あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part224
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part223
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1238500642/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
r-t-ェ-i
|:lVl:| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<ニヽ_/ニ>、 ニl百iニ <
>>1乙
(⌒` ⌒ヽ |.|_ <新スレへようこそ!
ヽ ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒) \___________
ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /
〉 | `ー^ー― r'
/ | | l ト、
i ● ,} / ● i
/ `X´ ヽ / 入 |
4 :
虚無の闇(代理):2009/04/04(土) 21:52:09 ID:R22ZdA1k
153 :虚無の闇:2009/04/04(土) 21:32:28 ID:gkYs3gxI
なんかまた規制されてるんですが……
なんぞこれですよ……
どなたか代理お願いします
---
代理投下行きます!
5 :
虚無の闇(代理):2009/04/04(土) 21:53:15 ID:R22ZdA1k
会議は踊る、されど進まず。いうなれば今回は阿波踊りだろうか。
舞台となった宝物庫では教師たちが口々に責任の無さを論い、自らの怠惰を棚に上げていた。もうお昼だと言うのに、何の策も無い。
本来ならば一刻も早く王都へと然るべき連絡を入れ、実力者を募って捜索隊を立ち上げねばならない所だったが、彼らは未だに踊っていた。
「それより、衛兵はいったい何をしていたんだね?」
「衛兵などあてにならん! 所詮は平民ではないか! 当直の貴族は誰だったんだね!」
この調子である。今は議論よりもまず行動が求められる時だというのに、彼らは自分の給料や立場が悪くなる事ばかり気にしている。
これが彼らが見下しているゲルマニア辺りなら、朝食が始まる前に捜索隊が出ていてもおかしくない。無条件に与えられる特権に慣れきっていたトリステインの貴族は、もはや救い難い所まで呆けていた。
やがてたまたま当直であったシュヴルーズが槍玉に挙げられた。家を建てたばかりだと床に崩れ落ちた彼女をさらに攻めようと、教師たちは徒党を組んで攻める。それを見かねたオスマンが彼らをさとした。
「では、現場を見ていたミス・ロングビルに状況を聞こうではないか」
教師たちが恥じ入り、ようやく無意味な責任の押し付け合いに終止符が打たれた所で、オスマンはロングビルに前へ出るようにと促した。
「はい。私は最初、あの決闘騒ぎがあったヴェストリ広場の辺りに居ました。夜の見回りをしていたのです。
ふと背後に巨大な気配を感じ振り返ると、巨大なゴーレムが立ち上がり、壁を攻撃しようを腕を振りかぶる所だったのです。
踏み潰されそうになった私は、慌てて学院の中へと非難しました。陰に隠れながら振り返ると、ゴーレムが宝物庫の壁を破壊しておりました。
その後は一刻も早く被害を確認しようと思い、宝物庫の扉の前で立ち往生していたところへ、駆けつけたミスた・コルベールと共に……」
ロングビルは教師たちを遠巻きに眺めているコルベールへと視線を送った。彼も偽の証言を聞きながら何度かうなずいており、フーケは自らがでっち上げた嘘がばれていない事を確信する。
「ここからは私の推測も含みますが、既にフーケは国外へ逃亡していると思われます。
理由としてすが、先ほど学院の外で、フーケと思われる人物の所持品と思われるマントを発見しましております。
これではどのような目撃証言を集めるべきかも定かではありませんし、あの時間であの天気です。出歩いている人間など、まず居ません。
足跡を追うにしても、トライアングルメイジともなればフライを使用して一直線に国境へと向かって飛び続ける事も可能なはずですし……。
空を飛ぶ姿を目撃していた領民が居たとして、此方がその手がかりを掴むには、大量の人員による大規模な捜索が必要です。
……残念ながら、既に我々の手が届く範囲に留まっている可能性は、まったくのゼロと言っていいでしょう」
何人かの教師がロングビルの言葉に反論しようとしたが、誰もが言葉にする事は出来ずに呻くばかりであった。
教師たちは誰もが、自分の首が危うくならないかと不安げな表情をしている。せめて今出来る事を、と前向きに考えるメイジは誰も居ない。
彼らの頭にあるのは、ただ己の保身のみ。それを的確に見抜いたフーケは、計画を最終段階へと進めた。
「もし本格的な捜索隊を出すのであれば、王宮に『我々の警備が足らず宝物庫を破られました』と打ち明けて協力を仰ぐ必要があります。
それでフーケを捕らえられればまだしも、取り逃がすような事があれば、我々の首も無事では済まないかも知れません……」
殊更声を暗くして言い、さらに教師たちの不安を煽る。長らく微温湯に浸りきっていた彼らは、それだけで泡を食ったようにうろたえた。
学院長も渋面をしており、この事態を乗り切るようなアイディアは浮かんでいないようだ。フーケは作戦の成功を確信する。
「そ、そなったら、我々はどうなるんだ?!」
「く、首だって! 冗談じゃあないぞ……」
そう言って、口々に絶望を滲ませる教師たち。破壊の魔法書の奪還という当初の建前は完全に消え去っていた。
彼らも一応は領地を持つ貴族とはいえ、その全てが裕福ではないのだ。十分な収入を領地から得られる貴族はかなり限られており、教職という収入源を失っても死にはしないが、平民と同じ生活レベルまで落ち込む可能性があった。
6 :
虚無の闇(代理):2009/04/04(土) 21:54:24 ID:R22ZdA1k
傲慢なトリステイン貴族だからこそ、不祥事を起こして解雇された教師を雇い入れる所などほぼ無い。彼らの未来は限りなく暗かった。
「……差し出がましい行為かもしれませんが、この窮地を脱する提案が、私に一つあります……」
この場を完全に掌握する事に成功したロングビルは、自分に期待の視線が集まるのを感じながら口を開いた。
会議から一刻後。ミス・ロングビルは積み上げられた石材の山に腰を下ろし、幸せが逃げるという迷信に反逆せんとばかりに長々とため息を吐いた。快晴の青空を見上げ、一つだけ浮かんでいる雲を目で追いかける。
視界を横切っていく鳥へと意識が移り、気ままに飛ぶ姿に憧れを抱いた。あの鳥のように飛んでいけたら、どれほど気が楽であろうか。
今回の作戦に問題あったわけではない。フーケは怪しまれるどころか有能な秘書という立場を更に磐石な物にし、報告すべき事実を隠蔽したという学院の弱みまで握ることが出来た。
盗み出した破壊の魔法書も既に手元にはなく、仲介人を通してその筋の相手に売却済みである。なんでも召喚されし書物を好んで買いあさる貴族が客に居るらしく、平民が聞けば目玉を飛び出させるような高額で買い取ってくれたらしい。
まあ高すぎるという事はない。簡単に偽造が可能な、その気になれば紙とペンとインクさえあれば作れてしまう"召喚されし書物"において、最も重要なのは出土などの信憑性なのだから当然だ。オールド・オスマン秘蔵のお宝とくれば、その価値も鰻登りである。
彼は似たような趣味を持つ貴族相手に、さぞ新しく手に入れたお宝を自慢する事だろう。フーケには不可解な魔方陣ばかりが並んでいる内容を一文字も理解できなかったが、コレクターはああいうのが好きらしかった。
今回の仕事で得た金貨だけでも一財産で、贅沢さえしなければ人生の大半を過ごせる。大所帯のフーケには無理だが、故郷に居る家族達が飢えに苦しむことなく冬を越せる事を思えば素直にうれしい。
育ち盛りの孤児達は手がかかるし、大食漢なのだ。飽食の貴族から一転して飢えを知ったフーケだからこそ、大切な家族の食べるべき時期に雑草を食ませるような事態は許したくなかった。
衣食足りて礼節を知るという彦があるように、例えテファのような聖人君子だろうと、飢えて苦しめば人間は荒んでしまう。だたでさえテファはハーフエルフであり、人間の巣の中で暮らすには苦労が多いのだから。
「はぁ……。帰りたいねえ」
周囲に人が居ないのを確認し、心中に渦巻く思いを口に出す。便りでは元気だと言っていたが、やはり顔が見れないのは辛い。
要注意人物だと思っていた自称ガンダールヴも目立った悪さはしていないようだし、順調に新しい生活へ馴染んでいっている様だ。
魔法は使えないらしいが、剣の腕は中々で(使っているのは薪割り用の斧だが)傭兵崩れのならず者どもを撃退するのに一役買っているらしい。極端に争い事を嫌うテファに頼りになる護衛がついたのは有難い限りだった。
白の国では泥沼化した革命によって首都には難民が流れ込み、目の届かない地方は略奪の嵐が吹き荒れていると聞き及んでいた。アルビオンの治安は目も当てられないレベルにまで下落しており、それはウェストウッドも例外ではない。
荒くれ者が砂糖に群がるアリのように戦争を求めて渡って来ているというのに、治安を守るべき衛兵も、民を守る貴族も居ない。お山の大将を決める下らない馬鹿騒ぎで苦しむのは、いつだって平民たちなのだ。フーケは身勝手な貴族どもに憎悪を燃やした。
懐から手紙を取り出し、もう一度読み返してから丁寧に折りたたむ。
遠くに見える草原に寝転がって昼寝と洒落込みたいところだが、現実逃避はここまでにして、いい加減にこの仕事を片付けねば。
「まったくさぁ……。私は、大盗賊フーケだよ……?! だってのに、こんなのはねぇ……」
しかしながらやる気など欠片も沸かず、フーケは盛大に顔を顰めて愚痴た。現在土系統の教師たちは当直をサボっていたのを口実に、朝から大穴が開いた宝物庫の補修作業に駆り出されている。秘書のロングビルもその数に入っていた。
ほかの教師と違ってロングビルには特別手当は出るし、辞める時の事も考えて今のうちに恩を売るのは悪くないのだが、どうしたって活力は沸いてこない。
自分で壊した宝物庫の壁を自ら修理するなど、盗賊ではなくただの詐欺師ではないか。チンピラか小悪党でもあるまいし、本当に馬鹿らしいと思う。辞めたい。作業だけでなく、学院も一緒に辞めたい。そしてテファの顔が見たい。
こんな下らない作業は、それこそ普段偉ぶっている貴族にケツを拭かせればよいのだ。
7 :
虚無の闇(代理):2009/04/04(土) 21:55:54 ID:R22ZdA1k
「まあ、仕方がないけどねえ……」
有能な秘書のミス・ロングビルとしては、自ら事件の隠蔽を進言したこともあって、その手伝いを嫌だとは言えなかった。
既に王宮へと被害を過小申告する使いを出してしまっているし、そうでなくても宝物庫をおっぴろげにしておくのは不味すぎる。例えばトチ狂った馬鹿ガキが忍び込もうものなら、何ヶ月もかけて盗みを計画した自分が馬鹿らしいではないか。
しかもその書類処理は、秘書であるロングビルがやることになるのだ。フーケとしてもロングビルとしても、二重にやるせない。
そんな天を仰ぎたくなるような事態を引き起こさないためにも、後片付けはきちんと行わなければ。
これも仕事の内だと頭を切り替えて、今にも崩れ落ちそうだった魔法に活を入れなおした。
ぞろぞとやってきたゴーレムの集団は、少しばかり機敏になった動きで足元に転がっている石材を抱えて運んでいく。この石を作ったのはシュヴルーズであり、それを運ぶのが自分の役目だった。
本気を出せばとっくに終わっている仕事ではあるが、お偉い貴族様の仕事はカタツムリのように遅いので、先ほどまでのように自己嫌悪に陥れるぐらい暇があった。いっそ下らない考えが浮かばないほど忙しければいいのに。
今月中にはここを辞めて、テファと悪ガキどもの顔を眺めに行こう。
決意も新たにそう言い聞かせると、フーケは椅子代わりにしていた石山を切り崩しにかかった。
タバサはフェニアのライブラリーの一角に根城を築いた。本来教員専用であるマホガニーの机を埋め尽くし、高々と本の山を聳えさせる。
今まで喉から手が出たとしても閲覧が許されなかった書物が、今ならばいくらでも読み放題。タバサは己を掻き立てる物に逆らえず、寝食を惜しんで探索を続けていた。血走った目で項を追い、貪る様に知識を蓄えていく。
ルイズは母を救う手段を見つけたと断言したし、それを信用していないタバサではない。ただ自らに出来る事があるというのに、それをせず無作為に時を過ごす事を許したくなかっただけだ。
数時間かけて毒や呪いの類をを無数に掲載していた本を読了し、タバサは色白を通り越して蒼白になった手で次の本に手を伸ばす。
「……っ!」
だが本の重さに耐え切れずに取り落としかけ、タバサはたった93時間寝ていないだけで睡眠を欲している体に臍を噛んだ。
酷使され、意思とは無関係に震え始めた腕をテーブルに叩きつける。脇に置いてある冷め切った紅茶を流し込むと、自らの顔を強く張った。
まだお母様を治す手段は見つかっていない。だから止まれない。私がお母様の笑顔を取り戻すのだ。絶対に取り戻すのだ。
悲鳴を上げる体を無視して新たな一冊を開いたが、集中を切らしたために強烈な吐き気と頭痛がタバサを襲う。視界が激しく歪み、荒い呼吸を繰り返した。
目の下にはどんな化粧でも隠せないほど巨大なクマが出来ており、頬からは肉がこそげ落ちている。限界などとっくに行き過ぎていたが、これ以上は肉体的にも精神的にも危険になるレベルにきていた。
「……今日は、ここまで」
タバサは自らの舌を強く噛み締め、体から逃げ出そうとする意識を無理やりに引き止める。世界はラグナロクを迎えたように揺れていた。
今すぐにベッドへ行きたいが、さんざ散らかした机を放置しては、せっかく得た許可にケチをつけられるかもしれない。ルイズに迷惑をかけないためにも、持ってきた本を片付ける必要があった。
タバサは自らの杖を握り締め、それに縋るようにして体を持ち上げる。
「お手伝いいたします。ミス・タバサ」
倒れそうになりながらも重い参考書を掻き集めていると、あの黒髪のメイドが体を支えてくれた。タバサは一瞬だけ体を硬直させたが、すぐにシエスタである事に気付き、緊張を緩める。
今までにも紅茶やパンなど、タバサに必要な物をさりげなく持ってきてくれたのだ。彼女の手が異様に冷たかったため、思わず過剰反応してしまった。
このシエスタというメイドはエルザの食料として利用されているようだが、それも複数ある原因の一つかもしれない。
「……お願い。ありがとう」
タバサには彼女が未だに見た目通りの存在であるかは分からなかったが、それを理由に拒否する気もなかった。民の少女にまで気を回している暇などないのだ。タバサには確固たる目的があり、そのためには多少の犠牲になど構っていられない。
シエスタの身に起きた事は不幸だが、ルイズがやった事だ。文句をつける気は無かった。タバサもその恩恵を受けている。とっくに共犯だ。
ミス?支援
9 :
虚無の闇(代理):2009/04/04(土) 21:56:50 ID:R22ZdA1k
「では、片付けておきますので」
飛べない平民がどうやって30メイルの本棚へと本を返却するのか。返答を返した後でその事実に行き当たったタバサは、手の届かない場所から取った本は自分で戻すと言い出そうとして、20冊近い本の山を片手で運ぶ少女を見て口を閉ざした。
ルイズが行っている怪しげな人体実験は着実に効果を上げているようだ。タバサは母が帰ってくる日も近いと知り、嬉しくなった。
もうすぐお母様が帰ってくる。タバサではなくシャルロットと呼んでくれる。そうしたら憎いあの男を切り刻んでやるのだ。
生きたまま首をノコギリで時間をかけて切り取り、厳重に固定化をかけさせて、リュティスの大通りに晒してやる。今まで私が味わってきた苦痛の百分の一でも味わうがいい。
そのためにも、私は強くならなくては。ジョゼフを殺したとしても、その取り巻きが私の命を狙うだろう。お母様を狙うかもしれなかった。
もし、お母様が傷つくような事があれば……。
タバサは溶岩のように燃え上がる憎悪を抱え、自らの杖を締め上げた。
力を得るために人道から外れようと構わない。きっとお母様は受け入れてくださる。だからこそルイズから離れてはいけない。彼女は最後の希望だ。
王宮でも力を貸してくれる貴族は今までも何人か居たが、今までずっと彼らの心配をして協力を得ようとはしなかった。今思えばほとほと愚かな事である。使えるモノは者であっても物であっても使えばいいのだ。彼らを犠牲にしてお母様が戻ってくるならば。
屍の山を築こうと構うものか。私は今までずっと虐げられてきた。今こそ、今こそ反旗を翻す時である。
タバサは鏡を見れば本人さえ驚くような酷薄な笑みを浮かべた。
-----
代理投下終了
作者さんも代理も乙です
乙乙乙
(`皿´)
くやしいです
乙です
黒ルイズの影響で黒タバサ爆誕。
次は誰が黒くなるのかしら。
あ、あのクロノトリガーでちょこっと練習で書いてみたんですが
投下してみても良いですか?
召喚キャラはクロノ、ルッカ、マール、ロボ、カエルですけど・・・
稚拙な文章でかえって失望してしまうかもしれませんが・・・
そんな前置きはいらない
男は度胸なんでも試してみるものさ。
自分で練習だとわかってるんだったらこっちじゃなく避難所の代理投下スレの方が
いいんじゃないか?
一応あそこ、練習用でもあるし。
卑屈にならんで堂々と投下するヨロシ
投下後に叩かれたらスタコラサッサだ
レスありがとうございます。
チキンハートな者ですみませんが、
避難所の練習用で投下してみます。
教えて下さってありがとうございます。
黒タバサは心のゆとりが無さ過ぎなのがキャラとして使いづらそう。
本人の置かれた状況が、洒落にならんほど切羽詰ってるからなぁ。
だれか、黒キュルケでやって貰えんかね。
第1巻の「おっほっほ〜臆病ちゃんね」な軽いノリの悪役で。
…ドロンジョ様?
ナーガじゃね?
>>3 (;゚д゚) ・・・ (つд⊂)ゴシゴシゴシ _, ._ (;゚ Д゚) …!?
何故・・・お前らがいる・・・
ナーガルックのタバサ
残念だ! その格好は胸部がとても残念だ!
>23
マルコリヌあたりが「これはこれでジュルリ」とか言いかねない。
イザベラ辺りがナーガ召喚したら影響されてナーガルックをしそうだな。
他にはテファ辺りが、これが普通なんだと言われてそうなんだと納得して……。
>>27 テファがナーガ召喚したら、まさしく記すこともはばかr(ry
>>27 タイトルは「記することを憚れた使い魔」ですね。わかり(ry
ナーガの服は目の前で惨殺された母の形見で(だから血に弱い)
彼女は復讐の為、仇を見付けようとそのスタイルで方々を歩きまわっている
という事情を知ればどうなることやら
悪の女魔導師ルックなんぞしてたら正義の味方に勘違いされて
平和主義者クラッシュで惨殺されても仕方ないと思ったり思わなかったりw
は・・!犯人はフィル王子か!
オーフェン完結した様子
仇のブーレイはその場で殺したのでは?
>>33 被害者と同じ格好で活躍することで、その関係者であることを暗示し、加害者の注意を引くのは、割とよくある手法。
まあ待ておまえら。
公式設定じゃないぞ。
周知の事実ではあるがw
アメリアの姉だったっけ?
39 :
虚無と賢女の人:2009/04/05(日) 08:42:59 ID:H6FygWmL
ナーガは何人かの暗殺者を倒してる凄腕なんですよね、
普段のリナとのかけあい見てると想像できませんが。
あと、真の「記すことすらはばかれる使い魔」は、
ナーガと真の友情と信頼の融合を行った銀髪の変態執事であるべきかと。
では、予約なければ8:50ごろから作品の投下を始めます。
今回は原作一巻と二巻の間くらいの「幕間」、そして5レスほどの短編になります。
キースは「記すことすら適わぬ使い魔」だろう
ロイヤル・ソヴリン号の反乱。
その一報が伝えられたとき、ハヴィランド宮殿の中で驚かない者は居なかった―――少なくとも表面的には。
アルビオン王立空軍大将にして本国艦隊司令長官、そしてアルビオン王国皇太子ウェールズ・テューダーもまた驚愕に身を
震わせた。そして直ちに反乱を収めるために本国艦隊を出動させ、臨時旗艦イーグル号にて陣頭指揮を執ることとなった。
ハルケギニア全てを見渡しても最大級の戦艦ロイヤル・ソヴリン号といえど僅か一隻による反乱。その討伐に五十隻以上の
本国艦隊を投入をウェールズ王子に決意させたのは、威圧によって砲火を交えることなく反乱を収束させる思惑があった。
―――だが、その思惑は最悪の形で裏切られることとなる。
イーグル号のすぐ隣を先ほどまで航行していた軍艦が、爆発を繰り返しながら高度を落とし大地へと墜ちていく。
「殿下! モントローズ号が墜ちては戦線を維持しきれません!」
「後詰のサマセット号とケント号を右翼に回せ! 何とか支えきるぞ!」
次々に入る絶望的な報告に、ウェールズは矢継ぎ早に指示を下す。
爆音と閃光と衝撃―――砲火の中、襲い掛かってくる竜騎士たちに、イーグル号の散弾砲が迎え撃ち辛うじて接近を防ぐ。
その間に、後方に控えていた二隻の軍艦がイーグル号の右へ移動し、ようやく一息をつく間を与えられたウェールズは、額の
汗を拭いながら敵艦隊の最深部に鎮座する、全ての元凶たるロイヤル・ソヴリン号を睨みつける。
「パリー……。あのクロムウェルという男の手腕は見事なものだな」
「ふむ、ロイヤル・ソヴリン号のみならず、四十隻もの軍艦に反乱を決意させておりますからのぉ」
パリーと呼ばれた老メイジも、ウェールズと同じようにロイヤル・ソヴリン号を睨みつけていた。
「しかし、策士としては天晴れなれど、軍人としては失格としか言いようがありませんな!」
クックックと不敵な笑い声をあげるパリーに、ウェールズも釣られて笑い出す。
「その通りだ。これだけの兵力差、しかもこちらの腹を突いたにも関わらず、我らを仕留めることが出来ないようではね」
ほんの僅かな間ではあったが、イーグル号の後甲板に戦場には不似合いな明るい笑い声が響いた。
「よし! あの恥知らずの反乱者どもに一泡吹かせるぞ! 全艦、敵左翼に一斉射撃、その後突撃して一気に突破する!」
ウェールズは本国艦隊司令長官としての責務を果たすべく、傷つきながらも必死の抵抗を続ける残存艦に新たな指示を下した。
レキシントン平原上空で行われたアルビオン王立空軍本国艦隊と反乱艦ロイヤル・ソヴリン号の戦いは、開戦直前に
ロイヤル・ソヴリン号に乗り込んでいたクロムウェルという司教の演説により、出動した艦隊の内、約四十隻が反乱に同調し、
大方の予想に反して反乱軍の勝利に終わった。この戦いの後、反乱軍はハルケギニア統一と聖地奪回を旗印に掲げた貴族連盟
『レコン・キスタ』の名乗りを上げ、クロムウェル司教は総司令官の任に就いた。
一方、レキシントン会戦から辛うじて撤退に成功したウェールズ皇太子は、王都ロンディニウムに帰還すると残存兵力を
まとめ上げてレコン・キスタ討伐に乗り出した。しかし……、その後も戦場において、宮殿において、そして駐屯した街に
おいて多くの離反者が現れることとなり、大小問わず全ての会戦で敗北を続けることとなった。
こうしてアルビオン大陸での拠点を次々と失ったアルビオン軍―――王党派は王都ロンディニウム失陥後、残存した千にも
満たない兵力を率いて大陸の端にあるニューカッスル城へと立て篭もることとなった。それに対し、レコン・キスタ軍は
離反した諸侯や傭兵、さらにはオーク鬼やトロル鬼を戦力に組み込んで数万という兵力へと膨れ上がっていた。
兵站を整え、陣容を揃え直した後に行われる総攻撃、それがアルビオン王家最後の日になるであろうことは、誰の目にも
明らかになっていた。
トリステイン王宮の一室、内装が整った執務室にて一人の男性が報告書に目を通して顔をしかめていた。真っ白な白髪の上に
高位の聖職者にのみ許される球帽をかぶり、灰色のローブを身につけた痩せすぎの老人。彼こそトリステインの内政と外交を
一手に執り行っているマザリーニ枢機卿であった。
「そうか……ロイヤル・ソヴリン号の反乱が火種となって、一気に燃え広がったという訳か」
骨ばった指で報告書をめくり、記されたレキシントン会戦とその後の顛末を読み終える。この報告書を持ち込んだ官吏は
不安そうな表情でマザリーニ枢機卿を見つめていた。
「枢機卿……、我が国としてはどのような立場を採られます? 反乱勢力、いえレコン・キスタはハルケギニア統一を掲げて
おります。状況によってはアルビオン一国の問題では済まなくなりますが?」
部下の言葉に、マザリーニ枢機卿は報告書から目を離し窓の外を見やる。ちょうど夕暮れの日差しが、窓から見える王宮の中庭と
トリスタニアの町並みを染め上げていた。
「こちらから手を出す必要ないあるまい。向こうから何も支援を求められていない以上、派兵する大義名分もない」
冷徹さすら感じさせる言葉に官吏は息を呑む。しかし、同時にマザリーニ枢機卿の判断も間違っていないことを彼は悟っていた。
トリステインの国力は年々低下の一途を辿っており、高位の貴族の中には王室への忠誠を軽視し、既得権益のために国を貪って
いる者も少なくない。そして平民や下級貴族の有能な人材が、隣国ゲルマニアへ流出し続けていることが、さらに国力低下への
拍車をかけていた。仮にアルビオン王家から援軍を求められたとしても、トリステインは十分な兵力を派遣するだけの余力は
どこにもない。
「しかし、状況がどちらに転んだとしても、対応できるだけの手を打っておく必要はある」
「は……」
マザリーニ枢機卿は執務机に積んであった書類の中から、一枚の外交文書を取り出す。それはゲルマニア皇帝からの親書で
あった。
「今夜中にゲルマニア皇帝への返書を用意する。明日の夜明けと同時に使者を出立させるように手配しておくように」
「了解いたしました」
官吏の返事に対し退室するように手を振ると、マザリーニ枢機卿は返書をしたため始めた。一礼を入れた官吏が退室し、足音が
遠ざかって聞こえなくなると筆を置き、再び窓の外を眺める。
「内憂を払えぬ王家に存在の価値はない、か……」
その呟きを発したマザリーニ枢機卿本人が、まるで自分のことを言うかのように自嘲気味に苦笑を浮かべる。まるで、
トリステインも内憂を抱えて、それを払いきれないと認めてるかのように……。
夜の帳がトリスタニアに降り、働いていた者もある者は家路へとつき、ある者は盛り場へと繰り出す。何ら変わらない日常を
謳歌する者たちの姿であった。その裏では、決して表に出ることのない者たちもいた。彼らは夜闇の中でこそ活発になるので
あった。
そんな裏社会の者たちが集まる場所―――表向きは裏路地にひっそりと店を構える寂れた酒場に、『土くれ』のフーケが姿を
現したのは、トリステイン魔法学院での騒動から十日ほど経った日の夜であった。
「……久しぶりだな」
店の奥、カウンターの中でコップを磨いていた五十ほどの男が、店に入ってきたフーケにチラっと視線を向ける。大して広く
ない店内には、何人かの堅気ではありえない雰囲気を纏った男たちが酒を飲み、扇情的な衣装で身を包んだ数人の娼婦たちが
客を流し目で誘っていた。
フーケは無法者たちの値踏みするような視線を適当にあしらいつつ、カウンターの椅子の一つに腰掛けた。
「ああ、当分忙しくて身動き取れなかったからねぇ。……それで頼んでいた送金は出来てるかい?」
「アルビオンへの送金なら済ませてある……が、問題が発生した」
問題と聞いて、フーケの形のいい眉が少し釣りあがる。
「どういうことだい?」
その問いかけにマスターは答えず、ただただコップを磨いていた。フーケは舌打ちをしながら、カウンターにエキュー金貨を
数枚叩きつけるように置く。
「アルビオンで反乱が発生した、それで向こうは大騒ぎになっている」
手早く金貨を回収しながら、マスターは感情と抑揚のない声で答える。フーケは反乱と聞いて嘲るような微笑みを浮かべた。
「へぇ〜……、そいつはご苦労なこった。それで? アルビオンの王家どもは反乱鎮圧にどれくらい苦労してるんだい?」
「全戦全敗。傭兵たちの話を聞く限りでは、ニューカッスル城に追い込まれた王家は今月中にも倒れるという話だ」
アルビオン王家が倒れる―――その言葉はフーケの顔から嘲笑をかき消し、驚愕へと変えていった。
「それは本当かい? あのアルビオン王家を圧倒してるってのかい!?」
「間違いなく本当だ。ロイヤル・ソヴリン号を始めとして艦隊の大半と貴族、どうやったかは知らんがオーク鬼やトロールまで
反乱軍の指揮下に入ってるという話だ。それに王家に忠誠を誓っていた有力諸侯や側近までもが、次々と王家から離反している
ようだな」
「……は、ははは。そいつは愉快だねぇ……」
フーケの軽口は精彩を失っていた。かつて自分の家を、反逆者として貴族の名誉を剥奪したアルビオン王家。それが惨めにも
指揮下にあったはずの軍に反旗を翻され、諸侯に見放されて倒れて、傭兵やオーク鬼やトロル鬼といった連中に名誉も誇りも
奪われて散っていく様子が思い浮かべていた。同時に、自身の中にあった復讐心が燃え上がらずに、ぶすぶすと燻っている
感触を感じていた。
「そういうわけだ。その反乱軍―――ハルケギニア統一と聖地奪還のための貴族連盟レコン・キスタと名乗っているが、
そいつらの影響でルートも一部混乱している。ルートそのものは生きているが、届くのは当分先になるな」
「ハルケギニア統一と聖地奪還……? ははは、そりゃあ悪い冗談ね? それとも夢物語を目を開けたまま話してるの
かしら?」
「さぁ……な」
そこで話は終わったとばかりに、マスターは磨き終えたコップを脇に置き、別のコップを手にとって磨き始めた。
フーケは整理のつかない感情と共にレコン・キスタのことを思考の脇に追いやると、最も重要なことを思い浮かべた。送金の
受取人―――大切な妹分と養っている孤児たちの顔を思い浮かべる。戦火が、そして戦後に職を失い無法者と化す傭兵どもが
彼女たちを襲わないのか、と。
「そうだ……、もう一つお前の耳に入れておきたいことがあった」
衆目に晒される危険を覚悟で妹分たちをトリステインに連れてくるべきかと考えていたフーケは、マスターの言葉に顔を上げる。
「この情報はサービスだが、最近『土くれ』のフーケを探っている者がいる」
「探っている者? そりゃあ、衛兵や貴族の使い走りがフーケを追い掛け回していて当然じゃないか」
「そういう連中とは違う奴、という話だ」
磨いていたコップを置くと、マスターはフーケを正面から見据える。その雰囲気にフーケも思わず息を呑んだ。
「白い仮面をつけたメイジなのだが……フーケの名の他に、マチルダ・オブ・サウスゴータの名でも探している」
「ッ!?」
かつて捨てることを強いられた貴族としての名前を聞き、フーケの顔が蒼白になる。
「幸いと言うべきか、そのメイジは裏の礼儀には詳しくないようだ。ここの存在にも気付いてないが、せいぜい気をつけたまえ」
「あ……ああ、気をつけておくよ……」
アルビオン王家に訪れるであろう終焉と、マチルダ・オブ・サウスゴータの名で彼女を探っている者の存在。二つの衝撃的な
事実にフーケは無性に喉の渇きを覚え、ワインを注文し、それを一気にあおった。喉の渇きはそれで癒されたが、思考を乱れは
アルコールでは抑えることは出来なかった。
その日は普段よりも早く酒場を後にすると、フーケは学院へと戻ることにした。一度、学院の自室に戻り、今後のことを整理
することだけを思っていた。
そのため―――
「あ……、忘れてたよ」
エレアノールから頼まれていた情報の収集を思い出したのは、月明かりに照らされる学院の門が見えた頃であった。
ルイズは机に向かい、昼間の授業で習ったことの復習をしていた。実技では限りなく底辺に近い成績だが、座学では学年でも
トップクラス、その理由はこまめな予習復習にあった。無論、魔法が使えないことに対して、使えるようになりたいという
自然な欲求が勉学に駆り立てているのだが、同時に座学だけでもトップクラスにいなければ実技の赤点がフォローしきれない
という現実的な問題も努力の一助になっていた。
ルイズの後ろでは、エレアノールが厨房から持ってきた熱い湯でお茶の準備をしていた。部屋中にお茶の香気が、その準備が
進むにつれて徐々に浸透していく。
「ルイズ様、そろそろ一息入れられてはいかがですか?」
「……ええ。それじゃあ、そっちのテーブルに貴女の分と一緒にお願い」
一緒にお茶を飲もうという意味を正確に解釈したエレアノールは、テーブルに二人分のお茶とお茶請けのクッキーを用意する。
「いい香りじゃない、上手く淹れたのね」
「ええ、シエスタさんに教わりましたから」
エレアノールの言葉に、なるほどとルイズは頷く。
「ああ、そういえば最近よく一緒にいるわよね」
無意識に呟きながらお茶を口に含み、口中に広がる風味に頬を綻ばせる。ルイズの肥えた舌も満足させる淹れ具合であった。
続いて、お茶請けのクッキーに手を伸ばして、一つ摘み上げる。
「これも貴女が作ったの?」
「それは頂き物です。先ほど、女生徒さんたちから食べてください、と」
「あ〜……、なるほど」
納得半分呆れ半分で頷く。恐らくファンクラブの誰かの手作りクッキーなのだと、ルイズは見当をつけた。
ルイズは直接そういったことと関わりを持っていなかったが、たまに彼女を経由してエレアノールに手紙やプレゼントを
渡そうとする者が現れるので知っていた。
ちなみに、文字の読めなかったエレアノールのために最初はルイズが音読していたが、数日前に行った文字の勉強の成果が
あっという間に現れ、今ではエレアノールも読めるようになっていた。
(そういえば、今日もギーシュとマリコルヌが一緒に歓談してたわよね。あとモンモランシーも)
クッキーをかじりつつ思い返す。ギーシュがエレアノール風の青銅ゴーレムを作ってその美しさを讃えつつ自分の腕前を
自画自賛し、マリコルヌがそれを一体欲しがって取り合いになり、最終的に呆れたモンモランシーがギーシュの脳天に
一撃を入れるという、お笑いの寸劇のような一幕があった、と。
そこまで思い出したところで、ルイズは笑いの衝動に襲われる。辛うじて笑い出さずに済んだが、我慢で歪めた表情に
エレアノールが不思議そうな眼差しを向けてきた。
「あの? お口に合いませんでしたか?」
「え? ぅ……そ、んなことないわよ……ぷぷっ」
しばし不思議そうにしていたエレアノールであったが、結局そのことを問いただすことはなかった。
こうして、多少不自然なこともあったが、ルイズとエレアノールのお茶の時間はゆったりと流れいった。
部屋の隅に立てかけられていたデルフリンガーの「いやぁ、平和だね〜」という呟きがそのまま情景になったように。
―――しかし、その平穏とは裏で、ハルケギニアに戦乱の嵐が始まろうとしていた。
支援
47 :
虚無と賢女の人:2009/04/05(日) 09:06:37 ID:H6FygWmL
以上で投下を終わります。
年度末決算の嵐が過ぎ去りましたので、これからは定期的に
かつもう少し早いペースで投下……できればいいな、と愚考する次第であります。
>>40 ふふふ、キース単品ならその表現で間違いないです。
しか〜し、「ナーガの衣装を纏ったキース」は正しく記すことすら―――もとい、
想像することすら、存在することすらはばかれますよ(苦笑
虚無と賢女さん、おつでしたー。
探られている事に前もっと気づけたおマチさんが、どんなポジションに落ち着く事になるのか今から楽しみです。
それと――キースのようなポジションなら、全ての必然性を無視して朝の食堂に健康そのもののタバサママンが居そうな気もする。
>48
タバサママン「エエ、ケンコウソノモノデスワ。オホホホホ(棒読み)」
……キースじゃねえ、カイザーだ。
ゴォルェンダァ!
カイザー違いか
乙にござりまするー。
ジュエルペットのルビー、ルイズに召喚させたら酷いことになりそうだな。
「魔法!魔法が使えるのね!?」→「…………一緒に頑張るわ」
今虚無のパズルの挿絵を見たところ何だが、ティトォvsフーケでティトォがやった事ってシシ神みたいだな
やっぱそこはぽいもの作「究極住人キーガ」の方がイインジャネ?
>>52 あの魔法はジョジョのスタンド能力ばりに応用力(なんでもあり度)高いからなー
攻撃力ゼロってとこでバランス取ってると思うけど
「分解せよ 炎に戻れ」
細胞まで浸透した状態で発火させるからな
どこまで相手に通用するかわからんけど
相手の回復魔法を上書きできるぐらいだからそれなりに通用する・・・のか
>>57 フェイスレスの頭脳をインストールされたルイズかw
>>57 元は三解のフェイスレスだったか。
分解はその炎を元に戻す様で、溶解はその炎で物を融かす事として理解は何なんだ?
そりゃ構造を理解しねーと瞬時にバラバラに出来ないって意味じゃねーの?
まぁ明かされたときは肩透かし食ったけど
>>59 ハルケギニア中のメイジが虚無だと理解して平伏・服従。
理解はルイズが虚無であることと、これ以上胸の成長は望めないということ
僕はブリミルなんだよーん
の一言で平伏するメイジ達を幻視してしまった。
つまりフェイスレス=ブリミルと・・・・・・
始祖ブリミル、勇者イーヴァルディ、平賀才人、フェイスレス司令…みーんな同じ人間。
君達に魔法と災厄を与えた張本人だよーん!
そういえばサイトも同じ平賀姓かw
つまり破壊の杖がゴイエレメスに、竜の羽衣がジャック・オー・ランターンになるのか。
阿紫花さんとか、ギイとか、場合によってはルイズの教育係にルシール先生が。
68 :
悪食:2009/04/05(日) 15:16:44 ID:L/iRW8C7
SEGAのプレイステーション2用ソフト「忍」の主人公「秀真(ほつま)」を召喚させたいと思います
注意
自分はゼロ魔を知りませんので途中から話がごっちゃになる可能性があります
秀真を知らない方は目を瞑ってください
タイトルをまだ決めてません
お断りします
最低限クロスさせる作品の内容ぐらいはきちんと把握しておいたほうがいいと思うぞ
>>68 ゼロ魔知らんのに書けるものなのか?話とか合わなくて無理だと思うんだが
73 :
悪食:2009/04/05(日) 15:23:45 ID:L/iRW8C7
ウィ
わかりました
そんなにやりたいなら理想郷とかにでもいってくれ
sageもしらん人はここには合わない
そもそもageてる時点で此処に来る資格が無い
とりあえず二度と来るな
>>76 オオゥ・・・
完璧に間違ってたよ、すまん
78 :
hgk:2009/04/05(日) 15:34:32 ID:L/iRW8C7
これってリクエストOK?
>>78 来るなっていったんだがな
せめてsageろ。そしてNOだ
80 :
hgk:2009/04/05(日) 15:38:28 ID:L/iRW8C7
下げる?まぁ無理ならいいや
ごめんなさい
メール欄にsageと半角で打つんだよ
82 :
hgk:2009/04/05(日) 15:41:11 ID:L/iRW8C7
アドバイスありがとうございました
久々に言う
半年ROMってろ
むしろ永年で。
投下してみるのはいいと思う
ただ、一応二次創作のSSを発表する場なのだからクロス作品は両方とも
読んでおいたほうがいいと思う
全部読めとは言わないがせめてメインである「ゼロの使い魔」を三巻までは
読んでおくべきだろう
それと
>>74 他所のHPを貶める発言は感心できないな
ここはあそこに比べ上質だとでも言うのか
あそこはここよりも出来が悪いとでも言うのか
前々から思っていたがこの手の発言は正直大変不愉快だ
確かに
>>74の発言はかなり不快だわ。
>>85は安易に見てみぬ振りせずにいい事言ったと思いますよ。
鋼の年金術氏
原作を読んでもいない
先にSS投稿ありき
作者名を主張したい
理想郷行きでいいんじゃないかな
ここであそこに比べて上等云々ではなく、SS投下して感想貰うのがメイン目的のようだからね
それよりサッカーしようぜ!
否、クリケットにするべし
>>90 俺の古いジャンプ脳は黄金コンビのツインシュートとチャンネルバズーカしか浮かば無かった…
キャプテン翼は召喚されてたっけなあ
サッカーはボールがありゃできるスポーツだから異世界にも伝えやすそうだが
コリブリを召喚とな
露骨に召喚してくる・・いやらしい・・・
>93
最近だとイナズマイレブン。魔法が一切関係ない、鍛えて鍛えて鍛えた結果会得が可能な必殺技の数々。
景山と世宇子中学の面々を一挙に召喚できる方法があったなら?
そうだ、ボンクラ5を召喚しよう
ヴァナじゃボンクラでもハルケ世界じゃ活躍できるさ!
そういえば、ランスの人はどうしたんだろ。
突然だがふと人数的には丁度だし
ラストガレリアンな使い魔とか・・・急に思いついたけど
ヴィンダールヴのスパイダーだけ最初にピンときたが
以降当てはめてみたら・・・
ガンダールヴ:パラノ
ミョズニトニルン:ニトロ
記すことさえはばかられる使い魔:アッシュ
うん、魔法学院虐殺でロボチップ植えつけられますね
アッシュに至っては召喚されたら電源無くてダウン、周辺の放射能汚染も免れない
なーし、この企画はなーし!!
そうか
102 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 17:40:34 ID:UBgIbk4X
お久しぶりです。
外伝三話「使い魔感謝の日」を投稿させていただきます。
17時50分を予定しています。
よろしくお願いします。
今回規制受けるかも知れません
>>100 !!まで読んだ。
自己完結してるじゃないかw
どうしろってんだよw
騎士団支援。
それにしても、カトレアってキャラが掴みにくいなぁ……。
105 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 17:50:05 ID:UBgIbk4X
ゼロの騎士団−外伝 「使い魔 感謝の日」
トリステイン魔法学院 昼
季節も初夏を迎え、生徒達には春に比べ薄着した者もあらわれる。
その中の一席ルイズ達は昼食をとっていた。
その中で、弾む会話に一区切りがついた所で、少女が新しい話題を提供する。
「そういえば、もうそろそろ、感謝の日ですね」
黒髪のメイド服を着た少女――シエスタがその言葉を口にする。
彼女はメイド故に、一緒に食事する訳ではなく、デザートを運び終えた帰りであった。
「感謝の日、何だ、それは?」
ルイズの隣に座っているニューが、デザートに手をつけながら聞く。
彼にしてみれば、まだ、この学院――世界には解らないことだらけであり、当たり前の様に話す事が理解できない事もある。
しかし、ニューと違い、1年間をここで生きてきたルイズはその言葉に思い当たるのか、思い出したように、会話に交る。
「ああ、そう言えばそろそろだったわね」
心なしか、嬉しそうでは無い声が、ニューにとってある事を思い出させる。
「まさか、また鉄鍋を持って走るような行事か?それとも、スイカ割りか?」
「なんで、感謝の日と言う単語から鉄鍋が出るのよ?そもそも、スイカ割りって何なのよ?」
ルイズが呆れながら、ニューを見る。
「夏と言ったらスイカ割りだろう、目隠しをして、スイカを割るんだよ」
「スイカなんて割ってどうするのよ」
キュルケが疑問を口にする。スイカは知っているが、
なぜ、いちいち目隠ししてスイカを割るのかは彼女には理解できなかった。
それを聞いた、ゼータが補足の意味で説明する。
「我々、モビルスーツ族は戦勝祈願の意味を込めて、
戦の前にスイカを割ってその割れ方で吉兆を占うと言う習慣から来ているんだ、今では祝い事にやる習慣が一般化している」
「そんな風習があるなんて……改めて、アンタ達って変わってるわよね」
ルイズからは理解できないと言った感情が浮かぶ。やはりどこか違うところがある物だ。
ここ数カ月は一緒に居るが、たまに、こう言った違いを聞くと改めて彼らが人とは違う事を認識する。
もっとも、そうでもしないと、既に人間とほぼ同じ様に認識する様な近い存在と言えた。
「……で、感謝の日とは?」
「感謝の日は、日頃使役している使い魔に感謝の意味を込めて、何かしらの奉仕をする行事」
本を読んでいたタバサが、ゼータの質問に答える。
「使い魔を召喚したメイジは、最初は喜ぶけどこの時期になると徐々に使い魔に飽きてくるのよ、
世話をしないならともかく、主の役割を放棄したり、最悪なのは理由をつけて殺したりするのもいるのよ」
足を組みなおしたキュルケが由来を語る。
使い魔と言うのはある種のペットに近い、
初めて召喚した喜びと一緒に居るから愛着を感じるがある期間一定に居ると、段々とそれを疎ましく感じ始める者もいる。
特に、それまで、そう言った、育てる、世話をするといった感覚がないメイジの子息たちにはより強く感じるだろう。
実際に数年前、そう言った理由で自身の使い魔を殺したメイジもいる。
オールド…オスマンはそれに激怒し、本来、社交辞令程度の意味合いの感謝の日を生徒の義務と課した。
「皆さんは何かして貰うのですか?」
シエスタの言葉に、ニュー達三人はそれぞれの主を見る。
真っ先に反応したのはルイズであった。
「な、何よ、何かしてほしい訳?言っとくけど、あんまり無茶な事は言わないでよ」
自身の行いに思い当たる節があるのだろうか、何か報復を恐れるような、そんな感じでルイズが睨みつける。
「自分のやっている事に自覚があるのだな……そうだな、ルイズの子守りから解放されたい」
目を細くしながら、ルイズを見る。最近では余り煩くなくなったがそれでも、小間使いの様な仕事に従事する事が多い。
また、日頃のルイズの制裁は既に二桁の大台すらも終えようとしている。
実際、コルベールが余りの状態にルイズを注意した事もある。
世界で一番苦労している使い魔――キュルケの冗談とも言える評価は否定したくはなかった。
106 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 17:51:10 ID:UBgIbk4X
「あははっ!確かにルイズの子守りは大変よね、私ならとっくに逃げ出すわ」
その言葉を聞いて、真っ先にキュルケが笑いだす。
傍から見ても、ルイズの相手は大変な事は彼女も知っていた。
「う、うるさいわよ、そう言うアンタの使い魔はどうなのよ」
話題の矛先を対して関心なさそう――食事の次の行動、睡眠の準備に入っていたダブルゼータは、話題を振られて気だるげに体を動かす。
「特に無いな……そう言えば、この間の賭け事で稼いだ金で飯食わせてくれるって言ってたな、忘れてないだろうな?」
眠そうであったが、何かを思い出して徐々に意識を覚醒させる。
ダブルゼータを利用してキュルケが賭けで稼いだ対価は、ダブルゼータに豪華な食事を与える事であった。
「そう言えば言ったわね、けど、ここ以上の味となるとなかなか無いわよ」
「じゃあ、どうするんだよ?」
ダブルゼータが半眼で呻く。反応は解っていたのか、キュルケは慌てずに対処する。
「睨まないでよ、今度、王都の一番のレストランに連れていくわ。
けど、予約待ちで感謝の日よりだいぶ先の事になるの……ゼータは?タバサに何かして欲しい事ってある?」
キュルケの視線の先には、どこか気にした様子でタバサを見ているゼータが居る。
彼は要望を聞かれても、さほど嬉しそうとは言えない顔であった。
「武器……と言いたいところだが、剣や盾はもう有るから、特にないのだが……むしろ、タバサ私がする事はないのか?
自由にさせてもらえるのは有難いが」
要望を聞かれても青い紙の少女は本から目線を外す事は無かった。
「特にない」
短い拒絶の言葉だけで、彼女と会話は終わる。
いつもこれだ――ゼータは不満げな顔をする。
ゼータは二人に比べるとかなり自由である。
食事や寝るとき一緒に居る以外は、むしろやる事がなく、タバサの横で一緒に本を読み、剣の訓練をしている事が多い。
そして、それはゼータにとって少し不満でもあった。
無口な所もあるが、基本的に人格的に問題があるとは思っていない。
少なくともタバサを嫌っておらず、むしろ、この世界では自分の主と言う事も認めている。
彼女の望みなら、可能な限りは叶えたい思う
しかし、タバサはルイズの様に使役し、キュルケの様に金儲けや問題に首を入れるような事はしない。
以前の様な吸血鬼退治の様な仕事も、あれ以来ほとんどない。
初めてタバサと出会った時の言葉通り、ただ居るだけでいいらしい。
だが、それはお互いコミュニケーションが取れているとは言い難く、
ニューやダブルゼータの様に、主の事をうまく把握しているという感覚がない。
実際、何だかんだで、お互い上手くやっているニュー達に比べて、距離感がさほど縮まって無い
タバサもルイズの様にむしろ我儘の一つも言ってもらいたい。
しかし、ゼータのその考えは少女に届いたと言う様子は見られなかった。
それぞれの思惑が飛び交った後、ルイズが会話を終わらせるべく動き出す。
「休みくらいあげるわよ、で、結局何がしてほしい訳?」
ルイズの言葉とは反対に苦々しげな表情に対して、ニューは不満な顔をする事は無かった。
むしろ、何か言いたい事を考えてその言葉に満足したかのような、少し嬉しそうな表情であった。
「何かして貰えるようだが、ルイズ、君は何が出来るのだ?」
鬼の首でも取ったような、表情がルイズを見据える。
最近ではお前呼ばわりのニューが、珍しく君と呼んだ事の意味が、ルイズにはすぐに理解できた。
「掃除や洗濯でもして貰おうかと考えたが、君はお嬢様だろう」
彼のうすら笑いが、ルイズの感情を逆撫でする。
“何も出来ない世間知らずな貴族のお嬢ちゃんが何言っているんだ。”
ルイズの脳内ではそう言う様に翻訳された。
「ご、ご主人様に向かって、何て事を言うのよ馬鹿ゴーレム、私にできない事なんてないわよ!」
睨みつけながら、低い声で呻く。
後悔は後からやって来る。
「……それでは、フライの魔法で空を飛んでみたいですな、できますか?ご主人様」
詰み――ニューの顔はその一言で表される。
不味いと言う表情がルイズの顔に書かれる。
ニューは端からルイズに何も期待していなかった、ただ、罠にはまったのだ。
(コイツは私に恥をかかせる為――ゼロと言う為だったのね)
恐らく、このまま魔法で失敗して爆発しても、出来ないと言ってもニューの答えは決まっている。
107 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 17:52:12 ID:UBgIbk4X
――ゼロのルイズ
自身にとって最もダメージを与える言葉を充分な根拠と共に自分に突き付けるのだろう。
ルイズは考え、そして、ある結論を出す。
「……わかったわ、そんな簡単な事でいいのね」
(なら、お望みどおりにしてあげるわ)
危険、動物がそう感じるであろうルイズの表情――その場の全員に警戒の鐘が響く。
「ちょっと、ルイズ!」
自身の身で体験しているキュルケが、真っ先に止めに入る。
「いいわよ、お望み通り飛ばしてあげるわ!」
(爆発でね)
ルイズはスイッチを押す……筈だった。
「もしや、フライを唱えて爆発などと言う事はありませんな、“メイジのルイズ様”」
英雄現る――その一言がその場の全員の中で一致した。
「くっ!」
ルイズは動きを止める。
(やっ、やられた!)
自身の目論見をつぶされ、焦り出す。
この状況で爆発させれば、自分は“ゼロのルイズ”である事を認めるようなものである。
自身が気づかずに恥をかくのと、相手に踊らされそれを知った上で恥をかくのは訳が違う。
それは不味い、ルイズはかぶりを振る。
思考の時間は敵に攻撃の機会を与える。
「まさか、ルイズ様がそんな簡単な失敗するわけはありませんよね?何て言ったって立派な“メイジ”なのですから」
盤上の神は誰か?それは言わずとも分かる。
そう確信したかの様に、ニューはルイズを見る。
(どうしたらいいの?さすがに、この状況で魔法を使う訳にはいかない)
そう心の中で考える。
相打ち覚悟で爆発させるか?
それとも素直に出来ないと言うか?
はたまた主人の権限を行使するか?
様々な考えが浮かぶが、どの道、ルイズの心にはダメージを提供されるであろう。
そして、最もダメージが少ない方法を考える。
しかし、ルイズにとって予想外の事態が起こる。
「おや、ルイズ様はもしかして体調が悪いのですか?」
ニューが途端にそんな事を言い出す。しかし、その言葉とは裏腹に全然心配した様子はない。
まさか!――ニューの事を睨みつける、その顔は予想していた通りであった。
その顔には表れていた“見逃してやる”。
確かに、ニューの言葉通りになれば、体面は恥をかく事は無い。
しかし、乗せられ、踊らされ、しかも、憐れみすらかけられる。
直接的ではないが、ルイズにとっては最も手痛い負けと言える。
「……そうね、今日は体調が悪いから、また今度飛ばしてあげるわ」
事実上の敗北宣言
「いえいえ、残念ですが仕方ありませんね」
(小娘、敗れたり!)
脳内でその言葉とこぶしを握る様子が、ニューの表情にはあった。
(悔しいぃぃ、あの馬鹿ゴーレム!)
表面には出さず、憎悪で心の中を燃やす。
一つの戦いは終わる。しかし、勝利の余韻に浸る事は許されない。
ニューは勝利に満足したのか、偉そうに咳を一つして、場の流れを仕切り出す。
スイカ割りと言ったらザク三兄弟支援。
109 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 17:55:51 ID:UBgIbk4X
「さて、冗談はこれ位にして……三人とも、特にないのなら、君達が我々三人にケーキを作ってくれないか」
その提案は何をもたらすのか?
少なくともこの時点で、気付いたのは一人であった。
(ニューさん、何言っているんですか!)
それまで会話に入らなかった、シエスタが目をニューに向ける。
止めなくてはと思うが、彼女より早く反応する者が居た。
キュルケの瞳に、何かが宿る様にシエスタには見えた。
そして、それはいい予感がしなかった。
「ふーん、面白そうじゃない、特にやる事無いし、三人まとめてやった方が楽だしね、タバサもいいでしょ?」
キュルケがその案に賛成する。
なんとなくニューから挑戦を贈られたと受け取ったらしい。
特にやる事も思いつかなかっただけに、それでいいと言った適当な感覚が見受けられる。
そして、彼女に参加を求められたタバサも無言で首を縦に振る。
残りはルイズのみ、しかし、彼女はニューの提案を受け入れられる事は出来なかった。
(何考えているの?私を罠にかけようとしていない?)
ルイズには、ニューの意図が読めないでいた。
また自分を謀るのか?――それを察したのか、ニューはやれやれと言った顔をする。
「別に、罠にかけようと言うのでは無い。
私の為に何かしてくれると言うのだ。たまには、そういった女の子みたいなところがあってもいいだろう?」
「女の子みたいの辺りが引っ掛かるんだけど?」
ルイズは、まだ何か納得行かないと言った眼でニューを見ている。
「気にするな、特に他意は無い。敢えて言えば、私達は女性に料理を作ってもらった事がないからね、
そう言った物に憧れの一つも持っているのだ」
何となく、ニューがそう言った事に縁がないのは理解できる。
そう思うと、ニューに何かしてやろうと言う気も起きなくはない。
少し寂しそうな顔で笑う顔を見てルイズは決めた。
「わかったわよ、アンタがそこまで言うのなら作ってやろうじゃないの、
ご主人様の有難さが分かるような、とっても美味しいのを作ってやるんだから、待ってなさいよ!」
その言葉と共に、昼食の時間が終わりを告げる。
何となく、その場に居づらいのか、授業を理由にルイズは去っていく。
三人が席を立ち、シエスタとニュー達が残される。
彼女は遅いと思いながらも、動く事にした。
「ニューさん!何を言ってるんですか!?」
鏡は無いが自分の顔は蒼白かもしれない
しかし、その顔を見ても、鏡の変わりのニューは何の変化も見せなかった。
「シエスタ、君の言いたい事は解っている……そして、大変な任務を、君にお願いしたい」
彼女の意図が解っているのか、ニューはシエスタを落ち着かせ席に着かせる。
「分かっているのならいいんですけど……何ですか、大変な任務って?」
自分の意図が解っているみたいだ、そう思い、シエスタは少し気持ちが落ち着いたのか、ニューの言葉を待つ。
大変な任務――おそらくそれは比喩では無いのだろう。
「実は……」
三人を見渡しながら、ニューは自分の考えを話し始めた。
110 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 17:57:23 ID:UBgIbk4X
数日後、感謝の日
生徒達がお茶の時間を迎え始めた頃、彼女達は表れた。
その様子は別段変る事は無かった。一つの皿を除いて。
「……待っていたわね」
少し疲労の色が見える表情でルイズがニューを指差す。
眼はいつもより大きく見開いており、いつ掴み掛かっても驚かない。
「……まるで決闘だな、で、どうなんだ、出来の方は?」
「最高よ!その一言で充分よ」
自分の目を貫くような鋭い目とは正反対に、ニューは落ち着きを払っていた。
(大変だったのだな……)
良く見ると彼女の指は包丁でつけたであろう傷と火傷をしており、他の二人も同様であった。
後で治そう。そう考えながら、その作品に目を移す。
「おっ、美味そうじゃん」
ニュー達が言おうと思った事をダブルゼータが代弁する。
作品自体はシンプルなフルーツのタルトであった。
カスタードクリームの上に、キウイとオレンジを乗っけた物であり、所々にミントが乗っている。
「……暑いから冷たいのにした」
タバサの言葉の通り、テーブルの上に置かれると、オレンジとミントの爽やかな匂いとひんやりとした冷気を顔に感じる。
「すごいな、初めてとは思えない」
「シエスタに手伝ってもらったのよ」
ゼータの呟きに、キュルケが答える。三人の後ろに居るシエスタは何か気が重いのかうわの空で笑いを浮かべている。
八等分に切り分けられ、ニュー達の小皿に乗せられる。
「さぁ、食べて涙を流しなさい」
「ケーキ一つを食べる言葉とは思えんな」
かつて童話にあった貧乏な子供が、泣きながらケーキを食べるシーンを思い出しながら、
ルイズの言葉を受け、フォークをタルトに向ける。
ニュー達が口に運んだケーキを三人が我が子の様に見守っている。
(大丈夫よ、絶対美味しいんだから)
無言の時間が無限の様に感じられる。
一口目を終え、何かを言う前にニュー達はそれぞれの顔を見合わせる。
審判が下される。
「美味い!」
口調が違う三人の感想が同じなのも珍しい。
だが、それ程の大当たりであった。
「すごいな、ルイズ、本当に美味しい」
今まで見た中で、最も自分に敬意を持った視線を感じる。
「王都の一番のレストランとやらから取り寄せたんじゃないのか!?」
ともすれば失礼な発言だが、真っ先に食べ終えたダブルゼータらしい賛辞とも言える。
隣ではゼータが、二人と同様のリアクションを取っていた。
「美味い、タバサは料理の才能があるんじゃないか?」
初めて娘の手料理を食べた父親が言いそうな事をゼータが口にする。
タバサは何も言わないが、心なしか嬉しそうな顔をしている。
「ふん、私達が本気になればこんなものよ」
自身が大上段にでもいるかの振る舞いでルイズが自画自賛する。
それを見ながら、ニューは苦笑いを浮かべてそれを容認する。
その後、最後に余った一切れをルイズとダブルゼータとキュルケのジャンケン争いの途中に、
シルフィードが乱入して食べてしまい乱闘が起こる。
つまりはそれくらい好評であった。
支援
ヒャッハァ!騎士団来たぜ!
支援だァ!
113 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 18:02:30 ID:lc3ib2YX
代理投下を開始する。
ルイズは夜ふと目を覚ます。
本人は解らないが、時間はまだ夜の11時頃であった。
(そうか、疲れてすぐに寝ちゃったんだ)
初めての体験と言う事もあり、あの後、疲労から夕食も軽めに済ませ自身が寝てしまったのを思い出した。
暗い部屋をぼんやり見回すと、居る筈のニューが居ない事に気づく。
「あいつ、もしかして、まだ飲んでるの?」
今日の出来事が嬉しかったのか知らないが、ニュー達三人は厨房でシエスタと飲み会をやるらしい。
疲労もあり、それを認めてルイズはニューと食堂で別れた。
「さすがに遅いわよね、よっぽど嬉しかったのかしら」
困り顔と笑顔が混じったような顔のルイズが鏡に映る。
――そろそろ迎えに行こう
そう思い部屋を出た所で、タバサとキュルケが居る事に気づく。
「ニューも帰って来ないの」
その格好から、恐らく、迎えに行くであろうキュルケが声を掛ける
ネグリジェの上に一枚だけの格好は室内をうろつくには少し問題に思える。
だが、そう言うのも億劫なのかルイズも無言で頷く。
「困った使い魔を持ったわね」
キュルケが苦笑いの表情をする。
言い返す必要はない、お互いの顔は多分同じだろう。
キュルケが起きたばかりの眠そうなタバサの手をつなぎ三人は厨房に向かった。
支援。
>92-93をみて、バズーカチャンネル・ブリットボールでレコンキスタ軍5万に風穴開けるバカを幻視したw
それはともかく支援
あれ?代理の人もさるさん?
117 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 18:24:16 ID:UBgIbk4X
厨房はほのかな明かりと少数の気配に反して、声と笑い声が途絶える事は無かった。
入口の近くに来るとアルコールの匂いがはっきりと分かる。
「まったく、いつまで飲んでるのかしら」
そう呟き、厨房に入ろうとする。だが、あと一歩で厨房に入る前に彼らの会話に自分やキュルケ達の名前が挙げられて足を止める。
「どうしたの?」
「私達の事を話しているみたいなの」
後ろに居たキュルケを、手で制止させ耳を澄ます。
声は、普段では聞かない位上機嫌なゼータの物であった。
「いや、さすがはアルガス一の策士だな」
ぶどう酒の入ったグラスを左手に持ち、ゼータが上機嫌ニューを讃える。
そのニューはシエスタに酌をして貰っている。見ようによっては侍らせているという表現でも間違いはなかった。
「本当にそうですね、最初にケーキを作ってくれ何て言った時は、ニューさん達の国で使うとてつもなく口汚いスラングかと思いましたよ」
ニューに酌をしながら、酒で頬を赤くしたシエスタが上機嫌で言う。
「しかし、これもシエスタ先生が居たからこそできた作戦だよ」
酌をされた酒を飲みほし、ニューは愉悦に浸っている。
「まぁ、あの三人に作らせたら、食べるどころか近づく事も出来ない様な代物になるだろうな」
酒が完全に入った状態で笑いながらダブルゼータが同調する。
「けど、酷かったですよ、味も確かめずに塩と砂糖を間違えるわ、クリームを飛び散らして壁を汚すわ、
火の魔法で焼こうとして竈を壊そうとするし、後片付けの事を考えると憂鬱の一言を超越しちゃいますよ」
シエスタはその時の様子を思い出しながら、溜息をつく。
良く見ると、部屋の中にはつい先程掃除したような清潔感があるが、所々に焦げた跡と、何かが張り付いたような染みが少し残っていた。
実際、お菓子作りの後シエスタは後片付けで仲間に大きな貸しを作っていた。
「すまないな、けど、こうやっておだててやらないとルイズがへそを曲げるからな」
酒をあおり、シエスタに感謝の気持ちを述べる。
「だから、今日は『アルガス騎士団とシエスタ 日頃ルイズ達のお世話お疲れ様飲み会』を開いたんじゃないか」
壁の上にはニュー達の言葉で先の言葉が書かれたであろう紙がはられていた。
大皿が置かれたつまみは殆ど無くなっており、飲み会の盛況を表している。
「けど、ニューさんの演技凄く良かったですよ『そう言った物に憧れの一つも持っているのだ』の辺りは本当に信じちゃいましたよ」
シエスタがニューの真似をする。
その言葉は確かにルイズを動かした。
「別に嘘ではないさ、私はずっと騎士として生きて来たからね、年頃の女生と余り接点は無いのはホントだよ、
もっとも、ルイズの子守りを世話するくらいなら、騎士の従者の方が十倍は楽だね」
その言葉に嘘はない。
ニューは騎士、つまり、男社会で育ってきた。訓練と遠征に明け暮れ、ルイズくらいの年の頃を余り女性と接す機会は無かった。
そして、ルイズの子守りは、ニューの世話した騎士が厳格な人物である事を差し引いても、
ずっと楽に感じられた。
「だいたい、本人が貴族の威厳を持ったつもり何でしょうけど、あれでは滑稽ですよ、観客がいたら笑う所ですよね」
日頃思う所があるのか、シエスタは笑いながら居ないルイズを詰る。
ニューは二人に目を向ける。
118 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 18:25:34 ID:UBgIbk4X
「しかし、お前達はいいよな、キュルケは何だかんだいって優しいし、タバサは特に厳しい事も言わないし、ゼータ、お前贅沢だぞ!」
二人を交互に指をさしながら絡む。
しかし、その言葉にゼータは不服を示す。
「そんな事を言うがな、俺だって不満はあるんだぞ、せっかく俺を召喚したと言うのに何もしようとしないし、何考えているのか解らないし、
普段もコミュニケーションを取ろうともしない。何考えているのか分からないし、
後、たまに変な物を食べさせるのも困っている。コミュニケーションのつもりなんだろうが、あれでは虐待だ!俺はもっと普通に主と従者で居たいのに……」
一人称が普段と違うゼータが最後の方は泣きの入った声をあげる。
どうやら、泣き上戸の素質があるみたいであった。
この間食べさせられた、ムラサキヨモギのサラダの味を思い出す。
最初、彼女を怒らせたのかと勘繰った程だ。
それを一通り見た後、泣きだしたゼータに飽きたのか、ニューはダブルゼータに絡む。
「ダブルゼータ、お前はどうなんだ、キュルケに対する不満はないのか?」
しかし、反応は鈍い。よく見ると目を細めている。
「……はぇ……キュルケの奴、この間、男に太ったなって言われていたな、後、この間、男に色目使ったけど逃げられてたな」
明かりの無い所で、体を硬直させるわずかな音が聞こえたが、中の者は誰一人として気付かなかった。
シエスタがそれぞれの主に対する感想を聞いて、より一層笑いだす。
「あははっ、やっぱ皆さん大変ですね、では、大変な皆さんにお姉さんからプレゼントですよ」
そう言って、嬉しそうに物陰からある物を取り出す。どうやら、余程プレゼントとやらに自信があるみたいだ。
「じゃーん」
「こっ、これは!」
酔いが醒めるかのように、目を見開きプレゼントを見やる。
シエスタの確信したように、やはり三人は驚いた。
しかし、外に居るルイズ達は、さほど驚かなかった。
なぜなら、それは口にはしないが、比較的見慣れたものであった。
「スッ、スイカ!」
ハルケギニアでも、ポピュラーでは無いが庶民の果物、緑色と黒のコントラストが眩しい
直径20サント程のスイカであった。
「ニューさん達が、スイカを欲しいと言っていたのを思い出して、マルトーさんに頼んでもらったんです」
そう言って、宴会場の中心にスイカを置く。樽の中に冷たい水で冷やしていたのか、表面を触るとひんやりとした感覚が三人の手を冷やす。
「でかした、シエスタ!よし、早速祝いのスイカ割りだ!」
「もはや、勝ったも同然!」
「スイカ割り、スイカ割り、俺の勝ち!」
ニューがどこからか取り出した白いハンカチで自分の目を隠し、
シエスタが戸棚にあった、肉を切る為の牛刀を取り出し手渡す。
ゼータは何故か持って来ていたギターでどこか懐かしいメロディを奏で出す。
「ニューさん、右ですよ、ああっ、違う今度は左」
「スイカ割り、スイカ割り、もう一つおまけにスイカ割り」
指示を出すシエスタと眠気が飛んだダブルゼータが、頻りに合いの手を入れステレオとなった音があたりに響く。
盛り上がる場の空気に押されるかの様に、ニューはスイカの元に近づいて行く。
そして、それは起こった。
「スイカ割り、スイカ割り、温室スイカもあるじゃない!」
ニューの掛け声と共に、閃光が縦に走る。そして、スイカは財宝の様な赤い輝きを露わにする。
剣の扱いが下手なニューとは思えない、見事な一撃であった。
手ごたえがあったのか、嬉しそうに目隠しを取り、成果を確認する。
「おおっ、久方ぶりとは思えない出来、これはいい事が起こる予感!」
自画自賛しながら、切り口に目を輝かせる。
宴が終わる雰囲気はまだ無かった。
119 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 18:27:34 ID:UBgIbk4X
「ふーん、私の子守りって、騎士の従者の十倍は大変なんだ……これは、もっと労わってあげないとね……私、本格的にお菓子作り始めようかしら」
ルイズの笑顔は優しかった。
「……ムラサキヨモギはおいしい、もっと知ってもらいたい」
タバサの顔は寂しそうであった。
「ダブルゼータって本当に良くできた使い魔だわ、ちゃんとお店に連れて行かなくっちゃ」
キュルケの微笑みは聖母か慈母の様な包容力を見せる。
顔を合わせず、それぞれは部屋に戻った。
その言葉と共に、明かりのある部屋以外、辺りは音のない闇に包まれることになる。
「ギーシュ、テメェしっかりしやがれ!」
ギーシュ&傭兵D(ダリー)ガンダム セカンド
凸凹コンビだが、いざと言う時は相性抜群
Extra
「モンモランシー、ご命令を」
モンモランシー&武者頑第刃(ガンダイバー)
水の力でサポートする
Extra
以上で投下終了です。規制解除されました。
代理投下してくれようとしてくれた方、ありがとうございます。
カードダスはネタ切れと言う事で外伝と言う事もあり、
「もし他のキャラがSDキャラを召喚したら」と言う考えで
オリジナルネタでお茶を濁します。スイマセン
次回は「真・使い魔感謝の日」になります。
乙。
121 :
ゼロの騎士団:2009/04/05(日) 18:31:52 ID:UBgIbk4X
すいません、最後に一応エイプリルフール用のネタを考えたていたのですが、
書き忘れていたので乗っけておきます。
「ジャーク帝国の本拠地を探るべく、俺達はベルゼブ達の空間に突っ込んだら、なんと、そこは魔法使いの居る異世界!?
ドラゴンは居るわ、邪悪獣でもない巨大なロボットは現れるわ、異世界ってやっぱすげー、そこに、バクリュウオーは使えないのにスーパー邪悪獣が攻めて来た。
ゴッドライジンオーに合体出来ないのにどうやって戦ったらいいんだよ!次回絶対無敵ライジンオー 異世界!大決戦!授業中でも出動OK!?」
当日に用意できなくて申し訳ありません。
乙
SD戦国伝のスイカ割り懐かしいw
専用BGMがあったような
こんにちは、騎士団の人乙でした。
では今週分の第42話の投下を開始しようと思います。
これまで長々と引っ張りましたが、風のアルビオン編に突入です。
今回の使用予定レス数は9で、問題なければ、もう少し時間を置きまして20分後の19:00より開始いたします。
待ってましたっ! ウルトラ支援です
第42話
王女の来訪
高次元捕食獣 レッサーボガール 登場!
今日、この日は一段と暑かった。
空には真赤に燃える太陽と入道雲、数千匹のセミの声がキングゼミラの鳴き声のように間断なく鳴り響く。
地面からは陽炎が立ち昇り、撒いた水は石畳の上ですぐに蒸発し、ちょっとの風魔法ではどうにもならない。
そんななか、暑いのを必死で我慢しながら全校生徒が講堂に集合し、オスマン学院長が壇上に立って一学期の
終わりを告げるあいさつをしていた。
そう、今日はトリステイン魔法学院も一学期の終業式、これから誰もが待ちに待った夏休みがやってくるのだ。
「それでは諸君、くれぐれも休み中はめを外しすぎたり、悪い遊びに手を出したりせぬよう、常に貴族の誇りを
抱いて、また元気な姿で学院に帰ってきてほしい。以上じゃ」
学院長の長い演説が終わり、当然エアコンなどない蒸し暑い講堂に気をつけの姿勢で立たされていた生徒達は、
ようやくほっと息をついた。
「はー……やっと終わったわね、うー、喉渇いたわ」
「熱射病になりそうだぜ。んったく、校長の話が長いのはどこの世界もかわらねえな」
2年生の列に並んでいたルイズと才人がひそひそ声で話していた。少し離れた場所にはキュルケとタバサが、
別のところではギーシュがしおれたバラを通り越して、炭酸ガス固定剤をかけられたジュランのようになっている。
しかしこれで、やっと一学期に学院でする勉強の全てが終わったわけだ。長かったような短かったような、これから
二ヶ月半の夏休みが始まり、生徒達はほとんどが一旦里帰りしていく。
けれど、ようやく解放されるかと思われたそのとき、壇上のオスマンがこほんと咳払いをして驚くべきことを言った。
「さて、本来ならここで解散となるところじゃが、突然じゃが皆清聴せよ。実は、今日これから恐れ多くもアンリエッタ
姫殿下がゲルマニアご訪問のお帰りに、この魔法学院に行幸なされるのじゃ!」
その一言を聞いて、それまでのぼせていた生徒達の表情がいっせいに引き締まった。
姫殿下、アンリエッタ王女がこの魔法学院にやって来る? 本当か!
「よって、本日の終業を延期し、生徒諸君はただちに正装し、歓迎式典の準備にとりかかってもらいたい。詳しいことは
ミスタ・コルベールに一任してある。よいな、くれぐれも粗相があってはならんぞ」
ここまで来たら、もうぼけている生徒は一人もいなかった。のだが、オスマンに代わってコルベールが壇上に上がって
きたときは、流石に耐え切れなかった数十名から失笑が漏れた。
なぜなら、彼はローブの上にレースの飾りやら刺繍やらをつけて派手にめかしこんでいた。それだけならまだいいが、
頭の上にロールしたでっかい金髪のかつらをつけているのはどういう趣味か、百歩譲って似合ってると言っても
バチは当たらないだろうが、普段のつるっぱげの頭頂部をさらしている彼の姿を知っている者、つまりここにいる
全員にとっては、それは珍妙な仮装にしか見えなかったのだ。
それでも、姫殿下が来るという緊急事態である。生徒達は笑いをこらえてコルベールの話に聞き入った。
「皆さん、ことは緊急を要しますので一回しか言いません。ようく聞いてください。姫殿下の馬車の到着予定時刻は
今よりおよそ2時間後、本日この魔法学院に一日滞在なさいます。よって、姫殿下の見えるところ、この学院の
中に塵一つ落ちていることも許されません。よってこれより学院あげての大掃除を慣行します」
その言葉に、生徒達の間にざわめきが走った。普段掃除などは使用人やメイドに任せてやったことはない。
さらに、これから休みに入ってしばらく使わないからといって、いつも以上に散らかして出て行こうと考えていた者が
大多数だ。しかし、いまさら後悔しても、もはや後の祭り。
「時間割を説明します。各人はこれより、まず自分の部屋、そして寮、校舎教室を可能な限り磨き上げなさい。
いいですか、猶予は1時間半です。もしそれまでに汚れを残した場所があったら、その担当のクラスは連帯責任で
厳しい罰を受けてもらいます。肝に銘じておきなさい。よいですね!!」
「はいっ!!」
生徒達は一斉に背筋を伸ばして返事をした。その様子を見てコルベールも満足そうにうなづく。
しかし、ビシッと決めるつもりで腰に手を当ててのけぞって見せたら、そのはずみでかつらがはずれて、床に
落っこちてしまった。当然、その下に隠されていた鏡のような本当の姿が明らかとなり、熱していた空気が一気に
凍り付いてしまった。
数百のひきつった顔に見つめられ、コルベールが慌てて落ちたかつらを求めるが、壇上から落ちてしまった
かつらはずっと下の床に落ちて拾えるわけもない。さらにどうしていいかと凍り付いていた生徒達の中から一言。
「すべりやすい」
と、声がして、講堂はたがが外れた生徒達の大爆笑で包まれた。
コルベールは当然タコのように真っ赤な顔になる。気の毒だが、ある意味自業自得、第一きちんと固定してこない
ほうが悪い。
その中で、この喜劇のような悲劇の立役者は、思いっきり笑い続けている親友に声をかけられていた。
「タバサ、あんた最高。普段しゃべらないぶん、話すとやるわね」
「……嘘は言ってない」
確かに、うそは言っていないが、いと哀れである。
けれど、普段温厚なコルベールといえども堪忍袋の尾には限界があった。
「だまらっしゃい!! ええい黙りなさいこわっぱどもが、大口で下品に笑うなどなんたるふるまい、これでは貴族と
しての教育が王宮に疑われますぞ!!」
と、凄まじい剣幕の逆ギレの怒鳴り声に生徒達はとりあえず黙ったが、彼の教師としての威厳は取り返しよう
もなく半減してしまった。
「と、とにかく……諸君が立派な貴族に成長したことを、姫殿下にお見せするまたとない機会ですぞ。さあ、もう
時間がありません。まずはそれぞれの寮の大掃除、30分で新築同然に片付けなさい。解散!!」
大号令はなされた、生徒達は一斉に講堂を駆け出していく。
それからは、まさに戦争とも言える凄まじい様相が学院中に繰り広げられることになった。
普段は使用人任せにしている清掃だが、姫殿下がご覧になられるかもしれないという状況ではそんなことは
言っていられない。慣れない手つきでほこりを払い、散らかっていた部屋の中を整頓していく。
中には使用人を連れてきてやらせようと考えた横着な者もいたが、そこはオスマンが先手をとって使用人や
メイド達に歓迎の式典の準備を命じていたので、彼らは貴重な時間を浪費して同級生達の顰蹙だけを買うことになった。
もちろん魔法を使うこともできるが、部屋の掃除などという細かい作業ができるほど器用なものはそうは
いないし、そんな使用人のやることに神聖な魔法を使えるかというプライドにこだわって、少年少女達は
埃まみれになって大掃除をやっていた。
それは当然ルイズ達も例外ではない。
「犬ーっ!! さっさときれいに済ませちゃいなさーい!!」
「無茶言うなーっ!! こっちは自分の寝床のわらを片付けるだけで精一杯だ。お前こそ、その机の上に転がってる
拷問器具を姫様に見られてもいいのか!!」
「そ、そうね。えっと、じゃあこっちの棚に……いっぱいか、じゃあ衣装ケースに……いっぱいね。ああん、どうしよう!?」
いつもなら才人やシエスタにやらせていることを、見よう見まねでやるが、中々うまくいかない。それはほかの生徒達
も同じなようで、片付けるつもりが逆に散らかしている者が少なくない。
支援
それでもなんとか形だけは整えて、今度は校舎の自分達のクラスの掃除に向かったが、こっちはこっちで問題が
待っていた。
「ツェルプストーっ!! あんたサボってないでしっかり働きなさいよね!!」
「だってあたしゲルマニアの出身だから、トリステインのお姫様なんかどうでもいいし。スプーンより重い物持ったこと
ないんだもん」
と、いった具合である。ちなみにタバサは片手で本を読みながら、片手で杖を振るって床のゴミを集めている。
こんな器用な真似ができるのは彼女くらいのものだろう。
しかし、時間内に掃除が終わらなければそのクラスは連帯責任で罰を喰らうはめになる。嫌われるのには
慣れているが、自分も罰を受けるのは面倒だと、キュルケは花瓶の花を換えに行った。
「んったく、これだからツェルプストーの人間は……あれ、そういえばモンモランシーの姿も見えないわね。
まさか彼女もサボリ?」
「違う違う、多分部屋の整理が終わんないんだろ。なんてったって、彼女の部屋は……」
「なるほど、あれなわけね」
雑巾を持っているレイナールに言われて、ルイズも合点がいった。以前の惚れ薬の一件からもわかるとおり、
彼女の部屋は香水やポーション製作のための工場と化している。あの大量の薬品や実験道具をしまうのは
すぐには無理だろう。
なお、苦労しているのは何も生徒達ばかりではなかった。
コルベールをはじめとする教師達は、以前怪獣アングロスに破壊された宝物庫や学院の外壁、フリッグの
舞踏会のときにパンドラ達が壊した建物の修復に追われていた。
なんでも、学院の少ない予算のために建築士のメイジや平民の大工を雇う余裕がなく、休み期間中に
低料金の業者にゆっくり直してもらおうと考えていたらしいが、半壊した校舎を姫様に見せるわけにもいかない。
ただし、学院にも土系統のメイジの教師などは当然いるが、建物を作るためにはその内部構造なども
熟知して、精密に作らなくてはならないため、ゴーレムを作るようにはいかないのである。建物とはレンガや
敷石がただ積み重なってできているわけではない。魔法で作るにもそれなりの知識と経験がいるのだ。
ま、要するに彼らがやっているのは姫様がいるあいだだけごまかすための、いわゆる張りぼてだ。
それでも、怪獣が暴れた後だから容易にはいかずに、灼熱の日差しに照らされながら錬金を唱える教師達は
真剣そのものだった。
そうして、あっという間に1時間が過ぎ、死にそうなほどに疲れ果てた生徒達は荒い息をつきながら、正装に
着替えて校門へと集合していた。
「ま、間に合った……」
暑さと疲れと+αで正装のドレスを汗びっしょりにしたルイズが、整列している生徒達の列に入り込む。
あの後、片付けようもなかった生徒達の私物は、教材用の物置や宝物庫に叩き込み、一応の体裁を
整えられていた。モンモランシーなどは貴重なポーションの瓶が騒動のせいで割れてしまったと嘆いていたが、
今はもうそれどころではない。
「来たぞ、姫様の馬車だ!」
誰かがそう叫んで、一斉に生徒達に緊張が走った。
そういやレコン・キスタにもヤプール?接触してたな支援
馬のひづめの音がゆっくりと大きくなり、馬車のシルエットが陽光に反射して、豪奢なつくりを際立たせる。
あの中に、姫様が……
生徒達の思考はその一点にのみ集中され、もはや暑さなどを感じている者はいない。いやむしろ万一にも
無礼があったらと冷や汗が出てくるほどだ。
近づくにつれて、王女の馬車を護衛している兵士達の姿も明らかになってくる。前列と後列には、あの
銃士隊ががっちりと睨みをきかせ、アニエスとミシェルの二人の姿も馬上に見え、顔見知りのギーシュ達は
さらに緊張した。
しかも、その上空には現トリステインに残る唯一の魔法衛士部隊であるグリフォン隊が広域に渡って
地上を見下ろしている。まさにトリステインという国の威信を象徴する堂々たる行列である。
やがて彼らの正面に馬車が止まり、衛士達と召使による仰々しい儀礼が済んだ後、呼び出しの衛士が
高らかに王女の登場を告げた。
「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーりーっ!!」
そして、馬車からマザリーニ枢機卿に続いてアンリエッタ姫が降りてくると、生徒達から大きな歓声があがった。
王女はにっこりと日輪のような笑顔を浮かべ、優雅に手を振って応えた後、歓迎に対する感謝の言葉を述べた。
「魔法学院の皆様、熱烈な歓迎に心からの感謝を申し上げます。昨今の緊張した情勢の中、この学院は
幾度にも渡って敵の襲撃を受けましたが、独自の力で撃退したと聞きます。そのような勇敢な方々を、
この期を利用して是非慰労したく、また将来のためにも未来のトリステインを担って立つ貴族達を立派に
育てる学び舎を、この目で見ておきたいと思い、突然ですが今日はやってまいりました」
先程より、さらに大きな歓声が王女の言葉に応えて沸き起こった。
だが、それからの半日は生徒達にとって、もっとも長い一日となった。
アンリエッタ王女の学院見学は徹底していて、校舎の各教室を見て回るのは当然、生徒達の寮で
学生がどんな生活をしているかを一部屋ごと見て回ったり、最後には厨房や使用人寮までやってきて、
コック長のマルトーやシエスタをはじめとするメイド達は卒倒しそうになった。
「よく片付いている……と言いたいところですが、きれい過ぎますね。わたくしが来るからといって、慌てて
掃除したのではなくって?」
「い、いえ……ご推察どうりです」
コルベールは派手なかつらが落ちるのもかまわずに深々と頭を下げ。
「一年生の寮に比べて、三年生の寮のほうが汚れていますね。学年が上がったからといって気を抜いては
いけませんよ」
「はっはい! 以後気をつけます!!」
三年生は全員揃って再掃除をすることになり。
「この部屋は香水のよい匂いがしますね。けど、最近ちまたでは禁制の惚れ薬なるものを甘い言葉で売買する
不貞なやからがいるとのこと、決して誘惑に負けてはいけませんよ」
「も、ももも、もちろんですとも!!」
モンモランシーは心臓が三つはつぶれそうになったり。
「何か、不当な待遇を受けたりしていることはないでしょうか? 貴族の中には平民を奴隷と混同する愚か者も
多いので、わたくしも心を痛めていますが、何かありましたら遠慮なくおっしゃってください」
「めめめめめ、めっそうもありません!! 貴族の若達には、もうそりゃあよくしてもらっています。なあみんな」
「はは、はい。わたし達は毎日楽しく働かせていただいています」
マルトーやシエスタ達使用人達は、整列しながら、姫様と直接話せるなどと一生に一度あるかないかという
機会に、完全にパニクっている。
支援
「……わたくしが王女だから、ほかの貴族の目があるからと、気を使ったり怯えたりすることはないのですよ。
それでもというのなら、わたくしは今日ここに滞在しますから、わたくしの護衛の銃士隊の人達に手紙を
託してくれたら、必ず目を通しましょう。字が書けない人は、同じく銃士隊の人に伝言を願えば、わたくしの
ところまで必ず届けさせます。彼女達はあなた達と同じ平民ですし、秘密はわたくしの名誉にかけて守ります。
わたくしは明朝に出立します……では、夕食楽しみにしていますよ」
カチコチになって、とても話のできる状況ではないマルトー達に向かって、王女は優雅に会釈すると、
軽やかな足取りで立ち去っていった。
その後、本当は貴族の子弟の横暴に辟易していたマルトー達が、これからどうすべきかと話し合い始める
のを横で見ながら、隠れて見守っていた才人はアンリエッタの才覚に感心していた。
「たいした王女様だな。俺の国の総理大臣にほしいくらいだぜ」
「俺も武器屋の片隅でうわさくらいは聞いていたが、ありゃ中々の逸材だな。少し前は世間知らずの箱入り娘
なんて言われていたこともあったが、トリスタニアが焼けた後からはまるでうわさが変わったな」
「ん、どういうことだ?」
背中のデルフも話に加わって、二人はアンリエッタの人となりについて話し始めた。
「要するに、最初のベロクロンの襲撃で国が滅茶苦茶にされて、いろいろあったってことだろ、それこそ人間
として一皮剥けなきゃ勤まらないような過酷な政務をな。逃げ出しようもない逆境に直面させられたら、
乗り越えるために人間は嫌でも成長するもんさ」
「なるほどね」
昔のアンリエッタを知らない才人は、今のアンリエッタが見る限り非のつけようもない統治者だと思うしか
なかった。この半日で学院の教師も生徒もたるんでいたところを見事にひっぱたかれたわけだ。しかも、
使用人にまで配慮している。
そうして、二人があれこれと話し合っていると、向こうでも話し合いがもつれていると見えて、シエスタが
才人のところにやってきた。相談の内容は当然、たまってる不満を姫殿下に申し上げるべきかどうか、
賛成派はまたとない機会だといい、反対派は姫殿下に不快な思いをさせてはならないと、真っ二つに
意見が割れて、まったく決まらないという。
「そういうことは、俺よりこいつが適任だな。なっ、デルフ」
「ちっ、面倒なことは人に押し付けやがって、まあお前の375倍も生きてるからな。んで、メイドの娘っ子、
おめえはどうしたいんだ?」
「わ、わたしは……申し上げたいとは思っています。ミス・ヴァリエールやミス・ツェルプストー様達は
よくしてくださいますけど、まだ大半の皆様は何かありますとすぐ杖を振り上げますし」
「なら訴え出ろ、貴族の子弟の横暴をなんとかしてくださいとな」
「で、でもそんな恐れ多い……」
「やれやれ、よーく考えてみろ。もし明日までに申し出がひとつもなかったら、待っていた姫さんはどう思うよ」
それを聞いてシエスタははっとした。あの聡明な姫のことだ。使用人にまったく不満がないなどと信じている
訳がない。
「それにな、恐らく姫さんはあんたらを試してるんだよ。勇気を出して自分のところに来るか、それとも怖がって
このまま泣き寝入りを続けるか、虐げられているからって無条件では助けない、可愛い顔して中々厳しいねえ」
「姫様は、そこまでわたし達のことを思って……」
「もっと言えば、あの横暴なガキどもがそのまま大人になってみろ、お前らはさらに泣きを見るはめになるぞ。
奴らの将来のためにも、どうすべきかはもう言わなくてもわかるだろ」
「……わかりました。ありがとうございます。デルフリンガーさん!」
シエスタは才人の背中の剣に向かって、深々と会釈をして、まだ口論をしている仲間達の元へと駆けていった。
「やるじゃんお前」
「なんとかの甲より年の功ってやつだ。やれやれ、我ながらおせっかいなことだねえ」
その後、アンリエッタは学院長室でオスマン、ロングビルらと会見し、教育がなってないと厳しく叱責していた。
ちなみにアンリエッタは当年とって17歳、地球とハルケギニアの暦の差を計算しても18歳の少女が300を超えている
老人を叱り付けているというのはすごいもので、秘書のロングビルさえ教育不行き届きを指摘されて、かつての
フーケとは思えないほど冷や汗を流していた。
なお、その後ろで常に無言のままアンリエッタの行動を見守っていたマザリーニが、生徒の成長を喜ぶ教師の
ような表情を一瞬覗かせたことに、目がいった者はいなかった。
やがて夏の長い日も暮れて、地獄のような一日からやっと解放された生徒達は、夕食だけを掻きこむ様にとると、
心身ともにぐったりした様子で生まれて始めて自分で手入れしたベッドの上に転がり込んだ。
ただし、そのころ食堂ではアンリエッタ主催で、ささやかな晩餐会が開かれていた。
この席に招待されたのはルイズ、キュルケ、タバサ、ギーシュ、ギムリ達をはじめとする、かつて対メカギラス戦に
参戦した経験のある者達、ようするにWEKCの面々で、そのときの礼もこめて会食の場を持ちたいとの、姫殿下の
ご意思とのことであった。ちなみに才人は一応の体裁を保って、部屋の隅で待機している。
全員が集まったことを確認すると、アンリエッタは全員を見渡して会食のはじまりを宣言した。
「ここに集まってくれた皆さんは、学院でも特に勇猛で、怪獣の侵攻を、一度ならず中核となって撃退する原動力と
なったとか、そんな将来有望な方々と、是非一度語り合う場を持ちたいと思っておりました」
「は、はいっ! こ、光栄であります」
にこやかに語るアンリエッタに、一応隊長役のギーシュがしどろもどろになりながら答えた。
しかし、アンリエッタは真剣なようだが、どうやら王女まで伝わるまでに噂が化けてしまったらしい。トリステイン王宮で
バム星人相手に奮闘したときは活躍と呼んでいいだろうが、その後彼らの活躍といえば、パンドラたちが来たときは
下手な攻撃で怒らせてしまったし、スチール星人とヒマラのときは皆を煽って悪ふざけをしたくらい。最初の印象が
よほど強かったからだろうが、せっかく王女様が自分達のことを買ってくださるのだから、ここでへまをして心象を
悪くするわけにはいかない。
「あ、あのの、わ、わたくしたち、は……国の役に、立つために、つつ、常に鍛錬ををを」
なんとか存在をアピールしようとしているようだが、思いもかけないチャンスな上に、皆の目があるために、
目立ちたがり屋のギーシュといえども舌がもつれて言葉になっていない。周りで見守っている少年達も、
これはまずいと思い出して、レイナールがとっさに話題を変えた。
「と、ところで、姫様は今回のゲルマニアご訪問はいかがでしたか、我が国のこれからを願う者として、他国の
状況も把握しておきたいと思いますので」
「そうですね、ではそのことをお話しましょう。質問があればご自由にお願いします」
ナイス! 少年達はレイナールのファインプレーに心の中で賞賛を送った。
また、会談自体には興味を抱いていなかったキュルケとタバサも、この話には少なからぬ関心を示した。
「最近は、ゲルマニアでも怪獣の出現が頻繁に確認されています。いくつか例をあげますと、ゲルマニアの
精錬工場地帯に、巨大な耳と翼を持った怪獣が出現して暴れ、ゲルマニア軍の攻撃をものともせずに、
工場地帯が無人になりましたらやがてどこかに飛び立ったそうです。ほかにも、海に面した工場地帯の
海中から海草を体に巻きつけたような怪獣が現れ、火のメイジと大量の火の秘薬を用いてなんとか焼き尽くして
倒したということです」
才人は、恐らく騒音怪獣ノイズラーと、ヘドロ怪獣ザザーンだと思った。ゲルマニアはほぼ中世ヨーロッパ
そのもののトリステインやガリアと違って、鉄や石炭を使った近代工業の基礎がある程度存在している。
すなわち、公害も発生しているということで、それらの汚れた物質にヤプールのマイナスエネルギーが
作用し、怪獣を呼び寄せたり誕生させたのだと推測できる。
「ゲルマニアでは、独力で怪獣を倒したのですか?」
「そう聞き及んでいます。かの国の軍事力はトリステインを大きく上回ります。ただしそれだけではなく、
ある話では、平民出身の指揮官が率いる部隊が、人間をキノコ人間に変えてしまう巨大なキノコのような怪獣を、
石炭と火薬の貯蔵してある倉庫街におびき寄せて、一挙に爆破して焼き尽くしたとのことです」
これはキノコ怪獣マシュラと思って間違いないだろう。かつてはウルトラマンタロウのドライヤー光線で
倒された怪獣であるとおり熱に弱いが、半端な火力ではミサイルでも跳ね返す。誰かは知らないが、
そのゲルマニア軍の指揮官は、一個艦隊規模の火薬と石炭を一気に炸裂させたのだろう。
この話に、生徒達の大部分は魔法を使わずに平民が小ざかしい手を使ったと思ったようだが、それだけの
爆薬を集め、なおかつその損害を許容するゲルマニアの国力、そして平民の発案したその作戦を認可した
軍の柔軟性は高く評価されるべきだろう。もっとも、それに気づけるか否かが、この二国を決定的に分ける
理由なのだろうが。
「どんな方法であろうと、戦果をあげている以上それを認めるべきでしょう。それに、我が国は現在軍の
再編の真っ最中ですが、決定的に指揮官となるメイジが足りません。貴方方も、いずれ平民の指揮官の
命令に従って戦場に赴くことは覚悟していてください」
「姫殿下、それでは軍そのものの機構を変えるとおっしゃるのですか!?」
「ゲルマニアはそうして我が国より強くなっているのですよ。ほかにもこんな話を聞きました。ある山岳地帯に
全身岩でできた怪獣が現れて騒ぎを起こしましたが、なんと現地の平民の少年がこれを倒し、その功で
シュヴァリエに叙されて、一躍英雄となったりなどしています。ふふ、まるで貴方方のようですわね」
これは岩石怪獣ゴルゴスだろう。ゴルゴスは特殊な生きている岩石が火山岩を寄せ集めてできた怪獣で、
このコアの岩石を破壊すれば容易に倒せるので、怪獣頻出期の初期には警官のピストルで倒されている。
生徒達は、王女がゲルマニアをモデルにした大規模な改革を考えていることを知った。むろん、保守派の
貴族達からは反発が来るだろうが、皮肉にもそうした大貴族は、ベロクロンとの戦闘での戦死、またフーケの
優先的な目標にされたことで、ホタルンガに大勢食い殺されたためにかなり減っていた。
王女はそこで一旦話を区切ったが、トリステイン以外でもそれだけ怪獣が出ているとは。キュルケは
自分の領地のことが話にあがらなかったことにほっとしていた。
「そういえば、ゲルマニア皇帝、アルブレヒト三世とはどんなお話を?」
考えてみれば、それが訪問の目的であったはずだ。ゲルマニアの皇帝は、政権を得るために親族や政敵を
ことごとく塔に幽閉して、それで皇帝になったと後ろ指を差される人物ではあるが、少なくとも国政に失敗
したり、国民が政策に不満を持ったりしているという話はされたことはない。人間性はともかく、政治家としては
一級品であるということだろう。
「お話としては、対ヤプール戦の協力関係が大部分でしたわね。現在でこそ、撃退はできていますが、
ヤプールもあきらめてはいない以上、いずれもっと強力な超獣を送り込んでくるでしょう。情報交換、軍の
共同作戦、さすが一筋縄ではいかない人でしたが、一応満足のいく結果を得られました。それから……
対レコン・キスタ用の軍事同盟の話が出ましたが、今アルビオン王家は独力でレコン・キスタを撃破できそうな
勢いですので、こちらはまあやんわりと。あとは、両国の友好のために、将来王家の親戚のだれかが、
あちらに嫁ぐことになるでしょうと、もしレコン・キスタが優勢でしたら、同盟のためにわたくしがアルブレヒト三世に
嫁ぐことになっていたかもしれませんわ」
生徒達が一斉に安堵の空気が流れた。トリステインの象徴である可憐な姫様が、野蛮人の王に嫁ぐなど、
いくら国のためでも考えたくもない。
また、アンリエッタも、万一にもゲルマニアに嫁がなくても良くなったことを、将来アルブレヒト三世に嫁ぐ
ことになる誰かには悪いことだが、運命に感謝していた。
なぜなら、誰にも言ったことはないことだが、アンリエッタには幼いころからの思い人がアルビオンに
いるからだ。かつて人目を避けてラグドリアン湖のほとりで密会し、将来の愛を誓い合ったその人の
ことを、彼女はかたときも忘れたことはなかった。
レコン・キスタとの戦争が終われば、あの人と結ばれることも夢ではなくなる。誰にも見せない恋する少女の
一面を心のうちに封印し、アンリエッタは生徒達との会食に意識を戻した。
だが、そのころアルビオンではアンリエッタの想像をはるかに超えた、身の毛もよだつ恐ろしい事態が
発生していたのだ。
アルビオン北東部のある寒村、人の出入りもさしてなく、わずかな山菜を出荷して金子をかせぐ程度の
本当に小さな村……そこは今、物音ひとつしない静寂に包まれていた。
つい昨日まで畑を耕していた村人達は、今はわずかな布切れと、地面と家の壁にこびりついた赤い跡
だけで、その存在の残りを主張するだけに成り果てていた。その犯人は、北の山からやってきた身長5メイルに
及ぶ亜人、トロル鬼の一団、殺戮と人肉を好む彼らは、その野蛮な欲望を満たすために、突然この村を
襲って、住人をほんの数分で全滅させたのだ。
しかし、今そのトロル鬼の一団もまた、わずかな肉片のみを残して地獄と呼ばれる異世界へとすでに
旅立ってしまっていた。
代わりに、今この場を支配しているのは5匹の異形の姿をした怪物、高次元捕食獣レッサーボガール。
次元を割って移動する能力を持った宇宙生物の一種で、生き物であればなんでも餌とするこいつらは、
腹を満たしたトロル鬼の一団に次元を破って突如として襲い掛かり、身長わずか2メートルとトロル鬼の
半分以下の小ささながらも、GUYSのトライガーショットの攻撃も跳ね返す頑強さと、トロル鬼を上回る凶暴性と
力で、またたくまに彼らが食い尽くした村人達同然に捕食してしまったのだ。
そして今、食欲を満たして休息をとっていたレッサーボガール達は、新たにこの村にやってきた獲物の
気配を感じて、その侵入者を群れをなして取り囲んでいた。
「この星の生物ではないな……餌を求めてやってきた、宇宙のハイエナどもか」
その人物は、今にも飛び掛ってきそうなレッサーボガールの群れを見渡して、冷めた口調でつぶやいた。
黒一色で統一された服は微動だにせず、端正な美貌に恐怖の色は微塵もない。
「帰れと言って聞き分ける知能もないようだな。この星の生態系に悪影響を及ぼす前に、消去させてもらおう」
彼女は、それだけ言うと挑発するように手を振った。
たちまち、激昂したレッサーボガールの一団は5匹同時に飛び掛ってくる。しかし、レッサーボガールどもの
牙が彼女の身に触れようかと思われたそのとき、彼女の姿は瞬時にその場から掻き消えていた。
危うく正面衝突しかけて慌てる5匹がとっさに上を向いた瞬間、直上からのキックが一匹の首のつけねに
打ち込まれ、その強固な皮膚をものともせずに衝撃が内部に伝道、超合金並みの硬度を持つはずの首の骨を
枯れ枝のようにへし折っていた。
「あと、4匹」
感情の抑揚を感じさせない冷たい声が北風に流れていく。
宇宙の秩序を守る者、ウルトラマンジャスティスことジュリの孤独な戦いが始まった。
続く
おや正義の人再登場?
以上です。
夏休みといえば、その前に恒例の大掃除をやっていたのを思い出して書いてみました。
さて、久々にアンリエッタが登場ですが、我ながらよく働いてますねえ。この作中ではアルビオン王家が健在
なので、精神的に余裕があるからなのですが、アンリエッタはウェールズへの思いで焦ってたり、才人への
恋煩いがなければこの程度のことをする器量はあると思うのですが、過大評価でしょうか。
この話では、アンリエッタの公の顔を主に書きましたが、これからは年相応の少女としての私の顔も書いて
いきたいと思います。
ではその前に、かなりきな臭い様子になってきているアルビオン本国のお話です。
回転乙二連ー
ゼロの騎士団…これ、普通怒るんじゃまいかw
ウルトラの人乙でした
ヅラがずれるコルベール、慌てふためきながら掃除する生徒たち
が可笑しかったです。
アンリエッタ王女が本編よりも少し早く成長している感じもありますね。
それにしても様々な怪獣が他の国でも現れてますが、それぞれの国の人間が
知恵を使い、団結して怪獣を倒すなど人間の底力は凄いと感じました。
次回の話も楽しみです。
ウルトラの人乙。
どうでもいいけど、おばけキノコ相手にタロウに変身する必要ってあったんでしょうかね。
それにしても……アンリエッタが、優秀……だと……!?
ウルトラ投稿乙!
そうだよなぁ……アンアンは“色欲”が無ければそこそこ優秀なんだよなぁ……
投下乙ー。
…この姫様の幼馴染やってたんなら、ルイズの度量がもっと広くてもいい気がするw
まあ成長したのが極最近なら関係ないかw
>139
てっきり、ルイズとキュルケの笑顔は背筋が凍る類のものかと思ってたw
20:45から17話を投下したいと思います。
今回はアンリエッタやフーケを水増し要員に起用するも、5レスくらいの短さです。
水増し要員てwww支援。
ルイズは、学院長から受け取った一冊の本を前に、呆然としていた。
それは、『始祖の祈祷書』と呼ばれる国宝で、トリステインの王族の婚姻の時、巫女に選ばれた貴族の娘はこれを手に詔を詠み上げる習わ
しになっているらしい。
結婚する王族とは、ゲルマニアの皇帝に輿入れするアンリエッタで、彼女は巫女にルイズを指名したのだという。
そこまでは良い。いや、恐れ多いとは思うが、姫さまの指名なら否やはない。巫女は式の前より、始祖の祈祷書を肌身離さずに持ち歩かな
ければならないというのも、詠み上げる詔を自分で考えねばならないというのも、まあいいだろう。
問題は、部屋に持ち帰って何か詔の参考になることが書いてないかと開いてみた本の内容である。
本のページを開いた瞬間、指にはめたままの指輪、水のルビーが輝きだし、その光を浴びた始祖の祈祷書が同じく光りだしたのである。
何が起こったのかと、指輪を見て、次に開いたページに眼を落としたルイズは、光の中に古代のルーンで書かれた文字を発見する。
座学において優秀な成績を誇り、それでも貪欲に知識を吸収し続けるルイズにとって、それを読み解くことは容易い。そうして読み勧めた
内容は、彼女にとって頭の痛いものであった。
内容を簡単に説明すると、この本は始祖ブリミルが書いた物であり、虚無の系統の呪文が書き記されている。そして、これは始祖と同じ虚
無の系統のメイジが、始祖の血に繋がる王家に伝わる指輪――――例えばルイズの持つ水のルビーなどである。を指にはめた者だけが読み解
く事ができるようになっているらしい。
つまり、これを読むことができる自分は失われし伝説の系統、虚無の使い手だということになる。
馬鹿げている。そう思う。
魔法の成功率ゼロのルイズ。どんな魔法も失敗の爆発魔法になってしまう落ちこぼれ。そんな自分が、伝説の再来だと、この本は記してあ
るのだ。
思い当たる節はある。
アプトムだ。アルビオンから帰ってきて、図書館で調べた結果、彼の左手にあるルーンが本当に始祖の使い魔ガンダ
ールヴのものであることは確認済みである。
強大な力を持ち、始祖の使い魔のルーンを持つ使い魔。そんなものを召喚できるのが、伝説の担い手であるというのは、実に納得できる話
ではある。他人の話であれば。
だが、自分が当事者であるというのなら、考えずにはいられない。これまでの16年間は何だったというのかと。
物心ついてから、彼女は常に努力し続けてきた。せめて人並みの魔法が使えればという、泣き言を飲み込み修練してきた。
それでも、魔法が使えなかった自分が伝説? 伝説だからこそ、これまで自分は魔法が使えなかった?
どちらにせよ、その結論は彼女の努力を踏みにじる事実でしかなかった。
ふざけるなと彼女は思う。この本が国宝であるという認識がなかったならば、破り捨てていたかもしれない。
だって、あまりにも酷い話ではないか。もしも、もっと早くにこの本を手に取ることができていたならば、彼女はゼロなどと言われなくて
済んでいた。周りの嘲りに耐える必要もなかった。両親や上の姉の叱責に震え、自分の不甲斐なさを責めなくても済んだ。
そう思い憎悪にも似た怒りを覚えても、彼女はこの本から眼を離せない。伝説に残るようなメイジになってアプトムを帰してみせると約束
したからという理由もあるが、それ以上に魔法が使えるようになりたいという想いが強かった。
この本に書かれた最初の呪文は、エクスプロージョン。虚無の中で最も初歩の呪文である爆発の魔法。言葉にすることなく読み勧めたそれ
は驚くほどすんなり彼女の中に染み渡り、これこそが自分の魔法だと知らされる。これまでの失敗である爆発魔法は全てこれに繋がっていた
のだと理解する。
だけど、自分はこれを唱えるべきなのだろうか? こんなものに頼るべきなのだろうか?
それ以前に、今は姫さまの結婚式に詠み上げる詔を考えるべきで、愛する者を失い別の男の元に嫁がなければならない不幸な王女を事を差
し置いて、自分の事情に頭を悩ませるのはいかがなものか。
とはいえ、詔など簡単に思いつくものではないし、気を抜くとすぐに本の方に意識が行ってしまう。
そんなわけで、ああだこうだと頭を悩ませていると、いつのまにか部屋に入ってきていたシエスタが声をかけてきた。アルビオンから帰っ
て来て以来、どういうわけかシエスタは、よくルイズの部屋に尋ねてきていた。
ちなみに現在アプトムは部屋にいない。自分でも、魔法について調べる必要を感じたらしく今は図書室に行っているはずである。
「進んでないみたいですね」
真っ白な草案を見て言うシエスタを、むー、と睨んでやるが彼女は堪える様子もなく、「気分転換をしたほうがいいんじゃないですか」と
言ってくる。
シエスタの見たところ、ルイズは暇さえあれば机に向かって過去の資料を読んでいるだけだ。これでは、過去にあった結婚式の詔の丸写し
なら作れても、本人が納得できるものが出来上がることはないだろうと簡単に想像できる。
しかし、そんなシエスタの言葉にルイズは難色を示す。彼女にはやることが多いのだ。詔が出来上がったら、次は魔法の勉強をしなくては
いけない。始祖の祈祷書という新たにできた悩みの種もあるのだから。ついでに言えば、気分転換と言われても何をすればいいのか分からな
い。真面目な性根である彼女は、そういうことは魔法が使えるようになってからだと考えていたので娯楽に詳しくないのだ。
「なら、わたしの村に遊びにきませんか?」
詔を考えるだけなら学院でなくてもできるし、それができるまでは、勉強ができない。授業に出ても、身が入らないであろう予想もできる。
そして、すぐに完成するものでもない。
なら、いっそ息抜きがてら、自分の故郷の村に遊びに来ませんか? とシエスタは誘う。
彼女は、この可愛い貴族の少女を村の皆に紹介したいと思っていたのである。村のみんなは、この少女をきっと好きになるはずだと確信も
していた。
そうして、煮詰まっていた彼女は、「じゃあ、アプトムがいいと言ったら、行くわ」と答え、後で確認を取ってみて以外にもあっさりと許
可が出たので、ルイズは休暇を取ったシエスタと共に彼女の村に遊びに行く事になるのである。
トリステインの王宮にあるアンリエッタの居室において、部屋の主である少女が仮縫いの純白のドレスに身を包んでいた。
そのドレスを着てゲルマニアに嫁ぐことになる少女は、そこに集まった女官たちが何を言おうとも無表情に頷くだけであり、それを見かね
た太后マリアンヌは、女官たちを下がらせ娘と二人きりで話をする事にした。
「望まぬ結婚なのは、わかっていますよ」
「そのようなことはありません。わたしは、幸せ者ですわ。生きて、結婚することができます。結婚は女の幸せと、母さまは申されたではあ
りませんか」
痛みを堪えるような顔で訴える娘をマリアンヌは抱きしめる。
マリアンヌは、娘とよく似た善良な人格の女性である。いや、アンリエッタの方がマリアンヌに似たと言うべきだろうが、この際それはど
うでもいい。
アンリエッタの延長線上にあるような人間である彼女は、誰よりも今のアンリエッタの心情を理解していた。
娘が誰かに恋をしていることも、その恋を捨てて望まぬ結婚をしなければならないことに胸を痛めていることも。
もちろん、その恋の相手がウェールズであるとまでは知らないが、それを知らなくても娘の考えは手に取るように分かる。
そして、その生きた年月の分だけ娘よりも広い見識を持っている彼女は、それが一時の感傷に過ぎないことも理解していた。
彼女とて、小娘であった頃は、政略結婚など気に入らなかったし、全てを捨てて恋に身を焦がしたいと思ったこともある。
だが、それがいかに愚かしい思い込みであったのか、今ならば理解できる。
彼女たちは、籠の鳥である。これは別に、虜囚だという意味ではない。籠の中で守られ生まれ育った生命であるがゆえに、そこから出ては
生きていけない脆弱な生き物であるという意味である。
例えば、ウェールズが生きていて、アンリエッタが望むように全てを捨てて二人で逃げ出したとしても、二人は決して幸せにはなれない。
守られ、かしずかれる生き方しか知らないアンリエッタに市井の民のような生活はできない。人の上に立つものとしての教育だけを受けて
育ったウェールズも同じである。
王族と言う立場に生まれ、そこでしか生きられない二人がそれを捨てたとしても待っているのは不幸な結末だけ。あるいは、お互いを憎み
あい傷つけあう不幸な関係になったかもしれない。
だから、彼女は言うのだ。
「恋は、はしかのようなもの。熱が冷めれば、すぐに忘れますよ」
「忘れることなど、できましょうか」
「あなたは王女なのです。忘れねばならぬことは、忘れねばなりませんよ。あなたがそんな顔をしていたら、民は不安になるでしょう」
アンリエッタは恋するものを喪った。だけど、その想いはいまだ消えず、その身を焦がす恋の炎が消えてしまうことなど信じられない。だ
けど、それは許されないのだとマリアンヌは言う。
「わたしは、なんのために嫁ぐのですか?」
「未来のためですよ」
「民と国の、未来のためですか?」
そのために犠牲になれと言うのか? そんな思いと共に吐き出した言葉に、マリアンヌは首を振る。
「あなたの未来のためでもあるのです」
アルビオンを支配したクロムウェルが『虚無』を操るという噂は太后である彼女の耳にも入って来ている。そんな力を持った者が不可侵条
約をいつまでも守っているはずがない。
だから、アンリエッタには、軍事強国であるゲルマニアにいてほしいというのが、母としてのマリアンヌの願いであるのだ。
「……申し訳ありません。母さまの考えも知らず、わがままを言いました」
「いいのですよ。年頃のあなたにとって、恋はすべてでありましょう。母も知らぬわけではありませんよ」
アンリエッタが胸を痛めていることを知りつつも、恋がいずれ冷めるものであることと、望まぬ結婚でも愛を育むことが出来ることを自分
の経験上知っているマリアンヌは、娘の将来が明るいものであることを信じて祈る。
そして、この恋が冷める日が来るなどとは信じられぬアンリエッタは、母の胸に顔を埋めて、ただ涙をこぼすのであった。
そこに、その女が何者なのかを知る者は一人しかいない。その一人とは、アルビオン皇帝を名乗る男クロムウェルである。
彼は、女について必要最低限のことしか語らない。曰く、東方の『ロバ・アル・カリイエ』からやってきた、自分たちの知らない技術体系
を知る女性である。
彼はそれ以上の説明をしない。そして、誰もそれを咎めない。新生アルビオン政府においては、クロムウェルの意向が全てだからである。
シェフィールドという名であるらしい、その女が普段何をしているのか知る者はいない。そもそも、めったに姿を見せない人間なのだ。
必要な時に、クロムウェルと行動を共にしているところが見かけられるだけで、それ以外ではまったく姿を見せない謎の人物。それがシェ
フィールドである。
そんな彼女に疑念を持つものがいなかったわけではない。だが、その正体を掴めた者もいない。
その日、ロサイスの街を歩くシェフィールドの後を尾行する男がいた。それは、今のアルビオンでは珍しくもない傭兵の一人である。
その傭兵は、クロムウェルの命令を直接聞くような立場の物ではなく、ゆえにシェフィールドとの間に何の接点もない。
そんな彼が、彼女の後をつける理由は何なのか。ただ単に、いい女だからと路地裏にでも連れ込むつもりなのか、はたまた彼女の正体を訝
しんだ誰かに雇われたのか。
それを知りたいと思ったのは、彼女自身であっただろう。
男が知っていたのかどうか、これまでに彼女が街を一人で歩いている姿を見たものなどいない。
つまり彼女は、わざと尾行させていたのだ。男の目的を知るために。
そうして、彼女は人気の無い方へと歩き出し、ついには他の人の目がない空間まで男を誘導し、男を待ち受けた。
おびき寄せられたのだと悟った男は、本性を剥き出しにする。目を血走らせ、口の端から牙を除かせたその男を見るものがいれば男の事を
指してこういうであろう。吸血鬼、あるいは屍人鬼と。
人の立ち寄ることがほとんどないそこに、おそらくは男性であったのだろう死体が転がっていた。
凄まじい力で五体を引き千ちぎられ、頭を潰されたその肉塊を見て、元の傭兵の面影を見出す者はいないだろう。
そんな死体であった……。
酒場にて、彼女が男の持っている荷物について質問したことに特別な意味はない。あえて言うなら暇だったのである。
男が持っているのは、何か箱が入っていると思しき大きな袋と喋る長剣。
長剣の方は彼女が渡したものでもあるので、どうでもいいのだが、袋の方は気になる。盗賊だからとかいうことは関係なく。
そんなわけで尋ねてみた彼女に対し、男はどうでもよさそうに中に入っていた二つの物品を取り出してみせる。
それは、古びたオルゴールと、取っ手も何もない黒い箱。そして、それに彼女は憶えがあった。
「これは……、『始祖のオルゴール』と『災いの箱』……。なんで、あんたが持ってるんだよ!?」
「知っているのか?」
「えーと、まあ、うん」
思わず言ってしまった彼女だが、考えてみれば自分の身元に関係する情報は口にするべきではない。が、今更遅いし、こいつには言っても
問題ないかと考え直す。
と言っても、彼女も詳しいことを知っているわけではない。彼女が知っているのは、アルビオン、ガリア、トリステインの三王家と宗教国
家ロマリアには、それぞれ三つの物品が始祖の時代から受け継がれており、男の持っている二つと、もう一つ風のルビーと呼ばれる指輪がア
ルビオン王家に伝わる国宝であるということだけだ。
そんな説明を聞いた男は、ポケットからある物を取り出す。
「それは、風のルビー! そんな物まで持ってるのかい!!」
「むしろ、これを持っているからこそだな」
「どういう事だい?」
「簡単なことだ、これを手に入れたら、何かと共鳴していることに気づいてな。それを追ってみたらオルゴールと箱があった。ただそれだけ
のことだ」
共鳴? と首を傾げるが、それは考えても自分には分からないことだろうと、特に考えもなく箱に手を伸ばしてみて、それが開いているこ
とに気づく。
ちょっと待てよ! と彼女は思う。この箱は開かないものであったはずである。鍵がかかっているのは分かるが、鍵穴はなく魔法でも開か
ない。もちろん錬金も効かない。そういう箱であったはずである。それが何故開いているのか。
聞いてみると、気になったので力ずくで開けてみたと答えが返ってきて、聞いたことを後悔した。そもそも魔法が効かないということは、
この世界において人の手の及ばない代物であるという意味を持つのだが、このバケモノには関係なかったらしい。
そして、なんとなしに好奇心に駆られるまま中身を見てもう一度後悔する。中には三角形に近い六角形の円盤状の物体が入っていた。それ
は、中心部に金属製の球体がはまっていて、外殻の隙間からは、得体の知れない触手のような物が覗いていた。
それが何なのかなど分からなかったが、確かに災いにふさわしい代物だなと彼女は思った。
そんな時である、その酒場にある少年が訪れたのは。
少年が、その酒場にたどり着いたのは、偶然でないのなら、運命に導かれてということになるだろう。
彼には、アルビオン皇太子ウェールズ・テューダーに会うという使命があった。正確には、その使命を持つものに同行する任務だったが、
細かいことである。
そのために先に行ってしまった、二人、ルイズとアプトムを追った彼だったが、追いつく前に王党派の本拠たるニューカッスルが墜ちてし
まった。
この事を知った時点で少年は、帰ろうか。などと思っていた。
ウェールズが死んでしまっているのである。今更会いに行くも何もない。というか、少年のいないところで、ルイズが使命を果たしていた
のであるが。
だが、それは叶わなかった。というか、遅かった。
トリステインとゲルマニアの同盟が締結され、それに対し両国に不可侵条約を打診したのはアルビオン側であるが、レコン・キスタにトリ
ステインへの侵攻を諦めるという選択はない。
現状、レコン・キスタはトリステインに攻め入る準備をしている状況である。そんなアルビオンからトリステインへ出ている船になど危な
くて乗れない。
というか、トリステインの貴族であると知られるだけでも危険だと今の彼は知っている。
高い授業料だったなぁと空に近い財布を振ってみたりする彼は、見逃してもらうために、この旅行のために持ってきたほとんどのお金を消
費し、この酒場での食事を済ませたなら晴れて無一文である。
そして彼、ギーシュ・ド・グラモンは、その酒場で、顔をフードで隠した女性と顔全体を包帯で隠した男に出会う。
投下終了です。
フーケorワルドの強化アイテムが特に意味もなく出現しました。どっちに使うかは決めてません。いっそ、クロムウェルに使うのもいいかもね。
アンリエッタは、見事なまでにヒロインをやってくれるキャラです。
この話の主人公がルイズであるなら、彼女にはシエスタ同様アンリエッタも攻略して欲しいと思います。
しかし、今回アプトムはもちろんルイズの出番の少ないこと……。
本屋でガイバーのコミックス新刊があったので思わず買ってしまいました。
キャプテン連載時以来なので一体何があったのかサッパリなアプトムの穏やかぶりに戸惑うばかり!
支援(`皿´)
>中には三角形に近い六角形の円盤状の物体が入っていた。
>それは、中心部に金属製の球体がはまっていて、外殻の隙間からは、
>得体の知れない触手のような物が覗いていた。
なんだってー(AA略
乙。
三角形に近い六角形の円盤状の物体……。
……結局、どんな形なんだろう。
>中には三角形に近い六角形の円盤状の物体が入っていた。
>それは、中心部に金属製の球体がはまっていて、外殻の隙間からは、
>得体の知れない触手のような物が覗いていた。
ちょ、ちょっと待て。
これはまさか・・・あれなのか!?
ウルトラの人乙!
毎回GJです。
姫様が原作より早く名君へと成長を始めているのが新鮮でしたw
各国の怪獣退治に関する話も、「人間の力で解決する」テーマを書いてて流石と思いましたw
アプトムの人もGJです!
ウルトラの名君ぶりの後に、ヒロインやってるアン王女を見れるとはw
そして、まさかまさかのユニットG登場?!
ハルケギニアはこの先どうなるんだ一体!?www
損種の人乙、と言いたいが…なんでこれが飛んできてるんだよwww
>155
えーと、予想が合ってれば二等辺三角形の各頂点のあたりを少しずつ切り落とした感じ。
たぶん平均的な日本人にとって一抱えくらいあるサンドイッチ状の物体のはずw
アプトムの人乙。
ここはギーシュが殖装しても面白いかも
今、ゼロ魔の最新巻を読みながらガイバーの事を考えてたら
速水さんがデルフを形だけ修復、暗殺関係に巻き込まれて息絶える
↓
サイト「速水さんの思いを無駄にしたくない!目覚めろ!デルフ!!!」でデルフの意識復活
↓
サイト「今こそ見せてやる…俺達が速水さんから受け継いだものを!」
なんて展開が浮かんできた
思えば速水さんって、能力はホント弱いものだったけど
速水さん自身は『弱い』って感じがしない不思議なキャラだったなぁ
そういえば調整された人でも殖装できるんだっけか?
そうそう確かゾアロードが装着すればアルカンフェルをも遥かにしのぐ超存在になるらしい。
だって一般人だった晶があれだけ強くなったんだから推して知るべしでしょう。
個人的には速水さんに装着してほしかったな……。
>>161 たしかある程度の知性体なら使えたはず。
特定の種に縛られない雑多な集合体な組織の
ごく一般的な的な宇宙服のはずだしアレ。
まぁある程度の知性体は似たような体型になる、
という前提があるかもしれませんが。
イレギュラーのアプトムは装着無理かな?
20巻くらいから読んでなかったガイバーをアプトムの人の影響で全巻読破
アプトムの熱血漢っぷりにこちらのアプトムもこれぐらいになるのだろうかと
期待に胸躍ります
ユニットはやはり擬似ユニットで女性に使わせてうっかり服の再構成が失敗とかで。
>>161 獣神将がユニットを装着すれば「降臨者もてこずる超存在」になるらしい。
アルカンフェルやギュオーがユニット狙ってるのもその辺が目的だろう。
>>162 ヴァルキュリア監察官がもし調製済みだったら見れるかもね > 超存在
>>164 確か強殖細胞は有機物なら知性、形質に囚われずすべて装殖可能なはず
>>166 「手こずる」どころか「手にあまる」ほどの超存在ですw
それからアル様がユニットを求めるのは眠りの病から解放されるためもあります。
ふと、『ウルトラ7番目の使い魔(仮称)』とかそういうネタを思いついた。
ティファの使い魔が顔に縫い目が有って、ムスカとか名乗りそうな奴。
……てぃふぁなんだかにげてー(棒読み
>163
問題は、ギーシュに、それに耐えられるほどの知性があるか、ですね?
>>169 ♪顔に縫い目があったって 怖い人と限らない〜
>>169 知性というより、
そんな状況に陥ったときに理性的に行動できるだけの
胆力があるかどうかじゃないかな。
晶はSFオタの友人から知識や情報を得る事が出来たから
そこら辺はある程度受けいることが出来たけど、
そこいらを手に入れる下地が皆無のあの世界でそこら辺を期待するのは
かなり酷なことだろうな。
ハルケギニア人がユニットを装殖しても地球人並の増幅値を示すのかな。
ムリダナ
そこら辺の考察はネタ潰しになるから程々にな。
そういえば、あれって簡単に言うと
ユニットを作った連中が使用した場合、通常の2〜3倍の能力を発揮
地球人の場合、100倍くらい
大雑把で適当な数字だが、地球人だけこれくらい非常識なパワーアップするんだよな。
だからユニット作成した文明のやつらの言葉で規格外品を意味するガイバーって呼び名が付いたんだったな。
ガイバーというとマクガイバーを思い出してしまう
……いや、ティファの使い魔は黄色と黒の縞模様で電撃ビリビリで角があるけど「だっちゃ」とは言わない方にしよう。
で、巨大魚や巨大蛾を乗りこなす聖歌隊隊長だな。マックイーンやルドガー・ハウアーみたいな声の。
クロムウェルの秘書は候補が色々有るけど、やはり抱えているタコみたいな人形が本体か。
因みに、タルブ村の墓石と竜の羽衣は……
こんばんわお久しぶりです
予約が無ければ01:00位に投下良いでしょうか?
それでは投下開始します
「で、普通ならこの世界の何かが召喚される筈の所が何をどうしたのか俺が召喚された、と」
医務室で意識を取り戻したシードは主であるルイズの部屋で色々と質問しあったりしていた
「ええ、何故そうなったかはさっぱりだけどね…よりによって人間だとは思わなかったけど…」
ルイズとの会話で判った事は
使い魔として契約された以上使い魔が死ぬまで契約が切られる事は無い
つまり、死ぬ事が出来ない体にされてるシードにとっては逆にこの主がその生を終えるまで付き従わなくてはならないと言う事になる
だが、其れも悪い話ではなかった…何せ体感で数千年もの間暗い闇の底で牢獄に繋がれ続けていたシードにとっては
この少女の生なぞ幾ら長くてもたかが100年程度であるし違う世界と言う事はそれこそ退屈潰しには困らないことだらけだろう
極一部を除き既にその生涯を終えてるであろう知人が居ないことを考えれば元居た世界に帰る必要もそれほどなかった
「じゃあ今度は私から質問するわね、あんた何者?」
「うーんそうだなぁ…なんて言えばいいのやら…」
真正直に「別の世界から来ましたと」か「天使と***して喰べちゃう天使喰いです」なんて事が言える筈も無い訳で…
迷った末にシードはあの大会で手にした称号で名乗ることにした
「闘神…そう呼ばれていたかな?元居た所だと」
「闘神…って何?」
予想通りの質問がルイズから帰ってきた
元居た世界の人間ならば闘神大会の存在など殆どの者が知らない筈が無いのだからルイズの反応は正しい
「そうだね…その世界の闘神都市って街で行なわれる年に一度の大会なんだ出場者は皆闘神の座を狙って闘う大会」
闘神大会についてシードは語る…
その世界における己の腕に絶対の自信を持つ者、闘神の地位を手にする必要がある者
剣士も格闘家も魔法使いも己の腕を競い頂点を目指す、そして頂点を極めた者だけが闘神としての栄光を掴む事が出来る大会
「それで、シードはその称号を手に入れた…だから闘神と呼ばれる…と」
正直ルイズはシードの会話内容の殆どが信じられなかった
最も信じられなかったのが目の前の男がそんな大会で頂点を極めた者だと言うこと
それはつまりシードの言葉を借りるならこの世界で言うメイジ…少なくともトライアングルクラス上位ないしスクウェアクラスをも打ち倒している事になる
因みにルイズはこのシードが魔法を使える事はさっぱり知らない
当のシードをしても対戦相手の顔くらいは思い出せるものの戦士としての自分しか思い出せていなかったのだからそんな説明がでる筈も無い
「ま、肩書きみたいなものだけどこっちの世界じゃ意味の無い事だし一寸強い平民位に思ってれば良いんじゃ無いかな?」
「そうね…って結局は平民なのね」
がっくりとうなだれるルイズ
「しっかし…」
部屋の窓から夜闇を見上げると空には二つの月があった
「本当に違う世界から来たんだなぁ…と、そうだ」
「どうしたの?」
「とりあえず使い魔に関しての事を色々教えてくれないかな?色々勝手も違うだろうから」
「そうだったわね、まず一つ使い魔は主人の目となり耳となる事…つまり使い魔の見えるものは主人も見る事が出来る」
「なるほど…で見えるのかな?」
「…何も見えないわね…次いくわよ、使い魔は主人の望むものを見つけてくる」
「ふむふむ…例えばどんなのだい?」
「例えば秘薬ね、魔法の触媒になりうるもの材料は色々よ」
「取りあえずまず何処に何があるか把握しなきゃダメだろうから直ぐには無理そうだな」
「そうね…」
だんだんルイズは疲れてきたように見える
「それでコレが最後なんだけど…使い魔は主人を守る存在でその能力で主人を敵から守るのが一番の役目…けど」
「まあ、ある程度は何とかなるかな?」
「うーん…大体あんたがどんだけ強いかなんてさっぱりわかんないんだから一番後ろも今は除外でいいわよ」
「機会が無いに越した事は無いけれど有った場合はやるだけやってみるさ」
「ええ、じゃあ暫くの間は雑用とかをお願いするわ」
(しかし妙だなぁ)
ルイズの話す内容を紐解いていくシードに一つの疑問が浮かぶ
この世界の常識として魔法を使えない者、つまり平民は魔法を使える者である貴族には絶対に勝てないと言う
しかしこの常識が絶対であるのならば使い魔に己を守らせる必要は余り無いのではないだろうか?
ここで仮説を一つ立ててみる
この絶対には前提条件として使う者、使えない者の身体能力差と戦闘経験は同格あるいは使えない者が下という前提で作られている
つまり使えない者であろうと前提を覆すほどの身体能力や戦闘経験の差があれば使えない者と使える者との差は埋まる
もう一つの可能性としては魔法使い…この世界で言うメイジには魔法以外の攻撃を受け付けない何かがある
戦闘に関してだけなら恐らくこのどちらかでは無いかと当たりをつけた
「ああそうだもう一つ」
「何?」
「俺は君の事をなんと呼べばいいかな?主従って事は様付けだの御主人様だのあるんだろ?」
「主従とは言ってもそこら辺は好きにしてくれて構わないわ」
「ん、了解した。とりあえず今日は他に何かすることとかはあるかな?」
「特に無いわ。とりあえず疲れたからそろそろ寝ようと思ったんだけど…」
部屋を見る
召喚に失敗していた可能性は一先ず置いといてそれでもまさか人間が召喚されると言うのは完全に想定外なのでそんな寝床は用意していない
「じゃ、俺は部屋の外に居るから何かあったら呼んでくれ」
そう言ってシードはさっさと部屋の外に出てしまった
「ちょっとシード!」
ルイズが呼ぶと直ぐにドアが開きシードが顔をのぞかせる
「用事あったか?」
「そうじゃ無いわよなんでいきなり外に出てくのよ」
「いやほら流石にその格好のままでは寝ないだろう?一応知識はあるつもりだけど男なもんでね」
要するにシードはシードなりに気を使ったと言う事だった
「じゃあ洗濯物はそこのかごに入れとくから明日の朝お願いね」
「ああ、わかった」
そう言ってシードは再び部屋の外に出て行った
「さて…と」
暫くの間ルイズが眠りに入るまでドアに背を預けていたシードはルイズが眠りに入ったのを確認するとその場を後にした
辺りを散策しながらシードはこれからの事を色々と考える
まず、どういう訳かあの永久牢から脱出、脱獄出来た事
ルイズの使い魔をするのは別に問題ない、どうせ人間で無い知人2名を除いて生きてる知り合いは生涯をとっくに越えているだろう
問題は地獄からの追っ手がこちらの世界を探り当てこちらに干渉してきた場合どう対処すべきか
その辺りを考えると流石に頭が痛くなってきた
固体戦闘能力では上位の鬼をも打ち倒せるのだが数で掛かられると流石にまずい
更にその鬼達の頂点に君臨する鬼王は今現在のシードの力をもってしても到底太刀打ちは出来ない
「問題は山積みだなぁ…大抵の事はどうにかなるんだろうけれど」
そう漏らした時シードの目の前に黒い点のようなものが現れ徐々に大きくなっていく
「参ったな…もう探り当てられたか」
手元に武器が無いのが心もとないがシードは戦闘体制を取る
黒い点が直径3メイル程のサイズになった所で中から一匹の鬼が姿を現した
天降鬼…シードの知る生きている数少ない知人の一人である
「よりによってお前か、天降鬼」
「久しぶりだな、まあそう警戒するな悪い話を持ってきた訳じゃあないからよ」
「そっか…とりあえずここじゃ人に見られた時に面倒だから場所を変えようか、とりあえずあの塔の天辺辺りでどうだ?」
天降鬼は答えず首を縦に振って同意しシードと2人で塔の天辺に跳躍する
「ま、ここなら問題無いかな?探り当てられるのが異様に速かったのには驚いたけど」
「地獄を舐めるな。まあそれはそうとして話の続きだが…」
天降鬼から語られた内容には流石のシードも驚いた
今までの罪を帳消しには流石に出来ないまでもこれからの行動によって罪の重さを計算し直す
結果によっては普通の人間に戻し生涯を終えた後再び罪の重さの再計算をすると言うものだった
「なんてーか、随分な話だな」
「まあ、クライアに感謝するといい。この件で真っ先にお前を庇ったのは彼女だからな?」
クライア…シードのもう一人の知人であり地獄に落とされる少し前には所々で力を貸してくれた元カラーの種族の天使
「そうかクライアが…元気にしてるかな?」
「元気は元気だろうが随分と心配していたぞ?会う事があったら礼の一つでも言っておけ」
「そうさせて貰う。…といっても善行なんて早々積めるのかねぇ?」
「正直な所無理だと俺は思うぞ?アプロスに騙されていた事を抜きにしても平気で人突き落とすわ無理矢理犯って自殺させるわ天使食いまくるわ…」
「あー…うん、無理…かも?」
実際の所シードの罪の大半…天使を食ったのは必要だったとして除外したとしても殆どがその場の勢いでやらかしてしまったものである
突き落としたのはその場の勢いで
自殺させたのは、そもそもあの大会に出るんならその覚悟位はしとけと思う
意味も無くメイドをいじめたのはそういう気分になったからであって…
ふと思い当たった罪の一例だがシードにとって悪意はコレっぽっちも無かった…そもそもそれが問題だというのだが
「正直な所、だ。お前は何か行動する前に一度少しはモノを考えろ…何故か知らんがお前はそういう部分が欠落しているようだしな」
「…まあ、出来る限りは努力する」
「それと、土産だ」
ポンとシードに布袋が渡される
「今となっちゃ死ぬ事は無いだろうがやはりアレは来るんだろう?一応その時の為の薬だ」
「…天降鬼、お前コレの副作用知ってて渡すつもりか?」
天降鬼の渡した薬…それはシードの天使喰いの力が拒絶反応を起こした際それを押さえる為の物である
但し副作用として強烈な性衝動に駆られる事になる
「使うかどうか、あと相手を誰にするか何かはお前次第だ…まあがんばれ」
「はぁ…この薬渡すように仕向けた奴って絶対わざとだろ…クソっ」
不満を漏らしながらもシードは薬を受け取る
「さて、俺はそろそろ戻らねばならん…では次に何時会えるかは知らんがそれまでまたな」
「ああ、またな」
天降鬼はこちらの世界に出現した時のように黒い穴が現われその中に入る
穴は小さな点になり消えた
その場にはシードと天使喰い拒絶反応を抑える薬が残された
「まあしかしアレが苦しいのは事実なんだがどうしたものやら…流石にルイズ相手に使うのは……どう考えてもまずいよなぁ」
使いたくても使えない薬を受け取ったシードは学院の塔の上で頭を抱えていた
以上です。
無事薬は入手出来たものの使う事が出来ないシード君でした
その薬つかわにゃならんシード君は流石にこの板じゃ不味いだろ・・・・
とりあえず乙
内容によっては避難所行きかな?
ルイ・サイファー読んだ。
すげえ…久しぶりに冷や汗が出た。いい意味で悪寒が走ったね。
>>184 18禁はまとめウィキでも禁止です。
つまり避難所に投下しても掲載できません。
18禁にならない範囲で描写してください。
18禁にならない範囲なら本スレで投下して問題ないです。
つまり避難所をゴミ捨て場にしないでください。
>>186 いや、wiki掲載できないだけだから18禁を避難所に投下するのはいいよ。
まあ、朝チュンくらいなら良いんじゃないかなーと思うんで、誤魔化しようはいくらでもあるんじゃないか?
荒れるから投下しなくていいよ
別に投下するななんて言わないけど次からは避難所でやったほうが無難かもしれんね
こっちだと文句いう人間多いから
面白いと言ってくれる人はいるので。
本スレだろうと避難所だろうと、執筆頑張れ。
15禁ぐらいだったら大丈夫!
婚前前の男女がふれ合う描写も18禁
接吻なんて論外だよ
お前はどこのインド人だw
まとめに「聖樹、ハルケギニアへ」がない…
なんでだろう…面白かったのに…
例えば、街にナンパしに行ってとか、学院にいる名無しキャラに手を出すとかならいいのでは?
まあ、ガチ描写やっちゃうとまずいけど、朝チュンレベルなら平気かと。
えんぎでもない!
このスレには ちゅういがき をよまないにんげんが××人も!
行為を具体的に描写しなけりゃ問題無いんじゃないか?
>>195も聖樹作者もゼロ魔は踏み台、流行ってるから乗っかったってのが
よくわかりますね。原作の固有名詞ぐらい正しく憶えろよ。
固有名詞の間違いは兎も角、そこまで言わんでもと思わんでも無い。
所詮ここは痰壺
罵声だろうが賞賛だろうが吐き捨てだから仕方ない
でも毒を吐くのは毒吐きスレでな。本スレで吐くのはやめとけ。
あのエクスデスはネタに走ったオリキャラにしか見えない
トリックの奈緒子呼んだら大変なことに…
>>204 「ワタシはルイズの目、ルイズの耳、ルイズの手、ルイズの脚
ルイズの ルイズの ルイズの・・・・・・・・」
こうですね、わかります
>196
例えば某ザーフィーだと、まずキュルケあたりの手首に緑色のバンダナが巻いてあり、モンモン、ケティ、フーケ、などなど……
ルイズの手には最後まで無いけどな!
>>205 使い魔としての役割が一致しているあたりが……
てか、OTIKAが困るぞ
ルイズが、才人の替わりに桃太郎侍や旗本退屈男とか召喚したら…
しかしトリステインには使い魔にたたっ斬られる悪代官や悪徳商人はいないからな。
但し、ワルド子爵とリッシュモンとモットとチェレンヌとベアトリス!
お前らだけは別だ!
ならば眠狂四郎がいいかもな。
ニヒリストで“虚無感”をもっているしw
誰が巧いこと言えとww
ヒーロークロスラインからヴォイド召喚とかどうだろ。
量子変動=魔法ということにすればいけそう。
虚無にとりつかれていたのは机竜之介では?
>>208 ベアトリスはそんなに悪い子じゃないだろう。
子供ゆえの未熟さからの傲慢だったから、テファの一件で懲らしめられてからは逆にテファに懐いてる。
残念なのは登場が12巻なので、扱ってるSSがごくわずかなことだが。
しかしプラモ狂四郎召喚
でも葛葉狂死を召喚するっ
うっかり忌野清志郎召喚。実在の人物なので召喚キャンセル。
ところが廻狂四郎がしょうか…
…避難所送りだな…
昔のボンボン作品って、結構な危険人物が山ほど居たっけ……
デビチルは当時素でトラウマになりかけたな…
漫画版F91のバグが人々を切り裂いていくシーンは子供心に怖かったです。
超スーパーすげェどすばい…
18禁か、前にとある吸血鬼エロゲのパイルバンカー少女を召喚しようとしたけど
設定が設定だけに召喚を自重したことがあるな。
つーか、血液の代わりが星液率異常だろ……
☆液ってなんかメルヒェンだな
アリスマチックのキャラ召喚
既に達人レベルなうえにガンダで更に増強。
そしていつのまにか教室に混じってる銀髪ロンゲ
>>225 色々名状しがたいものまで来そうなのでデンジャラスです。
>>224 カレーってパイルバンカーも使うんだ。
そっち系はまったく知らんですのぉ
パイルバンカーといえばとっつき
かすっただけでも瀕死です
231 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/06(月) 19:44:14 ID:b6lk3OuV
アプトムの人へ
ユニット・ガイバーは、いっそのこと「戦いに全く縁の無さそうなキャラ」に使わせるのはどうだろう。
ティファニアとかアンリエッタとかシェスタとか。
それに、考えてみれば、ユニットがこれ一個とは限らない。トリステイン・アルビオン・ガリア・
ロマリアに、それぞれ一個ずつ伝わっていてもおかしくない。
>>230 パイルバンカー……か。
アルトアイゼンが真っ先にうかんだ俺はスパロポ房。
あとゾイドのレブラプター攻城戦装備型。
| \、_,ノ 、_/ |
パイルバンカー! | _,ノ ミツハツ ( |
三 /ニ二ニ≡ \、_,ノ、_/ ──__ `) ( (`Д´ )) |
三,、,、|/・∀・)__u _,ノ (  ̄ ̄ ̄ ヽ / |
三 >≡≡==‐‐>`) (` ── ̄ ̄ ̄ / ,- ヽ ビターン!
三’``´ ) )ヾ ヽ '⌒) '^\ | '⌒)(__,/ ヽ__)(` |
三 (_) ヽ__) | /' '^\ |
蒼の騎士のパイルバンカーは地割れを起せると聞いた
本編ファンからは非難轟々らしいが
まぁ、ああいうロボットノベルと割り切って読めばそれはそれで面白いんだけどね>青騎士
ボトムズとして見たときは無い。
一応、青騎士はボトムズ本編におけるバトリングの都市伝説って設定になったみたいだけど
エイリアンの二段構造の口も一種のパイルバンカーじゃないか?
接近してかませばヘルメットとか余裕で貫通してるぞ。
俺の中ではダイガードのノットパニッシャーが最高のパイルバンカー
フロントミッション4のOPムービーのパイルバンカーこそが至高
>>215 ターゲット始末するのにビルごと粉砕する殺し屋とか無茶過ぎる
たしかあいつ頭がザクロみたいに弾けても悪態つきながらピンピンしてたよな
毎回ルイズに爆殺されるスプラッタコメディな方向ならなんとかいけるか……?
お前ら生身で頑張るメロウリンクさん(17)の事も少しは思い出してやってくだしあ
>>233見たらディグダグ思いだした
モリぶち込んで空気吹き込んで破裂させる使い魔なんて呼んだらルイズトラウマものだろうな
>>233 おっとスレイヤーを忘れてた。すまない。
それとAAは自重しとこうぜ。
ディグダ♪ディグダ♪ディグダッダ♪
>>172 亀だが、その辺は伏線が張られてるぞ。
アプトムが吸血鬼を吸収同化したときのことを思い出してみ。
ハルケギニア人が地球人同様に創られた存在で、吸血鬼が調整されてるという設定だったっけ?
おそらく亜人全般もしかしたらメイジも調整の結果生まれたんだったりして
OTITKAで思ったんだが系統魔法で過剰投与されたナノマシンって取り出せるんだろうか?
そこまで深く生体に関わってるわけでもないような感じがするから無理なんじゃないだろうか
あくまで水の操作だし
考察スレとかそっち系の方が無難そうな話題だな
>旗本退屈男とか召喚したら…
原作版なら江戸の人民がありえないほどハイな状態になってるので
どいつもこいつもゲラゲラ笑いながら陽気に祭りに喧嘩に犯罪する退屈男空間になる
旗本って言うなれば騎士だよな
でもアニエスなんかは絶対に認めないような気がする
>>228 亀だが
小ネタで『使い魔(るい)は友を呼ぶ』
ゲーム悪代官の悪代官を召喚して7万の兵相手に罠で勝つとか
シエスタ相手に帯回しするとか想像した俺はもうダメかもしれない…
ちわース、三河屋でーす。
先約が無ければ、五分後に投下させていただいてよろしいでしょうか?
『もうかいたのか』『はやい』『きた!神人きた!』『メイン神人きた!』『これでかつる!』
「な、何だったのよ、あいつ……」
ギーシュとの決闘を終え、広場の生徒達がまばらになっている頃……、ルイズは自室へと向かっていた。
頭の中には、豪鬼への疑念が渦巻いていた。
平民。 自分が召喚した、ちょっとごつい平民。 みすぼらしい服を着て、それでも超人的な力を持つ。
一体あれは何者? メイジでは無いらしい。 異世界から来たとか言っていたが、本当なのか?
途中キュルケに話しかけられたりもしたが、上の空で返事をしたから覚えていない。
でも……ギーシュを倒した時、ちょっとすっきりしたかも。
そんなことを考えながら部屋に着く。 ドアを開け部屋に入る。
――居た――
「ご、ゴウキ、ななな、なんで居るのよ!?」
鍵は掛けたはず。 そう思いながら、急いでルイズがドアを見ると、ドアの鍵が壊れていた。
「あ、あんた……鍵壊したの!?」
「ぬ……あのような物、有って無いようなものよ」
ふん、と豪鬼が鼻で笑う。
ルイズは、自分に必死に落ち着けと言い聞かせながら、あくまで笑顔で質問する。
「ね、ねえゴウキ?」
「何用だ」
「ギーシュのゴーレムを倒した、あの、なんて言うの? あれ、何だったのよ?」
「……技」
「わ、技ぁ!? いや、そんなはず無いでしょ、どうやったら技で青銅を真っ二つにするのよ」
「笑止。 日々鍛錬の賜物よ」
「あ、あんたねえ……」
どうせこの使い魔のことだ。 本当の事は教えてくれないのだろう。 本当かもしれないが。
そう考えたルイズは、しかし諦めきれない。
「ね、ねえゴウキ? 本当の事を教えて頂戴?」
「嘘は言っておらん」
なんか段々腹が立ってきた。 そういえば、こいつはさっき自分を馬鹿にしたでは無いか。
そういえばあの時も、あの時もと考えたルイズは、その理不尽な怒りを豪鬼に向けた。
「あんた、ちょっと調子に乗ってるんじゃない?」
「笑止」
なにかあれば笑止、笑止。 そんなに笑うのを止めたいのか。
溜まりに溜まった怒りが遂に沸点に到達してしまったルイズは、豪鬼に罰を与える事にした。 いや、気付いたらやってしまっていた。
死円ッ! ハルキゲニアってさ、トゲトゲしてるよね…
「あ、あんた、何かにつけて私を馬鹿にして〜〜! もういいわ! あんたは一回使い魔という自分の立場を思い知る必要があるのよ!」
ルイズはドアを指差した。
「これからずっと、外で生活しなさい!」
次の日の昼間。
「ぬう……」
ルイズの部屋の前にいる豪鬼は困っていた。
と、言うのは、今、自分の隣に自分の胴着を必死に銜えて引っ張ろうとしている火トカゲ……フレイムが居るからである。 もう今日の朝からずっとそうして、豪鬼をどこかへ連れて行こうとしていたのだ。 それこそ、食事の時も、洗濯の時も。
「うぬは一体……」
いくら豪鬼とて、獣の言葉は理解できない。
そんな訳で、豪鬼は困っていたのだ。
とは言え、この火トカゲ、かなり必死である。 何故ここまで必死になったのか、という疑問と、これ以上は胴着が耐えられないという理由で、豪鬼はそれに引っ張られていく。
……筈も無く、豪鬼はフレイムに一発拳骨をくれてやると、今日の修練に向かった。
豪鬼がフレイムの意識とフラグを拳骨でへし折ったその頃……。
学院長室では、ロングビルが黙々と仕事をこなしていた。
仕事を一段落させると、視線をオスマンへと向ける。 オスマンは居眠りをしている。 よし、と小さく呟くと、すばやくサイレントの魔法を唱え、自身の足音を消す。
そして、薄ら笑いを浮かべながら学院長室を出るのであった。
実はロングビルは決定的な間違いを犯していたのだが、それに気付くことは無く……。
支援だ
ロングビルが向かった先は、学院長室の一階下に位置する、宝物庫がある階だった。
宝物庫。 そこには、学院始まって以来の秘宝が納められている。 それ故、扉には巨大な鍵前で守られていた。
ロングビルは杖を取り出し、詠唱を始める。
詠唱を終え、杖を振る。 しかし、錠前には何も変化が起こらなかった。
ロングビルはまた違う魔法を掛けるが、それも効果を表すことは無い。 ロングビルは小さく舌打ちをすると、呟く。
「スクウェアクラスのメイジが、『固定化』の呪文をかけているみたいね」
『固定化』の呪文の前には、あらゆる化学反応から保護され、そのままの姿を永遠に保ち続けることが出来る。 『錬金』の魔法も効力を失う。 ただ、呪文をかけたメイジが、『固定化』の呪文をかけたメイジよりも実力で上回っているのであれば、その限りでは無い。
しかし、トライアングルクラスのロングビルに、スクウェアクラスのメイジに実力で上回れるはずも無く。
ロングビルはメガネを持ち上げ、扉を見つめていた。 そんな時、誰かが階段を下りて来ている事に気付く。
慣れた手つきで素早く杖をしまう。
現れたのは、コルベールだった。
「おや、ミス・ロングビル。 ここで何を?」
コルベールは、間の抜けた声で尋ねる。 ロングビルは、愛想の良い笑みを浮かべた。
「はい、宝物庫のの目録を作っているのですが……」
ロングビルは、困ったように笑う。
「あいにく、鍵を持っていないんです。 オールド・オスマンはご就寝中でして……」
「なるほど。 確かにあの方、寝るとなかなか起きませんからな。 では、僕も後程伺うことにしよう」
コルベールが歩き出す。 それを、ロングビルが呼び止めた。
「待って!」
支援拳
コルベールは一瞬びくんと大きく反応すると、ぎこちなく振り向いた。
「な、なんでしょうか?」
ロングビルはもじもじとした仕草で、上目遣いでコルベールを見つめる。
「あの、よろしければ……、昼食を一緒にいかがでしょうか……?」
コルベールはその言葉に、満面の笑みで答えた。
「は、はいっ! 喜んで!」
二人は並んで歩き出した。
「ねえ、ミスタ・コルベール」
「は、はい! なんでしょうか!」
ロングビルから誘いを受けたと言う喜びと驚きと緊張でがちがちに見えるコルベールは、つい大声を出してしまう。
そんなことは気にも留めず、ロングビルは微笑む。
「宝物庫の中に、入ったことはありまして?」
コルベールは、ああ、と言うと、顎に手を添えた。
「ありますとも」
ロングビルが、ニヤリと笑う
「では、『悪夢の書』をご存知?」
「ああ、あれは、奇妙でしたなあ」
ロングビルの目が光る。
「と、申されますと?」
それは……、とコルベールが言うと、コルベールは急に真面目な表情になった。
「なんと言いましょうか……、あの巻物を見た瞬間、いや、あれが視界に入った瞬間、言いようも無い恐怖に襲われまして……。 何よりも不思議なのは……」
「不思議なのは?」
コルベールがごくりと唾を飲み込む。 顔には、冷や汗が流れていた。
コルベールは、一言一言かみ締めるように、恐怖に耐えるように言った。
「私はあれを見たとき、確かに、そう、確かに『悪夢』を見て、そして、いつの間にか、『死』を、あの場で、死んでしまうことを、覚悟していたんです」
ロングビルも、緊迫した表情になる。
「では、それはまだ、宝物庫に?」
「ええ……」
「でも、あの宝物庫には強力な『固定化』がかかっているんでしょう?」
「ええ。 しかし、宝物庫にも、一つだけ弱点があるのですよ」
「はあ」
「それは……。 物理的な力です」
ロングビルの目が、また光った。
しぇん …古生代のハルキゲニア。
始めてKOFを開催した人のフラグですね 分かります
今回はこれで終了です。
支援ありがとうございました。
あ、使い魔会議の方は、ネタが思いつかんのでボツとなりました。
構想的には、各地に召喚された美形メンバー達が、庵を召喚したルイズの部屋に集まって
会議という感じだったのですが……。
よくよく考えると出てくるのがワルドとギーシュとウェールズだけだったのでwww
乙
墓標のアレかw さながら「謝れ!ギーシュさんに謝れ」ってか
乙でした。
だんだん豪鬼がかわいくなってきたw
ハルキゲニア の検索結果 約 15,800 件
ハルケギニア の検索結果 約 112,000 件
げえっ!ハルキゲニアのほうが少数だと!?
>>265 一部開放
「ゴハッ!」
「右京さんが血をはいた!」
「せや、あかんかったんや……原作では主人公を絶体絶命まで追い詰めるけど、
このスレじゃいっつもいっつも踏み台にされてばっかりやってことを言ったらいかんかったんや……!」
「それは僕じゃないかい!?」
「……空気読め!」
「そうだ!空気を読め!ギーシュ・ド・グラモン!」
「右京さんに謝れ!」
豪鬼の人乙です。
やっぱりフラグ折ったかw
それはちょっと問題ありそうな
>>267 ユビキタス関連の用語にハルキゲニアプロジェクトってのがあってな
あー・・・なんか記憶違いがあったみたいだ・・・
恥ずかしい穴掘りたい
ユビキタス…風は遍在する
>>222 ああ、輸血箱のギャグストーリーでの扱いがあんまりだった彼女か
ハルキゲニアプロジェクト の検索結果 約 3,980 件
ウルトラ5番目に敵としてしれっと出てきてもおかしくないような造形だよな>ハルキゲニア
ガイバーの新たな損種実験体で…
あんなのが最後にフルバーストかまして『受け継がれる魂』を託して逝く光景など想像したくもないが
278 :
ゼロの社長:2009/04/07(火) 00:29:14 ID:6sjnaD7+
23話が完成したので0時40分から投下したいと思います。
描きあがるまでに凄い時間がかかってしまったorz
ヒャッハー!支援!
青と赤、二つの月が照らす夜空を進む空かける船の甲板に、ルイズと海馬はいた。
二人の髪の毛を軽やかに風が流している。
そんな中、ルイズの表情は影がさしているように暗かった。
『話がある』
そう言って海馬を呼び出したものの、何から話していいものか迷っていた。
いや、聞いて欲しい事はただ一つ。
自分の存在価値。
この旅に置いての自分の価値とはなんだろうか。
先ほどの戦闘の中で、ルイズが大きく心揺さぶられた事はそれだった。
アンリエッタは自分よりも強い。
いや、アンリエッタだけじゃない。
瀬人はもちろん、コルベールもメイジとしてトライアングルの腕前がある上に、デッキを持っているデュエリスト。
海馬瀬人を使い魔として召喚したあの日以降の出来事で、デュエリストの強さというものは嫌というほど理解している。
そして、タバサ、キュルケは共にデュエリストではないものの、トライアングルのメイジ。
それに比べて自分はどうだ。
瀬人を召喚して以降も、以前と変わらず四大系統の魔法を発動させようとすれば、大爆発が起こる。
相変わらず『ゼロのルイズ』のままだ。
そんな自分が、なぜここにいるのか…。
「おい、ルイズ。人を呼びつけておいてずっと黙っているつもりか?
俺はそんなことに付き合っているほど暇ではない。月見なら一人でしていろ。」
「……っ!あっ…の…」
「なんだ、言いたい事があるならはっきり言え。」
ルイズは思いのままに、さっき考えていた事を海馬に伝えた。
だが、ルイズの必死な思いとは真逆に、海馬はつまらなそうに返した。
「くだらん。そんなことか。」
「そ、そんなこととは何よ!私にもっと力があれば…姫様の力になれると思って。」
「問題なく敵から逃れられたというのに、自分の功を望むつもりか?」
「ちがうっ…そうじゃなくって。もしも…もしもよ?
あんなに強い姫様に迫る危機が訪れたとして、そんな敵が相手になったときに…私になにができるんだろうかって。
私がここにいる意味って…そう…思ったら…」
俯き、顔を伏せるルイズの瞳には、うっすらと涙が見えた。
そんなルイズの様子を見ながらも、海馬は淡々と言葉を繋いだ。
「ある男が言っていた。デュエルモンスターズのカードに、意味の無いカードなどないと。
だが俺はそうは思わん。俺にとっての雑魚カードに存在する意味など無い。」
海馬の言葉を聞き、ルイズは一層俯き悔しさから歯を食いしばる。
悔しさから更にあふれ出そうになる涙をこらえて、声を絞り出す。
「私が…このメンバーの中ではいらない雑魚カードってこと…?」
「違うな。間違っているぞルイズ。価値を作り出すのは己自身だ。
どんなカードにも漠然と意味があるのではない。デュエリストがカードに価値を見出したとき、初めてそのカードに存在する意味が生まれる。
自らの意思で自分を雑魚と思い込み、悲劇のヒロインの喜悦に浸るも良いだろう。
だが貴様の価値を決めるのは、まず第一に貴様自身だ。」
そういうと、海馬は背を向けて船内のほうへと戻っていった。
「なによ…勝手な事言うだけ言って。」
ルイズは涙を拭き、海馬の去っていったほうを見つめつつ考えた。
(私の価値を決めるのは、私自身…。)
「……一国の姫が盗み聞きとは趣味が悪いな。」
「聞く気は無かったんですけれど…。」
海馬が曲がった先には隠れるようにして聞いていたアンリエッタがいた。
その顔には誤魔化す風でもなく、少し曇った表情を浮かべていた。
「ルイズが、そんな風に思っていたとは…」
「心当たりが無かったわけではあるまい。ルイズが貴様に仕えることに必死なのは、誰が見ても明らかだ。」
「えぇ…。彼女は立派なトリステインの貴族であろうとしている。
魔法が成功しないと言うことが、ルイズにとって余計にそれを強く意識させている。
そしてそれを知りながら、今私がルイズにかけてあげられる言葉は無い。」
アンリエッタが今のルイズにどんな慰めの言葉をかけようと、それはルイズの心を傷つけるだけの結果になる。
ルイズが『立派な貴族』を志す以上、自身の弱さを使えるべき主に慰められる事ほど辛い事は無いだろう。
そしてそれは、ルイズの『友人』であろうとするアンリエッタにとっても辛い事だった。
「だが、ここからどうするかはルイズ自身の問題だ。他人がどうこうしてやる事ではない。」
「……使い魔らしくない発言ですね。ルイズはあなたの主人でしょう?
それを他人のように言うなんて。」
「俺はルイズの犬になった覚えは無いし、主人などと思ったことは一度も無い。」
「……」
「だがルイズが進もうとするロードに、俺の助けが必要ならば力を貸してやるというだけの話だ。」
「変わった使い魔ですね。あなたは。」
「あぁ、こんなところにいた。」
不意に後ろからかけられた声に振り向くルイズ。
「なんだ…。」
「なんだとは失礼ね。船中探し回った相手に対して。」
声をかけてきたのはキュルケだった。
「別に探してくれなんて頼んでないわよ。何の用?」
「ん?あぁ、ルイズ。あなたほら昨日寝込んでた上に、あの騒ぎでそのまま船に乗ったじゃない。
お腹すいているんじゃないかと思って、これ。」
キュルケは手に持っていた袋をルイズに差し出した。
何かがぎっしりとつまっているようで、その袋は膨らんでいた。
「何よその袋?」
「ほら、学院を出る前にシエスタが焼いてくれたパン。ドローパンって言うシエスタの故郷の名物の一つらしいわよ。」
「あぁ…」
支援
そんなものもあったな、とルイズは思い出した。
つい先日の事も忘れているようじゃ、よっぽど思い詰めていたのかと、自嘲気味に思う。
そう言われて自覚すれば、当然空腹の度合いは加速度的に上がるもので、
狙い済ましたかのようなタイミングでルイズの腹の虫が鳴った。
「…頂くわ。一つ頂戴。何の味のパン?」
「さぁ?」
「さぁ?って…あんた食べてないの?」
「味は自分で引いてみてのお楽しみ、って手紙に書いてあったわよ。私が引いたのはカレー味だったから、
メモに書いてあった『灼熱のクリムゾンカレーパン』だと思うわ。」
「…何その名前。普通のカレーパンじゃないの?」
「タバサはハシバミ草の苦味の中に、バラの香りが隠されているとか言っていたから、たぶんこの『ブラックハシバミガイル・ローズスペシャル』じゃない?」
「…どこからそう言う名前が思いつくのかしら。まぁいいわ。」
ごそごそと袋の中から一つパンを選ぶルイズ。
適当に手に取ったパンを一口、口に含むと、好物のクックベリーパイでおなじみの香りが広がってきた。
「クックベリーのジャムかしら…。結構美味しい。」
「クックベリー、クックベリー…あ、これか。」
メモを見ながらルイズが引いたドローパンの名前を探しているキュルケ。
もきゅもきゅと美味しそうに頬張っているルイズを見て、キュルケは告げた。
「さっきまで辛気臭い顔してたと思ったら、今はそうでもないのね。
気がまぎれる事でもあった?」
んっ!っと図星を刺された事に驚いたのか、むせるルイズ。
とんとんと背中を叩きながら、平静を装ってキュルケに返した。
「…べつに?そもそもツェルプストーに心配されるような事なんか無いわよ。」
「家の名前なんか持ち出さなくてもいいのに。まぁ、それならそれでいいわ。
…さっきコルベール先生と船長が話していたのだけれど、今のアルビオンは反乱軍が現在圧倒的優位。
ニューカッスルに布陣した王軍の状況は、だいぶ厳しいみたい。」
「ウェールズ皇太子については?」
キュルケは首を横に振る。
「生きているという事だけどこの状況じゃあね。どこにいるのかがわからなければ、手紙を受け取るのも至難だって言うのに…」
そう言ったきり、二人の間に会話が途切れる。
二人の視線の先には、大きな雲と2色の双月が輝いていた。
まだ見ぬアルビオンでのこれからのことを考えると、憂鬱にもなろうというものだ。
いまだ夜が明けない大空の上。
ふと見ると、この船の傍にもう1隻別の船が近づいていた。
ルイズ達の乗り込んだ船よりも一回り以上も大きく、いくつもの大砲が装備されているのが目に付いた。
「凄い装備…軍艦かしら?」
「っ!?まさか反乱軍の軍艦じゃ…」
「伏せろ!!!」
声に驚いたルイズとキュルケが反射的に体を伏せるのと、軍船の大砲から爆発音と共に玉が発射されるのはほぼ一緒だった。
轟く轟音と共に砲弾は船をかすめて飛んでいった。
しかし、それを強引に回避しようと船の舵を思い切りきったため、船体が大きく振れた。
「うわっ!?」
「ルイズっ!?」
小柄なルイズの体がふわりと反動で浮き上がり、大空へと投げ出されそうになる。
(落ちるっ!?)
大地が遠く見えるこの高さで落ちたら…キッと目を閉じたルイズの手を何かがつかんだ。
「瀬人!?」
ルイズが飛ばされた直後、海馬の体は甲板から駆け出し宙に舞った。
海馬はそのままルイズの手を引き自分の胸元に抱きかかえる。
だが、その足元には着地する甲板は存在しない。
あるのは遥か下に広がる大地のみ。
「しっかりとしがみついていろ!!」
ルイズはこくんと首を振り、海馬の首に手をかけ、しっかりと抱きつくように体を密着させる。
そして海馬はデュエルディスクに手をかける。
「出でよ、ブルーアイズ!ホワイトドラゴン!!!!」
閃光と共に現れた純白の龍がルイズと海馬を背に乗せる。
そして、軍艦とルイズ達の乗っていた貨物船の間に舞い上がる。
「あ…ありが…と…」
「いいから離れろ。重い。」
「なっ!!重いって何よ重いって!!」
『二人ともー!大丈夫!?』
貨物船のほうを見ると、船員からメガホンをかっぱらって叫んでいるキュルケがいた。
キュルケだけでなく、アンリエッタやコルベール、この船の船員達も甲板に集まっていた。
『この船は空賊よ!この戦乱に乗じて最近活動が活発になっているらしいわ!』
「つまりはコソ泥というわけか。」
「じゃあ、別に退治しても問題ないわね。」
そう言ってルイズと海馬の視線が合う。
メイジと使い魔。
二人の考えが、このとき初めて一致した。
『ちょっと!早く戻ってきなさいよ!!』
甲板から叫び声をあげているキュルケを無視し、ルイズと海馬は眼前の空賊たちに集中していた。
「コソ泥風情が、この俺のロードを妨げようとはな。」
「私達のロードの前に現れるということが,どう言う事か教えてあげようじゃない!」
二人の声が一つとなり、ブルーアイズへと命令を下す。
『滅びの!バーストストリーム!!!!!!!!!』
「頭!?ありゃあ…!!」
空賊の面々も甲板へと上がってきていた。
貨物船がこちらの撃った砲弾をよけてバランスを崩した際に、甲板から二人落ちた。
そしてその二人が落ちていく途中、眩い光と共に見たことも無い竜が現れたのだ。
竜が現れた不思議さよりも、その神々しさが空賊達の視線を釘付けにした。
その中で一人、空賊たちから頭と呼ばれた青年だけが、ハッと気を取り直し声を上げた。
「竜からの攻撃がくるぞ!!回避しろ!!」
(だが…この大きな船でどこまで回避しきれるか…)
『滅びの!バーストストリーム!!!!』
白い竜の放った魔力の塊のようなブレスがマストを薙ぎ払っていく。
ぎりぎりで高度を下げられたが、それでも被害は大きかった。
「白く美しい体に、宝石のような藍色の瞳…まさか、アレは伝説の勝利をもたらす最強の……龍…?」
頭は昔聞いた懐かしい伝説を思い出した。
幼き頃に父親から聞かされた懐かしい思い出。
『「白き龍」は勝利をもたらし、「黒き竜」は勝利ではなく可能性をもたらす。
その白き龍の名は…』
「ブルーアイズ…ホワイトドラゴン…」
体が…いや、心が震える。
この震えは、恐怖だろうか。
自分の目の前に伝説が存在する。
勝利を掴み取るその牙が自分に向いている。
(奴が現れた船は貴族派への貨物輸送船…つまり、ブルーアイズホワイトドラゴンは貴族派の手先…?
もしもブルーアイズホワイトドラゴンが、我らから勝利を奪うために現れたというのならば、
ここがわが死に場所…いや、違う!)
自らの顔を隠していた変装を投げ捨て、空賊の頭という仮面を外した。
「か、頭!?なにを!?」
その青年の名はウェールズ・テューダー。
またの名をプリンス・オブ・ウェールズ
「総員、消火作業と船の補修と怪我人の手当てを!私があのドラゴンを抑える間に、あの船との距離を取れ。」
そう言うとウェールズはデュエルディスクを腕にはめる。
彼の相棒の白い翼を模したデュエルディスクに、カードを刺して呼び出す。
彼の相棒。
風を纏った、煌く星屑のような輝きをした龍がウェールズの前へと降り立つ。
「飛翔せよ、スターダスト・ドラゴン!!!」
「ドラゴン…まさか使い魔?空賊の中にメイジがいるの?」
ルイズは滅びのバーストストリームによって生まれた煙の中から現れたドラゴンをみて驚いた。
いつのまにあんな巨大なドラゴンが接近してきたのだろうか。
しかもその背には一人、遠目には良く見えないが誰かが乗っている。
「いや…アレは…」
海馬の瞳があのドラゴンの力を教える。
海馬はそれが、デュエルモンスターズのカードであることを知る。
「またシンクロモンスターか。」
「シンクロ…じゃあ、あの上に乗っているのが…」
「デュエリストだろうな。だが、攻撃力はブルーアイズのほうが上だ。
それに、奴はどうやらデュエルをしようというわけではないようだ。」
それはどういう…とルイズがいいかけたときに、ぐらっと揺れが起きた。
スターダスト・ドラゴンの放ったブレス『シューティング・ソニック』をブルーアイズが回避したからだ。
「ここでは船に近過ぎる。距離を取るぞ!」
翼を広げ、ブルーアイズは貨物船から距離を取った。
スターダストはそれを見て追ってくる。
雲を貫き、双月が優しく照らす大空で、2体のドラゴンはぶつかり合っていた。
2体のドラゴンが織り成す高速の空中戦。
描かれる軌跡が数度混じりあい、そのたびに星の煌きのような光を見せる。
「くっ…流石だな!ブルーアイズホワイトドラゴンよ!!!」
ウェールズが海馬に向かって声を上げる。
「!?貴様、ブルーアイズを知っているのか?」
「勝利をもたらす白き龍よ!貴様に打ち勝ち、我が天命を切り開く!!」
今のウェールズは死に場所を求める敗残の将ではない。
ここで最強の敵が現れるというのならば結末は二つに一つ。
死ぬか、それとも最強の敵を倒す力をもって、敗北の運命を切り開くか。
ならば、ウェールズに迷いは無い。
どちらを選ぶかは決まっていた。
一瞬にしてブルーアイズに肉薄するスターダスト。
体を振り回し、その反動で振った尾がブルーアイズの胴体に当る。
「くっ…攻撃力で勝るブルーアイズが…」
「速度はスターダストのほうが速いようだな!」
ウェールズはスターダストの速度を生かし、ヒットアンドアウェイの戦術でブルーアイズに挑んでいく。
海馬がこのようなモンスター同士による戦闘になれていないことも、ブルーアイズの劣勢の原因であった。
鞭のように打ち付けられる尾によって少しづつブルーアイズの体力が削られていく。
畜生寝れねぇ!
支援だ
「くっ…何とか奴の速度を封じなければ…」
「策はあるわ。あのカードさえ引ければ…。」
「なにっ?」
ルイズが傍にいたことを少し忘れかけていた海馬は、いきなりルイズが言い出した事に驚いた。
最初の内こそ振り落とされないように海馬にしがみ付いていたルイズであったが、数度の攻撃の内に、気づいた事があった。
「いくら速度があったって、攻撃する瞬間相手は止まるわ。一番時間が長い攻撃はさっき撃って来た衝撃波。」
そう言っている間にも、スターダストの攻撃は止まらない。
近づいては離れ、また一気に距離を詰める。
「そしてそろそろ、こっちの動きが鈍くなってきている。
だからこそとどめをあの衝撃波で確実に仕留めにくると思うわ。」
「なるほど、そこで『あのカード』か。……よく見ているな。」
ルイズは飛び回るスターダスト・ドラゴンから目を離さずに海馬に伝える。
「私、この戦いで何ができるかを考えてたの。
ううん、あんたにさっき話したあとから自分が出来ること、それを考えてた。
魔法が使えなくても、私にはものを見る目も、考える脳もある。」
「……」
「だから、自分でできることを全力で使い切ってみる。
やれることをやれるだけやってみた中から、自分の価値を探す。」
「動きが止まったか…勝たせてもらうぞ!ブルーアイズホワイトドラゴン!!!」
力をこめ、止めを刺そうとするスターダスト・ドラゴン。
シューティング・ソニックの体勢だ。
「それが、今の私にできることで、やるべきこと!」
「ドロー!!カードをセット!」
そのドローしたカードを確認しないまま、海馬は魔法罠ゾーンにセットする。
「シューティング・ソニック!!!!!」
スターダスト・ドラゴンのシューティング・ソニックがブルーアイズの止まった場所に向けて放たれる。
光が輝き、その場所には塵一つ残っていなかった。
「勝った…?」
ブルーアイズの姿が無いことに、勝利を感じたのか、ウェールズの方から力が抜ける。
「私は…勝った…!」
「だがそうはいかん。」
ハッと、ウェールズが後ろを振り向くと、そこには倒したはずのブルーアイズホワイトドラゴンが現れていた。
「な…に…?」
「トラップカード、亜空間物質転送装置を発動していた。貴様がシューティング・ソニックを放つ直前
引いたこのカードを即座にセット、発動していたのだ。
これにより、ブルーアイズは次元の狭間に回避。貴様の攻撃は無効だ。」
「・・・攻撃を回避する、リムーブエスケープか…」
まさにチェックメイト。
スターダストの真後ろに付けられた上に、先ほどからの連続攻撃に加えて必殺技のシューティング・ソニックまで放っている
スターダスト・ドラゴンには、もはやこの距離でブルーアイズの攻撃を回避するだけの力は残っていなかった。
「勝ちに急ぎすぎたか。ペース配分を無視して突っ走った結果がこのざまか。」
「いや、貴様の戦術は正しかった。ルイズのアドバイスが無ければ厳しい状況だっただろう。」
ウェールズは諦めたように手を上げた。
「やはり、この大空がわが死に場所らしい。
反乱軍に組する勝利をもたらす白き龍とそのデュエリストよ!わが最期にふさわしい相手であった!!」
そう言ってウェールズは腰の剣に手をかける。
「ちょっ!ちょっと待って!反乱軍に組するって、どういうこと?」
「何を言う。貴公らが飛び立った船は貴族派への輸送船。それに乗っていた貴公らも貴族派の人間…反乱軍ではないのか?」
驚いたように目を丸くするウェールズ。
それはルイズも海馬も同じであった。
「俺たちはトリステインの密命により、アルビオン第一王位継承者であるウェールズ皇太子を探している。
あの船は急いで手配しただけで俺たちは反乱軍というわけではない。」
「なにっ?私を探していると?」
「私…って、まさか!?あなたがウェールズ皇太子!?」
ルイズが驚いていると、なにか鐘のような音がどこからともなく聞こえてきた。
見ると、損傷した空賊の船…いや、アルビオン空軍の戦艦『イーグル』号が、3人のいる場所に近づいてきていた。
甲板を見ると、舟の乗組員のほかに、キュルケやタバサ、コルベール、アンリエッタまでもが乗っていた。
スターダスト・ドラゴンの出現によって、『イーグル』号がウェールズの率いる王軍のものであると理解したアンリエッタが
すぐさま彼らとコンタクトを取り、敵ではないことを伝え、3人を追いかけてきたのだった。
「あれは…アンリエッタ!?なぜここに!?」
「ウェールズ殿下、一度船の上に戻りましょう。詳しいお話は、アンリエッタ姫殿下からされるかと。」
そう言うと海馬とウェールズは2体のドラゴンを船へとつける。
ふと空を見れば雲の向こうから、空に浮かぶ大陸『アルビオン』が姿を見せていた。
以上で投下終了です。
アルビオン編も残りわずか…のはず。
2体の戦闘のイメージはカード屋で小学生に混じってアクションデュエルしているときに思いつきました。
ハルケギニアでもデュエルばかりの戦闘というわけには行かないんだろうなぁと…。
しかしまぁ筆が進まない進まない。
規制に巻き込まれたせいでテンションがあがらなかったのもありますが…言い訳ですねw
それではまた次回に〜
支援ありがとうございました。
乙なのです!
乙なのね〜!
乙!
>小学生に混じってアクションデュエル
え?
スターダストが出るとはねぇ
聖地には冥界の扉が在り、ウェールズは地縛神によってダークシグナーとして復活するのか?
地縛神はともかく後ほどダークシンクロも出てきそうだな
スターダストが出てくるということは、遊星も過去に来ていたのか?
とにかくGJ!
295 :
ゼロの社長:2009/04/07(火) 01:28:14 ID:6sjnaD7+
今見なおしたら投下宣言以外にタイトルを付け忘れたorz
>>292 近所にデュエルターミナルがそこしかないから、子供が良く集まるのですよ
バージョン1のとき直前にブリューナクを引いた子供に対してガチで羨望の眼差しを送ったのは内緒のお話
…エアベルン引いたからいいけど
開け!天道の門!
ですか
社長おつです!
スターダストの登場で遊星の存在が気になりますが
始祖の血を引く3国とロマリアには
4属性のシンクロドラゴンが伝わっているとかかなぁと予想してみたり
しかし、社長はワルドが旅にいないからどうワルドが絡んでくるか楽しみすぎる
次も楽しみに待っています!
滅殺の方、社長の方、乙でした!
続きを早く読みたいですね。期待しています!
アクマの人ー来てくれー
社長乙
遅かったじゃないか・・・
支援は既に済ませたよ、彼らがな
残るは感想の書き込みだけだ
私が読んだ証を・・・決闘者として読んだ証を
最後に残させてくれ
相変わらずいい事言うなぁ
かっこいいぜ社長!
スターダストって、“壁の向こう”に流れ星を探しに行く奴?
>スターダスト
ニール・ゲイマンの作品はコラライン以外全部すげー面白いから読んでおけ
オススメはサンドマンとアメリカン・ゴッズ
ゴールドパック箱で買ったけどブリュが1枚も出なかった俺参上
パワーツールの事も偶には思い出してあげてください
SPIDERMANよりピーター・パーカー召喚
「こういったゴタゴタに巻き込まれるのは慣れてるからね」
「ゴタゴタになれてるって苦労多い人生送ってんのね。
アンタどっから来たのよ って怪我してるじゃない」
「怪我?ああ、これはいいんだ。
それよりも・・・・そレヨリモ、腹ガ減ッタァ!」
失礼、「SPIDERMAN」じゃなくて「MARVEL ZOMBIES」
から呼んじゃいました てへっ
>>306 そしてルイズもゾンビになっちゃって
「キュルケ、だぁいすきー♪」
きゅっ。がりっ。
「ふふふっ。ほぉんと、キュルケは甘くて美味しくて、だいすきよー」
って、なっちゃうんですねわかります。
『にんじん大好き!』が混ざってるのは仕様です。
>>307 あのゾンビは基本的に人間だった頃の能力を維持したままってのがタチ悪い
つまるハルケギニアに来たら魔法使うゾンビ軍団が出来上がるって寸法だ
「虚無のゾンビ」・・・・・・・・・怖っ
>>307 サムスピのいだだぎまぁず!を思い出してちょっと欝になった
>>309 だいたいあってる。
『にんじん大好き!』でぐぐると詳細が出てきますが、古いホラー系少女漫画です。
かなり強烈なトラウマメーカーだったなぁ、あの漫画は。
ゾンビなら
Familiar of the Living Dead
School of the Dead
Magicworld of the Dead
パロディでReturn of the Living Dead Familiar
リメイク版でFamiliar of the Dead(←使い魔が走るようになる)
噛まれても一時間以内に牛乳飲んだら大丈夫だという伝説がだな
トラウマというと「パンを踏んだ娘」「風が吹くとき」「メトロポリタンミュージアム」
なんかが上位に来ます
どれもキッツいですよ
>メトロポリタンミュージアム
ルイズが絵の中に閉じ込められるんですね、わかります
>>314 で、アンリエッタの依頼でサイト達が王立美術館に出向き
ペンギンの使い魔を連れた管理人と出会う、と
書いている途中の新作の事で質問があります。
タバサ中心の話ですが、こちらに投下してもいいのでしょうか?
>316
別作品のキャラがゼロ魔世界に来る話なら問題ないでしょ。
イザベラやジョゼフやキュルケに召喚される話もあるんだし。
>>317 ありがとうございます。近日中に投下できるよう頑張ります。
>>305 アニバーサリーパックを一度に4つ買って、一枚もBMGが当たらなかった俺に比べれば。
>>318 何かは知りませんが、頑張ってください。
>>313 メトロポリタンミュージアムの歌詞の内容は全部主人公(?)の空想だから、別に本当に閉じ込められるわけじゃないんだがなあ。
結構前に小ネタでナルトの九尾が召喚されるやつなかったっけ?
うしとらのは見たが、そっちのは知らないな。
GS美神のタマモ召喚とかありそうで見かけないな
もちろんYOKOSHIMAは抜きで
GS美神といえば、シロとかいいかもしれぬ
>>315 ゲームの人物はアウトじゃなかったっけ?
毎回話のネタにのぼるようだけどさあ
>>324 GS美神のタマモといえば、原作で出番が少なかったせいか、二次で色々と設定がいじられてるんだよな。
下手な奴がタマモ召喚とかやろうとすると、二次知識が混じり合った変なタマモ……つーかTAMAMOになるかもしれんから注意。
美神の原作知ってる奴そんなにおおいのか?かなり昔の話だと思うが
>>328 かなり昔ではありますがアニメ化もされたし(見た人どんくらいいるんだろ)
コンビニコミックスに何度もなってるから読んでる人多いんでねすか?
何よりエヴァと同じく「素材はいいのに満足し得ないラスト」のせいで
SSが多い作品ってのが知名度高い理由だと思うのです
才人とは違うキャラクターがルイズに召喚されたら、
原作では生きているキャラクターが死んだり、逆に原作で死んだキャラクターが死ななかったりするのかな?
ルイズが学校日々の鋸女(生首付き)を召喚したら
生首を調べようとしたコルベール先生が片腕を切り落とされたり、
首に枝を突き刺されて殺されたんだが…。
トラウマといえば、あまねく人にそれを与えそうな北野くんは帰ってこないのかなあ。
北野君とオンドゥルの競演で超絶カオスな妄想が思い浮かんだ
>>331 個人的に爆炎の方と並びぜひ戻ってきて頂きたい方です
>330
ウェールズが生き残るのは稀だよなぁ
ワルドはしぶとく生き延びてケフ化したりしたが
ブラックホールに呑まれてオーバーキルされたのが最近一番印象深いが
一発ネタに限ればみんな結構頻繁に死んだり生きたり変質したり発狂したり皮剥がれたりするねぇw
トラウマモノだとサイレンとかサイレントヒルのネタが好きです
あと二つ名ネタでスパロボOGから閃光のアルティス召喚とか思いついたけど
兄さんのキャラを把握しきれてる自信が無いので保留
閃光VS閃光でやってみたいだけなんですがね
>>330 >原作では生きているキャラクターが死んだり、
代表格:ワルド
>原作で死んだキャラクターが死ななかったりする
代表格:ウェールズ
こんなところか。
なに、ウェールズが生き残らない?
逆に考えるんだ、蘇らせてしまえば良いと、そう考えるんだ
ギーシュが首の骨ヘシ折られて死んだり
マルコメが異国の土になったりします
ワルドが死ぬパターンはたびたびルイズが引導渡してるような
一度死んで甦らされてもう一度酷い死に方をするワルドとかもいたな
使い魔…ゾンビ…黄泉返り……
ルイズ「魔王サタンよ、余の願いを聞き入れたまえ!!」
ワルドは強敵になったり、瞬殺されたり、
味方になったり、ロリコンに目覚めたりとホント幅がひろいな
ジョジョスレで言うべきかもしれませんが、ワルドはゴールドエクスペリエンス・レクイエムを食らっているとしか思えないほどに様々な死に方をしてますからね。
ほんと、幅が広いですよ。
マザコンからロリコンまでか……ある意味あいつはゼロ魔最強だな!(守備範囲的な意味で
初めまして。セキレイから佐橋皆人を召喚しようと思います。
僕自身が精神的に大人な為、ゼロ魔のキャラは涙目になります。
10分後に書き込みます。
名前佐橋皆人(璽玖零暁)
身長186p
血液型B型
年齢16歳
牡牛座
国籍フランス
守護霊 竜殺しの剣聖 スピリチュアル・加藤
武器 ダークフレイムイヴァルディ
簡単な紹介
儚い夢。それは幼児期の残滓。周囲は。鴇色に染まる視界。その中に俺はいる。
尸を地に晒す。然れど死は訪れない。不死者を洗い流して。俺にとって死は虚妄に過ぎない。
怪物の炯眼が射る。視索上核を通してきたす。俺を護るそれを遺宝を統べる者“エンペドクレス”と名付けた。
ちょ、またおまえかwww
何が初めまして。だよ
何回も見てるよ・・・
> スピリチュアル・加藤
これだけでお腹いっぱいだなwwwwwwwwwwwwwwwww
爆炎の使い魔は、もう一年以上続きがないのか。
ヒロ好きだから続きを読みたいのだが。
亀レスですが、社長乙です
あれ?まさか社長デレた?
そして助言を貰う図が想像出来ない;
自分の中で社長は知策+パワータイプと言う印象が
神を生贄に捧げた時も、天啓か閃きの描写があったので
そして初代遊戯王しか観てない所為で、後期生贄召喚もシンクロシステムもついて行けないorz
wikiを読み直そう;;
>>352 助言と言っても諸葛亮から勇気で補えまでいろいろ在ってだな……
ウェールズ王子だけが生き残るってのはなんか多い気する
王党派全員が生き残るってのはちょこっとあるよな
全然戦争しないとか戦争にならない(戦わない)で終了ってのあったけ?
アルビオンに行ける頃には終結間近だからなぁ、
戦わずに済ませるには幼少期のテファにでも召喚させるしか場所・時間的に難しくないか
フル凹に叩く
ワルドは原作でも死んでるようなもんだから、
いっそ殺して見せ場にしようというのは自然な考えだと思う。
俺がいつも楽しみにしているものは
クォヴレー、蒼、ラスボス、社長なんだが
お前らはどうよ
プラモ狂四郎とは、同じ事考えてる人が……
ギーシェを模型秘伝帳金の巻で鍛えてモビルアニマルワルキューレ製造、おマチさんのゴーレムを撃破
アルビオンの三万人をプラモスピリットで作り出した武者ガンダムゴーレムでガンダム無双
ハルケギニアでプラモ普及に努め、プラモにハマったジョゼフと『ゴーレム甲子園』でバトル
そして聖地から『プラモ墓場』の怨霊たちが……!
アクマがこんにちわ
虚無のパズル
世界最強コンビハルケギニアに立つ
俺は、はれぶた召喚の人を待っている
>>360 ラスボス
アトラス作品の方々
ぜろろ
ドラクエ作品の方々
グレン・アザレイの人
ラスボス。アクマ。
虚無の闇
煉獄の虚神
黒蟻
デモベ関連の人達
女神転生系の人達
蒼い使い魔の人
ラスボス、賢女、日替わり
使い魔と主、魔砲、社長
管理人を待ち続けています……
戦争男の人
ズバットの人
くれしんの人
ラスボス
クォヴヘー
黒魔
アトラス
九朔
九朔/紅朔
聖樹
ブルージュ
キングダム
応援してますのでどうか頑張ってください!
ラスボス、デモベ系、ペルソナ系、蒼、社長、寝太郎
ゴーオン
ジル
ラティ
ミー
いろいろ
ワードナ
視線
斬鉄剣
イタチ
ぜろろ
ポップ
アバン
ワンピ2作
カービィ等
どれもむちゃくちゃ応援しとります。
なんでもいいから投下されるのを楽しみにしてるw
>>360〜
俺もそれらを楽しみにしている。
北野君の続きもいつまでも待っているぞ。
346 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 19:48:54 ID:7bMIZRzZ
初めまして。セキレイから佐橋皆人を召喚しようと思います。
僕自身が精神的に大人な為、ゼロ魔のキャラは涙目になります。
10分後に書き込みます。
名前佐橋皆人(璽玖零暁)
身長186p
血液型B型
年齢16歳
牡牛座
国籍フランス
守護霊 竜殺しの剣聖 スピリチュアル・加藤
武器 ダークフレイムイヴァルディ
簡単な紹介
儚い夢。それは幼児期の残滓。周囲は。鴇色に染まる視界。その中に俺はいる。
尸を地に晒す。然れど死は訪れない。不死者を洗い流して。俺にとって死は虚妄に過ぎない。
怪物の炯眼が射る。視索上核を通してきたす。俺を護るそれを遺宝を統べる者“エンペドクレス”と名付けた。
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part224
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1238848896/
一時期、魔導物語(またはぷよぷよ)のシェゾを召還しようかと考えていた。
公式がフリーダム(悪い奴だったり実は結構いい奴だったり真性の変態だったり)だから書きやすいかなと思って。
が、フリーダム過ぎて自分の腕では手には負えなくて断念した。
ところでシェゾの魔力吸収ってゼロ魔世界的にはどう事になるんだろう?
魔力=使える系統の数で、精神力=魔導力(RPGで言う所のMP)って事になるのかな。
つまりスクウェアクラスのメイジが魔力を半分吸われたらラインクラスになったり。
いいえ、ぷよ勝負になります
そういえば、ぷよぷよも一応魔法学園ものか……?
遍在四体そろったら消滅させられるな
そういえばぷよというか同じ色の奴が四体そろったら
消すことが出来る魔法ってなんていう魔法だったっけ?
初代の説明書に書いてたよな
>>381 4体以上隣接していればオリジナルも時空の彼方へ消し飛ばしてしまえるのだな
まともにぷよ地獄が展開されるのは考えなかったなぁ
っていうか、誰かシェゾ召喚書かなかったっけ
>>384 誰かにかまって欲しい寂しがり屋の赤ん坊なのさ。
無縁仏みたいなもので、ちょっかい出すと取り憑かれるので放置が吉。
>>386 なるほど。
そして無縁仏というより、子泣き爺みたいだなw
いきなりだけど、小説作者が自分の作品の絵を描いて
ウィキのお絵描き掲示板に投稿とかって
止めておいた方がいいんだろうか…
純粋に絵を描くのも好きだから挿絵みたいな気持ちで描きたいんだけど、
自分の作品の宣伝みたいにとられちゃうかな?
自分の作品を宣伝して何が悪いのかが分からんが
問題は空気を読まない事だろ、此処の作者が此処の絵板に投稿したところで、
うざいとかほざく奴がいたら、そいつが的外れなだけだ。
私は、一向に構わん。
…が、あえて言う。どっちもかけるその才能どっちかくれww
シェゾは人の魔力奪ってるって設定がある割りには
ゲーム中ではほとんど実行してないんだよな。もらったと思ったら返したりするし。
医者のKを召喚というのを考えたことはあるんだが
小ネタくらいしか書けそうもないからお蔵入り
小ネタでは需要もねぇ?
書きたいものを書けば良いじゃない
読者に尻を振る必要は無い
思うままに書けばいい
>>389 >>390 ありがとう。
投下するかはちょっと様子見てみて、なおかつ自分で納得いく
絵が描けたら投下するわ。
>>379 つまり伝説の使い魔の四人目が記されていないのは、そろったら消滅してしまうからですね
>>397 ほい
>32 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 00:34:45 ID:3/JXGAWr
>初めまして。セキレイから佐橋皆人を召喚しようと思います。
>僕自身が精神的に大人な為、ゼロ魔のキャラで主人公の隣に立つに相応しくない者達は粛清します。
>10分後に書き込みます。
>
>名前佐橋皆人(璽玖零暁)
>身長186p
>血液型B型
>年齢16歳
>牡牛座
>国籍フランス
>守護霊 竜殺しの剣聖 スピリチュアル・加藤
>武器 ダークフレイムイヴァルディ
>簡単な紹介
> 儚い夢。それは幼児期の残滓。周囲は。鴇色に染まる視界。その中に俺はいる。
> 尸を地に晒す。然れど死は訪れない。不死者を洗い流して。俺にとって死は虚妄に過ぎない。
> 怪物の炯眼が射る。視索上核を通してきたす。俺を護るそれを遺宝を統べる者“エンペドクレス”と名付けた。
そいつはもうええやん
こんだけ色々待たれてる中、自分の書いてるのが上がらない人は凹むかもしれん。
こんばんは。
私の拙作を支持してくれている方が沢山いらっしゃることに感激しております。
他に予約の方がおられなければ、22:45より第34話の投下を行います。
支援
事前支援するのも私だ
「ふぁ……」
朝の光を浴びながら、ルイズは目覚めた。
例の夢は見ていない。
まあ、いつもいつも見ているわけではないし、『見たからどうした』とか『見なかったからどうした』というわけでもないから、別に気にすることでもないのだが。
「……ぅにゃ」
今日はシュウに会いにアルビオンに行ったユーゼスが帰ってくる日である。
明日には二人でヴァリエール領に向かう予定だ。
帰ったら、父さまに色々と相談をして、久し振りに家族一緒に食事でも取って、ちい姉さまとたくさんお話をして……と、色々やりたいことは多い。
「でも……」
しかし、物凄く当たり前の話だが。
実家に帰った場合には、朝の決まった時間に召使いが自分の部屋にやって来て、規則正しい起床を促すはずである。
厳格な父や母は、余程のことがない限りは『二度寝』などという暴挙を許しはすまい。
……それはつまり、今日が全力でダラダラ出来る最後の日だと言うことだ。
よって、ルイズはその与えられたチャンスを最大限に生かす決意を固め……。
「…………おやすみなさい」
今ここに、断固たる二度寝を決行した。
「………………ぐぅ………………」
くぅくぅすやすや、と眠りこけるルイズ。
その可愛らしい寝顔だけを見れば、普段の気難しさや短気さや怒りっぽさなどを想像するのは少々困難だろう。
「………………すぅ………………」
ルイズの判断では、今はしばしの間ではあるが惰眠を謳歌する時なのである。
どうせ実家に帰ったら母あたりから色々と小言とか説教とかを言われるのだから、せめて今くらいはいいじゃないか。
「………………むにゃ………………」
だが。
その安眠は、突然の来訪者によってアッサリと崩壊させられてしまう。
ダダダダ……ガチャッ!
「ルイズっ! ユーゼスはどこにいるの!!?」
「ふ、ふぇっ!?」
いきなり現れたエレオノールに騒々しく自室のドアを開け放たれ、怒鳴りつけられるルイズ。
寝ぼけた頭にけたたましい長姉の叫び声は、結構キツいものがある。
しかし幼少の頃からエレオノールに叱られ続けて、彼女に対してはすっかり頭が上がらなくなったルイズは条件反射的にその問いに答えてしまった。
「え、えっと、今はアルビオンにいますけど……」
「アルビオン!? どうしてよ!!?」
「ミスタ・シラカワに会いに……」
そのルイズの言葉を聞いて、エレオノールは『タイミングの悪い……』などと言いながら小さく舌打ちする。
「……それで、いつ帰って来るの?」
「いつって……今日中には帰って来ることになってますけど」
「具体的な時間は?」
「さあ? 午前中かも知れませんし、夕方かも知れませんし、もしかしたら真夜中になるのかも……」
「ああもう、こんな時にっ!!」
露骨に苛立った様子で、靴のカカト部分をカンカンカン、と床に打ち付け始めるエレオノール。
(?)
ルイズとしては正直、ワケが分からない。
時計を見てみれば、現在時刻は午前九時を少し過ぎたあたり。
ハッキリ言って『朝』である。
今までにエレオノールが魔法学院に来ることは何度かあったが、こんな時間に来たことは一度だってなかったはずだ。
しかも、この慌てた……いや、焦った様子は何だろうか?
どうやら自分の使い魔に関係しているらしいが……。
(ケンカでもしたのかしら?)
そんな考えが少し頭をよぎるが、ケンカしたら普通は『顔も見たくない』とか『謝らなくちゃいけない』などという態度を取るはずだ。
少なくとも、こんな『とにかく一刻も早く会って話を聞きたい』などという態度は取らないだろう。
>>401 俺みたいに荒れたら嫌だから書き込まない人もいるから大丈夫さ
そして支援
(……?)
何だかよく分からない今のエレオノールだが、一つだけ分かっていることがある。
今のこの姉の様子は、どうやら自分の使い魔に原因があるらしいということだ。
なので、そのあたりを詳しく聞いてみることにする。
「……ユ、ユーゼスがどうしたんですか、姉さま?」
「どうしたもこうしたも……」
イライラした……と言うよりもどこか切羽詰まったような印象を受ける口調でエレオノールは『その理由』を語ろうとする。
だが、何かに気付いたようにハッと口をつぐむと、また慌てたように言葉を選び始めた。
「……その、昨日ユーゼスから送られてきたレポートに、少し納得の行かない部分があったのよ。疑問がある部分をそのままにしておくのも気持ちが悪いから、すぐに説明してもらおうと思って急いで来たの」
「はあ」
取りあえず相槌は打ったが、逆に質問したこっちの方が疑問を抱く回答である。
(エレオノール姉さまって、こんなに完璧主義者だったかしら……?)
長姉の気が短いのは知っているが、いくら『少しばかり』納得が行かないからと言って、ここまで急いで説明を求めるほど常にカリカリしている人間でもなかったはずだ。
自分も決して気が長い方とは言えないが、少なくとも今のエレオノールよりは精神的な余裕を持っている自信がある。
「まあ、今日中には帰って来ると思いますから、ゆっくり待てばいいんじゃないですか?」
差し当たって落ち着くことが大事だと思ったルイズは、エレオノールに余裕を持つように促すが……。
「それじゃ遅いわ!」
「っ……」
ビシリと強い口調で言い返されてしまい、思わず怯んでしまう。
そんなルイズの様子に気付いたのか、エレオノールは少し慌てて取り繕うように言った。
「あ……ごめんなさい、出来れば早目に説明を聞きたかったから、ついあなたに当たっちゃったわね」
「い、いえ……」
これもまた相槌を返すルイズ。
しかし今度の相槌に込められているのは『疑問』ではなく、『驚愕』であった。
(……あの姉さまが、わたしに対して素直に『ごめんなさい』って言うなんて……)
一体エレオノールが抱いている『納得の行かない部分』や『疑問がある部分』というのは、どんなものなのだろう。
どうせ専門的で自分には理解の出来ない分野の話なのだろうが、ここまで姉が普段と違う様子を見せているほどなのだから、おそらく物凄い問題点なのだろうが……。
(どうせ、わたしに理解は出来ないだろうし、そもそも関係ないだろうし)
何なのか知らないが、所詮これは『姉の問題』である。
『自分の問題』ではない。
まあ頑張ってください、と心の中でささやかなエールを送りつつ、ルイズは姉に退室を願おうとして……。
「仕方ないわね……。……それじゃあ、私たちで先にラ・ヴァリエールに戻るわよ、ルイズ」
「ええ!?」
明日に帰省する予定が、いきなり今日これから帰省することになってしまい、仰天するのだった。
支援
支援する
支援するのも私だ。
その日の夕刻を過ぎた頃。
ユーゼス・ゴッツォは、比較的ではあるが上機嫌で魔法学院に帰ってきた。
……シュウ・シラカワとの『情報の交換』は予想以上に上手く進み、そのおかげで様々な情報や思いがけない『土産』を得ることが出来たのだ。
アインスト、地上とラ・ギアス、エンドレス・フロンティア(これについては概要だけだが)、そして自分以外のユーゼス・ゴッツォについてなど、有益な情報は多い。
代わりにこちらも光の巨人やクロスゲート・パラダイム・システムの詳しい情報などを提供することになったが、それはギブアンドテイクという物である。
そして何より、シュウ・シラカワもまた『使い魔』として召喚されていたという事実。
これは自分がこのハルケギニアに召喚された理由を探る、大きなヒントになり得る。
(まあ、慌てて考える必要もないのだが……)
ユーゼスがシュウから情報を得たのは、別に『積極的にアインストに対処しよう』とか『ハルケギニアに危機が迫っているのならば救おう』などという殊勝な考えからではない。
ただ単に、自分に騒動が振りかかる可能性を事前に把握しておきたかっただけである。
また仮に対処するとしても、『慌てたり焦ったりするとロクなことにはならない』というのは今までの様々な自分の経験から得た教訓でもあった。
ここは『ゆっくりやっていく』という初志を貫徹し、一歩ずつ着実に進めていくべきだ。
(……思えば、私のこれまでの人生は焦り過ぎていたような気もするからな)
とにかく焦って結果ばかりをひたすらに求め続け、そして行き着いた先がこの有様である。
大気浄化に専心していた頃も、仮面を被り続けていた頃も、どちらも色々な意味で若かった……と言ってしまえばそれまでだが、共通しているのは『精神的な余裕がなかった』という点に尽きる。
言い換えれば『余裕をなくすほど物事に打ち込んでいた』とも表現が出来るが、今の自分にはそんな『人生を懸けるほど打ち込むべき物』などは存在していないので、それほど余裕をなくすこともないだろう。
さしたる目的もなく。
それなりに自分が興味のある研究に打ち込んで。
御主人様の世話を適度にこなし。
散発的に起こる事件を解決しながら。
このハルケギニアで生きていく。
(理想的な人生だ……)
やはり人間、平穏無事が一番である。
大冒険とか波乱万丈とか存在の超越とかを求めている人間は、そちらで勝手に冒険でも何でもやってもらいたい。ただし可能な限りこちらを巻き込まずに。
「うむ」
自分のハルケギニアにおけるスタンスを再確認しつつ、ユーゼスはルイズの部屋のドアを開ける。
『自分の立ち位置』や『様々な存在がハルケギニアに与える影響』なども確かに大事だが、自分にとって『御主人様の世話』は一応、この世界に召喚された目的なのである。
これをあまり、おろそかにするわけにはいかないのだ。
「御主人様、戻ったぞ」
そしてユーゼスは期間の挨拶を、その主人たる少女に告げ……。
「む?」
……告げようとして、部屋の中に誰もいないことに気付いた。
支援
「……? 早めの夕食でも取りに行ったのか」
しかし、それにしては部屋が片付きすぎている。
いちいち食事に出向くくらいで整理整頓を行うなど、そんな人間はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールには有り得ない。
自分の主人ならば、移動範囲が学院内に限定されている場合はもっと部屋が雑然としている……と言うか、散らかっているはずなのだ。
そしてその散らかっている部屋を片付けるのは自分の仕事なのだが、この際それは良いとして。
とにかく、ルイズの怠け具合を甘く見てはいけない。
「……………」
三日間も留守にしていたのだから、あるいはかなり混沌とした状況になっているのではないか……などと考えていたユーゼスとしては手間が省けて良かったと思う反面、妙な訝しさも覚えていた。
あの御主人様が、自発的に部屋の片付けを?
有り得ない。
そんな真面目で几帳面で細かい人間であれば、自分の中にもう少し忠誠心や尊敬心らしき物が芽生えていなければおかしいではないか。
「もしや、何者かに連れ去られたのか……?」
主人の力である『虚無』の情報がどこかから漏れたか、単なる身代金目的か、緊迫状態が続いているトリステインとアルビオンの関係に一石を投じるつもりか、あるいは……。
思考を巡らせてみても、答えは出ない。
「とにかく、誰もいない部屋にいても始まらんな……」
まずは落ち着ける環境で考えよう、とすぐ隣にある自分の研究室に移動するユーゼス。
……と、そこには、
『この手紙を読み次第、すぐに全速力でラ・ヴァリエールの領地に向かいなさい。 エレオノール』
『よく分からないけどエレオノール姉さまがやたらと急ぐので、先に帰省してます。 ルイズ』
そんなことを書かれた二枚の紙が貼ってあった。
「?」
ユーゼスとしては、ワケが分からない。
主人が実家に帰省するのは確か明日だったはずなのに、それがどうしていきなり今日になったのだろうか。
何故エレオノールが一緒に帰省するのだろうか。
どうもこれを見る限り、エレオノールがルイズを引っ張って行ったようだが……。
「そこまで急ぐ理由は何だ?」
主人の部屋が片付いていたのはエレオノールが命じたからなのだろう。と言うか、あの御主人様が自分から部屋の片付けを行うなど、『エレオノールに言われたから』以外に考えられない。
だが、彼女が一刻を争って帰省する理由が分からない。
自分の知るエレオノールは、いきなり理由もなく突飛な行動に出たりする女性ではないのである。
「ふむ……」
まあ、彼女には彼女なりの理由があるのだろう。自分にはよく分からないが。
それでは理由の推察はこのくらいにして、自分も早くラ・ヴァリエールの領地とやらに向かうべきである。
しかし……。
「…………そのラ・ヴァリエールの領地というのは、どこにあるのだろうか」
その目的地に向かうに当たって、根本的な部分が抜けていた。
支援
明けて翌日の朝。
プラーナコンバーターが発生させる粒子をトリステインの空に撒き散らしつつ、ユーゼスはジェットビートルを可能な限りの低速で飛行させている。
あの後で図書館に向かい、トリステインの地図を借りてラ・ヴァリエールの領地の大まかな位置は把握することは出来た。
……位置を把握することは出来たのだが、その時点で日は完全に暮れていた。
星明りや月明かり程度の光源で、地図と照らし合わせつつ、それなりのスピードで上空を飛んで移動するなど、そんな技術や経験をユーゼスは持ち合わせていない。
よって、出発を夜明け以降に延期したのだ。
「……………」
だがそれでも問題が無くなったわけではない。
確かにラ・ヴァリエールの領地の大まかな位置は把握した。
確かに太陽が出て、地図と照らし合わせやすくなった。
問題は。
「ハルケギニアの地図は随分とアバウトだな……」
描かれている地図の精度である。
測量技術が発達していないハルケギニアでは、地図にそこまでの正確さを求めることは出来ない。
目印か何かがあればそこを起点にすることも出来るのだが、そうそう都合よく目印があれば苦労はしない。
加えてこの地図を見るに、ラ・ヴァリエールは大き目の人口密集地ほどの広さがあるようなのだ。
おそらく領主の屋敷に向かえば良いのだろうが、こんな広い敷地の中から『アバウトな地図を指針に目測で屋敷を探せ』と言われても、どこにあるのか分かりはしない。
と言うか、このヴァリエールの領地にくっ付いている『フォンティーヌ領』というのは何なのだろうか。
自分の今いる位置がちょうどそのあたりを過ぎた所らしいのだが、やはり地図が分かりにくいので、どうも把握がしにくい。
「むう……」
こうなったら、最後の手段を使うしかないようである。
出来れば使いたくはなかったが、この際やむを得まい。
ユーゼスは意を決し、ビートルを森の中の開けた場所に着陸させ……。
「……誰かに聞きに行くか」
おそらく自分よりはこのラ・ヴァリエールの領地に詳しいであろう、領民に詳しい位置を教えてもらうことにした。
だが、いくら領民でも森のど真ん中に常時いるわけではない。
一度通りに出て、民家か何かを探さねばなるまい。
……クロスゲート・パラダイム・システムを使って、自分とエレオノールやルイズとの因果律を辿るなり何なりすればもっとスムーズに行けるのだが、そんな下らないことのためにわざわざ因果律を辿りたくはない。
それに自分の感覚と足で一歩ずつ進むのも、これはこれで悪くはないのである。
ほぼ手付かずの自然の中を、のんびりと歩く。
ハルケギニアの人間にしてみれば敬遠されがちなことではあるが、ユーゼスにしてみればかなり貴重な経験だ。
「……………」
意外と早く通りに出た。
出来ればもう少し森の中を散策していたかったが、まあこれは仕方があるまい。
さて、民家なり領民なりはどこにあるのか……と辺りを見回したところで、ユーゼスの視界の隅にあるものが飛び込んできた。
「アレは……」
気になったので近付いてみると、その姿が次第に明確になってくる。
「……鳥か」
翼に怪我をした鳥が道の端に横たわっている。
見たところ怪我はあまり大したことはなさそうだが、放っておけば飛べずにこのままここで死ぬだろう。
「……………」
ユーゼスは少しの間だけその場で怪我を負った鳥を眺め、そのまま通り過ぎていく。
酷かも知れないが、これも自然の摂理というものだ。
下手に人間が手を出しても、ためにはなるまい。
と、その時、
「……ちょっと、あなた!」
「む?」
まったく意識していなかった方向から、女性の声が響いてきた。
お、邂逅か 支援
声のした方に視線を向ければ、そこには妙齢の女性が一人。
年の頃は20代半ば……あるいはもう少し若いくらいだろうか。
羽根のついたつばが大き目の帽子を被り、腰の細いドレスを上品に着込んでいる。
その服装からして、貴族のようだが……。
「……私が、何か?」
声をかけられた理由がよく分からないので、取りあえず用件を聞いてみることにする。
すると、少し強目の調子で返答が返って来た。
「『何か』、じゃありません! その怪我をしている鳥に気付かないのならともかく、気付いていてわざと通り過ぎるなんて酷いじゃないですか! てっきり助けるのかと思ったのに!」
そんなことをユーゼスに言いつつ、女性は倒れた鳥を優しく両手ですくい上げる。
……帽子の下から見えるその表情を見るに、どうも本気であの鳥のことを心配しているらしい。
「……………」
あえてこの鳥を見捨てることを選んだユーゼスは、この女性に質問することにした。
「その鳥をどうなさるおつもりです?」
なお、口調が敬語なのは、この女性が『ある程度以上の社会的地位があり』、『ある程度以上、腹の内が読めず』、『ある程度以上、気を許せない』の三つの条件に合致しているためである。
「怪我を治して、その後でまた放してあげます」
女性はくるりとユーゼスの方を向いて、キッパリと言う。
予想通りの回答に、ユーゼスはごく軽い溜息を吐いた後で反論を開始した。
「……その鳥の怪我を治すことはともかくとして、また放すのは賛成しかねますが」
「あら、どうしてですか?」
ユーゼスとて過去に瀕死の重傷を負った際、ザラブ星人の気まぐれによって救われている。
よって怪我を治すこと自体は構わない。
だが……。
「危険や脅威が溢れている外に放り出すよりも、鳥かごの中にいた方が長く生きられるでしょう」
その怪我を治して外に放した結果、より深い傷を負ってしまうかも知れない。
今度も救われるとは限らないのである。
女性はそのユーゼスの言葉に頷き、しかし毅然とした態度で言葉を返してきた。
「……そうかも知れませんね。でも『生きている』ってことと『生かされている』ってことは、違うことなんじゃないでしょうか?」
ここで、ようやくユーゼスは真正面から女性の顔を見た。
(……御主人様に似ているな)
帽子から覗く髪の色は桃色がかったブロンド、瞳の色は鳶色。
ルイズから気の短さと癇癪と無駄なプライドを取り払って、落ち着きと穏やかさと無垢さ……ついでに年齢と少々の肉付きをプラスすればこのような感じになるのでは、という感じの女性である。
(親戚か何かだろうか)
血がある程度繋がっているのであれば、外見的特徴が似ても何ら不思議ではない。
しかしエレオノールにはあまり似ていないことから考えるに、直接の姉妹などではないと思われる。
(……どうでもいいな)
今はそんな考察よりも会話である。
「その鳥にとって、ここはようやく辿り着いた安息の地かも知れませんよ? あなたはそれを強制的に追い出すと言うのですか?」
少々嫌味な言い方ではあるが、ある意味では真実だ。
……ユーゼスが元いた世界では、銀河連邦警察という組織が『地球圏』という巨大な牢獄を用意して、犯罪者たちをそこに封印しようとしていた。
そして閉じ込められた犯罪者たちのリーダーは、そこを『安息の地』と呼んだのだ。
追い立てられ、追い詰められた末に、ようやく辿り着いた場所をそう呼ぶ気持ちは……ユーゼスにも、分からなくはない。
もっとも、この地が彼にとって安息をもたらすかどうかは不明だが……。
「……それでも……」
女性は、両手の中にある鳥を眺めながら語り始める。
「…………それでも、外の世界を自由に羽ばたける翼があるのなら、羽ばたいていくべきではなくて?」
「羽ばたいた先には、苦難や困難が待ち受けているかも知れない」
「それを乗り越えられない、なんて私たちが決めることでもないでしょう?」
「また傷付き、倒れ……最悪の場合は死ぬかも知れない」
「それは、この子を信じてあげるしかないんじゃないかしら」
「もし、また戻って来てしまったら?」
「その時は……迎えてあげます」
ユーゼスと女性の視線が交錯する。
……どうもこの女性は、『自由』とか『解放』とかいう言葉にこだわりがあるようだが……まあ、ユーゼスとしてもその意見にあれこれと口出しをする気はない。
「見解の相違ですね」
「ええ。分かり合えないみたいです、私たち」
そう言いながらも、女性は薄く微笑みを浮かべている。
どうやら今のやり取りが少し面白かったらしいが、一体何が面白かったと言うのだろうか。
(苦手なタイプだ……)
このような掴みどころのない人間が、一番やりにくい。
だが女性の方はユーゼスと同じようには思っていないようで、親しげに話しかけてきた。
「……そう言えば、あなたはどうしてこんな場所にいるんです? ここは領民の方の家もなければ農地もない、あるのは森だけですよ」
「ああ、少々道に迷ってしまいまして」
そうしてユーゼスは、自分がラ・ヴァリエールの屋敷に向かっていることを話した。
すると女性は『まあ』と驚いたような声を上げ、続いて嬉しそうな表情になり、更にユーゼスの手を引いて自分が乗って来た馬車に連れ込もうとする。
「? いえ、私は道を教えてくれればそれで……」
「うふふ、私もちょうどその屋敷に向かうところなんです。せっかくだから一緒に行った方が良いでしょう?」
「貴族の方と同じ馬車に乗るわけにも……」
「どうせなら一緒の方が楽しいじゃないですか」
「……………」
女性の押しの強さに少々戸惑いながらも、半ば押し切られる形でユーゼスは大き目の馬車に乗り込んだ。
「む……」
その馬車の中に入ると、虎や熊や犬や猫や蛇などの様々な動物が、それぞれのんびりと過ごしている光景が目に飛び込んでくる。
まるでちょっとした動物園だ。
「あら、驚きました?」
「……ええ」
そんな馬車の先客たちに若干気圧されつつも、ユーゼスは空いているスペースに腰掛け、女性もまたユーゼスの向かい側に座る。
女性は再び会話をしようとして……そこで、何かに気付いたようにポン、と手を打った。
「そう言えば私、あなたのお名前をうかがってませんでしたわ」
「私もあなたの名前を聞いた覚えはありませんね」
お互いに自己紹介をしていないことに、ようやく気付く二人。
そして女性は、笑みを浮かべながら自分の名前を語る。
「私はカトレア。カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌです」
主人たちと名字が違うことから、やはり親戚か何かか……と当たりを付けるユーゼス。
ともあれ、このカトレアという女性がエレオノールたちと何親等の親戚だろうと、別に問題はあるまい。
取りあえず、自分もカトレアにならって自分の名前を告げた。
「……ユーゼス・ゴッツォと申します。以後お見知りおきを、ミス・フォンティーヌ」
「はい、よろしくお願いしますね」
見れば、女性はニコニコしながらこちらに視線を向けている。
恐らくではあるが、もっと自分と話をしたいようだ。
別にユーゼスもカトレアと話をしたくないというわけではないのだが、そんなに進んで会話を行う人間ではないことは自分が一番よく分かっている。
しかし、それにしても……。
(……どうにも、やりにくい女だな)
それがユーゼス・ゴッツォの、カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌに対する第一印象だった。
野良猫に餌をあげると野生に戻れないから、考えようによってはそれも残酷な支援
420 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/07(火) 22:55:13 ID:HybmobHR
支援
sienn
その後、ユーゼスはカトレアに自分のことを根掘り葉掘り質問された。
年齢はいくつか、出身はどこか、普段は何をやっているのか、どのような用件でラ・ヴァリエールに来たのか……とにかく根掘り葉掘りである。
ユーゼスも律儀にそれらの質問に一つ一つ答えていったのだが、そうしている内にカトレアの表情が少しずつではあるが不機嫌になってきたことに気付いた。
(……私は何か不味いことを言っただろうか)
しかし聞かれたことに答えただけで不機嫌になられても、などと少し困惑していると……。
「…………何だか私ばっかり質問してて、あなたからの質問がないんですけど」
カトレアは少し拗ねたような表情で、そんなことを言い出した。
「……………」
だがユーゼスがカトレアについて知りたいことなど、少なくとも今の時点では無いのだから仕方がない。
強いて言うならエレオノールやルイズとはどのような関係なのかを知りたかったが、逆に言うとそれくらいしか『知りたいこと』がない。
(どうしたものか……)
人付き合いが苦手なユーゼスとしては、なかなかに困難な問題である。
と、そうしてユーゼスが頭を悩ませていると、不意にカトレアが窓の外の景色を見て声を上げた。
「あら? あの馬車は……」
「馬車?」
その声につられてユーゼスも外を見ると、確かに窓から見える旅籠(旅人の休憩所のような物)の傍には、一台の馬車が停まっていた。
しかもユーゼスにとっては見覚えのあることに、その馬車は魔法学院のものである。
「……………」
ラ・ヴァリエールの領地の中で、魔法学院の関係者……となると、ユーゼスには一人か二人しか心当たりがない。
相変わらずの因果の導きに内心で苦笑するユーゼスだったが、そうしている内にカトレアは従者に命じて自分の馬車を停めさせ、いそいそと旅籠に向かっていく。
「少し待っていてくださいね、ユーゼスさん。あの馬車がどなたのものかは分かりませんけど、せっかくですから少し挨拶をしてきます」
「……ええ。私も特に急いでいるわけではありませんので、ごゆっくり」
そしてそのまま待つことしばし。
再び馬車の扉が開き、カトレアは戻って来た。
…………ユーゼスの予想通りの人間を、二人ばかり引き連れて。
「こちらはユーゼス・ゴッツォさん。お屋敷に向かってる途中で行き会ったんだけど、この方もヴァリエールのお屋敷に用があるらしいからご一緒することにしたの」
「……………」
「……………」
カトレアに引き連れられてきた金髪眼鏡の女性と桃髪の少女は、『何故こいつがここに』と言わんばかりの視線をユーゼスに向ける。
そんな二人の様子に気付いているのかいないのか、カトレアは続いて『ユーゼスと初対面だと思われる』二人を紹介し始めた。
「ご紹介しますね、ユーゼスさん。私の姉のエレオノールと、妹のルイズです」
「……む?」
ユーゼスにとっては今更紹介されるまでもなく見知った顔だったのでその紹介を聞き流そうとしていたが、カトレアの言葉の中には少し聞き捨てならない単語が含まれていた。
「姉と妹?」
「ええ。妹はそろそろ帰省すると聞いていましたので、運が良ければ紹介が出来ると思ってましたが……嬉しい誤算でしたわ」
「……………」
どうにも納得の出来ない事象を目の当たりにしてしまい、思わずカトレアとエレオノールとルイズを見比べる。
ユーゼスはジロジロと三姉妹の顔つき、身体つき、雰囲気などをよく観察し……。
「……極端な姉妹だな」
「「どういう意味よっ!!?」」
それによって導き出された結論を口に出したら、長女と三女に睨まれてしまった。
支援
「で、昨日の夕方に学院に帰って来て、今日の朝に出発した、と……」
「そうだ」
「ビートルはどうしたのよ?」
「フォンティーヌ領の森の中だ。……取りに戻っても良いが、急ぐのであれば後日に回すことをお勧めする」
「って言うか、どうしてアンタがちい姉さまと一緒にいるの?」
「ミス・フォンティーヌとは……成り行きだ」
「……その言い方は、何だか誤解を招くんだけど」
カトレアの質問攻めの次は、エレオノールとルイズの質問攻めに晒されるユーゼス。
しかしこの二人の相手ならば慣れた物なので、カトレアとのやり取りに比べればかなりスムーズに受け答えをしている。
「む?」
そして一通り話し終えたところで、ユーゼスはエレオノールに対して違和感を二つ覚えた。
一つは、妙に表情が強張っている……と言うか『聞きたいことがあるが聞けない』ような顔をしていること。
どうやらルイズやカトレアが周りにいる状況では聞きにくいことでもあるらしく、もどかしそうにしている。……まあ、これは後でも受け答えは出来るだろうから、どうしても気にするほどでもあるまい。
問題は二つ目だ。
「……エレオノール、少し動くな」
「え?」
そう言うや否やユーゼスはエレオノールに接近し、右手で彼女のアゴをくいっと上向かせる。
「え、ええ……!?」
「まあ」
「ちょ、ちょっと、ユーゼス!?」
三者三様に驚くヴァリエール姉妹に構わず、ユーゼスは脳内のクロスゲート・パラダイム・システムを起動させてエレオノールに絡みつく因果律を調べ始める。
(これは、思念波か催眠誘導波……いや、思考の侵食……とにかく精神操作の類か?)
感じた二つ目の違和感とは、これだった。
エレオノールが何らかの精神的な干渉を受けているのである。
「……ふむ」
「ちょ、ちょっと、ユ、ユユ、ユーゼス、そんな、いきなり、カトレアやルイズの見てる前で……!」
(これは……シュウ・シラカワからサンプルとして貰った『ミルトカイル石』に接触した時と同じ症状か?)
シュウと行った三日間に渡る『情報の交換』から得た知識や、いくつか貰った『土産』の内の二つである『赤い鉱石』と『青い鉱石』を思い出すユーゼス。
ミルトカイル―――アインストと同じ材質で出来ているハルケギニアに存在しないはずの物質は、限りなく鉱物に近い存在でありながら『生きて』いるという、奇妙な性質を持っている。
その硬度はなかなか高く、シュウの分析では『ハルケギニアの技術ではこれを破砕することは不可能』であるらしい。
また特筆すべきは、『これに接触した人間をアインストの思念の影響下に置く』という点である。
もっとも行動を強制するのではなく、それが自然であると認識させる催眠術に近いものらしいが……。
「……………」
ユーゼスはエレオノールの顔を至近距離から見る。
……まさかとは思うが、エレオノールがミルトカイル石に接触でもしたのだろうか。
何でもアレは純度の高い物になると、あのシュウ・シラカワですら少しばかり気が遠くなるほどの効果があるらしい。
今は大して影響はないだろうが、このまま放置すれば厄介なことになりかねない。
取りあえず、エレオノールに確認を取ってみる。
「エレオノール、最近何かと接触したか?」
「せ、接触!?」
何か外面的な変化はないものか、とより注意深くエレオノールの顔を観察しつつ、その詳細な原因を探るユーゼス。
しかしエレオノールは顔を真っ赤にしながら『あうあう』と困惑しているばかりで、どうにも要領を得ない。
(明らかに様子がおかしい……)
やはり精神への影響を受けつつあるようだ。
まだ原因がミルトカイル石によるものだと断定は出来ないが、しかし……。
(……やむを得んか)
クロスゲート・パラダイム・システムを使い、因果律の操作を開始する。
対象はエレオノール。
効果は、以前にルイズが惚れ薬を飲んだ時に使おうかとも考えた物……『外部から精神的な影響を与える事象についての、対象への一切の遮断』。
―――完了。
と、因果律を操作し終わってから重大なことに気付く。
(…………これはハルケギニアへの干渉にならないだろうか?)
つい昨日に『平穏無事が一番』とか考えていたはずなのに、その平穏を破りかねない行動を自分からやってしまってどうするのだ。
と言うか、ルイズが精神操作された時には何もしなかったのに、何故自分はエレオノールに対して突発的にこんなことをしてしまったのだろう?
もしやほぼゼロにまで無力化したはずのガンダールヴのルーンによる精神干渉が、この時になって活性化でも始めたのだろうか。
……いや、それならば対象はエレオノールではなくルイズになるはず。
ならば何が原因だと言うのだろう。
(……分からない……)
人間は自分のことが一番分からないものである、ということは経験として知ってはいるが、まさかそれをまた味わうことになるとは思わなかった。
まあやってしまったことは仕方がないので、これは今後の反省としておこう。
……とにかく、いつまでもエレオノールのアゴを掴んでいるわけにもいかない。
ユーゼスは右手をエレオノールから放すと、自分が元いた席に戻って行った。
「あ……あれ?」
だがエレオノールは何かに納得が行かないようで、しきりに先程までユーゼスに掴まれていたアゴを撫でさすったり、ユーゼスに視線を向けたりしている。
「どうした、エレオノール」
「ど、どうしたって……えーと。い、今の行為は何なのかしら?」
「……少し気になることがあったのだが、気のせいだった。特に深い意味はない」
まさか『お前の精神が何かに侵食されかかっていた』などと言えるはずもなく、適当な言葉でお茶を濁そうとするユーゼス。
しかし。
「ふ、ふぅん……。あなたは特に深い意味もなく、女性の顔を手で掴んだり、その後でジッと意味ありげに見つめたりするんだ……」
「こ、こ、この使い魔は、どうしてたまにこんな突飛な行動をするのかしら……」
エレオノールは物凄い表情でこちらを睨み、それに追随するようにルイズの表情がピクピクと痙攣していた。
どうやら、お茶は濁らなかったようである。
「待て、二人とも。別に何かをしたわけでもないのだから、問題はないのでは―――」
「……一度死んで! 生まれ変わって!! もう一度死んでやり直しなさぁぁぁああああああい!!!」
「こぉの、朴念仁!! 研究オタク!! バカ白衣ぃぃぃいいいいいいいいい!!!」
「ぐごぉっ!!?」
『やはり極端な姉妹だな』などと感想を抱きながら、ヴァリエールの長女と三女に蹴り飛ばされ、馬車の扉を突き破って外に放り出されるユーゼス。
……ちなみに彼は、本人主観でもう二度ほど死んでいる。
10分ほど後。
ユーゼスは自分を放って進み続ける馬車をガンダールヴのルーンまで発動させて追いかけ、かつて快傑ズバットが使っていた鞭を馬車の一部に巻きつかせ、しばらく引きずられながらもどうにかして馬車の中に戻ることに成功した。
「ゼェ、ゼェ、ゼェ……。……お、お前たちは、ゼェ、何故、時たま、ゼェ、理不尽な、ゼェ、懲罰を行うのだ……」
「……自分の胸に聞いてみなさい」
ボロボロかつ体力を消耗し尽くしているユーゼスに向かって、エレオノールは冷ややかに言い放つ。
しかしさすがに見かねたのか、カトレアがそんなエレオノールをたしなめた。
「まあ、エレオノール姉さま。男性をそう邪険に扱うものではありませんわ」
「いいのよ、コイツに対してはこのくらいで」
横を見れば、ルイズもまたエレオノールと同じようにツンとしている……のだが、その目には単純な『ユーゼスの行為に対する怒り』だけではなく、なぜか『エレオノールに対する羨ましさ』のようなものも含まれていた。
「?」
そんな妹の様子に首を傾げるカトレアだが、とにかくボロボロな彼を介抱しなければ、とユーゼスに歩み寄る。
「ほらユーゼスさん、白衣に付いた土だけでもはらわないと……」
「……ありがとうございます」
手早くユーゼスの白衣を脱がせて、こびり付いた土をパッパッとはらうカトレア。
そして軽く白衣の土を落とし終えた時点で、彼女は一つの質問をぶつけてきた。
「あの、聞きたいんですけど」
「……何か?」
「あなたはエレオノール姉さまの恋人なんですか?」
瞬間。
色々な意味で、馬車の中の時間が止まった。
「?」
ユーゼスはそもそも『恋人』というものが何なのかよく分からないので、困惑し。
「な……!」
ルイズはいきなりとんでもないことを言い出した次姉を『信じられない』という目で凝視し。
「…………っ!!」
エレオノールはまた見る見る内に顔を紅潮させていく。
やがて三人は、それぞれ同時に同じ意味の言葉を発した。
「……何のことなのかよく分かりませんが、おそらく違います」
「違うわ! そんなわけないじゃない!」
「ち、違うわよ!! わ、私とユーゼスは、その、恋人……なんて、そんなのじゃ、ないんだからっ!!」
各人ニュアンスに若干の差があるような気もするが、とにかく質問された当人も含めた三人が揃って否定しているので、カトレアもそれで納得する。
「あら、そうなんですか? エレオノール姉さまと対等にお話ししたり、おもむろに近付いたりする男性なんて初めて見たから、間違えちゃったわね」
うふふ、と笑みを浮かべるカトレア。
その直後に彼女は、自分以外には少々聞き取りにくい声で呟いた。
「……そっか。彼は姉さまの恋人じゃないのね」
「何か言った、カトレア?」
「いえ、少し独り言を」
「……?」
sienn
エレオノールの質問をはぐらかしつつ、カトレアはポンと手を打って話題を転換する。
「それより私、ルイズや姉さまからお話を聞きたいわ。ユーゼスさんにも色々聞いてみたけど、この方ったら私が聞いたこと以外には何も喋ろうとしないんですもの」
「またアンタは……。ちい姉さま相手にもそんな態度を取ってるの!?」
そしてルイズとカトレアは、ユーゼスへの日頃の不満、日常に起こったこと、つい先ほど拾ったつぐみ、学院の同級生についてなど、様々な話題で盛り上がりながら楽しそうなお喋りを始めた。
「はぁ……。相変わらずね、この二人は」
そんな二人を見て溜息をつくエレオノール。
どうやらこの姉妹にとっては、これは割と日常的に繰り広げられる光景のようだ。
「……………」
兄弟姉妹どころか『家族』という存在そのものの記憶すらほぼ完全に消えてしまっているユーゼスにとっては、実感のしにくいものではあったが……主人とカトレアは楽しそうだし、エレオノールも呆れてはいるが嫌という訳ではないらしい。
ならば、これはこれで良いことなのだろう。
(……ヴァリエールの姉妹か)
自分の主人である気の強い三女、どうにも掴みどころのない次女、そして理由は不明だが自分が時たま意識してしまう長女。
(何度考えても極端な面々だな……)
ともあれ、そんな極端な姉妹と、かつて全てを超越しようとした存在、そして多くの動物たちを乗せた馬車は、ラ・ヴァリエールの屋敷へと向かっていった。
支援 そろそろか?
430 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/07(火) 23:02:30 ID:HybmobHR
支援
…なんだかこれまでに輪をかけて不穏な姉妹関係になりそうな予感がひしひしとするんだw<……そっか。
432 :
代理:2009/04/07(火) 23:05:45 ID:d9pD+1qY
173 :ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g:2009/04/07(火) 23:05:00 ID:MTuPCttY
すいません、さるさんを食らってしまいました。
00分は跨いだはずなんですけど、何故なんでしょう……。
ともあれ後はあとがきだけですので、以下に書きます。
以上です。
うーむ、カトレアのキャラって掴みにくいですねぇ……。
どうもこの『浮世離れしてる感じ』が表現しにくいです。
色々模索した結果、何だか腹黒みたいな感じになってしまったような……。
劇中でユーゼスが言ってる『やりにくい』とか『掴みどころがない』とかいう感想は、そのまま私の感想でもありますww
ちなみにカトレアの問いに対する三人の否定は、この間終わった某アニメの某シーンを見てて『これ応用できないか?』と考えた末の結果です。
……もっと膨らませられたと思うんですけどねぇ、あの二人……。
さて、ここで一つお知らせを。
今までは約1週間〜10日ほどのペースで投下していましたが、色々と諸事情がありまして執筆する時間が削られてしまい、今後は今よりも少し投下ペースが落ちるかも知れません。
とは言え文章を書くペースというのは書いている本人にすら当てにならない物なので、案外早目に投下が出来るかも可能性もあるのですがww
……しかし書ける時は1時間で7〜8KBくらい書けるのに、書けない時は1日かけても数行も書けないという、この現象を何と呼ぶべきなのでしょうかね。
何にせよ、気長に待っていてくだされば幸いです。
それでは、支援ありがとうございました。
あらあら、まあまあ系は基本底が見えないもんだから気にすんなw乙
乙だ!
乙です!!
ラスボスの人乙です。
うーむ、こうやってトライアングラー、スクエアー、ペンタゴナーという風になっていくんでしょうか。
GJ!
アインストに支配されて一悶着あるのかと思ったら一瞬で解決しとるw
乙ー
アインストの影響もアンリエッタとかが相手だったら「ハルケギニアへの干渉は良くないな」って言ってスルーしてたんだろうなぁ
続けて45分から投下させてください
魔王伝とパラサイトが待ち遠しえん。
ユーノはデルフリンガーを構えたまま、祭壇に向かう。
その目はルイズも見たこともないくらいに感情が濃く滲み出ていた。
その視線を受けてもなお平静を保つワルドもまた、抜いた杖を手に出口に向かう。
「なんで……」
ワルドはユーノとの距離を一歩ずつ詰めていく。
そのたびにルイズもまた、ユーノの側に行こうと後ずさった。
「なんでルイズを裏切ったんですか!ルイズを守るんじゃなかったんですか!」
「そんなことも言ったな。だが、嘘というわけでもない。僕の目的のためにルイズは必要だ。必ず守るよ」
「ルイズがそんなので納得すると思ってるんですか?」
たどり着くと、茶色いマントの小さな背中がルイズをかばった。
それを見たワルドは杖を構え、切っ先をユーノに向ける。
「納得できないかね?それでも私に任せた方がいい。君ではルイズを守ることはできない」
「ここまで来た彼には十分守れると思うが」
ワルドの肩口にブレイドかけた杖が置かれた。
「正直どういうことかよく分からなくてね。花嫁をめぐる諍い、とでも思ったのだがそういうわけでもなさそうだ。子爵、その少年に向ける杖を納めてもらおう」
その魔法の刃をワルドの首に向けるのは、アルビオン王国の皇太子ウェールズ。
「そして目的というのを教えてもらおう」
「いいだろう」
ちらりと後ろを伺うワルドは杖を下ろし、秘めていた目的を語り始めた。
「目的は三つ。一つはルイズ、君を手に入れることだ」
「私はあなたになんか着いていかないわ!」
ユーノの肩に手を当てるルイズは迷いなく答える。
「彼と共になら行くかね」
「えあっ!?」
その時顔に一瞬だけさした朱は、次のワルドの言葉ですぐに流された。
「二つめはアンリエッタの手紙だ」
ルイズはもう一方の手でポケットを中の手紙ごと握る。
「貴様、レコン・キスタか」
全てを察したウェールズが杖を強く握りしめた。
その杖はワルドの首筋に当てられ、わずかでも動けば彼の命を奪うだろう。
既に彼には何もできない。
にもかかわらず顔色一つ変えないその姿は、ルイズの胸の中の不安を大きく育てていた。
「三つめは……」
何がこらえきれなくなったのか、ワルドは突然苦笑を浮かべた。
「ユーノ君、やはり君はルイズを守りきれないよ」
「まだ話しは終わってはいないぞ!言え、三つめの目的は何だ」
それを無視して、ワルドの視線が前後に走る。
ウェールズの杖は首筋に、ユーノのデルフリンガーは胸元に。
一本の剣と杖は確かに自らに向けられている。それがワルドの見たいことだった。
「例えば、こういうことだ」
閃光が2本、礼拝堂の中で輝いた。
一つの閃光はユーノの背中に。
自分の背中に走ったそれを感じたユーノは片手でルイズを突き飛ばす。
「きゃっ」
シールドは間に合わない。今、それを使う手はルイズをのけるために使ったからだ。
ならばガンダールヴのルーンの輝く手で持ったデルフリンガーを閃光に向けて振る。
だが、ルーンの力で獣のような早さを持っているにもかかわらず、それを上回る技でデルフリンガーは跳ね上げられ、再び走った閃光がユーノの胸を切り裂いた。
「ユーノ!」
ルイズの声がルーンの輝きをさらに増す。
胸の傷をものともせず振るわれたデルフリンガーが閃光──背後に新たに現れたワルド──を切り裂く。
直後、ユーノは両膝を床に着いた。
そしてもう一つの閃光はウェールズの肩を深々と切り裂く。
少年と王子は同時に倒れ、それを2人のワルドが見下ろしていた。
風の系統に遍在、という魔法がある。
一つ一つが別個に意志と力を持つ分身を作り出すこの魔法は、風の系統が最強と言われるゆえんでもある。
ラ・ロシェールでワルドがユーノと戦うと同時にルイズの手を引いていたのも、今また3人のワルドがここに存在するのもこの魔法のためだ。
司書長支援
流れる血は速やかに広がり、冷たい石畳をその色に染め上げていった。
「あ、あ、あ」
なにを言っているか、自分でもわからないルイズが見ているのは倒れているユーノだけ。
体が血で汚れるのも構わず、その体を抱き上げた。
「ユーノ、ユーノ、ユーノ!」
それを石畳よりなお冷たい目でワルドが見下ろす。
「ラ・ロシェールには居る前に使った飛行魔法を見ていたのでね。もしやと思い準備させてもらっていた」
あらかじめ礼拝堂内に遍在を隠しておいたのだ。
「だが、奇襲を相打ちに持ち込まれるとはな」
話術を持ってユーノとウェールズ、双方の注意を自身に向け、遍在から逸らし、奇襲をかける。
それは成功していた。
ウェールズが遍在を倒せず、一撃をただ受けるだけで終わってしまったことが証左である。
そこまでしてユーノを討ち取ったものの相打ちとなり、遍在を一つ消されてしまったことにワルドは内心舌を巻いていた。
「君は確かに優れた戦士だ。未だ荒削りながらもその剣技と魔法を持ってすれば勝てない相手はまずいないだろう」
足下に転がるウェールズの杖を蹴り飛ばし、ワルドはユーノとそれを抱くルイズに向け遍在を残して歩き出す。
「だが、戦いには向いていない。君は既に私の遍在を知っていたはずだ。だが、ルイズを助けようとするあまりそれを忘れた。それでは私には勝てない。ルイズを守りきれない」
ルイズを目前にワルドは足を止める。
突然に灯った光に目を焼かれたからではない。
その光の元がユーノだからであり、そのユーノが光の中で姿をフェレットに変えたからだ。
「ふ、ふははは。はははははははは」
考えてみれば単純だった事実、それに気づけなかった自分、気づけるはずもない現実。
そこからこみ上げた笑いをワルドは口元に当てた片手で握りつぶした。
「そうか、そういうことだったか。これは意外だ。ユーノとユーノ。そういうことだったか。その少年がルイズ、君の使い魔だったとはね」
絶対の優位を得て、ルイズを見下ろすワルドは落ち着き払い、そして優しげに聞いた。
「ルイズ、もう一度だ。僕と来るんだ。世界を手に入れるには君が必要だ」
万策尽きた……わけではない。レイジングハートがある。
だが、いまのルイズの心を占めるのは怯えと不安、そして恐れ。
それはルイズの心をかき乱し、自らの持つ最大の力を忘れさせていた。
「わかったわ。行くわ。だから、助けて。死んでしまうわ。お願い」
ユーノはフェレットの姿になると傷が早く治ると言っていた。
なのに、血を止めようと傷口に当てた手にはぬるりとしたものが耐える新しいものとして指の間だから零れていく。
それほどまでに傷が深い。
「それでいい」
まだ言葉だけだ。何が変わったわけでもない。
それでも、今まで押しつぶされていたようだった体がすこしだけ軽くなったように思えた。
「行こう、ルイズ」
返事はしない。喉につまったように出てこなかった。
ルイズはそれを真に望んでいたわけではないのだから。
「その前に、ユーノ君には死んでもらおう」
「え?」
立ち上がろうとした膝から力が脱ける。
足が砕け、思うように動かない。不安がよりいっそうの強さでルイズをその場につなぎ止めた。
「待って、助けてくれるって」
「助けるのは君だけだ。ユーノ君は別だ」
「でも、私が行けば良いんでしょ?ユーノは私の使い魔なのよ」
「ルイズ!」
既に心の挫けたルイズにはその言葉に逆らえない。
そうなった時に彼女を支えるべき1人は倒れ、もう1人は敵となっていた。
「小鳥を飼う時はどうするか知っているかい?逃げないように羽を切ってしまうんだよ。ユーノ君がここに来た時わかったよ。彼は君の翼だ。彼が傷を癒せば君は僕の元から逃げようとする。だから……」
それをするのが最善。
そう諭すように、彼は言った。
「翼は切ってしまおう」
「い、いや!」
「さあ」
そして、昔、小舟で泣いていた自分を迎えに来てくれた時のような微笑みさえ浮かべていた。
だけどそれは、とても、とても恐ろしいものにしかルイズには思えなかった。
(助けてあげる)
それは声ではなかった。
念話と呼ばれる系統魔法にはない心で交わす言葉の魔法。
それで話されるルイズの知らない誰かの声が聞こえてきた。
(誰!?)
答えずに誰かの声はただ伝えるべき事のみを伝える。
(助けてあげる。その代わり、あなたの持つジュエルシードを一つ。私にちょうだい)
(でも)
考えるべき事、考えなければならないこと。心のかき乱されルイズにはどうしたらいいかわからない。
ジュエルシードは大切。でも、ユーノの命はもっと大切。でも、ユーノはジュエルシードを集めている。それを本当に誰かに渡して良いのか。
その答えをすぐに出すことは、今のルイズにはただ普通に魔法を使う事よりも困難に思えた。
「put out.」
「え……?」
ルイズは何もしていない。
しかし、レイジングハートは独自の判断でスタンバイモードのまま限定された機能を使う。
その結果は、ルイズの目の前に青い宝石──レイジングハートに封印されていたはずのジュエルシード──という形で現れた。
突如現れた青い宝石を見ていたのはルイズだけではない。
それが突然であったが故にワルドもまた青い宝石に目を奪われた。
だからこそ、歴戦のメイジである彼もそれに対応しきることはできなかった。
「Photon lancer」
不意に天井が爆発を起こした。
稲光を纏い落下する天井の梁が狙いすまいしたようにワルドめがけて落ちてくる。
ワルドはそれに後ろに控えさせていた遍在をぶつけた。
「ちっ」
ブレイドで二分したものの、巨大な質量は止まらない。
ワルドの本体はそれを避けるためにも床に自らの体を投げ出し、ルイズから離れざるを得なかった。
梁に潰される遍在を見ながら三転、世界が回る。
立ち上がったワルドは、舞い散る埃の中に、ルイズの前に立つ新たな一つの人影を見つけた。
土煙のベールは退く。その向こうの人影は、長い金髪を二つに結び、黒い杖を持つ、黒い衣装のメイジだった。
「何者だ」
黒いメイジの少女は奇妙な装飾を施した杖を振った。
ルイズの目の前に浮かんでいた青い宝石は、瞬きの内に装飾の一部を成す金の宝玉の中に消える。
それからやっと、少女は答えた。
「フェイト」
「なら、そのフェイトは何をしにここに来たのかな」
フェイトはワルドの視線からルイズを守るように立ちはだかり、杖を真横に構える。
「彼女を、ルイズを助けに来た」
「できると思っているのかね」
「……」
フェイトを見据えるのは計3人分のワルドの視線。
無論、そのうち2人は魔法で作られた遍在だ。
落ちる梁を避けるために、未だ隠れていた2人も姿を現さざるを得なかったのだ。
「4人の私と戦って、たった1人で勝つつもりなのか?それとも、包囲を突破して逃げるつもりなのか?」
既にフェイトの退路は2人の遍在が断っている。
そして、この少女の実力がどうであれ4対1で閃光の名を持つスクウエアメイジにたった1人で、しかもルイズを守りながら戦って勝てる道理があるはずがない。
「切り札を出したのだ。どちらにせよ邪魔はさせない」
4人のワルドがそれぞれ違う形に杖を構える。
だが、共通するものがあった。それは必殺の殺気。
「あなたの切り札はあなただけの切り札じゃない」
なのに少女はいささかの怯えを見せることなく、杖をかちゃりと鳴らした。
「バルディッシュ。ユピキタス・デル・ウィンデ」
「yes, sir.ubiquity of wind.get set.」
今回はここまでです
ユーノ活躍会と見せかけた黒幼女活躍回です
デバイスがあればこのくらいできるかなー、と
支援∩<`ー´>∩
乙
司書長生きてくれ!
さらに続きまして10分ぐらいから投下させていただきたいのですがよろしいでしょうか
リリカル乙です
オイシイ登場だなあw
二つの月が世界を照らしている。
それをルイズの部屋からなんともいえない表情で眺めている男がいた。
暁巌である。
暁は元の世界で『トライデント』という組織に身をおいていたことがある。
太古――神話と呼ばれる時代――の文明が遺したいくつもの遺産を手に入れ、それらを元に新たな兵器を作り出そうとする巨大な兵器開発組織である。
その組織の実行部隊長として彼はいつも最前線にいた。
それゆえいくつもの超常現象にも遭遇したし、異世界にも入り込んだことがある。
だから彼は異世界に飛ばされたからといって大仰に驚くような男ではない。
それでも唐突に異世界に迷い込み、帰る手段が皆目見当がつかないというのはあまり楽しい状況ではない。
もっとも暁は「元の世界に帰りたい」という願望はさほど強くない。
言葉は普通に通じるし、探せば自分が戦闘に参加する機会くらいあるだろう。帰れずにこちらの世界で生きていくことになっても特に問題はないと彼は考えている。
彼にとっての問題は、使い魔という立場にあった。
「で、使い魔ってのは具体的に何をすればいいんだ?」
暁はルイズの方へ向き直る。
ルイズは眉間をおさえながら何事か唸っていた。
「まず主人との感覚の共有なんだけど……まったく出来ないわね。何も見えないし聞こえない」
「俺と感覚共有して楽しいと思うか?」
「まったく思わないわ」
即答される。
それがどんなものか暁には想像することしかできない。
しかし他の人間と感覚を共有して普段何をしているのか見るのも見られるのも、あまり楽しいことではない気がした。
と言うより見たくないし見られたくもない。
「他は主人の望む物を見つけてくること。例えば秘薬とか」
「秘薬?」
「特定の魔法を使うときに使用する触媒よ。硫黄とかコケとか……でもあんたそんなの見つけてこれないでしょ?」
秘薬という言葉に反応し、少し期待した暁だったがすぐに落胆に変わる。
「その程度の物なら見つけてきてやれんこともないが……それくらい買えよ」
「その程度って……ていうか売ってないわよ」
コケや硫黄など暁の世界では探せばすぐ手に入る。と言うか売っている。
難易度の高いモノであれば取りに行くのも問題はないが、その程度の物を苦労して探しに行く気には到底ならない。
「あんた世間知らずが過ぎるわ……いったいどんな田舎から来たのよ」
「とてつもなく遠いところだよ」
暁は視線をルイズから外し、空を見上げる。
相変わらず月の数は二つだった。
芸人支援!
「例えば俺のいた場所は月が一つしかない」
「はぁ?月は二つでしょ」
「こっちではそうだろうが俺のいた場所は違う。なんせ異世界だからな」
暁は簡単に自分の世界について説明した。
どんな場所で、どんな物が存在し、人々がどう生きているか。
そして魔法やそれに近いことをできる人間がほとんどおらず、魔法の利便性もさほど存在しないことを付け加えた。
「どんな世界よそれ。魔法が無くても生活が成り立つなんて信じられないわ」
「それに代わる技術が存在するからな。魔法なんて御伽噺でしか存在しないと思ってる奴がほとんどだ」
暁自身、トライデントに所属し太古の遺産の争奪戦に身をおくまで魔法や神秘の類が実在するなど知らなかった。
魔法を使える連中も確かに存在するが、それこそ片手で数える程度しか存在しないしそう言った連中も日常生活で魔法を使う機会はないといっていい。
だがどうやらこちらの世界ではほとんどの人々が魔法に依存した生活を送っているらしい。彼にとってはそのほうが信じられないことだった。
「こっちにいる人間は全員魔法が使えるのか?」
「そんなわけないでしょ。魔法を使える者――貴族が平民の生活を助けてるのよ」
今度は暁がルイズから簡単な説明を受ける。
どうやらこの世界では魔法を使える者は貴族として、魔法を使えない多くの人々は平民として暮らしているらしい。
そして一応火薬やら銃の類は存在するようだが、どうも聞く限り中世ヨーロッパ程度の技術しかないようだ。
(ボーが気に入りそうな世界だな)
今はおそらく医務室のベッドで寝ているであろう妙に偏った選民思想を持つ相棒のことを思い浮かべながら暁は苦笑した。
「とまぁこんなところよ。やっぱり知らないことばっかり?」
「そうだな、ハルケギニアって大陸もお嬢ちゃんがいくつかあげてくれた国名も聞いたことがない」
暁のこの世界に対する知識は世間知らずを通り越して何も知らないに等しい。
かといって別な世界から来たと言う彼の言葉を信じることができるかといえば無理である。
魔法の存在しない世界など、ルイズにとっては荒唐無稽以外の何者でもなかった。
「まぁ無理に信じろとは言わない。お嬢ちゃんの反応が普通の反応だとは思うぞ?」
「当たり前よ。信じられるわけないでしょ……」
ルイズは大きなため息を吐いた。
暁の言うことが本当だとして、そもそも異世界から使い魔を召喚した事例など過去にあったのだろうか。
人間を使い魔としたなどと言う話も聞いたことが無いのだからきっと無いだろう。
これもいつもどおりの『失敗』だったのだろうか。そう考えるとルイズの心はどんどん重苦しくなる。
「んじゃあ話を戻そうか。使い魔の仕事は感覚の共有と物探し、この二つで終わりか?」
ルイズは顔を上げる。苦笑している暁の顔が目に入った。
気でも遣ってくれたのだろうか。話題を変えてくれたことに彼女は少し感謝した。
「あとは主人の護衛だけど……あんた強いの?」
「傭兵をやってたからな、腕に覚えはある」
暁が自信ありげに言った。彼曰くそこそこ名の知れた傭兵であったらしい。
確かに彼の体は大きく平民としてはなかなかに強そうである。
メイジや幻獣の相手は酷だろうが、多少なら頼れそうな気がした。
「じゃあ少しだけ頼りにさせてもらうわ。その他は――雑用をお願いするわね」
「雑用かよ」
「それくらいはできるでしょ」
そう言うとルイズは欠伸をした。だいぶ遅くまで話し込んでしまったようである。
服を脱ぎ、ネグリジェに着替える。
それを暁が不思議そうな顔で見ていた。
「この世界の貴族様は男の前で着替えるのは問題ないのか?」
「あんたは使い魔でしょ、使い魔の目なんか気にしないわ。これ明日洗っておいて」
何か言いたそうにしている暁の方へ下着を放り投げる。
そして布団に包まると指を鳴らし、部屋の明かりを消した。
「朝は起こしてね。じゃ、おやすみ」
よほど疲れていたのか、目を閉じるとすぐにルイズは眠りに落ちていった。
布団に包まってすぐ寝息を立てはじめたルイズを暁は眺めていた。
ここまで自分が男性であることを否定されるといっそ清々しい。
(5年後には精神的にもレディに成長していただきたいもんだ)
苦笑し、カチャカチャと装備を外し始める。
そして外し終わったそれらを部屋の隅にまとめ、先ほどルイズが投げてよこした下着を拾い上げた。
「……これを俺が洗うのか」
女性物の下着を洗濯している自分が浮かんだのをすぐに思考の隅に追いやる。
頭痛がした。もしかしてしばらくこんな生活なのだろうか。
だとしたら最悪である。
(で、俺はどこで寝るんだよ)
ふと気づき、部屋を見回すが明らかに自分の分の寝具はない。
これはもしかして床で寝ろと言うことだろうか。
別に文句はないが、微妙に嫌な気分なのは何故だろう。人として見られていないような気がしたからか。
そして暁は何かを諦めたように大きなため息を吐くと、下着を放り投げ床に寝転がった。
今回は以上となります。
苦笑とため息が多いです。減らしたいんですがボーが起きたらむしろ増える気がします。
ちなみに補足となりますが暁は現在AMスーツを所持していません。
COSMOS戦でどうも着ていないようだったので着ていない状態でこちらに召喚しました。
では、また書きあがりましたら投下させていただきます。
お目汚し失礼しました。
暁の人乙です。
これで芸人が起きたらため息で済まなくなりそうな希ガスw
ラスボスの人乙です。
三姉妹全員から好かれるキャラは初めてな気がするw
元トライデントの人乙
今から分身烈風拳の炸裂が楽しみです。
あれだ。このユーゼスは無意識にフラグ因果を弄ってしまい(ry
分身烈風拳と竜巻風神脚だっけ?ボーの技。
聖櫃絡みの事件で落ちてきたシャンデリアを吹き飛ばした技って固有の名前あったような気がするんだけど覚えてないや
激烈脚と爆裂粉砕拳ってなかったっけ。
そのときの気分で叫んでそうな気もするがw
ロム兄さんと同じだな
しかし暁はスーツ無しで大丈夫なのか?
漫画だかゲームだかを参考に編み出したとか言ってたから、たぶん本人的にはちゃんとした技なんだろうw
>>462 おま、ただの高校生なサイトが大丈夫だったのに、
世界でも指折りの腕利き通り越して超人級(スプリガン級とも言う)傭兵にそれを言うか?w
ぶっちゃけルーン無しAMスーツ無しでも、ガンダサイトとガチで戦えるレベルだぞ。
ましてそんな奴にガンダ補正がくっついてんだからなぁ・・・
>>363 海外版では豪鬼の事をAKUMAと呼ぶと言う・・・
ちぃとばかし、飛ばすぜペコ
467 :
虚無と鬼作者:2009/04/08(水) 06:09:51 ID:c20dMhAk
ゴリゴリと書いては消して書いては消して、結構な時間がかかってしまいました。
06:15に投下しようと思います。
8レスほどの予定です。
「…………」
沈黙は金、雄弁は銀という言葉があるが。
暗闇の中、ルイズは沈黙の金を堪能する余裕は無く。雄弁の銀を取ることも躊躇われていた。
被った布団から目だけを出して、ちらりと壁際へと目を向ける。
そこには、壁に背を預けて寝る男がいた。
クキヨウコウと名乗った『メイジ殺し』の男。
ルイズはそのクキを悶々とした気持ちで見詰めた。
あれから、学院へクキを連れて帰ったルイズのするべきことは状況の確認だった。
部屋に招き入れると、さっそくベッドに座る。
軽く部屋を見回すクキへと話しかけた。
「この部屋が珍しいの?」
それにクキは、前の時はゆっくり見るヒマがなくてね、と苦笑気味に呟く。
なんだかあんまり深く突っ込んではいけない気配がしたので、軽く咳払いをして話を切り出した。
「クキ、あなたはわたしの使い魔になったわけだけど」
そうだな、とクキが左手を見ながら言う。
「使い魔として、やってもらうことがあるわ」
「まず一つ目……」
わたしは足を組むと感覚の共有、秘薬などの探索など、基本的な使い魔としての働きを説明した。
それをクキはブラブラと手を振って否定する。
「この世界の秘薬なぞ知らんし、今のところ感覚の共有している気配もないな」
「そう……みたいね」
感覚を集中してみたわたしは無駄だと悟り息を吐き出す。秘薬のほうはどうせ初めから期待してなかった。
だが、三つ目である主人の守護。これにわたしは期待をかけるが。
「あいにくと護衛は苦手なんだが」
それもやんわりとクキは否定した。
「え……でもクキ、あなたすごく強かったじゃないっ」
必死なわたしにクキはニヤリと笑うと、空恐ろしいことを言う。
「俺は護衛よりも、迎撃や追跡。または強襲の方が得意なんでな」
それにと前置きをして、襲わせて倒すのが戦法だと語った。
……なんだか、非常に危ない気がする。
確か、文献や噂では『メイジ殺し』の戦いはメイジに魔法を使わせないことだとあった。
クキもその例に漏れず、真正面から護ったり攻撃したりするのではないのだろう。
あの召喚時の一戦も、コルベール先生が弱かっただけかもしれない。
そうかもしれない、と一人納得していると。
「ちょっといいか?」
クキがこちらへ話しかけてくる。
「なに?」
聞き返すわたしにクキは。
「この国の常識を教えてくれないか」
と言ってきた。
「はあ?」
常識である。常識とは、誰もが知っている当たり前の決まり事。それをわざわざ教えろというのだ。
怪訝な顔のわたしを見るとクキは、馬鹿なことを言い出す。
「なに、俺はこの世界の住人じゃあないのでね」
それからクキの語る話は、わたしが彼の脳内を疑うには十分な内容だった。
「……つまり」
腕と足を組むと目の前のクキに確認する。
「あなたはこのハルケギニアとは違う世界……『チキュウ』の住人で。死んだ後『ジゴク』へ行く途中で、見知らぬ鏡に入ったことでここに来た……ということ」
「そのとおりだ。信じてくれるか?」
わたしは大きく息を吸うと、真情を告げた。
「そんなもの、信じれるわけないじゃない」
ハッキリした物言いに、クキは肩を竦める。
「普通そうだな。逆の立場なら俺はそいつの頭を疑う」
「じゃあ何で聞くのよ!」
思わず怒鳴った。それにクキは動じず切り出してくる。
「でもここの常識を知らないのは真実だ。まあ、世間知らず相手だと思って教えてくれ」
人を食った言い方に少しカチンと来た。
「わたしはあなたのご主人様なのよ!」
ご主人様を強調し、その力関係を教えようとするが。
「それなら使い魔の面倒を見るのも主人の役目だろう。使い魔と言っても俺は人間だ。それが常識知らずでは、主人としてカッコがつくまい」
「う……」
あっさりと理論を封じられる。
そもそも“実際の力関係では”あちらの方が上なのだ。
「それで、教えてくれないのか?」
言葉に詰まるわたしに、クキはゆっくりと聞いてくる。
「あー! もうわかったわよ!」
トリステインの社会構造と常識をわたしは彼に語った。
わたしが語る内容に、時折クキが質問をしていく形式で話は進み。大方話し終えた頃には就寝時間を大幅に過ぎていた。
「あ……ふぅ」
「ふむ、そろそろ寝るか」
思わず欠伸をしてしまうわたしにクキはそう言う。
「そうね……」
そのままノソノソと制服を脱ぎ始める。
クキはそれを見ると顔をしかめ、こいつもあの手合いか、と呟く。
「なによ?」
睨みつけると、無言で肩を竦めクキは背を向ける。
脱ぎ捨てた制服を手に取ると、どうするかと少し思考し。クキに洗濯させることも考えたが、仮にも『メイジ殺し』のような存在にさせることではないと考え直す。
……決して、背を丸めて女物の下着を洗う姿を想像して不憫に思ったのではない。
制服を籠へと放り込み布団へ潜ると、気配を察したのかクキがこちらへ向く。
そしてクキはそのまま寝ようとするわたしに言う。
「それで、俺はどこで寝ればいい?」
そこでクキをどこで寝かせるか決めてないことに思い至った。
「あー……」
使い魔専用の小屋が思い浮かぶが、この男をそこに入れるには少し違う気がする。
うむむと唸った。
これが普通の平民ならこうも悩まなかっただろう。そこらへ藁でも敷いて寝かせればいい。
所詮平民なのだ。貴族としてそんなことを気にする必要も無い。
だが、少なくともクキは“普通の平民”とはかなりかけ離れている。というか使い魔でもなければメイジとして絶対に近づきたくない種類の人間だ。
相手は大人の男。そして(弱いかもしれないが)コルベールを倒した『メイジ殺し(推測)』である。
悩むわたしを見かねたのかクキはあっさりと言う。
「別に野宿でも構わん。そりゃ雨風を凌げればなお嬉しいが」
それを聞いて、なおさら使い魔を野宿させるわけにはいかない。
心は決まった。
「そ、それじゃあ……っな、なななななんだったらここで寝ることを、ゆ、許してあげてもいいわよっ」
普通ならベッドを想像するだろう。そしてこの部屋には寝具は一つしかない。そこから導かれる答えは一つである。
ルイズの頬は赤く染まり、口調がガタガタとなるが。
「そうか、室内に居ていいなら床で寝させてもらおう」
大人の余裕というものか、それとも女性としての魅力を感じないというのか。
クキは軽い口調でそう言った。
さっそく床へと腰を落ち着けるクキを見て、ピシリと女としてのプライドに罅が入った。
あれから、灯りを消すと苛立ちを押し込めるように布団へと潜ったのだが。
どうしてもクキの方へと苛立ち混じりの視線が向かってしまう。
それは確かに嫁入り前の乙女が貴族ではないとはいえ、男と同衾することは恥ずかしいが。
それでも、こうもあっさりとその選択肢を捨てられると女として傷つく。
ブチブチと考えていると、不意にクキがこちらを見る。
「――どうした?」
気配を察したのか、こちらが動くのが煩わしかったのかクキが声をかけてきた。
その隻眼が暗闇の中でも鋭い視線を放つのを想像する。
「なんでもないわよ!」
わたしは布団を深く被り直すと枕へと顔を埋める。
やれやれ、と声が付きそうなクキの溜息が聞こえた気がしたが、無視した。
そうして布団に包まると、昼の儀式で疲れていたのか瞼が重くなる。
急速に眠気が増し、ルイズの意識は闇へと沈んでいった。
◆
九鬼は静かな寝息を聞き取ると、大きく息を吐き出した。
少なくとも日本人の常識を持つ彼はルイズへ欲情することは無いが、あのような年頃の“まともな”子供と接することがなかった彼にとって、ルイズは非常に扱いにくい相手である。
息子の俊介とは余り接する機会がないままに死に別れ、馬鹿弟子は素直すぎるきらいがあり基準にはならない。
そもそも2人は男である。
女でと思いなおすと。
遊びほうけ、やたら滅多ら男を部屋に連れ込む元同僚かつ元復讐相手だった。
……どう考えても参考にはならない。
他は勤勉かつ情に厚い上司と仕事はできるが妹べったりな同僚、コミュニケーション能力が低い妖怪が2人。
どれも年頃の女の子ではない。
そこまで考えると、脳内では拳銃と凍気と霊札を無言で構える4人がいて、想像を止める。
かつてドミニオン第十七戦闘隊副隊長として数々の人妖たちを震え上がらせ、さらには世界最凶の九尾の鬼となり、死後異世界ゴルトロックで聖堂協議会の幹部を打ち倒し、ついには混沌のを救った1人でもある九鬼耀綱。
こう並べると恐ろしい戦歴だが。そんな男も年頃の子供の扱いにはお手上げだった。
コートの襟元を手繰り寄せる。
なにをすべきか未だ判らず、そもそも現状に困っていた。
とりあえずはそのことは明日に回し、このまま寝ようと思う。
双子の月を眺めた後、九鬼は目を閉じた。
◆
日が昇るのを肌で感じ九鬼は覚醒した。
ドミニオンの追撃部隊にいた頃は昼夜を問わない職業柄、時間が来るまで寝扱けるのが普通だった。
それでも拳法家である九鬼は眠りが浅いのもあるが、十分な睡眠時間さえ確保すれば夜明けと共に頭が勝手に覚醒する。
頭を振り立ち上がる。
座って寝ていたせいか間接が固くなっており、立つだけで背骨が鳴った。
肩を揉み解しながらベッドを見ると、そこにはスヤスヤと眠るルイズがいる。
寝ている時、暑かったのか布団が大きくはだけ、下着一枚で寝そべっていた。
「……くしゅんっ」
可愛らしいくしゃみ。
「……やれやれ」
それを見た九鬼は、溜息を吐きながら布団を被せてやった。
さて、と九鬼は息を吐く。
前はすぐにでもドミニオン本部へ詰めるか、適当に新聞を読むのが習慣だった。ここは日本ではない。
鍛錬をするのもいいが、鍛錬にするにしても地理に詳しくない。
そこで、まずはこの場所の把握に努めることにする。
ルイズはまだ寝ている。時間を潰すにはもってこいだろう。
そっと扉を開けると身を滑り込ませる。
「……んふふ……ついに……わたし、にも……」
扉を閉める間際、そんな寝言が聞こえた。
息を吐き、どこへ行こうかと廊下へ目を向けた九鬼の前に――小山が迫ってきていた。
「――は?」
静かな廊下を歩く。
洗濯物籠を抱え、息を吸った。
朝の空気は冷たく、吸い込むと肺の奥から清々しい気分になれる。
手には大量の洗濯物。それに部屋の前に出してある洗濯物を籠へと追加していく。
昨日は春の使い魔の儀式があった。
新しき使い魔たちとじゃれ合ったのだろうか、今日は洗濯物の提出が多い。
すでに抱えた籠からはみ出す洗濯物は視界を大きく遮り、背丈は優に超えているが息は乱れない。
「よいしょっと」
この階の洗濯物はほとんど回収した。あとは、この先の部屋だけである。
貴族様を起こさないように、できるだけ足音と気配を偲ばせる。
この先の人たちは他と比べて少々洗濯物が多い。
ツェルプストー様は下着も含めて一日何着も替えることがあり、モンモランシ様は流行に鋭く様々な服を複数出してくるし、タバサ様は時折泥だらけの制服などを出してくる。
そして最後。ヴァリエール様は煤だらけになった服を日に何着も出してくるのだ。
使用人たちの間で噂になっているが、唯一魔法が使えず。全てが爆発になるという。
真相は知らないが、煤の付いた洗濯物は洗いにくいという事だけ頭にあった。
制服に関しては『固定化』により、多少の汚れはすぐに落ちるのだが、ヴァリエール様の制服に関してはなぜか汚れが落ちにくい。
物の程度によっては、後で別に回収しなければと息を吐き出した。
そして、問題なくツェルプストー様、モンモランシ様、タバサ様と洗濯物を回収し、残りはヴァリエール様の部屋だけとなる。
朝の時間は限られている。早々に洗濯物を終わらせなければ。
そう勇んで行ったのが悪かったのか、それともちゃんと前を確認しなかったのが悪かったのか。
「――は?」
ヴァリエール様の部屋の前に着く直前、虚を突かれた様な声が洗濯物越しに聞こえ。
足はもう止まらない。
「――え?」
こんな朝早くに人が?
驚きの声を漏らし、私は誰かにぶつかった。
◆
普段の彼ならそれは避けられただろう。
五感全てを使い、相手の後の先をゆく九鬼流の理念からいって一般人など存在感が駄々漏れの状態である。
だが不幸な偶然が重なった。
ちょうどそれが来たのが彼から右側、眼帯で隠れた部分であり、寮内では風を感じられず、足音を殺していたのか音も無かった。
九鬼流としては、勘や気配を感じる第六感をも取り込むのだが。戦意も殺意も無かったことも理由だろう。
その全六感の内、偶然にも四つ潰され、彼は反応し切れなかった。
不幸な偶然――そう、偶然と判断しなければ納得ができなったのだ。
ぶつかった後、さらに巻き込まれて倒れるという無様はなんとか回避する。
それでも驚きを隠せぬまま、バラバラと目の前で広がっていく布を呆然と見守った。
そこには洗濯物にまみれながら、尻餅を着く黒髪の少女がいた。
「いたた……」
その声を聞いてようやく九鬼は思考を取り戻す。
「大丈夫か?」
声をかけられた少女は、ハッとこちらを見ると慌しく視線を彷徨わせると、佇まいを直し腰を折って言った。
「も、申し訳ありません貴族様!」
姿勢のいい、まるで鉄芯でも入っているような見事な土下座である。
だが言っている内容にかなりの誤解があった。
「頭を上げてくれ、俺は貴族じゃあない」
「え?」
溜息混じりに言うと、少女は驚いたように顔を上げる。
「え、え? で、でもっ」
戸惑う視線が向けられる。
まあ、貴族のいる寮に見知らぬ男がいたら、普通は貴族だと思うだろう。もし同僚とかならこれほど覚えやすい面構えはないと自覚もしている。
そう思っていると、少女のほうでなにか思い出すものがあったらしく。
「あ……もしかして、昨日貴族様に呼ばれたていう……平民の使い魔、さんですか?」
さん付けに軽く笑いながら、同意する。
「俺の他に呼ばれた奴がいなければな」
ブンブンと首を振る少女。俺の存在はやはりかなりのイレギュラーらしい。
そのことを改めて認識しつつ、少女へと手を差し出した。
差し出した手を呆然と見る少女。
「とりあえず、座って話すのもなんだ」
その言葉で、ようやく未だ自分が座る込んでいる状態だと思い出したのか。少女は急に赤くなり慌て始める。
「ああっ……い、いえっ!」
遠慮すると言う表現か胸の前で振られる手を強引に掴み、立たせた。
「す、すみません……ぶつかったのは私なのに」
「いや、俺も不注意だった」
そして掴んだ手は、どことなく固い。
「……君は、なにか武術でもやっているのか」
「はえ?」
呆気に取られたような表情。
「良く鍛えられた、しなやかな手だと思ってな。これでも武術を齧っている身でね」
手を意識したのだろうか。少女の顔がボンっとまたも赤くなった。
何やら病気なのかと、九鬼は疑う。
「あ、あ、いえ、その……実家で、少し……」
しどろもどろに答える少女は、視線を繋がれた手に注ぐ。
「おっと。すまなかった」
手を離すと、少女は胸に手を抱える。
「いいえっいいえっ!」
赤い顔で笑いながら視線を彷徨わせると、それが洗濯物に止まった。
「あ、あーっ!」
「どうした?」
そう言いつつ、九鬼も床に広がる洗濯物を理解する。
「早く持っていかなくちゃ!」
急いで洗濯物をかき集め始める少女。
「手伝おうか?」
声をかけると、すでに大量の洗濯物を抱え込んでいた。
「いえ、大丈夫です!」
そう言うとよいしょ、と軽い掛け声と共に、目の前に小山が出来上がっていた。
どう、考えても少女の積載量を超えているのだが、とうの本人は軽々と持っている。
「それでは、失礼します」
洗濯物を抱えたまま、ぺこりと器用にお辞儀をすると、そのまま走り去っていく。
その間、足音はせず。角を曲がると気配も消えた。
それを九鬼は見送った後。
「……少しここらを案内してもらえばよかったか」
まあいいかと呟き、探索を始めた。
大体、学び舎や寮などの位置関係や地形を把握し終わり、ルイズの部屋へと向かう。
ときおり擦れ違う女生徒は、俺を見ると奇異の視線を送ってくる。
まあ、こんな怪しい男もいないだろうと納得。
廊下を歩いていると、目の前の扉が開いた。
軽く避けると、そのまま進もうとし――声がかけられる。
「はあい、そこのダンディなおじ様」
ダンディとおじ様という単語に聞き慣れず反応が遅れたが、今此処にその言葉を当てはめることの人物が他にもいるはずもなく。
「あなたのことよ。あ・な・た」
仕方なく声のほうを向くと、そこには赤い髪を揺らす褐色の女がいた。
またずいぶんな生徒だなと思っていると、その赤髪の女が熱っぽい視線を向ける。
「なんだ?」
どことなく、めんどくさそうな空気を感じながら返すと、その女は妙艶な笑みを浮かべ名乗り始めた。
「あたしの名前はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。親しい人にはキュルケって呼ばせているわ」
しなりとキュルケが寄りかかってくる。
九鬼としては、それを振り払いたい気分でいっぱいだったが、キュルケの部屋はルイズの隣。
親しい友人であったなら、何らかのわだかまりの原因となりかねない。
「九鬼、九鬼耀綱だ」
それでもうんざりとした声色になってしまうのはしょうがなかった。
「クキ……ヨウコウ。不思議な響きね、でも素敵だわ」
そう言うとキュルケは熱い息を吐きながら、九鬼の胸元へ指を回し。
「ねえ、クキ様……恋の“微熱”ってご存知かしら」
さすがにそこまでいくとキュルケを軽く振り払う。
「あら?」
不思議そうな顔をする“少女”に、九鬼は言った。
「残念ながら、子供には興味がなくてね」
そしてそのまま有無も言わせぬまま、ルイズの部屋へと入る。
「…………」
1人残されたキュルケは爪を噛むと、抑え切れない熱を吐き出すように呟く。
「いいわ、それじゃあその気にさせてあげようじゃない。この“微熱”の名に懸けて」
◆
ルイズは非常に幸せだった。
目の前では、今まで自分を馬鹿にしていた者達が跪き、自分に賞賛の言葉を送る。
「ルイズ様! 今まで僕達はあなた様のことを誤解していました!」
「ええ! ルイズ様がこんなにも素晴らしきお方だったなんてっ!」
崇め跪く彼らを見回すと、口を開く。
「別に気にしてはいないわ。わたしのことをわかってもらえたのなら」
それに皆は感動したかのように目を潤ませ叫ぶ。
「ああっ! ルイズ様はなんて寛大なんだっ!」
「卑しき私達を許してくださるなんて!」
そんな人々の中から、1人赤い髪の少女が歩み出る。
「あら、どうしたのキュルケ」
声をかけると、キュルケは頬を染めて目を逸らす。
「あ、あのルイズ……」
オドオドとした口調に、ルイズは優しく微笑みかける。
「どうしたの? 言って見なさい」
「その……」
キュルケは意を決したようにこちらを見た。
「いつも、あなたを馬鹿にしてごめんなさい……本当はあたし、あなたに嫉妬していたの」
まるで告白するかのように言葉がつむがれる。
「あなたの才能に嫉妬して……でもそれを素直に出すのは恥ずかしくて……」
そう言って俯くキュルケに、ルイズはそっと手を伸ばし、頬を撫でた。
「そんなこと気にしなくていいのよ。全部わたしにはわかっていたから」
キュルケの瞳が潤む。
「これからは、友達として仲良くしましょうキュルケ」
「ルイズ……いいえ、ルイズ様……」
感動したかのようなキュルケは胸元へと手を当てるとこちらへ視線を合わせた。
「そ、それじゃあちょっとしたお願いを聞いてもらっていいかしら」
「なに?」
わたしがそう聞くと、キュルケは胸元に当てた手で拳を握った。
「――起きろ」
「へ?」
その意味がわからなかった。
「――早く起きろ」
キュルケは繰り返す。
「え? 一体何を――」
訳もわからず聞き返そうとした時。
「悪いが、実力行使だ」
キュルケが拳を振り上げ――
「――な、何するのっ!?」
ガツンッ!!と非常に痛そうな音と共に、音通りの痛みが脳天を突き抜けわたしは覚醒した。
「――ぃったぁぁ……っ!!」
起きるなり、頭を抱える。
頭の芯から響く痛みが、それ以外の行動をさせなかった。
「ようやく起きたか」
その声に、なんとか視線を上げると、そこには握り拳を作って佇む隻眼白髪の男が居る。
「あ、あんた誰よ!」
涙目になりながらその男を睨みつけた。
男はそれに呆れた風に返す。
「自分で呼んでおいて忘れたのか?」
その言葉で、まだ寝ぼけていた思考が回りだす。
「あ……クキ、よね?」
クキはそうだが、と呆れた風に返した。
昨日、使い魔の儀式で呼び出したのだと思い出す。
それにしても。
「なにをするのよ!」
クキの握り拳を見て怒鳴った。
この頭の痛みといい、現状といい。クキが拳骨を落としたのは間違いない。
それにクキは何事もないかのように言った。
「ああ、中々起きなくてな」
悪びれもしないその言い方にムカッ腹が立つ。
立ち上がると指を突き出し宣言する。
「わたしはあなたのご主人様なのよ!」
その言葉に。
「それがどうした」
あっけなくクキは返事すると。
「もうすでに他のやつらは起き出している。わざわざ起こしてやったんだ、感謝されることはあっても、怒るのは論外だ」
そんなことを言った。
「〜〜っ!!」
文句を言いたいが、そんなことをしている時間は無いことに気が付く。
「まあいいわ!」
そしてわたしは下着を脱ぎ始め、手を差し出す。
「下着」
それにクキは物珍しそうな顔をする。
「ほう、それは俺に下着を出せというのか?」
「いいえ、クローゼットから出して着せて」
「そうかそうか」
非常に楽しそうにクキは言うと。
ゴチンッ!!と、また脳天に痛みが突き抜けた。
「――つぅぅうっ!!」
再度頭を抱えるわたしに、クキの言葉が落ちてくる。
「俺は餓鬼の教育は体に教え込ませる主義でな。幼児でもあるまいし、それぐらい自分でやれ」
涙目で睨みあげると、クキは握り拳に息を吐きかける。
「どうやら、まだ反抗的らしいな」
それを見たわたしは慌ててずり下がる。
「わ、わかったわよ! 自分で着替えるわよっ!」
そうして渋々とクローゼットから下着と制服を取り出し身につけた。
身支度を済ませると早々に部屋を出る。
もう朝食まであまり猶予がなく、少し急ぎ足だった。
そして食堂へと着いたとき、クキが感嘆したのか息を漏らす。
「ほう、これは……」
それにわたしは胸を張った。
「ふふん、どう?」
長いテーブルに次々とメイドたちが豪華な料理を運び並べていく。
「このトリステイン魔法学院が教えているのは魔法だけじゃないのよ」
「……」
言葉も無いのか沈黙するクキを見て、自尊心が湧き上がる。
「メイジは全員貴族であるから、作法や礼儀。そして精神を育むことをモットーとし『貴族は魔法をもってしてその精神となす』と言う理念を掲げているのよ」
そして指を指揮棒のように振り、クキへと振り返った。
「本来ならあなたのようなのが、この『アルヴィーズの食堂』へ入ることはできないのよ。感謝しなさい」
ルイズはクキがどれほど感動しているのか、確かめようと顔を見上げ。
「随分と無駄の多いことだ。まるで成金趣味だな」
クキは呆れた風に呟いた。
「な、なんですってっ!」
「朝からあんなに油がギトギトに乗った朝食を全部食べられるのか?」
その言葉に、何を言っているのかと思う。
「全部食べられるわけないじゃない。当然残すわ」
クキは何度目かの溜息を吐く。
「それが無駄だと言っている。残すとわかっている料理に疑問を持たないことも異常だ」
言っている意味がわからない。
「だって、わたしは貴族だから」
そうするとクキは変な物を見る目付きでこちらを眺める。
「なによ」
睨み返すと、首を振った。
「いや、なんでもない」
聞きたいことはあったが、いつまでもここいるわけには行かない。
奇異の目がクキとわたしに突き刺さる。
席へ着こうとして、クキの食事を用意してないことに気が付く。
一瞬、スープと乾パンを床に置いて食べさせようかと言う考えが浮かぶ。
ただ、平民の少年などにするのはともかく、クキ相手にそれをしたら非常に不味い気がするので却下した。
そして幾つか考え。
「クキ」
「なんだ」
隣の席に座ろうかどうか悩んでいたクキへと声をかける。
「ごめんなさい、あなたの食事は用意してもらってないの。ここは貴族用だし。厨房へ行って、なにか食べさせてもらって」
少しだけ申し訳なさそうに言うと、クキはことさら気にすることも無く頷いた。
「わかった。そうしておく」
475 :
代理:2009/04/08(水) 06:27:58 ID:UBNbNlMM
175 名前: 虚無と鬼作者 [sage] 投稿日: 2009/04/08(水) 06:23:14 v.fFt/aU
最後にさるさんを食らってしまいました、どなたか代理をお願いします。
クキは厨房の方へと歩いていく。
そうしてわたしは席に着くと、目の前の料理を見る。
「……無駄……ねぇ……」
脂ぎった料理を眺め、少しクキの言葉が引っかかった。
◆
厨房へと入るとそこは戦場だった。
比喩ではない。
俺が体験する血生臭い物とは違うが、飛び交う激、かき鳴らされる調理音。
それはまさに戦場であった。
調理をしていたコック達が不審な目を向ける。
それを気にせずに、奥へと入っていく途中、野太い声が張り上げられた。
「おいっ! 誰だか知らねぇが、無断で厨房へ入ってくるんじゃねぇ!」
そこには、樽のように恰幅のいい中年の男がいた。
身なりから、他のコック達より上質な服で彼がここの長だとわかる。
「いやなに、俺の主人からここで飯を食べさせてもらえと言われてね」
そう言うと、中年の男はジロジロと眺め。
「もしかして……お前さんは噂の平民の使い魔か?」
「まあ、そうなるな」
同意すると、男の顔が緩んだ。
「そうか! あんたがか! 鼻っ柱の高い貴族の使い魔なんて大変だろうなっ」
急に親しくなると、こちらの背中をバンバンとたたき始める。
「そこまででもない。所詮は子供だ」
我侭を言えばコレを落として叱るさ、と握り拳を作ると男はカラカラと笑った。
「いいねぇ! その危害気に入った! 俺の名はマルトー、コック長だ! 食べ物を貰って来いて言われたんだな? 賄いでよければたらふく食わせてやろう!」
マルトーは機嫌良さそうに言い、奥へと案内しようとして。
「マルトーさん! こっちのチェックお願いします!」
声がかかる。
「っち。わかった! すまんが、ちと忙しいんでな。案内と料理は他の奴にまかせるぜ」
「ああ、かまわん」
頷くとマルトーが声を張り上げた。
「シエスター! ちとお客を奥へと案内して、賄を出してやってくれ!」
そう言うとマルトーは他のコックの下へと去って行き、それを入れ替わるように奥から少女が駆けてくる。
「はいはい。お客さ……あれ?」
驚く少女――シエスタと言ったか――に向かい声をかけた。
「また会ったな」
「あ、はいっ!」
慌てて返事をするその姿に軽く笑い、それに釣られたのかシエスタも笑う。
互いに笑い合うと切り出した。
「まだ名乗ってなかったな。俺は九鬼、九鬼耀綱だ」
「あ、シエスタと言います。クキ……さん?」
「それでいい」
確かめるような口調に頷くと、シエスタは奥のテーブルへと招きいれた。
「どうぞ、賄を用意いたしますので」
そう言い、シエスタは微笑を向ける。
用意された賄は非常に美味く、残さず平らげた。
去り際にマルトーは、いつでも来な!と豪快な笑みを浮かべていた。
そして、食堂を出ると壁を背にしてルイズが立っている。
ルイズはクキに気づくと、ムッとした顔になった。
「遅かったわね」
「そりゃ、食べ初めが遅かったからな」
「屁理屈言わないで」
そこまで言うと、ルイズは背を向け歩き出す。
「どこへ行くんだ」
横に並ぶと、ルイズは馬鹿にしたかのように言う。
「授業に決まってるでしょ」
ふむとクキは頷いた。
ここまでです。
作者としては早く九鬼先生にバトルさせたくてたまりませんが、中々前に進んでくれません。
次は早々にギーシュ戦へ行けたらいいなぁ、と思っています。
虚空の雫を聞きつつ。
鬼の人お疲れ様&GJでしたー
>ギーシュ戦
あのギーシュが“メイジ殺し”であるところの九鬼センセイにどう決闘をふっかけるか今からwktkです。
容赦なく体罰に移行する辺り、流派東方不敗の師弟を思い出すなw
回避に失敗する事はあるが、ギーシュの死亡フラグ回避スキルの高さはある意味恐ろしいほど。
しかもそれを友情フラグに転換する事も出来るし……いやそれ以前に九鬼相手に生き延びられるか?
鬼キター!レイスも九鬼も大好きなんで期待してます!
前にグイン・サーガよりグインを召還を考えてたが、最近始まったアニメ見たら
強さに吹いたw勇次郎並だぜ
原作と強さが違うの?
>>480 初っ端から殺人を犯したら、後の行動がとりにくくなるってのが強いんじゃないか?
まあ、かませ犬3人衆の筆頭だし。代わりにエルザの死亡率は高いが。
確かにエルザが無事な作品って少ないよな
村の人間の殆どが異形の存在に殺されて、タバサに助けられた話や
ミョズ才人とコンビ組んでいる話とかくらいで
(黒くなったルイズに殆ど殺されかけて部下にならざるをえなくなったのもあるけど)
後は某女子寮の管理人兼コック兼霊剣使いに拾われたってのが無事なパターンかな?
「出番がない」ってのは「どっかで元気にヒト食ってる」と思っていいのかな?かな?
まあ……それが正しい吸血鬼のありかただし……
めでたしめでたし
490 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/08(水) 18:21:58 ID:/Iez5NOt
社長の話では救われてたな、エルザ
彼女にとって一番のハッピーエンドじゃないだろうか
一番のハッピーエンドは姉妹スレの「銃は杖よりも強し」だろう>エルザ
だけどあっちはまだ決着ついてないしホルホルの体調も完全ではないから
果たしてハッピーエンドになるかどうかは微妙じゃね?
(エルザがだんだん悲劇のヒロインっぽくなってきてるし)
>>484 > かませ犬3人衆
えーとギーシュとおマチさんとモット伯とワルド…四天王じゃね?
ガンパレードシリーズからだと、ブータに、イワッチに、黒速水だけだよな。
他だと誰が良いかな。
皆さまの忌憚なき意見が聞きたい。
ちなみに俺は瀬戸口師匠だな。
>>495 つ銀河
つ舞
つ新井木
つソックスバトラー
アンラッキースターとかもいいかと思う
>>495 新井木はあの「ちょっとした一言で世界を救う」って能力?が表現しにくいのがなぁ
グインは小説版も最初から異常な強さだぜ
外伝の魔界冒険編と
1年くらい前の本の闘技場の話とか読むと強さは大体判るな
でもグインの本領は無骨な見掛けに反して繊細な策略にある
>>495 ヨーコを呼べばルイズに精霊手イベントが発生するし、
原を呼べばコッパゲと一緒に産業革命しちゃいそうだし、
正統派で行くなら田代か壬生屋かスカウトsがいいだろうな。
こう見るとホントにどいつもこいつも愉快で個性的でネタに欠かないな。
いっそのこと旧校舎ごと5121小隊を呼んでしまうか?
……いや、いつだったかパトレイバーの特車二課を丸々召還してしまおうとかいう話が出てたのを思い出したから言ってみただけだ。
亀ですが、ラスボス乙です
シュウの意識に干渉する石・・・・興味ある
ガンパレの連中は女の子でも片手で重機関銃振り回せる人造人間だぜ
大事だから覚えておいてくれ
小ネタ
・告白編
サイト「障害がなんだ!障害も過去も全部ひっくるめてルイズのことが好きなんだ!!」
ルイズ「ア・・・アア・・・アアアアアアアアアアッ!!!!」
彼女は奇声を上げ鼻水と涙で顔をぐちゃぐちゃにし、失禁しながらオレに抱きつき、オレの胸の中で
その小さな体で涙を必死にこらえようとしていた。
・ラブラブ編
ルイズ「あう」
そう言うと彼女は先ほどまで水洗トイレで水遊びをしていた手で一生懸命握ったオニギリを差し出してくれた。
サイト「え・・・と、じゃあ・・・いただきます。」
オレは覚悟を決めてオニギリを頬張った。オニギリの中心部には泥が入っていて、土臭さが口いっぱいに広がる。
サイト「おいしいよ、ルイズ」
ルイズ「あうあうあうあ〜・・・へへへ!!」
・SEX編
サイト「ご、ごめん。ルイズの中が気持ちよすぎて・・・もう我慢できないよ」
ルイズ「あー」
天井の一点を見つめて動かない彼女とは対象的に情熱的なほどからみついてくる彼女の下半身の前に
オレはもう限界だった。
サイト「クッ・・・で、出るっ!!」
ルイズ「発車ちまーーーぢゅ!!!ぷるるるるるるるるるるるる!!!シュポッ、シュポッ、シュポシュポシュポシュポシュポォォォォォォォ!!!」
ビュクッビュクッビュクッ!!オレは自己の愛情と欲望のまま彼女の中に白い思いをぶちまけた。
サイト「ハアハアハア・・・」
一回しか言ってくれないのでは無理です。
よし決めた
ゼロの使い魔を俺は読む
読んで小ネタをいつか投稿してやる…
ラスボスの人来てたー!
アインストが動き始めたとなると、精神操作とコピーが出てくるんだよな
シュウが切れそうだ
(邪)神様を屠った位だしなぁ
しかも二度も
きっとやってくれるさ
エルザは可愛いですよね。
5分後に投下始めたいと思いますが、よろしいでしょうか?
よしきた
ちょっと待て そのメール欄は何だ 事前支援
「んん……」
浮かび上がるように、意識が覚醒していく。
目覚めの感覚。それも、満ち足りきった、至高の眠りからの、だ。
「…………」
パチリと目を開くと、見慣れた木目の天井がある。……自分、柏木耕一に与えられた部屋の、ではないが。
窓から差し込む夏の陽射しに目を細めるが、耳に入ってくる空調の駆動音に、暑さは覚えなかった。
「すー……すー……」
すぐ隣に、小さく息づく体温を感じる。体が動かないように気をつけながら首だけを向けると、濡れ羽のように光る黒髪を湛えた頭がちょこんと肩に乗っかっていた。
最愛の恋人である、柏木楓だった。胸のあたりに規則的な呼吸の吐息が直接降りかかって、くすぐったい。
一時は、二度と感じる事が出来ないかもしれないと思った幸せな重みを噛みしめながら、耕一はその髪を軽く指で梳いた。
「んっ、んん……」
さらさらと、上質の絹のように滑らかな髪が指の間を零れ落ちていく。楓は軽く身じろぎをするが、目覚める気配はなかった。
―――昨晩は3回、いや、4回だっけ? 俺もよくやるよな……。
喉から苦笑が漏れないように、耕一は口元だけを歪めた。
掛け布団の裾から、白く細い肩と、その下へ続く滑らかな曲線が垣間見える。その淡雪のようにきめ細やかな肌には、首筋から鎖骨にかけて赤い斑点がいくつも浮き出ていて、昨夜の逢瀬の激しさを物語っていた。
「……風呂にでも入ってくるか」
4回戦目を終えて倒れるように眠る前に、何とかウェットティッシュで処理はしたものの……やはり違和感は拭えない。
具体的には下腹部の辺りがねっとりと。上半身もごわごわと汗ぼったい。冷房が効いているとはいえ、真夏に激しい運動をすれば汗もかくというものだろう。
すがりつくように眠っている楓を起こさないように、そっと身体を抜く。とすん、と枕に楓の頭を預けると、強張っていた体がようやく開放された。
―――希望を言うなら、このまま起こして一緒に入りたいところだったが。
それは、就寝前のバトル回数が6回戦だった事を除いて今とほぼ同じ状況であった初日にやらかした挙句に風呂場で7回目のハッスルに及んだ為、梓に大目玉を喰らっている。自重しておいた方がいいだろう。
「……耕一さん」
「あれ、起こしちゃったか」
ベッドの足下に散乱していた2人分の服をまとめて、とりあえず自分の分を身につけていると、いつの間にか起きていた楓が、そっとシャツの裾を引っ張っていた。
「どこに、行くんですか」
「ああ、お風呂入っちゃおうかとね。楓ちゃん起きちゃったなら、先に入ってくるかい? こういうのは女の子が先だよな」
「……一緒がいいです」
楓の指に力が篭り、ぎゅう、とシャツの裾に皺が寄る。
「い、いや、そうしたいのは山々だけど、ほら、梓がうるさいだろ?」
「……一緒が、いいです」
「……むうぅ」
構ってもらえない仔猫のような表情で、楓の眉がとろんと下がった。彼女に猫の耳と尻尾があったのなら、同じように力なく垂れている事だろう。
―――これが、普段は滅多にわがままを言う事のない楓ちゃんが勇気を振り絞ってしてくれたおねだりだ、と言う事であるならば、万難を排してでも叶えてあげたいところなのだが……。
エルクゥキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
「大丈夫だよ。もう異世界に行っちゃったりなんかしないから、さ」
「…………」
「……ずっと一緒だ。もし今度があっても、楓ちゃんを置いていったりしない。な?」
「……はい」
肩に手を置いて言い聞かせるように頭を撫でると、ようやくするりと手が離れる。耕一は、苦笑と共に軽く溜め息をついた。
楓の甘えは、不安から来るものだった。耕一がまた遠くに行ってしまうのではないか、と。
それで、四六時中一緒に居たがり、身体の繋がりを求めてくる。
なんとかそれを解消しようと、耕一も何も言わずそれを受け入れているのだが、結果は芳しくなかった。このまま夏休みが明けてしまったらと思うと気が重い。
「……ふぅ」
原因はわかっている。耕一自身、もう絶対にあんな事は無いと、心の底から言い切れないからだ。
心のシグナルを読み取れる楓を相手に、どれほど隠そうとも、本当の本音ではない言葉にはノイズが混じってしまう。
それは、『世の中に絶対なんてない』と言うような一般論ではない。
―――何か、やり残した事がある。俺があの世界に呼ばれた理由を、解決しきっていない。その為に、また召喚されるかもしれない。
何となく、耕一はそんな引っ掛かりを覚えながら、日々を過ごしていた。そして、その為に楓の不安も消えない。
悪循環、とまでは言わないが、どこか、進まない時間の中を停滞しているような感覚だった。
「さ、それじゃ、一緒にお風呂に行こうか。……梓に見つからないように、ね」
「はいっ!」
……まあ、雄としての本能は、そんな内面の悩みとは別である。
§
「はい、耕一お兄ちゃん」
「ありがと、初音ちゃん」
こんもりとご飯の盛られた二杯目の茶碗を受け取って、耕一はしゃもじを握る初音に笑いかけた。
「耕一さん、よく食べますね」
「いやぁ、久々の和食ですから……自然と箸が進んじゃって」
正面では、千鶴が楚々と食事を進めながら微笑みを浮かべている。
耕一が目を覚ましてから、3日が経った。気絶したまま戻ってきて、ほぼ1日中眠っていたから、帰ってきてからは4日目になる。
異世界ハルケギニアで過ごした月日は、こちらでも同じように経過していた。約3週間とちょっと……ハルケギニアの一週間が8日であったから、地球の暦ではほぼ1ヶ月。
一般的な日本人が海外旅行をして白米を恋しく思うには、十分な時間だ。
「ふん。『居候、三杯目にはそっと出し』って言葉も知らない礼儀知らずなだけだろ?」
「いやぁ、あっちにいる時は、梓の肉じゃがが恋しくてなぁ」
「な、何言ってんだよ。適当言ってるんじゃないっての」
「いやホントに。マルトーさんっていう魔法学院のコックの人の料理はすげーうまかったんだけど、何しろ洋食しかないしさ。米はあったけど雑穀扱いで、サラダとかオートミールとかにちょっとだけって感じだし。しょうゆとダシの肉じゃがが本気でうまいよ、うんうん」
「……ま、まあ、このぐらいなら……いつだって、つ、作ってやるけどさ……」
憎まれ口を叩いた梓は、まっすぐに料理を誉められたのが照れ臭いのか、もそもそと米ばかりを咀嚼している。
「…………」
そして楓は……耕一のすぐ隣にいた。
特に急いでいる様子はないのに、その前の茶碗や皿の中身は凄い勢いで消えていく……いつも通りの姿だ。
柏木家の日曜日の昼食は、ぎこちないながらも、一月前までの団欒の風景を取り戻していた。
「ふふっ。耕一さんも帰ってきてくれたし、楓も元気になってくれたし、よかったわ」
「いや、あれは元気過ぎだろ……その、色んな意味で……ゴニョゴニョ」
「あ、梓。昼間からそういう事は……」
「ご、ごめん。千鶴姉……は、ははは……」
梓の独り言に反応してしまった千鶴の、何とも言えない複雑な視線から誤魔化すように顔をそむけた梓が、耕一を睨みつける。
耕一はそしらぬ顔で食事を続けているが、その額には一筋の冷や汗が伝っていた。何故か隣にいる楓も、頬がうっすらと赤くなっている。
柏木四姉妹。美人揃いでありながら、あまり男関係の縁はないのであった。
「……はぁ。まあその……す、するなとは言わないけどさ。もう少し周りの人間の事も考えろよな。楓だって、もうすぐ学校始まるんだし」
姉妹の中で、ある種一番潔癖で初心な梓だが、なぜかその態度は煮え切らなかった。
「……善処するよ」
求めてきているのは楓の方からであるので、負い目のある耕一にはどうしようもない。とはいえ、こういう場面で女の子に責任を転嫁するのは男としてどうか、というぐらいの矜持はあるので、曖昧に頷いておいた。
風呂場で反響するアレな声が響き渡る中、近くのキッチンで洗い物をする梓の気持ちを想像すれば、性欲塗れのサルだと思われておくぐらいどうということはない。たぶん。きっと。
「楓も、嫌だったら嫌って言いなよ。受験は……まあ、大丈夫だろうけどさ」
楓はほのかに赤らんだ顔でコクン、と頷いただけで、氷の入った麦茶のグラスをくっと呷った。茶碗も皿も綺麗に空である。
千鶴も、どこか赤い顔をしながら機械的に箸を動かしていた。
召喚されたのは夏期休暇が始まってすぐの事だったので、幸いな事に、大学の長い夏休みはまだ半分近く残っている。
楓の高校の方もギリギリ大丈夫だったが、耕一がいなくなって塞ぎ込んでいた期間を含めて、受験の為の補修などは丸々出られなかったと耕一は聞いていた。
それでいて、帰ってくるなり男と部屋に篭って爛れた生活をしているものだから、ついに昨日、千鶴さんや梓に苦言を呈されたのだ。
それを楓は、夏休み前に受けた模擬試験での、某日本最高学府、最難関である理科V類のA判定結果を見せて、その全てを撃墜した。
……特に、地元の二流チョイ上あたりの大学に体育推薦で入った梓には深刻なダメージだったようで、勉学関係については強く出れなくなっているのだった。
「…………」
「……?」
そんな微妙に重苦しい空気の中、耕一がそれを見咎めたのは、本当に偶然だった。
いや、生々しい話題に触れないよう、引きつるように息苦しい雰囲気を保った食卓の中で……そこが、どこか糸の切れてしまったような空気だったからかもしれない。
「……初音ちゃん?」
「……えっ?」
無言である事は皆と変わらないものの、黙々と箸を進める初音の纏っている空気は、明らかに周囲と異なっていた。
「なんだか元気ないみたいだけど、どうかした?」
「う、ううん。そんな事ないよ。何でもないの」
「……そっか」
えへへ、と愛想笑いをする初音。
天使の笑顔、にはほど遠いそれに、耕一は場を流しつつも、疑念を隠せない。
「…………」
初音の胸元に下がる不思議な形のペンダントが、どこか寂しげな光を放っていた。
支援
§
「……暇だな」
昼食を終えて、耕一は自分の部屋で天井の染みの数を数えていた。
楓は渋々とした様子ながら、学校の受験対策講習に出かけていった。千鶴は鶴来屋に呼ばれて出ていき、梓は友人と遊びに行って、初音は自室で宿題を片付けている。
パチンコ、ゲーセン、本屋……いつもならば浮かぶそんな暇潰しに出掛ける気も起きず、耕一は開け放たれた純日本家屋を通り抜ける涼風を感じながら、大の字に寝転がっていた。
「…………」
左手を上げ、透かしてみる。
その甲には何もない。刻まれていたはずの使い魔のルーンは、跡形もなく消え失せている。
ふいと視線をずらすと、開かれた敷居から、夏の陽射しも眩い外が見える。
そこから見えていたはずの、青々と緑を茂らせていた裏山が、ごっそりと消えていた。
あの日。耕一達がこちらの世界へ帰ってきた日。
まるでその代わりになったかのように、山一つ丸ごと、忽然と姿を消してしまったのだという。
豊かな水量を誇っていた河や、それを調整していた水門などがあった山が吹き飛んでしまったので、隆山、引いては行政にも多大な影響力を持つ鶴来屋はてんやわんやであるらしい。日曜日の今日に千鶴さんが呼び出されたのも、その関係であるとか。
「本当に、ハルケギニアに飛んでっちまったのかもしれないな」
喉の渇きを覚え、ゆるゆると立ち上がりながら……一ヶ月前、召喚のゲートに引きずり込まれた時の感覚を思い出して、耕一は苦笑する。
頭の中に浮かんでいたのは、某国民的猫型ロボットのお腹のポケットにしゅるしゅると吸い込まれていくピンク色のドアだった。
ヨーロッパにそっくり似ていて、しかし魔法の存在する異世界ハルケギニアに召喚され、使い魔となった事。そこはトリステイン王国のトリステイン魔法学院。
そこに住む人々。ルイズ、キュルケ、タバサ、ギーシュ。喋る剣のデルフリンガー。マルトー料理長に、シエスタを始めとしたメイド達。自分の事を観察していた只者では無さそうなハゲ頭のコルベールに、一癖も二癖もありそうな学院長のオスマン。
そして、結局相見えることのなかった、同じ地球人の迷い人。
耕一がトリステイン魔法学院で過ごした3週間余りの出来事は、概ね姉妹達の知るところとなっていた。
……ちょっと都合の悪いところは、ところどころ隠したりしているが。(契約の時のキスとか、キュルケのアプローチとか、アルビオンでの戦いとか)
『そういう映画、ありましたよね。何とかと賢者の石っていう』
千鶴さんのその言葉が、話を聞き終わった彼女達の素直な感想だったとまとめてしまっていいだろう。その受け止め方は異なるが。
楓ちゃんが同じ事を言ってくれなければ、『そんな嘘くせぇ話で誤魔化されると思うなこのスカタン!』と激昂した梓の鉄拳に沈んでいたところだ。
「……あれ?」
台所へ向かう途中、耕一は思わず声をあげてしまった。
「……耕一お兄ちゃん?」
「初音ちゃん」
縁側に、ぽつんと初音が座り込んでいた。
「どうしたの? 宿題にでも行き詰まった?」
「うん……そんな感じ」
耕一がその隣に腰を下ろすと、初音は少しだけ顔を上げて、薄く微笑んだ。
「俺でわかるかな。あんま自信ないけど、よかったら見てあげようか?」
「……うん」
頷いて、そのまま初音の視線は下を向いてしまう。
……やっぱ宿題なんかじゃないか、と耕一はぽりぽり頭を掻いた。
「昼の時から様子が変だったけど、どうかしたのかい?」
「……そう見えた?」
思いっきり。みんな気付いてたんじゃないかな。と耕一が苦笑すると、初音もふっと肩から力を抜いて苦笑を漏らした。
※すいません数え間違いでした。全5投稿です。
------------------------------------------------------------
「ほんとにね、大した事じゃないの。別に何かあったっていうわけでもなくて……」
初音はそっと手を合わせる。その中には、昼にも見た、不思議な形のペンダントが握りこまれていた。
何の宝石だろうか、青く透き通っている中に白くマーブルが入っている滑らかな材質で、動物の牙か爪を模したように丸く尖っている。女の子向けのアクセサリーというよりは、民芸品のお守りとか魔除けと言った方がしっくりくる趣のものだ。
「何か、大切な物がいつの間にかなくなっちゃったような……そんな気がするだけなの。それが何なのかもわからないし……おかしいよね。耕一お兄ちゃんと楓お姉ちゃんが無事に帰ってきたっていうのにね」
えへへ、と眉を下げて笑うその表情には―――とても、見覚えがあった。
それは、とても綺麗な、諦め。
『いいのです。貴方様の心は、永劫に姉上の物……私を愛してくれとは申しません。ただ……ただ、傍に置いてさえくだされば、それで……』
「リ、ネット―――!」
「きゃっ!」
意思とは無関係に溢れ出す記憶に、毒を吐き出すかように喉を震わせる。
「ど、どうしたの、耕一お兄ちゃん?」
「……いや」
ジンジンと、脳の奥が熱く火照っている。
それとは逆に―――。
「初音ちゃん、それ」
「えっ? これ? って、わっ? ひ、光ってるっ!?」
耕一が初音のネックレスを指差すと、それは青く澄んだ光を湛えていた。
まるで蛍か何かの生体の光のように、ゆっくりと明滅する。
「あっ……これ、なに……?」
驚きに目を丸くしていた初音が、弾かれたように空を見上げた。
「えっ? 来る……? ヨーク……ヨークの、子供? 何これ、頭の中に声が……っ!」
「初音ちゃん!」
頭を抑え、うわ言のように何事かを口にする初音の肩を、耕一はそっと抱く。
「来るっ!」
初音が叫ぶ。
その視線の先、空の彼方には……巨大な何かが、此方に向かって急降下してきていた。
「いいいっ!?」
超巨大な隕石のように見えるその茶色の飛翔体は、瞬く間に空一杯を覆うほどに膨れ上がる。
対抗出来るわけがないにしても、何もしないまま潰されるよりは、と鬼の力を全身に巡らせた刹那―――世界が純白に染まった。
『我の運命に従いし、"使い魔"を―――召喚せよ』
意識まで白く塗り潰される瞬間、聞き覚えのある声が聞こえた気がした。
ヨークごっくん
以上です。支援ありがとうございました。楽しんでいただければ幸い。
このぐらいの朝チュンなら大丈夫……ですよね?
メ欄に偽りありだな
何故エルザタンを出さない
>>495 ニーギとかしっちゃかめっちゃかにかき回してくれそうだ
若宮だといい感じに落ち着きそう
>>499 田代だとやっぱり精霊パンチイベントありそうな気がw
乙ルクゥ
朝チュンは、まぁ。
避難所もR-18はダメなんだっけ?
wikiはダメなんだよね?
エルクゥの人乙
捕獲網のように飛んでくる召喚のゲート?
迷惑な……。
セクロス部分を書いてるわけでもないし、ギリギリセーフってとこじゃない?
皆大好き提督など、ヤッちゃった後の描写がある作品もあることだしさ。
そこら辺は原作準拠で良いんじゃないかな。
526 :
525:2009/04/08(水) 22:10:08 ID:KUQZAY7m
もちろんゼロ魔の方で。
性行為の直接描写は拙いでしょうけど、事後で「そういう事があった」といっているだけですし、多分大丈夫なのでは?
正直、今時の少年誌なら無くもない表現ですから。
>>522 テンプレに
>内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
とあるので、避難所もアウトかもな。
クロスキャラに必要とされなくて「使ってくれよ・・・」と嘆くデルフが
可愛くて好きなんだけど、意地でもデルフを使わないだろうなってキャラは
いるかな?
たくさんいすぎて例があげられんw
デモベ系のだと魔導書でアルがバルザイの媒介にしてたな
>529
とりあえず滅殺の人がデルフと出会いすらする気がしないw
>528
んー。別に行為を書いてるわけでもないしなぁ。18禁にゃ該当しないと思うぜ。
逆に、快楽殺人犯みたいなガンダールヴに握られて恐怖しっぱなしのデルフとか。
「お、おお、おれを使わないでくれーー」とか。
>>522 避難所は確か、18禁の投下は禁止してなかったはず。
以下、向こうのテンプレから抜粋。
>このスレは
>・ゼロ魔キャラが逆召喚される等、微妙に本スレの趣旨と外れてしまう場合。
>・エロゲ原作とかエログロだったりする為に本スレに投下しづらい
>などの場合に、SSや小ネタを投下する為の掲示板です。
つまりはエログロOKって解釈でいいんだよな?
ただ、wikiに載せられないのは変わりないから投下もしないって方向で、暗黙の了解が出来てるんじゃないかな?
>>527 今時というか、20年くらい前の少年誌なんかの性描写は、今より過激だったぜ?
そんな昔の少年誌よりも、今の少女マンガの方がずっとエロいけどなww
ゼロ魔の原作の方も、百合のクリームプレイとかやらかしてたりする。
>>530 デルフをフル活用してるのが少ないからな
いや、ないか
537 :
虚無の雷神:2009/04/08(水) 22:30:32 ID:diTqwlYR
エルクゥの人、お疲れ様です。
以前、虚無の雷神を投下させていただいた者です。
ようやく2話が仕上がりました、よければ11時ごろに投下します。
>>537 指定時間が30分先とか遠すぎるって前にも言わなかったっけ?
まぁいいや、アンタはNGな
>>533 その場合、蛮人みたいな感じになったりしてな
社長も全く使う気配が無いなw
それなりに進行してるのにデルフが登場すらしてないのってあったっけ?
543 :
虚無の雷神:2009/04/08(水) 22:48:17 ID:diTqwlYR
いや、気にしろよ
>>542 一度名前出てきてそれっきり、ってのはたまに見かける気がするが
具体的にどれと言われても名前は出ないなw
>>542 出てきた瞬間に破壊された話はあったな。
ほかにも、扱いの悪い話は多かったが、具体的な顛末までは覚えていない
そういえば虚無のパズルはアルビオン編が終わったのにまだ出てきてないな
作者さんは出す予定とは言ってたが
姐さんに持たせるのか
デルフは居ないのに、
何故かシュペー卿が登場する作品もある。
結局投下はなしか?
551 :
虚無の雷神:2009/04/08(水) 23:07:38 ID:diTqwlYR
>>544 温かい言葉ありがとう御座います。
ですが知らなかったとはいえ失礼な事をしてしまったようなので、今回は自重します。
>>550 申し訳ありません。
今後気をつけ、またの機会に投下させていただくと言う形でよろしいでしょうか?
>>551 ok
だけど、なるべく早めに投下してねw
553 :
虚無の雷神:2009/04/08(水) 23:14:23 ID:diTqwlYR
>>552 はい、その時はよろしくお願いします。
それでは、失礼しました。
っちゅうか、30分後が遠いって、誰のルールよ?
俺様ルールか?
ハイ、この話(30分云々)はこれでおしまい!
長いなら長いで10分か15分ぐらいにするように言えばいいんじゃねぇの?
>>554 ここの公式ルールだな。
最盛期は、投下待ちの行列が10人並んだようなスレだったからね。
30分もインターバル置くと、崩壊してしまう。
最近はそうでもないが、投下は5分間隔というルールは変わってないと思う。
現状に即していないので廃止を求めるというのなら、止めはしないから避難所の運営議論スレにでもいってきたら?
おれも個人的には30分は長いと思うが、
明記されてないものを「公式ルール」というのはちょっとどうかと思う
感想用に前の投稿から30分開けるって言う紳士ルールがあるのに
誰も予約して無くて30分開けるのがNGってのが分からんぞ
崩壊? 今だとしないだろ?
>投下は5分間隔というルールは変わってないと思う。
長くない?
2〜3分でいいじゃん。
確かにな
人がいないならさくさく投下したほうがいいと思うんだけどな
>>559 まあでも30分は長くね? 感想用に30分だとすると合計1時間くらいだし。
すまん、「投下は5分間隔というルール」これ何?
こんなんあったか?
>>557 そのルールどこで見れる?
このスレ1年くらいいるがそこまで明文化されてたのを知らなかった。
長くて困る人はいても短くて困る人はいないだろうし
本人も次から短くするって言ってるんだからそれでいいじゃないか
>>558 そういや、書かれてないな。
古参の住人からすると意外だが。
>>559 紳士ルールで崩壊したから、それを上書きするルールができたんだよ。
当然、そっちのルールの方が強い。
ただそれは昔の話で、現状はおかしいことにはなっていると思うんで、気になるんなら運営スレに言ってきてくれ。
たぶん今の状況なら、苦もなく受け入れられると思うから。
俺は懐古房なので、あえて変える必要はないと思っているけど、
積極的に反対しようとまでは言わないから。
>>562 いや投下終了宣言から30分は次の投下は避けようって話だから
予約が前の投下直後だったら30分後くらいにしようぜってこと
喧嘩するなら裸になって相撲しろ
>>563-564 一年半以上前の話だよ。
一日1スレは確実に消化していた、このスレの黄金期さ。
そのころのログを見れば、書かれていると思うけど。
よーし、紳士の諸君議論はそこまでだ。紳士の諸君には他に議論することがあるだろう。
そろそろ落ち着かないと↓が投下されてしまうぞ。それでもいいのかい?
> 初めまして。セキレイから佐橋皆人を召喚しようと思います。
> 僕自身が精神的に大人な為、ゼロ魔のキャラは涙目になります。
昔の話ねぇ・・・
少なくともも、スレ50番の頃からいるけど、そんなルールが”上書き”されたとか聞いてないけどねぇ
これ喧嘩か?w
まぁ本スレでするのはスレ違いかもしれんから運営議論スレでってのには賛成
そうだね、もう黙ります
運営スレでどんな結論が出ていようが、テンプレに書かれていなければルールでもなんでもないだろう。
前の投下から時間を取るという紳士協定にのっとった時間指定だと思うが……。
運営議論に提起してきたので以降はあっちでやろうぜ
論議スレで話せよ
いつまでもグチグチ言うな
女々しいぞ
…俺魅惑の妖精の主人と同類だけど…
>>574 それもテンプレに書かれていないでしょうに。
テンプレには書かれていないけど、現状高効率で作品を回すべしという空気があるんで、
業況を変えたければ運営スレへ、運営スレに行く気がないなら現状維持で。
週に二本は消費される今でも、十分速いスレだと思うけどな。
エルザだけど、タバサの冒険四巻あたりで実は瀕死だけど生きていたって再登場しないかな。
考え方を変えてみるんだ。投下を30分後とか言ってる人はティファニアのような美少女で、その30分の間にシャワーを浴びている。
こう思えば、今の流れを作った最初のレスに対する不満も消える。
何か運営議論スレでID:SgYQZ3i5の言が物凄い否定されてるので、ソースあったら向こう行って説明してくれ。
>>579 何てこった、その手があったか。
お前の妄想力に感服した
天才現る
このスレって、タバサやキュルケに召喚されるパターンもあるけど、
それ以外、たとえばモンモンとかギーシュが召喚するパターンってあるのけ?
>>583 ギーシュがいい男呼んだりとか、モンモンがクロノトリガーのカエル呼んだりとかあった。
ギーシュは記憶に無いけど、
モンモンはクロノトリガーからカエルを召喚してた
>>584-585 モンモン好きとしては聞き捨てならないな!
アリーガ・トゥルチ!(ありがとう、読んでくる!)
カエルの話は続き読んでみたいんだが
復活しないかな
薔薇のギーシュは薔薇族の男を召喚してました
>>586 何か一瞬、
モ ン好きとしては聞き捨てならないな!
リ ガ
に見えたw
敵側が召喚したのにルイズたちが立ち向かうって言うのも見てみたいな
才人にセフィロスが「お前の最も大切な物〜〜」の台詞を言うシーンを妄想した
それはお前がモリガン好きだからだ!
否定しても無駄だ、お前は潜在的にモリガン好きなのだ!
というわけで、モンモンは俺が貰って行く!
BASARAから北条氏政
ポケモンからツチニン
とかもあったな
ツチニン頂き!
いやぁー、聞いてみるもんだね。
寝る前の楽しみが増えたぜw
>>590 それ面白いな、「知らないのか? 大魔王からは逃げられない」でゾクゾクしたいw
あとは、レコンキスタに召喚された使い魔の演説で一話を使ってしまうとかね。
でも、そこまで持っていくのが大変か。
というか、相手陣営に召喚されると話を作るのが大変?
>>592 ツチニンって…うまくいくと蝉(セミニン)と脱け殻(ヌケニン)の2つのポケモンに進化するやつだよな…。 早速読んでみる!
セミニンってなんだよw
テッカニンだよw
テッカニンは存在が認識されないほどの速度で動けるし
ヌケニンは背中を除いた人は須らく行方をくらましてるんだぜ
なんて恐ろしい
亀ですがリリカルの人乙です
まさかここでリリなのの交換条件イベントをこなすとは思いませんでした
リリなののイベントとこっちのイベントを巧くすり合わせてるところがホントすごいですね
>>596 ポケモンって図鑑の説明見るとヤバイのばっかだしな
あんなのが野生でうようよしてるんだぜ?
ポケモン世界からわりとガチな超能力使えるサイキッカーとか
1秒に1000発のパンチ繰り出すポケモンと対等に渡り合えそうな空手王とか召喚しても
何の問題も無い気がしてきた
『ベルカ、吠えないのか?』から老ベルカ召喚とか考えたが
シェスタがセントバーナードキックを放ったあたりで投げた。
>>598 そりゃあ最初に草むらに入ろうとするとオーキド博士に慌てて止められるからな。
言葉を話せないモンスター系の召喚はひときわルイズの立ち位置が重要になるな。
スピアーの小ネタでは大虐殺してるし、バリヤードでは幸せになってる。
現在SS書いてるものですが、
原作にハルケギニアでの時間単位ってありましたっけ?
ルイズがモンスターボールを召喚して手当たり次第人の使い魔をゲットする
これはないな…
人のものを盗ったら泥棒!
そもそもハルケの生き物にモンスターボールって効果あるの?
あると思います!
ハルケの生き物を爆発魔法で弱らせないと無理じゃね?
レッド召喚の人の続きが読みたくなってきた。
昨晩のまとめ
・投下は5分間隔で、は嘘
・30分あけて投下はNG、は嘘
まぁ個人的に週末とか他に投下する方がいそうなときは30分は開けないほうが良いと思う
前の人の投下から10分間感想タイム、って感じだったかな
10分は短いんじゃね? 読んでる時間もあるだろうし。
異論があるのなら運営の方へ行くべきだろ
「感想タイム30分」と「30分後に投下予約」は別物だろ。
昨夜のは雑談タイムで即時投下でも良かったのに「30分後に予約」って言ったから
文句付けるヤツが出てきたんだ。
だから、運営いけよ
30分後って微妙な時間だよな、投下できなくも無いけど
さるったりとか、思ったよりも手間取ったりするかもしれないと考えたら
また今度にしようかなって思うかもしれん。
5分後とか10分後じゃダメだったのかね。
もしくは、20分後か25分後に投下宣言じゃダメだったのかね。
いやだから運営で話してるからそっちでやろうぜ?
>>602 エレオノールが懐中時計持ってるって話を前に見た
時計がある以上時間単位はあるだろうけど
明記されてたかどうか覚えはないな
月は一ヶ月40日なんだよな
ざっぱに計算してハルケギニア人は地球人と比べて表記年令に少しプラスされるわけだ
年120日なら1.3掛けくらいか。
エレ姉さまがより悲惨なことに……
逆に考えるんだ、地球人が表記年齢に少しマイナスされると考えるんだ
>>619 となると、サイトは召還時13か4くらいだな。
621 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/09(木) 09:39:23 ID:YCUOO6GF
ハルケの一週間は8だろ。
一か月40日もないだろ
↑ 暦の設定うんぬんは『ゼロの使い魔@設定・考察Wiki - livedoor Wiki(ウィキ)』に大体載ってるよ。
しかし年齢といえば、大した差はないはずなのにカリーヌとシュヴルーズの見た目の落差はなんなんだ。
別に現実でも普通にあることじゃないか?
杉本彩見るたびにびっくりする
荒木飛rゲフンゲフンwww
あれは究極生物すぎるよなぁ
23でふけ顔の俺より若く見える
京本政樹って50歳になるんだよな
イルカとか宮内洋とか絶対人体改造してるよね
年くったら年取れ、ときっちり言いたい
サンフレッチェの橋内に少し分けてやれよと思う。
>>599 ポケモンって銅の聖闘士より凄いんだな。
なるほど、つまり烈風カリンはかげろうお銀というわけですね。
納得しました。
>>622 1年は8×4週×12ヶ月=384日です。
ウィキよりは多少詳しい暦はっときますね。
1 虚無の曜日 (1巻p.165) 休暇である虚無の曜日の夜に「破壊の杖」盗難
2 ユルの曜日 (1巻p.141) フリッグの舞踏会は「破壊の杖」盗難の翌日
3 エオーの曜日 (PerfectBook p.89)
4 マンの曜日 (6P150)
5 ラーグの曜日 (8巻p.221)
6 イングの曜日 (PerfectBook p.89)
7 オセルの曜日 (PerfectBook p.89)
8 ダエグの曜日 (9巻p.169) 翌日は虚無の曜日
ハルケギニアの週暦
第一週フレイヤの週 9P169ロマリアの大使殿との会食
第二週 ヘイムダルの週 5P131、 5P144
第三週 エオローの週 (8巻p.20)
第四週 ティワズの週 (PerfectBook p.89)
1 ヤラの月 (7P164) 始祖の降臨祭 7P63 ほぼ三週間後に控えた年が開けるヤラの月、その初日…つまりは元日である
2 ハガルの月 (8P221)
3 ティールの月 (PerfectBook p.89)
4 フェオの月 (5P130) トリステイン魔法学院入学式、使い魔召喚の儀式
5 ウルの月 (タ2P12) 毎年春、第一ユルの曜日にフリッグの舞踏会=5月2日
6 ニューイの月 (3P203) 結婚式予定がニューイの月の一日 トリステイン魔法学院の夏休み開始
(3P43帰還してから3日後に婚姻発表、式は一ヵ月後、などの記述からアンスールとニューイが逆の可能性が指摘されている)
7 アンスールの月(PerfectBook p.89)
8 ニイドの月 (PerfectBook p.89) (6P20から終わりごろに夏休終了と思われる)
9 ラドの月 (PerfectBook p.89)
10 ケンの月 6P20 アルビオンへの侵攻作戦が魔法学院に発布。夏休が終わって二ヶ月が過ぎた頃。(6P11から初日ごろに発布と思われる)
11 ギューフの月 (PerfectBook p.89)( 学院生徒は2ヶ月の詰め込み士官教育を受けた6P11)
12 ウィンの月 (6巻p.150) 4日朝アルビオン侵攻艦隊出航。12月3日がスヴェルの月夜。
フレイヤて。ヘイムダルて。
ゼロ魔は北欧神話からかなり引っ張ってきてるよ。
イーヴァルディなんかもそう。
イーヴァルディは北欧神話ではグングニルやスキーズブラズニルを作った職人の親だったかな?
だったかな。
ヴァリヤーグもヴァイキングの事だったと思うし、
詠唱もちゃんとルーン文字的な意味があるっぽい。
投下30分の話だが、言い出した奴はどう思ってるのかね。
宣言してから感想タイムまで含めると結構待たされるぞ。
平日の2200頃に「今から30分して投下、その後感想タイム」とかやられると
社会人のひとなんかかなり投下するきなくなっちゃうんじゃない。
才人のルーンをそのまま読むと……グンドルフ?
その辺の流れで言うと、デルフリンガーは本来ティルヴィンであるべきなんだよな。
他所と被るけど。
ヴァリヤーグからガ=ヴァリオーグを連想した自分は大分ダメだなぁ
ヨ=ゴさんは面倒見がいいからおとなしく使い魔になってくれるかもシレンが
ガ・バリュオーグだった。うろ覚えはいかんね。
なんかの作品でガンダルフっていなかったっけ
>ヨゴ
原作からしてまんま「神の盾」だしなw
DQ5のモンスター?
指輪物語
ああ、指輪物語か
スペル知らんけどそれが元かなぁと
仏教の天龍八部衆の乾闥婆(Gandharva)=インド神話のガンダルバとも関係あるかな?
>>646 前に調べたけどスペル違う。意味合いも。
つーても、ミョズつーかミューズとかヴィンダとか微妙にそれっぽい辺り、
「火」を使う彼から持ってきてる可能性は在りそうな気がするけど。
あるんじゃない?
それで東方がどうのってことだと勝手に思ってる
ゼロ魔は北欧神話から名前をとってるから
たいていはそっち系の名前
月も曜日も使い魔も、魔法学園の広場の名前も
ほとんどそう。
引用元云々言い出したらサイト以外全員元ネタからほぼ丸パクじゃなかったっけ。
「和製ファンタジーにはよくあること」で済ませるのが正解じゃないかな
ガンダールヴのスペルって原作で出た?
>>646 Gandalf
ソースはwikipedia
ググって見たら、インド・ヨーロッパ祖語にまで遡れるのな<乾闥婆
ギリシア神話のケンタウロスと語源が同じと推定だとか。
今この場の話題に全然関係ないけど
東方先生召喚はあるのにタイガージョー召喚って無いなぁ
後方不敗も呼ばれてないし
>>655 アナルマンはタイトルだけで18禁扱いになりそうだw
>>640 >>641 >>643 ダイソード召喚しても、原作スタート時点じゃ「召喚は七回」の制約あるし、
最終回後だとひたすら寝てばっかりになりそうだなw
デルフに至っては出番すら無くなるしwww
他の『神の武器』の連中は……以外とハルケギニアには馴染むかもしれんが
(ヴィットリオがコ・ズーとブロンブル夫婦、ジョゼフがガバリオーグ、ティファが隠れ里繋がりでサンジュオウとか)
>>657 いや、デルフこそが「契約の剣」なんだきっと
・・・・・・・・・存在意義激薄なのは変わらんか
>>654 ネタ自体は考えた事がある
ギーシュが召喚して漢に矯正される話とか
もちろん二股すると鉄拳制裁
ただし漢ルートだとモンモランシーが切られる
ディープキス
胸を揉む
服を脱がせる
指チュパ
朝チュン(事後描写)
俺的にはこのくらいまではセーフなんだが、取りあえず意見を伺いたい。
質の悪い燃料を落とさないでください
やりたいなら運営スレでやってきなよ
>>661 18禁漫画の話だが、性器の名前だしと直接描写がなければ18禁としてなくて問題なしいらしい。
だからキラリティーみたいなレズシーンがあるのが少年誌でできるし、今の少女マンガは成年漫画でないと言い張れると。
つまりまあ、小説でも性器の名前を直接出さなければ問題はないと思われ。
これが結論。
>>647 「ガンダールヴ」北欧神話に登場する魔法に長けた小人の名前。ガンダルヴァは関係ない。
指輪物語もガンダルフも「ガンダールヴ」が元じゃないかな。
「ヴィンダールヴ」=風の妖精
「モートソグニル」=疲れてため息をつくもの。
「ニダヴェリール」=世界を構成する9つの世界のひとつ。<暗い家>の意味を持つ、小人の世界。
「ブリミル」=「騒ぐ者」。始原の巨人ユミルの別名。
>>663 おぼっちゃまくん(というか昔のコロコロ)は18禁?
ティンコ連呼のティンコだらけです。
ウンコチンコになるとまた別だろうな。
>>661 阿部さんがヤればどれも完全OKだから問題ないな
ご立派さまだけでも持て余してる状態なのに、つかあれ以上を誰か書けるのか?
>>664 君は一体何を言っているんだ?
ガンダールヴの直接的な元ネタが北欧神話にあることについてはみんな異論はないだろうよ。
ただ、ゼロ魔関連スレだと有名な話だけど「ガンダルフ」は作中の言語で「杖をもつエルフ」とか
「杖のエルフ」を意味し、アイスランド語だと「魔術師のエルフ」という意味らしい。
おまけに、Wikiには「魔術師」を意味する梵語の「ガンダルヴァ」とも関係があるのではとある。
そういうことを踏まえた上で、「同じ印欧系祖語にルーツを持つ言葉なら何か関連があるかもしれない。
あったら面白いね」と
>>647は言っているんだろうに、「ガンダールヴとガンダルヴァは関係ない(キリッ
だってガンダールヴは北欧神話の小人の名前だから(キリッ」ってのはどう考えてもおかしいでしょう。
北欧神話やヒンドゥーの神話が成立する数千年前の人や文物・思想の交流に思いを馳せているのに、
印欧神話の流れを汲む北欧神話を根拠に、同じ親をもつ兄弟とも言うべきヒンドゥーの神の語源を
関係ないと一笑に付すのは、せっかく話題を振ってくれた
>>647に失礼だと思うよ。
>>664はもう少しレスの流れに目を通してから発言した方がいいと思いますよ。
ど、どこに縦読みが仕込まれてるんだ?
>>667 ボンボンも相当なもんですだよ?
温泉ガッパドンパとかなw
コロコロだとバーコードファイターの有栖川桜とか
>>673 ヒロインが惚れた男を殺して食いたくなる性癖持ちの漫画だったか
オナラボーンって技があったようなw
>>671 確かに664は何か話題の本質を勘違いしている節があるけどもう少し優しく言ってやれよw
相手は(多分)子どもなんだろうからさ
ちょっとネタ思いついたんですが
某画像掲示板のコラで良い人だったりヘタレだったり漢らしかったりする
原作ではかませでヘタレのとあるキャラで一発やってみようかと思いましたが
いわゆる二次創作とかソレ的なモノからの召喚ってやっぱNGですかね?
むしろその画像コラのシリーズに加えたほうがいいのかもとか思ったりもしましたが
温泉ガッパドンパの単行本って今じゃ結構なプレミアついているんだねぇ
幼稚園にも入ってないような年で兄貴のボンボン盗み見ていたが
思えばあれが性の目覚めだったのかもしれないw
みどーといえばウル忍のノンマルトの秘宝編だな。
原作セブンのノンマルトのおもーい雰囲気はかけらも残ってねえ。
>>680 本スレは同系統のネタで荒れた前科が何度もあるからなぁ
避難所をオススメ
>>683 おす、ありがとうございます
以後気をつけつつ、整ったら避難所にでも投下します
・・・ひょっとしてまとめに無いだけでもう誰かが同じようなネタ書いてたりして・・・
グインって三国無双なパワーバランスだっけ、と突っ込み入れながら見てました。
原作のあの辺はコナン・ザ・バーバリアンなのになー。w
それはともかく始めます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ふうっ、とルイズは大きく息をついた。
魔力と共に全身に満ちていた高揚感は消え、重い疲労がずっしりと肩に乗っている。
全身から発汗して、ブラウスや前髪が張り付いて気持ち悪かった。
だがそれでも、達成感があった。
満足感があった。
自分はやり遂げたのだ。
自分は、魔法が使えたのだ!
ショウと目があった。微笑みかけてくるショウの胸へ、ためらうことなく飛び込む。
「お、おいルイズ?」
「私・・・私ね・・・」
戸惑うショウの声など聞こえていない。
泥や返り血のはねた鎧も気にならない。
今のルイズはただ、満足だった。
ショウの首に手を回し、顔を近づける。
幸せそうな顔が、ショウに近づいてくる。
「な、なんだ一体?」
「私ね、私・・」
背伸びすれば唇と唇が触れ合いそうな距離。
視線が絡み合い、ショウが身体を硬くした。その頬が赤い。
キュルケがぐっと拳を握り、リリスも両手で目を隠しつつ、指の間から二人を注視している。
タバサは無表情を装いつつも、耳がほのかに赤く染まっていた。
「私・・・・・・・・・・・・・・なんだっけ?」
あれ、と心の中で首を傾げるルイズ。
あの時自分は何かを見たはずなのだ。
全てを知って、全てを理解し。そしてどうやら、その全てを忘れてしまったらしい。
(・・・・ま、いっか)
そのまま湧き起こる衝動に身を任せ、ルイズがもう少し背伸びをしようとしたその時。
「使い魔とのキスなど、許さぁぁぁぁぁんっっっっ!」
喉も裂けよとばかりの絶叫が響く。
がぁぁっ、と吠える獅子のような表情で――言っている事は些か情けないが――両手を振り上げて。
一行のすぐ近く、ガラス化したクレーターの底を突き破ってワルドが復活した。
(・・・・きす?)
ルイズが気がつくと、目の前にショウの顔があった。
「きゃぁぁっ!?」
我に返ったその瞬間、ルイズは悲鳴と共に思い切りショウを突き飛ばし、突き飛ばされたショウは不意を突かれてたたらを踏んだ。
一方突き飛ばした本人は逆にバランスを崩して尻餅をつく。
尻の痛みに顔をしかめながら、ショウをにらみつけるルイズ。
「ちょっと、何するのよショウ! ぼやっと見てないでさっさと助け起こしなさい!」
「・・・ヤンさん。俺は生まれてこの方、今ほど不条理な言いぐさを聞いた記憶がないんですが」
「ショウ君。男はね、みんなそうやって大人の階段を上っていくんだよ」
憮然とするショウに対し、その肩を叩いて慰めるヤンはどこか悟りきった表情だった。
一方女性陣からは怒濤のブーイングが飛ばされている。
「いいところだったのに!」
「空気を読まないわね!」
「敗者は潔く消えるべき」
読んだから出てきたのであるがそれはさておき、当然キュルケたちの抗議になどワルドは耳を貸さない。
「許さない! 許さないぞルイズ! 僕の目の黒いうちは、使い魔との接吻など絶対に許さないっ!」
「キ、キスなんかするつもり無かったわよ! さっきだってキュルケに無理矢理・・」
慌てて立ち上がったルイズが顔を真っ赤にして反論するのを、一転して色っぽい目つきになったキュルケが遮った。
「あら、照れる事無いじゃないの。ささ、私たちやあんな馬鹿に遠慮せず、さっきの続きをぶちゅーっと行きなさい、ぶちゅーっと」
「あんたは黙ってて!」
がぁっと吼えるルイズ。
キュルケが色っぽい目つきのままそれを柳に風と受け流すのは年期の差か。
そろそろ支援
「ル・・・イ・・・ズ・・・」
震えるワルドを尻目にキュルケがまた何か言おうとした瞬間、ルイズとキュルケが同時に顔色を変えて口を押さえた。我慢しきれず、うずくまって嘔吐し始める。
他の五人も、程度の差はあれ表情を変えて向き直る。
ワルドの方から吹き付ける物があった。
それは余りに濃密な、邪気。
悪魔族がまとう、異界の気配。
ショウとリリスは脂汗をかくだけで済んだ。
ヤンとフーケは顔から血の気を引かせている。
タバサはかろうじて吐き気をこらえたが、立っているだけで精一杯。
邪気はワルドの後ろから吹き付けてきていた。
空間に揺らめくいくつもの巨大な影、その大きさに比例するかのような巨大な邪気。
それだけの邪気が異界より漏れてきているという事は、即ちそれだけ巨大な次元の穴を必要とする存在が召喚されつつあるという事。
今はそれも希薄な、向こうが透けて見える影に過ぎず、実体化も今までの召喚と違って遅々としたものだったが、その姿だけでもショウ達全員に嫌悪感と恐怖を与えるには十分だった。
身の丈はおよそ10メイルあまり。ねじれた水牛のような角、ドラゴンのような青みのかった金属色の表皮、背に広がる翼。瞳孔のない目。
鼻はなく、口からは無数の鋭い牙が生えている。鋼の束のような筋肉が全身を包み、鋭い爪と太い尾の先は不気味にぬらぬらと光っていた。
それが六体。
「グレーター・・・デーモンっ!」
ヤンが絶句した。
グレーターデーモン。
アークデーモン以上の呪文無効化能力は呪文を全くと言っていいほど通さず、鋼殻の如き表皮の硬度は巨竜の鱗をも凌ぐ。
巨体から繰り出される攻撃は見た目以上の打撃力を誇り、時としてマスターレベルの戦士をも即死させる。
そればかりか爪牙からは身体を麻痺させるものと、呼吸障害を起こして体力を奪うものの二種類の毒が分泌され、速やかに犠牲者を死に至らしめるのである。
加えて5レベルまでの魔術師呪文を使いこなすほどに知能は高く、異界から仲間を召喚して無限に増殖する能力すら備えている。
およそ弱点という物が存在せず、また集団で行動し無限に増殖する習性が故に、知られている中では最強最悪ともされる恐るべき悪魔であった。
通常なら、例え召喚の書があったとしても容易く召喚できる存在ではない。
やろうと思えば先ほどの二回の大量召喚を合わせたよりも更に莫大な精神力の消費が必要となる。
加えて綿密に計算して構築された召喚陣、専用の結界と触媒、長時間の詠唱と儀式が不可欠だ。
だがそうした要素を無視して無理矢理にでも次元の穴を広げ、これだけの召喚を為せる精神力が今のワルドにはあった。
キュルケが仕掛けたショウとルイズとの強制キス。
そしてたった今のキス未遂。
嫉妬。
嫉妬。
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬。
心の奥よりわき上がる嫉妬が憎悪と怒りを引き出し、それが更に新たな負の感情を生み出す。そしてそれら全てが魔法を発動するための精神力としてワルドの糧になる。
ワルドの人並み外れた強靱な精神だからこそ抱えこむことのできた、巨大な闇。
それが今、蒼き獣魔の姿を取って具現化しようとしていた。
「くっ・・・・!」
ヤンやリリスと違い、ショウは直接それを知っている訳ではなかったが、きわめて危険な存在だと判断するのには邪気だけで十分だった。
剣を脇に構え、刺突の構えを取る。
"鳳龍――"
井上真改が唸りを上げる竜巻を帯び始めたのと同時にカシナートを構えたヤンが突進している。
ワルドが反射的に身構えるが、ヤンの視線は彼を見ていなかった。
後ろのグレーターデーモンが狙いだと気づき、ワルドが即座に「ライトニング・クラウド」を詠唱する。
閃光の二つ名通りの速度で完成されたそれは、一直線にヤンに向かって伸び、直撃した。
だが止まらない。
常人なら即死でおかしくない所を、ヤンは僅かに速度を落としただけで走り続ける。
「戦士(ファイター)舐めるなよ、魔法使いっ!」
怒号と共に振り下ろされたカシナートが空気を轟かせ、放たれた「気」の塊が実体化しつつあるグレーターデーモンに叩き付けられる。
だがバシッと重い音を立て、ヤンの放った気の放出はグレーターデーモンには届かずに四散する。
「障壁(シールド)!」
リリスの叫びにワルドが安堵の笑みを浮かべようとする寸前、ヤンより僅かに遅れてショウが剣尖から渾身の一撃を繰り出していた。
"渦旋斬!"
ワルドの頭上を飛び越え、ヤンの攻撃が当たったのと同じ場所にショウの生み出した横殴りの竜巻が叩き付けられた。
全てをすり潰す「気」のうねりがヤンの一撃を受けた障壁に当たり、さしもの障壁もその形をゆがめる。
散らされた威力の余波が数メイルに渡ってクレーターの底をえぐり、ガラス化した大地を飛び散らせた。
だがそれでも障壁は耐えて見せた。ショウの渦旋斬が生み出した気の竜巻が晴れた後、障壁の中のグレーターデーモンには傷一つついていない。
「・・・ふう。ヒヤリとしたがこれで今度こそ終わりだ。此奴等が実体化した時こそ、お前達の最期よっ!」
冷や汗をぬぐいつつ、ワルドが改めて宣言した。
それに反論する声はショウ達からは上がらない。
ヤンが後退し、ショウと並んで再びパーティの前衛に付く。
一方渦旋斬を繰り出したばかりの剣を再び引き、なにがしかの技を放とうと気を集中させた途端、ショウは肩に置かれた手によって引き戻された。
振り返れば、リリスが真剣な表情でこちらを見ている。
「多分グレーターデーモンをどうにかしようとしてるんだろうけど無理よ。今、奴らはワルドを守っているのと同レベルの障壁に守られている。いくら貴方でも・・・」
言葉が途中で途切れて消えた。僅かの間無言でうつむいていたショウが顔を上げる。
「帰還(ロクトフェイト)は使えるようになりましたか?」
その問いに、リリスは力なく首を振って答えた。
ショウはしばし瞑目し、ようやく立ち上がったルイズに視線を送る。
「ショウ?」
何かを感じ取ったのか、ルイズが不安そうにショウの名を呼んだ。
その顔を見ながらショウは思う。
この意地っ張りでやかましくて後先考えないあるじにとって、信頼していた婚約者の裏切りは計り知れないショックだったに違いない。
だがそれでもこのあるじは自分の『義』を貫き通した。
悲しみと痛みに耐え、為すべき事を為した。
「なら、ここで俺がおくれを取るわけにはいかないだろうな」
ショウの鞘が、爆発によってえぐられた地面に落ちた。
自ら外して、捨てたのだ。
リリスの顔色が変わる。
「ショウ!」
「ルイズを頼む」
振り向いたショウの、恐らくは初めて見せた年相応の初々しい微笑み。
それが、リリスから言葉を奪った。
ルイズは無言のまま、ワルドに歩み寄るショウのその背を見つめるしかできない。
しゃがみ込んだリリスにキュルケが声を掛ける。
「・・・リリス?」
「侍にとって、刀は己の命を。そして鞘は命が帰る場所を意味するの・・とと」
独り言のように、誰にともなく語りかけながら、リリスがショウの捨てた鞘を拾い上げる。
それはそのまま人を撲殺できそうなほどに堅く、そして重かった。
非力な司教とは言え、いっぱしの冒険者であるリリスが持ち上げようとしてよろけたほどである。
「だから侍の持つ鞘は、他のクラス、例えば戦士であるヤンのそれに比べて恐ろしく頑丈な作りになっているわ」
「そうみたい、ね・・・・え?」
「わかった?」
キュルケが息を呑む。タバサは無言のまま、強く杖を握りしめた。ヤンとフーケも表情を強張らせている。
そしてルイズは頭ではその言葉の意味する所を理解していながら、心がそれを受け入れることを拒んでいた。
「すなわち侍が鞘を捨てるのは刀を戻す必要が無くなったとき・・・」
やめて。そのさきをいわないで。
そんなルイズの心の声は、リリスには届かない。
いや、届いていてもリリスはこれを言わなければいけない。
「つまり、死を覚悟したという事よ」
ルイズがショウの方を振り向いて、大きくあえぐ。精神的にも、そして肉体的にも限界に達している彼女からは、もはや言葉を紡ぎ出す余裕さえ失われている。
残酷な事実をルイズに突きつけて、だがリリスは何故か頭のどこかで楽観的な自分がいるのを感じていた。
奇妙な既視感をリリスは抱いている。
九割九分確実に彼の命を奪うであろう、彼が繰り出そうとしている奥義。
そもそも今の彼では成功するかどうかも怪しいのではないかと思えるそれ。
にもかかわらず、それでもどうにかなりそうな気がしていた。
あの不器用で、けど頼りになる『彼』が『今度も』何とかしてしまいそうな気がするのだ。
リリスはまだ、自分のその認識の意味する所に気がついていない。
ワルドまで十数歩の位置まで来た所で、ショウは足を止めた。大きく足を開き、敵に正対する。剣を大上段よりさらに大きく振りかぶり、切っ先を背中に垂らす。
目がかすむ。
体に力が入らない。
(やれるかな・・・と)
心の中で呟く。
"疑念は即ち失敗に通ずる!"
弱気が頭の隅をチラリとかすめた瞬間、剣術の伝授で聞き飽きるほどに聞いた父の叱咤が脳裏に甦り、ショウは苦笑した。
「ハイハイ父上、解ってますよ――」
どれだけの葛藤があろうとも、父こそはショウに全ての剣技を仕込んでくれた恩師である。
その伝授された剣技でこの窮地を切り抜けられたのなら、少しは父親に対する感情を和らげても罰は当たるまい。
加えてここでしくじれば、父親以前にルイズにあわせる顔がない。それは侍として、いや男として面子が立たないにもほどがあるだろう。
この期に及んで剣を構えるショウをワルドが見下し、あざけり笑う。
「ふははは、無駄だと言っているだろう、使い魔。お前の剣などこの僕には通用しない!」
「無駄かどうかは、やってみなけりゃ――」
言葉が途中で途切れる。だが、その目が口以上に雄弁にその意志を語っていた。
(わからんさ!)
ガンダールヴのルーンが、光り輝く。
余裕たっぷりに左手で『召喚の書』をもてあそぶワルド。
その視線は既にショウの方を向いてすらいない。
ぎり、とショウの奥歯が鳴った。
奴は間違っていない。
これからショウが放とうとしている技は鳳龍の剣の奥義の一つである。だがそれ故に難度も消耗も桁外れに大きい。成功させるには、元より技量も気力体力もそして剣の格すらもが足りていなかった。
残り少ない全身の気を奮い起こす。
気の使いすぎでがくがくと震える膝に無理矢理活を入れ、命の最期の一滴までをも刃に注ぎ込むつもりで剣を構える。
だがそれでもなお届かない。
いかに才があり、また実戦を経ていようともショウは未だ十三才の少年に過ぎない。
技量とはまた別の次元で、体も心も未熟なのである。
「相棒!」
その時意外な声を聞き、ショウが目を走らせた。
果たして、声の主はデルフリンガーであった。
ワルドがうち捨てた後どこをどう吹き飛ばされた物か、ショウとワルドとデルフで正三角形を作るような位置に鞘ごと突き刺さっている。
「デルフか。お前も大概頑丈だな」
「うわ、あっさりしてるんだね、あんなのに巻き込まれてどうにか生きながらえたってのに」
不満そうなデルフであったが、普段ならともかく今のショウに彼の愚痴に付き合っている余裕はなかった。
「言いたい事はそれだけか? おしゃべりなら後にしろ、今忙しい」
「いやいやいやいや、俺これからいい事言うから! 聞き逃しちゃ駄目よ? 絶対役に立つはずだぜ!?
相棒! ガンダールヴの力は心の力なんだ! 何でもいい、感情を昂ぶらせろ! 敵を倒す闘志、仲間を守る気持ち、怒り、悲しみ、何でもいい! それがルーンを光らせ、おまえさんの力になる!
守るべきものを思い浮かべろ! 倒すべき敵を見据えろ! そういった目標に対して、何でも良い、ありったけの感情をぶつけるんだ! とにかく心を震わせな、俺のガンダールヴ!」
些か焦り気味に、どこか必死で勢いよく喋るデルフリンガー。
「・・・どよ? 分かった? もう一回話そうか?」
「いらん」
嫉妬は緑色の魔物ってシェイクスピアが言ってた支援
にべもなくデルフの申し出をはねつけつつ、だがショウは何とはなしに腑に落ちる物を感じていた。
ヤンのルーンが輝き、ゴーゴンを一撃で屠ったラグドリアン湖畔の戦闘。
ショウの烈風斬が通常の数割増しの威力を発揮したモット邸での戦い。
アニエスと戦った時も、ケイヒと対峙した時も、このルーンは強く光り輝いていたという。
(ならば今度も力を貸せ、ガンダールヴのルーンとやら! 俺が伝説の使い魔だというなら、それなりの力を見せてみろ!)
ワルドを見る。
フーケの家族を人質に取り、犯罪を強要していた男。
ルイズを手に入れるためならばトリステイン一国を皆殺しにすると言い切った男。
レコン・キスタに通じ、牙の教徒に組し、そしてルイズを裏切った男。
ルイズを騙し、ルイズを悲しませ、ルイズを傷つけた男。
心の中に湧き上がったのは怒り。
ガンダールヴのルーンが放つ光が、目に見えて強くなる。
それと共に、ショウは自らの中に力がみなぎり、更に意識がより絞り込まれて集中していくのを感じる。
次に思ったのは仲間達の事だった。
到底20代半ばとは思えない程落ち着きが無くてすぐに手が出る乱暴者だが、気立てが良くて面倒見の良いリリス。
いきなり殺してしまったにもかかわらず、それをかけらほども根に持っていないお人好しのヤン。
他人にちょっかいを出したりからかったりするのが大好きで、でも本質的には情に厚いキュルケ。
反対に物静かで他人と関わろうとはしないが、友人が危機に陥れば全力で救おうとするタバサ。
二度もショウ達を助けた、悪人ぶってはいても家族の事を見捨てられない優しいフーケ。
そして、誇り高く意地っ張りで負けず嫌いな彼の主。
自分の事も顧みず、考えなしに危険に突っ込んでいく、危なっかしい少女。
自らの身の程もわきまえず、それでも筋を通そうとする困ったほどに真っ直ぐな主人。
だが、その真っ直ぐさがショウは好きだった。
尊敬していると言ってもいいかもしれない。
どうしようもない現実を目の前にしても自らの『義』を貫こうとするその姿勢は愚かであり滑稽であったが、それ故に純粋で尊かった。
ああ、そうだ。
ショウは、そんなルイズが好きなのだ。
ルーンの輝きは今や小手からあふれ出し、ショウが全身にまとった「気」そのものまでをも輝かせる。
全身の輝きが空気を震わせ、さながら遠雷のような轟きを生む。それは後ろに控えるルイズ達の腹の底に響き、全身をその震動の中に包み込んでいた。
ことさらに余裕を作って見せていたワルドも『召喚の書』をもてあそんでいた手を止め、ショウに視線を戻す。
「・・・これは」
その視線を正面から見返し、ショウが静かに口を開く。
「何となくわかったよ、ワルド」
「ほう?」
「何故ブリミルがそれを封印したか・・・それは、この世界に不必要な物だからだ!」
「ふん・・・戯言を。何をしようとしているかは知らんが、いかにガンダールヴとは言え剣士如きに今更何が出来る。
僕はこの『召喚の書』によって神となったのだ! たかが剣士など、もはや僕の足下を這う蟻に等しい!」
ショウは無言のまま答えず、だが全身から生まれる轟きはいよいよ強く大気を震わせ、全身の輝きは最早直視できないほどに強い。
「行け!」
ふっ、と。
ショウの叫びと共に、大気を揺るがしていた震動が消えた。
"鳳龍"
唐突に訪れた無音の中。
黄金に輝くガンダールヴが、乾坤一擲の一太刀を振り下ろす。
"虚空斬!"
“何か”が駆け抜けた。
だがそれを知覚できたものは誰もいない。それを放ったショウですら。
代わりにその場にいた全ての者が見たのは、ショウの真改が澄んだ高い音を残して鍔元から砕け散る様だった。
力尽きたかのように、ショウが膝をついた。息を止めて成り行きを見守っていたルイズが慌てて駆け寄る。
荒く息を吐くショウを哀れみすら込めた視線で見下ろし、ワルドは傲岸に言い放つ。
「実に愚かしい事だ。潔く諦めておけばそれほど苦しまずに済んだ物を」
「愚かしいか――どうか、自分の――身体で――確かめて――」
ワルドを指を突きつけながら立ち上がろうとして、ショウがよろける。
緑色の怪物だったような支援
「ショウ!」
ルイズが駆け寄ろうとして、ショウの肩に手を掛けた所で呆然と立ち尽くした。
「え? ・・・きゃあっ」
そのままルイズは身体のバランスを崩したショウに巻き込まれ、一緒に後ろに倒れた。
立ち上がれず、呆然としたままのルイズの顔を駆け寄ったキュルケが心配そうにのぞき込む。
「ルイズ、大丈夫!」
「わ、私は大丈夫・・・でも・・・あれ・・・」
震える手でルイズが指さした先で、ぴしり、と音がした。
そこに存在するのはひび割れ。空中に、何もない所に唐突に存在するひび。
そのひび割れは布を引き裂くような音と共に見る間に広がり、ひびは切れ目に、切れ目は断絶になる。
その断絶はワルドと左手に持った召喚の書の間を断ち切るように存在していた。
「・・・馬鹿な」
ワルドが呆然と呟く。
『召喚の書』から与えられた知識が、彼にその現象がなんであるかを教えた。
だがそれでもなお、それは彼の想像を絶している。
「馬鹿な・・・空間を切り裂いただとっ!?」
断絶の中には何も見えない。
真っ白な空白。
人間には知覚できない空間の裂け目。
ショウの太刀が切り裂いた世界の裂け目。
『存在』と『存在』の間の何もない、空間すら存在しない断絶。
それはとりもなおさず『無』そのもの。
その『無』の切り口が、ワルドの存在する空間と彼の左手の『召喚の書』が存在する空間をワルドの左腕ごと断絶し、グレーターデーモン達が召喚されようとしている次元の門を真っ二つに切り裂いていた。
唖然とする一同の耳に、風鳴りのような音が響きはじめる。
「な、何この音・・・」
「やばっ!」
支援
叫んだのはリリス。
風鳴りは見る間に強くなり、それと共に空気が動く。
それはすぐに空間の裂け目へ向かう暴風となって彼らを押し流そうとし始めた。
タバサは、この期に及んでもなお崩さない冷静な表情のまま自らの使い魔に問いかける。
「どういう事?」
「『無』よ! 空間が切り裂かれて『無』が出現したものだから、空間はそれを塞ごうとしているの! ましてや次元の壁に穴を開け、異界から怪物が召喚されようとしていた矢先よ!
何もかもまとめて吹っ飛ばして、その後で空間を修復しようとしているの! 吸い込まれたら一巻の終りよ!」
「あー。よくわからないんですけど、もうちょっと簡潔に」
要領を得ない顔のヤンに頭をかきむしるリリス。代わって主人がそれに答えた。
「要するに すごい ヤバい」
「よくわかりました」
「ともかく吸い込まれたらどこに放り出されるか分からないわ! みんな固まって!」
「って言われても!」
既に風は立っていられないほどに強くなり、ショウ達を裂け目の中へ押し流そうとしている。
キュルケが手を伸ばしたが、ショウとルイズには届かない。却って押し流され掛け、ヤンがその手を取って自分の方へ引き寄せる。
「くっ・・」
どうにか起き上がったショウをルイズが背中から支えようとするものの、逆に彼女もショウにすがりついて立っているだけで精一杯だった。
空気が唸りを上げるその中心で、ワルドは憎悪に顔をゆがめていた。
「ショウ! おのれショウ! 僕の夢を! 僕の母親を!」
ショウへの怨念。事破れた無念。それらがワルドの口から叫びとなってほとばしる。
そしてその眼前で互いを支え合う二人の姿。
それは、それこそがワルドの欲しかった物。
もう、今となっては彼には届かないもの。
だが怨念と呪詛をまき散らす時間すら彼には残っていなかった。
ずるり、と。
白い断絶が彼の身体を引っ張るのを感じ、ワルドは一瞬何もかもを忘れた。
「い、いやだ・・・ルイズ! ルイズ! 助けてくれルイズ!」
一転して顔を恐怖に染めたワルドがルイズに向けて右手を伸ばす。
だが次の瞬間、ルイズの見ている前でワルドの顔が断絶に飲み込まれ、僅かに間を置いて空中をかいていた手も飲み込まれた。
「ワルド・・・」
だがルイズ達にも他人を気遣う余裕はない。
リリス達は重装備のヤンを中心に一塊になって空気の流れが作り出す暴力に抵抗している。
だがショウ達は二人、加えてショウもルイズも限界まで気力体力を消耗している。
しゃがみこんで風の抵抗を減らすので精一杯だった。
「せめて――刀があればっ!」
だがショウの愛刀井上真改はもう無い。その柄も先ほど倒れた時に手を離し、断絶に吸い込まれてしまった。
リリス達も自分たちが吸い込まれないようにするので精一杯だし、こんな時に役に立ちそうな土メイジであるフーケももう精神力が残っていない。
だが、ショウのせめてもの願いに、助けの手は意外な所からさしのべられた。
「ふふ、俺を呼んだかい、相棒!」
「・・いや、お前があれば少しは役に立つだろうが・・まさか取りに来いってんじゃないよな?」
先ほどのガンダールヴについてのアドバイスは役に立ったが、それでもこれまでがこれまでだけに、デルフに対しては些か白い目にならざるを得ないショウである。
だがデルフリンガーはそんなショウに対してかちかちと鍔元の金具を鳴らし(ちっちっち、と指を振っているつもりかも知れない)、自信たっぷりに言い放った。
「へっへっへ、見てろよ相棒、オレ様の実力を――いち、にの、どぉりゃぁぁぁっ!」
気合い一閃。普段自力で鞘を出入りする時とは比べものにならない加速を付け、デルフリンガーが勢いよく鞘から飛び出す。
しゅぽんっ、と音を立ててばね仕掛けのおもちゃのように飛び出したそれは、一直線にショウの元に向かっていた。
シェイクスピアはどうでもいい支援
「そら、俺を使え相棒っ!」
飛んできたデルフリンガーの柄をとっさに右手でつかみ取り、逆手で深々と地面に突き立てる。
左手はいつの間にかルイズを抱えていた。
デルフリンガーが胸を張って――剣だから胸はないが――嬉しそうに喋る。
「へへん! どーだいっ! 俺が役に立つって事が少しは分かったか!?」
「わかった、わかったから少し黙っててくれ」
苦笑しつつショウは飛ばされぬよう、柄を握る右手とルイズを抱く左腕に力を込めた。
これなら耐えられるか、そう思った瞬間目の前で断絶が大きく広がる。
「手を離さないで! 万が一にも戻れた時のために、ばらばらになっちゃ駄目!」
「ワーッ!」
「キャァッ!」
「テファーッ!」
「あいるびーばーっく」
それまでとは比べものにならないほど勢いを増した空気の流れに、ヤン達がそれぞれに絶叫を残し、断絶に飲み込まれた。
タバサだけは無表情のまま親指を立てていたような気がするが、この際それは無視する。
すがりつくルイズの手に力がこもるのを感じ、ショウが腕の中のルイズを見下ろした。
こちらを見上げていたルイズと目があう。
口が動いているので何かを言っているのだろうが、勢いを増したこの暴風の中ではまるで聞き取れなかった。
だが、かすかに微笑んだその表情に安心感が満ちているのは見て取れる。
微笑みを返そうとして、その顔が歪んだ。
ついにデルフを突き立てていた地面そのものがえぐり取られ、ショウ達ごと断絶の中に吸い込まれたのである。
それでもルイズを強く抱きしめ、離れないようにする。
ルイズもショウを固く抱き返す。
そうして意識を失う寸前、ショウはフードを深く下ろしたクロークの男を見たような気がした。
サイトも更新してくれよ支援
し・えん、し・え・ん!
最近のキュルケはやり手バ○ァにしか見えないでござる支援
ワルドさん退場支援
>>706 前回投下分までは更新しました。
これから今回投下分を追加する作業に入ります。
乙でした。ほんとにどこのシャア・アズナブルだよワルド。
乙っした!
さあう゛ぁんといろいろの方GJ
まとめあったんですね、良かった〜
しかしこの辺原作まんまのような……
果たしてここからどうなるのか
今回分の更新、サイトの方に反映終わりました。
ちなみに
>>706を見た時、一瞬平賀さんちの息子さんを更新してくれと空目ったのは秘密だ。
ではまた、忘れた頃に。
こんだけ応援したくなるワルドも珍しいわ…w
虚無の闇を読んで黒ルイズ系の作品にドップリハマってしまった
ルイズは熱血ルイズと桃色ルイズと黒ルイズのみっつにわけられます
虚無の闇は、そろそろゾーマ様の存在を思い出せなくなってきた。
ルイズ含めた周りが平民をもの凄く見下してるみたいな設定はこのスレでもOK? それとも、避難所投下?
そのうち第二第三のワルドが出てくるに違いない
ふと思ったんだが、首都警特機隊のプロテクトギアは魔法に対抗できるかな?
マシンガンの掃射や至近距離の爆弾の爆発を食らっても、中の人はほぼ無傷
だったから、火・土・風属性のメイジにならそれなりに戦えそう。
知らん。
>>720 避難所でも叩かれるかもしれんのは覚悟済みかな?
ゼロ魔世界感のレイプとかヘイトに該当するだろし、注意書きは必須
>>671「君は一体何を言っているんだ?(キリッ」
>>723 紅い眼鏡の烏部蒼一郎とか、ケルベロスの乾のように装甲の繋ぎ目が問題だな。
>720
平民をすごく見下してるところをどう作品の味に変えるかが見物だと感じる。
うまく扱えなかったらただの駄作だが。
プロの『立喰師』が召喚されました。
「おい。この辺に立ち食い蕎麦屋は無いか。暗い過去を秘めた親父が一人で店を開き、悲しい男たちが丼一杯のぬくもりを求めてやってくる。そんな立ち食い蕎麦屋だ」
「お客さんご存じ無かったんすか。立ち食いそばは2年前から非合法化されたんっすよ」
「なに!?」
「ディスコミュニケーションを求める若者が深夜集う不穏な空間。またその経営者が暗い過去を秘めがちであるなど両側面から考察の結果、公序良俗に反するってことで。
ま、潜在的には相当な反対勢力はあったんでしょうが、なにせ立ち食い蕎麦に群がるような人間にゃあ、連帯の可能性なんざぁこれっぽちもありゃぁしませんからねぇ。
『立ち食いによる軽食販売禁止条例』通称『立禁法』」
トリスタニアにはもう、立ち食いの店は無いらしい。
つうか、蕎麦あるのか。
寄せ鍋があるんだ。蕎麦だって……パスタで代用?
グインのアニメか
見る気もおきねえ
栗本が昔アフォな発言したおかげで、読むの止めたままだしな
確か北に拉致された人達は貴重な体験ができたのだからとかうんぬんだったか
そんなことよりクックベリーパイの美味しさを語ろうぜ
>北に拉致された
何故かこの一文で目黒勇一が召喚される姿が…
んなこと言ってたのかあの腐女子は。>栗本
まぁ私ももう読んでないんだが、それでもあの序盤の、絵師が加藤先生だったころの作風は好きなんだ。
これから面白くなってくるぞって時に、何で昼メロみたいな話にシフトするかなぁ・・・。
>729
残念ながら、『ご主人様』が喰う傍から精算してくれるので、“立ち喰い師”は成立しません。
パトのあの会話と天本さんの後ろで蕎麦啜る振りした話しか知らんので何とも言えんが。
「しかしなぁ、この世界の蕎麦はどうにもくどくていけねェ。
繋ぎは何を?オリーブ油?それじゃパスタだよ。
蕎麦粉を製麺する時は、なるたけ水だけでやるのが俺は良いと思うんだが、普通は小麦粉入れるよな。
何故?素人にはその方が喰いやすいし、第一打ちやすいだろ。
白と黒の違い?
お前ね、仮にも食い物屋やってて、客が玄人か素人か見分けられなくてどうするんだよ。
まぁ、ここいらで玄人の客なんて俺っくらいのモンだな。他にここまで言って呉れる客なんかいないだろ。
え?いや、見込みが無い奴にはこんなに言わないよ。この親父ならモノになる、そう思えばこそ……
……あ、行くところがあるんでしたね。それじゃごちそーさん!」
「……やかましい客だなあ……」
「人々は融けかけたアスファルトに己が足跡を刻印しつつ歩いていた。
酷く、暑い」
ルイズ「アスファルトって何よ」
ソバって地球のヨーロッパじゃ元は貧民の食い物(ソバ粥、ソバ団子)のような
ハルケギニアではどうだか知らんけど
結構あっちこっちで食べられてはいるな。<蕎麦
ガレットとかそうだし。イタリアでは小麦粉を混ぜてそばきりにしたものを
キャベツと茹でてチーズを乗せてパスタのようにして食べたりしているとかなんとか。
ハルケギニアに入ってきていても不思議ではないと思う。
シエスタ「一週間待って下さい。一週間後に、あなたたちに本当のソバを食べさせてあげます」
>>737 ヨーロッパに限らず日本だってそうだぜ。
いわゆる救荒作物ってヤツだ。
まあ、蕎麦が名物なところは、昔はそれしか食い物がなかったような貧しいところだと相場が決まっているからな。
>>736 ちなみにアスファルトは建築用の接着剤として、わりと古くから使用されてた。
確かエジプトとかアラビアで。ヨーロッパで知らないが。
>>741 ローマ時代なら使っていただろう。
いわゆる、中世ではロストテクノロジーで悪魔の技術扱いだろうが。
>>736 シェイクスピアの一節で返したいところだが、生憎その一節を忘れてしまったんで勘弁な。
自宅でざる蕎麦を食べる時ってさ、おちょこに挙げ玉を入れる?
むしろぶっかけて上に胡瓜と卵とハムと生姜乗せて辛子つけながら食べる
わさびとネギをてんこ盛りにして食うな、ソバはw
揚玉を入れて食うとしたら、むしろうどんだな。
揚玉と刻みねぎ、半熟卵の組み合わせはマジでウメー!!
大根おろしとかき揚げだろ。
大根1/2カットを全部摺り下ろすくらいすり下ろして、そこに原液の桃屋のつゆ投入、
そこをそばとかき揚げでもりもり食べる。
マジ大根おろし神。
冷やし中華は料理などとは呼べぬわ〜云々
出来のいい蕎麦にワサビとネギを付ける鈍感さは許しがたい〜云々
なんのスレなんだここはw
しかし大根おろしは神。
豆腐にかけてつゆの素をかけて食べるのもありだ!
ちくしょう、おまえらのせいで大根おろしにつゆ掛けた揚げ豆腐喰いたくなってきたじゃねぇか。
そして料理人召喚の話になるな
社長の人んとこのシエスタに頑張ってもらえばいいジャナイ
そしてここで、いつも話題に出てくる戦うコックさんが呼ばれるんだな。
料理人ならとらハの耕介をイザベラが召喚する話があったかと
連載中断っぽいけど
アウディの何がそこまで人気なんだ
>>733 戦車と真正面から戦って吹っ飛ばしたり貧乏揺すりで電車破壊出来る奴に
果たしてメイジやワの字如きで倒せるのだろうか
>>742 ヨーロッパでは木造船の防水にタールやら松ヤニやらと同じくらいの頻度で天然アスファルトが使用されていたはずだが。
ハルケギニアじゃどうなんだろ。
ハルケギニアでは、建築に関係する仕事のほとんどは土メイジが担当してるんじゃなかったっけ?
それ考えると、天然アスファルトを使う程度の建築技術すらない気もするけど。
魔法に物言わせた一体構造だったりして
ラ・ロシェール以外ではそう言う描写のされた街ってなかったとおもうけどなぁ。>全部土メイジ
逆に言えばラ・ロシェールが特にそう言う表現をされてたってことは、土メイジの手のかかってない建物もたくさんあるってことじゃない?
アルビオンの木材の話を聞いてると、木の家も結構一般的みたいな感じだし。
そこらの村在住の平民の家まで土メイジがわざわざ作ってるわけじゃないだろうしな。
普通はある程度以上立派な家や大規模建築じゃないとやらんだろう。
ラ・ロシェールは国策で作った町なんだろうな。
地方の村の単純な石造りの建物ー、とかまでメイジの手で作ってるとかはないと思うが……
そこまでメイジがやってるんだったら、ぶっちゃけ、
「平民の存在意義って何?」
な話になっちまう。万事便利な魔法頼りだったら……
ああ、平民が貴族に逆らえず、見下されてる理由にはなるか。
16巻で、宮殿の再建だかに平民の石工が駆り出されてる描写もある。
ただ、メイジがやった方が効率はすげえ良いらしいね。
ちと話が飛ぶが、魔法があるならあるなりに、文明は発展するもんだと思うんだけどなー
SO2のネーデみたいに
どっちかっつーと「6000年」が疑わしくて仕方ないぜ
魔法が便利すぎて、それ以外の分野の発展を邪魔してんだろ?
半万年とプラス千年ニダ。
>>765 発展したあと、実は現在衰退期だという説は無い?
4000年位前はもっと凄いSF的な技術すらあったが、とか。
普通に魔法があるから文明発展阻害されてるんだと思うけどな
きっと今まで発明とかしようとしてきた人たちもコルベールみたいに変人扱いされて終了だったんだろ
>>770 >文明発展阻害
魔法の存在が宗教絡みってのも大きいんじゃない?
魔法をないがしろにするなど、我々に魔法を授けてくださった始祖ブリミルに対する冒涜だ!
みたいな感じで。
発明家は現実でも変人扱いだからな。
魔法をないがしろにしない文明発展をしてもよさそうなもんだ。
マジックアイテムなんて物が存在するなら魔法兵器の研究だってされるだろうし、
兵器から転用で魔法の受像器(テレビ)くらい、有史6000年ならありだと思うけどなぁ。
…うん。ここで言うこっちゃないね。スマヌ
魔法が使える使えないの差で
ほとんど決定的な社会的格差が出来上がってるんだから、
それを覆すような力が発明されそうになると裏の人にアレされちゃうんだろう
16巻で、魔法の研究はブリミル教の慣習だかで制限されてなかったけ?
ブリミル像をより見栄えが良くなるような研究はいいけど、『魔法そのものを研究発達』させるのはダメとか。
…ぅわーお、ユーゼスのレポートって結構危険物だったりするんかしらん?
つか、アンアンの誤解によるエレオノールのが心配だねい
ハルケギニアにおいて地震台風火事親父は怖くないの?
>>776 極上に危険物でしょうね
それこそ「禁書目録」に登録されてもおかしくないくらい
余談ですが「禁書目録」とは16世紀に教会が出版した
「反カトリック的」本の一覧表です
アメリカの一部ではいまだに進化論を学校で教える事が法律で禁止されていますからね
16世紀に宗教の呪縛から逃れえた日本に生まれた事をホント幸せに思うです
ついでに そばつゆに日本酒を入れて蕎麦食うとかなり美味
最後に蕎麦湯飲んだらもう甘露
『魔法の使い方』くらいなら考えても良さそうですよね。
そうでなければミョズがガリアでやっていた研究は全て異端になるでしょうから……『新しい魔法を作る』がアウトなのかな?
>>718 虚無の闇のルイズは黒いってレベルじゃねぇ!
…あれは魔王だ!
コルベール先生の『爆炎』は100%オリジナルだっけ?
そうだったら『新しい魔法を作る』に引っかかってアウト、ってことになっちゃいそうだけど。
でもあの特殊部隊ってアカデミー所属だったような気も…?
まあ、多分後付設定だろうね。魔法の研究禁止は。
アカデミーの存在自体が意味不明になる。
蕎麦の喰い方で物議を醸しちゃいたが、俺に言わせりゃいきなり蒸篭の汁に山葵をぶち込むのは邪道だね。
まず、何もつけずに蕎麦の味と風味を楽しむ。
そして、少しずつ汁を付けたり山葵だけ載せたりしながらそれぞれを楽しむ。
そういう意味で笊蕎麦の海苔なんか邪魔者極まりないんだ。
知ってるか?笊蕎麦と盛り蕎麦じゃ、本来別々の汁を使うんだって。
今じゃ海苔があるのかないのかぐらいしか見分けが付かないが……
「講釈たれてないで、行くわよ!」
へいへい、公爵令嬢様はせっかちでいけネェ。じゃ、ごっつぉさん。
>783
適切に呪文を唱える魔法で無きゃいけない、とかその方向性で規制されたとか。
>>784 そいつぁ東の食い方だな
つゆが薄めの西じゃハナっからどっぷりつけるのが作法ってモンよ
「割り子」にいたっては葱は勿論山葵も大根おろしも蕎麦の器に入ってて
つゆを直接最初のそばの器にいれるのさ
で、最初の器がカラになったらつゆを二番目の器にそのまま落とす
まあ結局はテメェが美味いと思う食い方なら七味入れようがうずらの卵いれようが
構やしねぇんだがね
786 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/10(金) 12:12:32 ID:AeDjbmKy
>>778 地震カリーヌ火事親父
>>779 日本酒って何でも良いの?
銘柄とか濃淡甘辛その他の指定は無し?
>>787 色々食べて(飲んで)みたけど大抵の日本酒ならほぼ美味く合いました
好みってのもあるけどどちらかってと辛め、あるいは淡目が合うみたい
召喚の儀式って、晴れ限定だっけ?
雨が降っていたら駄目なのかなぁ?
>>788 おぉ〜、それはありがたい!
今度そばを食べる時に試してみます
>>779 日本の場合は多神教だったことと宗教の戒律による身分支配が曖昧だったことが幸いした。
多神教の仏教は八百万の神々と融合した。
そこから当時のキリスト教も一柱増えた程度の感覚だったに違いない。
下地が多神教の八百万の神々の高天原&出雲神話の世界観だし、
そもそもそれ自体が融合宗教だから何でも取り込むブラックホール的な特殊性を持ってる。
16世紀のキリスト教排除が歯止めになってないとは言わない。
でも日本の民族的特殊性から耶蘇派の宣教師が施した未開人に対する浸透教化は不可能じゃないかな。
牧畜麦食主体の民族と本質が違いすぎるし。
蛇足だが日本民族が技術取り込みやら応用技術やらが得意なのは融合宗教的民族性だからなんだろうと思う。
駄弁りながら蕎麦食ってて若干伸びたと感じたときに上からちろっと日本酒をかけてやると
味が復活する不思議。
>>791 そのせいか分からないけど、13巻以降のヴィットーリオの行動や思想が理解に苦しむ。
孔雀王や夜叉鴉のキャラが召喚されたらこのへんの食い違いが描かれるかもしれないな。
>>791 ヨーロッパ圏の人間に女神転生シリーズやらせたらどうなるんだろ?
隠しラスボスが唯一神YHVHのFC版2とか
チェーンソーでかみはバラバラになった!とか
>>794 イスラームがメガテンプレイして
「アズラエルくそ使えねぇ!」
って文句いってたって話は聞いたことあるが
俄な文明論・文化論・宗教論って、語った三日後くらいに布団の中でジタバタしたくなるような恥ずかしさを起こさない?
デビルサマナーとソウルハッカーズか>アズラエル
…ソウルハッカーズの方しかプレイしたこと無いけど、義経への合体材料でしかなかったなぁ…
>>797 云ってやるなよw
俺も昔、2ちゃんの学術系の板のスレで書いたレスをあとで思い返して夜中に叫びたくなったことがあるよw
キリスト教とかの一神教批判と日本の特殊性の強調は誰しもが一度は通る道なんだw
イエズス会の適応主義とか当時いっぱいキリシタンがいたとか日本人も廃仏毀釈みたいなアホしたとか。
後々で冷静に考えれば解ることをなんでかスルーしてたって、気づかない方が幸せなこともあるw
女神転生は小説版のしか知らんが。
逃亡中の北明日香召喚。
ルイズに召喚されて色々と冒険活劇。
なんとか素の世界に戻るが、その頃には明日香を求めてた木戸礼子は心を病んでて新宗教団体の教祖になってたという落ち。
15:10から新作を投下しますが、よろしいですか?
はい。出来ればタイトルなどを教えてください。
>>800 クロス先を書いておくとwikiに載せやすいそうですぜ
「雪風とボクとの∞(インフィニティ) ∞1」
トリステイン魔法学院では2年生進級の際にある儀式を行う。サモン・サーバントと呼ばれる使い魔召還の儀式だ。
メイジにとって今後一生のパートナーとして召還されるだけあり、生徒達は全員気合が入っている。「メイジは使い魔で決まる」と言われるトリステインではプライドの高い貴族子弟が意義込むのも当然だ。
そして儀式当日。生徒達が心配していた天候は見事雲1つ無い空という絶好の儀式日和だ。
「まずはミス・タバサ、あなたです」
「……宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ……神聖で美しくそして強力な使い魔よ……私は心より求め訴える……」
タバサが召喚呪文を詠唱すると、風が吹き荒れ土煙を巻き上げていく。
「……我が呼びかけに応えて……」
土煙が治まり召喚された使い魔の姿が現れる。
「ミス・タバサ、成功しましたか」
「………」
煙の先にいたのは眼鏡をかけた少年で、青い上着と灰色のズボンを纏っていた。
「平民だ!」
「雪風のタバサが平民を召喚したぞ!」
タバサが召喚した使い魔の姿を見て騒ぎ出す生徒達だったが、コルベールに遮られて場が静寂を取り戻す。
少年はまだ事態を把握しきれていないようで周囲を眺め回していたが、自分を召喚したタバサの姿を見ると興奮したように接近していった。
「め……」
「……め……何……」
「めがねっ娘で魔女っ娘おーっ!!」
「………!」
少年のあまりの迫力にタバサは涙目になりつつ駆け出していった。
眼鏡……のび太キター!支援
「とにかくあの使い魔はミス・タバサに任せましょう。ミス・ヴァリエール、次はあなたです」
「はい、必ずや私に相応しい使い魔を……!!」
タバサに続いてサモン・サーバントに臨むのは、ルイズ・ヴァリエール。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! 5つの力を司るペンタゴン! 我が運命に従いし使い魔を召喚せよ!!」
爆発。
「悪の魔力よ! ここに集い闇の世界より我が使い魔を呼び出すのだ! アミアス・アミアス・アミディーヌ!!」
爆発。
「ふんぐるい・むぐるうなふ・さあばんと・いせかい・うがふなぐる・ふたぐん! いあ!! いあ!!」
また爆発。
「異なる力と技を背に我は召喚す! 我はルイズヴァリエール! 超常なりし法と理の使い手なり! この世にあらざるものよ! いざ――顕れよ!!」
さらに爆発。
「ピピルマ・ピピルマ・プリリンパ! パパレポ・パパレポ・ドリリンパ! アダルトタッチで使い魔のご主人様になーれ!!」
やっぱり爆発。
「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ! 神聖で美しくそして強力な使い魔よ! 私は心より求め訴えるわ! 我が呼びかけに応えなさい!!」
そして呪文詠唱と共に今までに無い大爆発が発生する。
周囲にいた生徒達をなぎ倒すその爆風は、タバサにも容赦無く迫ってくる。
「タバサ、危ない!!」
前方にいた生徒達が次々吹き飛ばされてマリコルヌが自分に向かって飛来する光景に、タバサは驚愕のあまり硬直してしまった。
「タバサ!!」
近くにいたキュルケが咄嗟にタバサの襟首をつかんで引き寄せ、爆風の進路上から外す事に成功した。
しかしその拍子にタバサがかけていた眼鏡が外れて、地面に落ちてしまったのだ。
「……あ……眼鏡が……」
このままタバサの眼鏡がマリコルヌによって粉砕されてしまうのかと思われたその時!
「めがねが危なーい!!」
タバサが召喚した少年が、眼鏡を回収しようとマリコルヌの前に躍り出たのだ!
「どえー!!」
驚愕の叫びを上げるキュルケ。
懸命に眼鏡に手を伸ばす少年。
「うおおおおおお」
少年とマリコルヌが激突、転がっていく2人に逃げ遅れた生徒達が巻き込まれる。
校舎の壁に激突して炎上した生徒達の中から眼鏡片手に生還した少年。
「な、何!? あいつ何なのよ!?」
少年はタバサの顔に眼鏡を戻すと血まみれの顔に爽やかな笑みを浮かべる。
「大丈夫、めがねは無事だ」
「………」
そんな少年の姿に、タバサはかすかに頬を赤らめたのだった。
「何で!?」
……キュルケの至極当然なツッコミはさておき、これがタバサとその使い魔・南雲三成の運命の出会いとなったのだ。
そして契約の時が来た。
「……我が名はタバサ……5つの力を司るペンタゴン……この者に祝福を与え我の使い魔と為せ……」
契約呪文の詠唱を終えたタバサが眼鏡を外して目を閉じ、そっとキスしようとしたその時……、
「めがねをはずすなあー!!」
「……ひっ……ひいいいいい……」
三成の突然の雄叫びに思わずくずおれるタバサ。
「……はっ」
「……ミ……ミツナリ……」
我に返ったタバサに三成は背中を向けたまま語り始める。
「……どうやらバレてしまったようだな……。実はボクは無類のめがねっ娘フェチなのだ!!」
(……眼鏡フェチ……)
三成のその発言に、タバサの脳内には台上の眼鏡を熱心に描いている三成・恍惚の表情で眼鏡を舐め回している三成・今にも悶絶せんばかりにの様子で素肌の上に置いた眼鏡にハチミツを垂らしている三成……といった光景が浮かび上がった。
「ちがーう!! めがねフェチじゃなくて、めがねをかけてる女性が好きなの!」
タバサの脳内の光景をかき消すかのように手を大きく動かして、三成はタバサの誤解を訂正した。
「特にタバサ、キミのめがね姿は最高だ」
「……そ……そんな……」
思いがけない称賛に、タバサは思わず両手を顔に当ててかすかに頬を赤らめた。
「なのにキスの時にめがねをはずすなんて……。ボクは全てを裏切られたような気持ちだよ!」
「……そ……そんな……」
落胆のあまり立ち木代わりに近くに立っていたマリコルヌの顔面を思い切り殴打した三成の様子に、タバサは慌てて彼を説得しようとする。
「……だって……眼鏡を外さないと……眼鏡と眼鏡がぶつかる……」
両手の掌底を打ち合わせて至極もっともな事を言ったタバサだったが、三成の眼鏡に対する情熱は彼女の予想の遥か斜め上を行っていたのだった。
「そこがいいんだ!!」
「……そこがいいの……」
「チューよりむしろカチッ!!」
「……チューよりむしろカチッ……」
眼鏡と眼鏡が触れ合うは、眼鏡に選ばれし者だけが味わえる甘美な響き。
その音色は極上のワインを注いだグラスの音色にも匹敵すると人は言う……。
眼牙書房「男と女と酒と泪」(平賀才人著)より抜粋
「……ふ……深い……深すぎて届かない……ミツナリ……」
タバサの眼にはうっすらと涙が浮かんでいた。それほどまでにタバサにとって三成の言葉は深かったのだ。
「タバサ……、俺達もう……終わりだな」
去りゆく三成の言葉にタバサは落胆の色を隠せなかった。
炎上した生徒達w
召喚の儀式から数時間後、魔法学院に程近い学生街のお洒落なカフェ。
「おんどりゃー!!」
怒声と共に店内に突撃したルイズは三成にくってかかる。
「ナグモミツナリっ」
「そ、そういうお前はルイズ・ヴァリエール」
「あんたよくもタバサに……私の親友に酷い事しといて、よくものうのうと紅茶すすってられるわね!」
ルイズは左手で三成の胸倉をつかみ、今にも握った右拳を叩き込まんばかりの表情だ。
「違うよ」
ルイズのもの凄い剣幕にも三成は動じず、ルイズの顔を……いやその後方にある何かを真剣な表情で見つめていた。
「ただ紅茶を飲んでいたわけではないよ」
(え? まさか)
ルイズが追った三成の視線の先にあったのは……、
「いらっしゃいませ〜。こちらでお召し上がりですか?」
……と爽やかそのものの笑顔で接客する、眼鏡をかけた店員の女性だった。
「………」
彼女の表情にご満悦な三成の胸倉を、ルイズはさらに激しくねじり上げる。
「この最低男が!」
「そうさボクは最低な男さ!」
そして三成は胸倉をねじられたまま後方に向き直る。
「だからこんな使い魔の事は忘れて、幸せになれと伝えてくれ」
「あんた……」
「……あ……」
丁度その時、三成を探して町を彷徨っていたタバサは、カフェの窓越しに三成と彼の胸倉をつかんでいるルイズの姿を発見した。
「……ルイズ……駄目……」
と慌てて店内に入るタバサだったが……、
「……わふっ……」
その途端タバサの眼鏡が純白に曇り、彼女の視界が閉ざされた。
「はうっ、はううー(はぁと)」
心臓が締めつけられんばかりのタバサのリアクションに、三成は思わず胸をつかみ奇声を上げた。
寒暖の差により眼鏡が曇り、慌て恥らうその乙女の姿。
その可愛さたるや、昔仙人も見とれ雲から落ちたという伝説が残るほどである。
眼牙書房「世界のレンズ伝説」(平賀才人著)より抜粋
>>797、799
そういう書き込みも厨二病と高二病の関係みたいなもんだけどな
カズフサ? 支援
ぱいめが思い出した支援
「……み……見えない……どこ……ミツナリどこ……」
「……ここだよ、タバサ!」
手探りで自分を探すタバサの姿に胸を打たれた三成は、思わずタバサへの呼び声を上げていた。
「……ミツナリ……ミツナリ……」
おぼつかない足取りながら、声がした方向にタバサは確実に前進していく。
「タバサっ!」
しばらくの後、おっかなびっくり手探りで歩くタバサが伸ばした腕を三成が両手でしっかり握ったのだった。
「……捕まえた……私ミツナリを……捕まえた……」
涙を流し三成を見上げるタバサ。
「タバサ……」
安堵の溜め息を吐いたルイズの視線を受けつつ三成は……、
「よし! もう1回やろう!」
……力を込めてタバサの手を握りリプレイを宣言した。
「……え……」
そして14行前に戻る。
「……ミツナリー……」
「タバサ〜(はぁと)」
手探りで三成の居場所を探すタバサと手拍子でタバサを誘導する三成の傍らでは……、
「あの〜、お客様、店内での妙なプレイはちょっと……」
「何で私に言うのよ!」
>>791 でも戦国時代の一向一揆は宗教勢力なんだよね。
いまの日本があるのは信長のおかげだと思うよ。
以上投下終了です。
「キミとボクとの∞」から南雲三成召喚です。
ルイズに召喚されても目がタバサの方にばっかり行くのは目に見えてるので、タバサに召喚させました。
あ、ちょっと目を離していた隙に。
しえん。
なんか人間関係とか召喚の呪文とか色々と突っ込みどころあるけど、それも含めて乙でした。
>>809 …すげー後悔しているところ。
乙
若いっていいなぁ
全っ然ついていけなかったw
乙。
……しかし、てっきり眼鏡っ娘教団のあのお方が召喚されたかと思ってしまったではないか。
>>820 「ときめきに死す」とか「氷室の天地」の人ですねわかります
俺も。
一件メイジだよなあいつら。
>>815 乙。小野寺の絵で読めたw。
MOMOからだと、ぽよとか呼んだらルイズ的には大当たりだよね。
人間だと晴姫とか。
>>818 叫ぶ時には枕とか布団に顔を突っ込むのオススメ
こんばんは。
問題が無いようでしたら10分後に投下させていただきます。
モットファイルズ……誰がそれをそう名付けたのかは分からない。
ジュール・ド・モットの名はそのファイルと共に後世に語り継がれてゆく。
もっとも、今そのファイルに目を通しているマザリーニにとっては、このファイルが後世に語り継がれようとは思いもしなかった。
それは歴史の闇に消え去るものと思っていたからだ。
モット伯の屋敷が襲撃され、彼が命を落とし、館さえ焼け落ちた事件は記憶に新しい。事件の犯人は土くれのフーケと不自然にも早急に断定された。
考えてみればこの事件の概要は過去の土くれのフーケの犯行との類似点が見当たらない。
それなのにどうして誰も疑問に思わないのか。いや違う、彼らにとって事件がそうでなければ都合が悪いのだ。
そう考えれば納得が行く。口封じの為の暗殺と証拠隠滅の為に館を焼き払い、その罪をフーケに被せたのだ。
事件の真犯人はこのファイルに必ず記されているはずだ。
マザリーニは大きく深呼吸をすると決意を新たにそのファイルに向き合う。
「モット……お前の死は無駄にはしない」
執務室に彼の静かな決意が響き渡った。
ジュール・ド・モットは本来清廉潔白な人であった。マザリーニはロマリアで彼と初めて出会った。
年がやや離れていたが何故か気が合い、彼を年の離れた弟のように思い、彼もマザリーニを兄のように慕っていた。
そしてその政務能力を買われ、トリステインに招かれた時も彼の誘いが無ければ断っていたことだろう。
思えばその時から歯車が狂い始めていたのかも知れない。彼がトリステインの政情を目にした時には愕然としてしまった。
政治をつかさどる貴族に蔓延した腐敗した政治の実態、それはマザリーニの理想とする政治とはかけ離れている。
気が付けば彼はモット伯に相談していた。激昂しながらこの国は腐りきっていると彼に怒鳴りつけた時さえあった。
彼に非はないというのにただ黙って頭を下げ、すまないと謝るばかりであった。
清廉潔白であった彼はマザリーニから話を聞くと直ぐに行動に移った。
手始めにと、マザリーニと共に貴族達に風紀粛正の草案を作り上げた。だがそれは握りつぶされてしまったのだ。
不正をしていない貴族達も不正を働く貴族達に丸め込まれその草案に反対してきたのだ。
それだけで終わるならばそれで良かった。話はここで終わらない。
当時モット伯はある貴族の娘と婚約をしていたのだが、それを破棄されてしまったのだ。彼のことを快く思わない貴族の仕業なのは疑いようがない。
二人は涙を流しながら酒を呷った。どうして正しいことが通らないのかと。そこが運命の分岐点であったのかもしれない。
マザリーニはそれならばと現状で打てる最善の手を打って行こうと決意した。
モット伯は、正しいことが通らず、間違っていることが押し通るならと……道を踏み外した。
これって例のお遊び外伝?
その日を境に二人が出会う回数は段々と減っていった。いやむしろモット伯がマザリーニを避けているように思えた。
彼はマザリーニの姿を認めると気まずそうに何処かへと姿を隠して行く。
彼が何をしているのかマザリーニは知ることができないでいた。
それでも時折、計ったかのように、どこそこの貴族の誰が賄賂を送ったというような風説が耳に入るようになったのだ。
その風説でマザリーニは確信した。彼の仕業だと。そしてその風説を信じるに足る証拠として王宮内で信頼できる人物を識別できるようになったのだ。
ここ数年、彼の耳に入るのは彼の悪い風説ばかりだった。
曰く、不当に税を徴収している。曰く、平民の子女を手篭めにしているといった、彼を知るマザリーニからすれば到底信じられない内容のものばかりだ。
耳に入るだけならそれで良かった。マザリーニはその話を信じなければ済んだ話だ。しかしそれが彼に訴えられたらどうであろうか。その訴えを無下に扱ってよいものか。
例えばそれが裕福な貴族であるならば、一度だけであるならばそれはモット伯を陥れるための罠だと言えた。幾人も彼の不正を訴えるのだ。そこに身分はない。平民貴族、貴賤を問わず、皆一様に彼の不正が真実だと告げている。
最早黙認をすることはできなかった。彼を捕らえる為の書類を作成している時にその知らせをマザリーニは聞いた。「嘘だ」そう叫びたかった。モット伯が、彼が殺されたなど信じたくはない。何故ならばかれの弁明をまだ聞いていないのだ。
早々に届けられた彼の死に対する報告書、そして届けられた彼のファイル。
この二つで確信した。モット伯は消されたのだと。誰かは分からない、いや分かる。このファイルに名が載っている誰かの手によって彼は殺されたのだ。アカデミーの報告は間違っていると、マザリーニはそう確信したのだ。
ジュール・ド・モットと言う名の人物を知り、その彼からトリステインに巣食う病巣を示されたが故に導き出された結論。それが間違っていても決して気が付かない。真実よりも導き出された結論の方が彼にとって救いになるからだ。
もしも彼が真実を知ったとしてもこの結論を覆すことは決して無いだろう。
ファイルを受け取ってからのマザリーニの動きは早いものだった。直ぐに兵を集めるとそのファイルに載っている貴族を一人捕らえたのだ。
モット伯の遺志を継ぎ、腐敗した貴族を一掃すべく行動を開始しようとしたのだ。
だがそれも上手くいかない。思わぬ所から横槍が入ったのだ。幾人かの貴族を捕らえた時にその横槍は入ってしまった。
「マザリーニ、その者は国に長く仕えておる。一度の不正ぐらい大目に見ることはできないものか」
それは政治には口を出さぬはずのマリアンヌの言葉。その言葉を無視することなど彼に許されるはずは無い。そして彼は自らの迂闊さを呪った。
モット伯の死で平静を失っていたのか、良く考えて見れば当然の結果である。簡単にそれが上手くいくならば彼は外道に手を染めず済んだではないか。
彼は失意の中日々の激務をこなしていた。この現状を変えられぬ己の無力さを嘆き、憎みながら……。
しかし、そんな日々についに終止符を打つときが来たのだ。それは未熟と思っていた彼女、アンリエッタの言葉であった。
最初は馬鹿なことをしてくれたと思った。何故ならば彼に無断でアルビオンを離れる民の受け入れを決定したのだ。
初めは叱責しようと考えていた。避難民を受け入れればその住居の確保、食糧など多大な出費が免れない。国庫に多大な影響を与えかねないのだ。
だがそのような考えは彼女の言葉を聞いて吹き飛んでしまった。
『民の為』
その言葉が電流の様にマザリーニの体内を駆け巡り、そしてモット伯と語り合った未来のトリステインの姿が脳裏に再生させる。
まさかその言葉が聞けるとは思いもしなかった。
このお方ならばトリステインの未来を任せられるのではないか。ならば彼女をゲルマニアに嫁がせるという政策は誤りではないのかと疑念さえ湧いて出てしまう。
だが彼女はそれを運命だと割り切ってそれを受け入れてしまう。果たして本当に任せていいのだろうか。
思考が堂々巡りを始めた頃、彼はそれを考えるのを止めた。
未来のことを考えるのは良いが、今は目の前の難題を解決するのが先としたのだ。彼はあの場で、勢いの余り『反対する貴族を叩きのめす』と言ってしまった。
だがどうだろうか。果たしてそれは可能なのだろうか。
アンリエッタと別れ一人執務室に篭り、貴族達への通達を作成していく。それ自体に何ら苦労することはない。苦労するのはそれが貴族達への手に渡ってからだ。
マザリーニより通達を受け取った貴族の反応は様々だった。予想道理に顔を真っ赤にして抗議をするもの、ネチネチと嫌味を言うものなどやはり反対してくるものもいた。
それでも彼の通達に賛同、いや賛同したのは戦馬鹿と揶揄されるグラモン家が何も考えていないのか、それはいいことだと声を高くしてその意を表明した。
それに続くかのように渋々受け入れるものも続々現れた。例えばヴァリール家は態々執務室にやってきて延々と愚痴をこぼした後に支援を約束してくれた。
ただ、帰り際の『叱られる』というボヤキが印象的だったのと愚痴の内容が家庭内の話であったのは蛇足でしかない。
こうして書面でその意を表意する者や直接意思を示す者などいたが、マザリーニはその中である共通点に気が付いた。
そう、反対する貴族達の多くは、あの『モットファイルズ』に名が載っているのだ。
これ幸いと安易に動くことは憚られる。以前のようにまた妨害される可能性があるのだ。その妨害を跳ね除けるにはどうしたらよいのか。
彼は彼より強い力に屈服したのだ。ならばその強い力の持ち主、正確には強い力を持って貰わねばならない人物の助けが必要なのだ。
「姫殿下……少しよろしいでしょうか」
Zero ed una bambola ゼロと人形
アルビオン、ニューキャッスル城は激しい喧騒に包まれていた。それはレコン・キスタが攻めに入ったというわけではない。
俗に言う王党派は連戦による連敗でその勢力化を次第に狭めていった。かつて彼等が支配していた領民はレコン・キスタ、貴族派によって支配されることになる。
彼等の戦闘は領民に呼応されて貴族派が攻め入ったと言う訳ではない。今回の革命と貴族派達が呼んでいる内乱は領民にとっても寝耳に水の話だ。
現在の王政に不満がないといえば嘘になる。だが武力蜂起をするほどの物ではない。領民の不満は我慢できる程度の不満であったのだ。
そこに至ってよく分からぬ大儀を掲げた集団が彼等を治める領主を殺し、新たに領主になるというのだ。
事情の分からぬ領民にとってはたまらない話だ。そこで彼らのうち、血気の盛んな若者達が徒党を組み、新たに領主となったレコン・キスタの軍営に向かった。
それは新たに領主になる者達に抗議をする為であった。いや抗議というものとは少し違う。彼等は未だ領民に対して、良くも悪くも何もしていないのだから。
若者達の行ったこと、それは自分達の主張を伝える為で会ったのかも知れない。領民に取って領主が代わるということ事態は比較的どうでも良い。問題なのは彼が如何なる政策を治める領地に施すかだ。
彼等が何を主張したかったのかは分からない。恐らく、現状にさほど不満が無いのに領主を討ち取るとは何事かと事情を聞きたかったのだろうか。
もはやそれを知る術は無い。何故ならば、若者達はその口を開く前に切り殺されたのだから。
この事実は噂となりアルビオン各地へと広まっていく。噂はおひれはひれを付けて広まっていく。
村々から略奪をする、女を姦淫する、男と年寄りは切り殺される……全てのレコン・キスタの支配下になった町や村がその様な噂と同じ被害にあったのではない。
それでも幾つかの町や村の人々が実際に被害に会い、生き証人として未だ戦災の火の粉が降り掛からぬ町に逃げ延びたとしたらどうだろうか。
民衆は全てのレコン・キスタに属する兵がその様な事をすると思い込んでしまったのだ。
さらに悪いことに、情勢は刻々と王党派に不利になっていく。人々の不安は益々増すばかりであった。
壊走する王党派軍と陥落した町から脱する人々が挙って最後の居城へと逃げ込んだのだ。勿論全ての民衆が逃げ出したわけではない。中にはレコン・キスタと通じて商いをする商人や逃げ出さない者もいた。
それでも広大な王城が狭くなるほど避難した者がひしめき合っているのだ。
一体どれほどの人数がいるのだろうか、何千、いや何万人か。これほどの人数をトリステインに運ぶことは可能なのだろうか。それは誰もが思っていることだろう。
敵がこの城に攻め入るまでの時間的猶予はそれほどあるわけではないのだから。
それでも誰もがそれを口にはしない。皆不安なのだ。だからこそそれを口にしない。そこに貴族も王族も平民も関係ない。身分の貴賤を越えて彼等は協力し合っていた。
女子供を先に乗せろ。港ではそんな怒号が響き渡る。貴族の娘だろうか。やけに小奇麗で身なりの整った女性が、恐らく親を失ったであろうみすぼらしい布きれに包まれた赤子をあやしながら船に乗り込む。
鮨詰め状態となったその船ではいかな貴族の子弟とて特別視はされない。それでも彼女は、いや彼女だけではなく、全ての者が誰も不満も愚痴もこぼさない。
ワルドはあの部屋から抜け出し、この城内の様相を歩き回り、見詰めていた。視線の先には民衆を乗せて出港する船……彼は自然と嘲った。
「おい! そんなとこで何をしている!」
彼が独り言を呟こうとする瞬間に見知らぬ男が怒鳴りつけてくる。その出で立ちは貴族ではない、鎧も兜もつけていない。つまり彼も避難してきた民衆の一人ということだ。
ワルドは少し驚いた。平民が貴族を怒鳴りつけられるなど、トリステインでは借金取りに終われるような事がない限りありえない話だ。
その土地柄なのか、それとも時勢がそうさせるのか。ワルドは少し考え始めたが男はそんな事に構うことなく言葉を荒げる。
「そんな所で油を売ってる暇なんてねぇだろ! さっさとこっちに来て手伝え!」
「いや、私は……」
トリステインの使者の……彼はそう言葉を続けたかった。しかしそれは憚れる。
先ほどまで喧騒に包まれていた周囲の状況が静寂に包まれている。それだけならば救いがあった。
目。そう視線だ。周囲の視線が老若男女を問わず一斉にワルドに向けられて突き刺さるのだ。
言い訳など許されない。
「す、すまなかった。今行くよ」
周囲に喧騒が戻った。
一方のルイズはと言えば、アンジェリカの待たされていた部屋にいた。ワルドが部屋から出て行った後、ひたすらアンジェリカに愚痴をこぼしていたのだ。
しばらくの間はアンジェリカの相槌とルイズの愚痴が部屋に響いていた。しかしそれもそう長くは続かない。誰かが部屋をノックするのだ。
無警戒にどうぞと言葉を返すと、失礼しますと言うどこかで聞いたような声と共に扉が開いた。
扉を開けた男の姿に見覚えはあった。何ということはない。ただの衛士だ。その声にルイズが聞き覚えがあるように感じたのは、彼が先導した衛士だからだろうか。
目深く兜を被った衛士の視線を伺うことはできない。ただ淡々とウェールズ殿下が御呼びだと彼女に凛とした声で告げるのだった。
彼を先導に、今度はアンジェリカを連れてウェールズが待っているだろう一室に向かうルイズ。
このアルビオンに来てから彼女は流れ行く川の激流にあえなく流されて行くままだった。ルイズとて己の身を弁えてはいる。
その激流に抗うことも難しく、ましてや止めることは決してできないのだ。ただ知りたい、納得したいだけだ。何故自分はこの激流の真っ只中に投げ出されたのか。
果たしてウェールズはその問いに答えてくれるだろうか。ルイズはそんなことを考えながら歩いていた。
気が付けば目的地たるウェールズの私室と思しき部屋の前に付いていた。
案内をした衛士はチラリとこちらを一瞥するような仕草を見せるが、相変わらずその視線は兜に遮られたままだ。それではいざという時に前が見えないではないか。
ルイズがそのような事を考えているとは露とも知らず、衛士は扉に手をかけ、開けた。
言われるがままに室内に入ったルイズとアンジェリカであったが、奇妙なことにそこには誰もいない?
「誰もいませんね」
「あれ? ウェールズ様はどこ?」
ルイズの疑問への返答をする代わりに衛士は黙ってその兜を脱ぎ去った。
「ええっ!?」
脱ぎ去った兜から流れ落ちる美しい金糸、透き通るような美しい青い目、その姿は間違いなくウェールズその人だった。
「はは、驚かしてしまったね。うん、今回で2回目だね」
「えっと、どうして……」
「この差し迫った状況だ。民を脱出させるためにするべき仕事はいくらでもある。王族に貴族、平民を問わず、皆協力しているんだ。
だからそれを手伝ったのだが……」
「それがどうかしたのですか?」
「いや、皆僕が手伝うと萎縮して効率が落ちてしまうんだ。だから正体がばれない様にこのような格好をしているのだよ」
「そうだったんですか」
ルイズは彼の説明に納得した。少し思うことがあったのだがそれは口にしないでおこうと決めた。
しかし、どうだろうか。折角ルイズが口を閉ざし、余計なことを言わなかったというのに、ルイズと全く同じことを思ったアンジェリカが正直にその感想を述べた。
「変装が趣味なのですか?」
「ブッ!? ちょ、アンジェ、いえ、すみませんウェールズ殿下。ほら、あんたも謝んなさい」
「いや、いいんだよ」
ウェールズはその顔に穏やかな笑みを浮かべながら言葉を続ける。
「それにしてもよく分かったね。趣味とはいかないが、これでも変装に幾分か自信があるんだ。
よく城を抜け出すために衛兵やメイドに扮したものだよ」
「はぁ」
「おっと、君と他愛のない話をするというのも魅力的だが今はそれどころではなかったね」
「そうですね。えーと……」
聞きたいことは多々あった。しかしいざ面と向かうとそれを何と言って切り出せばよいのかわからない。
そんなルイズの心境を察したかのようにウェールズが口を開く。
「それにしてもアンリエッタもやってくれたものだね」
それは良い意味で言っているのかそれともその逆で言っているのか。
「ああ、言いたいことは分かっている。アンリエッタから手紙を回収するように言われているのだろう?」
「ええ、そうです」
「悪いけどそれはできないんだ」
「どうしてですか?」
手紙を渡すことが出来ないと言われてもルイズは驚くことがなかった。それは容易に予想ができた。何せ手紙の内容からして彼女の想像を超えるものだったのだ。この調子ではそんな手紙がないと言われてもやはりそうですかと言葉を紡ぐしかない。
「何、簡単な話だよ。そんなことは僕にも分かっているさ。つまり、その手紙はもう燃やしてしまったと言うことさ。
あの手紙は大切な物だ。同時に火種でもある。それを忘れ形見にしたいアンリエッタには悪いけれども最善の手を尽くさせて貰ったよ。だから手紙は渡せない」
「では姫殿下は私に嘘を尽いていたと言う訳ではないのですね」
「ああ、そうなるね……」
そこでウェールズは違和感を覚えた。ルイズの表情だ。つい先ほどまではどこか諦めて運命に身を任せるような表情をしていたのだ。
それがどうであろうか。彼女の言葉、アンリエッタが嘘を吐いていなかったのかと彼に尋ねるその言葉の雰囲気は、まるでアンリエッタを信じようと自らに言い聞かせているようにも感じられた。
彼女は諦めてはいない。彼女は諦めることなく抗える人間なのだ。
ウェールズは滅び行く国の王子という運命を受け入れている。それでいて尚、自らに出来る最善の行動をしようと勤めている。
彼はアンリエッタがゲルマニアに嫁ぐと聞いても何でもないような顔をしていた。しかしその心は少なからず動揺をしていたのだが、それをルイズには悟らせまいとしていた。
彼は自らの恋が、愛が叶わない事を悟っていた。王族であるが故に理解していた。そして同時に自らに未来がないことも。
悲劇の王子を演じることも出来たであろう。それならば自らの心も慰める事ができる。しかしそのような事をして一体何になるというのだろうか。
未来のない自分の為に何かをしてどうなるものか。残された命を未来ある者、例えばこの国の民であり愛すべきアンリエッタやその友人たるルイズの為に使わなければならないのだ。
短い邂逅の内、交わした言葉はそう多くはない。それでもルイズの言葉の端々からはその感情を察することは出来る。
嘗てアンリエッタと交わした文に彼女のことは書かれていた。年を重ねるごとに会う回数は減っていたがそれでも一番信頼できる親友であると。それらを含めて考えればそれは推察から確信に変わる。
二人に間に何かがおこり、溝が出来ているのだと……だが幸いにもそれは修復が可能なのだ。そうでなければルイズはアンリエッタを信じようなどとは思わないだろう。ましてやこの任務を途中で放り投げていたかもしれない。
立つ鳥後を濁さずとも言うが、死に行く男の御節介が今の彼女たちには必要なのかもしれない。
「少し大事な話をしよう。悪いけれど二人きりで話をしてもいいかな?」
「え? あ、はい。アンジェ、外で待っていなさい」
ウェールズの言うがまま、ルイズはアンジェリカに退室を促した。
アンジェリカもウェールズが信頼の置ける人物であると感じているのか、躊躇なくルイズの言葉に頷くとその部屋から出て行くのだった。
「ありがとう。そうだね、何から話そうか……」
ルイズは黙って彼の言葉を待った。やがてゆっくりとウェールズの口が開いた。
「聞きたいのだけれど、君は……アンリエッタの事が嫌いかい?」
「え? その……」
まさかその様な質問がされるとは思ってもおらず、思わず目を伏せてしまった。
質問の答えとしてはそれで十分であった。
Episodio 38
Una vera figura
真実の姿
Una lettera
親愛なるマザリーニへ
この手紙と書類が君の手に渡る頃には私の命は失われているだろう。いや、命があればこの書類は君の手に渡っていないのかもしれない。
全てが、昔のあの頃が懐かしい。共に理想を語り合った日々、君を兄のように慕った日々。ああ、懐かしいものだ。
一体どうしてしまったのだろう。何がいけなかったのか私には分からない。
人間は坂道を転げ落ちればもう止まれないのだろうか。いや止まれる可能性はあったのだ。ただ私がその機会を逃してしまったに過ぎない。
堕ちる所まで堕ちてしまった私は君に合わせる顔が無い。理想の為ならばそれは許されるのか。
思えばそうやって自らの心を騙し続けたのが始まりだった。
覚えているだろうか。あの失意の日々を。そう、例の草案が握り潰された時の事だ。
私はあれで多くのものを失った。失うものなど無くなっただから行動に移したのだ。
もしこの事を君に相談したならば『馬鹿な事を考えるな』とでも言って止めたことだろう。
我々にとって彼等は確かに悪である。しかし、彼等はこの国の中枢を担っている事を忘れてはいけない。それは良くも悪くもこの国そのものと言える。
彼らの行動は全てが間違っているわけではないのだ。例え腐敗して揺らぎ易い土台とはいえ、この国を支えてはいるのだ。
ここまで言えば分かるだろう。過去に我々がした行為はただ無闇に腐った土台を取り除こうとしていただけに過ぎない。その結果がどうなるものか……考えて欲しい。
軟弱な土台でも立つ事の出来る者がトップに君臨すべきなのか、それとも腐った土台に変わる新しい土台を据えるのか、それともその両方か。
君と議論をしてきた日々が懐かしい。叶うならば君ともう一度……いやそんな事は私には許されないだろうし、君も許さないだろう。
私は腐った土台を元に戻したかった。腐った土台を取り除くことの危険性に気付いたが故に、それを元に戻そうと試みた。
今となれば短絡的な行動であったと己を責める事しか出来ない。君に相談しなかったことも悔やまれる。考えても見ろ、腐った食べ物は決して元には戻らないのだ。
そんな事にさえ気付けない私は彼らと接触した。腐った果実の話を知っているだろう。それに似た話だ。
腐った果実の中に一つだけまともな果実があったとしてもすぐに腐ってしまう。そうだ。それが私だったというだけの話だ。
ある日彼らの酒宴に招かれた私は勧められるがままに酒を飲んでいた。それが彼らの策謀だったのだろうか、それとも私の心の奥に潜む闇が表に出てきただけなのだろうか。
情けない事に酩酊状態に陥っていた私にはそれが分からない。ただ気が付けばその手には金貨がギッシリと詰った。袋を握り締めていたのだ。
そこから先は言わなくても分かるだろう。詳細は噂にもある通りだ。私はただひたすら堕ちて行くだけだった。
もし君が私ならば思い留まる事が出来たはずだと思っているならば、それは私を過大評価している。所詮私はちっぽけな欲望に勝つ事の出来ないありふれた男だったのだ。
そんな私が何故このようなファイルを作成したのか疑問に思っていることだろう。何と言うことはない。未だ心の片隅に残っていた良心を満足させる為のものに過ぎない。
こんな物が贖罪になどなるものか! 私があの娘たちに犯した罪はこんなもので許されるはずがないのだ! 全ては自己満足だ。自己満足に過ぎないのだ!
私はどこまでも自分勝手な男だ。つくづくそう思う。死して尚このような物を君に残すのだから。
連中の嗅覚は鋭い。マザリーニ、私が君にこんな事を言う資格はないのかもしれない。だが言わせて欲しい。
『未来を、トリステインの未来を頼む』
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
嘗ての友人 ジュール・ド・モット
手紙には不自然にも黒く塗りつぶされた箇所がある。言うまでも無く、手紙を書いたモット伯本人がそれをしたのだ。
そこに何が書かれていたのか読み取ることは出来ない。しかしそれでもマザリーニは理解できた。モット伯が何を言わんとしたのか。
きっと彼は謝りたかったのだろう。彼が傷つけた全ての人に。そしてそれを言う資格がないと自らを責めているのだ。
皆の知らない、マザリーニの知っているジュール・ド・モットならばきっとそう書いていたはずだ。
以上で投下終了です。
>>827さん、これは本編です。
きっと一年前のアレのことだと思いますが、あんなものでも覚えていてくださる方がいてうれしく思います。
投下乙です
的外れなコメントしてしまった事をお詫びします
最近よく思うが、中二病を一般向けにかっこよく書くのって難しいね。
中二病患者を書くのは簡単だけどwww
>>805 >パパレポ・パパレポ・ドリリンパ!
ドリリンパ→×
ドリミンパ→○
>>805 ミンキーモモの呪文は
「ピピルマ・ピピルマ・プリリンパ・パパレホ・パパレホ・ドリミンパ」
ですよー。
タッタカルトポッポルンガプピリットパロ?
雪風との人、GJ!
原作は知らないけど、細かいところは無視して楽しめる勢いと三成のキャラの濃さがよかったです
遅ればせながらメガネっ娘フェチの人、乙です。
最初、クロス先が『屈折リーベ』かと思ってしまったのはここだけの秘密w
ゴバゲサ パベパバンバギ ボドダバシ ギデデバギ ゼボ ドダゼザ バゲジョ リント
ニホンゴ デ オk
かゆい
うま
タバサがシルフィード(イルククゥ)以外の者を召喚すると、シルフィードが怒って、西海橋や福岡天神の岩田屋を破壊したあげく、阿蘇の火口に突っ込んでしまいます。
まとめのあれがコンビニに見えたというわけで
「いらっしゃいませファッキンガイズ」
ニコニコ
「おう、なかなかいい品揃えじゃねーか」
非武装地帯DMZにその”コンビニ”はある
「お客様、店内への武器の持込はご遠慮ください 他のお客様の迷惑になります」
「なんだとコルァここは戦場だぞ?」
ぬっ
「いいえ店内です いらっしゃいませファッキンガイズ 店長の川口です」
店の外で鉢合わせになる貴族派と王党派
「て、てめえら貴族派か!」
「王党派めのこのこ出てきやがったな」
石弓やら杖を突きつけあうファッキンガイズ
そして店長に注意され解散
「なんだか最近いやな雰囲気ですねえ」
レジでシエスタがおっぱいを揺らしながら愚痴をこぼす
とそこに店長がどこから仕入れたのか大量の包帯と水の秘薬
”24時間も戦えます”という恐ろしいキャッチコピーの栄養ドリンク
「売り上げが先月よりも多かったのでウハウハですよ」 らんらんらーと喜んでいる店長
「それはなんですか」
「どうもこのまま戦況は変わらないようなので、 秘薬コーナーを充実させませた!!」
「はぁ」
>>849 たしかゲルマニア軍が例のコンビニにつけを溜めすぎて…。ですねわかります。
852 :
ゼロの騎士団:2009/04/10(金) 22:21:25 ID:j6jdINj/
お久しぶりです。ゼロの騎士団を書いている者です。
外伝3後編に、カードダスネタ用に書いたショートストーリーが
予想以上大きくなったので、小ネタで投下させていただきます。
SDガンダムフォースのキャプテンガンダムがジョセフと戦う場面です。
時間は22時30分を予定しております。
よろしくお願いします。
支援
がぁんばれぇ〜〜!!(パクロミの声で)支援
S 支援
D です
支援
857 :
ゼロの騎士団:2009/04/10(金) 22:30:40 ID:j6jdINj/
舞台はクライマックスを迎えようとしていた。
戦艦シャルル・オレルアン
ルイズとキャプテンはガリア王ジョセフと対峙していた。
「ははっ!ガンダールブ、例え私を倒しても、お前ではこの檻を壊す事は出来ないよ!」
ミョズニルトンを倒したが、最後に捨て身で切り札のルイズを閉じ込めてしまった。
戦艦には二人が対峙していた。
「お前は必ず私が倒す!」
ジョセフを前にして、既にボロボロになりながらも、その瞳には闘志を失っていなかった。
「おのれ、ガンダムめ!」
それまで、自分が抱いた事のない怒りをジョセフは浮かべる。
お互い既に満身創痍、ジョセフも魔法を放つ精神力など無かった。
キャプテンに憎悪を込めた拳を打ちつける。
人間の物とは思えないほどの威力がキャプテンを襲う。
しかし、踏み止まりキャプテンはジョセフの顔に拳を叩きつける。
それから、お互いキャッチボールの様な殴り合いが続く。
(ばかな、ありえん……何故コイツは立っていられる)
ジョセフは久方ぶりに理解できないと言う感情にとらわれていた。
自分が爆発させた火石の直撃を受けた筈のキャプテンは、未だに立ったままで居る。
それどころか、キャプテンの拳をかわす事が出来ずにいた。
(俺が苛立っている? このゴーレムもどきに?)
自分は世界を後ろから操る王の筈であった。
しかし、今、目の前のゴーレムもどきと殴り合いをする自分は何と滑稽であろう。
泣きたい、その思いが今日までのジョセフの生きる目的であった。
そして、今それを達成され筈である。
だが、未だに自分はこのゴーレムと殴り合いをしている。
ジョセフは右拳を突き出す。
キャプテンはしゃがんで潜り込み、回転した勢いのついたカウンターを放つ。
身を捻ってかわそうとするが、完全とは言えず右腕に直撃する。
激しいたん身が、右腕が使えない事を伝える。
「痛ぇんだよ!」
睨みつけ、殴りたいと思う一心でジョセフの拳がキャプテンの右腕に当たる。
858 :
ゼロの騎士団:2009/04/10(金) 22:32:21 ID:j6jdINj/
もともと、火石の直撃を受けた右腕はジョセフの腕力でも楽に弾き飛ばす。
(こいつは本当なら、この様になっている筈だ)
ダメージを与える事に、内心で安堵する。
そして、お互いが出した拳が、直接ぶつかりあう。
どちらが優位ともいえず、お互いにはじかれて距離が出来る。
「キャプテン!」
ルイズの叫びが、キャプテンの耳に届く。
(なんでそんなに無茶するの! アンタを直す技術なんか、この世界には無いのよ!)
ルイズには目の前の出来事が理解できなかった。
人間の怪我は、程度はあれハルケギニアでも治療は出来る。
しかし、キャプテンの体を修理する事はコルベールをもってしても不可能であった。
自分の無力さを呪う。既に“爆発”を唱えてしまった為“解呪”も使う事は出来なかった。
ジョセフが火石を爆発する際、キャプテンは自分を盾にして、自分の腕で爆発を抑え込んだ。
キャプテンのソウルドライブの力もあるが、それでも、致命傷を負うのは必然であった。
(なんでそこまでするのよ)
ジョセフはもう魔法を使えない。
シェフィールドを倒した今、他の騎士でもジョセフを捕まえる事は出来る。
なのにキャプテンは、そんな素振りを見せず。ジョセフと殴り合いを続けている。
「もうよい、貴様如きに使いたくは無かったが見せてやろう!」
その言葉と共に、ジョセフの前に鎧が現れる。
「ヨルムンガルドの技術を応用して作った俺専用の鎧、完全悪大将軍だ!」
船の甲板が割れ中から、黒い鎧の様なものがジョセフと封じられたルイズを包む。
それは、5メイル程の機械人形であった。
(まだ、こんな切り札があった何で……)
虚無の魔法が使えない、と思っていただけに。ルイズの落胆は激しいものがあった。
ジョセフはそれに乗ったまま、キャプテンに殴りかかる。
生身のジョセフの攻撃すら当たったキャプテンには避ける事は出来ない。
急に目の前に現れたような錯覚を受け、キャプテンは衝撃で壁に叩きつけられる。
「キャプテン! この世界の人間でもないアンタが何で戦うの!? あなただって無事じゃないの!」
ルイズには、キャプテンを視界に入れるのも辛い。しかし、キャプテンは立ち上がる。
「奴は君やタバサを傷付けた!」
キャプテンが答える
859 :
ゼロの騎士団:2009/04/10(金) 22:33:14 ID:j6jdINj/
それを見て、ルイズは驚く。
初めて会った時、キャプテンはガーゴイルその物であった。
思考はあっても感情が無い。
キャプテンの冷静な判断は何時もルイズを苛立たせた。
喧嘩をしたのは何度あったか分からない。
そのキャプテンが怒っている。自分を傷付けたと言う理由で。
「ルイズ、私は君に感謝している。君は私を信じて、いつもいつも応援してくれた。
そして、私に感情……笑うと言う事、嬉しいと言う事を教えてくれた」
壊れたフェイスガードから、キャプテンの口がのぞく。
初めて見た時、ルイズは変だと思った。
笑う練習で笑った時、むしろ怖いと思った。
キャプテンは笑っていた。
それは、とても自然な笑いであった。
「ルイズ、君は私達が必ず守る。ジョセフを倒し、未来を守る。人間もエルフもすべての生命を守る!」
「キャプテン……」
ルイズはそれしか言葉が出無かった。
「ルイズ、頑張れ……一緒に行くぞ!」
その時、キャプテンの胸部から光が溢れ出す。
何度も見たソウルドライブの光
キャプテンは自分の応援に信じた時、いつも答えてくれた。
フーケと戦った時、ワルドに襲われた時、アルビオンでソウルドライブを奪われ取り返した時。
そして、今初めて自分を応援してくれる。
「輝け……輝いてくれ……」
「自分を信じたまえ、キャプテン!」
下らないいざこざから、いつの間にか親友と呼べる間柄になったギーシュがキャプテンにエールを送る。
「キャプテン、ルイズを連れて帰りなさい! タバサの勇者でしょ!」
何だかんだと言って、いつも一緒に居たキュルケが船を見上げる。
「キャプテン、頑張って!」
「頑張るのね、きゅい!」
シルフィードに乗ったタバサがキャプテンを見つめる。
死を覚悟した自分の前に現れ、エルフ相手に一歩も引かなかったキャプテン。
共にいる中で、人形だった自分よりも、人間らしくなっていくキャプテン。
(あなたは、やっぱり私の勇者)
860 :
ゼロの騎士団:2009/04/10(金) 22:34:25 ID:j6jdINj/
「輝け……輝け……輝け! ソウルドライブ!」
キャプテンの瞳に炎が燈る。
そして、黄金の光が溢れ出す。
「やればできるじゃない……」
キュルケが、何度も見て来た光景を見て安心した声をあげる。
キャプテンを黄金色の光が包む。
「がんばれ、キャプテン」
「頑張りなさい、キャプテンくん」
「頑張ってください、キャプテンさん」
「頑張れ、キャプテン」
マリコルヌ達が、コルベールが、アンリエッタ達やアニエス達がエールを送る。
キャプテンはジョセフ……いや、完全悪大将軍を見る。そして……
「行くぞ! ルイズ!」
「馬鹿め、ヨルムンガルド以上の反射を備えた完全悪大将軍に、お前の攻撃など通用するか!」
(キャプテン……そうね……私達は……負けない!)
ルイズは杖を握った。
今も自分を救うべく戦っているキャプテンの為に
信じると言ってくれたキャプテンの為に
「私達は負けない……アンタ、何かに……絶対に負けない!」
ルイズは唱える。
ウル・スリサ−ズ・アンスール・ケン……。
(キャプテンは私に頑張れって、言ってくれた)
その言葉しか言えなかった自分。
ギョーフー・ニィド・ナウシズ……
(これで、2回目ね)
魔法に失敗していた時、彼は落ち込んだ時はこう言うといい。と言って、その言葉を言ってくれた。
エイワズ・ヤラ……
(使い魔なんだから、ご主人様の事、もっと応援しなさいよ!
……だから……アンタにはもっと応援してもらうんだから……)
これからも、一緒に。
(頑張れ、キャプテン)
ユル・エオー・イース!
ルイズは杖を振り降ろした。
861 :
ゼロの騎士団:2009/04/10(金) 22:36:34 ID:j6jdINj/
ルイズには“爆発”を撃つ事は出来なかった。
(けど、反射は消す事が出来る……後は頼んだわ、キャプテン!)
「なっ、何!」
ルイズが魔法をつけないと思っていただけに、ジョセフは驚く。
その一瞬を後悔した。
そこには、キャプテンが目の前に居る。
「お前に何が分かる、俺の心の闇の何が分かるというのだ?」
「お前に言いたい事がある……誰も理解しようとしないお前に、誰が理解してくれると言うのだ!
……それに、仲間が欲しいのなら、やる事が違うだろ!」
キャプテンの拳が、ジョセフの待とう鎧の中心核を打ち抜く。
ルイズは闇の中に居た。
キャプテンが手を伸ばしてくる。
ルイズは拳を握る。一瞬、キャプテンが自分の手を握ってくれる気がした。
「ガンダムフォース!ガンバレアッタク!」
ルイズは拳を出す。
何かを叩き割る感触が、ルイズの拳に伝わる。
ガラスの破片の様に、ルイズの居た空間が割れ、ルイズの瞳に光が差し込む。
そして、ルイズは見た。
光の中、自分に腕を差し出してくれる自分の使い魔を。
「仲間が欲しいのなら、やる事が違うだろ!」
キャプテンガンダムVS完全悪大将軍 ジョセフ
今、決着の時!
Extra
以上で投下終了です。外伝は明日か明後日までに投下できると思います。
カードダスのネタが無くて太陽に焦がれてを聞いた時、
とっさに書いてしまいました。
乙。
そう言えばSDガンダムフォースのキャプテンって、中の人がティエリアと同じなんだよなぁ。
>>742 ローマはアスファルトじゃなくて、コンクリートを使って建築してたぞ?
>863
しかも現代のコンクリートよりも高性能な代物なんだよなぁ……
乙!
キャプテン=ティエリア
そしてSEEDスターゲイザーのヴェルデバスターのパイロット。
さらに絶望先生の中の人でもある。
嘘だと言ってよ、ブルータス
現代のコンクリートは技術的には出来るけどやらないってだけだよ
868 :
525:2009/04/10(金) 23:47:04 ID:AqtYcbqj
頑丈なコンクリート建造物をつくには、
コンクリートを固めるのにじっくり時間をかけることだっけ。
スピード優先の現代じゃ難しいな。
ベルばらのオスカルが召喚されたら、学園中がオスカルさま信者になって
革命の火種が生まれる気がする。
忘れられたスーパーテクノロジーってのは現代の技術で再現不可能ってのは滅多に無くて
ほとんどは金や時間がかかりすぎて今じゃやれ無いってだけだからな
>>868の名前欄はミスです。
525さんごめんなさい
ひっとらぁ伯父さん召喚して魔法学院右傾化
本当に再現不可能なのはダマスカス鋼だっけ
>>870 大和の46cm砲や砲塔リング無理って話は聞いたことがあるな
今となっては作る必要も無い訳だが…
金の練成ですら理論的には可能だったような
莫大なエネルギーが必要なのとその割りにできる金が極小なんで誰もやらないみたいだが
核融合だっけ
ARMSのジャバウォックは簡単に大量の反物質を精製するのに…
比較的に一番簡単らしい水素からヘリウム作るのもまだ技術的に無理と聞いた
>>875 核融合と核分裂どっちでもできるみたい
核分裂は長い年月と膨大なエネルギー
核融合は技術的に不可能らしい
>>878 d
まぁ核融合自体がまだ夢の技術レベルだしな
核融合反応自体は可能だよ。いわゆる水素爆弾だけど。
水爆って水素に着火して爆発させる爆弾だと思ってたわ
まあ水素爆弾も現在の技術では起爆に核爆弾が必要なんですけどね
>>868 時間+水分少な目にして堅く練った生コンを使うのです
俺の脳裏に鉄筋蒟蒻のビルヂングが浮かんだ
ちなみに一般的な意味での核融合なしでも、サイクロトロンあたりで加速した粒子をぶつけて金を作ったりもできるぜ。
まぁやっぱりコストがかかりすぎるから誰もやらないけど。
?
スレ間違えたかとオモタ
サラリーマンNEOのセクスィー係長召喚は全て丸く収まるな
そんなのよりヨシェナベの作り方考えようぜ
じゃあヨシェナベのレシピだ。
1.シエスタが服を脱ぎます。
>>890 次、2
サイトも脱ぎます
ルイズが帰ってきます
コルベール氏の髪の毛を5万本用意します。
火に油を注ぎます
女性陣が服を脱ぎます。
ヨシェナベの出来上がりです。
残念、それは私のおいなりさんだ
変態仮面を召喚したテファ
追い出そうとするマチルダ
激しい戦いの末、なんとか追い詰めて一安心した時ふと手に柔らかくて暖かい感触が・・・
そしてそっちの方を向いたマチルダが目にしたのは・・・
>>896
魅惑の妖精亭で綾をつけたチェレンヌがどう成敗されるか楽しみだw
和辛子派? ガリ派?
ち、ちかよりたくないのにー!ほわああなまあったかいなりい
でおいなりさん気絶
新作で、いがらしみきお著『忍ペンまん丸』のまん丸召喚を書いてるんだけど
参考のゼロ魔資料がコミック版でもおk?
世界を把握する自信があるならそれでも別に
でも可能なら原作買うと良いぜ
ちゃんと小説版を読んでればね
コミック版もアニメ版も二次創作部分が多少なりともある。それを知ってるのと知らないとじゃ、やっぱ違うからね
世の中にはSSだけ見て書き始める奴もいるが100%クソみたいなのになる
>>901 コミック版はメイジのランクの設定などがえらいことになってるので、図書館なりで小説も読んでおいた方が無難だと思われ。
>>904 アニメ準拠で書いているのもあるしコミック準拠でもいいとは思うんだが
アニメやコミック限定の設定を(そうと知らずに)振り回して欲しくないから原作も読んでねって言ってるだけなんだが
>>873 ダマスカス鋼はバーホーベンとペンドレイがとっくに再現してるぞ。
>>907 ほぼ完璧に近いものではあるけどちょっと違うらしい。
>>861 乙!
ガンダムフォースは再放送で見たけど、久しぶりの王道的ヒーローもので懐かしくて好きだった。
でも最終回は冬コミ三日目の夜で見逃したけどorz
>>874 あんなでかいもんを作る設備が現代にはないそうだ
>>870 クレモネーズワニスとかロシアンカーフとか、と漫画の聞きかじり知識で言ってみる
ロストテクノロジーが失われたのは手間がかかるとか、原材料が無くなったとか、必要がなくなったとか、技術者が居なくなったとか、そんな理由なんでしょうけ……浪漫の香りが漂うんですよね。
こうなると、その失われた技術がハルケギニアで保存されていた、なんてのも面白いかも?
「実際使ってみたら役に立たなかったから」というのもあり
だが、地球では冷たい現実の前に破れた代物が前提条件が違う異世界では絶大な効果を! というのもまた浪漫
江戸時代の奇妙な細工物とかヨーロッパの細密彫刻された陶器とか
作り方わかんなくて確かに再現不可能なのもあるが
これは当時からどうやったのか知られて無い、作ってた連中(というかほぼ個人)しかわからんもんだしなあ
建物一軒くらいの大きさの宝船の中で七福神が自動で演技するからくり人形みたいな異常なものもあったんだよな
う゛、ちょいトンデモ兵器方面に誤解したかも。すまん
ただ、かつては一世を風靡したが状況の変化その他で陳腐化して別のものに置き換えられた代物が
別の世界において往時の姿で蘇るとかその手のシチュは好みです
後、関係ないけど遺失技術の再現は遺跡発掘にも似た浪漫があると思うんだ
能の衣装なんかは室町時代に造られたもんがいまだに現役で使われてるそうだからな
もっともハルケギニアでその手の技術が根付くとしたら
平民がいくら頑張っても報われにくいトリスティンじゃなくてゲルマニアとかだろうが
つまり、失われたオリジナル学天則はハルキゲニアに有るのですね。よくわかりました。
ガクテンソクとか言われるとおきらく忍伝を思い出してしまうな。
>>現実では実現しなかった技術
厳重な固定化を掛けられ、製造当時のままの威容を保つその鋼鉄の塊は、
城一つ分に相当しようかという、数知れぬ歯車とクランクの巨大な集合体だった――。
トリステイン魔法学院の教師である、ジャン・コルベールは、その知識を見込まれて、
タルブの村近郊で発見された、正体不明のその物体の解析を依頼される。
明らかにハルケギニアの技術体系から外れたその物体の解析に、
寝食を惜しんで没頭するコルベール。
あたかも魔性に魅入られたかのようなその執念の果て、
ついに彼は、自らが製作した動力と、機関(エンジン)の接続に成功する。
歯車が回り、クランクが唸りをあげる中、やがてその機関は語り始める。
一つの物語を。
『ディファレンス・エンジン』
つまり、チャールズ・バベッジは、解析機関をハルケギニアで組み上げていたのですね。わかります。
零戦一機であんだけ無双出来る(ガンダ補正もあるが)んだからWWUkド級若しくは超ド級戦艦用意したらまさに浮沈だろうなぁ…
空の上は知らんが
>>918 ルイズにコマンド入力して秘奥義・場苦熱乱舞とか
コルベールがハグルマを泣かせたりするのだな
>>920 まあ、冥王星まで行くのでいっぱいいっぱいの科学レベルから、設計図だけで29万6千光年を踏破する船を建造した例もあるからな。
今回は久々に1000いくかな?
それより空飛ぶ木造戦艦造ろうぜ。
木造爆撃機にしとけ
強いし
学天則というか、現代版は野口英世の坐像バージョンで再現されてる。
動きが滑らかなのはいいんだが学天則のちょっとだけバージョンアップ版てのは勘弁してくれ。
そこで帝都物語ですよ。
>帝都物語
加藤保憲が召喚されるのですか?
記すを憚られる使い魔として将門様が呼ばれるんだな
そんなもん書いたら作者が祟られそうだけど
将門様を使い魔にしようと発想した時点で祟られかねんぞ。
学天測を見てるとなぜかハナ肇を思い出す・・・・・・・
>>931 ソウルハッカーズとアバドン王では、将門公を使い魔(というか仲魔)にできますが。
リアルに将門塚や神田明神に参拝するの前提で。
整備しなくてもいいロボット召喚したらどうなるんだろうか
>>934 それはロボット次第。
藤子系ほのぼのロボとグランゾートやゼファーなど戦争前提のロボで大きく異なる
っつーか整備不要ロボって大抵自我を持ってるか特定の契約者でないと乗れないなどの
シャレにならない縛りがある
原作版帝都物語の目方恵子の顛末に愕然としたんだぜ……
ラピュタのロボット兵なら、かなりメンテフリーじゃね?
メイジの力によって色んな種類の動物が呼び出されてくるんだよね。
メイジの実力が見たかったらまず使い魔をみろ、と。
オスマンに関してはその辺どうなんだろうか。
>>937 呪術系では「真の名」の類を知られるのはそれだけで敗北に等しかったりするから
「GS美神」での「貧乏神を払う方法を知る者は挑戦権を失う」のも
似たようなものでしょう
というか術の類で闘う者は厳密に決められた「ルール」に則るのが大前提
あの場で加藤が「札を言い当てる」ことに挑戦できるのは恐らくただ一度で、外れた場合相応の
ペナルティがあったのでしょう。
その分恵子には偽りを言うことは許されない、というルールが(多分)あり、偽った場合は
恐らく将門公の加護を失うなどのペナルティがあったと思われ
首塚にションベンかけた強者がいたな
>>934 「劉備しなくていいロボット」に見えたw
>>934 >>936 いずれにせよハルケギニアにとってはオーバーテクノロジーもいいところなので、そのロボットを操る人間(あるいはそのロボット自体)がハルケギニアに対してどういうスタンスを取ろうとするかによる。
しかも自己再生能力を持ってるロボットは、大体それに加えてメチャクチャな能力を持ってるコトが多く、作者的に扱いが極めて難しいかも知れない。
パッと思いつくのは∀とかデビルガンダムとかイデオンくらいだが、これらの特殊能力を「適度に発揮」させつつストーリーを破綻させずに進めるとなると、少なくとも俺には無理。
>>939 かって粗製といわれた魔術師は這い上がり、トリスティン屈指の魔術師になった。とか
(ローディー先生風)
コロ助でいいじゃん
リンクス、我々の中じゃローディ先生はスネーク並みの伝説の傭兵だが
アーマードコアはマイナーゲームなんだ
ローディ先生の説明からしないといけないだろ
>>936 リューは整備必要とかじゃなくて腕切られたり装甲破られたらリュープリーストの奇跡で直しきれない
修理しないと回復しきれないって話
奇跡にも限度があると漫画版で言っていた
>>945 そうして、彼は究極の決戦に破れ、次の自分へと託すために。
世界のアーカムシティで機体を回収し力を蓄えていくのである。
……あ、これは肝っ玉(ハーディ)コーディだった。
リューはミストルーンが無いと動けないという事を忘れちゃあいけない。
950超えたし、新スレ作ってくる。
1000だったら人気のあるSSが漫画化! → それが大ヒットしてアニメ化 → 更にハリウッドで実写化! → 作者のノータッチ宣言が行われる
>>952 乙
おマチさんが魔神英雄伝ワタルの龍神丸召喚とか……
2で登場した人間バージョンなら一緒にいても不自然じゃないし、
魔神バージョンはゴーレムとして説明すればいいし
…………でも立場的、人格的に、ハルケの連中とはレベルが違いすぎる……
鋼鉄天使くるみ召喚で
NGワード:Pure
やめて思い出させないで
>956
対七万あたりで堕天するのですね?
1リーグ=1キロメイルは約1キロメートル、1ドットは約2キロ
学院⇔トリスタニア45キロ?
馬で2〜3時間。いい馬で急ぐなら2時間強程度?
そこそこの馬で急ぎすぎなければ3時間弱程度?
直線だと16ドット32キロくらい?
ゲルマニア街道まで斜め3ドット+=4ドット斜めとして11キロ
ゲルマニア街道をトリスタニアまで 斜め10ドットとして28キロ
トリスタニア9ドット3-3-3ドット) 3ドット6キロ
学院⇔ラ・ロシェール 総計274.4キロ=馬で16時間くらい
ゲルマニア街道まで斜め3ドット+=4ドット斜めとして11キロ
ゲルマニア街道をトリスタニアまで 斜め10ドットとして28キロ
トリスタニア9ドット3-3-3ドット) 18キロ
南下街道分岐まで11ドット 22キロ
93×30=97.7ドット=195.4キロ
トリスタニア⇔ラ・ロシェー=223÷17=馬で13時間くらい
トリスタニア9ドット3-3-3ドット) 6キロ
南下街道分岐まで11ドット 22キロ
93×30=97.7ドット=195.4キロ
タルブ⇔ラローシュは5ドット+=14キロくらいか?
学院から289キロならまさに馬で3日くらい。
トリスタニア⇔ガリアとの国境まで82キロ、4.8時間
南下街道34ドット+4ドット+斜め2ドットで国境越え
夜11時学院出発アンリエッタ誘拐
12時頃?グリフィン隊が出発?
深夜の1時を過ぎた頃ルイズ達到着
1時頃? グリフィン隊追いつく?
夜明けが朝4時くらいの時期と仮定すると丁度国境を越えられる=大変な事になる
に符合する事になる。
学院⇔ラグドリアン153キロ÷17=9時間
斜め3ドット+=5ドット斜めとして14キロ
ゲルマニア街道 斜め10ドットとして28キロ
トリスタニア9ドット(3-3-3ドット) 18キロ
南下街道34ドット 68キロ
ラグドリアン街道斜め9として25キロ
夜明けが朝4時くらいの時期に早朝出発と仮定すると、休息を挟みつつ
明るいうちにラグドリアン湖まで充分たどり着ける計算になる。
トリスタニア⇔ヴァリエール城 174キロ÷15=11.7時間。
前日に出て昼前に着くにはちょっときつい距離だが良い馬を使っている
もしくは馬を換えて強行なら問題ない。
学院⇔ヴァリエール城45+174=219÷15=14.6時間(÷6時間で2.43日旅程)
朝9時に学院着、ルイズと押し問答、メイド捕獲、馬車を用意させる、馬を休ませる、
等で10時〜11時に出発、とすると二日強の日程を翌日の深夜までと符合する。
サムネが今まさに地面にもぐろうとしてるモグラに見えた
謎のモンスターに見えてきた
>906
別に、冒頭に「このSSはコミック版準拠です」とか書いとけばよくね?
>960
何か次第に、水の精霊さんのとこが目に見えて名状しがたい何かのイキモノに見えてきたんだぜ。
漫画版は知らないけど、アニメ版はかなりヤバイんじゃなかったっけ?
キュルケとギーシュが先住魔法を使うとか聞いたぞw
スマン、途中で書き込んだ
だから、漫画版の方だけで原作を読まないと、
変なことになってくるかも分からんよ。
クトゥルフに出てくる怪物でいそうな形状ですね
DVD版では先住魔法使ってない
マジか、さすがに不味かったんだな。
しかし、どういう流れで修正されたか気になるなw
>>960 コリブリに見えてしまった俺はもうダメだ
>>970 みんなで楽しくれベリングしていたのに急に出てきた鏡が露骨に我々のコリブリを召喚していく
いやらしい
ちと質問なんだが、
「あの作品のキャラ」ってのはどの辺りまで許されるの?
漫画 小説 ゲームのキャラは今まで見てきた感じ
よほど変な事さえしなければ問題ないみたいだけど。
PBMのキャラなんかの扱いはどうなってるの?
一応、商業作品に登場したキャラ扱いにしても良いのかな
太宰キャラですら存在するこのスレ・・・
小ネタでは「N○Kスペシャル 地球大進化」から巨大隕石まで召喚されているわけだが
ドットメイジ達がどっと笑う。
>>960の地図が
シュヴァルツシルトEXに登場した「アスタロト級特殊艦」に見えるんだが……
実在の人物召還もいいぞ。ユリア・ティモシェンコたんとかな。
>>944 む? ヒゲやデビルガンダムは自己再生できるが、イデオンにはそんな芸はないぞ?
ぶっ壊れても大丈夫なのは予備パーツが山ほど(イデオンを後四体組めるくらいあったらしい)あるからであって。
ちなみにヒゲも「放って置いてもある程度どうにかなる+事実上半永久機関」ではあるが完全メンテフリーとまでは行かない。ムーンレイスの技術者にいじって貰うまでは空飛べなかったしな。
>>978 実在の人物はだめです。
でも、実在の人物を元にした作品から召喚ならOKです。
ただし、自伝はだめです。ノンフィクションも避けたほうがいいかも。
大空の侍から坂井小次郎はNG。(実在の人物の事実記述だから)
無責任艦長タイラーシリーズの大宇宙(おおぞら)のサムライからコジロー・サカイならOK
大岡越前の守はNG。しかしテレビドラマ大岡越前から大岡越前を召喚ならOK
関羽雲長を呼ぶのはNG しかし三国無双の関羽を呼ぶならOK
別に無双とかでなくても、三国志演義の関羽は普通に創作上の人物だろ
>>979 ヒゲが飛べなかったのはスラスターベーンだかなんだか言うヤツに土が詰まってたからではなかったか
……なんか便秘で飛べない筋肉マン、みたいな感じではある
よく諸葛亮公明とか曹操孟徳とか関羽雲長とか見るけど、そういう表記はしないんじゃなかったっけか
字を間違えた孔明だ
待てっ!それは公明の罠だ!! ・・・違和感は無いな
>972
PBMか。参加者のキャラじゃなしにNPCならいんじゃない?
萌侍とかナイトメアランとか。
ダイサク・ファンダメンタリズムですね
創価学会の罠?
メンテフリーのロボットねえブレンみたいな生ものが一番楽だな
癇癪持ちで言う事聞かないルイズブレンか…
>>978 まあティモシェンコたんはわりと最近漫画に出てたんでありっちゃあり
もうちょい待ってれば月面でナチスの残党と地球の命運をかけて戦うはずなんで、今召喚するのは時期尚早だと思うがw
実在人物の話してたら「内閣総理大臣織田信長」読みたくなった……どっかに売ってないかなあ。
オバマはやたらと色んなマンガに出てくるから楽だな
>>989 そうか!学会の罠か!
「学会に復讐するのであーる!
いや、別に恨みなど無いのではあるが」
むう。
今度、学園トライアングルから前崎俊次召喚とか挑戦してみようかしら。
小ネタで。
ルイズが某青い猫型ロボットを召喚したら…
明らかにハルケギニアが無茶苦茶になるから止めよう
既出だと思ったけど、狸型じゃなくて猫型か
1000ならGS美神から小竜姫召喚。
1000なら高虎校長召還
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。