あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part239

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part238
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244873881/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
     _
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 08:51:51 ID:tJQd+++X
テンプレは>1だけです。
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 08:57:36 ID:tMEeg8GV
l乙
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 08:58:30 ID:Nae7cWCb
>>1乙〜
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 08:59:06 ID:KQbycxM0
>>1
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 16:35:57 ID:CvtGEQhE
>>1乙と、Part239に数多くの良作が投下されることを願って
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 18:00:09 ID:kykgF7Ku
a
8鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/24(水) 23:00:01 ID:SeN5SNhH
 魔法学院の女子生徒寮が騒がしい。夕食の時間は終わっていたが、一部の人間にとって食事どころの騒ぎでは済まない事態となっていた。
 集まったのはまたしてもタバサの部屋である。部屋にはキュルケ、シエスタ、ギュスターヴ、椅子の陰に隠れるルイズに、顔色の悪いギーシュとモンモランシーが
集まっている。
「さ、て。ルイズとシエスタが何していたかはとりあえず聞いたとして……“これ”は何かしらねぇ?」
 キュルケが持ち出したのは底に銀色に煌く液体が少し入った酒瓶だった。それを見せ付けられたギーシュとモンモランシーはとても気まずそうにしている。
「シエスタの話だと、『白銀色の蜂蜜酒』だって聞いたけど。……よくもまぁ、こんな危なっかしいもの作れたものね。それも先生達に見つからずに」
「当然よ。必要な素材と機器は全部自前で用意したもの。香水やポーションを少しずつ作っては売って貯めたお金でね」
 まるで自分の作品を褒められた芸術家のように、モンモランシーは胸を張った。
「タバサ、『白銀色の蜂蜜酒』って何なんだ?」
「蜂蜜酒をベースに造った、一種の幻覚、興奮剤。配合には、流通に制限のかけられている素材が必要になる。禁制のポーションの一つ」
 そう言われて、ギュスターヴは眉を顰めた。
 幻覚剤と聞いて、流石に面白い顔は出来ない。ギーシュの様子からすれば、モンモランシーに勧められてのことなのかもしれないが、どちらにしろ若者の趣味にしては
いささかよろしくないもののように思えた。
「そもそも、トリステインでは蜂蜜酒の密造自体、厳罰の対象のはず」
「え、そうなの?」
 キュルケも知らなかったらしい指摘を受けて、モンモランシーはばつが悪そうに視線をそらした。
「王族の祝い事のためにしか飲まれないから、市政での製造は認められていない」
 タバサの一層冷ややかな視線を受けたモンモランシーは、開き直ったような笑みを浮かべて言う。
「でも蜂蜜酒ってポーションの製造には最適の素材なのよ。薬効を溶け込む力に優れているし、熟成されたものはそのままでも凄い力を持っているんだから」
「ま、いいわ。言い訳は先生達に引き渡してからに言ってもらいましょう?」
「待ってくれ! 責任は止めなかった僕にもある。よく言い含めるから先生には言わないでくれないか……頼む」
 そっけなくキュルケが言うのを、ギーシュが前に出て制止する。そして杖を地面に落とし、頭を深く下げた。
 杖を捨てて謝っているのだから、ギーシュは相当責任を感じているのだろう。キュルケも別に、好きで知り合いを告発するような趣味はない。
「……蜂蜜酒の件は、一旦置いておくとして。問題はルイズよね」
 キュルケの視線の脇には一同の輪から一番離れた場所で、椅子を抱えたルイズが見える。
「貴方達、ルイズがなんであんなふうになってるか判る?」
「僕にはさっぱり……」
「判るわよ」
 当然、というように言ったモンモランシーに一同の視線が集まる。
「気化した蜂蜜酒を吸って暴れた時に、預かってた薬瓶を頭から被ったのよ」
「何の薬?」
「前にギーシュから預かってた薬」
 視線がギーシュへと移ると、ギーシュは居心地が悪そうに答えた。
「ほ、ほら。皆で宝物探しをした事があっただろう?あの時に見つけた……」
「ああ、そんなものもあったわね……。で、どういう薬だったのよ」
「吸引したものに特定の暗示を含ませる薬」
「「「暗示?」」」
 あまり聞きなれない言葉にキュルケたちの声が揃った。
「乱心宣誓【ギアス】ほど複雑な事は出来ないけど、それでも効力の強力な薬よ。まったく、あれ禁制の品なんだけど誰が作ったんだか」
 どの口で言ってるのよ、キュルケは胸中でつぶやいた。
「成分は見たから暗示の内容もわかってるわよ。『異性と犬に拒絶反応を出す』『穴を掘りたくなる』の二つだったわ。多分、試しに作ってみたけど、使わずに
しまいこんでたんでしょうね」
 己の分析の自信を隠そうともしないモンモランシーに、ギーシュを除く一同は呆然とするのであった。
 
 
 
 『行き先は、ラグドリアン・レイク』
 
 
 
9鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/24(水) 23:02:28 ID:SeN5SNhH
 その場が解散してしまう前に、ギュスターヴが皆に聞く。
「ルイズに掛かっている薬の効果が消える為にはどうすればいいんだ?」
「ポーションの薬効は時間経過で自然に消滅するものが殆ど」
 タバサの言葉を受けて、モンモランシーが続く。
「その薬なら精々半年くらいはこのまんまよ。結構たっぷりと吸い込んでたし」
「どうにかしなさいよ」
 キュルケもルイズがこのまま、というのは流石に具合が悪そうだった。
「……そうねぇ、薬の効果を解除する薬なら、作れないこともないわよ」
 モンモランシーの言葉は一同が期待を持てるものだった。
「じゃあ早速作ってくれな「断るわ」……」
 ギュスターヴの提案を遮るように、モンモランシーは答える。
 それを見たキュルケがこめかみを押さえながら言う。
「あんた自分の立場分かってるの?私達はこのままあんたを突き出してもいいのよ」
「……材料と機材が無いわ。懐には暫く余裕なんてまったくないのよ。只でさえ、ルイズが暴れたから部屋にある薬や道具が駄目になってるのだから」
 あくまで悠然と、己にまるで非のない人間のように振舞うモンモランシーを見て、段々とキュルケの眉尻が痙攣するように吊りあがる。
「ふざけてんじゃないわよ。つべこべ言わず薬を作りなさい。お金が居るなら親に催促するなり手の物を売り払うなりしなさいよ」
 普段は明るく弾むはずのキュルケの声色が、そのときは低く、何かを押さえつけるようなものに変わっていた。
 ギュスターヴはそれに何か引っかかるものを感じたが、モンモランシーはそれを聞いても眉一つ崩さずに答えた。
「生憎と、金満なゲルマニアのツェルプストーみたいにあぶく銭に飽いているわけじゃなくってよ。ねぇ?ギーシュ」
「え?……ん、その、だ、ね?僕もその、個人的に出せるお金もそんなにないし、家もそんなに余裕はないんだ……」
 己の不肖を恥じているようにギーシュの声は先細りだった。
 それを聞いたキュルケは、ふぅ、と一息吐き出して、優雅に一歩踏み出してから、モンモランシーの胸倉をぐっと引き寄せた。
「っ!」
「巫山戯たこと抜かしてる余裕があるんなら、手前の失敗で手痛い目に遭うくらいの覚悟は出来てるのよね?」
 その場にいる全員に緊張が走る。驚いたモンモランシーは目を白黒させながら、ぐいぐいと首を絞められていた。
「き、キュルケ……?」
「もう一度聞くわ。薬、作れるの?作れないの?作れるならいくらほどかかって、どれくらい待つのか。教えてくださる?ミス・モンモランシー」
 長身のキュルケに締め上げられ、モンモランシーの体が軽く浮き上がっていた。
「く、苦しい……」
「キュルケ、もうその辺りで……」
 制止を促すギュスターヴの声も、キュルケの耳には遠い。締め上げるキュルケの手元から、モンモランシーの首を引き絞る布の音さえ聞こえる。
「き、キュルケ! わかった! わかったから、モンモランシーを離してやってくれないか? 薬のことは僕からも言い聞かせて作ってもらう! 資金も、
僕がどうにか工面しよう! だからその手を離してくれ」
 狼狽するギーシュが、剣呑な雰囲気を放つキュルケに言うが、キュルケは微熱の二つ名から信じられないほど、冷ややかな眼差しで答えた。
 
「いいえギーシュ。私はモンモランシーの口から聞きたいの。本当は『出来る』なんて中途半端な言葉は聴きたくないけれどね。……こういう時、ゲルマニアでは『出来た』っていうのよ。『出来る』と思ったときには、既に行動は、終わっているはずだから……」
10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 23:04:01 ID:qApEeFZC
>>8
>『異性と犬に拒絶反応を出す』『穴を掘りたくなる』

ゆきぽ?

支援
11鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/24(水) 23:04:14 ID:SeN5SNhH
 
「キュルケ! やめないか! 」
 危険な空気を感じたギュスターヴがモンモランシーとキュルケの間に割って入った。開放されたモンモランシーが床に倒れこみ、苦しそうに息を整えていた。
「キュルケ! これは何でもやり過ぎだ! ……ギーシュ、それと、モンモランシーだったな。私闘をキュルケにさせる気はないが、それでも俺はコルベールなり
オスマンなりにお前達のことを報告してもいいんだ。ルイズが薬で狂わされたと俺が申し立てれば、主張は通るだろうからな」
「ギュスターヴ……僕は……」
 複雑な色を浮かべてモンモランシーを抱きかかえるギーシュは、未だ粗く呼吸するモンモランシーを見つめた。
「モンモランシー。僕らがいけないのは明らかだよ。ここは彼らに従おう」
「……仕方が無いわね」
 燃え上がりそうなほどの視線をキュルケに投げつけつつ、モンモランシーはそうそう言った。
「そこで提案だ。俺が必要な金を揃えるから、二人には最短で薬の製作に取り掛かってもらいたい。それでいいな?キュルケ」
「……ええ、ミスタがそれでいいというのなら、それで」
 答えたキュルケの声音は、普段のそれを取り戻していた。
 
 怯え竦むルイズをキュルケが部屋に引っ張り込み、ベッドに寝かせつけてから、キュルケは自分の部屋へを戻ろうとした。
「それじゃあね。薬が出来るまで、ギュスの寝床も提供してさしあげようかしら」
「軽口で装うのはやめたらどうだ?」
 なんのことかしら、と、キュルケは開けた部屋のドアにもたれかかって答える。
「俺も腹が立っていたが、さっきのキュルケ、君のそれは……」
「烈しかった、かしらね」
 部屋の中で寝ていたらしいフレイムが主人の帰りを感じたのだろう。のそのそと出てきて、キュルケの足に寄り添った。
「ふふ、女には秘密があるものですのよ。でもこれだけは覚えて置いてくださる?私はルイズも、タバサも、それに貴方も。親しい人には健やかで、幸せであってほしいの。
そのためなら、微熱といわず身を焼き尽くしてもいいわ」
「……キュルケ」
 夜闇に薄く差し込む月明かりの中で、キュルケは笑っていた。艶やかでも、優し過ぎることもない。穏やかな微笑みだった。
「……冗談が過ぎるぞ。俺はそうだな。暫くマルトーのところにでも厄介になる。部屋から閉め出されたといえば、寝床くらいは貸してくれるだろう」
「……そう。……ああ、ギュス」
 廊下を過ぎようとしていたギュスターヴが足を止めて振り返った。
「どうやら、休暇申請が通ったみたいですわ。明日にはタバサと一緒に、ラグドリアン湖に行けそうよ」
「……そうか。よかったな」
「えぇ。……帰ってくるまで、ルイズのこと、よろしくお願いしますね」
「当然だ。これでも一応、使い魔だからな」
 それだけ応えて、ギュスターヴは夜闇の中に見えなくなった。
 
 
 
12鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/24(水) 23:06:22 ID:SeN5SNhH
 その翌日から、一同がそれぞれの目的によって行動を開始した。
 キュルケはタバサを連れ、ガリアとの国境沿いにあるラグドリアン湖へと向かった。
 モンモランシーとギーシュは、ギュスターヴより渡された小切手の金額を見ながら(その額は一平民の財産というにはなかなかの額であって、モンモランシーは
一体どこからこれほどのお金が出てきたのかと不思議に思っていた)ルイズにかかった薬の解除薬の製作を開始した。
 ギュスターヴはその間、できるだけいつもと変わらぬ様子を周囲に見せていた。早朝には稽古をし、鍛冶場に出て剣を打つか、図書館に入って本を読んでいた。
ルイズに近づこうものなら、ルイズは飛び上がって逃げ出し、広場の一角に穴を掘って埋まってしまうのだ。お陰で薬の用意が出来る間、ふたたびシエスタに
ルイズの世話を任せることになってしまい、あとでどう礼をしたものかと考えるばかりだった。
 
 そのようにして、ルイズが薬を被った夜から三日が過ぎた頃。ギーシュから呼び出しを受けたギュスターヴは、モンモランシーの部屋へとやってきた。
 錯乱したシエスタが壊した窓はギーシュが練金【アルケミー】を使って補習されていて、一見して問題のないように見えた。
「ここへ呼んだということは、解除薬は出来ていると考えていいのかな」
「いや……それがだね……」
 ギーシュが口ごもらせていると、硝子機器の傍で瓶をかき混ぜていたモンモランシーが言った。
「解除薬はできてないわ。必要な材料が調達できなかったのよ」
「必要なだけの金子は渡したはずなんだがな……」
 意識して、ギュスターヴは凄みを利かせて話した。二人に危機感を忘れさせない為である。二人も分かっているのか、顔色はどうみても良好ではない。
おそらく満足に休んではいないのだろう。そう思うとギュスターヴも気が少し重くなったが、ルイズの変調を隠しておくのにも限界がある。ここは心を
鬼にしなければならなかった。
「金額の問題じゃあないわ。材料そのものが入荷してなかったのよ。もっとも、普段から流通の少ない品なんだけどね。薬の解除薬っていうのは、それくらい
作るのが大変なのよ」
 強張りをみせるモンモランシーの声が、本当に材料の入手が出来なかった事を示している。それを見て取ったギュスターヴも一息いれ、物腰を砕いて話した。
「……市井で手に入らないなら、自力で手に入れるしかないだろう。なにが必要なんだ?」
「『水精霊の涙』。ラグドリアンの湖に棲んでいる水の精霊から手に入れるのが一番知られた方法だけど」
「…………なんだって?」
 それを聞いて一瞬、ギュスターヴはぼんやりと何かにつままれたような顔をしてしまった。一方、ギーシュは真面目に入手方法について頭を捻らせている。
「しかし水の精霊は湖の奥深くに棲んでいるんだろう?悪いけど僕らじゃ手が出せないと思わないかい?」
「あら、目の前にいる女をなんだと思ってるのかしら。モンモランシ家は代々、水の精霊との交渉を取り仕切ってきたのよ。ちょっと手間だけど、呼び寄せて
少し分けてもらうくらいなら私にも出来るわ」
「そうのなのかい?! 凄いじゃないかモンモランシー。それなら明日早速ラグドリアン湖に行こう! 水の精霊から『水精霊の涙』を手に入れよう!」
「あー……ちょっと待った」
 なんだね、と盛り上がっていたギーシュが反応する。
「確か今ラグドリアン湖にはキュルケとタバサがいるはずだ。それで『水精霊の涙』を取ろうとしている」
 それを聞くと、モンモランシーがかなり嫌そうな顔をした。
「それってあの二人に手を貸してもらえって事かしら?」
「手間なんだろう? 人手はあったほうがいいんじゃないか。……まぁ、待っていれば二人が『水精霊の涙』を手に入れて、市場に卸すだろうが、それを待っている余裕は
正直のところないんだ」
 何しろ、今のルイズは男性の影が少しでも見えれば脱兎の如く逃げ出してしまうので、満足に授業すら出られない有様なのだ。
「ふむ。モンモランシー、ここは彼女らに助力を請おう」
「ギーシュ……」
「時間が無いから休暇申請してられないか……無断で休むと家に連絡が行くかもしれないけど、背に腹は変えられないし」
 よし、と力強くギーシュは気合を入れてギュスターヴに振り返った。
「ギュスターヴ、明日から早速ラグドリアン湖へ向かおう。ルイズは……」
「連れて行けないだろう。またシエスタに負担が掛かるなぁ……」
 それを思うとギュスターヴは気が重くなる。果たして、何であれば埋め合わせができるのやら。
 
 
 
13鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/24(水) 23:08:08 ID:SeN5SNhH
 時間を遡って前日。キュルケの目には、のどかとしか言いようのない街道の風景が、ただただ映っていた。
 タバサと共に馬車に揺られてガリア方面、ラグドリアン湖へと続く旅の途中であった。
 自分から言い出したこととはいえ、のんびりと馬車に揺られているだけの時間というのは、結構暇なものだった。当初、タバサの使い魔シルフィードの背を
借りようと考えていたのだが、タバサがやんわりと渋ったため、こうして馬車に乗っていくこととなった。因みにそのシルフィードはというと、馬車の真上、
上空2500メイル程で追従し、背中にはフレイムを乗せているのだった。
「そろそろラグドリアン湖ね。……タバサ?」
 外を眺めていた視線を戻したキュルケの目に、タバサの眺めていた本のページが見えた。
 自分の薦めた本だったが、始めに捲られてからまるで読み進められて居ない事に気付く。
「面白くなかったかしら? その本」
「そんなことはない」
 タバサの返事の普段と変わらないが、その顔にはどこか、普段とは違った悲しさのようなものが滲んでいる気がした。
 その時、そのまま次の駅場まで止まらないはずの馬車に突然制動が掛かった。
「あら……?」
 もう着いたかしら、と外を覗き込んだキュルケだったが、視界の限りは街道のど真ん中だった。明らかに不自然な停止だ。
「もし。どうかなさって?」
 御者席を覗ける小窓から呼びかけると、汗を拭って御者が応えた。
「前の方で荷車が泥濘に嵌っていますんで、すれ違う幅がなくなってるんですよ」
「泥濘?街道なのに泥濘があるの?」
 大体の国において街道と呼ばれる道は、土メイジの監督の下舗装の施されたものであり、多少雨が降った程度で崩れてぬかるんだりする事は普通ないはずであった。
「ここ何年かで湖が広がってきてますからねぇ。周囲の土地が湿地化してるんですよ。次の駅場まではいけますが、そっから先はもう街道は湖に沈みこんでますよ」
 心底参っている風に御者は言った。
 
 街道を抜けてたどり着いた駅場で降り、キュルケは駅場の詰め所に寄った。どこか適当な宿をとるためであった。
 しかし、詰め所にいた御者達は一様に苦い顔をして首を振って答えた。
「いけませんぜ貴族のお嬢さん。ここいらに今貴族様を泊められるような宿はおろかまともな家なんざ殆ど残ってませんで」
「どういうことよ?」
「湖の浸食がかなり激しくって、湖に面した村はあらかた湿地化した地面に沈み込んじまったんですよ。酷いところじゃ屋根まで水に浸かっちまって魚の巣になってますわ」
「今も無事なのは、湖からかなり離れた村か、沈み込まない高台に作られた貴族様方のお屋敷くらいなもんですよ」
 それを聞いて困った顔でキュルケは外で待っていたタバサの元に戻った。
「宿取れないって。せっかく来たのに……困ったわね」
 聞いているのかいないのかよく分からない風情で、タバサは遠くに見える湖を眺めていた。
「どうしようか……タバサ」
 そう言って、ようやくタバサが振り返る。液体ヘリウムの如き澄んだ瞳が、キュルケを見上げていた。
「キュルケ」
「何?」
「私の家に来て。案内するから」
 え?と、キュルケが返事をするかしないかのうちに、タバサは空で待つシルフィードを呼び寄せていた。
 
 空から見たラグドリアン湖は、御者達が話していたとおり、岸辺に激しい浸食が認められた。
 嘗て畑だったらしい区画には不気味に太く育った葦や蒲が繁茂し、湖に面していたらしい集落は水を被って腐り落ちるか、水没して廃墟になっている。
 そう見ていると、シルフィードが急激に高度を上げ始めていた。
「タバサ?」
「これから国境を抜ける。見つからないようにする」
「国境って……ガリアに?」
 その問いにタバサからの返事はないまま、シルフィードが眼下に見える関所を通り過ぎる。
 
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 23:09:11 ID:qApEeFZC
支援
15鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/24(水) 23:10:02 ID:SeN5SNhH
 空を飛んでほんの数十分、シルフィードの降りた場所は、大きな屋敷に面した庭のようだった。『ようだった』というのは、屋敷付の庭にしては殆ど手入れのされていない
場所だったからだ。録に剪定のされていない植木、丈の長くなった芝の上に、タバサとキュルケは降り立った。
「ここは……」
「来て」
 タバサの後追うように、キュルケも屋敷の中へと入る。
 屋敷もまた、その規模にしてはあまり手入れのされていない様子を感じさせていた。煤けた壁や天井の装飾が本来の屋敷の姿を偲ばせる。壁には大きな二枚の
人物画が架けられ、一枚はタバサと同じ蒼い髪をした青年、もう一枚には青年と妙齢の女性、それに抱かれる蒼い髪の赤子が描かれていた。
 屋敷のエントランスで二人が待っていると、奥の部屋から人影が近づいてきた。矍鑠とした老人が小奇麗な服を着ている。彼はタバサの前に立ち止まり、腰を曲げて
頭を垂れた。
「お帰りなさいませお嬢様。お出迎えが遅くなり申し訳ございません」
「便りは書いてないから。彼女に部屋を用意して」
「かしこまりました。家令を勤めますペルスランと申します。お客様、どうぞこちらへ……」
 キュルケから荷物を預かった老人が階段を登って行くタバサとは別方向へ歩いていく。キュルケは少し迷ったものの、ひとまず老人について屋敷の中を進んだ。
「タバサってガリアの人だったのね。ご両親にご挨拶させてもらえるかしら」
「お嬢様は外では『タバサ』と名乗っておられるのですね……」
 部屋まで続く廊下で、どうやら屋敷の家令らしき老人はもの悲しげに応えた。
「……お客様はどちらの方でございましょうか?」
「ゲルマニアのフォン・ツェルプストーよ。……その様子だと『タバサ』って偽名みたい、ね。それに、このお屋敷も……」
 言葉が切れて、キュルケは一つの部屋に通された。貴族の屋敷によくある構成の客室だったが、やはりどこか疲れたような空気が感じられた。
「お客様をお嬢様……シャルロット様のご友人と見て、一つお話しましょう。全ては、これ一つから始まったのです……」
 ペルスランが取り出したのは、貴族の家ならどこにでもある、紋章のついた房飾りだった。杖の交差されたデザインに古書体で『さらに先へ』と縁書きされている。
 しかしキュルケの目に付いたのは、その房飾りに深く刻み込まれた十字の切り込みだった。
 不名誉印、である。己あるいは王家によってその資格を剥奪されたことの証だ。そしてその房飾りの紋章こそ、ガリア王家に連なるものに違いなかった。
「あの不遜なる無能王によって、ここは牢獄となっているのです」
 
 
16鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/24(水) 23:12:13 ID:SeN5SNhH
 屋敷の廊下の一際奥まった場所の一室に、タバサは立っていた。何もない、ベッドとテーブルしかない部屋で、ベッドの上で身じろぎする気配だけが認められる。
「ただいま帰りました。お母さま」
 タバサが声をかけた。その声音は優しく、労わりが深くにじみ出ていた。
 だが、声をかけられた側――タバサに母と呼ばれた者は、体を震わせ激しい感情のままに叫んだ。
「下がりなさい無礼者! 誰がお前達などにシャルロットを渡すものですか!」
 炯炯と光る瞳ばかりが目につく痩身の女性だった。髪は荒れ頬はこけ、寓話に読まれる泣女【バンシー】のようだ。彼女はそう叫ぶと、傍らに寝かせていた人形を
抱きしめた。
「可愛いシャルロットや……」
 痩せた肌で人形を抱き寄せる様は直視に耐えなく、だが、心無いものが見ればそれは、物乞う狂い女のようにも見えたことだろう。
「恐ろしい事……どうして私の娘が、いずれ王位を狙おうなどと申すでしょうか。私達はただ静かに暮らしたいだけなのです。下がりなさい!」
 抱きしめる人形は珍しい布作りのものだったが、長年そうして抱き続けていたのだろう。継ぎ目がほつれて中の綿が漏れていた。くたびれた人形を一心に抱きしめる母を
見て、タバサは静かに部屋を出た。閉ざされた母の部屋の前で杖を胸に捧げ、何度となくした誓いを立てる。
(あなたの心を取り戻し、あの男の首を必ず、この手で……)
 
 
「今を遡る事五年前、先王が崩御されました折、先王には二人の王子がおられました。長男のジョゼフ殿は学識に優れておいででしたが、魔法の才が塵ほどにも
ないお方でした。一方次男のシャルル様は魔法の才と人望に溢れておいででした」
「今のガリア王って、ジョゼフ王だったわね」
「シャルル様がシャルロット様のお父上になられます。……先王は病床で、次の王をジョゼフ王子に指定した事で、宮廷では激しい勢力争いが繰り広げられました。
国王になったジョゼフ殿を擁する国王派とシャルル様を擁する王弟派……その最中で、シャルル様は国王派の放った毒矢を受けて暗殺されたのです」
 ペルスランは身を震わせて話し続ける。
「旗頭を失った王弟派は分解し、ジョゼフ王は王弟・オルレアン大公家の廃嫡を決定し、派閥争いは収束したのです」
 それで、とキュルケは得心した。廃嫡され領地や財産を没収されたために、この屋敷はこれほどにさびれているのだ。恐らく、使用人はこの老人一人なのではないか、
と思った。
「シャルル様を亡くし、家財や領地も奪われた奥様とシャルロット様に、あまつさえジョゼフ王は毒殺を謀ったのでございます。結果、奥様はシャルロット様を庇って
毒を呷られ、心を狂わされてしまいました……」
 そう言ってペルスランは悔しさのあまりに涙を流していた。
「その日以降、シャルロット様は別人のようになられました。心を殺して唯々諾々と、ジョゼフ王から下される汚れ仕事を請けておられるのです」
「時々いなくなっていたのはそういう事情だったのね……」
「お陰でこのお屋敷と奥様だけは取り上げられずに降りますが……私は……悔しいのです! 父を殺し、母を狂わした男に頭を下げ、服従を強いらされ、ただ一つ
シュヴァリエの叙勲のみ受けて危険な任務を受けていらっしゃる……そんなシャルロット様が哀れでなりません……」
 滂沱の涙を零す老人の握る房飾りが、冷たく流れ込む湖の風で、静かに揺れている。
17鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/24(水) 23:14:25 ID:SeN5SNhH
投下終了。ラグドリアン湖へと皆が動いていきます。
都合上、話の主軸がルイズ以外に移ってしまうのでそこが少し不安でありますね。
しかし、書くからには最大限の努力を払っているのだ!と自己弁護したり……。
あー、バトルシーン書きたい。

では。 .┓┏.
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 23:18:00 ID:qApEeFZC
お疲れ様です

ロシアかドイツ系かと思っていたら、
イタリア系だったんですね、
キュルケさんは。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 23:21:38 ID:xHUL+j8P
鋼の人、乙でしたー。
モンモランシーの開き直りっぷりに少々イラっとしましたが、ほかの所で軽く流しすぎてるのかもしれませんね。

……前スレの埋めで改めて確認しましたけど、デルフって可哀想。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 23:25:15 ID:qApEeFZC
いつかきっと、
「新デルフ(ry」とか、「デ(中略)ガー2」とかになって復活してくれるよ!!
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 23:38:58 ID:NOk+/wOn
鋼の人、投下乙でしたー。

ところで

.┓┏.

これは今後のバイオレンス展開の伏線ですかw
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 23:40:56 ID:lN8A5wI/
前スレ>>1000に期待
そして鋼の人乙です
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:17:57 ID:1MC3cgOD
金欠でしばらく新刊買えそうにないんだが、二次クラッシャー的な意味でそんなヤバいのか…?
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:19:21 ID:PYuRR8AY
どんだけ金欠

錬金設定でちょいとね
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:19:50 ID:leSxpe2c
>>23
おそらくラスボスさんあたりはニヤニヤすると思われる。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:27:49 ID:vP9nSXjl
ふと思いついた小ネタを投下しようと思います。
予定などが無ければ0:30にでも。
題名は『彼とルイズ』、元ネタ諸々は投下後に。
27彼とルイズ:2009/06/25(木) 00:32:28 ID:vP9nSXjl
では、ぼちぼち投下と行きます。

トリステイン魔法学院の学生にして失敗ばかりの落ちこぼれ『ゼロのルイズ』。
二年生への進級をかけた『春の使い魔召喚の儀式』へと臨んだ彼女は”彼”を召喚した。
召喚されたばかりの”彼”を見たルイズはただの平民の子供だと思った。
自分よりも年下のようだが、そう年が離れているわけでもなさそうだ。
ともかく召喚自体は成功したのだから、まるでダメと言うわけではないのだとルイズは自分を元気付けた。
そして周囲を不安げに見回し、怯える犬が威嚇するように唸る”彼”を宥めながら使い魔の契約をした。
使い魔のルーンは”彼”の胸へと刻まれた。

そんな”彼”との生活が始まったのだが、それはとても多忙な日々となった。
まず、”彼”は何かしらの障害を持っているのか、言葉を話さないのだ。
”あ〜”、”う〜”などの唸り声を上げるだけ。
次に好奇心が旺盛であり、感情の起伏が激しい。他の使い魔を見れば時と場合を選ばず飛び掛り、
魔法の授業の時には練金で小石が真鍮に変わったのを見るや、怯えて暴れ出した。
更に食欲も旺盛。最初に食堂に連れて行った時は野生児の如くテーブルに飛び乗り、料理を散々に食い荒らした。
その事があって食事の件は知り合いのメイドであるシエスタが何とかしてくれる事になったのだが、
結局はこれらの事実にルイズは頭を悩ませる事になった。
だが、それでもルイズは”彼”を見放そうとはしなかった。
自分が召喚できた使い魔だと言う事もあるが、何より”彼”はルイズやシエスタに懐いていたのだ。
その懐きぶりは自分が下の姉に甘える姿にとてもよく似ていたのだ。
それゆえ、無下に突き放す事も出来なかったのだ。
そんな”彼”をルイズは日が経つにつれ、ただの平民だとは思えなくなった。
…その原因は”彼”の成長にあった。どういう訳か、”彼”は常人とは比べ物にならない速度で成長していったのだ。
どんどん成長し、ついにはドラゴンなどと比べられるほどの大きさになった”彼”に、
使い魔召喚の儀式から”彼”に刻まれたルーンに興味を持っていたコルベールも驚きを隠せなかった。
そして、最初はルイズと同じか多少低い位だった”彼”の背丈は、今や二十メイルに達しようかとしていた。
最早疑う余地は無かった。”彼”の常人とは異なった言動もこれで説明がつく。
”彼”は亜人だ――そうルイズは思い至った。

そんなある日…、学園にルイズの姉であるエレオノールがアカデミーの研究員数名と共にやって来た。
ハルケギニアに生息するどの亜人よりも巨大で異質な”彼”は王宮の、アカデミーの興味を引いたのだ。
そして実験体としてアカデミーに連れてくるように指示が出て、エレオノールらが来たのだ。
エレオノールは”彼”の引渡しを妹に伝えるが、ルイズは当然それを拒否した。
幾ら頭の上がらない姉であろうと大事な使い魔を渡せるはずが無かったのだ。
すると他の研究員が”彼”を魔法で捕縛し、強引に連れ出そうとしだした。
”彼”は怯え、激しく抵抗し、暴れた。その結果、研究員の内二名が巻き込まれて死亡した。
そのまま”彼”は魔法学院から逃げた。一度だけ、ルイズの呼び声に振り向き、悲しそうな表情を見せて。

ルイズは”彼”を連れ戻すべく、魔法学院を飛び出した。コルベールとエレオノールもそんな彼女に付き添った。
消えた”彼”は食料となる家畜を襲いながら、トリステイン中を放浪しているようだった。
目撃情報を得ながら、ルイズ達は”彼”の姿を捜し求めた。
そんな最中、ガリア南部の山地の中に点在するアンブランと言う村が何かに襲われ、村人全員が行方不明となる事件が起きた。
その村は以前からコボルドに襲われていた為、最初はそれらの仕業かと思われたが、そうではない事が解った。
破壊された家々はコボルドとは思えない、巨大な物に叩き壊されたような物ばかりであり、
何より人の死体が一つも無い所が妙であった。
コボルドに人の死体を一々始末するような知能が無い事は、ハルケギニア中の人間は知っているのだ。
そして、この奇怪な事件の犯人が先日トリステイン魔法学院から逃げ出した亜人では無いかと、人々は噂しあった。
無論、ルイズはそんな事は信じなかった。”彼”が自分から人を襲った事など、ただの一度足りとも無いのだ。
だが、世間はそんな少女一人の気持ちなどでは動かなかった。
事件がガリアだけに止まらず、ロマリア、ゲルマニアでも起こり、”彼”を完全に危険視したのだ。
各国の王宮は討伐隊を編制し、”彼”を捜索を開始するに至った。そんな状況にルイズ達は焦った。
28彼とルイズ:2009/06/25(木) 00:35:09 ID:vP9nSXjl
そして、ルイズ達は朝靄が掛かる森の中でそれと遭遇した。
突如として地面が盛り上がり、巨大な怪物が姿を現したのだ。
それを見たコルベールは、その怪物が何か解った。
それは大昔に韻竜と共に絶滅したはずの火竜の亜種『バラナスドラゴン』であった。
怪物は地面から這い出るや、ルイズ達を見つけて大きく咆哮する。
その耳まで裂けた口から赤い液体が滴り落ちている。
それが人の血液であると言う事は直ぐに解った。…口の端から”人だった物”が除いていたのだから。
ルイズは吐き気を覚えたが、それを上回る激しい怒りが頭の中を駆け巡った。
ルイズは杖を振り、失敗魔法の爆発を怪物に放ち、エレオノールとコルベールも魔法を唱えるが、
怪物はそれらに全く怯む気配を見せなかった。
ついに精神力が切れ、魔法が撃てなくなったルイズ達は怪物から逃げた。
だが、ルイズだけが躓き、地面へと倒れてしまった。そのルイズへと怪物は牙の並んだ口を開けて迫る。
もうダメだ、とルイズが絶望した時、怪物の角が何者かに掴まれた。
見上げれば、怪物の角を掴んでいるのは”彼”だった。
”彼”が怪物と戦っている隙にやって来たコルベールがルイズを抱え上げ、その場を離れた。

”彼”と怪物の戦いは、人間と獣の戦いだった。
怪力と知恵で戦う”彼”に対し、怪物は牙や爪、ブレスを進化させたかのような強烈な熱戦、
更には最高百メイルに達する跳躍力で持って”彼”に襲い掛かる。
そんな理性と野生の対決は壮絶な物となった。
結果的に頭脳プレーで攻める”彼”に怪物は遂に逃げ出し、地中へと逃れた。
その後、”彼”は逃げる最中に謝って足を滑らせ、崖下へと転落したエレオノールを助け出し、
ルイズとコルベールの下へと送り届けるや、再び姿を消したのだった。

トリスタニアへと戻ったルイズ達は王宮へと事の次第を報告した。
全ての事件はバラナスドラゴンの生き残りの仕業であり、”彼”は無関係だと。
しかし、絶滅したはずのバラナスドラゴンが生き残っているなど在り得ない、と否定された。
更には、使い魔だからと問題の亜人を庇っているのではないか、と言われる始末だ。
結局、何を言っても信じてはもらえなかった。

そして、バラナスドラゴンの生き残りである怪物は再び現れた。
夜闇に隠れ、シエスタの生まれ故郷であるタルブの村の人々に襲い掛かったのだ。
次々と家が壊され、村人が老若男女の区別無く食べられていく。
タルブ領主のアストン伯が慌てて討伐隊を率いたが、一人残らず熱戦に焼かれたり食物にされた。
そんな地獄の様な光景を見ながら震えるシエスタに怪物は迫った。

その時、再び”彼”が姿を現し、怪物へと立ち向かった。怪物の首を締め上げ、投げ飛ばす。
だが、怪物もやられてばかりではなかった。二度も食事を邪魔された事は怒りを爆発させるには十分だった。
怒りの所為か、威力の増した熱戦が怪物の口から迸り”彼”に命中する。
最初は耐えられたそれも、威力の増している状態では耐え切れなかった。
僅かに怯んだ”彼”の隙を突き、怪物は大きく跳躍して覆い被さる。
鋭い牙で噛み付こうとする怪物の口へ、”彼”は岩を押し込み蹴り飛ばした。
ひっくり返る怪物に”彼”は更に岩を投げつける。
怒り狂う怪物は熱戦を吐き散らしながら”彼”に襲い掛かる。
”彼”は怪物の注意を自分に引きつけ、村から引き離していった。

遅れて村へとやって来たルイズは、”彼”の意図を理解し、馬に乗るや後を追って森へと入った。

移動を続けながら二体の戦いは激しさを増していく。
やがて森を抜け、二体はハルケギニア随一の巨大な湖『ラグドリアン湖』へと辿り着いた。
そこで遂に戦いは終わりを迎えようとしていた。
”彼”に投げ飛ばされ、地面に叩きつけられた怪物はフラフラになる。
その怪物の首を”彼”は渾身の力で締め上げる。
怪物は苦しみ、激しく暴れたが、”彼”も必死に締め上げる。
やがて、怪物の鳴き声が弱々しくなっていき、大きく一声鳴くとそのまま口を閉じた。
直後、骨が折れる音が首から響いた。
不自然に首が折れ曲がった怪物は地面に力なく横たわる。
その怪物の身体を”彼”は二、三度蹴り飛ばしたが反応は無い。完全に事切れていた。
”彼”は怪物の死骸を持ち上げると、湖に向かって力任せに放り投げた。
29彼とルイズ:2009/06/25(木) 00:37:36 ID:vP9nSXjl
大きな水飛沫を上げて怪物の身体は湖底へと沈んでいった。
怪物が沈んだのを見届け、”彼”は勝利の雄叫びを上げる。
その彼の勇姿に駆けつけたルイズだけでなくエレオノールやコルベールも笑顔を浮かべた。

――だが、事はそれで終わらなかった。

突如、ラグドリアン湖の水面から巨大な水柱が立ち上り、そこから声が辺りに響き渡る。
声の主はラグドリアン湖の水の精霊だと名乗った。
水の精霊は自らの領域を侵した”彼”へと制裁を加えると言った。
直後、水面が盛り上がり、巨大な蛸が姿を現した。それは水の精霊の使いだ。
呼吸する音が不気味な鳴き声のように聞こえ、足や胴体が動く度に粘液が嫌な音を立てる。
大ダコは八本の大蛇の様な足を振り回しながら”彼”へと襲い掛かった。
”彼”は必死に戦ったが、怪物とは勝手が違いすぎた。
柔らかい柔軟性に長けた身体は木や岩を投げつけられても大したダメージを受けずに弾き返してしまう。
業を煮やした”彼”は肉弾戦を仕掛けたが、逆に大ダコの足に絡め捕られてしまった。
そのまま”彼”は大ダコに力任せに湖へと引きずり込まれる。
”彼”の危機にルイズは助けようと杖を抜くが、エレオノールに止められる。
水の精霊を怒らせればどんな事になるか解らないのだ。
そんな事はルイズも解っている。だが、理屈では割り切れない事もあるのだ。
しかしエレオノールは譲らず、暴れるルイズの頬を叩いた。
そして、ルイズは気付いた。…姉もまた、自分の命の恩人の危機を見つめている事しか出来ないのに苦しんでいるのを。
結局、”彼”が大ダコによって湖底に引きずり込まれるのを見ている事しか出来なかった。

こうして、事件は一応の終わりを迎えた。
この日を境にルイズは一つの可能性を考える事となった。
それは”異種族との和解と共存”だった。

この後、ルイズはアルビオンで一人のハーフエルフの少女と出会い、
彼女と協力してエルフとの和解を実現させる事になる。
そして、彼女は和解成立のその後も毎日ラグドリアン湖へと通った。

何時の日にか”彼”が戻って来てくれる事を信じて…。

『終』



以上です。
東宝初の日米合作の怪獣映画『フランケンシュタイン対地底怪獣<バラゴン>』より、フランケンシュタインを召喚。
おまけで敵役の東宝初の地底怪獣であるバラナスドラゴンことバラゴンと海外版追加の大ダコも登場です。
まぁ、バラゴンはともかく大ダコはゼロ魔の世界に普通に居るので大丈夫でしょう(笑)
この映画は怪獣映画の中でも特別お気に入り。
ただの怪獣映画でなく重苦しいテーマもあり、子供心ながら色々考えさせられました。
これほどまでに見終わって後味の悪くなった怪獣映画は他に見ないです。
派手な都市破壊や自衛隊による攻撃などは無いけれど、それでもキンゴジなみに楽しめられます。
興味有る方は是非とも一度ご拝見を。
にしてもバラゴンの正式名称のバラナスドラゴンは怪獣図鑑にはまるでのってないんだよな…。
フランケンシュタインと怪獣の戦いは後のウルトラマンの戦いの基礎にもなったというから、
このフランケンシュタインはウルトラマンのご先祖様と言う事になるのかな?
バラゴンも着ぐるみの改造でネロンガやマグラーになってるしなぁ。
大ダコは音楽が不気味すぎるのが特徴的で好きだ。

では、これにて。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:54:14 ID:PufrAx7q
乙!

もし『彼』が帰ってきても、今度はラグドリアン湖で剥がれた表皮から誕生したもう一人の『彼』が出てくるんじゃ……
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 01:20:30 ID:EUT6VgBC
どんなネタ振っても誰かしらついてくるのがこのスレの凄いところだ
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 01:44:38 ID:0saB+ybV
確かに…
有名どころは大体呼ばれてマンネリ化したから、古今東西有名無実栄枯盛衰のキャラが増えてきたな
たまにお前ら何歳だよってついて行けなくなる事があるwww
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 01:48:32 ID:0pZ8ghVy
なんつ〜か、年齢層の幅が広すぎるんだよなw
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 02:20:04 ID:oBPoTwdE
だが、それがいい
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 02:28:57 ID:8c2/4WTZ
>有名どころは大体呼ばれてマンネリ
マンネリはあるかも知れんが、有名どころが大体召喚されたかというとそうでもないと思う
黄金期ジャンプ漫画系で呼ばれてないのは多かったりするし
知名度があるキャラでいくつか心当たりはあるけど
書きにくかったり性格や能力的に過去SSと被ってたりで敬遠してるけど
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 02:58:21 ID:5woJbHC1
むしろ有名どころのほうが少ないんじゃないか?
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 02:59:32 ID:FSa0QD+7
有名どころはぽっと出て微妙なまま消え去るのが多いね
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 03:44:07 ID:FVNr7NBj
超メジャータイトルの主役とかドモンと悟空ぐらいしか思いつかん
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 05:00:16 ID:05TGCOxp
ドモンのいつの間にか消えてるがな
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 06:12:40 ID:FVNr7NBj
何時の間にも何も避難所でもここでも告知ありましたがな
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 06:18:29 ID:65sHAfuo
>>25
それって、ラスボスさんが17巻での展開を読み切ってたって事かい?

ふぅむ、ラスボスさんの他と違った特異な部分ねぇ……
42慶雲瓦版:2009/06/25(木) 07:17:46 ID:pLXvfSb7
予約がねぇのなら七時弐拾五分辺りから瓦版を二枚ばっかしおいていきやす。
此度、酉主手印の爆発娘が呼び出すのが誰なのか、そいつは読んでのお楽しみだ。
43慶雲瓦版:2009/06/25(木) 07:24:53 ID:pLXvfSb7
春に行われるトリステイン魔法学院の使い魔召喚の儀式、2年の進級試験でもあるこの儀式で唯一人、使い魔を未だ召喚出来
ていない少女がいた。
少女は貴族として生まれながらも今まで魔法を成功させた事が無かった。その為、儀式に臨んだのだが未だに成功(召喚)出来
ない事に苛立っていた、そんな彼女を煽るように級友達から嘲るような声が掛けられる。
しかし、少女…ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは悔しさや怒りといった感情を押し隠しながら、
再度呪文を唱える。


「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン!
 我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!」



ハルケギニア外伝 機忍・零 「召喚」



ルイズが呪文を唱えてその杖を振り下ろした瞬間、再び爆煙が巻き起こり級友達の笑い声が草原に響き渡った。
ゲラゲラと下品に響く笑い声の中、呪文を唱えた本人と幾人かの人物はその煙の中に只ならぬ気配を感じていた。


びゅおうという音と共に一陣の風が草原を渡る。
不意に吹き荒んだ強い風は、蟠っていた爆煙を吹き払い、その中にいる“何か”を露にした。


それは風変わりな漆黒の具足に身を包んだ剣士に見えた。
肌を露出している部分は何処にもない、目元すら真紅の硝子で覆われている。
額には鳥だろうか、唯一付いている飾りは精緻な物で芸術品と言っても過言ではないだろう。

その異様な風体にルイズは圧倒されていたが、しばらくすると持ち前の気丈さを発揮したのか、生唾を一つ飲み込むと召喚し
た何かに話しかける。

「……あんた、なに」


対して、召喚された“それ”。元・黒鷺軍の機忍…白怒火(しらぬい)は困惑していた。
異世界から黒鷺軍を指揮する魔物・黒鷺の出現を目論んだ怪僧・雷鳴法師と黒鷺の力を受けた橡伎(しょうき)を打ち倒した
白怒火は黒鷺軍に囚われていたサキ姫を助け、傭兵・赤城や姫と共に崩壊を始める黒鷺城から辛くも脱出した。
しかし、彼等と別れて地上に降り立った瞬間、何やら浮かんでいた鏡の様なものに飛び込んでしまい、気が付いたらこの様な
場所にいたのだ。
周囲を見渡してみると、髪の毛を様々な色に染めている童がいる。皆、そろいの外套を着込んでいるが、その下に着ている服
は奇妙な物だった。
見知った着物を着ている者は誰一人いない、しかもその周りには様々な動物や妖怪が侍っている。
かの雷鳴法師の様な妖気を発している訳ではない上、強さを図る気合値も五拾に満たない者が殆どだったが、幾人かいる八拾
の大台を超えている者のみ注意を向けておくべきだろうと心に留めておく、そこまで考えを纏めた所で目の前にいる桃色の髪
をした娘御(この娘御の気合値は何と五百を越えていた)から声をかけられた。

自分の肩位までしか背丈がない少女は緊張はしても恐れてはいないようだ。
しかし、ここで白怒火はこの娘御が機忍である己を恐れないという事に疑問を持った。見た所、気合値は高くとも何がしかの
武術を修めているようにも見えない普通の娘御だ、なのに緊張はしても恐れない・警戒しないというのは不自然すぎる。歴戦
の傭兵である赤城ですら警戒していたのに。

ここは情報収集に努めるかと己に言い聞かせ、娘御から色々と聞くことにする。
44慶雲瓦版:2009/06/25(木) 07:29:19 ID:pLXvfSb7
「ちょっと、聞いてるの!」
「済まない、少し考え事をしていたのでな。」

癇癪を起こしかけているようなルイズの言葉に、特徴的な白怒火の機会音声が返ってくる。
しかし、返事を返した瞬間草原は爆笑の渦に叩き込まれた。

「流石はゼロのルイズ!平民を召喚するなんて考えもしない事をやってのけた」と。

その言葉にルイズは顔を真っ赤にした後、背後に控えている禿頭の男性(気合値:八拾八)にやり直しを要求していたが、結論
から言うとそれは聞き届けられなかった。
曰く、これは神聖な儀式であり、召喚された使い魔は己の系統と関係がある。
しかも、この次成功する可能性があるかどうか。

そこまで言われるとルイズは言い返せなかった。実際、この平民(?)を召喚するまで呪文を失敗した回数は両手両足では足
りない程だったから……。

「しょうがないわね。ちょっとあんた、その兜を脱いで少し屈みなさい。」
「それはできない。」
「なんですって!平民のクセに貴族に逆らおうって言うの?」

きっぱりとした白怒火の言葉にルイズが怒り出す。しかし、怒られた方の白怒火は何でもない事の様にルイズに理由を話した。

「逆らうもなにも、俺は機忍だから、身に着けているものは一部を除いて脱ぐ事は出来ないというだけの話だ。」
「キニン?なにそれ、いいから脱ぎなさい!」

そのルイズの言葉に、白怒火はこの娘が機忍を知らない事を理解した。そして、言い方を替えて答える。

「要するに普通の人間ではないと言っているのだ、娘御。」
「そんなわけないでしょう、その兜が脱げなかったら食事とかどうするのよ。」
「俺は食事は摂らない……いや、もう何かを食う事は出来ないのだ。」

そう言った後、白怒火の仮面が動いて悲しげな様子になる。心持ち両肩も下がって落ち込んでいる様にも見えた。
そんな白怒火の様子を見たルイズは、聞いてはいけない事を聞いてしまったのか…と少し罪悪感を感じたものの自分も進級が
掛かっている、どうしたものかと悩んでいると背後にいるコルベール師から声がかけられる。

「どうしたのですか?ミス・ヴァリエール」
「ミスタ・コルベール、この平民ですが兜を脱ぐ事ができないと言ってます」
「何ですと?少し見せてもらっていいですかな?ミス・ヴァリエールこちらの名前は何と」
「飛勇……いや白怒火だ」
「え?」
「俺の名前だ、白く怒る火と書いてシラヌイと読む」
「そ、そう。シラヌイ……珍しい名前ね。
 まぁ、いいわ。ミスタ・コルベールがアンタの兜を見たいって仰っているんだけど……」
「好きにするが良い」

ルイズの言葉に白怒火は、毒を食らわば皿までと言わんばかりに胡坐をかいてその場に座り込む。
45慶雲瓦版:2009/06/25(木) 07:31:02 ID:pLXvfSb7
「では失礼しますぞ」

そう言うとコルベールは座り込んだ白怒火に近ずくと、彼の頭部をつぶさに観察し始めた。
だが、しばらくするとコルベールから「おお!」とか「なんと、素晴らしい!」とか「むぅ……」といった台詞が聞こえてくる。
学院一の変人と名高いコルベールのその反応にルイズは気が気ではなかったが、一念発起して話しかけた。

「あ、あのう。ミスタ・コルベール……結局そいつの兜って外せるんですか?」
「はっ!ああ、これは失礼したミス・ヴァリエール。そうですなぁ見た所、留め金も何も見えません。
 恐らく彼が言っている事は本当の事なのでしょう。」
「じゃあ。サモン・サーヴァントをやり直せるんですか?」
「いえ、流石にそれは……しかしこのままだとコントラクト・サーヴァントが出来ない事も事実。
 ここはオールド・オスマンの指示を仰ぐ事にしましょう、よろしいですな?ミス・ヴァリエール。」

コルベールのその言葉に、やり直しの機会がある事を感じたルイズは期待しつつも神妙な面持ちで頷いた。
46慶雲瓦版:2009/06/25(木) 07:34:20 ID:pLXvfSb7
以上、投下終了でい!

という訳で今回ルイズが呼び出したのは“未来忍者・慶雲機忍外伝”から白怒火でした。
ちなみに気合値=精神力です。
次回は少し遅くなると思いますがアルビオンまでは頑張って行くつもりです。
それではまた。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 07:50:19 ID:leSxpe2c
>>41
いや、ラスボスさん的に都合がいい展開だと思っただけ。
前スレで言ってたような設定のちゃぶ台返しみたいなのも(あの人的には)ないと思った。
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 08:06:29 ID:ohsj89Pz
>>46



サイボーグで忍者か
どっちも新しい……か?

んでも少し短い感じ。
もう少し独自性が出るところまで進んでから投下でもよかったんじゃないかな?

楽しみにしてるんで頑張ってください
49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 08:18:56 ID:FSa0QD+7
乙です。

まぁアレだ、作品部分と作者発言は分けた方が良いと思うよ?
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 08:35:09 ID:KqzMpBRy
>>47
新刊でサイトとエレオノールがくっつくのか!?
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 08:46:22 ID:jJp/pjkd
神社ウォーカーと気合いメーターに感動したのはいい思い出だ
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 09:56:43 ID:0AbXRia8
>>39
いちおう「書き続ける、いつか戻ってくる」と宣言されてました
期待しながら待ちませう
53Louise and Little Familiar's Orders:2009/06/25(木) 10:20:21 ID:O4ClYwOG
期待していた作者さんで済みませんが、どーも作者です。
早速で済みませんが5分後から投下よろしいでしょうか?
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 10:25:57 ID:O4ClYwOG
それではいきます。

「済みません。馬車なんて手配してもらって……」
「別に気にすることじゃないわ。本当は竜籠の方が良いけどお金がかかるし……」

時刻は午前六時を少し過ぎた頃、朝靄のかかるトリステイン魔法学院の正面門には一台の御者付き二頭立て馬車、そして四つの人影があった。ルイズとミーとシエスタ、そしてヒメグマである。
今日はミーがシエスタの帰省に同行する約束の日であった。
見送るルイズはいつもの制服姿で、シエスタはいつものメイド服とは違う簡素な色合いの服を、そしてミーは以前虚無の曜日に買ってもらったという優雅な他所行きの服をしている。
しかし服の意匠なども手伝ってか、見ようによってはミーが実家に帰る人間で、シエスタが御付きの者という風に見られなくも無かった。
御者と駿馬付きの馬車に関しては、二人がなるたけ早く帰って来れるようルイズが手配したものである。
本当はシエスタでも御者を務める事は出来るのだが、彼女の帰省に自分の使い魔も付けるのだからと、ルイズが見栄を張った結果だった。別に親切心からきた物ではない。
それに……国内事情の深刻さを知っているルイズにとっては、二人が出かけている数日間で何がしかの不測の事態が起きた時に、直ぐ自分の所に戻って来れるよう考えて取った最善の処置だった。

「それでは……行ってまいります。」
「ふぁ……いちいち断るようなもんじゃないわ。それに今行かないと野宿することになるわよ。」

深々とお辞儀をするシエスタに対し、ルイズは欠伸混じりの眠そうな返事をする。普段は今のような時間にはまだ目覚めていないからだ。
だが数日前、図書館にある地図で確認したがここからタルブの村までは、馬車に乗って行っても三日はかかる距離がある。
それから陽は未だ山の稜線から完全に出きっていなかったが、行程は弾丸旅行その物なのでそれでも急ぐ必要はあったのだ。
そしてシエスタは、眠りこけているヒメグマを抱え、先に馬車に乗る前に、もう一度ルイズに声をかけた。

「あのう、いいんですか?」
「何が?」
「ミーちゃんと十日だけでも会えなくなるんですよ。その……何も、言わないんですか?」

何も何年間も会えなくなるというわけではあるまいに。それに別れ際の挨拶をどうするかなど人の勝手じゃないか。
ミーに関して色々と恩義があるとはいえ、メイドにそんな事を指摘されるとは思ってもみなかったルイズの表情は、忽ちにして曇っていく。
しかしミーは、何かを言ってほしい様な表情をルイズに向けたまま。
仕方なくルイズはミーに対してやっと聞こえるくらいの小さな声で、しかしぶっきらぼうに「いってらっしゃい」と言った。
すると、ミーも同じくらいの大きさの声で「いってきます」とだけ答える。
傍から見れば物凄くぎこちない挨拶だったが、その様子に少しは満足したらしく、シエスタはミーの手を取って馬車に乗る手助けをする。
それから直ぐに馬車は走り始め、一分としない内に見えなくなっていった。
十日間、十日間だけ二ヶ月くらい前の状態になる。ルイズはそう思いながら寮に戻るために元来た道を引き返し始めた。

Louise and Little Familiar's Orders「Secreted factories in Tarbe」

白の国とも称されるアルビオンには幾つか軍工廠が立ち並ぶ町が存在している。ここロサイスもその一つであった。
首都ロンディニウムの郊外に位置するその町は、特にアルビオン空軍にとっては重要な町である。
今、正に町はこれまでに無いほど活気付いている。路地には各地から木材という木材が運び込まれ、製鉄所を象徴する巨大な煙突群からは大量の煙が出ている。
だがそれもこれも、空軍の発令所の近くに並んでいるある物に比べればなんてこと無い物に過ぎない。
そこにあったのは全長320メイル、全幅50メイルはある巨大戦艦であった。
見る者に否応無く威圧感を与えるそれは、嘗て王党派の旗艦『ロイヤル・ソヴリン』として華々しい活躍をしていた。
だが今は『レキシントン』と名が改まり、操る者達も王党派から『レコン・キスタ』に変わっている。
盤木に乗せられ改修工事が急ピッチで行われているその『レキシントン』のすぐ側で、四人の男達が視察を行っていた。

55Louise and Little Familiar's Orders:2009/06/25(木) 10:27:29 ID:O4ClYwOG
「これはまた素晴らしい艦じゃないか!このような艦があれば世界を手中にすることも出来そうだ!そうは思わんかね?艤装主任?」
「我が身には有り余る光栄ですな。」

少々興奮気味に話す男の名はオリヴァー・クロムウェル。
緑で統一された衣服を纏った、腰の低い聖職者のような出で立ちの彼はレコン・キスタの総司令官でもあり、一応現アルビオンこと神聖アルビオン共和国の皇帝に当たる人物である。
そしてそのクロムウェルの問いに素っ気無く答えたのは、艤装主任のサー・ヘンリ・ボーウッド。
彼は元々、内心の心情としては王党派、しかも武人として政治には関わらないという姿勢を持っていたのだが、上官が王家に反旗を翻したため、已む無く王家の簒奪者である『レコン・キスタ』につくという形となったからだった。
そしてすぐ隣には年にして20代後半くらいという、羽帽子を被った口髭の凛々しい精悍な顔立ちの若い男が立っている。
その男の名はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。祖国であるトリステインと婚約者のルイズを裏切り、名誉ある魔法衛士隊の地位まで捨ててまで『レコン・キスタ』側についた人物であった。
クロムウェルの話を聞きながら資料に一通り目を通したワルドは、艤装主任のボーウッドに内心浮かんできたある疑問を投げかける。

「ですが『レキシントン』の元の大きさは全長200メイル。これだけ大きく改修すればここから浮上させるだけでも大量の風石が必要になると思われるが、それを調達出来る当てはあるのですか?」
「なに、ワルド君。それには及ばんよ。技術主任によれば……」

その言葉の後を引き取ったのは残った一人の男だった。

「両翼に二発ずつ取り付けられた回転する羽が、水蒸気機関による動力によって高回転域に達した時に出港したなら、必要とされる風石の量は、150メイル級戦艦一隻がトリステインまで往復するのに必要な量と等しい程度で済みます。
加えて巡航速度は一般的な戦艦の倍近くあるので、目的地へも可及的速やかに向かう事が出来ます。」
「おお、そうだったな。技術主任どの!」

ワルドは技術主任に当たる男を見つめる。
自分より10サントほど背が低く髪の色素も薄い。おまけにハルケギニアのどこにも見られない妙な服を纏っている。
だが、狡猾さも伺えそうな整った目鼻立ち、引き締まった体躯は簡単に自分とほとんど変わらない年齢を想起させた。
訝しげに技術主任を見つめるワルドを余所に、クロムウェルは尚も上機嫌に話し出す。

「彼は東方の『ロバ・アル・カリイエ』からやって来たのだ。そこで得られた知識……我々にとっては未知の知識も同然だが、それを元にこの『レキシントン』の改修に着手なされたのだ。
それだけじゃない!20リーグ先まで射程に収めることの出来る50サント型カノン砲に、焼き討ち船の数を従来の半分ですませることの出来る、画期的且つ強力な焼夷弾も開発し設計の主任もなされた!
勿論それらは『レキシントン』に搭載される予定だ。更に、そうした艦を今後六ヶ月の間にあと四隻建造することをもう議会は決定したし余も承認した。
それだけすればこのハルケギニアで我等に逆らおうなどと言う不埒な輩は存在しなくなるだろう。
残った国家を余す箇所無く統一し、にっくきエルフ共を成敗した後、聖地を奪還した暁には私は君をハルケギニア大王に推挙するだろう!」
「いや、そこまでお褒め頂くほどの事ではありませんよ、閣下。それに先程閣下が仰られた技術は私の使っていた様々な道具の祖先的な物から片鱗とも言える部分を再現しただけです。
何分この世界……いや、この国には技術も人も少な過ぎますので。」

56Louise and Little Familiar's Orders:2009/06/25(木) 10:30:05 ID:O4ClYwOG
技術主任は謙遜した感じで恭しく頭を垂れる。
終始黙って話しの内容を聞いていたボーウッドは、ちらとすぐ近くの様子を見つめた。
確かに四つ横に等間隔で並んでいる盤木の内、一つには既に『レキシントン』と同じくらいの大きさを持つ戦艦のキールが全体の半分近くまで組みあがっている。
そしてもう一度『レキシントン』を見返した時には、彼の心の中である感情が湧き上がっていた。
小回りの効く強襲用前衛としっかり構える支援用後衛の運用バランスは均等でなければならない。となれば当然ながら、戦艦はこれ以外の小規模な物も作っていかなければならなくなる。
その条件を満たすために、今後どれだけ必要な物が出てくるのであろうか?金、木材、人員……消費される物を考え出せばきりが無い。
そしてそれらの何れか一つが欠けるような事が起きれば戦争の継続なぞ不可能なのだ。
そして、そうしたかかる負担が貴族も平民もなしに、アルビオン国民全員にかかる事になるのだ。首脳陣はそれを全て承知の上で、今後一切の計画表を作っているというのだろうか?
それに戦争に限らず、物事には常に不測の事態というものが付き纏う。今でこそ居丈高な態度をとっているが、今後その計画表と符合しない事実が出て来た時にどう振舞うつもりなのか?
ボーウッドは悟られないよう、改めてクロムウェルを軽蔑の眼差しで見つめる。
するとワルドが、そんなボーウッドの心境を推し量ったかのような言葉をクロムウェルにかけた。

「しかし、共和制を布いている我が国への賛同意見は未だ一国からもありません。何がしかの策が無ければ統一は順風満帆とはいかないのではありませんか?」
「それに関しても当座の間は案ずることは無い。
ゲルマニアは我々が持っている技術を最大の餌にしてやれば、トリステイン王家との一件込みで懐柔できる望みはあるだろう。
ガリアには現政権に不満を持つ者が多い。そこで我々に賛同する者達を極秘に、しかし大量に送り込み、時が来れば合図と同時に内部から反乱を起こし、切り崩していけば可能性はある。
それからロマリアは宗教国家だ。聖地奪還を掲げている我々を足蹴にするつもりはないだろう。上手くすれば聖堂騎士隊を貸与してもらえるかもしれん。
さて、我が国から最も近い位置にいるトリステインに関してだが、あれは最早死に体だ。子爵が見つけてくれた件の手紙以外にも、大義名分を翳せば幾らでもつけ入る隙はある。
余は当初ガリアと同じ手段を行使しようとしていたが、技術主任殿がここにいる事から方針を変えた。
この方法なら他国に対しての脅しにもなる、『レキシントン』を始めとする諸戦力の効果的なデモンストレーションにもなる、しっかりとした橋頭堡を築くことも出来ると良い事尽くめだ。
尤も、それを計画・立案したのも技術主任殿だがね。えー、あの戦法名はなんと言ったかな?」

ワルドは若干の驚きをもって技術主任と呼ばれた男を見る。マントを羽織っていない事からメイジでもない、軍工廠にいる一介の技術者が、国政の一端にまで口出し出来るとは一体どういうことなのだ?
そんな視線を気にすることも無く、その技術主任は澄ました様に答えた。

「電撃戦ですよ、閣下。」
57Louise and Little Familiar's Orders:2009/06/25(木) 10:31:31 ID:O4ClYwOG
学院を出発してから三日後のイングの曜日の夕暮れ時。シエスタとミーを乗せた馬車はタルブの村の領地内に入った。近くには領主でもあるアストン伯の邸宅も見える。
昼食時以来、特に何もする事が無く長いこと馬車に揺られていたためか、ミーはシエスタの膝元に頭を預け軽い寝息をたてている。
シエスタはそれを退ける事も無く、ただ微笑ましげに見つめている。こういう事は昔から実家でも幼い弟妹達相手に何回とやってきたからだ。
そんな昔の思いに浸りながらシエスタはミーの主人、ルイズの事をふっと思い出す。
彼女にとっては、何故彼女があそこまでミーに対して酷な扱いが出来るのか、不思議でならなかった。
彼女の家の素性をシエスタはよく知らない。まあ、シエスタとは反対に‘下に誰もいなかった’というのなら、子供のあやし方もよく分からないという理由付けくらいは誰にだって出来る。
だがシエスタはそれ以外に、人には向き不向きがあるのではないかと考えるようになった。
ルイズと深く関わるようになったのはここ数週間程の事。だが、あの素直になれない面、結構短気な面を持ち合わせていた上で子供をあやすのは難しい。
それならば、どうあっても周りがフォローなりサポートなりしてやらねば、上手くいく物も上手くいくまい。本人がそれを拒まなければ尚良いのだが。
そんな事をぼんやり思っている内に馬車は止まり、年若い御者から「着きましたよ。」という元気そうな言葉が出る。
見ると村の中央広場に少し入った辺りで自分達は止まっていた。囲むようにして建っている家々の戸口や窓からは村人達が、一体どこのお偉いさんが来たのだろうというような顔をこちらに向けている。
シエスタはミーを揺り動かして起こし、一言礼を告げてから馬車を降りる。するとシエスタの家族を中心に、村人達がわあっと出て来た。

「あれまあ、どこの貴族様かと思ったらシエスタだったのかい!随分とまあ立派な馬車に乗って一体全体どうしたんだい?」

最初にシエスタの母が吃驚仰天といった感じでシエスタに駆け寄る。少し戸惑ったような調子でシエスタは事のあらましを説明した。
すると母親は「今時豪放な性格の貴族様がいたものだ」としきりに感心していた。
その内、村人達の興味の対象はミーとヒメグマに移る。
ミーは知らない人達に囲まれておどおどとした感じであったが、誰も自分に対し敵意を向けてないという事が分かると、訥々と質問に答えるようになった。
ヒメグマはというと、可愛い物好きなちびっ子達に余程気に入られたのか、よってたかってもみくちゃにされている。
一頻り再会の喜びに浸った後、シエスタの父が本題とばかりに話しかけてきた。

「ところでシエスタ、この子なのかい?手紙で話していた‘ポケモンの事を知っている人’とは?」
「ええ、そうなの。この馬車を貸してくれた貴族の方の使い魔でもあるの。
ねえ父さん、曾御祖母さんの形見と私達の家族が守ってきた工房をこの子に見せてあげたいの!何か分かる事があるかもしれない!」
「ほお、そうか!だが、まずは長旅の疲れを癒した方が良い。今頃着くだろうと見当をつけていたから、風呂も食事もちゃんと用意してあるぞ。さ、こちらに来なさい。」



58Louise and Little Familiar's Orders:2009/06/25(木) 10:32:34 ID:O4ClYwOG
空に浮かぶ双月が、煌々とした光を部屋の中に送り届ける。その部屋にいるミーにとって今日はこの世界に来て以来初めての暖かで長閑な一日となった。
風呂場ではシエスタと一緒に背中の流し合いをしたし、家族の人達といろいろな事を話しながら晩御飯も楽しんだ。
シエスタの家族は、みな一様にミーの事を快く受け入れてくれた。まるで本当に家族が一人増えたかのような……そんな感じだ。
ずっとここにいればいいのにとも言われもしたので、ミーは幼子なりにそうしたいと言いかけた。
だが、そんな事をすれば主人のルイズが必ず連れ戻しにやって来るだろう。この場所のことは話してあるので分からないという事は無いだろうし。
そもそも何故ルイズが自分を独占しようとするのか。
しょっちゅう怒鳴ったり、鞭で叩いたりして自分から嫌われるような事をやっているにも拘らず、手元から離れようとすると強引にしてでも自分の元へ引き戻そうとする。
キュルケやギーシュといった学院の生徒なら、その理由の想像は容易につくだろう。
しかし、今は周りにそんな人はいない上に、この世界の構造や仕組みどころか、人生経験があまりにも無さ過ぎる5歳のミーにとってその理由は全く分からなかった。
やがて夜も遅い事に気付いたミーは寝巻きに着替えて眠ろうとする(ヒメグマはすでに寝ていた)。だがその時、『コン、コン!』と扉を軽く叩く音が聞こえた。
誰だろうと思いながら扉を開けると、戸口にはシエスタとその父親が立っていた。二人ともまだ昼間の格好のままである。

「どうしたの、お姉ちゃんとおじさん?」
「ミーちゃん。ちょっと見せたい物があるんだけど来てくれるかな?」

シエスタに頼まれたミーは「うん」と小さく頷く。それから直ぐに、三人は廊下の突き当たりのところまで歩き出す。
そこに着くと、シエスタの父が暖炉で使う火掻き棒を廊下の隅から持って来て、それの尖った方を床のある部分に向けて引っかけた。
そしてそれをゆっくり上の方に持ち上げる。するとそこに、地下に向かう石造りの隠し階段が姿を現した。
それからシエスタが、持ち上げられた床板を完全に外し、自分の隣にあった壁に立てかける。
その事を確認したシエスタの父は、ゆっくりと目の前にある階段を降り始める。シエスタとミーもそれに続いた。
光が先まで届かない事もあって階段は長いように思われたが、意外にも地下一階と二階の間ぐらいのところで一枚の扉を前に終わっていた。
そこに着いた時、シエスタの父が簡素なランプの明かりを頼りに、ポケットから小さくいやに錆びついた一つの鍵を取り出した。
それを扉についている鍵穴に入れ捻る。すると、長いこと油を差していない事が分かるような甲高い音をたてつつ、ゆっくりと扉が開いた。
当然の事ながら中は真っ暗で何も見えない。そこでシエスタの父が扉のついている壁にある松明にランプの明かりを移した。
どうやら松明は等間隔で幾つも壁にあるらしく、シエスタが残ったそれに明かりを灯していく。するとそこには、地上に建っている家の総面積より広く感じるほどの部屋があった。
部屋の中には、様々な色の木の実や難しい言葉で書かれた書類、珍しい科学実験の道具に錆び付いた工具など非常に沢山の雑多な物がある。
しかし、それらはきちんと分類分けされているので、不思議と散らかっているといったような印象はなかった。
始めミーはその様子にキョトンとしていたが、一つの台に乗っている籠に入った木の実に駆け寄ると驚いたような声を出した。

「ぼんぐりだ!!」

ミーは眠くなっていたのも忘れて木の実を眺めた。その様子を見ていたシエスタと父親は、わが意を得たりというような顔をしてお互いに顔を見合わせる。
それからシエスタがミーの元に駆け寄り、静かな声で訊ねた。

「ミーちゃん、この木の実は何なの?」
「これはね、ぼんぐりっていうの!これでモンスターボールを作れるんだ!」
「もんすたあぼうる?」

シエスタにとっては生まれて初めて聞く単語である。だがミーはきらきらとした目でそれを見つめている。
他の村人達からは一緒くたに‘がらくた’と呼ばれ続けていたが、それでもこれらの品々は一家が長きに渡ってきちんと管理しながら守り続けてきた物である。
今やっと、隠されていたベールが剥がされる時が来たのだった。
59Louise and Little Familiar's Orders:2009/06/25(木) 10:39:17 ID:O4ClYwOG
投下終了します。長い事間が空いてすみません。
ここでお詫びが一つ。
前回の投下内容(まだ登録してもらってない話数)と一致しない点が出て来ていますが、
それに関しては自分のハルケギニアにおける地理力の無さゆえに起きたものです。
その部分の変更は登録し次第、自分が行います。
何だか自画自賛状態になってしまいましたが、これからも頑張ってやっていこうと思いますので・・・・・・ではではまた近い内にお会いしましょう。
60Louise and Little Familiar's Orders:2009/06/25(木) 10:42:06 ID:O4ClYwOG
>>期待していた作者さんで済みませんが、
期待していた作者さんではなくて済みませんが、の間違いです。ごめんなさい。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 12:37:17 ID:PGI/6sJl
乙です
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 14:10:40 ID:3uI4Bn3H
アクマがこんにちはの人来ないな、続きが凄いきになる。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 14:34:58 ID:Tw2mwhIZ
個人的に続きが気になってるのはゼロのミーディアム
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:13:04 ID:+SKsn16A
ジョゼフの使い魔として召喚されるのはOKですか
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:24:37 ID:feATT3uO
ジョセフがシェフィではなく、多版権作のキャラを召喚した
ジョセフを主役としたSSってこと?
(他の虚無は置いておくとして)

読んでみたいけど難しいんじゃないかな。
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:37:37 ID:xMdir9pn
>>64
スレタイはルイズに召喚だけど、ルイズ以外が他作品のキャラを召喚するのも有りなスレという認識でokだと思います。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:38:49 ID:8c2/4WTZ
ifスレ向きの話題だけど
一昨日くらいにジョセフが実はフルハウスのジョセフ(ジョーイ)だったっていう夢を見たよ
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:38:57 ID:+SKsn16A
>>65
長谷川千雨を召喚する話です
話はアンドバリの指輪編からスタートする予定です。
つまりルイズの召喚のちょっと前からスタートします。
>>66
わかりましたありがとございます
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:41:00 ID:snWUjQu2
召喚するのがオリキャラ、二次キャラでなく、面白ければ大丈夫だよ。
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:51:23 ID:ZV79A1/p
ベルセルクの人をいつまでも待っている。
あと鷲の人がそろそろ来ないかな。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 16:00:27 ID:IAEoyb3V
>>63
銀様はゼロ魔最新刊にまさかの出張中だぜ。あれ見りゃミーディアムの人も帰ってくるさw
つーか兎画伯はもうちょいデザインごまかしてくれよw
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 16:01:41 ID:feATT3uO
連載再開希望コメは避難所にあるスレ頼む。

それだけで1000逝きかねない。から。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 16:28:07 ID:Q1r6Ttyp
まさか、慶雲機忍外伝・未来忍者を今見るとは……。
漏れが厨房の頃だったから、いったい何年前だ?
雨宮慶太のサイバーパンク和風ビジュアルに痺れたっけ……。
以上、オサーンの繰言ですた。
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 17:34:43 ID:L/xKKIZY
フランケンシュタイン対バラゴン、GJ!
彼は必ず帰って来ますよね。私もそう信じます。

それにしても、あの映画の最後の大ダコは怖かった。
タコ怪獣といえば、ウルトラQのスダール、、セブンのガイロス、タロウのタガール、80のダロンとかいますけど、どんどんタコから
離れていって、雑魚怪獣化していったのが残念です。今じゃ本物のタコを使っての撮影は無理があるんでしょうか。
まあタコじゃあ、ウルトラマンどころか戦闘機にも勝てそうにないからなあ。けど、Qのスダールは白黒だったのでトラウマ級に怖かったです。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 17:44:02 ID:rMwQLSq1
るいず:な・なんなのよこいつ・・・!?
???:上等な料理に蜂蜜をぶちまけるがごとき愚行!!!
ん?バキよ、どこえいった!?!ここはどこだ?
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 17:45:24 ID:9GHjomX3
上等な料理に調味料をぶっかける馬鹿なら知っています
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 17:47:43 ID:xEP0w0Tm
童貞ですね。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 17:48:02 ID:rMwQLSq1
るいず:あ!?あんただれよ!
???:・・・・・・『オーガ』とでも言っておこうか。
るいず:はあ!?何言ってんのあんた!
オーガ:ここは・・・どこだ!?
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 18:21:56 ID:mmdVotNO
皆様乙乙

>>27
言語障害と思しきキャラときて、実写版キャシャーンのアクボーンかと思いました
ちなみにフランケンシュタイン対バラゴンは未見です
未来忍者・慶雲機忍外伝も未見ですが、脱げない鎧ときてまたもピンと来てしまいました

俺もブライキングボス召喚・・・しかし映画版の資料が無いんじゃよなぁ
資料目的で買った小説はあんなんだし・・・鵜呑みにしていいものか
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 18:44:49 ID:0AbXRia8
>>74
タッコング(新マン)を忘れないであげてください
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:15:12 ID:0saB+ybV
>>76
彼なら死者を冒涜した神聖アルビオン一派を叩ききってくれるだろう
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:20:34 ID:05TGCOxp
ヴァンも何気にツンデレ
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:25:06 ID:rMwQLSq1
オーガ:・・・・・この俺にパンツを洗わせるとは・・・
るいず:黙って洗いなさいよ
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:43:48 ID:erHCV7Ul
フランケンシュタインっていつから怪物の名前を指すようになったんだろ
原作はそれとか怪物でしか呼ばれてないし
やっぱり藤子先生?
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:43:54 ID:Iq/PKC7f
>>83
vipでやれ。
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:49:44 ID:jhrtewO0
>>84
フランケンシュタインの怪物は作中に固有名詞付けられてなかったからじゃないか?
〜〜の怪物って語呂悪いし...

つまりルイズが召喚したらルイズの怪物やヴァリエールの怪物と呼ばれることになるんだよ!?
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:54:15 ID:W0v/5S/p
フランケンシュタイン自体は人の名前だしな。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:54:44 ID:Xkf8f8kA
>>86
ヴァリエールの怪物って何か格好良く聞こえるな
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:05:56 ID:9GHjomX3
おっと、この流れはなしだ
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:12:50 ID:HnkX0D8o
俺の股間は怪物だぜ
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:12:52 ID:EUT6VgBC
17巻読んだ。
箸を伸ばした目の前で卓袱台返された気分になった。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:19:35 ID:PYuRR8AY
新しい虚無は勿論、解除が錬金を元に戻すのは間違いなくネタにされるな
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:38:01 ID:vXx+6NaK
ちょw 解除恐ろしいな……。
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:40:38 ID:65sHAfuo
錬金で燃料とかまかなってる近代兵器にとっては天敵だな。
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:40:43 ID:dKxllCXj
一番の問題はあの娘だ
IF展開やるにはあまりに美味し過ぎる存在
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:44:25 ID:t2SZztpJ
17巻もう出てたのか。明日買ってこよう。
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 21:08:47 ID:d8nxXDg6
というか下手するとデルフを対象にかければ解除されそう
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 21:16:51 ID:5EQI1lWN
先住もディスペルできるんだっけ?
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 21:39:30 ID:IAEoyb3V
>>98
確かイケメンのカウンター解除したよな?
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 21:56:03 ID:Acyf6Obd
>>98
アンドヴァリの指輪の効果も解除してるし、できるんじゃね?
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 21:56:57 ID:EUT6VgBC
.>>94
それどころか、固定化が解除されて数十年分の風化が一気に・・・
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 21:57:13 ID:PYuRR8AY
なぜタバサママンを治さなかったのか
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:00:19 ID:yPlX4/hf
>>102
それじゃあ物語としては面白くないだろう?いつも物語は惨酷で幼稚で、しかし英雄の跋扈する御伽噺でなくちゃ!
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:00:37 ID:nx1oA9nu
人間にかけるのは怖すぎだろ。
けがや病気を魔法で治したことがあったら、それが一気に……


素晴らしい攻撃魔法ですね。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:04:29 ID:FSa0QD+7
>>104
それだとウェールズさんがスプラッタ
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:07:42 ID:YiXDPTro
>>103
またナイアさんか!!
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:09:45 ID:zk3p3weJ
解除VSマスターキィ
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:10:47 ID:65sHAfuo
>>103
いあいあ
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:10:53 ID:yfapbv2S
つまり錬金はメイジのマテリアル・パズルだったんだね



…虚無のパズル再開しないかな…
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:40:12 ID:FbfkClUa
17巻がまさかの展開でアッと驚いてしまった。


とりあえず一言…シャルロットカムバック!
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:46:39 ID:leSxpe2c
>>110
何言ってるんだ、シャルロットはちゃんといたじゃないか。
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:50:03 ID:FbfkClUa
>>111
いや、あれはシャルットj…

「それ以上、何かおっしゃれば、あなたに異端の疑いをかけねばならなくなりますぞ。」
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 22:52:37 ID:zk3p3weJ
>>109
俺も待ってるんだぜ・・・
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 23:18:32 ID:EUT6VgBC
イザベラが姓を名乗ったが、偽名かどうか迷うところだ
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 23:33:35 ID:leSxpe2c
そもそもイザベラの母親って誰なんだろう。
モリエール夫人じゃないよね?
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 23:35:40 ID:eQZy4uP7
俺はずっとモリエール夫人だと思ってたが、違うのか?
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 23:36:08 ID:PYuRR8AY
愛人じゃなかたけ
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 00:13:24 ID:JQLzwSyu
デーコ デーコ デ娘 イザベラさま
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 00:25:24 ID:NLjRbTfc
>>83
情けないぞ地上最強の生物。
息子達にプギャーされても知らんぞ。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 00:26:33 ID:5JQWo4jS
イザベラ様のところにアネモネ送り込んでみたい
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 00:58:16 ID:B61txm93
デビロット姫御一行に完全にキャラを食われるイザベラ様
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 01:01:25 ID:edRUCK/k
17巻読んだ。月目の野郎…やってくれるぜ。
とりあえずシャルロットカムバックは当然だが、懐かしい奴とがんばるデコ娘イザベラも応援したい。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 01:21:37 ID:wSauIjM2
錬金掛かったばっかの時期だけ解除できるとかそう言うパターンじゃねえの
魔法の力で捻じ曲げてる真っ最中の時期だからさくっとその効果消せば戻るだけとか
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 02:30:13 ID:+HCKBke7
つまりラスボスは三次元人って事ですね
わかります
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 02:34:23 ID:QKfP51z/
つまり嵐を呼ぶ勇者とその友御一行召喚か
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 02:35:22 ID:PnCvuPZC
しかしサイトのフォーマルな場面での振る舞いが随分大人になってるな
色恋沙汰でヘタレてる時は相変わらずだがw
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 03:05:48 ID:wSauIjM2
ノボル先生へのSATUGAI予告と判断し通報しますた
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 03:41:13 ID:W7peQG8W
フルーチェ増量殺人事件・・・
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 03:47:39 ID:dI/N8qEY
こんな時間に誰かいるのか・・・と思いつつ投下したいと思います
召喚キャラは「ナイトウィザード」から柊蓮司ともう一名
50分頃からいきます
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 03:53:13 ID:rak1u8vM
かかってこーい
131ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 03:54:39 ID:dI/N8qEY
 

「だったかたったったー! おっす、俺柊 蓮司!」
 秋葉原の町並みに陽気な歌声が響き渡る。
 周囲の人々が怪訝そうな顔で、あるいは胡散臭げに向けてくる視線をものともせず、柊 蓮司は我が物顔で歩みを進めていた。
 昨年の四月から巻き起こった大規模なウィザードと侵魔の闘い――『マジカルウォーフェア』を潜り抜け、更には一部で
それ以上の奇跡と噂されていた輝明学園高等部の卒業を果たし、訪れた自由を思う存分謳歌していた。

 マジカルウォーフェアが一応の収束を向かえる契機になった三月の事件――七徳の宝玉を巡る一連の闘いが終結した後、
彼はメンテナンスとバージョンアップのために魔剣をメーカー送りにし、ウィザードを休業する事になったのである。
 三月下旬にちょっとした依頼で出張ったこともあったがそれ以後は特に何事もなかった。
 つまりはアンゼロットによる唐突かつ理不尽な拉致もなく、まるで仕組まれたかのように厄介ごとに巻き込まれる事もなく。
 普通の人間ならごくごく当たり前に享受できる、ありふれた平穏な日々を送っているのだった。


「さ〜て、今日は何すっかな」
 学校と世界の危機に追い回されていた頃はあれこれとやりたい事が沢山あったような気がするのだが、こうして実際に
『何をしてもいい』という状況になるとほんの数週間でやりたい事がなくなってしまった。
 姉である京子からは「弟がニートになっちまったよ」と嘆かれているが、柊自身は一向に堪えていない。
 イノセントである彼女に話してしまう訳にはいかないが、彼はこれまでおよそどんな人間よりも『仕事』をしてきたのだ。
 具体的には残りの出席日数を指折り確認しなければいけないぐらいひたすらに働かされていた。
 魔剣の改造が終わるまでの期間ぐらいはとことん怠けたって許されるだろう。
 働いたら負けかな、と柊は思っている。
 少なくとも今の内はそうしておきたいのだ。
 そんな訳で彼は日が昇りきった頃に起き出して適当に飯を食い、適当に町に繰り出して何をするでもなくぶらぶらと秋葉原をうろつき、
適当に日が沈むと家に帰ってくる毎日を過ごしていた。
 要するに今現在柊は暇をもてあましている状態なのだが、しかし。

「……な・に・す・っ・か・な・ぁぁあ〜〜♪」

 その『暇をもてあましている』という事実がまた柊に幸福感をもたらしていたのである。
 幾度となく世界を救い、そしてマジカルウォーフェアの発端と収束の場に居合わせ関わってきた……そんな彼の実績だけを知る
他のウィザードが今の柊を見れば大いに落胆するであろう。
 もっとも柊からすれば他人の風評など関係ないが。
 ともかく。



 200×年、五月。
 柊 蓮司は絶好調だった。


132ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 03:57:18 ID:dI/N8qEY
 

「あれ、柊先輩?」
 ふとかけられた声に柊は振り返った。
 そこにいたのは彼のよく知る後輩の少女――志宝エリスだった。
 彼女は七徳の宝玉にまつわる闘いの鍵となった少女であり、事件の後は輝明学園の学生として日常の世界に身を置いていた。
 僅かに首を傾げ、紫苑の髪を揺らす彼女は輝明学園の制服ではなく、事件の頃を思い起こさせる白のブラウスと帽子を纏っていた。

 元々それは彼女の前の学校の制服――という事だったのだが、彼女にまつわる一連の件が落ち着いた後の調査でそのような
制服の学校は存在しない事が判明していた。
 つまりは、志宝エリスが"生まれた"時に周囲の情報と元に纏めて捏造されたモノだったのだ。
 いわばその服は彼女にとってあまり良い因縁とはいえないモノなのだが、思うところがあってエリスはそれを私服として着ることが多かった。
 ――たとえそれが偽りのものであっても、彼女にとってそれは"おじ様"との絆には違いないのだろう。

「どうしたんですか、こんな所で」
「いや、適当にぶらついてるだけ。エリスこそ、学校はどうしたんだ?」
「……やだ、先輩。今日は日曜ですよ?」
 もはや曜日の感覚すらも失っていたらしい。
 くすりと笑みを零しながら言うエリスに、さすがに柊は照れくさくなって頬をかいた。
 そして彼はごまかすようにひとつ咳をすると、
「あー……どっかでかけるのか?」
「あ、はい。ちょっと買物に」
「買物か……」
 歩み寄ってきたエリスを促すように踵を返すと、柊はエリスと並んでゆっくりと歩き出す。
 ショウウィンドウを適当に眺めやりながら、ふと思い出したようにエリスに声をかけた。
「くれはとか灯は一緒じゃないのか? そっちの方が楽しいだろ?」
「……」
 何故かほんの僅かにエリスが沈黙した。
 しかし柊がエリスに目を向けると、すでに彼女は普段通りの人懐っこい微笑を称えたまま返してくる。
「二人ともお仕事で忙しいらしくって」
「灯はともかく……くれはも? おばさんと巫女修行なんだからいつでも空けられるだろ?」
「あ、いえ、赤羽の方のお勤めじゃなくって、アンゼロットさんに何か頼まれてるらしくて」
 ここの所くれはは朝早くから夜遅くまで……時によっては何日か空けて帰って来ることもあるらしい。
 ウィザードとしての任務とはあまり関係ないらしいが、帰ってくると決まって憔悴しきった表情でぶっ倒れ、
何か判を押すような動作を夢遊病者のように繰り返しているそうだ。
 エリスの説明に柊は「訳がわからんな」と呟いた後、しかし何故か満面の笑みを浮かべた。
「俺の代わりにこき使われるのか……学生時代人を笑ってた報いだな、ざまぁ見ろ」
「あはは……」
 心底嬉しそうに言う柊にエリスは苦笑を返す。


133ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 03:59:29 ID:dI/N8qEY
 

 そして彼女が何とはなしに視線を傾けると、その先に一組の男女がいた。
 知っている人、という訳ではない。純然なただの通行人だ。
 だがそれを見た彼女は僅かに視線をさまよわせ、やがて顔をあげると翠の瞳で柊を見つめた。
「あ、あの、柊先輩!」
「ん、どうした?」
 視線を返してくる柊にエリスは努めて何気なさを装って彼の顔を見上げ、口を開く。
「先輩、今日は何かする事あるんですか?」
「あー、いや。別にないけど……」
 これで相手がくれはや灯などであれば胸を張って宣言していたのだが、生真面目で真っ当(最重要)な後輩である
エリスの前では流石の彼も言い淀む程度に見栄がある。
 するとエリスは少しだけ口ごもるような仕草を見せると、やがて意を決したように柊に言った。
「じゃ、じゃあ、一緒に買物に行きませんか!?」
「え……でも俺、女の子の買物なんて全然わからねえぞ? 荷物持ちくらいならするけどよ」
「はい、それで構いませんっ! あ、いえ、荷物持ちで構わないって事じゃなくて、その……!」
「あー、お、おう……じゃあそれで」
 気合が空回りしてあたふたしているエリスに気圧されるようにして柊は思わず頷く。
 途端彼女はこれ以上ないほどの喜色を称え、次いで何故か赤面して顔を俯けてしまった。
 正直柊には彼女の顔色の変化の意味がよくわからなかったが、かろうじて喜んでいるのは理解できた。
 七徳の宝玉の一件で彼女の身に起きた出来事を知る柊としては、彼女のそんな顔を見れるのは嬉しいことだ。
 自分のやってきた事が間違いではなかったと確信できる。
 ……明後日の方向に結論を出して柊は満足そうに息を吐いた。
「よし、それじゃ行くか……って、何処に行くんだ?」
「あ、はい。それじゃ――」
 柊に促されてエリスは跳ねるように顔を上げると、とりあえずは平静を取り戻して歩き出そうとした。
 が、その一歩は目の前の障害物によって止められることになる。
 今まで何もなかったはずのその道路に、奇妙なものが鎮座していた。


 まるで姿見のような巨大な鏡が、二人の前に立ちはだかっていたのである。


134ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 04:01:52 ID:dI/N8qEY
 


「……え?」
 目の前の物体が何なのか理解できず、エリスは思わず声を漏らした。
 色々と周囲が見えていなかったような気がするが、少なくとも今の今までこんな巨大なモノはなかった。
 まるで今しがたこの場所に出現したような、そんな唐突さだった。
 というか、往来にこんな奇妙なモノがあれば誰かしらすぐに気が付くはずなのだが、通りすがる人がそれに気づく様子はない。
 どうやら普通の人間には見えていないようだった。
「こ、これは……」
 エリスとて短い時期とはいえウィザードとしてこの世界の常識の外に身を置いていた人間だ。
 すぐに普通のモノではない事に気がついて柊に視線を送ると、彼は眉間に大いにしわを寄せて食い入るように
その姿見を睨み付けていた。
「柊先輩……?」
「こりゃあアンゼロット……いや、ゲートだな。多分どっかの異世界に繋がってる」
「い、異世界……ですか? えと……裏界に?」
 柊の言葉にエリスは小さく首を傾げて呟いた。
 エリスはウィザードであった時期が時期だけに、ウィザードとしての知識を十二分に得てはいなかった。
 だから彼女にとっての『異世界』とはアンゼロットから説明を受けた侵魔達が存在するという裏界しかない。
 だが、一方の柊はそれを首を振って否定する。
「侵魔が繋げるんなら月匣だ。紅い月が出る。だからこれはラース=フェリアだかミッドガルドだか、どっか別の異世界だな」
「らーす……え?」
 柊はこの類の代物に覚えがあった。
 かつてこの世界――第八世界ファー・ジ・アースの平行世界である第一世界ラース=フェリアに向かった際、
似たようなゲートをくぐった事があるのだ。
 もう一つの異世界、上述の『平行世界』とは異なる『外世界』ミッドガルドに行った時はいきなり靴箱の中に引きずり込まれたので
観察する余裕はなかったが。
 柊はひとつ息を吐き出して、不思議そうに首を傾げているエリスを見やった。
「ほら、漫画だか小説とかでよくあるだろ? 鏡だか門をくぐったらファンタジー世界だったって奴、あれだよ」 
「はあ……」 
 エリスはよくわからないまま鷹揚に一つ頷き、小さく眉を寄せて僅かに考えた後、はっとした表情で手を合わせた。
「もしかして正義の宝玉を手に入れた時みたいな感じですか?」
「そうそう、そんな感じそんな感じ。あんま近づくなよ、引きずり込まれるかもしれねえ」
「あ、はい……」
 柊の手招きに誘われる形でエリスは鏡から十分に距離を取って迂回する。
 そして二人は鎮座する鏡を置き去りにしたまま再び歩き始めるのだった。




135ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 04:03:46 ID:dI/N8qEY
 

 ※ ※ ※


「あの……よかったんですか?」
 鏡を放置して歩き出して少しした後、ようやく落ち着いたのかエリスがおずおずと声を上げる。
 さっきは柊に促される形で放置してきてしまったが、やはり彼女としては少し気になる所だった。
 彼女の疑問を察した柊は難しい顔をして腕を組み、ため息交じりにエリスを見やった。
「そりゃ、事前に説明とかあって『助けてくれ』とかなら行かないでもねえけど。
 ああいう形で出てきた奴に首突っ込んだら大抵ろくでもない事になるんだよ。正義の宝玉の時もそうだったろ?」
「うっ……」
 柊の言葉にエリスは思わず言葉を詰まらせてしまう。
 正義の宝玉に誘われる形で異世界(?)にたどり着いた時には、柊とはぐれてしまった挙句に魔王級の侵魔と鉢合わせてしまったのだ。
 その時の恐怖と絶望感を思い出してエリスは胸に手を当てた。
 そうなるとこれ以上あの鏡やその向こう側にあるらしい異世界に関して何か言うことなどできるはずもない。
 彼女のそんな仕草を見て柊はおどけるように腕を広げ努めて明るくエリスに声をかけた。
「まあ、本当にあの向こうで困った事が起きてんならあんな悠長なやり方はしないだろ。
 それこそアンゼロットみたいに綱つけてでも引っ張り込むだろうさ」

 ――そんな柊に、どこからともなくハンドアームが伸びてきてガッシリと身体を拘束した。

「ほら、こんな、風、に……」
「あ――」

 アームから伸びたロープははるか上空。青空に飛翔するヘリコプターから伸びていた。

「なァにいィィィィ!!!?」
 柊が叫ぶと同時に身体が急激に引き摺られる。
 反射的に脇に立っていた電柱に捕まり抵抗するも、天空からの吸引力は強烈で電柱がミシミシと悲鳴を上げ始めた。
「しまった! 完全に油断したッ!!」
「ひ、柊先輩!」
 おろおろと立ち竦むばかりのエリスをよそに、空から涼やかな少女の声が響き渡った。
『お久しぶりで〜す、柊さーん! お迎えに上がりましたわ〜!』
「ふっ、ふざけんなぁ! 俺は今休業中だ!!」
 電柱に必死にしがみつきながら柊は空のヘリコプター……そこに搭乗しているであろうアンゼロットに叫んだ。
 しかし彼女はそんな彼の態度を一向に気にする風でもなく言葉を紡ぐ。
『ご安心くださ〜い! 貴方の大切な魔剣はつい先ほど無事に宮殿に届けられましたから〜!』
「おぉぉい!! なんでアンブラに送った魔剣がお前の所に届くんだよっ!?」
『こっちに来てまたアンブラに取りに行くのは面倒じゃないですか。手間を省いて差し上げただけですわ〜!』
「て、てめ――」
『今回は新しい魔剣の調整も兼ねて超簡単なドサ回り……もとい、任務ですから遊びに行くぐらいの気持ちでやって頂いて結構でーす!』
「ふ、ふざけやがって……!」
 ギリギリと歯を軋ませて睨み据えるが、ヘリコプターは委細かまわず柊を一本釣りしようと更に引く力を上げる。
 電柱がベキベキと嫌な音を立てながら折れ始めた。
 柊はこれ以上耐えられないを悟ると、脇で立ち竦んでいるエリスを避難させようと彼女に目を向けた。
「エリス、危ねえから――」
「――っ!」
「離れ――うえっ!?」
 柊は最後まで言葉を続けることができなかった。
 エリスが柊から離れるどころか、走りよってきてしがみついてきたのだ。
 彼女の行動に思わず柊は力を緩め、

「うぉおあああぁぁぁっっ!!!」
「きゃあぁああぁぁっ!!」


 二人は一気に空中に引っ込抜かれた。

136ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 04:05:41 ID:dI/N8qEY
 

「ちょ、エリス……何やってんだ!」
 ヘリコプターに吊り下げられたまま空中を疾走する柊は必死に縋り付いてくるエリスに呻く。
 彼女は柊の胸に顔を埋めたまま、何かを拒否するように頭を振って声を絞り出す。
「……先輩は今日一緒に買物に行くって……約束しました……!」
「お、お前なあ……っ」
 "たかが買物"にそこまでするエリスに柊は呆れたような声を出すと、彼女が落ちないように抱え込んでから
上空を――ヘリコプターに乗っているだろうアンゼロットに叫ぶ。
「おいこら、アンゼロット!!」
『どうしました? 出席日数はもう関係ないはずですけど? なんせ今の貴方は世間的には立派なニートですし』
「うるせえよ! ってかそうじゃねえ、いいからこっち見ろ!!」
『はあ? 一体何を――』
 ややあってからアンゼロットの顔がヘリのガラス越しに覗いた。
 途端アンゼロットの顔に驚きが浮かぶ。
『ちょっ、柊さん何をやってるんですか!? いつの間に貴方は人質を取るような卑劣漢に!?』
「違ぇよ! 誰がそんな事――いや、いいから今すぐ降ろせ!!」
『わ、わかっています!』
 珍しく焦った様子でアンゼロットが答え、ヘリはゆっくりと地上に向けて降下し始める。
 自分の時は問答無用で連れ去るくせに今回はあっさりと引き下がるあたりなんだか釈然としないものを感じるが、
ともかく今はエリスの安全が最優先だろう。
 柊は小さくため息をつくと、下を見ないようにしているのか胸に顔を埋め必死に捕まっているエリスを宥める様に頭をなでた。
「エリス。もう大丈夫だから」
「……はい」
「買物なら今度付き合うからさ」
「でも……今度っていつですか?」
「う、それは……」
 柊はぐっと言葉を詰まらせてしまった。
 魔剣が直ってウィザード稼業を再開すれば、見ての通り今までにもまして任務を押し付けられる事になるだろう。
 そうなればもはや『今度暇な時』など期待する余地などないも同然だった。
「ま、まあ今回は簡単な奴って言ってたから、すぐ終わるだろ。その後……でぇ?」
「……?」
 半ば誤魔化すように言ってから柊は次第に近づいてくる地上を見やり、奇妙な声を上げた。
 その声に釣られるように、エリスも僅かに顔を上げてそちらを見やる。
 身に受ける風とまだ遠くに見える地上が自分が生身で空中に釣られているという事を実感させて怖くもあったが、
その視線の先に気になるものを見つけた。
 ヘリがゆっくりと降下していく先。
 柊達を待ち受けるように。


 先程通り過ぎたはずの鏡があった。


137ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 04:07:17 ID:dI/N8qEY
 

「うそぉ!?」
 思わず悲鳴を上げて柊は身を捩った。
「きゃっ!?」
 その瞬間にエリスがずり落ちて、あわてて柊は彼女を抱え直した。
 その間にも鏡はぐんぐんと柊達に向かって迫ってくる(厳密には柊達が鏡に接近しているのだが)。
 アンゼロットに高度を上げろなりと言おうとも思ったが、もはやそれでは間に合わなかった。
 エリスと会話をしていて、鏡に気づくのが遅すぎたのだ。
 せめてエリスだけでも、と彼女を抱える腕に力を込めたが、それもできないと悟る。
 彼女が月衣を纏うウィザードであれば、ここから放り投げて地面に激突しても驚きはするだろうが怪我はしない。
 が、今の志宝エリスはもはやウィザードの力を持たないイノセントなのだ。
 つまりは、もう手遅れ。
「せ、せんぱ――」
「ほら見ろ! やっぱりろくでもねえ事に――!!」
 正義の宝玉の時の轍を踏まないようエリスの身体を力の限り抱きしめて叫ぶ。
 そしてその叫びは最後まで空に響く事無く、その声の主と共に鏡の中に消えていった。






『――アンゼロット様!』
 ヘリのコックピットから唐突に響いた通信に、アンゼロットは端正な眉をわずかに揺らした。
「何事です。今は少々立て込んでいます」
『それが、たった今アンゼロット様の居られる空域にて次元回廊の開放を確認しました!
 平行世界あるいは何処かの外世界へのゲートが開いたものと……!』
「……はい?」
 ロンギヌスからの通信を聞いたアンゼロットはそんな声を返し、首を傾げた。
 そして窓越しに眼下を確認する。
 ――捕まえたはずの柊 蓮司とそれに巻き込まれた志宝エリスの姿はどこにもなく。
 捕獲対象を失ったアームが風にあおられてゆらゆらと揺れていた。
「……………落とした?」
 そんな彼女の声に突っ込んでくれるはずの人間は、もはやここにはいなかった。




 ※ ※ ※


138ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 04:09:25 ID:dI/N8qEY
 

 ――鏡を通り抜けると、そこはファンタジー世界だった。


 エリスはそんな埒もない事を考えながら、周りに広がる草原を呆然と見やっていた。
 隣では柊があぐらをかいたまま「やっぱなァ」と言いながら面倒くさそうに肩を落としている。
 そういうものだ、と事前に聞いてはいたが、やはり実際にその身に起こってみれば少なからず動揺するのは避けられない。
 へたりこんだ地面に感じる草と土の感触は、間違いなく現実のものだった。
 ふと目をやれば何人もの少年少女たち――恐らくはエリスと同年代だろう――が愉快しそうに笑っていた。
 その中で一人、見るからに怒気を孕ませて壮年の男に詰め寄っている少女がいる。
 彼女は陽光を孕み薄桃に輝くブロンドの髪を振り乱して男に何事かを訴え、こちらを指差す。
 男が何事かを語りかけると少女は肩を落とし、また何事かを訴えた。
 すると今度は男の方が返答に困ったように頭を振った。
「……何か揉めてんなあ」
 そんな二人の様子を見ていると、柊が口を開いた。
 彼は立ち上がって服についた草を払うと、エリスに向かって手を差し出す。
「身体、何ともないか?」
「あ、はい」
 エリスは手を取って立ち上がると、柊に追従する形で二人の元へと歩み寄っていった。
 柊達が近づくのにあわせて周囲の少年少女たちがざわめき、距離を取る。
 柊は驚きはするものの引かずに待ち受けていた男と少女に向かい合うと、エリスを庇う形で二人に相対して口を開いた。
「アンタが俺達を召喚したのか?」
「は、いえ。召喚したのは私ではなくこちらの――」
「アンタ達を呼び出したのは私よ。……不本意だけど」
 先にそれらしい男の方に向かって言ったのが癇に障ったのか、少女は不機嫌を隠そうともせず刺すような視線を柊に向けた。
「あー、まあいいや。とりあえず先に頼みたいんだけどさ。エリス……こっちの子は元の世界に戻してやってくれねえか?」
「え……先輩?」
「何か俺にやれる事があるならできる限りやるから、エリスだけは戻してやってくれ。コイツは巻き込まれただけなんだ」
 エリスは驚いて柊をみやったが、彼は構わずに男に向かって言葉を続けた。
 しかし男は眉根を寄せると申し訳なさそうに禿げ上がった頭を撫でる。
「む……いや、それができるのならこちらとしても好都合なのですが……」
「ちょっと、何で私を無視して話してるのよ!」
 言い淀んだ男を遮るようにして少女が叫び、割って入る。
 柊は自分達を召喚したのはこの少女だという事は理解していたが、大人でもあるこちらの男の方が話をしやすいと思っただけだ。
 どうやら少女にはそれが気に入らなかったようだ。

139ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 04:11:01 ID:dI/N8qEY
 

「ミスタ・コルベール! コイツもこう言ってるんだからこっちの方でいいですよね?」
「う、うむ……そういう事なら」
 全く事情がわからないままの柊とエリスを差し置いてコルベールと呼ばれた男と少女がなにやら同意を得た。
 そして少女は柊へと向き直り――そして不意に動きを止めた。
「……初めてが女よりは……違うわ、これは契約なんだからノーカウント。どっちかなら男の方が動けるだけマシだから。
 そうよ、そうよね……」
 眉間に皺を寄せて、ぶつぶつと呟く。
 意味不明の囁きに柊とエリスは互いに目を見合わせ、首を捻る。
 やがて少女は何かを吹っ切るように首を大きく振ると、凛とした――というよりはいくらか尊大さが勝った表情で柊に告げる。
「ちょっと、しゃがみなさい」
「しゃがむ? 何で」
「届かないからよ! さっさと終わらせたいんだから早くして!」
「何なんだよ、もう……」
 まったく訳がわからないが、仕方なく柊はその場にしゃがみ込んだ。
 少女は柊の顔を見据えると大きく深呼吸してから、手にした指揮者のタクトのようなモノを軽く振った。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
 自らの名を名乗り朗々と言霊を紡ぐ。
 何らかの魔法(?)を使おうとしている事はわかるが、当然ながらそれが何なのか柊達にはわからない。
 しいて言うなら殺気や威圧力を感じないので悪意や害意を伴ったものではないだろう、という事だけだ。
「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
 詠唱を謳い上げて少女はタクトを柊の額に添える。
 そして彼女は顔を柊に近づけていった。


「柊先輩っ!?」

 とてつもなく嫌な予感がしてエリスは叫んだ。
 柊は近づいてくる少女の顔に僅かに目を見開き――


「……待てこら。『使い魔』ってどういう事だ?」


 がっしと彼女の顔を掴んで動きを阻止した。

140ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 04:12:50 ID:dI/N8qEY
 

 周囲の空間が固まった。
 周りにいる少年少女達も、見守っていたコルベールという男も、隣にいたエリスも、そして柊に顔を掴まれた
ルイズと名乗る少女も動かない。
 ……否、ただ一人ルイズだけが動いていた。
 顔をしっかりと掴まれたまま彼女は身体をぶるぶると震わせ――爆発するように柊の手を払いのける。
「何すんのよ!!」
「それはこっちの台詞だ!? 勝手に話を進めてねえでちゃんと説明しろ!!」
「たった今したじゃない! アンタは私の使い魔になるのよ!」
「使い魔だぁ……?」
 それを聞いて柊の脳裏に浮かんだのは、幼馴染である赤羽くれはの使い魔――陰陽師で言うところの式神――である猫又だった。
 首輪に『MP』と身も蓋もない事を彫られたプレートを下げているそれを思い出して、柊は小さく息を吐いた。
 この世界における使い魔がファー・ジ・アースにおけるそれと同等であるかはわからないが、単語のニュアンスとしては
同じようなものだろう。
 柊は爽やかな微笑を浮かべると、
「断る」
 そう断言した。
 途端に目の前の少女――ルイズの形の良い眉が一気に跳ね上がる。
「アンタさっき何でもするって言ったじゃない!」
「できる事なら、っつっただろ! しかもエリスを元の世界に返すって前提条件を無視すんな!」
 もっともその前提条件を満たした上であっても使い魔になるなど願い下げだが。
 柊は再び深くため息をつき、面倒くさそうに頭をかきながらゆっくりと立ち上がる。
「そっちの用件がそれだけなら、この話はご破産だな。さっさとさっきのゲートを出して元の世界に――」
 言いながら彼はルイズを見やって、思わず息を呑んだ。
 眉を吊り上げ、肩を震わせ、薄桃の髪を揺らして、全身から怒気を発散させているルイズがいた。
「へへへ平民のくせに、しかもわ、私に召喚された使い魔のくせに、なんて口の利き方……!」
「お、おい……?」
 ルイズの様子に気圧されて柊は僅かに足を引いた。
 それが引き金になったのか、ルイズは鳶色の瞳をぎらりと輝かせて、手にしたタクトを振った。
 瞬間、悪寒が走って柊は反射的に飛び退る。
 今まで柊がいた場所が唐突に爆発した。
「なぁっ……!?」
「なんで避けるのよ!」
「避けるわ!?」
 泡を食って叫んだ柊の悲鳴を蹴飛ばすようにルイズは地面をけりつける。
 そして彼女は殺気を孕んだ視線を柊に叩きつけながら、更に一歩を踏み出した。
「契約する前に使い魔の立場って奴を身体に叩き込んでやるわ……!」
「お、おい待て! 落ち着けっ!」
「うるさいうるさいうるさい!! アンタは大人しくはいかイエスで答えてりゃあいいのよ!!」
 叫んでルイズはタクトを振りかざす。
 柊が横っ飛びに避けると同時に、再び柊がいた地面が破裂した。
 三度相対する両者。ただならぬ空気が漂い始める。
 じり、とルイズが間合いを詰めて。
 じり、と柊が間合いを離し。
「あ、あの……二人とも……っ」
 呆然と成り行きを見守っていたエリスがおずおずと声を出した瞬間。
 柊は踵を返して脱兎のごとく駆け出した。

141ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 04:16:31 ID:dI/N8qEY
 
「待ちなさい!!」
「待てと言われて待つ奴がいるかぁ!!」
 半瞬遅れてルイズも猛然と走り出す。
 逃げる柊。追うルイズ。
 ルイズがめったやたらにタクトを振り回し、そのたびに至る所で爆発が起きる。
 それをどうにかこうにか避けながら柊は更に逃げる。
 当たらない事にいらついているのか、ルイズが巻き起こす爆発は回数を重ねるごとに大きくなっているようだった。
「い、いかん! みんな、彼を……いえ、ミス・ヴァリエールを止めるのです!」
 呆然と二人の追いかけっこを見ていたコルベールがようやく我に返って悲鳴のような声を上げた。
「止めろったって、無理だろ……ツェルプトーぐらいじゃないか?」
「彼女ならもう帰っちゃったわ。時間の無駄だとか言って」
 しかし周りにいる少年少女たちは互いに目を合わせて戸惑うばかりだった。
 そんな彼等の方向に、
「お……おい! コイツをなんとかしてくれ!」
 柊とそれを追うルイズ、そして彼女の放つ爆発が迫ってきた。
「うわ、来た!?」
「いやぁー!!」
「やめろ! こっち来んなー!?」

 蜘蛛の子を散らすようにして人の輪が弾ける。
 陽光の穏やかな草原に、阿鼻叫喚の宴が響き渡った。

 ※ ※ ※

「……致し方ありません」
 約一時間後。
 ようやく静寂を取り戻した"元"草原――あちこちに爆発の大穴が空いており、大惨事になっている――に、
コルベールの疲れ切った声が響いた。
 健気にも二人を止めようと割って入った彼は幾度となく爆発に巻き込まれ、身体のあちこちに傷がありローブもぼろぼろになっていた。
 傾きだした陽光がうっすらと汗のにじんだ頭皮に照りかえり、彼の頭は眩しいほどに輝いている。
「召喚の儀式において人間が召喚されるなど前例のないこと。
 おまけに一体……いえ、一人ではなく二人出てくるなどということも前代未聞。
 挙句に被召喚者が契約を拒むなど聞いたこともない……もう訳がわかりません」
 言いながら彼は近くの地面にへたり込んでいるルイズに視線を送った。
 柊を追い回した上に滅茶苦茶に魔法を乱発した彼女は精魂尽き果て、肩で荒く息をしながらうなだれている。
「これはもはや私の手に負える事態ではありません。
 儀式は一旦保留として、学院に戻って他の先生方と協議した上で処置を決めます。……いいですね?」
「……」
 返事をする気力もないのか、ルイズは無言。
 しかし彼女はわずかに顔を持ち上げ、コルベールの頭の眩しさに目を細めながらも不満をあらわにした表情でコルベールを見やった。
 そんなルイズの視線を受けてコルベールは静かに首を振ると、彼女はがくんと肩を落とす。
「おいおっさん……勝手に、話を、進めてんじゃ、ねえよ……」
 その脇で柊が唸るように呟いた。
 ルイズに追い回され爆発の魔法を幾度となくかわし続けた柊もまた、ルイズと同様疲れきっていた。
 彼女のようにへたりこむという事はないが、膝に手を付いて肩で息をしている。
 直撃こそなかったものの何度も爆発の衝撃が身体をかすめ、ところどころ服が汚れていた。
「俺達はこんな世界に用はねえんだ。さっさと帰してくれ」
「申し訳ありませんがそれはできません。というより、帰す方法を我々は知らないのです」
「はぁ……!?」
「……。ともかく、今後については学院に戻って話し合いますので貴方がたもミス・ヴァリエールと共に来てください」
「お。おい待てよ……!」
 制止の声を無視してコルベールは踵を返し、遠巻きに佇んでいた少年少女達――学院というからには生徒達だろう――の元へと歩いていった。
 二人の追いかけっこに巻き込まれた生徒達も疲れているのだろう、どこか元気のない様子で三々五々空へと浮かび上がり、遠目にある建物の方へと去っていった。
 残されたのは疲労困憊のルイズと柊。
 そして、
「……先輩」
 心配そうに声をかけてくるエリスだけ。

142ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 04:18:04 ID:dI/N8qEY
 

 初めて異世界に召喚され多少戸惑っていた事もあるし、既にその経験がある柊が率先して交渉していた事もあって
彼女はただじっと状況を見守っている事しかできなかった。
 ちなみに先程の追いかけっこでは柊が意識してエリスから遠ざかっていたので、彼女は傷一つ汚れ一つない。
「……あ゛ー」
 不安の入り混じったエリスの声を聞いて柊は大きく息を吐く。
 そして背筋を伸ばし、大きく伸びをして、再び盛大にため息を吐き出した。
 すぐ近くでがっくりとうなだれている少女――ルイズの使い魔になるのは言語道断ではあるが、他に行くアテがあるわけでもない。
 それどころか、この世界の事そのものが全くわからない。
 元の世界に戻るための方法なりてがかりを得るにしても、学院とやらに行くのは妥当な線だった。
「しょうがねえ。とりあえずその学院ってとこに行こう」
「はい……」
「大丈夫だって。異世界に飛ばされるのは初めてじゃねえし、前にそうなった時も戻ってこれたんだ。どうにかなるさ」
 不安を隠しきれないエリスに柊は努めて明るくそう言って見せた。
 小さく頷いてわずかに元気を取り戻した彼女を確認すると、柊は改めてルイズに向き直る。
「おい、立てるか?」
「……ふざけんじゃないわよ」
 柊が声をかけると、ルイズはうめくように呟いてゆらりと立ち上がった。
 そして彼女は憔悴した顔色にふさわしくない、苛立ちと怒りを込めた目線で柊をにらみつけると、しかし何も言葉をかけずに踵を返した。
 どことなくおぼつかない足取りで歩を進めながら、ルイズは俯いて小さく呟く。
「ようやく……ようやく成功したと思ったのに。なんでこうなるの……なんで……」
 手で顔を何度か擦ると、彼女は振り返らないまま二人に呼びかけた。
「名前」
「え?」
「あんた達の名前。まだ聞いてない」
「……柊 蓮司」
「志宝エリスです」
「……変な名前」

 結局三人が学院に着くまでに交わした会話は、それだけだった。


143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 04:28:33 ID:twWrE0LA
支援ヌ
144ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2009/06/26(金) 05:00:22 ID:dI/N8qEY
さるさんくらった・・・以上です
異世界召喚になれた柊にドサマギは通用しなかった
一緒にきたのにエリスが超空気。でも柊という先達いるので状況が落ち着くまでは・・・

作品内部では語れないレギュレーションを説明しておくと
・基本TRPG「ナイトウィザード」の各種設定をふまえて
・ただし宝玉の少女の件に関してはアニメ版準拠
・シェローティアの空砦は起こらない
・エル=ネイシアについては起こるかもしれない

下二つについて。
これらは一応分類として「セブン=フォートレス」のものなので除外します
要するに本作とは特に関わりませんという事で

遅筆ゆえに投下頻度はあまり早くないかもしれませんがよろしくお願いします
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 05:08:42 ID:twWrE0LA
いつか来るだろうなぁとは思ってたぜ下がる男w
今度は何が下がるのか楽しみにしてます。ゆっくり頑張ってください!
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 08:00:09 ID:g0eAq3OP
ついに来ましたね、史上最強絶対無敵の下がる男w
色んな女の子とフラグを立てるから、ルイズとのフラグもすぐに立つに違いないw
プロットだけを考え付いて力尽きていた者としては、大歓迎の作品ですよ♪

そーいえば、ハルケギニアもある意味では平行世界だから、
ハルケギニア版下がる男も東方あたりに存在している可能性があるのですよね(むしろシャイターンの悪魔?
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 08:29:05 ID:dLj6zQQg
来たか、下がる男。

そしてデルフに浮気して魔剣さんがヤンデレになるんですね、分かります
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 09:06:44 ID:roX2k/sU
下がる男乙!!!

しかし魔剣が無いとは しばらくは苦戦しそうですね。
月衣に予備の箒をしまっていたりは・・・しないだろうなぁ。

そういや月衣って科学的常識に基づいた攻撃は受け付けないんでしたよね。
とすると対平民戦は無敵と言う事に?
そこらへん、他の平行世界に行った時はどういう扱いだったんでしょう
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 09:21:02 ID:B61txm93
「宵闇の使い魔」の虎蔵が戻って来たのかと、ぬか喜びしちまったぜ フゥハハー

再開する可能性なんか無いというのに勘違いした俺のバカ
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 10:06:10 ID:QOf7lUbT
>そういや月衣って科学的常識に基づいた攻撃は受け付けないんでしたよね。
対ギーシュ戦のワルキューレはどんな扱いになるんだろう。魔法で作られた人形の攻撃になるのか、単なる物理攻撃になるのか。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 10:08:21 ID:L/CVIRpX
下がる男が来てるぜ!
わっほぅ!
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 10:13:53 ID:SVkQZAOp
>対ギーシュ戦のワルキューレ
まあ、ナイトウィザードにもゴーレム系エネミーはいるしね。
モンスター扱いでいいんじゃね?

これがアリアンロッドだったら魔法防御力0という極端なパラメータになるんだが。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 10:29:43 ID:N5lpbZFX
ついに俺の下がる男柊蓮司がきたーーーー
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 12:28:55 ID:+HCKBke7
DMCって召喚されたことあったっけ?
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 12:31:32 ID:xxNtax30
どちらを指しているかはわからんが、
1秒間に10回レイプ発言する人も、
スタイリッシュな人も来ているぞ。
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 12:43:35 ID:Jqk50m5y
おれのロリババァの出番が今後あるのか。
それが一番の問題だ
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 13:10:31 ID:m5t9GAVV
何気にヴィオレットが普通に空の彼方から見てそうなところが困りものだ…

あとうっかり大魔王も当然居るんだよね、ね?
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 13:19:32 ID:5UTh1gfo
あれはうっかりというよりポンコ(ry
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 13:20:24 ID:XBkqpf04
>>154
同じくどっちを指してるかは知らないがメイの方だと
ダンテ・バージル・ネロが今のところ召喚対象か
トリッシュ・レディ・ルシア等の召喚は見たことがない
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 13:51:25 ID:dELyKGec
>>148
異世界ファンタジー世界の住人の攻撃は普通に通るんじゃね?
フレイスの炎砦で普通にボコにされてた覚えがある。
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 14:30:10 ID:AzZGiW7W
“孔明の罠”ならぬ“アンゼロットの罠”乙〜^^
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 14:35:24 ID:u181u1l/
>>160
ヘヴィヲーリアの一撃で死に掛けてたような気がするぜ。
あれ、普通の剣攻撃だよな。

そういや、この人NWスレに質問してた人か。
まあ、思い出したように更新する人もいるからこっちでまったく問題ないのでは。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 14:45:31 ID:roX2k/sU
>>160
なるほど。
でも衛星軌道上から落ちても死ぬって事はないんだよね。
アニメ版で戦闘中のあかりんが居るところに高々度から落下してたハズだし。

ラグドリアン湖にも窒息の心配無く入れたりするかな?
あ、でも水そのものが精霊と同義だからそっちの意味で危険か。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 14:56:15 ID:/CJm5b76
>>156
ルイズがアンゼロットに逆召喚される小ネタは面白かったw
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 16:03:22 ID:OrdZVsYF
テニプリの手塚部長を召還したばっかりに
一緒に引き寄せた隕石でトリステイン消滅

あとイナズマイレブンの面子なら
メイジと渡り合えそうで怖い
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 16:10:47 ID:RrXxtoDP
>>165
虚無の魔法とテニスを組み合わせたまったく新しい格闘技だな!
ルイズがラケット掲げて「うおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーっ!!」
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 16:28:41 ID:A0vgUvVh
テニヌです。
お間違えのないように。
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 16:46:04 ID:RrXxtoDP
>>167
そう言えばテニス協会から否定されたんだったなwごめんw
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 16:52:35 ID:6bRQj1sn
虚無の力を込めたゼロ式波動球までは思い付いたわ
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 16:53:52 ID:OrdZVsYF
遍在ステップ
ブーメラン炎蛇
雪風(クール)ドライブ
虚無(ゼロ)式波動球

あれ違和感ねぇや
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 16:55:56 ID:Mn9ZSqiU
手塚ゾーン発動、全ての攻撃魔法が自分に向かって飛んで来る
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 17:05:33 ID:wSauIjM2
火石もがっつんがっつん打ち返すよー
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 17:06:57 ID:XF90y2yz
隕石、ルイズが召喚した巨大な岩の塊は、鉄をどんどん吸い寄せてしまう不思議な性質を持っていた。
そして、同時期に暗殺されたはずのアンリエッタにそっくりな人物が現れ、火竜山脈とラグドリアン湖に異変が起こると予言する。
 
やがて、予言どおりに出現する黒い竜と巨大怪鳥、さらに聖地からやってくる巨大な蛾。
そのとき、巨岩から三つ首の金色の竜が現れた!! 今、ハルケギニアの命運をかけた大決戦が始まろうとしている。
 
 
しかし、その戦いを遠く空のかなたから見下ろしている不気味なサングラスと、ゴキブリのような影があることに、気が付く者はいなかった。
また、コルベールが黒い竜を模して作り上げようとしている鉄の竜は、果たしてハルケギニアの救世主となりえるのか?
失意のルイズが姉に与えてもらった不思議な機械人形に虚無の力を込めるとき、信じられない奇跡が起きる!!
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 17:34:45 ID:RrXxtoDP
>>173
全く持って意味が分からん
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 17:37:43 ID:givS2ZPs
>>174
東宝特撮ごちゃ混ぜかと。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:12:35 ID:8HU2GEWZ
オスマン「グランメイジの諸君、合神するのじゃ!」
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:19:52 ID:NYbmpUNa
ルイズがメイドになってるやつですねわかります
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:25:55 ID:PtmA5Ivc
>>177
よし
温泉だ
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:30:40 ID:QrOicYuv
そして卓球だ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:32:22 ID:+HCKBke7
ねぇ…召喚された動物には必ず召喚しなきゃいけないならあのあれとか…Gとか…呼ばれるものとも召喚したら使い魔にしないといけないの?
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:40:30 ID:uKJBqwM4
ゴジラですね、分かります。
決して英語だとコから始まる昆虫などではないですよね。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:40:32 ID:yF2Lbn+q
  V /  / _,, ァ=ニニ:}       _
   .V  /,.ィ"f= <r'ニ三{        |_    ┐   _l_ l
    'vf^<''"  弋z.ミ'テtフ       |_ Х □_ 匚 L | У
    〉!ト _ i{ ´ ̄r' =|'
   ./ェ゙‐ェi.    、__`_ヤ     (そのとおりでございます)
   ./iュ.Hヽ.、   ゙,ニ/
  -^ ー'-.、,i._`ヽ,.仁リ
  ー - .、     /、
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:43:28 ID:RNWOHQAx
>>180
カエルにキスした、ムラムランシーはパネェと思う。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:43:44 ID:QKfP51z/
そういやぁ口付けで相手を魅了して虜にしたり熱を奪って凍らせたり生命力吸い取っちまう妖怪とか
居たと思うんだがそんな存在が召喚されたらどうするんだろ

契約を強行するのかそれとも召喚されたのを焼き殺すのか……
コルベールにとって試練になりそうだ
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:44:42 ID:izzh7lra
蚊とかミジンコとか召喚しちゃったらどうするんだろう
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:48:52 ID:6bRQj1sn
蚊とかミジンコ召喚するようなメイジは蚊とかミジンコ程度の能力しかないんだから仕方ない
才能がないんだろ
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:52:29 ID:XqEtr298
ねずみとかも病気的に危険な気がする
獲物を食べている最中の動物を召還した場合もキスしずらい
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 19:57:42 ID:Pk6vNVeg
コウモリがやばいだろ
ポケモン間隔で使い魔にしたら狂犬病とか感染する
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:03:00 ID:uKJBqwM4
日本だと少し前に海外で感染して、帰国してから国内で死亡した例があるくらいで、
国内感染は長いこと無いからあまり知られてないが、狂犬病は発症すると致死率100%に近いからな。
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:06:58 ID:0arIxhEa
>>187
小ネタで、口元に血のついた大熊とキスしてたな
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:09:35 ID:gW6MKcRP
ゴジラだってキスしたら間違いなく被爆するぞ。
病気も怖いが、寄生虫はなお恐ろしい。
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:15:49 ID:QrOicYuv
そう言えばX-MENでそんな女超能力者がいたような
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:17:17 ID:twWrE0LA
ファンタジー世界にそんな考察を持ち込むなぃ
衛生面だの医療関係だのマジメに考えたら原作サイトは既に故人
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:18:28 ID:4BmWh/Gz
コモドオオトカゲは腐肉食ってるせいで口中に雑菌が繁殖してるから、噛まれたら傷より感染症のほうが怖いって聞くな
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:18:56 ID:4BmWh/Gz
いけね上げちゃった

スマヌ
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:24:38 ID:XBzuecHt
オオトカゲ「杖なんか捨ててかかってこいよ! ワルド!」
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:28:07 ID:8HU2GEWZ
ヨッシーの事か
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:28:30 ID:BkZYB82C
何が始まるんです?
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:38:38 ID:YRBYWCWe
>>198
「素晴らしいことだよ」
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:39:26 ID:L/CVIRpX
ハルケギニアについての考察が始まります

先生!キュルケやルイズも腋毛や臑毛ぼうぼうなんですか?
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:42:25 ID:vTwxkv5Y
作画の都合上余計な毛は無かったことになっています
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:44:56 ID:jYnhwP+w
>>201
なんという大人の都合……
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:49:24 ID:euyiJBK7
真面目に考えるとシエスタみたいな平民なんて臭くて近づけないだろ
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:50:25 ID:4BmWh/Gz
ハルケギニア人は地球人と比べて遺伝的に造毛細胞の働きが弱いとか

いかん、コッパゲール先生が下までツルツルになってしまう
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:50:49 ID:Pk6vNVeg
確実に20人は敵に回したな
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:51:47 ID:gW6MKcRP
臑毛ぼうぼうの使い魔を召喚したルイズなら小ネタにあったけどな。

ひーらりひらりやひひらりやー♪
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:52:07 ID:GbW1ztaq
にゅあああ
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:52:54 ID:4BmWh/Gz
>>203
そこはそれ、貴族のいる場所で働くんだからそれなりの身だしなみは強制的にでもやらされるでしょ
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:54:44 ID:eKOpkbEQ
二次の人間には余計な毛は生えません。
お手入れ不要でいつもつるつるです。
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:59:37 ID:YRBYWCWe
学院勤めの平民風呂はサウナで蒸して水被り汗流しだったっけ
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:08:36 ID:PxByhx2n
シエスタの体臭くんかくんか

く、くさい!
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:10:44 ID:Pk6vNVeg
チーズみたいなニオ……
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:22:13 ID:twWrE0LA
くちくっさー!
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:25:41 ID:MLTwIUqa
そういや歯ブラシあるのかハルケギニア
215使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:29:32 ID:/GHfNx4J
昔の歯ブラシってなんかの動物(馬?)の尻尾で作ってたんでしたっけ?
あの世界にあるかどうかは知りませんけど

さて、特に予約もなければ21:35分あたりから第三話を投下をしたいと思います
よろしいでしょうか
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:31:04 ID:5JQWo4jS
まあラノベだから深く考えちゃいけないんだろうけど
中世ヨーロッパ程度の文化レベルじゃ
平民のシエスタは腋毛もっさーで眉毛ボーボー
白人のハーフだから高確率で腋臭
かなり臭いんじゃないか?
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:31:06 ID:PxByhx2n
OK! COME ON!
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:34:22 ID:INUilBgX
武装錬金!支援!!
219使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:35:20 ID:/GHfNx4J
そいだらぼちぼち始めます。
――――――――――――――――――――――――――――
「来るぞカズキ!手を放すな!」
 ――夏の洋上。対ヴィクター、最終決戦。
 アレクサンドリアの残した研究成果では、完全に化物となったヴィクターを再人間化するには、今一歩出力が足りなかった。
 怒れる魔人は、同じが如き境遇で、しかしそれでもなお向かってくる男に、強力な一撃を見舞おうとする。
 槍を掴む手に、力が込められるのがわかった。
「キミと私は一心同体、キミが死ぬ時が、私が死ぬ時だ!」
 黒髪の女子、斗貴子が叫ぶ。ここから先は、どちらかが倒れるまでの死闘となる。
 そう、だから――

「―――え?」

「ゴメン、斗貴子さん」
 繋いだその手を、解き放す。
「その約束、守れない」


 ゆっくりと、暗い海へと降下する斗貴子を見て、別れの言葉を告げた。
「本当に、ゴメン」



「――――――――カズキッ!!!」


 使い魔の達人 第三話  ゼロのルイズ


 ――最悪の目覚めであった。
 早朝。カズキは沈んだ気持ちで上体を起こす。窓から陽光が差込み、カーテンに淡くシルエットを刻む。
床の上で寝たためか、身体が少し痛い。が、肉体の疲労は大分取れたようだ。その替わり、精神の方が非常に重い。
 …斗貴子さん、泣いてたな。
 別れ際の斗貴子の顔、その悲痛な叫びは、今も目と耳について離れない。幾度謝っても、謝り切れない。
 今も泣いているのだろうか。それを考えると、カズキは切なくなった。
 視界の端に、ぽつんと置いてあるものが目に付く。昨夜渡されたルイズの下着である。
 そう、俺は今、決死の覚悟でヴィクターと共に月へと飛び、何故か女の子の使い魔とやらをやることになった。
 カズキは切なくなった。
「確か、洗濯しろって言われてたっけ」
 確認するように呟くと、下着に目を向ける。恥ずかしくて直視できないが、とりあえず恐る恐る手に掴めば、立ち上がる。
なんだか、いけないことをしているような気分になった。
 ベッドを見ると、自分をこの世界に呼んだ張本人、ルイズがすやすやと寝息を立てていた。
女の子の寝顔なんて、小さい頃の妹、まひろのものぐらいしか記憶にない。
 起きてる時にはやれ貴族だ、メイジだ、使い魔だと、少々口うるさい分からず屋だが、寝ている時は人形のような可愛さだ。
 寝顔を覗き込みながら、カズキはそんなことを考えた。
 そのまま見惚れているわけにもいかない、と頭を振って。
 部屋を見渡せば、昨日の高価そうな椅子に、昨夜着ていた服がそのなりでかけてある。あれは洗濯を託ってないし、いいか。
 カズキは静かに部屋を出て、昨日通ってきた廊下を遡り、女子寮の出入り口までやってきた。
「…そういや、洗い場って何処にあるんだろ」
 昨日は学院の入り口からまっすぐ食堂の厨房。ほとんど中庭で時間を潰し、その後女子寮まで歩いてきた。
さて、その中で洗濯をできそうな場所は…
「うーん?」
 首を捻る。するとそこに――
220使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:36:21 ID:/GHfNx4J
「ムトウさん、でしたっけ?」
 後ろから声をかけられる。見ればそこに、衣類の入った籠を抱えたメイド、シエスタが居た。
「あ、シエスタさん。おはよう。早いんだね」
「おはようございます。この時間なら、学院の平民はほとんどが起きて仕事を始めていますわ。ムトウさんも?」
「あ、うん。ルイズにこれ、洗濯しろ…って…」
 何気なく手を掲げれば、そこには先ほどから下着が握られているわけで。
カズキは思わず下着を後ろ手に隠す。なんだか自分がいけない方向へ進んでいるような気がしてくる。
「まぁ…それは、大変ですわね。わたしもこれから貴族の皆様の御召し物を洗いに行くんですよ」
 くすくすと笑いながら、籠の中のそれを見せるように。なるほど、洗濯物か。カズキはハッとして
「ちょうど良かった。実は何処で洗えば良いかわかんなくってさ」
 照れたような仕草で、そう伝える。すると、シエスタはこっちですよ、と促して
「そう言えばムトウさん、噂になっていましたよ。ミス・ヴァリエールが平民を使い魔として召喚したって」
「ふーん、やっぱこっちじゃ珍しいのかな」
 自分の左手に刻まれたルーン。うっすらと輝くそれを見つめ、返す。なんでも普通は光ってないのだとか。
「聞いた限りでは前例がないことみたいですけど、まぁミス・ヴァリエールですし…」
 そこで、はっとした顔になって口をつぐむシエスタ。なんだ?カズキは気になった。
「と、ところで、ミス・ヴァリエールに例の許可はいただけたんですか?ここを出て行くって言う…」
 どこか苦しそうに話題を変えるシエスタ。が、今自分の横に、カズキが歩いていることを見るに…
「…ダメだった」
 苦笑交じりに首を振る。やはり、ダメだったか。
「それは…残念でしたわね」
 なんと声をかけていいかわからず、そう返してしまう。
「で、でも!此処も此処で、なにかと住み心地は良い所ですから!
困ったことが、あったら何でも言ってくださいね。平民同士、助け合わなきゃ」
 取り成すように続けた。昨日無責任な助言をした、せめてもの詫びも含んでいる。
「うん、ありがとう。シエスタさん。
まぁ、ダメはダメでも、ルイズと話してみて、一応はお互い納得できる形に落ち着いたと思うから」
 よもや、化物になった自分の始末を任せたなどとは言えないが。
 その言葉に、シエスタは目を丸くしながら
「そうなんですか?それは良かったですね…あ、ここです」
 などと話している内に、水場に到着。そこに至って、ここでカズキは重要なことに気付く。
「あ、そっか。こっちじゃ手洗いなんだよな」
 洗濯機なんてあるわけがない。未だ手に掴んでいるそれを、自分の手で洗わなければいけないのか…。
「そうですよ?あぁ、お洗濯、為されたことないんですか?」
 こっち?と首を傾げながら、シエスタ。洗濯籠を置いて、タライや桶、洗濯板を用意したり、てきぱきと要領が良い。
「恥ずかしながら…女の子の下着は流石に」
「ふふっ、それじゃあ量も少ないですし、ムトウさん…ミス・ヴァリエールのものから先にしちゃいましょうか。何事も経験ですわ」
「よ、よろしくお願いします…」
 何処か畏まった調子で、カズキはそう言った。


 シエスタの指導の下、洗濯も程なく終わり、干した後には一旦部屋へ戻る。乾いたら部屋へ運んでくれるとの事で、至れり尽くせりだ、とカズキは思った。
「えーと、こっちだったっけ」
 記憶を頼りに、女子寮の廊下を進む。ぼちぼち他の生徒も目覚め始めている頃のようだ。
時々すれ違う、早起きな生徒に驚かれたりするが、どうやら噂と言うのは生徒にも広まっているようだ。
すぐに、何処か小馬鹿にしたような目を向けられた。カズキはその度に頭上に疑問符を浮かべた。
 うーん?やっぱ平民ってやつだからなのかな?ルイズもなんだか嫌がってたし。
 そんなことを考えるうちに、ルイズの部屋まで辿り着く。扉を開ければ、まだルイズは眠っていた。
 よく見れば、枕元には自分の携帯。随分と気に入られたようだ。
「まだ寝てる…もう起きてる人いたよな。流石に起こさなきゃまずいか」
 女の子ってどう起こせば良いんだろうか。とりあえず普通に起こすか。
221使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:37:29 ID:/GHfNx4J
 軽く揺さぶってみる…が、どうにも寝つきが良い様で、気持ち良さそうにくぅくぅ寝続ける。
「おーい、朝だぞー」
 時折ぺしぺしと頬を軽くはたき、揺さぶる。
「んにゅ…」
 目覚めが近いのか、可愛い声で一つ鳴くルイズ。思わず手が止まる。が、いやいや、とにかく起きてもらおうと、強く揺さぶって
「ん…んん?……あんた誰!?」
 夢から半分目覚めたらしいルイズは、自分の眠りを妨げた者がなんなのか判別できていない様子。寝ぼけ眼のまま、指をぴしりと突きつける。
昨日いの一番に聞いた台詞を、もう一度聞くことになるとは思わなかったカズキは、しかし律儀に答える。
「なに、もっかい名前言うの?カズキ。昨日ルイズに召喚された、武藤カズキだよ」
「…あ、そっか。使い魔、昨日召喚したんだったわね」
 そう、異世界から来た使い魔。化物になるらしい使い魔。でも、今はどこをどう見ても、ただ平民の使い魔だ。
 まったく、変なのを呼んじゃったこと。だけど使い魔は使い魔だ。まずは…
「じゃ、服」
 さっそく命令をする。
 カズキは早朝見かけた椅子にかけてある服を渡す。すると、ルイズは寝巻きにしていたネグリジェをだるそうに脱ぎ始めた。
 全速力で回れ右。一瞬ちらりと見えたおへそが、脳裏に焼きつく。ちなみにへそから下は、見事に毛布に包まれていた。
「下着」
「そ、それは流石に自分でとれよ」
 顔を熱くしながらそう返す。が、ルイズはかまわず
「そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しねー」
 そう続けてくるからたまらない。どうやらとことん使い倒すつもりらしい。
 しぶしぶ、といった調子でクローゼットの引き出しを開け…カズキは目を回しそうになった。
当然だが、中には下着がたくさん入っているのだ。なかなかきつい光景だ。
 適当に掴んでは、ルイズのほうを見ないようにして渡す。その間、カズキは心の中で斗貴子に土下座していた。
「着せて」
「いやぁあああんッ!!」
 限界だったようだ。涙目になって、奇声を挙げる。
「何が嫌なのよ。平民のあんたは知らないだろうけれど、貴族は下僕が居る時は自分で服なんて着ないのよ」
 下僕って…カズキは頭が痛くなった。
 妹のまひろにも、小さい頃ならばともかく、ここ数年で着替えを手伝ったなんて事はもちろんない。
 お、俺はどうなってしまうんだ…カズキが息を乱し、ぐわんぐわんと頭を揺らしていると
「あらあら、この使い魔はまったく言うことを聞かないわね。バツとしてご飯抜きかしら」
 困ったわ、といった調子でルイズがいうと、カズキはやがて、のっそりと動き出した。心の中で、臓物をブチ撒けられながら。


「も、もうお婿にいけない…」
「どうせあんたわたしの使い魔なんだから、そんな心配する必要ないわよ」
 どうにかこうにか、ルイズに服を着付け…その間、カズキは五度死んだ。
顔を両手で伏せ、しくしく泣くカズキと、憮然とした表情で携帯を弄るルイズが扉から現れる。
部屋を出ると、幾つか並んだ木製の扉、そのうちの手前の一つが開かれ、そこから燃えるような赤髪の女の子が現れた。
ルイズどころかカズキより高く思える身長、そして見事なプロポーションを持ち、むせるような色気を放っている。
 彼女はルイズを見ると、にやっと笑った。
「おはよう。ルイズ」
 ルイズは顔をしかめると、携帯を閉じて嫌そうに挨拶を返した。
「おはよう。キュルケ」
「昨日は珍しく騒がしかったじゃない。愉快な曲も聞こえてきたし、随分使い魔と仲良くなったのね」
 どうやら携帯の着メロが隣まで響いていたようだ。キュルケと呼ばれた女の子は、くすくすと笑った。
「で、あなたの使い魔って、それ?」
 カズキを指して、馬鹿にしたように言う。
「そうよ」
222使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:38:35 ID:/GHfNx4J
「あっはっは!本当に人間なのね!すごいじゃない!」
 気持ちいいくらい大笑されて、カズキは微妙な気分になった。人間だからって、ここまで笑われたのは初めてだ。
「『サモン・サーヴァント』で平民喚んじゃうなんて、あなたらしいわ。さすがはゼロのルイズ」
 ルイズは白い頬を朱に染めながら
「うるさいわね」
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で召喚成功よ」
「あっそ」
 へぇ、召喚って一回で成功するわけでもないんだ。
 カズキが何処かズレた事を考えていると
「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ〜。フレイムー」
 キュルケは、勝ち誇った声で使い魔を呼んだ。キュルケの部屋からのっそりと、真っ赤で巨大なトカゲが現れた。
「あ、昨日の大トカゲ。君の使い魔だったんだ」
 昨日、中庭で見た一匹。尻尾に火を灯す、強そうなやつだ。カズキはフレイムと呼ばれたトカゲと、その主人を交互に見た。
「あら、使い魔同士、もう面識はあるのね。フレイムって言うのよ。よろしくね」
 その頭を撫でながら応える。フレイムは気持ち良さそうに目を細めた。口から火をぽうっと吹いて、挨拶の代わりだろうか。
「俺は武藤カズキ。よろしく」
「ちょっと、なに勝手に名乗ってるのよ」
「ムトウカズキ?変な名前ね」
 ルイズを差し置いて、つい自己紹介。フレイムに。キュルケの感想を受け、カズキは変だ変だと言われることにそろそろ慣れてきていた。
「傍に居て、熱くないの?」
「あたしにとっては、涼しいぐらいね」
 平然とした調子で返してくる。うーん、そういうもんなんだろうか。
「これってサラマンダー?」
 ルイズは悔しそうに聞いた。
「そうよー。火トカゲよー。見て、この尻尾。此処まで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ。
好事家に見せたら、値段なんかつかないわよ?」
「そりゃあ、良かったわね」
 キュルケの明るい声と対照的に、苦々しい声でルイズは言った。
「素敵でしょう、あたしの属性ぴったり」
「あんた『火』属性だもんね」
「ええ、微熱のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は微熱。
でも、男の子はそれでイチコロなのですわ。あなたと違ってね?」
 キュルケは得意げにずい、と胸を張った。ルイズも負けじと胸を張り返すが、悲しいかな、ボリュームが違いすぎる。
 それでもルイズはキュルケを睨みつけた。かなりの負けず嫌いのようだ。
「あんたみたいにいちいち色気振りまくほど、暇じゃないだけよ」
 そんなルイズの言葉に対し、キュルケはにっこりと余裕の笑みを見せた。
「ま、いいわ。じゃ、お先に失礼」
 そう言うと、炎のような赤髪をかきあげ、颯爽とキュルケは去っていった。そのあとを、ちょこちょことフレイムが可愛く追う。
 キュルケが居なくなると、ルイズは拳を握り
「くやしー!なんなのあの女!自分が火竜山脈のサラマンダー召喚したからって!ああもう!!」
「別にいいんじゃない?何召喚したって、大して変わるわけでもないんだし」
「よくないわよ!メイジの実力を測るには、使い魔を見ろって言われているぐらいよ!
なんであのバカ女がサラマンダーで、わたしがあんたなのよ!!」
 どうにも理解しがたいことでがなられる。別に人間でもいいんじゃないか?
「なんでって言われても。それにほら、下手な動物より、同じ人間のほうがいいんじゃない?」
 あまりこういう考え方はしたくはないが。そして、カズキの場合は、まだ、が付く。
「メイジと平民じゃ、狼と犬ほどの違いがあるのよ」
 ルイズはそこだけ得意げに語った。ふーん、と返して。
 まぁ、俺を呼び寄せたり、空を飛んだりは普通の人間にはできないしな。
 カズキはそんな風に納得した。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:39:15 ID:PxByhx2n
しえしえ
224使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:39:54 ID:/GHfNx4J
「ところで、今のキュルケさん、だっけ?他の人も時々『ゼロのルイズ』って言ってたけど、『ゼロ』ってなに?」
「ただのあだ名よ。キュルケなら『微熱』ね。それと、あいつにさんは要らないわよ」
「あだ名か。確かに『微熱』、って感じだよなぁ」
 思い返してみる。年のころは、自分より年上だろうか。そんな気がする。
顔は彫りが深く、美人さんだった。服の着崩し方も良かった。うん、表紙を飾ってたら買うかもしれない。
 そこまで考えて、カズキは本気で斗貴子にごめんなさいした。ブチ撒けられた。
「で、『ゼロ』は?」
「知らなくてもいいことよ」
 ルイズはばつが悪そうに言った。なんなんだ、一体。



 昨日は厨房側から見た食堂。表から入ると、長いテーブルが三つ並べられ、ルイズたち二年生は真ん中のテーブルだった。
 どうやらマントの色は学年で決まるらしい。正面に向かって左側は、ちょっと大人びた感じの三年生。紫のマントをつけている。
右側には、茶色のマントをつけたメイジたち。一年生だろうか。学年別の腕章みたいだ、とカズキは思った。
 すべての食事は、基本此処で取るらしく、教師、生徒ひっくるめて、学院中のメイジが居るようだ。
 豪華絢爛な装飾がそこかしこに為され、今からなにかパーティーでもあるのだろうか、と思うほどだった。
 目まぐるしく動くカズキの視線がお気に召したか、ルイズは得意げに
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ。メイジはほぼ全員が貴族なの。
『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を、存分に受けるのよ。
だから食堂も、貴族の食卓に相応しいものでなければならないのよ」
 とのたまった。
「へぇ〜」
 本当の本当に、貴族社会なのだ。カズキは目を丸くした。
「わかった?ホントなら、あんたみたいな平民はこの『アルヴィーズの食堂』には一生入れないのよ。感謝してよね」
「ありがと。ところで、アルヴィーズってなに?」
「…小人の名前よ。周りに像がたくさん並んでいるでしょう?」
 説明するルイズの視線の先、壁際には精巧な小人の彫像が並んでいる。今にも動き出しそうだ。
「あれって動くの?」
「っていうか、夜中になると踊ってるわ。いいから椅子をひいてちょうだい。気の利かない使い魔ね」
 ルイズが腕を組みながら言った。しかたない、今自分はルイズの使い魔なのだ。
カズキがルイズのために椅子を引くと、ルイズは礼も言わず、当然とばかりに座った。
「あ、ちなみにあんたのは、これね」
 ルイズは床を指差した。そこに、皿が一枚置いてある。
肉のかけらの浮いたスープが盛られており、皿の端に硬そうなパンが二切れ、ぽつんと置いてあった。
「へ?」
 カズキはテーブルを見た。豪勢な料理が並んでいた。次いで床を見た。やはり、皿が一枚だけだった。
「あのね?ほんとは使い魔は、外。あんたはわたしの特別な計らいで、中」
 テーブルに頬をつきながら、ルイズがそう言った。

「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことを感謝いたします」
 祈りの声が唱和され、食堂に響く。ルイズももちろん、それに加わっていた。
 やがて食事が始まる。カズキは、この食事量はやはりないと思ったのか
「なぁルイズ」
「なによ」
「これ、流石にもうちょっとなんとかなんない?」
 皿を掲げてみせる。どう見ても、一日の始まりに足りるとは思えない。
「まったく…」
 ルイズはぶつくさ言いながら、鳥の皮をはぐと、カズキの皿に落とした。
「これだけ?」
225使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:41:05 ID:/GHfNx4J
「そ。これ以上は癖になるからダメ」
 ルイズはおいしそうに豪華な料理を頬張り始めた。
「癖って…ま、いいけどさ」
 どうにも、ルイズの態度に不満がつのる。が、仕方がないので、目の前のそれで空腹を補おうとする。
 下手に食事を取らなくて、そんな理由でエネルギードレインが発動したら目も当てられない。
「あ、意外と美味いねこれ」
 味付けが好みだったのか、パンとスープをさらっと平らげるカズキだった。わりと単純である。


 どこか物足りない食事も程なく終わり、カズキはルイズに連れられて、魔法学校の教室へ向かった。
なんというか、大学の講義室みたいな感じだ。一番下の段に黒板と教師用の教卓があり、そこから段々と席が続く。
ちなみにすべて石で出来ている。
 二人が教室に入ると、先に教室にいた生徒が一斉に振り向いた。
そして、くすくすと笑い始める。昨日といい、今といい、気になる。
 先ほどのキュルケも居た。周りを男子が取り囲んでおり、なるほど、男の子がイチコロと言うのはホントだったようだ。
周りを囲んだ男子生徒に、女王のように祭り上げられている。カズキの教室ではなかなか見られない光景だった。
 こちらに気づくと、軽く手を振ってきた。ルイズはぷいと顔を逸らした。
男子が何人かがこちらを睨んできた。カズキも思わず顔を逸らした。
 見ると、皆様々な使い魔を連れていた。昨日中庭で見たものが、ちらほらと見受けられる。
 そのうちに、ルイズはぶすっとした表情で、席の一つに腰掛けた。教材を机の上に用意する。
 カズキも隣に座った。ルイズが睨む。
「…なに」
「ここはね、メイジの席。使い魔は座っちゃダメ」
 カズキは周りを見た。なるほど。席に着く使い魔なんて一匹も居ない。
 しかし、こうも人間扱いされないとは…使い魔の基準が基準だからだろうけれど。
 だからといってカズキにしても、この扱いを不快に思い始めた。
「あ、そう」
 席を立ちながら、カズキ。そのまま床に座ろうとする…が、どうにも窮屈だ。
「後ろで立っててもいいの?」
「別に構わないけれど…仕方ないわね。席に座っていいわよ」
「どっちなんだよ」
 結局先ほどと同じように座ることになった。次第に、席が生徒で埋まっていく。
 程なくして、扉が開く。中年の女性が入ってきた。紫色のローブに身を包み、帽子を被っている。
ふくよかな頬が、優しい雰囲気を漂わせている。
「あのおばさんも魔法使い?」
「当たり前じゃない」
 なんとなく聞いたカズキに、呆れ声で返すルイズ。入ってきた女性は教室を見回すと、満足そうに微笑んで言った。
「皆さん、春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。
このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
 シュヴルーズと名乗った教師は、俯くルイズと、その隣のカズキに目を向け
「おやおや。随分変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
 と、とぼけた調子で言うと、周囲で笑いが起こった。そこだけ、カズキはシュヴルーズにちょっといやな気持ちを覚えた。
「ゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺歩いてた平民連れてくるなよ!」
 途端、ルイズは立ち上がり、髪を揺らしながら怒鳴った。
「違うわ!きちんと召喚したんだもの!こいつが来ちゃっただけよ!」
「嘘つくな!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」
 その言葉を端に、笑いの質が変わった。耳につく嫌な笑い声だ。
「ミセス・シュヴルーズ!侮辱されました!かぜっぴきのマリコルヌがわたしを侮辱したわ!」
「かぜっぴきだと?俺は風上のマリコルヌだ!風邪なんか引いてないぞ!」
「あんたのガラガラ声、まるで風邪引いてるみたいなのよ!」
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:41:12 ID:6LrQpIJ4
支援
227使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:42:14 ID:/GHfNx4J
 マリコルヌと呼ばれた生徒が立ち上がり、ルイズを睨みつける。
こいつ呼ばわりされたカズキは、俺も別に来たくて来たわけじゃない、と思った。
 そのうちに、シュヴルーズが小ぶりな杖を振ると、ルイズとマリコルヌは糸の切れた人形のように、すとんと席に落ちた。
「ミス・ヴァリエール、ミスタ・グランドプレ。みっともない口論はおやめなさい
お友達をゼロだのかぜっぴきだの呼んではいけません。わかりましたか?」
「ミセス・シュヴルーズ。僕のかぜっぴきはただの中傷ですが、ルイズのゼロは事実です」
 その言葉に、またもくすくすと笑いが漏れる。
 シュヴルーズは厳しい顔で教室を見回すと、杖を振った。
笑っていた生徒たちの口に、どこから現れたのか、赤い粘土が押し付けられる。
「あなたたちは、その格好で授業を受けなさい」
 室内が静かになる。カズキはなんだかなぁ、と思った。
 では授業を始めます、とシュヴルーズが続けた。
 一つ咳を置いて、杖を振る。すると、教卓の上に石ころがいくつか現れた。
「私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。『土』系統の魔法を、これから一年、皆さんに講義します。
魔法の四大系統はご存知ですね?ミスタ・グランドプレ」
「は、はい。ミセス・シュヴルーズ。『火』『水』『土』『風』の四つです!」
 名指しされた先ほどの生徒が答える。
 昨日ルイズが言っていた四系統っていうのは、こういうのか。
 カズキは漠然と理解した。シュヴルーズは頷くと
「今は失われた系統魔法である『虚無』をあわせて、全部で五つの系統があることは、皆さんも知ってのとおりです。
その五つの系統の中で、『土』は最も重要な位置を占めていると私は考えます。
それは、私が『土』系統だから、というわけではありませんよ。私の単なる身びいきではありません」
 再び重く咳をする。ふむふむ、とカズキは聞き入っている。こういう授業は初めてなので、興味はある。
「『土』系統の魔法は、万物の組成を司る、重要な魔法であるのです。
この魔法がなければ、重要な金属も作り出すこともできないし、加工することもできません。
大きな石を切り出して建物を建てることもできなければ、農作物の収穫も、今より手間取ることになるでしょう。
このように、『土』系統の魔法は皆さんの生活に密着に関係しているのです」
 なるほど、とカズキは思った。こっちの世界では、どうやら魔法がカズキの世界での科学技術に相当するらしい。
ルイズが、メイジと言うだけで威張っている理由がなんとなくわかった。
シュヴルーズの言を信じるなら、魔法だけで石でできた一軒家が建つ。犬と狼ほども違う、とは的を射た表現だ。
「今から皆さんには、『土』系統魔法の基本である、『錬金』の魔法を覚えてもらいます。
一年生のときにできるようになった人も居るでしょうが、基本は大事です。もう一度、おさらいすることに致します」
 『錬金』。昨夜、ルイズとの会話に出てきた言葉だ。『土』の魔法なのか。そういや金属を作り出すって言ってたっけ。
 シュヴルーズは、石ころに軽く杖を振る。そして短くルーンを唱えると、石ころが光りだした。
 光が収まると、ただの石ころだったそれは、ピカピカと光る金属に変わっていた。キュルケが身を乗り出し
「ごご、ゴールドですか?ミセス・シュヴルーズ!」
「違います、ただの真鍮ですよ。ゴールドを錬金できるのは、『スクウェア』クラスのメイジだけです。
私はただの、『トライアングル』ですから」
 途中に一つ咳をして、シュヴルーズは言った。そこまで聞いてカズキは
「なぁ。スクウェアとかトライアングルって、なに?」
「授業中なのに…ま、いいわ。系統を足せる数のことよ。それでメイジのレベルが決まるの」
「?」
 疑問符を浮かべるカズキに、ルイズは小さな声で説明する。
「たとえば、『土』系統の魔法はそれ単体でも使えるけど、『火』の系統も足せば、さらに強力な呪文になるの」
「なるほど」
「『火』『土』のように、二系統を足せるのが『ライン』メイジ。
シュヴルーズ先生のように、『土』『土』『火』、三つ足せるのが、『トライアングル』メイジってことね」
「同じのを二つ足すのは?」
「その系統がより強力になるわ」
「なるほど。つまりあそこの先生は、『トライアングル』メイジで、かなり強力なメイジ、と」
228使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:43:13 ID:/GHfNx4J
「そのとおりよ」
「で、ルイズは、幾つ足せるの?」
 その問いに、ルイズは黙ってしまった。すると、喋っているのを見咎められたか。
「ミス・ヴァリエール!」
「は、はい!」
 ルイズはびくりと震えると、首をすくめて返事をした。
「授業中の私語は慎みなさい!使い魔とお喋りする暇があるのでしたら、あなたにやってもらいましょう」
「え、わたし?」
「そうです。ここにある石ころを、望む金属に変えてご覧なさい」
 しかしルイズは、立ち上がらず、困ったようにもじもじするだけだ。
 なんだ?今のシュヴルーズみたいに、パッと変えればいいだけじゃないか。
「ミス・ヴァリエール。どうしたのですか?」
 シュヴルーズが再度聞くと、キュルケが困ったような声を挙げた。
「先生」
「なんです?」
「やめておいたほうがいいと思います」
「どうしてですか?」
「危険です」
 キュルケがきっぱりと告げると、教室のすべての生徒がうんうん、と頷いた。
「危険?どうしてですか?」
「先生は、ルイズを教えるのは初めてでしたよね?」
「ええ。でも、彼女が努力家ということは聞いています。さ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい。
失敗を恐れていては、何も出来ませんよ?」
「ルイズ。やめて」
 キュルケが蒼白な顔で言った。
 しかし、ルイズは立ち上がり
「やります」
 そう言うと、緊張した顔で、つかつかと教卓のほうへと降りていく。
ルイズが隣に来ると、シュヴルーズはにっこりと笑いかけた。
「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」
 ルイズは頷くと、手に持った杖を振り上げた。
その姿は一枚の絵のように様になっており、今にも杖の先から光が飛び出しそうであった。
 こうして遠目に見る分には、かなり可愛い女の子に思える。その実、本性はすさまじいものだが。
思い返してみると、部屋を出るまではそうでもなかったが、食堂からこっち、どうにも扱いが酷い。
命をとられるようなことはないものの、まるで犬や猫だ。普段大らかな性格のカズキにしても、少し思うところがある。
けれど、とカズキは考える。ルイズは、話がまったく通じない相手でもないことは確かだ。昨日話してみて、それはわかる。
なら、話してみればきっと大丈夫だろうと、自然そう思った。
 そんな風に考えていると、前の生徒はすっぽりと机の影に隠れてしまっていた。見ると周りの、ほぼ全員が身を隠している。
それどころか、退室する生徒まで居た。後ろで木製の扉が開く音が聞こえた。
何故だろうか。何か不穏な空気を感じる。皆、何故かルイズに魔法を使わせるのを異様に嫌がっていた。
 昨日からの、皆からのルイズへの態度。これもまた、カズキは気になっていた。
あれだけ可愛い女の子なのに、あまり人気があるようには見えない。
皆からは『ゼロ』と二つ名で呼ばれ、どこかバカにされているというか。
虐められてるんだろうか、と漠然と思い始めていた。
 そのうちに、ルイズは目を瞑り、短くルーンを唱え、杖を振り下ろす。
 すると、机ごと石ころは爆発を起こした。
 至近距離で爆風をもろに受け、ルイズとシュヴルーズはそのまま黒板に叩きつけられた。
悲鳴が上がり、驚いた使い魔たちが騒ぎ出す。キュルケが席を立ち、ルイズに指を突きつけて
「だから言ったのよ!ルイズにやらせるなって!」
「もう、ヴァリエールは退学にしてくれよ!」
「あぁ!俺のラッキーが蛇に食われた!ラッキーが!」
 めいめい騒ぎ出す。大混乱である。カズキは呆然と見入っていた。
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:44:04 ID:Ly+XbZcY
リアル・リアリティを追究してもしょうがない。
ハルケギニアは中世世界じゃなくてファンタジー世界なんだから。
230使い魔の達人:2009/06/26(金) 21:45:04 ID:/GHfNx4J
 シュヴルーズは床に倒れている。気絶してるだけのようで、ぴくぴくと痙攣している。
 煤で真っ黒になったルイズが、むくりと立ち上がる。
爆風で服のあちこちが裂け、見るも無残な姿であった。怪我らしい怪我はないようだ。
そのまま、周りを意に介した風もなく、取り出したハンカチで顔に付いた煤を拭うと
「ちょっと失敗したみたいね」
 とんでもない大物である。
 その言葉に、他の生徒から反発の声が挙がった。
「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」
 事ここに至り、カズキはやっと、ルイズが何故そんな二つ名で呼ばれているのか理解した。
ルイズを見ると、罵声を浴びながらも澄ました顔を保っている。が、肩が微かに震えているのが見て取れた。


――――――――――――――――――――――――――――
以上です。
今更だけどカズキの一人称俺じゃなくてオレなんですよね。
お粗末
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:49:22 ID:INUilBgX
達人の人乙です。
とりあえずエネルギードレインをどうするか…発動したら止められないしなw
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:52:37 ID:8tCgnXc1
>>184
クィーンズブレイドの冥土メイド(既に召喚済み)がやっていたな。>生命力吸い取っちまう
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:55:05 ID:m5t9GAVV
吸い取るキスといえばやっぱりNeko Mimi Modeだろう常考
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:56:48 ID:VF+ddt3V
達人の人乙でした
いつ、エネルギードレインが発動してしまうかハラハラしつつも続きが楽しみです
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 22:05:09 ID:8HU2GEWZ
ルイズ「超者ッ降臨ッ!」
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 22:05:28 ID:D/OgU8wG
乙 ただ一つ言わせてもらうと、空行を使用してほしい。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 22:08:49 ID:QrOicYuv
乙。

よくあるパターンなら次回にルイズを慰めることになるんだろうが、さてさて。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 22:46:07 ID:c6papadj
>>233
それKissって言ってるけど首筋に牙突き刺しての吸血や
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 22:47:45 ID:qqXljjIM
>>236
会話文と地の文の間に空白行を入れることを言っているなら、
個人的には、使用しないでほしい。
無駄な改行やら空白行があると読みづらいから。
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 22:52:10 ID:fByZajxj
歯ブラシの話蒸し返すけど江戸時代は歯ブラシの変わりに木だか竹だかのへらみたいなの使ってたんだっけ?
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:14:45 ID:c6papadj
>>240
特殊な木の根っこの方だったと思う
あと外国のは馬の尻尾の毛を折って縛って切断し長さを合わせたモノだね
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:18:56 ID:4BmWh/Gz
房楊枝ってやつだな
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:22:34 ID:JQLzwSyu
>>239
2chのこの書式でそれは読みにくくないか?
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:23:18 ID:tKeQoiAP
>>184
そいつに触れるだけで凍結してしまうって奴を小ネタで召喚したが、
確かに契約させるまで苦労したわw

その後そいつで連載しようか迷ったけど、私生活が忙しすぎて断念。
今は構想だけ練って、暇ができたら連載開始したいな・・・
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:28:18 ID:uKJBqwM4
縦書きなら兎も角、ここの表示方法だと台詞と地の文の間に空行入れてもらった方が読みやすいと思う。
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:37:34 ID:qqXljjIM
>>243,245
あくまで個人的な感覚だ、というのはわかってるんだけど、
やっぱり改行やら空白行は極力少ない方が、
なんというか、こう、頭に入りやすい。

多数の人が読みやすいように考慮するなら、無視してくれて構わない。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 00:36:29 ID:ui33ISXS
文章がゴッチャリしすぎず、かつスカスカにもならないようにしろってかい。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 00:38:14 ID:u7cHFh9J
それぞれがブラウザの書式いじったほうが早いし確実だな
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 00:45:34 ID:BPPXXr3P
>>240
つ楊枝
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 00:46:11 ID:HzXULbMr
幼児と聞いて
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 00:50:23 ID:iJ2XiMGE
子供は嫌いだ!図々しいからぁ!
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 01:12:34 ID:h3m8uyBF
クェス乙
しかし、自分の事だよなあの台詞…
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 01:19:36 ID:bUDUKjOr
人の嫌なところ見せつけられる様な気分だったんでしょ。
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 02:33:27 ID:GsA9L3CH
HEROESのピーターは魔法もコピーできるんだろうか
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 02:40:46 ID:WB08472R
クェスと言えば富野がファミレスで口にするのも憚られるセリフを吐いた逸話があるな。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 02:56:52 ID:tpfRHQCG
舐めたくならないでしょ! だっけ
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 03:12:19 ID:/E4ODOYl
>>256
おいおい、もっとハッキリ言ったらどうだ?

「ボクはあんな女の子のオ○ンコなんて舐めたくないよ!」

さすがはハゲ、言うことがパネェww
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 04:02:47 ID:ii4+WRgM
頭大丈夫かあの御仁wwww
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 05:29:21 ID:tpfRHQCG
今更ながら下がる男と山吹色の偽善者乙ー
なんつーかやっぱり和む生き物だなぁカズキw

ところでちょいとググってみたんだが…
"下がる男" / "柊蓮司"=約5,250 / 約24,200
似たページを除外すると    466 / 439

…まぁ「下がる男」の方には柊以外の記事もひっかかってる、よねきっと
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 05:48:02 ID:c334Lo36
改行の有無については
2chで見るときとwikiで見るときで見やすさが変わるからなぁ…なんともいえない
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 08:42:10 ID:6zcStN9/
>>254
ヒーローズネタいいよな。
ヒロ:ガンダ
サイラー:ミョズ
モヒンダー:ヴィン
ピーター:語る事も憚られる
で、誰か書いてくれ。
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 08:47:43 ID:GsA9L3CH
ヒロ・ナカムラがガンダってことはデルフは刀になるんですね
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 08:55:28 ID:BJjrFe+X
新ゲッターの隼人召喚…

耳だぁぁぁ!

ドワォ!
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 09:56:23 ID:jYB+X/ar
>>263
黒平安京召喚のタイミングで呼ばれてて、ロバ・アルカリイエから鬼を引き連れて清明が攻めてくるってのを考えたことがある。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 10:32:49 ID:mFK7i2Q7
>>261
シェゾ・ウィグィィ:ガンダ
パピヨンマスク:ミョズ
変態仮面:ヴィン
マーラ様:語る事も憚られる

のネタなら聞いたことある
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 10:38:46 ID:CtqlIazl
変態仮面と聞くと
色条狂介より先に種のクルーゼが出てくる俺
そして三番目にVのクロノクル

クルーゼ呼び出しでもしたらやっぱ何処でも人間は同じ、ってハルケギニア滅亡を目論んだりするのだろうか
キャラ的にはジョゼフと組ますほうが性格的にもシナリオ的にもマッチするんだろうけど
あんましミョズニトニルンってイメージは無いなぁ
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 10:39:20 ID:c334Lo36
クルーゼ出すくらいなら
ガンダムの仮面さんで統一しようよ
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 10:44:11 ID:jYB+X/ar
シャア、ゼクス、クルーゼ、シュバルツってとこか。

そう言えば某世界ではシャアは召喚禁止になってたな。召喚された者達の為の革命起こすから。
ハルケでも平民のための社会目指して革命おっぱじめそう。
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 10:44:31 ID:BJjrFe+X
ガンダムの仮面…
ガンダ…シュバルツ
ヴィンダー…ゼクス
ミョズ…クルーゼ
記憚…角の刺さったシャア
でおK?
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 10:47:19 ID:CtqlIazl
シャア:ガンダ
鉄面皮:記すことすら
シュバルツ:ミョズ
ゼクス:ガンダ
シルヴァ・クラウン:ガンダ
クロノクル:ガンダ
ジャミル:ガンダ
ハリー:ガンダ
クルーゼ:ガンダ
アッシュ:ガンダ
ミスター・ブシドー:どう考えてもガンダ

うーん、ぱっと浮かんだだけだとこんくらいか
当然のごとくヴィンダールヴ相当のキャラが見当たらんなぁ
シャア辺りはそうなる可能性も・・・?
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 10:49:00 ID:c334Lo36
話題をふった俺がいうのもなんだけど
ガンダが別のガンダにしか見えませんね
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 11:00:53 ID:BJjrFe+X
ガンダルですね
わかります
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 11:10:31 ID:CtqlIazl
>ガンダが別のガンダにしか見えませんね
狙って略しました
もちろん反省の色など無い

>>272
レディガンダルだけ召喚
ルイズに融合、初期型で
・・・契約できませんね
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 11:26:21 ID:CqiedexO
仮面…鉄仮面…アルデバラン…。

ふむ………三角木馬でショック死してくる。
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 12:33:02 ID:xkItoSXz
>>262
ただスタートレックオタクというキャラだから
ネタ作りにくいんだよなぁ、ヒロ。
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 12:33:49 ID:iJ2XiMGE
黒焦げのΞガンダムが魔法学院上空から降って来ますた
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 13:11:18 ID:6LlLWOhY
ガンダム系列でバイタリティに溢れている主人公と言えば…
ガロード・ランとかウッソ・エヴィンとかトビア・アロナクスとかそのへんか。

「ならば空賊らしく……いただいてゆくっ!」と叫ぶウェールズやら
「ふはははははは!怖かろう!とのたまうジョゼフやら
「これ……母さんです」と呟くワルドとかを連想しちゃったけどな!
「若造の言うことかーっ!」と叫ぶリッシュモンとかもありだなぁ。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 13:25:49 ID:ouCRY/lX
>>277
なんかそのジョゼフ見たら
幼女の裸体見て舌なめずりする義眼蜥蜴思い出したんだが……
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 13:43:06 ID:UvfGXnbR
>>268
カムイ伝の正助や苔丸なんかも絶対に平民煽動して社会主義系革命(一揆)起こしそうだよなあ………
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 13:46:56 ID:epUjv5hh
んでもって生活の基礎を支えてるメイジを失った社会は一気に崩壊すると

革命起こすとするなら意識改革と魔法に頼らない生活基盤を完全に作ってからじゃないと無理だぜ
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 13:49:33 ID:lf1I5CHl
偏在に質量のある残像で対抗するF91が思い浮かんだ
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 13:55:38 ID:UvfGXnbR
>>280
そういや、原作カムイ伝も主人公の正助が少しずつ百姓の意識や農業を改革していってから大一揆起こしたな
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 13:57:29 ID:ui33ISXS
革命って成功すれば『革命』だけど、失敗すればただのクーデターや反乱だよね。
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 14:04:37 ID:xkItoSXz
平民が力を持っているゲルマニアのような国があるから
メイジを弾劾しても、その後、内戦や諸外国との侵略で、勃興を繰り返して、
100年もあれば平民だけでも文化技術も上がっていくよ。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 14:10:19 ID:BJjrFe+X
革命はフランス革命だけじゃない

文化大革命や産業革命科学革命やおっぱい革命も革命だ
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 14:14:02 ID:/6XNK3WO
文化大革命は革命じゃねえwwwwwww
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 14:14:03 ID:POuMWcom
ハルゲニアには歌が広まってないから歌革命起こそうぜ。熱気バサラ呼んで
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 14:23:39 ID:jYC0icEO
>>280
そんなにメイジに頼りきりだったけか?
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 14:25:20 ID:iJ2XiMGE
グラヴィオンから斗牙を呼んだらルイズとどっちがヒロインだか解らなくなる
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 14:35:04 ID:ui33ISXS
斗牙がヒロインに決まってるだろ。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 14:48:26 ID:3A+yo8sN
実は全ての生命はメイジが作っているのです
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:00:39 ID:RE5TdkZJ
>>281
質量ある残像は高熱によって表面から剥がれ落ちた塗料等でセンサーを騙すものだぞ、だから肉眼は騙せないしまして重力下では発生すらしないだろう
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:18:25 ID:8A5bXdKF
つかあの質量を持った残像は「メッキが剥がれて残像があるように見える現象」だぞ。
騙すとか攻撃方法どころかただの物理現象。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:21:37 ID:xZjAzqwp
>>287
個人的にはサチコ・コバヤシも捨てがたい
ジ・エンド・オブ・クリムゾンホワイトフォームなら、七万の大軍すら圧倒するだろう
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:26:16 ID:SnwUUgyN
>>288
単純な技術や技能の喪失だけじゃなくて、
国家や社会を管理・運営していく能力が喪失することを意味するから。
国をひっくり返すって言うのは、ひっくり返す側にも国を動かすノウハウや手腕が必要とされる。
国家の中枢を貴族に掌握されて、平民がその辺のノウハウを持たないハルケギニアでは、まだ革命は難しいだろうね。
ゲルマニア辺りで官僚制が発展して、それがハルケギニア全体に伝播するとか段階を踏む必要がある。
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:35:19 ID:/6XNK3WO
>>293
なん……だと……?
某所でニュータイプバリア加えてF91版ゴッドシャドーやった俺涙目www
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:35:30 ID:5IHtBE/g
>>163
JGCイベントの時の柊サーガ最終話だと、オーヴァードである司と兄ちゃんの攻撃は無効化出来るらしい。
一方、ラース=フェリア・ミッドガルドでは一般兵に追い回されてたりしたから、一般兵の攻撃も通用するらしい。
どうも、その世界自体が魔法のある世界かどうかで変わるんじゃないかと思われる。
結論としては魔法のあるゼロ魔世界の一般人の攻撃は軽減できないかね。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:43:29 ID:POuMWcom
柊、某ランクで最強クラスだから笑っちまったぜw
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:44:25 ID:ouCRY/lX
>>293
まあでもF91の分身は偏在相手なら結構強いと思うよ?

超高熱の剥離した塗装が広範囲に飛び散ってる訳だし



問題はオーバーヒートした後のF91だけど
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:58:01 ID:7rWK16X8
いくらメイジとはいえ
人間相手にMSでは結果は…

ワルドは偏在を駆使してバンドを作ればいいんだよ。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:08:00 ID:DKDf3Mzj
>>300
MSを生身でフルボッコできる人間・・・
それはガンダムファイター
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:10:06 ID:9b0q0TV3
東方不敗でも相手できるMSの限度があるだろう
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:23:24 ID:Ley4x/Bg
そもそもなぜお前らはそんなに革命を起こしたいんだ?
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:25:46 ID:3A+yo8sN
この支配からの卒業
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:26:45 ID:K0osi68C
きっとチェ・ゲバラのファンなんだよ
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:31:19 ID:iJ2XiMGE
グエン様に来てもらってハルケに産業革命を
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:37:23 ID:+wZcz59B
未来世紀の軍事技術はとんでもないレベルに行っているぞ。
ナノマシンレベルで重力制御を可能にしたり、思念制御でビットを自由自在に操ったり。
それこそターンAあたりのMSを持ち出さないと、相手にもならないレベル。

そして、デスアーミーはそんな未来世紀のモビルスーツを簡単に一蹴できるレベル。


デスアーミーの大軍を歯牙にもかけない師匠が相手にできないMSとなると、それこそターンタイプぐらいだろ。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:54:01 ID:BJjrFe+X
言うなればこの世は終わらないワルツのようなもの
戦争 平和 革命
この三つが終わることなく廻り続けるのです
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:55:29 ID:szFv5AsG
十傑集とか師匠なら使徒くらいまでなら張り倒せるんじゃないっけw
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:59:19 ID:h3m8uyBF
>>308
マリーメイア乙w
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:03:04 ID:7rWK16X8
>310
俺いつの間に書き込んだんだ!
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:03:26 ID:DKDf3Mzj
>>309
スパロボだとアルベルトと使途が戦うシナリオがあるな
そして師匠とドモンはスパロボシリーズの人間ユニットの開祖
新スパロボだと師匠のHPはボルテスXより高かったような
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:13:07 ID:szFv5AsG
>>312
新だとパンチとキックはビームサーベル並の威力で、マジンガーも真っ青な装甲だったな
まぁ、人間でも頑張ればMSくらいどうにかなるってことだなw
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:22:46 ID:RE5TdkZJ
未来世紀はターンタイプのMSを作り出した文明の前時代だと俺は信じてるぜ
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:36:37 ID:WB08472R
>>314
コレンナンダーがガンダムと聞いて思い出すのはゼロカスだからな。
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:56:16 ID:kQnnNtEg
こんにちは。
久しぶりに小ネタを書いたので投下に参りました。

何事も無ければ10分後から投下を開始します。
分割数は14。召喚元は……とりあえず秘密で。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:57:27 ID:xZjAzqwp
>>266
ガーゴイルをファンネルみたいにすれば良いんじゃね?
318アンリエッタ大活劇(1/14):2009/06/27(土) 18:06:49 ID:kQnnNtEg
「アンリエッタ。お前は大きくなったらどんな王様になりたい?」
 遠く祖先は始祖の直系に連なる、伝統あるトリステイン王国の国王であるヘンリーは、目に
入れても痛くない愛娘にそんなことを聞いた。
 城の内にこさえられた庭園。かのガリア王国のグラントロワにあるものにこそ劣るけれども
、子供が遊ぶには十分な広さのあるそこ。
 呼びかけられ、足を折り曲げ座していた幼い少女が振り返った。
 あどけない、可愛らしい、天真爛漫、そんな言葉は彼女のためにあるのではないかと、父王
が常々半ば以上本気に思っている彼の娘は、周囲に咲いた花が霞んでしまうほどの笑顔を浮か
べて、元気に言った。
「みんなをしあわせにするおうさま!」

 その答えを聞いて、国王はそうかそうかと満足そうに目を細めた。
「そうか。アンリエッタはみんなを幸せにする王様になりたいか。それはとても素晴らしいこ
とだ。アンリエッタは良い子だね」
 アンリエッタは、父親のことが大好きだった。
 けだかく、そうめいで、ほこりたかい、それらの言葉の意味はさっぱりわからなかったが、
父親が世界一の王様だというのはしっかりとわかっていた。だから、世界一の王様にそう言わ
れて、アンリエッタはみるみうちに頬をリンゴのように紅潮させた。
「あのね! わたし、わるいひとたちをみんなやっつける、せいぎのおうさまになりたい!」
 それを聞いてそうかそうかと父王が笑った。
 娘のことが可愛くて仕方がない、そんなどこにでもいる父親の笑いだ。
 けれどアンリエッタはそんな王様に誉められたのが、心の底から嬉しかった。
 彼女はその場からぴょんと飛び跳ねると、先ほどまで作っていた花冠を頭に被った。
「みてみてとうさま! これであんりえったもおうさまだよ! わるいやつを、ばったばった
とたいじする、せいぎのおうさま!」
 そう言って彼女は、目に見えない剣でも握っているのかのように、手をぶんぶん振って「あ
くにん」を退治している様を父親に披露した。
 そんな愛しい娘の様子に、王はますますそうかそうかとニコニコ笑った。
 王道の先駆者として、最近おてんばと評判の娘をたしなめるのも必要かと頭の隅っこ方でち
ょろっと思ったが、娘の笑顔を見たらそんなことはどうでも良くなった。
「いいぞ、アンリエッタ。立派な王様になるんだ、私よりも偉大な王様にな」
 そう、父は本音からのことを正直に言ったのだが、それを聞いた途に端、アンリエッタの顔
がたちまち曇った。
「おお可愛い私のアンリエッタよ、一体どうしたんだい?」
「ちがうの、とうさまみたいなおうさまになるの」
「なるほど、私のような王になりたいか。とても嬉しいよアンリエッタ。だが、私はお前に、
わしよりももっともっと立派な王様になって欲しいのだよ」
「どうして?」
「どうしてかなぁ……そうか、きっと私がアンリエッタのことを大好きだからだ!」
 大好きと言われて、アンリエッタの顔に、再び天使の笑顔に戻ってきた。
 彼女は父親に『大好き』と言われるのがとても好きだった。
「アンリエッタはどうだ? 父さんのこと好きかい?」
「だいすき!」
 そして、『大好き』と言われた父親が喜ぶ顔がとても好きだった。
「そうかぁ……アンリエッタは父さんが好きかぁ」
「うん! おおきくなったらとうさまとけっこんする!」
「そうかぁ……結婚するかあ」
「ちゅーもする!」
「そうかぁ……ちゅーもしちゃうかあ……」
 その言葉に、子煩悩な国王は、軽くトリップしかけたのであるが、アンリエッタはそんなこ
とは露とも知らずに、元気良く言葉を続けた。
「とうさまがいうなら、とうさまよりすごい、すごーいおうさまになる! あくをたおすりっ
ぱなせいぎのおうさまに!」
「ははは。いいぞ、アンリエッタ、その調子だ。勉強もお稽古もいっぱいして、私を超える偉
大なる王になるんだ」

 アンリエッタ五歳。
 彼女がうろ覚えの呪文を適当に唱えて、その後の人生を大きく変えることになる者たちを呼
び出してしまう前日。
 そんな、春の頃の出来事であった。
319アンリエッタ大活劇(2/14):2009/06/27(土) 18:09:35 ID:kQnnNtEg
◇◇◇

 ひょんなことから見知らぬ世界ハルケギニアに迷い込んだ少年。そしてちょっぴり(?)感
情がストレートなご主人様の下僕というか、ペットというかな立場になってしまった、そんな
彼。
 つまるところ、現在の平民の使い魔を呼び出したことで絶賛物笑いの種になっているルイズ
・フランソワーズの使い魔、平賀才人。
 彼はふつふつとわき上がる怒りを抑えながら、授業が行われる魔法学院の講堂がある本塔の
中にある、生徒たちの胃袋を一手に賄っている食堂から出てきた。
「なんだい、貴族貴族って威張り散らしやがって」
 
 彼がそう思ってしまうのも無理はない。
 貴族などとはとんと縁のない現代日本。生まれてこの方ずっとそこで生きてきた才人には、
何となく『貴族』というものが悪いものだという認識が少なからずあったのだ。
 『平民』をいじめる悪い奴、『貴族』。それは根拠も論拠もない、何となくの思い込みであ
ったのだが、それを冷静に幼稚と思わないのが我らが平賀才人である。
「くそっ! こうなったら革命だ! または下克上! 天は人の上に人を作らず! 人間はみ
んな平等! 共産主義万歳! コルホーズソホーズレニングラードフルシチョフ!」
 途中からは何となくそれっぽい単語を並べただけであるが、そういう具合に才人はとても怒
っていた。

 ことの起こりは今朝のこと。
 実のところ、才人を呼び出したつるぺた桃色魔法少女ルイズは、魔法少女ではなかった。で
は何だったか? そう、彼女は魔法を使えない魔法使い『ゼロのルイズ』であったのだ。
 魔法が使えないのに魔法使いというのもおかしな話なのだが、その辺は昨日、教室で起こし
たルイズの失敗魔法の爆発に巻き込まれた苦い経験から、才人は身をもって知っている。
 使えない言うよりは失敗する、彼女は落ちこぼれ魔法使いだったのだ。
 折角の弱みである。それを知った才人は今朝、早速ささやかな仕返しを試みた。

『ルイズお嬢様。この使い魔、歌を作りました』
『う、歌ってごらんなさい』
『ルイズルイズルイズはダメルイズ。魔法ができない魔法使い。でも平気! 女の子だもん…
…』
『………』
『ぶわっはっはっは!』

 ……とまあ、そんなことを言ったばっかりに、今日のお昼はヌキである。

「はぁ、腹減ったなぁ……」
 腹を抱えて、ふらふらと壁に手をついた。
「どうなさいました?」
 そんな声が聞こえて振り返ってみると、そこには大きな銀色のトレイを持った、現実世界の
方でもおなじみとなりつつある格好をした少女が二人立っていた
 服の色調は黒と白、頭にヘッドドレス、着ているのは俗に言うエプロンドレス。もっと端的
に言うとメイドさんである。
 冥土にあらず。
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:10:11 ID:xZjAzqwp
支援フォルゴレ〜
321アンリエッタ大活劇(3/14):2009/06/27(土) 18:12:45 ID:kQnnNtEg
「体の具合でも悪いんですか?」
 黒髪とそばかすが可愛らしい少女が、心配そうに聞いてきた。
「なんでもないよ……」
 才人は左手を振って彼女たちを追い払おうと思った。
 ご主人様のお仕置きされててごはんヌキ中だなんて、恥ずかしくて言えない!
「あら……あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう……」
 もう一人の少女がそう口にした。振った左手にあったルーンに気付いたらしい。
「あれ? 俺のこと知ってるの?」
「はい。ミス・ヴァリエールが平民の使い魔を呼んでしまったって、学院中噂になっています
もの」
 そう言って女の子は笑う。その笑顔だけで周囲が一気に華やいだ気がした。
「君たちも魔法使い?」
「いいえ。私たちは平民です。貴族の皆さんたちのお世話をするのがお仕事なんです」
「へぇ、そうなんだ。俺は平賀才人。才人でいいよ」
「ヒラガサイト……なんだか変わったお名前ですね。わたしのことはアンリとお呼びください

 そう言ったのは髪の色は紫で、青い目をした少女。だが、何よりも目を引いたのは、その真
っ白な肌。
 加えて、彼女からは一種の気品のようなものが溢れており、見ているだけで人を清廉にさせ
る、そんなイメージがある少女だった。
 そしてその横で、黒髪の少女も頭を下げて自己紹介をした。
「私はシエスタです。よろしくお願いしますね、サイトさん」
 二人から自己紹介を受けた才人だったが、そこで彼のお腹がきゅうっと鳴った。
 それを聞いてアンリがきょとんとした顔をして、シエスタが小首を傾げた。
「もしかしてサイトさん、お腹が減っているんですか?」
 一方事情を察したのかそう聞いてきたシエスタに、才人は、
「……うん」
 そう答えていた。
 だって仕方がない。背に腹はかえられない。腹が減っては戦はできぬ。
 武士でも貴族でもない才人には、食わねど高ようじなんて言ってられないのだ。
「でしたら、こちらにいらしてください」
 言って、シエスタは才人の手を取って歩き出した。

 才人が連れてこられたのは食堂の裏にある厨房だった。様々な調理器具が並んでおり、コッ
クやシエスタたちと同じような格好をしたメイドたちが、忙しそうに働いている。
「じゃあアンリはお水とスプーンを用意してあげてください」
「はい。だそうですから。サイトさんは座ってちょっと待っててくださいね」
 そう言って才人をテーブルにつかせると、二人は忙しそうに働いている他の人たちの輪に入
っていった。
 一人残された才人は、食堂の中をぼんやりと見回した。
 みんな忙しそうに働いているが、切羽詰まっているような感じはない。
 どうやら昼食も終わって、今は一段落がついたところらしい。
 それにしても、と才人は思う。
 食堂は広かった。育ち盛りの学生たちが共同生活をしているのだから当たり前だが、その『
食』を支えているのがここなのだ。
 そう考えると立派なのも大きいのも納得がいった。
 つらつら思いを巡らしていた、そんなときだった。そこで突如としてガチャという乱暴な音
を立てて、才人の前に皿が置かれていた。
「え、はえ?」
 驚いた才人が見上げると、そこには……メイドというにはちょっと目つきの悪い、金髪をシ
ョートボブくらいの長さに切り揃えた少女が立っていた。
 彼女の服も、シエスタやアンリたちと同じメイド服。だが、その目の鋭さは尋常ではない。
 彼女は開口一番、

「食え」

 そう言った。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:13:08 ID:xZjAzqwp
しまった、勘違いか支援
323アンリエッタ大活劇(4/14):2009/06/27(土) 18:15:44 ID:kQnnNtEg
 そこで初めて皿の上に目が行った才人は、ぽつんとパンが置かれていることに気がついた。
「……え?」
「察しの悪い奴だ。腹が減っているのだろう? 食えと言っているんだ」
 皿に置かれたパンから、彼女が本気なのはわかる。
 だが、なんでそんなに凄まれなきゃならんのか見当が付かなかった。
「アニス!」
 彼女の名と思われるものを呼んで近づいてきたのは、スプーンとカップを持ったアンリだっ
た。
「何をしているのですか! わたくしはパンをサイトさんにお持ちして頂戴とお願いしただけ
です。それをあなたは何を威嚇しているのですか!」
「しかし姫さ……」
 言いかけた口を、アンリの手が恐るべき速さで塞いでいた。
「と、と、とっ!?」
 アンリが手を放したことでフリーフォールを始めたスプーンとカップを、才人は手を伸ばし
て慌て掴んだ。
「すみません才人さん。ちょっと手が滑ってしまって」
 滑ったって言うのか今の。
 唖然とした才人が、ゆっくりとスプーンとカップをテーブルの上に置くと、その横から、音
もなく湯気を立てたスープが入った皿がすっと置かれた。
「貴族の方々にお出しする料理の余りモノで作ったシチューです。良かったら食べてください

 シエスタだった。
「い、いいの?」
 とは言ったものの、アニスと呼ばれた少女の口を塞ぎながら、笑顔で物陰に引っ込んだアン
リのことがすごく気にかかる才人であった。
「ええ。賄い食ですけど……」
「……それじゃ遠慮なく」
 気にはかかるが、それよりも空腹を何とかしたかった。

 出されたシチューをスプーンで口に運ぶ。
 うまかった。泣けてくるほどに、うまかった。
「美味しい、美味しいよ。これ」
「良かった。お代わりもありますから。ごゆっくりどうぞ」
 才人は夢中になってシチューを食べた。シエスタは才人の向かいに座って、その様子をニコ
ニコ見ている。
「随分とお腹が減っていたんですね。ごはん、もらなかったんですか?」
「ゼロのルイズって言ったら、ごはんヌキって言われた」
「まあ! 貴族にそんなこと言ったら大変ですわ!」
「なーにが貴族だよ。たかが魔法を使えるぐらいで威張りやがって」
「その通りですわ」
 気付くと、いつの間にやら隣の席にアンリが座っていた。
「魔法が使えるから偉いわけでも、貴族だから偉いわけでもありません」
「アンリ、あなたまで! そんなことを言っているのを貴族の方々に聞かれでもしたら……」
「でも事実です。貴族はたくさんの人を幸せにする責任があるのです。それを全うするために
努力しているものが、貴族と名乗れるのです」
 稟として言った彼女の言葉を聞いて、才人はポロポロと泣き出していた。
「うん、そうだよな。そうなんだよアンリ。貴族だから偉いんじゃなくて、立派な人だからみ
んなに尊敬されるんだよ」
 思えばこっち、この世界に飛ばされてから、そんなことを言ってくれる人はいなかった。
 だがどうだろう。目の前のメイドさんはその辺のことがきっちりわかってらっしゃる。なん
とも立派なメイドさんであった。
「いやですわサイトさん。当然のことを言ったまでです」
 才人と同じ目線でアンリが微笑む。
 その笑顔が、才人には何とも言えず魅力的に見えた。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:16:29 ID:xZjAzqwp
レス数が多い時は00分を挟むと楽ですよ〜支援
325アンリエッタ大活劇(5/14):2009/06/27(土) 18:18:41 ID:kQnnNtEg
 勢い、思わずその手を握ってしまう。
「さ、サイトさん?」
「そうだよなぁ。俺だってルイズが尊敬できるような立派な人間だったら、喜んで尽くしてる
よ」
「あらでもサイトさん。ミス・ヴァリエールは立派な方ですよ」
「どこが? あんな高飛車高慢ちきで人を人とも思ってないような女が」
「それは人の一側面でしかありません。あれで彼女、強い責任感と高い志を持った立派な貴族
なんですよ」
「えぇー?」
「ふふふ。きっと暫く一緒にいれば、サイトさんにも彼女の素晴らしさがわかってきますよ」

 シチューを二回、パンを一回お代わりして、才人は心底満ち足りた顔でスプーンを置いた。
「ふう、ごちそうさま」
『『どういたしまして』』
「美味しかった。ホント、生き返りました、はい」
「良かった。お腹が空いたら、いつでも来てくださいね。私たちが食べているものでよろしけ
ればいつでもお出ししますから」
 言ったのはシエスタである。
 才人はその言葉が有り難かった。あんなご主人様の元では、またいつ何時こんな目に遭うか
わからない、そういう意味では彼女の申し出は渡りに船だった。
 けれど、その厚意に簡単に甘えてしまうほどに、才人も厚かましくはない。
「いやでもそんなの……悪いよ」
「いいんです。料理は美味しいと言ってくれる人に食べて貰えるのが、一番なんですよ」
 嬉しいことを言ってくれるじゃないの。
 才人はアンリに続いてシエスタにもホロリとしてしまった。
 どうやらこっちに来てから涙腺が緩くなってしまったようだ。
「ど、どうしたんですか?」
「いや……。俺、こっちに来てこんなに優しくされたの初めてで……思わず泣きが入りました」
「そ、そんな、大げさな……」
「おし決めた。受けた恩は返さなきゃ人間じゃないよな。俺に何かできることがあったら言っ
てくれ。手伝うよ」
 ルイズの下着の洗濯なんかはまっぴら御免だったが、彼女たちの手伝いならしたかった。
「なら、デザートを運ぶのを手伝ってもらってはどうでしょう」
 アンリが微笑んで言った。
「おうっ、任せとけ!」
 才人は大きく頷いた。

 大きな銀のトレイに、デザートのケーキが並べられている。才人がそのトレイを持ち、シエ
スタがはさみでケーキをつまみ、一つずつ貴族たちに配ってまわる。
 その中に、金髪の巻き髪にフリルのついたシャツを着た、気障なメイジがいた。薔薇をシャ
ツのポケットに挿している。絵に描いたようなお貴族さまであった。
 そんな彼の周りを友人たちが取り囲み、口々に彼を冷やかしていた。
「なあ、ギーシュ! お前、今は誰とつきあっているんだよ!」
「誰が恋人なんだ? 教えろよギーシュ!」
 中心に座る気障なメイジは、ギーシュというらしい。
「つきあう? 僕にはそのような特定の女性はいないのだよ。薔薇は多くの人を楽しませるた
めに咲くのだからね」
 自分を薔薇に例えてやがる。気障の上にナルシスト、救いようがない。いっぺん死ねと思い
ながら、才人は彼を見つめた。
 そのとき、ギーシュのポケットから何かが落ちた。ガラスの小壜である。中では紫色の液体
が揺れている。
326アンリエッタ大活劇(6/14):2009/06/27(土) 18:21:38 ID:kQnnNtEg
 気に入らない奴だが、落とし物は落とし物。教えてやろう。
「おい、ポケットから壜が落ちたぞ」
 しかし、教えてやったというのにギーシュは振り向かない。
 無視かよ。才人はムッとして銀のトレイをシエスタに渡し、床に転がった小壜を拾った。
 「落としもんだよ、色男」
 壜をテーブルの上にどんと置く。するとギーシュは憎々しげに才人を見つめると、それを手
に持ち才人に押しつけた。
「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね」
 そこでその小壜の出所に気付いたギーシュの友人たちが、大声を出した。
「おお!? その香水は、もしやモンモランシーの香水じゃあないのかな?」
「まさしくそうだ! その鮮やかな紫は、彼女が自分のためだけに調合している香水だ!」
「そいつがギーシュ、お前のポケットから落ちたってことは、お前はモンモランシーとつきあ
っているということだな!?」
「ち、違う! 彼女の名誉のために言っておくが……」
 否定しようとしたギーシュであったが、

「ギーシュさま、ひどい!」
 そこで新たなる第三者の登場である。
 少し離れた席で立ち上がったのは、ギーシュやルイズとは違う色のマントをつけた、栗色の
髪をした可愛らしい少女だった。
 マントの色からすると、一年生だろうか。
「やはり、ミス・モンモランシーと……」
「落ち着くんだケティ。いいかい、僕の心に住んでいるのは、君だ……」
「聞きたくありません!」
 ケティと呼ばれた少女は、その場でポロポロ泣き出してしまう。
 そしてそのまま棒立ちをしているギーシュにつかつかと近づいてくると、彼女は思いっきり
ギーシュの頬をひっぱたいた。
 強烈にスナップを効いている。これは痛い。
「さようなら!」
 そう言い放つと、ケティは踵を返して食堂を出て行ってしまった。
 ギーシュはその間、呆気にとられた表情で張られた頬をさすっていた。
 すると、少し離れた席で、また一人、別の少女が立ち上がった。
 今度は金髪を縦巻きロールにした少女だ。ベルサイユのなんちゃらみたいな、見事な巻きっ
ぷりである。
 彼女はいかめしい顔つきで、かつかつかつとギーシュの席までやって来た。
「やっぱり、あの一年生に手を出していたのね?」
「モンモランシー、君は誤解している。彼女とは一緒にラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただ
けで……」
「うそつき!」
 そう言うと、彼女もまたギーシュの頬を強烈に張った。
 今度はケティとは逆の頬だ。
 これがあれか、『右の頬をぶたれたら、左の頬を』って奴か、怖えなぁ。対岸の大火事を眺
めながら才人はそんなことを思う。
「最低!」
 モンモランシーはそう怒鳴ると、ケティと同じように食堂の外へと去っていってしまった。
 何とも言えぬ、気まずい沈黙が周囲に流れる。
 ギーシュはひとしきり両方の頬をさすると、首を振りながら芝居がかった仕草で言った。
「は、はは。あのレディたちは、薔薇の存在理由を理解していないようだ」
 精一杯虚勢を張っているが、その声はどうしようもなく震えていた。
 一生やってろ、才人はそう思い、シエスタからトレイを受け取って再び歩き始めた。
 と、そんな才人を、ギーシュが呼び止めた。
327アンリエッタ大活劇(7/14):2009/06/27(土) 18:25:00 ID:kQnnNtEg
「待ちたまえ」
「なんだよ」
 ギーシュは椅子の上で体を回転させると、すさっ! と足を組んだ。その一々キメを作るあ
たりに頭痛を感じる。
「君が軽率に壜を拾ったりなんかするから、二人のレディの名誉に傷がついてしまった。どう
してくれるんだね?」
「八つ当たりかよ」
 どこをどう聞いてもそうとしか聞こえなかった。
「二股かけてたお前が悪いだろ、明らかに」
 才人はギーシュのまねをして、わざと大仰に肩を竦めて見せた。
 その仕草と言いぐさがツボに入ったのか、ギーシュの友人たちがどっと笑う。
「彼の言う通りだギーシュ! お前が悪い!」
「まったくもってその通りだ!」
 笑いものにされたギーシュの顔に、赤みがサッと差す。
「いいかい? 給仕君。僕は君が香水の壜を置いたとき、知らないフリをしたじゃないか。話
を合わせるぐらいの機転があっても良いだろう?」
「んな機転できるか! 俺はお前のママじぁねえ! どっちにしろ二股なんてそのうちバレる
っつの。あと俺は給仕じゃない」
「ふん、言ってくれるじゃないか。……ん? ああ、よく見れば君は……」
 そうしてギーシュは、馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「君はそうか、確かあのゼロのルイズが呼び出した平民じゃないか。なるほど、平民に貴族の
機転を期待した僕が間違っていた。今回の件は特別に許してあげよう、行きたまえ」
 青筋を立てながら言うギーシュの言葉に、今度は才人がかちんときた。
「うるせえキザ野郎。一生薔薇とママのおっぱいでもしゃぶってろ」
 これを聞いてギーシュの目が残忍に光る。
「どうやら君は貴族に対する礼がなっていないようだ」
「あいにく、貴族なんか一人もいない世界から来たんでね」
 我慢の限界が近いのか、ギーシュのこめかみがぴくぴくと動いている。
「どうやら君には、主人に代わって躾をしてやる必要があるようだ」
「はっ、うるせえ。ごたごた言ってねえでさっさと始めろよ。やるんだろ? いいぜ、『ママ
〜』って泣かしてやんよ」
 その一言によって、ギーシュの堪忍袋の緒がブチィッ!と切れた。
「よせギーシュっ! ここはまずい!」
「せめてやるなら広場で!」
 そんなふうに周囲が制止するのも聞かず、ギーシュは手にした杖を振りかぶり、
「ワルキューレ!」
 そう叫んだ。

 気がついたとき、才人は固い床の上に転がっていた。
「……ってぇ」
 顔の右側が異様に熱い。それに口の中も鉄臭い。
「いい加減にして! 大体、決闘は禁止じゃない!」
「禁止されているのは、貴族同士の決闘のみだよ。平民と貴族の決闘なんか、誰も禁止してい
ない」
「そ、それは、そんなこと今までなかったから……」
「ルイズ、君はそこの平民に惚れているのかい?」
「誰がよ! やめてよね! 自分の使い魔がみすみす怪我するのが放っておけないだけよ!」
 そんな声が聞こえて来て、才人はガクガク震える足をなんとか手で押さえて立ち上がった。
「サイト!」
 そうやって立ち上がった才人の姿を見て、ギーシュと口論していた誰かが、悲鳴のように名
前を呼んだ。
 顔を上げて、その声の主を見る。
 それは、これまで見たこともないような顔をしたルイズであった。
「へ、へへ……やっと俺のこと、名前で呼んだな」
 
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:26:17 ID:epUjv5hh
シ・タウ
シ・アエン
329アンリエッタ大活劇(8/14):2009/06/27(土) 18:28:37 ID:kQnnNtEg
 満身創痍。一撃しかもらっていない(多分)はずなのに、才人の体はもう体はボロボロだっ
た。
 ギーシュの前には、甲冑を纏った女戦士の形をした、金属の質感を持つ人形が立っていた。
 その姿を見て思い出した。自分は突然現れたそれに、思いっきりぶん殴られたのだ。
「言い忘れたな。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。僕はメイジだ。だから僕は魔法
で戦う。従って君の相手は青銅のゴーレム『ワルキューレ』がする」
「てめぇ……」
 喧嘩は素手で殴り合うもんだとばかり思っていた才人だったが、それは違ったのだ。
 貴族と戦うということは、魔法使いを相手にすることなのだと、今更ながらに気がついた。

「馬鹿! どうして立ったりしたのよ!」
「……お前、いつから見てたんだよ」
「最初から気付いてたわよ! あんたがこんな馬鹿なことしでかすと思ってなかったから、無
視してたのよっ!」
「そいつはどうも、と」
 才人はそういうと、腕を持ち上げてボクサーのように構えを取った。見よう見まねだ。単に、
まだやる気があるというのをわからせればそれで良かった。
「まだやる気なの!? さっきのでわかったでしょう!? 平民は絶対メイジには勝てないの
よ!」
 そう叫んだルイズの体は……震えていた。
「なんだお前、震えてるのか?」
「馬鹿! どうして寝たふりをしてなかったのよ! そうすればわたしがギーシュを説得して
……」
「ムカつくから」
「え……?」
「いい加減、ムカつくんだよね……。メイジだか貴族だか知んねえけどよ。お前ら揃いもそろ
って威張りやがって、魔法が使えることがそんなに偉いのかよ!」
 力の限り叫んで才人は飛び出した。
 その足は一直線にギーシュの呼び出したゴーレムへ。
 そして勢いよく拳を突き出して――狙い違わず、そのパンチはゴーレムの胸にぶち当たった。
 当たり前だが、感触は金属の塊を殴ったようだった。
「……っ!」
「無駄だと思うがね。ワルキューレ!」
 ゴーレムの右腕が飛んで、再び才人の顔面を襲った。
 しかし先ほどのような不意打ちではない。殴られた才人は、今度は一歩下がっただけで何と
か堪えた。、気構えがあれば、案外一発くらいは耐えられるものだ。
「はっ。全然利いてねえよ。お前の銅像、弱過ぎ」
 放られた挑発の言葉に、ギーシュの顔から笑みが消えた。
 続けざまにゴーレムの拳打が才人を襲う。
 五発殴られたところで才人が倒れた。食らったことは勿論ないが、プロボクサーのパンチを
もらったらこんな感じかも知れないと思った。

 だが、それでも……、
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:30:52 ID:xZjAzqwp
支援
331アンリエッタ大活劇(9/14):2009/06/27(土) 18:31:34 ID:kQnnNtEg
「サイト!」
 目を開けると、ルイズの顔がアップで見えた。
「お願い。もうやめて、このままじゃあなた、死んじゃうわ……」
 ルイズの鳶色の瞳が潤んでいる。
 そんな姿を見て、改めて、やること為すこと一々様になる美少女だと思った。
「……泣いてるのか? お前」
「泣いてないわよ。誰が泣くもんですか。もういいじゃない。あんたはよくやったわ。こんな
平民、見たことないわよ……」
 殴られた部分がキリキリと痛む。多分肋骨だかが折れている。
「いてえな」
「痛いに決まってるじゃないの。当たり前じゃない、何考えてるのよ」
 そこでルイズの目から涙が零れる。それが才人の頬にあたった。
 こんな美少女を泣かせてしまったことに、少しだけ心が痛む。
 けれどそこで、そんな二人に割り込むように、ギーシュから声が飛んだ。
「終わりかい?」
「……ちょっと待ってろ、休憩だ」
「サイト!?」
 ギーシュはその受け答えに再び微笑んだ。そして薔薇の花を振るう。
 すると、花びらの一枚が宙に舞い、空中で一降りの剣に変わった。
 ギーシュは剣の柄を握ると、それを才人に向かって放り投げた。投げられた剣が、倒れてい
る才人のそばに突き刺さる。
「これ以上続ける気があるならば、その剣を取りたまえ。違うなら一言こう言いたまえ。ごめ
んなさい、とな。それで手打ちとしようじゃないか」
「ふざけないでよ!」
 ルイズが立ち上がって怒鳴る。だがギーシュは気にしたふうもなくあとを続けた。
「わかるか? 剣だ。つまり『武器』だ。力なき平民が、貴族に一矢報いようと磨き続けた牙
さ。未だ噛みつく気があるのなら、その剣を取りたまえ。その代わり、今度は僕も容赦はしな
い」
 本気なのだろう。先ほどとは違い、ギーシュの目は真剣な色をしていた。
 それでも才人は迷わずに右手を伸ばした。
 だが、その右手がルイズによって止められた。
「だめ! 絶対だめなんだから! それを握ったら、今度こそ大変なことになるわ!」
 懇願するようなルイズの声。

 それでも……、

「……俺は元の世界にゃ帰れねえ。ここで暮らすしかない」
「そうよ、でもそれがどうしたって言うのよ!」
 ルイズがぐっと才人の右手を握りしめた。才人はルイズの体温を感じながら、力強い声で言
う。
「使い魔でもいい。寝るのは床でもいい。飯はまずくたっていい。下着だって洗ってやるよ。
生きるためならしょうがねえ」
 そこで区切り、左の拳を握りしめる。
「でも……」
「でも、何よ」
「下げたくない頭は、下げられねえ!」
 
――譲れないものがある!

 才人は最後の気力を振り絞って、地面に刺さった剣を掴み取ろうとした。


 そのときであった。


「お話は聞かせてもらいました!」
 ガラッという音を立ててふすまが開かれたのである!
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:34:17 ID:MDvmizG+
>>331
ふすまwww支援
333アンリエッタ大活劇(10/14):2009/06/27(土) 18:34:52 ID:kQnnNtEg
 ……そう、ふすまだ。日本家屋にある、あのふすまだ。
 いつの間にやら食堂のど真ん中に、ででんとふすまが置かれており、それが勢いよく引かれ
たのである。
 そして、その先には仁王立ちのメイドさん。ふすまに手をかけて、開け放った姿勢のままの
アンリが立っていた。

「二股で女性二人を傷つけておきながらなんたる様。大体、すぐさま彼女たちへのフォローを
行うなら兎も角、善意で接してくれた人間に悪意で返すとは、なんたる非道! トリステイン
貴族の質も落ちたものです。嘆かわしい!」
 周囲の人間が唖然とする中、アンリは針金でも入っているかのようにピンと背筋を伸ばして
言葉を続ける。
「加えて、弱者をいたぶって悦に入るとは、貴族の片隅にも置けません! 猛省なさい!」
 その言葉に合わせて、ジャーン! という効果音。
 ……効果音? そう思って才人が音がした方に首を動かしてみると、食堂の隅、そこにはい
つの間にやら少人数の楽団が陣取っていた。
 ついで、そそくさとふすまを片付けていた黒子とおぼしき者と目があった。
 会釈された。



「……メイド風情が随分といい口を利くじゃないか。貴族に対する礼というものを知らないら
しい」
 青筋を立てながら言ったギーシュの言葉に、アンリは臆することなく応えた。
「わたくし、礼儀のなっていない方に返す礼は持ち合わせておりませんの」
「……どうやら君には教育的指導が必要のようだね。だが、例え平民でも女性に暴力を振るう
のは僕の流儀に反する」
 そう言うと、ギーシュは薔薇を口元に持って行きつつ微笑を浮かべた。
「あとでみっちりと教育してあげよう。ワルキューレ、そこのレディを捕まえておけ!」
 ギーシュがそう命令すると、才人の前に立っていたゴーレムが向きを変え、アンリの方へと
歩き始めた。
 危ないっ、才人はそう思った。
 アンリの腕は白く細く儚げだ。脆い白磁のような印象を見る者に与えるそれは、ワルキュー
レに掴まれただけで、折れてしまいそうだった。
 だから才人は咄嗟に危ないと思った。

 だが、事態は才人には及びもつかない、いや、この場の誰もが思いも寄らない方向へと動い
た。

 アンリを捕まえよう右手を伸ばしたワルキューレ。アンリは半ば地を這うようにして体を沈
み込ませると、すれすれのところでその手をかわす。そしてそのままゴーレムの左後方、死角
にあたる場所へと、足を大きく開いて踏み込んだ。素早い身のこなしで移動したアンリは、腰
を捻り、背筋力を加え、遠心力を乗せながら、踏み込みの際に右手で掴んだ椅子を、その後頭
部へとフルスイングで叩き付けたのである。
 直後、ドグワシャァッ、みたいな聞いたこともない音がして、椅子が粉砕した。
 衝撃でつんのめるワルキューレ。アンリはその足を、流れるような水面蹴りで、後ろから前
へと刈り取った。
 バランスを崩したゴーレムが、大きな音と立てて床に倒れる。
 メイドさんはそうやって仰向け倒れたワルキューレの上に乗っかると、マウントポジション
の姿勢を取って、「えいっ」と声を上げた。
 このえいっ、は後ろに(はぁと、がつきそうな可愛らしいものだったが、直後に響いたのは
 『メギョ、グリッ、グシャァッ!』 というような壮絶極まりない音である。
 アンリがパンパンと手を叩いて立ち上がると、胴に大穴を開けられて動かなくなった、ゴー
レムの残骸だけが残されていた。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:40:48 ID:aofOJWut
おそろしやー。
支援。
335アンリエッタ大活劇(11/14):2009/06/27(土) 18:41:02 ID:6LBen4u3
「なっ……」
 メイドさんの予想外過ぎる戦闘力に言葉を失っていたギーシュが、半歩遅れて声を漏らした。
 無理もない。普通、メイドはこんなにデタラメな存在じゃない。
「さあ観念なさい!」
 もう凶器としか思えない右手を上げ、指を突き付けアンリはギーシュに言った。

「くっ……ワルキューレ!」
 アンリの思いがけない力に戦慄したギーシュは、慌てて薔薇を振るった。合わせて花びらが
舞い、新たなゴーレムが六体現れる。
 これまで一体しか使わなかったのは、それには及ばないと思っていたためである。
 だが、ここで一つ、ギーシュにとってもアクシデントが起こった。
「お、おい!?」
 ゴーレムたちが、ギーシュの命令も待たずに、一斉にアンリに向かって飛び出したのである。
 魔法は使ったもののイメージに強く影響される。この場合、ギーシュがメイドに抱いた恐怖
心が、ワルキューレたちに直ちに攻撃するという行動をとらせたのだった。

 多勢に無勢。いくら先ほど一瞬でゴーレム一体を片付けたメイドさんといえど、一度に六体
を相手にしてはひとたまりもない。
 才人がそう思ったとき、その体は既に飛び出したあとだった。

『う゛ぼぉ!』

「サイトさんっ!?」
「サイトっ!」
 ゴーレムとアンリに挟まれる形で、彼女を守るべく両手を広げて飛び出した才人は、正面か
ら六体のゴーレムパンチと、背後からメイドさんの拳を食らって勢いよく吹き飛んだ。
 しかも前に向かって。

 ゴーレムを巻き込みながら吹っ飛ばされて倒れた才人の傍に、ルイズとアンリが駆け寄った。
「サイトっ! サイト!!」
「サイトさんっ! 気をしっかり! ……なんとむごいことをっ!?」
 アンリがギーシュをきっと睨む。
 それにギーシュは『えええ?』という顔をした。
「くそっ! わけがわからん! こうなったらとりあえず彼女の動きを止めるんだワルキュー
レたち!」
 焦った声でやっと制御を取り戻したギーシュが命令を飛ばすと、ワルキューレたちは才人た
ち、正しくはアンリの周りを取り囲んだ。
 だが、アンリはそこに至っても動じず、むしろ事も無げに言い放った。

「アニエスさん、ミシェルさん、やっておしまいなさい」

 その声に、『はっ!』という声が二つ上がる。
 同時に声で飛び出したのは、これまた二人のメイドさん、先ほど見たアニスと呼ばれていた
少女と、もう一人は見たことのない少女だった。
 彼女たちはそれぞれ左右からゴーレムを二体ずつ相手取ると、徒手空拳で闘いを始めた。
 殴る蹴る投げ飛ばす。ブーツが、スカートが、ヘッドドレスが宙を舞う。彼女たちがメイド
服を翻しながら縦横無尽に走り回るさまは、さながらアクション映画の中のワンシーンのよう
だ。
 勿論アンリも休んではいない。彼女は飛びかかってきた一体に対して、クロスカウンター気
味の右を打ち込み、上半身を吹き飛ばして仕留めていた。
 やがて形勢の不利を悟ったギーシュは仲間たちにも声をかけた。
「ええいっ、君たちも手伝い給え!」
「お、おうっ!」
「仕方がないっ!」
 声を上げて、ギーシュの取り巻きたちも参戦した。
 正に入り乱れての乱戦である。
336アンリエッタ大活劇(12/14):2009/06/27(土) 18:44:22 ID:6LBen4u3
 そんな中、機会を窺っていたアンリが、アニスに目配せをする。
 察知したアニスと、ミシェルと呼ばれた少女がアンリの左右に後退した。
 それを好機と見て取ったのか、ギーシュたちはすり足で三人を中心にした扇状に移動する。
「さあ追い詰めたぞ。君たちにはきつい指導をしてやろう……無論教育的な意味で」
「教育的な意味でか……」
「教育的指導なら仕方がないな……」
 そういって、ギーシュたちとワルキューレがジリジリと間を詰めようとした、そのときだっ
た。

「静まれい!」
「静まれ静まれ静まれい!」

 アニエスとミシェルの二人が、鋭く声を上げた。
 二人の声に、一同の動きがギクリと止まる。

 その様子を確認して、アニエスは懐に手を突っ込み、そこからなにやら四角いものを取り出
した。
 この頃になると、流石の才人もなんだかそれの正体がわかるような気がしていた。

「この紋所が目に入らぬか!」

 図ったように、ジャーン! というシンバルの音が響く。

「こちらにおわす方をどなたと心得る! 恐れ多くも次の女王陛下、アンリエッタ姫殿下なる
ぞ!」
「一同、姫殿下の御前である。頭が高い! 控えおろう!」

「は、ははー!」
 ミシェルと呼ばれた少女の声に合わせ、その場にいた全員が条件反射のようにその身を屈め
ていた。
 ギーシュやルイズたちはおろか、遠巻きに見ていた他の学生たちすらも身を低くしている。
「な、なんだぁ……?」
 ボロボロの体に力を込めて、無理矢理上半身を起こそうとした才人であったが、その頭をむ
んずと誰かに掴まれてしまった。
 見るとそれはルイズのものである。
 彼女はそのまま力を込めると、才人の顔を目一杯床に押しつけた。
「痛っ、いだだだだだっ!」
「馬鹿っ! 良いからおとなしくしてない! 姫殿下の御前よ!?」
「ひ、姫さま? あのメイドさんが、ホントに?」
 才人は何とか目を動かして、アンリエッタ姫を確認した。格好はどこからどう見てもメイド
さんだったが、確かに、その立ち姿からは下々の者にあらざる気品を感じる、気がする。

 その場の全員の注目が一点に注目する中、アンリエッタはゆっくりと口を開いた。
337アンリエッタ大活劇(13/14):2009/06/27(土) 18:47:43 ID:6LBen4u3
「ギーシュ・ド・グラモン!」
「は、はひっ!」
「その方、誇り高きトリステイン貴族の身にありながら、二股をかけて二人の女性の心を傷つ
けたこと、相違ありませんか?」
「い、いえ、姫殿下それは……」
「だまらっしゃい!」
 だまらっしゃいが出た。
「その方の行いが原因で、二人が涙したのは明白。よって二人に対して、誠心誠意謝り倒すこ
とを命じる! 加えて、無関係であったはずのミス・ヴァリエールの使い魔に因縁をつけ、な
ぶり者にしたこと、よもや申し開きありませんね」
「め、滅相もございません」
「よろしい。ではことの次第をオスマン老に申しつけるによって、いずれ沙汰あることと、左
様心得なさい」
「は、ははーっ」
 観念したのか、ギーシュとその友人たちは平伏しながら深く肩を落としていた。
「さて、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール」
「は、はいっ!」
「良き使い魔を待ちましたね。平民にあって見事な心意気。このわたくし、感服いたしました」
「有り難きお言葉!」
「大事にしてあげなさい」
「ははぁっ!」

 そんなルイズの様子を見てアンリエッタは微笑むと、その場で回れ右をした。

「では、アニエス、ミシェル、行きますよ」
「はっ」
 そう言ってメイド服を着たお姫さまと、これまたメイド服を着たお供の二人は外へ向かって
歩き始めた。
 それに合わせてやはり楽団が音楽を奏で始める。

 それは勿論お決まりの、定番のあの曲。

 ♪ちゃっ、ちゃちゃちゃちゃっちゃっ
  ちゃっ、ちゃちゃちゃちゃっちゃっ
  ちゃーーちゃちゃーちゃーちゃーちゃーちゃーちゃー
  ちゃーちゃちゃーちゃーちゃーー
  ちゃちゃちゃちゃっ、ちゃっ♪

 例のアレである。
 『人生楽あれば苦もあるさ』から始まるアレである。
 才人は退場するメイドのバックに、そんな音楽が流れるシュールな光景を目にしながら、気
が遠くなっていくのを感じた。

「!? ちょっとっ、サイトっ! サイト!? 誰か、誰か助けて、サイトが白目剥いて倒れ
ちゃったわ!」

 眠りに落ちる最中、印象に残り過ぎるBGMだけが、才人の頭の中で延々エンドレスで流れて
いた。

 ♪ちゃちゃちゃちゃっちゃっ♪

338アンリエッタ大活劇(14/14):2009/06/27(土) 18:50:58 ID:6LBen4u3
◇◇◇

 才人が目を覚ますと、見慣れない天井が広がっていた。
 東京にある自宅の、自分の部屋の天井ではない。それを見て薄ぼんやりと、自分の境遇が夢
ではないことを思い出した。
「ん……ぁ?」
「サイトさん!?」
 寝ぼけ眼を擦って声がした方をみると、そこには花瓶に手を伸ばしたシエスタがいた。
「あ、悪い……、仕事の邪魔、したか……」
「そんなことより! 良かった、サイトさん。無事に目を覚まされて……」
 感極まったのか、シエスタは涙を浮かべて、寝ていた才人の手をぎゅっと握った。
 と、そこで才人はようやく自分がどこに寝ているのか気がついた。
 そう、ベッドの上である。
 ここ数日寝ていたような床の上ではない、ふかふかのベッドの上に才人は寝かされていた。
 では誰のベッドか、それは才人の顔のすぐ傍で、椅子に座ってすやすやと寝息を立ててい
る桃色ブロンドを見てすぐにわかった。
「あれから三日も目を覚まされなかったんですよ。それにすごい大怪我で……水の秘薬と治癒
の魔法をかけてもらって、それでも生死の境をさまよって……峠も二回くらいあって……一度
なんて心臓まで止まってしまって……」
「……マジか」
 涙混じりに語るシエスタの言葉に、才人も段々と状況を思い出してきて冷や汗をかいた。
 そんな大怪我だったのか。
 だが、そのわりには……
「あ、でも、お金のことは心配しなくてもいいですよ。治療費はミス・ヴァリエールが払って
らっしゃいましたから」
 なるほど、と納得する。
 体の節々は多少痛むが、痛むのはそれくらいで、そんな生きるか死ぬかの大怪我をしたとは
思えなかったのだが、合点が言った。
 これもシエスタがいった水の秘薬と治癒の魔法とやらのおかげだろう。
「すげえな魔法。なるほど、こんなにすごいなら貴族たちが威張り散らすのもわかる気がする。
それで、三日って言ってたけど、シエスタとルイズが看病してくれたのか?」
「いいえ。私は学院のお仕事もありましたから、付きっきりで看病なさっていたのは、ミス・
ヴァリエールの方です」
「……そっか」
 可愛いところもあるじゃないか、そう思ってルイズの方を見て、才人は内心ドキっとした。
 先ほどはちらっとしか見なかったので気がつかなかったのだが、寝ているルイズは、実に…
…実に可愛らしかった。
 あどけなく、無邪の欠片もない。寝ているルイズは、本当にこの世に降り立った女神のよう
だった。
 そんなルイズを見て、才人がごくりと喉をならしたとき、不意に部屋の外から声がした。
「ベッドのシーツ、取り替え終わりました」
「お疲れ様です。あ、サイトさん、丁度良いのでご紹介しますね。いなくなってしまったアン
リたちの埋め合わせで、新しく入って来た子たちです」
 そう言われて入って来たのは……
「メイドのアンアンです。よろしくお願いします」
「メイドのアニーだ、よろしく頼む」
「メイドのミシェールです」

「誰かつっこめよ」
 平賀才人の苦難の日々は、まだ始まったばかりであった。
339アンリエッタ大活劇:2009/06/27(土) 18:55:33 ID:6LBen4u3
以上で投下終了です。

召喚元は『水戸黄門』、召喚されたのは水戸黄門ご一行様。
主人公はご老公リスペクトで成長してしまったアンリエッタでした。

やや変則的ではありますが、ネタモノとしてご容赦頂けると幸いです。
ではー。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:55:46 ID:aofOJWut
大活劇の方、乙でしたー。
最初の「おうさま」発言からガッシュかと思いきや、まさか水戸黄門とは……意表を突かれましたよ。
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:58:10 ID:XfMFG9UG
元ネタを秘匿するSSは、最後の
「○○から○○を召喚」
ってのを確認してから読む事にしてる
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:13:17 ID:RE5TdkZJ
>>315
あれなんでもいいからガンダム書いてって言われて手近に試料があったのがゼロカスだっただけ
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:18:17 ID:epUjv5hh
>あれなんでもいいからガンダム書いてって言われて手近に試料があったのがゼロカスだっただけ
でも映像になってる以上コレンが思い出したのはゼロカスで確定なわけで
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:22:56 ID:GsA9L3CH
コレンはガンダムに引き摺られてきた禿だよ
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:26:45 ID:ouCRY/lX
さっきからされてるガンダム論争のせいか
コレンナンダーと専用カプルを召還、
タルブ村で竜巨人ことνガンダム&シエスタの保護者なアフロと遭遇してハッスルなコレンの姿が脳裏に……
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:33:32 ID:xZjAzqwp
アフロ……
なんか遠近感がおかしいジム……
あぁ……ハルケギニア……
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:40:19 ID:kT3ejop6
>>343
御禿がそういうとこに拘るらけないだろw
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:42:02 ID:DKDf3Mzj
しかしハルケギニアにイデを発動させることができるやつは居るのだろうか
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:55:11 ID:XOgtJQYi
ガンダムなら真の貴族トレーズ様か
貴族大好きザビーネか
月の女王の馬鹿犬ハリーだろう
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:57:36 ID:K0osi68C
ハリーは月の女王というより、ディアナ・ソレルって個人に忠誠を尽くしてる印象がある
ザビーネに関しては、貴族主義でいう所の貴族とハルケの貴族が=とは限らないと思う
351『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/27(土) 20:00:24 ID:p5IgBgnW
>346
伝説巨神は手加減ってモンが出来ないからな〜
全方位ミサイルで七万瞬殺だろうし、ヨルムンガンドの反射も 殴る・蹴るでぶち破りそうだし。
ソロシップがアルビオンに埋まってたりしたら、発掘現場からのデスドライブで 大陸ごと消滅とか。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:11:33 ID:p5IgBgnW
>351ですが、名前 消し忘れてました!
>349
トレーズ様には 是非レコンキスタを率いてもらい、
「私は 敗者になりたい」や ウーフェイとの最終戦の再現をやっていただきたいものです。
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:13:51 ID:xZjAzqwp
禿が召喚されてギーシュと決闘なんかしちゃったら
ワルキューレが出た途端に言うのかな
オムレツに餡子をいれたモノがどーのこーのってさ
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:24:11 ID:jYC0icEO
おハゲ様がシベリアで大暴れするアニメの主人公って召喚されたっけ?
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:32:55 ID:opzZwF/t
>>354
あの面子だと請負人が1番当たりだな
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:36:56 ID:iJ2XiMGE
お前のサモン・サーヴァントの唱え方、イエスだね!
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:37:01 ID:u7cHFh9J
>>351
手加減以前の問題だw
身長105M、体重5650tの謎の金属製ロボット、バリアもあるよ
がただ歩き回るだけでメイジの軍は壊滅だ

いや、むしろ分離して轢き逃げアタックしたほうが効率いいか
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:38:58 ID:rQl+uGsl
土マンジュウを呼び出せば、黙っていても伝説巨神を掘り出してくれるよ。

 【そるあんばぁここに眠る】
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:40:39 ID:XOgtJQYi
>>350
だってハリーなら服を脱ぎだすルイズに
「ルイズ嬢。私には心に決めた御方がいるのだ。体の関係はご遠慮して貰おう」
とか真面目に言って爆破されそうだし
馬鹿だから、なかなか爆破のし甲斐があるぜ
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:43:41 ID:WYRYE5w5
巨神発掘したからって戦ってたら世界消滅するぞ
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:52:05 ID:mFK7i2Q7
巨神繋がりで
漫画版ナウシカのオーマを召喚しちゃって第二の小さきママになるってのは?
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:55:11 ID:p5IgBgnW
>358
ダメでしょう。
全力で『見なかったことにするんだー』って言ってましたから!
って なんでそんなネタ覚えてるんだー
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:01:08 ID:WYRYE5w5
ここは、ハルケギニアの騒乱は全部アマンダラ・カマンダラによる茶番だったってことにしようぜ
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:01:19 ID:jYB+X/ar
>>361
ルイズは元より、学院中が被爆しねぇ?
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:04:37 ID:DOoa/OgJ
小動物系の使い魔がまず死ぬんですね、わかります。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:12:40 ID:ui33ISXS
ヒイロ「確認する……城壁に固定化はかけているな?」
マザリーニ「き、貴様、何を……!?」
ヒイロ「固定化は完璧なんだな?」
アンリエッタ「もちろんです。あなたたちの無力さを思い知りなさい!」
ヒイロ「了解した……」


ちくしょうコレやってみたいけどコレに至るまでの経緯が長すぎる……。
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:15:08 ID:iJ2XiMGE
エイジを呼んだら7万のアルビオン軍にV-MAXで突っ込むレイズナーと
アーサー化するギーシュが見える
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:16:42 ID:WYRYE5w5
え〜いじ〜 みんなまってるんだぞ〜 はやくもどってこ〜い!
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:18:24 ID:l3cDuRjS
>>357
某サイトの考察でイデについて読んだ記憶があるな……イデは生き物の生命を動力をしてるって。
つまり、
戦争で沢山の命が散る→命を吸ってイデパワーアップ
パワーアップが引き金となって暴走→ハルケってか惑星自体が消滅
ってことも有り得る。
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:20:44 ID:5SCiyKE/
>>367
だってよ、アーサーなんだぜ
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:20:49 ID:jYB+X/ar
>>366
課程をすっ飛ばした小ネタで良いんでね?
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:21:02 ID:HRHfWswI
ルイズブレンやシエスタブレンとか・・・ルイズが「めーでしょ」とか言うの、イエスだね!
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:25:52 ID:xZjAzqwp
>>371
それだとクロス先キャラをゼロ魔キャラに当てはめただけにならないようにするのが難しくね?
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:54:53 ID:rQl+uGsl
>362
誰が忘れるんだ、このネタ。
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:13:30 ID:ii4+WRgM
・最初は仮設5号機対第3使徒 マリは365歩のマーチ歌いながら戦う
・使徒撃退するも5号機は蒸発、加持は直前ヘリで逃亡
・加持がゲンドウに渡したのはアダムではなく「ネブカドネザルの鍵」
・母親の墓参りに来たゲンドウとシンジ、ミサトの車で帰宅途中に使徒(時計型と呼ぶしかない)登場
・アスカが登場、単独で使徒撃破。レイの事を「えこひいき」シンジの事を「七光り」と呼ぶ
・シンジ、アスカ、レイ、トウジ、ケンスケ、加持で海洋生態系保存研究機構に行く
 ここは赤くなった海を生命のある青い海に戻そうとする研究機関。 赤い海では生物は生きられないらしい
・今回アスカが加持に憧れるとかそういう描写が無かった、というかこいつら多分一度も会話してない
・ゲンドウと冬月が月にあるEVA6号機を見学に、渚カヲル(ズボン履いてるけど上半身裸)登場
・使徒(サハクィエル)登場。最初は球体状で全身をATフィールドで覆っている
 落下直前に形態がTV版っぽくなる。EVA3体の連携で撃破。撃破後ゲンドウがシンジを「よくやった」と褒める
・4号機消滅。アメリカから3号機が届く
・バチカン条約(エヴァの各国保有数は3機まで)の制限の為2号機が封印される
・学校の屋上で寝てたシンジの前にパラシュートで降下してきたマリ登場
・マリ「キミ良いにおいするね。LCLの臭いがするよ。じゃあねネルフの子犬ちゃん」
・3号機起動実験。パイロットはアスカ。トウジは学校には来ないけど実は妹の退院の為。
・3号機使徒に、シンジは戦うことを拒否するがダミーシステム(今回ダミープラグとは呼ばない)発
・次回作はヱヴァンゲリオンQ(急とQの洒落)
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:17:59 ID:CtqlIazl
シンジ召喚は誰もが一度は考えたのではないかと思うが
シンジだと床で飯か下手すりゃ床で寝ろで潰れてしまうんじゃないかと思った
決闘イベントも素直に謝って終了しちゃって
ギーシュも傲慢なまま
シエスタとのフラグも未成立

うーん、考えれば考えるほどネガティブな方にしか進みそうに無い
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:20:49 ID:iJ2XiMGE
漫画版かスパロボ版シンジならばあるいは
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:23:26 ID:UvfGXnbR
>>376
シンジは「世界の運命とか人類の未来とか知らねーよ! 俺にそんなもん押し付けんなよ!! そんなことより俺に普通の日常をくれよ!」な主人公だからな。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:31:36 ID:iw54UH0v
エヴァにはゲッターのパイロット乗っけた方がいいな。
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:37:26 ID:mFK7i2Q7
エヴァに乗せるにはまずエヴァにパイロットの母ちゃんの魂
突っ込まなきゃいかんからな

やっぱ乗せるとしたらタバサになっちまう
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:37:27 ID:HRHfWswI
>>379
竜馬、隼人、弁慶、武蔵・・・・誰を乗せても嬉々として殺しそうだ
ルイズの使い魔としてはこれ以上なくデンジャラスな面々だが
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:37:53 ID:5wXIfq46
東方不敗をエヴァに乗せればシンクロ率2%ぐらいでもゼルエルに勝てるんじゃないだろうか
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:38:59 ID:K0osi68C
むしろ思うように動かないと文句を言って降りて戦い出す
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:40:46 ID:TB5MrXav
キョウジあたり乗せるのが一番早いんじゃね、同化するから常にシンクロ率100%だろ
エヴァが形を保てるのかは知らんが
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:41:24 ID:5IHtBE/g
>>354
アナ=メダイユ公女がいらっしゃっておられます

>>379
エヴァは14歳で母親を亡くしてないとダメだぜ?
ゲッターもマジンガーも高校生以上だから無理。

年齢と境遇的にはジュドー・ウッソ・ガロードあたり?
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:42:05 ID:iJ2XiMGE
いっそベクターマシンを呼んでルイズ、タバサ、キュルケで創聖合体させたい
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:44:09 ID:BJjrFe+X
ついでに不動GEN呼ぼうぜ
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:48:50 ID:UvfGXnbR
>>379
「おまえは神にも悪魔にもなれる!」なんて言われた兜甲児のマジンガーを
瞬殺できるであろう性能のエヴァに乗りながら、あの結果だからなあ………
悩み迷うこそがシンジのキャラクターでもあるんだが。

『世界がどうとかよりも、周りが自分に優しくしてくれるかどうかが重要だ』が根底にある
主人公の意識や感覚でもって操縦する神のごときロボットが活躍するセカイ系なわけだから。 >エヴァ

ところで「ゼロの使い魔」はジャンル的にはいわゆる異世界召喚モノに
ボーイ・ミーツ・ガールを足した物語にカテゴライズされるのだろうか?
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:49:28 ID:udYzlqxI
ゲッターアークの主人公も、母親が殺されてますからね……その辺を弄ればエヴァに乗れそうだ。
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:49:55 ID:HRHfWswI
>>387
何もしなくても次元も時代も飛び越えそうだからな、司令は・・・
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:50:33 ID:wdoYSPJc
エヴァはそもそものシンクロ操縦の方法が『母親を求める子供のとそれに反応する母親』の愛情を利用(A10神経だっけ?)だからな
親離れすると操縦できなくなる欠陥システムに対応できるキャラってタバサ以外にいたっけ……イザベラ!
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:51:30 ID:XsryVN4j
大活劇の人、GJ!!
変則大歓迎、アンアンかっちょいい!! こういう勧善懲悪ものはほんとすっきりします。
水戸黄門や暴れん坊将軍はパターンがわかっていても面白いですからね。
ミシェルさんもこっちでは裏切らずに元気でやっているみたいだし、この紋所が目に入らぬか!がしびれました。
393SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/27(土) 22:57:48 ID:jYB+X/ar
他にいらっしゃらなければ、2300時より投下よろしいでしょうか?
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:59:47 ID:5SCiyKE/
>>393
お待ちしていましたよ
395SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/27(土) 23:00:00 ID:jYB+X/ar
では参ります。

mission 03 Unrest


 スコールとアニエスが一緒に行動して、一ヶ月が過ぎようとした頃。
 今回二人は、少し遠出をする。低価格で難しい仕事も引き受ける二人の元に、国をまたいだゲルマニアの方からわざわざ依頼があったのだ。
 早朝にトリスタニアを出て、一路北へ。途中で二度の野宿を挟み、予定通り港町ラ・ロシェールでもう一泊する。
「話には聞いていたが……これがフネか」
 夕焼け空を見上げ、桟橋に入っていくフネを見上げる。
「ああ、お前は見たことがないんだったか」
『一応羽は生えてるみたいだね〜』
 『接続』されているセルフィ・ティルミットが楽しそうに言う。
「船が飛ぶなんて……おかしな気分だ」
「飛んでるところは明日の朝も見られるだろう。さ、宿に行くぞ」
 安宿に部屋を取った時点で日も暮れた。食事をしに近くの酒場に繰り出す。
「良い儲け話がある。どうだ、聞きたい者はいないか」
 白い仮面を付け顔の上半分を隠した男が、その場にいる傭兵達に声を掛けている。
 既に仕事を受けている身であるので二人は聞き流したが、仮面の男の周りでは人垣が出来ていた。
「オーク狩りだったか」
 固いパンを口に運びながらスコールが尋ねる。
「ああ。家畜などを捕られる被害が出ているらしい」
 ゲルマニア産なのだという割に、質の悪いソーセージをフォークで刺しながらアニエスは答える。
「人にしろ亜人(デミ・ヒューマン)にしろ、相手は結局盗人ばかりか……」
 どこか納得したという風に呟くスコール。
「不満なのか?」
「いや、この国が平和なんだと思っただけだ。空の上にあるアルビオンという国は内乱中なんだろう」
「そうらしいな。王党派が圧されていて、レコン・キスタ側が優勢だと聞くが……まぁ、今のところ私たちには関わりのないことだ。後々関わってくることも有るかもしれないが……」
 そこで、スコールの先程の言い回しが思い返された。
「お前、盗賊の類とはあまり戦ったことがないのか?」
「と言うより、あんたと組んでのオーク戦が初めてだ」
 当然といえば当然だ。
 SeeDは最強の傭兵と言われている存在だ。それをたかが盗賊討伐に充てるなど牛刀割鶏である。
 そもそも、インフラがある程度整っているスコールの世界に置いて、そうしたことは管轄の警察組織の仕事だ。
「傭兵ではあったのだろう?それでは……お前はずっと戦場に?」
「だけ、という訳でもない。確かに正規の傭兵になる試験も兼ねた最初の任務は戦場だったが、その後は都市部の中枢でゲリラ戦や暗殺の任務を受けたこともある。
 任務内容も通常戦闘から、要人誘拐、狙撃支援など様々だ」
『なつかしいね〜』
「いろいろやっているんだな」
 感心したようにアニエスが呟き、そこで暗殺か……と口が動く。
「レオンハート……表沙汰にならないように人を殺す方法を、知っているか?」
『う、うわぁ!アニエスさん!?』
 顔を近づけて小声で尋ねてくるのに、やはり小声で応える。
「……生憎と俺は暗殺専門という訳じゃない」
 そうか……といくらか気落ちした様子のアニエスに、言葉を続ける。
「だが、擬似魔法があまり普及していないハルケギニアで、足が付かないようにする方法は、俺でもいくつか思いつける」
「後で教えてくれ」
 目の中に暗い意志の炎を燃やすアニエスに、ゆっくりと頷き返した。
『アニエスさんどうしちゃったの〜!?』
(おぼろげながら見えてきたな……過去の記憶にかなりこだわる態度に、殺すべき人間がいる素性……復讐か)
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:00:10 ID:4buCziYv
>>393
しえん
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:00:13 ID:wdoYSPJc
進路クリア!いつでも投下OKです!
398SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/27(土) 23:00:41 ID:jYB+X/ar
 翌日の夕刻、二人は予定通り村に着いた。だが、予定通りではなかったのは、今正に村がオーク達の襲撃を受けていることだった。
「いかん、レオン!制限無しで戦うぞ!」
「ああ、仕方ない……」
 制限無しとは、擬似魔法漏洩の可能性を犯すことである。危険なことであるが、目の前の危機を見逃すのもまた避けたかった。
 必死に抵抗を続ける村人の前にいるオークに、サンダラを浴びせる。
 家畜を持って行こうとしているオークの後頭部にブリザドをぶつけて昏倒させる。
 娘を拐かそうとしているオークを、飛びかかり様横薙ぎに斬る。
 二人の危険性をようやく認識して、まとめて襲いかかってきた群れに、クエイクを見舞って足場が崩れたところをトルネドで全部吹き飛ばす。
 落着したオーク達は、皆強かに打撲を負っていて、スコールとアニエスが立ちふさがると這々の体で逃げ出した。
 どうせ討伐が任務なので、後から戦うことにはなる。それを見越して、今はひとまず村の状況回復に努めようと二人はそれを見送った。
「私はこの村の村長ですが、ああ、ありがとうございました。メイジ様……」
 年長者に分類される初老の男性が二人の前にやってきて頭を下げた。
「止してくれ、私はメイジじゃない。依頼を受けた傭兵の、アニエスだ」
「は?し、しかし、今のは……」
「それは……」
 さて、どう説明したものかと言いよどむ。
「それは企業秘密だ。俺たちの強さの根本にあるもので、説明は出来ない」
 さらっとスコールがいつものむっつり顔でそう告げる。
(はっきりと言うな)
「はぁ、そうですか……」
 釈然としないながらも、村長は納得してくれたようだ。
「被害の方はどうだ?」
「ああ、連中が来てすぐに駆けつけてくれたので幸い家や垣根が一部壊されたぐらいです」
「そうか……追うか、レオンハート」
「ああ、今ならまだそう遠くは行っていないだろう。根城に案内して貰えそうだ」


 翌朝、オーク達の討伐は完了しスコールとアニエスは村を去っていった。
「う〜む、噂通り仕事が速くて料金も良心的だったが……不思議な傭兵達だったなぁ……」
 わざわざトリステインくんだりまで使いを出したかいがあったというものだが、あの魔法のようなものは一体何だったのだろう。
 家の中で領主に収める物品の目録を作りながら村長は首をかしげた。
「村長、入るぜ!」
「何だ」
 声を掛けながら村人の若い者が入ってきた。
「いや、それが村の入り口におかしな二人組がやってきててな」
「おかしな二人組?」
 折角オークが居なくなったと思ったらまた別の厄介ごとだろうか。
「何でも、平民でも使える魔法の力を広めに来たとか言ってるんだよ。どうする、追い返すか?」
 その言葉に村長はハッと目を見開き、横に首を振った。
「いや……まずは話だけでも聞いてみようじゃないか」


「村長が、入って良いってよ。ほら、あっちが村の広場だ」
 村の入り口にとって返した若者が、その二人に開けた場所を指し示す。
「ああ、スミマセンねわざわざ手数を掛けて……ほらビッグスさん、行きますよ」
「はぁ、何だってこんな事になったのかなぁ……軍を辞めて……そう、あのままエスタで就職しようとしたのまではきっと良かったんだ」
 ビッグスと呼ばれた男が、そう愚痴をこぼしながらゆっくりと立ち上がった。
「けど、あんないかれたじじいの研究所に務めたのがいけなかったんだ!ウェッジ!何で止めなかった!」
 ビッグスにビッと指さされ、ウェッジと呼ばれた方が驚いて後ずさる。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:01:21 ID:M0Th+LWw
>>387はルイズのコスプレをする不動がみたいと見える

当時は何の放送事故かと…
400SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/27(土) 23:02:00 ID:jYB+X/ar
「そんな!魔法関連で有名なオダイン博士の下でなら食いっぱぐれはないって言ったのはビッグスさんですよ!?」
「あのよ、あんたら……入るのか、入らないのか?」
 口喧嘩を始めたビッグスとウェッジに、呆れ顔で村人が尋ねる。
「ああ、すいませんすいません。ほら、ビッグスさん急ぎましょう。何にしろ、ちゃんと仕事はしないと」
 ウェッジに促され、ようやくビッグスも歩を進める。
「わかった、わかった!しかしメイジめ……良くもわしらを好き勝手使ってくれるもんだ。
 だいたい、ここで擬似魔法を広めるのが何になるって言うんだ。まぁ、教えた連中からは神様みたいに崇められてるし、その上で給料だけはちゃんと払ってくれてはいるが……」
 愚痴り続けるのは止めなかったが……。



今回かなり短めですが、雑魚戦闘は基本的に同じ事の繰り返しになるので、ストーリー上必要な場合を除いて省く方針です。
それでは、また来週頃にでも……
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:06:26 ID:sofgXT9G
>>388
真マジンガーとか見るとむしろエヴァで勝てるかどうか
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:15:57 ID:jYC0icEO
アレは今川監督大暴れの結果だろwww
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:16:41 ID:jYC0icEO
いけね、乙し忘れた。
ライオンハートの方、乙でございます。
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:17:49 ID:y3TIHpMK
FF8屈指のネタキャラ登場にワロス。
そういえば、このスコールはギルガメッシュ乱入を習得(?)してるのだろうか。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:25:03 ID:udYzlqxI
SeeDの方、乙でしたー。
……ビッグスとウェッジが余計な事をしているようですが、これが後々どうなるかが楽しみです。
あと仮面の男が暗躍していると言う事は、ルイズとの遭遇フラグでしょうか。そちらも楽しみですね。
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:30:33 ID:5wXIfq46

アニエスが絡む作品はいいものだ
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:34:08 ID:CtqlIazl
乙!
巻き込まれたのかよw

しかし・・・誰もが恐れた展開ですな
こりゃハルケギニアは荒れるでぇ〜・・・
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:40:24 ID:5SCiyKE/
乙でした。
しかしビッグス&ウェッジはガルバディア兵であった頃の武器は持っているのだろうか
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:50:36 ID:wdoYSPJc
ビッグス&ウェッジの上司って誰なんだろうな?おそらく博士も一緒だろうしガリア王かな?
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:56:53 ID:rQl+uGsl
そもそも、“どの”ビッグス&ウェッジだ?と思った僕は腐っているようだ。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 00:31:20 ID:INe1G70C
スターウォーズだろ
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 00:55:39 ID:Aye+daVk
・・・優しくて清楚で巨乳wの悪魔! アスラクラインの“高月 奏”召喚。
とか考えてたが文才無いから挫折した;;

ところで、幽霊らしくない幽霊(乙ボクの高島一子 とか)いたけど、
悪魔らしくない悪魔って召喚されてたっけか?
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 01:03:44 ID:0dJPUe3v
スコールをレオンと呼ばれるとキングダムハーツ思い出す
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 01:09:42 ID:fu43YMed
>>412
悪魔フェイスに天使の心、北野君とか?
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 01:14:50 ID:KYyHsfHN
>>410

二人なら見せ物小屋でシャッフルゲームの駒やってるよ。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 01:14:53 ID:0ZqbCERD
北野君はあの掌底でワルドくらいなら倒せそうだから困る・・・

つかあったよな確か、北野君召喚の奴
途中で止まってたかな
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 01:36:32 ID:ft/kMepw
つか北野君ならあの最恐フェイスで7万に勝てるよw
北野君の人続きをずっと待ってます…
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 01:58:52 ID:3jRrK52O
原作終了後の電童のアルテアさん召喚とかおいしいと思うけど難しいだろうな…
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:03:08 ID:YVjZXCOR
優しい白髪の悪魔、ダイモンズヘイトを召喚

ガンダ→ヘイト
ミョズ→ベッケル博士
ヴィン→スワロウ
第四→プログレス

腕の調達が問題だが、青銅製の腕で岩を砕けるだろうか?
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:04:34 ID:mA58vQbt
死ねよやー!!
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:06:42 ID:Z+5+ZPTa
銀英のトリューニヒトが来たらハルケ各国を民主化出来るかな?
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:09:37 ID:VvKRGdOb
>>420
ジョナサンwwww
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:09:39 ID:+r+JhQLb
むしろ宰相位を狙うのでは
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:14:29 ID:T4tDAevm
優しい悪魔……ジョゼフ・ジョブスンとティオとチャンプか
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:17:59 ID:iNDkkcL1
>>419
それ以前にヘイトは復讐と言う最優先目標がある以上、速攻でトンズラかますのが
目に見えてるけどな。
少なくとも留まる理由は皆無と言っていい。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:22:13 ID:6xMPIgyr
>>402
元々マジンガーはアニメの描写はともかくとしてカタログスペックはとんでもないぞ
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:51:14 ID:+r+JhQLb
発泡スチロールより軽いってのは公式だっけ?
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 02:58:41 ID:fu43YMed
戦力換算で米国第七艦隊と同等@建造第二次世界大戦ぐらい・・・

確かにすごいな
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 03:34:48 ID:bdjSQCtg
人間の比重はほぼ1(体重≒堆積)
で、180cmで80kgの人間がそのまま10倍サイズになったと仮定すると
(もうちょっと細身前提でもいいけどある程度筋肉質前提でこのぐらいってのと計算楽だから)
体重は10の3乗で1000倍の80tで浮力中和と言う計算が成り立つわけだ
ところがマジンガーは18mで20t
堆積は人間にほぼ準ずると考えて良いから仮定比重0.25となる
さすがに発泡スチロールよりは重そうだ、水には沈めんけど

ちなみに同じ理屈でコンバトラーVの計算をしてみると、約2,500t無いと水に浮いてしまうと言う結果になった
比重的にはマジンガーより軽い計算になるな
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 04:01:12 ID:Vv9qUHSH
空想科学読本にそんな記事があったなw
ゴジラは重過ぎて(50mの20,000t。鉄以上の密度)生まれた瞬間に自重で潰れ、ガメラは軽すぎて(60mの80t。発泡スチロール以下の密度)水に潜れないとか。
ロボット系は総じて軽すぎて中身スッカスカににしかならん、という感じだったが。
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 04:21:11 ID:Aye+daVk
身長57m体重550t、巨体が唸るぞ空飛ぶぞ〜♪ な、ワケだから飛ばすためには軽くなくちゃいけないのか??
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 04:26:59 ID:+r+JhQLb
飛ばすどころか吹き飛ばされますがな
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 04:30:08 ID:6xMPIgyr
>>428
ゲームなんかじゃ地味なミサイルですらなんと100トン級を10秒間に40連射するという異常性能
飛行速度はマッハ3で実はマッハ2のロケットパンチより速かったりするおちゃめさん
ところで有効射程1kmに3万度の熱線を浴びせるらしいブレストファイアーを街中で使ったら街が壊滅せんか?

>>429
マジンガーZの身長体重はニューZ換装時に数値が逆転してさらに比重が小さくなってるんだそうなw

こんなもんハルケギニアに持ち込んだらそれこそ神にも悪魔にもなれるぞ
434雪風とボクとの∞ ◆njpfsTMfgabE :2009/06/28(日) 04:32:29 ID:8L+7EAf+
>>430
>ロボット系は総じて軽すぎて中身スッカスカににしかならん、という感じだったが。
「空想科学大戦3」には外装だけで内部が空のロボットもありましたっけ。

4:40頃に∞3を投下したいのですが、よろしいですか?
435雪風とボクとの∞@ ◆njpfsTMfgabE :2009/06/28(日) 04:40:58 ID:8L+7EAf+
「雪風とボクとの∞(インフィニティ) ∞3」

 ――……私……タバサの使い魔……ナグモミツナリは……超弩級のめがねっ娘フェチ……。
 ――……友達のルイズは……あんな使い魔やめろって言うけど……。
 ――……だけど1つの事に一直線な男性って素敵……。
「めがねっ娘が好きだー!」
「だからあんたおかしいわよ!!」
 ――……だから……ミツナリ好みの素敵なめがねっ娘になる……。

「……ミツナリ……」
 中庭で読書中のミツナリにタバサは声をかけた。
「……何読んでるの……」
 そう言いつつ眼鏡の片方のレンズを親指と人差し指で挟んで上げた瞬間、
436雪風とボクとの∞A ◆njpfsTMfgabE :2009/06/28(日) 04:42:47 ID:8L+7EAf+
「めがねの上げ方はそうじゃなーい!!」
「……ひいい……」
 三成の突然の雄叫びに思わずくずおれるタバサ。
「タバサ……、キミはとんでもない事をしてくれたな……」
「……え……えええ……」
 思わず壁際まで後退したタバサに、憤怒のあまり震えつつ三成は言葉を続ける。
「その上げ方はわざとらしすぎるのだ!! そう! めがねキャラを演じる三流女優のアレだ! そんなものには何1つ来ない!+『わざとらしさ』は我々めがねっ娘スキーが最も嫌う仕草!! 我々が求めるのは自然な仕草!!」

蝶が花に止まるように、小鳥が木の実をついばむようにめがねっ娘がめがねを上げる。
彼らはそこにぐっとくるのである。
「ナチュラリスト」、そう呼んでも過言ではないだろう。
眼牙書房「めがねを愛した男達」(平賀才人著)より抜粋

「……遠い……果てしなく遠い……ミツナリ……」
 その時、タバサの目には三成が雲の向こうにいるかのように思えたのだった。
「キミは他の女とは違うと思っていたが……。だがタバサ……」
 三成はそう言い残してタバサの前から姿を消した。
「キミには失望したよ」
437雪風とボクとの∞B ◆njpfsTMfgabE :2009/06/28(日) 04:44:57 ID:8L+7EAf+
「……うううううう……」
 放課後の教室。三成に拒絶されたショックから、タバサは机に突っ伏して泣き崩れていた。
「……ルイズ……私どうすればいいの……」
「………」
 頬杖を突いてタバサの様子を無言で眺めていたルイズだったが、
「あのさあ、前から聞こうと思ってたんだけど、タバサはミツナリのどこがいいの?」
 その問いにタバサはかすかに赤らめた顔を上げる。
「……優しいところ……」
「優しくないでしょ、ひとっつも!!」
「タバサ」
 その声に振り向くと、いつの間にか教室入口に三成が立っていた。
「さっきはその……、すまなかった」
 うなだれている三成の表情には、タバサへの悔悟と心底の後悔が色濃く出ていた。
「僕とした事がつい興奮して脳内物質が必要以上に分泌されてしまい、キミにあんな酷い事を……」
「ちょっとちょっと、何言ってるのよ、ちょっとっ!?」
 あまりに支離滅裂な三成の謝罪に当然ツッコむルイズ。タバサはタバサで、
「……わ……私は平気……気にしないで……ミツナリ……悪いのは脳内麻薬……」
「だからあんた達会話がおかしいわよ!!」
 とやはり支離滅裂な許しの言葉を返した。
「すまない、タバサ」
「……だからもういいの……ミツナリ……」
「いや、キミにあんなキツイ言い方をしてしまうなんて。だから……」
 そう言いつつ、三成はどこからともなく長い紙筒を取り出し、
438雪風とボクとの∞C ◆njpfsTMfgabE :2009/06/28(日) 04:46:53 ID:8L+7EAf+
「優しく説明するために図を描いてきた!」
 と黒板にタバサと思しき眼鏡をかけた少女の顔が多数描かれている大きな紙を貼り出した。
 そして指示棒で最初に差したのは、揃えた手の指先で眼鏡の中央部を押し上げている絵だった。
「まずこれ! めがね中央部(ブリッジ)を上げる型。とても知的である。僕はこれを『センターアップ』と命名した」
 続いて、人差し指の爪側でレンズを押し上げている絵が差される。
「次は『ワンフィンガーアップ』! とても自然! かつ美しい! ベリィーグッド!! だがまだその先がある!」
 そして最後に三成が指した絵は、頬杖を突くように両手で眼鏡を押し上げさらに腕が胸の膨らみを挟んで強調しているものだった。
「『ダブルサイドアップ』!! 両手で包み込む女性の優しさ、そしてその事により自然に意識させられる胸の膨らみ……。まさにパーフェクト!! 僕はタバサのダブルサイドアップが見たい!!」
「……えええ……」
 仁王立ちになって「ダブルサイドアップ」を実践する三成に、タバサは狼狽を隠せなかった。
「……それはちょっと……」
「なぜだ、タバサ!?」
「……だ……だって……」
 さらにはルイズも、
「いいじゃないの、やってあげれば。くいって」
「……ルイズまで……」
「ダブルサイドアーップ!!」
「さっさとやってこいつを黙らせなさいよ!」
439雪風とボクとの∞D ◆njpfsTMfgabE :2009/06/28(日) 04:48:45 ID:8L+7EAf+
 とうとうタバサは目に涙を浮かべ、
「……だって私……挟めるほど胸が大きくない……」
「くはあっ(はぁと)」
 その言葉に盛大に胸を打ち抜かれた三成は、大きくのけぞる。
「………」
 そのまましばらく震えていた三成だったが、
「うおおおおおおっ!」
 絶叫と共に黒板に貼っていた紙を細かく引きちぎり、
「貧乳バンザーイ!!」
「……ミツナリ……」
 紙吹雪のように窓からばら撒くと力の限り叫びを上げた。
「貧乳めがねっ娘ぶあんざーい!!」
「……やめてミツナリ……止まって脳内麻薬……」
 昼下がりの学園に三成の奇声がこだまするのだった。
440雪風とボクとの∞ ◆njpfsTMfgabE :2009/06/28(日) 04:50:47 ID:8L+7EAf+
以上投下終了です。
何だかタバサが妙な方向に行きつつあるような……。
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 05:33:46 ID:nvfUFylg
何という変態乙
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 05:43:10 ID:ft/kMepw
三成の人乙です。
なんという変態紳士www
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 06:27:20 ID:SdONAKW9
マジンガーZと兜甲児を召喚か
444お前の使い魔 20話:2009/06/28(日) 06:45:33 ID:ThwGNcXC
おはようございますッス
予約が無ければ、50分から投下しようかと思います
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 06:48:05 ID:ft/kMepw
待ってました!支援!!
446お前の使い魔 20話:2009/06/28(日) 06:51:31 ID:ThwGNcXC
 わたしの手に、ぼんやりとした光が灯る。

「何だこれは!? くっ! させん!!」

 慌てるワルドの声が聞こえると同時に、一際明るい光がわたしを包む。

「チィッ!!」

 その光を攻撃するものと判断したのか、ワルドは舌打ちし、大きく後ずさった。
 しかし、この光は誰かを攻撃するものじゃない。

「……ソレは何の冗談だルイズ?」

 わたしの手の中に現れた物を見て、眉をひそめたワルドが呟く。
 ワルドが見ているもの、ソレは小さな人形。

「見てわからないワルド? 人形よ」
「時間稼ぎのつもりかいルイズ? ならば失敗だよ。事態は何も好転していない」

 呆れた様子で鼻で笑うワルドへ、わたしは余裕の笑みを見せ言う。

「いいえ、終わりよワルド」
「……っ!!」

 わたしの様子を見て何かを感じたのか、ワルドは言葉も無く飛びかかろうとしてきた。
 だが、わたしの方が早い。

「来なさい! ダネット!!」
447お前の使い魔 20話:2009/06/28(日) 06:53:16 ID:ThwGNcXC
 人形を掲げ、声高々にわたしが叫ぶと、わたしとワルドの間に光が踊った。

「なっ!?」

 ワルドの声がする中、光は不思議な陣を描き、中心から天高く伸びた後、急速に消滅する。

「全く、呼ぶのが遅いですよ、お前」

 そこに一人の使い魔を残して。

「やれるとこまでやったんだけどね。ちょっとキツイみたいなのよ」

 彼女の身体中には包帯が巻いてあり、所々血も滲んでいる。

「仕方ありませんね。じゃあ帰ったらクックなんとかをお腹一杯食べさせなさい」

 それでも、傷のことなどおくびにも出さずにわたしに笑いかける。

「そうね。じゃあさっさと終わらせて帰るわよダネット!!」

 緑色の髪を翻し、髪と同じ色の短剣を構え、わたしを守る。

「任せなさい!!」

 ワルドを見ると、流石に驚いたのか固まっていたが、ダネットの姿を見ると戦いの構えを取りつつ言葉を発した。

「生きていたのかガンダールヴ」

 ワルドの声を無視して、ダネットが問いかける。

「お前に一つ質問があります」
「質問……?」

 ワルドの言葉に頷き、ダネットは息を吸った後に言葉を続けた。

「お前の名前を教えなさい」
「名前だと? ふざけているのかね?」

 ワルドの顔を真剣な表情で見ながらダネットが言い返す。

「ふざけてなんかいません。教えなさい」
「…………ワルドだ」

 名前を聞いた後、ダネットはしばらくブツブツと呟き、二本の短剣をくるくると回して、一本をワルドに突きつけて言った。

「覚えました。ワルド、お前の首根っこへし折ってやります!!」
448お前の使い魔 20話:2009/06/28(日) 06:55:10 ID:ThwGNcXC
 言うが早いか、ワルドに向かって飛び掛るダネット。
 しかし、傷のせいか以前のような動きよりも遅いのがわたしの目にもわかる。
 ワルドもそれに気付いたようで、口の端を上げて笑い、軽くいなそうとした。
 だが、その顔は一瞬で凍りつく。
 以前、ギーシュとの戦いの時、ダネットは凄い速さでゴーレムを倒したことがある。
 その時も凄まじい速さだったが、今のは消えたとも言える速さ。
 怪我で動きが鈍ったと思っていたのはフェイント。
 それに気付いた時には、既にダネットはワルドの後ろにいた。

「遅いです」

 その言葉と同時に、ダネットは何の躊躇いもなくワルドの背中に深々と短剣を突き入れた。

「終わりです。治療が早ければ助かるかもしれません。さっさと失せなさいワルド。」

 わたしの知り合いという事で気を使ったのか、わたしが見てる前で誰かを殺したくなかったのか、もしくはその両方か。一瞬、チラリとわたしを見た後に、そんなことを言うダネット。

「甘ぇぞセプー雌! 後ろだ!!」
「へ!? い、今の声ってうわぁっ!!」

 『声』の言葉に反応し、慌ててダネットが身をよじる。その身体のすぐ横を風の刃が吹きぬけ、背中を刺されたワルドを深く傷つける。
 間違いない。今の魔法はエア・カッターだ。なら、この魔法を使ったのは……。

「……今、吹き飛んだのは風の偏在って訳ねワルド」
「その通りだよルイズ。今ので消えてしまったがね」

 わたしの見る先にいたのは、肩をすくめて微笑むワルド。
 風の偏在、風のスクウェアスペルの一つで、自分の分身を作り、もう一人の自分として操る魔法。

「しかし……『声』だけの彼の助言が有ったにしても、今のをかわすか。ガンダールヴの力、やはりあなどれない」
「……偽者ですか」

 エア・カッターの衝撃で消えてしまった偏在と、今しがた現れたもう一人のワルドを見据え、ダネットが呟く。

「注意してダネット。あれも偏在かもしれないわ」
「へんざい……? 何ですかそれ?」
「偽者ってことよ。ワルドの偏在が何体いるのか、何体出せるのかわからないから、さっきみたいに倒しても安心しないで」

 わたしの説明を理解したのかしていないのか、ダネットはしばらく頭をかしげていたが、短剣を持ち直した後にワルドに向き直った。

「ともかく、全員首根っこへし折ってやればいいんですよね?」
「……まあそうだけど。全く、あんたらしいわ」
「褒めても何も出ませんよ?」

 わたしの方をちらりと見てダネットは笑うと、再びワルドに向き直り、ぽつりと言葉を漏らした。

「それと、さっきの『声』……いえ、後で聞きましょう。いきます!!」
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 06:56:33 ID:YnNOu2MY
支援
450お前の使い魔 20話:2009/06/28(日) 06:57:20 ID:ThwGNcXC
 ダネットの顔は見えなかったけれど、声が少し震えていた。もしかしたらダネットは、この『声』について何かしっているのかもしれない。
 そんな事を考えている間に、ワルドとダネットの第二戦が始った。
 ダネットが走り、斬りつけ、飛び跳ねてまた斬りつける。しかし、今度はワルドも油断していなかったのか、ダネットの動きに反応し、受け流して反撃し、かわされては再度一撃を繰り出す。
 幾度か切り結んだ後、両者とも飛び退き相対する。

「なかなかやりますねワルド。あの組み手の時は手加減していましたね?」
「はは。真剣勝負でも無い時にレディーを傷つけるのはやぶさかじゃないからね」
「そうですか。なら、今回も手加減してもらえると、簡単に首根っこへし折ってやれるんですが」
「残念だが、そういう訳にもいかなくてね。ところでだ、ガンダールヴ。一つ解せない事がある。その傷で、なぜそこまで動けるのかね?」

 ワルドの言葉も最もだ。
 確かにダネットの傷は傍目でもわかるほどに深く、あんな動きができるとは到底思えない。更に、先ほどのエア・カッターで傷つけたのか、足と手から血が流れている。
 普通の人間ならば、いや、例えダネットが人間よりも強靭だと思われるセプー族という亜人だとしても、あれだけの傷で、あんな動きが出来るのだろうか?

「それは私が支配されているからですよ」
「……支配? 先ほどもルイズが言っていたが、何なのだねそれは?」
「お前は悪い奴だから教えてやりません」

 言ってダネットは再びワルドに斬りかかる。
 ワルドとダネットの戦いを目にしながら、わたしの脳裏にはある言葉が引っかかっていた。その言葉とは『支配』。
 わたしは知らないけれど知っている。
 『支配』とは、その者の身と魂を縛りつけ、いかなる時でも召喚し、戦わせる術。
 戦わせる為に、支配された者は強制的に力を与えられる。
 その力とは、身体能力の爆発的な向上。
 つまり、『支配』による『召喚』とは、好きな時に呼び出し、十分どころか十二分に力を使わせる為の外道の術。

「待って……だとしたらダネットは……」

 そう、身体能力は向上する。だが。

「あのセプー雌、死ぬなありゃ」

 先ほど、ダネットの危機を救った『声』が響いた。
 『声』の正体も気にはなったが、それよりも『声』の言った事のほうが気にかかる。

「どういうことよ……?」
「どういう事も何も、相棒だってわかってんだろ? 支配は傷を治す術じゃねえ。例え腕が飛ぼうが足が飛ぼうが、『戦わせる為』の術だ」

 じゃあ今のダネットは……。

「やせ我慢ってやつだな。ハハッ、セプーにしちゃいい根性してやがんぜあの奴隷。んじゃ俺たちは、あのセプー雌が戦ってる間にさっさと逃げ出すとしようぜ相棒」
451お前の使い魔 20話:2009/06/28(日) 06:59:26 ID:ThwGNcXC
 逃げる? ダネットを置いて?
 馬鹿を言わないで。わたしはさっき逃げないって誓ったじゃないか。
 なのに今してることはなに? ボーっと戦ってるのを眺めて、挙句に逃げようなんて言われてる。

「おし、んじゃさっさと逃げ……相棒、そっちは出口じゃねえぞ」
「黙りなさい」

 『声』を無視して、わたしはダネットとワルドが戦う場へ足を進める。

「あー……一応聞くが、自殺とかじゃあねえよな?」
「んな訳ないでしょ。あんた、さっき力を貸すとか言ってたわよね」

 何となくわかる。この『声』は、わたしの中にある力とやらを引き出すことができる。

「お? もしかして身体くれんのか? んじゃ早速所有権を――」
「やらないわよ。でも協力しなさい。悔しいけれど、わたしだけの力だけじゃ、助けるどころか邪魔になるだけだもの」

 わたしのやろうとしている事を理解したのか、『声』が焦るのがわかった。

「はぁ!? ちょっと待てよ相棒! それって俺に得なことが何もねえじゃねえか!! 第一、武器も無しに飛び込んだら死ぬぞ!!」
「もし協力しないってんなら、ダネットが死んでわたしも殺されるだけよ。わたしは逃げない。絶対にね」

 ここまで来てようやく理解した。
 この『声』はわたしが黒い剣を手にした時、あの黒い世界で出会った奴。
 『声』はわたしの身体を欲しがっている。なら、ここでわたしが死んでしまうのは『声』にとっても困るはずだ。

「…………チッ! じゃあ少しだけだ。いいか? ヤバくなったらあのセプー雌を置いて逃げろよ。あと、何でもいいから獲物を調達しろ」
「獲物って、こんなとこに何があるっていうのよ?」
「あー……そこの死体、そいつ何か持ってんじゃねえか?」

 『声』の言う死体、それは。

「皇太子殿下……」
「ハッ! ありゃただの死体だ。どれだけお偉いさんだったとしても、死んじまったら肉でしかねえよ。ほれ、さっさと行った行った」

 『声』に言われ、皇太子殿下の遺体に近付くと、むっとする血の香りが鼻を突いた。
 目の前まできて手を伸ばした所で、わたしは躊躇する。

「あ? 何やってんだ相棒?」
「……ダネットを死なせない為よね」

 わたしの言葉に、呆れた様子の『声』が響く。

「ちげえよ。相棒が生き残るためだ。わかったらさっさと獲物を探せ。じゃねえとあのセプー雌も相棒も死んじまうぞ」
452お前の使い魔 20話:2009/06/28(日) 07:01:08 ID:ThwGNcXC
 『声』の言葉に、わたしの身体がビクリと跳ねる。
 まただ。またわたしは逃げようとした。ダネットの為と言いながら、責任を押し付けようとした。
 そうだ。わたしは、わたしの意志で皇太子殿下から武器を剥いででも生き残るんだ。ダネットと共に。

「お叱りは、わたしがそちらに参ったときにお受けいたします」

 決意の代わりに謝罪の言葉を言い、皇太子殿下の遺体から、武器になりそうなものを物色する。
 小さな携帯用の杖を持っていたので、それを手に取る。武器になりそうなものは杖しかなかったが、武器とは別にもう一つのものが目に付いた。

「これは……」

 ぼんやりとだけれど覚えている。これは『水のルビー』と対になる『風のルビー』だ。
 ぼやけた記憶の中で、一際きれいな虹を思い出す。

「許されるとは思いませんが、せめてもの償いに、形見として姫殿下へお渡しいたします。どうか安らかに……皇太子さま」

 『風のルビー』を懐にしまい、杖を構える。

「こんな棒っ切れで殺し合いするとかマジか」
「でも、ゼロじゃないわ。どんなに小さい牙でもゼロじゃない。だったら、これに賭けてみせる。絶対に逃げない!」
 
 結局、わたし自身は何かの、誰かの力を借りている、無力で『ゼロ』でしかない小娘だ。
 ならせめて逃げない。貴族として、誇りあるヴァリエール家の三女として、そしてダネットの主人として。

「さあ、準備はできたわ。次はあんたの番よ!」
「あーもうクソッたれが!! こうなったらなるようになりやがれ!!」


 『声』が怒鳴った瞬間、わたしの身体の中を熱いものが駆け巡る。
 視界が急激に広くなり、気配を肌で感じ、力がみなぎる。
 ダネットを見ると、今では偏在を含む三体のワルドと切り結んでいた。

「よく聞け。相棒の体じゃそんなにもたねえ。速攻で勝負を付けろ。いいな?」
「わかったわ! 行くわよ!!」
453お前の使い魔 20話:2009/06/28(日) 07:06:16 ID:ThwGNcXC
以上で20話終了です。

この話がここまで続いたのは、読んでくれる人がいたからです。ほんともうありがとうございます。
今回も支援してくれた方、待っていたと言ってくれた方、応援してくれた方に感謝を。

それでは
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 07:10:24 ID:ft/kMepw
ダメットの人乙&GJ!
お待ちしておりました
m(._.)m
決着をwktkしつつ正座待機。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 09:28:18 ID:xAj330P9
>>402
もともとブレストファイアーならATフィールド破れる、って庵野が言ってるぞ。スパロボFの時に。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:12:26 ID:BbS1gVi/
真マジンガーの光子力ビームならATフィールドを貫通できてもおかしくはない。
あの威力はないわw
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:12:37 ID:obJ7/b+K
亀なんだが、ナイトウィザードとルイズのクロスwikiってどっかにあったような気がすんだよなー・・・。
けど探しても見つからないし・・。
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:16:21 ID:HvfFXxEM
ナイトウィザードクロスのwikiは知ってるが、ナイトウィザードとゼロの使い魔に絞ったクロスwikiは聞いたことないな
459凄絶な使い魔 8話:2009/06/28(日) 10:18:50 ID:zaeQWQW7
誰もいないなら10:20頃
凄絶な使い魔8話を投下したいと思います。
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:19:37 ID:Dy+nEMI9
今なぜかナイトウィザードのクロスでやってる学園世界にはルイズとかサイトとかタバサとか出ているが?
具体的にはボン太君BEを装備したサイトが狼の王マルコと戦ったりしている
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:20:37 ID:zaeQWQW7
凄絶8話

昨日の晩は、部屋に夕食を運んでもらった。
その時はミートパイと、チーズとワインといった軽いものだったので、元親と一緒に食べる、ちゃんとした食事というものは、
この昼食が初めてだった。
二人がアルヴィーズの食堂へ入ると、教室と同様、生徒と教師の視線が元親へと向けられる。
例によって、注がれるメイジ達の視線を全く気にした様子のない元親の振る舞いは、使用人たちからも異質に映り、とても同じ平民とは思えなかった。
途中、二人の姿を見たメイド達が好奇の視線を向けていたが、元親は知る由もない。
彼愛用の三味線をそばに立て掛けると、ルイズの隣の席に座る。

席に着くと、ルイズはモンモランシーと目が会った。

「モンモランシー、……今朝はごめん、ギーシュの事からかうつもりは無かったの、ただ……」
「……別にいいわよ、事実だし」
そう言うと、モンモランシーは隣の元親へと視線を移した。
「……それにしても、今朝、使い魔にここで食事を取らせるわけにはいかないとか言ってた人がいた気がするけど……、誰だったかしら?」

ぐっ……どうやら、まだ根に持ってるみたいね、しかも、元親の目の前でそんな事を暴露するなんて。

「そういや、そんな事言ってたよなルイズ」

元親の隣に座っているマリコルヌがすかさず口をはさむ。
ちなみに今、元親が座っている席は本来、マリコルヌの席である、来てみたら先に元親が座っていたので、
マリコルヌは異国の軍人であるという彼に、一応敬意を表し、一つ隣に座っていた。

「あ、あの時は事情があったのよ」
「へー、何よ、その事情って」
「俺の服が無かった、それだけだ……」

無表情にそう言いきると元親は腕を組み、使用人が並べる料理を見つめている。

「そう、彼の服がなくて、部屋にいてもらったのよ」
「じゃあ、そう言えばいいじゃない」
「……ハハ、そうよね、でもあの時はそうでも言っておきたい気分だったのよ」

裸で女子寮を歩き回った使い魔の噂が聞こえ動揺していたルイズには、あの時それを言う事は出来なかったわけだが、モンモランシーにわかるはずもない。

そうこうしている内に、食事の前の祈りが捧げられ、昼食がはじまる。
元親は貴族のマナーを知らないから、スープは音を立てて皿から直接飲むし、面倒だと判断したら、手掴みで食べる。
周りの目が集中したけど、本人は一向に構わん、と素知らぬ顔で食事を進めていた。
彼の様なマナー無視を、見ている者がそれほど不快に思わなかったのは、彼の食事のスピードが異常に速かった事による。
日本でいくさ場をかけている時も、握り飯や飯桶などを一瞬で平らげていたが、その速度で元親は、学院コック長マルトーが作ったフルコースを平らげて言った。

運ばれてきたスープは「ズバッ」っと、1秒で完飲。
前菜はまとめてフォークに刺して、一口。
サラダはかき込み、2秒。
若鳥の香草焼きはどうやって食べたか不明、一瞬で骨に。
デザートのパイも手づかみで一口。

ゆっくりと、味わっているのは、今飲んでいるワインぐらいだ。

ルイズ、モンモランシー、マリコルヌ、その他の生徒、教師は、彼の食事の凄まじさに、ただ驚いていた。
元親の目の前の料理が、彼が何か動作する度に、突然、皿の上からそれは消えて、それほど、大きくもない口が咀嚼しているといった感じだ。

「そう言えば、昨日の晩のパイやチーズも口にほおり込んだっけ……」

最初、注意しようと思ったルイズだったが、既に食事を終えている者に言っても意味がない。
あっという間に無くなるのだから、マナーも何もない。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:22:48 ID:zaeQWQW7
ルイズ……、ここの食事は毎日、こういった感じなのか?」
タルブ産の赤ワインを味わいながら、元親がルイズに尋ねる。

「え、どうかしたの?」

ルイズが元親の表情が若干曇っているように感じた、あれだけ勢いよく食べておいて、口に合わなかったのだろうか?
そうルイズが元親に尋ねると、彼は頭を振った。

「いや、美味い……、そのうえ、量も多い……、それが困る」

要するに、美味いから食いすぎてしまうって事?
呆れた顔のルイズに、元親はいたって真面目だ。

「人間、腹八分だ」

そんな元親はワインがいたく気に入ったようだった。
戦国時代を生きてきた元親が飲んでいた酒と言えば、濁り酒のみである。
清酒もある事はあるが、一部の寺院の独占販売品で、品自体も高価である。
ワインも宣教師の手によって、日本に入っては来ていたのだが、それは彼らが取り入ろうとする、
有力な大大名か、一部の豪商のみが手にする事ができる品だった。
元親は今飲んでいるタルブ産の赤をグラス越しに透かして見る。
若飲みワインの新鮮な果実香と甘み、薄く透き通るそれは、元親にとっては正に甘露の滴である。

「よほど、そのワインが気に入ったのね、確かにタルブ産は質がいいから無理ないけど」
「これも魔法で作った酒か?」
「違うわよ、生産管理は貴族が行っているけど……、細かな味の再現は魔法じゃ難しいしね、
第一、世の中に流通してるワインまで貴族が作ってたら、メイジがいくらいても足りないわよ」

そういうと、ルイズもワインググラスを空にした。
そうか、魔法といえども、向き不向きや、限界もあると言う事か……、そんな事を考えながらグラスのワインを一気に飲み干した。



食事が終わり、ルイズはちょっと用があると小走りに駆けて行った。
ここにいなさいよ、と言われたので壁に背を預けて彼女を待つ。
おそらく用足しだろう、昼まで元親と半壊した教室の片づけをしていたので、彼女は長時間トイレに行っていなかった。
待つ間、ふと視線を下に向けると何やら、小瓶が落ちているのに気が付いた。
拾い上げ、明りに透かして見ると、何やら紫の液体のようなものが入っているのが見える。

「どうかしましたか?」

後ろを歩いていたメイドに声をかけられた、振り返ると見覚えのある黒髪の少女がこちらに近づいてくる。

「また会ったな、……シエ」
「シエスタです……、ええっと」
「名乗って無かったな……、長曾我部だ」

名乗りあうと、シエスタは元親が持つ瓶を覗き見る。

「きれいな瓶ですね、どなたかが落とされたのでしょうね」
「そのようだ、……中身は、……とんでもない匂いだ」

栓を開け、直接匂いをかいだ元親は眉間に皺を寄せる。
その様子が可笑しくて、シエスタは笑った。
香水は微量に付けるだけでいいのだ、瓶から直接嗅ぐものではないし、元親の嗅覚にはそれは強烈過ぎたようだ。

「ちょっと待ちたまえ、君」
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:24:12 ID:ePXi4pxo
空想科学読本の考察はあてにならんと言う話もあったなぁ。
TV画面に定規をあてて速度を求めるとか設定を丸ごと無視してるとかあるから

ま、科学考証とSF考証は別、ってことで。
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:24:51 ID:zaeQWQW7
突然、声を掛けられて、元親とシエスタが振り返ると、そこにはギーシュ・グラモンが立っていた。

「今、君が言った言葉を取り消してもらおう」

強い怒りの込めた眼で元親を睨みつけると、バラの花をかたどった杖を抜く。
それを見てシエスタが顔色を真っ青に変えて、ガタガタ震えだした。

「も、申し訳ありません、ミスタ・グラモン」

額が膝に付かんばかりの勢いで頭を下げ、シエスタは目の前の貴族に誠心誠意謝罪した。
彼女は、怒れる貴族の少年が、今の元親の言葉を聞いてしまったと察した。
つまり、あの小瓶の持ち主はこのギーシュ・グラモンで、因りによってその人の前で変な匂いだなんて言ってしまったのだ。
事態に野次馬が集まりはじめ、三人を中心に周囲を囲んだ状態になる。

「ミスタ・グラモン、お怒りはごもっともで御座います、ですが、この方も悪意があって言ったわけではありません、どうか……」

元親を弁護するシエスタにギーシュは、スッとバラの杖を向ける。
それだけで、貴族の恐ろしさを知っている彼女はヒッっと声を詰まらせて、何も言えなくなってしまうのだった。
その様子を薄く笑うと、ギーシュ・グラモンはバラの杖を指で弄んだ。

「……その香水は愛しのモンモランシーが僕にくれたものでね、つまり、悪意が有ろうと無かろうと、
彼の言葉は僕とモンモランシーとの愛の侮辱に他ならない」

芝居じみた仕草で、ギーシュはそう言うと、怒りの視線を元親に向ける。

「さあ、どうした平民、さっさと頭を……さげ」

バラの杖の先端を元親へ付きつけようとした瞬間、ギーシュの横面を強力な平手が襲い、その衝撃でギーシュの体が反回転する。
その平手を放った主は、うるると目を潤ませる少女だった。

「ギーシュ様、やはり貴方はモンモランシー様と……」
「け、ケイティ、いや、これは違うんだ、話を聞いてくれないか」
「話すこと何て……、有りません、……あの瓶が愛の証なんでしょ!」

ケイティと呼ばれた少女はハンカチで涙を覆いながら、走り去っていく。

「ケイティーッ………」

少女の方へ手を伸ばした仕草のまま、しばらく固まっていたギーシュが、ゆっくりと元親とシエスタの方へと向き直った。

「君たち……、どうしてくれるんだね」

シエスタは体が固まった様に恐縮している、その彼女を背後へと守るように元親は少年と正対した。

「……何がだ?」
「わからないのかね?君がもっているその小瓶を変なにおいだなんて言ったせいだよ」

元親は手に持った瓶を眺め、ギーシュへと目を向けた。

「それと今の娘がどうかかわる?」

わかってないなこの平民は、そう言うとギーシュは大仰に顔に手を当てる。

「バラが何故美しく咲くか知っているかね?」
「知らんな」

元々美しいからか?と思ったが口に出さなかった。

465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:26:55 ID:zaeQWQW7
「バラの美しさは見る者すべての人に愛でてもらうために、美しく咲くのさ、
特定の誰かのために咲くわけじゃないから、その美しさは見る者すべての者にとって美しく感じる」
「……話が見えん」
「だから、僕はモンモランシーを愛しく思っている、そして、ケイティの愛も僕は等しく受け入れていたかったのだよ、バラの花の様に」

バラをかざしながら気障にな仕草でポーズをとるとギーシュはそう言い放った、自分をバラの花にたとえての二股宣言に、
周囲の人間も、駄目だ、駄目すぎる、と心の中で思ったが、ギーシュは大真面目だった。

「さあ、とりあえず、謝罪したまえ、話はそれからだ平民」

芝居かかった仕草から、真面目な表情へとギーシュの顔が変わり、杖を元親へと向ける。
なにわともあれ、周囲の人間もこれからの展開に勝手に盛り上がり始めた。
生意気な平民を懲らしめる貴族の図式は退屈な学院生活を送る貴族の子供達にとって、ある意味共通の娯楽でもあった。
その渦中で、元親はつまらない物を見るような眼でギーシュを眺めていた。

「ちょっと、ギーシュ!」人ごみをかき分けて、ルイズが押し入ってきた。

「やあ、ルイズ、君が召喚した平民に少し礼儀を教えさせてもらうよ」

ルイズの顔を見ると、ギーシュはそう冷ややかに言った。

「何言ってるの、チョーソカベは私の使い魔よ、勝手な真似は許さないわ!」

ルイズは激しい口調で詰め寄ると、ギーシュは肩をすくめた。

「だいたい話は聞こえていたわ、さっきの下級生に振られた事の腹いせでしょ、それがトリスティン貴族のする事!、チョーソカベに私たち貴族の恥を見せないでよ!」

ルイズの猛攻を一瞬タジタジと言った調子で聞いていたギーシュだったが、フンと落ち着きを取り戻すと、せせら笑った。

「貴族たる証の魔法が使えない君が、貴族のなんたるかを語るとはお笑いだね、貴族の恥だって?さっき教室での爆発こそが恥だろ、ゼロのルイズ」
「っ!」

ルイズの顔がゆがむのをギーシュは見逃さなかった。

「おや、自覚はあるようだね、まぁ当然だね、毎回僕らに迷惑を掛け続けてきたんだから、
ヴァリエールの人間じゃなかったら、とっくに学院を退学させられていただろうからね」

小馬鹿した態度でギーシュはとうとうと語る、それについて周囲の人間も反応は様々だが、
ヴァリエール家の威光と反して、魔法が使えないルイズを馬鹿にする者は少なくない。
特に、彼女の爆発に実際巻き込まれたことのある同級生などは、良い印象を持っていないのだから、
ギーシュに言い込められているルイズは彼らの日頃の溜飲を下げている状態だ。

「貴族の真髄は心よ、魔法も大事だけどそれを使う者が歪んでいたら、なんの意味もないもの!」
「フフフッ、君の言い分はいつもそれさ、言葉と実がかみ合わないから説得力がない、
聞いている者にとってはねルイズ、ヴァリエールの名前を笠にきるゼロが偉そうにとしか聞こえないよ?」
ギーシュの勝ち誇ったようなセリフに、ルイズ顔をしかめ、再び、閉口した。
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:27:10 ID:ePXi4pxo
っと、失礼した。
元親支援

…某所でカマソッソにされてたな元親…。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:27:39 ID:zaeQWQW7
「あらら、ルイズもちょっとはまともに言い返せばいいのに、完全にギーシュの話のすり替えに気が付かないのかしら」

少し離れた場所でテーブル事態を見ていた褐色の肌を持つ美女キュルケはロフトに続く階段の手すりに腰かけ、騒動を眺めていた。
ルイズは彼女を目の敵にしているが、キュルケ本人は一族のしがらみなど、ほとんど気にしていない。
彼女にとってルイズは面白い玩具の様な感覚と言った方が正しい、からかうと色んな反応があって面白いのだ。
キュルケが自分の横に立つ青い髪の少女の方を見る。
彼女の数少ない同性の友人の一人であるタバサである。
いつもならこう言った事には関心を持たない青い髪の少女は無表情に事態を眺めている。

「珍しいわよね、タバサがこんな騒動に興味を示すなんて」
「……気になる」

タバサの返事はいつも短い、それを聞いてキュルケは顔を輝かせた。

「ルイズが?ギーシュが?……それとも元親かしら?」

キュルケの言葉に、タバサの目が彼女の方へ向く。

「……名前、モトチカ?」
「そうよ、知らなかった?」

コクンと頷くと、タバサは再び、人垣の方へと視線を戻した。
その様子を見て、キュルケは友人が異性に対して興味を示す事自体がうれしかった。
元親は美形で、どことなくタバサと雰囲気が似ている、そこに惹かれたのねと勝手に解釈したようだ。

「まかせてタバサ、私が恋についてはいろいろ教えてあげるから」
「……?」

うんうんと、頷くキュルケに、タバサは怪訝な表情(無表情だが)を一瞬向けて、再び視線を戻した。

ギーシュが勝ち誇ったように、ルイズを見ていると、べべん!と弦をはじく音がアルヴィーズの食堂に響いた。
楽器を構え、悠然とギーシュを見つめる元親がいた。
その場にいた全員の視線が元親に集まる。
貴族同士の会話に平民が割って入ったような形だが、一種異様な迫力を漂わせる男に、その場にいたメイジ全員が口を閉じた。
彼はゆっくりとギーシュに向って歩きはじめる。

「……俺は運がいい」

元親の静かだが、誰も無視できない迫力を持った声色が響く。

「……類まれなる力と、清錬かつ不屈の魂を持つ主に仕える事が出来たのはまさに僥倖……」

元親はギーシュの前までくると、小瓶をギーシュに向って放った。

「お前のような小僧に呼び出されなんだ事を、神仏に祈らずにはおれん」

そう言うと踵を返し、何か言いたそうなルイズを伴って歩きはじめた。
人垣が割れてできた道を悠然と歩きながら、シエスタを他のメイドに預ける。

「待ちたまえ!、勝手にどこへ行くつもりだ、話は終わっていないぞ!」

元親の迫力に押されて暫し、呆然としていたギーシュが、我に帰ったように二人を呼びとめる。

「君の謝罪をまだ聞いていない」

ルイズが振り返って、ギーシュを睨みつける。

「あんた命拾いしたのよ、チョーソカベが主人を侮辱した相手を、いつまでも黙って見ている使い魔と思わないことね」

その言葉を聞いて、ギーシュも黙ってはいられない。
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:29:10 ID:zaeQWQW7
「……面白い、ではその使い魔に決闘を申し込もうじゃないか……、平民の貴族に対しての礼儀を骨の髄までたたき込んでやろう」

ギーシュがそう宣言すると、杖を元親へと向ける。
その言葉に周囲の者もオオ!と歓声を上げる。

「ヴェストリの広場だ、ルイズ、その使い魔を連れて来いよ」

ギーシュはそう言うとギャラリーを引き連れて、先にアルヴィーズの食堂を出て行った。
憤然とギーシュを睨んだまま、ルイズは決闘を拒否する事はしなかった。

「ちょっと、ルイズ、あんた何やってんのよ」
キュルケがタバサを連れて、二人に近づいてきた。

「何ってあんたに関係ないじゃない」
そっぽを向いてつっけんどんな返事を返すルイズにキュルケは猛反発する。

「大アリよ、元親はアンタだけの物じゃないんだからね!、……あんたギーシュはああ見えても結構やるわよ
ドットクラスで7体のゴーレムを操る奴なんてそういないんだから!」

確かにキュルケに言われて、ルイズは不安になる。
青銅色のゴーレムは一体で平民の傭兵5人に相当するとも言われる。
つまり元親はひとりで35人の傭兵を相手にするのと同じ戦いを強いられるのだ。

「チョーソカベ……あたし、なんて事を」、青ざめたルイズに元親は言った。
「聞いておくが……、結果、あの小僧が死んだ場合はどうなる?」
「え、……いや、それは不味いんじゃない流石に」

軽く面食らったように答えたのはキュルケだった。
学生同士の決闘は、お互いの貴族の家の問題にまで発展していくので、生死に至るまで行われる事はないという事を説明する。
降参するか、相手の杖を落としたら、そこで勝敗が決まると元親に伝える。
それを聞くと元親は、名ばかりの決闘に嘆息した。

「所詮遊戯……、殺せば、ルイズにまで類が及ぶという事か……、ならば生かしておくとしよう」

あっさりと、そう言いきると元親はルイズに場所までの案内を頼む。

「大丈夫なのチョーソカベ?」
「ああ、逆に殺してしまわないか心配だ」

そう言って、手にした蝙蝠髑髏を眺める、殺傷能力の高いそれは一撃で人の命を奪う事もある。
そんな元親にルイズも安心してきた。

「わかったわ、いざとなったら私が助けるからね!」
「フッ、上等」

元親はルイズに連れられてヴェストリの広場へと向かっていった。
その様子を呆気にとられて見ていたキュルケ、タバサが自分を置いてさっさと広場に向かっていくのを文句を言いながら追いかけた。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:29:59 ID:zaeQWQW7
以上です、次の話も書いているんですが、
仕事の呼び出しが入りました……、帰宅してから投下したいと思います。
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:33:59 ID:ePXi4pxo
お疲れ様でしたー
香水の原液をそのまま嗅いだらそりゃきついですわなw。

お仕事の方も頑張ってください〜
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:42:45 ID:mvaiKpR0
凄絶のかた、乙でした。
日曜出勤ご苦労様です。
このご時世仕事があるだけありがたいと思わなくちゃ。
ではいよいよギーシュとの決闘イベントですね。wktkしながらお待ちしております。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:44:12 ID:S6VuUeiH
>>455
「超電磁スピンなら」じゃなかったっけ?
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 11:09:07 ID:Jbap3XpX
ていうかガイナ自体その辺りの作品をパロディしたりしてるし
結構簡単に破れるみたいなことを言ってる。調べれば分かる
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 11:10:04 ID:Jbap3XpX
スマン、上げてしまった
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 11:41:14 ID:Oq7zjyf0
避難所にも書き込みましたが、
凄絶な使い魔更新失敗しましたorz。
管理人様、もしご覧になりましたら削除願います…。
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 11:55:10 ID:VL5FlL+Y
>>472
超電磁スピンで破れる位だった筈
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:02:44 ID:U8cw8acO
まあスーパーロボットの攻撃力は洒落にならんから。
反面、バリア持ってるやつは少ないんだよな。
プロレスみたいなもんだし。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:11:42 ID:YnNOu2MY
キングオブデストロイ
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:19:51 ID:4Bwv9VpH
殴(や)れ! 刺(や)れ! 犯(や)れ! ... そんなものは見えやしね―――――!!
「PSYCLOPS」の目にうつるものはただ一つ!! 破壊―――(デストロ―――イ)!!!
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:20:23 ID:ePXi4pxo
キング・オブ・ポップだって?
……彼はネバーランドに旅立ってしまったんだよ……

破壊王もエルボーの貴公子も、なぁ……
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:23:18 ID:4Bwv9VpH
マイケル特番見てるとなぁ・・・本当にマスコミ不振になるわぁ
マイケルをああなるまで追いつめたのはマスコミじゃん
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:31:15 ID:jVpDzivl
あんなペド野郎が死んでもなんとも思わん。
ムーンウォークが出来て歌が歌えれば子供をレイプしても許されるのか?
この芸能人崇拝現象には反吐が出る。
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:34:20 ID:hpX+p6ES
その幼児虐待についての裁判自体が金目当ての親子によるでっちあげだったのよね

ここにもマスコミの被害者が一人いる
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:36:01 ID:LTYW+7Tu
すれちがい
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:37:40 ID:4Bwv9VpH
>>482
そもそもそのペド疑惑をお前はどこまで知ってるんだ?
そもそもの発端は精神科医だったか誰かが「マイコーが自分の子供をレイプした。慰謝料よこせ」って言ってきたことだがな
その医者は自分の子供を薬漬けにして「自分はマイコーにレイプされました」って無理やり言わせたんだぞ?
医者の話は「レイプ体験なんて恥ずかしくて話せないだろうから自白剤使いました」なんて苦しい論理だったんだがそれがまかり通っちまったんだよ
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:38:58 ID:0nPJfslo
>>485
自分ちのガキに自白剤とか普通じゃねえな。
アメリカにもキチガイが多いから困る。
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:39:12 ID:ePXi4pxo
自分で話題に出しといてなんだが、冷静に
事実がどうであれ、死ねばみな仏様じゃて

マイケルは仏教徒じゃねぇ、というつっこみは禁止な
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:40:53 ID:X54ow0cQ
まぜマイケル談義になってるんだw
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:41:28 ID:zzEx8n9c
デストロイ……最近だとバスカッシュのアイスマンのあのボール捌きを連想してしまうな。
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:46:02 ID:/5O6TjM9
取り敢えずひとたび訴えられたら、無罪になってもいつまでも犯罪者と見なす頭の弱いのが一匹いることは分かった。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:57:12 ID:TEpXXIWw
マイケルはイスラムだからしんでも仏じゃな(ry
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:57:44 ID:jVpDzivl
>>483
>>485
そうだな、想像してみろ。
お前らの近所に40代の独身男が引っ越してきたとする。
そいつは訳のわからない服を来、近所の子供達に自分の家へ「遊び」に来ないかと誘う。
自分の家に動物園やら遊園地やらゲーセンを作り、それを使って子供達を自分の家に連れ込む。
そいつはジーザスジュースと称して子供達に酒を飲ませ、何度も彼らと「同じベッドで」寝た。
そして子供を強姦したと訴えられると家族に何百万ドルも支払って黙らせる。
その後は奇妙な、数ヶ月しか持たない結婚を繰り返し、再び強姦で訴えられるが今度は金の力で最良の弁護士を雇って無罪になる。
さて、ある日この男がお前の子供に「自分の家に遊びに来ないか?」と聞くわけだ。お前は子供をいかせるか?
よっぽどおめでたい頭をしてない限り、そんな訳は無いよな。少しでも脳みそがあればこいつがイカれたペド野郎だったって事くらい誰にでも解る。

少しは頭を使え。子供達を自宅に呼び、同じベッドで寝て、酒を飲ませ、一度ならず二度までも強姦で訴えられ最初の訴えは金で黙らせた男はどう考えたって変質者で、レイプ犯だ。
あの変態が牢屋に入れられなかったのは単に奴が金持ちで有名だったから。

>>490
OJシンプソンも無罪だった訳だが、本気で奴が殺してないと思ってるのか?
アメリカトップクラスの弁護士の腕を甘く見ない方がいい。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:58:07 ID:vU73wyeQ
デストロイと聞くとギルティギアの一撃必殺。
ジャスティス召喚したら自身が兵器だから強いかな?従わせるのが大変だろうけど。
一撃必殺喰らって爆散するワルド子爵w
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:01:49 ID:4Bwv9VpH
>>492の言った証言元が>>485な訳だが…
まぁスレチだしこれ以上は言わん
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:02:58 ID:U8cw8acO
>>492
個人的に知ってるわけでも無いのによくそこまで悪し様に書けるなぁ。
嫉妬?
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:03:00 ID:1jzu9XWs
デストローイってぇと、ウサギ?
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:05:43 ID:ujHu0hfL
>>496
幻水2のあれか?
それともアリス?
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:06:29 ID:BcahdeoK
>>492
で、どこを縦読みするの?
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:11:42 ID:ukRJaT49
>>493
ジャスティスなんて行動原理からして
人間からの自主独立だから絶対従わないだろ。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:14:00 ID:SdONAKW9
マイケルよりも>>492のほうが気持ち悪いです
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:18:31 ID:BtbT1gV+
>>500
法治国家の人間じゃないみたいだから、相手にしない方がいい。

そんなことより、胸か鮫の話でもしようぜ。
こういう時に、胸or鮫ってのが定番になったのっていつからだっけ?
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:28:24 ID:MDUsIn59
マイケルを召還する……って確か小ネタがあったな……
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:31:47 ID:0nPJfslo
7万人を踊りで消滅させるわけか
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:45:14 ID:TW+hOzbk
構うなベアード

仕事じゃなけりゃ、小ネタでマーカス召喚書いちゃってるとこですよもう
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:47:14 ID:tFxu57ik
偉大とか天才とか言われてる人間の多くは一般人からみてキッチーな方であるような………

まあ才能ある人間、成功した人間が、その属性に関係なく嫉妬と憎悪の対象になるのは世の常だし。


ルイズは今まで「才能ある立派なメイジ」にあこがれていたわけだが、
今度は自分が「立派なメイジ」としての羨望と嫉妬を他者から受ける
ようになって、それに気づいたとき、彼女の精神にどのような変化が
でるんでしょうか……?
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:53:10 ID:S6VuUeiH
デストロイってサイコビグザムのこと?
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:14:12 ID:TEpXXIWw
>>502
最終的にでっかいザンギエフと対戦だな
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:17:45 ID:XMo0Pq8u
>>505
あいつの素の性格は「聖女ルイズ」だからな。
最新刊の最初の状態が「化けの皮」にしか見えなかった。
結局、修道院ラストで剥がれたけど。っつーかあそこで自分の素性をバラすなよ。
後でこっそり抜け出すとか考え付かない辺り、真性のお花畑だよな。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:24:19 ID:k+PKnmyI
きめえ……
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:28:39 ID:XjHkJoJl
たまーに、ルイズが酷い目にあうSSが読みたくなる
アンアンはビッチじゃ無いと納得できなくなった

このスレの影響うけまくりです
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:32:23 ID:hwET8QNx
アンアン好きの俺涙目
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:41:20 ID:+HRutiZk
俺は脳筋砲撃女が酷い目に合うSSが読みたい。マンセーSSばっかでつまんね
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:52:15 ID:tetoUKU1
その手のSSは、ヘイトSSとの境界・区分け、そして如何にそうなってしまわないよう書くかの、作家の手腕が問われないか?
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:59:40 ID:b5Tr1M0e
ルイズヘイトは見たくないけど、ルイズへの歪んだ愛情が講じてルイズがひどい目にあうSSなら読みたい
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:06:38 ID:M6minR05
トラクスがアップを始めました
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:12:35 ID:SdONAKW9
マイケルならスピンシティからマイケル・フラハティを召喚
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:26:30 ID:S6VuUeiH
歪んだ愛情・・・・・「今日のわたしは阿修羅すら凌駕する存在だ!」
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:33:07 ID:c3GFDUzG
グラハムって名前のキャラ、ろくな奴がいない気がするんだが
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:34:44 ID:H8H9i4tS
アンドリュー・グラハムは・・・割とまともかも
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:35:42 ID:4c3fbGNR
>>518
グラハム・ハンコックってどーよ?
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:39:54 ID:S6VuUeiH
オルディオスを開発したグラハム大尉を侮辱する事はこのわたしが許さん
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:43:07 ID:hvBskLuX
>>518
俺は士官様だぞ
捕虜の扱いは南極条約に従ってもらおうか
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:52:18 ID:O2ZiPaDN
>>518
グラハム・ベルはどうです?
電話を発明した人だが。
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 15:57:39 ID:BtbT1gV+
エジソンさえいればベルなど物の数ではない。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:04:20 ID:S6VuUeiH
>>523
その名を聞いては黙っておれぬ、とイライシャ・グレイ
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:07:17 ID:O2ZiPaDN
>>525
あ?
負け犬が何ほざいてんの?

タッチの差で遅れたんだって?
残念だったねぇ、ほんと、ごしゅーしょーさまですwwww
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:11:17 ID:S6VuUeiH
>>526
宴会が、宴会がわるいんやー
完成したからと宴会なんぞせずすぐ特許取りに行ってればワイの勝ちだったんやー
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:22:38 ID:O2ZiPaDN
>>527
言い訳乙
早い者勝ちの特許制度で、のんびり宴会なんかするか、普通。
バーカ、バーカ。
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:31:33 ID:Xzk1qkUv
偉人がいるスレはここですか
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:37:00 ID:+HRutiZk
>>528
嫌に嫌うんだなw親の仇か?w
ああ、あと発明王がお前呼んでたぞ。なんか電気イスいじってたけど
531ウルトラ5番目の使い魔:2009/06/28(日) 16:37:41 ID:Nx3X1NzN
こんにちは、昨日の水戸黄門の方、GJでした。
あれならトリステインも安泰ですね。私は飛猿が好きだったんですが、才人はむしろ矢七のポジションですか。
 
では今週分の54話、『烈風』カリンの知られざる伝説の最終回を投下しようと思います。
今回のレス数は13です。
開始時刻は例によって00狙いで16:45よりお願いします。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:42:17 ID:QLffjPbd
OKです、支援ですぅ
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:45:23 ID:ft/kMepw
ウルトラ支援
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:45:47 ID:FC6UzKzt
大昔の同人ネタだが
ギレン「ヒットラー……電球を発明した人物ですな」
デギン「違う!!」
ギレン「え? え? では雷が電気だと証明した!?」
デギン「ドアホウ!!」
とかいうのがありましてね……。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:47:13 ID:FC6UzKzt
やべェ、支援ヌ
536ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (1/13):2009/06/28(日) 16:47:14 ID:Nx3X1NzN
 第54話
 間幕
 『烈風』カリンの知られざる伝説
 戦士から母へ……
 
 古代怪鳥 ラルゲユウス
 大蛙怪獣 トンダイル 登場!
 
 
 戦いは終わった。
 吸血怪獣ギマイラはウルトラマンダイナによって倒され、奴の巣にされていたタルブ村も解放された。
 操られていた人々も、村人たちは極度の貧血状態に陥っていた者が何人かいたが、命に別状のあるものはなく、
マンティコア隊の隊員たちも、重傷者は軽傷者の操るマンティコアで近隣のラ・ロシュールの医療施設へと搬送されていった。
 
「隊長……」
「もうしゃべるなゼッサール、今は自分の体のことだけ考えろ」
「はい……隊長……隊長なら、必ず、きてくれ……」
「気を失ったか、急いで運んで専門医の治療を受けさせろ。絶対に死なせるなよ」
 瀕死の状態であった副隊長ゼッサールも、ギリギリのところで治療が間に合い、衛生兵の『治癒』を受けながら
運ばれていった。
 
 そして、後に残ったのはカリーヌと、事後処理に残ったわずかな隊員たちだけだった。
「誰も何も覚えていないか、まあそのほうが幸せだろうな」
 カリーヌは村人たちが半分呆けたような顔で、村に残った衛生兵の治療を受けている姿を見守っていた。
 ギマイラに思考を操られていた人々は、当然その間の記憶がない。村人たちは、操られていたことも、血を
吸われていたことも知らずに、数日間欠落した記憶に戸惑い続けていた。
 そこへ、GUYSの制服から村人の服へ着替えた佐々木が松葉杖をつきながらやってきた。
「ササキ、もういいのか?」
「ああ、おかげさまでな。君のところの衛生兵もなかなかいい腕をしている」
 カリーヌは何も言わずにうなづいた。あの後、撃墜されたガンクルセイダーは森の中に不時着し、彼は傷ついた身を
押して確認しに行ったのだが、どうやら誰にもばれてはいなかったようで、やっと手当てを受けていた。
 すでに空を覆っていた暗雲もうそのように晴れて、今は赤い夕日が彼らを後ろから照らしている。その牧歌的な
風景を見る限り、ここが怪獣に襲われていたとはとても信じられなかった。
「この事件のことは村人たちには知らせないほうがいいな……」
「そうだな」
 無感情に、短くカリーヌは答えた。ガンクルセイダーのことや、なによりウルトラマンダイナのことを説明するのは
難しいだけにかえってそのほうが都合がいい。ギマイラのことも、カリーヌが倒したということで落ち着いたし、
時間が経てば有象無象の事件の中に埋もれていくだろう。
「ふぅ……」
 だが、対外的にはそのほうがよいと分かっていながらも、釈然としない気持ちをカリーヌはぬぐい得なかった。
「どうしたね?」
「他人の戦果を横取りするようなまねをして、気が楽なはずはないだろう。それに、今回は自分の未熟をいやと
いうほど思い知らされた。何が『烈風』だ、何がマンティコア隊隊長だ、とんでもない自惚れだった」
「そうだな」
 表情を変えぬままに、佐々木はひとつ前と彼女と同じ答えを返した。それが、誇り高いカリーヌにとって、
どれほどの屈辱になるかは彼女の顔を見ればわかる。しかし、半端な慰めは返って彼女のためにはならない。
屈辱を知らずして人間に成長はない。
537ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (2/13):2009/06/28(日) 16:48:22 ID:Nx3X1NzN
「そう思うなら、もっと強くなることだ」
「ああ……」
 心身ともに、改めて鍛えなおそうとカリーヌは決意した。複数の呪文の同時使用の限界、極限状態での
判断力の維持、今回の戦いを経て彼女が足りないと思った課題は多い。そして、目的のために必要な努力を
惜しむような性格をしてはいない。
 けれど、その決意に隠れた危うさに気づいていた佐々木は、この若獅子がまた道を踏み外さないように
一言を付け加えた。
「ただ、願わくばこの戦いにどうして勝てたのか、その理由は決して忘れないでいてくれよ」
「……結束、か」
 それは、部下を率いて戦ったことはあるが、力を合わせて戦ったことはないカリーヌにとって、新鮮で驚きに
満ちたことだった。どんなに強くても、独りよがりな戦い方では、自分より強い敵には絶対勝てない。しかし、
弱くても結束することによって、あの凶悪怪獣を倒せたではないか。
 確かに、最後に怪獣にとどめを刺したのはウルトラマンだ。しかし、奴を霧から引きずり出したとき、
佐々木がギマイラの人間怪獣化光線を身を挺してかばったとき、ラブラスの正気を呼び戻したとき、
ウルトラマンにカリーヌが力を与えたとき、そして息絶えた佐々木を蘇らせたとき、誰一人欠けてもこうして
立っていることはできなかっただろう。
 この後に、カリーヌはマンティコア隊を除隊し、領地を家臣の者に預けて一人で旅に出ることになる。
ガリア、ロマリア、ゲルマニア、さらにはエルフの住まうという砂漠地帯まで、そのときの彼女の戦いが、
『烈風』カリンの最後の伝説として語り継がれることになるが、それはまた別の話である。
 そして、戦いの終わりは、別れの始まりでもあった。
「ところで、ティリーちゃんとは仲直りしないのかい? 彼女たちは、もうすぐ立つというぞ」
「……」
 カリーヌは無言のままうつむいた。元々、ティリーはアルビオンへの旅の途中であり、いつまでも
ここにとどまっているわけにはいかない。また、同じところにずっといると、彼女がエルフだということを
誰かに勘付かれる危険性もある。
 しかし、彼女の頭の中ではいろいろなことが渦を巻いて、さっきから少しも落ち着くことができない。
ティリーに杖を向けてアスカに止められたあのとき……
「お……おともだちになりましょう」
 自分を殺そうとまでした相手に向かっての、完全に予想を裏切るその言葉にさしものカリーヌも完全に
毒気を抜かれて、返す言葉が見当たらずに、あろうことかそのまま踵を返して逃げ出してしまった。思い返すと
激しく自己嫌悪が湧き上がってくるが、このままうやむやにしていいはずはない。
 とはいえ、こういうときにどう言えばいいのかといえば、正直全然わからないというのが本音だ。学生時代も
友人の一人も作らずに、学業、修練に打ち込む毎日だったから……灰色の青春だと馬鹿にしていた奴の、
忘れかけていた冷ややかな顔が今になって浮かんでくるのがなんともうらめしい。
「ともだち……か」
 この悩みには、成績優秀だったのもなんの役にも立たない。かといって、佐々木に助言を求めるのも
プライドに反するのでできないでいたが、そこは年の功である。カリーヌの心境を的確に読んだ佐々木は
軽く彼女の肩を叩いた。
「喜んで、と言えばそれでいいのさ。ま、これに必要な勇気は、戦場で敵を撃つより十倍勇気がいるんだがね」
 そういうものかといえば、そういうものとしか言いようがない。第一、友情というものを論理的に語れと
いうところにそもそも無理がある。が、そろそろ悩む時間もなくなりそうだ。
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:49:50 ID:FNrztN2C
たまにはゼアスとかジョーニアスのことも思い出してあげてください支援。

……そう言えば何気にウルトラマンって「ス」で終わるのが多いな。
539ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (3/13):2009/06/28(日) 16:50:06 ID:Nx3X1NzN
「カリーヌさん……」
 振り向くと、そこには旅支度を終えたティリーと、荷物持ちをしているアスカの姿があった。
 ティリーはまたあの大きな帽子を目深にかぶっているが、視線はまっすぐにカリーヌを見つめてくる。
「行くか……?」
「はい、今から行けば、次のスカボロー行きの便に間に合いますので……お世話になりました」
 ぺこりとおじぎをするティリーの姿を、カリーヌは無表情のままで見ていた。
 エルフは人間の敵、そう教えられ続けてきたカリーヌは、初めて本物のエルフを見て、ほぼ無意識のうちに
杖を向けていたが、アスカに必死で止められて頭を冷やして、その相手に一度は命を救われたことを思うと、
平然と教会の教えを履行する気分にはなれないのも事実であった。
 もちろん、カリーヌは狂信者でもなければ殺人趣向家でもない、恩義もあり、同じ釜の飯を食べた仲間を
手にかけることを喜ぶ気持ちは一片もない。それでも、ハルケギニアに住む者にとって教会の教えとは
精神の根幹にあるものであり、エルフが数千年にわたって恐怖の対象であったことは事実であるから、
簡単にそれに逆らうことはできない。しかし、同時にアスカが放った一言が楔のように彼女の心に突き刺さっていた。
"教会だの法律だの、他人の決めたことじゃない、あんた自身がどう考えてるかってことだ"
 自分で法律や教義の是非を考える。出るところに出せば異端審問にかけられそうな台詞だが、これまで、
国法と教義をそのまま盲信して従ってきたカリーヌにとっては、頭を氷のハンマーで叩かれるような感触をともなって響いた。
「自分で、考えろ……か」
 軍人は、任務には私情を挟まずに、どんな命令にも忠実に実行するべし。軍人であるための、それは基本で
あるが、軍隊とは破壊と殺戮を国法のもとに正当化させた暴力機械であるだけに、冷静に考えるとそら恐ろしいことである。
良心と羞恥心が欠如した高級軍人の命令を、いつもは善良な一般兵士が愚直に実行した結果の虐殺、略奪などは
古今東西枚挙にいとまがない。
 そういうとき、義務と良心のどちらに従うべきか……自分の中ですでに答えは出ている。しかし、それをいざ形に
するには、まだあと一歩足りず、彼女はそれを自分にこれほどの難題を押し付けることになったエルフの少女に、
杖を持たずに、同じ目の高さとひとつの質問を持って求めた。
「ティリー……お前達エルフは、人間のことを蛮族と呼んで忌避しているのは聞いている。しかし、お前は
あのとき友達になりたいと言った。しかも、命をとろうとした相手に向かって……いったい、お前はなんなんだ?」
 その問いに、答えが返ってくるのには長い時は必要としなかった。彼女は困ったような、いや恥ずかしそうに
顔を紅く染めながら答えたのである。
「えーっと……そう言われましても、私は別にそんな特別なものじゃないと思います。それは砂漠では、人間を毛嫌い
している人も大勢いますし、実は私もそうで、旅をしている間ずっと不安でしたけど、アスカさんは会ってすぐに……」
 アスカとティリーが会ったとき、行き倒れかけていた彼を救ったティリーは、その後恩返しに目的地まで護衛
してやると言った彼に、恐る恐る「お友達になってくれませんか?」と尋ねたところ、「オッケー! そんな堅苦しく
すんなよ、旅は道連れ世は情けってな!」と、アスカは簡単に了承してくれた。それが、一人旅を続けてきた
ティリーにどれだけ救いになったか。
540ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (3/13):2009/06/28(日) 16:52:03 ID:Nx3X1NzN
「わたし、それでお友達ができるって、こんなうれしいものなんだなって、それでカリーヌさんも皆さんも
すごくいい人ですし、あなたとケンカなんかしたくないと思っただけで……」
 しどろもどろ、汗をかきながら言葉をつむぐティリーの必死な姿には、殺気を持ち続けるということこそ困難だろう。
最初は裏があるのかと疑ったが、これでは疑ったこちらのほうが恥ずかしくなってくる。
「あ、あの……」
 厳格な国語教師に読書感想文を採点されるのを待っているようなティリーのまなざしを見るうちに、カリーヌは
何もかも馬鹿馬鹿しくなっていくのを感じていた。
「ふふふ……はっはっはっは!」
 ふいに笑いが込み上げてくる。それはそうだ、自分はなにを真剣に考え込んでいたんだろう。エルフだから? 
異教徒だから? ましてや決まりだから? 冗談ではない、弱いものいじめのどこに正義があるのか?
「あの……」
「いやすまん、だが……悪いが、えーと、あのときの言葉を、その、もう一度言ってくれぬか?」
「えっ?」
 怪訝な顔をしているティリーに、カリーヌは恥ずかしそうに言葉を付け加える。
「だから、その……さっきの……まだ私は答えを言ってないから……その」
 歯切れが悪いが、それはカリーヌの精一杯の勇気を振り絞ったものだった。けれど、もう何が言いたいのかは
子供でもわかる。ティリーはにっこりと笑うと、両手を静かに差し出して言った。
「お友達に、なってください」
「……よ、喜んで」
 差し出された手を握り、仮面の中に長い間隠されていた本当のカリーヌの笑顔が、ぎこちない言葉とともに
白日にさらされた。
「ふふっ、ふふふ」
「ははっ、はははは」
 少々苦笑いが混じるが、ようやくお互いに顔を見て笑えるようになった二人を、佐々木とレリア、それから
アスカはそれぞれ楽しそうに眺めていた。
「おうおう、まったく楽しそうにしおって」
「おじいちゃん、そりゃそうよ、新しく友達ができてうれしくない人なんていないもの。最初は怖かったけど、
やっぱりすごくいい人だったわね」
 昨日、初めて会ったときとはもう別人のようだ。他者を寄せ付けなかった雰囲気が和らぎ、人間らしさが
はっきり表に出てきている。大きな挫折を経験し、助け助けられることの重要さを知ったことが、彼女を
人間的にも成長させたのだろう。
「うーむ、人間変われば変わるもんだなあ……何度侵略に失敗してもぜんぜん懲りないうっとうしい宇宙人たち
にも見習わせたいもんだぜ」
 そのとき、時空を超えた場所でとある三人組がくしゃみをしたかは定かではない。
 けれど、本来友人とは宣言してなるものではなく、自然と隣にいるものである。その点では、なんの気兼ねもなく
語り合うことのできるこの三人も、すでにカリーヌにとってはかけがえのない友と呼んでよい。
「ところで佐々木さん、俺はまた元の世界に戻るために旅を続けるけど、あんたはどうするんだ?」
 そのアスカの問いに、佐々木はタルブ村の風景と、孫娘の姿を交互に眺めて、深くため息をついた。
「私は、ここに骨をうずめるつもりだ。地球へ帰るには、私は少々ここに長くいすぎた。それに、いまさら
戻ったところで私の居場所はあるまい」
 第二の故郷を、残りの人生をかけて守るという佐々木の意思に、アスカは黙ってうなづいた。
 平和を取り戻したタルブの平原に、出身も身分も何もかも違う5人の明るい笑い声が、誰をはばかることなく
響き渡り、空に消えていった。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:53:56 ID:mTrHAyJR
まな板ウルトラファイト支援
542ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (5/13):2009/06/28(日) 16:53:58 ID:Nx3X1NzN
 こうして、ハルケギニア全体の運命を揺るがしかねなかった事件は、たった5人の活躍のうちに完全に
解決し、そしてたった5人の心の中にのみその真実を残して幕を閉じた。
 
 だが、時間は無情に別れの時を告げる。アスカとティリー、カリーヌと佐々木とレリアは、惜しみつつ
最後の言葉をかわした。
「それではこれで……それにしても、何もかも夢だったようですね」
「ああ、私達5人だけのな……けれど、いい夢というのは人に言うとご利益がなくなってしまうものだ」
 佐々木の暗示したことを、他の者達も口には出さなかったが理解した。ウルトラマンダイナの登場やエルフと
関わったことなどが公になれば、誰にも益をなすことはないだろう。異端審問の特権を使いたがる神官や、
カリーヌを陥れて自己の栄達を図ろうとする貴族など、人面獣心のやからに絶好の口実を与えることになる。
「30年……少なくともそれくらいは、この事件のことは我々のうちに秘めておこう。その後は、子供なり孫なりに
話してやればいい。独創性に欠けた昔話にくらいはなるだろう」
 佐々木とアスカ以外の者達は、そこで少し老いた自分達の目の前で、つまらなさそうに昔話を聞いていた
子供達が、やがて聞き飽きてすやすやと眠っていく姿を思い浮かべた。
「フッフッフッフッ……」
 思ってみて、カリーヌは笑いがこみ上げてくるのを抑えられなかった。この私に子供がか。さて、生まれてくるとして
どんな可愛げのない悪餓鬼になるか。
「アスカ」
「うん?」
「お前にも、いろいろと教えられた。私はとうに一人前になっていたつもりだったが、まだまだ軟弱な未熟者だったよ」
「おいおい、あんたが未熟者なら、俺はまだおしめもとれない赤ん坊だよ。でも、俺もあんたに会えてよかった。
短いあいだだったけど、楽しかったぜ」
 カリーヌは軽く頬を緩めて苦笑した。今まで、自分と会って楽しかったなどいう人間はいなかった。本当に
このお調子者には驚かされる。しかし、こうして別れを前にすると名残惜しさが沸いてくるのはなぜだろう。
「また会おう」
「ラジャー」
 がっちりとアスカとカリーヌは握手を結び、そしてお互いに踵を返すと、振り返ることなくそれぞれの行くべき
道へと歩み始めた。
「じゃあ、わたしも行きます。ササキさん、レリアさん、お世話になりました」
「こちらこそ、君は命の恩人だからな。何かあったら遠慮なくうちに来い。エルフのひとりやふたり、面倒みてやる」
「さようならティリーさん、道中の無事を祈ります。またいっしょにヨシュナヴェを作りましょうね」
 短く別れをすませると、ティリーもアスカについてラ・ロシュールの方角へと旅立っていった。
543ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (6/13):2009/06/28(日) 16:55:48 ID:Nx3X1NzN
 後には、本当にうそのような平穏と静寂が、夕食の調理を始めた家々の明かりと夜の闇とを包んでいた。
 
 …………
 
「そうして、アスカさんとティリーさんは旅立っていきました。彼らが、その後アルビオンでどうしたのかは、
私も知りません。けど、あの人たちのことです、何が起きてもあきらめずに、今でも前に進み続けていると信じています」
 時は、30年前から再び現代に戻り、天高く上った月の光が窓からガンクルセイダーの銀色の機体を照らす中で、
レリアは昔話を締めくくった。
 後には、呆然とした様子で話の内容を反芻している一行の姿が残っていた。
 ルイズもシエスタも、自分の母親が30年前にそれほどの戦いを潜り抜けてきたとは信じられずに、しかし
それがまぎれもない真実であることを確信せざるを得なかった。
 また、才人もそれらの話にも増して、あの旧GUYSの生き残りの佐々木隊員の活躍や、ウルトラマンダイナの
戦いなど、ヤプールの襲来以前からハルケギニアでも怪獣が現れていたのだと深刻に考え込んでいた。
考えてみれば地球と同じように生命にあふれた星である、血を求めてやってくるギマイラのように、昔から
この星を訪れた怪獣や星人は人間達が知らないだけで、かなりな数に上るのではないか……最初にダイナが
戦ったアリゲラも渡りの最中だったのかもしれないし、オルフィたちや先日のザラガスのようにこの星に元々
住み着いていた怪獣も数多い、ましてやヤプールがいる今となっては……
「アスカさん……あんた、30年遅くこっちに来てほしかったな……」
 今、アスカがどうしているかはわからないが、ヤプールが大規模侵略をしている今、もしまだハルケギニアに
いたらこの状況に黙ってはいないだろう。となれば考えられるのは、すでに亡くなっているか、もしくはもう
ハルケギニアにはいないか……しかし、ウルトラマンが簡単に死ぬはずはない。
「アスカって人は、絶対に帰る方法を見つけるのをあきらめはしなかったはずだ……となれば答えはひとつ、
何かの方法でこの世界を後にしたんだ……これは、是が非でも俺もアルビオンに行かなくっちゃな」
 才人は、このハルケギニアでヤプールを迎え撃つ以外の目標をはじめて見つけて、決意を新たにした。
ダイナの足跡を追う、きっとそこには何かがあるはずだ。
 一方、ほぼ傍観者として聞いていたキュルケとタバサは、昼間の疲れから話の途中で寝てしまったアイを
ロングビルに背負わせた後、自分達なりに今の話を吟味していた。
「どう思う、タバサ? あのうわさに聞く『烈風』を倒すほどの怪物がいたなんて」
「恐らく、全部本当。空から落ちてきた魔物には、昔から多くの伝承がある。それに常識を超えた怪物なら、
わたしたちも戦った」
 二人は、ついこの間のエギンハイム村での戦いを思い出した。先住魔法の使い手の翼人と彼らの伝説の
守護神の力を借りても、ようやくギリギリのところで倒せた怪物、それにタバサはそれ以前にも火竜山脈で
毒ガス怪獣ケムラーとも戦っている。
「と、なると……ある日突然頭の上から化け物が降ってくるかもしれないってことね。はぁ、迷惑な話だこと」
 そうはいっても、つい数年前までの地球がまさにそんな状況だったのだ。空からは宇宙人、地底からは
大怪獣、そんなぶっそうな中で学生生活を送ってきていたのだから、才人はけっこう度胸が据わっている。
544ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (7/13):2009/06/28(日) 16:56:52 ID:Nx3X1NzN
 だが、誰よりもショックを受けていたのはやはりルイズだった。
「『鉄の規律』をモットーとしてきたお母様が、あのお母様が自ら法を犯したことがあったなんて……」
 ルイズにとってのカリーヌは、恐怖と畏敬の対象であって、完全無欠、その言葉が人の形をとっているとしか
思えない、まさに天の上の存在だったのだ。
 けれど、レリアは30年前よりしわを刻んではいるが、暖かみには少しの変わりもない笑顔をルイズに向けて語りかけた。
「もちろん、カリーヌ様も法を破ったということは重々承知していましたよ。国に帰られた後、あの方は部隊全滅の
責任と自らへの戒めとして、1週間謹慎の上、断食して再出仕したときには幽霊のようにやせこけていたそうです。
それでも、救いたい人のために、あの人はあえて禁を犯したんです。あなたも、いつかわかるでしょう」
 自分以外のもののために自分の矜持を曲げる。常に誇り高くあろうとしてきたルイズには、それがどれほど
苦しんだ末の決断だったのか、おぼろげながらわかる気がした。
「けれど、あのお母様にそんな時期があったなんて、やっぱりとても信じられないわ」
「あの人は、自分にも他人にも大変厳しい人ですから、冷たく見えてしまうかもしれませんが、本音はとても優しい人
なのですよ」
「そんな、お母様が……」
「やれやれ、あの人は今でも不器用なところは変わってないようですね。けれど、あの人だって人間ですよ。
悩みもあれば、苦しみもしていました。ただ、その理由が他の人とは違っていたから、そうは見えなかった
だけで、人と比べて強すぎるけれど、決して万能ではない自分の力におぼれないように、常に自分を律して
いました。けれど、普段自分を出し切れないことは、どれほど苦痛だったか」
 力に心が飲み込まれないように自分を押し殺す。力がありすぎるからゆえの苦悩、ルイズは、これまで
強い力を持つ人を内心でうらやんでいたが、彼らにも力を律しなければならない苦しみがあったのだ。
それに比べれば、ただ爆発を起こすしかない力を振り回し、感情を好き放題に発散できる自分は
気楽なものなのかもしれない。むろん、だからといって力を感情のままに振りかざして弱者をいたぶることに
快楽を覚えるような、有象無象の三流貴族と同類になりたいとは死んでも思わないが。
 また才人も、ウルトラマンであることを隠して生きている自分達ともどことなく似ていると思った。
感情のままに動くにはウルトラマンの力は強すぎる。その力を使うべきときを見極める、ウルトラマンの重圧は、
全てのウルトラマンが等しく味わってきたものだ。
 レリアはそんな風に、自分の旧友の娘が母の本当の心の一端を知ってとまどうのを、落ち着きを取り戻す
までじっと見ていたが、やがて改めて話を再開した。
「そうやって考え込むしぐさも、あの人とそっくりですね。ああそうだ、これは秘密なんですが、実はあの人は
今でもたまにこの村に来ることがあるんですよ」
 それを聞いて、今度はシエスタがびっくりした。
「えっ、お母さんもしかして……昔からたまにうちに来ていた青いローブの親戚のお姉さんって」
「そう、お忍びで来ていたカリン様よ。あなたも小さいころはよく遊んでもらったわね」
「そ、そんな……そういえば、なにをしているのかよくわからない人だったけど」
 自分の知り合いが、まさかそんなすごい人だったとは知らずに、今更ながら愕然としている娘を横目で見ながら
レリアは話を続けた。
545ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (8/13):2009/06/28(日) 16:58:29 ID:Nx3X1NzN
「あの人は、公務の合間を縫って、祖父とよく話していました。また、この神社を建てるときにも、飛行機に固定化を
かけるときにも、惜しみなく助力してくれたものです。祖父が亡くなってからは数は減りましたが、それでもうちの
ヨシュナヴェが大変気に入ってくれたみたいで、無くなることはありませんでした。それで、今から24年前と21年前、
そして17年前、そのとき尋ねていらしたときの様子は忘れることができません」
「それって、もしかして」
「そう、あなた方三姉妹をそれぞれ身ごもったときです。あのときほどあの方が笑っていらしたときはありません。
本当にうれしそうに言うんです。男か女か、自分に似てくれるかなって、特にあなたのときは、私はあのとき
すでにシエスタを身ごもっていましたから、特に喜んで、"この子とお前の子は違う身分の元に生まれる。しかし
願わくば、いつか出会ったとき、そんなつまらぬ垣根を越えて、共に歩める本当の友になってほしいものだな"、と」
 数奇な巡り合わせだと、ルイズもシエスタも思っただろう。ほぼ同い年なだけでまったく触れ合うことなく育ってきた
二人が、魔法学院の生徒とメイドとして出会い、才人をきっかけとして奇妙な友情を抱くようになったことには、
目に見えない運命の導きを感じざるを得ない。
 それでもなお、ルイズにはまだあの母にそんな一面があったとは信じきれなかった。ルイズが物心ついた頃から
常に毅然としていて、誰にも弱みを見せたことのない母、教育に厳しくて、自分たち姉妹の嫁ぎ先のことしか考えて
いないように思えた。魔法が使えない女の子は、きちんとしたところに嫁ぐことはできませんよ。そんなことばかり
言われていた気がする……けれど、そんなルイズをレリアは優しく諭した。
「いいえ、ようく思い出してごらんなさい。たとえ普段は厳しくても、自分の子供を大切に思わない親なんていないわ、
いつだって心配してくれて、あなたを守ってきてくれたはずよ」
 その導く言葉は、母として有無を言わさぬ強さを持っていた。そして、導きに従って記憶の泉の底からひとつずつ
思い出をさらううちに、ルイズは忘れかけていたひとつの事件のことを思い出した。
 
 それは、ルイズが8つのときの、ある嵐の夜。ラ・ヴァリエールの屋敷で風の音に怯えながらルイズはベッドに
もぐりこんで震えていた。この日は、いつも幼いルイズの面倒をよく見てくれるひとつ上の姉が体調を崩して
いたために、ルイズは一人で孤独に怯えて夜の明けるのを待っていた。
 しかし、嵐の恐怖はさらに狂騒となってルイズを襲った。深夜、荒れ狂う風雨の中に紛れ込むようにして
忍び寄ってきていた怪しい男がルイズの部屋の窓を割り、彼女を無理やり連れ去ったのだ。
 当時、たった8歳だったルイズには当然抵抗できる力はなく、犯人と思われる仮面をつけたメイジの腕の
中でただ泣きじゃくっていた。
 森を抜け、泉を超え、屋敷がどんどん遠くなっていくにつれて、恐怖は絶望へと塗り替えられていった。
自分がなぜ連れ去られたのかは、幼いルイズにはわからなかったが、このままだと二度と家に帰ることは
できないと察することはできた。
 だが、領地のはずれの川に差し掛かったとき、ルイズの耳に聞きなれた鳥の声が響いてきた。
546ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (9/13):2009/06/28(日) 16:59:19 ID:Nx3X1NzN
「ノワール……おかあさま……」
 それは、危急を知って飛び出してきたカリーヌが、間一髪駆けつけてきたのだった。
 
"くっ……なぜここがわかった!?"
"簡単なことだ、わが領内で我らの追撃を逃れる術はない。ならば領地を抜ける最短ルートを読んだだけのこと。
私の娘は、返してもらうぞ"
 
 それからの記憶はルイズにはほとんどない。わずかに、風を切る音がしていたことから思うに、犯人も風の
メイジだったらしいが、所詮『烈風』の敵ではなく、気がついたときにはルイズはノワールの上でカリーヌの腕に
抱かれていた。
「おかあ……さま」
「ルイズ……よかった……無事で、本当によかった」
 そのときの母の姿は、嵐の中で美しいブロンドの髪はしなだれ落ち、着替える間もなく飛び出してきたドレスも、
雨と戦いで見る影もなく崩れきっていた。けれども、その顔にはいつも張り詰めている冷たさはどこにもなく、
その顔を一目見たときから、安心感に包まれたルイズは、強く抱きしめる母の腕の中では嵐の冷たさも
感じることはなく、急速に眠りの中へと落ちていった。
 その後の顛末は、犯人はルイズを連れて逃亡しようとしたものの、カリーヌに阻まれてルイズを捨てて逃亡、
しかしカリーヌはルイズの安全を優先して追撃はかけなかったために、おそらくは生きているものと思われるが、
この事件は公爵家の娘が誘拐されかかった不名誉なこととして、表ざたにされることなく闇に葬られた。
 一方、無事に救われたルイズも、強すぎる恐怖体験に対する心の防御機能から、事件のことは記憶の中に
封印されて、やがて戻ってきた日常の中に埋没していった。
 だが、強い記憶はいつか心が成長したときに思い起こされるものである。
「思い出した。なんで今まで忘れてたんだろう、あのときお母様は……」
 泣いていた。娘の無事を知って、大粒の涙を流していた。あのときは、雨のしずくで隠されていたが、
今ならはっきりとわかる。孤独ではなく、わが身に変えても守りたいものの、その一端でも知った今なら。
貴族の誇りを常に尊ぶ母なのに、着の身着のままで、無残な姿になることもかまわずに、さらに公爵家を
愚弄した賊を捕らえることよりも娘の身を案じて。
 
 それだけではない。それから数年後、ルイズがアンリエッタの遊び相手として宮廷に上がったとき、
二人はある日、外の世界を冒険しようとして、グリフォンを一頭勝手に連れ出し、目的地も定めずに
飛び出させた結果、どことも知れない深い森の中に迷い込んでしまった。
 乗ってきたグリフォンも、元々乗りこなすことなどできずに逃げられてしまい、幼い二人はどうすることも
できずに、人の気配さえない森の中でさまよい続けた。
「ルイズ、ルイズもう歩けないわ……きっとわたしたち、この森の中で死ぬのよ」
「姫様、あきらめないでください。姫様は、このわたくしが命に代えても城にお帰しします。ああ、あそこに
池があります。あそこで一休みいたしましょう」
 二人は、せめて水を飲もうとその池のほとりへと走った。しかし、そこには魔物が住んでいた。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:00:33 ID:ujHu0hfL
支援
アシュリー・グラハムを忘れるな
548ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (10/13):2009/06/28(日) 17:01:28 ID:Nx3X1NzN
「ルイズ、あれはなに?」
 池のほとりにしゃがみこんだ二人の前で、突如池の水が泡立ちはじめた。二人は、いやな予感は
したが、経験の浅さからそこを動くことができなかった。そして、そこから巨大な蛙の頭が現れたときには、
すでに手遅れとなっていた。
「きゃああーっ!!」
 それは、この奥地の沼地に古くから生息していた大蛙怪獣トンダイルだった。かつてはZATの時代に
地球にも現れ、地底戦車ペルミダーU世と激闘を繰り広げた、人間を捕食する凶悪な怪獣だ。
「姫様、お逃げください!!」
 ルイズはアンリエッタの背中を押して、森の中へと逃がそうとした。彼女の高い忠誠心は幼い頃から
だったが、未熟な彼女はまだ自らがした行動がどういう意味を持つかまではわかっていなかった。
アンリエッタを逃がそうとしたとき、ルイズはトンダイルが吐き出した大きな透明なカプセルにすっぽりと
取り込まれて、そのままカプセルごとトンダイルの口の中に一直線に吸い込まれていったのだ。
「いやぁぁっー!!」
 迫ってくるトンダイルの巨大な口に、ルイズは気が狂わんばかりに悲鳴をあげた。しかしそのとき!
『ライトニング・クラウド!!』
 天空から降り注いできた雷がトンダイルの脳天に落雷し、ルイズのカプセルは池の上に投げ出された。
『レビテーション』
「きゃあっ!」
 そのまま、カプセルは来た方向を逆戻りし、恐る恐る見守っていたアンリエッタの前に下りた。
「ルイズ、大丈夫ルイズ!?」
 アンリエッタは、そのとき覚えていた水魔法を使ってなんとかカプセルを壊してルイズを救出した。
「だ、大丈夫です。それよりも、姫様こそ……」
「わたしも大丈夫です。どうやら、助けが来たみたいです」
 喜色を浮かべるアンリエッタの見ている前で、巨大な影が彼女達の頭上を飛び去っていった。それは、
見間違うはずもない母の使い魔の巨影、そしてその背に立つ鉄仮面の騎士を、見すごすはずなどなかった。
アンリエッタが行方不明になったころ、園遊会に参加していてトリスタニアに来ていたカリーヌは知らせを受けると、
帰巣本能で城に戻ってきたグリフォンの進路から逆算して、常に持ち歩いている戦装束を持って何者も追いつけない
速さでここまで駆けつけてきた。そしてこれが、ルイズがはじめて見る本気で戦う母の姿だった。
 今でも、その光景はルイズの目に焼きついている。怪獣を40体の偏在で取り囲んでの『ライトニング・クラウド』
での超集中雷撃、さらに水中へ逃げ込もうとした怪獣を、同じく40倍の『カッター・トルネード』で池の水ごと
空中へ舞い上げ、粉々に打ち砕いたのである。
 ……むろん、その後苛烈なまでの雷は無謀な冒険をやらかした二人の少女に降りかかった。
「大馬鹿者!!」
 乾いた音が二つ響き、泥の上に二人が激しく投げ出された。
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:01:29 ID:H8H9i4tS
ウルトラ支援
550ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (11/13):2009/06/28(日) 17:03:04 ID:Nx3X1NzN
「お前達が無茶をしたおかげでどれだけの人間が心配したと思う! 何かをする前に、自分達の行動で
何が起こるのかよく考えろ!!」
「うっ、うぇぇーん!」
「ルイズ、痛いよ、痛いよぉ」
 カリーヌはアンリエッタにも容赦なく平手を打っていた。ここで、王女だからと特別扱いをすれば、まだ
正確な判断力を持たない幼児は自らのエゴイズムがどんなときでも許されると錯覚し、際限なく増長していって、
やがては国を蝕む暴君の誕生を呼ぶことにつながるからだ。
 そして、泣きじゃくる二人から、この事件は外の世界を見たいアンリエッタが、お友達のルイズにそう頼み、
ルイズが他ならぬ姫様の頼みだからと後押しする形で進めたことを聞き出し、カリーヌは改めて両者を叱責した。
「まず……ルイズ! なぜ姫様を止めなかった、お前が姫様を止めていれば、はじめからこんな騒ぎには
ならなかったはずだ!」
「それは……わたしは、姫様の、おともだちだから」
「馬鹿者! 友達とは都合のいいように召使をするものではない、共に歩むだけでなく、道を踏み外そうとすれば
力づくでも引き戻すようなものをいうのだ。ただ姫様を楽しませて言うことを聞くだけなら、そこらの道化でもできる。
なんのためにお前が姫様の遊び相手に選ばれたのか、自分の役目をよく考えろ!!」
「はっ、はいぃ!!」
 それ以上平手をふるいはしなかったが、カリーヌの言葉の雷はルイズの心に食い込んでいっていた。
「それから、姫様!」
「はっ、はいっ!!」
 次にカリーヌはアンリエッタの前にひざまづき、仮面をつけたままで視線を彼女の高さまで落とした。その
眼光の鋭さはルイズのときとまったく変わらず、これまで多くの大人にかしずかれてきたアンリエッタには
経験のない、他者に威圧されるという感覚を始めて感じていた。
「姫様、好奇心の強いのはよいことです。しかし、あなた一人の勝手のためにどれだけ多くの臣下が慌てたと
思っているのです。いいえ、心配だけならともかく、あなたはルイズを……自分のお友達をあわや死なせて
しまうところだったのですよ」
「は、はい……」
 そのときアンリエッタは、はいとは言ったものの、視線はカリーヌを見返しておらずに、その内心ではむしろ
一騎士ごときがなぜ邪魔をするのかと、いわば不当に叱責されているという、幼い心にすでに巣食った傲慢さが
かいま見えていた。
 すると、カリーヌはアンリエッタの肩に手を置くと、彼女の肩を外れない程度に加減をかけながら握力を込めた。
「姫様、これだけは覚えておいてください……」
「いたっ! 痛いっ、離して、離しなさい!」
 アンリエッタの肩に激痛が走り、反射的に彼女は振り払おうともがいた。しかし、カリーヌはアンリエッタの
悲鳴にも耳を貸さない。
551ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (12/13):2009/06/28(日) 17:05:42 ID:Nx3X1NzN
「主君が主君たる器を見せなければ、臣は忠誠を尽くす義務を持ちません。もしあなたが、ルイズを、自分以外の
者を犠牲にしてでもわがままを通そうというのなら、そのときは力を持って訓をたれさせていただきます」
「痛い、痛い痛いっ、ルイズ、ルイズ助けて!」
「やめて! もうやめてあげてください」
 とうとう見かねたルイズがカリーヌの手に飛び掛っても、カリーヌは力を緩めない。
「甘ったれるな!! お前はこれよりもっとひどい痛みをルイズに与えようとしたのだ、いいか!! これが罰だ、
この痛みをよく覚えておけ! わかったか、返事は!?」
「はいっ!! わかりました、二度と、二度とこんなことはいたしません!」
 必死で泣き喚きながらアンリエッタが答えたとき、カリーヌはようやく手を離した。ルイズが慌てて駆け寄り、
震えている彼女の肩をさすってやっている。このときすでにアンリエッタの中の伸びすぎた自尊心の牙は完全に
へし折られてしまっていた。
 カリーヌは、そんな二人の姿をじっと見下ろしていたが、やがて二人の前に腰を下ろして、怯えているアンリエッタに
目じりを緩めて穏やかに話しかけた。
「姫様、今ルイズがなぜあなたをかばったか御分かりですか? それは、この子はあなたのことが好きだからですよ。
あなたにとってはただの一臣下でも、この子にとっては初めてできた大切な友達なんです。それだけでも、この子の
存在はあなたにとってかけがえのない財産になるでしょう。よく、覚えておいてください」
「はい……」
「よろしい……では、帰りますよ」
 辺境の沼地を、ラルゲユウスの翼に抱かれて一行は後にした。このときのことが、アンリエッタが『烈風』に会った
最初のことになるのだが、まだ彼女は『烈風』の正体には気づいておらず、それを知るのはさらに長い年月を必要とした。
 やがて、アンリエッタが疲労のために眠ってしまうと、カリーヌはようやく仮面を外して娘に素顔を見せた。
「お母様……」
「まったく、お前という子はいつもいつも心配ばかりかけて……けれど、よく姫様を守ってくれましたね」
 泥だらけの娘の体をぐっと抱きしめる母のぬくもりは、冷え切ったルイズの体をゆっくりと温めていった。
 その後のことは、内々に処理されたらしく、公式記録には残されていない。しかし、このときの経験が、後の
アンリエッタの人格形成に大きく影響したであろうことはまず間違いない。
 それに、ルイズもこの事件のトラウマでその後蛙が大嫌いになったものの、アンリエッタに従うだけでなく、
時に意見が違えばけんかしてでも筋を通そうとするようになった。
 だが、考えて見ればそれもこれも、みんなあのときカリーヌに救われていたらこそあることだ。あのとき、
矢も盾もたまらずに飛び出してきて、身分もはばからずに過ちを叱責してくれたからこそ、今ルイズと
アンリエッタの間には主従ではなく、本物の友情がある。
 
 それに気づいたルイズは、知っていたはずなのに忘れていた母の愛の強さに、自分が縛られていた
のではなく強い力で守られていたのだと気づき、こみ上げる感情にのどを押さえた。
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:07:28 ID:1jzu9XWs
神条しえん
553ウルトラ5番目の使い魔 第54話 (13/13):2009/06/28(日) 17:07:31 ID:Nx3X1NzN
「……」
「あの人は不器用ですけど、母としての役割を果たすことに努力を怠ったことはないですよ。あなたが
こうして立派に成長できたのがなによりの証拠です」
 親の心、子知らずとはよく言ったものだ。親が子に与える愛は純粋すぎてかえって相手には歪んで
伝わってしまう。才人も、ハルケギニアに来て以来、ずっと会っていない日本の両親のことを思い出し、
キュルケも逃げるようにして出てきた国の両親のことを、タバサも遠い過去に消えていった家族との
思い出を蘇らせていた。
「わたしったら、本当にゼロね。昔からお母様たちには迷惑をかけてばかりで……母親になるって、
本当に大変なことなのね」
「いいえ、それがわかっただけでも、あなたにこのお話をしたかいがあったわ……けど、このことは絶対
秘密にしておいてね。カリーヌさまに知られたら、怒られちゃうから」
 いたずらっぽく微笑むレリアの横顔には、昔を懐かしむ思いと、ようやく自分たちの子供にこのことを
伝えられたという満足感が漂っていた。
「さあ、そろそろ帰りましょう。皆さんのぶんのヨシュナヴェが待ってますよ」
「はーい!」
 言われてみれば、夕食を放り出して出てきたのだった。急に襲ってきた空腹感が全員に伝染し、
一行は一も二もなく賛成して村への帰途についた。
 
 けれども、村への道を歩く中、話をただ黙って聞いていたロングビルがぽつりと誰にも聞こえないようつぶやいた。
「数奇な運命か……程ってものがあるわよ……」
 
 
 続く
554ウルトラ5番目の使い魔 あとがき:2009/06/28(日) 17:10:12 ID:Nx3X1NzN
以上です。また一ヶ月もかけてサイドストーリーに付き合わせてしまってすいませんでした。
この間幕は、6巻と11巻、それからアニメ第2期を見ながら書いたものですが、ルイズは本当に家族に恵まれているなと
心から思いました。
  
さて、次回からはまた本筋に話を戻して、アルビオンを目指して空の旅に入ります。
新しい冒険を、物語の中で彼らと共に楽しみながら書いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:11:17 ID:Iv7x2UW1
乙〜

誰か毒の爪の代理頼む
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:14:21 ID:ft/kMepw
エースの人乙&GJ!
てかカリン様マジパネェw
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:26:59 ID:FNrztN2C
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:44:11 ID:H8H9i4tS
ウルトラ乙
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:49:08 ID:tetoUKU1
乙!
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:50:07 ID:o1w0oJjD
ウル5魔の人乙です
カリーヌさんのお母さんっぷりが良かったです
アルビオンについてからも、まだ一波乱も二波乱もありそうで楽しみ過ぎる…!
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:54:58 ID:QLffjPbd
ウルトラの人乙でした。
佐々木との出会い、エルフのティリーの出会い、そしてダイナ=アスカの出会い
により大きく変わり、その経験から子達に色々と教えていく等何と言いますか
「絆」と言って言いのでしょうか、兎に角素晴らしくGJでした。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 18:22:31 ID:/L6BwzmG
予約がないようなので毒の爪の代理投下いきます。
563毒の爪の使い魔:代理:2009/06/28(日) 18:23:31 ID:/L6BwzmG
アクセス規制を受けてしまいました。ので、何方か代理をお願いします。
毒の爪の使い魔の第42話です。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

年末の二つの月が重なる日の翌日、トリステインとゲルマニアの連合軍六万を乗せた大艦隊がアルビオンへ攻め入る日が来た。
その出港の日の朝、ルイズ達は侵攻軍の大艦隊が浮かぶ、ラ・ロシェールの港町へとやって来ていた。
「また来る事になったわね…」
乗っているシルフィードから身を乗り出し、眼下に広がるラ・ロシェールの町並みを見渡す。
以前はジャンガとキュルケとギーシュと、そして…ワルドと来た所。
その時はアンリエッタに頼まれて、ウェールズ皇太子から手紙を回収する為に、アルビオンへと行った。
今度はそのアンリエッタを助けに此処へ立ち寄り、アルビオンへと行く。
あの時はワルドの裏切りで任務を果たせず、皇太子までも死なせてしまった。…だが、今度は違う。
今度は絶対に死なせない。必ずアンリエッタを助け、自分も無事に戻る。そう約束したのだから。
決意に身体を振るわせるルイズの肩を誰かが、ポン、と叩く。キュルケだ。
「あんまり気を張り詰めないのよ、ヴァリエール。色々気負っているのは解るけど、いつもそんなじゃ持たないわよ?」
「そうね」
ルイズは軽く笑いながら返事を返す。
ちなみに今のシルフィードの乗員はルイズ、タバサ、ジャンガの他に、キュルケとモンモランシーも雑ざってる。
キュルケとモンモランシーは本来ならば実家に戻るべきだったのだが、ジャンガが無理やり連れてきたのだ。
だが、強引とは言え…二人ともそれほど嫌な感じは無いようだ。
キュルケは祖国の軍に志願して、女子だからと認められなかったから、この誘いは渡りに船とばかりに喜んで付いて来たのだ。
モンモランシーは表面上嫌がってはいたが、心配だったギーシュと一緒に居られる事になったので内心喜んでいた。
とまぁ、各自思惑は色々なれど、結局は一緒に居るメンバーだった。

そうこうしているうちに、一行を乗せたシルフィードは艦隊が出港の時を待っている港へと到着した。
港は世界樹の枯れ木を利用している物だ。何本もの枯れ枝の先に何十隻もの軍艦がぶら下がっている。
枯れ木とは言え、巨大樹に軍艦が何十隻もぶら下がっている姿は壮観であり、ルイズ達は目を奪われた。
「凄いわね…」
「本当…、これから戦争に行くって事を嫌と言うほど実感させてくれるわ」
キュルケもモンモランシーも呆然と呟く。
そんな彼女達を尻目に、ジャンガはシルフィードの足に結わえ付けていた荷物を外している。
布に包まれて解らないが、結構大きい物だ。
ルイズはジャンガの傍へと歩み寄り、彼が外しているそれを覗き込んだ。
「ねぇ」
「ンだ?」
「それってなに? 夕べ一晩中コルベール先生の研究室に籠もってたようだけど、それと何か関係有るの?」
「さ〜て…、どうだと思う?」
笑いながらそう返すジャンガの言葉を聞いて、ルイズは「別に」と言った。
答える気は無いと判断したのだ。流石に彼女も彼の扱いには慣れてきていた。
ジャンガは外したそれを背中に担ぐと歩き出した。
「オラ、行くぞ?」
「あっ!? ちょっと、待ちなさいよ!」
さっさと行ってしまうジャンガの後を、ルイズ達は慌てて追いかけた。
564毒の爪の使い魔:代理:2009/06/28(日) 18:25:31 ID:/L6BwzmG
乗る予定の艦は直ぐ見つかったが、その直後に護衛の兵を伴った将校に出迎えられた。
「クリューズレイと言います。ミス・ヴァリエールは何方でしょうか?」
「あ、わたしですけど?」
ルイズが名乗り出ると将校はルイズと使い魔であるジャンガのみを別の艦へと案内した。
案内された艦は『ヴュセンタール』号と言った。竜騎士隊の運用に特化された艦である。
「あの…わたし達はどうしてここに?」
ルイズが気になって尋ねたが、士官は答えない。
迷路のような狭い艦内をジグザグに移動し、やがてとあるドアの前で止まった。
士官がノックをすると中から入室を促す声が聞こえてきた。士官はドアを開け、二人を中に入れた。
随分と広々とした部屋だった。大きなテーブルが中央にあり、豪勢な衣装に身を包んだ将軍達が席に座っている。
従兵が席を勧め、ルイズはその席へと座り、ジャンガは隣の席に無遠慮に腰掛ける。
当然、将軍達は苦々しい表情でジャンガを睨み付けて怒鳴ったが、当の本人はまるで意に介さない。
少しは空気を読んで欲しい、とルイズはため息を吐く。

と、一番上座に腰掛けていた将軍が手を上げ、他の将軍達を宥めた。
その将軍はそのままルイズに視線を向ける。
「アルビオン侵攻軍総司令部へようこそ。ミス・”虚無”<ゼロ>。総司令官のド・ポワチエだ」
その言葉にルイズは緊張した。訳も解らず案内された先での総司令官といきなりの対面だ、無理も無い。
「こちらが参謀総長のウィンプフェン。そして、ゲルマニア軍司令官のハルデンベルグ侯爵だ」
紹介された二人の将軍が頷く。
それからド・ポワチエは会議室に集まった将軍や参謀達に、ルイズを紹介する。
「さて各々方、こちらが陛下直属の女官にして我々の切り札でもある”虚無”の担い手、ミス・ヴァリエールですぞ」
だが、会議室は盛り上がらない。未だ胡散臭そうにルイズと使い魔であるジャンガを見比べるばかりだ。
そんな将軍達にド・ポワチエは更に言葉を続ける。
「先のタルブでの戦いの折、敵の軍勢を食い止め、『レキシントン』号を落としたのは彼女達なのです」
その言葉に将軍達はようやく関心を持ったのか、表情を一変させてまじまじとルイズ達を見つめた。
ド・ポワチエは演技が混じった笑みを浮かべる。
「いきなり司令部に通されて驚いただろう? いやすまん。この艦が旗艦だと言うのは極秘なのだ。
見て解るだろうが、何しろ竜騎士を搭載する事に特化した艦でな、大砲も積んどらん。
敵にバレて狙われては面倒な事になるからな」
「は、はぁ……、しかし、どうしてそのような艦を総司令部にしたのですか?」
「ンな事も解らねェのかよ?」
将軍達が答える前にジャンガが口を開く。
ルイズはジト目で睨んだ。
「解らないから聞いてるんだけど?」
ハァ〜、と大仰な仕草でジャンガはため息を吐いてみせる。ルイズはカチンときたが、あえて何も言わなかった。
「戦艦は戦闘のために大砲やら、火薬やら武器を積まなきゃならねェだろが?
ンな物でごちゃごちゃしてる船にこんな広い部屋は用意出来ねェ。
だから、そう言った物が無い船が選ばれんだよ……解ったかよ?」
「良く解る説明ありがとう」
ルイズは殆ど棒読みの口調で、形だけの礼を言った。
「雑談はその位にして、軍議を続けましょう」
ゲルマニアの将軍の言葉に会議室から笑い声が消えた。
565毒の爪の使い魔:代理:2009/06/28(日) 18:28:38 ID:/L6BwzmG
率直に言ってしまえば、二人が――正確にはルイズ<虚無>が――呼ばれたのは、アルビオン侵攻の助力を頼むためだ。
アルビオンへと連合軍六万の兵を無傷で上陸させる為には、二つの障害が在る。
一つは未だ有力なアルビオン艦隊。
先だってのタルブ戦役でレキシントン号を落としたが、その数はまだ四十隻以上を残しているようだ。
対する連合軍はトリステイン・ゲルマニアを合わせて六十隻ほどの戦列艦を保有しているが、
指揮系統の違いなどで混乱が予測されており、数の差は無くなってしまうかもしれないのだ。
もう一つは上陸地点の選定。
アルビオン大陸で六万の兵を降ろせる要地の候補は二つ。
首都ロンディニウムの南部に位置する空軍基地ロサイスと、北部の港のダータルネスだ。
港湾設備の規模から、ロサイス上陸が連合軍にとっては望ましい。
しかし、真っ直ぐそこへ向かっては敵にその意図を教えているようなもの。
迎撃の準備と対策を立てる時間を相手に与えてしまう事になるのは間違いない。
ここで消耗してはアルビオン首都ロンディニウムを落とす事は叶わず、陛下の救出すら不可能となってしまう。
冷静に戦力を分析しながら一同に告げる参謀長の言葉に、将軍達は揃って難しい表情を浮かべた。
連合軍にとって今必要なのは奇襲である。
敵の抵抗を受けずに六万の兵を無傷でロサイスへと上陸させたいのだ。
その為には敵軍に連合軍が『ダータルネスへと上陸する』と思わせ、そこへ吸引するしかなかった。
敵の艦隊とロサイスへの無傷での上陸、この二つが現在総司令部が抱える問題だった。

「どちらかに”虚無”殿の協力を得られないだろうか?」
参謀の一人がルイズを見ながら言った。
「タルブの戦の時と同様に敵の艦隊を吹き飛ばせないだろうか?」
「それは無理です。あれほどの『エクスプロージョン』を放つには、余程の精神力が溜まっていないと不可能です。
精神力が溜まるのも、あと何ヶ月、何年掛かるか…」
参謀達は、やれやれ、と首を振った。
「そんな不確かな”兵器”は切り札とは言わん」
直後、その参謀は背筋が震えるような感覚に襲われた。誰かの鋭い視線を感じたのだ。
その視線を感じる方へ目を向け、参謀は息を呑んだ。
――”虚無”が自分を見つめていた。
566毒の爪の使い魔:代理:2009/06/28(日) 18:34:42 ID:/L6BwzmG
その目は細められ、冷ややかな視線を此方へと投げかけている。
まるで獲物であるカエルを睨み付けるヘビのような、殺し屋のように冷たい視線だ。
その身体からは冷たいオーラの様な物も漂っている。

ルイズはその参謀を静かに見つめながら口を開く。
「お言葉ですが、わたしは”虚無”の担い手であるだけで”兵器”などではありません。
陛下直属の女官であるラ・ヴァリエール家の三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです。
わたしがこの場にいるのは、大恩在るアンリエッタ女王をお救いする事に、陛下直属の女官として”協力”する為。
そのわたしを”兵器”呼ばわりする事は、わたしのみならず、ラ・ヴァリエール家、そして陛下に対する侮辱となります」
ルイズの視線の冷たさが増す。
「故に、軽々しい発言はどうか慎んでください。そして…わたしは”虚無”ではなく、
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールですので、ご了承の程をお願いします」
参謀は小さく頷くと、椅子の背凭れに倒れ込むようにして寄り掛かった。
ルイズはそんな参謀の様子に小さくため息を吐いた。
そんなルイズの様子を見ながらジャンガは含み笑いをする。
(キキキ…こいつも少しは出来るようになったじゃネェか? 中々の殺気だゼ)
自分の影響であるのだが、そんな事を気にしたりはしない…寧ろ楽しんでいるジャンガだった。

場を取り成すかのようにド・ポワチエが口を開く。
「艦隊の方は我々が引き受けよう。きょ――いや、ミス・ヴァリエールには敵の陽動を引き受けてもらいたい」
”虚無”殿と言い掛けて、ルイズの冷たい視線を感じたド・ポワチエは、慌てて言いつくろった。
「陽動とは?」
ルイズの言葉にド・ポワチエは誤魔化すように咳払いをする。
「先程議題に上がったとおりの事だ。我々がロサイスではなく『ダータルネスに上陸する』と敵に思い込ませてほしい。
伝説の”虚無”ならばそれ位の事が出来る呪文はあるのではないかね、ミス・ヴァリエール?」
ルイズは暫し考え込む。
敵に自分達が全く別の場所へと居るかの様に思い込ませる呪文――そんな物が在るだろうか?
そう言えば”ディスペル・マジック”を覚えた時、デルフリンガーが言っていた。”必要があれば読める”と…。
ルイズは頷き、顔を上げる。
「解りました。作戦までには使用できる呪文を探しておきますわ」
おお頼もしい、と微笑むド・ポワチエ。…相変わらず演技の混じった笑みだ。
それで用が無くなったのか、二人は退室を促された。



「ホント…嫌な感じだったわ」
自分達が乗る艦へと戻ったルイズは開口一番、そんな感想を口にした。
広々とした部屋の中には彼女とジャンガ、再度合流したタバサ、キュルケ、モンモランシーが居る。
「ま、軍人なんてそんなものよ。戦争にどうやって勝つとか、勝ったらどうするかしか頭に無いんだし。
その総司令官の将軍も、結局は自分の出世の事しか頭に無かったりするんじゃないかしら?」
爪の手入れをしながら、つまらなそうにキュルケは言う。
忠誠心に疎いゲルマニアの貴族だからこその発言だった。
当の本人を見て来たルイズも頷き、同意する。
そんな二人のやりとりを欠伸をしながら見ていたジャンガは、ふと窓の外をボーっと眺めているモンモランシーに気付いた。
「ヨォ、どうしたドリル頭?」
「何よ?」
「オイオイ、心配して声を掛けてやったってのに、冷てェな…キキキ」
「あんたに心配される必要はないわ」
「キキキ。ま、それはともかくだ…」
窓の外を覗き込む。空を行く数多くの艦隊が視界に飛び込んでくる。
ルイズとジャンガが艦へと戻った直ぐ後、連合軍艦隊はラ・ロシェールを出港したのだった。
ジャンガはそれらの艦隊を暫し眺め、モンモランシーを振り返る。
「あの気障ガキが心配だったんだろ?」
「……さぁ、どうかしら?」
モンモランシーはそっぽを向く。しかし、その頬が僅かに染まっているのをジャンガは見逃さない。
顔を近づけ、小さな声で耳打ちする。
「そんなに連れなくすんじゃねェよ…。折角、寂しがってると思って連れて来てやったんだからよ」
「う、うるさいわね。わたしは寂しがってなんかいないわ。あいつなら心配ないんだし」
「そりゃまた、信頼してるじゃねェか?」
567毒の爪の使い魔:代理:2009/06/28(日) 18:39:18 ID:/L6BwzmG
「ギーシュはこんな事で死なないわよ。あんたと決闘してからも何だかんだで生き残ってる位だし」
「キキキキキ、違ェねェ。テメェのようなバカみたいに付き添う女、ほっぽりだして死ぬほどバカな事もないしヨォ〜」
ちょっと引っかかる物言いだったが、モンモランシーは反論を飲み込んだ。
「それよりも…、ねぇ何か考える事が在るんじゃないの?」
無理やりに話題変換を試みてモンモランシーはルイズに声を掛ける。
ルイズは困った表情を浮かべる。
連合軍六万を無事にロサイスへと上陸させる為には、『ダータルネスに上陸する』と敵に思い込ませる必要がある。
さてさて、どういった手段が有効なのか皆目見当もつかない。
これが人間とかならば精巧なゴーレムでも作って身代わりに出来るのだが、今必要なのは艦隊だ。
艦隊の偽者などどうやって用意すればいい?
”虚無”でもそのような事が可能な呪文があるかどうか…。
「立体映像でも使えりゃ簡単なんだがよ…」
ジャンガが呟いた。
「立体映像?」
気になったタバサが聞き返す。
「簡単に言えばな、人の姿や全く別の景色を空なんかに映し出す物だ。
俺のいた世界じゃそれほど珍しい物じゃないし、ガーレンの野郎もご大層な演説に使ってたからな。
まァ、ここにそんな物が在る訳ねェし…、無い物ねだりしても仕方ねェゼ」
「それよ」
ポツリとルイズが呟く。
ジャンガが怪訝な表情を浮かべる。
「それって何だ?」
「今あんたが言ったの! リッタイエイゾウとかってやつ!」
「だから、無ェって言っただろうが?」
「別にそれ自体を欲しいって言ってるわけじゃないわ。重要なのはそれがどう言う物かの説明よ」
ジャンガのみならず、その場の全員が首を傾げた。
そんな事は気にも留めず、ルイズは祈祷書を開いた。そんなルイズの行動にジャンガは眉を顰める。
「おい、どうしたんだよ? 説明が重要ってのはどう言う意味だ?」
「あんた、そのリッタイエイゾウとかって物の説明でこう言ったわよね。
”人の姿や全く別の景色を空なんかに映し出す”って」
「ああ、そうだがよ。それがどうした?」
「それを聞いて思いついたのよ。何も陽動にゴーレムの様な傀儡を用意する必要は無いって事を。
”それが居る”って解ればいいのよ、”視覚的”に」
「あン? そりゃまた…どう言う意味だ?」
ジャンガは聞き返すももうルイズは答えない。目を閉じて大きく深呼吸をした後、カッと目を見開いた。
精神を集中させながら、祈祷書のページを一枚一枚慎重に捲っていく。
そして、ついにあるページが光り出し、新たな呪文のルーンが現れた。
その呪文の内容を理解し、ルイズはしてやったりと言った感じで微笑んだ。



――翌朝…、事態は急変する事になった…。
午前八時…朝の八点鐘が鳴り、戦列艦『レドウタブール』号での見張りが交代する時だった。
突如、砲撃の音が響き渡り、戦列艦の内の一隻が爆発、炎上して轟沈したのだ。
それだけではない…、虫の様な幻獣らしき物が艦隊のあちらこちらに突如として現れ、暴れ出したのだ。
突然の事に指揮系統は一気に混乱に陥ってしまった。

「チッ、何だってんだ…こんな朝っぱらからよ!?」
突然巻き起こった謎の襲撃による騒ぎで、ジャンガ達は就寝中の所を叩き起こされる事となった。
それに苛立ちながら、ジャンガは飛んで来た赤と緑の虫に爪を振り下ろす。
ガキン、と硬い物が砕かれる音がして、その虫は真っ二つに割られた状態で廊下に転がった。
その廊下に転がった物を見つめ、ルイズ達は怪訝な表情を浮かべる。
「虫……いや、生き物じゃないの?」
バチバチ、と音を立てながら火花を散らす、その虫の様な物はどう見ても生き物ではなかった。
よく見ると、どうやらそれは鉄などで出来ているらしかった。
568毒の爪の使い魔:代理:2009/06/28(日) 18:44:12 ID:/L6BwzmG
『ガレンヴェスパ』――ガーレンが製造した赤い蜂の様な形をした小型メカ。
本来は同じガーレン製造の巨大メカ『バグポッドD』から射出される支援用の機体である。
装甲は薄いが、その速度は並みの飛行機械の比ではない。
大群で敵を取り囲み、その速度を活かした突進攻撃を得意としている。

『ガレンビートル』――ガーレンが製造した緑色の甲虫の様な形をした小型メカ。
『ガレンヴェスパ』同様、本来は『バグポッドD』から射出する支援用の機体である。
速度は若干劣るが、装甲は厚くなっている。
攻撃よりは捕獲に特化しており、ハサミの様な形状をした二本のマニピュレーターで敵を挟み込むようにして捕らえる。

「ガレンビートルにガレンヴェスパ…、あの野郎…大層な出迎えをしやがるゼ」
ジャンガは忌々しそうに舌打をし、部屋への中へと舞い戻る。
何をする気だ? とルイズ達が思う間も無く、ジャンガは部屋から再び出るや、廊下を駆け出した。
その肩には例の荷物が担がれている。
「ちょっと、どこへ行くのよ!?」
「外に決まってんだろうが!」
ルイズの叫び声にジャンガは止まらずに叫び声で返した。

荷物を抱えたままジャンガは甲板へと出た。
轟沈した艦から立ち上った黒煙は、まだ薄っすらと残っている。
艦隊のあちらこちらから悲鳴や魔法などの音が響いてくる。
無数に飛び交うガレンビートル、ガレンヴェスパの姿も確認できた。
そしてジャンガは鋭い視線で辺りを注意深く見回す。まるで何かを探すように…。
と、ようやくルイズ達が追いついて来た。
「も、もう…、勝手に走り出さないでよね!?」
「……」
「ちょっと! 聞いてるの!?」
「…静かにしろ」
「え?」
真剣な表情で周囲を見回しているジャンガにルイズは何かを感じた。
「…一体どうしたってのよ?」
「敵艦を探してるんだよ」
「敵艦?」
言われてルイズ達は周囲を見回す。
しかし、周囲に見えるのは見方の艦隊ばかりだ。
「そんなもの…何処にも見当たらないじゃない?」
「…いや、居る」
「居るって言っても…」
「ガレンビートルとガレンヴェスパ……どちらも航続距離はそれほど長くは無いはずなんだよ。
だってのに、こんな空のど真ん中にあれは居た。って事はだ…考えられるのは一つだけだ」
ジャンガの言葉にタバサが答えた。
「何かによってここまで運ばれた?」
「ああ。それに、あれだけの数となればそれなりの大きさの物だろうゼ。
加えて、先程の艦の轟沈の際には砲撃音も聞こえた。だから探してるんだよ…」
言いながらジャンガは周囲に視線を向ける。
やはり敵艦は陰も形も無い…が、何か違和感はあった。
(何処だ?)
違和感の在る場所を特定するべく、神経を集中させる。

――砲撃音が再度響き、数隻が炎に包まれた。

「そこか!!!?」
叫ぶや、ジャンガは担いだ荷物を包んだ布を取り去る。
その下から現れた物を見てルイズ達は驚きの表情を浮かべた。
「あんたそれって…『破壊の箱』じゃないの!?」
それは『土くれのフーケ』によって盗まれ、それの操るゴーレムを撃退する為に自分が使用した『破壊の箱』だった。
確か、これは使い捨てとかジャンガ本人が言っていたはずだが…。
「それ…使えるの?」
「その為にあいつの研究室使わせてもらったんだよ」
言いながらジャンガは『破壊の箱』…否、『ミサイルポッド』を構える。
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 18:47:33 ID:1jzu9XWs
しぇん光のハサ…ワルド
570毒の爪の使い魔:代理:2009/06/28(日) 18:50:06 ID:/L6BwzmG
新たに取り付けた照準機を覗き込みながら、砲身を艦隊の前方へと向ける。
その狙いが何も無い空へ向けていられる事に気が付き、ルイズはジャンガに言った。
「ちょっと、そっちには何も無いじゃないの!?」
「黙って見てろ…」
そう言ってジャンガは集中する。
何も無い空の一点…、そこに照準を合わせ、引き金を引いた。
発射音が響き渡り、四発のミサイルが飛ぶ。
夕べコルベールの研究室で即席で作った物だが、出来は上場だ。
勢いよく飛び出したミサイルは数百メイルの距離を一気に突き進み――消えた。
「え?」
ミサイルが唐突に掻き消えたのを見て、ルイズは目を見開く。他の皆も同様だ。
ジャンガだけはニヤリと笑う。
「なるほどな…、そう言う事か」
そう呟いた瞬間、凄まじい爆発音が響き渡った。
直後、水滴が落ちて波紋が広がる水面のように、前方の空が震える。
その震えは徐々に強くなり、完全に歪んでしまった。
やがて震えが治まった時、前方にはそれまで無かった物が姿を現していた。
「どう言う事…?」
ルイズは呆然と呟く。それは全員の意見でもあった。

――距離にして三百メイルも無い距離の所に、三十隻以上の敵艦隊の姿が在った。

殆ど目と鼻の先に敵艦隊が突如姿を現した為、見方艦隊のあちらこちらから驚きの声が上がった。
ジャンガはミサイルポッドを肩から下ろし、床に置いた。
そこへルイズ達が声を掛けてくる。
「ね、ねぇ、あれってどう言う事!? いきなり艦隊が現れたわよ!?」
「どう言う事ってよ……昨日言ったやつの応用だ」
そのジャンガの言葉にタバサは口を開く。
「立体映像」
「え? じゃあ何…、あの艦隊は偽者だとでも言うの!?」
ルイズの言葉にジャンガは首を振る。
「…ちと違う。あれ自体は本物だ。その証拠に、今撃ったミサイルで燃えた艦が一隻落下して言ってるだろうが」
確かに、炎上する艦が一隻落下していったのが見えた。
その艦を一瞥してジャンガは言葉を続ける。
「ようするにだ、今の艦には立体映像の装置が積んであったんだよ。
艦隊の前方で、自分達の目の前の広い範囲に何も無い空の映像を映し出し、艦隊の姿を隠してたって訳だ」
「こんな近くにまで接近されても気付かれないなんて…」
とんでもない戦略性の高さだ。
これだけの距離で不意打ちを食らっては、見方はそうそう体勢を立て直す事は出来ない。
敵艦隊からは砲撃が繰り返され、次々と例の虫型のガーゴイルと思しき物が飛んで来る。
ジャンガは舌打し、ルイズを振り返る。
「オイ! 例の呪文は上手く使えんのか!?」
「え? ええ…、いけるわよ。でも…敵の艦隊が邪魔をしているじゃない?」
確かに、ダータルネスに行こうにも敵艦隊に道を塞がれている。
ジャンガは続けてタバサを振り返る。
「タバサ、シルフィードだ!」
「解った」
二つ返事で口笛を吹く。甲板に即席で建てられていた竜舎からシルフィードが出て来た。
キュルケがジャンガに尋ねる。
「どうする気なの?」
「そんなもん決まってる。道を作ってやる」
「道って……あなたまさか!?」
驚くキュルケの顔を見ながらジャンガはニヤリと笑う。
571毒の爪の使い魔:代理:2009/06/28(日) 18:53:38 ID:/L6BwzmG
「ちょっと正気!? あの艦隊の中にシルフィードだけで飛び込んだら、ただじゃすまないわよ!?」
「そんなもん百も承知だ。それに…別にあの艦全部を沈める気も無ェ」
「じゃあ、どうする気なのよ?」
聞き返すモンモランシーの言葉に、ジャンガは艦隊を見つめる。
艦隊の一番奥、一隻だけポツンと孤立するような形の艦が在った。
「”頭”をぶん殴るだけだ」
「頭?」
「あの艦隊を指揮している旗艦…人体で言う所の頭を潰す。手や足を潰しても、痛みを我慢して仕掛けてきたりもするが、
頭はそうは行かない。完全に潰せば動かなくなるし、ぶん殴っただけでも効果はある」
そしてジャンガはタバサに続き、やって来たシルフィードの背に乗った。
ルイズは慌てた。
「ちょ、ちょっと!?」
「俺とタバサで頭をやる。身体の動きが止まったら、テメェはダータルネスに向かって虚無ぶっ放せ」
「どうやって行けばいいのよ!?」
「シルフィードだけ戻す。テメェはただ、艦隊の動きが鈍った所で飛び出せばいいんだよ! やれ、タバサ!」
「解った。シルフィード、行って」
「きゅい!」
ジャンガとタバサを背に乗せたシルフィードは一声鳴き、甲板から勢い良く飛び立った。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

以上です。
本来はサイトが反論していた”兵器”呼ばわりをルイズ本人にさせました。
いや、ジャンガは素直にやんないだろうし。ルイズにジャンガっぽい行動をそろそろさせて起きたかったので。
立体映像つねつねは原作でのガーレンの使い方などから思いつきました。
では、また次回。アデュー!
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 18:58:16 ID:/L6BwzmG
以上で代理投下を終了します。

毒の爪の方、乙です!
メンチを切ったのはルイズ、まぁジャンガは自分に関係ないのでしないのは当然ですよねw
敵の頭をつぶすのに単身ではなくタバサを連れて行くあたり、彼女の力量をしっかり認めているようですね
次回の2人の戦いに期待します!
573凄絶9話:2009/06/28(日) 19:18:16 ID:FAOJLPsU
毒の爪乙です
誰もいないなら、凄絶9話を、19:20頃投下したいと思います。
574凄絶な使い魔:2009/06/28(日) 19:20:51 ID:FAOJLPsU
凄絶な使い魔 9話

学院長室に包帯を巻いた老人が座っていた。
彼の名はオールドオスマン、トリスティンの生ける伝説とまで呼ばれる老メイジである。
先日の今頃、とある事故により全身打撲の重傷を負い、只今療養中である。
と言っても、この程度の傷は、毎日秘書から受ける暴行と同程度あり、彼にしてみれば日常茶飯事の出来事だ。
コンコンとドアのノッカーが鳴らされる。
今、秘書のロングビルはいない為、オスマンが大声を張り上げて、入室を許可する。
扉を開けて入ってきたのは頭に包帯を巻いた中年メイジだ。

「学院長、身体のご加減はいかがでしょうか?」
「おお、コルカタコシニ・フェイタス君、君も災難じゃったな」
「あの……私の名はジャン、姓がコルベールですぞ、……ところで、ミス・ロングビルが見えませんが?」
「ああ、今は宝物庫の目録作りに行っとる」

そうですかと、落胆したような表情のコルベール、気を取り直してオスマンに向き合った。

「実は今日伺ったのはミス・ヴァリエールの使い魔の件について話したい事がありまして」
「ふむ、昨日ワシらの前で炸裂した魔法の事じゃな」
「はい、あの魔法にも似た攻撃……メイジにとっても、あれは紛れもない脅威です」

近距離で受ければ、たやすく人間を無力化してしまう威力の攻撃を東方から呼び出された青年は呪文の詠唱をしないで発生させる。
何より、目に見えないそれは対処することが難しい。

「もし我々の様に、その他の生徒の身に事故が起きた場合を考えると……」
「……これでも人の見る目は有る方じゃと思っとるんじゃが、……そう言われると、
……確かにミス・ヴァリエールの使い魔には、何らかの枷が必要かもしれんのぉ」

ポリポリと頭をかきながら、オスマンが考えを巡らせているところに、学院長室の扉がノックされ、秘書のミス・ロングビルが入ってきた。

「学院長、……あら、もう平気なんですかコルベール先生」

オスマンのほかに、コルベールの姿を見つけ、挨拶すると、コルベールの顔がだらしなく笑った。

「いや、こう見えても体は丈夫でして、この通りですぞ」
と奇妙に体を動かすコルベールに愛想笑いを送ると、彼女はオスマンに報告を行った。

「いま、教師の一人から報告が入ったのですが、ヴェストリの広場で決闘が行われるようでして、眠りの鐘の使用を求めているのですがいかがしましょう?」
「決闘?……暇を持て余した学生は性質が悪いのぉ、……どうせただの喧嘩じゃよ、秘宝を使うなんてもったいないわい」
「まったく、学生同士の決闘は校則違反ですぞ、一体誰がそんな事をしでかしたのです?」
「はぁ、それが一人はギーシュ・グラモンですが、もう一人は昨日召喚されたミス・ヴァリエールの使い魔です」
「……なんじゃと?」
間の抜けた声で、オスマンはミス・ロングビルに再び問い返した。
「ですから……」
ミス・ロングビルのやや事務的な口調に、オスマンとコルベールの二人は顔を見合わせた。



広間に集まった学生たちの輪の中心にギーシュとそしてルイズと元親は立っていた。
止めようとしている教師達の姿もみえるが、生徒に邪魔されていて騒ぎを抑えきれないでいる。
食堂にいた人数より、増えているのを見ると、噂を聞いて集まった生徒も多数いるようだった。

「逃げずに連れて来たねルイズ、君はよっぽど信頼しているのようだ、その使い魔を」

ルイズが何か言おうとしたが、元親が後ろに下がらせた。
ギーシュはその落ち着き払った元親の態度が気に食わなかったが、手にしたバラを高々と掲げ、決闘を宣言した。
観衆から歓声が上がりムードが高まる。
そんなギャラリーの中にタバサとキュルケの姿も見える。
キュルケは、もし、元親が危なくなったら、加勢してやるつもりだった。
タバサは元親の一挙一足に注目している。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 19:22:32 ID:FAOJLPsU
ギーシュがバラの杖を目の前にかざした。
「僕はメイジだ、だから魔法で戦う、文句ないね」

そう言うとギーシュの振るったバラの花びらが一体の青銅でできた女神の像を作り出す。

「上等、……俺の使う得物も文句はないな」

そう言って手にした黒い三味線を持ち直す、彼の左手のルーンが輝きはじめた。
明らかに妖しい迫力を滲ませる髑髏の飾りが、一瞬ギーシュの不安を誘った。

「その楽器で戦うと言うのかい?」
「蝙蝠髑髏……、ただの三味線と思っていたら死ぬぞ」

元親と武器、どちらの迫力に押されたかギーシュは慌てた声を上げる。

「ちょっと待ちたまえ、ひょっとしてそれはマジックアイテムと言う事かい?」
ギーシュの発言に観衆もどよめく。

「ただの平民じゃなくて、残念だったわねギーシュ、チョーソカベは異国の将軍だって事、言わなかったかしら?」

ルイズの言葉にギーシュは明らかに動揺した。
素手の平民なら、ワルキューレで一方的に痛めつけるだけだ、だが、相手がマジックアイテムを持った軍人なら勝手が違ってくる。
万が一、懐に飛び込まれれば、勝負は分からなくなる。

「い、言い忘れたが、この決闘のルールはだね……」
「知っている、負けを認めるか、杖を落とすか……」
内心ホッとしつつギーシュは元親からさらに距離を取った。

「それなら良い、君が軍人なら僕も本気をだそうじゃないか」

そう言ってギーシュが杖を再び振ろうとした瞬間、元親の体が宙を舞っていた。
宙を華麗に舞いながら、蝙蝠髑髏を弾くと、浮遊弾とは違う、指向性を持った音波の塊がゴーレムを襲い、青銅製のそれを激しく転倒させた。
そのゴーレムの上に地面を踏み抜く勢いで着地すると、青銅製のワルキューレは無残にも胴体を完全に潰された状態になった。
対峙した時15mほどあった距離が、既に5mもない。
一瞬で行動不能にされたゴーレムを間近で見せられ、あわてて残り6体のゴーレムを作成
するギーシュ。
慌てた様子と裏腹に、その手順は実に洗練された動きで、瞬く間に6体の青銅人形が壁をなした。

元親は一瞬飛びこむ素振りを見せたが、ここは一旦距離を置く。
「上等……、思ったよりやるな」
追撃を許さず、6体のゴーレムを作り出したギーシュに、元親は賞賛を送った。
7体の青銅人形作る前に、油断に乗じて杖を奪うつもりだったが、予想以上にギーシュの魔法の錬度は高かった。
目の前に6体の青銅人形をならべて、陣を組ませるとギーシュは額に浮かんだ汗を拭いた。

「フゥ……、驚いたよ、異国の将と言うのもまんざら嘘でもなさそうだ、だが、僕も武門の子、……易々とは負けないよ」
ギーシュの目にもう油断はない、正面から正攻法でやってくるようだ。
5体を前進させ、1体を自分の前に護衛として待機させている。
半円を描きつつ前進してくるワルキューレに、元親は微塵の動揺も見せずに、
再び愛器を構えた。
「一瞬で6体の人形を作り出した手腕は上々、だが……」
べべんべん……、元親が掻きならした三味線から発せられる、20発もの見えない音の球。
ギーシュも、観衆も彼の行動を理解したものはいない、ルイズを除いて。
「……それだけで蝙蝠の牙を防げるか?」
元親の右手が弦を弾き、5体のワルキューレは至近で破壊の洗礼を受けた。

576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 19:25:42 ID:FAOJLPsU
突然、ワルキューレの周りの空間が弾けた、そうとしか表現しようのない現象だった。
5体のワルキューレは4体が完全に破壊、1体が半壊し、地に伏している。
い、一体何を……、こんな馬鹿な事が……。
目の前の惨状を見ても、信じがたい、いや信じたくない光景にギーシュは半ば呆然とした。
見た事も聞いた事もない程に強力なマジックアイテムだ。
そしてそれを操る男の姿は……ギーシュに、ある種の感動すら与えていた。
決闘の最中に相手に魅せられるなど、ありえない。


「負けを認めるか?」と元親が問う。
こちらの戦力はワルキューレ1体を残すのみ、相手は6体を苦もなく破壊してしまう程の使い手、結果は明らかだった。
ギーシュはルイズの方を見る。
気丈な顔をした美少女はまっすぐにこちらを凝視している。
その視線にはギーシュに対する侮りや、優越感と言ったものは感じられなかった。
自分の代わりに戦っている元親への不敬となる、そうルイズは考えているからだ。

メイジをはかるには使い魔を見ろか、この平民を召喚した事自体が君の真価と言う事かな、そうギーシュは心中で呟くと、真摯な態度で、ルイズに向き直る。

「ルイズ、君に対して侮辱した発言を撤回し、謝罪しよう」

そして、頭を下げると、元親の方へ向き直る。

「……だが、降参はまだしない、僕にもグラモンの意地がある、ワルキューレが残っている限り戦うよ」
そう言うと杖を構え直し、ワルキューレを構えさせた。

そんなギーシュ態度と、彼の決闘続行宣言に観衆から、まばらだが、パチパチと拍手が起こる。
ルイズも、いつもチャラけたギーシュにこんな部分があるとは思わなかった。
モンモランシーが惚れた部分ってひょっとして、こんな所かもしれない……。

「さあ、こちらから行かせてもらう」

ギーシュは自らの前にワルキューレを構えさせえると円を描くようにジリジリと元親に近づいていく。
攻撃と護衛を一体でこなすには、これしかない。
距離を慎重に測りながら、元親へと近づくしかない。
待ちの姿勢では駄目だ、唯一の勝機が消えてしまう。
元親も蝙蝠髑髏を構えなおした、音による攻撃ではなく、迎え撃つ姿勢だ。

「その覚悟、お前を見くびっていたな……」
あと一歩半で勝負が決まる間合いに入る時、元親がギーシュへ声を掛けた。

「フフ……、この決闘、僕の勝利さ」

ワルキューレが元親へと突進した。
それを迎え撃つべく、元親が動くが、その時、右足を強く後方へと引き込まれた。
5体のうち、半壊で済んだ1体のワルキューレ。
円を描くようにして接近し、注意を自分へと向けておいて、ひそかに元親の近くへと忍ばせていたのだ。
そして突撃と同時に上体を伸ばさせ、なんとか元親のズボンの裾を掴ませた。
バランスの崩れた状態の元親へ青銅の拳が振り上げられる。

「チョーソカベ!」
「上等!!」
ルイズの悲鳴にも似た叫び声に、元親は強烈な笑みを浮かべた。

迫るワルキューレの拳を、体を捻りながら倒れこむようにして回避すると、その姿勢で三味線の弦を押さえる。
半ば空中の極めて不安定な姿勢で元親は弦を苛烈に弾く。
そこから放たれたのは、元親を中心とした全方位への音波攻撃。
拳を振りぬいたワルキューレも、足もとにいるワルキューレも同時に吹き飛んだ。
そして地面に落ちる前に、曲芸のように片手を付くと、華麗にトンボを切って着地する。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 19:31:10 ID:FAOJLPsU
「……ここまでだ」

元親が三味線を下ろし背を向ける、ギーシュはその場に腰を下ろした。

「……参ったよ、君の勝ちだ」

観客も元親の勝利に歓声と驚きの声を上げた。

「あの平民何者だ、人間の動きじゃない!」
「身体能力も凄いけど、あのマジックアイテムの力は一体?」
「よく分からないけど、楽器から何かが放たれた気がするんだ……」

観衆の中、キュルケは目の前で起きた事に驚いて、友人の肩をぐらぐらと揺さぶりつづける。

「ちょっと、タバサ、なんなのアレ!ギーシュのワルキューレが問題にならないなんて!」
無表情のまま、ぐらーんぐらーんと揺すぶられながら、タバサの鋭敏な感覚は空中で元親が放った攻撃を感じ取っていた。
他にも風系統のメイジが何かを察したようだったが、タバサ程に集中して見ていた者はいない。

「……あの動きは人間を超えてる」
と無表情で呟くタバサ。
「……楽器を弾いた瞬間、空気が激しく動いていた」
そう、おそらく風系統、エアハンマーの様な物を詠唱なしで放つ楽器。
当たらずとも遠からずと言ったタバサの推察だった、そして、彼の左手から次第に光が小さくなっていくのを彼女は見ていた。
それは朝、廊下で見た現象と同じだった。


一方、学院長室では、魔法の鏡に、広場で行われた決闘の様子の一部始終を映し出し、3人の男女がそれを見ていた。

「……なんとかギーシュ・グラモンは、怪我も無く済んだようですな」
「そうじゃな……、それにしても、でたらめな強さじゃな、ドットとはいえメイジが相手にならん」

あのマジックアイテムの破壊力と共に、元親自身も一瞬だが驚異的な身体能力を見せ付けた一戦だった。

「学院長はお気づきになられましたか、彼の左手の事を」
「確かに光っておったの、どれ」

オスマンが杖を振るうと、姿見に映る元親の左手が拡大される。

「すまんがこのルーンを調べといてくれるか、コルゲンコーワ君」
「わかりました学院長、……というか、もうワザとですよね、ソレ」

手早く鏡に映ったルーンをメモすると、コルベールは学院長室を後にした。
さてと、オスマンは再度杖を振るい、唯の鏡に戻して布をかけると、秘書に向き合った。

「とんでもない平民じゃが、決して悪人ではない……、じゃが、やはりあの力は危険かの……、どう思うかね?」
「私には何とも言えませんわ、学院長の思うままになされればよろしいかと、
……お茶をお持ちしますね」
そう言うと、彼女も席を外した。

「思うままか……、果たして納得するかのぉ」

オスマンはそう呟くと、机から水パイプを取り出し、紫煙をくゆらせた。

ミス・ロングビルは学院長室から出ると、今見たものを思い出す。
メイジの作り出した青銅のゴーレムを吹き飛ばす威力。

「いいねぇ……、あれは高値が付きそうだよ」

口調が変わり、ロングビルという秘書ではない、彼女のもう一つの顔が現われていた。
578凄絶な使い魔:2009/06/28(日) 19:37:46 ID:FAOJLPsU
以上です。
ここまで書いて、物語的には元親が召喚されて、ようやく24時間を過ぎたくらいでしょうかw
書いててオスマンを動かしたくてたまりません。
原作より良い性格の爺さんになってます。

8話をまとめに上げてくれた方ありがとうございます。
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 19:41:35 ID:Oq7zjyf0
〉578
乙です。
まとめに上げた者ですが、ご迷惑をおかけしたようで恐縮しています。
面白かったです。
続きも期待しています。
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 20:34:03 ID:o1w0oJjD
凄絶さん乙です
ロングビルさんの目の付け所が素敵
次回が楽しみです
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 20:39:45 ID:YnNOu2MY
そろそろポンコツじゃないフーケさんがでてきてもいい頃だな
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 21:04:43 ID:VvKRGdOb
>>581
今だと双剣氏のところや魔導書さんのフーケさんが相当やばい部類か。どっちも人間をやめそうだし
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 21:16:17 ID:tnXQa02H
共生生物寄生フラグがたっている「デモゼロ」のフーケもいるよ
そう言えばあれの最新話wikiに登録されてたっけ?
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 21:28:39 ID:o7ac6xwv
>>「いいねぇ……、あれは高値が付きそうだよ」

なんという死亡フラグw
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:23:02 ID:rEzUvtP1
>>577



・・・・・・まちるださんじょうぶつしてね
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:28:02 ID:l+l4qGbG
>>582
そういや照男召喚ではアウグストゥスの指輪なんてGETしたばっかりに・・・
なんかデモンベインクロスだとほとんどおマチさんが碌な目にあってないな
取り残された妹さんが泣いてしまうなんて胸糞悪くなる展開は
陳腐なご都合主義でそんな物語ぶっ壊してくだせぇ双剣さん

・・・でもあの様子じゃ駄目ぽいなぁ・・・orz
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:33:49 ID:VvKRGdOb
>>586
デモンベインを信じるんだ・・・あれは人のためのデウスマキナだ
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:49:40 ID:tFxu57ik
>デモンベインを信じるんだ

ゲッター線みたいに言うなwww
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:53:01 ID:ssQexDR0
まぁ、似たようなモンだから。ゲッターもデモンベインも、永遠に「何か」と戦い続ける存在。
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:55:21 ID:6xMPIgyr
……みんないったいなにと闘ってるんだ……!?
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:55:31 ID:NwDoPoh6
真ゲッターが火星ではなくてハルケギニアに降り立ちました

〜ゼロの使い魔〜
           完 
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:56:55 ID:flIKQEPn
今キングダムハーツからソラを召還するSS書こうかなとか考えたけど
著作権がめちゃくちゃ怖いからやめた

ディ○ニー怖い
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:59:37 ID:b5Tr1M0e
ソラの部分を全部伏字にするとか
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:00:27 ID:k3DLSTtL
>>592
キングダムハーツのイラスト投稿されても怖くて雑誌に載せられないってある編集者が言ってたなw
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:00:30 ID:oyyMD/dG
>>587
アズラットさん乙
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:06:17 ID:Z+5+ZPTa
某ネゴシエイターを・・・
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:06:31 ID:TlHPCDC/
>>592
ttp://data.tumblr.com/Xd02atdrJ84oumvtCBVVnX5b_500.jpg
実は海外じゃこんな絵も描かれてるし
意外と緩かったりする

実はそういういちゃもんつけてるのは
ディズニーってよりディズニーランド運営してる
創○資本のオ○エンタルランド
ある意味ディズニーよりよっぽど性質悪い
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:11:59 ID:n77+j6Yb
やめたほうがいい、正しいです。
いろいろ伝説ありますからね
どこまでほんとかわからないけど。

自分は昔ミッ○ー好きでしたが
会社の体質のせいで好きじゃなくなりました。
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:13:38 ID:n77+j6Yb
創○資本のオ○エンタルランド
ますます好きになれなくなってきた。
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:14:03 ID:tFxu57ik
ttp://data.tumblr.com/Xd02atdrJ84oumvtCBVVnX5b_500.jpg

  /'           !   ━━┓┃┃
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ァ   /,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、 )    ┃               ┃┃┃
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ゝ.  {、  - ,. ヾ "^ }  } ゚ 。
   )  ,. ‘-,,'   ≦ 三
ゞ, ∧ヾ  ゝ'゚       ≦ 三 ゚。 ゚
'=-/ ヽ゚ 。≧         三 ==-
/ |ヽ  \-ァ,          ≧=- 。
  ! \  イレ,、         >三  。゚ ・ ゚
  |   >≦`Vヾ        ヾ ≧
  〉 ,く 。゚ /。・イハ 、、     `ミ 。 ゚ 。 ・
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:16:22 ID:NwDoPoh6
>>600
クソワロタwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:19:04 ID:tetoUKU1
なんというディズニームーン………
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:23:04 ID:OcKDUaWn
プルートはいるのにサターンは居ないんだな
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:34:07 ID:T4tDAevm
>>587
アズラッド召還で虚無が御伽の加護って感じとか.....無理か
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:37:57 ID:n77+j6Yb
鉄の厚みはわかりませんが
サイトは斬鉄ができるまでにレベルアップしてるんですね。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:47:05 ID:3jRrK52O
サイトがまたつまらぬ物を切ってしまった…って言うフラグですねわかります
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:54:51 ID:Z+5+ZPTa
スーパーマンにハルケで大暴れしていただきたい
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:55:47 ID:k3DLSTtL
>>607
電話ボックスがないんだが、どうするんだ
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:55:56 ID:v0NkVW0n
>>604
案外ありえそうだから困る。ただ、アズラッドさんは飛翔で成仏できたし、そっとしておいてやりてぇ・・・
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 00:27:12 ID:UdSumERc
>>607
一瞬スーパースターマンに見えた

戦闘力は皆無だがガンダールブの力で何とか成りそうだし
粉みじんになっても再生できたりと魔人ブゥばりの生命力だし
スリ能力もあるから割と活躍できるかもな
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 00:27:14 ID:4GvNn4AQ
ガリア方面を詳しく描写しておかないで良かった。本当に良かった……。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 00:56:53 ID:lYBeVPr8
暴れん坊ガリア王という電波を受信した
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 01:02:50 ID:vCXlbVei
トリスティンから来た旅のメイド一行と夢の競演!
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 01:18:53 ID:CKrpw2Zg
ラチェット&クランクを呼んで銀河規模の危機を救う話に
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 01:32:22 ID:beu/nhNU
>電話ボックスがないんだが、どうするんだ
電話ボックスの外壁が透明になった40年前から既に使ってないんだが
昔の映画でもガラス張りの電話ボックス見て残念そうな顔してただろクラークが
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 02:49:00 ID:5BrByTKW
スーパーマンのクラーク・ケントが駄目ならヤングスーパーマンのクラーク・ケントだ
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 03:59:16 ID:qrNEF5mV
ユタ田舎じゃないよー
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 04:08:11 ID:7gcE+Czz
どうしょう引っ越ししてから誰も部屋にあげてないのに
タンスの奥からバイブが見つかったんだけど
かなり怖いですけど
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 04:10:16 ID:7gcE+Czz
スルーしてくれただの誤爆だから
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 05:05:37 ID:CDZQUDjz
久々にまとめ観てみたら書いてる作品先越されたorz
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 05:34:38 ID:DLtjYxK1
作品が被ろうとキャラが被ろうとスレ的には問題ないけどな
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 06:02:24 ID:KTgx1KU4
被るの気にしてたら書けなくなるだろ

被ってる俺が言ってみる
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 06:26:12 ID:cKU8ux5h
>>617
メガネ自重しろ
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 10:12:04 ID:M4pRZpnm
>>607
スーパーマンは魔法に極端に弱いという話を聞いたのだが本当なのか
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 10:53:44 ID:H+sHEL75
魔法はどうだっけ。
超能力者相手だと理不尽なくらいにヘロヘロだったとは思うが。
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 11:05:21 ID:JyEv5aEI
>>624>>625
確か本当だったと思う>魔法に弱い
その代わり通常攻撃に対する防御力は常時展開しているフォースフィールドの所為で
40メガトン級の核爆弾に耐えることが出来る程。
627ゼロの氷竜 ◆xEmDpCaxhye3 :2009/06/29(月) 12:02:30 ID:Mze8eVsI
誰もいない……?

投下するなら今の内……

12:10ぐらいから……
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 12:07:33 ID:IxpN1q/H
支援
629ゼロの氷竜 ◆xEmDpCaxhye3 :2009/06/29(月) 12:10:55 ID:Mze8eVsI
ゼロの氷竜 十九話

トリスタニアにあるカフェの一角で、四人の少女と一人の女性が席を囲んでいた。
六つの瞳が、うつむいた一人の少女に差し向けられている。
唯一の女性であるブラムドは、我関せずと切り分けられたケーキに手を伸ばしていた。
うつむいた少女、ルイズは顔を上げることもできず、じわりと汗がにじむのを感じている。
ルイズは自分に向かう視線が、自分を責めるものと疑っていない。
実際、そのような表情は誰の顔にも浮かんでいなかったのだが。
キュルケは、とにかくやたらに楽しそうな表情を浮かべていた。
シエスタは当初無表情だったが、様子の変じたルイズに気遣わしげな表情を浮かべている。
タバサは蛇ににらまれた蛙のようなルイズを眺め、小さなため息をつきながら隣席のキュ
ルケを肘で突いた。
その瞬間、含み笑いで口元を震わせていたキュルケはつい噴き出してしまう。
「……ぷっ」
慌てて口を塞いだキュルケだが、はっと顔を上げたルイズにその表情を見られてしまった。
友たちの表情に、自分を責め立てるような色がないことを見て取り、それどころかむしろ
楽しそうなキュルケの顔に、ルイズはその意図を正確に見抜く。
「……か……かっ、からかったのね!?」
「あっはははは!!」
怒髪天を衝くようなルイズの様子に、キュルケはとうとう我慢が出来なくなる。
ルイズはキュルケを指差し、顔を赤くしながら言葉になりきれない怒声を放つ。
隣席のシエスタは、おろおろとルイズを止めようとしている。
タバサはため息をつきながらも、特に動きを見せない。
キュルケは一瞬我慢してしまったせいか、笑いが止まらない様子だ。
「ぷっ! くふっ、ちょ、っとまっ、って!」
笑い上戸というわけではないが、一度はまりこんでしまっては容易に抜け出せない。
だからといって、ルイズの機嫌が良くなる道理もないのだが。
止まない笑い声に我慢の限界を超え、ルイズが腰を上げようとした途端、横合いから鋭く、
大きな声が放たれた。
「あの!!!!」
六つの視線が声の主、シエスタに突き刺さる。
当の本人は思っていた以上の声の大きさに驚き、恥ずかしさに顔を紅潮させながら呟いた。
「わ、わたしはルイズ様が隠し事をされていても気になりませんから……」
ルイズを落ち着かせようとシエスタの放った言葉は、どこかずれたものだった。
そのずれが、ルイズの怒りを散らし、キュルケの笑いを小さな失笑に変じる。
どこか気の抜けた表情のルイズに、キュルケが謝罪の言葉を口にした。
「……は、ぁ。ごめん、ルイズ。……ちょっとやりすぎたわ」
あっさりとしたいいようだったが、ルイズは少し疲れたように鷹揚に手を振って応える。
どこか気の抜けた空気を振り払うように、皿を空にしたブラムドが声をかけた頃、ルイズ
の怒りは矛先を失って消えていた。

仕立て屋などが軒を連ねるブルドンネ街と比べ、武器屋などがあるチクトンネ街は色々な
意味できれいというには程遠い。
当然客層もそれにならい、行儀の良い客など極々まれだ。
きしむ扉の音に目を向けた店主の前に、店に訪れたことのない人間たちが立っていた。
物珍しげに店内を見渡しているのは、四人の少女と一人の女性。
店の性質上、客のほぼ全ては男だ。
片手剣を二本差した、男よりもたくましい女がいるという噂を聞いたことはあるが、目の
前にいる女や少女では間違っても剣など振るえないだろう。
しかも商人らしい観察眼を働かせれば、半数以上は貴族に違いない。
残る一人は侍女だろうし、最後の一人はお目付け役の家庭教師といったところだろう。
少なくとも、客になりうる一行とは言い難い。
とはいえ貴族というだけで商人としての美徳、すなわち愛想のよさを働かせるには十分だ。
儲け話の種がどこに埋まっているかわからないし、その身なりは没落貴族には見えない。
店内を見回しつつも出て行かないところを見れば、店を間違えたわけでもなさそうだ。
道をたずねるなら、わざわざ店に入るよりも道端の乞食に聞くほうが早い。
店に目的があるのなら、貴族の機嫌を損ねる必要はないだろう。
だが揉み手をして浮かべた愛想笑いは、残念ながら家庭教師の言葉で引きつる結果となる。
630ゼロの氷竜 ◆xEmDpCaxhye3 :2009/06/29(月) 12:11:42 ID:Mze8eVsI
ブラムドが作った『暗闇』が、『解呪(ディスペル・マジック)』によって消え去る。
その先にあった光景に、少女たちは言葉を失う。
星をまいたかのように草原が光り、ブラムドの傍らに白い騎槍が突き立っていた。
手近な星を拾い上げるキュルケ、そして騎槍に注視するタバサを尻目に、ルイズはブラム
ドへと歩み寄る。
彼女には星の正体が鱗であることも、騎槍の正体が爪であることもわかっていたのだ。
ブラムドの本来の姿を最も近くで見ていたのは、他ならぬルイズだったのだから。
「……傷の具合は?」
ルイズがどんな言葉よりも先にいった一言を、ブラムドは快く感じていた。
……鱗や爪を引きはがして、何ともないはずはない。
そんなルイズの心配をよそに、ブラムドは血の跡もない左腕を見せる。
「大したことはない」
その言葉通り、爪の剥がれた左手の人差し指は出血もなく、腕の様子も変わっていない。
あえて左腕を見せたということは、鱗を剥がしたのは左腕ということだろう。
『変化』の魔法は、姿を変化させる魔法に過ぎず、怪我が治ることはない。
だが竜にとって出血を抑える程度なら、竜から人へ戻るわずかな時間で十分だった。
そこまで理解してはいないが、ルイズはブラムドの体に問題がないことに胸をなで下ろす。
しかしなぜブラムドが自らを傷付けたのか、ルイズを初め誰一人理解できない。
その理由を問う権利と資格を、ルイズだけが持ち合わせていた。
辺りに散らばる鱗と傍らに突き立った爪を見ながら、つぶやくように問いかける。
「どうするの?」
主の端的な質問に対し、使い魔はまるでタバサのように短く答えを返す。
「売る」
思ってもいなかった答えに絶句するルイズに対し、ブラムドはモンモランシーに水の秘薬
を返さなければならないとの説明を付け加える。
「……話してくれれば、私が何とかしたのに……」
ルイズの言葉で、今度はブラムドが絶句する。
二者の間には、元々住んでいた世界が異なるが故の大きな認識のずれが生じていた。
フォーセリア世界において、魔法力や精霊力が秘められた道具は、その込められた力によ
って価格が大きく上下する。
上位精霊ほどの力を秘めた水の秘薬であれば、かつてブラムドが守護していた太守の秘法
とまでは行かずとも、小さな城を買う程度の価値はあっただろう。
だが実際のところ、ハルケギニアにおいては多少高価という程度の代物に過ぎない。
そうでなければたとえ教師であるコルベールの頼みであったとしても、モンモランシーが
水の秘薬を使うことはなかっただろう。
主と使い魔は認識のずれをすりあわせながら、一切譲り合おうとはしない。
ただし、単に約束を守ろうとしているブラムドと違い、ルイズの心境は複雑だった。
主であるはずの自分ができることに比べ、偉大な使い魔に受けた恩義は多大に過ぎる。
感謝を伝える機会は、どんな小さなものでも掴み取りたかった。
逆にブラムドとしては、生涯続く苦痛から解き放ってくれただけで満足している。
たとえそれを知っていたとしても、ルイズの態度は変わらなかっただろうが。
伝えたかったのは感謝だけではなく、好意や敬意、親愛の情だったから。
しかしルイズには、それを伝える方法がどうにもわからない。
人付き合いの経験が、ルイズには足りていないのだ。
混乱を自覚していないルイズは、今にも泣き出しそうな表情でブラムドへ訴えかける。
対応に困りながら、ブラムドもまた折れようとはしない。
進退窮まった二人に、キュルケの言葉が道を指し示す。
「捨ててしまうのももったいないわ。とりあえず鑑定してもらえばいいのよ」
そしてキュルケはルイズに歩み寄りながら、そっと耳打ちする。
「……そう高く売れるとも限らないし……」
ルイズはその言葉に振り向き、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
そんな二人のやり取りを横目に、タバサがブラムドへ問いかける。
「売れるものなの?」
遠慮のないその言葉に、ブラムドは珍しく少し憤慨したように反論した。
「我の鱗は炎や氷、普通の武具では傷もつかぬし、爪は石や鉄ごときなら易々と貫く」
その言葉で、キュルケの言葉ではれたはずのルイズの表情が、瞬く間に曇っていく。
ルイズをつぶさに観察したキュルケは、少し場違いな感想を心中でつぶやいた。
……あら、かわいらしい……。
キュルケの心に、それまでルイズに向けられるべきではなかった感情が生まれる。
とはいえキュルケに非生産的な嗜好はなく、その感情は泡沫のように消えたが。
631ゼロの氷竜 ◆xEmDpCaxhye3 :2009/06/29(月) 12:12:28 ID:Mze8eVsI
「物を買いにではなく、売りに来た」
その言葉を受けた店主は、瞬時に引きつった口の端をすぐ戻すことができなかった。
貴族の家庭教師と思っていたその女、ブラムドが『強制召喚(リマンド)』の魔法によっ
て中空から売り物を取り出したことで、用件の詳細を聞くこともできなくなる。
初めて見る魔法だったが、三人の貴族にはいまさら驚くにあたらない。
ただブラムドが魔法を使う姿を始めてみたシエスタは、驚きの表情を浮かべる。
だが平静な貴族たちの様子に、東方のメイジという言葉を思い返して無理矢理納得した。
カウンターに布袋と騎槍のような代物が置かれ、店主はようやく活動を再開する。
戸惑いながら、店主はひとまず布袋の中身へと手を伸ばす。
取り出した布袋の中身は、静かに輝いている。
それは確かにどこか見覚えがあるが、その記憶は判然としない。
説明を求めようとする店主の声を、とある声がさえぎった。
「武器屋で武器見ねぇたぁどんな了見だ!」
声は無論ブラムドのものでも少女たちのものでもなく、苦々しそうに眉間に皺を寄せる店
主のものでもない。
「デル公! 商売の邪魔すんなっつってんだろうが!!」
店主は怒声を上げつつ、傍らの樽から一振りの剣を引き出す。
「紐で縛りつけたほうがいいのかね!?」
叫ぶ店主が鞘の先を地面に叩きつけると、剣は深く深く鞘に収まり、男の声は消える。
「……失礼しました」
店主は笑顔で取り繕おうとするが、存分に地を出した後では手遅れといえた。
救いといえば、交渉をしてきた家庭教師が表情を変えていないことだけだったろう。
「その剣は?」
「ああ、インテリジェンスソードでさ。なんだってぇ剣を喋らせようと思ったのか、あた
しにゃさっぱりわかりませんがね」
家庭教師の目が手元の剣に留まっていることで、商売人らしい言葉が店主の口から漏れた。
「ご覧になりますかい? 鞘から抜かなきゃ静かなもんです」
無言で手を差し出したブラムドに、店主は剣を渡して品定めに戻る。
剣をつかんだ途端、淡い光に過ぎなかった左手甲のルーンが強い輝きに変化した。
それと同時に、ブラムドの脳裏を効率的な剣の使い方が浮かぶ。
……武器、か……
あらゆる武器を使いこなしたというガンダールヴの話を思い出し、ブラムドはそっと苦笑
を浮かべた。
ものが喋っている以上、それに魔力が込められていることは確かだ。
とはいえブラムドとしても、店主のいうように武器を喋らせる利点は思い浮かばない。
支配階級が魔術師であることは、フォーセリアもハルケギニアも変わることはない。
その上で、ブラムドは両者の魔法大系以外の違いを確かめたかった。
ブラムドが暮らしていた時期のフォーセリアにおいて、魔法が込められた代物といえば、
武具以外の道具が大半を占める。
――オスマンの部屋にある遠見の鏡に似た、遠見の水晶球。
――特定の魔法を込めた、杖や指輪、石版や壺。
――自身のマナの代わりにすることができる、マナそのものを封じた魔晶石。
つまり魔術師の生活を豊かに、あるいは便利にするための道具が主となる。
武具を必要とする人間の大部分は魔術師以外、つまり蛮族とさげすまれていた人間たちだ。
剣や鎧を使う魔術師がいても、その数は決して多くはない。
ブラムドの友、アルナカーラと同門の付与魔術師の中には、魔法の武具を研究している人
間もいた。
それでもありえた武具は、その素材以上の切れ味を持つ剣や炎や氷をまとった剣。
もしくは武具の姿を模しただけの魔力の発動体、つまり特定の呪文や行為で発動する封じ
られた魔法を使うための道具。
すなわち、武具である必然性がない代物のいずれかだ。
だがブラムドの手にある剣は、フォーセリアの魔術大系の延長線上にはない。
剣の姿では歩くことも飛ぶことも出来ず、手紙や伝言を運ぶ使い魔などにも劣る。
五感を駆使して戦う剣士にとっては、喋ることは邪魔にしかならないだろう。
しかし封ぜられた魔力を探れれば、喋る意味が理解しうるかもしれない。
ブラムドの口から、呪文が漏れはじめた。
632ゼロの氷竜 ◆xEmDpCaxhye3 :2009/06/29(月) 12:13:14 ID:Mze8eVsI
手に取った剣を見るブラムドの様子に、少女たちは顔を見合わせる。
「剣がほしいのかしら?」
「でも、ブラムド様にはいらないわよね?」
ルイズとキュルケの言葉に、タバサがこくこくとうなずく。
「メイジに剣は似合いませんものね」
やはりどこかずれたシエスタの言葉に、ルイズはまだブラムドの正体を教えていなかった
ことを思い出す。
そのつもりもなかった隠し事にルイズは少し心を痛めたが、今この場で説明するわけにも
いかない。
「そ、そうね……」
どこか曖昧なルイズの返事に疑問を感じたシエスタだが、それを表に出すことはなかった。
「でもルイズ、あの剣すごい色してたわよ?」
「ほんとに? どうせだったら見栄えのするのがいいと思うんだけど……」
そういいながら剣に目をやったルイズは、その剣の汚さに口元を引きつらせる。
飾り気のない茶色であったろう柄頭は鈍色にくすみ、握りに巻かれた布もぼろぼろにほつ
れている。
実用性だけが重視された無骨な鍔元は、よく見れば錆が浮いていた。
今ブラムドが着ているミス・ロングビルの服には、どんな剣でも似合わないだろう。
だがしかし、どれだけ服装を変えたとしても、あの汚い剣はブラムドには似合わない。
先刻までブラムドを着せ替え人形にしていた少女たちには、それが断言できた。
「ま、まぁ欲しがったりはしないでしょ?」
キュルケが安心させるためにいったその言葉に、ルイズは深く頷いた。
やたらとむやみに力強い願望を込めて。
残念なことに、その願望は様々な意味で裏切られるのだが。

主人の願望、あるいは心配をよそに、使い魔は魔法が込められた品物の鑑定をする『付与
魔法鑑定(アナライズ・エンチャントメント)』の魔法を唱えた。
ブラムドの支配下に置かれたマナが、まるで触手のように剣へと伸ばされ、かき消える。
思いもよらない事態に、ブラムドは一瞬思考を停止してしまう。
ブラムドが再び同じ魔法を唱え始め、同じようにマナの触手が消える。
三度目は、『魔力感知』を使いながら。
確かに、剣は魔力を帯びている。
マナの触手が剣に触れるやいなや、剣がマナを吸い込んでしまう。
その瞬間、ブラムドはこの剣が魔法使いを相手にするための剣なのだと理解した。
……これは、とんだ掘り出し物か……?

ブラムドによる剣の確認に平行して、武器屋の店主による素材の査定も行われていた。
それが何であるのか、問う機会を逸してしまった店主はとりあえず色々と試してみる。
布袋から取り出した素材には、都合良くのこぎり状の部分が存在した。
木製のカウンターを削り、手元にあったナイフに傷がつく。
試しに同じナイフで切ろうとしたが、傷つく気配もない。
固体化のかかった青銅のナイフで試しても、ただの鉄のナイフと結果は変わらない。
……確かこれに固体化をかけたのは、ラインだったな……
「すいませんが、これに固体化をかけたメイジのクラスを教えてもらえませんかね?」
――固体化をかけたことはわかっている。
言外にそう含ませた店主の言葉は、驚きの結果をもたらす。
「固体化?」
呆気にとられたようなその反応に、店主は逆に驚いてしまう。
物体の強度や耐久性を跳ね上げる固体化の魔法は、ハルケギニアにおいて最も生活に密着
した魔法といえる。
傍らの貴族に問う家庭教師の様子に、店主はそれが演技などではないことを理解した。
つまり今店主が手元に持っている素材は、固体化などかかっていない。
にもかかわらず、固体化がかかった青銅のナイフに傷をつける強度を持っている。
機会を逸したなどといっていられる余裕は、最早店主にはない。
「……こりゃあ、一体なんなんですか?」
ふるえるような店主の問いに、家庭教師は端的な答えを返した。
「竜の鱗と、竜の爪だ」
633ゼロの氷竜 ◆xEmDpCaxhye3 :2009/06/29(月) 12:14:07 ID:Mze8eVsI
ブラムドの鱗と爪は、ルイズの想像を遙かに上回る金額で買い取られていった。
当然、利益を上げたい店主は買値を引き下げようとしたが、虚言を聞き分けるブラムドに
交渉が通じるはずもなかった。
さらにはインテリジェンスソード、デルフリンガーが神妙にいった言葉が決め手になる。
普段どんな相手、荒くれ者の傭兵であろうと貴族であろうと、傍若無人な口調を改めよう
としなかったその剣が、剣士にも見えない女に敬意を表したのだ。
「おやじ、このお人には通じないぜ」
あきらめたように改めて提示した額は、瞬間とはいえタバサの表情を変えるほどだった。
元々貴族の子女に過ぎない少女たちが、武具の価格に無知だったためもあるが。
名のあるメイジが作った剣であれば、ちょっとした屋敷が買えるほどの価格で売買される。
提示された額は、庭付きの屋敷が買えるほどだった。
当然それだけの金額を即座に払えるはずもなく、ブラムドはその一部、そしてデルフリン
ガーを手付けとして受け取る。
その後、一行はモンモランシーへ返すために秘薬を扱う店に向かうが、水の秘薬は品切れ
で手に入らなかった。

ひとまず学院へ帰ることになった一行だったが、その空気は一部を除いて酷く重い。
「お、思ったより高く売れたわねー」
「……そうね……」
キュルケが何を言っても、ルイズは上の空。
「ブ、ブラムド様はあの剣が気に入られたんですかね?」
「……そうね……」
話者がシエスタに変わっても、状況が再現されるだけ。
無論、ルイズは友人たちに嫌がらせがしたいわけではない。
自分がブラムドにしてやれることの少なさに、深く頭を悩ませていたのだ。
だが不意に、ルイズの心へ天啓が下る。
自らの足で立っていないものなど、貴族とは呼べない。
まずは、貴族として胸を張れなければ、恩を返すなどとえらそうなことは言えないだろう。
顔を見合わせてため息を吐く友人に気付かず、ルイズは新たな決意を胸に刻んでいた。

ブラムドはそんな一行から少し離れて続き、デルフリンガーとなにやら話している。
タバサが、その様子に注視していた。
その胸中には漠然とした疑問が浮かんでいる。
ブラムドの本来の姿を知っている以上、竜が武器を求めた理由がわからない。
タバサの使い魔が竜であることも、疑問を深める一因だった。
仮に、オスマンから竜の姿にならないように頼まれていたことを知っていたとしても、武
器など不要だと思っただろう。
昨晩、その圧倒的な魔力を見ていれば。
しかも、あの価格の手付けとしては、デルフリンガーでは明らかに不足している。
店内に飾られていた武具の中だけでも、はるかに見栄えのするものはいくつもあった。
代金の一部として受け取るのならば、少しでも価格の高いものを求めるだろう。
だが、もし価格をそれほど重視していないのなら?
ブラムドが金銭を求めていたのは、水の秘薬を入手する為の手段としてだ。
衣食住については主であるルイズが保障するため、それ以上の金銭は不要だろう。
だとすれば、デルフリンガーには金銭に換えられないほどの能力があるのではないか。
「興味深い……」
口の中でもれたつぶやきは、聞くものもなく風に溶けていった。

王都トリスタニアの城壁の外、人気のない林の中で、ブラムドは大地へ銀の駒を埋めた。
昨晩、召喚の儀を行った草原でしたように。
その後、学院へ戻るために開いた『転移の門(ディメンジョン・ゲート)』に目を白黒さ
せるシエスタのおかげで、ルイズはトリスタニアへ来た方法を追求されずに済んだ。
一体誰に、ブラムドに抱かれて飛んできたといえるだろうか。
ブラムドが近くにいるだけで、馬が怯えてしまうという理由があったとしても。
自室へと戻ったルイズは、早速魔法の訓練を希望した。
ブラムドはそれに答え、ルイズの持つ駒へ改めて一つの魔法を封じる。
その時から、ルイズにとっての修行の日々が始まった。
今までの、一切の手ごたえも、一切の成果も見えない修行ではない。
メイジとしての、成長が実感できる修行が。
日に日に明るくなるルイズの様子を喜んだ人間は、実は当人が思うよりも多かった。
634ゼロの氷竜 ◆xEmDpCaxhye3 :2009/06/29(月) 12:15:13 ID:Mze8eVsI
以上です。

支援感謝。

そして応援スレで応援してくれる方々に多大な感謝を。

次はもっと早く投下できるように頑張ります。

では。
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 12:46:37 ID:IxpN1q/H
ブラムドの人乙です。
ブラムドがデルフ振り回す姿が想像出来んw
とりあえずおマチさんとワルドイ`w
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 13:05:23 ID:IxpN1q/H
ミー君の番長日記からミー君召喚…最初モメた後普通にガンダ付き使い魔やりそうだ。

けいおん!や純真ミラクル100%だとルイズとバンドやユニット組んでアイドル化しそうw

何かいいキャラはいないものかorz
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 14:21:15 ID:qwBimwhs
>>597
これをネタにかk(ry
アメリカ人が日本で書いて訴えられたら面白い判決でそうだなw
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 14:26:47 ID:CKrpw2Zg
果たしてバットマンを呼んだらゴッサムシティ以外の街の治安を守ってくれるのか
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 14:39:05 ID:2X81uMuR
むしろアメコミのヒーローがアメリカの正義以外を守ってくれるかどうか
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 14:54:25 ID:NoxDlXqw
「アメリカの正義」をハルケギニアで守るんだろ?貫くって方が近いか。
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 15:02:07 ID:9Dv0NoTP
そこら辺はスタトレシリーズが参考になるんじゃないかな。

まぁなんだかんだ屁理屈つけて干渉しようとするだろうけど。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 15:05:42 ID:y5MWjBLJ
アメリカの正義を守るためにキャプテンアメリカがアメリカ政府に盾付く時代だぞ
アメコミと言ってもそんな単純なものでもない
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 15:06:35 ID:cwZCpwDx
モットが裁かれる様が目に浮かぶわ>バットマン
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 15:10:25 ID:LIS9Xn7E
バットマンに対抗してモットマンw
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 15:12:56 ID:xpViJc+L
バットマンは来日して戦ったことがあるぞ。
 
氷竜の人、乙
ブラムドとデルフの会話、想像がつかんな。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 15:15:23 ID:vaPz/gak
ハッハ
アナザーディメンションでもミー達は世界のシェリフね
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 15:26:26 ID:NoxDlXqw
こいつがスパロボ版なのか、OVA版なのか、それが問題だ。
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 15:29:04 ID:M4pRZpnm
>>647
「大決戦」版というのもありえる
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:03:14 ID:aKHagyPV
>>647
テキサスマックうぜぇwww
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:04:49 ID:Aw08+a0F
スーパーマンと互角ぐらい強くて特に魔法が弱点でもない奴でおk

シャザム、ロボ、ダークサイドとか。ダークサイドはちょっとオメガが反則だがw
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:09:41 ID:DkRYfoN2
氷竜の方、お待ちしておりました。乙です!

「片手剣を二本差した、男よりもたくましい女」……って、火竜山の魔竜編に登場したスメディですか?!
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:16:52 ID:CKrpw2Zg
じゃスパイダーマンで
死んでも復活できるし
弱点は鼻炎とメンタル面くらい
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:23:24 ID:46olVse4
>>652
フーケ「破壊の杖、確かに頂いて……。こ、これは偽物!?」
スパイダーマン「すり替えておいたのさ!」
654名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:34:20 ID:9Dv0NoTP
そいつはスパイダーマッ、だかダーマという二次創作的キャラだw
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:34:48 ID:3VS3wNg+
超人ポープマン
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:45:50 ID:M4pRZpnm
をを、そういえばルイズに使い魔になればスパイダーマンの最大の弱点である
「生活費」の問題がクリアされるな
悪魔と契約して正体を知った人の記憶消す必要もない
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:53:45 ID:rlfibWJC
>>654
でもあれ一応版元のお墨付き自体はもらってるんじゃないか?
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 16:58:16 ID:U5y6moR8
もうルイズがスパイダーマンでいいじゃん
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 17:03:27 ID:HYsDj3yk
Giftか
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 17:23:51 ID:AZoGCBWc
>>654
スパイダーマッはちょっと前にマーベルのサイトで1話が公開されてたぐらい本家お墨付きなんだぜ
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:00:49 ID:smRDDaez
レオパルドン以外はあの当時でも大絶賛だったんだぜ
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:05:23 ID:4p7nCq/u
確かレオパルドンは、マーベル側でも子供向け作品のアイテムとしては優秀だ、みたいな意見があったらしい。
……その存在については、良し悪しを言及してなかったような気もしますが。
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:08:15 ID:ezcfBjUF
>>660
マーベルって二次創作の設定も公式にしちゃうからなぁ。
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:10:30 ID:P0q2zPI6
懐が深いというか、何と言うかw
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:26:38 ID:I/IshFw7
最近のアメリカンヒーローと言うとバッファローバーガーのコマーシャルヒーロー、Mr.ビッグホーンか

水牛に跨ったナイスガイで現在のライバルはピザファットのコマーシャルヒーローファットマン(専用のファットモービル持ちなのにペーパードライバー)だ
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:35:34 ID:rlfibWJC
ビルの〜 谷間の暗闇に〜
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:55:16 ID:HYsDj3yk
>666
おマチさんの谷間の闇と勘違いしちまったぜ
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:56:14 ID:E6rb2OiY
ピコリットル世界の小さな戦士
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:56:31 ID:rlfibWJC
サイト「テファの〜 谷間の暗闇に〜」
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:58:00 ID:ZRlonOW0
>>661-662
レオパルドンなんて
マンモスマンに瞬殺されたあいつしか思い浮かばんw
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 19:14:47 ID:CKrpw2Zg
もしミュータントタートルズを召喚したら
メカが無くドナテロ涙目
ハルケにピザなんてあったか?
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 19:14:53 ID:rlfibWJC
「次峰レオパルドン逝きます!」
「ノーズフェンシングー!」
「ギャアーーー!」
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 19:16:09 ID:46olVse4
「使い魔として呼び出された男、スパイダーマッ!」チャッチャチャー(ry
「ルイズのお着替えに手を貸す男、スパイダーマッ!」チャッチャ(ry
「よくも哀れな一年生の心を傷つけたな!フラれた少女に味方する男、スパイダーマッ!」チャッ(ry
「雪風と微熱の友情に心うたれる男、スパイダーマッ!」チ(ry
「ゼロの使い魔、スパイダーマッ!」(ry
674お前の使い魔 21話:2009/06/29(月) 19:16:23 ID:vvZM64rC
こんばんはッス
予約が無ければ、20分頃から21話投下させてもらおうかと思います
675お前の使い魔 21話:2009/06/29(月) 19:20:42 ID:vvZM64rC
 身体が重い。身体が寒い。身体の反応が鈍い。今、自分が何をしているのかよくわからない。
 左手と、魂だけが熱い。その熱が自分を今も戦わせている。

「やああっ!!」

 腕を振るうのが痛い。足を動かすのが痛い。息を吸うのも吐くのも痛い。もう休みたい。ゆっくり休んで眠りたい。
 お腹も空いた。ルイズに怒られるかもしれないけれど、いっぱい食べて、いっぱい眠りたい。

「ぜえっ……ぜえっ……くうっ!!」

 駄目だ。余計なことを考えちゃだめだ。私が頑張らないといけないんだ。
 ここじゃ誰も助けてくれない。昔みたいに、あいつの後ろで守られてるんじゃない。私しかいないんだ。

「まだです! まだ倒れません!!」

 もう私は、守られてばかりの弱い存在じゃありません。
 今度は、私があいつを守る番なんです。

「あぐっ!! い……痛くない……痛くない!! へっちゃらです!!」

 ふと、ここに来る前に、タバサの竜の上で乳でかの言った言葉を思い出しました。

『あんた、なんでそこまでしてルイズを守るの? いくら使い魔だって言っても、ついこの前呼び出されただけなのに、何で命賭けてまで助けようとするの?』

 きっと、乳でかにはわからないでしょう。
 初めて出会ったとき、私がルイズに感じた事。
 私を見るあの瞳が、とてもあいつに似ていたという事。

「あ……」

 ほんと駄目ですね私は。さっき余計な事を考えないようにしようって思ったばかりなのに、また考えちゃいました。
 右手の動きが遅れて、僅かに体勢が崩れて、そのせいで上手く飛び退けません。
 ゆっくりと、本当にゆっくりと、正面のワルドの杖が私を貫こうとしているのが見えます。
 なら私に出来ることは、このまま胸を貫かれ、ワルドの一人を抑えて少しでも時間稼ぎをする事だけ。

「ただじゃ……ただじゃやられませんっ!!」

 その時、私とワルドの間に、小さな、とても小さな桃色の影が一つ飛び込んできました。
 不思議と私には、その影にあいつの姿がだぶって見えました。
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 19:22:28 ID:ZhqybOaH
つかマンモスマン自体が強すぎ
677お前の使い魔 21話:2009/06/29(月) 19:23:09 ID:vvZM64rC
 ダネットが体勢を崩したのが見えた。
 広がった視野と上がった視力は、このチャンスを逃さんとするワルドの動きもはっきりと捉える。
 このままじゃ間に合わない。もっと、もっと速く。
 思い出せ。わたしは、俺は、もっと速く駆け抜けられる。もっと速く駆け抜けていた。

「届けええええっ!!」

 今にもワルドの杖がダネットを貫かんとしている瞬間に、わたしは滑り込み、両手で握った杖を振り上げてワルドの杖を弾き飛ばす。

「今だセプー雌!!」
「ぐうっ……やああっ!!」

 『声』の言葉に反応し、苦痛に顔を歪ませながらも跳ねるように飛び出したダネットが、杖を弾かれたワルドへと短剣を突き入れる。
 刺されたワルドは苦悶の声を漏らした後、幻のように消え去った。

「チッ! こいつもニセモンか」

 そう『声』が毒づく。
 しかし、これで残りは二人。確率的には二分の一なのだから、そうそう悪い賭けでもない。

「ダネット、立てる?」
「う……」

 残りの二人のワルドを杖で牽制しつつ、偏在を倒した後、崩れるように倒れたダネットに声を掛けると、ふらふらとなりながらも立ち上がった。

「お前……」
「話は後で聞くわ。まだ動ける?」

 ダネットは、戸惑いながらもわたしの言葉に頷き返す。

「そう。なら、一気にいくわよ。あまり時間は取れないの」

 『声』の言っていた時間がどれぐらい残されているのかは判らないが、恐らくは殆ど無いだろう。
 そんな事を考えている間にも、二人のワルドがじりじりと間をつめてくる。

「今の動き、実に興味深いよルイズ。どうだろう? やはり僕と共に来ないかい? 僕ときみとで幸せな家庭を築こうじゃないか」
「面白いジョークねワルド。引っぱたきたいぐらい素敵だわ。ついでに返事はノーよ」
「残念だよルイズ。ならば、その四肢を切り離してでも連れて行くとしよう!!」
「来るぞ!!」
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 19:23:31 ID:ZhqybOaH
ゲェーッ、ごめん!支援!
679お前の使い魔 21話:2009/06/29(月) 19:25:15 ID:vvZM64rC
 『声』の一言が響いた瞬間、ワルドがわたしへと飛び掛ってきた。
 なんとか杖の一撃を弾き飛ばしたものの、休む間もなく『声』の言葉が飛ぶ。

「術だ! 横に逃げろ!!」

 わたしが飛び退くと、今しがたまでわたしのいた場所を、もう一人のワルドの放ったエア・カッターが襲う。

「やあああああっ!!」

 ダネットの声が響き、最初のワルドへと飛び掛るのが見えた。
 同時に、そのダネットを狙おうとするもう一人のワルド。

「させないっ!!」

 わたしは声を上げながら魔法を放とうとしていたワルドへと飛び掛る。だがこのままじゃ間に合わない。どうやっても追いつけない。
 ワルドの手から、エア・カッターが放たれる。
 いや、諦めるな。思い出せ。あんなもの、ただのそよ風だ。
 俺はあの程度――

「ハハハハハ!! 僕の勝ちだルイ……なっ!?」

 ――喰らい尽くせる。


 目の端でもう一人のワルドが術を放ったのが見えましたが、私は構わず糸凪の刃を振るいました。
 例え私がやられても、このワルドが本物ならばルイズは助かりますし、万が一偽者だったとしても、残りが一人となればルイズも逃げ切れるでしょう。
 ルイズは怒るかもしれませんが、馬鹿な私じゃこのぐらいしか出来ません。
 だからきっと、許してもらえるでしょう。
 ごめんなさいルイズ。私にはこれぐらいしか出来ません。
 ごめんなさいみんな。私は帰れないみたいです。
 ごめんなさいお父さん、お母さん。そっちに行ったら叱ってください。
 そしてどうか、許してください。

「終わりです……ワルドっ!!」
「ぬううっ!?」

 ほとんど感覚の無くなった腕で振るった糸凪の刃が、ワルドの身体へと吸い込まれていきました。
 残念ながら、刺した感触で偽者だとわかりました。ならせめて、術が私を襲う前にルイズへと教えなくちゃ。
680お前の使い魔 21話:2009/06/29(月) 19:27:16 ID:vvZM64rC
「お前! こいつは偽者です!! 逃げ……あれ?」

 おかしいです。いつまで経っても術が来ません。もしかしてルイズは間に合ったのでしょうか?

「どうして……?」

 かすむ目でルイズの方を見ると、まるでワルドと重なるように腕を突き出していました。
 何かが変です。とても見慣れていた物がない感覚です。
 ぞわりと嫌なものが背中を走りました。

「お前……」

 ぐらりとワルドが倒れるのが見えました。よく見るとワルドの胸に、ルイズの持っていた杖が刺さっているのが見えます。
 もしかして、あんな杖で人の身体を貫いたというのでしょうか?
 でも、そんな事よりも、私には気になって仕方の無いことがありました。
 ルイズの……ルイズの髪は、いつからあんな血のような赤になったのでしょうか?

「お前……?」

 続けて呼びかけますが、ルイズはぴくりとも動きません。

「ルイズ!! こちらを見なさいルイズ!!」

 私の声がようやく聞こえたのか、ルイズはゆっくりとこちらを振り向きました。
 表情を見ると、少し顔色が青く見えますが、目に光はあります。

「わたし……わたし人を……」

 その声を聞いて、少しだけほっとしました。
 どうも、人を刺したという事に怯えているだけのようです。
 人を傷つけるというのはいい事ではありませんが、心の傷なら一緒に悩んであげられます。そう、ルイズの意思があるのなら。
 今は、お互いに助かったことを喜びましょう。
 私達は、生きているのですから。
681お前の使い魔 21話:2009/06/29(月) 19:29:48 ID:vvZM64rC
「ルイ――」
「何でよ……何でなのよ……何でこうなるのよ……」

 トンと誰かが私の背中を叩いたせいで、言葉が途中で途切れちゃいました。
 ちょっと疲れちゃったんでしょうか? おっといけません、ルイズが泣いちゃいそうです。
 ほらほら、大丈夫ですよルイズ。

「ごぽっ」

 へ? 今の何の音ですか?

「あ……あ……」

 どうしたんですかルイズ? 変な声を出して。さっきの音がそんなにおかしかったですか?
 それよりなんだかさっきからうごきにくいですね。
 あれ? なんですかこのむねからはえているものは?

「まさか偏在が全て倒されるとは計算外だ。しかも一人はルイズに倒されるとはね。実に驚きだよ」

 このこえは――


 ダネットが血を吐いて崩れ落ちる。
 その後ろには、血に濡れた杖を持つワルドの姿。

「マズった! 偽者は四匹だったってことかよ!!」
「ふむ。声だけの君はなかなか察しがいいようだね。その通りだよ」

 偽者……? 最後にわたし達が倒したワルドが偽者?
 だったら、あそこにいるのが……。

「ダネット!! しっかりしなさいダネット!!」

 頭は理解して口から叫びが漏れるのに、身体は緩慢にしか動かない。
 ようやくダネットの傍まで行き、必死にダネットの身体を揺する。

「ダネ――」
「にげ……て……に……げて……」
682お前の使い魔 21話:2009/06/29(月) 19:31:02 ID:vvZM64rC
 ひゅーひゅーと息を漏らしながら、ダネットは「逃げて」と繰り返す。

「逃げれる訳……逃げれる訳ないでしょ!! 起きなさいダネット!! クックベリーパイでもなんでもあげるから起きなさい!!」
「に…………て……」

 ダネットの身体から血が流れる度に体温が失われていく。言葉が消えていく。

「相棒! そいつはもう駄目だ! 諦めろ!!」

 もう駄目? 誰が? 諦める? 何を?
 わたしには力があるんでしょ? だったら助けてよ。ダネットを助けなさいよ。お願いだから助けてよ。

「彼の言う通りだよルイズ。諦めて俺と共に来るんだ」

 うるさい。黙りなさいワルド。わたしは諦めない。諦めないと誓ったんだ。逃げないと誓ったんだ。
 二人で生きて帰るって誓ったんだ。

「…………」

 ダネットの口が動く。でも、何て言っているのかわたしにはわからない。見たこともない口の動きだ。
 でもわかる。ダネットはわたしの知らない言葉でこう言っている。

『まもれなくてごめんなさい』

 わたしの、魂の、揺りかごが

 こわれた


 ようやくアルビオンが遠目に見えたあたし達の目に、とんでもないものが映った。
 ソレは遠目でもわかるほどに大きく、ゆらゆらと揺れているようにも見える。

「なんなんだいあれは……」

 ギーシュの怯えた声がする。隣のタバサも青い顔で『あれ』を見つめている。
 多分、あたしの顔も真っ青なのだろう。さっきから膝が震えてる。
 そんな中、怯えではなく疑念の声でデルフが呟いた。

「嘘だろ……なんであいつが出やがんだ!?」

 デルフは知っているんだろうか? 『あれ』を。あのアルビオンの上に立つ、恐ろしい姿の『巨人』を。
 ふと何故か、あたしの中に一つの言葉が思い出された。
 ルイズがダネットを召喚した日、ダネットが言っていた言葉。

「世界を……喰らう者……」

 その言葉は、自然とあたしの口から漏れていた。
683お前の使い魔 21話:2009/06/29(月) 19:35:07 ID:vvZM64rC
以上で21話終了です

予定ではここでアルビオン編終わってたはずなんですが、色々いじってたら異常な長さになってたんで、途中で切ったらいつもより短くなるというミステリー
もうしばらくお付き合いいただけたらと思います。

>>678
いえいえ、こちらこそ支援ありがとうございますッス!


それでは
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 19:51:41 ID:NYKOGnT0
乙乙
待ってましたよ〜
685名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 20:32:43 ID:+UeCxSAQ
>>673
ズバットが召喚されるSSを思い出したぜ
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 20:49:12 ID:KXhfUYzE
なんて気になるタイミングで終わってるんだ>お前の使い魔
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 21:09:06 ID:qrNEF5mV
>>685
キュルケはギャロップですか?
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 21:56:57 ID:IxpN1q/H
ダメットの人乙&GJ!
ぬぅ、なんという生殺し。
ダメット生きろ。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 22:12:01 ID:9nO2w5VE
>>673
スパイダーマはもっと悪党だろ。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 22:44:34 ID:AZoGCBWc
>>689
そりゃニコニコの中だけだろ
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 22:49:41 ID:JaOrv5Ef
>>690
だからスパイダー「マ」なんだろ
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 22:55:05 ID:egZjlG+C
ブロントさんも実は公式でネタにされてるんだぜ
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 23:18:44 ID:JaOrv5Ef
ディシディアだっけ?そういや絵板で描かれたブロントさん消えたな。
694名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 23:28:33 ID:FrMJINrN
>>660
アレは1話だけじゃあなく全話公開予定だぞ。
すでに18話あたりまで公開された。
695名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 23:29:02 ID:qrNEF5mV
そりゃスゲーなw
本人としては嬉しいんだろうか、恥ずかしいんだろうか。
696ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/06/29(月) 23:54:19 ID:VjSZGvcg
夜分遅くどうもです。
よろしければ投下しちゃいたいと存じ上げますです。
0:00、日付越える辺りにお邪魔します〜。
……うわ、もう第50幕まで来tぎゃったよ。ひとえに皆さまのおかげでございます。
いつもありがとうございます。
697ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/06/30(火) 00:00:33 ID:01JwyOu7
投下開始にございます

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ルイズおねえちゃんは、正直に言ってしまうと、口を開ければ小言が多いし、
余計な意地を張っちゃって、あんまり良いことが無いなぁって、思うことが数えきれないぐらいある。

「きみは、上流階級の子じゃないか?」
……だから、ルイズおねえちゃんの『ずっと黙っている接客』は大正解だと思うんだ。
ルイズおねえちゃんは、貴族の子達の中でも、礼儀作法とかは1番ぐらいに厳しいから、
黙って一礼するだけ、とか、ちょっと後ろに下がるだけ、とかでハッとするほど綺麗に見える。

「とある貴族のお屋敷にご芳志していたとか?そこで行儀作法を仕込まれたんだろ?」
お客の男の人は、黙ってるルイズおねえちゃんを見て、あれこれ想像してるみたいだ。
ルイズおねえちゃんは、ただただ、にこやかに笑って黙っているだけ……
うん、そうやって黙っていると、ルイズおねえちゃんが本当は持ってるはずの優しさとかが出てきて、
お客さんにもウケがとってもいいみたいだ。

「君みたいな可愛くておとなしい子が奉公していたら、ただじゃすまんだろ。
 行儀作法だけでなく、あんなことや、こんなことまで……。
 仕込まれそうになったりしたんじゃないのかね?」
……どうでもいいかもしれないけど、このお客さん、流石に想像力がありすぎ、じゃないかなぁ?
もしかしたら、お芝居の台本を書くお仕事してる人かもしれない。
何か、自分の言っていることに興奮してくるところとか……すっごく“芸術家”っぽいと思うんだ。

「く!ひどい話だね!きみみたいな可愛い子に……。
 でも、どうして奉公していたきみがこんな店で……、そうだ!分かったぞ!
 あんなことやこんなことを仕込もうとする無体な旦那に嫌気が差してお屋敷を飛び出したんだな?
 でも、両親が残した借金が残ってる。それを返すために必死で働いてる。そんなとこだろ!」
……なんか、ボクまでルイズおねえちゃんが可哀想に思えてきた……
すごいお話作るんだなぁ、このお客さん……

「なんて可愛そうな子なんだ。ふむ、じゃあこれをその借金の返済にあてなさい。
 ところで、その、あんなことやこんなことって、どんなことだね?話してみなさい。いいね?」
……でも、そのお客さんのお話はそこで終わりだった。
ルイズおねえちゃん、チップだけもらったら、一目散に逃げてきちゃった……
流石に、それって接客としてどうなのかなぁ……?

「……ハァ、ハァ」
緊張してたのか、急に走って疲れたのか、ルイズおねえちゃん、ものすごく息切れしてたんだ。
「やるじゃねぇか、娘っ子!黙ってりゃいい女、ってか?ケケッ!」
「ルイズおねえちゃん、お疲れさま……はい、お水」
最初っから終わりまで厨房で見てたから、疲れてるだろうなって思って、お水用意しといて良かったって思った。

「ありがとね……ふはぁ〜! あ、あったりまえじゃない!チョロいわよ、チップなんてね!ふんっ!」
そうは言っても、ルイズおねえちゃん、とっても嬉しそうだった。
こんなにいっぱいチップをもらえるなんて初めて、だもんね。
さっきのお客さん、ホント気前がいいなぁって思うんだ。
あ、そういえばさっきのお客さんと言えば……
「ルイズおねえちゃん?あの、ね……」
「ん?どうしたのよ、ビビ?」
「……『あんなことや、こんなこと』って……何?」

……ペコッて持ってたコップではたかれちゃった……
どうしても意味が分からなかったから聞きたかったんだけどなぁ……?

……今度コルベール先生にでも聞いてみよっかなぁ……?


ゼロの黒魔道士
〜第五十幕〜 いかにして彼等はその地に立ったか
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 00:01:04 ID:w79MABnB
来ぎゃった道筋の遥けきを想いつつ支援
699ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/06/30(火) 00:01:19 ID:01JwyOu7
「ふ〜ん。調子出てきたじゃないの、あなたの“お姉ちゃん”」
「あ、ジェシカおねえちゃん……はい、お水」
ルイズおねえちゃんが次のお客さんに取り掛かったすぐ後に、ジェシカおねえちゃんが厨房に顔を出してきたんだ。

「ん!気が利いていてよろしい! っふぅ〜!生き返るわ〜……」
今日は、暑いから、みんなお水ですっごく喜んでくれるのが嬉しいなって思うんだ。
「最後にみんな追い上げてきちゃったし、こりゃお姉さんもうかうかしてらんないねぇ!
 あ、これ3番さんね?よし、丁度いいわ!もうちょっと頑張ってくるわね〜!」
「いってらっしゃ〜い……」
それにしても、ジェシカおねえちゃんって、すごいなぁって思うんだ。
テクニックとか、色々と……

「おいおいなんだジェシカ。機嫌が悪いじゃないか!」
「さっき誰と話してたの?」
例えば、今行った3番テーブルのお客さん、ちょっと他の店員さんと話していたのをきっちり見つけて、
ちょっと力をこめてテーブルに料理を叩くように置く。
すごい演技力だなって、思うんだ。
まるで……ホントにヤキモチを妬いているみたいに見えてしまうんだ。
ボクも、最初に見たときは騙されそうになった。
(そのときに「あの人のことが好きなの?」って聞いたら、思いっきり笑われちゃったんだ……)

「な、なんだよ……機嫌直せよ」
「別に……、あの子のことが好きなんでしょ」
「ばか!一番好きなのはお前――」
……これで、このお客さんは、ジェシカおねえちゃんの機嫌を直そうとチップを多目に出してしまうんだろうなぁ。
ジェシカおねえちゃん、役者さんも十分できそうだなって思うんだ。
……ルイズおねえちゃん、勝てるのかなぁ?こんなスゴい人相手に……
 ・
 ・
 ・
「これはこれは、チュレンヌさま。ようこそ『魅惑の妖精』亭へ……」
騒がしかったお店が、急に静まりかえる。
お店に入ってきたのは、沢山の男の人達……
「ふむ。おっほん!店は流行っているようだな?店長」
そして、その先頭に立っていたのは、ヘッジホッグパイみたいにでっぷりと太ってて、
髪の毛が海藻みたいにベットリと頭に張りついている貴族の人だった。
……なんか、顔つきがニヤニヤとしてて感じがすっごく悪い。
「いえいえ、とんでもない!今日はたまたまと申すもので。いつもは閑古鳥が鳴くばかり――」

「……店長さん、どうしちゃったんだろう?」
いつも豪快な店長さんが、ペコペコと頭を下げてばっかりだ。
「ぁ〜ん?いかにも俗物ってぇ声だなぁ。どーせ木端役人の類だろーぜ?」
……お役人さんって、そんなに偉いのかなぁ……?

「なに、今日は仕事ではない。客で参ったのだ」
「お言葉ですが、チュレンヌさま、本日はほれこのように満席となって――」
「私には、そのようには見えないが?」
どうも、その役人さんの後ろにいる人達も貴族の人みたいだった。
お役人さんがチラッと目配せをしたら、一斉にギラギラと趣味の悪いぐらい光る杖を引き抜いて、周りのお客さんを威圧したんだ。
……他のお客さん、その迫力に圧倒されちゃったのか、みんな逃げちゃった……
料理やお酒、まだ残ってるのに……もったいないなぁ……
「どうやら、閑古鳥と言うのは本当のようだな。ふぉふぉふぉ!!」
頭の上に乗っかっている藻と同じぐらい、ベットリとした声で笑うお役人さん。
うーん……これは、流石に、“なんとなく”、なんてもんじゃなくて……

「……すっごく感じ、悪いね……」
「ほんっと、感じ悪いわよね」
ボクの意見に、いつの間にか厨房まで逃げてきていたジェシカおねえちゃんが同意した。
700ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/06/30(火) 00:02:19 ID:01JwyOu7
「あ、ジェシカおねえちゃん……あの人、誰?」
「このへんの徴税官をつとめているチュレンヌって豚よ。
 ああやって管轄区域のお店にやってきては、わたしたちにたかるの。いやなやつ!
 銅貨一枚だって払ったことないんだから!」
……ちょーぜいかん……ちょっと、どういうお役人さんかはよく分からないけど、
とにかく、自分の担当している地域で悪いことをしているお役人さんってのはよく分かった。
「俗物どころか金の豚ってなとこか、なるほどなぁ」
「貴族だからっていばっちゃって!
 あいつの機嫌損ねたら、とんでもない税金かけられてお店が潰れちゃうから、みんな言うこと聞いてるの」
お店が潰れちゃうんだ……嫌な奴だけど、それだと言うことを聞かなきゃいけないんだろうなって思った。
こんなに活気があって、みんなが楽しくお仕事をしているお店が潰れるなんて、もっと嫌だしね……

「おや!だいぶこの店は儲かっているようだな!このワインはゴーニュの古酒じゃないかね?
 そこの娘が着ている服は、ガリアの仕立てだ!どうやら今年の課税率を見直さねばならないようだな!」
……でも、これはやりすぎ、だと思う。
何より、貴族の人らしい、ルイズおねえちゃんにあるような上品さの欠片も無かった。

「ほらほら!女王陛下の徴税官に酌をする娘はおらんのか!この店はそれが売りなんじゃないのかね!」
「触るだけ触ってチップ一枚よこさないあんたに、誰が酌なんか――」
チュレンヌの言葉に、ジェシカおねえちゃんが苦々しくつぶやいた。
「――しそうな娘っ子、1人だけ心当たりあるぜ?」
「あ」
……デルフの言うとおり、確かに、1人だけ、そんなチュレンヌにお酌をしそうな人がいたんだ……

「なんだ?お前は?」
「お客様は……、素敵ですわね」
……ルイズおねえちゃんって、ときどきスゴいって思うんだ。
教科書とかマニュアルとかをきっちり暗記したりするのもスゴいんだけど、
それをどんなときでも、そのとおりに言ったりやったりしてしまうことがスゴいって思う。
……何も、こういうときに限ってきっちりやらなくてもいいとは思うけど……

「なんだ!この店は子供を使っているのか!」
ルイズおねえちゃんは、黙ってニコニコしてた。
……スゴい。1週間前のルイズおねえちゃんとはまるで別人だった。
1週間前だったら、“子供”って言われただけで、そこら辺のワイン瓶で殴りかかってたと思う。
「ほら、いったいった!子供に用はない。去ね!」
……そして、殴りかかってなくて良かったって思う。
嫌な奴だけど、お店が潰されるのは困ってしまうし……

「なんだ、よく見ると子供ではないな……ただの胸の小さい娘か」
……なんで、このチュレンヌってお役人は、こうルイズおねえちゃんにクリティカル攻撃してしまうんだろうなって思うんだ。
ボムが自爆する前にプクッて膨らむみたいに、ルイズおねえちゃんの気迫をむわって感じた。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 00:02:41 ID:vCXlbVei
しぇん
702名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 00:02:46 ID:l8UsOnZt
ジョゼット出しちゃってどうするのかwktkしながら支援。
703ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/06/30(火) 00:03:23 ID:01JwyOu7
「どれ、このチュレンヌさまが大きさを確かめてやろうじゃ――」
チュレンヌの手がわきわきと、まるで虫の足みたいに嫌な動きでルイズおねえちゃんに触れようとした瞬間、
ドンッと大きな音がして、真ん中のテーブルに料理の乗ったお皿がおかれた。
あんまりにも大きな音で、チュレンヌも周りの軍人さんもビクッとするぐらいに。
……ボクも、ほんのちょっぴり、ビクッてした。

「――料理、お持ちした」
その料理を運んで来たのは、メガネの店員さん……ルイズおねえちゃんのちょっと前にお店に入ってきたらしい、あの新人さんだ。
無口で、あんまり愛想が無くて、チップがあんまりもらえていない、あの新人さんだった。
……初めて声聞いたけど、なんか聞き覚えがあるような……?
「き、君なぁ、私が今から楽しもうと言うときに――ははぁん、そうか!君もお楽しみの輪にくわわりたいと、そういうことか!」
「……」
「ふむふむ、黙っているとみると、肯定かな?ふふふ、メガネの下はどんな美人かなぁ?こっちの洗濯板よりよっぽど楽しめそ――」

「……洗濯板はないんじゃないの?」
ボムの、自爆。
……昔は、アレほど怖いものは無いやって思ってたけど、
そんなの、まだまだ全然だなぁって、この時思ったんだ。
お店のテーブル、料理、椅子、壁……
色んな物が消し飛ぶ大爆発。それも続けざまに、沢山。
……ルイズおねえちゃん、『エクスプロージョン』って魔法、詠唱するのがすっごく速くなったんだなぁ……
「ひ!ひぃいいいい!」
ルイズおねえちゃんにクリティカルな攻撃を続けていたチュレンヌが、一番怖がっていた。
「なんでそこまで言われなくちゃならないの?この私がお酌してあげたのに、洗濯板はあんまりじゃないの?覚悟しなさいよね!」
なおも、爆発が続くという宣言をして、杖をチュレンヌに差し向ける。
さっきまでチュレンヌと一緒になって驚いていた軍人さん達も、
冷静になったのかルイズおねえちゃんに向けてギラギラ光る杖を何本も向けようとしている。

「……デルフ!」
「おうよ!久方ぶりの俺様大活躍ぅっ!」
流石に、もう黙って見ているわけには、いかなかったんだ。
ルイズおねえちゃんが、このまま暴れるのも良くないし、
かといって、ルイズおねえちゃんが傷つくのは絶対に見たくない。
とりあえず、この場を止めなくちゃいけない。
……止めた後、『お店は潰さないでください』って謝って、なんとかしてもらおうって、思ったんだ。
そう思って、デルフを片手に厨房から飛び出した直後に……
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 00:03:45 ID:w79MABnB
もう一戦y、もといシェン、もとい支援
705ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/06/30(火) 00:04:49 ID:01JwyOu7
「え、えぇぇい!何をボサッとしておる!そ、そこの娘をただちにひっとら……え?……て……お前達ぃいいいい!?」
「あれ?」
「おん?」
それは、あっという間の光景だったんだ。
軍人さんが、空に舞い散ったと思ったら、その真ん中にいたのは、メガネの新人店員さん……
「……税の過剰徴収並びに私有化、兵の私有化、徒党を組んでの弱者迫害、並びに女性に対する不届き千番……」
低く、呪文を唱えるように、新人さんはチュレンヌの悪行を言っていく……
バタバタと、まるで本棚の上のホコリを払ったときのように、軍人さん達が落ちていくその真ん中で、
新人店員さんが静かにメガネを外した。
あれ、この顔って……
「え?ちょ、あ、あの、え、私は、女王陛下のちょちょちょ徴税官であるぞ!」
「女王陛下直下の銃士隊、アニエス・シュバリエ・ド・ミランが許さぬ!!」
長い金髪のカツラを外して、どこに隠していたのか、紋章入りの銃をチュレンヌに突きつける新人店員さん、いや……
「じゅ、銃士隊っ!?女王陛下直下!?」
「あ、アニエス先生!?」
店員さんがアニエス先生で新人さんで妖精さんで?な、なんか混乱してきちゃった……
 ・
 ・
 ・
「――なんで、こんなところに?」
チュレンヌや、それ以外の軍人さん達を縄で縛りながら、ルイズおねえちゃんがアニエス先生に聞いたんだ。
「……それは、こちらのセリフだ。何故お前らがこんなところにいる?」
アニエス先生は、いつもの鎧とマント姿じゃなくて、
ルイズおねえちゃんと同じ服の、色違いのスミレ色のものを着ていた。
なんか、ちょっと新鮮に見える。
「え、えっとー……ボク達は……」
「よりによって!なんでこんなところにいるのだ!」
……なんでだろう、さっきからアニエス先生がすっごく焦ってるように見える……

「え?え?」
「貴族であることを良いことに、悪さをしているという腐った輩を捕まえる任務と聞いて志願すれば?
 よりにもよって恥ずかしい服装で客に色気だの愛想だのをふりまかなくてはならない潜入任務?
 変装をしたとはいえ知り合いが来て露見するのを恐怖に怯えていたら?何でお前達が同じ店に?何故だっ!?」

……何故だ、って聞かれても、ちょっと答えに困るし、
流石に「お姫さまからの任務用にもらったお金を使い果たしちゃったから」っていうのは言いにくいし……
アニエス先生はすごい剣幕で怒ってるから何も言えないし……

「え、えっと、あのー……」
「せめて目指す獲物が来なければ、バレない内に店を変えて待ち伏せしなおすつもりでいたら?
 なんでよりによってこの屑はこの店に来てしまうというのだ!?あぁ、もうっ!!」
アニエス先生、なんでそんなにイライラしてるんだろう……?
服、似合ってるんだけどなぁ……?
「――偶然って、恐ろしいもんだぁな」
ルイズおねえちゃんと、デルフは同情したように、アニエス先生の言葉にうなずいている。
……ボクだけ、アニエス先生の気持ちが分かってあげられないのは、ちょっと悲しかった。

「――ルイズっ!!」
「は、はひ!?」
アニエス先生がものすごい剣幕のまま、ルイズおねえちゃんをにらんだ。
……ものすごく、怖い。

「……お互い、この店にいたというのは、その……秘密にしないか?」
「――大賛成、ね」
「――交渉成立だな」
目と目で、分かりあって、ルイズおねえちゃんとアニエス先生がガシッと握手した。
……言葉が無くても分かりあえるって、良いなぁって思うんだ。
ボクも、もっとアニエス先生やルイズおねえちゃんのことを分かろうって、そう思った。
706ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/06/30(火) 00:05:38 ID:01JwyOu7
「――……あれ?おい、ちょっと?おれっちの活躍の場は!?」
……デルフの気持ちは、なんとなく分からないでも無いんだけど、ね。

-----------------
ピコン
ATE 〜青竜は荒野を越えて〜

「きゅいきゅいっ!!」
翼が、もぎ取れそうだった。

「きゅいぃぃ!!」
風の刃が、身を貫くように、刺さる。

「きゅい、きゅいぃっ!!」
それでも、彼女は、懸命に、疾く飛んだ。

タバサが地に伏した直後、あのエルフに真っ先に食らいついた。
後先を考えず、ただ、怒りに身を任せて。
結果など、分かっていたはずだった。それでも、戦わずにはいられなかった。

「魂まで蛮人に売り渡したか、韻竜よ。使い魔とは、哀しい存在だな」
違う。それは決して哀しいことなんかではない。
主を助け、主を守り、主と共に歩むこと。それこそが使い魔なのだ。
シルフィードは、エルフに片手で制されながら、そう思った。
思った直後に……頭に衝撃を受け、昏倒した。
エルフの前では、韻竜も赤子にしかすぎないというのであろうか?

目を覚ますと、エルフの姿も、お姉さまの姿も、影も形も存在しなかった。
「きゅぃいいいい!!!」
叫んだ。哀しい、叫びだった。
消えた主の手掛かりを求めるように、風に叫んだ。

……そして、意外なことに、手掛かりはすぐに見つかった。
地に落ちた、血の痕。
それと、風に乗って香る、ハシバミ草やムラサキヨモギの香り。

それは、間違いなく、彼女の主の痕跡だった。

シルフィードは、飛んだ。
そのワザとらしいタバサの足跡を、罠と知りながらも、
彼女は、疾く飛んだ。
全ては、彼女が使い魔であるために。

何時間飛んだか分からない。
太陽が傾いて、沈み、また昇った。
夏の日差しが彼女の体力をさらに奪い取ろうと真上に来たときに、彼女は見つけた。
それは、砂に囲まれた、要塞。
それは、彼女の主を封じ込めた、悪魔の城。
そこから香るは、タバサの血と、彼女の好む香草の香り。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 00:05:50 ID:vCXlbVei
アニエスさんだったのかw
支援
708ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/06/30(火) 00:06:27 ID:01JwyOu7
シルフィードは、考えた。最善手を。
本能は、今すぐにでも城に乗り込みたかった。
だが、ここには、あのエルフがいる。
彼女を赤子のように軽く片づけた、この地で最も恐ろしき存在が。

そして、彼女が考えた最善手は……

「きゅいきゅいっ!!」
翼が、もぎ取れそうだった。

「きゅいぃぃ!!」
風の刃が、身を貫くように、刺さる。

「きゅい、きゅいぃっ!!」
それでも、彼女は、懸命に、疾く飛んだ。

彼女が考えた最善手、それは。
「きゅぃっ――ビビちゃんっ!お願いっ!!」
死の淵から帰ってきた、奇跡のスーパー精霊さん。
心優しき、彼女のお友達。
彼に頼ること、それが彼女の考えうる、最善手だった。

体力も限界で、涙も涸れ、向かい風に目が乾く。
それでも、青竜は荒野を越え、トリステインを一直線に目指した。

全ては、彼女の主を助けるために。
全ては、彼女の友を助けるために。

----------
以上にございます。

まぁ、色々と誤字もありまさぁね(T T)
こんな駄文をね、半年近くも続けさせていただいて、ホンマ感謝の言葉が思いつかんほどですわ。
さて、FF9で言うならば、そろそろDisc4に入って参ります。
もうちょいだけ続かせてください。お願いします。

……あ、ジョゼット?うん。まぁ、言い訳は作ったんだけどね。整合性は取りつつ。
……流石に原作のアレをそのまま使うのは厳しいので、ちょい違う方向で使いますのは逃げじゃねぞこんちきしょー!orz
それでは、お目汚し失礼いたしました。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 00:12:47 ID:l8UsOnZt
出たばっかりのキャラを二次創作で出すとエラいことになるということを身をもって教えてくれた氏に敬礼しつつ、乙。
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 02:26:14 ID:7lmHab4D
ウルヴァリンが召喚されたらルイズとジュビリーのような関係を築けるだろうか
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 02:31:30 ID:g0s59Zb2
ゼブラーマンにハルケ全国のお父さん方の希望の星になっていただきたい
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 04:00:45 ID:BpEJjsO0
太陽と勝負するくらいだから、朝の洗濯とかバッチリだろうな
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 06:36:57 ID:bTvemsdo
黒魔の人乙です〜
このままタバサ奪還編に突入?
ビビはエルフに勝てるのだろうか?
先の展開にwktkするばかりです。
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 07:40:03 ID:4fvRyyaB
黒魔の人乙でした!

ふむ、直にエルフ戦か……そういや、このビビ、最強呪文『ジハード』使えるのかなぁ?
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 08:38:34 ID:4KOeLsfk
>>711 コスプレ男を呼ぶのかw

内面でいうなら性格の悪いカミーユとか?
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 08:45:39 ID:CI8RiVMl
ゼブラーマンは、映画とコミックで違うからな……
コスプレ男に過ぎなくとも、家族を守るために戦いきったコミック版のほうが好きですけど、ラノベとクロスさせるには映画版のほうが映えそうですしね。
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 09:01:18 ID:SZpd0ikJ
間違いなくモットが蟹怪人になるな
718名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 09:21:11 ID:EBXQRwcI
蟹と聞いてゼロクロイツのフェーダードライの色が赤で蟹の化け物に見えた事を思い出した
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 10:55:33 ID:CI8RiVMl
モット伯が蟹怪人……龍騎で最初の退場したカニライダーとか。最後は自分の契約モンスターに食い殺されましたが。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 11:49:31 ID:KHeV0Ylb
最近の蟹怪人「卑怯もラッキョウも大好物だぜぇー!」
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:06:48 ID:iKPaBBqS
着ると不老不死になるカニアーマーとかありますよ
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:11:11 ID:VbuOtrFH
ちょっきんな〜、なトランスフォーマーとかも居るな>蟹
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:12:21 ID:/QKN6gs6
>>721
それは夜闇を書いている人に期待しよう
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:14:48 ID:iekwHDfc
蟹と言えばデスマスクだろ。
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:16:59 ID:6TL7VXqq
マンモス哀れな奴
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:22:23 ID:7lmHab4D
他のやつらは手加減していた節があるのにデスマスクだけガチで戦って負けてるからな
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:24:50 ID:yPVDjN1S
蟹「おい、デュエルしろよ」
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:27:13 ID:OjmrdeSD
「神の一手先を読んでこその教皇」とその弟子のおかげで
ようやく最近「わたしは蟹座です」と人前で言えるようになった
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:27:16 ID:6TL7VXqq
蟹の名誉のために言っておくが、
乙女、山羊、魚もガチで来てやられてる

…まぁ、蟹と違って引き分けに近い形だけどな
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:33:23 ID:+rsU6pqa
マニゴルドさんが召喚されると聞いて。
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:33:57 ID:xyNIp0pV
>>727
でゅ↑エルだぁ!
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:36:49 ID:I8sqOG4t
獅子座の俺には関係ない話だな
…最近は黄金聖闘士といえば麗しの黄金聖闘士を先に思い出してしまう
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 13:30:34 ID:9aFNUOTn
なんで蟹と満足さんがこんなところにいるんだよw
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 13:39:45 ID:MQ4W+1rB
蟹…椰子蟹…
つまりゼロの使い魔作画崩壊するんですね
わかります
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 13:50:55 ID:pd7LMXSE
蟹と聞いてディケイド19話の魔化魍思い出した
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 13:56:14 ID:1sAAELPl
鳴滝「次の回から本気だす」
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 13:59:49 ID:V4s0JP5u
蟹……つよきす……
乙女さん召喚でハルケギニア全土で教育的指導ですね分かります。
無論、シエスタはよっぴーの曾孫で
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 14:25:29 ID:o81GlOIj
蟹(遊星)で思い出したが社長の人最近見ないな
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 14:40:20 ID:wfcn4YC7
魔法使い狩人として爆れつハンターからキャロットグラッセを召喚しようと思い立った
直接魔法による攻撃はワルドとの模擬戦が初めてだったことに気付いた
ギーシュ&フーケに負けるwwwもしくはオリジナルのゼロ魔と全く同じ展開になっちまう
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 15:13:27 ID:Z5PK+/OO
>>738
5Dsも第一期終了したし、そろそろ帰ってきてほしいんだけどねえ。
エルザ編のデュエルの熱さと、あの感動のエンドは今でも名シーンだと思ってる。
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 15:21:59 ID:4h6AKH3q
>>739
一応そこそこある身体能力に加え破壊神による運勢補正がすごいから何とか倒せそうだと思う
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 15:33:25 ID:GbuJDRsw
蟹だと木更津キャッツアイになるな
ぶっさん…
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 15:48:54 ID:ie4OVa3M
蟹と言うと龍騎と星矢以外にはゴーダンナーのG0ガンナーの本体であるクラブマリナー改とか
ゾイドとか
YAT安心宇宙旅行とかかにパンとか……
下二つはドマイナー過ぎか
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 15:57:51 ID:OG7W4EJw
>>737
かには俺のだからな
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 16:04:00 ID:VbuOtrFH
ゾイドで蟹というとダークスパイナーと合体するキラードームという蟹型ゾイドしか思い浮かばんw
小型だけど結構強いんだよねキラードーム
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 16:13:14 ID:OjmrdeSD
蟹といえば「轟世剣ダイ・ソード」より盾のヨゴ
防御力最強だしなにより使い減りしないのがいい

>>744
じゃあ乙女さんとよっぴーとなごみんは俺のもの
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 16:27:33 ID:bcxRYno5
消防署の方から来たぜー

フカヒレ召還したらサイトと同じポジションには入れそう










恋愛関連は除いて
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 16:28:49 ID:OG7W4EJw
>>746
ああ…喜んで差し出そう
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 16:45:29 ID:V4s0JP5u
>>746
待て、よっぴーを入れた時点でルイズより悲惨な目に遭うぞ!

>>747
最後に噴いた
750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 16:48:49 ID:4fvRyyaB
>>747
声はベジータなのにwww声はリュカなのにwww
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 16:59:05 ID:Z5PK+/OO
>>743
YATをリアルタイムで見ていましたが? つか一応あれ2年続いたろ。
バカやってとんでもないところに漂着とかよくあったから、ハルケに来てもたくましくやっていくかも。桂さんならワルキューレくらいひねりつぶしそうだし。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:00:44 ID:OjmrdeSD
>>749
アッー!

>>750
でも声は横島
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:12:05 ID:RS9zs0dy
まて、よっぴーは我のものだ。
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:16:21 ID:bcxRYno5
フカヒレは初日部屋で寝かせてもらえなさそうだよな

ルイズ「あんたカブトムシのにおいがするから厩舎で寝なさい!」
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:19:17 ID:g0s59Zb2
ルイズ!ワシじゃ、可愛いキラケンじゃ!
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:20:07 ID:OjmrdeSD
>>753
じゃあ祈先生も付けて差し上げましょう
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:21:10 ID:EBXQRwcI
今思い出したがロックマンX2からクラブロスなんてどう?

エックスとかオストリーグとかバッファリオで書こうかと
漫画版を探してるけど全然見つからない…
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:21:40 ID:RS9zs0dy
おお、快 なり!
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:23:14 ID:6TL7VXqq
ルイズが快なりジャンプか?
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:25:24 ID:BpEJjsO0
出オチだけど、大阪からでっかい蟹を
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:27:26 ID:V4s0JP5u
>>756
ハードル高すぎるW
片やヤンデレ、片や聖少年喰らいだぞ?

スバル呼ぼうにも蟹かレオが居なきゃ動かないからなぁアイツ。スペックは申し分ないんだが
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:28:49 ID:VbuOtrFH
蟹もいいけどカブトムシやクワガタなんかの甲虫もいいよね!
D&Dだかモンスターコレクションだかに体長5mくらいのでかい奴がいたよーな。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:49:43 ID:OjmrdeSD
そういえばウルトラ怪獣も蟹系ってないなぁ
少なくともオイラはいっこも思い浮かばない
虫系ならアントラーとかあるけど
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:50:03 ID:1sAAELPl
ムシキングの出番か
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:55:30 ID:OjmrdeSD
甲殻王者カニキング
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:55:39 ID:N2EEShCX
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 17:57:42 ID:PgM78KSj
>>755
雷太さんかと思いました
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:22:08 ID:+rsU6pqa
>>767

それ何てスパロボw
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:32:40 ID:oK+LNV1H
>>763
帰マンに蟹座怪獣ザニカ、タロウに大蟹怪獣ガンザが出た。
ダイナに出た宇宙海獣レイキュバスはどちらかといえばザリガニかな。
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:34:28 ID:OjmrdeSD
ああ、カニキングで思い出したが絶対可憐チルドレンのザ・チルドレン+1召喚
というのは面白いかも

攻撃、回避、知覚、知恵の全てが揃ってる。
うまく協力してもらえれば絶大な力を得られるし向こうは「絶望の未来」から逃れられる
問題があるとすれば強力過ぎるってトコかな

そういえばコイツら召喚って無いな
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:38:31 ID:6TL7VXqq
小ネタにあったような…
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:39:24 ID:wfcn4YC7
かおすキッチンのカニックス少佐をだな…
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:46:30 ID:bcxRYno5
そこでマグニートー召還
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:51:35 ID:1sAAELPl
小動物枠でジャンガが活躍してるからソニックあたりを召喚させたい
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:53:23 ID:BpEJjsO0
小動物枠か……
虚無がそれぞれネズミとか召喚してスレが虚無る
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:55:31 ID:X/XsLp6g
>>773
ハルケギニアに金属製品少NEEEEEEEEE

対メイジ戦するには自分で持ち歩くか周囲の砂鉄でも使うしかない?
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:56:43 ID:6TL7VXqq
>小動物枠
ノロイ召喚
ゼロ魔の物語の裏側でモートソグニルとの熾烈な戦いが!
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:57:26 ID:cDKBRMGZ
映画で人間の鉄分を抜き取らなかったか?
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:59:04 ID:cDKBRMGZ
イタチつながりで、東のカマイタチから十朗を
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 19:01:08 ID:OG7W4EJw
うしおととらの西のかまいたち三兄弟が
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 19:01:34 ID:g0s59Zb2
爆発繋がりでボンバーマンを
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 19:08:00 ID:X/XsLp6g
>>778
あれは事前にミスティークが注射して仕込んでた金属。
どうやら人体に含有する金属までは操れないらしい。
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 19:20:07 ID:c93Bn4GA
>>782
ヘモグロビン中の鉄分の操作も可能だぞ、あの老人は
地磁気を直接操作して噴火を誘発したりとかもできたりする
784無重力巫女の人:2009/06/30(火) 19:23:29 ID:t6cC2pcB
どうも皆さん今晩は、梅雨真っ盛りですね。
新しい話を書き上げることが出来ましたので投稿をしたいと思います。
もし何もなければ7時35くらいを目処に
出来るならば支援の方、よろしく御願いします。
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 19:28:29 ID:X/XsLp6g
>>783
なるほど。
じゃああれは映画用に能力を弱体化されてたのね。
786無重力巫女の人:2009/06/30(火) 19:34:25 ID:t6cC2pcB
 
「みんなー、昼食よぉ!」
のどかな昼食時を迎えようとしているウエストウッド村に、ティファニアの声が響いた。
その声を聞き、彼女の自宅の周りに建てられている他の小屋から子供達が何人もやってくる。
子供達は森との境界が曖昧なティファニアの家の庭へ、ゾロゾロと吸い寄せられるように集まってきた。
設置されている椅子に子供達が全員座るとティファニアはテーブルの上に料理を並べ始めた。
どうやら今日の献立は鶏肉のクリームシチューと白パンのようだ。
料理を並べ終えたティファニアは席に着き、子供達と軽い食前のお祈りをした後、食事を始めた。
お腹が空いていた子供達はスプーンを手に取ると目の前にある皿に盛られたシチューをガツガツと食べていく。
ティファニアはそんな子供達を見て軽く微笑むと、自分の向かい側に座っている霊夢に視線を向けた。

霊夢は周りにいる子供達の声に顔を顰めることなく、シチューを口の中に運んでいく。
子供達はそんな霊夢を見て何が面白いのか、何人かが笑っていた。
やがて数十分経った頃には子供達は昼食をペロリと平らげ、途端にティファニアにじゃれつき始めた。
「おねーちゃん!遊んで遊んでぇ!」
「こ、こらあなた達…今日はお客様が来てるのに…。」
ティファニアが困った風にそう言うと、白パンを食べようとしていた霊夢がティファニアに言った。
「あぁ、私のことは気にしなくても良いわよ。」
霊夢はそう言うと手に持ったパンを千切ることなくそのままかぶりつき、一気に噛み千切った。
もしもこの食卓に貴族がいたとしたら、霊夢に『食事のマナーがなっていない!』と怒鳴っていただろう。

「でも…まだ私は食事中だし、せめて私が食べ終わってからね?」
ティファニアは申し訳なさそうに子供達にそう言った直後―――

 ズ ボ ッ ! 

いきなり誰かがティファニアの胸に顔を埋めた。

その人物は、霊夢をロシュツキョウ呼ばわりした少年、ジムであった。
突然の彼の行為に周りにいた子供達は驚き、ついで霊夢も目を丸くしてしまった。
「うわぁ〜…テファお姉ちゃん、ママみたいだぁ…。」
胸に顔を埋めていたジムは満足そうに呟き、ティファニアの顔が真っ赤になった。
「何を言うのよジム!!変な事はやめなさいっ!」
そう怒鳴るものの、ジムは一向に胸の間から顔を出さなかった。
正午だというのにこんなショッキングな光景を見せられた子供達はゲンナリとし、うち何人か「いつもの事だよな…」と呟いた。
「…?いつもの事って、毎日あんな事してるの?」
その言葉を聞いた霊夢はジムを指さしながらその子供へ話しかけた。

「えっ…?う、うんいつもの事なんだよ。ジム兄ちゃん、もう十歳なのに…。」
話しかけられた子供はウンザリしたようにそう呟くと大きなため息をついた。
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 19:35:49 ID:9VGU0Cxv
支援「さるさん回避」
788無重力巫女の人:2009/06/30(火) 19:39:23 ID:t6cC2pcB



幻想郷にある大きな湖のほぼ中央にある離れ小島の上に紅魔館という大きな洋館がある。
まるで侵入者を拒むかのような場所に建てられたこの館には世にも恐ろしい悪魔の眷属、『吸血鬼』がいる。
かつては幻想郷を舞台に縦横無尽に暴れ回ったこともあり、今では妖怪達との契約で当時より大分おとなしくなってしまった。
それでも、以前に幻想郷を紅い霧でつつむという『紅霧異変』を起こしたことで再びその驚異を知らしめる事となったのである。



紅魔館の廊下は無駄に大きい。
掃除するにも大人数でしなければいけなく、多数の妖精メイド達が掃除用具片手に廊下を飛び回っている。
そんな廊下の真ん中を、威風堂々と歩く一体の吸血鬼と一人の人間がいた。

「全く、霊夢がいなくなってからどうもそわそわして落ち着かないわね。」

紅魔館の廊下を、メイド長を連れて歩きつつ、そう呟く者はここの主であり運命を操る程度の能力を持つ吸血鬼、レミリア・スカーレットであった。
かつては幻想郷で暴れ回り、さらには異変すら起こし博麗の巫女と戦った彼女は一見すればただの少女である。
だがしかし、その背中には自身の身長よりも大きい蝙蝠のような翼が生えている。

「そう言うお嬢様は、いつもと変わりないように見えるのですが。」

レミリアの後ろにいた銀髪の少女がさらりと言った。
彼女の名前は十六夜 咲夜。この紅魔館の瀟洒なメイド長で、この紅魔館に住み込みで働いている唯一の人間だ。
時間を操る程度の能力を持っており、更には空間をも操ることが可能である。
一応ナイフ投げと手品が得意で、ナイフ投げだと二十間離れた場所に居る頭上に林檎を載せた妖精メイドの額に当てることなど造作もない。

「あなたにはいつもと変わりなく見えても、今の私は本当に今の幻想郷の現状が不安なのよ。
 今日の昼食や夕食が喉を通りそうにないぐらいにね?」

レミリアは咲夜の方へ顔を向けるとそう言った。
そう言われた咲夜は、その通りなのかも知れないと思った。
今朝早くにあの八雲紫がここ紅魔館でレミリアを含めた何人かで話し合いをしていた。
それが終わり、話し合いをしていた部屋から出てきたレミリアの顔は何処か青ざめていた事を思い出した。
ついでに、朝食を食べた後に落ち着きがなさそうに羽をパタパタと動かしてグルグルと部屋の中を回っていた事も思い出した。

まぁその事は置いておくとして、要は今のレミリアは本当に落ち着いていないという事だ。
そう考えた咲夜は、一度だけ頷くと口を開いた。

「そうですか、では今日のおやつのブラッドソース入りのティラミスと紅茶は出さないでおきますね。」
その言葉にレミリアはぴたりと足を止める、後ろにいる咲夜に顔を向けた。
「…咲夜、今日のおやつは図書館の方に三人分持ってきてね。あの白黒もいると思うから。」
相変わらず、前言撤回を良くするお嬢様ねぇー…と咲夜は心の中で思った。

紅魔館の地下には大図書館が存在している。
そこには古今東西ありとあらゆる書物が保管されているのだ。
誰にでも読める普通の本から、一部の者にしか読めない魔法や妖術、錬金術について書かれている本、ページを捲ったら呪われる曰く付きの本まで幅広くある。
何よりも一番の特徴は、その図書館があまりにも『大きすぎる』という事だ。
例え、人生を幾万回繰り返そうがここにある全ての本を読破することは不可能に近い。
そんな図書館の一角で、一人の『人間』の少女と一人の『魔女』が椅子に腰掛け黙々と本を読んでいた。
789無重力巫女の人:2009/06/30(火) 19:44:29 ID:t6cC2pcB
 
テーブルには読み終えた数々の書物が二つの小さな塔を築いており、その中に紛れて魔法使いが被るような黒い帽子があった。
その帽子の持ち主である少女は、まるでファンタジー小説の中に出てくる魔女みたいな黒白の服を着ており、その上に白いエプロンをつけている。
彼女の名前は『霧雨 魔理沙』。魔法使いが職業の普通の人間である。
魔女の方はというと、見た目からして人間の少女よりかは少し年上に見える。
紫色のリボンと太陽と月を模した飾りをつけた白いナイトキャップを頭に被っており、ゆったりとしたワンピースの上に前の開いたローブを身に纏っていた。
藤色の髪は腰まで伸びており、アメジストの様な色の瞳を持っていこの魔女の名前は『パチュリー・ノーレッジ』という。
魔理沙とは違い人間ではなく、魔女という一つの種族に属している。
パチュリーの一日は読書と魔法の開発に費やされている。
新しい魔法が生まれると魔導書に書き込み、本を増やしていく。
ただ体力が非常に弱く、身体能力は普通の人間にすら劣る。
また喘息持ちであるということもあるためか余程の急用でなければ館の外へ出るということはない。
一方の魔理沙は年相応の活発敵でやんちゃな性格の少女である。
彼女の家は魔法の森にあり、その事もあってか魔法に使う材料の化け物茸があちこちに生えている。
良く森を散策しては地道に茸を摘み取ったり、幻想郷では見かけることがない物―――例えば道路標識など――を家に持って帰っている。
また良く他人の本や物を「借りてくぜ。」の一言で許可無く持っていくこともあるが本人はあまり罪悪感を覚えていない。特に本類に関しては。

魔理沙は良くこ紅魔館に来ては本を読み、気に入った本があれば家に持って帰る。
今日もまたこの二人は向かい合って座り読書をしていた。
パチュリーはいつものように眠たそうな表情で本を読んでいる。
魔理沙の方はというと、いつもとは違いどこか気むずかしそうな顔をしていた。

そんな彼女が気になったのだろうか、ふとパチュリーが声を掛けた。
「どうやらもの凄く疲れが溜まってるようね。…まぁ大体察しは付くけど。」
話しかけられた魔理沙は本から目を離し、パチュリーの方へ顔を向け口を開く。
「…数週間ぐらい人捜しでずっと外飛び回ってたら誰でもこうなるぜ。」
疲れた風にそう言った魔理沙は本を閉じて机に置くと盛大なため息をついて椅子にもたれ掛かった。


紫を除き、霊夢がいなくなったのを最初に確認したのは魔理沙であった。
霊夢が光る鏡(召喚ゲート)に飲み込まれてから翌日、博麗神社へと立ち寄った彼女は霊夢がいない事に気が付いた。
この時間帯ならいつも縁側に座ってお茶飲んでいる彼女の姿はなく、一応神社の中も捜したがその姿は見えなかった。
買い物にでも行っているのかな、と思った魔理沙は一度神社を後にし夕方になってからもう一度神社を訪ねた。
ところが、夕方になっても霊夢は神社の何処にもおらず、流石の魔理沙も何かあったと悟った。
(こりゃタダ事じゃないな…。ひょっとすねとまた何か異変でも起こったのか…?)

だとしたら霊夢が一日中神社にいないのも理解できる。
ならばこうしちゃいられないと思った魔理沙は箒に跨り幻想郷中を飛び回った。
だけども、何処にも異変と思えるモノは無く霊夢の姿も見つからない。
夜中の丑三つ時を過ぎたときには流石の魔理沙も眠くなってしまい、一度自宅へ帰る事にした。

その翌日、玄関に置かれていた文々。新聞に書かれていた記事を見た、魔理沙は無意識にこう呟いた。
「おいおい、エイプリルフールはとっくに過ぎてるぜ…。」
何せ【博麗の巫女神隠しに遭う!】というタイトルがデカデカと書かれていたら幻想郷の住人なら誰だって驚くに違いない。
更に巫女が居なければ幻想郷が潰れてしまうと言う事を知っている者なら尚更驚く。
その記事を見た魔理沙は「神隠し」という言葉を聞いて即座にあの胡散臭いスキマ妖怪を思い出した。

(まさかあいつの仕業か…?だとしてもどういう風の吹き回しだ?)
あれ程幻想郷を愛して止まない妖怪がどうしてここを維持するのに必要な博麗の巫女などを攫うのだろうか?
そんな疑問が頭の中に渦巻いていたがとりあえず善は急げと言うことで、魔理沙は急いで八雲紫の住んでいる場所へと向かった。
しかし、あの紫は住んでいる場所はそうカンタンにたどり着ける場所ではない。
その為魔理沙は、何か手がかりは無いかとこの図書館へと足を運び――今へ至る。
790無重力巫女の人:2009/06/30(火) 19:51:00 ID:t6cC2pcB
 
「全く、手も足も出ないとはこういうことだな…。」
魔理沙が一人呟いた時、後ろから足音が聞こえてきた。
誰かと思い二人が後ろを振り向くと、そこにはレミリアがいた。
「あらレミィ、珍しいわね。ここ数週間は見ていなかったわ。」
パチュリーが挨拶代わりにそう言うと、レミリアはそれに手を軽く振って応えた。
「確かに、ここに足を運んだのは大分久しぶりといったところかしら。まぁ今日はちょっとした事を話そうかと思ってね。」
レミリアは一つあったイスを手元に寄せてそれに腰掛け、パチュリーも再び本に視線を戻す。
魔理沙も軽く手を振ってレミリアに挨拶をした時、突然後ろから声を掛けられた。

「あらあら、随分お疲れの様子ね。」
その声に多少驚いた魔理沙は思わず後ろを振り向くと、トレイを持った咲夜がそこに佇んでいた。
「なんだ咲夜か。お前のお陰で寿命が二、三年縮みそうだぜ。」
「あらそう、ならこれから貴方が来るたびにこういうドッキリをしてみようかしら?」
咲夜が冗談かどうかわからない風にそう言うと瞬間、テーブルの上にあった大量の本がパッと消えてしまった。
しかしこの場にいる誰もがそれに驚くことはなく、咲夜はテーブルの上に本日のデザートを並べ始めた。






昼食が終わったウエストウッド村の広場では子供達が追いかけっこをしていた。
その様子をティファニアは窓から見つめており、霊夢はイスに座って食後のお茶を飲んでいる。
先程までティファニアにまとわりついていたジムは満足したのか今は男の達と一緒に木登りをしていた。
笑いながら遊ぶ子供達は、まるで森の中を嬉しそうに飛び回っている妖精のように見えた。

「身寄りのない子供達を集めてね、みんなで暮らしてるのよ…」
ティファニアは元気に駆け回る子供達を眺めながら、ポツリと呟いた。
「で、あんたが身の回りの世話と食事を作っている分けね?」
丁度お茶を飲み終えた霊夢はティーカップをテーブルに置くとそう言った。
霊夢の言葉にティファニアはコクリと頷くと話を続けた。
「それでね、昔の知り合いが生活に必要なお金を送ってくれるの。ついでに時々そのティーカップのような豪華な品も付けてね。」
ティファニアの言葉に霊夢は今更ながら、テーブルに置いたティーカップが売ればかなり高値で売れそうな物だと分かった。
他にもちゃんとしたレンガ造りの暖炉やしっかりと取り付けられているドアを見るに、その『知り合い』というのはかなりの金持ちのようだ。
だがそれ以上の事には霊夢は興味を持たなかった。 ―――――――その時。


「キャァー!」             「出たぁっ!!」
         「ウワッ!!」
                  「化け物だっ!!」

突如外から子供達の叫び声が聞こえティファニアは思わず席を立ち、霊夢は目を細めた。
一体何事かと思っていると、ドアを開けて外で遊んでいた子供達が家の中になだれ込んできた。
「どうしたのあなた達!?」
ティファニアは床にへたり込んでいる子供達に近づき何があったのか聞いた。
「も、森の中にとても大きな牛の化け物がいたの…後、手には巨大な斧を持ってた。」
金髪の女の子が目に涙をためながら肩で呼吸しながらティファニアにそう言った直後、外から子供達の悲鳴が聞こえた。
ティファニアが慌てて窓の外から様子を見てみると、木に登っていた男の子達が木の上で固まりガタガタと震えていた。
その中にはティファニアにかなりの好意を寄せていた少年のジムもいる。
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 19:55:51 ID:1sAAELPl
支援
792無重力巫女の人:2009/06/30(火) 19:57:01 ID:t6cC2pcB
どうみても冗談には見えないその様子に、ティファニアは不安を感じた。
「あぁ大変…!すぐに助けないと!」
彼女はそう言うとすぐさまドアを開けて外へ出て行った。
彼女に取り残された子供達は、唯一この場で年齢の近い霊夢に近寄った。
「ちょ、ちょっと…。」
当の本人は少し困惑しながらも、子供達を追い払うということはしなかった。
そんな事をするよりも、今は村の外にちらほらと現れている異様な気配を察知するのに集中していた。
ついでテーブルの方へふと目をやると、一本の杖が置かれているのに気が付いた。


外へ出たティファニアは一目散にジム達がいる木の下へと向かった。
「テファお姉ちゃん!」
木の上で泣いていたジムは木の下へやってきたティファニアを見て安心した顔を見せた。
「もう大丈夫よ。さぁすぐに降りてきて。」
その言葉に男の子達はノロノロと木の上から降りてきてはティファニアに抱きついていく。
最後にジムが木から降りたのを確認するとティファニアはもう一度辺りを見回した。
村の中には子供達が言っていた『牛の化け物』はおらず、鬱蒼とした大木が群生している村の外はよく見えない。
とりあえずはこの男の子達に何を見たのか聞いてみることにしたティファニアは一番近くにいたジムに話しかけた。
「一体何があったのジム?みんなは化け物がどうとk――」


ウ ル ゥ オ ォ ォ オ ォ オ ォ ォ オ ォ ォ … ! !


その瞬間、もの凄い叫び声と共に木が倒れる音が聞こえてきた。
ハッとした顔になったティファニアは後ろを振り向き、そこにいた化け物を見て驚愕した。

身長は約2.5メイルもあり、見る者を圧倒させる程の立派な筋肉が体中に盛り上がっている。
右手には今丁度この場にいるジムと同じ大きさの手斧を持っており、その斧で足下に転がっている大木を切り倒したのだろう。
何よりその化け物の頭部は正に『牛』そのものであった。比喩や冗談では無く、正真正銘の牛頭の人間である。
縮こまっているティファニア達に槍のように真っ直ぐ向けている角はニスでも塗ったかのように黒く光り輝いている。
ハルケギニアに生息している亜人達の中でも吸血鬼と翼人を抜き、エルフの次に危険視されている怪物。
ある程度の知能と恐ろしい程の体力を持つ『ミノタウロス』と呼ばれている亜人が、今ティファニア達の目の前にいた。
793無重力巫女の人:2009/06/30(火) 20:02:41 ID:t6cC2pcB
「な…何あれ…?」
ティファニアは斧を片手にこちらを睨み付けている牛頭の化け物を見て唖然としていた。
彼女はミノタウロスについては全く知らないが、あの化け物からとんでもない殺気を感じていた。
ミノタウロスはその大きな足で村と外の境界線である柵を蹴り飛ばし、村の中へ入ってきた。
荒い息音を口からだし、ティファニア達を凝視しているミノタウロスの目は何処か違和感があった。
鈍い水色の瞳は、『まるで誰かに操られている』ような虚ろな印象を見る者に与える。

村の敷居へ入ってきたミノタウロスを見て子供達が悲鳴を上げると同時に、ミノタウロスが叫び声を上げて歩き始める。
ティファニアは咄嗟に腰の方へ手を伸ばすがいつもならある筈の『杖』の感触がないことに目を見開いた。
(しまった…!杖は何処かに置いたままだったんだわ…)
そんな後悔も既に遅く、ミノタウロスはもう間近に迫っており、叫び声を上げつつ斧を振り回して周りの物全てを破壊しながら近づいてくる。
せめて子供達でも逃がしたいが、その子供達は全員腰を抜かしておりとてもではないが逃げてもすぐに追いつかれてしまうだろう。
ならばとティファニアは怯えている子供達の前に立ちはだかった。
ミノタウロスは彼女の直ぐ傍でその足を止めると、人間とは比べものにならないほどの巨大な左拳を振り上げた。

もうここまで。と感じたティファニアは瞳を閉じようとしたが、体が思い通り動かず逆に思いっきり見開いていた。
人間いざという時には死の恐怖に怯えつつも両目はキッチリと開いているときもあり。今のティファニアこそ正にそれだ。
拳を思いっきり振り上げたミノタウロスは叫び声を上げて拳を振り下ろそうとした直後―――その拳が突如爆発した。
ティファニアやその後ろにいた子供達には、最初何が起こったのか分からなかった。
ただミノタウロスが黒煙に包まれた左手を押さえ悲鳴を上げているのはすぐに理解した。
そんなとき、ティファニア達の後ろから誰かの声が聞こえてきた。

「本当、私がいる時だけに限ってこういうタチの悪そうな奴が出てくるのよね。」

余裕を含み、されど目の前の化け物に対して油断をしていない響きの声。
聞き覚えのある声にティファニアは後ろを振り向き、そこにいる少女を見て驚いた。
「あ、貴方は…。」
ティファニアはそう呟き、最初に出会ったときとは違う雰囲気を発している少女に驚きを隠せなかった。
緑一色に染まっている森に覆われた村の中では非常に目立つ紅白の変わった服を着こなし、赤色の大きなリボンを頭に付けている。
その手にはある程度の装飾を施された細長い杖を握りしめており、しっかりとした足取りで此方の方へやってくる。
しかし、ティファニアが驚いたところは…赤みがかかった黒色の瞳から発せられる気配であった。
今まで感じたことのない――あの母を殺した騎士達を怯ましてしまうかもしれない程の凄みを、目の前にいる霊夢は発していた。

「ま、そういうのは退治すればすむ話だけどね。」

霊夢はそう言い捨てると右手で懐からお札を取り出し、それをミノタウロスへ向けて投げ放った。




――――とまぁ、私と一部の連中は紫が作った隙間をくぐって無事その世界へ乗り込み、霊夢を連れて帰って…ハイお終いってわけよ。」
レミリアはその一言で話を終えるとティーカップの中に入っている紅茶(稀少品入り)をゆっくりと飲んでいく。

数分前――――デザートタイムの始まりに伴いレミリアはこの場にいる全員に今朝紫達と話し合った事を喋っていた。
次々と吸血鬼の口から出てくるこの異変の真実に、この場にいる三人はまさか…と思い。様々な反応を見せてくれた。
咲夜の場合は、「それなら見つかるはずありませんね。」と心配していないような感じでそう言った。
パチュリーの場合は、「異世界ねぇ…。とすると私がまだ読んだことのない本があるのかしら。」と霊夢のことなどどうでもいいという感じである。
そして魔理沙はというと…

「出来れば私が行きたかったぜ。だってさ?幻想郷やその外の世界とかいう場所とは違う世界があるって知ったら誰でもワクワクするだろ?」

と、みんな大して危機感を感じているという事はなく、レミリアも『予想通りの返事』を聞けて満足していた。
794無重力巫女の人:2009/06/30(火) 20:11:36 ID:t6cC2pcB
まぁ霊夢の事だからその異世界とやらでも暢気に過ごしながらかつ幻想郷へ帰る方法を探している最中だろう。
今回の異変の真実がまだわからなかった時は誰もが不安になっていたが一度真実を知れば、霊夢のことを知っている人間は安堵してしまう。
途中、レミリアが話していた「幻想郷を覆う結界がおかしくなっている」という事も、霊夢が帰ってくればあっという間に解決してしまうだろう。
やけに明るい雰囲気に包まれた図書館の中で、ふと魔理沙が冗談交じりでレミリアにこう言った。

「それにしても、紫とお前がその世界へ乗り込んで霊夢を連れて帰るのはいいがお前が行くと大変な事になりそうだな。
  もしかしたらお前さんの事だ、向こう百年は草木が生えない大地を幾つも作るかもな?」

そう言った魔理沙は何が可笑しいのかクスクスと笑い始め、それにつられてレミリアと咲夜も微笑んだ。
まるで無邪気な子供の様に微笑んでいるレミリアは、まだ笑っている魔理沙にこう言った。


「スゴイわね魔理沙、今私の考えている事をズバリ言い当てるなんて。」


レミリアの言葉に魔理沙は笑い飛ばしたが、その表情は変わらない。
やがて笑い声も段々と小さくなり魔理沙はレミリアの血の色にも似た瞳を見つめ、彼女が冗談を言っていないことに気が付いた。
「れ、レミリア…?」
「幻想郷に居を構えている私にとって、幻想郷は私の庭同然なのよ。」
流石に魔理沙も雰囲気から察してレミリアの言葉に冗談が混じってないことに気が付いた。
パチュリーは再び本のページに目を戻し、咲夜に至っては顔に浮かべた微笑みが何処か異常なモノに見えてくる。
レミリアはイスから腰を上げるとゆっくりと、だけどしっかりとした歩みで魔理沙の傍へ近寄り、耳打ちした。

「あなたは許せるかしら?他人に自分の庭を飾るのに一番大切な物を勝手に奪われ、尚かつその庭を守るレンガに落書きをするような下衆共を。」
そう言い放つ吸血鬼の瞳のは先程よりも紅く、そして禍々しく輝いている。
まるで幾千万もの人々の血を搾り取ってそれらを全てゴチャ混ぜにしたような色をしていた。




一方そのころ、ウエストウッドの森では一つの戦いが起こっていた。
人を襲う異形の者達を狩る霊夢と迷宮に潜む怪物ミノタウロスとの戦いが――

「ハッ!」
宣戦布告として霊夢が投げつけたお札は何の迷いもなくミノタウロスの方へ飛んでいく。
ミノタウロスの方はそのお札を右手に持っていた斧で切り払った。
切られたお札は爆発を起こしたが、驚くことにその斧には傷一つ付いていなかった。
今こそ反撃といわんばかりにミノタウロスは叫び声を上げ、霊夢とその後ろにいるティファニア達の方へ突進を始めた。


「み、みんなはやくこっちへ…!」
化け物がこっちへ来ることに気が付いたティファニアはハッとした表情になるとすぐに子供達を連れてその場から逃げ出した。
ティファニア達が逃げた事を確認した霊夢は、すぐさま飛び上がりミノタウロスの突進をかわした。
かわされてしまったミノタウロスはそのまま霊夢の後ろにあった藁葺きの家に激突した。
今度は御幣を振り回し大量の菱形弾幕と左手に持ったお札をミノタウロスに向けて放った。
結果、お札と弾幕同士が反応して大爆発を起こしてしまい辺り一帯は爆煙に包まれた。

流石にやりすぎたのか、煙が晴れた後には地面に生えていた草が綺麗サッパリ無くなっていた。
ミノタウロスによって壊された藁葺きの家も木っ端微塵に吹き飛んだが、肝心のミノタウロスはムクリしその体を起こした。
霊夢が軽く舌打ちすると、その舌打ちを聞いたミノタウロスがうめき声を上げて上空にいる敵へと顔を向けた。
その顔―――もといミノタウロスの瞳を見た霊夢はすぐに目の前の牛頭の様子がおかしい事に気が付いた。
(あのボーッとした瞳…どうみても誰かに操られてるわね。)
一体誰があんな馬鹿みたいに頑丈な化け物を操っているのかはどうでもいいが、非常に面倒である。
術によってはあまり痛覚を感じさせないようにも出来るからどんなに攻撃を仕掛けても操られている相手に大ダメージを与えるのは難しい。

(まぁいいわ。どっちにしろこの一撃で…)
霊夢は一旦素早く着地するとスペルカードを出そうと懐をまさぐっていた時、
795無重力巫女の人:2009/06/30(火) 20:16:59 ID:t6cC2pcB
――――ナウシド・イサ・エイワーズ…


ふと、緩やかに歌うような声が後ろから聞こえてきた。
その声を聞いた霊夢はまるで憑きものが落ちたかのようにハッとした顔になると後ろを振り返る。


―――――ハガラズ・ユル・ベオグ…


うしろにいたのは、細い杖を握っているティファニアがいた。
一体どうしたのかと聞きたかった霊夢だが、なぜかこの『詠唱』を邪魔する気は起こらなかった。


――――ニード・イス・アルジーズ…


(なんだかわからないけど、段々と気分が良くなっていくわ。)
先程まであった戦意をすっかり無くしてしまった霊夢は、自然とティファニアの口から出てくる言葉に耳を傾けていた。
それと同時に、彼女の左手の甲がボンヤリと鈍く光り文字のようなモノが浮かび上がってくる。


―――――――ベルカナ・マン・ラグー…


その言葉と同時に、ミノタウロスは振り上げていた拳を二人目がけて振り下ろそうとし、
ティファニアもまた勢いよくミノタウロスに向けて杖を振り下ろした。





ラ・ロシェールの街から少し離れたところにある桟橋―――

日は大分前に沈んでおり、夜空には一つとなった月が浮かんでいる。
『スヴェルの夜』と呼ばれる今宵はいつもより騒々しく――――そして物騒であった。

「こっちだルイズ、ついてこい!」

杖の先を周囲に向けて誰もいないことを確認したワルドは後ろにいるルイズを連れて階段を上り始める。
枯れてしまった古代樹から作られた『桟橋』は夜のためか人影一つ無かった。
ルイズは肩で呼吸をしながら一生懸命走ってワルドの後を追って階段を上っている。
老朽化を始めている木の階段は体重を掛けるたびにギシギシと軋み、壊れるかも知れないという不安感を募らせている。
やがて途中にある踊り場まで来た二人は一度足を止め、辺りを確認した後ルイズはワルドに話しかけた。

「まさかレコン・キスタの刺客があんなに沢山来るなんて…流石に予想もしていませんでしたわ。」

――事は数十分前に上る。
「出航は予定通り明日の早朝だ。今の内に荷造りをしておこうか。」
「わかりました子爵様。」
明日はアルビオン行きの船が来るということで、ルイズとワルド子爵は泊まっていた宿で荷造りをしていた。
ルイズがアリンエッタから預かったアルビオン王族派のウェールズ皇太子へ送る手紙を懐へしまったとき、それは起こった。
ふとワルドが開けっ放しにしていた窓へ目をやった直後、窓の外から一本の矢が飛んできた。
飛んできた矢はそのままテーブルに刺さったが、瞬時に二人はある程度予想していた事を思った。

「レコン・キスタの刺客がやってきた!」
796無重力巫女の人:2009/06/30(火) 20:20:20 ID:t6cC2pcB
一体どうやってこの任務を知られたのかはわからないが、ばれてしまっては仕方がない。
二人は荷造り途中の荷物を放棄すると、必要最低限のモノを持って宿の裏口から出ようとした。
しかし、下りた先の一階には…いつの間にか物騒な獲物を持った傭兵達が何人もいた。
まさかとルイズは思ったが、その傭兵達が二人の姿を見てきた瞬間攻撃してきたのだからあれは全員レコン・キスタの刺客だったのだろう。
なんとかワルド子爵が強力な魔法で全員を撃退することに成功し、裏口から外へ出たのだがそれから桟橋につくまでの間に何度も襲撃された。
一体どれだけの金額を払ったら、あれ程大量の傭兵達を雇えるのだろうか想像しにくい。

そうしている内に刺客の数も減っていき、桟橋に着く頃には誰にも会うことはなかった。


「よし、あと一息だルイズ。もう少し上ればアルビオン行きの船がある筈だ。」
ワルドの言葉にルイズは頷いて再び階段を上ろうとした瞬間、後ろから足音が聞こえてきた。
誰かと思いワルドが後ろを振り向くと、黒い影がさっと翻りワルドの頭上を飛び越えてルイズの背後に立った。
その正体は、白い仮面を顔に被っている男だった。
「後ろだルイズ!」
ワルドがそう叫んだ瞬間、仮面の男は一瞬にしてルイズを抱え上げた。
「えっ…?キャア!」
ルイズが叫んだのを合図に、男が軽業師のようにそのまま地面へ落下するようにジャンプした。
すぐワルドは、すぐに杖を引き抜きルイズを攫ってそのまま逃げようとする男へ向けて振り下ろした。
既に唱えていた『エア・ハンマー』が男に直撃し、その衝撃で掴んでいたルイズを手から離してそのまま地面へと落下していった。
間髪入れずにワルドがさっとジャンプし、ルイズをキャッチすると素早く呪文を唱えた。
すると風の塊が二人を包み、踊り場の方へと押し戻してくれた。

「あ、あ…ワルド子爵。」
一体何が起こったのかわからなかったルイズは少し唖然としながら目の前にいる男の名を呼んだ。
ワルドはそんなルイズを安心させようと彼女のピンク色の綺麗な髪を軽く撫でた。
「安心しろよルイズ、僕のルイズ。悪い賊は僕が全て退治してやったさ。」
その言葉でルイズはハッとした顔になり、安心したのか大きくため息をついた。
ついで、今自分がワルド子爵に俗に言う「お姫様だっこ」をされているのに気づき、顔を赤らめた。
「あ、あの…助けてくれたことは感謝しますけど、一人で歩けます。」
「本当に大丈夫かい?まぁ君が言うならそうだろうけどね。ところで、手紙の方は大丈夫かい。」
ワルドはそう言いつつルイズを地面へ下ろし、ルイズはすぐに手紙がちゃんとあるか確認した。
やがて一通り調べた後、手紙が無事だとわかりワルドの方へ顔を向けコクリと頷いた。


「よし、じゃあ急ごう。ここももう安全じゃあないみたいだ。」
「は、はい…!」
ワルドはそう言うと先頭をきって階段を上り始め、ルイズもそれに続いた。
幼馴染みの後をついて行く彼女の頬は林檎のように赤く、正に恋する乙女そのものだった。
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 20:23:29 ID:BccgPvFv
しえーん
798無重力巫女の人:2009/06/30(火) 20:27:20 ID:t6cC2pcB
はい、今回はこれで終了です。支援してくれた方々、どうも有り難うございます。
いよいよ怪談とチューペットとカキ氷の季節がやってきたなーと思いました。
夏が来るのが少し早いような…でも作品の方はなんだかテンポが妙に遅くなっている様な気がします。
出来る限りテンポを良くしつつ、気軽に読めるようなSSにしていきたいです。

では、今日はこれにて。また今度会いましょう。 
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 20:34:24 ID:BccgPvFv
乙ー
ボス連中がハルケギニアに乗り込む時みますか……。
今回の話からだと紅魔館組と黒白それから八雲一家が来そうなので今から楽しみです。
次回の更新をwktkしながら待っています。
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 20:36:23 ID:BccgPvFv
>>799修正…orz
×乗り込む時みますか……。
○乗り込む時が来ましたかー。
801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:12:58 ID:c9HFyaDp
>>780
西の三兄弟はルイズ脂肪フラグ
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:17:03 ID:jsO6jOQM
かまいたちとくれば透と真理だろ。
香山夫妻も捨てがたいが。
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:18:53 ID:IGIeUxQ7
かまいたち…野襖と古刀の九十九神も
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:20:12 ID:BZE/2Nfx
かまいたち・・・私はカマイというんですよ。
かまい達の夜・・・というネタENDが忘れられんな。
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:27:07 ID:g0s59Zb2
パンツァードラグーンからドラゴンを召喚
ルイズが銃使いになって初めは野性的な姿だけど最終的にはブルードラゴンに
806名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:39:00 ID:MJ2nXCq6
聞きたい。
ジョゼフネタ書いてるんだけど、召喚されたところから書いた方がいいかな
いきなりラグドリアン湖からはやめた方がいいかな
807名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:44:57 ID:4fvRyyaB
いや、有りなんじゃないか?
808名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:53:05 ID:OG7W4EJw
大丈夫。許容範囲だ
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:59:34 ID:xetezLAV
>>798

魔理沙ストッパー役がんばれー
810名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:01:43 ID:MQ4W+1rB
殿といっしょの伊達正宗召喚で眼帯マニアになるルイズ
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:05:58 ID:BpEJjsO0
>>802
百人の忍びや熊も!
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:07:31 ID:li9TBUwV
>>811
犬マユゲ自重しろ
813名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:11:02 ID:MJ2nXCq6
>>807>>808
大丈夫ですか。ならラグドリアン湖からスタートさせることにします。
あと、みなさんみたいに語りを多く使った方がいいんですかね?
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:12:51 ID:HKjNRotr
無重力脇巫女乙乙

取り合えず暇で暇でしょうがなさそうな天子や、山のガンキャノン&蛙
後は地底の核融合鴉辺りも連れて行って欲しいですw
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:15:43 ID:0wAbNfxU
誰か天地無用の柾木天地様を呼び出してくれませんか?
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:18:38 ID:4fvRyyaB
>>813
語り?何のこと?
817名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:19:37 ID:AtlQxKtX
無重力の人乙
なんかルイズ一人のせいであっちこっちの陣営が大事になっているような
すごいぞルイズ、お前が世界を動かしたw

>ナイフ投げだと二十間離れた場所に居る頭上に林檎を載せた妖精メイドの額に当てることなど造作もない。
林檎意味ないw
818名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:22:43 ID:BpEJjsO0
>>816
前書きや後書きだな、間違いない
819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:26:14 ID:MJ2nXCq6
>>818
それです。
820名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:27:53 ID:BpEJjsO0
うそーんw
これがネタから出たマコトってやつか
821名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:37:05 ID:4fvRyyaB
>>819
必然性はない……っていうかあんまりそれが過ぎると自重しろってなっちまうから、程ほどで。
822名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:07:03 ID:g0s59Zb2
ルイズがデッカードを召喚したら
823名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:10:51 ID:+rsU6pqa
霊夢の人乙です。
うわぁ。おぜうさま殺る気満々だw
逃げてー!みんな超逃げてー!!
824名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:24:01 ID:Sof2Y6vJ
>>764
ムテキングに見えた自分はニコ厨
投げ以外では解除できないぜ!
825名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:26:40 ID:E/b6EUaO
>>822
勇者ロボのデッカードだとしたら、メンテ大変そうだなぁ……
シリーズで一、二を争う不便さだぜ。
826名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:31:55 ID:OG7W4EJw
>>824
ムシキングと連想してカブトボーグが出てきてしまった
827名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:43:38 ID:yPVDjN1S
>>822
ジェイローダーどうすんだよ。というかジェイデッカーになるにも勇太の手帳が必要なわけで
828名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:52:56 ID:j1ViPeEc
ハリソン・フォードのデッカードでね?

「二つで充分」
「四つ、四つ」
829名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:54:35 ID:Ug26glEi
モンスターファームからってモノリスしか居ないのか。
何か似合いそうなのって居ないものか。
830名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:55:34 ID:2E/azoQn
修行地のノラモン達
あと白い奴ら
831名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:57:15 ID:gkSzx7jJ
レオ(笑)とかチラベール(笑)とかパルマー(笑)とか
832名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:58:18 ID:hBAkUNHS
ワーム

なんでアレを削ったんだ。だからテクモは凋落したんだ
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:05:04 ID:L41alouN
>>829
ラウー
ボム使えるぞボム(鼻糞だけど)
834sage:2009/07/01(水) 00:09:36 ID:6lcFflA6
無重力の方乙です。
ルイズ逃げて、逃げて〜(無理だけどな!!)
着々と刻むカウントダウン。ルイズ・・・と言うか、ハルケギニアは生き残れるのかな?
835名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:14:21 ID:nCZR5+Qn
>>822
どうせなら、ファイバードの方がメンテとか楽じゃねぇ?
天然ボケで難ありだがw
836名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:19:33 ID:+1iyg+Ty
ダ・ガーンとかセブンチェンジャーならメンテ不要だぜ?
…確実に無双だがなw
837名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:21:01 ID:P9ynj+tw
ゴルドランはどうだっけ
838名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:22:23 ID:xhQCJYyd
勇者呼ぶならGGGだな。ほら、亜空間に閉じこめられた所で、ルイズの召喚のための鏡(この場合ESウィンドウ)が出るの。
生き延びるためにそこに突入して、「使い魔ぐらいならやってやるさ、何たって俺たちみんなの命の恩人なんだから」
839名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:22:44 ID:NMXdR0Uk
いっそレジェンドラを目指しちゃえ
840名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:22:53 ID:qX/9SByt
それはない。
841名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:23:58 ID:qtx9PKDQ
避難所に東方が来たと思ったらこっちにも東方が来たか、乙
方向性が真逆ってのが面白いね
842名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:24:59 ID:0CfkiBcn
>>832
ルイズに召喚されて居なくなっちゃったからじゃね?
843名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:55:50 ID:U+uDZP7K
無重力の方乙です
クロス元のボス陣無双って、実は結構見た事無いので
ガチで無双期待してますww
844名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:55:56 ID:+XJGozF+
>>836
むしろ勇者シリーズ的にはメンテフリーの比率の方が高いような。
845名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 00:59:45 ID:nSU4dWWB
ダグオ〜ン、俺たちダ〜グオ〜ン♪
腐女子人気は高かったけどお子様人気はどうだったんだろうかこの作品。
846名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 01:03:07 ID:pfNi3I1q
虚無の源である嫉妬とか怒りがどっちかというと負のパワー扱いの勇者達が
どんな風に虚無を捉えるのか大変興味があるな
847名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 01:26:40 ID:8n4QF5us
プラスとマイナスが合わさって最強に見えるんですね、わかります
848名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 02:33:20 ID:jXW45R0U
>>841
言われて避難所見て来たんだが、中々面白かったんだぜ!
849名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 03:21:46 ID:zZsxz/jO
火と火は合わさって炎となりさらに強くなれば火炎となる
逆に水をかければ炎は淡くなりさらに弱くなれば淡水となる
850名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 04:02:39 ID:TCbsWwKX
つまり殿召還か

あれ、文字だけで馬出したり分身出したり巨大化したりでシンケンジャーって半端無くヤバい存在じゃね?
851名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 05:02:34 ID:YQpW31S8
無重力巫女の人乙ー

レミリアとかルーミアみたいに月の満ち欠けで力が増減するような妖怪がハルケ来たらどうなるんだろう。
852名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 06:49:28 ID:spy+O3Nu
>>837
パワーストーンを召喚してレジェンドラを目指すんですね。
そしてガリアがそれを狙い巨大ゴーレムを送り込むと。
853名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 08:10:39 ID:yJpakAg7
>>852
イザベラ様がワルターポジションですね。わかります。
854名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 08:54:27 ID:bbql2f4P
>>853
すげえ読みたいw
855名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 09:00:40 ID:sL6i2kll
パワーストーンといえばカプコンのパワーストーンだろ
856名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 09:20:48 ID:n1WQyxNs
つまりしっと団が虚無の使い手になれば、一人一人が核兵器並の戦力になるんだな
857名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 09:41:19 ID:d7UGjyN1
まだ原作最初の方しか読んでないんだがもし自分のトラウマと向き合って克服したら虚無の力どうなるの?
858名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 09:55:20 ID:94/pcHns
新たなトラウマができたりして
859名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 10:03:21 ID:HGtAtqBK
>>849
不動司令何やってんのよwww
860名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 10:12:09 ID:5l5uYXWh
もしルイズが『魔法を使えない』事のコンプレックスを克服するとなると……次は『胸』のコンプレックスに苛まされるわけですね。
861名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 10:14:04 ID:94/pcHns
>>859
トリックの方じゃね
862名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 10:21:23 ID:cTxgPrVp
新作の情報も集まってきたし、誰かスプリンターセルのサムおじさん召喚してくれんかなぁ
863名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 10:22:13 ID:c4HxVHYX
アクオリオンのシリウスや麗花辺り呼んだら逆に負のパワーで新技編み出すんじゃね?
864名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 10:22:56 ID:70YWuV33
ジョゼフを見てると虚無の使い手には「コンプレックス解消したら狂う」因子が
仕込まれてるとしか……
865名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 10:36:51 ID:94/pcHns
>>864
なら魔法コンプレックスを解消したルイズは既に狂ってるのか
サイトに対する極端な反応はそのせいか
866名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 10:45:08 ID:sL6i2kll
キングストーンフラッシュでルイズの胸が
867名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 11:15:29 ID:70YWuV33
>>865
精神のバランスを欠いてサイト依存症に陥ったとか
もともとカトレアやカリーヌなどへの依存はかなりあったようだし
868名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 11:17:28 ID:70YWuV33
>>865
精神のバランスを欠いてサイト依存症に陥ったとか
もともとカトレアやカリーヌなどへの依存はかなりあったようだし
869名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 11:19:36 ID:70YWuV33
失礼、二回書き込んでしまいました
870名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:12:14 ID:xj3bagy8
>>864
なんつー危ない仕組みだ……
871名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:14:36 ID:/bBIqYNC
正気にては大業ならず
872名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:25:07 ID:pcE9D1jo
>>857
弱くなる
まぁ心の歪みが力の源だったりするので当然の結果だけど
873名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:25:46 ID:jdDmv2dr
虚無道は死狂いなり
874名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:32:50 ID:n1WQyxNs
テファは自分がハーフエルフだってことと胸のでかさがコンプレックスだが、虚無唯一の良識人だぞ?
まさか虚無で狂うのは人間だけか?
875名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:34:37 ID:5l5uYXWh
確か、ストレスを受けることで『精神力が早くたまる』様な描写があったような。
……もしかしてガンダールヴが『神の盾』と呼ばれるのは、主のストレスの原因となり、ムチで打たれる続けるだけの『耐久力』を持っているからではないだろうかと邪推してしまう。
876名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:39:32 ID:94/pcHns
>875
初代ガンダールヴのあの人はサイトとは逆に鞭でぶってストレスを与える立場だったのかもしれんぞ
877名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:56:40 ID:70YWuV33
>>876
ブリミルは実は鞭でぶたれてストレス解消する人だったりして
878名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 13:09:19 ID:11rnefOs
>>846
ヘルアンドヘブン扱いで勇者+と虚無−をあわせて膨大な力を生み出すんじゃね?
879名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:14:07 ID:7r/iduyw
>>864
教皇サイドは既に狂っているよな
880名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:15:22 ID:0CfkiBcn
ということは、ルイズを手先が器用選手権に出場させれば良いのか。

>>857
超強力なアートマンになる
881名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:18:56 ID:nSU4dWWB
>>857
専用ペルソナが変化してパワーアップする
とまあ、別作品のネタはさておき。ルイズがペルソナ使いだったとしてアルカナは何になるんだろうな?
882名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:19:32 ID:c4HxVHYX
ルイズをブレイブポリスのボスに
883名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:28:10 ID:HGtAtqBK
>>881
愚者とか女教皇あたりは合いそう
884名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:29:24 ID:pHYUYAIO
ボンバーマン召喚という言葉でやつらの基本性質を考えていたんだが
・ボンバー星の住人
・平和な生活を好む
・主にみんな爆弾で戦う遊びが好き
「穏やかなのか危険なのかわからんな」という4コマネタを思い出してしまったw
885名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:31:42 ID:sL6i2kll
ジェッターズの白ボンでいいだろ
886名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:41:31 ID:70YWuV33
>>884
レベルアップすると
・金塊が大好きになる
・爆弾設置能力を失う
・パワーアップ能力を失う
・穴掘りが上手くなる
887名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:49:10 ID:d7UGjyN1
恋愛多すぎ
サイトは戦車
888名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:57:27 ID:70YWuV33
>>884
というか基本設定ではボンバーマンは世界征服を企むバンゲリング帝国の地下工場で
爆弾製造工場で働いていた作業ロボット
889名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 15:09:01 ID:M5ClATZ2
>>881
恋人か太陽で
890名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 15:21:35 ID:RuvwwuKK
ルイズがおおいぬ座VY星を召喚…
891名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 16:20:59 ID:YeyOACzj
なにかというと地球破壊ばくだんを使おうとするネコ型ロボットを召喚
892名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 16:24:10 ID:nsWkaUDT
エイトマンを召喚
893名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 16:27:54 ID:BIP07kPE
ガウリイ・ガブリエフを召喚
894名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 16:33:52 ID:St9jfZKK
480KB越えているから次スレ立ててくる
895名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 16:36:29 ID:St9jfZKK
896名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 16:48:27 ID:9F0KeOfD
>>893
光の剣失くした頃のガウリイならデルフが物凄い役に立つな
897名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 16:52:18 ID:y5LYeMso
光の剣っていったら暗黒竜も出さないとな。
898名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 16:53:41 ID:QZcnv+sB
ラディ強いよラディ
899名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 17:05:52 ID:wR57OLtL
爆ボンバーマンからシリウス召喚。
極太ビームを放つボンバーマン?なラスボス。
900名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 17:12:23 ID:wd+BWfqZ
ラッキーマンがいまだにいないのが不思議だなぁ
ジャンプ最強キャラ議論では1,2を争うキャラなのに
ラッキーの状況描写が文字だけだと難しい気はするけど

勝利マンとか天才マンを呼ぶと無双になるだろうし、かといってスーパースターマン呼んでもしょうがないしね・・・
901名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 17:12:32 ID:c4HxVHYX
麻生勝こと仮面ライダーZOを召喚
一緒に付いて来たネオ生命体が取り付いたゴーレムやメイジと戦う
902名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 17:19:01 ID:pfNi3I1q
ブリミルはマギ族の長で戦争終わらすために戦ってたわけでしょ?
ほっといてもストレス溜まるんじゃね?
903名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 17:27:11 ID:8Abe738u
狂っていたのは、私達のほうだった…
904名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:28:53 ID:pHYUYAIO
マギって僧侶とか賢い者という意味のメイジの語源だよな

しかしアッララーイだかのかけ声だしてた敵側はヒストリエとかに出ているような時代のマケドニア軍なのだろうか
905名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:45:01 ID:ZE54/K8X
>>875を部分立て読みしてしまって
ペルソナときたら
鉄火男でも打ち切りでもノノリリでもないタカヤ召喚が思い浮かんだ
多分使い魔にはなってくれる
でもガンダ補正は低そう
代わりにルイズのストレスはたんまりゲージアップしてくれるだろう
まぁどっちかていうとジョゼフと一緒にいるほうがらしいんだろうけど
906sage:2009/07/01(水) 18:46:02 ID:Zz25uQaS
ゼロと魔砲使いの最後の更新から3ヶ月。
これって、もう続きは期待できない?
907名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:47:05 ID:pfNi3I1q
反応が芳しくなかったし凹んだ可能性が考えられないこともない
908名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:47:23 ID:zZsxz/jO
ボンバーマンビーダマン爆外伝なんて皆忘れてるよな…
909名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:51:33 ID:L0p/YenK
なんていうか非常に申し訳ないんだけど
半年くらい前に最後のSS投下した作者なんだけど
実生活が落ち着いたので、また書き始めたいとも思う…けど今更投下していいのかどうかって迷いもある…
いや、親が死んで急に働かなきゃいけなくなったからしょうがないっちゃしょうがなかったんだけどさ
910名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:52:12 ID:AfXeqL2B
漫画版のシルドーグ燃えでシュリンゲ萌えでしたが何か?
911名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:53:52 ID:zZsxz/jO
何ぞ更新投下をいやがる者がいようか(いやいない)
912名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:54:03 ID:AfXeqL2B
>>910>>908宛て

>>909
頑張って
913名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:54:21 ID:pfNi3I1q
>>909
過去のものがいつでも読めるんだし
いつ再開して何も問題ないぜ
914名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:55:25 ID:aReqrn8m
>>909
一年以上待っている作品もあって帰ってきた作者さんもいるから問題無し
でも無理はすんな
915名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:55:37 ID:70YWuV33
>>906
一年たって突然投下した方も居られる事だし期待してていいんじゃね?
期待するだけなら金かからんし

>>909
お待ち申し上げておりますよ
916名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:56:45 ID:L0p/YenK
ありがとう、今週末辺りから執筆再開してみるよ
土日執筆→一日おいて火曜投下ってのが自分のサイクルだから投下は来週になると思うけど
917名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:57:19 ID:+9aZaspx
>>909
自分のペースで無理なく頑張って下さい
918名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:57:41 ID:6f7PKQoU
爆外伝のアニメ一期は好きだったなぁ。
……前期の主役メカの最後はあっさりしすぎて悲しささえ感じましたが。
919名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:59:20 ID:2MZV9JuQ
>>909
構わん、へいどうぞ。
920名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 19:00:34 ID:bGfSOrQ3
クラッシュビーダマンの方が記憶にあるっぽい。

>>909
待ってるからな
921名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 19:07:25 ID:ZE54/K8X
>>909
どなたか存じませんが復活するなら大歓迎
続きが気になる作品が多いですからなぁ
ひょっとして・・・と期待してしまう
しかし無理をなさらないようにお体に気をつけてください

あとなんとなくだが
ブレスオブファイアUのパティ(ユア)が竜変身してタバサに召喚されたらどうだろうとか思った
あの子お母さんに吹っ飛ばされてそのまま出てこなくなったよね・・・
茂みでゲートに突っ込んだとかで
922名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 19:16:59 ID:wcPThKBE
実際、働きながらSS書いてる人スゴイとおもう。
仕事覚えなきゃなんないのに、頭の中でストーリー考えてるから、
毎日、怒られてるよ。
923名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 19:17:52 ID:azR3S+ek
無重力巫女はこのままだと東方BOSS勢がハルケ世界を蹂躙か……
正直、ゼロ魔世界寄り読者の反応が不安だ
924名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 19:40:15 ID:0CfkiBcn
>>905
ルイズ「当ててんのよ」
タカヤ「……何を?」
925名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 19:40:41 ID:N3gjRJak
>>921
あの子の竜の姿は結局出ず終いだったからなあ。その後がほんと気になる。
しかしハルケギニアだったらあっという間にデスエバンは復活するな。教皇を利用してロマリアにエバ教が流行。
ミリアの奪い合いも加速するだろうし、邪心を糧とする奴にはほんと住みいい世界だわな。
926名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 19:43:20 ID:0CfkiBcn
>>923
蹂躙マンセーしてる読者の反応も心配
927名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 19:54:39 ID:RuvwwuKK
嫌なら見なければいいじゃない
928名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:10:29 ID:MPp09gKd
>>926
読者はいちいちお前に従わなきゃいかんのか
929名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:17:35 ID:kAzJlIas
>>909の姿に心打たれた…。数ヶ月間更新停止してたけどまた書き始めよう
930名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:21:30 ID:IiQcVMzq
>>909
SS書くのが気分転換になるならいくらでも書いた方がいいと思うし、ならなくなったらやめてもいいんじゃない?
蛇足だけどポカリにリンゴ酢入れるだけで結構疲れ取れるよ。
931名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:21:57 ID:Szkh7RSM
ポカリにリンゴ酢とな!?
932名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:23:17 ID:qwWMJvQv
ほう。試してみるか
933名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:24:07 ID:IiQcVMzq
>>930
正直言うと黒酢の方が味としてはいいと思うんだ
934名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:25:16 ID:IiQcVMzq
なんで自分にレスしてんだよorz
>>930>>931
935名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:25:45 ID:Wj19Y6zw
嫌なら見なきゃいいって魔法の言葉だよな

大抵のことならなんでもアリに出来る
936名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:32:32 ID:nRh0ND3q
否定的な感想も見なきゃいいと思うよ。
937名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:33:14 ID:TALJFSy0
ところが嫌かどうかを判断するためには、まず見なけりゃいけないわけで。
938名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:38:54 ID:qwWMJvQv
とりあえず投下は専ブラ入れて自分で蹴るべきだろう
939名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:40:04 ID:8Abe738u
敵を知り己を知れば百戦危うからず、ってことっすね
940名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:41:38 ID:L0p/YenK
>>930
ありがとうSSは本当にありがたい気分転換です
ちょっとテンパってて今まで書く気が起きなかったけど
>>935
実際なんでもアリだとは思う
心配しなくても嫌で見ない人が多いなら一人で寂しく空回りっていう痛い現実もついてくるし
無視されるのは大抵の文句よりもずっと堪える
ただ書く側としては的を得た批判は一時的には傷つくけど、無視されるより凄くありがたい
>>926>>923はバランス調整を考察する意味で得られるものがある意見だと思う
と偉そうなことをすいません
941名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:42:44 ID:2MZV9JuQ
嫌なら見るなと嫌なレスに返すという矛盾。
942名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:49:02 ID:kAzJlIas
ユーゼス「ここまでの煽りレスはすべて私の仕業だ」
刹那「俺がガンダムだ」
943名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:50:53 ID:S1pQZNBR
怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。
おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。

って言葉を思い出したぜ
944名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:51:07 ID:Y3FzGsPD
オスマン「いや、ワシじゃ」
刹那「俺がガンダムだ」
945名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:54:18 ID:MPp09gKd
被害者ぶっていれば自分が正当化出来る気がするんじゃない?
946名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:56:06 ID:9vbcnYbR
何度書き直しても、納得のいくものができなかった時が中断フラグ。
この出来で投下していいのか? と思っているうちにズルズルと……。
947名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 20:56:21 ID:kAzJlIas
ジョゼフ「このスレの荒廃も俺の手の上の出来事にすぎん」
刹那「俺がガンダムだ」
948名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:02:04 ID:ZunSJbCJ
ヒイロ「投稿はする。だが、ガンダムは渡せん」
刹那「俺がガンダムだ」
949名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:04:10 ID:tBTLs2pz
>92
その台詞の後が容易に想像できるなぁ。
950名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:07:23 ID:3c4f61uM
>>948
なんだかアッー!なのを想像してしまった俺に答えをくれナタク
951名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:19:43 ID:H6KJj8Jx
すまん、まとめの過去ログ倉庫はいったい何時ふっ飛んだ?
952名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:24:58 ID:xhQCJYyd
>>948
それ、ヒイロやない。ドクターJや。
953名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:39:41 ID:YaBKnNNh
別にゼロ魔側を蹂躙する小説があってもかまわないよ
そもそも、懸念される点はそれじゃない

問題なのは、蹂躙が何だ、それが違うだ、という論争が発生すること
要するに荒れるってことだ

争いは、その原因とされる因子より、騒ぎをでかくする方が責任は重い
気に入らなければスルー
いらぬ議論を望むレスは全てNG
ネット掲示板を遊び場にする、悪辣な連中に利用されないでくれ
954名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:44:02 ID:8Abe738u
>>953
蹂躙しないようしないようにすると結局テンプレ展開で独創性に欠けるしな
おれも蹂躙はあっても良いと思ってるけど、コレは駄目アレは駄目っていう人が出てくるからな
955名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:46:56 ID:xsSuENrL
>パワーストーンといえばカプコンのパワーストーンだろ
まんまキュルケとかぶるやつがいるな
炎の魔女ルージュ
956名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:47:05 ID:YaBKnNNh
>>954
一行にまとめる

喧嘩する輩はNG。そんな奴は最初からいないのだよ
957名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:47:45 ID:g8ycbecl
>お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。

蹂躙(yahoo!辞書)
ふみにじること。暴力・強権などをもって他を侵害すること
958名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:50:07 ID:zZsxz/jO
早く戦争になーれ
959名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:57:27 ID:kAzJlIas
>>958
我が世の春が来たぁぁぁぁぁ!!
960名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:58:45 ID:qwWMJvQv
御大将が来たネタはなかったか……
大将は喜ぶだろうな。戦争やりまくりだし
961名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 22:04:42 ID:kAzJlIas
>>960
むしろ御大将はジョゼフと組ませるべきだな。
…ただ神の頭脳って意味の使い魔が脳筋なのがアレだw

ルイズはロランが合ってね?性格は穏やかだしディアナ様第一でも、戻る算段つくまでなら居てくれそうだ
鋼や00的な意味でも美味しいw
962名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 22:05:35 ID:y5LYeMso
そんなにルイズが好きか、貴様等ーーー!!
963名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 22:06:28 ID:zZsxz/jO
500kbなら
このスレはいいとこだぞみんな早くこーい
…ってこれは荒廃フラグか
964名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 22:07:33 ID:c4HxVHYX
エルドランを呼んだら
魔法学院を丸ごと巨大ロボにしてくれるかな?
965名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 22:12:16 ID:0CfkiBcn
>>927>>928
従うとかじゃなくて、蹂躙は不味いと思ってたからさ
まさか噛み付かれるとは思いもしなかったw

>>957で引用されてるけど、テンプレにもあるのに良いの?
966名無しさん@お腹いっぱい。
>>962
「俺が! 俺達が!! ルイズかわいいよ!!!」