【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら18

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもルイズが虚無の系統ではなかったら?
もしもルイズの使い魔がゼロ魔キャラだったら?
もしもタバサの代わりに留学してきたのがイザベラだったら?
もしもルイズがドMだったら?
……クロスとはまた別の、そんなifから生まれるストーリーを語るスレです。

まとめWiki
ttp://www.ifzero.co.cc/

前スレ
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら16 (実質17)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244804977/

過去スレ
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら15 (実質16)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244703910/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら14 (実質15)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244636414/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら14
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244636344/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら13
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1243618183/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら12
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1240572537/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら11
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1238409231/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら10
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1235138415/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら9
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1233480531/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら8
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1231847600/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら7
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1229960842/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら6
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1227423178/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら5
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1224849874/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら4
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1221470139/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら3
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1218457649/
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら2
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1216334114/
【IF系】もし、ゼロの使い魔の○○が××だったら
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1213096655/

【関連スレ】
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244615125/l50
同 まとめWiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/13(土) 14:00:36 ID:rldN8n3u
もしギーシュが軍人の家系らしくたくましくて魔法抜きで生身で強かったら?
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/13(土) 14:16:24 ID:s0hZDK2d
【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12795/1244799909/

4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/13(土) 16:16:41 ID:L6oF0vgS
>>3
また夜に襲撃来るかもしれないのでURL貼らない方がいいんじゃ……
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/13(土) 17:57:45 ID:lAmr1P4X
わざわざ貼ったのか。
荒しが向こうに着たら >>3 が原因だな。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/13(土) 18:08:37 ID:373r6NmC
さっき自治スレで最萌関連の荒しが規制されたとかいう情報あった。
じっさいどうなるかわからんが少しだけ期待してみる
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 03:11:24 ID:2g+tLOr5
>>6
eonet.ne.jpが丸ごと規制になったらしい。
巻き添えの人は諦めてくれ。


それとここの被害を報告した奴はちゃんとした様式でやれw(日時等の部分に注意)
お願いだから。
8『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』:2009/06/14(日) 07:40:17 ID:VCOWhmKY
前の話はいろいろご好評いただきありがとうございます。
はっちゃけ&ぶっとび過ぎたかと心配してたんですが、あれくらいならダイジョーブと安心しました。では、まったり気味なアフターの9話です。
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『るいとも *Aの9』

 さて、"原作"に比べて、「貴族の誇り」だとか「公爵家令嬢としてのプライド」だとか「トリステインへの忠誠心」だとかいったものが、本作のヒロインたるルイズからは大幅にこそげ落とされていることは、読者諸氏は重々ご承知であろう。
 もっとも、そういった部分が日本でのサイト達との付き合いで激減したとは言え、ルイズという少女は、本質的には友達思いで優しい娘である。
 いや、むしろ変な階級意識が希薄になった分、周囲の人間に対し、"友"と"身内"と"それ以外"という、いささかシンプルな区分しかしなくなったと言ってよい。
 このうち、"身内"については自分自身の身命と同等に大切。"友"についても、その危機には命を賭けてでも助ける、という「覚悟」を持っている……まぁ、普段のヲタ少女からは、そういう気迫は微塵も感じられないかもしれないが。
 とは言え、さすがに前回アルビオンに行かされた一件は、「友の危機」と言うには、いくら何でも自業自得過ぎると思うのだ。
 「え、えーと、つまり、どういうことなのでしょう?」
 原因不明?の貧血で丸2日寝込んだのち、ようやく回復したアンリエッタは、改めて口頭で報告を聞こうと、ルイズ&サイトを王宮の私室へと招いていた。
 「もぅ、姫様、お察しが悪いですね〜。つまりですね、もうちょっとエレガントな言い回しをしますと……」
 「しますと?」
 「お使いのお駄賃ちょーだい」
 ブバッ!
 ちょうどティーカップに口をつけていたサイトが盛大にフいた。
 「いや、ルイズ。それ、単刀直入すぎ。エレガントさのカケラもないから」
 まー、報酬をもらうこと自体については賛成だけどな、と口の周りを拭きながら、サイトが苦笑した。
 たとえばコレが、アンリエッタ王女の幼き日の無垢なる恋心が原因で、トリステイン存亡の危機が迫っている……とか言う事態であれば、ルイズとて多少の苦労は厭わないだろうし、あとで金を要求するような真似もしまい。
 しかしながら、今回のようにほぼ100%アンリエッタ個人の趣味による過失で、かつ先方にいたたまれない気分で平謝りせざるを得ない状況を引き起こしたとあっては、「必要経費+出張費くらいよこせコンニャロウ」と言いたくなっても無理はない。
 ルイズのすさんだ気分を察したのか、アンリエッタは慌てて、自分のポケットマネーから100エキューを報償として、ふたりに渡したのだった。

 「で、だ。どーして急に金が要りようになったんだ?」
 アンリエッタの私室から、そのまま平賀家のサイトの部屋まで来たところで、彼はルイズに尋ねた。
 「……ホラ、もうすぐ……でしょ」
 「ん? ああ、そう言えば来月の半ばだっけ」
 「もぅ! のんきねぇ。サイトにだって関係あることじゃない」
 「うーん、確かにそりゃそうなんだが……で?」
 「呆れた。まだ気付かないの? プレゼントよ、ぷ・れ・ぜ・ん・と。こないだトリスタニアに行った時、ちょうどいいものを見つけたんだけど、意外と高くて」
 「それで、姫さんからいきなりむしりとったのか。で、100で足りるのか?」
 「うーん、120だから手持ちを合わせれば何とか……ギリギリってところかしら」
 「モノがモノだけに多少なりとも融通してやりたいが、俺もこちらの金はほとんど持ち合わせがないしなぁ」
 ふたりして考え込む。
 と、そこでルイズの目にサイトのベッドの上に置いてある雑誌が目にとまった。
 ──正確には、その表紙の見出しの一文が、であるが。
 「! これよ!!」
9『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』:2009/06/14(日) 07:42:37 ID:VCOWhmKY
 「おーい、ねーちゃん、こっちにビールと枝豆追加してくれ」
 「はーい、よろこんでー」
 "客"の注文に愛想よく答え、いそいそと調理場へオーダーを通すルイズ。
 ここは、トリスタニアのチクトンネ街にある小洒落た大衆酒場「あじ妖精」。
 シエスタのツテを辿って、彼女の叔父が経営するこの店で、ルイズはしばらくウェイトレスのバイトをさせてもらっているのだ。
 このお店、元は「魅惑の妖精亭」と称する大人向け酒場兼宿屋だったのだが、たまに手伝いに来るシエスタが"東方風料理"のレパートリーを多数もたらしたため、昨年末、店主のスカロン氏が、トリステイン唯一の"東方風酒場"へと改装する決断を下したのだ。
 もちろん、シエスタにその"東方料理"のレシピを伝えたのはルイズである。と言っても、
彼女は手持ちの料理マンガを何冊かシエスタに貸しただけなのだが。
 ……しかし、料理好きの課長やグータラ新聞記者の作品はともかく、特級厨師や勝負にこだわる吊り目男のマンガは本当に参考になったのだろうか?
 それはさておき。この改装は大いに当たり、「そこそこの値段で珍しくて美味しい料理を食べられる店」として、ここ「あじ妖精」は王都の新名所になりつつある。じつは、2号店を出す計画もあるらしく、シエスタに店長をやらないかと打診が来てるらしい。
 一応平民向けなのだが、3つある個室に予約を入れてお忍びで食べに来る貴族も少なくない。
 最近では要望に応えて、昼に貴族や富裕な商家向けの「出前」サービスも始めるほどの繁盛ぶりだ。
 そして、料理の味とエキゾチックな店の構えに加えて、この店のもうひとつのウリが、美少女ウェイトレスたちだったりする。
 ありていに言えば、日本の大衆酒場でよく見られる袖がやや短めの着物にタスキ&前掛けという格好なのだが、丈の短さがハンパじゃない。さながら「アイマス」か「らぶドル」に出てきそうな「和服ナメんな」と言いたくなるほどの見事なマイクロミニ丈だ。
 ちなみに、この衣装をプロデュースしたのは他ならぬルイズであり、日本での友人・ハルナのコスプレにヒントを得たらしいが……「まさか、自分が着るハメになるとは思わなかった。少し後悔している」とサイトたちに語っている。
 もっとも、ルイズも2日だけとは言え文化祭でコスプレ喫茶のウェイトレスをした経験があり、さほど戸惑うことなく、初日からほぼ失敗なく働くことができたのだが。
 「つーか、むしろ水を得た魚のように活き活きしてネ?」
 調理場で皿洗い兼下拵え担当として働くサイトは、ルイズの働きぶりを見てつぶやく。
 「ホント、ルイズちゃん大人気ねぇん。新人なのに気が利くし、今、ウチのジェシカが休んでるから、助かっちゃったわ〜」
 ねじり鉢巻に板前服という男前な格好のクセにオカマ言葉でしゃべるのが、この店の板長兼店長のスカロンである。
 マッチョで怪異な容貌ながら、そのゴツい指先から生み出される料理は、あの魔法学院のマルトー親方をしてうならせたほどの代物だ。
 親方も、噂を聞いた当初はバカにしてたのだが、シェスタほかから評判を聞き、実際に食べに来て、彼の腕前を認めたらしい。今ではたまに互いの職場の新メニュー開発などで相談しているとか。
 ルイズとしても、あの「ヘビィなおフランス料理一直線」だった学院のメニューが改良されるのは大いに歓迎するところだ。
 「いやぁ、すみません、一月間だけ働かせてくれなんて、無理言っちゃって」
 「いいのよぉ、最近営業時間を長くしたから、人手が不足気味だったしィ」
 シエスタからは「学院に通う貧乏貴族の娘さんが、どうしてもお金が必要になって内緒で働き口を探している」というフレコミで、スカロンに話をつけてもらったのだが、細かいことは詮索しない彼の気遣いはありがたかった。
 「じゃ、来週までだけど、サイトちゃんもよろしくねン」 chu!
 そう言い残して、調理に戻るスカロン。
 いい人なんだけど、あのウィンクと投げキッスだけは何とかしてほしーなーと、気力値を大幅に削られながら、ボヤくサイトであった。
10『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』:2009/06/14(日) 07:44:14 ID:VCOWhmKY
 ちなみに、ルイズが欲しかったプレゼント。それは……。
 「新郎タダシ・ゾーリンゲ・フォン・イノー、並びに新婦エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールは、ここに誓いのキスを」
 彼女の長姉の結婚式に際しての贈り物として、どうしても欲しいものがあったのだ。
 以前と異なり、一方的に恐れるばかりでなく姉妹らしい会話が増えた今なら、この厳しい姉が、いかに自分に愛情をもって接してくれていたのかがよくわかる。
 だからこそ、今日、ようやく女としての幸せをつかんだ姉に、背伸びと言われようと、彼女自身の手で稼いだお金でプレゼントしたかったのだ。
 (まぁ、そのため一国の王女にタカるという少々無茶な手段もとらざるを得なかったが、アレも一応は"正当な報酬"の範囲だろう)
 「結婚おめでとうございます、エレオノール姉様、タダシ義兄様。これは、私とサイトからのプレゼントです」
 店先でひと目見たときから、「コレしかない!」と決めていたアクセサリーをジュエルケースに入れて差し出す。
 「これ、を……ルイズが?」
 「はい、エレオノール姉様。開けてみていただけますか?」
 贈り主に促され、エレオノールが箱を開くと、そこには虹色の宝玉を中央に、見事な銀細工で飾られたブローチが鎮座していた。
 「エレオノールさん、俺達の故郷では宝石ごとに花言葉ならぬ宝石言葉ってヤツが決められてんです。そのレインボークリスタルの宝石言葉は……」
 「──愛、希望、そして感謝、やな」
 「タダシ……もぅ、ルイズ、アンタって子は……」
 つぶやく"夫"の顔を一瞬見上げたのち、エレオノールは、小さくて生意気で……でも誰より可愛くいとおしい妹の頭を胸に抱いて、喜びの涙を流し続けるのだった。
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以上。ついにエレ姉様も人妻に。忠志さんはこれまで以上に公爵にトリステイン貴族としての手腕と慣習を叩き込まれることでせう。
ちなみに学院からはサイトのバイクでとばして通ってました。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 10:15:54 ID:7rl5N5Qi
るいともの人乙。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 11:24:15 ID:0xphJAj+
るいともさん乙です。
パワーアップ?した魅惑の妖精亭ですか。
料理漫画といえばコミックボンボンのアレは読んだのかな。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 18:36:30 ID:zvwRH5RZ
るいともの人乙。
今回は幾分まじめな話だな(前回がはっちゃけすぎていたともいうw)。
ホント、エレオノールさんオメデト。忠志さんガンバ。
14『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』:2009/06/14(日) 20:11:41 ID:VCOWhmKY
今回は、ビフォーの9話を投下します。
一応、文化祭がらみの話……ですかね。
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『るいとも *Bの9』

 「ところで、才人って一応、クラブに入ってるのよね。パソ研だっけ?」 チクチクチク……
 「ああ、ほとんど籍置いてる形だけだけどな」 ペタペタペタ……
 「そっちは文化祭で何やるの?」 チクチク……いたッ!
 「毎年、部活で作ったオリジナルゲームを1時間300円で遊べる、ゲーセン喫茶やってるよ。今年の目玉は……」 ペタッ
 ふむ、と作業の手を休めて、首をヒネる才人。
 「おお! そう言えば、今年は確か「無双」シリーズっぽい、アクションゲームを開発したとか言ってたな。俺もちょっとだけデバッグ手伝ったし」
 割合、よく出来てたぞーと言う才人の言葉に、キラリ、いやギラリと目を輝かせるルイズ。
 「ねぇ、才人、文化祭直前のこの時期なら、当然ソレってマスターアップしてるわよね?」
 「ん〜、どうだかな。ウチの会長は凝り性だから、まだ細かいバージョンアップ続けてるかもしれん」
 まぁ、一通り遊べるベータ版くらいはできてると思うけど……とのんきなことを言う才人の手を引っ張り、強引に立たせるルイズ。
 「行くわよ、才人! いざ、パソ研に!」
 「え? いや、だってお前、部外者だろ?」
 「そんなの、入部希望者の見学とかなんとか言えば、いくらでも言い訳きくわよ!!」
 そのちっこい体のどこにこれほどのと思えるパワーで、気乗りしない様子の才人を引きずって、ルイズは教室を飛び出していった。
 「……逃げたわね」
 ふたりとともに、文化祭まであと3日に迫った放課後の教室で、衣装や小道具作りに精を出していた春奈がポツリとつぶやく。
 まぁ、一応クラス委員である彼女はともかく、「裏方」ではないルイズたちが、そこまでつきあう義務は確かにない。もっとも、ルイズの裁縫技術と才人の手先の器用さは、こういう時は頼もしいので、ぜひ助っ人を頼みたかったのだが。
 「仕方無いか。こら、そこの西川くんと横山くん! アンタたちは正真正銘裏方担当なんだからサボんないの! 桃ちゃんと林檎も、もう少しだからつきあってね」
 わたしも当日のウェイトレス担当なんだけどなーと思いつつ、根が真面目な"委員長"たる春奈は、残された人員に指示するのだった。

 そのころ、ルイズは「平賀家にホームステイしている、日本文化に興味深々の留学生」を装うことで、あっさりパソコン研究会に取りいり、まんまと新作のテストプレイをさせてもらうコトに成功していた。
 「この「フェアリック・ファンタジア」では、プレイヤーキャラは8種類から選べるんだ」
 とりあえず開発責任者の会長が基本的なシステムを解説する。
 「大剣を持った重戦士(男)、槍を使う軽戦士(女)、メイスをぶん回す僧侶(男)、長めの杖を装備した魔術師(女)、レイピアとダガーを持つエルフ(男)、弓の名手のダークエルフ(女)、巨大なハンマーをふるうドワーフ(男)、短い杖のフェアリー(女)ってトコかな。
 あと、1度クリアーすることで、中ボスのドラゴニュート(男)と天使(女)も使えるようになる予定だけど、今はまだ組み込んでないかな」
 ゲームシステム自体は、ほとんど無双のパクリだけどね、とあっけらかんと言う部長。
 「ふーん、どのキャラがオススメですか?」
 「そうだねぇ。普段まったくゲームをやらない人なら、操作が簡単で使い勝手のいい、重戦士か軽戦士を勧めるんだけど、ヴァリエールさん、結構ゲームやるでしょ?」
 「え? ええ、まぁそこそこですけど……」
 ルイズを「そこそこ」と評するなら、このパソ研でゲームに詳しい人材は皆無に等しいだろーなー、などと生ぬるい微笑みを浮かべる才人。
15『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』:2009/06/14(日) 20:12:39 ID:VCOWhmKY
 「なら、最初から遠距離攻撃ができて、かつ近接攻撃もそれなりにこなせる魔術師かダークエルフがおススメだね」
 「フェアリーは?」
 「そっちは完全に魔法特化型。なんせ初期装備での近接攻撃能力が1だからねぇ。体力も低いし。そのぶん、魔法は強力なんだけど」
 「ふぅん。じゃあ、とりあえず、ダークエルフで」
 あっさり褐色の肌の女性キャラを選ぶルイズ。
 ハルケギニアのメイジとして、それでいーのか? と、才人は呆れる。……いや、もしかしたら単にダークエルフのほうが巨乳だったから、そっちを選んだだけかもしれないが。
 「連射連射〜、連射連射れんしゃああ〜」
 ブルーハーツっぽいメロディーで鼻歌を歌いつつ、ゲームを攻略していくルイズ。
 最初はニコニコ笑顔で見守っていた会長&パソ研のメンバーだったが、次々とステージをクリアーしていくルイズの様子に次第に笑顔がこわばる。
 「よっ、さっ、ほっ……あ、ゲージが溜まった。
 ククッ、堕天使ごときが、我が魔弓デュアルゴーグから逃れ得るものか。くらえ、"第五火神閃(エルフレア)"!!」
 ついに、一度のミスもなく、ステージ8のラスボスまでも倒してしまったのだ。
 頭を抱えるパソ研のメンバーたち。
 「おい、あのゲーム、何回か同じステージやって、キャラを成長させることが前提のバランスだよな?」
 「はい、そのはずですけど……あ、難度がEASYだったとか?」
 「いや、今確認したが、NORMALだった。どうする? もうちょい、ザコ敵の数増やすか?」
 「いえ、それより各ボスの体力を増やしたほうが……」
 喧々諤々の大騒ぎである。
 「あの〜、会長。そんなに心配しなくても、コイツのゲームの腕前はハンパないんで。何せ、格ゲーで俺、ルイズに勝ち越したことありませんし」
 10歳のときに「ヴァリス4」のハードモード1回でクリアーしてるゲームバカですから、と才人が言うと、ようやく「それじゃあ仕方ない」と納得した雰囲気になる一同。……そのたとえでわかるのだろーか?
 「え〜、「ソードオブソダン」や「デスクリムゾン」じゃあるまいし、別に普通にできることをやっただけよぉ?」
 ルイズは不満そうだ。
 「あ、でも、このゲームは本当におもしろかったですよ、会長さん。今度はもうひとりオススメの魔術師で挑戦してみていいですか? ……HARDで」
 結局、ルイズは、そちらの女魔術師・トリシアでも一発クリアーし、ダークエルフ・カノンでのプレイスコアを塗り替えることとなる。
 その後、パソ研では「フェアリック・ファンタジア」のバランス調整──ボス敵の強化、ノーコンで8ステージまでクリアーすると隠し面の9ステージ目に突入など──のため徹夜で作業に追われることになるのだった。合掌。
 ──ちなみに、ルイズはこのパソ研の「永世名人」として登録されたと言う。
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以上。ゲームセンターるいずの巻、でした。いや、この子の場合、集中力+これまでのゲーム経験が半端じゃないんで。
続けて、10話を投下。次は、いよいよ文化祭本番です。
16『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』:2009/06/14(日) 20:15:20 ID:VCOWhmKY
10話目投下です。まったりぬるぬるーですが。
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『るいとも *Bの10』

 さまざまな紆余曲折ののち、ついに文化祭の幕が開ける。
 「いらっしゃいませ〜、"魅惑の妖精(チャーミング・ピクシー)"へようこそ!」
 ルイズと春奈の努力の賜物である可憐な衣装をまとった(半数は貸衣裳だが)、ウェイトレス役の女子たちが声を揃えて挨拶する。
 ちなみに、男子の接客係のうち、執事服を着たひとりは入口で会計、もうひとり「スト2」のリュウのごとき袖なし空手着姿のほうが、プラカードを持って校舎内を歩いて宣伝している。
 常駐のウェイトレスは4人で午前と午後の2交代制だ。
 そのリーダーシップぶりから、ルイズは午前の接客係のチーフに選ばれていた(ちなみに、午後が委員長の春奈である)。
 「めいど長 ルイズ・F・V」と書いた名札を黒いメイド風衣装の胸にとめて、キビキビと接客する。なかなか手際がよく、飲食店でのバイト経験のある子にひけはとらないようだ。
 バックヤードから一応、その働きぶりを確認していた才人は、ホッとしていた。
 「よぅ、色男。彼女のことが心配か?」
 クラスの悪友・小石川が意地の悪い顔で才人をこづく。
 ひとり暮らしで、一応料理ができる彼も、才人同様調理スタッフに駆り出されたのだ。
 「う、そりゃ、多少はな。何だかんだ言って、あいつお嬢だし、アルバイトとかしたことないはずだし」
 「の割には、手慣れてるっぽいけど?」
 「あぁ。武道なんかで、「見ることも修行のうち」だなんてよく言うけど、アレって本当だったんだなぁ」
 おそらく、何度も秋葉などの「そういうお店」に行った経験があるためか、「喫茶店のメイド」としてするべきことが、おおよそわかっているからだろう。……これほど不純な"見取稽古"もなかなか存在しないだろうが。
 「?」

 ともあれ、午前中は、そんな感じで何とか無事に回ったのだが、午後1時になり、早番の才人たちが交代する時間になった時、悲劇、いや喜劇は起こった!
 「なにぃ、梅沢のヤツが逃げたァ!?」
 午後からプラカード持って宣伝を担当するはずだった男子生徒が、一向に姿を見せないことに業を煮やして確認とったのだが、どうやらそもそも学校に来てないらしい。
 「あのヤロー、ロクに準備にも参加しなかったクセして……」
 とは言え、それについてもこの当日の"晒し者"役があるからこそ、大目に見ていたと言うのに。
17『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』:2009/06/14(日) 20:20:20 ID:VCOWhmKY
 ちなみに、梅沢某君の担当とは……女装ウェイトレスである。
 「らきすた」と言うか「トゥハート」と言うか、この高校の制服とは異なる赤のセーラー服(ルイズによると王立舞弦学園女子制服)を着て校内一周。その後、教室でおもに女性客向けの接客係をすることになっていたのだ。
 ……いや、そりゃ逃げるだろ、フツー。
 口には出さないものの密かに同情していた才人だが、そんな他人事のような気分は、「仕方ないなー。じゃあ、才人お願い」と言うルイズの言葉で一気にフッとんだ。
 「待て! 俺はさっきまで調理場で忙しく働いてたんだぞ!? なのにまだこき使おうってのか?」
 「ゴメンね、平賀くん。でも、用意したこの制服のサイズが合いそうなのって、平賀くんくらいなのよ」
 申し訳なさそうに言う春奈だが、目が笑っている。
 そう言えば、「体格が梅沢と同じくらいだから」って家で無理やりルイズに仮縫いの衣装を試着させられたことがあったが……。
 「はかったな、ルイズ!」
 「才人、君の生まれの不幸を呪うがいい。君はいい友人だったが、君の化粧映えのする顔つきがいけないのだヨ!」
 切羽詰まってルイズと「ガンダム」ごっこをしても、クラスの女子の半数に囲まれていては、逃げられるわけもなく。
 結局、才人はセーラー服ばかりでなく、白鉢巻&指なしグローブ、赤いニーソとニーパッド&エルボーパッドという、「どこからどう見ても、ぱすチャの竜胆沙耶です」という格好で、校内一周の羞恥プレイをさせられるハメになったのであった。

 「う〜、ヒデェ目にあった」
 ようやく女装コスのまま校内行脚という苦行を終えて、才人が教室に戻ってくると、何やら騒ぎが起きている。
 「だから、コイツぁオレたちが頼んだモンと違うって言ってるだろ?」
 どうやら、厄介な客が騒ぎを起こしているらしい。制服を見る限り、他校の生徒のようだが……。
 「しかし、先ほどのご注文は、アイスコーヒー2つとアイスティ1つ、ホットケーキとバニラアイス2のはずですが?」
 おびえる他の接客係の女子を背後に庇って、午後のチーフたる春奈が対応している。
 「あ〜ん? どこにその証拠があるってんだ?」
 程度の低い恫喝だったが確かに効果的だ。伝票のメモを見せても聞き違いだと言われればそれまでなのだから。
 「あんにゃろー」
 友人のピンチに思わず飛び出そうとした才人だったが、なぜかルイズがそれを止める。
 「ダイジョーブよ、はるなんには考えがあるみたいだから」
 「証拠、ですか。それでは、コレを……」
 春奈は胸元からボイスレコーダーをとりだし再生してみせる。
 そこには、先ほどの内容を注文する他校生の声がしっかり録音されていた。
 「当店ではこのように、お客様とトラブルがないよう常に準備しておりますので」
 「ぐっ……」
 冷やかな周囲の視線にいたたまれなくなったのか、いちゃもんをつけた3人連れは、代金を支払ってさっさと出て行った。
 「はるな〜ん、カッコよかったわよォ!」
 「お疲れ、高凪さん」
 「あ、ルイズちゃん、平賀くん」
 ふたりの顔を見た途端、緊張の糸が切れたのか、腰砕けになる春奈。
 「あ、アハハ……ちょっと気が抜けちゃったかな」
 おそらくかなり無理してたのだろう。いくら気丈な彼女とはいえ、さすがに不良っぽい他校生と対峙するのは、並みならぬ精神力がいったはずだ。
 「だめだよ、はるなん、無理しちゃ。ちょっと裏で休ませてくるから、才人、代わりに接客よろしく〜」
 「ヲイ、俺がか? まぁ、しゃねーな。りょーかい」
 本来は休みの番なのに……とは思うが、春奈のあの様子を見せられたら、致し方あるまい。
 「……って、このカッコのままかよ!?」
 ちなみに、コスプレ喫茶"魅惑の妖精"のレジに置かれたウェイトレス人気投票において、「ぱすチャコスの謎のおねーさん」へ票のが、結構いい線いっていたことを付け加えておく。
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以上。ルイズも春奈も自重するべき。無論、A-5でサイトの女装が「生涯2度目」とあるのき、コレを指していたり。
さて、次回は文化祭も2日目の大詰めです。
……なのですが、先にA−10を24時ごろ投下させていただきます。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 21:04:57 ID:zvwRH5RZ
乙です!
サイトの女装やっぱりキター! イキロ…w
それはそれとして、はるなんカッコヨス
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 21:34:12 ID:KGXK4/Yn
今更前回のを見てきた
アンアンから某所のオランダ女王と同じ臭いがしやがる
そしてA-10と聞いてサンダーボルトが真っ先に浮かんだ
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 21:44:41 ID:dO3IDP2Q
>>19
ルーデルの落し子だっけ?>A-10サンダーボルトII
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 23:03:27 ID:63Y2hqVv
>>20
いや、なんだその背徳的で名状しがたきものっぽい表現はw
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 23:26:50 ID:6RRbQ/dG
だが、直接的表現極まりない。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 23:39:37 ID:HZSKxuR/
絶対両手にルーンついてたはずだあのヒト
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 23:54:40 ID:mzZB2z/t
あの人は口に出すのも憚られる方だろ。
25『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』:2009/06/14(日) 23:59:10 ID:VCOWhmKY
アフター編の続きです。第一部から数えると一年あまりが過ぎてる計算になりますね。
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『るいとも *Aの10』

 魔法学院とサイトの通う学校がともに夏休みに入ったので、今年の夏はハルケギニアをのんびりバイクでふたり旅でもしようか、などと話しているルイズたち。
 そーゆー話には、あたしたちも混ぜなさいよと乱入してくるキュルケ……とタバサ。
 「おいおい、俺のバイクは、さすがにシルフィードよりは遅いぞ?」
 「いいじゃない。この4人での旅行なんて、学院にいる内くらいしか機会ないでしょ。それとも、お・ジャ・マ?」
 「ん〜、別に私は気にしないけどネ。でも、本当にブラブラするだけだから、そんなにおもしろいコトはないと思うけど……」
 などと言いつつも、やはり学生時代に気の合った仲間と旅するのは、それだけでワクワクするものだ。
 ルイズやサイトも楽しみにしていたのだが、ここで突然、王宮から呼び出しが来た。
 もちろん、こういうKYな真似をするのは、アンアン王女と相場が決まっている。

 「あの〜、何なんですか、姫さん、いきなり」
 しまった、あと2日早く出発しとけばよかった……と思いつつも、テーブルの向いに腰かけて優雅にカップを傾ける王女に問いかけるサイト。
 ちなみに、ヘソを曲げたルイズは隣りで、出された紅茶を黙ってすすっている。
 「おいそがしいところすみません。ですが、今回ばかりは、おふたりの助けを貸していただきたいのです」
 「今回ばかりは」って、俺達何度も手伝いしてきたはずだけどなー、とサイトは内心でボヤく。
 「──ルイズ、そしてサイトさん。これからするわたくしのお願いに"はい"か"イエス"でお返事してください」
 ブゥッ!
 ルイズが勢いよく口に含んだ紅茶を噴き出す。かろうじて、正面の王女の顔にブッかけないという配慮は残っていたらしいが、おかげでとばっちりを受けたサイトはいい迷惑だ。
 「サイト〜、姫様に「ナイトウィザード」観せたの?」
 「むぅ、そう言えば、こないだルイズが俺の部屋に連れて来たとき、DVD流しっぱにしてたような気も」
 あの時は、女の子ふたりして、もっぱらマンガに夢中だったみたいだから、別段気にもとめなかったのだが……。「テニスの王子様」読みながら、しっかりテレビの方も観てたらしい。
 そう言えば、珍しく暗紫色のドレスなんて着てると思ったら……"第八世界の守護者"の真似か。
 「はぁ……要するに俺達に拒否権はない、と?」
 「いえいえ、これはあくまで"お願い"ですから♪」
 ニッコリ笑顔を向けられても、さすがに言葉どおりにとる気にはならない。
 (おい、ルイズ、アンリエッタ王女、なんだか微妙に性格悪くなってねぇか?)
 (何言ってるのサイト。この人は昔からあんな感じよ。まぁ、サイトの前では多少猫かぶってたのかもしれないけど)
 猫かぶる必要がないと判断されたとしたら、それは親しい友人となったからなのか、あるいは使える部下(げぼく)として認められたからなのか。
 「そんなに嫌そうな顔、しないでくださいまし。お願いの内容自体は大したことではありませんわ。アルビオンでウェールズ…もとい、ウェンディ様のご様子を確認して来ていただきたいだけですから」
 ちなみに、アレからすぐに、アルビオン王国軍は、某巴里華撃団風の衣裳に身を包んだ"王女"?に率いられて反乱軍討伐に赴き、大勝利を納めている。
 聞けば、"ウェンディ"殿下及び、その直属の部下として抜擢された腕利きメイジの女性騎士5人を旗頭として、王国軍の士気がかつてないほどに高まったおかげだとか。
 "ウェンディ王女"についても、「美人だし、萌えるから、いんじゃネ?」という結論に達し、公けにその存在が認められたらしい。一応、表向きは王子の異母妹ということにはなってはいるが……大丈夫なのか、白の大陸?
 「あ〜、皆まで言わずともOK。A国華撃団の雄姿を写真に納めて来いってコトっすね」
 王女&女性騎士の6人は、いまやアルビオンではちょっとしたアイドル、いやスターらしい。貴族平民・男女問わず人気が高く、絵姿の類いも売り出されているとか。
 その反作用で、一大勢力を築きつつあった某十字軍的宗教団体の人集めがはかどらず、無能王とその腹心が苦い顔をしていることまでは、サイト達の想定外だったが……。
26るいとも *Aの10-2:2009/06/15(月) 00:00:23 ID:VCOWhmKY
 「ま、まぁ、ヅカとかブームになって人気が出るとスゴいらしいからな」
 「そ、そうよね。国民に人気があるのは、いいことよね、ウン」
 この一件に少なからず関与した形になったサイトとルイズは、自分に言い訳している。
 ──国民に人気があるが、本人はダメダメ子ちゃんな王族の実例が、目の前にいるワケですが、何か?
 脳裏に浮かんできたそんな言葉をあえて無視し、ルイズはアンリエッタに向き直る。
 「とにかく了解しました。ただちにアルビオンに行って、ウエンディ殿下とその側近の方々に面会し、お話を聞いてきます。では!」
 これ以上厄介事を押しつけられぬうちにと譲歩して、さっさと王宮から逃げ出すふたりであった。
 「あっ……困りましたわ。せっかく新シリーズを書き上げたから、ウェンディ殿下に届けてもらいたかったのに」
 ──まだ懲りてなかったのか。自重しろ、腐れ王女。
 「大丈夫です! 今回は、ノーマルカプ物ですから!!
 王位継承権の都合で生まれた時から女性として育てられた男の"姫君"が、政略結婚で他国に嫁がされるのですが、その国の王子は、実は凛々しい男装の麗人だったと言う驚愕。
 自分より背が高くたくましい"王子"の腕に抱かれて"姫君"は女の幸せを感じ、思い切り淫らに乱れるのです……ウフフフ」 ジュル〜リ……
 確かに男×女いや女×男ものではあるが、コレを指して"ノーマル"と言いきってよいものだろうか?
 と言うか、仮にも一国の王女様が、妄想でヨダレを垂らすのはいかがなものか。
 「「ウィニア、今日から君は、ブリタニカ皇太子たる僕の妻なのだ」「はい、アーノルド様。お慕い申し上げております。アッ、そこは……」な〜んて、きゃあ!」
 ──聞いちゃいねぇ。

 「──と言うワケで、今回の旅行先は、急きょアルビオンに決定よ!」
 「いや、ま、いいけどね。あたしもタバサもあの国には、まだ行ったことなかったから」
 ルイズの説明(姫様から任務が来ちゃった)に呆れつつも納得するキュルケと、コクコクと頷くタバサ。
 「あ〜、ゴメンな、ふたりとも。最初にロンデニウムで用件をすませたら、すぐにアルビオン各地を色々見て回ろうぜ」
 サイトが申し訳なさそうに言うが、ふたりともさほどは気にしていない。
 ルイズに言ったとおり、かの国に行ったことがないというのは事実だし、知らない国を気心の知れた仲間と旅すると言うのはそれだけで楽しいものだろう。
 しかも、ルイズの"どこでもドア"を使えば、フネの代金もロハで済むのだ!
 ……密入国? 何それ、おいしーの?
 ともあれ、多少の紆余曲折はあったものの、4人の楽しい夏休み旅行が始まったのだ!
27るいとも *Aの10-3:2009/06/15(月) 00:01:52 ID:OVbjBAK8
 旅の一日目にアルビオン王宮を訪ねたルイズとサイトは、今回はアポ取りをしてなかったにも関わらず、大歓迎で"王女"の元まで案内される(ちなみにキュルケたちはロンデニウム観光に出かけた)。
 「──なぁ、ルイズ、案内してくれてるこのメイドさん達の格好って、もしかして「サクラ大戦3」のメルとシーか?」
 宮殿内を歩きながら、傍らのルイズの小声でささやくサイト。
 「でしょうね。こないだ来た時、ここの女官はもっと普通の服装してたと思うし」
 「一体また何で……」
 「ドキッ!」
 「そう言えば、例の荷物送るとき、ルイズ、何か入れてたな」
 「ギクッ!」
 「わざとらしい擬音を口で言うくらいなら、サッサと吐いて楽になったらどうだ、んん〜?」
 ──か、隠すつもりはなかったのよ。ただ、せっかく「サクラ3」のコスするんだからと思って……昔集めてた「サクラ大戦」トレカの余(ダブ)りを30枚ほど適当に送っちゃった。
 テヘッ! と不二家のペコちゃんよろしく余所見して舌を出すルイズ。
 成程、だからこんな事になってるのか……と、サイトは嘆息する。
 活発そうな茶髪の女騎士ケイトは真紅のシスター服、黒髪ボブのおとなしそうな女騎士マリンは黒のツーピース、やや年かさで銀髪の女騎士パーシィは緑の外套&黒タイツと、私服まで巴里花組の衣装に合わせているとは……。
 いや、彼女達にとってはコレこそが勤務用の制服なのかもしれない。言うまでもなく、その"主"の趣味だろう。
 (そうなると、金髪のウェンディ殿下は、ブルーメール家令嬢グリシーヌあたりの格好かな。まぁ、妥当な配置かも)
 ……とアタリをつけていた才人の予想は見事に外れる。
 「よく来てくださいましたね、ミス・ヴァリエール、ミスタ・ヒラガー。その節はお世話になりました」
 ニコッと思わず男性であることを忘れてしまうような魅力的な笑顔を向けてくるウェンディ王女殿下の服装は、空色のスーツ&タイトスカートという組み合わせ。
 「紐育のラチェット隊長かよ!?」
 どうやら、トレカに「5」の絵柄も混じってたらしい。
 ちなみに、王女&近衛騎士は、自分たちも後でその"肖像画"をもらうことを条件に、快く撮影に応じてくれた。
 「なんで、ハルケギニアに来てるのに、コスプレ撮影の腕が上がってるんだろーな、俺?」
 美女&美少女(約1名除く)たちの写真を好きなだけ撮れるという、カメコなら狂喜しそうなシチュエーションなのに、サイトは浮かない顔だ。
 「いいじゃない。もうじき冬コミ用にウチのサークルでも私たちの写真集作るんだし。あ、どーせなら、この写真も"お友達のコスプレです"ってアップしてみよーか?」
 筋金入りのヲタ娘・ルイズは既に完全に開き直っているようだった。

 当初のグダグダななりゆきにも関わらず、その後のアルビオンの旅は極めて順調だった。
 高度が高いせいかこの国は夏でも涼しく、絶好の避暑地になっている。
 ちなみに、サイトのバイクのガソリン補給については、保管用ガソリン缶詰を使用しているので、ガス欠の心配はない。
 数日毎に平賀家に戻っているため、着替え・非常食その他の荷物も最小限で済んでいる。夜に野宿先で平賀家に繋がる"どこでもドア"を開いて固定化、その晩は日本でまったり過ごしてから、翌朝同じ"ドア"で元の場所へと帰り、固定化を解くのだ。
 つくづく、ルイズの魔法"世界扉"は反則技だった。
 しかしながら、旅を始めて10日あまりが過ぎたころ、ルイズたち一行は思いがけない出会いと再会を経験することになる。


 「それは"乳房"というにはあまりにも大きすぎた。大きくやわらかく重くそしてエロすぎた。それは正に乳塊だった……」スパーン!
 「何失礼なコト言ってるんだ、この貧乳娘が!」
 新たな友人のバストを見つめて熱に浮かされたような戯言を呟くルイズの頭を、サイトがハリ倒す。
 「ごめんね、テファちゃん。マチルダさんも、このアホの子には、よく言ってきかせますんで」
 「は、はい……」「え、ええ、それなら……」
 ペコペコとコメツキバッタのごとく平謝りするサイトに気圧されたのか、あいまいに頷くふたり。
28るいとも *Aの10-4:2009/06/15(月) 00:04:02 ID:OVbjBAK8
 実は、偶然通りがかったウェストウッド村付近で、たまたまオークに襲われていたティファニアを、ルイズ達一行が助けることとなったのだ。
 言うまでもないことだが、オーク鬼の2匹くらい、この一団にかかっては明らかにオーバーキルである。
 極めて短い詠唱でも発動する(そのぶん威力は下がるが)ルイズの「爆発」で足止めし、その間にキュルケとタバサがトライアングルスペルを詠唱して、あっさり撃破。
 ティファニアの身柄は、デルフを抜いたサイトがちゃっかり保護している。さすがはフラグゲッター。
 まあ、その際、テファが自分に掛けている幻覚(イリュージョン)の魔法が解け、とがった耳を見られた彼女が慌てて泣きそうになる……といった一幕もあったのだが。
 しかしながら、一行は彼女がエルフ(正確にはハーフエルフだが)と知っても「ふーん」「へぇ」「……」の一言で済ます豪胆さを持っていた。
 ──約1名、「エルフ耳、萌え〜」と目をハートマークにしてフラフラ近づきかけるダメダメな娘もいたりしたが、少女の恋人が責任をもって取り押さえたので大事には至らず。
 そんなこんなでサイト達を信用したティファニアは、孤児院を兼ねた自宅に招待したのだが……。
 そこには、トリスタニアの監獄から脱獄してきた"土くれのフーケ"ことマチルダ・オブ・サウスゴータの姿があるわけで。
 (どうやら隠し持っていた杖を1本だけ見つからずにすみ、隙を見て逃亡したようだ)
 自分の正体を知ってると推察される連中とは言え、顔見知りの相手であり、とくに恨みはない(フーケは自分が捕まった経緯の詳細を知らないのだ)。
 むしろ、ミス・ロングビル時代は、ルイズたちのことはいい意味で「貴族らしくない貴族」として好感を抱いていたくらいなのだ。
 また、話を聞けば妹分の命の恩人でもあるらしい。
 葛藤するマチルダだったが、サイトが「あれぇ、ミス・ロングビル、学院を退職して郷里に帰られたという話でしたが、ここが貴女の実家なんですか?」と間の抜けた声をかけてきた。
 パチッと下手なウィンクしているところを見ると、どうやら話を合わせろと言うことなのだろう。マチルダとしても願ってもないことなので、「え、ええ、そうなんです」と答える。
 事情を知らないティファニアには、これまでトリステイン魔法学院の学院長の秘書をしていたこと、"ロングビル"というのが学院で使っていた偽名であること、給料はよかったが学院長のセクハラに耐えかねて退職したこと……などを説明する。
 実際、これらはほとんどすべて事実だ。ただ、彼女が実は盗賊だったことを言ってないだけで。
 無論、テファや孤児院の子供たちが見てない場所で、マチルダとルイズ達の密談があったわけだが、ルイズとしても、彼女にさほど悪感情を抱いているわけではない。
 原作のように直接フーケとしての彼女と対峙したわけでもないので、心の中では「優しいミス・ロングビル」としての面影の方が鮮明に残っているのだ。
 "破壊の杖"も無事学院に戻ったことだし、少なくともまた彼女が"フーケ"として盗みを働かないなら、ルイズ側としてはあくまで「友人であるテファのお姉さんのマチルダさん」として接する……と、ルイズ達は宣言した。
 それを信用するかはマチルダの気持ち次第だったが、彼女としても、せっかくできた妹の友人(しかも、テファがエルフと知っても態度が変わらない!)をなくしたくはない。完全とは言えぬまでも、ルイズ達のことを信用することにした。

 さて、その夜は、なかなか印象的な一夜となった。
 サイトが"東方"の珍しい料理(と言ってもカレーだが)を作って、子供たちにふるまう。米がないのが少々残念だが、ナン代わりのパンと組み合わせても、なかなか好評を博した。
 食後は、みんなにルイズが手品(使い魔披露会の時のを自分でもできるよう練習した)を見せてウケをとる。
 また、小さな子たちにはタバサが絵本を読んで聞かせてやった。以前と異なり、無口ではあるが柔らかな印象を抱かせるようになったタバサは、子供受けも悪くないのだ。
 キュルケはマチルダと差しで飲み交わし、「イイ男について」の議論を交わしているようだ。
 「サイトは確かに割とイイ男だと思うけど、ルイズにベッタリだしねぇ」
 「仕方ないよ。あの危なっかしい嬢ちゃんは、あれくらい苦労性の男が見ててやらないと」
 「かと言って魔法学院のボンクラどもは、軟弱で退屈なだけだし。あの二股気障男のギーシュが、まだしもマシな部類に入るって言うんだから」
 「アタシもそろそろ未婚だとキツい年頃だし、テファを任せられる男が早くみつからないものかねぇ」
 グラマー美人といえど、悩みはつきぬものらしい。
29るいとも *Aの10-5:2009/06/15(月) 00:05:30 ID:OVbjBAK8
 しかし、子供たちが寝静まったころ、居間で談笑していた彼女たちに、タバサがひとつの爆弾を落としたのだ。
 「ルイズとティファニアは"虚無"の使い手なのではないか」と。
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以上。こんなところで次回に引いちゃったりして。当然、次回は少々シリアスな話になります……が。
その前にB編の11、12話を挟みます。ABともにあと少しですので、お付き合いいただければ幸いです。
ちなみに"アルビオン華撃団"の残りふたりは、「2」のソレッタと「5」のダイアナの格好。ルイズがエルフ耳萌えになってるのは、「ロードス島」のピロテースが好きなのと、B−9でプレイした同人ゲームの影響だったりします。
ここのテファの修得した虚無は「イリュージョン」。原作ルイズと異なり、派手さはないかわり精密で、フェイスチェンジ代りに応用して、耳を隠してました。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 00:10:10 ID:ZJnh9bKW
るいともの人乙です
姫様がブリタニカって言ってるのの元ネタってギ〇スですか?
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 00:10:14 ID:HNl6HJ1w
るいともの人、投下乙です

しかしルイズ、お前がそれを言うかwwwww
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 00:39:52 ID:Mnd3DahA
ピロテースというと日本ファンタジー業界に、
ハーフエルフはナイスバディというテンプレ−とを確立したキャラ。

結城信輝デザインのOVA版のはエロかった。

33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 00:44:43 ID:q2iKftlx
あれ?ピロテースてハーフじゃなくてダークエルフじゃなかったけ?
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 00:51:05 ID:Mnd3DahA
ダークと間違えてました、
すいません。
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 01:06:58 ID:1LecjMgQ
るいともさん乙です。
そろそろ番外編で苦労王ジョゼフが出来そうな感じですね。
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 21:11:28 ID:9vBmCuu4
地獄兄弟なガリア兄弟。
……いや、なんかそんなフレーズを載せた電波が飛んできたんだ。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 21:24:53 ID:gpr7G6QJ
もしもサイトが人間ではなく人間そっくりのアンドロイドだったら

あんまり変わらないかな
38『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』:2009/06/15(月) 21:39:01 ID:OVbjBAK8
こんばんわ。最終コーナー付近投下させていだきます。まずはBの11話、文化祭も大詰めです。
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『るいとも *Bの11』

 明くる日曜日、文化祭最終日の朝。
 「さぁ、みんなー、今日もバリバリ稼ぐわよ!」
 「「「「「「はい、メイド長!!」」」」」 (ぱっど長!)
 「いま、パッド長って言ったヤツ、前に出ろー!」
 ウガーッと吠えるルイズ。今朝もテンション全開のようだ。
 昨日一日営業して慣れたこともあり、ウェイトレス陣に不安はない。問題は、男性の接客係だろう。
 レンタルしたコスチュームの都合で、執事服姿の接客係は1日交代となっている。つまり、昨日働いた人間は今日はお休みで、今日の人員はまったくの初めてなのだ。
 日曜ということで、昨日よりも多くの人出が予測される。一応、執事ふたりは、バッシュ(皿等の片付け)とスイープ(床掃除)が主な仕事だから、大丈夫だろうと思うが……。
 しかし、彼ら以上にピンチな人材がココにいた。
 「シンジ君。俺はここでホットケーキを焼くことしかできない。
 だが君にならできる。君にしかできないことがあるはずだ」
 「いや、それ、絶対この場面で言うべき台詞じゃないよ!」
 昨日、敵前逃亡どころか戦闘参加自体をサボタージュしたクラスメイト梅沢伸治に、シガーチョコをくわえた才人がニヒルに語りかける。
 ちなみに、当の梅沢は、クラス男子の手で強制連行され、白のスク水に丈の短いピンクのセーラー服&太ももまでのオーバーニーという格好に着替えさせられていた。聖天使ジブリール……天使つながりか?
 本日の罰ゲームのために、昨夜ルイズが腕をふるったのだ。
 「誰も君には強要しない」
 「嘘つけ! 強制しまくりじゃないか!」
 「自分で考え、自分で決めろ。自分が今何をすべきなのか。悔いのないようにな」
 「少なくとも、今僕がするべきことは、逃げることだと思う」
 梅沢のボヤきを無視して、着替えが終わった彼を女子接客係達(午後組)の手に委ねる。
 「──あとは好きにしたまえ」
 「了解。さー、いきましょーねー、シンちゃん」
 「や、やめろー、ブッ飛ばすぞー! あぁ、そんな……らめぇ〜〜!!」
 聞くに堪えない絶叫がバックヤードのさらに裏にある女子更衣スペースから聞こえてくるが、才人以下、調理係は聞こえないフリをして開店準備を続けた。
 才人がフライパンを鮮やかな手つきで振るうと、宙に金色の太陽が舞い踊る。
 次の瞬間、焦げ目ひとつないきれいなキツネ色と黄金色のホットケーキが、皿の上に鎮座していた。
 複雑な料理はともかく元々このテの簡単な調理品についてはそこそこ手慣れていた才人だが、昨日何十枚ものケーキを焼き続けた彼のスキルは、もはや「ホットケーキ A+」の域にまで高められている。
 魔界から食いしん坊な魔女っ子が降ってきても、これだけの逸品なら容易に買収できるだろう。
 すかさず、女子の調理係が焼きあがったばかりのホットケーキにバターとシロップをかける、缶詰のミカンを添える。
 「ホットケーキ一丁あがり〜、3番さんへ!」
39『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』:2009/06/15(月) 21:39:58 ID:OVbjBAK8
 さて、順調に思えた喫茶"チャーミング・ピクシー"だが、昨日赤恥をかいて追い返された他校の生徒のひとりが再び来店したことで、微妙な緊張感に包まれることとなった。
 「たいへんだ、平賀! ヴァリエールさんが!」
 黒いローブ姿の少年が調理スペースへと駆け込んでくる。
 「ん? ルイズがどうかしたのか……ってゆーか、小石川、それ何のコスだ? 「スターウォーズ」のジャワ?」
 「ちげーよ! 「キ●グダムハ○ツ」のロクサスだっつーの! ……て、そんなコトはどうだっていい。例の他校生がヴァリエールさんを連れて校裏に行っちゃったんだ!」
 どうしてそんな事態になったかと言えば、問題の少年が、朝から4人掛けの5番テーブルをひとりで3時間近く占領していたからだ。
 「あの、お客様、お食事がお済みでしたら、そろそろご退席お願いしたいのですが」
 そろそろ午後組と交代の番なのだが、その前に一言言ってやろうと、午前組のチーフ、ルイズがくだんの不良の前に歩み出た。
 ちなみに、今のルイズの格好は、ミディ丈の黒の長袖ワンピースとフリルたっぷりの白いエプロン。袖口にもスカートの裾にもレースがふんだんにあしらわれており、可憐な印象を引き立てている。
 脚元は白いストッキングと黒いローファー。"オリジナル"同様、髪型をサイドポニーにして、トレイを胸元で抱えたその姿は、いかにも「気弱な喫茶店の看板娘」といった風情だ。
 その外観に騙されて、チンピラがつけ上がったとしても、まぁ無理もない。
 「ンだよ! 別にいつまで、ココにいようが、いーだろぉ。オレは客だぞ」
 「しかし、当店では、2時間以上の連続利用をお断りしておりますので」
 「ああン?」
 ルイズが差し出すメニューのいちばん下には、確かにその旨が記載されている。
 「はッ、どうしてオレが、ココに2時間以上いるって……」
 無言でルイズが差し出すケータイには、このテーブルに座るその少年の姿が。無論、タイムスタンプは3時間近く前だ。
 「チッ! わーったよ、出りゃいいんだろ、出りゃ」
 そう言って立ち上がった不良は苛立たしげに会計を済ませ、いったん廊下に出たものの、再びヘラヘラと薄ら笑いを浮かべながら、入店してくる。
 「"連続2時間"でなけりゃいーんだよな?」
 「なるほど。確かに、その点については議論の余地がありそうですわね」
 ニコリとルイズが微笑う。
 とても愛らしいはずなのに、どこか危険な雰囲気の漂うその微笑は、間違いなくルイズがキレかかっている証拠だ。
 "原作"と異なり、このルイズは滅多に本気で怒ることはない。ボケにツッコむことはあるが、それだって大抵は口だけだ。
 しかし、だからこそ、才人をはじめとする彼女と親しい人は、ルイズが怒るとどれだけ恐ろしいか知っている。
 「ここでは、お客様のご迷惑になりますから」とむしろメイズのほうが、彼を連れて出て行った……というのが真相らしい。
 「ルイズ、早まったマネはしてくれるなよ!」
 調理場から走り出た才人は、ルイズの姿を求めて校舎裏へと懸命に急いでいた。
 実のところ、彼女の身の安全については、皆無ではないがさほど心配はしていない。
 ルイズは彼の母仕込みの簡単な護身術も心得ているはずだし、何より彼女の場合、魔法という心強い力がある。
 問題は、頭に血が上ったルイズが、過剰にやりすぎてその他校生をボロボロにしないか、だ。
 せっかくの文化祭と彼女自身の短期留学を、そんな無粋な真似で終わりにはさせたくなかった。
40『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』:2009/06/15(月) 21:41:16 ID:OVbjBAK8
 才人が現場についた時は、間一髪だった。
 ボゴン!
 小柄なルイズの掌が、金属製のお盆越しに不良の腹部に軽く添えられたかと思うと、鈍い爆発音とともに、冗談みたいに不良がふっとばされる。
 「ぐ……ハッ……い、まの…なん……」
 「爆烈発勁。春気式四極拳の奥義のひとつよ」
 シレッとした顔で大嘘こくルイズ。
 「おいおい、そのへんで、もう勘弁しといてやれよ、ルイズ」
 才人は割って入ると、腹を押えてうずくまる問題の他校生に話しかけた。
 「なぁ、兄ちゃん、そろそろ引き時だと思うぞ。昨日赤恥かかされて口惜しかったのかもしれんけど、コイツとやりあうのはハンパな覚悟じゃ無理だって」
 何せ、コイツの異名は"爆烈のルイズ"だからな、とニヤリと微笑む。
 「ヒィッ!」
 もともとさほど根性のある方ではなかったのだろう。少年は、腹を押さえつつ逃げて行った。
 「やれやれ、行ってくれたか……大丈夫か、ルイズ?」
 「ん。へーき……」
 「じゃあ、ないよな? ホラ、右手見せてみろ」
 「あ!」
 爆烈発勁のタネは、もちろんルイズの"爆発"の魔法だ。
 一見、ルイズは"杖"を持ってないように見えるが、実は右腕にはめた銀のブレスレットが杖の代用品となっている。
 これは、某TRPGにあった"発動体"という概念をハルゲギニアの杖にも応用できないか試してみた結果だ。もっとも、ハルケギニアのメイジにとって"杖"はその身分の象徴でもあるので、杖以外の発動体に対する需要は低いだろうが。
 不良の腹に押しつけたトレイの裏面を起点に、最小限の力で"爆発"を発生させ、相手を吹き飛ばした、というワケだ。
 無論、その反作用はお盆を押しつけていたルイズの右手にもかかり、軽く捻挫したような状態になっている。
 「保健室行っとくか?」
 「ううん、大丈夫」
 どちらからともなく、ふたりで人気の少ない体育館の裏口に並んで腰かける。
 「今日で、終わりなのよねー」
 もともと文化祭というものを体験したくてこの高校に臨時編入してきたルイズは、今日まででこの学校を去ることになっている。
 「別に、いたければもっといてもいいんだぞ?」
 「ううん、やめとく。玲愛ちゃんの誕生日祝いも終わったし、魔法学院の授業のこともあるしね」
 立ち上がって、「うーん」と伸びをしたルイズは、才人の方を振り返り、いきなり笑いだした。
 「あはは、才人、エプロンつけたままよ? それに右手に何持ってるの」
 さすがにフライパンは置いてきたものの、右手のフライ返しは握りしめたままだった。何だかんだ言って才人もあわてていたということだろう。
 「それを言うなら、ルイズもメイドっぽい服装のままだけどな」
 「着替える暇がなかったからねー。あ、そーだ!」
 手早く白いエプロンだけ脱ぐルイズ。
 「これなら、普通のワンピースっぽいでしょ」
 と、タイミングよく、校庭のほうから軽快な「オクラホマミキサー」のメロディーが聞こえてきた。
 「こりゃまた、レトロと言うか……」
 「フィーリング・フォークダンス2007、だっけ?」
 そもそもパートナーが次々変わるフォークダンスで、企画者は、いったいどうやってカップルを作るつもりなのか?
 「企画に無理ありまくりだな」
 と呆れたようにつぶやく才人に、ルイズがニヤリと笑う。
 「こういう時は、意中の女の子と踊ってみせるのが、主人公の義務だと思うわよ、ギャルゲ的に」
 「なるほど。義務だったら仕方ないよな。……一曲お相手願えますか、マドモアゼル?」
 さすがは本物の貴族の令嬢。スカートをつまんで優雅に一礼すると、ルイズは才人の差し出す手を取った。
 「喜んで、フライ返しを持った騎士様」
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以上。最後はちょっとだけ甘い雰囲気に……なってるのか、一応?
つづく12話で、ついに文化祭が幕を下ろします。さよなら、ルイズ! ……って、別に才人はいつでも会えるんですけどね。
41『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』:2009/06/15(月) 21:43:47 ID:OVbjBAK8
かなり短いですが、ビフォー編の12話です。
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『るいとも *Bの12』

 「え〜、それでは、文化祭と我がクラスの模擬店の成功を祝って……」
 委員長たる高凪春奈の音頭に、皆が唱和する。
 「「「「「かんぱーーーい!」」」」」
 すでに午後18時過ぎ。1時間ほど前に文化祭はつつがなく終了し、ひととおり片付けもすんだ今は、お疲れ会というなの打ち上げに移行していた。
 さすがに高校生が教室で酒を飲むワケにはいかないものの、これだけの人数がお祭りの空気を引きずって集まれば、自然とハイテンションになる。
 「3番、小石川一樹、抹茶ゴーヤオーレの一気、イキます!」
 どうやら、また新ジュースが入ったらしい。
 「7番、高野桃子と昼田林檎、コントやりまーーす!」
 かわいい顔のわりにドツキ漫才な芸風が飛び出したり。
 「12番、陽川そら、脱ぎます…………クツを」
 ブーイングの嵐を受けたり。
 「13番、穂村剛史、歌います、ボエエーーッ!」
 もはやブーイングすら起こらぬ"威力"だったり。
 「14番。陽川そら、リベンジです。脱ぎます! ……梅村くんが」
 「ええーっ!? 何で僕がァーーーッ!」
 羽織ってるブレザーを脱がすと、下はまだ白スクのままだったり。
 「えぐえぐ、だって、僕の着てた服、返してくれないんだモン!」
 笑う者、泣く者、飲む者、食べる者、歌う者、脱がされる者……などなど、アルコールの力なんて借りなくても、十分カオスであった。
 「はい、ここで皆さんにふたつのお知らせがあります。良い知らせと悪い知らせ、どちらから聞きたいですか?」
 「いい方」「悪いほう」と意見が分かれたが、若干前者が多いと判断したのか、春奈は、「良い知らせ」から発表していく。
 「まずは、よいニュースから。我がクラスの模擬店。こちらはこの2日間で、合計売上が、めでたく20万円を超えました! 生徒会からの補助金を足して諸経費を引いた純利益は約5万7千円となります!」
 おおおーーーっというどよめきが起こる。この種のイベントではトントンか黒字ギリギリというのが普通だ。
 コスプレ喫茶ということで人気があったのと、準備を取り仕切った春奈の手腕だろう。
 「……といっても、利益の8割くらいは、今みなさんが食べているこのパーティーの料理にすでに化けてますけどね」
 エエーッ! という落胆の声も少数あったものの、あえて不満を述べる者はいない。
 定番のスナック菓子類はともかく、寿司、ピザ、ローストビーフや数々のスイーツなどなど。確かに、たかだか文化祭の打ち上げにしては、えらく豪華な料理が並んでいるのは事実だったからだ。
 「さて、その残りの2割については後で述べるとしまして、ここで悪い方……というか残念なニュースをお知らせします。
 2週間前から我がクラスで一緒にお勉強してきたルイズ・フランソワーズ・ヴァリエールさんが、この度、短期の留学を終えて帰国されることになりました」
 春奈の告げた言葉に、あれほどにぎやかだった場がシーンと静まり返る。
 「ヴァリエールさん……ううん、あえてルイズちゃんとと呼ばせてもらうわ。ルイズちゃんと一緒にクラスで過ごしたのは、たった2週間だったけど、そうは思えないほど、わたしたち仲良くなれたと思うの」
 わたしが、以前からの知り合いであることを差し引いてもね、と笑いかける。
 「みんなもそうじゃないかな。ほんの2週間前に転入してきたとは信じられないくらい、ルイズちゃんはクラスに……この学校に馴染んでたと思うんだけど」
 春奈の言葉に賛同するように温かい拍手が巻き起こる。
 「それで、さっきのお金の残りなんだけど……これからフランスに帰るルイズちゃんに渡す記念品代に充てようと思うの。みんな、いいよね?」
 力強い拍手とともに、ルイズに手渡されたのは、みんなのビデオレターが入ったDVDと、いくつかの袋らしきもの。
 どうやら、本来はこの学校の1年生が春休み直前に行く研修旅行先・京都の主要神社のお守りを集めてあるようだ。
 「学生らしく北野天満宮の学業成就から、交通安全、開運厄除、家内安全、無病息災、金運上昇まで、いろいろ取り寄せといたの。あ、恋愛成就だけは買ってないけど、別にいいよね、平賀クン?」
 ヒューヒューと冷やかしが飛び交い、少しだけ場が明るくなる。
42『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』:2009/06/15(月) 21:44:34 ID:OVbjBAK8
 ルイズは、もう半分涙目だ。才人に促されて立ち上がる。
 「うん…うん……私、この学校も、このクラスのみんなのことも大好きだったよ!」
 柄にもなく涙ぐむルイズ。
 「大丈夫。この学校の生徒でなくなっても、ルイズちゃんのお姉さんは日本にいるんだし、また会う機会はいくらでもあるわよね」
 わたしたち、友達でしょ、と微笑む春奈。
 「だから、お約束だけど、"Good-bye"「さよなら」じゃなくて"So Long"「またね」と言って、お別れしましょ!」
 その時、クラス全員の声が重なった。
 ”またね!!”
 「うん、またね、みんな!」
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以上。ちょっとらしくないかもしれませんが、ルイズの日本短期留学は、ここで幕を下ろします。このあとエピローグにあたる13話もあるのですが、それはAの11、12話のあとで。
次回は、アフター編の11、12話を投下します。24時ごろの予定です。
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 21:53:59 ID:uL1Vv8R8
>42
乙。

多分ルイズは、何かと理由をつけては転校生するんだと思います。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 21:59:46 ID:Noklz7/H
乙!
十分甘いわ。ウラヤマシ。
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 22:23:02 ID:3O1/DDBt
おお、るいともさん復活してる。
あいかわらずゆるいなぁ〜
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 22:24:02 ID:ZF5HQ1T0
青春だなぁ・・・俺も青春したいなぁ・・・
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/15(月) 22:43:13 ID:Noklz7/H
>>46
まったくだ。
48『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』:2009/06/16(火) 00:02:50 ID:OVbjBAK8
アフター編11話。このSSらしくもなく、事態は深刻化してきました。
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『るいとも *Aの11』

──あ…ありのまま 今 起こった事を話すわ!
 「夏休みが終って、新学期の学院でまったりしてたと思ったら、
 いつの間にかトリステインが宣戦布告され、私はエルフに襲われていた」
妄想だとか超展開とかじゃ、断じてない。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったわ……と言うか、現在ライブでピンチよ!

 「この期に及んで余裕あるなぁ、ヲイ!」
 「おおおお、落ち着くのよ。KOOLになりなさい、平賀才人!」
 「……そーでもないか。お前こそ、落ち着け」
 サイトに喝を入れられたルイズは、どうしてこんなコトになったのかと、過去に思いを馳せていた。

 あの時、ウェストウッド村でタバサが言った「ルイズとティファニアは"虚無"の使い手かもしれない」という言葉は、一同の心を大きく揺さぶった。
 無論、当初はほぼ全員が「まさか〜」という信じられない気持ちでいっぱいだったが、タバサの説明を聞くにつれ、その疑念が少しずつ溶かされていったのだ。
 ルイズもティファニアも王家の血を引いていること(テファの事情は、先刻、マチルダが説明していた)。
 ふたりとも、優秀なメイジの血筋にもかかわらず通常の系統魔法が使えず、しかしながらコモンスペルは一応使えること。
 反面、前代未聞のオリジナルな魔法は使用できること。
 また、ルイズの使い魔となったサイトは、かつての始祖の使い魔のひとり、ミョズニトニルンのルーンと能力を持つこと。
 そして……。
 「実は、もうひとり"虚無"の使い手らしき人物に、心当たりがある」
 その人物の名前はジョゼフ1世。ガリアの無能王として知られる、その名のとおり魔法能力が極めて劣った人物だ。
 しかしながら、彼の姪であるタバサによれば、ジョゼフもまた、彼にしか使えぬ不気味な魔法を使えるらしい。当然、王家の血筋、というか王そのものだし、また、サイト同様に"人間"の使い魔を従えているらしいのだ。
 「貴方がバンダナを愛用しているように、彼女も常に両手を手袋で隠している。幻獣を従えている様子はないし、動作に異様に隙がない点から見て……たぶん、彼女がガンダールヴ」
 「うへぇ、そいつは厄介だなぁ。魔物使いっぽいヴィンダールヴならともかく、戦士とアイテム士じゃ戦力比較になんねーぞ」
 顔をしかめるサイト。
 「お父様、お母様の仇だから言うわけじゃないけど……彼は要注意人物。無能に見せているのは絶対に擬態で、何かしらよからぬ事を企んでいる風がある」
 彼の人となりを知るタバサの言葉には重みがあった。
 「で、青い髪のお嬢ちゃんは、あたしたちにどーしろって言うんだい?」
 マチルダが低い声で問う。
 「ルイズとテファが虚無の使い手……あるいはその可能性があると知られたら、ジョゼフ王は何がしかの手を打ってくると思う。それまでに、わたしたちはできるだけ力を蓄えておくべき」
 最悪、日本に逃げると言う手もあるが、それは最後の手段だろう。
 「力って言ってもねぇ……」
 マチルダ、キュルケ、タバサの3人ともトライアングルとしては極めて優秀だし、ルイズの"爆発"の有効性もラインメイジを軽く超えている。
 とはいえ、さすがに同数のスクウェアには及ばないし、そもそも"国家"の元首が相手とあっては、正面からでは数の暴力に屈されるのがオチだろう。
 「その第一歩として、ルイズとテファが互いの"虚無"の呪文を使えないか試してみてはどうかと思う」
 そんなタバサの提案は、一同の意表をついた。
 ──そして、結論から言うと、彼女の提案はそれなりに実を結んだ。
 ルイズはテファの"イリュージョン"を、テファはルイズの"世界扉"を一応ではあるが、習得することができたのだ。
 とは言うものの、同じ虚無の使い手とは言え、やはり得手不得手はあるのか。
 ルイズは動かない大雑把な幻を出すのがせいぜいだったし、テファにしても直径30サントほどの小さな"扉"を開いたはよいが、それがどこに繋がっているのかわからない始末。
 後者については、テファを日本に連れてくれば、とりあえず繋げる先は解決するかもしれないが、それにしてもこんな小さな穴では人ひとり通るのも難しいだろう。持続時間も30秒ほどだし。
 「でも、習得できることはできるのよね。あとはちょっとずつ練習して慣れていくしかないか」
 ルイズが、コキコキと肩を鳴らしながら言う。
 とりあえず、当面は互いに気をつけて、時々連絡を取る……といった事を約束して、ルイズ達は学院に帰ってきたのだ。
49るいとも *Aの11-2:2009/06/16(火) 00:04:16 ID:XJZRNe84
 さて、そんな出来事があったとは言え、残りの夏休みについては、ルイズとサイトは例年どおり日本で過ごした。
 昨年同様、コミケにも出展し、今度はついに1000部の大台も達成することができたのだ。
 ルイズたちの"輪"に、テファ(とマチルダ)が加わった以外、これといった変化もなく、あまりにいつも通りの暮らしが続いていたので、油断していたのかもしれない。
 新学期が始まって2ヵ月。そろそろ秋も深まりつつある頃になって、突如、トリステインにガリアの軍隊が侵攻してきたのだ。
 名目は、国境沿いの些細な領域侵犯だが、無論それは口実だ。
 トリステインの首脳陣は泡を食い、和平派、反撃派にわかれて議論が紛糾したが、意外にもアンリエッタ王女がコレを一喝。
 徹底抗戦の構えで臨むこととなり、ルイズの父・ヴァリエール公爵もこれを全面支持した。
 実は、ガリア王がきなくさいことは、サイト自らが将来の義父に伝えており、公爵も手の者の報告から、戦争は時間の問題とニラんでいたのだ。
 本来はすでに軍務を退いた身だが、長女とその娘婿というリッパな後継者がいる以上、もはや後顧の憂いはない。
 公爵は、生ける伝説ともいえる妻とともに、対ガリア戦に参戦し、めざましい戦果をあげている。
 また、アルビオンとの同盟も、トリステイン貴族にとって心理的な支えとなった。
 いまやハルゲギニア中にその名を知られる「アルビオン華撃団」と彼女らが率いる精鋭部隊の支援もあり、4倍近い兵力差ながらも互角に近い戦いをトリステインは繰り広げていた。

 開戦から数日が過ぎ、そんな情勢下で、魔法学院でも男子学生の志願者が、戦線の後方部隊として出征するという話が持ち上がっていする。
 さすがのルイズも、こりゃウカウカしてられないか……と考えていたところに、いきなりの襲撃である。
 ちなみに、サイトは開戦と同時にルイズのそばにピッタリ離れず、警戒している。そのお蔭で、最初の襲撃をしのぐことができたのだ。
 非常事態だからとルイズの部屋に仕掛けた赤外線警報装置に、透明な人影の侵入が感知されたのだ。
 とっさにルイズが"爆発"の呪文を放つことで、そのエルフ──ビダーシャルを窓から吹き飛ばすことはできた。
 「その力……シャイタンが"エクスプロージョン"と呼ぶ魔法か。もっとも、随分、弱いようだが」
 「エルフが私に何の用かしら?」
 「我が氏族としては特段用はない。しかし、我らと盟約を交わせし者からの依頼でな……娘、我とともに来てもらうぞ」
 「「だが、断る!」」
 ふたり同時に返事するとともに、ルイズが「イリュージョン」を唱えてビダーシャルの視界を塞ぎ、サーモビジョンを装備したサイトがデルフリンガーを抜いて切りかかった。
 ガキン!
 「ほぅ、狙いは悪くないが……この"反射"は破れまい」
 デルフリンガーがビダーシャルの背中に食い込む寸前で宙で止められていた。
 「ぐぉ、魔法障壁かよ……おい、デルフ、お前の魔法吸収で何とかなんねーの?」
 「やってるさ、相棒! でも、こいつのまとってる魔法が桁違いで……」
 スラリとふるわれるエルフの剣をかろうじて転がってかわすサイト。
 デルフリンガーの"魔剣"としての能力を"視"て、最適な太刀筋を再現しているとはいえ、彼自身は生身の人間、基礎能力に違いがありすぎる。
 もし、彼が"原作"のサイト同様、ロクに運動もケンカも心得のない人間だったら、10秒ともたずに倒されていただろう(とは言え、原作ではガンダールヴのイカサマな身体強化能力を得ていたわけだが)。
 多少なりとも剣術のいろはを叩き込んでくれた祖父には感謝するが、このままでジリ貧だ。そもそも、こちらの攻撃は相手に届かないのだから。
 もっとも、防戦一方のサイトに、攻撃に気を回す余裕などかけらもなかったが。
 「"バーストロンド"!」
 ルイズの声から一拍遅れて、目の前の地面が爆発し、ふたりは吹き飛ばされる。
 その呪文名でルイズの意図を察したサイトの方は、ダメージを最小限に押さえられていたが、さすがに0とはいかない。
 「ぐぉっ、ムチャしやがって」
 とは言え、距離をとって仕切り直しにできたのは有難い。
 それに、あの"爆発"で多少なりともダメージを受けててくれれば……。
 「って、やっぱそんなにうまいことはいかねーか」
 吹き飛ばされた体勢のまま、緩やかに宙に浮かぶ(風の精霊とやらの助けを借りてるのかもしれない)ビダーシャルは、何らダメージを受けた様子もなく、超然とした顔でふたりを見下ろしている。
50るいとも *Aの11-3:2009/06/16(火) 00:05:14 ID:XJZRNe84
 「無駄だ。山ひとつ吹き飛ばすほどの威力があれば別だが、お前程度の"エクスプロージョン"では、我が"反射"の守りは越えられぬ」
 「へぇ、そう……」
 平静を装いつつ、ルイズは必死に頭を回転させる。
 (う〜、考えろ、考えろ、私。絶対魔法防御を持つ敵を打ち破る方法……アニメでもRPGでもラノベでもいいから、そういうボスの攻略法があるはずよ〜)
 もっとも、思い出したからと言って、それをルイズたちが実行できるとは限らないわけだが。
 「──ルイズ! カーズだッ! ジョジョ第二部!!」
 サイトの叫びで、ハッと気づく。
 (できるかしら……ううん、やるしかない!)
 素早く"爆発"の呪文を紡ぎ、ふたたびビダーシャルの体をその"反射"の障壁ごと宙に舞い上げる。
 「なるほど、確かに貴様らが"虚無"と呼ぶ魔法の発動までは防げぬ。しかし、この程度で傷つくことはないと言ったばかりだが?
 それとも助けが来るまでの時間稼ぎか? あいにく、系統魔法の使い手が何人揃ったとて……」
 言いかけてふとビダーシャルは気付く。
 ルイズが、先ほどとは異なる呪文を唱えていることに。
 ──そして、自分の体が徐々に後ろに浮かんでいくことに。
 「レビテーション? バカな、それも無効化されるはず」
 いや、この感覚は持ち上げられると言うより、引っ張られているような……。
 背後を振り返ったエルフの戦士は見た。
 何もないはずの夜空に、確かにポッカリと開いた裂け目のようなものを。
 「な、なんだ、これは……」
 そしてその裂け目に、恐ろしいほどの勢いで、周囲の空気ごと自分が吸い込まれていくことに。
 「こ、こんなバカな!」
 ──それが、ビダーシャルのハルケギニアにおける最後の言葉となった。

 「……終わったわ、サイト」
 自分の開いた"どこでもドア"に、名も知らぬエルフが完全に飲み込まれた瞬間、ルイズはその"ドア"を閉じた
 「あ、ああ。ルイズ。さっきのゲートは、どこに……」
 開いたんだと言いかけて、サイトは、ルイズが震えていることに気付いた。
 「! そうか……」
 先ほど、サイトがカーズの名を出したのは、「勝てない相手ならバシルーラのごとく吹き飛ばしちまえ!」と思いついたからに他ならない。
 だが、ルイズの"世界扉"はその名のとおり"扉"を開くだけで、本来、近くのものを吸い込んだりはしない。
 だが、先ほどのエルフは、恐ろしいほどの勢いで"扉"に引き込まれていった。まるで冥界からの死神の手につかまれた犠牲者のように。それはなぜなのか?
 「もしかして、あのゲートを繋げた先って……」
 「ええ。"どこでもドア"は、私が知っている場所、直接目にしたことのある場所にしか開けない。
 逆にいえば、見たことのある場所になら開けるわ。
 そう、たとえそれが夜空に浮かぶ月であっても」
 サイトの言葉でルイズがイメージしたのは、まさに宇宙だった。そこから連鎖的に月へと飛ばすことを思いついたのだ。
 あの吸い込むような風の流れは、真空にほぼ近い月面との空気圧の差から生じたものなのだろう。
 「私、間違いなく、人を殺しちゃったね」
 たとえ、誘拐未遂犯であろうと、人間と半ば敵対するエルフであろうと、ルイズがその魔法でひとりの"人"を死に(それも事故や偶然などではなく)至らしめたことは事実だ。
 泣き笑いのような表情のルイズをサイトは力一杯抱きしめる。
 「仕方ない、なんて言わねーよ。でも、お前は精一杯できることをやったんだ。そのことは俺が一番よく知ってる」
 だから、もう泣くな……とも、今だけは泣いていいとも言えず、サイトはただただ彼女を抱きしめ続ける。
 駆け付けたタバサとキュルケも、ふたりを見守ることしかできなかった。
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以上。お、おもい……これまでの作風に反するかのシリアスな雰囲気に、皆さんドン引きされてるかも(一応、この展開は当初からの予定通りなんですが)。
しかも、12話も、これに近い雰囲気のまま進みます。
ルイズが人を殺すかどうかは、最後まで悩んだんですけど、とりあえず、こんな形に。
ちなみに、キュルケたちは、正門のほうで学院に攻めてきた傭兵部隊(陽動?)に立ち向かってました。盲目の焼殺狂はいなかったようで、コッパゲ先生の助力もあって無事撃退し、とって返してきたところ。
51『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』:2009/06/16(火) 00:07:18 ID:XJZRNe84
駆け足でいが、とうとうここまで来ました。アフター編、12話です。
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『るいとも *Aの12』

 「ジョゼフ王の真意を知りたいの」
 平賀家のルイズの部屋に集まった友人たち──サイト、キュルケ、タバサ、そしてティファニアに向かって、ルイズは、そう言った。

 なぜ、虚無の使い手を手元に集めようとしたのか。
 なぜ、トリステインに侵攻したのか。
 なぜ、アルビオンに内乱の種を播いたのか。
 なぜ、ロマリアに裏から経済的圧力をかけ続けているのか。
 (アルビオンとロマリアについては、テファ経由でマチルダからもたらされた情報である)
 そもそも、なぜ、仲の良かったと言われている弟──タバサの父を殺したのか。
 無論、それらは「ハルケギニアを征服する」という野望に基づくものだとも解釈できる。むしろ、その方が自然だろう。
 オルレアン公に関しては、その野望を見透かされ、諌められて邪魔になったからだ、と解せないこともない。
 しかし、どこかおかしい。彼のとる作戦や陰謀は、どこか博打性が高く、まるで「失敗するならしたで、それまで」と割り切っているようにも見える。
 これほど頭の回る人物なら、もっと賢く立ち回ることができると思うのだ。
 あるいは、究極の愉快犯? 人々の苦しむ様が見たいだけの真性サディストか?
 日本のゲームやアニメを多数知るルイズは、そういう壊れた感性の人間が存在することも、知識としては知っていた。
 「……あえて挙げるなら、"愉快犯"と言う表現は正しいのかもしれない」
 タバサが慎重に答える。彼は、何事にも……そう、彼女の母を毒杯で"壊した"その時でさえも、真剣味が足りず、おもしろがっているように見えたからだ。
 彼女が初めて叔父を憎悪した日……しかし、それまでの彼は、別の表情を見せたことも多々あったのではなかったか。
 疎遠となった従姉と同様、それまで彼女は決して叔父のことが嫌いではなかったのだから。
 「国際規模の愉快犯か。まったく、傍迷惑なことよねぇ」
 戦争があれば商売人は儲かるって思われがちだけど、それって一時的な特需ってヤツなのよね〜と、ボヤくキュルケ。
 死の商人に徹するつもりなら別だが、そこまで冷酷に人命を弄べるとも弄ぼうとも思わない。
 「どっちにせよ、敵の頭に会いに行くのが、今の状況ならいちばん目があるな」
 トリステイン・アルビオンの連合軍は、よく持ちこたえていたが、長期戦になれば、地力の違いが如実に表れるだろう。
 ミリタリーファンのひとりとして、太平洋戦争における日本の勝利と敗北の経過を知るサイトは、そのことがよく分かっていた。
 今のサイトは、状況によってはジョゼフを殺す覚悟さえ決めていた。
 ルイズだけに手を汚させて、自分だけがのうのうと無垢なまま生きていくわけにはいかない。
 それがお門違いな決意だと半ば理解しつつ、それでもサイトはその昏い感情を捨てることはできなかった。
 "戦場"に向かう4人を前にして、ティファニアは気圧されたように口ごもる。
 「あのぅ……えっと……」
 「ああ、テファは、気にすることはないわ。ここにいれば、安全よ」
 口ごもるティファニアに、ルイズはやさしく言い聞かせる。
 「もっとも、ジョゼフもまた虚無の使い手だとしたら、ゲートを習得する可能性は0じゃないけどな」
 「ヤなこと言うわね〜。それでも、偶然、日本に繋がる可能性なんて、それこそ天文学的に低い確率でしょ」
 「その表現は間違ってると思うが……まぁ、言いたいことはわかる」
 軽口をたたき合うルイズとサイトに、緊張をほぐされたのか、テファが口をはさんだ。
 「わ、わたしも何かできませんか?」
 4人は顔を見合わせる。
 戦力は少しでも欲しいと言いたいところだが、テファを連れて動くことのデメリットの方が大きい。
 「──正直に言うと、"今"はないわ。でも、もし話し合いでジョゼフ王を止めることができなかった場合、その時はぜひ貴女の力を貸して、ティファニア」
 真剣な表情のルイズの言葉に嘘がないと感じたのか、テファはコクリとうなずいた。
 もっとも、彼女は気付かなかったが、ジョゼフ王を話し合いで止められなかった場合(その確率は非常に高い)、戦いになり、ルイズ達が生きて戻らない可能性もあるのだが。
52るいとも *Aの12-2:2009/06/16(火) 00:08:28 ID:XJZRNe84
 「──ところで。待っている間、退屈だと思うから、コレでも見ててよ」
 先ほどまでの重苦しい雰囲気から、一転、砕けた調子になったルイズは、テレビとDVDプレイヤーの電源を点ける。
 「ココを押すと再生……画像が動きだすから楽しく観賞してネ。終わったら、このボタンを押すとティスクが出るから、次のディスクと入れ替えて、また再生して」
 「は、はぁ……」
 ファンタジーの世界から来たばかりの半妖精に、アニメのDVDを見せるというのは、いかがなものか。
 対象が「ロードス島戦記」なのは、一応、わかりやすいよう気遣ったつもりなのかもしれないが。
 「あ、お茶とお菓子はココに置いておくから、好きなだけ食べて。もし困ったことがあったら、下の階にサイトのお母さんがいるはずだから、聞いてみて」

 ガリア王宮への侵入は、タバサの案内を考慮に入れても、拍子抜けするほどあっさり済んだ。
 何せ、近衛部隊も含めた全軍が、グラントロワは元より王都リュティスから、王の命令で出征しており、宮殿にも最小限の人間しかいなかったのだから。
 「──明らかに誘ってる?」
 タバサと同様の感想は全員感じていたが、それでもこれが数少ないチャンスには違いなかった。
 とは言え、まったく行く手を阻む者がいなかったわけではない。
 「どこに行くんだい、ガーゴイル娘!」
 父王の命令を無視し、わずかな手勢を率いて立ちはだかる、イザベラ王女もそのひとりだった。
 「行って。アレはわたしが立ち向かうべき存在」
 決意を込めたタバサの肩をポンポンとキュルケが叩く。
 「「ここは俺に任せて先へ急げ!」とか、そーゆーのを、専門用語で死亡フラグって言うんでしょ? ダメよ、そんなに思いつめちゃ」
 クルリとルイズの方に向き直る。
 「てことで、あたしはここでタバサを援護するから。さりあえず先に行ってて」
 「……わかったわ。縁起を担ぐために、私たちは、ここで王国華撃団と名乗りましょう」
 「あ〜、ルイズルイズ、それだといっぺん皆死ぬから」
 「大丈夫よ! そんな時のためにテファを残してきたんじゃない。全員倒れても、乳神様のご加護で、リライブできるわ!」
 いつものように、くだらない無駄口をたたきあいながら、ふたりは駆ける。
 その行く手を阻んだのは、やはり「最強の盾にして矛」だった。
 「とうとう来たね、虚無とその使い魔。あの方はまみえることを内心望んでらしてるみたいだけど、素直に先へは行かせないよ。そうだね、使い魔は殺し、虚無の娘のほうは、手足を動けなくしてから、あの方の御前に放り出してやろう」
 「ガンダールヴ、か……」
 「そういうアンタは額を隠してるとこからして、ミョズニトニルンだね? ククッ、アイテムに頼らなければ何もできないイカサマ師風情が、最強の戦士たるこのあたしに勝てるとでも?」
 "原作"の同一人物に聞かせてやりたいとも思うような傲慢なセリフを、臆面もなく吐くシェフィールド。
 「まぁ、確かに間違っちゃいないんだろーが、それはそれで腹の立つセリフだよなー」
 ついと左手をポケットに突っ込むサイト。
 「くらえ、ガヤン神官の必殺技、"閃光"」
 もちろん、青の双子神の信徒になったわけではなく、ただのカメラのフラッシュなわけだが。
 サイトが何をするのか見極めようとしていたシェフィールドに対しては面白いほど決まったものの、そこからがギーシュ風情と格が違った。
 デルフの刃を返して峰打ちにしようと走り寄ったサイトに、目を閉じたままの彼女が、なんと正確に反撃してきたのだ。
 「うわっ、ひょっとして心眼のスキル持ち?」
 「へぇ、よくその名前を知ってたね。ひょっとして、アンタも東方出身?」
 あわてて避けたサイトを援護するため、ルイズも"爆発"の魔法を唱えるが、ガンダールヴの女は、それすら避けてみせる。どうやら、こちらの殺気を感じて、かわしているらしい。
 直接彼女自身の手足や服を爆発させることも試みたのだが、動きが速すぎて目で追い切れないのだ。
 目が見えなくてすら、コレなのだ。視力が回復したらどうなることか……。
 冷たい汗が背筋を伝うのを感じる。
 ヴィシャーダルに使ったあの方法も、この剣士ならたやすくかわしてしまうだろう。
 そもそもアレは相手が支えのない空中にいたからこそ有効な方法だ。地面にいるなら伏せるなり剣を床に突き立てるなりして、こらえる方法はいろいろある。
 爆発で空中に吹き飛ばそうとも、殺気を読んで、簡単には引っかかってはくれまい。
 (ん? 殺気、か……)
 サイトに目くばせすると、彼もうなずいた。何かしようとしてることは、理解してくれたらしい。
53るいとも *Aの12-3:2009/06/16(火) 00:09:11 ID:XJZRNe84
 焦れたように一歩二歩と踏み出す。
 「くっ、この! 当たれ!」
 「バカ、ルイズ、熱くなるな!」
 「ははっ、遅いよ、ミョズニトニルン。お姫様はもらった!」
 ようやく回復し始めた視界の中、シェフィールドはルイズに剣を突き付けようと走り出し……かけて、そのままつんのめる。
 白黒のタイル模様になったその黒い石畳がズブズブと彼女の足を飲みんだのだ。
 視界がクリアーなら、そこに穴のようなものが開いていると、彼女も気づいたことだろう。
 結局、自らの心眼を過信したことが、文字通り"落とし穴"となったのだ。
 「くっ、これしきっ!」
 胸元まで"穴"に沈みながらも、剣を縁に突き立て、脱出しようとするシェフィールドだったが、すぐさま"穴"──"世界扉"をルイズが閉ざす。
 「ジョゼフさまーーーーっ!」
 悲痛な絶叫も、すぐに閉じた"扉"おかげで聞こえなくなった。
 「今回は、どこに飛ばしたんだ、ルイズ?」
 「心配しなくても、"殺す気"はないわ。ちゃんと日本国内よ。ほら、去年の夏にサイトたちと行った、長野の別荘があるじゃない? あの近くの遊覧船に乗った湖……諏訪湖だっけ? その真ん中に落としただけ」
 もっとも、こんな晩秋の夜中に寒中水泳するのは、相当辛いでしょうけどね……と、ちょっと意地悪く笑う。
 「まぁ、彼女がカナヅチでないことを祈りましょ」

 そして、もはや遮る者すらなく、玉座の間に辿りつくふたり。
 「ふっ、よくぞここまで来たな、トリステインの虚無の担い手。余の戦女神(ワルキューレ)も敵わなかったか」
 「知ってる? そーゆーセリフって、負けフラグの立った悪役の決まり文句なんだって」
 「くくく……そうかもしれんな」
 ゆらり、と立ち上がるジョゼフ。すでに50歳くらいだとタバサから聞いてはいたが、とてもそうは見えない偉丈夫だ。
 戦闘態勢ということで、バイク用のつなぎを着たうえ、フルフェイスヘルメットをかぶり、皮のブルゾンを着たふたりの姿は、ハルケギニアの人間の目には相当不気味にうつるはずなのに、毛ほども臆したところはない。
 「なるほど、これが王の気迫ってヤツか! ……なんちて」
 サイトは、空元気まじりにジョークを口にする。
 「ねぇ、ガリア王、どうしても聞きたいことがあって、私たち、ここまで来たの」
 「――よかろう。言ってみろ」
 
 なぜ、トリステインに侵攻したのか。
 なぜ、アルビオンに内乱の種を播いたのか。
 なぜ、ロマリアに裏から経済的圧力をかけ続けているのか。
 そして、なぜ、虚無の使い手を手元に集めようとしたのか。

 ルイズの質問をつまらなさそうに聞いていたジョゼフだが、5番めの質問が聞こえてきた時だけは、軽く目を見開く。
 「なぜ、仲が良かったとはずの、お父様を──あなたの実の弟を殺したの?」
 見れば、玉座の間の入り口にはタバサとキュルケが立っていた。だいぶボロボロだが、命に別状はなさそうだ。
 「ふむ。シャルルの娘か……お主にそう聞かれては、答えぬわけにもいかんな」
 ふと、一瞬だけ遠くを見る気配がジョゼフ王の目に浮かぶ。
 彼が話した思い出話。それは、タバサ――シャルロットとしては、できれば耳にしたくない内容の話であった。
 現在、ハルケギニアに存在する4人の虚無の使い手のうち、もっとも早く世に生まれた彼が得た、最初の魔法は"読心(リーディング)"であった。
 幼い頃から、魔法的無能者として蔑まれ、王族でありながら肩身の狭い思いをして、周囲の人間の顔色を臆測してきた彼が得たそれは、ある意味必然であったのだろうか。
 近づいて手を触れる必要があるとは言え、この魔法のおかげで、随分と彼は敵と味方――正しくは、すでに敵意を抱く人物と、とりあえずは味方してくれる人物の峻別を容易に行えるようになる。
 彼の今は亡き妃も、当初は欲得づくだったとは言え、結婚してからはそれなりに愛情を抱くようになっていたことを、彼はこの魔法を通じて理解し、むしろ安堵していたくらいだ。
 どんな人間の内心をも確認できるようになった彼は、的確に人を動かせるようになってはいたが、それはひどく味気ない行為でもあった。
 彼の敵及び潜在的な敵は数多く、また当面の味方さえ、内になにがしかの打算を秘めて従っているだけだったのだから。
 そんな彼にも、唯一心を許す相手がいた。それが、実の弟のシャルルであった。
 弟の無邪気とも無垢ともとれる人の良さに、時に苛立つこともあったものの、物心ついて以来ずっと彼を慕い、助けてきてくれたオルレアン公シャルルのことは、ジョゼフにとって妻の忘れ形見イザベラと並ぶ癒しだった。
 そう、ならばあんな事をしなければよかったのだ……。
54るいとも *Aの12-4:2009/06/16(火) 00:10:27 ID:XJZRNe84
 「まさか……」
 「ハハハ、そう、そのまさかだよ。魔がさしたのだろうな。あの日、オレは、アイツの心を初めて読んだ!」
 その結果、彼を排斥する陰謀があり、こともあろうにその首謀者が弟シャルルであることを知ってしまったのだ。
 茫然自失状態からさめた彼が最初に行ったのは、シャルル暗殺の指令であった。
 しかし、しばらくして彼が平静を取り戻したときは、すでに指令は遂行され、王宮の庭でオルレアン公は瀕死の状態となって倒れていた。
 矛盾して聞こえるかもしれないが、その時、ジョゼフはシャルルを懸命に助けようとしたのだ。自ら彼を抱き上げてベッドへと運び、最高の水魔法の使い手と秘薬も用意した。
 そう、ジョゼフは妻の一件でも知っていたはずなのだ。人の心は複雑怪奇であり、一筋縄ではいかぬことを。
 死に瀕したシャルルの心の中から伝わってくるのは、この国の将来に対する懸念と、兄へのすまないという気持ち。
 彼とて好きで兄王を廃そうと思ったわけではない。ただ、自分をいただく有力貴族達の動きをもはや覆せぬと知り、せめて自分が舵をとることでなるべく穏便に事を進めようと考えていただけだったのだ。
 「あの時ほど、オレは運命を……そして始祖ブリミルを呪ったことはなかったよ。どうせなら、本当の無能のままでいればよかった、こんな呪われた虚無の才能などいらぬ、とな」
 シャルロットの母……オルレアン公夫人を"壊した"のも、彼女が弟を焚きつけた者のひとりだったからだ。
 そう、最初から、シャルロット自身を害する気はなかったのだ。ただ、それをほのめかせば、苦悩しながらも彼女が自ら毒を煽ると知っていたが故のこと。
 そうして、彼が半ば八つ当たりにも似た粛正と復讐を遂げた後、ジョゼフに残されたものは何もなかった。
 愛娘でさえ、どこか彼の事を脅え避けるようになっていたのだから。
 「せっかくだから、壊そうと思ったのさ。この始祖ブリミルとやらが作った歪な箱庭を。
 その途上で、オレの方が倒れるなら、それならそれで良かった。
 そして、聞いてみたかったのだ。オレと同じ虚無の使い手、おそらくは王族貴族に生まれながら、魔法の使えぬ無能者と長年虐げられてきたであろう者達の、この世界に対する感情を、な」
 他にとりたててやりたいこともなかったしな、と自嘲するように呟く。
 「で、どうだ、トリステインの虚無の娘? お前にとってこの世界は?」
 ルイズも一瞬だけ目を閉じる。
 確かに、ガリアと同じく魔法を重んじるトリステインは、系統魔法の使えぬ彼女にとって住みやすい場所ではない。
 日本という異郷を知ってからは、旧態然としたその体勢に、苛立ちを通り越して呆れさえ感じる。
 だから、目の前の男の気持ちが、まったくわからないわけではないが……。
 「そうね、私にとっては大好きな"友人"と"家族"がいる大切な故郷よ。そこを踏みにじろうとしているアンタは、やっぱり許せないわね、無能王」
 「おもしろい、オレの失いしものの名にかけて、オレに挑むか? ならば、止めてみせよ!!」
 ボムン!
 "爆発"の魔法どうしがぶつかりあい、勢いを相殺する。
 「イリュージョン!」
 だいぶ使い方に慣れたルイズが、自分とサイトの幻を生み出し、ジョゼフ王を撹乱しようする。
 「クハハ……お主の虚無は、そんな程度か?」
 しかし、ジョゼフは怯まない。"爆発"の魔法でことごとく幻を消し去り、さらに彼の切り札たる虚無の魔法を発動させる。
 「加速(アクセル)!」
 瞬間、ジョゼフの意識と身体機能が文字通り"加速"される。五感のすべてが通常時の数倍鋭敏になり、目の前の4人の動きが、水飴の中で動くがごとく緩慢に見えるのだ。もちろん、これはジョゼフ自身が加速されたことによる、相対的な錯覚なのだが……。
 あちらの姪が唱えたのはウィンド・ブレイクか。しかし、ロクに精神力が残っていないのか、今の加速したジョゼフにとっては微風が吹きつけるようなものだ。いや、通常時でも大したダメージは受けまい。
 その隣りにいる赤い髪の女が唱えかけているのは、ファイアーボールか? しかし、ノロい、ノロいぞ、欠伸が出るわ!
 虚無の使い手は、ひとつ覚えの"爆発"か。うむ、短いフライを暴発させて使おうというのは工夫したな。しかし、それでも遅い遅い。
 その使い魔、ミョズニトニルンは……ほぅ、何かアイテムを使おうとしたようだな。しかし慌てたせいか、手から落としているぞ。やれやれ、"神の頭脳"もこれでは持ち腐れだな……。
 そこまで考えた瞬間、ジョゼフは顔面部をハンマーで殴られたかのごとき衝撃とともに、意識を失った。
55るいとも *Aの12-5:2009/06/16(火) 00:11:22 ID:XJZRNe84
 「サイト〜、早くそれどっかに捨ててよォ」
 「わかってるけど、その前にこのおっさんを縛らないと……」
 ナイロンロープで念入りにジョゼフを拘束したうえ、ボールギャグをかます。

 以前聞いたタバサの事前情報から、ルイズたちはジョゼフの切り札たる"虚無"について、ひとつの推論をたてていた。
 すなわち、「加速」もしは「時間停止」。
 「ザ・ワールドだったら、どの道、勝てっこねぇな。ルイズが土壇場で同じ虚無に目覚めない限り」
 「ムチャ言わないでよ! ディオと承太郎じゃないんだから」
 「まーな。でも、"動作を加速"してるってんなら、やりようはあると思うぞ。面による攻撃で、相手がどう動いても当たる状況を作ればいい。ハリトをかわすことはできるかもしれんけど、ティルトウェイトをかわすことは無理だろ?」 
 「だーかーらー、私の"爆発"はそこまで広範囲攻撃呪文じゃないんだってば!」
 「いや、別に魔法を使う必要もないと思うぞ」
 ……と言うわけで、サイトの世界から"化学兵器"による攻撃をしかけることで、ジョゼフ王を無力化したわけだ。
 サイトとルイズがフルェイスヘルメットをかぶってたのも、口元にマスクしているのを目立たせないようするためだ。
 タバサの弱ウィンドブレイクも、"ガス"をジョゼフに効率的に吹きつけるための方策だ。
 「しかし、話には聞いてたけど、これほど効くとはなぁ……」
 サイトが手にした"缶"のラベルを見て、しみじみ呟く。無論、中身は先程、キュルケのファイアボールで消し炭に変えた。
 ジョゼフ王を昏倒させた化学兵器、それは"世界でもっとも臭い食べ物"の異名をとる缶詰「シュールストレミング」であった。
 ただでさえ、匂いをかぐと吐き気を催す人間が多数出ると言われる代物なのに、サイトのミョズニトニルン効果+ジョゼフ自身の犬並に鋭敏になった嗅覚ではひとたまりもなかったろう。
 世界を敵に回した男を倒す方法としては、あまりにあんまりな幕切れだった。

 その後、ルイズたちは、ジョゼフ王の処断については、タバサに委ねた。
 彼女はしばらく葛藤していたものの、結局殺すことは諦めたようだ。
 
 トリステイン、ゲルマニア、ロマリアの国境に出張っているガリア軍には、テファの助力を借りて、「始祖ブリミルに魔法を授けた神」の巨大な幻影を空に映し出すことで、収束をはかった。
 「ほら、テファ、あのOVAに出た来た神様の姿を参考にして、幻を作ってみて! 大きくするのは私がやるから、動作の制御はお願いね」
 トライアングルふたりの合体呪文をヘクサゴンスペルと称するが、虚無×虚無のコレは何と言うのだろう?
 もっとも、ルイズに言わせれば、0に何をかけても0だということらしいが。
 無論、空に浮かぶ巨大な"神"の姿は、大いに人々の動揺を誘い、その内容がガリアをいさめる内容であっただけに、ガリア軍の士気は著しく下がった。
 もとより、王都の主はすでに拘束し、誰にも手の届かない場所(要するに地球のことだが)に移してあるのだ。
 もぬけの空となった王宮の様子も数日中には知られることとなり、ほどなく停戦協定が結ばれることだろう。
 正直なテファなどは、「神様をこんなふうに使って、いいのかなぁ」と心配そうな顔をしていたが、他の5人(含むマチルダ)で、なだめておいた。

 さて、そんなこんなで、ハルケギニア中がとりあえずの落ち着きを取り戻すまで、ひと月あまりかかることになったのだった
-----------------------------
以上。12話をお送りしました。正直、ここまでガリア関連のネタを変えてしまってよいものか、悩みましたが、まぁ、これもひとつのIFと言うことで、できればお目こぼしください。
残すは、13話のみです。
56るいとも *:2009/06/16(火) 00:12:45 ID:XJZRNe84
書き忘れてました。
13話は明日……というか16日の夜にでも投下致します。
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 00:46:19 ID:iPNwRWhH
るいともの人乙です。
しかし、決定打が「アレ」とはww
そしてシェフイールドもジョゼフさんも日本送りですか。
今後過ごすのかは興味有りますが……
58sage:2009/06/16(火) 00:58:47 ID:pqM1ty/K
色々とすげえ…空間に裂け目作って宇宙に飛ばすなんて、どこの双子座の黄金聖闘士だ。まさにアナザーディメンション!いやゴールデントライアングルの方が近いか?
ウルトラマンダイナのレボリウムウエーブとかガイバーの擬似ブラックホールとか、ホーリエンジェモンのヘブンズゲートも似たような技ですね。

ジョセフの方はもっと悲惨な負け方、アクセルフォームやクロックアップだって対処方は幾らでもありますしね。間隔まで鋭敏化してるってことは、太陽拳使われてたら眼が潰れてたに違いない。
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 02:05:02 ID:4ryrvSPD
しかしまあなんともキレイに〆たなぁ
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 02:13:34 ID:O4sdOEji
まさか最後に「かもす」とはな
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 02:30:53 ID:aKMIG61Y
ビダーシャルはそのうち重力に引っ張られて落ちてきてもいいと思う
酷い目にあったとか言いつつ復活すりゃルイズも救われるでしょ
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 04:32:55 ID:fPI+2kjm
>>61
月には月の精霊がいて助けてくれましたというオチか
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 07:36:44 ID:iEw9EcVa
>>61
全員女で、族長の名前が迦具夜と言う名前ですね。わかります。
6463:2009/06/16(火) 07:39:19 ID:iEw9EcVa
>>63
>>61ではなく>>62でした。 orz
朝までに書けたので、投下。一応、A、B両方のエピローグを兼ねてるつもりです。
最後まで、ベタの王道を突っ走ります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『るいとも *A&Bの13』

 その後、俺とルイズは、しばらく離れることになった。
 ルイズいわく、「しばらくひとりで考えたいから」とのこと。
 まあ、ほんっとーーーに色々あったし、仕方ないとは思う。
 なにせ、ルイズ(&テファ)が虚無の使い手であることが、各国首脳クラスにバレちゃったからなぁ。
 そうそう、ヴァリエール公爵とかカリンさんは、実はその可能性については考慮してたらしい。
 なんでも、アカデミー研究者のエレオノールさんが、ルイズの"世界扉"(←正式にはそう言うんだって)の魔法が始祖の使った"虚無"の一種である可能性については、随分前から指摘してたらしい。
 それでも、娘をそんな大層なものに巻き込みたくないから秘密にしてたんだとか……本当にサーセン。
 確かに、あのあと大騒ぎになったし、一部には「虚無の担い手こそを次代の王に」と言う意見も冗談抜きであったらしい。
 そういう件も含め、「色々」考えたいんだろう。
 それにしても……ルイズと魔法学院で別れてから、もう1ヵ月、かぁ。
 6歳の時、初めてルイズと出会って以来、こんなに長くルイズと顔を合わせなかったことはなかったかもしれない。
 最長でも一週間おきには会ってたしなぁ。
 (うーーーん、やっぱりこういう時は、俺の方から無理にでも、会いに行くべきなのかな)
 そう考えて、机の引き出し……例の固定化された"世界扉"に入ろうかと思ったんだけど。
 「う、嘘だろ、ヲイ!」
 そこは、元の引き出しに戻っていた。
 ルイズいわく、半永久的にもつはずだってのに……。
 ルイズ自身が解除したのか、あるいは何らかの魔法的な攻撃を受けて、あちらの扉であるタンスが壊されたのか。
 いずれにしても、これで俺の方からできることは何もなくなったワケだ。
 クソッ、これじゃ本当に「ドラえモン」みたいじゃねーかぬ
 「ふぅっ……会いたいよ、ルイズ」
 ヒョイッ 「呼んだ?」
 「どわぁ!!」
 あまりにお約束なタイミングでルイズが背後から現れたんで、さすがにビックリする。
 「ああ、ゴメンゴメン。そろそろ、私も才人分を補給したくなったんで、来ちゃった」
 ニコッと笑ったルイズだけど、俺の目の端に溜まった水分を見逃してはくれなかったようだ。
 「あれぇ〜、ひょっとして才人、泣いてた?」
 「だ、誰が……」
 言いかけてやめる。
 「ああ、そーだよ。お前に会えなくて……もしかしたら一生会えないかもって思ってたら、涙が出て来たよ!!」
 「――そっか」
 いつもみたく茶化したりせずに、ルイズは優しい笑顔浮かべて、俺の頭をゆっくり撫でてくれた。
 「ありがと。才人。私のことを思ってくれて」
 ああ、何だか癒されるなぁ……ギャルゲとかアニメのヒロインたちがニコポナデポで懐柔されるのって、こーいう気分なのかも。
 それから、俺達は、ベッドに腰かけて色々話をした。
 大事なこと、くだらないこと、過去のこと、未来のこと、身近なこと、大きなこと……いっぱいいっぱい話をしてるうちに、疲れて俺は寝ちゃったみたいだ。
 「あ…れ?」
 ハッと目を覚ますと、俺はひとりでベッドの中で寝こけていた。もちろん、ルイズの姿はない。
 ひょっとして夢だったのか……とも思ったが、机の上に見覚えのある筆跡で、走り書きのようなメモが残されていた。
 <またね  愛しのルイズより>
 「またね、か……」
 憂鬱な気分で登校する俺。
 久しぶりにルイズに会えたのは嬉しいが、やっぱり忙しいんだろうなぁと思うと、今度いつ会えるのか不安になる。
 (ひょっとして、アレで「さよなら」のつもりとか、ないよな?)
 イヤイヤイヤ! 俺とルイズの絆は、そんな簡単に切れるものじゃあない……そう、思いたい。
 今日は、三学期末の研修旅行(ウチの学校は学年ごとにいわゆる修学旅行的なものがあるのだ。3年生の場合は、事実上、卒業旅行だけど)の班決めをするはずなんだけど、イマイチ、テンションが上がんないよなぁ。
 朝のHRで、ボンヤリ担任の話を聞き流してた俺は、けれど次の言葉にピクリと反応する。
 「え〜それから、こんな時期だが、今日から我がクラスで転入生を迎えることとなった。入りたまえ!」
 俺はある種の期待をもって、教室の扉を見つめる。
 そこに現れたのは。
 やや小柄な身体を我が校指定のブレザーに包んだ、金髪の少女――ティファニアだった。
 ガクッ、とテンションが一気に下がる。
 「あの、ティファニア・ウェストウッドです。イギリスの田舎から来ましたので、色々わからないことも多いと思いますけど、よろしくお願いします」
 わぁ……と教室中(主に男子)が金髪巨乳美少女の出現に湧く。
 (あぁ、そう言えば、テファが一時コッチに来るみたいなこと、昨日ルイズが言ってたっけ)
 懐かしい顔に会えたこと自体は嬉しいが、俺のこの高まった期待値は、行き場を失ってプシューッと失速する。
 と。
 ヒートアップしてる教室に気まずそうに顔を出す、もうひとりの影が。
 「え、えーと、盛り上がってる中、何か出にくいんですけど、ルイズ・フランソワーズ・ヴァリエールです。去年しばらくお世話になってんで、顔見知りの人もいますけど、フランスより舞い戻ってまいりました」
 !
 そーいう二段オチかよ!!
 「改めまして、ヨロシク、ね?」
 教壇上でパチンとウィンクするルイズの様子に、俺は笑っていいやら、泣いていいやらわからなかった。

 ルイズの話では、一部の人間とはいえ、虚無の使い手であることが知られたことの影響は、思った以上に大きく、冗談抜きで本当に王位継承権なんてのも持たされそうになったららしい。
 そういう一切合財含め、今後の人生全般について悩んだ挙げ句、一念発起して魔法学院は自主退学して来たんだとか。
 「ヴァリエール公爵とか、カリンさんとか、さぞかし怒ったんじゃねーの?」
 そう聞いたところ、意外にもふたりともルイズの好きにしていいと言ってくれたそうだ。
 「「お前の人生なんだから、お前が決めなさい。もう子供じゃないんだから」って。ちょっと寂しそうだったけどネ」
 そして、ルイズとして今一番やりたいことは、日本の高校に通うことだった。
 「べ、別に、アンタと一緒の学校に通いたいワケじゃないんだからね! 去年、クラスのみんなとまた会おうって約束したから、それだけなんだから! ……なぁんてね♪」
 いや、無理にツンデレなくても。
 「え〜、じゃあ「才人ぉ〜、しゅきしゅきぃ! 抱っこしてェ」とかデレてほしい?」
 デレっつーか、そりゃコワレだ。極端過ぎるだろ!
 ――まぁ、こんな風にジャレてるのが、俺達らしいし、傍から見たら十分バカっプルかも。
 そんなワケで、ルイズは再び、今度は"短期の体験留学"じゃなくて、正規の生徒として俺の高校に通うこととなった。
 「とりあえず、大学まではこっちで暮らすわ。もちろん、時々は向こうにも顔出すけど」
 虚無に関するほとぼりが覚めるまでは、ハルケギニアには基本的に戻らないつもりらしい。
  
 テファについては、ウチの病院で耳の整形手術を受けるんだそうだ。普通の人間と同じような形にしてから、ハルケギニアに戻って、なんとアルビオンの王位継承権を得るんだとか。つまり、アレだ……お姫様?
 とは言え、それもしばらくかかるんで、その間、人に慣れる意味もあって、ウチの高校に放り込んだらしい。
 ま、アッチじゃあマチルダさんが専任の女官として付くらしいから、何とかなるだろ。それまで日本でしばしの休息を楽しんでもらおう。
 で、そのアルビオンなんだけど、この度、めでたく両王家のあいだで婚儀が結ばれた。
 もちろん、トリステインのアンリエッタ王女と、アルビオンのウェールズ王子が結婚したわけなんだけど……。
 なんつーか、形としては「アンリ王子とウェンディ王女」が"夫婦"になったらしい。
 予想通りと言うべきか、ウェンディ王女の艶姿にゾッコンになったアンリエッタ王女は、自分が書いたエロ小説よろしく、男装して"彼女"に求婚。
 ウェンディ王女の方もアンリエッタの倒錯的な男装姿にメロメロになってそれを受諾し、めでたく華燭の典を迎えることとなったワケだ。
 当面は、トリステインとアルビオンは、事実上の連合王国として、ウェールズ王とアンリエッタ女王が共同統治するんだとか。もっとも、一般には"麗人王アンリと、その美しき妃・ウェンディ王妃"として認識されてるらしいけど。
 ……ほんっとーーーに、ダイジョーブか、この両国?

 タバサ……シャルロットは、あのあと日本に来て、看護師の勉強をはじめている。高卒資格を大検でとったら、看護学校に入るつもりらしい。いまでも、日々の母親の世話だけは、自分でやってるみたいだけど。
 「――お加減はどうですか、オルレアンさん」
 「ええ、もうすっかり元気になったわ。いつもありがとう、看護婦さん。
  ……ねぇ、昨晩は懐かしい夢をみたの。ちょっとだけ話を聞いてくださる?」
 「――問題ありません。わたしは、貴女の専任ですから」
 「わたしね、娘がいたのよ。目に入れても痛くないってほどの可愛い、青い髪の娘が……もう、随分会ってないけど、今ごろは、看護婦さんと同じくらいの年頃かしら。ねぇ、お願いしていい?」
 「――わたしに出来ることであれば」
 「じゃあ、ちょっとこっちに来てちょうだい」
 フワッ……(夫人が彼女を抱き締める)
 「あ……」
 「大きくなったわね、シャルロット」
 「お、おかあさまーーーーー!」

 ルイズのお姉さんふたりに関しては、ついにエレオノーネさんの妊娠が発覚。これでヴァリエール家も安泰だと、本人達はもちろん、公爵夫妻ともども喜んでいるらしい。
 あと、カトレアさんは、つい先日ふたり目を出産。今度は男の子だった。"叔父さん"として甥っ子には将来色々悪さを仕込んでやるとしよう。  

 ガリア王については、着の身着のままでこちらに連れて来て、今はとりあえずウチの別荘に置いて、管理人みたいな感じで働いてもらっている。
 当初は、世界を破滅させようとした男だとは思えないほど虚脱してたけど、こちらの世界の文化文明を知るうちに、少しずつ元気を取り戻してるみたいだ。それでも、憑き物が落ちたみたいに穏やかな表情になったし、何より歳相応に老けた感がある。
 最近ではこちらの社会風俗にも慣れて、別荘近くの喫茶店の雇われマスターみたいなことも兼任してるらしい。
 そう言えば、その喫茶店では、看板娘と言うには、ちとトウがたった感じの美人ウェイトレスが働いてるらしいけど……まさか、ね。
 ちなみに、ガリア自体は、娘のイザベラさんが継いだみたい。俺達はほとんど面識ないけど、シャルロットは、「いい気味、せいぜい苦労すればいい」とか言ってたから、あまり性格はよろしくないのかもしれない。

 魔法学院関係では、シエスタがついに学院を辞めて、王都で店を持った。ただし、大衆酒場の「あじ妖精」じゃなくて、高級料亭の「東方美食倶楽部」だとか。
 貴族を中心に、富裕な商人も含め「違いのわかる食通」を対象としたお店らしいけど、それなりに繁盛してるみたいだ。
 学院では、コルベール先生がついに熱気球の実用化に成功したとか。ヒントは俺とルイズから教えてあったけど、それでもそこに独力で至るとは、やっぱあのオッさん天才だったんだなぁ。
 キュルケがそれに目をつけて、ゲルマニアの方で魔法を使わない大型飛行船の就航を計画しているんだとか。さすがは、商売人の娘ってところかな。
 
  ×  ×  ×
 「ハァ……何だか退屈ねぇ」
 魔法学院の三年生になったものの、親しい友人たちが次々辞めていったキュルケは、溜め息をつく。
 「あーあ、あたしも学院辞めちゃおうかしら」
 とは言え、実家に帰っても親がうるさいだけだ。ここにれば、少なくとも身の回りの平和は確保できるし、何より、たまにルイズたちがコッソリ遊びに来てくれる。
 プップーー!
 「ん?」
 窓の外で聞き覚えのある音が鳴っている。
 あれは、確か向こうの自動車の"くらくしょん”、だっけ?
 「きゅーるーけーちゃん、あそびましょ!」
 「ルイズ!? それにサイト、タバサ、テファまで!」
 女子寮の外には、白い自動車が止まっており、窓から今言った4人が顔を出している。
 「へっへー、こっちも夏休みでしょ? 今からドライブ行かない?」
 「免許とったんだ。まぁ、クルマの方はレンタカーだけどな」
 「うぅ、黙って抜け出して来ちゃったけど、いいんでしょうか?」
 「お姫様稼業にも休暇は必要。それにあなたは頑張り過ぎ」
 懐かしい面々に、つい目頭が潤みかけるのを気力で押し止め、キュルケは、叫んだ。
 「もちろん、行くわよ! 待ってなさい!」

〜「ルイズは悪友(とも)を呼ぶ!」ExtraStory  FIN〜
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。無理やりにですが、何とか終わらせることができました。
ここまで読んでくださった皆さんに感謝します。
ありがとうございました。

<オマケ>
「のぅ、シュレディどん、川向いのはいったいどーしたんかのぅ」 ←エルフ語なまり
「さぁなぁ、長の命令で、アクマどもの国さ行って、もどってきてから、人が変わったみたいじゃからな」 ←エルフ語なまり
「"ちきぅは青かった!"とか"おお神よ、かんしゃします"だのヘンなコトばっか言ってるしのぅ」 ←エルフ語なまり
「長の見立てでは、"さんそけつぼーしょー"とか言う、頭の病らしいがなぁ」 ←エルフ語なまり
「ほんに、あの凛々しかったビダーシャルどんがのぅ」 ←エルフ語なまり
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 12:54:13 ID:vEh73ruF
最終回おつっ

しかし耳整形しても子供がエルフっ娘になるんじゃねっ
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 13:02:33 ID:Vkw3NQNL
カーズと違って地上に戻ってこれたのねビダーシャル、テム・レイみたいになってるみたいだけど(汗)エルフってサイヤ人並みの肉体を持ってるとしたらスゲエ。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 13:04:35 ID:7Mm8clOZ


キュルケ、ハブられなくてよかったね。

エルフの敵もルイズに月旅行させられて生きていたのかよw
酸素欠乏症になって
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 13:42:06 ID:fPI+2kjm
ガリア勢が哀れだ
誰か愛の手をっ
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 18:30:36 ID:scJKWCbI
シエスタが娘(息子)と仲が悪くなりそうなフラグが立った気がする。
シエスタ「始祖を呼べっ!」
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 20:05:50 ID:qzjmoD36
これで終わりかー
って酸素欠乏症にかかって・・・
>>73
このヨシェナベを作ったのは誰だ!
と怒鳴り込むんですね分かります
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 22:06:44 ID:7rFq63QJ
ロマリア勢が他の虚無の担い手が居なくなったのを良いことに
大躍進を遂げそうですが。さてさて一体どうなるのか?
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 22:50:15 ID:21IfieQv
すみません、避難所に投下されていたジョゼフ女性化ネタを代理投下させていただきます。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 22:53:50 ID:21IfieQv
42 :名無しさん:2009/06/14(日) 23:16:08 ID:BtBeoz3k0
弟への、というよりも世界そのものへの劣等感が消えたのはいつ頃のことだったか。
ベッドの中、ジョゼフィーヌ・ド・ガリアは考える。
思い返してみるに、自分の人生は常に敗北で構成されているようなものだった。
魔法大国たるガリアの王族に生まれながら、まったく魔法の使えない無能者。見た目ばかりが立派な張子の虎ならぬ張子の王女。
それに対して弟のシャルルは四大魔法を巧みに操り、人望に恵まれた才気の男であった。
まったく天才というのは、こういうものを言うのだろう。
シャルルと自分を比較する度に、つくづく自分が女に生まれた幸運に感謝せざるえない。
もしも男に生まれていれば、その苦渋はどれほどのものだったか。
考えただけでぞっとする。
女というのは立場上色々と縛れることも多いが、逆に多少の欠点を大目に見られるという利点もある。
この国でシャルルを賛美しない者はまずいない。
貴族のみならず、平民も皆弟を敬い奉っている。
結構なことだ。
王位継承者が民に嫌われていてはシャレにならぬ。
高潔の人格者。
心優しき王子様。
「ふ、ふ、ふ」
シャルルに対して熱を上げる娘たちの顔を思い出し、ジョゼフィーヌは自然と笑みを浮かべた。
哂いが顔に張り付く。
――あのかたの王妃になられる人は幸せね。
そんな話を繰り返し、彼女たちはしているのだろうか。
シャルルの王妃になるのは、どんな娘なのだろう。
王族の流れを汲む貴族か、それとも他国の姫君か。
なかなかに、興味はつきなかった。
「姉さん、どうしたの?」
目を覚ましたのか、弟が声をかけてきた。
「いや別に、少し思い出し笑いを」
そう応えながら、ジョゼフィーヌはシャルルの髪の毛を撫でる。
自分と同じ青い色のそれは、さらりとした、乙女のような手触りだった。
私を蔑み、シャルルを奉る連中が、今の自分たちを見ればどんな顔をするのやら。
それを思うとジョゼフィーヌは滑稽でたまらぬ。
まさか栄えあるガリアの王子と王女が、神をも恐れぬ禁断の関係になっていようとは思うまい。
シャルルがジョゼフィーヌが男女の関係になったのは、ジョゼフィーヌのもとに縁談話が舞い込んだすぐ後のことだった。
密かに姉を恋慕していたシャルルは、半ば手篭めのような形でジョゼフィーヌを己のものにした。
あまりのことに驚愕したジョゼフィーヌではあったが、弟への愛情から、流されるままにそれを受け入れた。
初めこそ不安と恐怖を感じてはいたが、今の彼女はそんなものはとっくに忘れてしまったようだった。
聖人のような顔の裏側で、時には獣のように、時に赤子のように自分を求める弟の姿。
誰から愛されるこの弟が、他の誰でもない、親にさえかえりみられない自分にのみその本性をさらけ出す。
それは、姉として、そして女としてぞくぞくするほどの優越感を感じさせた。
だからこそ、ジョゼフィーヌはいつでも弟を受け入れる。
どんなに蔑まれようと、日陰者であろうと、愛する弟とのつながり。
それさえあれば、彼女はこの地上で最も幸福なのだから……。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 22:54:41 ID:jMmjrEXR
サブタイトルが「酸素欠乏症にかかって・・・」ですね、わかりますwww


しかし、日本で暮らしているハルケギニア側のキャラが多すぎて分からん・・・
誰かまとめてくれないか?
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 23:17:14 ID:iPNwRWhH
>>74
>このヨシェナベを作ったのは誰だ!
それだと「すき焼き」の方があっていそうな気がしますよw
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/16(火) 23:20:59 ID:WHVgv/44
>>78
サイト兄に嫁いだカトレアがまず最初。
タバサママンは平賀家経営の病院で療養中。
タバサは母親の看病をしつつ医者を目指して留学状態。
ルイズも色々ほとぼり冷めるまで日本に滞在予定(少なくとも大学までは行く予定)。
ジョゼフとシェフィールドは一緒に喫茶店を経営している模様。
テファは一時留学してたようだけど、整形手術で耳の形を変えて現在はアルビオンの姫様。

ってところだねぇ、>>65-68見る限りだと。
総合すると、ハルケギニアに戻ったテファを除く六人が日本在住だな。
81:2009/06/16(火) 23:59:46 ID:XJZRNe84
作者の未熟故、「うまく言語化できな」かった内容を列記させていただきます。情報の伝達に齟齬が発生するかもしれませんが……。

Q.このSSのルイズ、脳内で、くぎゅボイスじゃなくて平野声に聞こえるんですけど。
A.仕様です。作者も時々こなたorハルヒの声しかイメージできず、凹んでました。

Q.(B11より)ルイズさん、もしかして肉弾戦もつおい?
A.あくまで非力でか弱い女の子です。護身術といっても、素人の痴漢単体を撃退できる程度。ただし、作中のように「爆発」魔法を使えば話は別ですが。

Q.才人の家事スキルって高いの?
A.フツーです。カリスマじゃない「普通の主婦」に準じるくらい。一部の料理については、腹ペコ王が暴れださない程度のものは作れますが、某ブラウニー男ほかには遠く及びません。

Q.ルイズって日本の高校での勉強はちゃんとできるの?
A.A&B13話であったとおり、それなりにできます。少なくとも現国や英語に関しては学年上位クラスです。また、文系脳かと思いきや数学もそれなりに得意という反則。
理科や社会、それに古文に関しては、さすがに一部の知識が不足しているため、ギリギリ平均といったところでしょうか。
体育と家庭科は中の下程度(持久力皆無で、料理の腕が裁縫の足を引っ張る)。逆に美術と音楽は中の上クラスです。

Q.テファは、どうしてアルビオンの王女になったの?
A.虚無を発動できることから、ルイズ同様「正当な始祖の後継者」と認められたこと。
また、現王女(元王子)があんな感じですから、国の最上層部が激しく不安を感じたため、言い方は悪いですが"王家の血のスペア"として確保されました。
アンリ&ウェンディ夫妻に子供がふたり以上できれば、そのどちらかがアルビオンを継ぐ予定ですが、ひとり以下の場合彼女が次のアルビオン女王です。
なお、上層部は彼女にエルフの血が混ざっていることは知っていますが、民衆感情を考慮して、耳を整形しています(ちなみに、強制したわけでなく提案。テファも、それを了解した)。

Q.マチルダさんは、表に出てきて大丈夫なの?
A.そのへんは「高度に政治的な判断」というヤツでして。表向き、「土くれのフーケ」は「ミス・ロングビル」と同一人物だが、「マチルダ・オブ・サウスゴータ」とは無関係ということにされており、彼女の貴族籍も復活してます。
一気に老けこんで引退した先代アルビオン王の、わずかながらの罪滅ぼしといったところでしょうか。
ちなみに、孤児院の子供たちは、年長者はマチルダ配下の侍女&執事見習として王宮に、年少組は富裕な平民に里親を見つけて引き取られました。

Q.ルイズ、テファ、ジョゼフの"虚無"の実力って?
A.A編12話が終わった段階での比較ですが、
・ルイズ :コモン○、爆発○、世界扉◎、幻覚△、読心×、加速△?
・テファ :コモン△、爆発△、世界扉○、幻覚◎、読心△、加速×
・ジョゼフ:コモン△、爆発○、世界扉×、幻覚×、読心○、加速◎
 ……といった感じ。◎が得意、○は普通、△は苦手、×が不可です。
ルイズとテファが見事に対照的。ルイズの爆発については、◎と思われるかもしれませんが、本来の「エクスプロージョン」に比べるとビダーシャルが言うとおりかなり貧弱ですし。
ロマリアの虚無は原作どおり教皇ですが、その詳細は不明(というか決めてない)。
82るいともC*追記:2009/06/17(水) 00:03:37 ID:wIiBtQr7
※すみません、ミスってageちゃいました

Q.ビダさん、なんで生きてんの?
A.月面で瀕死の状態で、A-1でサイトがシレッと嘘ついてた、帰還のためのアイテムを発動させました。
この場合、地球だと精霊の力が不足し起動しなかったかもしれませんが、不幸中の幸いというべきか月は相応の精霊力にあふれていたたため、かろうじて効力を発揮しました。
ちなみに、ハルケ世界への帰還は、実はルイズの固定化した平賀家の扉を通っています。一瞬だし、目撃者はいなかったので、気づかれませんでしたが。

Q.ルイズの"どこでもドア"って、対個人戦では最強じゃね?
A.そうでもありません。基本は「地球に飛ばすだけのバシルーラ」ですし、本文中でも触れているとおり、そもそも敵を"ドア"に押し込む必要がありますから。
ビダーシャルに使った"月への転送"も、同じく特定の状況下でなければ有効とは言えませんしね。下手すると自分や味方が吸い込まれるというマヌケな可能性も……。

Q."原作"に比べて、A編でサイトがほとんど活躍してません!
A.仕様です……というのは嘘ですが。彼はある意味、「ハルヒ」のキョンポジション。
あくまで常人に近い立場ながら、ヒロインに助言しつつ、事件の解決に奔走はしています。ま、地球で傭兵とかしてるならともかく、普通の高校生としては、スタンドや波紋もなしによくやった方でしょう。

Q.ジョゼフさんの喫茶店で働いているのって、やっぱり……。
A.お察しください。現在の彼女は、某hollowの人妻魔術師のごとく幸せ気分いっぱいです。

Q.虚無の使い魔の能力って、地球では全然発動しないの?
A.実はそういうわけでもありません。あえて誤解されるように描写を省きましたが、サイトのルーンが働かなかったのは、近くに主たるルイズがいなかったからです。
もっとも、ハルケギニアほど明確に効果を発揮するわけでないのも確かですが。
(大気中のマナとか精霊の力が不足気味なので)

Q.デルフやきゅいきゅいが活躍してないよ?
A.マジ、ごめん。作者の筆力不足。あれ以上多くのキャラクターを動かせる自信がなかったんで、どっちも空気化してしまいました。ギーシュに関しても同様。
反対にワルドは確信犯。当初から登場の予定はありませんでした。
一応、バッドガールズ&サイトは、シルフィードが風韻竜なことは知っています。例のアルビオン旅行の時など、平賀家に来る時は人間形態になってましたし。

Q.ところで、第一部と第二部の時間軸って、どーなってんの?
A.時間の流れに準じて「るいとも」を読むとすると、以下のようになります。
 第一部の1〜12話 → Before編 → 第一部13話 → After編

Q.このあとのルイズたちは?
A.ルイズについては、本人も言ってるとおり、少なくとも大学卒業までは日本に滞在するでしょう。ちなみに、18歳になった日に才人と正式に婚約、指輪をもらってます。
才人はルイズと同じ大学に進学しつつ、マンガ家兼イラストレーターとして商業デビュー。そこそこ人気を博しつつあります。
タバサ(シャルロット)は看護学校へ奨学生として入学。正看護師への道を順調に歩んでいます。回復した彼女の母は、錬金を応用した銀細工で内職してたり(属性は土・水)。平賀家への借金は、タバサが成人してから少しずつ返せばよい約束。
ジョゼフは「渋くて頼りがいのある喫茶店のマスター」として地元の人々に慕われてたり。コーヒーに魅せられた彼は日々、その味の研鑽に余念がありません。
その他、ハルケギニアの人々については、割愛。

以上。これでホントに「ルイズは悪友(とも)を呼ぶ!」終了です。
半月あまりのお付き合い、誠にありがとうございました。支援&感想も大変感謝しております。
何かの機会がありましたら、こちらに投下させていだきます。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/17(水) 00:40:37 ID:PBOjkOja
何か個人サイトでの連載みたいだな
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/17(水) 00:42:09 ID:PBOjkOja
あっ、別に悪いとかそういう話じゃないです
懇切丁寧なFAQでフォローまでしてスゲーと思ったもんで
作者さんや他の方々が不快に感じられたら申し訳ありません
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/17(水) 01:26:32 ID:20J7i+da
個人サイトの連載のフォローが充実しているという認識をもてる貴方は
検索がうまいか良い書き手を探す超能力を有していると思うw
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/17(水) 12:38:52 ID:TMys7lOQ
るいともの人乙です。
まさにかゆいところに手が届くとはこのこと。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/17(水) 23:50:22 ID:wrk1cCa6
もし、ウェールズの死を伝えられたアンリエッタが、
「こんなに苦しいのなら悲しいのなら・・・・・・・・・・・ 愛などいらぬ!!」
ってなってたら。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 00:13:42 ID:KmOZgBnq
>>87
南斗鳳凰拳を修得しそうなアン様だw
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 00:24:39 ID:EIFY04mB
ルイズのコモンマジックがものすごい力をもってたら
例えば、レビテートは土のスクエアが固定化をかけた城壁を粉砕し、フライは風竜の機動を凌駕する
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 00:33:09 ID:cefHQLw2
原作開始時点ではコモンすらまともに使えないから
「ゼロ」と馬鹿にされていたんだが。
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 00:46:06 ID:2T4vLyR2
>>89
四系統は使えないから『無系(ゼロ)』のルイズ?

コモンのみでも使える分、ゼロ・コンプレックスが原作より軽減されるので、やや角が取れる。
また、成功するコモンと失敗する系統魔法の対比がより明確になる。
『自分の系統は何なのか』を強く意識するようになりそう。
アカデミー勤めの姉もいるし、より研究者肌なルイズの出来上がり?
9289:2009/06/18(木) 00:58:06 ID:EIFY04mB
じゃあじゃあじゃあじゃあじゃあじゃあ
虚無に目覚めた使い手のコモンマジックが凄いって感じで
ジョゼフもビットーリオもテファもコモンが凄い

なんか魔法戦というより超能力バトル?
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 01:07:36 ID:BbGanBAN
爆発と格闘を使いこなすルイズとか。
KOFの草薙みたいに掴んで爆発。
八神みたいに地面に叩きつけて爆発。
ルガールみたいに壁まで運んで爆発。
レオナみたいに手刀突き刺し、ポーズを決めて爆発。
94Black Coat Mahora ◆jqB.C.MTuw :2009/06/18(木) 01:14:25 ID:oindVgpo
>>93

>爆発と格闘を使いこなすルイズ

 経絡秘孔をついて相手を爆発させるんですね?
 わかります!
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 01:16:36 ID:2T4vLyR2
春家拳・酉州天流

深遠無辺なる春家の功を究めた先に、対先住の絶技として編み出された爆発発勁が
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 01:17:54 ID:Vlh0UhXT
>>92
見てみたいな。それ。冷徹に自分の魔法を分析するルイズ……。
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 01:59:47 ID:CFJWxZME
某幻想郷のかっこいいるいずさまみたいなのか?
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 02:13:01 ID:lJTWTAkr
使い魔には是非ジョンス・リーを
99Black Coat Mahora ◆jqB.C.MTuw :2009/06/18(木) 02:24:56 ID:oindVgpo
>>97
 そのキレイなジャイアンみたいな生物は何?
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 03:52:30 ID:hiK9U4zd
逆転の発想。
幼少時から、四大系統をすべて使いこなし、しかも複雑な詠唱は必要なく、すべてワンワードで発動。
故についた渾名が「無詠唱(ゼロ)」もしくは「無欠(ゼロ)」のルイズ。
周囲は英才よ、麒麟児よとほめそやすが、実は本当は杖すらも必要としないメイジかすら怪しい存在。
本人は「これはもしかして先住?」と異端な自分にビクビクしており、ひっそりと慎ましく生きようとしている、とか。
目立つことが嫌いな吉良吉影みたくなりそーだけど。

101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 04:24:27 ID:CFJWxZME
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 06:32:46 ID:mb4kl39X
>>100
もしくは「四重奏(カルテット)のルイズ」だな。でも、確かにそんなルイズも見てみたい気がする。





誰か書いてくれ、俺は書けない
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 06:39:49 ID:+5bqtX7R
もし使い魔がみんな喋れたら?
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 07:13:16 ID:nQms65Lv
もしもサイトがただの犬だったら
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 10:34:10 ID:lJTWTAkr
このスレでは、>>101みたいに外部サイトを2ちゃんねるに晒しちゃって良いのか?
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 10:51:50 ID:2T4vLyR2
>>105
正直、推奨はしない。
俺個人は突っ込むのも間違いを訂正するのも触るのも面倒だからスルーしてた。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 10:54:09 ID:qG/oVGzo
>93
「私の名はブラストハンド」

こうですね、分かりません。
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 18:41:17 ID:zOGn3LRe
>>104
それ確か公式アンソロにあったような
ルイズがただ優しくて
サイトは切なくて涙を流していたが
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 20:04:06 ID:74WwDdGa
某無双on-lineで狼の副将に『平賀才人』と名付けた俺が通るぜ
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 21:42:33 ID:syYzkFGb
>>100
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは静かに暮らしたい」
唐突に思い浮かんだ。
手フェチで殺人鬼な才人の手に頬擦りするルイズが頭を過ぎった。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 22:07:54 ID:smXcauca
もしもタバサがアホで明るい大阪弁少女だったら
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 22:17:26 ID:41RhGQZ+
もしルイズが非常に精神的に大人だったら
でもどうして大人なのか決めないとしっくりこない題材だな
自分探しと世間を知る一人旅を1年やったとか考えたけどこれで書けるか?
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 22:54:02 ID:hiK9U4zd
>100 のネタで書いてみようとしましたが中々上手くいかず、そのストレス解消に、るいともの小ネタがいくつか浮かんできました。
ちょろっと投下してもよいものでしょうか? 蛇足?
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 22:57:27 ID:Jehzo5mu
もう普通にルイズが男だったらでいいよ
だけど、ただ男ってのも芸がないから超絶美系ってことで
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 23:10:30 ID:FJbxqsTn
性格を変えてみる。
超ネガティブ「みんな死ねばいいのに……」
自殺しそうなルイズに周りが振り回される話。
毒を飲もうとしたらタバサのトラウマに触れて大泣きされる。
ワルドに結婚を申し込まれたら抱きつくふりしてナイフで一突き。
「私の何が目当てなの?体?財産?私を好きになるはず無いじゃない」
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 23:13:59 ID:smXcauca
それでワルドが裏切り者じゃなくて本気だったらかわいそすぐるw
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 23:47:45 ID:QmmNZXCX
>>113
かもーん, コォ━━━━щ(゚Д゚щ)━━━━イ!!!!
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 00:09:58 ID:djhzgZrK
>>113
別人だったらるいともの人に許可を
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 00:23:03 ID:nm4Aj6WI
なんとなく思いついたネタ。
マザリーニが、アンリエッタと同年代くらいだったら。
イメージとしては銀髪で、モノクルとか掛けてるクール系。格好いいので民衆に人気有り。
たびたび勉強とかをサボって抜け出そうとするアンリエッタを、行動を先読みしてとっ捕まえていた過去がある。
理想主義のアンリエッタと現実主義のマザリーニで、たびたび衝突するが、お互いのことはよく理解しているのでなんだかんだで絆は深い。
アンリエッタにとっては、口うるさいが誰より信頼する委員長系幼馴染。
サイトやルイズにとっては、ちょっとおっかないけど頼りになるお兄さんキャラ、とそんな感じ。

なんとなく、周瑜公瑾とかのイメージです。
色々問題ありつつも名君になるアンリエッタの傍に控える王佐の才、とか。
120るいともExtra-1:2009/06/19(金) 00:24:05 ID:66X4adjw
>118
本人です。新しく100のネタ考えてたんですが煮詰まり、気分転換がてらwiki用に誤字脱字校正してたら、結構ヌケてるなーと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
<ガッツ>

「何度言われても同じ。わたしは、向こうには戻るつもりはない」
「ええ、自分勝手かもしれない。でも、わたしだって自分で道を選ぶ権利はあるはず」
「確かに貴女を連れて来なかったのは悪いとは思っている。でも、貴女はこちらでは幸せになれない」
「こちらに貴女の同族はひとりもいない。"ただの竜"ですら、こちらでは一般にいないものとされている」
「空を舞うことも、それどころか自由に正体をさらすことさえ満足にできない」
「貴女にとっては至極住みにくい世界だと思う」
「こちらでのわたしは、貴族でも王族でもメイジでもない、ただの一般人。この国の法律では未成年ですらある。あなたを守っていく力はなきに等しい」
「そして何より……………お金がない! むしろ借金だらけ」
「貴女は大食らいすぎる。その食費は決して馬鹿にならない」
「わたしはまだ学生。学ぶべきことは多く、アルバイトする時間は少ない」
「お母様の内職の収入では、親子ふたりつつましい生活をしていくのが精一杯」
「これ以上の扶養家族は、正直無理ぽ」
「そう、ここまで言っても……ならば、貴女も覚悟を決めて」
「貴女のその体で……稼いでもらう」

 ──その後、都内各地の工事現場で、「ゆるめのタンクトップにブルマー」というレアな格好で、現場作業にいそしむ謎の美女の姿が目撃されるようになる。
 気立てがよく素直(お子様でバカなだけ?)、しかも男も敵わぬ力持ち(まぁ竜だし)で、さらに健康的な魅力たっぷり(本来は裸でも気にしない)とあって、現場では、たちまち大人気だったと言う。
 「この(どんぶり飯)いっぱいのために生きているのね、きゅいきゅい!」
 もっとも、色気に目がくらんで近づく男も、彼女の尋常でない食欲を見ると一様にヤる気を失くしたので、意外に"そういう"問題は起こらなかったらしい。
 「おじさん、A定食お代わり! なのね」


<本場?>

 「やって来ました大阪へ! って言っても研修旅行だけど」
 「おーい、ルイズ、この近くに忠志さんの実家……薫叔母さん家があるんだけど、午後の自由行動で寄ってみるか?」
 「うーん、行きたいのは山々だけど……昨日の晩、お好み焼き食べちゃったのよねー。お昼は焼きそばだったし」
 「? それが、どーした?」
 「え? だって、大阪では、客が来たときのおもてなしに、お好み焼きか焼きそば、さもなければタコ焼きを出すんでしょ?」
 「ヲイヲイ……どーゆー大阪人に対する偏見なんだよ」
 しかしながら、忠志の実家では、東京から来た彼らに気を使ったのか、わざわざ"焼き型"を出して自家製のたこ焼きを作り、ふるまってくれたのだった。
 「すまん、まさか各家庭に"型"があるとまでは思ってなかった」
 「や、ま、美味しいし、見ておもしろかったから別にいーんだけどね。それにしても、日本人って、ご飯と主食を一緒に食べるの好きよねぇ。「AIR」のラーメンセットとか」
 「餃子とか焼売も中国じゃ"麺"の一種で主食扱いらしいしな。まあ、お好み焼きやたこ焼きをおかずにご飯食べるのは、関西人だけだと思うぞ」
 「あれ? でもそれって、ゲテモノ扱いされてなかったっけ?」
 「そうか? 実際に食べてみたら案外悪くない取り合わせだったけど」
 「ホラ、「Fate」の……」
 「……藤ねぇのお好み焼き丼か!!」
121るいともExtra-2:2009/06/19(金) 00:25:21 ID:66X4adjw
<人生の先達>

 「……ってコトなんですけど、マスター、何ぞいい考えあります?」
 「ふむ。それは、やはりその男性がハッキリするべきだろうね。態度だけでなく、言葉で、そのお幼馴染の娘に引導を渡すべきだと思う」
 「ただ、アイツは「彼女とはただの幼馴染で、何とも思っていない」って主張するんですわ」
 「ならば、その事を彼の口から、その娘に言わせるべきだな……でないと、そのもうひとりの娘さんも可哀想だよ。その男性はそちらの子が好きなんだろう?
 「ええ、それは、オレから見ても確かなんやけど」
 「幼馴染だとか家族だとか、ずっと身近にいる関係だからって、気持ちが伝わっているとは限らないからね……手遅れになる前に、正直に気持ちをぶつけた方がいい」
 この店のマスターらしき壮年の男性の言葉には、人生の辛酸を舐めた人間ならでは苦みと重みがあった。
 野球帽をかぶった少年は彼の言葉に感じ入るところがあったようで、何がしかの決意を固めたらしい。
 「すんません、マスター。コーヒー1杯で、相談に乗ってもろて。けど、おかげで、オレも動くふんぎりがつきました!」
 晴れやかな顔で会計を済ませると、少年は店を出て行った。
 「……何か言いたいことがあるのかね、末広くん?」
 「いいえ、何でもありませんわ、マスター」
 シンプルな白のブラウスと膝丈のタイトスカート、その上に店名の入ったエプロンという、いかにも「田舎町のウェイトレス」といった格好をした女性が、微笑を堪えるような顔をして答える。
 シャープな顔立ちの20代後半の美人だが、そういう表情をしていると印象がやわらかくなり、親しみが増すようだ。
「ふん。確かに、"無能王"と呼ばれ、実の弟や義妹にまで手をかけた余が、学生相手の恋愛相談など滑稽極まりない話かもしれんがな」
 「それでも、あの少年は心底貴方に感謝してました。
 それに、貴方も決して相談を受けるのが決して苦痛ではないようでしたが?」
 「……まぁ、ロクな事件など何も起こらんド田舎だからな。退屈凌ぎにはなる」
 拗ねたような、そしてどこか照れたような表情を一瞬だけ覗かせた店主は、再び目を伏せ、カウンターの後ろで洗ったカップを拭く作業に戻った。
 カラーーン♪
 「ジョゼフさーん、ぶれんど、いっぱい、ヌルめでおねがい」
 「──古手川さん、また編集さんから逃げて来たんですか?」
 「だーいじょーぶ、締切は明日だから」
 「で、あと何枚残ってるんです?」
 「んんー、40枚くらい、かな。いやぁ巧いまとめ方が思いつかなくて。ちょっとアイデア貸してよ」
 古手川と呼ばれた客は、早くも4人掛けテーブルのひとつを占領して、持ってきたノーパソを起動する。しばらくココで粘る気だろう。
 「私なんて、たいしたアドバイスができるとは思えませんが」
 そう言いつつ、その常連客の好みの温度でコーヒーを注いでやるマスター。
 「末広くん。これ、4番さんに頼んだよ」
 「はい、マスター(我が主)」
122るいともExtra-3:2009/06/19(金) 00:29:00 ID:66X4adjw
<知らぬは……>

「素晴らしい! 素晴らしいよ、モンモランシー!」
 熱に浮かされたような声で、恋人が食い入るように自分を見ているのを肌で感じ、少女の心臓は早鐘のように鼓動を刻む。
「そのきらめくような金髪と縦ロール、そしてそれを飾る蒼いリボン!
 華奢な肩から二の腕のラインを引き立てる赤い上着!
 健康的な君の脚線美をあますことなく見せつける短めのスカートと、
 それでいてふしだらではなく清楚な色気を感じさせる黒のスパッツ!
 嗚呼、トレビアンだ! ワンダホー&ビュリホーだ!!」
 恋人の臆面もないストレートな賛辞が、恥ずかしくも心地よい。
 下級生ケティとの三角関係はいまだ完全には解消されていないものの、これほどあけすけに自分を賛美し、熱愛してくれているのだ。
 学生時代に「小娘」に頼られてつい甘い顔を見せることぐらい大目に見てやってもいいのではないか。
 実際、あの"決闘"以降、ギーシュの無節操な女好きはピタリと納まり、自分一筋……なら良いのだが、実際にはケティも含めた二筋になっている。あっちこっちにフラフラしていた時にくらべれば100倍マシである。
 この現状だって、自分たちふたりを本気で深く愛しているからこそ、どちらかに決められず、ギーシュ本人も悩んでいるのだろう。
 「いい女ってのはね、モンモン。男を夢中にさせつつも、適度に寛大な顔を見せるものなのよ」
 比較的親しいゲルマニアからの同級生の忠告を思い浮かべる。
 「もちろん、無限に甘い顔を見せちゃダメ。でも、基本的には厳しく叱りつつ、どこかの一線で「仕方ないわね」と"赦し"を与えるのは、非常に効果的ね。
 この女性なら自分のことをわかってくれる! そう思わせたならチョロイもんよ」
 男性経験豊富な彼女の言葉には、確かに頷ける部分もある。
 だったら、このあたりが落とし所かしら……と考える彼女は知らない。
 ギーシュが彼女にプレゼントし、着せて鑑賞している服が、"東方(ということになっている)"のとある物語に登場する高飛車お嬢様の服装であることを。
 (嗚呼、神月かりん様萌え〜! ぜひとも踏んでいただきたい!)
 口に出さなくなった分成長した(嫌な成長だ)ギーシュが、彼女にキャラを重ねて妄想し、恍惚としたいたことを。
 「そんな……わたし、ギーシュ様のためなら、どんな格好だってできますっ!」
 後日、対抗意識を燃やしたケティが、日野森あずさのコスプレ(アイドルタイプ)をしてギーシュに迫ることを。
 そしてさらに、そのことを知った彼女自身も引っ込みがつかなくなって、以後ギーシュの望むままにコスプレモデルを務めるハメになるという結果を。

 ──最終的に、彼ら3人のグダグダな関係は、ギーシュたちが卒業する直前まで続いたという。
 また、ギーシュは後年「アルカイリエ・フロイライン」シリーズと呼ばれる、独創的な女性像作りの名手として、世に広く知られるようになるのだった。
123るいともExtra-4:2009/06/19(金) 00:31:23 ID:66X4adjw
<風王結界>

デルフです。全編通して、敵にまともに効いたためしのないデルフです。
デルフです。セリフも数回しかありませんでした。
デルフです。今は相棒ン家の床の間に飾られてます。
デルフです。せめて素振りくらいはしてほしいデルフです。
デルフです。こないだ五月人形と一緒に押し入れにしまわれたとです。
デルフです…デルフです……。
----------------------------------
以上。
実はマザリーニがらみの危険なネタもありますが、そちらは機会が在ればまた。

124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 00:35:21 ID:ROwnVWG0
インビジブルエア吹いたwww

るいともさん、相変わらず筆が速いなあ
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 00:45:45 ID:5L2eUrQv
>それに、貴方も決して相談を受けるのが決して苦痛ではないようでしたが?」
「決して」がダブっとりまんがな
どっちも抜いても良い位に見えるし
一つ抜くならどっちかっつーと前?
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 00:54:20 ID:m5/bj8h9
きゅいきゅいはギャル曽根の後釜を狙えばいいと思うよ!
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 00:57:24 ID:+d8VeTcM
>>119
逆に愚ザリーニと賢リエッタとかw
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 01:12:58 ID:tKk8ZYqs
デルフ……?
そんなキャラいたっけ?(酷
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 01:38:52 ID:mhYu8Dis
ハルケギニアの物語を覚えている者は幸せである・・・
(略)
それゆえに、デルフリンガーの語る次の物語を伝えよう・・

数十年後、押入から出してもらったデルフがサイトとルイズの子孫にお話しするとか。
シャルロットの子孫には大食いのねーちゃんがいろいろ話してくれる。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 02:10:25 ID:JwRz7dAo
原作最新巻で死亡確認されたと思ったら・・・・
デルフ・・・・

でもまあ、押し入れの住人というのはこれまでの6000年と似たような物だしこれはこれでハッピーエンドなのかもしれない。
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 06:35:57 ID:ZfynWHNI
るいともさんとこのタバサの母親って銀細工を露店で売ってるような気がする
注文すれば目の前で即興で細工を作るとか
目の前で金属がうねうね変形する謎の手品を使うとかってなったらある意味評判になりそう
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 13:55:40 ID:DOP9aqtC
>>119
マザリーニが若い場合、トリステインの実権を握ってるのが誰か、
原作どおりマザリーニが、なら、どうやって握ったのか、とかその辺りが気になる

原作開始時点のトリステインって、マザリーニの才覚で辛うじて持ちこたえてる感があるから、
その辺の設定しくじると大変な事になりそうだ
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 14:16:12 ID:6bzphS4y
トリスティンにマザリーニがいないIF。
アンリエッタがゲルマニアに嫁ぐ計画が無く、軍事同盟もない。
ルイズがアルビオンに行かない。
ルイズ関連のイベントはこれぐらいだろう。
それ以前にトリスティンが無事かどうかが分からんけど。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 14:29:09 ID:DOP9aqtC
>>133
原作開始時点まで、で言えば、トリステインが無くなってる、よりは
権力の中枢にリッシュモンみたいな奴がぞろぞろ食い込んで
腐敗しきってるパターンの方が有りそうかな

ヴァリエール公辺りの「わりとまともな」貴族とどろどろ権力闘争全盛、
もしかしたら貴族勢力を二分する内乱一歩手前くらいで

その場合ルイズがあからさまに政争の弱点になりそうだし、
無事に召喚イベントが始まるかどうかが怪しい気がしてきた
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 15:04:42 ID:6bzphS4y
>>134
逆にマザリーニ教皇が治めるロマリアは平和になりそうですね。

ガリアでIF。
ジョゼフ、シャルルどちらが残っても悪い方向にいきそうなガリア。
なのでジョゼフとシャルルが相打ちで死亡。残されたシャルロットとイザベラ。
シャルロットを利用しようとするシャルル派から守ろうとするイザベラ。
母は信用できず、頼れるのはイザベラだけのシャルロット。
こんな感じ。そこにマザリーニをいれてみる。
マザリーニinガリアIF。
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 15:36:26 ID:NqQgzXcF
>>135
>逆にマザリーニ教皇が治めるロマリアは平和になりそうですね。
マザリーニ教皇だとトリステインはヴィットーリオが枢機卿で暗躍。
なんて思ったことがありましたが、文才がないから書けません。
何方か書いてください、お願いします……
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 16:15:23 ID:ngGF9Yx5
>>119
眼鏡でスタイル抜群の褐色肌美女のマザリーニ。
時折奔放になるアンアンをたしなめながら仕方ないなとフォローする。
もちろん夜は(ry
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 16:24:41 ID:ObIT2H8m
>>137
そっちかよw
てっきり金色の方かと
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 16:27:05 ID:eVcg2INi
>>137
なんかフルネームに「ナイ」とか「ニャル」とか入っていそうな
マザリーニさんだな・・・・・・
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 16:34:57 ID:ROwnVWG0
>>134
アルビオンより介入しやすそうだ。
ワルドを含めたレコンキスタがトリステインに発生とか、早い段階でガリアに見い出されるルイズとか。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 16:51:24 ID:ngGF9Yx5
>>139
それだとアンアンがウェールズと属性的に相性が最悪じゃないかw
142るの人:2009/06/19(金) 18:14:25 ID:3S6bdSU2
>100 の設定から、各キャラの設定を広げてみました。
------------------------------------------
『99.9%の孤独』

 「いいのよ。わたしは所詮は道化……いえ、偽物にしかすぎないのだから」
──それは、虚無に……"聖なるゼロ"に届かなかったひとりの少女の物語。

「天才と呼ばれる紛い物(フェイク・ジーニアス)」
●"無詠唱(ゼロ)"のルイズ
わずか12歳で四系統すべてを自在に操るスクウェアメイジの域に達した少女。
また、その詠唱は極めて短く、その気になれば魔法の名称を口にするだけでも発動可能。周囲は「さすがは"烈風"カリンの娘、百年いや千年にひとりの英才よ」と褒めそやすが、本人は意に介していない。
実は、普通に詠唱するなら杖がなくとも魔法発動が可能という、メイジの根本すら覆す存在。しかも、一度見た魔法は、原理を理解するすらことなく使える。
自分はもしかしたら異端の存在ではないのかと内心脅え、極力目立たず慎ましく生きようとしている。そのため、傍目には控えめで礼儀正しく穏やかな少女に見える。
身体的には、原作と比すると発育がよく(158サントのB82(C))、同年代の平均程度。

「運命を切り開く烈女(ファム・ファタル)」
●"情熱"のキュルケ
ヴァリエール家の天敵とも言えるツェルプストー家の出身だが、学院でルイズと出会って以来、彼女のことを常に気にかける姉御肌の女性。
ルイズの抱える寂しさと虚しさを知り、極力そばにいようと決意。また、ルイズも彼女とイザベラには比較的心を開いている。

「見棄てられし王女(スクラップド・プリンセス)」
●"名無し"のイザベラ
元ガリアの王女だが、現在はその姓を名乗ることはない。
叔父を殺そうとした父が逆襲され死亡。オルレアン公がそのまま王位を継いだ。
もっとも、娘と仲の良い姪を害する気はシャルルにもなく、特に罪に問われることもなくシャルロットと共に育つ。
長じるにつれ、自らの立場を嫌悪し、叔父王一家と次第に距離をとるようになる。トリステイン魔法学院の入学も、自分を慕う従妹の視線にたえかねたため。実はガリアの虚無の継承者。
性格は、気難しく攻撃的。皮肉屋ではあるが、その人物評は確かで傾聴の価値あり。当初は"天才"ともてはやされるルイズに反発していたが、"空っぽな心"という共通点を感じ取り、次第に接近する。本作におけるいわゆるツンデレ役。

「愛を知らない伊達男(ラブレス・ダンディ)」
●"青銅"のギーシュ
原作以上に軽く節操なしのナンパな優男に見えるが、実はそれは彼なりのコンプレックスの現われ。
金髪以外、顔も体格も魔法の才能も何一つ軍閥の名門・グラモン家の父や兄に似ていないため、「グラモン家唯一の欠点」と言われる"女癖の悪さ"(浮き名)を真似ようとしているが故の行動。
そのため、色々な女の子とつきあっているが、誰かを本当に好きになったことがない。

「忠実なる従者(シンシアリー・スクワイア)」
●"黒狗"サイト
ルイズがサモン・サーヴァントで召喚した使い魔。珍しい種類の犬(柴犬似)に見える黒い獣。
実は、魔界から来た黒犬獣(バージェスト)のまだ若い個体で、満月の夜のみ人間の姿をとることができる(ハルケギニアでは、ふたつの月のいずれかが満月であればよい)。
本気になれば、柴犬形態ですらドットメイジなど一蹴できる戦闘力があるが、主たるルイズの身が危険にさらされない限り、積極的に動くことはない。

「朽ちかけし聖女」
○カトレア
ルイズの下の姉。幼少時から非常に病弱で、長生きはできないといわれている。容貌や性格は原作に近いが、体格は原作のルイズ並(152サント、B76)に小柄で、まさに"ちぃねえさま"。実はトリステインの虚無の資格者だが、その体ゆえにまともに魔法を使う機会がない。

「心優しき風の姫」
○シャルロット
現ガリア王の娘(=王女)。イザベラを姉と慕い、公的な場では「いないもの」とされる彼女のことを常に気遣う。賢明で心優しく愛らしい、まさに理想の「姫君」。

「二律背反の妖精」
○ティファニア
モード公の娘であり、アルビオン王の養女(ウェールズの義妹)。尖った耳は、フェイスチェンジの魔法で隠している。
ウェールズを兄、マチルダを姉代わりとして慕ってもいるため、迷惑かけぬよう、極力模範的な王女たらんと努めている。

……とこんな感じの歪みこじれまくった人間関係で物語を進めてみたら、と思うのですが、いかがでしょうか? 厨二すぎ?
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 18:18:26 ID:ngGF9Yx5
うわぁ……
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 18:25:23 ID:ZfynWHNI
他の人がやると厨二すぎるが実績ある人がやると期待できる
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 18:30:00 ID:LcHUo6S7
厨二を上回る超二って感じか

フェイク・ジーニアスで金子のジニアスを思い出したw
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 18:32:50 ID:5L2eUrQv
あえて「厨二シチュで転がしてどこまで魅せられるか」を問うなら
それもアリ
あと
>原理を理解するすらことなく×
原理を理解することすらなく○
もしくは
原理の理解すら必要とせず
とか
原理を理解するまでもなく
とか
理(ことわり)を解することすらなく
とか
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 18:36:25 ID:1mJtnrSD
サイトの原型がないお……
ギーシュはモンモンに悶々としないのか……なんかなー。
男キャラがアレだ。その、痛い。ルイズもブーストしすぎな気がするけども……

とりあえず、サイトとギーシュの設定以外を見て、読みたくなりました。
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 18:45:38 ID:mQ692SuR
設定だけ羅列されると痛い厨二にしか見えないけど、
そんなもん枚挙に遑がないだろうし、
物語として書き上げた時にどうなるかが重要だもんな。


あんまり変わり過ぎてると、ifというかanotherな感じがするけどなw
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 18:56:23 ID:0Kh3GDzc
>身体的には、原作と比すると発育がよく
取り敢えずここだけはいらん。絶対。
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 19:01:54 ID:3kr4lGOc
まあ、そこはコンプレックスになるものを持ってないって設定故だろう
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 19:21:56 ID:NOo/azU/
貧乳はステータスだ!希少価値だ!なルイズですね、わかります。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 19:50:25 ID:NqQgzXcF
イザベラが「何者」を召還するのかが気になりますね。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 21:15:40 ID:JwRz7dAo
なんちゅ〜かネーミングが痛々しいな。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 21:40:05 ID:YuqGyxNN
>>100
サイト(人間)なんか召喚したら失神しそうだな
「わたしは先住じゃない先住じゃない先住じゃない先住じゃない……」
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 21:45:14 ID:vjRFg930
厨2すぎてわろたwwwwww
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 21:50:26 ID:aKsBvVrA
アンアンがどうなるか、もの凄く興味がある設定ですな
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 22:57:35 ID:/PlUTTEp
逆に言うと、この設定でも作品にしてしまえば、SSに飢えたこのスレでは歓迎される。

というわけでみんなも何か書いてみないか?
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 23:25:58 ID:vjRFg930
>>157
まずは言いだしっぺが書こうぜ?
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/19(金) 23:45:11 ID:iBiEPZuf
本当、魅力的なネタがかなり出てると思うんだけど、SSの投下率は低いなぁ。
いや、他のスレのSS投下率なんぞよくは知らんのですけど。
過去の作家さん方の中でも、今の書いてる人ってどれくらいいるのかしらん。
武器屋に拾われましたとか、その後の展開が非常に気になるんだがなぁ。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 01:10:55 ID:thuuGwnU
ルイズが拾われた系でオークに拾われるネタがあった。
どんなパターンがあるか考えてみた。

1、食べられる→おしまい
2、食べられる(性的な意味で)→エロパロ板へようこそ
3、めんち(非常食)→食べられないように代わりを用意する→初めての人殺し
4、食べられる(性的な意味で)→うまく表現を誤魔化す→オークプリンセスルイズ
5、救出されたところから始まる→オークに○○された事がどんな影響を与えるか?
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 01:40:18 ID:J6lfaNOX
>>160
なぜそこで奇跡的に育てられるという発想が出てこない!?
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 02:37:04 ID:thuuGwnU
>なぜそこで奇跡的に育てられるという発想が出てこない!?
なぜか出てきませんでした。

攫われたルイズの年齢について。
0〜2  赤子です。両親の事は覚えてないでしょう。
3〜5  武器屋ルイズがこれぐらいかな?
6〜10 オークに育てられるのはもう無理っぽい。

あと魔法学院に入学しに行く途中で襲われるとか。

思い切ってオークとカリーヌの娘、ハーフオークルイズとか。
夫と娘二人と旅行中にオークに襲われる。
夫に娘達を預けオークに挑むカリーヌ。
ブランクがあったカリーヌはオークに敗北し連れ去られる。
ntr ntr ntr
ハーフオークルイズ誕生。
カリーヌ、ルイズを連れて脱出する。
ヴァリエール公爵再婚してた。
オークの巣に戻ると自分を求めてくるオーク。
ルイズも父親達とじゃれ合っている。
自分の居場所はここしかないと思うカリーヌ。
ちなみにルイズは公爵家の血じゃないので虚無じゃありません。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 03:14:15 ID:9E2VxZnO
なに?
同人誌の打ち合わせ?
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 03:28:08 ID:Va0GR3hq
>>162
オークTUEEEEE
強靭な肉体とカリンママの才能を受け継いだルイズ爆誕ですね
あと関係ないけどntr状態のママの下腹部には淫紋が浮かんでるとみた
165>142 るの人:2009/06/20(土) 05:03:18 ID:iKxIgIt5
予想していたとはいえ、やはり、「……」な反応。とは言え、恐いものみたさに期待されてる方もいるようですので、1話書いてみました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ──それは、虚無に……"聖なるゼロ"に届かなかったひとりの少女の物語。

『99.9%の孤独』

 魔法学院2年生に進級するその日、わたしは朝からずっと緊張しどおしだった。

 私の名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。ここトリステインにおいて、地位相応の権力を有する、ヴァリエール公爵家の末娘だ。
 周囲の人は、わたしのことを"無詠唱(ゼロ)のルイズ"だとか"烈風を超える俊才"だなぞと呼んで持ち上げてくれる。
 ふふ、おかしいわよね?
 こんな壊れた出来損ないをそこまで過大評価してくれるなんて。
 とは言え、わたしだって、何も無意味に自分が"出来損ない"であることを吹聴したいとは思わない。
 いえ、臆病なわたしは、むしろソレを極力隠すようにして生きてきた。
 だからこそ、そんな気恥ずかしい呼び名も、否定することなく(かといって喜ぶでもなく)ただ、淡々と受け入れているのだ。
 だが……もしかしたら、今日、長年必死で覆い続けてきたわたしのメッキが剥がれてしまうのかもしれない。

 「もぅ、この子ったら、そんなに気張らなくったって、ちゃんと使い魔くらい召喚できるわよ」
 「キュルケぇ……」
 浮かない顔のわたしを後ろからギュムッと抱きしめてくれたのは、同級生のキュルケ。
 私の実家、ヴァリエール家と国境をはさんで対峙するゲルマニア貴族ツェルプストー家の娘であり、お隣さんであると同時に犬猿の仲と言ってよい家柄の出身だ。
 けれど、この学院で初めて出会った時から、意外なほど彼女はフレンドリーだった。
 わりと人見知りする性質(タチ)のわたしが、1ヵ月と立たないうちに名前で呼び合うようになるくらい。
 「ほらほら、そんな泣きそうな声出さないの。可愛い顔が台無しじゃない」
 ポンポンと軽く頭を撫でてもらって、ちょっとだけわたしは落ち着いた。
 彼女が身近にいてくれると、少しだけど呼吸をするのが楽に感じられる。
 もちろん、身体的なものじゃなくて、どちらかと言うと精神的なものだ。
 まるで"お母さん"に抱かれてるみたい……って言ったら、さすがに怒るかな? せめて"お姉さん"にしておくべきかもしれない。
 誤解のないように言っておくと、わたしの両親は健在だし、姉もふたりいる。
 虐待されたり、愛情の薄い家庭に育ったというワケでもない。
 ウチは家格の問題もあって、次姉を除けばどちらかと言うとトリステイン貴族の中でも厳しいほうだろうとは思うけど、父も母も長姉もわたしに愛情をもっていてくれていることは十分理解しているつもりだ。
 ただ、その3人は明らかにわたしに過剰な期待を抱いていることが手にとるようにわかるのだ。──わたしは、そんな期待に応えられる器じゃないと言うのに。
 下の姉は、他の3人と異なり、無条件に愛情を注いでくれたが、今度はわたしのほうがその愛情に素直に甘えることを肯んじえなかった。
 姉とは言え、むしろあの女性(ひと)を守ってあげなくてはいけない。ひとりよがりかもしれないが、ついついそんな気にさせられてしまう。
166『99.9%の孤独』 :2009/06/20(土) 05:06:04 ID:iKxIgIt5
 そういう意味で、キュルケはわたしが物ごころついてから初めて素直に「甘えさせてくれる」女性だと感じられるのだ。
 ……たぶん、キュルケは気づいているのだろう。
 わたしが心の奥底に隠した"空虚"なこの想いを。
 あるいは、その正体までは理解していなくても、何かを必死で押し隠していることは察しているに違いない。
 それを承知で、こんな風に自然に接してくれる彼女が、わたしは大好きだった。
 プライドだとか誇りだとか言ったご大層なものをロクに持たないわたしが、胸を張って言える数少ないキレイな気持ちのひとつだ。
 「こらこら、甘やかしてンじゃないよ、キュの字。ルー子は、甘い顔するとすーぐ怠けンだからね。ビシッと言ってやりな、ビシッと!」
 ちょっと厳しい声で割り込んできたのは、ガリアからの留学生のイザベラ。
 言葉だけ見ればキツいし、いつもどこか怒っているような表情をしているけど、彼女もわたしの大切な友達だ。
 イザベラはどこかわたしに似ている、と思う。
 キュルケとは少し違った意味で強気で姐御肌なイザベラもまた、たぶん、その心のどこかにわたしと等質の"空虚"あるいは"闇"とも呼ぶべきものを抱えている。
 ただ、わたしは極力見ないようにソレから目をそむけ、やり過ごしていたのに対し、彼女は押しつぶされぬよう虚勢を張り、内圧を高めて対抗しようとしていた。その違いだけ。
 ある意味正反対なわたしたちは、だから出会った当初は決して仲が良いとは言えず……それでも自分の"同属"から目を離すこともできず、気がつけば近づき、言葉を交わすようになっていた。
 嗚呼、こんなふたりの掛け替えのない友達と出会えただけでも、この学院に入ってよかった。本当にそう思う。

 さて、いつも無気力……とまではいかずとも、日々を淡々と生きているわたしが、なぜにこれほど怖がっている──そう、紛れもなく恐怖を抱いているのかと言えば、ほかならぬ、今日が"使い魔召喚"の儀式を行う日だからだ。
 "サモン・サーヴァント"は多少高度とは言え、コモンマジックに分類される魔法であり、まがりなりにもスクウェアに位置づけられているわたしが、そうそう失敗する類の代物ではない……普通ならば。
 実際、わたしも儀式自体が失敗するとまでは思っていない。ただ……そこで何を呼ぶのかが問題なのだ。
 使い魔とは、ふつうもっとも召喚するメイジにふさわしい存在が呼ばれるのだと言う。
 ならば、わたしの……この"ゼロのルイズ"はナニをよぶのだろうか?
 魔法の何たるかも、魔法の価値も意味も知らず、貴族どころか"メイジ"と呼ぶにすら値しないかもしれない、コワレたハンパモノのオンナには、ナニがふさわしいと言うのか……。
 ──いけない、いけない。つい、昏い物思いにフケってしまった。
 ポジティブシンキング、ポジティブシンキング。
 言葉だけでも自分に言い聞かせる。
 「では、次はミス・ヴァリエール、お願いします」
 「──は、い」
 魔法を使うのに"緊張"するなんて、いったい何年ぶりだろう。
167『99.9%の孤独』 :2009/06/20(土) 05:08:04 ID:iKxIgIt5
 わたしにとって魔法とは、走ったり、物を投げたり、深呼吸したり……そういうごく自然な"動作"のほぼ延長上にある行為だ。
 だからこそ、わからないのだ。
 このハルケギニアにおいて、貴族を貴族たらしめている魔法と言うものの原理や、その意味、ひいてはその価値というものが。
 もちろん、速く走ったり、深く息を吸って止めたり、そういうことをするには、通常より集中したり、頑張ったりする必要がある。
 うん、それはわかる。
 でも、だからと言って、「右足をこれこれこういう角度で出して、これだけの強さで踏み込み、さらにその0コンマ何秒後に、左足を追随させて……」なんて考えて全力疾走している人がいるだろうか?
 わたしにとって、魔法というのもそれと同じなのだ。
 気がついたら、特別な修練なしで、できるようになっていた。
 高度な魔法を使う際は、「ちょっと頑張る」という気持ちになることはあるけど、(推測だけど)他のメイジのように、理論的に考え、慎重に呪文を唱え、意識を集中して魔法を紡いでいるわけではない。
 それは──明らかに異端だ。あえて例えるなら、人の天敵たるエルフに代表される亜人や韻竜たちの使う"先住魔法"に近い。
 それを認めることは、わたしは……ひどく恐ろしかった。
 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし使い魔を召還せよ」
 久々にまともに呪文を詠唱して、わたしは魔力を解放した。
 (お願い……犬でも猫でも烏でも……いいえ、大嫌いな蛙や昆虫だって構わない。平凡な使い魔でありますように。
 間違ってもエルフや亜人なんかが来ませんように。ああ、韻竜なんかもわたしには過分です! 神様始祖様ご先祖様!!)
 信心深いとは到底言えないわたしが、「困った時の始祖頼み」を承知で始祖ブリミルに祈っていた。
 その願が叶えられたのか……。
 ポンッと軽い爆発音(イザベラが魔法を失敗したときの十分の一くらいの音だ)とともに、薄く煙が立ち昇り……そこには、一匹の黒い獣がきょとんとした顔(いや、何となくそんな気がしたのだ)で、わたしを見つめていた。
 大きさからして狼の仔、じゃないわよね。犬……かしら?
 ちょっと珍しい種類だけど、うん、たぶん犬で間違いないと思う。そんなに大きくはないけど、なかなかはしっこくてヤンチャそうな面構えだった。
 「……やったーーっ!」
 サモン・サーヴァントが成功したからといって、これほど浮かれている生徒は珍しいかもしれないが、これくらいは勘弁してほしい。
 夢見たとおり平凡で、喜ばしいことになかなか愛らしくさえある使い魔。
 それをわたしは引き当てたのだ!
 「ははは、ミス・ヴァリエール。嬉しいのはわかりますが、次は契約に移ってください」
 苦笑するようなコルベール先生の声に、わたしは我に返る。
 「す、すみません」
 続くコントラクト・サーヴァントの魔法もつつがなく成功し、犬の左前肢にルーンが刻まれたようだ……毛並みが真っ黒だからわかりにくいけど。
 その犬は、なんだか胡散臭そうにルーンを見つめている。
 (さっきも思ったけど、なんだか随分と人間くさい表情をする犬ねぇ)
 そう感じたものの、その時はわたしはさほど気に止めなかった。
 ──あとで死ぬほど後悔するハメになるのだけれど。
168『99.9%の孤独』 :2009/06/20(土) 05:10:00 ID:iKxIgIt5
 さて、わたしのあとに数人も、ほぼ問題なく使い魔を召喚し、無事に契約を済ませることができた。
 「ほぼ」と言うのは、イザベラが召喚したのが人間、それも東方で巫女をしていたという女性だったからだ。
 さすがに異国の平民とはいえ人間を使い魔にしてよいものか、ちょっとした紛糾があったのだけれど、召喚された当の本人が使い魔になることを了解したので、無事に話はおさまった。
 ちなみに、キュルケは大きなサラマンダーを使い魔にしている。火属性で"情熱"の異名を持つ彼女にはピッタリだと思う。
 コルベール先生の指示で、生徒たちは"フライ"を使って学院の方へと帰り……。
 わたし達──わたしとキュルケとイザベラ、及びそれぞれの使い魔は、ゆっくりと話をしながら、学院へと歩いて帰った。
 どの道、午後からはメイジと使い魔の交流に宛てる時間なのだ。別段急ぐ必要もない。
 イザベラの使い魔となった女性は、20代半ばくらいの黒髪のなかなかの美人さんだった。
 ここがサハラ砂漠を越えた(彼女から見て)「西方」にあるハルケギニアであるということには驚いていたみたいだけど、すぐに納得したみたいだ。
 クールと言うか知的な感じのする女性だ。ちょっとエレオノール姉様に似ているかもしれない。顔つきじゃなくて印象が、だけど。
 「契約しといて何だけどさ、ほんとによかったのかい?」
 イザベラは、女性の額を見つめなが、そう尋ねる。彼女のルーンはそこに刻まれているのだ。
 たぶん、男前な娘だから、女の顔に傷をつけてしまったことを後悔してるのかもしれない。
 「構いません。詳しいことは後ほどお話しますが、あのままでは私は殺されるところでした。ですから、貴女は命の恩人なのです」
 「ふん、別にそういうつもりは無かったんだけどねぇ」
 顔をそむけて言葉を漏らすイザベラ。もしかして、照れてる?
 「うるさいッ! 余計なことお言いでないよ、ルー子!」
 明らかにうなじを赤く染めて、怒鳴るイザベラ。
 そんな風に元巫女も含めた女4人は和やかに談笑して、学院へと戻った。

 うん。そこまでなら、何ら問題ない。
 問題なのは、部屋に帰ったそのあと。
 『やれやれ、コッチの契約はずいぶん勝手なんだな。まァ、アンタ、美人だから許すけど』
 「!!」

 その日、私は天国と地獄を同時に味わうこととなったのだった。
----------------------------------------
以上。「つづく」と書きたいところですが、どーなんでしょーねぇ。
正直確かにキツいかもしれません。
169『99.9%の孤独』 追記:2009/06/20(土) 05:31:26 ID:iKxIgIt5
・作中でルイズが「魔力」と言っているのは誤字・勘違いではありません。
・ギーシュは、さすがに元(原作版)に近づけるかも。(つづいたら)
・アンアンが空気をよめないのは世界の常識。この世界でも、無邪気にルイズの神経を刺激しまくります。

>149、150
おっしゃるとおり、ルイズのコンプレックスを減らすため。「黄金のプロポーションってわけではないが、年相応に女らしいと言える」体型。


>152
こんな感じで、シェフィールドさんを召喚です。
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 09:16:05 ID:9O9JU18s
もしルイズに女装壁の双子の弟がいたら?
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 10:05:15 ID:4fpMqlCf
貧乳がコンプレックスに繋がると誰が決めた!!貴様は貧乳を嘗めたッ!!
認めん、絶対に認めないぞッ!!!
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 10:16:32 ID:8srHhl8F
乙。
まあギーシュが原作に近いなら……。

アンアンは実に闇暗としてる方だから、楽しみです。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 10:40:45 ID:AjsYwma6
>>171
ネタも過ぎたらウザいよ
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 10:47:14 ID:mSQiQ/gV
>>171
まあ貧乳も巨乳も乳は舐める物だ
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 10:54:31 ID:8N+iOhFb
マザリーニがいないトリスティンは
1.頼れる人材がいないので、マリアンヌ覚醒
2.中央の威光が届かなくなり、トリスティン王家は名前だけになる(リッシュモンはロマリアに帰還)
3.ヴァリエールあたりの要請でアルビオンが吸収する形で連合王国を興す(ルイズはアンアンに恨まれる)
4.ジョゼフがトリスティンを乗っ取り、本家をシャルルに継がせる(ジョゼフに勝つためシャルルが原作ジョゼフの活躍を見せる)
5.混乱に乗じてゲルマニアがトリスティンを吸収するか、多くの諸侯を調略しトリスティン領の多くを切り取る
6.奇跡的に諸国の介入が無く、まともな諸侯は粛清され、腐敗が再生不能なほど深刻になり革命、内戦前夜の状況になる
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 12:20:11 ID:sLnkIGb+
ジョゼフは6.を眺めるのも好きそうじゃない?w
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 13:56:49 ID:ZVf1Bz8m
>>162
ここでマジレス
原作のオークは雄しか存在せず生まれる子供は全てオーク(雄)
とか言って見る。
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 13:59:06 ID:oR3IPkcq
そこで女性形オークが出来たら聖女様扱いですよ
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 14:04:49 ID:p3tw/Ccu
エロゲ板に迷い込んだのかとおもったぜ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 14:14:02 ID:f0fT5gBk
>178
つまりレロトラー様ですね。

明日のハルケギニアを支配する死の女王光臨ですよ!

【ただし、カリーヌが死ぬ】
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 16:26:10 ID:xWZYGvw3
間を取ればいい。
ハーフオークルイズには♂も付いているんだ。

カリーヌも雌のオークを産んだことに驚く。
奇跡のオークルイズ。
虚無並みにレアな存在。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 16:53:06 ID:qB3LYr+c
>>177
それホント?>オークは雄だけ

てかオークの出て来る作品の原典って何だろ
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 16:57:52 ID:e2Lx0PHy
>>181
ハッタリ仕事しろw
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 17:52:55 ID:p9bKwRXm
>>182
近代作品でのオークは指輪物語じゃね?

元はラテン語らしいが
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 18:05:23 ID:f7+f9Gey
はるか東方に存在する、黄金の国ジパングにも存在したらしいな
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 18:29:34 ID:Va0GR3hq
羅馬帝国の死神オルクスは豚面をしていたとかなんとか
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 18:36:19 ID:qB3LYr+c
>>186
>>184のネタはそれかな?バスタードにそんな情報があったような


バスタのオークはエルフ以外の人間、亜人を孕ませて混血児を生ませてしまえるとあったのを思い出してね……ゼロ魔のオークもそんな能力持ちだったらおぞましくて面白いな、と

てか混血萌えとして物申したい、ゼロ魔には亜人とのハーフが少な過ぎやしないか?
テファくらいしかいないじゃん
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 18:39:40 ID:f7+f9Gey
やっぱり背中に羽の生えた剣士は欲しいよね、アニエスさんとか焼き打ちを混ぜれば主人公にすら成れるよ!
翅でも良いよね。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 19:02:04 ID:HX/EGvA1
>>188
『剣』『翅』と聞いて真っ先にダンバインを思い出してしまったw
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 22:06:09 ID:f0fT5gBk
剣翅虎、と言う言霊が降りた。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 22:08:09 ID:AHiXDKUX
>>190
            あんたの言葉で煉獄暮らしを思い出したよ・・・・・
        Λ_Λ
      /,'≡ヽ::)、
 ̄ ̄ ̄ ゙̄-' ̄`--´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 22:15:08 ID:f0fT5gBk
>191
……ひょっとして、既にどっかで使われたネタだったの?
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 22:19:12 ID:AjsYwma6
まさか某御大のことでは
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/20(土) 23:20:45 ID:v4y1yqSJ
真っ先に吸血鬼とのハーフが浮かんだが

・日光に対してそれなりに耐性を持つが長時間浴びると倒れる
・グールの作り方は知らない
・血は意中の男の物しか吸ってない

とか、どっかのラブコメに出てきそうな特徴持ちしか浮かばない
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 00:04:21 ID:dp2vxzaF
父吸血鬼、母人間。
父退治される。
母は病気で死にそうなのを娘がグールにする。
「ずっと一緒だよ、母さん」

これをルイズに置き換えると、
夫と娘二人で旅行中にカリーヌ行方不明。
好色の吸血鬼にNTR NTR NTR
ルイズ誕生。
調子に乗った吸血鬼が退治される。
ルイズ、母をグールにする。
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 00:07:22 ID:hdpHIilP
あのルイズママンだったら、返り討ちにする姿しか思い浮かばないんだがw
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 00:36:05 ID:DaF8+iGC
混血ってメアリー・スゥテストの設問にあったっけ
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 01:42:34 ID:k81TKg8w
まとめると、こういうことかな?

ルイズ・中略・ヴァリエール(ウェズリー・スナイプス)
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 02:32:07 ID:DljHXt7x
皆亜人の血を引くゼロの使い魔とか

人間にしか見えないサイトも実はブリミルとサーシャの子孫
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 02:43:00 ID:gflQfGIz
>>199
亜人の方が魔法の威力が高いことは知られているので、貴族が亜人を娶ることが多いとか?
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 04:18:44 ID:B4JhYn+/
ライト風…
文化的に、亜人は乳母にしか使えなさそうだけどな。(乳から魔法関連の能力を受け取れるかは分からないが)
亜人を娶るとすれば、女貴族(女侯爵、女伯爵)が生まれる(亜人を夫とする)。雑種(混血)ばっか。文化はごちゃごちゃっとしている。
または、貴族に女は成人後、平民に身分を落とされる。(使用人として働くか、仕官するか)
└―成人になる(平民に身分を落とす)まで、公女たちは中央政府への道を築き(官僚や、軍人に志願)、一定の地位を得てから平民へと降る事を選ぶ。(女性官僚・女性軍人の割合が増える)
    ┠―女性の参政が既に存在する奇妙な世界。(ただし、平民男性の参政は未来永劫ない)
    ┗━女性軍人萌えー!女性キャリア萌え!(独立心高く、独身女性やバツ二桁が多し)

以下エログロ風…
亜人牧場(搾乳工場)。乳を飲み続ける為に…。雄の亜人は搾乳工場で強制労働。
奴隷亜人。体液交換による魔力うp。何の体液はヒミツ。
亜人の血を飲用、あるいは血風呂・血のシャワー(鋼鉄の針の檻に閉じ込め、天井からぶら下げ、血の雨を浴びる)。吸血伝説。
食用亜人。品種改良した食べられる亜人。亜人雄性体の睾丸は魔法素材としても高価。食人文明。
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 04:20:54 ID:B4JhYn+/
>>201
貴族に女は成人後→貴族の女は成人後
orz
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 05:06:15 ID:k81TKg8w
全年齢板でエログロとか、「風」でもやめた方が良いんじゃない?
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 07:32:20 ID:+JxX8Sh9
誰がマンアフターマンや家畜人ヤプーを読みたいと(ry

ここにいるぞ!
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 09:21:39 ID:fjOFz8FK










206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 09:27:11 ID:+uJAAEPh
>>175
3.だとアンアンとしてはウェールズと結婚できる上に政治はジェームズやウェールズに任せられていいことずくめじゃないか
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 10:06:15 ID:b5+j3wcd
浮遊大陸アルビオンの中心に、バビル2世のコンピューターみたいな
完全自律式の機械知性と自動プラントがあって、王族貴族は
おかざりで、反乱軍が勝ってもお飾りが変わるだけとか
現王室も最初の支配者では無いとか
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 12:52:25 ID:GkjfYDH0
ヴァリエール公爵×亜人→虚無
カリーヌ×亜人→虚無でない
ヴァリエール公爵×カリーヌ+先祖返り→虚無+亜人

ルイズを人外にするにはどれがいいだろう。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 13:00:00 ID:fjOFz8FK
しなくていいです
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 13:14:20 ID:BHkjkZhF
ルイズの脳を人外に移植すれば人外ルイズのできあがり

いっそのことロボにしてみたい
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 13:59:27 ID:637loJs5
いつだかのネタにサイトがマッドサイエンティストってのがあったな
逆らう奴はみんなサイボーグ化、その第一号がルイズっての
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 14:10:08 ID:7Mz5bFNg
エルザ召喚してグールにされるルイズとか。
BAD END系短編IF。
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 14:36:39 ID:tIxXnKxG
>>210-211
悪魔の笛!?
214レッド・ベア:2009/06/21(日) 17:43:41 ID:gjyKRBhL
「我は求め訴えたり!」
「魔界転生」(深作版)の沢田研二のように叫んで杖を振り下ろすルイズ。
その時、世界が震えた。
ある者は周囲が真っ白な閃光に包まれるのを見た。
ある者は視界がネガポジ反転した。
ある者は水辺で草を食む首長竜の頭上を飛ぶ宇宙戦艦を見た。
ある者は赤毛アフロの少年を先頭に、全裸で因果地平に飛んでいく集団を見た。
そしてルイズは杖を振り下ろした姿勢のままうつ伏せに倒れピクリともしない。
ルイズの傍らに片膝をついたコルベールが、右手を伸ばして少女の肩を揺する。
「ミス・ヴァリエール?」
返事がない、ただの屍のようだ。

ドニエプル河口の端で、第16親衛戦闘機連隊のパヴェル・ネフェドフ大尉が飛竜に騎乗した青髪の少女を
発見したのは、ラ・ヴァリエール家の三女が原因不明の昏睡状態に陥った三日後のことだった。
ハルハ河の戦いで日本の戦闘機と爆撃機十一機を撃墜し、ソ連邦英雄の称号を得たネフェドフは、「チャイ
カ」の愛称で知られる敏捷なポリカルポフ戦闘機を操って、ウクライナ上空を時速176kmで飛んでいた
のだった。
昨日の深夜まで隊の仲間とウォトカのボトルを開けていたネフェドフは、自分がまだ酔っ払っているのでは
ないかと考えた。
何だあれは?
まるで御伽噺に登場する空飛ぶドラゴンではないか!
それに背中に乗っているのは?
どう見ても子供だ!
ネフェドフは接近した。
竜の背でマントをはためかせる小柄な人影が、手にした棒のようなものを振り上げるのが見えた。
フォースが警告を発する。
スロットルを開くと星型九気筒のM−62エンジンの回転が高まり、急加速によって身体が座席に押し付け
られる。
急上昇するチャイカの真下を、砲弾型の氷の塊りが唸りをあげて飛び去った。
何をどうやったのかは不明だが、攻撃を受けたのは間違いなかった。
ネフェドフは暗緑色と明灰色に塗り分けられ、胴体に赤い星を描いた複葉機を鋭くターンさせた。
腕利きのパイロットが操るチャイカは360度旋回に10〜13秒しか要しない。
そしてネフェドフは飛び切りの腕利きだった。
ネフェドフが攻撃態勢に入ったのを見て、スピードを上げ離脱を試みる飛竜だったが、千馬力のエンジンが
全力を振り絞り、全速となったポリカルポフ戦闘機はグングンと距離を詰め、機首に装備された四挺のSh
KAS機関銃の全火力を浴びせる。
竜は甲高い悲鳴を上げ、クルクルと回りながら低く垂れ込めた雨雲の中に消えた。
二十分後、基地に戻ったネフェドフは、足早に司令室に向った。
「隊の情報士官ブタコフ少佐に会いたい。特別に報告しておきたいことがある」
215レッド・ベア:2009/06/21(日) 17:44:27 ID:gjyKRBhL
「お姉さま、シルフィとっても怖いのね」
「大丈夫、私がついてる」
満天の星空の下、遮蔽物を全く欠いた広大な草原の真ん中で、僅かな地面の窪みに身を隠したガリア王国北
花壇騎士タバサことシャルロット・オルレアンは、傷付いた使い魔をそっと抱きしめた。
ガリア王ジョゼフT世の弟、オルレアン公シャルル(故人)の忘れ形見であるシャルロットは、身分を偽り
名を変えてトリスティンで留学生活を送る傍ら、ジョゼフの娘でガリアの非正規軍事行動を取り仕切る北花
壇騎士団長イザベラの命令で、様々な秘密工作を行ってきた。
そして使い魔召喚の儀式で風韻竜の幼体と契約し、シルフィードと名付けたその翌日にイザベラの居城プ
チ・トロワに召集されたタバサは、ガリアと国境を接するエルフ領の異変を調査するよう命じられたのだっ
た。
(あれは一体なんだったのだろう…)
タバサは昼間交戦した未確認飛行物体について思いを巡らせた。
あの時はけたたましい音を立てて接近する異様な物体を見て、パニックに陥った使い魔の恐怖が伝染し、つ
いこちらから攻撃を仕掛けてしまった。
北花壇騎士として、翼人やら吸血鬼やらミノタウルスやらと渡り合った経験を持つタバサだったが、異世界
の技術で作られた航空機との遭遇は彼女の常識で理解可能な範疇を越えていた。
「お姉さま、シルフィお腹が…」
「静かに!」
タバサは空腹を訴える使い魔の声を鋭く遮った。
横一線に並んだシルエットを月明かりの中に浮かび上がらせた一団が、ゆっくりと近づいてくる。
タバサは戦闘者の思考で素早く状況を整理した。
使い魔の怪我は治癒魔法で塞いだが、体力の消耗が著しく飛行による脱出は不可能。
タバサ自身は掠り傷一つ負ってはおらず、体力、魔力とも全く問題は無い。
そこでタバサは、自らが囮となって追手を引き付けることを決意した。
使い魔を見捨て、自分だけ脱出する選択肢は最初から考えもしない。
三日に満たない付き合いであったが、一人と一匹の間には強固な絆が築かれていたのだ。
「ここにじっとしている」
シルフィードを窪地の底に伏せさせ、背中に枯れ草を乗せる。
偽装と呼ぶにはあまりにお手軽だが何もしないよりはマシであろう。
タバサは捜索隊の前に身を晒すと、姿勢を低くして走りはじめた。
「ストーイ!」
背中に浴びせられる制止の声に構わず、更に足を速める。
追手の注意を風竜から逸らすのが第一の目的だが自分だってむざむざ捕まるつもりはない。
「ストーイッ!」
再び制止の声。
続いてタンタンタンという乾いた音。
目の前の地面に三つ並んだ穴が穿たれるのを見て、タバサは凍りついた。
先程の音が銃声だということは分かる。
自分が狙われているということも。
だがハルケギニアの何処を探しても、連射できる銃を持っている国など聞いたこともない。
彼らは一体何者なのだ?
暗闇のなか、立ち竦むタバサにゆっくりと近づいた人影がはっきり見える距離まで来ると、今度こそタバサ
は心底仰天した。
彼女の目の前に現れたのはヘルメットを被り、着剣した自動小銃を両手で構えた熊だった。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 17:45:18 ID:gjyKRBhL
とりあえずここまで
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 17:54:40 ID:I46Ml+Lb
アメリカ兵はウサギですかな?
続編期待
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 18:34:50 ID:k2Uh5Bqd
いまいち背景が理解できんので誰か説明してくれ。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 18:45:26 ID:oY7rs5f1
Cat Shit Oneがネタ元なら
クロススレの方が良いと思われ>ID:gjyKRBhL
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 18:56:29 ID:J9RQ0jxS
もしギーシュがかませじゃなかったら
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 19:55:07 ID:NgM4jKkQ
>>220
つまり、ルイズが召喚したのがギーシュって事ですか。
周囲の反応は
ギーシュを寝取られレコン=キスタに下るモンモラシー
召喚をネタにヴァリエールにギーシュをねじ込もうとするグラモン
グラモンの出来の悪い四男なんか欲しくないヴァリエール
ルイズの頑張りを間近で見て考えと対応を改めるギーシュ
ギーシュの見方を改め距離を取るケティと、ケティに唆されたタバサ&キュルケ
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 20:00:50 ID:DaF8+iGC
軍人の家系らしくみっちり鍛え上げられた肉体と
慢心の欠片もない冷徹な思考

そうするとまずサイトの挑発に乗らないわけだが
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 20:02:13 ID:2YM+u1i0
ギーシュ召喚は思っても見なかったな。そうなったらギーシュは実のところルイズと根っこが似てるんだろうが……
なんか見てみたいぞ。
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 20:07:00 ID:fjOFz8FK
ギーシュ召喚しちゃったらルイズとモンモンの決闘が見れそうだな
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 20:07:02 ID:oY7rs5f1
>>222
・・・今なぜか

花の慶次の絵柄で義兄弟の契りを結ぶサイトとギーシュ

を空目した
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 20:28:22 ID:I46Ml+Lb
ギーシュが四男としてでなく、グラモンの末娘として産まれていたら?
三人男が続いた後で、両親や兄たちに溺愛されて育ったので
性格は、それなりにオットリ系だと思われる。
・・・手を出したら、現役元帥の父とか士官の兄たちが実力行使してくるのが
判っているから、誰も手を出せない鋼鉄の箱入り娘!

で、サイトが召喚されたら、いつしかサイトにヨロメイテ・・・・
公爵家令嬢と伯爵家令嬢をたぶらかした異国の平民の明日はどっちだ!
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 20:40:19 ID:YbVaX2KM
9.11テロは米政府の内部犯行だった!!!

■9.11検証ビデオLoose Change 2nd Edition(ルース・チェンジ 第二版)日本語版(1時間23分13秒)
http://video.google.co.jp/videoplay?docid=4377032998245988095
■ツインタワー崩壊の疑惑を追え『 9.11 疑惑 〜2007 10.15 』(世界まる見え!テレビ特捜部)
http://video.google.com/videoplay?docid=-5334843523818408771
■『911』の真実とは (ダイジェスト版30分) 〜 ConfrontingTheEvidence 〜
http://video.google.com/videoplay?docid=-8142677247936155656
■『911ボーイングを捜せ-航空機は証言する』ダイジェスト版(10分)14.5MB
http://www.harmonicslife.net/gallery/main.php?g2_itemId=3701
■見ればわかる 9・11研究 
http://doujibar.ganriki.net/00menu.html
■9/11トリック─「テロ」は起きなかった マック・レイカー (日本語まとめサイト)
http://homepage.mac.com/ehara_gen/jealous_gay/muck_raker.html
■911 の真相は?(日本語まとめサイト)
http://rose.eek.jp/911/
■9.11の真実(WTC第7ビルは爆破された、ペンタゴンに旅客機は突入していない?
などの数々の疑惑とその反論も) 911同時多発テロにおける真実を追う(日本語まとめサイト)
http://nvc.halsnet.com/jhattori/green-net/911terror/nyterror.htm
■国会で民主党が9.11捏造の証拠をみせました January 10, 2008
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=%E5%9B%BD%E4%BC%9A%E3%80%809.11&aq=f
■9・11事件の米政府内部犯行説に関するリンク集
http://www4.atwiki.jp/911insidejob/
■「ロックフェラーの友は、911を事前に予告した」 アーロン・ルッソのインタビュー(その後、死亡)
9・11がアメリカ政府によって計画されたものであるという証言
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=600415
■9.11疑惑過去ログ保管庫
http://www.geocities.jp/yhp20010911/index.html
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 20:47:29 ID:NgM4jKkQ
ルイズに召喚され同年代なのにロリ疑惑が浮上する神の笛なギーシュ
ルイズが召喚したギーシュを見てジョゼフの使い魔の才人を思い出すタバサ
か。
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 20:54:23 ID:J29W/G+e
>>226
何気にギーシュの立ち位置ってヒロインとしては美味しいんだよな
そこで思った


IF「もしトリステイン魔法学院が女子校だったら」
ジジイやコッパゲ含めて全キャラヒロイン化計画発動だぜIYH!!


・・・ありがちだけど、そういやこのIF出てたっけ?
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 20:57:30 ID:cGVNADrk
ルイズが使い魔召喚の際使い魔を取り違えたら

例えば、二人が同時に召喚する時にルイズがサイトを、タバサがシルフィを召喚したのに
爆発でその辺が分からずルイズがシルフィと、タバサがサイトと契約すると言う…


突っ込みどころが多すぎるのはわかってるけど
原作の第四の使い魔とかでこんなイレギュラーが起こって欲しいんだよな
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 21:17:09 ID:hdpHIilP
>>230
あれ? それって、どっかで見たような気が……
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 21:27:49 ID:NgM4jKkQ
お茶を淹れるのが上手そうな異界の男とモグラの取り違え事件か
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 21:37:02 ID:fjOFz8FK
やはり使い魔取替えっこ&TSネタは基本にして真髄だな
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 21:40:46 ID:hdpHIilP
いや、どこのどの作品だったかは忘れたけど、確かタバサが意図的にサイトを奪ってたんだよ。
気付いてないルイズは風竜呼び出したって喜んでたけど、コッパゲはしっかり気付いてて青くなってた。
確か、タバサがイーヴァルディの勇者をサイトと重ね合わせてた……ような描写があったような気が。
うろ覚えですまん。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 21:42:39 ID:fjOFz8FK
俺もそれどっかで見たような記憶があるんだがわからん
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 21:43:56 ID:G0TWj+bW
>>234
多分勇者ダイ
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 21:56:20 ID:zjdLWeIT
タバサならぬシャルロットによるシルフィード召喚がオルレアン公死亡前で
オルレアン夫人が娘と認識したのがタバサ人形ではなく人型に魔法で変身していたシルフィードだったらとかいうIF

題して「ママはきゅいきゅいザウルスがお好き」とか
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 22:07:25 ID:tIxXnKxG
シルフィに明日はあるのか!?

>>236
それだ!
ダイの強さに気付いて頂いたんだよな。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 22:26:07 ID:NgM4jKkQ
TSか
ヴァリエールの三男、ルイ君
ガリア王子のタバサ(シャルル)君
いい男なキュルケ♂
脱ぐと凄いシエス太
土くれのフーケ(マティアス)
生えていないコルベル子
セクハラのオスマン♀

ルイに召喚され「俺はノーマル」と唱えるのが日課になる才人か。
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 22:42:13 ID:MfCB0lAD
オーソドックスに紗糸たんやニーシュたんのアホの子っぷりに悶えたり、
マニアックな向きにはHENTAI淑女のマリー=コルヌたんやパイパ◯科学オタのジャンヌさんやロリババアオスマン、
はたまた体育会系ヅカ風味なジャンヌ姐さん、もしくはヤンデレメンヌさんをぶつけたり、
熟女部門ならジョゼフィーヌさんやマザリーニ夫人と。
女教皇とジュリエットの百合っケたっぷり陰謀主従もありか。

……ぶっちゃけもうゼロ魔キャラ全員美女or美少女でお願いしたい……!
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 22:46:17 ID:VfrZwGDh
対抗意識から使い魔召喚を同時に行ったらお互いを使い魔として召喚しちゃったルイズとキュルケ
という電波を受信したんだが、なんで俺が使い魔で使い魔が俺でなんて連想したんだろ。
ぜんぜんちゃうやん。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 22:51:50 ID:NgM4jKkQ
男性陣は
ショタ要員にルイ君、タバサ君、テファ♂
女性向け要員にキュルケ♂、シエス太
燃え要員に兄Sさん、フーケ♂

テファのアレを見た沙伊都
沙伊都(あんなのが入ったら裂けちゃうわね…ゴク)

オークが雌しか生めないので他種族から男を攫う亜人になるな。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 23:06:10 ID:MfCB0lAD
もし性別反転したら……か、あと忘れちゃいかん事っつったら

・ビダ姐は絶世の美女
・きゅいきゅい♂はショタ
・ベア公はテファ♂に対するツンデレホモショタ
・騎士団の知恵袋な眼鏡っ子レイナたんは俺の嫁
・モン吉とアンリ様はどーしよ
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 23:56:09 ID:OUx2TSOU
モット伯は若いツバメを囲う妖艶好色な熟女で、ウェールズは男装の麗人か。
ウェールズのイメージが海賊王姫の従者さんしか思い浮かばねぇ
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 00:47:25 ID:fc2tUvQs
ルイズが魔法は使えなくてもこーゆー体型だったら?
                   ↓
   http://sylphys.ddo.jp/upld2nd/niji7/src/1245599089477.jpg

からかうと、半べそがもの凄く萌えるので、男子学生の隠れたアイドルである!
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 01:23:55 ID:N99rVXO1
>>245
お前、そんなグロ画像貼るなよ
本当に最低の屑(姫)だな
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 01:35:52 ID:1jrlwO+e
ギーシュが娘だったらそもそも決闘なんておこらないわけでぇ

それじゃギーシュの存在がそこらの貴族娘Aになって、別のかませ犬キャラが
誕生するだけじゃん
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 01:44:45 ID:En7AxRGZ
TS物で……。
デルフ♂→デルフ♀
スカロン♂→スカロン♀
マルトー→食堂のおばちゃん
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 02:25:06 ID:lvz+X2mG
>>247
諦めたら試合終了だってホワイトヘアードデビルも言ってるぜ。

ギ「バラは〜」
サ「どうみてもビッチです。」
ギ「本当にありがとうございました。」

これでサイトが男だろうが女だろうが、ギーシュは決闘を申し込んでくるはず!
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 02:48:07 ID:sbPf4+bM
>>247
いやいや、基本気が弱いおっとり系という前提+二股の場合

1「ケティー男とは断り切れなくて結果的に付合っていた」
2ケティー男ギーシュ子に詰め寄り泣かす
3モンモン男決闘を申し込む
4サイト子空気と思いきやギーシュ子に泣き付かれてルイズ男共々一緒に二人の決闘を止めることに

というパターンもアリかと
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 02:52:46 ID:lvz+X2mG
「気が弱くておっとりした性格だから断り切れずに付き合う」
これはこれで最悪だよな……
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 07:23:30 ID:4NK6VR4d
ここで、挙動や性格をあまり変えないバージョンを推してみる。

軍人の家系として名高いグラモン家の娘として生まれたキルシェ・ド・ラ・グラモン。
父や兄達に憧れ、同じように軍人になろうと真似をし、なにかと淑女らしからぬ行動に走る少女。
学院に入るときもオールド・オスマンを説得し、男装で過ごす許可を勝ち取っている。
わざわざ真似しなくてもいい女癖まで再現しようとして、ある時二股が発覚、破談に。
それだけなら何もなかったところ、平民の男が洩らした一言を切っ掛けに、売り言葉に買い言葉、決闘を申し込むことになる。


正統派のボクっ娘ですよ? モンモンは漫才の相方みたいな感じで。
……ケティがガチ百合になるけど。
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 07:41:58 ID:7+c3OzZv
そこはケティとモンモンがタチに回ってキルシェを責め立てる展開にすべきだろうjk
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 08:54:00 ID:QhAS88fA
もしルイズがガチユリだったら?
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 09:00:52 ID:/LsGjI1R
タバサを蹂躙する
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 10:47:01 ID:+Uy4SCaW
ルイズがガチユリなのはちい姉様のせいだと想像してみる。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 12:45:25 ID:lvz+X2mG
じゃあ、エレオノール様が結婚できないのも……!?
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 12:47:57 ID:4NK6VR4d
それもガチ百合だ
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 12:58:03 ID:lvz+X2mG
ガリア姉妹が互いにコンプレックスを感じるのも、教皇が聖地狂いなのも、
テファのママとママが処刑されたのも、ワル子がレコン・キスタ入りしたのも!?
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 13:19:37 ID:1jrlwO+e
もう女はみなメイジで男はみな平民でいいじゃん

ゆりゆりばとる
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 14:35:56 ID:3XJ8LtZE
>>259
>>258

うん、ユーゼス乙。
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 15:39:50 ID:dsqVV9XF
もしも始祖の虚無の効果が全ての魔法が消え去る事だったら

いや、『虚無』って名前からして何かが無くなりそうな感じがしただけ
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 16:46:06 ID:WwSi1lfR
存在の引き算……
最終的にルイズは、えーと、輪ゴムになるのか?
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 18:09:55 ID:m6+LoGEe
魔法が消えると同時にハルケギニアが消滅するとか
立ち会っていた面々は全員地球へ…
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 19:46:27 ID:/LsGjI1R
もしもルイズに正ヒロイン補正がなかったら
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 19:59:01 ID:wBDYRNtS
アンアンが虚無だったら
ルイズ=水か風のトライアングル、親友のため魔法以外でも、やれば出来ることを証明しようと奮闘
アンアン=人形姫とバカにされ続け、母親に殺され掛けた事もあり何事にも無関心、ルイズに対してかなりの劣等感を持っている
マリアンヌ=夫に先立たれ、一人娘は魔法を使えぬ無用者、アンアンと無理心中をはかったがマザリーニに阻止され、その後に単独自殺する
才人=アンアンに召喚される。他人とのコミュニケーションに飢えていたアンアンの話し相手になる
コルベール=ルイズの紹介でアンアンの相談役になる
銃士隊=平民のみで構成された国庫で賄われるルイズの私兵と貴族の間で囁かれる
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 20:40:56 ID:metAzPQC
虚無の使い手は、もし虚無になるための資質が足りなかったら天才的な系統魔法の使い手なんだろうな。
シャルルとガリア王の対比を見るに。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 20:54:32 ID:/LsGjI1R
おっとイザベラの悪口はそこまでだ
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 21:22:24 ID:fvJgyYKA
様をつけろよデコ助様に
270るの人:2009/06/22(月) 21:32:07 ID:XA7NnDQO
「99.9%」、やはり評判悪そうなので、続きはすっぱりあきらめます。
亀レスですが、混血・人外ネタは、才人を「実は人狼or吸血鬼」にするとかでも対応できそう。「僕の血を〜」や「僕にお月さまを〜」ぽくコメディ路線なら、「ゼロ魔」の世界観ともうまくあいそうですし。
で、エルザを「数十年前にこちらに飛ばされた、才人の祖母の姉」にしちゃうとか。ロリばばあ化でヒロイン参戦も可能?
TSネタは、上にもありましたがギーシュを伊集院レイのごとく「実は男装した美少女」にしてみたら、テンプレを適度に使いつつ、美味しい展開にできるかも、と夢想してみたり。
ほかの人間は気づいてないんだけど、鋭いタバサや決闘時に胸揉んじゃったサイトは気づいてるとか。
虚無アンアンは、下手したらルイズ以上に歪みそうですねー。個人的にはデコ様を虚無にする方が好きですが。

閑話休題。
以下、またも「るいとも」関係のネタss。ただし、ほかにもまとめwikiにある各種SS(できれば「三人娘夢想夜話」だけでも)を読んでる方が楽しめるかと。
----------------------------------------
るいとも外伝『Crossing Views』

 それは、3年生への進級を控えた春休みのある日のできごと。
 「才人ぉ、いま暇?」
 私は、ちょっとした思いつきがあって、自分の部屋にいる才人を訪ねた。
 「ん〜? アニメ誌のチェックしてるくらいだから、ヒマっちゃあヒマだな。なんだよ、ゲームか?」
 ベッドの上で胡坐かいてた才人が気のない返事をする。
 「チッチッチ、私だって年柄年中ゲームばっかやってるわけじゃないわよ」
 「ウソだッ!」
 間髪入れない才人のツッコミに、ちょっと首を傾げて考える。
 「──ごめん。確かにそーかも。"24時間ゲームのことしか考えてないわけじゃない"に訂正しておくわ」
 「いや、そこは、どうせなら否定しろよ」
 苦笑いしながら才人が座る位置を変えて場所を空けてくれたんで、彼の隣りに腰かける。
 「うんと……テファがさ、初めて"どこでもドア"の呪文使った時のことは、覚えてる?」
 一応、正式名称が「世界扉」だと知れてからも、私はこの呼び名を使っている。まぁ、もう10年以上も使い続けてきたんだし、そう簡単には変えられない。
271『Crossing Views』:2009/06/22(月) 21:34:13 ID:XA7NnDQO
 「ああ、確か20センチくらいのヘンな穴だけが空中に開いてたっけ」
 「色々調べてみたんだけど、あれって"ドア"のつなげ先が不定だから起きたみたいなのよ。
 で、私も、ついに地球(ここ)とハルケギニア(むこう)以外の世界にもつなげられないものか、いろいろ試行錯誤してみたの」
 「ヲイヲイ、物騒な真似するなぁ。それこそ、天界魔界とか惑星ソラリスとかヤバい所に繋がったら、どーするつもりなんだ!?」
 呆れたように言う才人。
 「ああ、そのヘンは大丈夫。いろいろ試してはみたけど、やっぱり"地球"か"ハルケギニア"にしかつなげられないみたい。ただし……」
 と、ここでいったん言葉を切り、ニンマリ笑ってみせる。
 「それが、"ここ"や"むこう"とは限らないようだけど」
 私の発言の内容について、才人はけげんそうな顔で考えこんでいる。
 「──あ〜、突飛な解釈かもしれんが、それはもしかして……"パラレルワールド"とかいうヤツか?」
 「だいせいかーーい!」
 私は、背中に隠していた"杖"をとりだす。
 最近の私は、ブレスレット型の発動体を愛用している(というか、魔法自体ほとんど使わない)ので、この"杖"を手にするのもずいぶん久しぶりだ。
 ──と言うか、机を整理しててこの杖を見つけたので、いい機会だから色々実験してみた、というのが実は真相だったりするんだけど。
 「さすがに、向こうに直接行くのは色々問題ありそうだけど、ちょっと覗いてみたいと思わない?」
 10センチくらいの"穴"から覗き見するくらいなら、さして影響はないだろうしね。
 「まぁ、そりゃ、興味がないって言えば嘘になるけどな」
 口では渋々と言った調子だけど、表情は興味深々といった様子。さすがは、我が終生のライバル! ……いや、別に競ったり賭けて戦ったりしたことはないけど。
 「でしょでしょ。じゃ、始めるね!」

<ケース1>
 「あ! あれ、才人じゃない?」
 「うん、確かに……って、魔法学院の制服着てる!?」
 「教科書とか杖も持ってるみたいだし、学院の生徒ってこと?」
 「あぁ、ミスタ・フォンティーヌとか呼ばれてる以上、貴族の一員らしいな」
 「なるほど。"もしも才人がハルケギニアの貴族だったら"という世界なワケね」
 「お、あっちから走って来るのはルイズか。あ、何か言ってる」(←耳をすます)
 "ちょっと兄さん、待ってください!"
 「「な……"兄さん"!?」」
 「何? アッチでは私と才人が兄弟なワケ!? あれ、あのルイズの後ろから歩いてくるのは、ちぃねえさまよね。……ってか、若っ!」
 「見たところ17、8歳。俺らとおんなじくらいの年代かね。"弟くん"……? なるほど。ルイズと俺が兄妹なら、当然、カトレアさんが姉ってことになるよな。ん? でも苗字がヴァリエールじゃなかったよな」
 「たぶん、養子かなんかなんでしょうね。それにしても、才人ぉ、義妹から"兄さん"って呼ばれ、義姉からは"弟くん"って呼ばれるって、まるっきり……」
 「……言うな」
 「だって、"姉の親友の勝気な先輩"とか"胸の大きい悪戯小悪魔娘"、"小柄な同級生の博識キャラ"って女友達の配置からして、どー考えたって「DC2」じゃない! あ、猫耳メイドは「DC」だっけ?」
 「だから言うなって! なんだよ、あのリアルギャルゲー環境!?」
 「羨ましい?」
 「う、う、うらやましくなんか……」
 「ほんとに?」
 「──ゴメン、ちょっとだけ妬ましいかも」
 「正直でよろしい。でも、なまじあれだけの女の子にフラグ立ててると、冗談抜きであとでマジ大変だと思うわよ」
 「だよなぁ。たぶん純愛系だから、最終的にはひとり選ぶんだろうけど。下手に複数手ェ出して、NiceBoatになったら困るし」
 「ギャルゲの主人公も楽じゃないってことよねー」
272『Crossing Views』:2009/06/22(月) 21:35:28 ID:XA7NnDQO
<ケース2>
 「……なんて言ってた舌の根が乾かないうちにコレかァーーッ!」
 「正直、その発想はなかったわ。三つ股ハーレムエンドって……アンタ、どんだけ鬼畜なのよ?」
 「ありゃ俺であって俺じゃねーっつーの。にしても、俺が救国の英雄で男爵とはなぁ。名前からすると、日本出身みたいだけど」
 「爵位はあとからもらったみたいね。で、向こうの私が正妻で、シエスタとテファをお妾さんにしていると」
 「くそぅ、男の浪漫的に、やっぱりちょっと羨ましいかも。でも、このルイズも性格が随分違うよなぁ。おっとりアラアラ系っつーか」
 「そうね。いくら結婚して子供までできたから多少落ちついてるのだとしても、とても自分とは思えないわ。むしろちぃねさま似?」
 「それだ! "もしもルイズがカトレアさんみたいな性格だったら"って世界なんじゃね?」
 「なるほどー」

<ケース3>
 「……普通だな」
 「……普通ね。あ、でもここの私はちょっとツンデレ系みたいだけど」
 「それにしても、あんな綺麗な女性、アンリエッタの側近にいたっけ?」
 「うーーん、見覚えはないけど……え、ウソ! あの清楚な美人さんがマザリーニ卿ですって!?」
 「誰だ、それ?」
 「トリステインの宰相、総理大臣みたいなもんよ。あれ、面識なかったっけ?」
 「知らん! 年増とは言え、あれだけの美人なら記憶に残っててもよさそうなもんだしな」
 「あのーー才人。「惜しいことをした」って顔してるところ悪いけど、うちのトリステインの宰相は男よ」
 「……へ?」
 「だから、男、man、male! それも、40歳くらいなのに妙に老けて見えるオッサン」
 「ヲイヲイ、自分とこの総理を"オッサン"とまで言うか?」
 「今の私は、フランス人留学生のルイズ・フランソワーズ・ヴァリエールだもーん」
 「しかし……なるほろ。つまりアレは"もしマザリーニ宰相が女だったら"という世界なワケか。しかし、それくらいで色々変わるモンかね?」
 「わっかんないわよ〜? ほら、あの魔法衛士隊の隊長っぽい人も、宰相に心からの忠誠誓ってるみたいだし。むしろ姫様に対するより強く」
 「ああ、なるほど。ま、確かに自分の上司がムサいおっさんか、実年齢より5、6歳は若く見える美女か、どっちがいいかって聞かれたら断然後者だもんな。
 それにしても、あんな髭のオッさんがアンリエッタの護衛してたのか。ルイズは知ってたか?」
 「知らなーい。私も面識ないわ。ま、元々、私はアッチの貴族関連の集まりには、さほど詳しくないんだけどね」
273『Crossing Views』:2009/06/22(月) 21:36:46 ID:XA7NnDQO
<ケース???>
 その後も、ふたりでいろいろな"世界"を覗き見してみた。
 私がヴァリエール家の娘じゃなく、平民の傭兵だったり、武器屋の娘だったりする世界。
 変わったところでは、私とシエスタの立場が入れ替わってるってのもあったわね。
 才人が、私じゃなく別のメイジに召喚されてる世界。
 逆に私が、才人以外を使い魔にしてる世界。
 でも、召喚したのが"魔法のコンパクト"ってのは、いくらなんでもないわよねー。アタシゃ、ひみつのア●コちゃんかい!
 「しかし、お前のその能力って、ますます妖怪じみてくんなぁ。そのうち、幻想卿の八雲一家からスカウトが来るんじゃねーか?」
 才人が呆れたのと感心したのを半々にブレンドしたような口調で冗談を言う。
 「ふむ……"異世界に通じる扉を開ける程度の能力"か。悪くないわね。妖怪名は八雲瑠依(るい)かしら。なら、才人は"アイテムを使いこなす程度の能力"ね」
 「香霖堂の主人の立場がねーな。で、次で最後か?」
 「うん、直径10センチの覗き穴とはいえ、さすがにそろそろMPが尽きそうだし。ま、「ソードワールド」と違って、0になっても気絶しないんだからいいけどね」
 これで最後、っと気合を込めて、ちょっと大きめ(って言っても15センチくらいだけど)の"穴"を開けてみる。
 「ありゃ、これって日本じゃねーか?」
 「へ? あ、本当ね。瓦屋根とビルとアスファルトの道路。間違いなく日本だわ」
 「小田急線が見えるとこからして東京近辺だよなぁ。お、ルイズらしき人物はけーん」
 "私"がいるってことは、やっぱりこことは"違う日本"なんだろう。
 「どれどれ……」
 才人が指さす方向に目をやる。
 その時、私はもう少し注意深くあるべきだったのだろう。それまでの"穴"はすべて平行世界とはいえ、すべてハルケギニアに開いていたのに、今回だけはなぜか日本に通じていたのだから。
 「あ!」
 かなり距離があるはずなのに、"穴"の向こうの"私"と目があった……と思った瞬間、いきなり"穴"が広がり、私はその向こうに引きずりこまれていた。

 ×  ×  × 

 ドサッ!
 「ったたたたぁ〜。もぅ、何だってゆーのよ」
 落ちた先が柔らかい芝生だったからよかったようなものの、これがアスファルトの上とかなら骨の一本も折れてたかもしれない。
 とりあえず、芝生の上にペタンと座って、体をチェックしてみる。
 ウン、ちょっと打ち身くらいにはなってるみたいだけど、とりあえず問題はなさそう。
274『Crossing Views』:2009/06/22(月) 21:37:40 ID:XA7NnDQO
 「あ、あのぅ……」
 背後から声をかけられて、ギックーーンと振り向く私。
 マズいなぁ。ひょっとして何もない空中から落ちるところ見られたかな。
 こーなったら、「はにはに」の美琴みたく誤魔化すっきゃないか。
 けれど、そんな私の思惑は、声をかけてきた女性と言うか少女と言うべきか微妙な年頃の女の子の顔を見た瞬間、フッ飛んでしまう。
 「わ、私!?」
 「あら、そんな風に人を指さすのはお行儀悪いですよ?」
 優しくメッ、と諭すような顔つきで私に笑いかけてくる相手もまた、紛れもなく"私"にほかならなかった。

 しばらくの後。
 もうひとりの"私"にいざなわれ、芝生の一角にあるベンチに並んで腰かけて彼女と話をすることで、ようやく私にも事態が呑み込めた。
 目の前の彼女の名もやはり"ルイズ・フランソワーズ・ヴァリエール"。つまり私と同じ。
 とは言え、ここが私のいた日本とは異なる世界であることも確からしく、やはり彼女もまた、パラレルワールドの"もうひとりの私"みたいだ。
 「それにしても……」
 目の前の女性をしげしげと眺める私。
 「?」
 何か?という風に首を傾げる彼女が着ているのは、薄桃色の小振袖(袖が短めのヤツね)。和物好きのはるなんならともかく、私じゃあそれがかなり上質の生地を使ってることくらいしかわからない。
 しかも、それをごく自然に着こなしてる。たとえばイベント(正月とかお見合いとか)で一時的におめかししましたって感じじゃない……普段着? ってことは、もしかして、この人、相当のお嬢様??
(アンタも公爵令嬢だろうってツッコミは、このさい却下ね)
 いやぁ、今日は家ン中なのに、珍しくジャージ着てなくてよかったわ。
 私の今の服装は、レモンイエローのトレーナーと、デニムのミニスカート&ハイソ。そんなに格好気にするほうじゃないけど、同じ顔した人が、ここまでリッパに大和撫子してる前で小豆ジャージでは、さすがに恥ずかしい。
 「あのぅ、どうかなさいましたか?」
 気遣うように私の顔を覗きこんでくれる。
 うわぁ、なんかいい人だよ〜。
 「い、いえいえ。その振袖綺麗だなぁ、って」
 「あら、ありがとうございます。じつはこれ、おばあ様が若いころに着てらしたものお下がりなのですけどね」
 袂で口元を隠してクスクス笑うルイズさん(なんか自分の名前に"さん"づけするのも妙な気分だけど)。
 さっき穴で見た"子持ちルイズ"も確かにおっとり系だったけど、この人のはそれとちょっと違う淑やかさを感じる。
 もしかして、ここって"ルイズが日本で生まれていたら"という世界なのかしら? "才人がハルケギニア貴族"な世界があったんだから、逆があってもおかしくないし。
 「ところで、お話によると、貴女は平行世界の"ルイズ"さん、ということでよろしいのでしょうか?」
 「あ、はい。信じられないとは思いますけど……」
 年上っぽいのと雰囲気でなんとなく敬語になる私。
 もし日本生まれと言うなら、正直魔法云々なんて到底信じ難い話だろう。黄色い救急車呼ばれても、文句は言えないレベルのトンデモ話だ。
 「いえ、信じますわ」
 「は?」
 やっぱり、お嬢様だから人をみだりに疑うなんてしないんだろーか?
 「実は、以前にも、わたし、"わたし以外のルイズ"な方々とお会いしたことがあるんです」
 "ドリームゲート"とかいう夢の中でなんですけどね、と笑うルイズさん。
 話を聞く限りでは、例の"DC2的世界のルイズ"と"子持ちの天然系ルイズ"のふたりと会ったらしい。
 なるほろ、ドリームゲート="夢の扉"か。"世界扉"が使える私なら、もしかして習得できるかもしれないわね。
 覚悟を決めて、私も自分の事情を説明した。
 「まぁ、では貴女も虚無の魔法が使えるのですね」
 感心したようなルイズさんの言葉に、ハッとあることに気づく。
275『Crossing Views』:2009/06/22(月) 21:38:54 ID:XA7NnDQO
 慌てて杖を構え、"私のいた平賀家"に向けて"どこでもドア"を開いてみる。
 「お!? ルイズ、無事か?」
 空中に開いた穴は直径5センチぐらいだったけど、才人が応えてくれたのですぐにわかった。
 「才人ぉ……」
 ヤバい。ちょっと涙出てきたかも。
 「うん、私は無事。ただ、やっぱり今は精神力不足で、まともな"ドア"は開けないみたい」
 「それじゃあ、どこかで一日休む必要があるな。大丈夫なのか?」
 「ええ、平行世界とは言え、ココも日本みたいだし、たぶん」
 とりあえずホラこれ、と才人が差し出す万札を有難く受け取る。
 「駅前のビジネスホテルにでも泊まって、明日になったらそっちに帰……」
 るから、と言いかけたところでタイムリミット。穴が閉じてしまう。
 「そーいうコトなんで、ここから近くにある安いホテルとか、教えていただけません?」
 ポカンと私たちの会話をそばでみていたルイズさんに、聞いてみる
 「え!? ああ、ホテルですか。そうですね。このあたりは住宅街ですので……最寄の駅前にも宿泊施設はないでしょうね。
 それより、もしよろしければ、我が家に泊まっていかれてはどうでしょう?」
 うん、人の好いお嬢様なら、そう言ってくれるかもとは予測してた。でもねぇ……。
 「有難いお申し出ですけど、さすがに娘と同じ顔の女の子がいきなり来たら、ご家族が不審に思われるのでは?」
 もっとも、私と彼女が同一人物と間違えられるか、と言えば、まずその危険性はないと思う。
 彼女のほうが、私より7、8センチ背が高い。たぶん160センチちょっとあるだろう。それに体格の方も、貧弱な私にくらべていい意味でしっかりしてる(とくに胸が! 和服を着ててもわかるくらい違う)。
 髪の毛も、背中まで(日本に来て1回切った)の私と比して、腰というかお尻くらいまであるし、ストパーでもかけてるのか殆どクセがない。
 たぶん私と彼女を並べて見たら、初対面の人は姉妹、つまり私を彼女の妹だと判断するのではないだろうか。
 「うーん、大丈夫だとは思います。逆に、「わたしと同じ顔、同じ年代の方が困ってらっしゃるのを放っておけなかった」と説明すれば、わかってくださるでしょう」
 と言う彼女の言葉を信じて、私は彼女の家に向かった。
 ちなみに、ココは彼女が住む屋敷の庭だったらしい。
 土地が余りまくってるトリステインならともかく、東京都内に自然公園とみまがう庭がある豪邸って……もしかして、この人、とんでもねーレベルのおぜうさま?
 才人の家もそれなりにお金持ちではあるけど(なにせ、長男の新婚祝いに、新築マンションの最上階をポンッと買ってやるくらいだし)、明らかにケタが違う。
 マジでトリステインにおけるヴァリエール公爵家なみの経済力があるんじゃないかしら。
 彼女の自室があるという離れに案内される。
 「散らかっておりますが……」
 と彼女は言うけど、とんでもない!
 優に八畳くらいはある和室はキチンと整理されつつ、年頃の女性らしいインテリアや装飾がなされていて、雑然とした私の部屋とは大違いだ。
 あれ? あそこにかかってるのって、もしかして……学校の制服?
 「えーと、ルイズさんって、ひょっとして高校生?」
 「はい。K泉女学院の高等部3年に在学しておりますけれど……」
 Oh、なんてこったい、てっきり年上だとばかり思ってたヨ
 つーか、同い年なのに、このスタイルですか……。
 ちょ、ちょっとだけ負けた気分になんてなってないんだからネ!
 「? なにか……?」
 「いえ、いーんです。世の不条理に思いを馳せてただけですから」
 と、その時、部屋の扉の向こうで声がした。
 「ルイズ、ちょっといいかな?」
 それは、私にとっては誰よりも聞きなれた少年の声──平賀才人のものだった。
 !
 ……いや、落ちつけ、私。
 こちらに才人の同一存在がいることだって、十分想定の範囲内のはず。
 「ええ、構いませんわ。ちょうどご相談したいこともありましたし……」
 ルイズさんの応えのあと、部屋に入ってきたのは、やはり紛れもなく"平賀才人"だった。
 ウチの才人に比べると、ちょっとだけ体格が良く、日に焼けてる感じがしたけど。
 察するに、こっちの才人はアウトドア派のスポーツマンなのかもしれない。
 「な、なんだ!? ルイズのほかに小ルイズが!」
 ちょ、小ルイズって(怒)……まぁ、あながち間違った表現じゃないけどさぁ。
276『Crossing Views』:2009/06/22(月) 21:40:07 ID:XA7NnDQO
 その後、ルイズさんが才人さん(この人は大学一年生でひとつ年上らしい)に相談することで、ここでの私の扱いはトントン拍子に決まった。
 日本に観光に来たフランス人で、友人とはぐれてオロオロしてるところを、ルイズさんに助けてもらった……ってことに。
 「じゃあ、とりあえず私の偽名は、シィル・プラインってことで」
 「ちょっと待てぃ! もしかして、そっちの俺って、君のこと……」
 焦ったように言う才人さんに、黙って目を伏せてみせる。
 まあ、名前の元ネタ(某ランス)知ってたら、そりゃ焦るわよね。別に奴隷扱いされてるってワケじゃないんだけど、ちょっと悪ノリしてみた。
 「くっ……おのれ、別人とはいえ、ルイズをそんな目に合わせるとは」
 あらら、薬が効き過ぎたかしら。なんだか義憤に燃えてるみたい。
 「いえ、単に「剣士と魔法使い」的なノリで思いついたネーミングなんですけど」
 「え? そ、そうか……」
 「でも、才人さん、あのゲームご存じなんですね」
 「う!」
 「??」
 言葉に詰まる才人さんと、ワケがわからなくてキョトンとしているルイズさん。
 ……なんか可愛い。
 「まぁ、冗談はこれくらいにして、私の偽名ですけど、ミルフィーユ・桜葉ってことで。日系人っぽいから、日本語ペラペラでも言い訳たちますし。あ、愛称はミルフィーでお願いしますね」
 ともあれ、彼をいぢるのは、コレくらいにして妥協案を示しておく。
 まぁ、同じピンク髪でも、ラクス・クラインやミーア・キャンベルとは名乗りたくないし、高良みゆきじゃあ完全に日本人だ。
 「──それも知ってる人が聞いたら微妙だけど……まぁいいか」
 ともあれ、最低限必要な偽装情報は決めたので、あとは好奇心に従って互いの情報を交換してみた。
 このお屋敷は、じつは平賀家のもので、こちらの平賀家は日本でも有数の財閥の統括者らしい。しかも、この才人さんがその長男だって言うんだけど……大丈夫かしら、平賀財閥?
 で、ルイズさんは、元々は私と同様、ハルケギニアのヴァリエール家出身なんだけど、使い魔召喚の儀式時の事故で日本へ。見知らぬ異郷でさ迷っていたところを才人さんに保護され、当初はこの家のメイドになったらしい。
 「あとは、大体想像つきます。
 途方に暮れたルイズを助けた少年は彼女をメイドとして雇う
→家事ひとつロクにできない、ドジっこメイドなルイズ
→「むしろそこがイイ!」と萌える才人
→才人に優しくされて
「あ、あんたのことご主人様って呼んであげてもいいわよ。か、勘違いしないでよね! ヴァリエール家の娘として受けた恩義を返してるだけなんだから!」
 とツンデレるルイズ
→やがてふたりはラブラブに。
 才人の両親もルイズのことが気に入り、ルイズは"ツンデレメイド"から"女子高生"&"デレデレな許嫁"にクラスチェンジ
 こんな感じでしょ?」
 「……どっかからのコピペみたいな箇条書きが気になるけど、まぁ、概ねそんな感じかな」
 ただし、こちらのルイズさんが偉いのは、その後一念発起して家事全般をマスターしたこと。
 さらに、現在は私でさえ名前を聞いたことがあるお嬢様学校に通ってるらしい。加えてお茶やお花に日本舞踊まで習ってるんだとか。これでまだ日本に来て2年ちょっとだって言うんだから……。
 ハァ〜、ほんっと環境次第で人って変われば変わるモンなのねぇ。
 私は、髪と瞳の色以外、どっからどう見ても天然記念物級大和撫子なルイズさんを凝視する。
 その視線にちょっと照れた風を見せる様さえ、奥ゆかしく愛らしい。別世界の自分ながら、思わず押し倒したくなるくらい(ヲイヲイ)。
 ちなみに、私の方の情報(6歳の時から日本へ来てたことなど)についても、向こうは向こうで驚いてた。
 ──客観的に考えると、確かに私と才人の方が波乱万丈ではあるわね、ウン。
 ひとつの世界を征服しようとしていた(ように見える)大国の野望を、その国王と直接対峙することで食い止めたんだし。
 しかも、それ以外にも色々ハルケギニアに影響与えてるし……ウェンディ王女とか、必ずしも望ましくない方向で。
 ズーーーンと落ち込みかけた私のことを気遣ったのか、ルイズさんは「気分転換にお風呂にでも入りませんか?」と勧めてくれた。
 そういえば、芝生の上に転がったから、ちょっと服が汚れちゃったし、そのままココの主──才人さんのご両親に会うのは気が引ける。
277『Crossing Views』:2009/06/22(月) 21:41:12 ID:XA7NnDQO
 着替えも貸してくれると言うので、ありがたくお言葉に甘えることにした。
 「それでは、こちらへどうぞ」
 和式の離れにあるお風呂場は、総檜造りの想像どおり豪華なものだった。
 つーか、この大きさと豪華さなら、一流の温泉旅館に匹敵するんじゃあ……。
 案内してくれたルイズさんが脱衣所から出ようとした瞬間、ティンと来て私は彼女を引き留めた。
 「ねぇ、せっかくだから、一緒に入りません?」

 ──てなワケで、今、私はもうひとりの自分、こちらのルイズさんと、仲良くお風呂に入ってるわけだけど……。
 うぅ、やっぱりこの人、スタイルいいよぉ。
 160センチをわずかに上回る身長は、この年代の日本の女性としてはごく平均的なものだと思う。
 ただ、それにコーカソイド系の手足の長さと色の白さが加わり、おまけに運動でほどよく鍛えられた肢体が健康的な魅力を放っているし。
 さらにそれを引き立てているのが彼女の挙動。別に、キュルケみたく男を誘うコケティッシュな動きってわけじゃなくて、むしろ控えめなんだけど、なんてーかこうピシッ!と決まっていて、それでいて女らしい感じ?
 聞くところによると、彼女は弓道と日舞をやってるらしいから、その影響なのかもね。
 「あ、あのぅ……なんでしょう?」
 視線を感じたのか、シャワーの前で風呂イスに腰をおろして、その長い髪を丹念に洗ってるルイズさんが振り向いた。
 「あ〜、気にしないで。ルイズさん、胸おっきぃなぁ、って感心してただけだから」
 頭にタオル乗せて湯船につかってる私は、しみじみと答える。
 着物着てる段階でも十分予測してたけど、このルイズさんって、私とは似てもにつかない大きさのバストをしてるのだ。
 なんと言うか、私が「大平原の小さな丘」だとしたら、彼女は「日本アルプス」?
 テファやキュルケみたくチョモランマ級じゃないけど、シエスタやかつての姫様になら十分対抗できそうだし。
 ──いいモン、貧乳はステータスなんだモン。
 「ええっ! いえ、そんな……わたしなんかたいしたものでは」
 「ねぇ、何かコツとかあるのかな?」
 いや、その胸だけじゃなく、全体的な発育度合いとゆーかプロポーションの違いが気になるわけですよ、年ごろの乙女としては。
 「そうですね……やはり、適度な運動とバランスのいい食事でしょうか」
 う゛……私といちばん縁のないものだわ、そりゃ。一応、食事はブタらない程度にカロリーとか気をつけてるつもりだけど、間食とか平気でするし。
 まして、私スポーツとか嫌いだしなぁ。ラジオ体操くらいなら何とか続けられるんだけど。
 「あとは、毎日お風呂上りにバストアップ体操を10分くらいやってますけど……。あとでル…ミルフィーさんも一緒にやりませんか?」
 「! そーね。お願いします」
 ルイズさんも2年前、こちらに来た当時は、私と大差ない体格だったらしい。
 それを考えたら、まだ私にも希望が……って、いや18歳にもなって成長期はないわよね、うん。
 「絶望したッ! 無為に浪費されて帰らぬ私の成長期に絶望した〜!」

 まあ、そのあと風呂からあがって約束どおり一緒に体操したり、ルイズさんに着替えを貸してもらったりしてひと心地ついてから、ふたりに連れられて洋式建築の本館へと向う。
 ちなみに、貸してもらったのは2年前のルイズさんが着てたという水色のエプロンドレス。「不思議の国のアリス」を連想させるそれは、たしかに私にもほぼピッタリだった。
 むぅ……確かに私ゃ、16歳の時から1センチしか身長伸びてないけどさ〜。

 うすうす予想はしてた通り、才人さんのご両親はやっぱりとてもいい人で、不審度120%な私のことも、あっさり受け入れて歓迎してくれた。
 とは言え、さすがは財閥総帥だけあって、とくに威圧されてるわけでもないのに、目に尋常じゃない力を感じるのは、納得といったところかな。
 ガリアのジョゼフ王とかトリステインのマザリーニ卿に通じる迫力(プレッシャー)ね。このふたりと対面した経験がなかったら、さすがに私もビビったかも。

 ×  ×  × 
278『Crossing Views』:2009/06/22(月) 21:42:31 ID:XA7NnDQO
 「それからは大した問題もなく、向こうで1日過ごして、こうやって無事に、こっちへ帰って来られたワケだけどね」
 「ふーん、まぁ、よかったじゃねーか。今度、お礼を言いに行かないとな」
 「それが……あれから何度やっても、あの世界に通じる"ドア"は開けないのよねー」
 いくら並行世界とはいえ、日本→日本はやっぱりイレギュラーだったのだろう。
 今度ハルケギニアに行く機会があったら、試してみようかとも思うけど、なんとなくそれでも再び彼女達に会うことはないんじゃないか、って気がする。
 ま、それもいっか。こーして、隣りに"私の才人"がいてくれるワケだし。
 実は、こちらへ帰る前に、ルイズさんの故郷、"あちら"のハルケギニアに"ドア"を開いてみようか、と尋ねたのだけれど、ルイズさんは首を横に振ったのだ。
 「わたしは……才人さんの隣りで生きていこうと決めましたから」
 それが、彼女なりのケジメなのだと思う。
 その点は、私も似たようなもので、たぶん今隣りであくびしてる愛すべき親友/恋人(バカ)の傍らで、これから一生過ごすことになるのだろう。
 高校を卒業したら籍を入れて、晴れて夫婦になるのだ、とはにかみながら打ち明けてくれたルイズさん──向こうの"私"に対して、私は心の中でエールを送る。
 「お幸せに、ね」

 -FIN-
---------------------------------------
以上。しょーもないネタなのに何レスも占拠してしまい、すみません。
要は「るいとも」のルイズと「桃色髪」のルイズのクロスネタですね。
ふたりとも同じように日本に住んでるのに、ずいぶんと違うなぁ、と。
自作品以外にも、いくつかちょろっとネタにさせていただきました。
ご不快なようでしたら申し訳ありません。まとめの際には、その部分は削除させていだきます。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 21:49:39 ID:vt+gXfkZ
乙です

どうでもいいが幻想“卿”って誤字にすごく反応したのは自分だけでいい
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 21:55:15 ID:metAzPQC
ワロスw
ルイズがカトレア化しまくってクソワロタ。個人的には原作そのものをかいま見て欲しかった。

乙!
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 22:05:56 ID:7+c3OzZv
るの人はトリつけないの?
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 23:53:24 ID:Qw2fei2o


ピンク髪だったら事あるごとに戦車の後ろで輪○されまくるあの人を忘れてはいかんだろ。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 00:14:52 ID:47pIpk+g
>>282
それならまだウサギの方がだな
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 00:45:29 ID:Mz+d06AB
乙!
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 01:32:39 ID:32fPMmnU
>>282
好きでやってる鬼畜王の奴隷の人ならともかく
そんなの名乗りたいか?
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 02:28:54 ID:usGZJk/V
乙!
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 07:57:39 ID:Wjt5LC2g
むしもんもんとケティが決闘したら?
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 09:18:07 ID:yLlmqWA8
某所に現代日本人(♂)からケティに転生して主人公してるSSがあったけど、
原作準拠のケティが才人争奪戦にガチで参加してくるとしたら、どんなパターンかな?
アニメのケティのビジュアルって、じつは個人的にはかなりストライクど真ん中なんだけど。
1.ケティが使い魔として才人を呼ぶ
 ←いちばんストレートだけど、あの子1学年下なんだよね
2.ギーシュにふられて傷心のケティを才人が慰める
 ←現実的ではあるけど、接点が……
3.はじめて会った時に、互いにひと目惚れ
 ←どー考えてもギャルゲ主人公です。本当にあ(以下略)
このくらいしか思いつかない
289288:2009/06/23(火) 09:45:27 ID:yLlmqWA8
ごめん、言葉足らずだった。
上のは「才人が七万無双して英雄になり、ビッチどもが寄ってくる前に」ってことね。
できればギーシュ戦前後がベストってことで。
1は、「実はモンモンの存在に気づいていたケティが、対抗心から無断で使い魔召喚を敢行、
それがちょうどルイズの召喚とタイミングが重なり、混線?してケティのもとに才人が、
ルイズのもとにはフツーの使い魔が」だと実現可能か? 無理やりだけど。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 10:14:24 ID:gx6AdHox
最新刊のネタバレ来てるがジョゼットの設定がこのスレ的に色々美味しすぎる…
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 12:38:44 ID:JN8anIjL
ケティか・・・勘違いから始まる的なのはどうか
決闘で「あんなにボロボロになるまで・・・ひょっとして私の為に怒ってくれてるのかしら(ドキドキ」みたいなかんじで
そんでフーケ騒ぎの裏で一人悶々と妄想を加速させて
フリッグの舞踏会で隅で一人のサイトに話し掛けてそのまま流れで踊ってしまったり(無論ルイズより先に)
しかしこれではアルビオン同行は難しいか・・・
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 13:08:10 ID:1VRHAHZK
>289の1の設定で、ちょっと妄想してみた。
----------------------------------------
 左上段から袈裟斬り……と見せかけての本命は下からの切り上げ。
 剣に慣れた人間にほど有効なフェイントだったんだけど、さすがに相手はこの国の騎士の一隊をまとめる人間だけあって、アッサリ見切られる。
 でも……これはどうかな!
 肩の上に振り切ったはずの剣を手放し、強引にレビテーションで浮かせたまま、強引に相手に突っ込ませる。
 同時に、俺自身も低い姿勢からのローキックを繰り出す。
 しかしながら、ここでも相手のほうが一枚上手だったみたいだ。
 俺の蹴りは、相手の膝でブロックされ、上から飛来した剣もはじかれる。
 そのまま、襟首をつかまれ、剣を突き付けられてチェックメイト、だった。
 「はぁ……やっぱ、まだ全然かなわねぇかぁ」
 対峙していた相手が、地面に尻をついた俺に手を差し伸べて引き起こしてくれる。
 「いや、最後のコンビネーションは悪くなかった。集団戦に慣れてない相手になら十分通用したろうな」
 鎖帷子をつけた俺は、相当な重量なはずなのに、軽々と引き起こすその手の逞しさに、まだまだ自分が遠く及ばないと痛感させられる。
 「ただ、乱戦に慣れた騎士なら、複数の方向から攻められても対応する余裕がある。それに蹴りはともかくレビテーションして剣の軌道が甘すぎるぞ」
 そういえば、目の前の相手は、そういう意味では対集団戦のエキスパートだった……と思い当たる。
 何せ、単騎で七万人の軍勢に突っ込んである程度足止めに成功したうえ、瀕死の重傷を負ったとは言え生き延びた、ある意味"生ける伝説"と言うべき勇士なのだから。
 「ま、それでも筋はいいと思うぞ。さすがは俺の息子」
 「はっ、親馬鹿言ってるんじゃねぇよ」
 俺は、目の前の男性──俺の父親であり、剣の師匠であり、とりあえず"漢"として超えるべき目標である、トリステイン水霊騎士第二隊長サイト・バロン・ド・ヒラガに悪態をついた。

 俺の名前は、ケイト・ド・ヒラガ。トリステインの英雄、"イーヴァルディの勇者の再来"と呼ばれる男の長男だ。
 先日15歳になったばかりで、もうすぐトリステイン士官学校に入学することになっている。
 家族は、父さんと母さん、それにひとつ下の妹がひとり。加えて昔からウチの世話をしてくれてる執事とメイド頭と庭師兼馬丁、あとは通いの使用人が2、3人ってところかな。
 まあ、たいした領地も持たない下級貴族の家ならこんなもんだ。実際には、領地経営のための代官とかもいるわけだけど、そっちは別の場所に住んでるしな。
 いくら"英雄"とか"勇者"とか言われても、父さんは元々平民だったらしいから、古臭い伝統を重視するこのトリステインでは仕方ない。
 母さんの実家も同じく下級貴族の出だし、これ以上爵位的な出世は見込めないだろうとのこと。実際、シュバリエの授与のちにバロンの位を得ただけで、破格とみなされてるらしいし。
 ちなみに、母さんの旧姓はケティ・ド・ラ・ロッタ。男爵にしては比較的広い領地を持っている家柄だけど、トリステインでもかなり僻地にあるので、通商その他には不便な土地だ。
 言葉を飾らずに言うと、ド田舎出身のイモ娘ってとこか。
 もっとも、母さんの容貌自体は、身内の贔屓をさっ引いても決して悪くないと思う。
 妹(つまり母さんにとっては娘)のサーシアと一緒にトリスタニアで店に入ったとき、よく年の離れた姉妹と間違われ「お嬢様方」と呼びかけられた……とうれしそうに語ってるし。
 10代のうちに俺を生んだとは言え、その俺が15歳なんだから、すでに30ン歳になってるはずなのに、20代半ば、下手すると22、3歳くらいに見えるって、どんだけ童顔なんだよ!
 父さんは父さんで、母さんよりひとつ年上のはずだけど、東方の人間は歳をとりづらいらしく、これまた30歳手前くらいにしか見えない。
 そのおかげ……かどうか知らないけど、このふたりは万年らぶらぶ新婚夫婦なんだよなぁ。
 夫婦仲良きことは麗しきかな、って言ったって16年以上蜜月が続くってのは、長すぎだろ!?
 「はっはっは、ケイト。お前にも好きな娘(こ)ができればわかる!」
 「わ、わかりたくねー」
 て言うか、ふたりの子持ちに向かって"娘"って表現もアレ過ぎだろ。
293『炎のごとく』:2009/06/23(火) 13:09:20 ID:1VRHAHZK
 「それはさておき、ケイト。お前もいよいよ魔法学院……いや、今の名前は士官学校だったか、に入学だな」
 「ああ、ようやっとね」
 俺は6歳のころから魔法は母さんに、剣術は父さんに習ってきた。
 自分ではそれなりのレベルに達してると思うんだけど、何せ比較対象が対象だけに(母は火・火・土のトライアングル、父はハルケギニア有数のメイジ殺し)、同年代における自分の実力というヤツを試してみたい。
 「まあ、学業や実技に励むのもいいが、父さんとしてはそれ以外に、人との付き合いを学んでほしいと思うぞ」
 お前はどうも俺と同様、人の気持ちに疎い部分があるみたいだからな、と告げる父さんの言葉に、反論する気はない。
 確かに、たまに同年代の知人や親戚と接していても、自分がイマイチ浮いてる感があることは、理解してたからだ。
 「その点は、母さんを見習うべきだろうな。おとなしい顔してコネとか人脈作りとかはやたら達者だし」
 今俺がこうやって男爵でございと威張ってられるのも、半分は母さんのお陰だしな、と笑う父さん。
 確かに人懐っこい母さんのコネと行動力はすごいと思うけど、あの思い込みの激しさについては勘弁してほしい。その点を受け継がなかったことを俺は始祖に深く感謝している。
 ……もっとも、その分、妹のサーシアにその傾向が見られるのが不安だが。
 「そう言えば、父さんって確かトリステイン士官学校の前身の"トリステイン魔法学院"で、母さんと出会ったんだよな? 当時は平民だった父さんが、どうしてそんなところに?」
 かねがね疑問に思っていた事柄を、いい機会だから聞いてみる。
 母さんに聞いても、父さんの同僚のグラモン叔父さんに聞いても、言葉を濁して教えてくれないんだよなぁ。
 「うーーん、そうか、話したことなかったか。ま、あまりおもしろい話でもないんだがな」
 そう言いながらも、傍らの切り株に腰かけた父さんは、昔話をしてくれる気になったようだ。

-つづく-

以上。次回から「サイト×ケティ」の異色ラブコメが開始!?
いえ、大雑把なイメージしか決めてないんすけどね。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 13:49:08 ID:RbrNnpoY
これだけでは良しとも悪しとも言い難いところ。
続きを見てから判断しようか。
さあ続きを。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 17:18:53 ID:/87NYWTO
>>290
だなぁ

>>292
超期待
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 19:08:25 ID:EIZTiqRd
王家の人間である事を捨てて、幼い娘を連れて誰も知らない土地で平民として暮らすジョゼフとマリアンヌ
やがて二人は再婚しました
アンリエッタとイザベラが平民育ちで義理の姉妹
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 20:53:18 ID:Q+0Efkvq
投稿規制で避難所に投下された分はリンク張るだけでいいのか本文も貼った方がいいんだろか?

>62 名前:武器屋の人 投稿日:2009/06/22(月) 22:34:01 [ INLJOV6s0 ]
|ノ。・)避難所が出来てる

|д゚)<……はろー

|)彡サッ

|ω・`)<久しぶり、規制されてるので40分からここで投下します。

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12795/1244799909/64-70
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 20:58:08 ID:Gb5j65Tw
リンクだけで良いと思うけれど……。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 20:58:52 ID:r2KByJqz
僭越ながら、2105(もしくはもう少し後)から本文貼らせていただいてよろしいでしょうか。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:00:43 ID:QwJw2MKG
>>299
おKおK

支援支援
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:03:20 ID:/87NYWTO
4円
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:05:18 ID:r2KByJqz
では代理投下を始めます。

64 :武器屋の人:2009/06/22(月) 22:41:20 ID:INLJOV6s0
「……よし、と」
 綺麗に半熟で焼き上がったベーコンエッグを皿に乗せ、サラダとパンを中央に並べると、おやじは満足げに頷いた。
「おおい、朝メシが出来たぞ、早く起きなさい!」
 芳しい匂いを漂わせる完璧な朝食を背にすると、彼は珍しく朝寝坊をしているらしい愛娘を起こすために声を上げた。
「……んんぅぅ、あと五分――」
 まだ寝ぼけているらしい。
 おやじは苦笑を浮かべると、直接起こしに向かおうとドアをノックした。
「ったくほら、早くしないと冷めるから……」
 返事がないので、娘の部屋のドアノブをにぎり、無造作に開け放つ。
 視線を落とした先にはベッドで布にくるまって眠る愛娘ルイズの姿、の手前でベッドの端にちょこんと腰かけて眠たげに目を擦る見慣れぬ女性。
 艶やかな蒼い髪、女性らしい豊かな膨らみを見せる一糸纏わぬ胸。肩の辺りに巻きつけられた白い包帯は、うっすらと血の染みを作っている。
「ふぁ〜あ……」
 大きな欠伸をしたことで大きく上下する胸。
 無意識に視線を落とし、蒼い茂みが視界の端に掛かった刹那、親父は我に返って素早く視線を反らしドアを閉めた。
 ……あぶないあぶない。客が来ていた事をすっかりと忘れていた。
おやじは深呼吸をして動悸が激しくなった心臓を落ち着ける。妻が逝ってから女性の素肌をまともに見たのは何年振りだろうか……などと、おやじはふと思った。

ドアが閉じる音で目を覚ましたのか、モゾモゾとルイズが起き出す。
 ぐっと伸びをし欠伸をし、ぼんやりと霞がかった意識をシャッキリさせると、彼女は隣で寝ている筈のイルククゥへ朝の挨拶をしようと視線を向ける。
「あ、ルイズおねぇさま、おはようなのね」
「うん、おはよ――って、何で裸なのよイルククゥ!?」
 ルイズは、振り返った勢いでふるるんと揺れた二つの果実を目の前にしてぎょっとする。
「だって動きにくいんだもん……。おねぇさまは動きにくくないのね?」
「い、いいから早く服を着てちょうだい! 昨日あげたのがあるでしょ!」
「むーっ、動きにくいから嫌!」
「ちょ、暴れないでってば!」
 服を拒んで暴れるイルククゥに、ルイズは再び苦戦を強いられる。
「もう、朝っぱらから騒々しい事この上ねぇな」
 ドタバタとしたいつもより騒がしい朝に、壁にかけられたデルフは苦笑した。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:06:34 ID:r2KByJqz
65 :武器屋の人:2009/06/22(月) 22:44:51 ID:INLJOV6s0
「ふー、やれやれ。そろそろ終わった頃か」
 ルイズの部屋から聞こえる騒音が治まったことを確認したおやじは、たった今淹れたばかりの紅茶に口をつける。と、同時に噴出した。
「朝ごはぁんなのねえっ――きゅいっ!?」
 ボタンも留めずにシャツを羽織り、下半身は下着しかつけていない状態の女性が飛び出すと同時に、陰からにゅっと飛び出してきた手に腕を掴まれ再び部屋へ引き擦り込まれる。
「まだだって言ってるでしょうが! 前留めて、あとスカートも穿いてちょうだい」
「嫌よいや! だってそれヒラヒラしてて邪魔だもの、それにこれも息苦しいのね!」
 押し付けられたスカートを気に入らないといった様子でばさばさ振り回すイルククゥに、ルイズは頭痛を覚えた。そこまで嫌なのかと。
「これを着ないとご飯食べさせて貰えないよ? それでもいい?」
 ビシィッ! と目の前に指を突きつけると、ルイズはそう宣言する。
 それはやはり困るのか、振り乱していたスカートの動きがピタリと止まった。
「きゅぅぅぅ、脅すなんて汚いのねっ!」
「だって、そうでもしなきゃあなた服を着てくれないでしょ?」
 涙目になるイルククゥを見て、もう一押しと感じたルイズはトドメの一言を突きつける。「後で外に出たとき、何か奢ってあげるから! ね?」
「え……。串焼き買ってくれる?」
「う、うん串焼きくらい買ってあげるから……お願い」
 ルイズが財布への更なるダメージを覚悟で頷くと、イルククゥは渋々と言った様子で服を身に着け始める。たどたどしい手付きで彼女が服を着終えると、ルイズは溜息をついた。
「はあ……じゃ、朝ごはんにしましょうか」
「きゅいきゅい、ごっはーん♪」
 くるくると回りながら居間へと向かうイルククゥを見て、彼女は苦笑した。
「しかし、えれぇもん拾っちまったよな……お前も」
「仕方ないよ、ちゃんとした治療もしてあげたかったし」
 そういう“超”のつくお人よしな所も彼女のいい所の一つなのだが。

 カチャカチャと食器が鳴る音が居間に響く。
早々に食事を終えたおやじは雑誌を読み読み紅茶を啜る合間に、ちらちらと視線を上げてはテーブルの向かい側に座る二人の食事風景を見遣る。
「あー、ナイフはそうじゃなくて、こう使うのよ」
「む、むう〜。やっぱり手で食べた方が楽なのね」
「だぁめだって! 手が汚れちゃう。ほら、こうやって……」
 フォークとナイフの扱いに苦戦する女性を手取り足取り教えようとするルイズ。
 その様子はまるで仲のいい姉妹のようで非常に微笑ましい。……微笑ましいのだが。
 ルイズは背が高い方だとは言え年齢相応のあどけなさが残る顔立ちであり、イルククゥと名乗るこの女性はしぐさはどうあれ見た目は若い成人女性。
 昨日から困惑しっぱなしのおやじは、テーブルに立てかけられたまに会話に加わっているデルフに目配せをした。
 彼はそれに気付いたようにカタカタと刀身を震わせる。
(……で、あの嬢ちゃんは何者なんだ? なんかものを知らないと言うか……)
(あー、ノーコメントで)
 アイコンタクト(?)で尋ねてみても、色々知っている筈の彼は何も答えてくれないらしい。どうも腑に落ちないおやじは、昨日の出来事を振り返って見る事にする。
 なぜ、こんなわけの分からない展開になっているのか。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:09:23 ID:r2KByJqz
66 :武器屋の人:2009/06/22(月) 22:46:04 ID:INLJOV6s0
※ ※ ※ ※ ※ ※
 夕刻、町の人通りもまばらになり始めた時だったか。店を閉め、妙に帰りが遅いルイズを心配しながらも買い物に出た時だった。
 町の一角が妙に騒がしい。妙に胸騒ぎを覚え、吸い寄せられるように騒ぎの方向へと足を向けたおやじは、騒ぎの中心にいる人物を見つけて仰天した。
「る、ルイズ、どうしたんだその格好は!?」
「あ、お父さん……えーと」
 人々の視線の先に居た二人のうち一人が自分の娘だと分かると、彼は駆け寄った。
 白い服を着て出掛けたはずのルイズは同じデザインでありながら、茶色がかった何とも名状し難い色あいをした服を着ており、しかも随分と湿っている。
そして彼女の服から漂ってくる微かな鉄臭いにおいも、その異様さを引き立たせていた。
どう訊ねていいものかおやじが戸惑っていると、近くに居た男が言った。
「おお、武器屋のオヤジじゃねぇか! ルイズちゃん、随分と大変だったみたいだぞ」
「へっ?」
「なんでもそこの女性が森でオークの群れに襲われてる所を助けたんだとよ。不意打ちとはいえ、あの恐ろしいオーク鬼をバッサリ一刀両断! いやあルイズちゃんは強いなぁ!」
 森で襲われていた女性を助けてオーク鬼とやりあった? ルイズが? オーク鬼と?
 おやじは顔をサッと青ざめさせ、ルイズの肩をがばっと掴む。
「だ、大丈夫だったかルイズ! 怪我はないのか?」
「う、うん。不意打ちが成功したから反撃も受けなかったし」
 ルイズがそういうと、おやじはうつむいて安堵の溜息をついた。
「はぁ。人助けする事は良いが、無茶な真似はよしてくれ。怪我が無くて本当に良かった」
「……心配かけてごめんなさい。それより早く家に帰ろう、着替えたいし」

※ ※ ※ ※ ※ ※
――とまぁ、こんな具合でルイズと一緒に怪我をしているらしい青髪の女性を家に連れ帰ったおやじは、衣服を含めた持ち物を全て失ったという女性を一晩泊めて食事とボロボロの布切れ
(オーク鬼が腰に巻いていたものらしい)の着替えに昔妻が着ていた服を提供し、ルイズの部屋で一夜を過ごさせたのだ。
 件の女性は奇妙なほどに素性を話したがらず、いろいろ聞いてもはぐらかすばかりで、世間知らずなところや、妙に言動が幼かったりとなにかと怪しい。ルイズの強い希望がなければ間違いなく路銀を渡してお帰り願っただろう。
 だが、ルイズも奇妙に彼女と仲が良いので、おやじもあまり気にしない事にした。
 どうせすぐに出て行く予定だし。
「ふう、ごちそうさま」
 ルイズが最後のパンを食べきると、テーブルの上の料理は綺麗に無くなった。それでもイルククゥは少し物足らなさそうにしていたが。
「さてと。それじゃお父さん、あたしイルククゥさんを送ってくるから」
「お世話になったのね」
 イルククゥがお辞儀をすると、おやじは顔を上げる。
「たいしたもてなしも出来なくてすまんね」
「いーえ、とってもおいしいお料理だったの! 大満足だったなのね」
 満面の笑みを浮かべる彼女に、おやじは微笑んだ。オーク鬼にあった被害からこんなに早く立ち直れてよかった。そう思ったが、実際は彼がおもっているようなあんな事やこんな事はされてもされそうにもなっていないので当然である。そもそも竜だし。
「それじゃあそろそろ行こっか。お父さん、行ってくるね」
「ああ、行ってらっしゃい。気をつけてな」
 デルフを担いでドアを潜っていくルイズを見送ると、おやじは店の方へ移動した。
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:10:53 ID:r2KByJqz
67 :武器屋の人:2009/06/22(月) 22:48:16 ID:INLJOV6s0
 ジェロームは大きなあくびを一つすると、カウンターに突っ伏して寝息を立て始める。丁度誰かの足音が近付いてくるのを感じたが、億劫に思った彼は無視を決め込む。
「エテ公、店番中に寝てんじゃないわよ」
「んだとこの大平げ……!?」
 失礼な物言いに激怒したジェロームは勢いよく顔を上げる。
ふにょん、というやわらかな感触に彼は疑問を持った。
(――おかしい、この声はルイズの筈。だがこの顔に来るやわらかな感触は間違いない。あいつの乳は完全なるまな板……こんなに揉み応えがあるはずねぇ!)
 もみもみ……確かめるようにジェロームは自分が顔を埋めている二つの果実を触診する。
 すると脳天に凄まじい衝撃が見舞われた。まるで鉄の塊で殴られたような。
「ベヘリット!? な、何しやがんだ! 殴るなら素手にしろ素手に!」
 慌てて顔を離した彼は、目の前にいるのが憤怒の表情をしたルイズではなく、きょとんとした表情の青い髪が特徴的な美女だと気付いて目を点にした。その視線を徐々に下ろし、自分がさっきまで顔を埋めていたであろう二つの果実に目が留まる。
「…………でけぇ、ルイズのとは大違いびっ!?」
 再び来た脳天を貫く衝撃に、彼の意識は一瞬闇に落ちそうになるが、ぐっと堪えた。
「――ッテェェェェェ!」
 星が散る視界の中に、彼は憤怒に震えるルイズの姿を見た。その手にはデルフ。
「いきなりイルククゥの胸に顔埋めて揉みしだいた挙句にあたしの胸まで馬鹿にするとはいい度胸ね、このエロザル」
「……いつも言ってるが、峰打ちっつっても当たり所悪けりゃ死ぬぞ? それにエテ公が馬鹿になったらどうすんだよ」
「大丈夫よデルフ、既にコイツ馬鹿だし」
 お決まりのデルフのツッコミとルイズの何気に酷い一言を聞き、ジェロームは頭をさすりながら一人と一本を睨みつける。
「てめえら好き放題言いやがって……ッ! このおねーさん紹介しやがれ!」
「はい?」
 唐突な言葉に、ルイズとデルフの目(デルフにあるかは不明だが)が点になる。
ジェロームは頭をぽりぽりと掻くと、ほんのりと頬を染めた。
「イルククゥさん、でしたっけ? お、お年はおいくつでしょうか?」
「え? えっと、二百……んぐ」
 急に丁寧になった言葉遣いにルイズが唖然としつつも、状況についていけておらず素直に答えそうになったイルククゥの口を塞ぐ事は忘れない。
「――に、二十歳よ。ってか、アンタなんで急に丁寧な口調になってんのよ?」
「だ、だってよぉ、こんな別嬪さんに乱暴な口調で話せる訳ねーじゃねぇか」
 どうやら、ジェロームは美人に弱いらしい……が、ルイズとしては少し面白くなかったらしい。ジト目で彼を見ると、溜息をついた。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:12:15 ID:r2KByJqz
68 :武器屋の人:2009/06/22(月) 22:50:05 ID:INLJOV6s0
「アンタねー、ここにもれっきとした美少女がいるってのに」
「ああん? オーク鬼をぶっ殺せる豪傑のどこが美少女だって? 大平原の怪力男女」
「だからつなげるなって言ってんでしょうが!」
 再びデルフを振り下ろすと、彼は慌てて回避した。
「へ、へへーんだ、何回も同じ手を喰らうと思うなよッ? あ、ところでイルククゥさん、これから時間空いてますか? よろしかったらこれからお茶でも……いでででででっ!?」
 背後から耳を引っ張られてジェロームが悲鳴を上げる。背後には青筋浮かべたニーナが立っていた。
「もう、まぁた店番中にふざけてる。しっかりしないとお母さんに言いつけるよ?」
「店番はお前に任せた! 俺はイルククゥさんとお茶にぃいででで、耳引っ張んなって!」
 カウンターから出ようとする兄の耳を、ニーナは無言でつねり上げる。
「あ、ルイズちゃんおはよう。昨日は大変だったみたいね、大丈夫だった?」
「うん、不意をついて一発! だったからね」
 ルイズがデルフをぶんと振るとニーナは笑った。彼女は次にイルククゥのほうを見やる。
「えーと、そっちの方が昨日助けたっていう……」
「イルククゥなのね。あなたはルイズお……ルイズちゃんのお友達?」
「うん、そうだよ。へぇー、噂には聞いてたけど、本当に美人さんだね」
「そ、そうかしら? そう言ってもらえるなら、この姿も捨てたものじゃないのね」
 ニーナは照れているイルククゥの顔と胸を見て少し悔しそうな顔をした。
……負けた、と。
「あ、そういえばルイズちゃん、今日は何のおつかい?」
 丁度やって来た客の相手を不機嫌そうにこなすジェロームを尻目に、三人と一本で世間話に興じていたとき、ニーナが思い出したようにそう訊ねた。
「いや、別に用って訳じゃないんだけどね、イルククゥを送っていく途中でたまたま通りがかったの。そしたらそこのサルが居眠りしてたからたたき起こしてやったのよ」
「そうなの? まったくうちのサルは……この前も居眠りしてるところお母さんに見つかってこっ酷く叱られてたのに。学習能力が無いのかしら?」
「お前まで兄をサル呼ばわりするか、この愚妹!」
 妹にまで酷い言われようをされ、客を捌き切ったらしいジェロームがやってくる。
「あら、いいじゃないそっくりなんだし。そういえばルイズちゃん、時間はいいの?」
「んーそうね、そろそろ出ないと。それじゃ、またね」
「それじゃあさよならなのね」
 ルイズがイルククゥを連れ立って歩き出すと、慌てたジェロームがカウンターを乗り越えようとする。
「ちょ、待てよ! イルククゥさん、俺と一緒にお茶をいぃででででっ!?」
「店番ほっぽりだしちゃダメでしょ。それじゃあまたね、ルイズちゃん!」
 右手に兄の耳をつまみながら手を振るニーナに手を振り返し、ルイズたちはその場を後にした。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:13:31 ID:r2KByJqz
69 :武器屋の人:2009/06/22(月) 22:52:19 ID:INLJOV6s0
 約束どおり串焼きを食べたりと町をそれなりに楽しんだ後に森までたどり着くと、イルククゥは四肢を投げ出して草むらに寝転んだ。
「ふいー、疲れた。人間の体ってやっぱり動きにくいのね」
「でも、結構楽しんでたじゃねぇか。たまにはこういうのも悪くないんじゃねぇか?」
 大欠伸をするイルククゥにデルフが訊ねると、彼女は笑顔で頷いた。
「ええ、とっても楽しかったのね。ニーナちゃんたちとのおしゃべりも楽しかったし」
「楽しんでくれてよかった。所で傷の方はどう? もう痛くない?」
 ルイズがそう訊ねると、彼女は頭を振った。
「うーん、今は痛くないけど、飛ぶのは無理そうなのね。傷が開いちゃう」
「そう……それじゃあ、その傷が治るまでは大人しくしてなきゃね。……あ、そうだ!」
 ルイズはぽんと手を打つと、イルククゥに向き直る。
「しばらくこの森で翼を休めていけばいいじゃない。そしたらあたしも様子見に来れるし」
「え? でもそれじゃルイズおねぇさまに迷惑が掛かっちゃうのね」
「いいのよ、怪我したまま放り出したんじゃ目覚めが悪いしね。それにあたしもイルククゥともっと一緒に居たいしさ」
 その言葉を聞いて、イルククゥは頬を赤らめた。
「ありがとう、ルイズおねぇさまっ!」
「わ、ちょっと急に抱きつかないでってば!」
 こうして、ルイズと韻竜イルククゥの奇妙な友人関係は始まったのだった。


70 :武器屋の人:2009/06/22(月) 23:01:32 ID:INLJOV6s0
これにて超久しぶりの投下を終了いたします。すっごい遅くなってスミマセン。
……むしろ待ってる人は居てくれたのかもとい覚えている人は居たのか(汗)

まあそれはともかく、久々に書いたらなんか感覚がつかめなくて困った困った。
ちょっと気を抜けばデルフとかすぐ存在がステルス化するしキャラは掴めなくなるし。
なんか微妙な話でごめんなさい。
危ない橋渡りつつもちゃんと大学に入れてから大分経って安定してきたし。
それにこれからは書きたかった展開が次々とあるのでもうチョイがんばれそうです。

あ、規制されちゃってるので代理投下お願いします。
それでは、長々と駄弁りました。



若干元文の改行を修正いたしました。
これで代理投下を終了いたします。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:14:37 ID:QwJw2MKG
代理投下乙> ID:r2KByJqz
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 21:39:01 ID:SB7QN8Dq
武器屋の人乙! 代理投下の人も乙!
てか武器屋の人、時間的に考えて受験勉強しながら書いてたのか?

それはともかく、次も期待してますよ!
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 22:19:38 ID:b+JdgpKA
武器屋さんキタ〜〜
代理の人も乙〜
311レッド・ベア2:2009/06/23(火) 22:54:43 ID:krpqWFWk
タバサとソビエト社会主義共和国連邦のファーストコンタクトから一週間後、原因不明の昏睡状態から
目覚めたルイズは王都トリスタニアに召集された。
「−以上の調査によって判明した事実から推測するに、ラ・ヴァリエール嬢のサモン・サーヴァントに
よって聖地と入れ替わりに未知の国家が召喚されたと見てほぼ間違い無い思われます」
「それってもしかして……」
「おどれのせいで聖地が消えてもうたやないかー!」
「どないオトシマエつける気やねん!」
「ま○せま○せー!」
「枢機卿お先にどうぞ」

冗談はさておき

「何考えてんだあのイカレポンチは――――――――――ッ!」
プチ・トロワの執務室で、イザベラはくすんだ蒼色の髪を掻き毟りながら叫んだ。
「厨二病だかメメント・モリだかなんだか知らないけどそんなに破滅したいなら一人で首でも吊れって
ーの!」
凄まじい剣幕だった。
彼女が火のメイジだったら口からマグマ光線を吐いていただろう。
イザベラの怒りの原因は父王ジョゼフのハジケっぷりであった。
タバサことシャルロットを介して聖地に起きた異変の実態を、どこよりも早く正確に掴んだジョゼフは
早速ロマリアとゲルマニアに密使を送るとともに、国交樹立を名目にグラン・トロワに招いたカリュー
キン全権大使とその随行員を、待ち伏せしていた騎士たちを使って虐殺してしまったのだ。
ことに当ったのはジョゼフ直属の正規の花壇騎士だったため、イザベラは全てが終わるまで完全に蚊帳
の外に置かれていたのだった。
ジョゼフの狙いは明白である。
ソビエトを激怒させる一方、ロマリア、ゲルマニアに対しては相手は魔法を持たぬ亜人の集団と吹き込
んで、全面戦争に持ち込むつもりなのだ。
勿論ジョゼフは、そしてイザベラは赤い熊の国の実力を、全て見切ったとは言えないものの、ある程度
までは把握している。
風竜の倍以上の速度を出す「飛行機」。
装甲され、大砲を装備した機動兵器「戦車」。
ハルケギニアの銃が子供の玩具に見える「機関銃」。
ハルケギニア全土が一丸となっても勝てる相手ではない。
であるのも関わらず、ジョゼフが今回の自殺同然の策を描いたのは、一重に弟を失ってから一時も絶え
る事無く彼の内面を苛んでいる虚無感と喪失感の為せる技であった。
だがジョゼフ譲りの切れ味鋭い脳細胞を持ちながらも、父親よりははるかに常識人のイザベラは、父王
と運命を共にするなんてシナリオは全力でお断りなのだった。
「パッキーそろそろアンタにも働いてもらうよ」
「やれやれファンタジーな世界に呼ばれてもフーバーな任務かい」
迷彩服を着たウサギはヤクザな舌打ちを一つくれると、懐から取り出したジッポーで口に咥えたマール
ボロに火を点けた。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 22:56:06 ID:krpqWFWk
今宵はここまで
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 23:05:24 ID:DrYXFb3W
>>311
や、なんというかスレ違い、というかクロス向けでは?キャットシットワンは好きですけど・・・
314元るの人:2009/06/23(火) 23:06:18 ID:yLlmqWA8
武器屋の人キターーーッ!
生意気言うようですが、自分以外の方々の長編をお待ちしてたので、非常に幸せな気分です。

>311の人、Cat Shit Oneが元ネタみたいなので、クロススレでの投下をオススメします。


自分も負けずに「IFケティルート」の続きを投下させていただきます。
タイトルを「炎のごとく」から「炎のように」変更します。
某忍者ゲーの主題歌が出典です。後日、あの歌詞が似合うようなクライマックスを書けるといいなぁ……。
----------------------------------------
『炎のように』第1話

 「誰かの不運は誰かの幸運」という言葉がある。あるいは「人間万事塞翁が馬」ということわざもよく言われる。
 要するに、Aさんに起こったBという出来事(アクシデント)のおかげで、CさんにDという幸運のお鉢が回ってくるかもしれない。
 しかし、その場でラッキーだと思ったDが、のちのち不運を呼び込む可能性だって多々あるのである。無論、逆も然り。
 つまり、何が言いたいかと言うと……。
 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、現在、かつてない幸福感に満たされており、逆にケティ・ド・ラ・ロッタの方は己の不運を感じる間もなくパニックのあまり目を回しているのであった。

 なぜこういうことになったのか、少し時間を遡って説明しよう。
 「ギーシュ様、やっぱりモンモランシー先輩と……」
 原作でも食堂の一件で、ケティ・ド・ラ・ロッタという少女がこう漏らしていたことを皆さんは覚えてらっしゃるだろうか? そう、つまりケティも薄々事態に気付いてはいたのだ。
 さらに言えば、憧れの先輩の本命は同級生の金髪少女であり、自分はせいぜい「ちょっと縁のあった可愛い後輩」程度にしか見られていないことも。
 貴族とは言え、田舎から出てきた夢見がちな15歳の女の子にとっては、残酷な現状であった。
 ただし。本作のケティ嬢は、原作に比べて少々行動的だった……微妙にズレた方向に。あるいは思い込みが激しい、というべきか。
 今日2年生たちが使い魔召喚の儀式を学院の近くで行っていると知り、授業をサボって自分もまた寮の自分の部屋でサモン・サーヴァントに挑戦していたのだから。
 彼女自身からすれば、モンモランシーと自分の"女"としての魅力にそれほど差異はないはず(確かに、客観的に見て甲乙つけ難いのは事実だった)。
 それなら、あとはメイジとしての実力で勝負! と安直に考えたのだ。
 とは言え、かたやモンモンランシーはその"香水"のふたつ名でわかるとおり、水のラインとは言え秘薬作りの腕前で学院内に広く知られている。
 自分もようやく火と土のラインに到達したが、まだ誇れるほどの業績は示していない。
 そこで、今回の使い魔召喚である。
 「メイジを見るにはまず使い魔を見よ」と言うではないか。自分がもしモンモランシー先輩より、ずっと優れた使い魔を召喚したら、ギーシュ様も見直してくれるのではないか。
 言うまでもなく、かなり破綻した論理である。
 そもそも、ギーシュは筋金入りの女好きだが、それだけに女の子をメイジとしての格で判断するような真似はしない。頭に血が上っていなければ(そして可愛ければ)シエスタのような平民にも誠意をもって接するフェミニストだ。
 さらに、そういう"優れた使い魔"をケティ自身が召喚できるとは限らない。
 また、したらしたで女子寮の部屋にはたして入りきるのか。キュルケのサラマンダークラスなら問題ないが、タバサのシルフィードクラスなら、間違いなく部屋が壊れる。
 そういう様々な問題をスッ飛ばして、彼女はサモン・サーヴァントを敢行していた。見事なまでの"恋する乙女のパワー"の無駄遣いである。
 魔法のコントロールはまだ甘いが、割と内向的で勉強ができたため、なまじ儀式が成功してしまったのも、この場合不運だったと言えよう。
315『炎のように』第1話:2009/06/23(火) 23:07:12 ID:yLlmqWA8
「宇宙の果てのどこかにいる、私のパートナー! 
 強く、美しく、そして生命力に満ち溢れた使い魔さん!
 わたくしは心より求め、訴えます。
 ………我が導きに応えてください!! 」

 どこかで聞いたような気合を込めて、彼女がサモン・サーヴァントの呪文を唱えたのは、おりしも学院の近くの野原で"ゼロ"と呼ばれる少女が同様の気合充填120%で呪文を唱えたときとほぼ完全に一致していた。
 そのせいだろうか。
 ふたりの少女のもとに現れた各々の使い魔が、本来出るべきゲートを取り違えてしまったのは。
 ゴンッ! 「いってェ〜」
 木造の床に上にコロンと放り出された黒髪の少年は、したたかに打ちつけた尻をさする。
 「え? う、嘘……」
 サモン・サーヴァントのゲートから、いかなる使い魔が現れるのか楽しみにしていたケティは、目の前にいるのがまぎれもなくただの人間(それも多分平民)だと知って、パニックと落胆のあまり、アッサリ意識を手放した。
 「わ! コラ、ちょっと! 何がどーなってんのか、説明してくれよォ!!」
 目の前でフラリと倒れかかる少女の体を慌てて抱きとめ(その時、「いい匂いだ」とか「ちょっと役得?」と思ったことは内緒だ)、少年──平賀才人は叫んだものの、その声に答えてくれる人はいない。
 ちょうどその頃。
 学院近くの野原では、ピンク色の髪の少女が、自分の元に現れた体高2メイル近い大きな火喰い鳥に抱きついて感涙にむせんでた。
 もっとも、火喰い鳥の方は「ワイはこないなペッタン娘の召喚に応じたんと違う! サギや!」という抗議を込めてピーピー鳴いていたのだが。
 しかしながら、客観的に見てこの鳥はなかなかアタリな使い魔である。
 飛ぶことこそできないものの、ダチョウなどと同様かなりの高速(時速50キロほど)で地を駆けることができるし、この大きさならルイズを乗せて走ることも可能だろう。
 さらに、後肢は竜のような鱗に覆われているうえ、鋭い爪がついており、武器を持たない平民くらいならアッサリ蹴り殺すことさえ可能なのだ。
 というわけで。それほどの有望株を我儘な公爵令嬢が手放すわけはなく、無理やりコントラクト・サーヴァントをとり行って自分の使い魔にしたのだった。
 ……無論、この火喰い鳥こそが、本来「火・土」のラインメイジであるケティの元に現れる予定だったことは言うまでもない。合掌。

 *  *  *  

 「うーん、しょーがねぇなぁ」
 (あれ、すぐそばに誰かの気配がします)
 「よっ、と……うわっ、軽ッ!」
 (わたくし、もしかして殿方に姫様抱っこで運ばれてるですか!?)
 「ここに寝かせておくか」
 (あぁ、気絶したわたくしをベッドまで運んでくださったのですね)
 「ま、この娘の気がついたら、事情を尋ねてみるか」
 (すみません、あと少し……あと少し……した、ら……)
316『炎のように』第1話:2009/06/23(火) 23:09:16 ID:yLlmqWA8
 机の前にあった椅子をベッドのそばまで持ってきた才人は、それに腰かけていきなり気を失った少女の顔を眺めていた。
 (うーむ、可愛いよなぁ。俺と同年齢かちょっと下くらいか。正直、こんな事態でなけりゃあ、ぜひともお近づきになりたい美少女なんだけど)
 幸か不幸か少女は1時間ほど目を覚まさず、おかげで才人もここへ来た当初に比べると随分落ち着きを取り戻していた。
 自分は、あの時目の前に現れた鏡?に引き込まれて、気がついたらこの部屋にいた。
 あの時確かめた限りでは"鏡"は尋常な存在ではなく、何より自分にしか見えていないようだった。
 (そんなに怪しいモンに自分から突っ込んだのか、俺ってやつは……)
 つくづく自分の好奇心の強さが恨めしい。
 ケータイを見る限りでは、ここに来るまでほとんど時間は経っておらず、なのに通話は完全に圏外。さらに、窓から見た限りでは、とても東京近辺とは思えない光景が広がっている。
 さて、平賀才人は一面強情でおっちょこちょいではあるが、同時に、熟考して慎重に動いた時には相応に頭が切れる面が存在する少年でもある。
 (最初はテレビのドッキリかと思ったけど、1時間近くも接触がないし、第一最近はそういう一般人を無断で巻き込む企画は自粛気味なはずだよな。
 それに、地下でもないのに携帯が繋がらないなんて、東京近辺じゃ考えにくいし、第一ほんの数分で東京の外に俺を連れ出すなんて無理だ!)
 そう、普通の方法ならば。
 才人は、同世代の少年の平均よりは多少多めにマンガやアニメ、ゲームの類いを楽しむタイプだ。ブッちゃけて言えばヲタク予備軍。すでに片足くらい突っ込んでいると言ってよい。
 その才人の知識をもってすると、この状況は何となく嫌な予感がするものだった。
 さらにその推理を補強するかのように、目の前で眠る美少女や窓から見える下にいる数人の服装、髪の色からして、ここが日本じゃない公算は高い。
 (もしかして……俺、「リアルバ●ハイスク○ル」みたく、異世界に召喚された!?)
 才人がその事に思い至るのとほぼ同時に、「う、うーーん……」とベッドの上の少女が色っぽいというより可愛いうめき声をあげて、目を見開いた。
 「あ、起きたか。もう大丈夫か?」
 「え……、あ、はい。あのぅ、貴方は? どうしてココへ?」
 才人にとって幸いだったのは、ケティがまだ完全に意識がハッキリしておらず、多少寝ぼけていたことだろう。
 おかげで、男に奥手な彼女が、自分の部屋に見知らぬ男性がいるという事態でも悲鳴をあげなかったのだから。
 「俺の名前は平賀才人。もしかしたらこっち風だとサイト・ヒラガなのかもしれないけど。
 どうしてここにいるか、ってのは……正直俺のほうが説明してほしいぜ。道を歩いてたらいきなり怪しい鏡が現われて、それに触れたらココに飛ばされたんだから」
 才人の戸惑いとわずかな怒りを含んだその物言いに、ケティは先ほどの出来事をハッキリ思い出した。
 同時に、自分の"サモン・サーヴァント"が目の前の少年を巻き込んでしまっただろうことにも思い至る。
 (ど、どーしましょう……わたくし、とんでもないことを)
 さて、原作においてシュバリエになったサイトに憧れていたことからもわかるように、このケティという少女は、さほど身分や出自にこだわらない方だ。
 よく言えばロマンティックで少女趣味、悪く言えばミーハーである。
 実家が下級貴族であり、いわゆる"下々の者"と親しく接する機会が多かったということもあり、"比較的"という接頭語つきではあるものの、平民を極端に見下すようなこともしていない。
 だからこそ、目の前の貴族には見えない少年にも、おそらく家族がいて毎日の生活があるはすだと、思い至ったのだ。
(もっとも、読者諸氏は御承知のとおり、この事態を引き起こしたのは虚無の担い手の資質を持つルイズであり、その意味ではケティも被害者なのだが)
 泣きそうな顔でケティが説明するのを聞いて、才人は自分の予想がほぼ当たっていたことを悟った。
 (にしても、世界を救う勇者じゃなくて、使い魔を召喚してたのか……)
 いや、いきなりヒノキの棒を渡されて、魔王と戦って来いと放り出されても正直困るのも確かだが。
317『炎のように』第1話:2009/06/23(火) 23:10:17 ID:yLlmqWA8
 「うん、事情は大体わかった。それで、召喚したものを送り返す呪文とかないのかな?」
 一方的に引っ張ってこられたにしては才人の対応が紳士的に見えるかもしれないが、彼としては年下の美少女が申し訳なさそうにキチンと説明してくれているから、怒るに怒れなかっただけだ。
 もしこれが、ヒステリックにわめきたてる、高飛車少女だったら……説明するまでもないだろう。
 「そ、それが……そのぅ……」
 困惑を深めるケティの顔を見ただけで、答えは聞かずともわかった。
 「ない……か、少なくともキミは知らないわけか。
 ところで、ここは"魔法学院"って言ってたけど、それなら、先生とか学院長とかがいるんじゃないか?」
 才人としては、この子じゃラチがあかないから、もっと上位の責任者に会おうと考えただけなのだが、ケティはそうとらなかった。
 自分の不始末を責めず、前向きに事態に対処しようとする寛大で頼もしい殿方と映ったのだ。
 平民(たぶん)にも関わらず、貴族である自分と対峙しても媚びず卑屈にならず、堂々と自然体で接している点も、むしろ好ましく感じる。
 ……まぁ、彼女自身が負い目を感じていることと、ムダに発達しまくった彼女の乙女回路が暴走した結果の合わさった、勘違いなワケだが。
 「は、はい。では、オスマン院長に面会をお願いしてみますね」
 しかも幸運なことに、この時のオールドオスマンはたまたま手すきであり、生徒とは言え若い女の子と会話する機会(チャンス)を無にするような老人でもなかった。
 才人とケティ、そしてオスマンの三者の話し合いは、才人が基本的な情報を飲み込んでいるだけあって、非常にスムースに進んだ。
 才人は、やはり送還の呪文が存在しないという返事には落胆したものの、自分が異世界から来たことをこの学院の最高責任者に理解してもらい、また帰る方法がないか探してもらうということで、自分を納得させた。
 ケティは、自分が異世界の学生を引っ張って来たらしいという事実にまたも卒倒しかけたが、才人に支えられて危うく復帰。召喚者の責任としてできるだけ彼に便宜をはかることとなった。
 さらに、オスマンの計らいで次のことが決められる。
1.才人とケティの使い魔契約は一時棚上げ。双方が合意するまで行わない。
2.コントラクトするまで、才人は「この学院に一時預かることとなった東方ロバ・アル・カイリエからの客人」という立場で通す。職員宿舎の端に部屋を用意する。
3.才人の本当の出自については、みだりに吹聴しない。
 御覧のとおり、某公爵令嬢の使い魔に強制的にされた時とは雲泥の差の待遇である。
 それゆえに、才人はケティにほとんど悪感情を抱くことはなかった。むしろ、「俺も大変だけど、この子も厄介な事に巻き込まれちゃったなぁ」とお人好しにも同情してるくらいだ。
 「あの……サイトさん、わたくし、きっと貴方を帰す方法を見つけてみせますから!」
 両手をギュッと握ってけなげにそう言ってくれる美少女を前にして、誰が責められようか! 
 「う、うん。期待してる。でも、無理はしなくていいよ」
 まぁ、才人らしいといえばらしい反応である。
 (不慮の事故で遠く故郷から離れてても、その原因であるわたくしを責めずに優しい言葉をかけてくださるなんて。サイトさん……。
 ハッ! いけないいけない。わたくしにはギーシュ様というお慕いしている方が! それに……サイトさんはいずれ異郷へと帰られる身……)
 まぁ、勘違いもここまでくればいっそ立派である。

 ともあれ、こうして、"本来"とは大きく異なる形で平賀才人のハルケギニアでの生活は、始まったのであった。

 -つづく-
---------------------------------
以上。立った立った、フラグが立った!……のかなぁ?
元々原作にあまり出てこないキャラなんで、ケティの性格をねつ造しまくってる気もしますが、それが気にならないようなら、引き続き読んでやってください。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 23:17:39 ID:DrYXFb3W
投下乙です

なんか早速ニヤニヤ出来るSSって良いなw
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 23:26:49 ID:wg8y3hSV
乙。

まぁ、

「私のお腹の中には、ギーシュの……」
「誰もいませんよ(・∀・)」

どっちがどっちでも成立する二人だしね。
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 23:48:46 ID:/87NYWTO

うああケティかわいいよケティ
やはりマイナーキャラは二次創作の醍醐味ですな
ケティが虚無と間違われてロマリアに狙われたりするのかなー
ニヤニヤしながら続きを待ってるぜ
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 23:54:29 ID:tw9T6FQw

ケティがいいキャラしてるなぁ。
このままだと、なんとなく才人はお兄さんポジションになりそうな気もするけど。

しかし、偶然にも普通に召喚成功してしまったルイズはどうなるやら。
そして、ここからどういう経緯で才人が対7万戦をやる派目になるのやら。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 13:32:42 ID:L0Y0wwkG
ここでさらにモンモンをNTR・・・とか一瞬考えたけどドロッドロの展開になりそうで怖いな
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 15:09:51 ID:NhgZPzM4
>>321
ではなくデルフ咥えた火食い鳥無双だろう

怪(しい)鳥出現
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 18:39:52 ID:1nJrhlxq
>>323
武器屋に火喰い鳥連れて剣を買いに行くルイズを想像して吹いたww
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 19:34:30 ID:XRAvE1Jk
>>324
火喰い鳥使い魔にした時点で券を買うちゃるっていう発想には至らないかも。
どちらかといえばケティが武器屋に行きそうな気がするww
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 19:49:58 ID:QdqPGnli
もし若い頃のヴァリエール公爵とグラモン元帥がアブデカ張りの問題児コンビだったら
え?トリスティン先代の死因は二人の数々の問題行為による神経性胃潰瘍という事に…
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 19:57:39 ID:NhgZPzM4
>>325
硬い物つつくと嘴が傷むから代わりになるものを
→どうせならリーチの長いものを
→剣高いわよ
→こんな鳥が使い手かよ、おでれーた

ボロ剣咥えた怪しい鳥の出来上がり
火喰い鳥「ちゃうんや、何かちゃうんやつるぺたの嬢ちゃん」
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 21:05:19 ID:6Ouc0pzr
遅ればせながら、武器屋の人乙
タバサに先んじて、ルイズが着々とお姉さまフラグを立てていくなぁ。
これ、きゅいきゅいは召喚されるんだろうか。
なんか、ルイズを乗せていたところ、一緒に召喚されてしまった、とか本気でありそう。
そして、なんか久し振りにおやじ登場。
おやじのキャラなんか凄い好きなんで、もっと出張ってほしいところです。

それと、ケティの人も乙。
ケティがいいキャラだなぁ。
思いこみの強い夢見がちな後輩、というキャラを地で行っている。
これ、まだ契約は結んでないんだから、サイトはどんなルーンも刻まれていないんですよね。
はたしてガンダルーンはサイトと鳥のどっちに刻まれるのか。
というか鳥に刻まれた場合、武器を装備ってどうするんだろ、という話になりそうですが。
鳥の武器となると……チョコボの不思議なダンジョンに出てきた爪とか?
コイツに呼ばれたんじゃない、とか鳥も言ってるし、色々多難そうなルイズにも幸あれ。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 22:43:08 ID:3+37M/lp
サイトを鳥を取り違えたのか
330『炎のように』第2話:2009/06/24(水) 22:56:16 ID:C83Yv2G1
>329 だれうま
続きを投下いたします。
何だか予想よりも、主役ふたりがコッ恥ずかしー感じに。
もうちょっと、距離を置いた感じになるはずだったのですが。
しょせん私は、甘々かギャグのいずれかしか書けないようです。
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『炎のように』第2話

 さて、トリステイン魔法学院で客分として過ごすことになったサイトだが、来て最初の一週間は、とりたてて問題なく穏やかな異世界ライフを満喫していた。
 当初の約束どおり、教職員宿舎の端に部屋をもらい、そこで寝泊りしている。
 学院長の指示で秘書のミス・ロングビルがいろいろと面倒を見てくれることとなったが、"優しい年上のお姉さん"と言った風な彼女に、サイトも恐縮しつつ、いろいろ世話になっていた。
 とは言え、無為徒食のまま世話になるのはさすがに申し訳ない。
 最初の2日間ほどは、学院内を見学したりして暇をつぶしていたものの、ブラブラしているだけでは退屈だし、落ち着かない。
 そこで、ミス・ロングビルを通じて学院長に願い出て、彼女の助手のようなことをサイトはするようになっていた。
 もちろん、まだハルケギニアの事情に詳しくないサイトにできることなどたかが知れている。
 ありていに言って、使いパシリなのだが、それでも荷物整理や他の職員への伝言などの雑事をサイトが肩代わりしてくれることで、ロングビルとしても多少は負担が減って助かっていた。
 なにしろ、魔法学院長の秘書という仕事は、見た目よりもずっと多忙なのだ。
 ちなみに、朝昼夜の食事は学生たちと同様にアルヴィーズ大食堂でとっている。
 彼のことは、すでに教職員や下働きの人間には伝達されており、「東方から来た学院長の客人」で「貴族でも平民でもなく、その中間の士族という身分」ということになっている。後者は学院長の配慮だ。
 そういう異邦人はえてして敬遠されるものだが、サイト自身がフランクで素直な性格だったのと、東方への物珍しさもあいまって、割合彼は好意的に受け止められていた。
(下働きの人間とも、前述のロングビルの用事などで話す機会は多く、「学院長の客分なのに無闇に偉ぶらないイイ人」という評価を得ていた)
 年の近い学生たち、あるいは学院勤めのメイドたちから「東方の話をしてくれ」とせがまれることも多々あった。
 オスマンとの約束で日本から来たことは明かせないため、仕方なくサイトは、日本の文物をファンタジー世界の住人にもわかりやすく噛み砕いて、「これが東方だ!」と説明していた。
 もっとも、要は精密機械類を「マジックアイテムだ」と言い張ればいいのだから、楽なものである。「FF7」などのRPGにも詳しいサイトにとって、それらしい用語を作るのもお手の物だ。
 サイトが話す事実に基づくホラ?はなかなか好評で、何度も話を聞きたがる者もいるくらいだ。おかげで、上下どちらの層にも顔見知り程度の知人はできた。
 ちなみに、今のサイトの服装は、下は日本製ジーンズだが、パーカーは脱ぎ、この学院の男子制服と同じシャツを着用している。無論、メイジの証のマントは羽織っていない。

 「おーい、ケティ〜」
 「あ、サイトさん!」
 しかしながら、そんなサイトにとっても、やはりケティという少女は特別だった。
 それは自分を召喚した張本人であり、同時に自分と秘密を共有する仲でもあるということ(この際、オスマンは無視)、そして何より彼女がサイト好みの「華奢で愛らしい美少女」だったからだ。
 サイトは同世代の平均的少年同様、オッパイの色香に迷う程度にはスケベではあるが、実のところキュルケに代表されるような背の高いグラマー美人よりは、ルイズやケティのような小柄な美少女を好む傾向にある。
 さらに言うなら、Mな資質に目覚めていない彼にとって、ケティのような「控え目で奥ゆかしく、守ってあげたくなるような娘」というのは、好みにストライクドンピシャなのだ。
 ケティの方でも内心サイトをかなり意識しており、彼に声をかけられたり、一緒に食事をとったりするのを喜んでいる風ではあった。
 また、放課後、サイトは毎日2時間ほどケティから、図書館でこちらの文字について習っている。
 これは、ケティからの「わたくしにも何かサイトさんにしてあげられることはないでしょうか?」という申し出に対して、オスマンとふたりで考えた結果だった。
 どのみち、すぐに日本に帰れる見込みはない。何ヵ月、下手したら何年もかかるかもしれない。
 そうなった場合、こちらの文字を読み書きできないのはいささか不便だ。また、読み書きができることで、ロングビルの仕事の手伝いをできる範囲も広がるだろう。
331『炎のように』2-2:2009/06/24(水) 22:57:26 ID:C83Yv2G1
 サイトは、日本での学校の成績はさほど優秀とは言い難かったが、ハルケギニアにおいては、なかなか熱心な生徒だった。
 まぁ、個人授業(プライベートレッスン)をしてくれる先生が、ケティという気になる女の子だったことも大いに関係しているのだろうが。
 ちなみに、この放課後レッスンの過程で、ふたりは図書館に入り浸っているタバサとも顔見知りになっている。サイトが読めるような簡単な絵本や初歩の文法書などは、彼女がアドバイスしてくれた。
 現在のサイトは、とりあえず、ハルケギニアの文字と基礎的な読み方については、この一週間でほぼマスターしている。
 もっとも、これは例えるなら、アルファベットとローマ字を覚えた程度のものだ。英語を読むのにローマ字は確かに助けにはなるが、それで十分とは言い難い。
 それでも、看板や簡単な注意書き程度なら読めるようになったのだから、サイトにとっても大きな進歩である。
 さて、そんな感じで、今日もふたりは図書館での勉強に励んでいたのだが。
 「えーと、『サハラ砂漠では三週間に少ししか雨が降らない』……って、これで合ってるかな、ケティ?」
 「……」
 サイトの問いかけに答えるでもなく、ケティはぼうっとした顔で彼を見るともなしに見つめている。
 「あの、ケティ?」
 「……ふぇっ!?」
 「どうした? もしかして体の調子でも悪いのか?」
 気遣うように顔を覗きこんでくるサイトに、慌てて首を横に振るケティ。
 「ななな、何でもありません! ちょっと考え事してただけなんです」
 「ホントか? どれどれ……」
 ピトッとケティの額に手を当てるサイト。
 「はうっ!」
 たちまちケティの顔が首筋まで真っ赤になっていく。
 「? うーーん、熱は……それほどないみたいだけど。あれ、でもちょっと熱いかも」
 それは、サイトさんが触れているせいです……と言いたいケティだったが、懸命にこらえる。
 「だ、大丈夫です。ちょっとこの部屋は熱いから、のぼせただけなんです!」
 「? まぁ、確かにココ、風通しよくないしな」
 まだちょっと不審げだったが、無理や自分を納得させた風にサイトはつぶやく。
 「……えっと、その、それで、わたくし、サイトさんに聞きたいことがあるのです」
 深呼吸をひとつしてから、何気ないふうを装って、サイトに尋ねる。
 「ん、なんだ? "宝玉を嵌めた大剣を持つ剣士"と"古代種の花売り娘"のサーガなら、今度の昼休みにみんなの前で話す予定だけど、先に続きが聞きたいのか?」
 どうやら、自分がこれまでにプレイしたゲームなどのストーリーを、適当に"サーガ"と称して語っている模様。これで楽器のひとつも覚えたら、もしかして吟遊詩人として食っていけるかもしれない。
 「いえ、さらわれた花売り娘の行方も気になるですが、そうじゃなくて。明日は虚無の日ですけれど、サイトさんは何か予定があるのでしょうか?」
 おずおずと問いかけたケティの言葉に、サイトはポンッと手をうつ。
 「そう言えば、明日は日曜、もとい虚無の日なんだっけ。すっかり忘れてたよ。うーん、とくに何するかは考えていないなぁ」
 サイトの言葉を聞いて、ケティはホッとした様子を見せた。
 「あの……もしよろしければ、明日、わたくしといっしょに王都トリスタニアに出かけませんか? 
 い、いえ、サイトさん、まだこの学院を出られたことがないですし、何か買い物をなさる必要もあるかもしれませんし……」
 「あぁ、なるほど。一度、近くの町を観光案内してくれるってワケか」
 やっぱりこういうイベントって、RPGとかのお約束だよなー、と密かに考えるサイト。そこまで思い至ったのなら、それを言い出した少女の心情についても慮ってあげてほしいものだが……。
 「うん。助かるよ。ありがとな、ケティ」
 ニッと笑いかけるサイト。
 ご承知のとおり平賀才人は、いわゆる美形からはほど遠い、むしろ「おもろ顔」(ルイズ談)な容貌の少年である。
 ゆえに、いかに無邪気に感謝を込めて微笑んだからといって、それに見とれる女の子など、普通はいるはずもないのだが……。
 「(はぅっ、サイトさん) い、いえ、わたくしから言い出したことですから」
 恐るべし乙女回路補整。ケティの目には、サイトの顔が実物の120%上方修正して映っていたりするのである。これが噂の"ニコポ"とゆーやつであろうか。
 とりあえず、朝食を食べたのちに正門前で待ち合わせることを約束して、その日の勉強会はお開きとなった。
332『炎のように』2-3:2009/06/24(水) 22:58:35 ID:C83Yv2G1
 さて、ケティと別れて上司(というわけでもないのだが)のミス・ロングビルの元に戻り、いつものように手伝いを続けていたサイトだが、ふと雑談で明日ことを話してしまう。
 「へぇ、ミス・ロッタとデートですか。意外に手が早いのですね、サイトくんは」
 「は?」
 ロングビルのからかうような言葉に、ふと首をかしげるサイト。
 デート? 自分とケティが? Why?
 ──待て待て待て!
 (そりゃあ、確かにケティのことは可愛いと思ってるけど、でもそれは、なんつーか妹みたいなもんで、こう守ってやりたいというか……
 いやラインメイジなんだから、ガチで戦ったらたぶん俺より強いんだろーけど、それでもなんかこうそばにいて支えてやんなきゃ、って感じで……
 いやいや、この際俺の気持ちはさて置き、ケティの方は別に俺に特別な感情なんて持ってないだろうし……
 明日のアレだって、ハルケギニアのことに疎い俺を少しでも手助けしようという善意っつーか、義務感っつーか…………ハァ)
 目まぐるしく変わるサイトの表情をおもしろそうに眺めていたロングビルは、彼の表情が微妙に憂鬱そうなものに落ち着いたころを見計らって、小さな袋を差し出した。
 「学院長からの差し入れと伝言です。「お小遣いじゃが、ムダ使いするでないぞ」、だそうですよ」
 むろん、百戦錬磨のロングビルにとっては、サイトの心情なんぞお見通しである。彼自身が自分の恋心(もしくはその萌芽)に気づいていないことも含めて。
 「! ロングビルさん、学院長には「1万年と2千年前から感謝感激」と伝えておいてください!!」
 渡された小袋を大事そうに抱えたまま、サイトはスキップしそうな足取りで部屋を出て行った。
 「やれやれ、浮かれ過ぎです。できれば、もうちょっと書類整理を手伝ってほしかったんですけど……」
 そう言いながらも、それほど残念そうではなく、むしろ楽しそうな目でドアを見やるロングビル。
 「……ま、さっさと片付けて今夜は本業の方に精出すとしようかねぇ」
 しかしながら、その一瞬後に浮かべた獰猛な笑みには、「不器用な少年少女の恋愛を暖かく見守る、面倒見のよいお姉さん」の面影はカケラもなかった。

 *  *  * 

 翌日。
 運良く学院から出るトリスタニア行きの馬車に乗り込むことができたサイトたちのあいだには、いつになく緊張ムードが漂っていた。
 (勘違いするなよ、才人! この娘は俺に特別好意を持ってるから誘ってくれたわけじゃないんだからな。
 いや、もしかしたら"仲良しのお兄さん"的な感情くらいは持ってくれてるのかもしれないけど、それならそれで、"兄"らしくしっかりした姿を見せねーとな)
 (えっと、べ、別にこれってデートってわけじゃ、ないですよね? 単にちょっと仲のよい殿方と一緒にお買い物に来たってだけですから。
 その途中で、せっかくの休日だから王都でお食事したり、お店を見て回ったりしても……人助け、そうトリスタニアに慣れてないサイトさんに対する人助けなんです。
 それに、どうせサイトさんはわたくしのことなんて、"お節介な妹分"くらいにしか思ってませんし……)
 ──何と言うか、いっそ清々しいほどの似た者コンビである。無論、そう言ってからかっても、本人達は頑として認めないだろうが。
 ともあれ、馬車に乗った時こそガチガチに緊張していたふたりだが、王都までの道のりでポツリポツリと会話を交わしたおかげで徐々に緊張も解け、目的地に着くころには、いつもの調子を取り戻していた。
 とりあえずサイトに当面必要な着替えと日常品の類いを買い揃えていく。
 もともと貴族としてはそれほど位の高くないロッタ家の出身であるケティは、買い物についても、某公爵家令嬢と異なり的確に安い店を選ぶことに慣れている。
(もっとも、それでも平民のごとく"値切る"という発想まではないのだが)
333『炎のように』2-4:2009/06/24(水) 22:59:54 ID:C83Yv2G1
 とりあえず当座必要なものは買えた(当初はケティが負担するつもりだったのだが、学院長からもらった小遣いで足りた)ので、いったん昼食をとっているところだ。
 「ほかに、どこか見て回りたいお店とかありませんか、サイトさん」
 「うーん、そうだなぁ……なぁ、武器屋とかってココらへんにあるのか?」
 サイトとしては、何か特別な意があっての発言ではない。単にファンタジーっぽい異世界に来たのだから、RPGでおなじみの各種武器の本物を見てみたい、といった程度の気持ちである。
 ところが、妄想突っ走り系な目の前のお嬢さんは、そうはとらなかったようだ。
 (サイトさん……武器をご所望なんですね。そういえば、東方の騎士は魔法を使えずとも、こちらのメイジ殺しに匹敵する剣の腕前を示すという噂を聞いたことがあります。もしかして、サイトさんも!?
 それでもって、「ケティ、俺は君を、君だけを護る騎士になろう」とか言って膝まづき、私の手を取って誓いのキスを……)
 テーブルの前で、「いやんいやん」とクネクネ体をよじるケティの様子に、さすがのサイトも若干引き気味で、声をかけられずにいる。
 そもそも、「サイトが東方出身」というのは学院長と決めた偽装情報で、そのことは彼女も知ってるはずなのだが……。
 幸い、食後のデザートを店の人が運んできたため、ケティも正気に戻った。
 「お、お見苦しいところをお見せしました……」
 お茶とクックベリーパイを前に小さくなるケティ。
 「や、しっかりした娘だと思ってたケティの意外な面を見られて、俺としては、ちょっと愉快だったから」
 フォローになってるのか微妙なサイトの返事に、ますます彼女は縮こまる。
 もっとも、そんな風に恥じらっているケティの様子にサイトは「可愛いなぁ」とほんわか萌えているので、それはそれで結果オーライだったのだろう。
 なんとなく不快ではない沈黙が続くなか、ふとケティが視線を逸らすと、見覚えのある少女が店内を歩いているのが見えた。
 「あ、タバサ先輩」
 サイトもまた、図書館でよく見知った相手だったため、気軽に声をかけた。
 「よう、タバサ。お前さんも昼ごはんか?」
 ふたりの顔見知りから声をかけられ、さすがにタバサも立ち止まる。
 「あら、タバサったら、この子達と知り合いなの?」
 傍らにいた褐色の美女──キュルケが意外そうな声をあげる。
 普段の彼女の無口&無愛想ぶりを熟知しているから、無理もないが……。
 「──図書館で」
 タバサは低く呟く。
 「あ、はい、図書館で勉強する時、タバサ先輩にお世話になっているです」
 若干固い口調なのは、彼女が多分に人見知りするタチだからか。
 「ふぅーーん……あら、もしかしてアナタが噂の東方人?」
 すぐにケティに関心を無くしたキュルケだったが、隣にいるサイトには、多少興味をそそられたようだ。
 「そうだけど……一応、俺にも平賀才人、"サイト・ヒラガ"って名前があるんだから、"東方人"って呼び方はよしてくれねーかな」
 「あーら、ごめんなさい。あたしはキュルケ、キュルケ・アウグスタ・フォン・ツェルプストー。通称"微熱"のキュルケよ」
 よろしく、と妖艶に微笑んでみせるキュルケだったが、サイトは自分でも意外なほど動じていなかった。
 (はて、日本にいたころの俺なら、間近でこんな色っぽいねーちゃんにウィンクされただけで、しどろもどろになってたはずだけど……)
 ──本人は自覚していないが、どうやら早くも"ルート"に突入している様子。
 誤解されやすいが、平賀才人という少年は、その軟弱でスケベな第一印象に反して、これと決めたらテコでも信念を曲げない、意志の強さをもった男である。
 原作で、あれほどたくさんの魅力的な女性からの熱心な誘いを受けつつも、基本的に思い人と決めたルイズを裏切るような真似をしていないことからも、それは理解できるだろう。
(まぁ、一部ゲームなど派生作品ではハメをはずしているようだが)
 おそらく、現在のサイトは、無意識的にかケティをすでに"そういう想い"の対象として選んでいるということなのだ。
 「あ……すみません、わたくしは、1年のケティ・ド・ラ・ロッタ、"燠火"のケティです」
 サイトが目の前の色っぽい上級生に目を奪われていないことに、なぜかホッとしながら、ケティは博識そうなタバサに聞いてみた。
 「タバサ先輩、この近くに武器を扱ってる店がないか、ご存じないでしょうか?」
334『炎のように』2-5:2009/06/24(水) 23:01:19 ID:C83Yv2G1
 カクンとわずかに首を傾げるタバサの意図を読み取り、サイトが言葉を続ける。
 「いや、俺が武器屋を知らないか、ってケティに尋ねたんだよ」
 それで合点がいったタバサは、キュルケに目をやる。
 「ん? 別にいいわよ。それほど急ぎの用があるわけじゃないから」

 タバサに案内された先は下町のやや奥まった場所にある武器屋だった。
 他に行くところがあると云うふたりとは、店先で別れた。
 「へーー、ここがトリステインの武器屋かぁ」
 感心したような微妙に拍子抜けしたような複雑な感情が感じられるサイトの言葉に、またもケティの妄想回路が先走る。
 (ああ、サイトさん、やっぱり……きっと故郷の武具用品店には、もっとリッパな剣や槍が置いてあるから、落胆されたのですね。
 すみません、でも我がトリステインは魔法完全優位の国ですので、武器は普通平民が扱うもので、あまり重きを置いていないのです)
 彼女が悪いわけでもないのに、何だか申し訳ないような気分になるケティ。
 もっとも、サイトとしては、ドラクエやFFといったRPGでよく見かける魔剣や名槍の類いが置いてなかったので、ちょっとガッカリしただけである。
 だいたい、いくらファンタジーモドキな世界でも、エクスカリバーやゲイボルグ、天空の剣などが、一介の武器屋に置いてたら怖いだろうに。
 これはカモかと声をかけた店主だったが、生憎と店の大半の品がサイトやケティの予算を大幅にオーバーしていたため、ふたりは即座に買うことを断念。
 執拗に奨めてくる店主をノラリクラリと交わしていたところで、思わぬ方向から声をかけられることになった。
 「ヘヘン、おい、親父、どうやらお前がボッタくろうとしているのは、お見通しみたいだぜ!」
 無論、言わずとしれたデルフリンガーである。
 "彼"と店主の言い争いは割愛するとして、しゃべる剣(インテリジェンスソード)という存在が、サイトは妙に気に入った。刃の形もどことなく日本刀を連想させるし……。
 「なぁ、親父さん、こいつ、いくら?」
 7、80エキューであればギリギリ出せないこともない。
 ところが、それを聞いて慌ててケティが店主に話しかける。
 「サイトさんが気に入られたのなら、わたくしがこれを買わせていただきます!」
 懐から金貨を取り出してカウンターの親父につきつける。
 「え、もしかしてケティ、これ買ってくれるつもりか!?」
 「は、はい。わたくしの不始末のせめてものお詫びに……」
 「いや、そんなの気にしなくっていいって」
 昼食をとったレストランの会計から換算すると、100エキューとはそれなりに高額なはずだ。
 一度は固辞したサイトだったが、「では、サイトさんと初めてお出かけした記念のプレゼントです」とけなげなことまで言われてはさすがに断れない。
 「ありがとな、ケティ。俺、これ大事にするよ」
 「いえ、そんな……」
 まるで彼女に手編みのマフラーをもらった彼氏のようなやりとりだが、プレゼントが6000年物のボロ剣というのが妙にミスマッチだ。
 もっとも、ふたりの世界に入ってるサイトたちは気にしちゃいねーが。
 「ん? このボウズ、もしかして使い……いや、まさかな」
 もちろん、デルフリンガーの意味深な呟きなんかもシカトである。
 その後、帰路で運よく再びタバサたちと出くわし、彼女の使い魔の風竜で魔法学院まで送ってもらうことになったのだが……。
 新しい"おもちゃ"を手に入れたサイト以上に、ケティは終始ご機嫌だったという。

 -つづく-
----------------------------------------
以上。今更ですが、ケティのイメージは、若干「DC」の美春が入ってるかも。「ミス〜」ではなく「〜先輩」と呼ばせてるのもその影響。
次回は、ついに決闘イベント……の予定。いえ、漠然とした筋しか考えてないのですが。

<オマケ>
 「さー、スカーレットちゃん、いい子だから、この首輪つけてみて」
 「ク……クワァ〜」
 同日、トリスタニアの某ペットショップに、色とりどりの装飾首輪を物色するルイズと、迷惑そうなその使い魔の姿があったとか。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 23:11:43 ID:NhgZPzM4
>>334
乙でした

剣持った怪しい鳥ならず
残念

しかしニヤニヤ出来ていいですな
336『炎のように』訂正:2009/06/24(水) 23:16:59 ID:C83Yv2G1
しまった、キュルケのフルネーム、足りてなかった。まとめの時にでも修正します。
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 23:59:34 ID:e+HNJzZW
なんで口にデルフくわえた怪鳥が快調に走りながら敵をばったばった倒して
行く展開にならなかったし!!

ざんれん!

しかし、理想卿の魔改造ケティといい、創作ケティはかーいいな
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:11:20 ID:eQZy4uP7
燠火って内側から長く高温に燃えるあたり、脳内で妄想を加熱させまくってるここのケティには似合ってる二つ名だなと思った
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:35:51 ID:YNSxKZZR
キュルケ・アウグスタ・フリッツ・フォン・エリック・ツェルプストー
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:42:00 ID:D0ZB7AIV
握力200かよw
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:59:53 ID:LbV1u7d1
ルイズ・フランソワーズ・ルー・テーズ・ド・ラ・ヴァリエール
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 02:30:27 ID:BiNAQ0I/
本来はケティに呼ばれた鳥にルーン刻めんのか? なんて無粋なことを思ってしまった。
というか以降の戦闘系イベントはどうなるんだろうか……サイト自身は現状ガンダールヴどころか使い魔になってすらいないから身体能力他が普通の人なんだよなぁ……
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 02:36:55 ID:YNSxKZZR
実は「マットの白い豹」という異名の持ち主だったりするかもしれん
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 08:34:53 ID:GPguNUYj
もしハルケギニアが西洋ファンタジーな世界ではなく
東洋風の中華や和風、はたまた南国風の世界だったら
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 09:24:03 ID:sIo/0Tc3
南国風……基礎教養が下ネタ
東洋風……中華風との区別が付かん気がするが、女子は超ショート浴衣、男子は褌くらいで
中華風……ギーシュ去勢
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 10:59:37 ID:YNSxKZZR
南国風ルイズ「んばば!」
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 11:10:29 ID:GPguNUYj
>>345
東洋風のカテゴリの中で和風や中華風を出してみたんだ

和風だったら、侍の代わりに陰陽師が支配階級の戦国時代な世界になるのかな
幕府みたいなのがあるとゼロ魔のストーリーはできないような気がするし
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 12:40:02 ID:Xkf8f8kA
>>347
ロマリアを幕府、諸国を諸藩でガリアが薩長ってところじゃないか?
貴族連中を時代劇で活躍する悪役にしたりすれば陰で泣く平民は簡単に用意できるし。
問題はルイズ達をどういうポジションに持ってくるかだけどな
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 14:34:04 ID:/bXgEC5V
もしも魔法学院が悪評だらけのワル校で、召喚されたサイトも札付きのワルだったら
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:11:56 ID:eQZy4uP7
もしもジョゼフがふっ切れて改心して親ばかになったら
ガチの教皇vsジョゼフが見たいです
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:35:40 ID:xMdir9pn
シャルルはどうなってますか?
それによっちゃ、タバサはロマリア側かな。

>>349
校長はワルドさん?
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 15:42:26 ID:feATT3uO
>>349
在学中そこで番長をやっていたカリンさんに
そこでトップ取ってこいと放り込まれたんですね。

長女、次女もそこで頭を張っていたことがあるという名門一家と言うことですね。


エリートヤンキー三郎?
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 16:03:12 ID:Ee3QYGbY
授業サボってキュルケとタバコ吸ってたりとか
ジョゼフと反発して出てきたイザベラがいるとか
ギーシュとは喧嘩に明け暮れる毎日とか
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 16:17:02 ID:mTiBV+FS
>>349
水精霊騎士隊は水精霊珍走団になるわけですねわかります


盗裡捨院夜露死苦 愛羅武勇!
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 16:26:00 ID:IAEoyb3V
才人は"ご主人様"(ツンデレ)と"踊"(ダンス)っちまったんだよ
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 18:40:02 ID:/dGjehoK
中華風のゼロ魔だとハルケギニアが
・人口崩壊と共に政権、秩序が崩壊、
・人口が1/2、1/3以下に減って落ち着いてきたら新政権が建ち人口が爆発
・その爆発力で勢力を拡大、人口を維持できなくなったら崩壊、分裂
を繰り返す地域になる。異民族のエルフや翼人が征服王朝を立てたりしそう。6000年の超安定政権はありえない。
ブリミル=黄帝、尭舜同様の神話上の人物で王すら自らを子孫と名乗らない

和風(江戸時代をイメージ)のゼロ魔
トリスティン=ブリミル宗家で権威の中心(武力も経済力もないので領土は一番小さい)
ガリア=ハルケの軍事、行政の中心
アルビオン=ハルケの経済の中心
ゲルマニア=新興地でアルビオンに迫る経済力を持つ
ロマリア=幾つか有る宗教の中心地の内の大手
・貴族が全般的に貧乏
・杖も(内職、開墾、亜人、盗賊、害獣退治以外では)滅多に抜かない
・経済を平民が担っているので両者の対立が小さい
・軍事、行政をメイジが握り、権威はトリスティン王家&貴族が握り、経済を平民が握る
才人とルイズの主従が
私物を余り持たず質素なルイズ、ルイズの質素さから積極的に働く事を決意する才人。
生活費を渡そうとする才人と頑なに受け取らないルイズの対立が起きる。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:10:58 ID:dKxllCXj
>>351
最新刊のネタバレも考慮するとありそうだ…
シャルルがあんな手段までとって王位を取ろうとしたのは
(メ欄)のことも有りそうだし
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:22:42 ID:GPguNUYj
>>356
平安時代イメージのゼロ魔もできそうだな

ギーシュに光源氏は無理だと思うけど
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:30:48 ID:/dGjehoK
>>349
魁!トリスティン魔法学院
悪の巣窟と聞いて唐突に思い浮かんだ。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:34:16 ID:mJX8LaJv
ここってネタバレ解禁は何時なんだ??
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:46:14 ID:feATT3uO
>>360
ノボルスレが発売日翌日の24時からのはずだから
それと同じで良いんじゃないかな。

どうしてもしたいならこっちで吐くなりしてくるとか
ゼロの使い魔・総合スレ(ネタバレアリ) Part13
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1245834081/
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:53:40 ID:mJX8LaJv
そのスレはすでにチェック済みだぜ
IFスレも解禁されたら伸びるかな〜
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:59:17 ID:feATT3uO
とりあえず荒れるのは勘弁。

新作ネタで雑談したい気持ちはわかるが、
そういうのは本スレとかで頼む。

するならせめてネタと絡めてくれ。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:08:58 ID:mTiBV+FS
とりあえずだ
>>357(メ欄)まわりのIF話開始は>>361あわせでおK?>>皆
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:11:00 ID:vXx+6NaK
ネタと絡まった話ならおkだと思う。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:15:02 ID:xMdir9pn
>>357
> 最新刊のネタバレも考慮するとありそうだ…
マジで!?
やっとワルドさんが復帰するのか、しかも教職に就くとはな……
どういう流れか知らんがワクワクしてきただよ
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:17:41 ID:ORi02g+t
>>356
ラ・ヴァリエール家=摂関家
ですな。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:19:11 ID:dKxllCXj
>>366
書いた時からそのボケされるとは思ったよw
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:36:58 ID:oO2PNtLF
>367
ルイズがサイトに折檻すると?
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 21:28:10 ID:/dGjehoK
>>369
それ原作…
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 23:00:19 ID:D0ZB7AIV
>>369

・ルイズがサイト「を」折檻「する」

・ルイズがサイト「に」折檻「される」

のどちらかの誤りだと思うんだが、どうだろう?
372『炎のように』:2009/06/25(木) 23:01:31 ID:nFSyKNpY
じつは、私も昔ココの板で「ハルケギニアが日本の風俗習慣をもってたら」的なIFを書いた記憶があります。
ブリミル教が仏教っぽくて、マザリーニやクロムウェルが禿頭&袈裟。ただし神仏習合してるので、女子の聖職者は巫女さん姿という。
もう一度練り直してみますかねー。
それは、そうと、続きを投下します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『炎のように』第3話

 虚無の日の翌日からのサイトの生活にも、それほど変化は見られなかった。
 ただ、立ち話程度だがタバサやキュルケと会話する機会が多少増えたこと。
 そして、朝早めに起きて裏庭で剣の稽古をするようになったことくらいだろうか。
 後者については、何と言うか、男の見栄?
 気になる女の子にせっかく剣を買ってもらったのに、それをロクに使えないんじゃ、カッコがつかない……と、まあ、その程度の男気(と呼べるかはなはなだ疑問だが)は、ヘタレなサイトにもあったらしい。
 一応、付け加えるなら、女の子とりあってのケンカ(本人達は決闘と主張)に魔法持ち出すおバカな男子生徒を虚無の日の晩に見かけたりして、「やっぱココってファンタジーな世界なんだよなぁ」と、多少の危機感を抱いたことも関係してはいるようだが。
 「……295、296、297」
 今日も今日とて、上半身Tシャツ1枚でデルフリンガーの素振りをするサイト。
 振り下ろすたび、ブォン、ブォンと、素人にしてはなかなかいい音がしている。存外素質はあるのかもしれない。
 「299、300!」
 ふひぃ〜〜と、剣を下ろして深い息を吐く。
 「よぅ、今日は300回まで息が続いたじゃねーか、相棒!」
 デルフリンガーが楽しそうに話しかけてくる。
 「ああ、まぁ、毎日やってるんだからそれくらいはな」
 「初日に100回でネをあげてたときゃ、「こりゃ、オレの見込み違いだったか……」と思ったもんだが」
 「そ、それは言うなって、デルフ」
 実のところ、サイトがこの訓練をするよう焚きつけたのは、デルフリンガー自身だった。
 虚無の日の夜、部屋でサイトと雑談している際に、サイトが剣の扱いのイロハも知らないと知って愕然としたのだ。
 一応、サイトのために弁護しておくと、正確には彼には剣道の心得の基礎の基礎くらいの知識はあった。
 8歳のころ、特撮ヒーローに憧れて近くの剣道場に入門したものの、稽古がキツくて泣きが入り、結局1月たらずで辞めてしまったと言う情けない経緯ではあるが。
 その時のウロ覚えの知識を引っ張りだして、何とか素振りだの正眼の構えだの擦り足だの基本的な動作は、モノにしつつあるのだ。
 あの当時は、あれほど辛いと思った剣の練習が、今は結構楽しんで続けられてるのはなんでだろーなー、などとサイトも考えたりもする。やはりケティに「大事にする」と誓った手前だろうか。
 ――もしかしたら、子供のころも道場に可愛い女の子か綺麗なお姉さんでもいれば、存外続いていたのかもしれない。
 自分の現金さに苦笑しつつも、息が整ったサイトは、今度はより実戦的な動き(といっても、しょせんは素人の机上の空論だが)の練習に入る。
 まず正面から自分同程度の背の相手が斬り込んできたと仮定。頭上から落ちてくる剣を、右からの入り身でかわししつつ、その小手を打つ。相手の体勢が崩れたところで、振りかぶった剣を背中に切り下ろして、まずは1勝。
 続いて、今度は自分より上背がある人間が槍のような長物をふるってきたときのことを考える。リーチが長いぶんかなり厄介だ。横に振られたものは剣で受け流し、縦斬りは左右いずれかに回避。
 突きが一番の難だが、同時に付け入る隙もできる。間一髪かわして槍の柄を掴み、相手が引き戻すのに逆らわずにこちらも前に出て、懐に飛び込んで剣を突き付けて勝ち。
 次は逆に、両手に短剣を持った小柄で敏捷な相手との戦いを想定して動く。
 ハッキリ言って打つ手がない。リーチの差でなんとかしのごうとしても手数で押し切られる。おまけに、隙を見せたら片方の短剣を投げつけられて、それをかわしても体勢が大きく崩れて、即座に敗北が決定した。
 「はぁ……やっぱ、スキルが全然足りてねーなぁ」
 尻もちをついたままガックリと肩を落とすサイトだったが、珍しいことにデルフリンガーがそれを慰める。
 「ま、相棒は剣を振るようになってまだ4日目だ。地道に鍛錬していくしかねーよ。オレ様もアドバイスしてやるから、がんばんな!」
 そんな言葉をかけながらも、デルフは内心密かに戦慄していた。生身の体を持っていれば冷や汗を垂らしたかもしれない。
373『炎のように』3-2:2009/06/25(木) 23:02:36 ID:nFSyKNpY
 (オイオイ、なんだよ、こいつの異様な上達の速さは! これが3日前には剣の素振り100回で泣き言漏らしてたド素人か!?)
 6000年ものあいだに、のべ数百人にもおよぶさまざまな兵士や戦士に剣として使われてきたデルフリンガーだからこそ、わかることがある。
 今回の相棒、サイトの剣術の上達ぶりは明らかに異常だった。
 無論、6000年の中には「天才」と呼ばれ、常人より遥かに短い期間で剣術が上達していく人材も、いなかったわけではない。
 しかし、そういった人材は、例外なく初対面の時から常人とは違う何かを感じさせるものだ。また、剣に長けていくにつれ、彼らは並みの戦士には真似のできない、まさに"天性"の動きや技を身につけていくこととなる。
 その意味では、サイトは決して天才ではない。動き自体に目を見張るようなものはないし、センスや閃きの類いもおよそ感じられない。ある意味素直で、愚直とさえ呼べる。
 だからこそ、なのだ。
 サイトの動作は、それこそ凡百の資質しか持たない兵士が数々の戦場を渡り歩いたのち、生き残るための術として自然に身につけるべき代物だ。
 天賦の才ではなく、幾多の修羅場をくぐり抜けた凡人が結果として習得する泥臭いが合理的で自然な動きを、目の前の少年は、驚くほど短期間にそして実戦を経ずして身につけつつあるのだ。
 (やっぱり、こいつが……そう、だってのか?)
 彼の身にルーンが刻まれていないことは、すでに確認しているが、それでもデルフとしては、あの伝説の使い魔を思い浮かべずにはいられなかった。
 メイジでもエルフでもない、ただの人の身でありながら、そのふたつを凌駕する戦闘力を示す存在。剣をはじめとする多種多彩な武器を使いこなし、馬より速く駆け、単身で魔獣や竜さえ屠る超戦士。
 (こいつが吉と出るか……凶と出るか、だな)
 長く"生き"ていささか退屈してはいたが、こんなところで予想外な運命のルーレットに巻き込まれたようだ。
 (ただ、だとすると、あの栗色髪のお嬢ちゃんが"虚無"ってことになるんだけどなぁ……)
 デルフの経験上、どうにもそんな気配は、ケティには見受けられない。
 そもそも、現在でこそ"始祖のみが行使した伝説"、"幻の系統"なんて呼ばれているが、当のブリミルのすぐそばにいたデルフリンガーからしてみれば、虚無の魔法は決して"伝説"でも"幻"でもない。
 なんとなれば。ブリミル以外にも、現在の4王家の祖先となった彼の子・直弟子たちは、普通に"虚無"の魔法を使うことができたのだから。
 また、ブリミル没後の数百年間は、王家の直系傍系何世代かごとに"虚無の担い手"は登場していた。さすがに始祖の時代ほどの奇跡的な力はなかったものの、確かにその系統は"虚無"だったのだ。
 すべての虚無の担い手を知るわけではないが、それでもその内10数人とデルフは顔を合わせたことがある。
 その観点から見て、虚無の使い手には大きな特徴があった。
 ひとつはその性格。ほぼ例外なく、皆、ゴーイング・マイウェイで意志の強い性格をしている。中には、一見人当たりがよさそうに見える者もいたが、そういう者ほど優しい笑顔のまま他人を従わせるカリスマじみた何かを持っていた。
 ふたつめは、虚無の担い手は最初に"虚無"の系統に目覚めるのだ。その後、コモン、そして4つの系統のいずれかが使えるようになることはあるにせよ、系統魔法を最初に使えたという例は、デルフは知らない。
 その観点からすると、ケティはどちらにも当てはまらないと言える。多少思い込みが激しいとは言え、我を通す意志の強さには欠けているし、すでに火と土が使えるのだから。
 「やれやれ、どうしたもんかね」
 「? 何か言ったか、デルフ」
 「いんや。相棒は残心がなってねぇって言ったのさ」
 「ぐ……おまえ、相変わらず容赦ないよなぁ」
 思案顔(あくまで雰囲気だ)のデルフリンガーが見守るなか、サイトは朝食の寸前まで稽古を続けるのだった。
374『炎のように』3-3:2009/06/25(木) 23:04:59 ID:nFSyKNpY
 そして、サイトがこの世界に来て2度目の虚無の日を迎えるその前日。事件は起こった。
 その日の午前中、サイトはロングビルの言いつけで図書館から宝物庫の所蔵品に関する資料をひとそろえ、秘書室に運び込んでいた。
 とはいえ、宝物庫にある全アイテムの数は100は下らない。当然、それに関する資料の本と言うのもかなりの数になる。
 地球で言うなら何とか小学校高学年程度の読み書き能力を備えるに至った才人だが、リストがあるとは言え、それらすべてを館内から捜し出すのは骨が折れた。
 さらに、こちらの本は紙が厚いぶん重いものが多い。
 剣の鍛錬で多少は筋肉がつきつつあるサイトだが、それでも一度に運べるのは5〜6冊程度だ。重さというよりバランスの面で、それ以上積むのは危ない。
 仕方なく、サイトは知り合いのメイドに荷車みたいなものがないか尋ねる。 幸い小型の台車を借りることができたため、予想より作業ははかどった。
 「ありがとう、助かったよ、シエスタ」
 埃除けに一緒に借りた軍手のような白手袋をパンパンとはたき合わせながら、サイトは用具を貸してくれたメイドに礼を言った。
 「いえいえ、困った時はお互いさまですから。それにヒラガさんには色々教えてもらいましたし」
 食堂付きのメイドはニッコリほほ笑む。聞けば、彼女の曽祖父も東方出身(もっともサイトのそれはフェイクだが)らしく、「ヨシェナヴェ」などそれっぽいメニューを知っていたのだ。
 サイトは、自分が知る限りの知識をシエスタと食堂の親方マルトーに伝え、ふたりは「ウドン」、「トンカツ」、「ギョウザ」といった新たな東方風料理の開発に成功していた。
 「ふいーーっ、さすがに力仕事すると腹が減ったなぁ」
 「今日のお昼は、このあいだヒラガさんにうかがった"カツトジ"だそうですよ」
 さすがはトリステイン有数の料理人と呼ばれるマルトーは、シエスタの故郷タルブ村特産の調味料"セウユ"も常備していた。
 みりんの甘味は砂糖と料理酒で代用してセウユと合わせてソースを作り、健康的に飼育されたブタと鶏卵で作ったカツトジにかけたら……と、想像しただけで、口中に唾が湧いてくるようだ。
 「ははっ、じゃあ、お昼を楽しみに作業を続けるよ」
 食い意地のはった自分に苦笑しながら、サイトはシエスタと別れた。
 もっとも、結局その日の昼休みにサイトが念願のカツトジを食べることはできなかったのだが。

 さて、ギーシュ・ド・グラモンという少年が土系統のドットメイジであることは、皆さんもよくご存知であろう。
 "ドット"というのは、ハルケギニアにおけるメイジのランクとして最低の位を指す。もっとも、全メイジ人口の約4割がこの"ドット"なのだから、誇りはできないものの、決して恥じるほどのものでもない。
 さらに付け加えると、同じランクの中でも、その技量にはずいぶんと開きがある。ドットがラインに戦って勝つことは概して難しいが、優れたドットと無能なラインなら、決して不可能ではないのだ。
 その観点から見れば、ギーシュの魔法の腕前は「限りなくラインに近いドット」だと言えるだろう。とくに等身大ゴーレムを複数作り出して運用することに関しては、ちょっとしたものだ。
 ──サイトがそのことを知らなかったのは、幸運だったのか不運だったのか。
 その日の昼休み、サイトが食堂に入って来たのは、まさにギーシュを挟んだ女子ふたりの修羅場が繰り広げられている最中だった。
 この学院でもっとも親しい少女、妹のように思っている(と、サイトは自分言いきかせていた)大事な女の子であるケティが蒼白になって、上級生らしき男子生徒に話しかけていた。
 「……ギーシュ様、やっぱりモンモランシー先輩を……」
 「いや、その、なんだ……」
 バツが悪そうな表情になった男子生徒が言葉を濁したものの、ケティはその愛らしい瞳をみるみる曇らせ、涙をいっぱい溜めながら、その場から走り去った。
 「ケティ、待っ……」
 「待ってくれ」と言いかけたサイトの耳に、その男子生徒の言い訳めいた言葉が聞こえてきた。
 「やれやれ、彼女たちは薔薇の使命を心得てないと見える」
375『炎のように』3-4:2009/06/25(木) 23:05:43 ID:nFSyKNpY
 なん……だと?
 「薔薇は華麗に咲き誇り、多くの蝶を引き付けるもの。そのことを理解できないなど……」
 ギリッとサイトの奥歯が鳴る。
 (貴族か何か知らないけど、そんな言い草があるかよ!)
 かろうじてその場で殴りかからないだけの理性は保っていたものの、ケティの泣き顔を思い浮かべるだけで、胸の奥が熱く煮えたぎるようだ。
 堅く握りしめていた拳を見て、ふとサイトの脳裏に閃くものがあった。
 ツカツカと野次馬の輪から抜け出してギーシュの前に歩み寄り、手から外した軍手をスパーンと彼の胸に叩きつける。
 「……何の真似だい?」
 「俺達の故郷の決闘の作法だよ。ギーシュとか言ったよな。お前に決闘を申し込む!」
 「君は?」
 「サイト・ヒラガ。東方から来た、学院長の客人だ」
 「ほぅ、君があの……。いいだろう、決闘を受けよう。だが、理由を聞いてもいいかな?」
 「お前がケティを泣かせた。それだけで理由は十分だろ」
 ふと、ギーシュの顔が一瞬だけ歪む。そこには、後悔、自省、矜持、哀惜……さまざまな感情が混然となっていたが、少年はそれをすべて呑み込み、ことさら無表情を作った。
 「貴族として一度承知した以上、君と戦うことに異論はない。しかし、あえて問おう。君は本当に僕と戦う理由……いや、資格があるのかな?」
 「!?」
 「ヴェストリの広場で待っている。準備ができ次第来たまえ」

 (資格、だって?)
 あの男は間接的にこう言ったのだ。「お前には戦う資格がない」と。
 貴族だとか平民だとかの身分云々ではあるまい。もしそうなら、彼はあの場で決闘を断っていたはずだ。
 (あるに決まってるだろ! 俺はケティにとって……)
 ケティにとって何だというのだ? 
 偶然召喚した使い魔候補? 頼りない兄代わり? 勉強を教えている不甲斐ない生徒? ……どれも理由としては弱い。
 だったら、自分にとってケティは?
 不運な召喚者? かわいい妹分? 年下の先生役? それとも……。
 思い悩みながらもサイトは自分の部屋へと戻ると、ドアの前に見慣れた少女がぼんやり立っていることに気がついた。
 「ケティ!」
 「──サイ、トさん……?」
 泣きはらした顔でぼんやりと彼を見返す彼女の目は焦点が合っていない。どうやら半ば無意識でここまで来たようだ。
 「やだ……わたくし、どうしてこんなところに。ごめんなさい、すぐどきますから」
 薄く笑ってフラフラと歩み去ろうとする少女はサイトは後ろから力一杯抱きとめた。
 「あ!」
 「行くな!」
 そのままの姿勢でケティの耳元に囁く。
 「俺、これからアイツと決闘してくる。ケティの分まで、思いっきりブン殴ってやるから、アイツのことなんかスッパリ忘れて、元気出してくれよ」
 サイトの言葉が耳に染み込むにつれて、徐々にケティの目に理性の色が戻ってくる。
 「サイトさん……そんな、危険です! それに第一、サイトさんにそんなことまでしていただく理由が……」
 「やっぱ、理由が必要か。だったら……」
 腕の中のケティの体をグイッと半回転させると、サイトは唐突にケティの唇を奪う。
 「!!」
 しばし、ふたりの時が止まる。
 実際の時間にして10数えるかどうかと言う間だったが、ふたりにとっては十分以上にも感じられる時が流れる。
 やがて、バッと体を離したサイトが早口で目の前の少女に告げる。
 「使い魔の契約ってヤツには、キスが必要なんだろ? これで俺はケティの使い魔だ。マスターを泣かせたヤツと戦うのは当然だよな」
 そのまま自室に入り、デルフリンガーを持ち出すと、ケティの方は見ないようにしてヴェストリの広場へと向かった。
 サイトの姿が消えても、しばしケティは茫然としていたが、そこには先ほどまでの悲嘆にくれた自失状態とは異なる、なにかの熱気のようなものが感じられるのだった。
376『炎のように』3-5:2009/06/25(木) 23:06:24 ID:nFSyKNpY
 「なかなかカッコいいですね、色男さん」
 職員宿舎の出口にニヤニヤしながら立っているロングビルを見て、サイトは僅かに顔を赤らめた。
 「見てたんですか? ……よして下さい。俺の自己満足に過ぎないことは、重々理解してるんですから。後でケティに謝らないと」
 「ふふ、それがわかってるなら、お姉さんから言うことはありませんわ。
 ──そうそう、あのギーシュって子の得意技はゴーレム作りみたいですね。ゴーレム使いを相手にするときは、ゴーレム自体を相手にするより、なんとか本人を叩くのがセオリーですよ」
 「ご忠告、ありがとうございます」
 ロングビルに手を振ると、サイトは広場へと足を踏み出していった。

 「来たのか。まぁ、自分から決闘を申し込んでおいて、逃げるほど臆病だとは思っていないが」
 「ごたくはいい。さっさと始めようぜ」
 「やれやれ。せっかちだね。ただ、もう一度聞こう。東方出身とは言え、メイジではない君が、危険を犯して僕と戦うのはなぜだい?」
 その答えは、自分でさっき見つけた。
 「俺はケティの……」
 使い魔だから、と言いかけて止める。それはきっと本当の理由じゃない。そんな外付けの強制力は必要ない。
 愛おしい、そばいいたい、彼女を守りたい、そんな感情の集合体。
 恋に似て、愛を含み、同時にそれ以外の何かをも包括したこの気持ち。
 「──俺がケティの騎士(ナイト)だからだ!」
 この状況下でそれを言い表す言葉をサイトはそれ以外に持たなかった。

-つづく-
--------------------------------------
以上。前話から一転、重苦しい話に。しかも肝心の決闘シーンは次回に持ち越し。
なんとゆーか、サイト君、頭に血が上りすぎ? しかもカッコつけ過ぎですね。
おかしい、当初の予定ではもっと単純熱血バカなはずだったのに(まぁ、原作よりは多少、動く前に考えて悩む男の子にしようとは、思ってましたけど)。
377『炎のように』第3話(裏):2009/06/25(木) 23:56:21 ID:nFSyKNpY
 「俺がケティの騎士だからだ!」
 おぼつかない足取りでヴェストリの広場が見える場所まで出てきたケティは、サイトの叫びを耳にする。
 かつて、ひとり勝手な妄想の中で思い浮かべた言葉だった。
 しかし、あの時はあれほど甘美に思えたそれを、本人が高らかに宣言してくれたというのに、ケティの胸は悲痛な想いでいっぱいだった。
 うれしくなかったわけではない。こういう状況でなければ、天にも昇る心地だったろう。
 しかし、自虐モードに入っている彼女にとって、同時にそれは己れを苛むイバラの棘でもあったのだ。

 先ほど、食堂で憧れのギーシュを目にした彼女は、久しぶりに彼と食後のお茶を共にしようと、歩み寄るところだったのだ。
 ところが、ちょうど彼の目の前まできた時、コツンと何かが足にあたったのを感じて、足元を見る。
 そこにある小さなガラス瓶を拾い上げた時、ギーシュが「あっ!」と言う小さな叫びを飲み込んだのがわかった。
 ケティはその瓶に見覚えがあった。
 彼女の恋敵であるモンモランシーが、親しい友人にしか渡さない調合の難しい特別製の香水の瓶だ。しかも、男子にはまだ誰にも渡したことがないと聞く。
 それが、ギーシュの手元にあるということは、つまり。
 「ギーシュ様、やっぱりモンモランシー先輩と……」
 コトリ、と机の上に瓶を置く。
 「ち、違うんだ。誤解しないでくれたまえ。いいかい、つまり……」
 ギーシュが何か言い訳をしかけたところで、彼の背後から歩み寄った人影が、小瓶を取り上げた。
 「あら、そう言うことなら、これは返してもらおうかしら。わたしとは、別段関係ないんですものね、"ミスタ・グラモン"?」
 「そそそ、そんなわけないだろう、モンモランシー。僕の心の奥に住んでいるのは、君だけなんだから!
 「寝言は寝て言いなさい」
 ピシャリと言い捨てると、モンモランシーは身を翻して食堂を出ていく。
 「いや、その、なんだ……」
 取り残されたギーシュがバツの悪そうな顔でケティの方を向いたが、彼女の心もすでに決まっていた。
 「やっぱり……ギーシュ先輩、さようなら」
 悲しげにギーシュに向かってそう言うと、ケティもまた食堂を走り出ていた。

 ギーシュにフラれたことはもちろん悲しい。
 故郷で同年代の男性とほとんど触れあった経験のない彼女にとっては、まさに初恋だったのだ。
 初めてこの学院を訪れたとき、門の前で気おくれしている彼女を気遣い、手を引いて中に招き入れくれたのが、ギーシュだった。
 その時のケティにとって、彼はおとぎ話の中の王子様のように見えたのだ。
 それからも、折にふれては彼に近づき、ついには遠乗りに誘ってもらうことにも成功した。
 ギーシュの乗馬の腕前は、正直なんとか一人前というレベルで、田舎暮らしゆえに馬の扱いに長けたケティには正直物足りない部分もあったが、それでも彼女は「憧れの王子様」と一緒にいられるだけで幸せだったのだ。
 数少ない女友達たちの「グラモン先輩だけはやめときなさい」という忠告も、彼女の耳には届かなかった。
 だから、1年生の身で使い魔召喚などという暴挙を行ったのだ。
 そして、その挙げ句、無関係な少年を故郷から遠く離れた異郷の地へと拉致することになってしまった。
 その時点で自分の愚かさを悔い改めるべきだったのだ。
 なのに、未練がましくギーシュのことを諦めきれなかったからこそ、今日のような事態を招いたのだ。
378『炎のように』第3話(裏):2009/06/25(木) 23:57:14 ID:nFSyKNpY
 ――だがしかし、ケティが本当に自分を許せないのは、実はそのことではない。
 今日、彼女はギーシュに"久しぶりに"話しかけようとしたのだ。つい2週間ほど前までは、毎日なんとかして近づこうとしていた恋人候補、少なくともそうなれたらいいと考えていた少年に。
 この2週間、自分は何を……誰と過ごしていたのか?
 決まっている。サイトとだ。昼休み、放課後、休日。その大半を彼とともに過ごしてきた。
 無論、事情があってのことだ。しかし、そのあいだ自分は一度ならずサイトと一緒にいることにときめいたりしてはいなかったか?
 それは、少なくとも「ギーシュを慕う気持ち」に対する明確な裏切りだろう。
 もちろん、見込みのない恋心に見切りをつけ、新たな恋を捜すと言う選択はあるかもしれない。
 しかし、それならばその古い恋を終わらせるべきだ。
 それをせずに、未練がましくその思い人に擦り寄ろうとすること。
 それこそ、最低の二股行為ではないのか?
 だから、本当は、自分にギーシュを責める資格などないのだ。
 その証拠に、自分はギーシュとの破局を認めた瞬間、無意識にサイトの部屋へと走って来たではないか。
 彼にすがれば、この辛さが忘れられると思って。
 あさましい! なんとあさましい女なのだ。
 こんな女、誰からも愛される資格などないのだ……。

 ……なんと言うか、見事なまでのネガティブスパイラルである。いわゆる「生まれて来てすみません」状態。
 この状態の彼女にとって、自分が原因で少年ふたりが争うことなぞ、それこそ身を切られるような心持ちだった。
 サイトとのキスで多少は高揚した心も、実際の決闘の場を見ることで一気にマイナスゾーンへと突入してしまっている。
 それでも、彼女はふたりから目を逸らすことはできなかった。
 そんなことをしたら、今度こそ自分がサイトの前に立つ資格を失ってしまうような気がしたから。
 (お願いです、サイトさん。勝ち負けはどうでもいいですから、どうぞご無事で……)

−4話へつづく−
−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上。当初割愛しようかと思ったのですが、なんかここを書いておかないとケティがビッチに見える気がしてきたので。
つぎこそ、本当に決闘シーンです。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 00:13:20 ID:PxByhx2n
ケティの人乙です
原作だとケティは間違いなくビッチに傾いてますからね
この辺の処理は今後安心して読めるラブ米を展開するには必須事項ですな
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 00:57:34 ID:mU7SsBcU
この才人にはHELLSINGのベルナトッド隊長の様な、考え抜いて戦う凡人の戦いを期待。
あと才人は魔法が使えない平民なのでギーシュとの決闘で、ルイズが助っ人になっても問題ないはず。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 02:08:46 ID:4BmWh/Gz
いやキュルケやタバサの方がまだ可能性高いんじゃね?
ルイズとはまったく接点ないし
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 03:31:32 ID:aUAwNh4O
>>380
上の行と下の行の意味があんまり繋がってない件について
考え抜いて戦うのを期待するんなら助っ人は余計
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 04:37:41 ID:5zjbI3gT
>>380
戦術を考え抜いた上で貴族の魔法も戦力として使うなら、ベルナドット隊長っぽいけど
ドットメイジ相手に助力を頼んでしまうとそれはちょっと……

トライアングル以上相手にして味方全員で倒すならそれも有りだけど
相手は平民に毛が生えた程度のドットだぞ?隊長なら自分一人で倒すだろ。
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 04:46:55 ID:4BmWh/Gz
いや俺も隊長なら一人で十分お釣りがくると思うけど戦うのはサイトだから

でも多少鍛えててデルフも持ってるし一人でも平気かな
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 07:51:01 ID:mU7SsBcU
ギーシュは慢心を捨てている。
ギーシュのスペックは高くもないが低い物じゃない。
魔法が使える凡人vsチートが少ない魔法が使えない凡人
の凡人対決、慢心が無く魔法を使い慣れているギーシュの方が圧倒優位な気がする
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 09:58:08 ID:Jnd4Kt2Q
見た目は大木凡人vs大木凡人
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 12:43:26 ID:EukLSblV
虚無と烈風さんの更新まだかな
もう半年も待ってんだけどエターナったのかな
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 18:14:07 ID:2GNTbuiY
>386
吹き出したしそペプシ返せ
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:22:19 ID:4BmWh/Gz
大木凡人氏はたしか琉球空手の達人だからサイトより強いはず
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:29:04 ID:tIVTiPlJ
もしギーシュが他の男子生徒から異性絡みで恨みを買いまくっていたら
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:37:30 ID:4BmWh/Gz
でも1対1の決闘なので助っ人は無理だと思う
ギーシュがサイトを見下してないならなおさら

せいぜいワルキューレのことを教えるぐらいじゃないの
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:56:13 ID:CduNFQRL
>>390
他の男子生徒から袋叩きにされたりして

「貴様には前々から我慢ならなかったんだ!」「日頃の恨み思い知れ!」
ギーシュ「ちょ、待っ……ギャー!」

数分後
サイト「御愁傷様」
ギーシュ「平民に同情されるとは思わなかったよ」
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:03:39 ID:J5/3kZdZ
これからジョゼットも絡めたIFも多くなるな
立場的に結構な重要キャラだから妄想の幅も広がる
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:07:12 ID:PxByhx2n
もしもジョゼットがたまたま知りえたサモンでサイトを召喚したら
隔離された陸の孤島、周りにいるのは箱入りの世間知らずの少女たち
娯楽らしい娯楽はなく、出口も見えない・・・そうなるもはや、やることは一つ!
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:11:35 ID:w2Zxvcvy
>>394
公開去勢ショーか
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:13:12 ID:N/DOi7kM
ああ……やることは一つだ。とりあえず爛れた日々をロマリアに発見されるまで送ればいいと思うよ!
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:25:48 ID:3FO83YEI
なんか、電波が来たw

ギーシュの二股がばれた時に、ケティが逃げずにいたら……


ケティ「ギーシュ様、やはりモンモラシー先輩と……」
ギーシュ「い、いや誤解d」
ケ「でも良いんです、だってギーシュ様の……」
お腹をさすりながら



絶対毒電波だw
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:42:07 ID:4BmWh/Gz
「中に誰もいないじゃない」とかモンモンが言い出しかねんからやめてくれ
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 21:46:26 ID:PxByhx2n
ちょっと危険な女の子にモテモテのギーシュIF・・・
桃色空間のサイト
暗黒空間のギーシュ
メリハリが利いて面白そうなのね
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 22:50:10 ID:izzh7lra
もしガリア王家で、○○(ネタバレにつき伏字)が禁忌扱いじゃなかったら……
そんなIFが出てきそうではあるw>最新刊
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:11:28 ID:mU7SsBcU
ジョゼフが女で、先王の遺言がジョフィーヌ(ジョゼフ♀)を女王にする事だったら
・王に指名され困惑するジョフィーヌ
・リアル女王様プレイ(ジョフィーヌの使い魔に吹き込まれた)とハァハァする色々ダメなシャルル
・シャルロットを連れ実家に帰ろうとするオルレアン夫人
・叔父との付き合い方を考え直すイザベラ
・イザベラに怪談で脅かされ漏らしそうになるのが快感になってきたシャルロット
・妄想と鼻血が止まらないシェフィールド

シャルル父娘がダメ人間になっている。
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:18:07 ID:xxNtax30
>>401
それだとタバサ母ちゃんが毒薬呷った理由がよりいっそう悲惨なモノになりそうだなw
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:21:51 ID:4BmWh/Gz
ジョフィーヌって…

せめてジョセフィーヌと
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 00:08:06 ID:rQl+uGsl
>401
待て、イザベラは誰の子だ。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 00:14:52 ID:KqbE1hTe
>>401
イザベラ……これはジョゼフィーヌがシャルルに襲われたか順当に大貴族から婿を取ったか。
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 00:27:58 ID:HSV5yQHR
今日はケティの人休みか。ざんねん
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 00:38:03 ID:kmGJlQmk
ていうか今までのペースが異常だったんじゃないか?w
408『炎のように』第4話:2009/06/27(土) 01:09:54 ID:prknug0Z
すみません、ちと遅れましたが投下します。
----------------------------------------
『炎のように』第4話

 「なるほど、"騎士"か。どんな意図を込めて君がそう言ったのかは、おおよそ見当はつくつもりだけど……なかなか大きく出たね。東方ではどうだか知らないが、このトリステインではその言葉は決して軽くはないよ?」
 ギーシュ・ド・グラモンは、普段の軽薄さが嘘のようにひとつひとつの言葉に威圧を載せてサイトへと放つ。
 「──伊達や酔狂で名乗ったつもりはねぇ。試してみるか?」
 背負ったデルフリンガーの柄に手をやるサイトの顔は、おそらくこの魔法学院に来て以来もっとも真剣な表情をしていた。
 「いい覚悟だ。勝敗はどちらかが負けを認めるか、僕が杖、君がその剣を落とすまでとしようじゃないか。そうそう、僕はメイジだから、魔法でお相手させてもらうよ」
 「ああ、いいさ。"うごくせきぞう"や"木人"の相手くらいで、ビビってられっかよ!」
 売り言葉に買い言葉というか……。まぁ、ゴーレムという言葉に対するサイトの認識は、その程度なのだろう。
 「東方の剣士は、こちらの平民の兵士とは格が違うとは聞いているが、なるほど。ストーンゴーレムや木製ガーゴイルと戦った経験があるなら、その自信も頷ける。でも……」
 いい具合に勘違いしたギーシュが己が杖──青銅製の薔薇をひと振りする。
 「僕の麗しき戦乙女(ワルキューレ)たちは、ひと味違うよ?」
 地面に落ちたバラの花弁から、ムクムクと女性型の彫像が形成される。
 「げっ、ブロンズセイントかよっ!」
 質量保存的にはありえない光景に呻くサイトだが、軽口をたたきつつもワルキューレのほうに踏み出し、剣を抜き放ちざまに袈裟がけに斬りつける。
 ──ザシュッ!!
 完全に形が整う寸前だったとはいえ、呆気ないほどたやすくブロンズゴーレムが斬れたことに、むしろサイト自身が驚く。
 「な!?」
 「ヒューーッ、やるねぇ、相棒。あれって、確か東方の"イアイ"とかって抜き打ちの技術だろ?」
 デルフの賞賛に応える余裕もない。
 もちろん、サイトだって「居合」という言葉くらいは知っている。某十三代目の剣士が斬鉄剣で、飛行機だの壁だのをスパスパ切り裂いてるのもテレビで見てはいるが、まさか自分がそれを実現できるとは思ってもみなかった。
 ところが、対峙しているギーシュの方は、自分のワルキューレが斬り倒されたというのに落ち着いたものだった。
 「ふむ。ストーンゴーレムと戦ったことがあると言うのだから、それなりの攻撃手段は持っているとふんでいたが……言うだけのことはあるね。
 では、僕の方も本気を出させてもらおうかな」
 再び杖を振ると再度ワルキューレが現れたが、先ほどとは異なり、今度は剣と小さな楯を持っている。
 どうやら、最初のはサイトの手の内を探るための様子見だったらしい。
 さて、以前にも述べたがギーシュのゴーレム操演能力は、ドットとしては破格に高い。
 本来数体のワルキューレを一度に操れるその彼が、相手を侮らず、一体のワルキューレの操作に専念しているのだ。青銅の戦乙女は、まさにその呼び名にふさわしく、隙のない見事な働きを見せていた。
 「ご、が、くっ、そ……」
 それでもここ数日の練習の成果か、サイトもかろうじて相手の剣をかわしたり受け流したりはいるのだが、反撃の契機をつかめないでいる。
 「相棒、ゴーレムのほうが力が強い。守勢に回ってちゃダメだ!」
 デルフリンガーのアドバイスはいわずもがなだ。彼だってこのままではジリ貧なことくらい理解している。
409『炎のように』4-2:2009/06/27(土) 01:10:59 ID:prknug0Z
 そんなサイトの様子をハラハラしながら見ているケティだったが、背中から聞こえる聞き覚えのある声に、ハッと振り向いた。
 「あーらら、彼、けっこうヤるかと思ったんだけど、急に生彩がなくなっちゃったわね。」
 「本で見たことがある。東方の"イアイ"。それは対個人戦では極めて有効な剣術ながら、その勝負は剣を鞘から抜いた瞬間に決していると」
 「キュルケ先輩、タバサ先輩! あの、それってどういうことなんですか?」
 「最初に彼がブロンズゴーレムを斬った技法がたぶん"イアイ"。
 原理は簡単。鞘の中を刀身を滑らせながら抜くことで振りの速度を最高級に高め、その威力を殺さないまま敵を剣を切り裂く技。
 タイミングや姿勢を整えるのは難しいが、そのスピードや間合いをはかりにくいことから相手が回避しづらく、まともに決まれば極めて有効。
 ただし、これを行うためにはいちいち剣を鞘に納めなければいけない。また、最初の一撃を交わされると2撃目の威力が格段に落ちるなど、複数との対戦には不向き。つまり……」
 「つ、つまり?」
 「いまの彼は、極めて不利」
 無情なタバサの言葉に、ケティはクラッと倒れかかるが、なんとか持ち直す。
 「落ち着け、相棒。練習の時の仮想訓練を思い出せ!」
 苛立ちのあまり、一撃もらうこと覚悟で突っ込もうとしかけたサイトに、デルフの叱咤の声が飛ぶ。
 (そうだ、あの時はたしか……)
 サイトの視界に、二重写しになるかのように朝の稽古のときの光景が重なる。目の前のワルキューレは、某対戦格闘ゲームの少女剣士へと姿を変え、ショートソードとラウンドシールドを構えている。
 (カサンドラを相手にした仮想訓練では確か……)
 相手の剣の軌道を見定めつつ、剣を振りきった刹那、動きがほとんど0になる瞬間をねらって、伸びきった相手の利き腕を斬り落とす。
 今度もあっけないほどたやすく青銅像を切断することができた。
 デルフリンガーの切れ味もさることながら、自分でも信じられないくらい、イメージどおりに身体を動かすことができるのだ。
 疑問はあったが、とりあえず重心を崩したワルキューレに後ろから蹴りを入れて転ばせ、そのまま腰のあたりを両断して動けなくする。
 「なかなかやるね。じゃあ、今度はこの子が相手だ」
 しかし、ギーシュの方は、ワルキューレが右腕を切られた時点で次の1体を呼び出していた。今度は2メイルほどの長槍を持っている。
 「チッ……いったい、おまえは、何体、銅像を、作れるん、だよっ!」
 剣よりスピードは遅いが、そのリーチのために懐に入れず苦戦するサイトが、ギーシュに問いかけるが、もちろんギーシュは「さてね」と答えない。
 だが、偶然にもあの仮想訓練と同じ形にワルギューレが繰り出す突きを交わし、側面に回り込んだサイトは、あの時同様に槍の引き戻しの時間差を利用して相手を倒す。
 「……驚いた。そろそろ勝てると思ってたんだけど」
 「へっ、東方にゃあ、"100人組み手"って言って、100人の相手と、連続して立ち会う稽古だって、あるんだぜ?」
 強がってみせるサイトだが、流石にだいぶ息が上がっている。
 「ふむふむ。それはなかなかハードだね。僕もさすがにワルキューレ100体は用意できないから……これで勘弁してくれたまえ」
 ギーシュのバラからは、今度は一挙に3体のワルキューレが生まれる。
 先ほどより長めの両手剣を持つものを真中に、両脇にレイピアを持ったやや小柄な2体が並んでいる。
 どうやら素早いレイピア型がサイトの動きを牽制し、その隙に両手剣型がトドメをさすという作戦のようだ。
 「相棒、囲まれんなよ!」
 「わかってる!」
 即座に身を翻して距離をとる。3体のワルキューレは、あせらずゆっくりと陣形を崩さぬまま歩み寄ってくる。
410『炎のように』4-3:2009/06/27(土) 01:13:34 ID:prknug0Z
 「くっ、手数が足りねぇ……ん? そうか!」
 あらぬ方向へと駆け出すサイト。見ている者は呆気にとられたものの、すぐに彼の意図に気付いた。
 「なるほどー、剣1本でダメなら2本ってわけね」
 感心したようなキュルケの言葉どおり、2体目に倒したワルキューレの剣を拾って左手に構えるサイト。
 しかし、それに対してもタバサの冷徹な分析が下る。
 「防御のためと割り切るなら有効な戦法。でも、片手の力だけでブロンズゴーレムを倒すのは至難」
 "時間稼ぎ"というのは増援や局面の変化がのぞめる時に限り有意義な戦い方だ。
 もし、サイトがゴーレムを操るギーシュの精神力の消耗を狙っているのだとしたら、お門違いだろう。
 ドットとはいえ、ギーシュにもまだまだ余裕はあるはず。むしろ、常に動き回っているサイトのスタミナの方が早く尽きる。
 実際、サイトの動きは、最初に比べて僅かながら鈍ってきているのだ。
 サイト自身それを自覚していたが、3体のワルキューレの連撃に翻弄されるばかり。幸いにも致命的なダメージはまだくらっていないが、体のあちこちに細かい切り傷や打撲が増えつつある。
 「ちっくしょぉ」
 歯ぎしりして呻いてみても事態は好転しない。
 どうやら、"動くためのイメージ"さえできれば体が自然にそう動かせるようだが、1対3の変則マッチでの戦い方は、サイトの想像の範囲外らしい。
 だが……サイトの手の中のデルフリンガーが、覚悟を決めたように話しかけてくる。
 「勝ちたいか、相棒?」
 「何言ってんだ、決まってんだろ!」
 「なら……心を震わせろ」
 「は?」
 「気合いとか思いのたけをぶつけろって言ってんだ! ほら、あっちで娘っこが見てんだ、情けねぇ顔してねぇで根性みせてみろよ!」
 その言葉にほんの一瞬だけ見物人の人垣に視線をずらしたサイトは、そこにケティがいることを見てとる。
 視線が交錯したのは半呼吸にも満たなかったはずだが、そのわずかな隙に、両手剣を持つワルキューレの攻撃がサイトの脇腹へと襲いかかる。
 とっさに左手の剣を盾にしたものの、完全に勢いを殺すことはできず、息が止まるかと思うような衝撃がサイトの右脇に伝わる。
 「グガッ……!」
 咄嗟に後退し、体の具合を確かめる。折れてはいないようだが肋骨にヒビくらいは入ったようだ。呼吸するたびに胸が痛む。

 ──いや。
 右脇腹より、もっと痛む部分がある。
 胸が、痛い。
 比喩ではなく、本当に胸骨の上あたりに熱く燃えるような痛みを感じる。
 その痛みと、サイトの心の中の怒りとも悲しみともつかない昏い感情がシンクロした瞬間、サイトの感覚が一変した。
411『炎のように』4-4:2009/06/27(土) 01:14:18 ID:prknug0Z
 3体のワルキューレのそれぞれの剣の動き、足運び、重心の移動。それらすべてをスローモーションのように鮮明に知覚し、どのように対処すればいいのか脳が冷静にはじきだす。
 もはやロクに剣の役目をなさなくなった折れ曲がった青銅の剣の柄をレイピアワルキューレの手首に叩きつけて武器を落とさせる。
 右に傾いだそのワルキューレに体当たりして転倒させ、さらにその背中を蹴って跳び、勢いをつけてもう1体のレイピアワルキューレの頭部を蹴りつける。
 ワルキューレが前にたたらを踏んだところで背後からデルフリンガーで切りつけ、両腕を落とす。
 最初にコケたワルキューレを乗り越えて突進してきた両手剣ワルキューレの横薙ぎの一閃は、まるでリンボーダンスのごとく背中を後ろに曲げて回避。
 その勢いのまま通過するワルキューレの腕を上に蹴りつけ、大きな隙を作る。
 慣性のあまり振り戻しができていないワルキューレの両足の脛に、低い姿勢からデルフで切りつけ、文字通り"足"を奪う。
 倒れてくる青銅の乙女をゴロゴロ転がってかわし、跳ね起きたときに手にした青銅の槍を、いつの間にかギーシュが作って自らの護衛にしていたワルキューレに投げつけて串刺しにする。
 ここまで、わずか3秒。
 バランスを崩した護衛ワルキューレの前に走り寄り、鞘に納めたデルフリンガーの居合で斜めに両断。
 ここまでで5秒……だが、そこまでだった。
 右の太ももに熱さを感じるとともに、無様にバランスを崩す。
 最初に倒した(文字通り"倒れさせた"だけの)ワルキューレが、落としたレイピアをサイトに投げつけていたのだ。
 「──思い切ったことするなぁ。俺がよけたり、手元が狂ったら、自分に当たるんじゃねぇか?」
 地面突き刺したデルフで体を支えながら、意外なほど静かな声でサイトがギーシュに尋ねる。
 「フッ、その時はその時さ。一応射線は外してたつもりだしね」
 「……で、どうする?」
 「引き分け、というわけにはいかないかな? もし君が無理すれば僕に切りつけることはできるだろうけど……」
 「同時にそこで倒れてる銅像の上半身が俺に組みつく、か。わかった」
 「ハハ、やっぱり気づかれてたんだね」
 サイトの返事を聞くと同時に、ギーシュは杖を懐にしまう。
 「諸君、聞いてのとおり、この勝負は引き分けという形で幕を下ろした。
 しかし、僕はここで目の前の勇敢なる東方の剣士と、お集まりの皆さんに誓おう。僕が傷つけてしまったふたりの淑女に後ほど心から謝罪することを!」
 誰からともなくパチパチ……と暖かい拍手が沸き起こる。
 「ちぇっ、結局、いいトコ持っていきやがって……」
 ふてくされたような言葉を漏らすサイトだったが、その顔はどこか満足そうでもあった。
412『炎のように』4-5:2009/06/27(土) 01:15:09 ID:prknug0Z
 さて、サイトが覚えていたのはそこまでだ。
 その直後、戦闘時の興奮によるアドレナリンが切れた彼は、全身を襲う激痛から意識を失い、目を覚ましたときは保健室のベッドに寝かされていたのだから。
 左脚に重みを感じて目をやれば、そこには椅子に座ったままのケティがサイトの腕にすがるようにして眠っていた。
 「やっぱ、心配かけちまったか……」
 「あたりめーだぜ、相棒」
 ベッドの横に立て掛けられていた彼の愛剣が、すかさず答える。
 「デルフ……」
 「嬢ちゃん、相棒が運ばれてから、ずっと付き添ってたんだぜ。しかも、ここの担当医だじゃなく、知り合いの水メイジに頭を下げて、治療用の秘薬をいくつも譲ってもらって」
 「それで、か……」
 窓の外を見れば、すっかり暗くなっている。
 わずかに引きつるような感覚はあるものの、レイピアに貫かれた右大腿も、ヒビが入ったはずのあばら骨も、ほとんど痛まない。全身にいくつもあったはずの、切り傷・打撲傷も同様だ。
 「また、世話になっちまったなぁ」
 自分の腿を枕に眠る少女の髪を、なんとはなしにゆっくりと撫でながら、彼女に言うべきことを考える。
 「ん……」
 極力優しくしたつもりだったが、ケティは目を覚ましたようだ。
 「おはよう、ケティ」
 「あ……サイト…さん……!!」
 寝起きの状態から、サイトの顔を見て一気に状況を思い出したようだ。
 「サイトさん、大丈夫ですか? 痛いところはありませんか? もぅ、どうしてあんなバカなことしたんですか!?」
 彼女らしくもなく慌てて迫ってくるケティを、苦笑しながら抱きとめるサイト。
 「落ちつけよ。ひとつひとつちゃんと答えるから」
 「あ、はい……」
 彼女もさすがに自分が我を見失ってると気づいたのか、おとなしく引き下がる。
 「コホン……まず最初にいくつかケティに言っておきたいことがあるんだ。
 昼の決闘の前、俺、ひとりで暴走してケティにキスしちまったよな。あれはあまりに軽率で身勝手だった。いくら魔法の儀式のためだからって、軽々しく女の子の唇を奪っちゃいけないよな。ごめんなさい」
 ベッドの上で深々とサイトは頭を下げる。
 「は、はぁ……」
 なんとなく不要領な落胆したかのような声を漏らすケティ。
 「それから……ケティの憧れてた男に勝手に決闘なんか申し込んでごめん。
 ギーシュのヤツをぶっ飛ばしてやるなんて言っておいて、引き分けなんて中途半端な結果になってごめん。
 その上、いっぱいケガして心配かけてごめん」
 「いえ、最後のケガの件以外は別にいいんです。ケガの方も、もう大丈夫みたいですし……でも、ひとつ聞かせてください。どうしてギーシュ先輩に決闘を申し込んだんですか? それもわたくしの、その、き、"騎士"として」
 「うん。その質問に答える前に、ひとつ言いたいことがあるんだけどいいかな?」
 「は、はい」
 サイトはベッドからいったん降りたのち、ベッドに腰掛ける形で椅子に座ったケティと視線を合わせる。
 「俺、平賀才人は、ケティ・ド・ラ・ロッタのことが好きです」
 「ふぇっ!?」
 驚愕のあまり、目を見開くケティ。
 「な、なんだよ、そんなに意外か? 俺って、けっこう態度に出るほうだと思うけど……」
 「い、いえ……その、ちちち、違うんです。もしかしたら、そうなのかも、とずうずうしいことは夢見ていたりはしてたのですけれろ、まさか、こんなすとれーとにこくはくされるとはおもっていなかったれす……」
 慌てているせいか、うまく舌が回っていない。
 「それならいいけど。それでだ。決闘を申し込んだのは、アイツにも言ったけど、ケティを泣かせたから。自分が惚れた女の子を泣かせた相手をブッ飛ばすのは、男の権利だしな」
 もっとも、どっちかってゆーと、俺の方がブッとばされちまったけど、と苦笑する。
 「あの場で"騎士"って言ったのは、"使い魔"だと主のための義務、みたいにとられるのがイヤだったから。あれはあくまで俺の自発意志だ。かと言って"恋人"って宣言するにはケティの気持ちを確かめてなかったし」
 「だから、"騎士"、ですか……」
 「ああ、俺の住んでた国では、大切な女の子を体はって守ろうとする男のことを"ナイト(騎士)"なんて呼び方をしたからな。まぁ、トリステインではもっと重みがある言葉みたいだけど」
 そこまで語ると、サイトは、よっこらせ、とベッドから立ち上がった。
 「ケガの治療でいろいろ迷惑かけたみたいだな。そのうち、借りを返せるよう、方法を考えてみるよ」
 ベッドサイドのデルフを手に取ると、そのまま保健室を出ようとする。
413『炎のように』4-6:2009/06/27(土) 01:16:36 ID:prknug0Z
 「ま、待ってください!」
 慌ててケティも立ち上がる。
 「ん? まだ、何か聞きたいことがあったのか?」
 「──へんじ」
 「へ?」
 「サイトさんは、わたくしの返事は聞かなくてよろしいんですの?」
 えーーと、何かケティに俺から質問したこととかあったっけ……と心中で大ボケをかますサイト。
 多少は凛々しくなったように思えたが、どうやら勘違いだったようだ。
 「……そう言えば、強引にキスされたことへのお返しがまだでした」
 いいっ、許してくれたんじゃねーの!? とは思ったものの、逆らうわけにもいかない。
 「目を閉じて歯を食いしばって、ちょっとだけしゃがんでください」
 ビンタでもされるのだろうか。実は口の中を切ってるので(そしてさすがにここは魔法をかけ忘れてたみたいなので)キッツイのは勘弁してほしーなぁ、と思いつつ、素直に従うサイト。
 (まぁ、ケティみたいな女の子に殴られても、それほどひどいダメージはないだろ)
 そんな事を考えていたサイトだが、言うまでもなく少女の真意は別にある。
 ──チュッ!
 「え!?」
 唇に触れる柔らかな感触に思わず閉じた目を開いてしまうが、その瞬間には顔を真っ赤にしたケティは口づけを終えていた。
 「いいいまのって……」
 「これが返事です。わたくしも、サイト様のことが大好きです。最初は、ギーシュ先輩にふられた反動かとも思いました。でも……決闘のあと、倒れている貴方を見た時、確信したんです。心からお慕いしております」
 呆気にとられたサイトの顔が、やがて徐々に事態を理解するにつれ、信じられない、でもうれしーぜ、コンチクショウ! と非常にわかりやすい変化を遂げていく。
 「ぃヤッターーーー!」
 デルフリンガーを放りだして、ケティをがばちょと抱きしめる。
 「きゃっ!」
 小さく悲鳴をあげながらケティもその抱擁を拒まない。
 「愛してるぜー、べいべー!」
 かなりハイになっているようだが、彼女いない歴=年齢半ヲタ少年に、初めて、しかも滅茶苦茶可愛い恋人ができたのだ。心中はお察しいただきたい。
 「わ、わたくしも愛していますわ、サイト様」
 「べいべって何?」と思いながらも、何となく自分のコだろうとアタリをつけたケティも、照れながら、そう囁く。
 トリステイン貴族は何事も婉曲かつ過剰に修飾をつけて会話したがるので、サイトのようなド真中ストレートな直球を投げてこられるのは、新鮮で心地よかった。
 「……っテテ。やれやれ、何も床に放り投げなくてもいーだろうによ。ま、相棒に初めて春が来たみたいだから、しゃあねーか」
 本当は大事な話があったんだけどなー、と思いつつ黙っているデルフリンガー。さすがは伊達に6000年も長生きしていない。空気の読めるインテリジェンスソードであった。

 -つづく-
---------------------------------------
以上。
自分で言うのもなんですが、初めての才人戦でこれほど慎重かつクレバーなギーシュは初めて書くかも。才人同様、彼もひと皮剥けたことでしょう。次回解説込みで再度登場する予定です。
"胸の痛み"に関する説明についても次回デル公が語ります。ちなみに、次回は、実は第一部エピローグです。ギーシュ戦で話を切るというのも、これまでに私の書いた「ゼロ魔」SSではないパターンかも。
短めですので明日中には投下します。
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 01:45:46 ID:HSV5yQHR
更新おつw
こんなクレバーなギーシュは珍しいぜ。
それにしてもあぁ


. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 青春っていいなぁ・・・
        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::: 
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 02:11:28 ID:hF8frsg+
>>414



              -― ̄ ̄ ` ―--  _ 青春っていいよね・・・
          , ´  ......... . .   ,    ~  ̄" ー _
        _/...........::::::::::::::::: : : :/ ,r:::::::::::.:::::::::.:: :::.........` 、
       , ´ : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::::: : ,ヘ ::::::::::::::::::::::: : ヽ
    ,/:::;;;;;;;| : ::::::::::::::::::::::::::::::/ /::::::::::::::::::: ● ::::::::::::::::: : : :,/
   と,-‐ ´ ̄: ::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::r(:::::::::`'::::::::::::::::::::::く
  (´__  : : :;;:::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::`(::::::::: ,ヘ:::::::::::::::::::::: ヽ
       ̄ ̄`ヾ_::::::::::::::::::::::し ::::::::::::::::::::::: : ●::::::::::::::::::::::: : : :_>
          ,_  \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: `' __:::::::::-‐ ´
        (__  ̄~" __ , --‐一
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 02:18:10 ID:BeJBBsuH
とりあえずな
>最初の一撃を交わされると

この「回避」を意味する「かわす」は「躱す」で常用外漢字だ
「交わす」だと「まじえる」方だから意味が逆になる
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 02:35:01 ID:a0NLJnQX
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 04:16:38 ID:jiD/IJCR
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 10:06:53 ID:wlwwR//v
あいかわらず筆速いねっ
あいっかわらずケティ可愛いよねっ
〆にも期待
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 11:14:36 ID:35cQdy6L
慢心が無くで本来の力を発揮できたギーシュ乙。
才人のレベル上昇がRPGじみている。シエスタの剣士化フラグが立った。
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 13:12:39 ID:M3Uu8BfY
        
    ケティ ⇔ サイト ←シエスタ
                           
    うん。サイト犬フラグ                
            
          
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:15:48 ID:Q0Wo0aDq
すごーくカオスなIF
ヒロインどころか魔法学院の女子達やメイド、みんなド級のM
んでサイトドン引き

サイト「ここの女子達は一体なんなの?」
ギーシュ「僕の方が聞きたいくらいだ!」
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 15:21:55 ID:5wXIfq46
みんなドMか・・・

マリコルヌ「まるで地獄さ・・・」
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 16:34:26 ID:Autuuuww
キュルケとか、あんな体で、男を誘惑するくせに、ドMなのか。
そしてサイトを誘惑されたことが、悔しくてでも快感、なルイズなのか。

どんだけ難儀な性癖なんだ、それは。
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:01:07 ID:USHqIFxC
オスマン…貴様…
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:14:41 ID:35cQdy6L
つまらない(ノーマルな)男子ばかりでウンザリのルイズが自分のMっ気を解消する相手を望んだのか。
才人(自身は否定しているが潜在S)をSに調教すると…才人の調教でSに目覚め学園の女王として君臨するルイズ。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:22:45 ID:WcpflvjJ
首輪つけたキュルケが待ち構えてたとか
あと性癖まともなギーシュが、学院女子のドMっぷりに頭抱えてたりして

才人「常識人って辛いよな」
ギーシュ「君はよりによって主が主だからな」
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:06:16 ID:35cQdy6L
寝取られ属性に目覚めそうになり悶えるモンモン(比較的ノーマルに近い)
ギーシュが見込み通りの男で興奮気味のケティ
ギーシュに八つ当たりされびしょ濡れなシエスタ
決闘でその場を誤魔化すギーシュ
ドSな視線でビッチ共めとシエスタ達を見下す才人(自称ノーマル)か。
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:09:04 ID:5wXIfq46
是非エロパロで執筆してください
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 18:46:17 ID:KqbE1hTe
是非ともエロパロで。
ルイズは超弩級のMなんだろうな……。
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:19:38 ID:kAOy9g49
極初期にあったなあドMルイズ…
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:27:21 ID:35cQdy6L
才人がウェールズの使い魔だったら
才人の知識により王党派が原作以上に善戦、レコン・キスタから慢心を奪う。
その結果、アルビオン王家滅亡が原作より早まりウェールズの死亡が前倒しになる。

才人=ウェールズの死体が敵の手に渡らないように、ウェールズの死体を担ぎ逃亡、
ルイズの召喚に応える。ウェールズの死体の焼却を条件に契約を結ぶ。
ルイズ=どこかで見た高貴そうな人の使用人を召喚、才人に前の主と比べられるのではないかと不安。
レコン・キスタ=王党派から受けた打撃が大きく、戦力の再編に迫られている
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:37:09 ID:rQl+uGsl
つまり、サイトとウェールズがキスをするのか。
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:42:16 ID:5wXIfq46
サイト(心ふるえねー)
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:45:55 ID:pZ0r4VWW
サイト(なに?この気持ち)
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:52:02 ID:35cQdy6L
ウェールズとのキスは才人の黒歴史
アンアン=才人がウェールズの使い魔だった事を知り鼻血が止まらなくなる
ルイズ=ウェールズと才人の仲を自分に重ね合わせゴロゴロ転がる
タバサ=才人の前に来る度に赤面
シエスタ=才人からウェールズの使い魔時代がどのような物だったか詳しく聞こうとする
キュルケ=昔の恋人の事を聞くような無粋な真似はしない
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 20:55:48 ID:5wXIfq46
テファ=サイトを家族のように思っている(親戚の嫁的な意味で)
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:22:30 ID:kAOy9g49
男同士の友情をゲイと勘違いするのか…
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 21:28:57 ID:zK6DeamN
そこで白装束・天冠・人魂を標準装備したゴーストウェールズも登場させて、
サイトと一緒に死に物狂いで否定する、と。>ゲイと勘違い
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 22:03:06 ID:35cQdy6L
ウェールズは才人に取り憑いた結果、勘違いを補強することになる。
ウェールズと才人の契約が具体的に想像できるようになり、一部の女子生徒&メイドのアイドルになる。
ウェールズが愛しの才人から離れたくないために現世に残ったと言う噂が、アンアンから流れる。
その噂を消さない限り死んでも死にきれないウェールズは実体化が進む。
441『炎のように』第5話:2009/06/27(土) 23:13:57 ID:prknug0Z
しかし、サイトが某準にゃんや鰤タン、はまじちゃんみたいな、女装の似合う美少年なら、何も問題がないような気がするのは、クサってる証拠ですか?>ウェールズの使い魔説

以下、投下開始です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『炎のように』第5話

 コン、コン!

 ノックの音に抱擁を解いて顔を見合わせるサイトとケティ。
 「「!」」
 「あ〜、野暮な真似して申し訳ないが、入ってもよいかな?」
 「その声はギーシュ、か? どうぞ」
 カチャリと扉を開けて保健室に入って来たのは、昼間サイトと激闘をくり広げた(いや、本人は最後まで無傷だったのだが)ケティの上級生、ギーシュ・ド・グラモンであった。
 「微笑ましい恋人同士の触れ合いを邪魔するのは、僕も本意ではないんだが、できれば今日中に君達に話しておきたかったんだ」
 「ちょうどいいや。俺も、ひとつ聞きたいことがあったし」
 「ほほぅ、いいだろう。僕で答えられることであれば答えよう。だが、それよりも先に、ミス・ロッタと話をさせてくれないかい?」
 チラとサイトがケティの方を見ると、彼女は一瞬躊躇った後、頷くと前に進み出た。
 「あの……なんでしょう、ギーシュ先輩」
 「昼間も宣言したことなんだが……ミス・ロッタ、君に謝らせてほしい。サイトくんがいる以上、もう必要がないことかもしれないが、これは僕なりのケジメなんだ。君の気持ちを弄ぶような真似をして、本当にすまなかった」
 土下座とまではいかなくとも、深く頭を下げるその態度からは、彼の真摯な気持ちが汲み取れた。
 「ギーシュ先輩、頭を上げてください。それを言うなら私も同罪です。先週の虚無の日あたりから、すでにサイトさんに心を奪われつつあったのに、ギーシュ先輩に未練がましく近づいたんですから。こちらこそすみませんでした」
 ケティもペコリと頭を下げる。
 「それで、その……モンモランシー先輩とは?」
 「あ、あぁ……」
 ギーシュがチラリとドアの方を見ると、バツが悪そうな顔をした金髪巻き毛の少女が姿を見せる。
 「まったく……どうしてもって、ギーシュが言うから、今回だけは大目に見ることにしたのよ」
 どうやら無事によりは戻ったらしい。
 「ケティ、あなたも災難だったわね。もう、こんな悪い男に引っかかっちゃダメよ?」
 微ツンデレのきらいがある彼女だが、もともと後輩への面倒見は決して悪くない。数刻前までは恋敵候補だった年下の少女に諭すような言葉を投げかけていた。
 「大丈夫です。わたくしには、サイト様がいますから」
 「あ〜、そちらの彼ね。ま、確かに惚れた女の子の名誉ために無理めな決闘を決行する熱血馬鹿なら、少なくとも浮気の心配はないかもね」
 チラとサイトの方を見やるモンモランシー。
 (もっとも、ケガとか別の心配はしないといけないかもねー)
 と考えたことは内緒だ。
 「それと、秘薬を融通していただき、ありがとうございました」
 「ま、まぁ、このバカのやらかしたコトの結果だし、わたしも満更無関係ってわけじゃなかったから」
 どうやら、素直に感謝されるのは苦手らしい。
 「ひどいよ、モンモランシー。僕だって、今後は君だけに愛を誓うって宣言したじゃないか」
 ちょっと泣きが入ったギーシュの言葉をアッサリ一蹴するモンモランシー。
 「口ではなんとでも言えますからね。まぁ今後の誠意ある対応をお願いするわ」
 ツンと澄ましてみせるモンモランシーにとりすがるギーシュ、それを苦笑しながら見ているサイトとケティ。
 ちなみに、彼のその言葉に偽りはなく、のちに水霊騎士第一隊長としてサイトと並び称されるギーシュは、数年後に彼の妻となるその少女のみに愛を囁くようになる。
 また、その場に集った4人は以後公私の垣根をこえた友人となり、成人して子供ができても親交を続けることとなるのだが、さすがにこの段階ではまだそこまではわからなかった。
442『炎のように』第5話2:2009/06/27(土) 23:17:24 ID:prknug0Z
 笑いが納まったのち、サイトが真面目な表情になってギーシュに問いかける。
 「なぁ、昼の決闘の時、どうして最初から俺に7体のワルキューレをけしかけなかったんだ?」
 「そのことか……もしかして、僕が手を抜いてたんじゃないかと思っているわけだね?」
 「ああ。それに、ワルキューレに持たせていた剣とか槍の刃もつぶしてあっただろ。でなきゃ、あの程度の切り傷ですんでるはずがないしな」
 「あぁ、そちらについてはむしろ当然の処置だよ。そもそも、あれは"決闘"であって"殺し合い"ではないんだからね。君が相手でなくても、ワルキューレの武器の刃は潰したさ」
 「む……」
 言われてみれば、確かにそうだ。サイトとて、互いの命をかけた果たし合いがしたかったわけではない。実際にはあと半歩届かなかったが、もしひと呼吸早くギーシュに攻撃できていても、刃にかけたりはしなかっただろう。せいぜい峰打ちだ。
 「むしろ、同じメイジが相手なら、武器さえ持たさなかったかもしれない。そう考えれば、君は誇ってもいいと思うよ?」
 「結局勝てなかったんだから、褒められてもなぁ。それで?」
 「それで、って……あぁ、なぜ僕が戦力の逐次投入という一見愚策に見える作戦をとったか、だね?
 確かに、普段の僕なら君がメイジでないことから侮って、適当にワルキューレ1体で勝とうとしたかもしれないな。そして、ズルズルと1体ずつ君に葬られ、追い詰められていっただろうね。
 ただ、誓って言うが、あの時の僕に慢心も君に対する侮りもなかった。淑女の名誉、いや"心"を思って決闘を挑んできた相手に、そんな失礼な真似はできないよ」
 「ああ、むしろ俺のほうが追い詰められてたみたいだしな」
 「うん。僕はむしろ君を実力は不明だが、組し難い強敵とみたからこそ、戦術をたてて戦いに臨んだのさ。
 最初の1体は威力偵察。これで幸運にも君の切り札を見せてもらった。"イアイ"と言うか言う技だっけ? ミス・タバサに聞いたよ。まともに決まれば青銅のゴーレムさえ両断する剛剣。ならば、まともに出させなければいい」
 「それで、剣と盾をもったワルキューレを出したわけか」
 「剣はともかく盾はかなりの頑丈に作っておいたつもりだからね。これで"一撃で行動不能になる"という目は潰させてもらったのさ。とは言え、2体目も実は時間稼ぎ用だったんだ。
 君が2体目のワルキューレと戦っているうちに、僕も有効な対策をたてさせてもらった」
 「長槍を使ったアウトレンジからの攻撃、か」
 「その通り」
 打てば響くようなサイトの反応に嬉しそうに答えるギーシュ。
 軍人の家系に生まれ、父や兄から戦術理論を仕込まれている彼だが、これまで魔法学院でそういったことについて論じる機会は殆どなかったのだ。
 ある意味仕方ない。トリステイン貴族たちは、ここに「魔法の勉強」をしに来ているのだ。男子でさえ軍人としての知識や心得など、実際に任官してから覚えればいいと考えているものが大半を占める。
 そんな現状に、ギーシュは、ある種の不満と不安を抱いていたのだ。
 「戦いの理想とは、相手に何もさせずに、こちらが一方的に攻撃することだからね」
 「まぁ、言いたいことはわかる」
 サイトとて「ファイア●エムブレム」などのシミュレーションRPGをプレイした経験はある。遠隔攻撃ユニットでダメージを与えてから、近接攻撃でトドメをさすのがセオリーであることも理解していた。
 「ほう、そう思うかい?」
 「は? 当たり前の話だろ?」
 「――素晴らしい!」
 ガシッ、とサイトの手を握るギーシュ。見れば目の端から滝のような涙の筋を浮かべている。
 「お、おい……」
 「素晴らしいよ、サイトくん! さすが、エルフと互角に戦いをくり広げているという東方の出身!
 それなのに、ここの学生ときたら、「は? ンなの火の魔法で燃やし尽くせばいいだろ」とか「我が風の魔法こそ、最強にして最速!」とか言って、戦術というものの重要性を、まるで理解してないんだ!!」
 どうやらそうとうフラストレーションが溜まっていたらしい。
 「心の友と呼ばせてくれたまえ!」
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:18:15 ID:35cQdy6L
才人がジャンヌ・ダルクにならないことを祈りつつ支援
444『炎のように』第5話3:2009/06/27(土) 23:19:17 ID:prknug0Z
 「あ〜、ハイハイ。わかったから、続きを頼む」
 「コホン……すまない、取り乱してしまった。だから、君が3体目のワルキューレに勝った時は驚いたんだよ。
 だが、その時点で君が疲労しているのも見てとれたからね。あとは、倒されにくい体勢を整えて、徐々に体力を奪えばいい」
 よく考えるとそうとうエゲツない台詞を、ニコヤカに言うギーシュ。
 「ああ、確かに、ウンザリするほど有効な手だったさ。しかし、それを言うなら、槍持ちを作ったときに最大戦力の5体をぶつければよかったんじゃねぇか?」
 「あの時点では、瞬発力や継戦能力までを含めた君の実力を読みきれていなかったからね。実際、もしあの時5体全部を向かわせて、倒し来きれずに君が囲みを抜けてきたら、完全に僕の負けだったろう?」
 ワルキューレ3体を一瞬で葬ったときのことを言っているのだろう。実のところ、アレは自分の実力ではなく、デルフリンガーに言われて起きた何かチートめいた現象だったのだが、サイト自身よくわかっていないので、沈黙を保つ。
 「本陣を護る後詰めも、リッパな役目……父によく言われていた言葉の意味が、あの時よくわかったよ」
 確かに、7体めがギーシュを守っていなければ、サイトの攻撃のほうが先にギーシュに届いていた可能性は高い。
 「そして、敗走した軍をまとめて再度戦力の編成することの重要性もね」
 レイピアを投げたのと、半身を斬られながらもギーシュとの間に割り込んだのと、2体のワルキューレの扱いは確かに見事だった。
 「チェッ、結局、俺はお前の手の中で踊ってたってことかよ」
 「それは違うさ。チェスにたとえるなら、僕と君とで読み合いをして、最後に同時に王手(チェックメイト)をかけたってところだろうね」
 この時のサイトとの戦い以来、将来軍務につく貴族の子弟に戦略・戦術を教えることの重要性を痛感したギーシュは、後年、水霊騎士隊の隊長となった際、アンリエッタ女王に「王立士官学校」設立をサイトと連名で訴える。
 結果、トリステイン魔法学院には、軍人として魔法を用いて戦い、かつ部下を指揮することを目指す人向けの「士官科」、魔法の学問的研究を目指す者のための「研究科」、一般貴族の女子向けの「女性科」の3つの学科が設けられた。
(なお、女性であっても希望すれば「士官科」や「研究科」に入ることは可能)
 さらに、のちに敷地を拡張、建物を増設することで、「士官科」は「士官学校」として併立されることとなるのだった。

 ギーシュ達が去り、体調の回復したサイトも自分の部屋に戻ろうとした時、デルフリンガーがサイトとケティに声をかけた。
 「相棒よぅ、俺っちに聞きてぇコトがあるんじゃねーか?」
 「ん? ああ、そう言えば……」
 決闘の最中の胸の痛みと、突然動きが変わったのを思い出すサイト。
 「ちょっとヤバい話だから、続きは相棒の部屋でしようぜ。それで、できれば嬢ちゃんにも聞いてほしーんだがな」
 「え!? わ、わたくしは構いませんけど……」
 (さ、サイトさんの部屋にお呼ばれ!? だ、ダメよ、ケティ、まだ早いわ!)
 と言う妄想が浮かびかけたのだが、デルフリンガーの口調がこれまで聞いたことがないくらい真面目なものだったため、すぐに平静を取り戻した。
 「話って、決闘の時のあのヘンな感覚のコトだよな? アレってお前が何かしたのかよ?」
 部屋のドアを閉めるのもそこそこに、サイトがデルフに向かって問いかける。
445『炎のように』第5話4:2009/06/27(土) 23:20:28 ID:prknug0Z
 「さて……何からか話すべきかねぇ」
 デルフの声にはまだ迷いが見えた。
 「とりあえず、昔話を聞いてくれ。このハルケギニアでは、ブリミルと呼ばれる大昔の魔法使い――メイジが、"始祖"として崇められてるのは、相棒も知ってるよな?」
 「ああ、ケティやロングビルさんに教えてもらったしな」
 「それで、だ。失われた系統"虚無"を操るメイジとしては破格の才を持っていたブリミルには4人の使い魔がいたんだ。
 ひとりは"盾"ガンダールヴ。ありとあらゆる武器を使いこなす超絶的な戦士だ。
 ひとりは"笛"ヴィンダールヴ。あらゆる獣や鳥、竜さえも従えることができた。
 ひとりは"本"ミョズニトニルン。さまざまなマジックアイテムを使いこなす参謀格ってところだな。
 そして、もうひとり。「記すことさえはばかれる」と言われる使い魔がいた」
 「いた……って、デルフリンガーはどうしてそんなことを知ってるですか?」
 ケティが首を傾げる。彼女とて、御伽話に「始祖の4体の使い魔」の話は耳にしたことはある。しかし、そんな詳細についてまでは無論知らないし、そもそも使い魔が「4人」だなんて、聞いたこともなかった。
 だが、デルフリンガーの表現は、まるで本人達を知っているかのような言い回しだ。あるいは、彼が言っていた「6000年前」と言う数字はホラではなかったのだろうか。
 「信じられないかもしれんけどよ、俺はその"盾"の相棒だったワケさ。今のこのサビサビの姿も偽装なんだわ。嬢ちゃん、ちょっと俺を握って、何か適当な……そうさな"レビテーション"の魔法でもかけてくんねーか?」
 「えっと……こう、ですか? ふえっ!?」
 途端に、ケティの手の中でデルフリンガーの刀身から錆が消え、目映いほどの名剣が姿を見せる。
 「俺っちにはいくつかの仕掛けがあってな。こういう風に魔法を吸い込むことで、姿を変えたり、使い手の身体を操ったりできんのさ」
 「わわわ、勝手に手が動きます〜!」
 ヒュンヒュンッととてもか弱い女の子が振るっているとは思えぬ風切り音をさせてケティが素振りをする。
 「とは言え、そっちはむしろ余技だわな。最大の特徴は、魔法を吸い込んで無効化するってことさね」
 「そ、そいつは……すげぇな」
 まだハルケギニアに詳しくないサイトにも、このメイジ至上主義の世界で、「魔法を無効化できる剣」を持つことの優位性は理解できた。
 「ん? もしかして、決闘の時、ギーシュのゴーレムが切れたのって……」
 「お、気づいたか? その通り、ゴーレムってのも土系統の魔法で作り、動かしてるモンだしな。切りつければその部分の魔力を奪ってモロくすることくらい、朝飯前さね」
 「じゃあ、あの異常な動きもお前のしわざかよ?」
 「そうだ、って言いてぇところなんだけど、違うんだよ。さっき、俺が何で始祖の使い魔の話をしたと思う?」
 「も、もしや……」
 デルフの言葉に思い当たるフシがあったのか、ケティが顔を青ざめさせる。
 「人間の使い魔、デルフリンガーの相棒、サイト様の異常なまでの剣の腕前……それって、もしかして、サイト様がガンダールヴ……?」
 「……と、最初は俺も思ったんだよな。でも、ちょっと違った。相棒、あの時おめぇ、胸が疼いたんじゃねーか?」
 「お、よく知ってるな。確かに、まるでやけどしたみたいに胸の真ん中が熱く痛くなったな。そしたら、急に頭と身体が異様な速度で動けるようになってたんだ」
 「やっぱりな……」
 吐く息もないクセに溜め息をつくデルフ。
 「ガンダールヴのルーンは左手に刻まれる。ヴィンダールヴが右手、ミョズニトニルンは額だ。そして胸に刻まれるのは……」
 「まさか……"記すことさえはばかられる"ってヤツかよ」
 「……ああ」
 沈黙が部屋に落ちた。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:22:50 ID:35cQdy6L
支援
447『炎のように』第5話5:2009/06/27(土) 23:23:09 ID:prknug0Z
 「で、でも、おかしいですわ! わたくし、まだサイト様とコントラクト・サーヴァントを交わしていませんのに」
 重くなった空気を何とか破ろうと、ケティが反論を試みる。
 「ああ、その通り。だから、相棒は"まだ"完全な使いとして目覚めちゃいねぇ。ただ、決闘の前に嬢ちゃんとキスしただろ。アレで一時的に資質が目覚めただけさね」
 なにせ他の使い魔はともかく、始祖の使い魔は「なるべき者がなる」、つまりその資格や素質があるものが召喚され、選ばれるのだから、とデルフリンガーは言う。
 「でもでも、わたくし、自分が始祖の再来だとか、そんなに優れたメイジだとか思えないのですけれど」
 「そこんところが謎なんだがね。ただ、遡れば、今居るメイジは全員ブリミルの血筋に辿りつくはずだからな。もしかして、トンデモネー先祖返りがあったのかもしんねぇ」
 だから、もしサイトとケティが契約を結ぶんなら、よく考えてからにしてほしいと、デルフは語る。
 「本音を言えば、契約してほしかねーんだが、嬢ちゃん達にも都合はあるだろ。何にせよ、後悔しないようにしてくれよ」
 確かに、今はケティが1年生だからまだいいが、2年生に進級した際はいずれにしても使い魔が必要となる。
 再度サモンサーヴァントを唱えてみるべきなのか、それともこのままサイトと契約するべきなのか……悩ましいところである。
 「あ、ちょい待て、デルフ。その、記すことさえはばかれ……言いにくいから仮に"ネームレス"と呼ぶぞ。そいつの能力って一体何なんだよ?」
 ちなみに、ネームレスってのは俺の故郷の言葉で「名無し」って意味だ、と付け加えるサイト。
 「ネームレスたぁ、シャレた呼び方だぁね。アイツの力は……そうさな、"成長と自己改良"ってところかね」
 「「?」」
 サイトとケティが揃ってけげかんそうな顔をしていたためだろう、すぐに説明を補足してくれる。
 「たとえば相棒は、毎朝俺っちを振って稽古してるよな。それは、少しでも剣士としての腕前を上達させたいからだろ?」
 「え……まぁ、そんな感じだな、ウン」
 「で、だ。本来、剣術に限らず技術なんてもなぁ、一朝一夕で身につくもんじゃねぇ。もっとも、ガンダールヴのルーンは、強制的にそのヘンを無視して刻まれた者を超一流の戦士にしちまうんだがな。
 ところが、ネームレスのルーンはちょっと違う。こと戦いとか生存に関わる技術についてなら、最小限の努力で最大限の成果をあげられるようになるんだ。
 剣を例にとるなら、最初はガンダールブの足元にも及ばなかった素人同然のネームレスが、わずか1年でほとんど互角に戦えるようになってたからな。
 人間の限界を軽くブッちぎってるガンダールヴとだぞ? 純粋な身体能力に限れば、たぶん上回ってただろうし」
 「そ、そいつは、確かにすげぇな」
 要するに、ガンダールヴが転職したその日からいきなりパラメーターマックスの"勇者"だとしたら、ネームレスは経験値1でレベルが1上がるチートな"たまねぎ剣士"ってことか……と、RPGに置き換えるサイト。
 「でも、なんでそれが語られないんだ?」
 「成長が早いだけならいーのさ。もうひとつ"自己改良"って言っただろ? ネームレスってのはな、自分の強く思い描いた方向に自分自身を変えていくことができるんだ。
 ――たとえば、人以外の姿や能力でもな。
 ガンダールヴと互角の戦士になったヤツが次に目を向けたのは、人間以外の亜人や韻竜だった。
 運が悪いと言うべきか"笛"の力で、ブリミルの周囲にはそういった"人間以外の強力な生物"が多数集められてたからな。アイツがその肉体的特徴や特殊能力獲得していったのも、ある意味必然だったのかもしれねぇ」
 「……」
 サイトの脳裏には、某マンガで「破壊の王」と謡われ、巨大化して街を破戒する魔獣ジャバウォックの姿が浮かぶ。
 (た、たしかにシャレになんねー!)
 「誰よりも純粋にブリミルを慕い、そのために誰よりも強くなろうとしたアイツは、結局その身に刻んだネームレスのルーンのために、世界の…ブリミルの敵になっちまったのさ。皮肉なことにな」
 哀しげなデルフリンガーの言葉に、サイトもケティもかける言葉が見つからなかった。
448『炎のように』第5話6:2009/06/27(土) 23:24:34 ID:prknug0Z

  *  *  *  

 「そうか。そんな経緯が、父さんと母さんのあいだにあったんだ……」
 俺は、父さんの話に知らず引き込まれていた。
 「……あれっ? でも、父さんの異名って、たしか……」
 その左手の甲を見ると、珍しい形のルーンが刻まれている。
 「ん、何だ? 父のふたつ名を忘れたのか? まぁ、確かに"神の盾"ってーのは、さすがにコッ恥ずかし過ぎる呼び名だと、自分でも思うがな」
 「いやいやいや、なんでさ! 父さんのルーンって、その"ネームレス"とかいうヤツじゃなかったのかよ!?」
 「ふぅ……」
 と重い息を吐く父さん。
 「ケイト……それからもな、色々あったんだよ」
 そこには、俺ごとき若僧ではまだまだ計りきれない"人生の重み"というヤツが込められていた。知らず、俺も気圧される。
 「い、色々って?」
 そうと知りつつ、尋ねてしまうのは、俺が未熟者な証だろうか。
 「それは……」
 「それは?」
 「ヒ・ミ・ツ」
 不器用に片目をつぶるお茶目なオヤジ……なんて思うワケねーだろ!!
 「ちょ、まてコラ、万年悪戯不良中年!」
 「はっはっはっ、まぁ、続きが聞きたければ、次の稽古で俺から一本とってみるんだな」
 「チックショーーー! ぜって、ギッタンギッタンにしてやるぅ!!」

−第一部・完−

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上。
翌日、ふたりは学院長に呼ばれてお説教されることになります。
ロングビル関連の伏線も回収してないので2部を書ければとも思ってますが、プライベートが忙しくなりそうなので、当面難しいかもしれません。
とりあえず、こんなトンデモ妄想SSにお付き合いいただき、ありがとうございました。
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:40:21 ID:35cQdy6L

地形の利用が無い所にギーシュの甘さを感じましたが、トリスティンじゃ仕方ありませんね。
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 23:53:46 ID:5wXIfq46
おつ
かけあしで終わったなー
ガンダルーンはケティにもらったのか、それともいざこざの果てにルイズにでももらったのか
2部もまってるぜ
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 00:25:39 ID:UB7N/LwY
乙っしたー

アレかね、一度死にかけてルーンに逃げられたとか
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 00:28:17 ID:syPYW8qR
乙。
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 04:41:23 ID:QEKk7sDi
乙でしたー。
こんなにも前途有望そうなギーシュを見たのは初めてな気がする。コッパゲさんに匹敵する存在になりそうだ。
きっと才人と切磋琢磨しながら成長していってくれることでしょう。

ところで、>>422のドM学園でネタSSを一個考えてます。
エロじゃなくてネタSSだし、こっちで平気だよね?
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 07:09:17 ID:1pF2j+PH
>>453
大丈夫だと思います。
ぜひ投下をお願いします。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 09:58:44 ID:Fag9r2qq
>>441
もともと原作でも、サイトは女装が似合うやつだったような……
なにげにルイズよりメイド服が似合う、なんて描写があった気がする。
あくまでヤツはオモロ顔で、美少年ではないらしいが。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:05:06 ID:BcahdeoK
原作13巻51ページのサイトの可愛さは異常w
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:05:23 ID:ZGabZm/s
最初の決闘で、「負けたら一つだけ言うことを聞いてもらう」と青銅に宣言されて
その夜、お尻の童貞を・・・
とか言う同人誌が出てるのか!
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 10:21:35 ID:b5Tr1M0e
メイドサイトは普通にかわいかったね
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 12:17:38 ID:zwo2IFAM
モンモンの薬が原因で起きるIF。
ギーシュの部屋で酒を飲むサイトとギーシュ。
だがその酒はモンモンが薬を入れた物だった。
本来ならモンモンとギーシュが二人でいる時に飲むはずだったそれを飲んでしまったのだ。

「ヤバイ、ギーシュがかわいい」
「サイトに(バキューン)されたいっ」
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:08:28 ID:+GA8Xs+X
モンモンが責任取りきれなくなるだろそれ
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:20:38 ID:ZGabZm/s
貴族と言っても到底跡取りにはなれない4男だし
勘当されて愛を貫くのもアリじゃね?
学院も退学になって、流浪に傭兵コンビとして。
凄腕のメイジ殺しと彼の武器だけをつくる美男の土メイジ

・・・・名が売れたら、都の娘さんたちに大人気だろうな
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 13:46:31 ID:zwo2IFAM
秘密の関係を周りにばれないようにするサイトとギーシュ。
密会を繰り返すがついに二人の関係がばれてしまう。
発覚が遅かったためモンモンの薬とは気づかない。

「サ、サイト、こ…これ似合うかにゃん!」
「はぁ…はぁ…、かわいいよギーシュ」
「シッポはひっぱりゃないで〜」
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:48:30 ID:Gd0nulxy
才人とギーシュが腐った女子のアイドルに!!!
シエスタ「御二人共、私は応援しています(ハァハァハァ)」
ケティ「ミス・モンモラシーもこれを隠すためのフェイクだったなんて(ポタポタ)」
キュルケ「鼻血ぐらい拭きなさいよケティ(これならサイトが私に靡かないはずね)」
タバサ「…(父上があの男に殺されたのが、痴情の縺れと言う噂、調べておこう)」
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 14:56:24 ID:b5Tr1M0e
ルイズ「サ、サイト!実はわたし、お、おおお、おとこのこだったの!」
タバサ「・・・わたしも」
キュルケ「あら、わたしもよ」
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:32:27 ID:Gd0nulxy
才人が初日で帰る術が無いと聞いてルイズの元から逃亡していたら
原作才人だとルイズの庇護が無いと生活出来ないので、
楽器の演奏スキル+PCの代わりに路上演奏可能な楽器を付与
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:41:04 ID:HvfFXxEM
>>465
バイオリンかギターかハーモニカあたりか
カスタネットやトライアングルだと路上演奏はつらいだろうな
メンテナンスはこの際無視するってことで
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:52:30 ID:JciN3hfE
別に楽器演奏とかなくても普通にやさしい平民に拾われたとかでもいい気がする
スカロンとか
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 16:55:04 ID:Dm4Il5Sg
元の世界の様々な作品をネタに弾き語りする吟遊詩人なサイトのIFとか。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:14:55 ID:iFGKweIi
そこでサイトに『精強レンジャー部隊』なスキルを持たせれば一人でも生きてゆける。
ハルケギニアの大地を彷徨いつつ、時には翼人と村人の争いを仲介し、吸血鬼を退治し、
ミノタウロスをナイフ一本で始末するタバサ涙目の最強サイト。
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:17:14 ID:b5Tr1M0e
ルイズにルーンだけ貰って逃亡

トリスタニアでアルバイトを転々
バイト先の武器屋で偶然であったデルフとお知り合いに

ルーンの効果に気がつき傭兵生活
戦場で偶然であったアニエスとお知り合いに

悪事を働くほうが儲かることに気がつき、盗賊化
忍び込んだ貴族の屋敷でダブルブッキングしちゃったフーケとお知り合いに

メイジと賭け決闘が儲かることに気がつき、各国を巡る
巡り途中で道に迷ってたどり着いた修道院で暮らしてるジョゼットとお知り合いに

イザベラ様の目に留まり北花壇に就職
見ててあんまりかわいそうなんでこっそりタバサに付いていって援護したり

ガリアルート確定
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:17:22 ID:HvfFXxEM
>>469
年齢が原作より上がることになりそうだな
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 17:49:32 ID:syPYW8qR
そういやサイトが逃亡する話って理想郷に有ったような気がする。
魅惑の雍正帝……もとい妖精亭に匿われ
そこから始まる市民革命前夜な日々。

……的な話が。
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 18:01:33 ID:i6cplQVl
イ吏い魔だな。あれは不思議なSSだ。破滅的に物語が壊れているのに妙にゼロ魔っぽい。
おまけXなんぞ……
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 19:43:22 ID:JciN3hfE
トリスティン革命なんちゃらってやつじゃなかったっけ?
ルイズがレコンキスタにつくやつ
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 21:31:18 ID:YVjZXCOR
>>466
ここは機関銃内蔵の特別製サクソフォンで


いつしかサイトは「音界の覇者」と呼ばれるように…
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:04:01 ID:Gd0nulxy
革命とか戦争とか関係なく、楽器片手に諸国を回りハルケのありのままを見て回る才人でも良いじゃないか。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 22:59:14 ID:syPYW8qR
>>472だが
>>473
それも面白かった。
けど>>474の紹介してる方が俺の言った話。
でもなんだか最近の更新でルイズと再会して分かり合ってたな。
そういえばこのスレで以前傭兵才人の話無かったっけ。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:47:31 ID:f5HbFs/2
幽霊の見えるサイトとタバサってネタなかったっけ?
シャルルの幽霊が娘を心配して憑いてきちゃったっての
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/28(日) 23:56:42 ID:7HndhO1T
娘の事が気がかりで死に切れないテファの両親の幽霊とかな
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 01:00:15 ID:2n2i7PW2
>>478
過去スレで見かけた気がするけど、SSはたぶん無いね
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 02:00:43 ID:9Lw1BaKX
幽霊状態で世界中を飛び回ってるブリミルとか
国が心配で夜な夜な城内を徘徊する先王の幽霊とか
娘の背後にべったりなマチルダの両親の幽霊とか
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 04:18:37 ID:qrNEF5mV
>>466
そこでボイスパーカッションですよ
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 15:54:09 ID:ZuRHHgZy
いままでありそうで無かったサイト

・三銃士のマニアでかつフランス革命前夜近辺の人名に詳しいサイト
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 17:57:02 ID:MDDSz+OO
>>478
タバサ「あなたにも見えるのね」
サイト「『も』って事は俺と同類って事か」
ルイズ「(影で震えて涙目になりながら)な、何よ!そんな事言ったって別に怖く無いんだからね!」

サイト「そういった経緯があったんですか…」
幽霊シャルル「まさか君が見えるとは思ってもいなかったよ」

サイト「姫様のお父上でしたか……え?頼み事ですか?」
アンリエッタ「(偶然現場を目撃して)さ、サイト殿は誰と話を……まさか城内のあの噂は…」

幽霊佐々木少尉「そうか、日本は戦争に負けてそういった道を…」
サイト「何か他に聞きたい事はありますか?」

サイト「ウエストウッド村ですか?」
幽霊モード公「ああ、そこに私の娘がいる」

んで自分の娘や(佐々木少尉は曾孫)の事を頼むと各方面から言われて困るサイトとか
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:46:19 ID:U4Bvy8fR
>>483
限定的すぎる
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 18:53:01 ID:rlfibWJC
ていうかハルケギニアで能力活用できるのって何オタかね
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 19:32:33 ID:JqlUYHTf
>>484
ロングビルやタバサの素性、テファの存在を幽霊によって早く知るIFか

あとオスマンはサイトとタバサの事に薄々感づいていそう
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 19:32:34 ID:cWXddoKm
アンアンの行幸で

ウェールズの使い魔だった才人「ウェールズ?」
ルイズ「才人、あんた誰に呼びかけているの」
才人「いや、何でもない(ウェールズは死んだし、骨も残さず焼いた…まさかな)」
タバサ「………(立ったまま気絶)」
幽霊シャルル「(シャルロットは怪談を克服したとは聞いたが、まだ会わない方が良いな)
ウェールズ殿、もう良いのですか」
幽霊ウェールズ「はい、親友にも想い人にも会えましたので、もう良いです」

しかし才人がウェールズの使い魔だった事、勇敢に戦った事を聞き、
戦場での殿方の愛とか呟き盛大に鼻血を吹くアンリエッタを見て、ウェールズは成仏を保留する。
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 20:35:39 ID:mPyebz1X
>483
三銃士とベルばらのマニアですね。


ついでに欧州の軍艦にも若干の知識を。

「シュペー……俺の知るシュペー卿なら、こんな鈍らを作ってゴテゴテ飾り立てたりはしない!」
「プリンス・オブ・ウェールズ……不吉な……」
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 20:52:39 ID:agg+ZUi2
>>486
化学オタのサイト・フィリップス・フォン・ホーエンハイム
料理オタのチャールズ・サイト・フランカテリ
思想オタのサイト・マルクス
クラシックオタのウォルフガング・サイト・モーツァルト
戦術オタの諸葛才人
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 21:30:04 ID:cWXddoKm
>>490
・化学だと、基礎技術の不足で大半の知識が役に立たない
・思想も平民階級の識字率とメイジと非メイジの格差の壁に砕け散る
と思う。
農業でも基礎科学力の不足で近代農法はハルケでは不可能、
大規模治水で耕作地の拡大を見込もうにも、
下手に川の流れを変えると、精霊の怒りを買う事になりそうなので無理
…ハルケの自然は近代化を拒む

役に立ちそうなのは
・戦略、戦術の諸葛才人(チートな魔法道具や虚無で戦術のイロハは一発でぶっ飛ぶ)
・芸術関係だと、斬新過ぎて受け入れられない恐れがあるし、才人がハルケでウケそうな物を作れるかに掛かっている
料理オタが一番役に立つかも
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 21:44:12 ID:2n2i7PW2
マルトーさんと一緒に、あるいは対立しながら究極のメニューを追及するサイトか
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 21:48:46 ID:agg+ZUi2
>>491
まあ、化学オタの方はまともな転用は出来ないだろうねー。
故に錬金術師の名前にしたんだが……むしろ歴史オタで詭弁スキル持ちのサイト・ジェルマンが良かったか
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 21:50:36 ID:qrNEF5mV
プロモデラーで来年40の平賀才人はどうだろうか、女子高生の妹もいるよ!
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 21:55:36 ID:cWXddoKm
何事にも魔法ありきのハルケだと、錬金術も魔法を使わずに使える実験道具を作る事から始まりそう。
魔法が無い世界の歴史がハルケでどこまで通用するか…
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 21:58:59 ID:cnTTjw14
学術都市がインフラつきでまるまる召喚されて、それなりの権力者の後ろ盾がついたら
近代化は>>491のいうように不可能だろうけど、細々したところはなんとか通用しそうだね。
あの世界は自然が厳しすぎるj。
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 22:11:52 ID:rlfibWJC
結局スーパー召使いサイト・コガラシになるのか
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 23:19:13 ID:mi+e/bJ8
漫画家平賀才虫(PN)がハルケギニアに漫画を流行らせる。
原作タバサ、漫画平賀才虫の「イーヴァルディの勇者」全17巻
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 23:28:47 ID:HpSoyLP3
ふと思ったんだが……
IFじゃなくてすまないが。
人名的には三銃士とかフランス関係が多いですよね。
しかもアンリエッタも「Henrietta」の「H」読まない読みだし。

そのルールで行くと
才人の苗字は「イラガ」に成らないか?
そのへんどうなんだろ。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 23:33:19 ID:qrNEF5mV
書いて伝えるならまだしも、口頭での自己紹介でしょう?
もしかして、フランス語には『は行』が無いの?

>>498
ドラえもんでそんな話があったよなw
過去に行ったスネオが、現代の人気漫画を自分で描き写して連載してんのw
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 23:44:29 ID:5fpiJM9Q
>>500
頭文字のHは発音しないのがフランス語
エルメスの綴りがHERMES
無音のアッシュとか聞いた事ないか?

ただ外来語はイタリックで書くなりして頭文字でも発音すると思う
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/29(月) 23:47:35 ID:qrNEF5mV
>>501
HIRAGAのHが無くなるってのは分かる、ティエリアンリとか好きだからー
『私は平賀才人』と自己紹介した場合、イラガにされちゃうの? ヒラガと言ってくれるの?
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 00:22:43 ID:EDVNYxwc
頭突きしようとして間違ってギーシュとキスしちゃうサイト
それを見て萌える腐ったタバサ
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 00:56:37 ID:jlS9Bgpc
>>501>>502
林(HAYASHI)さんは「アヤシ」さんになる。
だから「ひらが」と自己紹介したら
「イラガ」と言われ続ける可能性が高いはず。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 01:32:02 ID:J+KYROBr
もしもサイトが野生児だったら

性格→原作は性欲旺盛だったが、こちらはむしろ食欲旺盛、言葉もカタコトしか喋れない
    貴族の誇り等思想の違いには無関心で、基本的には細かい事は気にせず大らか
    自然界のルールに従い、意味が無いと判断した戦闘は避けるものの、
    一方で「敵」に対しては情け容赦無く、獰猛かつ好戦的
    ルイズやコルベールもその切り替わりに困惑する事もしばしば

戦闘能力→ルーンが無くとも既に人間の範疇を超えている。
       最大の武器は自前の犬歯で、その威力は噛む力も相まって首ごとへし折る事ができる
       召喚前の世界では「首狩りサイト」の異名で他の動物や密猟者達から恐れられていた

戦争や誇りをかけた決闘も、サイトにしてみれば縄張り争いの延長線上
必要性を感じないなら絶対に戦わないが、戦うべきと判断した場合は……
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 01:36:50 ID:P+NR1Co5
それどこのアマゾンライダー?
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 02:12:03 ID:p22nLLWh
>>504
ありがとう。
マジかよフランス人!
口で言ってもHを抜くとか……
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 03:25:26 ID:Q7DOUr/j
ハ行が発音できないんでしょ
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 07:08:10 ID:J+KYROBr
>>506
決め技はデルフリンガーによる「大切断」……と
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 07:53:20 ID:3apXMBoU
>>507
フランス人が英語を話すと
「ハロー!」が「アロー!」になるって聞いたことが。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 08:41:55 ID:4DvLI4M8
Hondaが ondaになる、という話も。
まあ、日本人の“th”みたく、元々の言語体系に無い発音は難しいんでしょう
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 08:56:39 ID:pO1wX04n
>>505
もうピクルでクロスにしてしまえばいいじゃない
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 09:44:03 ID:8e0fZOec
>512
そう言えば、クロススレでは未だに小ネタ以外でグラップラー刃牙系の召喚がないですな。
理想郷には、子供の頃に烈を召喚して弟子入りして海王になったとかあるけど。
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 10:50:31 ID:4DvLI4M8
>>512
ピケルに見えた俺は末期
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 12:37:21 ID:BpEJjsO0
俺なんて後ろのクロスと混ざってピクルスだぜ……
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 18:28:09 ID:Npwm+Kny
ピクルだと
ルイズ、キュルケ、タバサとかの向かってくる娘たちの貞操が奪われる。
向かってくる相手しか食えない難儀な性格の塩漬け原人才人か…
517【報告】:2009/06/30(火) 19:44:00 ID:4DvLI4M8
避難所より本スレへ
避難所に6/29付けで作品の投下を確認
当方は事情によりコピペ出来ず
代理投下人を要請する
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 20:18:53 ID:pO1wX04n
本スレに貼る必要ってあるのん?
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 21:30:07 ID:4DvLI4M8
先走った行動をしてしまい、申し訳ありません。
判断理由は
(1)前の話は転載されていた
(2)避難所を常に確認している住人がどれ程いるか不安だった
(3)本スレでの連載再開時に追跡できない可能性がある
の3点でした。
先程保管庫を見たら既に収納済みだったので、(3)については解決済みとなります。

自分としては、『規制解除時に不便や軋轢が出ないようにするべきじゃないかな』と考えています。
それを他人に頼まざるをえないのは非常に心苦しいのですが……
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:05:23 ID:0j4x+Rp1
避難所に投下きたー程度でいいと思う
再開されたときに気にいった人はWikiで読めばいいし
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:15:50 ID:d2JVb1TQ
>>518
一言で言えば習慣だからだと思うw
規制されていたって閲覧は出来るし、感想だって出てくる。

気づいた奴がやるってところに、代理投下のクレクレというのが良くなかったんだろうね。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:21:46 ID:pZXBRzcs
個人的には転載だとリソースの無駄っぽい気が。
携帯なら機種によって変わるかもしれないけど、PCならリンク張れば普通読める訳で。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:28:06 ID:qlRmtUa+
IFを混ぜてみる。
野生児サイト×オークルイズ。
二人の間に言葉はいらない(言葉はほとんど話せない)。
キス?ラブコメ?交尾の事ですか?
お父さん達(オーク)からルイズを(力ずくで)貰った野生児サイトがハルケギニアで暴れ回る。
気に入らねぇ奴らはデルフ(オーク達が持ってた)で真っ二つだ。

こんなのどう?
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:59:37 ID:hIaXmcUI
こんなIF
エレオノール姉さまが虚無だったら…

早々に潰れるかジョゼフと組んで世界を火の海にしそう
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:02:58 ID:8BunYQiK
エレさまならジュリオを召喚してペットにしてくれる
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:13:45 ID:hIaXmcUI
エレ姉さんではジュリオは手に余るかと、たぶん篭絡される
サイトかマリ公召喚して年中公開SMショーやってるぐらいが丁度良いかと
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:14:02 ID:jlS9Bgpc
>>524
>早々に潰れるかジョゼフと組んで世界を火の海にしそう
それはそれで見てみたい気も……
>>525
それだと才人が乳革命に召還されないと「アッー!」なことに……
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:16:37 ID:J+KYROBr
>>523
たまたま2人と1本(デルフ)で街中をうろついてると、
二股がばれて機嫌の悪いギーシュに因縁をつけられ……

「天下の往来にこんな汚らわしい物乞いが2人も
うろついているとは……おや、なんだいその剣、随分と貧相だね」

「違う! こいつデルフ! オレの友達!」

「ほう、卑しい人間だけあって貴族に対する態度がなってないようだね……
いいだろう、僕のワルキューレで懲らしめてあげよう!」

「サイト! 手加減必要ない!やっつける!」

「(無言でうなずく)」

「よし、見せてやろうじゃねぇか相棒、俺たちの必殺技をよ!」

以後ワルキューレ虐殺タイム、首元を食いちぎられたりぶん殴られたり
極め付けにデルフリンガー大切断で原形を留めないほどに切り刻まれギーシュ涙目
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:18:00 ID:hIaXmcUI
>>527
エレさんの第一印象は「芯の弱いルイズ」故にハルケギニアの魔法偏重主義に対して
その辺のアンチ系SS顔負けの呪詛を撒き散らしてくれると信じてますw
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:20:16 ID:Npwm+Kny
エレ姉様が虚無だとルイズ化するだけじゃないのか。
原作では研究畑の人間だから、自分の失敗魔法がなぜ爆発なのか調べそう。
通常の失敗魔法=構成が霧散して何の効果も出ない
自分の失敗魔法=爆発(早い段階で虚無に目覚める)

虚無にエレオノールが目覚めた場合、
アンアンを守るためマリアンヌがヴァリエール取り潰しに動き、
アルビオンのお家騒動に続き、トリスティンでも騒動が起きる。

トリステイン王家に復讐を誓うエレオノール、
暗い炎に身を焦がすエレオノールを気に入り、
復讐に集中できる環境を整えるジョゼフとかはありそう。
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:21:20 ID:4paiiUCp
>>529
そんな荒んだエレ姉様の所にゼロ戦を筆頭にした地球産兵器を使える才人がやってくる・・・・


うん、危険だwww
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:22:33 ID:8BunYQiK
ハルケギニア大王女なエレ様とか素敵だね
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:30:23 ID:qlRmtUa+
頭が良い+負けず嫌い+スゴイ能力(虚無)→計画通り
夜神月みたいな笑顔のエレ様。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:40:48 ID:Npwm+Kny
月=エレだと
L=ジョゼフ
ニア=ヴィットーリオ
か。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:41:23 ID:s/EvXsZN
虚無のアンリエッタが刑事・平賀才人を召喚し、成り行きからアニエスとコンビを組む事になりました。
前に見た土くれコンビを見ていたら、アニエスとコンビ組む大人の才人ってのもありかなと思っただけで。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:52:30 ID:l6KZDmqj
サングラスかけたサイトがハーレーに乗ってショットガン撃ってくるのか
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 23:54:47 ID:j1ViPeEc
>536
どこの知事ですか、それは。
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 01:01:52 ID:ZgN8itg2
刑事・平賀才人か。
「はぐれ」、「はみだし」、「あぶない」、「警部補」、「西部」。
いろんなタイプの刑事がいるよね。
かまいたちの夜2にあったパロディーを参考にして「貞操があぶない刑事」とか。
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 02:25:11 ID:8n4QF5us
じゃあ、あえて海パン刑事で
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 03:02:48 ID:s/8/7CAf
>>536
それ、刑事ちゃう、殺人機械だwwww

むしろそこは月光刑事で、もちろんタルヴにあるのはゼロ戦じゃなくて月光
……クロスだなこれ
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 03:22:39 ID:ONvd6FxS
月光刑事は無々と美茄子の二人いるわけだが

…相方はギーシュとマルコメどっちがいいと思う?
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 07:54:43 ID:ztLEcOnf
>>536
さしずめルイズはジョンでスカイネット開発したのはコルベールか
じゃあそのノリだと最後は

「これで戦いは終わったわね……」
「いや、まだだ。



ルーンはここにある」

そう言って自分の左腕つき出して
これも処分するんだと言わんばかりに溶鉱炉へ落ちようとするサイトの姿が浮かんだ
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 09:01:23 ID:8RwkmTv7
え?>>536は横浜港署の始末書コンビの片割れじゃないの?
才人はどちらかと言うとセクシーな方だろうけど

ミシェル「隊長!応援に来ました!」
アニエス「いやミシェル、助けるのは相手の方なんだ」
才人「俺の貴重なメシの時間を邪魔しやがって!このっ!このっ!」
賊「(コブラツイストをかけられ言葉にならない悲鳴を上げている)」
ミシェル「………」
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 09:54:57 ID:jpdBEV70
両津的なサイトとかなにがおこるか予想できん
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 11:08:02 ID:hQQz1ezl
二次創作でタバサもゼロと言う設定のが有ったけど
ジョゼフが居るからおかしくね?な問題が有った

ジョゼット登場で一つの王家に虚無複数が有り得て来たのだよねぇ
二次SSの幅が広がったかと
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:12:16 ID:0CfkiBcn
ジョZって、ジョゼフ死ぬ前から虚無を使えてたの?
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:18:18 ID:94/pcHns
そのロボットみたいな省略の仕方はなんだ
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 12:19:50 ID:hQQz1ezl
不明です、ミスリード説も結構有る、属性変換して覚醒説とか

549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 14:06:29 ID:0CfkiBcn
ありがとう、描いてる途中で齟齬が出る可能性があるのは怖いな

>>547
未来を生きているとしか思えない国の技術により、
全身をサイボーグ化されているという伏線さ!
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 15:28:01 ID:Zrz35IIx
ワルキューレと見せかけてメダロットを使うギーシュ
・・・・・クロスですね
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:07:10 ID:rbfvr1fS
ルイズに召喚されたのがジョゼフだったら
ガリアはジョゼフ不在に合わせ旧オルレアン派の活動が活発になり内戦状態に陥る。
旗頭になるシャルロットが出奔した為、収拾が付かない
タバサ=ガリアで人間の汚さを見せつけられ、全てが嫌になり母を連れ隠遁
イザベラ=内紛を治めようとするが人徳と実力が足りず治められずにいる
ジョゼフ=内紛で荒れる故国を観戦、どこがどうなるか先が読めない状況を楽しむ
ルイズ=どうして良いか分からず、思考空転中
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:20:16 ID:3AcfLwRx
>>551
そういやジョゼフ召喚は見る割に

「ルイズがシェフィールド召喚なIF」は見ないな
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:45:09 ID:rbfvr1fS
神の頭脳な才人(簿記、経理スキル付き)と神の盾なシェフィールドか。

ジョゼフ=王に指名されるが才人の能力で納得、シャルル暗殺を企てない
シャルル=才人暗殺を企てるがジョゼフに阻止される。
兄弟喧嘩で二人の蟠りは解消したが、シャルルの自殺で幕を閉じる
オルレアン夫人=夫を追い服毒自殺
才人=おっさんにキスされ、扱き使われた挙句、おっさんの弟に殺され掛けるなどロクな目に遭っていない
仲良くなったシャルロットもシャルルの謀反で国外追放にされる
タバサ=真相を聞かされていない為、才人に好意を持っていたためより強く憎む

シェフィールド=素直に甘えてこないルイズが可愛い
ルイズ=馬鹿にされる期間が長かったため、シェフィールドに素直に接せずにいる
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:55:50 ID:8RwkmTv7
刑事サイトとアニエス

サイト「たいがいにしとけこの野郎!」
アニエス「止めろ!白状するどころではなくなるぞ!」

サイト「(走って逃げる賊に並走して)よう、頑張ってるね。」
賊「なっ!?」
サイト「あと1キロだからね、ゴールは牢獄。ファイト!ファイト!」

アニエス「姫様と枢機卿は何と?」
サイト「少しは暴力行為を自重しろだとさ、怒ってばかりじゃ体に悪いのに」
アニエス「その原因を作っているのは誰だと思ってるんだ!?」

サイト「アニエス!撃て!」
アニエス「言われなくとも!」

サイト「俺達を殺せって命令出てるんじゃない?」
アニエス「リッシュモンならやりかねんな…」

サイト「大音量で行くぜ!(赤色灯を面パトの屋根に乗せて急発進)」
アニエス「うわっ!」

アンリエッタ「今日から城内は禁煙ですよ!」
サイト「なんで、んな体に悪い事をまた…」
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 18:59:17 ID:3AcfLwRx
>>554
「ゼロの刑事貴族」と申したか
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 19:02:05 ID:igddJ13t
>>554
そこはそれ

アニエス=浅野温子
ギーシュ=仲村トオル
マザリーニ=中条静夫
マリアンヌ=木の実ナナ

で一つ
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 21:54:32 ID:v2q7DY7a
>>548
それだと王家にこれまで虚無が現れなかった理由が付かない。
特にガリアなんかは王位継承の儀式で属性変換で覚醒できるはず。

せいぜい考えられるのは

『属性魔法を生まれてからまだ一度も使ったことが無いメイジは儀式で属性変換可能』 という程度

まあ、それでも十分に二次創作の幅はひろがるわけだが。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 22:25:27 ID:TALJFSy0
>>557
これまで虚無が現れなかったのは、単に時期じゃなかったから。
原作でビダーシャルが言ってたけど、今はそういう時期だから、虚無が欠けてもどこかから代わりが現れる……らしい。
といっても、ビダーシャルの言う『時期』っていうのが具体的に一体何なのかは、まだ語られてないんだけど。
ついでに、虚無が欠けたらどういうシステムで代わりが補充されるのかってのもね。
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 22:27:01 ID:jpdBEV70
系統魔法は外部システムだったんだよ
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 22:50:12 ID:hQQz1ezl
>>558
>虚無が欠けてもどこかから代わりが現れる……

1どこかに「聖戦システム」とでも言うべき存在が居て血族からランダムに覚醒させる

この場合系統使いが虚無使いに属性変換が有りえる

2ベルセルク方式(全て運命)

ジョゼフが戦争で死ぬのは最初から判っていた、
当然予備としてガリア二人目の虚無ジョゼットを用意しておいた

この場合系統使いの変換は無し
ただ、ヴァリエール公爵に隠し子が居てその子が虚無だった場合
現在の担い手ルイズは死ぬ運命にあるとかそう言う事まで判ってしまう

561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 23:47:13 ID:PKZ+WBtL
>>422辺りで出てきてた、ドM学園ネタでちょっとしたネタSSを落とします。
短いです。
562平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/01(水) 23:49:33 ID:PKZ+WBtL
どうもコンニチワ、平賀才人です。
ちょっと前に異世界に召喚されてしまった、どこにでもいる普通の男子高校生です。
今日は、そんな俺の朝の一幕を紹介します。


「……ふぁ……くぁああ……。ああ……なんか、変な夢見たな」

布団の中で背伸びしつつ、欠伸と共に呟きました。
寝起きではっきりしない脳内に、最前まで見ていた夢の光景がぼんやりと際限されます。
夢の中の俺は、何故かゼロ戦を操縦してドラゴンと戦ったり、時間稼ぎのために7万人の大軍相手に一人で特攻したりしてました。
しかもなんか、その結果英雄になって、王女様とか複数人の女性に惚れられて、なんかハーレムゥ、な状態になってました。
……なんというか、自分の中の英雄願望を暴露されたようで凹みます。
この夢の内容は、誰にも話さず墓の下まで持っていきましょう。

「…………はあ」

溜め息が出ます。
今日は変な夢を見たせいか、今日は普段よりなお一層憂鬱です。
しかし、色々やることもあるので何時までも鬱々とはしていられません。二度寝なんぞ以ての外です。

「……今日こそ、世界がまともになっていますように」

祈りの言葉を呟きつつ、俺は布団から立ち上がりました。
ちなみにこのお祈り、ハルケギニアに来てからの日課で、今日まで一度も欠かしたことがありません。
――当然、叶えられたこともないわけですが。





「……うぅん、むにゃむにゃ……あ、あん、あぁあん……っ」
「………………」

そして、祈りは今日も届きませんでした。
世界は昨日と変わりなく、今日も正常に異常です。
そのことを、俺は起床一番、部屋に備えられたベッドの上に寝そべる少女の姿を見て確認しました。
桃色の髪を大きく広げて眠りこける彼女の名前はルイズ。俺をこの世界に召喚した張本人であり、俺のご主人さまです。
そんな彼女は、その整った容姿を緩めながら、実に幸せそうに寝こけていました。
……全身を、亀甲縛りで緊縛されたまま。

「…………ああ、分かってた、分かっていたさ」

虚空に向けて呟きます。絶望と諦観を胸に刻むのも、最早日課となってしまいました。
思い出すのは、このハルケギニアに呼び出された最初の夜。
夜空に浮かぶ二つの月に異世界へ来てしまったことを実感し、帰る方法がないという説明に絶望し、半ばパニックを起こしていた俺に向かって、このご主人さまは高らかに言い放ちました。


『今日からアンタは私の使い魔で、私はアンタのご主人さまなんだから。
だ、だから特別に、ご主人さまのことを、む、鞭で叩くことを許してあげるわっ!!』


意味が分かりませんでした。
563平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/01(水) 23:50:15 ID:PKZ+WBtL
呆然としている間に、クローゼットの中から出てくる出てくる鞭やら縄やらロウソクやら。
そして、それらを抱えて物凄い期待の眼差しでこちらを見てくる桃色髪の美少女。
――ファンタジーとか剣と魔法の世界とか、そんなチャチなもんでは断じてない。
もっと恐ろしくもおぞましく、絶対関わりなくない異世界がそこにありました。

「うぅん……ハァハァ、ジュルリ……サ、サイトォ……も、もっとぉ」

目の前であんあん言ってるご主人さまの喘ぎ声に、過去の回想から意識を呼び戻されました。
ぶり返してきた絶望に涙が零れそうになりますが、男の子なので耐えます。
というか、夢の中に俺が出てきてるらしいです。

「……い、いやらしい……本当にいやらしいわ……ハァハァ……そ、そうよ、サイト。アンタはこれから、それをするのよ……」

何をさせられてる、夢の中の俺。

「べ、別に私がやられたいってわけじゃないんだけど……ア、アンタがどうしてもやりたいっていうなら……ハァハァ……や、やらせてあげないこともないんだからねっ!」

思い出したようにツンデレを挟むな。

「……起こすか」

正直放っておきたい気分でいっぱいですが、こいつが起きないと俺も朝飯に行けません。
俺はベッドに歩み寄ると、緊縛されたまま一人でビクビクッ、と痙攣しているルイズの頬をペシペシと叩きました。

「おい、ルイズ。ご主人さま。朝だぞ、起きろ」

叩きながら、声をかけます。
なかなか目を覚まさないので、少しずつ手に力を入れていくと――叩く音がペシペシからベチベチに変わった辺りで、ようやく、ベッドの上の体が身じろぎしました。

「……サ、サイト」
「ん、起きたか?」
「もっと……もっと強く叩いてぇ……悪い私をぶって、殴ってぇ……」
「よし、起きたな」

頬を叩く手を止めて、その手をルイズの背中に回します。
背中にある結び目を解いてやると、ルイズの全身を複雑に拘束していた縄が、ハラリと解けて外れました。

「あうん、解いちゃった……」
「もう起きないと、朝飯の時間に遅れるぞ。さっさと着換えろよ」

残念そうに呟くルイズに、淡々と言います。
ルイズは、不満気な上目遣いでこちらを睨んできました。

「もう少しくらいいいじゃない。それこそ、縛られたまま行ったっていいのに……」
「――朝飯に遅れたら、今晩は縛ってやらん」
「す、すぐ行くわっ!!」

慌てたように立ち上がるルイズ。
564平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/01(水) 23:51:03 ID:PKZ+WBtL
縛られることの、何がそんなに彼女を駆り立てるのでしょう。分かりませんし、分かりたくありません。
ルイズが、バタバタと動き出します。
一晩中縄に縛られていたわけですが、寝違えたり体を痛めたりするような縛り方はしていないので、問題はないでしょう。
――ちなみに、こっちに召喚された時から、何故か鞭で人を叩く方法とか、縄で人を縛る方法とかが自然に分かるようになりました。
なにこのアブノーマル能力。マジ要らねえ。もうちょっとファンタジーな能力をくれよ。

「んじゃ、さっさと着換えろよ」

そう言って、部屋から出ます。

「って、サイト! アンタ、ご主人さまの着替えを手伝いなさいよっ!」
「絶対断る」

即答です。前に一度やって懲りました。
貞操帯付けろとか首輪嵌めろとか、誰がやるか。

「……なによ、夢の中じゃあんなに積極的だったくせに」

お前の欲望丸出しの夢の中なんて知るか。というか、何をした夢の中の俺。
内心で色々突っ込みつつ、部屋のドアを閉めます。
廊下に出て立ち尽くしていると、色々なモノの籠った溜め息が、再び口をついて出ました。

――拝啓、お母さん。
異世界は怖いところです。なんかこう、想像の斜め上の方向で怖いところです。
貴方の息子は、なんかもうダメかもしれません。


遠く、故郷の家を思い出しつつ。
瞼の母に、深く謝罪する俺なのでした。
565平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/01(水) 23:55:13 ID:PKZ+WBtL
以上。投下しゅーりょー。

>>422の話題が出た直後辺りから書き出してたのですが、一回目に書いたやつがやたら長くなった上、
「これはギャグSSじゃなくて、本番に至ってないってだけで単なるエロ話なんじゃないのか?」と自分で疑惑を持ったので、即効で書きなおしてみました。
いや、文章でギャグやコメディをやるのは難しい。出来る人たちは尊敬します。

短く分割したので、後いくつか書くかもしれないです。
とりあえずキュルケとタバサ、シエスタを出したい。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 00:02:39 ID:2FtkTsPl
エロパロで本番を書くと世界は平和になるとおもうよ
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 00:34:10 ID:xHwWUqVT
朝起きたサイトの心境が某理想郷にあるなのはSSのなのはと同じで笑ったw
アレも皆変態になってるからなあ
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 01:27:22 ID:iRn48mIL
使い魔を使ったアブノーマルな行為。
サラマンダー、風韻竜、カエル、ジャイアントモール、その他いっぱい。
使い魔との交流がすごいことになりそうだね。
このルイズ、きっと乗馬してるとイケナイ気分になったりするんだろうね。
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 02:35:55 ID:FeLN0flq
つまり、ルイズの趣味が「乗馬」というのは……(ゴクリ)
鞍になんかヘンな突起物でもついてるのかなぁ。
「こ、これは、あくまでも健康的で優雅な乗馬のシーンなんだからねッ!」
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 07:49:57 ID:2avUdUH+
才人が女だったらと血の涙を流すマルコメを想像した。
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 09:07:32 ID:2FtkTsPl
もしもジョゼフが覚えたのが加速じゃなくてリコードだったら
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 11:36:31 ID:Gu0dPv2+
「もしもゼロの使い魔がライブアライブ中世編のようだったら」と考えてみた。
以下概要。

ルイズ、キュルケ、タバサはフーケ討伐に出向いたけど
(ここではルイズは召喚に失敗してるのでサイトはいない)
フーケのゴーレムにはかなわずルイズが踏み潰され、
キュルケとタバサは学院に逃げ帰る。
その夜、失意のキュルケの前に見たこともない化け物が現れる。
キュルケはそれを倒すが倒した化け物はオスマンの遺体へと姿を変える。
オスマン殺しの犯人としてキュルケは捕らえられそうになるが
タバサの助けでいったんは逃げる。
しかし行くあてもなくやむなく学院に戻ったキュルケは捕らえられる。
牢の中では拷問を受けたタバサと再会。
タバサは残った力で牢の鍵を開けキュルケを脱出させる。
キュルケはタバサの助言の通り、再度フーケと戦った場所へと向かう。
ところがそこに現れたのは死んだと思っていたルイズだった。

「私が…ここにいることが ふしぎそうね。
あの時 私は 死んでなどいない…
私は ある日 自分の魔法の秘密に気づいた…
その 瞬間 私の…
今まで 抑えていた気持ちが爆発した!
あんたを 倒して…
今までの恨みをまとめてはらしてやろうと!
そして この機会を利用する事を思いつき
いかにも 私が踏み殺されたように見せようと
私は魔法をとなえた!

フフフ…
ハハハハハ!
ヒャーッヒャッヒャアア!!
おもしろいほど かんたんにひっかかったわ。
皆 ゴーレムに手も足も出なかった所だったしね!
後は あんたを
絶望の ドン底に 突き落とすため
学院長殺しの罪をおわせた!!
全てがうまくいったわ…!
そう…
あんたがここに来たこと以外はねッ!!
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 11:37:30 ID:Gu0dPv2+
あんたは いつもそうやって!
私のする事をブチこわしてしまうッ!!
むかしッから そうよ!
私が爆発を起こすたびに!
あんたは
いつも それを嘲笑ってきたッ!!
使い魔召喚の儀式に失敗した時もねッ!
私が あの夜 どんなに
苦しんだか…
あんたにッ!
あんたなんかにッ!!
わかられて たまるもんかッ!!

だけど…
私は 今迄の私じゃない…
私は虚無の力を手に入れたのよ…
今こそッ!
あんたを ブッたおしッ!!
あんたに
馬鹿にされっぱなしだった過去に決別してやるッ!!

あの世で 私にわび続けろ
キュルケーーーーッ!!!!」



ルイズのセリフはストレイボウのセリフを参考に少し変えてます。
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 11:42:08 ID:BFBRFEZP
おぉ、IFクロスってやつですかね?
このスレでもクロススレでも「あっちへ行け」と言われるパターンですね。

……ライブアライブにゼロ魔キャラを当て嵌めただけ?
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 12:08:50 ID:sDZQf6HM
サイトかわいいよサイト
http://dec.2chan.net:81/may/b/src/1246493665000.jpg
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 13:09:40 ID:TDpuVF19
キャスティングクロスというタイプだな。
ゼロ魔のクロススレは比較的寛容というかかなり大雑把なのでいけると思うけど。
ここでは明らかにスレチだなあ。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 13:50:16 ID:JytcGlV5
>>554
実はサイトが追っている犯罪組織のボスがジョゼフで、ナンバーツーがシェフィとかな

>>556
問題児コンビに頭と胃が痛いマザリーニに、
いい女紹介するの一言でサイトに顎でこき使われるギーシュか

ま、そこは後
シエスタ=長谷川香苗
マルコメ=ダンカン
を追加で

レコン・キスタは銀星会で、ロマリアはブレーメンってところか?
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 14:37:49 ID:BFBRFEZP
>>576
そんなのもあるのか。
クロススレでも小ネタじゃないと厳しいと思うけどなw
モンスターエンジンのネタとか叩かれてた。
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 15:08:13 ID:TDpuVF19
>>578
本スレが難しいと思ったら避難所があるけどね。
キャスティングクロスは古い時代のSSではむしろ主流だったな。
エヴァのキャラでトゥハートとか。
ラストハルマゲドンとか。
ゾイドとか。
銀河英雄伝説とか。
…あったんだよ。本当に。

別々の作品とのクロスは設定のすり合わせとかが常に関係してくるから、難しいと思われてた。
クロスは半ばゲテモノ扱いだったんだよ。
葉鍵系のSSが出回りだしてから、学園舞台の話でのクロスが増えていった感じ。
まあ俺の印象だけどね。

ゼロ魔みたく、むしろクロスの方が主流というのは、まずないよw


最新刊でアンアンが華麗に足払いをしていることから考えたIF。
魔法と同時に武術が発達しているハルケギニア。
というか、ルイズはタルブ戦で随分とバランス感覚のよさを発揮していたのに。
あと乗馬をしていると下半身は強くなるのに。
そのルイズをさらっと足払いしかけるアンアン、ぱねぇな…。

まあ、ゲーム版では日本剣術を使う姫とかいたみたいだけど。
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 15:13:19 ID:2FtkTsPl
>>575
みれない
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 16:38:10 ID:5nB+cwQh
アンアンに召喚された平賀刑事ならリッシュモンも早い段階で死にそうだな
交戦の末にサイトから借りた拳銃で止めを刺すアニエスとか

あと学院のフーケ事件を嗅ぎ付けていつの間にか現場にいるとか
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 18:34:32 ID:2avUdUH+
リッシュモンが昔は正義の人で、ロマリアの現実と、不幸に酔い政治を省みない王族に失望してだったら

アニエス「なぜ、魔法を使わなかった!」
リッシュモン「悪党は油断から討たれるのが定石だからな・・・」
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 19:00:36 ID:e8xiBi7I
>565
サイトの鋼鉄の理性に敬礼!自分だったら絶対初日で喰っちまうな…
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 19:18:32 ID:2avUdUH+
>>583
いきなり縛れ、鞭で打てじゃ萎えるって…
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 19:38:35 ID:BZKqugv0
>>582
ロマリアやトリステイン王宮内を舞台に、政争と暗闘を繰り広げるわけですね。
マザリーニ、前トリステイン王、ヴァリエール公、グラモン伯などがそれぞれの視点で協力したり対立したり利用したり裏切ったり。

……面白そうだけど、相当な実力のある作家さんじゃないと書けそうにないなぁ。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 20:11:12 ID:oZyww2I0
>>565
ルイズ「契約した使い魔との関係を解消するには、使い魔は死ななければいけないのよ?
    呼び出された以上犬として私に忠誠を誓いなさい」

サイト「勝手に呼び出しといてそんなムチャな! 言っとくが気に入らないからって殺されるのも嫌だぞ!」

ルイズ「犬が一々口答えなんかするんじゃないわよ!
    死にたくないなら、アンタが私を襲うか私がアンタに襲われるか選びなさい!」

サイト「殺せ」


↑こういうやり取りがあったんだろうな……
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 20:21:18 ID:Vc5oRK6l
>>586
いや、それはちょっと違うだろう

ルイズ「契約した使い魔との関係を解消するには、使い魔は死ななければいけないのよ?
    呼び出された以上私に犬として忠誠を誓わせなさい」

正しくはこうだなw
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 20:37:15 ID:2avUdUH+
みんな困った性癖だと

ルイズ=人間を当てて大喜び
キュルケ=才人を観察
タバサ=イザベラに虐められるのを心待ちにしている
その他の女生徒=人間を使い魔にしたルイズに、女王様になってくれるかもと、期待の眼差し

ガリア
イザベラ=ジョゼフの要請もあり気が進まないが、シャルロットの望むようにしている
ジョゼフ=弟に襲われ虚無が開眼、殺ってしまう。正当防衛でも気負いがある。性質はノーマル
オルレアン夫人=事件を知り、死にたくなったがジョゼフに止められ隠遁生活に入る
シャルル=近親属性のガチホモ、ジョゼフに正当防衛で殺される
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 20:40:01 ID:DveCF5Hp
最新刊エピローグでのアン様を見て、何故か鉄の爪を装備させたら似合いそうな気がしてきたw
……となると、お供の神官はマザリーニで、魔法使いのジジィはオスマンあたりかな?
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 20:45:33 ID:2FtkTsPl
タバサ「私は彼に仕える奴・・・騎士」
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 21:09:06 ID:JRnh4LZ6
つまり、このどんと原作ですね?
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 23:09:17 ID:25ftQ3mj
なんとなく考えてみたが
もしもサイトがガンダールヴ無しでもスクウェアメイジを圧倒できるような剣士だったら
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 23:45:56 ID:bbkUPGVP
>>592
つ【内家拳・戴天流】
ガンダールヴの効果が足枷になる稀有な例……クロスだけど
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 00:33:05 ID:XZxnd843
感情の震えで強くなるなんて狂戦士だけだからなぁ
剣士、特に日本の剣道剣術じゃ心を乱してる時点で駄目駄目だろう
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 05:05:55 ID:lJcjzmh7
Gガンダムのガンダムファイターも強くなるぜ。
さらに冷静な思考も備えれば明鏡止水で金に光るw
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 08:44:42 ID:p1q6M6pl
まあ武道だのなんだのは平常心とはよくいうが、結局は気合とかなんとかいうしな。
そのうちにガンダールブのルーンも、愛とか使命感とか、意志の強さとかなんとかいいだすんじゃね?
後付的に。
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 08:50:04 ID:pD6qiCfH
別に武道で強くなるんじゃないから感情の震えで強くなってもいいだろ
それにガンダールヴは武道のとしての技量の上昇じゃなくて心の震えからくる魔法的な作用でつよくなってるんだから武道と比較するのはおかしいだろ
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 10:05:09 ID:glloTadD
多少の技術面補正と、心の震えに比したステータスアップだしね>ガンダールヴ
基本的には誰に付いてもある程度の戦力増強は見込めるわけだ

薬品・洗脳その他で心の震えを極大化させてみる。
圧倒的な能力値の上昇が見込める代わりに、平常心どころか理性の維持すら不可能に。
個人技で覆し得ない領域まで強めることが出来れば、これはこれで一つの運用法になる、だろうか?


サイト「■■■■■■■■■―――!!!」
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 10:35:39 ID:FIyk7Fyk
最終兵器彼氏なサイト・・・
いい感じに鬱展開になりそうですね
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 10:39:07 ID:QcKckyJd
>>581
武器・麻薬の密売に人身売買でICPOから国際手配されてるジョゼフとかな
他にも面パト、スーツ姿にサングラスでやたら周囲から視線が集まるサイトとか
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 12:11:17 ID:wIG67orF
>>599
ルイズと二人きりか……。
鬱だな。
テファと二人きりなら未だしも。
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 12:21:17 ID:eabBhv2X
>>600
コッパゲに毎回怒られるんですね
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 14:02:47 ID:q71W3UV6
>>598
ナニその強化人間なサイト。
最後は悲劇で終わるぞ。
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 15:15:32 ID:6NCgUM7a
ちょっと前に一発ネタとして似たようなのがなかったけか。
ガンダールブの力が、戦闘力を向上させる代わりに、感情を、記憶を、五感を奪っていくものだった、とかいう短編ネタ。
どんどん人としての色々なものを失っていき、最後は、自分はルイズのためのものだ、とか言って7万人に突っ込んでいって才人死亡、とかだった気がする。
そういえば、まとめに載ってないなぁ。
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 15:25:14 ID:yDI+kCnQ
>>604
なんかベルセルクの狂戦士の鎧みたいだな。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 15:54:25 ID:0AmpGNWP
それもサイトも犬だから、愛称は抜群だな!
宝物庫に犬鎧があって、デルフは屋台で鉄板代わりに使われてるな。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 18:27:17 ID:ScQYsU8Y
召還失敗して留年か退学かの二択になってしまったルイズ
その時オスマンに一年間見聞を広める為に旅をしてみたらどうかと勧められる
ヴァリエール公爵もそれに賛成し、ある程度の額の金を渡されて一人旅に出る
途中足らなくなった路銀を稼ぐ為に平民と働いてみたりすることで考えが変わっていく
光の国と呼ばれたロマリアにも訪れるか噂とは相反した光景を目の当たりにして
自分にできることは無いのかと模索しているうちに1年が過ぎ学園に戻る
その後サイトを無事召還し、相談した結果宗教革命を起こそうと決心する

とか長々と書いたけど自分にはSS書く技量がないから困った
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 18:42:16 ID:uyeSmjo9
ガリア兄弟の確執が騎士人形のヨルムンガントだったら
メイジが乗るか乗らないかで揉め、シャルルの「魔法も使えない癖に」の一言に、ジョゼフが切れ暗殺に走る。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 19:41:01 ID:rPHTNvQB
>>602
寧ろそこは虚無のアンリエッタに召喚されてマザリーニの頭と胃を痛くする原因で
城の宝物庫には何故か拳銃と実弾がぎっしりあって、それをいい事にバンバン撃ちまくるサイト

大音量でサイレン鳴らして賊の馬を追跡するサイトに、パトから馬に飛び移るアニエスとか
トリスタニアの街で見たスーツにサングラス姿のサイトに興味を持つキュルケとか
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 19:42:25 ID:0AmpGNWP
>>607
つ 年表
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 19:51:43 ID:Y1WoYpZi
デルフを失い弱体化著しいサイト、当然強化イベント必須と見られているが
あえて強化アイテムを出さないと言う方向はどうだろうか?

日本刀では火や風は防げない

じゃあ呪文発動前に切り捨てるしか無いだろJK

ドゥードゥー戦に見せたアノ速度を自在に発動するために修行

無双虎眼流状態に
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 19:58:32 ID:FSMtrlxZ
>>611
シュバリエ・サイトが太刀を担いだら用心せい。
ジュリオは支配下に置いた動物が言った言葉を思い出していた。
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 20:49:10 ID:Y1WoYpZi
>>612
サイトはそろそろ(戦場的な意味で)童貞を捨てて良いと思う
自分を守るために敵を殺さざるを得ないサイト
ルイズはそれを見て何を思うのだろうか
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 20:55:06 ID:uyeSmjo9
あの世界は現代ほど命の価値が高くないから、箱入り娘のルイズでも仕方がないで済ませるだろ。
それよりも現代でも命の価値の最高価格地の日本から来た才人が、殺人のショックから復活出来るのかが疑問。
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 21:10:43 ID:Y1WoYpZi
PTSDのサイトを(本音は心配でも)ルイズが罵倒したりしたら
シエスタはサイトを連れて逃げると思う

日本刀一本で無双やるサイトとか…無いだろうなぁ
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 21:22:50 ID:1O51gJLk
ただの刀じゃ戦力不足だから研無刀を装備してだな
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 21:37:50 ID:K1mqEJvg
メトロ・テカ・クロム製の見た目より重い日本刀はさすがにチートすぎるか
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 21:39:25 ID:FSMtrlxZ
>>617
ヘッドライナーじゃなきゃ扱えないw
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 21:46:17 ID:q71W3UV6
日本刀じゃさすがに無理だろ
オリハルコンナイフくらい渡してやれw
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 22:02:52 ID:K1mqEJvg
>>618
ハルケギニアにもあるかもしれない溶岩の中で溶けない石から作る剣なんてのは?
あっちで持ってるのも一般人と大差の無い竜騎士のヒトとかだし。
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 22:08:54 ID:FSMtrlxZ
>>620
ライトニング・クラウドと併用したら凄い威力が出そうだw
まあサイトがヘッドライナーでもいいけどね
ただしちゃあレベルでw
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 22:13:03 ID:u+8an3f7
日本刀でも固定化かけてあれば良いんじゃね?
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 22:14:17 ID:h/onYthd
サイトとジョゼフの決戦に拳を極めし者が乱入してくる
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 22:14:22 ID:pD6qiCfH
原作でミスリルとかオリハルコンみたいなファンタジー特有の謎金属ってまだ出てませんよね
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 22:20:19 ID:1O51gJLk
ミスリルは見たような気がするけど、正直二次創作だったかどうか判断がつかんw
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 22:22:50 ID:uyeSmjo9
>>615
才人は零戦でそれなりの数を殺っている筈。
でも銃で遠くから撃ち殺すのと、表情が分かる位置で殺すのではストレスが違うと聞く。
長距離兵器が幅を利かせる前は、貴族は過大なストレスを受ける戦争に耐えられる事が
地位の証明になったらしい。

メイジで殺人のストレスを理解できないルイズ、
命の価値感、殺人の実感が違う才人のすれ違いからルイズルートは完全に折れる。
才人を何とか出来そうなのは
魔法無しでの殺人がどのようなものか知っているシャルロット(傷の舐め合いEND)
メイジ殺しでそれなりに慣れているアニエス(戦場から離れ静に暮らせと諭されシエスタEND)
盗賊時代に気分の高揚から魔法で何度か殺した事のあるマチルダ(メイジ殺し才人END)
才人に似た心的外傷を持つコルベール(師弟END)
荒事とは無縁で過ごしてきたテファ(テファ孤児院END)

タバサが無表情なのは殺人のショックによる物も有ると妄想。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 22:34:52 ID:1O51gJLk
タバサはキモイキメラとか見てるからなぁ。人の死体ってレベルじゃねーぞ
628平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/03(金) 22:38:58 ID:zfMc8gfl
割と真面目な議論が行われている中、ドM学園ネタの第二話を投下してみます。
今回も短いです。
629平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/03(金) 22:41:18 ID:zfMc8gfl
どうもコンニチワ、平賀才人です。
祈りも虚しく、今日も世界は変態なままでした。
こんな世界に順応してしまいそうな自分が嫌です。



そんなわけで、ルイズと二人して食堂へ向かいます。
途中で寮の廊下を歩いていると、各部屋の中からギシギシいう音やアンアンいう声が聞こえたり、廊下に出て何かのプレイをしている奴が視界に入ったりしますが、その全てを華麗にスルー。
ハルケギニアに来てから、俺のスルースキルは物凄い向上しました。
今なら、どんな悪質な煽りも軽やかに受け流して、スレッドを進行させられる自信があります。
……あ〜、2ちゃん見て〜。

「……………」
「あんまキョロキョロすんなよ。寄り道なんてしてる時間はないからな」
「わ、分かってるわよっ!」

周囲のギシギシアンアンいうBGM、羨ましそうな顔でいちいち反応するルイズに釘を刺します。
なんというか、好奇心旺盛な犬の散歩でもしてる気分です。
そんなこと言えば「そ、それじゃあ本当に犬の散歩みたいかどうか試してみようじゃない。さあ、私に首輪をかけて四つん這いにならせなさいっ!」とか言いだすに決まってるので口には出しませんが。

「――あら、ルイズじゃない。ダーリンも」

げんなり風味で歩いていると、横合いから声をかけられました。
見れば、二人の少女がこちらに向かって近寄ってきています。
ルイズの友人――と本人は認めていないようですが――である、キュルケとタバサでした。

「おはよう。今日もいい朝ね」
「………おはよう」

こちらに歩み寄りながら、二人が口ぐちに挨拶してきます。
長身でグラマラスな肢体をしたキュルケと、矮躯で可憐な印象の強いタバサのツーショットは、何度見ても強いコントラストを感じさせます。
イメージ的にも、奔放なキュルケと寡黙なタバサで、うまく対比しているといっていいでしょう。色も赤と青だし。

「おう、おはようさん」
「ふん、今日も朝から下品ね、ツェルプトー」

こちらからも、挨拶を返します。
さて、そんな対照的な二人ですが、この二人は実に仲がいいです。。
面倒見のいい姉と無口な妹、とでも言えばいいのか。それとも単純に親友同士と言えばいいのか。
見る者をどこか微笑ましい気分にさせるものが、この二人にはあるのです。
……ええ、あるんです。あるはずなんです。
少なくとも、二人のやり取りだけを聞いてれば、そんな癒された気分になることでしょう。

……キュルケの首に首輪がついていて、そこから伸びた鎖がタバサの手に握られてなければなっ!!

「全く、朝からそんなはしたない格好をして。恥ずかしくないの?」
「あら、自分の姿を恥じ入るような、そんな軟弱な精神をツェルプトーは持ち合わせていないわ」

ルイズの限りなく自分のことを棚上げにした発言に、キュルケは胸を張って返します。というか、そこは恥じ入ってくれ。
しかし、こうして見るとキュルケの体は凄いです。
630平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/03(金) 22:42:19 ID:zfMc8gfl
長身の上にメリハリの利いた、とんでもなくグラマラスでダイナマイツなボディ。
その表情にもどこか大人びた妖艶な余裕が漂っており、その様子はとてもルイズと同年代とは思えません。
……それだけに、そんな彼女の首に鋲付きの赤い犬用首輪が嵌っている様は、非常にアレですが。
その鎖を握っているのがルイズ以上にロリータな外見をしたタバサなだけに、そこから漂う倒錯感は物凄いことになっています。
なんでしょうね。首輪と鎖。その二つが介在するだけで、何故にこんなに変わってしまうのか。
見る者を微笑ましい気分にさせるはずの二人の様子は、見る者に「やべ、見ちゃいけないもん見たっ!」という気分を抱かせずにいられない光景に変貌しています。
頭痛い。

「ふん、そんな格好で恥ずかしくもないなんて、流石はツェルプトーね。大した牝犬っぷりだわ」
「趣味嗜好は個人の自由でしょう、その程度の許容も出来ないのかしらねヴァリエールは。
ああいやだわ。胸が小さいと心まで小さくなっちゃうものなのね」
「ぐ、ぐうぅぅぅ……っ!」

心の大きさと胸の大きさの間に因果関係は無いと思います。
というか、個人の自由を振りかざす前に公序良俗というものを考慮するべきだと思うんだが、その辺どうよ?
そんなことを、心の中で突っ込みます。口には出しません。無駄だから。
というか、首輪を嵌めて鎖に繋がれた美少女が胸を張って相手を見下している図、というのは、なんというか得も言われぬ違和感があります。
そんなことを思いながら辺りを見回すと、朝の挨拶以降一言も口を利かなかったタバサが、パタパタと何やら妙な動きをしていました。
キュルケの首から伸びる鎖を持ったまま、自分の胸のあたりをさすさすと摩っています。
まあご存じのとおり、そこに広がるはルイズのそれに勝るとも劣らぬ大平原。

「……キュルケ」

タバサが、挨拶以降初めて口を開きました。
クルリと振り返ったキュルケに向けて、ほんの僅かな微笑みを向けています。

「……胸があるのが、そんなに偉いの?」

言いながら、タバサはその手に握った鎖をスッと緩めました。
常にある程度張った状態にあった鎖が緩み、ジャラリと音を立てて垂れます。
その瞬間、キュルケの顔が真っ青になりました。

「あぁ、ゴメンなさいっ!! 胸なんてただの飾りですっ! 下品な脂肪の塊ですっ!!
そんな下品なものしか自慢できない、私が下品な女なのっ!!
だからお願い、緩めないでっ! 捨てないでっ! 下品な私をもっと引っ張ってえぇっ!!」

ルイズほったらかしで、タバサの足元に泣きついてます。
その様子にタバサは満足げに頷くと、その手の鎖をグイと引っ張りました。
首を引っ張られて苦しそうな呼吸音が聞こえましたが、それでもキュルケは嬉しそうに「あぁんっ」という声を漏らします。

「……早く食堂に行く」
「ああ、そうね。モタモタしてゴメンなさいっ! 無駄な時間を使っちゃってゴメンなさいっ!
これからは余計なことをしないように、もっと強く引っ張って引き摺っていってえぇっ!!」
「……ん。それじゃ」
「おう、またな」

こちらに短く挨拶してくるタバサに返事を返します。
そのまま、フラフラするキュルケを無理やり引きずるようにして、タバサは食堂の方へと歩み去っていきました。
――ちなみに、ツェルプトーは代々奔放な家系なのですが、奔放になり過ぎた結果、常に誰かに拘束されていないと自己が不安定になるそうです。
俺もこっちに来た直後の辺りで、無理やり部屋に連れ込まれて「私の飼い主になってみない?」とか誘惑されました。首輪と鎖付きで。
そこにルイズが乱入してきて、それはもうエライことになりました。
なんでもヴァリエール家とツェルプトー家は、先祖代々一人の男を巡っては、ヴァリエールのご主人さまになるかツェルプトーの飼い主になるか、と奪い合ってきたそうで。
これまでに巻き込まれてきた過去の先人たちに、心から同情します。
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 22:42:34 ID:wzG/VXmQ
支援、いいんちょに踏まれテェ。

 
【ドM学園ネタ】
632平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/03(金) 22:43:21 ID:zfMc8gfl
「さて、俺達も食堂に行くか」

思考を断ち切って、ルイズに声をかけます。
ご主人さまは、赤い顔をしてキュルケたちが消えた方を見つめていました。

「…………………ハァハァ」

羨ましそうな顔してんな。






その後は食堂に行って、恙無く食事を終えました。こっちの世界のいいところは、飯が美味いことだと思います。
食事は、メイドさんたちが配ってくれます。
配膳するメイドさんたちが、スカート穿いてなくて下半身丸出しだったり、ネコ耳と首輪を付けて尻尾を生やしていたり、「食事が冷めてるっ!」と貴族のボンボンに詰られて「あぅんっ!」と悶えていたりしましたが、そんなものは日常の光景です。
そこ此処で生徒たちが、食事をしながら絡みあっていたり、口移しで食事してたりしますが気になりません。
厨房から、明らかに料理しているとは思えない、男のものとも女のものともしれない絶叫が聞こえたりもしますが、大した問題じゃないでしょう。
……俺のスルースキルが、止まる所を知りません。

「んじゃま、いただきまーす」

一言断ってから、食事を始めます。うむ、今日も美味し。
ふと視線を巡らせれば、少し離れた席で、キュルケがタバサの足元で、地面に置かれた皿から飯を食ってました。鎖に繋がれたままで。
アレな光景ですが、本人が凄い嬉しそうなので、放っといていいでしょう。関わりたくないし。
というか、あの光景を他人のものと思えないのは何故なのでしょう?

「…………………………………ハァハァハァハァ」

横の席では、ルイズがキュルケの様子を見て息を荒げていました。
羨ましそうな顔すんなっつってんだろ。
頬を赤らめるな。期待の視線でこっちを見るな。
現実逃避の意味で、おかずを一口。

「……あ゛〜、飯うまー」

食事はいいですね。リリンの生み出した文化の極みだと思います。マジで。
633平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/03(金) 22:50:51 ID:zfMc8gfl
投下しゅーりょー。書きたかったキュルケ・タバサとの遭遇編。

この程度の分量だと、一日でぱっぱと書けるから楽でいいなぁ。
というか、起きたイベントと比すれば文章量は多いくらいなんでしょうけどね。キュルケ・タバサと会っただけだし。
文章を短くまとめる練習だと考えよう。

妄想してたら、何故かタバサがMじゃなくなってました。
やはり、前キャラどMで話を展開させるには、私の妄想力が足りなかったか。
女の子を飼うことに無表情で喜びを感じる人です、ここのタバサ。きっとイザベラ様も飼われてます。

あと、ヴァリエール家は常に自らを厳しく戒め続けた結果、束縛され、支配されることに喜びを感じるようになってしまった一族です。
カリン様はその極北。公爵との夫婦関係は、それはもう凄いことになっているでしょう。

それではまた、次があれば。
お目汚し失礼しました。
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 23:17:29 ID:VSDPQxYp
エロパロとの線引きが難しいネタだ
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 23:20:54 ID:nYcgh8u1
>>633
投下、乙です。
個人的にはある意味二重人格とかいいんじゃないかと思ってしまった。
タバサでキュルケの飼い主、シャルロットに戻るとイザベラ様の飼い犬希望w
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 23:34:53 ID:ky8avLf3
>>633

ここまで壊れてるんだ。
いっそギーシュとかマザリーニを女体(ry
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 23:45:35 ID:1O51gJLk
おっきしました
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 23:49:30 ID:BGOSAGg0
>>635
メガネをつけるとタバサ(S気味な常識人)、外すとシャルロット(犬)とか。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 00:16:32 ID:dKJWkRvm
>>633
この様子だとコルベール先生ストレスでハゲがさらに進行しそう。

戦争云々よりも乱れた性風俗に物申す……っていうか
行き着くとこまで行っちゃって「こんな世界は滅んでしまえ」と言わんばかりに
ドSに目覚めてそうだ。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 01:09:49 ID:eoHmw8pq
魅惑の妖精亭とかどうなっているんだろう。
チップレースとかエロパロ板行きだよ。

あと烈風カリンは仮面だけを付けていたんだよね。
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 01:10:31 ID:g3MonldU
実に見事な胸板だったんでしょうねぇ。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 01:22:45 ID:8Fft8YWM
貴族→変態
平民→雇い主の需要する性癖に答えなければならない
643平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/04(土) 01:37:29 ID:NgHHgfc8
あ〜、やっぱりまずいか? エロパロ板か?
一応本番に至る気はないし、自分ではネタのつもりで書いてるんで、その辺の線引きがよく分からんです。
いや、これはまずいだろう、と感じた人がいたら、是非指摘してください。
私も、色んな人に怒られる前に止めておきたいし。

しかし、始めに書いた話に「これはエロだな」と自己判断を下して、ネタ方面に行くように書き直したつもりなんだがなぁ。
それだけ自分の煩悩が濃い、ということでしょうか。
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 02:28:38 ID:pORi7gQq
R-15指定ぐらいじゃね?
なんとかここでもok的なレベル
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 09:46:12 ID:iUxTi9yK
セーフだがエロパロverも読みたいんだぜ
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 09:46:42 ID:em5r4DRx
もしギーシュのワルキューレに自我があったら?
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 12:21:06 ID:sxApaLcR
>>646
ギーシュそっくりの好色ナルシーでFA
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 12:26:22 ID:O8H8uWGv
過去スレに”電気あんまの魔王”なサイトが召喚された夜に
ルイズを「戻れないカラダ」に調教するネタがあったけどな
この設定なら、青銅との決闘で衆人環視の中、電気あんまでトドメを刺すとかかな
・・・以降、青銅はサイトに対して凄く友好的になります(笑)
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 13:07:00 ID:em5r4DRx
好色で鋼鉄のおっぱいを持つナルシーか・・・・
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 13:12:47 ID:7/3YAWuC
もしもルイズがマジアカのアロエみたいに飛び級入学だったら
ルイズの年齢は変わるが回りの年齢は変わらないIF
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 13:41:54 ID:VMeL6dwV
飛び級入学でふと思ったけど、ルイズがあらかじめ使える虚無が爆発以外というのはどうだろか?
もしくは爆発の内容が周囲に正当に評価されていて、失敗ではなくそういう魔法と認識されていて、
爆発の起こる仕組みを学院は調査しつつルイズに通常の魔法も教えている」という前提とか。

ルイズ 属性:爆発?(仮)

というカンジで。
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 13:49:07 ID:rH36vn3c
最初に覚えた虚無が違ったら、って結構劇的にかわりそうだよな
明らかに失敗ではない新種の魔法に見えるイリュージョンをルイズが覚えてたら
リコードを覚えて早いうちに弟の本心に気がついたジョゼフ
自分を守るためにしかたなくエクスプロージョンで殺害しまくるテファ
情報収集ができなくていまいちぱっとしない教皇
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 14:19:59 ID:nQw8IzCl
>>652
>最初に覚えた虚無が違ったら、って結構劇的にかわりそうだよな
ルイズが「世界扉」憶える話はよくあるよな。
「るいとも」の人もそうだったし。
イリュージョンだとかなり微妙だよな。使いどころが……
654名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 14:38:32 ID:VMeL6dwV
とりあえず、テファ以外は速攻で使い魔召喚をしそうなのはちとムズイかなと。
とりあえず第4の使い魔の実体は早く知りたいところ。
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 14:55:02 ID:sxApaLcR
>>653
遍在のみ使える風メイジとして評価は受けそう。
高度なスペルだし、座学は主席クラスだから他の生徒も馬鹿にはしてこなさそうだ。
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 15:29:04 ID:y6zOhcsW
心許せる存在は幻影だけというルイズ誕生。
幻影の家族、幻影の友達。

加速+姉さんの手伝い→神速怪盗テファ誕生。
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 16:10:16 ID:XDDGUxvZ
>>650
サイトをおにいちゃんと呼ぶルイズとかな
でもサイトはルイズを可愛い妹分くらいにしか思ってなくてシエスタルートに…
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 16:24:08 ID:e+Efb7/O
>>656
高速でゆさゆさ、まで読んだ
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 16:58:31 ID:ORlXuo6V
幻影のみ使えるルイズは、家族や周りに嫌気がさして家出して、盗賊団とか作っちゃうんだよな。

>>653
イリュージュンだと使いどころが微妙だって?
乳をデカく見せるとかできるじゃないか!
……虚しいけどさ。
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 17:13:47 ID:EQdQcg+i
ふと思いついたIF

色々あって大団円、ルイズも世界扉覚えて地球と行き来出来るようになる
サイトと共に平賀家に事情説明とお詫びに行くルイズ

そしたらサイト母の外見・性格ともカリンママそっくりだったと言うオチ
もちろん数年も息子さらわれて怒ってますw
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 17:31:41 ID:rH36vn3c
ヴァリエールに初めて会いに行ったサイト
サイト「え? か、母さん!?」
カリン「どこの馬の骨とも知れない男に母と呼ばれる筋合いなどありません!」
ルイズ(サ、サイト・・・それってつまり、け、けけけけ、結こ・・・(気絶))

ということですね
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 17:42:42 ID:7/3YAWuC
そういや、いつだかルイズが実はサイトの従妹ってあったな。カリンは実はサイトママの妹で、
カリンも実は子供の頃は泣き虫&甘えん坊でサイトママにべったりだったとか言われてた気が…
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 17:48:01 ID:B71CmQre
サイト「これ俺のかーちゃんの写真」
ルイズ「母様(にそっくりよ)!」
サイト「えっ」

こうですね
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 18:58:58 ID:5IenVwcG
ガンダムVSΖガンダムの宇宙世紀モードやったんだ。
1:死ぬはずだった人物が死なずに助かるIF。
2:過去でIF→違った現在IF。
3:重要なイベントの成功、あるいは失敗によるIF。
あのゲームはこんな感じでIF展開していた。
1はウェールズが生存するパターンが多い。
2は実家で幼いルイズが……や、ダングルテール虐殺阻止など。
3はフーケ討伐失敗やモンモンが惚れ薬をギーシュに飲ませることに成功など。

あと所属する組織が違うパターンがあった。
ワルドが裏切らずにトリスティンにいる、サイトがガリア側など。
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 19:26:10 ID:rH36vn3c
ノボル監修でIFゲー作ってくれればもう思い残すことはなくファンタジーに旅たてるわ
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 21:56:34 ID:FSRYz75F
貴族の義務について学んだり理解してる貴族っている?
原作でアレな方々しかいないのは自分の読み方が浅いせい?


もしルイズが立派な貴族だったらというのが見たい。魔法を使えたらなるんだろうか
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 22:22:49 ID:3aCi0Pa5
見聞が広ければ立派な貴族になるかもしれない
身分関係ない交流が必要か?
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 22:28:44 ID:ORlXuo6V
立派な貴族の条件って何だろう?
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 22:44:36 ID:tc6mTCcY
現代的に言えば、自分の持ち物の中でも重要な(領地、領民)を善管注意義務を持って繁栄させる貴族かね?
領民が肥えれば領主も肥えるという原則もあることだし。
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 23:01:54 ID:TFZAzLRl
>>664
アニメ版も入れれば、
『品行方正なモット伯』とか
『女の子大好きだけど、遊ぶのは玄人=チクトンネ街の夜の王のモット伯』
(その手の商売女の子の性病を治して回り“仁”みたいな扱いに)
『モード公取り潰しの際、(テファをかばい)マチルダさん死亡』
  →『(好意を抱いてたマチルダを殺され)ジェームズに牙を剥くウェールズ』とか
『実験部隊取り潰しなく、今も毛ふさふさイケ面コルベール』とかいろんなIFがありうるな。
(ハゲになったのはダングルテールの心労から)
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 23:02:24 ID:sxApaLcR
上下関係、規律に厳しいカリーヌじゃね?
娘の夫となる人間を選ぶのに貴賤を組み込みはするだろうけど、それ以外の場合なら平民であれ貴族であれ真っ当に評価しそう。
原作で最も誇り高くて威厳のある貴族だと思うんだが
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 23:18:27 ID:j/zxebTE
他家から入ったの方が、遙かに王族貴族らしいと言うのは
結構普通だしな
今上の皇后陛下も、下手な欧州王族より威厳と慈愛を持ってると
欧州上流階級では結構敬愛されている

・・・あそこは、不倫とか馬鹿王子・王女の醜聞が酷くて
王制廃止の声が途絶えないからかな?
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 23:26:24 ID:g3MonldU
腹黒紳士さんトコは、
それで話題作って知名度を維持しているって面もあるとか。


今の時代、王侯貴族も色々大変みたいですよ。
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 23:46:52 ID:umqtTn3R
>>673
由緒ある邸宅を開放、博物館にして悠々自適

日がな一日観光客ガイドし敷地の隅の元メイド宅で暮らす伯爵様とかなー


ここでIF
産業革命が起きてて貴族が力を失ってたら
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 23:51:36 ID:s1McQCPr
天皇家は権威だけの存在みたいなものですから一応権力もある欧州貴族と比べるのは筋違いではないでしょうか
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 23:51:54 ID:j/zxebTE
ゲルマニアで技術と資本の蓄積が進んでいるだろ?
魔法がチートだけど、それなりの品質の製品を大量生産できる体制が
発足したら、「年貢」で暮している封建諸侯は下層から没落していくよ
アンアンと皇帝の結婚話も、平和的併合が目的だったんだし
ガリアが衰退したら、ゲルマニア的な合理的価値観と身分制度の上下が縮まって
100年とは言わないが1000年後には、様変わりした社会になってるだろう
6000年変化無しに対して、これは短い
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 23:57:02 ID:umqtTn3R
>>676
あーすまん>>674

ゲルマニアでの平民への富の蓄積と
金で貴族位買えるって点での各階層間の人材の流動化の萌芽とあわせて

「レコンキスタはかつての栄光忘れられない没落貴族達の反抗」
みたく立場逆転的にしてみたら面白いかなと

魔法という存在が消え行く中、最後の光芒
伝説の虚無が復活する、みたいなw
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 00:00:19 ID:WcjDVAHl
そこまで急激に進むかね?
それよりは、代を重ねるごとに衰退していくイメージがある
爺さんの時代は良かったとか言い続けるような
そーいえば、ワルドが宿屋の元練兵場で言ってたけど

>>677みたいになるのは、ルイズの次の代の虚無の役割みたいに思えるぞ
679虚無と烈風 ◆8KmVfUYwBs :2009/07/05(日) 00:02:47 ID:kSCCNSVq
こんばんはー虚無と烈風第七話できましたー
早速投下させていただきます
っていうか時間経つの早いもう七月とか意味わかんない

----------------------------------------

虚無と烈風―第七話―
 
今再び、場面は城の広間。勝利で沸き立つ諸侯の前に、烈風カリンは現れた。
あちこちが焼け焦げたり、あるいは切り裂かれたりしているものの、
その足取りはしっかりとしたものである。
彼女は、ジェームズ一世の前に跪く。
「お、おお。よくぞ戻った、烈風カリン殿。貴君の起こした奇跡により、
 我が軍は無事勝利を果たした。クロムウェルも謀反により討たれた、と聞いておる。
 いやはや、全くもって、全て、貴君の……貴君の、その……」
言葉だけを聴けば、感極まって言葉に詰まったかのようである。
だが、実際は違った。ジェームズの、そして諸侯の目線は、彼女の傍らに向けられていた。
「その、横に転がっておるボロ雑き……おほん、使い古した布キレのようなものは、
 一体何なのか説明してはくれないかね」
彼女の傍らで、ソレはピクピクとうごめいていた。
「……旧知の貴族ですわ。何でも、レコンキスタに洗脳されていたとか」
「洗脳、とは?」
不穏な言葉に王の傍らに控えていたウェールズが問いかける。
「何でも、アンドバリの指輪なる水精霊の秘宝を用いて、
 レコンキスタめは兵士たちを操っていた、とのことです。
 探っていたことを勘付かれ、洗脳されていたとのこと……」
「何ということだ……」
広間に集まった面々は言葉を失う。それでは、あの者は操られた代償で、
あのようにむごいことになったのだろうか、と囁き合う。
「ですが。例え洗脳されていたとはいえ、王家に刃を受けるような者、
 トリステイン貴族の風上にも置けませぬ故、私めが厳罰を与えました。
 彼の罪は、それで水に流してくださるとあり難く存じます」
重苦しい沈黙が、一時広間を支配する。
『あんたのせいかよ』と、声を出せるような剛毅な貴族はいなかった。
「あ、あい、分かった。いずれにせよ、今日は疲れたであろう。
 ゆるりと休まれるがよい」
ようやくジェームズ一世は言葉を口にした。
「ありがたきお言葉。……彼は私の捕虜ですから、共に部屋に置いて構いませんか?」
口調は丁寧だが、その目が怖い。
「す、好きにしてよろしい!」
「御意」
それだけ聞くと、カリーヌは宛がわれた部屋へ戻っていく。
縄で縛り上げられ、ぼろぼろになった男を引きずりながら。
「あわよくば、彼女の息女とお前の婚姻を考えておったのだがな……、
 彼女と親族になるのは、怖い。烈風カリン怖い」
直後にジェームズ一世は息子に対してそうこぼしたという。
680虚無と烈風 ◆8KmVfUYwBs :2009/07/05(日) 00:04:22 ID:6EhzIBHu
部屋に戻ったカリーヌは、ふう、と大きく息を吐いた。
先ほどまで戦争をしていたのだ。正直疲れた。
「烈風様。お付の方はお休みになっておられます」
「分かりました。あなたは下がっていてください」
部屋に控えてきた侍女を追い出すと、ソファですやすや眠っているルイズに近づく。
顔には疲労が浮かんでいたが、満足げであった。
「初めて……魔法が使えたのですものね」
彼女の隣に座り、そっと自分と同じ桃色の髪を撫でる。
「んぅ……は、か、母様! お戻りだったのですか!」
その感覚にルイズは飛び起きた。
「ええ、たった今。ルイズ、あの魔法はあなたの使ったものですね?」
そう問われて、ルイズは何度も何度もこくこくと頷いた。
「はい、はい、はい! 私、魔法が使えました!」
あまりに嬉しげなその姿に、カリーヌは少し眉を寄せる。
あんなに強い魔法を、いきなり彼女が使えたことで、
彼女が調子に乗らなければいいが、と不安になったのだ。
「私、魔法を使って、人を助けられました! 母さまを、助けられました!」
だが、彼女の次の言葉に、どうやら杞憂だったらしいと安心する。
「よか、った、母様が、無事で、よかったぁぁぁぁ」
くしゃくしゃと顔を歪めて、ルイズはそのまま母の胸に顔を埋める。
救えた、母を守れた、魔法で母を守れた。母が戻ってきてくれた。
それが嬉しくて嬉しくて、とてもホッとしてルイズは涙が止まらなかった。
「う、うぅ……ん」
そんな感動的な光景の足元で、何かがもぞもぞと動き、声を上げる。
「へええっ!?」
予期せぬ声に、ルイズは思わず飛び上がる。
ボロ雑巾のようになっていたソレはゆっくりと身を起こした。
服やマントはボロボロだったが、体への傷はそれ程深いものでもなかったようだ。
銀色の髪をふるふると揺らしながら、ソレ、もとい彼は顔をあげた。
「わ、ワルド様! どうして、こんなところに!」
旧知の青年の姿に、ルイズは思わず声を上げてしまった。
最後にあってからもう十年は経っているが、それでもその優しい瞳は変わらない。
「静かになさい、ルイズ」
ルイズを制止して、カリンはサイレントを部屋全体にかける。
「これで、外に話は漏れませんわ。では、詳しい事情をお聞かせ願いましょうか、
 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵」
681虚無と烈風 ◆8KmVfUYwBs :2009/07/05(日) 00:05:47 ID:kSCCNSVq
「それにしても驚いたよ、ルイズ、まさか君がトリステインの虚無だったとはね」
椅子に腰掛け、ワルドは小さな婚約者に微笑みかける。
「さすがは僕のルイズだ」
「いやですわワルド様……」
ポッとルイズが頬を赤く染める。二人は、父親同士の決めた婚約者なのだ。
「場合によっては婚約解消ですよ。早く話しなさい」
そんな二人をカリーヌがにらみつける。肩をすくめて、ワルドは話を始めた。
「先ほどは、何処まで話しましたかね」
「ある事情からレコンキスタに潜入していた、トリステインを裏切る気はない、と」
彼女の言葉に彼は頷く。それだけは確かだ。
「数ヶ月前、僕は銀色の鏡に引き込まれましてね」
「それって、もしかしてサモン・サーヴァントの!」
「そう。僕が呼ばれたのは」
少し口ごもるワルド。一瞬思案をめぐらすような表情をする。
「ロマリアの、教皇の下だよ」
彼が口に出したのは予期せぬ人物。二人は言葉を失う。
ロマリアの教皇、ヴィットーリオといえばまだ若いながら非常に熱心な信徒であり、
その見目麗しさと相まって信仰を集めている人物だ。
「それでは、ワルド様は教皇聖下の使い魔なのですか?」
ルイズが恐る恐る聞いた瞬間、ワルドの顔がこわばる。
「誰が、誰が使い魔になんかなるもんか!」
ガタガタッと音を立てて椅子から立ち上がる。
「好きな女性とキスしたこともないのに、何が悲しくて、
 男とキスなんかしなきゃいけないんだあああああ!!!!!」
ワルドは顔を青ざめさせたまま叫ぶ。
二人がヒいているのにも気づかない。
「それなのに、あいつは俺を使い魔にしようと昼となく夜となく
 隙があればコントラクトサーヴァントしようとしてきて……!
 一応表向きは部下だったから変な噂も立てられかけたさ!
 部下やってる内に、死者さえ甦らせるというクロムウェルの虚無の噂を聞いて、
 それを調査するって名目で逃げ出してきたんだよ!
 死者を甦らせるということには僕も興味があったしね!」
そこまで叫んで、向けられる冷ややかな哀れみの目線に気づく。
こほん、と席をして誤魔化しながら再び椅子に座った。
「あの男は、もう一箇所気に食わないところがあってね……。
 あくまで噂だが、彼は……自分の母親を殺したそうだ」
「母親、を? 嘘、そんな、そんなことって」
予想外の言葉に、さあっとルイズの顔が白くなる。
今こうやって、母が無事に戻ってきてとても嬉しいルイズからすれば、
自らの母を殺そうとするなど思いも寄らないことである。
「直接ではない、異端だったからとは言っていたが、正直僕は怖かった。
 気に食わなかった。母を亡くした悲しみが、彼にはない。
 母を亡くすのがどれだけ辛いか……分からないなんて、信じられない」
目を伏せるその姿に、カリーヌは目を細めた。
母親。そもそもそれが、ワルドが生きている理由であった。
本来ならレコンキスタについていただけでも、規律を重んじるカリーヌの手で
粛清されていてもおかしくないはずであるワルド。
だが、彼女は彼の母親と約束していた。
隣家に住んでいたことから、カリーヌと彼の母親は懇意であった。
病床についた彼女を見舞った時、言われたのだ。
――カリーヌ。あの子のこと、お願いするわ――
――ああ、悔しい。死ねるものですか、まだ幼いあの子を遺して――
――なのに、私には時間がない、もう時間がない!――
そう嘆いていた彼女を、交わした約束を、思い出したから。
彼を婚約者として慕っている、可愛い娘がいるから。
だから、カリーヌ・デジレ・ド・ラ・ヴァリエールは、
ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドを殺せなかった。
682虚無と烈風 ◆8KmVfUYwBs :2009/07/05(日) 00:07:34 ID:kSCCNSVq
「それと、その虚無の担い手のことで、一つ大切な話があります」
ワルドは二人に向き直ると、真剣な口調でそう話を切り出す。
「クロムウェルの傍らには、額に虚無の使い魔のルーンが刻まれた女性がいました」
使い魔に関する情報は、ロマリアにいる間に大分調べたとのことだった。
「そして彼女は、僕のよく知る顔でした」
ルイズとカリーヌの顔色がさっと変わる。
「勘づいておられるようですね。そうです、あれは、彼女は。
 ……エレオノール殿でした」
エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール。
ルイズの一番上の姉であり、カリーヌの娘である。
「やはり、虚無の使い魔として召喚されていたのですね、姉さまは」
その事実に、ルイズはわなわなと身を震わせる。
予想はしていたものの、事実として受け止めると、辛かった。
「ああ。そして……クロムウェルにこのアンドバリの指輪を渡したのも、彼女だ」
二人に、不思議な色合いを持つ宝玉を乗せた指輪を見せる。
「何てこと、それでは、姉さまがこの戦争を……」
ふぅと倒れそうになったルイズを、カリーヌが支える。
「母さま……」
肩を支える手は震え、指先は柔らかな肌に食い込んでいた。
「ワルド子爵。あなたに問いましょう。エレオノールが今何処にいるか分かりますか?」
「推測なら、できます。アルビオンの虚無の行方は知れず、
 トリステインの虚無はルイズ、ロマリアの虚無は教皇。
 虚無の力は四つの王家の血筋に発現するといいますから……」
「残るガリア、ということですね」
そう聞くと、カリーヌは立ち上がろうとした。
「あの子を、止め、なけれ、ば……」
だが、そのままフラフラと椅子に座り込んでしまう。
顔色は青白く、額には脂汗が浮かんで息も荒い。
「母さま!」
「おいおい、姐さん無理しちゃいけねえぜ。聞けば強行軍だったらしいし、
 さっきまで戦争やってたんだ! ……今日はゆっくり休みなよ」
デルフリンガーが体調を考慮して優しく声をかける。
「そ、そうです! 一日くらい、大丈夫です!
 それにきっと、今日はもうヴナンも飛べません!」
それに追従して、必死に母を止めようとする。
「いいえ、早く、あの子を追わなければ。早く、早く……」
その制止も聞かず、どうにかもがき立ち上がろうとする。
「……失礼します、カリーヌ様」
その様子を見ていたワルドが予備の杖を振るい、呪文を唱えた。
眠りの雲が彼女の顔を覆い、たちまちのうちに抗いがたい眠りが彼女を襲った。
まぶたが閉じられ、深く刻まれていた眉間の皺が消える。
やがて、穏やかな寝息を立て出す。
ワルドはレビテーションを使い、備え付けられたベッドまで運んだ。
683虚無と烈風 ◆8KmVfUYwBs :2009/07/05(日) 00:10:46 ID:kSCCNSVq
母の眠りを妨げないために、勝利の宴会は明日以降に伸ばしてももらった。
治療も既に優秀な水メイジの手で行われており、
今夜一晩はぐっすり休む必要があると言付かっている。
二人は、先程まで部屋で食事をとっており、
今は、夜風に当たるため部屋のバルコニーで話している。
「ありがとう、ワルド様、母さまを眠らせてもらって。
 もう……いくらなんでも、無茶をしすぎだわ、母さまは」
はぁ、と呆れと安堵と不安の入り混じったため息をこぼす。
ふるふると首を横に振ると、ワルドは告げた。
「いや、感謝するのは僕のほうだよルイズ。
 僕はあともう少しで、道を間違えるところだった」
「え?」
その言葉にルイズは首を傾げた。道を間違えるとは、何のことだろうか。
「ほんの少しだけね、僕はレコンキスタの考えに賛同していたんだ。
 トリステインの貴族は腐敗しきっている。だったら、外からでも変えないと、って」
月を見上げながら、ため息をつく。
魔法衛士隊であった彼は、王宮に入った。
その中で、賄賂を受け取る貴族を見た。平民をゴミのように扱う貴族を見た。
そんな貴族が、祖国の中央にいるのだ。ひどく、落胆した。
「だが、君の母上に言われた。どうせなら中から変えろ、と。
 僕が王家に忠誠を尽くすことで、他の腑抜けた貴族共を叩きなおしてやれ、と」
表情を引き締めると、言葉を続けた。
「正直、ハッとした。貴族とは王家に仕え、国に住む民を守るもの。
 けして、魔法が使えるから貴族なのではない。
 そんな当たり前のことを、僕は忘れていたよ」
「……そうね。でも、魔法が使えることも、やっぱり貴族としては大事よ。
 きっと、始祖は私達に、守るために魔法の力を与えてくださったんだから」
彼の隣に、ルイズはそっと並んで立つ。
「私、この虚無の力で、母さまを救えた。アルビオンの人たちを救えた」
ぎゅっと指にはめたままの風のルビーを握り締める。
「そして……きっと、姉さまも救ってみせるわ。
 戦争に加担するなんて、そんなこと、許されるわけがないもの。
 姉さまは、そんな人じゃない。きっとルーンの効果で操られてるのよ」
震える声で、自らの意思をはっきりと示す。
「だから、私も母さまと一緒にガリアへ行く。姉さまの、ために」
そう言って身を震わせるルイズを、ワルドはすっと抱きかかえた。
「え、あ、あの、ワルドさま!?」
顔を真っ赤にしてルイズはもがき、腕の中から離れようとする。
「可愛い婚約者が、こんなに震えているのに、
 抱きしめてあげられなかったら、男じゃないな、と思って」
ニッコリと笑顔を見せる。そこに邪な思いは一切ない。
「婚約者って、でも、親同士が決めた、その」
あわあわと耳まで真っ赤にしながらルイズは言葉を紡ぐ。
「いやかい?」
困ったように笑われては、嫌だとも言えない。
「い、いやじゃ、ありませんわ」
ずっと昔から、憧れていた。泣いてる時は慰めてくれた。
優しくて大好きな、婚約者。
月明かりに照らされた二人の影が重なった。
「……ファーストキスでしたのよ」
「さっきもいったけど、僕もだよ」
そう言って二人はくすくす笑った。
684虚無と烈風 ◆8KmVfUYwBs :2009/07/05(日) 00:12:26 ID:kSCCNSVq
「……そうか、失敗し、指輪も奪われた、か」
ガリアの王城グラントロワ。
その主ジョゼフは、彼の使い魔……エレオノールの言葉を聞いていた。
「は、はい。誠に申し訳ありません。なにとぞ処罰をお与えください」
俯きながら震えるエレオノール。だがそんな彼女に、彼はこともなげに告げる。
「なに、別にかまわぬ。俺はまた別の玩具を探すだけだ。
 そうだ、その烈風とやらが気になるな」
びくり、と身を震わせる。
「どうした、余のミューズ? ……肉親と争うのは嫌か」
「それは……」
口ごもる。それに答えるのはひどく酷なことであった。
「ああ答えずともよい。しばらくは俺が手を考える番のようだな。
 今日はもう下がってよい」
それから、ひょいと思い出したように言葉を続けた。
「そうだ、またアレが来ておるぞ。お前が帰ってくると聞いたら
 プチ・トロワからわざわざ飛んできたぞ」
その言葉に、ハッとして顔を上げる。
「失礼いたします……」
エレオノールは、静かに、しかしそそくさと退室した。
彼女が消えた扉を見ながら、ジョゼフはくつくつと笑う。
「ずいぶんとお気に入りのようだな、お前も、あいつも」
主がそう笑ったことも知らず、エレオノールはある場所を目指す。
辿り着いた部屋の扉を開ける。そこに、一人の少女がいた。
ガリア王家の証である美しい青い髪。鋭い目つき。
しかしその目元は、エレオノールを見た瞬間和らぎ、パッと顔が輝く。
「エレオノール!」
「イザベラ様」
エレオノールの方も、少し顔が和らいだ。
彼女はイザベラ。このガリア王国の王女であり、ジョゼフの娘である。
「アルビオンに行っていたと聞いたが、……その、怪我とかはしてないね?」
少し頬を赤らめながら心配そうに尋ねる。
「ええ、大丈夫ですわ」
「そうかい、ならいいんだ」
普段の彼女を知るものなら信じられないような柔らかな笑顔を見せる。
「夕食はまだなんだろう? 一緒に食べようじゃないか」
手を握ると、まるで幼子のようにせかす。
「はい、ではご一緒させていただきます」
エレオノールも口元に笑みを浮かべ、その後に続く。
その心の内がちくりと痛んでいることを、イザベラは知らない。
しっかりと手を繋いで廊下を歩く二人は、姉妹か母娘のように見えた。
685虚無と烈風 ◆8KmVfUYwBs :2009/07/05(日) 00:13:40 ID:kSCCNSVq
以上投下終了です。
ワルド「母親を大切にしない奴なんか大嫌いだ!
    でもルイズとキスできたからもうどうでもいい!」
ワルドが勝ち組な方向になっていったって
イザベラ様がデレたっていいじゃない。ifものなんだから。
実際16巻読むとイザベラ様ってきちんと見てあげる人がいたら
あんなにキツくはならなかったと思うんですよね。
17巻はまだ読んでないですがジュリオてめえ某古い友人から
預かった娘と同じ名前の娘を好き勝手するとか絶対に許さないよ。
(好物のプリンを食べる様をニコニコして眺めながら)
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 01:16:12 ID:MtzUuu10
おう、烈風の続きが来たっ!!
乙です! GJです! そして、お帰りなさいです!

ううむ、前回に続き、今回も先が気になる引きですな。
勝ち組なワルド、デレたイザベラ様。
そしてヴァリエール親子の色々複雑になりそうな相関関係。
カリン様無双ではすまなくなりそうな雰囲気が濃厚で、それがまた実に楽しみです。
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 01:29:50 ID:TGKPd0rV
>>670
>遊ぶのは玄人
を当然のように「バイニン」と読みどえらい麻雀の達人なモット伯を
幻視した。画風は勿論哲也風に…ってあれ、彼、そのままの絵柄
でも哲也世界に溶け込みそうだぞ?
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 01:44:03 ID:qfSCS6Nm
烈風のひと乙です。
エレ姉はもしかしてイザベラを人質にでもされてるのか? なんて思ってしまった。
ジョゼフに召喚されて、イザベラと仲良くなって、ジョゼフが「これは使える」って
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 03:02:12 ID:eSkxFohv
ところであまり関係ないけど、イザベラの母親って原作でも一切言及されていないよな。
まあ言及するほど、ハルキゲニアにおいては特別な人物じゃないってことなんだろうが。
でもいくら政略結婚とはいえ、ジョゼフと結婚するようなのがまともとはおもえんなあ。
それとも誕生直後に婚約して、王族との婚約を解消するわけにもいかず、
そのまま結婚しちゃったんだろうか。

でもここで、あえてジョゼフに張るような女傑だったらどうだったんだろうか。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 05:58:11 ID:WgiGcGYS
>685
勝ってるワルド物って、はじめて見たかも。
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 08:23:45 ID:95aQUH3A
おお烈風さんが帰って来てる
ワルドオメ、そしてガンツリ目義姉妹が仲睦まじげで微笑ましい
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 09:22:28 ID:2oEFtD7M
>>689
二次創作だと、タバサママンと双子だったって設定を見たことあるけどね。
イザベラママン。
693平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/05(日) 11:13:27 ID:15CwupQ0
とりあえず、もう少しこっちでやってても許されそうな感じなので。
ドM学園、第3話行きます。
694平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/05(日) 11:14:44 ID:15CwupQ0
どうもコンニチワ、平賀才人です。
今日も今日とて、朝から精神がすり減っていきます。
世界が滅べばいいのに、とか破滅思想に染まりそうになりながら、今日も頑張っていきましょう。






朝食が終われば午前の授業なわけですが、俺はその前にやる事があります。
ルイズの着替えの洗濯です。
まあ、一応は使い魔ですからね。少しは仕事らしい仕事の一つもやらなきゃならんのですよ。
実のところ、やらなくても文句は言われないのかもしれませんが、何もせずにただ衣食住を提供され続けるってのも居心地が悪いし。
立場的には誘拐された被害者、と言ってもいいくらいなので、むしろ堂々と要求してもいいのかもしれませんが、心情的な問題というのは理屈ではないのです。
なによりこっちがルイズに命令する立場になると、本当に立ち直れないところまで堕ちてしまいそうな気がしますんで。

「あ〜、どっこいしょ」

両手に洗濯物を抱えて、学園の前庭を歩きます。
うちのご主人さまは、夜寝ると大概アレな夢を見て、着ている服を寝汗やら、あとはまあ色んなもの――察してくれ――でぐしょ濡れにするので、毎日の洗濯は欠かせません。
今持ってる洗濯物の一番上に乗ってる下着とか、放っとくと大変なことになるしね。
――なに? 恥ずかしくないのかって?
ルイズとの衝撃のファーストインプレッションを経て、そんな真っ当な欲求は俺の中から消え去りました。
というか、欲望の業火渦巻くハルケギニアにおいて、健全な男子高校生の抱く欲求なんぞ、燃え上がる山火事を前にしたマッチ棒の火のようなもんです。瞬く間に消し炭です。
今の俺は、オールウェイズスーパー賢者タイム発動状態。
今なら悟りの一つも開けることでしょう。
嬉しくね〜。

「さて、と」

徒然と考えながら、辺りを見回します。
俺が自分で洗ってもいいのですが、生憎と21世紀の日本の学生は、衣類の手揉み洗いという作業に基本通じていません。
それでもまあ、力一杯ゴシゴシ擦ればいい、というならやれなくもないのですが、うちのご主人さまは内実はどうあれ、一応は公爵家のご令嬢です。
当然その服も下着も、絹やらなんやらをふんだんに使った高級品です。
力任せに洗うと、痛みますし破けます。というか、これまでに何枚か破きました。
というわけで、餅は餅屋、専門の人に任せましょう。
結局人に仕事を丸投げしてるわけで微妙にプライドが傷つきますが、プライドより実利です。この下着、存外に高価いのです。

「……あ、いたいた。おーい、シエスター」
「はーい――あっ、サイトさんっ! 何か御用ですか?」

目の前で前庭を横切っていこうとした、黒髪のメイドさんに声をかけます。
彼女の名前はシエスタ。
俺がこっちに来てから、何度となく世話になっている馴染みのメイドさんです。
笑顔でパタパタと駆け寄ってきた彼女に、俺は苦笑を浮かべて手に持った洗濯物を差し出します。

「これ、今日の分の洗濯物だ。悪いけど、また一緒に頼めるかな?」
「はい、いいですよ。任せて下さい」

少々申し訳ない思いを抱いていたのですが、シエスタは笑顔で請け負ってくれました。
安堵感を抱いて、苦笑します。
695平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/05(日) 11:16:09 ID:15CwupQ0
「いや、悪いな。ルイズの奴、また夜の間に寝巻きをびしょ濡れにしちまったからさ」
「そうですか、ミス・ヴァリエールはまた……」

と、そこでシエスタの言葉が止まりました。
その視線が、じぃっと洗濯物の一番上に置かれたぐしょ濡れの下着の注がれます。

「……ミス・ヴァリエールの……」

ゴクン、と外から見ても分かるくらいはっきりと、シエスタが生唾を飲み込みました。
なんか、目が怪しくなってます。怪しいというか、妖しい。

「……ええっと、シエスタ?」
「はっ!? ああ、ごめんなさい、すいませんっ!
そうですよね、ミス・ヴァリエールが夜に汗をかいてるからって、それは私には関係ありませんものっ!
そう、サイトさんとミス・ヴァリエールが夜に何をやっていようと、それは私には関係……ああ、でもっ! いやっ、そんなことまでっ!!」

突如として身を捩り、クネクネしだしたシエスタを前にして、溜め息を吐きます。
とりあえず、無駄だとは思うけど訂正しましょう。

「何か知らんが、とりあえずシエスタが想像してるようなことはやっていないぞ、たぶん」
「そ、そんなっ!? これでも違うだなんて、なら一体どんなことをっ!?
ま、まさかあんなことをっ!? それともそんなことを……ああ、お二人がそこまでいっているだなんてっ!
だったら、いっそ私も一緒に……いや、何を言っているのシエスタっ!? そんなこと許されるはずが……ああ、でもっ! だってっ! ああん、ミス・ヴァリエールゥッ!」

より一層激しくグネグネしだしたシエスタを前に、俺は今日何度目ともつかない諦観の溜め息を吐きました。
この黒髪のメイドさんは、何か知らんけどルイズの熱狂的なファンなんだそうです。
初めて会った時の挨拶では、
『初めまして、使い魔さん。私、ミス・ヴァリエールの奴れi……ではなくて、ペッt……でもなくて、ええと、ミス・ヴァリエールによくして頂いている、メイドのシエスタと申します』
とか言われました。
一体どこにそこまで惚れ込んだのか、未だに全く分かりません。
そもそも奴隷とかペットとか言っても――言ってないけどさ――ルイズはソッチ系ではありません。完全にアッチ系の人です。
アッチ系の人とアッチ系の人って相性いいんでしょうか? 分かりませんね。別に知りたくないけど。

「ええと、とりあえす人で変な妄想するのはやめてくれ」
「はうっ! も、申し訳御座いませんっ!!
メイドの分際で、ミス・ヴァリエールとサイトさんに勝手な妄想を抱くだなんて、私はなんて愚かなメイドなの!?
サイトさんっ! どうかこの愚かで馬鹿なメイドに罰をっ!
二度とこんな事がないよう、厳しく戒めてくださいっ!!
できれば、ミス・ヴァリエールと一緒にっ!!」
「じゃ、洗濯頼むな」
「放置プレイっ!?」

ビクビク、と痙攣しだしたシエスタを残して、俺はその場を立ち去ります。
どれだけ発作を起こしても、何故か仕事だけはきっちりこなすのが此処のメイドさんたちのクオリティ。
凄いっちゃ凄いけど、あまり褒めたくはありません。
696平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/05(日) 11:16:58 ID:15CwupQ0
「とりあえず、ルイズのこと大好きな割に俺に敵意を抱いていないっぽいのは助かるよな」

これで「ルイズ様は私のものっ!」みたいな展開になってた場合、本気で包丁持って追いかけ回されていた可能性もあったでしょう。
ヤンデレに狙われるとか、マジ勘弁です。まあ別の意味で病んでますが。この学園のほとんどの奴病んでますが。
むしろシエスタは、ルイズと同じポジションにつきたい、みたいな欲求があるようです。
ルイズと同じ目にあいたい、ルイズと同じことをされたい、みたいな。
きっと、ルイズと同じ存在になりたい、って感じなんでしょう。
俺は嫌だけどね。
無理だよ、夜になってから女の子二人も縄で縛ったり鞭で打ったりすんの。
一人でも精神的に追い詰められてんのに。

「……なんか、シエスタを始めて見た時は、癒し系っぽい雰囲気を感じたんだけどなぁ」

或いは、懐かしい日本を思わせる黒髪黒眼がそう感じさせたのでしょうか。
なんかこう、『ツンデレのご主人さまに心が疲れた時に、包み込んでくれる癒し系』みたいな雰囲気を感じたんです。言ってて自分で意味分かんないけど。
それが今となっては癒しどころか、すり減ったSUN値に最後の止めを刺そうとする旧支配者の使者、みたいなもんです。

「……さて、授業に行くか」

くるりと、進路を変えます。
別に出なくてもいいらしいですが、他にやることもないし、今日も授業参観をしましょう。少なくとも授業中は皆静かだし。
そんなわけで、俺は一路、学生の教室がある棟へと歩き出しました。

――後ろから「ああ、もう我慢できませんっ! ミス・ヴァリエールっ! ルイズ様っ! ルイズ様あぁぁぁっ!!」という艶やかな絶叫が響いてきました。
とりあえず、下着類がきちんと全枚数揃って返却されることを切に祈ります。
……マジで頼むぞ、シエスタ。

「………はあ」

また、溜め息が出ました。
溜め息を吐くごとに幸せが逃げる、というのを聞いたことがありますが、今現在で、逃げるほど自分に幸せがあるとは思えない場合、どうなるんでしょうね。
誰か教えてください。
697平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/05(日) 11:20:45 ID:15CwupQ0
投下しゅーりょー。
とりあえず、誰かに怒られるまで(もしくはネタが尽きるまで、または飽きるまで)は続けてみようかなぁ、と思います。
誰かに怒られないと、自分で止めるべきかどうか判断できない、そんな私はゆとり世代、なのか?

シエスタのキャラ付けがどうも自分の中で安定しません。
どーしたもんだろなー。
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 12:02:48 ID:2ruaOhzb
もしケティがガチでモンモンに決闘を挑んだら?
699名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 13:23:10 ID:M2L+qRX3
乙。ギーシュが現れるまで我慢するんだサイト……っ! 悲哀を分かち合うのだ。
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 13:44:27 ID:FhKTF1g/
この世界のマリコルヌは多分マトモ
701名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 16:09:57 ID:8dSgQrnt
投下乙です。
きっとサイト・ギーシュ・マリコルヌは学園の三賢者だと思うw
702名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 17:02:54 ID:bKJCjZnc
今更だけどルイとも一気読した、原作とは真逆の面白さが有るね。
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 19:01:45 ID:95aQUH3A
日常さんGJかつ乙。
ギーシュやマリコルヌだけでなく、先生ズや他国の人などがどうなってるのか気になりますね

>>702
同感
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 20:01:38 ID:OuwFheRi
大人の才人と大人のヒロインな組み合わせのIF

泥棒才人とおマチさん
平賀刑事とアニエスさん
平賀医師とカトレアさん(まあこれは別人で実現済)
と色々ある訳で

さらに年齢を引き上げてみる(例:40代独身の才人を虚無のアンリエッタが召喚)
マリアンヌの話し相手したり、アンリエッタに突然お父様と呼ばれてドキッとするとかね
705名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 20:12:32 ID:dcvHMSuM
そこはマザリーニ夫人ルートで一つ
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 20:14:35 ID:ayIe/5P1
あえて学院生を相手にハーレムルートで犯罪者に
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 20:20:19 ID:pPe+FvD7
>>704
つまりエレオノールルートですねわかりま(ry
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 21:09:59 ID:dZ/9r6il
上級者コース
ミスシュヴ(ry
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 21:18:14 ID:JYOA+0En
隠しコース
オークルイズ
調教師サイト
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 21:32:50 ID:JmnuoFoa
ルイズが召喚した大人の男が、姉二人からもモテモテという話しなら
理想郷にあるけどな
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 21:38:47 ID:CBoIXPRz
平賀才人、二十代後半独身。某複合企業の二次下請けで働く電力系設計技術者。
今日も残業午後八時だ…切りも良いところだしさっさと帰ってbbspink見てマスかいて寝よう…

「お先に失礼しまーす」
「オゥ、おつかれー」

明日から土日+年休で三連休。konozamaからはブツが届くぜ。
上長が見てるのに、自分でもわかるくらいに顔がゆるむ。

「まあ…平賀よぉ、もうちょっとやってったら?納期近いでしょ」
「金曜はだめなんです」
「この野郎!」
「フヒヒwサーセンw」

と愛車のインプレッサ1.5i-Lのアクセルを踏み込む。
ここら辺は通学路だけど、暗くなると下校する女子高生の太股も見えない。
でも、今の俺には三連休がある。ワクワクテカテカ。
いつもは気にする燃費計も、今日は気分が良いから無視しちゃおう。
信号が青なのを確認し、ぎゅーんと3千回転くらいまで吹かしてみる。
ところがしかし、独身寮まで200mの地点で異変は起きた。
車が白い光に包まれて…どういうことなの?やっちまったか?
トッラクのHIDに目が眩んでオフセット衝突か!
ローンはまだ一年以上残っているというのに…!
そして、ブレーキを踏む間もなく白い光は消えた。

続かない
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 22:11:12 ID:lunCKuD+
ゲートの目の前にいるルイズ轢殺フラグですね
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 22:15:31 ID:bpcwvgE3
白い光が消えただけだから何事もなく走ってるんじゃないの?
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 22:32:24 ID:EUAyuVOe
>>712
むしろルイズ放置で、どこまでも走っていくほうが

これも、ルイズ以外の命は保証できないけどw
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 23:24:53 ID:mY9mY7sv
敢えてジョゼフか教皇に喚ばれるのも面白いぞ。
国王轢殺か教皇轢殺の違いでしかないが
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 23:31:16 ID:TGKPd0rV
Drスランプの某キャラの如く走りをやめると死ぬ(捕まって死刑的な意味で)
ですね。わかります。
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 23:34:08 ID:CBoIXPRz
インプレッサのボンネットとフロントガラスがオワタw
718平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/06(月) 00:59:57 ID:lqAVAiHQ
あんまり人がいない夜中のうちに。
ドM学園第4話、いきます。
719平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/06(月) 01:00:50 ID:lqAVAiHQ
どうもコンニチワ、平賀才人です。
まだまだ午前中だというのに、早くも一杯一杯になりかけてます。
慣れたようで、やぱりまだ慣れきってないということでしょう。慣れたくないですけどね。




唐突ですが、俺が授業が大好きです。
日本にいた時は一般的な学生のご多分に漏れず、面倒くせ〜、などと思ってましたが、ハルケギニアに来てからは大好きになりました。
何故なら、この連中は基本的に学生としては真面目で、授業中は変態行為も自粛して静かにしているからです。
まあ服を着ずに下着姿だったり、俯いてモゾモゾやってたり、教師が突然カミングアウト宣言をしたり、授業中も首輪に繋がれっぱなしだったり、といったこともありますが、そんなもん誤差の範囲内です。
ああ、授業最高。このまま一生勉強して過ごすことになっても俺は構いません。


「――と、これが私謹製の「愉快な蛇くん一万二千とんで七十八号」です。
これは画期的な品であり、従来の試作品に存在した問題点を解決するだけに止まらず、耐熱、耐寒、防弾、対衝撃、熱血、必中、ひらめき、明鏡止水スーパーモードその他諸々のおまけ付き。
疲れた時のために仄かなラベンダーの香りを放ち、その口からはリクライニング・ミュージックが響き、患部に当てればマッサージしてくれるっ!
光るっ! 回るっ! 音が出るっ!
これぞまさに技術革命っ!! これぞまさに世界の革新っ!!
今此処に、ハルケギニアに新たなアカデミズムが花開いたのですっ!!
フフフフ、フハハハハハハハ、ブワーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハァっ!!!」

肺活量の限界に挑むような三段笑いとともに、午前の授業終了です。
あのコッパゲ先生は基本的に真面目でまともな人なのですが、発作的にマッドのスイッチが入るから困ります。
マッドモードに入ると普通に世界征服とか企む人になってるので、本当に困ります。
この前、「これで全ての女性を私の与える快楽の虜にするのだーっ!」とかいって電動バイブ作ってたんで、その辺の人間の頭大の石で入念に砕いておきました。
ついでにコッパゲの頭にも一撃くれておきました。この世界にあんなものは危険過ぎる。
まあそんなことはどうでもよく、午前の授業が終われば昼食です。食堂に行きましょう。

「――よう、ギーシュ」
「ん? ああ、君か、サイト」

食堂で見覚えのある金髪頭に声をかけ、その向かいの席に座ります。
コイツの名前はギーシュ。
服にフリルが付いていたり、薔薇を咥えていたりと見た目にはアレな感じですが――俺の知る限り、この学園の極めて数少ないまともな思考の持ち主です。
そんなわけで、よく顔を合わせては愚痴を言い合う、貴重な愚痴仲間となっています。

「……今日も、お疲れのようだね、サイト」
「そっちもな。というか、いつもより項垂れて見えるぞ」
「ああ、うん……最近、モンモランシーが微妙に不満そうでね」

そう言って、魂まで吐き出しそうな溜息を吐くギーシュ。
コイツの彼女であるモンモランシーは、寝盗られ属性、とでもいうのでしょうか、自分の彼氏に別の女が手を出し、奪われる、というシチュエーションに強い興奮を覚える、という極め付けに厄介な性癖をしています。
ギーシュが自分に対して一途だと嬉しいけれども不満そうになり、ギーシュが浮気をして他の女といちゃついていると怒りながらも喜んでいる、という面倒極まりない相手なのです。
というわけで、そんなモンモランシーの機嫌を傾けないために、ギーシュは定期的に浮気をしなければならないのです。
彼女のために浮気する。昼メロか何かなら、物凄く歪んだ人間関係が形成させそうな話です。
コイツ自身は、むしろとことん一途な性格してるんですけどね。
いや、むしろ純粋なまでに一途な証明なのか。そんなことになってまでモンモランシーを思い続けてるってのは。
720平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/06(月) 01:01:40 ID:lqAVAiHQ
ちなみに、服のフリルとか薔薇とかは、「せめて少しでもナンパ師っぽい雰囲気を出すために」ということで外見から入った、苦肉の策だそうです。
ギーシュさんマジ一途。ある意味尊敬します。

「また、誰かに浮気しなければならないね……。
……こんなことで女の子に声をかける、というのは、余りに不実に思えて気が引けるんだが」

こっちの女性たちは基本的に快楽最優先なので、浮気相手に不自由はしません。
それでも気に病むあたり、コイツは本当に一途です。

「まあその、なんだ……負けるなよ」
「ああ、君もな。
ヴァリウエールだけでなく、ツェルプトーにまで目をつけられてるんだ。
精神的に、折れないように頑張ってくれ」
「ありがとう……」

俺達は、さめざめと泣きました。





そんな感じで男の友情を深めつつ、昼食終了。
午後の授業が始まるまでは休憩タイムです。
ギーシュといた所にルイズ、キュルケ、タバサも寄ってきて、やいのやいのと雑談します。
本日の議題は、「学院を卒業したあとに何をしたいか」だとか。議題だけ聞けばいかにも青春な感じですね。

「僕は軍に入るつもりだよ。グラモン家の男として、恥じない働きをできるようになるつもりだ」

ギーシュが言います。
コイツが言うには、国の軍の内部というのも、やっぱり相当アレだそうです。
ギーシュは、それを中から変えていきたいのだとか。
マジ頑張ってください。本気で応援してます。

「私だって同じよ。ヴァリエールの名に恥じない、立派な貴族になるわ」

ルイズが言います。コイツの『立派な貴族』の定義が気になります。

「ふぅん。ねえ、ダーリンは何かしたいこととかあるのかしら?」

キュルケが、こっちに水を向けてきました。
ちなみに、キュルケの首には未だに首輪が嵌ったままです。鎖はタバサが持ったままです。そして、キュルケは一人だけタバサの足元で地面に座ってます。
地面に座ってる癖に、やたら悠然とした余裕のある目でこっちを見上げてくるんです。
なんかもう勘弁してほしい。
しかし、やりたいことか……

「…………革命でも起こしたいな」

ポツリと言いました。割と本気です。
それくらいしないと、この世界は俺に優しくならない気がします。
721平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/06(月) 01:03:14 ID:lqAVAiHQ
「ちょっとなに言ってるのよっ! アンタは私と一緒に来るのよっ!
私が立派な貴族になれるように、厳しく戒めてもらわないといけないんだからっ!!」

ルイズが噛みついてきます。お前のいう立派な貴族ってやっぱそんなんか。
というか、マジ勘弁して下さい。

「そうよダーリン! 革命よ! 私と一緒に、飼われる喜びを世界に伝えましょうっ!!」

嫌です。

「……だったら、私と一緒に飼う喜びを広める」

無理です。

「でしたら、私をミス・ヴァリエールと一緒に飼って下さいっ!
ミス・ヴァリエールと一緒に鎖につないで、苛めてくださいっ!!」

どっから出てきたシエスタ。
というか、もはや最初の本題から外れてるだろ。
そして、断固拒否だ。
全部違うので勘弁してくれ、というと、何だかめっちゃ不満そうな眼で睨まれました。
「この優柔不断のハーレム系主人公男め」みたいな目で睨まれました。
いや、違うからね?
君らの中の誰かを選択できなくて逃げた、とかじゃなくて、純粋に全ての提案が嫌だっただけだからね?
……言葉にしても伝わらない、そんな心の距離がもどかしいです。

「…………頑張りたまえ」

向いの席にいたギーシュが、沈痛な面持ちでそう呟いているのが聞こえました。
……本気で、革命でも起こそうかなぁ。




なおその後、今日の昼の会話でインスピレーションを受けた、とかで、ギーシュ×俺の同人誌が学院内に出回りました。
ルイズもなんか普通に読んでました。
というか、下級生と思しき少女に真っ正面から「すみません、ギーシュ様とサイトさん、どちらが攻めなんですか?」とか質問されました。
それからというもの、ギーシュと愚痴り合っていると、どこからともなく生暖かい視線が注がれます。
……本気の本っっ気で革命を起こすことを考えた方がいいのかもしれません。
722平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/06(月) 01:06:32 ID:lqAVAiHQ
投下しゅーりょー。ギーシュ遭遇編。

ギーシュはまともな人です。とてもまともな人です。ナルシストですらないです。
ルーンの力で精神的に頑丈になってる(という設定)才人よりも、精神的に追い詰められているかもしれません。

たぶん次で、一日が終了します。
いつまで続けようかなぁ、とりあえず姫様出したい。
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 01:09:13 ID:XOU7/0A7


ギーシュが真面目すぎて涙目。

このSSに出てくるギーシュはあえて、ギーシュ様orミスタ・ギーシュと呼びたくなってきた。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 01:14:21 ID:+RiBsg7K
尊敬且つ同情できるギーシュなんて初めてな気がする・・・・
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 01:34:11 ID:7R7Wo5/I


この授業風景が誤差の範囲内とか……マジでギーシュを尊敬する
サイトよりも1年多く耐えてきたんだぜ
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 01:56:26 ID:4AIE+kZy


なんだろう
はじめてギーシュを心から偉大だと思った・・・
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 02:31:04 ID:lIrk9NEP
>>710
どこぞのラスボスさんとこもそんな感じだね
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 04:33:32 ID:EicEUw4J
学院の女性と達の間で火の塔が攻めで土の塔が受けだとかという論争が繰り広げられていそうだ
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 08:07:54 ID:A5MM1SuN
腐り切ってるwwwwwwwww
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 13:12:39 ID:2m5/3/LE
ガンダー→高速のピーピー(エロパロじゃないといえないこと)なテク
ヴィンダー→老若男女、種族問わずピー奴隷にする
ミョズ→すべてのピーピーやピーピーピーな道具を使いこなす
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 13:21:59 ID:2/IxeFB7
最新巻読んで思いついたIF

王位継承戦に勝利したシャルル
シャルロット&ジョゼットの下に子供が出来たこともあって
ジョゼットを手放しただけでなくシャルロットに辛く当たるようになる。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 14:44:37 ID:gZSfvLe/
>王位継承戦に勝利したシャルル

妻にもバレずに事故としてジョゼフを消せた場合
オレルアン夫人、イザベラを養女にしたいと主張、シャルル断る理由見つからず

優しい養父母の下で真っ直ぐ育つイザベラ、実父同様魔法以外は万能
しかも一応魔法は使えるので父ほど馬鹿にされず、将来の宰相として期待される
シャルロットは魔法の才能豊かで聡明な娘だが実務面でイザベラがチートなので微妙な評価に
もうイザベラが女王で良くね?な意見まで出る

トラウマを刺激されたシャルル、イザベラに辛く当たるようになる
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 15:22:53 ID:Wh0Lfg/6
>>704
平賀刑事とおマチさんだったら

刑事サイト「んじゃ調書取ろうか、ミス・ロングビル。いや、マチルダ=オブ=サウスゴータ女史」
マチルダ「なぜその名前を!?」
刑事サイト「どうも引っかかってね、あんたの身辺を調べさせてもらったんだ」
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 16:15:16 ID:BOX1jYPP
>>732
いっそ
『イザベラに愛憎入り雑じった複雑な想いを抱き、強引に押し倒したシャルル』
なんて如何か

兄を連想させる在り方に対する嫉妬、その兄の娘を慰み物にできる優越感。
娘程も年が離れた少女を貪る背徳、兄を殺し妻と子を蔑ろにしている罪悪感。
執務にあってはそれらの煩悶を強引に押し込め、ただ王たらんとして冷厳に事を進めていくシャルル。
いつしか人心は彼から離れ、「人の心が分からない」とまで噂されるようになる。

・シャルル
 昼は冷徹な王に徹し、夜は反動からイザベラを組み伏す/にすがる。
 罪悪感から妻子への対応がぎこちなくなり、今では夫婦仲は冷えきっている。
・イザベラ
 叔父に全てを奪われ、辱しめられる日々を過ごす。
 いつか殺したいという憎悪はあれど、自分でもよく分からない理由で、それを形に出来ずにいる。
・シャルロット
 王位を継いでから自分と母に対しよそよそしい父に、苛立ちと寂しさを募らせている。
 またイザベラを「父を奪った女」として憎んでいるが、父を独占している事への嫉妬も含まれる。
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 16:48:02 ID:TkBlUni1
なんて駄目なガリア王家・・・
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 16:55:15 ID:gZSfvLe/
>>734
その展開はこちらも考えてましたw
幸せだった日常がある日突然豹変した養父によって打ち壊される…

・オレルアン夫人
 証拠こそ無いが夫の兄殺しについてはほぼ確信を持っていた
 夫がイザベラを犯した事も気付くが表面的には知らぬ振りを通す
 イザベラを気の毒に思う反面嫉妬も抑えられず辛く当たってしまい自己嫌悪
 
 後に留学名目でイザベラをトリスティンに追い出す
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 17:13:50 ID:q5+kWLBo
>>733
平賀刑事…
実はジョゼフとシェフィが大物の国際手配犯で、銃撃戦の末に射殺とかね

王宮を調べたら武器や麻薬がたんまり出てきたとか
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 18:20:05 ID:+9lz41IL
ジョゼフの虚無の発現が早かったら
ジョゼフ=属性がハッキリした事で余裕が生まれ、そこをシャルルに突かれる
シャルル=唯一勝っている魔法でも勝てなくなったと、ジョゼフを暗殺
シェフィールド=イザベラを連れお家騒動で揺れるアルビオンに渡る
シャルロット=日に日に狂気の度合いを深める実父から逃げるため、トリステインに留学。イザベラが戻れば元に戻ると学業の傍ら捜索を続ける

殺した兄と虚無の使い手が同一になり、虚無を滅ぼし自分の中の兄を消そうとするシャルル
アルビオン王家は原作通り、ヴァリエールはトリステイン王家を使い滅ぼす
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 18:46:22 ID:/Ib7DhRo
> イザベラが戻れば元に戻る
何故?
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 19:05:45 ID:+9lz41IL
その場合のシャルロットは
シャルルのジョゼフ殺害を知りません、それなので仲が良かったイザベラ姉様な
ら狂った父を何とかしてくれる。と思っています。
成長してからはジョゼフとシャルルの仲が良かったと言う話を聞き、帰ってくれ
ば元に戻ると可能性に賭けています。
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 19:15:16 ID:+gqbiBBM
あぁ、きれいなチート系イザベラ様か
ジョゼフが普通ならあり得るね、ジョゼフが手塩に掛けた秘蔵っ子って感じ
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 20:31:12 ID:gZSfvLe/
原作通りの親子関係でもイザベラを使い物になる様に鍛えると言うのはアリかも
もちろん最終的には自分の敵になる事を期待

タバサの冒険でも命令はジョゼフから直接受け取る
イザベラは常にタバサと同行するように命令される、とか面白い
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 20:53:43 ID:V31OwEtN
>>733
平賀刑事とアニエスと姫様
暴力行為、サングラス、タバコを注意されるサイトとかね

アニエス「その黒い眼鏡はなんとかならないのか?」
アンアン「市民が怖がってるという話を聞きましたからね」
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 23:23:34 ID:CE8xY0oT
>>742
つまりアレか
「我々の宿敵となりうる悪夢のようなガキを作成飼育」
という訳かw

スレ違いだが、バカ王子召喚はキツそうだなぁ……書き手に高すぎる知能を要求してくるネタだし。
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 00:01:20 ID:0tEAWc2A
>>744
しかも常に予想の斜め上を行く事が要求される諸刃の剣
素人には(ry


ひっでぇIF
バカ王子の嫁さんみたいな性格のジョゼット
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 00:03:47 ID:znPQZkIL
そろそろジョゼットネタを含めたSSが出回るかと待ち構えてるんだがなかなかこないな
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 00:03:49 ID:Ho2LXFvb
タバサの冒険各話にイザベラが相棒(監視役)として参加してたらどうなったろう?
もちろん嫌がるのを強制でw
泣くわ叫ぶはへタレるわでタバサに頭痛起こさせそうw
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 00:31:12 ID:m7bXuyBc
>>746
ジョゼフが死んだことで、「お前は神にも悪魔にもなれる」とか言われるのか
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 00:32:15 ID:QMIPXgmo
>>747
逆にそれが良い。と進んで連れ出すドSなタバサ
750平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/07(火) 00:37:57 ID:IypZh7DR
また、夜中のうちに投下します。
ドM学園、第5話です。
751平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/07(火) 00:38:40 ID:IypZh7DR
どうもコンニチワ、もといコンバンワ、平賀才人です。
夕焼けこやけで日が暮れて、ハルケギニアにも夜がやってきました。
もうこのまま朝が来なければいいのに、と、そんな思いが自分の中にあるのが嫌です。



さて、今日もまた欲望と変態に満ちた一日が終わり、今は夜です。
俺はギーシュと一緒に学院を抜けだし、城下町まで一杯ひっかけに来ています。
……なに? 未成年の飲酒は禁止? そんな法律ハルケギニアにはありません。
というか、飲まずにやってられるかってんだコンチキショウ。
そんなわけでブラブラと繁華街を歩いていると、ギーシュが思いだしたように口を開きました。

「しかしまあ、毎度のことではあるが、夜抜け出したりしてヴァリエールの方は平気なのかい?」
「大丈夫だ、心配いらん」

縛って転がしておいてあるからな。
一人では絶対に解けない縛り方をしたので、追って来ることはまずないでしょう。
縛った後に、鞭で打てとかロウソク垂らせとか言われましたが、そっちは無視して出てきました。
まあ「放置プレイ……っ!」とか言って勝手にビクビクしてたから問題ないでしょう。

「そうかい、それならいいんだが」
「そっちこそ、モンモランシーのことはどうなったんだ?」
「ああ。あの後ケティに会ってね。今度、一緒に遠乗りに行くことになったよ。
……なんとか、それだけで済んでくれればいいのだけれど」

無理だと思うよ。あの子、お前のことむっちゃ本気で狙ってるから。
溜め息交じりにぼやくギーシュに向かって、俺は声には出さずにそう呟きました。
モンモランシーのために度々浮気を繰り返すギーシュですが、自分でも余りに不実な理由で女性に声をかけている、という自覚があるために、「せめて楽しい思い出にしてもらおう」と、デートに際しては最大限に気を配り、極めて紳士的にエスコートしています。
この前ちらっとその様子を見かけましたが、華麗に女性の手を取って歩く姿はまさにパーフェクト・ジェントルマン。思わず惚れそうになりました。
そんなわけで、学院内にはギーシュのファンが、実はかなり大量にいるのです。
そして、日々血で血を洗う熾烈な抗争を繰り広げているわけです。
そんなギーシュ・ギャルズ(勝手に命名)の中で、一年生でありながら筆頭の一人となっているのがかのケティ嬢。
「健気で純真な後輩」キャラでギーシュの懐に潜り込んでおいて、その実その内心では「ギーシュ様を鎖で繋いで、○○して××して、私以外の女を見れなくしてしまいたい」という欲望を渦巻かせている剛の者です。
その遠乗りデートは、ギーシュにとってあらゆる意味での試練となることでしょう。
隣でうっそりと溜め息を吐く友人へ、内心でエールを送ります。
口には出しませんよ、巻き込まれたくないから。

「おっと、行き過ぎるところだった。此処だ此処」
「ふむ、少し遅れてしまったね」

そんなこんなでうだうだと話しながら歩いているうちに、目的の酒場に着いていました。
酒の臭いと喧しい喧噪が零れ出している扉を開いて中に入ると、テーブルはほぼ満席状態、出来上がった酔っ払いたちがあちこちで騒いでいます。
酔った勢いで、服を脱いだり、ズボンを脱いだり、下着を脱いだり――やたらと露出が多いのは、まあアルコールの魔力ということにしておきましょう。

「――おおい! サイト君、ギーシュ君! こっちだ!」
752平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/07(火) 00:39:32 ID:IypZh7DR
入口付近でしばしキョロキョロと周囲を見回していると、そんな声がかけられました。
声のした方へと視線を転ずると――四人掛けのテーブルに一人で腰かけたおっさんが、こっちに向かって手を振っています。

「あ、ジョゼフさん。もう来てたんスか」
「これは、遅くなってしまって申し訳ありません」
「いや、私が勝手に早く来ていただけだ。気にすることはないよ。
すまないと思ったが、勝手に始めさせてもらっているしね」

俺とギーシュは、挨拶をしながらおっさんのテーブルに同席します。
テーブルには既に料理の皿と空の酒杯が幾つか転がっており、それなりに前からこのおっさんが呑んでいたことが分かりました。
とりあえず、俺とギーシュもそれぞれ自分の酒とつまみを注文します。
この、やたらと豪勢な青い髭を蓄えたおっさんの名は、ジョゼフさん。
しばらく前に、今日と同じようにギーシュと呑みに出掛けた際に、酒場で合席した縁で交流が始まった人です。
始めに合席した際には、ああ今度はどんな変態にどんな変態トークを聞かされるのか、と呑みに来たにも関わらずテンション駄々下がりだった俺とギーシュですが、少し話して見ると、このおっさんが実にまともな、健全な思考の持ち主であることが分かりました。
今では、こうして酒場で待ち合わせては、日々の愚痴をアルコールの助けを借りてぶちまけ合う仲です。

「さてそれでは。少々遅れてしまいましたが改めて。今日一日に、乾杯」
「乾杯」
「ああ、乾杯だ」

俺の音頭で、三つの酒杯がテーブルの上でガコン、と打ち鳴らされました。
そして、打ち鳴らした杯を口元へ。
冷たく、そして熱い液体を、一気に喉奥へと流し込みます。
んご、んご、んご、んご――――…………

「……―――っっっぷっはああぁぁぁぁぁ―――っ!」

あ゛〜、生き返る。なんというか、この一杯のために生きている、といった感じです。

「相変わらず、いい呑みっぷりだなぁ君は」
「君もな、ギーシュ君。
私の齢になると、流石にそんな呑み方は出来んよ」
「いやいや、この中で一番の酒豪は明らかに貴方でしょう、ジョゼフさん」

目の前で、何やら言い合っているギーシュとジョゼフさん。
やいのやいの言いつつも、二人の手に持たれた杯もまた、見事に空になってます。侘び寂びの分かってる連中だ。
さあ、今晩は飲み明かして日頃の錆びを落とすぞっ!!





「――それで、命からがらどうにか脱出して、逃げだしてきたんです。
紅茶に薬物を入れて拘束されかけるのは、今月でもう3回目ですよ……」
「君も、相変わらず大変だな。
いや、うちもな、最近、私の娘が―――」
753平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/07(火) 00:40:25 ID:IypZh7DR
男三人額を突き合わせ、酒を飲み、飯を食い、愚痴を言います。
最初は順番にそれぞれの愚痴を零し、それに他の二人がコメントする、という形になっていたのですが、時間が進み酒が回れば、後はもうウダウダと好き勝手なことを言い合うばかりになります。

「大体なぁ、ルイズだってもうちょっと発言に色々と節制があればなぁ。
見た目は美人なんだから、こっちだってもうちょっと色々思うところもあっただろうになぁ。 あ、すんません! 生中一つとホッケ下さい!」
「ほう、やはり君はヴァリエールの事を美人とは認めているのだね。
しかし僕としては、やはりモンモランシーの方が魅力的であるという主張は覆せんよ ああ、僕も! カシスオレンジとから揚げ追加で!」
「美人の女子に召喚され、使い魔になる、か。
世の男子であれば、心惹かれる者も多そうな話ではあるなぁ。
あと最高の美人は私の妻だ。異論は認めん 焼酎をロックで。あと枝豆をもう二皿頼む」

ウダウダと言い合いながら、追加注文。
既にお互い、最前まで何を話し合っていたのかいまいち分かってません。

「――うちの弟も、どうしてあんなことに……
私があの時、もっとしっかりしてればなぁ……」

ジョゼフさんが、目頭を押さえます。
なんでも、ジョゼフさんには弟さんが一人いるらしいです。
この弟さん、かつては希代の天才と呼ばれた、正に神童だったのだそうです。
ジョゼフさんは昔からこの弟さんと比較されて、才能ない才能ないと連呼されていたので、すっかり盗んだバイクで走りだす感じにぐれてしまったのだとか。
家を継ぐのは弟さんだと言われていたし、ジョゼフさんも認めざるを得ない。
ジョゼフさんは、世界が俺を認めないならそんな世界は壊してやるぅ、となんとも厨二病な感じのことを考えていたらしいのです。
だがそんなある日、ジョゼフさんに転機がっ!!

――弟さん。突然の、カミングアウト宣言。

品行方正、頭脳明晰、性格明朗だったはずの弟さんが、突然アレな方向に覚醒してしまったのだそうです。
そして、それに合わせるように、貞淑にして謙虚、妻女の鏡とまで呼ばれていた弟さんの奥さんも、同じくアレな感じに覚醒。
こりゃやべえ、と思ったジョゼフさんは、慌てて弟さんの代わりに家の舵取りを始め、事態の鎮静に奔走したんだとか。
やがてどうにか事態が収まった後、「もしかして弟がぶっ壊れた原因って俺が拗ねてサボってたせいじゃね? ストレス溜まってたんじゃね?」と思ったジョゼフさんは、過去の自分を猛省。
弟さんが仕事しなくなってしまったので、必死こいて勉強しながら仕事をしていったのだそうです。
そんなことをしているうちに、ジョゼフさんを軽んじていた人たちも次第にジョゼフさんのことを認めるようになり。
こうして、ジョゼフさんは無事に、トップの指導者となったのだそうです。
今は、どうにかして弟さんたちをまともな道に戻そうと頑張っているのだとか。

「……うんうん」

ジョゼフ物語を思い出し、俺は一人頷きます。
こういう、正統派のサクセスストーリーというか、成長物語のようなものがこのハルケギニアにもあるのだと思うと、心が癒されるものを感じます。
今は辛くても、きっといつかいい事があるさ、と思えるようになります。

「……ジョゼフさん」

俺はジョゼフさんに声をかけました。
その手を握り、深く頷きます。
754平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/07(火) 00:43:53 ID:IypZh7DR
「頑張ってください。応援してます。
俺は、ジョゼフさんに会えてよかったと思います」

すると、ジョゼフさんも笑って手を握り返してきました。

「私もだ。君に会えてよかったと思うよ、サイト君。
もちろん君もだ、ギーシュ君」
「あ、はい!」

男3人で、しっかと手を握り合います。
我ら生まれた時は違えども、死すべき時は同じ時、て感じです。男の友情です。
決して801ではないので黄色い声を上げてスケッチするなそこのウィトレスっ!!

「「「……明日からも、頑張ろう」」」

俺たち3人は、誰からともなく、声を揃えて言いました。
明日からも頑張ろう。うん、この同志がいる限り、きっと俺は頑張れます。
明日からも、頑張ろう。本当に。

俺たちはその日、夜が白むまで呑み倒しました。



寮の部屋に帰って見ると、朝焼けの空気の中、縛られたルイズが床でビクンビクンしてました。
……頑張ろう、俺。本当に、頑張ろう。
755平賀才人の(難儀な)日常:2009/07/07(火) 00:44:49 ID:IypZh7DR
投下しゅーりょー。男たちの夜編。

ジョゼフさんは真人間です。本当に真人間です。
一度ダークサイドに堕ちかけましたが、弟がエライことになって、その穴埋めに奔走してる間にそんなこと考えてる余裕はなくなりました。
やっぱり仕事が充実してると人間満ち足りるものなのでしょう。
きっとレコン・キスタは、世界をまともにするための革命軍とかです。

以上、お目汚し失礼しました。
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 00:54:21 ID:0tEAWc2A


何だろう
この目から流れ落ちる汗は
シェフィールドが実に良妻賢母な後妻さんやってる気がするよママン
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 01:03:17 ID:REaSGtBe
ブリミル教こそが真の変態か・・・・
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 01:05:52 ID:G5gaTwTh
ブリミルは原作からして変態でも驚かんよ。
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 01:13:37 ID:bLNuUoM3


ジョゼフさん……真人間だ。イザベラもシャルロットに苦労してそうだな。
この世界のレコン・キスタには全力で頑張っていただきたい。
そしてギーシュがんばれ超頑張れ。
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 01:16:49 ID:QMIPXgmo
乙です


レコンキスタ真人間ルートと言うことは、ワルド氏の苦労はいかほどの物なのか・・・
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 01:26:28 ID:tCP7oqKm
ワルダ氏の活躍に期待
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 01:28:17 ID:REaSGtBe
どう考えてもワルドとサイトとギーシュがレコンキスタに共鳴するだけじゃねーか!!
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 01:35:41 ID:0tEAWc2A
>>762
クロムウェルが世を憂える懐の深い大人物で
教皇が真の聖人君子になる訳か

・・・そりゃ共鳴するわな・・・
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 01:38:13 ID:MqpMS92d
アニメ設定になるがこのサイト君、我慢の限界を迎えてゼロ戦で日食に飛び込んだりしないかね?

「やっとまともな世界に帰れる」みたいに
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 02:00:36 ID:75+deWpG
>>764
密航したルイズもろともの帰還だと日本編で目も当てられないことに……
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 02:22:28 ID:dEQCTQgP
> きっとレコン・キスタは、世界をまともにするための革命軍とかです。

ある意味で違ってること希望。

世を憂える懐の深い大人物とか真の聖人君子じゃなくてやっぱりサイト君涙目な逝っちゃってる方向に。

どっちがよりたちの悪いアレか…
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 03:07:09 ID:Cqt8cx3D
まとめて読みたいけど、wikiにないから誰か編集よろしくです
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 03:15:20 ID:m7bXuyBc
今までにない組み合わせが見れるってのは楽しみだな
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 16:05:58 ID:AQFpc1+I
>>765
寧ろそこは逃げたらみんな世界扉で追ってきちゃったと
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 17:57:15 ID:3lE5/shh
しかし何故か逃げた先はN・Tさん(9)が変態に心痛める世界なのですね、わかります。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 18:05:13 ID:JlturPO1
アルビオン紛争が少女派と成人女性(ゼロ魔の場合、14歳以上)派の戦いになる
レコン・キスタ=童顔巨乳は少女に入るかが論争となり崩壊
アルビオン王室=尖り耳派のモード公と普通耳派のジェームズ王で分裂中

トリステイン
才人=モンモンのクスリでドSになる
ギーシュ=まともな友人がクスリでおかしくなったので、解毒のため奔走
モンモン=ギーシュを男に取られたと興奮マキシム
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 18:13:28 ID:tCP7oqKm
あの時ほれ薬のんで最初にみたのがギーシュだったらさぞや泥沼な展開になっていたんだろうなあ
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 18:29:43 ID:FbznLVrY
ガンダールヴフルパワーでギーシュに新たな性癖が!
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 18:58:53 ID:ecuwo4Wm
ふと思った。
ドMワールド、イザベラがジョセフと同じく真っ当だったらサイトの心のオアシスになっちゃわないか?w
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 19:02:34 ID:tCP7oqKm
そしていい感じなサイトイザベラを見てイザベラを躾けはじめるタバ様
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 19:24:52 ID:JlturPO1
ゼロ魔の世界で近代化するとしたら
・単純労働力としてゴーレムを使用し農業の省力化、少人数化を進める
・余剰人口を加工業に振り分ける(並列して平民を教育する)
・軍事、製造業の機械化

大量の余剰作物、流通の活性化が近代化の礎になるけど、精霊が居て分母が
決まっているハルケで、人口増による余剰人口での発展は期待できないので、
産業の効率化で余剰人口を生み出すしかない。
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 19:42:38 ID:CFQEX7/E
過去ログのジョゼフとルイズの立ち位置入れ替えたら王道ファンタジーに……の流れ見てたら、
ど直球のボーイミーツガール&貴種流離譚なファンタジーが読みたくなってきたから困る。
最近ネットばかりあさって商業のファンタジー読んでないなあ……。
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 20:28:33 ID:JlturPO1
ジョゼフと才人のkissから始まる物語か。
ジョゼフ=平民でも使い魔が出ただけマシ…だが、男は無いだろ。恨むぞブリミル
才人=俺の青春の一頁がァァァァァ
キュルケ=新しい趣味に目覚めそう
タバサ=自分と玉座に執着する母親と、自分と母より伯母と従姉に愛情を注ぐ父親が嫌になり留学。ジョゼフと才人のキスシーンを見て思考が停止、ジョゼフは伯母を思い出すので嫌っている

ガリア
シャルル=可愛いよルイズ姉さん
ルイズ=姉弟は人の道に外れるのに
シェフィールド=苦悩するルイズに萌え萌え
イザベラ=母上は私が守る
オルレアン夫人=シャルロットは何としても玉座に
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 20:53:05 ID:To1AUAtC
>>776
メイジが動力源としてしか見られず、いつの間にか単純労働奴隷化……こんな妄想が何故か出てきたw
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 21:32:34 ID:Ho2LXFvb
>>778
何か意味不明かと思えば年齢まで入れ替えている訳ね、納得
ルイズの外見はカトレアかピンクverエレオノールか…いや髪は青色か

慕われていると言うことは前者だろうね、

金髪(ピンクは駄目だろう絵的に)若ジョゼフは美形そうだ、学生時代なら壊れてないだろうし
サイトと良いコンビになりそう、女子生徒が腐りそうだが…
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 21:35:24 ID:qSSIulpv
「ようこそ女たちの王国へ」みたいに男女比が1:1では無いハルキゲニア。
 ブリミルたちがハルキゲニアにやってきて以来、なぜか男性がどんどん生まれなくなり、
最終的に男女比が一対八に。男の第一の仕事は子種の提供。女性は最低二人以上子供を産
む事が必要とされている。(二人生まれてようやく人口維持が可能だから)
 当然社会は女性主導。男は次世代をつくるのに必要な貴重な資源に近い扱い。家督も当
然女性が継承するのが当たり前。継げる女性がいない場合のみ例外的に直系男子が継承。
ただしがんばって跡継ぎの女の子を誰かに産んでもらわないといけない。
 魔法学院ではメイジの男は魔法の強さとか知力体力などのランク付けがされてしまう。
ランクが応じて婿入り条件が決まるのでみんな必死。さらに酷な条件としてメイジの男は
結婚する場合は結婚する女性メイジの領地で複数の女性(慣習的に十人)との間にきちん
と子供を作れたという証明が必要。モンモンに一途に惚れてるのにそういう事情だから
モンモンの領地の女の子十人と子供作らないと結婚できない運命に涙目。
 男が足りないから平民とメイジの間に子供が生まれる事に対して抵抗がない。混血で
力は若干落ちるけど混血メイジの物量戦で男手が壊滅的にない社会を維持運営している。
力仕事はゴーレムでとかいう風に。
 そんな状況なので聖地奪還は世迷い言のたぐいとして扱われている。
そんな事に使える人的余裕がどこにもないから。
 そんな中に才人が召還され、しかもシェスタの曾祖父と同じく男女比がほぼ一対一の
国の男。しかも彼の子種で生まれる子供の男女比はほぼ一対一。直系なら孫ひ孫でも同
じときていたからお宝として後一歩で戦争もものの争奪戦になった。タルブには彼の子
孫がたくさんいて男は各地に好待遇で婿入り。シェスタも彼の直系女子だからそういう
意味では貴重なので保護の意味合いもあって魔法学院にいる。
 というかより濃い男女比一対一の子種を持った男を作るため積極的に周囲が煽る。
ま、その前に才人の子種でも男女比一対一か確認しようとしていて大騒ぎになるとか。
 あまりにそこら辺臆面なさ過ぎる世界にどん引きしそうになりつつも帰れないから
けなげに生きる才人。
 というのはどうでしょうか?
 男にとってあんまりな世界だけど。
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 22:12:43 ID:Vkg+6uHS
シエスタな。
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 22:27:20 ID:AQFpc1+I
500KB目前なんで立てときました

【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら19
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1246973117/
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 22:37:15 ID:n/WmUz02
おお、いつの間にやら。

>>783乙です
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 22:40:39 ID:75+deWpG
786名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 22:48:25 ID:uqlAvTuf
>>783
こちらでも、お疲れ様です。
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 23:51:00 ID:To1AUAtC
>>783


容量限界は忘れがちだな
788名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 23:51:08 ID:JlturPO1
ジョゼフとルイズの立場が逆だったら
学生ジョゼフ
失敗魔法は制御出来ている
爆殺(爆破魔)の二つ名を持ち、決闘では負け知らず
コルベールと意気投合し魔法に捕われない斬新な案で色々発明、才人を召喚してから加速

母親ルイズ
自分以外に心を開かないシャルルを何とかしたい
不義の子と言われている娘のイザベラに申し訳なさと罪の意識を感じている
魔法が使えない病気に罹っていると幽閉状態
シャルル
イザベラが不義の子と言われず、ルイズを幽閉しないでも済む世界を作ろうと暗躍
ワルド
母の面影が有るルイズに一目惚れ
ルイズ奪取のためレコン・キスタに入る
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 23:59:12 ID:Ho2LXFvb
何かいいですね、母ルイズイラスト化するかも
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 08:25:00 ID:+Pnyip8p
さらに学生ジョゼフ側、というかトリステイン側に
レコンキスタやガリアを操っているのが母親ルイズだと思われているとなお熱い

・・・と思うがいかが?
791名無しさん@お腹いっぱい。
>>789
家系的に考えて桃色じゃなくて青色の髪になる
しかもお前らの大好きなロリじゃなくなる