【石川賢】ゲッター線が他作品に出張!! 第7章【クロスSS】
こうなったら竜馬をはりもぐハーリーの世界に
ハーリーが初めて見た人間があの最強空手家、竜馬。
旋回中に常に6Gくらいかかってるんだっけ?
マクロスのバルキリーに乗っても、ゴースト並みの高機動にスーツ成しで耐えそうだ。
ところで
銀河トニカク大戦争って虚無戦記の一部なのかな
だとしたら神の軍団もずいぶんのんきなんだな
最終話、投下します。
七月――。
長い雨季を経て、眩いばかりの陽光が、夏の訪れを告げる時季。
夕暮れの澄んだ空気が、梅雨明けの、蒸籠に閉じ込めたかのような不快な世界を塗り替えていく。
吹き抜ける風が姫百合の花を揺らし、ブラウス姿の少女の元へ、爽やかな初夏の香りを届ける。
(もう、そんな季節なのね……)
セミロングの揺れる黒髪を押さえながら、少女が風の行方を目で追いかける。
物思いに耽る少女の脇を、ランドセル姿の子供らが駆け抜けていく。
あの時の光景など、どこかに置き忘れてしまったかのような、平和な日常が彼女を包んでいた。
(そっか……、変わるわけよね
あれからもう、一年以上も経っているんだから)
少女の脳裏に、かつての日の光景がありありと蘇る。
一年前。
海底火山の噴火と共に人類の前に現れた、究極の神体ガイアーと異星人マーズ。
その動向を巡り、世界各地で激しい争いを繰り広げた、人類の仇敵・監視者と、異世界からの乱入者・ゲッターロボ。
死闘の果てに、彼らは遥かな虚空へと消え去り、それから世界は、二度目の夏を迎えようとしていた。
あの時、マーズとゲッターチームのとった捨て身の行動により、地球は消滅の危機を回避した。
だが、彼らが去って、それで全てが終わったわけでは無かった。
神体の放つ熱波に呑まれ、国の大半が焦土と化したエジプト。
マグニチュード9.7という未曾有の大地震により、深刻な被害に見舞われた東アジア一帯。
そして、第六神体・ラーが決戦の地に選んだ事で、無残な瓦礫の山となり果ててしまった、日本の首都・東京。
異世界の兵器の激突がもたらした戦いの爪痕は、極めて深刻なものであり
滅亡の危機を乗り越えた人類は、新たな時代を迎えるため、試練の時を迎える事となったのだった……。
もっとも、残された現実の全てが、不幸な災厄であったわけではない。
各地の惨状を伝えるラジオの悲鳴は、世界中の人々の心を動かし、
各国政府、民間団体を問わず、多くの人道支援を被災地へともたらした。
また、後に明らかにされた戦いの全容は、冷戦下において加熱し続けた兵器開発熱に一石を投じ、
人々の持つ、良識の自戒を促すものとなった。
降り注ぐ豪雨が、やがて来る実りの時をもたらすように、体を蝕むウィルスが、強かな抗体を生み出すように……。
【彼ら】と遭遇したあの日以来、ゆっくりとだが、世界はその距離を縮めつつあった。
「……あら?」
不意に、前方より現れた懐かしい顔に、少女が思わず歩みを止める。
そこにいたのは、記憶にある姿よりも、ずっと日に焼けた浅黒い顔をした、ワイシャツ姿の男。
「岩倉さん……」
「やあ、久しぶりにこっちに帰ってこれたもんでね。
その後は変わりなかったかい? 春美ちゃん」
岩倉との突然の再会に、春美はしばし、きょとんと目を丸くしていたが、やがてほがらかな口調で応じた。
「お久しぶりです、岩倉さん。
でも、今さら私の近辺を探ったって、特ダネは落ちてないんじゃないかしら?」
・
・
・
「特派員のお仕事って大変なのね。
あんまり良い色に焼けてたから、一瞬、誰だか分からなかったわ」
「いやぁ、見違えたのは春美ちゃんの方だよ。
少しばかり見ない間に、随分と大人っぽくなって」
「あら? 敏腕記者さんはお世辞もうまいのね」
夕暮れの帰宅路に長い影を落としながら、二人がとりとめの無い会話に花を咲かせる。
時折、肩口で切り揃えた黒髪を撫でる春美の姿を、岩倉がしげしげと見つめる。
先ほど岩倉が彼女にかけた言葉は、単なる社交辞令では無い。
目の前にいる夏服姿の少女は、記憶にある一年前の面影とは、大きく印象が変わっていた。
それは、髪型を変えたとか、夏服になったからといった、外見の違いによるものだけでは無い。
時たま、ふっと表情に垣間見える一点の翳りが、
元々愛らしい花のようだった少女に、かえって一滴の潤いを与えているかのようだった。
陳腐な言い方をするならば、彼女は一年前より、ずっと美しくなっていた。
「そういえば岩倉さん、この間の記事を読んだわ」
「うん?」
「ほら、NASAの探査衛星からの調査報告をまとめた……」
「ああ」
春美にうながされ、岩倉がぼんやりとした思考を切り替える。
彼女が切り出した話題は、岩倉にとっても興味深い取材に関するものであった。
「――遠い将来、火星が地球みたいに、生物の住める惑星になるかも知れないって、
本当なの、岩倉さん?」
「ふむ……」
好奇の瞳を向ける春美に対し、どう説明したものかと、岩倉が口元に右手を寄せる。
「元々、火星は古くから、生物が住んでいるんじゃないかと言う議論はなされてきたし、
火星の実態を知るべく、観測や調査も積極的に行われてきた。
SFの分野でも、火星への入植や異星人との遭遇を題材にした作品は多い」
「ええ」
「それが今回の調査報告で、急速に現実味を帯びてきたと言うわけだ。
一年前、火星上空で観測された大型爆発の影響で、
それまでは諸々の痕跡から推測されていたに過ぎなかった『水』の存在が確認された。
……いや、確認されたなんてレベルでは無いな。
極地の氷は湧出して河川を為し、溢れ出た水蒸気は雨雲となって、
今なお火星の地に降り注いでいると言うのだから」
「一年前……」
―― 一年前、少女の眼前で蒼穹の彼方へと消えた、赤い髪の青年。
「このままあの星に海が形成されたならば、火星の大気は、徐々に地球よりに変化を始め。
原始的な生命を育める環境へと移り変わっていくだろう。
もちろん、それは遠い未来の話だろうけれども、
決して、可能性の低いおとぎ話というわけではないだろうな……」
「…………」
「春美ちゃん?」
急に無言になった春美に気づき、岩倉が横顔を見やる。
一瞬、夢中で語りすぎて彼女を置いてけぼりにしたかとも考えたが、
その物憂げな表情から、岩倉は即座に、春美の懸念する内容に思い当たった。
「――その、一年前に観測された爆発って、
ガイアー……、だったんでしょう、岩倉さん?」
「……ああ。
断定は出来ないが、あの状況では、他の原因は考えられないだろうね」
「それじゃあ、やっぱりマーズは……、それに、拓馬くん達も……」
「…………」
いつしか日はすっかり傾き、涼やかな一陣の風が、竹林をざわざわと揺らす。
初夏に似つかわしくない底冷えする空気が、二人の間を吹き抜けていく。
「……いや、まだ、決め付けるのは早いんじゃないかな?」
「え?」
しばしの沈黙の後、ぽつり、と岩倉が口を開いた。
「拓馬くんの言葉を覚えているかい?
ゲッター線は、単なるロボットの動力源ではない。
一説には、人類の進化を促してきた可能性もある、いまだ未解明のエネルギーなのだ、と」
「ええ……、でも、それが一体?」
「あの後、何度か考えた事なんだが、
あの時、ガイアーが僕達の前で見せた最後の姿、
秋の島新島のデータベースにも記載されていなかった秘められた能力は、
あるいは、ゲッター線との邂逅によってもたらされた、進化の形だったんじゃないかとね」
「進化……、ガイアーが?」
「うん、
例えば、花を散らしたタンポポが、その命の最後に、風に乗せて綿毛を飛ばすように。
ガイアーのとったあの形態は、滅亡を回避出来ない事を知ったマーズが、
その命を繋げる事の出来る場所を求めた結果だったんじゃないだろうか?」
「…………」
「だから、さ。
ガイアーは、もう消滅してしまったのかも知れないけれども
今現在、火星に誕生しようとしている生命、
その全ての中に、マーズの意志は生きているんじゃ無いのかな?
どうにもうまくは言えないんだけれども……?」
「ふふっ」
「な、なんだい……?」
不意にからからと笑い出した少女に、しどろもどろな会話を続けていた岩倉が顔を上げる。
一方春美は、何かつかえの取れたような、悪戯っぽい笑顔を岩倉へと向けた。
「だって、岩倉さんは一流の新聞記者なのに……
急にロマンチックな事を言い出すんだから」
「べ、別に良いだろう? 年に一度、こんな日くらい。
都合の良い事を考えたってさ」
「年に一度……、うん、そうよね」
春美が顔を上げる。
薄闇の中、見上げた先には既に、燦燦と輝く星々の煌きが、広大な大河となって天空を覆いつくしていた。
「――将来、人類が火星に降り立った時、
その時、そこには一体、何が待ち受けているのかしら……?」
「はは、それはもう、遠い子孫たちのお楽しみだろうね。
だが、その時には、【彼】が決断を下す必要のない世界を築いていたいものだな」
「ええ……、本当に」
(きっと、その時にはもう一度……)
ごぅ、と一際爽やかな風が少女の髪を撫で、傍らの竹林をざわめかせる。
誰にも知られぬよう、少女は天空へ消える笹の葉のひとひらに、そっと自らの想いを託した。
・
・
・
ふう
お前の支援はよくキクぜ
「――かくて、歴史は繰り返す、か……」
作業の手を止め、ふぅ、とカムイがため息をつく。
いかに頭上を見上げようとも、そこは秋の島新島の地下。
ほの暗い海底基地の奥底にあって、星空が見える筈もない。
だがこの時、赤く輝く若者の瞳は、円筒状の建屋の天井の先にあるであろう、遥かな因縁の地を追いかけていた。
――人類を襲う、地球規模での滅亡の危機。
――絶体絶命の窮地において覚醒を果たす、人類最後の切り札・ゲッターロボ。
――地上の地獄の全てを呑み込み、遥かな星の海へと飛び出していく鋼の巨体。
皮肉な事に、一年前に起こった一連の戦い結末は、
かつて彼の故郷で繰り広げられた、ゲッター線にまつわる争いの歴史をなぞるかのようであった。
「何もかも、ゲッター線の導きのままに、と言う事か…… だが」
きっ、と、カムイの瞳に不屈の意志が宿る。
ゲッター線の介入を止められず、遥かな異世界に取り残される事態になって一年。
彼は尚も心を折る事無く、一縷の望みを托し『それ』の改修を続けていた。
かつては、最強の神体の眠る揺り篭であり、また、傷ついたアークを受け入れた事もある、秋の島新島。
だが今、その地に鎮座しているのは、ガイアーでも無ければゲッターでも無い。
カムイが眼下に見下ろすのは、鈍い輝きを放つ、黒色の大型球体――。
六神体最後の生き残り【ラー】であった……。
「太陽神ラー……、かつては天空を覆い尽くす威光で、人々の上に君臨しながら、
異教徒との戦いに敗れ、歴史から忘れ去られた古き神か」
神体の名の由来に思いを馳せつつ、カムイがコックピットへと身を躍らせる。
本来、彼はそんな無用な感傷を抱くようなロマンチストでは無い。
だが、それでも彼は考えずにはいられなかった。
その太古の主神の名は、ゲッターとガイアーの死闘の最中に忘れ去られてしまった神体の、
いや、ゲッターの導きに呑みこまれ、異世界に置き去りにされた自身の運命すらも暗示するかのようだった。
「ともあれ、負け犬同士、役者は揃ったと言う訳だ――」
シートに腰を下ろし、おもむろに懐から取り出した【牙】のようなものを、
操作盤から這わせたケーブルへと繋ぐ。
「だが、全てが終わったわけでは無いぞ、ゲッター」
ある種の確信を込め、神体に流れる電圧を、徐々に高めていく。
やがて、ブゥゥゥゥンという音とともにスクリーンが起動し、砂の嵐に歪む画面の上に、
次々とウィンドウが開いて、異世界の単語の奔流を刻み始める。
血に飢えた獣が、猛然と獲物を喰らうように、見知らぬ異国の技術を、機械の頭脳に刻み込まんとするかのように。
「そうだ、それでいい」
手製の翻訳書を片手に単語の羅列を追い掛けながら、カムイが薄緑の頬に不敵な笑みを浮かべる。
「まだ出番は終わってはいないぞ、第六神体・ラーよ。
お前は遥かな異世界で待つ、対ゲッターの切り札【バグ】のコアとなるのだ。
そして、今度こそ人類を、ゲッターを滅ぼせ!」
カムイの言葉に応えるかのように、青白い輝きが神体の体内を走る。
電流はあたかも律動する生物のようにリズムを刻み、異様な昂揚感がコックピットを包み込む。
――ゲッターとの戦いに敗れ宇宙より消滅した、百鬼帝国の技術。
――ゲッターの介入により、数千年に及ぶ悲願を果たせなかった、最後の神体。
――そしてゲッターの意思に阻まれ地下へと潜った、恐竜帝国の裔。
カムイには、奇妙な確信があった。
一年前、ゲッターに内在する意思が、アークを戦いの地へと飛ばしたように……。
ゲッターに仇なす者たちの怨念が、自分をもう一度、全ての始まりの地へと道くであろうと。
「戦いはこれからだ……、拓馬、そしてゲッター」
・
・
・
――戦いは続く。
幾重にも乱れ、もつれ、絡み合う運命の糸を省みる事も無く。
刹那の修羅と、繁栄と躍進、凄惨なる興亡を繰り返しながら、
それでも刻は、永劫の流れを刻み続ける。
あたかも生物の闘争、それ自体に何らかの意味を求めるかのように……。
永い永い死闘の果てに、やがて刻は満ち……、
――人類は、再び【彼】と遭遇する……。
・
・
・
「敵、砲門開口、この反応は…… ダ、ダークデス砲!?」
オペレーターの悲痛な叫びと同時に、異形の口中より放たれた数条の光が、輪を成して艦隊を包み込む。
おぞましいばかりの破壊の渦が、精強でなるゲッターの戦士達を襲い、無常の彼方へと消し飛ばす。
金属を腐食し数多の生命を腐らせる【汚い死】……。
その輝きの中では、いかに強力なゲッター線の兵器達といえど、そうそうに持ち応えうる者では無かった。
だが……
「何故だッ!? 何故ヤツが、我々人類の武器である、ダークデス砲を使うのだ!」
「まさか、アイツは先に接触した、先遣隊の能力を吸収したとでも言うのか?」
「……化け物めッ!」
一同が、光の消えた彼方に映る異形の姿を見やる。
そこにあったのは、ゆうに惑星サイズはあろうかという、人面を備えた巨大な甲虫のような物体。
それが何者なのか、何処から来たのか、何を目的としているのか、
そもそもアレは生物なのか、機械の兵器なのか、それすらも、彼らは掴めずにいた。
ともあれ、これまで無限の躍進を続けていたゲッター軍団は、
眼前の異形と遭遇した数年前より、初めて守りの戦いを強いられ続けていた。
「……エンペラーの状況は?」
「ハッ!」
恰幅の良い指令の声に、周囲が慌ただしく動き出す。
程なく、眼前のスクリーンに、宇宙空間に揺らめく金糸の渦が浮かび上がった。
「エンペラーは未だ、200光年彼方で静止。
機体を包み込むエネルギーの奔流により、中の様子を窺い知ることは出来ません、ですが……」
「ですが…… なんだ?」
「……この、機体を呑み込む繭のような変化、
これはかつて、ゲッターGが地球で見せたパターンに、極めて酷似しています。
それに、時折エンペラーの周囲で検出される、異常なまでのゲッター線指数の高まり。
それらの情報から統合的に判断すれば……」
「――エンペラーは今回の遭遇を見越して、新たな進化に入っていた、と言う事か……?」
指令の呟きに、シン、と水を打ったように場が静まり返る。
元より、星々を押し潰しながら無限の成長を続けていたゲッター線の守護神が、
その歩みを止めてまで目指そうとしている姿とは、一体いかなるものなのか?
いや、そもそも莫大な力を有したエンペラーに、それほどの覚悟を強いる【敵】とは何者なのか?
これより人類を待ち受けるであろう苛烈な戦いの予兆に、人々は戦慄を禁じ得なかった。
「よしッ!」
くわえていたコーンパイプをプッと吐き捨て、指令の男が鶴の一声を上げる。
「残存する戦力をただちに集結させろ。
本艦隊はこれより【敵】の懐に突撃する!」
「!? 無謀です、武蔵司令ッ!
エンペラーの動けない今、これ以上、戦力を失う訳には……」
「だからこそ、だ。
新たな進化を始めたエンペラーは、未知の敵を屠る事が出来る牙の形を模索しているはずだ。
それならば、誰かがあそこに飛び込んで、ヤツの正体を見極めねばならん!」
「…………」
「それに、よ……」
常ならぬ陽気な笑みを浮かべ、男がカポリとヘルメットを被る。
「へへ、どういう訳か、
こういう役目は昔から俺と決まっているんだよなァ」
「司令……」
指令の見せた不敵な笑みに、一同もフッと笑いを洩らす。
彼らも皆、ゲッターの意思に導かれた戦士達である。
司令官の下した決断に、抗う者など存在しなかった。
「……よし、生き残りは旗艦の周囲に集結、陣形を再編せよ」
「フォーメーション2だ、戦力を一点に結集させ、敵のハラワタを食い破る!」
旗艦からの指令を受け、前線のゲッター達が統制のとれた動きで結集する。
旗艦を中心に、戦士達は巨大な円錐の矢尻に、やがて、流れるような螺旋の動きを刻み始める。
艦隊の連動が力強さを増し、緑色の輝きが渦を為し、宙域に一本のドリルを作りだす。
「ィよしッ! 行くぞッ、全軍・全速……」
「――ッ!? 駄目です、指令!
何者かが、この空間にワープアウトしてきます!?」
「何ッ!?」
「物体の推定質量……! ろ、6.42×10の23乗!?」
「惑星サイズだと! 何故、今まで気付かなかった?」
「転移まで10秒、衝撃波、来ます!」
「〜〜ッ! 退避だァ!?」
男の叫びと同時に空間が歪み、溢れる閃光と衝撃が、艦隊を、そして異形を襲う。
無茶苦茶な転移によって生じた重力の渦に、前線の部隊が呑まれて消える。
人々はもはや声も出ない。
ゆらめく空間より現れた、その雄大な姿は、まるで偶像……。
いや――。
「あれは、まさか……」
誰かの呟きが洩れる中、指令の男が、ぎょっ、と目を凝らす。
星一つを呑み込まんばかりの金色の神体、その胸元に、生身で漂う若者の姿を見出したためである。
遠目にもはっきりと映る、炎のようにたなびく赤い髪。
その姿は、エンペラーの膨大なデータベースの中に確かに存在していた。
「マーズ……! やはりあれは、神体ガイアーなのかッ!?」
――ドシュゥッ!!
強大なる神体の降臨を拒むかのように、異形の口中から乱入者目掛け、数条の閃光が放たれる。
瞬く間に眼前に迫る破壊の光に対し、青年は、何ら怖じる事無く、ゆるりと左手をかざす。
直後、バシュゥ、という音とともに再び空間が揺らぎ。
マーズの目の前に現れた守護者たちが、汚い死の衝撃を打ち消した。
―― 面壁九年の修行者を模したかのような、曲面を描く偶像。
―― 王家の守護者を気取るかのように、主人の許を駆け巡る人頭獅子。
―― 女性的な顔立ちをした、流線形のメタリックな生首。
―― まつろわぬ神の姿を象った、赤茶けた巨大な土偶。
―― 頭上に特徴的な触覚を有した、深海魚のようなUFO。
閃光と共に出現した神体達は、あたかも衛星のように、マーズの周囲で旋回を続けていたが、
やがて、ビイイイィィインという独特の機械音とともに、ガイアーが両手を高々と掲げると、
まるで、その重力圏に引き込まれるかのように、輝き放つ神体の胸元に、ゆっくりと吸い込まれ始めた……。
「ゲ、ゲッター線指数! ガイアーを中心に急速に上昇ッ!?
500…… 700…… 1000……!」
「エネルギー上昇パターン、エンペラーと極めて酷似、これは……!」
「六神が…… 合体するッ!?」
「マァズウゥ――ッ!!」
ヘルメットをかなぐり捨て、指令の男がスクリーン目掛けて叫ぶ。
件の赤髪の青年は、既にその胸元まで、神体の一部へと飲み込まれていた。
「ゲッターとの約定に従い、人類を滅ぼしに来たか、監視者マーズッ!
それとも……!」
「ガ イ ア ア ア ァ ァ ア ァ ァ ァ ァ ――― ! !」
男の叫びに応じるかのように、マーズがカッ、と両目を開き、宇宙を震撼させる産声を上げる。
咆哮と共に、金色の太陽のような輝きが、艦隊を、異形を、星々を包み込み、白一色に覆い尽くしていく。
衝撃が宙域を揺るがし、刹那、虚空より、全てのノイズが消え失せる。
そして……!
――そして、いつしか光は消え、人々が目にしたものは……。
支援
そして!
以上、投下、終了です。
火星に消えるマーズ、カムイin神体、六神合体。
マーズとのクロスでパッと思いつくネタを、全部やったら虚無った! スマヌ。
最後になりましたが、これまで応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
次の機会があれば、もっとゆる〜い戦場でお会いしましょう。
乙であります
最後に六神合体になってて感動した!
なんて乙なんじゃあ〜〜っ!!次回作も楽しみにしています
すげえ、すげえよ貴方……!
長い連載、お疲れ様でした。
原作リスペクト――愛が感じられる文章ですごく楽しみでした。
ああ、なんて素晴らしいゲッター……
うおお乙です
虚無の果てはやはり虚無なのか
六神合体キターーーw
乙乙乙ゥ!
ここまで読んできてよかったぜ!
ラーがコアってのは重力つながりかな?
しっかし、最後が石川らしい最後でものすごく感動したよ
多分文字に起こすならこんな感じで未完結するのかね
あんまおもしろくなかった
途中であきた(笑)
>>979 自分の身体にホクロみたいな穴がないか?
いや待て、纐纈城主に病をうつされたのかもしれん
夏にかかる病気か?
そろそろ、次のスレだな
主に漫画の話してるのに兄キャラ総合にあって良いのか?
まあ、一応OVAの話はしてるな
チェェェェンジ次スレ、スイッチオン!!
クロススレはこの板が多いので、このままで良いだろ。
ゼロ魔スレも基本的に原作ラノベの方がメインだし。
ゲッターは一つさ。
>>986 >唯一の長編
マブラヴはwwそういやマブラヴの方も完結もうすぐだったのに投下ないなー
なんにせよマーズの人乙!
スレ立ても乙!
……すまん言葉足りなかった
マブラヴとのクロスはPCゲーム×(OVA)アニメだから
漫画×漫画ではないから
でも、マブラヴは漫画化してるんだよね
さぁ、旅だちだ!
うぅぅぅめぇぇぇぇ!!
993 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 02:33:36 ID:Ow3ySF4+
埋めるぞ!
俺にわかるように埋めろ!
埋まれ
おれはこのスレを埋める
二度とこのスレには書かん
これよりクロススレとの戦い三千年に及ぶ、そして!!
1000を取るのは誰だ!?
1000ならゲッターのパイロットになる
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。