あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part238
1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/06/12(金) 23:32:29 ID:4mfODZWz
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part237
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244817149/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
しまった、微妙にミスった。
申し訳ない……。
乙
しばらく新スレ立てない方がいい気もする
さっき狐が動いたから嵐も止むと思う
狐?
なんにせよ、平和が一番だ。あとの心配は巻き添え規制を食らわないことだが。
だから独断で新スレ立てるなよ
何勝手にスレ立てしてんだよ、クズ野郎が……。
規制されたから一週間くらいは大丈夫だと思う
>>6 運営のFOXの事。2chでひろゆきの次ぐらいに権力持ってる奴。
このスレ使うの止めようぜとか言い出すに100ペリカ
避難所で相談もせずに独断で新スレ立てたのは激しくアホな行為だが、
とりあえず今はようやっと規制がかかったみたいだし、スレを使うのは別にいいんじゃないかね。
万一にも嵐がまた来ようものなら、その時はまた避難所に退避ってことで。
この手のとにかく独断でスレ立てるKYは嵐に次ぐヴァカだからな
この手合いこそ嵐に無限に撒餌を続ける嵐助長ヴァカ
常備避難所のあるスレなら一旦そっちで相談しろってんだ
口汚く罵る人も同類なんすけどね
まーいーや。今の内に書きためておこう。
避難所のほうが稼動してるし、ここは後から出良いよ
つーか状況見れない人は立てないでほしい
避難所は、2chの隷属し従属する物
避難所に縛られるなら、避難所だけにすればいい
これだけではアレなので、ニート准将召喚を模索中
うわぁ・・・
サモンナイト2のハサハが召喚されたら、韻獣扱いってことになるのか。
亜人じゃね
韻獣って言葉はの無いんじゃなかったっけ?
韻って文字にしゃべるとかという類の意味はないし。
結構前に使って叩かれまくったSSがあったとか聞くけど。
韻竜は?
「いんじゅう」と入力すると、「淫獣」と一発で出てしまう俺のIMEって・・・
韻竜の存在知ってる人間が喋る獣初めて見たときに
「韻…獣……?」
って反応するくらいならいいんじゃね
>>21 変化前の玉を抱えて昼寝してる狐ハサハじゃなきゃ
訳の解らない事を言う亜人扱いだろうな
シルターンの地名とか常識通じないから苦労しそうだ
ハサハエンド後のマグナと一緒なら楽なんだろうがそうなるとハサハがルイズに懐き辛いと言ふ……
>>25 お前のIMEはいま「ひどいですご主人さま」と泣いているに違いない
>>27 ジブラさんと愉快な仲間が召喚されるんですね
「かんちょう」は?
「じゅうかん」が一発で(ry
って何この流れw
何故か視姦で指銃を思い出したので一つ
ワンピースのCP9の一人を喚ぼうと考えてるんだが
ルイズが一つ六式を覚えるなら何がいいだろうか?
覚える難易度がわかんないから言える事だったりするが
六式て何があったっけ…
指銃、嵐脚、剃、鉄塊、月歩、紙絵かな?
漢字あってんのか
ひでぇな
剃(ルフィ談では一瞬で地面を十回以上蹴るとか言ってた気がする)ができれば
月歩と嵐脚ができる気がするのと指銃(指先の硬化?)から発展で鉄塊は出来るんじゃないかと
紙絵は基本見切りだから楽そうと言えば楽そう
ちなみに4式しか使えなかった奴は鉄塊と指銃は使えなかった
ルイズは口より手より足が先に出る子だから
覚えられるなら剃、月歩、嵐脚辺りが真っ当なところか
月歩使えるようになったら喜びそうだな
コビーを例に取るなら、剃かね。
ここは敢えて鉄塊をオススメしよう
最初の授業で至近距離の爆発でほぼ無傷だったし
ルイズは鉄壁ってか絶壁?という事で
後は誰を呼ぶかだな
狼人間の奴(名前忘れた)は教えてくれないと思う
長官と新入り以外を呼べば良いと思うよ
なに?
塊魂の王子召喚でハルケギニア崩壊だって?
やる夫が召喚されたようです
過去ログ
ttp://yy700.60.kg/yaruo/kako/1241/12413/1241323293.html 現行スレ
ttp://yy700.60.kg/test/read.cgi/yaruo/1243939927/ ___
.-‐ '''""~ `゙''ー-、
/ \V
/ \
/ ヽ
/ __,,.. .-‐ '''""~;;;;;へ`゙''ー-、, |
´. |;;;;;;;_\し ノ(;;;;;/---;;;;;;;;;;;;;;;| | このぼくの――
;;;;/ ヽi;;;;;/´ \;;;;;| / 「青銅」のノヴィタの力、見せてやる!
__|/ ┰ V ( ・ ). . |;;;;;ヽ / ̄ヽ
/ | . i . | ̄ ̄´ |
ヽ ヽ ∧ . / 「f ̄ ̄ ̄ `i
\/ \__ / \ __ / || rr====|
| (⌒ `゙''ー-、 || __j-‐ ¨ ̄`i
ヽ `|| || 「 __ z====ヽ
ヽ \;⌒ _,,..-‐ー-、_ .i|| || | |「 \
ー―´___ _i|| || | || ヽ
二ニ ̄ / / A-‐ぅ+|||. || | || '.
,._,_,,.-‐''" イ / /| 小{ く|しOL | ||
.,.' ' ヽイ| | /ffヽY くヽ || |! |
| ||し'O八リ Y イ \tO ヽ |
リ | ト、\ \ _z==ハ
名前:ノヴィタ・ド・ノヴィー
身分:ノヴィー准男爵家長男
職業:魔法学院生徒(「土」のドットメイジ)
二つ名:青銅
鉄塊から飛鉄塊とか仏鉄塊を連想した俺は疲れているのか…。
最近の二次(?)創作でありがちな綺麗な呂布を召喚ってのはどうだろ?
精一杯の強がりを見せるルイズに自分の娘の姿を重ねて、苦笑いしながら付き従うとかそんな感じのヤツ
そんなこと行ってると蒼天航路のがやってくるぞ
>46
ファラリスの鉄塊娘なら連想したぞ
蒼天か…ニューカッスル城の夜宴で宴会芸と称して
呂布「一番、陳宮(ギーシュ)を丸めます」
ギーシュ「ちょ…待っ…(ごきごき)」
なんてのが浮かんでしまった。
何か陳宮ポジションに入りそうに思えるのよギーシュ
鉄塊・・・?
キルドーザー召喚だな!
ファラリスからファリスの猛女様を連想した
ぎ
ぎ
ぎーしゅうーーーーーーーーーーッ
>>49 「イカルガさん」
「その名前で俺を呼ぶなーっ!」
>>49 ああ、ルイズが行く・・・・・・
望まれることなく、浮世から捨てられし彼女を動かすもの。
………こんな感じか?
パイロットじゃなくて斑鳩の機体を呼び寄せるのか
死ぬぜルイズ
質問なんだがNPCキャラ(例えばドラクエのアンクルホーン)を召喚する場合
口調諸々がオリジナルになるかもしれないんだがそれってここでおkかな?
ここで、じゃなくてここでは、の間違いでせう
>>58 既に掲載されているSSを読んでみな
性格改変どころじゃないキャラばっかw
元キャラの皮を被った何かを召喚してもおkだろ
>>60 thx
しかし、そこまで酷い改変は(毒吐きスレに送られました)
そういう返答でok貰ったつもりだと痛い目を見るだろうなw
まヘイトや内政干渉しなけりゃいいんじゃねーの
ターミネーター…か…
やぁぁぁぁぁってやるぜ!!
>>64 昨日のT2放送見終わった後T-0読んだけど、続きは来ないのかねぇ。
後の展開を自分なりに考えたけど、どうにもストーリーを進め辛くなるしかない。
T-800はやっぱ重火器があってこそだけど、大量の重火器だしちゃうとストーリーのバランスが変になっちゃうし
ライバルにT-1000かT-X呼んだらただの映画の展開の後追いになっちゃうし・・・
昨日見て改めて思ったが普通にT-1000の方がT-Xより強いように思える。
トランスフォーマーとターミネーターどっちが強いんです?
ヨルムンガントとドゥードゥーどっちが強い?って聞くようなものだな
勝負にならん
>>67 T-1000は初めて映画館で観た時、勝てる気がしなかったなぁ。
バイオライダーやハイパーカブト、アマゾン(ギギ・ガガ両腕輪装着して無限エネルギー使用可能時)はもっとインチキじみているけど。
>>67 隠密性と防御力以外はT-Xの方が上だと思う。
対ターミネーター用のターミネーターなんだし。
スペランカー先生召喚で
ギーシュ戦で死亡
フーケ戦で死亡
ワルド戦で死亡
T-1000は要人暗殺用とか映画内で言ってなかったっけ?
つまり用途が違うんだな。
カリンママを召還・・・っていうか同一作品内からの召還はこのスレ的にNG?
Ifスレにあったな
スペランカー先生は・・・強いよ・・・
ソニック召喚
時空を越えたマシンを使い別世界でエッグマンランド建設を狙うエッグマンを追う
ゲートの先はルイズの召喚現場だった
カオスエメラルドはハルケギニア各国に散り散り
テイルスが武器屋で働いててルージュがフーケと組んだりしている
T-Xってガンダとミュズの中間みたいだな
機械を意のままに操るし
薬用石鹸?
とりあえず、タコスを召還するか、おっぱいさんを召還
82 :
凄絶な使い魔:2009/06/14(日) 23:13:21 ID:4IjS1mOo
投下したいんですが、こっちと避難所どっちがいいんでしょうか?
こっちでおk
20分ごろ投下はじめます
今回長くなったんで、2話に分けました。
2話連投になりますがすいません
第六話
ルイズが出て行ってすぐ、入れ違いになるように入ってきた女に元親は見覚えがあった。
先日、初めてこの世界に呼び込まれた時に目が合った少女。
燃えるような髪の色と、小麦色の肌が印象的で覚えている。
「はぁい、私はキュルケ、微熱のキュルケよ、……それにしても随分と刺激的な格好ね」
キュルケはじろじろと物珍しげに元親を見つめながら自分の名を名乗った。
別に裸だからと動じる元親ではないが、こうもあらか様にじろじろと見物されるとさすがにうんざりする。
「……目の毒ならさっさと部屋から出て行く事だ」
「あら、目の毒なんて言ってないわ、むしろ楽しんでるし」
元親は三味線の調子を合わせる作業をしながら、ちらりとキュルケの方を向くと、半ば呆れたような声を出す。
「……男の裸を見るのが楽しみか?」
「フフッ…そうね、興味のある男に限るけれども」
そういうと、手近な椅子にキュルケは腰を下ろした、その際に大胆に足を組み直し、彼女の美しい曲線美の足が元親の前で交差する。
キュルケは元親がどんな反応するかと思っていたが、まったくの無関心だった。
自分の魅力について自負している彼女にとっては軽いショックだったが、そこは冷静さをよそおってキュルケは軽く髪をかきあげる。
「ところで、私にだけ名乗らせたままよ、ミスタ使い魔さん」
そう言われて元親がキュルケに向き合う、ただ美しいのではなく、優美さの中に激しさが内包された美貌、
キュルケが知る数多くの男たちとは明らかに違う雰囲気を元親は持っている。
元親とはじめて目が合ったあの時も、何か分からない魅力を感じ取ったキュルケ、今朝、彼を訪ねてきたのはそれを確かめるためだったのだ。
そして、やはり、昨日感じた感覚を再確認したのだ。
「長曾我部だ、名を元親……」
「チョウソカベモトチカ……、不思議な名前ね、どこの国の言葉?」
「この地より、おそらく想像もできぬほど遠いところだろうな……」
元親はそう語った時、彼の心には、昨日の晩、静かに眺めた双月が蘇った。
どんなに遠方でも、星の位置は変わらない、瀬戸の海を船で渡る為、星で方角を知る術を知っていた元親は、
この世界のそれが自分の知る知識と全く異なることに気が付いていた。
……月が二つに見えるとてつもない遠方、もしくは、この世の全てが、俺がいた世界とは異なる世。
どちらかだろうし、そのどちらでも、さして変わる事はない。
そう考えているときに、部屋のドアが鳴り、男の声が聞こえた。
「失礼、ミス・ヴァリエールにこちらに食事と服を運ぶように言い渡されたのですが……」
「……あら、残念、もう見納めみたいね」
「大した女だな、……ところでいいのか?」
「何が?」
「俺といるところを使用人に見られることになる事がだ……、お前もルイズ同様こちらでは高貴な身分のものだろう」
「あら、それを言うならルイズだってそうだったじゃない、それに私の名前はキュルケよ、お前なんて呼ばないでほしいわ」
そうキュルケに言われるが、元親としては貴族としてもルイズは子供、見た者が受け取る印象が違うだろうと言うと、キュルケは笑いだした。
「アハハハ、そうよねぇ、ルイズが聞いたら面白い事になりそうよ、その言葉!」
再度、ノックが鳴って、入室を使用人が訊ねてきた。
「構わないから入れたら?……あと、私に朝食を分けてくれるとうれしいんだけど」
「……勝手にしろ」
元親はベッドから立ち上がって、ドアを開けた。
アルヴィーズの食堂では大勢の学院の生徒と教師が朝食をとっていた。
とても朝食と呼ぶには豪華すぎる内容のものだ、裕福な貴族に合わせて作られたそれらは、平民からすれば、夢のような料理の数々だろうが、
今、その肉や野菜を口に運んでいる者たちにとっては、ごく普通の朝の風景だった。
それゆえ、手つかずのまま下げられる皿も多い。
銀色のトレイに皿を下げに来る給仕人たちはテーブルの間を忙しく動き回り、サービスにつとめている。
ルイズが耳にしたのはそんなメイドたちの話声だった。
(……ちょっと、あの話聞いた?)
(あの裸の人でしょ……)
トレイを運びながらが小声で話しているのが偶然聞こえたのだが、「裸」という単語にルイズは敏感に反応した。
自分と元親、当然、話声の中心は後者の方だった。
どうやら元親は使用人たちの間ではかなりに噂になっているようだ。
スープをすすっていたルイズの手が止まり、メイドたちの声を聴く。
曰く、「使用人たちの前で水浴びをしていた」
曰く、「すごい引き締まった身体付き」
曰く、「すごい美形」
曰く、「腰にタオルを巻いて歩いていた」
……すっかり噂になってる、何が最低限の人数よ、人づてに広まっていけば同じじゃないの!
今後の事を考えて、深いため息を吐きつつ、スプーンを口に運ぼうとしていたルイズの耳に聞き逃せない言葉が飛び込んできた。
(メイドが2人、その裸の人に襲われたらしいって)
ピクっとルイズの手が震え、スープがスプーンからこぼれる。
何、今の聞き間違い?襲われたって聞こえたよーな……。
硬直した表情で、全神経を聴覚に集中させて、使用人たちの声に集中する。
スプーンを握ったまま、固まったようなルイズを正面に座っている巻き毛の少女が、様子を不審がっている。
が、当の本人は周りの様子は眼中になく、ただ聞き耳に集中していた。
(なんでも、突然、口をふさがれて、身動き取れない状態にされたらしい……)
(必死に逃げて来たって、あのままじゃ危なかったって言ってたわ」
(なんでもヴァリエール様が昨日呼び出した使い魔らしいって話よ)
(え、という事は……、ひょっとしてミス・ヴァリエールも)
(かもね、きっと、昨日の晩に……)
給仕達の声が離れ、次第に届かなくなった。
よりによって、ルイズのそばで、そんなおしゃべりをしてしまったのは、当人たちにとって知らずは仏とはよくいったものだ。
それほど、学院勤めの使用人たちの間で朝のトップニュースとして話題になっていたのだ。
加えて、朝からヴァリエールが厨房に顔を出し、部屋に食事と、服を届けるように言ったものだから、この事は平民たちの間で噂が噂を呼んでいた。
一方、ルイズはというと
どどどどど、どういう事?
チョーソカベがメイドを襲った?
あああああありえないわ、そんな事!
私の使い魔だとバレるのはわかるけど、あああなたたちは、一体何を想像してるの?
わわわわわ私とチョーソカベには、なななな何もやましい事なんて無いのよ
そそそそそりゃ、さっき、はは裸を、…みみみ見られたけど、使い魔に見られたからって
どどどどうって事ないの!、私たちはメイジと使い魔なんだから!!
動揺でもはや、味の感じられないスープをルイズは口へと運んでいた、
そして皿には、もうとっくにスープは残っていなかったが、それを延々と口へと運ぶ奇行をルイズは繰り返す。
ルイズの正面の少女が尋ねる。
「……ちょっとルイズ、さっきから何やっての?」
「え、何が、モンモランシー!?」
「スープよ」
「あ、あ、あはは……、なんでもないわ」
あわてて、ルイズはスプーンを置くと、メイドが空の皿を下げる。
モンモランシーの訝しんだ視線を誤魔化すように、グラスの水に手を伸ばす。
「ふーん、ところで、今日も貴方の使い魔の姿が見えないわね」
ゴッホォッ
水を口に含んだルイズは思わず咳き込んだ。
「ゴホゴホッ……、突然何言いだすのよ!」
「何って……、ただ聞いただけじゃない」
ルイズの慌てふためく態度に、モンモランシーは、何が何だか分からないといった表情だ。さっきスープ皿を下げにきた使用人が、
こちらの会話に聞き耳を立てている気配をルイズは感じた。
「ええっと、チョーソカベは……一応、平民だし、ここで食事をとるわけにはいかないでしょ、だから部屋に食事を運んでもらったのよ」
とりあえず、今、もっともらしく考えた理由を話すと、モンモランシーはとりあえずそうねと頷いた。
「チョーソカベ……変な名前ね、どこから来たの?」
「……どこからって、たしかニホンとかいう国よ、ロバ・アル・カリイエにある国なんだって」
「ふーん、その国の楽士を召喚しちゃったわけね」
モンモランシーの口調にどことなく、馬鹿にした空気を感じ取ったルイズはムキになって反論する。
「フン、違うわよ、彼はその国の将軍だったんだから、トサって都市の行政官って言ってたわ」
「将軍!?……ウソなら、もっと、尤もらしいウソを付けよルイズ!」
隣でルイズとモンモランシーの会話が聞こえていた小太りな少年がからかうような声で言った。
「大方、サモンサーヴァントが成功するか分からないから、その辺の劇団から雇って来たんだろ!ゼロのルイズ!」
「うるさいわね、マリコヌル、私はもうゼロじゃないわ、チョーソカベを召喚したんだから!」
「だから、それが嘘だっていってんだよ、……大方、口裏を合わせてロバ・アル・カリイエから来たとか考えたんだろ!」
そういって笑う小太り少年マリコヌルにルイズの顔色が怒りで赤く染まっていった。
昨日の学長室での起きた元親との主従の契約は、ルイズのこれまで生きてきた人生で最も勇気と誇りを試される文字通り試練だった。
それをこんな風に馬鹿にされるいわれは無い。
全身から怒りを発し、今にも決闘!の二文字を叫ばんばかりのルイズをモンモランシーがなだめる。
「ルイズ、ちょっと落ち着いて……、マリコヌル、ちょっと言い過ぎよ、私達だってあの時あそこにいたじゃない」
ルイズが召喚したとき、確かにあの場にその他の生徒はいたのだが、ルイズの爆発魔法が巻き上げる爆煙にさえぎられ、決定的瞬間を目撃したものはいない。
それでも離れていた分、その煙の中に飛び込む者がいれば気が付いただろうし、いくらなんでも、平民にあの爆心地に飛び込ませるのは難しいだろう。
マリコヌルはモンモランシーの意見に言葉を詰まらせながらも、なお言い直った。
「フン、まぁ、そうだけど……けど、いくらなんでも将軍はないぜ!」
「まだ、言うわけ、この風っぴきのマリコヌル!」
「風上だ!、「か」しか合ってねーだろ、ソレ!」
「よしなさいよ、二人とも、貴族が食事中にケンカなんて……、先生たちが見てるわよ」
食堂のロフト部分から、こちらの方を見る教師の姿をみて、ルイズは声を落とし、マリコヌルはそそくさと席を立った。
マルコリヌ支援
「……けど、あの人の顔じゃ、将軍って言っても説得力には欠けるわよね、役者みたいな二枚目だし」
「モンモランシー、アンタもそんな事言うのね」
「私、誉めてるんだけど?」
教師の目があるので騒ぐわけにはいかないが、モンモランシーにしても元親の事をルイズの言葉通りには信じている様子はなかった。
確かに、外見上で元親を身分ある人間と判断できる材料はほとんどない。
唯一あるとすれば、顔の良さぐらいだが、将軍と言うより役者と言われた方がしっくりくるのは否めない。
もっとも彼の持つ迫力は役者のそれではないけれども。
「ところで、彼ってどこで生活するの?」
「うぐっ……、私の部屋よ」
「え!」
モンモランシーの驚いた顔を見ながらも、ルイズは、さっきまでマリコヌルと言い争っていた時は離れていたメイドが、この話題になった時に少しづつ、
近づいて来ているのが分かった。
「男の人と一緒の部屋にいるわけ!」
「チョーソカベは使い魔よ、別にいいじゃない」
しれっと言い訳じみた返答をモンモランシーに返すが、当然、相手は呆れた風な表情だった。
「夜はどうするのよ」
「そんなの平気よ、昨日だって普通に寝たわ」
「え……、寝てるの、………あの使い魔と?」
「ブッ……、そんな事あるわけ、ないでしょうーが!!」
食堂中に響き渡るルイズの声に周りの生徒が一斉にルイズ達の方を振り返る。
「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ、まったく声が大きいのよ貴方は」
「アンタが変なこと言いだすからよ、ホントに……、昨日はしょうがなかったから床で寝てもらったわ」
周りの集中する視線に、赤面しながら、二人は声を落とす。
「それでも十分に大胆な行動だと思うわ」
「彼はギーシュと違って紳士なのよ、女性を襲うなんてことしないのよ」
後ろに控えて聞き耳を立てているメイドに言うつもりでそういったのだが、モンモランシーとしては引き合いに「一応」恋人であるギーシュを
出してくる事自体が不愉快なことだった。
自分という恋人がいながら、彼の浮気性と手の速さは典型的トリスティン貴族令嬢のモンモランシーにとって悩みの種だったのだ。
ふん、とルイズから顔をそむけると、そのギーシュが友人たちと雑談しているのが見えた。
胸をはだけさせたようなにブラウスを着こなし、一輪のバラを弄びながらワインを傾けている。
ギーシュはモンモランシーがこちらを見ている事に気がついて、バラを唇にあて投げキッスを送ってきたが、彼女は無視を決め込んだ。
彼が下級生に手を出していると言う噂を耳にしていたからだ。
「言っとくけどね、ルイズ、ギーシュと私はなんの関係もないから」
そう言うとモンモランシーは席をたった。
ルイズはモンモランシーを怒らせたかなと、少し後悔したが、謝るタイミングはすでに遅く、彼女は食堂から出ていった。
「……仕方ないか、後であやまっとこ」
ルイズも席を立つ、元親も食事が終わった頃だろうし、授業の準備もしなければいけない。
彼女がアルヴィーズの食堂から出ようとした時それは聞こえてきた。
(おい、新しいニュースだ、ミス・ヴァリエールの部屋に食事を届けたら……誰がいたと思う?)
聞き捨てならないそのセリフは、ルイズが食事と服を届けるように頼んだ使用人の男だった。
男は言った後で、ルイズと目が合うと、とたんに顔色を青く変え、猛然と詰め寄るルイズとの身長さは差し置いて、蛇に睨まれた蛙のようになった。
「う、……ヴァリエール様、私はただ、部屋に服と食事を運んだだけでして……」
「……そうね、で、誰がいたの?」
「そ、それは……、ミス・ツェルプストー様です」
ルイズはその名を聞くや否や、自分の部屋へと走り出した。
以上、6話です、続いて誰もいないなら7話を投下したいです。
マリコヌル……で間違ってる!?
正しくはマリコルヌ、だw
固有名詞くらい、ちゃんと確認しようぜ
ほんとだ、確認したと思ってんだけど、人名は記号的に覚えていたもので…、まとめに上げるときは訂正します。
続いて7話投下します。
今更だけど長く投下するならさるさんのない避難所のほうが楽だよ
第七話 「凄絶なルイズ」
自分の部屋のドアをたたき壊す勢いで開け放つと、ルイズの目に飛び込んできたのは、
先日使い魔となった元親、そしてキュルケの姿だった。
元親は使用人から借り受けたシャツとズボンを身につけているが、シャツのボタンが止められていない。
その開いたシャツのボタンをキュルケが留めてあげている時にルイズが現れたのだ。
「あらルイズおかえり」
「ななな何がおかえりよ、キュルケあんた、一体なにやってるのよ!!」
烈火の如く怒鳴り散らすルイズに、キュルケはやれやれと言った風に肩をすくめる。
「別にぃ、彼がボタンの止め方を知らなかったから、教えてあげただけよ、ねぇ」
「ああ……、こちらの服の着方を俺は知らん」
「そんな事、私が教えてあげるわよ!、そんな事よりなんで私の部屋にツェルプストーがいるのよ!」
私の使い魔がツェルプストーの女といちゃついてる、しかも私の部屋で!!
しかもその事について当の使い魔は、これほど主人が腹を立てているにもかかわらず、主の側に立たないで旧敵を弁護するような発言までして!!
「チョーソカベ、あんたの主人は誰?」
「ルイズ……、お前だ」
「そう、ならばその女をさっさと、私の部屋から追い出しなさい、今スグにね」
メラメラと怒りに燃える目をキュルケに向けながら、ルイズは元親にそう命じる。
「はいはい、出ていくわよ、それじゃまたね元親!」
「どうやらもう来ない方がよさそうだがな」
腕組しながらそういってキュルケを部屋の外に出すと、ドアを閉める。
「チョーソカベ、ちょっとこっちに座りなさい!」
キュルケが消えた後はルイズの怒りは元親へと向けられるようだ。
目を三角にしたルイズを見て、思わずため息が漏れる。
「よほど……、仲が悪いらしい」
それから、ルイズの説教が始まった。
ヴァリエールとツェルプストーの確執から始まった話は、キュルケとの学院での素行や男癖の悪さ、そして、いままで受けた細かな厭味まで、延々と続きそうな話だった。
途中、朝の講義について時間がない事を思い出し、残りは授業が終わってからとして、とりあえず終了した。
「とにかく、絶対ツェルプストーの女とは仲良くしちゃダメなんだから!」
「先祖代々からの恨み辛みか……、キュルケ自身はそれほど気にかけてはいなかったと思ったがな」
そう呟いた元親の声はルイズには聞こえなかったのは幸いだ、ルイズは急いで教室へと向かって走った。
「早く来なさい、チョーソカベ、使い魔は主人と一緒にいなきゃだめなのよ」
「……小姓か側役だな、まるで」
今更ながら、子供のようなルイズに従っている自分が不思議な元親であった。
反骨が自分の精神の支柱と思っていたのだが、この少女の言う事をなぜか聞いてしまう……、
家康を討った後、その喪失感で心が弱くなったのか……、考えても分からない気持ちの変化に元親は奇妙な感覚を覚えていた。
さるさんかな?支援。
教室にはいると、ルイズと元親に生徒の視線が一斉に集中した。
特に元親は楽器を片手に、教室の全メイジが見つめる中を悠然と歩く姿は、とても平民の様には見えなかった。
その姿は常に人の上に立つ者の風格を醸し出している。
ルイズは、前の席に座ると、隣に元親を座らせた。
「おい、ルイズ、なに平民を貴族の席に座らせてるんだよ、床に座らせろよ」
後ろから声が飛んだ。
「うるさい、「風っぴき」、彼の身分は私が保証する準貴族よ、この椅子に座る事に何の問題もないわ」
「準貴族?シュヴァリエの勲章をそいつが持ってるのか?」
「彼は召還される前までは、他国の将軍だった人よ、その彼を床に座らせるなんて、トリスティン貴族の面子にかかわる問題だわ」
そのルイズの発言で、教室はちょっとした騒然とした様相になった。
元親の態度を横柄だと言う者、それに対し、でも、他国の身分のある人物なら当然のじゃないか?という者、
どう考えても役者か楽師だろという者、別にどちらでも構わないけど、男は顔よね〜と大半の女子、……気にいらねぇと一部の男子。
そんな中、女性教師が教室へと入ってくると、騒ぎは一応おさまった。
「皆さん、春の使い魔召還は大成功の様ですね、このシュヴルーズはこの時期皆さんが召喚した様々な使い魔たちを見るのが楽しみなのですよ」
そう言って教室の使い魔たちを見渡す中年の女メイジはヴァリエールの横の座る男性に目をとめた。
「そういえば、ミス・ヴァリエールは少し変わった使い魔を召喚したようですね」
「はい、…ですがチョーソカベは」
「ええ、彼の事についてはオールドオスマンからの言付けられています、授業を妨害しないのであれば、そこに座る事を認めます」
シュヴルーズの言葉にまた教室がどよめいたが、静かにさせるために数人の口に粘土を張り付けて、授業は始められた。
やはり、この世界は何でもありだな
魔法の授業を眺めながら元親はそう思った。
これほど簡単に唯の石ころを金属に変える事が出来るなら、七日七晩炉を燃やし続け、砂鉄を放りこみながら、鉄を作り出す、元親の知る製鉄は明らかに効率が悪い。
メイジの格によって、作れる金属が決まっているようだが、それでも鉛玉程度なら無数に作り出せるだろう。
信長が作った3千丁の鉄砲隊、いや、兵すべてに鉄砲を持たせた軍もあるやもしれん。
戦術にしても、空中を飛ぶだけで驚異だ、空からの敵に対して何が出来るだろうか……。
そして、俺の想像もつかぬ兵器もあるだろう……。
あらためて、この世界は日本とは違いすぎると元親は思いなおした。
そんな思いつめた表情の元親にルイズが小声で話しかけた。
「どうしたの、真剣な顔して……」
「いや、この世界の魔法について思い直していた、もし敵がメイジならば、ルイズを守る事も容易ではないな」
「え、チョーソカベも、強力なマジックアイテムをもってるじゃない」
そういうルイズに元親は首を振った。
「一人、二人なら平気だろう、四、五人なら不意を突けば、だが十を超えるメイジをどう相手をするかだな」
「メイジ十人って、そんな状況って有るかしら……」
元親が想定した状況を考えていると、シュヴルーズの声がルイズに飛んできた。
「ミス・ヴァリエール、私語は慎みなさい」
「は、はい」
「そうですね、せっかくですから、貴方に前に出て錬金を実践してもらいましょう」
にこやかにシュヴルーズはルイズを指名した。
「わ、私ですか?」
「そうですよ、さ、前へ」
この後の自分の運命を知らない中年女教師はルイズを手招いた。
「先生、危険ですわ…、やめた方がいいと思いますけど」
ルイズが逡巡していると、後ろから聞き覚えのある声が響いた。
元親は声の方へ視線を向けると、キュルケが真剣な表情で訴えかけていた。
あらん限りの言葉で、女性教師に気持ちを変えさせようと熱心に説いた。
そして、同時にその声は、彼女の属性が示すように、ルイズのやる気という導火線に火をつけたのだった。
それは教室が爆風で吹き飛ばされる一分前の出来事だった。
教室には二人、ルイズと元親だけが残っていた。
窓はすべて割れ、教室はルイズの魔法の洗礼を受け、見るも無残な状態だ。
ミス・シュヴルーズは爆心地近くにいた為、衝撃で黒板に叩きつけられ、そのまま失神。
爆発のショックで暴れ出したその他の使い魔たちの騒動が、終わるころ、その他の生徒からルイズは口々に「ゼロのルイズ」という言葉を投げかけられ、
その間、ルイズは悔しそうに下を向いていた。
その後、失神から回復したシュヴルーズは医務室に連れて行かれる前に、この教室の掃除をルイズに命じたのであった。
残骸の中でルイズは気落ちした様にうつむいていた。
元親はルイズのそんな様子をしばし眺めていたが、ポツリと語りかけてきた。
「……お前に怪我はないのか?」
「……別に無いわ」
そうか、と呟くと元親は瓦礫を撤去しはじめた。
細身の体だが、筋肉質な元親は見た目よりもはるかに筋力がある。
大きな机の残骸などを次々に片付け始める。
「チョーソカベ……、私……いつもこうなの、……魔法を使うと必ず爆発しちゃうの」
「そうか……、理由は分からないのか?」
ルイズは力なく首を振る。
「今まで魔法が一度も成功したことがないの、だから私の二つ名はゼロ、ゼロのルイズなの」
「さっき言われたのはそれか」
力なく頷くルイズ。
「貴方を召喚したのが初めて成功した魔法、そして使い魔として契約したのが、その次に成功した魔法、
フフ、……思えば、あの後ファイアーボールを唱えて失敗してたっけ」
ルイズの胸中には希望があった。
元親を得て、これから変わる自分の未来への希望が。
希望があった分、反動も大きい、突き付けられた現実は彼女により深いショックを与えたのだった。
べべべッッッん
教室に蝙蝠髑髏の音色が鳴り響いた。
ルイズが顔をあげて振り返ると、教室の最上段、そこに積み上げた瓦礫の上に元親が立ち、三味線を掻きならしている。
それは聞きなれない音色だが力強く、悲しさ、優しさ、怒り、喜び、全ての感情が元親の三味線によって表現されているようにルイズには感じられた。
元親が力強く弦を弾く度に、蝙蝠髑髏から炸裂する音の球が無数に吐き出され、教室を漂う。
学長室で脅された時は、恐怖で仕方なかった音の球が、いまのルイズの目には元親が立つ瓦礫の山から舞い降りてくる、光の球のように、とても美しく映った。
「……なんて、綺麗なの」
窓からの光をバックに無我夢中で音を紡ぎだす元親をルイズはとても美しいと思った。
最後に激しい旋律を奏でると、元親の演奏は終わった。
教室の中は元親が作り出した音の球で溢れんばかりだ。
他の誰にも見る事は出来ない、ルイズと元親だけにみえる幻想風景。
淡く溶けるように、音の球が消滅していくのを、手を伸ばしながらルイズは見つめていた。
「ルイズ……」
教室に元親の声が静かに、しかし力強く響く。
「俺には魔法の事はわからん、お前がありとあらゆる努力の末、それでも魔法を成功させる事が出来ないのなら、
それはお前の運命なのだろう」
元親から発せられた言葉は、ルイズの想像したやさしくいたわる様な言葉ではなかった。
「だが抗え、……たとえその身が砕け散り、影すら無くそうとも意志ある限り抗い続けろ」
「抗う……」
「そして凄絶に自らを意志し続けろ、他の誰でもない自らの存在を」
「私の存在……」
「ルイズ、上ってこい」
すり鉢状の教室の最上段に積み上げられた瓦礫の頂上で立つ元親はルイズに言い放つ。
ルイズは最初半ばおぼつかない足取りで歩きはじめ、そして、だんだんと力強く、元親のもとへと駆け上がる。
「来たわよ、チョーソカベ……」
「ルイズ、振り返ってみろ」
元親に言われて教室の最も高い位置から全てを見渡す。
それは凄惨な教室の風景、ルイズによって一瞬で壊された破壊された教室。
しばらく呆然としていたルイズだったが、彼女は元親が何を見せたかったのか理解した。
フフフ……、元親の横でルイズが笑いだした。
「ねぇ、チョーソカベ、私って……実は凄いんじゃない?あんな錬金でここまで教室全体をぶっとばしちゃうんだから!あなたにこんな真似できる?」
ルイズが肘で元親の脇をつつく。
元親は薄く口元に笑みを浮かべる。
彼の作戦は成功したようだった。
「ゼロの二つ名を不名誉と言ったな……、俺の二つ名は「鳥無き島の蝙蝠」だ、かつて俺の島へと攻めてきた魔王と呼ばれる男が、俺の事をそう蔑称した」
「どういう意味?」
「土佐には鳥がいないから蝙蝠ごとき空を飛んだと増長できるといった意味だ」
「何よそれ」
ルイズは自分の事のように腹を立てた、それを穏やかに見つめながら元親はやさしくルイズの肩に手を置いた。
「だがその魔王も土佐の蝙蝠が、どれ程凶暴か身を持って知ったがな……」
「……じゃあ私をゼロと呼ぶ奴らも震えあがらせないとね!」
「その時はなるたけ外でやれ、……片付けが容易ではないのでな」
ルイズはひとしきり笑うと、瓦礫から降りると、自分から部屋の掃除を始めた。
元親もまとめた残骸を外へと運び出す。
二人が掃除が終わったのは昼休み前になってからだ、ルイズは元親を連れて食堂へと向かった。
元親と一緒に昼食を取りたかったからである。
以上です
あっちこっち分散されるとめんどくさいわ
乙です
チョーソカベかっこいいぜ
誤字というほどでもないけど
>>95 >主の側に立たないで 旧敵 を弁護するような
→主の側に立たないで 仇敵 を弁護するような
荒らしが規制されてるなら、こっちでいいでしょ。
さるさんが嫌なら避難所、管理人にIP見られんのが嫌ならコッチ
好きにすればいいじゃない
ところでちと気になったんだが、
>>85みたいに「名を元親」と名乗ったなら
キュルケはモトチカ・チョウソカベと呼ぶのでは?
このスレの小説を読んでて思ったんだが、召還されたら、まずルイズにキスをされるのが普通なんだけど、
逆に召還されたキャラがルイズのキスを受けない、或いはキスをかわしたっていう作品はないの?
毎回毎回キスを受けて、手の甲に紋章が浮かび上がるっていう流れだから、たまには違った流れの作品が見たいと思った
>>105 そういう話を考えてるんだけど、問題なのがクロス先のキャラにルイズと一緒に生活する理由が無いって事。
1人だけで生きるだけの生活力はあるし、うるさい小娘の言う事を聞く様な性格でもない。
だから学院にいる理由が考え付かないので、プロットを作る段階でつまってる。
それは別に受け入れる受け入れない関係ない気がするが
契約の意味を取り違えて、キスから逃げ出すってのは考えたことがある
昔召喚しようと考えてたキャラは「契約」すると契約者の命を吸ってしまうからってんで
ルイズの唇から必死こいて逃げ出して。
グレンラガンのヨーコを召喚して契約したせいでルイズが1話で死亡
基礎体力無いからエネルギードレイン系能力持ちにキスされれば死ぬな
モリガンとかローグとか
クウガのメ・ギノガ・デは?
ルイズがアークルしてれば助かるかもしれないが…
大預言者ズールとかもデンジャーだよね
マイティハートのメラク師匠とか……
マズい、ただでさえ無いルイズの胸が更に減った?!
(怪人騎士メラクベータはおっぱいにエネルギーを蓄えるためエネルギー有ると魔乳で減るとぺったんになっていく
自分で消費を賄えない為他人から口付で奪うんだが吸われた方は回復するまで胸が萎む
なお、メラクが力使いすぎると幼女になる)
ズール様が正義だ
>>115 そんなことしたら胸部が抉れちゃうじゃないか
たしかメラクベータって口付けで畝を奪えたけど、与えることも出来たよね…?
つまりルイズがメラクに命じてキュルケから胸を奪い取って自分のものにするというフラグが
エネルギーを与えられた方の乳って大きくなったっけ?
信長の野望より
商館を召喚
神風怪盗ジャンヌ召喚
夜はゴーレムや使い魔に憑衣した悪魔を狩る
ハガレンからエドとか面白そうだよな
文才が皆無なので無理だが。
またこの流れか…
ティファニアが戦国BASARAの浅井長政を召喚
おマチさんが削除されちゃうか
>>123 皆無さん、ちなみにどれくらい努力して判断したんですか?
>>126 キャラ妄想スレで結構書いて、他の書き手さんのと比べて気づいたのよ
努力は他の書き手さんのを手本にしてテンポ考えたりとか
まきいづみよりシィーナ・コウにしろよ
後は小説の書き方をググったりとかっすか?
130 :
凄絶な使い魔:2009/06/15(月) 19:09:22 ID:V8x/uB7O
>>129 そう。でもどうも文体がガキくさいというか、とりあえず自身なくした。
あとはスルーされた時の事とかさ。
得にゼロ魔はテンポ重視だから自信がない。裏話とか考えれる人ほんと尊敬します。
そんだけやってるのに、他人に書いてくれとか言えちゃうもんなんすか……
……
>>124書いといて何だが、ハガレン妄想の人の大人な対応に感心した。
天然だとしたら、まぁそれはそれでスゴイが
文才云々を言い出す奴が本当に書いているらしいことが驚きだ
なのはスレみたいにクロス作品のバトロワを見てみたいが無理だろうなあ
【馬鹿は身勝手なことを言った】
各作者さんの許可を得てから、創作発表板にでもスレ立てすれば良いんじゃないの?
100スレ記念でも読んどれ
いちゃもん付けうぜえ
バギの選手入場のパロってここだっけ?
SSのクロスったけど
何処にでもある。
俺の家にはないぞ
ちなみにハガレン召喚は専門のスレが別にあるのでした。
ハガレンって鋼のレジオンの略だよな?
ハガエル大王連隊の略ではなかろうか?
↓ここでうまいこと言う人登場
うまいこ
うまいこ
美味い娘
上手い娘
巧い娘
馬い娘
人参果ですね、分かります
兎?
ツインテールはうまいこ
ツインテールは海老の味
今年の円谷の78ちゃんねる思い出した
なんか、ゴモラの人復活しないかな?
うー、まんこ!
テステス
わっほい
159 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 14:23:13 ID:HLcoIHye
>>127 他の書き手じゃなくてプロの作家を手本にしないとだめだろ
ハガレンなら小説あるんだしそこらへん参考にしながら書いていけば上達すると思う
ごめ
あげちった
エルフ召喚ネタしたくてダークエルフの口付けで書こうとしたけど
知名度が低そうなのでやめた
今までエル狩るの小ネタ意外にエルフ召喚って何かあった?
意外にないね
ですよねー
エルフって多くの小説、漫画に出てくるけど大抵脇役ばっかでメインキャラとして出てくる作品見つけづらいわー
エルフ召喚ネタは中々おいしいと思うんだけど
超小ネタでスイフリーが来てたな
長編でスイフリーを動かすのはなかなか難しそう
しかし避難所は賑わってるな
荒らしも規制されたようだし、もうこっちへ投下してもいいんじゃないか
やっぱエルフ召還したら異端審問開始のお知らせ、なんだろうか
>>163 覇王大系リューナイトのヒッテル&カッテル兄妹とかは結構メインよりだぞ?
アニメ版だと最後は孤児院経営する程の子供好きだ
リューガンナーデリンガーも居るし戦闘力も高い
後はエルフじゃないがガルデンとか…っても
漫画版だとラスボスだがアニメ版の綺麗なガルデンなら……
タニスとかどう考えても面白くないだろうしなあ
ディードリットはパーンの死後なら問題なさそう
エルフだったらアリオーシュ呼べばいいじゃない
あのエルフの若奥様
事実上制御不能じゃないか
人食うし
アリオーシュ的にルイズはアウトかセーフかそれが問題だ
見た目が幼いからな、いや、タバサのほうが年齢見た目ともに…
テイルズのアーチェはどうだろう?
カイムにも噛み付いてた位だから普通に食べるだろ
173 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 21:17:33 ID:6izcfBVQ
レニフィルとかアイスとかもいるな。ドラナイのマルレーネはエルフじゃない、か
BASTARD!! のアーシェス・ネイもエルフだな。ハーフだけど。
後、有名なのは姫騎士アンry)
エルフじゃなくても耳長なキャラはエルフと誤解されることがあるよな。クロノトリガーの魔王とかドラクエ4のピサロとか。
まだ召喚されてないキャラならスタオー2のレナやチサトなんかか。
>>175 エルネスト呼び込みはちょっと考えたが、もはやストーリーどころかエロ以外の何ものでもなくなったので放棄した……
セブンスドラゴンのルシェ族の男も長耳だ。
といっても男ルシェのNPCってルシェ王・ジェッケ・親方の3人くらいだっけか?
ルシェには肉球があるんだぜ
ヴぁーんさんでいいよ
エルフじゃない長耳といえばアブリアルを忘れてはいけない
リンクは召喚されてたか
まとめを見るとFateの史朗がなかったので償還しようと思います。
TSかつ俺憑依でチート能力ハーレムモードですがよろしいでしょうか?
ここまでテンプレ
テンプレ嫁。以上
つか女になってどうやってハーレムつくるんだ?
>>184
>>184 TYPE-MOONは専用のスレが有るよ。
ちょwそんなゴミもってくるなw
自サイト作ってやってれば?
型月好きな人はこういう人が多いの?
それともそう思わせるために題材として選んで荒らしてるの?
どう見ても釣り
>>193 アカツキやゴーストはかなりレベル高いよ
綾音もお勧め
みんなのスなんとかを召喚で
エルフ絡みでSO2のレナ書いてる途中だけどなかなか難しいね。
>>190 そんなゴミ以下のもの、いりません。
主役の名前を間違えるなんてあちらでも断られて当然。
あ、他のサイトにも投下の必要ないから。
とりあえず、タコスを召喚したい
まぁまぁ、コーヒー飲んで落ち着け
スモークボム!ホァァァァァァァァッ!!!
カオスな流れでカオスヒーロー召喚とかいって見る試験
エルフ耳ならミザリィ(アウターゾーン)もいるな。
強すぎるか…
強さは問題じゃない
面白いかどうかなのよね
>>204 その手のキャラは能力的にではなく属性的に強いってか無敵?って感じだからな。
確実に勝てるといえるのは同属性で格上のキャラ、笑うセールスマンとかぐらいだろう。
ロム兄さん召還してみんなに正義の心を
このスレ見てて自分もSS書きたいなと思ったが
自分の文章レベルと書き続ける気力が無さそうだったから諦めた
あと東方キャラ召還しようと思ったから多分叩かれると思った
どうでもいいですねハイ
>>161は諦めたようだがダークエルフの口づけは面白そうな作品できるとおも
あれも口づけが特別な意味もつ作品だしね
アンキモ!アンキモ!アンキモ!
>>210 ル「あんたはこの黒パンとスープだけで十分よ!
山「それでいい、そんなできそこないの○○食べられないよ・・・ そんなもの食べるならまだこの黒パンとスープの方がマシだ
ル「な、なんですって
マ「俺の料理ができそこないだと!!!説明してもらおうかっ
山「明日の夜もう一度ここに来てください、本物の○○というものを教えて差し上げますよ
>>208 文章は書かないと上手くならん
だが、続ける気力が無いなら諦めた方が良い。
でも、メモ帳で一話だけでも良いから書いてみれば? ここに投下するかしないかは別にしてさ
自信が無いならば避難所に小ネタ投下オヌヌメ
ただし面白くなけりゃやっぱり批評されるけどな…
本当はむしろその批評がありがたいんだが
>>211 なんちゅうレスをしてくれたんや……
ガリアにしろロマリアにしろ、雄山を召喚したところはご愁傷様だよな
>>212-213 確かに書かないと上手くはならないですよね
叩かれて伸びるっていうのはわかりますがメンタル面が持つかどうか怪しいところです
そもそも誰を召還するか目星つけてなかったんで書ける気がしません
素材選びをうまくやれば文章は書いてるうちになんとかなるよ
>>209 口づけに特別な意味…
変身王子ケエルを召喚、出てきたカエルに嫌がるルイズをコッパゲが無理やり契約させてカオス状態
その後カエルは事あるごとになぜかギーシュにキスをせまり、おまけでモンモン&ロビンの出番も多めだよという展開か
そこでゼントランを召喚、魔法でなんとかして拘束したものの無理強いしたキスで大混乱……
甲児くん召喚・・・・だとルイズが第2のマリア・フリードになるな
そぉだろぅ、メンヌヴィルくぅん?
う、うん、そうだねコルベールくん
その2人は召喚するなw
ルイズ「オスマンのじじぃぃぃぃぃっ!!」
ですねわかります
ボロットの中で茶を啜るボスとルイズ
ボルト・クランクよんだらいい短編になりそうだな
避難所の235が終わるまで、ここはずっと雑談スレなのかねぇ…
あっちは書き込み少ないし、寂しいもんだ
2chは海だ
スレは港だ
避難所は内地だ
大手ISPが沢山規制されてるからじゃないの?
おれもp2からだし(´・ω・`)
おのれ許さん!
とりあえず召喚の一日が終わるまで書いてみる・・・
こりゃ大変だ みんなよく書けるな
ギーシュ戦までだけでも書けてる人は尊敬するわ
衝動で書いて、召喚部分とかで終わる人がいる
バトルとか書きたいけど、そこに至るまでが面倒で停止する人がいる
フーケ戦まで書いて、ここからいつ終わるかもわからず書き続けるのは酷なのでキリよくやめる人がいる
風のアルビオンまで書いて(ry
ストーリープロットで悩んで、そのまま終わる人がいる
書くことに疲れてやめる人がいる
周囲の反応があれなのでやめる人がいる
諸事情があって、書く時間がなくそのまま終わってしまう人がいる
書こうと思いつつ自分は文才ないのだとやめる人がいる
だったらその面倒な部分を省いてしまうのも一つの手だ
頑張って単独のバトルにしないようにすればいいんだよ。難易度はぐんと上がるけど
召喚部分で終わる人とかは、続きが書けないなら削除要請とか出してほしいな。
無駄な期待膨らませるのも空しいし、そんなすぐに終了するなら長編ですらないし。
今まで何度期待したクロスキャラが長編と言っておきながら1話で途絶したか・・・。
234 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/17(水) 11:13:55 ID:IV9yUnDL
削除するくらいなら、小ネタに移動のが良くないか?
すまん、sage忘れた
>>206 あの唇と契約したくねぇw
ミザリィや喪黒みたいなキャラは固定した能力とかないもんなぁ
>236
まぁ、何をしても不思議じゃないキャラだからねぇ。
>>231 戦闘中の某勇者を召喚
召喚ゲート開く
↓
「ブロゥクン・マグナァァァァァアムッ!!」
↓
いきなりでかい右腕が突っ込んできてルイズ死亡
召喚だけで話終わるな
ねんまつ
どうもこんにちわ。毎度おなじみ、所謂一つの鋼の人でございます。
先週ついにアルカイザー……もとい、仮面ライダーディケイドが新フォームになりましたね。
動いてもやっぱり格好悪いと言われる中、そうでもないかなと思うのですがどうかしらん。
えー、ではでは投下予告。
1350
この時間に投下するのだから自分の駄目人間振りが知れようものですが……
トリステイン貴族の中でも指折りの軍人の家系であるグラモン家は、サロンの一部では恋多き一族、俗に言えば、色恋の問題やエピソードに事欠かない家だと
思われているが、そんな噂が立つようになったのは精々、ここ3、4代の話である。
むしろ、グラモン家中興の祖にして、今も堅牢にそびえるトリスタニアの“王軍の砦”に名前を残す『土公』とも『艦斬り』とも呼ばれた当主は、
生涯ただ一人ソフィア夫人を愛し、他の女性にはまるで振り向かなかったという。
しかし、ここにグラモン家に伝わる一つの寓話がある。その当主は旧縁の友人を終生邸宅に住まわせており、その友人こそ、美と雅を愛し、
数多の女性を擒にしていたことから、後代の子孫たちはその友人の影響を受けて色恋に花咲くようになった、等。
『グラモンの友人』に関する秘話は、貴族の子女達に伝わる小話に頻出する人物だ。物腰は貴族ながら、詩歌と馬術、そして何より
手ずから料理を作ることを嗜んだ食通として伝えられている。
閑話休題。詰まる所、グラモン家の尻の軽さは後天的である反面、内面には高潔なものを秘めているのであったが、一門の末席を預かるギーシュ・ド・グラモンは、
そのような背景によってある種の危機を迎えているのであったものの、本人に果たして自覚があるのか怪しいものであった。
徐々に空の青に夕日が混じっていく頃。ギーシュは怪しい足取りでモンモランシーの部屋へと向かっていた。脱力しているようで、どこか
焦っているようにも見えるギーシュの後から、曲がり角に隠れながらルイズとシエスタが後をつけていた。
「どうやら本当にミス・モンモランシの所へ行くみたいですね……」
「そうね。……ねぇ、本当に覗き見するの?正直気が進まないんだけど」
「何言ってるんですか!ここまで来たのですから最後まで見て行きましょう!」
未だ迷いを残すルイズとは違って、既にシエスタはどこかおかしなテンションまで自分を持って行っているらしく、上気した頬に視線はすっかり興奮で舞い上がっていた。
「さぁ、行きましょう!」
ギーシュの背中が角に消えるのを追う様に、シエスタが歩き出した。その足音は魔法が掛かっているかのように音がしない。
シエスタを追うか自分だけ引き返すか。迫られたルイズは、猛る牛のように激しくアニマを波打たせているシエスタを追いかけるのであった。
『シエスタ滑落事件』
タバサを追いかけていたキュルケはタバサの部屋の前に立った。今度は開錠【アンロック】を使わず、ノックした。
「私よ。入っていい?」
暫くして、「入って」と返ってきて、キュルケはドアを開けた。鍵は掛かっていなかったようだ。
しかし、ドアを開けた瞬間、部屋の奥から氷室を覗いたような湿った冷気が流れ出し、キュルケの肌をぞわりと撫でた。
「っ?!寒いっ!」
まったくの不意打ちを受けたキュルケは粟立つ肌を抱いて竦んでしまった。吐き出す息も白く、この部屋だけ冬になってしまったようだった。冷気の原因はすぐに分かった。
部屋の中心でタバサが杖を握っていたのだ。
「タバサ〜、何してるのよ。この部屋とっても寒いわよ」
振り返ったタバサが握る杖先は、冷気と水気を佩び、硝子細工のような氷の刃が生まれていた。
タバサがギュスターヴに師事して修めた剣術と魔法の技術を掛け合わせて考え付いた氷河剣【アイス・ソード】なる魔法だった。刀身になる氷を通して、
剣として使いながら魔法の力も使うことが出来る。
「氷河剣の改良。新しい剣を買うまで、これで凌ぐ」
曰く、本質が氷である以上、長時間の使用に不安があったタバサは、剣の精製時の温度をより低くしようと考えていたのだという。
「より冷たく、より多くの水気で作れば、強度と耐久度が上がるはず」
「ふぅん。そ、それは分かったけど……窓開けていい?」
キュルケは夏服で体が震えてしょうがないというのに、ほぼ同じ格好のタバサは、普段の無表情を差し引いてもまるで平気な様子だった。
堪らずキュルケは部屋の窓を開けた。開けるとすぐに初夏を迎えた温い空気が、吹き付けるように部屋に入ってきた。
「ふぅ。暖かいわ〜」
安堵の声が漏れるキュルケを見て、タバサは氷河剣を解除した。
「用は何?」
冷気の中から一気に陽の中に戻った事で、タバサの薄い肌にもうっすらと汗が浮いていた。
「タバサ。貴方何日か時間取れる?」
タバサは少しの間を置いて首を縦に振った。
「そう。じゃ、アルバイト付のバカンスに行きましょう」
艶っぽく笑ってキュルケは答えた。
キュルケがタバサの部屋へと入った、丁度その時。一人を追う二人はタバサの部屋の脇を通って身を隠した。
シエスタとルイズが廊下の角に隠れて見守る中で、ギーシュはモンモランシーの部屋の前に立ち、正確に三回ノックした。
ドアが開かれ、ギーシュは中へと入っていくのが見える。
「入っちゃったわよ。どうするのよ」
「これを使います」
と言ってシエスタが懐から取り出したのは木で出来ているらしい筒だった。筒の口の片方がカップのように広がっている。
「これを壁に当てれば…」
シエスタが広がった口をモンモランシーの部屋に向けて当て、反対側に耳を当てた。
「あ。何か話してます」
「き、聞かせて!」
ルイズも同じようにしてモンモランシーの部屋からの音に集中するのだった。
「ラグドリアン湖?」
「ええ。あそこには水の精霊がいるのよ。『水精霊の涙』は高値で取引されるのよ」
キュルケが得意そうにギュスターヴに話していた。
夕日の出始めた頃、コルベールのところから引き上げてきたギュスターヴはタバサを訪ねていた。剣について言えば、タバサは弟子筋になるし、できれば
良い剣を使わせてやりたいと思ってのことだった。
会いに行くと、タバサは部屋でキュルケと一緒にいて、何冊かの冊子を広げながら、何かを用意している様子だった。
何をしているのかと聞いたところ、先ほどの言葉が返ってきたのである。
「ここから南東、ガリアとの国境に面しているのがラグドリアン湖よ」
ここね、と地図らしき冊子のページを指してキュルケが言った。
「真夏には避暑を過しにいろんなところから貴族がやってくる場所ね。水精霊は特に湖の奥深くに居ると聞いてるけど、私とタバサが一緒なら
『水精霊の涙』も手に入れられるはず。それを売ればタバサの剣を買うくらいのお金はすぐできるわ」
まくし立てるキュルケは実に嬉しそうだった。友人に助力できるのが嬉しいのかもしれないし、単に楽しい思いつきに遊んでいるのかもしれない。
一方、提案されたタバサは普段と変わらぬ無表情で、テーブルに広げられた冊子に描かれるラグドリアン湖畔の挿絵を見つめていた。
「いつ行くんだ?」
「そうねぇ、休暇申請が通ればすぐに出るつもりだけど」
トリステイン魔法学院は全寮制を取っているものの、生徒も教師も貴族であるためか休暇休学に関する審査がかなり緩い。
急な事情で実家に戻らねばならないとなれば休暇も通るし、在学中に家の当主になるようであれば休学を申請し、領地の整理をしてから戻ってきたという例もざらにある。
ただし中にはそのまま領地に掛かりきりになり、休学が退学に変わってしまう者もいる。
「『家族を見舞うため長期外出』ってことにしてあるわ。ま、一週間くらいで帰ってこれるから、確認の手紙が実家に届いたりはしないでしょ」
「そうか……。ついて行ってやりたいが、ルイズを残していくわけにも行かないしな……」
そう言ったギュスターヴだが、内心では景勝地らしきラグドリアン湖がどのようなものか興味に駆られていた。果たしてどのような場所なのだろうか……。
「……そういえば、ルイズはどうしたの?」
キュルケの言葉にギュスターヴははっとして頭を掻いて誤魔化し気味に答える。
「帰ってきたシエスタに任せたきりだったな……。探してくるか」
シエスタと一緒ならば問題なかろうが、あまり放っておくのも後で面倒くさい。すっかり忘れていたギュスターヴは、タバサの部屋を後にしようとした。
と、その時。階上から不自然な物音が聞こえてきた。激しく足を鳴らし、暴れ回っているような音である。キュルケは天井を見上げて眉をひそめた。
「……何か騒々しいわね。上って誰だったかしら?」
「モンモランシー」
「あー……」
一人苦い表情を作ってキュルケはため息をつき、そして開けられた窓から軽く身を投げ出した。空かさず浮遊【レビテイション】で浮き上がったキュルケが
窓の向こう側からタバサとギュスターヴを覗き込んだ。
「ちょっと文句言ってくるわ」
そう言ってキュルケが階上、モンモランシーの部屋窓の前に移動する。外からは暗幕のように濃い色のカーテンが掛かっていて、中の様子がまるで窺えない。
「もしー?ノックしてもしもーし?」
窓を叩くも中からは何の返事も返ってこなかった。
「居留守使ってないで出てきなさいよー……ん?」
返事の代わりのように、誰かがモンモランシーの部屋の中から逆に窓を叩いていた。その勢いは助けを求めるような性急さを伴っていて、流石のキュルケも
言いようのない不安を感じてしまった。
と、宙に漂いながら困っていると、激しく叩かれる窓が軋みを上げ始めた。強打の度に枠を止める釘が飛び、耳に耐えない音を立てて窓枠自体が徐々に
外側へせり出してくる。
「うわ、なんだか凄い不気味……」
かなり怖くなってきたキュルケは出直そうとタバサの部屋に戻ろうと視線を下へ向けた。すると。
「っ?!っきゃああああああああっ!!?」
高度を落してタバサの部屋の窓枠に足をかけようとしていたキュルケの頭上から、けたたましい破壊音とともに悲鳴を上げるシエスタが落ちてくるではないか。
「ッ?!」
完全に不意を突かれたキュルケは落下するシエスタに激突し、揉みあうように地面に落ちてしまった。
部屋に居た二人の内、タバサは最も早く反応した。窓から飛び降りると同時に口笛を吹き、使い魔シルフィードを呼びつける。幼生の風竜は厩舎から矢のように飛んで
タバサを背で受け止めると、空かさず旋回して地面に迫るシエスタとキュルケを掬い上げ、腹を地面に擦り付けんばかりの急上昇をして自らの主人の部屋の前まで飛んだ。
ほんの一瞬遅れて、旋風のように飛ぶシルフィードの後方で、地面に落下した窓枠砕け散ったのがタバサの耳に聞こえた。
完全にのびていたキュルケとシエスタを、ギュスターヴはタバサと一緒に部屋に運び入れた。
キュルケはすぐに気を取り戻したが、シエスタは暫くの間気を失ったままだった。
「あーびっくりした……。なんだっていうのかしら?」
浮遊で飛ぶのに少し懲りたのか、冷や汗を垂らすキュルケが恐る恐る窓から乗り出し、地面に落ちた窓枠と窓枠のなくなったモンモランシーの部屋を見比べた。
部屋を占領された形のタバサはというと、眼の覚めないシエスタの様子を観察していた。
「どうした?」
ギュスターヴが聞くと、タバサは言った。
「彼女の身体に何か匂いが染み付いている」
「匂い……?」
なるほど、ギュスターヴもシエスタに寄ってみると、彼女の着るメイド服からは仄かに甘い、鼻の奥を突くような匂いが嗅ぎ取れた。
「これは……酒か?」
それも学院の食事で出されるワインとは違う。長く嗅ぎ続ければそれだけで酔ってしまいそうな不思議な匂いだった。
「こっちからもするわよ。モンモランシーの部屋からみたいね」
窓側のキュルケも続いた。
「それにしても何故モンモランシーの部屋にシエスタが?ルイズはどこに行ったんだ?」
分からない事ばかりで困っていると、ようやくシエスタがぼんやりと目を覚まし始めて身を起こした。
「あ……ここは……」
「気がついた?」
傍にいたタバサをぼうっと見ていたシエスタが、はっとして飛び上がった。
「み、ミス・タバサ?!こ、ここはどこですか?!」
慌てて正体を無くすシエスタを宥めて、ギュスターヴが話した。
「落ち着けシエスタ。ここはタバサの部屋。君は上の階の、モンモランシーの部屋の窓から外に落ちた。タバサがそれを救って、ここに運び込んだ。わかるな?」
「ついでに言うとその時私にぶつかって一緒に地面に落ちそうになったわね」
「は、はぁ……それは、ご迷惑をおかけしました……」
申し訳なさそうにシエスタは三人に頭を下げる。
「ま、私は気にしないけどね。ちょっと怖かったけど」
「う。本当に申し訳ございません……」
「……で、何で貴女、モンモランシーの部屋から出てきたの?ギュスに聞くとルイズを一緒にいたんじゃなかったの?」
「あ!そうでした!ミス・モンモランシの部屋で、ミス・ヴァリエールと、その、な、なんて言ったら良いのか……」
顔を赤くしたり青くしたりしながら、シエスタはまた落ち着き無く悶え始めた。
それを見てギュスターヴは、自分の用事をまず済ませることとした。
「あー……シエスタ。ルイズは上に居るのか?」
「え、あ……はい。居ます」
「よし、じゃあ拾ってくる。シエスタはここで待っていてくれ。いいかな、タバサ」
部屋主は首を縦に降った。
「あ、私ついていくわ」
タバサの部屋を出ようとするギュスターヴを追って、キュルケも部屋を出て行く。
タバサとシエスタの二人だけになった部屋で、タバサはシエスタに詰め寄った。
「何があったの?」
「そ、その……」
「ゆっくりでいい。最初から順番に」
静かな風情ながら、決して圧力的ではないタバサは、シエスタが口を開くのを待った。
「……始めは、ミスタ・グラモンがミス・モンモランシからお手紙を受け取るところを見たところから始まりまして……」
階上のモンモランシーの部屋と思われる前に立ったギュスターヴは、ドアに手をかけたのだが、鍵が掛かっているらしくまるで歯が立たなかった。
「ギュス。任せて」
追いついたキュルケが杖を抜いて開錠を使うと、ドアの隙間からシエスタの服からしたものと同じ匂い、そしてそれよりも濃い匂いが漏れ出すのがわかった。
「開けるぞ……」
意を決して、ギュスターヴはドアを開けた。そこにはなんとも不可思議な状況が待っていた。
「ミス・ヴァリエールと一緒に、ミス・モンモランシのお部屋に聞き耳を立てていて、中からその、いろんな音が聞こえてきました」
「どんな音?」
「そ、その……ねちゃ、とか、ぴちゃ、とか、あとベッドの軋む音とか、うめき声とか、その、いろいろ……」
「そう」
部屋は意外と小奇麗に纏まってはいたが、余り少女らしい雰囲気がしない、と、ギュスターヴは思った。いくつかの窓はシエスタが破ったものを除いて
暗色のカーテンが光一つ漏らさぬように掛けられ、ワインレッドのシーツが敷かれたベッドには、半裸で気絶しているギーシュと、同じく半裸だが煤けきった
モンモランシーが半身を起こして硬直していた。
「そのうち、ミス・モンモランシが何かお飲み物をお出しになられて、ミスタ・グラモンとそれを飲み始めたんです。すると、二人とも……」
「二人とも?」
「す、すごく……は、は、激しく……」
「激しく?」
「い、言えません!」
「言って」
「い、いろんな音を……させてました……ぐちょ、とか、うなり声とか……その後……」
「その後?」
「ミス・モンモランシは、お二人で飲んだものがもう残り少なくなってきたから、また作らなきゃいけないって言って」
「何を飲んでいたか分かる?」
「何の事か分からなかったんですけど……【白銀色の蜂蜜酒】って言っていて……」
部屋には一組のテーブルセットが置かれていて、燭台には蝋燭が灯されていた。その傍で空瓶を握ったルイズが倒れていた。
「ルイズ!」
駆け寄ったギュスターヴがルイズを抱き起こした瞬間、ルイズは飛び起きてギュスターヴを突き倒した。
「ッ?!ルイズ?」
「それを聞いたミス・ヴァリエールが『あいつら、なんて物を!』って怒り出して、部屋に突入しようとしたんですけど開かなくて、私に開けなさいって言ったので、
手元の道具で開けましたら、案の定ミス・ヴァリエールが部屋に突入されまして、私も後に続きました」
「そう」
「驚いたお二人に色々まくし立ててから、お部屋にあった瓶の中身をぶちまけられて、そうしたら瓶の中身が部屋の中に充満してしまって……」
「それから」
「それからはあんまり……なんとなく、部屋のドアを閉められたことと、硝子の砕ける音と、あと蝋燭の炎がぼわっと燃え上がったのを覚えてます」
「……そう」
ギュスターヴを突き飛ばし、ルイズは椅子の陰に潜りこんでガタガタと震え上がった。
「どうした?ルイズ」
「こ、来ないで」
困惑するギュスターヴが近づくと、近づいた分だけルイズが椅子を抱えて下がった。
「ち、近づかないで。そ、それ以上近づくと穴掘って逃げるから」
「穴……?」
なんだかよく分からないことを言うルイズに、ギュスターヴは平素と変わらないように接しようとすると、ルイズは痙攣したように飛び上がって窓から飛び降りた。
「ルイズ?!」
「私なんかは穴掘って埋まってるのがお似合いよぉぉぉぉぉ!!」
開けられたままの窓を何かの影がよぎった、とタバサが思った次の瞬間、地面を何かが猛烈に穿つ削撃音と衝撃によって女子寮全体が縦に揺れた。
「な、なんですか?!」
驚くシエスタを置いて、タバサが窓から外を見た。なぜだろう。丁度モンモランシーの部屋から落ちた窓枠の傍に、人一人が立って入れそうな位の穴が出来上がっていた。
果たしてこれは一体なんなのだろうか?キュルケは頭をかき、タバサは黙然とした。シエスタが竦みあがっていて、ギーシュとモンモランシーはぶっ倒れている。
穴に潜って震えるルイズを階上から確認したギュスターヴからは、深い深いため息が漏れてしまうのだった。
「なんだっていうんだよ……これは」
----------
投下終了。
特に何も問題のあるシーンは書いてませんが何か(ぉぃ
今回のキモはタバサの言葉責めプレイですね。
最近ゼロ魔キャラに背景BGMを入れながら妄想してるんですが、予定シナリオの関係かアニエスが「紅の修羅神」、コルベールが「英雄戦記」、ギーシュが「ELEMENT」「覚醒」になってしまいます。
等というと勘の良い方は今後の展開を予想できてしまうのでしょうかね。
話しすぎました。では次回。
投下乙です。
何故ゆきぽwwww
な、なにをするきさまらー乙
>>247 投下乙ですー。
そのグラモン家当主とソフィア夫人の子供の長女は、金髪の養女なんですね、判ります。
そのグラモン家当主の友人は、いつも黒ベースに赤と金の装飾の入った鎧を付けてたんですね、判ります。
そのグラモン家当主は巨大な剣を錬金して、友人がカッタートルネードで敵艦の動きを止めてる間にぶった切ってたんですね、判ります。
Get set go.Just the hero's war.GJ!
乙
>コルベールが「英雄戦記」
壁際のいぶし禿ですねわかります
乙
>ギーシュが「ELEMENT」「覚醒」
滑舌が悪くなるんですねわかります
ルイズ「我が名は略」
シェンロン「どんな願いでもひとつだけかなえてやろう」
ルイズ「魔法」
タバサ「両親」
キュルケ「いい男」
ギーシュ「ハーレム」
コルベール「頭髪」
マリコルヌ「パンティ」
オスマン「パンティ」
シエスタ「パンティ」
エレオノール「婿」
シェンロン?「早く願いを言え。ヌメヌメが渇いてしまう」
……あれ?なんかおかしいぞ?
メフィラス星人 「どんな願いでもかなえてあげよう。その代わり、ハルケギニアをあなたにあげますと言ってくれないかな?」
お前らご立派様を忘れてるぞ。
「俺の名はペイジ」
「ジョーンズ」
「プラント」
「ボーンナム」
>259
サラリーマン・田中天ですね。
2145より投下開始させていただきます。
色々あって随分時間空いちゃったなぁ…
待ってました
ポケモン探検隊INハルケギニア−2
「しゃ、喋った!?」
この野太い声は間違いなく目の前の怪物が放った物だ。
まだルーンを刻む前にもかかわらず言語を操るということはどうやら韻獣らしい。
これはかなりの当たりを引いたようだ。
「見ての通り、僕は人間さ。そう言う君たちは?言葉が喋れるほどの知能があるなら、勿論名前だってあるんだろう?」
本当は色々イメージして美しい名前を昨日から考えていたのだが、本名があるのならそっちの方がいいだろう。
大きな怪物は少し不機嫌そうに頭を掻きながら他の2人に何事か声を掛ける。
そちらも周囲を観察する目を此方に向けた。とりあえず、敵意はないようだ。
これはまさか他の2匹も韻獣なのか?
「ん、えーっと…俺はドサイドン」
「わたしはロズレイドよ」
「私はエルレイドです。あなたのお名前は?」
全員韻獣!さすが僕!素晴らしい使い魔だ!
「僕かい?僕の名はギーシュ・ド・グラモン、君の主人になる者さ。」
天まで舞い上がりそうな気持ちを抑えて使い魔の問いに答える。
使い魔との関係は良いに越した事は無い。
ロズレイド君の返事には若干の違和感があったが気にしないで置く。
…主人って何だ?
3人の脳裏に嫌な予感が走る。
いきなりの事で訳が判らないうちに取り返しの付かない事になってしまいそうな。
「…えーと、ギーシュさん?幾つか聞きたいことが」
「ん、なんだい?エルレイド君だったね。僕に答えられる事なら何でも答えてあげよう。」
エルレイドが右手を上げて口火を切る。確認しなければならない事は山ほどある。
「まず、此処は何処ですか?」
「あぁ、突然別の所に来たんだから当然か。ここはトリステイン魔法学院だよ。」
…言っている事が全く理解できない。
ニンゲンが目の前に現れた事で遠いとか海の向こうとかそう言うレベルではない事に薄々感づいていた3人は
若干混乱している思考を無理やり押さえ込んで質問を続ける。
「貴方がこの…「まほうがくえん」に我々を連れてきたのですか?」
「魔法「学院」だ。その通り、君たちを使い魔とするためにね。」
3匹の顔があからさまに曇った。あれ、何かマズイ事言ったかな?
サモンサーヴァントで呼び出された時点で使い魔にはある程度、術者への好意が刷り込まれると教わった。
だが、暴れだしてはいないとは言え好意的な反応とも思えない。まるで初対面の人間と会うような…。
人語を解する程度の知能を持つ生き物が相手だと召還の時の刷り込みが甘くなると聞いたがまさかそれか!?
「そもそも、使い魔って言うのは何なのよ?」
マズい。相手が人並みの知能を持っていると考えると、この質問にバカ正直に答えるのはかなりマズい。
最悪攻撃されるか逃げられる。
いきなり知らない奴に呼び出されてどちらかが死ぬまで従属しろとか平民だって簡単には納得しないだろう。
貴族の威光が通用しない獣相手ではなおさらだ。
苦し紛れにさっき呼び出された平民を見てみたら、気がついたのかルイズと言い争いをしていた。
………ルイズは失敗したみたいだ。あぁはならない様にしないと…
「使い魔というのはだね、僕の…えーと、部下みたいなものだよ。」
「部下、ですか…ふーん…」
……嘘は言っていない、筈。
実際は気に食わなけりゃその場でぶっ殺される事もあるんだけど。
位置付けはある意味平民以下だけど。
でもなんかエルレイドの視線が恐い。心を見透かされている様な…
「…おい、嘘は言っていないのか?」
「…言ってませんね。ただ、全部は話してもらえていないようです」
「グハァッ!?」
ギーシュは5メイルほど吹っ飛びそうな衝撃を食らった。
本当に心を見透かされているらしい。
これは変な嘘は通用しそうにない…どうしようどうしようどうしようどうし…
このエルレイド、種族柄相手の心理を読み取ることに長けている。
ポケモン同士では余り頭と口に真逆に動かす事はないのでそうでもないが、
虚実のやり取りを日常的に行う人間相手だとかなり極悪な能力である。
「おいお前!言うべき事はキッチリ言った方がいいぞ!」
「抑えてドサイドン、この場でここにいる全員敵に回すつもり?
ギーシュさん?私たちだって馬鹿じゃないわ。あなたをどうこうしようって訳じゃないし、困っているなら力を貸せるかもしれないわよ?」
今にも殴りかかってきそうな雰囲気のドサイドンをロズレイドが抑える。
見るからに恐ろしい役とそれと比較して優しげな役、両方を配置する事によってその落差で相手を揺さぶる彼ら一流の芝居であった。
バカだバカだと全てのポケモン図鑑に書かれるようなサイホーン族とはいえ、
ドサイドンまで進化すればそこまでバカではないようだ。
あぁ…やっぱりロズレイドの声が変なような…本当に切羽詰まるとどうでもいい事が気になるって本当だねー…
等と現実逃避していた彼は嫌も応も無く絡め取られてしまった。南無。
「フンフン、使い魔っていうのはそう言う…これは少々キツイな…」
「で、私たちがそれにならないと、ギーシュさんは非常に困る…と。「リュウネン」でしたか?」
「でも、返す方法も無いとなれば此方にも選択肢はそんなに多くないわよ?」
「住む所や食べる物はこちらでどうにかするよ!何なら給金を上げたっていい!」
他の生徒がまだ自分の方の使い魔に集中していたのが幸いである。
他人に聞かれていたらギーシュ株は急転直下の大暴落をしていた事だろう。
うーん、と考えこんでいたエルレイドが何かを思いついたようにギーシュに問いかけた。
「お金…はまぁ置いといて、ギーシュさん?この世界に「未知の地域」とか「伝説の秘宝」などはまだありますか?」
「え、あ。うん…このハルケギニアの中でも未踏破地域は山ほどあるし、
遥か東のほうのロバ・アル・カリイエは完全に未知の世界だよ。どれだけの広さがあるのかも判らないね。
それに秘宝って呼ばれるものの噂も良く聞くよ。精霊の持ち物だったりするけど。」
何かが琴線に触れたのか、3人の顔がパアッと輝く。
「それはすばらしい!そう言うものの存在こそ我々探検隊の命!」
「それなら、ここにいるってのも悪くはないかもな。多少の自由時間が貰えるならなおいいが」
「それじゃ、ギーシュさん!お世話になるわね!」
ポケモンの探検隊魂はハルケギニア人間にはちょっと理解不能であった。
神速の展開に訳がわからずポカーンとしているギーシュに3人が向き合う。
「そう言えば、もう一つの自己紹介がまだでしたね」
「わたしたちは探検隊、チーム・レイダース!」
「狙った獲物は絶対に逃がさねぇんだ。よろしくな!」
此処に、ハルケギニアでは久しぶりの「探検隊」が誕生した。
首尾よく契約を終えたギーシュとレイダースは、本塔に向かって歩いていた。
だがしかし、何故かギーシュは浮かない顔をしている。
「…で、ギーシュ?何でいきなり脛を蹴られたんだよ?」
「判らないよ。君たちを紹介しようとしたら急に機嫌が悪くなって…あぁ、モンモランシー…」
ちなみに、彼の「1番」であるモンモランシー。
「香水」の二つ名を持つ水メイジである彼女の使い魔はカエルのロビンである。
「水」と「カエル」。この上なくピッタリな組み合わせで彼女に相応しい使い魔だとギーシュは褒め称えたのだが…
女の子にカエルは普通はちょっと…うん。
「…ほんとに判ってないの?」
「…そのようですね」
彼らの主人に、3匹はかなり不安になった…
【探検隊情報】
チーム「レイダース」
ランク:マスター
エルレイド♂
かしこさ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
装備どうぐ:みとおしメガネ
ドサイドン♂(アイテム係)
かしこさ:☆☆☆☆☆☆☆☆
装備どうぐ:かんつうスカーフ
ロズレイド♂
かしこさ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆
装備どうぐ:ぱっちりメガネ
以上、投下終了です。
最初の1日は多分次で終わる…筈。
牛歩のようなペースと展開では何時終わるのか判りませんので
ペースだけは上げていこうと思います
かしこさたけー
シェンロン「さぁ…願いを言え。どんな願いでもひとつだけかなえてやろう」
エレオノール「婿が欲しい!」
シェンロン「それは私の力を超えている…」
しかしかんつうスカーフってハルケで使ったらかなりえぐいアイテムじゃね?
人間とか貫通しちゃうんだろ?
エレオノ「おっきいオッパイが欲しい!!!!!」
神龍「それは無(ryどかーーんっ!!」
エレ姉「夫がry」
ポルンガ「ナメック星語でry」
神龍「それは私の力を超えている…」
エレ「そんなのありかよ、神様よ」
ルイズ&エレ姉「怒りだ。怒りしかない!」
ルイズ&エレ「とっくにご存じなんだろ」
神龍「どんな願いでも叶えよう」
エレ「妹の、カトレアの病気を治して頂戴」
神龍「たやすいことだ」
エレ「む、むね・・・胸を大きくしてちょうだい!!」
神龍「無茶いうなよ」
エレ「また婚約者に逃げられたの。どこかにいい縁ないかしら。」
神龍「それは、宇宙の法則を乱す行為だ。残念だがかなえることh(ry」
神龍じゃ無理だ
やはりモノホンの神に頼まなくては……
と言うことでエレオノールによるウィツアルネミテア召喚とか考えて見たけど駄目だ……
エレ姉が総てを捧げるなんてやらなそうだし
やるとしたらカトレア危篤状態とかになって体改造してる場合じゃねぇ.....
マイティハートのメラク>>>>>>>神龍
メラク師匠に乳をデカくする能力なんてあったっけ?
遅ればせながら鋼の人乙ー…なんですけど…
なんつーか、作風変わりました?
前のが好きだったかなぁ、なんて思ったりするこの頃。
でも応援はさせていただきますよもちろん。無理しないようにがんばってください!
>>278 たしか不明
師匠に生体エネルギー吸われると貧乳になる(吸われ過ぎると幼児化)から
逆説的に師匠から生体エネルギー流し込まれれば巨乳になると言えるかと
よく分からんけどそれもうちょっと言うとついでに老けるんじゃね?
ワンピのオカマ女王のイワちゃんだっけ?なら乳をでかくすることができるハズ
ホルモン操るらしいからな
>>282 格好いいよなぁ、イワンコフ。
何だって創作上のオカマさん達は格好いい人が多いんだろう……人間として強いからかな。
願いを叶えるならこれを。
つ【ベヘリット】
ふむぅ、ルイズがエレ姉の婿になるようなキャラを召喚するのか……
>>283 カッコイイオカマ…
カッツェ・コトルノスか…
「ラウンド・エイティのお時間よ♪」
で吹っ飛ばされるギーシュのゴーレム達…
>>285 ユーゼス・ゴッツォ
そういやユーゼスもやらないだけでほぼ万能だよな。
>>283 格好良いおかまだと?
《蜥蜴》のベラフォードじゃだめかい?
<レディ・ガンナーシリーズなんて誰がわかるか
古くてスマンが『迦楼羅王レイガ』なんてのを思い出した。
初めて読んだアンソロジーがガイ×シュラトのガチ絡みシーン満載だった俺のトラウマを抉ったなこのやろう
>>287 MtLでも髭萌えでメロメロ。
そういえばウルザも万能(つうか神様かあれは)だな。
エレオノールはそういうのに好まれる因子でもあるんだろうかw
エレオノールと合うキャラねえ
からくりサーカスの鳴海とかどうよ
名探偵コナン召喚とか考えたけど無力すぎて困る
からくりなら鳴海より勝を推すかなぁ。
なにげにお姉さんキラーだし。
>>287 もしユの字の力を使えば胸の大きさなんて自由自在!ってのが判ればあの姉妹は血眼になってユの字に詰め寄るだろうな……
FF8のラグナおじちゃん…エレオノール違いな意味で
ルイズの面倒も見てくれそうだな
>>296 それはエルオーネ。
……似てるからたまに口に出すとき間違えないか心配になる。
>>298 うはw全然違ってたwww
じゃあFF8に出てきた下半身が逆さタマネギみたいな飛んでるモンスターだっけ?
エスタの路上にいるのはエルヴィオレだっけ?
>>290 すまねぇw
カマキャラ探しな流れだったもんで記憶を掘り下げてたら、他人のトラウマまで掘り当てるとは思わなかったぜ。
……痔には?
あいつは炒飯作りしか役に立たん
>>302 いやいや気にすんな。
一番悪いのはそんな801系同人誌アンソロの束を持って帰っても邪魔だからと置いてったうちに下宿してたねーちゃんだからw
なお、当時自分10歳くらい。強烈でした、いろいろと。
きみは良いにおいがする・・・
DOD最強キャラの山寺さんか
…従ってくれるな?
こうしなければウォルスタに明日はないッ!
それもレオナール
シコシコ
らら?
モンモンがTOからオクトパスを召喚→借金のカタとして連れて行かれてタコ焼きになって返ってくる光景を想像した
>>314 どうって、ベラがメインの新刊出たばかりじゃん。
カトレアの使い魔に人造人間16号がぴったり。
>>313 久遠か?
ベルゼフォンでハルケキニアの調律とかしでかしそうだな……
>>313 天使を語ってはならない
天使を歌ってはならない
天使を彫ってはならない
天使を描いてはならない
『天子は笑う?』
根源的破滅天使を召喚
そういやラスボスの人最近見かけないな
俺がファンになったSSはことごとく途中で作者が失踪するというジンクス
>>321 これ位の間隔は普通じゃない?
リアルが忙しいとそうそう執筆とか出来ないし。
まあそろそろゼロ魔の新刊も出るしな
フヒヒ…続きを待ってるSSが半年以上音沙汰なしなんて日常茶飯事ですよ
二次創作は続きに過度の期待を持ってはいけない
>>326 一次、ってかプロだってその限りじゃねーぞ。
完結せずに途中で止まってる作品のなんと多いことか。
無理やりでも終わらせる漫画がいっそ親切に思えてくるほどだ。
好きだった作品が無理やり終わらせられるのと、
来るはずもない続編を待ち続けるのどちらがましかはわからんがw
>>327 そういえば俺、田中芳樹とかしばむーとか好きなんだよねw
こりゃ本格的に呪われてんのかなw
EGコンバットF…ドラゴンマーク…A君…
たまに応援スレに書いておくと職人のモチベーションが上がる
といいなと思ってこの前書いた
>>330 それを受けて今書いてるのがここに一人。お目当ての人ではないだろうけど、まあ気長に待ってちょ
火浦功とか出ないことが逆に楽しみです
ソルジャークイーンの最終巻はいつ出るんだろう?
そういえば、グレイの召喚を妄想したこともありました。
>>338 バカ!判ってて言ってるに決まってるだろ!
>>332 けんちゃんはゲッターと同化しちゃったんだよ…
ゲッターシリーズは……例えとしてはアレだが、ダイナミックが無くなっても何処からともなく新作が出そうで……
きのこみたいにいうなよw
賢ちゃんと同じ戦場に行けば新刊を読めるに違いない
今、帰宅。
最近、忙しくって続きが書けていない。
まぁ、誰が待ってるってものでもないから、自己満足だけどね。
レッドサン、星界、ラバ空、H・H、ビィト…
自己満足で書いても1話で先が見えて頓挫したり
別の人が同じ題材でずっと面白い話作ってたりだ
投下できる段階に持ち込んでるだけでもたいしたもんだ
女王騎士物語の最終回はある意味見事だったな…
あれ好きだったから円満終了して欲しかったなぁ……
そりゃ俺も同じ気持ちさ
同人誌でもweb漫画でもいいから完全版やらないかなぁ
衝撃な最終回といえばアニメDQアベル伝説
のちに保管されたけどね
マイトガイン
そういや偶に名前が挙がる風の聖痕も作者が病気で虚無りかけてるんだよな……
前なんとか回復に向かってるから早く続き書きたいってコメントも有ったが
悪徒…
信じられる?
女王騎士って以前にマテパ・サタンと一緒にフェアをやった事があるんだよ…
ノボル先生は定期的に出してくれるから安心だなぁ。風呂敷たためんの?ってちょっと不安にもなるけど
おい、倉田。R.O.Dの新刊はまだか
>>355 TRAIN+TRAINのこともたまにでよいので思い出してあげてください。。。。。。
>>353 彼はよりによって白血病だからな
まぁ難しいだろう
>>354 あったなぁ・・・
今や残っているのはマテリアル・パズルだけか・・・
ゲッターロボダークネスからゲッターチーム召喚…ロボ要らないねw素の状態で職コロの人達と殺りあえそうw
新ゲッター、真ゲッター、漫画ゲッター
どのゲッターを呼んでも最後はドワォ!
虚無戦争に旅立った石川賢ちゃんだけど、究極生命体の荒木飛呂彦は安心だな
職業。殺し屋から召喚、と考えたけど、
じつの所、あの面々で戦いが好きというのはあんまりいなかったような。
殺しが好きとか、人を殺さないと健康に問題が出るとか言う奴らばかりなだけで。
志賀(蜘蛛)あたりが喚ばれても、ギーシュイベントで戦うかどうか微妙な気がするし。
あいつが召喚されたらこうなるって雑談するぐらいだったら
いっそのこと召喚と契約は勿論
数々のイベントをこなしたことにして途中から書けばおkじゃね?
書きたいとこだけピックアップしてさ
小ネタにいくつかあるけど
実は学園の宝物庫には秘密のシューターがあり、そこから地下に行くとゲットマシンが格納してあって――?
>>363 蜘蛛は一応悪人専門
ギーシュを相手に戦わないと思う
でも、フーケは多分輪切り
四条は自分の技を使いたいから職コロにいる訳だから、「戦う」分には問題ないと思う
ただ、相手はほぼ確実に死ぬ
問題は、三つの心が一つになると、一人余ることだな。
今一瞬、トリステイン、アルビオン、ガリア、ロマリアの虚無にそれぞれ獣戦機がついて、
四の四が揃えばダンクーガに合体するっていう展開が脳裏に浮かんだ。
……その流れだと、ゲルマニアがブラックウィング持ってたりすんのかなぁw
>369
何その、ハルケギニア式宗教裁判。
あの名前を出すと真っ赤な服を着た三人組が
どこらとも無く現れるんですね。
>>369 そんなあなたにマジックパイル
TAPの人元気かな…
SSの三人がマジックパイルすると三つのルーンを揃えた最強戦士が誕生するんだろうな
主要キャラにゴッドフェザーが降りて来て超者ライディーンに選ばれて妖魔と戦うとか
ガリアの地下にゴッドライディーンが埋まってたりして
>369
余った一人がゲッターQとかコマンドマシンとか
マシンロボのハイリビートの秘宝が
狼の剣、鳳凰の鎧、獅子の楯、龍の兜が右手左手頭胴体だから使い魔にですね
>>369 そんなネタをギャグ漫画日和で見た気がする
>>374 あのぉ、変身解除後はマッパになるんですが<超者ライディーン
ついでに妖魔じゃなくて超魔、な。
>>375 いいえ、残ったあまりはブラックゲッターでラフプレイです
ああ〜アルビオンがゲッターに押し潰される!
ゲッター線量が上がっていくぞ! ウォォ!この指数はビックバンを引き起こすだけの!
(真ゲッターロボ・エンペラー合体より)
>>374 ゴッドライディーンは埋まってるんじゃなくてオーヴとかいう12個の宝石集めて出るんじゃないの?
あとライディーン化すると変身せずとも飛べる+一般人オンリーでステルスな能力つき
やりようによっちゃ単体で艦隊や七万兵潰せるぜ?
予約ないなら、55分に投下してもいい?
自分で出した案を適当に書いてみたんだが……
オクトパス召喚のやつ
私怨しながら待つ
ないっぽいんで、小ネタ投下。
VITアップの使い魔
一年前の召喚の儀において、モンモランシーは海の悪魔――オクトパスを召喚した。
十メイルは下らない巨大な体躯。
弾力性のある赤茶の肌は粘膜に覆われており、大きな吸盤のついた八本の触手が巻き付けられた時は己の使い魔に殺されそうにすらなった。
海の悪魔と呼ばれていたために海水が無ければ死んでしまうだろうと思い、海水がくるまでの間はギーシュに錬金させた桶に水を入れただけのものに潜らせていた。
あとになって淡水でも生きられると知った時は、海の悪魔の異名は返還したほうがいいのではないかとすら思ったものだ。
目を閉じれば思い出す。
浮気したギーシュを締め上げて川に流したり、餌と間違えて襲ってきたタバサの使い魔を触手で弄んだり、水の精霊とぬめぬめしたり、学院を襲ったレコンキスタの傭兵を洗濯物と一緒にメイルシュトロームで揉みくちゃにしたりと大活躍をした使い魔はもう居ない。
実家の借金のカタとしてクルデンホルフに連れて行かれたのだ。愛着のある使い魔だったが、借金で実家が潰れてしまえば貴族ではなくなる。
地位のためにと涙を飲んで使い魔を手放した彼女は憂鬱だった。
言葉は通じずとも、心は通じ合った使い魔。それも、もういない。
実家の借金のカタとしてクルデンホルフに連れて行かれたのだ。愛着のある使い魔だったが、借金で実家が潰れてしまえば貴族ではなくなる。
地位のためにと涙を飲んで使い魔を手放した彼女は憂鬱だった。
言葉は通じずとも、心は通じ合った使い魔。それも、もういない。
とある日のことだった―――
なんでもクルデンホルフから珍しい材料を仕入れたとかで、今日の晩餐には東方の料理がでるらしい。
交流のない異国の料理を何で作れるのかと言う疑問もあったのだが、メイドがその作り方を知っているために急遽そのメニューになったとの話である。
食堂に広がる香ばしい匂い。生徒全員の席に置かれた長方形の皿の上に乗っているのは、直径2サントほどの八つの球体。
ソースがたっぷりとかけられており、その上には海藻を乾燥させて細かく刻んだものがかけられている。
タコ焼き――そうメイドが口にしたのを耳にしたモンモランシーは体を小さく震わせる。
周囲が何やら文句を言っているが彼女の耳には届かない。
食前の祈りが終わり、各々が料理へと手を伸ばす中、モンモランシーはタコ焼きをゆっくりと口へ運ぶ。
カリッとした歯ごたえと、トロリとした舌触り。中にはくにゅくにゅとした物体が仕込まれており、独特のなんとも言えぬ味が口の中に広がる。
ああ、これはあの子だ。私の愛した使い魔――オクトパス。その、なんと無残なことか。
「……ちっちゃ過ぎるわね」
タコ焼きに入っていた使い魔の体は、一つあたり1サントにも満たない小さなものだった。
タクティクスオウガからオクトパス召喚
以上です。
携帯からだから改行おかしいのは勘弁。
文章おかしいのと面白くないのは俺原因
EGコンバット、皇国の守護者、星虫、星界、黄金拍車、十二国記全部待ってる俺はもはや待ちのプロ
なら俺は戦闘のプロだぜ
涼宮ハルヒとラグナロクも追加しておいてくれ。
出すなら待つさ、けど待ってもどうしようもなくなるのは勘弁してくれ
グイン、トリニティブラッド・・・
ハイパーハイブリッドオーガニゼイションのつづきはまだですか(´;ω;`)
虚無戦記…
こうして見ると週間漫画家が物凄い偉大に見えてくるよ
あとA君の戦争まだー
トリニティ・ブラッドは面白かっただけにショックを隠せなかった
今になってあとがき読んでみるとどれだけあの人が病んでたのか分かってツライぜ
ところでアンジェリックノワールの続きはまだですか
先に進まない作品ってこんなにあるんだな。
じゃあ後一言だけ言わせてもらう。宇宙戦艦ヤマト復活編は今年こそちゃんとやるんだろうな!?
モンスターファーム1、2の続編はまだですか?
会社も制作陣も残ってるのにエロゲ規制で完全に作れなくなったというのは一体どんな顔をすればいいんだ?
人工失楽園はまだですか?
>>395 アレは作者的に『新・宇宙戦艦ヤマト』に変わってないか?
まあ、あれも連載が止まってて血涙ものですが・・・
(最近は松本作品を連載してた雑誌が相次いで休刊してしまったから松本先生鬱になってないだろうか?(汗))
大ヤマト?
なにそれ?おいしいの?
それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコですねわかります
いい加減時間を進めてください庄司卓せんせー
限外特捜シャッフルの2巻を未だに待ちつづけているが、
いつ全裸待機を解除すればいいんですか庄司先生
明日はいよいよトランスフォーマーリベンジ公開だな
ディセプティコン・ゼロでのブラックアウトの無双ぶりは実に素敵だった
続きが読めないのが残念で仕方ないよ
まだ玩具でしか姿が出てないけど、リメイクサウンドウェーブが
尋常じゃないカッコよさな件
ルイズが召喚した使い魔は、なんと魔法を使えるのだという
「ホント?ホントにあんたマジック使えるの?」
「勿論ですよ。はい、よく見てくださいね。
なんと、縦縞のハンカチが横縞になっちゃいました」
「阿呆かぁい!」
だがその時のルイズには、自分の使い魔がジョゼフが召喚した謎の「ギャラがおんなじ」な二人組や
教皇が召喚した江戸屋子猫らと血で血を洗うバトルを繰り広げることになろうとは
知る由も無いのであった・・・・・・・・
>>403 それと似たようなネタでダブルフェイスのDr.FOO召喚ネタやろうとしたことあったよ
ある意味変身キャラなんで持て余して止めたけど
>>402 一応海外のサイトで画像は流出してるぞ
ぶっちゃけ玩具は出来悪い
映画の音波はもっとちゃんとした人工衛星の形しててかなり美しい造形だった
>>393 冨樫「偉大だなんて当たり前のことをやってるだけですよ」
荒木「・・・・」
三浦「そんなことより恋姫やろうぜ!!」
「デスラーズ・ウォー」とか「種劇場版」とか「実写版福音戦士」とか待ちきれないネタ沢山あるよね
ところでBPSさま、ファイヤークリスタルのデータまだ保持してますのではやいトコ
「MOON STONE」出してくれさい
いや別に
いつもちこくのまほうつかいが
いちもつこくのもほうつかいに見えたんだけど
こんな卑猥のものを連想させるタイトルは変えるべきだ
ネタのつもりなんだろうけど、作者さんを不快にさせかねないのは不味くないか?
>>411 卑猥な考えしか浮かばないお前が悪いw脳外科行けw
>>414 脳外科医 「こんな奴に来られても困ります」
同じこと考えたけど黙ってたのにw
脳外科というよりショッカー本部へ行ったら?
ショッカーよりもジョッカーだな
秘密結社ジャッカルならB級ヒーローの必殺技を受けても煤けるだけの素敵な戦闘員ジャッキーにして貰えるぞ
しかも給料出るし
たーかーのーつーめー!
>>418 最後は高いところから落ちて爆死するんですね。
こいつの場合はサタンの足の爪の方がよかろう
顔は誰だか知らないけれど体はみんな知っている姐さんと一戦交えるんだから
もういっそパンサークローにでも行けばいい
DSのトモダチコレクションってむちゃくちゃなクロスオーバーが可能だよな?
最新刊時点のサイトを召喚するようなSSってある?
未来を知っていて、悲劇を可能な限り回避しようとするサイト。
ルイズなんだけど、前いた世界の自分の好きなルイズとはやはり別人だと感じるサイト。
みたいな感じの。
憑依モノやりたいなら他でやればぁ?としか
よし、パワーアップだ!
憑依とは違うんだな。
強いて言うならループ物か。
どちらかと言えば、クロスじゃなくてIFじゃね?
外部サイトや個人サイトでやった方が良いかもしれんけど
でも小ネタとはいえ、ルイズがルイズをとかルイズがアンリエッタを召喚ってのはあるな
小ネタを出しちゃうと、それこそPARとかあるぞw
二次創作では嫌と言うほど繰り返されてきた手垢のついたパターンだ。>過去に戻る
探せばゼロ魔のバージョンも見つかるだろ。
ここは他作品から召喚するスレだからここのまとめを探しても無いのは当たり前。
ストレートに2回目とかいうタイトルの逆行ものがあったな、ゼロ魔でも。
まあ、最新刊時点というわけじゃないが。
>>384 GJ
なんでお前ら反応がないの?
wikiに掲載しないの?
反応したい人はすればいいさ
登録もしたい人がすればいいさ
投下された全ての作品に目を通し、感想を言って、Wikiに登録しろ
なんて義務はない
世辞でもいいから反応しろよ
もう二度と投下しないかもしれんのだぞ
世辞wこれはひどいwww
>>433 ナデシコやエヴァのSSの7、8割は逆行ものだからな。いわゆるひとつのワンパターンで、
もはやどこの投稿サイトでも共通のテンプレみたいなのができてしまっている。
まあ逆行とはいかなくてもタイムスリップのできるキャラを召喚したら似たようなことはできるかもな。
>>438 そこのサイトには、「2ちゃんねるに晒しても良いですよ」と書いてあると考えて良い?
>>437 そう言われたら、逆に反応しづらいとか考えられないのか?
お前らなんだか偉そうだよな
アニメ版から召喚とかマンガ版から召喚とかゲーム版から召喚とか色々あるだろ
関係ないがコードギアスはナイトメアオブナナリーで
パラレルワールドの存在が実証されてしまった
>>443 誰も反応がなくて早朝からモデムひっこぬいたり携帯で自演レスする俺の努力を少しは見習えと言いたい
このままでは過疎化の流れが止まらん!
俺は書いて反応ないときは、次は面白いの書くぞって気になる。
レスしてくれる人も、修正箇所とか、誤字とか凄い助かる。
毒も大歓迎だ。
アンタかっよすぎだよ
早朝の自演レスに全俺が泣いた
>>447 あんた強いね
俺は一週間ほど立ち直るのに時間がかかるは
ルイズが、ミレーニア
キュルケが、エレナ
タバサが、T-0
ジョセフが、ロアン
教皇が、マレッグ
シエスタの祖父が、リュード
羽衣が、グラナサーベル
ココまで考えて、
そのうち考えるのを止めた
スペランカー先生を弱いっていうけどさ
あの人が能力をフルに使って剣も魔法もない戦いしてくれたら、みんな熱くテンレテンレテレ、テッテッテン
トゲトゲした洞窟で自分の身長と同じ高さから落ちてみてからスペランカーの弱さを語るべし
たけしの挑戦状から主人公召喚
宝探しのために
…なにをするんだろう…?
よくネタにされるスペランカー先生はFC版であって、アーケード版はまた違うらしい。
宝物庫に残機99になる秘宝でも置いておけばいいだろ
それでも無理ゲー
Mr.サタンこねぇかな
地下鉄で会えるよ
スペランカー先生は・・・強いよ・・・
アガーイタソ来ないかな
スペランカー先生はちょっと上下動に弱いだけだよ、本当はすごく強いんだよ
>>459 携帯いじってるんですね
PS3のスペランカー先生はどうだろう
まいにちいっしょでトロにはたかれてテンレテンレテレ、テッテッテン
ところでクロスオーバー書くときキャラ描写を元ネタに似せるのは当然の大前提として
ナレーション部分は自分の文体で書いてる?元ネタ真似してる?
俺は元ネタが小説や漫画だったら元ネタのナレーションを真似することに可能な限りパゥワァーを注ぐんだけど
ナレーションの模倣ってのは読み手にとってはどのくらい重要なんだろ
最近は自己満足に過ぎないのかな?もうすこし崩してもいいのかな?と思ってきた…
元ネタの文体と全然違うのに、元ネタの雰囲気をよく表現してる作品いくつか読んでしまって思ったんだけどね
>>433 姉妹スレの小ネタにはあったなループ召喚
ディアボロだったけど
>>464 ゼロ魔風の文章の中に、明らかにゼロ魔っぽくないキャラ描写があると、萎えるがな。
元ネタに似せるのはいいが、二つ元ネタがある以上、うまく折り合いをつけないと、
つぎはぎだらけのきもち悪い文章になるぞ。
むしろ、片方の元ネタは捨てて、もう一方で全力投球してくれた方が、読みな好くていい。
自分の文体だなぁ。
そして気付くと整合性を保つ為の説明文がかなり多くなっている。
書いてて、ハンター×ハンター蟻編で一杯出てくるナレーションみたいだなって思った。
ゼロ魔合わせにしようかと思ったが「おっほっほ」は違和感あって止めたことがある
クロスネタの方が特徴的な地の文の時はそっち優先にしてる。
クロス元の方が癖が強いとそっちの方に引っ張られそうな気はする
みんなTHX
投下するかどうか分からんが実験的にいろいろ試してみよう…
>>466 基本プロットがゼロ魔な分、クロス元ネタ色強くするために
文章表現に関しては俺の場合ゼロ魔文体捨てて元ネタ文体模倣してたんだ
>>469 確かにその辺のバランス難しいよね
書いてみて「ゼロ魔じゃないじゃん!」て没ることは結構あるわ
元ネタに近い文だと、「あぁ、それっぽい」と楽しめるので好き
地球防衛軍からストーム1…ではない他の隊員達呼んだら
オリキャラにならなくてすむかと考えたのだけれども
授業の練金で
「デブがやられた!!」
対ゴーレム戦で
「駄目だ、相手がでかすぎる!!」
「大きいねぇ!」
対7万戦で
「戦士の誇りを忘れるな!」
「弾が無い!」
「アーマー損傷、もうもたない!」
虚無の魔法使うシーンでは
「ジェノサイド砲だ、ジェノサイド砲を使う気だぞ!!」
「総員退避ー!!」
洗濯しといてのシーンで
「今手が離せない!」
「自分で何とかしろ!」
「自分がやります!!」
「任せとけ兄弟!」
脳内で変なMADムービーみたいになってしまった
>>455 本編の最後の最後で挑戦状のエンディングやられたら発狂するだろうな。
長く辛いものだけにそれやられるとなwwwww
>474
『コンボイの謎』よりは。
『RUIZU HA TATAKAI NI KATTA』
バンブルビー呼んで来ようよ、KITTや木村忠吾と同じくらい親しめる。
海皇記のファン・ガンマ・ビゼン召喚
………………………………………………………………自分で言っといてなんだけど
どうやってこいつ再現しよう……船用語なんてほとんど分からないし、陸でもこい
つ原作じゃ今のところ無敵もいいところで、その上頭も回るし……再現しづらいっ
たらないなこりゃ
船の事調べてから出直すんだな
どうしてもやりたければ
カイジ思うの。海、サイコー
○○召喚したらどうだろう?
……△△だからダメだな
こういう人は何が目的なの?
こいつは無理だから召喚するんじゃねぇぞ!って言いたいの?
ファン・ガンマ・ビゼンは頭が良過ぎるだろ
あいつの思考の再現なんてかなり難しいと思う
>>479 ××すればおkじゃね?
的なアドバイス求めてる
>>479 新参の人は勘違いしている節があるが、別にここはSSを投下するだけのスレじゃないぞ?
「○○を召喚したらどうなるだろう?」という思いつきをみんなで思考実験して楽しむ場所でもある。
33分探偵やりたいんだけど金田一の怪盗紳士の時のケースの様に予告状と犯人が違うケースのミステリーを知らないから書けない…
ミステリーを知らないならヒステリーを書けばいいじゃない
素材は持ち込まなくてもOK、上物が現地調達できます
誰がうまいこと言えとwwww
二人の恋のヒステリー
ミステリーもヒステリーも分からなかったら first kiss から始まる二人の恋の history を書けばいいじゃない
何となくミステリーという単語から思いついた一コマ
「うちのかみさんがねぇ…」
「あんたの奥さんはいいからこの状況を何とかしなさいよ!!」
ロマリアはネロ・ウルフですね
パイプ片手に「なぁに、初歩的なことだよルイズ君」とか言い出す犬の人を召喚
>>476 帆船用語はホーンブロワーシリーズを読み込む程度の知識で十分それっぽくはかけるはず。
プロが読めばおかしいところは出てくるだろうけど、帆船での航海実習を受けている航海訓練所出身者と、
観光帆船の乗員以外は船乗りだって帆船のことなんて詳しくないし、普通。
おかしなところがあったとしても、おかしいことが分かる読者なんてほとんどいないと思う。
職場の船員上がりの人から「練習帆船のマストから甲板上に転落した奴がいて即死だった」とか聞いたり、
(職場の人間関係がごたついてるときに)「船だったらどっちかが飛びこんでるね、ありゃ」とか言われたり、
船乗りの死生観って独特だと思うので、その辺が出せるといいんだろうけどね。
つか、そもそもゼロ魔で操船技量が生かせるシーンなんてほとんどないような気が。
空中艦も魔法で操船するとかしてるからファンの技が生かせる余地は少ないだろうし。
>>492 あーびっくりした、半濁音が濁音に見えた。
ファン召喚は普通に読んでて面白い小説を書くという、一番難しい書き方がいいんじゃないか?
テンプレでもファン的な瓢々として、情に厚い部分とか書ければ、面白いと思う。
性能がチートだから、俺つぇにならない書き手の自制心が必要だと思うね。
>>437 反応無いのは詰まらんもんを書いた俺に責任がある。
もっと構成練ってチャレンジし直すだけの根性くらいはあるよ。就活に比べれば楽だし
たこのやつ、伝説のオウガバトルのオクトパス?
>>498 感謝。
せめて毒吐きで毒を吐かれるくらいにはなりたい
>>499 いや、TOのほう。
ハイムのオークションで売りさばいたLサイズはたこ焼きとか焼き鳥になるんだが、サイズに比べて数が少ないし小さすぎるから、つい
>>498 感謝。
せめて毒吐きで毒を吐かれるくらいにはなりたい
>>499 いや、TOのほう。
ハイムのオークションで売りさばいたLサイズはたこ焼きとか焼き鳥になるんだが、サイズに比べて数が少ないし小さすぎるから、つい
すまん、送信エラー起きた
ファンは……動かなさで書き難そうだ。
あー、そういやたこ焼きとかゴムみたいな食感の合成ハンバーグとかあったなぁ
伝説だとメイルシュトロム使えるのはクラーケンからだもんな
ルイズ「……従ってくれるな? こうしなければ私に進級はないッ!」
…何故かドカベン召喚などという電波が舞い込んで来た件
>>504 石投げたら容赦なく爆発してくるような、カリスマ皆無な発言にだなぁ
>>505 ハルケギニアでも、やっぱり山田は凄いんだろうか
カリスマ…
私の弟…オルレアン公シャルルは死んだ…
なぜだ!!
みたいな感じか?
山田太郎は柔道も強いぞ
>>508 十中八九、お前が言うなと暴動が起きそうだな
レオナールのあれは戦争に勝つための犠牲を強いるためだし、彼自身にも人を惹きつける魅力があったからこその名言で、ゼロ魔キャラが言っても説得力がないっつーか……アンアンが言ったところで
アニエス「貴様にはついていけない。所詮、リッシュモンと同じ穴の狢か」
100%アニエス離反するわ
>>478 誰かと思えばガン×ソードに出て来た海賊か…。
ジョゼフはむしろ、演説を診ながら冷めた目で『坊やだからさ』と呟く方ではないかと。
演説して死を有効活用しつつ、心の中で呟く方かもしれん
そうか…ジョセフは後半主人公を食ってしまうライバルになる可能性もあるのか…
声的に
>>514 声的にはルイズのペットになってる世界もあるなw
ジョセフの声、ということでこんなんおもいついた。
「聖地は私を選んだ。
虚無の担い手と一体となることで、聖地は初めて真価を出す。
見ろ、いと小さき粒の完全なる結合、全てを終わらせる破壊を!」
うん、好きなんだ、あの大佐。
人類は週末を望んでいるのだっ!
>517
週休二日はいいよね
憑依系ってここでは駄目なの?
シャーマンキングとか仮面ライダー電王とかギルギアのザッパとか
最初、テレビで見るまでジョセフの声は若本さんだと思い込んでいたのに、実際は小杉さん……いえ、嫌いじゃないですけど。
つーかさぁ、固有名詞くらいちゃんと覚えようよ。
ジョースターじゃねーっつの。
テンション上がってきたぜー
>>520 ここはクロス板だからなぁ。自分でサイト立てるか投稿サイトに行った方がいい
理想郷とかNTに行くことを進めるよ
シャーマンキングは問題ないと思うけどなぁ
>>518 あれはもう食っちゃうんじゃなくてもはや主人公
>>526 ラストカットがお兄さまのイケメン顔だもんな〜
>>520に対するツッコミは憑依は憑依でもその憑依じゃねえから!
じゃないのか
>>525 シャーマンキングだとホロホロ召喚したら大騒動確実だよな
ダム子…もといコロロなんつう氷の精霊連れた異界のシャーマンだし
>>524 「憑依系」ってのは、
作中で死んだキャラが原作初期のキャラに乗り移ったら
(例:ウェールズが喚ばれたばかりのサイトに乗り移った)
とか、
原作最新刊まで読んだ自分がサイトと精神が入れ替わったら、
とかいうタイプのやつだ。
人にとりつく幽霊やイマジンとかが喚ばれるというのとは違うんじゃないかな。
まぁ特殊な力がないと見えないからかなり難しいパターンな気がするが。
取り憑くんだからマンキンも電王も憑依で間違いないのでは?
>>531 特殊能力だからな。
それに、個人的にも読んで見たい
ルイズが幽霊を召喚して憑依されちゃって、操られてタバサを蹂躙するのか
> 憑依
「陛下に一言申し上げたき儀がございまする 」
「臭うな」
「何としても聞き入れてもらわねばならぬことゆえ 」
「始祖より伝わる王権を否定せしアルビオンへの制裁
武力を持ってせしめるの儀 お取り止めくだされい
大陸の平和は外交にて充分なしうるもの
軍備を用いては折角の民草の安寧が… うぶ! 」
「されば…
無辜の民になりかわりそれがしがお見せつかまつる
侵略戦争がもたらすものはつまるところこのようなもの
それとも陛下は…トリステイン一国を引き換えにされても
このようなものがご覧になりたいと仰せられるか? 」
ニィィィ
「暗君… 」
>>535 ニュータイプに決まってんだろダラズ!!!
・・・・嘘です、「Night Talker」という二次創作サイトの略
理想郷と肩を並べる厨ニ御用達
>>536 ダラズについて詳しく
ボレー職人や旅人が所属したチームの略称ですか?
ケネディ大統領が暗殺されたところだっけ?(それはダラスです)
ところで武器屋に行く必然性の薄いキャラ(すでに武器を持ってるとか荒事向きとは思えない外見とか)
にデルフフラグを立てるにはどうしたら良いんでしょうか?いっそ学院の宝物庫に収蔵されてたことにするとか。
デルフをスルーする
個人の投稿サイトに変なの誘導するのはやめてくれ。
あれ? モモタロスが召喚されてルイズに取り付くとかいうSSはまだ無いのか?
小ネタぐらいはあるかなと勝手に思ってた。
ガラの悪いルイズ、女たらしのルイズ、泣けるでぇのルイズ、答えは聞いてないルイズ。
>>536 >理想郷と肩を並べる厨ニ御用達
ココもたいして変わんねーじゃん
ていうかたかが2ちゃんごときが他所を馬鹿にするってのもどうかと
>>538 「ルイズがむりやり購入」
「オスマンからプレゼントされた」
「その他大勢なチンピラが入手 その後ルイズ達と敵対し逃げていく時落としてった」
などのパターンが既出作品ではあるです
「実況」が解説役として購入なんて変り種もあるな
ギーシュとの決闘時に、石の台座に刺さった状態で現れるパターンはありますか?
>>544 ジリキで探せ
でなければarcadiaの捜索掲示板で聞け
ぶっちゃけ、大して重要でもないし敵が持って出てきたら折っちゃってもいいよね
NTの管理人は鬼だぞ
>>539 おマチさんの小屋で放置されてたとか
適当なモンスターの中から出てくるとか
>>541 短編でリュウタ以外は居たはず
>>549 モンスターの中から出てくと言えば
「恐れ敬え!我が名はブラッドヴェイン!!」
こんなのと戦うくらいならスルーだな。すまんデルフ
>>550 その名前聞くと、延々と大魔法と回復魔法を使い続けるトラウマドラゴンを思い出す。
>541
小ネタ 「トリステインの電王」を書いたモノですが、一応 4タロス召喚してます。
まあ 憑依するのは変身する時だけですけど。
>>547 鬼って・・・ルールー守らせるだけじゃないか
理想郷より対処が厳しいがなっ
>>551 ああ、あのラスボスより鬼畜な竜か。
たしかドラスレ効かないんだよな、奴さん
NTは管理が厳正だからね。
理想郷は管理はちゃんと為されているが、NTよりは緩い。比較問題だけどね。
NTの人々はスルースキル低すぎるよね
けどまぁそれが住み分けってもんだ
あっちの住人がこっちにきてルールおしつけるわけでもなし
こっちがあっちにスルースキル求める筋合もないさ
空気が合う場所に住みつけばいいのさ
外部ヲチも程々にしとこうぜ
他サイトヲチとか…もう次スレはヲチ板にでも立てたら?
560 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 18:32:17 ID:bNMpIAOX
ゼロギアスのグラーフ復活してほしいなぁ
ヲチヲチしてられないな
ヲチ…ってなに?
ウォッチが変化した言葉がヲチ。
そこまで言えばわかるな?
ID:ecFmNQQw
ルイズに召喚されてもいきなり
そんなことよりお腹がへったよ
というバンピートロットのバニラビーンズ君
>>538 本来の武器は召喚ゲートでフィルタリングされて丸腰で召喚されたってことにすりゃ解決。
>566
まぁ、それで柊やりゅういっちゃんが涙目、ってのが以前の落ちだった気が。
宮沢茉莉「ええと……錆びたシャード抜きでやり直せると思えば!」
ザーフィ&服部雷火「「武器なんて消耗品ですから」」
>>567 あれ? ここってNWクロススレ?
それはそれとして、デルフは魔法吸収能力が強力だから、両手がふさがってないキャラ(それこそ柊とか)
なら二刀流させればいいんじゃね?
ガンダールヴの力で二刀流ができるようになりました、ってことで。
実際ガンダールヴは右手に強力な武器・左手にデルフがスタンダードらしいし。
ロロノア・ゾロを召喚して四刀流が使えるようになりました、とかどうよ。
【どうやって持つかは考えていない】
>>567 柊の魔剣なら、
「六千年前にすっ飛ばされた揚句魔法吸収機能付加された上にしゃべるようになりました。
新しい名前はデルフリンガーです。」
でいいんじゃないかって気もするけどな。
スレタイ無視してルイズじゃない奴にクロスキャラ召喚させるのってありかね
前例はあるけど、今はどうなんだろうと気になってね。
いいんじゃない?
トランスフォーマーリベンジ公開記念にブラックアウトの人も再開を・・・
>>570 4本目は生まれた時から持ってるじゃないかw
>>570 魔法陣グルグルかよ! 懐かしいな、おい。
そういやSSの投稿止まっちゃってるな。
>>570 おもろうて、やがてダメージですね
>>571 ここの住人はよほど逸脱したものじゃない限り大抵は許容してくれてるよね
上で書かれている憑依系キャラと似ているが、「転生系」キャラはどうなんだろ。
キャラ自体が原作で『●●の転生』であることが重要なファクターだったり、
原作中でたびたび転生を繰り返しているようなキャラ。
そのキャラがルイズやサイト、その他ゼロ魔キャラとして転生している設定のSSは?
これはセーフかアウトか。みんなの意見を聞かせてください。
>四刀流が使えるようになりました、とかどうよ。
実際に見たのでは中国拳法のやつで両手、足先、髪の毛(長いミツアミの先に仕込み)で五刀流がいた
土塚作品の単行本4冊ほぼ同時発売記念にマテパの人も…
>>577 重要だけど、ごく短期間しかでない、すぐに退場するキャラなら叩かれにくいかも。
それが無理がない展開に持って行けるかどうかの方が問題だと思うが。
>>577 微妙そうだったら、ここに拘らずに何でも有りの他へ行けば良いじゃない
>>577 サガフロ2のエッグみたいな物かな?
オリキャラじゃなければセーフじゃないかい?
>>577 >キャラ自体が原作で『●●の転生』であることが重要なファクターだったり、
>原作中でたびたび転生を繰り返しているようなキャラ。
例に出せば、マンガ・アニメ・ラノベじゃないけど、インドの叙事詩ラーマーヤナのラーマ王子(ヴィシュヌ神の転生)とか、
このスレの管轄じゃないけど、月姫のミハイル・ロア・バルダムヨォン(何度も転生を続けている)とかかな?
>>577 輪廻戦記ゼノスケープとか、小説ウィザードリィとか?
サイトが前世由来の能力者で、ルイズが前世の恋人の生まれ変わりとか、そういうの?
別にいいんじゃない? サイトだけど他の能力持ちってSS結構あるし。
オウガシリーズのドラゴン好きのあの人とか
サイトがリスタートといえば
ルイズがジュネスのテレビ召喚の続きも気になっている
つまり対七万でサイト死亡→ネクロマンシー→リーンカーネイトのコンボだな!!
えっと……他にいらっしゃらなければ10分頃よりよろしいでしょうか?
>>581-
みんなあんがと。
実はルイズを弥勒王、サイトを阿邪羅王の生まれ変わりとして「虚無戦記」とのクロスを企んでたんだ。
夢幻弥勒(弥勒王)に再開を約束してラ=グース細胞に特攻した真田幸村(阿邪羅王)が、その約束を果たすため
兜率天=地球で平賀才人として転生はしたものの、弥勒はハルケギニアでルイズに転生していたために、召喚者と
使い魔というカタチで再開する……ってな感じで。
ルイズとサイトがお互いだんだん前世の記憶と能力に目覚めていくように話を進めていこうかなと。
弥勒は終盤で少女に転生してたし、虚無戦記はこのキャラがあのキャラの生まれ変わりだって展開が結構あったしさ。
キュルケ、タバサ、コルベール、ワルドあたりが十勇士の生まれ変わりで、オスマンが果心居士って設定で…………
とは思ってたが……風呂敷が畳めず、原作最後のように年表形式でしか表現でけそうにないから断念するわ。
表現媒介が文字のみという小説、SSで壮大な物語と世界観を描ける作家さまはマジ尊敬する。
あれ、名前が変わってない……もう一度、よろしいでしょうか?
大丈夫かな……?行きます。
mission 02 Don't be Afraid
剣を振るい、打ちのめす。
「はぁっ!」
打ちのめされた男を即刻捨て置き、また別の一人の相手をする。周りの連中は自分の技量の数分の一程度だが、数が多い。気は抜けない。
そこで、自分を狙う存在に気づいた。
10メイルほど離れた場所で、矢をつがえた者がある。
踏み込むのは到底間に合わず、間に合ったとしても周りの者がそれを阻むだろう。故に、アニエスは迷わず剣から放した左手を突き出す。
「ブリザド!」
放たれた氷塊が強かに弓兵を打ち据え、反動で矢は明後日の方向に放たれた。
「め、メイジか!?」
「い、いや、杖を構えてないぞ!?」
「なら、え、エルフだってのか!」
恐怖に引きつる顔の連中は皆盗賊団で、この山を根城にしているこいつらを討伐することが今回の仕事だった。
自身の魔法に盗賊が浮き足立ったところで、再び左手をかざす。
「サンダラ!」
完全に逃げ腰となった者達を蹴散らすのは難しくなく、程なく大半の者がアニエスの剣や魔法に倒れるかこの一帯から逃げ出していた。
「っふぅ……」
剣を鞘に戻して軽く汗を拭う。こうして武具を纏った連中を相手にすると、やはり剣の消耗が激しい。今回は特に念入りに研いでおかねばなと考える。
「無事だったか」
縄で巻かれた男を引きずりながらスコールが現れる。
『ひゅー、流石だぜアニエスさん。全部のしちまいやがった』
今日スコールに『接続』しているのはゼル・ディンだ。
「ああ、当たり前だ。お前から教えられた擬似魔法もある。こんな奴ら相手に遅れは取らない」
「だが、あんたはジャンクションはしてない……俺程身体能力は高くないはずだ」
ジャンクションによる魔力の底上げがなければ、擬似魔法はそこまでの威力を得られない。それ故にガルバディア、エスタ両軍は擬似魔法に頼らず、戦闘を支援するための機動兵器をそれぞれ開発していたのだ。
「元々の私の技量があれば、G.F.のジャンクション無しの擬似魔法だけでもかなり戦えるだろうと言ったのは誰だ?レオンハート」
しかし、それでも一応遠距離攻撃の出来る魔法は歩兵用の銃火器に匹敵する役割を担うことも出来る。スコール達の世界では特筆する程の力ではないが、ハルケギニアでは十二分な力と言える。
そして何よりも、遠距離攻撃を使っても手は他の武器を持っていられるというのは、何よりも得難いメリットと言えた。
「……悪かった。あんたの技量を疑って」
しぶしぶといった風に謝罪を口にする。
「それで、魔法の消耗は」
「ブリザドが二発に、サンダラが五発だ」
(ブリザドに、サンダラ……か)
何か思考を深めるスコール。
『ん?その二つがどうかしたのか、スコール?』
だがその思考は意識の表層に現れることはなかったため、ゼルが読み取れないままスコールは平素の思考に立ち返った。
「わかった。ケツァクウァトル、中クラス魔法精製」
アニエスがストックしているサンダーがサンダラに昇華されていく。
「こいつからブリザドもサンダーもドロー出来る。取れるだけ取っておけ」
盗賊の頭目を縛っている縄を軽く掲げながら言うと、そうさせてもらう、とアニエスは頭目からドローを開始した。
二週間前、スコールはアニエスに擬似魔法理論、ジャンクションシステムなどを全て教え、その指導も行った。だが、アニエスは頑なにG.F.のジャンクションは行わないとしていた。
「記憶を、失うかも知れないんだろう。ジャンクションとは。ならば私は、ジャンクションはしない」
どうやら、是が非にも忘れたくない事があるらしかった。
依頼主から報酬を受け取って、ついでに近場の領主に頭目を突き出して報奨金を受け取った帰り道。
以前から気になっていたんだが、とアニエスが尋ねてきた。
「その剣、銘はライオンハートと言ったな?お前の家名と似ているが、何かのゲン担ぎか?」
『そういや……お前はラグナ大統領と名字が違うよな』
アニエスの問いに、スコールはゆっくりと口を開いた。
「いや、元々はこいつの名前だったのが、俺に与えられたらしい」
と、軽く柄を叩く。
考えてみればおかしな話だったのだ。
孤児院に引き取られたときのスコールはまだ幼く、名前など名乗れるはずがないが、一緒に来た義姉のエルオーネはちゃんと名前だって言えた。
それならばスコールの名前だってレウァール姓でなければおかしい。母親であるレインの墓にはレイン・レウァールと刻まれているのだから。
それを変えたのはイデア・クレイマーだった。
エルオーネが狙われていたことを知ったクレイマー夫妻は、エルオーネを白い船に乗せて脱出させた。だが、それでは同じ姓を持つスコールが目立ち、エルオーネを捕まえるためにスコールが利用されてしまうかも知れない。
それを恐れたが故に、スコールからレウァール姓を消し、そして
「ママ先生……孤児院の人に、ライオンハート……俺たちの言葉で『獅子の心』という意味のこいつから名前がつけられた」
おそらく、あの時間圧縮現象の最中僅かな邂逅を果たした自分のことを過去のイデアは覚えていたのだろう。そして、アルティミシアに対抗するためにガンブレードを抜いたことも。
それ故に、ガンブレードの中でも最も最良の出来と言われるライオンハートの名前を想起したのかもしれない。
「獅子の心……か。なかなか勇ましい名前だな」
アニエスの感想は、これは……
「獅子を……ライオンを知っているのか?」
「?そりゃあ知っている。本物は見たことがないが、ライオンだろう?どこかの貴族だったかは、家紋にライオンの意匠を使っていたと思うが」
(この世界……ライオンも居るのか)
馬や牛を見かけたからもしやと思ったのだが。
『ああ、そういやさっきの村に居たよな。あれはおっどろいたぜ』
(もしかしたら、ああいった動物は想像上のものじゃなくこちら側で誰かが見たのを書いたのかも知れないな)
「おかしな奴だな」
「いや、俺たちのところではライオンはあまり知られていなかったんだ。だから、少し驚いただけだ」
「ライオンがなぁ……」
不思議そうにアニエスが呟く。
「俺からも一つ聞いて良いか」
「何だ?」
「あんた……火が嫌いなのか?」
「えっ?」
驚いた様子でアニエスがスコールを見上げる。
「ファイア系の魔法をあんたが使った覚えがほとんど無い。練習で最初の一、二回ぐらいじゃないのか」
「そう……か?……そうか」
スコールの言葉に、いくらかショックを受けた様子で、進行方向に目線を戻す。
「……アニエス?」
黙り込んでしまったアニエスに声をかける。
「……すまん……確かに、私は火を嫌っているのだと思う。無意識のうちに……」
「何か、理由があるのか?」
こくり、と思い詰めた表情で頷く。
「力になれるかは判らないが……話は聞いてやれる。無理に聞こうとまでは思わないが……」
以前、キスティスに悩みを相談されたときには、話を聞いてくれるだけで良いという彼女の言葉に「壁とでも話してろよ」と切って捨ててしまったスコールだが、今は判る。誰かに聞いて貰えるだけで気分が楽になることはあるのだと。
『スコール……お前って嫌な奴だったんだな……』
新事実を知ったゼルの言葉は、もちろんスコールには聞こえなかったが。
「……すまん……お前のことを信頼していないわけではないが……私の方でまだ整理が付いていない。話せん」
苦しそうにひねり出した言葉に、スコールは首を振る。
「いや、いい……俺だってまだあんたに話してないことはいくらでもある。人ってそんなもんだろう。お互いを理解するのに、すごい時間がかかるもんだ」
「ありがとう……」
礼を述べるアニエスに、軽く頷き返した。気にするな、という気持ちを込めて。
馴染みの酒場で、馴染みの情報屋に声を掛ける。
「おう、アニエスか。盗賊退治、ご苦労さん」
ちなみに、この男からはライブラがドロー出来た。おそらく情報を扱う職業故だろう。使った日には、彼が後ろを向いたときなどにこっそりとドローさせてもらっている。
「ああ、それで何かいい話はあるか?」
「おう、何でも例の土くれのフーケがまた現れたって話だ。それも、魔法学院の宝物庫に忍び込んだっていうから驚きだぜ」
「土くれのフーケ?」
「ああ、レオンはしらねぇか」
ざんばら髪を掻きながら、情報屋が説明してくれる。
「土くれのフーケってのは、メイジの怪盗でな。泥棒らしく忍び込むこともあれば、時として土くれの二つ名に相応しい、土で出来たとんでもなくでかいゴーレムを駆使することもある奴なんだ。土のトライアングルか、さもなきゃスクウェアだって言われてる」
「スクウェア……」
初めて聞いたときからどことなく心惹かれる単語だ。
『メタだって……』
「面白い話ではあるがな……私たちは傭兵であって賞金稼ぎじゃない。それはパスだ」
「まぁ、そう言うだろうとは思ってたよ……あんたらならフーケも相手に出来る思ったんだがな」
少しつまらなさそうに情報屋は呟く。
「最近じゃ名前も売れてきたんだぜ?凄腕の傭兵タッグなのに、任務の難易度の割に低料金で仕事を受けてくれるってな」
「低料金で受けるのは、私たちが二人だけだからだし、どんな仕事も受けるのは……」
ニッとイタズラっぽい笑みを浮かべながらアニエスは呟く。
「私たちが強いからだろう」
「ははっ!流石、傭兵メイジともなれば言うことが違うね!」
「間違えるんじゃない。先住のメイジは私じゃないぞ?」
と、スコールを指し示す。
「おやぁ?何でも、あんたがメイジになったって話も、ちらほら聞くが?」
無精髭が生えている顎を撫でさすりながら、情報屋が尋ねる。
「栓のない噂だ」
ふん、とそっぽを向きながらアニエスは相手にしないポーズを取る。
擬似魔法のことを黙っているように言ったのは、スコールだ。
貴族とメイジの関連性については、魔法学院の教師から聞いていたが、その貴族が6000年もの間支配者をやっていることを聞いて、スコールは危機感を抱いた。
系統魔法が多大な恩恵を人類にもたらしたことは間違いないだろうが、それと共に特権階級となった者達が存在するのだ。
貴族の全てが傲慢で、強圧的だとは思わないが、そうでない貴族ばかりだったとは到底考えられない。人間とはえてしてそういうものだ。権力を持てば、心の弱い者程歪んでいく。
そして、現在の平民達の中にそうした特権階級に対し敵愾心を抱いている者が居ないとも限らない。もし、そうした輩が擬似魔法を主力とする戦闘部隊を作れば、ハルケギニアは戦乱の世に落ち込む。
実のところジャンクションしていない擬似魔法は、先住魔法に劣ると言われている系統魔法にも及ばない力しか発揮出来ない。
だが、問題なのはその威力ではなく数である。
メイジよりも、非メイジの方が、その数は圧倒的に多い。それが逆ならば、その力のベクトルは支配ではなく排除に向かっていただろうが、今はそこは関係ない。
これまでは系統魔法という圧倒的な力がその均衡を保っていたが、擬似魔法によってその力の差は圧倒的とまでは言えなくなってしまう。
その革命を恐れるが故の、スコールからの提案であった。
擬似魔法は確かに誰でも使えるが、戦闘にしか使えない。様々な物を生み出す力のある系統魔法を駆逐することにも繋がるメイジの排除など起きるのか、
とスコールの提案をアニエスは疑問視したのだが、世の中の人全部が全部アニエス程冷静に物を見ることはできないのだと、スコールはそれを否定していた。
結局、情報屋もそれ以上探ろうとはせず、今回は海岸付近の村が海賊の被害に悩んでいるらしいと言う情報を買って終えた。
翌朝、海岸へ向かう準備の途中スコールは本屋に立ち寄った。
「……どうだ、目当ての本は見つかったか」
「いや、それらしいものは見あたらない」
首を振りながら、外で待っていたアニエスに告げる。
アニエスにはよくわからないが、何でもスコールの故郷に関しての文献を捜しているらしい。
「まぁ、そう簡単に見つかるモノでもないだろう。ハルケギニアに一般的に出回っている地図には、お前の故郷……バラムという島も描かれていないのだし」
「そうだな……」
しかし何故、故郷に関しての本が見つからないと言うだけで、こんなにも物悲しい顔をこの男はするのだろう、と疑問は残った。
(これでは獅子と言うより子猫だな)
なんて、少し可愛い想像をしてみながら。
今回は短めでここまでです。それでは……
>>590 転生は難しいだろうな
それより何でもいいから石川作品のクロスを作ってくるんだ。
乙っす
>>590 実はルイズを勃起王(ry に見えた
生まれ変わりって言うか
存在変換する人はいるよな
GJです。
スコールは無双、アニエスは強化。
この先どんな話になるのかも全くわからず楽しみです。
おつ!!
乙
>>590 サイトが「6000度の火柱だあっ! 破壊の杖を残して焼け死ね!!」
とか言ってオマチさんを火だるまにするんですね、わかります。
乙です
仏教系で○○王とか言われると、ルシファー=孔雀明王という設定のあの作品を思い浮かべてしまう。
>>603 絵の劣化が激しすぎて見てられないアレですね
ああ、あの顎漫画か
>603
正直、6巻で終わってたら神漫画だったなぁ(あの作品)
ラストは結構燃えたよ。
最近のは、あれはあれで結構好きだけどな。
「やっぱり虚無が四人揃わなければ・・・」
「あと一人、あと一人虚無がいれば!」
「あと一人、揃えば・・・・・・」
と妙な電波を受信しちまったぜ。
漫画竜馬
真ゲ竜馬
新ゲ竜馬
後一人・・・・後一人虚無れば・・・・・!
そこで綺麗なアニメ竜馬
ネオゲ竜馬は忘却の彼方か、脇役だししゃあないか
>>612 中の人が虚無るとガチで日本アニメ界がヤバイんで勘弁して下さい・・・・
614 :
613:2009/06/21(日) 00:43:17 ID:v16hCPyN
おっと、609,610と間違えた・・・・・
ダイナミックつながりで身堂竜馬をだな
そんなもん真ゲのゲッペラーに居るはずの並行世界竜馬でいいじゃないか
さもなきゃ漫画版號の竜馬ってのもあるでよ〜
最終回はルイズや他の奴等を残して「あばよ、ダチ公」で竜馬だけドワオ!
邪気王、五右衛門、八犬伝…把握しきれねぇ
むしろ石川賢を…
大先生は戦闘中だからむりぽ
八犬伝か…神八剣伝ならいけるかも。
ルイズ
サイト
デルフ
キュルケ
タバサ
ギーシュ
モンモン
八人目は…シエスタかコッパゲールかテファかで話が変わってくるな。
まさかのマリコルヌ・ド・グランドプレ
誰が出番の代わりに最後まで生き残るんだ?
ルイズ本人もキュルケもタバサもギーシュもマリコルヌもモンモンもみんなルイズを召喚して1人1ルイズ
魔剣Xって憑依系になるのかな?
デルフがいらない子になるけど
誰か仮面ライダー電王を最後まで書いてくれないかな
627 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 03:49:22 ID:/eAAMXr+
>
>>621 八犬伝ですか・・・・・
・・・・・“新逆八犬伝アウトカラーズ”とか?
「ルイズさまっ! 歌って!!」
憑依か……
やったこと無いから詳しくは知らないが朧村正の女主人公とかもこの系統だったはず
>>623 シエスタだとシエスタ生存
コッパゲールだとルイズ生存
テファだとテファ生存
いや…話は浮かんではくるんだけどな…かなり悲しい終わりになったから断念したorz
ちなみに八犬伝だと…サイト
ギーシュ
ギムリ
レイナール
マルコメ
コッパゲール
ワルド
で八人目をジョゼフかビダーシャルかジュリオにするかで悩んだ。ラスボス変わるしなぁ。
あまりに男臭いパーティになる上ルイズをはじめとする女性キャラの出番が少なくなり、ルイズに死亡フラグ乱立するため断念。
八犬士に親しい間柄の女性キャラは普通に死ぬから…あの話。
>>625 逆に考えるんだ。魔剣とデルフで二刀流が出来ると。
632 :
ジル:2009/06/21(日) 06:38:23 ID:E/7wxUJm
案外早く書き終わりましたので
0645時に投下します
633 :
ジル:2009/06/21(日) 06:47:44 ID:E/7wxUJm
ルイズはアンリエッタに今後の事を相談していた。
ルイズが信じていた、いや、恐らくこの世界にいる全ての人間が信じて疑わない魔法至上主義が音を立てて崩落し、平民による技術の片鱗を知った今、
ルイズが恐れるのは平民による革命だ。それをアンリエッタに進言していた。
「ニューカッスル城の堅牢さは、王党派の生き残りの方々が証言しています。戦艦の主砲を長く受けつつも、城は微塵も揺らぐことはなかった、と。しか
し、固定化の魔法に護られた城は、実際にジルが爆破しています。たった一人で、いとも簡単に、です。そして、やろうと思えば、一発の砲弾でロンディ
ニウムを焦土にすることも可能だったそうです」
核については、ジルはルイズに威力と効果しか教えていない。しかし、『爆心付近には何も残らない』『都市を一つ、地獄に変える』といった言葉を、信
じざるを得なかった。あの夢を見たからには。
>626
モモたち4人を虚無の系統4人がそれぞれ召喚ってのを考えて見たけど、
ルイズ(モモ)
テファ(リュウ)
は イイとしても あと二組が上手くかみ合わないので、ボツりました。
635 :
ジル:2009/06/21(日) 06:51:00 ID:E/7wxUJm
「ジルの国にメイジも貴族もいません。ですが、魔法よりも遥かに強力で簡単に扱える兵器が存在します。それこそ、世界を何度も焼き尽くしてお釣りがくるくらいの兵器が」
夢に出てきた化物も兵器なのだが、のことをルイズは知らないし、知っていてもアンリエッタには理解できないだろう。生体生物兵器、B.O.W.など。
「トリステインは窮地に立たされています。アルビオン新政権、ガリア、ゲルマニア、いずれの国に攻め込まれても負けるでしょう。ジルの持つ情報源からは、レコン・キスタの背後
にはガリアがいることが報告されています。ゲルマニアは同盟ができますでしょうが、トリステインが危機に陥ればあっさり切り捨てるでしょう。彼らからすると、トリステインは楯
に過ぎません」
ジルの情報源、即ちエルザとロングビル。エルザは先住魔法を駆使し、各国で誰にも見つかることなく諜報活動を行っている。ロングビルはフーケだった頃の独自の情報網から、学
院にいながらにして臭い情報をジルに送っている。エルザとロングビル、二人の情報網は、国が放つ間諜より遥かに広く細かく正確であり、国家戦略から戦術的に重要な情報までがジ
ルの元に集まるのだ。
「メイジの兵力だけならば、トリステインは最強でしょう。しかし、相手が物量で攻めてきたら? 戦艦主砲で飽和攻撃をしてきたら? メイジはあっというまに精神力が切れ、ある
いは手も足も出ずに全滅するでしょう。魔法は物量戦に全く向かないのです」
「ですが――――」アンリエッタが久しぶりに口を開く。「スクウェアの風メイジ、例えば烈風のカリン様なら……」
「いいえ姫殿下。戦争は変わりつつあります。たとえ烈風カリンであろうと、そのレベルのメイジがそう何人もいる訳ではないのです。先のアルビオン内戦では、兵力に物を言わせた
多方面作戦により、退路も撤退先も潰され、ジェームス一世が討ち取られています。戦場が複数ある場合、数の少ないスクウェアメイジだけではカバーしきることは不可能と見ていい
でしょう」
「だったら、どうするというのですか?」
ルイズの話が否定的になればなるほど、アンリエッタの顔は蒼くなる。ルイズは恐怖を並べてているが、確か彼女は最初に『提案』をしにきたと宣言したはずだ。
「姫殿下、魔法だけが力ではありませんわ」
636 :
ジル:2009/06/21(日) 06:54:22 ID:E/7wxUJm
トリスタニアと魔法学院の距離は、往復40分である。条件はただ一つ、時速400リーグを出せること。このハルケギニアには、メイジだろうが飛行
生物だろうが絶対に出せない速度である。一部の異邦人を除いて。
爆発を見てから爆風を避けられる反射神経と筋肉の反応速度、そしてその馬鹿力によって初めて御しえる最高速のガスタービンバイクで、甲高い音と土
煙を巻き上げながら街道をゆく。道ゆく人々もその噂を耳にしているので、貴族も平民も不穏な音が聞こえたら道を譲る。知らない者はその光景に首を
傾げるが、すぐわきを掠めるようにカっ飛んでいった何かの風圧にフっ飛ばされ、その意味を知る。
別にそう急ぐ必要もないが、調子がいいのでついついアクセルを開けっ放しにしてしまう。そもそもガスタービンエンジンの特性でアクセルの応答速度
が遅いので、アクセルワークなんてろくにできないのだが。
ルイズはアンリエッタに用があるとかで城に残っている。ジルに旅の荷物を持たせ、明日の朝に着替えを持ってくるように言いつけた。特に断る理由も
ないし、アンリエッタからウェールズの件に関する書状をついでに預かっている。オスマンに渡すものであるが、普通に使者を出すより遥かに早いのでジ
ルが渡すこととなった。
ちなみに、これらはすべてジルにとっては『ついで』である。ジルの目的はマルトーの料理を食べること、この一点にある。
ニューカッスルのパーティーで振舞われた料理、これが『まるでイギリスのように』イマイチだったため、学院の食事が恋しくなったのだ。トリステイ
ン王宮では毒味やら厨房が遠いやらで、食べる頃には冷えていた。
魔法学院の城門が遠くに見える。ともすればアクセル全開のまま突っ込んでいきたい衝動に駆られるが、アクセルを切り慣性のみで突き進む。
マルトーの料理が凄まじかった。
「なに……これ」
戦艦にいてもおかしくない腕のマルトーが作るものとは思えなかった。どどめ色のシチューなんて初めて見た。アルヴィーズの食堂は阿鼻叫喚の地獄画
図、かとおもいきや、不穏にざわめいているだけで騒ぎにはなっていないようだった。
「シエスタが視察に来た貴族に無理矢理連れて行かれてからあの調子さ。さすがに貴族どもに出すわけにはいかないから俺達が作ったが……賄いともども
、ご覧の有様だよ」
コックの一人が教えてくれた。当のマルトーは魂が抜け、真っ白な灰になって、どどめ色のシチューの鍋をかき混ぜていた。
「じゃあ、DAKKANしないとね」
四次元BOXから持てるだけの武器弾薬を装備して、サイドパックに着替えを詰めて、すぐにガスタービンに火をつける。弾丸のように飛び出して、ト
リスタニアに向かう。
まだまだ日は高く、城下は人で賑わっている。ここをバイクで突き抜けるのは吸血鬼に命令されたどこかの政治家の仕事であって、ジルにはできる真似
ではない。しかし、徒歩で疾走するのに邪魔はない。誰もが、貴族も平民も関係なく、その姿を見ると道を譲る。触らぬ神に祟りなし、生存本能は正直だ
。モーゼの十戒のごとく、人垣が割れ、できた道を全力疾走するジル。向かう先は城。
城門の衛士ですら、その気迫に一歩後退る。賊ではない、しかしこんな恐ろしいものを入れてもいいものか。以前彼女に思いっきり一瞬で無力化された
彼等は、感情に関係なく逡巡した。
「どきなさい。急いでるの」
もはや素直に従うしかない。叱責や厳罰よりも、目の前の魔王の方が恐ろしかった。
すぐにルイズは見つかった。まだアンリエッタの私室で何かを話しているが、彼女への用はすぐ終わる。
「ルイズ、着替えよ。明日の朝にはまたこれると思うけど、遅れるかも知れないわ」
おつかい完了。
「何があったのよ?」
「シエスタがどこかの馬鹿貴族に連れていかれたの」
何があったのかだけを簡単に報告される。直接的ではないが、そのいでたちが『ブっ潰す』と如実に語っている。ベルトリンク弾こそないものの、スリ
ングベルトで吊り下げられた銃、砲、なんかよくわからないもの。
止める間もなく、ジルはすぐに出ていった。
「…………」
「…………」
「……案外、戒めになるかもしれませんね」
「そうですね」
二人は関与しないことにした。
支援
638 :
ジル:2009/06/21(日) 06:55:36 ID:E/7wxUJm
「おや、ヴァレンタイン様。どこに行かれるのですか?」
恐れることなくジルに声をかけたのは、ケイシーと呼ばれていた使用人だった。
「シエスタってメイドを奪還するの」
「シエスタ?」
思わぬところに食いついてきた。
「そのシエスタというのは、魔法学院の黒髪黒目の娘ですか?」
「ええ、そうよ。知り合い?」
「はい。同じタルブの村の出身です。シエスタは妹のようなものです」
外見からすると確実に娘なのだが、見た目に反して若いのかもしれない。
「ところでDAKKANでその姿とは、穏やかではありませんね。手伝いましょう」
「相手はモット伯よ。それでも?」
ケイシーはにやりと笑い、
「所詮、メイジです」
639 :
ジル:2009/06/21(日) 07:00:31 ID:E/7wxUJm
ちょいと短いですが、以上です。
書く時間がないと、文章って短くなるもんなんですねぇ。
ジルの方、乙でした。
けどなんかちょっと読みずらかったかな?
641 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 07:45:07 ID:/eAAMXr+
ジル様乙^^
次回、殺戮†無双 ww
地の文とセリフは行間空けた方が読みやすいって、バーチャが逝ってた。
ジルの人乙ー。
( ゚∀゚)o彡°DAKKAN!DAKKAN!
ケイシーは使用人じゃなくてコックじゃね?w
ミスター・ラインバックw
ジルさん居なくても十二分じゃねぇかw
ジルの奴って女帝と同じ作者だな
説教だし文章力ないし短い
ジルよりゲストキャラのライバックの方が恐ろしい件www
次回の番組案内は「DAKKAN〜今、殴りに行きます〜」に決定だなw
>>646 ほとんど無敵で話にならん主人公が勝手に暴れるだけという意味で似てるかな。
いや、瀬戸様は原作からしてあの性格ですよ?
むしろ、まだ猫を被ってると言っても良いかと(汗)
>>645 ほんとだ。
あれか? テコ入れか?
だったらマーケティング大成功だな。痛い信者がついてくれそうじゃん、やったねw
龍が如くから桐生一馬召喚
遥に声が似ていると気付く
652 :
zeropon!:2009/06/21(日) 13:03:08 ID:eQEqVdb5
投下したいと思います。
5分から
すいません、あげてしまいました
zeropon!
第10話
真夜中の訪問者
二つの月が草木を明るく照らす、そんな夜のこと。
その日の昼間、貴賓が招かれた学院では使い魔のお披露目会が開かれていた。
各人が思い思いの方法で、召喚した使い魔を披露する中、
ルイズとパタポン達は歌劇『ぱたぶランカ〜愛のしもふりにく〜』を上演。
その物悲しくもハートフルでバイオレンスな物語は観客を魅了。
最後にはスタンディングオベーションの喝采を浴びるほどだった。
このお披露目会に気を良くしたルイズは、夕食後、自室でメデンが持ってきた、
銘酒『パ王』を景気よく飲んでいた。
コン、コン…コンコン
ルイズの部屋の扉がノックされる。
ルイズの相手をしていたメデン。こんな夜更けに誰だろうか?
既に草木も寝ようとする夜更け。訝しみながらも
「どうぞ、扉は開いております」
と、入室を促す。かちゃり、と静かに開いた扉から現れたのは、
フードを目深に被った女性。彼女は後ろ手に扉を閉める。
次に取り出したのは一本の杖。その様子を見て身構えるメデン。
しかし振られた杖には攻撃の意思はなく、一度光るとそれきりのまま
再びしまわれる。そして彼女はその顔を隠すフードを外した。
「どこに聞き耳をたてる者がいるかわかりませんからね」
現れたその顔をメデンは知っていた。見たのは今日の昼間。
お披露目会の会場の貴賓席。その中にいた王族の一人。
その姿は一輪の気高き花。王国の至宝。
「貴方は、王女さま?」
彼女はアンリエッタ・ド・トリステイン。この国の王女である。
彼女のことをメデンはルイズから聞いていた。
ルイズと彼女は幼い頃、共に過ごしていたらしい。
いわゆる幼馴染である。そんな二人だがやはり王女という
身分が妨げになっているらしく久方ぶりの再会なのであろう。
と言って、椅子に座るルイズにガバリ、と抱きついたアンリエッタ。
「ああ!おひさしぶり、ルイ、酒臭っ!」
と叫ぶとルイズから身を急いで離す。
よくみればルイズの傍らの一升瓶に入ったパ王。
度数45度と書かれたそのビンの中身は既に半分空いており、
そして、それを手酌するルイズの瞳はがっつりと据わっていた。
「ええと、る、ルイズ?」
恐る恐るルイズの顔を覗くアンリエッタ。それをぐいんっ、と
頭を振って睨み付ける。
「ひいっ?!」
ビクリっと身をすくめるアンリエッタ。彼女に差し出されたのは一杯の酒。
先ほどルイズが手酌した一杯である。
「飲んで」
ずずいっと、据わった目を向けながら杯を押し付けるルイズ。
「え、いや、ルイズ、私、お酒は…」
「飲んでくれないの?」
途端、今まで据わっていた目がうるうると潤みだす。
その目はまるで小動物のような愛らしさ。
アンリエッタは思い出した。
この目だけはダメだ。この目をされると何も断れなくなる。
子供の頃のおままごと。彼女が今と同じように差し出してきたのは
泥水のワイン。そして同じ瞳で彼女は言う『飲んで』と。
それを飲み干したばかりに三日三晩かけて死に掛けた。
そして再び今、彼女は
「いただくわ、ルイズ」
自ら死地に飛び込んだ。
一時間後…
「あはははは!」
「あはははは!」
部屋に高らかに響く哄笑。
あげているのはもちろんルイズ、そしてアンリエッタ。
高らかに杯を上げて乾杯をしては飲み干していくその様を見て、
メデンはため息をつき、あきらめたように部屋を後にした。
残ったのは酔いどれ×二匹。
結局、朝まで続いたこの狂宴、朝になり姫が居ないことに気づいた
摂政マザリー二が部屋にやってきて、
「酒臭っ!」
と叫ぶまで続いた。
「ううううう、あたまいたいー」
ふらふらと、パタポン砦の前まで現れたルイズ。
それを心配そうに支えながらメデンが傍らにいる。
二日酔いのまま、なぜルイズがここに来たのかというと、
アンリエッタが完全に酔う前にルイズにお願いしたことにあった。
曰く「アルビオンのウェールズ皇太子に宛てた恋文を取ってきてほしい」とのことだった。
アンリエッタにお願いされたルイズは使命感から安請け合いしていたが、
アルビオン…この地名にメデンは覚えがあった。
情報収集に使っているフーケから聞いた情報の中、
現在のアルビオン、クーデターが起こっているとの情報があった。
貴族派と呼ばれるクーデター軍は既にアルビオンの大半を手中に収めているらしく、
既に王城付近に押し込められた王党派と呼ばれる正規軍が弱弱しい抵抗をしているだけらしい。
このような場所に神ルイズを行かせるのは危険である。
しかし、二日酔いの状態で意地でもいく、と言い張る彼女を説得するのは難しかった。
それにこのことはパタポン族全体にもかかわることであった。
トリステインが現在推し進めている王女アンリエッタと、隣国ガリアの王との婚姻。
これが事の発端である。これは小国であるトリステインが戦火が拡大するアルビオンへの牽制。
そしてこの先、動乱が起こりつつある世界を生き残るための政策である。
これを進める上で、ウェールズに送っていた恋文などが公になれば
進めている全ての事が無駄になる。
それを危ぶんだ上でのアンリエッタの依頼なのであろう。
トリステインが戦火にさらされればパタポン族、そしてもちろんルイズにも火の粉が及ぶ。
ならば、今のうちに…とメデンは考えていた。
極秘任務のためと思いつつ頑張ってルイズがふらふらと砦の前に着くと、
「おそいわよ!ルイズ」
「五分で仕度」
「さあ!姫の依頼を果たそう!」
なんかたくさんいた。
「…キュルケ、タバサは慣れたからもういいわ。…だけど何でギーシュもいるのよ!」
「はははは!簡単なことさ!昨日の夜、モンモラシーに夜這いをかけたら窓から放り出されてね!
地面で伸びていたらたまたま姫君が通られたから後をつけただけさ!」
轟然と胸を張るギーシュに、ルイズ必殺の拳が顔面に叩き込まれる。
しかしそれは黒い影に防がれる。
「な!私のルイズ・ナッコーが!?何者?!」
ルイズの拳を防ぐそれは…モグラだった。巨大なモグラが二人の間に地面から現れ、
ルイズ・ナッコーをその前脚で受け止めている。
「ああ!ヴェルダンディー!ナイスだ!」
どうやらこのモグラ、ギーシュの使い魔らしい。モグラにひし、と抱きつくギーシュ。
「おのれええ!」
地団太を踏んだルイズが、愛情表現のキスを行うギーシュごと爆発で吹き飛ばそうとしたとき、
突然の突風にモグラことヴェルダンディーごとギーシュが吹き飛ばされた。
「僕のフィアンセに手を出さないでもらおうか」
その突風と声の持ち主は上空から舞い降りた。
それは一頭のグリフォン。猛禽の頭と獅子の巨躯を併せ持つその獣は
ハルキゲニアでも誇り高く獰猛な種である。
そしてその猛獣を従えてその男は地に降り立った。
機能的な服装。腰に挿した実用的なレイピアの如き杖。
服に包まれた身体は薄くも強靭そうな筋肉に包まれている。
精悍な顔には薄く髭があり、そしてその眼はそれこそグリフォンのようだった。
「な、何者だ!僕とヴェルダンディーをよくも!だいたい手を出してきたのは
貴方の婚約者のヴァリエええええええ?!婚約者?!」
素っ頓狂な声を上げるギーシュ。キュルケもタバサも驚きに目を見開く。
「あなた誰?」
キュルケが不審げにその男に尋ねる。
「おっとこれは失礼。私はグリフォン隊隊長ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
アンリエッタ王女の命により参上した」
皆が一様に驚く中、彼はきょろきょろと周りを見渡す。
「ところで…僕の愛しのルイズはどこかね?」
優雅に聞くワルド。そのワルドにキュルケは腕を組んだまま指だけでその方向を指す。
ルイズがいた。モグラとギーシュと一緒に吹き飛ばされていた。
さあっと顔が青くなるワルド。それはそうだろう。婚約者を吹っ飛ばしたのである。
ぐったりしたままのルイズ。傍らにいるのはメデン。メデンは静かにルイズに向け手を合わせ、
その後ぱんぱんっと手を叩く。砦から一匹のキバポンが荷車を引いて現れた。
だがそのキバポン、顔にオレンジ色の面をつけていた。
それは召喚されたときメデンの傍らにいたパタポン、ヒ・ロポンである。
彼はからからと荷車をルイズの横につけると、ひらりと馬から降りて、
メデンと共にうんしょ、うんしょと荷車にルイズを積む。そしてメデン、ヒ・ロポンがつみ終えたのを見ると、
キュルケ、ギーシュもパンパンと土を落として馬に乗る。タバサも使い魔の蒼い竜に乗る。
皆、無言でメデンを後ろに、ルイズを荷車につんだヒ・ロポンについていく。
からからと無情の音をたてて進む一行。やがて門からは見えなくなった。
取り残されたワルドは…数刻経ってからとぼとぼと、グリフォンに乗り込み
一行の後を追った。
終わりです
ワルド、何時もより余計に空鬼だw
乙
ワルドだからしょうがない
乙
この酔っ払い共めwww
そしてワルドwwww
乙 ワルドがw
乙
何しに来たんだワルドw
名護さんにワルドを教育してもらいたい
レコンキスタ…その命、神に返しなさい!
こんにちは、どうやら完全に平穏が戻ったようなので、こちらに復帰することにします。
では今週分の53話の投下を開始しようと思います。今回はレス数14とちょっと多めです。
開始時刻は00狙いで16:40よりお願いします。
サーキュラー支援
668 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 16:33:49 ID:vmJcMbEA
ウルトラマンベリアルは正直ないと思う支援。
第53話
間幕
『烈風』カリンの知られざる伝説
ダイナよ再び
吸血怪獣 ギマイラ
人間怪獣 ラブラス
ウルトラマンダイナ 登場!
「ジュワァ!!」
天に立ち上がった光の中から、勇気に溢れたその巨身に、力の赤と奇跡の青を見にまとい、銀色の巨人が立ち上がる。
人が前を向き、果て無き空へと進もうとするとき、宇宙に潜んだ無数の悪意が襲い来る。
だが、人間がどうしようもない困難に直面し、それでもあきらめないとき、光は必ず現れる。
いざゆけアスカ!!
ティガから受け継がれた使命とともに、リーフラッシャーを掲げて今こそ変身!!
君の名は、ウルトラマンダイナ!!
「デヤッ!」
ギマイラの前に立ちふさがったダイナの先制のパンチがギマイラのボディに炸裂する。さらに、顔面に向かって
右フック、左アッパー! そこへすかさずストレートキック!
ダイナの戦い方は常に真っ向勝負、小細工などなしで怪獣に正面から立ち向かっていく!
そして奴の首を掴んで、力づくで投げ飛ばし、タルブの草原に背中から叩きつけた。
地響きがとどろき、遅れてやってきた振動が佐々木とカリーヌの足元を揺さぶる。
「ウルトラマン……この世界にもいたのか」
佐々木は、ギマイラ相手に一歩も引かない戦いを演じるウルトラマンの姿に、感慨深げにつぶやいた。
姿形は彼の知るウルトラ兄弟たちをはじめとしたウルトラマンの誰とも似ていないが、その顔つきや、何より
胸の中央に青く輝くカラータイマーはウルトラマン以外の何者でもない。
「あの巨人は、我々の味方なのか?」
当然ウルトラマンのことなど知らないカリーヌは佐々木に問いかける。はじめて初代ウルトラマンの姿を見たときの
科学特捜隊のように、その目には純粋な驚きが宿っている。
「ああ、私の故郷で言い伝えられてきた光の国からの平和の使者、本当に存在したんだな」
佐々木にとっても、GUYS隊員として映像資料でウルトラ兄弟の姿を見たことはあるが、実際に本物のウルトラマンを
見るのは初めてだ。だが、こうして間近で見てみると、その圧倒的な存在感がひしひしと伝わってくる。
ただ、佐々木もこの30年ハルケギニアで生きてきたが、ウルトラマンやそれに類する話はまったく聞いたことがない。
聡明なカリーヌにしてもそれは同様で、いったい、あのウルトラマンはどこから来たのだろう。アスカが言っていた
ティガやダイナという別次元の地球のウルトラマンは……と思ったところで、彼らは墜落していったアスカのことを思い出した。
「あっ、そういえばアスカくんは!?」
「向こうに墜落していったが、大丈夫か?」
支援
撃墜されたガンクルセイダーの墜落していった方向を見て、二人はとりあえず火柱や煙があがっていないのを見て
ほっとした。被弾して撃ち落されたが、損傷は翼端のみで、彼の技量なら不時着は難しくはないだろう。安否は
気になるが、本当に危なければ射出座席で脱出することもできるはず、今はとにかく怪獣とウルトラマンのことが先決だ。
むろん、そうしているうちにもダイナとギマイラの戦いは続いている。
先制攻撃でダメージを与えたが、ギマイラも簡単にノックアウトするようなやわな怪獣ではない、まだ余裕を
持ってダイナの前に立ち、その口からあの恐るべき猛毒と破壊を合わせ持つ白い霧を吐き出してきた。
「シャッ!」
だがダイナは殺虫スプレーのように向かってくるそれを、サイドステップで軽々とかわした。まるで
一塁ベースからの盗塁のような素早さだ。
そして、守備の後は攻撃をする番だ。ダイナが手のひらを合わせると、そこに青白い光を放つ光弾が
作り出され、次の瞬間一気にそれを押し出した!
『フラッシュ光弾!!』
エネルギー弾は見事にギマイラの胴体に命中、激しく火花を散らして巨体を揺さぶる。バッターアウトには
遠いが、まずはワンストライクといったところだ。
「すごい……」
あのギマイラを圧倒している……佐々木は年甲斐もなく興奮していた。自分たちのウルトラ作戦第一号で
奴には少なからずダメージがあるはずだが、それでも初代ギマイラと戦った80にもひけをとらないほど強い。
しかし、形勢不利と見たギマイラは、再びタルブ村を包む霧の中へと逃げこもうと、踵を返して進み始めた。
「まずい、奴を逃がすな!」
奴のテリトリーに入り込まれては危険だとカリーヌが叫ぶと、まるでそれに答えたようにダイナはギマイラの
尾を掴んで引き戻そうとする。
「ヌウァァッ!!」
渾身の力を込めて尻尾を引っ張られ、ギマイラは自分の巣を目前にして引き戻されていく。ギマイラも、
万全の状態であったらダイナを振り切れたかもしれないが、カリーヌに足を集中攻撃された後であるために
ふんばりがきかないのだ。
さらに、ダイナは力を込めてギマイラを引っ張り、奴の体を宙に浮かせて村とは反対方向に放り投げた。
「デャアァッ!!」
土煙と轟音を立てて、巨体が着地の勢いのままに転がる。しかし、砂塵の中から起き上がってきたギマイラは
なおも凶暴なうなり声を上げて立ち上がってくる。
「しぶとい奴だ……」
やはり奴は並の怪獣ではない。大勢の人の生き血を吸ってエネルギーを蓄えたその体には、すさまじいまでの
スタミナが宿っており、ダイナの猛攻もいまだに致命的にはなっていない。
「デヤァッ!!」
ダイナのかけ声と、ギマイラの咆哮が合図となったように、両者は突進し、また正面から激突した。
ウルトラキックがギマイラの腹に炸裂すると、おかえしとばかりにギマイラの尻尾が鞭のようにダイナの
顔面をひっぱたく。パワーとパワー、闘志と殺意、正義と悪意が猛烈な火花を散らす。
その激闘を、佐々木とカリーヌは手に汗を握って見守っていた。
「ようし、頑張れ!」
子供の頃に戻ったように、佐々木は声のままにダイナに声援を送る。
戦闘は一進一退、引き裂くようなギマイラの咆哮と、迎え撃つダイナの技の衝撃が空気を揺さぶる。
戦いの様相はほぼ互角、パワーではギマイラが勝るが、スピードと技ではダイナも負けていない。
なにより、ギマイラは頭部と足元に打撃を受けていて機敏に動けないのが効いている。
だが、このまま戦い続けていけばダイナが優勢だというところで、ギマイラがその裂けた口を大きく
開き、タルブ村の方向へ向かって大きく吼えた。
「なんだ?」
「……佐々木、油断するな。来るぞ!」
霧に向かって、杖を向けて身構えたカリーヌの視線の先で霧の表面がうごめき、無数の人影が現れてきた。
それは当然、ギマイラに操られている村人とマンティコア隊の面々だ。よく見ると、長い間血を吸われ続けていた
せいか、顔が青白く、おぼつかない足取りであるが、確実にダイナとギマイラの戦いへと向かっていく。
「皆が!?」
「大方、人質に使うつもりだろう……止めるぞ、援護しろ!」
ここで数百人はいる人間に足元に群がられたらダイナは戦えなくなる。どこまでも卑怯な怪獣のやり口に
怒りで目じりを吊り上げながら、カリーヌは残り5体の偏在を作り出し、自分も含めて6人で飛び出して、
『拘束』の魔法で作り上げた空気のロープで次々に縛り上げていく、マンティコア隊も昨日は元気だったが、
今日は昨日の戦いのダメージと、血を吸われて消耗しているせいで『拘束』を振り払うことができずに、
体をがんじがらめにされて倒れていく。
「おいおい、手加減してくれよ」
トライガーショットの射撃精度を上げるロングバレルで人々の手前の地面を撃って足止めをしたり、
メイジの持っている杖を狙い撃ちにしながら佐々木はカリーヌに言った。拘束するだけといっても、締め付けが
きつければ消耗した体には負担が大きい。
「考えている、お前も中々いい腕だな」
「どういたしまして」
ほめられはしたものの、自分の家族や友人に銃を向けるのはいい気はしない。これが、ディノゾール戦後の
トライガーショットであれば、バリヤフィールドを発生させるメテオールカートリッジ、『キャプチャー・キューブ』が
装備されているので一気に閉じ込めることができるが、残念ながら彼のものには基本形式のレッドチェンバーと
イエローチェンバーしかない。
しかし、相手も死に体とはいえメイジである。ゾンビのようによろめきながらも魔法を撃ってくるのには油断できない。
それでも、ここで食い止めなくてはウルトラマンが危ない、戦いに背を向けて二人は操られた人々を倒し続けた。
ギマイラはフットワーク軽く戦うダイナについていけずに、自慢のパワーも空回り気味で追い込まれ始めている。
ダイナはむきになって角を振りかざして向かってくるギマイラからいったん距離をとると、腕を体の前でクロスさせ、
鋭い輝きを放つ光球を作り出して放った!
『フラッシュサイクラー!!』
輝く光のつぶてがギマイラの胴体に炸裂し、巨体が大きく揺さぶられる。まだ致命傷とまではなっていないが、
確実に効いている。
よし、このままなら勝てる、誰が見てもそう思われた光景だったが、ギマイラの目はまだ蛇のような執念深い
光を失ってはいなかった。くるりと首をダイナから離して、その方向を地上で戦っているカリーヌに向けると、
その長大な一本角を青白く輝かせ、不気味ないなづまのような光線を彼女に、しかも偏在ではなく本物の彼女へ
向けて放った! しかし、『拘束』を維持するために精神を集中していたカリーヌは、それに気づくのが一瞬遅れてしまった。
「危ない!!」
刹那の瞬間、それに反応できたのは、彼女の偏在ではなく、ずっと彼女を守り続けていた佐々木だけだった。
無防備な彼女の背を突き飛ばし、ギマイラの光線の直撃を浴びた佐々木の体に、全身を焼け付くような痛みが襲う。
「ササキ!!」
「よせ、来るな!!」
体を青いプラズマ状の光に包まれながら、佐々木は必死に駆け寄ってこようとするカリーヌを制し、体がまだ
自由になるうちに、全力で彼女から離れるように走った。
「うぉぉっっ……!」
苦しみの声が途絶えたとき、佐々木の体はおどろおどろしいエネルギーに包まれて、一瞬のうちに膨れ上がった
かと思うと、ギマイラより小柄ながら茶色い体表をした身長55メートルものアロサウルス型の怪獣へと変化してしまったのだ!!
「ササ……キ?」
カリーヌは、目の前で起きたことが到底信じられないと、両腕をだらりと下げて呆然とつぶやいた。
また、ダイナも突然後ろに出現した怪獣に戸惑い、それが人間が変異したものであることを知って愕然とした。
なんてことだ……この可能性はわかっていたはずなのに。
ギマイラには、霧を出して人間を操る他にも、全怪獣の中でも特筆して恐るべき能力が備わっている、それが
『人間怪獣化能力』、奴の角から発射される光線には人間の体組織を変異させて、巨大怪獣へと変えてしまう
まさに吸血鬼の牙のような効果がある。かつてもUGMの隊員がこれを受け、人間怪獣ラブラスへと変貌させられて
しまったことがある。そしてラブラスへと変えられてしまった者はギマイラの意のままに操られてしまうのだ。
「ササキーッ!!」
ギマイラの咆哮とともに、佐々木、いやラブラスは苦しみながらも左腕についた巨大なハサミを振りかざして
ダイナに向かっていく、カリーヌの叫びももはや届かない。
また、カリーヌにも残ったマンティコア隊の者たちが襲い掛かってくる。その中には、あのゼッサールもいたが、
もはやほとんどゾンビのような姿になって杖を向けてくる。
「おのれぇっ!!」
がむしゃらに杖を振り、『拘束』を唱える。昨日と同じように、敵の理不尽なまでの能力に無力感が湧いてくるが、
佐々木は自分の身代わりとなった。ならば、せめて最初に決めた責務くらい果たさなくては顔向けすらできないではないか。
そして、今やラブラスとなってしまった佐々木は、戦えと頭の中に響いてくるギマイラの咆哮に必死で抵抗していた。
体は変異させられてしまったが、心は人間のままである。しかし変異させられてしまった肉体は、彼の意思に反して
戦いへと走っていく。
"避けてくれ、ウルトラマン!"
残酷に残された視覚を通して、佐々木は声にならない声をダイナに向けて放った。もちろんダイナもラブラスが
佐々木が変貌させられてしまった怪獣であることは承知しているので、パンチでもって迎え撃つことはしない。
「ヘヤッ!」
ハサミでつかみかかってくるラブラスを、ダイナは攻撃を受け流す形でそらす。だが、後ろからはギマイラも
迫ってきて、否応なくダイナは2対1の不利な戦いを強いられてしまった。
「ダアッ!!」
突進してくるラブラスを軽いキックで押し返し、ギマイラの吐き出してくる白煙をかろうじてかわす。
ギマイラ一体ならダイナの実力なら充分に倒せる、しかしラブラスに背を向けたら、その左手についている
ダイヤモンドをも切断できるハサミがダイナの首を狙ってくる。
「セヤッ!!」
柔道の要領で、ダメージが少ないようにラブラスを投げ飛ばすが、それではラブラスはすぐに起き上がってくる。
もちろんそうしている間にも、佐々木はなんとかギマイラの咆哮に抗おうともがくが、そう簡単に抵抗できるほど
ギマイラのコントロール能力は弱くない。耳を押さえて声を聞かないようにしようとしても役に立たない。
しかも、ギマイラと最初に戦い始めてから時間がかなり過ぎ、ダイナのカラータイマーが点滅を始めた。
それを見計らったかのように、ギマイラとラブラスが同時に攻め込んでくる。このままではダイナが危ない。
だがそのとき、ダイナの額がまばゆく輝いて、その身を光で包み込んだ!!
「ヌゥゥ……ダァァッ!!」
これは、かつてアリゲラと戦ったときと同じダイナのタイプチェンジ能力、だが今度はあのときのストロングタイプではない。
光が晴れたとき、そこには全身を空のような青い色に包んだダイナの姿があった!!
『ウルトラマンダイナ・ミラクルタイプ!!』
青いダイナは角を振りかざして向かってくるギマイラの突進を、当たる寸前にまで引きつけ、一瞬にして
その背後に回りこんだ!!
「なにっ!?」
その素早さは、ギマイラやラブラスだけでなく、カリーヌの目さえも捉えることができなかった。
さらに、ダイナは驚いて振り向こうとするギマイラのさらに後ろに回りこみ、背中にキックを加えて前のめりに倒させる。
それだけではない、今度は光とともにダイナが姿を消したと思った瞬間、まったく逆の方向に現れたではないか。
「な……なんという速さだ」
ようやく偏在もあわせて全員の拘束に成功したカリーヌは唖然とつぶやいた。風系統の使い手で、文字通り風を読み、
並外れた動体視力を持つカリーヌでも今のダイナの動きは捉えきれない。
『ダイナテレポーテーション』
そうだ、青いダイナは超能力戦士、いかな環境にも適応し、その動きは目で追うことすら難しい。
瞬間移動の連続で、ダイナはギマイラを文字通りきりきり舞いさせる。しかし、ミラクルタイプは高いスピードと
超能力と引き換えにパワーは落ちるために、頑強なギマイラにダメージを与えることは難しい。それでも、捕らえる
こともできないスピードでは相手のパワーも役には立たない。
「デヤッ!!」
ダイナのパンチがギマイラのボディを打ち、ダメージとはいかぬまでにも動きを鈍らせる。
支援
また、ギマイラがダイナを捉えきれないことによってラブラスへの拘束力も緩んでいると見えて、ダイナを追う動きも
低下しているように見える。
今がチャンスだ!! ダイナはギマイラから距離をとり、その手のひらにエネルギーを集中させる。
『レボリュームウェーブ・アタックバージョン!!』
これはミラクルタイプの必殺技、空間を超衝撃波で歪ませてミニ・ブラックホールを作り出し、敵をそこに突き落とす
大技で、当たれば時空のかなたへ追放されて二度と戻ってはこれない。
「ダァァッ……ジャッ!!」
エネルギー充填を終え、拳を引いた構えをとるダイナはギマイラに狙いを定める。これで発射すれば、奴は
次元のかなたへと消滅する。
だが、ダイナが拳を打ち出そうとしたその瞬間、ギマイラはそのつりあがった蛇のような目をラブラスに向けると、
レボリュームウェーブの発射寸前にその体を抱えあげて盾としたではないか! これではラブラス、すなわち
佐々木まで巻き込んでしまう。
「ヌウッ!?」
思わず動きを止めるダイナを、狡猾なギマイラが逃すはずがない。奴の口から先が枝分かれした長い舌が
飛び出してダイナの首に絡みついた。
「ウワァァッ!!」
首に強烈な力で巻きついたギマイラの舌に締め付けられ、ダイナの口から苦しみの声が上がる。
さらに、ギマイラは巻きついた舌に電流を流して、これでもかとダイナを痛めつけてくるではないか。
「おおのれぇぇ!!」
卑劣もここに極まれり、カリーヌの怒りも極地を迎える。もとより戦いとは汚く残忍なものだとわかっている、
しかし盗賊、謀略、数々見てきたがこいつほど非道な敵はそうはいなかった。
ギマイラはダイナの首を締め上げたまま、嬲るように電撃を加え続けている。カラータイマーの点滅も
速度を増して、活動限界はもはや間近だ。
「ヌワァァッ!」
苦しむダイナはギマイラの舌を振り払おうとするが、ミラクルタイプではパワーが足りない。それどころか、
ギマイラはダイナにとどめを刺さんと、ラブラスに命じてその左腕のハサミをダイナに向けさせてくる。
ダイナが危ない! 何か、何か手はないのかとカリーヌは必死に考える。すでに百人以上を『拘束』し続ける
ために力を消費している以上、できることは限られている。ならばいっそ仲間に殺されるのを覚悟で、残りの
精神力をすべて怪獣に叩き付けてやろうかと覚悟を決めかけたとき、ひとつの声がカリーヌの動きを止めた。
「おじいちゃーん! 怪獣なんかに負けないでーっ!!」
それは、山小屋で待っていたはずのレリアの声だった。見ると、ティリーもあの大きな帽子を押さえながら
いっしょに走ってくる。彼女たちは最初遠くから見守っていたが、やはりいてもたってもいられずに次第に
近くに寄ってきて、佐々木がやられたのを見るや飛び出してきたのだ。
「お前たち、待っていろと言っただろう!」
さらに、戻れと言いかけてカリーヌは喉まで出かけたその言葉を飲み込んだ。なんと、孫娘の声に反応するように、
ラブラスが振り上げたハサミを押し戻そうともだえている。そのときカリーヌたちは、佐々木が怪獣に変えられても
意識はそのままであると気づいた。
ウル5魔の人が来る、ウル5魔の投下が来る、そして支援がここに来る
「おじいちゃーん、がんばってーっ!」
「ササキさーん!」
二人が声の限りに叫ぶたびに、ラブラスは、いや佐々木は耳を押さえて必死で自分を操ろうとするギマイラの
呪縛と戦ってその歩を戻していく。カリーヌはその光景を見て自分の硬直した思考を恥じた、なぜ力で持っての
抵抗しか思いつかなかったのかと、そして今また一人だけで戦おうとしていたことを恥じた、戦っているのは
自分だけではない、ササキもレリアもティリーも、アスカもともに命を懸けているのだ。
「ササキーっ!! この私を殴った者が、その程度の呪縛に屈するのか!! みんな死力を尽くしているんだ、お前も
耐えて見せろ!!」
カリーヌもまた、喉も裂けんとばかりにラブラスに呼びかける。火の玉でも風の刃でもなく、言葉の弾丸こそが
今は最強の武器だった。
邪悪な力と人間の意思、三人の声がラブラスに残った佐々木の自我を揺さぶり、ギマイラもそれをねじ伏せようと
咆哮を放つ。二つが天秤のように佐々木の中で動く。しかし、ギマイラの邪念はなおも強力で、佐々木の意思さえも
消し去ろうとしてくる。
が、そのとき。
”じいさん!! あんたの力はそんなもんか!? 世界は違っても、平和のために戦い抜くのが防衛チームの使命だろ!!
それがあんたのいたGUYSの誇りなんじゃねえのか!!"
突然、ラブラスの頭の中にアスカの声が響いた。
そうだ、いかなるときでも怪獣や侵略者の脅威から人々を守るのがGUYSの使命だ。それがセリザワ隊長の
教えてくれたGUYSの誇りではないのか!!
それを思い出したとき、ラブラスのハサミはダイナではなくギマイラの首を一撃していた!
「おじいちゃん、すごい!」
「佐々木、さすがだな……」
完全に自分の意思によってギマイラに立ち向かうラブラスの姿を見て、レリアとカリーヌは思わず笑みを見せた。
ギマイラはまさかの手下の反逆に驚き、ダイナを締め上げていた舌を戻して、防戦に回っている。
開放されたダイナは、怪獣のコントロールに打ち勝った佐々木の意思の強さに、地にひざを突きながらも
頼もしく見守っていた。
(佐々木のじいさん……あんたはやっぱり、俺の大先輩だぜ)
テレパシーでたった一言声援を送っただけなのに、あの人は本当にすごい、ダイナ……アスカは老いてなお
消えない平和を守る者の誇りをその目に焼き付けた。
完全に肉体を掌握したラブラスは、エネルギーの尽きかけたダイナを守ってギマイラに立ち向かっていく。
だが、ダメージを負っているとはいえギマイラは強く、またラブラスには左手のハサミ以外に武器はないために
肉弾戦では不利だ。ギマイラの太い腕がラブラスの頭を殴り飛ばし、とげだらけの尻尾が体を打ち据える。
「だめだ、力量が違いすぎる」
カリーヌは両者の組み合いから、一瞬でラブラスがいかに奮戦しようとギマイラには勝てないことを悟って
慄然とつぶやいた。考えてみれば、あれだけ狡猾で卑劣な奴だ、万一のためにも自分より強い手下を
作ることなどはするまい。最初は虚をついて善戦したラブラスも、すぐにギマイラのパワーに押し返されて
苦しんでいる。しかも、ダイナも解放はされたものの、ダメージが大きくエネルギーが底を尽きかけている
状態で助けに行くことができない。
「ウルトラマン、がんばって!」
レリアの必死の叫びにダイナは立ち上がろうと体に力を込めようとするが、エネルギー不足のために
力が入らず、カラータイマーの点滅はさらに早くなっていく。
しかし、佐々木の奮闘は別なところで価値を生んだ。ラブラスにコントロールを振り切られてしまって反撃を
受けたために、ギマイラの人々へのコントロールも緩み、カリーヌは人々を拘束する負担から解放されたのだ。
満を持してカリーヌの援護攻撃の呪文が放たれる!
『ライトニング・クラウド!』
偏在と合わせて6人分の雷撃がギマイラを襲う! しかしギマイラはわずかに体を震わせただけでまるで
効いた様子がない、それどころか怒りの矛先をカリーヌたちに向けようとしてくるのを防ぐために、ラブラスが
盾になってさらに痛めつけられてしまう始末だ。
「おのれっ化け物め、ドラゴンでも10匹は黒焦げにできる威力なのだぞ!?」
カリーヌは歯噛みするが、それが怪獣というものなのである。ならば、やはり特攻しかないのかと
5体の偏在を体当たりさせようかと考えたとき、彼女の頭の中に強い声が響いた。
"空をその雷で撃て!!"
「なっ、なに!?」
驚いて周りを見渡すが、そこにはレリアとティリーが怪訝な顔をしているだけである。それで彼女は
その声が自分だけに聞こえたことを知り、話しかけてきた相手が目の前で地に伏している巨人であると気づいた。
「ウルトラマン……私に、呼びかけているのか?」
その問いかけに、ダイナは答えずに見つめ返してくるだけだ。しかし、そうしているうちにもギマイラは
ラブラスに、あの破壊性の白色ガスを噴きつけ、弱ったところを嬉々として蹴りつけている。もう迷っている
時間はない、残ったわずかな精神力を、怪獣にぶつけるか、それともあの声を信じて空へと撃つか。
カリーヌは無意識のうちに頭上を見上げていた。そこには、昨日から続く黒色の分厚い雲が陽光を遮って
立ち込めている。
「空へ……そうか、そういうことか! ならば、私の残った力、全部くれてやる!!」
意を決したカリーヌは、偏在とともに残った全精神力を集中し、一気に天空へと解き放った。
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『ライトニング・クラウド!!』
6条の雷が天へと立ち上がる竜のようにさかのぼっていき、黒雲へと吸い込まれていく。それと同時に
5体の偏在も解除され、抜けた力に抗うように脂汗を額に浮かべつつカリーヌは黒雲を見上げた。
「どうだっ?」
これでまともな攻撃魔法を使う力は全て使い果たした。後は文字通り天にゆだねるのみ。そうだ、
真夏の気候が作り出した巨大な積乱雲は氷や水の粒がぶつかり合う気流の巣、そこに雷撃を
叩き込んできっかけとすれば、電流は巨大な発電機とでもいう黒雲の中で増幅され……
やがて、本物の雷を生む!!
「やった!!」
雷鳴がとどろき、稲光が黒雲から森へと落ちて炎を吹き上げる。カリーヌの雷撃がスイッチとなり、
瞬時にタルブ村周辺は雷の巣となった。
そして、これを待っていたようにダイナは残った全ての力を振り絞り、天へと向かって両腕を振り上げる!!
「ヌゥゥゥッ……デヤァァッッ!!」
そのとき、黒雲からダイナへ向かって巨大な雷の矢が何十本と降り注いだ。猛烈なスパークが巨体を
包み込み、数万ボルトの電撃が襲い掛かる。
しかし、電撃はダイナの体を痛めつけるどころか、黒雲からどんどんダイナへ向かって吸い寄せられて、
カラータイマーの中へと吸い込まれていくではないか!!
「私の雷撃を、吸収しているのか……?」
呆然とカリーヌはつぶやいた。ダイナはカリーヌの作り出した巨大な雷の電力を超能力で操って、自らの体に
落雷させ、自分のエネルギーに転換していたのだ。
『ネイチャーコントロール!!』
天候をも自在に操るダイナの奇跡の力、まるで天が光の戦士に助力しているようだ。
だが、ギマイラはダイナが力を取り戻しつつあるのを見ると、鼻先に生えた巨大な角を振り立てて突進してきた。
今ダイナは完全に無防備だ、これを受けたら……だが、そのとき瀕死のラブラスがダイナの前に盾となって
敢然と立ちふさがった!!
「ササキー!!」
「おじいちゃーん!!」
ギマイラの角がラブラスの腹に突き刺さり、悲痛な叫び声とともに巨体がタルブの草原の上に倒れこむ。
「……っ!」
ティリーの口から短いうめきが漏れる。
倒れたラブラスはもう動かず、言葉にもならない悲鳴の中、変貌させられた肉体が微細な光に包まれて
縮小していく。後には、草原の上に物言わぬ姿で横たわっている佐々木の姿があった。
日曜に 投下される ウル5魔を
「おっ……おじいちゃーん!!」
思わず駆け出したレリアの後姿を見送りながら、カリーヌの肩が静かに震える。もう貴族の誇りや軍人の
矜持など知ったことか、あの佐々木の散り様を見て、あんな非道な敵の所業を見て、怒らないやつは人間じゃない!!
「ぶっ飛ばせぇぇーっ、ウルトラマン!!」
その瞬間、完全にエネルギーを回復したダイナはカリーヌの声に応えるように、ギマイラに再び向かい合った。
「ヘヤッ!!」
復活したダイナから、はっきりとした怒りのオーラを感じ取り、ギマイラがわずかにひるんだようにあとづさる。
だが、奴はそれでも凶悪怪獣の意地か、角から破壊光線をダイナに向かって放ってきた。しかし、破壊光線は
前に突き出したダイナの腕の中でストップされ、青い光球へと変わっていく。
「ヌウゥゥ……デヤァ!!」
受け止めた光線を固めたエネルギーの塊を掲げると、ダイナは増幅した奴自身のエネルギーを青い光線へと
変えて打ち返した!!
『レボリュームウェーブ・リバースバージョン!!』
爆発が引き起こされ、自らのエネルギーに打ちのめされてギマイラの巨体がよろめく。
「今だ、ウルトラマン!!」
「フゥゥ……ダァッ!!」
ダイナの額が輝き、ミラクルタイプからダイナ本来の姿に立ち戻る。
『ウルトラマンダイナ・フラッシュタイプ!!』
そして、ギマイラを見据えたダイナは怒りの心を力に変え、まっすぐに己の敵を見据えてその腕を十字に組んだ!!
『ソルジェント光線!!』
青くプラズマのように美しく輝く光線が光の鉄槌となってギマイラへと吸い込まれていく。
全ての力を込めた最大出力の必殺光線の前には、いかな敵とて耐えられはしない。轟音とともにギマイラの体は
超エネルギーの破壊力に耐え切れず、大爆発を起こして木っ端微塵の破片となって飛び散った!!
「やった……」
残骸となってギマイラはその存在を失っていき、奴がタルブ村を封じていた霧も制御を失って風に流されていく。
宇宙を荒らしまわり、人々の生き血をすすり続けてきた宇宙吸血鬼は、ついにこのハルケギニアの地に滅び去ったのだった。
「ショワッチ!」
戦いは終わった。自らの役目を果たしたダイナは雷鳴もやんだ空へと飛び立ち、消えていく。
しかし、喜びもつかの間……失われたものは大きかった。
「おじいちゃーん……うぅぅ」
もはや目を開かぬ佐々木のそばで、レリアの嗚咽が風に流れていく。
怪獣ラブラスにされてしまった人間は死ぬことによってでしか元に戻れない。佐々木にも、当然それはわかっていた
のだから、あえて死を選んだのかもしれない。けれど、残される者にとっては悲劇には違いない。
「怪獣でもよかった……死んじゃやだよ」
「……」
小さいころからずっと可愛がってもらっていたレリアが泣き叫ぶのを、カリーヌはやりきれない気持ちで見守っていた。
怪獣は倒した、村は、マンティコア隊は救われた。しかし、代償として佐々木の命は失われた。死は戦いの常とはいえ、
神よ、始祖よ、これではあんまりではありませんか……心を覆った暗雲はいまだに晴れない。
「しまった……遅かったか!」
息を切らせて走ってきたアスカも、佐々木の遺体を見てがっくりと肩を落とした。彼もGUYSメモリーディスプレイで
見たギマイラのデータで、ラブラスにされた者が死ななければ元には戻れないということは知っていたが、
死ぬ前になんとかできないかとわずかな期待をかけていた。
だが、カリーヌとアスカが意を決してレリアに声をかけようとしたとき、じっと見守っていたティリーがレリアの手をとった。
「まだ、間に合うかもしれません」
「え……」
レリアの顔に喜色が浮かぶ。しかし、カリーヌは信じられずに叫んだ。
「馬鹿な! いかな強力な『治癒』といえども死んだ人間を蘇生させることはできん。気休めを……」
気休めを言うな、と言いかけたときにはすでにティリーは佐々木を挟んでレリアと反対側に座り込み、祈るような
ポーズで魔力を集中し始めていた。しかし、確かに魔力はどんどん高まっているが、ティリーは杖を持たずに
呪文も唱えていない。
「これは……」
カリーヌは息を呑んで見守りながらも、冷や汗が背中を伝っていくのを感じていた。杖を使わずに、メイジの操る
四系統魔法は使えない。それは、四系統魔法よりはるかに強力な先住魔法、それを使いこなせるのは……
そのとき、一陣の風が吹き、ティリーがずっと目深にかぶっていた幅広の帽子を吹き飛ばした。
「っ……エルフ!?」
帽子の下に隠されていたティリーの長く尖った耳を見て、カリーヌは絶句した。大昔から始祖の宿敵として、
聖地を占拠しているという忌まわしい種族、そして最強の先住魔法の使い手として一人で百のメイジに匹敵する
と恐れられる敵が、今目の前にいる。
ティリーはそんなカリーヌの視線が突き刺さるのにも気づかないほど深く集中していたが、やがて彼女が
右手にはめていた青い石の指輪から、一滴のダイヤの破片のようにきらめくしずくが零れ落ちたかと思うと、
息絶えた佐々木の体に吸い込まれていき、やがて瞬きを5回ほどしたくらいの後、佐々木のまぶたが
わずかに振れて、静かに眼を開いたではないか。
「っ……おじいちゃん!」
「レリア」
人目もはばからずに泣きながら抱きついてきた孫娘の体を、佐々木は優しく抱きとめてやった。
「しかし私は、確かに死んだと思ったのだが」
「ティリーちゃんが、魔法で治してくれたんだよ」
生きていて、しかも人間に戻れていることに驚いている佐々木に、アスカもうれしそうに説明した。
「そうか、ありがとう」
「いえ、お気になさらずに……わたしは自分がやるべきことをやっただけですから」
優しい笑顔を見せてくるティリーに、佐々木も微笑み、レリアも泣きながら礼を言った。
「ぐすっ……ありがどう、ほんどうに、ありが、とう」
強く抱きしめあう祖父と孫娘の姿に、見ているアスカのほうが涙腺がゆるんでいた。
「……よかったなあ」
これで、あの悪魔のような怪獣の道連れにされる人間はいないということだ。ギマイラに操られていた
人々も、かなり弱っているが皆息がある。
めでたしめでたし、全てが終わったかに思えた。
けれど、皆が泣き、また笑うなかで一人だけ沈痛な面持ちで立ち尽くしていたカリーヌがティリーに
杖を向けたとき、反射的にアスカはその前に立ちふさがっていた。
「なんの真似だ」
「どけ、エルフは始祖ブリミルの仇敵だ。見つけたら即刻始末する、それがこの国の、教会の掟だ」
そのカリーヌの目には、以前垣間見せた人間性はなく、法と規則を絶対とするマンティコア隊隊長の、
冷徹な光が宿っていた。
「寝言は寝て言え、バカヤロー」
アスカの答えも、簡潔で苛烈だった。今カリーヌの精神力が底をついていなければ吹き飛ばされる
くらいはしただろう。それでも、あと人一人殺すくらいの力は残っている。
「お前は、この国の法に逆らおうというのか?」
「あんたこそ、自分が何しようとしてんのかわかってんのか?」
わずかな空間を挟んで、アスカとカリーヌの視線がぶつかり合って火花を散らす。佐々木は、二人の
ただならぬ様子に気づいたものの、命はとりとめたが傷はまだ深くて立ち上がれず、レリアはティリーが
帽子をなくしていることに気づいて拾いに走っていっていたが、あまりに張り詰めた空気に声を出すことが
できずにいた。そして、当のエルフの娘は、自らが争いの元になっていることを悲しみ、敵意がないことを
示すために両手を差し出しながらカリーヌの前にひざまずいた。
「アスカさん、カリーヌさん、わたしのために争わないでください。確かに、わたしはエルフです。けれど、
あなたがた人間に危害を加えるつもりはありません」
その言葉は真摯で、うそを言ってはいないことはカリーヌにもわかった。
「ならば、なぜ東の砂漠に住むはずのエルフがここにいる?」
「それは、詳しくは申せませんが、アルビオンという国にどうしても行かなければならない理由があるからです。
それで、わたしは人目を忍んで一人でここまで来ました。けれど、決してあなた方に害をなすことはいたしません」
エルフがハルケギニアで人目に触れれば、即刻殺されるということはわかっているはずなのに、それを承知で
来るからにはよほど重要な用があるのだろう。この娘は線は細いが芯はしっかりしている、理由はたとえ拷問に
かけられてもしゃべらないだろうと、カリーヌはあらためて杖を向け、あらためてアスカにさえぎられた。
「どけ」
「どかねえ」
「どかんのなら、貴様も私の敵ということだな」
「どの口がほざくんだ、あんたが昨日大怪我したとき助けてくれたのは誰だよ」
「その点は感謝している。しかし、これはこの国の法……」
「ふざけんな!」
カリーヌの言葉をさえぎったアスカの怒声には、明らかな理不尽さへの怒りがこもっていた。
作者が SSを 落とす時 読者の心は wktkで
「この国の法がどうだか知らねえが、ここで彼女を殺すことに何の意味があるんだよ。誰が不幸になるっていうんだ、
言ってみろよ」
「私の意思などは問題ではない。これはこの国を統治する目に見えない秩序を維持するための行為だ。たった一つの
法を破ることが、その後多くの人々を不幸にする可能性があるのだ」
「そりゃ建前だろ、俺が聞いているのは教会だの法律だの、他人の決めたことじゃない、あんた自身がどう考えてる
かってことだ。彼女が誰をどう不幸にするっていうんだ、不幸なのはそんな考え方しかできねえあんたの脳みそだろ!」
カリーヌの威圧感にもアスカはまったく引く気はない。鋼鉄の規律という信念にもとずいて、私情を消して杖を
振るおうとするカリーヌに、まっこうから立ち向かうアスカ。力での戦い以上に、人間の心の戦いのほうが重く、
どちらも譲らない。
しかし、強すぎる信念は時に目を曇らせる。エルフだから無条件に殺せというのは、突き詰めれば背の低い者や
気弱な同級生を気持ち悪いなどといって排除する小中学生の心理にも似た、幼稚で愚劣な行為でしかない。
それをどうやってカリーヌに理解させるのか、言葉だけではだめだと思ったアスカは強行手段に打って出た。
「そうか、どうしてもエルフってのがダメだって言うんなら……自分の目で確かめてみろ!」
「なっ!?」
アスカは突然カリーヌの手を掴むと、魔法を振るう間を与えずに力いっぱいティリーの前に放り投げた。
疲労がたまっていたカリーヌは杖をとられて、さらにティリーと抱き合うような形で草原の上に転がり込んでしまった。
「な、なっ?」
「だ、大丈夫ですか?」
すぐそばで顔を合わせて、驚く二人の美少女。絵にはなるけど、この際それは置いておこう。
「は、離れろ!」
「きゃっ!」
ティリーの体を突き飛ばしたカリーヌは、尻餅をつき荒い息を吐きながら、目の前にいる人間の宿敵と教わって
きた種族の娘を見つめた。すでに、杖は取り上げられて、体も疲労しきっている。しかし、悪魔のはずの相手は、
何もしないどころか、むしろ無力なはずの自分を怯えたように見つめている。このとき初めてカリーヌは、自分が
この相手に対してどうするべきなのかに、迷いを覚えた。
エルフとは、人間の敵、だから殺す。それは正しいのか。自分で考える? 法の是非を? そんなことが許されるのか?
信念は、法は絶対だと訴える。それがもっとも道理にあっているし、軍人として正しいとわかっているが、自分の
中の何かがそれを押しとどめる。
いったい、自分は何に従えばよいのだろう?
道理と、不条理の間をカリーヌの精神はさまよった。
だが、それは本来迷う必要もない答えだった。
ティリーはカリーヌの前にひざをついてその手をとり、困惑に包まれた目を見据えて、自分を殺そうとした相手に
向かって穏やかな声で語りかけたのだ。
「お……お友達になりましょう」
続く
乙。
てっきり佐々木さんはここで死ぬのかと思ったんだぜ。
以上です。いいノリのご支援してくださった方、もちろんほかの皆様もありがとうございました。
それからすいません、間違えてレス数をひとつ多く区切ってしまっていました。次回からは気をつけます。
うーん、それにしてもこの作品のヒロインっていったい誰だっけ……
まあ、それはともかく久しぶりのダイナの活躍、いかがだったでしょうか?
12月にウルトラ映画の新作が上映されるというニュースを聞き、私も驚いています。
どうもプレミアムステージのようなストーリーで少々不安ですが、まだ今は次報に期待ということにしています。
しかし、超8兄弟を果たして超えることができるでしょうか。
思えば親に借りてきてもらったウルトラマンのビデオのジラースやアボラスから始まって、
ビオランテやメカキングギドラの大迫力に目を奪われて、テレビでバギラやアノシラスの大暴れを夢中になって見て、
ティガに初代ウルトラマンが出たのにめちゃ興奮して、最近では超8兄弟に涙を流したような怪獣好きですが、
これからも彼らが与えてくれた多くの夢を大事にして、物語を続けていきたいと思います。
では、来週で30年前の物語もいったん幕です。
乙でした。
俺もバリバリのグリッドマン世代ですぜw
乙、乙、乙、ウル5魔さん乙
親に与えられた初めてのウルトラビデオ
それはグレートで、変身シーンはシュワッシュワッシュワッでした
ウルトラの人、乙っした!
カリーヌさんかっけぇぇぇぇ!!
やっぱり騎士系っつーか、秩序を守る乙女は大好物です!
ティリーさんがどうなるか含めて楽しみにしてますっぜ!
さて、不定期連載となっている私の駄作を投下させて戴きたく存じます。
17:30頃より、お邪魔します。
黒魔!一番楽しみにしてる黒魔!
投下開始で おま
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「妖精さん達!いよいよお待ちかねのこの週がやってきたわ!」
スカロン店長……ミ・マドモワゼルが声を一層張り上げた。
「はい!ミ・マドモワゼル!」
って言っても、店長さんが声を張り上げなかった日なんて、無いんだけどね。
……よく、喉が枯れないなぁって思うんだ……
「はりきりチップレースの始まりよ!」
高らかに店長さんが宣言する。
今週は、さらに忙しくなりそうだなぁって思ったんだ。
ゼロの黒魔道士
〜第四十八幕〜 盲進ルイズ
「さて、皆さんも知ってのとおり……この『魅惑の妖精』亭が創立したのは今を去ること四百年前、
トリステイン魅了王と呼ばれたアンリ三世陛下の治世の折。
絶世の美男子と謳われたアンリ三世陛下は、妖精さんの生まれ変わりと呼ばれたわ」
スカロン店長って、昔は役者さんだったのかなぁ?
説明の仕方が、淀みないし、何となく声に深みがある。
「その王さまは、ある日お忍びで街にやってきたの。
そして、恐れ多くも、開店間もないこの酒場に足をお運びになったわ。
その頃このお店は『鰻の寝床』亭という、色気もへったくれも無い名前でした。
そこで王さまはなんと!出会った給仕の娘に恋をしてしまいました!」
ちょっとロマンチックな話だなぁって思うんだ。
それこそ、お芝居の筋書きみたいに。
偶然から始まる恋って、何かいいよねって思うんだ。
「しかし……王さまが酒場の娘に恋など、あってはならぬこと……。
結局、王さまは恋をあきらめたの。そして……、
王さまは、ビスチェを一つお仕立てになってその娘に贈り、
せめてもの恋のよすがとしたのよ。私のご先祖はその恋に激しく感じ入り、
そのビスチェにちなんでこのお店の名前を変えたの。美しい話ね……」
「美しい話ね!ミ・マドモワゼル!」
悲しみたっぷりに、店長さんが語り上げる。
ポーズまでしっかりと決めて、涙さえ浮かべながら。
なんか、ボクまで他の店員さんと一緒に「美しい話ね!ミ・マドモワゼル!」って言いそうになってしまう。
それぐらい、店長さんのセリフ回しは、一流の役者さんも真っ青になるものだったんだ。
「それがこの『魅惑の妖精のビスチェ』!」
……ただ、その服装のセンスって、どうなのかなぁって思ってしまうんだ。
店長さんがババッて脱いだその下には、たくましい筋肉の上に、下着みたいな形の服があるだけ。
……「スゴイや」って感想しか浮かばない。
多分、ボクじゃ絶対真似できないなぁって、思ってしまうんだ。
「今を去ること四百年前、王さまが恋した娘に贈ったこの『魅惑の妖精のビスチェ』は我が家の家宝!
このビスチェには着用者の体格に合わせて大きさを変えピッタリとフィットする魔法と、
『魅了』の魔法がかけられているわ!」
「素敵ね!ミ・マドモワゼル!」
「んんんん〜〜〜〜!トレビアン!」
チャームの魔法を使えるようになる服、かぁ……
戦闘に便利かもしれないなぁって、ちょっとだけ思ったんだ。
でも、モンスターにまで効果があるとは限らないから、なんとも言えないけど。
……少なくとも、ボクがスカロン店長を見ても、好感は持てても、
チャームにかかった、ってところまでは行かなかったしね……
きっと、着る人の個人差もあるんだろうなぁ……
「今週から始まるチップレースに優勝した妖精さんには、
この『魅惑の妖精のビスチェ』を一日着用する権利が与えられちゃいまーす!もう!
これを着た日にゃ、チップいくらもらえちゃうのかしら!
想像するだけでもうドキドキね!そんなわけだからみんな頑張るのよ!」
「はい!ミ・マドモワゼル!」
「よろしい!では皆さん!グラスを持って!」
従業員のみんながグラスを持つ。
ボクも、ミルクの入ったマグを両手で抱えて持った。
「チップレースの成功と商売繁盛と……」
ここで、スカロン店長さんがコホンと一回咳払いをして、かしこまった。
キリリとした、かっこいいおじさんの表情になる。
「女王陛下の健康を祈って。乾杯」
……このままでいてもいいと思うんだけど、なぁ?
・
・
・
厨房に戻りながら、背中のデルフに疑問を言ってみた。
両手に持ったお盆の上に、乾杯用のグラスがてんこ盛りだから、落とさないように、ゆっくりと歩きながら。
これ、全部洗うのに、どれくらい時間がかかるんだろうなぁ……?
「……なんで、こっちの人って、チャームの魔法が好きなんだろう……?」
「まぁ、恋だの愛だのってのぁ人間の特権らしいしな。
いいんじゃね?てめぇに魅力の無ぇヤツの慰めでよ。……どっかの誰かさんみてぇに……」
「ちょ、ちょっと!誰のことを言ってるのよ!誰のことを!」
ルイズおねえちゃんが、後ろから追いついてきて文句を言う。
開店前の準備を手伝うのは、新人妖精さんのお仕事なんだって。
「いんや?別に娘っ子のことじゃねぇぜ?『なんだよ、ガキか』って客にバカにされたり、
ちょいとケツ触られて客を爆発させたりするようなどっかの誰かの話だぜ?」
「こ、このオンボロ〜〜〜〜!!よ、よよよくもそんなことをっ!!」
……先週のルイズおねえちゃん、そのまんまだ。
ルイズおねえちゃんは、良くも悪くも貴族なんだなぁって、ときどき思うんだ。
でも、お店屋さんをやるときに、あんなにプリプリ怒ったりしたら、どうしようもないなぁって思う。
「……ルイズおねえちゃん。とにかく、頑張ろう?ね?肩の力を抜いて……」
「えぇ、もちろんですとも!あんな酒場女に負けるものですか!!」
……「あちゃぁ」って思ったんだ。
ルイズおねえちゃん、また無理に張り切っている。
それもまぁ、仕方ないなぁって、思わなくはないけど……
「お?自分に魅力ってぇのが無ぇのにようやく気付いたのか、娘っ子は?」
「……そうじゃないんだ、デルフ……」
「ん?何かあったんか?」
「それがね……」
話は、先週に遡るんだ。
ボク達が、このお店に来て、3日目に……
・
・
・
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ピコン
ATE 大人のみりき
それは、その日、何度目かの客のフォローで店中が追われた直後の話だ。
「ちょっと、ルイズ」
それは、その日、何度目かの客のフォローを指揮した店長の娘だ。
「ハイ、何デショウカ?」
それは、その日、何度目かの客をフォローする羽目になった原因の娘だ。
いつも思うんだがノリがいいよなぁ、この店員たち。
店長の娘、ジェシカは、真剣な顔でルイズにこう言った。
「さっきの接客は何だってのよ……いいじゃない、胸ぐらい減るもんじゃ……」
新人の娘、ルイズは、劣等感の急所を突かれて怒りながらこう返した。
「う、うっさいわね!減るのよ!き、ききききっと確実に減るのよ!あ、あんたに関係無いでしょ!」
ジェシカはため息を深くつき、指を折りながら、こう言った。
「おおありだわよ。わたし、女の子の管理を任されてるんだから。あんたみたいな子、迷惑なの。
常連のお客さんは怒らせるし。注文はとってこないし。グラスは投げるし。ケンカはするし」
ジェシカはもう一度ため息をつき、憐憫の眼差しをルイズに向けてこう言った。
「ま、しょうがないか。あんたみたいなガキに酒場の妖精は務まらないわよね」
ルイズは、“ガキ”という言葉に反応してこう返した。
「ガキじゃないわ!十六だもん!」
ジェシカは、本気で驚いた顔をした。
「え?あたしと同い年だったの?……にしては、大人の“みりき”ってものが……」
特に、ルイズのある一部を、女性に本来あるべき丸みの存在しない部分を見ながら、
魅力どころか“みりき”も無いことを再度確認して、プッとジェシカは笑った。
「ま、頑張って。期待してないけど。でも、これ以上やらかしたら、クビだからね?」
「な、なによ……、バカ女ってばそろいもそろって胸が大きいぐらいで……、人をガキだの子供だのミジンコだの……」
ルイズにとって、胸の話題は相当コンプレックスだったらしい。
魔法がいくら使えるようになったところで、彼女もやはり女性。
そこに「魅力不足」などと言われ、耐えれるわけがあろうか?
「チップぐらい、城が立つほど集めてやるわよ!」
だから、ルイズは大言壮語を吐いてしまった。
図星を突かれたときの、彼女の大いなる悪癖だ。
「え〜〜〜〜、ホント?嬉しいな!」
ジェシカがニヤリと笑う。
罠にかかった、鳥を見る猟師のような、そんな表情。
「私が本気出したら、すごいんだから!男なんかみんな振り向くんだから!」
「言ったわね?」
「言ったわ」
売り言葉に買い言葉。
女に二言はあるまいと、両者了承済みであることを視線で語る。
「ちょうどいいわ。来週、チップレースがあるの」
「チップレース?」
「そうよ。お店の女の子たちが、いくらチップをもらったか競争するの。優勝者にはきちんと賞品も用意されるわ」
今日はケンカの大安売り。
売られたケンカは買ってやる。
それが客だろうと店長の娘だろうと、
ましてや自分より多少胸が大きいくらいでえばっていやがるようなクソ生意気な平民の娘であろうと。
ルイズの頭はいつになく好戦的だった。
もちろん、ウェイトレスとしては失格である。
「おもしろそうじゃないの、あんたなんかに誰が負けるもんですか」
「せいぜい頑張ってね。チップレースであたしに勝ったら、あんたのことガキなんて二度と呼ばないわ」
それは、その日、何度目かの客のフォローで店中が追われた直後の話だ。
それを、ルイズの使い魔は、物陰から「あちゃぁ」と言いたげに、そっと見ていた。
それは、その日、何度目かの客のフォローで店中が追われた直後の話だ。
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・
・
「挑発に乗せられてまんまとチップ稼ぎ、か。娘っ子らしいっちゃらしいわな」
お客さんが飲み食いした後のテーブルを片づけながら、デルフとしゃべっていた。
周りでは妖精さん達がチップのためにがんばっているみたいで、
しゃべる言葉ではやんわりしているけど、
獲物を狙うハンターのようにギラギラしたオーラを感じてしまう。
うーん、みんな、必死だなぁ……
「やる気になるのはいいんだけど、ね……」
「お、可愛いじゃねぇか!どうよ?俺様の妾にでもなんねぇ?なーんてな!がっはっは!」
これはルイズおねえちゃんに向けられた言葉だ。
ルイズおねえちゃん、顔をピクピクと引きつらせて耐えている。
……殴らないでいてほしいなぁ、いくら失礼なお客さんでも……
あ、もちろん、蹴ったり平手打ちしたりもダメだよ?
「接客って、大変だよね……」
厨房まで大きなジョッキとお皿を運びながら、改めてそう思う。
お客さんを楽しませるために頑張ることに比べたら、お皿洗いってとっても楽だなぁって思ってしまうんだ。
特にこのチップレースが始まって5日ぐらい、それを強く思う。
「しかしまぁ、ジェシカとかゆー姉ちゃん?あれも大概口が悪ぃな?おれっちが言うのも何だけどよ」
「あぁら、口が悪くてゴメンなさいね〜!」
デルフ、しゃべるとその話している対象が出てくるって能力も持ってるのかなぁ?
厨房の入り口傍で、ジェシカおねえちゃんが休憩してた。
手には、サックサクのタルトを持っている。
「え、い、今のはボクが言ったんじゃ……」
「ハイハイ、分かってるわよ。そこの剣がしゃべくってるんでしょ?剣含めて変わった“姉弟”よね、あんた達……」
……ここでは、ルイズおねえちゃんとボクが姉弟ってことになっている。
余計なことを言わなくても済むための嘘ってことで。
……ボク、嘘は苦手だから、この話を続けられるとボロが出ちゃいそうだし、話をそらすことにしたんだ。
「……ジェシカおねえちゃんは、接客しなくていいの?」
「へっへ〜ん!もう百二十エキュー集めちゃったしね。ちょっと休憩よ。それと、ハンデ。こうでもしないと、あの子勝ち目無いでしょ?」
「うっへ、稼ぐなぁ、姉ちゃん!」
デルフが驚くとおり、ジェシカおねえちゃんはものすっごく稼いでいる。
ルイズおねえちゃんの、100倍。もしかしたら、1000倍以上に。
(ルイズおねえちゃんが全然稼げてないだけかもしれないけど。ルイズおねえちゃん、すぐお客さん殴っちゃうからなぁ……)
……そんなジェシカおねえちゃんに、ちょっと聞きたいことがあったから、聞いてみた。
「……どうしてルイズおねえちゃんにあんなに酷いこと言ったの?」
「酷いこと?……あ〜、先週のアレ?あんなの、ただハッパかけたってだけよ。
あぁいう、プライドの高い子って、怒らせるとやる気が出るしねぇ」
「……う〜〜ん、それでも酷いような……」
言いたいことは、なんとなく分からなくは無い……ような気もするような……
確かに、ルイズおねえちゃんを挑発すれば、すっごく頑張ってしまうのは分かりやすいと思う。
ルイズおねえちゃん、負けず嫌いで、意地っ張りなところがあるから。
でも……ルイズおねえちゃん、頑張り『すぎる』からなぁ……
「そうでもしなきゃ、まともに接客できるような状態には仕立て上げられないしねぇ。
ホンット、貴族の女の子には、荷が重すぎるのよ、飲食店なんてさぁ」
ドキッとした。なんでバレなたの?って思った。
「!? き、貴族なんかじゃないよ!ルイズおねえちゃんは!う、うん、違うよ!」
慌てて否定する。バレてないって思いたかった。
お姫さまの任務のためにここにいるって、バレちゃうと大変なことになりそうだったから。
「……バッレバレなんだけどなぁ〜……まぁ、いいわよ。余計な詮索はしない。
この間入った子も秘密だらけだしなぁ……そういえばその子もチップレースはボロボロよね」
「……あぁ、あの人?」
ルイズおねえちゃんから、話がそれて、ホッとする。
(『バッレバレ』っていうのは、気にしないことにした)
ジェシカおねえちゃんが顎で指し示した人は、ルイズおねえちゃんの前に入った人。
メガネをかけた金髪の妖精さん。
「おい!何かしゃべったらどうだ!おい!」
「……」
あの人の接客も、変わっているなぁって思う。
お客さんに丁寧は丁寧なんだけど、一言も発しない。
ボク達が店に来てから、口を開くところを誰も見てないって、誰かが言っていた。
……なんか、見覚えがあるのは気のせいかなぁ……?
「はぁ、顔は良いのになぁ二人とも……いっそ、ビビちゃんが接客した方が良かったかも、ねぇ?」
「う、う〜ん、どうだろう……」
ボクは、あまり接客には向いてないと思うんだけどなぁ……
「真面目に皿洗いしてくれてるし、可愛いし……10年ぐらいしたらいい男になってそうだし」
「え……あの……」
そんなことを言われると、困ってしまう。
ジェシカおねえちゃんの顔が、ボクの顔のすぐ目の前までジリジリせえまってくる。
「プッ!あははははは!じょーだんよ!冗談!あぁ、もう、からかいがいがあるわ、あんた達!」
それから、噴き出すように笑うジェシカおねえちゃん。
……からかわれてたみたいで、恥ずかしくなって帽子を深くかぶりなおした。
「あ、あにしやがんだ!このガキャ!?グワァ!?」
ガシャーンっていう音にビクッとして厨房から店内を覗き見た。
「だ、誰があんたのベッドになんかぁぁっ!?」
……「あちゃぁ」って言ってしまった。
ルイズおねえちゃん、お客さんにまた何か言われてしまったらしく、
ワイン瓶を振り回して真っ赤な顔で怒っている。
……『からかいがい』はあるのかもしれないけど、からかわない方が身のため、じゃないかなぁ、アレって……
「あ!?全く、あんたの“お姉ちゃん”、5日目にしてもやってくれるわ!ちょっとフォロー行ってくるわね!」
「あ、うん……いってらっしゃい……」
ジェシカおねえちゃんが走って行って、うまくそのお客さんをなだめながら、
ルイズおねえちゃんをそのお客さんから離すようにしていた。
ジェシカおねえちゃんを見ると、やっぱり接客のプロって違うんだなぁって思う。
「……娘っ子の勝ち目無さそうだな、この分だと」
「……そうだね」
チップレースもあとちょっと。
ルイズおねえちゃんが勝つのは……ちょっと無理そうだなぁって、そう思ったんだ。
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ピコン
ATE タバサとごくらくちょうと……
にんぎょうげきが はじまるよ!
にんぎょうげきが はじまるよ!
ぼっちゃん じょうちゃん よっといで!
にんぎょうげきが はじまるよ!
あやつりいとが さそうがままに
きょうも にんぎょうげきが はじまるよ!
ぶたいは きけんな ドラゴンの すみか!
でもこわいのは ドラゴンだけじゃない みたい!
にんぎょうげきが はじまるよ!
〜〜〜〜
「(不味い)」
タバサは、小一時間ほど前と同じ感想を抱いた。
違いと言えば、先ほどのは文字通り味覚に関する“不味い”であり、
今現在抱いているものは、自分の体調を危惧しての“不味い”ということである。
『季節外れの極楽鳥の卵が食べたいから、取ってこい』。
任務の指示としては、実に単純。
だが内容は困難を極めるものだった。
今回の任務は、実に疲れるものだった。
火竜の体力に身体のあちこちは痣と傷だらけ、
火竜のブレスに精神力のほとんどを費やした。
少しの食事と休憩で、それらは回復したかもしれない。
が、やはり万全とは言えない。
だから彼女は二度目の“不味い”を感じたのだ。
(なお、余談であるが、一度目の“不味い”は、件の極楽鳥の卵を食した感想である。
やはり、旬を外したものというのは、味もそれなりということなのであろうか。
このような物を、どうしても、と食べたがったイザベラの趣向に、
味の好みが、一般とはやや異なるタバサも首をかしげざるを得なかった)
少なくとも、体力だけは6割でも確保しておきたかった、とタバサは歯噛みする。
北花壇騎士としての任務が何時入ってくるとも限らない。
立て続けに仕事が舞い込んでくることなどザラで、
学生だから、とか、重要な任務を果たした直後だから、とかいう甘い言い訳は通用しない。
タバサ自身もそれは了承済みだ。
復讐という望みのため、自らを修羅の道に投じた彼女にとって、それは避けては通れぬ日常だった。
そのためにも、6割程度の体力は残っていてほしかった。
「きゅい〜……おねえさま、大丈夫なのね? もう少し休んでいった方が……」
「――問題無い」
それでも、使い魔の心配を切って捨てる。
見た目にも疲れていることが分かってしまうとは、不覚だ。
一刻も早く報告を済ませ、出来る限り休養を取らねばならない。
彼女は、自分の体調を、武器の修繕を行う鍛冶屋のごとく冷静に判断した。
「待て」
ふいに、声がした。
濃密な麓の霧靄を隙間を縫うような、クリスタルグラスの声。
「何者」
木陰の向こうにわずかに感じる気配に、タバサはそう問うた。
「お前に要求したいことがある」
気配が実体を伴って、霞から姿を現した。
薄い茶色のローブ、つば広の羽飾り付きの異国の帽子、
長身痩躯の身体に美しい金髪。
実体が見えるにも関わらず、周囲に溶け込み消えそうな気配。
「何者」
底知れぬものを感じ、再びタバサは問うた。
「……失礼した。お前達蛮人は、初対面の場合、帽子を脱ぐのが作法だったな」
帽子の下には、均整のとれた美が存在した。
切れ長の碧い瞳に、白い肌、こぼれるような金の髪、
そして、長い耳。
「私は“ネフテス”のビダーシャルだ。出会いに感謝を」
「エルフ」
タバサの身体が、第一級の警戒態勢を取る。
それは、捕食者を前にした小動物の動き。
「安心しろ。要求さえ飲んでくれれば、危害を与えるつもりはない」
「要求?」
張りつめた空気。
普段はうるさいはずの風韻竜も、口を閉ざさざるを得なかった。
「単純なものだ。抵抗しないで、共に来て欲しいということだ。
我々エルフは、無益な争いを好まない。だが、約束をしてしまった。
お前を連れていく、という約束を。だから、できれば穏やかにご同行願いたいのだ」
「拒否した、場合は?」
相手の、出方を見極めようとする、タバサ。
敵う相手ではない。
先住魔法を操る、この世界で一番の化け物、エルフ。
方や、疲労の色を使い魔にすら隠せない、少女のメイジ。
隙を見て逃げ出すのが得策だとそう考えていた。
「……“これ”を、見せれば良いと、依頼主から言われている」
「――!!」
“これ”は、数本の糸の束に見えた。
丁度、操り人形の手足を動かすための、操り糸のように。
タバサは、“これ”が人形の手足に絡む様を、確かに見たことがある。
その人形は、操り人形では無かったが。
その人形は、かつてタバサがシャルロットだった頃に、母にもらった人形だった。
その人形は、かつて“タバサ”と呼ばれていた人形だった。
その人形は、今は“シャルロット”と呼ばれる人形だ。
その人形は、今はタバサの母が、娘と思い込み、大事に抱えている人形だった。
“これ”は、青く、長く、美しい色合いだった。
「“これ”の持ち主の身は、依頼主が預かっている」
タバサの母の、髪の毛。
タバサが、救いたいと思っている、優しき母の髪の毛。
それが、“これ”の正体だった。
『ドクン』
心臓の音が 跳ね上がる。
戦いの 銅鑼のように 強く 激しく。
『ドクン』
彼女は 人形だ。
彼女自身 それを認めている。
『ドクン』
心臓の音など するわけがない。
そうだ 心臓の音など してはいけないのだ。
「お、おねえさま!?し、シルフィもお供するのね!!一緒に戦うのね!」
「下がってて」
「お、おねえさま!!」
「貴女は 待っていて」
使い魔の優しさを 無碍に 断る 小さきメイジ。
それは 彼女なりの 優しさ。
これは 自分の問題だと 彼女は考える。
使い魔を 巻き込むわけには いかない。
使い魔も 今回の任務で 疲弊している。
共に闘っても 考慮すべき要素が増える だけ。
ならばいっそ 助けでも呼びに行ってもらった方が マシというものだ。
冷静な判断? いや 違う。
血が 体中を流れる血液が 逆流していくような錯覚を覚える。
しかも それは 生物に通うべき 熱き血潮では 断じて無く
押し寄せる氷河のごとく 冷たい奔流であった。
深く 凍えるような 怒り。
人では 耐えることができぬほど 静寂に満ちた 憤怒。
「きゅ、きゅいぃぃ……」
伝説の風韻竜すら その凍りつくような迫力に気圧され
小さき主の傍から そっと飛び立った。
「(ありがとう)」
主のつぶやくような、感謝の気持ちを背に受けて。
『ドクン ドクン』
使い魔を 見送った 少女から
身を突き刺すような オーラが発せられる。
そんな彼女も かつて 人間であった。
そんな彼女も かつて 普通の少女であった。
だから こそ
「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ウィンデ……」
彼女は 怒り
『ドクン ドクン ドクン』
彼女を 突き動かす。
「交渉決裂ですか」
エルフの先住魔法か 放たれた氷の矢群は 防がれ 敵の足元にポトリと落ちた。
だが 戦いは ここからだ。
「ラグーズ・ウォータル・イス……」
再び、ウィンディ・アイシクルの呪文詠唱を始める。
母の髪の毛は 罠? ブラフ? あぁ そうなのかもしれない。
頭の隅では分かっている。
だが 演目は既に始まっている。
少なくとも こいつとこいつの“依頼主”は 彼女の母に仇なす者。
誰に 止められるというのだ?
ましてや 孤独に 戦うことを選んだ
哀れな 戦人形になど?
憤怒に彩られる 感情と
騎士としての 戦闘経験が
彼女の 身体を 内側から
操り人形の 糸のように 踊らせる。
「――!」
氷の矢は またもエルフの目の前で
今度は クルリと向きを変え 詠唱者自身に 跳ね返る。
誰かが描いた 脚本通りに。
雪風が舞う。
操り人形の 身体が踊る。
観客が望むように 劇作家の描いた その通りに。
理性 感情 経験則 本能 ありとあらゆる糸が 少女の手足を 振り回す。
杖で氷の矢を落としながら 新たな呪文を詠唱する。
「ラグーズ・ウォータル……」
縦横無尽に 緊張と 弛緩を繰り返す 糸達の合唱に
もう一本 新たな糸が加わった。
魔力を司っていた 三重奏の糸の音に
透き通るような ソプラノの音源。
トライアングルからスクウェアへ。
メイジとしては 得難い 成長の瞬間。
「……イーサ・ハガラース」
呼応に応じて 現れるは ダイヤモンドダストとでも言うべき
煌めく 氷の竜巻 アイス・ストーム。
触れる者を切り刻む 美しき刃の渦。
スクウェアクラスでしか成しえぬ 氷と風の芸術品。
蛹が 蝶へと化ける 歓喜の時
だがそれがなんだと言う?
舞台に上がった 役者の仕事は 唯一つ。
手足を 止めるわけにはいかなかった。
だが それももう終わりに近い。
「っ――!?」
エルフの瞳に潜む物に タバサは気づいてしまった。
それは “遠慮”。
タバサを敵とすら 見なさない 憐れみの表情。
三度 氷の魔法はエルフに届かず 跳ね返る氷の嵐。
ドラゴンとの死闘 それ以前から溜まる 任務による疲労
少しばかり冷静さを欠いた 彼女らしからぬ戦い方
忌避すべき敵 先住の魔法を操る 恐るべき化け物
筋書き通りに
操り人形は 踊り狂い
操り糸に 絡まって
自らを 後戻りのできぬ
死地に 追い込む。
あがき もがき 苦しんで。
逃げようとするも 時は戻らず
哀れ雪風は 氷嵐に包まれて
ズタズタに 切り裂かれた。
理性 感情 経験則 本能 あらゆる糸が 沈黙に陥る中、
一番弱かった 理屈を考える糸だけが 小さくポツンとつぶやいた。
「(罠に、かかった)」
操り人形の 瞼は落ち
現世の劇に 一時の暗幕
目覚めたときに 見えるのは
どう転んでも 悪夢であろうか……
〜〜〜〜
にんぎょうげきは まだつづく!
にんぎょうげきは まだつづく!
ぼっちゃん じょうちゃん またおいで!
にんぎょうげきは まだつづく!
タバサは これから どうなるの?
おはなしの つづきは またこんど!
でもね これだけは おしえよう!
にんぎょうげきの おわりは
もう すぐ さ……
------------------------
本日は以上で おま
本筋よりも脇道の方がシリアスですまんです。
実は書く時間も脇の方が……(ゲフンゲフン)
いつもいつも支援等おありがとうございます。
それでは、お目汚し失礼いたしました。
いずれ、また。
あ、ちなみに、途中でさるさん喰らったんで、ID途中で変わりました。
かさねがさねご迷惑をおかけいたします。
では。
乙。
今回の番外は文章にクセがあったなぁ。
ゼロ魔さん乙でした!
ホントにビビがやった方が受けが良いような気がするw
ただ、僭越ながら一つ目のATEはATEとは呼べないような……
ところで今更聞くのも何だけど、ATEってギリシャ神話の女神のことでいいの?
A(アクティブ)T(タイム)E(イベント)の事。
FF9のシナリオのキモと言っても過言ではない。
ジタンやビビなど、プレイヤーがその時点で操っているキャラクター以外が、「その時点で」体験しているイベントをプレイヤーの任意(一部強制あり)で見ることにより、
よりストーリーに入れ込むことを企図したシステム。
よって今回のATEの一つ目はATEと呼ぶには過去が対象になっているから、あまりATEと呼ぶのにはそぐわない。
まぁ、シナリオ的にあそこにあの話を入れる事自体は問題じゃないんだけどね。
なるほど、「一方その頃、別の場所にいるこのキャラは」みたいなもんか。
……余裕があったら、そのうち俺もFF9やってみようかなぁ。
ラスボス以外は文句なしに面白いぜ
ラスボスはペプシマン
せめてもう少しペプシの伏線が張ってあったらねえ
唐突過ぎてそこまでのストーリーぶち壊しだったな
>>710 発売当初にFF9やったけど、そんなんあったっけ?
全然覚えてないわ。
ゼロの雷帝って4話までしかないの?
続きが超読みたいんだけど…あのいい所で終わっちまったの?
よくあることだ。
俺らができるのは信じることだけ。
ハルケの文字の形ってどんな形か出てきたっけ
味、おぼえてますか?
そんな懐かしいCMを思い出しながら、お久しぶりの投下をしたかったりする今日この頃でございます。
さて、予約がなければば9:00より投下します
「あ……は……ぁ…………かっはっ……はぁぁ……ぁぁぁあ……んぅッ!」
のたうつ。灼ける。全身を、裂く。痛み。
苛烈なまでの激痛、憎悪、還り、抉る。
斬られ、裂かれ、割れ、燃え、溶け、砕く。
全身が/精 神が/ 書が/ た呪詛=悪夢/
亡 霊 が/返され 破壊された術式
破れた 斬られ・た 潰れ
壊&れ
!抉れ 燃え
見える。壊れ、た、あの傷が返って、肉を焼、く。
「うっ………ぐぅぁ……がっ……はっ……ぁぁ……ぅあああ……あぁぁぁ……!」
それはあらゆる(それ)はそうです。あれです。ますます寒く暑く辛くなる世界の中心半分
愉快辛苦痛烈開会です。知ってます私の彼は私にそれはその時知りましですか。はい、それらは
歩いて殴ります、知ってます。ですね、私は悪霊を得て、悪霊はあって、あるときを消します。
消した私、私、彼、それ、どれ、あれ、です。です。得ます、捨てます、捨てる時は、が見える
闇はいます。中に巣食って、司令をだす、守護者はです。悪です、%%&から着ます。着てるのは
初期から、後で、(もしく)は、あるます。また、だれが、そうなのです。そうであって、
知ってます。
回る時には、私で見て、中を覗くことで、静かななのです。共通は物質で、吸って、歩きます。
いますは、中に、アレです。呼びます、それは呼ぶことで蹴ります。囁くのはそれです。脳が
手を出して、(転んで、がデータになってあのころは、でと強制します)が言います。
どれがあの人であるかを潰れて呼びます。強制です。人形はゲートで見えないです。そうです。
あれはははは、$’$%%&で、が、君は、P++*GFで、☆でららららららららららら
でででえうyっはあはぐyふぁいぶち君とは、ウアskさbksstydq7いうぇぼx
そうであってこそ(CJDCU%Y的に、予測指導的にで、ある)ものが呼ぶあるのです。
いぐなああうbヴktびうbt、中にいる、いるイルイ瑠璃ルルるるいるるるるるるるるるるるる
私、あれはいるのでででえ、止めて、助けけけけえええええええええええええええええええ
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
えええええええええええ
「――――あああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!」
返された呪詛が、全身を切り刻んだ。血の代わりに、灼けるような激痛がフーケの身体を襲った。
いっそ血を流した方が楽になるのではないか、そう思うほどの激痛に、身を掻き抱く。
「うぅぅっ! うぁっ……あぁっ……がっ……ぐっ……うぅぅ……!」
叫ぶ/荒れ/狂う痛覚が、全身/魂を・麻痺・壊死させる。
動け・ず・路地裏の薄汚れた地面に倒れこむ。
「痛い……いたい……たい……いたいいたいいたいいたいいたいたいたいたいたいたいたい
いらい……いらいぃ……いたい……いた……っ……ぁぁ……!」
赤子のように身体を丸め、身体を竦める。何度、痛みを口にしても、それが消える事はない。
体内で、返された呪詛が暴れる。皮膚の下を這うような蟲の感覚がおぞましい。
本来ならば理解すらできないはずのその事象を、フーケは脳に刻まれた情報で理解する。
身体を食い荒らされている、食い破られている、臓腑を咀嚼されている。
呪詛は一切の慈悲なく、フーケを苛む。
「――――っ!」
脳内に刻まれた【式】で強制的に痛覚を遮断する。式を選び出し、実行する。
呪詛を体外へ排出、精神的高揚状態を構築、血流安定、字祷子構成安定、肉体は一時的に賦活。
「ぐ、ふっ……うぅ……ぐぅ……っ! うぁ……うぅ……!」
痛覚の残滓を引きずりつつも、立ち上がる。胸中に宿る憤怒で己の肉体を操作する。
「そ……ぅさ。私は……あぁっ! あ、あ、アイツらを…………あいつらを……貴族を……!」
その瞳にあるは憎悪。全てを燃やし尽くさずにいられぬ闇色の炎。全てを奪われた女の、怨嗟。
フーケ、否、マチルダ・サウスゴータという女の持つ怒りがそこにはある。
――いや、ソレは本当に彼女=マチルダであったのだろうか
「あ……はは。そうさ……そうだった。私にゃ力があるんだ……。だから……だから…………さぁ」
双眸は天を仰ぐ。それはこの世を怨むような色を帯びている。→だが、それはホントウ?
「壊してやる……壊す……全部……あいつらを……。でも――――」
双眸に宿る色が変じた。言うなれば黒が紅に、青が赤に、緑が黄色に、汚濁した虹色へと変じた。
そこには、異界の、外道の智識が見せる姿があった。それは、あのヴァリエールの娘と
彼女の召喚した使い魔。書の持つ奇跡が幻視する異次元の光景。
「――あはっ☆」
その唇が唐突に薄い半月に歪んだ。無邪気に虫の手足をもぐ子供の酷薄な笑みが張り付いていた。
「なーんだ。なんだなんだなんダァ。それってばぁ、超KY邪魔邪魔チャンじゃなぁいのヨ☆
殺す? あったりまえじゃなイ。邪魔するのって空気読めて無いって感じ? みたいな?
じゃあ、やっぱりあの子達は、殺さないと駄目よねぇ?」
喜色に歪むその顔、そこには既に苦痛はなく、ただただ愉悦と快楽――そして、狂喜が在る。
「ふふっ……んぅっ……んぅっ。あはぁ……あははっ……はは……ぁ、んっ……あはっ」
上気し、紅く熟れた唇に舌が這う。身体を掻き抱く仕草は妖しく、艶やか。はだけた裾から
覗く太股へ指先が蛇の如く、蛆の如く這う。漏れる喘ぎは、悦楽に溺れていた。
「あ……はっ。じゃあ……んぁっ……どうすれば、良いかしら? あ、あ……あ、ある、ジャナイ。
そ、そそうだわ、宝物庫、宝物庫。あそこ……んぅ、いっぱいいっぱいあるの。あら、ソウ!
釣れる……んっ、かしら? つれるわヨン☆ そうカナ? そーゥYO!イイ、イイわぁ!
アンタってばナイスアイデアだわぁ♪ ははっ……あははっ☆」
まるで道化師のようにフーケはくるくると踊りだす。袖を長く長く垂らして振り回す。
その姿がまるで彼女ではなく別の何かが乗り移っているように見えたのは、なぜか。
「はぁっ……ああん……んふふっ……あはっ。はは……んっ……くすっ……んぅ……」
誰も通らない路地裏に女の/道化師の笑い声/狂笑が。
*****
夜が来る。トリステイン魔法学院の宿舎に宿る光はそこにある暗闇を和らげ、安息の時を約束する。
連なる安息の灯の一つ、ルイズの部屋の中はと言うと――
「…………死ぬる」
「ああ…………死んだ」
瀕死の状態の少年が二人、床にぶっ倒れていた。厨房で延々と皿を洗い続けたギーシュ、ホールで
女装させられたまま働かされた九朔、無銭飲食分働いたお陰でもうライフポイントはゼロだ。
「アンタ、馬鹿でしょ」
「でも、ダーリンってばかわいかったわぁ。アタシがヴァリエールの代わりにメイドさんで雇って
あげたいくらいよ」
「そこ、ダーリン言うな。あと、勝負に負けたんだから部屋からとっととゲラウッ!」
「やぁねぇ、ヴァリエールったら。細かいことを気にしたらハゲるわよ? コッパゲ先生みたいに」
「だれがハゲるか!」
「自業自得」
頭上で繰り広げられるかしましい十字砲火に一言物申したい九朔だが、あの妖蛆と戦った後、再び
妖精亭に戻って働かされたのだ、おまけにルイズやキュルケ達に見られる羞恥プレイつきで。
もう、肉体疲労と精神疲労で身も心もヴォドヴォドだった。
「クザク…………耐えよう」
「ああ……」
突っ伏したまま、ギーシュと共になぐさめあう。
(しかし……)
そんな中、九朔は昼の事を思い出す。取り戻した記憶、巨大な蛆、血に宿る魔術の智識。
(虫食いの書物だな、まるで……)
今はまだ黒塗りにされたままの項【ペヱジ】を思う。それがペヱジとは気づかないままでも、
魂に刻まれたソレが九朔に妙な確信を与える。
(戦うたびに戻ってるのか、己【おれ】の記憶は)
一度目はギーシュとの戦い、二度目はあの妖蛆との戦い。確実に戻る智識【ちから】を感じる。
(だが、今はまだ何も言う必要はないか)
やかましく自分の仇敵だという少女と騒ぎあう自分の主を思う。自分を無力だと思っている彼女の
ことだ、下手な事を言って傷つける事になるのは明白。
この世界へ呼ばれてそこそこ日が経つが、実に分かりやすいルイズの性格はそういうところで
ありがたいものだった。
「こうなったら勝負よ! 今度こそぐうの音も出ないくらいにしてあげるわ!」
「あらぁ。貴族同士の決闘はご法度じゃなかったっけ?」
「け、決闘じゃないからいいのよ!」
そして、こういうところも。
「でも、それって言い方変えただけじゃなくて?」
「へ、へぇ……まま、負けるのが怖いのかしら?」
「別にぃ。昼間はこっちはこっちで色々立て込んでただけだったし……まあ、ヴァリエールが
やりたいなら良いけど? ああ、でも、時間も遅いしちゃっちゃと終わってくれると嬉しいわ。
ほら、ヴァリエールと違ってお肌のお手入れ大変だから♪」
にこにことからかい半分に挑発するキュルケにルイズの顔が一気に真っ赤になる。血圧無限大で
変身できそうだ。
「きぃぃぃぃ! それなら勝負よ、勝負! 外に出なさいツェプルストー!」
「仕方ないわねぇ、おこちゃまって。じゃ、お付き合いしてあげましょっか」
そういって、キュルケとルイズが部屋を出て行く。もちろん、ギーシュと九朔を放置して。
静かになった室内でタバサの本を捲る音だけがする。
「行ったようだね……」
「ああ……」
立ち上がり、ギーシュと九朔は床に腰を下ろした。
「いや、彼女達の喧嘩は毎度の事だが、よく飽きないものだ」
「お互い、なんだかんだで楽しんでるとしか思えん」
「そうだな」
うんうんと、九朔とギーシュは頷く。そして、そんな二人の後ろでルイズのベッドに腰掛ける
タバサは変わらず本を読んでいるばかり。
「しかし、タバサ。汝は行かなくて良いのか? キュルケは友達だろう?」
「そういえば。君はいつも彼女と行動しているな」
「見なくても結果は明白。行く必要がない。それよりも――」
言いながらタバサはほんのページをめくり、ちらりと九朔へと目を向けた。
「あなたに話がある」
「我か?」
特に心当たりがないのだが、と思う九朔。そして隣では驚愕の表情を浮かべるギーシュが。
「ク、クザク……君って奴は……なんという色おとこたわらばっ!」
最後まで言わせず顔面に裏拳を叩き込む。ある種パターンになっている気がしないでもない。
のびたままのギーシュを放置し、九朔は眼の前で読書を続けるタバサへ翡翠の瞳を向ける。
「で、話とは?」
「ここでは話せない」
そういって本を閉じ、のびたままのギーシュを指差す。
「ついてきて」
ベッドから降り窓へと向かうと、タバサは口笛を吹いた。そしてすぐさま、窓の外に一匹の竜が
現れる。
「シルフィードか」
「彼女に関係がある。乗って」
シルフィードの背に乗るタバサに誘われるがまま、九朔も一緒にその背に飛び移る。
「そういえば」
「何?」
「ギーシュは?」
「…………」
視線の先で気絶したままのギーシュ。幾らか間が空いたが、タバサは答えた。
「こうする」
『レビテーション』の魔法を手早くかけ、窓の外へとギーシュを運び、
「で?」
「部屋に」
部屋の窓へとシルフィードを向かわせると、そのままギーシュの体を放り込んだ。実に小気味
良い音を立てて室内をバウンドして転がり、停止するギーシュ。
そのまま生命活動まで停止いなければ良いのだが――
「もんもらんすぃ〜……」
前言撤回、心配の必要すらなかったようだ。頭にたんこぶを作りながら鼻の下を伸ばすギーシュに
呆れつつ、九朔は前に座るタバサへ声をかけた。
「いくか」
「じゃあ上に――シルフィード」
「きゅい!」
そして、シルフィードの背に乗りはるか上空へと向かう。
見る見るうちに豆粒のようになる学院。広がる風景、眼下には夜の帳の中に燈る人の生活の灯が
ちらほらと見えるばかり。
「しかし、ここまで来る必要があるのか?」
声をかけた九朔へとタバサが振向く。青の瞳は変わらず感情の色を見せない。
「学院内は目がある。ディテクトマジックでも油断は出来ない」
「そうか。しかし、そこまで気を使わねばいけない話なのか?」
「その通り」
そういってタバサは頷く。
「少なくともシルフィードは韻竜、既に滅びたと思われる種族。その存在が露呈するのは余計な
騒ぎを招く恐れがある。だから、貴方には彼女のことを黙っていて欲しい」
「別に構わぬが、またどうしてなのだ?」
「アカデミーに連れて行かれる可能性がある」
「アカデミー? なんだ、それは? その口ぶりからは、余りいい話ではないようだが」
「トリステイン王立直属の研究機関。あまり良い噂を聞かない場所」
そこまで言って、タバサがちらりとシルフィードへと目配せをした。
「様々な実験を行なう機関と聞く。魔法の実験では飽き足らず、希少な種族を捕獲し生体実験に
用いたり、ばらばらに解剖するという噂もある」
一息で言い切るタバサ、それに絶句する九朔であったが、何よりもそれに一番衝撃を受けたのは……
「きゅ、きゅきゅきゅいきゅい〜〜〜! お、おねえさま! シルフィそれ初耳の話なのね!」
シルフィードだった。さすがに後ろに乗せてる九朔とタバサを振り落とすほどではないが、相当に
驚いていた。というより怯えていた。
「ししし、信じられないのね! ややや、やっぱりお姉さまに召喚された時に話さなくて良かった!
してたらシルフィはばらばらだったのね! いやー! シルフィは死ぬのいやー!
もう話さないのね! 下でなんかぜ〜〜ったい話さないのね!」
「うるさい」
「あいたー!」
杖で頭を殴られ、鳴き声を上げるシルフィード。
「またぶったなのね! 両親にもぶたれたことないのに!」
「殴られもせずに一人前になったものはいない」
「し、シルフィは一人前どころか十人前だってへーきなのね!」
「……」
「……」
沈黙。ひゅー、という風の音が鳴るくらい寒い空気が流れた。
「きゅ、きゅい? おねえさまもクザクも何で黙るの?」
「あー……」
「別に何もない」
「き、気になるのね! なんかシルフィがすっごいお馬鹿さんみたいに聞こえるのね、その言い方!」
そして、再び沈黙。九朔とタバサは互いに顔を見合わせ、無言の内に頷く。
「なに、大丈夫だ。強く生きていけばいつか良い事もあろう」
「人生はまだ長い」
両者、どちらも声にこれといった感情はこもっていない。が、しかし、明らかに
「まあ仕方ない、シルフィードだし」的な響きが含まれていた。
「う、ううう〜〜〜〜〜! 人をお馬鹿にしくさって二人ともシルフィの背中から落として――」
――ドクン
異質な音ならぬ音、三人の表情が一斉に変わった。そして全員がある一点へと視線を送る。
眼下、夜の暗闇の中で一際大きい灯を輝かすそれに――トリステイン魔法学院に。
微かな振動音が遥か下方から、大きな灯が揺れる。
「タバサッ!」
「シルフィード」
「りょうかいなのね!」
風を斬り、大気を裂き、翼を鋭角に大加速を行なう。引き剥がされぬよう九朔とタバサは身を屈め
必死にシルフィードの背に掴まる。天上の星のような大きさであった灯が、数える間もなく眼前で
明確な形を持った建造物に変じる。
そして――
「なんだ、あれは――!?」
九朔はその翡翠に見た。
学院の中心、塔に張り付くソレ。岩と汚濁した粘液質とを混ぜ合わせた皮膚を布で覆う歪な巨人。
夜の中にあっても灯に照らされたそれはおぞましいほど醜悪、有機と無機のヒトガタは吼える。
「あのようなゴーレムは初めて見る」
「きゅい〜〜!」
タバサの声とシルフィードの鳴き声を聞きながら九朔は下方を見る。学院に張り付いた巨人の
その姿、既視感<デジャヴュ>がある。
(我は、一度これをどこかで見たことがある……?)
頭の片隅で鳴り響く鐘の音がひどくうるさい。
見たことがある。それは、遥か昔に。遠い未来に。酷い矛盾が脳内でメビウスの輪を作る。
全身を掻き毟りたくなるような違和感、頭を割らんばかりの鐘の音に叫びそうになる。
だが――
「あ」
タバサの声に、現実へと引き戻された。覚醒する意識、こちらの様子を気づかれないよう、
再び下方へ視線を、翡翠の瞳を向ける。
そこに映るのは巨人の手が学院へと伸びる光景。そして、学院の壁へと触れ、壁が。
――腐り堕ちた。
そう表現するしかない。まるで草花の一生を早送りで見るようだった。溶け落ちた壁だったものは
液体とも個体とも付かない状態で地面へと落ち、その周囲すら腐らせた。腐臭が辺りに漂う。
「酷い匂い」
眉を微かに顰め、タバサが口と鼻をマントで押さえる。
「きゅい〜〜!」
それはシルフィードも同様で匂いが届かない位置まで距離を離す。だが、九朔は変わらず巨人を
見続けていた。そして、見た。巨人の中から現れるその影を。フードを被り、延ばした袖を垂らす
奇怪なその姿を。
「人……なのか?」
それは、夜の中でも目立つ派手な色合いの服装。まるで道化師のような格好。
その人影はゆっくりと、楽しげに、まるで見せ付けるように、右へ左へと踊りながら巨人の手を
伝って穴の開いた塔の中へと入っていく。
「恐らく、あの場所は宝物庫」
「宝物庫? じゃあ、あれは盗賊の類という事か?」
「まず、間違いなく。相手は『土くれのフーケ』と思われる」
そう言って人影の消えた穴へと視線を向けるタバサ。その視線の先から、先ほどの奇抜な服装を
した人物の姿が穴の中から、箱を片手に現れた。
「捕まえられぬのか?」
「無理。何故か分からないが、シルフィードが先ほどから怯えっぱなし。近づく事もできない」
「だが――――っ!?」
氷を流し込まれたような悪寒が九朔の全身を駆け巡った。腐臭を伴った粘着質の気配に肌が粟立つ。
邪悪な波動、それは確かに眼下から。翡翠の瞳がそれを見る。そこにいるモノを見る。
それは道化師の仮面。笑顔を貼り付けた、薄気味の悪い仮面。
ピエロのようなド派手な衣装と仕草と相まって、その不気味さが相乗される。
だが、それまで。
脇に挟んだ箱を抱え、道化師がこちらへ一礼する。そして同時、道化師は巨大な質量と共に
一瞬でその場から消えた。跡形もなく、まるで奇術のように。
「今のは……なんだったのだ」
今、先ほどまでそこにいたはずの巨大な質量の在ったその空間を見つめ九朔は呟く。
騒ぎに気づいた人々がようやく外に出てくるのをその視界に収めながら。
ルイズとキュルケはその光景を下から見ていた。勝負を始めようとした矢先の出来事だ。
20メイルはあろうかという巨体が突然底に現れた。少なくともトライアングル級以上にしかできない
芸当のそれ。だが、何故か、それが普通のゴーレムではないとルイズだけは思っていた。
理由は分からない。だが、あれは、【途方もなく危険な代物】だと、ルイズは識っていた。
「あれ、もしかして最近有名な『土くれのフーケ』かしらね……だとしたら、近づかない方が
無難といったところね。ヴァリエール、離れましょ」
「…………」
「ねえ、ちょっと?」
どうして識っているのだろう。あれは、【ゴーレム】ではなくて【■械■】だなんて。
いや、あれはまだ【■械■】じゃない。だって、あれにはまだまだ【位階】が足りない。
アレを呼び出しているわけじゃない。【ゴーレム】を媒介に中途半端な【招喚】をしているだけ。
【■械■】を呼び出すには……必要なのは……
「ルイズ!」
「……え?」
気づくと、眼の前にツェプルストーの顔があった。何をしているんだという顔で、ルイズはキュルケ
の顔を見返す。
「驚くのは良いけど、ここでぼーっとするのはやめてよね。下手して踏まれたらこっちが寝覚め
悪いでしょ。ほら、行くわよ!」
「え……うん」
腕を引っ張られるがまま、ルイズはゴーレムと距離を取る。だが、ルイズの瞳はソレから離れない。
自分が今何をしていたのか、ルイズはまだ気づいてはいない。
記憶は閉じられ、彼方へ。
今はまだその時ではないのだから。
727 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 21:08:10 ID:cGVNADrk
というわけで投下終了。
ようやく一巻終わり近くまでやってきましたよ。
ここまできてフーケさんがゲッチュしちゃった魔導書もほぼバラしちゃったわけですが、はい、アレですね。
皆大好き精神ブラクラでやぁああってやるぜなあのお方でございます。
まあ、そんなもんにとりつかれたフーケさんがどうなるかは次回以降をお楽しみという事で・・・・
それでは、次回
双剣の人乙ですー
ブライトさん……くっ……
あのブラクラ野郎はジュドーだけどね
そして某アイギスの課長でもある
732 :
729:2009/06/21(日) 23:02:53 ID:hmWqHa1w
>>730 いや、殴られる下り。
最近劇場版見返したから……
>>718 11巻でハルケギニアの文字はアルファベットを崩したようなものだって出てきてる。
日本語の感覚でいうと、【天界】を添書体にしたあれみたいなものじゃないかな
僕は・・・嫌だ!
まさかティベリウスなのか?フーケまじどうなるんだ・・・・
Command & Conquer
ルイズのパンツでオナりそうなキャラの召喚はまだか
カズフサのことかー!
碇シンジじゃないのか。
富野
双剣の人乙
マチルダさん、
よりにもよって変態中の変態に……
早くもオチがついてしまった
17:00から小ネタを投稿しますが、よろしいでしょうか?
「ゼロニスター」
トリステイン魔法学院を南門から入ってまっすぐ1リーグ歩くと、最近建てられた小さな教会がある。
十字架について知っていてなおかつ観察眼の鋭い者が見れば、教会の十字架が一般的なラテン十字とは少し違う事に気付く。
そしてこの教会はただ1人のシスターによって営まれていた。
「うう……、ううう……」
教会の片隅を簡単に仕切っただけの告悔室の中から、少女の押し殺した鳴き声が漏れる。
「なるほど……、あなたの心の苦しみはよくわかりました……」
格子と曇りガラスでおぼろげな影しか見えないものの、窓の向こうにいるシスターは少女・シエスタの言葉に真摯に耳を傾けていた。
「『奉公に行った娘が次々失踪すると噂されるモット伯に奉公するよう命じられた』……、『家族の事を持ち出されて断れない』と。それはさぞ悔しい事でしょう」
「モット伯に先制攻撃を考えた事もありました……。でも……、始祖の教えに背く行いはできませんし……」
涙を拭いつつ自身の真情を吐露したシエスタにシスターがかけた言葉は……、
「『くそくらえ』ですわ」
「!?」
意外な言葉と共にシスターは窓を半分程開け、4つの輪が連なり板状の部分には棘が生えている物騒な鉄塊をシエスタ側のテーブルに置いた。
「私が中学生の頃に愛用していたメリケンサックを貸してあげる。使い終わったら血を拭いて返してちょうだい。官憲沙汰になってもこの教会の名は出さないこと」
あまりの発言にシエスタはしばらく呆気に取られ、ようやくの事でただ一言口にする。
「あ……、あの……」
「何?」
「あの……、えーと……、同じマークを聖印にしていた祖父の話では……、こういう場合『汝の敵を許せ』とかお答えになるのが普通だと……」
シスターは開いている窓から穏やかな微笑みをシエスタに向けている。
しかし彼女が続けた言葉は到底シスターらしからぬものだった。
「もちろん許すべきよ。ただし、相手を地獄に落としてから」
「ふざけないでください!! あなたそれでもクリスチャ……げっ!!」
怒りに任せた言葉と共に窓を全開にしたシエスタは言葉を失った。
窓の向こう側にいたシスターは、革張りの椅子に深く腰掛けて指に挟んだ葉巻の煙を吐き出し、さらにテーブル上にはウイスキーの瓶とその中身が入ったグラスが置かれていたのだ。
「サタニスター。悪魔寄りのシスターさね。この胸の十字架がその証」
そう言ってシスター……サタニスターは、修道服の上からでもはっきりわかる豊かな胸を張ってその上に乗ったロザリオを見せつけた。そのロザリオの十字架は教会の十字架と同じく、上辺・下辺の長さが同じという奇妙なものだった。
「『ダブルヘッド・クロス』。上下の辺の長さは同じ。これは『十字架(クロス)』と悪魔の象徴『逆さ十字架(アンチクロス)』、両方の意味を合わせ持つ……!!」
「ば……、馬鹿げています……!!」
「あたしには使命がある。そのためには悪魔のようにだって振る舞う必要があるのよ」
サタニスターは葉巻をくわえたままシエスタに笑いかけた。
「か……、帰ります!! ここに来たのが間違いでした!!」
シエスタはそのまま席を立って告悔室から出ようとする。
「あら、忘れ物よ。メリケンサック」
「要りません、そんなのっ!!」
支援
日が暮れて、空には2つの満月が浮かんでいる。
「♪First kissから始まる〜2人の恋のHistory〜」
「♪この運命に魔法かけた〜君が突然現れた〜……」
教会内でルイズ・サタニスターが鼻歌混じりにモップで教会の床を拭き掃除していると、
「……お取り込み中失礼……ルイズ……ミス・『サタニスター』……」
食料の入ったバスケットを片手にタバサが教会を訪れた。
「……頼みがあって来た……聞いてほしい……」
「タバサ……」
タバサに気付いたサタニスターは、モップをバケツに突っ込んでタバサの方に振り向いた。
「あたしをナックルスターと呼ばず『サタニスター』と呼んだという事は、悪魔寄りのあたし達に期待してるという事ね……」
「ふふふ……。もっとも、それはこちらも望むところよ」
祭壇の上に置かれている、タロットカードの正義・隠者・釣られた男・死神をモチーフにした4本のロウソクに火を点け、サタニスター・ルイズはタバサが座っているテーブルの対面に着席する。
「見せてください」
タバサが手渡した封筒を開き、中に入っていた男の似顔絵を広げる。
「……その男の名は……『ジュール・ド・モット』……強盗団の黒幕……」
タバサ持参のクックベリーパイを食べつつ、ルイズ・サタニスターはタバサの話に耳を傾けていた。
「……狙うのは主にトリスタニアに集めた税金を運ぶ輸送馬車……手口は実にえげつない……手下を馬車にわざと轢かせて停車させる……馬車が止まったところを残りのメンバーが一斉に襲う……。
……さらに問題なのは……手下達が犯行の数日前まではごく平凡な一般人だったという事……金と権力で弱みを握られて『モット』の手下にされてしまう……。
……奪った金を使ってモットは伯爵位まで上った……金と権力に物を言わせて少女を奉公と称して屋敷に呼び……餌食にしている……」
話し終えたタバサはそっと立ち上がり、ルイズ達に背を向けた。
ルイズは杖を2〜3度振り、サタニスターはどこからともなく取り出したナックルを両腕に装着する。
「タバサ! あんたって変わった子ね。自分で報告すれば自分の手柄になるのに、私達に情報を流してる」
ルイズの言葉に、タバサの無表情な顔にどこか悲しげな色が浮かぶ。
「……今となっては手柄なんて意味が無い……大事な両親を殺された今となっては……」
「殺人鬼『ビダーシャル』! 奴の仕業という話でしたね。いずれは見つけださなくてはなりません」
サタニスターの出した憎むべき仇敵の名に、タバサの顔に浮かんでいた悲しみは怒りに変わった。
「しかしその前に……、目の前の悪を……!!」
ベッドに押し倒されたシエスタに抵抗する手段は無く、モットの握るナイフの刀身が体を撫で回るのに身を任せていた。
シエスタは息を飲み込んだ。まるで金属の虫が這っているかのような不気味な感触が体を硬直させる。
何も言わぬシエスタに気をよくしてかまさぐる手つきはより大胆になり、ナイフで軽く傷つけるようになっていった。
レースをあしらったメイド服の胸部を切開し、奥に隠された柔らかな双丘を撫でる。
慣れた手付きでナイフが動かされて、そのメイド服は呆気無く解体された。
その時、部屋にいた全員の耳にかすかに奇妙な音が聞こえてきた。
――ドッドッドッドッドッ……
それは馬の蹄の立てるような音だった。しかも気のせいかこちらに接近してきている。
「何だ? 馬が廊下を走っておるのか? ここは屋敷の中だぞ! 何を考えておるのだ。お前、行って叱り飛ばしてこい」
部下の1人が廊下に出ようと扉に手を掛けたその時、
――ドッガアン!
轟音と共に馬が扉を吹き飛ばし、接近していた部下を跳ね飛ばした挙句下敷きにした。
「ウギャアアアアア!!」
扉があった場所から侵入してきた修道服姿のルイズ・サタニスターは、室内にシエスタの姿を認めて意外そうな表情になる。
「あら、何でシエスタここにいるの?」
「ミ……、ミス・ヴァリエールにミス・ナックルスター!?」
「何でって聞いてんのよ」
「さらわれたんです!! ここにいる連中に!!」
「そう……」
懐を探っていたルイズの背後から部下が迫る! ……が、
「それは大変だったわね!!」
振り向き様に部下に杖を向けて呪文を詠唱する。
――バガン!!
派手な爆音と共に部下の頭部は爆発四散した。
「………!!」
部下の頭部が爆散するという事態が目の前で発生し、モットは硬直して他の部下に命令する事も自身の魔法を使用する事も不可能だった。
「ギャアアアアッ!!」
今度はルイズに気を取られていたサタニスターを部下が奇襲するものの、
「ゲッ!!」
サタニスターの後ろ蹴りで体勢を崩したところに、
――ドゴム!!
再度ルイズの魔法が炸裂、こちらも頭部が吹き飛んだ。
「安らかに眠りなさい。外道の一味としてではなく、私に殺された哀れな子羊として」
「な、何だあ〜、こいつは……。あの修道服……、噂には聞いた事があるが……。まさか……、あの女は……!!」
「あ……、あ……」
目の前で発生した惨劇に狼狽するシエスタにルイズは扉があった開口部を指差し、
「出ていきなさい。今から起こる事は見ない方がいいわ」
「ひいいっ」
シエスタが部屋から出ていった事を確認したルイズ・サタニスターが、モットに最終通告を突きつける。
「1分間だけ懺悔の時間をあげるわ」
「さあ己の罪を悔いるのよ、ジュール・ド・モット!!」
2人の言葉と服装が、モットに恐るべき彼女達のふたつ名を導き出させた。
「貴様ら『サタニスター』かあ〜っ!! 『特殊殺人鬼』を狩るために悪魔に魂を売ったシスター!!」
怒りに任せて呪文を詠唱するモット。
しかし2人はそれによって放たれた水撃を軽々回避する。
「悪魔に魂を売った? 勘違いしないでちょうだい」
「売りなどしない、貸すのよ」
『悪に罰を与えるわずかな間だけね!!』
「おのれ〜っ!! 殺してやる!! 殺してやるぞおお〜っ!! くらえ、アイスバインド!!」
杖から噴出した水の回避がわずかに遅れて2人の胴体が濡れる。
「うぐっ!!」
モットの放った水は、先程と違って物体をえぐり削るような威力こそ持たなかったものの、瞬時に信じられないほど分厚く凍結して2人の体を拘束する氷の枷と化した。
「か……、体が!!」
「動けない……!!」
「水のトライアングルをなめるな……。その氷は鋼鉄並みに硬いぞ。このまま貴様らの脳天をかち割って……っ!!」
次の瞬間、2人は炎に包まれていた。正確には2人の着ている修道服が炎上しているのだ。サタニスターの手には火種と思しき金属製のライターが。
「こ……、こいつら、修道服に火をっ!!」
「ふんっ!」
炎によって氷の枷から解放された2人は、気合と共に燃えさかる修道服をモットめがけて投げつけた。
燃える修道服を床に突っ伏して回避して顔を上げたモットの目の前には、**姿のルイズと胸・股間だけを隠す星柄の下着を纏ったサタニスター。
「1分経ったわよ……」
「地獄の釜で茹でられながら己の罪を悔いよ」
『アーメン』
「待っ……ギャアアアッ!!」
――ドガア!!
モット伯の言葉を途中で遮り、ルイズの爆発魔法が頭部を爆散させサタニスターのナックルが腹部を貫通する。
「ひいっ!!」
モット伯の最期、その一部始終を目の当たりにしたシエスタは思わず叫び声を上げた。
「………!!」
頭部が存在していた場所から鮮血が吹き上がり、腹部に大きな風穴が開いたモット伯。その前でナックルから返り血を滴らせたサタニスターが一言。
「見ない方がいいと言ったのに」
それがシエスタと「サタニスター」達との出会いだった。
すいません、ミスしました。
「な、何だあ〜、こいつは……。あの修道服……、噂には聞いた事があるが……。まさか……、あの女は……!!」
「あ……、あ……」
目の前で発生した惨劇に狼狽するシエスタにルイズは扉があった開口部を指差し、
「出ていきなさい。今から起こる事は見ない方がいいわ」
「ひいいっ」
シエスタが部屋から出ていった事を確認したルイズ・サタニスターが、モットに最終通告を突きつける。
「1分間だけ懺悔の時間をあげるわ」
「さあ己の罪を悔いるのよ、ジュール・ド・モット!!」
2人の言葉と服装が、モットに恐るべき彼女達のふたつ名を導き出させた。
「貴様ら『サタニスター』かあ〜っ!! 『特殊殺人鬼』を狩るために悪魔に魂を売ったシスター!!」
怒りに任せて呪文を詠唱するモット。
しかし2人はそれによって放たれた水撃を軽々回避する。
「悪魔に魂を売った? 勘違いしないでちょうだい」
「売りなどしない、貸すのよ」
『悪に罰を与えるわずかな間だけね!!』
「おのれ〜っ!! 殺してやる!! 殺してやるぞおお〜っ!! くらえ、アイスバインド!!」
杖から噴出した水の回避がわずかに遅れて2人の胴体が濡れる。
「うぐっ!!」
モットの放った水は、先程と違って物体をえぐり削るような威力こそ持たなかったものの、瞬時に信じられないほど分厚く凍結して2人の体を拘束する氷の枷と化した。
「か……、体が!!」
「動けない……!!」
「水のトライアングルをなめるな……。その氷は鋼鉄並みに硬いぞ。このまま貴様らの脳天をかち割って……っ!!」
次の瞬間、2人は炎に包まれていた。正確には2人の着ている修道服が炎上しているのだ。サタニスターの手には火種と思しき金属製のライターが。
「こ……、こいつら、修道服に火をっ!!」
「ふんっ!」
炎によって氷の枷から解放された2人は、気合と共に燃えさかる修道服をモットめがけて投げつけた。
燃える修道服を床に突っ伏して回避して顔を上げたモットの目の前には、ベビードール姿のルイズと胸・股間だけを隠す星柄の下着を纏ったサタニスター。
「1分経ったわよ……」
「地獄の釜で茹でられながら己の罪を悔いよ」
『アーメン』
「待っ……ギャアアアッ!!」
――ドガア!!
モット伯の言葉を途中で遮り、ルイズの爆発魔法が頭部を爆散させサタニスターのナックルが腹部を貫通する。
「ひいっ!!」
モット伯の最期、その一部始終を目の当たりにしたシエスタは思わず叫び声を上げた。
「………!!」
頭部が存在していた場所から鮮血が吹き上がり、腹部に大きな風穴が開いたモット伯。その前でナックルから返り血を滴らせたサタニスターが一言。
「見ない方がいいと言ったのに」
それがシエスタと「サタニスター」達との出会いだった。
以上投下終了です。
「サタニスター」から「サタニスター(ナックルスター)」召喚です。
もしかしたらこれを第1話に長編を書くかもしれませんが、キャラの性格がだいぶ変わりそうなので避難所の方がいいでしょうか?
迷ったら避難所でやる、くらいの感じがいいかもね。
乙
荒れそうだとか対応が面倒そうだったら避難所でやったら方が楽ですよ。
あと@とかは機種or環境依存文字だそうです。
無理そうだったら途中で完結するところを決めて、短編か中篇程度の長さにしてしまうのもいいかもよ
面白かった。
次回も期待する。
面白いけど凄く読みにくい
ハイライトシーンを切り取って、短編集って言う形にするのも有りなんじゃない?
遅レスですが双剣乙!!
待ちわびてましたよ、ひょっとしたらもう来ないんじゃないかと心配してました・・・
おマチさんどうなるのでしょう・・・陳腐なミラクル発現に期待してます
あとがんばれ九朔、お前の父も何百億年か前には通った道だw
ルイズ・サタニスターって書いてあるからルイズが名前でサタニスターが姓かとオモタ
762 :
ゼロの騎士団:2009/06/22(月) 20:21:26 ID:g3URKg2u
お久しぶりです。
8話の投下予告させていただきます。
20時30分を予定しております。
お願いします。
763 :
ゼロの騎士団:2009/06/22(月) 20:30:09 ID:g3URKg2u
ゼロの騎士団 PART2 幻魔皇帝 クロムウェル 7 「決闘と光芒(こうぼう)」
「では、始めよう」
その言葉と共に、ワルドはあらかじめ唱えておいたエアハンマーを放つ。
(いきなりか! やる気は充分と言ったところだな)
間を取ろうともせず始めるワルドに胸中で毒づきながら、ニューは横に跳んでかわす。
「ファン」
横に跳びながらも、直撃すれば人間が気絶する電撃を放つ。
(どうする?)
相手の実力が分からにだけに、ワルドの対応を見る。
「錬金」
ワルドはそれを読んでいたかの様に地面を錬金し、壁を作り電撃をやり過ごす。
茶色い壁に空気の振動が揺れる。
(はやい!)
自身とそう変わらないような詠唱の速さにニューも驚く。
内心、自分の魔法よりも詠唱の速さで絶対的有利を確信していただけに、
ワルドの魔法での対応は素直に驚きを与える。
「我々魔法衛士隊は実践を目的とした部隊だ、詠唱をいかに早く終えるかを常に研究している」
自慢では無く、慣れていると言わんばかりに、ワルドが答える。
「たしかに、他のメイジとは違うか……バズ」
(精鋭部隊は伊達では無いと言う事か)
魔法を唱えワルドの足元に爆風を当てる。
(距離を取れば少しは時間が稼げる、詠唱がない分こちらの方が早いからな)
そう思い、距離を取ろうとするが
「なっ!」
視界に映る影が徐々に大きくなる。
距離を取るであろうはずのワルドが、爆風の中からこちらに向かって来るので、ニューも驚きの声をあげる。
「行ったはずだ、我々は実践を目的とした部隊だ普通のメイジと思わないでくれ」
ワルドはスピードを落とさずに、ニューに接近する。ワルドは杖をニューに向ける。
(マズイ、距離を取らなくては)
危険――ミスをしたと言う感覚が全身を襲う。
自身の目論見が外れ、ニューは焦る。
おそらく、詠唱は完成しているから、接近されれば自身の負けが決まる。
「バズレイ」
それは嫌だ――とっさに、その魔法が浮かぶ。
魔法はワルドが放つぎりぎりの所で地面に当たり、先ほどよりも強い爆発を起こす。
その時、閃光でワルドの顔が歪んだように見えた。
「ニュー!」
爆発に二人の姿が飲み込まれ、ルイズも悲鳴に近い声をあげる。
爆発から数秒後、煙の中から二人の姿を確認する。
先にルイズの視界にが言ったのはワルドの方であった。
「驚いたな、とっさに爆発させて距離を取るなんて」
(詠唱の速さに自信があるが、やはり早いな)
多少の傷と火傷を負いながらも、距離を取ったワルドが、素直に称賛の声をあげる。
ワルドの視界の先の爆煙が徐々に消えて、ルイズの見知ったシルエットを写す。
ニューは片膝をつきながらも、何とかその場所に立っていた。
所々に傷と黒い焦げた跡が見える。
支援
765 :
ゼロの騎士団:2009/06/22(月) 20:31:43 ID:g3URKg2u
「接近されるなんて考えてもいませんでしたからね……よっと……それに、
余りやりたくはありませんが私はこう言った事も出来るのでね、ミディアム」
何とか立ちあがり、自分の胸部に手を添える。
自身の足元で爆発したため、ワルドより大きなダメージを負っていたニューだが、その一言で瞬く間に傷が癒える。
それを見て、ワルドがなぜにニューが自爆まがいの事をやったのか理解する。
「すごいな、そちらの回復魔法とは優秀だな、実戦でも使えそうだ」
(負傷をしてもすぐに治せるなんて、反則に近いな)
ハルケギニアの回復とは後方で行う事を前提に考えられており、
ニューの様に前線で傷をいやしながら戦うと言う概念は無いだけに、それは驚きと同時に恐怖も感じさせた。
(自身が回復を使えるのを前提に、こんな作戦を実行するのは問題なんだがな)
ワルドの言葉を聞きつつも、自身のうかつさを呪いながら、ニューはそんな事を考え得る。
これは怪我を治せるニューだから使える手段でもあった。
しかし、常にそれを頭に入れながら戦術に組み込むような真似をする訳にはいかないので、滅多に使わない。
ニュー自身はどちらかと言うと、距離を取って戦うタイプである。
その自分が接近され、あまつさえ回復をあてにして、自爆まがいな事をやるとは、魔法を使う物としては問題であった。
(彼は魔法使いと言うよりも魔法剣士だ、接近戦も頭に入れ無いとならない)
自身がかつて戦ったゲルググキャバリアーの様な、剣と魔法を合わせた戦い方の敵を想定する。
「今度はこちらから行きます、ムービガン」
ワルドに向けて、光弾が放たれる。それをワルドは右足を半歩下げて身をよじってかわす。
「それに、中々大した威力だ、こちらも手心は加えないようにしよう、ライトニング・クラウド」
その言葉と共に、ワルドの杖から稲妻が走る。ニューもそれに合わせて魔法を唱える。
「メガファン」
先程よりもはるかに強い電撃で相殺し、余波がワルドに迫る。それをワルドは横に飛びながら何とかかわす。
(彼は傷を治せないから今の後ではそう簡単に接近できない。
距離を取りながら、火力で攻める。隙が出来たら、一気に接近する)
剣は苦手でも、杖を落とす事は出来る筈。そう考えて、次の魔法に移ろうとするが
「メガバ!」
(マズイ、このままではルイズにも当たる)
ワルドの飛んだ位置がルイズに近いために、ルイズに当たると考えたニューはとっさに魔法を中止する。
「ウィンド・ブレイク」
その隙を見逃さず、ワルドが放った風がニューの体ごと杖を吹き飛ばした。
ニューが地面に叩きつけられるその様子が、ルイズにはスローモーションに見えた。
そこで勝負は決した。
「ニュー、大丈夫!」
(何が手合わせよ!一歩間違えれば殺し合いじゃない!)
ルイズが叫びながら、自身の使い魔の元にやってくる。
手合わせと言うには荒々しい戦いにルイズは気が気でなかった。
「すまない、本気を出してしまった。大丈夫かい?」
言葉と共に、ゆっくりとした足音が聞こえる。
ワルドが杖を収めて近づいてくるのを、ニューは地面の音で感じ取った。
「いえ……参りました」
起き上がりながら、ニューはそれしか言わなかった。
(傷は治しとくか)
流石に二人の状態を放置して行く訳にはいかない。
「傷を治しましょう、マディア」
ニューは自分とワルドの傷を魔法で治す。
「ありがとう。君は本当に大した腕だよ、ただ・・・君は少し優しすぎるな」
「!」
その一言を聞いて、ニューは驚いた顔をする。
「あの時、なぜ撃たなかったんだい? 君の魔法なら後で回復もできただろう」
ワルドは、正直あの時にかなり危機を感じていた。
しかし、ルイズに気を取られて撃つ事を躊躇った為に、勝利をつかむ事が出来た。
「それは・・・これは手合わせだからです」
ニューは苦い顔で応える。
「確かに、これは手合わせだ・・・しかし、実戦では撃てるのかい?」
ワルドの問いに、ニューは無言となる。ニューにはその問いに答える事は出来なかった。
「君は大した腕だ、しかし、欠点がない訳では無い。
それでは、君一人の時にルイズを危険な目に合わせるかも知れない」
それだけを言い残し、ワルドは去って行った。
766 :
ゼロの騎士団:2009/06/22(月) 20:33:06 ID:g3URKg2u
ワルドの去った広場には何か言いたそうな二人が残っていた。
「……アンタ、何やってるのよ」
ルイズが先に沈黙を破る。それを聞いて、ニューは答える。
「すまんな、二人に劣らない所を見せてやるはずが」
(情けないな、私は)
ニューはルイズの顔を見ずに、そのような事を考える。
しかし、それを聞いて尚、ルイズの顔は怒りに満ちていた。
「違うわよ!なんであんな危険な真似するのよ!」
(本当に心配したじゃない、何であんな事をするのよ)
ニューが爆発に飲み込まれた時、ルイズは自身が息を出来なかった事を今更ながら思い出す。
「……あれはただのミスだ」
攻撃を躊躇ったのは自身のミスだ、そして、後で回復すればいいとは考えもしなかった。
ニューは先程の戦闘で相手を侮り自身のミスと、ワルドに欠点を指摘された事でいつものように答える事が出来なかった。
「ミスで済む訳ないじゃない! それこそ実践だったらどうするのよ!
それにさっきのアンタ、いつもの様な冷静さが無いわよ、負けて当然よ!」
ルイズは早口でまくしたてる。ニューはただ、それを黙って聞いている。
「それに、二人に劣らない? 知ってるわよ、いつまでも気にしないでよ、そんな事」
(まぁ、確かにあなたの使い魔は凄いからね)
数日前の言葉が脳裏によぎる。
(アンタが優秀な奴だなんて事は解ってるわよ、何でそんな意地張るのよ!)
モンモランシーの言葉を思い出すまでもなく、ルイズはニューが使い魔としての能力に不満は無い。
むしろ、魔法が使えない自分には羨ましくもあり、ニューが何に対して不満が有るのかは解らなかった。
「アンタ、何が不満なの?この間から変よ、言いたい事があるなら私に言いなさいよ」
「何でもない……時間まで休ませてもらう」
ルイズの言葉を聞きながら、宿に戻ろうとする。それを、ルイズが遮る。
「ちょっと、待ちなさいよ!なんでも無い訳ないじゃない!」
ルイズがそう言いながら、強く肩をつかむ。ルイズの剣幕に押されてニューも足を止める。
「アンタが二人の事を気にしてるんだったら謝るわよ、
あれはアンタを一緒に連れていくために嘘をついたの、悪かったわよ」
ルイズは自身の中で最大限の気持ちで謝罪した。
それを聞いても、ニューの顔は晴れなかった。
「ルイズ、嘘の事は解っている……これは、私の問題だ。
お前にも昨日言ったが、問題は自身で解決しなくちゃならないんだ」
(そう……私の問題なんだ)
昨日からニューは自分の問題に気付きながらも、その答えを見いだせなかった。
ワルドとの手合わせでそれを見出そうとしたが、結局見つける事どころか醜態をさらしてしまった。
その事もあり、ルイズを避けてホテルへと歩きだした。
「何よ、アイツ」
(アンタの問題だからって、私が心配したらいけないの?そんなの関係ないじゃない!)
去っていくニューの背中を見ながら、ルイズの声は音にならなかった。
767 :
ゼロの騎士団:2009/06/22(月) 20:34:06 ID:g3URKg2u
決闘から数時間後、人々のお昼も終わり始めた頃
「もうすぐ開始だね、アンタは本当にいいの?」
そう言いながら、ジュースの入ったグラス弄びつつをマチルダが真駆参を見る。
彼女は行動する事に問題は無かった。
しかし、真駆参を使うのは自身の妹分にきたない事をやらせるような気がして、正直気が引ける思いであった。
しかし、真駆参は落ち着いた様子で紅茶を飲んでいる。
「問題ない、覚悟は決めた。何であれ、ガキどもやアイツの為になる事は確かだ」
決断をしてからはそれほど苦しむ事は無かった。ただ、早く終わらせて彼女の元に帰りたいと思う。
周りにはたくさんの人が居るのに、自身の住んでいる所より、今は静かな気がした。
「そうかい、まぁ、作戦なんて物は無いんだけどね、
あんたとあの旦那がやり合っている振りをしている間に、使い魔を何とかする」
「俺がアイツを相手した方がいいんじゃないか?」
真駆参が提案する、彼にしてみればその方が確実だと思えたからだ。
仮面の男にしてみても、それは、考えの中の一つにある筈だ。
「そうだけど、これは旦那の指示何だよ。大方、ポイント稼ぎでもしたいんじゃないかい?」
(誰に対してかは解らないけどね)
今回の妨害は彼の個人的な行いによるものらしい。
最もそんな事はマチルダにとってはどうでも良かった。
彼女にしてみれば、あの仮面の男の事はなるべく考えたくなかった。
多大な報酬を与える人物にしても、やはり、不信感はぬぐえなかった。
「まぁ、無理はするなよ、危ないと判断したら俺を呼べ」
「大丈夫だよ、三人では後れを取ったけど、一人なら何とかなるさ」
そう言って、残ったジュースを飲む。
(成功させないとね、こいつはあの娘の為に協力してくれるんだから)
そう考えているマチルダ達の席に数日前の仮面の男が現れる。
「やぁ、待たせたね」
「また偽物か、ご苦労な事だ」
真駆参が睨みつける。彼がここに居ると言う事はもうすぐ作戦が開始される事を示していた。
「だからって斬らないでくれよ、これでも疲れるんだから」
座る事無く近くまで来た男が似合わずにおどける。
(遍在かい、相変わらずかなりの腕だねぇ)
マチルダは目の前の男の腕をみて、心の中で称賛する。
二人で勝てない相手だとは思わないが、敵に回してもいいとは思ってなかった。
それに、彼の払いの良さにはここ最近仕事が不調だった彼女にはいい顧客だと感じさせた。
「もうすぐ、奴らは桟橋に向かう、我々はその手前で実行する」
「了解、お嬢ちゃんの使い魔は私にまかせな」
「30分後に桟橋付近で、それぞれ準備をしておけ」
上官の様にそう言い残して、男去って行く。
そのまま、通りを少し進んだ所で、建物を曲がり、気配が消える。
「せっかちな男だねぇ、相手するのは苦労するよ」
(ここの料金アイツに払わせれば良かった)
居なくなった後に、その機会を逃した事に気づき、マチルダは毒づく。
ウェイターを呼びつけて、二人の料金を払いながらマチルダは立ち上がり、
二人はやる事もないので、取り合えず指定された場所に向かう事にした。
768 :
ゼロの騎士団:2009/06/22(月) 20:35:12 ID:g3URKg2u
その十数分後、ルイズ達三人も宿を出て桟橋に向かう途中であった。
三人の空気は良いとは言えないが、コミュニケーションが全く取れないと言う空気でも無かった。
そのなかで、ニューが最初に声をあげる。
「もうすぐだな……」
「何がもうすぐなのよ?」
ニューの呟きにルイズが聞いてくるが、それを聞いていたワルドが答える。
「襲撃の事だろう、彼の言う通りここまで襲撃がなかったからね、桟橋までの道は広いし視界が開けている。
それに、このタイミングで襲われて船に乗る事が出来なかったら、我々は足止めを食らう事は確実だからね」
遠目に見える桟橋までは視界が開けており、襲撃には最適な場所とも言えた。
ここまで、襲撃に逢わなかっただけに、その可能性は高まるばかりで会った。
(山賊程度ならば、二人で守れるが)
メイジは平民より強いとされているハルケギニアでどの程度の敵が来るのか?
相手は情報戦に優れているだけに、三人の情報はおそらく伝わっているかもしれない。
ニューがその事を考えていた時、大地に響く轟音が襲った。
「何!?」
ルイズが声をあげてそこを見ると、そこには30メイル程のゴーレムが立ちふさがった。
ニューはそれを見て、襲撃者が何者であるかを理解する。
「やはり来たか! しかも、これは!」
ニューにとっては忘れられない出来事があっただけに、そのゴーレムには見覚えがあった。
砂煙を上げたゴーレムの足元から、それに応えるように声がする。
「お久しぶりだね、お嬢ちゃん達」
視界が元に戻った三人が見たのは見覚えのある人物であった。
その人物は一か月前まで学園の秘書でニュー達も世話になっていた人物であった。
「土くれのフーケか、それにお前は!」
現れた三人のうちの一人は知らないが、もう一人はルイズも知っていた。
「アイツはマークスリーって奴じゃない!アンタなんで居るのよ!? 私達とは戦わないんじゃなかったの!?」
(最悪じゃない、フーケだけじゃ無くアイツまで居るなんて)
自身の使い魔達三人でも勝てなかった、真駆参をルイズは忘れるわけがなかった。
二人のほかにもいる仮面の男には見覚えなかったが、それでも、この二人だけで十分に脅威であった。
「悪いね、こっちも働かないといけないんでね」
マチルダと仮面の男が杖を構えて、真駆参が楯から剣を抜く。
「逃げる事も出来ないか……どうやら、ここで戦わねばならないようだな、君はフーケと仮面の男を頼む」
指示を出しながらルイズを下がらせワルドはそう判断し、自身の杖を抜く。
ルイズはまだ何か言いたそうであったが、それをニューが遮る。
「マークスリーは強敵ですよ、それに仮面の男の腕は知りませんし」
「君達三人を相手に回せるような相手に、勝とうとするほど愚かでもないよ、
隙を見て突破を図る、君が鍵となるけど、大丈夫かい?」
恐らくお互いに相手を認識したのか、互いに距離を取り始める。
それを見て、ニューも自身のやるべき事を理解し、ワルドの言葉に頷く。
「では、お願いします。バズ」
ニューは奇襲の意味を込めて、ゴーレムめがけていきなり魔法を放つ。
俊敏ではないゴーレムはよける事が出来ずに巨大な爆音と共に、戦闘は開始される。
「くっ! いきなり何するんだい」
自身のゴーレムを半分にされて、フーケが毒づく。ゴーレムはすぐに元に戻ろうと再生する。
「ライトニング・クラウド」
ワルドがニューの魔法に合わせて、ゴーレムに詠唱を終えた雷撃を放つ。
直撃を受ければ残りの部分ごと破壊できたが、真駆参が前に入り盾を構える。
その後ろから、仮面の男が風の塊を打ち出す。
ニューもそれに合わせて魔法を放つ。
「ルイズ離れていろ!ムビルフィラ」
ルイズに指示を出しながら、仮面の男に向けて魔法を放つ。光弾は巨大な風とぶつかり
相殺される。
確認する暇もなく仮面の男がニューに向けて走り出し、それと同時に、真駆参が駆け出しワルドに迫る。
(中々出来ると言う訳か)
数の上でも不利なうえ、三人とも強敵なだけに事態、
そのうえ、こちらはルイズを守らなければならない分余計な負担がかかった。
それを尻目に、接近した真駆参が剣でワルドを狙う。
それを半歩横に避けてかわしながら、真駆参にめがけて杖を突き出す。
769 :
ゼロの騎士団:2009/06/22(月) 20:36:09 ID:g3URKg2u
「エア・ニードル」
杖の先に空気の針を纏った刃が差し出されるが盾で防がれる。
「接近戦もできるのか、だが甘い」
盾で押し返しつつ、バランスの崩れた所を剣で狙う。
それを何とか、自身杖で防ぐが力の差で吹き飛ばされる。
(やはり接近戦では向こうが上か、それに、この機動力)
幾ら魔法衛士隊とはいえ、接近戦の得意とする土俵では真駆参には及ばない。
詠唱しながら自身も距離を取り、本来の遠距離に移る。しかし、真駆参は距離を置かれても冷静であった。
「目牙光銃(メガビームガン)」
自身の腰から、銃を取り出しワルドの足元を狙う。ニューと同じ光弾は地面に着弾して
ワルドは足元のバランスを崩す。
(何だあれは、あんなものまであるのか!?)
真駆参を接近しかできないと考えていただけに、ワルドに驚きの表情が走る。
ニュー達三人と戦った事は知っていたが、このような武器があるとはワルドも知らなかった。
そんな驚きをよそに、真駆参は接近してくる。
「ウインド・ブレイク」
ワルドは詠唱を終えた魔法をぎりぎり接近した真駆参に放つ。
真駆参はとっさに盾で防ぐ。その反動でワルドは何とか起き上がる。
(まずいな、このままでは突破どころではなくなる)
仮面の男の魔法をかろうじて避けながら、ニューは考える。
突破しようにも、あのゴーレムを如何にかしなければならなかったが、以前の時と違い戦力が少なすぎる。
ワルドは真駆参を相手にするのがやっとなので、ゴーレムはニューが担当しなければならなかった。
ゼータ達やキュルケ達が居れば……
切羽詰まった状況の中で、ふと、ゼータ達が頭の中をよぎるが、ニューは頭の中から、それを追い出す。
(いや、この場に二人は居ないんだ、私がやるしかないんだ!……だいぶ負担がかかるが、やるしかないか)
――自分がやるしかないんだ。
そう考えて、ニューは実行に移す為に指示を出す。
「ワルド殿、ルイズ!ゴーレムを倒して突破します」
「どうするの!?」
「こうするのだ、メガバズ!」
ニューの中でも、強力な方に分類される爆発がフーケのゴーレムを襲う。
轟音と共に先程よりも強い爆発が、ゴーレムの大部分を吹き飛ばす。
「やってくれるね、けど、まだ完全に倒れちゃいないよ!」
マチルダの声に呼応するかのように、ゴーレムが再生していく。砕かれた大部分が元に戻ろうとする。
「だろうな、メガバズ!」
ニューは再度、同等の威力の爆風を放ち、再生しかけていた部分を直撃させる。
しかし、ニューはそれで終わらせるつもりがなかった。
「これで最後だ、メガバズ!」
先程と変わらない轟音と共に、フーケのゴーレムを完全に消滅させる。
「何!なんて奴だい」
あれほどの威力の魔法を立て続けに連発するニューに対して、マチルダと仮面の男も脅威を感じた。
(連発は苦しいのだがな……)
ニューとしても、魔法の連発は負担が大きく、
本来ではあまり使う事はなかったので、今のは、体にだいぶ応えていた。
「行くぞっ!」
ニューはそう言って踏み出そうとするが、右足が地面を踏む事が出来なかった。
「ニュー!?」
770 :
ゼロの騎士団:2009/06/22(月) 20:37:19 ID:g3URKg2u
一番先にかけ出そうとしたニューが、地面に膝をついた事に、ルイズが叫ぶ。
ワルドも口には出さないが、その様子に驚いている。
だが、ニューはその原因が解っていた。
(不味い!朝の手合わせで消費しすぎていたか)
ニューの魔法も精神力を使う。
普段なら、それほどでもないが、
朝の手合わせで精神力を消費していた事もあり、先ほどの魔法の3連発で疲労が頂点に達していた。
ニューは、歯を食いしばりながら何とか立ち上がりよろよろと歩きだす。
「ニュー、どうしたの!?」
ルイズの心配そうな声がニューの耳に聞こえる。
「力を消費しすぎただけだ、問題ない。ルイズ、二人で先に行け!」
「何、言ってるのよ、アンタ、フラフラじゃない!」
足取りのおぼつかないニューを見て、ルイズは足を進める事が出来なかった。
その時、ワルドは二人の元に駆け寄りルイズを抱えあげる。
「ルイズ、彼の言う通りだ我々は目的を達しなければならない」
「嫌よ、ワルド、離して!」
ワルドの中で、ルイズがじたばたと暴れ出す。しかし、ワルドはお構いなくかけ出そうとする。
「頼んだぞ、ニュー君」
「わかりました、ルイズをお願いします」
正直言えば、ワルドにルイズを頼むのは本意では無かったが、
この場では自分が足手まといにならない事が解らない訳では無い。
ワルドは頷いてから、ルイズを抱えたまま走りだした。
(ルイズ……)
ニューはルイズの見送った後、周辺を改めて見まわす。派手な爆発であったが三人はまだ、無事であった。
「やってくれたね、追うよ、真駆参!」
(アイツの思惑どおりだね)
呪文を唱えながら再度ゴーレムを召喚する。
しかし、先ほどのと違い半分の大きさしかないがそれでも充分な脅威であった。
仮面の男がニューに止めを刺そうと向けて杖を向けるが、真駆参が制する。
「コイツにはもう用はない、二人の後を追うぞ」
真駆参にしてみれば、目的は達しただけにもう戦う理由は無かった。
三人がニューを置いて、行こうとするがニューが立ち上がる。
「いや、私はまだ用がある。お前達をルイズの元に行かせる訳には行かない」
(私が二人に劣らないなんて考えてこの有様だ……自分のけじめの為に、
なんとしても、役割は果たす!)
三人を見据えて、ニューは精神を集中させる。それを見て、唯一、真駆参のみが何かに気づく。
「マチルダ、離れるぞ!」
その様子に真駆参は緊張を覚えて、爆走四脚体型形態(ブラスターケンタウルスモード)に変形しマチルダを担ぎあげる。
真駆参が見たニューの目は、かつて、強敵と戦った仲間の目に似ていた。
絶対的に不利な状況においても、決して希望を捨てない目
彼はニューが何かしら大規模な術を仕掛けてくるのではないかと察した。
真駆参の判断は正しかった。
そして、ニューはその魔法を唱えた。
「ソーラ・レイ!」
その時、ルイズはニューの居た所から、閃光が見えた。
「あれは……」
ルイズは、夢で見たほどではないがそれでも強烈な光である事を。
そして、その光を放った後、ニューが倒れた事を。
771 :
ゼロの騎士団:2009/06/22(月) 20:38:11 ID:g3URKg2u
「36獅子の斧があれば、百人力だぜ!」
闘士 ダブルゼータ
獅子の斧を取り戻した。
HP 1500 (1130+370)
「37竜の盾は私の物だ、返してもらう」
騎士 ゼータ
竜の盾は彼の手元に戻った。
HP 1500 (1100+400)
以上で投下終了です。
どうも、ありがとうございます。
面白かったです。乙!
でもちょっとだけ意見が。視点というか考える()をする人間を場面ごとに一人にした方がいいと思います。
時折登場人物の誰が考えていることなのか分からなくなるときがあったので。まあ良ければ参考にしてくださ
い。
楽しみにしてましたよ乙ー
……前っから思ってたんすけど、誤字脱字が多いっすね。
まぁゆっくり無理なくがんばってくらはい
誤字脱字が多い?
逆に考えるんだ、気付いた人が避難所に報告しつつ修正すれば良いさと考えるんだ。
お疲れ様です。
いよいよアルビオンに突入(の前のフネ)なわけですが
ニューがどうなってしまうのか気になりますね。
ゼロ魔の主要女キャラをセーラー戦士に・・・
騎士団の方、乙でした。
真駆参が思いっきりおマチさんの本名を叫びつつ呼んでおりますが、いいんですかねww
それと少し気になったのですが、最後の文で、
>ルイズは、夢で見たほどではないがそれでも強烈な光である事を。
>そして、その光を放った後、ニューが倒れた事を。
『事を』、どうしたのでしょうか?
ともあれ他にご予約の方がおられなければ、第39話の投下を21:45から行います。
ラスボスの人きた!これで勝つる支援!
支援
ラスボス支援
ユーゼス支援
一番好きな作品支援
夏期休暇が終わり、魔法学院の生徒たちは各々実家から学び舎へと戻って来た。
だが学院には長い休みが終わった直後のざわめきや落ち着きのなさが見られず、その代わりに妙な緊張感が蔓延している。
その理由は言わずもがな、もはや秒読み段階となったアルビオンへの侵攻である。
耳ざとい貴族諸侯の中には『王軍の仕官不足はかなり深刻で、学生仕官を登用することを検討しているらしい』という噂を早くから聞きつけ、それを自分の息子や娘に伝えている者もいた。
無論、いくら学生とは言え、親から伝え聞いたその情報を学院で声高に叫ぶような真似はしない。
だが『貴族たる者、国家の命あらば戦争に行かねばならない』という気負いのようなものが彼らの中では発生してしまい、それが独特の緊張感を生んでいるのだ。
また、学生仕官登用の情報を聞いていない、あるいは親から聞かされていない学生も多くいたが、そんなグループの人間とて『近い内に本格的なアルビオンへの侵攻が始まる』というムードは察していた。
そして学院中に漂っている『変に張り詰めた空気』を感じ取り、やはり緊張感を募らせる……という結果になっている。
つまり、緊張感が緊張感を呼んでいたのである。
「……うぅむ」
ギーシュ・ド・グラモンもまた、そんな緊張感を感じている一人だ。
彼の場合は父が王軍の元帥なため、軍の事情によく精通している。
よって学生仕官の話もかなり早い段階から掴んでおり、グラモン元帥はそれを聞くや否や息子のギーシュをこれでもかと言うほど激励したのであった。
ちなみにグラモン元帥は老齢のため軍務をすでに退いており(元帥は終身職のため、軍務を退いても死ぬまで元帥である)、今回の戦争に自分が出陣出来ないことを非常に残念がっていた。
生粋の武人である元帥は、いつもの文句である『命を惜しむな、名を惜しめ』という言葉をギーシュとその三人の兄たちに重ねて送り、特に一番若いギーシュに対して『王宮から仕官を募る触れが出たら真っ先に志願しろ』と言ったのである。
「うーん……」
父が言うにはそのお触れは夏期休暇が終わってすぐ、早ければ今日中で遅くとも今週中までには出るとのこと。
根が素直な、悪く言えば単純なギーシュはこれを聞いてすぐにやる気になり、『王宮からのお触れはまだか』と息巻きながら魔法学院に戻ったのだが……。
「……い、息が詰まる」
こうも学院のそこかしこで戦争間近な雰囲気が漂っていては、その意気込みもやや消沈してしまう。
とは言えアルビオンとの戦争に際して気負っている自分もまた、この空気を形成するのに一役かっていたりはするが。
「はぁ……」
溜息などをついてみても、それでこの緊張感が緩和されるわけでもない。
……実はギーシュとしては、戦争は戦争、学院は学院、と分けて考えていたかった。
何故なら。
(戦争になったら多分、モンモランシーを始めとするたくさんの女の子に会えなくなってしまうじゃあないか)
おそらく仕官すれば、しばらくは学院に戻って来れまい。
いや、下手をすれば命を落とす可能性だって十分にありえるのだ。
だったら、今くらいは女の子たちとのひと時をたっぷりと満喫しておきたい。
具体的に言うと、女の子を口説いておきたい。
もう少し欲を言ってしまうと、命をかける前にアレコレと忘れられない思い出を作っておきたいなぁウヘヘ。
実際にモンモンランシーに聞かれたら殴られて蹴られて踏まれて水責めされても文句の言えないような内容の考えだったが、ギーシュ的には大真面目なのである。
「……………」
だと言うのに、この空気は何だろう。
学院全体は落ち着かないムード、女子生徒たちの間では軽く悲愴感すら漂い始め、男子生徒たちの間では『仕官した後にどの部隊に配属されたいか』などと話している始末。
臆病で知られているマリコルヌや、見るからに荒事には向いていなさそうなレイナールまでがそんな会話に参加していたのだから驚きだった。
……そんなわけで、とてもじゃないが誰かを口説いてる空気ではないのだ。
ここまで全部ユーゼスの支援
いや、ギーシュも最初は果敢に挑戦はしていた。
学院に戻るなり真っ先にモンモランシーの部屋に駆け込み(女子寮への忍び込み方はユーゼスの研究室に通っている間に慣れていた)、彼女の顔を見た直後、
「やあ、会いたかったよモンモランシー! あまりにも君に会いたかったから、もう僕はどうにかなってしまいそうさ! ああっ、僕の心と身体がこれ以上どうにかなってしまう前に、君のその心と身体で僕をどうにかしてはくれまいか!!」
と言ったら、
「ええ、確かにどうにかなってるみたいね」
という金髪巻き毛の少女の言葉と共に、水のカタマリをぶつけられて吹っ飛ばされてしまった。
……この口説き文句は、けっこう自信があったのだが。
まあ、それはそれとして。
「……ユーゼスの研究室にでも行こうかなぁ」
何もやることがない時はユーゼス・ゴッツォの研究室に入りびたる……というのが、アルビオンで一騒動あってからのギーシュのライフスタイルである。
あの静かな部屋は、意外と憩いの空間としての機能もある。
それに何より、女子寮の真っ只中という立地が素晴らしい。……下手に動くと騒がれるので、そんなに活発には行動出来ないのが残念ではあるが。
「アイツ、二ヶ月の間に少しは成長したかな……」
『どの方面の成長』なのかは、言わずもがな女性方面だ。
聞く所によると、ユーゼスは夏期休暇の間ずっとラ・ヴァリエールの家にいたとか。
となると、当然そこに住んでいるエレオノールと何がしかのアクションはあったに違いあるまい。
いや、その場面にルイズが絡んでくる可能性も大いにあるし、下手をすると彼女たちの両親も出て来て、てんやわんやの大騒ぎになってしまったかも。
「まあ、話してみれば分かるか」
一体どんな感じになってるんだろう、と期待を抱きつつ研究室のドアを開けるギーシュ。
そこには……。
「……………」
「あれ?」
銀髪の男が、グッタリとした様子で机の上に突っ伏していた。
まるで糸の切れた操り人形のようだ。
「お、おい、ユーゼス?」
慌てて駆け寄ってユーゼスと思しき男の肩を揺するギーシュ。
するとその男は墓場から今まさに蘇えらんとでもするかのような動作でゆっくりと身体を起こし、どろりと濁った眼差しでギーシュを見つめた。
「…………ミスタ・グラモンか。久し振りだな…………」
「……何があったんだ?」
ギーシュの予想通り、その男はやはりユーゼス・ゴッツォであった。
しかし、何だか心身ともにボロボロな様子である。
と言っても、別にどこか怪我をしているとか精神的に追い詰められたという感じではない。
適切な表現を探すのなら……。
「どうしたんだい? どうも、凄く……疲れているみたいだけど」
そう、疲弊しきっているのだ。
それも長期間の疲労が蓄積しているっぽい。
「まあ……夏期休暇の間に……色々と、あってな……」
グッタリしながらそう言うユーゼス。
本当に何があったんだろう、と首を傾げつつ、ギーシュは詳しい話を聞こうとする。
「もしかしてルイズの実家で一悶着あった、とか?」
「…………『一悶着』で済めば良かったのだがな」
そうしてユーゼスは、この二ヶ月間に起こったことをポツリポツリと語り始めた。
「まず……御主人様の母親に、『訓練』もしくは『稽古』という名の拷問を受けてな……」
「うん?」
初っぱなから、何かがおかしい。
……まあいいや、黙って続きを聞いてみよう。
「それだけならまだ良かったのだが、他に御主人様から乗馬の指導を受け……」
「はあ」
「更に何故かよく分からないが、エレオノールが私にダンスの踊り方や女性のエスコートの仕方、服の着こなし方まで仕込もうとして……」
「……ふ、ふぅん」
「心が休まる時と言えば部屋に一人でいる時や、カトレアと二人で茶を飲んでいる時くらいだったか」
「……………」
そこまで聞いて、ギーシュは取りあえず話の中の疑問点をぶつけてみることにした。
「どうして君がルイズの母君から稽古を?」
「……どうも、私の実力についてかなりの不満があったらしい」
まあ、おせじにもユーゼスは『強い』とは言えない。
と言うか、弱い。
そんな男が娘の使い魔だということに、親として納得が行かなかったのだろう。いや、あるいは……ギーシュにはよく分からないが、『娘を取られる親の心境』というヤツなのだろうか。
しかし、どうして公爵じゃなくて『公爵夫人』がユーゼスに稽古をつけるのだろう?
(公爵が忙しかったから、その代わりだった……とかかなぁ)
実際の事情とはかなり異なっているギーシュの予想だったが、ともあれそれで納得した彼は質問を重ねる。
「『カトレア』ってのは誰だい?」
「御主人様の姉で、エレオノールの妹……要するにヴァリエール家の人間だ。彼女たちは三人姉妹ということになるな」
それを聞いて、ギーシュがその顔を露骨にしかめた。
別にそのカトレア嬢とやらの容姿や性格がどうとか(『ルイズの姉でエレオノールの妹』という時点で大まかな想像はつくが)、ラ・ヴァリエール家の家族構成とかは重要ではない。
問題なのは。
「…………その、ルイズの姉君と、君が、『二人でお茶を飲む』という、関係に、至った、経緯が、よく分からない、んだが」
「?」
彼は『質問の内容の伝達に齟齬があってはいけない』という思いを込め、一句一句を噛み締めるようにしてゆっくりと発声しつつユーゼスに問いかけていく。
ルイズが乗馬の指導をして、エレオノールがダンスの踊り方とかを教えるのは分かる。
この男の乗馬の下手さ加減もまた折り紙付きだし、ダンスうんぬんに関してはいつかそんなことを話した覚えもある。
だが、茶を飲むって何だ。茶って。
しかもその口振りからすると、日常的に行っていたらしいし。
おまけにファーストネームの呼び捨てで呼んでいる。
これはエレオノールだけじゃなかったのか。
「よく分からない、と言われてもな。向こうの方から『お茶でも一緒にどうですか』と頻繁に声を掛けてきて、私がそれに応じた……というだけだぞ」
「………………それについて、ミス・ヴァリエールやルイズはどうしてたんだね?」
「そう言えば、茶を飲んでいる時に後から同席してくることが多かったな」
「〜〜〜〜〜っ」
うめき声とも唸り声ともつかない奇妙な声を発し、頭を抱えるギーシュ。
何でコイツは理論とか考察とかについては周囲を驚愕させるほど凄いのに、女性関係とか恋愛方面とかになると周囲を驚愕させるほどダメなんだろう。
ついでに、稽古という名目ではあるが母親にまで手を出しやがって。
……いや、これはおそらく『純粋に稽古をつけられて』いるか、あるいは色々なストレスをぶつけられているかのどちらかだとは思うが。
って言うか、本当に母親まで『そういうこと』になっていたら、ギーシュはこの男を許せないかも知れない。
むしろ、理性を抑えきれる自信がない。
下手すると殺してしまうかも。
……………………まあ、取りあえず。
「もう君は……アレだ。『ヴァリエールキラー』とでも名乗ったらどうかね?」
「エースキラーのような呼び名だな」
「えーすきらー?」
「いや、こちらの話だ」
気を取り直して、ユーゼスはギーシュとの会話を再開させる。
「……いちいち二つ名を名乗るような面倒なことはしたくない。大体、私はヴァリエールの人間に対して何かをしたという訳ではないぞ。むしろ何かをされた方だ」
「……………」
ギーシュは呆れた。
コイツ、全然成長してない。
いや、むしろ酷くなってないか?
(逆の方向に成長したってことなんだろうか……)
もはや諦めにも似た境地に達しつつあるギーシュであったが、しかしこの男を何とかして(ある意味)真人間にするのも自分の使命であるような気がするので、ここはグッと我慢する。
と、そこでユーゼスがあらためて無表情な顔をギーシュに向け、逆に質問を繰り出してきた。
「……私の方はこんな所だが、お前の方はどうだったのだ、ミスタ・グラモン?」
「うん? いや、『どうだった』って言われても……」
ギーシュとしては、夏期休暇中に特筆すべきことが起こった訳でもない。
途中までモンモランシーと一緒に学院に残っていたが、実家から『帰って来い』と手紙で催促が来たので帰り、その実家で父や母や兄たちと過ごした……と、このくらいである。
まあ、強いて言うなら父に『戦とはうんぬんかんぬん』、『戦場における貴族のあり方とはああだこうだ』、『手柄を立てるにはどうしたこうした』とかの事項を、ことあるごとに言われたくらいか。
「……ほう。ということは、お前はやはりアルビオンに向かうのか」
「まあね。貴族たる者、イザという時にはこの身を投げ打ってでも祖国の為に尽くすものさ」
得意げにそんなことを言うギーシュ。
彼としては、この無愛想な男からも激励――とまでは行かずとも、ささやかな応援の言葉くらいは欲しかったのだが……。
「ふむ。……まあ、せいぜい死なないようにするのだな」
しかし投げかけられたのは、そんな素っ気ない一言だった。
「…………君なぁ。これから戦に向かおうって人間に向かって、そりゃないだろう?」
「どういう意味だ?」
「普通なら、ここで『手柄を立てて来い』とか、『頑張れよ』とか言うべきじゃないか」
ギーシュにそう言われたが、ユーゼスはあくまで興味がなさそうに応答する。
「それでお前の生還率や手柄を立てられる確率が上がる、と言うのならそうするが」
「……………」
何ともまあ、ミもフタもない言葉である。
そりゃ、言葉一つでそんな劇的に何かが変わるってわけじゃないだろうけど、それにしたってちょっとくらい励ましてくれても構わないのではなかろうか。
などとギーシュが不満に思っていると、ユーゼスは更に追い討ちをかけるように言葉を重ねた。
「率直な意見を言わせて貰えば、五体満足で生きて帰って来れれば良い方だろうな。学生にたかが二ヶ月程度の訓練を施したところで、マトモな働きは期待出来ん。これは私自身がこの二ヶ月で体験したことでもある」
「そうなのかい?」
「まったくの素人がゼロから訓練を始めたのだからな。少なくとも、劇的に強くなるのは無理だった。……もっとも、公爵夫人が言うには『余程の天才が連日昼夜を問わず訓練に明け暮れ、かつ指導者が優秀だった場合は話が違ってくる』らしいが」
「……君はそうじゃなかったのか」
「夫人には『肉体を使った戦闘の才能がほとんどない』と言い切られてしまってな。『下手に応用を教えたら逆効果になる』と言うことで、基本的な戦い方のみを二ヶ月間で仕込まれるだけ仕込まれてしまった。
……おそらくお前の場合も似たようなことになるのではないかと思うが」
「う……」
自分の力不足に関しては、それなりに実感しているギーシュである。
これは中々に痛いところを突かれてしまった。
「それでなくとも初陣なのだ。『戦場の空気』というものは独特だからな、まずはそれに順応するだけで手一杯だろう」
「……何だか実際に戦争を体験してきたみたいな言い方だな」
「昔に少しあってな」
やけに具体的に語るユーゼスに対してギーシュが疑問の声を上げるが、サラリと返されてしまった。
(コイツの『昔』って一体何なんだろう……)
興味はあるが、今はそれよりもユーゼスの語る戦争について、である。
「また、場合にもよるが『普通の兵士』が戦局に与える影響はあくまで微々たるものでしかない。トリステインとゲルマニアの連合軍の兵力は合計で六万ほどらしいが、お前に与えられた役割はその『六万分の一』が良い所だろう」
「…………何で君は、こう、やる気を削ぐようなことを言うかな」
「自分の意見を言っているまでだ」
その言葉通り、ユーゼスは感情を交えずにただ自分の予想を述べていく。
これがまた納得出来る部分がそれなりに多いので、ギーシュとしても『聞かなきゃ良かったかなぁ』と思いつつ、話自体を止めようとはしなかった。
「私はお前に対して『死ぬな』などという無責任なことを口にするつもりはないし、『死んでも手柄を立てて来い』と強制する権限も持ち合わせていない。
よって、『死なないように努力しろ』としか言えない訳だ」
ユーゼスはそこで一旦言葉を切ると、あらためてギーシュの顔を見て何かを考え込んだ。
「……とは言え、知人が死んだという知らせを聞かされるのは私としても辛いものがあるからな。参考になるかどうかはともかく、戦場に行くに当たっての軽いレクチャー程度ならばしても構わんが……どうする?」
「むぅ……」
そういうものならば、戦争が始まる前……いや、魔法学院に入学する前から父に飽きるほど聞かされている。
だが、この男のアイディアや意見は今までにあの『土くれ』のフーケのゴーレムを攻略し、不意打ちとは言えワルド子爵を打ち破り、オーク鬼の群れを片付け、キュルケとタバサを殺しかけて、『アンドバリ』の指輪で操られたアルビオン兵を封じてきた。
実績だけ見れば、ハッキリ言って驚異的である。
だから……。
「…………お願いしよう」
取りあえず聞けるものならば聞いておこう、とギーシュはそのレクチャーとやらを頼むのであった。
ヴァリエールキラー支援
三日後、魔法学院の学院長室。
学院長たるオールド・オスマンは、ヒゲをいじりながらボヤき声を上げていた。
「……トリステインも何だか、せっぱ詰まってきたのう」
「グチを言ったところでどうにかなるものでもないでしょうに」
「いいんじゃよ、言うだけタダなんじゃし」
ボヤきを秘書のミス・ロングビルにたしなめられつつ、しかし態度を改めようとしないオスマン。
つい二日前、アルビオンへの侵攻作戦が魔法学院に正式に発布され、それと同時に王軍は学生仕官の志願を募った。
当然と言えば当然だが、それを受けて学院の男子生徒たちや男性教師たちは我先にと志願。昨日から即席の士官教育を二ヶ月ほど受けることになっている。
おかげで魔法学院の人口は半分ほどにまで減少し、いつもなら賑わっているはずのこのトリステイン魔法学院もすっかりガランとしていたのだが……。
そんな閑散としていた魔法学院に昨晩、王政府から『残った女子生徒たちにも軍事教練を施す』という連絡が舞い込んできた。
そして先ほど、その教練のために銃士隊の隊長であるアニエス・シュヴァリエ・ド・ミランが現れ、『これから軍事教練を行います』とかなり一方的に告げてきた。
「……ミス・ロングビル」
「何でしょうか」
「忌憚なき意見を聞かせてもらいたいんじゃが……この軍事教練について、君はどう思うかね?」
オスマンはカリカリと書類に向かってペンを走らせるミス・ロングビルに、いつになく真剣な目で問いかける。
「どう、と言いますと?」
「そのまんまの意味じゃよ。第一印象ってヤツじゃな」
「―――率直な所を言ってもよろしいのでしょうか?」
「構わん、構わん。誰かに聞かれても困ることはありゃあせん」
「……………」
ミス・ロングビルはペンを止めて少し考え込むが、やがて本当に『率直な第一印象』を口にした。
「『気休めにもならない』、ですかね」
「……キッパリ言うのう」
「『言え』、と言ったのは学院長ですわ」
だが、オスマンもミス・ロングビルのそのセリフを否定はしない。
トリステイン……いやアンリエッタの王政府は、割と早くから国中の貴族をこの戦に投入する構えを見せていた。女子生徒まで予備士官として確保しておき、アルビオンで実際に戦っている戦力が消耗した場合には彼女たちを向かわせるつもりらしい。
オスマンは、そんな王政府の姿勢に疑問を感じる一人であった。
百歩譲って男子学生ならともかく、女子生徒まで戦に巻き込もうとすることを良しとしなかったのである。
無論、男子生徒の徴用も含めて反対意見は出したのだが『勉学は戦争が終わってからだ』と王政府に言い切られてしまってはどうにもならない。
よって、ささやかな嫌がらせ……もとい、抵抗の意志を示すため、男子生徒たちの士官教育が終わる二ヵ月後に予定されている王軍見送りの式に出席せず、また女子生徒たちにも出席を禁じさせる旨を伝えたら……。
「それが余計に向こうを刺激しちゃった、ってことじゃな」
はあ、と溜息をつくオスマン。
ミス・ロングビルはそんな老人に頓着せず、ただ黙々と書類を片付けている。
「……なあ、ミス・ロングビルや」
「何でしょうか」
「こんな風に可哀想な老人がこれ見よがしに溜息をつき、若者たちの未来を憂いていると言うのに、慰めの言葉の一つもない……というのは少し酷くはないかね?」
「……………」
物凄く嫌そうな顔で、本人曰く『可哀想な老人』を見るミス・ロングビル。
その『可哀想な老人』は、何かを期待するような瞳で自分を見つめている。
「はぁ……」
仕方がないのでミス・ロングビルは再び仕事の手を止めて、その慰めの言葉とやらを言ってやることにした。
「げんきだしてくださいよ、そのうちきっといいことありますって」
「何、その適当なセリフ!? しかも棒読み!!」
「……下らないこと言ってる暇があったら、夏期休暇中に溜まっていた仕事を片付けてください」
ピシャリと言い放ち、仕事に戻るミス・ロングビル。
夏期休暇の間、彼女は実家(厳密に言うと『実家』ではないが)に帰省していた。
そして当たり前だが、夏期休暇中であろうがなかろうが、秘書がいようがいなかろうが書類やら何やらの処理は発生する。
……だと言うのに、オールド・オスマンはその色々な仕事をほとんど手付かずのまま放置していたのである。
「って言うか、何で仕事してないんですか!? 時間はたっぷりあったでしょう、それこそ二ヶ月も!」
「だ、だって……生徒たちは休みで実家に帰ったりして夏を満喫しとるのに、魔法学院で一番偉い私が仕事に忙殺されるなんて、理不尽だとは思わんかね?」
「つまりずっと遊んでたんですか、あなた!?」
「『遊んでた』とは失敬な! この夏という一瞬の輝きを逃さないために、日々酒場やカジノに繰り出したりして最大限の努力を行っていただけじゃあ!!」
「それを遊んでたって言うんだよ、このボケジジイ!!」
思わず口調を巣に戻してオスマンをなじるミス・ロングビル。
その秘書の剣幕に押されてか、学院長はシュンと小さくなってうなだれてしまった。
「くすん……。最近キツいのう、ミス・ロングビル」
「キツくなるようなことを言ってるのはそっちでしょう。それと変な泣き真似なんかしないでください、気色悪いですから」
「ひどっ」
しかし、かく言うミス・ロングビルもまた夏期休暇で帰省していた際には、妹代わりの少女や居候の男などと割と楽しく過ごしていのだが……。
(それにしてもシュウの奴、『アインストの研究はほぼ終わりましたが、アレよりも厄介で興味深い研究対象を見つけました』とか言ってたけど、一体何なんだろうねぇ……)
シュウが『厄介』と言うくらいなのだから、きっと物凄いモノなのだろうが……まあ、あの男の得体が知れなくて何を考えているのか分からないのは、いつものことだ。
(それに『厄介』だって言うんなら、私にとってはティファニアの誤解を解く方が厄介だったし……)
いやもう、アレには本当に苦労した。
自分が何を言っても『いいの、わたしに気を使わなくっても……』とか『そうよね、シュウさんもわたしなんかよりマチルダ姉さんの方が……』とか言うばかりで、誤解を解くと言うよりはもはや説得に近かったほどだ。
何せ、どうにかティファニアを納得させるまでに一週間もかかったのである。
「ふぅ……」
まあ、過去のことはともかくとして。
「明日にはアカデミーから臨時教師の方も来られるんですから、その時はキチンとしてもらいますよ」
「えー」
「『えー』じゃありませんっ!」
何でこんなのが魔法学院の学院長になれたのかねぇ……などと思いつつ、ミス・ロングビルはその学院長のサインを残すのみとなった書類を次々とオスマンへ回していく。
アウストリの広場。
いつもならば男子女子ひっくるめた学院生徒たちの声で賑わっているこの広場も、男子生徒たちの全員が軍へと志願してからはガランとしてしまっている……はずであったのだが。
「えいっ、やあっ!」
「とぉ〜!」
「たぁぁ〜〜っ」
「きゃあっ!」
授業中のこの時間、アウストリの広場は女子生徒たちのきゃあきゃあ騒ぐ声で賑わっていた。
彼女たちは例外なく『布で包んだワタを先端にくくりつけた木の棒』を手に持っており、その棒を女子生徒同士でカコカコと突き合わせている。
「痛っ! もう、そんなに強くしないでよ!」
「ご、ごめん〜」
……どうやら槍の訓練をしているらしいのだが、どうにも緊張感がないというか真剣味が足りなかった。
まあ、無理もない。
現在トリステイン各地の練兵場にいる男子生徒たちならともかく、この彼女たちは基本的には『貴族のご令嬢』であって、このような荒事には無縁の生活を送ってきた者がほとんどなのである。
では何故、そんな女子生徒たちがこのような訓練をしているのかと言うと。
「―――お前たち、もっと真剣にやれ! いっそのこと、目の前の相手を殺すつもりでやっても構わんぞ!!」
突然この魔法学院にやって来た『女王陛下の銃士隊』である所の女性たち……特にその隊長のアニエスという女が先頭に立ち、女子生徒たちに軍事教練を施しているからである。
名目としては『杖が使えない場合でも最低限、自分の身を守るための訓練』なのだそうだ。
(その発想は間違っていないと思うが……)
そんな女子生徒たちをボンヤリと眺めながら、ユーゼスは一人やることもないのでこの軍事教練について考えていた。
(……しかし、これでは『軍事教練』と言うよりも『護身術の稽古』だな)
まあ本格的に軍事教練などをやろうとしたら、それこそ男子生徒たちと同じように専用の施設と人材とそれなりの期間を用意しなければなるまい。
だが、今のトリステインにそんな余裕がある訳もなく。
かと言ってイザと言う時のための『頭数』(ユーゼスはあえて『戦力』という言葉は使わなかった)は確保しておきたいので、取りあえずの『軍事教練』を行っている……と、こんな所だろう。
(……ふむ)
一応の可能性として、『この少女たちが実際に戦場に行った場合』を想定してみる。
戦力がかなり消耗してから投入されるだろうことはユーゼスにも予想が出来るが、そんな『かなり消耗した戦局』で『にわか仕込みにもなっていない少女たち』を放り込んだら、果たしてどうなるか。
(…………良くて囮、普通に考えて防壁代わり、最悪の場合は特攻要員だろうか?)
中々に暗澹とした未来予想図であるが、100%否定することも出来ない。
……加えて言うなら、この軍事教練はアンリエッタ女王陛下の名において命じられたものであるため、教練を施す方にも施される方にも拒否権は無い。
(それがハルケギニアにおける必然であるならば、仕方がないな……)
ちなみに彼の主人である桃髪の少女も当然ながらこの軍事教練に参加しているのだが、この軍事教練についての彼女の意見は、
「『魔法学院の生徒として』なら受けるわ」
だそうだ。
ルイズとしてもこの軍事教練について思う所はあるようなのだが、今の所は『一人のトリステイン貴族』としての立場でいることにしたらしい。
(とは言え、それも今後の展開次第だろうが……)
ユーゼスがその気になれば今後の戦局の詳細かつ正確な予測どころか、この戦争の展開そのものを自在に操ること、本格的な戦争状態に突入する前のこの状態で両国の問題を解決することすら可能である。
……だが、彼はそれをすることを良しとしない。
そのような絶対者の存在は、必ず世界に何らかの歪みを生じさせるということを身に染みて理解しているからだ。
地球の環境再生のために作り出されたアルティメットガンダム、正義のために作られたはずの人造人間たち、そして宇宙の守護神と呼ばれていたウルトラマンですらそうだったのだから。
……もっともアルティメットガンダムに関して言うのであれば、自分の思惑もそれなりに入っているが。
ともかくそんな無用の混乱を避けるため、ユーゼスは御主人様たちがせっせと訓練に励んでいる光景を眺めつつ、こうして広場の隅に腰掛け、読みかけの本を手に取るのである。
「………」
一応ラ・ヴァリエールの領地を発つ時にカリーヌから『身体をなまらせないためにも、毎日最低限の訓練を欠かさないように』と言われていたが、『自分の現状の維持』など因果律のほんの少し操作で事足りる。
「……そう言えば」
今日はラーグの曜日である。
これもまたラ・ヴァリエールの領地を発つ前あたりにカトレアと話して決めたことなのだが、週に二度、虚無の曜日とラーグの曜日にはカトレアの診察のためにラ・フォンティーヌの領地に向かうことになっていた。
しかも、何故かエレオノールやルイズには秘密で。
「必然的に移動にはジェットビートルを使わなければならんのだが……まあ、御主人様には『一人で空の散歩がしたい』とでも言っておくことにするか」
なお、例によって例のごとく『断わる理由が特にない』といういつもの理由でもって、ユーゼスはカトレアの頼みをほぼ全面的に承諾している。
取りあえず彼女たちの訓練が終わって一段落したら、御主人様に許可を貰おうか……などとユーゼスが考えていると。
「おい、そこのお前!」
「?」
いきなり誰かに声をかけられた。
声の方に顔を向けてみれば、そこには金髪を短くカットし、鎖かたびらや簡易的な鎧を着込んだ女性の姿。
アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン。
何でも先のタルブ戦で貴族にもひけを取らない戦果を上げ、平民でありながら『シュヴァリエ』の称号を授与、更にはつい最近発足した女王直属の『銃士隊』とやらの隊長に任命された、という女傑である。
また外見から分かるように相当に気が強く、授業の真っ最中だというのにヅカヅカと教室の中に入ってきて問答無用で授業を中止させ、半ば強制的に現在行っている『軍事教練』へと移行させたほどだ。
……授業を行っていたコルベールは落ち込んでいた様子だったが、まあそれはどうでもいい。
しかし学院の男手は教師も含めてほぼ全員が王軍に志願したと言うのに、なぜあの男だけは学院に残っていたのだろうか。
本人は『戦が恐い』と言っていたが……。
(…………それこそどうでもいいか)
あの男の研究内容はユーゼスにとっては唾棄すべき物だが、その人間性まで否定が出来るほど彼のことを知っているわけではない。
今は目の前のアニエスである。
「……私がどうかしましたか、ミス・ミラン」
ユーゼスは立ち上がってアニエスに返答した。
なお、元々は平民とは言え彼女は初対面の貴族なので敬語を使っている。
対するアニエスはやや不機嫌そうな様子で、そんなユーゼスに質問をぶつけてきた。
「あの場にいる女子生徒の誰かの従者か何かだと見受けるが、主人が軍事教練を行っている最中だというのに、お前は何もしないのか?」
「……………」
何かと思えば、そんなことか。
「私の専門は戦闘ではなく研究や分析ですので」
一部の隙もない完璧な返答(だと言った本人は思っている)を行うユーゼス。
……人間には適材適所、というものがある。
メイジにはメイジの、兵士には兵士の、そして研究者には研究者の役割があるのだ。
そして研究者の役割とは、連日に渡ってスクウェアクラスの風メイジに拷問じみた訓練を受けることなどでは断じてないはずなのである。
と、言うか。
(学院では牧歌的な生活を送りたいのだが……)
しかし、どうもアニエスはユーゼスの言葉に納得がいかないらしい。
「今は戦時だぞ。専門であろうがなかろうが、イザという時のための備えはするべきだ。……それに本当に敵が攻めて来れば、お前とて戦うのだろう?」
「……戦いの専門家であるあなた方には遠く及ばないと思いますが」
「フン」
そしてユーゼスのことをジロジロと見つめた後、部下の銃士隊隊員に命じて木剣を二本持って来させる。
「……ミス・ミラン、何を?」
「おおよその察しは付いているのではないか、研究者殿?」
嫌な予感がしたユーゼスはアニエスのその行為の意図を問い質そうとするが、時すでに遅し。
アニエスはユーゼスに向かって木剣を一本放ると、もう一本の木剣をおもむろに構えた。
そして。
「貴族のお嬢さん方の相手ばかりしていても退屈だからな。暇潰しに貴様を鍛えてやる。喜べ」
「……少し待っていただきたいのですが」
一応の抗議を試みるユーゼスだったが、アニエスは『聞く耳持たぬ』と言わんばかりに木剣の切っ先をユーゼスの頭部に向けて振るう。
「!」
ユーゼスはそれを咄嗟にギリギリで回避し、しかしそのせいで体勢を崩して地面をゴロゴロと転がった。
「ほう、かわしたか。……避け方はてんでなっていないが、どうやらある程度の基本は出来ているようだな」
それはそうだ。
二ヶ月間も毎日実戦形式で戦闘訓練をやらされていれば、どんなに才能がない人間でも嫌でも戦い方の基本くらいは身に付いてしまうものである。
支援するっ!
「単なる青びょうたんかと思ったら、意外と骨がありそうだ。……だが基本だけでは敵に勝てん。そこからいかにして『自分の戦い方』を模索するのかが重要になってくるのだが……まあいい、それをこれからみっちりと教えてやる」
「いえ、遠慮して……」
訓練終了時にカリーヌから言われたこととほとんど同じことをアニエスから言われたので、ユーゼスの感じていた嫌な予感が十倍くらいに膨れ上がった。
なので、アニエスの申し出を丁重に断ろうとしたのだが。
「遠慮することはない。……お前は鍛えられて実力が上がる、お前の主人は従者の実力が上がるので安全性が高まる、私は暇潰しが出来る。そら、一石三鳥ではないか」
ニヤリと笑うアニエス。
何だか押し切られそうな感じになってしまっている。
(……ハルケギニアに召喚されてから、やたらとこの手の女に縁があるな……)
もしや、そのような因果律か何かでも働いているのでは―――などと考えるが、そんな妙な因果律があるとも思えないのですぐに思考を打ち切る。
「さて、話はここまでだ!」
そしてその途端、互いの会話もここで打ち切りとばかりにアニエスが木剣を構えてこちらに突きを叩き込んできた。
「っ!」
カリーヌとの訓練の賜物か、ユーゼスは反射的にその切っ先を自分の木剣で払い、すかさずアニエスと距離を取った。
(本格的な対人戦の訓練は、それほどやっていないのだが……)
二ヶ月の間に魔法の刃である『ブレイド』を使ったカリーヌに一方的に斬りかかられたり突き込まれたりされた経験は多少あるが、それにしても『対メイジ戦』である。
直接戦闘と言えばギーシュのワルキューレとの戦いは単調な動きの隙を突けば何とかなったが、今の相手は本格的な『剣士』だ。参考にはなるまい。
それに何より、木剣ではガンダールヴのルーンが発動してくれない。
これは大問題だった。
カリーヌに受けた訓練も、オリハルコニウムの剣やデルフリンガーがあり、かつルーンの身体強化の効力があったからこそギリギリで乗り切れたのである。
訓練によって多少体力や腕力、そして技術が身に付いたとは言え、ハッキリ言ってガンダールヴのルーンなしのユーゼスの身体能力は『平均的な平民』とほぼ同じと言っていい。
(取りあえず、防戦に徹するか)
シャイニングガンダムに乗っていた頃のドモン・カッシュでもあるまいし、真正面からやたらめったら突っ込んでいく、というスタイルはユーゼスの望むところではない。
それに攻撃の際に出来た隙を突かれて、逆に反撃もされたくもない。
何より初見の相手である。迂闊に仕掛けるわけには行くまい。
(しかし、なぜ公爵夫人から解放されたと思った途端、魔法学院でまで訓練を受けければならないのだろう……)
別に強くなって困るという訳ではないのだが、自分の本来の担当は肉体労働ではなくて頭脳労働なのだ。
いわゆる『畑違い』というやつである。
それにそろそろ魔法学院の自分の研究室で本格的に『虚無』の研究を始めようかと思っていたのに、初手からつまずくことになってしまった。
(とんだ計算違いだな)
辟易しつつ、アニエスの攻撃をどうにかこうにか捌いていくユーゼス。
まあとにかく軍事教練の時間が終わるまでしのいでいれば、この自分に対する訓練も終わるだろう。
ということで、ユーゼスはアニエスの攻撃に対して回避と防御のみに専念するのであった。
なお、余談ではあるが。
この後、ユーゼスは『お前は避けることと受けることしか知らんのか』とアニエスに怒鳴られ、その直後に烈火の如き連撃でその防御を打ち破られ、全身を木剣でしたたかに打たれることになる。
翌日。
「…………身体中が痛い」
「そりゃ、アレだけ木の剣でやたらめったら叩かれてたら痛いでしょうけど……。それにしたって、あんな平民の女兵士くらい倒しなさいよ、もう」
「木剣ではガンダールヴのルーンが発動しないからな。いくら公爵夫人から訓練を受けたとは言え、素の状態の私ならあんなものだ」
「……アンタのその素直さって、けなすべきなのか褒めるべきなのかたまに判断に困る時があるわ……」
全身の痛みを訴えるユーゼスと、そんな自分の使い魔に呆れるルイズ。
主従二人は、教室で授業を受けるために席に付いていた。
また、席に付いているのはルイズたちだけではなく他の女子生徒たちも同様である。
「それにしても、てっきり授業は全部軍事教練に差し替えられるのかと思ってたわ」
「……そんな訳がないだろう。いくら王宮からの命令とは言え、通常の授業をまったく無視して全て軍事教練にすれば、それはそれで問題だろうからな。一日の授業時間の半分ほどにとどめておくのは妥当な判断だ」
軍事教練が始まったとは言え、それを朝から晩まで延々と行っているという訳ではない。
魔法学院の教師たちのほぼ半数は男性で、彼らが出征してしまったので授業時間も半分に減ってしまったため、その減ってしまった分の時間を軍事教練に割り当てているのだ。
もっとも、さすがにそっくりそのまま軍事教練に差し替えては『一時間目に軍事教練の後、二〜三時間目に通常授業、四時間目にまた軍事教練』……と言った具合にアンバランスな構成になってしまうため、『午前は通常授業、午後は軍事教練』などとしている。
そんな訳で、戦争中でも一応授業は続くのであった。
「でも男の先生たちが減っちゃったせいで、何だか『先生がいる系統』と『先生がいない系統』に偏りがあるような気がするわね」
「そうだな。こういう時に『全ての系統の知識を網羅した教師』がいれば便利なのだが」
しかしユーゼスとルイズが知る限り、そんな教師は学院にいない。
これは教師に限らずほとんどのメイジに共通したことなのだが、『自分の系統こそ最高、他の系統はそのオマケ』というような考えが割と広くはびこっている。
要するに自分の系統に誇りを持つあまり、自分の系統だけに研究が集中しすぎて他がおざなりになってしまうのだ。
『専門家』と言えば聞こえは良いが、ユーゼスに言わせればそんなものはただ視野が狭いだけである。
(『多角的』という概念そのものが薄いのかも知れんな……)
全くないということは無いにしても、少なくとも一般的なものではあるまい。
そもそも多角的に物を考える人間が多かったら、とっくの昔にハルケギニアで思想革命なり文明の発達なりが起こっていなければおかしいだろう。
(だからこそ戦争が起こった、とも言えるが)
まあ、そこに口を出すのは自分の領分ではない。
教師の数も少ないなら少ないで、どうにかやりくりはするだろう。
(しかし『全ての系統の知識を網羅した人間』か……)
魔法学院の教壇に立つ以上、うわべだけの網羅ではなくそれなりに深い内容をそらんじるくらいのことが出来なければなるまい。
ユーゼスの知る限り、トリステインでそのようなメイジは一人くらいしかいなかった。
……が、そのメイジはそれこそ『魔法の研究』に従事しているため、この学院にやってくることはないのだ。
(彼女がどのような授業を行うのか興味はあるが)
などとユーゼスが考えていると、教室の扉が開いてオールド・オスマンが入って来た。
「?」
一様に疑問の声を上げる女子生徒たち。
まさか足りない教師の代わりとして学院長が授業を行うのでは、などとにわかに教室がざわつき始める。
「あー、静かにしなさい、君たち」
教壇の前に立ったオスマンは杖で床を二、三度小突いて女子生徒たちを沈黙させると、その彼女たちに向かって話を始めた。
「おほん。諸君らも知っての通り、男の教師たちはほとんど戦に行ってしまったため、この魔法学院の教師は半分ほどゴッソリといなくなっておる」
知ってますけどそれがどうかしたんですか、と言わんばかりの女子生徒一同。
うら若き乙女たちのそんな視線に答えるかのように、オスマンは言葉を続けた。
「そのため授業の内容に若干かたよりが出てしまうということで、それを補うために王立魔法アカデミーから臨時教師を招いた。……入りなさい」
自分が入って来た扉に向かって声をかけるオスマン。
次の瞬間、ガチャリとその扉が開き……。
「!」「何?」「あら」「………」「ええ!?」
ルイズ、ユーゼス、キュルケ、タバサ、モンモランシーの五人は、そこから現れた『見知った顔の金髪眼鏡の女性』の姿を確認してそれぞれ驚いた(タバサは驚いているのかどうか不明だったが)。
その女性はニッコリに微笑むと、
「エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールです。……短い間だとは思いますが、皆さん一緒に楽しくお勉強しましょう」
そこだけ抜き出せば実に親しみやすそうな口調で、自己紹介を行うのであった。
授業終了後、昼休み。
女子寮の空き部屋の前には、ドカドカと荷物が置かれている。
その部屋の中では、
「何で姉さまが教師なんですか!?」
「それはこっちの方が聞きたいわよ。アカデミーで特殊な鉱石の研究に取り掛かろうかと思ってたら、いきなり女王陛下から書状が来て『魔法学院の教師になれ』って命じられたんだもの」
「……姫さまが、ですか?」
エレオノールが下の妹とその使い魔に向かって、ことの経緯を説明していた。
「ええ。しかも私を名指しでね。……ルイズ、あなた女王陛下に何か言ったの?」
「いえ、特に思い当たる節はありませんけど……」
強いて言うなら従軍を断ったことくらいだが、それとエレオノールが学院に派遣されてくることに繋がりがあるとも思えない。
あの人は一体何を考えてるのかしら……などとルイズが思っていると、エレオノールは妹への追及をひとまず止めて、入り口付近の壁に背を預けていた妹の使い魔と軽くではあるが視線を絡ませていた。
「……………」
「何よ、相変わらずつまらなそうな顔をして。……そんなに私が魔法学院に来たことが不満?」
ムッとした様子のエレオノール。
対するユーゼスはエレオノール曰く『つまらなそうな顔』でサラリと、
「いや、それなりに喜んでいるのだが」
「!」
そんなことを口走った。
「っ、なっ、なななっ……何よ、いきなり!!?」
「……そこまで動揺することもないだろう。これでも私はお前のことを高く評価している。これで停滞するかと思っていた研究もはかどるかも知れん」
「あ、ああ……そういうこと……」
要するに『優秀な人材が来てくれて嬉しい』、ということか。
「…………もう、紛らわしい言い方をして…………」
そして微妙にガックリしているエレオノールに、ユーゼスは更に言葉を続けた。
「それにお前が学生相手に授業を行うという姿も見れたからな。なかなか興味深く拝見させてもらったよ」
「う……」
あらためてそう言われると、エレオノールの心中に気恥ずかしさが湧き上がってくる。
今日は初日ということで、取りあえず自分が土系統のメイジであることと授業については全系統をまんべんなく担当することを伝え、また生徒たちの基本的な学力やメイジとしてのクラスなどを見てみたのだが……。
「な、何か不手際とかがあったかしら」
「特に見当たらなかった。……まあ、お前の魔法理論についてはレポートを通じて大部分を把握しているが、それをどのようにして口頭で伝えるのかについては知らなかったからな。これからどのような授業を行うのか期待させていただこう、ヴァリエール先生」
「……微妙に馬鹿にされてるような気がするんだけど」
「他意はない」
ルイズに初めてアカデミーに連れられて以降、ユーゼスとエレオノールとでやり取りしたレポートの数は既に二十を超えている。
その間、ユーゼスの魔法についての考察をエレオノールが指摘することは何度もあったし、逆にエレオノールが記述した魔法についての内容をユーゼスが指摘することも数え切れないほどあった。
そんな訳で互いの魔法理論については誰よりもよく知っているこの二人なのだが、エレオノールが他の第三者を指導することは今までにほとんど無かったため(ユーゼスはギーシュなどに指導を行っている)、ユーゼスとしてはこれはなかなか興味深い事例なのである。
そのようにして銀髪の男と金髪の女が何だか独特な空気を形成していると、少々と言うにはやや激しすぎる不機嫌っぷりでルイズが横から口を挟んできた。
「ほら、ユーゼス! いつまでもノンビリしてないで、軍事教練に行くわよっ!」
ユーゼスの白衣の裾を掴んで、グイグイと引っ張るルイズ。
と、その時、ルイズの言葉の中に不穏な点を見つけたエレオノールが疑問の声を上げる。
「……? ルイズはまだ分かるとして、どうしてユーゼスが軍事教練の場に行く必要があるのよ?」
「私にもよく分からないが、成り行きでな。おかげでミス・ミランに痛めつけられている」
「………………『ミス』・ミラン、ですって?」
いきなりエレオノールの声のトーンが低くなり、また目元が見る見る内につり上がっていった。
「ああ。魔法学院の女子生徒に軍事教練を施すために、王宮から派遣されてきた銃士隊の隊長だ。少々理不尽ではあるが彼女に目を付けられて一対一の訓練を受けている」
「銃士隊……ああ、確か最近新設された、女王陛下直属の部隊だったわね。
……確か構成人員は、全員が平民の若い女性だとか」
「その通りだ」
「それで、あなたはその『女性の隊長さん』と一対一で訓練を行っている、と」
「うむ」
「……一応聞いておくけど、その隊長さんとやらは私より若いのかしら?」
「確かその筈だが」
「……………」
ユーゼスとしてはただ単に事実を述べ、質問されたことに答えているだけなのだが、どういう訳か会話が進むたびにエレオノールにギロリと睨まれる。
「ふ、ふぅん……。……もしやとは思ってたけど、やっぱりまた別の女を引っ掛けて……」
「?」
エレオノールはブルブルと小刻みに震え、そして強めの口調で宣言を行った。
「…………いいわ。良い機会だから、私はここであなたの行動を監視します!」
「……何故そうなる?」
何も悪いことはしていない筈だし、これから何かをするつもりもないのに、どうしていきなり監視という言葉が出てくるのだろうか。
「っ、いつまでもエレオノール姉さまとばっかり話してないで、来なさい!」
「む……」
首を傾げるユーゼスだったが、しかし今度はルイズに裾を引かれる形で強引に移動させられてしまう。
すると怒った様子のエレオノールがついて来て、結局は三人でゾロゾロと移動する羽目になってしまった。
(……ヴァリエール家にいた頃と大して状況が変わっていないような気がするな……)
いや、考えようによってはむしろ悪くなっているようにも思える。
(カトレアの所に行くのは……三日後か)
つい昨日にラ・フォンティーヌの領地に行って診察がてらカトレアと会話をしたばかりなのだが、無性にあの安らぎの時間を渇望し始めるユーゼス・ゴッツォであった。
以上です。
今回はアニメ版のシチュエーションから引用してみました。
アニメ二期のこの辺は、私にとってはまさに宝の山だと言っても過言ではありませんww
……ちなみにミシェルを出すと話がまたややこしくなるので、彼女の出番はカットしてあります。
そしてユーゼスがアニエスの訓練を受けておりますが、文中にもあるようにいくら指導者が優れているとは言え二ヶ月程度ではそうそう強くなれるものではありません。
まあ、『二ヶ月の夏休みの後に、また二ヶ月も訓練期間を設けてから戦争に突入』、という二次創作泣かせの微妙な期間の収めどころを、これくらいしか考えられなかった、ってのもありますが……。
ちなみに初期案では、実はアニエスもヒロイン候補の一人でした。
って言うか、途中までは割と本気でアニエスをヒロインの一人にするつもりでした。
没ネタでは『魅惑の妖精亭編の際、ルイズ&アンリエッタ、ユーゼス&アニエスという2グループに分け、追っ手をやり過ごすためにアニエスからユーゼスにキスをする』というものもあったりします。
…………あったのですが、経験上ヒロインを増やしすぎるとワケが分からなくなるということを身をもって知っているため、彼女には恋愛フィールドへの入場は辞退していただくことに相成りましたww
惜しいことをしたと思わないでもないですが……。
しかし最新刊発売はもう目前、って言うかもうフラゲしてる人もいると思いますが……。……うう、最近になってにわかにエレオノールにスポットが当たってきたけど、だからこそ嬉しいような怖いような。
まあ、タバサの『幽霊怖いフェイク』ほどの破壊力はそうそうないでしょうけどね。
それと発表されたスパロボ最新作について一言。
……取りあえず、今のところ本気でWiiでシリーズ展開をするつもりがないことは分かりました。
それでは皆様、支援ありがとうございました。
乙でした
gj!
乙
>それと発表されたスパロボ最新作について一言。
>……取りあえず、今のところ本気でWiiでシリーズ展開をするつもりがないことは分かりました。
アイアンリーガーのことですねわかります
ええ、よくわかりますとも
乙!今日は良い日だ・・・!!
つーか、最新刊もう出るんでしたっけ、早いなぁ
他の注目作がまだ出ないのばっかだから余計そう感じます
ところでシュウって何に目をつけたんでしたっけ、ダクブレ?
>>wii
実験作という印象が強いっすねぇ、もしくはC3のような大冒険
参戦作品は個人的に幼少期に大ブレイクしてたものが多いので、その辺は今後に生かしてほしいもんです
SAMURAI 7でこんな感じのちょっとオリ主気味の憑依物を召還したいのだけどいいですか?
学歴
東大からイギリス留学でハーバードで弁護士
職歴
ニューヨークタイムズを経てゴールドマン・サックス
年収
600万ドル
現在レイシー・ハート似の女子高生と同棲中
持ってるハード
PS3 PS2 PSP-3000
ある意味戦争に参加しない作品ばかりを集めたとんでもない実験作<NEO
おおう、ラスボスの人だ!待ってました!
>wii
俺は正直ラムネと新ゲッターだけで欲しい衝動に駆られましたわ。wii持ってないのに。
もう撤退したのかなあ
途中で投げ出すなら撤退宣言して欲しい。
リューナイト登場は予想外すぎる>NEO
ラスボスの人乙
アニエス大好きだからヒロインに入らなくなった経緯は残念かな〜
三姉妹の中でカトレアがオアシスみたいな役割になってるんですけどツン二人は大丈夫ですか?
リューナイト参戦が琴線に触れた>NEO
リューナイトがOVA版じゃないのが少し不満かな
そういえば、リューナイトから誰か召喚してもハルケにはミストルーンがないからリューは殆ど使えないんだよな
ラスボスの人乙&GJ!
ウ゛ァリエールキラーww
それにしてもこのユーゼス、マジで女難続きwwwユーゼスイ`www
アニエスの件は無理やりに感じたんだけど
何故そこで目をつけて訓練するんだ?良く分からなかった
>>806 俺は新ゲがメインに近い扱いだったらwiiを買ってでもやる
エルドランが幸せです>NEO
ラスボス氏乙
ヴァリエールキラーが過労死しかける姿が見えるようだ……
>>Wii
リューナイトだけで心の罫線かきならしてるんだがWii持ってないのよね....
PS系とかDSなら買ってたな
>>812 命令だから面倒だけど子供に戦闘訓練させてたら
良い歳の男がベンチで本読んでるんだぜ?
そりゃ大義名分有るんだしストレスのはけ口にするだろうさ
カトレア「アンリエッタは糞ったれだ。もし自由に魔法が使えたら、まずはあのビッチを消すね」
NEOは新ゲッターが出るのが素晴らしい、MH3のためだけに買う予定だったが買えるソフトが増えて有難いぜ
ラスボス乙です
やっぱりヒロインは当て馬含めて2人ぐらいが限界だと思うので
一話限りのヒロインなら幾ら居ても大丈夫だろうし増やしたいならそっちの方向で増やしては?
それどこのカブトボーグだよwww
ラスボスの人乙、今回もGJでした。
いよっし! アニエスさんが来たーっ! ミシェルさんがいないのが残念ですけど、確かにアニメ第2期のここは
ヴァリエール姉妹の学園入りや地下探検などオリジナル展開が秀逸でしたよね。
そしてユーゼスのヴァリエールキラー認定おめでとう。凡人並みの体力しかないユーゼスはアニエスさんのしごきまで入って耐えられるのかなあ。
まあそれにしてもエースキラーはかっこいいですよね。メビウスにリメイク版のメビウスキラーが出るとわかったときは予告編を見ながら
驚喜してました。そのうち私も出したいものです。
ラスボス乙
こうなったらウルトラキラー、ライダーキラー、ガンダムキラー
のバトルドッヂボールU勢を(ry
コウタとショウコとギリアム引き連れてダークブレインが立ちはだかるのかw
ラスボスの人乙です。
ヴァリエール姉妹だけじゃなくアニエスもかよ。
が、ヒロインにならんのが残念だ。
まあこれ以上増えると収集がつかなくなるから仕方が無いか。
ウルトラも黒魔もラスボスも乙です。
どれもこれも素晴らしくて、毎回毎回楽しみにしてます。
で、遅ればせながら毒の爪の使い魔の第41話が書き終わりました。
予定その他が無ければ23:54から投下します。
>>819 使い捨てヒロインに、予告で完結、唐突の四人目、死んでも次回で復活、ヤクザな主人公、はす向かいは潰される、
友情<<<<<<<越えられない壁<<<<<<<<お金
等々…
ヒーロー戦記verの南光太郎を召喚してだな・・・
>>822 バトルドッヂボールUなら暗脳は味方じゃないのか?
では時間なのでそろそろ投下開始します。
所変わって、城の中庭。
大きな池に浮かぶ小船の中で毛布に包まり、ルイズは泣いていた。
城の中から自分を探す声が聞こえる。
だが、この小船は小島の陰に隠れ、死角となっている為に、城からは目立たない。
お陰で、此処は幼い頃に使っていた時と同じように安全だった。
とにかく、今は一人でいたい…。それは彼女の心からの願いだった。
ルイズは毛布に包まり、泣きながら考える。
母と姉に好きな人が居ると言われた。
しかし、自分にはそんな人はいない。…いない筈だ。
なのに……何故だか、あの使い魔の顔が頭に浮かんでくる。
違う…、違う…、絶対に違う…。
ルイズは必死になって否定する。だって、ありえないから。
あいつは使い魔なのだ、自分が従えているだけの使い魔。
好き、とか…そんな感情を抱くはずがない。
あいつだって自分の事は何とも思っていない…はずだ。
大体だ、それ以前にあいつは――
(あいつには……もう、大切な人がいるじゃない…)
そうだ…、既にあの使い魔には特別な相手がいる。いや、”いた”か…。
自分よりも優しそうで、あいつの事を理解していて、しっかりしていて…。
あの人に比べたら、自分なんか…ただの子供。あいつの言うとおりのガキだ。
性格だけじゃなく、胸などの体付きでも負けてるのだから…。
自分なんか…太刀打ちできるわけが無い。
――考えれば考えるほど、情けない気持ちになってきた…。
ルイズは毛布を頭まで引っ被り、小さく蹲る。
小さな頃はそうすれば落ち着いた物だが…今はそうならない。
寧ろ、どんどん気持ちは沈んでいくようにも感じられた。
暫くそうしていると、中庭に人の気配を感じた。
土を踏みしめる音に続き、池の小島に続く木橋を渡る音が響く。
誰が来たかは関係無かった。
とにかく、見つかるまいと、ルイズは毛布に体を埋めた。
すると足音が小島で止まったかと思うと、一拍置いて小船が揺れた。
誰かが飛び乗ってきたのだろうか? だが、小島からはそれなりに離れているのだ。
そんなに運動神経のいい者がいただろうか? などと考える前に、毛布が引っぺがされた。
見つかった、とルイズは反射的に身を竦める。
「おい! 起きろ、クソガキ!」
聞き覚えの有る声に乱暴な言葉遣い。
目を開いて見上げる。
「ジャンガ…?」
「おら、行くぞ? 城の外でタバサ嬢ちゃんが待ってるからよ。テメェの荷物も一応持ってきてやったゼ」
言いながらズタ袋を一つ置いた。メダルとルビー、始祖の祈祷書とルイズの杖以外には特に入っていない。
ルイズはそれを一瞥し、しかし拗ねていたので顔を背ける。
「無理よ、許しをもらってないし…」
「ンなの、もうどうでもいいじゃネェか? テメェの頑固さの大元みたいな物なんだしよ…、
まともに話しで納得させるのは無理って物だゼ」
「…それだけじゃないわ」
「?」
「わたしが”虚無”の系統に目覚めた事も、色々頑張っている事も、何も話せないのよ?
誰が認めてくれるの? 誰も認めてくれない…、そう考えたら凄く悲しくなった…」
「カトレアの奴は色々感づいていたみたいだがよ?」
「ちいねえさまは鋭いから…当然よ。でも、母さまや父さま、
エレオノール姉さまは解ってくれないわ…」
「そんなの好きに言わせとけ…。外野が言ってる事を一々気にしてたらキリが無ェゼ」
「そんな風に割り切れないわよ…」
そう言ってルイズは寂しそうな表情で顔を伏せた。
そんなルイズを見つめながらジャンガは、やれやれ、と言った感じでため息を吐いた。
爪で頭をぐしゃぐしゃと、やや乱暴に撫でる。
「ひゃっ!? な、何よ!?」
「一人でも理解者が居るだけマシと思いやがれ。…それともテメェは本当の孤独を知ってるのかよ?」
ルイズは黙ってしまう。ジャンガがシェリーと会うまでの幼い頃を、孤独のまま過ごして来た事を思い出したのだ。
それに比べれば、カトレアと言う最大の理解者がいてくれた自分は恵まれている方と言える。
「…でも、やっぱり…」
「そうかよ? ならそうやって、ここでいつまでも拗ねてやがれ。
俺は行くゼ…、姫嬢ちゃんが奪われたままなのは我慢が行かないんでな」
そう言ってジャンガは立ち上がり、背を向けた。
「ま、待って!」
小島まで跳ぼうとしたジャンガの背にルイズは慌てて声を掛けた。
肩越しに振り返るジャンガ。
「ンだ?」
「……あ、あのね、聞きたい事があるの…」
「あ?」
「そ、そそ、そのね……あ、ああ、あの…」
もう、こうなったら後戻りは出来ない…、今この場で彼に聞こう。
自分が素直に彼について行けないのも、この疑問があるからだ。
だから、それを解決しなければならないのだ。
ルイズは恐る恐る口を開く。
「あ、ああ、あんたは…、そ、その…、わ、わわわ、わたしの事…、ど、どう思っているの?」
ジャンガは変わらない表情でルイズを見据える。
「どう、ってのは…何だ?」
「な、何って……その…」
ルイズはこれ以上無い位、顔を赤らめて口篭る。
実の所、ジャンガはルイズの質問の意味をほぼ完璧に理解していた。
だが、そこはジャンガである…、ルイズの慌てぶりが面白可笑しいので、わざとしらばっくれているのだった。
そんな事とは露知らず、ルイズは必死に自身のプライドと格闘していた。
一言…、一言尋ねればそれで全てが解決するのだ…。
だが、使い魔如きに貴族が…ラ・ヴァリエール公爵家の三女の自分が尋ねるような事なのか?
そんな葛藤が心の中に渦巻く。
正直に言えば、聞かずに済めばそれでいい。しかし、このままで済ます訳にも行かない。
…悩みに悩んだ挙句、ルイズは意を決した。
「わたしとシェリーさんと、どっちが魅力的!?」
――ド直球であった。
ジャンガは静かにルイズを見つめている。
ルイズは自分が言った言葉に顔を更に赤らめた。
暫しの沈黙。――唐突にジャンガが笑い出した。
「キ、キキ、キキキ…、キィ〜〜〜キキキキキキィィィ〜〜〜!」
「な、何が可笑しいのよ!!?」
ルイズは真っ赤な顔のまま叫ぶ。
ジャンガは笑いの発作と戦いながら言葉を搾り出す。
「キキキ…、いや、あんまりにもよ…キキ、お前がストレートな質問をするからよ…キキキ」
「そ、それが何よ!? わ、わたしには、せ、切実な疑問なんだから!
で、でも…か、勘違いしないでよね!? わ、わたしはただ、少し気になっただけで…、
あんたの事なんか何とも思ってないんだから!!!」
必死の表情で否定するルイズだったが、真っ赤な顔で言われても説得力は皆無であった。
ジャンガはニヤニヤ笑いながら、そんなルイズの言動を見ている。
「な、何が可笑しいのよ!!?」
「キキキ、まァそんなに怒るんじゃネェよ…。テメェの質問にゃ答えてやるからよ」
ジャンガは座り込むと、ルイズと同じ目線で顔を覗き込んだ。
「正直に言ってやる。…テメェにはシェリーの様な魅力は欠片も感じねェよ」
ハッキリと否定され、ルイズは激しく落ち込んだ。
解ってはいた事だが…こう面と向かって言われると、やはり落ち込まずにいられない。
すると「だがよ…」と、言いながらジャンガはルイズの頭に手を置く。
「別にテメェの事は好きだゼ」
デレた……!
一瞬、ルイズは何を言われたのか解らなかった。
スキ? スキって…”隙”の事じゃなくて…”好き”って事?
え、でもでも、こいつはわたしに何の魅力も感じないって今言ったんだし…、どゆこと?
考えが纏まらず、混乱するルイズ。
更にジャンガは話を続ける。
「テメェもお気に入りの玩具だからな。俺は気に入った物はどれも大好きだゼ?
女としての魅力が無ェ…、だから気に入らネェ…ってのは違うゼ」
ああ、なるほど…、とルイズは納得した。
要するにメイジが使い魔を大事にするのと同じような感覚なのだ。
そう理解した途端、ルイズの中に生まれた熱は一気に冷めた。
「そう…、そうよね…。わたしなんか魅力無いし…。シェリーさんやタバサなんかとは比べ物にならないわよね…」
「ああ、比べ物にはならネェよ。…テメェはテメェなんだしな」
「え?」
「カトレアの奴が言ってたゼ? そいつにはそいつの魅力が有る、ってよ…。
誰かと比べて劣ってるだとか、勝ってるだとか、そう言うのはバカらしいって事だな。
まァ、要するにテメェにはテメェの魅力が有るって事じゃねェのか?」
「わたしの魅力…? そんな物…無いわよ…。胸だって小さいし…、素直になれないし…、優しくないし…」
するとジャンガはニヤリと嫌みったらしい笑みを浮かべる。
「そうかァ〜? じゃ、俺が確かめてやるゼ」
え? 何を? などと考える間も無い。
呆然とするルイズへとジャンガが押し倒す勢いで覆い被さって来たのだ。
抗いきれずに小船へと押し倒される。
「え!? ちょっ!? 何よ!?」
突然の事に暴れるルイズ。
そんなルイズをジャンガはニヤニヤ笑いながら見下ろす。
「ま、そんなに硬くなるんじゃネェよ。ちょっと確かめてやるだけだからさ」
「な、何をよ!? そんな事より、放しなさ――」
ルイズの言葉は最後まで続かない。
突然頬に走ったくすぐったい感触に全身を振るわせる。
「…キキキ、やっぱり予想通りマシュマロみたいに柔らかいゼ」
ニヤニヤ笑いを張り付かせたまま、ジャンガは感想を述べる。
ルイズの頬を舐めた舌を引っ込め、もごもごと口を動かす。
「甘いなァ〜…」
「あ、ああ、あんた…何を…」
「味わってやってるんだよ、お前をよ」
「なななななな!?」
「シェリーとは違ってまだまだガキだな」
「悪かったわね…」
「だが、そこにあいつとはまた別の魅力を感じるゼ」
言いながらまた頬を舐める。
ベロリ、ベロリ、とアイスや飴玉を味わうように舐め上げる。
一回舐める度にルイズの身体が震えた。
「可愛いじゃネェか…、いつもの生意気なクソガキとは思えないゼ」
「褒めてるの、それ?」
「当然さ。そうじゃなけりゃなんだってんだよ?」
「いつもの悪い冗談だと思うわ」
「キキキ、そりゃそうだ」
ジャンガは笑った。
そして、一頻り笑うとまた舐め出す。
更には胸やらスカートの中やらに爪を伸ばしてくる。
頬や首筋を舐められてるだけで恥ずかしいのに、そんなふうに体中を好きにされたらたまらない。
「こ、この、や、ちょっと、あん、やん、ひゃうっ、ばか、やめ」
「好きだゼ〜、ルイズ」
――初めて、まともに名前を呼ばれた気がした。
それを自覚した瞬間、ルイズは全身から力が抜けていくのを感じた。
「テメェを女扱いするのは酔狂でしかないがよ、俺は好きだゼ〜」
ああ、いつもなら微妙な評価に怒るところだが…今はそんな気になれない。
結婚しても三ヶ月はダメなのに……こいつは無遠慮に触りまくってくる。
そして、それに逆らえない自分。
だめだ〜、とルイズは観念し、全身の力を抜いた。
ああ、もうだめどうしよう、お母さまごめんなさい、ルイズたぶん星になります…。
そんな事を考えながら、ルイズはジャンガがどんな顔をしてるか見てやろうと思い、
目を開くと――そこには素敵な光景が広がっていた。
船はいつの間にか岸に乗り上げていたのだが、その船の周りを取り囲むようにして使用人がズラリと並んでいる。
その中に強張った顔のエレオノールがいた。
卒倒しそうなほどに蒼白な顔の母もいた。
そして、そんな一同の真ん中には怒りを軽く通り越した顔で震える父がいた。
一瞬で熱から冷め、ルイズはジャンガを突き飛ばした。
突然の衝撃にジャンガは為す術無く、池に背中から落っこちる。
暫く落下した場所は泡立っていたが、水飛沫を上げながらジャンガが勢い良く立ち上がった。
ポタポタと雫を滴らせながらジャンガはゆっくりと顔を上げる。
「こんクソガキィ〜…、人が下手に出てりゃ調子に乗りやがって…。覚悟できてるのか、あン!?」
そこまで喋って、ジャンガは漸く中庭に現れた観客達に気が付いた。
「ンだ?」
怪訝な表情を浮かべるジャンガを尻目に、ラ・ヴァリエール公爵は小さく咳をする。
そして威厳のある声で言った。
「え〜、ルイズを捕まえて塔に監禁しなさい。少なくとも一年は出さんから、
鎖を頑丈な物に取り替えておきなさい」
「かしこまりました」と執事が了解の意を示す。
そして、ラ・ヴァリエール公爵はジャンガを鋭い視線で睨み付ける。
「そして、あの亜人は打ち首にしなさい。腐るまで晒すから、丈夫な台を用意して置くように」
「かしこまりました」と再び執事は了承の意を示す。
その執事の言葉が終わると同時に、使用人達が一斉に鍬や箒やカマや槍や刀を持ち出し、一斉に襲い掛かってきた。
状況を把握したジャンガは爪で頭を掻き、ハァ〜、と大きなため息を吐いた。
「ったくよ…、メンドくせェ…」
瞬間、使用人達全員が宙を舞い、次々に池へと落下した。立て続けに巻き起こる水飛沫。
その場には四体のジャンガ。一瞬にして分身したジャンガは使用人達全員を蹴り飛ばしたのだ。
目の前で起きた事に一瞬目を丸くするエレオノールと公爵。
公爵夫人だけが動じてなかった。
ジャンガは再度頭を掻きながらため息を吐き、公爵を睨む。
「人の楽しみ邪魔しやがって…、少しは場の空気ってのを読んだらどうだ、オッサンよォ〜?」
「ふざけるなぁあああああああ!!!」
ジャンガの言葉に激昂した公爵は杖を引き抜く。
だが、ルーンを唱える事すら出来なかった。
「ん、ぬぐぉぉぉぉ〜〜!!?」
公爵は悶絶しながら地面に倒れ付す。
素早く近寄ったジャンガが股間を力一杯蹴り上げたのだ。
「ちったァ人様の迷惑も考えろや!」
倒れた公爵を見下ろしながらジャンガは吐き捨てた。
エレオノールが慌てて公爵に歩み寄る。
「父さま! しっかりしてください!?」
「う、はが、ぐぅぅぅ…」
公爵は呻くばかりで中々起き上がれない。
そんな二人には興味が失せたとばかりにジャンガは背を向け、ルイズの方に歩き出す。
その背に向かってエレオノールは叫びながら杖を突きつける。
「待ちなさい!! カトレアやルイズに手を出して、このまま返すわけには行かないわ!!!」
羞恥のあまり、ぽかんと口を開けて、呆然と小船の上に座り込んでいたルイズは、ハッ、と我に返った。
「ウルセェ…、人のやる事にケチつけんじゃねェよ」
ジャンガは肩越しに睨んだ。
エレオノールはその眼光に一瞬怯んだが、構わず杖を突きつける。
「やっぱり…あなたは危険ね」
「キ、仕方がねェ…。なら、夕べの続きといこうかよォ〜?」
ジャンガはエレオノールに向き直る。
その背中にルイズが声を掛けた。
「ちょっと、ちいねえさまに手を出したって…どう言う事よ!?」
>>827 ゴッドファクトリーはラスボスチームだから敵だよ
おっと忘れてた
支援
ジャンガはその言葉を無視した。
「ちょっと! 何無視してるのよ!? 答えなさいジャンガ!?」
徹底的に無視しながらジャンガはエレオノールを更に睨み付ける。
エレオノールの額に冷や汗が浮かぶ。
「お待ちなさい」
凛とした威厳のある声が静かに響いた。
その場に居た全員の視線が声の主に集中する。
視線の先には取り出した杖を構える、ラ・ヴァリエール公爵夫人の姿が在った。
公爵、エレオノール、ルイズ、そして池に浮かんでいた使用人達一同の顔に、何か恐ろしい物を見たような表情が浮かぶ。
公爵夫人は杖を構えながら静かに言った。
「エレオノール、お父さまを連れて下がってなさい」
「え? でも…」
「あのような凶暴かつ好戦的な相手に中途半端なやり方は通じません。ここはわたくしが相手をしましょう」
「は、はい…」
エレオノールは母の言葉に大人しく父を連れて下がる。
池に浮かんでいた使用人達も必死に我先にと池から這い上がり、住処を追われたゴキブリのように逃げ出す。
そんな周りの様子にジャンガは怪訝な表情をする。
ふと気が付くと、小船の上のルイズも震えていた。
その場だけ大地震にでも見舞われているかのような震えっぷりだ。
「どうしたってんだ?」
ジャンガの問いには答えず、ルイズは身体を震わせる。
「ジャ、ジャンガ!? い、今直ぐ謝りなさい! 土下座して! 地面に頭を擦り付けて! 早く!!!」
「何でだよ?」
ルイズは必死な表情で叫ぶ。
「いいからするのーーー!!! じゃないと、あんた本気で死ぬわよーーーーー!!!」
「ハァ?」
ジャンガは訳が解らないと言った表情を浮かべる。
――突如、巨大な竜巻が巻き起こり、ジャンガを上空高く巻き上げた。
「な、んだああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!?」
絶叫を上げながらジャンガは竜巻の中で翻弄される。
ぐるぐると掻き回され、凄まじい風の力に身体が引き千切られそうに感じた。
デルフリンガーの鞘を背負っていた紐が千切れ、マフラーと帽子がすっ飛んだ。
デルフリンガーは小船の隣の地面に突き刺さり、マフラーはルイズの膝元に落ち、帽子は頭の上に被さった。
と、突然竜巻が消え去り、ジャンガは重力に引かれるままに、地面へ向かって自由落下を開始する。
瞬く間に地面が目の前に迫った。
「チッ!」
舌打しながらジャンガは空中で受身を取り、そのまま無難に地面へと着地する。
そのまま、ギロリ、と公爵夫人を睨み付けた。
「やってくれるじゃネェか…、テメェよォ〜」
「あなたはわたくしの娘達に危害を加えました」
ジャンガの殺気を眉一つ動かさずに流し、公爵夫人は言葉を続ける。
「使い魔の躾は主人の役目…、それに失敗したのは娘の不始末であり、同時にその娘に教育を施したわたくしの責任」
鋭さを増した公爵夫人の視線がジャンガを捉えた。
「この”烈風”が直々に”躾”を施します。使い魔とはどう言う物かをよく教えてあげましょう」
ゆらり、と身体から強烈なオーラが陽炎の様に立ち昇る。凄まじいプレッシャーすら放たれている。
それらに晒されるジャンガは、それでも顔色一つ変えない。
寧ろ、背後にいるルイズの方が真っ青になっていた。恐怖のあまりカチカチと歯を噛み合わせている。
「ジャンガ……あなた死んじゃうわ…」
いつかの決闘の時のシエスタの様な台詞を口にする。
ジャンガは忌々しそうに鼻を鳴らす。
「ただの年増じゃねェのは解ってたがよ…、テメェの母ちゃん何もんだ?」
「母さまの本名はカリーヌ・デジレ…、先代マンティコア隊隊長”烈風”カリン…。
その風魔法は二つ名の”烈風”…と言うよりは荒れ狂う嵐…」
”烈風”カリン――その名にジャンガは覚えがあった。確か何かの本で読んだはずだ。
ルイズの説明のように嵐の如き風を操り、その腕前は並みのメイジでは如何な数を揃えても勝てなかった程とか。
さるさんかな?支援
同じく支援!
エスターシュと言う貴族の反乱は一人で鎮圧し、ドラゴンの群れは一人で一掃した、とあり、
ゲルマニア軍との小競り合いの時には”烈風が出陣した”と言う噂だけで敵が逃げ出した、ともあった。
その素顔は常に鉄のマスクで顔の下半分を隠していた為に解らなかったそうだが…。
「…まさか、こんなクソガキの母ちゃんだったとはな…」
世の中、何処でどんなレアムゥ…基、レア物に出会うか解らないものである。
「ジャンガ…解ったでしょう? あんたの性格は良く解ってるけど、母さまだけはダメよ!
お願いだから謝って! ちいねえさまに何をしたかも気になるけど、今は謝って! お願いだから!」
ルイズは精一杯の願いを込めて必死に叫んだ。
ジャンガが決して頭を下げない奴である事は十二分に理解してはいるが、幾らなんでも相手が悪すぎる。
相手は母さま…烈風カリン…、万に一つも勝ち目が有るとは思えない。
ジャンガ自身、今の竜巻をまともにくらってその実力はよく理解出来てるだろう。
今回ばかりは大人しく頭を――
「喧嘩売ったのはテメェだからな…、覚悟は出来てんだろうな、ああ!?」
――下げやしねぇ…。
ルイズは顔面蒼白になった。今の言葉は十分過ぎるくらいに敵意が含まれている。
見れば母さまの発するオーラがより鮮明に見えるような気がした。
…そう言えば、こいつはあのエルフですら真正面からぶつかって倒したんだっけ?
じゃあ無理だ…、などとルイズは強引に納得し、同時に諦めた。
見上げれば澄み切った青空が広がっていた。
ああ…今日は綺麗な青空だな…。
現実逃避を決め込んだルイズを他所に、その原因であるジャンガはカリーヌと互いに睨み合っている。
暫く黙って睨み合い、徐にジャンガは首をコキコキと鳴らす。
「俺はテメェが誰だろうが、関係無ェからな。邪魔する奴はあの世行き…ってのが決まりなんだ」
カリーヌは答えない。
「それが烈風だろうが、先代マンティコア隊隊長だろうが、王様だろうがな…」
ジロリと睨み付ける。
「この”毒の爪のジャンガ”様に楯突いたんだ…、テメェはあの世行き決定だゼ!
精々後悔しながら…くたばりなァ〜〜〜!!!」
叫びながらジャンガは分身三体と飛び掛る。――直後、巨大な竜巻が生まれた。
ジャンガと分身は瞬く間に飲み込まれる。…しかも、それだけではなかった。
「な、ガァッ!!!?」
凄まじい激痛が全身を駆け巡る。
見れば体中に鋭利な刃物で付けられたかのような、切り傷が幾つも生まれていく。
分身も全身に傷が生まれ、瞬く間に消滅してしまった。
凄まじい痛みに気が遠くなりそうになる。だが、ジャンガは意識を保つべく唇を噛み締めた。
「あ…、ジャンガ!?」
茫然自失だったルイズも上空で竜巻に蹂躙されるジャンガの姿を見て、我に返った。
と、隣の地面に突き刺さっていた鞘からデルフリンガーが顔(?)を出す。
「『カッター・トルネード』…間に挟まった真空の層で相手を切るスクウェアスペル。
いやぁ…見た目の怖さ以上におっかない相手だね」
「ど、どどど、どうしよう!? このままじゃジャンガ、あいつ死んじゃうんじゃ!?」
「手加減されてるようだし、躾って言ってたんだから殺す事は無ぇとは思うが…確かに少しやばいかね?」
「どうすればいいの!? どうすれば!?」
「落ち着け娘っ子、ルビーと祈祷書は相棒が持ってきてるんだろ?」
ルイズは小船の中に転がっていたズタ袋からルビーと祈祷書を取り出す。
「これが何なの!?」
「とりあえずルビーを嵌めて祈祷書を捲れ。ブリミルは大した奴だ、ちゃんとこんな時の対策も練ってるはずさ」
言われるがままにルイズはルビーを指に嵌め、祈祷書のページを捲る。
しかし、エクスプロージョン以降のページはただの白紙だ。
「何も書いて無いわよ! 真っ白! 白紙じゃない!?」
「もっと捲りな。必要があれば読めるようになってるんだからよ」
更にページを捲っていく。すると、文字が書かれているページに行きついた。
そこに書かれているのは古代語のルーン…、エクスプロージョンとは別の呪文だ。
「…『ディスペル・マジック』?」
「それだ、『解除』だ! 理屈としてはこの前の惚れ薬の解除薬といっしょだ!
それならあの『カッター・トルネード』も消せる!」
「で、でも、こんな長いの詠唱している時間は無いわよ!?」
「適当な所で切ればいいさ。あの呪文も手加減されてるんだから十分なはずだ」
「何よ…ハッキリしないわね」
文句を言いながらもルイズは急いで詠唱を始めた。
突如聞こえてきたルーンにカリーヌは眉を顰める。
顔を向けるとそこには杖を構えてルーンを口ずさむ娘の姿が在った。
そのルーンは聞き覚えの無い物だった。
風ではない…、土でもなく…水でもない、…ましてや娘が目覚めたと言っていた火ですらない。
考え込んでいると、娘が杖を振り下ろした。
自分が生み出したカッター・トルネードが光り輝き、消え去った。
カリーヌは一瞬たじろいだ。手加減をしていたとは言え、あのカッター・トルネードを消滅させたのだ…。
一体娘が唱えたのはどんな呪文なのだ?――そんな一瞬の悩みが烈風に決定的な”隙”を生んだ。
「ガアアアアアアアアァァァァァーーーーーーーッッッ!!!」
獣の雄叫びの様な絶叫が響き渡る。
血を撒き散らしながら紫色の風が走った。
赤い軌跡がカリーヌへと迫る。
カリーヌは瞬時にルーンを唱え、『エア・シールド』を作り出す。
真紅の爪が空気の壁に弾かれる。
だが、ジャンガは止まらない。血塗れの顔を怒りに歪ませながらもう片方の爪を振るう。
空気の壁の隙間からカリーヌの顔に叩き込む。
身を反らしてそれを避ける。爪に髪留めが裂かれ、束ねた髪が背中に流れた。
カリーヌはルーンを唱え、杖をジャンガに突きつけた。
ほぼ同時にジャンガの爪もカリーヌの喉下に突きつけられた。
――両者の動きが止まった。
カリーヌは詠唱は既に終わっており、いつでも解放できる状態だ。
杖を突きつけた場所は心臓の上…、解放すれば間違い無く命を奪える一撃だ。
対するジャンガも爪の先には既に即効性の猛毒が仕込んである。
引っ掻き傷程度でも瞬く間に全身に毒は回り、十秒もすればアウトだ。
次に出す攻撃…それが一撃必殺だと言う事を悟った為、両者は動けなくなってしまったのだ。
互いの武器を突きつけ、睨み合ったまま微動だにしない両者の姿に周囲に緊張が走る。
「母さま! ジャンガさん! 止めてください!」
突如聞こえた叫び声。
その場の全員が、睨み合っていたジャンガとカリーヌも、声の方に顔を向けた。
そこにいたのはカトレアだった。血の滲んだ包帯を巻いた脇腹を庇うようにして、
フラフラとした危ない足取りで此方へと歩いて来ている。
その後ろには数人の心配そうな表情のメイドの姿も見えた。
「カトレア!? あなた、どうしてこんな所に!?」
エレオノールが叫ぶ。
「心配をかけて…ごめんなさい…、でも…気になったから…」
「気になったって…あなた、その怪我で無茶を…」
カトレアを心配そうにみつめ、直後険しい表情でメイド達を睨み付ける。
「あなた達! どうしてカトレアをこんな所に来させたの!?」
「も、申し訳ありません…。ですが、カトレア様がどうしても行きたいと申されまして…」
メイドの答えにエレオノールは深いため息を吐く。
カトレアは優しく微笑んで姉を見つめる。
「わたしは平気よ、姉さま」
そう言ってジャンガとカリーヌの方へと顔を向ける。
「カトレア…、あなたはそのような怪我で、どうしてこのような場所に?」
母に尋ねられ、カトレアは悲しげな表情を浮かべた。
「…誤解を解きたかったんです。…少し遅れてしまいましたが」
「誤解?」
カリーヌは怪訝な表情で聞き返す。カトレアは頷く。
「はい…、多分姉さまからお聞きになったのだと思います…。わたしの怪我がジャンガさんに襲われた物だと…」
その言葉にルイズは激しく反応した。
「ち、ちいねえさま!? それは一体どう言う事ですか!? ジャンガが一体何を!?」
「違うのよルイズ…、全部誤解なのよ…」
ルイズは訳が分からないと言った表情をする。
カトレアはジャンガとカリーヌへと再び顔を向ける。
「全ては誤解なんです…、だからこれ以上争わないでください。お願いですから…」
そこまで喋って体力が限界に近づいたのか、カトレアは地面に崩れ落ちる。
その身体を素早い動きで駆け寄ったジャンガが支えた。
「あ…、ジャンガさん…?」
「…前言撤回だ。テメェもあいつに負けず劣らずの無茶苦茶野郎だゼ…」
呆れた表情でそう言うジャンガを見つめながら、カトレアは蕩けそうな笑みを浮かべた。
その様子にカリーヌも静かに杖を収めたのだった。
その夜…
ラ・ヴァリエール家の居間では静かな会談が行われていた。
カトレアの話を聞き、公爵もエレオノールもルイズも驚きを隠せなかった。
「病気を治してもらった…か」
公爵が呟くと、カトレアは頷いた。
「はい。お陰でこの怪我以外は、身体の調子が凄く良いですわ。ジャンガさんには感謝していますの」
言いながらカトレアは隣のジャンガに顔を向けた。
ジャンガはソファーに凭れ掛かりながら天井を見上げており、身体の所々には包帯が巻かれている。
カトレアが水魔法を掛けたりもしたのだが、”烈風”の魔法の威力の凄まじさを物語っていた。
「ちいねえさま、本当にお体は大丈夫なんですか?」
ルイズが尋ねる。因みに彼女はカトレアを挟んでジャンガとは反対の場所に腰掛けている。
タバサはジャンガの隣にちょこんと腰掛けていた。
彼女はあの後、巨大な竜巻を見て慌ててシルフィードと飛んできたのだ。
「ええ、こんな風に身体が良くなる日が来るなんて、夢みたいだわ。あなたの使い魔さんには本当に感謝をしているわ」
ニッコリと微笑む姉の言葉にルイズは嬉しくなった。
そしてジャンガを見る。
「ねぇ、ジャンガ?」
「ンだ?」
「…ありがと、ちいねえさまを治してくれて」
「礼言われる筋合いは無ェ…、俺が勝手にした事だ」
本当に可愛く無い奴だ…。だが、ルイズは自分が同じ立場だったらどうだろう? と考えて、
自分も同じような答えを返すかもしれないと思い至り、怒鳴らない事にした。
公爵は暫く口髭を弄っていたが、鋭い視線でジャンガを睨む。
「だが、あの小船の上での行為はどう説明をする気かね?」
小船の上…、その言葉にルイズは顔を染める。
するとカトレアが答えた。
「それでしたら、わたしの責任だと思いますわ」
「どう言う意味かね、カトレア?」
「『ルイズはきっと落ち込んでいるから慰めてあげてください』ってお願いしたんですの。だからでしょうね」
公爵の言葉にカトレアはコロコロと笑う。
対して公爵は苦い表情だ。
「慰めた? あれの何処が慰めだと言うのだ?」
公爵は何かしら呪詛のようにぶつぶつと言い始める。
カトレアはそんな公爵を宥める様に声を掛ける。
「父さま、何も深刻な表情をしなくても宜しいではないですか。
ジャンガさんはジャンガさんなりにルイズを慰めてくれてただけですし」
「だ、だが……む、娘が…大切な娘がそんな礼儀の一つも知らないような下賎な亜人と…」
「あなた、女々しいですわよ? ルイズの件に関してはカトレアの病気を治したと言う事で今回は不問としましょう」
隣のカリーヌに声を掛けられ、公爵は項垂れた。
カリーヌは小さく咳をし、ルイズを見つめる。突然母親に見つめられ、ルイズは緊張のあまりに硬直する。
「さて、ルイズ…あなたに聞きたい事があります」
「な、何でしょうか、母さま?」
「あなた…、目覚めた系統は火だと言っていたけれど、あれは嘘ですわね?」
――場の視線が集中する。
ルイズは息を呑んだ。虚無だと言う事がバレてしまったか?
「ああ、そうさ。こいつが目覚めたのは伝説の”虚無”だゼ」
ジャンガがあっけらかんと答える。
その言葉にエレオノールも項垂れていた公爵も怪訝な表情を浮かべ、カリーヌは鋭い目を光らせる。
ルイズは頭痛に頭を抱え込みそうになった。
ギロッ、とジャンガを鋭い視線で睨み付ける。
その視線に気が付いたジャンガは鼻を鳴らす。
「フンッ、別に隠していても仕方ないだろうが。家族が知っていて問題でもあるのか?
娘が虚無だ…、って事を知って何か企む程度の奴等だったら、捨てればいいだけの話じゃネェか。
親の器じゃネェよ…」
「で、でもね…」
ルイズは反論しようとするも言葉に詰まってしまう。
隣のカトレアは驚いた表情を浮かべている。
「あらあら、まあまあ、伝説? 凄いじゃないのルイズ。何も出来ないと言われていたあなたが伝説なんて。
わたしの身体が治った事といい、あなたが伝説の使い手だと解った事といい、今日はとても素敵な日ね」
言いながらカトレアは微笑む。
カリーヌは目を閉じ、暫し考える。
「なるほど…、”虚無”…歴史の彼方に消えた伝説のみが伝わる系統。
ならば手加減をしていたとは言え、わたくしのスペルを打ち消したのにも納得が行くと言うもの。
あの見た事も無いような輝き……、あれが”虚無”なのね、ルイズ?」
母に尋ねられ、ルイズはゆっくりと頷いた。
「そうです、母さま」
娘の言葉にカリーヌは静かに目を伏せる。
公爵も黙ってしまう。
エレオノールは話の大きさについていけず、額に手を当てたまま倒れるように背凭れに寄り掛った。
「虚無か…。俄かには信じがたいが…やはり、あれを見てしまってはな」
公爵は暫く口髭を弄っていたが、徐に立ち上がるとルイズの下へと歩み寄った。
座り込み、ルイズの顔を真っ直ぐに見つめる。
「ルイズ、朝食の席でお前は父にこう言ったね…『目覚めた系統は火』だと。…あれは嘘だったのだね?」
「申し訳ありません、父さま。ですが、この事はどうしても言えなかったのです」
ルイズは謝罪し、頭を垂れた。
そのルイズの頭を公爵は優しく撫でた。
「よいかね、ルイズ? 父に嘘を吐くのは、あれが最初で最後にしておくれ。
……それでルイズ、今一度聞こう。…お前は何の為にアルビオンへと行く気だね?」
公爵の言葉にルイズは目を見開く。
「父さま…?」
「質問は無しだ。早く答えなさい」
「……陛下をお助けしたいからです。それにわたしの”虚無”があれば、強大なレコン・キスタにも勝てるはずですから」
「誰かに言われてではないのだね? 自分で考え、決めた事なんだね?」
「はい」
そんな娘の顔を、ジッと公爵は見つめた。
やがて、公爵は娘の頭を優しく撫でた。
「父さま…?」
「大きくなったね、ルイズ。私のルイズ。この父親は、お前の事をいつまでも甘えが抜けない子供だと思っていたよ。
だが、私の知らない所でお前は既に巣立っていたのだね」
「…父さま」
「戦への反対は無謀だと言うだけではない。私達はお前が危険な目に遭わないか心配なのだよ…。
子を心配しない親などいないからな」
公爵の言葉を聞き、ギリッ、とジャンガは歯を噛み締める。
親に終始虐げられていたジャンガにとって、今の言葉は嫌悪感を覚えるだけの奇麗事でしかなかった。
怒りに震え…、その一方でルイズが羨ましくもあった。
自分が持っていなかった…持てなかった物を持っている彼女が、たまらなく羨ましかった。
「ルイズ、忘れてはいけないよ? お前の事をここに居る誰もが心配しているのだ。
危険な目に遭ってほしくないのだ。それを解っておくれよ…」
公爵の言葉にルイズは朝の事を思い返す。
思えば自分は家族の気持ちを考えずに、自分の意見を無理に押し通そうとしていただけではないか。
自分が危険な目に遭って家族が如何思うか…、それを考えた事は全く無かった。
だと言うのに、自分は己の意見を却下されて子供の様に苛立ち、駄々をこねていただけ…。
支援
勝手に嫌われていると思われているだけだった…。
家族の愛の深さに触れ、ルイズは知らないうちに涙を流した。
「父さま…、ごめんなさい。我侭ばかり言ってごめんなさい…」
ルイズは公爵に抱きつく。
自分に抱きつく娘の頭を、公爵は優しく撫でた。
「お間違いを指摘するのが忠義、そして…間違いを認める事が本当の勇気だ。
ここに居る者は誰もがお前を気に掛け、愛しているのだ…。
ルイズ…それを忘れてはいけないよ? 小さなルイズ」
「…はい」
泣きながら頷くルイズの額に公爵は接吻をした。
「父からの餞だ。ルイズ、一つだけ父と…いや、お前の母と姉と全員と約束してくれ」
「何でしょうか?」
「絶対に無事に帰って来てくれ。…私達が願うのはそれだけだ。…この約束だけは決して破らないでおくれ、いいね?」
「はい」
力強くルイズは返事を返した。
暫しの沈黙が流れ…、唐突にカリーヌが、ぽんぽんと手を打った。
「カリーヌ」
「話は終わりのようですわね? では、遅くなりましたが夕餉にいたしましょう。
今日はめでたい日なのですからね。カトレアの病気が治り、そして…」
カリーヌはルイズに顔を向ける。
「娘の巣立ちの日でもありますから」
「母さま…」
「ルイズ、あなたはカトレアの事を頼みますわね。
エレオノール、あなたはホストを宜しくお願いしますよ」
「わかりましたわ」
エレオノールは了承の意を述べ、部屋を退出する。
カトレアもルイズとタバサに手伝われて退出していった。
それらを見送った後、ジャンガは大きく伸びをする。
首の骨をコキコキと鳴らし、ソファーから立ち上がった。
「そんじゃ、俺も行くか…」
言いながら退出しようとする。
その背にカリーヌが声を掛けた。
「お待ちなさい」
「…まだ何かあんのかよ?」
不機嫌な表情でジャンガは振り返る。
カリーヌは静かに立ち上がり、ジャンガを真っ直ぐに見据える。
「…何だよ?」
「あなたの戦い方には色々と無駄がありましたわね」
「無駄ァ〜?」
ジャンガは怪訝な表情をする。
カリーヌは変わらぬ調子で言葉を続ける。
「激情に駆られてイノシシのように突進するだけでは勝てる戦いも勝てぬというもの。
そのような者が護衛では主人は常に危険に晒される事になります。
使い魔とは主人の盾も同然…、それが役目を果たせぬようではいけません」
「何が言いたいんだ?」
「あなたに稽古をつけようと言うのです」
黙って話を聞いていた公爵の背筋が震えた。
ジャンガは動じずにカリーヌを睨む。
「ハッ…、それはまたありがてェ事だな。で…、今からやるのかよ?」
「夕食の後で、先程の庭に来なさい」
それだけを伝えるとカリーヌは静かに退出していった。
それを見送りながらジャンガは、やれやれ、といった感じでため息を吐いた。
(親子だな、本当によ…)
翌朝…
ルイズ、タバサ、ジャンガの三人はシルフィードに乗って一路学院へと戻る事にした。
門の前にはルイズの家族と城中の使用人達が総出で見送りに出てきていた。
ルイズはカトレアに抱きついている。
戦争に行けば次に会えるのはいつか解らない。だから、恋しくならないように、
今の内に精一杯この心地良い抱擁を楽しんでおこうと思ったのだ。
カトレアは優しくルイズの頭を撫でた。
「ルイズ…、頑張ってね…小さなルイズ。でも無理は駄目よ? 無事に帰ってきてね」
「はい。解っていますわ、ちいねえさま」
「戻ってきたら一度何処かへ旅行に行きましょう。家族全員で…ね」
その言葉を聞き、ルイズは力強く…しかし、微笑みながら頷いた。
「勿論。絶対に行きましょう! ちいねえさまとお出かけする事、わたしずっと楽しみにしてたんだもの」
姉妹は仲良く笑い合った。
そんな二人を見守る公爵とカリーヌ、そしてエレオノール。
と、カリーヌは隣に佇むジャンガを見る。
「…解っていますわね?」
カリーヌの言葉にジャンガは横目で見据える。
「何がだよ?」
「娘にあのような狼藉を働いたのです。もし、傷の一つでも付ければ承知はいたしませんよ?」
「…許してくれたんじゃなかったのかよ?」
「あれはあの場で追求を続ければ話が終わらないからそう言ったまで。
カトレアの事には感謝はしていますが、それとこれとは別」
「融通が利かないのは見事なまでに親子だな…」
「ですから、わたくしの娘を守りなさい。その為に一晩稽古をつけたのですから」
ジャンガの言葉はスルーしてカリーヌは話を続ける。
カリーヌの話にジャンガは顔を顰めた。
夕べのあれは稽古と呼んでいいのだろうか?
お互いに邪魔は入らない、油断も無しのマジ勝負。
稽古などと生易しいレベルではない……死闘と呼んで差し支えない激しさだった。
あのヒゲ面のような魔法衛士隊の制服に身を包み、色褪せた年代物のマントと羽帽子を身に付け、
鉄のマスクで口元を覆ったその時の姿は尚更迫力を感じさせた。
恐らく、ルイズが見たら失神するかもしれない迫力が確かにあった。
ジャンガはため息を吐いた。
「…了解、了解。テメェなんざに言われなくてもテメェの物はテメェで面倒を見るさ」
「多少の物言いの悪さには目を瞑りましょう。…それよりも、今の言葉は信じさせてもらいましょう」
「そいつはど〜も、キキキ」
「お父さまは一個軍団の編成を承諾なさいました。跡継ぎが居ないからと指揮権は他の軍に渡してありますが。
あなた達はその軍が乗るのと同じ艦へ乗りなさい。詳細は負って伝えるという事ですわ」
「準備万端だな…、こりゃ失敗したら高くつきそうだゼ…キキキ」
そうこうしている内にルイズはカトレアと暫しの別れの挨拶、そして大切な約束を交わすのが終わったようだ。
家族と大勢の使用人に見送られながら、ルイズ達三人を乗せたシルフィードは飛び立った。
「行って来ます! 約束は絶対に守りますから!」
元気な声で見送りに出てきた家族や使用人に手を振るルイズ。
それに答えるように父や母、二人の姉も大きく手を振った。
――同時刻:アルビオン・ハヴィランド宮殿――
ハヴィランド宮殿の中、白一緒に塗りつぶされた荘厳なホール。
そこの円卓の上座にはシェフィールドが座っている。
シェフィールドは手摺の上に肘を立て、手の甲の上に頬を乗せたまま、円卓の上に広げられた地図を眺めている。
「もう間も無くだな…、トリステインとゲルマニアの連合軍が此処<アルビオン>へと、やって来るのは」
声の主はシェフィールドではない。
離れた所の窓から空を眺めているガーレンだ。
シェフィールドは振り向かずに答える。
「そうだな。…そちらの準備はどうなっている?」
「無論抜かりは無い。迎撃用の駆逐艦隊は既に編成が終わって”例の装置”の整備も終了している。
いつでも戦闘は可能だ。…もっとも、そこで全滅させるのは面白くないがな」
「どういう意味だ?」
「言ったはずだ…、連中には”此処へ来てもらう必要がある”からな。それにジャンガの事だ…、
我輩の筋書き通りに動いてくれるはずだ。奴は単純だからな…ククク」
言いながら不適に笑う。
845 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 00:39:53 ID:oCQ9luf+
上でサタニスター、で上下の十字架の長さが同じで奇妙とか言ってるけどさー…
普段イメージされる十字架ってあくまでカトリックとかその辺の
正教の十字架は上下左右の長さ同じで、別に奇妙な形でも何でもないぜー
ギリシャ十字とか…
まあ、元々十字架って色んな形状があるんですけどね
そんな彼の背を見据えながらシェフィールドは怪訝な表情をする。
…理解が及ばない相手である。ある時ふらりと現れたかと思えば、
ジョーカーの知り合いだからと勝手に協力を申し出てきた。実質有能なのではあるが…如何せん考えが読めない。
正直不気味だ…、この男は腹の底で何を考えているのかまったく解らない。
「別にどうもせんよ」
突然掛けられた声にシェフィールドは、ハッ、となった。
ガーレンは窓を向いたままだ。そして、再び肩を震わせて笑う。
「何もせんよ、我輩は。ただ、我輩の目的とお前の主人の目的は同じ場所を目指しているのだ。
そして、その主人と知り合いであるジョーカーが協力をしている。…手伝わん方が不思議ではないかね?」
そう言いながらガーレンは振り返る。
――その顔は何処までも穏やかな笑みを浮かべていた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上で投下終了です。
ジャンガのセクハラ親父モード最発動ってなわけでした。
舐めたのはジャンガが猫だから。猫って噛むよりも舐めてるイメージが強いですからね(笑)
サイトは”犬”ですから甘噛みなんですよ。犬は噛むのが印象強いですから。
で、烈風とのガチンコ勝負。前々から考えていたんですがね、流石にアッサリ勝たせるのはあれだし…、
でも、ボロ負けにするのもなんだかジャンガ好きな自分としてはあれなので。
何より、速度だけなら烈風にも勝ってる(と思う)し、こんな感じになりました。
原作でもサイトだって全力で戦えればそれなりにがんばったと思いますね。
一番の敗因は”ビビッた事”だと考えてますし。
ジャンガならそれはありえませんから。だって、自分をボコボコにした拳を極めし者や、
黄金の騎士や、先代の魔王とタイマンしてあと一歩で敗れた魔界の貴公子相手にもビビらず、
はてには自分が雇われている大悪魔にすらビビらずないんですよ?
もう、ビビリとは無縁のお方ですね。まぁ…いざとなったら”命乞い”ですが。
公爵に関しては…もう、戦闘描写が思いつかなかったので。
まぁ、これで4巻と11巻のディスペルとVSカリンの展開は消化できました。
次はいよいよアルビオン…の手前の艦隊戦です。
では、また次回。アディオ〜ス♪
毒の爪乙。
ところでMtLの最新話がどこに投下されたのか全然分からないんだけど、分かる人いる?
後書きと前書き読みたいんで、知ってる人いたら教えてくれると嬉しい。
ありがとう、見つけられたわ。
避難所にもスレ立ってたんだな、専ブラでしか見てないから知らなかったよ。
おお……このスレに往年の投下ラッシュが帰ってきた。
ともかく毒の爪の人乙
やっぱり家族愛はいいなあ、それにしても最近あちこちでヴァリエール一家大活躍だなあ。
皆さんお疲れ様です。予約なければ二分後に投下したいと思います
52.もう限界
ルイズが詩の代筆を頼んでから二週間が過ぎた。
世間では高等法院のリッシュモンが行方不明になったことが話題になっている。
実際ここ数日誰も彼を見ておらず、王宮は何かの事件に巻き込まれたのでは、と彼の行方を調査している。
もっとも、そんな話はすぐに忘れられるだろう。アンリエッタ姫の結婚式が近づいている。
ほとんどの国民はお祝いの準備に忙しく、普段何をしているかあんまり分からない老貴族に構っている暇なんて無いからだ。
授業が終わったルイズは自室で完成した詩を見比べていた。
4人が書いてくれた詩の中からこれは、と思った一人の詩を詠みあげる。
「火をかき消し、水を切り裂き、土を吹き飛ばす……ああ、風よ舞え。
その疾風に勝る物は無い。打ち砕け、破砕せよ。おお、素晴らしき風……」
いくら詩が作れないと言っても、書いてはいけない言葉くらいは分かる。
感謝の詩なのに、他の系統を下に見たらダメでしょ。
ため息をついてギトーの詩をゴミ箱に投げ捨てた。
「他は……大丈夫そうね」
後は自分が大勢の前でハッキリと詠みあげれば良いだけだわ。
ルイズはほっと胸をなで下ろす。人前に出るのは何の問題もない。
多少緊張するかも知れないが、それに怖じ気づくようではヴァリエールの名が泣いてしまう。
明かりを消し、ルイズは一人床に就く。
ただ詩を眺めていただけだが、いつの間にか夜も更けていた。
マーティンはコルベール先生とまた話でもしてるんでしょ。
待っていたら明日に響くルイズは早々に眠るのであった。
マーティンがルイズの部屋に戻ったのはそれから数時間後。すっかり夜が更けてからなのは言うまでもない。
「ミス・ヴァリエール。親族の方がお見えになっていますよ」
何事も無く時間が過ぎて昼休み。ルイズが昼食を食べていると、
いつの間にか戻って来たシエスタが小走りでやって来てそう言った。
はて、とルイズは思った。何か悪いことしたかしらと。
発想が後向きなのはこれまでの人生経験によるものだが、
それでも家族が学院に来るなんて、何か不始末をやらかした時くらいのものだ。
不思議そうな顔でルイズは首をひねる。
隣のマーティンを見ると、彼は少しばかり考えてから口を開いた。
「詩について、じゃないかな?王宮から君の家族宛に手紙を送ったのかもしれない」
なるほど。ルイズは納得した。考えてみれば自分は詩が作れない。
それで様子を見に来たのかも……でも、誰が?
とりあえず昼食もそこそこに、ルイズはシエスタの後を着いていく。
着いた先は学院長室。シエスタが丁寧にノックをしてドアを開ける。
自分と同じ髪色が、ルイズの目に映った。大好きな姉がそこにいた。
「こんにちは、ルイズ」
「ちいねえさま!」
ルイズはカトレアに駆け寄る。カトレアは抱きしめようと構えたが、
ルイズはその胸に飛び込まなかった。
「いつまでもねえさまに甘えてちゃいけないもの」
「手がかからなくて助かるわ。実は飛び込まれるの、ちょっと痛いのよ」
そんな姉妹の団らんは、学院長が咳払いしてようやく終わる。
カトレアはルイズを学院長の前に立たせ、自分はその横に立った。
「うんうん。仲良きことは良きことかな。さて、ミス・ヴァリエール。
実は君の姉上殿が君を休学させたいと申し込まれてな」
「休学?」
カトレアはその疑問符に少し驚いたようにルイズを見る。
「ルイズ。エレオノール姉さまがあなたをつねりながら言った言葉、覚えてる?」
「えーと……」
忘れたくても忘れられない。あの後数日夢に出た長姉が、あの時言った言葉。
「夏期休暇の間、アカデミーに来なさいって」
「ええ。それで、あなた姫さまの結婚式で何の役に選ばれたのかしら?」
「四系統の詩を詠みあげる巫女の役よ!」
得意げにルイズは言った。カトレアはため息をついて続ける。
「あのねルイズ。結婚式は夏期休暇と一緒に始まるのは知ってるかしら?」
結婚式はニューイの月の一日から、ヴィンドボナで盛大に行われる予定だ。
当然ルイズも知っている。
「で、お祭り騒ぎはしばらく続くわね。いつ終わるかしらないけど。
あなたもトリステインから呼ばれた代表の一人になるのだから、
途中で帰ったりは出来ないんじゃないかしら。
いえ、仮に帰れたとしてもあなた、夏休みが終わるまで帰ってこないんじゃないかって。姉さまが」
確かに、帰らなかったかもしれない。アカデミーで何されるか分かったもんじゃないし。
ゲルマニアでアンリエッタと騒いでいるのはきっと楽しいだろうし。
そんなルイズに、カトレアはどこか狂気の老人を思わせる笑顔で釘を刺す。
「あなたが詩を詠みあげるって聞いた時の姉さま、おもしろかったわよ。逃げたなって。
顔を赤くして、近くにいたバーガンディ伯爵に八つ当たりしていたわ
姉さまは色々と忙しくて、アカデミーから離れられないのよ」
ルイズの顔からどんどん生気が抜けていく。姉を怒らせて良いことが起こった試しは一度も無い。
カトレアがとどめとばかりに肩を叩く。
「だからわたしが呼びに来たの」
「ちいねえさま。辞退とか、遠慮するとか……してもいいのかな?」
呆れたようにカトレアはルイズを見る。
その冷たい目は追憶の中で見た鋭い視線そのもので、
ルイズをひっと怯えさせる。
「今更そんなこと言ったら、姉さまは解体とかするかもしれないわね」
何が、とは言わなかった。ルイズからしてみればその方が怖かった。
「だ、だって、し、試験とか」
しどろもどろとカトレアに気圧されながらルイズは続ける。
学院長がそんなルイズに追い打ちをかける。
「構わんよ。どーせ君万年主席じゃし。先生方には適当に言っておくとも。
なんなら試験問題をアカデミーの方で解いてもらってもかまわんよ」
何か面倒そうだから行ってくれた方が良いんじゃね?と学院長は鼻をほじりながら考えているらしい。
教え子を守るとか、そんな気概は全くない。
「決まりね。準備を整えてすぐ行きましょう。それと使い魔のマーティンさんも呼んで来てね。
あ、アカデミーからゲルマニアへ行くから忘れ物とか無いようにね。
ドレスはお父様が準備していらっしゃるから。心配はいらないわ。
あ、それと姉さまがお付きの侍女を連れてきなさいって。示しがつかないんですって」
カトレアが早口で言った言葉は、ルイズの耳にあまり入っていない。
茫然自失なルイズの耳元でカトレアはささやいた。
シェオゴラスがしたように。
「早くしないと、姉さまが来るわよ?」
びくっとルイズの体が震える。涙目になったルイズは勢いよく返事をした。
「いいい、行きます!すぐ準備します!」
甘えないと言ったのだから、これくらいしても大丈夫よね。
カトレアはコロコロと笑って、おかしそうによろしいと言った。
「なるほど、調査ですか」
慌てたルイズに食堂から連れ出され、何が起こったのかよく分からないまま荷造りしたマーティンは、
立派な校門の外で佇むルイズの姉、カトレアから事情を聞いて大体理解した。
とりあえず替えの服をいくらか入った袋と、寂しそうにしていたデルフを背負っている。
肝心のルイズはまだ準備の途中らしい。
女の子は色々と時間がかかってしまうのだ。
「ええ。あの子の力について、エレオノール姉さまはとても関心があるみたいで」
なるほど。薬を届けた時にでも話したのだろう。
元々研究者だったマーティンはエレオノールが今どんな気持ちで妹を待っているのかとても理解出来た。
ふと嫌な光景がマーティンの脳裏によぎる。多分、大丈夫だろう。妹にそこまでしないだろう。
メイジと言っても貴族なのだ。分別は出来るはず。
研究に没頭するタムリエルのメイジは、二つに分けることができる。
丹念に時間をかけて誰にも迷惑をかけない者と、なりふり構わず自分以外の全てを実験で振り回す者だ。
圧倒的に後者が多い。メイジとはこの世で最も自己中心的な生き物のことで、
特にそれがハイエルフなら、世界は自分を中心に回っていると考える。なんてジョークがあるくらいだ。
「大丈夫です。エレオノール姉さまはそこまで人嫌いじゃありませんし、わたしよりは命の尊さを知っていますから」
自分の考えていることを見透かされ、マーティンは驚いた。
カトレアは楽しそうに笑っている。
「当たっていましたか?わたし、妙に勘がするどいみたいで」
「は、はぁ……」
「けれど、そんなことはどうでも良いんです。どうもありがとうございます。ほんとに」
「え?」
「あのわがままなルイズを助けてくださってありがとうございます。
あの子、変わりました。きっとあなたが手助けしてくれたからですわ」
その優しげな雰囲気と相まって、彼女はきっとルイズの良き姉であったに違いないとマーティンは思う。
どこか浮世離れしているが、それも病気のせいだったのだろうと。
「いえ、私はその様な……」
「ちいねえさまぁあああああああ!!」
ルイズが、もうなりふりを構う気も無いルイズが、ようやく準備を終えたらしい。
両手で大量の荷物を持って走ってくる。その後にルイズが持ちきれなかった荷物を持つシエスタの姿も見える。
「そんなに大きな声を出さなくても大丈夫よ。勝手に行ったりしないから」
カトレアのそばで立ち止まり、息を切らすルイズ。シエスタは大丈夫ですかとルイズの背中をさすっている。
「と、ところでちいねえさま。馬車とかは?」
ルイズがそう言うのも無理は無い。辺りに乗り物は無く、人が四人いるだけだ。
「いらないわよ。こっちの方が速いしね……おいで」
パチリとカトレアが指を鳴らすと、どこからか大きな叫び声がとどろいた。
雷が落ちたような音が止んでから、何かとても大きな羽音が段々と近づいてくる。
ルイズが空を見上げると、見たこともない竜がいた。
見慣れたシルフィードに比べ、明らかに大きく、爪や牙も太く禍々しい。
そしてその鱗は炎の結晶の様に赤い。それが何であるのか、ルイズは即座に理解した。
普通は何があってもそれが人に懐いたりはしない。
まるで燃えさかる炎がそのまま具現化した様な凶暴さを持つ彼らが、
人間に飼い慣らされるなんてありえないからだ。
だが、それは確かにカトレアによって呼び出された。
「病気が治ってから色々と遊びに行っているの。それでちょっと母さまのマネをしてみたのよ。
この子とは火竜山脈でおともだちになったの」
20メイルを超える火竜が大地に降り立ち咆哮する。
並の動物や人間なら気絶しかねない程の恐ろしげな叫び声だった。
実際、ルイズは意識が飛びかけた。
「静かにしてね」
カトレアが火竜に近づいてそう言うと、火竜は体をかがめ、
頭を地面に近づける。カトレアがその鼻先を撫でると、満足そうに一声吠えた。
「さ、アカデミーへ行きましょう」
ルイズとシエスタはおっかなびっくり、マーティンは驚きながら、
そしてカトレアがいつもの様子で乗り込んで、火竜は大地を離れ大空へとはばたいた。
トリスタニアの西の端に、“アカデミー”の塔はあった。その名のとおり、
魔法に対する、様々な研究を行う場所である。
昔は純粋に魔法の効果を探る研究が多かったが、
それを隠れ蓑にした不正や事件がさる高貴な公爵夫人に露見した後、
アカデミーの方針も変化し、実用的な魔法研究を行うようになった。
たとえば、火の魔法を用いて夜の王宮を明るくしようとか、
風魔法を利用して、大量に貨物を運んだりとか、
水魔法を用いて新たな薬の開発とか、そういった研究を行っている。
国力の低下が著しいトリステインは他国と比べメイジが多い。
魔法技術の改良は、家系が火の車な下級貴族に新たな商売をさせる効果もあり、
貴族の間からの評判は高い。
もちろん、ちゃんと神学の研究も行っている。そうしないとロマリアから異端のレッテルを張られてしまうからだ。
エレオノールは、このアカデミーの三十人からいる主席研究員かつアカデミーの改革に尽力した一人で、
彼女の専攻は水魔法……、妹の病を治す為に、様々な新薬の研究に従事していた。
塔の四階にある自分の研究室の机で、エレオノールは眠りかけていた。
ベッドに行く気力も無く、そのまま机に倒れかけている。
ここ数日徹夜が続いている。水魔法の研究以外、
彼女の得意系統である土魔法の方で駆り出されていた。
何でも大きな動く神像を作るための研究だそうで、
ロマリアからの依頼なのだそうだ。
末の妹のものと似た、色気のあまり感じられない研究一辺倒の部屋だ。
様々な秘薬や触媒の入ったつぼが、壁際の棚に並び、
棚の間に可愛らしい妹たちが描かれた肖像画が飾られている。
装飾らしい装飾はそれだけだった。
扉がノックされ、エレオノールは寝ぼけ眼で頭を上げた。
「どうぞ」
そう促すと、扉が開く。エレオノールと同じブロンドの髪をたなびかせ、
エレオノールより年が低そうな優しげな男が姿を見せた。
手には花束と花ビンを持っている。
婚約者のバーガンディだった。本来許可が無ければ部外者はアカデミーに入れないが、
彼女との関係は周りも良く知っているので、ほとんど顔パスで通してもらっている。
バーガンディがエレオノールの様子を見ていると、
エレオノールは不機嫌そうに唸った。
「何見てんのよ」
「いや、寝起きの君も可愛いなと思って」
「あ、そ」
「花、飾ってもいいかい?」
「好きにすれば」
顔が赤くなりそうなことに気付かれたくないエレオノールは、
ぶっきらぼうな仕草で机に突っ伏した。素っ気ない返事だったが、
バーカンディは気にせず花ビンに花をさして、エレオノールが寝ている机に置いた。
「ちゃんと寝ているのかい?」
「ん」
「ごはん食べてる?」
「ん」
「今日はちょっと話があってね」
「ん」
「もう限界なんだ」
「ん……え?」
エレオノールはイスから立ち上がってバーカンディを見る。
普段と違ってとても真剣な眼差しで自分を見ていた。
いつもこうならいいのに。少し胸がキュンと高鳴った。
バーカンディとは見合いで知り合った。
見た目はまずまずで性格も優しく地位もそこそこ。
最初は何とも思っていなかったが、
いつも優しく、研究が上手くいかずイライラしている時も体を張って慰めてくれる彼は、
エレオノールにとって初めて優しくしたいと思った男性だった。
もっとも、ヴァリエール家特有の気性が邪魔をし続けて優しくしたことなんて一度もないが。
「限界……?何が」
「君との関係だよ。もう耐えられないんだ」
ふっと、エレオノールの意識が遠のく。
なんで?少し考えたらいくらでも理由は浮かぶ。
自分に難があるのはよく分かっているし、
そんな中バーカンディが自分と婚約している理由は、
多分家柄だろうとも考えていた。
でも、それだけじゃないと思っていた。思いたかった。
だって、私は……
エレオノールは気丈にふるまい、動揺を出来るだけ隠そうとする。
体は震えているし、動悸が激しくなっている。
しかしバーカンディは気付いてはいないらしかった。
「そ、そう」
「だから、エレオノール、その」
「え、ええ、別にいいわよ。あんた以外にも男なんてたくさんいるし、
私、引く手数多ですから、べ、別に……」
自分を励ますように張り上げた声は段々と小さくなり、
最後にはぽろぽろと目から涙が落ちている。
「エレオノール?」
ようやく、バーカンディは気が付いたらしい。
しかしどうして泣いているのかは分からなかった。
「何か勘違いしてない?」
「いいえ、分かっているわ。どうせ、どうせ私なんか……」
力無くドアを開けて出て行こうとするエレオノールの腕を、バーガンディが掴む。
「な、なによ!限界なんでしょ!なんで、なんで……」
「ああ、今の関係にはもう耐えられない」
エレオノールが何か言う前に、バーガンディは彼女を力強く抱きしめた。
「ずっと一緒にいたい」
「へ?」
エレオノールは呆けた顔で、バーカンディを見る。何だかずいぶんとカッコイイ。
自分より年が低いくせに、とても頼りに出来そうな、そんな感じだった。
「妹さんの病気も治ったし、ずっと研究者を続けるわけにもいかないと思うんだ。
その……一緒に暮らさないかな?もちろん、ミスタ・ヴァリエールにお許しをいただいた上でだけど」
少し時間を置いて、頭の中で言われた言葉を繰り返して、
意味を理解したエレオノールの顔はぽん、と赤くなった。
「な、なななななな」
「えーと、いや?」
固まるエレオノールは首を横に振りたくないが、かといって縦に振るのも恥ずかしい。
黙ってぎゅっとバーガンディの胸元に顔を埋める。
「愛してるよ。エレオノール」
「……このバカンディ。もっと、こう、ちゃんとした文句を考えなさいよ」
エレオノールが顔を上げ、バーガンディと見つめ合う。
エレオノールが目を閉じると、二人の顔が段々近づいていく。
そんな時、エレオノールは辺りの騒がしさに気が付いた。
彼女がドアを開けてから腕を掴まれた。
つまり、今、エレオノールの部屋は外からまる見えなわけで。
我に返ったエレオノールはとりあえずバーガンディを突き飛ばして振り向いた。
後でビンが割れ、棚が崩れ落ちる音がしたが特に気にしない。
あの位置に劇薬は置いてないはずだ。だから大丈夫。
そこには顔を真っ赤にして愛らしい末の妹と、健康になった妹、
同僚のヴァレリー、それと見たことのない男が立っていた。
「あ、ああああ」
バーガンディの時とは別の意味で顔を赤くさせるエレオノールに、
空気の読めない子は言った。
「だ、大丈夫です姉さま!絶対、絶対誰にも言いませんから!」
照れ隠しに二、三時間ほどつねられた。
何も言わなくてもつねられたのは言うまでもない。
投下終了。たまにはこんな2……17歳の春も。ではまた次の投下まで。
遅ればせながら双剣のひと乙。あの変態とはおマチさんも運が無い……
そしてどうかんがえてもルイズさんに半身がいる。
乙!
そういやBLOOD+のクロスは削除されたんだな
ソロモンが好きなんだが…
乙でした
……今までゲルマニアとの結婚式がアンリエッタの同意の上で実際に執り行われた作品ってあったっけ?
このスレのエレ姉様はええぃっ!! 可愛いなぁっ、もうっ!!
そろそろ新しいスレ?
ジャンガもすっかり丸くなったもんだなぁ
>>858 ええ話や、お疲れ様です。またオブリやりたくなってきたなぁ
>>861 撤去されたけどゼロの黒騎士では結婚したと後日談にかかれてた。
ちと質問いいかな?
学院からタルブまで人の足or馬車でどれくらいかかるって本編中で言及されてたっけ?
馬で三日としか。
もっとも早馬ならともかく普通に旅するだけなら馬のスピードも人間とそう変わらないので、
歩きなら馬の2〜4倍くらいってことで大丈夫でないかい。
一日40キロ以上も歩けるような人なら、かっぽかっぽとゆっくり歩く馬と大差ない距離を移動できるようだし。
新刊でたからまた設定の動きがあるかしら
>>869 僕……ゲフン!ゲフン!
あー、そろそろワルド子爵が活躍してもおかしくない気がするのだが、そこのところどうかね読者諸君?
動機からするとロマリアに加担しててもおかしくないんだけどな、ワルド
ただ、そうなるとマチ姉の立場が微妙すぎるのと、
今のロマリアに加担しても下っ端の雑魚で終わりそうな気がする
というか、ぶっちゃけ既に「元」ワルド子爵だよな、奴は
ワルイダーとかに進化したり
地球皇帝になったり
原作者が扱いに困ったのか先に聖地に行かせちゃったしな
違う。ハルケギニア大王
女子生徒とか好きだからー!
ハルケギニアの大王はその名も偉大な〜
かめはめ波ッ
ハルケギニア総統
ハルケギニア大帝
ハルケギニア聖総統
ハルケギニア首相
ハルケギニア大神官大総統
さあ、好きなのを選べ
東西南北中央不敗スーパーワルドでお願いします。
……play bar text?
ハルケギニアン
ハルケギニア神帝
ハルケギニア首領
ハルケギニア大魔神
それを言うならフレーバーテキストじゃないか?
総統も相当ご冗談がお好きで。げははは!
ハルケギニアに下品な男は不要だ
>>880 その並びはものすごく昭和臭いw
それの新しいやつだけど、3Dモデルがパチンコに負けてるわ湖川絵がバタくさいわでもう……。
我ぁぁが名はぁぁ〜〜。ハルケギニア皇帝ぃぃ〜〜〜、アァァ〜〜ウグストゥスぬぅぅぅあああありぃぃぃ〜〜〜!!
アナゴさん自重
>>891 ルイズ「なんなのよ…。この黄色いボールに羽が生えたような生き物……」
>>891 PS2のデモベでクソワロタ、でも後半ちょっと疲れてたなw
ルイズ「嫌!あたしの使い魔がおさげでパンツ一丁の筋肉オカマだなんて嫌ぁ!」
>>894 ふんぐるい〜〜
いまだかつてあれほど楽しそうに、この言葉を口にしたやつがいただろうか・・・
>>896 漢のあの漢女か?もう片割れも声が師匠で濃かったよなぁ、まとめ役は勇者王だし……
>>899 この虚無凄いよ!さすがシャルルのお兄さん!
とか御大将が言うわけだねw
アナゴさんでもビシャスやコーチやジェイクリーナスはかっこいいんだけどな…
ルイズ「何これ、しゃべる死体を召喚しちゃったの…?」
アスタロサ「ぶれいものが〜。きゅあぷらむす〜」
アナゴさんで一番格好いいのはロイエンタール元帥だろjk
じゃあ若本で名前繋がりでジョゼフがシャルル召喚
コードギアスの
シャルルという弟を殺したジョゼフ
兄を殺したシャルル
奇妙なめぐり合わせであった・・・
うん、あの二人が出会った時果たしてどうなるのか予想もつかない
そういやV.Vの本名って設定あったっけ?
確かに
からくりの君のカトウも格好いいぞ。あとコーチもな
ハルケの王君臨を目指すシャピロ
そういや前に避難所で、ハードボイルドペンギン召喚のSSがあったな
練習だったけど
>>885 違うよ、超剣戦隊のモットーについて書かれた書物か何かだよ。多分。
>>904 シャルルのモデルが史実のオルレアン公シャルル・ド・ヴァロア(シャルル・ドルレアン)ということになっている。
なんで、父方の姓「Valois」と母方の姓「Visconti」の双方から「V」の字を取って「V.V.」としているという説がある。
あるいは母親の名が「ヴァレンティーナ・ヴィスコンティ(Valentina Visconti)」なんでそれに肖っいるという説も有力。
そして、本名もオルレアン公シャルルの兄と同じだとすると「ルイ」か「ジャン・フィリップ」のどちらかではないかと言われている。
ジョゼフがロイエンタールがらみなら、教皇は義眼の軍務尚書といきたいところなんだがなあ…
>>904-
>>910 黙れぇ下衆!!
今すぐ出て行けえぃ!それとも、自分の手でPCを消すのは嫌かぁ!
byオスカー・フォン・ロイエンタール
ジョゼフの使い魔として召喚され、本人が信じる野心家としての道を突き進むか、
ルイズの下に召喚され、思いもしない変化が訪れるストーリーにするか
面白い男であるが、扱いには難儀するんだよな
それでも、無理なんてことはないけどね
もういっそ若本本人を呼んでしまおうぜ
元機動隊員だからサイトよりは強い
>>910 なるほど、サンクス
うーむ、そういえば一期の頃は皇帝の本名がシャルルかルイスか定まってなかったっけなぁ
コミックや小説で一致しなかったとか
それはそうと、軽い気持ちでネタを出してしまったが
ジョゼフとシャルル(ギアス)の契約シーンとかうっかり想像しちまったよ!!orz
英雄での才人とか最近だと鉄拳王ですか、この辺突っ込んだのは
まぁ契約シーンのインパクトでご立派様に勝るモノはそうそう無いわけですがね!!
>>914 果たしてあれはルイズだったから悲惨だったのか、男だったらより悲惨だったのか……判断が付きにくい……
ベガ、ルガール、イグニス、ジョニー、バルバトス、メカ沢、ふたばのCV若本
DFFのカオス、半熟の3D皇帝
戦闘能力が高そうな若本ってこんな感じか?
若本といえば『六本木野獣会』を思い出すんだ。
ゼロ魔関係者は確か『サイ』を振り回していたかな?
恋姫無双の貂蝉も一応戦闘能力は高いな
>>916 セル V様 真祖ドラキュラ(月下の夜想曲)
エドウィンブラックはどうか
>>916 おいおい、BASARAの信長を忘れてるぜ?
後、WA4のガウンも色々とスゴイな。
テッカマンオメガこと相羽ケンゴと
ヘッドデトネイター・ラングを忘れてますよ
あとノイ・レジセイア
ちよ父は・・・もう呼ばれてたな
>>915 等しく悲惨ですよ・・・
>>916 バルバトス
ゼムナス
これぐらいしか思い浮かばないや
グランディアのバール将軍とか
スレ違いだろうけどアンデルセン神父
>>923 術に頼るかザコどもが!
……の一言でハルケギニアが滅亡するボスの召喚はお止めください
プレイヤーに極限の緊張を要求するようなのは駄目です
止まったら死ぬって噂は本当なのだろうか?
>>925 個人的にはアンデルセンは那智のままのほうが良かったと思う。
生まれるのが遅すぎた戦国の竜こと竜鳴館館長、
橘平蔵ならアルビオン7万も余裕で壊滅だな。
あとは、ナイ神父こと無貌の邪神様や、
色々な意味で印象に残る衣装な地球皇帝もアリだろう。
>>929 どこぞの英雄関連を召喚するなら、いくらでもどうぞ
特典やマイソロのおかげでシリーズの垣根を越える?
ご自由に。止めやしませんよ
主人もろとも、最高のおもちゃを提供してやってください
テイルズオブシリーズでルイズと相性がいいのは誰かな〜♪
ガンダールヴには困らない(例:歴代主人公・ガイ様・フレンなど)
ミョズニトニルン(例:リタ)・ヴィンダールヴ(例:アリエッタ)に近いキャラは敵も味方も豊富だったり
マイソロ元ネタなら多重クロスさえ可能という
……思う以上に、ゼロ魔クロス向きな作品なのだろうか
マーラ様が召喚されていて、彼の有名な妖怪チンポ大先生が召喚されていないのはオカシイ
そりゃ、元の作品が現代人召喚してて、近代兵器で戦ってるからなぁw
しかも、コルベール先生やアンリエッタみたいなおいしいキャラを使い放題だし。
>>928 チクタクマン召喚とか……対抗できるの居ないか
飛翔のアルが作り出したアズラッド召喚して宝物庫に封印された死霊秘宝の写本で……とか妄想したこと有ったな
懐かしい
>931
マーラーときたら貧乏神千兵衛だろう、若本さん的に。
CV若本な流れに乗り遅れた…
バーチャロンMARZのダイモンとかどうかな?
実際まとめにあるこれまで召喚されたラインナップを見ると、召喚できないキャラなんていないと思える
>>931 時代によってアカマタとボスの座が変動してるからなあ、ボスのときもぬらりひょんと手を組もうとする小物だし
>>936 「大海獣」では鬼作画による華麗な動きを披露し、驚異の小便パルスガンを見せつけてくれた。
しかも声がブライト艦長
>>916 MPOのジーンを忘れているのはお前か!
お前か!
いや、お前だったか!
いたぞ、敵だ!
>>916 VPのジェイクリーナス
人物特性的に常に不運が付きまとうけどな
拳王様だったこともあるらしい
しかし北斗の若本といったらシュレンの方が有名じゃないか
ファンタジー的にはウッドチャックを忘れないでほしいな
ゲームでの代役含めてザク、ジムのパイロットだったことも。
>941
いや、シュレンは出てきても一向に燃やし尽くしてくれないからさぁ
>942
ファンタジー的には黒き刃のタキオスとかも思い出してあげたい…触手凌辱的な意味で
>>930 そういやテイルズオブファンタジアの世界って、シルヴァラントとテセアラっていう二つの月があったよな。
あのゲームからの召喚ってことになったら、月を見ても異世界だってことに気付かれないかもしれん。
むしろゲーム中に時間移動してっから、過去とか未来とかと勘違いするかも。
>>916 柳生宗矩(バジリスク)
「な……タンとな!?」「この宗矩不覚でござった」
せがわ先生はいつ魔界転生を漫画にしてくれるのだろうか
それがアニメ化されて若本柳生の大暴れを見れるまで死んでも死にきれん
>>945 連載中の黒魔のFF9の世界にも月が二つあったな。赤と青の
若本ボイスのキャラだと、X−MENのMr.シニスターなんてのもいるぞ。
黒幕系キャラで戦闘力も高い。
改めてディセプティコンゼロ読み直したぜ、やっぱり面白いな
誰か映画版サウンドウェーブで一本書いてくれないかな…と思ったけど
人工衛星なんてどう絡めればいいんだろう
>>949 サウンドウェーブ映画では裏方だったけど造形は素晴らしいよな
ルイズが召喚するも衛星軌道なので
若本キャラ・・・・・・・・・・・・
・・・・・・ビクトリーム?
950超えてるので新スレ立てます。
>>953乙
>>949>>950きっと続編ではコンドルさんを引き連れて大活躍してくれるさ!!
ただその頃にはゼロ魔完結してこのスレも寂れてそうだけど…
私にいい考えがある、G1サウンドウェーブを召喚すればいいんだ!!
若本で正統派イケメンキャラのジョニーがないなんて
戴宗の兄貴が出てないだなんて
なぜ皆そこまで若本にこだわる……? 青野とかもいるじゃないか。
そろそろ埋めの時期かな、それとも誰かきりよく一つ投下してくれるかな?
俺は玄田氏が好きだな
ティーゼル・ボーンとか、戸愚呂とか、アルデバランとか
スレッガーさんとかコンボイ司令官(オプティマスプライム)が出ないとは癇癪弾けますね。
若本と子安のキャラはネタにしやすいからな
俺は小杉キャラが好きだ
トップジョイですね、わかります
>>958 だよな。若本の良い所が凝縮されてていいキャラに仕上がってるよな
戴宗の兄貴や衝撃のアルベルトはまだ死んだりするからいいが
不死身の村雨なんて呼び出されたらそれこそパニックになりそうだな
戦いの果てに命を落としたはずの青年
最期を迎えてみれば悔いばかり、月へ飛び立つ兄を見送り息を引き取ったはずの彼が目を覚ますと
そこには父も母も妹の迎えも無く、青空の下で桃色の髪の少女が怪訝そうな顔で自分を見下ろしていた
「・・・あんた誰?」
問われれば今の自分は明確にその名を名乗れる
トラウマと罪悪感から家族と距離を置き、兄との戦いだけに満たされんとしていた男
愛する兄によって取り戻された自分自身の名を・・・
「俺は・・・相羽シンヤだ」
若本と子安と聞いてたらふと浮かんだ、特典映像のシンヤはこれこそ虚無感とでも言うような後悔に苛まれたようでもあったし
兄弟へのコンプレックスやら、形は違えどルイズに通じる孤独を負っていたとこから
アリじゃねぇかなぁ、と思ったりした
クリスタルは宝物庫に、タルブにはペガスU、シエスタはゴダードの曾孫ってとこで
アリだとは思うが正気が残ってるように見えて本当に狂ってるキャラだからな
難しそうだ
同じ不死身キャラでも命の鐘の十常侍の場合復活に多少時間が掛かるから
遺体置き場から何食わぬ顔で出てきた十常侍とルイズ達が鉢合わせなんてこともありそう
まあ不意打ち等をしない限り十常侍を殺すことができる奴がいるかどうかも疑わしいが
不死身と言えば、目立ちたがりのヒーローがいたな
不死身といえば、
宇宙の塵にされても何食わぬ顔で復活したり、冥界の最深部へ唐突に現れたりする兄さんだろ
不死身と言えば結構楽しみにしてたけど作者失踪したSSあったな
>>967 スパロボWのきれいなシンヤならきっと大丈夫だよ
973 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 19:23:24 ID:kykgF7Ku
a
愛野狩人なんか呼んだ日にゃ
「またルイズが使い魔を爆殺したぞ!!」
って悲鳴と飛び散るミンチが日常茶飯事に
>916
ヴィクトリーム様がいないなんてヴェ〜ルルィシィ〜〜〜ット!!
と、言いつつ、早売りゲットして書いてたSSの設定と矛盾点を発見し、
本っ気でヴェリー・シットな気分になった長編作者な俺が愚痴らしてもらう。
……オリジナル展開&設定、てことにしちゃってよろしかったでしょうか?orz
10巻時点以降判明要素は盛り込みません
とか一定の区切りありゃ問題なかろ、そんなもん
>>975 また何か覆ったのか。まぁ良いんだよ。やっちまえ
今回のアレの使い方は何か根本的に
今までの認識改めなければならないと思った
確かに日本のいわゆる旧家の中で名家と呼ばれる権門の歴史と伝統は世界でも指折りだが……ねえ。
しかし一般市民として暮らしていた方が貴族として遇されると戸惑うわなw 相手方には失礼なんだろうが……。
まあ、あちらには庶民並みの暮らしをする公爵もいるというし。
ウチの国の権門ちゅーと、摂関家以外では 徳川>足利>島津 くらいか
後は少々の渋い家系の数家を除いて有象無象
その中以外だと細川もだね。
今だ政治に顔出す一族だし。
はい。こんばんわ。所謂一つの鋼の人です。
前回、どなたから「作風変わった?」とのコメントを頂きました。
うーん、どうなんでしょう?ただ言えるのは、一区切りまで一応、この路線で行きたいな、という表明です。
お見苦しいところもありますでしょうが、どうか平に、平に。
投下予告を行います。2300
では準備に入らせていただきます。支援をどうか、よろしくお願いします。
投下はいいがレス数とか見てるか?
む。やはり新スレのほうがいいですか。では、そちらに……
最新刊読んだ。
……黒魔さん、どうするんだろうなぁ。
17巻なんてなかった。
という事にしといたほうが書き手の精神衛生的にいい
ume&sien
sien
支援
元素妹の挿し絵は間違いなくミーディアムの人復活フラグ
支援
誰を支援しとるんだ?
支援というなの埋めなんじゃね?
支援
各巻よりセリフ抜粋・デルフリンガー
1巻「おでれーた。見損なってた。てめ、『使い手』か」
2巻「懐かしいねえ。泣けるねえ。そうかぁ、いやぁ、なんか懐かしい気がしてたが、そうか。相棒、あの『ガンダールヴ』か!」
3巻「こいつは『武器』だろ? ひっついてりゃ、大概のことはわかるよ。忘れたか? 俺は一応、『伝説』なんだぜ?」
4巻「そりゃそうさ。勘違いすんなよガンダールヴ。お前さんの仕事は、敵をやっつけることでも、ひこうきとやらを飛ばすことでもねえ。『呪文詠唱中の主人を守る』。お前さんの仕事はそれだけだ」
5巻:セリフなし
6巻「いやぁ、相棒。すんごいお久しぶり。ほんとに寂しくて死ぬかと思った」
7巻「そりゃ、どう贔屓目に見たって、あのロマリアの神官のほうがかっこいいさ。顔はもう、そりゃ比べものにならねえよ。空飛ぶ生き物のレベルでいえば、ハエとフェニックスだよ。地を這う生き物でいえば、オケラとライオンだよ。水の生き物でいえば、ミジンコと白鳥だよ」
8巻「相手してよ」
9巻「おれは六千年も変わらずにやってきた。退屈だったが、それなりに幸せな時間だったのかもしれねえ。お前さんたちの歴史とやらも同じさ。なにも無理に変えるこたぁねえ。そのままにしておくに、越したことはねえよ」
10巻「もう。俺に話しかけるの、こういうときだけじゃねーか」
11巻「あんだよ。もうほんと、聞きたいことがあるときだけ呼ぶんじゃねーよ。切りたいものがあるときだけ抜くんじゃねーよ。もう俺に飽きたんだろ?」
12巻「相棒……、遅いよ……」
13巻「だってよう……、ずっと鞘に入りっぱなしでイライラしてたし……。第一おりゃあこの国がきれえなんだよ。この国をつくったフォルサテって男が、そりゃもういけすかないヤツで……」
14巻:セリフなし
15巻「やあ相棒。もう、俺が寂しいと言っても、誰にも届かないんだね」
16巻「あの生意気な娘っこに、ちゃんと謝るんだぜ……」
新スレ投下中の鋼支援&埋め立て
1000だったら今週中に次の話を投下する
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。