あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part222
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part221
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1237379366/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
乙カレーライスイーツナ缶
__ . -―-、____
ア `ヽ_ _ _
// / (/^ \/ \_______/: ヽ、
. | | / /| ヽ \ 丶ヽ }
. レ|l ∧\_l∧ , |ヽ _│ l l /
∧ :|{/迄rトハ 、j斗泛ト/| l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄フ ./
ノ :|ヽ| 戈ソ ノノ 弋ソ_ 彳 │ | / /
. / リ j/// ' //// / / 八 / /
. / // { r〜‐ '⌒ヽ u/ ∧ ヽ、 ._. / /
/ ./ / \. `ー─ ---' / / ヽ \ / / |\
(_ ヽ〈 ∨>,、_ -r<' / ヾ } ,' / | \
) ハ マ{ xヘ/ ̄/ {\__ } / i: :{ | ヽ
/ ん-ヘ ヽ//⌒ヽ,/ ∨:::::} ノ /. { 丶________.ノ }
/ {::::::::: 〉 ∧ /{. \:::\ { '.: /
/ }:::::/ /:::::\-/:::ヽ \〈  ̄ `ヽ、\__________/
. {/ /::::=-:::Y::::-=ニヘ \ ヽ
/ /::::::::::::::∧ ::::::::::::::\ ヽ } か、髪が跳ねてるだけよ!
酸素の分子表記ってなんだっけ?
>>9 番号 記号 元素名 英語名 名前の由来
8 O 酸素 Oxygen ギリシャ語の「酸っぱい(oxys)+生じる(gennao)」
11 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 00:45:59 ID:iqnHjIXj
>>9 O2と言わせるつもりだろうがその手には乗らんぞ!
5分後から避難所の小ネタを代理投下します。
アキタ・ケンの目の前で、昨日出会ったばかりの、しかし、確かな親しみと敬意を感じていた相手が刺し貫かれた。
彼――ウェールズ・テューダーの国を思う意思が、愛した女を残して逝く意識が、驚愕に見開かれた瞳という奈落に流れ落ちて行く。
魔法衛士隊の隊長にしてルイズの婚約者、そして今や皇太子殺害犯であるワルドが「エア・ニードル」の魔法で凶器と化した杖を引き抜くと、ウェールズの
胸から鮮血が迸った。木の葉が舞うように、彼の身体がゆっくりと傾いでいく。冷たい礼拝堂の白い石畳が熱い血で真っ赤に染まっていった。
その血溜まりの中に、ウェールズは倒れ伏した。ルイズが甲高い悲鳴を上げた。
「き、貴様……『レコン・キスタ』……!」
震えるウェールズの手が、何かを求めるように前へと伸びた。伸ばした先にあるのは彼の杖だ。
杖まで後三十センチ、二十センチ、十センチ。伸ばした指先が杖に届き、だが、それが限界だった。
ごぼ、と喉が血で溢れる音。止まらない。毒々しい程の赤色が、彼の無念と後悔の言葉の代わりのように流れ出て止まらなかった。
亡国の皇子ウェールズ・テューダーの、それが最期だった。
獅子の如くケンが駆け出した。礼拝堂の入り口からワルドのいる地点まで一気に駆け抜けると、そのままの勢いで丸太のように太い右腕を繰り出した。
喰らえば骨が砕けるような、ハンマーの如き一撃。しかし、ワルドの顔面を狙って放たれた一撃は彼の帽子を跳ね飛ばしただけに止まった。
身を屈めて紙一重でケンの剛腕をかわしたワルドは、その二つ名「閃光」に相応しい早さで突きを放つ。
ウェールズを貫いた杖がケンの脇腹を浅く抉った。追撃を避け、ケンがバックステップで距離を取る。ワルドは踏み込んで来ない。この距離なら突きは届かない。
その時、ケンはワルドの口元が嘲りだけではない理由で歪むのを見た。
空気の鎚がケンを強かに打ち据えた。ケンの大柄な身体が軽々と吹っ飛んだ。
先の攻防の間に、ワルドは既に「エア・ハンマー」の詠唱を終えていたのだ。魔法衛士大隊兵は、只のメイジ兵士とは違う。
杖を剣の如く使い、詠唱を素早く行い、如何なる間合いからでも攻撃が可能なのだ。
「メイジを舐めるな。使い魔風情が」
杖を振って血を払い、床に落ちた帽子を被り直してワルドが吐き捨てた。
「……なしてだ、子爵?」
静かな、だが、激しい怒りを声に滲ませながらケンがゆらりと立ち上がった。
蒸気の如く立ち昇る逆鱗の気配は、常人であればそれにあてられただけでその場にへたり込んでしまうほどに苛烈であった。
「月日と、数奇な運命の巡り合わせだ」
拳を震わせる大男に対し、ワルドは冷淡に言い放った。
「そんなことを聞いてるんじゃねえ! なしてだ! なしてオラ達を、ルイズを裏切った!?」
遂にケンが激昂した。ワルドは能面のような表情でそれを見据えている。ケンの心に怒り以外のものが混じり始めたのはこの時だった。
ケンは「ゼロ」と蔑まされ馬鹿にされていたルイズの姿を知っている。
このハルケギニアにおいて、「魔法が使えない貴族」が周囲からどういう扱いを受けるのかを知っている。
彼女が傍から見れば無茶で無謀な意地を張るのも、常に貴族足らんと人一倍気張ってるからだ。今回の密命などその最たるものではないか。
そのルイズが、ワルドと再会した時にはあれ程の喜びを見せたのだ。幼い彼女にとっての彼がどういう存在だったのか、一目でわかるくらいに。
それは恋とも呼べないような淡い想いだったのかもしれない。
大人になって思い返した時に気恥ずかしくなって頬を掻きたくなるような、こそばゆい憧れの気持ちだったのかもしれない。
だが、ケンが知る今のルイズ――意地っ張りで癇癪持ちではあるけれど、誰よりも努力家で誇り高い今の彼女を作り上げた一因が憧れの男性との
美しい思い出であることに変わりはないだろう。どうして、それを汚すような真似をする?
自分自身ではなく、あるかどうかもわからない「才能」や「特別な力」を愛されることがルイズにどれだけ辛い思いをさせるか、何故考えない?
ルイズの口から語られた彼は、優しくて誠実な貴族の鑑のような人物だったというのに。
握りしめたケンの拳。爪が皮を破り、拳の中で血がじんわりと滲んだ。
「聖地を」
と、ワルドは言い掛けて、すぐに口を閉じた。時間にしたら数秒、されどこの場にいる者達にとっては随分と長く感じられる数秒の沈黙を保った後、
ワルドは再び口を開いた。
「祖国を、愛しているからだ」
「……わがらねえ。おめはレコン・キスタなんだろ? レコン・キスタがアルビオンさ攻め落としたら次に狙われるのはトリステインだ。
国を愛してるっつうなら、なしてその国を潰そうとする奴等の仲間なんぞやってんだ?」
「国を喰い潰す害虫のような輩が、あの国には吐いて捨てる程いるからだ!」
心の奥底に厳重に蓋をして閉じ込めていた想いを叩き付けるように、ワルドが叫んだ。
それは、ケンとルイズが初めて見る彼の素顔だったのかもしれない。
優しく紳士然としたワルド。皇太子を殺害した悪鬼ワルド。両極端な彼の二つの顔。
前者がルイズ達に取り入り騙す為の仮面であり、後者が彼の真の姿であると断ずるのは簡単だ。また、話だけ聞けば百人が百人そう判断するであろう。
ワルドが皇太子を殺害した重罪人であり、トリステインの裏切り者であることに間違いは無いのだから。
「私にも国を信じていた頃があった。命とあらば死地に赴くことも厭わなかった。王家の為、国の為。ひたすらにそう信じて戦地を巡った。地位。名声。
領地……。全てが後から付いて来たよ」
だが、そうだとしても。ケンにはワルドが今にも泣き出しそうな顔をしているように見えた。我が身を自嘲するその姿がとても小さく弱々しく見えた。
彼はずっと苦しんでいたのではないか。誰にも言えず、言ったところで誰にも理解などされず、それ故に一人で抱え込むしかない苦しみを抱え続けてきた
のではないか。そんな風に思った。
「だがな、国家の中心に近付けば近付くほど、私はトリステインという国の病巣を目の当たりにすることになったんだ。
旧態にしがみつき、利権をむさぼり、厄介事は誰かがどうにかしてくれるものと考えている愚かな貴族達。
実質上のトリステイン王家家長という立場にありながら、王位に就くことはおろか後継者に範を示すこともせず引き籠ったままのマリアンヌ太后陛下。
その背中を見て育ったアンリエッタ王女は王家を背負う覚悟も能力も無い小娘だ。こんな、国を喰い潰す害虫どもは切り捨てる他ないだろう?」
「もぞごぐでねえ! アネコムシば退治せんと田んぼごと焼き払うようなもんでねえが!」
「貴様は知らないからそう言えるのだ。重税に喘ぐ民草の声を肴にワイングラスを傾ける領主の横顔の醜さを。
忠信から苦言を呈した臣下の首が飛ばされ、他人の手柄を己がものにすることだけに腐心する唾棄すべき輩が取り立てられる宮廷の風潮を」
ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドはトリステインの裏切り者だ。それに間違いは無い。
だが、彼もまた信じたものに、故郷に裏切られ続けてきたのだ。
本人の言葉通り、彼はきっと信じていた。故郷は腐ってなどいないと。故郷の行く末には明るい未来が待っていると。
アキタ・ケンがそう信じて戦い続けてきたように。
「――ホジが欲しいか。ワルド」
ケンは右腕を真っ直ぐ身体の正面に伸ばした。開いた掌に意識を集中し、掌中に神の石「豪石玉」を召喚する。
ホジとは本地。人間の本性、平常心、正気のことだ。それらを失ったものが即ちホジナシである。
ワルドは敢えてホジナシとなったのだ。故郷を愛しているから。それを汚すものが許せないから。
彼がこの選択をとるまでどれ程の苦悩と煩悶を重ねたのかはわからない。だが、その心だけはケンにも痛いほど理解出来た。
濡れ立つような圧倒的な存在感を放つ豪石玉を握り込めば、どこまでも滑らかでひんやりとした感触がある。
その冷たさに同調するように、ケンの思考が澄み渡っていく。そう、自分がやることは一つだ。秋田だろうと。ハルケギニアだろうと。
「ホジねえ貴族達を切り捨てるっつったな。ならオラは、そういうおめの『ホジナシ』そのものを斬る!」
握り締めた豪石玉が急に熱を帯びた。ケンの全身に強い力が流れ込む。閉じたまぶたの裏に舞い散る火の粉のイメージが浮かんだ。
「豪石!」
ケンの身体が眩く光った。礼拝堂の隅まで照らしだすようなその激しい光が止んだ時、そこにいたのは一人の超神であった。
角と牙をあしらった赤い仮面。出刃包丁型の肩当て。怪物の顔のようにも見える胸当て。腰に巻かれたベルト。
全身を包む真っ黒なボディースーツ。秋田の英雄、超神ネイガーがハルケギニアに降臨した。
「やってみるがいいガンダールヴ! 我が名は『閃光』のワルド! 四系統最強の風の使い手! 風の魔法が最強たる所以を教えてやろう!」
応じてワルドが吼えた。杖を構え、呪文の詠唱を開始する。
「ユビキタス・デル・ウィンデ……」
ネイガーが知る風の魔法は四つだ。杖を中心に真空の切っ先を作る近接戦闘魔法「エア・ニードル」。空気の鎚で敵を打ち据える「エア・ハンマー」。
暴風で敵を吹っ飛ばす「ウインド・ブレイク」。そして強力な電撃を放つ「ライトニング・クラウド」。
だが、今ワルドが唱えている呪文はそのどれでも無かった。どんな魔法が来るのかわからない。
警戒心から踏み込むのを止めたネイガーの前で、魔力を帯びた風が巻き上がった。
「!」
その風が止んだ次の瞬間、そこに現れた者達の姿を見て流石のネイガーも驚きを隠せなかった。
ワルドが四人いる。姿形寸分違わぬ四人のワルドが、幻とは思えない確かな存在感を持ってネイガーの前に並び立っていたのだ。
「風のユビキタス、遍在する風。風の吹くところ、何処と無く彷徨い現れ、その距離は意志の力に比例する!」
「分身の術ってやつか」
「ただの分身ではない。 一人一人が意思と力を持った遍在だ。命に従うしか能の無い木偶人形とは訳が違う!」
中央のワルドがウインド・ブレイクを放った。ネイガーがこれを横っ飛びに避けて着地したところに、今度は左端のワルドがエア・カッターを撃ち放つ。
これも後ろに飛んで避けた。礼拝堂の長椅子がずたずたに切り裂かれた。息を吐く間も無く、杖を脇構えにした右端のワルドが地を這うような低姿勢で突進してくる。
エア・ニードルで刺し貫く腹積もりか。
「キリタン・ソード!」
空気を軽く揺らがせ、ネイガーが手の中に左右一対の白刃の剣「キリタンソード」を召喚。エア・ニードルの射程距離なら先程我が身で体験したばかりである。
気を張って向き合えば見切るのは難しくない。ぎりぎりまで引き付けてかわし、キリタンソードを叩き込む算段を固めた。
後方のワルド達が再び魔法を唱え終えるまでにこのワルドを叩き伏せ、彼らの攻撃範囲から離脱することは十分に可能だろう。
まして、ガンダールヴのルーンがキリタンソードを武器として認識し、彼の身体能力を強化しているとあらば。
突きがこちらに届くまで後三歩。まだ遠い。二歩。まだ早い。一歩。後その半分だけ引き付けかわそうとした時、ネイガーの背筋に冷たいものが走った。
彼を突き動かしたのは理屈ではなく戦いの経験と本能だった。ワルドが持つ杖を素早く横から打ち据える。
突き出した杖の軌道を逸らされ、突っ込んできたワルドの身体がバランスを崩して揺らいだ。
はらり、とケデの一部が舞い落ちる。ネイガーが当初の考え通りに動いていればこれが彼の胸を貫いていただろう。不可視の真空の槍、「エア・スピアー」が。
「ぜいッ!」
空間に白い十文字の軌跡が走った。紫電の早さでキリタンソードを叩き込まれ、ワルドは背中から倒れ伏した。
その身体が霞のように揺らぎ、消えて行く。ネイガーは危なかったと胸をなで下ろし掛けて――。
「(……一人足りねえ?)」
ワルドは四人いた筈なのだ。だが、今ネイガーの目に映るのは遠距離から魔法で攻撃してきた二人のワルドのみ。
一人足りない。後の一人は何処へ消えたのだ?
疑念がよぎると同時、今度は背後から殺気。振り返れば礼拝堂の入り口近く、その一人が今まさに呪文の詠唱を終えようとしていた。
風の遍在は風が吹くところ自在に現れる。ワルドは一度偏在を消し、礼拝堂の入り口付近に再び呼び出すという芸当をやってのけていた。
ネイガーは自らの肌が締まり周囲の空気が収縮していくような感覚を覚え、その魔法が何であるかを直感で悟った。ライトニング・クラウドだ。
今から走って叩き伏せるには距離が開き過ぎている。かといって魔法を撃たせた後で避けるのは殆ど不可能だ。
そんなら!
ネイガーはキリタンソードを手放し、異空間へと仕舞い込んだ。それと入れ替わりに右手にハタハタ型の銃「ブリコガン」を呼び寄せる。
武器の送還、武器の召喚、そして照準。一連の動作を一瞬で終えると、ネイガーはブリコガンの引き金に指を掛け、引き、叫んだ。
「男鹿ブリコショット!」
ブリコガンが吼えた。怒涛の勢いで吐き出された弾丸の全てが、吸い込まれるようにワルドに直撃。
そして、爆発。その身体が吹っ飛び、先と同じように霞と消えて行った。
「後はおめだちだけだ。年貢の納め時って奴だど」
ネイガーはブリコガンの銃口を残ったワルド達に差し向けた。ワルド達はそれを見て薄く笑う。
「何がおかしい?」
「いや、農民がそれを言うのかと思ってね。職業柄そういうのは貴様の方が得意なんじゃないか?」
「ふずくるでねえ。おめの遍在は後一体だけでねが」
「ああ。私は貴様の実力を過小評価していたようだな。これ程までとは思わなかった。流石はガンダールヴ。伝説に違わぬ鬼神の如き強さだ。
こうも容易く私の遍在を倒してくれるとはね。……だが、貴様は一つ勘違いをしている」
「何だ?」
「遍在は後二体だ」
ネイガーがその言葉の意味を理解する早く。空を裂いたと思われるほどの轟音と共に落ちてきた雷が、彼の全身を貫いた。
ライトニング・クラウド。四体目の遍在。頭の中で二つの言葉がぐるぐると回る。腕の、足の感覚が遠くなっていく。
取り落としたブリコガンが地に落ちてガランという音を立て、転がった。その音が聞こえる方向が出鱈目だ。
電撃で全身を焼かれた筈なのに、身体はひたすらに寒さを訴えていた。全身に力が入らない。
――風の魔法が最強だっつうのはバシじゃねがっだっでごどが。
そして。ネイガーは糸の切れた人形のように倒れ伏した。誰に詫びるわけでもないのに、背を丸めながら。
倒れる直前仰ぎ見た先、礼拝堂を飾るシャンデリアの上に、ネイガーは四体目の遍在の姿を見た。
一切瞬きをしないように出来ており、それ故にまだ開いているそのまなぐで。その映像を情報として理解するのにはしばらく時間が掛かったが。
「……やはり年貢を納めるのは農民の仕事だったな」
帽子を目深に被り直しながらワルドが呟いた。
突如、彼の傍にある長椅子が弾け飛び、辺りに細かい木片を散らせた。
ワルドは眉一つ動かさなかった。ゆっくりと振り向く。その視線の先にいるのは、かつて彼が求めた少女。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが、決意の表情で杖を握っていた。
わかりにくいと思われる方言の解説
・もぞごぐでねえ→寝言をほざくな。
・アネコムシ→カメムシ。
・ケデ→藁で出来たナモミハギの装束。
・ふずくる→ふざける。
・バシでねえ→嘘じゃない。
以上、代理投下終了です。
ネイガーはどうもネタっぽい要素が多いけど実は普通にヒーローしてたりするんですよね
そしてこれはいいワルド
乙。
ちくしょう、カッコイイw
ネイガーの人と代理の人乙
ネイガーは前回と同じ人…ですよね?
秋田県民として、半日過ぎていようと乙と言わざるをえない!
秋田県民じゃないけど乙を言わせて貰うよ!
この投下をしたのは誰だぁ!!!
だが乙してやらん事もない
ソウルイーターのキャラが召喚される小ネタとかないか?
特にエクスカリバー
頼むからちゃんとsageてくれ
ソウルイーターの小ネタは記憶に無いけど、
見逃し等があるだろうから、wikiや過去ログを探してみると良いよ
ちゃんとsageてね〜
要は半角で「sage」してくれってことね。
>>22
避難所でリンクの人が代理を頼んでます。
私がやりたいですが、携帯なので。
? どこで? 見あたらないんだが。
代理投下依頼スレの最初のほう、21日に投下されてそのままにされてるものです。
28 :
ゼロの伝説代理:2009/03/25(水) 18:29:33 ID:RYQU7awq
**おおっと**
これは気づかなかった。
では3分後に代理投下開始します。
代理は初めてなので不手際があるかもですが、広い心でお見逃し下さい。
ワルドも書き手によっていろいろ違う味を出せるキャラだなぁ支援
30 :
ゼロの伝説代理:2009/03/25(水) 18:41:22 ID:RYQU7awq
ギーシュが更に薔薇の杖を振り、七体ものワルキューレが現れ、俺を取り囲んだ。
流石にこれは厄介だ。
これら青銅騎士がただのからくり人形だとすれば、学習機能が無いので、先程と同じように飛びかかってくるのをハンマーの振り回しで粉砕出来る。
しかし今回の場合、指揮しているのは人間。操作の精度は判らないが、身を低くして斬り込ませるくらいのことは出来るだろう。
頭上で振り回せば低い攻撃、回転しながら振り回せば飛びかかられる。
剣では斬れる気がしない。相手の動きが結構速いから爆弾は当てられないだろう。どうしたものか。
「ふっ、迂闊に攻撃出来ないみたいだな」
「ちっ……」
「来ないのならこちらから行くぞ!」
ギーシュが薔薇を振り、七体の内の剣を持った前方の三体が身を低くして斬りかかり、残る空手の後方の四体が飛びかかってきた。
囲まれている為、逃げられない!
斬りかかる剣は盾で防いだ。しかし、後ろのワルキューレまでは防げない。背中を幾度も殴られ、ダメージが蓄積する。何度目かに、蹴り飛ばされた。
蹴り飛ばされて倒れ込んだ俺の周りをワルキューレ達が再度包囲する。
「どうした、もう終わりかな?」
「まだだ……っ!」
気合いで立ち上がる。体の節々に痛みが走る。これ以上は、この決闘後も体に支障を来すだろう。
あの技が……効くかは判らないが……試してみる価値はある。
背負っていた剣――あの退魔剣は時の神殿跡地に安置したため、これはただの鋼の剣だ――を抜き、横に構え、精神を集中させ、息を整える。四方八方より来る者全てを薙ぎ払う剣技!
「ワルキューレ、一気にやってしまえ」
ギーシュが杖を振ると共に、ワルキューレ達が一斉に、その手に持つ剣で突いてくる。そして、それらが手に持つ剣で刺し貫かれる数瞬前!
「てやああああっ!!」
“回転斬り”!
剣を伸ばし切ったまま回転し、外側に向かう剣の遠心力を利用し、敵を斬りつけると言うよりも弾き飛ばす剣技。
この剣が鋼だったためか、ワルキューレ達は大きく弾き飛ばされ……漏れなく星々になってしまった。
この時、金属疲労によってか、剣は折れてしまった。
しかし、青銅で出来たワルキューレが、鋼の剣で、回転斬りとは言えあそこまで吹っ飛ぶだろうか。
「……何故、俺は右手で剣を持ってるんだ」
右利きの人間は、左手の方こそ力があると聞く。左利きの俺の場合は逆なのだろう。そのおかげで数倍もの威力が生まれたようだ。
ワルキューレを空の彼方まで飛ばされたギーシュは、ただただ唖然としていたが、次の瞬間に余裕そうな顔に戻った。
「ふ……ふっ。平民にしてはやるようだな。だが!」
ギーシュは新たな薔薇の造花を懐から取り出し、花びらを散らせた。それらが地に着くと、再びワルキューレ達が姿を現した。代わりにギーシュの顔色は少し悪くなった。
「この杖がある限り、ワルキューレは無尽蔵に創り出せる!」
しかし、それが虚勢に見える。「無尽蔵」の辺りが疑わしい。
ん、待てよ。杖がある限り……?
「杖が無かったらどうなるんだ」
「創り出せないどころか、操ることも出来ないが、そこからは奪い取れるというのかね!」
「ならば、奪い取ってみせよう」
巾着袋から取り出した物で、ギーシュの薔薇の杖を狙い、投擲した。
31 :
ゼロの伝説代理:2009/03/25(水) 18:42:05 ID:RYQU7awq
あ、ありのまま、今起こったことを話すわ!
『私の使い魔が腰に提げた袋から何かを取り出したと思ったら、彼の左手から竜巻が飛び出してギーシュの杖をかすめ取り、使い魔の手に戻った』
な……何を言っているのか解らないかも知れないけれど、私にも解らなかった。
頭がどうにかなりそうだった……。
マジックアイテムだとか、四次元巾着袋だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない!
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったわ……。
「な、なななな……」
謎の竜巻に杖を奪い取られたギーシュは、ワルキューレを操作することも出来ず、ただただ驚愕するばかりだった。
「……ただの薔薇の造花のようにしか見えないな。本当に杖か、これ?」
私の使い魔はと言うと、奪い取った薔薇の造花をあちこちから眺めている。
「そんな……魔法が使えないというのは嘘だったのかい!?」
「? 何を言ってるんだ。俺はただ……」
ギーシュや、私含む観衆の疑問に答えようとした使い魔は、何かを思い付いたような顔をすると、言い直した。
「そうだな、嘘だと言うことになる。今、俺が使って見せたのは、竜巻を自在に操る魔法だ」
観衆が騒ぎ出す。ギーシュは信じられないと言った顔をし、次に浮かんだのは恐怖だった。
「先程の質問にも答えよう。あの鉄球を何処から取り出したかと訊いたな?
鉄球に限らず、あらゆる物を別の場所に仕舞っておけるし、いつでも取り出すことが出来る。俺はそういう魔法を使っている」
そんな魔法だったなんて!
て言うか、あいつ、魔法使えたんじゃないの!
「そ、そんな魔法、聞いたことないぞ!」
「そうだろう、俺にしか使えないからな。……さて、先刻はよくも痛めつけてくれたな?」
使い魔が一歩出ると、ギーシュはハッとし、一歩後退り、喚いた。
「ま、待て、待て待て! 君の勝ちだ! 決闘では杖を取られたり落とされたりしたら負けなんだ!」
「む……」
彼が私を見る。私は「その通りだ」と言う意味で頷いた。
「ならば、勝者である俺の言うことを聞いてくれないか」
ギーシュはビクッと肩を震わせたが、潔く肯いた。
「何でも聞こう」
満足そうな顔で、使い魔は言った。
「お前に名誉を傷付けられた女性二人に謝って来い」
32 :
ゼロの伝説代理:2009/03/25(水) 18:43:09 ID:RYQU7awq
その後、ケティとモンモランシーの容赦ない暴行を受けているギーシュを見届け、私と使い魔は食堂に戻った。
あのメイドに、彼の無事を報せる為だ。
「良かった……本当に良かった……」
泣きじゃくるなんて大袈裟ね。いや、貴族の怒りを怖れる平民からすれば嬉し泣きも当たり前かも知れない。
「私……えーと……あれ?」
「どうしたの?」
「あのう、今更な気がするのですが……彼のお名前って」
「!」
……えーと。
「…… もういい。どうせ俺の名前なんて二度しかタイトルにならなかったよ!
空気王の遠縁だよ! 夢を見る島だって、ゼルダが一回名前しか出ただけなのに何が『ゼルダの伝説』だちくしょおおおおお!!!」
「あ、ちょっと! 待ちなさい!」
泣きながら走り出す本名不詳の使い魔を私達は追った。彼よりもシエスタの方が圧倒的に速かったため、彼の逃走劇は五秒弱で幕を閉じた。
「取り乱して済まなかった」
取り押さえられてひとまず落ち着いた彼は、とりあえず詫びた。
シエスタは自分が彼――リンクを心配していたことを告げ、仕事が残っているからと厨房へ戻っていった。
「名前について不遇を受けていたことがあったのでな。つい気にしすぎてしまった」
「……許しといてあげるわ。それじゃ、リンク……でいいのよね?」
「ああ」
頷く彼に、私は右手を差し出した。
「これからも、よろしくね。あんな凄い魔法が使えるんだもの。頼りにしてるわよ」
リンクは、あー、などと言いながら何かを考えたようだが、まあいいか、と呟き、手を差し出した。
「よろしくな」
私達は固く握手を交わした。
「……勝ってしまいましたね」
「勝ってしまったのう」
ギーシュがリンクに降参を宣言した頃、トリステイン魔法学院長室。
そこでは、春の使い魔召喚の儀式の監督を務めていたミスタ・コルベール教諭と、学院長であるオールド・オスマンが、鏡のようなものに映し出されたギーシュとリンクの決闘の様子を見ていた。
「詠唱も無しに、竜巻を生み出すとはのう」
「ええ、それにしても、あの剣の回転で銅像が見えなくなるまで吹き飛ばせるとは思えません。やはりあの青年は、伝説のガンダールヴに間違いありませんよ! 早速アカデミーに、」
「まあ、待ちなさい、ミスタ・コルベール。仮に彼が本当にガンダールヴだとしてもじゃ、アカデミーには報告しない方が良かろう。解剖されるなどという噂も強ち嘘ではなさそうじゃからの」
「(そ、それもそうですね。流石はオールド・オスマンでいらっしゃる。)ここに来た時にミス・ロングビルの尻を撫で回していた方とは思えませんが」
「聞こえとるぞ!」
----------------------------
ここまでです。
短い上に自重していませんが、よろしくお願いします。
33 :
ゼロの伝説代理:2009/03/25(水) 18:44:06 ID:RYQU7awq
これにて終了です。
コルベール、建て前と本音が逆www
さすがコルベール!
俺達に出来ないことを(ry
>>33 代理乙です。
私はボムが好きで、ドカーンドカーンと弾数があるかぎりやっていました。
それにしても、名前のネタは……夢を見る島はゼルダ姫まったく関係ないよな。
最近クロス元外の悪ノリしたネタが氾濫してる
ギャグが書きたいんじゃね。
ネイガーかっこいいな!
忘れた頃にやってくるさあう゛ぁんといろいろです。
予約がなければ5分後に投下。
途中で詰まった場合はさるさん喰らってると思うので、どなたか代理をお願いします。
支援です
自己投影のオレジナルを恥ずかしげもなく書けるやつってどういう精神構造してるんだろうな
毒吐きじゃないところで恥ずかしげもなく毒を吐けるやつってどういう精神構造してるんだろうな
沈黙は長かった。
這いつくばったワルドに視線を集中したままルイズ達も悪魔も動かず、ただ時間が流れていく。
キュルケやリリスが、今ならこっそり逃げられないかなと思い始めた矢先、ようやくワルドが立ち上がった。
どうにか精神的再建を果たしたと見えて、顔色は冴えないが目に意志の光が戻ってきている。
「さて、返事を聞いていないので改めて聞こうかルイズ。僕の妻になって欲しい。『はい』か『ウィ』かで答えてくれ」
「『ノン』よ、ワルド。それ以外の答えは残念だけど無いわ」
『召喚の書』経由で電波を受信したか訳の分からない事を言ってくるワルドに、僅かにうんざりした風でルイズが即答した。
今更何を言っているのだ、とその顔にははっきり書いてある。
一方ワルドの方は、にもかかわらず全く気落ちしたようではなかった。
「そうか」
と呟くと大きく頷く。
「ならば仕方がない。君の心を手に入れるという目的は、取りあえず諦めよう」
「当たり前よ!」
ここまでの自分の言動を忘れているのではないかとも思えるワルドの言いように、ルイズが噛み付く。
良くも悪くも普段通りになってきたルイズの様子に、ショウとキュルケの口元がかすかに緩んだ。
取りあえずなのか、と思わず突っ込んだヤンのつぶやきはタバサにさえ無視された。
「だが、僕は欲しい物は諦めないたちでね。今、僕と君たちとの間には絶対的な戦力の差がある。
愛の言葉で君の心が手に入れられないなら力づくで。せめて君の身体だけでも手に入れるまでだっ!」
再び、痛いほどの静寂。
一瞬遅れて自分が何を言ったかに気がついたワルドが慌てて訂正する。
「いや、間違い! 今のは身体じゃなくて身柄の言い間違いだ! その、なんだ。愛してくれなくても側に居てくれるだけでいいとかそう言う事であって」
「ゲス野郎」
「ウジ虫」
「死ね、女の敵」
「生まれてこなければ良かったのに」
無論、ワルドの言い訳など今更聞いて貰える雰囲気ではなかった。
もはやどこぞのセクハラ学院長以下の扱いである。
そして当のルイズは顔を真っ赤にしていた。
羞恥ではない。怒り、それも混じりっけなしの激怒。
声のみならず、固く握った拳も震えている。
「み・・・見損なったわワルド! あなたなんかもう裏切り者どころか貴族ですらないわ! 消えて! 私の前から今すぐ消えてっ! これ以上私の綺麗な思い出を汚さないでっ!」
「ル、ルイズ・・・」
ぐらり、とワルドの体が揺れたかのように見えた。さすがにルイズに罵倒されるのは些か以上に堪えたらしい。
が、次の瞬間にはもう傲然と胸を張っている。
「だがルイズ! 何を言おうとも彼我の戦力差は絶対! 君が僕のものになる事はもはや避けられない運命なのだ!」
「あ、開き直った」
「見苦しいわね」
「・・や、やかましい!」
口ごもったのも一瞬、再びワルドがそっくり返る。
そう、奴らの切り札は既に我が手にあるのだからと。
アンチって自己投影って言葉好きだよな
キャラクターを描く上では避けられないことなのに
「ふん、いいさ。悪魔共にろくに魔法が効かない以上、頼るのは武器のみだろうが、所詮ガンダールヴといえども操るべき武器が無くては真価を発揮出来まいが」
「「?」」
ショウとヤンが視線を交わし、またそれぞれの得物に目を落とす。双方その顔にはワルドが何を言っているのか分からないと書いてあった。
ぽん、とリリスが手を打つ。
「あー、ひょっとして」
「いかにも。これを見ろ! 貴様等が操るべき真なるガンダールヴの大剣は我が手にある!」
杖を腰に戻して代わりにワルドが取り出したのは、果たして鞘に収められた1メイル半ほどの片刃の大剣であった。
「デルフ!? ・・・そう言えばどこへやったんだっけか」
「言われてみればここのところ声を聞いてなかったような気がするなぁ」
「えーと、確かタルブの帰りに布でくるんで馬の鞍に突っ込んでいたんじゃなかった?」
「多分そのまま鞍と一緒に馬小屋の中。でも年を取りにくいし宿代は無料だから結果オーライ」
「揃いも揃ってお前らひどいよっ!?」
いたたまれずにデルフリンガーが叫んだ。人間ならば多分涙目になっている所であろう。
一方ワルドはここぞとばかりに勝ち誇る。
「ふはははは、伝説の剣を粗略に扱うとはな!
かつて初代ガンダールヴが振るったこの剣こそ真なるガンダールヴの武器だと言う事は知っておろうに!
この剣ならば我が障壁をも破ったかも知れぬと言うのに、残念な事だな!」
得意満面のワルド。
しかし、その反応はまったくもって彼の期待していた物とは違っていた。
「そ、そうだったのか・・・?」
「・・・・」
「デルフが・・・ねぇ」
「ないない」
「全くあり得ないとは言えないけれど、もし賭けるならばワルド子爵の妄想である方に賭ける」
半信半疑ですらない。ルイズは可哀想なものを見るような目で無言のまま、キュルケに至ってはぱたぱたと手を振って完全否定だった。
「そーか、そーだったのか。やっぱり俺は凄かったんだね! 相棒たち! 少しは見直したかい!?」
とどめとばかりにデルフリンガーにまでそんな事を言われてはワルドも立つ瀬が無い。
「なんだそれは! そもそもお前が自分で言ってたんだろうが! タルブの村でガキ共相手に!」
「んー、だっけ? 忘れた」
「こ、この・・・・炉に放り込んで溶かしてやろうか・・・・!」
ワルドの手が怒りに震えた。
思わずデルフリンガーを地面に叩き付け、何度も何度も力一杯蹴りつける。
「あっ、痛っ! 痛い、痛いって! やめれ、おねがい、止め、いてっ!」
怒りのままに、転がる剣を足蹴にし続けるワルド。
それを中断させたのはそれ以上の怒りに震えたルイズの声だった。
「いいかげんにしなさいワルド! あなたまだ自分が何をしたか分かっていないのね!
貴族としての義務を裏切った上にそんな破廉恥な事まで言い出して!
その重さに比べたらそんな錆び剣なんてどうだっていいわよ!」
「ひでぇよ娘っ子!」
デルフリンガーの抗議を完全に無視し、ルイズがワルドを睨む。
ワルドの背後に控える悪魔の軍勢が消えたわけではないというのに、ある意味大した度胸ではあった。現実が見えていないとも言えるが、それだけと言う訳でもない。
そしてルイズの叱責に、ついにワルドの自制心が限界を迎えた。
「貴族の義務!? それがどうした! 今の僕はメイジなどと言うちっぽけな存在じゃない! この『召喚の書』によって神にも等しい力を手に入れたんだ!
いや、神なんか天上で僕らを眺めているだけで何もしてはくれない。神が何だ! ブリミルが何をしてくれた! もし本当にこの世に神がいるというのなら、何故僕の母は死ななければならなかったんだ! あんなに願い努力したのに何故君は魔法が使えないんだ?!
僕ならそんな不条理を全て乗り越えてみせる! 天上でふんぞり返っているだけの神なんかクソ喰らえだ! 僕はこの世界で本当の神になってみせる!
それが信じられないというのなら、いいだろう。まずは僕の力を理解させてやる! 行け、悪魔族(デーモン)共! ただしルイズには傷一つ付けるな!」
血走った目でワルドが叫ぶと共に、悪魔達が動く。
まず空のガーゴイルが動いた。ルイズ達の上空を覆い、取り囲んで旋回し、上空を封鎖するように天蓋を形作ろうとしている。リリス曰く「馬鹿力だけの低級な悪魔族」であるが、それでも百を超えるその数は脅威以外の何物でもない。
地上では黒の騎手達が馬首を並べて突撃を開始し、その後に甲冑を身にまとった悪鬼共が徒歩で続く。その数は共に三十近い。
実の所、黒の騎手(ダークライダー)達の力は馬まで含めても後ろに続く悪鬼(フィーンド)どもに遠く及ばない。
だがこの森の中の広場のように、馬の機動力が存分に生かせる開けた地形であれば話は変わってくる。
馬列を揃えた騎兵の一斉突撃。
蹄の音を轟かせ、剣を振りかざし、視界全てを埋め尽くすかのように迫り来る漆黒の騎士たち。
一体ずつ立ち向かってくるのであれば点に過ぎないそれらも、隊伍を組めば2メイルを軽く越える巨大な壁、突撃すれば何者をも打ち砕く鋼鉄の津波となる。
防御力や継戦力に弱点を抱えながらも騎兵が長らく最強の兵種の座を守ってきたのは、この機動力と衝力(攻撃力)あればこそである。
長槍で槍衾を組んでいる場合は例外としても、そうでない歩兵にとって騎兵の一斉突撃は耐える事も逃げる事も出来ない圧倒的な恐怖なのである。
加えてその実際の威力以上に、騎兵の突撃には歩兵の士気をくじく効果がある。
想像してみればいい。
横一列に並んだ乗用車が時速60kmで突っ込んできたらどう見えるだろうか。
全身を甲冑で覆った重装騎兵と乗馬の重量がおおよそ一トン前後。この数字は、標準的な排気量の乗用車の重量に等しいのである。
それが並んで突進してくるとなれば、歩兵、特に今までそれを見た事がない者なら足がすくんでもやむを得まい。
事実、迷宮の中や個人での戦いなら百戦錬磨のリリスやヤン、タバサにしてからがこの突撃には一瞬気を呑まれた。いわんやルイズやキュルケは言うまでもない。
そのままならばルイズ達は馬蹄に掛かり、後続のフィーンド達を待つまでもなく全滅していたかも知れない。
が、ルイズ達の中にもただ一人、実際の戦場を知っている者が居た。
「落ち着いて! 連中は俺が止めますから、リリスさんたちは後続の徒歩の連中に攻撃呪文を! ヤンさんは俺と一緒に前衛、上にも気をつけて!」
言うなりショウは呪文の詠唱を始めた。
その叱咤に、個人差はあれパーティの面々は再起動を果たす。
中でもリリスはショウの詠唱する呪文に軽い驚きを覚えると共に、頼もしさを感じてニヤリと笑った。
なるほど、これならば。
騎兵の威力に付いては既に述べたが、彼らには多くの長所がある反面多くの弱点もある。
養成や維持に金がかかるのもさることながら、防御力が低い彼らは歩兵の槍衾や弓兵隊によって容易にその勢いを止められてしまうし、また城壁は元よりちょっとした柵や塹壕によってもその攻撃は無効化されてしまう。
加えて、騎兵の天敵とすら言える存在が一つあった。ショウ達の世界でも、騎兵がついに花形兵種となり得なかった理由がそこにある。
騎兵を戦場の主役から引きずり落とした存在。
それは火力である。
圧倒的な攻撃力を誇るまでに進歩した火砲の前に、機動力を旨とする以上それを跳ね返すだけの防御力を持てない騎兵という兵種は為す術がなかったのだ。
無論ハルケギニアにも、ホウライやリルガミンにもそこまでの進歩を遂げた砲はない。
だが必要な火力は、呪文という形で彼らに備わっていた。
ハルケギニアとは比較にならないほど強力な攻撃呪文が数多く存在するショウ達の世界において、非常にコストが高いにもかかわらず高位の攻撃呪文一つで容易く全滅しかねない騎兵という兵種は、主力とするにはあまりにもリスクが高かったのである。
そして今、それがハルケギニアの片隅で証明されようとしていた。
ショウの発する韻律とともに周囲に強力な魔力が満ちる。
不吉さを感じさせる一音を最後に詠唱が唱え終えられたその瞬間、黒い騎手達は一人残らず崩れ去った。
隊列を乱して逃走した、と言うのではない。数千年を経たミイラのように風化し、粉になり、風に舞う一陣の塵となったのである。
文字通りの全滅であった。
同時にヤンは口の中に嫌な味が広がり、鼻が悪臭とも刺激臭とも付かないものを捉えたのを感じている。
ちらりと上を見れば、上を封鎖して今にも仕掛けようとしていたガーゴイル達のうち、ショウ達の向かって前方に位置していた三分の一ほどが同様に塵と化し、包囲網に大きな穴が開いていた。
呪文の詠唱で区別などは付かないものの、ヤンはこれと同じ現象を見た事があった。
魔術師系5レベルに属する広範囲殲滅呪文、塵化(マカニト)である。
この呪文は大気中に特殊な毒ガスを生成する。
それを吸い込んだ生物は――たとえそれが異界のそれであろうとも――その毒に耐えきるだけの生命力を持たない場合、即座に死に至り、さらに毒の魔力によって肉体の物質組成を崩壊させ、一陣の塵と化さしめるのである。
対象に直接作用する訳ではなく、あくまでも大気に影響を及ぼす呪文であるから呪文無効化能力の影響も受けない。
呼吸を行わないアンデッドのたぐいや毒に耐えるだけの生命力を持った敵に対しては全く効果を発揮しないが、有効な敵に対してはまさしく防ぎようのない必殺の呪文であった。
ガーゴイル達もその効果範囲に入り、同じように塵と化した。
こうして、黒き騎手達の突撃はショウの呪文一つで文字通り全滅の憂き目を見たのだった。
無論、これで終わりではない。
ショウの呪文は敵の先鋒を防ぎ止めたに過ぎないのである。
動揺に隊列を崩したとは言えまだ五十を超える数のガーゴイルが空に舞っているし、全滅した黒の騎手の後方からは甲冑の悪鬼、フィーンドどもが迫りつつある。
戦いはまだ始まったばかりであった。
ワwwwwルwwwwドwwww支援
人間にしてはやるものよ
ねじくれた角を持つ美麗な青年、アークデーモンが言葉と裏腹にさほど感嘆した風でもなく呟いた。
彼と配下の奈落王(ヘルマスター)たちは突撃に参加せず、戦況を注視している。
その視線の先ではフィーンド達にリリスの猛炎(ラハリト)とルイズ、キュルケ、タバサの魔法がそれぞれ打ち込まれ、十体ほどが倒されていた。
「何を悠長な事を言っている! 貴様らもさっさと行かないか!」
不要だ
「何だと!?」
怒鳴るワルドに冷たい一瞥をくれた後、アークデーモンは視線を戦場に戻した。
事実、戦況は大きく悪魔族の側に傾いている。
残りのガーゴイルをショウの二発目の塵化(マカニト)で屠ったものの、塵化に耐性があり呪文抵抗能力に長けたフィーンド達をリリス達の呪文で止める事は出来ず、残ったフィーンドが素早く展開してショウ達を囲み、乱戦に近い状況になっていた。
板金鎧を着けた重装だというのに、フィーンド達の動きは恐ろしく速かった。もっとも悪魔族の事、甲冑に見えるのは見た目だけで、それが本来の表皮なのかも知れない。
一体一体はショウならば一太刀で、ヤンでも上手く当たればどうにか一太刀で倒せる程度の敵である。
だが力量に差があろうとも、開けた場所で6対20、しかも壁になれる戦士系はそのうち二人という状況では圧倒的不利なのはショウ達のほうであった。
前衛が後衛を守って直接戦闘を行い、後衛は呪文による遠隔攻撃や支援を行う、というのはあくまでも迷宮の中だから成立するセオリーである。
狭い迷宮の中でなければ、数に勝る戦力要素など無い。
包囲され、後衛を直接剣で攻撃されては、もはや陣形や戦術どころの話ではなかった。
現在ショウ達はショウ・ヤン・そしてリリスを三方に配置して敵の直接攻撃を受けとめ、残りの三人を守るというかなり無理のある陣形で戦っている。
司教であるリリスを前に出すなど狂気の沙汰だが、鎧の一つも身につけていないルイズ達ではフィーンドの攻撃を受ければ即死しかねない。
故に壁を務める三人はルイズ達を直接攻撃しようとするフィーンドをなんとしても阻まねばならず、自然その動きは大きく制限されていた。
また呪文無効化能力を持つ敵を相手に呪文はさほど効果が無く、鳳龍の剣は乱戦になってしまっては味方を巻き込まずには使えない(使えるとしてもそう言った技は単体攻撃用である)。
フィーンド達も心得たもので、ショウの正面には最低限の人数しか居ないように陣形を組んでいた。
それ以前にリリスは治療呪文の詠唱で、ショウは前衛職でないリリスの分をカバーするために、それぞれ攻撃呪文を唱えている余裕など無い。
いちどきにけりを付ける事も出来ず、三人の身体にはみるみるうちにダメージが蓄積されていった。
「ふむ・・なるほど、これなら」
そうした戦況を見て取ったワルドは落ち着きを取り戻したようだった。
何を思いついたか、その唇がニヤリと、邪悪な笑みを形作る。
「うぐっ」
「キュルケ!」
フィーンドの剣が、キュルケの脇腹に突き刺さった。
一体のフィーンドが捨て身で突貫してきたのにショウが対応しているうちに、逆側から剣が突き出された。
当然、突貫してきたフィーンドはショウによって斬り捨てられたが、その対価として逆側のフィーンドはキュルケに深手を負わせることに成功したのである。
ブラウスがみるみるうちに赤く染まり、肉体的ダメージに慣れていないキュルケは苦痛に耐えかねて膝を突く。
タバサが振り向こうとするが、その隙を狙ったフィーンドがまたしてもカバーを破って剣を繰り出し、タバサは慌てて身をかがめて回避した。
ヤンが剣で腕を狙ってその攻撃を弾くが、次の瞬間には正面のフィーンドがヤンに剣を振り下ろし、左のフィーンドがまたもやカバーを破ろうと剣を突き込む。
正面の攻撃は鎧に当たるに任せ、中のキュルケ達を狙った左の攻撃は楯を叩き付けて勢いを止める。
先ほどからこのような繰り返しであった。
リリスは呪文を詠唱しながら自分の身体を楯にするのが精一杯で、脇を抜けていく剣までは防ぐ余裕もない。自然、ショウとヤンの負担は重くなる。
ショウはそれでも攻撃を見切って鎧の肩当てで上手く滑らせたり、最小限の動きでいなしていたりしたが、ヤンにはそんな余裕はとても無かった。
『英雄の鎧(アーマー・オブ・ヒーローズ)』を初めとする最高級の防具を装備しているとは言え、こんな戦い方では中身がもつはずもない。
だが引く訳にはいかない。
ヤンは戦士なのだ。
敵を切り裂く剣であると同時に仲間を守る楯なのだ。
彼が出来る事は、仲間を信じて自分の役割をこなす事以外にない。
キュルケの事を思い、噛んだ唇から血が流れた。
(クレバーに、いかなる時もクレバーにだ。俺が冷静さを欠いたら、誰が敵の攻撃を止めるんだ!)
パーティの先輩の教えを思い出し、必死にフィーンド共の剣を止める。
敵の数を減らすのはショウやルイズ達がやってくれる。
キュルケの治療はリリスさんがやってくれる。
だから俺も自分の役割をまっとうしなくてはならない。
そう自分に言い聞かせ、ヤンは剣と、楯と、自らの肉体をもって敵の攻撃を防ぎ止め続ける。
それが勝利に繋がると信じて。
打撃を必死にかわし、また鎖かたびらで受け止めながらリリスは必死に治療呪文を詠唱する。
タバサが手短に唱えた水のルーンで傷は一応ふさがったようだが、まだショック状態から抜けきれずに立ち上がれないでいるキュルケには、最低でももう一度治療呪文を唱える必要がある。
「ぐっ」
フィーンドの剣が胸を叩き、詠唱が途切れる。
さすがに『守護者(ガーディアンズ)』の為の武具と言うべきか、薄手の鎖かたびらは刃を通す事もなく、ダメージの大部分を防いでくれたが、それでも剣のぶつかる衝撃だけは殺しようもない。
リリス自身、先ほどからこうして自分の身体にダメージが蓄積されている事はよく理解している。元よりリリスはエルフの中でも脆弱な方であり、マスターレベルを超えた今でも平均を大きく下回る頑健さしか持っていない。
このままではじり貧だという事を理解はしていたが、それでも今は耐えて凌ぐしか手がなかった。
その視界の端に、自分の右横の空間目がけて突進してくるフィーンドが映る。
キュルケを狙っている、と直感して青くなる。今一撃を受ければ、間違いなくキュルケは死ぬだろう。
リリス自身は動けない。自分の身体で庇おうものなら、その隙間から別のフィーンドが入ってくる。それを防ぎ止めるための身のこなしをリリスは持っていない。
本来ならそれを防ぎ止めるべきショウは三体のフィーンドを同時にさばいており、手が回らない。
それでも肩をぶつけてはじき飛ばそうとしたショウを渾身の体当たりで弾き、フィーンドはそのまま剣をうずくまったキュルケの無防備な背中に突き刺そうと振りかぶる。
「キュルケ!」
タバサが叫ぶなど、かつて無い事ではあった。
戦いの中で戦いを忘れる事も又しかり。
だがタバサの目の前で、フィーンドの剣は止まっていた。
その切っ先が、桃色の髪をかすめている。
ルイズが、覆い被さるようにしてキュルケをかばっていた。
恐らくルイズを絶対に傷つけるなと言う命令が出ているのであろう、フィーンドはぎりぎりの所で剣を止めたのだ。
次の瞬間、鋼の光が一閃しフィーンドの腰が上下に分かたれる。剣を翻したショウの斬撃であった。
上下生き別れとなって地に転がったフィーンドは傷口から細く黒い煙を上げ、僅かの時を置いて黒いもやとなって崩壊し、空気に溶けて消えた。
この時、固く目をつぶっていたルイズがようやくまぶたを開いた。
「ボケッとしてるな桃色頭! さっさと自分の仕事をしろ!」
こわごわと辺りを見回そうとして、ショウから飛んできた叱責にルイズは首をすくめた。
が、それも一瞬。すぐに普段の調子を取り戻しショウに噛み付く。
「何よ! あなたが失敗した分をカバーしてあげたんでしょ! それと桃色頭って呼ぶんじゃないわよ!
・・・そうだ、こいつら私を攻撃できないみたいだし、リリスの代わりに前に立ったら楯にならないかしら!」
「そんな事したらお前がさらわれて終わりだろうが。良いからキュルケさんはリリスさんに任せて、さっさとやる事をやれ!」
フィーンド二体をはじき飛ばして後退させたショウが、苦笑しつつも再びルイズを叱咤する。
ルイズは頬をふくらませたが、こうしている間にもショウ達にダメージが蓄積しているのは確かである。
立ち上がり、呪文を唱えようとして斜め下からの視線に気づく。
苦しい息の中、キュルケが笑みを浮かべて見上げていた。
「助かったわ・・・取りあえず礼は言っておくわね」
「ふん、なんならそのまま寝てなさい! あんたなんか居なくても、こんな程度の奴らはどうって事無いわよ!」
そっぽを向いて呪文を唱え始めたルイズの、その頬がかすかに紅潮している。
「そうはいかないわね。ヴァリエール如きにこのキュルケ・アウグスタが劣る訳がないと、きっちりはっきり証明しなくっちゃ」
キュルケが苦痛に耐えながらも不敵にうそぶく。
その笑みはますます大きく、闘志に満ちあふれたものになっていた。
ショウやヤンが身体を張って内側のルイズ達を守り、リリスは自らも攻撃に晒されながら泥縄式に回復呪文を唱えて自他の負傷を癒す。
それでもパーティ全体としては体力を削られていったが、リリスの呪文がなくばそれももっと早くに破綻していたはずである。
時折、攻撃の際に隙を見せたフィーンドをショウがカウンターで切って落とし、内側のルイズたちは無効化される事を覚悟の上で魔法を集中、ダメージを蓄積させ、フィーンドを一体ずつ駆逐していく。
ルイズを巻き込む事を恐れてか攻撃呪文を使用しないので助かっているが、フィーンド達が呪文を併用して攻撃するか、あるいはアークデーモンやヘルマスター達が投入されれば、恐らくその時点で勝負は決していたはずである。
だがアークデーモンは薄く笑みを浮かべたまま動かず、ワルドも動きを見せない。
疑念と警戒を抱きはしたものの、リリスにも、タバサにも、無論ショウにもその場を凌ぎつつ敵の数を少しずつ減らしていく以外に打つ手はなかった。
もっともリリス達に考えがない訳ではない。
『召喚の書』を介しているとは言えワルドが悪魔族を召喚したのはあくまで呪文、魔法によるもの。
当然、あれだけ大規模な召喚を行えば、膨大な精神力を消費しているはず。
まだ余力を残しているとしても、あれほど大規模な召喚を行う事は少なくともこの戦いの間は不可能であろう。
ならば、凌いで敵の数を減らしていけばまだ逃げるなり戦うなり勝機はある。
いくら無敵の防護壁に守られているとは言え、攻撃手段が無ければワルドも戦えまい。
ショウ達はその一点に賭けてぎりぎりの攻防を繰り広げ続けた。
そのような、肉体と精神を削るような戦いが十数分は続いたであろうか。
ワルドの「退け!」という命令と共にフィーンド達がショウから離れた。
この時、二十体いたフィーンド達は七体にまでその数を減らしている。
対してショウ達は外側の三人が満身創痍、キュルケとタバサは一度ずつ深手を負い治療呪文を受けはしたが全快にはほど遠い。加えてフーケとの戦いからの連戦で体力も精神力もかなり消耗している。
それでも戦意だけはいっこうに衰えていなかった。
包囲が解けたのを奇貨として、リリスが治療呪文を詠唱し始める。
何をする気か知らないが、この間に回復できる限り回復しておこうというのだ。
帰還(ロクトフェイト)の不発もあり、既に切り札の快癒(マディ)は6レベルの使用回数4回のうち3回を消費してしまっている。
時間に余裕があるうちに1レベルの治療呪文、封傷(ディオス)でちまちまとでも回復しておかなくてはならない。
回復量を考えれば5レベルの大治(ディアルマ)が快癒(マディ)に次ぐのだが、封傷(ディオス)の三倍の回復量を持っているだけに、戦闘中の危急の時のためになるべく取っておきたい所である。
そうしたリリスの意図を知ってか知らずか、ワルドは笑みを浮かべ、勿体を付けるかのように悠然と歩み寄ってくる。その後ろにアークデーモン達も続いている。
余裕を見せつけたいのか、実力を見せつけるために準備を整えさせた上で完膚無きまでに叩き潰すつもりか、あるいはその両方か。
どちらにせよ、この場合はワルドのその余裕が付けいる隙だった。
だが二回目の封傷(ディオス)を唱え終えた辺りで、リリスは次の呪文を唱える事も忘れて絶句することになった。
ショウ達と十メイルほどの距離にまで近づいた辺りでワルドが立ち止まる。アークデーモン達も同様だ。
ワルドは杖を腰に戻し、左手に召喚の書を持つのみとなっている。
己が絶対的な優位に立っているという余裕からか、その態度と表情は果てしなく尊大だった。
「さて、ルイズ・・」
「お断りよ!」
みなまで言わせず、ルイズがぴしゃりとワルドの言葉を断ち切る。
だがそれも、ワルドの笑みを深くさせたに過ぎない。
「これを見ても?」
ぱちり、と芝居がかった仕草でワルドが右手の指を鳴らした。
ワルドの背後で再び空間が揺れる。
一つ、三つ、七つ。
キュルケが息を呑んだ。
十、二十、三十。
三度目の封傷(ディオス)を唱えようとしていたリリスが絶句して立ち尽くす。
四十、六十、八十。
愛刀を握るショウの拳が、力を入れる余り真っ白になる。
無意識にであろうか、怯えた表情のルイズがその肩にすがりついた。
召喚による空間の乱れが収まった時、そこには百あまりの影が現れている。
4m近い巨体に山羊の頭、四本の腕を持つレッサーデーモン。先ほど戦ったのは五体。だが、今や赤い巨体が森の広場を埋め尽くしていた。
「・・・信じられない。さっきあんな大量召喚を行っておいてまたこれだけの召喚を行うなんて。人間の精神力じゃ到底不可能だわ」
リリスの言う事は正しい。
どんなに鍛え上げようとも、人間には限界がある。
技や見切り、しぶとさと言ったものはともかく、人間という枠の中にいる以上少なくとも肉体的能力や精神力に関してはどのような超人であれ一定の限界があるはずであった。
リリスの世界ではそれは呪文レベル毎の使用回数の限界という形で現れる。
彼女の世界の呪文は、使用すればそのレベルに応じて脳と精神の特定の領域に負担を掛ける。呪文レベル毎に負担のかかる領域は決まっており、いったん消耗した領域は休息を取らなければ回復する事はない。
その負担を掛けられる回数がいわゆる「MP(マジックポイント)」、呪文使用回数であり、どのような達人であろうとも負担に耐えられるのはレベル毎に9回まで。
人間である以上それを越える事は出来ない。
それが彼らの世界の常識であり、リリスもまた、今の今までそう考えていた。
だからこそワルドの精神力の枯渇を見越し、凌ぎに凌いで勝機を待っていたのである。
無論次元の壁を越えるために必要なエネルギー、イコール召喚者の負担は、召喚する存在の力が巨大であるほど幾何級数的(分かりにくければ召喚するコストが存在の持つ力の自乗に比例するとでも考えればよい)に増加していく。
故にアークデーモンのような高位存在を召喚せず、比較的低級なレッサーデーモンで揃えた今回の召喚は先のそれほどの負担をワルドに強いてはいないだろう。
しかし、繰り返しになるが戦場で最も物を言うのは常に数である。
レッサーデーモンとは言えこれだけの数をまだ召喚できるとなれば、いまや彼らの戦術は根底から覆されたも同然であった。
首を振り、言葉を繰り返す。
「信じられない。あの男、本当に人間・・?」
リリスは勘違いしているが、ワルドの精神力は並外れては居ても決して人の枠を越えるものではない。
だが、実際にワルドが連続で行使できる魔法の数は、スクウェアという事を考慮に入れても並のメイジとは文字通り桁が違う。
若くして魔法衛士隊の隊長の座に着く事が出来たのも、その並外れた精神力と決して無関係ではない。
ハルケギニアの歴史をひもとけば時折このようなメイジが現れることがあり、ワルドもそのような天才の一人だと思われている。
が、それは事実の一面に過ぎない。
正確に言えばそうしたメイジたちは感情を精神力に変換するための「ある資質」を断片的に受け継ぎ、発現させているのである。
加えて、彼らは例外なく心に激しい負の感情を持っており、それを常にくすぶらせ続けている。
例えば憎悪。例えば復讐心。大切な者を失った悲哀。誰かへの嫉妬。侮辱された事に対する怒り。何らかのコンプレックス。報われない恋への懊悩。
それらを心の底で燃やし続ける事により、彼らは精神力という力の糧を得る。
憎み続け、悲しみ続け、怒り続け、殺意を抱き。乗り越えられぬコンプレックスや報われぬ慕情に苦しみ続ける限り、彼らは精神力を消費し続ける事が出来る。心の安らぎや得られたかも知れない何かを犠牲にして。
ワルドとてその例には漏れない。
心の底に常に抱き続けてきた失われた母への慕情と悲哀。力への渇望。腐った貴族社会への憤怒。
そして今や他の全てを圧倒するショウに対する嫉妬。
それらが常にワルドの中に新たな精神力を生み出し続ける。
無論、常人ではそのような激しい感情を常に心にくすぶらせ続ける事などできない。
やろうと思っても心が耐えられない。
自らの安定の為に、心は感情をどこかでセーブし徐々に落ち着かせ、やがて忘れていく。
その自然な心の働きをワルドは持っていなかった。いや、必要としなかった。
それだけの憤怒と渇望と嫉妬に耐えられる、歪んではいるが人並み外れた心の強さを彼は持っていたからだ。
そう言う意味では、彼も間違いなく英雄たる素質を持ち合わせた男であった。
そして今もワルドの嫉妬は新たな精神力を生み出し続けている。
レッサーデーモンの群に怯え、絶望の影すらよぎらせながらも、ショウにすがりついてそれをこらえようとするルイズ。
そのショウに対する嫉妬が、憎しみが、自分の思うままにならないルイズに対する怒りが、荒野に湧き出た水が乾いた大地を潤すかのように、ワルドの心を精神力で満たしていく。
これこそがワルドの尽きせぬ精神力の秘密であった。
ねためばねたむほど、憎めば憎むほど、怒れば怒るほど彼は強くなっていく。負の感情に顔をゆがめるワルドを見て、アークデーモンがよこしまな笑みを浮かべていた。
人の負の感情こそは彼らが喰らう好餌であり、負の感情が強ければ強いほど、別の意味でも彼らにとっては都合がいい。
そしてワルドの視線の先には、今なお怯えショウにすがりつくルイズ。
ぎり、とその奥歯が鳴った。
「・・・・・・・のか」
「え?」
「そんなにそいつがいいのかと聞いているっ!」
今までとは違った激昂を見せるワルドにさらに怯えたか、ルイズが一歩後ろに下がり、半ばショウの影に隠れる。
それでもその肩にすがった手は離さない。
一瞬遅れてワルドが何を言っているのか気づき、その顔が赤く――今度は羞恥で――なった。
「ち、違うわよ! ショウとはそんなんじゃなくて、使い魔! ただの使い魔よっ!」
「だったらどうして君はそんな奴にくっついているんだ! 何故僕を受け入れてくれないんだ!」
絶叫。
そしてまさしく血を吐くかのようなワルドの叫びに、きらりと目を光らせたものが居た。
「決まってるじゃない! ルイズはショウにファーストキスを捧げたからよっ!」
キュルケである。
いつの間にか彼女はルイズの後ろに立ち、ワルドに指を突きつけていた。
その言葉を受けてルイズが吹き出し、ワルドが絶句した。特にワルドはその可能性を完全に失念していたのか、愕然とした表情をしている。
ショウもそう言う言い方をされると流石に気恥ずかしいのか、僅かに頬を赤らめていた。
「な・・ななななっ!」
「ちょ、キュルケ?! 何言ってるのよ!」
動揺の余り意味のある言葉が出ないワルド。
一方ルイズは赤い顔をさらに赤らめてキュルケに反論する。
当のキュルケはいたずらっぽい光を目にきらめかせていた。
「事実でしょ?」
「使い魔召喚の儀式での事なんだからノーカン! ノーカンよ!」
「そ、そうだな! 使い魔召喚の儀式での話ならカウント外に決まっているな!」
「そうよ! ファ、ファーストキスをショウに捧げたなんて事、ある訳無いわ!」
期せずして息をぴったり合わせていることにも気づかず、ルイズとワルドが声を揃えてキュルケの意見を否定する。
そんな二人と、何とも表現しがたい微妙な表情になったショウとを見比べ、キュルケは余裕を崩さずあでやかに微笑む。
「あぁら、私はダーリンに愛情のこもった口づけを捧げたけど? それとも、あなたにとって、ショウはその程度の価値もない存在なのかしら?」
「そ、それは・・!」
思わず口ごもるルイズ。
顔を伏せながらちらちらとショウの様子をうかがう。
視線を飛ばされたショウはどういう反応をしていいかわからず表情を強張らせ、一方ワルドは必死にそれを否定しようとしていた。
「ルイズ! 何をためらう事がある! さっきただの使い魔だって言ったばかりじゃないか!? さぁ、言うんだ、ショウの事なんか何とも思ってないと!」
「あ、あなたには関係ないでしょ!?」
今までで一番鬼気迫る表情のワルドに、顔を引きつらせながらも拒絶を示すルイズ。
「ふふ、男の嫉妬は見苦しいですわよワルド子爵?」
「し、嫉妬じゃない!」
キュルケの言葉を反射的に否定したものの、ワルド自身その言葉を信じてはいないし、誰も信じないだろう。
「やれやれ、しょうがないですわね。ならショウ、この状況を解決しちゃいなさい」
「解決?」
そもそもあなたがこういう状況にしたんだろう、という言外の意を込めてショウがキュルケを見た。その視線に些か白いものが混じっているのは気のせいではあるまい。
支援
「簡単よ。あなたがルイズにキスするの。それでファーストキスについては決着が付くし、ルイズも自分の気持ちに素直になれるし、子爵も諦めが付くでしょ」
「なっ」
「ツェルプストーッ!」
何を言い出すんだ、と言おうとしてショウはルイズの絶叫に言葉を遮られた。
「いきなり何言い出すのよ!」
「そうだ、破廉恥な!」
再び息を合わせ、ルイズとワルドがキュルケに詰め寄る。
案外この二人相性が良いんじゃないかしら、でも子爵の方はどうにも気に喰わないのよね、などと考えつつキュルケは次の一撃を繰り出す。
「あら、ルイズはショウとキスするのが嫌なの?」
「そ、それは、その、そう言う問題じゃなくて」
ルイズが再び顔を赤く染めて口ごもる。
「ほらね?」
「・・・・何が『ほらね?』なんですか?」
満面の、胡散臭さ一杯の笑みを向けられ、ショウは半目でキュルケを睨む。
無論キュルケはショウ程度の白い目など物ともしない。
「女が完全に拒否してるならともかく、ためらっているのは『強引にいけ』ってサインよ? やっちゃいなさい、ほれ、ぶちゅーっと」
「できますかっ!」
思わず声を荒げるショウに、実に意外という表情を作ったキュルケが首を傾げる。
「あら、ルイズの事が嫌いなの?」
「そう言う問題じゃありませんっ!」
顔を真っ赤にして怒鳴るショウ。
頭に血が上っているのか、ないことに隙だらけだったが、ワルドにそれに乗じる余裕はない。デーモン達も動かなかったが、案外彼らも呆れていたのかも知れない。
だが、それに乗じた人間がただ一人いた。
「なっ!?」
いつの間にか後ろに忍び寄ったヤンが、ショウを羽交い締めにしていた。
本人がこうも隙だらけでは、ショウ得意の察知もさすがに機能しようがない。
そして剣士としての力量はともかく、腕力自体は二回りほども体格に勝るヤンの方が強かった。
「何をするんですか、一体!」
「ごめんショウ君! 取りあえずそのままおとなしくしていてくれっ!」
そう言われておとなしくできるはずもなく(何せ絡んでいるのはキュルケだ)、ショウがもがく。
「ちょっとツェルプストー!?」
ルイズの声を聞いてショウがそちらの方に振り向いたその刹那、視界一杯にルイズの顔が広がり。
次の瞬間、唇と唇が、ぶつかった。
動きが止まった。
羽交い締めにされたショウと、同様の姿勢でキュルケに持ち上げられたルイズの唇が空中で密着している。
互いに何かを言おうとしていたせいか、口は半開きになっており、互いの舌も先っちょが触れ合っていた。
ショウも、ルイズも、「ズッキュウウウン!」と音がしそうな程に微動だにしない。
そのまま唇が触れ合う事数十秒。ようやくキュルケがルイズを下ろし、ヤンも羽交い締めにしていたショウを解放する。
だがあまりの事に脳の処理が追いつかないのか、ショウもルイズも微動だにせずただ呆然とお互いを見つめるばかり。
ふぁさ、とキュルケが髪を掻き上げた。
艶やかに微笑み、ワルドに指を突きつける。
「見たか! ルイズのファーストキスはあなたのものじゃない! このショウのものよっ!」
「さすがキュルケ、私たちの想像も付かないことをやってくれる」
呆れ半分、感心半分といった様子でタバサが呟いた。
「そこにシビれるッ!」
「愛してるゥ!」
そこにノリの良いリリスとヤンが便乗する。
後者は直後我に返ったショウに思い切り殴られて悶絶していたが。
にまぁ、とワルドの顔を見たキュルケが笑う。
だが実際、その時の彼の顔こそ、末代まで語り継がれるであろう見ものだった。
「これぞ『ファーストキスから始まる二人の恋のヒストリー』っ! そう、そうよ子爵! あなたのその顔が見たかったのっ!」
花を無理矢理散らされた処女のような表情のワルド。
実際、彼にとってはルイズの純潔が目の前で無理矢理奪われたに等しい。トリステイン貴族はそう言った事に厳格だというのもあるが、それ以上にマザコンは女性に幻想を抱く物なのである。
顎に手を当て、キュルケは高らかに笑う。
タバサにしても、これほど気持ちよさそうに笑う親友を見たのは初めてだった。
ひとしきり笑いを収めた後、タバサが彼女に囁く。
「それで、これからどうするの? キュルケにも何か考えがあってのことだと思うけど」
「そんな事言われても、あいつの泣きっ面を見たいと思っただけで、この後どうするかなんて考えてなかったわ!」
胸を張って威張るキュルケを、タバサは物も言わず杖で殴り倒した。
倒れたキュルケを、真っ赤になって再起動したルイズがげしげしと蹴りまくっていたのは、まぁご愛敬か。
だがそれも、不意に湧き起こった怒気に六人がそちらを振り向くまでの事だった。
以上、本日はこれまで。
投下時間は約15分・・想定してたよりは短く済んだかな?
前々スレで頂いたご意見に従い、次の投下はまた一週間ほど後にさせていただきます。
それではまた、忘れた頃に。
乙!
と、書き忘れてました。支援ありがとうございました。
乙でした〜w
GJ!GJゥ!
突然ですいません。
以前、ヴァーティカルエディターを紹介して頂いたものです。
やっとこさ一話が完成しましたので、投下させていただきたいのですが。
規制解除キター
虚無のパズルとかゴーストステップ・ゼロの続きが待ち遠しい
よろしければ五分後に投下させていただきます。お願いします。
ドゾー
「ヤスムコト……ユルサヌ……タダ……ヒタスラ……」
横たわる『鬼』の亡骸に、得体の知れない力が集まっていく。
「ヤスムコト……ユルサヌ……タダ……ヒタスラ……」
やがてその力は渦を成し、『鬼』を覆い、そして――
――その日、その世界から『鬼』が消えた
「五つの力を司るペンタゴン…我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ!」
桃色の髪の少女が、また一度詠唱し、杖を振り、また爆発を起こす。
彼女はもう何度もこの作業を繰り返してはいるが、まだ一度も本来の魔法を発動できないでいた。
『使い魔召喚の儀』――
学院の生徒が、一年から二年へと進級する為の大事な儀式。
と、同時に、生徒一人一人の専門とする属性をきめる、正に今後のメイジとしての人生を左右するものである。
たった今、その『サモン・サーヴァント』の詠唱で失敗し、爆発を起こした少女は、もう何度目かもわからなくなるほど失敗し、その全てを爆発に変えた。
「どうして!」
と、これまたもう何度目かもわからない叫びをあげる。
そして、禿げ頭の教師が少女に告げた。
『次に失敗したら、それで終わり』だと。
周りを行きかう少女を蔑む言葉。 それに負けじと、少女は流れそうになる涙をこらえ、『最後』の呪文を唱えた。
「宇宙の果てのどこかにいる,私の僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より訴えるわ、我が導きに答えなさい!」
刹那、大爆発。
終わった、と誰もが思った、いや確信した。しかし少女は、まだ諦めては居なかった。
――その男は、ひたすら強さを求めていた――
あらゆる闘い方をする強者を『殺』し、自分の糧としてきた。
だが、それももう終わった。
『殺』されたのだ、強者に、より強き者たちに。
自らが大阪城で闘い、『殺』した者に、暗黒の力を注入され、不本意な強さを手に入れ、自我は崩壊し、その果ての敗北、そして死。
その男は、それで終わった筈だった。
「あんた、誰?」
煙の中から現れた男に、ルイズは問う。
「ぬぅ……」
男は呻きながら立ち上がった。
やがて煙が晴れ、周りの生徒達や教師にもその姿が見えた。
逆立った赤髪、ボロボロの紫の服、それに屈強な体。
「平民だ!」
「ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」
ここぞとばかりにルイズを馬鹿にする生徒達だが、それは禿げ頭の教師によって遮られ、場は静まる。
禿げ頭の教師はそれを確認すると、ルイズと男に歩み寄り、柔和な笑みを浮かべた。
が、言葉を発する前に、ルイズの怒鳴り声が彼を襲った。
「ミスタ・コルベール!再召喚を!」
「それは出来ない。サモン・サーヴァントは神聖な儀式だ。再召喚は認められない」
悲痛な表情でそれを却下するコルベール。
彼自身、ルイズを哀れに思い、同情していたのだが、例外を認めることは出来ない。
「……ここはどこだ」
「っ! ミス・ヴァリエール、下がって!」
男がはじめて言葉を発する。 その言葉に反応するようにコルベールが動いた。 ルイズをかばう様に前に立ち、こともあろうに杖を向けたのである。
コルベール自身、この男に違和感を感じていたものの、やはり平民だと決め付けていた。 それ故に、前代未聞である『人間を召喚』という事態にも危険を感じず、にこやかにしていることが出来たのである。
だが、この男が言葉を発し、コルベールをにらんだ瞬間にコルベールは危険を察知し、戦闘状態になった。
男が殺気を放ったからである。
コルベールとて周りには知られていないが数々の戦闘を経験している。
それゆえ、殺気と言うものには慣れてはいたし、このような状況で、殺気立つのは不思議では無い。
「貴様、何者だ!」
男に対してコルベールが叫ぶ。
コルベールは恐怖していた。
この男は普通ではない。そう本能が叫ぶ。 杖を持つ手が汗ばむ、足が震える。
それを悟られぬように勤めていた。
また、コルベールが叫ぶと同時に、男が構えた。
「くっ……ミス・ヴァリエール、離れるんだ!」
「な、なんでですか!」
「いいから早く!」
ルイズをこの場から下がったことを確認したコルベールは、再び男を睨む。
戦うしか無い。
正直勝てる気はしないが、絶対に生徒を傷つけさせはしないと、必死で自分を奮い立たせていた。
それに対し、男は構えて微動だにせず、コルベールを睨んでいた。
コルベールは決死の覚悟でバックステップで距離をとり、魔法を放つ。
「ファイヤーボール!」
杖の先から放たれた炎の球は、一直線に男へと飛んで行き、男の眼前へと迫る。
だが。
「ふんっ!」
男は飛来した炎の球を、なんと腕を少し動かしただけで手の甲で弾いたのだ。
弾かれた炎はその場で消え、跡形も無くなった。
「なっ!?」
驚きを隠せないコルベール。 対して男は、自ら攻撃をする所か、構えを解いてしまう。
騒然とする場。
平民が魔法を素手で弾いたのだから、驚くのも無理は無い。
「ここはどこだ」
男は再びコルベールに問う。
構えを解いたことは、戦う意思が無いからなのか、それとも油断させようとわざとそうしているのか、コルベールには皆目見当がつかなかった。
「あ、あんた、何者よ!?」
いつのまにか戻ってきていたルイズが、男に背後から問いかける。
男はルイズに視線をやると、こう言った。
「我こそ、拳を極めし者」
その背中に、『神人』の文字を浮かばせて――
ゴウキとかwww支援www
めっさぁつ支援
瞬獄殺支援
とりあえずこれで終わりです。
短すぎでしょうか?
召喚したのはCAPCOM VS. SNK2から『神人豪鬼(しんごうき)』です。
支援
乙
CVS2ってコトはルガールと一戦交えてプレイヤーと戦って負けた後の豪鬼か?
連投すいません、忘れてました。
タイトルどうしよう・・・・・
どんなのがいいですかね?候補としては
『滅殺の使い魔』『虚無を極めし者』『我こそ、零を極めし者』あたりです。
ルガールに神の力を注入されて暴走状態・・だっけ?
んじゃ滅殺でヨロ
>>80 そうですね。
「あれ?地球意思とかチートじゃね?」とか思ったのは秘密。
>>83 了解です!
では名称は『滅殺の使い魔』で行くことにします。
AKUMAキター
滅殺ツンデレ殺し
竜巻斬空脚で空を飛ぶ姿を夢想した。
中平漫画版のゴウケンも飛んでたし。
>>88 その発想は無かったwwwww
でも、金剛でアルビオン叩き割るとかならありそうで困るwwww
これで今日は最後だと思います。多分速度は1〜2週間に一回くらいだと思います。
未熟者ですが、どうぞよろしくおねがいします。
中の人の演じるキャラ繋がりでキャットシットワンからパッキー召喚
可愛い顔して容赦のないウサギの兵士は強いぜ
多分、スネーク並みの強さはあると思う
豪鬼は暴走状態じゃなくても地球爆砕クラスの隕石をジャンプで大気圏突破して迎撃して粉々にしてるからな
アルビオン割りなんて軽い
原作でもエアーズロック割っているしな
世界最大、地球規模の一枚岩だっけ?
刀耳の超電磁空手でアルビオン空竹割り
絶火だと花が咲く
どんな人間だよwwwwwwwwwwww
>>94 高速すぎてガラス質になってしまうんですね
>>94 刀耳の高層ビル百二十階建割りなら、使い魔品評会の見せ物にも持ってこいですね
どうやって用意すんのって問題があるけど
22:55頃から投下させてください。
王都トリスタニア。王宮のアンリエッタの執務室で、ルイズは古びた一冊の本を受け取った。
ルイズの隣に立ったオスマン氏が、興味深そうに、その古びた革の装丁がなされた本を見つめている。
表紙はぼろぼろで、ページは色あせて茶色くくすみ、触っただけでも破れてしまいそうだった。
「これが?」
ルイズが尋ねると、アンリエッタが頷いた。
「ええ。トリステイン王室に伝わる、『始祖の祈祷書』です」
ルイズは『始祖の祈祷書』を手に取ると、注意深くページをめくる。
何ページか眺めたあと、目をぱちくりさせた。
そこにはなにも書かれていなかったのだ。
ルイズは次々とページをめくったが、その三百ページ近い本は、どこまでめくっても真っ白なのであった。
ルイズは戸惑った。オスマン氏など、あからさまに胡散臭げな視線を向けている。
「ルイズ、あなたの言いたいことは分かるわ」
アンリエッタは苦笑して言った。
「そもそも、『始祖の祈祷書』は、始祖ブリミルが記した一冊しかないはずなのだけれど、何故だかこのハルケギニアの各地に存在するの。まがい物……、この手の『伝説』の品にはよくある話ね。
お金持ちの貴族や、寺院の司祭、各国の王室などに点在する『始祖の祈祷書』を集めただけで、図書館ができるだなんて言われてるわ」
「はあ……」
ルイズは曖昧に答える。
「でも、いやね。まがい物にしたってひどい出来。わたし、王女ですから、各地へ訪問へ行くことが多いのだけど、そこでいくつか『始祖の祈祷書』を見たことがあるわ。
どれにも古代語やルーン文字が記されて、祈祷書の体裁を整えていたけれど……、我が王家の『始祖の祈祷書』には、文字ひとつ見当たらないのよ。これっていくらなんでも、詐欺じゃないかしら。ねえ?」
くすくすとアンリエッタが笑う。
ルイズはなんと返したものか、困ってしまった。そりゃあ、この『始祖の祈祷書』はどう見てもインチキなのだけど……、それでも一応トリステインの秘宝である。
ルイズが困っていると、アンリエッタはオスマン氏がいることを思い出したのか、笑うのをやめて小さく咳払いをした。
「……こほん。では、ルイズ・フランソワーズ。これよりわたくしの婚礼の儀の日まで、あなたに王家の秘宝を貸与します。くれぐれも大切に扱うように」
ルイズはかしこまって、アンリエッタの手から『始祖の祈祷書』を受け取った。
オスマン氏は目を細めて、そんなルイズを見つめた。学院の生徒の名誉を、誇らしく思った。
アンリエッタはそれから、机に座ると、羽ペンを取って、さらさらと羊皮紙に何かしたためた。それから羽ペンを振ると、書面に花押がついた。
「これをお持ちなさい」
アンリエッタがルイズに書面を差し出す。
「これは?」
「わたくしが発行する許可証です。あなたは巫女の役を務めるあいだ、わたくしの女官という扱いになります」
「ええ!わ、わたしがですか?」
「大臣たちが、『巫女役を務めるものは、ふさわしい地位と役職を持ったものでなくてはいけません!』なんて言うものですから。伝統って、いやね。堅苦しくって」
アンリエッタはため息をつく。大臣たちの反対を押し切って、アンリエッタはルイズを巫女役に推薦してくれたのだ。
ルイズは感激して、胸がいっぱいになった。
「その許可証は、わたくしの発行した正式なものですから、期限付きとは言え、あなたには女官としての権限が与えられます。王宮を含む国内外へのあらゆる場所への通行と、一部公的機関の使用。
まだ結婚式まで一月あるわ。どこか小旅行にでも行ってみるのも、いいかもしれませんよ。そうしてすてきな詔を考えてちょうだいね」
ルイズは恭しく礼をすると、その許可証を受け取った。
ルイズとオスマン氏が退出しようとすると、アンリエッタがルイズを呼び止めた。
「お話したいの」と言うアンリエッタに、なんだろう、と思いながらも、ルイズは残った。
オスマン氏が従者に連れられ退出すると、アンリエッタに促され、ルイズはソファに腰掛けた。
しばしの間、沈黙が部屋に流れた。
ルイズはちらりとアンリエッタの顔を見る。アンリエッタはぼんやりと横を向いていて、その表情には、先ほどまでのハキハキとした様子が見られず、まるで氷のようだった。
「ルイズ、あれを見て」
ルイズがアンリエッタの視線を追うと、そこには、純白のウエディングドレスが壁にかけられていた。
まだ仮縫いの状態ではあるが、上質な素材と丁寧な縫製で、まさに王族が纏うにふさわしいといったふうのドレスだった。
「素敵なドレスですわ」
「ええ、そうね。小さな頃は、わたし憧れてたわ。こんなドレスを着ることができたら、どんなにすてきだろうって。でもね、いざそのときがやって来たと言うのに……、なんだかちっとも心が弾まないの」
「それは……」
ルイズは言葉に詰まった。これが、アンリエッタの望まない結婚だということは、ルイズもよく分かっていた。
「アルビオン新政府の樹立。ゲルマニアとの軍事同盟の締結。そしてわたしの結婚式……。なんだか、早い、早い川の流れに流されているみたいな気分よ。
政治を執り行うのは、いつだってあのマザリーニですもの、何もかもが、わたしの与り知らぬところで進んでいくみたい」
トリステインでは、国王が崩御したあと、王座は空位のままとなっている。
太閤マリアンヌは女王に即位することはせず、あくまで王妃の立場を貫いたため、実質的にトリステインの政治を行っているのは、枢機卿のマザリーニなのである。
此度のゲルマニアとの軍事同盟締結式にも、出席したのはマザリーニであった。
アンリエッタは、こうして城に残ってウェディングドレスの仕立てを受けている。なんだか、アンリエッタが政略結婚の道具としてしか見られていないような気がして、ルイズはやるせない気持ちになった。
「あなたを巫女に推したのは、わたしのささやかな反抗かもしれないわね。せめて、自分の式の巫女くらいは、自分で決めたかったのよ」
「姫さま……」
アンリエッタは美しい顔を曇らせ、さめざめと泣きはじめた。
ルイズはあわてて、アンリエッタに駆け寄った。おろおろしながら、アンリエッタの身体を抱く。
「ひ、姫さま!どうされたの!どこか痛むのですか!」
「違うの、ルイズ。わたしって、だめね……。どうしても、ウェールズ様のことが忘れられないの。悲しいの。つらいのよ」
ルイズははらはらと涙を零すアンリエッタを見て、戸惑っていた。
今まで、アンリエッタのことは絶対だと思っていた。トリステインを統べる王家。忠誠を誓うべき相手。
アンリエッタはルイズのことを「おともだち」と言ってくれるけれど、貴族の考えを重んじるルイズにしてみれば、アンリエッタは雲の上の人であった。
それなのに、今こうやってルイズの腕の中で泣いているアンリエッタは、とても小さく見えた。
まるで、わたしと同じ。ちっぽけな女の子……。
ああ、そうか。姫さまも、つまりは人間なんだ。
恋したり……、傷ついたり……、弱かったり……、そんな普通の女の子。
そう思うと……、ルイズはなんだか忠誠心とは違う感情で、アンリエッタを助けてあげたい、と思った。
「しっかりしてください。あなたは王女様ではありませんか」
ルイズが優しく声をかけると、アンリエッタはやっと泣き止んだ。ハンカチを取り出して、涙を拭う。
「……ごめんなさいね。幻滅したでしょう?なんて弱いお姫さまなのかしら」
「そんなことはありません」
ルイズはふるふると首を振ったが、アンリエッタはそれを気遣いと受け取ったようだった。
「いいのよ、ルイズ。でもね、王国に生まれた姫なんて、籠に飼われた鳥も同然。ちっぽけで弱々しい小鳥が、自分を大きく見せようと精一杯羽を広げているの」
アンリエッタは寂しそうに笑った。
「ルイズ、魔法学院であなたと再開した時、『なんでも話してください』と言ってくれたこと、わたし、嬉しかったわ。あなたを幻滅させることになるとは思うけど……、これからも、わたしの愚痴や泣き言を聞いてほしいの。
あなたに本当の気持ちを打ち明けることができるなら、わたしはこれからも、王女の仮面を被ることができると思うから」
アンリエッタの言葉に、ルイズは黙って頷いた。
タバサは息をひそめて、木のそばに隠れていた。目の前には、廃墟となった寺院がある。
門柱は崩れ、鉄の柵は錆びて朽ち、庭は雑草が生い茂って荒れ放題になっている。
ここは数十年前に打ち捨てられた開拓村の寺院であった。荒れ果て、今は近付くものもいないが、明るい陽光の中のそこは、どこか牧歌的な雰囲気が漂っている。
紙片
シェーン、カムバーック!
すると、突然爆発音が響き、門柱の横に立った木が燃え上がった。キュルケの『発火』の呪文である。
木陰に隠れたタバサは杖を握りしめた。
寺院の中から、この開拓村が打ち捨てられた理由が飛び出してくる。
身の丈二メイルほどもある、醜く太った身体と豚のような頭を持ったバケモノ。オーク鬼であった。
その数はおよそ十数匹。人間の子供が大好物という、困った嗜好を持つこのオーク鬼の群れに襲われた所為で、開拓民たちは村を放棄して逃げ出したのだった。
村人たちは領主に訴えたが、森の中に兵を出すことを嫌った領主は、要請を無視して放置した。
そのような村は、ハルケギニアには掃いて捨てるほどあるのだった。
オーク鬼たちは、ぶひ、ひぐ、と豚の鳴き声で会話を交わし、門柱の辺りで燃える炎を指差した。それからめいめいに、怒りの咆哮を上げる。
「ふぎぃ!ぴぎっ!あぎっ!んぐぃぃぃぃいいッ!」
手に持った棍棒を振り回し、オーク鬼たちはいきり立った。火がある。つまり近くに人間がいる。敵であり、餌である。
オーク鬼たちの様子を見ながら、タバサは呪文を詠唱した。空気中の水蒸気が凍り付き、十二本の氷の矢となって、タバサの大きな杖の周りに浮かんだ。
『水』『風』『風』、水が一つ、そして風の二乗。タバサが得意とする攻撃系呪文『ウィンディ・アイシクル』である。
オーク鬼の皮膚は分厚く、骨は岩のように硬い。オーク鬼を確実に仕留めるためには、最低でも三本の氷の矢が必要だ。
そうなると、タバサが『ウィンディ・アイシクル』でつくり出すことのできる氷の矢の量では、オーク鬼の群れを一度で仕留めることは難しくなってしまった。
敵の数が思ったよりも多いのだ。
強力な呪文は、続けざまには使えない。タバサは慎重に、攻撃のタイミングをはかる……。
そのとき、オーク鬼たちの前に、ふらりと陽炎が立ったかと思うと、青銅の戦乙女が七体、姿を現した。ギーシュのゴーレムだ。
タバサは眉をひそめた。打ち合わせと違う。焦ったギーシュが先走ったのだ。
ギーシュの七つのワルキューレは、先頭のオーク鬼に向かって突進した。手に持った短槍が、オーク鬼の腹にめり込む。
七体のワルキューレに襲いかかられたオーク鬼は、地面に倒れた。しかし、傷は浅い。分厚い皮と脂肪が鎧となり、穂先は内蔵まで達していなかったのだ。
倒れたオーク鬼はすぐに起き上がり、些細な絆どものともしない生命力で棍棒を振り回した。
オーク鬼の棍棒は、大きさが人の体ほどもある。一撃を受けた華奢なゴーレムは、吹っ飛んで地面に打ち付けられ、バラバラになった。
残ったワルキューレは体勢を立て直そうとしたが、硬い皮膚に阻まれて、オーク鬼の腹から槍を抜くことができない。
そうこうもがいているうちに、仲間のオーク鬼たちが駆け寄り、ワルキューレめがけて棍棒を振るった。あっという間に、七体の戦乙女たちは粉々に砕かれ全滅してしまった。
オーク鬼は、自分たちを襲っている人間が、まだ未熟なメイジであると当たりを付けた。
メイジとの戦いは一瞬で決まることを、オーク鬼たちは長い人間との戦いを通じて、覚えていた。負けるときは、ほんの一瞬で全滅してしまうのである。
ところが七体の青銅の人形は、自分たちになす術もなく砕かれてしまった。
オーク鬼たちは、下卑た笑みを浮かべると、ふがふがと嗅覚鋭い鼻をひくつかせ、襲撃者の隠れている場所を探り当てた。
寺院の庭の外から、うまそうな人間の臭いは漂ってくる。
オーク鬼の群れが走り出すと、門の右手の木の影から、ひう、と小さな悲鳴が上がり、一人の人間が飛び出してきた。
その、金の巻き毛をした人間は、見ればまだ子供である。薔薇の造花を突きつけて、何やら叫んでいる。
「やあやあ、我こそはかの偉大なるグラモン元帥の息子、ギーシュ・ド・グラモンである。薄汚いオーク鬼どもめ、このぼくが成敗……」
オーク鬼はギーシュの言葉を無視して突撃した。メイジは恐ろしい敵である。呪文を唱える暇を与えず、棍棒の一撃で潰してやろうというのだ。
ギーシュはあわてて、マントをばさっと広げた。裏地に縫い付けられた宝石が、きらりと光る。
「い、行け!精霊よ!」
ギーシュの叫びとともに、宝石の精霊たちが飛び出した。小鳥ほどの大きさの精霊たちは、光る尾を引いて、オーク鬼の群れに殺到する。
群れの先頭、手負いのオーク鬼は、精霊たちの強烈な体当たりをくらって吹っ飛んだ。
オーク鬼たちは一瞬ひるんだが、棍棒で飛び回る精霊たちを叩きはじめた。
棍棒の一撃を食らうと、精霊たちは風船がはじけるように、ぱちんぱちんと音を立てて消えてしまった。
「ああっ、ミック、ロニー、キース、クラプトン、ミッチー!」
ギーシュが悲鳴を上げる。
それを見て、タバサは素早く杖を振るった。十二本の氷の矢が、オーク鬼の群れに襲いかかる。
一匹につき三本、目と喉、そして心臓に正確に氷の矢を突き立てると、四匹のオーク鬼は倒れて絶命した。
しかしタバサの効果的な攻撃はここまでだった。いまだ、オーク鬼は十匹近い数が残っている。
奇襲にオーク鬼たちはひるんだが、すぐに鼻をひくつかせて、襲撃者の位置を探りはじめた。やがてタバサの隠れた場所を探り出すだろう。
そして、索敵するオーク鬼とは別に、数匹のオーク鬼がギーシュへの突撃を再開した。
タバサは小さく舌打ちし、杖を構えてふたたび詠唱を開始する……、
と、そのとき、突撃するオーク鬼の足が止まった。先頭が急に足を止めたので、後続のオーク鬼たちはぶつかって、ぶぎぃ!ぴぎぃ!と怒りの声を上げた。
見ると、オーク鬼の足に、長く伸びた草が絡み付いている。
すると、タバサの隠れた場所から離れた木の上……、キュルケとティトォが隠れている場所から、巨大な炎の玉が飛び出した。
『炎』と『炎』の二乗、キュルケの得意な攻撃呪文『フレイム・ボール』である。
しかし、どうにも炎の大きさが尋常ではない。その『フレイム・ボール』は、ふだんの三倍ほどの大きさにもなっていたのである。
巨大な炎の塊は、足を取られたオーク鬼の三匹を、一瞬で燃やし尽くした。
むんと、獣の肉が焼けるいやな臭いが辺りに充満する。
残されたオーク鬼たちは、一瞬で仲間を焼き付くしたその巨大な炎に、後じさった。
そのとき、門の脇の茂みをガサガサと揺らして、真っ赤な身体のサラマンダーが現れた。
オーク鬼たちは警戒するようにサラマンダーを見つめる。奇妙なことに、そのサラマンダーの身体には、火がついていた。
サラマンダーは普通、尻尾の先に火がついているものだが、このサラマンダーには、全身に火がついているのである。
しかもその炎は、今まで見たこともないような、白い色の炎であった。
サラマンダーは強敵だが、数でこちらが有利である。
そう考えたオーク鬼の群れは、棍棒を振り上げ、ぶぎぃ!びぎぃ!と咆哮を上げ、サラマンダーに突進した。
そしてそれが、彼らの命取りになった。
サラマンダーはかぱっと口を開けると、火竜のブレスに匹敵するほどの巨大な炎を吐き出した。
あっと言う間もなく、オーク鬼たちは消し炭になって、全滅した。
ばっさばっさと、タバサの風竜が地面に降り立った。この風竜が傷付いたら、歩いて帰るはめになるので、戦闘には参加させない取り決めであった。
木から降りてきたキュルケは、サラマンダーのフレイムと同じように、全身に白い炎を纏っていた。そして、とりあえずギーシュを小突いた。
魔法の炎でパワーアップされているので、ちょっと小突いただけなのにギーシュは派手によろけた。
「あいたぁ!なにをするんだね!」
「あんたのせいで、作戦が台無しじゃないの!」
オーク鬼の群れを、あらかじめ作った罠のエリアに誘い出し、魔法で一網打尽にする作戦だったのだ。
罠のエリアには、モグラのヴェルダンデが掘った落とし穴や、ティトォのホワイトホワイトフレアでパワーアップさせた、足に絡み付く草などが用意されていた。
「そんなに調子よく、罠にかかってくれるもんかね。戦は先手必勝。ぼくはそれを実戦しただけだ」
ギーシュはぶつぶつと文句を言った。
「あんたのモグラが掘ったんでしょ!穴を信じなさいよ!」
「まあまあ、結果オーライでいいじゃない」
ティトォがなだめるように言った。ギーシュが隠れている場所の周りには罠を設置していなかったのだが、ギーシュが先走る可能性を考えて、草に魔法をかける範囲を広くしておいたのだった。
ティトォは辺りを見回して、オーク鬼の生き残りがいないことを確認すると、キュルケと、フレイムにかけた魔法の炎を解除した。
キュルケはまじまじと、杖を持った自分の手を見つめた。
若くして『トライアングル』クラスのエリートメイジであるキュルケは、自分の炎に自信を持っていた。
『全てを燃やし尽くす』と常日頃から豪語しており、その言葉の通り、キュルケの炎は強力だった。
ところが、ティトォの魔法の強化を受けると、ただでさえ強いその炎の力が、さらに二倍にも、三倍にも威力を増すのだ。
やっぱりティトォすごい。面白い。冒険に誘って大正解。
うきうきしながらキュルケが振り向くと、ティトォは木に寄りかかって、荒い息を付いていた。
「ティトォ……、ダーリン?とうしたの?」
「大丈夫、ちょっと立ち眩み。魔法を使いすぎたせいかな」
ティトォは、なんでもないことのように言ったが、その額には汗が浮かんでいた。
どこか体調でも悪いのだろうか?キュルケは少し心配そうな顔になる。
「ところで、宝石の精霊は大丈夫?さっきいくつかやられちゃったみたいだけど」
ティトォは振り向いて、言った。ギーシュは少し困った顔になって、マントに縫い付けられた宝石を撫でる。
その宝石は、なぜかくすんだような色になってしまっていた。
「精霊は死にはしないよ。でも、こうなると宝石はしばらくの間、輝きを失ってしまうんだ。三日は使えなくなってしまうね」
ティトォは感心したような顔をしたが、これは、話題を逸らす為に振った話であった。
実のところ、ティトォはそのことは知っていたのだった。精霊使いの知り合いがいるのだ。
ティトォ・アクア・プリセラの『弟子』を自称するその男は、精霊使いの才能があった。
そういえば、最後に会ったのはもう十年も前の話だ。
元気でやってるだろうか。
したたかな男なので、きっとうまくやってるに違いない。
ひょっとしたら違う漫画のナレーションをやってるかもしれない。何を言ってるんだぼくは。
一方、タバサは激しい戦いの後にも関わらず、けろっとしたいつもの無表情だった。地図を眺めると、廃墟となった寺院に向かって歩いていく。
「ブリーシンガメル」
「あら!そうだったわ!早く行きましょ」
キュルケはぽんと手を叩くと、タバサと一緒に寺院へ向かって歩き出した。ティトォとギーシュもそれに続く。
「ブリーシンガメルってなに?」
ティトォが尋ねると、タバサは地図に付けられた注釈を詠みあげる。
「『炎の黄金』で作られているという首飾り。それを身に付けたものは、あらゆる災厄から身を守るという言い伝えがある」
「聞いただけでわくわくする名前じゃないか、きみ!なんでも、ここの司祭が、寺院を放棄して逃げ出す際に、その『ブリーシンガメル』を祭壇の下のチェストに隠したらしい。それだけじゃないぞ!チェストの中には、『ブリーシンガメル』の他にも寺院の金銀財宝が……」
その夜……、一行は寺院の中庭で、焚き火を取り囲んでいた。誰も彼も、疲れた顔をしている。
ギーシュは、地面に乱雑に散らばった、色あせた装飾品の中から、真鍮でできた安物のネックレスをつまみ上げた。
そして、深いため息をつく。
「まさかこれが『ブリーシンガメル』というわけじゃあるまいね」
キュルケは答えない。ただ、つまらなさそうに爪の手入れをしていた。タバサは相変わらず本を読んでいる。ティトォは寺院のスケッチを描いていた。
寺院の祭壇には、なるほどチェストはあった。しかし、中から出てきたのは、色あせた装飾品と、汚れた銅貨が数枚、あとは持ち帰る気にもならないガラクタばかりであった。
「これでインチキ地図は七件目!いくらなんでもひどすぎる!廃墟や洞窟は魔物のすみかになってるし、そいつらを苦労して倒しても、得られる報酬がこれじゃあ、割にあわんこと甚だしい」
「そりゃあそうよ。化け物を退治したくらいで、ホイホイお宝が手に入ったら、誰も苦労しないわ」
「だいたいね、ぼくは最初っから宝探しなんてやくざな方法だと思ってたんだ!きみの口車に乗せられて、宝の地図を買いあさって、苦労してお宝が眠るという場所に行ってみても、見つかるのはせいぜい銅貨が数枚じゃないか!秘宝なんてカケラもないじゃないか!」
ギーシュとキュルケの間に険悪な雰囲気が流れたが、ここでキュルケは必殺のカードを切った。
「うるさいわね。じゃああんた、他に何か借金を返すあてがあるっての?」
むぐ、とうなって、ギーシュは黙り込んでしまった。借金のことを持ち出されると、弱い。
小さく鼻を鳴らすと、つまらなさそうに敷いた毛布の上に寝転がった。荷物袋の中から保存食のパンを取り出し、かじる。
ギーシュもキュルケも貴族なので、普通ならこんなまずい食事には耐えられない。
しかし一行に料理のできる人間は一人もいないので、こうしてボソボソのパンと、干し肉、瓶詰の豆で我慢するしかないのである。
学院の食堂の、暖かいスープが懐かしかった。
食事のあと、キュルケはふたたび地図を広げた。まだ宝探しを諦めるつもりはないようだ。
ギーシュはため息をついて、「もう諦めて学院に帰ろう」と促した。
「何言ってんのよ。お宝が見つからなかったら、あんたどうやってお金を返すつもりなの」
「こんなインチキ地図を頼りにしたって、時間の無駄だよ。お金はどうにか、別の方法で作るさ」
ギーシュはもう、実りのない宝探しにすっかり情熱を失ってしまったようだった。
ティトォとタバサも、うんうんと頷く。二人とも、これ以上探しても無駄だろうな、と、そんな気分になっていたのだ。
三対一で、キュルケは不利な立場に追い込まれたが、諦めずに食い下がった。
「あと一件だけ。一件だけよ」
キュルケは、何かに取り付かれたように、目を輝かせて地図を覗き込んでいる。
そして、一枚の地図を選んで、地面に叩き付けた。
「これ!これよ!これでダメだったら学院に帰ろうじゃないの!」
ティトォは地図を覗き込む。
それは、ここから南に8リーグほど行った、タルブの村の近くを示していた。
「で、そこにあるのはなんというお宝だね?」
ギーシュの問いに、キュルケは腕を組んで答えた。
「『魔王の骨』」
さて一方、こちらは魔法学院。
ルイズはここ2〜3日ほど授業を休んで、結婚式の詔を考えていた。
図書館に行って、めったに手に取らない詩集やら歌集やらと格闘し、部屋に閉じこもって唸っているのだが、さっぱりはかどらなかった。
詩才もないのに理想だけは高いルイズは、最高の詔を作らなければと気負って、まだ最初の一語も書き出せていないのだった。
読書家の使い魔に手伝わせようと思ったのに、いつまで経っても戻ってこない。
さすがに二日も戻らないのは変だと思って、廊下を通りすがったモンモランシーに尋ねたら、ギーシュやキュルケ、タバサと一緒に授業をサボって宝探しに出かけたという。
先生たちはカンカンで、帰ってきたらキュルケたちに講堂の掃除を命じるつもりらしい。
なんだ楽しそうじゃないの、と思ったら、ふつふつと怒りが込み上がってきた。
ご主人様がこんなに苦しんでるっていうのに、あの使い魔ってば、なにを遊び回ってるのかしら。
自分で言うのもなんだけど、わたし、かなり寛大なほうだと思うの。
図書館に引きこもってても、ふらりとどっか行っちゃって帰ってこなくても、これまでずっと許してきたわ。
ティトォもアクアも人間だし。用のないときまでそばに控えさせておこうってのは、ちょっと横暴だと思うからね。
わたし、えらい。太っ腹。
でも、ご主人様が必要としてる時にまでいないっていうのは、どうかしら。
それはちょっと許せないなあー。
普段好き勝手させてるんだから、用があるときくらいはわたしの力になるべきじゃないかしら?
使い魔とか関係なく、それが人の道ってものよね?
それなのに、あのアホ使い魔ってば。
どうしてやろうかしら。
どどど、どうしてやろうかしら。
ルイズはなんだかどんどん腹が立ってきた。
ルイズの頭は湯沸かしのポットようなもので、感情的になるとすぐに沸騰してしまうのだった。
こんな気分で祝福の詔を書くことはできないので、ルイズは乱暴に部屋のドアを開け放つと、ずんずんと厨房へ向かった。
夕食の仕込みをしていたマルトー親父に話を付け、厨房の一画を借りると、気分転換にパイを作りはじめた。
小麦粉を振るい、角切りのバターを混ぜる。
フォンティーヌ(土手)を作り、水とビネガーを入れ、カードで切りながら一つにまとめる。
ルイズの頭は沸騰していたが、手つきは繊細だ。
生地にバターを練り込んでしまったり、バターが溶けてしまったりすると、パイ生地はうまく膨らまないのである。
黙々と作業をしていると、だんだんと頭が冷えて、ルイズの心は落ち着きを取り戻していった。
冷たい大理石の板の上でしばらく生地を寝かせると、生地を伸ばして三つ折りにし、さらに三つ折りにして、また休ませる。
フィユタージュ・ラピド……、速成折りパイと呼ばれる生地である。
夕食の仕込みをしながら、横目でルイズの様子を見ていたマルトー親父は、パイ作りの手際に感心し、ほう、と感嘆の声を上げた。
やがて、ルイズのパイが焼き上がって、調理台の上に並べられた。なんだか興が乗って、四枚も焼いてしまったのだった。
フィリングはもちろん、ルイズの大好物のクックベリージャムである。
こんがりときつね色に焼き上がったパイは、食べるまでもなく絶品だということが分かった。
ルイズは満足そうにニッコリと笑う。お茶が必要ね、これは。
「シエスタ……」
声をかけようとして、ルイズは気付いた。シエスタは、故郷に帰省している最中だったのだ。
ティトォもいないし、シエスタもいない。ルイズが気安く接することのできる数少ない二人が、揃って学院にいないのだ。
ルイズは目の前に並んだ四皿のパイを見て、一緒にお茶をする相手がいないことが、急に寂しくなってきた。
いつもならいなくてせいせいするはずのキュルケの姿がないことさえ、なんだか寂しく感じてしまう。
気分が沈んでしまったルイズは、エプロンを脱ぐと、マルトー親父に声をかけた。
「へえ、なんですか」
ルイズは調理台のパイを指し示す。
「作りすぎちゃったの。晩のデザートに出すなり、あなたたちで食べるなり、好きにしてちょうだい」
そういってルイズは厨房を出て行った。ちなみに、しっかりと自分の分のクックベリーパイを一皿持って行った。
ルイズが出て行くと、厨房のコックたちが、パイを見てざわざわ言い出した。
「デザートに出すってもなあ、どうするよ?三皿だけじゃあ、とっても足りねえよ」
「なら、俺たちで食っちまえばいい」
マルトーがそう言うと、コックたちは笑い出した。
「旦那!俺たちゃプロの料理人ですぜ!」
「貴族様が道楽で作った菓子なんて、食えたもんじゃないんじゃないですかい」
マルトーは黙って、パイを切り分けた。三皿のパイは、厨房で働くコックたちにちょうど行き渡るくらいの量だった。
「ま、せっかくだから食ってみろって」
すると、厨房で働く、がっしりとした体つきのコックが進み出てきた。筋骨隆々の見習いコック、ロベールである。
「旦那。俺はちょっとばかし甘いものにはうるさいですよ。なにせ俺の実家は菓子職人の家系ですからね、すっかり舌が肥えちまった!そんな俺にうまいと言わせたら……」
サクッ、とロベールはパイをかじった。
「うまっ!」
ロベールは一言叫ぶと、ブワアアアッ、と後ろに吹っ飛び、派手に転がって、厨房の壁にぶつかった。ロベールは死んだ。
「うまい……、うますぎる!完敗だッ……!このパイには、親父もおふくろも太刀打ちできない!」
パイを食べた料理人たちも、次々と騒ぎだした。
「なんだこりゃ!うめえ!」
「これをほんとにあの娘が?」
マルトー親父は、ニヤッと笑って、言った。
「貴族の連中はどうにも虫が好かないが、なるほど、腕前は認めざるを得ないな、こりゃあ。シエスタが惚れ込むのも分かるってもんだ」
翌朝、キュルケたち一行は空飛ぶ風竜の背中に乗って、タルブの村へと飛んだ。
支援
「それでその『魔王の骨』とやらは、どんなお宝なんだね?」
ギーシュの問いに、キュルケは肩をすくめた。
「わかんない。『魔王の骨』については、地図に注釈がないのよ」
「おいおい、そんな得体の知れないものを探しにいくっていうのかい?」
ギーシュは、地図の束の中でも特に薄汚い『魔王の骨』の地図を、胡散臭げに眺めた。
「大仰な触れ込みの付いた宝の地図は、全部インチキだったじゃないの。こういう飾り気のないボロ地図のほうが本物の臭いがするわ」
キュルケは髪をかきあげて、言った。
「だいたい、骨って。とてもお宝のイメージじゃないがなあ」
「あら、プラド卿ご自慢の『水晶の頭蓋骨』があるじゃないの。ああいうお宝にちがいないわ、きっと。それに『魔王』っていったら、あんたなにを想像する?」
ギーシュははっとした顔になる。
「そうよ、大魔王デュデュマ。始祖の伝説よ!ひょっとしてひょっとすると、『始祖の秘宝』かもしれないわ!」
「『始祖の秘宝』は、ブリミルの血統を継ぐ三の王家と、第一の三十指・聖フォルサテが興したロマリアがそれぞれ管理しているはず」
「あらん、そんな意地悪をいうのはこのお口?ロマリアの『秘宝』は、二十年前にどこかへ消えてしまったって話じゃないの。知らないわけじゃないでしょ、タバサ」
「でもねえ、市場に地図が出回るようなお宝が、そんな王家の秘宝だとは思えないんだけどなあ」
「まあ、ひどいわダーリン!あなたまでそんな意地悪をおっしゃるの?」
「わわわ、キュルケ、暴れないでくれ!また竜から落っこちるのはごめんだよ、ぼかァ!」
きゃあきゃあと騒ぐ一行を乗せて、風竜は一路タルブの村へと羽ばたいた。
以上です。途中の支援ありがとうございます。
以下チラ裏
マテパはアイテムの類がびっくりするほど少ないので、『竜の羽衣』の代わりを何にするか、結構悩みました。
『破壊の杖』をマスターキィにしたり、五大石を四系統の指輪にしたりはスラスラ決まったんですが
『竜の羽衣』はさっぱり思いつきませんでした。
三十指の魔法アイテムだといまいちスペシャル感がないし、かと言って魔導膨斧なんか出しても反応に困るので
少し早めに『魔王の骨』にご登場願いました。
投下乙です
ルイズのスキルが変な方向に伸びはじめたw
あと
>五大石を四系統の指輪にしたり
なんかさらっと重要なネタバレ食らった気がするぞ!?
前スレ後ちょっと残っている。埋めようぜ?
虚無のパズルさん、乙でしたー。
なんというか重要なキーワードがぽろぽろ零れてますね……
さあう゛ぁんとの方、乙でした。
>花を無理矢理散らされた処女のような表情のワルド。
ここで盛大に吹きましたww
豪鬼の方、乙でした。
……このキャラにまともな意思の疎通が可能なのかどうかは疑問ですが、続きを楽しみしています。
パズルの方、乙でした。
何だかルイズとアンリエッタの関係が良好ですな。
私は微妙にヒビが入った状態になってしまいましたので、そちらの関係を楽しみにさせていただきます。
さて、番外編03を避難所に投下しました。
エロとかグロとかではないのですが、今回はかなり人を選ぶ内容になっているかも知れませんので、閲覧の際にはご注意ください。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1223714491/869-
マテパの人乙です。
魔王の骨…
ルイズ以外の役者が集いつつあるタルブの村のカオス度がどんどん上がっていくな
…ルイズも村に行くんだよな…?
後、厨房に勇者がいたとは思いもしませんでした
TAP乙
待ってたんだぜ
魔王の骨か・・・融合者っていうか生贄は誰なんだろう
そしてそろそろ換わるか
北斗の拳からトキを召喚したらカトレアさんの病気も治せるだろうか?(タバサママンは無理っぽそうだけど)
ただワルド戦で>∩(・ω・)∩< 使ったら、とてもキモイ死に様のワルドが出来上がるな
ティトォの人乙
確か原作だと、『ハゲ』に遭遇、一悶着起こしたせいで換わったんだよな
そして、この作品では今タルブの村に『ヤツ』が向かっている
言いたいことが…わかるな?
てす
第一の三十指てwアルビオン編あたりからマテパの人は伏線ばらまきまくってるな
結構先まで話考えてるのかな
早く本編4章の神無始まらないかな
0章ゼロクロイツも気になるけどね
>>116 このルイズには神の加護が付いてるから、ここ一番となれば必ず駆けつけるさ
どーでもいいけど
>>107 > 詩才もないのに理想だけは高いルイズは、最高の詔を作らなければと気負って、まだ最初の一語も書き出せていないのだった。
俺に大ダメージ!
新刊読んでからMTL読んだらタバサとイザベラに悶えたw
なんだこのかわいい生き物w
>>125 MtLのタバサとイザベラがタッグになったときのかわいさは異常。
思わずにやにやしてしまう。
まだ奇声かなあ
解除きてたああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あ、おはようございます。皆さん投下お疲れ様
理想郷復活も来てた
>>111 ちと亀だけど、魔導膨斧があっても面白そうだなーと思った
ミョズの能力あれば乗りこなせるだろうし
物理攻撃無効の魔鋼ラバーと、ルイズの水のルビーを使った魔法攻撃無効バリアで八面六臂の大活躍!
…「飛べない」って最大の弱点があるのがネックか…
あ、そっちも復活したのか。
空を飛べない限り、ルイズの運命は海の底に眠るしかなかった。
「俺が敵ならルイズを空から攻めるな」
それ言ったの甲児のほうだっけ? それともデビルマン?
不動明が兜甲児にむかって言ったです
正確には「俺ならマジンガーZを空から攻めるね」
ラスボスさんの超神ゼストの姿が想像しづらくて困る
つべ見てもSDだしだれかリアル頭身のゼストを描いてらっしゃる方はいないもんでしょうかね?
前の投下から間を置き過ぎて誰も前を覚えてないかもしれないが、
予約なければ使い魔の炎11話を16時45分から投下します
支援するのでありますよー
遠のいていくラ・ロシェールの街の灯りを見て、烈火は本当に船が空を飛んでいることを実感した。 しかもかなりのスピードだ。
早朝に宿を出てしまったため船がなかったのだが、ワルドが料金を追加することと魔法を使って船を飛ばす手伝いをすることを約束して話をつけたらしい。
「アルビオンにはいつ頃着くんだ?」
烈火の問いにワルドが答える。
「明日の昼過ぎだそうだ」
そっか、と短く呟き、烈火は甲板に腰掛けた。
ルイズは烈火の隣にしゃがみこむ。
「レッカ、ケガは大丈夫なの?」
ルイズが体に触れようとのばした手を、烈火は慌てたように立ち上がり避けた。
「なんのなんの痛くねえ! こんな傷屁でもねえよ」
烈火は何でもない表情を装った。
「"ライトニング・クラウド"をまともに喰らって、痛くないわけないだろう?
応急処置でも、一応診ておくべきじゃ…」
ギーシュもさすがに心配そうに声をかけたが、烈火はおおげさにかぶりを振った。
「ほんとに大丈夫だって! これぐらいの怪我、俺は慣れてるから」
「でも…」
ルイズが声をかけようとするが、烈火がそれを遮る。
「それより、俺はちょっと寝させてもらう。 できるだけ体力を取り戻したいからな」
そう言うと腰を下ろし、目をつぶった。
そんな烈火を、ルイズは心配そうに見つめている。
…烈火にとって体力回復も重要だったが、それ以上に、ルイズとその婚約者の姿を見ていたくなかったのである。
「…レッカ、起きて。 アルビオンが見えたわよ」
「ん〜?…なんだ、まだ空の上じゃねえかよ」
寝ぼけ眼で烈火は左右を見回した。
「ほんとに何も知らないんだな、きみは。 あそこを見たまえ」
ギーシュが指さした方向を烈火は見つめた。
「ん…? うお、なんだありゃあ!? 地面が浮いてる!?」
想像を絶するほど巨大な大陸が、雲の切れ間から覗いていた。
「浮遊大陸アルビオン…月に何度か、ハルケギニアの上にやってくるのよ」
「ほあ〜、すげーな。」烈火はその雄大さに圧倒されている。
そのとき、見張りの船員が突然声を上げた。
「右舷上方の雲中より、船が接近してきます!!」見ると、烈火たちのものより一回りは大きい船が接近してきた。
「デカい船だな…大砲までついてら。こんなんもあるのか?」
「いやだわ。 反乱勢…反貴族派の船かしら」
そのとき、大きな船の大砲からドンッ、っと一発砲弾が打ち出された。
衝撃におびえたルイズ…とギーシュが烈火に寄り添う。
「空賊だ! 抵抗するな!」
「く、空賊だって!?」
ギーシュが泡を吹いて倒れた。恐怖が頂点に達したらしい。
「くそっ…!!」
烈火はとっさにデルフリンガーを握りしめた。
しかし、どこからか漂ってきた青白い雲が烈火の周りを取り囲むと、途端に烈火たちの意識が薄らぐ。
「なんだ…こりゃ…」
烈火はたまらず膝をついた。
「レッ…カ…」
ルイズはふらつきながら烈火の体にしがみついている。
「眠りの…雲か…やられたな…」
ワルドの言葉を最後に、3人は意識を失った。
「っつう…どこだよここ」
薄暗い部屋の中、烈火は目を覚ました。
「おそらく船倉の中だろう」
声のした方を向くとワルド、ルイズ、ギーシュが腰掛けていた。
三人は一足先に意識をとりもどしていたようだ。「で、俺らは捕まっちまったってわけか」
烈火は乱暴に座り直した。 反動が痛みとして右腕に伝わり、顔をしかめる。
「…なによ。 やっぱり怪我が痛むんじゃないの」
ルイズが心配そうに声をかける。
「バカ。 これぐらいなんともありません」
烈火は平気そうな顔をした。
「なんでもないってことないじゃないでしょ。 見せてごらんなさい」
ルイズは烈火の服の袖を無理矢理たくしあげた。
「きゃ!」
烈火の腕を見て、ルイズは悲鳴をあげた。
晴れ上がった火傷のあとが、ミミズ腫れのように膨れ上がっている。
「きみ! やっぱり酷い怪我じゃないか!」
「どうしてほっとくのよ! バカ!!」
取り乱すルイズとギーシュをよそに、ワルドは静かに烈火に声をかけた。
「…使い魔くん、その怪我はどうした? あいつらにやられたのか?」
ワルドが指さす先、烈火の左手の肘部分にはナイフで刺されたような傷があった。 それも、決して浅い傷ではない。
「ちょっと! そんな怪我までして…なんで早く言ってくれないのよ!?」
「ああ、いやこれは…」
烈火が説明しようとしたそのとき、船倉の扉が開き、痩せた細った空賊のひとりがあらわれた。
「頭がお呼びだ」
「貴様ら、王党派の大使だそうだな」
豪華なディナーテーブルに腰掛けた一際派手な格好の空賊がルイズに問いかけた。 彼が空賊の頭らしい。
「ええ」
「何しに行くんだ? あいつらに先はないぜ」
頭は薄ら笑いを浮かべながら言った。
「あんたらには関係ないわ」
毅然とした態度で頭を突き放すルイズ。
「気の強い女は好みだぜ…貴族派につくつもりはないか? あいつらはより多くの貴族を求めている」
「…お断りよ」
「おい、もうちょっと相手の気持ちも考えてだね…」
ギーシュが場をとりなそうと必死になる。
そのとき烈火は、ルイズの体が震えているのに初めて気付いた。
毅然とした態度で、絶対に嘘をつかない。 それはまさに、烈火がそれと認める君主そのものだった。
「もう一度聞く。貴族派につく気はないかね?」
「いい加減にしろよ、てめえ」
烈火がルイズを守るように一歩前に進みでた。
「レッカ…」
烈火を見て、空賊の頭は表情を変える。
「…貴様、さっきもひとりだけ抵抗したやつだな」
「抵抗…? なんのこと?」
「聞いてないのか? こいつ、隠し持っていた小刀で自分の腕を刺し眠気をとばして、俺の部下を何人か倒しやがった」
ルイズは目を見張った。
「アンタ、その傷自分で…?」
何のために、と言おうとしてルイズはすぐに気付いた。
…自分のためだ。
そして、今私を助けようとしてくれたのも、彼。
烈火を見つめる。 彼は目には激しい怒りをたたえていた。 後ろを振り向く。
対照的にワルドは、冷え切った光を目に宿らせていた。
「…貴様はなんだ?」
「忍だ」
「シノビ?」
「ああ。 俺はこいつの使い魔であり、忍…こいつを守るものだ。
これ以上グダグダ言うんならよ…」
烈火は一呼吸置いて、言った。
「この船ごとお前らを沈めてやる」
「ば、バカな!?」
「正気で言ってるのか!?」
どよめく空賊たち。
それを後目に、頭だけは冷静な眼で烈火を見つめていた。
「ち、ちょっと! なに言ってんのよ!!」
「何を言ってるんだ君は!? そんなことをしたら僕たちまで…」
「落ち着け。 慌てては相手の思うつぼだぞ」
ギーシュとルイズが騒ぎ、ワルドが小声でたしなめたが、烈火は耳を貸さない。
「先ほど君たちの杖は取り上げさせてもらったし、見たところ君はただの平民のようだが…
どうやってこの船を落とすつもりだ?」
頭は冷静に問いかけた。
烈火はゆっくり右手の指を擦り合わせる。
火花が爆ぜ、炎が燃え上がった。
これにはさすがに空族の頭も目を見張る。
「バカな!? 杖もなくだと!?」
「まさか、先住魔法じゃ…!!」
「黙れ!!」
ざわめく空賊たちを、頭が一括した。
「…それで? どうするつもりだ?」
烈火は顎をしゃくって近くにある火薬樽をしめした。
「それに火をつける。 船自体も木製だし、よく燃えそうだぜ」
「正気か? そんなことをしたら、貴様等も助からんぞ」
烈火はゆっくりと周りを見回した。
「確かに、今ここにいるやつはみんな死ぬかもな…けどよ、俺が死んでもこいつだけは…姫だけは絶対に守る。 俺が、絶対にな」
「レッカ…」
ルイズは烈火を見つめた。
「自分の命を犠牲にしても、その貴族の小娘を守るというのか」
「それが忍だ」
烈火はきっぱりと断言した。
それを聞いて、頭は大声で笑った。
「まったく、トリステインの人間は、気ばかり強くてどうしようもないな。 まあ、どこぞの国の恥知らずよりは何百倍もマシだがね」
頭は立ち上がり、自らの黒髪やヒゲをはぐ。
周りに控えた空賊たちもそれに続いた。
烈火たちは唖然としている。
最後に眼帯を外すと、空賊の頭、いや凛々しい金髪の若者は威風堂々と名乗った。
「私はアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。 アルビオン王国へようこそ、大使殿。 御用の向きを伺おう」
ルイズ、ギーシュは未だに口をあんぐりと広げており、ワルドは興味深そうに皇太子を見つめていた。
烈火もしばらく呆然としていたが、すぐにハッハッハと大口を開けて笑い出した。
「いや〜ハッタリが通用して良かったよ。 あのままじゃ全員死ぬとこだったぜ」
「あんた…まさか後のこと何にも考えてなかったの!?」
烈火の言葉に正気を取り戻したルイズが突っ込む。
「あたりめーだろ。 船落としたらみんな死んじゃうだろうが…全部ハッタリだ」
烈火は平気な顔。
ルイズは顔を赤くして言った。
「もう! アンタのことだからホントにやるかと思ったじゃない!!」
ーさっきの真剣なあんたにちょっとドキドキした時間を返しなさいよ、とはさすがにいえなかった。
「いてえ、いてえよ! 助かったんだからいいだろ!?」
「まだわかんないわよ! ほんとに皇太子様かどうかなんて!!」
言った直後、自分の発言の失礼さに気付いたルイズはさらに顔を赤くしてあわてた。
ウェールズは気にしてない、という風に微笑んだ。
「なら証拠をお見せしよう」
水のルビーがはめられたルイズの手をとり、自分の指輪を近づける。
ふたつの指輪は共鳴しあい、虹色の光を生み出した。
「これはアルビオン王家に伝わる風のルビーだ。 君がはめているのは、アンリエッタがはめていた水のルビーだね? 水と風は、虹を作る。王家の間にかかる橋さ」
「た、大変失礼をいたしました」
ルイズは慌てて頭を下げ、アンリエッタからの手紙を渡した。
手紙を読み、ウェールズは再び微笑んだ。
「ふむ…了解した。 しかし、あの手紙は今ここにはない。
お手数をかけるが、ニューカッスルまでご足労願いたい」
ルイズたちはウェールズに付き従い、城内の彼の部屋に向かった。
ウェールズは大切そうに宝箱から手紙を取り出すと、ルイズに手渡した。
「これが姫からいただいた手紙だ。 確かに返却したぞ」
「ありがとうございます…あの、殿下」
「なんだい?」
「やはり、王軍に勝ち目はないのですか?」
ルイズは躊躇うように問いかけたが、ウェールズはいともあっさりと答えた。
「ないよ。 兵力の差は圧倒的だ。 我々にできることは、勇敢な死に様を見せることぐらいさ」
「…殿下、失礼をお許しください。 この任務をわたくしに仰せつけられた際の姫様のご様子、尋常ではございませんでした。
もしや、姫さまとウェールズ皇太子殿下は…」
ウェールズは言おうか言わないか迷ったあと、言った。
「…この恋文がゲルマニアの皇室に渡ってはまずいことになる。
この手紙の中で彼女は私に始祖ブリミルの名において、永久の愛を誓っている。
永久の愛を誓うのは、婚姻の際の誓いのみ。 つまり、この手紙が見つかれば、彼女は重婚の大罪を犯すことになる」
「…やはり、姫さまと殿下は恋人であらせられたのですね?」
「昔の話だ」
「殿下、亡命なされませ! トリステインに亡命なされませ!
」
ルイズはウェールズに詰め寄った。
「…それはできない」
ウェールズは笑いながら言った。
「これはわたくしの願いではなく、姫さまの願いでございます! 姫さまの手紙には、そう書かれておりませんでしたか!?」
ウェールズはきっぱりと首をふった。
「そんなことは一行も書かれていない」
「殿下!」
ウェールズは少し寂しそうな笑みを浮かべながら、ルイズの肩を叩いた。
「きみは正直な女の子だな、ラ・ヴァリエール嬢。 しかし、そのように正直過ぎては大使は務まらぬ。 しっかりしなさい」
ウェールズは微笑みながら続けた。
「しかしながら、亡国への大使には適任かもしれぬ。 明日に滅ぶ政府は、誰より正直だ。 なぜなら、名誉以外に守るものが他にないのだから。
…そろそろパーティの時間だ。 君たちは、我らが王国で向かえる最後の客だ。 ぜひとも出席してほしい」
きらびやかなパーティは城のホールで行われた。
貴族たちは着飾り、テーブルの上の豪華な食事を楽しんでいる。
「暢気なもんだな…明日には、戦争だってのに」
烈火は骨付き肉にかぶりつきながら言った。
「…だからこそ、ああも明るく振る舞っているのだろう」
ワルドは静かにつぶやく。 烈火はそんなもんか、と相づちをうった。
「ところで、ギーシュはどうしたんだ?」
「ご婦人方とご歓談中だ」
見ると、ギーシュは貴婦人たちと絶賛お話中だった。
「あいつこそ、暢気なもんだ」
烈火はため息をついて、座の中心を見つめた。
玉座では、ウェールズ皇太子が父である年老いたアルビオン王、ジェームズ一世を支えている。
「諸君。いよいよ明日、反乱軍『レコン・キスタ』による総攻撃が行われる。 しかしながら、明日の戦いはもう、戦いにあらず。 一方的な虐殺になるだろう…朕は忠勇な諸君らが、傷つき、倒れるねを見るに忍びない。
…したがって、朕は諸君らに暇を与える。 長年、よくぞこの王に付き従ってくれた。 厚く礼を述べるぞ。
明日の朝、『イーグル』号が女子供を乗せてここを離れる。 諸君らもこの艦に乗り、この忌まわしき大陸を離れるがよい」
しかし、王の言葉に誰も返事をしない。
ひとりの貴族が、大声で叫んだ。
「陛下! 我らはただ一つの命令だけをお待ちしています!『全軍前へ!』 うまい酒の所為で、いささか耳が遠くなっております! それ以外の命令が耳に届きませぬ!!」
149 :
使い魔の炎:2009/03/26(木) 16:58:10 ID:DeZfJJbx
急ぎすぎておさるさんくらっちゃったので、今回はここまでで
支援ありがとうございました!
乙
そろそろ八竜くるんだろーか
復活してほしい作品なら両手にあまるほどあるぞ。
眠りの地竜
赤い獅子
割れぬなら
絶望の街の魔王
男たちの使い魔
カービィ
ほか省略
戻ってきてえ
悪魔も泣きだす使い魔
されど罪人は零と踊る
戻ってきてほしいです
自分が受験でさえなければ描きたいのだが……無念
ムスタディオ召喚の続きまだかなぁ……
ちょうどルカヴィ化直前のとこで止まっちゃってるから凄い気になる
ゼロの教師
ぜろろ
異世界に灯る聖なる焔の光
ゼロの超律
GIFT
他にも沢山あるぞー
赤ずきんが戻ってきていたな
俺はDODを待つぞ!ジョジョー!
ジョジョは別スレでは?
俺はとらの人とマタタビの人の復帰を強く望む。
とある魔術の使い魔と主を待っているぞ。
幻想殺しでは完治しなかったけど、まだ禁書世界には、「10万3千冊」と「冥土返し」がいるぞ……
待つのも紳士の嗜みってモンさ。
HITMANの作者………帰ってこないかしらねぇ。
"微熱"の使い魔かなー
続き待ってます
爆熱の人まだかな
待っております
毒の爪も来ないかなー…
ジャンガは無事なのか…
聖帝様とロック・ハワードの人、いつまでも待ってるぜー。
黒蟻なら10年待てる
DODの人はいいところで焦らしすぎだと思うんだ
殺戮王子の活躍がみたい
ゼロの社長の続きはまだかー
俺、ゼロの社長の続きが来たら「遅かったじゃないか・・・」ってレスするんだ・・・
俺はゼロのガンパレードと豆粒ほどの小さな使い魔の連載再開を待ち続ける!
待ち続ける!
聖樹、ハルケギニアへ
の人2の続きマダー?
紳士達の素晴しい決意と覚悟・・・作者さんの元へ届け〜
まだだ!まだ俺はゼロの答えを諦めていないぞ!!
もっと「お前頭が悪いな」って言ってくれえええええええええええええええええ
デュフォーおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
ジルの人は後何ヵ月待てば投下してくれるかな・・・
ちなみにDODの人はスレから撤退してるよ。
自分のサイトで公開するとは言ってたが。
あ、了解w
探してみるありがとう
>>174 DODの人というのは、DOD&Mの人?
そう。カイム様。
とツカイマグルイの人でもあるな。
削除に関しては何も言ってなかったから作品はwikiに残ってるけど、スレ撤退した人の一人だよ。
ありがとうございます。
検索頑張るぜ……
リリカルイズの人も帰ってきてくれた。
ならばきっとアバン先生も・・・
大帝に限りなく忠実な猟犬を召喚した奴と
大帝の電子頭脳に金属片を潜り込ませるチャンスを狙っている2を召喚した奴、どっちも続き待ってます
結局見つけられなくて泣きたくなったでござるの巻
自分の名前が挙がって無くて泣いた
……まぁ、元々ロクに感想もないような駄作だったけどさぁ。
>>183 もう知ってるかもしれないがアバン先生は Part213、149〜 に投下されてるぞ。
俺は日本一の使い魔を待ってるぜ。
軽快なノリのギャグが素敵だw
>>184 どんな表情していいか分からないから、笑っとくね。
悔しいから過去を埋葬して一から書き直してやるんだから!
つーわけで明日辺りでも投下してみる。
期待できる物ならしてみるがいい。
>>168 俺お前が書き込んだの確認したら「言葉は不要か…」って書き込むんだ…
>>185 すまん俺が見つけられなかったのはDOD&Mの人のサイトだ
検索かけても個人サイトひっかかんなくてなぁ
それ
>>182へのアンカミスじゃね?
俺も見つけられないから、過去ログ洗ってるぜwwww
>>184 どんな(ry
いや俺は183なので俺は間違ってないw
PC消して携帯いじってるので、まぎらわしくて申し訳ない
なんかよく分からんけど、俺が言ってるのは、
>>185は
>>182へのアンカミスなんじゃないかな〜?ってことよ
自分がひどく混乱してることだけはよくわかったので寝る
見つけたらヒントくれ!
ウフコック……。
俺は待ってるんだぜ。
このスレに来たきっかけなんだぜ……。
>>188 何をするのか知らないが、おれは期待してるから
お、俺だってほんとは期待してるんだからねっ!///
そして
>>195、あなたは俺に期待しない方が良い。
ちょっと思い当たる節があったから過去ログとか漁ってたんだけど、見事に当てが外れた。
見つけられそうってんでテンションが上がっちゃって草を生やしまくったことを、心より恥じる。
鷲の人はまだかなー
あと鋼の第二部も気になる
>184
お前は俺か?
ここにはちょくちょく烏やら山猫やらくるね
つうことで、ジナ姉さんの人はもう来ないかなぁ。胸部装甲の脆弱さについてルイズと意気投合する姉さんを妄想してたんだが……。
あれ、なんか外から爆音g
ゼロのミーディアムの人はまだかいのぅ
あのキャラ崩壊&ネタ満載っぷりは好きだったんだが…
203 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/27(金) 09:50:44 ID:TnDl6YQc
いぬかみのヒトと、虚神の使い魔のヒト 続編待ってます
ケータ と グレンは動かしにくいのですかね・・・
204 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/27(金) 09:54:40 ID:vvU7v/lm
まとめwiki でお勧めの話は何ですか
いっぱいありすぎてどれを読んでいいかわからないので
もしよければおすすめを教えてください。
あとセガールの話はないんですか?
アクマがこんにちわと魔王伝とイザベラ管理人をいつも待ってますよ
提督の作者の復活をみんなは待ってますよー
>>201 >胸部装甲
貴方には此処で果てていただきます
理由は…おわかりですね?
>>206 あれって完結してなかった?
この前読んでみたけどまあまあ面白かったが
ルイズとヤンがブリミルに対して異常なまでに嫌悪しているのが気になった
>>208 激論になりそうなのでその話題はスルーで。
提督さんネタ振ると変なのが湧いてくるから出すのやめてくれ。
そうか
スマソかった
何分新人さぁんなもんで……
>>211 新人は言い訳にはならないぞ。謝るだけでいいんだ
ゼロのエルクゥの続き読みたいな
ガリアサイドの話が楽しかった
書く前に聞いておきたいんだがスプリガンとのクロスって過去にあった?
私の記憶には無いですけど、それが確かだとは限らないので、wikiで調べると確実ですぜ
ピーマンおいしいです
優なら呼ばれた直後にまず単位のことを気にしそうだな
>>215 まとめwikiの長編と小ネタに無いから、まだ無いと思う。
精霊戦士スプリガンと勘違いしたのは俺だけでいい
>>217 そうなると、使い魔なんて絶対にやってくれないんだろうなあ……
それとも自分の学校への思いがあるから、使い魔にならないと退学って聞かされたらならざるを得ない?
wikiには見当たらなかったので過去に削除された作品の中にあるかなーと
優は呼ばれたら留年確定でマジ泣きしそうですねw
いや、別に優はあそこの生徒じゃないしどこいっても生きてけるスキルはあるから
そもそもルイズの下にいる理由がまるでない
>>220へのレスかな?
自分が学校をちゃんと卒業したいと思っているから、
使い魔にならないとルイズが学校を退学になると聞かされたら、
学校を卒業するまで等ある程度の条件を付けるにせよ、
優の性格的にも使い魔にならざるを得ないんじゃないかと思ってさ
元の世界の単位を気にして
早く帰ろうとするからじゃないのか
卒業後にしたらいいんじゃない。
つかそもそも優だっていってないと思うんだが
スプリガンは本物の魔女までいるからな。
むしろハルケギニアより魔境っぽい。
残念ながら優は面白味がないと友人にダメ出しされたので別の人を予定です
まぁ、優呼び出したらあっちの世界がかなり困りますし正直強すぎなんですよ優w
そういうことか、ボーさんが死んでるなんておかしいと思ったんですよ。
キャシャーンsins完結後の
死を知らない者の死となったキャシャーンを召喚というのはどうだろう?
ところで、あのキャシャーンを召喚するならルーンは間違いなく記されることの無い者だと思うのは俺だけ?
ちなみにディオならガンダールヴ
レダならミュズ
ブライキングボスならヴィンダールヴ(強力な使い魔を手下に)
とか考えてんだが如何だろう?
>>228 ということは、朧さんを召喚するつもりなのか……。
ぜひ頑張ってください。
いやいやここは一発、優の親父の冒険野郎でしょう。
・・・ある意味優以上に強すぎるから駄目かw
朧もマクガイバーも未知の世界には喜びそうだよな
使い魔にはなってくれそうも無いけどさw
234 :
滅殺の使い魔:2009/03/27(金) 14:53:11 ID:817stjRc
>>228 強すぎる人を召喚してしまった俺はどうすれば(ry
先約がいらっしゃらなければ5分後に投下してもよろしいでしょうか?
支援だ
>>230 書きたければ書けよ
お前の妄想を聞かされても面白くないっつーの
避難所行ってろ
拳を極めし者支援
238 :
滅殺の使い魔:2009/03/27(金) 14:57:58 ID:817stjRc
「け、ケンを……?」
「ここはどこだ」
ルイズのつぶやきを無視し、男は再びコルベールに問う。
構えを解いたことは、戦う意思が無いからなのか、それとも油断させようとしているからなのか、コルベールには皆目見当がつかなかった。
ただ、この男も混乱しているのは確かなようで、周りを観察するように見回していた。
ひょっとして、自分は凄まじいほどの非礼をしでかしたのではないかと、コルベールは思った。
「ち、ちょっと!無視するんじゃないわよ!私があんたを召喚したの!ここはトリステイン魔法学院よ!」
男に徹底的に無視されたからか、ルイズは男に怒鳴りつける。
対して男は、ルイズの言葉に少し肩を震わせると、背後のルイズに視線を向けた。
「とりせていん……?」
「トリステインよ!なに?トリステイン魔法学院も知らないなんて、あんたどれだけ田舎者なのよ!」
「ぬぅ……」
男から少し動揺を感じ取ったルイズは、そのまま畳み掛けることにした。
「今やってるのは使い魔召喚の儀。召喚された使い魔は、一生主人につかえるものなの」
「……それで?」
男が初めてまともに言葉を返す。
ルイズはそのまま押し切ろうと心の中で決めたのだが、いかんせん世の中はそれほど甘くない。
「ミス・ヴァリエール、彼も困っているでしょう。説明しなければ」
コルベールの言葉に、ルイズは不服そうにするが、このまま押し切れるとも思えなかったので、ここは一旦コルベールに任せることにした。
「先ほどは申し訳ありませんでした。私の名はジャン・コルベール。あなたは?」
「我が名は豪鬼。……して、なぜ我がこのようなところに居る。我は大阪城で果てた筈だが」
「オーサカジョー……?どこの田舎よ、それ」
「ミス・ヴァリエール!……ではゴウキ殿。先ほどもミス・ヴァリエールが言いました通り、今は『使い魔召喚の儀』の最中です」
239 :
滅殺の使い魔:2009/03/27(金) 14:58:51 ID:817stjRc
「……ほう」
「それで、今、ミス・ヴァリエールが召喚を行った結果……」
「不本意にも、アンタを召喚しちゃったのよ」
「何……では、我にその『使い魔』とやらになれと言うのか」
「ええ。お願いします、これで契約が出来なければ、彼女は進級することが出来ないのです」
「ぬぅ……」
豪鬼は悩んでいた。
自らが果てたものと思っていたら、いきなり訳のわからない場所に現れ、使い魔……?
初めは此処が冥界なのかと思ってもいたが、どうやらそれも違う。
話を聞くところ、この少女が自分を呼び出したと言うではないか。
それがいきなり使い魔……下僕になれと?
そんなことを受け入れる必要は無い。
いや、待てよ……もしかすれば、自分はこの少女に命を救われたのかも知れないではないか。
むしろそう考えるのが自然なのではないか。
自分は確かに大阪城で果てた、死んだ筈なのだ。
それが今このような見知らぬ土地に居る。
聞くところによると、この少女の仕業というのだから、自分はこの少女に救われたのだろう。
ならば、この少女には恩が有るのではなかろうか。
考えてみれば、このような新たな土地で、新たな強者と死合うことが出来るのなら、条件次第では良いのではないか。
そう結論付けた豪鬼は、了解の旨を伝えることにした。
「よかろう」
「え?」
「よろしいのですか!?ありがとうございます。これで彼女も無事進級することが出来ます!」
「ただし、条件がある」
「条件……?」
「な、なによ、平民の癖に」
「ミス・ヴァリエール。……条件、とは?」
「……寝床と食料。この二つを用意することだ」
豪鬼は兎に角『死合う』ことを第一に望み
それ以外に関しては大きすぎる問題は無いんだよなぁ
っと支援
242 :
滅殺の使い魔:2009/03/27(金) 15:03:12 ID:817stjRc
その気になれば、いや、いつもならば、豪鬼は食料も寝床も自分で全て用意できるのだが、いかんせん見知らぬ土地だ。せっかく拾った命を食い物如きの毒で落とすのは些か不味いと豪鬼は判断した。
「わかりました。こちらも最大限の支援はしましょう。……では、『コントラクト・サーヴァント』を」
「こ、こんとらく……」
「あんたはいいの。黙ってなさい」
「ぬぅ……」
「あ、膝をつきなさいよ、届かないじゃない」
豪鬼が片膝をつくのを確認すると、ルイズは詠唱に入る。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
間髪居れずに、ルイズはその唇を豪鬼の唇に重ねる。
(ああ……ファーストキスだったのに……)
ルイズがそんな思いを抱いている傍で、豪鬼は一瞬呆気に取られるが、すぐに持ち直す。
やがて、豪鬼は左手に違和感を感じた。
確認すると、手の甲に何やら面妖な文字が刻まれている。
一般人なら激痛に見舞われるものだが、竜巻も、ナイフも、銃弾すらも片手で弾く男である。
実際激痛が襲ってきてはいるのだが、豪鬼にとって見れば蚊に刺された程度だった。
「ふむ、珍しいルーンですな。今度、じっくり観察させていただきたい」
そういいながらコルベールはルーンをメモに書き写し、周りの生徒に学院に戻る指示を出した。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
口々にルイズを馬鹿にしながら『フライ』の魔法で空を飛ぶ生徒達。
豪鬼はそれに少々驚くも、自らも『竜巻斬空脚』で飛べる上、豪鬼にとってはその速度も『大して速くない』程度であったため、此処ではそれが当たり前なのか、と思う程度であった。
今日の「滅殺!」必殺技講座
・竜巻斬空脚
空中で自ら竜巻のように回転しながら足で攻撃をする必殺技。分かりやすく言うと『竜巻旋風脚』の名前違いか。(細かい違い
はあるが)
コマンドは「(十字キーもしくはレバーで、キャラが右向きの時)下・左下・左+キックボタン」
243 :
滅殺の使い魔:2009/03/27(金) 15:04:02 ID:817stjRc
『滅殺の使い魔』では、豪鬼の超人的な能力により、空をも飛んで行けるという設定である。
「そ、そんなクルクル回ってるだけで……?」
「大ジャンプで宇宙に行けるが」
「何よそれ……」
244 :
滅殺の使い魔:2009/03/27(金) 15:05:29 ID:817stjRc
今回はこれで終わりです。
ありがとうございました。
し、しえん!
チーターマンの多段ジャンプ
乙
SVCじゃ大地を叩き割って地獄に行ったからねェ
乙w
豪鬼っていつから人間じゃなくなったんだ?w
乙。
まあ、あの世界はサイコパワーとかヨガパワーとか頭突きとかで、割と普通に空を飛ぶ人が多いからなぁ…。
>>248 某漫画だと殺意の波動に飲み込まれた
実体を持った思念体みたいになってたな。
251 :
滅殺の使い魔:2009/03/27(金) 15:17:15 ID:817stjRc
皆さんありがとうございます!
必殺技講座どうでしょうか?余計でしょうか?
本文との行間をもっと空けたほうがいいと思うので、次は気をつけたいと思います。
豪鬼の一番人間離れしてるのは空中↓+キックだと思う今日この頃。
逆に考えるんだ
人間の可能性ははてしなく広いものだと考えればいいんだよ
人間の可能性を警戒するムカイさんマジパネェ!
そしてマガキは死ねですね、わかります
お前らオロチでも呼ぶ気かwwww
それとも人の手で創られた地球意思ことミズチでも呼ぶ気かwwww
ありえん(笑)
もう英雄ハクメンを召喚しちゃえよ
豪鬼とかぶっこわれwww
あんな奴どう扱う気だwwww
地球じゃないから地球意思のミズチは来れないんじゃ?
>>248 中平正彦センセのストV漫画の辺りからかと
あれは実にカッチョ良かった…
俺このスレが480kb行ったら20kb探偵作って投下してあの娘と結婚するんだ…
>>259 ノン。
地球意思がオロチで(KOF)、オロチのクローン体がミズチ(NBC)
ザンギュラのスーパーウリアッ上
インド人を右に
豪鬼に限らず、空中の軌道がおかしいのはよくあること。
カプエスなら、ルガールのダークスマッシュも空中で停止してから急降下するし、
疾風拳とかソウルフィストはどんだけ勢いがあるジャンプをしても必ず反動で後退するし
リョウの空中虎煌拳は発射時にいったん停止、発射後ふたたびジャンプの続きを飛ぶし……
>>253 アレはアフガン航空相撲だから飛ぶのは当然。
ギースは疾風拳のおかげで高層ビルから墜落しても命をとりとめたんだぜ
空中飛び道具ってバズーカ砲並みの反動があるんだろうか
空中といやぁ「初代春麗奇跡の間合い」でしょう
>>269 しかし豪鬼やナイトメアギースは無反動で撃ったりする不思議。
神オロチとレジェンドゴジータ呼んでハルケギニアで宇宙創造
その後ADSとデススターが宇宙戦争
>>107 >>108 キュルケもタバサもギーシュもティトォも料理できないのに
ルイズはマルトーを唸らすほどのパイを作れるとな!
>>274 秘めたる才能の力です
マテリアルパワーです
WWFの副作用で失敗魔法の制御が出来るようになったけど
エクスプロージョンにもそれは反映されるのだろうか
>>274 菓子作りくらいはしても、料理をする貴族はいないって「タバサの冒険」で言ってたし
不死の三人にもどうも料理できるイメージがないなw
何十年も三人暮ししてたんだからできないとおかしいんだけど
どうもバレットに養われてたり
サンに家事させて昼寝してるイメージが強くて
今作品書いててちょっと詰まってしまったんですが
どっかに「原作・アニメ・漫画含めて値段が明らかになったものリスト」みたいなのないですかね?
意味がわからんのだが…
作中で出てきたアイテム類の値段でも知りたいんじゃね?
ハルケギニアの物価がよくわからないってことじゃない?
デルフの値段は適正か?とかのこと?
「一般的な大剣の値段 200エキュー
アルビオンの水兵服3着(中古) 1エキュー
・
・
・」
みたいなリストなり表なりがどこかにないかなーと
>>279>>280 そうですそうです。
「服の相場」だとか「平民向け宿の相場」だとかあったらうれしいんですけど。
なかったらどうにかこうにかしますです。
ルイズのメイド服、三途の川の渡し賃
286 :
ゼロの騎士団:2009/03/27(金) 21:22:54 ID:B0bTux9H
お久しぶりです。
5話が出来たので投下させていただきます。
21時30分を予定しています。
287 :
ゼロの騎士団:2009/03/27(金) 21:30:35 ID:B0bTux9H
ゼロの騎士団 PART2 幻魔皇帝 クロムウェル 5 「夢芝居と落ちこぼれ」
ルイズはその時、乾いた金属音を聞いた。
その音の方向を見ると、そこには彼女の知っている人物が片膝をついていた。
(ニュー!)
ルイズの声は届かずに、ニューは片膝を着きながら、衝撃で痺れた手を押さえていた。
その様子を見ていた、一人が声をあげる。
「勝負あり、そこまで!」
審判を務めていたであろう者は、ニューと同じような人物だった。
少なくとも人間には見えない。
ルイズにはいきなりの状況に、訳が分からなかったが、近くにもう一人見知った顔が居た。
(ん、何をやっているのかしら?あ、あれはゼータじゃない)
気付かなかったが、対戦相手は彼女の友人の使い魔のゼータであった。
おそらく、練習試合なのだろう――訓練場の様な場所を見てルイズはそう考える。
剣の技量は知らないが、ニューがゼータ相手に勝てるとはルイズも思わなかった。
「ありがとうございます」
ゼータがニューに試合後の礼をする。
だが、そこには充実感や爽快感はなく、一種の含んだ空気が漂っていた。
その原因は外野の空気に思えた。
(またかよ、5戦全敗)
(ゼータが強いと言う事を差し引いても、これは異常だよな……)
ルイズの耳に、誰ともわからない声が聞こえる。複数の男達の声が聞こえる。
(え!何?何の声?)
誰とも知れない声に、周りにいる人物たちを見渡す。その顔には、蔑むような視線がルイズにも見てとれた。
ルイズにはその声が解らなかったが、周りの空気から何となく事情を読みこめた。
彼は馬鹿にされている――自分の様に
クラス内でルイズに対する視線と、今のニューに対する視線は同じ物を感じる。
だが、これは何なのだろう。思い当たる事は、つい最近の出来事。
(これは、夢、ニューの昔って事かしら)
数日前に見た夢に似ていると何となくルイズは感じ取った。
(そう言えばアイツ、騎士になりたいって、言ってたわね……)
以前、教室の掃除の際の話をルイズは思い出していた。
(しかし、アイツって魔法は使える割に、剣は本当に駄目だったのね)
ゼータの技はルイズも知っているが、それでも差があると思った。
あの時は謙遜とは感じなかったが、こうまで酷いとは。
(いつも偉そうな割に、こんな所もあったのね)
彼女の知っているニューは、どちらかと言えば自信家で毒舌な人物である。
自身を馬鹿にしてはいないが、少なくとも尊敬しているとは到底思えない。
だから、今の落ち込んだ顔を見て、少し微笑む。
それから、誰も居なくなった訓練場に、ニューとルイズが残される。
(慰めてあげようかしら)
優越感からそんな事を考える。
しかし、これは夢の為ルイズに気づかないのだった、ニューは近くに落ちた剣をじっと見つめている。
「はぁ、僕には才能がないのかな……」
肩を落として溜息をつく。
ゼータだけでは無い、昨日は弟弟子のリ…ガズィにも敗れた。
ある程度わかっていたことであったが、それでも、この現実は辛い物がある。
その様子を、最初はいい様と思っていたが、段々といたたまれないものを、ルイズは感じ始める。
才能がないのかな……
自分もよく口にする言葉、人の居ない所で練習して失敗する。
そして、いつもその言葉に落ち着く。
聞こえないとはいえ、何か声をかけたい。
その思いもむなしく、ルイズに声が響く。
(……いつもの所に行くか)
数秒考え込んだ後、深呼吸してから立ち上がり、ニューは歩き出した。
288 :
ゼロの騎士団:2009/03/27(金) 21:32:07 ID:B0bTux9H
ニューの後を付いて行くと、そこは図書館の様であった。ニューが部屋に入ると、また人間とは違った者が出迎える。
緑色の体にローブをまとい、ニュー達と違い青いゴーグルで覆われている。
ルイズは知らないが、彼は法術隊の中で、もっとも古株の僧侶 ガンタンクUであった。
「ガンタンク殿、お邪魔します」
「こんにちは、ニュー殿」
やってきたニューに対して、ガンタンクは丁寧に挨拶をしてから、二人は手近な椅子に座る。
「また、ご教授して貰いたいのですがよろしいですか?」
「ええ、良いですよ」
ニューの申し出に、ガンタンクは喜んで応じる。
ルイズが何をするのか見ていると、ガンタンクは何やら話し始めたようだ。
(講義なのかしら)
詳しい内容は分から無いが、それは魔法学院で聞く講義の内容に似ている気がした。ニューはその話を聞きながら、何度も頷いている。
向かい合う様は生徒と教師の一言に尽きる。
タンクの言葉が途絶える。どうやら、終わりらしい。
次に、杖を取り出してガンタンクが魔法を唱える。
「では、今度は実践してみましょう。ミディ」
手から柔らかい暖かい光があふれる。
ミディ――ガンタンクの魔法は、ニューが使う魔法の中でも簡単なものである事をルイズは知っていた。
ニューも続いて、魔法を唱え手から暖かい光が溢れ出す。
どうやら、剣とは違い魔法の方は本当に才能があるようだ。
少なくとも未だに、魔法が正確に使えないルイズにはそう思えた。
タンクは休憩を促し、お茶を持って来る。
「しかし、貴方は勉強熱心ですな」
一息ついた所で感心したように、タンクはニューを見る。
タンクがニューに魔法を教え始めたのはここ一か月ほどの事であるが、
少なくとも簡単な魔法でもこれほど早く習得するとは思いもしなかった。
「僕は剣が下手ですので、せめて簡単な魔法が使えたらと」
ニューがお茶を飲みながら、それに答える。
騎馬隊の中にはごく少数ながら、簡単な回復魔法が使える物が居る。
ジムスナイパーUやジムコマンド等はリ…ガズィやゼータには剣で劣るが、そう言った面で貢献している。
ニューが自身に魔法が使える事に気がついたのは最近であり、今ではタンクの下で暇な時に教えを請う事が日課であった。
そして、この時間が弟弟子達への劣等感と訓練で負け続けるニューにとっても心の支えとなっていた。
(剣では貢献できないかも知れない。けど、こう言った事でみんなに貢献できるかもしれないから)
ニューの心の声はルイズにも聞こえていた。
289 :
ゼロの騎士団:2009/03/27(金) 21:33:28 ID:B0bTux9H
タンクはそんなニューの葛藤には気付いているか分からない曖昧な表情を浮かべる。
あるいは、それに気付いているのかもしれない。
「しかし、貴方はもっと修業を積めば法術士になれるかもしれないのに、本当に勿体ないですな」
タンクが残念な感情を含んだ声で呟く。
今ではほとんど見る事がなくなった職業
法術士――回復だけでは無く、数多の攻撃魔法を使いこなす法術士は今では幻と呼ばれていた。
興味深く耳を傾けるニューに、タンクは思う所があるのか話を続ける。
「貴方なら伝説の魔法ギガ・ソーラも使えるかも知れません」
「ギガ・ソーラとは?」
ニューもその様な魔法は聞いた事無かった。
ここにきて、いろいろな魔法を聞いたがその魔法は初めて聞くものがあった。
「ギガ・ソーラは伝説の魔法と言われています。その力は絶大で戦局にも影響を与えると言われました。
しかし、絶大故に術者にも多大な負担を与える為に使える者がほとんど居なくなってしまいました」
「そんなにすごい魔法なのですか」
昔話を聞いた子供の様に、ニューは顔を輝かせる。
(僕も修行すれば、そのような凄い魔法が使えるのだろうか)
ニューはなんとなくそんな事を思った。
反対にルイズは疑問の表情を浮かべる。
(そんなすごい魔法、ニューは使えるのかしら?)
ニューの魔法を見てきているが、ギガ…ソーラだけはルイズも見た事がなかった。
「……話しはそれくらいにしましょう、ところで、どうですか、
本当に法術隊に入りませんか?うちは人手不足なんです、貴方が来てくれたら歓迎しますよ」
先程までとは違い、声に戯れは感じない。
それを感じ取り、ニューも表情を硬くする。
「申し訳ありません、僕は騎士になりたいのです」
タンクの声を聞いて、ニューも申し訳なさそうに答える。
(私は、お爺様や父様みたいに立派な騎士になりたかったんだ)
ニューの言葉がルイズの心の中によぎる。
何となく何かを理解したのか、タンクはニューの顔を見て顔を崩す。
「そうですね、人には生き方があります。貴方はまだ若い、後悔しないはずがありません。
だから、貴方の出来る事を、貴方にとっての答えを見つけなさい」
(え!……今の言葉、私に言った言葉じゃない)
ルイズの意識は、その言葉を最後に遠くなった。
290 :
ゼロの騎士団:2009/03/27(金) 21:34:49 ID:B0bTux9H
夢から覚めたのかと思ったら、どうやら違う様であった。はっきりとは分からないが屋内に居るのだろう。
外は暗く、感覚はないが、何となく音で雨の気配を感じた。
そして、その室内にはうす暗い明かりの中十数人の人の気配を感じる。
「この雨が、我々の命を繋ぎ止めているのであろうな」
アレックスが窓から外を見ながら、緊張した面持ちで呟く。
丘の様になった地形から、アレックスに習い窓から外を見ると、
少し離れた所には無数の明かりが森の中から見えていた。
「国境にまで偵察に来てみれば、これ程までの敵と遭遇するとは……」
この間までの均衡状態とは違い、近頃のアルガス王国は世代交代もあり、ムンゾ帝国に後れをとっていた。
アレックスはそれを感じ取り、今回国境まで威力偵察にきた。
しかし、ムンゾ帝国も同じ事を考えてたらしく、遭遇戦となる。
敵は九百近い数でありアレックスは退却を決断する。
幸い、歩兵を中心としたムンゾ帝国に対して、数十騎とはいえ馬に乗っていたから、
降り出した雨の助けもあり、ここまで退却する事が出来た。
しかし、予想外の豪雨で川が氾濫し、結果的にムンゾ帝国の侵攻部隊と共に、ここに取り残される。
「ムンゾ帝国が近頃力をつけて来たのは本当の様ですな……」
アレックスに、タンクが言葉を入れる。
「そうだな、奴らの力は以前よりも増している、
なんとかしないとな……夜明け頃には雨がやむ、向こうはそれと共に攻撃を仕掛けてくるだろう」
自身も語りたくないが、迫る危機に話題を変える。
その言葉に、声は出ないが空気は重くなる。
雨で敵が攻撃できないように、援軍もまた思うように進軍出来ないでいた。
このままでは……周りの顔は深刻であった。
戦争――とは言えないまでも相手と命をかけて殺し合う。
ルイズは、無言でその様子を見ていた。
一対一の決闘とは違う、自分の力が及ばない領域。
剣が使える、力が強い、魔法が使える。
それらの意味を嘲笑う物。
戦争とは常に有利な状況とは限らない。そして、今まさにその状況であった。
「アレックス団長、試したい事があるのですがよろしいですか?」
(……アレを試してみるしかない)
最後の言葉から数分の沈黙の後、不意に、ガンタンクはアレックスに提案を出す。
(……アレって、何かしら?)
「タンク殿、なにか考えでも?」
タンクは古株でこの中では相談兼知恵袋と考えている。
アレックスの返事には何か期待の意味がルイズは感じる。
タンクは自身の考えに絶対の自信はないのか、言葉はゆっくりとしたものであった。
「はい、私とメタス、そしてニュー殿でギガ・ソーラを試してみたいのです」
その言葉に、真っ先に二人がが反応した。
「無茶です、僧侶ガンタンク、我々二人の力でも無理だと言うのに」
オレンジ色の体に緑のゴーグルの僧侶メタスが反論する。
彼からしてみれば、それは干ばつの際に行う雨乞い程度の認識しかなかった。
ましてや、その中心人物に自分が来るとなれば猶更であった。
そして、もう一人も同じ考えであった。
「え!無茶ですよ、タンク殿、僕は簡単な魔法しか使えないんですよ」
(無理だよ、私に出来る訳ないよ)
タンクが自分の名を出した事に、ニューは狼狽する。
この中で、一番期待されていない存在の自分が、急に出て来た事に戸惑う。
291 :
ゼロの騎士団:2009/03/27(金) 21:36:11 ID:B0bTux9H
(なんで僕なんだよ、僕の名前なんか出したら)
懸念は当たる。自分の名前を聞いて、周りの空気も再び重くなる。
しかし、タンクはニューが望むような冗談を言った訳では無い。
「もちろん解っています。しかし、貴方はものすごい力をお持ちだ、私達だけでは無理でも貴方の力を借りれば、出来るかも知れません」
(何を言ってるんだ、この爺さんは)
(無理だぜ、あぁ、ここで全滅かな)
タンクの言葉を聞いても、他の者達は呆れていた。
彼らの認識ではニューは頭数にすら入っていない。
せいぜい回復を頼むくらいの薬箱の様な存在である。
それを、周りの騎士達の言葉を聞いて、ルイズは憤りを感じる。
(何もしない癖に、何言ってるのよ!)
何もしないのに、ただ僻んだり、愚痴る。
そうなりたくないと考えるルイズにとって、彼らの考えや行いは最低と言えた。
アレックスはそれを聞いて、無言で考え事をしている。
もちろん、兵たちの空気も感じている。
(このままでは全滅は必至、ならば賭けるしかあるまい)
自分の決断を部下は無能と罵るだろう。
しかし、自身に案がなく、このままでは、遠からず全滅するのであれば、それに頼るしかアレックスには無かった。
(無能だな、私は)
ルイズ以外、その顔は見えなかった。
自嘲を含んだその顔は、皮肉にも最も人間らしいとも言えた。
「僧侶ガンタンクUの策を受け入れる、夜明けと同時に、
ギガ・ソーラを唱え、それと同時に、奇襲を掛ける。全員、時間まで休んでおくように!」
アレックスの言葉を聞いて、ざわめきが聞こえ始めるが、アレックスが一喝するとそれは音を下げた。
しかし、騎士達の空気はいよいよ重くなっていった。
場面が暗転し多様な感覚で、ほぼ一瞬と言う間に、時間は夜明け前になっていた。
突撃のカモフラージュの為、騎士達は、小屋から出て事態を見守っている。
その中心には、アレックスと三人の術者達が居た。
(これで最後かな)
(母ちゃん、ゴメンよ)
騎士達の声にない悲痛な叫びがルイズにも聞こえた。
若い兵士の一人は、よく見ると槍を持つ手が震えている。
「では、頼む」
アレックスが開始の合図を出す。
先程までとは違い、危機が目の前にある今、すがるような視線が中心に集まる。
「ニュー殿、メタス、では行きますよ」
タンクが二人に呼びかける。
「はい」
(嫌だな……みんな期待している)
恐らく一睡もしていないであろう腫れた眼で、ニューはタンクの杖を握る。
三人は無言で集中し始め、晴れていた空は、心なしか、晴れかけた空が、また曇り始めていた。
その様子に、騎士達に期待の混じった声が少し上がる。
余裕があるのか、まだ、ムンゾ帝国の兵士たちは動く気配を見せない。
(まだ、これでは……)
周囲の期待に反して、タンクは焦りの表情を浮かべる。
「ニュー殿、メタス、もっとです!」
自分に向ける意味を含めて、若い二人に檄を飛ばす。
重なった杖により強い重さを感じる。
「はい」
(これ以上は無理だよ)
タンクの叱咤にニューとメタスが返事をするが、内心はルイズに聞こえていた。
292 :
ゼロの騎士団:2009/03/27(金) 21:37:00 ID:B0bTux9H
自分の中で、二つ名と共に最も忌み嫌う言葉――無理
(アイツには無理だよ、だってゼロのルイズなんだぜ)
(また失敗したのか、だから無理だって言ったのに、ゼロのルイズ!)
ルイズにはその時、自身への言葉が思い出された。
拳を握る。覚えたくなかったが、いつの間にか覚えている感覚。
(ニュー……)
それだけを言った後、ルイズは黙っていた。
そして………
(馬鹿ゴーレム!アンタ何弱気になっているのよ!アンタが出来なかった皆が全滅するのよ!)
目を見開き走りだしたルイズが、触れる事が出来ないニューを叩きはじめる。
(アンタ何時も偉そうな癖に、口が悪い癖に………教室で私に偉そうなこと言ったのは嘘だって言うの!
馬鹿ゴーレム、出来なかったら一生ご飯抜きよ!)
……どうでもよかった。
夢である事も忘れ、ルイズは必死にニューを激励する。
その声は届かない。しかし、ルイズは声を上げずには居られなかった。
使い魔は自身の鏡――思えば似ているかもしれない。
家の名前を背負っている所、自信家な所
……そして、本当は弱気な所も。
(アンタは騎士としては駄目かも知れない、けど、アンタにはアンタの出来る事があるのよ!)
自信家で口が悪く、性格も良いとは言えない。しかし、魔法が使える使い魔として自慢できる存在。
(アンタがそんなのだと、私まで……を諦める事になるじゃな(……けど)え!)
ルイズの言葉をニューの心の声が遮る。
(期待――今まで無意味だと思っていた。だけど、それは誰も本当は望んではいないからなんだ!)
立派な騎士になれ――本当に望んでいるのか?
その言葉に込められる意味、思いやり?社交辞令?騎士の家に生まれたから?
(期待……今までで一番嫌いな言葉。でも、今は違う!生き残る事を皆が望んでいる。……やらなきゃ、そうしなくちゃみんな全滅する!)
その言葉と共に、杖に輝きが増していく。
(僕にだって出来る事があるんだ!)
曇った空に一筋の光が見え始める。
(いける!)
「いきますよ!」
「はい!」
タンクが合図を送り、ニュー達が返事を返す。
そして、その声は同時であった。
「ギガ・ソーラ!」
それは、ルイズが見てきた中で、一番強い光であった。
遠くから見ると、暗い雲の中から、一つの光が降り注いだ様だった。
光は大地に突き刺さり、そして……
目を突き刺すような光の強さの割には、何一つ音がしなかった。
293 :
ゼロの騎士団:2009/03/27(金) 21:38:14 ID:B0bTux9H
(何が起こったって言うの!)
ルイズも目がやられており、視界が開けるには十数秒を要した。
そして、光が終わり、自身の眼で何が起こったのかを確認する。
(何……これ……)
ルイズは目の前の森を見た。いや、見ている筈であった。
数秒前まで、森とその中には無数の殺気があった。しかし、それはすべて消えていた。
森があった所には、何一つなく、茶色い土の色のみであった。
ぬかるんだ土もなく、ただ、抉られたようなクレーターが広がるのみであった。
「おお、やったぞ!」
確認した誰かが、歓喜の声をあげる。
異常な事態よりも、自分達の生存が確認できて、彼らは素直に喜んでいた。
騎士達の歓声で、正気を取り戻し、ルイズはニューを探す。
そして、自身の使い魔を見つける。
彼はそこに居た。
(ニュー!)
本来、祝福されるであろう彼は、力なく倒れていた。
ニューに近寄ろうとするが、視界に暗幕が下りる。
そこから先は良く解らなかった。
時間、その他の感覚もほとんど感じ無い。
「ルイズ、何をやっているんだ?」
心配して、近寄った筈の男の声が聞こえた。
真っ先に回復しつつある聴覚で情報を求める。
声の方向を向くと、そこには倒れた筈のニューが居た。
「ニュー、アンタ倒れた筈じゃ………」
「寝ぼけているのか、ベッドから倒れたのはお前だ、ウォータ」
「うひゃ、あひゃ、なっ!何すんのよ、この馬鹿ゴーレム!」
水を顔にかけられて、ルイズは触覚と視覚を完全に覚醒させる。
そこには、いつも通りの憎たらしい顔があった。
ルイズが暖かい空気と、冷たい感覚に挟まれている事に気づく。彼女はベットから落ちたようであった。
「起きたようだな、全く、これから、姫様の命令を果たさなくちゃならん時に……」
腰に手をあてて、呆れた様子でルイズを見下ろす。
それが気に入らないので、ルイズは起き上がる。
「……てっ、解っているわよ!着替え持ってきなさい!」
ルイズはニューの後ろにあるクローゼットを指差す。
「はい、はい」
ルイズの不機嫌に慣れているのか、背を向けて、ニューがルイズのクローゼットを開ける。
ルイズは、さっきまでの頼りなさげな青年と、目の前の皮肉屋な青年と姿を合わせながら、ため息をついた。
「33 ニュー!アンタ、何弱気になっているのよ!」
ニューの過去
彼はその後……
MEMORY
以上で投下終了です。
次回は番外編「使い魔 感謝の日」を予定しています。
支援
まってたんだぜ
支援
一足遅かったか・・・
乙
そういえば「ソーラレイ」っていうえらい物騒な名前の攻撃魔法があったような
GB版だったっけ
霞の鎧装備してると歩くごとに1ダメージ
ボスに武者頑駄無がいたような・・・
>>297 ギガソーラはソーラレイの全体攻撃版だったはず
ファミコン版はミノフスキー唱えればラスボスフルボッコだったなぁw
>>297 一応ソーラ→ソーラレイ→メガソーラ→ギガソーラ。
ナイトガンダムに出てくる魔法はガンダムの兵器のもじり。
ファン(ファンネル)とかムービサーべ(ビームサーベル)とか。
回復もミディ(ミデア)とかラビ(ラビアンローズ)とか
MtLはまだかな・・・・
>>298,300
補足d
>ムービサーベ
あったなぁそんな魔法
>297
GB版の武者は……戦ったのは覚えてる。何でかは忘れた。
後、ゼータたちがアイテムとかくれた。
>>303 ラスダンのどこかの鏡みたいなのを調べるといきなり戦闘になったような記憶がある
>>303 ご先祖様の霊とか、そんな設定で鏡を調べるとでてくる強い雑魚モンスター
倒してると3回攻撃ができる「どうたぬき」を落としてくれる
明らかにラクロアンヒーローズ最強の武器
カードダス片手にコールと呟いたのはイイ思い出……俺だけじゃないよな?
>>306 子連れ狼こと拝一刀の愛刀でもあるね
胴太貫
ルイズ、ルガーランスを使うんだ!!
どうたぬきといえば
「てんかのめいとう どうたぬきゲンマさく。そうびするとこうげきりょくがあがるぞ」
>>308 どうせなら、オークションハウスの柳宋厳の大将を召喚しましょう。
極めて優れた主人公ですが、それも人間レベルなのでバランスが良いかと。
練習までに初めて何か書いてみようと思うんだけど、
「ここはこうしたほうがいい」とか
「もっとこう書くべき」とかアドバイスってこのスレでもらえる?
素直に作家chatにいきんさい
練習スレに投下してアドバイスくれって言ってみたら?
そういうのはここ向きの案件ではないと思うが。
おじさんとはひどいなw
こう見えても37なんだぜ?
おじさんとはひどいなw
こう見えても37なんだぜ?
ごめん気にしないで
うんうん、きにしないから。おじさん
毒吐きスレで聞いてみれば?
作者より偉いプロ達が教えてくれるぜ?
そうかー
でも、まぁアドバイスもらおうってのは不純っちゃ不純だものな、スレ的に。
書いたら練習スレに投げるか、アドバイスとか言わずにここに落とすかするよ。
避難所のスレ一覧見たら練習スレが見あたらないのだが。
避難所用SS投下スレを代わりに使えばいいのかな?
30代は若いよな?
おじさんは50位からでおじいさんは80くらいだろ?
気にしないでとは書いたけど気になったんだ…
それは、相対論でしかない。
10歳の子が37歳をどう思うか
20歳の女性が37歳をどう思うか
はてさて
>>323 自分で自分のことを「おじさんなのかな」と思い始めた時点で、
その人は無意識にでもおじさんになりつつあると思います。
>>324 つまりウェストウッド村の子供たちあたりからすれば、カトレアやエレオノールなんて立派なグギャァアアアアア
>>326 子供は寝なさい
何時だと思ってるんだ!
ルイズ、タバサ = おねえちゃん
キュルケ = おばさん
でおk?
えーと、胸の大きい人が大きい人がおばさんで
無い人がおねえちゃんで良いの?
貫禄があるのがオバさんで、威厳があるのがお姉さまで、どちらもないのがお姉ちゃんです。
居酒屋にいるのがねえちゃんだ
姉さんとねぇねぇと姉貴と(名前)ねぇはどこに行けば会えますか?
姉ぇはおれんだ。
>>327 というか、幼稚園ぐらいの子供は、高校生ぐらいの子を素でおばさん呼ばわりしますぜ?
その辺はおばさんと思って言ってるんじゃなくてからかいの範疇の悪口として言ってるからな
サイトとおマチさんのコンビってありそうでないよな
このスレの名前を百回音読しろ
あの作品のキャラが貧乳に召喚されました Part222 × 100
これでいいか?
先生! ミス・ヴァリエールが
>>342の家に向かったようです!
先生!ミセス・ヴァリ……あっすいません!^^
ミス・ヴァリエールさんにお勉強を教えてもらいたいです!
サイトは将来ミスター・ヴァリエールになるのかあ
>>340 ナコルルが召喚された話とか、FEの司祭さん(だっけ?)が召喚された話くらいかな
(才人がテファに召喚された話なら結構あるけど)
そのミス・ヴァリエールは長女なのか三女なのか
まあ結果は大差ないが
∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧ / l \ \ ヽ
< ┌┐ _ _ > / .:/ | | .:. :ヽ :\ .ヽ ヽ ',
< ││ ┌┘└┘└┐> / / .: :| .:/ .:.:| |: 、.:.:.:.\ :.:ヽ :| :.:', |
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< ││ └┘││ > | | |: .:| :.:|_;.|_|_|__乂:.:.: .:`廾十 ト-:、ヽ:| :.:.:|: |
< ││ // > lハ ト、 -K|ヾ/\` \:.:.:.:.:.}_ /\ハ/l :.:.!: |
< ││  ̄_ > ヾ;.\:.| , /(・) \ヽ、ヽ.:.:./ /(・) 〉、 { .:.|: |
< ││ // > N ヾ \_/ ノ/ \_/ノ し|.. :|: |
< ││ / | > | ヘ :. ∠ ⌒.:⌒ /:',. /: ',
< ││ //|| > ∧ ハ :ヘ ゚ :::::::r〜〜‐、ヽ ::::::::::: / .:.:. .:./.:.: ヽ
< ││  ̄ || > / .:.:.:| :.:', :)jjjjjjjjjjjヽヽ / .:.:.:.:.:/:.:.:.:.. \
<  ̄  ̄ > / .: :.:.| ヽ |,, || / .:.: .:/:.:.:.:.\:. \
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AA自重しれ
原作・アニメ・漫画含めて値段が明らかになったものリスト
どこかにあったと思います。
ちょっと探してみます。
コピペですまんですが一応見つけてきました。
内容の保障は出来ませんので参考にする程度でお願いします。
847 :名無し三等兵:2009/01/20(火) 16:44:05 ID:???
【資料】
《通貨》 1エキュー(1円玉大の金貨)=100スゥ(銀貨)=1000ドニエ(銅貨)=約1万円 とすると
1スゥ=100円、1ドニエ=10円 新金貨1枚=2/3エキュー(3枚で2エキュー)=約6667円
※ルイズなど王侯貴族にとっては、1エキューがせいぜい1000円か2000円(5分の1)ぐらいの感覚なのかも知れない
そうするとルイズの感覚としては 新金貨1枚=約1334円、1スゥ=20円、1ドニエ=2円 となる
《物価・収入・資産》
官能小説『バタフライ伯爵夫人の優雅な一日』 :55スゥ(5500円、近世レベルの風俗小説としては妥当な値段)
安い宿代2人分:1エキュー(1万円)
デルフリンガー:新金貨100枚=約66.7万円(叩き売り)=ルイズの財布にあるお小遣い(彼女にとっては13.4万円程度?)
普通の大剣(長さ1.5m):新金貨200枚=約134万円
平民1人の年間生活費:約120エキュー(120万円)=王侯貴族が集まる宴席での料理一皿分
チップレース(1週間、途中経過・7日目) 三位:84エキュー52スゥ6ドニエ(84万5260円) 二位:98エキュー65スゥ3ドニエ(98万6530円) 一位:160エキュー78スゥ8ドニエ(160万7880円)
サイトがアンリエッタに貰った金:新金貨400枚=270エキュー
情報収集任務の経費:新金貨600枚=400エキュー=馬1頭
=高級な宿代二ヵ月半分…一ヶ月が32日なので64+16=80日分、つまり1日5エキュー(5万円 ルイズにとっては1万円?)
騎士や下級貴族の年給=平民の家族4人が不自由なく暮らせる年収:約500エキュー
ルイズが30分間の博打でスッた金:新金貨1000枚=670エキュー(彼女にとっては67万円程度?)
水の精霊の涙、小瓶1つ分:約700エキュー
シュペー卿作の宝飾大剣(吹っかけ値?)=森のある庭付きの立派な屋敷:新金貨3000枚=2000エキュー
首都郊外での80アルパン(32ha?)の土地付きの城:1万2000エキュー(1億2000万円?(中古物件))
リッシュモンがばら撒いた裏金:7万エキュー(7億円)
30 :名無しさん:2007/11/03(土) 22:46:59 ID:tkjSI6Ps
>>19 多分、10ドニエ=1スゥは、5巻のチップレースのときのランキングで、
●●エキュー、■■スゥ、▲ドニエってのが並んでて
ドニエだけは二桁が存在しなかったことからの推測ではないかと。
wikiにある 100ドニエ = 1スゥの出展が知りたいな。
ゴウキが命拾いの恩や食中毒を気にして使い魔になるとはな
昔懐かしいストUギャグ4コマの豪鬼なら、飯と寝床世話してやれば喜んで使い魔になってくれるだろう
学校でテスト受けてる豪鬼も見たことがあるので別に違和感はない
ポケットファイターの豪鬼なら……
>344
「ミス」に「さん」をつけるなw
「ミスターさん」みたいじゃないかw
タバサの冒険3巻を見て思ったのだが
人間の言葉を喋れる犬系の獣人は召還されたとしたら
警戒されちゃうのかな
まず警戒されないと思います。むしろすごい使い魔呼んだなと感心されるかと思いいます。
つまり魔族特性:獣人をもった魔族を『絶対隷奴』から召喚しr…
いやなんでもない。タバサの冒険3巻早く買わないとナー。
トロール鬼とか召喚したら気味悪がられそうだがどうなんだろ
犬で人語解し、とっても紳士で名探偵ホームズが召喚されるのですね
ワンワン三銃士からダルタニヤン召喚ですね、わかります。
スレイヤーズのリナの実家からスポット(ディルギア)召喚とかなーw
そういや魔法無効だっけ?アイツ
犬語翻訳機能付きのペルソナ使いロボ子を想像してしまったのは何でだろう・・・
工画堂の乙女ゲーにけもけもしたキャラがいたなぁ
ヴァンパイアセイバーのガロンが白くなったようなやつなんだが
ゴツい見た目に反してルイズと同い年というのが可愛いんだけど
サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ・ド・オルニエール・ラ・ヴァリエール
適当に並べてみたけど、この手の名前の基準がようわからんなぁ
つーかトリステイン女王とガリア女王に好かれているサイトってどんだけー
ファンタジーさんだからだよ
リアルでそんなことがあってたまるか
サイトさんはお母さんが心配してるから早く元の世界に帰ってあげてください
お母さんは鬱で何度も手首を切って現在入院中です
早く帰ってあげて下さい
獣キャラなら既にチーターマンとかグインというナイスガイたちの話があるじゃあないか
グインは長編で読んでみたかったが
サイトの名前は立場やら出身地やら領地の名前つなげていってるだけじゃないかな。なんかフランス人の名前の付け方がそんならしい。
ヨーロッパはアイスランドがファミリーネームって概念がなかったりいろいろ変わってるんだよねぇ。
またコピペですまんですが。
421 :名無しさん:2009/02/15(日) 23:15:53 ID:Oic3ldko
フランソワーズやアルベルティーヌは単にミドルネームじゃないの?
ル・ブランは前置詞のleが付いているから名字とは考えられない。
一応コピペを転載しておく。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
Louise Fran?oise le Blanc de la Valli?re
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
名 ↑ the 苗字 ↑ the 苗字(治める領地の名前)
名(middle name) of(貴族がつける)
Louis=フランス語圏の男性名 Louise=Louisの女性形
Fran?ois=フランス語圏の男性名 Fran?oise=Francoisの女性形
le=フランス語の男性名詞のthe la=フランス語の女性名詞のthe
Blanc=フランス語圏の苗字、地名。「白」の意
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%B4%E6%97%8F ヨーロッパ・ロシアの貴族
ヨーロッパの封建貴族はゲルマン系、特にフランク王国の制度が基礎になっている。
ドイツの貴族は「フォン(von)」、フランスの貴族は「ド(de)」を名前に付けた。
フランス人のファーストネーム(名)は聖人からつけるので似たような名前ばかりになる
Louis は聖人Louisに由来するフランス語圏の一般的なファーストネーム
Fran?ois は聖人Fran?oisに由来するフランス語圏の一般的なファーストネーム
ルイズのモデルの名前
Louise Fran?oise de la Baume le Blanc, duchesse de la Valli?re
苗字(治める土地)がdeの後に三つ、duchesse=公爵夫人
ttp://www13.atwiki.jp/louise/pages/14.html#18
サイトは絶頂期寸前あたりで日本に唐突に送還されるべき
古代ローマだと、個人名-氏族名-家族名になるな。
カエサルは、ユリウス一族のカエサル家のガイウス君だ。
家族名の後ろに二つ名の様なものをつけられることもある。ゲルマニアを制覇したらゲルマニクスとか。
個人名はあまり重要でなかったようで、ヴァリエーションに乏しいらしい。
特に女性の名前は悲惨で、氏族名の女性形で済ませてしまうことが普通。
ゼロ魔の場合、ヴァリエール三姉妹でル・ブランが共通してるから、これが土地とは
関係なく定着した一族の名前なのかも。
>>364 あいつはただの獣人で、半魔族とかじゃないはずだが?
犬っ娘といえばベネットを忘れてはいけない。
「けーっけっけっけ ここまで来ればフェルシア様のお仕置きも怖くないでやんすー」
今更地球に戻ってもサイトはしんどいだけだよな
流石に高校は除籍になってるだろうし、正当防衛しようとしてうっかり相手をフルボッコにしかねない
盆と正月に田舎に帰る感覚でいいな>地球帰還
そもそも天寿を全う出来る保証が・・・いや死なないかヌル原作だし
話の骨子はルイズとの恋愛譚だが……。天寿は微妙だな。腕利きの殺し屋に狙われたらほぼ死ぬし。
主人公殺して普通に話を進めるラノベとか、ぬるくないと言うレベルじゃないと思うがw
ゼロ魔はわりと存在感の有る脇役があっさり死んだりするから、そういう意味ではあんま温くもない気もするしな
19:10から、16話を投下したいと思います。
5レスになると思います。
ルイズが学院に帰って最初にやったことは、寮に戻って自室の布団に潜り込むことである。疲れていたのだ。
アルビオンへの旅は彼女の精神に多大な負荷を与えたし、アプトムに抱えられていただけとはいえ、空を飛んでの帰還はルイズを緊張させ
肉体的にも疲労を強いた。
そんなわけで、心身ともに疲れたルイズは布団に入るなり深い眠りに落ちた。
そして、アプトムはというと、特別疲れた様子はなかったが、エネルギーが足りないなと思っていた。
なにせ、ワルドとの戦闘で右腕を切り落とされたり再生したり、休む間もなく獣化して土を掘り、浮遊大陸の底からは空を飛び、真っ直ぐ
にトリステインまで帰ってきてからは、馬に乗って街に行き王宮へ行って帰った、その間に一度も栄養補給をしていなかったのである。
元の世界であれば、獣化兵の一人も養分にすれば済んだ話だが、ここではそうはいかない。この世界には獣化兵がいないから、というのも
あるが、学院の使用人を獲物にするのも問題がある。
そんなわけで、食堂に向かう。と言っても、アルヴィーズの食堂は貴族専用なので彼が向かうのは厨房である。
彼は、この学院で働く平民の多くに好かれていなかったが、別に嫌われてもいない。使用人たちの仲間に入れてもらおうとしたのならば嫌
な顔をされることだろうが、食事や洗濯などの用事を頼む分には特にどうとも思われない。
というか、学院の生徒の使い魔たちの食料を用意するのも、使用人の仕事である。ルイズの使い魔であるアプトムの食事の用意を嫌がる理
由がないのだ。
と言うわけで、厨房に入ったアプトムに数少ないというか唯一の顔見知りのメイドであるシエスタが声をかけてくる。
彼女にとってアプトムとは、愛想は良くないが悪い人ではないという認識である。
基本的には、それ以上でもそれ以下でもないのだが、ルイズという可愛らしい貴族の娘に好意を持っている彼女からすると、その使い魔で
ある彼は、ちょっとした親近感を感じる相手でもある。
そんな彼女であるから、アプトムに対して最初に尋ねたのは、なんの用件かという質問ではなくルイズはどうしたのかというものである。
ルイズがアルビオン行きを決めたのはアンリエッタが訪ねてきた夜半であり、出かけたのは翌朝早くである。シエスタに挨拶していく暇な
どなかったのだから、このメイドの少女からすれば、ある朝急にルイズがいなくなり、人づてに魔法衛士隊の隊長と出かけたらしいという噂
を聞いた。というもので、たかが一使用人にルイズがどうなったのかの説明があるはずもなく、心配で一人悶々としていた。
そんな彼女に対するアプトムの答えは、ルイズなら疲れて寝ているというものである。
実際、紆余曲折あったが、大きな怪我をするでもなく無事に帰ってこれたわけで、身体的には長旅で疲労したという程度である。いや、長
い旅でもなかったが。
「疲れてって何をしてたんですか?」
「いわゆる、お使いだな」
お使い? と少女は首を傾げる。そんな事のためにわざわざ貴族の娘が学院を何日も休んで魔法衛士隊の人間と出かけるというのも理解で
きなければ、それで疲労して昼間から寝てしまうというのも分からない。
とはいえ、あまり突っ込んだ質問ができるほどアプトムと親しいというわけでもないので、話はそこで終わってしまい、後でルイズに会い
に行ってやってくれと言われ、シエスタは笑顔でそれに答えるのだった。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、不器用な少女である。二つ以上の事を同時に考えることを得意としてい
ないし、一つの感情に支配されている時は他のことが考えられない。
だから、怒りに支配されていた時には忘れていたもう一つの感情を、後になって思い出したりもする。
その感情の名は悲しみ。ウェールズを助けられなかったことやワルドの裏切りは、彼女の精神を追い詰めるのに充分な破壊力を持っていた。
基本的に内に篭もる性質の精神の持ち主なのである。一度落ち込めば中々元には戻らないし、ルイズに高い信頼を得ているアプトムでも、
容易に彼女の心を浮上させることはできない。
いや、むしろアプトムだからできないというべきだろう。
アプトムの存在は、ルイズに安らぎよりも緊張を強いる。彼が得体の知れないバケモノだから、というわけではない。彼女は彼をそんなも
のだとは思っていない。
アプトムはルイズには大きすぎるのだ。その能力は大きすぎて自分などが使い魔にしていい存在ではないと思い知らされる。
あるいは、アプトムがもうすこしルイズの心を思いやっていれば、そうは思わなかったのかもしれないが、彼の最終的な目的は元の世界に
帰ること。つまりは彼女を置いていくことであるので、必要以上には関わりを持とうとはしなかった。
そんな彼女だから、本来ならば眼を覚ますと同時に酷く落ち込んでしまうはずであった。なのに、そうならなかったのは彼女の右手を包む
暖かな両手が理由。
夢を見ていたのだと思う。とても辛くて苦しくて悲しい夢。心が潰れそうなそこから救い出してくれたのは、ちいさなぬくもり。
それが何なのか、眠っていた彼女には分からなかったのだけれど。眼を覚まし、そこにいた者を見てルイズは知った。
「ちいねえさま?」
それは、ルイズが大好きな下の姉を呼ぶ時のもので、そこにいた少女とは似ても似つかない容姿の持ち主だったのだけれど、ベッドに眠る
自分の隣に椅子を置き、彼女の手を握ってくれている姿に、そんな事をしてくれる人間が他に思い当たらない彼女は、ついそう言ってしまっ
ていた。
その声が聞こえたのだろうか、少女はゆっくりと目を開けてルイズの顔を見ると嬉しそうに微笑み。そして、「お目覚めですか? ミス・
ヴァリエール」と答えた後、朝日の射し込む窓に眼を向けて。そして、しばしの時が過ぎた後……、脂汗を流し始めた。
「あの……。えっと……」
と助けを求めるように、キョロキョロと部屋を見回し、壁を背に立つアプトムを発見する。
「あ、アプトムさん。わたし、ひょっとして寝てました?」
「心配するな。厨房には遅れると連絡しておいた」
そうじゃないでしょう! とシエスタは心の中で悲鳴を上げる。
シエスタがこの部屋に来たのは昨日の夜である。アプトムに言われたからというのもあるが、ルイズのことが気になっていた彼女は、その
日の仕事を終わらせるとすぐにルイズに会いに来た。そうしてやってきた彼女が見たのは眠りながら辛そうな顔で涙を流すルイズである。
どういうことなのかと、アプトムに眼を向けたが彼は首を振った。彼はルイズの理解者ではない。涙を流す原因らしき事を知っていたが、
確信はできなかったのだ。それ以前に気安く人に話していいことでもないが。
ルイズに何があったのかシエスタは知らない。知ることを許されていない。だけど、自分にも、この小さな貴族のために何かできることはな
いだろうかと思った彼女は、ルイズの手が助けを求めるように動いていることに気づいた。
ルイズは、基本的に寝ぼけているときでもない限り人に助けを求めない。それが許されない事だと思い込んでいるかのように。だけど、心
の中ではいつも助けを求めているのだと知る者は少ない。
シエスタは、そんなことを知る者ではない。だが、彼女は反射的にルイズの手を取っていた。
それによって、ルイズの寝顔が穏やかになったのを見て取り、自分の行動は正しかったのだなと満足した彼女は、少しの間このままでいて
あげようと黙って立ち尽くし、疲れるだろうとアプトムが用意してくれた椅子に座り、ルイズの手の温もりだけを感じるために瞼を下ろした。
どうでもいいことではあるが、シエスタたち学院の使用人の仕事は立ち仕事である。こういう仕事をしている人間は腰を下ろすと睡魔が襲
ってきやすい。
というわけで、ちょっとウトウトしてきたなぁと考えた次の瞬間には寝入ってしまっていたのである。
「どうして起こしてくれなかったんですか!」
心の中ではともかく、口に出して叫ぶわけにもいかず、ボソボソと文句を言うが、返ってくるのは「よく寝ていたからな」などという答え。
だから、そうじゃないんですよ! とシエスタは思う。
貴族の眠る寝室で一夜を明かすなど、彼女の身分で許されるものではないし、仕事に遅れるというのも、褒められた話ではない。
雇用主である貴族から許可があったとしても、事前に同僚と話をしておかなければ周りの迷惑になるのが平民という労働者である。
シエスタは、人に迷惑をかける事をよしとする性質の人間ではないし、貴族に擦り寄って仕事をサボる人間であるなどと学院の他の使用人
たちに思われたくもない。
そんなわけで、狼狽するシエスタであるが、アプトムが厨房にした連絡というものが、シエスタはルイズに捕まって離してもらえないでい
るので厨房に来るのは遅れる。というものだったので、貴族の娘のせいで苦労しているんだな。などと思われていたりする。
そんなことを知らないシエスタは、ただただ狼狽し、それを見るルイズは、えーと、わたし何か悪い事したのかな? と首を傾げていたり
する。
昼から、翌朝までという長時間の睡眠を取ったルイズは、いつもと違い寝ぼけることなく自分の足で食堂に向かった。ちなみに、この日の
着替えはシエスタの手を借りてやった。
ルイズとしては、いつも通りにアプトムに着替えさせてもらうつもりだったのだが、これにシエスタが異を唱えた。
彼女とて、貴族が従僕のいるところでは自分で着替えたりしないことは知っている。
しかしである。うら若い娘が異性の前にその肌を晒すなどというけしからん行為を見逃すわけには行かない。というか、いくら使い魔だと
いっても普通は会って一月やそこらの異性に肌を晒そうなどとは思わないのではなかろうか。
そう思ったシエスタの行動は早かった。アプトムを追い出し、あっという間にルイズを着替えさせて明日からは、自分が着替えを手伝うか
らアプトムさんの手は借りないでくださいね。などと威圧感たっぷりの笑顔で念押しして出て行った。
なんでメイドなんかに指図されないといけないのよ。そんな風に思ったルイズだが、シエスタのおかげで少しだけ心が軽くなったことには
気づいていたので、口に出しての文句は言わなかった。
今朝は寝ぼけていないので、一人で食堂に入ったルイズを迎えたのは、何対もの視線であった。アルビオンへ旅に出る前、キュルケがルイ
ズたちを見つけたように、アプトムたちが出発し、ルイズがキュルケらと後を追った姿を見ていた生徒が何人もいたのである。
ただ出かけただけなら、生徒たちも何も思わなかったかもしれないが、その一行に魔法衛士隊隊長がいたのだ。これに多くの生徒は好奇心
を刺激された。ぶっちゃけ、ただ単に暇をもてあましているだけなのだが。
とはいえ、朝食の場でそんな話を聞きにルイズに群がるなどという、はしたないことはできない。ここには教師たちもいるのだから。
そんな生殺しな生徒たちがいる中、そんな逡巡とは無縁の生徒もいた。
「おはよう、ルイズ。あの後どうなったの?」
キュルケの意味深な言葉に、多くの生徒が「知っているのかキュルケ!」という感じで色めき立つが、言った本人は周りの視線など意に介
さない。
いや、キュルケもルイズと一緒に出かけていたことを、学生たちは知っていたのだが。
「おはようキュルケ。あとタバサも」
挨拶を返すルイズの顔には、朝から嫌なやつに会っちゃったなぁという感情の色が見えていて、キュルケは、おや? っと思う。
寝ぼけたルイズは、こんな顔をしないのだが、朝に寝ぼけていないルイズを見るのは久しぶりである。ついでに言うと、寝ぼけていないル
イズが自分に挨拶を返してくる時は、もっとこう憎々しげというか、そんな感じの感情が篭もっていた気がするが、今日のは、今は会いたく
ない相手と顔を合わせてしまったなぁという感情しか感じない。
実際、今のルイズは、任務の事を聞かれたくないなぁ。でも嫌だって言っても聞いてくるだろうなぁ。キュルケだし。と思っているだけで
ある。
何気に、お互いの事をよく理解している二人であった。
ちなみに、キュルケの隣ではルイズが入って来たのに気づいて、一瞬だけビクンッと肩を震わせたタバサがいたが誰も気づかなかった。
「それで? あの後どうなったの?」
「禁則事項よ」
なによそれ? と思うキュルケに、「ああいうのは、ちょっとしたお使いでも部外者に話しちゃいけないものなのよ」とルイズが答える。
ちょっとした、お使いというには、けっこう危険な任務だったんじゃないかとは思ったが、キュルケも、それ以上は突っ込まない。元々ル
イズが話すとも思っていなかったのだ。知りたいという好奇心はあるが、不特定多数の人間が聞いているところで話していい話題ではないと
理解はしている。
だから、また後で聞いてみよう。そんなことを決心するキュルケであった。
そんなキュルケの隣では、一度だけ「おはよう」と言葉を発して、それ以外は食事の為にのみ口を開いて黙々と朝食を片付けるタバサがい
た。人に知られてはいけない任務というものに多く携わっている彼女は、自分の事を棚に上げて人の任務に好奇心をむき出しにしたりはしな
いのだ。
朝食が終わり、教室に入ると、クラスメイトたちがルイズを取り囲んで、学院を休んでいた間の事を聞きたがった。
それは昨日の朝には、キュルケとタバサを取り囲んで話を聞きたがっていた連中だとはルイズには分からない。その時に質問責めにあった
二人は何も話さなかった。任務について詳しいことを知らなかったというのもあるが、軽々しく話していい事と、悪い事の区別くらいはつく
のである。
そんなわけで、二人がダメならとルイズに話を聞こうとした彼らだが、当然こちらも何も話さない。もったいぶっているというのならとも
かく、まったく話す気がないとなると、暇つぶしの意味が濃い質問なので、いい加減、質問するのも面倒になってしまう。
結局何も聞き出せないままに引き下がる彼らだが、その中に一人だけなかなか引き下がらない少女がいた。
『香水』の二つ名を持つ少女モンモラシーである。彼女も、ルイズたちが休んでいた間に何をしていたのかに興味を惹かれていたのだが、
もう一つ気になっていることがあった。
彼女は、前にギーシュと付き合っていた少女の一人である。浮気性な彼に愛想が尽きてしまい別れることにしたのだが、多少なりと気にな
る相手ではあった。
そんな相手が、ルイズたちと一緒に出かけて一人だけ帰って来ていないのである。何も聞くなというのも無理があるだろう。
だが、そんなことを聞かれても困るのである。ギーシュとはラ・ロシェールでキュルケたち分かれてそれっきりだし、キュルケにでも聞い
てくれとしか言いようがないのだが、キュルケの方でもギーシュはルイズたちを追いかけていったとしか言いようがない。
詳しい話をするわけにもいかないルイズは、まあギーシュのことだし女の子でもナンパしてるんじゃないの。とでも誤魔化すしかなく、モ
ンモラシーも、それで一応の納得をしてしまうのであった。
哀れなりギーシュ。
紫煙
その日、ルイズは放課後に図書室で勉強をすることができなかった。彼女が図書室に現れたのが夜になってからだったためである。
その理由を、ルイズはアプトムに言うことはなかった。アプトムも聞かなかった。言われなくても、顔を見れば想像がつくようになった彼
は、また授業で魔法が失敗して後始末をさせられていたのだろうと考え、それは正しかった。
そんなわけで、何冊かの本を借り出したルイズは、自室で机に向かい本を広げていた。
それは、アルビオンに向かう前から続けていた日課。だけど、その旅で得た知識が彼女にある疑問を投げかけ、集中を妨げていた。
伝説の使い魔ガンダールヴ。それがアプトムだとワルドは言っていた。では、自分は何なのだろう?
魔法の成功率ゼロのルイズ。それが周囲の認識。彼女は、それを否定し続けていたのだけれど、口で何を言おうと結果を出さなくては事実
は変わらない。
アプトムという存在が、自分がゼロではないという証明になると考えた事もある。だけど、ガンダールヴを召喚したから伝説のメイジだな
どというのも違う気がする。
そもそも、彼女に伝説のメイジになりたいなどという考えはなかった。家族のような優秀なメイジでなくていい。普通でいい人並みでいい
から、魔法が使えるようになりたい。それが彼女の想いであったから、まともに魔法も使えないのに、一足飛びに伝説などと言われても困惑
が先に立つのだ。
そして、その悩みはアプトムには話せない。彼女が伝説に残るような、彼を元いた世界に返せる魔法を開発できるメイジになる事を望んで
いるアプトムに、それは話せるはずのない事であったのだ。
その男の、レコン・キスタという組織における立場は、フーケの護衛というか、彼女が戦闘を行う場合の前衛を勤める者というものである。
彼女の立場が、あまり前線に出るようなものでなかったのと、男が現れたのがアルビオンの制圧が終わり、戦闘がなくなってからだったの
で、彼にメイジの守りができるだけの実力があるのか疑う者もいたが、それを口に出す者はいなかった。
それは、どうでもよかったから。という理由が大きい。フーケは、ワルド子爵という皇帝クロムウェルの直属という意味合いの立場の者の
命令にだけ従うものであり、その護衛の実力になど興味がなかったのである。
ただ、男の正体について知りたがる者はいた。というのも、彼は顔全体に包帯を巻いて露出していたのは口と目だけだったからである。
男の言い分は、自分はアルビオン王党派との戦いに参加しており、それによって顔全体に見た者を不快にさせてしまう火傷をしてしまった
からというものであり、実際ワルドが問い詰め包帯を外させたところ、男は元の顔が分からないほどの火傷を負っていた。
だが、それだけでは納得しなかったワルドは、男の左手を確認して、ようやく引き下がった。
ワルドの意図がどこにあったのか理解した者は少ない。
ただ、その日の夜、男を連れて酒場に行ったフーケが愉快そうに笑う姿があったという。
投下終了。
原作通りのセリフってそのまま書いても、読むほうもメンドクサイだけだよね。
と思ったので、その辺を地の文の簡単な説明で流すことを心がけていたら他の部分もセリフが少なくて、やたらとセリフの少ないものになってることに今頃気づきました。
大丈夫なのかこの調子で。
なんつーかアプトム影薄いw
まああまり他人に関わろうとしてないんだから当たり前なんだが
390 :
タコスケ:2009/03/28(土) 19:38:56 ID:Y1aUJZTV
実用的なのならやっぱりメイドガイのコガラシじゃないでしょうか?
乙!
392 :
滅殺の使い魔:2009/03/28(土) 19:44:08 ID:32XGJN4x
ちわース。三河屋でーす。
先約が無ければ5分後に投下させていただいてもよろしいでしょうか。
393 :
滅殺の使い魔:2009/03/28(土) 19:49:43 ID:32XGJN4x
――ある森に、とても優しい心を持つ少女が居た。
美しい美貌も、優しい心も、艶やかな肢体も全て持つその少女にも、得られないものがあった。
それは『生まれ』であり、『立場』でもあった。
王族に生まれ、しかしその血は人間にとって忌むべきもの。
その地を追われた少女は、しかしそれでも、日々を平和に、にこやかに過ごしてきた。
『お友達がほしい』そう願った少女の気持ちを、誰が責められようか。
『お友達』が欲しい……しかし現れた『それ』は、決してそのような穏やかなものではなかった。
ある森で、そう、穏やかな風が吹くその場所で、生気を持たない右目が、少女を見つめていた。
「ここは……どこだね?」
二つの月が、別の地で、『鬼』と『悪』を惑わせていた――
豪鬼は戸惑っていた。
自分が居た世界には、月は一つしかない筈。
ではこれは何だ?このルイズとか言う者の部屋の窓からは、月が二つ、間違いなく二つ輝いて見えた。
これは現か幻か。『また』別世界に来てしまったと言うのか。
思考にふける豪鬼。
だが、ルイズはそれを許してはくれる筈も無く。
「ちょっと……ちょっと!聞いてるの!?」
「……何だ」
「使い魔についての説明よ。聞いてなかったみたいだから、と・く・べ・つ・に!もう一回だけ説明してあげるわ」
「うむ」
豪鬼はいったん思考することをを止め、ルイズの話を聞くことにした。
なにしろ、一応とはいえ自分の生業となることだ。聞かなければ後々困る。
使い魔……あの巫女服の女の狼と鷲のようなものか?
「まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力が与えられるわ」
「どういうことだ」
「使い魔が見たことは、主人も見ることができるのよ」
「ほう」
「でも、あんたじゃ無理みたいね。わたし、何にも見えないもん!」
「……ああ」
豪鬼は感情を込めずに言った。
しかし、こんな年端もいかない少女に、自分達の死合いが見れるはずは無い。
豪鬼はそう思っていたし、ルイズにそんなに威張れる様な実力は無く、地位のみで威張り散らすような人間には強者は居ないとわかっていたため、特に思うところは無かった。
「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。硫黄とか、コケとか……」
「ふむ」
「あんた、そんなの見つけてこれないでしょ! 秘薬の存在すら知らないのに!」
「ああ」
394 :
滅殺の使い魔:2009/03/28(土) 19:50:40 ID:32XGJN4x
正直、そんなことはいくらでもできた。
現代に生きながら現代の文化に染まらず、勿論現代医学になど全く世話になったことは無い豪鬼だ。
そんなものが必要なかったとは言えど、少なくとも自らの住んでいた島の全ては掌握していたと言える。
しかし、そんなことをしてしまえば自身の修練に使う時間がなくなってしまう。
「そして、これが一番なんだけど……、使い魔は、主人を守る存在であるのよ! その能力で、主人を敵から守るのが役目! でも……」
「あんたじゃ無理」と言おうとしたルイズだが、あることを思い出し、それをやめた。
そういえば、豪鬼はさっきファイヤーボールを片手で弾いていたではないか。
ひょっとしたら、この男は結構強いんじゃないか?
「強い幻獣だったら、並大抵の敵には負けないんだけど……。 いいわ、あんたはあんたの出来る限りでわたしを守りなさい」
「いいだろう」
「何よその態度……。 まあいいわ、あとはあんたに出来そうなことをやらせてあげる。洗濯。掃除。その他雑用」
豪鬼はとっさに断ろうとしたが、思いとどまった。
洗濯、掃除……、かなり細かい手先の動きを要求されるものだ。
思えば、自分があの大阪城で敗北したのも、動きが雑だったからではないか。
あの不可思議なオロチの力を注入され、多大なる力は得たものの、理性は崩壊し、動きが力任せになっていたのではないか。
『殺意の波動』だけならまだしも、『オロチ』の力の制御は完全ではない。
しかも、この世界に来てからというもの、オロチの力が更に大きくなっている。 いや、正確には『何かに共鳴して、活発になっている』。
ならば、洗濯や掃除は絶好の修行方法ではないか。
「よかろう」
「それでいいわ。 ……次は、あんたの事聞かせてよ」
「我は、此処とは別の世界から来た」
「……は?」
「我の世界には、月は一つ。 それがゆるぎぬ事実」
「いや、そんな……」
そんなはずは無い。 ルイズはそう思ったのだが、なぜかこの男が嘘をつくとは思えないのだ。
よくよく考えたら、ただの平民が魔法を弾けるわけ無いじゃないか。
そう思うと、豪鬼の言っていることが本当のことのように思えた。
「……証拠は?」
「無い」
無いのかよ、と突っ込みそうになるが我慢する。
「じ、じゃあ、あんたの居た世界はどんなだったのか聞かせてちょうだい。 内容次第で信じてあげるから」
「……我の世界には、魔法など存在しない。 あるのは、科学」
ルガちゃんも来ちゃってる? 支援
396 :
滅殺の使い魔:2009/03/28(土) 19:52:38 ID:32XGJN4x
本当は、魔法まがいの力はあったが、あくまで一般の話である。 魔法など信じられていなかった。 殺意の波動もであるが。
「は? 何? カガク?」
「うむ。 草木は絶え、人は力を持たず、しかし平穏なる世界。 それが我の居た世界『地球』」
「……にわかには信じがたいわね。 でもいいわ、とりあえず信じてあげる」
「……」
「さてと、しゃべったらねむくなっちゃった」
ルイズはあくびをした。
「我はどうすればいい」
ルイズは、床を指差した。
「ベッドは一つしかないから」
ルイズは一枚毛布を豪鬼に投げた。
「要らん」
「あ、そ」
それからブラウスに手をかけ、脱ぎ始める。
下着があらわになる。 豪鬼はなんとも思わなかった。
「じゃあ、これ、洗濯しといて」
「うむ」
ルイズが指を鳴らすと、部屋のランプが消える。
豪鬼の使い魔としての生活が始まった。
今日の「滅殺!」必殺技講座
・ブロッキング
正確には技ではなく、防御システムである。
もとは『ストリートファイターV』シリーズのシステムである。
相手の攻撃を完全に無効化し、ガードよりも迅速に次の行動に移れる。
初心者にはタイミングが非常にシビアであるうえ、失敗すれば攻撃が直撃してしまうのが玉に瑕か。
コマンド「(右向きのとき)上段の場合、相手の攻撃が当たるタイミングで右。 下段の場合、上段のときと同じタイミングで下。 空中の場合、上記二つと同じタイミングで右」
「完全に無効化って……」
レッツゴージャスティーン
乙
そういうゲームじゃねぇからッ!
今回はここまでです。ありがとうございました。
豪鬼は野菜売ってる公式イラストあるから(映画にも登場)意外と常識と生活力ありそうだな
あとTV版では空港にいたんで飛行機使ってるのか
>>365 アイギス喚ぶならキタローも一緒じゃないと……
ルイズは虎朗丸で良いんじゃ無かろうか
色々と乙ー
>滅殺
ブロッキング有りかー・・・ってかシステムを優先で行くと例え30メートルのゴーレムのパンチでもタイミングさえ合えばブロッキング可能なのか!?
と、思ったけどあいつ等なら普通にその程度こなせそうだと気付いて違和感ないや
炎でも電撃もバッチコーイ、だもんね
>損種実験体
火傷をしてるという人の顔を強引に見て、その上で左手のルーンも確認
ワルドには一切の落ち度が無い、むしろよく気を回したというところなのに全くの無駄だなんて・・・頑張れ
公式か知らんが豪鬼って果物を子供相手に売って路銀を稼いでたりしてたよね
豪鬼ってもしかして一般人相手には普通のおっちゃんなのか?
殺意の果汁
ウメハラー!
>例え30メートルのゴーレムのパンチでもタイミングさえ合えばブロッキング可能なのか!?
VSシリーズでは巨大なラスボスの突進攻撃をカウンターするしな
ブロッキングって空中も右なの? 上じゃなくて?
>>399 たぶん豪鬼は飛行機に乗っているんだろうね。
座席ではなく、飛行機に乗っているんだろうね。
>>407 直立不動で腕組してるんですね
東方先生や白桃桃とかみたいに
座っているにすれば良かったね。
乗っているではなく座っているにすれば良かったね。
乗っかってくれた直後にこれだよ、リロードって大事だね。
>>408 逆に完全にギャグで、飛行機の上でコタツに入ってみかんを食べているってのも……
電気は殺意の波動でなんとか……!
俺がお薦めしたい選択肢は「機長が豪鬼」なのだがどうだろう
むしろ動力が豪鬼
まとめると、ネコバス?
414 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/28(土) 21:03:50 ID:Qb/d1EVw
エンジンの中で豪鬼が回っているんですね
飛行機が
一機
二機
三機
四機
ゴーキ
【審議中】(AA略)
あれ?NG設定もしてないのに
>>415が見えない…
飛行機と豪鬼の組み合わせなら
飛行機に何かしらのトラブル!不時着しかない!状況は絶望的!そのときっ!
・・・あとの説明はいらんな?
>>415 どうやらギャグ4コマの読者がここにもいるようだな
……不時着した豪鬼で地球が粉砕されるってこと?
ボンボンの4コマでは、豪鬼がロッキという腹話術を持ってたな。
しまった、「腹話術を持ってた」じゃなくて「腹話術人形を持ってた」だ。
そういや豪鬼に原子力潜水艦をぶっ壊すEDがあったな
書きこめるかテスツ
なんとか3月中に幕間劇だけ書けました。
去りゆく前のお茶濁しの駄文としてお読みくだされば幸いです。
何も無ければ22:00より失礼いたします。
おk 事前支援
やったー、規制とけてたー!!
では、投下開始です。
---------------
時代の節目は、常に良い作品が生まれるものです。
今夜ご紹介する舞台作品も、そんな時代の節目において、
後世に鮮烈な影響を与えた舞台として、人々の記憶に残るものであります。
その作品は、それまでの、いわゆる「良い子ぶった」トリステイン歌劇に対し、
「自由で、人間らしい、自立した」今日のミュージカルの先駆けとも言えるものでした。
それがゆえに、公開当時、批評家達からは「邪道だ!」「不道徳だ!」と批判を浴び
あるいは先鋭的な劇作家達からは「最高傑作だ!」「これこそ真の演劇だ!」と称賛を受けました。
その題名は、ある実在の女性の名前であり、主役もその女性がモデルとなっております。
激動に生き、恋をし、そして戦った、それまでの女性像からは大きく外れた、まさに異端とでもいうべき人物でした。
異端である女性を、主人公にした、異端の舞台。
ご紹介しましょう。
今夜の“美の巨星達”、その作品は――
ゼロの黒魔道士
〜幕間劇ノ五〜 歌劇“エレオノール”
♪ここはトリステインが誇るアカデミー
ここは私の城
そう私は ここさえあれば何もいらない
金も、地位も、名誉すらいらない
ましてや、男なんて!
男なんて!
男なんて!
男なんて!
みんな肥溜めにでも落ちて死んでしまえ!♪
実に、過激でしょう?
今日の我々からすれば、ごく普通の歌詞かもしれませんが、
初回公演の際、この“肥溜め”の下りで、何人の貴族の方々が腰を抜かしたことか!
ハーディ卿により描かれた作品に、ウェパイン伯が曲をつけて発表した歌劇、“エレオノール”は、この歌からはじまります。
今、舞台中央でこの冒頭の歌を感情たっぷりに歌い上げた、彼女、
彼女こそが、エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール、
今回の舞台の主役、その人です。
トリステイン有数の貴族であるラ・ヴァリエール公爵家に生まれた彼女は、
その美しい容姿と、卓越した頭脳、そしてそのあまりにも激しい気性で知られる人物でした。
そうそう、彼女の容姿については、おもしろい逸話があります。
歌劇“エレオノール”の初回公演については、作曲を行ったウェパイン伯自らが演出も担当したのですが、
その際、主役のエレオノールを演じる役者については、このような注文をつけたそうです。
『髪は長いブロンド、これはカツラでいい!だが、高身長でやせ型でなければならない!
そう、胸が毬のように膨らんでいるような女は絶対に演じさせるな!!
あくまでも、洗濯板、いや!大地のように平らでなければならない!』
ね?変わった注文でしょ?
当時のトリステイン歌劇界では、踊りよりも歌、歌唱力が重視されていました。
そのため、やせ細った役者などはありえず、
ふくよかで、声に脂の乗り切ったヒロインを至上とする風潮でした。
それをウェパイン伯は、主役を場末の酒場まで捜し求めて大々的なオーディションを行い、
女性たちをあられもない姿に脱がせてまで理想の体格を持つ役者を探したという逸話もあるほど、
情熱をもってこの舞台の作成に取り組んだそうです。
全ては、素晴らしい演劇と、何より肖像画などの史実に忠実であろうとしたためであります。
そのため、初回公演では「鳥の骨の孫が喉から空気を絞り出しているようだ!」と酷評だったようです。
しかしながら、エレオノールを最初に演じたエミリーというダンサーは、
歌よりも踊りで魅せることに長けていたため、公演を重ねるごとに好評を勝ち得るようになってきました。
これにより、ふくよかな女性から、スレンダーでスタイリッシュな女性が人気になるようになったそうです。
男性の好みというのも、案外いい加減なものですね。
さて、舞台に戻る前に、モデルとなった女性と、その歴史を簡単におさらいしておきましょう。
冒頭で申しましたとおり、エレオノールはトリステイン有数の貴族であるラ・ヴァリエール公爵家に生まれ、
厳格な父親と、“史上最も若く美しく勇ましい女性”と歴史家のアラズラムが評する母、
カリーヌ・デジレの間に、長子として誕生しました。
母の血を色濃く受け継いだためでしょうか、エレオノールは古くからの良妻賢母となることを良しとせず、
その高い理想と、男勝りの性格、卓越した頭脳から湧き出る毒舌の数々により、
トリステイン・アカデミーにおける研究員としての確固たる地位を築く一方、
色事からはどんどんと遠ざかっていき、あげく許嫁にも逃げられるという運命をたどってしまうのです。
この許嫁が最後にエレオノールに宛てた最後の手紙は、
今もトリステイン王立図書館に大切に保管されています。
「もう、限界だ」
その言葉は、簡潔にエレオノールの周囲の評価を現しているといえましょう。
さて、貴族の女性にとって、婚約者に逃げられるということは不名誉極まりないこととされております。
このことから、エレオノールは男性不信に陥り、学術の世界へとその情熱を傾けることとなったのです。
冒頭の彼女の歌は、自分に恐れをなして逃げた婚約者へ、
そしてあらゆる男性へのの嫉妬と怒りを込めて、細い体の全身を使い歌いあげられます。
「男なんて!みんな肥溜めにでも落ちて死んでしまえ!」と。
さて、彼女の心の拠り所となったトリステイン・アカデミーは、由緒ある魔法研究所として、
今日も形を変えつつ、歴史にその名を残し続けている組織ではありますが、
舞台背景となったブリミル歴6242年当時、未曽有の危機に直面しておりました。
いわゆる“レコン・キスタ騒乱”、アルビオンに端を発した理想を求める人の渦は、
彼女の居城ともいうべき象牙の塔にもその爪をのばしていたのです。
とはいえ、それは直接的な武力行為ではなく、経済的影響、簡単に言ってしまえば、お金の問題です。
同年、トリステインの春小麦はラグドリアン湖近辺の水害により収穫が芳しくありませんでした。
さらに予期されていたレコン・キスタ率いるアルビオン軍との衝突はかの有名な“白光の奇跡”により回避されたものの、
依然、緊張状態が続いており、少なくなったトリステイン国庫の予算は大幅に実際に兵を動かす部門に割かれました。
それら影響を、研究所に過ぎないトリステイン・アカデミーがかぶる結果となり、
多くの研究者がアカデミーを去らねばならぬほどアカデミーの財政はひっ迫することとなったのです。
♪あぁ腹立たしい!
お金のために 頭を下げねばならないなんて!
あぁ腹立たしい!
お金のために 時間を割かねばならないなんて!
全て 男が悪いのだ!
男どもが 争わなければ 何もかもうまくいくものを!
男なんて!
男なんて!
男なんて!
みんな馬車に轢かれて死んでしまえ!♪
そのような状況にあったトリステイン・アカデミーへ救世主が訪れたのは、
“白光の奇跡”のほんの少し後であった、とされています。
隣国ゲルマニアのとある貴族から、国交強化の一環という名目で、
多大な資金がアカデミーに寄付されることになったのです。
より多額の給付金を確実に獲得するために、
アカデミーの所長はエレオノールに接待をするよう差し向けました。
この処置は、エレオノールの美貌と、聡明さでもって籠絡しようとしたという説と、
所長が女性蔑視の考えの持ち主であったため押しつけた、という説が存在しています。
ともかく、エレオノールは嬉々としてこの仕事を受けたわけではない、
ということが、次の歌詞で分かります。
♪何故 この私が男のために接待を?
何故 この私が男のためにお茶くみを?
しかも にっくきゲルマニア?
笑わせるんじゃないわよ!
野蛮で 粗野で 下品な者どもに
この私の研究が理解できるはずがない!
男なんて!
男なんて!
男なんて!
みんな犬に噛まれて死んでしまえ!♪
トリステイン貴族におけるゲルマニア嫌いは有名ですが、
エレオノールはヴァリエール家というトリステインのゲルマニア国境付近に居を構える家を生家としているため、
その傾向がより強くなったのではないかと、多くの研究家が指摘しております。
アカデミー所長も同様にゲルマニア嫌いであったと推察されますが、
お金のために、所長は“ある飲み物”を切り札として用意しました。
♪何だと言うの この焦げたにおいは?
泥水のような色 煮えたぎった水
東方の品だというけれど 珍しいだけで
とても飲めそうにないわ♪
何か、お分かりでしょうか?
東洋産で、香ばしい香りに、褐色色の暖かい飲み物。
そう、答えは、コーヒー。
サハラよりも南方を原産地とするコーヒーは、当時のハルケギニアにおいては珍しい品であり、
まだその飲み方も確立されておらず、単に乾燥した豆を煮だしただけのものであったりしました。
エレオノールが試した入れ方もそれと同様であり、薬としてはともかく、飲用には適切ではありません。
珍しければ喜ぶだろうという所長のはからいであったのでしょうが、
味見を行ったエレオノールの感想は酷いものでした。
支援
♪すっぱい!苦い!
なんて刺激的で不思議な味なの!
でも こんなものを飲むなんて 人間ではありえない!
まぁいいわ 男に飲ませるならば このぐらいが丁度いい!
ましてやにっくきゲルマニアの男ならば!
男なんて!
男なんて!
男なんて!
みんな毒を飲んで死んでしまえ!♪
薬として飲まれていたものですから、この反応も無理は無いでしょう。
♪ゲルマニア 子爵 ピーコック卿のおな〜り〜!♪
おや!とうとうやってきたようですよ!
♪やってきた? そう、その男とやらがやってきたの?
どんな男か見てやりましょう
きっと野蛮な男ね
オーク?いいえ、トロールのような姿かもしれないわ
このコーヒーとやらで 出鼻をくじいてやりましょう♪
さて、満を持して舞台中央に登場した男性の容姿。
この舞台衣装も、初演公開時からほとんど変わっておらず、
いつの時代にも、見る人を驚かせる仕掛けとなっております。
素肌に胸当てのようなベスト、白い布で作られた羽のような大きな袖、
腰布の下は心もとない革製のビキニパンツのようなものに、丈の長いブーツ。
史実を基にしたと言われておりますが、この服装に関しては、
原作者のハーディ卿の悪ふざけであった、とする説が今は有力です。
♪ふん 顔は許してやってもいいわ
ゲルマニア男にしては 上等ね
でもどうせ頭の中は オークやトロール並なんでしょ
それにしてもなんて破廉恥は格好なのだろう!
これだから ゲルマニアは!♪
♪やぁやぁ! なんとお美しい方だろう!
学術の砦に 咲き誇る一輪のヒナゲシのごとく!
あなたのような方に出会えるとは
人生とはかような贈り物を受くるものか!♪
さて、この銀髪の美しいピーコック卿という男性、実は歴史上、そのような名前のゲルマニア貴族は存在せず、
歴史家の間では彼の正体は誰かという議論が、度々行われております。
有名な説としては、当時、オークションハウス経営で大儲けをしていたキングス商会のキング伯、
あるいは珍説として、ガリア王家の食客であり、武器商人として暗躍していたとされるクジャ卿、
さらには“裏切りの閃光”ワルド子爵や、武器工芸の分野で知られたシュペー卿、
アルビオンのウェールズ王子とする説まであり、定かではありません。
この辺りにも、歴史のロマンがあると言えるでしょう。
♪なんて刺激的で不思議な声なの!
でも こんなセリフに浮かされるなんて ありえない!
まぁいいわ さっさと用事をすませましょう!♪
♪なんといい香りだ!
天使のもたらした恵みだろうか!
あるいは悪魔の誘惑であるのだろうか!
もしや貴女が両方を兼ねているというのかな?♪
既に、皆さんはお気づきのことと思いますが、
ピーコック卿の歌うメロディーは、通常のハルケギニア音階とは異なったものとなっています。
どの部分も半音ずつ波打つように構成されており、独特の陰影を作りだしています。
これは、ウェパイン伯自身が楽譜に書き残してあるように、
『東洋的に!』との狙いからこのようなものとなったそうです。
そのため、ここで演奏される楽器構成も、通常のオーケストラの構成に、
東洋の楽器として“シタール”と呼ばれる東洋のハープが用いられています。
オリエンタルな魅力にあふれた男性に、次第にエレオノールは心魅かれていきます。
♪銀の髪に 不思議な声音
東洋のお方かしら?
薫るコーヒーと共に なんと魅惑的……
いいえ! どうしたというのエレオノール!
所詮男じゃないの!
男なんて!
男なんて!
男なんて!
みんな扉にはさまれて死んでしまえ!♪
♪ほう コーヒーですか
あぁ いい香りだ
まるであなたのように 僕を誘う♪
♪まぁ お上手ですこと
でもダメよ エレオノール!
そうよ 騙されてなるものですか!
男なんて!
男なんて!
男なんて!
あぁ でもなんと刺激的で不思議な方なの!♪
♪エキゾチックで 魅力的
今まで会った女性とは どこかが違う
あなたになら 任せられそうだ♪
♪任せるとは 何を?♪
♪火竜山脈の調査です
船の準備は僕がいたしましょう!
歴史あるアカデミア そして何より知的な貴女
そう貴女ならば お任せするのに躊躇はない!♪
火竜山脈。
その地は、ガリアの背骨とも呼ばれる、3000メイル級の山々が連なる秘境として、
当時は、火龍の住まうその地は、学術的な調査はまだなされておらず、
固有種である動植物や、貴重な鉱物の存在を信じる人々は多くおりました。
地政的にも、魔学的にも意義のある調査地域対象であることは間違いなかったでしょう。
しかし、エレオノールは、その名誉よりも大事なものを、見つけたようです。
♪知的な女が お嫌いじゃないの?
男なんて
男なんて
男なんて
知的な女を嫌うものですのに♪
知的で聡明な女性。
男尊女卑の考え方は今だ根強く残っており、
エレオノールのことをそのまま許容する男性は、非常に稀でした。
♪何を嫌うというのですか!
貴女の偉大なる母上は 聡明にして勇敢で
誰に嫌われたと おっしゃるのです?♪
♪あぁ なんだと言うの
ただのお世辞であるというのに!
男なんて
男なんて
男なんて
この人は違うというのかしら?♪
♪美味しい珈琲をごちそうさま!
貴女の 笑顔が見れて良かったです
もっと笑った方が お綺麗ですよ
それでは また♪
♪なんて失礼な男なの!
あっという間に去っていった!
これだからゲルマニアの男というものは!
男なんて!
男なんて!
男なんて!
あの人以外 存在しなくていい!♪
恋の芳香に浮かされたエレオノール。
彼女の物語は、ここから始まるのです。
--------------
以上です。
エレオノールさんの台詞まわし等がやや違うのは、史実を歌劇になおしたためであると、ご了承ください。
次回の“美の巨星達”は放送未定ですw
では、しばらく更新できませんが、皆様、お元気で。また会えましたら、よろしくおねがいいたします。
お目汚し失礼いたしました。
あ、あと、規制中の代理投下してくださった皆様に、格別のご感謝をこの場でさせていただきます。
本当に、ありがとうございました。
乙でふ
乙すぐる
Z
なんとか書きあがった四話目
文章量が少ないせいかなかなか話が進まんで、私も自分自身にヤキモキしておりますです。
というわけで先約様がいなければ1:00くらいに投下開始します。
飛び立ってすぐ、太公望の腕にかかる力がいきなり増した。
腕の中のルイズが気を失っていることに気付いた太公望は、ひとまず地面に降り立ちルイズを見た。
「なんだ? 今は寝とるだけかのう」
様態を確認して首をかしげる。見たところ――実際は"見た"より"感じとった"の方が正確だが――病気を患っているわけでもなければ、体が弱いわけでもないようだ。あたりまえだがショックで気を失ってしまうような外的ショックがあったわけでもない。
しばらくルイズのほほをペチペチと叩きながら、なぜ気を失ったのかを考えてみたものの、ルイズという少女のことに詳しくない彼には、まったく理解できなかった。
しかし、このままルイズをはたいてるわけにもいかない。
いまだに眠ったままのご主人を彼女の部屋なり休める場所に寝かしておくべきだろう。
しかしながら、召喚されたての太公望がルイズの部屋の場所を知ってるはずもない。
そんなわけで困った太公望が、あたりをキョロキョロ見渡すと、塔の影に体の半分を隠した状態の少女と目があった。
「おーい! そこの、ちょっと」
「ひゃっ!」
なぜだかわからないが、太公望が声をかけると少女は逃げ出した。
「……ここでは、わしはそんなに変なのかのぅ」
やっぱり文化が違うのかの? とついでに呟いて、ルイズを抱え直し、地面を蹴った。
飛行するために地面から足を離したのであるが、今度は先のように飛び上がることはせず、真横にすっ飛んだ。走るよりよっぽど速いので太公望の主な移動手段はこれである。
広場の中心付近にいた太公望らとその少女との距離は人間的な尺度で測るとけっこうなものがあったが、短距離馬クラスの速度で移動する者の場合、話になる距離ではなかった。
すぐに太公望は少女に追いついて肩を軽く叩く。
「少し聞きた」
「ひ?! ひあぁぁあ!! も、もも、申し訳ありません貴族様!!」
肩に手が当たった瞬間、すさまじい速さで反転し土下座する少女。
なんだこやつは? と、あっけにとられる太公望であったが、コルベールから聞いた「貴族は魔法を使役し、平民を統治する」という話を思い出し、合点がいった。
ようするにこの少女は統治される側、すなわち平民であろう。
程度の差はあれど、支配する者と支配される者の間にはこのような"恐怖"の感情が付きまとうものである。
ここは、その程度が"ヒドイ"のだとすれば、目の前の光景もなるほどうなづける。現在腕の中で眠る主人にも貴族と間違えられたのだし、彼女の目にも自分はそう映ったのだろう。
まぁ、「なに」を怒られると思っているのかは全くわからないが太公望にとってはどうでもいいことであった。
「とりあえずおちつけ、そして顔を上げい。わしは貴族ではないし、なにも咎めるつもりはない。ちょっとばかし尋ねたいことがあるだけだの」
顔を上げた少女は、目に涙を湛えながら上目づかいで太公望を見つめる。
――その少女の顔は整っており、一般的に美少女と呼ばれる者のそれであった。鼻の周りにそばかすは、清純そうな雰囲気を醸し出す黒髪とあいまって、整った"綺麗"なその顔を、親しみやすさのある、"かわいらしい"顔へと変えていた。
――さらに、その中にどこか古風な日本女性の奥ゆかしさをも感じさせる顔とは対照的な、胸。着衣を持ち上げ、さあ出るぞ飛び出すぞ、と言わんばかりに自己主張するそれはまさに凶器、二丁拳銃、やニ丁バズーカ。
――服の上からでもわかるくらいに、出るとこは出る。引っ込むとこは引っ込む。そんなスタイルがさらにその凶器の殺傷能力を底上げする。
――そして、極めつけは少女の服と体勢である。言わずと知れた"メイド服"を身にまとい、きっちりと武器の"顔"、"胸"を見せる体勢。
――その目に涙なんてもんが浮かんだ日にゃ、男の庇護慾やら加虐欲やら、いろんな本能に根付く欲望をくすぐってしまう。つまりはもう、この世の八割の男は落ちてしまう。そりゃもうきっと堕ちてしまう。
しかし、太公望はそんな男心をくすぐる振る舞いを意に会した風もなく、少女に手を差し伸べた。
少女は礼を言いながらその手を取り立ち上がる。
涙をぬぐい、裾についた泥や土を軽く払った後、姿勢を正して口を開いた。
「お見苦しい所をお見せしました。私はこの学院で貴族の方々に奉公させていただいてる、シエスタと申します」
支援
「そういえば、自分は貴族じゃないって言ってましたけどなんであの場所にいたんですか?」
「んー……サモン・サーヴァント……だったか? まぁそんなので召喚されたらしいのぅ」
現在、太公望はルイズを抱えながらシエスタにルイズの部屋に案内してもらっている。
あのあと、太公望が自分の名前を告げ、事情を話し案内を頼んだ。急なことだったがシエスタはそれを快く受諾した。
しかしなぜ一奉公人でしかないシエスタが、一生徒であるルイズの部屋の部屋を知っていたか、それは学院で勤務する平民内でのシステムが関係する。
学院の奉公人は貴族の頼まれごとなら可能な範囲で何でもやる、いわゆる何でも屋のようなものだという。
とうぜん、もろもろの用事で貴族の部屋に呼び出される事もあり、そんなときはあらかじめ決められた担当の者が出向くらしい。
偶然シエスタは、ルイズを担当していたため部屋を覚えていた。というわけだ。
太公望もあっさり案内しだしたシエスタに、ふと湧いて出たその質問をぶつけたが、その説明で納得していた。
「えっ?! じゃあ、タイコーボーさんって使い魔なんですか?!」
「使い魔といっても、なにをすればよいかまったくわからぬがのぅ」
「へえ〜人間が使い魔になるってことがあるんですか?」
「あるんですかもなにも、こうしてわしがいるのだからあるんだろうのぅ。周りを見るかぎりは相当まれなケースのようだが……」
そこで太公望の頭にひとつの疑問がふっと湧いて出た。
「そういえばお主はあそこで何をしておったんじゃ?」
太公望を先導するような形で歩いていたシエスタの肩が大きく跳ねた。擬音で表現するのであれば「ギクッ」が相応しいような跳ね方であった。
「い、いや、別に覗いてななんかいませんですよ」
気が動転して、正確で正解な答えを言ってしまったシエスタは、ルイズに聞かれていないかどうか確かめるためゆっくり首を回す。
太公望は太公望で、貴族の神聖な儀式とやらを覗くのは大罪なのか? と、考えたりしていた。
ルイズがまだ気を失っていることを確認したシエスタは、ササッと太公望の後ろにまわり背中に手を置き力を込めた。
「まぁまぁまぁ、そんなことどうでもいいじゃないですか、もうすぐミス・ヴァリエールの部屋ですから急ぎましょう。さぁ! さぁさぁ!!」
別にそんなに急がずとも、と太公望は文句を言うが、シエスタはそれを聞かず背中を押し、走り続けた。
ただ、ルイズの部屋が近かったというのは本当のことだったらしく、ものの30秒で部屋に着いた。
「そういえば、この部屋に鍵はかかっておるのだろうか?」
「はぁはぁ…………へ? えっとなんて?」
「いや、この部屋は施錠されいるのだろうかと」
ああそれでしたら、とメイド服のちょうど帯のような部分をまさぐりだすシエスタ。
「ん〜っと……あ、あったこれです」
太公望は少しあきれた様子でそれを見ていた。
「それは……だれでもそうなのかの?」
「え? どういうことですか?」
「いや、どの奉公人もそのように担当している貴族の部屋の鍵を持っているのかの?」
「あ、いえいえ! 自慢じゃないですが貴族様の鍵を持たせていただけるのは奉公人のなかでも私くらいですよ!」
ちょっとだけ胸を張るような体制で言ったシエスタの顔はなんだか誇らしげだった。
「ミス・ヴァリエールはよく夜食を頼まれるのですが、私の手があく時間でミス・ヴァリエールが指定する時間に届けようとすると、どうしてもミス・ヴァリエールがお風呂に出かける時間になってしまうんです」
「なるほど、それで鍵をのぅ」
「はい! 私のことをそれだけ信用してくださるのです。奉公人冥利に尽きますよ」
いいながらガチャガチャっとシエスタは鍵を開けた。
部屋に入った太公望はすぐにルイズをベットに寝かせようとしたが、シエスタがそれを止めた。
どうやらベットメイクがしたかったらしく、軽くシーツを整えると、太公望に場所を譲った。
「いよっと、これでまあよしだろう」
ルイズをベットにおろした太公望が呟いた。
「では、わたしはこれで失礼しますね」
「あ、ちょっとついでにもひとつ頼まれてくれんかの?」
行こうとするシエスタを太公望が引きとめる。
「え? なんですか?」
「いや、これから少し出たいのだが、このままでわしが出て行ってはルイズが目を覚ました時誰もおらぬであろ? そこでちょっとお主に代筆を頼みたいのだが……字は書けるかの?」
「ああ、それならいいですよ。紙とペンはありますか?」
あたりをキョロキョロと見わたし紙とペンを探す太公望。そんな様子を見て微笑みながらシエスタが別の案を出した。
「なんでしたら私がミス・ヴァリエールをみておきますよ。どうせ戻ってやることも特になかったですし」
「うーむ、まぁそう言うのならお言葉に甘えるとしようかの。ではルイズが目を覚ましたら、日が落ちる頃には戻る。とだけ伝えておいてくれ」
それだけ伝えると、窓辺に歩き、窓を開く太公望。
しかし、その足が窓枠にかかったところで急に太公望が振り返った。
その振り返り方が、なんというかそりゃもう"ぐりんっ"と、人外な動きだったのでだったので、シエスタの口は小さな悲鳴を漏らしてしまった。あと、シエスタにはそのときの太公望の顔がえらく簡略化されて見えていた。
「あ、ここから一番近い町はどの方向にあるかの?」
「あ、ああはい。ここからですと……東の方向にトリスタニアがありますね」
すまぬ、と礼を告げると、太公望は今度こそ飛び去った。
だんだんと小さくなるその背中を眺めながらシエスタは思う、やっぱりタイコーボーさんはメイジなのかな? 杖持ってたし、飛んでるし……だとしたら没落貴族? でも、使い魔のこと全く知らないって言ってたし……というかあの動きができるのは人なのかしら?
そんなふうにルイズが起きるまでまったく不明瞭な太公望の身の上について一人思考を巡らせるシエスタであった。
部屋を出た太公望は、まず学院の真上、ハルゲニアの単位で約3000リーグ上空へ飛んだ。
「んーっと、沈む太陽が向こうにあるのだから、東はだいたいこっち……お、あったあった」
そのまま町の影が見えた方に太公望は行く。
だんだんと町の姿が目に大きく映る。
「あれは城か? ふむ、とするとトリスタニアとは城下町なのかの」
そのまま地面に降り町の入り口から入っていった。
支援
九龍島の支援
446 :
携帯 ◆fiNSn9pg1Y :2009/03/29(日) 01:14:11 ID:xPM2CTMT
なんか引っかかっちゃいましたので
代理スレにお願いしてきました
崑崙十二支援
「ここの道は歩きにくいのぅ」それが太公望のトリスタニアに対する感想であった。
入り口からまっすぐ城の方へと延びる道であるから、おそらく主要な道なのであろうが、その道幅は5メートルに満たない。
その道幅に対して歩く人が、妙に多いもんだから4、5歩も歩けばすぐ人と肩をぶつけることになる。
とくに行くあてがあるわけでもなかったので適当に歩き、人の流れに流され流され押し出され、一軒の店の前に出たので、そのまま入っていった。
「おや、これはこれは、貴族……様?」
気の良さそうな店主が太公望に話しかけてくる。どうやらこの店は服屋のようだが、この国のお金なんて持っていないし、何よりこの町に来た目的は別のところにあった。
「わしは貴族ではないよ。ついでに言うを何か買いに来たわけじゃないしのぅ」
その言葉で、店主の態度が、がらりと変わった。
「ひやかしならお断りだよ、帰った帰った。金を落とさない客なんて客じゃねぇやな」
「いやいや、ちょっと尋ねたいことがあっての、それくらいはかまわんだろう」
「……はぁ、とっとと終わらしてくれよ」
太公望は店主に礼を言い、じゃあと商品の一つを指さし言葉をつづけた。
「あの服はいくらかの?」
「了承得てからひやかしかい? あんた、たち悪いなぁ…………まぁいいや、えっとあれはな――」
そのあと太公望は、店主に貴族向けの服や平民の服の値段を一通り尋ねていった。
太公望がわざわざ町に出向いた目的は、ここの物価や土地柄などを知ることであった。
召喚された時点でコルベールに聞いておくことも考えたが、あのとき知りたいことは、自分が"いつのどこに"来たかであり、こういった類の情報は二の次であった。
まあ結局、コルベールが言うことの全ては太公望の脳内にある記憶たちのどれとも合致しなかったのだが。
それに情報の価値は、鮮度が良ければ良いほど上がるものだ。あそこでコルベールに聞くよりも現地で聞き込みをした方が、手に入れれるものはやはり大きい。
さて、予定ではこのあと太公望は、このあと何件か店をわたり同じように聞き込みをするつもりであった。
しかし、ここの店主が口こそ悪いもののじつに気さくな人物で、聞くこと聞くことなんでも答えてくれたので、物価や土地柄に関して太公望が知りたいことほとんどすべてを店主が教えてくれた。
「いやぁ聞きたかったことはもう出しつくしたわ、時間とらせてすまんかったのう」
「まったくだ……っていうかホントに何も買わねぇし、迷惑な客だよ」
「そうは言ってもわしは文無しだからのぅ。まぁしかし恩は返さなければならんのう……」
店主は、顎に手を当てながら考え込む風にする太公望に取り繕うように言った
「あ、いや、別にかまいやしねぇよ。俺んとこも見ての通り暇だったしよ」
「うぬ……確かにわしが来てからしばらく経っておろうに、まったく人が来る気配がないの」
太公望がここを訪れてから、おおよそ40分。言葉の通り一人として店を訪れる客はいなかった。
「はぁ……商品に手抜きしてるわけでもないんだがなぁ……できるだけ素材も職人も選んでるつもりだしよ、この俺だって他の服屋の奴らに仕立ての技術で負けてるとは思わねぇんだ、ただ……立地条件が明らかに悪いんだよ」
確かにこの店が建っている場所は、日の当たり様なところではなかった。
だんだんと暗い表情になりながら店主は言葉を続ける。
「まったく……町の奴らはやっすいちゃっちい服売ってる店に流れるし、かといって貴族の偉いさんがたは "見栄張りたい"つってブランドもんのべらぼうに高い服ばっか売ってる店行きやがるし……高けりゃ良いってもんじゃねえんだよ!」
言いたいことを言いきったらしい店主はカウンターに突っ伏しうなだれる。そんな店主に太公望は聞いた。
「……では、服の良さが分かるような者が来てくれればよいのだな?」
「ん? まぁほんとにそんな奴が来てくれればリピーターにする自身はあるさ」
んー、と太公望はしばらく考えたあと、ポンと手をたたき、こう言った。
あ、いけましたね
「よし、ここの店がこれから儲かるのか、このわしがひとつ占って進ぜよう」
「は?」
その言葉に呆然とする店主。そんな店主をしり目に太公望はいつのまにか桃を取り出していた。
「……えっと、それは? なんだ?」
「ん? 桃だが」
「いや、それは分かる。いったいなにを始めるつもりなんだ?」
「そんなもの桃占いしかなかろう」
ため息をついて、もう勝手にしてくれ、と手をひらひらさせる店主。
「ではではでは……」
一拍置いて何かわからない、少なくともハルゲニアの公用語には聞こえないような奇声を発し始め、その勢いで手に持っていた桃を宙に放る。
投げられた桃は、ハルゲニアにおいても適応されるらしい万有引力に引きずられ落ち行くが、ある高さでちいさなつむじ風に巻き込まれ静止した。
太公望の手を見ると、これまたいつのまにか棒、打神鞭が握られている。どうやらそれを使って桃を浮かす風を起こしているようであった。
「あ、あんた……メイジだったのかい? っていうか何叫んでんだ」
店主の言葉に耳を貸すことなく、順調に、順調に順調に、太公望は狂っていった――
「キエエェェエェエエェイ!!!」イタコに死霊が舞い降りたときのごとき狂声を発した瞬間、宙に浮く桃が真っ二つになった。
「むっ! これは!」
桃の断面を眺め、太公望は何かを悟ったらしい。
「この店を出て右にまがり、2つ目の左に曲がる角のあたりに迷子がいるはすだから、その子の親を探してやれ。そしたら親があんたの店の商品買ってくれるはずだからのぅ」
言い終わると太公望は、割れた桃の一方をカウンターに置き、もう片方を自分の口に放り込んだ。
わけのわからないことを言い残して帰ろうとする目の前の男を呆然とした面持ちで見る店主。
そんな店主を気に留めるとこもなくモリモリと桃を咀嚼しながら太公望は出口へと歩いて行く。そして、戸に手をかけたときもう一度口を開いた。
「あ、わしが出て行ったらすぐ行くようにのー」
残された店主は少し混乱していたが、パタンという戸が閉まる音で正気に戻り半信半疑ながらも太公望の言葉に従うことにした。
「えーっと2つ目の角、つったらここだよな?」
そっと曲がり角の先をのぞき見る店主。ゴミ箱、ゴミ袋、そして単なるゴミ。そんな異臭漂う裏路地と表通りの境目あたりに小さな男の子がほほを涙で濡らしながらチョコンと座っていた。
そこはほんとに盲点とも呼べるような場所で普通に生活していれば通ることもないだろうし、見むきもしない場所であった。
「え、えっとおぼっちゃんどうしたんだ?」
太公望の言葉通りの展開に、店主は驚き少し声が上ずりながらも、なんとか男の子に話しかけた。
「ふぇ……え、えっとおとっさん……はぐれっちゃって」
男の子の言葉に、思わず店主の口から言の葉が漏れ出る。
「……マジかよ」
了でございます。
乙です。
さるさんはhを跨ぐと解除されますです。
太乙真人
おさるさん?は時間がたてば直るもんなんでしょうか?
こんな経験ぜんぜんないものでして。
とりあえず避難所に代理頼んでみましたが
時間の所為か、作品の出来の所為か、代理様が現れず……
前者と信じたいです。
太公望がトリスタニアに行く動機が不十分な気がしないでもないですが、それは……5話でなんとかします。
正直タバサの冒険3を読んでタバサ熱がなんかこう、ぐあー!と来たので太公望をトリスタニアまで飛ばしました。
ってなわけで次はタバサ出します。
そういや3巻目でシルフィードの人型デザイン変わりましたよね?
こう、よこの髪がピンッとはねて……
もうなんかドストライクなんですが。
これは兎塚さんのお手柄?いやもう最高です。
スープーっぽく言おうと思ったら、書き込むを押していた
な、何を言ってるのかわからねーと思うが、おれも何をしたのかわからなかった…
睡眠欲だとか超ねみーどだとかそんなチャチなもんだ
乙だよ望ちゃん
>>452 代理が現れなかった件については、どう考えても前者ですね。
支援中に寝落ちしてた人間が言うんですから間違いありません。
おさるさん?は、00分を越えると解除されるっスよ。
ちょっとばかし長くて支援も見込めないような時間に投下する場合は、
そこらへんを計算して55分くらいから始めるのも一つの手っス。
それにしても、さすが妲己ちゃんの色香にも負けない太公望だ!シエスタの八割殺しでも何ともないぜ!
SSを読んで気付いたんですけど、シエスタってダッキちゃん(エステ前)と同じで可愛いお顔にソバカス持ちですねん。
ま、まさか……ゴクリ
あー、ギーシュ相手にほにゃららするんだろうなあとか言いてぇ〜
ってくらい好きなので、無理せず聞仲が帰ってきた時の紂王くらいのペースで続けてくださいね。
あと、考察も本スレで読みたいズラ
ついでに誤字とか見つけた場合は、言って良いズラか?
>>455 シエスタの八割殺しは悪ノリだったりします。
だって書いたとき徹夜明けのナチュラルハイだったんだもの
予測殺し!ってことで実はギーシュ戦に関しては考えがまとまってなかったりします。
いくつかパターンを考えてはいるんですがどうしようかなぁと。
本気の紂王ってことですね……おkわかりました無理です。
もうズビシズビシ言っちゃってください。
作者は叩かれて喜びます。ソフトマ○です。
ゾッフィー!(訳:乙)
損種実験体・・・ギガンティックの出番はまだですか?
伏義乙
そういえば完全版最終巻にデフォルメ太公望のぬいぐるみ付いてきたんだよな
461 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/29(日) 09:53:29 ID:fn5T/8lT
エーベルージュのキャラがルイズに召喚されました
462 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/29(日) 09:56:08 ID:fn5T/8lT
もしルイズが召喚したのがエーベルージュのカレナック様だったら
ノイシュじゃないのん?
エーベルージュって、またマイナーなw
全キャラコンプしたのはいい思い出
コールートクリアしただけで気力が尽きたんだよなぁ、エーベルージュ…w
そうそう、マイナーゲーからということなら『いまどきのバンパイア』から主人公のフェイド君を…
マイナーかどうか解らんがメダロットのヒカルとか…
続編だと怪盗レトルトとか宇宙メダロッターXとしてハッチャケてくれるぞ
>>466 ブランカがどうしても倒せなかったという嫌な思い出を思い出させるな。
>>467 アニメ版だと決勝戦の後行方不明になってなかったっけ?
>>377 日本に戻ったサイトが復学のための勉強やバイト探しに挫折し
「あっちじゃドラゴンにも乗れた!でもここじゃ駐輪場の仕事すら無いんだ!」
>470
陸軍中野予備校のように、白米を食べながら涙を流すようになる帰還サイトとか。
そう言えばハルケギニアに米ってないよな、多分。
麦はあるだろうけど。
>>472 それでもタルブなら・・・タルブならきっとなんとかしてくれる!
あと才人が味噌汁に飢えてたくらいだから、大豆もないんだろうなぁ。
いや、もしかしたら東方にあったりするのか?
佐々木さんが持ってきただけにササニシキかのぅw
まぁタルブ以外でも東方経由で伝わってそうな気もするけどね
ササニシキは太平洋戦争後に作られた米だから違うだろうな。
水稲農林1号じゃないか?
>>474 豆はあるだろう。
入手が難しいのは麹じゃない?
>>472 ロマリアにはリゾット似の料理、ガリアの西部にはパエリア似の料理があるんじゃない?
ただ、炊飯は無理だな。硬水で作るとおいしくないと聞いたことがある。
緑茶(だったかな?)が東方経由で伝わってるので他にも何かしら伝来しててもいいと思う。
やり過ぎない範囲で。
そーいやヨシェナヴェの味付けにはなに使ってるんだろう?
仮に米があったとして、「煮る」でも「蒸す」でもなく「炊く」という発想には簡単に行き着かんだろうがな。
以前水が美味しくないんじゃないかという話が出てきたっけなぁ。
食い物の話題は腹が減ってくるのぅ…
和食を作るにしても鰹節とか昆布のダシとかも無いだろうなぁ。
>>474 >>477 地球の大豆は中国北東部原産らしいな。
ヨーロッパでは、17世紀に醤油の原料として紹介されたのが最初だそうだ。
土壌が合わないんだとか何とか。
>ハルケギニアに米ってないよな、多分。
>大豆もないんだろうなぁ。
モデルにしたのが17世紀のヨーロッパ、特に三銃士の時代という前提で書きますが。
米は西洋にも古くからあります。エジプトでは昔から米作地帯で
そのあたりから伝播したようです。聖書の出エジプト記でモーゼは米食べていたのです
つまりは聖書圏の人間はっ! 米食文化を知っていたのです!
イタリア料理にもリゾットやミネストローネ等の米料理があります。
ピラフもイタリア料理でしたっけ? ただ、イタリア北部で取れるのは
長粒種で日本のご飯とはちょっと違うのですよね。
味噌は意外と簡単に出来ます。
豆を塩で煮込んだものの汁を捨て、ちょっと砕いて放置。
数日で味噌になります。扱いを間違えると納豆になったり腐ったりします。
いずれにせよ作り方をちゃんと知らないとうまく行きません。
才人は知らなかったようです。
>>470 戦争行ってるから状況によってはランボーみたくなっててもおかしくないんだな…。
なんだかんだで地球との共通点も多いハルケギニアなので
米や大豆に酷似した食物と調理・加工法があってもおかしくないような気がする
>>457 そんじゃ書かせてもらっちゃいます、もし誤字脱字では無かった場合はすんません。
誤字脱字の場合でも返答とかせんで、しれーっと修正しちゃってください。
>>448 7行目
「わしは貴族ではないよ。ついでに言う【を】何か買いに来たわけじゃないしのぅ」
20行目
さて、予定では【このあと】太公望は、【このあと】何件か店をわたり同じように聞き込みをするつもりであった。
そういや魔砲の人のタルブ村じゃ醤油とか作ってたな。
>>484 ピラフは世界三大料理の一つ、トルコ料理らしいぜ!
イタリアはリゾットじゃね?
昔は各家庭で味噌や醤油を作っていたから、佐々木さんが作り方を知っていてもおかしく無い。
ってレスをどっかで読んだな。
ラーメンは作れるんじゃね?
人類は麺類ってやつだな
エイチマン?
腹が減ってくる流れだな
味噌とか醤油とか納豆とかはタルブに伝わってるんでね?
「ヨシェナベ」には「ポン酢」と七味が絶対必要でしょう
あと豆腐も
サイトが普通科でなく工業の学生なら、旋盤とか溶接の技術を伝えて産業革命を起こしていた
農業課の学生なら、肥料や交配など食料生産に革新をもたらしていたに違いない
商業なら、簿記を伝えて地味に革命、女に囲まれてたからルイズ達に対して免疫があり、幻想も持たない
>>496 工業科だった場合、「加工の仕方」は知ってても金属の生成の仕方や(ハルケギニアに合金ってないだろうし、まだ)
作業道具の作り方なんかは知らないんでね?
その手の「新しい知識」は教会とかが弾圧してそうだ。
食い物の流れが続くのを見て、海原雄山召喚を思いついた。
あかん、どう考えてもギーシュとの決闘で潰される気がする。
味噌つくるにも水が大事だった気がするんだが
>>497 青銅があるなら、合金の概念はあるんじゃね?
ただ、いわゆる特殊鋼のような精密な成分調整や熱処理を必要とする冶金分野は
存在してないだろうけど
>>503 そうなのか、勉強になったありがとう
ずっと錆びた銅だと思ってたぜ…
青銅って歴史で習わなかったっけ?
青銅器時代とか聞いたことあるけど
うちの実家、自家用のみそ自分で作ってるけど麹は買ってきてるよ。
麹なしで偶然味噌になるように醗酵してくれる可能性って高くないと思う。
>>504 ちなみに青銅に発生する錆は緑青(ロクショウ)という
有毒
錫とその添加物の配合率によって色合いは変化する
十円玉も青銅のようだ
シエスタの祖父、佐々木少尉が軍人になる前、実家の家業が何だったかで彼自身が持っていたスキルが変わりそうだな。
実は実家がもやし屋で、菌を見たり会話したりする特殊能力が。
うどん職人か何かだったら、タルブの名物はうどんになってたわけか……。
航空兵になる前に主計だったとか。
地球の技術を持ち込んで革命してやるぜ!っていう話の筋は良く見るが、経済基盤が弱すぎて現実味がない。
ブリミル教圏の全人口が7000万人弱しかいないんだぜ?
各種生産系の技術は、人口を支えようとする膨大な需要があってこそ成立する。
錬金を駆使すれば技術的には飛躍できるが、すぐに生産過剰になると思う。
社会・経済体制が大幅に変動せざるをえないから、普及する前にルイズの寿命が尽きちまう。
商学系も、初等教育が浸透していることが前提になるから、適用しようとすると、それこそ
コルベールみたいに「生涯を捧げます」な勢いが必要になって冒険してる暇がなくなる。
そういうのを丹念に描いた歴史小説風味なら、それはそれで面白そうだが。
やべえ。読みたくなってきた。
世界扉で中の上くらいなら
虚無の上級あたりなら異世界から強引に物質輸送とかできるかもしれんから
それで味噌とか盗むという手もあるかもしれん
用いる手段に対して目的がしょべぇw
伝説の魔法の上級呪文引っ張り出してきてその目的が日用品の窃盗とか
いや、サイトの友人が特別な道具とか材料とかを使わずにその手のモノを作る、という事に関する
レポートを書いていて、その内容を思い出してペニシリ・・・もとい味噌を作るんだ、きっと
>54
サイトは現代の高校生なので、漫画とか普通に読んでいそうだ。
そして読んでいる漫画の中にスーパージャンプのJINが。そして、なんとなくその話を聞いたコルベールが――?
医療関係はこちらよりハルケギニアのほうが上だからなー。
戦争関係も近代レベルとさして変わらないし。銃も卓越した戦闘系メイジにはほぼ無効ってことが判明したしな。
あれは例外中の例外だと思うんだが
元素の兄弟といえど、「系統魔法は一度に一つ」の原則は変わらないので、攻撃に転じたところを
集中射撃すれば問題ない。
大多数のメイジは、防御詠唱を完了していない限り、銃を防御できないし。
医療関係は、知識としてなら受け入れられるかな?
妊娠・出産の原理とか、細菌・ウィルスと免疫に関する知識、栄養学なんかで健康増進。
手術は文化的に排撃されかも。
「始祖の祝福を受けた体を切り刻むなんてとんでもない!」みたいな感じで。
誰か、間黒男先生を呼んでください。
たしかに医療関係は負けてるな
伝染病発生したら速攻で町ごと焼くとかマジパネェwwwwwwwwwww
外科はともかく内科方面ではハルケの方が遅れてそうだよな
ファンタジー細菌が蔓延してたんならわからんけど
>>519 間先生の代わりにトキ様(仮名)がやってきました
まあしかしやろうと思えば知識面は「召喚されし書物」ですんじゃうんだよな
エロ本の代りに医学書とか薬学書があればサイトでもペニシリン作るくらいはできるかも
>>520 それは何年か前にミッキー・サイモンが通った道だ
連投スマソ
>>522 大義名分というのは、それが通るから大義名分なので
そういうことは実際にあったということでしょう。
>>524 何年もと言うか、もう30年位前にならないかorz
>>523 まず書かれている意味が分からないとどうしようもない。
言語的な意味が分かったとしても、工業製品なんて概念はないし。
まぁそのあたりをまじめに考証すると、お揃いの制服なんて産業革命の所産は存在できなくなっちゃうから、服装が統一されたメイドもありえなくなっちゃうからなあ。むむむ。
>>519 魔砲だとタバサはマルチタスクによって同時使用が出来るようになってるな
ラクーンシティだって燃やされたろ
感染列島は知らんが
>>529 あれは証拠隠滅の意味もあるし、感染率も桁違いだろ
アウトブレイクのエボラ出血熱だったかに感染した猿を召喚
過去の贖罪に、生涯を医療の研究に捧げてきたコッパゲが治療法を探す
だが、王宮は学園ごと焼き払うべく軍を出撃させていた
とか、見てえ
>>531 どっかの誰かが感情に任せて行動したあげく王宮内に感染者続出
だれが、とは言わないが。見てみたいね。
533 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/29(日) 17:24:36 ID:laplP1yT
>>496 工業高校でなくて高専か工業大学の冶金・素材工学専攻で
鉱業の知識もそれなりにあったら、産業革命をおこせそうだな
でも、伝統に従ってゲルマニアの魔女に寝取られて産業革命の果実は
ゲルマニアにもたらされることに。
そして、伝統的魔法と大量生産による物量の大戦争が
勝利するのはどちらの勢力か?
・・・誰かこのネタで一本書かないか?
>>533 このスレに殺される内容だな
見てみたいけど
>>527 >>お揃いの制服なんて産業革命の所産は存在できなくなっちゃうから、服装が統一されたメイドもありえなくなっちゃうからなあ
産業革命以前の18世紀にも既に軍は制服になってたんじゃ?
>>533 「無責任三国志」の三羽烏のエッソ・ケーゼリングだったか
あのちびっ子をルイズが召喚ならいけると思う
エロス抜きでキュルケのスカウトに乗るだろうな
もう面倒だからモノリス召喚してしまえ
>>529 ラクーンシティの方は「燃やす」と言うより「消す」に近いかも。
でもドラマCDだと一応火炎放射で町中火の海にしてたな…
>>539 お馴染のモヒカンの人が決め台詞と共にか・・・
まぁ確かにアレは消毒したほうがいい
エイズなんてスキンも無いから一瞬で広がりそう
庶民>戦争や山賊盗賊のレ○プ、風俗で広がる
貴族>庶民を手込めにしたり、愛人に囲ったり
坊主>衆道
>>536 金が余ってる国ならそうなりますが、例えばナポレオンのイタリア方面軍なんかは
銃・服・靴が支給できないレベルだったとか
そんなのもまだあるわけで
ハルケギニアには避妊具なんて気の利いたものはないよな、多分。
中世ヨーロッパには家畜の腸を利用した避妊具があったぞ
ハルケはどうかは知らんけど
コモンで避妊魔法はあるかもしれん
虚無のパズルの続きまだかなー
木曜あたりに投下あったけど
先週末に投下がなかった分今週末は読みたい俺はきっと贅沢者
>>542 正に「エイズの世界にようこそ!」だな。
SSってのは書ける時は恐ろしいくらいの勢いで書けるけど、書けない時はこれまた恐ろしいくらいに書けないんだぜ。
あるいは書いたとしてもその出来に納得がいかなかったり。
表現が上手いこといかなくて1話も仕上がりませんよ
1話分は書き上げたがちゃんとキャラが描けているか自信が無い
USBスティック無くして3万字近く吹っ飛んだ。
皆さんこんにちは、それでは今週分の41話。
タバサの冒険、翼人編の最後を投下しようと思います。
よろしければ、いつもどおり10分後の19:00より開始いたします。今回使用予定レス数は16です。
けっこう多くなってしまいましたので、さるさんを受けてしまいましたら代理お願いいたします。
おk、支援支援
何時間もずっと待ってました支援です
レス数からして、おそらく確実にさるさんを食らうだろうな支援。
待ってました!!
支援
第41話
間幕、タバサの冒険
第二回、タバサと神の鳥 (そのW)
極悪ハンター宇宙人 ムザン星人
バリヤー怪獣 ガギ
宇宙寄生獣 サイクロメトラ
古代暴獣 ゴルメデ
友好巨鳥 リドリアス 登場!
ゴルメデがガギを怪力で投げ飛ばし、ムザン星人が放った光線をリドリアスが回避して、口から吐き出すエネルギー
光球で反撃する。
四大怪獣と星人の激闘は、翼人、人間を問わずにそれを見る者の目を釘付けにせざるを得ない。
起き上がったガギが頭の上に大きく突き出た角を光らせ、そこから赤い稲妻のような光線を放ってゴルメデを
打ち据えると、すかさずリドリアスがガギの後頭部に体当たりをかまし、ダメージを受けたゴルメデに向かって
ムザン星人が組みかかっていく。
「すごい……」
戦いの様子を見守りながら、人間達はその壮絶な光景を生涯の記憶に焼き付けていった。
シルフィードも、あの巨鳥から見れば大鷲と小雀の差でしかない。タバサとキュルケも割り込んでいくわけにも
いかずに、その背で戦いの流れを見守っていると、アイーシャが横に並んできた。
「タバサさん、キュルケさん」
「アイーシャ……あれが、あなた達の守り神……?」
「はい、大いなる翼《リドリアス》、地に眠る竜《ゴルメデ》、この地に邪悪な者が現れるとき、必ず目覚めると
伝えられてきた、この大地の守護者達です」
頼もしそうに語るアイーシャと、祈るように戦いを見つめている翼人達を交互に見ながら、二人は四大怪獣の
死闘がこれほどまでとはと、正直まったく動けずにいた。以前見たパンドラやオルフィとの乱闘など比較にも
ならない。
エギンハイム村の村人達も、逃げることなど当に失念して、とりあえず踏み潰されないように距離だけは
とりながら死闘を見ている。そんな彼らの元にサムとヨシアが翼人にまたがって下りていって騒ぎになりかけた
ようだが、二人が村長と話し合っているところを見ると、翼人の里で見聞きしたことを話しているのだろう。
声は聞こえないが、もめているのは手に取るように分かる。それはそうだ、今日まで憎むべき敵、いや駆除
するべき害獣とさえ思っていた相手と和解し、手を引くべしというのだから簡単には価値観を変えられまい。
けれども、二人とも村長や村人達に罵声を浴びせられながら一歩も引く様子はない。これで、村人達が
翼人達への偏見を解いてくれるかは彼らしだい、他人がとやかく言う問題ではない。
そうしているうちにも、戦いは激化の一途を辿り、リドリアスの空中からの攻撃と、怪力で上回るゴルメデの
攻撃が徐々に押し始めていた。
むろん、巨大化したムザン星人の実力は高く、パワー、特殊能力からも特に弱点は無く、空中のリドリアスに
光線で応戦し、ゴルメデのパワーとも渡り合えていた。
だが、ガギの様子が不利で、このまま2対1に追い込まれたら、さしもの自分でも危ないと思ったムザン星人は、
チャリジャからもう一つ譲り受けていた切り札を使うべきかと考えていた。
それは、あらかじめガギの体内に埋め込んである、緑色に不気味に輝く直径12メイルほどの岩石のような物体、
怪獣バイヤーである奴は、例えばペットショップが顧客に商品としての動物を引き渡すときに、去勢したり、
毒や牙を抜いておいたりするように、捕獲してコントロールできるようにした怪獣にオプションとして様々な
改造などを施したりしている。流石にヤプールの超獣ほど徹底的にとはいかないが、保険としてはそれなりに
有効なものもある。
ヤムヲ得ヌカ……
星人は、そう判断すると額の触覚からの光線を、ガギの喉もとあたりへ向けて発射した。巨大化し、等身大の
時よりはるかに威力の上がっている破壊光線はガギの喉の皮膚を破り、食道、気管をも焼いた。
「やったぜバカめ、あいつ味方を撃ちやがったぞ!!」
村人達は星人からの光線を受けて、喉を押さえて苦しむガギの姿を見てあざ笑った。
しかし、同じように見ていたタバサは、今の攻撃が外れたわけでも間違えたわけでもなく、明らかに星人が
意図的に発射したものであることを確信して、追い詰められた状況で味方を撃つ意味がどこにあるのかと、
注意深く観察した。
そして、それは唐突に発生した。
ガギの傷ついた喉がまるでビデオの逆再生を見るかのように塞がっていくではないか!!
「再生した!?」
あっという間に傷を完全に治したガギは、雄たけびを上げてゴルメデに向かっていき、角をゴルメデの腹に
引っ掛けてひっくり返すと、その上に馬乗りになって乱打し始めた。
「ちょっ、あの怪獣いきなり元気いっぱいになっちゃったじゃない。いったいどうなってるのよ?」
驚いたキュルケがタバサに向かって叫ぶが、タバサにだってすぐには考えがまとまらない。
しかし、タバサはあの怪獣の傷口が再生する瞬間、その傷口の奥に不気味な線虫のような影がうごめいていた
のを見ていた。
実はこれこそがガギの体内に仕込まれていた仕掛けの正体、【宇宙寄生獣 サイクロメトラ】、チャリジャ達の
世界に生息するミミズ状の小型宇宙怪獣の一種で、大きさはわずか全長9メートル程度しかなく単体ではほとんど
何の力も持たないが、他の大型生物、すなわち怪獣の体内に寄生することで、その怪獣に再生能力を与える。
ガギの体内に埋め込まれていたのはこいつの卵で、ムザン星人の攻撃は卵を割るためのものだったというわけだ。
支援
もちろん、ただでパワーアップさせるわけもなく、サイクロメトラは取り付いた怪獣から養分を吸い取り、新しい
卵を生み出すと、体内に備わっている特殊な反物質袋を破裂させ、最終的には取り付いた怪獣ごと自爆して卵を遠くへ
飛ばすという、なんとも危険な性質を持っていた。
とはいえ、当然サイクロメトラが爆発すればムザン星人ももろともに吹き飛んでしまうために、このサイクロメトラには
あらかじめ反物質袋だけを取り除いた改造手術がおこなわれている。ただし、宿り木に取り付かれた木が枯れて
しまうように、一度サイクロメトラに取り付かれてしまった怪獣は、養分を吸われていずれ衰弱して死んでしまう。
今でこそ再生能力を得たものの、今後使うことができないからこそ、ムザン星人はサイクロメトラを孵化させるのを
ためらっていたのだ。
だがそれと引き換えに、今ガギはこの戦闘に限っては無限の体力を得て、追い詰められていたゴルメデに逆襲していた。
ガギの二本の触手の鞭が、グドンのそれのようにゴルメデの体を打ち据える。
さらに、後顧の憂いがなくなったムザン星人は空から向かってくるリドリアスに光線を撃ち返し、その一発を翼に
当てて墜落させた。
「リドリアス!!」
アイーシャ達翼人が、守護神の被弾に悲鳴をあげた。
リドリアスは左の翼にダメージを負い、すぐには飛び立てないものの、地面にしっかと足をついて立ち上がった。
これはリドリアスが完全な鳥型怪獣ではなく、鳥人とでも言うべき人間に似た胴体の背中に翼の生えた姿を
しているため、地上でも戦うことができるためだが、鳥が地上に立つのは馬に乗った騎士を海で戦わせるような
ものであることはいうまでもない。
「大いなる翼……私達をお守りください」
必死の願いを込めてアイーシャは祈った。身勝手、と言われるかもしれないが、リドリアスはなおも人々を
守ろうとムザン星人に立ち向かい、くちばしで頭をつつき、殴り合いに持ち込もうとする。
そんな勇敢なリドリアスの戦いに、キュルケも興奮してエールを送る。
「いいわよ、頭よ、頭を狙うのよ!!」
どんな生き物でも頭は共通した弱点だ、少々荒っぽいが的確なアドバイスを飛ばしてリドリアスを応援する。
しかし、その作戦も次の瞬間には雲散霧消し、キュルケやシルフィード、アイーシャら翼人達、地上の村人達、
さらにタバサでさえ悪夢を見ているかのように顔から血の気を引かせ、月明かりの下の惨劇を疑わずにはいられなかった。
「頭が……尻尾の先に移った!? な、なんなのよあの化け物は」
なんとリドリアスに頭部を集中攻撃されたムザン星人は、頭部を体から分離させ……正確には、人間で言うなら
腰の辺りまでの背骨の部分を首ごと体から分離させて、まるでサソリの尻尾の先に頭があるかのような異形の
形態へと変化し、四足歩行になった胴体部分でリドリアスを押し潰してしまったのだ。
星人の全体重をかけられて、リドリアスはなんとか逃れようとしてもがくが、元々空を飛ぶためにそんなに
力のある怪獣ではないリドリアスでは振り払うことができない。
また、ゴルメデも攻撃してもすぐに回復してしまうガギの前に、次第に疲労が溜まっていっていた。そして
遂にガギの巨大な爪のついた腕の攻撃をしのぎきれずに、大きく跳ね飛ばされ、致命傷にこそまだならなかった
ものの、起き上がった体には力がこもらず、口元は荒い息を吐いて見るからに苦しそうだ。
このままでは……
最悪の未来への予感が惨劇の執行人である星人以外の全員の脳裏を、服の中にもぐりこんだ蛇のように
冷たく掠めていった。
特に、これまで力に対しては常に泣き寝入りを強いられ、ヒステリックな反動意識のみを伸ばし続けてきた
エギンハイム村の住人達には、絶望は砂に吸い込まれる水同然に侵食していった。
「ああ、もうだめだぁ」
「救世主なんていない、俺達はみんなここで死ぬんだ」
「なんでこんなことになんだよ。そうだ、あの翼人達だ、あいつらさえこの森にいなければ、あんな化け物ども
も来なかったものを」
「そうだそうだ! 俺たちはただ平穏に暮らしたかっただけなのに、みんな奴らのせいだ」
絶望という絵の具は、村人達の現実逃避、狂騒、責任転嫁という絵筆によって、愚行という醜悪な絵画を
ものの見事に描き出していた。副題をつけるなら、これに『滑稽』とも書き加えられるだろう。
また、上空で戦いを見守っていた翼人達も、守護神と仰いできた二頭の怪獣が倒されるのを、海が干上がっている
のを目の当たりにしたのかのように、信じられない様子で、愕然と見つめていた。
だが、この場の中にあって、唯一イレギュラーといえる存在だった彼女達がとった行動が、破滅への一本階段の
敷石の一つを切り崩した。
『エア・スピアー!!』
『フレイム・ボール!!』
風の槍が炎の玉を飲み込んで火の矢となり、ムザン星人の左目を貫き、その予想外のダメージにさしもの星人も
うろたえてバランスを崩し、その隙にリドリアスは脱出に成功した。
「やった! どうよ」
シルフィードの背でタバサの体を抱きかかえつつ、キュルケの叫びが夜空に響いた。
その勇壮な姿に、今まで醜態を晒していた村人達も手のひらを返して歓声をあげる。
「おおーっ、さすが貴族様」
「そのままやっちゃってくださせえ、応援してますぜ、ひゃははあ」
現金なものである。たった今までの周到狼狽ぶりはどこへやら、これには村人達に翼人と争ってはいけないと
命がけで説得しようとしていたヨシアだけでなく、サムも眉をひそめた。自分では何もしないくせに、ちょっとでも
流れがよくなると諸手を上げて歓迎し、悪くなれば他人のせいにして卑屈になる。これでは営利に取り付く小役人、
いや奴隷根性といっていいだろう。ついこの間まで自分でやっていたことの醜さを、サムは他人の姿を通して
眺めることで初めて知ったのだった。
しかし、片目をつぶされて怒った星人は首長竜のように頭を振りかざし、離脱しようとするシルフィードに光線を
放ってきた。
「くっ……」
かろうじて巨木のような光の矢をかわしたが、巨大化して威力を格段に上げた光線はシルフィードでも当たれば
粉々にされてしまうだろう。背中に乗った二人が振り落とされかねないギリギリでジグザグ飛行をするが、その一発が
翼の先端をかすめて、痛みで翼の感覚を麻痺させてしまったシルフィードはきりもみしながら墜落していった。
「きゃああーっ!!」
高速度でバランスを崩した物体がどうなるかは、スピンしたF1カーを連想してみるとよい。また、飛行機がこの状態に
なると体勢を立て直すことはまず不可能になる。タバサとキュルケだけなら振り落とされても、フライで飛行することは
できるが、そうなればシルフィードは地面に激突して、いくらドラゴンでも助からない。
レビテーションを……タバサはなんとかシルフィードを助けようと、必死でしがみついたまま呪文を唱えようとしたが、
風圧と遠心力が強すぎて舌がうまく回らない。
間に合わない、そうタバサがあきらめかけたとき、地面と自分達との間に何かが割り込んで、その柔らかい背中で
彼女達を受け止めてくれた。
「リドリアス……」
まさに間一髪だった。彼が救ってくれなかったら、今頃三人まとめて墜死していたのは間違いない。
けれどそれよりも、彼女達はリドリアスの全身についたおびただしい傷を見て戦慄した。
「ひどい傷……こんなになってまで」
「きゅい……なぜ、あなたはここまでして戦おうとするの、ね?」
星人の容赦ない攻撃によってつけられた傷は、これまで多くの闘いを見てきたタバサとキュルケなどから見ても
ひどいものだった。
しかし、それでもリドリアスはシルフィードが再び飛び上がったのを確認すると、またムザン星人へと立ち向かっていく。
なぜ……どうしてそこまでして……傷ついた体を押してリドリアスは体当たりを食らわせ、ゴルメデも爪と鞭で
傷つけられながらもまだガギに向かっていく。
そんななかで、ガギの放った光線が流れ弾となって翼人の群れに向かってしまった。
「ひっ!」
翼人の飛翔力を持ってしても、これは避けられない。アイーシャ達は覚悟して目をつぶったとき。
「ああっ!!」
光線は彼女達に届きはしなかった。とっさに盾となって立ちふさがったリドリアスの体に受け止められたからだ。
だが当然、その代償は大きかった。傷ついた身でガギの破壊光線の直撃を浴びたリドリアスの体は今度こそ
耐えられずに地上に落下し、今度はもう起き上がることもできないほどのダメージを受けてしまっていたのだ。
墜落したリドリアスにムザン星人は歩み寄り、とどめを刺そうと虫けらにするように踏みつける。
けれどそのとき、アイーシャ達の心の中で、心を縛っていた何かがはじけた。
「草木は契約にもとずいて鞭となり、我らにあだなす者の自由を奪う!!」
先住の……精霊の力が自然を動かし、森の木々が触手のように伸びてムザン星人の体に絡み付いていく。
しかも、半端な数ではない、星人がいくら力任せに引きちぎっても、次々伸びてきてその体の自由を奪おうと
していく。
「ようやくわかった……大いなる翼の意志、それは守るために戦うということ、戦いの中でも守るべきものが
何かであることを忘れずに、それを守り抜く強い心を持つということ」
そうだ、平和は確かに重要だが、それは何もせずにやってくるものではない。この世には、完全な善人は
いないが、完全な悪人ならば存在する。そんな奴らに何もせずに無抵抗を貫くのは、ハゲワシの前に生肉を
置いて自制を期待するに等しい。
力を暴力のために振るうのは悪だ。暴力を振るわずに耐えるのは善かもしれない。しかし、小さな善は
大きな悪にとって絶好の餌食だ。いじめられている子供が、相手が痛がるからと手を上げずに無抵抗を
貫いても、相手は増長し、さらにいじめがエスカレートするだけだ。必要悪、よい言葉ではないが、大きな悪から
身を守るためには力が必要なとき、戦わねばならないときも確かにある。
ただし、仕方が無いからと戦いを正当化し、守るべきものを見失っては本末転倒だ。誰かを守るために
戦うのは正義、しかし戦いそのものの本質は悪、それを常に心に留めておかねば正義はたやすく悪に変わる。
「タバサ、もう一回やりましょう」
「お姉さま、シルフィももう怒ったのね、お姉さまは悔しくないのかね」
「……腹が立つ」
タバサとキュルケも、リドリアスの我が身を挺した懸命な姿に打たれて、残った精神力を振り絞って呪文を
唱え始めた。任務、誇り、理由付けはいくらでもできるが、少なくともあの倒れざまを見て黙っているような奴は
人間じゃない。
支援
おそらく15あたりでさるの予感
少し遅れたが支援だ
こっちの作品も待ってたんだぜ
『フレイムボール!!』
『ライトニング・クラウド!!』
火炎弾がムザン星人の残った右目を狙い、雷撃がゴルメデを組み敷いていたガギにわずかなりともショックを
与えて後退させた。
「貴族を……いいえ、人間を……なめんじゃないわよ!!」
また目を狙われて怒り狂うムザン星人の光線をかわしながら、キュルケは心から叫んでやった。いくら強大な
力を持っているとはいえ、それで弱者をいたぶっていいはずはない。それは、本来誰もが当然持っているはずの
生きるための権利のはずだ。自分からそれを捨てさえしなければ。
「ふん、ちょっとは効いてるかな。けど、そろそろあなたも精神力が限界なんじゃない、どうする?」
魔法は無限に使えるわけではない。その人間のレベルに応じた精神量があり、その範囲内でしか使用することは
できず、トライアングルクラスである二人でも、長引く戦いでそろそろ残量が乏しくなってきている。また、翼人達の
捕縛網も短時間ならともかく、星人のパワーには拘束も長持ちしない。第一彼らもそろそろ疲労してきている。
ここで何か手を打たねば、気概はともかく全滅は免れないだろう、キュルケはタバサの冷静な状況分析力と
作戦立案能力に賭けた。
「……あっちの鞭を持った怪獣は、多分あの怪物が操ってる」
「そうか、猛獣使いを倒せばというわけね。けど、とどめを刺すにもどうすれば」
「ひとつだけ、手がある」
タバサはキュルケに、星人打倒の作戦を手短に説明した。それは、自分達だけではなく、翼人、村人全ての
力を必要とする極めて困難なものだった。成功率はあまり高いとは言えない、しかしリドリアスは傷つき、
ゴルメデもガギを抑えておけるのも限界にきている。もう迷っている時間はなかった。
「難しいわね、けど、それしかもう手はないか……わかった、そっちは任せたわよ」
「……うん、シルフィード、しばらくお願いね」
「任せといてなのね。めちゃくちゃに引っ張りまわしてやるなのね!!」
短く話を済ますと、キュルケとタバサはシルフィードから飛び降り、それぞれフライで飛行しながらタバサは翼人のほうへ、
キュルケは村人達のほうへと向かい、そしてシルフィードは残ってムザン星人への牽制を続行した。星人は、
光線をなおもシルフィードに向かって放ってくるものの、傷つけられた怒りと視力が半減したことによって二人が
離脱したことには気づかず、むしろ軽くなって速くなったシルフィードに引っ掻き回されているありさまだった。
そして、村人達の前に降り立ったキュルケが開口一番で村人達に言った。
「あんたたち、ちょっと手を貸しなさい!!」
「手を貸せって、いったいどうしろってんですかい?」
突然戦いに参加しろと言われてうろたえる村人達に、遠慮なくキュルケは策を披露していく。
「簡単よ、あたし達はあいつにとどめを刺すためにこれから残りの全部の精神力を使い切る。その隙をあんたたちの
手で作ってくれってことよ」
「なっ、貴族やあの翼人どももかなわない相手に、私たちでいったいどうしろってんですか!?」
明らかに狼狽し、全力で否定する村長や村人達を冷ややかに眺めて、キュルケは最後にサムとヨシアに視線を
向けて、いつもルイズを馬鹿にするときのように、わざと突き放すように言い放った。
「時間が無いから手短に言うわよ、翼人達がこれから全力であいつを地面に引きずり倒す。そこを狙って奴の右目に
ありったけの武器を打ち込みなさい。あとは私達がやるわ」
「もし、失敗したら?」
「そのときは、あんたらもあたし達も死ぬだけよ。そんなこともわからないの」
「そんな、あんまりじゃないですか、私どもは細々と暮らしながら必死で税を納めてやってきただけなのに、
騎士様達は私達を守ってもくれない上に、また私らを道具にしようって言うんですかい? そんなのごめんですよ」
ついに本音を漏らした村長に、キュルケは今度はルイズにさえ向けたことのない、つばを吐きかけるかのように
完全に見下した目を向けて、最後に言い放った。
「そうね、確かにあなたたちは細々と平和に暮らしたいだけかもしれないけど、あなた達のそれは生きているとは
言えないわ、ただ死んでいないだけ。生きている人間にはかばう価値はあるけれど、死体を守って傷つくなんて、
まっぴらごめんこうむりますわ。あなた達がこれまで、なにをしてきたかよく考えてみることですわね……じゃ、
頼んだわよ」
それだけ言うと、キュルケは再びシルフィードと合流するために飛び去っていった。
村長達は、しばしいつもどうりの貴族の傲慢な説教だと、憮然としていたが、サムが斧を、ヨシアが弓を持って
全員に向かって叫んだ。
「みんな、武器を持て、ぼく達の村はぼく達の手で守るんだ!!」
その、いつも気弱で隅で小さくなっているだけのヨシアの言葉に、村人達は一瞬度肝を抜かれたが、やがて
口々にそんなことできるわけねえだろと彼をののしりだした。
だが、今のヨシアはそんなことで萎縮する、昨日までの彼ではなかった。
支援
「みんな、これまでぼくらが何をしてきたよ。翼人の森に押し入り、力づくで追い出せないと知るやメイジをやとったり、
理屈をつけて騎士を呼んだり、何一つ堂々と語れることなんてしてきてないじゃないか。その上自分達の村が
焼かれても不平を言うだけで何もしないなんて、ぼく達は何のために生きているんだい!!」
その言葉にサムも続く。
「お前ら、武器をとるのは誰のためでもなく俺達のためだ。俺達は貴族から馬鹿にされ、翼人達からも見下げられてきた。
なんでだ? 魔法が使えない、それだけじゃねえだろ、俺達はこれまでかなわない相手にはひたすら頭を下げてばかりで、
何もできない、脅せばすぐに逃げ出す奴らだとなめられてたんだ。そうだろ!!」
そのサムの言葉に図星を指された幾人かが悔しそうにうつむいた。まだ少なくとも"悔しい"と思うだけの誇りは
残っていたようだ。それを見たサムは駄目押しの一言を放った。
「だが、さっきの貴族の嬢ちゃんのセリフを思い出せ。俺達に向かって頼むと言ってきた、分かるか? 貴族が
俺達平民を頼りにしてきたんだ。こんな機会は二度とねえ、さあ、先陣は俺が切る、貴族や翼人達を見返して
やろうと思う奴はいねえか!!」
どっかと大斧をかざしてサムの号令が響き渡った。
「……よし、俺はやる。そこまで言われて黙ってられるか」
「俺も、こうなりゃ死んだ気で戦ってやる!!」
「俺もだ、ヨシアでさえやる気になってるのに、引っ込んでられるか!!」
意を決した若者達が、一人、また一人と弓や槍、鎌を持って立ち上がっていく。そしてそれは老人や子供にも
波及していき、やがて躊躇していた村長らもついに意を決し、自分の顔を平手で思いっきり叩くと、やるぞ! と
武器をとった。
「サム、ヨシア、どうせ村が無くなったんでわし等がこの森で生きていく術はない。どうせもうない命なら、
せめて派手に散らせてやる。ふふ、若いころエルフとの聖戦に参加して、命からがら帰ってきたときも、
こんな感じだったのう」
「ありがとう父さん、いや村長。けれど村長たちは子供達を守って、離れていてください。村のことなら心配は
いりません。アイーシャが、翼人達が再建に手を貸してくれるでしょう。それに、翼人達と協力できれば、
前よりもっといい暮らしができるようになるはずです」
ヨシアの言葉に、村長は一瞬目を見開いたが、やがてふうと息をつくと、何も言わずにうなづいてくれた。
二人の兄弟の勇気が、奴隷同然に貶められていた村人達の心に、わずかに残っていた人間の尊厳の
精神を思い出させたのだ。
支援
そろそろか?
「ようし、全員構えろ、すぐ来るぞ!!」
そしてそのとき、まるで森全体が生き物になったのではないかと思うくらいに、あたり一面の木々が
星人へと向かって伸びていった。
「みんな、力をいっぱいに込めて、怪物を地面に引き倒すんです!!」
アイーシャの叫びで翼人達の最大の祈りを込めた力が森を動かす。魔法の力はその者の心の強さに
左右されるが、それは先住魔法でも同じで精霊に願う強さが威力を高める。
数百の蔓が星人の全身にまとわりつき、これまでより強い力で星人の体と首を押さえつけようとする。
「……あと少し」
星人は拘束されまいと必死になってもがき、ガギに助けに来るように求めるが、ガギは残った力を
振り絞ったゴルメデに邪魔されて星人に近寄れない。
命令を遂行しようとするガギの前にゴルメデが立ちふさがり、体当たりを食らわすと、体勢を立て直した
ガギが両腕の触手でゴルメデを絡めとるが、怪力を発揮したゴルメデが触手を引きちぎる。だが、
サイクロメトラの力ですぐさま再生したガギは、今度は巨大な腕で打ち据えようとするが、ゴルメデは
必死でそれに食いついて動きを封じようとするために、ガギは身動きができなくなった。ゴルメデの
種族は鈍重な見た目に反して知能も高く、根性もある。かつて別の星でも同族が星の危機に仲間の
怪獣達とともに立ち上がり、勝利に大きく貢献したことがある。
そしてついに、その決死の奮戦が実り、翼人達の精霊の力がムザン星人の腕力を上回った。
「今だ、みんなやれ!!」
地面に首をつけたムザン星人の右目に向けて、村人達はありったけの武器を打ち込んだ。斧、剣、
槍、鎌、鍬が投げ込まれ、弓矢の雨が降り注ぐ。星人の巨体からすれば小さなものだが、人間だって
目に入った一粒の砂のために痛がるものだ、それに過去には地球にも、たった一本のナイフで怪獣の
目をつぶした勇敢な青年もいた。効果は充分、星人の右目は視力を失った。
「見たか化け物、これが魔法も使えない人間の意地だ」
残った目をもつぶされた星人は暗闇にもだえて、必死に拘束を振りほどこうとした。
支援
支援
支援
あ・・・さるさん食らったかな
61 :ウルトラ5番目の使い魔:2009/03/29(日) 19:18:12 ID:09k113bs
やっぱり残りの量が多くて規制を受けてしまいました。
では、あらかじめお断りしておりましたとおり、こちらに投下いたしますので、11〜16までとあとがき一つを
代理投下どうかよろしくお願いします。
代理行きます
だが、そこへシルフィードに乗ったタバサが残った全力を杖に集中させて、一気に斬りかかった!!
『ブレイド!!』
杖を鋭利な刃物と化させ、メイジではなく剣士に変わったタバサは剣聖ザムシャーにも匹敵する
かもしれない気迫を持って、ムザン星人の頭部に生えている触角を、一刀を持って斬り捨てた。
「今!!」
最大の武器を失い、完全に無防備となった星人はもだえ苦しんでいる。タバサの声が満を持して
精神力を集中していたキュルケに飛んだ。
「オッケー、最高の舞台のお膳立て……皆様感謝いたしますわ、さてこの舞台もそろそろ終幕に
近づいてまいりました。大団円に向けて悪役にはそろそろ退場していただきましょうか。使うのは
はじめてですけれど、この微熱のキュルケの一世一代の大魔法、皆様とくとごろうじろ」
不敵な笑いを口元に浮かべ、眩く燃えるような赤い髪を掻き揚げて、キュルケは炎の女神のごとき
気高さと猛々しさ、そして美々しさを揃えて魔力を解き放った!!
『ファイヤーウォール!!』
魔力が熱エネルギーに変換され、周囲一帯を炎に包み込む。
それは瞬間的に膨張し、星人を絡みとっていた木々をも飲み込み燃料として、巨大な火柱となって
立ち上がった。
「や……やったのか?」
村人達も翼人達も、天にも届かんばかりの火柱に包み込まれた星人の姿に、呆然として目を奪われた。
だが、いかなる生物の生存も許さないように見えたその炎の中から、星人の首が悪鬼のように現れたではないか。
「まだ、生きてる!?」
これだけの攻撃をして、まだ倒せないというのか、これでもうだめかと思われたとき、星人の頭に光球が
飛んできて命中し、大きく火花を上げた。
「リドリアス!?」
その一撃は、傷ついたリドリアスが最後の力を振り絞って撃ったものだった。
それは、星人の眉間を大きくえぐり、執念で起き上がってきた星人に、最後の引導を渡した。
頼むぜ!支援
星人の首がゆっくりと崩れ落ち、炎に呑まれて消えていく。
「やった、倒した。倒したんだ!!」
村人達の歓声があがる。
そして、それを合図としたかのように、ガギにかかっていたムザン星人のコントロールも解けて、自我を
取り戻したガギは、棒立ちになったところをゴルメデに投げ飛ばされた。
「残るは、あの怪獣だけね」
「……」
シルフィードにまたがったキュルケとタバサは、起き上がってくるガギを見据えた。
けれど、意気は旺盛だが、内心では恐々としていた。星人こそ倒したものの、今ので完全に二人とも精神力を
使い果たしてしまった。もうコモンマジックのひとつも撃つ力はない。これであの怪獣に向かってこられたら、
太刀打ちする手立てはない。
しかし、それは杞憂だったようだ。ガギには星人に操られていたころの記憶はないらしく、突然のことに
わけも分からずにきょろきょろとしていたが、ゴルメデが威嚇で一声吼えると、かなわぬと思ったのか地面を
掻き分けて地底に逃げ去ってしまった。どうやら、自分がパワーアップしているということも忘れているようだ。
「逃げた、のよね」
「……逃げた、みたい」
しばらくの沈黙の後、ふたりがぽつりと並んでつぶやくと、やがてそれに続いて人々の雄たけびが森にこだました。
「や……やったあーっ」
「かっ、勝った、俺達が勝ったんだあ!!」
村人達は、まるで夢でも見ているんじゃないかと涙を流して喜び合う。
その様子を、アイーシャ達翼人達はじっと見つめ、やがてその傍らに下りていった。
「っ……翼人達」
村人達に緊張が走る。先頭に立ったアイーシャやほかの翼人達には敵意はなく、サムとヨシアの兄弟から、
彼らは敵にはならないと聞かされていたが、やはり刷り込まれた恐怖心は簡単には消えない。
だが、そんな彼らの躊躇を踏み越えるかのように、ヨシアが堂々と前に出て、そして。
「アイーシャ」
「ヨシア」
愛し合う二人は、ただお互いの名を呼び合うと、しっかと抱き合って互いの無事を喜び合った。
村人達は、しばらく呆然と眺めていたが、サムが前に出て拍手をかけると、すぐに一人、二人と彼に続いて、
最後には村人、翼人全員揃っての大合唱となって、高らかに森に響き渡った。
支援
「よかったわね。おふたりさん。ほらタバサ、あんたも何か言ってやんなさいよ」
「……おめでとう」
「よ……むぐぐ、きゅい、きゅい」
下りてきたキュルケとタバサも、それぞれに二人を祝福し、シルフィードは村人の手前黙らされたが、声の
明るさで祝福を表現した。
「ありがとうございます、皆さん」
「こんな日が来るなんて、夢にも思いませんでした」
新しいカップルは、夢のような日の到来に、大粒の涙を流して、ただその言葉にならない感情を表現していた。
が、そのとき。人々の頭上に、突然リドリアスとゴルメデの強くも、穏やかな遠吠えが響き渡った。
「リドリアス」
「ゴルメデ」
2匹は、傷ついた体ながらも、新たな絆を得た人々を静かに見下ろし、そしてゆっくりと彼らに背を向けた。
「大いなる翼、そして地に眠る竜……行って、しまわれるのですか」
アイーシャの言葉は、2匹の意思の代弁だった。戦いは終わった、ならば自分達がここに居続ける必要はない、
その背中はそう言っていた。
「ありがとう……また、いつかあなたと私達はいっしょに飛べますか?」
答えはなかった。
リドリアスはゆっくり翼を広げ、ゴルメデは大地を掻き分け、大空と地底へと、それぞれ去っていき、ガギの
残したバリヤーもガギが遠ざかったことで維持する力が無くなったのか、リドリアスの体当たりであっけなく
砕けて、森を覆っていた残りも連鎖的に全て砕け散って消えた。
彼らが、これからどこへ行くのか、それは誰も知らない……
こうして、地獄のような一夜は終わり、森に再び静けさが戻ってきた。
その三日後、エギンハイム村跡の広場では、陽気な声に飾られて、盛大な結婚式が執り行われていた。
今回の事件で、村人と翼人達は考えを改め、和解して共に森で暮らしていこうということになったのである。
とにかく、村人達も翼人達も住処を失い、これから森に再建される新しい村は、ハルケギニア初の人間と
亜人が共存する村になっていくことだろう。
もちろん問題は数多い、異なる文化や生活習慣は様々な軋轢を生むだろう。けれど、今二つの種族の間には
ほほえましいカップルがいる。
広場の真ん中で、翼人の礼装に身を包んだヨシアと純白のウェディングドレスに飾られたアイーシャの姿が、
夏の日差しに明るく照らされて宝石より美しく見える。
そんな二人を、こっちの二人と一匹は最前列で見物していた。もっとも、タバサは帰ろうとしたのだが、
キュルケが強引に「あんたの将来のためにも見ときなさい」と押し付けたのである。
式はとどこおりなく進み、最後に定番の誓いのキスで大団円を迎えた。その熱さときたら、キュルケでさえ
顔を赤くしてしまったほどだ。
「ありがとうございます。タバサさん、キュルケさん」
式も終わり、シルフィードに乗って飛び立とうとする二人を、アイーシャ達が見送りにやってきた。
タバサはもう何も言わずにシルフィードの背中で本を読んでいる。代わりにキュルケが身を乗り出して答えた。
「よかったわね。けど、これから大変よ」
「はい、やるべきことはたくさんありますが、ぼくにはアイーシャがいるから、どんなことでも乗り越えていく
つもりです」
「私も、ヨシアがいれば。それに、大いなる翼も地に眠る竜も旅立った今、私達も守るべきものをなくしました。
いいえ、使命を果たしたというのでしょう。彼らが教えてくれたことを胸に、私達は新しい道を探して頑張っていく
つもりです。タバサさん、キュルケさん、本当にありがとうございました。もし、何か困ったことがありましたら、
いつでもいらしてください。私達にできることでしたら、何でもやらせていただきますわ」
新しい夫婦はそう言うと、シルフィードの首に花束で作った首飾りをかけた。
「韻竜様、このたびはご助力、感謝いたします」
「きゅいーっ、やめるのね、背中がかゆくなるのね。普通に話してよね。でもま、よかったじゃないのね。
お幸せにね。きゅい」
「はい」
花束で飾られてうれしそうにしているシルフィードの横を通って、二人に聞こえないようにサムがキュルケに
ひそひそ声で話しかけてきた。
「貴族様方、今回は本当に感謝にたえません。最初のころはどうも失礼なことばかり言っちまって、すいませんでした」
「いいってことよ。あんたも、いい男だったわよ、弟に先越されちゃったけど、さっさと恋人作って追いつきなさい」
「精進しやす。ところで、ひとつだけお聞きしたいんですが」
「なに?」
「あの怪物ども、倒すのには本当にあれしか手がなかったんですか? あそこまでしなくても、ほかにもっと楽な
方法があったような……もしかして」
「さあね、タバサに聞いて」
支援
キュルケがちょっと目配せしても、タバサは本に夢中で見向きもしない。けれど、無言の肯定はしっかりとサムの
心に届いていた。
「やっぱり、翼人と人間を和解させるために、わざとあんな大げさな……」
それ以上は無用だった。ただ深く頭を下げるサムを、ヨシアとアイーシャが不思議そうに見つめていた。
「行こう」
ここでの任務は終わった。蒼穹の空に、村人達と翼人達の見送る声を受けて、シルフィードは飛び立つ。
あっという間に村は見えなくなり、静かな時間がやってきた。
「ふぅーう、疲れたわねえ。けど、今までになかったくらい刺激的な日々だったわ。今度また誘ってよね」
「……もう、駄目」
「そんなこと言わずにさあ、ああ、でもあの二人の結婚式、本当にきれいだったわね。わたしもいつかは運命の人と
盛大な式をあげたいわね。もちろんタバサも、いつかは通る道よ、そのときは、手取り足取り指南してあげるからね」
「……」
タバサは、もういいとばかりに、返事をせずに本に目を落としてしまった。
けれど、そんなタバサの将来について、彼女の友人と使い魔はなおも無責任な将来図を拡大させていった。
「ねえシルフィード、あなたも将来はタバサに素敵な恋人を作って欲しいと思ってるんでしょ」
「もちろんなのね。お姉さま、そんなに可愛いのにもったいなさすぎなのね、ボーイフレンドの一人もいなくてどうして
青春の楽しみがありますか、でも問題はうちの学院にはろくな男がいないことなのね」
「そりゃ同感ね。ギーシュは馬鹿だし、ギムリは単細胞、レイナールは頭はいいけど見栄えが悪いし、その他の連中は
それ以前に特徴がないし、どーも資源が不足してるのよねえ」
「あっ、そういえばサイトさんはどうかなのね。顔はぱっとしないけど、陽気で優しいし、お付き合いを始めるには
ぴったりなのかね」
「なるほど、それにヴァリエールの使い魔を口説き落とすのも悪くないかもね。あの子ったら、好きなの見え見えな
くせに躊躇してるから狙いどこよ。あっ、でもそうなるとタバサがわたしの恋のライバルになるのか、まったく、
さっさとくっついちゃえばこっちも悩まなくて済むのに、だからヴァリエールの女はだめなのよ」
口々に勝手なことを言い合いながら、空の上の井戸端会議は続いた。
しかし、タバサにはひとつだけ気がかりなことが残っていた。
"わたしがここに送り込まれたのは、やはりあの怪物にわたしを始末させるのが目的だったの?"
それだけが、彼女の心にしこりとなって残っていたが、結局答えは出ずに、仕方なく考えるのをやめて
シルフィードをリュティスに向けて進路をとらせた。
だが、そのころ。
森の中で黒焦げになったムザン星人の死骸に近づき、何かをしている黒いローブで全身を隠した怪しげな
人物がいた。
そいつは、倒れた星人の死骸をじっと見つめていたが、突如ローブに隠された顔の額が輝きだし、炭と化した
星人の死骸の中から一体の、人間の半分ほどの大きさの魔法人形が潜り出てきた。
そいつは、怪しげな人物にとことこと近づき、胸に抱えていた物体を差し出した。
「ふふ……」
それを受け取った人物は、それが目的の物であるかをまじまじと見て確認した。
大きさは手のひらサイズの小さな石、しかしまるで生きているかのように不気味に輝き、脈動している。
その鈍い光に照らされた姿は、以前ジョゼフといっしょにウルトラマンティガとアストロモンスの戦いを見ていた
あの女のものであった。
「ジョゼフ様、目的のもの、確かに手に入れてございます」
彼女は、頭の中でその主人に成果を報告すると、すぐにその返答がきた。
"ご苦労、余のミューズ。すぐに戻って来い、この目で見て確認してみたい"
それは彼女の主、ガリア王ジョゼフ一世のものであった。
「はっ、今すぐに……しかし狙い通りにいきましたですね。この、ムザン星人が死ぬときに残すという、その力の
源となる魔石、シャルロット様に頑張っていただいたかいがあったというものです」
"ふふ、全て余の狙い通り……さすが我が姪だ。よい仕事をしてくれる"
ムザン星の魔石……それは星人の能力の源であり、これを身につけることによって強大な力を得ることができる
という。ジョゼフはこれを手に入れるために、わざと放ったムザン星人をタバサに倒させたのだ。
「はい、シャルロット様の実力も、かなり上がってきたようですわ。けれど、こんな石ころひとつ、あの白塗りの
奇人から買い求めればよかったのではないですか?」
"ふ、それでは興がなかろう。さて、次の駒を揃えるためにも、シャルロットにはこれからも頑張ってもらわなくてはな"
続く
68 :ウルトラ5番目の使い魔 あとがき:2009/03/29(日) 19:26:18 ID:09k113bs
投下完了、支援してくださった方々、どうもありがとうございました。
今回は過去最高の5体の怪獣を出せました。まあ、サイクロメトラが好きな人はそういないと思いますが、
ウルトラマン抜きでの話もなかなか書いてて面白かったです。
どうも、本編そっちのけで脇キャラが主役の話ばっかり思いつくのも困りものです。
さて、次回は舞台を再び魔法学院に戻して、アンリエッタ王女がやってきます。
その目的はいったい? いよいよ長らくお待たせしたアルビオン編のスタートです。
次に現れる怪獣とも合わせて、お楽しみに。
---------
代理投下終了
作者も代理の方も乙
いい話だ
ウルトラマンの人お疲れさま。
村人達が協力して怪獣に立ち向かったところは感動した。
ウルトラの人、代理の方共に乙でした
今回の話も大変GJでした。ムザン星の魔石をジョゼフがこれから
どう使うか気になります。
脇キャラが主役の話は個人的には良いなと思っています。
タバサやイザベラ、ティファニアだけでなくシエスタやエレオノール等の他の人達が
他のウルトラマン、又は友好的な怪獣と宇宙人との関わる話もいいなと。
ともかく今回の話も大変面白かったです。次回のアルビオン編も期待しています。
>>588 ウルトラの人、代理の方、GJです。
責任転嫁する村人達の「人間の醜さ」を出した後で、貴族・翼人関係なく、
一致団結して侵略者に立ち向かう「人間の美しさ」も書いてる所は秀逸でした!
次回からいよいよアルビオン編。ルイズと才人、そしてエースがどんな活躍をするのかwktkです。
欲を言えば、ウェールズ王子がウルトラマンの力で助かる展開を見てみたいw
兎に角、今回も乙でした。
>ID:wwPZrXtp
支援は1作品に1回くらいが良いと思うよ
594 :
184:2009/03/29(日) 20:32:16 ID:24lVTudk
ははは、明日にはと言っておいて一日遅れちまったぜ。
準備できたんだが投下して良いかな?
待ってたぞw
596 :
184:2009/03/29(日) 20:38:12 ID:24lVTudk
※何処からの続きか把握するために見直したら
「これは ひどい」
な事になってたので、始めから書き直させていただきます。
どうせ誰も覚えてないし。
具体的には放置中の原作進行による設定の矛盾、および元々の文章・構成のひどさです。
かなりの変更が加えられておりますので、前と違うと言われた場合、むしろ喜びます。
ご了承くだされ。
40分より投下を始められると良いなぁ。
わざわざハードルを上げて挑む勇者のために支援
いわゆる推敲ですね、わかります
599 :
184:2009/03/29(日) 20:42:13 ID:24lVTudk
光が弾ける。
この不自然なまでに明るい場ではさして目立たなかったが、それは明らかに周囲の物と違っていた。
解りやすく言えば、威力がある。
それが弾けた場所は爆撃でも受けたかのように吹き飛んでいる。
見ればその焦げ跡はその場所のそこら中にあった。
焦げ跡に限定しないのならば、もっと破壊の痕跡はあった。
柱は鋭く斬り倒され、固形化した雲とでもいうのか――白い床は所々消し飛んでおり、
階段は何かに食われたかのように削り取られ、粉々になった瓦礫が空中で静止している。
それらはこの場所に致命的な変化をもたらしていた。
別に、悪いと言うことではない。
もとより、『彼ら』はそのためにここに来たのだから。
破壊の跡は、ある一点に向かうほど、その密度を増している。
その一点で―――この場所の一番奥深くで、ふたつの存在が戦っていた。
片方は、人間。もう片方は、適当な呼び名があるとするなら、魔王だろうか。
人と禍々しさを混ぜたようなその姿は、この場所に似合わないようにも見えるが、何故かそうではない。
対して、ローブを纏い、剣を携えたその人間は、その魔王に挑むには非力なように見える。
ただ、どちらも同じぐらい桁外れな存在なようだった。
人間――術士が高らかに唱え、空に腕を一振りすると、彼方より光が膨れあがり、破滅的なものとなって吹き荒れる。
が、何か――言うならば空間そのものが光の嵐を受け止めて、それを止めてしまう。
光の嵐が消えたころには、魔王――『君主』がその手の奇妙な形の剣を振りかざしていた。
剣の間合いなど遙かに離れてるにも関わらず、『君主』はそれを振り抜いた。
そして、その剣はその刃よりも遙か遠く、広くを消し飛ばした。
その範囲の内には、術士の姿もあった。剣の力を受けて、その姿がかき消える。
剣の威力を見れば、彼が塵も残さず消えたとも思えなくない。
だが、『君主』は慌てて――そんな感情があるかどうかは解らないが、慌てたように、振り返ろうとする。
そして、振り返ったときには、闇を凝縮させたような球が、『君主』の右肩を喰らっていた。
術士はいつの間にか『君主』の背後に位置どっていた――術を放った構えをとかないまま、呟き始める。
彼が唱えるよりも先に、『君主』が、先ほどの剣を振るう。
しかし、その破壊が及ぶか及ばないかの所で、その力が、空振りしたかのようにすり抜けた。
そして、いつの間にか自らの眼前まで迫っていた光の矢を避けようとしたのか、
少し身を揺らせて、その頭の横を削られる。
600 :
184:2009/03/29(日) 20:44:00 ID:24lVTudk
『君主』が、吼える。
紫、もっと単純に黒――とにかく暗さを押し固めたような電光がその身を包み込んで、覆い隠す。
それに合わせて、何処までも明るかったその場所が変化する。
純粋さはそのままに――明るさの代わりに、何処までも禍々しく。
場所の変化が止まったとき、それに合わせるように覆いも散って、
『君主』はより怪物じみた、竜のような姿に変化していた。
場所に合わせたのか、或いは場所が合わせたのか。
ただ、先ほどの術の傷を癒せるわけでもないのか、右前足と頭から血を流している。
弱っているとみたのか、術士が両手の間に黒い球、先ほど『君主』に一撃を与えたそれを作り出し、距離を詰め、至近で放とうとする。
しかし『君主』はそれを避けようともせず、傷ついていない方の足でそれを迎え撃った。
ぶつかり合いの結果、爪は容易く球を切り裂き、術の護りをも打ち砕いて、吹き飛ばした。
切り裂かれてはいない――爪が届く直前に、虚空から出でた光の剣が爪を受け止めた――が、その勢いをも殺せる物ではない。
地面を何回か跳ねて、柱にそれが砕ける程の勢いでぶつかってようやく止まる。
流石にそこまで化け物じみてはいないのか、打たれ強くは無いらしい――術士は動きを止めている。
死んだのかも知れないし、気絶しているだけかも知れないし、単に動けないだけ、或いは死んだふり。
どれでもありそうだったが、
『君主』は少なくとも、肉が残っているものには攻撃を加える価値があると考えているようだった。
術士の正面に向き直ると、その口を開いて、息を深く吸い、炎として吐き出す。
術士は身動きも取らず、その炎に包まれる。
後ろの柱も溶け落ちる程に炎を吐いて、ようやくそこで”君主”は息を止めた。
息を止めても炎は止まらず、空を焦がすかのように、立ち昇っている。
『君主』も、流石にこれ以上は必要ないと判断したようだった――つまり、誤った。
炎は自ら立ち昇っているのではなく、流れに巻き上げられているだけで、
天に届いているのは炎ではなく、煌めくものだった。
炎が消え、術士の姿が見える――傷一つ無いどころか、万全の状態で何かを唱えている。
『君主』が気づき、再び炎を吐くよりも早く、煌めきの全てが天に至り――そして、落ちてくる!
「――――――!」
何かを術士が叫ぶ。雷と言うには生やさしすぎる、
光の柱の轟音と閃光でその言葉も表情も読み取れはしなかったが――
支援
>>593 無駄にスレ消費させてたか
注意ありがとう、自重するよ
まってた支援
604 :
184:2009/03/29(日) 20:45:52 ID:24lVTudk
〜〜〜〜〜〜〜〜
その場所の中心は、『君主』と共に消し飛ばされ、もはや跡形もない。
静まり返っていた――戦いが終わったからではない、この場所が主を失ったからだ。
術士は、目的を果たしたのを確認……というよりは噛みしめて、振り返った。
そして、笑いを浮かべた――苦笑いだ。
「……さて……どう、する?」
主を失っても、場所は失われていない。
その場所の住人はまだ存在していた――天使の様に見える怪物。
頂きから、中心から眺めてみれば、それは未だに多くいた。
この場所から這い出ようとしているのか、脱出口の近くに特に多く。
とはいえ、『君主』が消えた以上、それほどの強敵ではない。
術の力の殆どを使い切っていても、ただそれだけなら戦って抜ける自信が彼にはあった。
しかし、使い果たしているのはそれだけではない。今すぐにも倒れてもおかしくないぐらいだ。
そして、仮に戦い抜けたとしても、帰るまでには相当な時間が掛かるだろう。
残念に思うべきか、誇りに思うべきか、この場所の力が弱まったのを知れば、再封印に取りかかるだろう。
ある程度は待つかも知れないが、危険なまでに待つほど、愚かではないはずだ……。
まず帰れない。生き残れるかどうかも危うい。
そう言う状況になって考える事が幾つもあったわけではなかった。
もとより、明確な目的を持って――持たされて、それを果たした命だけに、それほど執着もなかった。
ただ、絶望や諦観を抱いていたわけでは無かった。
少なくとも、目の前の状況から、無力な自分を思わず遠ざけてしまう程度には。
そして、崩落した地面を踏み損ねそうになって、思わず振り返る。
「…………えーと」
振り返ったら、その眼前には――何というか、光り輝く鏡があった。
一瞬、この場所の産物かとも思ったが、そうでは無いような気がした。
この明るさには熱がある。
ついでに言えば、陽術の試練の出口にも似てるような気もする……。
それを連想するのは、自身が脱出の方法を求めているからだろうか?
そう思いながら手を伸ばし、鏡に触れてみる。
触れはしなかった……と言うより、通り抜けてしまったのか――少しばかりのピリッとした感触が、指先にあった。
つまり、消えてしまったりはしない……とも言える。
後ろを振り返り、見下ろすと、僅かながら、怪物がここに近づいてきていた。
そう立たないうちに、此処に来るだろう。
悩むにしても、生き抜くにしても、死ぬにしても、時間はあまりないようだ。
彼は振り向く。いや、向き直る。
後ろに数歩下がる。当然、退くためではない。
下がった数歩を駆けるようにして、彼は光り輝く鏡に飛び込んだ。
先ほどの感触を何倍にもしたようなショックを受けて、彼は意識を手放した―――
605 :
184:2009/03/29(日) 20:48:24 ID:24lVTudk
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
光が弾ける。
この明るい場所ではさして目立たなかったが、それは明らかに周囲の物と違っていた。
解りやすく言えば、威力がある。
それが弾けた場所は爆撃でも受けたかのように吹き飛んでいる。
見ればその焦げ跡はその場所のそこら中にあった。
焦げ跡に限定しないのならば、もっと破壊の痕跡はあった。
木は半ばから折り倒され、『固定化』した外壁だとか――草地は所々荒れ地になっており、
岩は爆ぜたかのように砕け散り、頭にたんこぶを作った生徒がうつ伏せに静止している。
それらはその場所に致命的な変化をもたらしていた。
別に、悪いとは言い切れない。
もとより、『彼女』はしたくてやっているわけでは無いのだから。
破壊の跡は、ある一点に向かうほど、その密度を増している。
その中心で―――その集団の一番奥深くで、ふたつの存在が戦っていた。
片方は、少女。もう片方は、適当な呼び名があるとするなら、ハゲだろうか。
「……ミス・ヴァリエール?」
「な、何でしょうか?ミスタ・コルベール」
ヴァリエールと呼ばれた彼女は、素直にハ……コルベールへ返事をした。
奇妙なことに、戦っているのは確かにこの二人だが、戦ってる相手は同じだ。
「もういい加減に……いや、そろそろ時間もあれですし、終わりに……いえ、明日にしましょう」
「い、いや、でもきっと次には成功しますっ!」
具体的には、キレそうになっている自分自身と戦うコルベールと、
何とかコルベールから延長を勝ち取ろうと戦う少女である。
「……じゃあ、次でおしまいですよ、成功しても失敗しても今日はここまで。いいですか?」
「は、はい!」
二人とも、同じ手段を取った。
守るべき最低限を決めて、それ以外は何というか――切り捨てる方法。
もっとも、少女がそのルールを守れるかどうかは怪しい。
コルベールの方は間違いなく遵守しそうである。
支援
607 :
184:2009/03/29(日) 20:49:45 ID:24lVTudk
ハルケギニア、トリステイン魔法学院、春の使い魔召喚の儀式。
習慣のようであったが、それ以上の意味を持っている。
二年生に進級する際に、生徒は『サモン・サーヴァント』をとなえ、自らに相応しい『使い魔』を召喚する。
そして、相応しい使い魔から、自らに相応しい属性を知るわけだ。
彼女以外は、既に終えている。残るは彼女だけだ。
終えた生徒達が遠巻きに見物する中、少女は、杖を構える。
歌うように、とは行かない――必死だから――高らかに唱えた。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力司るペンタゴン、我の運命に従いし、『使い魔』を召喚せよ!」
その言葉の何処にも、それを連想させる言葉はなかった。
彼女――ルイズの言う所のペンダゴンには確かに『火』があり、それから連想出来なくもないが、
もはや連想ゲームのレベルであり、普通はこうなるとは思わない。
杖を振り下ろした先に光が収束して、何故か爆発する、と言う事態になるとは。
もっとも、慣れていれば話は別なのだろう。
遠巻きに眺めていた生徒達がやじを上げる。
「また失敗かよ!」
「何度やっても無駄でしょうに、ゼロのルイズ」
「さて、言ったとおり終わりだぞ!」
ルイズは、崩れ落ちて地面に両手を突く。
爆発が巻き上げた粉塵が風に流れていくのを眺めて、項垂れる。
「……また、駄目?」
次は大丈夫、とでも言えれば気力も保てたかも知れないが、
残念ながら、それは禁じられていた。
これを最後の一回にする、と彼女自身うなずいたのだから、撤回するわけにはいかない。
――いやでもどうしようかな、こっそりもう一回ぐらい……
そんな風に悩んで居たためか、一番近くにいながら、それに気付いたのは一番後だった。
608 :
184:2009/03/29(日) 20:51:31 ID:24lVTudk
「……ん?あれは」
「って、え?」
「何か、いる?」
みんなが騒ぎ出してから、ようやく気付いた。
騒ぎが嘲笑から呆然とした物に変わったのに気付いて、辺りの生徒を見回そうとする。
その時に、煙の中に影があるのがルイズに見えた。
「……もしかして成功したっ!?」
当然、ルイズは喜んだ。
何十回も失敗を重ねた上での、もしかしたらの成功だ。
立ち上がって、駆けよろうとする。
しかし、煙が薄らぐにつれて、だんだんと影がはっきりとしてくる。
――まるで、人のような?
頭の中に浮かんだ疑問符は、少しばかり強い風が解決してくれた。
煙が押し流されて、影が顕わになる。
ぼろぼろになったローブを身に纏って、倒れ伏しているその影は、
人のようなも何も、その姿はどう見ても人のそれであった。
どう反応して良い物か――ルイズは困惑して黙り込む。
それは周りで騒いで居た生徒達も同じだったのか、暫く場が止まる。
コルベールは冷静に、倒れ伏している人影の側にしゃがみ込んで、調べていた。
「……はて?衣服の損傷……極めて最近の物に見えるが……
体には傷が全くないな。どういう事だろう?――しかし、衰弱している……」
コルベールがその――男?を調べている間に、
何人かの冷静な生徒は状況を把握できたのか、再び騒ぎ出す。
「ははは、いやぁ、一時は驚いたが、『ゼロ』は『ゼロ』だなやっぱり!」
「平民を呼び出しちまうなんて、予想の斜め下を行ってくれるな!」
「うるさいわねッ!」
嘲りに律儀に叫び声を返してから、倒れている男の傍らでしゃがんでいるコルベールに駆けよる。
609 :
184:2009/03/29(日) 20:53:50 ID:24lVTudk
「あの、先生?」
「極めて強力な『治癒』の呪文だろうか?自分自身に掛けたというなら――何だね、ミス・ヴァリエール」
ぶつぶつと独り言を呟いていたコルベールは、どこか上の空で答えた。
「その――私が召喚したんですか?その平民」
「平民かどうかは解らないが……ただ、君が召喚したと考えて良いだろう」
「えーと……それじゃあ……もしかして」
「ああ……この彼が君の使い魔と言うことになるね、うん」
ルイズの方を向きもせずコルベールは杖を取り出し、短く呟いた。
淡い光の粉……『探知』の魔法が杖先から漏れ出して降り注ぐ。
すると、男が身につけている装身具やら、傍らに散らばっている道具やらが反応した。
「ふむ……ずいぶんと多くのマジックアイテムを持っているんだな……」
「あの、先生……?」
「何だねミス・ヴァリエール」
「何してるんですか?」
「調べてるんだ」
「えーと……なにを?」
「それは勿論、この銃のような物――」
ルイズの方に振り返って、返そうとする。
が、コルベールが言いかけた言葉に対して、ルイズは冷たい視線を浴びせかけた。
思わずコルベールも言葉を切って目をそらすが、残念ながら、周囲の生徒の殆どが冷たい視線を浴びせかけていた。
その全てを避けるように、コルベールは赤くなって下を向いた。
「もとい……その、あれです……この彼を」
「……で、何か解りましたか?」
「えーと……そうですね……まぁ、いいじゃないですか」
610 :
184:2009/03/29(日) 20:55:50 ID:24lVTudk
そう言いながら、コルベールは手に持っている銃?を自然な動作で懐にしまう。
自然すぎて生徒達も反応が遅れる。
それに先んじてコルベールが声を上げた。
「さて!ミス・ヴァリエール、儀式を続けなさい」
「いや、先生今何か」
「早く!次の授業が始まってしまうじゃないか!hurry up!」
釈然としないまま、急かされるままに男の側に立つ。
男を見下ろして、ルイズはため息をついた。
ドラゴンとか、グリフォンとか、そう言う使い魔が来るのを期待していたわけではない。
現実的なところで言うのならば、鷲だとか、梟だとか、その辺りなら納得も出来ただろうと思う。
だが、人間だとは予想もしない。
もう一回やれば、自分の望んだような使い魔も来るのではないだろうか。
そんな事を考えないでもないが、やり直しが許される儀式でないことは理解していた。
「……まぁ確かに、ドラゴンとかが実際に来たとしても、契約できるかどうか解らないけど――ッ!?」
「どうかしましたか?」
ルイズはそこで、一つ閃いていた。
75 名前:本スレ184 投稿日: 2009/03/29(日) 21:00:29 ID:9Hun26ws
えーと、あんなグダグダな終わり方ですが、
ちゃんと終わりです。さるさん喰らったためこちらにて終了を言わせて貰います。
元ネタなんだろ・・・
サガ・フロンティアのブルーかルージュだろ
って元ネタ言っちゃマズかっただろうか?
作者の方がさるさんの為、対応を協議しております。
今しばらくお待ち下さい。
作者の方からの伝言です。
「クロス元・題名を公表し忘れました。元々ブルージュを書いていた物ですが、クロス元・キャラは依然と変わらず、題名はさるさんが解け次第続きを投下させていただき、それをもって公表とさせていただきます、どうぞご了承ください」
とのことです。また、さるさんがとけ次第、続けて第2話を投下されるそうです。
What's?
元はコレより悪いってどんだけ
ウルトラの人乙でした。
タバサの冒険編、次回作は最新刊ネタで人間そっくりの精巧なガーゴイル達が村人達を支配する
「第四開拓村の恐怖」
が見たいっす!
「どうも人間は、物覚えが悪くてイカンわ。紅茶の味が、毎日違のだから」(男爵夫人)
開始早々醜態をさらし、非常に申し訳ございません。
伝言していただけたとおりでございますが、
クロス元はサガ・フロンティア、
召喚キャラはブルーおよびルージュ、
題名はこの通りとさせていただきます。
>>618 ですよね……
彼は、目を覚ました。
まだ少し微睡んだ意識で、周囲を確認する。
ふわふわした物の上に寝かされて、ふわふわした物が掛けられている。
ベッドの上に居るのだと判断した。布団かも知れないが。
これがふわふわした雲の上にでも居たのなら、天国か『地獄』と判断したかも知れないが、
少なくとも毛布を掛けてくれるような人がそこに居るとは思えない。
「生きてるのか……」
呟くと、視界の端で何かが動くのが見えた。
人影のようだった。彼の方に歩いてくる。
「起きたようですね――えーと……失礼でなければ、お名前は?」
視線が、人影をはっきりと捉える。
禿げた頭の男だった。
名前を聞かれて、彼は戸惑う。どちらと呼ばれても気にはならないだろうが、
名乗るとするならどちらが相応しいのだろう?
どちらか本気で悩んだが、答えは出せなかった。
「私の名は……ブルー……ルージュ。どちらでも良い」
「こんにちは、ミスタ・ルージュ。私はコルベール。
このトリステイン魔法学院で教師をしています」
コルベールと名乗ったその男は、そこで一旦言葉を切った。
特に何を言ったわけではないが、
彼が疑問を口にする余裕をくれたのかも知れない。
だが、今のところ聞きたいことは何もなかった。
「えーと……何故あなたが此処にいるかは解りますか?」
「あなたが此処に運んだのではないのか?……医務室か、ここは」
「運んだのは確かに私ですが。
そうですね……なぜいきなりこんな所にいるかの心当たりはありますか?」
彼は、素直に返すことにした。
なにか不審な点でもあれば、嘘やブラフの一つでも口にしたかも知れない。
ただ、男が悪い人物であるようには思えなかった。
「輝く鏡をくぐって、気付いたら此処にいた。心当たりと言えばそれですが」
「ああ、では間違いないようですね」
男は、その心当たりに、何か確信を持ったらしい。
その反応で、彼自身も確信を持てた。
体に力を入れて、上体を起こす。
疲労からか力が入らない感じはしたが、何処も痛みはしなかった。
「やはり、あれはゲートの一種だったのか?」
「?ええ、多分そうです」
「多分?」
「その……なんて言うのですか。ちょっとした失敗で、こちら側のゲートが見えなかったのですよ。
だから、私達があなたを呼んだかの確証がなかった」
「そうですか」
つまり、あのゲートはこの男か、その仲間が確固たる意志を持って、彼の前に出したと言うことらしい。
わざわざあの場所にあの時、彼の前に出すのだから、救出が目的だったのだろうか?
「しかし、『地獄』でゲートは開けないのでは無かったのか?
リージョン移動を持ち込めていれば、自力で脱出できたんだが」
純粋な疑問――というわけではない、少しばかり愚痴の混じった疑問を投げかける。
彼は何となく答えも予測していた――結局の所、試してみた者も居ない、とか。
「は?」
しかし、返ってきたのは純粋な疑問に近い反応だった。
――おそらくは、互いに予想を裏切られたのではないか。
男の呆けた表情を見て、彼自身、似たような表情を浮かべているのではないかと思った。
「……何か?」
「いや、その『地獄』とは、あなたがさっきまでいた場所、と言うことでいいんですか?」
「……そう言う質問をするという事は、つまり私が何処にいたかは――知らない?」
殆ど確信を持って、問いかける。
それへの返事として、男は無言で首を縦に振った。
非常に解りやすい。ありがたいことに。
彼は深く息を吐き出し、そして少しだけ吸ってから、こう言った。
「失礼でなければ、幾らか聞きたいことがあるんだが――」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「私ながら恐ろしい策謀よ……うふふふ」
似合ってない黒い笑みを浮かべながら、廊下を歩いているのはルイズ。
今日の全ての授業を終えて、その足は医務室へと向かっていた。
彼女の言う恐ろしい策謀は、別に恐ろしいと言うほどではない――単に、再び召喚の機会を得るための物である。
何事にも例外はある。
何かの間違いで未熟極まりないメイジが成熟した繁殖期の火竜を召喚しても大丈夫なようになっている。
つまるところ、「契約が失敗」したのなら、再び新しい召喚を試みることは許されている。
ルイズは召喚の儀の時に、コルベールに問うた。
契約とは一方的な物で良いのか、と。
――コルベールはその場で答えられず、取り敢えずその場をお開きに出来た。
召喚された男は医務室に運ばれたらしい。
ケガは見あたらず、その内目覚めるだろう、とコルベールは言った。
そして、多分一方的な物ではまずいだろう、とも言った。
召喚されて契約を拒むと言う例が確かにある。
人間を召喚するなどという例よりも余程。
そして、この場合は相手が人間だから容易く意思の疎通が図れる。
相手が契約を拒んでくれるのなら、契約は失敗に終わると言える。
それでもコルベールが何かを言うのなら、例えば無理にでも契約させようと迫るのならば、その時はその時。
惜しみながらも相手の意思を尊重するような言葉を言えば引き下がるだろう――コルベールは融通の利かない人物ではない。
「うふふふふ」
契約が失敗に終われば、召喚のやり直しが出来る――召喚そのものの失敗と同じように。
重要なのは使い魔の契約を拒んでくれるかどうかだが――
ずっと考えていたが、契約なんぞ、むしろ拒むのが普通という物ではないだろうか。
彼女の足取りは軽く、半ばスキップするように歩いて行く。
ゆったりと歩くよりは余程早く、医務室につく。
高揚した気分を外に出さないように、深呼吸を一回して、落ち着かせる。
そして、医務室のドアを軽くノックした。
「失礼します」
声は、落ち着いた物だった。
少なくとも、ルイズ自身が判断する限りでは。
――つまるところ、部屋の中に居た二人は微妙に喜悦に歪んだ声に、疑問符を頭に浮かべていた。
「どうぞ入りなさい」
了解の返事を聞く前に、手はドアノブへ掛けていた。
捻ったのは、ほぼ同時である。反応してではない。
彼女は、彼女自身が思っているほど冷静ではなかった。
開いて、踏み入って、振り返って閉じる。
普通に冷静な人間ならば、そんなことは気にせずとも行うのだろうが。
ルイズはそうした。
入り口からほど近い寝台にルイズが召喚した男が腰掛けていて、
コルベールはその傍らに本来無い椅子を置き、紙束を抱えて座っている。
部屋に入ったときから、二人の視線はルイズの方にあった。
男はルイズに軽く礼をした。
ルイズも軽い会釈をして、それに返す。
「コルベール先生、話の方はもうしたんですか?」
当然、話というのは使い魔の契約のことだ。
どう考えたってそれ以外にコルベール、ルイズ、この男の居る場でそれ以外の話であるはずはないのだが。
「……何の話ですか?」
「はい?」
コルベールは少しの間、きょとんとして見せた。
しかし、すぐに思い出したのか、慌てて言い直す。
「あ、ああ。契約の事ですね……話しましたよ。たしか」
「……契約?何のことだ?」
男は、本気で解らなそうな顔をしている。
……部屋に気まずい沈黙が流れた。
例えるならば、雪山の頂上。白くて、寒い。
コルベールは、こほん、と非常にわざとらしい咳をして、
何事もなかったかのように話し出す。
「『サモン・サーヴァント』は、使い魔を召喚するための呪文であり、
これによって召喚されたものを、メイジは使い魔として契約します。
本来人が召喚されることは無いはずなのですが――」
「……要点だけで良い」
「話が早くて助かります。
使い魔との召喚と契約は多分に儀礼的な意味を含んでおり、
ゆえにメイジ側にそのやり直しは認められていません。
失敗したりした場合は――まぁ、少しぐらいなら構わないんですが」
コルベールがルイズの方をチラと見る。
ルイズは彼が何を言いたいのか良く解ったので、少し顔を赤くして俯いた。
「ただ、成功したものに対して拒否は出来ません。
しかし、メイジ側が幾らやり直しを禁じようと、使い魔の側が拒むこともあります。
召喚を拒むのなら召喚されずに終わりますが、
ゲートを通っているにもかかわらず、契約を拒む事が稀にあります。
力の弱い存在だったら無理矢理従えることも出来ようものですが、
幻獣や魔獣の類が相手では、召喚に臨む段階のメイジでは持てあますこともありますので、
その相手が逃げ出してしまうようなことがあれば、例外的に可能です。
要するに、召喚・契約、どちらでも失敗した場合はやり直しが許されます」
そこまで言って、コルベールは言葉を終わらせた。
それを告げられて、男の方は何か思案するように腕を組む。
「私を召喚したというのは、そこの彼女と言うことなのか?」
「そうです、そこの――ミス・ヴァリエールがあなたを召喚しました」
コルベールがそう言うと、男はルイズの方を見つめた。
その視線に気づいて、先ほどとは違う理由ですこし顔を赤らめる。
それに気付いたかどうか、気にしたかどうか――男はコルベールの方に顔を向け直した。
「拒んだとしても、彼女は……やり直しできると?」
「できます……が、まぁ好ましくないことは確かです」
ルイズは内心笑った。もしかしたらすこし表にも出ていたかも知れない。
彼女にとって好ましい反応だ――好ましくないことなどない。
――そう、契約を拒んでしまえ。
「契約をしたくない理由でもあるのか?」
その言葉に、一瞬、ルイズの動きが止まる。
心を読まれたのか?とも一瞬思ったが、男の視線はコルベールを向いていた。
ルイズに気付いたわけでもなく、先ほどの言葉もコルベールにかけられた物のようだ。
「何故そう思うのですか?」
「そんなに大事な儀式なら、わざわざ説明せずに騙して契約してしまえば良かっただろう」
「いえ、そう言うわけではないのです。……むしろ、大事だからこうして話しているのです。
何かの手違いで、あなたが使い魔として召喚されたのではないという可能性がありました。
事実、あなたはゲートは理解しているようですが、それが『サモン・サーヴァント』であることは知らなかった」
「……ああ、確かに、使い魔になりたくて来たわけではない」
「ならば、私達もそれを強制することは出来ない……と思います」
「拒んだ所で何もしない、と?」
「私達は――まあ、彼女が無理矢理あなたを従えようとするなら話は別ですが」
「…………」
コルベールの言葉を聞いて、男は黙ったままルイズの方を見た。
先ほどとは少し、視線の質が違う気がした。何かを推し量るような。
なにやら微妙な……哀れむような、疑るような。
そして、すぐにコルベールに向き直る。
「一応聞いておくんだが……彼女の力量は?」
「亀でも逃げれ……いやいや、非常に頑張っておりますし、それにまだまだ伸び白を残した状態であると言えるでしょう」
「もうちょっと言い方はないんですかッ!?」
「え……何かおかしいところが?」
「いやもういい、大体解った」
言い争い始めそうなルイズとコルベールを、右手を上げて男が止める。
それは二人の言葉を少しの間止める事は出来たが、
ルイズが口は開こうとした――コルベールでなくて男に向かって。
「何が解ったって――」
「ところで、使い魔とは具体的に何をするんだ?」
ルイズの言葉を遮るように、男が話し出した。
少し大声なあたり、本当に遮るつもりで言ったのかも知れない。
言葉を止められて、少しばかりルイズは苛ついて、落ち着こうと黙り込んだ。
なので、問いにはコルベールが答える。
「色々です」
「……やたらと抽象的だな」
「主人のために成ることとでも言えばいいでしょうか」
「つまり、何でもすると言うことか」
「別に隷属する訳ではありませんが――いや、研究によると何らかの強制力があるともありますが」
「刃向かうと電気ショックとかじゃないだろうな」
「電気ショック……?いや、たぶんそう言う物ではなく、精神的な物だとの予測はあります。
……まぁ、ここの研究はそちらの物に比べれば大分拙いようですが」
「精神的なもの、か……」
その言葉をきくと、男は少々不安そうな表情をして、腕組みを解いた
手でぼろぼろのローブの表面を、中を探すようにして撫でて、
何かがあるのを確かめられたのか、その動きを止めて、表情を元に戻す。
そして、無言のまま腰掛けていたベッドから立ち、立ち上がると口を開いた。
「断っても構わないんだな?」
男は、ルイズの方をはっきりと見て、それ以上にはっきりと言った。
ルイズは、自分の思い通りに行ったことを感じた。
男は、立ち去るつもりなのかも知れない。最後の確認をして。
そして、男が本当は何を聞こうとしているのかを理解せずに、返した。
「構わないわ」
「なら、使い魔の契約とやら、受けても良いが」
「ええ、何処へとでも……はい?」
ルイズに取っては予想外、と言うより予想の、流れとしても180度真逆の答えが返ってきた。
人は、予想という物を常にする。
経験で、知識で、答えと推測を紡ぎ出して、束ねて、常に存在させる。
全くの予想をしない人間なんぞは居ない――いるのなら、ずいぶんと刺激的な人生を送れるだろう。
だが、そうでなくとも予想外は訪れてしまうし、訪れてくれる。
そして、予想外がもたらすのは驚き。
余りにも外れたこの事態は、ルイズの冷静さをはぎ取るのに十分すぎる威力を持った。
「ちょ、ちょっとどういうこと?別にあなたを使い魔にする気なんて――」
「あったのなら、断るな」
「はあぁ!?いや、それっておかしくない?私があなたを使い魔にするつもりだったら――」
「逃げていたが」
「え?どうやって逃げるって言うのよ?コルベール先生だっているんだし――」
「無理矢理従える場合、他人は力を貸せないと思うが……
自分より強かったら、契約しようとしまいと従えられないだろう?」
「あ、そうか……じゃなくて、構わないって言ってるのになんで――契約するのなら……ええー!?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
彼女が落ち着くまでには、しばしの時間がかかった。
そんなに長かったわけでもないが。
彼は座り直して、少女を観察しながらその時間を過ごしていた。
――見た感じは、それほど頭が悪そうには見えないんだが。
術士はそんな事を考えていた。
唸るようにしている……考えているのかも知れない。
が、もう落ち着いてるようには見えた。
「落ち着いたようだな」
「……落ち着いたわ、で、どういう事?」
「別に使い魔になっても構わないと言うことだが」
「その理由よ、理由!」
「だから、使い魔になっても構わなかったんだが」
「……じゃあ、なんで使い魔にするつもりがあったら、断るのよ?」
「単純なことだ。他人を従わせようとする奴に、従いたいか?」
「…………」
少女は、しばしの間、黙り込んだ。
考えているのか、呆けているのか――彼自身、正直なところ理不尽だと思えたが。
つまるところ、彼女は疑問と困惑を混ぜ合わせたような表情を浮かべている。
「それって、結局誰にも従わないって事じゃない?」
「納得できる事なら従わずともする……そうだな、結局誰にも従わないのかも知れない」
「……筋が通ってるような、通ってないような」
結局、彼自身の言ったとおりのことである。
すんなり契約しても良かったのだ。
偶然だとはいえ、彼は彼女に命を救われる形となった。
別に契約することそのものは構わない。
ただ、命を救われたことの礼として、命を差し出すつもりは全くない。
拒むことは、容易い。
少女が彼を隷属させようという気を持っているのなら、拒んでいた。
ただ、彼女にそう言う気は見られなかった。
ならば、別に契約を結ぼうと、支配されるわけではない。
――様々な保険も持っていたわけであるし。
「……で、契約だったか?どうするんだ?」
彼は、会話に入り込めないのか、入り込むつもりもないのか、
椅子の上で黙り込んで居たコルベールに問いかけた。
コルベールは、先ほど――この少女が来るまでに男から聞いていた話をまとめた紙を読み返していて、
声に反応するのが少し遅れた。
「ん、ああ。”コントラクト・サーヴァント”ですか?」
「何をすればいいんだ?」
「契約者が呪文を唱えた上で、被契約者と接吻するんですよ」
「……は?」
聞き間違いか、と彼は思う。
しかし、耳が遠くなった覚えはないし、そもそもコルベールの声は彼にはっきりと聞こえていた。
――ああ、ジョークという奴か。こういうときは、そう――受け流すべきだったか?
「ああそうか。で、本当の所は?」
「……え?いえ、本当も何も、嘘なんてついてませんが」
「冗談という物はあまり慣れて無くてだな」
「だから、冗談ではありません」
「ああ、俗語の類か。で、どういう意味なんだ?」
「いや、特にそう言う類の言葉ではありませんが……つまるところの口づけですな」
彼は考え出した。目を手で覆うようにして。
勘違いはしてないか。相手か、自分のどちらでも良い。
そもそも、男の言うところのそれと自分のそれに齟齬はないか。
何回も、幾つもの思索を重ねる。
最後の方には、そもそも自分は既に死んでいて、これは刹那の夢ではないか、とも考えた。
残念ながら、どの問いかけも、否定的な物を出してくれない。
死んでるかどうかは判ぜなかったが、
流石に死とこの状況の二択ならばこちらの方がましなように思えた。
少し頭が痛くなってくる。
支援
631 :
:2009/03/29(日) 22:29:52 ID:3+sN2zCf
支援するでござる
「そ、そう言えばそんな契約方法だったッ!?」
「……お前もか」
叫んでいる少女に対して、彼は何処までも冷静だった。
少しばかり慌てられた方が楽だったんじゃないか、と考えてしまうほどに。
ひとつ息を吸って、憂鬱とか、そんな感じの物と共に吐きだした。
立ち上がって、彼女の近くまで歩いて行く。
「……今更止めるとは言わないが……落ち着くまで待つか?」
「うー……」
問いかけると、少女は頭をがっくり項垂れさせて、自身の懐に手を伸ばし、
ごそごそと探って、杖を取り出す。
俯いて、表情を彼に向けないまま、聞き取れないほどではない、か細い声で言う。
「……本当に構わないのね?」
「何だか止めたい気分にはなったがな、少し」
「うぅ……それってつまり受けるって事よね……」
少女は顔を上げた。
諦観と決意――そこまで大層な物ではないのかも知れないが、
感情をその表情に思いっきり表している。
それにつられて、彼自身も微妙そうな表情で、呟いてしまう。
「俺だって他の方法があればそうする」
「……どっちも被害者って事で、少しは納得できるかも知れないわ」
案外うまくやれるんじゃないか、
と思ってしまうぐらいには、二人の気分は同調していたかも知れない。
意を決したか、少女が息を吐き出し。
今までの微妙な表情を捨て去って、杖を構えて。
杖を軽く振りながら、静かに呪文を紡ぎ始める。
「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
5つの力を司るペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔と成せ」
呪文の終わりに杖を止め、ルイズはゆっくりと彼の方へと近づいていく。
触れ合うほどの距離になって――傍で見ていたコルベールが呟いた。
……どうしようもなくそれが聞こえてしまうのは、部屋が静かだからというだけではあるまい。
きっと、その場の誰もが思っていたことだからだ。
支援
「……何というか、グダグダですね……」
「届かない……」
彼が、取り立てて背が高いというわけではない。
少なくとも、ルイズは小さい。
相手が平均的な身長でも届くかどうかは危ういだろう。
――彼は無言で屈んだ。少女も、背伸びをして。
何とか、一瞬だけ、その唇と唇が触れた。
その感触は――まぁ、彼らにしか解るまいが。
ルイズは触れたことに気付いたら、顔を赤くしてさっさと離れてしまった。
彼は顔を赤くしたりはしなかったが、やれやれ、と言った風に、姿勢を伸ばして顔を手で押さえる。
「ッ……」
その顔を押さえた手に熱が走るのを感じて、彼は顔から手を離して、それを見た。
熱は、手から体中に広がるように、全身に走っていたが、
少しばかりのみが損なわれた冷静さならば十分に、手の甲に刻まれていくルーンを見つけることは出来た。
光輝を保って刻まれていくその軌跡は、
7文字目を描き終えると止まり光を失って、彼の左手に印を残した。
感じていた熱さも引く。
「おや、ルーンが刻まれたようですな……成功です」
「……こんな事を言われた覚えはないが?」
「要点は省いて良い、と言ったでしょう」
ルーンの刻まれた左手をコルベールに向けてひらひらさせながら言うが、笑いもせずにさっと返してくれた。
コルベールは立ち上がって、ブルーの手を取ると、そのルーンを見つめる。
「珍しいルーンですね、ふむ……見たことがない。
まぁ、万事うまく行ったようですし、もう遅くです。
此処はひとまず解散と言うことで……ああ、ミスタ・ルージュ、お話有り難うございました。それでは!」
なにやら機嫌良く言うと、コルベールは紙束を抱えて医務室から走り去っていった。
彼は、「話」をしていたときのコルベールの熱中度合いを思い出して、呆然と納得していた。
――何故私の策略が破れたのか、私には解らない。
予想外の出来事が起こりすぎた――とは言いたいが、そうではない。
詰まるところ、人の悪意を信じることは、人の善意を信じることと同じ事ぐらい愚かなことなのだろう――
……果たして、そのようなことだったかは解らないが、
何か真理のような何かを悟って、その勢いでそのまま真っ白に成れそうなルイズに声がかけられた。
「……ところで、なんて呼べばいい?」
言葉に真理もどきの何かを捨て去って、ルイズは声の方を見る。
当たり前だが、彼とルイズ以外の人物はこの部屋にいない。
だから意外でも何でもないのだが、その人物が見返してきているのは何か不思議な事のように思えた。
「はい?」
「君の事だ」
ルイズは、言われて考える。
男は、今まで彼女のことを名で呼んでいない。
そのことに対する苛つきが湧き上がりそうに成ったが、確かに自分は名乗っていなかった。
素直に名乗ろうとも思ったが、何もそういうのでなくてもいいんじゃないだろうか?
ルイズは何か素晴らしい呼ばれ方を考えようとして、思いついた事を口に出してみた。
「そうね、どうせなら偉大なるメイジにして貴族の鑑たる素晴らしき主人ル」
「そう言えば先ほどの詠唱の時に言っていたのが名前か、ルイズで良いのか?」
「ちょっとッ!?」
遮られた。
――まぁ、彼女自身でもこれはないわ、と思っていたのだが。
「そう、ルイズよ。で、あなたの名前は?貴族に名乗らせといて、言わないなんて事はないでしょう?」
「いや――そうだな……ブルー……ルージュ……別にどちらでもいいんだが」
82 虚無のメイジと双子の術士 sage 2009/03/29(日) 22:37:06 ID:9Hun26ws
その名を記憶する。
さて、どうしたものか――何とはなしに、気を散らすと、既に暗くなってることに気付いた。
窓を見れば、空は赤く彩られていた。
「ブルー……だっけ?もう動けるわよね?」
「何かすることがあるのか?」
「違うわよ、帰るのよ、部屋に」
「そうか、ではな」
「うん、さよなら――じゃなくて、あんたも来るのよ」
「なんでだ?」
「私の使い魔でしょ!当たり前じゃない!」
「そうなのか」
「あんた、なんにも知らないの?」
「ああ、知らないな」
その返答に、ルイズは頭を抱えたい衝動に襲われる。
まぁ、使い魔として契約してしまった以上、もう仕方あるまい。
受け入れるしかないだろうと、そう考えて、彼女はため息をつく。
「行くわよ、ブルー。あんたが何をすればいいか、教えてあげるわ」
「そうか――よろしく頼むな」
それに返事をすることもなく、ルイズは医務室のドアを開けて出て行く。
彼は、その後に続いてその場を去り、部屋を出るときに閉められて居なかったドアを閉めた。
かくして、主従が此処に一つ。
以上で代理終了です。
作者さんがさるさんを受けましたので、代理させて頂きました。
乙
ブルージュはエンディングが酷かったな
ここで幸せになれるといいが
乙
あのエンディングはいまだに意味がわからん
戦ってる途中で白黒になるんだっけ?
ボスを倒したと同時に「THE END」
最初見たときはびびったわぁ
>>47 オフラインでRPGするときは厨二全開なのが好きなのっ。
厨ネーム(刹那とか)
厨設定(今までは普通の生活だったがひょんなことから世界最強にして最凶な力を得るが、その力を正義の為に使う。)
厨技(従来までの最強とされる技は自我を崩壊させて力を完全解放する技とされてきたが、主人公は自我を保ちつつ完全解放することに成功し、最強技を昇華させる。)
こんなんが大好きな30目前のおっさんです(^q^)
10時過ぎに目がさめました(^q^)
働いてません(^q^)
今からパートしている母が朝作っておいてくれた朝ご飯食べてきます(^q^)
今日の予定は食後の小休止後、
鬼女板にいって陣内を必死叩く
カップル板に行って女になりすまし、彼氏の愚痴を書いたスレを建てる
この2つです(^q^)
人生充実してます(^q^)
間違えたごめん
良い誤爆だ。
なんてこったい
糸色 文寸 に 言午 さ な い
く/ ノフ __l__ .__|_ / -─ -┼─``
ム |工| 、/ 、.| | / -─
小 |_, /ヽ _| ヽ/ー- / ヽ_.
ここはじめて来たんだけど、まとめ見て感想の紹介もあればいいなーと思った
リリカルなのはのページみたく、連載ページにはコメントでもできるようにする?
いらんいらん
まぁもし本気で考えてるなら運営スレへ。
荒れるぜぇ、すげぇ荒れるぜぇ
俺の姿を見たものはみんな荒れちまうぜぇ
NINJA BLADEからマイケル・ウィルソンを召喚
アルビオンに向かう途中で捕まっても自慢の「ジュージツ」で抜け出してくれるはず
誰かバールのようなものを持った実践的物理学者を。
アーチャーとか絶対あるだろうなとか思ったら無かった
ふぁてはサーヴァントですぐ結びつきそうなのに
>>1を読めば分かると思うけど、スレ違いだからね。
専用スレについては知らん。
>>655 とりあえず、>>1を100回音読して来い
テンプレよめ
空気もな
何度もテンプレ無視して投下されてるけどスレの総意で無視してる、当然まとめになんか載せない
ああすまん
ルイズの項までしか見てなかった
663 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 01:27:40 ID:lIM2AJvH
なぜ 下の作品の二次創作が少ないのか?
SS作家様たちに 下の作品 SSを書いてくれといって 頼みたいです。
1. 初恋ばれんたいん スペシャル
初恋ばれんたいん スペシャル PS版は あまりのテンポの悪さ,ロードは遅い(パラメーターが上がる度に、いちいち読み込みに行くらしい・・・)のせいで、悪評が集中しました。
ですが 初恋ばれんたいん スペシャル PC版は テンポ,ロード問題が改善して 快適です。
(初恋ばれんたいん スペシャル PC版 プレイをお勧めします!)
初恋ばれんたいん スペシャルは ゲームシステム的にはどうしようもない欠陥品だけど。
初恋ばれんたいん スペシャル のキャラ設定とか、イベント、ストーリーに素晴らしいだけに SSがないのが とても惜しいと思います。
2. エーベルージュ
科学と魔法が共存する異世界を舞台にしたトリフェルズ魔法学園の初等部に入学するところからスタートする。前半は初等部で2年間、後半は高等部で3年間の学園生活を送り卒業するまでとなる。
(音声、イベントが追加された PS,SS版 プレイをおすすめします。)
同じワーランドシリーズなのに ファンタスティックフォーチュンSSは多いのに
似ている 魔法学院物なのに ネギま、ゼロの使い魔 SSは多いのに
エーベルージュのSSがほとんどありませんでした。
3. センチメンタルグラフティ2
センチメンタルグラフティ1のSSは多いのにセンチメンタルグラフティ2のSSがほとんどありませんでした。
前作『センチメンタルグラフティ1』の主人公が交通事故で死亡したという設定で
センチメンタルグラフティ2の主人公と前作 センチメンタルグラフティ1の12人のヒロインたちとの感動的な話です
前作(センチメンタルグラフティ1)がなければ センチメンタルグラフティ2は『ONE ?輝く季節へ?』の茜シナリオを
を軽くしのぐ名作なのではないかと思っております。
(システムはクソ、シナリオ回想モードプレイをおすすめします。)
センチメンタルグラフティ2 VS ONE 〜輝く季節へ〜の茜シナリオを比べてみました
センチメンタルグラフティ1の主人公 田中 一郎 = 茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司 永遠の世界に
センチ1の主人公 田中 一郎は交通事故で死亡 = 城島司は 「えいえんの世界」に旅立つことになる。
センチメンタルグラフティ2の主人公 椎名耕平 =ONE 〜輝く季節へ〜の主人公 折原 浩平
センチメンタルグラフティ1の12人のヒロイン = 里村 茜
>>663 お前見たいなのがいるから、書く気が失せるんじゃないかな?
666 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 01:30:17 ID:lIM2AJvH
4. 茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司のSS
茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司を主人公にして、
中学生時代の里村茜、柚木詩子、南条先生を攻略する OR 城島司ルート、城島司 帰還END(茜以外の
他のヒロインEND後なら大丈夫なのに。) SS
5. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
個人的には 「呪い」 と「花言葉」 を組み合わせた百合奈 シナリオは Canvas 最高と思います。
Canvasの他のヒロイン SSは多いのに Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSSがほとんどありませんでした。
6. ファーランド サーガ1、ファーランド サーガ2
ファーランド シリーズ 歴代最高名作 RPG
7. MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜
似ている 伝奇バトル吸血鬼作品なのに 月姫、Fate、痕(きずあと) SSは多いのに
MinDeaD BlooDのSSがほとんどありませんでした。
8. Dies irae
9. Phantom of Inferno
END.11 終わりなき悪夢(帰国end)後 玲二X美緒 SS
10. 銀色-完全版-、朱
『銀色』『朱』に連なる 現代を 背景で 輪廻転生した久世がが通ってる学園に
ラッテが転校生,石切が先生である SS
667 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 01:31:23 ID:lIM2AJvH
11. TYPE-MOON
(1) 逆行最強化断罪スーパー慎二がペルセウスを召還する SS
(2) 凛がイスカンダルを召還するSS
(3) 逆行最強化慎二 OR 四季が 秋葉,琥珀 OR 凛を断罪する SS
(4) 憑依最強化慎二 OR 四季が 秋葉,琥珀 OR 凛を断罪する SS
12. ゼロの使い魔
(1) 原作知識有 助演 憑依転生最強化SS
(ウェールズ、ワルド、ジョゼフ、ビダーシャル)
(2) 原作知識有 オリキャラ 憑依転生最強化 SS
(タバサ OR イザベラの 双子のお兄さん)
13. とある魔術の禁書目録
(1) 垣根 帝督が活躍する OR 垣根帝督X 麦野沈利 SS
(2) 原作知識有 垣根帝督 憑依転生最強化 SS
14. GS美神
(1) 逆行最強化断罪 横島Xダーク小竜姫のSS(非ハーレム 単独カップリング ルシオラ も除外 )
春だねぇ
コイツ理想郷でマルチポストしてた荒らしだぜ、NGに突っ込んでおこうぜ
670 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 01:33:43 ID:lIM2AJvH
15. EVA
(1) 「のんびりとてとて」 の 「あなた、何様?」 の 三次創作SS
(2) 逆行断罪スーパーシンジX2番レイ(貞本版+新劇場版)のSS
(3) 一人目のレイが死なないで生存そのまま成長した一人目のレイが登場する(二人目のレイは登場しない)
P.S
エヴァンゲリオンのLRSファンフィクションで、レイの性格は大体二つに分かれます。
1.白痴幼児タイプのレイ
LRSファンフィクションで大体のレイはこの性格のように思えます。
白痴美を取り越して白痴に近いレイであり、
他人に裸や下着姿を見せてはいけないという基本的な常識も知らず、
キスや性交等、性に関する知識も全然無いか、それともほとんどありません。
このタイプの場合、逆行物では、シンジがレイに常識や人間の感情等を一つ一つ教えていくという「レイ育成計画」になってしまいがちです。
このタイプは、アニメのレイに近いと言えるでしょう。
2.精神年齢が高く、大人っぽいレイ
1番の白痴幼児タイプとは違って、他人に裸や下着姿を見せてはいけないという
基本的な常識くらいはあり(見られたとしても恥ずかしく思ったりはしないが)、
キスや性交等、性に関する知識は理論的に知っており、自分の自我が確立している、
(命令には絶対服従だが)感情表現がより豊富です。
このタイプの場合、 コミックスのレイに近いと言えるでしょう。
コピペじゃない荒らしって惨めだよな・・・・・・
672 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 01:35:17 ID:lIM2AJvH
2番レイが登場 LRS小説
「のんびりとてとて」 の 「あなた、何様?」
「ほわいと・がーでん」 の 「Moon Phase 」
「黒い荒地」 の 「荒地エヴァンゲリオン」
「コモレビ。」 らいむ氏の投稿作品 「cherry girl」
一人目のレイが登場 おすすめLRS小説
「EVAってるページ」の 「EVANGELIST」
「from のぼっち」の 「性悪レイちゃん奮戦記?私は多分、一人目だとおもうから?」
「Luster」 の 『2010年のプロメテウス』とそれに続く『2011年のプロメテウス』
「猫の結社」の「きっと沢山の冴えたやり方」
「GreenGables」の「綾波姉妹 イレギュラー」
「HALPAS」の「いつか未来を取り戻した日」
「野狐堂」の 「Evangelion Sword & Grail」
「Bの精神」の 「Burning children!!」
「GreenGables」の「魔人エヴァンゲリオン」
「やっぱ綾波でしょ」の「蒼の贖罪」
「コモレビ」の「Ultra_Violet」
「Studio Amon」の「罪の華」
673 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 01:37:52 ID:lIM2AJvH
16. BlackCat
イヴXリオンのSS
17. 鬼切丸
鬼切丸X鈴鹿のSS
18. MURDER PRINCESS
カイトXファリスのSS
19. 式神の城
玖珂光太郎X結城小夜 OR 玖珂光太郎X城島月子のSS
20. 大竹たかし DELTACITY 全2巻
21. ロードス島戦記 シリーズ
(1). アラニア建国王カドモスが多くの仲間とマーファの聖女の力を借りて亡者の女王ナニールとフィオニスを倒す話。
(2). 新ロードス島戦記の10、20年後 復活したフィオニスとスパークの再対決
亡者の女王ナニールとして覚醒してしまったニース OR 破壊の女神カーディス 復活 VS ロードス連合軍
(3). 新ロードス島戦記の100年後、とある国の皇太子がロードス島統一を目指して戦争を起こしたのをきっかけに戦乱の時代が始まった。 とある国の皇太子がロードス島を統一する過程の話。
674 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 01:39:23 ID:lIM2AJvH
22. 銀色-完全版-、朱
『銀色』『朱』に連なる 現代を 背景で 輪廻転生した久世がが通ってる学園に
ラッテが転校生,石切が先生である 石切X久世 SS
23. ヴァンパイア十字界
蓮火 X 花雪 OR 蓮火 X ブリジット
24. 地獄少女
(1) 不合理な 地獄少女の被害者(ex 看護婦,1期の看護婦、2期の 拓真を助けに来てくれた若い刑事,秋恵) 家族・恋人が 地獄通信に 地獄少女と仲間たちの名前を書くSS
(2) 極楽浄土の天使 OR 退魔師が 地獄少女と仲間たちを断罪するSS
(3) 拓真の 地獄少年化SS
二籠の最終回で拓真が地獄少年になるのかと思ってたんですが・・
地獄少年 ジル : 所詮この世は弱肉強食。 強ければ生き弱ければ死ぬ。
拓真 : あの時誰も僕を守ってくれなかった。
守ってくれたのはジルさんが教えてくれた真実とただ一振りの超能力
・・・だから 正しいのはジルさんの方なんだ。
なぜ下の作品の小説が少ないのでしょうか
下の作品の小説はほとんど見たことがありません
皆さんの考えをぜひ教えてください
そんなことよりサメの話しようぜ!
OKだ、ルイズに召喚されたフカヒレについてだな?
シャッーーーック!!!!!!!!!!!
シャチよりかわいくない生き物。以上。
可愛くないとか言われたシャクにさわるぜ?
シャークだけに
ルイズが鮫島を召喚
ブラックジャックのシャチの話が切なくて好きだ
どうせフカヒレが召喚されても
「お、俺は女の子だって殴れるんだぞぉ!」
↓
制裁
↓
「ありがとうございまぐふぅっ!」
の延々ループだろ
鮫…
バルシャークはよく真似れたが、バルパンサーは無理だったな。
地面を跳ねるサメってしばらくしたら死ぬしかないけど
相当危なくね?
サメの話で、瞬間的にここまで盛り上がれるお前らが大好きだ。
おまえらはフカヒレと遊んでろよ、カニは俺が貰っていくからな。
カニカマで我慢しろ
すいません、カニカマと調味料ありったけ・・・・
魚のすり身を錬金したカニカマとマヨネーズならあるよ
連想していった結果バージンフリーとというものを思い出してしまった
謝罪と賠償を請求する!
さーめー?
サメは蒲鉾の元の素材のひとつなんだぜ
不味い食材をあそこまで食えるようにするなんて凄いぞ日本人流石魚を食う事に関しての情熱は世界一だ
>>689 あー・・・それでいいです。あと、調味料全部とミルクを・・・・
童貞自重
>>693 カニカマは1エキュー
調味料は60スゥ
ミルクは50ドニエ
いただきます
カニカマ金貨一枚って高いよ!
>>695 ・・・・・すいません、もう少し安くしてもらえないですか。俺、金がないんです
>>698 安くて栄養満点の錬金ニクもどきをオススメするわ
カニカマってどうも苦手なんだよな
普通のカニか、普通のカマボコなら好きなんだが
>>700 調味料を適量にしたら全部で30スゥになります〜
閉店ガラガラ
カニカマってフランスだか海外で高級食材だったような。
まあ単純に今の所は海外での流通量が少ないからだろう
からぁぁぁぁい!
裂けるチーズもそうなんだが、何故かああいう少しずつ食えるもん好きなんだよなぁ。
台湾じゃ普通の店で出てきたけどなカニカマ。
鍋の具として。
ほどけてシート状になってた。
トリビアでシャンゼリゼでカニカマってやってたぜ
日本のテレビ番組から召喚って少ないな
踊る大ゼロ戦とか男達の使い魔とか赤かぶ使い魔とか…
無理だな
709 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 03:26:39 ID:6t9TWNJO
サメか。
オオメジロザメとか淡水域にも
平気で上がってくるから怖いよな。
オーストラリアとかじゃあんまり川でも泳ぎたくない。
スレも上がってるな
カニカマはスリミって名前で海外で一般的な食材になってるよ
鮫って凄いんだぜ。
あのざらざらが泳ぐときに水を上手い具合にかき回して、抵抗を少なくし高い静音性を実現している。
100万倍に薄めた血を嗅ぎ取る高い嗅覚に、高い聴覚、電磁波を感知し、得物の位置や周囲の地形を把握するロレンチーニ器官を駆使して音も無く寄ってくるんだ。
そして無限に生え変わる歯、癌なども自力治癒する高い耐病性。
現実に存在する割とチートな生物だぞ。
要するに、ルイズにバルシャークを召喚させろと?
荒し対策だよおっぱい話と同じ
コジコジが召喚されからこんな感じだと思う…
ルイズ「あんた、何か特技とかあるの?」
コジコジ「コジコジの特技?。顔真似!」
ルイズ「顔真似?」
コジコジ「ルイズちゃんの顔真似。えいっ!」
ルイズ「(うわっ…!、顔だけ私そっくりじゃない!)」
コジコジ(ルイズの顔真似)「あぁ神様…どうして私はゼロで魔法がうまく使えないのですか?、どうして私は胸が無いのでしょうか?…どうか教えてください」
ルイズ「……(こ、こいつ…)」プルプル
コリブリを召喚とな
誰か居る? 8:15から代理投下の予定だが
86 :毒の爪の使い魔:2009/03/30(月) 02:06:31 ID:8mmshbDQ
どうも、可也ご無沙汰しております。
毒の爪の使い魔の第32話が書きあがりました。
ですが、まだ規制が続いているようで…本スレに書き込めませんでした。
誰か代理投下をお願いします。
「「ジャンガァァァァァーーーーー!!!?」」
叫びながら、ルイズとタバサは同時に飛び起きた。
荒い呼吸を繰り返しながら、周囲を見回す。
ルイズの部屋だった…、あの血の海は影も形も無い。
だが、目の前のベッドの上には眠ったジャンガの姿が在った。
ルイズとタバサは顔を見合わせる。
ルイズが、見た? とタバサに訊ねると、彼女は頷く。
そう、とルイズは呟き、眠っているジャンガに視線を向ける。
「目が覚めたみたいだな、お二人さん。にしても…随分とまた派手に相棒の名前を叫んでたな?」
突然声を掛けられ、ルイズとタバサは顔を上げる。
辺りを見回すと、ベッドの脇に立て掛けられた鞘からデルフリンガーが顔(?)を覗かせていた。
二人は今の叫び声を聞かれた事に顔を真っ赤にする。
「あ、ああ、あんた……い、今の事…誰かに言ってみなさい…、ただじゃすまさないからね!?」
ルイズはデルフリンガーを睨み付けながら、震える声で言った。
「解ってる、解ってるって…、そう睨み付けるんじゃねぇよ」
デルフリンガーのその言葉を聞き、ルイズは視線をジャンガに戻した。
目を閉じ、静かに眠っているジャンガの全身には治療の痕である包帯が巻かれており、
ワルドによって切断された左腕も、水の秘薬を用いた王宮の水メイジの治癒で何とか繋げられている。
そんな彼の痛々しい姿を見つめていたルイズは、ふと窓の外へと目をやった。
窓の外に広がる青空を見つめながら、ルイズはあの日の事を思い返した。
――アルビオンから命からがら帰還した日。
ルイズ達は重傷のジャンガとウェールズの治療の為、急ぎトリステインの王宮へと向かった。
王宮に着くや魔法衛士隊の一隊であるマンティコア隊に囲まれてしまったが、
その場に現れたアンリエッタのおかげで事無きをえた。
アンリエッタはウェールズとジャンガの治療を王宮の水メイジに任せ、ルイズから任務についての報告を聞いた。
ワルドが裏切り者だった事…、そのワルドは死んだが結果的に手紙は奪われてしまった事…、
死んだとばかり思っていたウェールズをジャンガが連れ出してきた事…等など。
アンリエッタはそれらの報告を聞き終えるとルイズ達に礼を述べた。
――結局、治療の甲斐無く…ウェールズは帰らぬ人となってしまった。
だが、ジャンガの方は奇跡的に一命は取り留める事が出来た。
最愛の人を失ったアンリエッタは嘆き悲しむかと思われたが…以外にも取り乱さず、王女として気丈に振舞った。
そしてアンリエッタはタバサの母を王宮で預かる旨を伝えた。
手紙は奪われたと言うのに何故? と疑問を浮かべるルイズ達にアンリエッタは言った。
ボロボロの身体になってまで自分との約束を果たそうとしてくれたジャンガに報いる為…と。
そしてルイズ達は治療されたジャンガを連れ、魔法学院へと戻ったのだった。
そこまで思い返したルイズは思考を戻し、再度ジャンガを見つめる。
静かな寝顔であった…、静か過ぎるほどに…。
既に死んでいるのではないかと錯覚してしまうくらい、彼は静かに眠っている。
寝息の音も殆ど聞こえないのだ。
しかし、生きている証拠に呼吸音も心音も聞こえる。
ただ…目を覚まさないのだ。…もう、一週間になるだろうか?
前に召喚した際は三日三晩で起きたが、今回は既に倍の日数が経過している。
なのにまるで目を覚ます気配が無い。――そろそろ本気で心配だ。
「ねぇ…デルフ?」
「あんだね、娘っ子?」
声を掛けたルイズにデルフリンガーは返事を返す。
「こいつ…どうして目を覚まさないのかな? それにルーンも戻らないし…」
言いながらルイズは彼の左手を取った。その甲には何も無く、綺麗だった。
ルイズはこのベッドに彼を寝かせると、直ぐに『コントラクト・サーヴァント』を行った。
最初に召喚した時は口付けた後、直ぐにルーンが刻まれたのだが…、今回は違った。
何故かルーンは刻まれなかったのだ。いや、刻まれないどころか…何の変化もおきなかったのだ。
勿論、ルーンが刻まれる際の淡い輝きも無い。
どういう事だ? とルイズは悩み、もう一度コントラクト・サーヴァントを行った。
しかし、結果は同じで、やはり何も起きなかった。
原因も解らず、とりあえずはジャンガが目を覚ますのを待つ事にしたのだった。
デルフリンガーは暫く考えるように黙り、やがて口を開いた。
「正直な所…俺にも解らねぇな。何しろ相棒の…特にルーンについての事は何もかもが前代未聞だからよ。
何故コントラクト・サーヴァントが上手く行かないのか…、何故相棒が目を覚まさないのか…、何も解らないね」
ただ、とデルフリンガーは呟く。
「相棒自身が目覚める事を拒んでいる……って事も考えられるかもな」
そのデルフリンガーの言葉にルイズとタバサは呆然となった。
脳裏に今しがた夢で見た光景――血の海に沈み行くジャンガの姿がフラッシュバックする。
血の海に沈みながら自分達に礼を言う前……あいつは何と言っていた?
――…まァ…どうでもいいか…。…どの道…これで終わりだしよ…――
…確かそう言っていた。
”ジャンガが目覚める事を拒んでいる”と言うデルフリンガーの言葉に信憑性を持たせるには十分すぎた。
ルイズは唇を噛み締めた。自然と目に涙が浮かび、視界が歪む。
――こいつがあんなに辛い過去を抱えていたなど知らなかった。
知る機会が無かったと言えばそれまでだが……それでもやはり悲しかった。
自分の使い魔なのに、何も知らなかった事が、とても悲しかった。
ルイズは手にしている始祖の祈祷書を握り締めた。
本来ならば結婚式の場で選ばれた巫女は、それを手に詔を読み上げるべきであり、
その巫女にアンリエッタはルイズを指名するはずであった。
だから、アンリエッタは手紙を奪われたとは言え、ルイズへと始祖の祈祷書を手渡したのだった。
「ジャンガ……あんた、それでいいの? このまま…ずっと寝てるつもり?
悲しくて…、辛いからって…、それじゃ逃げてるような物じゃない?
あんたがいなかったら…寂しいじゃないの。わたしもタバサも……あんたの事待ってるのよ?
早く目を覚ましなさいよ…。…シェリーさんだって、悲しむじゃない…」
そう呟くルイズの目から涙が数滴零れた。
ルイズが呟いている間、タバサもまたジャンガを静かに見つめ続けた。
最初は嫌な相手だった…、いや…事実優しさなどは無かったかもしれない。
だけど、それもある意味では仕方ない事かもしれない。…自分だって似たようなものだから、余計に解ってしまう。
それに……良く似ているのだ…、彼は”彼女”に…。
そんな彼はいつも自分を気遣かってくれていた…。
――実家では自分の為に涙を流してくれた。
――親友と対峙した時は自分の背中を押してくれた。
――エルフに捕まった時は傷だらけになって自分を助けてくれた。
――そして……アルビオンでは身を挺して自分を庇ってくれた。
テーブルの方へと目をやる。
椅子にはジャンガのコートや帽子が掛けられており、テーブルの上には大きな銃や古ぼけた小箱が乗っていた。
その古ぼけた小箱の中には無駄な装飾の無い、簡素な指輪が入っていた。
…その指輪が何か最初は解らなかったが、あの夢を見た今となっては嫌というほど良く解った。
そして、この小箱と銃が彼の命を助けた。
ワルドの『エア・ニードル』で貫かれた際、これらが急所を僅かに逸らしたようだ。
その証拠に小箱には穴が開き、銃には僅かな損傷が見られた。
それは夢の中で見たジャンガを案じていた二人の亜人が、彼を庇ったかのようにタバサには思えた。
「結局……私は足を引っ張っただけ……」
自然と涙が零れた。
ジャンガの助けになりたい……その一心で自分は彼の後を追ったのだ。
だが、結果はどうだ? 自分のミスで彼は傷を負い、こうして眠り続けている。
自分は彼の騎士になったつもりだったが……そうじゃなかった。
――自分は彼の”お荷物”なのだ。
タバサは己の無力を心の中で嘆いた。
唐突に扉がノックされた。
その音にルイズもタバサも、ハッ! となり慌てて涙を袖で拭う。
ルイズは、誰? と扉に向かって声を掛ける。
「あたしよ。入ってもいいかしら?」
聞こえてきたのはキュルケの声だった。
「鍵は開いてるわ」
そう答えると、ガチャリ、と音がして扉が開き、キュルケが部屋に入ってきた。
後ろにはギーシュとモンモランシーの姿が在った。
「どう? 彼の様子は」
「…見ての通りよ」
キュルケはベッドに横たわるジャンガを見て、ため息を漏らした。
「そう…まだ起きないのね」
ギーシュとモンモランシーも寂しげな表情を浮かべる。
キュルケはルイズとタバサの肩に両手を乗せた。
二人が顔を上げるとキュルケが優しく微笑んでいた。
「心配しなくても大丈夫よ。こいつがそう簡単にどうにかなるわけ無いでしょ?
そのうち何事も無く目を覚まして、また”バァーカ!”とか言うに決まってるわよ。
…だから、あなた達も元気を出しなさい」
その言葉に二人は笑みを浮かべると揃って頷いた。
と、再び扉がノックされた。扉が開き、中に入ってきたのはシエスタだった。
シエスタは、いつものメイド服ではない。木綿のシャツに茶色のロングスカートの私服姿だ。
その服装と手にした大き目の鞄を見て、ルイズはシエスタに尋ねた。
「あなた、何処かへ出かけるの?」
「はい、休暇を頂いたので…実家の在るタルブの村に帰ろうとしていたところで。
それで……もし、ジャンガさんが目を覚ましていたら、是非来てほしいと思ってたんですが……」
そこまで言って、シエスタはベッドの上のジャンガの姿を認め、悲しそうな表情をする。
「…まだ目を覚ましていないようですね」
「残念だったわね…」
ルイズが気の毒そうな声で答えた。
暫く意気消沈していたシエスタだったが、やがて軽く首を振るとルイズに向き直る。
「あの、ミス・ヴァリエール? もし宜しかったら…タルブの村までお越し頂けませんか? ミス・タバサも」
ルイズとタバサは目を丸くする。
「え? な、なんで?」
シエスタはルイズに歩み寄り顔を覗き込む。
「だって、ここのところお二人は、ずっと看病でジャンガさんに付き添っていたじゃないですか?
流石に疲れも溜まっていると思いましたから」
「…いいわよ、気を使わなくたって」
「わたしも遠慮する…」
ルイズとタバサは揃って申し出を断った。
そんな二人にキュルケ達が声を掛ける。
「そう言わないで行って来なさいよ。この娘の言うとおり、一週間も付きっ切りだったじゃない。
ここらで休んでおかないと身体が持たないわよ?」
「そうさ。気を張り詰めてばかりは美貌にもよくない。君達も立派なレディだからね」
「ま、細かい説明は抜きね。わたし達が代わりに彼を見ていて上げるから、二人は息抜きをしてきなさい…って事よ」
ギーシュとモンモランシーにも促され、ルイズはため息を吐いた。
「もう…あんた達もお節介ね」
そう言いながらもルイズは嬉しそうに顔を綻ばせた。
そして、それはタバサも同様だった。
そんな訳で、キュルケ達のご好意に甘えたルイズとタバサはシエスタの案内で、彼女の故郷であるタルブの村へとやって来た。
村は活気に溢れ、緑に囲まれたそこはとてものどかな印象を受けた。
ルイズとタバサはそんな村の雰囲気を気に入った。
もっとも…村までの移動にシルフィードを使ったため、一時村中が大騒ぎになったりしたが…。
騒ぎが静まり、貴族の客と言う事で挨拶に出てきた村長との会話もそこそこに、二人はシエスタの実家へと案内された。
簡素な家だった、外だけでなく中身も。少なくとも貴族の住む屋敷などとは雲泥の差だ。
しかし、何故だか心が落ち着く。素朴な感じがそう感じさせるのかもしれない。
ルイズはきょろきょろと物珍しげに辺りを見回す。
思えば平民の…こんな田舎の村の家に入る事など無かったのだから、珍しいのは当然だ。
と、キョロキョロと見回していたルイズの視界に思いもよらない物が飛び込んできた。
そして、ゆっくりと棚に歩み寄ると”それ”を手に取る。
ポケットから自分が持っている物を取り出して”それ”と見比べる。
”それ”は自分が手にしている物と寸分違わぬ物だった。
「なんで……こんな所に有るの”これ”が?」
間違い無く、それは”ヒーローメダル”だった。
「それは、わたしのひいおじいちゃんの遺品なんです。でも、まさか王家に伝わる物と同じ物だったなんて…驚きました」
お茶を持ってきてくれたシエスタが、飾られていたヒーローメダルを見つめるルイズとタバサに説明する。
なんでも、彼女の曽祖父にあたる人物は、ある日ふらりと唐突にこの村に現れた。
何処から来たかのかは愚か…自分の名前すら覚えていないと言う記憶喪失の状態だった。
しかも、人間かと思われたその男は実は亜人だったらしい。
最初は村中の人から警戒の目で見られていたそうだったが、無理も無い事かもしれない。
だが、そんな彼も一人の女性…シエスタの曾祖母とその家族に暖かく迎えられた。
「話してみれば、ひいおじいちゃんはとても優しく明るい人だったそうです。
働き者で面倒見も良かったそうで、村の皆とも徐々に打ち解けていけたそうで。
…わたしは直接会う事は出来なかったんですけどね」
言いながらシエスタは手に持った帽子を見つめた。
それに気付いたルイズが尋ねる。
「その帽子も?」
「はい、ひいおじいちゃんのです。変わった形ですよね」
緑色の帽子は確かに見慣れないデザインではあった。
触ってみて解ったが、その素材も一般に出回っている物とは違っている。
…最早疑う余地も無い。その亜人の男はジャンガと同じ世界から来たのだろう。
改めてヒーローメダルを見つめた。
自分がアンリエッタから手渡されたそれと同じ青色をしていた。
ジャンガが言ったとおりなら、持ち主が無くなったから色も元に戻ってしまったのだろう。
ふと、ルイズは気になってシエスタに尋ねた。
「ねぇ、一つ聞いていい? あなたのひいおじいさんのこれは、最初からこの色だった?」
それを聞いたシエスタは少し考え、首を振った。
「いえ、最初は金色だったそうです、父や母も見ていたそうですし。今は何故か青色になっちゃったんですけどね」
そう、と答えルイズはため息を漏らした。
こんな田舎に金色のメダルの持ち主が居た……それが少し悔しかった。
自分が尊敬する姫さまは青色だったのに…。
そんな風に気落ちするルイズの気持ちを知ってか知らずか、シエスタが徐にルイズの手を取った。
「あの、ミス・ヴァリエール? 是非見せたい物があるんです」
「見せたい物…? …いいわ、案内して頂戴」
「ありがとうございます。…ミス・タバサもご一緒にどうですか?」
「…行く」
短くそう答えると席を立った。
シエスタに案内された二人が辿り着いたのは、村の外に何処までも広がる広い草原だった。
所々に花が咲き、山の向こうに沈み行く夕日に照らされ、とても幻想的である。
目の前に広がる光景の素晴らしさに二人は暫し言葉を失った。
こんなに綺麗なのはまだ見た事が無い。
「気に入っていただけました?」
シエスタの言葉に二人は頷いた。
それにシエスタは顔を綻ばせ……寂しげな表情で草原を見た。
「この草原とっても綺麗でしょう? …本当はこの光景、ジャンガさんに見せたかったんです」
「そう…」
「……目を覚ましますよね、ジャンガさん?」
「当然よ」
即答だった。その言葉には迷いも何も感じられない。
「あいつはわたしの使い魔なんだから、ずっと眠ったままなんて許さないんだから。
今は連日のハードなスケジュールで疲れているだろうから、特別に寝かせてあげているのよ。
目を覚ましたら溜まりに溜まった洗濯物を嫌でも押し付けてやるわ、押し付けてやるんだから!」
プンプンと起こったような調子でそう捲し立てたルイズを見て、シエスタはクスリと笑った。
「そうですね」
タバサは何も言わなかった。
翌朝。
二人は結局、シエスタの実家に一泊したのだった。
そしてタバサはルイズを学院へ送り届けた後、思い出の場所へと降り立っていた。
そこは自分が一人で最初に訪れた外の世界。
そして、自分が生きるための力を教えられた場所。
「お姉さま、こんな所に何のようなのね? ここはあんまり良くない雰囲気がするのね、きゅい」
後ろからヒョコヒョコと付いてくるシルフィードの言葉に答えず、タバサは歩を進める。
やがて、目の前に目的の物が見えてきた。
僅かに盛り上がった土の上に弓が立てられている。
弓は立派な物だったようだが、雨風に晒されて痛んでいる。
それでも元々丈夫に作られていたらしく、未だ原型を留めていた。
それが何なのかシルフィードは一瞬理解できなかった。
「お姉さま、これはなんなのね?」
「お墓」
ただそれだけ言うとタバサは片膝を付き、手を合わせる。
そして目を閉じると祈りをささげた。
墓の下に眠るのは自分にとって掛け替えの無い友人であり、恩人であり、…師でもあった。
戦いも知らずただ泣き叫ぶしかなかった無力な少女…、それを変えてくれたのが彼女だった。
生きる事の大切さ、意味、その手段、色々な事を彼女から学んだ。
今でも思う…、彼女に遇っていなかったら…今の自分はなかったはずだ。それに――
――母さんはどうすんのさ。心を奪われてたって、まだ生きてるんだろ?――
――母さんをほっといて死にたいだって? 親不孝もいいところじゃないか――
彼女に言われた言葉が脳裏によみがえり、タバサは思わず笑ってしまった。
「この前…実家であなたと同じ事を言われた」
そう言って思い返されるのは実家に帰ったあの日の事。
母の部屋でジャンガに今の自分を非難された。
あの時は許せなかった…、彼女に言われた時のように…自分の領域にずかずかと踏み込んでくる彼が。
でも、その考えは直ぐに改めた。…彼は決して、自分を嘲り笑うつもりで非難した訳ではなかったからだ。
――それによ……テメェには、まだ親が……母ちゃんがいるじゃねェか――
――くだらねェ…、くだらねェ…、本当にくだらねェ…。テメェはバカだ、救いようの無いバカだ! 俺以上にな!!
…もしかすれば、元に戻るかもしれない親が居るだけ…テメェは幸せなんじゃないのかよ!!?――
意味合い的には全く変わらない二人の言葉にタバサはふと気が付いた。
「そういえば…似ているかな?」
思えば共通点が多いような気がした。
その生き様や性格など、似通っている所は結構思いつく。
そんな二人がもし出会ったら…、きっと気があったかもしれない…とタバサは思った。
根拠は無いが確信が持てた。
そうして暫く思い出に浸っていたタバサは、背後に広がる森を振り返る。
『ファンガスの森』…昔、貴族が建てた塔で作られた合成獣<キメラ>が徘徊する危険極まりない森。
ここで自分は彼女…ジルと出会い、そして変われた。
その森にタバサは今一度踏み入ろうとしている。
その理由は”強くなる”ただそれだけ。
もう足手纏いにはなりたくないから…、誰も傷付けたくないから…、そして…今度こそ彼の力になりたいから。
キメラドラゴンほどの個体はもういないだろうが、それでも並の幻獣よりも歯応えのある相手はいるだろう。武者修行には丁度いい。
…まさか、その場凌ぎの嘘であったのが、こうして本当に来る事になろうとは思いもよらなかったが。
タバサはシルフィードの頭を撫でながら言った。
「用が済んだら呼ぶ」
そして再び墓を振り返る。
「…強くなって戻ってくる。だから…見守っていて」
それだけを言うと、タバサは森へと歩き去っていった。
――数週間後。
それはルイズ達がアルビオンから帰還してから約一ヵ月後の事だった。
突如としてアルビオンが新国家『レコン・キスタ』と名を変えてトリステインへと宣戦布告をしたのは…。
93 :毒の爪の使い魔:2009/03/30(月) 02:21:26 ID:8mmshbDQ
以上です。
遅れた理由についてはリアルで骨折レベルの怪我をして療養していたからです。
まぁ、結果的にタバサの冒険3巻が読めたので怪我の功名と言った所でしょうか?
いや、タバサの武者修行ネタは前々からあったんですが、具体的に何処でとは書いてなかったんですよ。
そこへ今回のファンガスの森。いや〜実にピッタリな場所だと思いまして、急遽加えたと言う事です。
ジルもいいですね、ジャンガと意味合い的にビンゴなセリフを言ってたのもツボです。
ただ、名前と化物相手と言う事でゾンビ相手にしているあの女の人が浮かんで仕方なかったですが(苦笑)
シエスタの曽祖父が誰かはご想像にお任せしますね(笑)
うん…個人的には満足な物が今回書けたと思っています。
また不規則になるかどうかはわかりませんが、ちゃんと更新は続けていきますので。
今回でアニメで言えば第12話。次回からタルブ戦。
まぁ、日食ネタは入れていきますのでお楽しみに。
では、今回はこれにて。ア〜ディオ〜ス♪
----
代理投下終了
こんな時間だと誰もいねぇな・・・・ ははは
GJ!
ずっと待っていました!
投下乙!
不覚にも「「ジャンガァァァァァーーーーー!!!?」」 が奇声に見えて吹いてしまったw
毒の爪の方&代理の方、乙です!
怪我の方は大丈夫ですか?
無理せずゆっくりと療養なさってください
ジャンガは死んでないようですが、心が死んでいるような気がしますね
ウェールズも死は免れませんでしたか
アン様も原作とは違う展開で看取れたんですから、暴走はない…かな??
ここでタバサの冒険3のネタが来るとは思ってませんでした
武者修行でどれだけタバサが強くなるか楽しみです
ブラックジャックとか斑木ふらんとかの医者を召喚するのって無い?
なんか漫画の医者ってわりと戦闘能力高い人が多いし、普段から手術道具持ち歩いてたり
するんで、ウェールズとかカトレアさんとか治療したりできんかな?
>>730 ギルティギアのファウストが召還されてるよ
念仏の鉄も医者と言えば医者だなw
後
>>717、フェイスチェンジは風魔法だ。
サイヤの使い魔ってどうなってますか?途中で作者いなくなったんですか?
>>733 たまに投下があるからゆっくり待つべし。
にしても、医者呼んでカトレアとタバサママを治すネタと、
ロボット系を呼んで整備うんぬんの話題はよくでるな。
アクマがこんにちわの人、悪魔も泣き出す人を待ち続けてる俺。
736 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 18:15:51 ID:ptSgTS+Q
漏れは、虚無とメイドのシャーリーの続きを待ち続けているけどな。
書き手さん 生存報告だけでもお願い!
>>734 皆なんとかして彼女たちを救ってあげたいんだよ
738 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 18:38:54 ID:cYpfM1S/
>>734 ロボットで整備と言ったら初代トランスフォーマーのラチェットを浮かんでしまった
ラチェット「怪我人は黙ってろ、発声回路を切っちまうぞ」
医者ならギー先生だな
小ネタでは呼ばれてたけど
タバサママはもう助かったみたいだけどな
呼ばれた気がした
ワルドの扱いに困りつつも、一応めがっさ執筆中です
惑星ロリータの王子だったりするんですね、分かります。
>>742 タバサママンじゃなくてちいねえさまを直せばおk
医者ではなく滋養強壮な料理作れる輩を呼べばおk
一向に構わないツンデレですね。
ギーシュとの決闘では連呼してくれるのかな。
作品内でカトレアの身体を使ったアレコレを考えている俺は、一体どうすれば……。
どうも皆さん今晩はです。
もし予定がなければ21時16分から18話の投稿を開始したいと思います。
出来るならば支援の方よろしくお願いします。
なぜ16分という半端な時間なのか分からないが支援。
トリステインから丁度馬で二日くらい掛かる距離に、ラ・ロシェールという『港町』がある。
港町でありながら辺りを頑丈な岩山に囲まれ、既に枯れてしまった世界樹の木が生えているだけの寂しいところだ。
何処にも海や川と言ったモノはないが、それでも世間では『白の国』と呼ばれるアルビオンへの入り口の役目も果たしている。
人口三百人と規模は小さい街ではあるがそれでもアルビオンと行き来する人々で常に街は賑わっているのだ。
建物は木造ではなく全て岩から削り出され、それ等は全て『土』系統のスクウェアメイジ達が作り出した努力の結晶なのである。
今の時間は深夜であるがラ・ロシェールの町は賑わっており、特に酒場などでは今も尚灯りがついている。
鎧を着こなし、槍や剣を背負った傭兵達が安そうな酒瓶片手に酔っぱらいながら道の真ん中を堂々と歩いていた。
彼らは全員アルビオンの王族派に雇われ、形勢不利と見てここへ逃げてきた者達である。
傭兵達にとっては雇い主を見捨てて逃げるということは別に恥じることではない、彼らは名誉より金と命が大事なのであるから。
共和制万歳!と叫びながら酒をあおる彼らを、空から見つめている黒髪の少女がいた。
「学院からここまで大分時間が掛かったけど…大分暗くなったわね。」
黒髪の少女、霊夢はそういうと真下にあった建物の屋根へ降り立った。
別に町の各所にある休憩所のような場所でもべっに良かったが、
道にはあのように女なら小さくても良い、とか言いそうな奴らがうじゃうじゃいるのでこうして屋根伝いに移動しているのだ。
それに宿屋に泊まろうにも、霊夢はお金とかそういうものは一切持ってきていない。
では霊夢が何故この様な学院からかなり離れたこんな場所に来ているのかというと、それにはわけがあった。
「それにしても、なんでこんな異世界に幻想郷緑起があったのかしら?」
霊夢はポツリと呟き、今日の朝方に起こった出来事を思い返していた……。
ちょっとした事情で学院長室に来たところ、アンリエッタというルイズの幼馴染みと出会った。
その時、彼女がアルビオンという国で手に入れたという本が霊夢の言う『幻想郷緑起』だったのである。
◆
『幻想郷緑起』とは……死んでは生まれ、死んでは生まれを繰り返す稗田の者によって書かれた幻想郷に関する本である。
妖怪、そしてそれを退治する者達、幻想郷の土地などが詳しく書かれている。
その歴史は古く、今では「現代向け」―霊夢はその言葉の意味が理解できていない――という名目で誰でも読めるような本になっている。
最も霊夢自身は少し読んでいる程度でそれ程興味を示していなかった。
だが、流石にこんな月が二つあるような異世界でお目に掛かるとは思っていなかったのだ。
そういうわけで、今霊夢は幻想郷緑起があったというアルビオンという国を目指しているのである。
ちなみにそこへどうやって行けば良いのかは聞いていないが…まぁなんとかなるだろう。という考えでここまで来たのである。
試演
◆
「それにしてもこの町はやたらと騒がしいわね。」
ラ・ロシェールの町は深夜になってもあちこちの建物から灯りは絶えない。
特に今はアルビオンから逃げてきた傭兵達が酒場で騒いでいるため尚更それに拍車を掛ける。
しかもそいつら全員が血気盛んなため時折罵声、怒声に混じって銃声なんかも聞こえてくるのだ。
幻想郷の人里にも此所と似たような場所はいくらかあるがこの町よりかは危険ではない。
「それに随分と物騒だし。早く出て行きたいわ…。」
霊夢はため息まじりにそう言って辺りを見回すと、ふと西の方に巨大な何かがあるのを見つけた。
それは暗闇の所為でハッキリとはしないが、まるで『木』のように見えた。それもかなりの大きさの。
その巨大の木の枝には木の実の様な物体がぶら下がっている。
だけどよく見てみると、どうにも「ぶら下がっている」というより「浮いている」様に見える。
「何か怪しいわね、あの木は。」
霊夢がそう言うと、下の方から何やら男の達の声が聞こえてきた。
「よぉ、お前さんもアルビオンからここまで逃げてきたのか。」
「おぉジャックか、あんな土から離れた大陸で死ぬのはまっぴら御免だからな。」
どうやら店の外で話しているらしく、『アルビオン』という単語が霊夢の興味に触れた。
何かと思い、霊夢は屋根の上から少し顔を出し、ひっそりと耳を傾けた。
「全く王族派の連中め、安く見やがって。俺たちは兵器じゃねぇんだぞ。」
「その気持ちはわかるぜジャック、いくら対メイジに強い俺たちでも限界はあるからな。」
「そういえば、アルビオンへ行く前はここから見える港を、『金を呼ぶ大きな豆の木』ってよんでたよな俺たち…。」
「だけどいざアルビオンへ行けばそこへ待ってたのは俺たちの棺桶ときた。全く冗談じゃないぜ?」
そこまで二人の話を聞いた霊夢は顔を上げて再び遠くに見える木を見つめた。
先程の話から個人的に推察してみるに、どうやらアレは『港』らしい。
霊夢が知っている港とは似てもにつかない形だが…先程男が言っていた「金を呼ぶ大きな豆の木」という言葉。
豆の木かどうかはわからないが少なくとも「大きな木」といえばあれくらいしか思いつかないのである…
「まぁでも、怪しいとは思っていたし。丁度良いから行ってみようっと。」
そう暢気に言うと霊夢はフワッと空中に浮かび上がり、大木の方へと飛んでいった。
◆
先程彼女が佇んでいた屋根の上に二人の男女が現れ、のんびりと「港」を目指して歩き始めた霊夢を見つけた。
一人は黒いマントを着込み、顔には白い仮面を被っている男であった。手には黒塗りの長い杖を持っている。
「あいつか?お前を難なく倒したという者というのは。」
「えぇ、あいつのお陰で額が今も尚痛くて堪らないわ。」
仮面の男に聞かれ、隣にいた暗緑色のローブを羽織った女は額を抑えながら悔しそうにそう言った。
「ハハ、どうやら大分手痛い目に合わせられたようだな。」
それを見て仮面の男は女を嘲笑うかのように体を小さく揺らすとそう言った。
女はそんな男の言葉を聞き、少し怒ったような口調で話しかけた。
「お前さんはアイツの強さは半端じゃないって事を知らないのさ。」
「ふぅん…つまりは、やってみなくては分からないと言うことか…?」
男は冷ややかにそう言うと踵を返し、何処かへ行こうとする。
「…どこへ行くつもり?」
「俺はちょっとお上からの命令であの娘を倒す手筈となっている。」
女はその言葉に、怪訝な顔をする。
「お上から…?それに足止めってどういう意味よ。」
「俺に聞くな、ただお前さんを倒したという少女の話を聞き、更にその少女がアルビオンへ来ると聞いた幹部共が俺にそう命令したのさ。」
男は心底ウンザリしたようにそう言うと女も呆れた様な顔になる。
「何よソレ?怪談話を信じて魔除けの聖水を部屋にばらまく子供と一緒じゃないの。」
「まぁ今は内の組織もピリピリしてるからな。さてと、では俺はあの少女を追う。お前さんは予定通り明後日の襲撃に備えておけ。」
男はそれだけ言うとバッと屋根から身を乗り出し、町の中へと素早く消えていった。
支援
◆
―――場所は変わり、霊夢が居る場所から大分離れた所にある宿屋「女神の杵亭」。
数ある宿屋の中でもここだけは一際豪華な造りであり、当然泊まる客も貴族ばかりである。
その一室には、ルイズが天蓋突きベッドに腰を下ろしカップに入ったお茶飲んでいた。
ヘッドの傍にある鏡台の上にはアンリエッタ王女からアルビオンのウェールズ皇太子への手紙が入った封筒が置かれていた。
ルイズは今一度ソレを見て、ため息をつくと音を立てずにお茶を啜り口の中に入れた。
今ルイズは悩んでいた。別にこの任務を何故受けてしまったか、ということではない。
それは何かというと、学院に置いてきてしまった霊夢のことであった。
アンリエッタからは、いかなる者にこの事を話してはいけないときつく命令されていた。
だからルイズも余り親密な関係ではない霊夢には話すつもりは無かった。
それからワルド子爵と共にグリフォンに跨り、たった一日でこのラ・ロシェールに来てからあることを思い出した。
(霊夢の奴は多分私が居なくても別に平気だと思うけど…。そういえばとっておいたあの御菓子、棚の中に入れたままだったわ!)
ルイズは霊夢を召喚する前、部屋の彼方此方に何かおめでたい事があった時にと取っ手置いた高級菓子を置いているのだ。
こちらがまともな食事と寝言のを提供する代わりに、霊夢は部屋の掃除をしてくれている。
ただ、そのときに保存している御菓子が見つかってしまうのは少しまずいのだ。
霊夢のことだ…きっと「丁度良いお茶菓子を見つけた。」とか言って食べてしまうに違いない。
ルイズは今にしてもっと別の所に隠しておけば良かった…と後悔していた。
勿論ルイズは霊夢が今この町にいるという事は当然知らない。
そんな風に一人悩んでいると、ふとドアからノックの音が聞こえてきた。
誰かと思い立ち上がりドアを開けるとそこには同伴者であるワルド子爵が立っていた。
手には二つのグラスと一本のワインボトルを乗せたトレイを持っている。
「やぁルイズ、ちょっと下へ行ってワインを貰ってきたよ。これから一杯どうだい?」
微笑みながらそう言うあこがれの人にルイズは思わず頷いた。
ワルドが部屋にはいるとルイズはドアを閉め部屋の左側にあるソファへと腰掛けた。
次いでワルドもトレイをテーブルに置き、ボトルの蓋を開けて中身をグラスに入れる。
血のように赤い色をしたワインは艶めかしく輝いている。
「ルイズ、君はこの少ない方のグラスを飲みなさい。」
ワルドはそう言い、少ししかワインが入っていない方のグラスをルイズに手渡した。
「子爵様、私昔のようにお酒に弱くなくなったのですよ。」
ルイズの言葉にワルドはチッチッと指を振った。
「ウソは良くないよミ・レィディ?君は今でもお酒に蜂蜜や果汁を垂らしていると聞いているんだ。」
「ヒドイですわ子爵さま、乙女の秘密を探るなんて。」
「それは誤解だよルイズ、君のことを愛しているからこそ…より一層君のことを調べたくなってしまうのさ。」
霊夢のような貴族社会とは全く縁がない人間が聞けば我が耳を疑ってしまうような言葉をワルドはさらりと言ってのけた。
しかし、貴族社会の中で生きてきたルイズは蜂蜜よりも甘い口説き文句に頬を真っ赤にさせてしまう。
それからしばらくの間ワルドとルイズは甘い甘い時間を楽しんでいたが、ふとワルドがある話題を出してきた。
「ねぇルイズ、あの時の事を覚えているかい?」
「…あの時の、事ですか…?」
ワルドの言葉にルイズはワインを飲みながら首を傾げた。
「そうさ、君がまだ小さかった頃に親同士が決めた婚約の事を…。」
ルイズは突然のことに口に含んでいたワインを吹きそうになったがなんとかそれを堪えてうまく飲み込むと返事をした。
「ゴホッ…は、はい。勿論今でもしっかり覚えていますわ。」
その応えを聞き、ワルドは頷くとまるで昔の事を思い出すかのように天井を仰ぎ見た。
「そうか、今までずっと覚えていてくれたんだね。…嬉しいよ。」
ワルドはそう言うとルイズの体を軽く抱きしめながらも言葉を続ける。
「僕は父が死んだ後、困難な仕事をこなしてグリフォン隊の隊長という位にまで出世できた。
なにせ、家を出るときに決めたのだからね…。」
「決めたって…何をですか?」
最後の言葉にルイズは首を傾げた。
ワルドはルイズの華奢な体を抱き留めている腕の力を少し緩めると一言、こう呟いた。
「――――立派な貴族となって、君を僕の花嫁として迎えに行くってね。」
◆
霊夢は飛び立ってから数分して、『大樹』もとい『港』へとたどり着いた。
ひとまず根本の方へ着地した彼女の目の前には完成してから何百年も経っているかのような木造の階段が幾つもある。
後ろを振り返ると吹き抜けホールのような造りの空洞になっており、他にも人が座るためのベンチやイスなどが設置されていた。
「野槌辺りが気まぐれで造った…とかじゃないわね。」
天井からつり下げられ、自身には読めない文字が幾つも記されている鉄製のプレート見て霊夢は冗談まじりに呟く。
「どうやらここへ来たのは正解ね。もしかしたら何か良い情報が見つかるかも…。」
霊夢はそう呟くととりあえず目の前にある見た目からして一番新しそうな階段を上っていった。
だけどやはり見た目だけだったらしい。階段がギシギシと軋む音を立てている。
途中でボキッと折れて吃驚するのはイヤなので、仕方なく飛んでいくことにした。
どんどんと上へ飛んでいくと、霊夢は枝にぶら下がってプカプカと空中に浮いている木の実――否、『船』を目にした。
ただそれは霊夢が知っている船とは違い、側面には翼が取り付けられている。
それに興味を引かれた彼女はひとまずその階で降り立つと遠くからその船を見上げた。
彼女の傍にある鉄製のプレートにはこの世界の文字で『アルビオン大陸行き』と書かれている。
「ふ〜ん、船に翼ねぇ…。」
霊夢は関心があるのか無いのか良くわからない感じにそう言った直後…
「悪いがお前はそのアルビオン行きの船に乗ることは一生無い。」
巫女支援
後ろから男の声が聞こえ、霊夢は何かと思い振り返った。
だが彼女の背後にあるのは大小様々な木箱が無造作に積み重ねられているだけ。
そこには人の姿は見えない、いるのは精々ネズミぐらいだろう。
「…?何かしら今の声…それにアルビオンというとやっぱり――――――― ―!?」
不思議そうに霊夢が首を傾げた瞬間、横からもの凄い殺気が伝わってきた。
霊夢は背負っていた御幣を手に持つとひとまず上の階目指して飛び立った直後…
ド ン ッ !
「……グゥッ!!」
突如殴るかの様に風の塊が体に直撃し、空中にいた霊夢はなすすべ無く地面に叩きつけられた。
それは『風』系統では代表的な攻撃魔法であり訓練次第で人を殺す事すら出来る『エア・ハンマー』であった。
だがこれでくたばる博麗の巫女ではなかった。霊夢は痛みを堪えて立ち上がると『エア・ハンマー』が飛んできた方へと視線を向ける。
灯りがついておらず真っ暗なホールから黒いマントを羽織り、顔に白い仮面をつけている男が現れた。
「ほう、大分威力を押さえて放ったが…貴様を気絶させるには少し威力が無さ過ぎたか?」
男は右手に持っている杖を弄くりながら余裕たっぷりにそう言った。
「アンタ誰よ。ここで人を後ろから攻撃するような奴と知り合った覚えはないけど?」
霊夢は御幣を左手から右手に持ち替えると空いた左手で懐から針を取り出し、勢いよく投げた。
仮面の男は自分目がけて飛んでくる針へ向けて杖を向けた。
すると今度は男の目の前で小さな竜巻が生まれ、まっすぐ飛んでいた針は案の定その竜巻に突っ込んでいった。
次に男は杖を勢いよく振ると竜巻がフッと消え失せ、あとには勢いをなくし地面に転がっている針だけが残った。
「なるほどな…この対応の速さ、それなりに戦いの経験はあるようだな。」
仮面の男は何故か満足げにそう言うと霊夢に向かって走り出すと、手に持っている杖が青白く輝き始めた。
『エア・ニードル』――杖自体を魔法の渦で細かく震動させてその力で相手を刺す魔法。
霊夢は正面から正々堂々突っ込んでくる相手に対し、容赦なくお札と針で構成された小さな弾幕を飛ばした。
仮面の男はその弾幕をジャンプすることで回避すると、そのまま霊夢の背後へと降り立った。
そのまま背中越しから霊夢の胸を貫こうとしたが瞬間、男の目の前から彼女の姿がフッ…とかき消えた。
「なっ…!?」
「こっちよ、突撃馬鹿。―――『夢想妙珠』」
仮面の男が突然のことに驚くと上の方から霊夢の声が聞こえてきた。
男が上を向くと、そこにはいつの間にか空中に浮遊していた霊夢がスペルカードを右手に持っていた。
攻撃させる暇すら与えず霊夢は上空からスペルカード宣言をし、多数の光弾を放った。
大小様々な光弾が此方へ向かってくるのを見た仮面の男は舌打ちすると咄嗟に横っ飛びで避けようとしたが……
多数の光弾は、まるで男が横へ飛んだ所を見たかのように滑らかな動きで男の方へ迫ってきた。
(何!た…弾が俺の後ろをついてくるだとっ!?)
霊夢の放つ弾幕の特徴である『追尾』はある程度の回避行動などではそうやすやすとは振り切れない。
回避行動をし終えたばかりの男の側面に全ての光弾が直撃した。
その衝撃で吹っ飛んだ男は木箱が無造作に置かれていたスペースへと落ちていき、何箱か壊してようやく男はノックダウンした。
戦いが終わったと感じた霊夢は念のためにと持っていた針をしまうと、地面へ降り立った。
先程大量の木箱があった場所には――箱の中に入っていたのだろうか…―割れたボトルの中に入っていたエールにまみれた仮面の男が倒れていた。
「知ってる?弾幕ごっこで最初から弾幕の中に突っ込むような奴は、余程自分に自信があるか…ただの『馬鹿』だって事を。」
支援
霊夢は倒れている男に冷たくそう言うと足下にあった杖に気づき、それを思いっきり踏みつぶした。
哀れにも悲痛な音と共にも真ん中から折れてしまった黒塗りのソレを、霊夢は軽く蹴飛ばし男への方へやる。
貴族が命と名誉の次に大事に扱う杖の最後を見た男は…それを気にせず息を荒くして霊夢の方へ顔を向けた。
「成る程な…流石に、あのトロール鬼をたった一人で倒したのは偶然では無かったか。」
男の言葉から出た「トロール鬼」という名前に霊夢は一瞬怪訝な表情をしたがすぐにそれが厳しいものへと変貌した。
「アンタだったのね…、あのデカブツを町の真ん中にまで連れてきたのは。」
霊夢は不快感タップリにそう言うと左手に持ったままの御幣で男の額を小突いた。
「あんな奴を町中に放ってどうするのよ?ちゃんと躾くらいは出来るでしょうに。」
「別にあんな化け物、俺のペットじゃない。俺の上司がお前宛に送りつけてきたのさ。」
額を小突かれながらも男はそう言った瞬間…突如男の体がフッとその場から消え失せた。
突然のことに少し驚きながらも霊夢は辺りを見回すと、西側の大きな窓からあの男の声が聞こえてきた。
「おい小娘、貴様が何の目的で西方のアルビオンへ行くか知らないがやめておけ。
どうやら私よりも更に上にいる者達は貴様を敵視しているらしい。奴らはかなり本気になっている。
もしこの警告を無視してアルビオンへたどり着いたとき、我ら「レコン・キスタ」が貴様の身を滅ぼすだろう!」
その声を最後に辺りは再び静かになり、後に残ったのは霊夢と木箱の破片だけであった。
一人の残された彼女は数秒の間を置いてから、大きなため息をついた。
「ハァァ〜……どうしてこう、私の周りに厄介事が幾つも出てくるのかしら。」
霊夢はうんざりしたような感じでそう言うと御幣を背中に背負い先程男の声が聞こえてきた窓の方へと顔を向ける。
この町へ来てからずっと気になっていたのだが…西の方角辺りから何やら嫌な気配が僅かながら漂ってきているのだ。
―――それも人間には出すことが出来ない「人外」特有のおぞましい気配が…。
妖怪達が多く暮らしている幻想郷に住んでいる霊夢はその気配を何度も感じ取ったことはあった。
ロクな知能を持ち合わせていない下等妖怪の巣や、幻想郷の奥地にある「ひまわり畑」…。
(あぁでも、今感じているのはあの向日葵畑よりかは大分マシね…。)
霊夢は一人心の中でつぶやくと西の方角をジッと見つめた。
「先程の男の言葉といい、この気配といい…どうやらアルビオンとやらは西の方角にありそうね。」
そう言うと霊夢は飛び立とうと――せず、近くにあったベンチへ横になった。
今の今まで意識してはいなかったが、今になってあの空気の塊を喰らったときのダメージがやってきたのだ。
まるで全身筋肉痛のような痛みは霊夢の顔を少し苦しそうなものに変えている。
「服の下に羽織っている結界用のお札…変えておいた方が良さそうね。イタタタ…」
霊夢は常に、とは言わないが服の下に巻いているサラシには結界符を貼っている。
これによりもしも弾幕ごっこの際に胴体に被弾しても多少のことならば致命傷にはならない。
先程の『エア・ハンマー』もこれのおかげで威力を半減できたのだ。
ただ、攻撃を喰らうたびに結界符もどんどんとその威力を弱めていき、終いには消滅してしまう。
いつもならばすぐに新しい結界符に貼り替えいるのだが――
「そう言えば、ここに来てからそんな事をした記憶がないわね…。」
霊夢は一人そう呟くとゆっくりと目を閉じ、少ししてから小さな寝息をたてて眠りについた。
今すぐにでもアルビオンに飛んでいきたいのは山々だったのだが、生憎彼女の体には疲労とダメージがたまりにたまっていた。
人間誰しもそういう時は案外あっさり眠れるもので、れっきとした人間である彼女もまたその例に漏れないのである―――――
スイマセン、修正です。
>>763の
霊夢は倒れている男に冷たくそう言うと足下にあった杖に気づき、それを思いっきり踏みつぶした。
哀れにも悲痛な音と共にも真ん中から折れてしまった黒塗りのソレを、霊夢は軽く蹴飛ばし男への方へやる。
貴族が命と名誉の次に大事に扱う杖の最後を見た男は…それを気にせず息を荒くして霊夢の方へ顔を向けた。
「成る程な…流石に、あのトロール鬼をたった一人で倒したのは偶然では無かったか。」
男の言葉から出た「トロール鬼」という名前に霊夢は一瞬怪訝な表情をしたがすぐにそれが厳しいものへと変貌した。
「アンタだったのね…、あのデカブツを町の真ん中にまで連れてきたのは。」
霊夢は不快感タップリにそう言うと左手に持ったままの御幣で男の額を小突いた。
「あんな奴を町中に放ってどうするのよ?ちゃんと躾くらいは出来るでしょうに。」
「別にあんな化け物、俺のペットじゃない。俺の上司がお前宛に送りつけてきたのさ。」
額を小突かれながらも男はそう言った瞬間…突如男の体がフッとその場から消え失せた。
間違えて消し損ねた没ネタの分を投稿してしまいました…。orz
正しいのは此方です↓
霊夢は倒れている男に冷たくそう言うと足下にあった杖に気づき、それを思いっきり踏みつぶした。
哀れにも悲痛な音と共にも真ん中から折れてしまった黒塗りのソレを、霊夢は軽く蹴飛ばし男への方へやる。
「アンタ一体だれよ?最初に言ったけど私はアンタみたいな奴は知らないわよ?」
霊夢は手に持った御幣の先で男の額を小突きながらそう言った。
「俺もお前と会うのは初めて…イヤ、一度会った気がするな―――」
額を小突かれながらも男はそう言った瞬間…突如男の体がフッとその場から消え失せた。
突然のことに少し驚きながらも霊夢は辺りを見回すと、西側の大きな窓からあの男の声が聞こえてきた。
はい…これにて今回の投稿は終了です。
今回出てきた「結界符」は=「残機」として解釈してください。
後この話に出てきた傭兵ジャックさんの名前は童話のジャックと豆の木から拝借しました。
では皆さん、良い夜を。
※追伸
今回は没ネタの方を間違えて書き込んでしまったのは誠にすいませんでした。
というより、なんで消してなかったんだろうか…俺。orz
以後、今後こんな事が起こらないよう気をつけます。
乙
乙!
腋巫女乙
短距離瞬間移動持ちに範囲限定の魔法じゃ無理だわなw
巫女乙です
野暮な質問ですが、残機って事は増えるんですよね?
貼り替え=Extend?もしくは、符の残数が残機数?
>>769 個人的には「符の残数が残機数」ですね。
例えば結界符に一枚につき残機×1という風に…
無重力使い魔の人乙です!
霊夢強えwwwwwww
先約が無ければ、五分後に投下させていただいてよろしいでしょうか?
事前支援だ
――森の一角。
「ティファ、薪割りが終わったが」
金髪の壮齢の男が少女に話しかける。
赤いタキシードを着こなす所にダンディズムが感じられる。
「あ、ありがとうルガールさん。 もういいですよ、休んでいて下さい」
ティファと呼ばれた少女は、料理をしながらルガールに言う。
「そういうわけにもいかんだろう、君のような少女が一人で働いていると言うのに」
ルガールは困り顔で肩を竦める。
そんなルガールに、ティファはクスッと笑うと、遊んでいる子供達を見る。
「なら、子供達の相手をしていて下さい」
「ふむ、わかったよ」
ルガールはそう言うと、子供達の中へ向かった。
「あー! ルガールおじちゃん!」
「ああ、何をしているのかな? 私も混ぜてもらいたいんだが」
そういって子供達に混ざっていく。
ルガールは考える。
何故、自分はこんなにも穏やかに日々を送っている? いや、それ以前に、何故自分は生きているのか?
あの時、自分は死んだ……、いや『オロチの力』に体を乗っ取られた筈だ。
豪鬼との死闘の末、その殺意の波動を奪い、しかし、その力を使いこなせずに……。
その他にも疑問はあった。
果たして自分は、こんなにも穏やかな性格だっただろうか?
否。 断じて否だ。 『悪』こそが自分の全てだ。
では、なんの影響だ?
オロチ? 否。 殺意の波動? これも違うだろう。 二つの力の反応? 否定は出来ないが、可能性は薄い。 ではやはり……。
このルーンの仕業か。
朝――
朝早くに豪鬼は目覚める。
ルイズを起こす為では無い。 修行の為だ。
まだ日は昇りきっては居ない。
修行しよう、と考えた後に豪鬼は気付いた。
道知らねぇ。
つまり、洗濯にはかなりの時間がかかる。 道に迷うことも視野に入れなければならないのではないか。
結局、豪鬼は今日のところは何もしないことにした。
と、言うわけで、もう少しボーッとしていた訳だが。
しばらくして、日がかなり昇ってきたので、豪鬼はルイズを起こすことにした。
「ルイズ、朝だ」
……反応を示さない。
「ルイズ、朝だぞ」
……反応を示さない。
ルイズがあまりに起きないので、豪鬼は毛布を引っぺがした。
「な、何!? 何事!?」
「朝だ、ルイズ」
「はえ? そ、そう……。 って、誰よあんた!」
「豪鬼」
「あ、そうだ、昨日召喚したんだ」
ルイズは起き上がり、部屋を見渡す。
豪鬼は何も用意していないようだ。
そして豪鬼に命じた。
「服」
そう言うと、いつの間にか椅子にかかっていた服が豪鬼の手に握られていた。
「ま、魔法!?」
「いや、普通に取ってきただけだ」
いつもならかなり気にするところだが、そこは寝起きの頭である。
「下着」
「どこだ」
「そこのクローゼットの一番下」
場所を言うと、またいつの間にか豪鬼の手に
下着が握られていた。
豪鬼には基本恥じらいなど無い。
「服」
「渡したぞ」
「着せて」
豪鬼は、なるべく力加減を覚えるように着せた。 問題は無かった。
ルイズとともに部屋を出る。
すると、すでに一人の女子生徒が廊下に出ていた。
豊満な胸に、それを強調するような服の着方をしている。
普通の男であれば、否応無しに胸に目が行く所だが、そこは豪鬼である。
巨乳の女は他に見たこともあるし、全員鍛えぬいた体をしていた。
そんな訳で、豪鬼には目の前の少女の胸はただ肥え太った不摂生の賜物にしか見えなかった。
こいつも来てんのかよw支援
彼女はルイズににやりと笑いかける。
「おはよう、ルイズ」
それに対して、ルイズはあからさまに嫌そうな表情になった。
「おはよう、キュルケ」
「あなたの使い魔って、それ?」
「そうよ」
「あっはっは! ほんとに人間なのね! すごいじゃない!」
豪鬼は密かに、それには感謝している、と心の中で呟いた。
「『サモン・サーヴァント』で、平民を呼んじゃうなんて、さすがはゼロのルイズね」
ルイズは頬を染めながら、キュルケを睨む。
「五月蝿いわね」
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。 勿論、一発で成功したわ」
「知ってるわよ」
「どうせ使い魔にするなら、こういうのが良いわよね〜。 フレイムー」
キュルケが勝ち誇ったような声で使い魔の名前を呼ぶ。
すると、キュルケの部屋から虎ほどの大きさの赤いトカゲが現れた。
辺りを熱気が包み込む。 ルイズは息苦しそうな表情になる。
豪鬼は動じない。
「あら? 怖がらないの? 度胸あるのね」
豪鬼がそのトカゲを見る。 よく見ると、その尻尾には炎がついているではないか。
豪鬼は少し驚き、兄の弟子の金髪を思い出した。 更に、学生服の男も思い出した。 インド人も思い出した。
「これってサラマンダー?」
ルイズはかなり悔しそうだ。
「そうよー。 火トカゲよー。 見て? この尻尾。 ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ? ブランド物よー。 好事家に見せたら値段なんてつかないわよ? あたしの二つ名は『微熱』。 相応しいと思わない?」
未だに二人は何やら競っているが、それを尻目に豪鬼はフレイムを見つめていた。
こいつと死合いたい。
かなり好奇心が刺激されていた。
そうして豪鬼が必死で自分と死合っていると、キュルケが豪鬼に話しかけてきた。
「あなた、お名前は?」
「……豪鬼」
「ゴウキ? 変な名前」
「……ふん」
すると、キュルケは豪鬼の体をまじまじと見つめながら言った。
「うーん、でも、かなりいい体してるじゃない。 逞しい殿方は好きよ?」
キュルケは豪鬼を誘惑した。
豪鬼はそれでも揺るがなかった。
「それじゃあ、お先に失礼」
キュルケは、フレイムと共に去っていった。
キュルケが居なくなると、ルイズは悔しそうに拳を握り締め、呟いた。
「くやしー! 何であんなのがサラマンダーを召喚できて、わたしはこんななのよ! メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言われてるぐらいなのに〜!」
そう言いながら拳を豪鬼に向かって振った。
勿論そんなものが豪鬼に当たるはずも無く。
「かわすな!」
「当てて見せい」
そんなやり取りをしながら、豪鬼はふと思った。
そういえば、まだルイズの魔法を見たことが無い。
あの火トカゲと『微熱』という二つ名を見る限り、あのキュルケとか言う女は火を使うのだろう。 モグラを召喚している小僧も居たが、あれは土か?
では、ルイズは?
まさか『殺意』などと言う属性は無いだろうが、では何だ? 自分が使う属性に似たものは……。 『灼熱波動拳』しかない。 とすると『火』か?
では『ゼロ』とはなんだ? まさか、あの光の剣を使う者という意味ではあるまい。
少し気になるが、まあ良い。
力を振りかざすのは弱者のみ。 あのキュルケとか言うのは弱者だろう。
「ほら、わたし達も行くわよ」
落ち着いたらしいルイズは、すでに前方を歩いていた。
「うむ」
豪鬼達が食堂に着くと、既に多くの生徒達が集まっていた。 ルイズによると、朝昼晩全てここで食事を取るらしい。
全てのテーブルには、豪華な飾りつけがなされていた。
「愚かな……」
無駄に権力を振りかざしているのがありありと分かり、豪鬼は少し失望していた。
これが人の上に立つ者として正しいとでも言うつもりか。 見たところ、相応しそうな人物など数人ではないか。
そんな豪鬼の態度を見て、ルイズは何を勘違いしたのか、得意げに豪鬼に説明した。
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけではないのよ」
「……ほう」
「メイジはほぼ全員がメイジなの。 『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族足るべき教育を、存分に受けるのよ。 だから食堂も、貴族の食卓に相応しいものでなければならないのよ」
豪鬼は、心の中で舌打ちをした。
貴族足るべき教育? これがか? これでは傲慢な人間が増え、格差が広まる一方ではないか。
支援
支援
相応しい食卓? 下らん。 何故こんな贅沢の限りを尽くすものなのだ? 貴様はこの食事に相応しい人間か? 否、断じて否。
色々と腹は立ったものの、腐った人間などそれこそはいて捨てる程見てきた(強者ではあったが)ため、それくらいで済んだ。
「わかった? ほんとならあんたみたいな平民は『アルヴィーズの食堂』には一生は入れないのよ。 感謝してよね」
「……ふん」
「もっと感謝しなさいよ! ……まあいいわ、いいから椅子をひいてちょうだい。 気が利かないわね」
「ああ」
虫唾が走る思いで椅子を引く。
「じゃあ、あんたはそれね」
ルイズが床を指差す。
「特別に、ここで食べさせてあげる。 床だけどね」
皿を見てみる。パンが二切れ、肉が申し訳程度に浮かんだスープが一皿。
格闘家は体が資本である。
故に豪鬼は、断食したことなど無いし、一日として食事を抜いたことは無い。 瞑想や修行で知らないうちに食事を忘れていたことならあるが。
朝はこの程度で十分だろう。 そうおもった豪鬼は、少々野菜が少ないことを不服に思いながら平らげる。
パンを食べ終え、スープに手を付けようとした時、ルイズが鳥の皮を入れてきた。
「ほら、肉は癖になるからだめよ」
「要らん」
豪鬼の言葉を無視し、ルイズは自分の食事に戻った。
鳥皮などという油の固まりは、豪鬼にとって毒でしかない。
入れられてしまったものは仕方が無いと、豪鬼はスープを丸々残した。
豪鬼とルイズは教室の掃除をしていた。
ルイズが魔法を失敗し、教室を滅茶苦茶にしたからである。 事の成り行きはこうだ。
豪鬼とルイズが教室に入ると、一斉に生徒達が二人の方を向き、クスクスと笑った。
キュルケも男子達の中に居た。 多くの男をはべらせている様だ。
下衆が。 豪鬼はそう思ったが、やはり下衆の相手をする気はなく、ルイズの隣に座った。
教室内を見回すと、珍妙不可思議な生物がたくさんいた。 見回す中でルイズに視線を向けると、ルイズが不機嫌そうに豪鬼を見ていた。
豪鬼はそれに構わずに再び教室を見回し始める。 ルイズももう諦めたようで、何も言ってはこなかった。
授業中、ルイズが口論を始めたりはしたが、豪鬼は構わず、時間を瞑想に使っていた。
しかし、興味があるものが耳に入ると、それをやめ、授業に耳を傾けた。
「では、この練金を……、ミス・ヴァリエール、やって御覧なさい」
「え? わたし?」
「先生! やめた方がいいと思います! 危険です!」
キュルケが立ち上がり、叫ぶ。
教室の中の殆どの生徒が頷く。
「やります」
それに反応したのか、ルイズは何か決意したように言う。
つかつかと黒板の前に向かっていくルイズ。
すると、殆どのの生徒が机の中に隠れる。
その中でも、キュルケだけは隠れずにルイズを見つめていた。
さっきまで必死にルイズを止めていたのに、いざとなるとちゃんと向き合うとは、実は少しはやれるのではないか、と豪鬼は思った。
少なくとも、このときキュルケは豪鬼の中での『下衆その一』という位置づけからは脱していた。
ルイズが呪文を唱え、杖を振り下ろす。
刹那、爆発。
目の前の机を吹き飛ばし、破片を飛ばす。
豪鬼はそれに反応した。 丁度いい。
「ぬぅん!」
飛び散る破片や机を全て叩き落す。
782 :
滅殺の使い魔:2009/03/30(月) 22:18:41 ID:Nr3E6p9y
「あ……」
キュルケだけがそれを目撃した。
豪鬼のお陰で大きな被害は出なかったものの、生徒達はルイズを睨む。
ルイズは全く悪びれる様子も無く、こう言った。
「ちょっと失敗しちゃったみたいね」
「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」
「いつも成功の確率、ゼロじゃないか!」
豪鬼は、ルイズが何故『ゼロ』と呼ばれているのか理解した。
今日の「滅殺!」必殺技講座
・灼熱波動拳
波動拳に炎を付加(?)し、放つ技。
この波動拳は、多段ヒットする上、威力も高いものとなっている。
その代わり、発射前に大きな隙がある為、使いどころが難しい技となっている。
コマンド「(右向きの時)逆半回転+パンチボタン」
「んんん、ぬぅん!」
「どうやって火付けてるのよ」
「知らん」
「はぁ!?」
投下乙!
「知らん」吹いたw
乙
だけど、自分で使っている以上原理を知らないということはないんじゃないか?
口で説明できるものじゃないだろうけど。
今回はここまでです。
ああああああああ! ネーム変えんの忘れてた!
最後だけ気付いたけど・・・・・・
そんなことより、皆さん支援ありがとうございました!
『波動の力』を焔に変えている、と何処かで見かけたような・・・
ちなみに『電刃波動拳』は『波動の力』と『殺意の波動』、正と負の波動を複雑な層にする事で電気を発生させるって仕組みだった希ガス。
ゆえにリュウだけが使う事が出来るガード不能の波動拳。
>>784 「何ていうか、こうグイっと打つ感じなんですよ、グイっと」
みたいな感じか
長嶋自重
確かに携帯電話を使っていても、携帯電話で音声通信やデータ通信ができる原理は説明できないな
腕を動かしているからといってどうやって自分の腕を動かしているか説明できない。
>>789 灼熱波動拳ってさ、説明できないってことは誰かに習ったわけじゃないよね?
売ってるもんを買って説明書を読んで使ってるものと、自ら開発したものじゃ話が違うんじゃね?
うむ、やはり灼熱波動拳は『波動の力』を焔に変えているという設定のようですね。
同様の設定でリュウのファイヤー波動拳やケンの強・昇龍拳も燃えるようです。
でもどうやって『波動の力』を焔に変えるのか、と問われたら確かに説明できないものなのかも。
『波動の力』を高めて威力を上げると勝手に焔に変わるとかそんな感じなのかなぁ。
>>784、
>>783 やっぱりそうですかね?
豪鬼は本能で理解してそうなんでwww
知ってても、他人には言わないと思うのでwww
>>787 「何ていうか、こうぬぅんと打つ感じなんですよ、ぬぅんと」
自重
口から火を吹いたり、手足が伸びるインド人に比べたらまだ常識の範疇。
ところでリュウのファイヤー波動拳はダルシムの元で修行した成果だそうだな。
なんでも手足を引っ張られたり、グルグル回されたり大変だったそうだ。
ケンは速攻でファイヤー昇竜拳をマスターしたそうだが。
なんだかヨクワカラナイモノを手とか口とか全身とかからポンポン出しまくる世界から来た人だからなぁ。
>>796 コロコロで橋口たかしが書いてたストU四コマのネタは、もうええっちゅーねん。
>>796 最後は速攻で習得したケンへの怒りでファイヤー波動拳を習得したんだよなw
>>791 でも普通の人間だって、歩行の原理を説明しろと言われても無理だよね
何気なくやってる二足歩行だけど
実は高度な制御を要する技術だよな
静歩行ならともかく
重心を安定状態からわざと不安定な位置に移動してそのエネルギーを積極的に利用する動歩行だし
つーか、メイジに「魔法を使う時の原理を理論立てて説明しろ」って言っても無理みたいなもんなんじゃね?
>>801 うん、無理。
>>789は例えとして違う気がしたから言ってみたんだけど、そうでもないのか?
どういう力の使い方をすれば発動するかってことを経験的に知ってるんだろう
魔法も波動の力も
自転車とかと同じじゃないか?
確か系統魔術は杖を持って、正しくルーンを唱えると魔法が発動する、でしたっけ。
コモンはルーンではなくコモン(口語)詠唱で発動。
どうしてそれで魔法が発動するのかは説明できないから、ルイズの失敗爆発の原因もわからなかった、みたいな?
大抵の作品に共通してることだが、そういう能力って理論的なものじゃなくて感覚的なものっぽいからな。
たとえ理論的なものだったとしてもそのキャラが理論を知ってるかどうかはまた別問題なんだよなぁw
豪鬼の人乙。
ルガールはGルガ…ではなさそうね。
ルガールはこの世界でも最後は自爆するんだろうな…
ルガーと聞いたらアレだ
ルイズ、ルガーランスを使え!!
>>811 妙に豪華で巨大な金色ペプシマンがやってきてしまうからそれ。
24のジャック・バウアーで書こうと思うんだけどいいタイトルない?
そういえばこないだのスプリガンの人が代理スレに来てたな。
>>806 それを何だかんだである程度説得力を持たせて理論付けた魔砲の人はすごいなぁと
なのは達の魔法体系がかなりきっちりしてるってのもあるんだろうけど
海外ドラマならHEROES辺りから、サイラーかピーター連れて来れば面白そうだな。サイラーは言うこと聞かんだろうが
>>817 友人の駄目出しと書き直しのループが終わり次第投下します。
自分の文才のなさが悲しくなってる今日この頃なので期待せずにもうしばらくお待ちくださいw
>>820 それなら向こうでも言わんと、代理の要請もしちゃってるんだしさ
823 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 00:32:47 ID:TnZ+x/KQ
魔法学校つながりでハリー・ポッターも面白そうだ。今のところはないし
>>821 代理の要請はしてないですよ
練習用に投下したんですが、言って来たほうがいいですかね?
825 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 00:34:31 ID:TnZ+x/KQ
魔法学校つながりでハリー・ポッターも面白そうだ。今のところはないし
失礼しました、『書き直してきますw』って書いてありましたね。
山に籠ってきます。
>>826 朧みたいになって帰ってきてくださいねw
>>828 それはつまり、帰ってくるなということですね?w
シモン召喚
シモン先生とはこれまたマニアックなキャラを
ゾイドってガーゴイル?ゴーレム?
金属製の幻獣
ゾイド=野生動物だな
ガーゴイルは事前に組み込んだプラグラム道理に動くロボット
ゴーレムは後ろで操縦者が操ってるリモコンロボット
だよ。
序章
僕の名前はジャック・バウアー。
CTUテロ対策ユニットの特別捜査官。
とある事情でハルケゲニアという異世界にワープしてしまった。
トニーもクロエもいない。信じられるのは自分だけだ。
僕の人生で最悪の24時間が始まろうとしている。
「な、なんなのよコイツ・・・」
気がつくと、ジャックの目の前には桃色の髪の少女が怒った表情で立っていた。
ジャックを見て他の生徒から笑い声とため息がもれた。
「おい、こいつらを黙らせろ」
ジャックは少女に向って命令した。
「ちょ、ちょっと!誰に向って言ってるのよ!」
少女はジャックの無礼な態度にカチンときた。
「いいから早くしろ!」
ジャックの怒鳴り声に少女も周りの生徒の静まり返った。
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「ル、ルイズよ」
「よし、ルイズ。お前はテロリストか?」
「てろりすと?なんなのよそれ」
ルイズと名乗った少女は聞きなれない言葉に首をかしげた。
「早く答えろ」
「し、知らないわよ」
ジャックの威嚇するような眼差しにルイズは動揺した。
「シラを切るつもりなんだな。ならこうだ!」
ジャックは肩に下げたメッセンジャーバッグからピストルを取り出し、生徒の足を撃った。
途端に生徒は崩れ落ちた。
他の生徒達は大慌てで逃げ出した。
「ちょっとやめてよ!」
「なら正直に答えろ!俺をこんなところに連れてきた目的はなんだ?」
ジャックはルイズの額に銃を突きつけた。
「知らないって言ってるじゃない!なんなのよ、もう!」
ルイズは恐怖のあまり泣きそうだった。
そこに騒ぎに気づいた先生達がやってきた。
ジャックはすぐさまルイズの後ろに回りこみ、頭部に銃を突きつけて人質の体勢をとった。
「動くな!動けばルイズの命はないぞ!」
ジャックの暴走が始まった。
投下宣言くらいしなさいよ
小ネタでも、予告はしようぜ……
これで終わりか?
投下宣言も終了宣言も無いし、これはまとめに登録しないでいい『ただの書き込み』ってことなんだろう
ただの書き込みには投下宣言も終了宣言も無いもんな
24は見てるしジャック・バウアーは大好きなんだが
>>838のどこを読んでもジャック・バウアーが見当たらない件
同姓同名のオリキャラは何なの?
岸学です
あれだ、ジャック・バウアーの物真似するツマラナイ芸人だ
と書こうとしたらもう出ていた
そろそろジミヘンやイングウェイが出てきてもおかしくないと思うんだが
33kb探偵まだー?
序章が1レスってことは、24レスでシーズン1終了だな。
トニーもってことは、シーズン5で死ぬ前から召喚されたんだな。
テロリストなら最低でも気絶してる間に拘束くらいするだろ。
第一声が周りを黙らせろかよ、召喚後の感想とか無いのかよ。
つーか周り見たら自分の状況も分かるだろ、どうみてもファンタジーワールドだぞ。
目の前にいるからって、アメリカ人からしたら小学生に見えるような年齢で髪をピンクに染めたパンクな女の子に質問かよ。
しかも名前を聞いた次の質問が「おまえはテロリストか?」って、こっちの人間でも首を傾げるわ。
それにコルベールはどうした、変な宗教団体にしか見えないとしても、まずは大人を探して質問するだろ。
威嚇したらまんまと相手が動揺してるんだから、まずは情報を引き出せよ。
つーか発砲まで早すぎだろ、どんだけ焦ってるんだよ、向こうじゃ残り4時間とか切ってるのか?
生徒共も発砲程度で逃げないで反撃なり半殺ししろよ、銃を持った平民一人なんて物の数に入らんだろ。
クラスメイトが撃たれてるのに「ちょっとやめてよ」って軽いな、つーか冷静だな。
つーかなんでクラスメイトが撃たれて落ち着いてるんだよ、普段喧嘩売ってくるアホでもやられてスカっとしたのか? キュルケか?
と思ったら自分に突きつけられて涙目か、さすがに頭じゃ死ぬもんな、治療の仕様が無いもんな。
先生達遅いよ、ちょっと遅れて出たら格好良くね? とか言っててタイミングを失ったのかよ。
つーか監督役のコルベールはどうした、まさか既に始末されてるのか?
人質の体勢をとったって何だよ、ジャックが人質なのか?
「動くな! 動けばルイズの命はないぞ!」って、名前を聞いてたのはこの伏線だったんだな。
ジャックの暴走が始まった。書いてる奴が暴走させてるだけだろ、これ。
とりあえず小山力也の声で脳内再生すればいい、ってのはわかった
ジャックの一人称って「俺」じゃなかったっけ
♪俺は、ジャック・バウアー
豪鬼とかの氣はちゃんと理論づけて説明しようと思えば、経穴がどうとか気脈がどうとか
チャクラがどうとかプラーナがどうとかの話になるだろうし。
内功と道術とヨーガがわからないときっちり書くのは無理じゃないか?
「精気を丹田に溜め、気脈を通じて全身に滑らかに循環させる。そしてその流れを天地の気脈と
合一し、気息に化える。すなわち錬精化気。」
「何を言ってるのか全然わからないわよ!」
『相棒』より、米沢守がスピンオフ出演。
「重要な事に気が付きました。
私は映画で初主演が控えているので、このような事をしている場合ではありません(帰る)」
ふと、ハルケギニアにおける捜査能力に疑問が沸いた。
フーケのゴーレムが学園の塔を破壊したあと全くと調査せずに、信用があったとはいえミス・ロングビルの言葉を鵜呑みにして学生を討伐隊に送り込んだ学園上層部……
鑑識の人間が召喚されて、知識と技術を広めるのも面白いかもしれないな。
凡人は理屈で理解するけど
天才は感覚で理解する
豪鬼が凡人とは思えないから、感覚で焔に変換してるんじゃない?
>853
ファンタジーな捜査能力ってあんなもんだろ
自白、拷問、何でもありだろうし
>>853 ゼロも元はエロゲ脚本だったというが
展開のエロゲ的な強引さのおかげで十数巻を完読し、クロスSSまで書けたと思ってる
その辺をキッチリ書くと、読んで面白いけど重ったるくなって、読み続けるのがキツい
>>503 >>507 強引というか一晩騒ぎ続けているとか歩いて半日馬車で4時間もかかる距離を
近在という不自然さとか、その広大な範囲を聞き込みしたのが朝起きてから
というごく短時間で済ませて往復もした事になるのに不自然さに
気づかない教師達とかもにょるところはやまほどあるよ。
※歩いて半日馬車で4時間といったら普通隣の国です。
少なくとも隣の伯爵領です。現にタバサ3巻ではトリスタニアで色々した
シルフィードが攫われて馬車で移動、夕方にはゲルマニアとの国境でした。
タバサは馬で先回りしました。
さておき
http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/6719.html 使い魔は剣士カエルという絵がはられていた。
設定スレへいけ
なんかキモイんだけど、もにょるってどういう意味?
「もにょる」とか言う奴にロクなのがいないと
長年の経験でわかってきた
もにょる、もにょるってなんだ
魚の子みたいなものだよ
何にせよ自分でうまく扱えない設定や描写は無理に挟まない方がいい
読んでて疑問符が浮かぶし、最悪「この話なくてもいいんじゃね?」ってなる
マクロス7船団、もしくはフロンティア船団召喚
新大陸適当に見つけて引きこもりそうだが
そのまま出てくだろw
細かいことを気にするな、コルベールのようになるぞ。
そんなにツッコミたいならプロフェッサー猫柳田と三バカヒーローでも呼べ。
きっとファンタジー世界で科学的に活躍してくれるだろう。
愛吉坊ちゃんも最初は巨大化しようとか言ってたのに・・・
そろそろアクマの人くるか?wktk
あー熊のちから〜身〜に〜つ〜け〜た〜
ウギャア、キン肉マーン!!
Xファイル 神隠し
米軍基地から連続して兵器が盗まれるという事件を追っているスカリーと
連続失踪事件を追いかけていたモルダーがたどり着いたのは
謎の鏡だった
「突然、目の前に鏡が現れたらくぐるに決まっているだろう!」
「止めてモルダー!危険よ!」
「くそっ、離すんだスカリー!消えてしまう!」
ゆらゆらゆら ふつり
「あ、ぁ なんて事だ!消えてしまった!」
ブツブツ文句を言い始めるモルダー
再び現れる鏡
「磁場が滅茶苦茶だ!」
滅茶苦茶うれしそうな顔をして方位磁石を見せるモルダー
応援を呼ぼうとするが携帯電話が使えなくなるスカリー
「ええそうね、きっと自然発生したプラズマか何かよ」
「プラズマがこんな事起すなんて聞いた事無いよ」
「じゃあ全く新しい自然現象なのよ」
肩をすくめる
”つよくてマッチョな ・・・・・・”
「今、何か声が聞こえなかったか?」
”わが よびかけに こたえよ”
「・・・気のせいでは無さそうね」
銃を構えながら鏡に近づいていくモルダー
「応援を呼ぶから先走らないで!」
「姿を現せ!」
パン パン パン
ジ" ジジジ
「不思議だ見てごらん、表面には傷ひとつ見えない」
地面に落ちている石をいくつか角度を変えながら投げ込むが鏡に触れた瞬間消えてしまう
「どうやらこれは一方通行みたいだ」
「これが一方通行だとすると一体どこに繋がっているのかしら」
スモーキングマン
「タバコうめぇwww」
>>865 とりあえず普通にバルキリーごとでも何でも良いからアルトあたりを召喚すると・・・
アルトが持つフォールドクォーツのイヤリングを道標に捜索隊がハルケギニアへフォールド成功。
船団が追いかけてくるとかありそうですね。
ちなみにバルキリーの装甲は反応炉の余剰エネルギーを装甲に流し、素材の分子構造を強化する『エネルギー転換装甲』
リアル系のマシンをハルケギニアに持ってきた場合の最大の弱点は『錬金』の魔法なわけで、『固定化』で対策しないとヤバイってのが一般的だけど
こういう『エネルギー転換装甲』やら『超伝導装甲』やら『時空侵食性対消滅反応装甲』みたいなのは
素で固定化と同等の対『錬金』性能を発揮しそうやね。
>>873 >アルトが持つフォールドクォーツのイヤリングを道標に捜索隊がハルケギニアへフォールド成功。
>船団が追いかけてくるとかありそうですね。
そんなことしたらバジュラまで呼び込むことになりますって。
ハルケギニアが五番目の兄弟の人以上の地獄に……
確かバジュラは人間を理解して自分たちから去ってくれたんじゃなかった?
後、アルト一人いなくなったからって船団ごと来るわけねーだろ
いいとこSMS御一行が捜索に来るぐらい
つまり
ぎーんがにたーねをーばーらまーこー
を実践すると
>ゲーッ!毒の爪の使い魔
ジャンガの爪が着脱式でジャンプして回転しながら
「お前を上回る1200万パワーだ!キィィーーーーーッキキキキキキィィィーーーーーッッ」
と言っていた記憶しかないなあ
何という噛ませ犬w
>>867 猫柳召喚はガチでありだと思うがどうだろうw
書くほうにそれなりの知識がいるけど
880 :
ゼロ執事:2009/03/31(火) 16:27:45 ID:iIAU1E4h
二話投下開始します。
「今年の一番の大物はドラゴンかー」
「予測が外れたな……あ、人間ってのもあったか」
「あれは別だろー」
「俺もサラマンダーみたいな派手なのがよかったな」
わいわいがやがや。
各々が今年の儀式の感想を言い合いながら、魔法を使って学校へと戻っていく。
生徒達が次々と、何も道具を使わずに飛んでいく光景というのは、当然セバスチャンには馴染みがない。
それどころか人間が空を飛んでいる光景などお目にかかった事がない。
本来なら頭を抱え込むべきであるが、周りの生物達を見た時点である程度諦めはついていた。
元の世界よりのそれよりも、自分の世界のそれに近い、動物というより怪物達の群れを見ていると懐かしい気分にもなる。
自分が何であるかを考えると、魔法があってもおかしくはないのだろう。
そもそもここが異世界であるというなら、召喚された身はそれに従うまでだ。
「ではお嬢様、我々も向かいましょうか」
「……え? ああ、そうね。貴方飛べたりしないものね」
「お疲れですか? 顔色が悪いですが……」
「しかし―――魔法というのは便利なものですね」
「何よそれ。魔法が使えない私への当てつけ?」
「いえ。ただ……馬車や自動車も無しにこの距離を移動するとなると、やはり魔法の利便性が際立ちますから」
セバスチャンの元居た世界も、移動には自動車や馬車を用いるのが一般的だった。
自身のみ移動する際は"少しだけ迅く走ったり"してはいるが、それは例外である。
「自動車? 何だか解らないけど、メイジはみんなフライの魔法を使うのよ、知らないの?」
「いえ……私の知っている範囲では、これほど多くの人間が魔法を使っているのは見たことが無かったので」
―――それも、こんな幼い子供達が。
元の世界では皆が夢を見る「空を飛ぶ」という事を、いとも簡単にやってのけているのを見て、またこれはとんでもない世界に呼び出されたものだと実感した。
悪魔という身の上、召喚自体に驚きはないもののやはり別の世界というのは予想外である。
「そういえばあんた、どこから呼び出されたのよ。執事って事はどこかの貴族に仕えてたんじゃないの?」
「倫敦という所に主人が居ます。この契約を見る限り―――」
左手の魔方陣の上に刻まれたルーンを晒しながら、セバスチャンは少々困ったように続けた。
「こちらの世界の契約の方が、優先順位が高いようです。私はファントムハイヴ家執事であり、かつお嬢様の執事でもある、という……少々、複雑な事になっています」
「倫敦?何よそれ、どこの国?」
「英国という国です。こちらの世界ではない、別の世界の」
「……」
別の世界と言う執事の言葉に、ルイズの脳裏にある光景が蘇った。
>>875 うむ。ゆえにまずは捜索隊が来てハルケギニアの存在が知れ渡る。
しかる後に入植可能と決まったなら、"新しい"船団が来るのもアリかなと。
うーん、でもやはり原住民の国家がある以上、移民と言うより新たな交流が始まるって方向かもしれない。
ヴァジュラが来るか否か、"入植先をいまだ見つけていない時期の"フロンティア船団が来るかどうか、
は召喚時の状況によるって事で。
◆◆
契約時。
唇を触れあわせた時セバスチャンは左手に熱さを感じたが、同時にその瞬間、ルイズの脳内に流れ込んだある映像があった。
雨の中で見ているような荒い映像で、断片的なものでしかない。
それでも、少なくとも自分の知っている世界でないことは解った。
「ぐずぐず―――もう――仕留め―――」
ハルケギニアとは比べものにならない程大きな町並み、それを覆う深い霧。
「―――私は――執事ですから」
何か赤い者と戦う血まみれの執事と、傍らの少年。
「幾千にも――も――ごきげん――――」
登場人物も舞台も設定もわからない映像を見せられ、わかったのはそれが彼に関係すると言う事だけ。
その映像が何によるものなのか、何故こうして頭に入ってくるのかはすぐにはわからなかったが、
今となってはあれがある意味視覚の共有だったのではないだろうか?
こうしてその映像の中の人物が目の前に居る以上、それを信じさせる要素としては十分だろう。
ルイズはそう考え、彼の事について深く考える事を止めた。
「前の主人が、別の世界に?」
「前の、ではなく、現行も主人ですよ。お嬢様。確かに私はあなたに仕えていますが―――真の主は、元の世界のシエル・ファントムハイヴという方です」
おそらく契約の印が消えずに存在している事もその証拠でしょう、とセバスチャンは付け加える。
「しかし契約は契約です。お嬢様の願いを叶えるまでは、私は執事としてあなたにお仕えします」
「一人前のメイジになる……」
「そうです。お嬢様がどこの貴族の前に出しても恥ずかしくない実力と功績を上げ、一人前のメイジとなる時まで」
深く頭を下げながらそう言うと、また前に向き直った。
「傍を離れるなという命令があったのですが……まあこのルーンによる契約が他の契約を反故にするような無粋なものでなければ、元の世界に戻った際になんらかの辻褄合わせがあるでしょうね」
「……何の事かわからないけど」
「では、急ぎましょうか。あの建物の方に向かえばよろしいのですね?」
「トリステイン魔法学院よ。この国のメイジは、みんなここで魔法を学ぶのよ」
話ながら歩いているうち、二人の足は石造りのアーチに差し掛かっていた。
「そういえばあんた、執事として扱えばいいのかしら? 使い魔の方がいいかしら」
「できれば執事として使役していただければ。執事たるもの、主人の命はどんな事でも遂行します」
「ふーん……じゃあそうしようかしら。同じようなものだものね」
「では……ここの事について、色々とお聞きしたい事があるのですが」
「"この世界"ではまず、使い魔とはどういう存在なのですか?」
「生徒は一人一匹、使い魔を召喚するの。」
「使い魔の役割は―――まず、主人の目となり耳となる、感覚の共有があるわ」
「感覚の共有?」
「契約の時にどっかの街が見えたのがそうかしら……まあいいわ。次は主人の望むものを手に入れてくる事」
「こちらの知識を手に入れ次第、お嬢様の望むものは手に入れて参ります」
「……そうか、何にも解らないんだっけ」
契約についてはすんなり受け入れた執事であるが、知識については全く異なることを思い出す。
「知識もそうですし、その前にまず文字が読めませんしね」
「じゃあ……明日はまあ私と一緒に授業に来なさい。明後日辺りには図書館で文字の勉強でもしましょう」
「かしこまりました」
「疲れたわね……今日はもう休もうかしら」
「では、お部屋の方へ」
その後も情報を教えられながら寮へと向かっていく。
執事として働くにあたり、服などは同じで良いのだろうか、という不安があったものの解消された。
ルイズのローブの下の服を見る限りでは全く構造が異なると言うわけでもない。
そもそも彼女は自分が来るまでは自分でやっていたようなので、解らなくとも何とかなるだろう。
セバスチャンが考えていたのは、むしろ食事の方である。
この学院ではきちんとしたメイドがしっかりと働いていて、その上シェフも焦げていない食事を作るらしい。
いつもの屋敷での騒ぎを懐かしく思いながら、きちんと働く使用人の姿に何故か感動すら覚えてしまう。
「……では、私は平時何をすればよろしいのですか?」
「そうね……何かあるまでは私に付いていてくれれば良いわ。まあしばらくは文字とか覚える為に図書館とか学院内を回っていてもいいわよ」
「明日のご予定は?」
「予定も何も……ただ普通に授業があるだけよ」
時計を取り出してから時間の進みが違うのを思い出して溜め息を付く。
ここには正確な時計が存在しているのだろうか?
存在していなければ、時間を確かめる為に他の手段が必要になる。
「では今晩中に明日の用意を致します。学院内を回るのは……夜間回るというのは些か迷惑になるかもしれませんし、明日の空いた時間に図書館で基本的な書物を借りれられば解決します」
「……執事って居たことないんだけど、どこの執事もこんなにテキパキしてるの?」
「執事は主人の為に存在します。その命令を果たす為なら、まずどんな知識も持っておかなければなりません」
部屋内にて、ルイズによる説明は続く。
とりあえず子供が教わる程度の
世界自体が全く異なるので、知識はいくらあっても不足状態なのだ。
時には羊皮紙に簡単な図を書きながら、ルイズの知識がセバスチャンに教えられていく。
休む筈が深夜遅くまで講義を行う事になってしまっていたが、
「この世界は一つの大陸で、ここがトリステイン。隣の国がゲルマニア。他にもガリアとか……」
「ここは、島なのですか?」
「アルビオンは島じゃなく、大陸。浮遊大陸よ。宙に浮いてるの」
「……」
「まあ今日はこの辺にしておくわ」
そもそもの問題はこのように、大陸が浮いているという非常識な事が、こちらでは常識なのである。
人間の思考などはそのままなのに対して、魔法が最初からあったこの世界の文化は根本からそういうようにできている。
そう言った事を全て飲み込んだ上で話を聞かなければ、知識を吸収する妨げになる。
執事の苦労は、どこの世界に行こうが絶えない。
◆◆
―――深夜。
寝入ってしまったルイズを確認してからセバスチャンは外に出た。
悪魔である彼には睡眠は必要ないため、夜間は翌日の準備に当てられる。
今日の講義によって基本的な部分については学べたが、文字が読めないのはやはり障害になりそうである。
これ以上主人を煩わせるのも相応しくないと考えたセバスチャンは図書室へ向かうため闇の中に姿を消した。
投下終了です。
投下宣言と本編が一緒になってしまいました、すいません。
>>873 フォールドクォーツ使った新型フォールド機関ならありえそうだなあ。
アルトごときで来ないなら銀河の歌姫を召喚してしまえばイイジャナーイ
>>887 銀河の歌姫って「世界は私のもの、私は世界のもの」っつーアノヒトでぃすかー
まだこのスレあったのか
>>887 ランカならヴァジュラも追いかけてくるパターンですかね。
アイくんくらいなら来ても話が破綻しなさそう。
この場合ヴァジュラネットワークがハルケギニアにまで及んでいると言う前提条件が必要になりそう。
アイくんはスタンドアロンじゃまともに活動できないハズ。
銀河の妖精だった・・・
>>890 あ、でもそう言えば、新型弾頭の情報がヴァジュラ本隊に渡るのを防ぐ為に
フォールド波をジャミングした状態か何かでヴァジュラと戦闘してた事もあったっけ・・・
バサラ呼ぼう
7万人相手に歌い始めるわけか
・・・滑りそうだなー
>>893 おぎゃーおぎゃーと鳴く吸血植物か。ハルケギニアではめっちゃ繁殖しそうだな。
>>895 ウルトラ6番目の戦士の怪獣か。
小学生の、まだネットなど微塵も知らなかった頃、夏休みアニフェスで見たな。
今思い返すと結構重い話もあったなタロウ。
エースに退治してもらうしかないな
>>895 たしか耳から血を吸うんだよなぁ……こえぇぇ…
バサライカ・・・なんでもないです
というか、そろそろ作品一つ載せるのが限界の容量になってきたな…
>>893 ソイツは確か、小ネタであったで、七万人の観客に向かっていくところまでだったが
「テメェら、俺の歌を聞けぇ!」
♪ぼえええええええぇー
あの人ですね、よくわかるのですよー
MtLまだ〜
905 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 18:54:40 ID:/XVf0IHV
蒼い使い魔の人いないのかなぁ?
山よ銀河よ俺の歌をきけぇー
最高じゃないか
今流行の言葉で言えば
「あなたはココに居ますか?」って感じだな?
鯨と一緒に歌えるバサラさんなら七万の大軍なんてメじゃないな
バサラ「キラッ☆」
>>908 バサラさんならエルフとわかりあうことぐらい余裕でやってくれますよ
>>898 良く考えてみたら首斬り破沙羅は死人だから
そのまま召喚されても即契約解消になると気がついた。
そう言えば死人系の召喚って過去にあったかしら
>>911 ゆゆ様召喚とかあったが、案の定消えたな。一話で。
>>911 GSのおキヌちゃんか!
正確には幽霊だけど!
孫悟空は肉体持ちではあったが、幽霊には違いなかったんじゃ?
プリンス趙公明もある意味幽霊じゃない?
契約の瞬間に肉体を手に入れたけど
どうもです、三河屋っす。
投下は次スレを待った方がいいでしょうか?
後編が書き上がりましたが、規制に巻き込まれたままで本スレに投下出来ません。
どなたか代理投下お願いします。
サブちゃんの持ってきた商品の重量次第かと思われますです
超神ネイガーVS閃光のワルド「遠い風の中で豪石!」(後編) ◆A/myMazZ7Y:2009/03/30(月) 22:58:00 ID:gfU8/dlk
自分が非力であるということ。それはルイズがこれまでの人生の中で散々思い知らされてきたことだった。
彼女は魔法が使えない。呪文を唱えて杖を振れば、結果は常に爆発の一択だ。
「練金」も「ファイアー・ボール」も「エア・ハンマー」も、一年生でも片手間に成功させることが出来るような初歩的なコモン・マジックすら、
成功確率は常にゼロ。付いた渾名は『ゼロのルイズ』だ。由来を話せば情けなくて泣きたくなる話だとルイズは思っていた。
努力はした。授業は誰よりも真面目に聞いていた。他の生徒達が遊んでいる間にも彼女は魔法の理論を必死に学んだ。
なのに、結果が付いて来なかった。いつまで経ってもルイズは『ゼロのルイズ』のままだった。
それでもルイズは諦めなかった。周囲の嘲笑と罵倒を持ち前の気丈さで撥ね退け続け、更に努力を重ねてきた。だというのに、やはり結果は出なかった。
劣等感。無力感。愛する家族への申し訳無さ。実り無き試行錯誤を繰り返す度、心の中に降り積もっていく澱。ルイズを奈落へ引きずり込もうとするそれ。
知らず知らずそれに引き摺られ、奈落の淵に足を掛けていたその時、ルイズは出会ったのだ。
ゼロである彼女が初めて為し得たイチ。どうしようもない程お人良しで、訳が分からない程パワフルで、身も蓋も無い正義感の持ち主である大男を。
「錬金! フライ! ファイアー・ボール! エア・ハンマー!」
爆発、爆発、また爆発。ルイズが出鱈目に呪文を唱える度、礼拝堂の床が、長椅子が、壁が爆発していった。煙と土埃がもうもうと礼拝堂を舞った。
威力だけならラインにも届くルイズの失敗魔法はしかし、ワルドには一発も当たらなかった。
その多くは見当外れの箇所を爆破し、たまに目標付近で爆発が起こっても軽やかに飛びのかれてかわされる。
唯でさえ細かいコントロールの利かない失敗魔法だ。ワルド相手にまともに通用する道理が無い。だが。
「ロック! アンロック! サイレント! レビテーション!」
ワルドが向かってくるのを見ても、ルイズは詠唱を止めなかった。
失敗、失敗、また失敗。唱える呪文の尽くが失敗し、空中に爆発の華を咲かせていく。
ああ、自分は非力なんだと今更ながらに思う。名家ヴァリエール家の末娘だの何だの言ったところで、自分が出来るのは精々この程度の抵抗なのだ。
それにしたって後幾許も持つまい。シャンデリアの上から遍在の一体が飛び降りるのが見えた。誤爆に巻き込まれたら堪らないとでも思ったのだろうか。
不意に、ケン達と共にフーケを捕まえた後で、「どうせゼロのルイズなんて何の活躍もしてやしないさ」とクラスメイト達が自分の陰口を叩くのを見た時の
ことを思い出した。言い返せなかったのが悔しかったことも。
ああ、自分は非力なんだと繰り返し思う。貴族の誇りがどうのこうのと言ったところで、自分は所詮非力な小娘なのだ。
だが、それでも。戦うのだ。どんなに非力でも、手と足が動いて戦う意志がある限りそれは決して無力では無い。イチが決してゼロでは無いように。
ケンから聞いた彼の故郷とそこを襲った災厄の話を思い出す。
ケンは戦ったではないか。彼の故郷が空を覆い尽くす害虫の群れに蹂躙された時、農業人としての誇りだけを武器にたった一人で戦ったではないか。
ケンは守り続けてきたではないか。彼の故郷とそこに住む人々を。そして、この世界に召喚されてからはルイズとその周りの人々を。
ギーシュの八つ当たりからシエスタを守った。決闘を通じてギーシュに己の非を認めさせ、彼自身から彼の矜持を守った。
フーケのゴーレムに踏み潰されそうになったルイズ達を守った。
非力であるということが、美しいと信じたものを汚されて立ち上がらない理由にはならないのだと。守るために戦わなければならないのだと。
防禦こそ最大の攻撃なのだと。ケンはそう教えてくれたのだ。
おいおい、サブちゃんの方が早かったんじゃないか?
「錬金! 錬金! れ――」
ワルドの放った魔法、空気の鎚がルイズの身体を軽々と吹っ飛ばした。壁に叩き付けられて背中を強打し、その痛みで息が止まる。
「ぁ……」
言葉にならない呻きを漏らし、ルイズはその場に蹲った。
「残念だよ、ルイズ。……非常に残念だ」
近付いてくるワルドの足音が、ルイズの耳にやけにはっきりと聞こえた。
杖は手放してしまった。体力も精神力も既に振り絞り切った。もう打つ手が無い。ルイズに抵抗する手段は無い。
「たす、けて……」
弱々しく開かれたルイズの唇。そこから漏れ出た声を聞き取ったのか、ワルドの表情に薄っすらと失望の色が浮かんだ。
ワルドはため息を一つ吐くと、エア・ニードルの呪文を詠唱した。形成された真空の切っ先はルイズの身体を易々と貫くことだろう。
「たす、けて……」
ルイズは尚も繰り返した。命乞いではない。彼女が助けを求める相手はワルドではない。
ルイズは身体に残っている力全てを喉にかき集めた。想いの丈を込めて、叫ぶ。
「助けて! ケン!」
ルイズが自分で思っていた半分の大きさもなかったその声は。しかし、確かに彼の耳に届いていた。
焼け焦げ、襤褸切れのようになっていたネイガーの身体がぴくりと動いた。
身体中のあらゆる器官が上げる悲鳴をねじ伏せる。震える四肢に力を入れる。鋼の意志を四肢を内から支える張力とする。
ネイガーがふらつきながらも立ちあがった。満身創痍の身体。幽鬼のような立ち姿だった。
「待て、ワルド……」
それでも、その眼光の鋭さはいささかも衰えてはいなかった。
ワルドが思わず一歩後ずさってしまう程の気迫を放ち、悪を剥ぎ落とすナモミハギの化身が怒声を張り上げる。
「おめの好きなようにはさせねえぞ!」
ルイズが求めたのは奇蹟だった。奇蹟を体現した男だった。奇蹟という言葉の意味と、それを授かるに相応しい人間がどんなものか彼女に教えてくれた男だった。
そう、奇蹟とは。強い意志を持ちながら知力・体力・精神力それら全てを絞り尽くした人間にのみ与えられる、天からの贈り物なのだ。
「……化け物め。まだ動けるのか」
風系統最強の魔法の一つであるライトニング・クラウド。肌を焼き、肉を溶かし、骨まで焦がす威力の大魔法だ。
これをまともに喰らって立ち上がった敵にワルドは今まで出会ったことが無かった。
高速詠唱を用いた為に本式の詠唱で発動した場合と比べてその威力は減衰したものではあったが、それでも人間一人を死に至らしめるには十分過ぎる代物だった筈だ。
にも関わらず、敵は存命している。無論、効いていない訳ではない。奇妙な装束は何処も彼処も焼け焦げ、血が滲み出ている。手桶型の膝当てが付いた膝が笑っている。
半死半生、立っているのが不思議な位の重傷だ。魔法衛士大隊仕込みの戦闘術を用いるまでもなく、ただ近寄って軽く押せば勝てる位の。
だが、この威圧感は何だ? 死に掛けの使い魔風情に何故この自分が気圧されなければならない?
背中を伝う冷たい汗の意味を侭ならぬ状況への苛立ちで覆い隠すと、ワルドはネイガーに向き直った。
「おとなしく寝ていれば楽に死ねたものを。無駄と知りつつ何故立ち上がる? 使い魔を続けるうちにルイズに情でも移ったか?
だとしたら滑稽なことだ。ささやかな同情を恋と勘違いし、その為に最期を安らかに迎える機会さえ手放すとはな」
「見ちゃいらんねえからだ。ルイズが悲しむどごも、おめが無理して突っ張るどごもな」
ネイガーの漆黒の瞳がワルドを真っ直ぐに見据える。殺し合いの最中であった。少なくともワルドの方は敵を殺すつもりであった。
ワルドはその為の覚悟を固めていた筈であった。だというのに、彼はネイガーに向け魔法を放つことが出来なかった。
「おめ、本当は今でも信じてえんだろ。トリステインを、自分の生まれた故郷を。信じてえからごしゃぐんだべ」
「……何だと?」
「オラの故郷は暮らしてくには大変などごだ。お陽さまが照ってる時間は笑っちまう位みじけえ。冬になれば雪っこさ降り積もって雪掻きにおおわらわ。
若え奴等は仕事が無え娯楽が無えっつって都会さ出てっちまうべ。……だども、秋田さだっていいどごはいっぺあるんだ。美しい山。美しい海。
歴史と伝統に裏打ちされた職人達の手技。あったけえ人情味。厳しい土地柄に負けねえ熱っつい心を持った奴等。オラはそんな秋田を愛してる。
だからそこを駄目にしようとする奴等と戦ってきたんだ。おめと同じようにな」
「寂れた田舎と一国の窮状を同列に語るなこの痴れ者が! 私と貴様が同じだと!? 戯言をほざくな!」
超神ネイガー、アキタ・ケンは思う。この男はもう一人の自分だと。
ナモミハギより力を授かってから始まっただじゃく組合との戦い。戦い続ける中で一度も自分の戦う意味を疑ったことが無いと言えばそれは嘘になる。
戦っても戦ってもだじゃく組合の攻勢は衰えるどころか激しさを増すばかり。
この戦いに終わりはあるのだろうか。平和な秋田を取り戻すことなど、自分には不可能なことではないのか。そんな弱気の虫に憑かれそうになったことは何度もある。
もしもネイガー・ジオンやネイガー・マイ、荒海丸といった仲間達に出会わなかったら。終わりの見えない戦いの中で自分の芯が折れてしまったなら。
もしかしたら自分は今のワルドのようになっていたかもしれない。故郷を切り裂き蹂躙する者となっていたかもしれない。
まるでコインの裏と表だ。貴族と農民。魔法の世界ハルケギニアのトリステインと美の国秋田県のにかほ市。身分も生まれた場所も全く違うというのに、何の因果だろうか。
「貴様にわかるか! 同じ志を抱き、同じ戦場を駆けた戦友達の瞳が我欲で濁っていくのを見てきた私の気持ちが!
自分が信じ忠誠を誓った者達が、そんな価値の無い屑共だったと知った時の絶望が!
我ら貴族唯一絶対の宝である筈の誇りを、怠惰と保身という汚泥に塗れさせてしまった者達を見続けてきた私の怒りが!」
血を吐くようにワルドが叫んだ。彼の青い瞳の奥で、怒りと悲しみが火花となって散った。
「泥に塗れたからって、宝物が溶けて無くなっちまうわけじゃねえべ! オラは宝物が泥の中さ落っこちたら拾い上げる。泥に塗れたら濯ぐ。
何回でも、何十回でも、何百回でもだ!」
「愚かな……! 最早聞く耳持たぬわ!」
三人のワルドが一斉に杖を振り上げた。彼らが持つ杖の先に閃光が走る。幾重にも杖を取り巻き、ばちばちと音を立てて生まれる殺意の結晶。それが彼の返答だった。
本式の詠唱によるライトニング・クラウドだ。喰らえばヒトの形を留めていられるかどうかも怪しい。
くびきを解き放たれる瞬間を待つ巨大な雷の鎚が、礼拝堂の中を真昼のように照らし出していた。
「ライトニング・クラウドだ! 寂れた田舎の思い出に浸りながら焼け死ねがいい!」
「やってみれ! オラはもう倒れねえ! おめが目こ覚ますまでごしゃいでごしゃいでごしゃぎ倒してくれるど!」
「訳の分からない言葉を使うな田舎者がああぁぁ――――ッ!」
放たれた電光が光の大蛇の如くネイガーに襲い掛かった。室内が真白に染まる。百匹の猛獣が一斉に吼えたてるような轟音が響いた。
手で顔を覆い、閃光から目を守りながらワルドは勝利を確信した。これでは骨も残るまい。
自分は勝った。伝説の使い魔ガンダールヴに。「故郷」というものに執着する余り大義を理解しようともしない愚かな男に。
だが、あの男の愚直さがトリステインの貴族達に少しでもあったのなら、郷土をより良く変えていこうという意識を誰もが持ち得たなら、自分はきっと――――。
少しだけそう考えて、ワルドは心の中でかぶりを振った。今更栓の無いことだ。
そんな、何処となく空虚な勝利の実感に浸っていたワルドは、
「(……馬鹿な)」
ありえない光景を見て驚愕することになった。
黄金の光が雷光を防いでいた。
とても強いのに決して目を差さない優しい光。それが半球を形成し、ネイガーの身体を包んでいる。
雷光は光の球を貫くことが出来ない。当たる端から光の球に吸収されていく。ネイガーが雷を取り込んでいる。
「(そんな馬鹿な!)」
ワルドの頭は混乱の極みにあった。ありえない。こんなことはありえない。
杖も詠唱も無くこんな防御魔法を発動出来るとすれば、それは最早先住魔法の領域に足を突っ込んでいると言ってよいだろう。
スクウェアクラスのメイジにだって不可能だ。メイジですらないこの男にこんな真似が出来るわけがない。では、何なのだこの状況は?
ガンダールヴ。神の盾。伝説が今その本来の姿を見せているとでも言うのか?
「王牙」
ワルドは黄金の光の中で一際眩く輝くガンダールヴのルーンを見た。
「豪石!」
ルイズは雷鳴轟く中で何故かはっきりと響く超神の声を聞いた。
ネイガーの纏っていた光が弾けた。
その残滓、何十何百という小さな光の粒が、次々にぱあっと弾けていく。まるで黄金の粉雪だ。
一つ一つが金細工の一部のように複雑で精緻な構成を持っていた。異なる輝き、異なる構成、異なる美しさ。
どれ一つとして同じものの無い光の結晶が空中で絡み合い、交わり、ぶつかり、溶けていく。
それは幻想的な光景だった。荘厳なのに素朴で、見たことが無いのに懐かしい。破壊の爪痕を覆うように、黄金の粉雪が礼拝堂内に舞い落ちて行く。
ワルドは得体の知れない衝撃が頭の頂きから足の爪先までを貫くのを感じた。
あらゆる常識、あらゆる矛盾、ここが戦場であるという場違いさ――それら全てが瑣末なことに思えるこの美しさに見惚れていた。
「……貴様、何者だ?」
杖を取り落しそうになる腕に力を込め、足の震えを抑えつけながらワルドがそう問うた。
「海を!」
ネイガーが左腕を真っ直ぐに突き上げる。
「山を!」
脇に固めた右腕を正面に突き出し、そして右へ水平に薙ぐ。
「秋田を守る!」
拳に輝く田んぼの字。背中に踊る米の文字。ベルトに煌めく「ア」のマーク。
「超神ネイガー・大豊作フォーム!」
840 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 02:03:23 ID:SHYZ/1+b
小ネタでも、予告はしようぜ……
なんて言ってたやつとは思えんな。
それは、丹田から絞り出される声であった。人の優しさ、鬼の厳しさ、神の厳粛さ、全てを内包した朗々とした名乗りであった。
その身に纏うのは刈り入れ前の稲穂の輝きだ。時に日照りと、時に多雨と、時に実りを狙う害虫と戦い、豆の潰れた手で鍬を握り、その先にある大豊作を信じ、
汗と泥に塗れ続けた者だけが手にすることが出来る金色だ。そこにあるのはただ己が信念を貫くという強い意志。
太陽に向かって伸びることを諦めないたくましい稲穂のように、ネイガーはしっかりと地を踏みしめていた。
一歩一歩近付いて来る黄金の鬼神の姿。それを見て、ワルドは子供の頃母が聞かせてくれたお伽噺を思い出す。
イーヴァルディの勇者。ハルケギニアで最も有名な英雄譚を。
「うおおおぉぉぉぉ――――!」
「ブレイド」の魔法で剣と化した杖を手に、ワルドは二体の遍在と共にネイガーに飛び掛かった。降りしきる黄金の粉雪の中、駆ける。
駆ける中で視界が滲んだ。涙が滾々と睫毛の縁まで溢れ出ていた。
自分は悪漢そのもので。相手は子供の頃夢中で読んだ物語の中から抜け出てきたような勇者そのもので。
ワルドは泣いた。かつて自分が持っていたもの。国を裏切ると決めた時、遠い風の中に置き去りにしたもの。その大きさを思い、泣いた。
それでも止まることが出来ないのは、彼もまた己の信じる道を行く男であったからだ。
単純だが、それ故に相容れない。止まらないし、止められない。
「キリタン・ブレード!」
白刃の両剣を左手に召喚し、ネイガーがそれを迎え撃つ構えを取った。
ワルドはその目で隙を探していた。身体で杖を振るうタイミングを計っていた。そして結論する。勝てない。自分では絶対に勝てない。
百倍にも引き伸ばされて感じる時間の中で悟った結論は、奇妙なことにワルドに恐怖を感じさせるものでは無かった。
ワルドは思う。目の前の男は、泥の中に落とした宝を拾うために自ら泥塗れになることを厭わぬだろう。誰に蔑まれ、無駄だと笑われても決して諦めないだろう。
信じて守ることを選んだ男と、諦めて壊すことを選んだ自分。安易な道に流れたのは、弱かったのは果たしてどちらなのか。
ネイガーの剣気が爆発的に高まった。炎の羽根が舞い踊る。圧倒的な力の流れが物理的な力となってワルドの身体を吸い寄せる。
避けられない。こちらの斬撃が当たるイメージが全く湧かない。だが、ワルドの心は凪のように静かだった。
「すったげ比内鶏クラッシュ!」
空間に幾筋もの黄金の軌跡が走った。神速の早さで振られた両剣がワルドと二体の遍在をぶっ飛ばす。
意識が遠のく中で、ワルドは朝の訪れを告げる鶏の力強い鳴き声を聞いた。
故郷を愛する心を同じくしながらも全く正反対の結論に辿り着いた二人の男の戦いが、今終わりを告げたのだった。
わかりにくいと思われる方言の解説
・ごしゃぐ→怒る。叱る。
・だじゃく→乱暴。横暴。
・すったげ→凄い。とても。
以上、ここまで代理投下お願いします。
大豊作フォームのデザインが格好良すぎて書きました。
割り込んだ上にスレ立てについての言及無しとかw
>927
一つ間違っちゃ行けないのは投下したのはあくまで代理ってとこだ
SS書いた本人じゃない
代理でも、予告はしようぜ……
>>928 アリガトウございます!
では、行ってきます!
>922
>「訳の分からない言葉を使うな田舎者がああぁぁ――――ッ!」
いまさらすぎて吹いたwwww
ルナ・ヴァルガーには、鱈の味噌漬けがあったぞ。
ルナ・ヴァルガーの設定を一部流用して、虚無の魔力をエッチで充填するルイズ。
タルブ戦では、エクスプロージョン発動の為にゼロ戦内で才人と寸前までチョメチョメ……。
ギルバート・エゼンなら大当たり
アチャラカ・スチャラカ・チャーラン・ポーランなら……こいつもかなり強い召喚師なんだよな
ルナ・ヴァルガーを知ってる年齢のやつが三人もいた事に驚きを禁じ得ない。
ポスタル・デュードで書く
バト・ロビスを呼べば無敵だな。
怪獣とガチで戦おうって無謀戦士だし。
ネオ・ヴァルガーはつまんなかったよなぁ
バド・ロビス呼んだらキュルケのお誘いで本番突入しちまうなw
ルナ・ヴァルガーの面子は誰を召喚しても言う事きかなそうだなw
おまえら何歳だよw
66歳とか言ってみる
そういや方言とか訛りってゼロ魔側には普通の言語に聞こえるんじゃない?
“死の魔獣”とか呼んじゃったら、話が始まらないな。
……勿論、お惚気話が既に始まっている状態なので。
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_ノィゝ ‐__‐ .ィ从「 <刹那・F・セイエイ、このスレを駆逐する
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あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part223
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