あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part233

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part232
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1243534989/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

     _
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 08:01:24 ID:g4+g3gAP
            /⌒ '⌒ヽ、
               / . : : : : : : : .ヽ
           / : : :/_,イ: 、_: : : ト
           イ: : :/i兮 V兮i: : |   おーいキミ、大丈夫?
            |: : :|   . .  ,': :リ
           Yl:ト、 ー=‐'ノ :/
  r、         Yl   ー个V
  | ト┐      _ ノ    l
  [W/〉、  /   ー-- 、 __ 、_
  〈 /// 〉 /            `ヽ
   ',  〈  l  ,                ',
   '  ノ /  八 , 、         l  l
    l  レ'  /l ヽ、   ノ     '`ノ │
   l  l   / |           /   |                   _
  l   │ /   l           ハ    l                  //
  l   レ     l      /   ヽ l l   l       _∠二//
  ヽ _     l     ′    l  l    ̄`   ー‐/└‐「「「「〉′
         l            l   l、       _,   - ──┘
         |       l   |     ̄ ̄
          |      _,.  、|
           |    , '´    `ヽ
            |   , '         ',
            !  ,′           i
            l  ',             ,'
           l   ',         , ' ヽ
          l   ' 、    , '    \
         l     | ' ‐ '´\     \
         |     |     ヽ      ヽ
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 08:18:10 ID:DnuAY4Bg
スレ立て乙。
うっかり重複して立てちゃったので、あっちはPart234として使用するって事でよろしく。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part233
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244070866/
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 09:00:04 ID:mVG2fSnO
>>1 >>3
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 09:20:16 ID:1+yZO8Vm
>>1 >>3


やっぱageると変なの来るから気を付けないとな。
タイミング悪いと埋められちまう。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 10:57:40 ID:XFFPJi5s
前スレ>>798
三次創作や同人系もありにしちゃうと、“ぼくがいまかんがえた(ry”とのクロス
なんてのがありになっちゃうからじゃね?
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 11:37:00 ID:1R3pebv8
現在ポケダンでクロス構想してるんだが
アレってポケモンの二次なのか?
まぁ、呼び出すのは主人公勢でもおやかたでもジュプでも無くレイダースなんだが。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 11:40:09 ID:rUC2B8ov
>>1

初夜権とかあるのか……
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 11:46:50 ID:qaaAN2sB
>>1
すげぇな、アニキャラ総合のSS系スレ片っ端から同じAAで落としてるわ
10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 11:59:22 ID:9ZpisJ8u
前はテンプレにある程度書いてあったと思うのですが、型月やジョジョのように専用の姉妹スレがある作品は、他に何がありましたっけ?
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 12:10:48 ID:vWrw4jFg
>>10
ダイ大
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 12:21:07 ID:yFWDIDiB
ヘルシング
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 12:26:01 ID:xDQo7Yyv
>>7
ポケダンはポケダンで一つの作品としてみていいんじゃないかな
期待してる
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 12:44:22 ID:Z7a8NZIL
>>7
ポケダンってポケモンの不思議なダンジョンのこと?
公式の作品でしょ?アレ
15名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 13:01:17 ID:1R3pebv8
成る程成る程
設定を料理するのが難しかったモンで、色々考えてる内に少し気になったんだ。
いろんな所が「ポケモン」と違いすぎてるからな
参考になったよ、ありがとう!
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 14:11:36 ID:Rin6mQS5
すべてが「不思議な力が働いて・・・」で片付くよ
17名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 14:21:48 ID:bGFjilZF
>>16
てつを自重
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 14:52:33 ID:kIisARKt
自分もなんか書いてみようかなと思って試しに好きなキャラを召喚して脳内シミュレートしてたら
なんか中盤ぐらいで殺戮を始めてしまったってこりゃまいった。
テンプレ展開じゃないのはいいのかもしれないけど誰得って感じになってしまった。

改めて筆者ってのはスゲーなぁと思った。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 14:52:53 ID:IJY9qo+R
チートスペックキャラって、どうやっても絡ませられないからなぁ
話が破綻する。特に少年誌系か?
最近だとジャック・ラカンとかだな
ゼロ魔世界の魔法・物理一切効かないレベルのキャラって、
短編にしたとしても非常に無理がおおきい

酔っ払って決闘する川村ヒデオとかの方が面白そう
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 14:59:06 ID:UVm+dWiL
チートでもギャグならいいんじゃね?

こち亀の両さんなんかフリーザ様の連続エネルギー波食らってもピンピンしてるし、
挙げ句の果てにはナメック星から追い出しちゃうんだぜ。公式の漫画で
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 14:59:29 ID:Q2iWkp0O
>>19
無双で爽快感を出すとか
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:01:55 ID:Rin6mQS5
>>20
最近のジャンプはいったいどうなってしまったんだ・・・
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:02:25 ID:vRF1gu3V
>>19
定期的にあがる話題だが、チートキャラがからめられないっていうんならまとめWikiの長期連載をざっとみてみることだ、怪物クラスがごろごろいるぞ
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:05:52 ID:P3+BdjYn
一般人でガキのサイトでもそれなりに無双してる

ちょっと特殊能力持ってたり、頑丈だったらもうチート級だぜ
2518:2009/06/04(木) 15:07:54 ID:kIisARKt
いやまぁチートってこともあるんだけど
それ以上にそのキャラがいわゆる悪役側の思想を持つキャラなのよ。
だから召喚して直ぐの頃は大人しくしてても、
そのキャラの思考パターンとして当然のように罪ない一般人を自分の都合のためだけに殺しだしちゃった、と。

例えて言うなら第一部のディオを召喚したら当然のようにトリステインをゾンビの国に変え始めちゃいました、みたいな。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:08:59 ID:Rin6mQS5
少年誌補正で後半の敵がどんどん強くなるとかでバランスをとるんだ
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:10:31 ID:X3otFHXD
まあクロスでどちらかが一方的に蹂躙されるのは、蹂躙されるほうのファンにとっては腹立たしいよね。
何度もそれで荒れたしね。
2818:2009/06/04(木) 15:13:16 ID:kIisARKt
うん、だからこのキャラ使うのは止めるとともに
蹂躙しないでお互いの作品を尊重する作品を書いてる人たちって本当にすごいなぁって思った。
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:16:40 ID:LoBe8HXW
召喚された時点でかなり強い制約を用意するか、
「嫌だぁ、俺はこんな能力なんて使いたくないんだぁ」みたいな姿勢にするか、
『能力を使わずにどこまでやれるか』って状況をゲームをするかのごとく楽しませるか、

こんくらいしか思いつかん。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:22:28 ID:fYREU2zc
>>25
姉妹スレのDIOが召喚された奴は凄まじかったな
ルイズ黒化しまくるしシエスタは人間越えてるしワルドは可哀想だし
まともなのはキュルケだけ

でも面白い
「このキャラが召喚されたらこうする」ってのと
ゼロ魔二次創作としてのラインがギリギリでバランス取ってる
チートキャラだろうと悪思想のキャラだろうと書き方によっちゃどうとでもなるんだよ

ウルトラマンエース召喚とかもエース単体じゃただのチートキャラだけど
次元を越えてヤプールが侵略を〜とか工夫して戦う相手作ってる

要は書き手の腕と工夫
頭使って考えればなんとかなる
ゼロ魔の世界観はいい意味で穴もいっぱいあるしな
頑張れよ
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:31:28 ID:UVm+dWiL
>>30

ハルケギニア舞台で原作敵呼び寄せてバランスとるのって、ゼロ魔キャラ置いてきぼりになる可能性大じゃない?
結局書き手次第って言えばそこまでだろうけど


あとキュルケは原作でも一見破天荒だけど、普通に常識人してると思うw
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:33:30 ID:RzmZLber
>>30
黒化どころか人間ですらなくなっている件について
モンモン・タバサは肉の芽植えつけられてるし

確かに面白かったけど、話が続くにつれてだんだん悲劇的な結末しか想像出来なくなってて
読んでて辛かった
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:37:33 ID:fYREU2zc
>>31
まぁ確かに置いてきぼりになる感は出るかもしれんけど工夫してなんとか・・・

もっかいエース召喚の奴を例に出すけど原作からの既存敵のフーケを
ヤプールの策と組み合わせて使って新しい怪獣を、みたいなことをやってたよね

それに強い異世界の敵が出てきたらゼロ魔原作では敵同士だったキャラが
強敵を前にして共闘、みたいな展開も出来るし
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:43:31 ID:0J45L1iT
そのエース召喚が嫌いだ


って人がそろそろ湧いてきそうな気がするから、えぇと……どうしたらいいんだろ
いや俺はエースファンなんですけど
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:46:30 ID:fYREU2zc
>>34
確かに一作品をタイトル出して例に挙げまくるのはアレだなw
スマソ自重しますね
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:53:52 ID:UVm+dWiL
エース召還は趣味じゃないから読んでないけど、なんとなーくゼロ魔ストーリー置いてきぼりにしてそうなイメージがあるな……

いや、そうじゃないならスマン
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 15:55:12 ID:M/G1d2AQ
好みの問題なんだろうが、召喚されたキャラの強さどうこうより世界観が保てるかどうかを気を付けるべきなんじゃね
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 16:04:13 ID:0J45L1iT
読者個人個人の感じ方でもありますからねぃ。

極端に言えば、ゼロ魔原作読者に
「原作に少しでも手を加えるなんてとんでもない!」
って人もいるかも分かりませんし。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 16:04:56 ID:xDQo7Yyv
流れを読まずに、ゼロスポーンの代理投下しちゃって大丈夫でしょうか?
大体5分後くらいに
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 16:07:13 ID:PPlrPeAg
ナイス流れ斬り
41ゼロスポーン3前半 代理投下:2009/06/04(木) 16:10:07 ID:xDQo7Yyv
悪魔(Devil n.)
われわれ人間のあらゆる災いを創始した者、この世のあらゆる良きものを所有する者。
彼を作り出したのは全能の神であるが、彼に生を授け、彼をこの世にもたらしたのは、おんなにほかならない。
岩波文庫『新編悪魔の辞典』ビアス著 西川正身編訳

微かな淡い光、狐火の如く揺れる粒子の棲家、冷たい。ここはどこなんだ。また、見知らぬ次元にでも迷い込んだか。
仄白い世界の中でスポーンは立ち尽くした。何もない。何もない。
無音に支配された空間、孤独の檻の中でスポーンは揺蕩う。
静かだ。あまりにも静かだ。静かすぎる。空虚さだけがスポーンにまとわりついてくる。
──スポーン、スポーン
どこかで自分を呼ぶ声が聞こえる。スポーンは辺りを見回した。懐かしく響く音色のような声。
スポーンの胸奥に木霊する声色。あの声は……
──どこにいるッ、アンジュラッ、俺はここだッッ、ここにいるッッ!
スポーンはあらん限りに叫んだ。声帯が激しく震える。拳を握り締めた。掌に食い込む爪。
スポーンは怒りを示した。この世界に怒りを示した。やり場の無い怒りを示した。
世界が暗転する。凄まじい光が視界を遮った。視神経ごと網膜が灼け尽きそうだ。
両腕で顔をガードするとスポーンは瞼を閉じた。光が徐々に消えていく。数秒の時が流れた。そっと瞼を開く。
そこはいつもの世界──魔法学院の屋根の上だった。夢だったのか。はっきりと覚えていない。
辺りを凝視した。やはりいつもの学院内だ。
建物から飛び降りると宝物庫からかっぱらってきた蓄音機を脇に抱えスポーンはルイズの部屋へと戻った。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
クラウンがギーシュに慰めの言葉をかけながら、肩を組んだ。もう一方の手でギーシュの二の腕──静脈を探る。
紫に変色した重度の歯槽膿漏を煩った歯茎が犬の糞以下の臭気を辺りにぷんぷんと振りまく。
「おいおい、相棒。たかが女にフラレただけじゃねえか、女なんてもんはそこら中に転がってるもんだろ。石ころみてえにな」
「ああ、だけどクラウン、彼女はモンモラシーは僕にとってかけがえのない女性だったんだ……」
歯滓を舌でそぎ落としながら、クラウンがウインクを一つ。ろくでもないアイディアの合図。
「愛って奴はな、ギーシュ、人を縛り付けるもんだ。愛はお前を傷つける。愛は決してお前を癒しはしないんだ」
クラウンが半グレインのモルヒネを迷わずギーシュの静脈に突き刺した。針が滑らかなに血管へと潜る。
ゆっくりとピストンを押す。血管内部で血液と溶け合うモルヒネ。
ゆるやかな眠気──途端に心地よい温もりと酩酊感がギーシュの全身を愛撫する。
暖かい。身体中の筋肉が弛緩する。恍惚とした気だるさにギーシュの唇が緩んだ。瞳が虚空をさまよう。
「さあ、つれえ事はこの際、ぱあっと忘れちまうべや、なあギーシュ。いいじゃねえかよ、お前は愛から開放されたんだぜ。
あの糞忌々しい愛って奴からよ」
女で傷ついたときゃ、女で癒すのが一番さとクラウンは顔で笑い、心で嗤いながらギーシュを引き連れて学園から飛び出す。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
分裂した五つの魂──精神世界をあてもなく漂流する。マレボルギアに砕かれた魂──闘天使アンジェラの亡骸。
底無しの闇と虚無感に責め苛まれ、灰色の膜に覆われたベールの世界から魂達は逃れられずにいた。
──スポーン、スポーン


42ゼロスポーン3前編 代理投下:2009/06/04(木) 16:11:14 ID:xDQo7Yyv
何度も名前を呼び続けた。呼びかけはいつも虚しく響くだけだ。それでも、呼ばずにはいられない。
神の犬、神の奴隷──アンジェラはスポーンとともに天界から逃げた。
──スポーン、スポーン
その時、アンジュラの耳に叫び声が轟いた。余りにも懐かしい響き──スポーンの声が聞こえた。
アンジュラは何かが不意に目の前に現れたことを悟った。
目の前に現れた巨大な鏡──アンジュラの散らばった魂が徐々に形成されていく。
鏡がアンジュラを誘った。アンジュラが鏡と対峙する。彼女には確信があった。
この鏡のなかを進めば、スポーンにもう一度、出会えるであろう事を。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
厳かに煌く双月の重苦しいオーラ──息が詰まりそうだ。
大地に横たわった女性を揺り動かす。反応は無い。少なくとも死んではいないようだ。
不思議な光沢を帯びた鎧を身に纏う女性──人間を召喚してしまったのか。
タバサが感情を表さぬ明眸で女性──アンジュラを見つめる。ふとタバサは懐かしい感情を覚えた。
アンジュラの中にタバサは母の面影を垣間見た。タバサの瞳が僅かに潤む。土で汚れたアンジェラの頬を布で拭う。
夜空では相変わらず双月が煌々と光をたたえていた。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
いつもの部屋。傍らで眠るルイズの寝息。スポーンはルイズの寝顔に己の顔を近づけた。
憔悴し、やや青ざめたように見えるルイズの肌色。指腹でルイズの頬を触れる。不遜な陶磁器のように滑らかな白い肌だ。
こすれた肌から柔らかなくすんだ汗の匂いがした。少女特有の汗の匂いだ。生気を孕んだ少女特有の汗の匂いだ。
少女の毛穴から汗に混じった微かな体臭がした。スポーンがルイズを起こそうと肩に手をかける。
「起きろ、ルイズ。面白いものを見つけたぞ」
「んん……」
寝返りを打つルイズ──スポーンは蓄音機を床に置くとレコードに針を置いた。忙しなく回り始める円盤。
曲が流れ出した。ギターをかき鳴らす音。

朝早く
おまえがドアをノックして
朝早くに
おまえがドアをノックして
俺はいうんだ 「よう、悪魔、もういくのか」
 
俺と悪魔は一緒に並んで歩く
俺と悪魔は一緒に並んで歩く

俺は女をぶん殴ったよ
気の済むまでさ

ロバート・ジョンソンの痛切な歌声がスポーンの脳内に響いた。
他人の女を寝取り、毒殺された伝説のブルースマンのウイスキーで適度に灼けた張りのある声。
「Me and the Devil Blues」を聴くほどにスポーンは惨めな気分に晒された。
ギターの弦が振動するほどに心が溶かした鉛でも流し込んでいくかのように重苦しくなっていく。
最愛の女ワンダ──今ではテリーと一緒にいる。親友に妻を寝取られた哀れなコキュ。

オレをハイウェイの側に埋めてくれないかい
「ベイビー、オレが死んだからって、何処に埋めようがかまいやしないんだ」

感情を無理やり攪拌されたような胸糞悪さにスポーンはいきり立った。蓄音機を掴むと床に力いっぱい振り下ろした。
振り下ろした。振り下ろした。振り下ろした。振り下ろした。振り下ろした。振り下ろした。
驚いたルイズが眼を覚ます。もはや原形すら留めぬ蓄音機をスポーンは窓から放り投げた。
「ど、どうしたっていうのッ」
陰惨な表情を相貌に張り付かせ、スポーンはしわがれた声を出して答えた。
「なんでもない。なんでもないんだよ、ルイズ」
スポーンは割れた窓から抜けるようにすっと闇夜に紛れた。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
盗賊のフーケにとって、今宵ほどついていない夜も無かっただろう。文字通りの災難だ。
スポーンはただ、八つ当たりがしたかった。それには格好の獲物が必要だ。
丁度良い獲物──スポーンの両眼がゴーレムの肩に跨った盗賊の姿を捉えていた。
──鬱陶しい夜にはメイジを殺すのが一番だ。
43ゼロスポーン3前編 代理投下:2009/06/04(木) 16:13:00 ID:xDQo7Yyv
投稿終了。後編は今週中に投稿いたします。



申し訳ありません「前半」じゃなくて「前編」でしたorz
44ゼロスポーン3前編 代理投下:2009/06/04(木) 16:16:50 ID:xDQo7Yyv
っとと、投下終了宣言忘れてた
以上で、代理投下終了いたします
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 16:24:14 ID:PPlrPeAg
乙ー
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:01:26 ID:zOX5VHu0
>>38
そういう人はここにもいましたよ
「ここではゼロ魔キャラは呼ばれる他作品キャラを圧倒するべきだ」と主張されてる方が
以前居られました
今どうされてるか存じませんが
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:25:32 ID:6CdsoFzQ
戦闘力がインフレした場合に取り残されるのはギーシュよりキュルケなイメージだなあ
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:32:18 ID:yK5GYeij
まあキュルケはラブコメ方面でも取り残された(というか脱落した)から……
49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:40:11 ID:RzmZLber
>>47
使い魔の使い勝手が悪いからかもしれないw
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:47:36 ID:fYREU2zc
フレイム・・・
飛べないし火出すだけならキュルケだけで十分だしな・・・
しかも動きトロそうだし無駄に大きいから舞台移動する時は大抵留守番
ギーシュのモグラ以上に使えない


シルフィ優秀過ぎなのねきゅいきゅい
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:48:28 ID:FqwuaeAP
前になんでゼロ魔キャラが、どこの馬の骨とも分からないやつに負けなきゃならないんだとか、ほざいた奴もいたっけ・・・
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:48:48 ID:0VynnZqG
単純に空を飛べるってだけでも出番は沢山あるからな
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:53:20 ID:RzmZLber
>>50
護衛役としては優秀だが、それ以外(伝令・諜報・探索・移動手段)ではマルコリやオスマンの使い魔よりも
動かしづらいキャラだな
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:55:21 ID:qvtMIzNt
某白兎もちょっと凄い主婦に
「空を飛べるだけでこんなにも展開を有利に運ぶことが出来るのよ」
と言われてたな
55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 17:59:22 ID:1wkDIN3p
>>51
きっとその人は、トリステイン貴族なんだよ。
貴族が平民(貴族以外の全て)に負けるはずないってやつだw
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 18:00:48 ID:1wkDIN3p
ごめんうっかりageてしまった
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 18:36:01 ID:yK5GYeij
意味も無く皮肉を言う人、僕はl嫌いです。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 18:49:22 ID:uP5fyoV1
スポーンの人、代理の人、乙。
やっぱり原作終了後の召喚だったんだ。
椅子生活から復活できたバイオレーター、マジ幸運。
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:11:12 ID:gewKSXAx
戦闘力で考えた場合、リアル格闘モノ以外の能力持ちだと、
ゼロ魔は最弱の部類に入るからな。
(俺は、メインがバトルではなくラブコメだから仕方無いと思ってるが)
バトル・戦闘力的に蹂躙されるのは、ある意味避けられないとも言える。
だからこそ、戦闘をメインにしない作者の話は好きだ。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:14:27 ID:pgk+yO74
>>46
そもそもクロス物って、たいがいは受け手からチートを期待されてるんじゃないかなぁ
ここで誰々を希望って話が出ると、召喚前のサイト並の「ただの人」って滅多に上がらないよね?
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:20:17 ID:6CdsoFzQ
同じファンタジーの場合は虚無とガンダールヴの槍以外は召喚された側の方が強い事が多いしなあ

海外のファンタジーの魔法使いって日本のRPGじみた魔法は少なくて
無茶苦茶な性能のマジックアイテムを作る職人みたいな感じが多くない?
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:21:34 ID:2CVssUk1
谷崎潤一郎『春琴抄』から佐助を召喚

一片のデレをも拒絶する極北のマゾヒズム
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:26:09 ID:tBsr5vMS
流れを切って悪いが、サイトの使い魔のルーンってどこに表れたっけ?
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:31:31 ID:fYREU2zc
>>63
左手の甲
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:39:02 ID:+uqPIN7A
強かろうが弱かろうが原作に敬意を払って書くことが大事だと思うけどね
テンプレにも書いてあるし
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:42:19 ID:tBsr5vMS
>>64サンクス
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:50:09 ID:DnuAY4Bg
>>60
本質的には期待されてるのはチートではなく(チートも少なからずあるとは思うが)、「原作と違う展開」だと思うよ。
「ただのひと」だとサイトと違う展開にするのが酷く難しい。
戦闘力でサイトと大差ないキャラでも、大体は知識とか技術とか人間的魅力とかで差別化してるはず。
あえて「ただの人」で召喚するなら、現代日本とは全く別の常識を持つ世界から召喚して、
反応や行動や考え方で差別化するしかないんじゃないかな。
ただ、そういう「全く別の常識に沿って行動する主人公」で読者の共感が得られるかというと難しい所だと思う。
近い成功例としてはローマ兵召喚とか、メロス召喚とかがあるが・・・
前者は兵士だから結構強い上にサイトと並行召喚だし、後者は勢いで突っ走った一発ネタだからなw
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:54:31 ID:xXaG7K3R
絶望先生、やわらか戦車あたりはガチで弱い
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:55:50 ID:yGMJKRRG
前にアイディア出てたゼオライマー召喚で契約したルイズにマサキDLを
俺なりに考えようとしたが
ワルドにオムザックとか与えてガチバトルとか考えても
結局はハルケギニア蹂躪にしかならんのでどうしたもんか
ギーシュ抹殺→おマチさん抹殺→アルビオン破壊→タルブ踏み潰す→艦隊消滅→七万消滅
うん、正直なぞろうとしたら初っ端からルイズが居場所無くす展開だわ
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 19:57:56 ID:2P0FHeEr
>「全く別の常識に沿って行動する主人公」

なぜか嘘喰いの貘さんが思い浮かんだ。
個人的には門倉さん召喚のが面白そうだけど。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:00:01 ID:tBsr5vMS
自分は趙公明のSSが思い浮かんだ
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:04:08 ID:Z7a8NZIL
まああれだ面白けりゃいいんだよ
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:12:01 ID:KoBoP2hZ
貘さんはカリ梅の現地調達をどうするかだな

ギーシュは梶君ポジションでw
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:18:42 ID:yFWDIDiB
賭郎あっての嘘喰いだし、ギャンブルとか考えるの多すぎて、読みたいけれど書くのは恐ろしく大変そうだ。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:45:01 ID:pgk+yO74
>>72
そりゃまぁ文句言う人の大半は主観と客観の区別が付いていないからね
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:46:32 ID:e0pbOgAG
>>61
>無茶苦茶な性能のマジックアイテムを作る職人
アーティファクサーとしての腕前と魔法の腕が備わってるヤツというとウルザしか浮かんでこない俺。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:51:21 ID:CyldKR7g
>>31
ゼロ魔原作キャラを全員活かそうと思わずに、
特定のキャラにスポットを当ててみると随分ラクになると思う
その結果話の本筋から干されるキャラがいたとしても、
別のストーリーを辿っているんだからある程度仕方ないんじゃないかな
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:52:28 ID:oP/D3cVl
テンプレをさ、全く無視、例えばルイズに呼ばれてもルイズと契約を結ばずに動くってのは有りかな?それとも避難所行き?
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:55:02 ID:KB0p8bjN
>>78
その程度で避難所行きでたまるかよ
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:59:05 ID:gewKSXAx
>>76
アトリエがあるじゃないか
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:10:54 ID:0VynnZqG
>>75
いや、面白いかどうかってのも所詮主観だと思うぞ?
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:13:54 ID:avx2ZH6W
ルーンで思い出したがアニメだと他の普通の使い魔のルーンもちゃんと設定されてるんだよな
読めるはずだが面倒で試して無い
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:14:40 ID:FqwuaeAP
その主観を他人にまで押し付けるから、おかしくなるんだよなあ。
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:20:52 ID:Rin6mQS5
>>78
むしろそういうのを待ってる人も多いはず
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:26:57 ID:pgk+yO74
>>81
それでは毒吐きスレを見てみよう
もう笑っちゃうしかないぞ
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:30:35 ID:yK5GYeij
その笑っちゃうしかないという感想も主観なんですね。わかります。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:33:38 ID:1+yZO8Vm
>>85
前々から思っていたんだが、毒吐き相手ならそういうレスも本スレで良いのか?
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:35:05 ID:oP/D3cVl
>>79>>84
そか。ちょっと安心した。dクス
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:36:53 ID:OPTseyA7
>>85
ああいうのは主観でしかないと自覚してるからわざわざ隔離スレでやってんじゃないのか
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:41:56 ID:i7/B3Kfn
少なくとも、わざわざ毒吐き行って毒吐いてる連中のほうが、>>85よりは分別があるな
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:42:03 ID:5jNUGy5C
>>87
単にスレの空気を悪くしたい人みたいだから、無視したほうがいい。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:51:09 ID:pgk+yO74
>>90
なるほど、毒にプライドを持ってたのか君
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:56:36 ID:yK5GYeij
>>92
めんどくさいから、ID変わるまで書き込むなよ。
続きやるんだったら毒吐きでやれ。俺も含めて。
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 21:56:57 ID:i7/B3Kfn
>>91の言ったとおりみたいだな
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:01:55 ID:9y2PIgAX
毒にプライド持たないと毒を使う人たちに怒られるぞ

ポケモンのキョウとかロケット団に

…毒使いの使い魔って今の所誰がいたっけ?
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:01:58 ID:Ozfv3SDA
>>92
皆を代表して言ってやる

お前はスレ住人全員を敵に廻した
死ね
今死ね
すぐ死ね
絶対死ね
他人を扱き下ろして喜ぶ屑野郎はさっさと首釣って死ね
わかっったかクソ野郎y
必死になって荒らすなよ?判ったか馬鹿
お前は毒吐きに来るな
来たらころぬ
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:02:37 ID:KfTVNAZC
避難所に代理依頼来てなかったか?
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:03:19 ID:ryBAY/Db
>>95
とりあえずジャンガが一番に浮かんだ
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:05:29 ID:mVG2fSnO
代理はメイドとスポーンだろ?
もう投下済みだよ
それ以前のはどうだか知らんがw
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:07:37 ID:b3vDtcsY
みんな纏めて避難所へ行ってくれない?
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:10:12 ID:UVm+dWiL
おっぱい吸うならルイズおっぱい揉むならティファニア
おっぱいで奉仕させるならシエスタ
不倫するならアンアン
だよな
嫁にするなら何だかんだいってキュルケが最適だと思うのだが
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:13:34 ID:6YbK3N9s
>>101
貴族なんて嫁にしたら、すぐに破産してしまうわ。
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:14:32 ID:ryBAY/Db
>>101
何故そこでタバサの名前が出ない!?
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:15:43 ID:oMbd7yJg
>>103
周りの家臣がウザイ(カステラとかカステラとか)
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:16:52 ID:6YbK3N9s
「南蛮天狗カルタ!」  「同じく カステラ!」
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:18:11 ID:9y2PIgAX
おっぱいなんてどこがいいんだ?



ふとももこそ至高だというのに
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:19:44 ID:UVm+dWiL
>>106
ボンレスハムなんぞ食い物ではないッ!
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:20:48 ID:6YbK3N9s
>>106
わかってるじゃないか。
ふとももが美味いんだよな。乳なんて脂肪ばかりで胸やけしちゃうよ。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:20:54 ID:FqwuaeAP
分かっていないな、うなじこそ究極。
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:25:23 ID:Rin6mQS5
おしり>くちびる>くびれ>へそ>うなじ>さこつ>わき>・・・>おめこ
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:26:18 ID:V+oG6GQN
>>109
鳥の首肉って結構うまいよね
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:26:56 ID:tBsr5vMS
女性といったら手が至高
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:28:00 ID:Tq7OONqb
女は腹だよ
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:28:44 ID:UVm+dWiL
>>112
君は切った爪集めるのが趣味の人ですねわかります
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:30:11 ID:xXaG7K3R
親指の付け根はおいしそう
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:33:09 ID:+uqPIN7A
>>114
なぜかナマヅメハーガス思い出した
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:36:32 ID:+2ZjlKGz
どんなキャラしてたかは一切記憶にないのに「生爪スプラッシュ」だけは覚えてるなw
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:36:32 ID:ryBAY/Db
そういや格闘ゲームのキャラが呼ばれてる作品は有るけど、女性キャラはあまり居ないな…
マスターとの対称でセクシー系の女性格闘家が呼ばれて、戦う際に揺れる使い魔の胸に落ち込むルイズとかアリじゃね?w
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:37:40 ID:tBsr5vMS
>>114今年は爪の伸びが早いです
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:37:48 ID:9y2PIgAX
不知火舞か…
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:40:35 ID:UVm+dWiL
>>119
救急車にひかれないようにね
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:45:01 ID:6JAz//d7
格闘系でおっぱいというと、かすみとかあやねとかのインチキ忍者もいるなw
くのいちキャラはおっぱいでかいヤツが多いな
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:49:17 ID:KM4O/N6H
格闘+魔法といえば豪血寺のクララだろ。
「私の使い魔になりなさい」
「豚になれー」
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:51:45 ID:oP/D3cVl
>>122
そらお前くのいちだからな。
色仕掛けしなきゃ
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:52:28 ID:lS3FOsXJ
>>120

つ春麗
つキャミィ
つモリガン
つフェリシア
多分まだまだいると思われ。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:53:44 ID:6Lqv+YGG
>>78 ゴクドーユーコットキカンスキーですね。わかります
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:53:51 ID:P3+BdjYn
ほぼ雑談だけで100レス以上て……
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:54:17 ID:vRF1gu3V
爪といったらベアークロー

コーホー
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 22:57:29 ID:X3otFHXD
>>101
キュルケは自分自身がいい男(外見的な意味ではない)でないと捨てられそうだな。
それか一時の遊び相手。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:05:29 ID:wx92l13X
プリセラは・・・格闘タイプだけどそれほど巨乳ってイメージは無いな

虚無のパズルでの活躍に期待
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:08:43 ID:ryBAY/Db
有名どころばっかでなくて、レインボー・ミカとかローズとかは出ないのか?w
この二人って乳だけで言うなら90台後半だぞ(まぁ前者は全体的にふとましいが)
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:18:12 ID:qvtMIzNt
乳がでかくちゃ動きにくいだけじゃないか



…とりあえずエレ姉様以上あれb(ry
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:23:04 ID:S/K/LuJp
乳といえばクィーンズブレイド
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:23:47 ID:oP/D3cVl
一応ティファ・ロックハートも格ゲー出てるな。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:34:50 ID:VCVpQhgn
格ゲーじゃないけどルナ・ウイングのパティとか…



誰も知らんか、忘れてくれ
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:39:20 ID:nP0Uyjvt
乳が凶器な武闘派…乱菊姐さんとか?
高校の制服着て現世来てたが、まさかあれで10代なのか…

>>69
本編終了後のノリならギャグになるから大丈夫だw
必死にミクを探し回り、テファに召喚されてるのを見付けたら土下座で頼み込む
「頼むよ〜ミク様!君が居ないとゼオライマー、力出ないんだもんっ!」
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:41:27 ID:N5OBjgY1
>>132
格闘とかの話の流れでエレ姉さんと読んで、純粋に影技のエレしか出てこなかったんだぜ…。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:42:46 ID:CqtQtAK0
>春麗
VSシリーズ設定なら歩いて地球に帰ってしまう

>モリガン
空腹具合次第で最初のキスで吸われて恍惚の内にルイズ死亡

>フェリシア
ハンター・セイヴァー以降なら孤児院や仲間の世話があるので使い魔どころじゃない
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:46:01 ID:6slHNXV1
スタイル抜群で格闘キャラだとエアマスターの主人公とか
空気の流れ読むとか風系統のメイジみたいなことが出来るぜ
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:48:27 ID:Rin6mQS5
ローグ→契約のキスで虚無を習得
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:55:08 ID:rpBOhcRq
>>137
何言ってんだよ
彼女はエレ姉さんじゃなくてエレ姉だろ?

そもそも彼女のアレは乳房じゃなくて大胸k(ry
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 23:59:28 ID:1+yZO8Vm
>>139
召喚してしばらく経ったら、どこからともなくジュリーが聞こえてきそうだな
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 00:05:14 ID:3Y/l07n/
>>141
それ差し引いても結構なサイズのバストと均整の取れたスタイル、
整った顔立ち、まともな服装して黙っていれば凄いの美女らしい。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 00:16:49 ID:mNfQzmYw
>>134
脱衣KO搭載のMUGENの方かと一瞬思ってしまったが、エアガイツの方かw
とことん自分の脳が煩悩に溢れまくってる事を自覚させられた
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 00:42:47 ID:Eo+brM9c
乗り遅れたが、乳が凶器という意味では
グレネーダーの琉朱菜とか

予備弾丸が手に入らないのが難点だが、
あの乳にはどれだけ詰まってるんだろうか
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 00:43:41 ID:E0W4+7rI
誰か大江戸ファイトから召喚して、余りのグロさにルイズをドン引きさせる猛者は居ないか?
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 00:52:49 ID:timFQ9AB
よくわからんがあんまりグロいとルイズだけでなく読者もドン引き
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 00:53:30 ID:e+d3GQUM
負けたくて負けたくて仕方が無くて、名前まで負けを求めて変えてしまった謎多き剣客・独孤求敗……の噂が召喚されたようです
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 01:30:48 ID:e+d3GQUM
俺が時を止めた…00:53の時点でな…
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 01:35:11 ID:xRAOz/5L
>>149
スレ違いではないが、姉妹スレに言った方がよいと思います。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 01:40:17 ID:e+d3GQUM
止め返されるから怖いです
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 01:42:34 ID:0I77vhfD
敗北を知りたい最強死刑囚たちが召喚されて阿鼻叫喚に
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 01:48:50 ID:timFQ9AB
どこのクロスロードだ
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 01:52:08 ID:wWeoK92g
>>152
あの人たち、敗北が知りたいとか言っておきながら、負けそうになると逃げるけどなw
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:06:43 ID:3Y/l07n/
>>154
生きてさえいれば負けないからな。

まぁ最近は「板垣だから」で説明つくようになってきた気がするが。
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:17:29 ID:kkg8tCgV
>>154
いやいやそういうのも含めて完全敗北したいんだろ
暗器・不意打ち・逃走・人質ありとあらゆる戦法を使ってなお完全敗北したいんだよ
別に連中は格闘がしたいわけじゃない
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:25:06 ID:xG1SqNdA
戦いなんてくだらないぜ
俺の歌を聞けぇ
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:27:27 ID:dfBUtBRO
>>158
最終的な目的がジョゼフの心を震わせることになりそうだな
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:30:24 ID:4KpunI+T
ここは某音速の青いハリネズミを
最近似たような世界観が舞台のゲームが出たばかりだし
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:31:33 ID:/X6j0aVg
そして歌い出すんだな。

その直後にイザベラ守って死にそうだが。
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:47:33 ID:K7p8Tj6J
そういえば前から思ってたけどこのスレって多重クロスは禁止なの?
もちろんゼロ魔キャラがメインでだけど。
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:48:29 ID:Fry+glxo
歌か…

モスラ〜や、モスラ〜、ドゥンガカサークヤ、イゥンドム〜
(うろ覚え)
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:50:20 ID:pOHvc9jG
>>161
特に禁止されてはいないが難易度が高いぞ。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:52:53 ID:tOpJWdkq
多重クロスの成功例は見たことないな
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:53:41 ID:timFQ9AB
>>159
…仮に作者と作品がまともでも、読者に厨が湧くんじゃないかなヤツは
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 02:58:45 ID:K7p8Tj6J
>>163
そうなのか。いや実は最近ディケイド見てさ。
ルイズがディケイドの様にさまざまな世界をめぐる話なんてどうかな〜と思ってw
世界の滅びを防ぐためサイト(またはキュルケ)と9つの釘宮の世界をめぐる話。
ディケイドベルトを召還するも変身できるのはライダーじゃなくて各作品の釘宮キャラだけw

俺にはゼロ魔以外ではシャナとハヤテぐらいしかよくわかんないから無理だけど…
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 03:02:19 ID:vVnQXiXz
それで面白いものかけたら尊敬するってレベルだなぁ
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 03:12:19 ID:timFQ9AB
……さよりなパラレル?
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 03:12:33 ID:W6E37pY5
ブルーベリー色の全裸の巨人召喚希望
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 03:17:07 ID:SmFYQ9by
昔、多重クロスは禁止されていると勘違いした書き手がぎゃーぎゃー喚いたことがあったが。
多重クロスは、作者つながり、世界観つながりというのも含めると、
ゼロの魔王伝とかバビルU世召喚は、作品のつながりはないけど作者つながり。
ウルトラ五番目の人は円谷繋がり。
まったく世界観にも作家にも関係ないので「三人」というのがあるが、これは関西弁繋がり。
ざっと思い出す限りでも、そこそこある。まだあるかもしれない。
成功例はただ一つ、ではなくてこれらを成功例とするかどうかはおいといて、よく調べたら解ることなんだよね。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 03:59:38 ID:b+1Vw6sz
>>159
ソニックは他人に従属したりするのが嫌いなんだよなあ
最新作だと魔法使いの少女に剣と魔法の世界に召喚されて喋る剣を相棒に戦ったりしてたけど
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 04:25:47 ID:afDYDlmg
>>76
機工魔術師の主人公とかか?
チートな魔石とかも有るし
エンチャンター自体悪魔と契約した対価としてその力相応のレベルだけど武器作る際に効果をイメージしながら造ればその通りの効果を付加された武器や道具作れるってトンデモだ

晴彦は中盤以降素で自由に次元行き来するし竜も飼い慣らしてるチートな人
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 04:39:06 ID:4KpunI+T
>>171
何だかんだ言っても女の子には弱いし
使い魔にされても悪い気はしないだろ
最後はルイズの成長を見届けてから去るだろうけど
トリステインを数十秒で一周走ったりしそうだ
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 04:43:22 ID:ewpKINl6
ここで、スパナ(と称する棒)を持った青年?を召喚


無理だ
能力的に
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 05:04:09 ID:dIIKf29Z
>>172
次元を切り開くの失敗して死ぬ寸前のフルカネルリを召喚して、だらだらと世界設定すりあわせ漫談垂れ流しでもやろうかしら、と思ってオープニングまで書いたものの、
そうすっとエンチャンター本編が始まらない事に気付いてどうしようかと悩んで数ヶ月が経って18巻と19巻が出て書いたのと似たようなシーンが出てきて凹んでるところだ。

ハルヒコさんの方は優香姉とお近づきになるチャンスがないままマナに告白されてラブコメやってる事でいいかしら、と思いつつ、ユウカナリアの扱いがどうしても……。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 05:22:53 ID:UkwBxXDd
>>162
ルスト〜ウィラ〜ドア ハンバ〜ハンバ〜ムヤ

怪獣とか図体のデカイやつはそれだけで扱い辛いな
かといってコスモスなんぞ召喚したら

モスラが普通に時空を超えてやってきそうだ、ゴジラ以上に何でもありな生物だし
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 05:31:47 ID:SMlDlORo
DearSみたいな「むしろ望むところだ」的キャラが召喚された例ってあったっけ?
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 05:59:15 ID:igehtUGj
ラスボスの人も多重クロスだと思うぞ?
全部スパロボ枠だけど、スパヒロ、αシリーズ、OG・コンパチシリーズ、無限のフロンティアは全部別世界だからな。
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 06:52:10 ID:7gCK37xA
>>166
他には「ロザリオとバンパイア」と「あかね色に染まる坂」がある。
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 07:01:49 ID:2Jv16mJn
意外と知られていない所だと撲殺天使ドクロちゃんのサバトちゃんとかルビーグルームのルビーなんかも釘宮だな
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 07:06:33 ID:INLtDDyl
FF4のパロポロやサモンナイト3のアリーゼも釘宮です。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 07:13:36 ID:8/AsflCw
月光条例から青い月の光を召喚
ジョゼフとかヴィットーリオがこれで狂ったとかw
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 07:18:15 ID:2Jv16mJn
青い月の光って童話キャラクターだけじゃなくて人間が見ても狂うんだっけ?
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 07:21:38 ID:XKyrR9R+
>>166
変身して楽しそうなのって、銀魂の神楽ぐらいか、後は?
鋼の錬金術師のアルの子供の頃とか変身してもできることなさそうだし。

まいにちいっしょのテレビさん(980円)とかどうだろう
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 07:23:20 ID:SMlDlORo
うたわれるもの:カミュ
恋する乙女と守護の楯:如月修史(山田妙子)
鋼の錬金術師:アルフォンス・エルリック
とらドラ!:逢坂大河
リリカルなのは:アリサ・バニングス

まだ出てない作品だと俺の知っている釘宮世界はこのあたりが限界
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 07:24:05 ID:XKyrR9R+
月光条例クロスだと、「ゼロの使い魔」に青い月の光が降り注いで、こっちの世界にルイズ(自分が物語の登場人物だと知ってる)
が出てくるって話になるんじゃね?

それかゼロ魔世界の物語の登場人物(イーヴァルディーの勇者とか)が実体化して、執行者になったルイズが戦うとか。
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 07:25:08 ID:XKyrR9R+
あれ、アルってずっと釘宮だっけ? 違うと思ってた。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 07:38:33 ID:8/AsflCw
>>186
そうなったら、コピペの人は嬉しすぎて死ぬんだろうな。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 08:07:09 ID:qtd12vfq
ディケイドものだと、
まずその世界を象徴する絵を考えて、
その世界での役割(基本的には脇役ポジション)を考えて、
その世界の住人とどういう風に絡むのかを考えて、
説教の内容を考えて、
ファイナルフォームライドでどうなるのかを考えて、
余裕があったらディエンドが狙うお宝も考えて……と、考えなきゃならんことが多すぎるから断念した。
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 08:22:54 ID:DWzgtOUb
>>171
「従属」は嫌っても退学かかってるからと「お願い」されたら断れなさそうなお人よしでもある
カオスエメラルド持ってれば普通に帰れそうな気がするが
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 08:36:06 ID:XI3kX86U
>>171
アニメ版では結構主人公に付き合ったりしてくれたしな。1期最終話とか。
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 08:38:39 ID:2Jv16mJn
人間にすら有無を言わさず無理やり契約したのが獣人相手にお願いなんかするわけない
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 09:26:32 ID:MAly1tAJ
ハンドメイド・メイのレナとか、後はぽてまよ、ひだまりスケッチ、つよきす
釘宮無駄使いと言われるキャラがけっこうあちこちに居る
はたまたツンデレ家電や妹CD、サウンドドロップまで
伊達に山寺や風音と並ぶ、声優界の過労死候補と言われてない
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 09:45:08 ID:oETXDVag
>>153
ここが武林の分かれ道

4巻終了後のリョウカは普通に強いからなぁ
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 10:11:19 ID:xG1SqNdA
今釘宮のwikipediaの項目見てみたらタガメの錬金術師が釘宮だった…
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 10:29:23 ID:O08C3xtN
>193
ぽてまよは2役やってるんだっけ?
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 10:33:31 ID:bhZo6toH
格ゲーといえばサノス(ジェムやキューブは不所持で)って「使い魔としては」当たりかな。笑いながら皆殺しかワープで帰りそうだが
天才科学者だしギャラクタスのヘラルドに素手で圧勝するぐらいの芸当は出来る
戦略練るのも得意だし自分より強い奴に脅されても受け流す

気まぐれに協力してくれても部屋がハイテク機材だらけになるが
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 10:38:07 ID:EHKsx4hu
泰麒呼べよ。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 10:51:27 ID:hODhAWSB
いつも思うんだが、ブランカってどんな風に扱われるんだろうな
獣人? ケモノ?
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 10:54:49 ID:elTyMeYE
>199
亜人でない?
人間には見えないし、でも獣にも見えない、人間っぽいものだから。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 11:11:38 ID:9ra56xlr
格ゲか。SNKだとロックや羅将神ミヅキが呼ばれてたな。
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 11:23:52 ID:ZCEm6uZJ
格ゲーキャラ・・・・・・・サイキックフォースの連中はエルフ呼ばわりされるんだろか
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 11:43:46 ID:XbCRbTam
>198
金持ちの平民の子供だと思ったら、実はユニコーンが変身してました
とかだったら、ルイズが喜びそうだな
しかし秦麒って体内に妖怪を飼ってなかったっけ?


小野さん早く続きを書けよ
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 11:52:11 ID:OA5Jz3+5
もういっそワスピーター呼んだら?
戦闘イベントの時に一発でやられて「やっぱりやられたー」が目に浮かぶがw
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 12:18:19 ID:xG1SqNdA
亜人…格闘…
ブラッディロア…?
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 12:25:22 ID:oETXDVag
>金持ちの平民の子供だと思ったら、実はユニコーンが変身してました
クイーンズブレイドからフィオティエル・シェラグリードを呼ぶんですねわかります
金持ちの平民の子供じゃなくて歌姫の子供ですが
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 12:29:09 ID:Eo+brM9c
釘宮で、なぜ「りぜるまいん」が出て来ない
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 12:29:33 ID:ZCEm6uZJ
っつーかザンギエフやダルシムも亜人あつかいされそうだな
イノはキュルケと話が合いそうだ
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 12:33:19 ID:oETXDVag
ギルティギアシリーズのポチョムキンとかもな>亜人扱い
その場合他の虚無の担い手の所にはソルとかディズィーとかジャスティスとかブリジットとか洒落にならない連中が揃うことになるんだろうか…
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 12:38:14 ID:ZCEm6uZJ
>>209
いや、ここは意表をついてリー(イー・アル・カンフー)とか
空手道の主人公とかが呼ばれるんでしょう     さあ牛だ
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 12:39:06 ID:YPnQ0/Pd
釘宮といえばりせちー
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 13:17:36 ID:R8I1ZLi8
テリー召喚
「男なら拳一つで勝負せんかい!」
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 13:19:13 ID:bXNRY4pJ
使い魔のカービィは12話で完結?
まだ続編があるなら読みたいんだが。

ゼロの花嫁で号泣した。続編希望
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 13:23:41 ID:wWeoK92g
>テリー召喚
再召喚された時にこう、「ただいまルイズ」と
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 13:42:08 ID:S9SfPL84
>>212
ギーシュとの決闘理由は間違いなく
テリー「うっおーー!くっあーー!ざけんなーーっ!」
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 13:49:24 ID:4KpunI+T
バナナフィッシュからアッシュ・リンクスと奥村英二を召喚

アッシュ単体だと絶対使い魔になりそうにないので
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 13:53:21 ID:KLdJdLy9
デビュー作の話を頑なにしようとしないお前たちに現実逃避を感じる
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 15:21:05 ID:xG1SqNdA
デビュー作と言ったらちんゆう…
なんでもない…
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 16:01:41 ID:DfVMsrRj
>>176
コスモス(小美人)なんか召喚したら、それこそ学院に繭を張られるな。
ゴジラや東宝三怪獣は盛り上がりそうだが、扱いが難しそうだな。ミニラやゴジラjrだったら言うこと聞きそうだけど。
 
いっそアカデミーの実験室から盗まれた一輪のバラがラグドリアン湖に……
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 16:02:02 ID:XFIEwiS1
そういやザンギエフってアレでいて結構インテリだしなぁ
魔法の授業とかも真面目に聞き入りそうな気がする。
意外とコルベールと気が合うんじゃね?
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 16:11:56 ID:X5LCPxhP
>>220
愛国心の塊だぜ
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 16:23:31 ID:7QQjaZkF
銀魂の神楽も釘宮アルヨ
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 16:47:26 ID:K/iDYbFA
俺の知っている釘宮といえば、召喚したら面白そうなので上げると・・・
アルフォンス・エルリック(鋼の錬金術師)
涅ネム(BLEACH)・・・マユリ様とセット?
マルタ・ルアルディ(テイルズオブシンフォニア/ラタトスクの騎士)

・・・ぐらいしか思いつかなかった。一人はものすごいデレデレ女だな
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 17:11:42 ID:WusLP4zk
魔法→EXバニ
接近→祖国

なんというチートキャラ
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 17:20:02 ID:8/AsflCw
うろ覚え+ネットで得た知識なんだけど、宇宙まで突き抜ける必殺技持ちの都知事だっけ?
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 17:43:11 ID:wuVODsZP
格ゲーと言えば姉妹スレの士郎
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 17:59:04 ID:KdATExo8
ガンダム00のネーナも釘宮だな。
『なんとなくムカついた』でたまたま通りかかっただけの何の関係も無い
結婚式会場を無差別攻撃して全然反省してないと言う極悪キャラだけど。
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:03:31 ID:igehtUGj
>>226
確かにあれは格ゲーだったwこれ以上ないくらい格ゲーだったwww
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:03:42 ID:YvMk/4jQ
>>223
鋼錬のアルは使い魔として理想的かもしれん。
見た目はリビングメイルといえるし、性格は温和でマジメだし。
しかも人型なのでガンダールブとしても戦える。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:10:01 ID:vDZMp2MY
大江戸ロケットの駿平は算学に限れば全釘宮の中でも屈指の頭脳だと思うんだぜ。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:15:18 ID:RJamv8fn
サモン3のアリーゼも釘宮だな
ルイズの態度に対して超説教が発動するかもしれんが
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:16:24 ID:K/iDYbFA
>>227
奴のおかげでルイ“ス”がえらい目に
・・・小熊でも召喚してみるか?

格ゲー・・・テイルズオブシリーズは格ゲーに入る・・・・・・わけない
同じRPGのドラクエやFFは結構召喚されてる
だけど、テイルズは思うより少ないな
どいつもこいつも、アクが強すぎるのが駄目なのか
圧倒的に人気のリオンがいないのは意外な気がする
親善大使ブラザーズ(言い方正しい?)はあるな
必殺仕事人・攻略王・スケベ大魔王・鬼畜眼鏡・おっさん・パパ程度はあってもいいような
女たらしの巫女は、騒動の元になるので、ご遠慮願いたいですが
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:21:02 ID:9Eed1XLp
御大将召喚モノってないのか?
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:21:30 ID:Fry+glxo
釘宮といえば、停止中のシャナ召喚のやつはもろ声優ネタできとったな
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:31:35 ID:igehtUGj
>>233
小生は、絶好調であぁぁぁぁる!

の御大将?
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:34:52 ID:INLtDDyl
>>231
アリーゼは時期にもよるが、基本的に人見知り激しいから、慣れるまで距離とるんじゃね?
まあ親しくなればかなり積極的になるが・・・。
基本術師だけど、隠しクラスで剣も使えるようになるし、ガンダもヴィンダもミョズもいける。
本を読んだり物語作るのが好きだから、タバサとの絡みも期待できる。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:44:47 ID:DnzEaX+c
思いつく釘宮で出てないの…
がぁーつのひな
おとボクの圭さん
ねこきっさの青葉クゥ

がぁーつはむしろチェルやデイジィの方がおいしいか。
…圭さんは後々美智子さんが怖そうかなぁ…
ねこきっさは……あそこの魔界カオスだからなぁw
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:48:30 ID:FSnA10i5
どんだけ雑談する気だよお前ら
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:52:15 ID:igehtUGj
>>238
まぁまぁ、そうカッカしない。こうした雑談からフッとやる気を出す奴が居るかも知れないじゃないの。
どーせSSが来るかは書く人次第なんだし、書く人が来たときにスッと道を譲れば問題ナッシン。でしょ?
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 18:57:23 ID:9zlKyUZJ
レナちゃん子供じゃないモン


なんつーのもあったっけな
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 19:07:59 ID:9LhF6mt0
ここまでコッペリア無し…か。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 19:15:17 ID:9Eed1XLp
>>235
YES。 中の人繋がりでボーボボとかエディとか・・・・

そういやGGのエディで思い出したがディズィー召喚モノもあったなァ
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 19:35:07 ID:TS0TjDan
避難所に代理投下依頼がきてるけど、いっちゃって大丈夫でしょうか?
とりあえず、5分後くらいから…
244ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 19:39:52 ID:TS0TjDan
それでは、お返事いただいていませんが、これより代理投下に入らせていただきます


初投稿になるんですけど規制が終わりそうにないんで代理でお願いします
元ネタは『仮面ライダーディケイド』
タイトルは『ゼロと世界の破壊者』
0話と1話連続投下になります
245ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 19:40:53 ID:TS0TjDan
496 :代理希望:00「フ& ◆O652bjZxmE:2009/06/05(金) 19:19:20 ID:W4vmZdiE

これまでの仮面ライダーディケイドは!!


「…ディケイド」

「世界を救ってやる…たぶん」

「あなたは9つの世界を旅しなければなりません。それが世界を救う、たった一つの方法です」

「あなたは全ての仮面ライダーを破壊する者…創造は破壊からしか生まれませんからね」

「ディケイド!仮面ライダーと戦う悪魔め!お前の存在こそが世界を破壊するのだ!」

「俺は破壊者だ…悪魔だからな」

「士くんは違う!悪魔なんかじゃない!」

「世界には、僕たちの想像も超える素晴らしいお宝が眠っている。僕は全てをこの手に入れたいんだ!」

「言っておくけど、僕は君よりもずっと前から通りすがりの仮面ライダーだ!…覚えておけ」

「…ただの泥棒だ」

「…世界中の人の笑顔のためだったら、あなたはもっと強くなれる…」

「僕は…王に、なりたい!」

「勝ち負けなんかじゃない、二人で一つだったって」

「今は、僕達がチームだ!」

「あぁ、俺はあいつらがいたから頑張って来れたんだ」

「私の夢、守るんなら…写真集出すまで付き合いなさいよ!」

「違う!俺はただの人間だ!」

「俺、参上!」

「いつでも帰れる場所がある…だから俺は、離れていられるんだ」

「俺はあいつにトドメを刺してほしい。それが、俺の魂を受け継ぐってことだ」

「僕は…鬼になります!」

「貴様、何者だ!?」

「通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!」


246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 19:41:07 ID:1K4T1i24
>>209
ギーシュはリバサないからスラハメで起き上がれないな
247ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 19:41:40 ID:TS0TjDan
497 :代理希望:00「プロローグ」:2009/06/05(金) 19:20:14 ID:W4vmZdiE
 ―――響鬼の世界での役目は終わった。
 師匠から弟子へと魂が継承され、新たな世代の鬼達―――仮面ライダー達によって、この世界は守られて行くだろう。
 そんな若い鬼達の姿は、あのお宝を奪う事だけが目的の海東の心にも何らかの変化を与えたかもしれない。

 …そして、ディケイドの9つの世界を旅すると言う使命は終わった。
 クウガの世界から始まり、キバの世界、龍騎の世界、剣の世界、ファイズ、アギト、電王、カブト、そして響鬼。9つの世界を回り、9つの世界の仮面ライダーと出会い、そしてディケイドは失っていた力を取り戻した。

 光写真館、半分サロンと化している撮影室。
 仮面ライダーディケイドこと、門矢士の前には9人の仮面ライダーの姿が描かれている9枚のカードが広げられていた。
 それこそ、ディケイドが全ての力を取り戻したと言う何よりの証拠である。
「さぁ、次の世界に出発よ」
 唐突にそう言い出したのはキバーラだった。
 キバの世界から何がどうしてこの旅に同行する事になった、いまいち胡散臭いキバット族の白いコウモリだ。
「もう9つの世界は全て回ったぞ、…カードも全部元に戻ったしな」
 そう言って、士は目の前の9枚のカードに目を落とす。
 響鬼の世界が9つ目の世界。9つの世界を回る事がこの旅の使命なら、それはもう終えた事も同義である。
「じゃあ、世界は救われたって事か!」
 士の隣に座っていた小野寺ユウスケが歓喜の声を上げた。ユウスケは最初に訪れた世界で出会った仮面ライダー、クウガだ。

 ―――世界は救われたのか?士はまるで実感が湧かなかった。
 旅を始めたあの日、世界が滅びたあの日、あの男は9つの世界を旅する事で、世界は救われると、そう言った。
 しかし一方で、訪れた世界の先々に現れた男、鳴滝は、士が世界を旅する度、世界を破壊していると言い、士の旅を妨害して来た。
 あの男が言った通りならばこれで旅は終わり、世界は救われた筈である。
 …だが、何故かその実感は湧かない。
 旅の終わりは旅の始まり、この写真館の主人、光栄次郎の言葉も少しだけ引っ掛かっていた。

「よし、旅の終わりを記念してみんなで写真を撮ろう!」
 その栄次郎が突然そのように言い出した。
「良いですね!撮りましょう!」
「あぁ〜〜、アタシもアタシもぉ〜♪」
 ユウスケとキバーラがその提案に賛同し、サロンの中がにわかに賑わいだ。
「背景ロールは何が良いかなぁ〜」
 栄次郎がそう言ってバックスクリーンを操作する鎖を引いた時。
 響鬼の世界を描いた絵の上に、新たな絵が降りて来た。


248ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 19:42:21 ID:TS0TjDan
 それはこれまで世界を移動する度に行われていた儀式のようなもの。次の世界に応じた絵が新たに現れ、気付けば写真館ごとその世界へ移動している。
 しかし、これまで現れた絵は9枚、訪れた世界は9つ。つまり今現れた絵は10枚目、10番目の世界へと移動しようと言うのだ。
 栄次郎の孫娘、光夏海は、一瞬次は自分の世界だと思った。
 9つの世界を巡ると言う使命を終え、滅びに瀕した自分の世界を救うため、元の世界に戻る、そう思った。
「…うわっ、何だこれ!?」
 栄次郎が思わず後じさった。
「何の世界…?」
「何々?何なの?」
 新たに降りて来た絵を見て、各面々が驚きの声を上げた。
 10枚目の絵には、夜空が描かれていた。
 無数の星々と大きな月が輝いている、夜空の絵。だが、その絵に描かれている夜空は、士達の知る夜空とは決定的に違うものがあった。
 そこに描かれている月は、何故か一つでなく、二つだったのだ。
「二つの…月?」
 夏海は首を傾げた。
 何なのだろう、今度の世界は。
 これまで、色々な世界を旅して来たが、基本的には自分が元居た世界とさして変わらない世界だった。ただそれぞれ違ったライダーがそれぞれ違った理由で様々な敵と戦いを繰り広げていたと言う違いだけだ。
 少なくとも、今まで訪れた世界に月は二つも無かった。何処も変わらず月は一つだったはずだ。
「新しい世界…10番目の世界だと?」
 士は思い立ってすぐさま踵を返すと撮影室から飛び出した。
「士くん!?」
「士!」
 夏海とユウスケが慌ててその後を追った。
「…ウフフ♪」
 撮影室に残ったキバーラが、怪しく笑った。

 後ろから夏海とユウスケの士を呼ぶ声が聞こえるが、構わず廊下を足早に歩き続けた。
 そして士は玄関の扉を開き、新たな世界、10番目の世界へと足を踏み出した。



次回!仮面ライダーディケイド!


「ここ、元の世界…じゃ、ない…」

「ここはトリステイン魔法学院、君たちは春の使い魔召還の儀式でこちらのミス・ヴァリエールに召還されたのです」

「アンタ、感謝しなさいよね。貴族にこんな事されるなんて、本当は一生無いんだから」

「これで今日からアンタは私の使い魔となったのよ!」

「お前…『仮面ライダー』を知ってるか?」

「カメンライダー…?何よそれ?」


第1話 『召還、契約』

全てを破壊し!全てを繋げ!


249ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 19:43:47 ID:TS0TjDan
続きまして、第一話も代理投下依頼がきておりますので、続けて第一話投下に入らせていただきますね
250ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 19:44:53 ID:TS0TjDan
 ―――ここはトリステイン魔法学院。

 多くの貴族の子息子女が在学し、メイジとして、貴族としての在り方を学ぶ魔法学校である。
 ここにはトリステインは元より、他国からの留学生も多く在籍しており、また多くの優秀なメイジを輩出した由緒正しき場所でもある。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール―――」
 今日、ここでは毎年恒例春の使い魔召還の儀式が執り行われていた。
 それは2年生への進学試験であると同時に一生を共にする使い魔を呼び出す大切な儀式であった。
「宇宙の果てのどこかにいる,私の僕よ―――!」
 昼になってから魔法学院の中庭で行われていた儀式であったが、もう殆どの新2年生となる生徒が儀式を終わらせ、各々の使い魔と親交を深め合っていた。
 ―――現在、召還の呪文を唱えている桃色がかったブロンドの髪の少女、ルイズだけを除いて―――
「神聖で、美しく、強く、雄々しく、気高い使い魔よ―――!」
 儀式を初めて、もう何度目になるであろうか。
 何度もサモン・サーヴァントの呪文を唱えても使い魔は一向に召還されず、巻き起こるのは無意味な爆発、爆発、また爆発。
 始めの内こそ「またゼロのルイズが失敗した!」と野次を飛ばして嘲笑っていた生徒達だったが十を超えた所で飽きがまわり、今では爆発が起こっても「またか」とぼやき「いい加減にしてくれ」とただただ呆れているだけとなっている。
「わたしは心より求めるわ―――!」
 もしこのまま使い魔を召還出来なければ、ルイズは確実に留年、落第である。
 そんな事になれば実家に強制送還され、永遠に籠の中の鳥にされる事は必死―――そんな事は真っ平御免である。
 そう思うと、自然と呪文を紡ぐ言葉にも力が入る。
 すると今度こそ、次こそ、自分は立派な使い魔を召還出来る―――そんな根拠の無い自信が沸き起こってくる。
「我が導きに応えなさい!!」
 そして言葉を紡ぎ終えると同時に力強く杖を振り下ろす。
 と同時に"それ"は巻き起こった。

 『大』爆発であった。

 今までのものとは比較にならない程の巨大な爆発。
 轟く爆音が大地を激しく揺らし、巨大な爆煙が空へと舞い上がり、快晴だった空に一時的に影をさした。
 その爆心地の一番近くに居たルイズは爆風に吹っ飛ばされ、儀式を監督していたコルベールの足下まで転がる。
 その余りの巨大さに無視を決め込んでいた他の生徒達も思わずそちらの方に視線を向けた。
 突然起こった大爆発に驚いた一部の使い魔達がその場から逃げ去る。
 学院長室で優雅に煙管を銜えていた学院長のオールド・オスマンは突如起こった轟音に驚き、咽せて咳き込んでしまった。
 授業中だった他学年の生徒達も、学院に奉仕として仕えてる平民も、皆突如起こった巨大すぎる爆発音に、一体何事かとその爆心地である中庭に視線を集めた。
 やがて爆風は収まったものの未だに『ゴゴゴ…』と地響きがなり続けていた爆心地の近くでは、巨大な煙の柱の前でルイズはお尻を押さえながら呆然としていた。
「い、一体何が…」
 自分が引き起こした事態ではあるが、自分でも一体何がどうなっているのか全く理解出来なかった。
 これまで何度も魔法を失敗させ爆発を起こして来たルイズだったが、これほどまでの規模となる爆発は生涯で初めてだった。
「…あれ?」
 すると徐々に晴れてゆく煙の向こうから、何か巨大な影が見えて来た。
 ルイズの顔が自然と綻んでゆく。
「…やった…私、成功したんだ…!」
 それも影の大きさから判断するにかなりの巨体である。
 先程風竜を召還した少女も居たが、明らかにそれよりも巨大な影。
 それに気付いた他の生徒達がにわかに騒ぎだす。「ゼロのルイズが何かとんでもないものを召還した」と。
 その大きさから、未だ見ぬ煙の向こうの自分の使い魔への期待に胸を膨らませるルイズだった。
 しかし煙がだんだんと晴れてゆくにつれ期待一色だった表情が⇒怪訝⇒不安⇒そして絶望と変化してゆき、煙が完全に晴れた時点でルイズの顔は真っ青になっていた。

 ルイズが起こした爆発の中心地には、一軒の『家』が建っていた。


251ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 19:45:47 ID:TS0TjDan
 貴族の屋敷と言うには小さいが、平民の家の中ではかなり立派な二階建ての家だ。
 壁面にはガラス越しに幾枚かの絵が飾られ、見た事も無い文字の看板が玄関口の前に置かれていた。
 が、どれだけ立派であろうと所詮は『家』なのだ。
「…あの…ミスタ・コルベール…」
 あまりの惨状に思わず隣に居たコルベールに助け舟を求める。が、コルベール自身も困惑した様子で目をまんまるにしていた。
 使い魔として召還されるのは『生き物』である事が基本にして絶対条件で、風竜やサラマンダーはもとよりたとえ平民の少年が召還されたとて前例が無いと言うだけでそれほど問題ではないのだが、しかし『家』である。生物ですら無い。
 『家』が丸ごと召還されるなどコルベールが教員を始めてからこれまで―――と言うかそもそも『家』が使い魔として召還されたなどと言う話、聞いた事無い。
 たとえこの館の主が使い魔召還に応じ召還されたとしても、召還されるなら家主だけであろう。
「…で、ではミス・ヴァリエール…コ、コントラクト・サーヴァントを行いたまえ…」
「…って、この家とですかぁっ!!?」
 反射的にルイズからツッコミが入る。
 どうのこうの言っていても仕方が無い。前例が無いのならば作るのみ。
 たとえ家でもサモン・サーヴァントに応えて召還されたのだ。だとすればこれと契約するのが当然の流れである。
 とその旨をルイズに伝えるコルベールであるが、当然ルイズはそれを拒否する。
「冗談じゃありません!ミスタ・コルベール!やり直しを要求します!」
「ミス・ヴァリエール、あなたの気持ちは判るがそれは認められない。春の使い魔召喚の儀式はすべてにおいて優先する神聖なもの。たとえ家が召還されたとしても、それを受け入れなければならないのだ」
「だからと言って家…家ですよ!?家なんて使い魔にしてどうするんですか!?これならまだ平民の少年を使い魔にした方がマシです!!」
 ルイズとコルベールの口論がヒートアップしてゆく。
 周囲の生徒達も一拍遅れて状況を把握したものの、「平民の家を召還した!」と野次を飛ばすに飛ばせなかった。なにせ『家』である。幾ら何でも常識外れにも程がある。彼らを支配している感情は『驚き』と『困惑』に他ならない。
 そんな周囲の事など目にもくれず、ルイズはコルベールに召還のやり直しを要求するが。幾らそれらしい理由を連ねても悉く却下、「神聖な儀式、やり直しは認められない」の一点張りである。
「ならせめて…せめて、あの家から最初に出て来たものを使い魔に―――!」
 それはルイズの最後の譲歩だった。家なんかと契約するなんかより、家の住人を使い魔にした方が遥かにマシだ、と言う考えに至ったのだ。
 すると、そんな進言に呼応したかの様に、その家の扉がバタンと開かれ、そこから長身の男性が外に出て来た。
 扉が開いた音に気付いて振り返ったルイズと、その男性の視線が交錯した。

 外へ出るや士は一瞬固まった。
 何故か光写真館の周りを、同じ様な格好をした外人と思しき子供達が取り囲んでいたのだ。中には見た事も無い生物も居た。
 一瞬この世界のモンスターかとも思ったが、子供達に襲われている様子は無い。
 次にぐるりと周りを見渡す。
 何故か光写真館は周りを壁で囲まれた敷地のど真ん中に建っていた。
「ちょっと待ってください士くん」
「士!夏海ちゃん!」
 士が周囲の異常に頭を捻らせていると士を追って夏海とユウスケも外へと出てくる。
 そして二人とも同時に固まった。
「…あの、ここ、元の世界…じゃ、ない…ですよね…?」
 固まった身体から夏海は必死に声を絞り出す。
「あぁ、そうらしいな」
「…あの子達は…?もしかして、外人?てことは、ここは、外国?」
「かもしれん」
 今まで幾つもの世界を訪れたとは言え、基本的に日本から出た事は無かったので、それだけでも驚きである。
「あの子達と一緒に居るの、モンスターかな?…もしかしてこの世界も、キバの世界みたいに人間とモンスターとが共存してるとか?」
「さあな。まぁ少なくともあいつらに敵意は無さそうだ」


252ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 19:46:53 ID:TS0TjDan
「…そう言えば士くん、今回は服が変わっていませんね?」
 すると夏海はいつも世界が変わると生じていた変化が今回は起こっていない事に気がついた。
 夏海の言葉で気がついたらしく、ユウスケも「本当だ」と相づちを打って士の姿を不思議そうに眺めた。
 これまで異世界を巡る毎に士はその世界で必要とされている職業・身分を与えられ服装も変更されるのだが、今回に限ってその変化が起こらず、士の姿は先程写真館を出る前と同じ姿のままであった。
「…って、今はそんな事を言ってる場合か?」
 士に言われ二人ははっとなる。が、沸き上がる疑問は尽きない。まったく現状が把握出来なかった。
「考えて判らなかったら、人に聞けばいい」
 そう言って士は子供達に交じって立っていた一人の中年男性に近付いて行った。

「…出て来ちゃった…」
 出て来た人物は3人。最初に出て来た長身で茶髪の男性。続いて出て来た黒髪で髪の長い女性と、その女性と一緒に出て来た黒髪の男性。三人とも随分と変わった恰好をしているが、どうやらただの平民のようだ。
 3人は一様に思わぬ場所に出て来た事で困惑している様子だった。まぁ無理も無いだろう。突然家の外が全く別のものに置き換わっているのだから。
 他の生徒達は家から人が出て来た事で声を上げたが、彼らが平民であると判ると、イコールルイズが召還したのは平民と結果付け「さすがゼロのルイズだ」「最初は驚いたが平民しか召還出来ないなんてゼロらしい」等と野次を飛ばし出す。
 ルイズも自分が平民を召還したんだと理解し大きな溜息と同時に肩を落とした。それでももの言わぬ家と契約するよかマシか、と頭の隅っこで思いつつ。
 すると最初に出て来た長身の男性がこちらに近付いてくると、コルベールに話しかけた。
 どうやら見た目的に一番年上の彼がこの場の責任者であると判断した様子だ。
「Excuse me?」
 男性は突然ワケのわからない言葉を発した。これにはルイズもコルベールも首を傾げた。
「え?あ、あの、これは異国語…なのかな?」
 と、コルベールが困っていると、男性は一瞬「ん?」となって、
「なんだ、日本語通じるじゃないか」
 と、今度はルイズ達も理解出来る言葉で喋った。ルイズ達は『ニホン語?』と聞いた事無い単語に再び首を傾げた。
「まぁ良い。おいアンタ、ここは何処だ?」
 言葉が通じると判るや、男性はコルベールに対して不遜な態度で問い質した。
 平民の分際で何たる礼儀知らずと憤慨するルイズだったが、コルベールは何も気にする様子も無く問いに応える。
「ここはトリステイン魔法学院、君たちは春の使い魔召還の儀式でこちらのミス・ヴァリエールに召還されたのです」
「トリステイン?魔法?使い魔?」
 男性は明らかに困惑した様に首を傾げ、コルベールに示されたルイズを怪訝そうに眺める。
「士!何だって?」
 するとさっき一緒に出て来た男性と女性もこちらに近付いてくる。
 どうやら最初に出て来た男性の名はツカサと言うらしい。
「お前ら、トリステインって地名に聞き覚えはあるか?」
「トリステイン…ですか?」
 ツカサが二人に問いかけると女性は首を傾げ視線をすぐ後ろに居た男性へと向ける。男性も首を傾げる。
「トリステインも知らないなんて、アンタら何処の田舎もんよ?」
 と言うルイズだったが、ツカサはそれを無視して言葉を続けた。
「どうやらコイツらの言う魔法とやらで写真館ごとここに飛ばされて来た…らしい」
 そんなツカサの態度にルイズは少し機嫌を悪くする。
 もし先程の進言をコルベールが鵜呑みにするのであれば、ルイズはこのツカサと使い魔の契約を結ばねばならないのだ。
「何やら事態に困惑しているみたいですな。ですが起こってしまった事は仕方ありません。さあ、ミス・ヴァリエール、彼と契約を」
「…ってこのタイミングでぇっ!!?」
 これまでの話の流れをぶった切るような話運びに思わず突っ込まずにはいられないルイズであったが、コルベールは続ける。


253ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 19:47:58 ID:TS0TjDan
「ミス・ヴァリエール、貴女は先程「最初にあの家から出て来た者となら契約する」と確かに言ったね。私も鬼ではない、物言わぬ家と契約しろ等と無理強いはしない。あなたにも選ぶ権利はあるからね」
 この禿、さっきの言葉しっかり鵜呑みにしやがっていた。
 ルイズは心の中で悪態をつきつつも冷静に事態を分析した。
 今自分の使い魔に出来る候補は4つ。家か、その家から出て来た3人の平民か。
 家は…まず真っ先に却下。あんなの使い魔として使えるワケが無い。
 ならば3人の平民…平民、と言う言葉の響きにげんなりする。
 男2人は体格も良いし、腕っ節も強そうだが、男である。自分のファーストキスをどちらかに与えなくてはいけないのかと考えると気が滅入る。婚約者のワルド様ともまだなのに…。
 なら女となら無効か?とも思ったが、使い魔とするには心許ない。
 などと迷っているとコルベールから「この試験を終わらせなければ進級出来ませんよ?」とのお達し。
 進級と言う単語を持ち出されてルイズの心は決まった。と言うか、もうヤケクソだ。
 ファーストキスなどと言う一時の気の迷いで一生を棒に振るってたまるか。そもそも使い魔との契約の儀式、これはノーカン、ノーカンだ!
 そしてルイズは目の前の長身の男、ツカサにキッと目を向ける。
「ねぇアンタ、ツカサって言ったわね。今すぐその場で屈みなさい」
「はぁ?何言ってんだいきなり」
「良いから屈みなさいって言ってんのよ!」
 相変わらず不遜な態度を取り続けるツカサに気を悪くしたルイズは服の裾を引っ張って無理矢理屈ませようとする。
 仕方なくツカサはその場で屈んでルイズと視線の高さを合わせる。
「これで良いのか?ガキンチョ」
 最期の単語に一瞬ピキッとなったがここは寛大な貴族の精神で我慢する。
 そしてルイズは左手をツカサの頬に添え、右手に杖を構える。
 一体何が起こるんだとツカサも、その後ろに居る男女も固唾を飲んで見守っている。
「アンタ、感謝しなさいよね。貴族にこんな事されるなんて、本当は一生無いんだから」
 ツカサの顔を目前にして、改めて見たら結構良い男かもと思ったら、ファーストキスを差し出す事への負い目が少しだけ和らぐ。
 そのままルイズはツカサの目の前で小さく杖を振るうとコントラクト・サーヴァントの呪文を口にした。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」
 言葉を言い終わると同時に、ルイズはツカサと唇を重ねた。
 ツカサは目を見開く。後ろの二人も絶句した。
 と、ルイズはいきなりツカサに突っ放される。
「い、いきなり何する!!?」
 ツカサはかなり動揺した様子で手の甲で唇を拭いながら後ずさっていた。
 あ、ちょっと可愛いかも、とルイズは自分もハンカチを取り出して自分の唇を拭いながら思った。
 すると、ツカサは突然胸を押さえて苦しみ出した。
「…くっ!な、なんだこの痛みは…!!」
「使い魔のルーンが刻まれているだけよ。少しだけ我慢なさい」
「使い魔ぁ…!?」
 傍らに居た男が心配そうにツカサの肩を擦っている。…あれ?女の人は何処行った?
 などとルイズが訝しく思っている内に痛みが引いたのか、ツカサは落ち着きを取り戻し始めた。
「サモン・サーヴァントは何回も失敗したが、コントラクト・サーヴァントはきちんと出来たね」
 傍らのコルベールが言う。


254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 19:48:36 ID:igehtUGj
ちょっとくすぐったい支援
255名無し・F・名無し:2009/06/05(金) 20:19:18 ID:tgj3ekyL
……誰かメタルスラッグからモーデン兵を一人程召喚してくれないかな…
…………この注文ほんっとどうでもいいな…スイマセン…
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:21:59 ID:n/JxFiTH
謝るぐらいなら言わなきゃいいのに
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:25:00 ID:GwXxuKEO
こういう注文って、叶うことすくないからな・・・わかるわかる
という訳で俺は綾波レイが召喚されたらいいなって思ってる。
258ゼロと世界の破壊者・代理代理:2009/06/05(金) 20:28:51 ID:kcja1SfG
「何なんだ一体…」
 ツカサは自分に何が起こったのか確認する為上着を捲り胸を露にさせる。
 予想以上に肉付きの良い胸板を目にし、ルイズは少し顔を赤らめる。そこには言わずもがな使い魔のルーンが刻まれていた。
「ほぉ、これは珍しいルーンですね。スケッチさせてもらっても宜しいですかな?」
 と前置きはするがコルベールはツカサの許可を待たずにそのルーンのスケッチを始める。
「おい、俺に一体何をした?使い魔ってどういう事なんだ?」
 ツカサはコルベールにスケッチを続けさせたまま、ルイズに尋ねる。
 するとルイズは立ち上がり、「フッフッフ…」と含み笑いをすると、ビシッとツカサを指差した。
「これで今日からアンタは私の使い魔となったのよ!つまり私の手となり足となって働くのよ!判ったわね!この下僕!!」
 そう、高らかに言い放った。
 が、ツカサは「はぁ?」と呆れ返った。
「まさか…それがこの世界での士の役割…?」
 そう言ったのはツカサの肩を抱いていたもう一人の男。
 女性の方は、やっぱりいつの間にかその場からいなくなっていた。
「…アホらしい」
 ツカサは立ち上がって服装を整え直す。コルベールのスケッチが完了したのだ。
「さて、これで全員使い魔召還の儀式は終わったね。では皆、教室に戻りなさい」
 そうコルベールが言うと周りに居た生徒達はそれぞれ『フライ』や『レビテーション』を唱え空を飛んで教室へと戻ってゆく。
 そんな様子に驚いて声を上げる、黒髪の平民。
「お、おい見ろよ士!子供が空飛んでってるぞ!」
「あぁ、どうやら、本当に魔法の世界に迷い込んだらしい」
 身体全身で驚きを表現する黒髪の男に対し、ツカサはと言うと妙に落ち着いていた。ルイズとしては黒髪の方が何故そんなに驚いているのかが不可解であったが。
 なんて二人を観察していると、コルベールがルイズに話しかけて来た。
「ミス・ヴァリエール。貴女は残りの授業は出なくて良いから、彼らに状況を説明しておきなさい。授業が終わったら私も後であの家に行くので」
「…判りました」
 そう言うコルベールの眼は何処かキラキラ光っていた。彼の頭に負けない程。
 コルベールにそう仰せ使わされたならば仕方が無い。正直気は進まないが彼らもかなり混乱している。状況説明が必要だろうとルイズも思い直した。何より少しでも早くツカサには使い魔としての自覚を持ってもらわねばならないのだし。
 それにあっちの事情も少しだけ気になった。
「と、言う訳でアンタ達にいろいろ説明してあげるから。立ち話もアレだしあっちの家に案内してよ、お茶くらいは出してくれるんでしょうね?あぁ、お茶菓子も忘れないでよ」
「…クソ生意気なガキだな」
 今日何度目かのピキッがルイズのこめかみを走った。
 どうやらこの使い魔は貴族に対する礼儀作法から教育し直さねばならないらしい、とルイズの中で教鞭が振るわれた。
259ゼロと世界の破壊者・代理代理:2009/06/05(金) 20:30:09 ID:kcja1SfG
 するともう一人の男がツカサの肩をポンポンと叩いてツカサを宥めた。
「まぁまぁそう剥れるな士。…えっと、ミスバリエールちゃん?」
「ルイズよ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
「ルイズ・フらんす…ルイズちゃんだね。俺はユウスケ、小野寺ユウスケだ。宜しく!」
 ユウスケと名乗った男はルイズに対して手を差し出す。握手を申し出ているのだ。
 が、ルイズはそれに応じず、冷ややかにユウスケが差し出した手を見つめている。貴族は易々と平民と握手などしないのだ。
 気まずい空気が流れ、たまらずユウスケが次の行動に移す。
「あ、あぁコイツは士…って、もう名前知ってるよね、門矢士。見た通りひねくれたヤツだけど悪いヤツじゃないから」
 そう言ってユウスケは士の肩を抱いて引き寄せる。士はと言うと、腕組みしたままルイズと眼を合わそうとしない。
「えぇ…っと、あぁ、お茶だったね。あそこは写真館だけど、コーヒーは格別だから!俺が保証する!」
「シャシン?」
 聞き慣れない言葉に、ルイズは首を傾げる。
「写真も知らないって…お前何処の田舎者だ?」
 さっきのお返しとばかりに言い放つ士。聞こえないふりしてしっかり聞こえてたのかコイツは。しかも根に持ってる。
 流石に我慢の限界とルイズは杖を握りしめ、制裁を加えてやろうと士にじりじりと詰め寄るが、それを静止させようとユウスケが間に入る。
「はいはいはいはいそれまで!ルイズちゃんも落ち着いて!士も、いい加減にしろよ!」
 仕方なく、ここはユウスケに免じて怒りを納めるルイズ。士は相変わらずそっぽを向いている。
 そしてユウスケが先導してルイズは自分が召還した『家』へと案内される。
 するとその道すがら、思いも懸けず士の方からルイズに質問が投げかけられた。
「お前…『仮面ライダー』を知ってるか?」
「カメンライダー…?何よそれ?」
 突然自分の使い魔が発した謎の単語に思わず正直に応えてしまう。
 すぐにさっきの様に田舎者呼ばわりされると身構えたルイズだったが、士はそれっきり何も言わなかった。

 ―――決定的だった。
 少なくともここのライダーは世間一般に認知されてない存在のようだ。いや、むしろ存在していない確率の方が高い。
 もしここがライダーの世界だとしたら、そのライダーを捜す所から始めなくてはならない。骨の折れる作業だ。
 いや、それでもまだ存在してくれるならまだマシな方だ。もしもここが仮面ライダーの存在しない世界だとしたら、士は、この世界で何をしろと言うのだ?
 そもそも、9つの世界は全て巡り終わった。にも関わらず、この10番目の世界に、『仮面ライダー』が存在しないかもしれない世界へ辿り着いた、その理由は―――?
 士はふうと息を吐いた。
 いくら考えても、判らないものは判らない。なら考えても意味は無いと結論付けた。
 この世界で過ごしていれば、いつかその答えは見えてくる。今までだってそうだった。
 何も変わらない。こいつの使い魔とやらがこの世界での役割と言うのなら、その役割をこなすだけだ。今までの世界と同じように。
260ゼロと世界の破壊者・代理:2009/06/05(金) 20:30:57 ID:kcja1SfG
以上で投下完了です
初投稿がいきなり代理と言う形が少し残念ですけど規制が一向に終わらなそうだし
せっかく『響鬼の世界以降』と言う設定で書き貯めてたので
今週中に投稿したかったので代理の方にお願いしました
新参者なので至らない点等ありますでしょうが宜しくお願いします
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:31:12 ID:GO/y6dJW
すまない俺はとりあえずカービィの続きを超期待してるんだ

あとテイルズオブシリーズからリオン・マグナスを希望する。
剣士だし魔法(術)使えるしルイズイケメン好きだし。

希望ばっかうだうだ言ってほんと申し訳ない。
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:35:05 ID:YPnQ0/Pd
投下中は雑談するなよ。

投下乙。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:35:43 ID:/lqGhIDB
シエスタがマリアンの孫

と見せかけて
ヒューゴの孫に
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:41:18 ID:4KpunI+T
魔法学院グラウンドのド真ん中で抱き合うギーシュと飛雄馬
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:42:57 ID:p+TWrqR1
キャッチャーギーシュ、ピッチャー飛雄馬、残りのチームメイトは全てワルキューレ?
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:44:58 ID:WvP6zoCR
あーディケイド召喚されちまったか・・・
でもまぁ召喚されるキャラ被っててもいいんだよな・・・?
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:46:16 ID:RGCXUE/T
ディケイドの人乙です。
もやしは憚られる奴か…
次回に超wktkしつつ正座待機。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:47:33 ID:RGCXUE/T
>>266

私は一向に構わんッ!
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:55:05 ID:3C3cOO0l
>>266
二番煎じ感が否めない
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:56:34 ID:afDYDlmg
>>266
被っても大丈夫

テファに召還されてたオリジナルクウガとユウスケクウガの遭遇とかもやり放題だ
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:58:45 ID:VUNfk7Mb
ディケイドだと2話で終わらせないといけない印象があったが長編になりそうだな
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:59:04 ID:WvP6zoCR
>>268>>270
おkおk 大体分かった
安心したぞ
>>269
多分、いやおそらくきっとだが今投下されているのと俺の書いてるのじゃ
話がまったく違うものになる気がするからそこら辺は大丈夫だと思いたい
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 21:06:20 ID:sUpDOXcy
ところでまとめサイトの魔王伝が21話から更新されてないな。
少なくとも23話くらいまでは投下さてたよな?

何で誰も更新しないんだ?

それとデジモンが消えてるな。
五十音順のさ〜なの項目からは消えてて、話数の01〜04には残ってる。

いたずらか?
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 21:27:35 ID:NwvVxS7c
トップページくらい読めよ
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 21:40:20 ID:ccq7Noii
魔王伝続き読みたいなー。
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 21:40:36 ID:H0bLwuDk
>>263
好きになった人は伯父さんだったんですね。わかります。
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 21:42:15 ID:YHWdjMfH
アン黒道ワロタ

313 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 19:53:39 ID:staQCUxM
いっそアンリエッタも何か召喚すれば良いんだよ。
伝説のオウガバトルからラシュディ召喚してアン黒道に走って女帝化するアン様とかな。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:04:05 ID:HlJxVUNY
>>261

リオンでプロットを作っている所だけどまだ投下は無理
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:06:39 ID:+5H737T/
意外とリオン/ジューダスって呼ばれてなかったのか
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:09:51 ID:1WYqR6Pr
取りあえずリオン召喚→なんやかんやあって、VS7万→リオン死亡→ジューダス召喚と言う流れは思い浮かんだ
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:22:46 ID:n/tEgXVx
格ゲーか……サイキックフォースのエミリオはどうなんだろ。
光の翼見られた時にどういう反応されるかが気になる。
もっともサイキッカー以外には正体隠し通そうとするかもしれんが。
(玄真に狙われたりしてたし)
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:29:59 ID:rR3FGbsM
ついにディケイドが召喚か

そういえば封印エネルギーやアルティメットフォームの力を虚無と考えれば
クウガは五属性揃ってることになるな

ドラゴンフォームはどの辺で水を使ってるかという疑問が出そうだが
禁書目録のアックアさんが水で滑るような動きとかやってたし
バズー戦の流水の如き動きがそれってことで

あとゴウラムの飛行能力も魔法的
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:30:11 ID:a9WKxcnO
アン黒道と聞いて

ダース・シディアス召喚

色々あってウェールズ死亡

アンリエッタがフォースの暗黒面に

シスのアン黒卿誕生


こんなのが浮かんだんだが

それはそうと、「ゆっくりしていってね!」のAA召喚したらどうなるだろう
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:41:45 ID:xEtP16Na
>>281
ゼロ魔世界で光の翼って何か意味のあるシンボルだったっけ?

今、光の翼が付いてるもの召喚するネタで書いてるんで気になった
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:42:14 ID:3Y/l07n/
>>283
キャラもはっきりした奴らでもないから一発ネタ以外は無理だろうな。
>ゆっくり
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:46:26 ID:2Jv16mJn
ルイズとカトレアの年齢差ってどのくらいなんだろう

春の召喚でルイズが16だとしてカトレアは20過ぎ?
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:47:30 ID:qtd12vfq
>>286
カトレアは24、エレオノールは27、ついでに母親のカリーヌは50過ぎだ。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:48:17 ID:dfBUtBRO
>>286
原作か設定資料集かwikiか好きなもの見ろよカス
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:54:47 ID:iNDCjTDV
>>284
V2ABかな?
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:58:40 ID:e+d3GQUM
>>289
光の翼でアルビオンがヤバイ。
ルイズ「あの子はスペシャルよ」


音楽のタイトルだが輝ける光の翼が浮かんだ。もちろんJアークの事だがね
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 22:59:18 ID:Fry+glxo
【烈風】カリンの若さはかげろうお銀並
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:00:11 ID:XN1kQ/2c
>>284
ZIMVだったら全力で応援する
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:01:57 ID:WvP6zoCR
資料はあった方が断然いいな
キュルケが極楽鳥蒸したのが好きだったりアン様の趣味が変装だったり
ギーシュが礼拝嫌いだったりするのは資料とか見ないとわからんことだろ、多分
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:14:11 ID:JnI0zFO7
そんなのあるのか
買ったほうが良さそうね、今度買うわw
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:14:24 ID:4KpunI+T
僕の名はエイジ、トリステインは狙われている
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:14:41 ID:xEtP16Na
>>292
ごめん、期待には応えられないと思う
蛇遣いなんだ
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:27:58 ID:WvP6zoCR
>>294
ゼロの使い魔パーフェクトブックって奴な

他のムック本は大抵アニメメインなんだがこれは原作メインのムック
原作基準でキャラプロフ以外にも「使い魔でもわかる!ハルケギニアワールドガイド」ってのがあって
宗教観とか魔法の系統ごとの特性、国の情報、マジックアイテム、作中年表なんかがズラっと書いてある
多分、魔法の発動条件なんてのまで書いてあるのもこれだけだと思うよ

二次創作をガチでやるなら読んで損はない・・・はず
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:29:12 ID:rlmYLBiF
>>284
特に意味はないはず。
ただし翼人みたいな亜人はいるから
翼人と思ったらこの翼直接生えてないじゃない→じゃあ一体何?みたいな反応されるかと思って。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:30:35 ID:rlmYLBiF
っと、繋ぎ直したからID変わってるけど281=298です。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:32:39 ID:JnI0zFO7
>>297
>>298
ありがとう、そんな詳しいこと書いてあるなら買って損はないな。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:34:54 ID:8/AsflCw
>>284
カリン様の首が!?
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:37:19 ID:8/AsflCw
>>297
面白いそうだな……書く気も無いのに買ってしまいそうだw
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:37:44 ID:dfBUtBRO
なんでもそうだけどアニメの資料集って
編集してる人の主観で予想してる部分が垣間見えたりして信用ならない部分がある
余程細かく設定してないと書くことがないからなんだろうけど

その点原作準拠は書くことたくさんあるんだろうな
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:42:48 ID:WvP6zoCR
>>302
内容置いといてもノボルの「はじめに」が異様に長い、そしてかっこいい
エロゲ作家とは思えないかっこよさ

内容は出版日の都合上原作13巻までしか網羅してないからそこんとこは注意ね
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:47:37 ID:dM70uAmP

いくらだ?
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:49:15 ID:5wHNnvaA
>>304
でも、お高いんでしょう?
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:50:17 ID:EHKsx4hu
>>306
税抜き1500円
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:50:51 ID:dM70uAmP
やしい〜!
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:51:13 ID:qtd12vfq
なぜあと半年早く教えてくれなかったんだ
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:52:15 ID:WvP6zoCR
通販番組みたいな流れになってしまった・・・だと・・・
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:53:23 ID:dfBUtBRO
>>309
雑談長いから
なんか投下してよ
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:54:54 ID:qtd12vfq
>>311
今書いてる途中だ、無茶言うなww
どうせまた日曜あたりになりゃ投下がいっぱいくるよ、きっと。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:56:58 ID:5wHNnvaA
>>307
チロルチョコ100個に、当たり付きのフィリックスガムが50個も変えるじゃないの!
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 23:57:22 ID:EHKsx4hu
>>309
発売後はかなり話題になってたはずだけど。
「ワルドの成分=お母さん100%」とかw
アンリエッタの再参戦も予告されてたしな。

しかし、14-17ページあたりのサイトはビジュアル的に良すぎるだろ。
ギーシュは愚かジュリオと比べてもハンサムだぜ。
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:04:12 ID:hIbZuYAe
>>314
俺がこのスレを見つけたのは去年のちょうど今頃で、SS書こうと思い立ったのはその秋頃だったんだよぅ。
ざっと調べてみたけど、アレ2007年の12月発売だったらしいじゃん。
316284:2009/06/06(土) 00:05:07 ID:xEtP16Na
>>297
思わず紀伊國屋のWeb通販でポチってしまった
何故かAmazonでは扱ってないのね

>>298
ありがとー
亜人と間違えられる可能性があるってことね
なら人型してないしセーフかなぁ
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:11:55 ID:BjVPI0+e
>>233
闘争本能の赴くままに侵略の花火を打ち上げるんですね
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:12:11 ID:qdazH8Cv
ワルドとシャアならいい酒が飲めそうだな
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:15:11 ID:gTWb0SKO
ディケイド召還か
クウガが居れば(カメン&フォームライドすれば)ペガサスフォームの超感覚でワルドの遍在も見破れるな
・・・それ以前にカブトのクロックアップ使えば瞬殺か
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:19:47 ID:TIMQIDOH
テキトーにライドブッカーぶっ放しとけばワルドぐらいダース単位で余裕
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:20:18 ID:hIbZuYAe
>>319
メンヌヴィルあたりならきっとクロックアップにも対応は……無理か。

そもそもハルケギニアのメイジじゃ素のディケイドだけで十分脅威だと思うが。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:21:38 ID:KFgBlgQe
超者ライディーンからイーグル達かゴッドライディーンを召喚・・・は召喚者以外は姿が見えないのがネックだな
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:22:00 ID:IzUfZszz
>>321
サーマルセンサーって素早いもの捕捉するの厳しくね?
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:23:39 ID:r7QBSnOn
それは残像だ
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:30:38 ID:hIbZuYAe
>>323
ペガサスフォームみたいに向かって来る方向が分かって、
相手が馬鹿正直にその方向からしか向かってこなければ何とか……ならんな。
326『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:41:44 ID:XctPxot0
3〜4スレ前に投下して Wikiには上げず ほったらかしだった話で、
もう 覚えている方は居ないかもしれませんが、
戦闘妖精雪風のメイヴ召喚 2話目が出来ましたので 五分後から投下させていただきます。

前回のあらすじ
コルベールと居残りで召喚の儀式の補習をしていたルイズが、メイヴ雪風を召喚。
(機体のみ。パイロットなし。召喚ゲートが作ったコピー。本物は 元の世界にあり。)
契約の儀式により ルイズと雪風はData-link。
(雪風は 試作型の超空間通信機でFAFともLINKを保持している)
ルイズが雪風に乗って 空に舞い上がったところでEND。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:43:32 ID:r7QBSnOn
支援
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:43:40 ID:4RIPyKJ6
雪風しえん
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:44:11 ID:FIb6o63x
支援するZE
330『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:45:07 ID:XctPxot0
『ゼロの戦闘妖精』

Misson 02 使い魔の価値を問うな

召喚場に戻ってからが 大変だった。
なにせ 召喚の儀式に立ち会っていたのが よりによって 普段からワケの判らない機械を自作しては喜んでいる コルベール先生だから。
動き出すまでは「奇妙なゴーレム」程度の認識だったのだろうが、離陸するところを見て「機械」だと理解したらしい。
「一体 この使い魔は、火の魔道具なのですか それとも風の魔道具なのですか?
 いずれにしても、炎の尾を曳いて空を飛ぶ機械など 今まで見たことも聞いたことも無いのだが…」
そりゃ そうだろう。なにせ 雪風はこの世界のモノではない。
だが、教師に判らないものが 生徒に判るというのだろうか。
それが、ある程度は判るはずなのだ。
メイジとその使い魔は、契約によって特異な結び付きを得ることがある。視聴覚を共有できたり、姿が見えずとも 使い魔には主人の居場所が判ったりする、そんな類の事だ。
召喚者が 自分が今迄に見たことが無い怪物を呼び寄せてしまった場合でも、契約さえ済ませてしまえば それがどのような存在なのか 大まかには掴めるようになっている。
ましてや、ルイズと雪風の間に構築されたData-Linkは、情報量その他の点で 他の使い魔との絆とは比べようの無い代物だ。
ルイズが求めれば 雪風は自分のメモリだけではなく FAFの検索可能データ全ての中から 回答を探してくるだろう。
その答えをルイズが理解できるかどうかは 別問題だが。

さて どうしよう。
ルイズは考える。素直に詳しいことを話せば 質問攻めにあうのは必死だった。しかし無視も出来ない。この先 どうしてもコルベールの協力は必要になってくるから。
雪風は機体が大きすぎて 既設の「使い魔小屋」には収まらないが、かと言って雨曝しにするのは イヤだ。燃料やメンテナンスの問題もある。
それらを解決出来る(出来そうな)のは、彼女の周囲には とりあえずコルベールしかいない。
仕方ない。ルイズは語り始めた。
・雪風は 異世界の技術で作られた 空を飛ぶ機械「飛行機」であること。
・空を飛ぶために 風石も魔法も使っていないこと。
・代わりに 油を燃やすことで 力に変えていること。
・インテリジェンスソード等と同様に 知性を備えていること。
・音声でこそ答えないが ルイズが問いかければ 頭の中に回答してくること。
案の定 教師はその話の内容に 異様なまでの興味を示した。

彼の趣味「機械の開発」の目的は、「破壊行為以外での 火の魔法の有効利用」。
しかし これといった成果は未だ無い。(その意味では 彼もまた「ゼロ」の一人である。)
いま 目の前に、「火の力で空を飛ぶ」機械がある。彼の夢見たものが 形となって存在していた。
これぞ天佑!その設計思想 原理 構造 材質その他 全てを学びたい!!
矢継ぎ早に 質問の洪水は続いた。ルイズは(雪風の力を借りて)可能な限り答えた。
答えることは出来るが、ルイズ自身にも意味不明な単語や概念が頻出し 問答は迷走した。
召喚場を吹きぬけた夜風に ルイズがくしゃみをしたことで コルベールも我に返った。
「おおっ、少々 熱が入りすぎたようです。
 ミス・ヴァリエール、貴女は良い使い魔を得ましたね。
 使い魔は 主人たるメイジにふさわしい能力を持っているものです。
 強きもの、素早きもの、美しいもの。
 その在り方は様々ですが、知恵ある使い魔というのは 初めて見ました。
 普段から 勉強熱心な貴女だからこそ、召喚することが出来たのでしょう。
 素晴らしい!」
ルイズは、実技試験の0点を 筆記試験でカバーしなければならないため、図書館に通い詰めていた。
実際、ペーパーだけならトップクラスなのだ。
しかし 仮に筆記で満点を取ったとしても 実技と合わせて平均すれば50点以上には成り得ない。むしろ 配点は実技の方がが高い。
だから 入学以来 これほど高い評価を受けたことは無かった。
「・・・あっ・・・ありがとうございます、ミスタ・コルベール!」
嬉しかった。
先ほどの評価が 彼の個人的嗜好からのものであったとしても。
ルイズからのコルベールの評価も上がった。そして決めた。 やはり彼に任せてみよう と。
「先生。お願いがあります。」
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:45:10 ID:BPR95qc9
JAM支援
332『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:46:01 ID:XctPxot0
雪風の運用に関する問題点を説明したところ、コルベールは 快く 
「何とかしてみましょう」と 対策を考えてくれることになった。
とりあえず 今晩は雪風を先生に預け、ルイズは自分の部屋へ帰った。
雪風とルイズのData-Linkは、距離が離れたからといって 切れるものではない。
互いの基礎データは 既に交換済みだったが、ルイズは自分の使い魔の全てが知りたかった。
当然 雪風は主人の望みに応えようとするが、さすがに全てを送ることは出来ない。ルイズがオーバーフローする。
そこで データを分割し 睡眠中に送信情報を脳内再生するに留め データ保存はしないものとした。
ルイズが関心を持った部分のみ 保存すればよい。
つまり ルイズは毎晩 雪風の『夢』を見るのだ。
「お休みなさい、雪風。」

----------------------------------------------------------

  深いグリーンの空 雪風が飛ぶ。惑星フェアリイ。
  戦場。眼下の死闘。戦闘機 ファーンU JAM。
  エンゲージ ロックオン AAM ブレイク。絡み合う機動。
  撃墜 GUN ミサイル警告音 メーデー。回避不能 爆発。
  脱出 確認できず。

  戦闘終了。 未帰還機 3。
  コンプリート ミッション
  R.T.B. 

----------------------------------------------------------- 

目が覚めたのは 夜明け前だった。
「あれが、雪風の……『戦争』」
ハルケギニアにも 戦争はある。ルイズは 戦争を知らない。
貴族の娘とはいえ 少女が戦場に出ることは無い。
だが 彼女は見た。『戦場の夢』を。極めてリアルな 異世界の戦争を。
その「情報」は まだ断片に過ぎない。
世界に溢れる より多くの情報と統合された時 ルイズはどのような評価を下すのだろう。
「まずは 身体鍛えましょ。」
戦闘機動の画像を見て、もし自分が乗っていたら どれほどのGがかかっていたか想像して ゾッとした。
パイロットが 過重に呻く姿もあった。
(頑張れば私も アレくらいの操縦が出来るようになるのかしら)
動きやすい 多少汚れてもいい服に着替えると、小さな影を引き連れて 静かに部屋を出た。
彼女の世界は 未だ平和だった。
333『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:47:03 ID:XctPxot0
学院の敷地内を 軽くジョギングする。
雪風に調べてもらった パイロット用の体操と筋トレメニューをこなす。
火照った身体に 朝の空気が心地よい。
部屋に戻って汗を拭き、制服に着替える。こんなに気分のいい朝は久しぶりだ。
廊下に出ると、さっそく気分を台無しにしてくれる相手に出会ってしまった。
「昨夜はずいぶん遅かったわね。
 なのに ま〜だ『召喚』出来ないの?」
自慢の使い魔 サラマンダーの「フレイム」を従え、自分の部屋から出てきたのは、同級生のキュルケ・ツェルプストー。
ゲルマニアからの留学生で、ルイズのヴァリエール家とは ご先祖様から因縁浅からぬ家系の出身。
入学以来の 犬猿の仲。というよりは ルイズが一方的にオモチャにされている。
昨日までは ここで朝一番の癇癪を起こしていた。今日からは 違う。
(私には 雪風がいる。)
「御生憎様。ちゃ〜んと成功したわ! ほら、これを見て!」
ルイズの肩口のやや上辺りに、二重反転ローターにより飛行する30サント程の物体があった。
昨日 雪風に「何か 召喚に成功した証拠として 皆に見せられる様な物は無いか」と質問したら これを選んでくれたのだ。 
「ふーん。
 コルベール先生のオモチャを一個 分けてもらったのね。
 あの先生が作ったにしては、イイ出来じゃないの。」
ハナっから信じてもらえないようだ。
「違うわよ!あんなガラクタと一緒にしないで! これは『雪風』の ほんの一部 。
『投下ポッド内蔵用小型浮遊自動カメラ・センサー複合体』、雪風の「目」の一つよ。
 雪風は 機体が大きすぎて 私の部屋には入れないから 代わりに連れて来たの。」
キュルケから ニヤニヤ笑いが消えて、ムッとした顔になる。
「何よその名前、タバサの「二つ名」と同じじゃない!
 ダメ、却下、認められないわ。 
 変えなさい、今すぐ変更しなさい。」
そういえば、キュルケの友人 同級生のタバサの二つ名も「雪風」だった。でも この名前は譲れない!
「そんなの出来ないわ。
 だって 雪風は、私が召喚する前から『雪風』だったんだし、第一 機体にはっきり『雪風』って書いてあるんだもの!」
「機体? 書いてある?って… ちょっとルイズ、あんた一体ナニを召喚したのよ!?」
(そう言われても、簡単に説明できるモノじゃないわよね、雪風は。)
雪風の事は秘密にしておき 品評会で初披露 皆をあっと言わせる。なんてのもいいかな、と思っていたけど・・・予定変更。まずは、この色黒娘を驚かせてやろう!
「…放課後、召喚場に来て…。そうしたら 会わせてあげる。私の使い魔に。」

『投下ポッド内蔵用小型浮遊自動カメラ・センサー複合体』(長すぎるので 以降『トーカ君』:ルイズ命名)を連れて食堂へ。
大型は無理でも、小型の使い魔と一緒に食事をする生徒は 結構多い。ルイズも そんな情景に憧れを持っていた。
残念ながら 「トーカ君」は バッテリー駆動なので、食事はしない。
朝食を終えて ゆっくりと教場へ向かう。一時間目は 錬金の授業。進級したので担当教師が代わり 今日が初顔合わせだ。
「おはようございます。
 これから一年間 錬金の授業を担当させていただきます シュヴルーズです。
 皆さん 召喚の儀式は、無事に終わったようですね。
 ミス・ヴァリエールも。」
ルイズの眉間に 浅く皺が寄った。 ミス・ヴァリエール『も』と言う部分で 自分を揶揄された様に感じたから。
もちろん 考え過ぎであり、言った側に そんな意図は無い。
それでも、些細なことに傷つき それゆえに心の壁を厚くして 周囲を拒絶してしまう。負のスパイラル。
「コルベール先生が誉めてらっしゃいましたよ。大変大きく 珍しい使い魔だとか。」
この人は ごく当たり前に 自分を誉めてくれている。そう気付いて、影の差していた表情がパッと明るくなった。
「はい。ありがとうございます。」
雪風の召喚を契機に、ルイズに何かの転機が訪れたのかもしれない。
334『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:48:07 ID:XctPxot0
さすがに 進級すると講義の内容も高度になる。まあ、それに付いて行けない様なルイズではないが。
「それでは 実際にやってもらいましょう。そうですね、では ミス・ヴァリエール。」
「はい。」
ガタッ。ルイズが立ち上がると、教室中がざわめいた。
「馬鹿!行くんじゃない。」
「先生 考え直してください!」
「辞退しろ 『ゼロのルイズ』!」
ルイズの魔法失敗は 爆発という結果を伴う。同じクラスの生徒は それを熟知していたが、不幸にしてミセス・シュヴルーズは それをよく知らなかった。
「うっさいわねぇ〜。
 私は昨日までの私にあらず!日々進化してるってのを 見せてあげるわ!」
そう言い放って教壇へ向かう。興奮しているのか、足音がドスドスと響く。
皆を背にして教卓の前に立つ。(普通は 皆の方を向いてやるものだが、もしもの際に 他の生徒に向かう爆風が少しでも弱くなるよう ルイズはいつもこうする。)
教卓の上に置かれた石を にらみつける。コレを真鍮に変えるのが 課題だ。
指名した生徒が緊張しているのを見て取った先生は 少女の横に移動し 肩に手を置いて励ました。
「大丈夫、落ち着いてやってご覧なさい。」
ルイズは 戸惑っていた。試料の石が いつもよりくっきり見える。普段の何倍も 深く集中できているような気がする。
ただ 奇妙なモノも見えているが。
視野に浮かぶ 小さな四角と丸。フラフラと動いていたマーカーが、石の上で重なった時、雪風の『声』が聞こえた。《ターゲット ロックオン》
呪文の詠唱は完璧、よく判らないけど 雪風もサポートしてくれてるみたい。いける!
ルイズは 杖を振り下ろした。
『ドグォォオン!!!!』
(あちゃ〜 やっぱりダメだったか。)
意外と ルイズはショックを受けていない。
実は夕べも 自分の部屋へ戻るときに 「フライ」が使えるかどうか試してみたが、それもダメだったので 今回も あまり期待はしていなかったから。

すごい爆音だった。しかし、いつもと違って教室内には 大した爆風も爆煙も広がらなかった。
生徒側から見ると、教卓の上にはまだ かろうじて試料の石が残っていた。反対側から見れば、ほとんどの部分は消滅していた。
そして 黒板には、直径60サント程の穴が開き、外の景色が見えていた。
全方位に拡散するはずの爆発のエネルギーが、極めて狭い円錐形の空間に収束されたようだ。
いつもなら、ここでルイズに対して非難が集中するのだが、今回はそうならなかった。
ルイズの失敗魔法による爆発は、見た目は派手だが 大したケガ人は出ない。かすり傷か 煙による目・ノドの痛み程度だ。だから 気楽に文句も言えた。
今回は 違った。例えるなら、壁に向かって大砲をブッ放したようなものだ。
あれが 自分たちの方を向いていたとしたら・・・
たまたま 使っていた教室が、校舎の一番端だったからよかったものの、壁の向こうで他のクラスが授業をしていたら・・・
『洒落にならん!』誰もが 自分の想像に恐怖していた。
「てへっ、ちょっと失敗しちゃった。
 でも 進化したのは みんな 判ってもらえたわよねっ!」
ルイズがそう言って 教壇を降りていっても、誰も何も応えなかった。
そんな中で シュヴルーズ先生だけが(腰を抜かしながらも)
「じゅ、授業は ここまで・・・
 ミス・ヴァリエールは 総務課に連絡して、修理の手続きを・・・」
と言って 気を失った。
次の授業までは しばらく時間があった。数名の女子が 先生を医務室に運び、他の生徒は ヒマつぶしに出かけていった。ルイズが総務課へ向かうと 教室に残ったのは 二人だけだった。
「まったく ルイズの失敗は、見てて飽きないわねぇ。ある意味 凄いと思うけど。」と お気楽なキュルケ。
タバサは、残った石と壁の穴を調べている。
「…石 溶けてる。壁も 焼き切られてる。
 ただの爆発じゃない、不明な魔法…」
その表情は 普段の「何に対しても無関心」とは違っているようだ。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:48:50 ID:/ljPhHoz
しえーん
336『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:49:11 ID:XctPxot0
「親方、いる〜?」
総務室に着いたルイズは、勢いよくドアを開けて言った。
「おう ヴァリエールの嬢ちゃん。久しぶりだな。
 また やっちまったのか?」
奥にいた老人は 通称『親方』。宮廷にも出入りしていた 腕のいい大工だったが、引退後は学院長に請われて 校内の補修や改装を一手に引き受けている。
平民だが、窓ガラスを割ったり階段の手すりを壊したりする悪ガキ男子達は、先生に内緒で修理してもらった経験が一度位は必ずあるので、頭があがらなかったりする。
当然、教室破壊の常連であるルイズは 他の誰より付き合いが深い。親方も(こんな所に顔を出す女子生徒は ルイズぐらいなので)、孫娘のように可愛がっている。
「へへ〜。壁と黒板に大穴開けちゃった。
 とりあえず 黒板の応急処置は自分でやるから 壁石の手配お願い。」
「判った。ちょいと時間かかるかもな。」
「頼むわね。
 それじゃ、工具借りてく。板っきれと塗料も!
 あと 親方のツテで 紹介してほしい人があるんだけど。」
「なんだい?言ってみな。」
「金属加工の得意な職人さん。仕掛けモノが作れて、仕事の速い人がイイな。」
「まぁ 探しといてやるが、何を作らせようってんだ?」
「うん、私の使い魔の『部品』。これから イロイロ必要になると思うから。」
倉庫から資材と工具を持って戻ると、キュルケとタバサは まだ教室にいた。
「ねぇルイズ。放課後の約束だけど、タバサにも立ち会ってもらってイイわよね。」
「そうね。なんたったって、『雪風』の名前を持ってる当人だもの。
 もちろん いいわよ。」
タバサ。去年から同じクラスだったのに ルイズはほとんど話をしたことが無かった。
ルイズだけではない。タバサと1分以上 連続して会話した生徒は、おそらくいない。
キュルケと一緒にいる事が多いが その時にもタバサは本を読んでいる。キュルケとの会話も短いものばかりだ。
そのタバサが 珍しく自分からルイズに話しかけてきた。
「さっきの失敗魔法。アレは 何?」
「そんなこと聞かれたって、私にも判らないわよ!
 大体 魔法が失敗する 元々の原因だって判ってないのに・・・」
黒板の穴を一回り程大きく切って、そこに黒板と同じ色を塗った新しい板を ぴったりとはめ込む。
釘打ちも 危なげなくこなす。同じようなことを 何回もやってきたので、手馴れたものである。
D.I.Y.が得意な貴族令嬢ってのも どうかとは思うが・・・
「そうだ、雪風なら 何か判るかも。」
「はぁ?なんでそこに使い魔が出てくるのよ?!」
「雪風は特別。
 雪風は 生き物じゃないの。
 異世界で作られた 飛行機、空を飛ぶ機械。
 機械だけど 自分でモノを考えることが出来る、人工知能。
 異世界の豊富な情報を持った 記憶装置。
 さらに 元の世界の もっと巨大なデータベースにアクセスすることも出来る。
 こっちの世界の事は これから勉強するみたいだけど、それを補っても余りある位 頭がイイの。」
「・・・理解不能。」
「ほとんど 何を言ってるんだか判らないけど、とにかくスゴいって事ね。
 で、今から その使い魔の所へ行くの? もうそんな時間 無いわよ。」
「それは大丈夫。 う〜ん、なんて言ったらいいかな。
 キュルケ、貴女はフレイムの見てるもの 見える?」
「『絆』ね。ええ、見えるわよ。」
「私と雪風にも、『Data-Link』っていうのがあって、雪風の目は私の目で 私の目は雪風の目なの。
 それに 私の考えを雪風に伝えることが出来て、雪風の考えも私に伝わってくるの。
 だから わざわざ雪風の傍に行かなくても、雪風は答えてくれるわ。」
そう言って、目を閉じるルイズ。
(雪風、さっきの失敗魔法とそれまでの失敗魔法を比較、差異が生じた原因を検討して。)
《推論:魔法失敗の根本原因、成功時との比較データが無い為 不明。
    今回及びそれ以前との比較「FCS(火器管制システム)使用の有無」
    爆発状態変化の原因「FCS調整不足による過度の魔力集中と 安全機構過剰発動による指向性プラズマ噴流化」
    参考情報(類似検索)「HEAT弾」》
「ゴメン。一応 回答は来たんだけど、簡単に説明できる内容じゃ無いわ。
 時間かかりそうだから、昼休みにでも ゆっくり教えてあげる。」
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:49:31 ID:/YnkROQ6
でも、公爵の名前もレイナール達の使い魔情報も載ってないんだよな、あれ。
才人とルイズマンセーに肯定的でないと、使い魔でも分かる〜以降しか読み応えがなくなる。
338『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:50:27 ID:XctPxot0
「要するに、使い魔の手助けのおかげで集中力がつきすぎて、石が『ぷらずま』っていう 凄く熱いモノになっちゃったと。
で、それが自分の方へ来ないように反対側に押し込めようとしたら それもヤリ過ぎて ああなったって事?
ナニそれ、物騒ねぇ。」
ルイズの説明に 判ったような判らないようなキュルケ。
「ん〜。さっきのでデータは採れたっていうから、もう あんな事は無いと思うけど、それでも爆発するのは変わらないのよ。
 雪風には悪いけど あんまり意味無いわ、コレ。」
「・・・アレは有効。
 敵の鉄カブトに使うと、兜の内側に『プラズマ』が噴き出す。
 どんな相手でも 確実に倒せる・・・」
と 提案するタバサ。
真っ昼間の食堂の片隅で 女生徒が交わす会話の内容とは思えない・・・。
「タバサって、見かけによらず 過激な子だったのね。
 ひょっとして 『危険人物』?」
「あーら、どこかの『爆発娘』よりは、よっぽど人畜無害ですわよ。」
「ちょっと、ソレ 誰の事よ!」
ルイズはそう言いながらも 自分が本気で怒っていないことに驚いていた。
つい先日まで キュルケも他の同級生と同じように 自分を憎み 嘲り 見下していると思っていた。区別が付かなかった。
雪風を召喚出来た事で生まれた ほんの少しの精神的余裕が、初めて気付かせてくれた。彼女は 自分を憎んではいないと。
まあ 『遊ばれてる』のは間違い無いんだけれど。
ならば 自分も遊べば良い。からかわれたからといって 憎しみを返す必要はない。
同級生達の中にも 本当に私を嫌っている人もいれば ちょっとからかってみただけの人もいた筈だ。
そんな事すら判らなかったのが、今は恥ずかしい。
三人がそんな話をしていた時、食道の中央付近で揉め事が発生していた。
「なんて事をしてくれたんだ!君の不躾な行為の為に 二人の乙女が涙を流すことになってしまったじゃないか!」
「もっ 申し訳ございません グラモン様。」
どうやら 平民のメイドが 貴族である学生に 粗相をしてしまったらしい。
その貴族というのが ルイズ達の同級生、ギーシュ・ド・グラモンだった。
代々 有能な軍人を輩出している名家の出身で、土系メイジとしての実力もあるのに、普段考えているのは どうしたら女の子と××出来るか、という典型的な色ガキ。
だから、この揉め事も メイドとギーシュ、どちらが悪いのか 判ったもんじゃない。 
「ねぇ あれシエスタじゃない。」
「キュルケ あのメイドの事 知ってるの?」
「知ってるって程じゃないけど、あの娘 何故か色々とタバサの事を気遣ってくれるのよ。
 それで 名前位は覚えてたんだけど・・・。 
 タバサ 助けに行くとか しなくてイイの?」
「必要ない。私とあの娘は 無関係。
 ・・・でも 怪我でもさせられそうだったら、止める。」
テーブルの下では 既に杖を握っていた。
だが 揉め事はそれ以上発展することなく収まったようだった。
339『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:51:30 ID:XctPxot0
午後の授業は何も問題なく終了し、放課後。
ルイズ・キュルケ・タバサは、召喚場に集まっていた。
森の中 昨日まで何も無かった場所に、土のドームが出来ている。
コルベールが 同僚の土のメイジに協力を依頼して 急遽作った 雪風用の格納庫だった。
かなり大きく、奥にいる筈の 使い間の姿は見えない。
「さんざん勿体つけてくれたんだから、それなりのモノは見せてもらわなきゃ 納得できないわよ。」
「ま〜かせて。
 少なくとも 貴女の『ヒトカゲ』よりは上だから。」
「あたしの『フレイム』は 『サラマンダー』よ!
 でも タバサの『シルフィード』には敵わないでしょ。
 なんてったって、ハルケギニア最速の種 『風竜』の幼生体なんだから。」
キュルケもタバサも、自分の使い魔を連れて来ていた。
サラマンダーに風竜といえば、普通なら 使い魔としてはトップクラスである。
「タバサ、悪いけど 『最速』の看板は、今日で下ろしてもらわなきゃね。
 雪風よりも速く飛ぶものは この世界には居ないんだから。」
「・・・『看板』なんてものに 意味は無い。
 実際に飛んで 速いか遅いか ただそれだけ。」
そっけない主人に、使い魔の風竜は 不満そうに「きゅいきゅい」と異議を唱えている。
(雪風、そろそろ出てらっしゃい。)《RDY》
主人の意を受けて スーパーフェニックス マーク]Tが始動する。
その音に最初に気付いたのは シルフィードだった。
抗議の鳴き声を止め 格納庫入口を凝視する。フレイムも それに習う。
闇の中に 光が動く。それは 前脚に装備された前照燈。
タバサが気付く。ジェットエンジン特有の排気音に。キュルケも気付く。この世界には存在しない筈の咆哮に。
雪風のノーズコーンが ゆっくりと陽光の元に現れる。 キャノピ 主翼 尾翼。全長18メイルの巨体を露にし ルイズ達の前で停止する。
「どう。これが私の使い魔 『雪風』よ!」

悔しいが 圧倒された。キュルケは言葉が出なかった。
大きいとは聞いていた。確かに もっと巨大な幻獣やゴーレムも存在する。
だが コイツは 一切の無駄を削ぎ落とした様に見えるのに このサイズだ。
一体 どれほどの力を秘めているのだろう。
(コレは、惚れちゃうわね。)

タバサも思う。
(シルフィは 遅くない。でも、勝てない。)
風竜は、その名の通り 風の精霊を友として 風を纏って空を飛ぶ。
ルイズの使い魔は、違う。
あれは剣。風を切り裂き 全てを置き去りに天駆ける大剣。
その速さ いかほどのものか。
「まぁ 見ただけでも 雪風がタダモノじゃ無いのは判るでしょうけど」
ハッっと我に返る二人。何かを企む表情のルイズが、口元を綻ばせながら 言う。
「ねぇ、乗ってみない?」
340『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:52:49 ID:XctPxot0
「『乗る』って どこに乗るのよ。
 シルフィみたいに 背中に乗れっていうの?」
「そんな無茶な事させる訳 無いでしょ。
ちゃ〜んと あそこに座席があるわよ。丁度 二つ。」ルイズは コクピットを指す。
珍しい事に キュルケは、逡巡していた。
学院のヤワな男供より よっぽどソソるモノはあるのだが、雪風の余りの『異質』さに 即答できずにいた。 
だが 彼女の友人は 躊躇わなかった。
「乗る。」
「ちょっと タバサ!」
「あの使い魔の力、知っておくなら 早い方がいい。」
「はい、じゃ 決まりね。
 キュルケ 貴女、怖いなら 下で留守番でもしてる?それでもいいわよ。」
「私が怖がってるって? 馬鹿にしないで! 乗る、乗るわよ!」
(キャノピ オープン。)《RDY》
「それじゃ 上がってくれる? 私はフライは出来ないから、ラダーで上がるわ。」
既に フライに対するコンプレックスからは 脱却できたようだ。
「シートの上にヘルメットがあるから それを被って。酸素マスクもね。
 インカムが付いてるから 会話するのに問題は無い筈よ。
 座ったら シートベルトも忘れずにね。そう それでいいわ。
 言っとくけど、操縦桿やスロットルレバーは いじらないでね。コントロールは雪風がするから 触っても問題ないけど。」
「あんたってば、急に訳わからない単語を使うようになったけど、それってやっぱり 使い魔の影響?」
「うん。雪風は 判らないことは全部教えてくれるけど、こっちの世界に無かった物は 向こうの名前で呼ぶしか無いでしょ。」
「ふーん。それで急にアタマが良くなったワケか。」
「うっさいわね〜、期末試験の筆記は、私の勝ちだったでしょ!
 下らない事言ってないで、空に上がったら 目ぇ廻さない様に頑張りなさい。」
(キャノピ クローズ。気絶しない程度に 振り回してあげて!)《OK,アイハブ コントロール》
ルイズが機体から離れると 雪風は加速を開始した。

ガラスの壁に隔てられ 更に邪魔なマスクまでさせられ、風を感じることなんて 全然出来ない。
なのに、何なの この速度感!
動き出したと思ったら 周りの木々が あっという間に後ろへ流れていく。身体が押し潰される 座席に沈む。
視界から 空以外の全てが消えた。真っ直ぐに天へ駆け上る!ひゃっほうっ!!
空を飛ぶのは 初めてって訳じゃない。グリフォンや火竜 タバサのシルフィにも乗せてもらった。
フライだけで 何所まで行けるか」なんて 馬鹿な事もしたことがある。
違う、違う、違う、違う、違ぁ〜う。全っ然 違う! 
空って こんなに興奮するものだったの?!
速さもそうだけど、右に 左に 宙返り。くぅぅぅ!
何より 背中で響く『炎の鼓動』、これが堪らなぃぃい。
なんでコレが ルイズの使い魔なのかしら? 私の様な「火のメイジ」の方が合ってるわ。
でも 『使い魔は メイジの宝』ですものね。横取りしたら 可哀そうよね。
『タマには 貸しなさい!』ってところで、カンベンしてあげる!(フレイム、浮気してゴメンね。)

予想は当たった。そして 外れた。
ルイズの言った「異世界の機械」は 嘘じゃないかもしれない。
この速さ、とんでもない。シルフィが どんなに頑張っても、これには勝てない。思ったとおりだ。
だが それを超えて 更に凄かった。
数年に一度 有るか無いかの大嵐の晩にしか聞いたことの無い『風の悲鳴』が、ひっきりなしに聞こえている。
機体後部のエンジン内からは トライアングルクラスの魔法と同等の『炎の鼓動』が響く。
信じられない。
だが これですら まだ全力では無いようだ。
座席の横に 勝手に動くレバーがある。どうやら これは速度と関係があるらしい。
このレバーが 一杯まで下がったのは、離陸の時だけ。それ以降は 中央よりやや下をわずかに上下するだけ。
全力のまま飛び続ければ 何処まで速くなるのか? どれだけ高くまで昇れるのか?
もし、この使い魔を敵に回した時 どう戦えば…
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:53:36 ID:UgjG3YG/
しえん
342『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 00:54:07 ID:XctPxot0
ほんの数分間の飛行を終えて、雪風が着陸した。格納庫前に停止。キャノピが開くとすぐに 興奮したキュルケが飛び降りて ルイズに駆け寄った。
「すごい、凄いわ コレ!
 あんたはともかく、このコは凄い。それは認めてあげる。」
「微妙な表現だけど、とりあえず褒めてくれてアリガト。
 空の上じゃ ノリノリだったみたいね。」
「えっ、何の事?」
「へへぇ〜。インカムの通話、雪風に中継してもらって 私も聞いてたんだ〜。」
キュルケの浅黒い顔が それと判る位 赤くなる。
「そそそ そういえば、きっ機体のドコカに、『雪風』って書いてあるんでしょ!どど何処に あああるのよ。」
「…話 逸らした。」
ゆっくりと降りてきた タバサが突っ込んだ。

「こんな文字、見たことないわ。
本当にコレ 『雪風』って読むの?」
フライで浮き上がり 雪風の正面上方から ノーズコーンに書かれた文字を見下ろす、キュルケとタバサ。
「……たぶん これは表意文字。文字そのものに意味がある。上が雪 下が風、だと思う。」
「タバサ あなたコレ 読めるの!」
「読めない。そんな気がするだけ。
 東方の文字とも違う。でも なんとなく解る。」
そう言って タバサはルイズの前に降りたった。
「雪も風も ただの自然現象。
それを名乗る者が 何人いても 構わないと思う。
 ただ あの文字、
 私にも 使わせてほしい。
 ・・・カッコイイから。」
最後の部分は ちょっと照れがあったような気がする…
意外な発言に、ルイズはポカンとし、タバサを追って降りてきたキュルケは 大笑いしていた。

「でも 不思議な字ねぇ。
 さっきタバサが言ったみたいに、見てるだけで なんだか雪の冷たさや風の速さが伝わってくるような気がするわ。
 ねえルイズ 当〜然、あたしの『微熱』って字も有るわよね!」
ルイズは小枝を拾い上げて 地面に書いた。
「どう?」
「タバサのより、複雑ねぇ。でも、気に入ったわ!
 で、あんたの『ゼロ』は、どんな字なの?」
ルイズは 地面に『零』と書いた。
もう ゼロと呼ばれても 気にならない。何故かと言うと…
「これはね 雪風の世界で 雪風に乗っている人の名前と 同じ字なの。
 雪風を育てたパイロット、『深井 零』中尉。」
「どんな人? ひょっとして イイ男?」
「あったりまえでしょ、私の雪風のパイロットなんだから!
 スゴ腕で、割と無口。必要な事しか言わない。そのあたり タバサに似てるかも。」
「ふ〜ん。一度 会ってみたいわね。
 タバサも 興味あるでしょ、その『雪風の人』に。」
「別に。」
「そう そんな感じの人。」
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 00:56:52 ID:UgjG3YG/
しぇーん
344『ゼロの戦闘妖精』 代理:2009/06/06(土) 01:10:38 ID:4RIPyKJ6
509 名前:『ゼロの戦闘妖精』[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:03:41 ID:Vh3kSR76
初めて さるさんを喰らってしまいました。
これが最後の部分ですので、どなたかお願いします。

「それにしても、『雪風』とあんたたち二人って 妙なつながりが多いわね〜。
 ルイズの使い魔の名前が タバサの二つ名と同じ。
 その『ぱいろっと』てのは 名前がルイズの二つ名で 性格はタバサ似。」
「まだあるわよ。
 実は 雪風って、昔 シルフィードだったんだって。」
「え〜と、どういう意味?それ。」
「???」
「うん。タバサのシルフィは、種族が風竜で 個体の名前がシルフィードでしょ。
 雪風の方は、機種名だと『メイヴ』って言うの。雪風は、『パーソナルネーム』個体名ね。」
「それで?」
「雪風は生き物じゃなくて 機械だから、魂の代わりに『プログラム』ってのがあるんだけど、プログラムは、魂と違って 古い機体から 新しい機体に移し替えが出来るの。
 雪風の世界には、色々な種類の飛行機があって、その中に『シルフィード』って機種名の物があるのよ。
 雪風も 前はそのシルフィードの中にいたんだけど、新型のメイヴが出来たんで、今の機体に移ったんだって。」
「…憑依? 
 それとも転生?」
ちょっと腰が引けるタバサ。そっち方面は苦手らしい。
「はぁ〜。
 あんた達、なんだか もう つながりって言うより『因縁』ね。
 あたしは 過去じゃなく、これから雪風との交流を深めていくから。
 て訳で ルイズ、週イチ いいえ 月イチでもいいから、雪風貸して!」
惚れたモノには、どこまでも率直なのが、キュルケだった。
「あのねぇ、そりゃあ 私の用事が無い時には 貸してあげてもいいんだけど、そうもいかない事情があるのよ。」
ルイズは、雪風の活動には 航空燃料が必要だと説明した。
当面は コルベール先生に作成を依頼しているが、おそらく少量しか入手できないだろう と。
「そうか〜。それじゃ しょうがないわねぇ。
 ……んっ! そうだ、イイ事考えた!
 今日 昼休みに食堂でさぁ…」

今日一日で、ずいぶんと親しくなった三人。果たして 何を企むのか?

        〈続く〉
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 01:14:47 ID:4RIPyKJ6
中の人、乙でした。
続きも楽しみにしてます。


# 代理投下は初なんだが、作法はこれでよかったんだろうか……
346ルイズと博士と時々ダディ:2009/06/06(土) 01:16:18 ID:FIb6o63x
こんな夜分遅くに恐縮だが、1:20より投下してもいいかな?
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 01:17:38 ID:ClgS5JvT
支援しよう
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 01:18:10 ID:f7AD1DmQ
どんな夜分遅くでも支援する

それがジャスティス
349ルイズと博士と時々ダディ〜chapter3 1/4〜:2009/06/06(土) 01:19:56 ID:FIb6o63x
「・・・イズ、ルイズ!もう七時半よ、起きなさい!」
「うーん・・・クックベリーパイの大群が・・・」
箱から聞こえてくる遠くの女性か、近くにいる愛嬌はあるが化け物じみた男性にモーニングコールをされるのならあなたはどちらを選ぶだろうか?
ちなみに今ベッドで寝ている少女は前者を選んだ。
一向に起きる気配を見せないが。
「仕方ないわね・・・ダディ聞こえているのならルイズを起こして」
「〜〜〜〜(了解)」
軽く返事をするとダディはルイズを抱き上げて揺さぶった。
娘を腕に抱えて子守をする父親の様に、というほどやさしくは無かったが・・・
「むう・・・何なのよ、ってうきゃああああ!!??」
ダディを見るなり盛大に奇声を上げて飛び起きる。
確かに目が覚めていきなりダディがこっちを見ていたら誰だって驚に違いない。
部屋にサイレントの魔法がかかっていなかったら隣人どころか、はす向かいの生徒にまで響いていただろう。
「ルイズ、少し落ち着きなさい。それはダディよ」
「なんだダディだったのね・・・って何でミス・テネンバウムじゃなくてダディが起こしてるのよ!」
「起こしたわよ何回も!それで今こんな時間なのよ」
「こんな時間だなんて、まだ七時じゃない」
「・・・ルイズ時計止まってないかしら?もう七時四十分よ」
「・・・と、と、止まってるゥゥゥ!」

こうして朝食を取る間も無く、授業に遅刻しかけたルイズであった。


ルイズと博士と時々ダディ
Chapter3


ダディに乗せてもらう方が楽だが、急ぎの時は流石にそんな横着は流石にできないので自分で走ることにした。
ちなみに無線機は博士が授業を聞きたいというのでダディに持たせた。


・・
・・・
「あら、ルイズ。遅刻ギリギリね」
「うるさいわね!間に合ったんだからいいじゃない!」
全力疾走の後なので、昨日と違って余裕が無いルイズである。
「ルイズ、そんなに苛立たないでもいいんじゃない」
「わ、わ、ミス・テネンバウムしゃべっちゃ駄目!」
「ルイズ・・・誰と話してるの?」
「それは何?」
350ルイズと博士と時々ダディ〜chapter3 2/4〜:2009/06/06(土) 01:21:26 ID:FIb6o63x
キュルケとその横に座っている少女タバサが、使い魔の持っている箱と会話しているルイズを見て、昨日のシエスタの様な顔でそう尋ねてきた。
「キュルケには知られたくなかったのに・・・」
「まあそう落ち込まないで・・・そして、初めましてキュルケ。私の名前はブリジット・テネンバウム博士よ」
「「箱がしゃべった!」」
キュルケはともかく、普段一切表情を変えないタバサまで驚きの表情を見せた。
ルイズもはじめて見た時は同じリアクションを取ったが、なぜか二人のリアクションを見て優越感に浸っていた。
「ル〜イ〜ズ〜これが何なのか、はっきり説明してくれるかしら?」
「説明を要求する」
「そ、そんな事より、ほら授業が始まるわよ」
ルイズは二人の追及を何とか凌いだが、この後質問攻めに遭うだろうと覚悟を決めていた。

・・
・・・
しばらくすると教師らしき中年の女性が入ってきた。
彼女の名前はシュヴルーズ、土のトライアングルクラスである。
「皆さん、春の使い魔召喚の儀式は大成功のようですね」
そう言って生徒と使い魔を一通り見渡し、ルイズとダディに目が留まって一言
「中にはゴーレムを使い魔として召喚した人もいるようですね」
その一言で生徒の一部が笑い出した。
「ゼロのルイズ!召喚に失敗したからって、実家からゴーレムを送ってもらうなよ」
やや太り気味の生徒マリコルヌがそう煽ると、他の生徒達も笑い出した。
「違うわよ!ちゃんと召喚したんだから・・・ってダディ?」
立ち上がって反論しようとしたが横にいたダディがいないことに気づいた。
「な、何だお前!近寄るな!」
ダディは無言でマリコルヌの方へ歩いていた。

只今の状況
・マリコルヌはルイズを馬鹿にした
・ルイズはそれに対して怒っている
・ダディはルイズの使い魔である
・マリコルヌに接近中

この状況でダディがマリコルヌに行う事は誰だってわかる。
「は、放せ!こいつ!」
ダディがマリコルヌの胸倉を掴み軽々と持ち上げ、壁に叩きつけようとする。
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 01:22:35 ID:f7AD1DmQ
支援
352ルイズと博士と時々ダディ〜chapter3 3/4〜:2009/06/06(土) 01:23:32 ID:FIb6o63x
「ダディ、そこまでよ!」
しかし、ルイズがそう言いながら近寄りダディを止めようとする。
「私のためを思ってやろうとしたのは分かるけどそれはやりすぎよ!」
「・・・・ (いかん、頭に血が上っていた・・・)」
ルイズに説得されダディはマリコルヌを解放した。
ここでルイズが説得していなかったらスプライサーよろしく命が無かっただろう。
「はい、そこまでです。ミス・ヴァリエールとミスタ・グランドプレ」
ここでようやくシュヴルーズが止めに入った。
「ミスタ・グランドプレ、事の発端は貴方の軽率な発言が原因です。反省しなさい」
「ミス・ヴァリエールも使い魔をちゃんと管理するように注意しなさい」
ルイズは素直に返事をしていたが、マリコルヌは屁理屈を言っていたので口に赤土の粘土をぶち込まれていた。
「それでは授業を始めます」


・・
・・・
テネンバウム博士は授業を聞きながら、ルイズの世界における魔法がどういう物かをまとめていた。
科学者にしてみればこれほど面白い物は無いだろう。

・魔法には四大系統というものがあり『火』『水』『風』『土』に分かれている
・現在は失われた虚無という系統がある。
・シュヴルーズの話によると『土』の系統が日常において必要不可欠なものである。
(錬金、固定化etc…)

(魔法がこっちで言う科学の代わりのような物ね)
魔法の役割を簡単に理解するのにはちょうどいい授業であった。
ちなみにラプチャーではプラミスドと呼ばれる魔法のような物があったが、
ここの世界のような凡庸性に優れた物ではなかった。

「・・・では、ミス・ヴァリエール。今説明した錬金をやってみて下さい」
「分かりました」
その一言でクラス全員が一気にざわめいた。
そして横にいたキュルケがシュヴルーズに進言する。
「先生、それは危険です」
「危険?理由を説明してください」
「ルイズの魔法をご覧になるのは初めてですよね?」
「キュルケ、止めないでよ」
「そうですよ、ミス・ツェルプストー。何事もやってみるまでは分かりませんからね」
(一体何が危険なのかしら?)
(ルイズの傍にいた方がいいな・・・)
(召喚も成功したんだから・・・絶対に成功させてやる!)
353ルイズと博士と時々ダディ〜chapter3 4/4〜:2009/06/06(土) 01:25:28 ID:FIb6o63x
各自いろいろな思考が飛び交っている中、生徒達は机の下に隠れたり教室の外に出たりしている。
周囲の慌て方を見てダディは不思議な気分になっていた。
(大げさじゃあないのか?)
そう思ってルイズの方に顔を向けると、ルイズが杖を振っている。
その刹那、閃光、爆音、衝撃の三重奏が降りかかる。
生徒たちが退避行動を取った理由が理解できた。
「ちょっと失敗したみたいね」
「どこが『ちょっと』なのよ・・・」
キュルケのツッコミの後、クラス中からブーイングが来た。
(やれやれだ・・・)


・・
・・・

ルイズは現在昼食を取りにアルヴィーズの食堂にいるが、何やら落ち込んでいる。
原因は先ほどの錬金である。
ちなみに教室での爆破で先生に片づけを命じられたがそれはダディに任せた。

「・・・ねえルイズ、さっきバカが言ってたゼロのルイズって言うのは・・・」
「そうよ、いつも魔法を使おうとすると爆発するのよ」
「・・・」
「『ゼロのルイズ』っていうのはそういう事・・・」
「・・・イズ」
「ダディの召喚に成功したから今度こそできると思ったのに・・・」
「ルイズ」
「ん、何?」
「その事を相談できる相手はこの学園に居るのかしら?」
「・・・居るわけ無いじゃない」
「じゃあ今までその悩みを自分の中にため続けていたのね?」
「・・・・」
「顔も見えない相手でメイジでもないけれど、打ち明けを聞くことぐらいならできるわよ」
「・・・ありがとう、ミス・テネンバウム」

(あとでキュルケ達にどうやって説明しようかしら・・・)

新たな目標:キュルケ達に説明をする


以上です。
原作よりかなりツンデレ分が薄いルイズだが気にしないでいただけるかな?
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 01:30:09 ID:FO0OvbNj
戦闘妖精、時々ダディ共に乙

>>349
>急ぎの時は流石にそんな横着は流石にできないので自分で走ることにした
流石に、が多いよ
355ルイズと博士と時々ダディ:2009/06/06(土) 01:39:30 ID:FIb6o63x
>>354
指摘ありがたい。誤字があるかチェックは一応しているんだがすまない
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 01:42:36 ID:4RIPyKJ6
乙ですー

凡庸性→汎用性
と読み替えてもよろしいですかな。
357『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 01:49:48 ID:XctPxot0
>345
ありがとうございました。

今回は両作品に登場する名前をネタにしてみましたが
話の中では単なる偶然で 伏線にする予定はありません。
次は ギーシュ決闘とフーケ戦辺りまでの予定。
でも 遅筆ですんで、投下できるのは何スレ先になるか…

358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 02:01:58 ID:PBOifY0g
ディケイドの人も雪風の人もダディの人も乙

どれも見たい作品だったからかなりほくほく。特にディケイド。違和感がないね。続きに期待。
雪風の人はなんか盛り上がった。何か知らんけど熱くなったね。
ダディは和んだ。パシャパシャしたくなったわ。
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 02:13:04 ID:BjVPI0+e
渡る世界はJAMだらけ

戦闘妖精の人には是非とも伝統料理豆ピーチを出して頂きたい
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 02:52:52 ID:Ym5AXMzj
アン様が召喚ってのはありなのかな?
アン様が黄金時代のグリフィス召喚とか考えた。
……あっという間にグリフィスの悲願が達成しそうな気がするw
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 03:10:27 ID:EFKs52Ky
そのための避難所です
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 03:45:39 ID:oIdahzSY
>>359
>渡る世界はJAMだらけ

プロジェクトの方で想像してしまった・・・
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 04:26:04 ID:aAvdvM25
>>361
俺は邪夢と……

あの味がないオレンジ色の物体は召還したら勝手に口に飛び込んできそうだ.....
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 05:21:24 ID:BPR95qc9
>>363
はぁ、水瀬親子マジ俺の嫁
あの物体が来るならアークデーモンも付いてくるんじゃね?
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 06:34:14 ID:zSnOK62x
アン様のパンチってさ
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 07:38:33 ID:LXgYegvX
>>278
うおおおマジかあ!
希望叶えてくれて本当に感謝する。
超期待してる…って言ったらエアプレッシャー!
リオンがルイズに心を開くまでどのくらいかかるのか、
ルイズにソーディアンの素質があるのかで大きく話しが左右するね。
実際虚無の担い手なんだから素質くらいあっても…強くなりたいって思ってるし。
とにかく期待して全裸待機。
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 07:39:34 ID:8wVGLuWO
>>284
若干遅レスだが、光の翼と聞いて
補完計画発動真っ最中のエヴァシリーズとリリス召喚
ハルケギニアに熱波とアンチATフィールド吹き荒れて
ルイズたちが補完される・・・なんてのどうでしょ

ラストはなんだかんだで「おめでとう」
イイ笑顔のジョゼフで締め!
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 07:49:56 ID:aO/5JUJn
なんか…凄いな今スレは
まあ定期的に来る流れだけどさ
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 07:53:33 ID:BPR95qc9
光の翼といえばV2だろ
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 08:18:55 ID:zSnOK62x
カリン様がっっ!?
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 08:46:44 ID:r7QBSnOn
そんなのおかしいですよ
ワルドさん!!
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 08:57:49 ID:UgjG3YG/
ハルゲニアに黒富野な死の嵐が巻き起こる姿しか想像できん
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 09:16:14 ID:UYelKFzF
>>367
誰得
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 10:33:41 ID:ItgcSyEO
光の翼、《白銀の翼》を装備した《スターダスト・ドラゴン》とか
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 10:45:04 ID:JAzpmnIm
俺は光の翼といえば紋章機かね。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 10:51:26 ID:zURCB3Ry
>>353
乙乙
テネンバウムのセリフを読む度に無線機のノイズが頭に響く俺はもうだめだ
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 10:55:13 ID:Wljqjx0Y
光鷹翼とかどうよ
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 10:58:14 ID:3+t/DhQh
>>370
超神水をルイズが飲んだら虚無に目覚めるかな
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 11:12:59 ID:9yRXFe16
>>378
死ぬだろ。そんなゴキブリ以上の生命力は持ってないと思うが。
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 11:18:51 ID:Q/CV5rDn
カリンさまの所にあるのは超聖水じゃなかったっけ?
超神水は神界の宮殿にあったような
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 11:25:32 ID:S5paouLk
両方カリンさまの所だったような?
片方が修行のための口実、もう一方がパワーアップできるが猛毒、だったと思う。
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 11:29:29 ID:3+t/DhQh
>>38
たしかドラゴンボールGTで「あらゆる毒を消す超神水」が天界にあったから、>>380も完全に間違いってわけでも
ないんだけどね。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 11:34:32 ID:f7AD1DmQ
>>382
ZアニメオリジナルのガーリックJr編で出たんじゃなかったか それって
GTにも出てたのか
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 11:36:21 ID:OKovIzaG
斬から絶山剣舞を召喚
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 11:52:58 ID:SmESZ1cv
俺はてっきり超神水はほんとにただの猛毒で
「瀕死から回復するとパワーアップ」なサイヤ人特性が発動したんだとばかり
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 12:03:53 ID:IzUfZszz
潜在能力引出し効果
超神水:極小
最長老:小
老界王神:特大

こんなもんじゃね?
老界王神呼んでいきなり強くして貰うのはありだな
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 12:07:06 ID:KFgBlgQe
キム・カッファンを召喚
ハルケギニア中にテコンドーを広めようと志し、ルイズ更正に生涯を賭ける
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 12:33:52 ID:iM2kpvo1
>>387
ルイズは性格こそアレだけど更正するほど悪くはねぇよw

ワルドやメンヌヴィルの更正に成功してキムと並んで爽やかに汗を流してる姿が思い浮かんだw

そしてテコンドーと魔法を組み合わせたまったく新しい格闘技を武器とする水霊騎士団w
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 12:40:34 ID:pRxdnrrh
>>384
ピポパ プルルプルル「ハルケギニアまで迎えに来てくれ!」
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 12:42:30 ID:U/+lTPO/
ルイズに「覇気脚っ!」て踏まれて喜ぶ風上君。
脱獄したけどキムに捕まえられて更生させられるマチルダ。
キムに「どうだジョゼフ。真面目に働くのも悪くはないだろう」とエンディング。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 12:43:49 ID:r7QBSnOn
ゼロ魔ってファンタジーに出て来る幻獣的なのはいるけど妖精系っていたっけ?
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 12:45:14 ID:pwdHNtCM
水の精霊を妖精系に分類するかどうかによるだろ
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 12:46:03 ID:Q/CV5rDn
>>391
蝶々の妖精ことパピヨンが居るじゃないか


いや、原作の話だってことはわかってるけど
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 13:24:20 ID:KX2URFTG
>>384
何か知らんが絶天狼抜刀牙が脳裏を過ぎった
銀とかウィード召喚しても言う事きかなさそうだな
奴ら筋の曲がった事大嫌いだし
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 13:40:29 ID:8wVGLuWO
>>393
呼ばれたパピヨンは大多数の貴族から蝶々の妖精と認識されていたな
続き読みてぇ
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:33:51 ID:AMWnNsis
初じめて書いたんですが、こっちに投稿してもいいのかな?
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:34:38 ID:AMWnNsis
すげーな誤字だ
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:38:37 ID:glabKl5L
こっちじゃなけりゃどこに投下するつもりだ

テンプレ守ってるならここでいいよ
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:39:17 ID:AMWnNsis
誰もいないようなので、14:40ころから投稿します
戦国無双2猛将伝より長曾我部元親(クリア後)召喚です
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:43:14 ID:AMWnNsis
戦国無双2猛将伝より、長曾我部元親クリア後を召喚

第壱話

慶長五年九月一五日(西暦1600年10月21日)関ヶ原の戦い

赤い空と地。
西に傾いた陽光は関ケ原一帯に倒れ伏す累々たる屍を照らし続けている。
 血と草の匂いが混じりあった空気がゆっくりと平地全体を流れて漂い、秋の風が時折吹く度にそれらをそっと吹き飛ばしていく。

天下分け目の大戦、東軍西軍合わせて17万という未曽有の戦は西軍の勝利という形で幕を閉じた。
戦国最後の戦となるこの決戦の地に、一人の男が立っていた。

すらりとした体躯に無造作に伸ばした蓬髪、優男然とした顔立ちながらその眼光は鋭く、その容姿は二十半ばの青年の様であるが……。
男の名は長曾我部元親といった。
四国土佐の産んだ英雄児は西軍の将として関ヶ原に参戦していた。
目の前には動かぬ躯となった東軍総大将徳川家康が静かに床几に座っている。


家康……、初めて会った時、俺は時代というものを強く意識した。
それはきっとお前が時代を創る者だったからかも知れない。
戦国乱世から治世の時を経て、そして、世の中が次代へと向かう、お前はそういった歴史を刻んで生きていく男だったはず。

俺は日本国において辺境の地である土佐に生れ、父の死後家督を継ぎ、以後二十余年かけて四国を平定した。
四国は鬼国……、武田、上杉、北条、毛利、織田が群雄し争っている本土とはかけ離れた辺境の土地。
同じ二十年を費やすならば日の本の中央で暴れまわればどれ程のことが出来ただろうか。
もし俺が畿内に生れていればという思う気持ちは幾度も沸き起こった。
正室の菜々や側室の小少将には生まれる場所を間違えたと、言葉短く心情を洩らすこともあった。

「家康よ……、お前と戦いたかった…ただそれだけだ」
家康の遺体を眺めながら、心に浮かんだ気持ちを言葉に乗せる。
人生最後の大戦、徳川家康という男と自分の全身全霊を比べあいたい。
生まれ育ち、身分に関係なく、同じ時代を生きた男同士の比べあいをしたい。
そして家康が死んだのはその結果だった。
「俺は、時代を変えたのか……。
  俺が時代を変えたことは正しかったのか……いや……」
 
 家康は間違いなく時代が選んだ男だった。
 背負った思いを次代に繋げるために戦う、そういった気概が戦場を駆ける元親にも伝わってきた。
 元親は徳川の遺体越しに本陣がある桃配山から夕日に照らされた、関ヶ原を眺める。
元親の活躍は獅子奮迅という言葉も生ぬるく聞こえるほどの激しさで、関ヶ原の戦場という戦場を駆けた。
家康の武略を悉くつぶし、打ち取った名のある武将は二十を下らぬ、士卒に至っては千を超す。
もとから長曾我部と土佐兵は豊臣秀吉の九州征伐以降、最も恐ろしい存在として認知されてはいたのだが、これ程の凄まじさとは東西の諸将も考えが及ばなかっただろう。
「西軍が勝った……というより、元親が勝たせたのだ」と戦上手と名高い島津義弘などは甥の豊久にそう語っている。
凄絶に戦場に、時代に、家康に、長曾我部元親を刻みつけること。
それが関ヶ原での元親だった。
だが、今はたとえようもない寂寥感が元親の胸中には沸き上がってくるのである。
……まるで自分の居場所が……この世から消えてしまったかのようだ

「この戦の殊勲者が何をしている?」
石田光成、島津義弘、立花ァ千代の3人が歩み寄ってくる。
元親の肩に義弘のごつい手が載せられる。
以前、島津との戦で元親は最愛の息子、信親を殺されている。
一時は激しい憎悪を燃やしたが、元親はそれを水に流し、今では互いに実力を認め合う間柄だ。

本来なら光成と義弘の関係は最悪、立花と島津の関係も険悪であるのだから、ありえない組み合わせであるのだが、そこに元親が加わると不思議と和が成るのである。


401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:47:46 ID:AMWnNsis
「……声を無くした言葉を聞いている」
戦勝の雰囲気とはほど多い元親の声だった。
言葉を話さぬ家康に俺は何を求めるのか……。
この先の時代の舵取りであったはずの男はもういない。
俺はどこへ行くのか…、自分の行くべき道、進むべき時間が停滞している。

……いや、進むべきその先は家康の命とともに消え失せてしまったのだ。
今はっきりとわかった。
自分は流れていく時代のなかの一つの流れを取り返しがつかないほどに変えてしまった事に、そして、自分がもうこの世界には進む道がないことに。

そんな時、変化が起こった。
家康の座る床几の後ろに白銀に光る鏡が現れたのだ。
「なんだ!これは!」
突然に起きた奇怪な変事に近くまで来ていた立花ァ千代が慌てた声を上げる。
その後ろにいる石田光成も突然の出来事に声もなく、島津義弘も自体が飲み込めず困惑した様子だった。
それはあたかも死んだ家康の背後に現れ、後光を背負った神仏の様を想像させるからだ。
誰もが呆然としているなか、唯ひとり、長曾我部元親だけがその光る鏡に歩み寄った。
「おい、鬼若!」
「鬼島津…お前には聞こえんか?呼ぶ声が……」
「声だと?」
義弘が怪訝な顔をする、声など聞こえないし、隣にいる光成やァ千代も同様の顔をしている。
「確かに聞こえた、そして見えた……俺の進む先が」
鏡の前に立つと元親はおもむろに背の三味線を握ると弾き鳴らした。
「家康、時代が過ぎようとも俺はお前の思いを凄絶に覚えているッ、……光成、お前たちが時代は繋いでいけっ」
旋律が鳴り響く余韻の中、長曾我部元親は白く光る鏡の中に身を躍らせた。
一瞬鏡は光り輝いた後、何もなかったかのように消え失せた、長曾我部元親とともに。
突然の出来事、あまりの展開に豪胆な3人もあっけにとられていたが、そのうち、「これは……夢か?」と光成が呟いた。
一陣の季節はずれの寒風が関ヶ原を吹き抜け、ただ家康の遺体だけが俯いていた。



『あんた誰?』

いつの間にか気を失っていたらしい、気がつくと自分を見下ろすようにして妙な髪の色をした少女が自分を覗き込んでいた。
何か話しているようだが言葉が全く通じない。
土佐の訛りはひどく本土の商人とは通訳を介さないと言葉が通じないことがあるため、交易の際は苦労することも多い。が、京言葉のわかる自分に全く通じないとはどういう事だ?
(言葉の通じぬ知らぬ土地のなのか?)
頭を振って元親は身を起しあたりを見渡すと元親はしばし呆然となった。

その仕草を自分に対する無視の態度と受け取った少女は見る間に不機嫌を表すように顔色を変えた。
「ちょっと、アンタねぇ!平民の分際で貴族に対してそんな態度が許されると思ってんの!」
ワーワーと喚きはじめた少女に視線を戻すとゆっくりと元親は立ち上がった。
「言葉がわからんはずだ……、石の城、石の塀…、異国の話に出てくるが目にするのは初めて」
元親の視線は周りの、建築物に注がれていた。
「ここは異国の地か……」
そしてふと光の鏡に飛び込んだ事を思い出す。
「いや……、そうとも限らんな」
あの状況でも直感的にあの光る鏡を元親は進むべき道だと感じた。
そして今、この見知らぬ場所にいる自分。
つまり、愛宕山とこの場所をあの鏡がつながっていたのだ。
ここが果たして浮世かどうかも定かではないだろう……。
立ち上がって周囲を見渡すが白く輝く鏡は見当たらなかった。
自分の身の回りの物を確かめてみるが、やはり関ヶ原の戦い直後のままのようだった。愛用の髑髏が付いた三味線は左手に握られている。
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:50:21 ID:AMWnNsis
その一方、自分を無視している男に喚いていた少女は、立ち上がった青年の格好の異様さに思わず声を失った。
立ち上がった元親のスラリとした体つき、(変な化粧はしているが)顔立ちは良い、というか美形である。
しかし、何故に骸骨の楽器?しかもガウンの裾を短くしたような変な服を着て、袖は無駄に広いヒダみたいだ、派手な紫の布と金糸と銀糸で編みこんだロープ3つをベルト代りに使ってる!!


「童女よ、…あいにく言葉がわからん、文字は書けるか?」
元親は話しかけてみるがやはり通じた様子はない、少女も困惑した表情を一瞬浮かべ、俯いてしまった。
(派手で変な衣装、片手には弦楽器を持ってる…、つまり楽士?……要するに平民!?)
「コルベール先生!!、やり直しを要求します!!」
「…それは認められません」

突然、少女は身をひるがえし、少し離れたと場所に立っていた頭髪の薄い男性に向って走って行った。
なんだか取り残された感もあるが、仕方ない、向こうの話し合いが終わるまで待つか…、
そうおもって今の状況を観察してみると、目の前の少女と中年の男の他にも、少し離れた場所に遠巻きに眺める少年少女達がいる事に気がついた。
全員が派手な髪の色をしていて、顔つきも一般的な日本人とは似ても似つかない。

ちなみに一般的でない髪形髪色の日本人としては浅井長政が有名だ、
彼の者は南蛮人のような金髪だったと聞く、そう言えば前田慶次もか…、石田光成は赤毛、風魔の頭領はもはや血の色、血髪である、
かくいう元親自身も黒ではなくグレーに近い髪の色だが、彼の場合年齢を考えると致し方なしとも考えられるが。

その少年少女たちは全員がさっきの少女と同じような衣装をまとっている。
そして元親が目を見張ったのは、見たこともない生き物、まるで妖怪の類を傍らに置いている事だ。
正確にはカエルやカラスのような普通の動物もいるのだが、大型の蛇やモグラ、巨大な目玉といったものの方に視線が行くのは仕方がない。

「おいおいルイズの奴、平民を召喚しやがった」
「というか、ずいぶん変な恰好じゃないか?」
「楽器を持ってるし、あの恰好は、ありゃ何処かの大道芸の楽士だよ、きっと」
と男子たちは元親のことを判断したようだ、そして女子たちの話題は主に外見について話しており、
「ねぇちょっとあの人かっこよくない?」
「えー、でも変な格好してるし」
「あれはあれでアリだと思うよ」
「うん、いいと思う」
と、好意的な意見が出るたびに一部の男子は負のオーラを出していた。
元親は遠目にしばらく観察していると、巨大な虎ほどのもある赤いトカゲを傍らに置いた娘と目が合った。
情熱的な赤毛が印象的な娘は小さく手を振ってきたので、元親は軽く笑みを返すと、先ほどに少女が物凄い剣幕でなにか喚きながら近づいてきた。

「あああアンタ何、ツェルプストーに色目使ってんのよ!」
「…何を言ってるか言葉がわからん、…とりあえず落ち着くのだ」
そういって少女の顔の高さまで身を屈めた。
言葉が通じない以上、身ぶり手ぶりか、相手の表情を見るしかないとの元親の判断だった。が、少女にとっては従順に姿勢を低くしたと思いこんだ。
「そう、貴族に対しては常にそうありなさい、これから私があなたのご主人様になるんだから」
「……?」
内容まではわからない元親は困惑しつつも、意図を読み取ろうとじっと瞳を覗き込む。
「感謝しなさいよね、平民相手にこんな事、フツーはあり得ないんだから!」
「……?」
美少女を真剣な眼差しで見つめる美形、傍目には見栄え良く映る絵に、これから起こる事を知っている外野の少年少女たちは黄色い声を上げ、ひやかす口笛を鳴らす。
 少女もみるみる顔が紅潮し、なにか極度の緊張状態にあるようだ。
「ううーーー、まったく、うるさい奴らねッ……ねぇ、目を閉じなさいよ」
「?」
「目を閉じてって言ってるの!」
言葉が通じない為、少女は自分の目をつぶってみせると元親も少女の言わんとしている事に気がついたのか目を閉じる。
「童女よ、一体、目を閉じて…」
元親の目が閉じるのを確認すると、少女は恥ずかしさを誤魔化すように早口に呪文の詠唱を唱えると自分の唇を重ねた、と同時に外野から一斉に歓声が上がるのが腹だたしい。


ああ…私のファーストキスが……こんな事で失われるなんて………

403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:51:32 ID:H3SLFn5Y
支援。
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:53:59 ID:AMWnNsis
たった今、口づけをした元親の唇を見る。
綺麗に整った顔立ち、目を閉じ片膝をついた元親の姿は名のある魔法衛士隊の様な凜とした美しさがある。
……確かに美形だし…、おかしな格好をしてるけど……それほど嫌でもないかも…って何言ってるのよワタシっ!!!!
少女がそんな事を考えている中、元親がゆっくりと目を開けた。

(意図するままに目を閉じ、接吻を受けた、慎み深さには欠けるが、異国では接吻を挨拶にするとも聞いたことがある、ならばこれは挨拶の類か?)

見つめ返してくる元親の視線に、頬を上気させながら少女は恥ずかしさ紛れにそっぽを向いた。
「感謝しなさいよね、貴族がこんなことするなんてありえないんだから!」
「今、言葉がっ……ぐぁっ!!」

少女の話している事が通じるようになった事に驚いた瞬間、突然左手に焼けつくような激痛が発生し、思わず手に持っていた三味線を取り落とす。
「大丈夫よ使い魔のルーンが刻まれてるだけよ、すぐに収まるわ」
少女はそう言うと何気に目の前の青年が取り落とした不気味で精緻な細工が施された楽器に目を向ける。
鋭角に張り出した胴を持つリュートのような弦楽器、首の先には髑髏の飾りが付けられてる、材質は分からないけど、
いま地面に落した時の音は何かハンマーか何かを落としたような重く鈍い音だった。
楽器の鋭角に張り出した部分は軽く地面にめり込んでいる。
これって………楽器じゃないの?

「ミス・ヴァリエール…、下がりなさい……」
いつの間にか背後に立っていたコルベール教師が少女の身をそっと後ろへと促す。
彼の視線も青年の楽器へと向けられていた、彼もいま彼の持つ楽器の特殊性に気がついたのである。
「あの…先生」
「下がりなさい……」
静かに少女を後ろに退かせるとコルベールは青年との少女の間に入った。
ちょうどその時、元親の左手から痛みが消えた。
時間にしては5つ数える程にも満たない時間だったろうか、激痛は跡形もなく消え失せた。
急いで左手に巻いた装具を捲ると、痛みがあった手の甲には何か文字のような模様が描かれており、それは擦っても落ちる様子はなかった。

元親は左手に装具を巻き戻すと、静かに最凶の三味線「蝙蝠髑髏(へんぷくしゃれこうべ)」を手に立ち上がった。
華麗な金の装飾が施された黒い弦楽器、同時にそれは強力な打撃武器でもある。

立ち上がった元親と向かい合うと、すぐにコルベールは目の前の青年に頭を下げ謝罪した。
その様子を見ていた外野の生徒たちから何事かとどよめきが起こる。
平民相手に頭を下げる教師に、異を唱えようとする桃色の髪の少女を制して、コルベールは元親に語りかける。

「突然の無礼をお詫びします異国の方よ、私は当学院で教鞭をとっておりますコルベールと申します」
まずは話し合う、それが通用しないときは実力行使しておとなしくしてもらうとコルベールは考えていた、
見たところ鈍器のような楽器とあの薄手のガウンの下には革鎧のようなものを着こんでいるのが見える。
軍人としての経験があるコルベールは目の前の青年が、あまり刺激しない方が良い種類の人間だと思えた。
凄腕の傭兵などと出会った時のような、荒事にたけた人種が持つ空気を元親から感じ取ったのである。

元就は無造作に三味線を肩に担ぐと、手の甲をコルベールに向け、小さく笑いを浮かべた。
「聞きたい事が山ほどある。…まず言葉が通じるようになったのは、コレのせいか?」
「はい、おそらくルーンの効果によるものでしょう」
「るーん?まじないの類か?」
「そう考えていただいて問題ありません」
「ここはどこだ?」
「はい、トリスティン王国のトリスティン魔法学院です」
元親の問いに答えながら、コルベールは彼が敵意を持ってはいない事に胸をなで下した。

405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:54:49 ID:ZB1LdLXC
支援
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:55:06 ID:AMWnNsis
「とりすてぃん…か、…異国の響きだな、やはりここは日の本ではない、それと魔法?……何だそれは」
「え…魔法をご存じありませんか?」
この反応はコルベールも若干面食らった様子だった。
「ち、ちょっとあんた魔法も知らないなんてどこの田舎者よ」
自分をそっちのけにされている気分だった少女がコルベールと元親の間に割って入った。
「魔法とやらを知らねば、田舎者か、ここでは」
「どうやら本当にご存じないようですね……、貴方はこのミス・ヴァリエールによって召喚されたのですよ」
 少しだけ呆れたようなコルベールの表情を浮かべているのに元親は気づいた、
つまり、自分の知らない魔法とやらがこの土地ではごくごく一般的なものであるらしい。
コルベールも考えていた、ハルケギニアにいる限り、領地を治める貴族と一切の関係も知識も持たずに生きていくことなどできるだろうか?
この青年は一体どこからやってきたのだろうか?
「どうやら貴方は途方もない遠方から、こちらに呼び寄せられたのかもしれません」

しばらくじっと二人を眺めていた元親は空を見上げた。
関ヶ原では眺めていたのは秋の夕焼けだったが、今の元親の目に映るのは春の青空だった。
 
「そうかもしれん……俺の名は長曾我部、何故俺を呼んだのか詳しく話してもらおう」
少女がチョウソカベという響きが変な名前と呟いていたが、さすがに日本でも一般的ではない。
「わかりました、ここでは何ですので別の場所でご説明しましょう、ほかの生徒も教室へ戻さなければなりませんし」
そう言うとコルベールは待ちくたびれた様子のその他生徒たちに目を向けた。
元親もそれに同意したので、ルイズを除く生徒たちは解散となった。
生徒たちはフライを唱えると次々に宙を飛び校舎へと飛び去っていく。
その光景はさすがの元親も呆気にとられるしかなかった。
「なるほど、あれが魔法か……」
コルベールは元親と少女のためフライは使わず、徒歩でを学院へ向かいと歩き出した。
「童女よ、…確かばりえーると言ったか?」
コルベール達の数歩あとを付いてゆきながら元親が少女に話しかける。
「発音が悪いわ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ、覚えておきなさい」
そういうと少女―ルイズはツンとそっぽを向いた。

るいず・ふらんすそ……るぶ、ら……、元親は口の中で幾度か反芻していたが、諦めた。
 覚え憎い音感と、名前自体が長すぎた為である。
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 14:55:56 ID:AMWnNsis
以上です。
改行とか変な文章とか、むちゃくちゃですいません。
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:04:08 ID:e7bTY95o
最初は誰でもそんなもん
むちゃくちゃだと思ったんなら、それを糧にして成長してくれぃ
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:09:41 ID:5tUsWmMT
>>400
うん、これ好き。
続き頑張って、楽しみにしてる。
それと、別に変な文章じゃない、全然問題ないと思うよ。
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:10:34 ID:ZB1LdLXC
プロじゃないし読書家でもないからよくわからんけど
少なくともむちゃくちゃではないと思うよ
続き期待してる
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:22:15 ID:AMWnNsis
ありがとうございます、実は続きも書き終わってまして、
連投したいのですがかまいませんか?
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:26:44 ID:5tUsWmMT
>>411
お願いします。
413凄絶な使い魔第二話:2009/06/06(土) 15:27:08 ID:AMWnNsis
第二話「学院長室」

元親はコルベールとルイズの後をついて、そびえ立つ魔法学院校舎へと向かって行った。
石造りの建物は戦国武将であった元親にとって大変興味深いものであった。
最初、学園内に入る時、前方をいく2人が履物を脱がずに入って行った事に驚いたが、ここではそれが普通なのであろう。
これだけの大量の石材を使用して作った城は元親が知る内では秀吉が建てた大阪城ぐらいである。
あれは元親が知る限り、最も堅牢で難攻不落、そして最も豪奢な城である。
それに比べると、この建物は城として見るより、神社などの形式だった建物のように見える。
元親はあちこち見て回りたい気もしたが、さすがに前の二人を見失うわけにはいかない為先を急いだ。

3人は階段を登りつつ、上の階へと進んでいった。
その事に気づいたルイズがこの先の部屋について思い当たり、コルベールに尋ねる。
「あの…先生、この先の部屋は一つしかありませんが……」
「はい、向かっているのは学院長のところですぞ」
げっ…貴族令嬢にあるまじき言動をすんでのところで、口内押しとどめた。
なんで?学院長室に?
トリスティン魔法学園の学長オールド・オスマンは生きながらにして伝説のメイジとして名をはせる老メイジである。

たかだか、平民を合わせるために尋ねて良い方ではない。
疑問が少女のなかでどんどん膨れ上がっていく。
という事は目的は…ワタシってこと!?

やっぱり、召喚したのが平民だったから?
メイジを見るならまず使い魔を見よって言葉があるけど、
もしこの平民が私にふさわしい使い魔だとしたら…
そう考えると軽い目眩がしそうだった。

でも契約しないと留年だって言われたし、留年したら間違いなく実家に戻される。
そんな事になったらお終いよ、魔法を使えないメイジなんて、ヴァリエールの家名に泥を塗ったも同然、
私は一生屋敷に閉じ込められて暮さないといけなくなって、小さな窓から外を眺めるだけの人生を送るしかないんだ!

「……ううっ、小さな小鳥さん、貴方は良いわね自由に飛べる羽があって」

ブツブツと呟きながら夢遊病者のようにふら付いて階段を上がっていく少女は、後ろから
付いていく者としては見るからに危なっかしい。
「鳥がどうかしたのか?」
「……ああ、私も飛んでいきたいあの空へ」
ブツブツと呟き続ける少女へ、元親は不思議に思った。
「飛べばいい、その為の魔法だろう」
「…………」
元親の声が聞こえてないのか、ルイズは振り返ることはなかった。


3人は最上階の扉の前までくるとコルベールが重厚な扉のノッカーを叩く。
しばらくすると激しく肉を殴打する様な音が扉越しに聞こえ、やがて若い女性が出てきた。
学院長の秘書を務めるミスロングビルである。
「あら、コルベール先生、学院長に御用ですか?」
「これはミスロングビル、急なことで申し訳ないのですが学院長はおいでですか!」
「え、ええ…、まだ息はあると思いますけど」
「……そうですか、ところでミスロングビル」
「はい?」
「伺いたいのですが、手に持っている血が付いた木の棒は一体?」
「椅子の足のだったものですわ、コルベール先生」
「………」
なんだか微妙な会話のあと、三人は学院長であるオールドオスマンの前に通された。
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:29:49 ID:AMWnNsis
白髪の老人で齢300年とも言われる老メイジは弱弱しげに片手をあげて、
コルベール達を招いた。
「ゴホゴホ…、コルベール君、今日は何かね?」
「なんだがお体の具合が悪い様子ですが、大丈夫ですか?」
「フン…いやなに、しばらくすれば治るわい、ところで後ろにいるのは、確か…ミス・ヴァリエールじゃったな、
その隣は……はて?誰じゃったかの?」
「その事についてお話がございまして…」
コルベールはルイズと元親を招き、事の次第を学院長に報告した。

まず、コルベールは元親に対し、使い魔の召喚の儀式について簡単に説明を始めた。
「つまり、俺が入った光の鏡は、この国の神事の儀式だったわけだな」
「まぁそんなところじゃ、本来は動物や幻獣などが呼び出されるはずじゃがな……」
そういうとオスマンはハツカネズミを懐から取り出して元親に見せた。
動物と同列に扱われているようで何となく不愉快ではあったがオスマンと呼ばれるこの老人に悪意はないようだ、
もともと人を食った性格の持ち主なのだろう、
フッ……獣ならぬ、鳥無き島の蝙蝠を呼び出したわけか。


「今まで、サモンサーバントで人間を呼び出したなんて聞いたことがありません、
伝統に従いコントラクトサーバントまで行いましたが…、今にして思えば……もう少し慎重に対処すべきだったかもしれません」

今までだまって事の成り行きを聞いていたルイズがコルベールのセリフに驚嘆した顔を向けた。
「……わたしの……、ファーストキスが……」
つい、うっかり、口を滑らして多感な年ごろの少女に大ダメージを与えてしまったようだ。
中年教師が歯切れの悪い調子で弁解しようとしていたが、
結局、一度呼び出した使い魔は死ぬまで共にせねばならないし、その間、代わりの使い魔を再び召喚することはできない。
つまり、ルイズの場合、留年したくないなら結局のところ、契約の儀はさけられない結果だったわけだ。

もし、再召喚を学院長本人が認めるとして、その場合、召喚したこの青年を殺して、再度召喚するという事になる。
まさか、オールド・オスマンともあろう人がその様なメイジとしての道義に反れるようなことをするとは思えない。

オスマンは机から水パイプを取り出し、一服つけると、ルイズに尋ねた。
「ミス・ヴァリエールはこのチョーソカベ君を使い魔とすることに反対かね?」
突然話を振られたルイズであったが、少し考えて答えた
「……いえ、学院長がお命じならばかまいません」
内心では平民の使い魔より、ドラゴンなどの壮麗で強靭な生き物のほうがふさわしいと思っていたが、ここは当たり障りのない答えにしておいた。
(この場合、嫌だといったらどうなったんだろう)
オスマンはニコニコと旨そうに煙をふかすと、
「いや〜良かった、嫌なら始祖ブリミルへの不敬で退学決定じゃったもんね」
ルイズは貼り付けた笑みのまま硬直した。
老メイジは冗談じゃ、と笑って今度は元親に話かける。
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:30:49 ID:ZB1LdLXC
椅子の足www支援
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:34:51 ID:AMWnNsis
「そして、チョーソカベ君、君に頼みがあるんじゃが」
今度は壁を背にして話を聞いていた元親に、オスマンが話しかける。

「俺にその使い魔になれというのだろう?」
「嫌かね?」
「さぁ、どうするかな?」

元親の人を食った即答ぶりにルイズの血圧は急上昇した。

「ああああアンタね、平民の分際でヴァリエール家の家名に泥を塗る気?」
コルベールが押さえているが、ルイズは元親に掴みかからん勢いだ。
いや、手を離したら恐らく突進していくに違いない。

「家名に泥だと?」
「そうよ、ヴァリエールの名の者が魔法学院を退学したなんて噂が立ったら、生きてはいけない程の恥なのよ!!」
ルイズがまくしたてるのを抑えながら、コルベールは落ち着くように促す。
「ミス・ヴァリエール、淑女たるものがはしたないですぞ!、それに貴方はすでにコントラクトサーバントを終えているではありませんか、
それは使い魔の契約を結んでいる事に他ならないのですぞ!」
「それじゃー、なんでコイツは拒否するんですか!」
そう言われてもコルベールには、古今前例がない事だから答えようがない。
「それはたぶん、知能の差じゃろう、人間並みの知性の生き物を従えたメイジは古来から少ないからの……、
まあ落ち着きなさいミス・ヴァリエール」

「ところでさっきから気になっておったんじゃが、チョーソカベ君はずいぶんと変わった衣装を着ておるが、
どこの国の出かね?」
「土佐だ」
「トサ?、すまんがそれは何処の国かね?」

知らぬのも無理はない、元親は説明した。
土佐とは日本の瀬戸の海を越えてところにあるある島で、自分はその地方一帯を治める国主である事。
日本とは豊臣家が関白摂政を執り行う国であり、正統たる帝は京におわす事。
つい先日、実力者である五大老の筆頭、徳川家康と豊臣家による大いくさが行われたばかりで、自分も西軍の武将として参戦した事。

 あらかた説明を聞いたあと、オスマンとコルベールは首をかしげた。
「コルベール君、今の話で知ってる名前は一つでもあったかね?」
「いいえ、…学園長でもご存じありませんか」
総勢16万の戦争を起こすとなると、それなりの規模の国である事はわかるのだが、
当然ハルケギニアの国でそれが行われた事はない。
「彼はロバ・アル・カリイエ出身ではないのですか?」
「そうかもしれんのぉ」

ロバ・アル・カリイエとはハルケギニアにとって、サハラ砂漠よりさらにの東方に位置する地域の総称である。
エルフという強力な亜人種族の土地を通らざるを得ない為、東方への行き来は困難となり、未踏の地となっている。
あらかたその事を元親に説明すると、「確かに古来、我が国は日出る国と呼ばれていたらしい」と答えたので、彼の出身地は東方に間違いなかろうという事になった。

「しかし、だとすると君の帰る手段はありゃせんという事になるぞ、なんせエルフの土地であるサハラを超えることなんて不可能に近いからの」
そこでじゃ、オスマンは改めて元親に向き直ると言った。
「お主も突然、このハルケギニアに呼び出されて、行くあても食い扶持もない身じゃ、ミス・ヴァリエールは君がいないと留年、メイジとしての最大の恥辱を受けることになる、
そこで、君の衣食住の保障と、使い魔でなく、雇用人として彼女に仕えるというのはどうじゃろうか?」

オスマンの提案をルイズは考えてみる。
雇用人?…つまり、私は平民に給与を支払い、使い魔になってもらうのか……。
コントラクトサーバントは成功しているわけで、彼自身は間違いなく私の使い魔に違いないのに。
まぁ人間の使い魔なんだからそれが当然の気がする、でも、それなら雇用主側の意見としては、せめて何か特技があって欲しいところである。
そんな事を考えていたら元親がオスマンに向かって言った言葉は

「条件がある」

ときました、……オ、ホ…ホホホホ、ずいぶんこの平民はお高い事ね。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:39:52 ID:AMWnNsis
「条件?、こちらも君の境遇を哀れに思い、かなり譲歩しとるんだよ、
彼女は貴族であり、君の身柄はこちらではあくまで平民扱いじゃ、それを忘れてはいかんなぁ……」

元親を見るオスマンの目が針のような鋭さにかわり、隣に立つコルベールは年老いた老メイジから並みならぬ迫力が発せられるのを感じた。
並みの人間なら呑まれて、唯々諾々と従ってしてしまうオーラのようなものだ。

しかし、その圧力を前にしても、元親は意に介した風もなく、言い放つ。
「たとえ、見知らぬ地で、魔法が抗えぬ程の力であろうとも…、俺を伏せさせる事はできん、反骨の魂がそれを許さない」
オスマンと元親の間に火花が散りそうな緊張が走る。

はたから見ているコルベールとルイズは二人の迫力に押されて一歩下がった。
「せ、先生、私の使い魔が大変なことになってるんですが……」
「う、うむ、でもあのオスマン学長にあそこまで言える人間はなかなかいないよ、実は大物なのかもしれないよ、…あの若者は」

「そう、そうですか?無知がなせる業では?」
 ルイズの意見にコルベールは首を振った。
「いやぁ、確かに彼は魔法を知らないかもしれないけど、今の彼の迫力は並みじゃないよ、魔法衛士隊クラスは十分に務まると思うね」
ルイズはまさか!と声を上げた。
その後の「でも、なんでコルベール先生がそんな事わかるんです?、軍人でもないのに」という問いに、
また「いやそのゴニョゴニョ」と心に傷もちの中年教師は口籠るのだった


ともあれ、ルイズの中で元親に対する評価が好転したのは間違いなかった。

「チョーソカベ!、あなたの条件というのを教えて!」
二人の間に割って入るように、ルイズが元親の前に進み出た。

険悪一歩手前まで進行しようとしていた、オスマンと元親だったが、貴族の威光によるごり押しが通用しない元親に対して、
オスマンとしては手がない状態だったので渡りに船だった。
お互いに相手が手を出すなら受けて立つというスタンスだったので、ルイズかコルベールが間に入らなければ、
無言の圧力合戦を延々繰り広げることになっていただろう。

元親は静かに自分の胸までもない少女を見つめた。

「先ほど話した俺の故郷だが、……俺は戻るつもりはない」
「え?」
「俺はこの国にこうして呼ばれた事は何かの天啓だと思っている、先に進む道が見えなくなっていた俺に新たな世界が開けた、そう思えたからな」

心なしか元親の瞳が笑っているようにルイズには思えた、…これって感謝してるってことなの?
「のう、コルホース君、じゃったらミス・ヴァリエールはチョーソカベ君にとって恩人という事になるんじゃないの?」
「ですよねぇ、話をきいた限りじゃぁ………つか、コルホースって……」

「分かったわ、つまり、条件さえ飲めば貴方が私の使い魔になるのになんの障害もないってことよね」
「家臣、使い魔、好きに呼べばいい」
「じゃあ、その条件を言って!」
元親が静かに蝙蝠骸骨を構え、力強く弦を3回弾いた。

「簡単だ、……俺を従えてみせろ」

元親が引いた三味線から、無数の破裂の音の玉が無数に発せられ、それは瞬く間に部屋全体を覆っていった。
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:41:10 ID:AMWnNsis
以上です。
一話のときにタイトル書き忘れましたすいません。
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:46:38 ID:5tUsWmMT
>>418
お疲れ様。
物凄く続きが読みたい。
それと質問、国主って言ったのになんで
貴族だと思われなかったの。
魔法が使えないから?
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:50:21 ID:8piwjKBJ

オスマンが、「身柄は平民扱い」と言ってるからじゃね?
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 15:53:43 ID:AMWnNsis
>>419
そう言われれば確かにw
でも魔法を知らない、というのがブリミル教社会じゃ、あり得ないことなんで
辺境の国の蛮族的な王様と思ったとか・・・すいません考えてませんでした
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:02:25 ID:/ljPhHoz
お疲れ様です
読み易い文で続きが気になります
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:07:15 ID:Vwtqi0As
乙ー
元ゲーやったことないし、どっちかっつーとマイナスイメージな色眼鏡で見ちゃったけど、面白かったと思います。
更新待ち作品が増えたや

>>421
まぁトリスティンの元っぽいおフランセも中華思想の国だったし、いいんじゃね?w
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:12:35 ID:06EzFT58
雪風良いな。続きにワクテカしまくってます。
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:12:50 ID:e7bTY95o
どっちかと言えばモデルはベルギーっぽいがな
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:14:33 ID:ls8lxPE8
フェイタルフレームこと零から誰か喚ぼうぜ
写影機使えば始祖の書が初めから全て読めるはず
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:17:44 ID:Vwtqi0As
>>425
ぬぅ赤っ恥。無知がインテリの真似しようとするもんじゃないね…orz
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:18:04 ID:sS9bW6j4
実写のトランスフォーマーを呼べば始祖の書の言語法則を解析して一から解読を……
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:42:22 ID:GHGaGbl1
多分、名前からみるにガリアがフランスなんじゃねーかな
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:46:36 ID:3BCOjp88
マザりんはフランスの宰相だけどな
ネーデルラントは植民地だったり共和国だったり
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:48:40 ID:ls8lxPE8
古代ローマ/ギリシャの世界ではなくローマ崩壊後の中世世界がモデルなのは分かる
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:50:17 ID:5tUsWmMT
>>420>>421
取り合えず平民って事ですね。
分かりました。
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 16:58:43 ID:i1q2XTAH
久しぶりに覗いたら雪風が召喚されてるじゃん
ノーズコーンに雪風って書いてるみたいだからOVAバージョンか?
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 17:25:44 ID:GHGaGbl1
中世っつってもヴァイキングがヒャッホーしてた時代よりは大分下りそうだな。
中世って何百年くらい続いたんだっけ?
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 17:26:57 ID:OvIGbcs4
なに?ガイキングだって?ガイキングがヒャッホーしてるだと!?
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 17:42:54 ID:zoEOYhQQ
無双の元親を見て偉い人と判断するのは無理だ、さらに言うなら武士にも見えんw
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 17:51:05 ID:pwdHNtCM
BASARAな奴らに武士らしさを求めるな
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 17:53:24 ID:RZneLXba
>>435
アルビオン退却戦でフェイスオーーープン!!!
ttp://www.youtube.com/watch?v=psAMCrBilao


・・・・退却する必要NEEEEEEEEEE
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 17:57:42 ID:ZbLh8HZC
ガイキング――昭和と平成、どちらの作品からだろう。
どちらも別の勢力に召喚されてガイキングVSガイキング、というのも捨てがたい。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 17:58:54 ID:AB+eVAqq
>>439
火車カッターVS絶叫コースターアタックですね、わかります
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 17:59:11 ID:8wVGLuWO
サスページのサクセスストーリー・・・無理ではないがメインキャラの犠牲が
プロイスト召喚されたら即虐殺開始だろうな
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:03:34 ID:OvIGbcs4
>>440
とんでもねえよな。戦艦を回転させるなんて
ハルケの人たちも度肝を抜かれるだろうね
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:10:04 ID:ZshWmsUl
衝角突撃は概念としてあってもまず使われた事は無かったらしいからな
コンスタントに突っ込んでく大空魔竜は見た目差し引いても艦船として異常な存在
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:11:37 ID:AB+eVAqq
あと突っ込んでいく戦艦はリーンホースぐらいか?
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:12:08 ID:ZbLh8HZC
>衝角突撃
大空魔竜VSマザーバンガードという無茶な光景が目に浮かんだ。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:12:23 ID:UgjG3YG/
マザーバンガードかなあ
あれは原作漫画じゃ一発きりだったけど
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:13:04 ID:ls8lxPE8
>>434
誰でも馬に乗れる辺り中世の騎士さま万歳の時代かもね。それか銃の精度の低さからしてアメリカ独立戦争くらいか

古代だと馬は遊牧民か広大な敷地で幼少の頃から乗馬を特訓した貴族しか乗れなかった。
中世になって足掛ける道具ができてからみんなカッコよく乗れるようになったんだぜ
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:13:44 ID:OvIGbcs4
クロガネ参番艦とライノセラスだな、OGは。

>>444
それは特攻だろwww
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:15:29 ID:njFLYH/r
>>442
ガイキングの火車カッターって、確か大空魔竜が艦内の重力を常に床方向に働くようにしてるからできる荒技だったんだよな。
っていうか、そうでもない限り戦艦を回転させるなんて、誰が思い付くってんだかw
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:15:39 ID:iM2kpvo1
>>444
コルベール「艦首に削岩用の衝角をつけるとは驚きましたよ!そちらの世界では何と呼ばれていましたかな?」
謎の食通「トロンベですよミスタ・コルベール」
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:15:49 ID:8wVGLuWO
>444
青のインプルスとクロガネ

いっそルイズをリヴァイアスに逆召喚でもしてみますか・・・
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:17:12 ID:AB+eVAqq
クロガネすっかり忘れてたorz
ちょっとトロンベに巻き込まれてきます
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:21:14 ID:e7bTY95o
金剛も突っ込んでたな
もっともあの世界の衝角は接舷斬り込み時の艦体固定用みたいなもんだが
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:21:46 ID:KFgBlgQe
ヒビキさんを召喚したらルイズは桐矢ポジになりそうな悪寒
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:22:31 ID:Bgebwi5l
ゲドゥルドの海召喚で重力の海に沈むハルケギニア?
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:24:57 ID:D5jZ43s/
新旧どっちだ?まあどっちも好きだからどっちでもいいが。
ところで新しい方はDVD買ってみてて気付いたんだが、初フェイスオープン時に一コマ字コンテが混じってるんだが・・・
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:33:29 ID:sYeBbF2i
キャプテンハーロックのアルカディア号(青い方)も突撃あったっけか
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:38:04 ID:pwdHNtCM
轟天号が出てこない
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:40:31 ID:Q/CV5rDn
忍犬か
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:41:33 ID:D5jZ43s/
ダイダロスアタック・・・
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 18:41:39 ID:r7QBSnOn
ガルマ=ザビ召喚

ジオン公国万歳!!
でおわる
462『ゼロの戦闘妖精』:2009/06/06(土) 18:54:51 ID:XctPxot0
>433
イメージはアニメ版の画像を見ながら作りますが、原作も読み返しながら書いてますので
両方混じっている別物だと思ってください。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 19:10:31 ID:Vwtqi0As
…銀河戦国群雄伝ライとか思い出した私は中途半端に古い人間
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 19:15:18 ID:LXgYegvX
剣持って7万の軍勢と戦う事を妄想するだけで飯ウマ。
何度妄想してもルイズが遠くから自分の死の瞬間を目撃するシーンがラストになってしまう。
妄想力が貧相すぎて泣けてきた
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 19:16:28 ID:ItgcSyEO
>>455
某所でネーヤなら呼ばれてる
>>458
海底軍艦ならラ号も忘れずに
ハルケギニアに地空人がいたら速攻で南極から円筒が出てきそうだ。ラ級戦艦は…
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 19:20:25 ID:NLJt2cNW
>>457
青くない方もあるぞ

>>458
羅号もな
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 19:32:03 ID:qdazH8Cv
どこぞの企業で軍艦の船団を本社にしてた企業があったな
一機のネクストに沈められてお粗末なもんだったが
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 19:40:08 ID:QmGr1Q1k
>>458
自転車を召喚してどうするんだ?
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 19:50:48 ID:AB+eVAqq
あ〜るの人帰ってこないかなぁ・・・
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 19:53:17 ID:NUnQxTW7
空母を二隻連結したのが本社な企業のゲームがあってだな…
まさかあの第一作がこんな燃えゲーに変化するとは当時だれが思えたであろうか。




ところでラ号が出るならネオ日本武尊や電光も出さんといかんのではなかろーか。
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:09:56 ID:aAvdvM25
衝角じゃないが突撃だけならナデシコもやってたな

チューリップに突っ込んでグラヴィティーブラストぶっ放しただけだけど....


あと衝角付の船と言ったら武装錬金でヴィクターに一蹴された合体武装錬金とゴー将軍のケルナグール艦を忘れちゃ駄目だろ
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:25:18 ID:/9q2UNuH
大質量の乗艦による体当たりなんて普通なら自爆特攻でしかないからなぁ…

無慣性状態で突っ込んで接舷したら白兵戦ってのもあったが、これは趣旨が違うし。
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:30:56 ID:e7bTY95o
それなんてレンズマン
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:40:47 ID:i+ClwLqs
重巡畝傍に突っ込む駆逐艦カットラスですね。わかr(ry
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:42:33 ID:d7TqzSs9
>>472-473
バーゲンホルム乙
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:46:34 ID:pbJ4eV8X
>>470
世界観つながってねーよw

各国にラ級艦が出現とか。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:48:34 ID:BjVPI0+e
>>451
> いっそルイズをリヴァイアスに逆召喚でもしてみますか・・・


R指定にする気かw
ルイズの性格的に第2のこずえになるぞ…
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:53:49 ID:rVuSQjU8
戦艦突撃といえばダイタロスアタックだろう常考

マクロス召喚された場合やっぱり最後は歌でエルフと和解になるのだろうか
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:58:04 ID:hIbZuYAe
>>478
バサラならともかく、ミンメイやランカごときにそこまでの力はないと思う。
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 20:58:41 ID:/9q2UNuH
ありゃロボットによるパンチだろ?
材料が戦艦なだけで。
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:03:56 ID:XctPxot0
>478
マクロス強攻型を超巨大ゴーレムとして召喚ですか?
そんなモン 誰も勝てねー
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:06:15 ID:MkwDS/Po
あれ地上だと重量で自壊しないか?
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:08:06 ID:QcGb+OeA
>>478
シャロン召還すれば洗脳して戦闘不能にすることできそうだけど
あのAI考えたらイサムが絡まない限り絶対やらないだろうな
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:08:44 ID:rVuSQjU8
>>480
いや、あれ右手が強襲揚陸艦ダイタロスだからダイタロス側でみれば…

おまけにピンポイントバリアでガードして相手内部に突っ込ませた挙句
揚陸口から待機させた大量のデストロイドモンスターの一斉射撃というトンでも攻撃だったりする
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:09:07 ID:NLJt2cNW
ダイダロスは「強襲揚陸艦」なんだがな
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:09:13 ID:pwdHNtCM
>>482
最初に発進するときはしっかり地上にいたから自壊するのはありえんだろ
ただしパーツが逃げていくけどな
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:12:16 ID:RZneLXba
おっとライが出てくるなら宇宙英雄を出さずには居られない。

宇宙英雄物語から護堂・トーマス・十字を召喚!

とりあえず宇宙服と呪唱銃は標準装備で。
星詠み号は同時召喚、もしくは大規模召喚儀式をジュージが自分で行う。

魔法を撃てる呪唱銃はマジックアイテムって事で落ち着くけど
そのチャージ(儀式装填)はジュージ自身が行うから魔法使い扱いか平民扱いか微妙な処ね。
それにつけても魔法科学技術の結晶たる星詠み号にはコルベール先生狂喜しそうだなぁ・・・
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:16:32 ID:NLJt2cNW
>揚陸口から待機させた大量のデストロイドモンスターの一斉射撃というトンでも攻撃だったりする
3機しかおらんがな
基本はトマホークとファランクス主体+ディフェンダーだ
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:18:39 ID:8IyaJbvV
実は魔法は存在しなかったというオチですね、わかります
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:19:01 ID:rVuSQjU8
>>485,488

むぅ、意外と記憶違いが。
というかほんとここの平均年代いくつだおい
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:21:21 ID:ZshWmsUl
キャプテンフューチャーが呼ばれるってのは考えたけどな
もう一度練ってみるか
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:22:35 ID:pwdHNtCM
>>490
レンタルビデオという便利なものを利用しております
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:22:55 ID:nWXBOfBz
328 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 15:48:13 ID:Ia40iRtE
未知の他国とはいえ国主っつってる人に対して
平民扱いするかなあ
なんの確証もないからこそ、下手な扱いはできないと思うんだけど

329 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 16:45:55 ID:GkgqY8Z6
呼ぶキャラが強ければ強いほどルイズとその周辺の連中がアホに見えるな

330 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 17:05:37 ID:KgGvR8x.
ここ最近で、召喚者が学院のメイジたちの間で平民扱いされなかったのはアビスの焔のやつかね
あれは、騎士みたいな格好と魔法を使えるらしいってので、貴族扱いだったが

読んでる作品が少ないんで、他に同様のがあるかもしれん

331 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 17:26:33 ID:m2OJcIuw
ポケモンとSDガンダムは当然平民扱いはされてないな

332 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 18:28:13 ID:q63ESuvQ
あれで平民扱いだったら吹くわ

333 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 20:34:46 ID:otrcLJiQ
どのようなキャラでも平民扱いは伝統だろ
賢者や大司教でさえ野良メイジ扱いだしw

334 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 20:36:44 ID:yc6T8pHk
爆発
平民扱い&罵声
キス&契約

335 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 20:38:24 ID:D3m7UCdI
その辺原作からしてひどいよな。
呼ばれたのが仮に平民だとしても
本人の意思関係なしに無理やり誘拐したんだから
それなりの待遇はあってしかるべきだろうに。

SSではその辺触れてる物もいくつかあるけど
原作がその辺り完全スルーしてるのは読んでて正直ありえないと思った。

ルイズは立派な貴族とやらを目指してる割に平民にやたら横柄だし(才人に限らず)
ハゲも問答無用で契約促すあたり平民を軽んじてる節があるし
オスマンも明確な功績を立てた平民に何も報酬は出せないとか抜かすし
色々ひどいなあの国。

336 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 20:41:46 ID:gRkjMD0Q
貴族の子息令嬢は屋敷の使用人以外の
平民と接する機会が少ないことを考えれば
 
ルイズたちの理不尽かつ横暴な振る舞いも
仕方が無いのかもしれない。

もっとも、下級貴族の子息・令嬢はその限りでは
ないかもしれないけど。
大貴族のソレよりは、平民と接する機会も多いだろうから。

337 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 20:43:04 ID:DAXPET7E
無限ループってこわくね?

338 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 20:58:41 ID:NdpCUMMs
ぶっちゃけノボル先生が深く考えてな(ry
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:23:16 ID:nWXBOfBz
339 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 21:11:13 ID:otrcLJiQ
下手に続くと設定の粗がどんどんわいてく

340 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 21:14:49 ID:gRkjMD0Q
で、二次創作する方達が、
設定の粗を酷評したり、その粗をどうにかするSS書いて悦に浸ると。

個人がそれを誰にも見せずに行なうのであれば
何も問題ないかもしれないが

どこかに掲載などすれば、それが二次創作のファンを生み出し
原作批判に繋がることもあったりなかったり

341 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 21:17:52 ID:87s8hI9g
読者が自分の賢さを演出する時って、「作者が馬鹿だから登場人物の描写が破綻してる」
といった感じに、作者の程度を下げる手段をよくとるよね。

大きな身分差があって、ルイズがエレオノール同様キツいな性格だってことに引きずられて、
そこから飛躍して安直なヘイト思考になっちゃうんだから、あんまりその読者の頭は賢くないと思うんだけど。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:24:45 ID:ZshWmsUl
あと思い出したが、宇宙英雄物語の魔法は超能力じゃなくて空間に無数に散布されてるナノマシンをコントロールする技術な
設定かなりクロスオーバーさせないとハルケギニアじゃ宇宙英雄世界の魔法は使えない
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:33:54 ID:8IyaJbvV
聖地にスカイラーク本店があるとか
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:37:00 ID:Vwtqi0As
じゃあトリスタニアにはミルキーウェイを
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:39:45 ID:NLJt2cNW
「すたーらーく(星雲雀)」だ
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:44:02 ID:hIbZuYAe
代理スレに黒魔の人が投下してたんで、21:50頃から代理投下していいですかね?
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:44:10 ID:a3JMVn3X

342 :名無しさん:2009/06/06(土) 21:24:55 ID:KgGvR8x.
狭い価値観や知識を盾に、小賢しい持論を繰り広げるのは嫌だな
結局、俺は正しいってアピールにしかならん
ルイズ達の才人への扱いが不満だといっても、まったく時代が違う人間に文句を言う口があるのかな
あの世界ではあれが常識

それに、こんな考え方もできる
平民を物のように蔑む時代があったからこそ、現在の平等な社会がある
過去の間違いの反省の先に今がある
そして、今の過ちを悔いた先に未来がある
そう思い至れば、愚痴のような批判の無意味さを悟れる

・・・毒吐きで言うことじゃないな

343 :名無しさん:2009/06/06(土) 21:37:32 ID:87s8hI9g
というか、物扱いとか誘拐とか、言ってることと作中表現との乖離をおかしいと思わんのかな。
どこの二次創作のルイズの話なのかと。

まあ、下手に現代風に解釈しようとするとそういう誤訳を生む、ってのは342の前半に近い話だな。
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:46:19 ID:e66f950H
トリスタニアの場合
貴族はミルキーウェイ、平民はサイゼリアで決まりだな。
502ゼロの黒魔道士第48幕:2009/06/06(土) 21:50:31 ID:hIbZuYAe
取りあえず代理投下始めます。



「――ほんっと!一体、どういうことなのかしら!!」
そういう風に、ルイズおねえちゃんに言われると、ボクも困ってしまう。
「え、えっとー……」
夏休みの1日は、早起きしてがんばったお日さまが、
疲れて眠りにつくオレンジ色の光ですぎようとしていたんだ。


ゼロの黒魔道士
〜第四十八幕〜 黄昏街の気だるい午後


ルイズおねえちゃんが困っているから、みんなで、思いだすことにしたんだ。
「――夏休みに入ったってんで、お姫さんに呼び出されたんだろ?」
そもそものきっかけは、デルフの言うとおり、アンリエッタ姫だったんだ。
トリステイン魔法学院が夏休みになったその日の夜にお手紙が届いて、
お友達に送る軽い手紙の内容の中に、会いに来てほしいってそれとなく書いてあったんだ。
「……うん、『街の人達の生の声が聞きたい』って言ってて……」
それに応じて、次の日すぐにトリスタニアの王宮に行ったら、任務を与えられたんだ。
即位して、間もないから街の中で色々不満とか、困ってることとか、みんな多分あるんだろうけど、
情報網がまだ少ないから、お姫さまの耳にまで入ってこないんだって。
だから、ルイズおねえちゃん達に調べてほしいって、そういう任務内容だったんだ。

「えぇ、そこまではいいわ。姫さまのお言葉ですもの。当然、私達はそれに従って任務を開始した」
ルイズおねえちゃんが、胸を張って『やります!』って言ったのを覚えている。
ルイズおねえちゃん、うれしそうだったなぁ……
「そんでよぉ?娘っ子が『金が足りねぇ』なんざ言いだして――」
お姫さまから、調査費用ってことで、金貨のいっぱいつまった袋を渡されたんだけど、
ルイズおねえちゃんによると、『全然足りないわ!』なんだって。
……こっちのお金って、ギルとは違うのかなぁ?
あれだけあったら、町で一番の装備だって揃えられそうだなぁって思ったんだけどなぁ。
ハルケギニアのお金の価値って、まだよく分からないや。
……でも調査に馬とか必要なのかなぁ……?
「……お姫さまにもらったお金が少なかったのが、そもそもの原因……?」
せめて、こっちのモンスターとかがお金を持っていたらなぁって思うんだ。
……もしくは、アイテムとか、ね。
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 21:50:51 ID:RZneLXba
>>495>>496
ハルケギニアの存在する惑星が実は占王星(=すたーらーく本社)だった!
くらいの超クロスオーバーになるわけですね。

魔法の存在する真なる太陽系に存在しながら
真なる太陽系の各惑星文明と一切の交流の無い星・・・
舞台設定としては収まり具合よさそうですね。
504ゼロの黒魔道士第48幕:2009/06/06(土) 21:52:03 ID:hIbZuYAe
「――おれっちとしちゃあ、娘っ子の思いつきが問題だったんじゃねぇかと睨んでんだが……」
……確かに、その後が問題だったのかなぁって、ちょっと思うんだ。
「っ、だ、だってほら!!ほ、他に稼ぐ手段なんて……」
でも、他に稼ぐ手段が無かったっていうのも、ホントのことなんだ。でも……
「ギャンブルって……難しいんだね、ホント……」
何にも知らないボク達が、選ぶべき方法だったのかなっていうのは、まだ良く分からないんだ。
「まぁ、娘っ子の賭け方はねぇわな。自棄になって1点賭けなんざ愚の骨頂だぜ?」
ルイズおねえちゃんの運が悪かったのか、ボクが止めれなかったのがいけないのかは分からない。
でも、立て続けに間違った方に、間違った方にルーレットで賭けちゃったんだ。

「う、うっさいわねぇ!!そうでもしないと勝ち目無かったでしょうが!!」
「……結局、勝てなかったね……」
最後の最後で「赤か黒か?」で半分の確立だったはずなのが、
よりによってどっちでもない「0」に玉が入ってしまったときに、
ルイズおねえちゃんの目がルーレットの台みたいにぐるぐる回ってしまって大変だった。
「んで、噴水前でうだうだやってたわけだ」
「『どうしよっか』、って話し合ったんだよね」
気を失いそうになったルイズおねえちゃんを引っ張って、噴水のところまで来たのがお昼をちょっと回ったぐらい。
お日さまは頭のほとんど真上で、一生懸命がんばっていたんだ。
噴水の水しぶきが、ちょっと涼しくて気持ちよかった。
お金が足りないはずだったのに、完全に無くなっちゃって、
これからどうしようって、話し合ったんだ。
……答えは、ちっとも出なかったけどね……

「――あんたのあの無礼な友達が見回り中に声かけたのよね、ルーネスとか言う……」
「う〜ん……確かに、ルーネスはあんまり丁寧じゃないけど……」
タマネギ隊として見回りをしていたルーネスの、ちっとも丁寧じゃないけど、とっても元気な声を思い出す。

『なんだよ、ビビと貴族のねーちゃ……じゃねぇや!貴族のごれーじょーな?
 とにかく、お前らどうしたよ?こんなトコでボサーっとしてさぁ?どこの物乞いかと思ったぜ?
 暑い中、日陰も無ぇトコロでどーしたよ?元気出していこーぜ!!』

……あんな鎧を着てるのに、どうしてあんなに元気なのかなぁ、ルーネスって……
「けっこーイイ奴だぜ?宿と金稼ぎの方法、紹介してくれたしな!」
デルフの言うとおり、イイ子だとは思う。とっても。

『あぁん?金も無けりゃ宿も無い?おいおいおい、貴族さんが何を言って……
 あー、いいや。うん。そうだな!事情なんざ関係無ぇよな!友達が困ってんだ!
 理由なんてどーでもいいよな!そうだろ?よしっ!オレ、丁度良いとこ知ってんだ!』

困ってるボクらを無条件で助けてくれるなんて、とってもイイ子だと思うんだ。
……今度、ルーネスが困ってたら、何かを何とかしてあげたいなぁって思う。
「お店屋さんで、住み込みながら仕事って、結構良い条件だよね」
紹介されたお店は、ちょっと埃っぽいけど、ハシゴでとんとんとんって上った先に屋根裏部屋がついていて、
ベッドと十分な広さがあるから、贅沢さえ言わなければちゃんと寝れそうだなぁって思ったんだ。
もちろん、ルイズおねえちゃんが、ここの店長さんと話をしている間に、しっかり掃除はしたけどね。
クモの巣をはらったり、折れたベッドの足の下にお酒の瓶が入った木のケースを置いたり……
……でも、この部屋にボク達より前から住んでいるらしいコウモリまではどうにもならなかったんだ。
……かみついたりしない、よね?
505ゼロの黒魔道士第48幕:2009/06/06(土) 21:53:30 ID:hIbZuYAe
「――はい、そこね。そこが最大の問題点ね」
……コウモリが一番の問題点、だったのかなぁ?
「んじゃあ他にどんな手があったっつーの?」
「うっ……」
「ボクも、お皿洗いとかなら、できるし……」
でも、お金を稼ぐためなら、そこまで贅沢は言えないと思うんだけどなぁ。
「ち、ちがうわよっ!私が問題にしてるのは、そんなことなんかじゃなくて!!」
……やっぱり、コウモリ、かなぁ?
「――まぁ、ちっと特殊な店じゃあったわな?」
「え、そうなの?」
それはとっても意外だったんだ。
お店の作りも、見た目も、ガイアやハルケギニアでよく見る酒場と同じだったから、
全然、変だ、とか、特殊だ、なんて思わなかったんだけど……

「特殊どころじゃないわよっ!何、このふ、ふ、ふ、服はっ!!!」
……あれ?服、なの?
「……?似合う、と思うけどなぁ……?」
真っ白で、つやつやして、ちょっと薄めの布でできている服。
フリルとかがヒラヒラしていて、とってもかわいらしいなって思うし、
コルセットって言うんだったっけ?それでお腹回りをおさえているからしゅっとして見えるし、
背中とか足とかが露出しているのは、これからの季節に涼しそうでいいと思うんだけど……
「う、うるさぁぁぁぁぁいっ!!!」
ルイズおねえちゃんが、真っ赤になって文句を言う。
……この服の、何が問題なんだろう……?

「……デルフ、ルイズおねえちゃん、何が不満なのかな?」
「……ま、あれだ。趣味の不一致ってぇヤツだわな」
趣味、かぁ……それじゃぁ仕方ないのかもしれない。
同じ形の服でも、色が違ったら良かったのかなぁ?

「あのタマネギ小坊主っ!今度会ったら炒めタマネギにしてやるわ!!」
「る、ルイズおねえちゃん、そこまでしなくてもっ!?」
ルーネスが次に会ったときには無事でいられるか、ちょっと心配になっちゃたんだ……
 ・
 ・
 ・
……夕方には、ボクもこのお店が『特殊』っていうのが、なんか分かる気がしたんだ。

「いいこと!妖精さん達!」
「はい!スカロン店長!」
「ちがうでしょおおおおおお!」

……店長さんがなんか……すごいんだ。

「店内では“ミ・マドモワゼル”と呼びなさいって言ってるでしょお!」
「はい!ミ・マドモワゼル!」
「トレビアン」

おっきな体の男の人なのに、女の人みたいな言葉づかいをするし、
男らしい胸毛や、お髭、髪型なのに、きっつい香水の匂いがする。
動作の1つ1つにはとってもキレがあって、腰の動きがやたらとクネクネしている。
おまけに、『ミ・マドモワゼル』って……
……なんていうか、すごい、としか言いようが無いんだ。
506ゼロの黒魔道士第48幕:2009/06/06(土) 21:55:00 ID:hIbZuYAe
「さて、まずはミ・マドモワゼルから悲しいお知らせ。この『魅惑の妖精』亭は、最近売上が落ちています。
 御存じのとおり、最近東方から輸入され始めた『お茶』を出す『カッフェ』なる下賎なお店の一群が、
 私達のお客をうばいつつあるの……。ぐすん……」
「泣かないで!ミ・マドモワゼル!」
店員さん達はルイズおねえちゃんとほとんど同じ格好の色違いで、
(ルイズおねえちゃんもこっちだったら良かったのかもしれない。赤とかピンクとか)
そんな店長さんの『特殊』なところには何にも触れない。
……慣れている、のかなぁ?
こういうのに順応できるって、結構すごいと思う。

「そうね!『お茶』なんぞに負けたら、『魅惑の妖精』の文字が泣いちゃうわ!」
「はい!ミ・マドモワゼル!」
店員さん達に慰められて、勢いのついた店長さんが、テーブルの上にダンッと飛び乗り、激しくポーズをとった。
黒くツヤツヤしたお洋服とあいまって、なんか、コウモリっぽいなぁって思った。
あぁ、だから、屋根裏にあんなに住んでいた、のかなぁ?

「魅惑の妖精達のお約束!ア〜〜〜〜〜〜ンッ!」
「ニコニコ笑顔のご接待!」
うん、笑顔は大切だよね。
笑顔の店員さん達がお店にいると、入りやすくなったりすると思う。
「魅惑の妖精達のお約束!ドゥ〜〜〜〜〜〜ッ!」
「ぴかぴか店内清潔に!」
これも大事なこと。
お店が汚かったら、お客さんの気分も悪くなっちゃうもんね。
「魅惑の妖精達のお約束!トロワ〜〜〜〜〜〜ッ!」
「どさどさチップをもらうべし!」
……えっとー……こ、これも必要、かな?
お店をやる限りは稼がなきゃ……だよね?
「トレビアン」


「さて、妖精さん達に素敵なお知らせ。なんとまた今日も新しいお仲間ができます」
部屋の隅で、ボクの隣に立っていたルイズおねえちゃんが、緊張するのが伝わった。
……だけど、『また』って……?
「じゃ、紹介するわね!ルイズちゃん!いらっしゃい!」
緊張してガチガチのルイズおねえちゃんに『がんばって』って小さく言って、
その『また』の前の人を探してみることにしたんだ。
「ルイズちゃんはお父さんの博打の借金のかたに……」
店長さんが、ルーネスの考え出した設定をしゃべっている間、
ちょっとお店の中をキョロキョロすると、淡いブルーの服を着たメガネの女の人を見つけた。
そういえば、この人だけ、店長さんの行動を直視できていなかったし、
まだ全然慣れていないのかなぁって、思う。
うん、一緒にがんばっていけたらなぁって思った。
……でも、なんとなく見覚えのある気がするのはなんでだろう……?
「ルルル、ルイズです。 よよよ、よろしくお願いなのです」
「はい拍手!」
ボクも、その人も拍手をする。
気になることは色々あるけれど、しっかり稼がなきゃいけない。
それに、悪いことばっかりじゃない。
酒場って、情報の集まる場所だから、お姫さまの任務も果たせる。

「さあ、開店よ!」
羽扉がパタンって開いて、お客さんと黄昏のオレンジ色の光が、お店の中になだれこんできた。
しっかり、がんばろう。そう思ったんだ。
507ゼロの黒魔道士第48幕:2009/06/06(土) 21:56:30 ID:hIbZuYAe
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ピコン
ATE 〜Eyes On Me〜

その少年は嘘つきとして知られていた。
平然とした顔で、大嘘を堂々と言ってのける、嘘つきだった。
「君にしばらく会えそうもなくてね」
だが、この言葉は本当になりそうであった。
この嘘つきの厄介な点として、虚実を織り交ぜて語るということが挙げられる。
10回に5回は真のことを言う、そういう嘘つきほど始末の悪い者は無い。
「まぁ、そんな」
だが、そんな危うさこそ、ジョゼットが最も好む点であった。
彼女は、恋に恋をしてしまうタイプであった。
つまり、恋愛の相手を好きになるというよりも、恋愛そのものを楽しむ性質なのだ。
修道院に暮らす彼女には、そうした恋愛の機会はそうそう訪れない。
ましてや、ここセント・マルガリタ修道院のように、
岩山と海に四方を囲まれた、ガリア北西部の僻地に存在するような場所ではなおさらだ。
だからこそ、ここ半年間、ロマリアから訪れる『竜のお兄さま』との逢瀬を、彼女は心の底から楽しんでいた。
もちろん、修道院だから恋愛は御法度であるし、彼女自身、恋をしたことなど未だ一度も無かったため、
これが恋愛なのか、あるいはただの親愛の情なのかは、全く見当もつかなかったが。

孤児であると院長に教えられ育ったジョゼットは、
親や家族といったものの愛情を知らない。そしてそうした俗世の縁に憧れていた節がある。
今も、唯一彼女と彼女を捨てた両親をつなぐらしい、自分の首から下がる聖具をしきりに触っていた。
あるいは、こうした家族愛のなりそこないを、兄と慕うジュリオに向けているだけかもしれない。

確実に言えることは、修道院の片隅で秘密裏に二人で話をする、というちょっとしたスリルに、彼女は酔っているのだ。
(当たり前だが、実際は『秘密裏』でない。ロマリアからの客など珍しい上に、この修道院には30人ぐらいしか修道女がいない。
 必然、『秘密』とは公であることを指し示し、ジョゼットは向こう2週間はからかい尽くされるのだ)

「公務だからね、仕方がないんだ」
これは大嘘である。
月目の少年に与えられた公務など、存在しない。
「全く、宗教庁も人使いが荒くて困る」
これも大嘘だ。
この白金色の髪の毛の少年の地位は、確かに助祭枢機卿。
宗教庁には、彼にとって上の立場である人間はまだまだ存在する。
が、それはあくまでも表面上のこと。
彼を使える人間など、教皇聖下以外に存在しない。
それほどまでに重要な人物なのだ、彼は。
ただ、その事実すらも関係無い。
彼は、まったくのところ、彼自身の意志で活動しているのだ。

「それでも羨ましいですわ。外の世界が色々と見れるなんて」
純朴な修道女であるジョゼットは、そうした嘘など見抜こうとすらしていなかった。
大好きな『竜のお兄さん』に、ロマリアの高位の神官に、裏があるなどと一片たりとも思ったことがなかった。

「外の世界かい?君が思うほど素晴らしいものでは無いと思うよ」
これは事実である。
彼は、ジュリオ・チェザーレは、この世界に失望していた。
彼は、権力や財力のために、人が争うことに失望していた。
それを容認する、腐敗しきった国家や教会に失望していた。
「だから、君に会えると、僕の心は安らぐんだ」
これも事実だ。
いくら地位や力があったとしても、結局のところ、彼は少年にすぎない。
安らぎを、女性の温かさを求めるのは、当然のことと言えた。
だから彼は、右手をそっと、ジョゼットの雪のように白い髪の毛に伸ばし、そっとそれをなぜた。
シルクのような輝きと、ウールのような温かさを持つ、すばらしい銀髪に。
それは、どこか懐かしい香りがした。
508ゼロの黒魔道士第48幕:2009/06/06(土) 21:59:02 ID:hIbZuYAe
「修道女の髪を触るなんて、地獄に落ちますわよ」
ワザとらしいツンとした表情で、ジョゼットが言う。
しばらく会えなかったし、これからしばらく会えないのだ。
これぐらいの不満を言ってもかまわないだろう。
「君のこの綺麗な髪を触って地獄に行くなら、本望だね」
これは真実とも嘘ともつかない。
彼女の綺麗な髪を触っていたいと思う反面、
やはり地獄なんぞに落ちるのはまっぴら御免だからだ。
「まあ! なんて罰当たりな言葉でしょう! 神官さまの言葉とは思えませんわ!」
流石に、ジョゼットもその言葉を冗談と受け止めたのか、
またこの少女らしい純朴な笑顔でこれを受け止めた。

「ひどいなぁ。これでも神官らしく、この世界をより良くするために働いているというのに!」
これは、ほぼ真実である。
彼は、世界をより良くするつもりであった。
誰一人として、悲しい涙を見せることの無い世界に。
彼には、その力があった。
彼には、動機があった。
決して、教会の思う通りにはさせない。
そのためにも、今はどんな嘘でもついてやる。
ガラス細工の笑顔の裏で、神の笛がうなりをあげる。
決して、ジョゼットを、泣かせたくない。
昔はともかく、今ではそう思うようになっていた。

ジョゼットは、そんな彼の月目を見て、こう思う。
立派なお仕事をなさっているのは結構で、
厳しく凛々しい眼差しももちろん素敵ではあるが、
私に少しでもその目を向けてくれればいいのになぁ、と。
それは修道女としてはあるまじき願いではあるが、
年頃の少女としては幼すぎるほど可愛らしい物だった。

その願いに応えるように、ジュリオの瞳がジョゼットを見つめる。
「また、来るよ。君に会いに」
わずかな温もりとその言葉を残して、彼はすたすたと礼拝堂を出て行ってしまった。
ジョゼットは、わずかに頬をふくらます。
もうちょっといてくださってもいいのに、と。

『また来る』。
その言葉が嘘になるか真になるかは、神様だけが御存じである。
それほどに、彼の双肩にかかる物は、重く強大であった。

黄昏に沈みゆく空と海の間を、断固たる決意をもって『神の笛』とその愛竜が飛んで行った。

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以上です。
更新が不安定&規制で不安定で申し訳ないです。
そして新刊とかね、もうね、怖い。設定バッティングしそうで。
でもまぁちょこちょこ書いてますんで、お気軽にどうぞよろしくです。
お目汚し、失礼いたしました。
代理投下、どうぞよろしくお願いいたします。


黒魔の人、乙でした。
今月に新刊が発売するってのに、前の巻で出たばかりのジョゼットを出すとはムチャしますなぁ……。
ともあれ、続き楽しみにしています。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 22:12:20 ID:Vwtqi0As
ギジン少女乙ー(違

ビビ…やさしいのか天然なのか。天然なんだろうなーw
510SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/06(土) 22:47:03 ID:ZybQwy01
黒魔さん乙でした!
そして……くっ、今回のATEのタイトルにちょっと対抗意識……我慢出来ない!

という訳で、他にいらっしゃらなければ50分よりスコール召喚、読み切りではなく本編参ります。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 22:48:55 ID:/w6ty/+z
あんたか、支援
512SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/06(土) 22:50:07 ID:ZybQwy01
misson0 Eyes On Me


 二日前、バラムガーデン委員長のスコール・レオンハートが失踪した。
 消灯時間前、訓練施設へ向かったことまでは判ったが、それ以後はさっぱりだった。
 彼ほど腕の立つの人物を何者かが誘拐したとも考えづらく、彼が仲間達に一言も告げぬまま居なくなってしまうような人柄でもないため、原因すらつかめない。
 その後の賢明な捜査にもかかわらず足取りのつかめない彼の捜査に、一人の女性が協力を申し入れてきたことで状況は少しずつ進み始める。


「それじゃあ、リノア。いくわよ」
「はい」
 エスタ大統領府官邸。
 スコール失踪の知らせは、もちろん彼の父親であるエスタ大統領ラグナ・レウァールの元にも伝えられ、彼の義理の娘であるエルオーネも聞き及んでいた。
 義弟の居場所がつかめない状況にまた心を痛めていたエルオーネは、こう提案した。
 自分の『接続』の力を使ってその当時のスコールを追えないかと。
 その可能性に気づいたSeeDは、すぐさまエスタへと移動。
 軽い打ち合わせの後、スコールの恋人であるリノア・ハーティリーがスコールへジャンクションされることが決定された。
 今度は俺がスコールの中に入る!と息巻いていた大統領は、君は仕事があるだろう。と20代からの付き合いである部下二人に引きずられていったが……。
 ジャンクション中は完全に意識がとぎれるので、あらかじめリノアはベッドに寝ていた。
「じゃあ、スコールが最後に確認されたちょっと後に繋げるわね」
 スッと目を閉じ、リノアはエルオーネの力に身を任せた。


「はぁっ!」
 ライオンハートが振り抜かれ、アルケオダイノスが息絶える。
「……ふ」
 肩にライオンハートを乗せ、一息つく。
『スコール……』
「……?」
(今、何か聞こえたような気がしたが……)
 辺りを見回すが、いつも通り密林を模した訓練施設の風景が広がるだけだ。
(……気のせいか)
『気のせいじゃない。わたし、ここにいるよ?』
 リノアの主観としては、二日ぶりのスコールの声だった。
 SeeD達の指揮官ともなっているスコールは、最近書類仕事が多い。
 まともに体も動かせずストレスばかりが溜まっていくので、こうしてたまに訓練施設に出て汗を流していた。
 もちろん手持ちのガーディアン・フォースはフルジャンクションで相手になるモンスターにしてみれば目一杯イジメの域であるが、こうでなければストレス発散にならない。
「……今日はこれぐらいにしておくか」
 手に入った星々のかけらやら眠り粉やらの数を数えつつ訓練施設出口へと向かう。
513SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/06(土) 22:51:10 ID:ZybQwy01
 その途中で、きらりと光る物が目に入った。
(……鏡?)
 直径4センチほどだろうか。まるでコンパクトにでも収められているような大きさの鏡が、落ちている。
 誰かが持ってきたコンパクトが破損して、鏡だけが転がったのだろうか。
(……そうならそうで、片づけろよ……どうも説教臭くなってる気がするな)
 なまじ人の上に立つようになったからだろうか。あまり快く思っていたわけではないガーデンの教師のように自分がなってしまうというのは、嫌な想像だ。
『まぁまぁ、それは人に世話をやける事なんだから、悪いことばっかりでもないよ?』
 スコールが鏡を拾い上げようとしゃがみ込んで手を伸ばし――
『え?』


――突如拡大した鏡に喰われた――


 一瞬平衡感覚がバカになり、スコールは片膝を付く。
「何だ!?」
 慌てて立ち上がり顔を上げたスコールの目に映るのは、一変した風景だった。
『どこ……ここ……』
 所々苔があるだけの、土がむき出しになった訓練施設の地面ではなく、そこら中に草の生い茂る草原。
 天井はすっかり消え去って正午前のまだ柔らかい春の日差しがスコールの顔を打つ。
「見ろ!ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」
「流石はゼロだ、失敗の仕方もハンパじゃないぜ!」
(召喚……)
 それは、自分がか?
 そうかも知れない。まるで見知らぬ場所にいる自分。
(だが、G.F.ならまだしも……生身の人間を?)
 魔女の力か?
『そんな力、私は知らないし、聞いたこと無いよ』
 周りから聞こえる言葉から推測を立て、そして自分を呼び出したらしい眼前の少女を見る。
(この娘が……魔女か?)
 かなり小柄だ。身長は自分の胸に届くぐらい。ガーデンの中等科の生徒ぐらいか。
 その彼女は呆然と自分を見上げていたが、ばっと後ろを向いて声を荒げる。
「ミスタ・コルベール、やり直しを!」
 それに応じて中年ほどの年の頃らしい男性が首を振る。
「ミス・ヴァリエール、サモン・サーヴァントは神聖なモノ。やり直しは出来ません」
「しかし!平民を使い魔にするなど前例がありません!」
 使い魔――聞こえた単語にスコールは眉を顰める。聞き慣れぬ単語ではあるが意味はわかる。
 そして平民、というのはおそらく自分のこと。
(俺が……使い魔だと?)
「待て」
 額に手を当てながら、呻くように声をひねり出す。
「あんた達はさっきから何を話して居るんだ!俺をここに呼び込んだのはあんた達なのか!?使い魔とはどういう事だ!最初からせ……!」
 一瞬息を飲み、スコールは自分の口を手で覆う。
「俺は……どこの言葉を喋ってる……?」
 生まれてずっと、思い通りになってきたはずの体に、急に違和感を覚えた。
『何これ……知らない言葉なのに意味がわかるのって……ヤダ、キモチワルイ!』
 膝を付き、左腕で上半身を支えるようにしながらうずくまる。
「大丈夫かね?ああ、混乱するのも無理はない。君はメイジの使い魔召喚の義で呼ばれたんだよ」
 先程の男性――コルベールといったか――が肩に手を貸してスコールの上半身を起こす。
(メイジ……使い魔召喚の義……)
 聞き覚えのない単語ばかりが出てくる。
「そして彼女が、君を呼び出したメイジ、ミス・ヴァリエールだ。さぁ、コントラクト・サーヴァントを」
514SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/06(土) 22:52:13 ID:ZybQwy01
(コントラクト……?)
 ヴァリエールと呼ばれた少女は何やら散々に躊躇いを見せながらスコールの前まで来ると、不満そうに呟いた。
「感謝しなさいよね。普通ならこんな事、平民がされることは無いんだから」
 何のことだ、と尋ねるより先に少女の口が動く。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
 一息にそう唱えたかと思うと、スコールの顔を掴みそれに自分の顔を近づけて……
『だめぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええ!』
 リノアが絶叫し、スコールは全力で眼前の少女を突き飛ばした。
「ひゃうっ!?」
「いきなり何をする!?」
 そう吼えつつ、立ち上がる。
 突き飛ばした、と言ったが生半可なことではない。幼い頃から鍛えていたスコールが、ジャンクションシステムの恩恵を受けて、しかも咄嗟のことに手加減も出来ないまま全力で突き飛ばしたのだ。
 ヴァリエールは軽く1mは飛ばされ、背中を強打して仰向けに倒れた。
 瞬間的に肺がかなり圧迫され、まともに息も出来ずに咳き込んで喘ぐ。
「けほっ!が、はっ……えほっ!」
『ああ、危なかったぁ……』
 リノアは安堵に胸をなで下ろす。
「乱暴な!急に何を!」
 コルベールが少女に駆け寄り、助け起こす。
「こっちの台詞だ!」
 全力で、怒鳴り返す。
「いきなりこんな所に連れてきて、訳も判らないままの人間に――!」
 結局掠りもしなかった自身の口元を、それでも嫌なことを忘れようとするかのようにグローブ越しに右手甲で拭う。
「何のつもりだ!」
「だから、使い魔の契約を……」
「契約だかなんだか知らないが……俺は一切そんなことに合意しちゃいないんだ!」
 怒気が滲み出るような形相で、スコールが睨み付け、その手をライオンハートの柄にのばす。
「ま、待って、待っていただきたい!」
 未だ咳き込むヴァリエールを庇うようにその前に立ちつつ、コルベールが語りかける。
「申し訳ない。人間が召喚されるなどというのは今までになかったので、少々強引に過ぎたようだ。話をしたい」
 じっとスコールはコルベールの目を見ていたが、やがて怒りを収める。
「……わかった。話を聞こう」
 ライオンハートの柄を離して一つ頷く。
 そのスコールの態度に一つ頷き、コルベールは後ろで緊張に身を強張らせている少年少女達に向かう。
「春の使い魔召喚の義はこれにて終了です。ミス・ヴァリエール以外の皆さんは次の授業に行くように」


 少しずつ……会話などを総合して、状態が飲み込めてきた。
 案内された敷地にある、城と塔の群れをさしてコルベールはトリステイン魔法学院と称した。
 先程の解散を告げる言葉からすると、今自分を睨み付けているヴァリエールとやらも含め、あの場にいたのはここの生徒なのだろう。
(『次の授業』……と言っていたということは、俺がここに呼び出されたのも授業の一環……)
 使い魔を得るのが、そうなのか。
 しかし今重要なことはそこではない。
 トリステイン……聞き覚えのない地名は、スコールに不安をたたき込む。
 それに、この建物の中には一切電気が見られない。まるで、おとぎ話の中に自分が紛れ込んでいるかのようだ。
『こういうのって、異世界って言うんじゃないかな……』
515SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/06(土) 22:53:14 ID:ZybQwy01
「ふぅむ……ミス・ヴァリエールの召喚によって彼がなぁ……」
 その学院内で通された部屋は、学院長室だった。
「あー、おほん。ワシが、本学院の学院長をしておるオスマンと言うものじゃ。皆からはオールド・オスマンと呼ばれておる。君の名を聞かせてもらおう」
 コルベールから一通りの説明を受け、学院長はまず自分の名前を明かした。
 それはこれまでの扱いに比べれば遙かに礼に則ったモノだったが、それ故に難物であるかのような印象をスコールは受けた。
「兵員養成機関バラムガーデンのSeeDをしている、スコール・レオンハートです」
「バラム……ガーデンに、シード……詳しい説明を聞かせ願えるかな」
 少し悩む。自分の知っていることを話すとなんだか取り返しの付かないことになりそうな、そんな気だ。
(だが……俺はここの、トリステインのことを何も知らない……多分、ここの人たちも俺のこともガーデンのことも知らない……。
 自分のことを、問題を理解してもらうためには、話さなきゃダメ、か)
『よしよし、良く出来ました。っと』
 満足げにリノアは頷く。
「……ガーデンというのは、クレイマー夫妻によっておよそ十年前に設立された機関です。先程も言ったとおり、兵員養成機関であり戦闘技術に特化した学習施設だと認識してください」
「戦闘技術か……何かしら特別なことでもしとるのかね」
 これも悩むが、少なくとも部外秘にしなければならないことはやっていない。正直に全て話す。
「各種武器の扱いを一通りと、擬似魔法を学習する以外は、ガーディアン・フォースを含むジャンクションシステムの扱いを覚えるのが、特別でしょうか」
「擬似……魔法?系統魔法ではなく?」
 すっとオスマンの目が細まる。
 ああ、とスコールはどこか諦観と共にそこに注目する態度を受け入れた。
 現在、地上のどこにも擬似魔法を知らないモノは居ないだろう。そしてまた、自分の知らない単語『系統魔法』。
 さっき感じた嫌な予感はこれだったんだろう。
 ここは、自分の居たところとは全く縁もゆかりもない地なのだと、思い知らされる。
『トリステイン……過去って訳でもないよね。歴史の授業でもそんなの聞いたことない』
 沈み込む気分を瞬き一つで今は考えないようにする。
「……ええ、擬似魔法です。擬似魔法マニュアルにより確立された、誰でも使うことの出来る魔法です」
 その言葉に、スコール以外の三名が目を丸くする。
「誰でも……じゃと!?それは、平民でもということかね!?」
『平民?』
「……平民、というのが一体誰を指すのかは判りませんが、はい。誰でもです」
 コルベールが詰め寄ってきて尋ねる。
「そ、それは一体どのような魔法なのかね!?」
 何故か興奮したような表情だ。
『このおじさん……ちょっとコワコワ』
(どのような、って言ってもな……)
 口で説明するのは難しい。いっそ
「……やってみせましょうか」
「ああ、頼む!」
 期待に目を爛々と輝かせてコルベールが懇願する。一つ頷き、三歩ほど距離を置く。
「擬似魔法は、二つのステップから成り立っています。一つは、対象から魔法の力を抽出する『ドロー』」
 パッとコルベールから飛び出した光が、スコールへととんでゆく。
「お、おおお!?」
 慌てて自分の体を見下ろすコルベール。
「そして抽出した魔法を使用します。ファイア」
 つい、と突き出した腕の先。執務室の中空で火が燃える。
「おおおおお!?」
 驚きと感嘆の声を上げるコルベール。
「何で……平民なんかが魔法を……」
 ヴァリエールがぽつりと呟く言葉を聞く。
『?……スコールが魔法使っちゃいけないのかしら』
516SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/06(土) 22:54:16 ID:ZybQwy01
「い、一体今のはどうやって行うのかね!?」
 再び、それも今度は更に興奮した面持ちで迫ってくるコルベール。
『訂正、かなりコワコワ……』
「待ちたまえ、コルベールくん。それはひとまず後回しだ」
 スコールに詰め寄る部下を、オスマンが押しとどめる。
「それと、がーでぃあん・ふぉーすとやらも口にしていたかな?」
「ガーディアン・フォース、通称G.F.は、実体は持たないが自然界に存在する意識ある力の事です。俺たちは、そのG.F.を駆使、或いはジャンクションシステムを用いることで利用しています」
「自然界に存在する意識ある力……それは精霊ですか?」
 また興味深げにコルベールが尋ねる。
「こちらで言う精霊、というのがどういった存在なのか知りませんが、先程の説明で該当する存在があなた達にとっても精霊というのなら、そうかも知れません」
「精霊の力を借りるとは、まるでエルフのようですね」
「じゃんくしょんしすてむとは?」
「先程見せた、擬似魔法マニュアルのドローによって取得した魔法を、G.F.のバックアップを受けることで自身の身体能力強化に充てることです。筋力や耐久力、魔力や耐魔法力を向上させることが出来ます」
「なんと!?そんなことが出来るのかね!?」
「はい。ジャンクションを行うのと行わないのとでは、戦闘能力全体で十倍近い差違があります」
「十倍!」
 これは誇張でも何でもない、厳然たる事実である。
 先程までスコールは訓練施設で体を動かしていたわけだが、ジャンクションシステム無しでは、訓練施設深部へ行って帰ってくるのも至難の業だろう。
 ほとんど素人同然だったリノアが、あの戦いを戦い抜けたのもひとえにこの力のおかげである。
『でも良かった。今はG.F.達がみーんな居るから、少なくともスコールの身は守れるよね』
「俄には信じがたいが……」
「ただし、G.F.を応用したジャンクションシステムには副作用もあります」
「副作用?」
「G.F.はジャンクションする者の中に自分の居場所を作ろうとします。そのために、ジャンクションをしている者は徐々に記憶を失っていくんです」
「記憶を失う!?」
「大問題ではないか!」
「はい。何かしらの切っ掛けがあれば、思い出すことは出来ますが、この危険性のためにG.F.を実戦に用いているのは俺たちバラムガーデンぐらいです」
「それで……君は大丈夫なのかね?」
「そうすぐに現れる副作用ではありません。月単位で時間をかけて、徐々に……。
 それに、先程言ったように切っ掛けさえあればすぐに記憶は戻ります。俺の友人は日記を付けることでそれを防いでいますし、同じ部隊にいた俺も彼女のおかげで助けられています」
『まぁ、セルフィはトラビアでその事に気づく前から日記は付けてたけどね』
 ガーデン内の学園祭実行委員会のページを思い出す。
「……以上のような戦闘技巧を教えるのがガーデンで、中でも優れた技能を有しているとされるのが、俺たちSeeDと呼ばれる者です。
 15才以上で試験資格を得て、19才までにSeeDになれば卒業資格も同時に与えられます。ただし20才までにSeeDに成れなければ放校処分です」
「成る程、君はエリートというワケじゃな」
 オスマンが笑いかけるが、スコールにはどうも感じの悪い笑みに思えた。
(別に、その事を鼻にかけたつもりはない)
 ともかく
「……俺のことは、これで大体理解してもらえたと思います」
「ふむ……ああ……もしかしたら君は気づいているのかも知れんがな?」
 少し言いづらそうにオスマンが言いよどむが、スコール自らそれを引き継ぐ。
「ここは、俺の居たところとは全く関係のない土地……という事でしょうか」
「うむ……理解が早くて助かる。君の見せてくれた擬似魔法が有る以上、言っていたことを信じぬ他はないんじゃが……そうすると困ったことに、擬似魔法もG.F.も何もかも、ここハルケギニアでは聞いたことのない名前ばかりなんじゃ」
517SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/06(土) 22:55:14 ID:ZybQwy01
(土地の名前はハルケギニア……言い回しからすると『トリステイン』は、さらに小さな囲みだろうな)
「薄々察しては居ました。俺を、送り返すことは出来ないんですか?」
「サモン・サーヴァントは一方通行。送り返す魔法は、聞いたことがないのう」
「……そうですか」
『そんな……折角、エルオーネさんに力を貸りてスコールを追っかけたのに、これじゃあ意味がないってば!』
「この、春の使い魔召喚の義は、彼女たちの進級テストの一部だったんじゃ。特にこれが出来なければ進級はほぼ絶望的と言っていい」
(……あんた達は、ただの試験のためにこんな事を繰り返してきたのか)
 人間を呼び出すのに前例が無いと言っていたが、そういう問題ではないだろう。
 他の動物たちにだって生活があり、家族があり、つがいが、友が居たはずなのだ。
 そうしたものを平気で壊すこのシステムに、スコールは嫌悪感を覚えた。
「どうじゃろう、ミスタ・レオンハート。ミス・ヴァリエールの使い魔になってはくれんか?君の故郷は遠く、帰ろうにも帰り方も帰る手段も見つからぬのじゃろう。魔法を使える君を無下に扱いはせんし、衣食住の保証は出来るしの」
(……魔法を使えるか使えないかが重要なのか?)
 どうも先程から引っかかる。魔法へのこだわり方と『平民』という言葉。どうも『市民』とはほど遠いようだが。
 しかしとりあえずは目の前の問題に集中する。
(使い魔……か)
「……確認したいんですが、その使い魔の契約のためには、キスが必要不可欠なんですか?」
『……そういえばさっきキスされそうになったんだっけ』
「必須事項じゃ。うむ、動物であれば何ら問題は無かったんじゃろうが……まぁ見ての通りミス・ヴァリエールは器量よしじゃ」
(……セクハラじゃないのか?)
『セクハラだよ、それ』
 二人の声にならないツッコミは、まだ男尊女卑の色が強いここハルケギニアでは先鋭すぎる思考である。
「君さえ良ければ、ミス・ヴァリエールも進級が掛かっておるからな、拒否はせんと思うぞ」
 当のヴァリエールの目つきは、先程よりも尚のこと鋭くなっていたが、契約の話を振られると明らかに動揺していた。
「え!?あ、ああ……そ、そうね……さっき突き飛ばしたのは……まぁ、私の寛大な心で許して、私の使い魔になることで不問にしてあげるわ」
 ふん、とそっぽを向きながらそう述べる。
『うぅ……キス……して欲しくないけど……こんな所、スコール一人で放り出されるわけにはいかないし……』
 愛する男のためには、自分は目を瞑るのが一番良いのか。正直、リノアはもうエルオーネに接続を切って欲しいくらいだった。
(……アーヴァインが言っていたな。
【いつだって選択肢は少なかった。時には道は一本しかなかった】
 今も……選択肢は少ない。後悔しない選択、しなきゃな)
『……これで良いんだよね。スコールが生きてるのが一番だもん……うん、判ってる。スコールは悪くないよ』
 心理的にはかなりぐじゃぐじゃだったが、リノアは強引に結論づける。
 ところで、話が突然変わるが、スコール・レオンハートという男は大バカ野郎である。
 世界の平穏とリノアと共に生きることを比べ、多少悩みながらも仲間の言葉の後押しを受けたことでリノアを選んでしまうくらいの大バカ野郎である。
 だから
「契約はしない。俺は、あんたとキスするつもりは無い」
 こう答えるのは必然とも言えた。
 一瞬場の空気が固まる。
『……え?』
「ちょ、ちょっと、どういうつもり!?」
「だから、俺はあんたと契約するつもりはない。傭兵として俺を雇う契約なら受けるが……それじゃあ意味がないんだろう」
「ミスタ・レオンハート。彼女の使い魔にならないのなら、ここに身を置くことは出来んのじゃが……?」
518SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/06(土) 22:56:14 ID:ZybQwy01
(脅しには屈しない)
 深呼吸をして、真っ正面からオスマンに向く。
「……俺にも、恋人が居ます。そいつを裏切りたくない」
『……!』
「非常時じゃ。その恋人も、判ってくれるんではないかの?」
 冷や汗を流しながらオスマン。彼としても、ヴァリエール家の者を留年させて要らぬ不興を買ってしまうのは避けたかった。
「俺の問題です。再会するときに、胸を張って会いたい」
「若いのう……」
(悪かったな)
「そもそも、再会、出来ると思っておるのか?」
 意地悪く、オスマンの目が光る。
(……問題ない、と思う。さっきから頭の中がざわざわ言ってる。俺が入っているときのラグナの感覚も、きっとこんな感じだったんだろうな)
『スコール、気づいてるの!?』
(ガーデンから俺が居なくなって……俺の足取りを追うためにエルおねえちゃんの力を借りて……多分これは、リノアかな)
『うん、そう。私!私ここにいるよ!』
(頼っても、良いよな。俺は、こっちで頑張ってみる。だから、そっちからも俺を連れ戻せないか、試してみてくれ)
『判った、約束する。絶対に、絶対に助けにいくから!』
 伝わった、気がする。
「きっと、また会えます。会います。俺はこちらで帰る道を捜すし、俺の仲間も、俺を助けようとするはずです」
 だから会える。
 お互いの存在を信じて、その絆を信じて、荒立った時のうねりも乗り越えた。
「ふぅ……困ったもんじゃのぅ……」
「認めない!そんなの認めないわ!」
 オスマンとスコールの間に、ヴァリエールが立ち杖を向ける。
「アンタは私の使い魔よ!絶対にどこにも行かせない!」
「……力ずくというのなら、全力で抵抗する」
 杖を向けているのが、魔法学院の生徒であるということを思い出し、ライオンハートの柄に手をかける。
「待ってくれ、ミスタ・レオンハート……ミス・ヴァリエール、杖を収めたまえ。力ずくなど誇りある貴族のすることではあるまい」
「そ……れは……」
 オスマンの言葉に、ゆっくりと杖が下ろされる。
『ちょっと……あの子に悪いかも。だって、これじゃあ進級出来ないんでしょ』
「慣例で言えば、大人しくコントラクト・サーヴァントさせん程凶暴な使い魔は、職員で押さえつけて契約を行うものじゃから、ワシらもミス・ヴァリエールを責められん。
 じゃが……正直君は得体が知れん。本当にエルフのように精霊を駆使する力があるのなら、職員総出になっても撃退されるのがオチじゃろう」
 それを試す気はないから、君は好きにしろ。と言外に込める。
「……それでは、俺は行きます」
 それを察して、くるりと踵を返し扉へと向かう。ノブに手をかけたところで、振り返る。
「彼女の試験のこと、追試か補習ぐらいは検討してあげてください」
 契約を受ける気は毛頭無いが、これぐらいの口添えはする。
『……そうだよね、あの子だって別に憎くてスコールをこっちに喚んだ訳じゃないんだろうし』
「それから、使い魔を喚ぶこと、人間以外の動物でも同じ事です。それまでの肉親との関係を引き裂くのは、あまり良いこととは思いません」
「胸に止めておこう」
 オスマンが頷いてくれるのを見て、スコールは部屋を出て行った。
 どこまで聞いてくれたのかは判らない。それでも言わずにはおれなかった。
「……ああっ!?ミスタ・レオンハート!是非とも先程の擬似魔法に関しての説明を……!」
 コルベールが慌ててそれを追って出て、学院長室には二人だけが残る。
「あの……オールド・オスマン、私は……」
519SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/06/06(土) 22:58:52 ID:ZybQwy01
「ああして彼は喚び出せたんじゃ。コントラクト・サーヴァントに関しては……まぁ特例じゃな。
 彼は異国の軍において大変優れたメイジで、無理矢理にルーンを刻むのは外交問題になりうるため禁じた……こんなところかのう」
「ありがとう……ございます」
 暗に合格のお達しが出たことに口では礼を述べたが、彼女の顔色は優れなかった。
 彼女が初めて成功した魔法の証は、するりとその手をすり抜けていってしまったのだから。


 コルベールに解放され、学院の門をくぐった時には、既に日は沈みかかっていた。
 擬似魔法マニュアルの情報提供対価として渡された袋の中には金貨がそれなりに入っている。
『おとぎ話みたいだよね、こんなお金』
 他に、軽く教えてもらったこともある。四系統からなる系統魔法。系統魔法を扱うメイジと、貴族の関連性。それらの始祖であるブリミルとブリミル教。逆にG.F.と擬似魔法マニュアルに類似した、精霊の力を借りる先住の魔法等々。
 ……あの中年男性は、悪人ではないのだろう。自分を呼び出したヴァリエールも悪気があった訳じゃない。
 だから、スコールは彼らのことは全部忘れようと思った。覚えていても行き場のない苛立ちが体を巡るだけだ。
 轍があることで道だとわかる程度の、未舗装の街道を歩き続ける。行き先にはこの国の首都があるとのことだ。
(月が二つ、か)
 沈む夕日の反対側に浮かぶ双月が、お前は異郷に来たのだと、強烈にスコールに印象づける。
『あ、流れ星』
 暗くなりつつある空を一筋の光が横切り、それを呼び水に思い出されるのはSeeD就任パーティーの夜。
「また、一緒に並んで見よう」
 望郷の念強く、スコール・レオンハートは一歩を踏み出した。


 『戻って』きて、不安げに自分を見る仲間達の姿があった。
「大丈夫、スコールは生きてるよ」
 リノアははっきりと頷き、続ける。
「助けに行こう、スコールを」




今回はここまでです。
お気づきと思いますが、前回までの短編でif situationと銘打っていたのは、本編上であり得ないシナリオになるためです。
至らぬところもあるかも知れませんが、>>78で言ったとおり、あえてテンプレを破ってみようと思います。
以後、よろしくお願いします。
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:02:40 ID:hIbZuYAe
スコール乙。
これは今後に期待したい。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:07:30 ID:8wVGLuWO
黒魔もSeeDも乙!
ルイズにはお気の毒だが、たまにこーいう女に操立てて契約を拒むパターンとか見たかったw
しかし、そういえばスコールはジャンクションされる側になったことは無かったんでしたっけな
現代編のメンバーでジャンクションされる側だったのはリノアだけか
これから日替わりみたいな感じでみんな入ってきたりするんでしょうねぇ
続き楽しみに待ってます!
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:07:59 ID:PXmf5fC5
FFシリーズは5までしかやってないからよく分からないが、
あえて初っ端からテンプレを破るとはチャレンジャーですな!
今後の展開にwktkしてます。乙でしたー!
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:08:17 ID:ANAfmJhU
乙でした

独自展開上等。呼ばれる人物が違うんだから
いろいろな展開の話があって良いと思うし、応援してるぜぇ〜
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:10:24 ID:tagVpZCm
乙です。
ライオンハートを装備してるってことはエンドオブハートすらぶっ放せるってことですよね?

以前の読み切りと合わせて大変、今後が楽しみです!
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:12:40 ID:xXTrHCcX
スコール乙ー

読みきりの時の見て連載しねーかなーって思ってたら本当に連載になってベックラこいた
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:14:08 ID:/w6ty/+z
乙ですー
とりあえずイデオンソードがいつ出てくるのか期待
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:15:22 ID:Yo6el5Uz
おお、FFが連続できていた。
黒魔の人も、SeeDの人も乙でしたー。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:15:48 ID:UgjG3YG/
おつつつつ
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:22:01 ID:K4ilXvFw
スコール乙
次が待ち遠しいぜ、期待してるんで頑張ってくれ
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:31:54 ID:KX2URFTG
EOHなんて食らったらヨルムンガンドですら細切れにされてしまう
その前にバハムートかエデン辺りを召喚して砲艦外交やってもよかったんじゃなかろうか
何はともあれ続きが楽しみだ
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:52:46 ID:E4Iff/dz
テンプレ破りは歓迎だが、召喚に応じるか否かは呼ばれた側にあることを忘れてる作者が多すぎるぜ。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 23:59:02 ID:ItgcSyEO
FFといえばあれだな
エネルギー充填120パーセント
ターゲットスコープオープン
電影クロスゲージ明度20

だっけか?
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:01:30 ID:2cxP+KzB
>>532
FF5、ロンカ遺跡突入前のソルカノンだな
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:03:33 ID:2RrrC94Q
>召喚に応じるか否か
召喚を行ったのがルイズである時点で、ある程度の『型破りな状況』が発生してもおかしくない、と納得できてしまってますからね。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:07:40 ID:IJRCZQzJ
>>532
どう見ても波動砲なんだよな、台詞がwww
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:08:11 ID:QeCLKwib
いくら型破りとはいえ契約前なのにいきなりルイズを命の恩人だと思ったり
情報収集のために自ら奴隷になるのはどうかしてると思うがね
しかもそういうキャラってたいがい自分の力だけで状況をどうとでも出来ちゃうから
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:10:00 ID:eRLBgqMV
契約前でも召喚された時点で、タバサが言うところの使い魔は主人に情を抱く的なアレが発動していると脳内補完すればいい。
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:11:55 ID:HJgJDFpp
というか納得するにはそうするしかないよな
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:19:41 ID:VjYDYph4
悪役系を使い魔にするにはそれが便利よな
虚無の使い魔に関しては実際にはそれは無さそうだが
元々相性がよさそうなものが自動的に招かれるようだし、半分は情を抱く効果でいいのかもしんない

そしてふと思い出したけど、聖なる焔の燃えカスも契約で不意打ちキスされて
ナタリアに詫び続けていましたなぁ
続きはまだ来ないのでしょうか・・・掲載量的にも実生活もあることだし来るとしても感覚空くのは覚悟してますが
聖樹さんもいつでも待ってますよーぅ
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:21:08 ID:jvOJ9LKs
召喚されたてでワケ分かんなくて、
アレコレ考えるなり混乱してる内にドサマギで契約、ってのもよくあるパターンだな。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:23:32 ID:2RrrC94Q
酷い話だと、契約を拒否した相手をルイズが魔法で攻撃、爆発の余波で行動不能に陥ったところを強制的に契約……なんてのもありますし。
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:27:40 ID:yIceH3Pu
酷い例を本スレで挙げるのは如何なものかと…
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:28:31 ID:v8nP9ugA
それはひどいな。


作者がね。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:30:50 ID:l9AhAHkM
本スレの話題じゃねーだろ
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:31:31 ID:V5hc2KUt
被召喚対象は召喚者と本質的に相性の良いものが自動的に選ばれる……。
そんな酷いことになるわけがないからな。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:31:53 ID:fleR0IEi
武力で屈服させた相手を使役するってむしろ正統なのでは
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:32:45 ID:O/Lvvj62
1巻のサイトは契約後なのにかなり反抗的だったけどな
結局超人やら主役級やら呼ぶと先回りしてルイズに従属しないと話にできなんだな
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:32:55 ID:VjYDYph4
まぁ原作からして合意を得ずしての契約という理不尽なんだし
ギャグ調ならそんなんもアリかと
相手にもよるし

そういや、人間を使い魔にした前例なんてないとは言うが
逃げられたり返り討ちにされる例とかはあったんだっけ
召喚直後は大人しくなってるそうだが
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:33:04 ID:UFBzh/Ub
癇癪を起してそうやってしまったのか、素でそういう手段をとったのかで評価が変わるな
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:33:47 ID:mElXdkVt
返り討ちにされるのも正当だぜ
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:34:51 ID:2cxP+KzB
>>549
FFの上位召喚獣かよ
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:34:58 ID:RoizFVYt
そもそも、人が召喚されるのがイレギュラーってわかってる?
動物やら幻獣が基本で、それ用の対応が、うん百年あるわけだろ?
暴れるグリフォンとか無理矢理大人しくさせて契約とかあっても普通じゃないの?
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:37:22 ID:VjYDYph4
>>546
FFの召喚魔とか、Y以前はたいていそうでしたっけねぇ
小ネタで呼ばれたバハムートは普通に従ってくれたけれど

思い出しましたが、まとめのお絵かき板のワルド苛めで
ルイズに+エデンとか出てましたが
FF[のエデンなんでしょうか、小ネタでも見覚えなかった気がしますが
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:37:45 ID:jvOJ9LKs
シルフィードとかの韻竜クラスの知能があると
「自分は使い魔として召喚されるんだな」ってのが分かるらしいけど、それも例外っちゃ例外だし。
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:38:07 ID:v8nP9ugA
>>548
合意を得ずって鏡に入ったことがルイズ側からすれば合意なんじゃねーの。
あんなのに自分から入るやつは早々いないよw
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:39:14 ID:yxYrDtpN
電流が流れる猛獣調教用拘束具とかあるしな
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:39:46 ID:UDqryzNY
なんにせよSeed戦記の人乙。シリーズ化しないかと希望してたから楽しみが増えた
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:40:19 ID:oOYjB3Bq
ルイズ側も使い魔が異世界から来るなんて想定外だろうしなー・・・
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:40:37 ID:pYK9cxSU
>>553
エデンはエデンの林檎(ワンピースのボムボムの実召喚)のことだと思う。
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:43:18 ID:pM3iTPjx
悪魔の実を召喚したルイズの話の続きってマダかな?
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:43:22 ID:S/azWhjv
召喚ゲートってチョウチンアンコウと同じだよな。
光に寄せられて近づいたらパックリやられるみたいな
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:44:31 ID:VjYDYph4
>>550
小ネタ(特にバイオ系)では返り討ち多いっすねぇ・・・
とっとと自力で帰っちゃった白河博士の時なんかは運が良かった方
>>555
まぁ確かにw
しかし、原作のサイトも最初は石投げたりして確認した上で興味から入っちゃったりしたんだけど

そういやもしも試しに放り込んだあの石が召喚対象になっちゃったら
ルイズその場で自分の頭に錬金掛け兼ねないだろうなw
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:45:25 ID:VjYDYph4
>>559
サンクス、なーるほど
ワンピはしばらく読んでないんで知りませんでした
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:48:58 ID:jvOJ9LKs
>>558
想定外なことを列挙してみると、

・使い魔が人間であること
・使い魔が異世界から来たこと
・使い魔が虚無の使い魔であること

くらいだろうか。
まあ、ルイズ的には普通の動物や幻獣をハルケギニアから召喚して、普通の使い魔として使役するつもりだっただろうしなぁ。
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:52:04 ID:mElXdkVt
契約拒否した後、
ホイホイ学院長室までついていくのは結構あるけど
警戒心あるなら普通その場で聞くだろ
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:55:09 ID:3CutCOiz
オスマンがいい男だからホイホイついていっちゃうんだよ!
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:55:45 ID:RKr1JrqV
その方が話進めやすいってんなら書き手の好きにさせたら?
いい加減鬱陶しい
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:56:16 ID:O/Lvvj62
情報収集のために使い魔になったのに自分で情報集めようと行動するキャラも居ないなそういえば
オスマンとコルベールにまかせっきりとか
自分が使い魔になった理由そのものを忘れてるのとかそんなの多すぎ
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:56:51 ID:yIceH3Pu
つか、いい加減毒吐きの領分だと思う
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:56:59 ID:ScHBlnay
SS的ルーンの効果だ! でいいじゃん
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 00:57:53 ID:14WpCON5
ロボットアニメで人型のメカがいるのはおかしいと騒ぐくらい不毛な話だ
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:04:06 ID:IgssMT5X
RPGで瀕死になっても行動力に変化がないのは異常だと騒ぐ程度の不毛さだろう
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:12:57 ID:AybO/1k5
コルベール先生の頭
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:14:47 ID:NPhZE7Uq
クロスSSに整合性やら説得力やらを求めるのは不毛だよな
楽しめる人間だけが楽しめば良いものだし
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:15:38 ID:yxYrDtpN
まあそれをいえばゼロ魔の原作自体が…
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:20:26 ID:l9AhAHkM
この流れは毒吐きとなんもかわんねーな
おまえらの納得いく流れってどんななんだよw
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:21:50 ID:VGTKkQNd
正直な話クロスssなんざ原作好きのやつは不快なだけだろ
最低ssの類だな
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:31:18 ID:DxEfeIeE
文句言うんならスレ開かなきゃいいだけであって(ry
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:31:39 ID:sUFho2/0
さすがにそれはフーテンの寅さんが決め台詞を吐くわ
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:34:59 ID:JNy1ZHmD
とりあえずなんか投下があることを願っていい加減寝ることにしよう。
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:44:46 ID:xkEuJFV2
激流に身を任せ同化する・・・
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:45:05 ID:/SPN8SA7
最初から使い魔身分に抵抗なさそうな奴を呼べば問題ない!
って思ったけど、元の世界で使い魔とか執事とか使用人とかやってる奴は
そもそも主人がいるだろうし、
そうなるとやっぱり、性格的に従順だとか気弱な奴か、元の世界に未練がないとか、
それか、使い魔とかルイズ自身とか異世界という状況に興味を示して、
好奇心やノリで使い魔身分に甘んじるぐらいの遊び心がある奴ぐらいしか……
って、少ないと思ってたけど、案外選択肢広いな
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:48:05 ID:eRLBgqMV
しかしそれが召喚したいキャラと合致するかは別問題。
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 01:48:27 ID:ScHBlnay
死ぬまで使い魔ですけど何か?って状況に好奇心やノリで甘んじられるのもそれはそれでどうかと思う


要するに深く考えないほうがいい
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 02:01:39 ID:K8rz76eq
そこでシティーハンターから冴羽僚の出番ですよ
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 02:05:30 ID:3jeRSgZO
そこをあえて牧村(兄)を呼ぶとか
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 03:11:16 ID:HSLEimcf
>>573
おまえwww言ってはならないことを…
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 03:13:04 ID:dqNI+ar6
そいつを言っちゃあ、おしめえよ
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 04:18:44 ID:6CtdXK97
>>585
召還者がカトレアやオマチさんやテファなら契約に応じるかもしれんが
ルイズだとストライクゾーンに毛程もかからないから無理だろうな…

オマチさんに召還の手本させたら出て来ちまったってパターンかね?
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 05:01:59 ID:N+5axcB8
召喚されるが契約を結ばずにその場から逃走、帰る方法を探してハルケギニアを旅する、って話しを考えてるんだけど避難所に投稿した方がいい?
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 05:40:05 ID:1kLwJGbn
東方から咲夜さん召喚してシエスタ絡みで色々させたいが、
魔女式アポカリプスからエマンコール召喚してルイズ幼女化とかもやってみたい。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 06:02:15 ID:c/0VfBDB
せがれいじりから、「せがれ」呼べばいいよ

「わぁい、僕死ぬまで使い真だぁ」くらいの馬鹿なノリでついてきてくれるさ
あいつピンク色の女の子好きだし
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 07:20:03 ID:jQq2nMp2
>>590エロ、グロなら避難所へそれ以外なら本スレでいいと思う。
594虚無と賢女の人:2009/06/07(日) 07:29:16 ID:qkQphmC9
おはようございます。
予約が入らなければ、7:40より投下を開始します。
投下数は10レスを予定。
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 07:37:27 ID:qoILZAAK
待ってました支援
596虚無と賢女10話 1/10:2009/06/07(日) 07:41:11 ID:qkQphmC9
それでは投下を開始します。





−1

空を往く黒い船―――空賊船の船倉に、ルイズたち三人は捕らえられていた。ルイズは不安そうに、ワルドは興味深そうに周りに
積まれた食料品や火薬樽、砲弾をキョロキョロと見回し、エレアノールは二人とは対照的に目を閉じて船倉の壁に背を預けて
座り込んでいた。
落ち着き払ったその様子に、ワルドは興味を引かれたのかエレアノールへと近寄る―――もっとも、積まれた荷物によって大して
広くないので数歩移動するだけのことだった。

「このようなとき大体の者は慌てふためくのだが……ミス・エレアノール、随分と落ち着いているね?」

エレアノールはうっすらと目を開けると、目の前にやや前かがみで立っているワルドへ顔を向ける。狭い船倉の中での会話のため、
やや離れたところに座り込んでいるルイズにも聞こえており、その声に二人の方へと顔を向けていた。

「慌てたところでどうにもなりませんから……。それに、彼らは身代金が目的である以上、私たちに危害を加えることも避ける
でしょうね」

エレアノールは自分の言葉の欺瞞に胸中で苦笑する。杖とマントから貴族であることが分かるルイズやワルドと違い、せいぜい
付き人の格好でしかないエレアノールは身代金を請求できるほどの価値はない。言い換えれば、エレアノールには危害を加えても
空賊たちにはデメリットが大してなく、そして彼女は自分が女性であるための不利なことを十分に認識していた。

(こんなことを考えるのは……『カルス・バスティード』に入ると決めたとき以来ですね)

―――胸中に在りしの日の自分を思い浮かべる。
賞金首になったとき、その金額と目立ちやすさ―――整った顔立ちと周囲から浮き上がる育ちの良さが災いし、賞金稼ぎたちの
格好の的となっていた。彼らに追い詰められかけたエレアノールは、地上で唯一、法が全く及ばない『カルス・バスティード』へ
逃げることを決断した。そして、ならず者が集う無法地帯という悪評が広まっていた場所に自分が入れば、どのようなことが
起こるか想像し、悲愴ともいえる覚悟を決めていた。―――しかし、悪評とは裏腹なことに、結局そのようなことに遭うことは
なかったが……。

「なるほど、君は実に冷静沈着だね。これからのことを考えて、動揺するものとばかり思っていたが」

調子は明るかったが、抑揚のない声のワルド。恐らくは、ワルドもエレアノールが何を考え、そしてこれから何が起こりうると
想像しているか正確に洞察しているようであった。

「一度、似たようなことがあったときに覚悟をしていますから。―――ところでワルド子爵」
「うん? 何かね?」
「これからのことを……、彼らへ接触するためのことをどう考えておられますか?」

念には念を入れて『王党派』という言葉を使わなかったが、ワルドも―――そしてルイズも『彼ら』の意味を理解して頷く。

「僕もそれなりに考えていたが、この船が空の上にある間は動きようがない。しかし、『マリー・ガラント』号という獲物を手に
した空賊が次にすることは、獲物を持って帰ることだ」
「動くのはそれから、ですね。……しかし、お二人の杖も私の武器も取られていますが?」

ルイズとワルドの杖と、エレアノールのデルフリンガーと逆剣は捕らわれたときに真っ先に没収されていた。しかし、それ以外の
物品―――アンリエッタ王女の密書や水のルビー、そしてエレアノールのトラップカプセルはそのまま残されていた。
エレアノールの問いに、ワルドはどこか愉快そうな―――悪戯が成功した子供のような笑いを浮かべて、ズボンの裾から一本の
細いタクト状の杖を取り出す。

「軍人たるものは、予備の杖を持っているものさ。君の武器は連中から奪い取ればいい」

ワルドの考えにエレアノールは納得して頷く。武器をもたないと『ガンダールヴ』の効果は発揮されないが、彼女は無手での戦いも
それなりに自信があった。そのように考えをまとめていると扉が開き、ワルドは杖をとっさに服の中に隠す。船倉の中に、スープが
入った皿をもった太った男と、対照的に細身の男が入ってきた。
597虚無と賢女10話 2/10:2009/06/07(日) 07:44:53 ID:qkQphmC9
「飯だ」

太った男が皿を差し出され、一番近くにいたエレアノールが受け取ろうとするがルイズが口を挟んだ。

「あんたたちが寄越したスープなんて飲めるわけないでしょ!」

ルイズは腰に手を当てて、毅然とした声で言い放つ。その様子に二人の男は呆然とルイズを見つめたが、やがて面白そうに笑い
だす。

「ははは、随分と強がるじゃねーか? 度胸の据わったお嬢ちゃんだ!」

ルイズはフンっと顔を背ける。太った男は笑いながら、改めてスープをエレアノールへと差し出して受け取らせる。

「ところでよう、お前さんたちはアルビオンに何の用なんだ?」
「旅行よ」

細身の男の問いにルイズは顔を背けたまま答える。男たちはお互いの顔を見合わせ、首を振ったり頷いたりする。

「トリステイン貴族が内乱中のアルビオンに旅行ねぇ? そんなのが信じられるって、本当に思っていやがるのか?」
「信じるも信じないも、本当なのだから仕方ないじゃない!」

徐々にヒートアップするルイズを、細身の男は両手を上げて押し留める。

「まぁまぁ、落ち着けって。……実はな、俺たちはアルビオン貴族派と協定を結んで、商売させてもらっているんだ。それで、
王党派に味方しようとする酔狂な連中を捕まえる密命も帯びているのさ」

『アルビオン貴族派と協定』という言葉に、ルイズは一瞬顔を強張らせる。エレアノールはワルドへ一瞬視線を向けるが、動くな
というニュアンスを含んだ視線を返されただけだった。

「じゃあ、この船はやっぱり反乱軍の軍艦なのね?」
「いやいや、俺たちは雇われているわけじゃねぇ、あくまで対等な関係で協力しあっているのさ。……で、本当のところは、
どうなんだい? 王党派ならこのまま貴族派に引き渡すし、あくまでも旅行と言い張るのなら身代金をもらうまで解放しない。
だが、トリステイン内部の貴族派ならこのまま港まで送ってやるよ」

その言葉にエレアノールはルイズへと視線を向ける。もし、ルイズが貴族派であると言えば、解放されて物事は上手く収まる。

(ですが、ルイズは決して嘘をつこうとしないでしょうね)

誰よりも誇り高い貴族であろうとするルイズの姿を側でずっと見ていたゆえに、エレアノールはそのように考えてしまう。召喚
された頃に比べて、思考や言動などが多少丸くなったところがあるが、根本的なところはそうそう変わっていないと感じていた。
案の定、ルイズは怒りに満ちた眼差しで細身の男を睨んでいたが、一瞬だけエレアノールに視線を向け、ややその怒りの色は
静まった。

「―――旅行よ。私たちは王党派も貴族派も関係ないわ!」

ルイズの声は激発しそうな感情に震えていたが、どうにかそれを押しとどめていた。

「それじゃあ、楽しい旅行もここまでだな」
「勝手にすればいいじゃない! さっさと身代金を請求するなりして、解放してもらいたいわ!」

太った男と細身の男は再び顔を見合わせると、小声で短い会話を交わす。

「……頭に報告してくる。その間にゆっくり休んでおくんだな」

そう言い残すと、二人の空賊は船倉から出て行った。扉が閉められ鍵のかかる音が室内に響き、その音と同時にルイズはその場に
座り込む。

「……ルイズ様」
「黙ってて」
598虚無と賢女10話 3/10:2009/06/07(日) 07:48:25 ID:qkQphmC9
ルイズはエレアノールの方を振り返らずに顔を伏せる。二人と、そしてワルドは言葉を発せず、深い沈黙が船倉を支配する。その
重苦しい雰囲気に耐えられなくなったのか、ルイズは伏せていた顔を上げてエレアノールとワルドへと振り返る。

「……分かっているわよ、貴族派だって言えば良かったことぐらい。でも……あんな連中に、私たちは恥知らずの反乱軍の協力者
ですって嘘を言うくらいなら死んだ方がマシだわ」

それは真っ直ぐな―――そして愚直な貴族の矜持。ルイズがルイズであるための高いプライドに、エレアノールは何も言えず
物悲しそうに頷くだけだった。むしろ、激昂して王党派への使者と名乗り上げないに言葉を考えて選び、我慢しているのだと
受け取っていた。

(そういえば……、アンリエッタ王女の密書は、何故取り上げられなかったのでしょう?)

杖とデルフリンガーを取り上げられた際、ルイズが持っていた密書―――アンリエッタによって施されたトリステイン王家の紋章
による封印も見られていた。空賊たちが貴族派と結びついているのなら、トリステイン王家の密書を放っておく理由はない。
エレアノールが考え込んでいると、ワルドがルイズへ寄って行きその肩を叩いた。

「いいぞ、ルイズ。流石は僕の花嫁だ、素晴らしい誇りだよ」

褒め称えるワルドに、ルイズは複雑な表情を浮かべてうつむいた。一方、エレアノールはそんなワルドのただ褒めるだけ言葉に
ラ・ロシェールで聞いたキュルケの言葉を思い出した。そのときは大して気にしていなかったが、今のやり取りはそのときの
キュルケの評価―――一方的な偏見に満ちていたが―――を証明していた。
ワルドへの評価を思い返し終えたとき、再び扉が開いた。開けたのは先ほどの細身の空賊だった。

「なんだ、まだ食べてなかったのか? 頭がお呼びだ、後で新しいスープ入れなおしてやるから早く来い」





空賊の頭は後甲板の上に設けられた立派な部屋で、ルイズたち三人を待ち構えていた。室内には豪華なディナーテーブルが置かれ、
その一番上座に大きな水晶のついた杖をいじりながら、部屋に入ってきた三人を迎える。

「よう、内戦で混乱しきっているアルビオンに旅行したがっているって部下に言ったらしいが、そんな酔狂な言い訳が信じられる
と思っているのか?」
「酔狂も何も、本当なんだから仕方ないじゃない」

ニヤニヤ笑う頭に、ルイズはツンっと顔を背ける。その様子に頭は、やれやれとばかりに両手を広げて大げさなため息をつく。

「そうか、あくまでアルビオン旅行と言い張るわけだな? ……ところで、トリステインの貴族は旅行中に王家の紋章で封印された
手紙を持ち歩く掟があるのかい?」

頭の言葉にルイズは叩かれたような衝撃を受けて、半歩ほど後ずさりする。無意識のうちの、服の中に納めている密書の上に
右手をあてる。

「な……、何のことよ?」

その声は上擦り、身体は明らかに震えていたが、気丈にも視線を頭から背けずにいた。

「王家の紋章は四つ―――ゲルマニア皇帝の紋章やロマリアの都市国家群の紋章を含めても、覚え切れないほどの数じゃねぇ。
それに隣国の紋章なら俺も一目で分かる。まぁ、余計な話はこれくらいで、本題に入るが―――」

頭の視線は目に見えて迫力を増した。ルイズの返答次第では、ただでは置かないと雄弁に物語る眼光であった。

「―――お前さんたちが、トリステイン王家の密使というのは分かった。それで、誰にその密書を渡すつもりだ?」

エレアノールは室内に目線を回して再確認する。頭の他に七人の空賊、そのいずれも杖か剣状の杖を持っており、さらに全く
隙を見せようとせずにこちらの動きを逐一見張っていた。

(仮に私が飛び掛っても、恐らく頭にたどり着く前に彼らの迎撃を受けて……良くて相打ち)
599虚無と賢女10話 4/10:2009/06/07(日) 07:52:38 ID:qkQphmC9
通常の手段では状況の打開は不可能と結論付けたエレアノールは、懐に入れているトラップカプセルに意識を向ける。直接的な
殺傷能力は皆無に等しいが、一度に集団を無力化するのに適しているアイス系のトラップ。覚悟を決めて、トラップカプセルの
操作を始めようとしたとき、震えていたルイズが机を大きく叩いて頭を見返した。

「私はルイズ! ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! 私はトリステイン王室からアルビオン王国
―――ジェームズ一世陛下とウェールズ皇太子へ遣わされた大使よ!! 薄汚い反乱軍と手を結んでいるあんたたちなんかに用は
無いわ!! さぁ、分かったら早く私たちを解放しなさい!! それとも、あんたたちの独断で一国の使者を勝手に拘束して、
トリステイン軍の介入を招きたいの!?」

ルイズの叫びは部屋中に鳴り響いた。その声の大きさに頭は目を瞬かせ、周囲の空賊たちも呆気に取られていた。しかし、気を
取り直した頭は、再び人を射抜くような視線をルイズへと向ける。

「大層な名乗りだったが、手の震えを隠すなり抑えておけば文句なしの合格だろうなぁ」
「―――ッ!」

頭の指摘に、ルイズは動揺を顔に浮かべながら震える両手の拳をギュッと握り締める。

「それに……、確かに俺たちは貴族派のお偉いさんたちに黙って一国の使者をどうこうすることは出来ねぇが―――」

チラっと意味ありげな視線を窓の外へと向ける。その視線が意味することにエレアノールとワルドは気付き、そして続いてルイズも
気付いた。ここは空の上を航行する船、数千メイル下は一面に広がる大洋。落とされれば当然命はないし、遺体すらどこかの海岸に
流れ着くことも難しいだろう。

「―――密書だけ見つけた、持ち主はどこに行ったのかさっぱり分からねぇ……という話もよくあることだ。つまりだ、お前たち
がトリステインからの使者だからと言っても命の保障は全く無い。それよりどうだ? その密書を手土産に貴族派に降る、
というのはよ? 俺たちならお偉いさんに口利きできるぜ?」
「誰が反乱軍に頭を下げるものですか!! そんなの死んでもイヤよ!! 密書だって、あんたたちに奪われるくらいなら、
このまま一緒に飛び降りてやるわよ!!」

その誘いにルイズは真っ直ぐに頭を見つめたまま、胸を張って否定する。その身体の震えは続いており、恐怖に抗おうと必死に
なっていた。
ルイズを見守っていたエレアノールはその様子に限界が近いと判断し、トラップカプセルを操作してアイスの設置場所を定める。
あとは設置して起動させるだけとなったとき、唐突に頭は笑い始めた。大声で―――そして、それまでの粗野な雰囲気が一切
感じられない、どこか若々しくも爽やかな笑いだった。

「トリステインの貴族は、気ばかり強くてどうしようもないな! まぁ、その度し難さも、どこぞの国の恥知らずどもより何百倍
もマシだがね!」

頭は愉快そうに笑いながら立ち上がる。それと同時に、周りの空賊たちも一斉に直立した。

「―――失礼した。今までの対応が、一国の大使を迎える礼節に相応しくなかったことを許してもらいたい」

礼儀正しい口調で言い終えると同時に、頭は縮れた黒髪に手を置いて一気に剥ぎ取った。続いて眼帯を取り外して付け髭を
はがすと、そこには一人の凛々しい金髪の若者の姿があった。

「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官―――といっても、本艦『イーグル』号しか存在しないから、この肩書きは
ほぼ無意味に近いな」

若者は苦笑しながら姿勢を正すと、威風堂々たる名乗りを上げた。

「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。アルビオン王国へようこそ、トリステインの若き大使殿」

その状況の移り変わりの速さに、ルイズたちは呆然とお互いの顔を見合わせた。





「ええっと……、そういうことでございましたか?」
600虚無と賢女10話 5/10:2009/06/07(日) 07:55:47 ID:qkQphmC9
ウェールズの説明を聞いて、ルイズはぼけっとしながらも頷く。状況の変化にまだ頭がついていっておらず、つい先ほどまでの
生死と誇りをかけたときと、今との落差に未だに呆然としていたが。

「一艦だけという限られた兵力を運用するのでしたら、確かにこれ以上の策はありませんね」
「トリステインでも殿下の智勇は鳴り響いておりましたが、それがただの噂ではなかったことに感服しました」

一方、エレアノールとワルドはその説明を聞いて、納得と感心が入り混じった表情で頷いていた。補給路を攻撃しつつ可能な限り
敵の目を誤魔化して追撃と討伐を防ぐこと、離反者が続出したために相手を念入りに試すようになったこと。共に兵法と政略に
則った事柄であった。

「ははは、少々悪乗りが過ぎてしまったようだね、ミス・ヴァリエール」

ぽかんとしたまま―――半分放心状態のルイズにウェールズは、気の良さそうな微笑みを向ける。周囲の護衛たち―――無論、
空賊の扮装をしたままである―――も、呆れと同情の入り混じった苦笑を浮かべていた。ルイズの精神的な復活が完了して
いないと判断したのか、ワルドは一歩前に出ると優雅に頭を下げる。

「こちらの密書はトリステイン王室―――いえ、アンリエッタ姫殿下より言付かって参りました」
「ふむ、姫殿下とな。君は?」
「トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長ワルド子爵。そしてこちらが―――」

ワルドは続けてルイズとエレアノールの紹介を続ける。その際、ルイズは慌てて、エレアノールは慣れた様子で礼を取った。その
手際良く、そして礼節に則ったワルドの立ち振る舞いにウェールズは笑いながら褒め称え、そして笑顔を引き締めてルイズへと
視線を向ける。

「―――して、その密書を拝見させてもらえるかい?」
「は、はい! ……あ、あの、その、失礼ですが、本当に皇太子様でいらっしゃいますか?」

その言葉にウェールズは笑った。周囲の護衛たちの中にも、苦笑を通り越して声を上げて笑う者もいた。

「まぁ、さっきまでのことを考えれば無理もない、正真正銘のウェールズだよ。何なら証拠をお見せしよう」

ウェールズはルイズへと歩み寄りながら、自分の指にはめていた緑色の宝石がはまった指輪を取り外した。そして、ルイズの手を
取り、その指にはまっている水のルビーへと自分の指輪と近づける。次の瞬間、二つの指輪は共鳴しあって虹色の光を振りまいた。

「この指輪は、アルビオン王家に伝わる風のルビーだ。君のはめているのは、アンリエッタがはめていた水のルビー。水と風は
虹を作る、王家の間にかかる虹さ」
「大変、失礼をいたしました」

ルイズは一礼をして、密書―――アンリエッタの手紙をウェールズに手渡す。ウェールズは愛しそうにその手紙を見つめ、
そして封印の花押に接吻した。その様子にエレアノールは、二人が両思いであったことを感じ取った。
ウェールズは一通り手紙を読み―――途中何度か顔を上げてワルドやルイズに尋ねることもあった―――、そして最後の一行まで
目を通すと微笑んだ。

「―――了解した。姫の望みどおり手紙をお返ししよう。ただし、今は手元にない……ニューカッスルの城に置いてあるんだ。
面倒をかけることになるが、君たちにはニューカッスルまで足労願いたい」





海賊船改め軍艦『イーグル』号は、『マリー・ガラント』号を曳航しつつ浮遊大陸アルビオンの海岸線と雲海を巧みに利用して、
航海を続けていた。訓練された歴戦の軍人とクルーが操る『イーグル』号に対し、『マリー・ガラント』号のクルーは明らかに
練度で劣っていたために、『イーグル』号側から十数人ほど乗り込んで代わりに操舵していた。
601虚無と賢女10話 6/10:2009/06/07(日) 07:59:26 ID:qkQphmC9
三時間ほど航海が続き、二隻の船は目的地であるニューカッスル近辺にたどり着いたとき、突然の轟音と振動が大気を揺らし、
二隻の船をも小刻みに揺らしていた。何事かと、周囲を見回したルイズたち三人は、一隻の巨艦を視界に捉える。

「かつての本国艦隊旗艦『ロイヤル・ソヴリン』号だ。今は貴族連盟『レコン・キスタ』と自称する叛徒どもの旗艦『レキシントン』と
名前を変えている」

歩み寄ってきていたウェールズは、微笑を浮かべながら三人に説明する。その間も『レキシントン』号は、断続的に砲撃を
続けていた。

「あのように、空からニューカッスルを封鎖して、たまに砲撃を加えて嫌がらせをしてくる。忌々しいことに、我々の手持ちの
戦力では対抗することは不可能だ」
「では、どのようにして城に戻るのですか?」
「それは簡単なことさ―――」

エレアノールの問いに、ウェールズは浮かべていた微笑に茶目っ気のニュアンスを交えて答える。

「ニューカッスル城のような古い城にとっては典型的な話になるのだが、秘密の抜け道―――ここアルビオンに限れば秘密の港が
あってね。そこから出入りするのさ」

ウェールズの言葉と同時か一瞬遅れて、『イーグル』号と『マリー・ガラント』号は大陸の下へ潜り込むように針路を変えた。
たちまち、周囲を白い雲が包み、そして大陸の下に完全に潜り込む頃には日の光すら差さない完全な暗闇に包まれた。その中を
二隻の船は地形図を元に測量と僅かな魔法の明かりだけで進み、やがて頭上に現れた大穴―――ウェールズは秘密の港へと続く
抜け道と説明した―――へと入っていった。

「……すごい」

ルイズは船員たちの手慣れた様子と大穴にポツリと呟き、エレアノールも「ええ」と頷いた。そして二隻の船は、大穴―――
発光するコケに覆われた巨大な鍾乳洞の奥にある港へ到着し、岸壁に艦体を寄せてその動きを止めた。

「ほほ、これはまた、大した戦果ですな。殿下」

港に到着すると同時に出迎えに現れた背の高い老メイジは、『マリー・ガラント』号を見て顔をほころばせた。それは、心の底から
嬉しいと言わんばかりの晴れやかな表情であった。ウェールズもまた、同じように晴れやかな表情を浮かべて老メイジの言葉に頷く。

「喜べ、パリー! 硫黄だ、硫黄!」

ウェールズの叫びに、港のあちこちから一斉に歓声が上がる。歓声は集まっていた兵士たちが上げていた。老メイジ―――パリーも
また感極まったように泣き始め、ウェールズと心底楽しそうに話し始める。王家の誇りと名誉、栄光ある敗北、そして明日の正午に
始まる反乱軍の全面攻撃。それが二人の会話の全てであった。

「―――して、その方たちは?」
「トリステインからの大使殿だ。重要な用件で、王国に参られたのだ」

パリーはウェールズの言葉に一瞬、怪訝そうな表情を浮かべてルイズたち三人を見つめたが、すぐに顔つきを改めて微笑み、
歓迎の礼を行い今夜開かれる祝宴への招待を申し出た。





「これが姫から頂いた手紙だ。このとおり、確かに返却したぞ」

城内にあるウェールズに部屋へと招かれたルイズたちは、その場でアンリエッタの手紙を受け取った。その手紙は何度も読まれて
いたらしく、既にボロボロになっていたが大切に扱われていたことは見て取れた。ルイズは深々と頭を下げる。

「ありがとうございます」
「明日の朝、非戦闘員を乗せた『イーグル』号と『マリー・ガラント』号がここを出港する。それに乗って、トリステインに
帰りなさい」
602虚無と賢女10話 7/10:2009/06/07(日) 08:01:54 ID:qkQphmC9
ルイズは手紙をジッと見つめて、そして決心したように顔を上げて口を開き、どこか躊躇うようにウェールズへ問いかける。

「あの、殿下……。先ほど、栄光ある敗北とおっしゃっていましたが、王軍には勝ち目はないのですか?」
「ないよ、我が軍は三百、敵軍は五万。万に一つの可能性もありえない。今の我々に出来ることは、大陸統一と聖地奪還という
馬鹿げた大義名分でハルケギニアを戦乱の嵐に巻き込もうとする反乱軍の夢想家どもに、現実の辛さを知ってもらうための
尖兵として散ることくらいだ」

絶望的な戦力差と、確実に迫った戦死という未来をあっさりとウェールズは答えた。そして、自分も真っ先に死ぬつもりだと
言葉を続ける。ルイズはウェールズの覚悟に絶句し、エレアノールは驚きを含めた感銘を受けていた。

(誇りと名誉のために死すらも厭わない……。王族にも立派な方が居られるのですね)

魔物たちで混乱する国を省みずに王宮でのん気に宴を開き、そして会場に現れた魔物に食い殺された母国の王族と貴族たち。
騎士や貴族たちに見捨てられて、逃げ込んだ離宮で山賊に殺された大国の王族たち。エレアノールの世界での王侯貴族である
彼らと比べると、目の前のウェールズと彼に従う三百の王党派たちはその心根に天と地ほどの差があった。
エレアノールがそのような感慨にひたっていると、ルイズは意を決したように顔を上げてウェールズへと向き直った。

「殿下……、失礼をお許しください。恐れながら、申し上げたいことがございます」

深々と頭をたれて一礼したルイズは、そう口火を切った。アンリエッタとウェールズが恋仲ではないかと問い、彼女のためにも
トリステインに亡命すべきだと主張し、ウェールズはそれを丁重に断る。途中でワルドがルイズの肩に手を置くが、彼女の
剣幕は収まらなかった。

「ルイズ様……、もうお止めください」

見るに見かねてエレアノールがルイズに声をかける。その制止にルイズはハッとした表情で振り返った。

「ウェールズ皇太子は覚悟を決めておられます。もう、私たちには何も言うべきことはありません」
「エレアノール!!」

興奮して大声を上げるルイズ。エレアノールはジッとルイズを見据え、そして首を振る。それでも、ルイズは何かを言い返そうと
口を開くが、それよりも早くウェールズが押しとどめる。

「いや、ミス・エレアノールの言うとおりだよ、ラ・ヴァリエール嬢」

ルイズは寂しそうに俯き、ウェールズはそれを慰めるように肩を叩いた。

「そろそろ、パーティの時間だ。君たちは我らの王国が迎える最後の客だ、せめて笑顔で参加してほしい」
「……はい」

ルイズも自分に出来ることは何もないと理解したのか、小さな声で頷く。もっとも、納得はしていないことは、その表情から明確に
伺えた。そして、一礼をしてから部屋の外に出た、続いてワルドもルイズを追うように出て行く。

「まだ、何か御用がおありかな?」

最後に残ったエレアノールに、ウェールズは不思議そうに尋ねる。エレアノールは頷くと口を開き―――何か逡巡するような沈黙が
あったが、やがて意を決したように表情を整える。

「失礼を承知でお伺いします。……先ほど、尖兵として散ると申されていましたが、その覚悟は確かなものでしょうか?」
「ああ、当然だ。ハルケギニア全土を巻き込むような戦乱の世が到来すれば国土は荒れ果て、そこに住まう民草は戦火で
苦しむ。我らにそれを押し止める力は既にないが、その流れを可能な限り遅くするだけの努力をする義務は残っている」
「それならば―――」

エレアノールの言葉に、ウェールズは微笑みながら応じていた―――少なくとも最初は。しかし、二人の会話が進むに連れて、
ウェールズの表情から微笑みが消えて有能な軍指揮官としての表情に切り替わり、そして最後は驚愕と賞賛の混じった表情へと
変わっていた。

「ミス・エレアノール……、もう時間はほとんど残っていないが、パーティが始まる前に父上にも是非会ってほしい」

ウェールズの真摯な願いに、エレアノールはゆっくりと―――そして確かな意志をこめて頷いた。
603虚無と賢女10話 8/10:2009/06/07(日) 08:04:24 ID:qkQphmC9
パーティは、城のホールで行われた。園遊会のように着飾った出席者たち、包囲下の城とは思えないほどの豪華なごちそうの数々、
それは滅びると分かった上での諦観がもたらした空疎ながらも華々しいパーティであった。

「……エレアノールは一体何をしているのかしら?」

ルイズはワルドと共に会場の隅に立って、華やかなパーティを見つめていた。そして、未だに姿を見せないエレアノールを
探し、キョロキョロと見回していた。そして、否応なしに明るく振舞おうとする出席者の姿が視界に入り、ルイズの気持ちを
さらに陰鬱なものとする。
そうこうしていると会場の端で貴婦人たちから歓声が上がり、釣られて視線を向けたルイズは国王であるジェームズ一世と
それに続いてウェールズが会場に入ってきたことに気付いた。そして―――

「え? エレア―――ノール?」

ウェールズに続いて会場入りしたのはエレアノールであった。エレアノールの方もルイズたちの姿に気付くと軽く頭を下げた。

「おのおのがた。パーティは楽しんでおるのかの?」

ジェームズ一世は会場の奥に置かれた簡易玉座に腰掛けると、集まっていた貴族や臣下たちをグルリと見回した。その隣に
ウェールズが姿勢良く立って待機し、エレアノールはその横に数歩の距離を置いて立った。

「陛下! 我らは存分に楽しんでおりますとも! 是非とも、陛下も最後の宴を楽しんでいただきたいものですぞ!」

初老の貴族が笑いながら答えると、会場のあちこちから屈託のない失笑と笑い声が湧き上がる。ジェームズ一世もまた、
会場の笑い声に同意するように笑い、そしてゴホンと咳払いをする。途端に会場中の参加者たちは一斉に直立して姿勢を正した。

「諸君―――忠勇なる臣下の諸君、これから告げることを聞いてもらいたい。そして、ゆっくりと考えて決断して欲しい」

ジェームズ一世は一息深呼吸すると、臣下の名前を一人一人呼び始めた。最初は戸惑っていた臣下たちも、やがて名前を
呼ばれた者から前に進み出て、玉座の前に並び始める。彼らは例外なく年若い―――せいぜい三十代までの者たちであった。
その数が百人ほどになったところで、ジェームズ一世は呼びかけを終えた。数度深呼吸を行って息を整える。

「そなたたちに、この無能な王からの最後の命を告げる。今まで朕に付き従って果敢に戦い抜き、明日も最後まで戦おうと
覚悟を決めている者にとって過酷な命かもしれんが―――」

前に進み出た百人の者たちも、名前を呼ばれなかった者たちも固唾を飲んでジェームズ一世の言葉に聞き入っていた。

「―――そなたたちは明日、反乱軍『レコン・キスタ』の総攻撃の前にこの城を離れるがよい。そして『レコン・キスタ』が
滅びるか、そなたたちが倒れるときまで戦い続けることを命ずる」

会場中からどよめきが沸き起こる。特に明日の決戦に参加するなと通告されたに等しい百人から、大きなどよめきが起こっていた。
そして、一人の貴族が百人の中から進み出て、ジェームズ一世の前で礼を取る。

「陛下! 我らは明日の総攻撃に対し、貴族としての誇りに満ちた華々しい戦いをする所存です! それを何故、今さら逃げ出す
ように仰られるのですか!?」

その言葉は会場中の臣下や貴族と全く同じ意見であった。同調するように頷く者や、同じように前に進み出る者もいた。彼らに
対し、ジェームズ一世は目を細めて見つめて、やがて脇に控えていたウェールズに顔を向けた。ウェールズは小さく頷いて一歩
前に踏み出す。

「そうだ、逃げ出すのだ! ―――だが、陛下は命を惜しんで逃げろ命じたわけではない!」
「しかし……!?」
「明日の総攻撃で我らは全滅するだろう! これは避けられぬ未来だ! しかし、我らが全滅したあとに何が起こる? 愚昧なる
反乱軍『レコン・キスタ』どもはハルケギニア統一と称して戦乱を撒き散らす! ならば―――」

ウェールズの言葉は会場中に染み渡るように響いていた。誰もがその言葉に聞き入っていた―――ルイズとワルドも同じように
聞き入っていた。だが、ワルドはどこか昏く冷たい視線を、ウェールズに向けていた。
604虚無と賢女10話 9/10:2009/06/07(日) 08:08:26 ID:qkQphmC9
「―――我らはそれを阻止する責務がある! 明日、アルビオン王家は滅びるだろう! だが、この責務だけは何としても
果たさなくてはならない! 例え臆病者と貶されようが、責務を遂行するための誇り高き者たちが我々には必要なのだ!!」

誇り高き者、その言葉に会場中の臣下と貴族たちは一斉に頭を下げる。しかし、何人かの貴族は直立したまま、ジェームズ一世と
ウェールズを見つめていた。

「恐れながら殿下……明日の総攻撃に対し二百人では、あっという間に城は落とされてしまいます。それでは、反乱軍どもが余計に
勢いづくだけかと」
「その通りだ。……だが、安心したまえ」

ウェールズはずっと控えたままだったエレアノールに、前に進み出るように右手で指示する。エレアノールは深く頭を下げて
完璧な作法で礼を取り、前に進み出た。

「既に聞き及んでいる者もいるだろうが、彼女はトリステインから来訪された大使の一人、ミス・エレアノールだ。彼女は
深慮遠謀と称するに値する知略でもって我らに策を授けてくださった。その策を用いれば、明日の総攻撃に対して十分な戦果を
上げることができると保障しよう!! 明日、反乱軍どもを迎え撃つ者たちも、脱出して戦い続ける者たちも―――」

そこでウェールズは言葉を区切り、会場の者たちの様子を確かめるように見回す。誰も彼もがウェールズの言葉に心酔し、見つめ
返していた。

「―――奴ら脳裏に我らの勇猛さを刻み込む機会は十分に与えられている! 今宵はよく、食い、飲み、歌い、踊り、楽しもう!
そして明日は死して反乱軍への猛威となり、生きて『レコン・キスタ』どもへの脅威となる終わりと始まりの日である!!」
「「「アルビオン万歳!!」」」

ウェールズの宣言に、会場中から一斉に大声で唱和が起こった。誰もが感極まったように涙を流し、そして誇らしげに万歳を
唱和に参加していた。ただし、ルイズとワルド、そしてエレアノールは参加せずに、ただ彼らを見つめていた。
ルイズは複雑そうな視線で、彼らとエレアノールを交互に見つめていた。
ワルドは冷たい眼差しで、ウェールズとエレアノールを見つめていた。
エレアノールは感情を押し殺した表情で、死地に残ることになる二百人の臣下たちを見つめていた。





一騎の竜が月明かりの中、アルビオンの大地に影を落としながら疾駆していた。街道からも点在する村や街から外れ、さらには
哨戒しているアルビオン竜騎兵たちの飛行ルートからも外れて飛んでいる竜は、何度かコースを修正しつつも確実に、大陸の端
―――ニューカッスル城へと目指していた。
その竜に騎乗しているのは三人、そして足に掴まれている一匹のジャイアントモール。

「ねぇ、タバサ……本当にルイズたちはニューカッスル城にいるのかしら?」

三人のうち、キュルケは不安そうに一番前に座るタバサへと声をかけ、それに対しタバサは振り返ることなく頷く。その手には
普段なら読んでいるであろう本の代わりに、一枚の紙が開かれていた。

「でも、乗っていた船はスカボローに到着してないのよ? 途中で何かあったとしか思えないわ」
「エレアノールとワルド子爵の二人なら多少の障害は突破できる」

紙に目を落としながらシルフィードにコースの修正を指示する。フーケからエレアノール、そしてタバサへと託された反乱軍の
配置図と行軍予定表は精確なもので、これまで発見されることもなく敵地であるアルビオン大陸の上を飛ぶことが出来た。

「貴女の推理じゃ、ワルド子爵は裏切り者なのでしょ? いつまでもルイズの護衛を続ける―――」
「うぅむ……、理屈の上では確かに説明がつくが、本当にトリステイン魔法衛士隊の隊長が反乱軍どもに通じているとは信じられ
ないのだが……」

最後尾に座るギーシュに自分の質問を邪魔されて、キュルケは不機嫌そうにため息をついた。
605虚無と賢女10話 10/10:2009/06/07(日) 08:10:47 ID:qkQphmC9
「ワルド子爵の目的は不明。でも目的を果たしたあと、それを報告しようとするのは確実」
「……なるほど、だからニューカッスル城なのね。港で水夫たちが、包囲軍の本営に総司令官クロムウェルがいる、って言っていた
わね。それに、貴女の推理が間違っていても、ウェールズ皇太子に会うためには、ニューカッスル城に立て篭もっている王党派まで
たどり着かないといけない」

ラ・ロシェールからアルビオンまでの間にギーシュから聞きだした密命の内容に現時点までの状況を加味し、キュルケはそのように
推理する。タバサも早いうちに同じ考えに至っており、スカボローの港での情報収集を早々に切り上げて、ニューカッスル城へと
向かうことにしていた。

「まったく、ツェルプストーたるこのあたしが、ヴァリエールのルイズにアルビオン大陸で振り回されるなんて―――屈辱だわ」

キュルケの何ともいえない感情が入り混じった呟きは、夜風へと流れて消えていった。





以上で今回の投下を終了します。
作者所感、ウェールズ皇太子ノリノリである(空賊の頭的に)

三百VS五万、陸戦兵力だけの話に限れば、原作ゲームでもこれくらいの兵力差の会戦は幾つかあるのですよねぇ。
ちなみに、兵力差が一番大きかった会戦は二人VS三千人の千五百倍、戦闘所要時間は僅か三十分。
手加減して戦った二人の前に、三千の騎士団は壊滅。しかも、うち一人は戦闘不得手な回復魔法系。
他のパターンも大体、数百〜二千程度の兵力で数万単位の軍団と対戦して、尽く勝利してるあたりがチート性能だなぁ、と。
……原作の世界ではマトモな戦争が千年以上起こっていないので、ハルケギニアよりも低レベルであることは否めませんが。

あと、前スレでの厳しい意見に少しヘコんだので原作再プレイを実行&資格試験の勉強により投下が遅れ気味になるので、
皆々様方、よろしくお願いします。うむ、精進しなければ……orz
606 ◆kAgaoZuZ1U :2009/06/07(日) 09:44:42 ID:gSsaLwel
ゼロの雷帝の続きマダー。
カービィとかGIFTとか途中で投げ出されるとメシマズ…。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 09:45:40 ID:gSsaLwel
トリップ消し忘れスマソ
608日替わりの人 ◆VZdh5DTmls :2009/06/07(日) 09:49:34 ID:RNHlOU2o
みなさんお久しぶりです。
いつもながら亀な更新速度ですが、日替わり使い魔の9話が出来上がりました。
09:55ぐらいから投下始めますので、皆さん支援よろしくお願いします。7レス消費予定。
ちなみに今回は、アルビオン編開始前のワンクッション、プロローグのようなものです。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 09:54:30 ID:KiB3INBb
天空城への支援を渡してくれる!
 
ウルの月第一週 フレイヤの週第三曜日 エオーの曜日


 フリッグの舞踏会から一夜が明けた。
 あれほどの大騒ぎがあっても、時間が過ぎればまた日常も始まる。私は今朝も、リュカが自分の代理を連れてくるのを待った。

 けど――今日現れたのはリュカじゃなくて、その娘のタバサだった。

 なんでもリュカは、昨日一日仕事をサボった罰として、今日からしばらく外出禁止を言い渡されたって話だった。それで、リュカ以外でルーラを使える人間だからと、タバサが代わりに今日の使い魔を連れて来たらしい。
 まあ、リュカはあんな身なりをしてるけど実は貴族だったらしいから、領地の運営で色々あるんだと思う。入学前まで、お父様がそれで毎日東奔西走していた姿を思い出して、私は「仕方ないわね」とその言い分を聞き入れることにした。
 理解のあるご主人様に感謝しなさいよ、リュカ。
 でも……去り際、タバサが私に指を突き付け、親の仇を見るような目で「負けないから!」と宣言したけど……いったい何のことかしら?
 それと今日の使い魔とか言って、パンツ一丁の覆面マントな変態男を置いていかれても、すごく困るんだけど……しかもこれで名前はエミリーって、なんで女の名前なのかしら。

 …………もしかして嫌がらせ?

 教室に入ったら入ったで、ダブルバイセップスで筋肉を強調したり、マスキュラーポーズでギーシュに迫って逃げられたり、サイドチェストで大胸筋をピクピク蠢かせてキュルケに「うほっ、いい筋肉」とか言われたり……ってゆーか自重しなさいよ、あの女は。
 ギムリと他数名の男子と一緒になって、『筋肉体操』とかいう怪しげな儀式を始めた時なんかは、全身全霊で他人の振りをしたものだわ。
 とにかく、今日はエミリーのせいで精神的に疲れちゃった。昨日の舞踏会でそれなりにいい気分だったのに、余韻が完全に消え失せちゃったわ。

 夜にエミリーを迎えに来たのも、やっぱりタバサだった。彼女の話によると、リュカの仕事はまだまだ区切りがつきそうにもないらしくて、しばらくは彼女が代理で私に使い魔を届けてくれるらしい。
 私が「明日はもっとちゃんとした子を連れて来て」って頼むと、「えー、どーしよっかなー」とか曖昧な笑みを浮かべたのがちょっぴりムカッときた。
 私が何したってのよ? 年上はもっと敬いなさい。



 
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 09:56:18 ID:KiB3INBb
支援
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 09:56:40 ID:Aj2pbcfR
筋肉体操とは何物か、と疑問に思いながら支援。
 
ウルの月第一週 フレイヤの週第四曜日 マンの曜日


 今日もリュカの代わりにタバサがやってきた。

 使い魔を引き渡される前に、ちょっと話をした。「お兄ちゃんのこと、どう思う?」なんて聞かれて、少し戸惑ったけど……お兄ちゃんって、レックスのことよね? どうって言われても、別に何かコメントするべき言葉も思い浮かばない。
 確かに年齢の割には頼り甲斐のありそうな雰囲気があるし、顔の方も可愛いと思える。でもそれは、恋愛感情に直結するような意味じゃない。私は別に、年下趣味ってわけじゃないから。
 そんな感じで率直な感想を言ってみたら、なんだか途端にタバサの機嫌が良くなった。「あなたとは仲良くなれそうだわ」とか、どこに脈絡があるのかわからない台詞と共に、私の手を握った。
 そしたら彼女は、顔のついた真っ赤な大岩……『メガーザ』って名前らしいその岩を置いて、ルーラで帰って行った。もう一つ、メガーザによく似た黒い岩を連れて帰ったけど、こっちに残さないんだったらあっちは何のために連れて来たんだろ?
 気になったけど、あんまり深く追求しちゃいけないような気がした。

 メガーザは、特に何もしない子だった。
 日がな一日、ごろごろごろごろと転がるばかり。顔も模様とかじゃなくてちゃんと動くし、意思があるのは一目でわかるけど……笑い顔は一切変わらず、ほとんど何も喋らない。たまに喋っても、『メ……』から始まる言葉しか口にしないのは、癖なんだろうか?
 まあ何もしないとはいえ、自意識を持ってる大岩なんて珍しいから、使い魔としては特に不満もないんだけど。ゴーレムやガーゴイルだって、自意識があるのなんて有り得ないんだから、それを思えば尚更よ。
 これで何かびっくりするような特技があれば、言うことないんだけど。たとえば……そうね。岩の体が砕けると、死者も生き返らせる何かを周囲に撒き散らすとか――なーんて、そんなメルヘンな特技、あるわけないんだけどね。第一それじゃ、メガーザ死んじゃうし。

 で、特に何事もなく一日が過ぎて、タバサがメガーザを迎えに来た。

 帰る前、なんでリュカがあんな貴族らしくない格好をしているのか聞いたら、そもそも彼は旅人だったって答えが返ってきた。あの格好は旅していた頃のもので、リュカにとっては普段着と言ってもいいぐらい着慣れているものらしい。
 それを聞いて入り婿なのかとも思ったけど、タバサによるとそうでもないんだって。色々と込み入った事情があって、リュカは自分の身分を随分長いこと知らなかったらしい。結局自分の身分を知ることになったのは、結婚後半年以上経ってからだって話だ。
 ……ん? ということは、フローラと結婚した時は、まだ旅人だったってことなのかしら? そういえばピエールからその当時の話を聞いた時は、貴族らしい話の内容じゃなかったし……あーもー、なんだかややこしいわね。

 その後も他愛のない世間話に花を咲かせて、タバサはメガーザを連れて帰って行った。
 リュカがまた来れるようになるのは、いつなのかしらね?



 
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 09:57:49 ID:KiB3INBb
支援
 
ウルの月第一週 フレイヤの週第五曜日 ラーグの曜日


 その日は珍しく、私はタバサが来る前に目が覚めた。

 ぼやーっとした寝ぼけまなこで窓の外を見てみると、ちょうどその時、空の上から何かが降ってきたところだった。なんとなく目で追ってみると、地上に降り立ったそれはタバサと彼女が連れて来た使い魔、それと――彼女の腰にしがみついた、レックス。
 すると彼女はレックスを引き剥がし、肘打ち、膝蹴り、踵落としの華麗なコンボを決めてレックスを地面に沈めた後、魔法を唱えて氷漬けにした。
 その突拍子もない暴力に眠気も吹っ飛んで唖然としていると、彼女はそのままレックスを閉じ込めた氷塊を持って、ルーラで帰って行った。それで少しして戻って来た時には、レックスの姿は傍にはなかった。
 ちょうどそこに居合わせていた女の子――シエスタとかいう名前の学院付きメイドに朝食の時に聞いてみたら、昨日は見てないので知らないけど、おとといも同じようなことをしていたらしい。一体何やってるんだか、あの双子は。

 それはともかくとして、今日タバサが連れて来たのは、スラりんをそのまま巨大化させて王冠をかぶせたようなスライムだった。
 名前はキングスって言って、見た目通りの『キングスライム』っていう種族らしい。
 まあいい加減、リュカやタバサの連れてくる使い魔たちの多彩さには馴れてきた頃だし、これぐらいなら特に驚くこともないわ。

 ……と思ってたのは朝のうちだけだった。

 それはお昼休み、食堂で昼食を取った私は、午後の授業が始まるまでヴェストリの広場で暇を潰していた時のこと。木陰でキングスに背を預けて、教科書を手に座学を復習しながら時間が過ぎるのを待っているうちに、なんだかうとうとと眠たくなってきちゃった。
 背を預けていたキングスの感触も、やっぱりスラりんと同じスライム族なだけあって、ぷるぷるとした弾力が気持ち良かった。
 キングスは体も大きいから、ちょっと思い立って頭の上に登って、ベッド代わりになってもらってみたんだけど……これがまた、とっても寝心地良かったのよね。ついつい眠っちゃった私を、誰が責められるんだろうか。
 そしたら案の定、寝過ごしちゃった。キングスが気を遣って教室まで運んでくれたおかげで、遅刻だけはしなかったけど……次に目を覚ましたら教室で、しかもみんなのニヤニヤ笑いの中に晒されて、すっごく恥ずかしかった。
 これもキングスの寝心地が良すぎるせいよ!
 ……なーんて思わず八つ当たりしちゃったけど、クラスのみんなの視線の中には羨ましそうなものもあったし、本当はちょっとだけ優越感を覚えていたのよね。ついつい当たっちゃって、ごめんねキングス。恥ずかしかっただけなの。

 良ければまた今度、ベッドになってほしいな。いいかしら?



 
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 10:01:03 ID:KiB3INBb
支援
 
「あー、その気持ちわかります」

「でしょ?」

 その夜、タバサがキングスの迎えに来た時、彼の寝心地について話したらそんな同意が返ってきた。
 どうやらルイズだけでなく、彼女――おそらくは彼女だけではあるまい――もキングスの上で眠ったことがあるらしい。

「キングスやベホズンがベッドになってくれると、本当に気持ち良くてついつい寝ちゃうんですよ。あの寝心地は、旅の野宿に欠かせません。いざって時はちゃんと起こしてくれますし」

「……ベホズン?」

「スライムベホマズンのベホズンって子ですよ。見た目はキングスを緑色にしたようなものです」

 初めて聞く名前に疑問の声を上げると、また新しい種族名が出てきた。ルイズは「へー」と相槌を打ちながら、スライム族は他にいくつ種類があるのかと疑問に思う。
 いや――スライムだけじゃない。リュカにしろタバサにしろ、これまで多種多様の使い魔を連れて来た。同じ使い魔を二回以上連れて来たのはコドランぐらいなもので、あとは毎回毎回違っていた。
 一体、彼らの引き出しはどれほど豊富なのだろうか。そんな疑問が、ルイズの中でむくむくと膨れ上がる。それに、彼らの住んでいるというグランバニアという国にも、興味がある。

 そういえば――と、ルイズは思い出した。

 リュカはグランバニアでの自分の仕事が忙しいと、常々言っていた。彼が貴族ならば、その仕事とは領地経営と見て間違いはないだろう。
 そして自分は、公爵家の三女。同じく領地経営を行っている家の人間だ。実際に父の仕事を手伝ったことはないが、どんな仕事をしているかは見知っている。手伝えることなど、探せばいくらでも出てくるだろう。
 本来は、主人を助けるのが使い魔の役目。にも関わらず、逆に自分の方が使い魔の仕事を手伝ってやる――ああ、なんて使い魔思いのご主人様だろう。彼の郷里を視察がてらに手助けしてやれば、ご主人様の優しさに使い魔として感激するに違いない。
 ルイズは、「うん、いい考えね。我ながら冴えてる。け、決して二、三日顔を見てなかったから寂しいとか、そんなんじゃないんだからね! ほんとだからね!」などとツンデレのテンプレのようなことを思いながら、得意げな顔で――

「ねえ、タバサ。今度、私をグランバニアまで連れt 「だ・め!」 ……って、即答!?」

 ――告げようとしたその要求は、しかし最後まで口にすることなく拒絶されてしまった。
 ルイズの主観からすれば、彼女がグランバニアに行くことには何の問題もないはずである。だがそう思ってたところにこの即答。ルイズは一瞬言葉を失ってしまった。

「……なんでよ?」

「なんでも」

「どうしてよ?」

「どうしても!」

 まるで取り付く島もない。彼女にとって、ルイズがグランバニアを訪問するのがそこまで嫌なのだろうか。
 なぜかプゥと頬を膨らませてそっぽを向く彼女に、ルイズは「うー」と唸って睨み付ける。
 そして――

「とにかく、ダメなものはダメ! ぜーったい、ダメなんですからねっ! 行こっ、キングス!」

「あ、ちょっと!」

 ――止めるいとまもあらばこそ。
 この話はこれで終わりとばかりに強引に会話を打ち切ったタバサは、そのままキングスを連れてルーラを唱え、凄まじいスピードで窓の外へと消えて行ってしまった。伸ばしたルイズの手が、むなしく空を切る。

「…………なんなのよ、もう!」

 後には、ルイズの不満げなうめきが残るのみであった。



 
 
 ――ルイズたちが学院でそんなことをやっている、その一方――

 “彼”は今、薄暗い地下牢にいた。
 その目の前には、“彼”の剣で胸を貫かれ、絶命する死体が一つ――だがそれも風となって消え、後には剣しか残らなかった。
 その現象に、“彼”はピクリと眉根を寄せた。

「……ふむ。魔法で作った幻像……いや、分身体か? 系統魔法とやらの中には、なかなか面白いものもあるようだな」

 興味深そうに頷きながら、床に残った剣を拾って鞘に収める。
 と――“彼”は、ふとした異臭に気付き、わずかに顔をしかめた。それが自身の体から発せられていると気付いたのはすぐのことで、さして感慨も湧いてない様子で自らの体を見下ろす。
 服のところどころが焼け焦げており、肌にも多少の火傷を負っている。纏っていたローブはボロボロになって原型を留めておらず、フードで隠していた長い銀髪と尖った耳も曝け出されていた。傷の痛みもあるが、そちらは彼にとっては大して気にならない程度のものだ。

「ライトニング・クラウドといったか……なかなか強力な呪文だったが、魔族の体を焼き尽くすには力が足りなさ過ぎたな。とはいえ、ティファニアから貰ったローブが台無しになってしまったか」

 ぼやきながら、自身の体に向けて「ベホマ」と呪文を唱えた。すると、その体が負っていた火傷が、見る見るうちに癒されていく。
 “彼”は体が全快するのを確認もしないうちに、視線を横へと向けた。その視線の先には、鉄格子越しに驚愕の表情でこちらを見ている女が一人――ロングビル、いやさマチルダ・オブ・サウスゴータの姿。
 そんな彼女の足元には、囚人に出される食事だったのだろうと思われる、空の食器類が無造作に置かれていた。

「……どうした?」

「な、なんであんた……あれを受けて平然としてるのさ!?」

「人間ごときと一緒にするな」

 彼女の言葉を受け、内心で「確かに普通の人間には耐えられそうにもなさそうな呪文だったな」と思いながら、さも当然とばかりに返す。

 ――そもそも“彼”がこんなところにいるのは、召喚主たるティファニアが義姉のマチルダを心配してのことだった。

 ティファニアは、マチルダが自分に黙って何か危険なことをしていることに、薄々ながら感付いていた。そこで自身の使い魔たる“彼”に、マチルダを影ながら護衛するよう密かに頼み込んでいたのだ。
 無論のこと“彼”にとっては、召喚主であるティファニアが第一であり、本来はマチルダのことなど知ったことではない。それが例え、ティファニアの義姉であったとしても。
 とはいえ、ティファニアの表情を曇らせるのもまた不本意である。それゆえ、根気良く頼み込まれては折れるしかなかった。
 そういうわけで、渋々とマチルダの監視をしていたわけだが――どうも、魔法学院で『天空の勇者』と戦ったあたりから、雲行きが怪しくなってきていた。
 それでも手を貸すことなく、敗北してこの牢に入れられるまで静観を続けていたのだが……牢の中で、唐突にマチルダに接触してきた男。こいつが出てきた時点で、彼はマチルダの前に姿を現すことを決めた。

 一言で言えば――『気に食わなかった』のだ。白い仮面で顔を隠した、その男が。
 
 隠れたまま話を聞いていれば、マチルダが『土くれのフーケ』であることは元より、盗賊に身を落とす以前の貴族としての名すら知っていた。自分の周りにいる人間をそこまで調べ上げていた事もさることながら、その高慢な態度も鼻につく。
 何よりも気に食わなかったのは、従わなければ殺すと言い放ったことだ。
 と言っても、“彼”は別に聖人君子などではない。むしろそれから対極の位置にいるとすら言える。自分の目的のために他者を脅し、利用する――大いに結構。マチルダがそれに首を縦に振ろうと、別段何か感じるものがあるわけでもない。
 だが、彼女を殺されては困るのだ――主にティファニアのことで。それに、殺されるのが自分にとって曲がりなりにも『縁者』と呼べる者であるのならば、それは不愉快に過ぎるというものだ。
 そういった理由から“彼”は姿を現し、待ったをかけた。
 すると仮面の男は、「見られたからには殺す」と彼我の実力差もわきまえずに襲い掛かって来た。それに対し“彼”は、『身の程もわきまえぬ輩に生きる価値無し』とばかりに返り討ちにし、殺した。……もっとも、殺したのはただの幻像だったわけだが。

「……私を助けてくれたつもりかい?」

「気に食わん人間を殺しただけだ。ティファニアの頼みというのもあるがな」

「そうかい」

 素っ気無い態度を取る“彼”に、マチルダも似たような態度で気のない相槌を打った。
 そして“彼”は、仮面の男の死体があった場所に視線を落とし――おもむろに顎に手を当て、「ふむ」とこぼした。
 考えてみれば、あの男の誘いにマチルダが首を縦に振るのであれば、“彼”が出て行く必要などまったくなかった。少なくとも、彼女の返答を待ってからでも遅くはなかっただろう。
 出るのが少々早すぎたかと、今更ながらにそのことに思い至る。

「……再就職先のツテを潰してしまったか?」

「構わないさ。学院に戻ればいいだけの話だよ。色々とストレスの溜まる職場だけど……ま、贅沢は言ってられないしね」

 気楽に肩をすくめる彼女には、悲嘆の感情はひとかけらも見えない。
 実際、彼女にかけられた罪状は非常に軽い。そう日を経ずして釈放される見通しだった。学院に戻ることも、さして問題があるわけでもなさそうである。
 その辺は、人間同士で何やら色々とあったらしいが――それは“彼”にとって興味の対象外だったので、特に知りたいとは思わなかった。
 とはいえ、事情をまったく知らないというわけでもない。それを思い起こすと、“彼”は心中にふとした悪戯心を覚えた。
 そしておもむろに、揶揄するような笑みを浮かべると――

「そうか。ならば、もう激情に任せて下手を打つような真似は慎むことだ……模倣犯まちr 「 か え れ ! 」 ……おっと」

 最後まで言い終えるより早く放たれた罵声。それと共に投げ付けられた空の食器を、“彼”は事も無げにキャッチした。
 それでも足りないとばかりに睨み付けてくるマチルダに、“彼”はやれやれと肩をすくめ、食器を投げ捨ててきびすを返した。

「それだけ元気があれば大丈夫だな……では私は帰る。あまりティファニアに心配をかけるな」

「二度と来るんじゃないよ」

 不機嫌さを隠そうともしないマチルダの憎まれ口を背に、“彼”の顔に思わず苦笑が浮かんだ。
 そんな“彼”の腕では、かがり火の灯りを反射して、『黄金の腕輪』が鈍く輝いていた――



 
 
 そしてそれから数刻後――浮遊大陸アルビオン、その首都ロンディニウム。

「フーケのスカウトに失敗、ですと?」

 つい先日、この首都を陥落せしめたアルビオン反乱軍、貴族連盟『レコン・キスタ』。その首魁たる司祭オリヴァー・クロムウェルは、手に入れたばかりのハヴィランド宮殿の一室で、報告に来た伝令役の男の言葉に眉根を寄せた。

「はっ……報告によれば彼の遍在が、突然乱入してきた男に成すすべもなく敗れてしまった……とのことです」

「乱入者、ですか。フーケには強力な守護者が付いているということですかな?」

 遠くトリステインから届いた報告をそのまま伝えられたクロムウェルは、そう呟いて考え込んだ。

「いかがなさいますか、閣下?」

「……そうですね。遍在とはいえ彼ほどの者が不覚を取るのであれば、誰が行ったところで同じことでしょう……失敗したものは仕方ありません。彼には他にも任務がある。『引き続き次の任務に就くべし』と指令を送っておいてください」

「はっ」

 クロムウェルの指示に男は頭を下げると、そのまま退室した。
 部屋に誰もいなくなると、クロムウェルは尊大な調子を崩さなかったその表情を、一転して不安げに曇らせる。「はぁ」と一つ息を吐くと、ドサリと椅子に身を預けた。
 と――

「どうしましたか? 浮かない様子ですが」

 誰もいないはずのその部屋から、クロムウェル本人以外の声が響いた。
 唐突に響いてきたその声に、しかしクロムウェルは驚いた様子もなく、横に視線を向ける。するとそこには、いつの間にやら一人の人物が立っていた。
 それは、『表向きには』クロムウェルの秘書を務める者――

「……私は『安心』が欲しかったのですよ、シェフィールド殿……」

 おそらく偽名であろうその名を呼び、クロムウェルは気弱な言葉を漏らした。
 そんな彼の態度に、『シェフィールド』は「ほっほっほっ」と一笑に付す。

「確かにフーケは優秀なメイジです。ですが、必要不可欠な人材というほどのものではありません。心配はいりませんよ、全ては上手くいきます。そう、全て……ね」

 不敵に笑う『シェフィールド』に、クロムウェルはその瞳にいくばくかの『安心』を取り戻し――だがその大部分にはいまだ『不安』を残したまま、もう一度ため息をついた。
 そしておもむろに立ち上がり、「仕事が残っていますので……」と言葉を残し、そのまま部屋を出た。

 ――後に残されたのは、『シェフィールド』ただ一人――

「……そうですね。全て上手くいけば、思ったよりも早い『再会』になるかもしれませんねぇ……ああ、待ち遠しい。本当に、『その時』が待ち遠しいですよ……」

 蛇のようにねっとりとした口調で呟いた『シェフィールド』の口元には、この世のものとは思えないほどに歪んだ凄絶な笑みが浮かんでいた。
 
621日替わりの人 ◆VZdh5DTmls :2009/06/07(日) 10:08:55 ID:RNHlOU2o
これにて投下終了。
次回はアン様登場で本格的にアルビオン編開始になります。ちなみに今回、リュカは後半まで登場しない予定なので、あしからず。
あとピサロにデスピー化フラグを立てておきましたが、それを活かすかどうかは今後の原作次第だと思います。
ミョズニトニルンの正体もそろそろ予想できる頃だとは思いますが、そちらは一応まだ秘密ということで。
では次回、いつの更新になるかはわかりませんが、それまでゆっくりお待ちくださいませ。
ではー(´・ω・)ノシ

……ところでデスピサロをデスピーって略すと、子供の体のくせに胸ばかり大きくなるどこぞの不幸の女神を思い出すのは、私だけでしょうか?
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 10:11:15 ID:Aj2pbcfR
日替わりの人、乙でしたー。
この作品でのシェフィールドはDQ4出身のようですね……それはさておき、熱血!大冒険大陸は私も大好きでした。
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 10:16:52 ID:WIXJ7N4C
日替わりの人乙です
ピサロの剣ってやっぱりDFに出てきた魔界の剣かな…とおもったり
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 10:35:18 ID:IKvrCksB
日替わりの人乙です!
シェフィールドは5のリュカにとっては因縁の敵のアイツじゃないかな?
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 10:47:19 ID:VjYDYph4
乙です
シェフィールド・・・口調からしてどう考えても奴以外にいませんねぇ

それはともかく、ルイズ・・・命を拾ったなw
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 10:51:02 ID:S+uZ/kkm
>>590
頑張ってくれ、応援してるぞ
個人的には本筋から外れた展開を期待
(ルイズが学院を辞めるとか、アルビオンにはワルドだけが行くとか)
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 11:02:01 ID:WIXJ7N4C
長曾我部元親召喚の3話、4話書きましたんで投下したいんですがよろしいでしょうか?
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 11:04:51 ID:WIXJ7N4C
誰もいないようなので、11:05頃投下します
629凄絶な使い魔 第3話:2009/06/07(日) 11:08:07 ID:WIXJ7N4C
第三話「ルイズの試練」

元親はやや怪訝な顔をして、左手に握る蝙蝠髑髏を見た。
彼の操る三味線はただの楽器にあらず、奏でる音は衝撃となり敵を討つ、
また、その衝撃を不可視の音の球にかえて、宙を漂わせ、衝撃を解放させる事もできる。
いま、この部屋に解き放ったものがその音の球だが、明らかに大量発生したソレに元親自身が戸惑いを覚えたのだった。
違う、今までとまるで違う、手のひらに吸いつくような楽器との一体感を元親は感じていた。

「な、なに……、この丸いの……、貴方、魔法を使ったの!」
 部屋を覆い尽くさんばかりに吐き出された音の玉に、目を向けるルイズに元親の方も驚いた顔をする。
「ほう…、お前も見えるか、音の球が…上等……、だがそっちの二人には見えてないようだがな」
 ルイズは振り返って、オスマンとコルベールの方を見たが、確かに彼らはこの部屋に起こっている事態に全く気が付いた様子がない。
すぐ目の前を漂っている球状の物体が目に見えていないようだった。

「……これは魔法ではない、とはいえ魔法みたいなものだ…、この球一つ一つが、俺の合図で破壊を発生させる、このようにな」
そう言うと元親が軽く弦をつま弾いた。
離れた場所を漂っていた球が弾け、空中に激しい衝撃をまき散らした。
「うおぉっ!!」「きゃぁ!!」「な、なんじゃぁ!!!」
エアハンマーの衝撃余波を受けたように3人が体勢を崩した。
元親が、なるたけ衝撃を弱めて、その他の音の球に干渉しないよう、また、3人に被害が出ないように「音」を弾けさせたのだ。
以前の彼には、ここまで繊細な操作を要する技術はなかったが、今の自分ならば出来て当然と思えたので、やってみた。
一歩間違えれば他の音球にも破裂が干渉して、部屋中の球が一斉に爆発していただろう。
元親は涼しい顔をして、三味線の胴をなでた。
「今まで、使いこなしているつもりだったが、……どうして奥深い」
今なら、この最凶の三味線のすべてを引き出せる、感情のままに掻きならしたい衝動に駆られたが、さすがにこの部屋では無理だった。
そんな彼の左手は、手にはめた装具の下で淡く光を発していた。


「いきなりなにをするのよ!」
まず怒りの声を上げたのはルイズだった。
元親に詰め寄ろうとするが、その前方に音の球の列が道をふさぎ思わず立ち止まる。
さきほどの衝撃が元親の仕業であるのを理解しているのは、音の球が見えるルイズだけなのだ、
それだけに目の前に漂うソレは危険以外の何物でもなかった。
ルイズとしては後ずさりしてしまう。
コルベールが尻もちを付いたオスマンを起こし、元親の方を見た。
「チョーソカベ君、君は一体、……一体何をしたのかね」
コルベールが前に出ようとしたので、ルイズが慌てて止める、目の前には音の球の壁がある。
「球です、先生たちには見えていないでしょうが、見えない無数の球が浮かんでいて、その一つを彼が破裂させたのです」
ルイズの表情は真剣そのものだ。
「むむむ……、なんと、……だが確かに感じる」
今、彼の皮膚は粟立ち、危険地帯に立った時のような緊張を感じていた。
何もないように見える空間に、何かがあると感じられたのは元軍人コルベールならではの鋭敏な感覚ゆえか。

「学院長!何事ですか!!」
衝撃音に驚いて奥からロングビルが飛び出してくる。
彼女が見たのは、コルベールが連れてきた平民と、3人の貴族が対峙している様子。
何が起きたのか分からないが、あの平民が何かをしでかしたと状況を見て判断した。
疑問に思うのは、何ゆえ、名うての学院教師と、あのオールド・オスマンが平民相手に何の手も打たないのだろう……。

その理由を知りたいと思ったが、このタイミングで駆けつけてしまった以上は、仕方ない、手助けして信用を得ていた方がいい。
ロングビルはそう判断し、懐から杖だし元親に向けようとするが、オスマンの声がそれを制した。
「ミス・ロングビル、すまんが下手なことをせんでくれんか、今のわしらの安否は彼の掌にのっかっとるんでな」
その言葉にロングビルは動きを止め、杖をおろす。

やはり、何かが起きている、オスマンにそこまで言わせるとは……。
「……はい、わかりました学院長」
しおらしくそう答えると、彼女の眼は元親へと、注がれ、
それは彼が持つ楽器へと移り、そして妖しく光った。
……あれが、どうやら……、原因みたいだねぇ………
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 11:12:53 ID:WIXJ7N4C
「先住魔法…、いや、そのマジックアイテムの仕業だの」
オスマンは長く伸びた髭をなでながら元親の蝙蝠髑髏を見た。
「そうだな、半分は正解……、と言っておこう」
「で、これからどうするつもりかの?」
「無論、その少女が俺を従える器があるか、証明してもらう」

元親が再度、撥を振るうと新たな音の球が吹き出す、それを見せつけるようにしてルイスに語りかける。
「……今、俺が握っているのは三味線の撥ではない、……お前たちの命運に等しい。
…俺が気を変えれば、一斉に音は破壊をまき散らし、…凄絶にその命を散らす事となる」

ルイズは周りを囲む音の球を見た。
チョーソカベの言う通り、確かに、一つでも相当な威力がある、それがざっと数えても30はあるのだ、
同時に炸裂したら命はないだろう。
ならば、そうされる前に手を打たないと!、そう思い杖を抜いたルイズに元親は言った。

「言っておくが、軽はずみな事はしない方がいい、……死ぬのはお前一人ではなく、
2人の命も道連れになると心得ることだ、みす・ばりえーるよ」

その言葉でルイズの手は固まるしかなかった。
軽はずみどころか、何もできるはずがない。
周囲の音の球はじわじわと範囲を狭めて来ているように思えるだが、
その爆破を目の前の男が意のままにできるなら、何も打つ手がないじゃない!

「さて、本題に戻るぞ…、みす・ばりえーる。
……お前が俺を仕える条件は、唯一つ……、この状況をお前の力だけで切り抜ける、それだけだ」
ルイズの心臓は早鐘のように鼓動を打ち、目の前が暗くなるような錯覚を覚えた。


  コルベールはどう対処するか迷っていた。
確かに手詰まりの状況でもあるが、我々を殺害すると言うのは、
明らかにブラフとしか考えられなかった。
実際に彼がその気になれば我々の命を奪う事も出来るのだろうが、
それは彼にとっての何も利益がない、むしろ百害、見も知らぬ土地でただのお尋ね者になるだけだ。
彼はオスマンの方をちらりと見ると、指で手まねきを送ってきたので、ルイズの側から離れると、小声で話しかける。

(学院長…)
(わかっとる、唯の脅しじゃろ、……問題はワシらが手をだしたら、あの使い魔の事じゃから、
ヘソ曲げるかもしれんという事じゃ)

要するに元親の目的はルイズにプレッシャーを与えるため、と同時に我々に下手な手出しを
させない様にする為で、それはとりあえず成功しているのである。
(ともかく、これはミス・ヴァリエールが使い魔の信頼を得るの試練じゃ、すべては彼女自身にかかっておる、
……ワシらが出来る事はあまり多くはないぞ)
オスマンの言葉にコルベールは頷いて答えた。


631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 11:19:32 ID:WIXJ7N4C
ルイズは座り込みそうになるのを必死に耐えていた。
しかし、意思とは無関係に彼女の足は震え、口の中は緊張で乾き、
噛みしめようとした歯はカチカチと音を立てていた。
16年間の人生の中で、生き死にの立場に追い込まれた事などない、
まして、教師と学院長を学生である自分が守らなければならないのだ。
自分たちを包囲する音の球がゆら、と揺らめく度に心臓が痛んだ。

この目の前の平民は知らないだろう、
自分がゼロと蔑まれ、嘲笑される名ばかりのメイジである事を…。
こんな無理難題を押し付け、切り抜けられないと使い魔にはならないなんて
脅しも良いところ、いや正真正銘の脅迫だ。
言うなれば喉元にナイフ当てられた状態で、逃げてみろと言ってるようなもの、
一体どうしろというの?
この状況を切り抜ける方法など何も思い浮かばなかった。
必死に考えを巡らそうとするほど、混乱しはじめ、頭の中が真っ白になっていくのだ。
次第に彼女には過去の苦い思い出だけがぐるぐると思いだされる。

「ゼロのルイズ」という二つ名。

これまでの数々の失敗魔法と、その度に聞こえてきた失望のため息。

サモンサーヴァントが成功した瞬間、これまでの人生が、これから変わると思った。
でも、召喚できたのは平民で、契約を終えた後だと言うのに私に従おうとしない。

……いや、これだけ強力なマジックアイテムを持っているなら、傭兵としても生活していける、
私に雇われる必要なんてないのも冷静に考えれば当然のことだと思う。

でも、なぜ私の場合は…、努力が…、実を…、結ばないのだろうか……。

どんなにクラスメイトから迷惑がられようと、常に気丈に振る舞ってきた。
泣くのは誰にも見られない部屋のベッドの中だけ。
そんな決して人前では見せなかった弱さが、今日は彼女の小さな胸を押しつぶし、
頬へと流れ落ちようとしていた。


…私は所詮ゼロ、魔法が使えず…、そして、使い魔もいなくなる……。

 
「のう、ミス・ヴァリエール」

オスマンの声がルイズを思考からスッと掬いあげた。
ルイズはハッとして目に溜まった涙を急いで手の甲で拭いた。
「あの使い魔は一筋縄ではいかんな」
「す、すいません、私が召喚した使い魔がこんな事をしでかして」
思考に沈んでいる場合ではなかった、今の状況はオスマンやコルベールも巻き込んでいる状況なのだ、
なんとかして切り抜ける方法を考えなければいけない。
あわてて謝るルイズにオスマンは目を細めて笑いかけた。
「いやいや、さすがに名門ヴァリエールの子女、凡庸なメイジではとてもこれ程の大物は召還出来やせん、
それにな……あとはお主次第じゃよ?」
そういうと老メイジは少女にウインクをして見せた。

「え?」
「君はあの尊大で大物ぶった色男をどうしたいのじゃ?、……みすみす手放すのはもったいのいのぉ」

手放す?もったいない?

632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 11:22:49 ID:WIXJ7N4C
命がかかってる状況下で全く緊張した面持ちのないオスマンの言葉に、ルイズの中から次第に不安や緊張が薄れていくのが分かった。
そんなルイズにオスマンは考える仕草を見せながら

「そうじゃな、わしがお主の立場なら、使い魔にした暁には毎日下着を洗わせたり、着替えをさせたり……、まぁ、いろいろこき使ってやるがのぉ」

わざと元親に聞こえるように言うオスマンに、ルイズはハラハラしつつも、思わず吹き出さずにはいられなかった。
そんなルイズを見てオスマンも笑うのだった。

「そうですぞ、ミス・ヴァリエール、私と学院長の心配は無用ですぞ、ここは貴方の思うようになさい」
そう、コルベールもルイズに笑いかけた。

そうだ、私は何を考えているんだろう。

今までにどんな魔法を失敗してきても、これだけは言える。
このサモンサーヴァントは紛れもない成功、そしてコントラクトサーバントも成功、
二つの魔法をすでに成功している私はけしてゼロじゃない。

あとはこのチョーソカベに私を認めさせる、唯それだけの事なのだ。

サモンサーヴァントは術者に最もふさわしいものを召喚すると言われてる。
ならば、あの傲然と立つ男にふさわしい私でなければならないと言う事。

こんな不安におびえている私じゃ、釣り合わない。
そう…、私は知っている、それがどういう自分なのか、それはいつも私の心の中にこそあった。

ルイズは、一瞬、オスマンとコルベールの顔を見る、何か決意を決めたように表情を引き締めて元親の前へと進み出た。
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 11:24:23 ID:VjYDYph4
支援
634凄絶な使い魔:2009/06/07(日) 11:31:37 ID:WIXJ7N4C
遅くなって、すいません以上3話でした
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 11:35:01 ID:WIXJ7N4C
つづけて4話投下したいのですが、問題ないなら11:37頃投下します
636凄絶な使い魔 4話:2009/06/07(日) 11:38:39 ID:WIXJ7N4C
すいません、用事が発生したので、後から投下したいと思います。
ご迷惑おかけしました。
637凄絶な使い魔 4話:2009/06/07(日) 11:47:20 ID:WIXJ7N4C
遅れました、誰もいないなら、11:50頃、四話投下します
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 12:04:24 ID:joex/9Pb
♪ おいでカモンカモンカモン 暗い眼をしてー
と、いふワケで支援
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 12:05:04 ID:mIKAOUku
さるさん食らって書き込み禁止になったなら代理に投下したら?

【代理用】投下スレ【練習用】4
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1237390458/
640凄絶な使い魔4話 代理:2009/06/07(日) 12:09:06 ID:mIKAOUku
第四話「ルイズの使い魔」
ルイズの目はまっすぐに元親を見据えていた。
眼前には半透明の球が漂っているが、既にそれはルイズにとって恐怖の対象ではない。

相対する二人は、元親が剛とするなら、ルイズは勇である。

決して引かない心、諦めない心、それがトリスティン貴族の誇りだ。
幼少より叩き込まれた彼女の根底にある貴族の矜持、それがいまの彼女からは溢れ出ているようだった。

前に向かうという其の姿勢は美しさとなって、彼女を内面から輝かせ、元親も一瞬、目奪われるほど神々しく見えた。

私が、どうしたいか?
そんな事は決まっている、誰からも後ろ指を指される事のない立派なメイジに成る事よ。

そして、その為には…、
チョーソカベ、貴方には私のそばに居てもらうわ!

ルイズは優雅に貴族の子女らしく、目上のものに対する礼を元親に送った。

「正式に名乗らせていただきますわ、ミスタ・チョーソカベ…、私はヴァリエール家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、
貴方が東方から来た将軍である事を私はここに認めます、そして貴方を召還した責任として、貴方のトリスティンにおける身柄の保障は私が絶対に守ることを、
ここに始祖ブリミルに誓います」

ルイズの宣言はまず、元親の立場と待遇の保証した、そして…

「そして、命じます、この音の球を取り除き、オスマン学院長とコルベール師、二人の安全を保証しなさい」

ルイズが元親に示せるものはただ一つ、毅然とした態度で臨むこと、それがルイズが選んだ方法だった。

「そうか、だが嫌だと言ったら?」

元親の目もまっすぐにルイズを見ている。
口からの出まかせなら、通用しないと彼の目が語っている。

だから、私も決意を…、覚悟をするだけ!

「ならば、私は貴方を召喚した主人として、貴方を殺して二人を助けます」

彼女はマントからするりと杖を抜くと、元親に先端を向けた。
小揺るぎとしない杖の先端と、ルイズの目を見つめる元親。
視線と視線がお互いの主張を真っ向からぶつかり合う。
641凄絶な使い魔4話 代理:2009/06/07(日) 12:09:45 ID:mIKAOUku
しばらくした後、元親の方が静かに目を閉じた。
ルイズはその時、一瞬だけチョーソカベが何か笑ったように感じたが…。

「……なるほど、お前の技と俺の音、はたしてどちらが早いかな」
「ッ!!」
「フッ……、だが、命運を握った相手に、逆に死にたくなかったら助けろ
と言われるのは2度目だ、……最初は俺が初めて仕えた男、豊臣秀吉」

何を言っているの?…ルイズがそういう顔をしながら元親を見つめていると、元親が髑髏の付いた楽器を下した。

「鳥無き島の蝙蝠がお前に興味がわいたと言っている、
……この長曾我部元親、お前に仕えてやろう、ミス・ばりえーる」

仕える?…つまり使い魔になるって事?

「……やった」

ルイズは脚の力が抜けたのか、ペタンとその場に座り込んだ。


どうなる事かと見守っていたオスマンとコルベールもほっと胸をなでおろした。
座り込んだルイズに手を差し伸べて立たせたあと、コルベールがオスマンに尋ねた。

「なんだかんだありましたけど、……彼の処分はどうします?」
「サモンサーバントで人間を召喚した場合は、前代未聞の契りが必要じゃった、…そう言う事にしとくかの、誰が被害にあったわけでもないし」

確かにと、コルベールもオスマンに同意した。
642凄絶な使い魔4話 代理:2009/06/07(日) 12:15:16 ID:mIKAOUku
ルイズは周囲の音の球が依然取り囲んでいるをムッとしたように元親に言った。
「ところでチョーソカベ、さっさと、この音の球を消しなさいよ、動けないじゃない」
音の球が漂い続けている中にいるのは正直いい気分じゃない。

おもむろに元親は蝙蝠髑髏をまた肩にかけるとルイズの前までやって来た。
そして、突然、ルイズめがけ音球を放つ。
「わっちょっと何す……え?」

別に触れても何も起こらない、音の球はそのままルイズの服の表面をツツッとすべり、背後へと流れて行った。

「コイツはある種の波長意外には反応しない、触れても平気だ、……それに放っておけば自然に消えてゆく」
……元親の表情が少し意地悪に見えるのは気のせい?
彼の言うとおり、時間が経った周囲の球は、形を維持することができなくなり、次第に消滅していった。
それを見れるのは元親とルイズだけだが。

おかげで、なまじ見えるルイズは、先ほどのトリスティン貴族の誇りもなんとやらといった、のけ反りっぷりを披露したのだった。
ルイズはこほんと咳を一つして、元親に近づくと、
「…………だからと言って、口でいえば済むことを、…わざわざ私を脅かすとはいい度胸よね」
「ただの冗談だ、許せ」
「許すか!!」
ルイズが元親を蹴っ飛ばそうと足を振りあげるが、簡単によけられる。
「上等、だが足蹴りはもっと早く蹴らんと当たらん」
「使い魔ならよけるな!」
ルイズの杖が元親を向き、ファイヤーボールが……、もとい、ただの爆発が元親を吹き飛ばした。
本来ならどこに飛ぶか本人にも分からない彼女の魔法が今回は目的の場所へと飛んだようだった。

と、同時に背後でオスマンとコルベールの悲鳴が上がった。
驚いてルイズが振り返ると、まるで至近距離で音球の爆発に巻き込まれたような無残な有様で二人がヒクついている。

「なななな、一体、何が……」

杖を持ったまま固まったルイズに元親が言った。
「驚いたな、お前の魔法に音の球が反応して、炸裂した様だ、そしてこの威力、……なかなかやるな」
そう言うと元親も気絶した。
『誰にも被害が出たわけではない』…オスマンとコルベールは、
「「前言撤回」じゃ」と心のなかで呟いた。
643凄絶な使い魔4話 代理:2009/06/07(日) 12:23:04 ID:mIKAOUku
結局、オスマンとコルベールの治療費をルイズは払う事になったが、
その件に関しては事故として扱われたので、ルイズと元親に対する処分は下されなかった。

一方、ルイズの爆発で気絶した元親は部屋に運び込まれた
彼が気が付いたのは日が暮れての事で、元親に付添っていたルイズは、夕食をメイドに部屋へと運んでもらう事となる。
食事を終えたら、普通に平気そうな元親は、曰く、怪我など飯を食えば治るとの事、いろいろと謎な体質の持ち主である事は間違いない。

とにかくルイズとしては生まれて初めて、魔法が成功し、正真正銘、使い魔を得ることができたのである。
日頃の山積した気持がウソのように晴れやかだった。
「ねぇーチョーソカベ!」
「なんだ?」
「その楽器を見せなさいよ」
元親はしばし考えたが、ルイズに蝙蝠髑髏を差し出した。
自分の命令に従う使い魔にご満悦なルイズは早速、見よう見まねで撥と三味線を握る。

「ねぇ、さっきの音の球ってどうやって出すの?」
「こうだ」

ルイズの隣に座ると手を取り、三味線の基本となる持ち方や音を出す勘定(キー)を教える。
ふんふんと興味深げに元親の指導を受けていたルイズだったが、ふと、我に帰るとすぐ息のかかる距離に元親がいる事に気がついて、みるみるうちに顔が紅潮していった。
まぢかで見る元親は、やはり美形であった。
「どうした?」
「なななななななんでもないわよ」
明らかに動揺しているがルイズは教えてもらった様に撥で弦を弾いた。
が、ベベンと音が響くだけで音の球が出ない。

「ちょっと出ないじゃないのよ」

非難するような視線を元親に送るが、その向けられた方はあっさりとルイズから愛器を取り上げた。
「当然だな……一朝一夕でできるなら苦労はない」
ルイズは頬を膨らませるも、まぁいいわと考え直した。

「私が使うより、貴方が使って私を守ればいいんだし」
「守る?ここの治安はそれほど悪いのか?」
まだ、元親がこのトリスティンに召喚されて、目にしたのは学院長室、そこまでに至る通路だけである。
学院長室から女子学生寮のルイズの部屋までは元親は気を失っていたので道すら分からない。
だが、それほど荒んだ所でもないように思えるのだが。
そう、元親がルイズに尋ねると、ルイズは違うと首をふった。
「使い魔はね、まず主の身を守るものって大事な使命があんの」
「使命か、……仕える身なら当たり前だな」
ふんふん、と満足そうにルイズ腕を組んで頷く、このマジックアイテムを操るチョーソカベなら問題なさそうだ。
644凄絶な使い魔4話 代理:2009/06/07(日) 12:23:43 ID:mIKAOUku
「あとは私のために秘薬とかを探してくるんだけど……無理よね」
「秘薬自体どんなものか想像がつかんな、宝珠ならわかるがな」
「宝珠って何?」
「武器に新たな力を宿すものだ、たとえば紅蓮宝珠を付与された刀で切りつけられた相手は、
切られた太刀筋から炎をあげ、焼け死ぬことになる」

暑苦しいモブ武将が焼け死ぬシーンがなぜかありありと脳裏に想像できた。

「なんだか物騒ね……、その楽器にも宝珠がついてるの?」
「おそらくな、この蝙蝠髑髏(へんぷくしゃれこうべ)には修羅の宝珠が仕掛けられているはずだ……」
話に聞くと、人を一撃で死に至らしめる属性らしい……、オスマンとコルベールは耐えられたようだと、
元親は涼しい顔で言ったが、ルイズはぞっとしていた。
しかし、宝珠は東方にある専門の鍛冶師しかそれを武器に付与できないため、この国にいる限り見つけても無意味だろうと話していた。

「そうね…、あとは主人の目となり耳となる能力ってのがあるんだけど、見えないよね」
「見えん、…しかし、みす・ばりえーるは俺の「音」を見ることが出来た、俺の音の球を直感でよけた奴らはいたが、
見えた奴はいなかった……、これは感覚の共有といえるかもしれん」
そうね、とうなずくルイズ。

「それから、あと一つ言っておきたい事があるの」
それは元親の発音についてだった。
ルイズは元親という使い魔にそれなりに満足してはいる、だが人前で、ばりえ〜るなどと呼んでほしくないという気持ちもあった。
その意見に対して元親はしばし考えた後、

「……ルイズの部分はどうだ、これなら言えるが」
「…そ、そうね、そっちの発音の方がきれいだし、お前とか童女とか呼ばれるより良いしね、これから名で呼ぶことを許すわ」
名前で呼び合うのって、ちょっと親しすぎるかもしれないけど…とは思ったが。
(ルイズはチョーソカベがファーストネームだと思ってる)

そんな話が終わった後、ルイズは眠気に襲われてきた。
「…そろそろ寝むくなったし、わたし寝るわ」
「そうか、俺はどこで寝ればいい?」
うっ!
そうよね…一緒のベッドで寝るわけにはいかない、
いやいや、それ以前に結婚前の淑女が同じ部屋に男を泊めていいの?
ううううううううううっと一人呻きはじめたルイズだったが、ぴたりと動きを止めると、
「ゆゆゆ許す!、使い魔と主人は一心同体!、毛布あげるからこの部屋で寝なさい!」
「……やんごとなき名家出の子女が同じ部屋に男を泊めてもいいのか?」
「うっ……いいのよ、チョーソカベは使い魔、使い魔とメイジは一緒に生活するのは当然のことなの!」
そういうと毛布を元親に放るとベットにもぐりこんだ。
ルイズが指を鳴らすと明かりが消えた。
645凄絶な使い魔4話 代理:2009/06/07(日) 12:25:57 ID:mIKAOUku
元親は毛布を拾うとややルイズのベッドから離れた場所に腰をおろした。
ちょうどカーテンを閉めてない窓から夜空が見える場所だ。
「……ねぇ、チョーソカベ」
明かりを消して暫くしたら、ルイズが声をかけてきた。
「どうしかしたか?」
「………ありがとう」
「何にがだ?」
「……なんでもない、おやすみ」
「ああ……」
やがて、ルイズの寝息が聞こえてきた。
夜空に浮かぶ2つの月を元親は感慨深く眺めていたが、やがて彼も蝙蝠髑髏を抱いたまま目を閉じた。


以上、4話ですです、初めてサルくらってしまいました。
どなたかお願いします。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 12:43:15 ID:Yoxj7Dp8
乙&代理乙でした

1、2話と合わせて読ませて頂きました
クロス先のキャラをよく知りませんが、シブい武将と凛々しいルイズ
大好物です
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 13:06:08 ID:T021vhLQ
>>605
WIKIの項目を読むとどうしてもノエル贔屓にしか思えんので
自分の最も好きなキャラクターでやればいいじゃないか
とは思った

最初に仰られていた他作品は既存クロスがあったからマイナーなベアルで
みたいなのにも違和感はあったけど
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 13:44:27 ID:VI2Tmgve
マジレベルはキャラ共通にしろ糞KP
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 14:36:30 ID:73cV4Ugp
ポケットモンスターダイヤモンド・パール(ゲーム)より、主人公(男)を召喚。
タイトル「虚無と十七属性」
ここに投下するのは初めてですが……、
投下予定作品がなければ、14:40から投下させて頂きますが、宜しいでしょうか。
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 14:40:38 ID:1O1mWley
ピカピー!
651虚無と十七属性:2009/06/07(日) 14:41:04 ID:73cV4Ugp
では、投下。

 ここはどこだ。周りの人だかりは何だ。そして目の前で、棒を持ち、マントを着たピンクの女は誰だ。
 14歳くらいに見えるピンクの少女は、仰向けに倒れている俺を、まるで牛乳を拭いた雑巾を見るような目で見て、「アンタ誰?」と訊いてきた。


虚無と十七属性
第一節「魔王」

第一話

 髪を揺らし、草木を波打たせる風の穏やかな音は、桃色の髪の毛を靡かせる今の少女の対義にあたる存在のようだった。少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・フラン・ド・ラ・ヴァリエールは不機嫌だった。
 彼女はヴァリエール公爵家の三女として生まれたにも関わらず、今まで魔法一つ成功できた事が一度もない。二年に進級する為に絶対不可欠の存在である、使い魔召喚の儀式だけはなんとしても成功させなければならなかったが、幾度も失敗を繰り返した。
 そして、今。僅かながら、その失敗の中で手応えを感じたのだ。爆発の後に影が見えたときには、それはもう、思わず歓喜の声を上げそうになったが――初の成功を見いだしたと思ったら。
「……平民?」ただの平民だった。
「……」
 召喚された男は、何が起きたか分からないといった表情のまま、うんともすんとも言わない。その表情が、ルイズの機嫌を、さらに、頗る悪いものへと変えていった。
「アンタ、誰?」
「……」男、というより、青年は、その声に応えるわけでもなく、ただ辺りを見回した。
 もの分かりの悪そうな平民を見て、ルイズは思わず苛立ちでどうにかなってしまいそうだったが、召喚したのは他でもない自分なので、何も言えない。
「ミスタ・コルベール! やり直しをさせて下さい!」思いっきりそう叫ぶのが、唯一許された選択肢だった。
「残念だが、それはできない」ハゲは非情だった。
「なぜですか!」
「使い魔召喚は、メイジとして人生を決める神聖なもの。やり直すなど、儀式そのものに対する冒涜ですぞ? 君が好むと好まざるとに関わらず、彼は君の使い魔と決まったのです」
「ですが!」
「儀式を続けなさい。それに、彼はあなたが召喚した立派な使い魔ではありませんか」
 何が立派よ、最初に「残念だが」と言ったくせに、とルイズは内心悪態をつきたくなった。
 使い魔を見ると、混乱するでも、慌てるでもなく、こちらをただ、じっと見据えていた。
「ほら、これで取り乱さない使い魔なんて、多分ただ者じゃありませんよ」
「状況が全く理解できていないだけかと思いますが」
 それとほぼ同時に、既に使い魔召喚の儀式を終えたギャラリー達が沸き上がった。
「は……はははははは! 腹痛い! 腹筋割れる!」
「流石、ルイズだな! みんなの期待を裏切らないや!」
「何あれ、もしかして、もしかするとただの平民?」
「ルイズにはお似合いだな!」
「ある意味、これも才能だと思うよ!」
「ゼロのルイズー!」
 誰かが忌々しい、彼女の二つ名を叫んだ。彼女はもう爆発寸前だった。
 いっそのこと本当に、物理的に爆発させてやろうかとも思ったが、ルイズはなんとか押しとどまった。
「儀式を続けなさい」
 非情なハゲが彼女を見て、再びそう言う。ルイズは唇を噛みしめた。
 穏やかな風は、やはり今の状況に似合わなかった。

* * *

652虚無と十七属性:2009/06/07(日) 14:44:05 ID:73cV4Ugp
 キッと、桃色髪の少女がこちらを睨みつけた。髪の薄い男性と、ツカイマが何やら口論していたが、どうやら俺が原因らしい。
 俺はさっきまで、確かポケモンセンターでボックスの整理をしていて――――それで?
 あれ、俺はどうしてこんな所にいるんだろう。
 そういえば、何か鏡ともドーミラーとも似つかない物体が現れて、それに触れて、引き込まれて。引き込まれて?
 駄目だ、頭が痛くなってきた。レポートを見返した方がいいかもしれない。とりあえず、四天王戦よりも、バトルタワーよりも、
いろいろと遙かに厄介な状況である、という事が、なんとなく、分かった。
「貴族にこんな事してもらえるなんて、平民のアンタには多分一生無いわよ。感謝しなさい」
「……」
 そんなわけで、考え事というか、内心恐慌状態だった俺は、少女が屈みこんで、こちらを真っ直ぐに見つめていた事にはまるで気がつかなかった。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
 そして刹那、接吻を受ける事となった。
「!」
 何のつもりだ、と抗議をするつもりだったが、突如として襲ってきた、胸板への尋常ではない激痛が、それを妨げた。視界が暗転し、
思わず俯せに倒れた。畜生、どこが祝福だ。
「心配しなくても、使い魔のルーンが刻まれているだけよ」
 少女が無慈悲にそう言ったが、気休め程度にもならず、この痛みは尋常ではなかった。
 右手で草を毟り、左手で服の中に手を突っ込み、胸を掻き毟った。体はくの字に折れ曲げる。どうにか痛みを和らげようと、必死になったが、
焼けるような痛みは悪くなる一方だった。右手が掴んだ地面は抉れ、左手で掻き毟った胸板からは血が吹き出し、
指には自分の表皮細胞とヘモグロビンがごっそりついていた。焼くような痛みは、一向に引かない。まるで血が沸騰するかのようだった。
 俺は――めのまえが まっくらになった。

* * *

 使い魔のルーンを刻む為、といっても随分と時間が長い気がする。青年がのたうち回り初めてから30秒は経過した。一向に戻る気配がない。
 声を上げない叫びを上げている自分の使い魔を見て、流石に様子が変だという事に気がついた。
「ちょっと……アンタ、大丈夫……?」
 声をかけても、何も返して来ない。青年は激痛と格闘していた。
 ふと、衣服の中から、僅かに青年の左手が見えた。見間違いでなければ、夕日のよう、と形容するにはあまりに禍々しい液体がべっとりと付着し、
胸からは大きすぎる光と、血が溢れていた。
「……え……」
 血?
「おい、ルイズの平民、なんだかおかしくないか?」周りの生徒も、先ほどとは違うざわつきを見せた。
「コントラクト・サーヴァント、したのよね?」
「もしかして……また失敗したの? 胸は光っているけど」
「え、まだ終わらない、の?」
 その時だった。
「あ゛ああああ!」苦痛に溢れた咆吼が、草原に響き渡った。
 ルイズは見た。
 青年の体から、何か四角い物が大量に析出しているのを。否、青年の身体が、衣服が、無数の正方形に変形していたのだ。
彼の体から溢れる血液も例外ではなく、小さな正方形へと形を変えていく。
 まるで――モザイクのようだった。
「ひっ」唯一、近くでそれが確認できたルイズは、悲鳴を上げた。
 それと同時に、青年は動かなくなった。
 青年と示し合わせたかのように、誰も動けなかった。
「え、死んだ、の?」ギャラリーの誰かが、そう呟いた。
 その声で正気を取り戻したのか、コルベールが青年に駆け寄った。
 この壮絶な光景を見たというのに、彼は至極冷静に、急いで手を取り、脈をとった。
「あぁー、良かった。……彼はちゃんと、生きてます」溜息をついて、ハゲは言った。
 その言葉を聞いて、ルイズはぺたんと腰を落としてしまった。

* * *

653虚無と十七属性:2009/06/07(日) 14:45:17 ID:73cV4Ugp
「彼はちゃんと、生きてます。……!?」
 教師、コルベールは息を呑んだ。
 脈を測った側の手についた、あるはずのない赤い液体を確認したからだ。
「ちょっと確認したい事があるから、皆、先に教室に戻っていてくれ! 授業の残りは自習でいいぞ! なんなら使い魔と交流を深めてもいい」
 教師として、生徒にこれを見せるわけにはいけなかった。
 訝しげな表情を見せる生徒たちが「フライ」を唱えて去っていったのを確認してから、再び青年を見た。
 疑問は尽きないが、それに少しばかり安堵して、すっかり直ってしまった青年の上半身の服を脱いで胸板を露わにした時、コルベールは思わずぎょっとした。
 掻き毟ったのが原因だろう、僅かに皮膚の内側が露わになって、その部分からは血が沸いていた。出血多量で死ぬという事はないだろうが、この青年の痛みを想像しただけで、思わず顔を顰めてしまう。
 しかしそこは、過去に魔法衛士隊として戦場を見てきたコルベール。衝撃はあまり大きなものではなかった。
 彼が驚いたのは、文献も含めて嘗て見たことの無い、長い長いルーンが刻まれていたからだ。
「何だこれは……」
 通常のルーンらしきものが一つと、通常の使い魔に刻まれるものとは明らかに違う、解読不能の文字が16あり、それが2行にも連なっている。
 これはルーンなのかどうかさえ疑わしい、見たことの無いルーンであった。
 コルベールは規格外だらけの事象に頭を抱えていると、そのうちに、スッと2行の文字は消えていった。いよいよ訳が分からない。悩みで、彼の頭の砂漠がさらに広がりそうだった。
 人間が召喚されたというのも聞かない話だが、それ以上にこのルーンは何なのだ。
「この青年は知っているのだろうか」
 後に残された三文字のルーンを、とりあえずコルベールはスケッチする事しかできなかった。
 スケッチし終えると同時に、背後に僅かな気配を感じ、コルベールは慌てて振り返った。
 そこには、呆然とした表情のまま腰を下ろした、この使い魔の主がいた。どうして今まで気付かなかったのだろう、コルベールは自分を戒めた。
 穏やかな風が、彼の残り少ない髪の毛を揺らした。
「ミス・ヴァリエール……。見たのか、君は」
「……は、はい」ルイズは答えた。
「いいかい、この事は絶対に口外無用だ。この使い魔の正体は、教師である私にも分かりかねるものだ。ルーンの時は何が起こったのかさっぱり分からないが、幸いにも彼は生きている」
「はい」
「他の生徒に何を聞かれても、君はこの事を答えてはならない」
「はい」
「何か分かった事があったら、彼の主である君にも伝えよう。まだ、何も分からない状況だからね」
「はい……」
「彼は、私が医務室に運んでおこう。君は、教室に戻りなさい。いいか、絶対に喋るんじゃないぞ」
「わかりました」
 ふらふらと、歩きで教室へ戻るヴァリエールを見送った後、コルベールは溜息をついた。
 さてこれからどうしたものか、と。
654虚無と十七属性:2009/06/07(日) 14:47:56 ID:73cV4Ugp
以上、第一話でした。
言い忘れましたが、使い魔のルーンはPARです。
一応8話(決闘終了)までは完成してますが、連続投下しても構いませんか?
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 14:49:20 ID:SAjSHd1c
wktkしながら支援
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 14:51:30 ID:3cu6eWH5
いんじゃね?支援
657虚無と十七属性 第二話:2009/06/07(日) 14:55:07 ID:73cV4Ugp
平均して一話ずつが短いのでとりあえず二話投下。


「〜〜〜〜ッ!」
 胸板にじんじんと伝わる痛みで、俺は目を覚ました。
「! 目が覚めましたか!」
 身体を起こさないで視線だけを声の主の方向けると、そこには、見覚えのあるようなないような、髪の毛の薄い男性が、鈍器になりそうな分厚い本を開いていた。
「ここは、何処だ……」痛みの中で、なんとか声を絞り出した。
「トリステイン魔法学院です。毎年行われる、春の使い魔召喚の儀式であなたが呼ばれたのです。いやはや、あなたがコントラクト・サーヴァントであそこまで苦痛を強いさせてしまうとは、本当に申し訳ありません」
 何のことだか、さっぱり分からない。
「……」
「ああ、何が起きたか分からない、といった顔をなさっていますね。詳細を説明しますと、あなたは、桃色髪のこの学院の生徒に使い魔として召喚され、
そしてその契約である接吻を終えた後に、それに伴う激痛で気絶されたのです。……思い出せましたか?」
 そうは言われたものの、さっぱり意味が分からない。トリステイン? 使い魔? コントラクトサーなんとか? 聞き覚えの無い単語の羅列で、頭は既に追いつけていない。
 俺はさっきまで、確か――何やってたっけ? というか、あれ?
 俺って誰だっけ?


虚無と十七属性


第二話

 俺は、誰だ。
 もしかして、いや、もしかしなくても、俺は記憶喪失らしい。
 と言っても、記憶を何もかも失ってしまうわけではなく、こうやって人と喋る事はできるし、知識もきちんと残っている。だが、不思議にも、
自分の生活に密着した部分だけが、どうしても思い出せないのだ。母親や父親の顔、自分の住所、自分の部屋の様子、というか、そもそも自分の部屋があったのかどうかすら思い出せない。
 とりあえず、自分の目の前にいる、このマホー学院の保険主任だかなんだかの人物に、自分の今の状態を話す。
 記憶が殆どなくて曖昧だが……なんとかベール、神秘のベール……そうだ、確か、マスター・神秘のベールとか呼ばれていた気がする。
「記憶喪失、ですか?」
 神秘のベール(仮)に首肯で答え、再び激痛で魘される。
「それは、その……すいません、大変なご迷惑をお掛けしました。召喚された時から、となると、サモン・サーヴァントが原因かもしれませんね。
だとしたら不可抗力だとはいえ、本当に申し訳のない事をしました……
もしかしたら、ルーンの影響か……」
「……いや、構わない。ところで、使い魔召喚とは何だ?」会話の中で疑問に思っていた事を訊く。もしかしたら、これは常識で、たまたま記憶喪失の際に幾つかの記憶が飛んでしまっているのかもしれない。
「使い魔というのは、メイジが使役する、所謂、護衛兼パートナーといった存在の事です。基本的には、獣や鳥、後は幻獣などが召喚されて、その中で高位なものとなると、ドラゴンやマンティコア、グリフォンなどが召喚されます」
「……メイジ、とは何だ?」マンティコアとグリフォンも何なのかはさっぱりだが、とりあえずドラゴンに並ぶ凄い生き物だというのは想像できた。
「メイジを聞いたことがないのですか?」
 ああ、俺は常識まで記憶吹っ飛んでいるらしい。
「記憶が飛んでしまったからな」
「ああ、そうでしたね。メイジというのは、簡単に言えば魔法使いの事を指します。魔法が使えるメイジの殆どが貴族と分類されて、魔法が使えないのが平民と呼ばれています。思い出しましたか?」
 魔法?
 魔法とはアレか。マジックの魔法か。いくら記憶喪失だからといって、馬鹿にされちゃたまらない。それが非現実のものであるという事くらいは、覚えている。
「失礼だが、マスター・神秘のベール、いくら俺の記憶が曖昧だからって魔法が無いって事くらいは――」
 そう言った時に、神秘のベールの後ろにある巨大な窓から、人が飛んでいるのが見えた。
 あれ? 飛んでる?
 空飛ぶ人間数名は、こちらを見に来た野次馬らしく、こちらを杖で指して、なにやらこそこそ喋っている。マントに杖。魔法使いに見えなくもない。というか、これで円錐の帽子なんかを被ったら、魔法使いにしか見えない。
「……」絶句した。
658虚無と十七属性 第二話:2009/06/07(日) 14:56:37 ID:73cV4Ugp
「魔法が無い?」神秘のベールが訝しげにこっちを見た。
「…………いや、なんでもない。気にしないでくれ。マスター・神秘のベール」
「私はコルベールです。ミスタ・コルベールと呼んで下さい」
「……はい」
 なんかもう、どうでも良くなってきた。多分、おかしいのは俺の頭なのだろう。きっと俺がいた世界では魔法が普通に存在していたんだ。記憶がちょっと、何か巨大な悪の組織によって改竄されたんだろうな。そう、ギンガ団みたいな。
「……?」
「どうかなさいましたか?」
「……いや……ギンガ団、という組織に聞き覚えはないか?」
「はて、ギンガ団……いや、ありませんな」
「悪の秘密結社に記憶は?」
「ひみつけっしゃ? ……いえ、ありません」
「……そうか」
 確か、他にもロケット団、アクア団、マグマ団というものがあった気がしたのだが。自分はどれだったかそれに関わって……?
 その記憶が戻りそうな時に、激しい痛みに見舞われた。
「くっ……うっ……ああああああああ!」
「ミスタ!?」
 胸が焼けるように熱かった。服は脱がされて、胸には包帯が巻いてあったが、包帯が焦げ出さないのが不思議な程、熱かった。だかしかし、どういうわけかものの数秒で痛みが柔らいだ為に、気絶する事はなかった。
 コルベールが慌てて、瓶に入った液体の薬をとり、包帯を丁寧にほどいた。
 窓の向こうで、魔法学院の生徒が顔を覆い、逃げ帰っていくのが僅かに見えた。
「……こ、これは……」
 そして、その時のコルベールの表情は、まるでこの終わりが突然訪れたかのような、最上級の驚愕に歪んでいた。
「ル、ルーンが増えている……」
 その言葉と同時に、今度は激しい頭痛に襲われた。一難去ってまた一難。
 このままでは俺は死んでしまうのでは無いかと思えた程だった。
「〜〜〜〜ッ!」
「落ち着いて! 今水メイジを呼んで来ます!」
 薬を塗ってもまるで効果がないと判断したコルベールは、急いで部屋から駆けだした。ドアが乱暴に開けられ、壁に激突する音が、脳に妙に響いた。
 だが今度は、先ほどの短い胸の痛みよりも、更に早く、痛みも小さいままに終わった。頭だという事で余計に痛くは感じられたが、不思議と後は引かなかった。今は頭よりも、自分で掻き毟ってしまった胸が、遙かに痛んだ。
 暫く悶えていたが、不意に視界に、黄色いリュックが映った。丸っこいデザインのそれをみると、記憶など無いはずなのに、何故か無性に親しみが溢れてくる。これは恐らく、自分の持ち物でいいはずだ。
 歩くたびに胸に響く激痛に耐え、なんとかリュックまでたどり着く。もしかしたら、自分の記憶を取り戻す手がかりがあるかもしれない、という淡い期待を持っていた。
 少し震える手で、リュックを手前に引き寄せようとした刹那、リュックに触れた瞬間に、自分の頭の中に何かが入り込んできた。
 どうぐ
〜〜〜
ほのおのいし×65
みずのいし×42
かみなりのいし×56
リーフのいし×41
やみいし×3
ひかりのいし×4
めざめいし×3
まんまるいし×2
つきのいし×25
たいようのいし×21
かわらずのいし×87
ずがいのカセキ×17
たてのカセキ×16
………
……

かいふく
〜〜〜
キズぐすり×35
いいキズぐすり×18
すごいきずぐすり×45
かいふくのくすり×39
げんきのかけら×43
………
……
659虚無と十七属性 第二話:2009/06/07(日) 14:58:38 ID:73cV4Ugp
 リュックの中身が手に取るように分かり、そのアイテムを手に取ると、その能力や用途が自然と分かったのだ。
『キズぐすり:HP20回復』
 なんだかよく分からないが、とりあえず、使おう。
 俺は直感でスプレー式の傷薬をバッグの中から取り出すと、自分に吹きかけた。
 すると、自分が掻き毟った傷口は、意志を持ったかのようにみるみる塞がり、数秒後には痛みどころか痕すら残らずにすっかり消え、ルーンと呼ばれた、謎の増える呪印の痛みも無くなった。 
「……」
 効果の強さに若干驚きながらも、脱がされていた服探して着てからから、意外に軽いバッグを背負う。
 痛みが引いたから、さてどうしようかと迷い始めたのと、
「ここです!」
 血相を変えたコルベールが、轟音と共にドアを開けたのはほぼ同時だった。

* * *

 ルイズは不貞寝していた。
 サモンサーヴァントができて、なんとか進級こそできたものの、召喚されたのは平民だったからだ。
 あの後教室に戻ったら、召喚に成功した皆に、ゼロのルイズだと指をさして笑われて、自尊心をズタズタにされ、心の虚構が広がり、何一つ言い返せない自分が嫌いになった。
 ただ、コルベール先生が何故か黙っているように言った、謎のルーンだけは気がかりだったが、どうせ、ゼロと蔑まれる自分だ。たいしたものではないのだろう。若しくは無駄に長いだけで、普通の使い魔のルーン以下かもしれない。
「感覚の共有とかさえ、できなかったりして……」
 今は医務室で眠っている、自分の使い魔の事を思い、ルイズは着替えもしていないのに、枕に顔を埋めた。
「ちい姉様……」不甲斐ない自分に、涙が零れそうだった。
 日は既に落ち、数多の星と二つの巨大な月の光が空から零れていたが、それでも、明かりを灯していない部屋は暗く、まるで私の心情を表すかのようだった。
 その時だった。二つの足音が廊下を叩き、こちらへと向かってきたのは。
 どうせまだ寝付けていない女子生徒だろうと、大して気にはしなかったが、その足音がちょうど自分の部屋の前で止まったのは驚いた。
『……あ、この部屋ですね』聞き慣れた、髪の薄い教師の声だった。
 慌てて涙が溜まった目元を拭い、ベッドから飛び起きて、ランプを付けて部屋を照らす。
『……手を煩わせてすまなかった』
『いえ、元よりこちらが呼び出してしまったのです。これくらいはさせていただかないと。後は、ミス・ヴァリエールに聞いて下さい。では、私はこれで』
 コルベールの立ち去る足音が聞こえるのと、扉が二回叩かれるのはほぼ同時だった。
 多少ふらつく足取りで扉を開けると、
「……」
 そこには、私の使い魔が、自分が召喚した時と寸分違わぬ変わった格好で、そこに仁王立ちしていた。


第二話終了。
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 14:59:37 ID:SAjSHd1c
なんと言うアイテムもちwwww
いや、人のこと言えない人間がここにいるがwww
支援
661虚無と十七属性 第三話:2009/06/07(日) 15:02:35 ID:73cV4Ugp
三話投下。

「……」
「そういえば、まだ聞いてなかったわね。アンタの名前、なんていうの?」
「……」
「早く言いなさいよ」
「……」
「……何?私から名乗らせる気? まぁ、いいわ。もう既に一度言ってるけど。私の名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。今日からあなたのご主人よ。ご主人様、と呼びなさい。で、あなたは?」
「……俺は」
「うん」
「……記憶がない」
「…………………………は?」


虚無と十七属性


第三話

「自分の名前が分からない!?」
 夜の宿舎に、金切り声が響き渡った。そして、途端に自分の声の大きさを客観的に考えて、思わず赤くなって俯いてしまう。
「……ああ。自分に関する、一切の記憶がない」医務室から帰ってきた使い魔は、あっけらかんとそう言った。
「記憶がないって……」
「言葉通りだ」よくもまぁ、いけしゃあしゃあと。
「あーもー、何よ! 使い魔が平民だと思ったら、更に記憶喪失ぅ!? 本ッ当についてない!」
「……」
 また大きな声を出してしまった事に気がつき赤面し、妙な、居心地の悪い間が開いた。
「はぁ……何か覚えてる事ないの?」
「ギンガ団、という悪の組織の名前を思い出した。後、ロケット団、マグマ団、アクア団というものもあったと記憶している」
「何それ」
「……思い出せん」
 聞いて、ルイズは再び大きな声を上げてしまいそうになるのを、なんとか抑えた。元々弱い、堪忍袋の緒がぶち切れそう、というか堪忍袋自体が破裂しそうになるのを必死にこらえた。
 何せ、これを呼び出してしまったのは私の実力なんだから。それに、ただの平民など元の記憶があったって大して変わらないじゃないか。寧ろ従わせるのなら、記憶の無い方がいい。
「いい、分かったわ。とりあえず、アンタは今日から私の使い魔よ」
「……使い魔とは、具体的に何をする?」
「まず、主人の目となり耳となる能力が与えられるわ」
 そう言った後に、突如何かに押し潰されたような、真っ暗な絶望を感じた。
「……どうした?」
「何も見えないし、聞こえないわ」
 やはり、自分の刻んだルーンは、ただ使い魔に過度の負担をかけるだけの失敗作らしい。
「他には?」
「秘薬の材料を集めてくる。……でも、あんた、記憶喪失だし」
「……」
「最後ッ! 使い魔は主を守る存在である事。できそう? ……無理そうね。アンタじゃ、幻獣やメイジどころか、暴漢、いえ、カラスにでも負けそう」
662虚無と十七属性 第三話:2009/06/07(日) 15:05:13 ID:73cV4Ugp
「……」青年は何も言わなかった。
 何一つ、完遂できそうにない平民の使い魔を見て、はぁ、と溜息を漏らさずにはいられなかった。
「……以上か」そんな私の心情はなんのその、使い魔の平民は喜怒哀楽を見せない表情で、淡々と言った。それに若干の怒りを覚えたが、何とか自分を抑え込む。
「ま、アンタには、雑用が妥当なところね! そこらのメイドにでも仕込んでもらいなさい。というか、アンタ、無口ね。記憶喪失だから? まるでガーゴイルみたいよ」
「……これは元からだ……と、思う」
「あっそ」
 皮肉で言った言葉にも、使い魔は表情を変えなかった。それにも、何か無性にイライラする。さっきからイライラしっぱなしだ。ストレスで何かの病気になりそうだった。
「〜〜っ! もう、私寝るから。アンタは床に寝なさい。……毛布あげるから。それと、」
 着替えのために服に手をかける。使い魔の青年もそれに気がついたのか、くるり、と軽やかに後ろを向いた。慌てないところが、また妙に腹立たしい。
「これ、明日の朝にでも洗濯しておきなさい。明日の朝、私を起こすこと。いい?」
 ぽーん、という擬音が似合いそうな放物線を描き、ひとまとめになった衣服は、まるで見越していたかのように振り返った使い魔腕の中へとすっぽりと入った。
 なんかイライラする。ああイライラする。
「承知した」
 使い魔は、まるで意に介さないといった風で、今私が着ていた衣類の入った籠を部屋の隅に置くと、毛布の位置を確認し――さっさと部屋の外へ出て行ってしまった。
「え……ちょ、ちょっと、待ちなさいよ!」
 止めようとするが、気付いた時は既に遅し。
 使い魔の青年は、扉の奧へと消えた。

* * *

 一体、俺の身に何が起きたのだろう。ミスタ・コルベールの話によると、サモンなんたらという、ご主人様ルイズが使った呪文は、ハルケギニアの生物を召喚する魔法らしい。
 ハルケギニアという地名には、なんとなく馴染みがないような気もするが、もしかしたら気のせいかもしれない。
 現に、さっき『ガーゴイル』という、嘗て聴いたことのなさそうな言葉だって、何故か、意味が頭の中に流れるように入ってきた。ある程度の知識はあるし、一応、主人がいるのだから衣食住にも困らないし、
多分大丈夫だろう。やっていけるさ。
 さて、コインランドリー、若しくは洗濯機はどこだろう。今のうちに学園の地理を把握しておかないと、後々主人の少女に迷惑を掛けかねない。
 長い石造りの階段を下り、地上の階へと到着した。夜だというのに、至る場所にランプが灯されているのは、魔法の恩恵だったか、それともここに棲む者達が貴族だからか。だがランプが灯っているのにも関
わらず、部屋の外にいる人間は意外と
少ないようだった。カップルを二組見かけたが、それっきりだ。みんなで泊まるというのは、修学旅行などでテンションが上がるものだとは思うが、ここの人間にとっては当たり前の事なのだろう。
 そう思った後で、「俺って修学旅行行ったんだっけ?」という疑問が沸いてくるが、やはり思い出せなかった。

 外に出る扉に鍵が掛けられていないのは幸いだった。地理の感覚が消失していたので、外へ通じる扉を探すのに苦労したが、なんとか外へと出られたのだ。一定時刻になると扉に勝手に鍵がかかるという
魔法があったら、と思い、扉を何度も確認したが、鍵らしいものがなくてほっとした。
 果たして、外に出られたわけであるが――どうしたものか。
 どうして、二つあるのか。何って、そりゃ、月がさ。 
 俺の中の驚いた出来事トップ5に入る程、それは俺にとって衝撃的だった。いや、記憶がないから、今なら問答無用でぶっちぎりトップなんだが。
 おかしい。
 絶対に何かがおかしい。
 ここに来て、俺はやっとここに来てから増大していた違和感の重大さに気付いた。
「…………俺は……夢を見ているのか?」
663虚無と十七属性 第三話:2009/06/07(日) 15:08:58 ID:73cV4Ugp
 俺は、誰だ。というか、この世界は何だ。夢なら覚めてくれ。どうか、一刻も早く。
「……」
 月には不思議な力があると言われていたのを――いつ聞いたかは分からないが思い出して、月を見て考えたが、月が俺に力を与えてくれる筈もなく、結果は同じだった。
 一つ余分にあるんだから、少しくらい力を貸してくれよ、と願ったが、月は答えてはくれなかった。
 ただ、大きすぎる月明かりに照らされた、辺り一面に映える草原だけが、その答えにそよそよと答えてくれた。ちっとも嬉しくないが。
「あら、ルイズの使い魔じゃないの」
 女の声が聞こえたのは、そんな、自分が感慨に耽り始めた時だった。
 振り返ると、そこには赤髪色黒、豊満な体つきの女子生徒が、自分が先程通った扉から数歩のところの壁に身体を預けている。ご主人の正反対、と言ったら悪いのかもしれないが、その胸は豊満で、苦しいのか、
それとも別の目的があるのか、制服のボタンを幾つも外し、年齢相当の色香を放っている。
「こんばんは。こんな所で何してるの? ルイズに何か言われた?」
「……何も言われていない。ただ、校内の地理くらいは頭に入れておかないといけないと思い、散策をしていた」
 世界に違和感を感じていました、などとは勿論言わない。言ったところで、頭のおかしい奴だと思われるだけのように思えたからだ。
「へぇ」女は、興味深げに相槌を打った。
 どことなく、既視感があると思ったら、この女性はさっき見かけたカップルのうちの一人だったのを思い出した。男の方はどこへ行ったのだろうか。
「あ、そうだ。あんたの主人って子供っぽいとこがあるけど、嫌いにならないであげてね。我が儘で、強がりで、それでプライド高いの。それでいて、変なところで泣き虫だから。そこがまた、可愛いんだけどね」どうやら、彼女はルイズの友人だったらしい。
「それにしても、あなた、雰囲気が似てるわね……」
「……?」
「いや、ちょっと私の友達と似てるなって、思っただけ。あなたみたいに寡黙な子でね」
「そうか」
「その応対も、彼女にそっくり」
 扉の奥の方から、『キュルケ、どこだい?』と男の声が聞こえてきた。恐らく、今目の前にいる彼女がキュルケで、名前を呼ぶ彼は、キュルケの彼氏だろう。案の定、彼女もはっとした顔になった。
「それじゃ、ルイズの使い魔、頑張ってね。あ、そうだ。あなた、名前、なんていうの?」
「……生憎、記憶喪失で自分が誰だか分からない」
「記憶喪失……?」
「そうだ。召喚された時から今までの記憶しか、俺の中には存在しない。自分の名前も、生まれも、社会的地位も、何も覚えていない。ルイズにも言ったが、特に固有名詞では呼ばれなかった。とりあえずは、『使い魔』とでも呼んでくれ」
 そこで再び、『キュルケー』と男の声がした。彼女は別に焦った様子もなく、会話を続けた。
「ふーん、名前が分からないの……。もし良かったら、私が新しい名前、付けてあげるけど?」
「遠慮しておく。主人に何を言われるか分からん」
「あら、つれないのね。私は、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・ フォン・アンハルツ・ツェルプストー。キュルケでいいわ。これから宜しくね、使い魔くん。それじゃ、私、呼ばれてるみたいだから」
 特に残念がるでもなく、キュルケを名乗った女は、男の方へと歩いて行った。
『ん、キュルケ、今までどこにいたんだい?』
『ううん、ちょっと月が見たくなっただけよ』
 その声を聞いた後、何故かポケットに手が伸び、そして入っていたレポートを取り出した。恐らく、記憶は失ったが、身体が覚えていたのだろう。今までどのように書いていたかはすっかり忘れていたが、手帳の新しいページをめくると、書き込んだ。

今日のレポート
・記憶を失った。ギンガ団という悪の組織の名前を思い出した。
・ルイズ・フランソワーズ(忘れたけどミドルネーム)ヴァリエールの使い魔として、トリステインの魔法学院に召喚された。月が二つと、魔法が存在した。
・使い魔のルーンを刻む際に怪我を負って気絶した(らしい)。きずぐすりを使用した。ミスタ・コルベールに、何故早く完治したのか二時間近く問い詰められたが、なんとか黙殺した。それから彼に、この世界の常識を教えてもらった。
額に新たにルーンが刻まれたのを見て、
心底不思議なものを見た、といった表情を見せられ、ルーンをスケッチされた。
使い魔の仕事:護衛・主人の望むものを集める・視聴覚の共有

 そして、書き終わった後で、5分ほど、この月を眺めていようと思い、その場にただ一人立ち尽くしたのだった。


第三話終了。
664虚無と十七属性 第四話:2009/06/07(日) 15:11:53 ID:73cV4Ugp
四話投下。

 結局月を眺めた後、地理を把握するために30分ほど学院内を動き回り、部屋に戻った。するとまぁ、他の生徒まで巻き込んで俺を捜していたらしいルイズから、勝手に動き回るなと折檻され、
使い魔がなんたるかを20分ほど説教され、そして改めて、ルイズが就寝したのを見届けてから、バッグを枕代わりにして、一枚の毛布を身体にくるんで寝た。
 それで、日付が変わった今日。俺は何をしているかというと、何でも使い魔の雑務と託(かこつ)けて洗濯をやらされている。ああ、水が冷てぇ。


虚無と十七属性


第四話

 シエスタはメイドである。
 日々甲斐甲斐しく働く、黒髪黒目、白い肌にそばかすのある可愛らしい彼女は、故郷のタルブ村から、この魔法学院に奉公に出ている。
 まだ貴族達が寝静まっている、まだ外気が冷たい朝霧のある頃に起き、いくら消化しても翌日にはまた現れる貴族達の洗濯物を、同僚のメイド達と分けて手で洗うのだ。
 それを、毎日毎日延々と繰り返しているシエスタだったが、今日は早々、決定的な違いがあった。
「あれ、誰でしょう」思わず、大量の洗濯物を持ったまま立ち止まる。
 この時間帯ならば、自分以外が来るはずのない洗濯場で、誰かが洗濯をしているのだ。
 変わった服装の青年だった。謎の半円の模様がある、鍔のある赤い帽子を被り、赤いマフラーに、白と黒のグラデーションがかかったTシャツ、素材の分からない青い長ズボン。
腕には、何か青くて四角い異形の物が、ベルトで巻き付けられているように見えた。
 とりあえず、洗濯などしているので、貴族ではないだろう。シエスタは話しかける事を決意した。
「あのー、何をなさっているのですか?」できる限り、明るく振る舞ったつもりだ。
「洗濯だ」青年は簡潔に答えた。いや、それは分かっているのだけれども。
「……基本的に、洗濯は使用人の仕事なのですが、引き受けましょうか?」
「そうなのか?」今初めて知ったというような顔をして、青年は答えた。
「ええ。そうですよ。あなたは使用人の方ではないようにお見受けしますが……えっと……あなたは」
「……俺は使い魔だ。名前はまだ無い。ついでに記憶を失っている」
「あぁ、使い魔の方でしたか! 話題になってますよ。ミス・ヴァリエールが平民の使い魔を召喚したって。それにしても、大変ですね。記憶がないなんて。私なら、多分そう平然としていられませんよ」
「……基礎的な知識は覚えている。現に、洗濯のやり方も覚えていた。断片的ながら、自分の記憶があったという事はわかるし、記憶の戻る日は近いかもしれない」青年はそれだけ言うと、再び手を動かし始めた。
「ああ、いいですよ。後は私がやっておきます。部屋の中に籠があるので、明日からはそこへ入れておいて下さい」
「そうか、ありがとう。とりあえず今日は、手伝ってくれるとありがたい」
「はい! お任せ下さい」
 シエスタはメイドとして叩き込まれた0エキュースマイルを浮かべた。

* * *

665虚無と十七属性 第四話:2009/06/07(日) 15:12:53 ID:73cV4Ugp
 ピピピピ! ピピピピ!
「……ん〜〜?」
 聞き慣れない音に、微睡む意識の中、ルイズは目を覚ました。
 辺りを見回すと、窓からは光が溢れ、二人は寝られる大きな貴族用ベッドは陽気に包まれている。いつもと変わらない部屋の中。そこには、いつもとは明らかに違う、鳥の囀りとも似つかない音が響いていた。「何の音……?」
「起きたか」生気のまるで篭もっていない男の声が聞こえた時には、本当に、心臓が飛び出るかと思った。
「! だっ……誰よ! アンタ!」
「……お前が呼んだ使い魔だ。お前も記憶喪失か?」
 言われて、あぁ、と納得した。同時に、平民を召喚してしまった現実に、夢から引き戻された気分になった。妙な倦怠感が身体を支配し、再び夢の中へと旅立ちたくなる。
「あぁ……私が呼んだんだっけ」
「そろそろ朝食だ。早く身支度を済ませたほうがいいぞ。俺は先に、使用人たちと食べてくる」
「ん」生返事を返した。
 使い魔は、腕につけた青い物体をいじりながら、部屋を静かに出て行った。あの音は、あれから出た音なのだろうか。だとしたら、アレは何なのか。
 ふと、それで、着替えの事を使い魔に頼むのを忘れたのに気がついた。
 部屋の外に寝間着のまま出るのも躊躇われたので、寝惚けた頭のまま、できるだけ昨日の事を忘れるために、普段通り身支度を調えて、部屋を出た。
「あれ、使い魔、どこ行くって言ってたっけ……ま、すぐ戻ってくるかしら」
 これが、後に恥をかく事になってしまった原因となった。ちゃんと聞いておくべきだった。

 アルヴィーズの食堂に特別に連れて行ってやろうと思ったけど、何故か肝心の使い魔はいなかったし、そのただでさえ不機嫌な状態の時に、憎きツェルプストーの使い魔自慢を聞かされて、ルイズは今、とにかく不機嫌だった。
 一限目の授業が始まるという時、使い魔はひょっこりと、唐突に目の前に現れた。
 教室前で、腕をくんで、帽子を被ったまま、壁に寄りかかっていたのだ。どことなく威圧感があるのは、さて、何故か。
「……来たか」こちらに気がつくと、使い魔は壁から離れた。
「っ……!」
 こっちはこんなに苛立っているのに、自分の僕がこうまで余裕でいるのは、なかなかに腹が立つものである。そもそもこのイライラの、そもそもの原因は何だったか。
「どこ行ってたのよ! 探したわよ!」怒鳴ってやった。ここが教室前だという事は、すっかり忘れていた。
「この学院の使用人たちと先に食べてくる、と朝言った筈だ。片付けも少し手伝ったが」
「でも、勝手に動き回るなって言ったでしょ!」
「今朝、了承の返事は貰った」
「誰に!」
「他でもない、目の前にいるご主人様に」
「…………あ」思い出した。思わず赤面してしまう。
「授業が始まるから、早く席に着いた方がいい」
 使い魔の余裕な態度に、行き場のない怒りがどんどん膨張していく。
「ま、ルイズ、今回ばかりはあなたが原因ね」いつからそこにいたのか、憎きツェルプストーがそう言った。
 それと同時に、どっと笑いが起きた。どこからって、そりゃ、面白がって話しを聞いていた教室内の連中からだ。ここで漸く、ここが教室前だという事を思いだした。
「ル、ルイズ……! 使い魔の平民に言い負かされるなよ……っ!」腹を抱えながら、一人の生徒が笑いながらうずくまった。
「面白すぎだろ!」
「笑い死にさせるつもりかよ!」
 ただ単に面白がられているのか、それとも馬鹿にされているのか。
 ルイズがこの事にどう収拾をつけようか、もういっその事教室を爆破してやろうかとも思ったが、そこで教師、シュヴルーズが現れたので、とりあえずは感情を抑え込み、席についた。使い魔が席をひいてくれた事に、多少気が紛れた。
 まぁ、使い魔としての仕事はこなしてるし? 平民という割にはしっかりしてるし、丁寧語を使わないところ以外は礼儀正しいみたいだし? 今朝だって、良く言えば、自分で食事を獲得したのだ。おどおどしてるよりはずっといい。
 ルイズは自分自身を納得させて、今度執事の服でも着せようかしら、前向きな事を考える事で、なんとか自我を保っていたのだった。
 新任の先生が入ってきたと同時に、周りの会話と笑いが止んだ。

* * *

666虚無と十七属性 第四話:2009/06/07(日) 15:15:47 ID:73cV4Ugp
「まずは皆さん、進級おめでとうございます。今年度より、この魔法学院へ赴任しました、ミセス・シュヴルーズです。二つ名は『赤土』。これから一年間、皆さんに土の魔法を抗議させて頂きます」
 魔女だった。見紛うことない、誰がどう見ても魔女だった。
 ローブと同色の、円錐のとんがり帽子を被ったその先生は、俺の世界で認識されている、魔女の格好そのままだった。ふくよかなおばさん教諭は続ける。
「さて、みなさんの春の使い魔召喚の儀は、大成功だったようですね。このシュヴルーズ、こうして春の新学期に、生徒達の様々な使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ……。
おや、ミス・ヴァリエール、随分と変わった使い魔を召喚したようですね」
 俺の方を見て言った。嘲りともとれるその言葉に、何の悪意も含まれていないところが、タチが悪い。
 なんとなく、軽く会釈をしてすませようかと思ったが、そうは問屋が卸さなかった。
「ゼロのルイズ! 魔法が使えないからって、そこらへんの平民を連れてくるなよ!」
 太っちょ金髪の生徒が、捲し立てた。子供か。
 それに対して、ご主人のルイズも対抗する。子供だった。
 そういえば、昨日キュルケが、子供っぽいところがあるとは言ってたな。……可愛げ、ないけど。
 なんとなく眺めていたら、一対一の子供の口げんかは、他の生徒達も巻き込み、多数対ルイズの虐めもどきにまで進行していた。いい加減鬱陶しくなってきたし、
主人が集中砲火を浴びているのは気分のいいものではなかったので止めようかと思った時、騒いでいた生徒達が一瞬で静かになった。
「静かになさい。笑っていた人も同罪ですよ。貴族たる者の自覚を持ちなさい。それに、お友達を悪く言うんじゃありません。そのまま授業を続けなさい」
 おお、なるほど。主人を攻めて騒いでいた生徒の口には、余すことなく、先生の二つ名の『赤土』が詰め込まれていた。これが、魔法の力らしい。
「授業を始めます」
 静かになった生徒を見て満足したのか、シュヴルーズ教諭は授業を開始した。さて、魔法の授業って、どんなだろうな。楽しみだ。

「それでは、魔法の四大系統を……、そこの、あなた、答えて下さい」
 シュヴルーズ教諭は、赤土を詰められた、口げんかの発端となった太っちょの生徒を一人、杖で指した。すると、赤土が口から取り除かれ、宙に浮く。
まだ浮かせているところを見ると、また詰めるつもりなのだろうか。それとも、正解したら赤土を消すのか。
「はい。四大系統は、」
「すいませんが、まだ、全員の名前は覚えておりませんので、名前を言って下さい」
「『風上』のマルコリヌ・ド・グランドプレです。四大系統は火、水、土、風の四つです」
「その通りです」
 シュヴルーズはそう言うと、杖を一振りして、マルコリヌの赤土を消した。
「おさらいになりますが、魔法は火、水、土、風の四大系統から成り立ち、そのうち、土の系統は……」
 ――どうやら、この世界では、魔法は生活に密着したものであるらしい。建造物や、生活に関わる多くの工芸品は土のメイジが作り出しているとの事だ。
この学院に洗濯機がなかったのも、魔法が科学技術の発達を妨げているからであると想定できる。洗濯用の魔法はないのか。それにしても……
「……4属性か。随分と少ないんだな」
「へ? 属性が少ない?」俺の独り言を、隣のご主人様が聞いていた。
「……ああ。俺の元いた所では、ノーマル、炎、水、電気、草、氷、格闘、毒、地面、飛行、エスパー、虫、岩、ゴースト、ドラゴン、悪、鋼の、17の属性があった。尤も、魔法の属性じゃないが」
 確かに、属性があったのは記憶している。だが、それが何の属性だったか、その記憶があやふやだった。何故だろう。とても、大事な事の気がする。
「魔法じゃない属性? それって一体、」
「ミス・ヴァリエール!」ルイズがこちらへ質問を寄越そうとしたその時、シュヴルーズ教諭の喝が飛んだ。
 それより、どうして俺のご主人は名前を覚えられているのだろうか。成績優秀か、若しくはその逆か、はたまた大貴族の家柄だからか。とりあえず、内心でルイズにスマン、と謝る。
「随分と余裕をお見せになっているようですけれども」
「あ……すいません」
「それでは、あなたにやって貰いましょうか」
「……すいません、聞いてませんでした。何をですか?」
「この小石の錬金です」シュヴルーズ教諭は、目を閉じてそう言った。


第四話終了。5〜8話は、また時間を置いて投稿しようかと思います。
では。
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 15:18:39 ID:SAjSHd1c
乙でした
セリフの後に文章くっつけて書いちゃうと読みにくいかも
改行した方が読みやすいと思います、個人的意見で申し訳ありませんが

何故、ルーンがいっぱいついたのかとか、そこら辺の理由に今からワクワクです
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 15:23:32 ID:3cu6eWH5
ポケモンの人乙です。
どんなポケモンを持ってるかwktkしつつ正座待機。
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 15:35:43 ID:gSsaLwel
ポケットから6体のポケモンを召還して
呆然としているルイズが見たいな。GJっ!続きが楽しみだ。
670ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (1/10):2009/06/07(日) 15:42:32 ID:udcdEg4l
日替わりの人、乙でした。
原作ロッキーの散りざまは、特筆して記憶に残ってますが、この作中では元気にやっているようですね。
『シェフィールド』のこのオカマ口調は、やはり奴なのか……

さて、改めまして皆さんこんにちは、それでは今週分の投下を開始しようと思います。
使用予定レス数は10、問題なければ00狙いで15:50より開始します。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 15:46:10 ID:fh6wruuv
バーチカル支援!
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 15:47:26 ID:jvOJ9LKs
一生、一生一生一生懸命シュワッチ支援
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 15:50:16 ID:joex/9Pb
オカマ・・・・・・・じょーだんじゃなーいわよーぅ
最近は蹴りコックもか
そんなワケで支援    というより期待 わくわく
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 15:51:32 ID:3cu6eWH5
ウルトラ支援
675ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (1/10):2009/06/07(日) 15:52:08 ID:udcdEg4l
 第51話
 間幕
 『烈風』カリンの知られざる伝説
 ひとりぼっちの勇者
 
 吸血怪獣 ギマイラ 登場!
 
 
「『エア・カッター』」
「『ファイヤー・ボール』」
「『ウェンディ・アイシクル』」
「ゴーレム……いけ」
 生気のない声と共に放たれた無数の魔法が、彼らの隊長であるカリーヌへと一直線に向かう。
 吸血怪獣ギマイラの吐く、思考を失わさせる霧の影響を受けてマンティコア隊の隊員達は、その戦闘能力は
そのままに奴の忠実なる操り人形として、その力を行使させられていた。
 対して、マンティコア隊の残存戦力は隊長を含めてたった3人、しかも隊員2人は一般人である佐々木を
守ることを優先させ、ここから離脱することが任務であるために実質戦力は隊長のカリーヌ1人と言ってよい。
しかも、ギマイラの霧の効果で操られた人間は自らの思考を持たないために、『スリープ・クラウド』で
眠らせることはできず、痛みも恐怖もないために半端な打撃で気絶させることもできない。『拘束』の魔法も
あるにはあるが、相手もカリーヌには遠く及ばないとはいえスクウェアやトライアングルの術者、長く捕縛
しておくことはできない。
 しかし、カリーヌは臆した様子は微塵も見せず、操られた部下たちの魔法を真っ向から迎え撃った。
『ウィンド・ブレイク』
 カリーヌの杖の先から、『烈風』の二つ名に恥じない暴風が吹き荒れ、相手の風を飲み込み、炎を吹き消し、
氷を砕き、鉄のゴーレムをバラバラに砕く。たった一発の風の低レベル攻撃呪文で、彼女は4人のトライアングル
クラスの攻撃を相殺してしまったのだ。
「この私に杖を向けるには、まだ10年早い」
 二十中頃の女性が、30や40や、中には自分の父親ほどのある男たちにこんな言葉を吐く姿は異様であるが、
彼女から立ち上る絶対的な自信が、何者にもそれを否定させない威圧感を漂わせていた。
 しかし、彼女の戦うべき相手は操られた部下だけではない。
 すべての元凶、じっと獲物が弱るのを待っているだけに見えた怪獣が、突然その裂けた口を開き、恐るべき
白い毒霧を噴き出してきたのだ!
「フッ!」
 とっさにカリーヌは風の防壁の強度を上げて、毒霧が侵入してくるのを防いだ。だが、そうすると今度は
操られた隊員達が間髪要れずに襲い掛かってくる。もちろんそれもカリーヌは撃退したが、相手は仮にも
部下であるし、周りには人質同然の村人たちもいる以上、下手に殺傷力の強い魔法を撃ち返すわけにも
いかない。この怪獣、余裕を持っているのか力任せに防壁を破壊しようとはしてこないが、操った人間を
利用してじわじわと攻めてくる。このギマイラは恐竜然とした外見からは想像もできないほどにずる賢く、
以前に出現した個体も洞窟の奥に潜んで霧を出しながら人々を操り、外敵に対してはあらかじめ用意していた
手下の怪獣を戦わせて、自分は潜んでいた洞窟が爆破されるまで絶対に外に出てこようとはしなかったほどに
用心深く、また卑怯なのだ。
 それに対してカリーヌは、なんとかしようと考えるが、味方ごと撃つというのはあくまで最終手段、安易に
陛下の臣民に杖を向けることはできない、なにより元凶である怪獣を倒せば恐らく洗脳は解けるのだ。
676ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (2/10):2009/06/07(日) 15:53:34 ID:udcdEg4l
『エア・ハンマー!』
 部下たちをあしらいながら、カリーヌは隙を見て怪獣に魔法を撃ち込んだ。しかし、オーク鬼でも当たれば
20メイルは吹き飛ばされる威力がある空気の塊を顔面に受けながら、怪獣は小揺るぎもしていない。
「ギマイラ相手に、その程度の攻撃じゃ無理だ」
 佐々木は歯噛みしてつぶやいた。なにせ、ギマイラは宇宙から落下しても平気で生き延びる上に、
ミサイル攻撃でもほとんどダメージを受けない屈強さを持っている。オーク鬼のような"怪物"は倒せても、
生物の概念を超えた存在である"怪獣"には通用しない。
「なにしてる! さっさと行け、お前たちがいると邪魔だ!!」
 逃げ出すチャンスが掴めないのと、隊長の戦いに見とれて足踏みしていた残った部下2人に、カリーヌの怒声が響いた。
「は、はっ!」
 生き残っていたうちの一人、ゼッサールと言われていた若い隊員が慌てて佐々木を守りながら霧の外を
目指して怪獣と反対側に走る。しかし、自分で空気のドームを作って隊長のドームから出て行こうとしたとき、
彼らの前に別の人影が立ちふさがり、杖を振るってきた。
「なっ!? お前たちは外で待機していたはずの衛生兵!? しまった!!」
 気づいたときには遅く、もう一人の隊員が水の玉に手足を捕まれて霧の中に引きずり込まれていった。
「隊長、逃げられません! 外の連中も全滅しています!」
「なんだと!?」
 はじめてカリーヌの絶叫が響いた。見ると、外で拘束していたはずの第二小隊の者達も虚ろな眼をしたまま
霧の向こうからやってくる。実は、第三小隊がやられたあと、半数は第一小隊を襲ったが、残る半数は外に出て
第二小隊を解放し、衛生兵たちを霧の中へ引きずりこんでいたのだ。
「おのれ……こしゃくな真似を」
 これまで生死を共にしてきた部下たちが敵となって向かってくる。その武人の誇りを踏みにじるような怪獣の
やり方に、誇り高い貴族であるカリーヌが怒らないはずはなかった。
 これで、敵は20名以上のメイジと100名を超える老若男女を問わない一般人、それがたった半径20メイルちょっとの
小さな円の中にひしめき合ってこちらを取り囲んでいる。
「仕方ない……殺しはしないが、少し眠っていてもらおう。恨むなよ」
 このままではなぶり殺しに遭うだけだと判断したカリーヌは、部下と村人を無傷で救い出すのをあきらめた。
 口の中で高速で呪文を詠唱し、狙いを自分を中心にした360度全方向を向ける。もちろん、ゼッサールと佐々木に
伏せておくように命じるのを忘れない。気づいた隊員たちが一斉に自分に向かって攻撃魔法を放ってくるが、
本気になった『烈風』より早い者などハルケギニアに存在しない。しかし、意外にも先に呪文を放ったのは
彼らのほうで、それこそがカリーヌの狙いだった。
『エア・シールド!!』
 瞬時にカリーヌの周囲を瞬間的に固形化された空気の壁が覆い、相手の攻撃呪文を受け止める。けれど
本当の狙いはこれからだ、相手の攻撃がすべて命中したのを感覚的に見計らったカリーヌはその瞬間、
圧縮されていた空気の塊を外に向けて解放、放出した。
 するとどうなるか、空気の塊は運動エネルギーを失っていた無数の火や氷を巻き込み、ベクトルを真逆の
方向へと向けて撃ち返したのだ!!
「『エア・カウンター』とでも名づけようかな……もっとも、私以外にこんな使い方のできるメイジはいないだろうが」
 カリーヌが微笑しながらつぶやいたときには、隊員たちは増幅して戻ってきた自らの魔法に打ちのめされ、
全員が地に伏していた。村人たちも、その余波を受けて地面に崩れ落ちている。
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 15:53:51 ID:jvOJ9LKs
>なにより元凶である怪獣を倒せば恐らく洗脳は解けるのだ。

いっつも思うんだけど、こういうのってどんな仕組みなんだろうな支援。
678ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (3/10):2009/06/07(日) 15:55:32 ID:udcdEg4l
「さ……さすが隊長」
「み、みんなが……ま、まさか殺しちまったんじゃあ!」
「案ずるな、風圧を加減したから死んではいない。あとでちゃんと手当てをする。それよりも、残るはこの怪物だけだ!」
 カリーヌとて、人を殺す覚悟はしていても好んで殺したりはしない。最善の策が無ければ次善の策をリスクが
あってもとるしかないのだ。
 そして、やっかいな人質を片付けた以上、あとはこの怪獣を全力で葬るだけかと思ったのだが、怪獣が
一声うなり声をあげると、倒したはずの隊員達が重傷を負いながらも立ち上がってくるではないか!
「なに!? この傷でまだ動けると……動かすというのか!?」
 普通なら傷の痛みに悶絶するか、とうに気を失ってしかるべきダメージを負いながら、隊員たちは生ける屍の
ように立ち上がって杖を向けてくる。この状態の彼らにさらに攻撃をぶつけたら、今度は確実に殺してしまう。
いや、それ以上に人の命をこうまで軽く使い捨てにしてくるとは、いかに相手が怪獣とて怒りを禁じえない。
「やはり、殺すしかないのか……」
 ここから逃げるにも、また全力で戦うにも隊員たちの妨害を排除しなければ、いかに自分とて満足に力を
発揮することはできない。
 そのとき、怪獣の角から青白い光線が放たれて、カリーヌはかろうじてそれをかわしたが、同時に魔法の
一斉攻撃が再び襲ってきた。
『エア・シールド!』
 今度は跳ね返さずに受け止めるだけにとどめたが、カリーヌが攻撃を受け止めるのに意識を集中した一瞬の
隙をついて、土の手が伏せていた佐々木とゼッサールを掴みこんだ。
「ぬわっ!?」
「しまった、杖が!」
 魔法の力に捕まってしまっては、人間の力では脱出できない。
「ちいっ!! 『ウィンド・ブレイク!』」
 とっさに風の魔法で二人を拘束した土の腕を粉砕するが、敵はカリーヌに考える時間も与えてはくれないようで
全方向から向かってくる。しかも今度は傷ついた隊員だけでなく、盾に使うように村人を前に出しているではないか。
「おのれっ!! 何からなにまでこしゃくな真似を!!」
「待ってください! 村の皆を傷つけないでくれ!!」
 そう言われても、やらなければこちらがやられる。怪獣も高みの見物をしているうちに学習したと見え、こちらが
殺すほどの攻撃ができないと見るや、一挙にけりをつけようとしているのだろう。
「やむを得ん、殺す」
「やめろ! 殺しちゃいかん!」
 今にも攻撃魔法を撃ちそうなカリーヌを佐々木が必死に止めようとするが、そうしているうちにも包囲陣は
じりじりと狭まってくる。
 怪獣は、なおも安全な後ろから人々を操りながら、その手元に残した人間から悠々と血を飲み続けている。
 だがそのとき、彼らの頭上からこの世界ではけっしてありえないはずの、佐々木にとっては懐かしき故郷の音、
ジェットエンジンの爆音が霧を貫いて響いてきたのだ。
 
 
「生体レーダーに大型の反応をキャッチ、怪獣め、霧に隠れたつもりでもレーダーには丸見えなんだよ。喰らいやがれ!!」
 アスカはレーダーがロックオンした巨大な生体反応へ向けて、ガンクルセイダーのミサイルを一斉発射した。
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 15:57:08 ID:K5dmcGHi
支援開始!
680ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (4/10):2009/06/07(日) 15:57:14 ID:udcdEg4l
翼の下に装備されたランチャーが30年ぶりに火を吹き、電子の目に導かれた科学の矢は、隠れみのを意に介さずに
隠れ潜んだ吸血鬼に向けて殺到する。
 
「なんだっ!?」
「ミサイル攻撃……アスカくん、やはり君には動かせたんだな」
 突然目の前で全身から火を噴いた怪獣の姿に、カリーヌと佐々木が驚きと喝采の声をあげた。
 ギマイラは突然の外部からの攻撃に驚き、血を吸っていた舌を引き戻し、体を襲う痛みに吼える。かつては
UGMの戦闘機、シルバーガルの攻撃を跳ね返したギマイラだが、ディノゾールには敗退したもののUGMと
GUYSには20年以上の時代の差がある、ガンクルセイダーの攻撃力はシルバーガルのそれを大きく上回っているのだ。
 それと同時に、人々を操っていた奴の思念波も弱まったと見えて、隊員たちの動きも鈍くなっている。そのとき、
地上の赤外線映像で佐々木たちが包囲されているのを確認したアスカの声がスピーカーで響いた。
"佐々木さん!! 怪獣はおれが引き付ける。今のうちに逃げろ!!"
「アスカくん!!」
「アスカ、あいつがやったのか!?」
 カリーヌは、あの風変わりなお調子ものの声を聞いて、二度目にびっくりした。
 さらに、怒りに燃えて空に向けて吼えるギマイラに第二波攻撃が炸裂する。皮肉なことだが、ディノゾール戦では
わずか2撃でやられてしまったためにガンクルセイダーにはミサイルが豊富に残っている。
 佐々木はアスカの言うとおりに引くなら今だとカリーヌに向けて言った。
「隊長どの、怪獣は今気を取られています。いったん引きましょう!」
「いや、気をとられている今だからこそチャンスだ。ここで一気にケリをつける!!」
「な……」
 佐々木は絶句した。この隊長の実力は散々見て、正直すごいと思っていたが、相手はあのウルトラマン80でさえ
正面から戦っては歯が立たなかったほどの屈強な宇宙怪獣、いくらなんでも敵うとは思えない。それに、この霧の
中では全力で戦えまい。
「無茶です。あなたの実力は認めていますが、ここは奴の巣の中です。地理的に不利です、いったん退却しましょう」
「ササキの言うとおりです。それに隊長が本気で戦ったら操られている皆も巻き込んでしまいます。奴も大事な
食糧を簡単に死なせたりはしないでしょう、ここは引いて態勢を整えて再戦しましょう!!」
 佐々木とゼッサールは機会を逃すまいと必死でカリーヌを説得しようとした。しかし、カリーヌは苛烈さと、
やや喉にひっかかるような声で言った。
「いや、陛下から杖とマントを預かったマンティコア隊の隊長ともあろう者が、部下を全部失うなどという
屈辱を味わわされたままむざむざと逃げられるか!」
 それは、部隊長としての判断ではなく、カリーヌ自身のプライドが形を変えて噴出してきたものだった。当然そこに、
合理性はなく、佐々木とゼッサールは隊長が冷静な判断力を失いつつあることを悟って愕然とした。しかし、
考えてみればいかに『烈風』と異名をとるとはいえ、まだ20代なかばの若者、経験したことのない逆境に
直面して我を失っても不思議ではない。かつて使い魔ノワールを死闘の末に屈服させたときはそれでも
よかったのだろうが、今回は明らかに自殺行為だ。
「ラル・ウール・ウォル……」
 二人の忠告を無視して、カリーヌはスペルを詠唱し始めた。通常の呪文ならトライアングルクラスでも
一瞬で詠唱が終わるカリーヌにしては詠唱が長い、これは風系のスクウェアクラスの魔法『カッター・トルネード』、
しかもこの詠唱の長さからして、精神力を並ではなく注ぎ込んでいる。佐々木は確かにこれならギマイラにも
通用するかもしれないと思った。しかし、今の『烈風』は勝つことに執着して周りが見えていない。
681ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (5/10):2009/06/07(日) 15:58:35 ID:udcdEg4l
「やめろっ!!」
「ササキ、そこをどけ!!」
 自分の前に両手を広げて立ちふさがった佐々木に向けてカリーヌは杖を向けたが、佐々木は臆した様子もなく言い放った。
「どかん!! ここでそれほどの呪文を撃てば、村人たちやあんたの部下も巻き込む!! それに倒しきれなかったら
力を使い切ったあんたじゃどうにもならん、本当に全滅するぞ」
「ふざけるな!! 私の力で倒せないものなどあるものか、それに操られた者どもも、このまま操られ続けるより死を選ぶだろ……」
「ばかもんっ!!」
 怒声とともに佐々木の平手がカリーヌの頬を叩き、乾いた音が響き渡った。
「なっ……」
 叩かれた勢いで顔の下半分を覆っていた仮面がはじけ跳び、歳相応の、美しくもまだどこかに幼さの影を残した
陶磁器のようなカリーヌの素顔が、さらされる。
「貴様、隊長に何を!」
「黙っていろ小僧!!」
「うっ……」
 ゼッサールはその一声で何も言えなくなった。年功にとらわれないカリーヌの人事により、若くして副隊長の席を
預かり、後にマンティコア隊隊長となる優秀な騎士である彼も、この当時はまだ20を少し越えただけの青年だった。
 そして、顔を抑え、生まれてはじめて平民から殴られた痛みに呆然としているカリーヌに、佐々木は身分の差など
欠片も意識しない強い怒りを込めて再び怒鳴った。
「自分の勝手な理屈に他人を巻き込むな!! 好き好んで死を選ぶ奴がどこにいる、命を軽く見るな!」
「ぬ……貴様、私を、貴族の誇りを侮辱するのか!」
 温厚そうな顔を怒りに染め、自分を見下ろしてくる佐々木の姿に、カリーヌは自分も怒りを込めて怒鳴り返したが、
佐々木はあっけなくそれを跳ね除けた。
「若造が知った風な口を利くな!! あんたの仕事の目的はタルブ村を、村人を救うことにあったはずだ、怪獣を倒すのは
二次的なものに過ぎん、違うか!」
「うっ……だが、奴を倒さなくてはどのみち村は全滅だ」
 自分の行動の矛盾を突かれてうろたえるカリーヌを、佐々木はさらに叱り付ける。
「目的と手段を取り違えるな。怪獣は確かに倒さなければならん、だが今すぐ倒さなければいかんということはない。
そりゃああんたの力は段違いにすごい、それは認める。しかしそれも正しく使ってこそだ、その魔法で本当に
奴を倒せると思うか? 冷静になれ、そして考えろ、あんたの魔法でかすり傷ひとつ負わなかった相手を、
本当にそれで倒せるか」
「……」
 考えろ、という言葉がカリーヌの心にいくらかの冷水をかけ、彼女の分析能力は怪獣の予想される耐久力と、
自分の魔法の破壊力がそれを破りえるか、破り得たとしてどれほどのダメージとなるのかと……
 答えは、たった今の自分の行動を恥ずべきものでしかなく、歯を食いしばって沈黙するカリーヌに、佐々木は
口調を少し穏やかに変えて語りかけた。
「君は恐らく、これまで自分の思い通りにいかなかったことがなかったんだろう。その力を見ればわかるよ、
誰にも負けたことがない、何にも失敗したことがない、だから想像したこともない逆境をどうしていいかわからないんだ。
だけどな、人間一人の力なんて所詮限界があるんだ。今は無理でも、君の力を使えば皆を救える可能性がある。
次の勝利のために、今日の屈辱に耐えるのが本当に強いってことなんだ、わかるだろう」
「……」
 カリーヌは、こんなときにどう答えたらいいのかわからずに、ただ沈黙した。
682ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (6/10):2009/06/07(日) 15:59:55 ID:udcdEg4l
 彼女にとって、誰かに叱られるということは、これまで経験したことがなかった。高名な武人だった父は、仕事か
戦かでほとんど記憶はなく、母も貴族のたしなみと小言を言われたことはあるが、幼少でラインクラスになってから
声を荒げて叱られたことなどはない。魔法学院に入ってからは、無能で怠惰な教師を意識したことはなく、
1年のうちにトライアングルの中でもスクウェアに近い実力にまでに昇格してからは自分のほうが大半の教師より
腕が上なくらいだった。魔法衛士隊に入隊した後は、年功と前例にしがみつく無能ばかりで、態度だけは立派だが
尊敬には欠片も値しない者達を相手にせずにいるうちに、すぐに自分が彼らの頂点に立っていた。
 これが、権威や階級を傘に着ていたり、間違ったことを押し付けてくるならカリーヌは魔法で返していただろうが、
佐々木の言うことに、一片の陰りもなかった。
 しかしそうしていると、頭上からまたアスカの怒鳴り声が響いた。
 
"うぉーい!! 佐々木さーん、なにしてんだあ!! さっさと逃げてくれえ"
 
 アスカとて、怪獣の周りに人影があるのは分かっている。流れ弾を恐れての精密射撃だけでは一気に爆撃できず、
無駄に弾をばらまいているだけの感があって焦っていたのだ。
 さらに、ミサイル攻撃に驚いていたギマイラも、これが自分にとって致命的なダメージを与えるものではないと
知るや落ち着きを取り戻し、うっとおしく払いながらも先に目の前の獲物を自分のものにしようと、悪魔のような
うなり声をあげて、一斉に洗脳した人々を差し向けてきた。
「くっ、簡単にやられはせんぞ!!」
 最後まであきらめずに戦う、年はとってもGUYSの魂は老いはしないと佐々木は拳を上げて構えを取り、
ゼッサールも平民に負けてはおれぬと杖を上げる。
 だがそのとき、顔を上げたカリーヌが肩にとまった白い鳥に命じた。
「ノワール、5メイルだ!」
 その瞬間、カリーヌの肩でそれまでじっとしていた小さな文鳥は、主の命令が下るやいなや、古代怪鳥ラルゲユウスの
本性を現し、自らの体長を自在に操れる能力を駆使して、瞬時に命令どおりに翼長5メイルにまで巨大化した。
「乗れ!!」
「了解!!」
「よし! しかし、巨大化時もこの速さとはな」
 ゼッサール、そして佐々木もとにかく乗り込み、ノワールは向かってくる人々をその翼から巻き起こす風で
吹き飛ばしながら頭上を向いた。
「前後左右を塞がれているなら、後は上しかない。二人とも口を塞げ、いくぞ……ノワール、飛べ!!」
 白く染められた空を目指し、3人を乗せた巨鳥は天へと舞い上がった。
 しかし、ギマイラもいきなり出現した巨鳥には驚いたものの、せっかくの獲物をむざむざ逃がす気はない。
奴が咆哮すると、操られたマンティコア隊から一斉に攻撃魔法がノワールに向かって放たれた。後ろから
追いすがってくる20発以上の炎や氷などを、カリーヌは振り返って迎撃しようとしたが。
「『ウィンド・ブレ……くぅ!?」
 突然、彼女の視界がぼやけ、強烈な吐き気とだるさが全身を貫いた。この戦いが始まってからずっと続けてきた
空気のドームを作る魔法と、戦闘のための魔法を同時に使う負担が、とうとう彼女の体に跳ね返ってきたのだ。
杖を持つ手がしびれ、口はスペルをつむぐことができない。このままでは、集中攻撃をもろに浴びてしまう。
683ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (7/10):2009/06/07(日) 16:01:19 ID:udcdEg4l
 そのとき、ゼッサールが飛び降り、渾身の『エア・シールド』を張ってノワールの盾となり、攻撃の前に立ちふさがった!! 
炎が、岩の弾丸が彼の防壁にはじかれて落ちていく。だが、20人以上もの一斉攻撃は彼の全精神力を空にしても
防ぎきることはできず、防壁が破られた瞬間、彼の体は攻撃でズタズタにされて地面に落ちていく。
「ゼッサール!!」
「私には、これぐらいしかできませんので……申し訳ありません」
 彼が止め切れなかった分の攻撃がノワールの、佐々木の、そしてカリーヌの衣服や体を打ってくる。しかし、
傷の痛みなどは構わずに、カリーヌは身を挺して自分達を守ろうとした勇敢な部下が取り残されていくのを、
届かない手を伸ばして見守ることしかできない。
「隊長、必ず助けに来てくれるものと、信じております……」
「ゼッサーール!!」
 それが、霧に包まれる前にカリーヌが見た最後の彼の姿だった。
 視界は、ギマイラの吐いた猛毒の霧に覆われ、白い地獄がどこまでも続く。佐々木は暴れるカリーヌの口を
抑えながら、必死に霧を抜けるのを待った。
 ひたすら、上へ、上へ、呼吸を止めながら霧のとぎれるのを待つこと1.5秒、網膜に映る光が純白から
灰色の雲に変わったとき、ノワールは二人を乗せたままついにギマイラのテリトリーからの脱出に成功した。
「やったか……おお、ガンクルセイダー、またあれの飛ぶ姿をこうして見れるとは」
 水平飛行に映ったノワールの背から、平行して飛んでくるアスカのガンクルセイダーを見て、佐々木は
感無量とばかりにつぶやいた。
 ギマイラは、どうやら追ってくる気配はない。例え獲物に逃げられようと、絶対的に有利な立場で戦える
霧の中から出てくる気はないようだ。知能といい、用心深さといい、ただ強いだけの怪獣とは奴は根本から違う。
 しかし、かろうじて脱出には成功したものの、安心するのは早かった。佐々木はまだ軽傷だが、カリーヌは
脱出の際の負傷が思ったよりひどく、佐々木の腕の中で荒い息をついている。また、ノワールも霧を抜ける
際にいくらか吸い込んでしまったようで、咳き込みながら高度を落とし始めた。
「ノワール……あの……平原に、下りろ」
 このままでは墜落かと思われたとき、カリーヌは最後の力でそう命じると、そのまま気を失った。
 
 グライダーが滑空するように緩やかに、ラルゲユウスの巨体がタルブ村からやや離れた草原の上に滑り降り、
アスカのガンクルセイダーもその傍らに着陸、そこへ外から様子を見守っていたレリアと、かろうじて衛生兵の
全滅から逃れて、レリアと行動を共にしていたティリーも合流した。
「おじいちゃん、ひどい傷、大丈夫!?」
「私はなんということはない、それよりも、彼女がひどくやられた」
 草原の上にカリーヌを寝かせ、焼け焦げて、凍りついた戦装束を剥ぎ取ると、火傷、凍傷、裂傷に犯された
彼女の半身がむき出しになって、レリアはその傷のひどさに思わず口を押さえた。
「まずいな、思ったより傷が深い」
 佐々木もアスカも元防衛チームの訓練で応急的な医療知識と、その治療手段を身に着けているが、これは
応急手当で対応できるレベルを超えていた。
 傷は、カリーヌの右足から首筋までの右半身に集中して、本来白くみずみずしいはずの肌をどす黒く染めていた。
出血だけは少ないものの、人間の皮膚の約20パーセントが失われると危険だというのに、それを大きく超えている。
しかも、村が閉鎖されてマンティコア隊の衛生兵部隊もやられてしまったために、応急手当さえもできず、
このままでは傷口から雑菌が入って感染症の危険さえある。
「佐々木さん、何とかならねえのか!?」
「ガンクルセイダーに積んであった医療器具は、全部村の私の家の中だ。ここから一番近い、ラ・ロシュールまででも、
山をひとつ越えなければならん」
 山越えをしているうちに彼女が絶命するか、手遅れになる可能性のほうが極めて高い。馬でもあればと
思ったが、全部村の中で手の打ちようが無い。しかし、アスカはあきらめていなかった。
684ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (8/10):2009/06/07(日) 16:03:11 ID:udcdEg4l
「だからって見殺しにできるか、ガンクルセイダーで運べばいい、山の一つや二つ、すぐに越えてやる!」
「待て、こんなもので軍港のあるラ・ロシュールに乗り付けてみろ! すぐさま捕縛されてしまうぞ」
「知るか! 捕まったらそのときはそのときだ」
 どんなときでも絶対にあきらめない、アスカの信条は何も戦いのことだけではない。
 けれど、いざ彼女を背負おうとしたとき、帽子を押さえながらじっと見守っていたティリーがそれを止めてきた。
「動かさないでください。私が、治療します」
「えっ、でも」
 アスカは躊躇した。この華奢で世間知らずなお嬢さんに医学の知識があるとは思えないし、第一治療に
使える道具もない。だが、ハルケギニアでの生活の長い佐々木は彼女が何をしようとしているのかを悟っていた。
「アスカくん、ここは彼女に任せてみよう」
「佐々木さん? ……そうか、魔法か!」
 そう、このハルケギニアでは生活の様々な分野に魔法が浸透していて、医療もその例外ではない。もちろん
万能というわけではないが、魔法を使えば彼女のような刃物を持つことさえできないような者でも、重傷患者を
治療することができる。
「この者の身体を流れる水よ……」
 彼女はカリーヌの横に膝を突くと、その傷口に手を向けて呪文を唱え始めた。すると、ティリーの手がわずかに
光り、それに照らされた傷口がビデオの高速逆再生を見るようにふさがっていくではないか。
「すっげえ! これが魔法か」
 あっというまに半死人だったカリーヌの傷は消えてなくなり、後には生気を取り戻したみずみずしい肌が輝いている。
「これでもう大丈夫です。さあ、あなたも早く」
 次にティリーが佐々木の傷に魔力を向けると、カリーヌに比べて軽傷だった佐々木の傷は数秒で完治してしまった。
すると、彼女は今度は地面に伏して苦しんでいるノワールの元へと駆けていった。
 佐々木は軽く体を動かしてみたが、すでに痛みも消えている。まったくもって、すさまじいまでの水の魔力に
アスカは手放しで驚いていたが、佐々木は少々違和感を感じていた。それは、"今彼女は杖を使っていたか?"と
いうことであった。
 通常、メイジが魔法を使うときには例外なく杖を使う。その形は千差万別ではあるが、これがなくては一切の
魔法が使えない。けれど、今ティリーはカリーヌに向けて手のひらを向けただけで、杖に相当するようなものは
何も持っていないように見えた。もっとも、佐々木にとってそれは違和感を与えはするが、だからといって、
"それがどうした?"に当たることで、カリーヌがうっすらと目を開けたときにはすでに記憶のタンスにしまいこんでいた。
「ここは……私はどうして?」
 傷のあった場所を手で触って確かめながら、カリーヌはなぜ自分が無事でこうしているのだと、夢でも見ているように
していた。それはそうだろう、あれほどの重傷が目覚めたときには消えていたら、誰でも記憶が混乱する。
「ティリーさんが、魔法で助けてくれたんですよ」
「なに?」
 レリアに言われて彼女が首を起こすと、ティリーはちょうどノワールの治療も終えて、こちらに戻ってきたところだった。
「あっ、よかった、気がつかれたんですね」
「ああ、君が助けてくれたそうだな、『治癒』の魔法が使えたとは水のメイジだったのか、おかげで助かった、
感謝する。ところで、ノワールは、私の使い魔は大丈夫なのか」
「傷は治しましたが、毒を多量に吸い込んでいて、申し訳ありませんが、毒の分解までは私の力では……」
「そうか……しばらくノワールは休ませるしかないか……いや、部隊の全員を失い、おめおめ生き恥を晒している、
私のなんと滑稽なことか……」
 自嘲を込めた笑いを浮かべるカリーヌの声には艶が無く、敗北感が漂っている。
685ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (9/10):2009/06/07(日) 16:04:52 ID:udcdEg4l
「なんだなんだ、なっさけねえな、最初のえらそうな勢いはどこへ行ったんだ。あんたまだ生きてるじゃねえか、
やれることが残ってるってのに、もうあきらめんのか?」
 そのアスカの挑発するような軽口は、折れかけていたカリーヌの誇りにわずかなりとも火を灯した。
「……そんなこと、お前なんぞに言われなくても分かっている! 軍人は、己に課せられた任務をいかなる場合に
おいても果たすのが義務だ、こんなことぐらいで!」
「おう、その意気だぜ」
 笑いかけるアスカに負けないように、カリーヌは地面を叩いて勢いよく起き上がってきた。
 
 が、それが少々まずかった。
 まず、カリーヌの着ていた服は、脱出の際の攻撃を受けてあちこち燃えたり破れたりしていた。
 その後、焼け焦げた部分と凍りついた部分を取り除き、傷を露出させるためにかなりの部分を破り捨てた。
その時点では医療行為としてそれが最良だったのだが、こうして傷を完治させてしまった後で起き上がったものだから、
残ったわずかな布切れがずり落ちて……ちょうど正面にアスカがいたものだから。
 
「あ……」
「……――――!」
 
 声にならない声が流れる。
 そして、時間にして1秒後……カリーヌが、気絶してもなお離さなかった杖を上げて……
 
「死ねーーーーっ!!!!」
 
 アスカの体が宙を舞った。魔法の威力は感情の高ぶりに影響される。今のは単なる『エア・ハンマー』だった
のだが、まるで核爆発の衝撃を喰らったかのように、彼の体は木の葉のように300メイルは吹っ飛ばされる。
「アスカーッ!!」
「アスカさーん!!」
 佐々木とレリアの叫びも届かずに、アスカ・シン、異世界に死す。
 かと思いきや、墜落地点にはちょうどタルブのブドウ畑があり、クッション代わりになって受け止めてくれた
おかげで、アスカは少々の打撲と擦り傷は受けたものの命拾いした。
「ラ、ラッキー」
 確かにラッキーである。いろんな意味で。
 しかし、女性にとって一番見られたくないものを見られたカリーヌの怒りは治まらずに、いつも氷のように
冷たく固めた表情を真赤に染め、後の自分の娘の一人とそっくりな顔で、今度は本気で抹殺する気で
杖をあげて『カッター・トルネード』の詠唱を始めた。
「お母様にしか見せたことなかったのに……死んで罪を償えぇぇ!!」
 さっきの戦いで精神力を使い果たしていたはずなのに、彼女の人生でも過去最大級の超巨大竜巻が
生まれてくる。理性のリミッターが外されて、ずっと抑制されていた感情が一気に表面に出てきたのだ。
2、3万の軍隊でも一撃でぶっ飛ばせそうなこれが放たれたら、タルブ一面荒野と化すだろう。
 だが、カリーヌが杖を振り下ろそうとした瞬間、その手を佐々木とレリアが押さえ込んだ。
「待った!! ちょっと待った!!」
「離せ!! あのしれ者を生かしておけん」
 山仕事で鍛えた佐々木の腕力でも、カリーヌの細腕一本を抑えるだけで手一杯だ。ちなみに、見ていたのは
実は佐々木もだが、すでに孫までいる年の彼はたいして気になっていない。オスマン学院長みたいなのは
あくまで例外なのだ。佐々木の言うことにもまったく耳を貸さないカリーヌに、ティリーはどうしていいか
わからずにおろおろしているが、アスカどころかタルブの危機にレリアも必死で呼びかける。
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:04:56 ID:AvDNGb80
乙です
ダイパまだクリアしてないんだよな…
なんかやりたくなった
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:07:57 ID:3cu6eWH5
佐々木さんパネェ。支援
688ウルトラ5番目の使い魔 第51話 (10/10):2009/06/07(日) 16:08:07 ID:udcdEg4l
「待って!! これは事故ですよ事故、アスカさんはあなたを助けようとしてたんです」
「ふざけるな、殺すと言ったら殺す!!」
「落ち着いてください! どうせ見られたってたいしたものは無いじゃないですか!」
「なっ、なんだと!! この平民のくせに生意気な!! でかけりゃいいってものじゃないだろ」
「平民関係ありません、それに何事も小さいより大きいほうがいいに決まってるでしょう!!」
 どうも話の論点がずれてきた。おかげでアスカに向かっていた怒りのベクトルが逸れてきているが、
この言い争いの内容も、やはりどうにも血は争えないようだ……ちなみに、カリーヌとレリアの女性が
子育てをするために必要な器官の大きさは、彼女たちの遺伝子を受け継ぐことになる者たちと大差ない。
 が、その言い争いでできた隙を佐々木は見逃さず、すかさずカリーヌから杖を奪い取った。
「貴様! なに……を……」
 杖を奪われることによって、膨大すぎる精神力も行き場を失い、肉体的、精神的にも疲労の極致に
きていたカリーヌは再び意識を失い、その場に倒れ、巨大竜巻も制御を失って分解していった。
「やれやれ……とんでもないお嬢さんだ」
 腕の中に崩れ落ちたカリーヌの体を支え、レリアの上着を着せてやりながら佐々木はやれやれと思った。
冷徹無情な鉄の女かと思えば、一皮むけばなんとまあ純情なこと。
 しかし、このままほおって置くわけにもいくまい。見ると、太陽もそろそろ山陰に半分ほど姿を隠し、
雲から透けて見える陽光も黄色からオレンジに変わってきている。夏の長い日も、あと一時間もすれば
星と月に主役を譲り渡すだろう。
「おーいアスカくん、無事かー!!」
「なんとかなー!! 俺は不死身だぜー」
 ここで言う台詞ではないような気もするが、アスカも元気そうに駆けてきた。ただ、前途はとんでもなく
多難だ。さて、これからどうしたものか、佐々木はまったく良くならない環境と、いろいろ問題のある
仲間達のことを思い、カリーヌを背中に背負って頭を抱えた。
 
  
 続く
689ウルトラ5番目の使い魔 あとがき:2009/06/07(日) 16:09:53 ID:udcdEg4l
以上です。どうもカリーヌさまのキャラくずれがひどくてすいません。
強くて気高いカリーヌさまは私も好きなのですが、お若い頃ということでどうかご勘弁を、
作品は違いますがエメラルダスだって若い頃はけっこう嫉妬深かったですし、メビウスのオープニングテーマに
あるとおり、はじめは誰もヒーローじゃないのです。
 
そういえば、ここに去年1話を投下してから、もう一年が経っていました。ウルトラシリーズなら、1シリーズが
終了しているところですが、本作はまだしばらく続くので、これからもよろしくお願いします。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:14:02 ID:jvOJ9LKs
ウルトラの人、乙。

>ウルトラシリーズなら、1シリーズが 終了しているところ
ネクサ……いや何でもないッス。
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:15:10 ID:sUFho2/0
乙です。

ウルトラマン 光の国の使者
ウル5魔さん 日曜日の使者

>>639
00跨いだら解除されてんじゃね?

>>677
持続的にSP(洗脳パワー)を送って無いとダメなんじゃね?
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:15:46 ID:3cu6eWH5
エースの人乙&GJ!
カリン様が一瞬ルイズに見えたw
ダイナの登場に期待。
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:21:41 ID:3cu6eWH5
ところでどなたかスコール召喚の1話をWIKIに登録していただけないでしょうか?
当方携帯厨の為無理です。orz
694名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:29:26 ID:UU6Ig/hd
今日日パソコンなんてネカフェなり図書館なり、色々なところで使えるというのに。
695名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:31:16 ID:K5dmcGHi
ウルトラの人乙でした
やっぱりあれですな、血は争えないものですね。
そしてアスカもよく無事でしたね、さすが不死身のアスカ様。
次回もWKTKです。
696名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:34:36 ID:sUFho2/0
最近は代理あるから投下しろって携帯厨もいるよな
697名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:36:08 ID:WIXJ7N4C
〉「平民関係ありません、それに何事も小さいより大きいほうがいいに決まってるでしょう!!」
名言だ
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:38:36 ID:3cu6eWH5
>>694

すみません、当方超が付くほどの田舎者の為無理です。てかこの島にネットカフェなんて無いし…図書館にもパソコンなんて無いしorz
失礼しました。ROM専に戻ります。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:44:20 ID:SAjSHd1c
ポケモンの人、ウルトラの人、乙でしたー!

5分後くらいから、デモゼロ第14話、投下しちゃって大丈夫でしょうか?
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 16:45:19 ID:c/0VfBDB
>>698 世界扉を使うしかないな
701鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 16:45:41 ID:4umQs3q/
どうもこんにちわ。なんだかもやしの人本当に出来たみたいで。頑張って欲しいですね。
エースの人お疲れ様でした。コンスタントに掲載されてうらやましいなぁ。
では鋼の使い魔を1650から予告して準備に入ります。

追伸
前回の赤っ恥ミスはネタに出来そうに無いので普通に修正してまとめにのせますのであしからず
702鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 16:46:20 ID:4umQs3q/
あ、先の人どうぞ。
703デモゼロ:2009/06/07(日) 16:49:03 ID:SAjSHd1c
おっとっと、自分なんかが先でいいのかな?
ひとまず、デモゼロ第14話、別名第一章ラストを投下させていただきますね



 馬鹿力のルイズ、元「ゼロ」のルイズ
 とうとう、自分の使い魔の正体を知っちゃった

 それは、悪魔寄生体
 宿り主に、強き力を与える存在

 …だが、しかし
 その力に飲み込まれれば、本当に悪魔のごとき存在となってしまう

 自分は、どうするべきなのか?
 今ならまだ、間に合うと言う
 だが、しかし


 …自分に、使い魔を捨てる事など、できるのか?



 広い広い、華やかなホール
 そこで、魔法学院の生徒や教師たちが、各々着飾った姿で、踊りや雑談を頼んでいた
 …今夜は、フリッグの舞踏会
 土くれのフーケの騒ぎで、一時は中止すべきでは、との声も出たものの
 ルイズたちの活躍により、無事事件が解決した…と言う事になった為、例年通り開催される事になったのだ
 キュルケは華やかで露出たっぷりのドレスに身を包み、多数のボーイフレンドに囲まれて雑談を楽しんでいた
 傷痕は水メイジの治療にって完全に消えており、痛々しさは全くない
 もぐもぐもぐ
 タバサは、そこから少し離れた所で、黒いパーティドレスに身を包んだ姿で料理に夢中だ
 大変な戦いの後だったからか、いつもより食欲倍増である
「もう、よく食べるわねぇ。その小さな体にどれだけ入るのよ?」
 す、とボーイフレンドたちから離れ、キュルケはタバサの様子に苦笑した
 思わず、ルイズの状態を思い浮かべたが…この親友は、前々から、体格に似合わずけっこう食べる子だった、と言う事実を思い出す
 …きょときょと
 キュルケは、ホールの中を見回す
 目当ての相手の姿は、まだない
「遅いわねぇ、ルイズ」
「………」
 そう
 ある意味で、今夜のパーティの一番の主役と言ってもいいルイズの姿が、まだない
 準備に時間がかかっているのだろうか?
 キュルケは、つい数時間前のルイズの様子を思い出し…心配になってくる

704デモゼロ:2009/06/07(日) 16:50:18 ID:SAjSHd1c
「私…次第…」
 選択を突きつけられたルイズ
 使い魔を、捨てるか、否か
 使い魔を捨てなければ…どこか、一つでも間違えたら、その存在に己を飲み込まれる
 人の心を、失ってしまうかもしれない
 その恐怖を自覚して、震えていたルイズ
 キュルケに出来た事は、そのルイズの体を、そっと支えてやる事だけで
「……私、は」
 ぎゅう、と
 強く、強く、拳を握り締めていたルイズ

 きっと、あの苦悩は…同じ立場に立たされた者にしか、わからない


 …と、その時
 ホールの扉が、開かれた
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール嬢、おな〜り〜!」
 ひらり
 美しい、純白のドレスに身を包んだルイズが…ホールに、姿を現した
 その姿は、馬子にも衣装?
 いや、違う
 ルイズが本来持っている高貴さ、美しさが、存分に発揮された姿
 普段、ルイズの事を馬鹿にしていた生徒たちも、思わず見とれてしまう姿だ
 まぁ、人間なんてそんな物である、所詮見た目だ
 特に、男子生徒たちは、その美しさに思わず見とれ、ルイズをダンスに誘っている者もいる
 …が、しかし、ルイズはその誘いを全て断っていた
 そして、ずんずんずん
 向かう先は!!
「…あ、やっぱり」
 思わず、呟くキュルケ
 ぱくぱくもぐもぐ
 用意された豪華な料理に食いつくルイズの姿に、キュルケは思わず、和んだ笑みを浮かべたのだった

705デモゼロ:2009/06/07(日) 16:52:51 ID:SAjSHd1c
 もぐもぐもぐ
 うん、美味しい!
 やはり、体を動かした後の食事と言うものは最高だ
 …一応、その、ドレスに着替える前にも、軽く食べたのだ
 着替えている間、おなかが鳴りっぱなしと言うのも嫌だから
 …そうなのに、やっぱり、食べたい
 色々と視線が突き刺さっている気がするが、気にせずルイズは食事する
「…あ、あの、ルイズ様…」
「あら、シエスタ。あなたも食べればいいのに」
 もぐごっくん
 デルフを運んできてくれたシエスタに、笑いかけるルイズ
 ルイズのそんな言葉に、シエスタは慌てて首を左右に降った
「い、いえ!私は、まだ仕事がありますから…」
「そう?…あ、デルフはそこの壁にでも立てかけておいてくれる?御免なさい、重たかったでしょ」
 いえ、とシエスタは微笑んで、デルフをすぐ傍の壁に立てかけてくれた
 そのまま、料理を運ぶなどの仕事に戻るべく、ぱたぱたと離れていく
 一応、デルフもルイズの手によって活躍したのだし
 剣であるデルフには、舞踏会などよくわからないかもしれないが、一応、雰囲気だけでも味合わせてあげようと思ったのだ
 が、流石にドレス姿の自分が持ってくるわけにもいかず、シエスタに運んでもらったのだ
 ひゅ〜ぅ、とデルフは口笛のような音を出す
「賑やかなもんだねぇ。俺には何が楽しいのか、よくわからねぇけど」
「ま、あんたは踊る事も食べる事もできなんだし。とりあえず、雰囲気だけ味わったら?」
 言いながら、ルイズは他の料理に手を伸ばす
 …せっかくのパーティだ、今日は食べ尽くそう!!
 食欲全開の、そんなルイズの姿に
「…舞踏会ってのは、踊ってなんぼなんじゃね?」
 と、デルフは剣の癖に、至極真っ当なツッコミを呟いたのだった


 どうしよう
 どう、声をかけようか
 キュルケは、少し離れた位置からルイズを見つめ、悩む

 …ルイズが、決断した様子を
 キュルケは、間近で見たのだ

「…教えて、モートソグニル」
「ちゅ?」
「あなたは、あの化け物を…人間に戻した、わよね?あれは…私にも、できる?」
 俯いていた、顔をあげ
 ルイズは、真っ直ぐにモートソグニルを見つめ、そう尋ねた
 こくり、モートソグニルは頷いてくる
「できまちゅよ。僕たちのような力を持った者は、あぁやって悪魔の種を取り出すのでちゅ」
「……それじゃあ」
 ルイズの瞳に宿るのは、強い、決意
 彼女は、答えを選んだのは
「私は…この力を捨てない。捨てる訳には、いかないわ」
「…どうして?」
 モートソグニルの問いかけに
 ルイズはゆっくり、はっきりと、答える
「弱き者を護る、救う。それが、貴族の役目。あの化け物の状態になってしまった人たちは、平民だったわ。
 あれは、メイジでも、太刀打ちするのが難しい相手。
 きっと、あれに立ち向かえるのは、同じ力を得た者だけ…そうなんでしょう?」
 ちゅちゅ、とモートソグニルは頷いている
706デモゼロ:2009/06/07(日) 16:54:42 ID:SAjSHd1c
 …それは、キュルケにもなんとなくだが、わかっていた
 トライアングルクラスの自分やタバサでも、あの化け物と戦って、勝てるという確証はない
 …しかし
 そんな相手を、ルイズとモートソグニルは、いとも簡単に薙ぎ払ってしまった
 あれらに太刀打ちできるのは、同じ力を得た者たちだけなのだ
「そして…あの状態になってしまった人達を人間に戻せす事が、救う事ができるのならば…
 私は、その力を、捨てる訳にはいかないの」
 あぁ、ルイズ
 その瞳に、強い決意を宿らせながらも…小さな体は、震えている
 力に飲み込まれるかもしれない恐怖
 それと、必死に戦い続けている
「私は、どうしてなのかはわからないけれど…魔法が使えない。貴族なのに、魔法が使えない『ゼロ』のルイズ。
 こんな私でも…この力が、あれば。弱い人達を、護る事が、救う事ができる」
 …あぁ、だから
 あなたは、険しい道を、選ぶというの?
「だから、私は使い魔を、この力を捨てる訳にはいかない。『ゼロ』の私でも、誰かを救えるのなら
 …私は、この力を捨てたりしない。力に飲み込まれたりしない、制御してみせる!!」
「…ルイズ」
 強く、強く、はっきりと
 皆の注目を浴びている中…ルイズは、そう言い切った
 戦うのだ、と
 彼女は、明言してみせたのだ

 あの瞬間の、ルイズの決意の表情
 しかし、同時に震えていた、体
 …果たして、自分は、あのルイズに、どう声をかけてやればいいのだろうか?
「…あら?」
 ……と、キュルケが悩んでいると
 ルイズに、す、と近づいている青年の姿に気付く
 あれは…
「…もう。先を越されちゃったわね」 
 青年がルイズに話し掛けている姿に、キュルケは苦笑して
 気持ちを切り替えるように、すぐ傍のテーブルの料理に、手を伸ばすのだった
707デモゼロ:2009/06/07(日) 16:56:17 ID:SAjSHd1c
「ルイズちゃん、ルイズちゃん」
「むぐ?……あ、モートソグニル」
 自分に話し掛けてきたモートソグニルを、ルイズは見上げた
 整った身なりの、青年の姿をとっているモートソグニル
 舞踏会と言う場のせいか、さほど違和感を感じる事無く、場に溶け込んでいる
「楽しんでまちゅか?」
「えぇ、とっても!」
「食ってばっかりだけどな」
 ぎゅうううううううう
「っちょ!?痛い痛い痛いやめてーお願い手加減してー!!」
 余計な事を言ったデルフの柄を、思いっきり握り緊めるルイズ
 悲鳴をあげるデルフの様子に、モートソグニルは苦笑してきた
 うん、これくらいにしてあげようか
 ぱ、とルイズはデルフを解放してやる
「モートソグニル、いいの?オールド・オスマンから離れていて」
「大丈夫でちゅ。ご主人様の許可はとってまちゅ」
 なら、いいのだけれども
 じ、と…モートソグニルは、ルイズを、見つめてきて
 ぽつり、呟いてきた
「…良かったんでちゅか?ルイズちゃん。本当に…その力を、捨てなくても」
「貴族に二言はないわ」
 そうだ
 これは、自分が決めた事
 自分が出した、答え
 この力で、誰かを救う事ができるのならば
 …自分は、恐怖に打ち勝ってみせる
 力に飲み込まれたりしない
 必ず、制御しきってみせる
「だから、モートソグニル…この力の、制御の仕方。教えてね?」
「もちろんでちゅ。協力するでちゅよ」
 ありがとう、とルイズは微笑んだ
 そして…そろそろ、料理を食べるのにも、満足して
 にこり、モートソグニルを見上げる
「ちゅ?どうしたでちゅ?」
「せっかくだから…一曲、踊ってくださる?」
 ルイズの、その申し出に
 ちゅちゅ?と、モートソグニルは、途惑った様子を見せた
「え?でも…僕、所詮鼠でちゅから。ダンスなんて、できないでちゅよ?」
 わたわたわた
 慌てているその姿に、ルイズは思わず笑みを深めた
 戦っている姿や、学院長室での様子などを見ていた時は、なんだか凛々しい感じだったけれど
 今のこの様子は、まるで彼の本来の、あの可愛らしい鼠の姿を連想させて、気持ちが和んでしまう
「大丈夫よ、私がリードするから」
「ちゅ…そ、それじゃあ、一曲だけ…」
 恐る恐る、ルイズの手に手を差し伸べたモートソグニル
 ルイズは、この日一番の、最高の笑顔を浮かべて…モートソグニルの手をとったのだった

 くるり、くるり
 今日のパーティ一番の主役と、どこからともなく現れた青年が、ダンスを踊る
 慣れない様子のモートソグニルを、ルイズがリードしてやる様子は、どこか微笑ましくて
 いつの間にやら、ホールの視線を釘付けだ

「はっはっはぁ!メイジと踊る使い魔なんて、初めて見たぜ!!」
 けらけら
 そんな二人の様子に、デルフはさも愉快そうに、笑い声を上げたのだった


fin
708デモゼロ・おまけ:2009/06/07(日) 16:58:09 ID:SAjSHd1c
 時は、少し巻戻る

「…ふぅ」
 舞踏会の音楽が聞こえてくる
 ホールの、バルコニーの下で…ロングビルは、小さくため息をついていた
 舞踏会に出席するつもりには、なれない
 ルイズの、力
 …きっと、あれは妹が持っているのと、同じような力なのだ
(それじゃあ…ティファニアも、いつか…?)
 体が、小さく震える
 …いや、大丈夫
 あの子は、己の力の使い方を、ちゃんとわかっているようだった
 それに…ティファニアの傍には、あいつがいる
 あの子が、呼び出してしまった…あの、男が
 だから、大丈夫
 きっと、大丈夫だ
 ロングビルは、そう、自分に言い聞かせ続ける

「…ここにいましたか。ミス・ロングビル」
「……?ミスタ・コルベール?」
 おや、と
 こちらに近づいてきた人影に、ロングビルは小さく首をかしげながら視線をやる
 おたおたと、どこか緊張した様子のコルベール
 …はて、どうしたのだろうか?
「舞踏会には、出席なさらないのですか?」
「…私は、オールド・オスマンの秘書にすぎませんから」
「や、しかし…」
 ……?
 …あぁ、そう言う事か
 何となく、コルベールの意図を感じ取って…ロングビルは、小さく笑みを浮かべた
「それでは…こんな場所で、こんな格好ではありますが。一曲…付き合って、くださるかしら?」
「え…」
 ぱぁ、と
 わかりやすく、コルベールの頭…じゃなくて、表情が輝く
 まったく、わかりやすい男だ
 それで、想いを隠しているつもりなのだろうか
(まぁ…そう言う馬鹿正直な男、嫌いじゃあないがね)
 …ちょっとした、気まぐれだ
 何となく憂鬱な、この気分
 晴らすのに、付き合ってもらおうか

 かすかに、ちくり
 …己の正体を隠したままである事に、罪悪感にも似た感情を、感じながら
 頭上から聞こえてくる音楽を聴きながら…ロングビル、別名・土くれのフーケ
 …そして、本名 マチルダ・オブ・サウスゴータは
 目の前の初心な、ちょっと頭髪が寂しい変わり者のメイジを、ダンスに誘ってみたのだった



今度こそfin
709デモゼロ:2009/06/07(日) 17:01:49 ID:SAjSHd1c
以上で、第十四話投下終了させていただきます
執筆し始めた当初の目標だった原作一巻分まで、なんとか終わらせる事ができました
一応、この後もちょこちょこと構想はしていますが、果たして書ききれるかどうか、まだわかりません

ひとまずは、第一章終了
拙い文章で申し訳ありませんが、お付き合いいただき、ありがとうございました
ある程度書く事ができましたら、第二章と言う形で、アルピオン編とかも書いてきたいです

でわ
710鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 17:29:31 ID:4umQs3q/
デモゼロの人お疲れ様でした。

では次に投下させていただきます。
予告1735
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 17:34:47 ID:MCn0Ju+0
今日も支援だ
712鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 17:35:16 ID:4umQs3q/
 すっかり屯する場となっていたトリステイン魔法学院はコルベール研究塔前の空き地に、今日はギーシュ一人が杖を構えて立っていた。
 ギーシュの目線、3メイル先ほどには人の背ほどまで盛られた土の塊が用意されていて、ギーシュはきゅっと眼を絞ってから、腰に挿していた青銅の造花を投げた。
「Nワルキューレ!」
 鋭く一声して精製された青銅のゴーレムは、細く、しなやかな剣と縁取りのされた丸盾を構えて静止した。
 ギーシュが構えた杖先を手首を使って揺らす。今のギーシュの杖は馬上で使う鞭の形をしている。前に使っていた杖…『青銅の造花』は造形が優美で、
女性の気を引くのにも使っていたのだが、いざ実用性に立って杖を選んでみると、今手にしている物が最も体に馴染んでいた。
 Nワルキューレがギーシュの操作に従って剣を土塊に向かって突き出す。その動作は単調ながらわずかに変化していき、そのスピードを徐々に速めていく。
 土塊がワルキューレの剣先によって削れていき、その形は段々と具体的な何かを表すことが、それを見るものに判るようになってきた。
 それは人だ。ワルキューレの精密動作によって、土塊が人の形へと整形されているのである。
 操作に集中するギーシュの額にはうっすらと汗が浮かんでいた。
(素早く…精確に…操作するんだ…)
 
 ここ暫くのギーシュの訓練方法であった。魔法を使った創作はメイジに相応の技術を求め、また貴族の道楽の一つにも上げられるものではあるのだが、
ギーシュは暇があればこうして土を盛ってはワルキューレによる彫刻作りをするようになっていた。
 杖を持つギーシュの手首が細かく返される度に、ワルキューレの剣先は角度を変えて土塊を削り取り、只の土くれが少女の形になっていく。
 最後にギーシュが杖を素早く左右に大きく払うと、ワルキューレの剣の軌道がギーシュの動きをなぞる様に流れて止まった。
「出来た…!」
 汗を拭いながらギーシュは満足げに自分の作品を眺めた。魔法学院の制服に身を包む少女の像だ。縦に巻かれた豊かな髪と、晒された額のラインが特徴的だ。
「モンモランシー…」
 ギーシュは恋人を模った像を見て、複雑な心象を抱いた。信頼と愛情を篤く感じると同時に、畏怖と恐れも感じるのだ。多様な表情を見せる彼女を前に、
ギーシュは平静でいられたことが、最近はまったく無い。
「果たして例の瓶の鑑定はしてくれているんだろうか…」
 汗を拭ってギーシュは出しっぱなしにされているデッキセットに腰を下ろした。そこに置かれた、来る時に持ってきた林檎を一つ取り出して齧る。
口の中に林檎の薫りと味わいが広がった。
「ああ、すっぱい…」
 ギーシュ・ド・グラモン17歳の青春は、色々とあって多彩であった。
 
 
 
 『ルイズ、術を知る。/ギーシュ、堕ちる。』
 
 
 
713鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 17:37:34 ID:4umQs3q/
 アンリエッタに謁見して予想外の外泊をし、無事帰参したギュスターヴとルイズはその日、学生寮に近い広場の木陰に座り込んでいた。一緒にキュルケもいて、
木陰の風を気持ちよさげに浴びてうとうととまどろんでいる。普段ならタバサもいたのだろうが、キュルケ曰く、実家の都合で出かけているとのことだった。
「…さて、おさらいだが」
 と、ギュスターヴが一枚の紙を広げた。六角形の図形を中心に、頂点ごとにルイズには見慣れない図形と、ガリア文字で小さく文字が書き込まれている。
「アニマを用いる術は六の形を取る…こっちの言い方なら、六系統だな。『炎』『水』『石』『樹』『音』『獣』の性質を、単独或いは複数組み合わせて『術』として構成する」
 これとは別に、とギュスターヴは広げた紙の下の方に書いた小さな図式を指差した。
「物の形のイメージ…例えば『剣』なら『切る』、『槍』なら『突く』……そういった物のイメージを増幅させて使うことも『術』とよばれる。どちらもツールもしくは
グヴェル乃至周囲の造形物からアニマを引き出す事が基本中の基本だ」
「じゃあサンダイルのメイジって杖を使わないのね」
「使わないわけじゃないが、こっちほど重要ではないな。逆に言えばアニマを引き出せなければ日常生活すら営めない。包丁で肉を切るにも
アニマを引き出す必要があるからな」
 面倒ねぇ、とぼんやりと聞いていたキュルケがつぶやく。
「『ツール』と『グヴェル』はアニマを引き出す為の道具だ。『グヴェル』はサンダイルの遺跡から発見される、アニマの枯れない秘宝だ。
『ツール』はグヴェルを摸倣して作ったもので、同じくアニマを引き出して術を使えるが、何度か使えば朽ちてしまう」
「じゃあこの…ファイアブランド以外のグヴェルは手に入らないのね」
 背中に吊っていたFBを持ち出してルイズは答えた。ルビーの填めていない手で握ったそれは生白い石質のままだ。
「ああ…そうだな」
 ギュスターヴはふと、タルブに暮すロベルト老人が守るツールやグヴェルのことを思い出したが、あれをここに持ち出すのは気が引けた。あれはあの老人と、
シエスタの祖母たちの物だ。
「極論を言えば路傍の石や木の枝先からでも術を引き出すことはできる。さっき言った”周囲の造形物から”というのはそういう意味だ」
 そう言ってギュスターヴは木陰に落ちていた小枝を拾うと、ルイズに手渡した。
「ファイアブランドを握ったようにしてみると、多分、理解できると思うが…」
 手渡されたルイズが静かに小枝に意識を集中させるのを、ギュスターヴは俄に不安を感じながら見守っていた。
 
 先ほどから偉そうなことを言っているが、ギュスターヴ自身はアニマを感じる事ができないのであるから。
 不世出の天才シルマールを師に抱く術不能者ギュスターヴが術の講師をするのも、皮肉な人生ではないかと思う。
 
 『水のルビー』が仄かに光る左手に小枝を握ったルイズは、目を静かに閉じて指先の感覚に意識を払った。
 ザラザラとした木の質感が感じられ、風に靡く枝先の葉の揺れが分かった。風は木々枝々の間を抜けて巡り、鼻腔に緑の匂いが薫る。
 青草の擦れ音、体に影さす樹が傍にある事を、静かの内に『気配』として、ルイズは理解した。
 すると、指先がなんだか小枝に溶け込んでしまったような気がする。脳天の血が心地よく巡る感覚、腰下ろす芝生を伝って、地面を覆う
草木の存在がはっきりと感じ取れた。
「ぁ…」
 うっすらと眼を明けたルイズはその時、握る小枝がうっすらと、靄のような光を発しているように見えた。
 いや、小枝だけではなかった。日陰作る樹木も、腰下ろす芝生一面が水に溶かした蛍火を撒いた様な発光をしていたのだ。
「はぁ……」
 恍惚とした声がルイズから漏れた。ゆらゆらと見渡すと、木陰に寄りかかってうとうととしているキュルケが見える。ルイズは何気なく、持った小枝でキュルケを指した。
木々と草を伝って意識の先端が触れるようなイメージが浮かぶ。
 そしてキュルケの肌をイメージの上で、そっと撫でた。
 
714鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 17:40:04 ID:4umQs3q/
「ふぇ…?」
 なんだか揺すられているような気がしてまどろんでいたキュルケが眼を開くと、耳に強かな風鳴りが飛び込んで驚き上がった。
「え…え…??」
 キュルケを中心として木の葉草木を混じらせた風の渦が巻き上がり、キュルケの体を揺さぶっていたのだ。混じっている草木が体にぱちぱちと当たって少し痛いくらいだ。
「こ、これ何?!ちょっとルイズ、あんた何かしたの……!っぺぺ、口に葉っぱが入っちゃうじゃない……痛い痛い、こ、小枝が当たって……いたっ?!」
 状況が理解できないままキュルケの体はどんどんと旋風に煽られ、巻き上がる枝や草がばちっ、ばちっと音を立て、キュルケの体に叩きつけられていく。
 
「ルイズ、そろそろ止め……?!」
 暫くそのまま見守っていたものの、ギュスターヴは術を止めないルイズを諌めようとして、ルイズの異変を見て取った。
 視線を恍惚とさせ、ルイズは術を向けた姿勢のまま、冷や汗を流しながらぶるぶると震えていたのだ。
(暴走しているのか……!?)
 初めて自分の意識でアニマを操作したルイズは、その加減を出来ずにどんどんと術の力を強めてしまっているようであった。
「いっ…痛いっ……い、息が……」
 轟々と樹の術が作り出す風の渦の中から、締め付けられたキュルケの悲鳴が聞こえる。
 ギュスターヴはとっさに腰にある短剣を抜いた。剣先でルイズの持つ小枝を切り落とし、ルイズの手の甲に冷たい刀身をそっと重ね当てた。
 びくん、とルイズは痙攣したかと思うと、脱力して芝生の上にどっと倒れた。それと同時に、キュルケに降りかかっていた樹の術は霧散したのだった。
 
 
 
 目を覚ました時、ルイズは自分が自室のベッドに寝かせられている事に気付いた。
「ん……んぅ?……なんで私、部屋にいるの?」
 部屋を見渡すと、壁に立てかけられたファイアブランドとデルフを見つける。
「おう嬢ちゃん。目、覚めたみたいだね」
「ちょっと堕剣、何がどうなってるのよ」
「起きたと思ったら不躾だねー、嬢ちゃんは」
 動作であればため息の一つでもしただろう間が開いた。
「昼過ぎくれーによ、相棒が嬢ちゃんを担いで部屋に戻ってきたのよ。今、晩飯の時間らしーからでかけてっけど、さっきまで部屋に居たんだぜ」
「……そう」
 言ってルイズは起こした体をベッドに投げた。どうやら術の練習の途中で気絶したのだと分かったが、なんだかひどく体がだるい。鉛の服を着ているみたいだ。
 小枝を握って樹の術を試し、寝こけてたキュルケを見ていた所くらいまではなんとなく覚えているのだが、そこから先がはっきりしない。
「う〜ん……」
 これはやはり自分は失敗したのだろうか?いや、まるっきりの失敗ではないと思いたかった。
 少なくとも、小枝を通して感じたアニマ……だと思う光が、只の幻ではないと信じたかった。
「もう一回……やってみようかしら」
 ベッドから降りたルイズは、何か小枝の代わりになるものはないかと机に向かい引き出しを漁り始めた。筆記具や帳面の他にはちょっとしたアクセサリーばかりで、
昼間のような樹の術に合いそうなものが見つからない。
 引き出しの奥を探す為に机の上には引き出しの中身がどんどんと広げられる。その一つ一つ確認するように出される冊子や帳面を見ながら、そのうちの一つが
ルイズの眼に留まった。
「これは確か……」
 記憶の片隅を頼りにルイズは冊子を手に取り、ページをめくった。
 それは実家にいた頃、二番目の姉カトレアと一緒に外を歩いて集めた草花をドライフラワーにして貼り付けたものだった。
 
715鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 17:42:09 ID:4umQs3q/
 ラ・ヴァリエール公爵家次女カトレアは生来の持病を抱え、あまり領地を離れる事はなかったが、ルイズはこの手弱かだが優しく暖かい姉が大好きだった。
 カトレアの体調が良い時には屋敷の中にある林や池を一緒に巡ったり、ほんの数えるほどしかなかったが、屋敷の外を共して出掛けたこともあった。
 そんな思い出を一つ一つ集めるようにして作った冊子を広げて、ルイズは差し込んであった一輪のドライフラワーを手に取った。
 領地での思い出が脳裏に蘇ってくる。萌える草原、傍らにはカトレアと、彼女が愛情を注いで養っていた黒鹿毛の駿馬が佇んでいる。
あの馬を確か、『トロンベ』とカトレアは名付けていた…。
 
 果たして、デルフの認識するルイズは今、草色のオーラを放っていた。
「お?!嬢ちゃん一体何してんだい!?」
 動揺するデルフの声にルイズを聞いて、ルイズは夢見心地の視線から振り返った。
「……デルフ……」
「おい、嬢ちゃん。おめー一体……」
「何をしているんだ!」
 飛び込んできた声はギュスターヴだ。片手に盆を持っていたギュスターヴは部屋に入るや盆を置いてルイズの手から冊子をもぎ取った。
「あ……」
 気の抜けたルイズの声とともに、ルイズが放っていた術のオーラが消える。
「お、光が消えた……」
 感心するデルフを横目にルイズは再びぐったりとして倒れてしまった。
「ルイズ!」
 倒れるルイズをギュスターヴはしっかりと支えた。今度は意識を失わずに疲労の濃い息をしているだけだった。
「ギュ……ギュスターヴ……私ね……」
「無理をするな。まだやり始めたばかりなんだからな。……アニマのコントロールを失うのは命の危険を伴う」
 ルイズをベッドに移し、ギュスターヴは盆の上に置かれた陶器の器を差し出した。
「かなり消耗してるみたいだから、マルトーに無理を言って麦粥を作ってもらった。オックスの乳で煮込んであるから暖かくて身体にいいとさ」
「まるっきり病人扱いね……参っちゃうわ。待って、着替えるから」
 それを聞いてギュスターヴは一旦デルフと共に部屋を出たのだった。
 
 麦粥を啜りながら、ルイズはギュスターヴにあの後の事を聞いてから、最後に問うた。
「今日の訓練は、失敗…なのかしらね」
 その声色はかなり弱々しく聞こえる。これで適性がなければまさしくのゼロ、無能ではないか。そう自分で言っているように思えたから。
 だが、意外にもギュスターヴはむしろ明るく答えた。
「いや、完全な成功とはいえないが、まずまずだと思うぞ。……あとは術のコントロールの問題だろう」
「コントロールねぇ」
 ルイズはそれを聞いて内心、安堵の息を漏らしていた。
 食はルイズ自身が思っていた以上に細く、用意された麦粥は遅々として減らなかった。どうやらルイズが思っている以上に体は衰弱しているらしく、
内臓が受け入れてくれないのだ。
「アニマの術は感情の影響を強く受ける。……激しい感情、邪な考えは術のコントロールを失わせる。怪我をするくらいなら、まだいい方だな」
「最悪なら……死ぬのかしら」
 ギュスターヴの深い瞳をルイズは覗き込むようにして聞いた。
「……死ぬ方がましな事もある」
 快活なギュスターヴならざる答えであった。
 
 ギュスターヴは覚えている。
 目の前で暗殺された甥の死体の生暖かさと、激情に駆られてファイアブランドのアニマを受けて変貌し、冷め行く息子を抱いて飛び去った弟のことを。
まさかルイズがあのように、人ならざる姿に堕ちるほど暴走するとは思えないが、万一の事もある。
 言って聞かないから持たせてはいるが、できればファイアブランドを使わせるのは、もっと後にしてやりたいと、ギュスターヴは考えていた。
 
716鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 17:44:07 ID:4umQs3q/
「ごちそうさま」
 長い時間をかけて、ルイズは麦粥を食べた。空の食器を持ってギュスターヴは立ち上がった。
「とりあえず今日は休むんだ。体が回復したら、また訓練にしようじゃないか」
「ええ。……ねぇギュスターヴ」
「ん?」
「……キュルケ、何か言ってた?」
「そうだなぁ……」
 少し考えるような素振りをするギュスターヴを見て、ルイズは微妙な表情をする。
(あんな奴、別にどうなろうと知らないんだけど……い、一応、あいつの怪我は私のせいなわけだし……)
 そう、もやもやとした気分を持て余していた。
「……自分で聞くんだな」
「へ?」
 そう言ってギュスターヴがドアを勢いよく開けると、寄りかかって聞き耳を立てていたキュルケが部屋へと転がりこんできたのだ。
「いったーい……。もう、ひどいですわ、ミスタ」
「さて、何のことかな……。俺は食器を返してくるから、話したい事があるなら自分で話せ」
 それだけ言って、ギュスターヴはキュルケとルイズを部屋に置いて出て行ってしまった。
 
 
(あれで少しは仲がよくなればいいんだがな…)
 あまりらしくない気を回したギュスターヴが歩く先、女生徒寮から厨房へ続く通廊を向こう側から歩いてくる人影があった。
「なんだ、ギーシュじゃないか」
 声をかけるとギーシュも反応して寄ってくる。その片手にはワインとグラスの入ったバスケットを提げていた。
「やぁ。君も夜食を貰いに行くのかい?」
「夜食の食器を返しに行くのさ。……その様子だと自分の部屋で飲むわけじゃ、なさそうだな……」
 年長者特有の意地悪な顔をして、ギュスターヴはギーシュを笑った。
「いっ、いいじゃないか。我が愛しのモンモランシーと、夜空を肴に一献空けたい気分なのさ」
「ちょっと前まで逃げ回ってただろう、そのモンモランシーから」
「たっ、確かに、彼女は水のラインメイジで、秘薬の製作や実験に、芳しい香水を作ったりするのが趣味で、ほんの、ほんの少し、その、
……大胆なところがあってだね?僕はほら、薔薇は万人を愛したいのだからして、こう、もっと清いお付き合いをね?!」
「じゃあなんで酒を持って会いに行くんだよ……」
 自己弁護のような、なんとも形容のしがたいギーシュの様相に呆れたギュスターヴは、じゃあな、と手を振って厨房へ足を向けようとしたが、
一度立ち止まってギーシュを呼び止めた。
「ギーシュ」
「な、なんだね」
「まぁ、……あれだ。責任は取れよ」
「何の責任だね?!ぼ、僕はまだ……僕はまだ……」
 一気に声が小さくなったギーシュは、何故だかどんよりとした空気を醸している。どうやら何等かのトラウマに触れたらしい。
 そうとは知らないギュスターヴは、さっさと厨房へ向かって歩いていった。
 
 
 厨房で片付けをしていたマルトーと世間話をして、ギュスターヴは部屋へと戻った。
 マルトーは空になった食器を受け取って喜んでいたのが気持ちいい。
 ゆっくりとドアを開けて中を覗く。部屋の明かりは落とされ、ルイズは既に眠りについたようだった。
 そっとデルフを取り上げ、寝床の脇に置いてギュスターヴも横になった。
「……デルフ、どうだった」
「ん?……まぁ、事故みたいなものだったんだろ?ちゃんと言葉のキャッチボールしてたと思うぜ」
「そうか。……学友は大事にして欲しいものだからな、家門の敵だのなんだの、そういうのは嫌いでね」
「相棒、そりゃ老婆心ってぇやつかい?」
「そりゃあないだろう?」
 殺すように笑うデルフに居所を悪くしたギュスターヴは、そのまま寝返りを打って意識を鎮めていった。
「俺も老いた……かな……」
 まろやかな自嘲が部屋の暗さに吸い込まれて、デルフだけがただ、覚えるだけだった。
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 17:45:55 ID:IJRCZQzJ
トロンベよ、今が支援するとき!
718鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 17:46:17 ID:4umQs3q/
 実のところ、ギーシュはただモンモランシーに会いに行くわけではなかった。
 昼間、鍛錬から部屋に帰ってくると、ドアの隙間に手紙が差し込んであったのだ。差出人は勿論、モンモランシーからだった。
「預かった薬の分析が終わったから、受け取りに来て」
 そう書かれ、来る時はワインを用意してくるようにとも付記されていた。
 それを見た時、ギーシュはまた以前のようにふしだらな一夜を過ごす事になるのではないか、という身の危険に慄かざるを得なかった。
 ……もっとも、学友マリコルヌなど、「よかったじゃないか。相変わらず女の子にモテてさぁ」と、羨望と嫉妬で練りあがった態度と声で評価を下してくれて、ギーシュは憤懣やるかたない。
 
 
「はぁ〜……」
 かくしてモンモランシーの部屋の前に立ったギーシュの心中は、それはもう、乱麻の如き混雑で、すっかり怖気づいていた。
(どうしようか……とりあえずワインは用意したから……まず一杯あけつつ、渡した薬の分析結果を聞こう。……さ、流石に媚薬の類は作ってないさ!禁薬なんだから。……多分)
 震えそうな足を踏ん張って、ギーシュはドアをノックした。中からの返事を待つと、近づく足音が中から聞こえ、ドアが開いた。
「いらっしゃい、ギーシュ。待ってたわ。さ、入って」
 そばかすが浮きながら、妖しく透けた肌のモンモランシーが出迎えてくれた。
 
 何度か来たモンモランシーの部屋は、変わらず薬品や器具が並び、陽を遮る厚めのカーテンが掛かっていた。
 だがそれ以上にギーシュは、部屋に立ち込める蟲惑的な香りに驚いた。
「新しい香水のブレンドに挑戦してたの。香木から取れるエキスとかを使った、人を惹き付けるようなのをね」
 愉しげにモンモランシーは話し、窓際のテーブルにギーシュを誘った。
「愛しのモンモランシー。今日はその、ケティはいないのかい……?」
「今日は居ないわ。暇つぶしにローパーの種子を服用させてるから、きっと自室で愉しんでるわね。さ、テーブルにどうぞ」
 差し当たりのないようでかなり際どい言葉を聞きつつ、テーブルについたギーシュは、テーブルの上に中型の瓶と、それに押さえられた一枚の紙が用意されているのに気付いた。
「預かっていた秘薬と、その分析結果よ。いつ頃のものかはっきり分からなかったけど、何の薬かは分かったわ」
 
 ギーシュは以前、ギュスターヴやキュルケたちと一緒にちょっとした宝探しに出かけたことがある。
 残念ながら宝といっても、煤けた古道具、古い硬貨、そして目の前にあるラベルの消えた謎の薬が手に入っただけだった。古道具と硬貨については然るべきルートをギュスターヴが通して換金したのだが、薬に関してはギーシュを通してモンモランシーに分析を依頼したのだった。
 モンモランシーは町の秘薬屋とも交流があり、自身も香水や秘薬を店に卸していて換金の充てとして申し分ないと考えたのだ。
 ……勿論そこには、これを通してより親密になりたい、というギーシュの思惑もある。
 
「『霊薬百鑑』の索引の見出しにある名称で言えば『スノーウォーカー』……詳しい事はそっちに書いてあるけど、掻い摘んで言えばちょっとした暗示を服用者に刷り込むのがその薬の効能ね」
 頭の先がじんとのぼせるような感覚を俄に覚えつつ、ギーシュは用意された紙面に眼を通していた。
「ちょっとした暗示……って?」
 注がれたグラスを受け取って、ギーシュは紙面からモンモランシーへ視線を移した。
(あぁ…モンモランシー)
 ケティとの一件以来、彼女は妖しい程に魅力を増しているように思えた。
「作る人間によって暗示の内容は変わるわね。……その薬はかなり変わってるわねぇ、『犬と異性を極度に恐れるようになる』『穴を掘りたくなる』の二つの暗示が刷り込めるようになっていたわ」
 夜気を浴びたいのか、モンモランシーのシャツはボタンがいくつか外されていて、月明かりで透ける肌がはっきりと見える。そんなことばかりギーシュは考えていた。
(……だ、だめだだめだ!今日はワインを空けたらすぐに部屋に戻るんだ。そ、そりゃモンモランシーともっと話しをしたいさ!けど、この部屋に炊いてる香りとか、モンモランシーの雰囲気とかを見ていると、な、なんかまた……)
719鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 17:48:12 ID:4umQs3q/
「ねぇ」
「へ?!」
 無言の誘惑に耐えていたギーシュの耳元にモンモランシーの吐息が掛かった。
「も、モンモランシー……、椅子に、座ったらどうだい?」
「貴方なら、この薬にどんな暗示をかける?」
 ギーシュに答えずにモンモランシーは問うた。巻髪が流れかかってギーシュの頬を撫でる。髪から薫るものが一層にその存在を際立たせているではないか。
 生唾を飲んで必死にギーシュは平静を装った。
「……僕は暗示をかけるような卑怯な真似はしないさ」
「そう、いい心がけね」
 でもね、とモンモランシーはギーシュから少し離れた。カーテン越しに差し込む月明かりで表情はよく見えない。
「私は暗示をかけてでも、人を自由にしたいと思うことがあるわ。……私は欲張りなのよ」
「そ、そうかい。……さて、僕はこの一杯で部屋に戻るとするよ」
 ぞくぞくするような声音に背中をなぞられながら、ギーシュは注がれたワインをぐいっと飲み干した。
「ふぅ……。ごちそうさま」
「えぇ、『おそまつさま』」
 一気に呷り、喉の奥がかっと熱くなるのをギーシュは感じた。
「ふぅ……変だな。そんなに、強い、ワインじゃないんだけど……」
 呼吸を整えようと深く息を吸った。部屋に立ち込める香りを肺腑一杯に吸い込んでしまったが、もう帰ると言ったからか、深く考えずにギーシュは香りをたっぷりと呑んだ。
 甘いようで、熟成されたチーズのような強い酸臭の混じる、野趣がある香りだった。
「はぁ、モンモランシー、今焚いている香は一体、何なのかな……なんだか、頭がぼうっとして来るんだ……」
(早く、早く部屋に……帰らないと……)
 心は逸るのに、体が重い。腰掛けるギーシュに背後からモンランシーが答えた。
「この香木は乾燥ローパーの根を使ってるのよ。そのまま使うと幻覚剤になるんだけど……適量を守れば心の疲労を癒してくれるわ」
「心の疲労……」
 振り返ってモンモランシーの姿を見たい衝動にギーシュは駆られた。帰らなければ、という気持ちがどんどん遠ざかっていく。
「貴方、私とケティから随分逃げたがっているみたいね」
「だって君達が……僕に酷いことをするじゃないか……」
 靄の掛かったような頭が、本当は言いたくない、モンモランシーに聞かせたくないことまでしゃべらせているようだと、ギーシュは他人事のようにぼんやりと思った。
「酷いだなんて……貴方こそ、酷いわ。私達は貴方ともっと仲良くしたいだけよ」
「仲良くって……もっと、清い付き合いはできないのかい?」
 ぷつ。
 何かがはじけるような……まるで、シャツのボダンをこれ見よがしに外すような音が聞こえた気がした。
「……ギーシュ、私やケティと仲良くするのは、そんなにいけないかしら?」
(いけないことだろうか……)
 ワインと香りがギーシュの思考を始めとは別の方向へと流していく。
「『仲良く』しましょう?ギーシュ」
 背後の闇から、モンモランシーの声が聞こえてくる。
(僕は、僕は……)
 幽鬼のようにふらりと立ち上がったギーシュは、窓から覗く月を一瞥した。
 その足先は、出入りのドアから遠ざかっていった。
 
「素敵よ、ギーシュ」
720鋼の使い魔(後書き) ◆qtfp0iDgnk :2009/06/07(日) 17:51:10 ID:4umQs3q/
投下終了。実は最後のギーシュがモンモランシーに会うくだりは幕間として分離したんだけど、結局字数が足らないので本編に差し込んだものだったりする。
トロンベについては「カトレア」って名前を見たときからピンと来たので前々から入れたかったネタ。きっと松風みたいなばかでっかくてプライドの高い馬なのですよ。
スパロボネタはちょこちょこ入れていきますが、果たして嫌われますかねぇ…。
あとモンモランシーが違う!とか言われそうだ…。
では。
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 17:51:57 ID:WIXJ7N4C
むぅ……支援っ
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 17:53:46 ID:n/78UsUn
モンモランシーが違う!


だがこれはこれでいいものだ
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 17:56:43 ID:2QOxxxi6


まだ444kbだが
次スレは重複スレのこっちで
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244070866/
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 18:36:53 ID:c/0VfBDB
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 18:40:51 ID:Tm6EF8w0
よく分からんが、そこから行けば携帯からでもwikiに追加できるのか?
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 18:45:52 ID:1O1mWley
>>724
俺的にはPC用のwikiより見やすいデザインでいいなぁとおもったけど、よくみると空白行とか消えてるね・・・おしい
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 19:52:59 ID:oOYjB3Bq
え?ってか携帯の人でも http://www35.atwiki.jp/anozero/ から普通に見れるよな
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:28:37 ID:K8rz76eq
GXからガロードを召喚
ツインサテキャで砲艦外交に一役買う
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:31:40 ID:Mpj5fvv+
残念、ガロードはそういう事にサテキャを使いたがらないし、
そもそもハルケじゃ使えない
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:33:44 ID:IJRCZQzJ
『過ちは、繰り返させない!』でしょ?
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:34:44 ID:2ZZI9M+C
ハルケに似合うガンダムは髭
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:34:46 ID:2/3au/sf
>>727
「覧」から見ると更新履歴で見るよりずっと以前まで辿っていけて便利だが
最近はお絵描き掲示板のログばかり上がってることが多くて邪魔くさいんだよな
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:42:08 ID:VjYDYph4
>そもそもハルケじゃ使えない
某SSだとマイクロウェーブによらない充電で使用可能にしたりしてるけど
ハルケじゃ無理だろうねぇ、どんだけメイジが必要になるやら・・・
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:44:42 ID:jqs8s37J
サテライトキャノンは
月の太陽光発電プラントから
直接もしくは仲介衛星を経由したマイクロウエーブ送電を受け
充電して撃ち放つ
ものであり

GX本編では仲介衛星の遺失により「月が出ていない」と撃てないし
異界行きした日にゃ発電プラントが無いから何の役にも立たん事になる
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:45:08 ID:arvfijjW
核融合炉動かすためのヘリウムも必要になるしな
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:45:57 ID:PIjXtm9Z
ツインサテライトなくても充分強いけどね
しかしそれではDXである旨味がないよぬ
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:48:16 ID:mElXdkVt
そもそもティファ・アディールという嫁がいるんだ
ルイズなんてオケラに見えるぜ
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:50:26 ID:2/3au/sf
というか大抵のMSは補給も整備も出来ないで早晩動かなくなる
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:56:15 ID:1O1mWley
そこでわれらのご都合主義、コッパゲールの出番ですよ
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:57:40 ID:cwHdPzEs
>>738
確かに。
無整備でも運用できるのはナノマシンで自己修復する∀世代くらいになるのかな。
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 20:58:40 ID:arvfijjW
つまりデビルガンダムを召喚だな
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:00:25 ID:GbEHxZVi
MSパイロットでこっちでも活躍できそうなのはWやGの人外除けばシャアみたいなカリスマあるかシロッコみたくMSも自力で整備したり開発出来そうな人、もしくはシローやシーマみたくサバイバルな人じゃないと難しいな
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:02:26 ID:muYfiqXF
なぁなぁ、ルイズ以外の使い魔を弄る方向性の作品で
「普通は魔法属性に関連?シラネ」のスタンスの作品って何かあったっけか?
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:02:41 ID:nNKK6dBf
ルイズがガロッソを召喚

きっと虚無の力で世界をサッパリさせてくれるに違いない
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:03:13 ID:abJ05XyP
書いたSSをうぃきに上げたいんですけど
非ログインの編集投稿ってどういう意味か教えてくれる方いませんか?

あと、ページ保存のボタンが上下にありますけど、これってどちらでもいいんでしょうか?
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:03:18 ID:Ae42+obM
つまりアムロですねわかります
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:05:09 ID:jvOJ9LKs
>>739
ガソリンエンジンの構造分析で「こりゃ組み上げ不可能だ」って言ってたんだから、
モビルスーツなんて整備すら出来んと思うが。
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:06:34 ID:mxWRWsaW
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:08:21 ID:PWLTrxBM
GNドライヴ搭載機ならいけるんじゃね?永久機関だし。
エクシアは4年間まともに整備されてなくても動いてたし
750虚無と十七属性:2009/06/07(日) 21:08:41 ID:73cV4Ugp
雑談中申し訳ございませんが、予約がなければ>>666の続きを
21:15より投下したいのですが……。
第五話〜第八話です。
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:10:01 ID:RNHlOU2o
>>745
その前にそのSSって、ちゃんとこのスレか避難所に投稿したやつですか?
ちょっと前にWikiに直接投稿してたのがいたけど、それはやっちゃいけないことなんで念のため。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:11:58 ID:abJ05XyP
>>751
凄絶な使い魔のやつです
ちょっとやってみます
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:12:24 ID:/2GBQ6s+
>>749
本当に永久ってわけじゃなかったような
半永久だった気がする。DG細胞やターンタイプ、スモーの方が高性能
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:14:26 ID:arvfijjW
>>749
エクレアなら一応整備してたよ
普通のMSのパーツつなげてたらしいし
755デモゼロ:2009/06/07(日) 21:14:33 ID:JBAQslXl
>>750
支援準備
容量そろそろ危ないから気をつけた方がいいかも
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:14:52 ID:vc+nbcnr
おー やれやれ
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:15:50 ID:JBAQslXl
名前消し忘れとかorz
改めて支援準備
758虚無と十七属性 第五話:2009/06/07(日) 21:16:56 ID:73cV4Ugp
了解しました。では、投下

 教師・コルベールは学院長室へと走っていた。
 ヴァリエール嬢の召喚した、平民の使い魔のルーンについて調べていたら、大変な事が分かったのだ。
 始祖ブリミルに仕えていたとされる、伝説の使い魔のうちの一人、神の頭脳ミョズニトニル。そのルーンが、召喚された平民の使い魔の額に刻まれていたものと一致したからだ。
しかも、そのルーンは契約時に刻まれたものではなく、恐らく謎の契約のルーンによって、後天的に生まれたものと来ている。
 何たる異常事態だ。一刻も早く報告せねば。 
「オールド・オスマン!」学院長室の扉を、ノックもせずに力一杯こじ開けた
 ――が、
「すまん、申し訳ない、本当に申し訳ないと思っとる、もうしないから、ああっ、やめてっ、そこはっ、いたいっ…………んむ?」
 中にいたのは、到底この学院の長とは思えない行動(おそらくセクハラ)をとり、秘書のミス・ロングビルに尻を蹴られている、情けない老人の姿だった。


虚無と十七属性


第五話

 突入して須臾(しゅゆ)の時が経過し、一旦部屋を出て扉を閉めた。
 そして、五秒の時を数えてから、再び戸を開ける。
「う゛ぉっほん」
「……」
 そこには、何ごともないように、手を後ろで組み、立つオールド・オスマンと、定位置となっている机で雑務を、いつも通りこなす秘書、ロングビルの姿があった。
 うん、最短記録だ。次は四秒で扉を開けよう。
「……で、ミスタ・コルベール。かなり焦っていたようじゃが……、その、用件や如何に?」
 ロングビルのペン先の音だけの空間に気まずくなったのか、オスマンの方から話を切り出してきた。その事で、すっかり忘れていた、重要懸案事項を思い出す。
「そ、そうでした! 大変ですぞ、学院長! ミス・ヴァリエールの召喚した平民の事なのですが、コントラクト・サーヴァントで見覚えのないルーンが刻まれたかと思ったら、
そのルーンが、別のルーンを生み出したのです! しかも、その生み出されたルーンを調べてみたところ……!」
「ちょいと、言うな。……ミス・ロングビル、悪いが……」
「分かりました」オールド・オスマンの目配せで、秘書、ロングビルが退室した。
 流石オスマン学院長、抜かりない。さっきの巫山戯た気配はどこへやら、今はもう、マザリー二枢機卿と対等なほど、真面目な表情をしておられる。
「……で、ヴァリエールの使い魔がどうじゃって? ミスタ・コルレーニョ」
 コルベールです。
 しかし、言おうとした言葉は、遠くから響く爆音によって遮られた。

* * *

 もはや、この一室だけを見たら廃墟と判断できる程、教室内はひどい有様だった。
 主人が『錬金』の魔法を唱えると同時に、小石を爆心源に、手榴弾を投げ込まれたのではと思えるほど、巨大な爆発が教室に広がった。まずは教諭を黒板へと叩きつけ、次に主人を飲み込み、
更に生徒が盾としていた机をなぎ払い、風圧で窓ガラスを全て破砕した。
 主人の制御から離れた使い魔達は本能のままに暴れ回り、教室内は動物園となりはてていた。
 割れたガラスは凶器となり、先ほどまでは盾となった机も、今は瓦礫と共に、被災者への重しとなってのし掛かっている。
 魔法は……『錬金』だけで、あれほどの高エネルギーを使うらしい。そりゃあ、大部分が珪素からできている石を何かしらの金属に変えるのだから、核融合のため、とんでもない量の、
それこそ天文学的な数字がはじきだされるほどの莫大なエネルギーが必要な筈だ。それが失敗して、巨大なエネルギーが外部に漏れだしたのだから、この学校が無事なのが、不思議なくらいだ。
 それを教室の一室で収めたのだから、主人はたいしたものだと思う。
759虚無と十七属性 第五話:2009/06/07(日) 21:18:05 ID:73cV4Ugp
 それにしても、こんなリスクの高い危険な魔法を、屋内でやらせる教師の方がどうかしてる。
「ちょっと失敗したみたいね」主人が、埃を払いながら言った。爆心地にいたにも関わらず、当の本人は傷一つ負っていなかった。
「どこがちょっとだ!」
「だからやめろって言ったのに!」
「……魔法成功確率、ゼロのルイズ!」
 なるほど、たびたび耳にした『ゼロ』という二つ名は、そういう由来だったのか。なんだか格好いい二つ名だと思ったんだが。
「フレイム! 落ち着きなさいって!」
「あぁ! 俺のラッキーが蛇に喰われた!」
 少し考え事をしているうちに、事態はどんどん悪化しているようだった。
 使い魔と思しき大蛇が、……今はもう喉の奥で、確認はできないが、何か小動物の使い魔を飲み込んだり、サラマンダーやら、目玉の生き物やらが、教室内を駆け回っている。
 すると、今度は窓から、混乱した大型の動物が、どかどか入ってきた。こうなってはもう、手が付けられない。シュヴルーズ教諭も目を覚まさない。大丈夫か? あれ。
 ふと、確か混乱を治す、『きいろビードロ』のという、バッグの中のアイテムを思い出したが、生憎、バッグは部屋に置きっぱなしだった。
 ああもう。何故か、また胸の痛みがやってきた。今度は、右手の甲が、やたらと熱い。
 尋常じゃない痛みの波が再びやってきて――
「……静まれ!」気がついたら、叫んでいた。

* * *

「俺のラッキーが蛇に喰われた!」
 また失敗してしまった。もう何度目だろうか、教室を滅茶苦茶にしたのは。努力しても、ちっとも進歩しない。それどころか、爆発の威力だけが、日に日に増していっている気がする。
 私のせいで、使い魔召喚に成功した人が、使い魔を失った。いい気味だと思うほど、自分は落ちぶれていない。罪悪感に苛まれる。
 ところどころ破けた自分の制服を見て、また新しく買わなきゃいけない、と思うと同時に、やっぱり失敗しちゃったんだ、という諦めにも似た思いが、胸の中から沸いて出るのを感じた。
 その時だった。
「……静まれ!」男の声がしたのは。
 誰の声だ、と辺りを見回すも、その声の主は見あたらなかった。
 ただ分かったのは、今まで騒ぎを起こしていた、同級生の使い魔達が、その声を境に、一斉に動きを止めた事だった。
 びくん、と時間が止まったかのように、一瞬痙攣し、一点を見つめたまま、ある者は突然地上に不時着し、ある者は四本足、六本足でその身体を支え、あるものは口を開けたまま静止した。
 その使い魔の主たちも、何が起きたか分からないといった風で、しきりに辺りを見回すが、使い魔達の挙動以外に、変わった点は見られないようだった。
「どうなってるんだ? 感覚の共有ができない」誰かが、そう言った。
「ほんとだ。……ところで、さっきのって、誰の声?」
「さあ」
 その時、べちゃ、と、何か水気を含んだものが落ちる音がした。直後、それは動き出した。
「あ! ラッキーっ! ……ラッキーが生還したぁっ!」
 口を開けたまま固まっていた大蛇が、変わり果てた、小動物っぽい何かを吐きだしたのだ。なんか、液体まみれで、何の動物かさっぱり検討がつかない。
「……解散してよし」
 ラッキーの主が「良かった」と大声で繰り返している間に、小さくその声が聞こえたのを、ルイズは聞き逃さなかった。他でもない、自分の使い魔の声だ。
「あ、感覚の共有、できるようになった」同級生の声が聞こえたのは、それの一瞬後だった。

* * *

760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:19:28 ID:JBAQslXl
wkwk支援
761虚無と十七属性 第五話:2009/06/07(日) 21:20:16 ID:73cV4Ugp
 満身創痍、というわけでは全然なかったが、それほどの苦痛を、身体は受けているようだった。
 先程叫ぶと同時に痛みが引き、崩れるように倒れて、なぜかみんなの使い魔が言うことを聞いてくれる事がわかり、とりあえず解散させ、今に至る。
すまん、自分でも何が起きたか、さっぱり分からない。
 とにかく分かるのは、『ルーン』と呼ばれる烙印が、新たに右手にも現れたという事だ。 
 ……もしかすると、今のはこれの力か。それとも、力を使ったから、これが現れたのか。
 自分の右手の甲を見て、思考の海に沈んでいると、教壇付近にいた筈の主人がこちらへ来ていた。右手から視線を外す。
「今の、アンタがやったの?」今の、とは当然、俺が今考えていた事だろう。
「……わからん。俺はただ、静まれ、と言っただけだ」
「……そう。ただの偶然かしらね。アンタの気迫に、押されただけとか」
「さあな」
 今度は、使い魔の主人達の方が、喋り始めたのを確認した。ルイズに対する罵詈雑言や、今の出来事の勝手な推理や、罵詈雑言や、シュヴルーズを心配する声や、罵詈雑言や、罵詈雑言。
「ったく、これだからゼロは!」
「ミセス・シュヴルーズ、大丈夫ですか?」
「早いところ、退学にならないのか?」
「いや、でもさっき俺の使い魔は……」
「だって感覚の共有って……」
「教室がめちゃくちゃだよ」
「ごめん、俺ラッキー洗ってくるから、先行ってる!」
「ってか、さっきの、誰の声?」
「ゼロのルイズが」
 見上げると、ルイズが、拳を握りしめて俯いていた。

* * *

「まだ、分からん。だか、可能性はある。儂も今まで、伝説でも聞いたことがないわい。ルーンを生むルーンなどと……。果たして、本当にそのルーンに効果があるのか、それすらも確認ができておらんのじゃろう?」
「はい。仮に、あのミス・ヴァリエールの使い魔のルーンが、ブリミル四番目の使い魔のルーンだとしたら……ただミョズニトニルンの力を使いこなすに止まる事は、まず無いでしょう」
「記する事すら憚れる、とまで書いておられるしのぉ」
「ミョズニトニルンの力だけではなく、ガンダールヴ、ウィンダールヴの力もそのうちに出現するのでしょうか」
「……可能性は、あるじゃろうな。寧ろ、恐らくそうじゃろう。そして、それだけに止まる筈もない。何か、恐ろしい力が込められているのかもしれん。学院はおろか、
トリステイン、或いはハルケギニア全土を壊滅に追い込むような力が……。もしくは、コントラクト・サーヴァントの時の激痛のように、使い魔に強大な副作用があるのかもしれん。……いずれにせよ、」
オールド・オスマンは眉間の皺を深く刻み、老体を思わせない、いや、その年齢だからこその威圧感を出した。「この事は絶対に他言無用じゃ。王室にも、アカデミーにも、まだ報告するな」
「了解しました」
「以上じゃ」
 有無を言わせない貫禄を纏い、オールド・オスマンは言った。
「失礼しました」
 その貫禄に、若干の冷や汗を浮かべるコルベールは静かに、学院長室を後にした。

第五話終了。
762虚無と十七属性 第六話:2009/06/07(日) 21:22:34 ID:73cV4Ugp
第六話投下。

「これで分かったでしょ? 私がどうしてゼロと呼ばれるか」
「……」
 目を覚ましたシュヴルーズ教諭に命じられた、教室の後片付けを黙々とこなす中、ルイズが突然沈黙を破った。
「魔法成功確率、ゼロのルイズ……。さんざん平民だ何だ言って、結局私も貴族になりきれていないのよ。私って滑稽ね……・。笑いたきゃ、笑いなさいよ。魔法が使えない貴族って馬鹿にされて、もう名誉なんてあったものじゃないわ」
「……確かに成功はしていないかもしれないが、魔法は使えている」
「そんなの、ただの屁理屈よ!」
「あれだけの高エネルギーを、精神力と呼ばれるものからひねり出し、ここまで惨状を生み出したのは誰だ? 教室一つを使い物にならなくする破壊力で、短時間詠唱、そして、衣服を含めなければ自分は傷一つ負わないという都合の良さ。
今の爆発だけを磨き、コントロールできるようになれば、それは十分立派な魔法だと思う。戦いの場、その攻撃に於いて重要なのは、素早さと攻撃力、それと正確性だ。この『失敗』と呼ばれるものでも、命中率と攻撃力を高められれば、立派な攻撃だ。
属性の事を考えなければ、火や、風の魔法にもひけをとらない。仮に一対一の戦いを想定して、『錬金』の一言で、少なくとも、避けない相手を気絶させられる破壊力を持つルイズと、絶対に一発で相手を瀕死にできる、一撃必殺の、長い詠唱を必要とする
トライアングルスペル、どちらが勝つ確率が高いと思う? 答えはルイズだ。『素早さ』の高い攻撃で、『命中』が100で、相手を確実に怯ませる事ができるからな。一方的な攻撃が可能だ。何なら、その魔法で気絶させておいて、別の方法でとどめをさしてもいい」
「……」ルイズが、1、2、ぽかん、とまるで記憶喪失になったかのような、間が抜けた表情を浮かべた。
「……どうした」
「いや、アンタ、普段は喋らないのに、途端に饒舌になったから」
「そうか」
「後、素早さが高いとか、命中が100とかって、なんか、おかしくない?」
「……そうかもしれない」
「……ふ、ふん! ま、まあいいわ。あ、アンタのご主人様を気遣う態度が、よくわかったわ! そ、そう! これは試験だったのよ! ご主人様への忠誠心の抜き打ちテスト! こんな、私がこんな風にめそめそするわけないじゃない!」
「そうだな、そんな気もしてきた」……自分に、棒読みだ、と突っ込みした。
「ほ、ほら、アンタは合格よ! しゃきっとしなさい!」
 弱気なところを見せたくない、耳を赤くした、子供っぽいご主人様に、この世界に来てから初めての笑みを――
 名前のない、俺は浮かべた。


虚無と十七属性


第六話

「おいギーシュ、今は誰と付き合ってるんだよ? モテる男は羨ましいなぁ、この!」
 アルヴィーズの食堂内。メインの食事を平らげ、デザートが配膳される僅かな時間の間で、金髪太っちょ、坊ちゃん気質のマルコリヌは、友人であるギーシュにちょっかいを出していた。
「付き合う? 僕にはそのような特定の人物はいない……。薔薇はいつでも、多くの人々を楽しませるためにあるのだからね」造花の薔薇の真っ赤な杖を、ギーシュは、どこからともなく取り出した。
 全く、この気障な台詞は、いつ聞いても笑える。自分を薔薇に例えるとは、大したナルシストだ。
 でもまぁ、そんな事をいちいち気にしているようじゃ、こいつの友人は務まらないけどね。
 どうしたらギーシュは彼女を暴露するかと考えていたその時、デザートの配膳をしていた男がこちらへとやってきた。
「……ん? 君は確か、ゼロのルイズの使い魔じゃないか? 一体何のようだい」疑問を簡潔に述べる。
「落としものだ。隣の、薔薇を持った君」
 男が差し出してきたのは、決して禍々しくない紫色の液体が入った、ガラスの小瓶だった。はて、どこかで見た事があるような……。これは、香水? という事は……。
「ん、それはモンモランシーの香水じゃないか?」同じ事を思ったのか、ギーシュを挟んで向こう側の友達は言った。
「そうだ、思い出した! しかも、この色はモンモランシーが自分のために調合した特別な香水だ!」
「とすると……今、ギーシュが付き合ってるのはモンモランシーだろう!」
「な、何を言っているんだい? 第一、それは僕のものではないぞ!」
 ギーシュは目に見えて焦った様子で、給仕をしっしっと追い払う素振りを見せた。
763虚無と十七属性 第六話:2009/06/07(日) 21:23:42 ID:73cV4Ugp
「焦ってますな、ギーシュさん」
「恥ずかしがる事は無いのですぞ?」友人と二人で、ギーシュを追い詰める。
 ギーシュが、ああ、うう、とかしか言わなくなり、視線を左上に泳がせた。間違いない。これは確定だ。
「ギーシュ様!」と、そこへ、ギーシュを救うかのように、栗色の長髪の女子生徒が現れた。
 茶色のマントの色から察するに、恐らくは一年生だ。
「……やはり、ミス・モンモランシーと……」栗色髪の少女が、目に涙を溜める。前言撤回。彼を救うためではなく、状況をさらに掻き回すためのようだった。
「ち、違うんだケティ! 彼女とは何も……!」
 ギーシュは必死に弁解しようとするも、そこへ金髪巻き毛の少女が現れ、僕とギーシュの間に割って入った。
「何も?」そして、冷気の塊のような視線を、ギーシュに向けた。
 おっと、これは超展開。
「……あ゛――ッ! モンモランシー! いや、これは……その……」
「へえ……やっっぱり、この一年生に手を出してたんだー……へえーそうなんだー……」
「違うんだモンモランシー! 彼女はただ一度だけ、ラ・ロシェールまで遠乗りしただけで……」
「そんなっ! 私の事は遊びだったんですか!? 『僕の心に棲んでいるのは君だけ』という言葉は偽りだったのですか!?」
「いや、決してそんな事はないんだよケティ。僕の心は……」
「『僕の心は広すぎて、何人でも棲めそうだ』なんて言うわけじゃないわよね、ギーシュ」
「いや、そうじゃなくて、」
 ああ、終わったな、こりゃ。
 一閃、ケティと呼ばれた少女は、ギーシュの頬に真っ赤な紅葉を落とし、モンモランシーはテーブルのワイン瓶をひっつかむと、躊躇なくギーシュの頭に大雨洪水制裁を食らわせた。
 二人が去ったのを呆然と見送ったギーシュは、溜息を一つつき、なんでもないといった風で、
「……どうやら二人は、薔薇の存在理由を知らないようだ」
 と言った。ここまでくると、ある意味尊敬するよ、ギーシュ。
「さて、どうしてくれるんだ、給仕君。いや、ゼロのルイズの使い魔君だったかな? 君の軽率な振る舞いのせいで、二人のレディが傷ついてしまった。この責任、どうとってくれるん、」
「ギーシュ?」ギーシュの隣の友人が、話しかけた。
「何だ」
「誰に話しかけてたんだ?」
「誰って、そこの、小瓶を拾った……って…………あ゛ーっ!」
 なるほど、既に、給仕の男はいなかった。

* * *

 使用人達と昼食を済ませ、配膳を手伝った後、俺は自室へと戻っていた。といってもルイズの部屋なのだが。
 さっきの授業であった、爆発のようなハプニングが起きたときに、リュックが無かったのは致命的だった。そして、その反省として、これからはリュックを常に持ち歩こう、と思ったわけだった。
 リュックを背負ってみると、何故か、安心する。逆に、今までどうして背負っていなかったのだろうと疑問に思うほど、その黄色いリュックは自分に馴染んでいた。
 と、その時だった。轟音を立て、この部屋に闖入者が現れたのは。
「……ぜえっ……ぜえっ……ぜえっ……」
 息が切れ切れのその金髪男は、確か、さっき、落ちていた小瓶の近くにいた男だ。どうしたんだろう。もしかして、さっきの小瓶、やっぱりこいつのだったんじゃないか? 悪いが小瓶は、ここに来る前にコルベール先生に渡してきたぞ。
「……どうした」でも、まあ、これだけ急いで来たのだから、もしかしたら、何か緊急事態が起きたという可能性もある。
 金髪の少年は、手で、待て、と制すると、15秒ほど息を整えてから、造花の薔薇をこっちへ突きつけた。
「……決闘だっ!」
 誰が? どこで? 誰と? 主語や目的語はしっかりしてくれないと、困るのだが。

764虚無と十七属性 第六話:2009/06/07(日) 21:25:35 ID:73cV4Ugp
 ――で、なんだかんだで、説明を受けずにヴェストリの広場に来てしまったんだが。
「僕、ギーシュ・ド・グラモンは、この、ゼロのルイズの使い魔が無礼であるのが原因で、公衆の目前で恥を掻いてしまった! よって、グラモン家の名において、ここに決闘を申し込む!」
「……俺が何かしたか?」ギーシュと名乗った少年に、何故か決闘を申し込まれてしまった。
 曰く、君が小瓶を拾ったせいで、二人のレディが傷ついた――つまるところ、浮気がバレたということ。そして、謝れば許してやったのに、剰え、俺がその場から逃げ出したという事――らしい。
 この金髪君は、相当おつむが足りないらしい。
「……逃げ出した、というのは語弊があるだろう。俺は、事の端末を今知った」
「言い訳にしか、聞こえないのだがね。……まぁ、いいだろう。誠心誠意謝るのならば、今ここで許してやらん事もない」
 言われて、辺りを見回すと、何だ何だと集まってきたギャラリー達が、1、2、3……10人ほどいる。こんな公衆で、自分に非のない事を分かっているのに謝るなど、馬鹿げている。
「……断る。俺の名は、そこまで安くはない。そもそもの原因は、ミスタ・グラモンが二股をした事にあるのではないか。俺に非はない。小瓶を拾ったのは親切心だ。君が手で払ったときにも、
俺は立ち去った。もしもの時を考えて、機転を利かせたつもりだ。以上から考えて、これは只単に君の……所謂、逆恨みというやつじゃないか」
「いいぞ平民! そうだギーシュ、二股したお前が悪い!」少ないギャラリーから歓声が上がり、その声がまた、人を呼んだ。昼食の時間を終えた生徒たちが、漏れなく集まってきた。
「……一度ならず、二度までも! 平民の分際で、貴族に楯突くのか、君は!」
「平民ではない。社会的階級で表すのなら、俺は使い魔の筈だ。ここで引き下がっては、主人の貴族の名に、泥を塗ることにもなるのでね」
 言い終えた後で、「もっと言ってやれー」とギャラリーからの声が上がった。ギーシュの顔が、真っ赤になった。
「いいだろう! 決闘だ! 僕は貴族だ。よって魔法を使わせて貰う。よもや、異論はないだろう」
「……」一応頷くが、内心、駄目だコイツは、と溜息をついている。

 バラおとこのギーシュが しょうぶをしかけてきた!

第六話終了。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:26:45 ID:JBAQslXl
バラおとこww

支援
766虚無と十七属性 第七話:2009/06/07(日) 21:27:29 ID:73cV4Ugp
第七話投下。

「ヴェストリの広場で、ギーシュが決闘してるぞ!」食堂に、二年生の誰かが駆け込んできてそう言った。
「え、本当!? 誰と? 誰と?」
「もしかして、さっきの二股が原因?」周りの生徒が、これはいい肴を見つけた、とばかりに飛びついた。
「ああ。なんでも、原因となった小瓶を拾った、ルイズの使い魔と決闘しているらしい。逆恨みだよなー」
 その言葉が食堂に響いた後、一斉に視線がこっちを向いた。思わず吹き出しそうになった口の中のものを、必死に飲み込む。
「あんの……馬鹿!」


虚無と十七属性


第七話

 バラおとこのギーシュは ワルキュレをくりだした!
(※ポケモンの世界に於いて、固有名詞は5文字までしか入りません)

「僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。よって、君の相手は青銅のゴーレム・ワルキューレがお相手するよ」
「ならば、俺はこの青銅人形を倒せば、勝ちなんだな?」
「いや、僕に参ったと言わせるか、僕の杖を奪ったら勝ちだ。ワルキューレは、あくまで僕の攻撃の手段だ」
「そうか」
 これはまた、厄介な魔法があったもんだ。勝てる気がしないな。
 ――ならば。
 俺は決意をし、バッグの中から『スピーダー』を取り出した。
(※スピーダー:素早さを上げるアイテム)

* * *

 キュルケは優雅に観戦していた。
「ねえ、タバサ、どっちが勝つと思う?」友人のタバサを無理矢理連れてきて、だ。
「彼がただの平民であれば、ギーシュの勝ちは決まったようなもの」
「そうよね。流石にあれは、相性が悪すぎるわ」
 決闘など興味がないといった風で、タバサは本を読み始めた。
 まぁ、タバサらしいと言ったらそれまでだけど。
「……は、あくまで僕の攻撃手段だ」
「そうか」
「では、行かせて貰おう!」
 決闘が始まった。ギーシュが杖を一振り、錬金でできたワルキューレに力を注ぎ込んだ。ワルキューレが、命を吹き込まれたかのように動きだし、恐らく、動作に支障が無いかを確認している。
 使い魔の青年は、顔を引き攣らせるでもなく、無表情に、だが興味深げにそれを見ていた。
「あら、随分と余裕じゃないの」
 キュルケのその声と同時に、青銅の戦乙女が殴りかかった。
 殴るが、青年はしゃがんで避け、そこへ蹴るが、海老のように素早く地面を蹴って後退した。
 あの使い魔くん、結構できるわ。
 偉大な軍人を輩出する、ツェルプストー家として、彼の評価を見改めなければいけない、と思えた。
 だが、青年は、避けてばかりで、ワルキューレに攻撃の一つも与えない。尤も、人間の拳ではあれが倒せない事くらい容易に分かる筈だが、距離も、どんどんギーシュから離れていっている。
「はは、逃げてばかりじゃ、勝てないよ! 使い魔君!」
 ギーシュは、逃げてばかりの使い魔に余裕だ、と言わんばかりに笑った。そして、薔薇の造花を一振りし、長い鉄の棒を錬金した。
767虚無と十七属性 第七話:2009/06/07(日) 21:29:12 ID:73cV4Ugp
 一瞬の事だった。
 使い魔の青年は、青銅人形が鉄の棒を掴む僅かな隙に、人間とは到底思えない速度でその背後に回り込むと、綺麗な回し蹴りを一発、食らわせた。がこん、という、内部の空洞に音を鈍く響かせ、ワルキューレは前に突っ伏した。
「なっ!」ギーシュも、予想外と言わんばかりに驚愕の表情を浮かべる。
 だが、驚くのはここからだった。そこから青年は、立ち上がってくるワルキューレには目もくれず、信じがたい速度でギーシュに走って迫ったのだ。ぎゅん、と風を斬る音とともに、ギーシュと使い魔くんの距離がみるみるうちに縮まっていく。
 もう目と鼻の先まで迫った青年に、やっと正気を取り戻したのか、ギーシュは間一髪、横に転がって躱した。青年の手は虚空を掴み、勢いを殺せずに4メイルほど先まで行ってしまった。
「今の、杖をねらっていた」本を読んでいたタバサも、青銅の音がしてから顔を上げ、観戦していたようだった。信じられないものを見た、といった顔で、目を大きく見開いている。「それにしても、早すぎる」
 ギーシュは、再び後ろから来る使い魔をなんとか躱すと、再び『錬金』と唱えた。
 するとギーシュの下の土が盛り上がり、高さ三メイルほどの直方体の岩となり、ギーシュの巨大な踏み台になった。岩の外壁は青銅でコーティングされているようで、魔法なしでは上れそうにない。
 『フライ』と同時には魔法は使えないので、良い判断だ。一度空に飛んでしまったら、地上のワルキューレは動かせないし、降りた時を狙われてしまうだろう。だが、この方法ならば、相手に攻撃させることなく、ワルキューレを操れる。
 ギーシュは額の汗を拭い、青年は顔を顰めた。
「ふぅ。今のは、中々危なかったよ。だが、反撃もここまでかな」
「……」青年は答えない。どこかで、「卑怯だぞ、ギーシュー」という声が聞こえた。
「残念だったね。いや、敵ながら、あっぱれだ」
「……」
 ギーシュは杖を一振りし、新たにワルキューレを五体、生み出した。先程倒れたワルキューレも起き出して、これで合計六体となった。
「今度はこちらの番だ!」
 あーあ、あの使い魔くんも、ここまでみたいね。
 キュルケは些か残念な顔をした。

* * *

「……ぐっ……!」ワルキューレの拳が当たった。
―― 一発、
―― また一発
―― 今度は背後から蹴りを入れられた。いつの間に回られたのか、それにすら気付けていない。
 六体に増えてからというもの、ちっとも優位に立てない。スピーダーの効果は尽きた。一応、まだバッグには入ってるが、今使ったところで、一時的に相手の攻撃を避けられるだけだ。
 なんとか必死に避けようとしているが、疲れを知らないワルキューレとは違い、こちらの体力は有限だ。一発一発攻撃を食らうに従って素早さは目に見えて落ちてきて、攻撃を食らう頻度はますます早くなる。
「まだやるのかい?」
 ギーシュが杖を一振りして、攻撃を止めた。自分を囲っていたワルキューレが、目の前に整列する。その言葉と態度からは、余裕が滲み出ている。
「……ああ。貴様に下げる頭など、誰がもっていようか」
 その言葉を発した直後、聞き慣れた主人の声が、増えたギャラリーを割って、聞こえてきた。
「ギーシュ、やめなさいよ! 平民相手にみっともないわよ!」人混みをかき分けて、桃色髪の少女が現れた。
「……ん、ルイズか。いやいや、こう見えて、さっきは結構追い詰められたんだよ」
「今はもう、この有様でしょ!」
「いや、僕はもうやめるように言ったんだ。『ごめんなさい』そう言えば許してやる、と言ったのに、君の使い魔くんは頑なにも言わないのでね」言って、ギーシュは造花の薔薇で使い魔を指した。
 ルイズが、こちらを見据え、顔を歪めた。
768虚無と十七属性 第七話:2009/06/07(日) 21:30:58 ID:73cV4Ugp
「もう、いいわよ。アンタは十分頑張ったわ。だから、さっさと謝っちゃいなさい」
「……悪いが、それはできない。これは、俺の戦いだ」
「何言ってるのよ! アンタ、このままだと死ぬわよ!」ルイズが声を荒げた。
「俺は死なん」
「貴族は平民を殺すのに、躊躇したりなんてしないわ!」
「大丈夫だ」
「何がよ!」
「とにかく、引っ込んでいてくれ」ルイズがまた何か説教をしているが、無視する。
 こうなっては、使いたくはなかったが、奥の手を使うしかない。
 恐らく、いらぬ誤解を生む事になってしまうのだろうが、なんか、ここで負けてしまうのは癪に障る。
 『スピーダー』で、あれほどの素早さが出せたのだ。キズぐすりで全回復した後、『けむりだま』をギーシュ本体に投げつけ目を眩ませて、『プラスパワー』『ディフェンダー』『スピーダー』の三つを使い、一気にカタをつけよう。
 バッグに手を入れたその時に、ふと、脳裏に、妙な、懐かしい光景が広がった。
 迫り来る巨鳥の群れ。その時隣にいた、金髪の青年。綺麗で、巨大な湖と、青々とした臭いの、湿った草むら。湖岸に追い詰められ、目の前が真っ暗になりかけた時に見つけた、茶色の鞄。その中には――紅白色の三つの球。
 あの球の中に入っていたのは何だったか。
「何だ――」
 球のボタンを押し、中から出たのは――
「そうだったな」
 俺は平民の使い魔ではない。貴族でも、ましてや魔法使いなんかでもない。

 俺は――ポケモントレーナーだ。

「やれ、ワルキューレ!」ギーシュの命令を受けたワルキューレが6体、こちらへ歩んできた。 
 ゆっくり、わざわざ威圧感だけを表すために行進するそれらに、もう棒になっている足を奮い立たせて向かい合う。
「何で、立つのよ! 何で、戦うのよ!」ルイズが必死に言った。
「やはり、まだやれるみたいだね」ギーシュが目つきを鋭くさせた。
「……」沈黙を以て答える。でも、俺っていつも黙ってたから、答えた事にならないかもしれない。だが、心配する事はない。俺には、コイツがいる。
 手を腰のボールへ持って行くと、額の文字が激しく光り、情報を読み取った。
 あれ、何故か強さがバラバラなんだが。ああ、そうだ。多分、ここに来る前にボックスの整理をしていたせいだろう。
 だが、先頭のポケモンだけは変わることなく、そこに、伝説の名前を刻んでいた。

バラおとこのギーシュが あらためて しょうぶをしかけてきた!
バラおとこのギーシュは ワルキュレ をくりだした!

いけっ! ミュウツー!

――そして、
『やっと出番か』
 黒と黄色のラインの入ったハイパーボールから、白い巨人が、現れた。

第七話終了。
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:32:44 ID:muYfiqXF
いきなりミュウツーってお前…
ギーシュオタワwww
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:32:48 ID:JBAQslXl
っちょwwwwww
よりによってwwww

支援
771虚無と十七属性 第八話:2009/06/07(日) 21:33:11 ID:73cV4Ugp
「何だ!? 一体、どこから現れた!」突如白い巨人が出現し、ギーシュは慌てふためいた。
「どこって……ここだが」それを、青年はさも当たり前といったように、手のひらに収まる大きさの球を答える。
「君が召喚したのかい?」
「そうだ。これは、お前たちメイジが俗に言う……使い魔、という奴だ」


虚無と十七属性


第八話

「魔法の使えない平民の分際で、使い魔だって? ルーンも刻めないから、感覚の共有もできないだろうし、そんな
亜人じゃ、コミュニケーションもとれないじゃないか。変わったペットのようだが、それじゃ、僕は倒せないよ」
 その言葉を聞いて、ルイズは歯噛みした。感覚の共有ができないなんて、まさに私の事じゃないか、と。
 だが、青年は、ちっとも動じない。
『主人を蔑むか。貴様、貴族と名乗ったが、精々恥を、その身体と名前に刻みつけるがいい』
 亜人が喋った。口は一切動かしていないため、本当に彼が喋っているのか、疑問が沸いた。
「ほう、喋れるのか。ならばコミュニケーションはできるみたいだね。だが……」
 そこでギーシュは、学院全体に響くような口笛を吹いた。そして、その数秒後、地面から僅かな振動と共に、茶色の巨大なモグラ――ジャイアントモールが現れた。
「使い魔の相手は、使い魔がするよ」ギーシュは前髪を一度整え、「ウェルダンデ!」と叫んだ。どうやら、あのモグラの名前らしい。「ゆけっ! あの亜人を倒すんだ!」
『貴様程度で、相手になるかな?』
 私の使い魔の使い魔……あー、ややこしい。亜人はギーシュのモグラを一瞥した。
 すると、予想外の事が起きた。亜人とモグラの対角線の延長上にいて、亜人の表情を見ていたギャラリーが、表情、身体共に凍り付いた。そして、ついでにウェルダンデも凍り付いたのだ。一体、何があったのか。
「どうした、ウェルダンデ? 穴を掘って、ヤツに地中から攻撃をするんだ!」だが、ウェルダンデは動かなかった。
『どうした? 早く来ないか』
 その言葉と同時に、ウェルダンデが、こてり、と力なく横に倒れた。ついでに、向こう側のギャラリー達も痙攣し、膝をついた。
「ウェッ、ウェルダンデーッ!? あああ亜人、なな何をした!?」
『何だ、少し睨んだだけなのに、麻痺してしまったのか。弱いな、弱すぎる。今のは、技でもなんでも無かったぞ』
「……ミュウツー、頼むから、手加減はしてくれ。殺さない程度に」使い魔の亜人の主の、使い魔の青年がそう言った。
『分かっている』亜人もまた、返事した。『要は、いつも通り瀕死にさせればいいのだろう?』え、いや、それ本当に分かっているのか? そもそも、いつも瀕死にさせてるって、コイツは一体何者?
「指示なしでもやれそうか?」と、使い魔。
『当たり前だ』と、使い魔の使い魔。
「ルールは、あの薔薇男の杖を奪うか、参った、と言わせたら勝ち。殺されたら、負けだ」
『案ずる必要はない。ちゃんと聞いていた』
 その余裕な態度を挑発と受け取ったのか、ギーシュは表情を険しくして、薔薇の杖を一振りした。
「くっ! やれ、ワルキューレ!」
 すると、今まで置いてけぼりだったワルキューレ達が、目に光りを灯すかのごとく生気を宿らせ、一斉に鉄の棒を掲げて襲いかかる。亜人は、両手を胸の前で組んで、その姿勢を崩さない。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:34:34 ID:JBAQslXl
このミュウツーは絶対レベル90以上だww
支援
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:39:07 ID:e2sQv2PZ
スマブラの超渋い声で再生される
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:39:08 ID:7aaOsEKf
ちょこのトレーナー最初にもらったポケモン使わずに手早くミュウツーで片付ける段階に移行してやがるwww
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:40:40 ID:bLkaCxMY
>740
つDG細胞
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:41:26 ID:bLkaCxMY
しもたっ更新忘れたっorz
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:44:28 ID:S+uZ/kkm
そろそろ次スレだな
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:48:10 ID:JBAQslXl

サルさんに引っかかったかどうかしたかな?
サルさんに引っかかったなら避難所の代理投下スレへGOだ
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:49:21 ID:2QOxxxi6
一応次スレ(重複スレ再利用)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244070866/

さるさんは22:00などの正時跨げばリセットされるぞ
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:51:29 ID:Tm6EF8w0
その間は誰も投下できなくなるから、猿ったら代理頼んだ方が良いんじゃないか?
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:52:27 ID:jvOJ9LKs
ウェルダンデ……よく焼けてそうな名前だな。
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 21:56:59 ID:Tm6EF8w0
ちょっと前には、どっかの神話に出てきそうなモグラも居たなw
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:02:17 ID:muYfiqXF
そういえば毎度の如くワルドに吹き飛ばされるヴェルダンデも
こんがり焼かれる事は無いな。…死ぬか流石に
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:03:06 ID:Tm6EF8w0
跨いだから必要無いかもしれんけど、作者さんいないかもしれんから代理投下するわ
5分からということでよろしくちゃん
2レスなんで支援はいらんです
785虚無と十七系統 代理:2009/06/07(日) 22:06:15 ID:Tm6EF8w0
すいません、さるさん食らってしまいました。それも本レスの方の投下途中で。
かなり中途半端ですが、どなたか代理投下お願いします。

 誰もが目を丸くする中、亜人は叫ぶ。
『サイコキネシス!』
 刹那、全てのワルキューレの青銅の頭が、まるで、高所から落下した瓶のように弾け飛ぶ。
「……『はがね』に『エスパー』は効果いまひとつだぞ、ミュウツー」青年が、ぼそりと言った。
「……」ギーシュは、今にも卒倒しそうだった。
 だが直後に、これが貴族の名に於いて行われた決闘だという事を思いだしたのか、杖を再び握りしめる。
 ここで負けたら、グラモン家の名に泥を塗る事になる、とでも思っている、そんなような目をしていた。
 そして、今度動いたのはワルキューレだった。
 頭のないその青銅人形は、四体を亜人に、二体を青年に目標を定めると、一気に攻撃を開始した。
『いかん』
 意表を突いた、主人への狙いは、ミュウツーにとって予想外だった。
 ここで特殊攻撃の類をしたら、主人にも命中してしまう。
 普段は、こんな時に指示をくれるトレーナーが、油断していた今はいなかったのだ。亜人がどうしようかと迷ううちに、青年とワルキューレの距離はゼロになる。
 鉄の棒が、躊躇無く青年に振り下ろされた――
 しかし、顔を思わず伏せてしまった私の心配などよそに、青年は平然と立っていた。二本の鉄を、一本ずつの腕で支えて。
「プラスパワーだ。自分の身くらいは、自分で守るさ」満身創痍だった筈の青年は、余裕に薄ら笑いを浮かべる。
 今度は青年の左手が突如発光し始める。同時に青年の表情が苦痛で歪み、顔を伏せるが、それも数秒の事だった。そこから立ち直ると、鉄の棒を力一杯振って、ワルキューレ二体を宙へと放り投げた。
 恐ろしい力だ。ワルキューレは、通常の鍛えられた人間よりも力が強い筈だった。第一、あれだけの質量の青銅を、なおかつ鉄の棒の先のそれを、放り投げるなんて、人間業では到底為しえない。
 すると今度は、これまた恐ろしい棒捌きで、空中のワルキューレを地面に叩きつけ、胸の部分に鉄の棒を深々と突き刺し、そのまま地面に、青銅人形を縫い付けた。
 一度は立ち上がってきたもう一体も、再びその棒で打ち倒し、地面に縫い付ける。素人とは到底思えない、棒術だった。
「やれ、ミュウツー。波動弾だ」まるで、なんでもない、というように、青年は亜人に命令した。
『御意』
 今度は亜人が、手に、小さな太陽とも思える、眩い光を集め始めた。
 大地が、そのあまりに大きな力に震えた。

 ミュウツーの はどうだん!
 こうかは ばつぐんだ!
 ギーシュの ワルキュレは たおれた!
786虚無と十七系統 代理:2009/06/07(日) 22:07:59 ID:Tm6EF8w0
 いや、寧ろ、倒れたというよりは、消し飛んだという方が適当だと思う。
 続けて放たれた四発のエネルギー弾は、ワルキューレの上半身に寸分狂い無く命中すると、そのままそれを持って行った。
 その光の軌跡は止まることを知らず、ギーシュの踏み台を貫通し、更にその後ろにそびえ立つ、宝物庫のある本棟に命中、貫通し、空の彼方へと消えていった。
 巨大な穴が4つも開いた、ギーシュの足場が崩れたのは、それからすぐの事だった。
「うわぁぁああああ!」ギーシュが転落する。
 もう、ギーシュにはフライ一つかける精神力、或いは余裕すら、残っていなかったらしい。
 そのまま重力に身を任せ、3メイルの高さから背中を、鈍い音と共に地面に打ち付ける。
 激痛に呻くギーシュの元へ、亜人が向かう。ギーシュのアングルから見たら、それはもう、白の巨人はたいそう威圧感溢れて見えただろう。想像したくない。
「ま、参っ……ん゛ー!」参った、と言おうとしたギーシュだったが、その口が、不可視の力によって閉ざされる。
『まさか怪我もせずに、参った、とは言うまいな? 二度と杖の振れない身体にしてやる。……お仕置きだ』
 亜人がそう言うと、両の腕を前に出す。三本しかない彼の指を、開いた。
 杖を持っていないギーシュが音もなく浮かび上がる。ギーシュは口を閉ざされたままで喋れないが、恐らく「待て、早まるな、話せば分かる」みたいな事を言おうとしているのは分かる。
『念力!』だが亜人は躊躇なしに、三本の指をゆっくり閉じた。
「……ミュウツー、それくらいにしておいてやれ。流石に可哀想だ」
『仕方がない……主人に礼を言うがいい』主人の言葉に、亜人が答えた。
 一体何が起きるのか、と内心ヒヤヒヤしていたところ、亜人はそのままギーシュに背中を向けた。
 何もしないのか? と思い、ルイズはただ呆然と見ていたが、そのうちにギーシュの顔が真っ青になったのを見た。

* * *

「肘と肩の関節が……外されている。もしくは、腕を折られてる」
 食い入るように決闘……いや、ルイズの召喚した使い魔の使い魔による、ギーシュへの一方的な攻撃を眺めていたタバサは、顔を青くするギーシュを指さしていた。
 どうやって、とキュルケが聞こうとしたが、タバサの白い肌が更に白く、指さす手が震えているのを見て、やめた。
 ギーシュが叫んだのは、その直後だった。
「うわぁあああああ!? 腕が、腕が、腕が動かない!」
 その直後に、ギャラリーから悲鳴が上がった。
「戻れ、ミュウツー」だが、ギーシュには目もくれず、青年は手に持った球を前に出した。
 すると、今まで暴挙を振るっていた白い亜人は、光となって、その球体の中へと吸い込まれていった。
「彼、何者なの? 亜人もだけど、それを従える、彼。……それに、いつの間にか打たれた痕が、なくなってる」キュルケが、隣のタバサに訊く。自分で言うのもなんだが、恐怖よりも、好奇心が多く含まれていると思う。
 すると、タバサも若干だが恐怖の色を薄めた。
「わからない……ただ、」一呼吸置いて、言う。「スクエアクラスのメイジでも、エルフでも、あの亜人に勝てるかどうか、分からない。それに、彼は、あの亜人が入った球を、他に五つ持っていた……言うなれば」
 タバサは、ずれていた眼鏡をかけ直し、続けた。
「彼は……魔王」
 無言で立ち去る青年の背中を、追いかけられる人間は、誰もいなかった。

以上で、第八話が終了です。
すいません、代理の方にはご迷惑をお掛けします。
拙作ですが、どうか宜しくお願いします。
787虚無と十七系統 代理:2009/06/07(日) 22:09:53 ID:Tm6EF8w0
ということで投下終了です、作者さん乙でした

それと一部の文が長すぎて怒られたので、適当な所で改行させてもらいましたので
wikiの方で適当に編集してくだせえ
788名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:10:49 ID:7Ftr+YS+
明らかな廃人トレーナーが来やがったwwwwwww
これからを楽しみにしてるぜ乙
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:11:43 ID:JBAQslXl
ダイパの方も代理の方も乙でありましたー!

さて、ここは主人公が「ミュウツー使って大人げないww」と思うべきか
それともミュウツー大人気ないというべきかww
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:12:07 ID:V5hc2KUt
間違いなくやりこみすぎてポケモンリーグにも出られなくなって
洞窟に引きこもって強いのが来るのを待ってたタイプだなw
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:12:09 ID:BJfyO//P
次スレはここを再利用
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part233
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244070866/
792名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:14:01 ID:BB454oZm
なんか他のボールにも神様な伝説ポケモンが入ってそうな気が…
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:14:20 ID:muYfiqXF
両方大人気ないでFAだなw
というか、アイテムあんなになるまで冒険してる時点で既に大人気ない
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:15:18 ID:7Ftr+YS+
ふと思ったがレベルのバラ付きがあるってことは
ストックしといた4V5VのLv1とかいそうだな

これ以上は先読みになっちゃうか
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:17:11 ID:Tm6EF8w0
>>792
こんな感じかな

ミュウツー ずっと俺のターン 唯一神
ケツバン ィ゛ゃゾ┛ アネ゛デパミ゛
796名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:19:41 ID:JBAQslXl
>>790
なんとなく金銀のレッドを思い出したww
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:20:25 ID:abJ05XyP
誰か教えてください

作成済みのページをコピーして新しいページを作成
したら検索が出てくるんですが、ここに次のページ名を書くわけじゃないですよね?
798名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:20:35 ID:Tm6EF8w0
そのネタじゃないのか?

他の虚無の使い魔が気になる所だな。
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:20:37 ID:nNKK6dBf
唯一神のフレアドライブとビームに期待
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:26:16 ID:mElXdkVt
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801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 22:26:57 ID:mElXdkVt
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802名無しさん@お腹いっぱい。
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