機体に乗ってからめっきり静かになった友人に、声を掛けることにした。
「どうしたランカ?肩が固くなってるみたいだが、今頃緊張か?」
その問いに、彼女はバックミラーの中で首を振った。
「ううん。ただ、皆と飛んでるとあの時のこと思い出して……」
ランカは右側を並進するルカのRVF−25と、その隣の成虫バジュラ(赤い大きなバジュラのこと)を順番に眺めると続けた。
「みんな私のこと誉めてくれるけど、私、そんなすごいことしたのかなぁ、って……」
「大丈夫だ。おまえはそれだけのことをしたんだ。誇っていいぞ。」
アルトがはっきり言うと彼女の顔はみるみる笑顔に変わっていく。そして「うん!ありがとう。アルトくん!」と、元気いっぱい
に言った。
更に話を続けようとしたアルトにマクロスクォーターのオペレーター、キャシーことキャサリン・グラス中尉から通信が入る。
回線を開くと、まもなくフォールド予定宙域であるとのことだった。
「スカル2=A了解。」
アルトが応えると同時に、目の前の多目的ディスプレイにもう1つ通信ウインドウが開いた。
映った人物はふぁり≠ニ、貫禄たっぷりに美しいストロベリーブロンドの髪をかき揚げると、言い放った。
『アルト、しっかり付いてきなさいよ!』
銀河の妖精ことシェリル・ノームの激励を受け、アルトは「りょうかい」と、くだけた返事を返す。そして後ろに呼び掛ける。
「ランカ、もうすぐ地球までの超長距離スーパーフォールド(次元断層を無視したフォールド航法)に入るから、舌噛まない
ように口閉じとけよ。」
「うん!」
思いの外元気な声が返ってくることに安心したアルトは、スーパーフォールドブースターの電源を入れて、そのシステム
を活性化させた。
眼前に迫るフォールドゲート。マクロスクォーターを始めとする僚機が突入していく中、ランカとアルトを乗せたバルキリ
ーもためらうことなく突入して行った。
478 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 00:07:28 ID:BRpG2gCr
*
ミッドチルダ。
そこは魔法文明の発達した国だ。しかしその街はそうとは思えないほど機能美にあふれ、まるで近未来都市を連想させる
建物で埋めつくされている。
しかしその首都である『クラナガン』の中央。時空管理局≠ニ呼ばれる国営組織の入っている超高層ビルの周囲では、
暴動が起こっていた。方や地上本部所属の地上部隊(陸士と空戦魔導士)。方や地上本部。暴動の理由は本局の横暴
な人材確保と予算配分だった。
本局は、次元の海を守るため次元航行部隊(護衛艦隊(次元航行艦隊)と機動課)を有し、自然と大量の予算が必要になる。
そして起こり得る様々な事態に対応するため人材も良いものを集めている。
しかし、地上本部はミッドチルダ本土を守るために作られた軍・警察組織で、規模も本局の半分程しかない。そのため予算
はいいように削られ、毎年成績の優秀な学生達も本局に狩られていき、相対的に質が低下していた。
地上本部としても、予算の関係上人件費を削減するしかないため、軍事色の濃い地上部隊配属者はひもじい生活を強い
られている。
この傾向は特に、非キャリア組(リンカーコアと呼ばれる魔力ジェネレーターの出力限界が、Aランク未満からそれを待た
ない非魔力資質保有者を指す代名詞)の多い陸士部隊に顕著だ。陸士部隊は重労働で知られるが、災害救助などで管
理局の庇護の下にあるミッドチルダ国民を第一に守る、直接的で大切な役職だ。
しかし給与はミッドチルダの平均所得より少なく『本当にここは公務員か!?』という見出しが新聞、雑誌に載ってしまうと
ころまで来ていた。
そのストレスを我慢してきた地上部隊だったが、遂に「予算をみんな持っていっちまう本局と、それをよしとする上層部の
せいだ!」と一斉にデモを展開。
クラナガンに駐屯する部隊はそのまま時空管理局本部ビルに殴り込みを開始し、今に至るのだ。
現在、クラナガンに駐屯する地上部隊の7割が暴動に参加しており、その怒りがうかがい知れる。
また、実際に非殺傷設定のデバイスによる地上本部官僚の襲撃事件も起こっていて、はっきり言って内戦状態であった。
非常線を張ろうにもミッドチルダには警察組織はない。時空管理局地上部隊がその役職に当たり、言ってみれば警察が
暴動をしていると言うことだ。取り締まるべきことを自身が行うことは言語道断ではあるが、それほどまでに彼らは追い詰
められていた。
本部ビル側からは必死の説得が行われているが、説得だけでなく積極的な反撃もしているため、暴動側は聞く耳を持た
なかった。
また、本部ビル側は魔導士ランク(最低のCランクから始まり、Sランク+αを最上位とするもので、その者の能力をリン
カーコア出力を含め総合的にランクづけしたもの。)がオーバーSランクの魔導士の非殺傷設定による砲撃で鎮圧する用
意があった。しかしそれでは抜本的な解決にもならず、士気をも低下させてしまうため現在行われてはいなかった。
479 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 00:09:32 ID:s6zeHD6o
*
本部ビル内部
「本当すまへんな、ウチが止めれんかったばっかりに…」
呼び出されたオーバーSランク魔導士の1人、地上部隊所属の八神はやて二等陸佐は彼女の友人に頭を下げた。
「はやてのせいじゃないよ。遅かれ早かれこうなっただろうし…」と、本局、機動課(ロストロギア探索を主な任務にする
部隊。)所属のフェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン執務官(一等海尉)。
「そうだよ。それにはやてちゃんの部隊は参加してないんだから。」
そうフェイトに同調したのは地上部隊所属の空戦魔導士 高町なのは一等空尉。
確かに彼女らの所属する片や陸士部隊、片や空戦魔導士教導隊は説得で事なきを得ていた。(ちなみにこの3人は、
オーバーSランクという超キャリア組であるため高給取りだ。)
しかし、この3人の内2人は地上部隊の中にあって、彼らの鎮圧のために来ていた。
「でもできれば、だれも吹き飛ばしとうない…」
そうはやては呟く。『それは甘さだろうか?』と、彼女は自問してみるが、答えは出なかった。2人も気持ちは同じなのだ
ろう。一様に苦虫を噛んだような顔になった。
はやては目の前の扉を仰ぎ見る。そこは先ほどから対応が協議されている会議室だ。すると、会議が終わったのか扉
が開く。そして、地上部隊で最高位の武官であるレジアス・ゲイズ中将が書類を手に近づいてきた。
はやては障害者用の手すりにもたれるように崩していた姿勢をただし、彼に詰め寄った。
「レジアス中将、結果は!?」
「残念ながら会議で、彼らの要求には応じないことが決定された。」
その一言に3人の顔が青ざめた。
「本当に…すまなく思う…」
彼は3人に深々と頭をさげると、紙を渡した。そこにはこう書かれていた。
『命令書
可及的速やかに暴徒≠鎮圧されたし。
また暴徒鎮圧のため、魔力の限定解除、ならびに使用の制限を解除する。』
はやては自らの目を呪った。
(こんなことって…)
自分の信じて勤める組織はこんなにも非情なのか。この世に情けはないのか。
この命令書には『相手(同じ組織の同僚)がケガをしても構わないから、全力でねじ伏せろ』と書いてあるのだ。
非殺傷設定とはいえ、彼女達のようなSランクレベルの砲撃では打ち身程度では済まない。長時間直撃すれば深刻な
魔力火傷の症状が出て最悪死に至る。
だが、逆に威力を抑えた砲撃をすると今度は彼らの展開する魔力障壁を破る事が出来ない。
その場合、周囲が民家のため、明日の新聞に『跳ね返った砲撃が民家を直撃した』という見出しが載ることになるだろ
う。
つまり、撃つなら全力でなければならないのだ。
はやては強い悪寒に耐えながらそれの先を読む。
命令書の最後には賛成した時空管理局局長(現内閣総理大臣)の印と、地上本部最高司令官(現内閣の大臣。無論文
民である。)の印、そして地上本部の高官(背広組)達の印が連ねられている。
その印の数は会議に参加した過半数というレベルではなく、大多数だ。
シビリアンコントロール(文民統制)…なるほど崇高な制度に違いない。
だが党の政権争いのことしか興味がない政治屋がマトモな判断を下してくれるとは到底思えない。
ただの局員の給与の増額も、結局のところ予算が大幅に増えるため、マスコミによって軍拡≠ニいう言葉に置き換え
られてしまう。
すると政治屋は次の選挙への影響を恐れて及び腰になり、保身に走る。
少し考えればわかるではないか!シビリアンコントロールなど夢物語であり、腐敗の蔓延(はびこ)る政治の世界ではま
ともに機能しないことが。
それにいくつか地上部隊所属の武官(制服組)の印があるのがまったく嘆かわしい!
いったい幾らで懐柔されたのやら…
ともかく、命令書があるからには自分達は従わなければならない。
唯一の救いは目の前で項垂れる自分達の地上部隊最高司令官の名が無いことだった。
3人はレジアスに敬礼し、「了解。」と言った。
レジアスはもう一度憔悴した顔で「すまない…」と深く頭を下げ、会議室に戻って行く。 彼の印がないことは、最後の最
後まで彼はこの決定に抵抗した証だった。つまり彼は出来る限りの事をしたということ。そんな彼を追い打ちする事は彼
女達には出来なかった。
480 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 00:13:56 ID:s6zeHD6o
*
15分後 本部ビル正門前
そこにはバリアジャケットに換装した3人の姿があった。すでにそこでは散発的に魔力弾が飛び交っている。
はやては彼らに向かって拡声器で呼びかけた。
「あなたがたの要求には応じられないという決定が下されました。速やかに解散してください。我々は、あなたがたを実
力で鎮圧するよう命令されています!」
マイクを持って最期通牒を伝えるはやての声は震えていた。
『すまないな。お嬢ちゃん!』
彼女の最期通牒に呼応するようなタイミングで返事が来た。その声も拡声器で拡大された声で、それと同時に周囲が
静かになった。
はやてが頭の中の人物データベースを探ると、確か彼はこの暴動の発起人だった。
『家には女房も子供もいるが満足に食べさせてやれないんだ。それに息子が大学に行きたいって……でも魔力資質が
ないから奨学金もおりねぇ!もう、こうするしかないんだ!わかってくれ!』
確かにこのミッドチルダは魔力資質、つまりリンカーコアがない者は生きづらい所だった。例えば彼の息子ように奨学金
が受けられないなどだ。
「そこをなんとか考え直してください!私は…私達は、あなたたちの様な被害者の立場にある人達を撃ちたくはありませ
ん!」
もう彼女の目には涙が伝わっている。しかし発起人は悟りを開いたかのような優しい声で応えた。
「…ありがとう。でも、俺たちが吹き飛ばされることで世論の考えが変わるかもしれないなら、俺は人の良心に賭けたい
んだ。…おまえ達もついてきてくれるか!?」
彼の呼び掛けに暴動側全員の大合唱が応える。そして1人1人のデバイスが本部ビルに向けられた。
陸士部隊と空戦魔導士部隊の一斉砲撃を受けたら本部ビルの外壁とて、もたないだろう。建物の根幹である柱まで到
達するかもしれない。そうなると最早一刻の猶予もなかった。
3人はそれぞれ自身の魔力砲撃(なのは、フェイト)及び魔力爆撃(はやて)の詠唱に入った。
この時、はやては悟った。
カリムの預言≠ヘこの事を言っていたのだろう。
無限の欲求…これはわざわざ言うまでもあるまい。
中つ大地の法の塔…これなら崩れるに違いない。
数多の海を守る法の船を砕き落とす…時間はかかるまい。
(まさか内部崩壊だったとは……)
はやては『部隊を作るまでもなかったな。』と幻滅しながらも被害者達≠ノ照準した。
そしてそれらを放つ1歩手前で、それは空から降ってきた。
時系列は30分前に遡る。
支援
482 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 00:16:24 ID:s6zeHD6o
*
VF−25 アルト機
「どういうことだ!?」
彼の機体はまだフォールド空間を航行しているが、どうもおかしい。見えるべき僚機は見えず、機体も不規則に激しく揺
られ、計器もめちゃくちゃだ。
バックミラーを見てランカの無事を確認すると、アルトは自機の安定を保とうと制御に集中する。しかし、一向に事態は
好転せず、更に悪いことが重なった。
ギシ……
それがスーパーフォールドブースターの止め金の音と気づくのに1秒かからなかった。
(おいおい、嘘だろう……)
アルトは内心舌打ちする。本当はこの程度の揺れで壊れるようなものではないはずだが、現実はそうでもないと否定し
ている。
「整備不良かよ……」
揺れにうめきながら整備員を呪った。
(えぇい、一か八か!)
アルトは緊急デフォールドボタンを押し込む。このままいてもフォールド空間に取り残されるだけだったからだ。
「ランカ!緊急デフォールドする!しっかり掴まれ!」
返事は聞こえなかったが、信じるしかない。
眼前にフォールドゲートが開き、そこを通り抜ける。その際、一際大きな衝撃がバルキリーを襲った。その衝撃にフォー
ルドブースターが遂に根底から外れ、ゲートに吸い込まれていった。
しかし、悪いことは重なるものだ。ブースターは外れると同時に、推進剤の入ったメインタンクに大穴を空けていったのだ。
VF−25の熱核バーストエンジン(ステージU熱核タービン)は大気圏内では無限の航続能力を誇るが、やはり宇宙空
間では作用反作用を利用するため、推進剤を使うのだ。
振動は収まったが、燃料計が急激に減っていき、遂に無くなった。残るはFASTパックのブースター一体型のタンクと、
脚部に装備された装甲兼用のコンフォーマルタンクのみ。
これでは長い時間宇宙に留まれないだろう。そう思ったアルトは周囲を見渡すと、そこには地球≠ェあった。
(おかしい。フォールドは途中でやめたはずなのに……しかしあれは南アメリカ大陸だよな……)
軌道を半周してみても、大陸の位置など地球と寸分変わらない。しかし軌道上に常備されている地球絶対防衛圏の防
衛衛星や艦隊もなく、呼びかけても応答はなかった。(この時アルトは月が2つ以上あることに気づいていたが、天体と
しての地球をよく知らなかった彼はおかしいとは思わなかった。)
だが迷っている暇はないと判断したアルトは、デッドウエイトになるFASTパックのブースターをパージ。即座に降下シ
ークエンスに入った。この分なら半周して日本らしき所≠フ上空に着くはずだ。
「アルトくん、あれは地球?」
後ろからランカの心配そうな声が聞こえた。
「わからない。とりあえず推進剤が無くなりそうなんだ。もうすぐ大気圏に突入するから、まだ掴まっててくれ。」
バックミラーの中でランカがその指示に素直を従うのを確認すると、操縦に意識を集束していく。
大気摩擦でプラズマ化した外気がVF−25を包む。アルトとランカは、その美しさにしばし緊急時を忘れた。
バルキリーのエンジンが推進剤を必要としなくなったのは高度が25000メートルになった時だった。
水平飛行で人心地ついた2人は自機の位置を知ろうと機器を操作する。
しかしわからなかった。
483 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 00:18:44 ID:s6zeHD6o
機器に異常はなかったが、銀河内であればフォールドクォーツのおかげで、タイムラグなしで繋がるはずのGPS(ギャ
ラクシー・ポジショニング・システム。全銀河無線測定システム)の応答がなかったのだ。
また、フォールド通信機など相手がいて初めて意味のある各機器も軒並みブラックアウトしていた。
仕方ないので、機体の高精度カメラを下に向ける。するとそこには都市があった。それも広大な。
「わぁ、きれい……」
ランカが後ろからのぞき込んで言う。
確かにその都市は、かつて地球にあった都市や、現代のどの都市とも違う機能美があった。
「…あれ? なんだろう、この光?」
ランカの指差す先には群衆が1000メートル程の大きさのビルの前に大挙していた。そこからは光の筋の様なものが
飛び交っている。
「…レーザー? ここでも戦争か…」
アルトはため息をつく。その時ランカが大きく身を乗り出してきた。そして何事かと振り返ったアルトを真っ直ぐな目で見
つめると、言い放つ。
「止めよう、アルトくん。」
そう言う彼女の赤い瞳には意志の力がみなぎっていた。
「…わかった。それじゃあ行くぞ!」
彼女の熱意に押されたアルトは降下を開始する。緊急時の武装とスピーカーのチェックを済ませた頃には高度は200
0メートル程になっていた。
後ろを見るとランカはすでに宇宙服を脱いでステージ衣装に着替えられている。
(まさか本当にミシェルと同じことをするはめになるとは…)と苦笑するアルトにランカは微笑み返す。
アルトはキャノピーを開き、スピーカーの電源を入れ─────
『みんな、抱きしめて!銀河の果てまでー!』
そこにランカの声が響き渡った。
*
ここで時系列は戻る。
あまりの突然さに、全ての人の動きが止まった。
そして一同が唖然とする中、その少女を乗せた戦闘機に足が生えたような小型航空機≠ヘ、本部と群衆の間に降り
立った。
しかし、最初は唖然とした人々も次第にその少女の暖かい歌声に引き込まれていく。
それは後の人々も語る奇跡のようなひとときだったという。
*
「みなさん、」
その少女の呼びかけに、全ての人が静寂を保つ。
「どうして争うのか、わたしは知りません。でもどうか、矛を収めてください。」
不満をもらす者もいたが、本部側も暴動側も大半が彼女に従い、デバイスを待機状態にした。
ランカの元にフェイトが歩み寄る。
「ありがとう。わたしはフェイトという者です。少し、マイクを貸していただけませんか?」
「はい、どうぞ。」
「…ありがとう。…みなさん、お怒りなのはわかります。でも今は彼女の起こした奇跡に免じて、もう少し話し合いを続け
てください!」
フェイトの真摯な呼びかけに暴動側に動揺が走る。
「……わ、我々は、話し合いの場を設け、対策が出来るまでの一時的な救済措置をとってくれるなら、話し合いに応じま
す!」
さっきの発起人が精一杯に返す。それはフェイトにもランカにも向けられたものではない。本部に向けられたものだった。
そしてその回答は─────
「応じる。」
本部から出てきて宣言したのは、先ほどの会議のメンバーだった。彼らの中には泣いている者もいる。
「……すまなかった。世の中には、こんなにも優しい愛があったのに……」
どうやら完全に彼女の歌に感化されてしまったようだ。
そして衆目の中無事日程等の取り決めが終わると、すぐさま本部側と暴動側入り交じってのアンコールが始まった。
茫然としていたランカは改めて自らの行為を実感した。先ほどまで殺伐としていた空気は晴れ、皆一様に自分への称
賛をしている……
彼女は気合いを入れ直すと、力いっぱいの声を張り上げる。
「よっしゃぁー!それじゃ行くよ!みんな、私の歌をきけぇ!!」
「「おぉー!」」
その後ランカのファーストライブは1時間にも渡った。
484 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 00:19:49 ID:s6zeHD6o
プロローグと第一話の投下終了です。
さきほど申した通り、処女作で、至らない点が多いと思いますが、温かい目で見守っていただければ
幸いです。
お初の投下GJです!! 次回からはコテも付けることを推奨します。
マクロスとのクロスという有りそうで無かった作品なので期待したいのですが、ツッコミ所がありすぎて途中までしか読めなかった・・・・・・orz
とりあえず、
@レジアスがいるのなら地上本部の指揮は高いはず。にも関わらず反乱が起きるか?
A本編に出てくる地上本部の局員を見る限り、そんな安月給とは思えない。
B管理局は国営ではなく、国連を更に発展させたような国家よりも上位の組織である。
Cリンカーコアは生体器官なのでジェネレーター呼ばわりは違和感が。
Dたかがパワードスーツに核なんて積んでたらコストも危険性も話にならなくなる。学園用なら民生タイプだろうから余計に。緊急用が危ないなんて話にならない。
E子どもはまだしも、大人は未だトラウマが残っているでしょうから、バジュラと共に遊んでいる様子を見て快くは思わない気が。バジュラって、見た目巨大昆虫ですし、光景的にもシュールですから。
思い付いただけでこれくらいですかね。今後のためにも一応突っ込ませていただきました。これからも頑張ってください。それでは。
486 :
一尉:2009/09/02(水) 18:12:33 ID:FdY71ywK
江戸支援
487 :
シレンヤ:2009/09/02(水) 19:51:59 ID:s6zeHD6o
早速のご指摘ありがとうございます。
まず、@、A、Bについて。
これはクロスオーバーによる歴史改変現象だと理解していただくと幸いです。
特にBについては、地上部隊の権利を大幅に削ってあります。地上部隊は地上本部の傘下にあり、
ほかに実力行使を伴わない交通警察、刑事事件捜査部という組織が別にあり、この3本柱で成り立
っている。という設定です。
改変現象発生の理由について記述したいのですが、ネタバレと呼ばれる行為に該当してしまうため、
ご容赦願いたい。
また、これにより登場人物、事件が史実通り進むとは限りません。
Cについて。
これは本編での定義が曖昧なので苦渋の末作った定義です。人間も食物を分解、エネルギーにする
のですから、解釈を広げればジェネレーターとも呼べると愚考する所存であります。
Dについて。
これは改良しなくとも2059年の時点で「EXギアは、背部に超小型の熱核反応タービンエンジンを二
発と大型の滑空翼を備え〜」という記述があります。
詳しくはお手数ですが、角川文庫出版のマクロスフロンティア Vol1 クロース・エンカウンターのP27
1行目をご確認ください。
Eについて。
それもそうですね(笑)。人類とバジュラができるだけ仲良くしている光景にしたかったものですから…
すいません。後悔してます。
ほかにも疑問がありましたらどうぞお気軽になさってください。
あと、「コテ」ってなんでしょうか?一応調べてみたのですがわからなくて…
>>487 固定ハンドルの略 名前欄に「#好きな文字列」をいれると
簡単に本人の証明ができる。騙り対策用
リンカーコアは魔力素を結合させる器官だろ?
まあ独自設定についてはあまり気にしないので
頑張ってもらいたい
期待してます
あ、コテできました!ありがとうございます!
>>489 そうです。劇中でもそのつもりです。だた名称をほかに与えたらあんなのになりました。
名称は特に気にしないでください。
独自設定出すこと自体は構わんと思うけど
ちゃんと作中で読者が分かるようにしたほうが良いよ
wikiに登録する場合、
>>487の内容までは登録されないから
後からまとめて読んだ人が?になるだろうし
この時間帯に何ですが・・・
以前に花粉よけスレの方へ序章を投下したモノです。
ようやく第一話が出来ましたので他に予約が無ければ、02:00過ぎぐらいに投下したい
のです。いかがでしょうか?
では時間が来ましたので投下を始めます。
*クロス元は70年代末に日本でも放映されました海外ドラマ「事件記者コルチャック」
*今回は幾分かグロ描写が入りますのでご注意ください。
『帰宅途中の皆さま、今日もお仕事お疲れ様です。こちらはFMクラナガン♪ 』
クラナガン......次元世界ミッドチルダの首都である大都市。
今は巨大なビル群が立ち並び、大凡でも約2〜5,000万人もの人口を誇る次元世界で最大の都市であるこの
街も、かつては過去の戦災に加え世間で言う「JS事件」を始めとする度重なる大規模なテロに見舞われ街
は、いやこの次元世界そのものが幾度となく崩壊の危機に晒された。
だが新暦78年に起きた通称「マリアージュ事件」以降、街は管理局の組織立て直しとも相まって街に住む
市民達の手により再建と復興が急ピッチで進められ、そうして街は再び平穏を取り戻しつつあった。
しかし以前よりかは幾分か解消されているとはいえ貧富の格差は未だ根強く残り、加えて先の大戦での傷
跡とも云える地域......通称”廃棄都市”と呼ばれる区域は未だ開発の目処は立たず、また区画整理された
地域の中にも先に述べたテロ事件の爪痕が残されたままの場所も残っている。
それらは開発計画の遅れが生じる度に他世界からの難民などが住み着き、それは同時に社会の裏側に巣く
う様々な犯罪者たちにとっての恰好の隠れ家ともなっていた。
また体制の見直す上で新たな知識、技術などを導入していく為、時空管理局......通称『ミッド海上』の
新評議会が他の次元との交流を深める政策を打ち立てた事が切欠となって、街には様々な世界の人々が出入
りするようになり、それは同時に今までミッドの住人たちが経験した事の無かった新たな犯罪をも呼び込む
結果となっていた。
そんな数々の犯罪から市民を守り街の治安を維持しながら日夜、いわゆる”社会の闇”と闘い続けている
のがミッドチルダ地上本部......即ち『ミッド地上』と呼ばれる治安機関である。
だが現在は以前にも増して本局つまり『ミッド海上』への、魔導師として優れた資質を持つ人材の流出は
続いており、それを補う為の新たなる人材の育成と規制の一部緩和により、JS事件以前には全面的に禁止
されていた質量兵器の導入によって現場で職務に中る陸士部隊の隊員達、特に魔法に関する資質を持たぬ隊
員に限り拳銃など云った銃火器の携帯が認められるようなった。
それでも現場における人員の不足等といった問題は後を絶たず、一昨年からは本来ならば人命救助が目的
である私達『N2R隊』を始めとする予備役の者たちまでもが市街のパトロールや、犯罪発生時の対応とい
った治安維持の活動へと参加する事となった。
『ではまず最初は現在の道路状況からお伝えしましょう♪担当の〜』
この街の大動脈とも云えるハイウェイを流れる様にして走る車の数々、そんな中の一台......陸士隊所属
のパトロールカーの車内で、カーラジオから流れるアナウンサーの声を聞きながら陸士隊の制服姿で助手席
に座る隻眼の少女......それが私である。
私の名前はチンク・ナカジマ......ミッド地上本部N2R隊のリーダーだ。
現在は同じミッド地上に所属する父と姉そして、私と同じN2R隊の妹三人と特別救助隊に所属するもう
一人の妹とともに、ここクラナガンそしてミッドチルダ強いては次元世界の平和維持に努めている。
キザな言い方になってしまうが、今の私達は正に”街の番人”である。
*リリカルxクロス〜N2R捜査ファイル
【 A Study In Terror ・・・第一章 】
事の起こりは新暦82年5月9日の夕刻近く......
宅配ピザの配達員シュモーリングは注文のあったLサイズのピザを届ける為、配達先であるクラナガン西
部地区の一角に建つ築50年近い古風な大型マンションへと到着した。
その時の彼はまさか自分が後々に次元世界のフォークロア、つまり都市伝説としてミッドの住人達の間で
密かに語り継がれていく凄惨な事件の「目撃者」になろうとは知る由もなかった。
「うわっ!っととと、スイマセンどうも」
「……」
配達先のメモを確認しながらマンションの玄関ホールを歩いていた彼は前から来た人物に気付かず、その
ままうっかり相手に肩をブツけてしまい大慌てで詫びの言葉を口にする。
だが相手の男性は無言のまま肩越しに後ろを振返り、その目深に被った帽子の鍔に、ステッキを持ったま
まの左手を軽く添えて会釈をし、そのまま歩みを止める事無くマンションの玄関口へと去って行く。
そんな相手の態度に釈然としないものを感じたのか一度はエレベーターの方へと歩きながらも、再び後ろ
を振り返った彼の眼に、先ほど自身に向かって会釈をした相手の後ろ姿がはっきりと映った。
それは常識的に考えても余りに奇妙で、どこか時代錯誤な印象を受ける姿......まるで巨大な鴉を思わせ
る様な漆黒の外套を優雅に着込んだ上に何処か古めかしい山高帽を被り、そしてグリップの部分に何かしら
の装飾が施された長いステッキを左手に、更には右手に古風な革製の医療カバンを提げていた。
「……何だいありゃ?」
そう呟くとシュモーリングは手にピザの箱を抱えたまま、外套の煤を揺らしながら去っていく”黒服の怪
人”の後ろ姿を、キョトンとした表情で首を傾げて見つめていた。
その人物こそがミッドの住人達を、以後数十年に渡り震え上がらせる冷酷残忍な『怪物』だった事に彼が
気付くのは、それから数日後の事だった。
配達員シュモーリングが”黒服の怪人”と擦れ違っていた時と同じぐらいの時刻......
「あ〜〜〜〜、やっと終わったぁ〜〜〜」
クラナガン東部地区のほぼ中心を通る国道では、ドアの横にミッド地上本部のシンボルが描かれたパトカ
ーが1台、帰宅時のラッシュなのか他の車に囲まれる様にして走っていた。
その夕暮れ時のオレンジ色に染められた車内では陸士と思しき赤毛の少女が一人、かなり疲れた様子で運
転席に座りハンドルを握っていた。
「コラ、だらし無いぞノーヴェ。まだ任務は終わった訳では無い」
「……チンク姉、まだ怒ってる?」
隣に座る隻眼の少女ことチンクが少し怒気を含んだ口調で話すや、赤毛の少女ことノーヴェは制服のネク
タイを緩め、背を少し丸めた姿で申し訳なさそうに返事をする。
「当然だ、お前は何故いつも勢いだけで突っ走ろうとする?」
「だって仕方ないよぉ〜、あの時はイキナリだったし……」
「だからと云って、相手をバーガー店のウィンドウに放り込む奴が居るかッ!」
その小さな身長と反比例するかのような勢いで、姉のチンクが怒鳴る叱責の言葉に思わずハンドルを握っ
たままノーヴェが縮み上がった。
チンクが怒る理由は数時間前の事......不良グループ同士による乱闘騒ぎを何とか抑えた後、コーヒーで
も飲んで一息付こうと二人が、通り掛かったコンビニに立ち寄った時に何と!店を襲撃したばかりの強盗3
人組と鉢合わせしてしまったのだ。
その内の二人は間一髪で何とか取り押さえたものの残る一人を逃してしまい、それを見たノーヴェが先に
捕まえた二人を姉に任せて逃げた一人を追い掛けて行き、そして逃げた先で体術の動きを巧みに生かした立
ち回りで犯人の行く手を塞いだ。
追い詰められた犯人が隠し持ったハンティング・ナイフを取り出すのを見るや彼女は、数分間の格闘の末
にあくまで抵抗する彼に対し、その場の勢いに任せハイキックをお見舞いする。
だが幾らか手加減していたとはいえ、戦闘機人であるノーヴェの超人的な脚撃をモロに喰らったが故に犯
人の身体は、その凄まじい衝撃で吹っ飛ばされ弧を描いて宙を舞いながら、近くに有ったファーストフード
店のウィンドウを突き破って店内へと......
「でも、そんな毎回ってワケじゃ……ないし……」
「ほぉ、ならば先週の引っ手繰り犯の時はどうだった?その犯人と取っ組み合ったまま、ファミレスのウィ
ンドウに突っ込んだのは何処の誰だったかな?」
「うっ、そうだった……」
「頼むから、その度に頭を下げて回る姉の身にもなって欲しい」
「……ゴメン、反省してる」
「詫びるなら姉だけでなく、本部に戻って警備部長にもしっかりとお詫びしろ。近頃の苦労もあって部長も
そろそろ胃が危い様に見えるし」
姉からのキビしい説教の言葉を聞かされたせいか、幾分か落ち込んだ表情でノーヴェは、その目を少し潤
ませながら本部に向けて車をトボトボと走らせた。
「交差点での乗用車同士による接触事故と、そのドライバー二人による大ゲンカが一件に御近所同士のト
ラブルが一件、不良グループによる乱闘が一件と、そしてコンビニ強盗が一件……」
地上本部に戻ったチンクたち二人を前に現在の上司である警備部長ヴィンセンツォは、また少し白髪が増
えた頭をポリポリと掻きながら受け取った巡回報告に目を通していた。
「んで?このコンビニ強盗を逮捕する際に、また例によって何時もの”悪いクセ”が出ちまった訳か」
書類から顔を上げると彼は少し呆れた様な雰囲気で、姉とともにデスクの前で、バツの悪そうな表情をし
ながら立つ赤毛の少女へと顔を向けた。
「悪いクセって……痛っ!」
「……」
部長の言葉にノーヴェが口を挟みそうになるが、彼女の足を左横に立つチンクが軽く蹴りながらジロリ!
と睨みつけ、それを見たノーヴェは思わず口を閉じて部長の言葉に耳を傾けた。
「まぁ〜本来なら、先週の様にカミナリの一つも落としてやりたいところ・だ・が、お前さん達にとって
幸いな事に今の俺は、医者から”あんまり興奮しない様に”ってな感じで釘を刺されてる」
そんな二人の様子を見ながら部長はデスクに肘を着いて話を続け、そして不肖の妹に釘を刺そうとするチ
ンクに向かって”まぁ落ち着け”と言いたげな様子で右掌を小さく振った。
「だからと言って、今日の事に関して黙ってる訳じゃ無いぞ、良いなァ?”赤毛1号”。あんまり自分の
身内に世話焼かせる様なら、次は無いと思えよ……分かったか?」
「……あ〜いぃ」
「何だその返事はッ!?」
「はいッ!」
「分かったら、とっとと自分のデスクに戻って始末書でも書いてこいッ!」
「 は い ィ っ!!」
「云っとくが提出は今日中だっ!忘れんなよ、ったくぅ〜……」
部長が椅子から立ち上がって怒鳴るや否や、その怒声に押される様にノーヴェは背筋をピン!と伸ばし、
警備課の広いオフィスを自分のデスク目指して駆け足で走っていく。
「すいません……色々と、ご迷惑をおかけします」
後に残ったチンクが、その銀色の長髪を揺らして頭を下げ、詫びの言葉を述べるのを聞きながら警備部長
は席を離れて彼女の前まで来ると、そのデスクの端にもたれかかる様にして腰を下ろして両腕を組み、そし
て小さく溜息をついて顔をチンクの方へと向ける。
「これも何かの因果というやつかねぇ〜」
「因果、と云いますと?」
「いやなに赤毛1号が立ってたのと同じところにな、新人だった頃の俺も居たもんでな」
「部長も、ですか・・・・・・」
「そうちょうど、お前さんが立ってる所に相棒だったゲンヤさんが居て、上司の説教に俺がウンざりしてダ
レてくる度に横から足を小突いてきたもんさ。今さっきお前さんがしてたのと同じようにな」
そう言うと彼は苦笑いを浮かべながらオフィスの方へと目線を移すと、自分のデスクで始末書の作成に取
り掛かるノーヴェの姿を、かつての自分と重ねる様にして懐かしげに眺めていた。
デスク上に展開したディスプレイを恨めしげに睨みながらノーヴェが始末書を作成していると、部長と話
を終えて戻ったのか彼女の隣の席に、湯気の立ち上るコーヒーを両手に持ったチンクが腰を下ろした。
「どうだ、飲むか?」
「ありがとぉチンク姉ぇ。はぁ〜、生き返るぅ♪」
姉から差し出されたコーヒーを受け取りながら、ため息交じりに笑顔を見せるノーヴェ。
そんな彼女の様子を眺めるチンクは、どこかホッとした表情で自分のデスクに肘をつきながら、ゆっくり
と自分のコーヒーに口を着ける。
「……んで部長は何か云ってた?」
「今日は次のシフトへの引き継ぎは無いそうだ。何でも西部地区で、かなり大きな玉突き事故が発生して夜
間のメンバー全員に緊急招集が出たんだそうだ」
「緊急?じゃあウェンディたちも……」
「私達が戻る1時間も前に出動したらしい。だから今頃は現場に到着してるかもな」
姉からの話を聞きながらノーヴェは手に持つコーヒーを一口すすりると、ゆっくりと頬杖をついた。
「じゃあ引き継ぎが無いなら、アタシらは何を?」
「それなんだが……」
そういうとチンクは持っていたコーヒーをデスクに置き、背もたれにゆっくりと背を預けて話を続けた。
「その事故現場の近くで何か別の事件が起きたとかで、私たちを含めた昼間のメンバーは非常時に備えて
署内で待機せよとの指示が、上の方から出たんだそうだ」
「エェェェェ、このまま待機ィっ!?もぉ〜今日はホントに厄日だよ〜」
「コラ気をつけろ、声が大きいぞ」
「だぁ〜〜ってぇ!これ(始末書)仕上げたら帰れると思ったのにぃ〜」
姉から聞かされた”待機”の言葉に思わず、心底うんざりした様子でノーヴェが嘆きの声を上げる。
っと、そこに......
「よぉ”ウィンドウ・クラッシャー”、今週もお手柄だったってぇ?」
「うっせぇ!ブッ飛ばすぞテメェっ!!」
「おぉ〜ヤバっ!お願いだから、俺ん家の窓には突っ込まないでぇ〜♪」
二人の近くを近くを通りかかった同じ警備課の陸士アップダイクが冷やかしの言葉を投げかけ、それに憤
慨したノーヴェが大声で怒鳴り返すや、彼は自分のデスクへと足早に戻って行った。
「あのヤロォォーー」
「ノ〜〜ヴェ!まったく、たかが冷やかしぐらいで……」
「だぁってチンク姉ぇ〜」
「いい加減に慣れたらどうだ?」
怒り収まらぬ妹の様子に呆れつつ、さり気無くチンクがため息交じりに苦言を呈した。
「あいつさぁ、何かあるたんびにアタシの事ヘンな名前で呼ぶんだよぉ?」
「・・・・・・仕方が無いだろ、その原因の大半は他ならぬお前自身なんだから」
彼女が”ヘンな名前”と云って嫌がっているのは現在、クラナガンで出版されミッド全域で発売されてい
るコミック誌にて連載中の人気シリーズの事である。
それはチンク達N2Rのメンバーが警備課に配属されて間もない頃の事......
当時ネタに困っていた一コミック作家が、たまたま見ていたTVのニュースで都心の銀行に籠城した強盗
グループを、完全武装の陸士隊とともにウィンドウを突き破って銀行内へと突入し、立て篭もっていた犯人
全員を見事に制圧し、人質達を無事に救出したN2R隊の映像に新作のヒントを見出した。
その時の彼女達をモデルに荒くれ者の女捜査官達が、凶悪な犯罪組織を相手に大暴れするアクション物を
創作し、それが大手のコミック誌に掲載されるや思わぬ大ヒットとなったのだ。
そのコミックのタイトルこそが、今や警備課の一員となったノーヴェにとって不本意な呼び名の元となっ
た『ウィンドウ・クラッシャーズ』なのである。
「だぁってさぁ・・・・・・あの(コミックの)主人公って、アタシに全然似てないじゃん」
「ほぉ〜、そう思うか?ならお前に一つ聞くが・・・・・・」
新たな二つ名になりつつあるニックネームに辟易する妹の言葉を聞くや、チンクは足元に置いたバッグの
中から一冊の雑誌を取り出し、そのページを開いてノーヴェに見せる。
「この主人公達のリーダーと云うのが、姉と同じ方の眼にアイパッチをしてるのは・・・・・・」
「ぐ、偶然偶然!偶然だよホント、うん偶然。は、ハハッ」
姉が開いて見せた雑誌のページを目にするやノーヴェは、その引き攣った笑顔に冷や汗をタップリと流し
ながら必死になって話を取り繕うとする......のだが
「なるほど偶然か。ならば、このリーダーの特技がナイフの投擲というのも偶然・・・・・・」
「ゴメンっ!分かりました。この通り謝ります!だからゴメン、もう許してチンク姉ぇ〜」
チンクの執拗(?)なツッコミに観念したか、はたまた根負けしたのか遂に不肖の妹ノーヴェは両手を合
わせ、したり顔でニヤニヤする姉に向かって目をウルウルさせながら頭を下げた。
こうまで彼女が取り乱すのも無理は無く、姉チンクが開いて見せたのは例の人気コミックが掲載されたペ
ージで表紙には、こんなコメントがでかでかと載せられていたからだ。
”『ウィンドウ・クラッシャーズ』遂にアニメ化決定!”
そうして姉からの強烈なツッコミに直撃され、すっかりノーヴェが凹んでいるのと時を同じくして......
「はい皆さん下がってぇ!ここから先は立ち入り禁止です!!」
現場の警備を受け持つ陸士が注意を促す声が響く中、クラナガン西部地区に建つ古風なマンション「ワザ
リング・ハイツ」の周辺は近くに住む住民や通行人、そして情報を聞きつけたマスコミ関係者といった野次
馬で溢れかえり、既に日も落ちて辺りが薄闇に包まれる中、通りは騒然とした空気に包まれていた。
そんな中、玄関前に停められパトカーの車内に制服姿の少女が一人、ドアを開けたままの運転席に俯き加
減で座っていた。
「・・・・・・」
流れる様な青い長髪にパープル色のリボンが印象的な彼女は、気分がすぐれないのか少し青ざめた顔で周
囲の喧騒をよそに時折ため息を漏らしつつ、手に持ったハンカチを静かに握りしめた。
いま彼女の脳裏に有るのは、唯一つの問い掛け......
”何故、何故あんな事が出来るの?”
それは一時間ほど前の事......
彼女が陸士108部隊所属の捜査官としてマンションの5Fにある犯行現場へと足を踏み入れた時、その
明るいグリーンの瞳に映ったのは、あまりにも凄惨で筆舌にし難い程に異様な光景だった。
剃刀の様な鋭い刃物で喉元を深く切り裂かれ、そこから下腹部に掛けて鮮やかな手並みで真っ直ぐに切開
され内臓を摘出された上で、その切り口を丹念に縫合わされた犠牲者の亡骸。
彼が横たえられたベッドの脇には血と汚物で満たされたポリ容器やペットボトル、そしてバケツと云った
大小様々な器が一部の隙もなく整然と並べられ、近くの壁には犠牲者から取り出された臓器が額縁に飾られ
ていたのだ。
それは正に鮮血と臓腑によって彩られた悪夢のオブジェ......人の命など眼中にはなく、それどころか魂
の器たる肉体を単なる”物(素材)”として扱い弄んだ残忍極まる犯行の手口。
どんな異常者が、いやどんな”怪物”が、ここにやって来たというのだろうか?
「無理しなくて良いんだぞギンガ。正直な話、こんなの俺だって……」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
捜査主任であるラッド・カルタス二等陸尉からの気遣いに感謝しつつ、彼女ギンガ・ナカジマ准陸尉は先
に現場入りしていた同僚や、鑑識課のメンバー達とともに犯行の検分へと入る。
こみ上げてくる嘔吐感と言い知れぬ恐怖を何とか堪え、乾き始めた血とバケツの中で腐敗し始めた汚物か
ら立ち上る臭気が入り混じり、言葉にし難い悪臭が部屋中に立ち込める中でギンガは、その淀みきった空気
に咽せながらも何とか犯人に繋がる手掛かりを探していたのだが......
「・・・・・・被害者の家族は?」
「ガイ者(被害者)のカミさんなら、あそこに・・・・・・」
鑑識課の主任が指し示すままカルタスとともにキッチンを覗き、そこのテーブル上に置かれた物を目にし
た瞬間、遂に堪え切れなくなったのか彼女は部屋のトイレへと駆け込むや、当日の食事を全て便器の中へと
盛大に吐き戻してしまい、止む無く上司の指示と説得(?)を受けざるを得なくなったのだ。
「え、えぇ大丈夫です。すみません、ご心配をかけて・・・・・・」
「いぃえ、私も人の事は云えませんし。よろしければ、どうぞ」
「あ、どうも色々と・・・・・・ありがとうございます」
彼女が差出したミネラルウォーターを受け取りながらギンガは、これ以上は相手に心配をかけまいと今で
きる精一杯の笑顔でお礼の言葉を贈り、それにモニークが返事をしようとした時......
『おい、ヒヨっ子。そっちは落ち着いたか?』
彼女の持つ無線機から自身を呼ぶ上司......鑑識課のブロック主任の声が響き、それにモニークが少し驚
きながら一旦は無線機の方へと向けていた目線を再びギンガの方へ向けると、彼女は「心配しないで」っと
言いたげな雰囲気で微笑みながらモニークに向かって小さく頷いた。
「あ、はい大丈夫です。もうナカジマ准尉も落ち着きましたし」
『そうか、じゃあ今すぐEXスキャナを持って、こっちへ戻ってくれ』
「い、EXスキャナを、ですか?どうして・・・」
『そ〜だ!また厄介なモンが出てきたんだ、うだうだ云ってないでサッサッと戻れ』
「あ、はい!すぐに戻ります」
やや荒っぽい口調で伝えられた上司からの指示を聞き彼女は、傍で見ていたギンガに小さく頭を下げながら
一言「ちょっと失礼します」と声をかけると少し慌てた様子で鑑識課のワゴン車の方へと向かい、そして指示
のあった機材を車内から取り出すと小走りにマンションへと戻って行った。
その様子を少し可笑しそうに眺めていたギンガであったが、再び一人となった彼女の耳に周囲の喧騒に交じ
って遠くの方から忙しなく響く車のクラクションの音が聞こえる......それも、かなりの数の
”・・・・・・あれは”
座っていた運転席から立ち車を降りた彼女は、その目線を音の聞こえる方へと向けつつ車を離れ、近くで野
次馬の整理をしていた陸士へと声をかけた。
「あの、仕事中ごめんなさい」
「悪いが今は取り込み中・・・・・・し、失礼しました准尉!ご苦労さまであります」
声を掛けられた若い陸士は相手が捜査官であると見てとるや、慌てて姿勢を正しながらギンガに向かって敬
礼をする。
「あぁ驚かしてごめんなさい。一つ聞いても良いかしら?」
「はい?何でしょうか准尉」
「あの音、あのクラクションの音って・・・・・・」
「あぁアレですか?あれは本部からの連絡だと、この近くの国道で玉突き事故が有ったそうです」
陸士の口から告げられる言葉に少し眉をひそめると彼女は、その状況を更に詳しく聞こうと話を続けた。
「・・・・・・事故?」
「えぇ、そうです。何でも結構デカい事故が起きたみたいで、交通課だけじゃなくて警備課の連中にまでお
呼びが掛ってるそうです」
事情を確認した後その陸士に礼を言い、彼が再び野次馬の整理の為に仕事へと戻っていく姿を見届けなが
ギンガは、その視線を再び幾つものクラクションが響く国道の方へと向ける。
”・・・・・・まさか”
彼女の脳裏に何かが閃き、その直感に突き動かされる様にして視線をマンションの玄関の方へと向ける。
事故が起きたという国道はマンションの玄関を出て右側、そこを徒歩で約数百m進んだ先にあり、しかも目
撃者であるピザ宅配人の証言を参考にすれば、その容疑者と思しき人物は黒服の人物は建物を出て右側へと去
って行ったという。
気が付けばギンガは集まった群衆の中をかき分ける様にして通り抜け、その足を未だ渋滞の続く国道へと向
けて歩み出していた。
そう何時間か前には”黒衣の怪物”が通ったのと同じ道筋を......
・・・・・・Until Next Time
終わった?さるさんじゃないなら終了宣言を
今回の投下は以上です。
前回の序章から幾分かブランクが開いてしまいましたが、何とか投下までこぎつけましたw
できれば時間は今月後半ぐらいを目指しますので、どうか長ぁ〜い目で観てやって下さい。
m(_ _)mオネガイシマス…
>>504 すいません・・・終了宣言でさるさんに捕まってしまいました。m(_ _)m カンニンデス
506 :
一尉:2009/09/03(木) 19:28:11 ID:7p0T7rad
暗黒支援
前回投稿時に言い忘れてましたが、現在自ページで戦闘シーンに関するアンケートを取っています。
拙作の中にも良いシーンがあったなと思ってくださった方は是非アンケートにご参加下さい。内容によっては今後の執筆に影響するかもしれません。
皆さん宜しくお願いします。
508 :
一尉:2009/09/04(金) 18:58:13 ID:rjuK+L5F
炎上支援
お久し振りです
20:00からR-TYPE Λ 第二十九話を投下させて頂きます
・・・とか言っといて何ですが、スレの容量も足りないようですので、気になる点を修正後に新スレで投下させて頂きます
済みませんでした
それじゃそろそろ埋めかな
にしても過疎りすぎだな、ここ
>>510 次スレへ支援
残り10kないんか
次スレ立てようとしたけど駄目だった
誰かお願い
立てられるか解らんがいってくる
うめ
過疎ではあるかもしれんが密度が濃いからいいじゃん うめー
‥ __. -‐----、_ , '⌒ヽ
/´ `ー、 :.
/ _z ≠ ≠ 、 \
/ , zi≠ i .i .ハ ヽ ヽ:ヽ
j ./z≠ .| .i..:j:.:メ ├廾弋ヽヽ ヽ| :.
.: | |ナ _|斗壬弍. :リ7尓Y:}:}.:.ト..:!
.| |. .::' ̄|i/.ィ;;バ V 込!。レメ.:.} リ
.| | i.i.:.::::代込ジ ,~'゙ |ハリ .:
.: | .ハ:.:ヾ.:.:ゝo`"゙ __, ハ
} :弋^ゞュ:ゝ (;:ソ ,.兮{、
./ .:.:/T´:个 - .._ /\イ))
/ .:.:ノ \:.:.`\ リ\:.:. },ノ
.: ./ .:/ 入.:.:.ト}` ̄`ヽリ川'| :. ‥
/ / :/\_ .::| ,)リ.} 工ニイ | , -‐- 、
/,イ:.:/:i:.:.| `T’: 彡’ ,!/ ⌒ ヽ , '´ ヽ. :
.: .{:| | :|:.:l.:.:| }:.:. .:.:, ' }./ :. }
!:!:| :ト,:.:V .ハ:.:. / / ,! ! |
ヾ!ヾ:.:V .∧:}:.:.:. ..-/ ./ j} λ | :.
: .: .:.:`/ ∧:.{`.:.:-イ / /:| , ' ヽ ! _
: .: .::./ /: . ノ:.:.:.:. { i .∧ノ / \ ', (__ _>-。-、
_,..=ニヽ、_/ /: . ∧:.:.:..:.:.:|: j ./トノ / ハ. ヽ _: . / o x ヽァ
三ニ, /: . く:.::!.: : : :.:}: | /┤ /: .: .: .: .: . |、 \ (_ .二ィ K`ヽ、__
.=ニ--┐ ノ: .: .: .:\. :. ノ: j /.ノ ̄ : .: .: .: .: .: .: .: .: .:ト、: \ : .: .ヽ. . . , イ 、__)
: .: .し': .: .: .: .: .: .`ー´`ー-.ノ ,': .: . : .: .: .: .\\__,ノ\  ̄: . し'ヒ>、_)
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ヽ:: ノ
`ー'
ヽ、
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