>>132 ごめんなさい
足もとまで垂れた長いざんばら髪、らんらんと光る目。さらに鋭い牙の生えた大きな口、手の爪も鋭くとがり、足首はまるで魚のヒレのようだ・・・。
それに何より驚くのは、そいつの体中を覆う青紫と緑色のうろこだ。
人間とも魚ともつかない不気味でブサイクな姿。こんな姿をした妖怪は一人しかいなかった。
鬼太郎「(あいつは確か、半漁人・・・!)」
半漁人とは、半分は人間の姿だが、半分は魚という姿をした海に住む妖怪である。
鬼太郎「(じゃあさっきの悲鳴はあいつか?、でも違うな・・・あいつは悲鳴を上げるような奴じゃない)」
半信半疑で鬼太郎はそう思った。しかし、半漁人は鬼太郎が来ても無視し、別のことで夢中になっている。
鬼太郎は半漁人が両手で何かを掴んで、鋭い牙で懸命に噛みついているのを確認した。もっとよく見てみようと考え、少しずつ半漁人に近いづいた。
鬼太郎「(ん?・・・アレはウミガメ?。じゃあさっきの悲鳴はあのウミガメだったのか!)」
そう、先ほどのあの悲鳴はウミガメが叫んでいたのだ。半漁人に捕まってしまい、奴に食べられようとしているのだ。
どんなに固い甲羅でも、半漁人の牙にかかれば、無事では済まない。
ウミガメ「助けてくれー!!、まだ死にたくないィィ!!」
必死で半漁人から逃れようとウミガメは抵抗しているも、無駄だった。
このままでは、甲羅は噛み砕かれてしまう。ところが、次第に甲羅からミシミシと軋む音が出てきた。
もちろん、このような事を見過ごす鬼太郎ではない。
鬼太郎「おい!、待て半漁人!」
すぐに半漁人に向かって呼びかける、食事の邪魔をされた半漁人は、不機嫌そうな顔で振り返った。
半漁人「なんだお前?、失礼な奴だ。人が食事中だと言うのに・・・」
そう言うと、またガブッとウミガメにかみつく。鬼太郎の話を聞こうともしない。
噛みついた瞬間、ついにウミガメの甲羅にひびが入った。ひびが入った衝撃と苦痛に耐えられなく、ウミガメは大きく泣き叫んだ。
鬼太郎「やめろって言ってるのが分からないのか!?」
鬼太郎はついに怒り、半漁人の背中めがけて、リモコン下駄を蹴りあげて飛ばした。
ゴッ!ガッ!
半漁人「ギャッ!!」
ドタッ!
下駄攻撃にたまらずウミガメを放り出し、半漁人はひっくり返ってしまった。
鬼太郎はそのすきに、落ちたウミガメを拾い上げ、じゃぼっと海の中に放り込んだ。
鬼太郎「ほら、早く逃げるんだ」
ウミガメ「ありがとうございます!」
鬼太郎「お礼はいいから、急いで逃げるんだよ」
ウミガメは喜んで、深い海の中へと逃げて行った。
鬼太郎はホッと胸をなでおろした。
鬼太郎「ふぅ、これで一安心だ」
・・・・・しかし、半漁人の方はそうはいかない。立ちあがって鬼太郎に抗議をし始めた。
半漁人「おいお前!、よくも俺の昼飯を逃がしやがったな!」
鬼太郎「お前に怒鳴られるほど、僕はあのウミガメを放っておけないよ。それが嫌なら、二度とウミガメを食べないことだな」
半漁人「何だと・・・、ちょっとばかし痛い目に遭わんと分からんようだな!!」
鬼太郎に言い返され、カンカンに怒った半漁人は、いきなり海の方へ向くと・・・。
半漁人「おーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!」
大きく息を吸い、鬼太郎に響くほど叫んだ。まるで誰かを呼ぶように・・・。
そんな中、鬼太郎は・・・
鬼太郎「(こいつは一体、誰を呼んでいるんだ?)」
と、不思議そうな顔で半漁人をジッと見ていた。
すると、突然波の音が変わった。さっきまでの「ザザーン」という、穏やかな音ではなく・・・ざわざわとうなりをあげて、たくさんの飛沫が飛んでくる。
鬼太郎「い、一体何事だ!?」
鬼太郎は用心し、身構えようとした時に、海の中から何か飛んでくなく巨大な影が浮かび上がったのだ!。
ザバーッ!!!
盛大に波を割って現れた者・・・・・・。それは10メートル以上あろうかと言う、絶句するほど大きなイカだったのだ!。
赤紫色の身体から生えた長い10本の足が、波間でうねうねと踊っている。
鬼太郎「何だこいつは!?」
鬼太郎はギョッとした。こんな巨大なイカは、今まで見たことも無い。
半漁人は驚く鬼太郎に向かって、得意げに言った。
半漁人「どうだ?、こいつは俺の子分の大イカだ!。俺の昼飯を逃がしたお返しに、テメェを大イカの昼飯にしてやるぜ!」
鬼太郎「なにっ・・・!」
この場から離れないとまずい!。と考えた鬼太郎は慌てて逃げようとする・・・だが、誰よりも早く、大イカの長い足がヌルヌルと伸びてきて、鬼太郎の身体をす巻き
にしてしまった。
鬼太郎「うわっ!!」
あまりの速さに、毛針やリモコン下駄、なおかつちゃんちゃんこも使う暇もない。
たちまち鬼太郎は海の中へ、ザブンと勢いよく引きずり込まれた。
ゴボゴボゴボゴボ・・・。
鬼太郎「(ぐっ・・・苦しい・・・!)」
苦しそうに口から泡を吐きながら、海の底へ沈んでいく鬼太郎。
大イカの巨大な口はもうすぐ近くまで迫っている。
鬼太郎「(しまった!、食べられる・・・・・・!)」
鬼太郎は焦ったが、流石に水の中です巻きにされては、身動きが出来ない。
なすすべもなく・・・イカの餌となってしまった・・・。
半漁人「・・・ざまぁみやがれ。俺を怒らせたのが運のつきだったんだよ、ははははははははっ!!」
鬼太郎の最期を見届けた半漁人は、牙だらけの口を開けて、愉快そうにゲラゲラ笑った。
・・・・・・・。
─そして、その頃のゲゲゲハウスはと言うと・・・
目玉おやじはねこ娘に頼んで妖怪アパートに連れてってもらった。子泣き爺と将棋をしに行くのだろう。
そのため今は、雛苺と一緒に留守番をしていた。雛苺はお絵かきに夢中で、真紅は窓辺で本を読んでいる。
真紅「!」
その時、真紅は嫌な寒気を感じた。
ゾクッとするような嫌な寒気が、鬼太郎の身に何かあったのかもしれない。
真紅「(鬼太郎・・・)」
旅に出た自分のたちのミーディアムを心配し、本を閉じ、空を眺めた。その時・・・。
ピシッ・・・、パリン!
ちゃぶ台から、何かが割れる音がした。真紅と雛苺はその音に反応し、ちゃぶ台を見ると・・・
鬼太郎の茶碗が見事に真っ二つに割れていた、真っ二つになった茶碗は、グラグラと揺れ、次第に止まった。
何もしていないはずの茶碗は割れると、必ず嫌な予感がするのだ。
雛苺「うゆ、きたろーの茶碗が割れたの!」
真紅「寒気がすると思ったら・・・やっぱり・・・」
雛苺「真紅?」
真紅「なんでもないわ」
そう答えるも、真紅は嫌な予感がしなければいいと思った。
真紅「(鬼太郎、大丈夫かしら・・・)」
真紅は不吉な予感を感じながら、鬼太郎が無事、帰ってくるように空を見上げたまま祈った。
水銀燈「あらあらぁ、今日は暇つぶしに本を読んでないわぇ」
真紅「!?。ってきゃぁ!」
いきなり窓からぬぅっと現れたのは、薔薇乙女第一ドールの水銀燈だ。
真紅は思わずびっくりして窓から転げ落ちてしまった。
水銀燈「クスクス・・・なっさけなぁ〜い!、なぁに今の転び方?。ほんとにおばかさんねぇ」
真紅「う、うるさいわね!!」
水銀燈に笑われて顔を耳まで真っ赤にしながら真紅はすぐに起き上がり、水銀燈に問いかけた。
真紅「それよりも、何故貴女がここに来たの?。あいにく、鬼太郎は居ないわ」
水銀燈「別にぃ、私は鬼太郎に会いに来たと言うも、あなたと雛苺をバカにしに来たんじゃないわよぉ」
真紅「?」
じゃあ何故ここに来たのか?、と真紅と雛苺はそう考えるも・・・水銀燈がいきなり顔を赤く染め、もじもじし始めた。
もじもじしながら水銀燈は恥ずかしげにこう言った
水銀燈「し・・・しばらくここに居させてちょうだい」
・・・・・・・・・・。
真紅「は?」
雛苺「ほぇ?」
いきなり何を言い出すか、この家に居させてほしいと水銀燈が頼んできて、真紅と雛苺は思わず抜けた声を上げる。
水銀燈「だ、だからぁ!・・・ぬらりひょんが私がせっかく集めた所有物を勝手に売りさばいたから。しばらくあの家には戻りたくないのよぉ!?」
真紅「な、何がなんだかさっぱり分からないわよ。とりあえず理由を詳しく教えてくれないかしら?」
つまり水銀燈がゲゲゲハウスに泊まる理由はこうだ。
くんくんの隠れファンである水銀燈は毎日グッズを買い集めていたのだ、しかもぬらりひょんの財布からごっそり奪ったで買い集めてた。
その事を知ったぬらりひょんは怒って腹いせにくんくんのグッズを玩具屋、またはショッピングセンターに売ってしまったのだ。
これは水銀燈の自業自得だが、当の本人は逆切れし鞄を持って(ぬらりひょんと主の盆を羽で攻撃した後)今に至ると言うわけだ。
真紅「そ、そうなの?。それは水銀燈が悪いわ」
水銀燈「ハァ!?、あんたにはわかるわけないでしょぉ!!所有物を勝手に売りさばかれた私の気持ちを!!」
真紅「うぅ・・・」
本来ならば、ここで真紅は水銀燈に皮肉を言い、鬼太郎に近づけないように追い払うも・・・今の水銀燈は何と言うか・・・かなりの威圧感があったので反論できない。
仕方なく、目玉おやじに話してから泊めることとなった。
真紅「(まさか水銀燈が家に泊まりに来るなんて・・・屈辱もいいところよ)」
・・・・・・・。
水銀燈が鬼太郎の家に泊まりこんでその三日が経った。
浜辺であの大イカが大量の魚を持ってきているではないか。
イワシやアジなど、近くでとれる魚ばかりだ。
そこで待っていた半漁人は、大イカが持ってきた魚を見て、文句を言う。
半漁人「なんだよ、これっぽっちか?」
大イカ「あぁ」
大イカが口を開き喋ると頷く。大イカは喋らないはずなのだ・・・実は、この大イカは鬼太郎を食してしまったが・・・
しかし、鬼太郎は普通の人間と違って、幽霊族の末裔の彼はそう簡単に死ぬような奴ではない。
鬼太郎が大イカの胃の中で消化されたものの、脳とちゃんちゃんこ、不思議なことに真紅、雛苺と契約した指輪を嵌めた薬指はしっかり残り、逆に大イカの頭に入って、
その脳を乗っ取ったのだ、先ほど魚をとってきた大イカは、すでに鬼太郎に操られている。
しかし、乗っ取ったのは良いが、鬼太郎は困ってしまった。イカの身体を支配したのはいいが、この醜い体では外に出ることも出来ずないのだ・・・
そこで鬼太郎は半漁人に元に戻してくれるように頼むが、意地悪でケチな半漁人はそれをうまく利用し、鬼太郎に魚を200トンをとってこいと言う。
もし断れば一生、イカのままだ。断るに断りきれない鬼太郎は仕方なく、半漁人の言うとおりに魚をとっていたのだ。
しかし、そう簡単に200トンになるような大きい魚なんて、中々思いつかない。
鬼太郎「(まずいことになったなぁ・・・。これじゃあ真紅たちにも顔向けできないや・・・)」
慣れないイカの身体で毎日疲れるも、その逆は真紅たち薔薇乙女だ。
彼女たちは今の鬼太郎の姿を見たらかなりのショックを受けるだろう。特に真紅、雛苺、蒼星石は鬼太郎に好意を持っており、
見られてしまったらショックどころか気絶かこんな姿となった元凶の半漁人を皮を剥いで八つ裂きにしかねない・・・。
逆に水銀燈は鬼太郎を反面好きということ想っているも、敵同士であるため、こんな姿の鬼太郎を見たら大笑いしながらバカにするに決まっていた。
鬼太郎「(なんとか早く元に戻らないと・・・)」
しかし、そう呟いていてもイカのままだ。鬼太郎は仕方なく、大きな魚を求めて沖の方まで泳いでいく。
あるときはマグロの群れを追い、あるときは大鯨と戦い・・・。それでも中々半漁人は「もういいぞ」とは言ってくれない。
鬼太郎「(雛苺が泣いてないといいけど・・・)」
と、まるで自分が出かけてる間に留守番をしている妹を心配するかのような兄のように雛苺を心配しながら、鬼太郎はまた魚をとっていた。
さて、その半漁人はと言うと・・・
鬼太郎が毎日鯨と格闘していると言うのに、その間に別のことで大忙しだ。
風呂敷包みを肩にかけ、「かまぼこはいらんかねー?」と、大声を張り上げながら海辺の村をペタペタ歩く。
半漁人は鬼太郎がとってきた魚で、かまぼこを作って売りさばいていたのだ。
海に住む半漁人は魚を美味く食せるコツを知っている。
村人にはこのかまぼこがとても味が良く、評判がものすごくよいのだ。
かまぼこを買いに来た人は「かまぼこ作るのうまいねぇ」と言われ、半漁人は嬉しかった・・・・何より金が手に入ることがだ。
すると、村人がこんなことを言ってきた。
村人「あんた、このかまぼこを大阪に出してみないか?。ここより結構儲かるよ」
半漁人「そうかい?、いっちょ大阪に出してみっかな?」
このスレを見て、SSを読んでいる皆様には大阪のことはご存知だろうか?
昔から食べ物にうるさく、名物のお好み焼きとたこ焼きが有名な町だ。
半漁人「(うししし・・・大阪で俺のかまぼこを売れば、俺はたちまち大金持ちだ!)」
半漁人はわくわくしながら、かまぼこを持って、大阪へ向かった。
そして、大阪でかまぼこを売り歩いていると・・・。
大阪のそば屋「こ、こらうまい!!」
大阪のうどん屋「こないうまかもんは食べたことないわ!」
大当たりだった。味の良いかまぼこなので大評判なのは当たり前だ。
あちこちの店から「うちでおろしてくれんか!?」 「うちも扱いたいで!」と声がかかり、飛ぶように売れて行く。
半漁人「イヤッホゥゥウウ!!うれちい!」
もう笑いが止まらなかった。村で売りさばいていたのとは大違いでだんだん売れて行く。
金ががっぽがっぽと入ってくる。半漁人はそろばんをはじいてる間にも、瞬く間に何百万も金額が現れた・・・正直うらやましい。
半漁人「うわ・・・こんなにたまっちまったなぁ。まぁ、今までカメを追いかけてるときは無一文だったからなぁ・・・」
そう半漁人は昔の自分を思い浮かべながらしみじみに思った。今は全然違う。
半漁人「よし!、もっともっと稼いで陸に家を建ててやろう!」
半漁人はそう言って笑う。海の妖怪のくせして、陸に住みたがるとはなんという変な妖怪だ。・・・多分、他の海の妖怪からは嫌われるだろう。
・・・・・・。
─その頃、真紅たちはと言うと・・・。
真紅「あら、またババを引いたようね」
水銀燈「なっ!?」
目玉おやじ「お主もババが好きじゃのぅ」
水銀燈「はぁ!?、好きで引いているわけないじゃないのぉ!、バカじゃないのぉ!?」
ねこ娘「・・・と、油断している隙に。私はあがりよ」
雛苺「ヒナも上がりなのー!」
水銀燈「!!!」
翠星石「翠星石もあがりですぅ」
水銀燈「あ・・・あ・・・!」
目玉おやじ「よっと、ワシもあがりじゃよ」
真紅「残念だったわ、水銀燈。私もあがりね」
水銀燈「な、なによ・・・・なによ・・・なによ、何よ何よ何よ何よ何よ何よ何よぉぉおお!!!」
トランプでババ抜きをやっていた。もちろん水銀燈は何回も負けている、それのせいかかなりみんなにいじられているので・・・かなり涙目だった。
あの邪悪な笑みを浮かべていた水銀燈がここまでいじられて泣くのも珍しいものだ。ぬらりひょんが見たら絶対に弱みを握られるだろう。
蒼星石「(もう、みんな水銀燈には厳しいんだから・・・)」
水銀燈「ひぐっ・・・ぐすっ・・・ふぇぇぇ」
自分の長女が自分に泣きいてきて、優しく頭をなでながら、昼食を作っていた蒼星石は苦笑しながらみんなを見つめていた。
蒼星石「(鬼太郎さんにも、食べてもらいたかったなぁ・・・)」
そう思いながら、鬼太郎の大好物のビーフカレーを作っていた。
今回はここまで。
水銀燈ファンの皆様、そして水銀党員の皆さますみませんでした。
銀様を可愛くしようとしてやってしまいました。今は反省してます・・・
ハルヒ=続編好調・フィギュア新モデル続々・映画化
なのは=続編好調・フィギュア新モデル続々・映画化
ローゼン=なしですぅ・なしですぅ・なしですぅ←www
決勝占有率はらきすたとナージャ
単独勝数はなのは
本戦記録は咲にまで破られたローゼン
通算勝利も今年咲となのはに抜かれて終了
もともと初年度優勝も逃してる陣営、ローゼン
141 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/06/18(金) 01:37:00 ID:J+XXgKQF
保守
143 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/12(木) 16:13:13 ID:EcDTrjsN
ho
今回の「かまぼこ」ですが…これも肉人形同様見覚えがありますね。
これって確か鬼太郎のアニメの第2作でやってたストーリーじゃありません?
>>144 あっ、やっぱりお気づきでしたか?
『かまぼこ』は鬼太郎の2期でやった話です、肉人形もPS版鬼太郎のゲームソフトの話を元にして書いています
やはりそうですか。
肉人形…アレはもうホントに怖かったですね〜。
プレイした当日、夜眠れなかった事がありましたよ。
誰も居ないけど、久々に投稿
・・・・・・。
鬼太郎がイカになってから、半漁人の言われたとおりに魚を獲ってきてから、何週間が続いた、ある日の夕暮れのこと・・・。
鬼太郎「おい、半漁人。もういいだろ?」
今日も浜辺に魚を運んできた鬼太郎が、ぐったりした声で半漁人に言った。
彼のすぐそばには、マグロやカツオ、鮭が山のようにどっさり積まれている。
半漁人「とんでもねぇ!。おいお前、イカになって頭が悪くなったんじゃねえか?」
半漁人は、全然「うん」と言ってくれず・・・厳しい声でそう言うだけだ。
鬼太郎は長い脚で頭を掻きながら首をかしげた。
鬼太郎「そうかなぁ?、もう二、三百トンは獲ったぞ?」
半漁人「まぁだまだ!。もっとがんばれよ、元の姿に戻れないぜ?」
半漁人にそう言われると、鬼太郎は「嫌だ」とも言えない。
鬼太郎「仕方ないな。分かったよ・・・」
そうブツブツ言いながら、また海の方へ出かけて行った。
半漁人はその姿を笑いながら見送る、そしてうっかり、本当のことを口走った。
半漁人「うひひひひひひ・・・。あいつ、すっかり騙されているとも知らないで・・・。もちろん魚はとっくに二百トンになってるぜ。
だがそれを教えたら、もうあいつは魚を獲らないだろうからな」
そうなってしまえば、半漁人はもうお金をもうけることができなくなる。
なので半漁人はウソをついていたのだ。
半漁人「おめぇは永久に俺の奴隷だ!。お金をガバチョと儲けて幸福になってやる!」
半漁人がそう呟いたとき・・・。突然海の中からイカの巨大な足がぬるぬると飛び出して来たのだ。
半漁人「きゃっ!!」
たちまちグルグル巻きにされる半漁人。
実は鬼太郎は海に出かけたふりをして、すぐそばで半漁人の話を聞いていたのだ。
>>147 鬼太郎「一体いつまでイカにしたおくんだ!?」
騙されていたとはっきり知り、怒った鬼太郎は半漁人をグイグイと締め付ける。
鯨さえ捕らえる大イカの力には、流石の半漁人も敵わない!。
半漁人「よ、よせ!。俺を殺したって、鼻汁しか出ねぇぜ?!」
苦しそうにそう叫ぶが、鬼太郎は力を緩めようともしない。
なんとかして半漁人を懲らしめてやろうと、その体をしっかりつかんだまま尋ねた。
鬼太郎「だから、いつ元の姿に戻してくれるか聞いているんだよ」
半漁人「なんだぁ?、そんなに元の姿がいいのか。さてはおめぇ、元々陸の妖怪だから、海のことには弱いんだな?」
鬼太郎「いらんことを言うな!、早く陸にあげろよ!!」
いちいち減らず口をたたく半漁人を、鬼太郎は尚もギュウギュウと締め上げた。
これは苦しい!たまらない。
半漁人「グェェェ!!、わわわ、分かった!分かったよ!!元に戻してやるよ!。まず苦しいから、離してくれ!」
半漁人はついに負けを認め、鬼太郎はそれを聞くとすぐ半漁人を離してやった。
半漁人「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ああ苦しかった」
半漁人はぜいぜいと荒く息を継いでいる。鬼太郎はじれったそうに、それを睨みつけた。
鬼太郎「どうしてくれるのさ?」
半漁人「ま、慌てるなよ。今に小さくしてくれる。」
そう言いながら汗をふき、半漁人は岩の上にペタリと立ち、海の方を眺める。
半漁人「うん!いい夕日だなぁ・・・」
ここまでにします。
続きは夜辺りに投稿します・・・
海の彼方に沈んでいくオレンジ色の夕日は、確かにとても美しかった。
だが、鬼太郎は早く元に戻りたいので、そんなことはどうでもよかった。
鬼太郎「おい、いつ元に戻すんだい?」
いらいらしながら鬼太郎は尋ねた。すると、話をごまかしていた半漁人は嫌らしくニタリと笑い、少し離れた海岸を指を指した。
丁度灯台が経つ辺りだ。
半漁人「じゃああの、人の行かない岬で待っててくれよ。すぐ行くからさ」
鬼太郎「本当だろうな?、すぐ来てくれよ」
鬼太郎は念を押して、今度こそ海の中にもぐった。
半漁人はそれを見て、またも意地悪そうに笑みを浮かべる・・・。
・・・・・・・・
それから、一時間がたった。鬼太郎はイカの姿で海岸にベットリと横たわり、半漁人が来るのを今か今かと待っていた。
鬼太郎「遅いな・・・ばかに待たすじゃないかぁ・・・」
中々姿を見せない半漁人に、鬼太郎はイライラしながら呟いた。
鬼太郎「(陸の上も懐かしいけど、今のままじゃまともに歩き回ることもできない。それに父さんや真紅たちに顔向けできないよ・・・早く元に戻りたい・・・)」
彼がそう思ったときだ。ようやく半漁人が、ひょっこりと現れた。
鬼太郎「おい、待ってたぞ。遅かったじゃないか」
半漁人「悪ぃ悪ぃ、こいつを用意するのに時間がかかっちまった」
謝りながら、半漁人は何かを取り出した。
それは、黒くて丸いボールのような物だ。サイズは大きなスイカほどもあるだろうが。
半漁人「さぁ、これを食うんだ」
鬼太郎「何だこれは?、紐が付いてるじゃないか」
鬼太郎の言うとおり、ボールから一本だけ長い紐が延びている。
鬼太郎「(薬とも思えないし・・・一体これは何なんだ?)」
だが、半漁人は答えなかった。
半漁人「黙って食べれば、元に戻れるんだ」
そう言って、ボールを鬼太郎の口に放り込んでやった。
モシャモシャモシャ・・・
>>150 言われるままに鬼太郎はボールを食べる。なんだか薬とも鉄ともつかない奇妙な臭いが口の中に広がっていく。
ついでに、長い紐も口の中に押し込もうとすると、半漁人が慌ててそれを止めた。
半漁人「おっとと、その紐も飲み込んじゃぁだめだ!。こいつが秘伝なんだから」
半漁人は、鬼太郎の口の中から飛び出した紐を掴みあげると、続いてもう1つ何かを取り出す。
手のひらにすっぽりと収まる、小さな紙製の箱だ。そちらは鬼太郎もよく知っている。
マッチ箱だ。
半漁人「ちょっと火を付けるから・・・」
半漁人がサッとマッチを擦った。たちまち点った火は、すぐ長い紐へと移る。
そしてその紐に伝い、段々と鬼太郎の近くへ・・・。
鬼太郎「(火?おかしいな・・・)」
黒い玉から紐が延びていて、それに火を付けるなんて・・・。鬼太郎はそう考えた。
鬼太郎「(これってまるで・・・しまった!これは爆弾だ!!)」
鬼太郎が気付いた時にはもう遅かった、半漁人は鬼太郎に背中を向けると、海岸へ向けて一目散に走って行った。
鬼太郎「待て!!逃げる気だな!」
鬼太郎がそう叫んだ途端、半漁人はザボンと海に飛び込んだ。
その途端・・・・。
ボッカーーーーンッッ!!!
真っ赤な炎と黒い煙が海岸を覆い、鬼太郎もろ共、全てを吹き飛ばしてしまった。
辺りの岩は燃え、灯台も瞬く間に崩れ落ちる。
その有様を波間から眺めながら、半漁人がおかしそうに大笑いした。
半漁人「はははははははっ!!。バカな奴だな!。ダイナマイトを食べさせて火につければ誰だって爆発するぜ?。
これでまた、かまぼこの原料がでけたぁ!ははははははっ!!」
・・・・・・・・
それから何日かした、ある日のこと・・・。
水銀燈がゲゲゲハウスに泊まりに来てから、
真紅たちが心配になって翠星石とゲゲゲハウスに泊まりに来ている蒼星石(おばばのお古の着物を着ている)は妖怪横町から人間の町に買い物を済ませて横町に戻ろうとしていた。
蒼星石「おかしいな・・・もう今日のご飯のおつかいには終わったのに、まるで誰かに呼ばれてるみたい・・・」
そう言いながら、うろうろとしていると・・・。
蒼星石「ん?」
ふと、彼女は奇妙な物が目に止まった。
魚屋に並ぶ、いくつものかまぼこ。どれも真っ白なその中に、一つだけ模様の黄色と黒のしましま模様に薔薇の模様・・・・。
そう、鬼太郎のちゃんちゃんこと薔薇乙女と契約する指輪とまったく同じ柄だ。
蒼星石「わぁ・・・最近は面白いかまぼこが売ってあるんだ」
蒼星石はそう言って、かまぼこを手に取ってみた。かまぼこを手に取ってみて、何故か自分の頬が赤くなる、だがその途端に・・・
蒼星石「これって・・・鬼太郎さん!?」
蒼星石は、砂かけ婆と契約して以来、不思議と妖怪の妖気を感じ取るようになっていた。
彼女が手にしたかまぼこからは、ほんのわずかに鬼太郎の妖気が漂っているのだ。
これは鬼太郎模様のかまぼこなのではない・・・これは間違いなく、かまぼこになった鬼太郎だ。
蒼星石「(どうして鬼太郎さんがかまぼこに?。大変!早くなんとかしないと・・・!)」
魚屋「へいらっしゃい!」
蒼星石「おじさん!、このかまぼこください!」
魚屋「へい!毎度!」
蒼星石は、急いでこのかまぼこを買うと、すぐにこのことを目玉おやじと真紅たちに知らせようと急いで妖怪横町に向かい、ゲゲゲの森へ飛んで帰って行った。
これと同じことが、ねこ娘やろくろ首たちにも起きていた。
みんな町へふらりと出掛けては、しましま模様と薔薇の模様のかまぼこを見つけて、大慌てで帰ってくる。
それというのも、実は鬼太郎が霊派を飛ばして、仲間たちを呼び寄せているからだった。
確かに鬼太郎は、半漁人の手でイカからかまぼこにされた。
だがそれは、形が変わっただけのこと・・・幽霊族の末裔であり、ゴキブリよりも上回る生命を持つ鬼太郎にとってはこんな姿になっても生きているのだ。
しかし、このまま時間がたてば、いずれはゴキブリでも上回る生命でも、本当に死んでしまう。
そこで、自分のピンチを仲間に知らせようと、霊派を飛ばしてみんなを町へ呼んだのである。
この話は目玉おやじと薔薇乙女たちの耳に入った。
真紅「(やっぱり、あの寒気はこんな事態だったのね・・・鬼太郎!)」
真紅は、かまぼこを見ながら今にも泣きそうな表情になっていた。
例え鬼太郎をこき使っても、鬼太郎はミーディアムよりも大事な存在なのだ。
蒼星石、翠星石、雛苺、金糸雀も真紅と同じだ、何故鬼太郎がこんな姿になってしまったのを・・・。
水銀燈に至っては、笑い事では済まなかった、拳を握り、鬼太郎をかまぼこにした犯人を心の底から憎んでいた。
水銀燈「(私の手で鬼太郎を手ゴマにしたかったのに・・・かまぼこにしたそいつを見つけ次第、ただじゃおかないわぁ・・・!)」
>>152 目玉おやじ「こりゃあ天下の一大事じゃ! みんな!この金でかまぼこを買い占めるんじゃ!」
目玉おやじの足元には、かなり大量にたまった一万円札が置かれていた。
それにねずみ男が目を付けた。
ねずみ男「おぉぉぉおおお!?、こんなに大金があったのかよ!?」
ねずみ男はお札に手を出そうとしたがね誰かに手をはたかれた。
砂かけ婆でもねこ娘でもない・・・彼の目の前には怒った表情で睨みつける真紅が居た。
先ほど、ねずみ男の手をはたいたのは真紅である。
真紅「貴方って妖怪はどこまで愚かなの?、これは翠星石からの借金よ!。鬼太郎の命が関わってるのよ!!」
真紅がねずみ男に向かって怒鳴ると、薔薇乙女たちも一斉に睨みつける。このプレッシャーに耐えきれず、ねずみ男は縮みこまってしまった。
そして、目玉おやじと真紅の号令のもと、薔薇乙女と妖怪横町に住む妖怪たちは鬼太郎かまぼこを求めて、一世に人間の町へ繰り出していった。
ところがそうなると、人間たちの方もびっくりだ。
何しろ、可愛い女の子と一緒に妖怪が買いに来るのだから。
翠星石「ご・・・ごめんですぅ」
練り物屋「はいはい、何だねお穣ちゃん」
呼子「おじさん、このかまぼこくださいな」
ある店では、翠星石がかまぼこを買いに来ているが、人見知りな彼女には無理な任務だ。
そこで1つ目に一本足の妖怪「呼子」と一緒に現れて、かまぼこ代を渡してきた。
翠星石を見て優しく笑った直後に呼子を見てしまい、お店の人にとっては、こんな恐ろしいことは無い。
練り物屋「キャーっ!お化けだー!!」
お金を受け取ろうとせず、どこかへ逃げてしまう。
翠星石「あっ逃げたですぅ」
呼子「ありゃりゃ、翠星石、どうしよう?」
翠星石「迷ってる暇なんかないですぅ!、さっさとお金を置いてかまぼこをかっぱらうですよ!」
呼子はそれを見て頭をポリポリ掻いて申し訳なさそうだったが、翠星石にとっては見知らぬ人間が居なくなって迷わず鬼太郎かまこぼを持っていく。
翠星石「何してるですかぁ?、さっさと来やがれですぅ!」
呼子「あぁ、うん」
翠星石にどやされて、呼子は彼女のあとについていった。
今回はここまでにします・・・
次は梅岡を出そうかと思いますので・・・ノリとテンポが悪くてすみません。
155 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/26(木) 03:21:42 ID:7jrCSxDv
ほ
もうこんな事態になってましたか。
鬼太郎を元に戻したら、後は半漁人への仕返しだけですな。
157 :
かまぼこ -Kamaboko-:2010/09/10(金) 04:01:43 ID:/I59QP20
また中には、既に買われてしまったかまぼこもある。
そんな時は、ねずみ男とねこ娘の出番だ。例えばあるそば屋では・・・
ねこ娘「ごめんください」
ガラガラと扉を開けて尚且つ、企業の制服を着て、めがねをかけて変装しているねこ娘は、そのまま奥の調理場へ・・・。
そこでは、そば屋の主人が別の店から買った鬼太郎かまぼこを、そばの具にしようとしているところだった。
ねこ娘は平然とした態度で、主人に話しかけた。
ねこ娘「申し訳ございませんがお客様、そのかまぼこを譲っていただけませんでしょうか?」
そば屋「え?、何故ですか?」
そば屋の主人は唖然とし、ねこ娘に問いかけた。
するとねこ娘は主人の問いかけにこう答えたのだ。
ねこ娘「実は、そのかまぼこには危険物質が含まれておりまして、お客様に被害が及ぶ前に私たち企業はそれを回収しているのです」
主人は目をパチクリしながらねこ娘の話をあっさりと受け入れてまな板の上のかまぼこをすぐさまラップに包み、ねこ娘に渡した。
そして、ねこ娘は鬼太郎かまぼこと引き換えに、「申し訳ございませんでした」と詫びを入れ、籠の中から普通のかまぼこを取り出して主人に手渡し、そのまま持っていった。
柏葉巴「桜田君、今の人って企業の人かしら?」
桜田ジュン「さぁ・・・?」
そして一歩のねずみ男は、金糸雀を連れてあるアパートで・・・
ねずみ男「ちょっと失礼するよ」
ガチャッとドアを開けて入ってきたねずみ男は、すぐさま男・・・梅岡がかまぼこを切ろうとしているところを発見した。
ねずみ男はねこ娘とは正反対な大きな態度で、梅岡に話しかけた。
ねずみ男「あんた、さっきの店でかまぼこ買っただろ?」
梅岡「はぁ?」
いきなり汚い男がズカズカ入ってきて、変な事を尋ねるものだから、梅岡は目をパチクリする。
だが、ねずみ男の後ろに居た金糸雀はお構いなしに、ピョンと、飛ぶとまな板の上のかまぼこに手を伸ばす。
金糸雀「ねずちゃん!これかしら!」
梅岡「コラ!、何だね君たちは!?、一体誰だね!」
ねずみ男「やかましい!」
怒る梅岡に向かって、ねずみ男はふーっと口から息を一吐きする。
生まれてから一度も、歯を磨いたことのないねずみ男だ。
その口の臭さときたら、人間や妖怪、悪魔とドールにはとても耐えられない!。臭い!臭すぎる!。
梅岡「ぶるぁああああああ!!!」
たちまち梅岡はばったりと気を失ってしまった。
ねずみ男「カナ、お前大丈夫だったか?」
金糸雀「ねずちゃんの臭い臭い口臭はもう慣れたかしら、早くこいつが目がさめないうちにかまぼこ持って撤収かしら〜!」
ねずみ男「へいへい、やれやれ・・・鬼太郎の奴かまぼこなんかになっちまって、偉いことだよ」
ねずみ男はそう呟くと、鬼太郎かまぼこを持っている金糸雀を抱えて帰って行った。
>>157 こんな調子で、あちこちで妖怪たちとドールズががんばっているものだから、人間の間でもその噂でもちきりである。
主婦「のりちゃん聞いた?、近頃変な人たちが町を歩いているのを・・・」
桜田のり「まぁ、そうなのですか?」
主婦2「そうなのよ、何でもかまぼこを持っていくのよ」
もちろん、人間には、妖怪たちとドールズが何故そんな事をしているのか、分からない。
だから、ただ首をかしげるばかりだった。
・・・・・
そして、やっとゲゲゲの森に、鬼太郎かまぼこがどんどん集められた。
真紅「これで全部ね」
蒼星石「みんな集まって良かった・・・」
最後の一本を、水銀燈が持ってくると、ようやく一安心。
だが、のんびりしているわけにはいかないのだ。
目玉おやじ「では、薔薇乙女たちよ、このかまぼこを持って恐山(おそれざん)の地下にある妖怪再生病院に行くんじゃ!」
数にして100本ほどのしましま模様と薔薇の模様のかまぼこを見ながら、目玉おやじは言った。
ここでも、このスレを見て、呼んでいる皆様はもうご存知であるだろう・・・
恐山というのは、青森県にある大きな霊場で、その地下には、妖怪の為の病院が人知れず人知れず隠されている。
決して、某嵐を呼ぶ幼稚園児の映画に出てきた「あ、それ山(ざん)」ではない。
かわうそ「真紅たちはnのフィールドで急いで病院に来てくれよ。早く行かないと鬼太郎が危ないんだ!」
真紅「えっ・・・!」
蒼星石「真紅、戸惑ってる暇は無い!早く行こう!」
ドールズは100本ばかりのかまぼこを持って、急いでnのフィールドから恐山の妖怪再生病院に向かった。
ちなみにかわうそは、その代金代わりとして鮎を獲りに川に向かった。
・・・・・
今回はここまでにします。
梅岡の他にジュンたちも出したのですが、ジュンが何でそば屋でトゥモエと一緒に居るのかは・・・気にしないでください。
次は多分、今夜投稿します。
寝過ごした、今から投稿します
それから三ヵ月後・・・。
かまぼこでたっぱりと儲けた半漁人は、海を離れ、大きな家を建てて住んでいた。
静かな田舎の中の一角にたたずむ、現代的なデザインの立派な豪邸だ。
まったく妖怪には似合わないが、半漁人は大満足だ。
半漁人「うっうっ・・・おらぁ、前からこういう生活がしてみたかったんだ・・・!」
うれし泣きしながらそうそう呟く半漁人は、うろこだらけの体の上に背広を着て、すっかり人間になりきっていた。
陸の上での暮らしは、思っていたよりもずっと楽しい。
掃除の行きとどいた家の中で、テレビを見たり音楽を聴いたりしながら、のんびりと過ごす日々は、こたえられないもの。
それに、食べ物にも困らない。
海に居た時みたいに魚やウミガメを追いかけまわさなくても、すぐにお金で買えるのだ。
そんな半漁人の好物はと言うと・・・、魚やウミガメでもない。
ゆでた豆と切った果物を盛り合わせて、甘い蜜を垂らしたデザート・・・「蜜豆」だった。
半漁人は毎日、家で蜜豆を食べて暮らしていたのだ・・・そんなに食べたら糖尿病になりそうだが、彼もお化けだから病気は無い。
ただし、その蜜豆を作るのは、半漁人ではなく、メイドの仕事だ。
半漁人「おいアンタ!、蜜豆を持ってきてくれ」
今日も半漁人は背広姿で、メイドの少女に偉そうに命令する。
少女「はい・・・」
少女はすぐに返事すると、蜜豆を作るために台所へと向かった。
少女「私、どうしたらいいんでしょう・・・・・・。逃げるに逃げれないわ・・・」
沈んだ声で独り言を言いながら、少女はおとなしく豆をぐつぐつゆで始めた。
この少女は元々、「メイド募集」の広告だけを見て、その主人が半漁人だとは知らずにやってきたのだ。
なので主人がうろこだらけの恐ろしい妖怪だと知った時は、思わず震えあがった。
しかも非道な半漁人は、ことあるごとに少女を脅してくる。
半漁人「お前、おいしい蜜豆を作らなかったらかまぼこにすっからな」
半漁人にそう言われてしまうと、少女の方も怖いから、言うことを聞くしかない。
何しろ相手は妖怪だ、冗談ではなく、本当に彼女をかまぼこにしてしまうのだ。
それでも少女は、蜜豆を作りながら思い切って半漁人に訪ねた。
>>160 少女「あの、ご主人様。私はいつまでここにいなければならないのですか?」
半漁人「いつまでって、ずっとだよ?」
少女「でも・・・でも私はここには三ヵ月だけ働く約束で来たのに、もう四ヶ月ですよ」
半漁人「しょうがないじゃん、代わりがいないんだもん」
少女「代わりが居ないのは代わりを頼まないからじやないですか・・・」
少女は涙目になりながら悲しそうに言う。
自分がこの家に来てから後、半漁人が広告だかお金をケチって、新しいメイドを募集してないのをちゃんと知っているからだ。
しかし、半漁人は知らぬ顔だ。
半漁人「どうせいまどき、人が居ないよ」
そう言って、少女の話など聞く耳も持たない。
だが2人がそんな話をしていると、いきなり玄関の方から・・・
???「ごめんください」
と、二つの声が聞こえてきた。
少女「あら?、誰か来たわ」
突然のお客に少女が蜜豆を作る手を止めた。
しかし半漁人はそれが面白くない。
半漁人「あぁ、君は出なくていいよ。代わりに俺が行くから、早く蜜豆を作るんだ」
そう言い残し、玄関の方へペタペタ歩いていく。
するとそこには、2人の女の子が居た。
一人は頭にピョコンと飛び出た・・・つまりアホ毛にリボンを付けて、水玉模様の真っ赤なワンピースを着た女の子だ。
ただ、何故か前かがみが左側だけが伸びて、左目を隠している。
もう一人は金髪のポニーテールで、肌が人形のように白く、透き通った水色の目を輝し、顔はかなりの別嬪だ。
そして、薔薇のブローチを付けてどこかの国の人形が着る赤い洋服を着ている。
この2人はまるでそう、鬼太郎と真紅みたいだ。
金髪の女の子「ごめんくださいまし・・・あら困ったわ、お留守でしょうか?」
真紅によく似た少女に言われて、半漁人は急いで返事をした。
半漁人「居るよ居るよ、あんたたちはいったい誰だね?」
片目の女の子「はじめまして、私たち、ここのメイドとしてお仕事をしたいのですが・・・」
半漁人「あら?、それほんと?」
金髪の女の子「本当ですわ、そうでございませんでしたらここまで来る必要はありませんわ。おほほ」
半漁人が驚いて話しかけると、右の金髪の子はお嬢様口調で言い返す。
思わぬところへやってきた2人のメイドに、ついデレッと頬を緩めてしまった。
その途端に、半漁人は金髪の女の子の手を握ったのだ、どうやらかなりの美しさに惚れこんでしまったのだ。
半漁人「ねぇあんた、俺のお嫁さんにならない?」
いきなり半漁人は彼女に結婚宣言をしたのを、片目の女の子は驚いた。
しかし、金髪の女の子はムスッと表情を変え、自分の手を握っている半漁人を払いのけた。
金髪の女の子「失礼ですわね!、レディの手をいきなり握るなんて・・・破廉恥にも程があります!。それに私は仕事で来ましたので、お婿様探しに来たのではありません!」
金髪の女の子はは厳しく言うと、半漁人を睨む、だが片目の女の子に窘められた。
一方の半漁人はきょとんと佇んでいた、普段なら「嫁にならないならかまぼこにするぞ」と脅しかけてくるも、何かのプレッシャーに押されて脅すにも脅せなかった。
こうして、突然現れた2人の女の子は、前のメイドと交代し、その日から半漁人の家で働き始めた。
今日はここまでにします、なんか真紅の出番が少ないような・・・
次から真紅の出番をもっと増やします。
さすがの半漁人も女王様気質の真紅には敵わない様ですねwww
あとちょっと終盤です。投稿します
片目の女の子は優秀なことと言ったらない。
家事は何でもきちんとこなし、良く気が利いて、半漁人のやってほしいことを何でも先回りしてやってくれる。
それに何より、彼女が作る蜜豆がとても美味だ。
半漁人「うん、うめぇや」
片目の女の子が作った蜜豆を食べるたびに、半漁人はにっこり笑う。
・・・・さて、金髪の女の子はと言うと
ガッシャーン!!
金髪の女の子「あぁっ!!」
片目の女の子とは正反対に、家事をやってもダメ、蜜豆を作ろうとしても・・・
半漁人「ちょっ・・・おまっ!、焦げてる焦げてる!!」
金髪の女の子「大丈夫ですわご主人様、よく言いますわよ?。料理はちょっと焦げた方がおいしいと・・・」
半漁人「確かに焦げたら美味いがどんな料理でも焦げてれば美味いってもんじゃねーよ!!、黒い煙が毒ガスみたいに出てるじゃねーかァァァ!!」
あっという間に、彼女が作るとその蜜豆は蜜豆だった物に変身してしまう・・・。
これに関しては半漁人は脅すにも脅せず、逆に呆れかえってしまうのだ。
脅そうとするも・・・
金髪の女の子「ご、ごめんなさい・・・ご主人様ぁ」
美人なのが幸いか、涙目になりながら半漁人に謝る金髪の女の子の姿は本当に可愛らしかったので、半漁人は脅せなかった。
そして、彼はふとこう思った。
半漁人「(なるほど、これが巷に聴く「ドジっ娘」か・・・)」
そのたび、金髪の女の子が失敗しても、すぐに片目の女の子が金髪の女の子の代わりでやってくれる。
だが、片目の女の子を手伝おうと金髪の女の子がモップを持ってこようとした時には、半漁人が彼女を止めることもある。
金髪の女の子「あの、ご主人様・・・私は何をすればよいのでしょうか?」
半漁人「何もしなくていいよ!、見つめてるだけでいいから!」
・・・と、なんやかんやで半漁人はにっこりと笑う、これには金髪の女の子はゴミを見るような眼で見つめていた。
そんなこんなで、もうすっかり、この女の子たちのことが気に入ってしまった。
そんなある日のこと・・・。
片目の女の子「あのぅ、ご主人」
今日も蜜豆をムシャムシャ食べていた半漁人に、片目の女の子が話しかけてきた。
半漁人「なにっ?」
片目の女の子「ご主人、あなたはそんなに人間生活に憧れていらっしゃるなら、いっそ人間になられたらどうでしょうか?」
半漁人「なんだ、何を言うかと思えば・・・」
半漁人は、呆れかえってしまった。
妖怪から人間になれだなんて、無茶もいいところだ。
半漁人「バカッ!。妖怪から人間になることができるか」
半漁人の言うとおりだ、妖怪は妖怪、人間は人間。
そう簡単に変わることなんてできないはずだ・・・・。
半漁人はそう思うのだが、今度は金髪の女の子が平気な顔で言い返した。
金髪の女の子「何をおっしゃいますの?。近頃では医学が進んでましてよ?、男が女になったり、女が男になったりするのが、ざらにありますわ。
妖怪から人間になることも、簡単ですわ」
>>164 半漁人「ほ、ほんとか?」
金髪の女の子「本当でしてよ。もしかして知りませんでしたの?」
金髪の女の子は口をとがらせた。
そして次に片目の女の子が、半漁人に次々と驚くべきことを教えていく。
片目の女の子「この先のあばら家に妖怪病院が開設されています。そこへ行けば、すぐに人間にしてくれますよ」
半漁人「ほ、ほんとか!?」
なんと、そんな近くに自分を人間にしてくれる病院があったなんて・・・。
半漁人は驚きと喜びで胸を弾ませた。
もし本当に人間になれるなら、こんなにありがたいことはない。
すっかり見飽きたウロコだからけの体ともうおさらばしたかったのだ。
半漁人「は、早いとこ連れてってくれ!」
金髪の女の子「では早速・・・行きましょお姉さま」
金髪の女の子が立ちあがると、片目の女の子はこくりと頷き、半漁人を連れて家を出た。
そして・・・三人が行きついたのは、いくつもボロ小屋が固まっている。
女の子たちはその一軒の前で足をとめた。
片目の女の子「ここです、手術は簡単です」
片目の女の子にそう言われて半漁人が中に入ろうとした・・・その時に・・・
???「お腹が痛いよ!!お母さぁん!」
どこからともなく、女の子の苦痛の声が大きく響いた。
半漁人はびっくりして中を覗くと、そこには変わった親子が中に居たのだ。
子供の方は、ボーイッシュな髪形をして帽子をかぶり、目は赤と緑のオッドアイ、男の子が着る短パンを穿いて、男の子用の服を着ていた。
その子はどうやらお腹の痛さで苦しんで泣き叫んでいたのだ。
そして、その母親はまったくもって信じられなかった。
美しく光る銀髪のロングヘアーで、普通の女性が着る服装をしているも・・・身長が人形みたいな大きさであった。
母親は、困った顔をして腹痛に痛がる子をなだめている、しかし2人の顔立ちからして・・・水銀燈と蒼星石みたいだ。
ボーイッシュの女の子「痛いよぉ!手術なんてやだぁ!!」
銀髪の母親「わがまま言わないの。大丈夫よ、見てもらうだけだから」
ボーイッシュの女の子「やだやだぁ!!お医者さんきらーい!!」
ボーイッシュの女の子は泣きわめきながら、母親に引きずられ診察室のような部屋に入って行った。
そのような変わった光景を見ながら、半漁人は金髪の女の子に話しかけた。
半漁人「なぁ、ここってあんな変わった親子も来るのか?」
金髪の女の子「あら?、言い忘れてましたわ。あの親子はここの常連様でしたわ。おほほ」
金髪の女の子はそう答え、片目の女の子と半漁人と共に中に入っていく。
中に入ると、生温かい空気が漂う不気味な部屋に、白衣を着た医者が何人も集まっている。
手が砂だらけの医者に、泣き顔をした医師頭の医者、猫のような目の医者に、ねずみみたいな顔の医者。
さらには白い布のような医者や、大きな壁のような医者、そして驚くことに、アンティークドールのようなナースたちまで居たのだ・・・。
ところが、不思議なことに、先ほど入って行ったあの親子の姿がどこにもなかったが、半漁人にはそんなことはどうでもよかった。
二つに分かれたロール髪のナース「では、横になってくださいですぅ」
二つに分かれたロール髪のナースが、半漁人に言う。
そして小さな目玉の医者が、半漁人にこう言った。
目玉の医者「えー、これより、手術を始めます」
半漁人「よろしく頼む!」
半漁人はウキウキしながら背広を脱ぎ捨て、ベッドの上に横たわった。
この後どんな運命が待ち受けてるとも知らないで・・・影の隅であの腹痛で痛がっていた女の子の母親がクスクスと笑っていた。
今回はここまでです。
自分で書いて難ですが・・・真紅がドジっ娘を演技してしまうとドラマCDを思い出してしまいます・・・
次回でこのssも終わりが近いです
167 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/12(火) 00:54:00 ID:V0ymztlk
ほ
完結待ち保守
170 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/01/07(金) 00:39:09 ID:hb+AL+OK
171 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/12(土) 01:33:44 ID:KVYsw9qS
過疎
待ち
・・・半漁人が手術してから、もう一週間がたち、まもなく半漁人は人間になった。
もう体には、うろこ一枚生えてなく、鋭い歯や爪はすっかりまるまり、足のひれもどこへやら・・・。
長く伸びたざんばら髪も短くなって、妖怪の面影すらないのだ。
半漁人
「や・・・やった・・・俺は人間になったんだぁ!」
鏡を見て大はしゃぎ、挙句の果てには嬉しくて号泣してしまった。
しかし・・・そんな喜びもひと時だった。
その翌日、半漁人が目を覚ますと、家の戸をどんどんと叩く音がした。
半漁人
「何だよ・・・人がせっかくいい気持ちで寝てるのに・・・」
ぐっすり寝ているところを邪魔され、半漁人はかなり不機嫌に玄関まで歩いていく。
玄関に出てみると、見知らぬ男が立っている。
半漁人「どなた?」
税務署の男
「おはようございます!。税務署から税金をいただきました」
半漁人
「ぜ、ぜいきょん?・・・なんだそりゃ?」
税務署の男
「いや、「なんだそりゃ?」って・・・あなた人間なのに、税金を知らないのですか?」
男にそう言われてしまい、半漁人は目をぱちくり。
税金を知らないのも無理は無い、彼は長い間、妖怪の姿で暮らしていたものなのだ。
半漁人はこう男に答えた。
半漁人
「さぁ?知らんなぁ」
税務署の男
「そんなことじゃ困りますよ!?。ちゃんと人間になったんだから、きちんと国にお金を納めてください!」
いきなり、きつく叱られてしまった。仕方なく半漁人はしぶしぶとお金を男に渡す。
男は「ありがとうございました!」と言って、去っていった・・・半漁人はやれやれと呟いたときに、また別の客人がやってきた。
客人
「ごめんください」
>>173 半漁人
「今度はどなた?」
社会保険庁の女性
「『社会保険庁』の者です」
半漁人
「し、しかいほぜんちん?」
社会保険庁の女性
「社会保険庁です」
半漁人
「それが何の用なの?」
社会保険庁の女性
「はい、半漁人さんが人間になったと聞いて、今月分の年金を納めてもらいに来ました」
半漁人
「へっ!?。そいつぁ税金とは違うのか?」
社会保険庁の女性
「別ですよ!!。ちゃんと毎月払ってもらいますよ!」
またもや、きつく叱られてしまう、そしてまたもや、お金を渡す。
>>174 半漁人
「ち、ちくしょう!。これじゃぁお金がいくらあっても足りねぇや!。これが人間社会って奴なのかよ!」
その通りなのだ、半漁人は人間社会の厳しさに、すっかり驚いていた。
人間は妖怪とは違って、働いて稼がないといけない。
これからはもう、のんびり遊んでいる時間は無い・・・毎日たくさんのかまぼこを売ってお金を稼がないと、まともな暮らしが出来ず、ご飯も食べれられなくなる。
そのためには、一日たりとも休むことは許されない!。
半漁人
「な、なんてこった・・・これじゃ人間じゃなくて、馬車馬じゃないか!」
呆れているところへ、また別の訪問者が・・・。
男性
「ごめんください」
半漁人
「今度は何だ?」
セールスマン
「お墓のセールスです」
半漁人
「墓?、誰の墓だ?」
セールスマン
「いや誰?って・・・あなたが死んだときに入るお墓ですよ」
>>175 半漁人
「ばか!!、俺は妖怪なんだから死なねぇよ!」
セールスマン
「何をおっしゃるのですか。あなたはもう人間でしょ?」
セールスマンの言葉に、半漁人はギョギョッとする。
そうなのだ、半漁人は自分がもう妖怪ではなく、人間になっていることを忘れていたのだ。
人間は妖怪と違い、どんどん歳をとって・・・最期には死んでしまうことを・・・。
半漁人
「こ、こいつぁ大変だ!すぐに妖怪に戻してもらわなきゃ!」
半漁人は顔を青ざめながらそう叫ぶと、一目散で昨日のあばら家へ飛んで行った。
それはもう凄まじい早さで、もう妖怪に戻りたいと無我夢中で走る・・・転んですりむいても、それでも半漁人は走った。
・・・・
やがて、例のあばら家に着くと、半漁人の顔は青ざめているも更に青ざめて行く・・・。
青ざめる原因は一つしかない・・・妖怪病院へ来てみれば、そこはすでにもぬけの殻。
もう白衣を着た医者や、人形と同じ大きさのナース、そして、あの奇妙な親子の姿も誰も居ない。
シーン・・・・と静まり返って、ここが病院だったなんて嘘のようだ。
半漁人
「な、な、なんてこった・・・一体、どうちてくれるんだぁ!」
この絶望差に、とうとう半漁人はべそをかいてしまった。
おーいおいおいと、妖怪だった者の悲しい鳴き声が、夕暮れの空に響く。
諦め半分で半漁人が、途方に暮れていると・・・そこへ後ろから
カラン………コロン………カラン………コロン………
聞きなれたあの下駄の音が耳に入ってきた。
半漁人は「まさか!?」と思い、ハッと後ろを振り向いたその先には・・・。
>>176 鬼太郎
「やぁ、半漁人」
もちろん、あの時イカと共に爆破し、かまぼこの材料にしたあの鬼太郎だった!。
もうイカでも、かまぼこでもない・・・元通りの姿だ。
ちゃんちゃんこと下駄の姿で左手に大きな鞄を持ちながら、半漁人を睨みつけている。
そして、彼が右腕に抱いているのは・・・なんと留守番をしていた真紅であった。
真紅
「どうかしら?、人間になったらどんなに大変か、身にしみてるかしら?」
鬼太郎が抱いている、真紅が、いつもの姿でいつも通りの話し方で鬼太郎と同じく半漁人を睨みつけていた。
しかし、この2人は頭と髪型が妙に変わっていた。
鬼太郎の頭にはリボンが一つ、真紅はボンネット状のヘッドドレスをかぶっていながらも、ツインテールではなく、ポニーテールだ。
2人の髪型リボンに、半漁人は思い出したように気付いた。
半漁人
「あっ!、まさかおめぇらは・・・!あの時のメイドたちなのか!?」
半漁人は鬼太郎たちに指をさして驚いた。
そう、家に突然現れて、メイドになったあの2人の女の子は、鬼太郎が女装、真紅は変装していたものだった。
鬼太郎はリボンを付けながら真紅と共にコクリと頷いて見せた。
鬼太郎
「やっと気づいたようだな。お前を油断させるために、僕と真紅はメイドになり済ましていたんだ」
真紅
「それに、妖怪病院なんて嘘なのだわ。みんな鬼太郎の仲間と私の姉妹で作ったのよ」
砂かけ婆や子泣き爺、ねこ娘にねずみ男、一反もめんにぬりかべ、、翠星石と雛苺、金糸雀、そして目玉おやじまで
みんなで白衣を着て医者とナースに化け、半漁人を人間に変身させたのだ。
そしてあの奇妙な親子は、子供の方は、半ズボンを履くのが恥ずかしそうに蒼星石が化け、母親の方は、乗り気ではなかったが今回の件で協力した水銀燈が化けていたものだ。
真紅は、追い打ちをかけるように口をとがらせて半漁人にこう言った。
真紅
「貴方はまだ分からないかもしれないけど、こんなあばら家が妖怪病院なわけが無いわ。
本物の妖怪病院は恐山の地下にあるのだわ」
半漁人
「あ・・・あ・・・」
全てを知った半漁人は、唖然として口がふさがらなかった。
>>177 半漁人
「するとおめぇらは、まんまとこの俺を騙してたってわけか・・・!?。
なんでもいい!早く妖怪に戻してくれ!!」
そして、懸命に鬼太郎に頼んだ。
半漁人は俺が悪かった!と泣き叫び、土下座までしてまだ頼むものの・・・
2人は厳しい顔で首を横に振った。
真紅
「じゃあ、聞くけど、あなたは、鬼太郎が戻してくれ頼んだのに、元に戻したの?。
逆に鬼太郎を騙して散々こき使って・・・挙句の果てには爆薬を食べさせてかまぼこにしたのよ!。
そこまでして都合がいいことに「元に戻して」ですって?、ふざけるのも大概になさい!」
真紅は半漁人のやった行いに、相当、頭に来て半漁人を問い詰め続ける。
そして最後に、鬼太郎は半漁人に追い打ちをかけるように言い放った。
鬼太郎
「真紅の言うとおりだ。お前は人間になって、元の姿に戻れない苦しみを、永遠に味わうがいいさ!」
半漁人
「そ・・・そんな・・・お・・・おおおぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉ・・・・!!」
半漁人は絶望のあまり、もう何も言い返せず、最後には大声で大粒の涙を出しながら泣いてしまった。
永遠の苦しみをこれから味わうのが、怖いのか、それとも元の姿に戻れない悲しみなのか、半漁人はただ泣くしかなかった・・・。
鬼太郎は、そんな半漁人に背中を向けると、カランコロンと下駄の音を立てて、
真紅と共に、再びあてのない旅に出て行った。
>>178 そんな中、鬼太郎は真紅に話しかけた。
鬼太郎
「真紅、怒らないで聞いてくれるかい?」
真紅
「あら、何かしら?」
鬼太郎
「君と僕がメイドになり済ましていたときに、言わなかったけどさ・・・君のあの時の姿は結構、可愛かったよ」
真紅
「なっ・・・!」
鬼太郎の言葉に、真紅は耳まで顔を真っ赤にする。
実は内緒だが、真紅はあの姿で居るのが嫌で嫌で仕方が無かった。
あの姿になった直後に、みんなからはクスクスと笑われ(蒼星石、目玉おやじ、雛苺、鬼太郎は除く)、挙句の果てには水銀燈にその姿を見られてバカにされる程の屈辱を味わっていたのだ。
忘れもしないあの時のことを思い出し、恥ずかしさと照れさで真紅は顔を俯いた。
鬼太郎は、そんな彼女が心配になり、「大丈夫かい?」と声をかけるが・・・
いきなり真紅が顔をあげて、キッと鬼太郎を睨むと・・・
パチン!!
鬼太郎の頬をひっぱたいた。
その顔には目じりに涙が溜まり、タコがゆであがるほどの湯気が上がり、顔はかなり真っ赤に染まっていた。
鬼太郎
「痛っ!、何すんのさ?」
真紅
「だ、黙りなさい!!。いい!?鬼太郎!、大体今回は貴方が隙を見せたのが原因なのよ!?。
それに、主人である私を差し置いて旅に出るなんてどういうつもり!?。
まったく!、これだから貴方は情けないのよ!」
鬼太郎
「え?、い、いきなり何で怒ってるのさ?」
真紅
「まだ分からないの!?、今度という今度は・・・」
と、鬼太郎は目をパチクリさせながら真紅の説教を聞いた。
それはもう、小一時間ほど続き、歩きながら「はい、分かってるよ」と答えるだけだが、まだ真紅の説教は続く・・・。
その説教に鬼太郎は苦笑しながら、心の中で「あぁ、僕ののんびりとした旅が終わったなぁ・・・」としみじみに思った。
しかし、真紅は怒った顔ではなく、本心は、鬼太郎と共に旅に出るのがかなり嬉しいのが表情が出ており、頬を赤くしながら、頬笑みながら説教していた。
鬼太郎は、知る由もなく、とほほ・・・と嘆いた。
ゲッゲッゲッゲッゲッゲッゲッゲッ……
鬼太郎たちを虫たちの「ゲゲゲの歌」が、ガミガミとうるさい薔薇乙女の第五ドールの説教と共に、あばら家にいつまでも響いていた。
おわり
はい、お久々にSSを投稿しましたが、
去年と相変わらずグタグダです。
言い訳臭いですが・・・このスレに誰も居ないなと思って、長い間このスレを離れてしまいましたが、完結待ちの人が居たのでちゃんと完結しようと心がけました。
しかし、最後のは本当にグダグダになってしまいまして申し訳ございませんでした。
以上で投稿を終わります。
このスレがまた盛り上がってくれることを願いします。
GJ
182 :
名無しさん@お腹いっぱい。: