あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part221

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part220
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1237006602/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

     _
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 21:30:19 ID:PHCTTw0m
作者が華麗に2ゲトーッ!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 21:30:44 ID:CL8V3Ms0
代理の代理が華麗に3ゲトーッ!
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 21:55:17 ID:JPBmEkJl
半年以上放置中が無謀に4ゲトーッ!
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 21:56:05 ID:ZMLpUPAc
ここで名無しが>>1
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 21:57:13 ID:LDWVehhi
出来れば明日中に投下したいけど無理かなと思ってる俺が6ゲトーッ!
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:00:26 ID:InXiUbp2
今月中に続き投下したいがいい加減口から何かを吐き続ける状態が治らない自分が7ゲット!!
8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:00:35 ID:QcSUrSKe
腹筋しながら名無しが>>1小津
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:01:10 ID:g4OdXexW
半年以上放置してるうちに読んだ作品がアニメ化された佐藤大輔病患者が7ゲット。はぁ・・・早く書かないと…
10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:08:56 ID:C3f3pFiW
>>7の健康を祈りつつ>>1
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:16:15 ID:5+kuhtL8
クジャコスチュームのテファは無いだろう…ふぅ
ともあれ>>1
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:16:18 ID:CL8V3Ms0
>>1に乙を忘れていたので、俺の中で最上級の讃辞の言葉を贈りたいと思う。

>>1
ありがとうカズ!

そしてカズの背番号ゲトーッ!
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:35:27 ID:QyJamyld
>>12

はて?カズの背番号は12なのか?
ともかく>>1乙
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:42:22 ID:LDWVehhi
>>13
そこはそっとしておいてやれよww
15名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:43:08 ID:CL8V3Ms0
>>13
確かに俺は、>>12で「カズの背番号ゲトーッ!」と言った。
確かにそう言ったが、ここで変わるのは【カズの背番号】では無い。
ここで変わるのは【俺が取った>>12】の方なんだ……

つまり、こういうことだ!
カズの背番号>越えられない壁>2chのスレのレス番
簡単だろ?
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 22:45:30 ID:BoGFcWBF
ハルケギニア地図をさらに書き込んでみました。
作者さんの皆様がSSを書くときの参考になれば幸いです
http://roofcity.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upload/src/up0099.jpg
ディティールと地名を追加、各所の位置を、距離の妥当性強化のため
微調整しました。

ラ・ヴァリエール領ですが、少ない記述をつなぎ合わせ、
なんとか暫定的に位置を割り出してみました。
他にも暫定的な位置のものがけっこうあります。
ぺんぺん草が名物のオルニエールとか。
1ドット2リーグなので5ヘクス四方です。なぜか砂漠と同じ色です(w

アルビオンはまだ手付かずのままです。
次までには色々確定したいですね。ロサイス問題が解決することを祈りつつ。
17名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 23:02:27 ID:P8mj4Oxh
>>16
鳥がなんか吐いてるみたいだな
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 23:04:55 ID:pdcYxch3
ツチノコだよ絶対ツチノコだよ
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 23:11:34 ID:LDWVehhi
>>16
せっかくだから保存させてもらうぜ。
……しかし、欲を言えば地図の縮尺みたいなのが欲しかった。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 23:50:59 ID:P8mj4Oxh
http://roofcity.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upload/src/up0100.jpg
1ドット=2リーグ、1リーグ=1kmとするなら、こうなる…のか?
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:16:28 ID:eT2LtjtP
>>20
こうしてみると案外狭い地域の話だな、なんてw
2216=ネタばれスレの365:2009/03/19(木) 00:18:53 ID:Vw9VxmNo
>>20
乙です乙です!
もしよろしかったら次にアップするときそれ使わせてもらえませんか?
(アルビオン含めてになるかは微妙ですが)
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:21:58 ID:zCwbPInR
スレイヤーズトライの世界地図を思い出した。封神結界内がこんな感じだった気がするw
しかし現実の欧州をつい想像しがちだったが、こうしてみるとカムチャッカ半島を巨大化させた感じなんだな。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:23:19 ID:Zg+5YxPL
>>20
Wikipediaで載ってる地図とはだいぶ形が違うな。
結局どっちが本当なの?
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:24:11 ID:d8M1jAIn
>>20
トリステインはめちゃくちゃ小国だな。
こんだけの国土差があれば、どう考えてもゲルマニアには勝てないだろ。
トリステインにはメイジが比較的多いというが、普通に人口比で考えればゲルマニアのほうが多そうだが。
よく、ルイズの家とキュルケの家で、戦争なんてできたな。
普通は蹂躙されるだけだろう。。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:25:39 ID:gQl3CCrq
さすが優秀な軍人を輩出している家系だな!
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:25:50 ID:KBCfsMQt
ゲルマニアファミリー
キュルケみたいなウサギが居る家のおもちゃ
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:28:06 ID:PQf3GAyx
>>27
一瞬凄く和んだが、キュルケ!?・・・色々エロいことになりそうだw
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:29:51 ID:gQl3CCrq
ウザギというかバニーだよなw
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:30:15 ID:IPi+QlpF
ゲルマニアって小国が集まってできた国だったはず
その戦争時に一つにまとまってなかったんじゃね
ルイズとキュルケの家もお互いとだけ戦ってたかもしれないし
3116=ネタばれスレの365:2009/03/19(木) 00:30:35 ID:Vw9VxmNo
>>24

総面積や小説内の距離記述などを元に計算・試行錯誤して作りました。
細かい差異はあれどおおむね原作の記述に沿っているはずです。
ただし新刊が出るたびに形状が激しく変わる可能性があります(w

16巻での記述で一番変わったのはくちばしが大いに西に伸びたところです。
トリステインから海上ルートでロマリアに行った場合と
ガリア上空を突っ切った場合とでは3倍近い時間の差があります。

この3倍について妥当な形状を模索したらこんなに細長くなってしまいました(w
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:33:37 ID:zCwbPInR
ゲルマニアに食い込んでるトリステインの領土ってほとんどヴァリエール領じゃないのかな。
たぶん同じような領土を持って隣接するツェルプストー家とだけ戦ってたんだろうな。
3316=ネタばれスレの365:2009/03/19(木) 00:41:59 ID:Vw9VxmNo
あ、間違い。あの記述は16巻じゃありませんでした。

というかこの辺りの細かい記述を全部載せると相当の量になってしまいますので
どうしたものかと悩んでいます。
3420:2009/03/19(木) 00:42:12 ID:Y1JsXbg2
>>22
地図作成乙、ご自由にどうぞ
3516=ネタばれスレの365:2009/03/19(木) 00:43:51 ID:Vw9VxmNo
>>34
ありがとうございます!
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 01:23:40 ID:glGtsl+1
>27
絵:小林源文
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 01:31:57 ID:CtyE0GiA
>>27
一瞬、アダ○スファミリーチックなキュルケが浮かんだのは秘密
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 01:38:54 ID:KBCfsMQt
というかウィーントリステインに近すぎかリュティス東に寄りすぎ
ガリアの西部地域よく反乱おこさんなw
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 02:11:10 ID:jPFfXTyg
予定がなければ2:15から投下します。
作品は「クロノベルト」から「九鬼耀綱」を召喚です。
プロローグに近いので全部で5スレぐらいです。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 02:13:05 ID:mz250baq
>>39
節子、5スレやない、5レスや!
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 02:13:38 ID:CW6TBA1b
5スレ…だと……!?
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 02:14:37 ID:jPFfXTyg
>>40
たしかにwww
どんだけ書いたんだ俺www
では投下します。
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 02:15:37 ID:inkEHl6e
大長編キター
これはすごそうだ
支援
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 02:15:43 ID:g/8lc+L4
なん・・・だと・・・・!!??
45虚無と鬼-01(1/5):2009/03/19(木) 02:15:53 ID:jPFfXTyg
ただ歩いていた。
白き靄が立ち込め、果てが見えないほど真っ直ぐに続く道。
その道以外には霧以外はなにもなく、道の外には深い奈落があるだけである。
傍らには誰もいない。
先ほどまで共に歩いていた息子とは、すでに道を違えた。
後悔や未練はあると言えばあるが、我慢できないほどのものでもなく。
息子の前ではカッコよくいたいと思うぐらいには父親であった。
どちらにしろ、今更息子の行く先へと行けるはずも無く。逆に息子を連れてゆくわけにもいかない。
なぜなら行く先は地獄なのだから。
人を殺しすぎた。
仕事、正当防衛、犯罪者相手――そんな建前が通用するには数が多く。
なにより自分の“強さのために”殺したものだからだ。
犯罪者を殺し、本当は罪のない者を殺し、力ある者を殺し、力ない者を殺し、子供を殺し、老人を殺し、悪人を殺し、善人を殺した。
百には少なく千には遠い。
少なくとも、もし浴びた返り血が見れるなら男の全身は真っ赤に染まりきっているだろう。
そんな殺人鬼が死んだ息子と会い話が出来ただけでも過ぎた幸せだった。
だから未練はあっても心は静かで、後悔はあっても頭は吹っ切れる。
それにと考える。人を殺した自分は地獄へ落ちる義務があるのだと。
迷いなく――迷いを表に出さずに――その道を進む。
そんな自ら地獄へと向かう自分を遮るように、それが道の真ん中にあらわれた。
「鏡……?」
それまで一言も喋らなかった男が声を出す。
そう、目の前にあるのは鏡だった。
水面のような鏡面に、縁取るような光。身の丈は自分と同じほどあり、なんの力か浮いている。
だがその鏡には一つだけ足りないものがあった。
それは写し身――その鏡は自分の前にありながら自分を写してない。
それに似たような物を知っていた。極々最近のことだった。
周囲を見渡すと、声を響かせる。
「雲外鏡、いるのか?」
返事は無い。
彼女の仕業かとも思ったがどうやら違うようだ。
ここは彼女達の領域。その領域内で呼びかけに応えないとは、新世界へ行っているのかもしれない。
考える。
目の前にある鏡の意味を。
少し前なら無視しただろう。
なぜなら、関わる義務も資格もないからである。
前は、失効したはずの義務と新たに発生した義務によって関わったが。今回は理由が無い。
だが。
「まあいい、これも縁というものか」
このまま死ぬのも味気ないという思いもあった。
「死んでからも忙しいことだ」
興味を極力隠しつつ、腕を出す。
腕は鏡に触れると、波紋と共に容易く飲み込まれる。
「さて鬼が出るか、蛇が出るか」
そう言いつつ自分も鬼だと気づいて軽く笑い、その姿が鏡へと消え。鏡も解け薄れていった。
後に残されるは、何も無い道だけである。

          ◆

コルベールの背筋は凍りついた。
目の前で生徒が起こした大爆発についてではない。
そんなものは、とうの昔に慣れている。
たとえ至近距離で爆発が起ころうと、冷静に状況を俯瞰できるように“なっている”のだ。
だから、背筋が凍ったのはそれに対してではなく、その後についてだった。
自身が受け持つクラスの劣等生と言われている少女。
誰よりも努力家で、勤勉家で、気難しく、報われない公爵家の三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
魔法が使えず、蔑まれているその少女をコルベールはいつも気にかけ、そっと後押しをしていた。
彼女の要望で、個人授業をし様々な質問に答えてきた。
こう言ってはなんだが。出来の悪い生徒ほど可愛いと言う言葉はよく当てはまっていた。
少女はコルベールのお気に入りの生徒であり。魔法を失敗し唇を噛み締め俯く少女に、魔法が使えないからこそ見える道もあると言いたかった。
46虚無と鬼-01(1/5):2009/03/19(木) 02:16:36 ID:jPFfXTyg
だが、現実は違う。
ここは魔法学院であり、世界の理論では貴族とはメイジであり、魔法が必要とされている。
そして今日の使い魔の儀式で使い魔を喚ばなければ、少女は留年となる。
だからこそ、少女が『サモン・サーヴァント』で大爆発を起こした時、できる限り見守ろうと思い。成功したならば心よりの賞賛を与えようと思っていた。
今この土煙から“その男”が現れる瞬間までは。
その男を見た瞬間。
反射的にコルベールは杖を突きつけていた。
メイジの杖を突きつけるという動作は、一種の精神集中である。
杖を突きつけることにより、狙いたい場所へ意識を集中する。狙いを定めない場合、どうしても思考に遅れが来るのだ。
だからこそコルベールは杖を突きつけた。体に教え込まれた動作がスイッチとなり、条件反射で魔法が唱えられる。
それは召喚を行ったルイズも、爆発を見守っていた生徒達も誰もが男の存在に反応する前であり。
その動きは“閃光”と謳われるグリフォン隊の隊長ワルドにも劣らないだろう。
戦場を離れたとはいえ、それほどまでに隙を突いた上での最速の動作だと自負できた。
だが――相手の反応はその上をいっていた。
コルベールが杖を突きつけた瞬間――男の姿が消えた。
「な――」
刹那、コルベールの思考に混乱が起きる。
そして、相手はただ自分の視線と杖が重なるように“屈んだだけ”だと気づく。
その1秒にも満たない時間は、コルベールにとって最も貴重で致命的であった。
「フ――っ」
黒い影が、ヌルリと滑り込むように攻撃領域へと侵入してくる。
それは迅速であり、迅雷であり、なにより不自然なほどに自然に間合いを詰められ更に対応が遅れた。
迫る影を前に、とっさに後ろに引かなかったのは歴戦の勘か。
むしろ影を踏み潰す勢いで前へ飛び出す。
それには相手も虚を突かれた様で、踏み出した足は相手に掴まれ、それを足場に飛ぶ。
「――取った!」
一気に反転する視界で、立ち尽くすような背に杖を突き出し。
「――いや、取られたんだ」
ぞっとするような声が返ってきた。
まさに背中に目があるような正確さで、その腕を掴まれた。
視界が急激に加速し、叩きつけられる。
「――ぐふっ!?」
一瞬世界が白く染まる。
そして意識が飛んでいたのか、視界が戻ったときすでに手に杖はなく。
「いくつか質問する」
首を掴まれ、見上げると隻眼白髪の男がいた。
「まずは一つ目。俺の言葉がわかるか?」
首を掴む手に感じる力は凄まじく、下手な動きは死を招くと直感し、慎重に声を出す。
「……ああ」
「そうか、では二つ目だ。俺を襲った理由は」
ギリっと手に力が篭る。
咳き込みそうになりながらもコルベールは声を出す。
「せ、生徒を守る……っためだ……」
コルベールの答えに男は笑いを漏らす。
「なら、言っておこう。俺は相手からなにかされない限り動く気もないし。ガキからなにかされたぐらいで危害を加える気もない」
少々教育はするかもしれないがな、と男は呟き手の力が緩んだ。
「それでは、三つ目だ。ここはどこだ、この世界はゴルトロックなのか?」
その言葉に怪訝になりつつも答える。
「トリ、ステイン魔法、学院……ハルケ、ギニア……だ」
「そうか……」
隻眼と視線が交わりコルベールは直感した。
これは、地獄を潜った者の目だと。
「最後の質問だ。俺はなんのために呼ばれたんだ」
その質問に口を開こうとして。

「――わたしの使い魔にするためよ」

その声に遮られた。
男がそちらへ顔を向ける。
コルベールも、自由になる目だけをそちらへ向けた。
47虚無と鬼-01(3/5):2009/03/19(木) 02:17:13 ID:jPFfXTyg
そこには騒ぐ生徒達をバックに、男の前に立つ少女――ルイズがいた。
「わたしがあなたを喚んだの」

ルイズは三重の意味で驚いていた。
魔法が爆発したかと思えばいきなりコルベールが杖を突き出したこと。
そのコルベールへ爆発の中心から先端が白い黒い影が飛び出したこと。
そして、黒い影がコルベールと瞬く間に交戦し、“メイジを押さえ込んだ”ことである。
それも奇襲をして不意をつき、抵抗する間も与えずやったのではなく。
杖を構えた“臨戦態勢のメイジを”である。
『メイジ殺し』という名が浮かんだ。
その名の通り、メイジを専門に請け負う殺し屋たちである。
彼らは魔法を使うメイジと渡り歩くために、特殊な技を受け継ぎ磨く死の狩人。
噂の中でしか聞かないその存在が、目の前の黒い影と重なる。
周囲はあまりの出来事にどよめき、固まっている。
黒い影は、コルベールを押さえつけ杖を叩き飛ばす。
何かをしなければならないという使命感が胸を通り過ぎた。
なぜなら、あの黒い影は自分が喚び出したのだから。
覚悟を決める。
奇襲をしようにも、実力はわからないが自分より上であろう教師を押さえ込んだのだ。無駄であろう。
1歩前に出る。
『メイジ殺し』かもしれない、少なくともそれと同等の力を持つ相手に近づくことに恐れがあるが自分を押さえ込む。
近づくと、黒い影は男が着ているコートであり、先端の白は白髪の白だとわかる。
なにやら男は押さえ込んだコルベールに何かを聞きだしているらしい。
震える手を、恐怖と共にきつく握り締める。
さらに近づくと、男の声が聞こえた。
「それでは、三つ目だ。ここはどこだ、この世界はゴルトロックなのか?」
奇妙な質問に、コルベールは苦しそうな声で応える。
「トリ、ステイン魔法、学院……ハルケ、ギニア……だ」
「そうか……」
頷いた男はどこか楽しげに次の言葉を発した。
「最後の質問だ。俺はなんのために、呼ばれたんだ」
その質問に応えようとするコルベールを遮り、ルイズは間髪いれずに反応する。
「――わたしの使い魔にするためよ」
男はルイズの存在に気づいていたのだろう。
驚きもせずにこちらへと顔を向け、それとは逆に驚いたようにコルベールが視線を向ける。
「――っ」
思わず声が漏れそうになった。
向けられた顔は隻眼。その片方しかない瞳は、飢えた狼のような輝きを放っている。
今すぐ逃げたかった。悲鳴を上げたかった。蹲り丸まりたかった。
だがルイズは踏みとどまる。
心に虚勢の防壁を築き上げ、表面だけでも取り繕う。
そうして何重にも心を多い尽くし、相手へと知らしめた。
「わたしがあなたを喚んだの」
自分が男の主人であることを。

自分は少々混乱していた。
呼ばれたと思った世界で一番に目に入ったのが、視界を占める土煙であり。
その合間に見た中年の男の戦意を感じ取り。半場、反射で応戦し打倒したことである。
勘や反応はよかったが、全体的な動きに衰えを感じた相手であった。もし全盛期なら、容易に制することはできなかっただろう。
その男を今、武器と思われる杖を払い飛ばし、首を持って押さえ込んでいる。
このまま喉を潰すことも首を折ることもできるが、そこまで血に飢えているわけでもない。
それに中年の男にはこちらを押さえ込もうとする戦意はあったが、殺そうとする殺意がなかったのも一つの理由だった。
戦闘の最中はそんなことは棚に上げていたが、いざ手が空くとそれも含めた様々な疑問が頭を占める。
(この世界はどこだ? なぜこの男はいきなり攻撃をしてきた? 杖を使っていたということは魔法があるのか? なんの理由で俺は呼ばれたんだ?)
疑問は数多く、どれ一つとっても自力では解決するのは難しい(めんどくさい)。
ならば、と手の先を見る。
ちょうど、地面に叩き付けた衝撃で意識を飛ばしていた男が目を覚ます所であった。
「いくつか質問する」
油断してはならない。
相手が特殊な能力を持っていることを前提として、いつでも首をへし折れるように注意を払う。
48虚無と鬼-01(4/5):2009/03/19(木) 02:19:12 ID:jPFfXTyg
ゆっくりと疑問を吟味する中、まず一番重要なことを思い出す。
「まずは一つ目。俺の言葉がわかるか?」
質問して馬鹿らしいと思った。
たった一言だが相手は自分に理解できる言葉を吐いたではないか。
だが、空耳や似た発音の言葉かもしれない不安はぬぐえない。
「……ああ」
そう思考する中、男は首を掴まれながらも頷いた。
どうやら“また”頭に知識を詰め込まれたらしい。
あまり量はないのか、前回見たく無理矢理詰め込まれたり零れ落ちたりした感覚はないが。
ともかくそれを聞いて、次なる質問を投げかけた。
「そうか、では二つ目だ――」
それから投げかけた質問は2つ。
質問の答えから判断するに。ここはゴルドロックとは別の“魔法のある世界”であり、ここは魔法を教える学院であり、この男はその学院の教師であり、この教師が彼を襲ったのは自分があまりにも不審だったから、ということになる。
ここまでくると男への警戒心も若干薄れてくる。
だが、と思いなおして最後の質問へと移った。
「最後の質問だ」
この返答次第では手の内の骨をへし折らなければならない。
遊戯や物の弾みならまだ許そう。だがなにかしら“自分にとっての悪”となる目的ならば、芽は摘まねばなるまい。
「――俺はなんのために呼ばれたんだ」
呼ばれた者の“義務”として。
「……そ」
そして口を開こうとする男に被さるように。

「――わたしの使い魔にするためよ」

その声がかかった。
「――」
気配で事前に接近していることには気が付いていた。
なにかしらの攻撃があれば即座に反応して無力化する準備もあった。
それでも、この会話に割り込んで更にその主導権を握る発言をすることは予想外である。
ちょっとした動揺はおくびにも出さず、そちらへ顔を向ける。
目の前に立つのは、学生服を簡略化したような制服とマントを身に付け、桃色の髪をなびかせる少女だった。
下で男が驚く気配があった。
状況的に少女は男の生徒なのだろう。
視線を向けると少女がビクリと震える。
それはそうだろう、戦闘は短かったが未だ戦意と緊張感は燻っている。少女が争いを知らないのなら怯えるのも無理はない。
だが、その少女がこのことの鍵を握っている。
怯えたかのように見えた少女は――プライドが高いのだろう、唇を噛み締めると毅然とこちらを睨みつけ口を開いた。
「わたしがあなたを喚んだの」
「……ほう。お前が俺を呼んだのか」
「そ、そうよ!」
少女は手を握り締める。
「か、彼女にはっ!」
男がなにを想像したのか慌てるのを、今一度手に力を入れることで強制的に落ち着かせる。
「っぐ」
「なにを慌てているのかは知らんが、俺はそこまで物騒に見えるのか」
男は一瞬考えるような素振はしたものの、諦めたように力を抜く。
そこで改めて少女に向き直る。その真意を見極めるために。
「俺を使い魔……というものにするために呼んだらしいが。それは一体何なんだ?」
少女は何を言っているんだ、という顔になったものの。気を取り直したのか解説する。
「つ、使い魔はメイジのパートナーとなるそ、存在よ……っ」
「それで、なぜ俺を選んだんだ?」
その言葉に少女は黙り込み。
「し、知らないわよ! あ、あなたが勝手に来ちゃったんでしょっ!」
いきなり爆発した少女に疑問が沸く。
「知らない? お前が俺を呼び出したのだろう?」
軽い詰問だったが、イラついたと判断されたのか少女の目に怯えが宿る。
「ほ、本当なの! さ、『サモン・サーヴァント』で喚ばれる使い魔はじ、自分の属性に合った生き物が選ばれるのけど……わ、わたしからは選べないの!」
必死な少女に付け加えるように黙っていた男も喋りだす。
「これは……神聖な儀式です……これで彼女が使い魔を獲得しないと、留年してしまいます」
49虚無と鬼-01(5/5):2009/03/19(木) 02:20:36 ID:jPFfXTyg
なるほどなと思った。
状況は理解できた。納得は……まあ折り合いを付けていくしかない。
考える。
これまでの道筋と、これからの道筋を。
そして思い至る。
どうせ死んでいる身。いくらでも時間はあり、地獄へ急ぐ必要性もない。ここに来てしまったからには、来てしまった“義務”を果たさねばならない。
男から手を話し立ち上がり、少女の前に立つ。
そうすると、身長差で少女は彼の腹辺りに頭が来る。
首が痛くなりそうなほど顔を上向ける少女に向かい。
「いいだろう、使い魔とやらになってやる」
それに少女が嬉しそうな顔を向け、背後で咳き込みながら男が立ち上がっていた。
男は杖を拾うと懐へと仕舞いながら、浮かれている少女を促す。
「……ミス・ヴァリエール。『コントラクト・サーヴァント』を」
それを聞いた少女は背を正すと、なにごとか呟き始めた。
「我が名はルイズ・フラン……ラ・ヴァリエール。五つ……タゴン……の使い魔となせ」
なにやらするのかと思ったが殺気も戦意もないので、素直に待つことにする。
そして呟き終わった少女はこちらへピョンピョンと飛び始めた。
「……なにをしているんだ?」
呆れていると、少女は顔を真っ赤にして怒鳴る。
「か、屈みなさいよ!」
「なぜだ?」
「いいから!」
少女の剣幕に押されて、仕方なく屈む。
「い、いいわね! これはつ・か・い・魔としてだからノーカンなんだから!」
そう言って近づいてきた少女の顔に理解が遅れた。
少女の唇が触れた瞬間“なにか”が流れ込む感覚がする。
ジワリと、左の手袋の下で焼き鏝を押し付けられるような痛みが広がった。
怪訝な顔で、少女と左手を見比べると。
先ほどより真っ赤になった少女は、どこか取り繕うように腕を組み傲慢を装う。
「こ、ここここれでっ、あんたはわたしの使い魔よ!」
立ち上がる。手袋を取ると、そこに見慣れぬ紋様があった。
(なるほど、さっきのは使い魔としての儀式か。それでこれは印というわけか)
そこまで来て、そう言えばと思い出す。
顔を背け、先ほどとは違い何事かブツブツと呟く少女の名をまだ自分は知らない。
どうせ使い魔とやらになったからには“多少”長い付き合いになるのだ。
いつまでここに居られるかはわからない。
そう思っていると。
「あんた」
少女がこちらへ声をかけてきた。
「なんだ」
さきほどまで怯えていたのに、もう物応じがない。変わり身の早いことだ。
「あなたの名前は?」
少女はふんと鼻を鳴らすと、髪を掻きあげた。
「相手に名乗らせる前に、自分で名乗るのが礼儀じゃないのか?」
「っ! そ、それもそうねっ」
青筋を立ててそう少女が言う。どうやら、見た目道理に気位も高いらしい。
これからこの少女と付き合っていくのかと思い苦笑した。
少女は、表面上は平静をなんとか取り戻すと口を開く。
「ルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
随分と長いなと舌を巻く。
まともに覚えるのは速攻で諦め、初めと終わりだけを覚えることにした。
「それで次はあんたよ」
そして少女――ルイズが促してきた。
息を吸い……吐き出す。

「俺の名は九鬼……九鬼耀綱だ」

そして元ドミニオン第十七戦闘隊副隊長。
かつて、世界最強の鬼となった男が新たなる世界へ、その名を刻んだ。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 02:22:48 ID:jPFfXTyg
終わりです。
前にスレに、
九鬼先生を召喚してアンアンを(ry
てなことを言っていたことから、どうしても九鬼先生がメイジ相手に異世界で大暴れする様子が書きたくて筆を取ったしだいです。
地味に書いていこうと思っています。
では、おやすみなさい。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 02:45:22 ID:wpBkKtzP
乙、これは面白くなりそうだ。
今後にも期待してます。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 03:00:53 ID:otYZ4D7h
クロノベルトはやってないけどあやかしびとはやった俺が登録完了

一話の頭にタイトルだけ追加させてもらいました

今後に期待します


……あやかしびとの人帰ってこないかなぁ……
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 03:32:48 ID:gQl3CCrq
他に投下する方が居なければ、35分から2レスの小ネタを代理投下しまーす。
クロス先や召喚キャラについての説明はなかったのですが、最後に明かされるのでそういうことだと思います。
54死神の使い魔1/2:2009/03/19(木) 03:35:39 ID:gQl3CCrq
--------------------------------
「──────削除」

  瀕死の連合軍の兵士に止めを刺そうとしていたアルビアン軍の兵士が、いきなり、胸を押さえながら倒れた。

「──────削除」

  ドラゴンにまたがり、連合軍の兵士と空中で魔法のぶつけ合いをしていたアルビアン軍の兵士が、急にぐったりとして動かなくなった。

「──────削除」

  地上で前線の指揮を執っていたアルビオン軍の部隊長の一人であろう男が、突然、杖を握りながら地面に前のめりになり、ぴくりともしなくなった。


「次、あれ! 次、あれ! 次! 次! 次!」
「削除! 削除! 削除! 削除! 削除! 削除!」

  ルイズは己の使い魔とともに、ドラゴンに乗って戦場の上を飛び回っていた。
 ときに上空数百メイルで行われている空中戦の合間を縫いながら旋回し、ときに地上スレスレまで低空飛行を行い、まさに縦横無尽であった。
  使い魔は黒いノートを片手にルイズに指示された方向を凝視したのち、そのノートにひたすらペンを走らせていた。
 一方、ルイズは時々飛んでくるアイスやファイアなどの魔法を、自分の爆発魔法で相殺していった。

「魅上、次はあれ──」
「久しぶりだな、ルイズ」

  ルイズは、連合軍の兵士が一塊りになっている所に向けて呪文の詠唱を始めたアルビオン軍の兵士に目星をつけた。
 そして、使い魔に指示を出そうとしていた矢先、ルイズたちの前に、グリフォンと風竜に乗った羽帽子と口髭が凛々しい長髪の男が現れた。

「ワルド様! いえ、ワルド!!」
「こんなところで再会するとはな」

  その男は、風系統のスクウェアメイジで、トリステイン王国に三つある魔法衛士隊の1つ「グリフォン隊」の隊長であるワルドであった。
 ルイズの許婚でもあった。しかし、少し前にアルビオンでルイズと結婚式を挙げていた最中、ルイズに拒絶され、逆上。
 殺害を試みたものの、その場にいたウェールズ王子の活躍により失敗に終わった。以来、姿をくらましていた。
55死神の使い魔1/2:2009/03/19(木) 03:36:47 ID:gQl3CCrq
 
 
「魅上、目の前の男よ!」
「ルイズ! 仰せの通りに!」

  ルイズの言葉に呼応し使い魔はそう叫び、ワルドを一瞥したあと、手持ちの黒いノートに
〈 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド 〉
  と、書き込んだ。

「なんだい? その平民の使い魔が何かしてくれるっていうのかい?」
「ええ、そうよ」

  ワルドは、何故ルイズがまるで己の勝利が確定しているかのようにそう言ったのか理解できなかった。
    平民の使い魔が、貴族にかなうものか。はったりに決まってる────
 少し動揺しながらも、しばらく考え込んだのち、そう結論付けた。

「ふん、杖もなしにか。仮に何か特別な能力を持っていようとも……もう遅い! ルイズ、これで君とはお別れだ!」

  ワルドはそう宣言し杖をルイズたちに向け、ルイズたちを葬り去るため呪文の詠唱に入った。
  このときワルドは、自分が考え込んでいる間、ルイズたちが杖も構えず何かを喋っていたことには気づけなかった。


「ワルドの名前を書いてから何秒たった?」
「…………35 36 37 38」


「39」
「ワルド、私の勝ちよ!」


「40!」


  ルイズの使い魔がそう叫ぶと、ワルドは詠唱を完了することができなくなった。
 なぜなら、ワルドの心臓は止まってしまったからだ。

「うぐっ……な、ぜ……だ…………」

  ワルドは、そう呟き、絶命した。


『DEATH NOTE』より「魅上照」を召喚
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 03:37:46 ID:gQl3CCrq
ぎゃー、すいません!
>>55は死神の使い魔2/2です!
ということで投下終了です!
作者さん乙でした!
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 04:17:33 ID:KWFa5tW2
あんたなんか主じゃない!!
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 04:54:50 ID:WRwcS0zR
魅上なら召喚されたことを選ばれたと解釈してあっさり従いそうだ乙。
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 06:10:00 ID:G5EgyQR5
>>50で、アンアンを(ryと言っているのを見て思い出したが、アンアンが死体ウェールズに連れられ裏切りかけるイベントのときに
「アンリエッタ様は自身の勝手の為に平気で他者に死ねという人であったか? そのようなわけが無かろう!」
「つまりあれは操られているのだ! いや、もしかしたら既に殺され、そこにいるのは偽者や傀儡と化した死体なのかも知れぬ!」
と持ち上げて彼女を葬ろうとする奴は見たことが無いな
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 07:37:49 ID:/qlgbqlU
【カーリー】インド神話
黒い肌の殺戮の女神
シヴァの妻パールヴァティの肌から生まれたとされる
カーリーが踊りだすと地震が起きてしまうのでシヴァが間に入って腹の上で躍らせたと言う
シヴァ…w
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 07:48:12 ID:o6moDGmC
>>60
お爺さんは山へシヴァ・カーリーに行きました。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 07:54:49 ID:wHwig15+
インドとか、仏教系統は単位やら規模が物凄いのが多いねえ。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 08:15:41 ID:VWLLlGVc
>>53
最後に明かされるも何も一行目の削除でバレバレな件
やっぱり思った通りで吹いた

色々クロスネタを考えるけど触れることそのものが危険なキャラクターとは契約どうするんだろ
逃げる使い魔追うルイズでもいいか
話作りにくいけど
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 09:14:51 ID:qc3QaSIt
>>61
いつの四コマだよw
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 10:36:29 ID:JISUQgmD
契約シーンが想像できないキャラってかなり無理があるよなぁ。
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 10:52:21 ID:1zUf1+o/
召喚された途端に牙をむく。
飛んでorワープなどで逃走。

姿が見える逃げなら追えるかもしれないけど、ワープや透明化とかされたら
追跡不可能だよな。

牙をむく。
もぐもぐ
ルイズ「大丈夫!怯えてるだけよ!」
もぐもぐ
キュルケ「いや、食べられてる食べられてるから!」
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 11:26:46 ID:inkEHl6e
牙を向くようなキャラでも召喚の際に気絶したことにして契約しちまえばいいんだよ
その後はなんやかんやで仕方なく従うことに
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 11:31:24 ID:7Me/mSY5
定春?
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 11:37:33 ID:xRocfVyo
凶悪なのに逃げられると酷い目に合うからなー(主に周囲が)
プレデター、巣ドラがそんなだ
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 11:41:18 ID:efFg5Z5v
プレデターの続き読みたいぞ
最後まで契約せずに話が進んでほしいが
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 12:04:07 ID:+Y+5c1nE
プレデター、ルイズより先にコルベールに反応しそうだ。
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 12:24:31 ID:ocm+6MaQ
カーリーといったら女性ばかりを狙う通り魔のほうしか浮かばん。
宇宙人系はハルケギニアなんか原始時代にしか見えないだろうから契約は難しいだろうな。
使い魔に逆に使い魔同然にされて黒化するルイズには同情するわ。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 12:26:51 ID:ZtSXNHjF
>>68
モンモンが変に反応するんですねわかります
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 12:46:47 ID:gQl3CCrq
>>67
大預言者ズールはどうすれば良いでしょうか
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 12:50:43 ID:XSYkj3Xo
>>74
ズール様が正義だ!
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:04:32 ID:SkYD8dHO
エレガントにいこうではないか、諸君
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:24:33 ID:efFg5Z5v
>>75
あの状態のごひにルーンが刻まれたらどうなるんだろw
今度は「ルイズ様が正義だ!」状態?
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:24:55 ID:8hqS/J6m
ナイトウィザードの”荒廃の魔王”アゼル=イヴリスとかどうだろう。
触れるどころか、存在するだけで周囲の人間が危険なんだが…。
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:30:02 ID:KBCfsMQt
ズール・フランソワーズ・デ・ラ・ベッピン・ヴァリエール
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:33:39 ID:SkYD8dHO
誰かゴッドマーズ呼んできてー!!
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:35:01 ID:GCeKkA9s
縁の下の力任せ、ヴァン召喚。
生身でも十分強いしダンまで召喚されたら…ガクブルww
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:39:56 ID:1zUf1+o/
ワンダと巨像の3体目の巨像とか
踏みつぶされること間違いなしだけど。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:44:11 ID:df7IVX2y
オイヨイヨ……いやなんでもない
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:45:31 ID:inkEHl6e
>>81
音沙汰ないけどまとめにあるよ
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:48:04 ID:IoAbFHBn
>>81
衛星どうすんだよ
それならまだラッキー様召還して暴れて貰う方が楽だぞ
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 13:52:06 ID:0O72EF/V
>>82
見逃されても、像によっては
高すぎて届かない。
地中にいるので届かない。
水中にいるので届かない。
上空&速すぎて追いつけない。
砲撃されるので近づく事すら出来ない。
キスしようとしたら体当たりでハメられて死亡。

などがあり得るな。
巨像じゃなくて広間の石像だと問題なくキスできるけど
ドルミンの力は巨像の方に入っているから無意味だろうし。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 14:01:04 ID:zCwbPInR
あれはワンダの類い希な身体能力があって初めて渡り合えるもんだからな。
三体目の巨人には泣いた。あれ全長何メートルだ?
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 14:01:05 ID:KBCfsMQt
そこでまさかのニコチャン大王
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 14:07:14 ID:4lS5wQue
ハルケギニアでは軟骨を砕いてクリームと混ぜ、軟膏代わりに使うのかもしれない
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 14:09:36 ID:SkYD8dHO
マーラさまに引き続いて今度はアリオク様召喚
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 14:21:15 ID:OHaLwqah
霧島五郎召喚

静弦太郎の方が強いかもしれんがハルケギニアの連中相手なら霧島五郎で十分だろう
無敵無双ってほどじゃないだろうし

大量の水が必要だが

弦太郎呼んだらシャレにならん、いろいろと
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 14:26:33 ID:inkEHl6e
アイアンキングか
活動時間一分じゃ足止めできん
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 14:45:58 ID:MMA0JPjR
>>83
アヤク!
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 14:59:00 ID:8r2cFs5T
ワンダ違いでキミの勇者のワンダくんは?
毒舌家だからイライラさせられるかもしれないけど、星鍵とデルフリンガーの二刀流と星獣アステル召喚、空も飛べるし動物の言葉もわかる無敵主人公。
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 15:21:54 ID:1zUf1+o/
ED後のイコとヨルダを召喚
さてどちらとキスすべきか。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 15:46:12 ID:tOxtn1yW
機工魔術師のメルクーリオを召還したいがオープニングで挫折した。
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 16:47:52 ID:yhEN1JRR
カーリーというと“敵は海賊”シリーズに出てくる海賊船“カーリー・ドゥルガー”を思い浮かべる私は…。
つうか、アレ呼ぶともれなく海賊王・?冥も付いてくるからダメだねw
9897:2009/03/19(木) 16:49:38 ID:yhEN1JRR
ヨウメイが変換されなかった、何だよ?冥って…orz
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 16:57:40 ID:TwSmurQG
ヨウメイなんて使い魔にしようとしたらとんでもなく間接的で致命的な報復されそうなんだがw
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 17:03:35 ID:cI4GeJM+
俺もそのカーリーだな。使い魔として使うなら、艦載機のナーガ一機だけでも充分すぎるくらいだが。

ツザキの旦那を従わせようとしたら、その瞬間にルイズ撃ち殺されて終わりだろうし、カーリーだけの
場合は・・・仮に契約で受令順位を最高にできたとしても、やっぱりそのうち蒸発させられそうだなあ。惑星ごと。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 17:10:11 ID:TwSmurQG
ヨウメイが撃ち殺すなんて直接的な報復するかな?
正義の眼とか読んだらもっと遠まわしで絶望的な報復されそうなんだがw

まだアプロのがマシ…でもないかw
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 17:15:11 ID:OHaLwqah
カーリーとかドゥルガーとか聞くとインド神話ではなく
FM−7からMSX、MSX2はおろかファミコンまで広げた挙句
現実(マシン所有者の数)に敗れ去ったアレを思い出すなぁ
10397:2009/03/19(木) 17:17:06 ID:yhEN1JRR
アプロは故郷に強制送還されそうな所で(故郷に帰ると王様になって王妃に喰われてしまうらしい)召喚すれば恩を感じて…
無理だ、奴にそんな可愛気があるはずもなし。
仮に従えられたとしてもウェールズを始め、登場人物が何人か喰われてしまう可能性が高いw
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 17:27:19 ID:TwSmurQG
というか、何も考えず使い魔にはなってくれそうだけど絶対言うこと聞かないだろw
宝物庫とかもフーケ来る前に食われて消えてそうだしw
ギーシュとの決闘もおやつくれるいいヤツくらいに考えそうなのが怖いわ
そしてワルドは涙目ワルドコース確定
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 18:10:44 ID:6XNSsr8v
カーリーといえばスパイクの奥さんでダニエルのお母さん
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 18:15:53 ID:ygPelNq6
アプロならルイズを負の感情で精神凍結出来るから以外と相性いいかも

…ラジェンドラの声が男だと知った時はショックだったなあ
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 18:36:43 ID:7Me/mSY5
>>78

砂漠で一人暮らししてるんじゃないかな
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 19:04:21 ID:+r592N7b
召還されますたカワイス
ttp://mat.blogdns.com/up/img/mat_359.jpg
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 19:10:05 ID:cyR2pJ8s
グロ
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 19:50:40 ID:MiTShNTO
アプロはもはや何でもアリのキャラだからな……ちょっと底知れなすぎる
だけど、喋る大きい猫だから当たり中の当たりでルイズ歓喜で有無を言わせずキャッキャッウフフの即チュッチュッだな
だけどアプロをラテルから引き離すのは可哀想だよな
だけど可愛いよアプロ可愛いよ
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 19:54:01 ID:xRocfVyo
ソレはアレだ、基本的に誘拐というか拉致というかゴニョゴニョ
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 19:54:21 ID:HKpCwP9K
カーリーといえば元キングの恩人でディヴァインの天敵
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 19:55:07 ID:qc3QaSIt
カーリーといわれてもカーリーブレイス
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 20:04:46 ID:revW8JSV
カリーといえば
「でも日本人も悪いんですよ」
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 20:12:51 ID:2X6F4ITS
ドゥルガーとカーリー?聖甲機だな・・・
MAZEはダメー!!
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 20:14:23 ID:qc3QaSIt
おねーさんはともかくおにーさんがなぁw
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 20:46:31 ID:WRwcS0zR
>>116

奴は見境無いからなw
おマチさんはレイピアポジションになりそうな希ガスw
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 20:59:55 ID:wPlXqpkN
>>116
オネニーサマかwww
>>117
番外編はマチルダ乱舞?
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 21:07:34 ID:Y3mY5gvH
前スレの393で言ってた、角から出てくるわんわん召喚の小ネタ書いたが、投下しても大丈夫かな?
OKなら21:00くらいに投下したいと思いますが。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 21:10:28 ID:Y3mY5gvH
21:10ね、21:00なんて過ぎてるよorz
121ゼロの猟犬:2009/03/19(木) 21:12:27 ID:Y3mY5gvH
OKかな?
では投下してみます。

私の名前は……いや、それは今は措いておこう。
そんな事を書いている暇が惜しい。

私はつい先程、春の使い魔召喚儀式に挑戦した。
私はよく……いやたまーに魔法を失敗する……本当にたまになんだからね。
だからこの儀式は失敗できない、必ず成功させると強く願っていた。

私に相応しい使い魔……召喚の順番が回ってきたとき、その事を考えた。
立派な竜?それともグリフォン?
もちろんそれならば何もいうことなしだ。


だが私がそのとき思い浮かんだのは犬だった……


ただの犬ではない、立派な猟犬だ。
今思えば、何故そんな事を思ってしまったのだろう?

「宇宙の果てのどこかにいる私の使い魔よ。時間も空間も越えてどこまでも走り抜ける、強力な使い魔よ。私は心より訴えるわ!我が導きに答えなさい!!」

自分の理想とする猟犬を思い浮かべ、そのイメージを召喚の詠唱として唱えた。
それがいけなかった、せめて神聖だとか忠実だとかそんな韻があればよかったのかもしれない。
いや召喚の呪文によって、召喚される使い魔が果たして変わるのだろうか?
だが今はそんなことを考えている場合ではない。

結論から言えば、召喚は一発で成功した。
いつもの様に、呪文を唱え魔法を使った瞬間、爆発が起きたが使い魔は確かに召喚されていた。

いまだ爆発によって巻き上がった粉塵が晴れず視界が悪いが、その中に土煙とも違う青黒い煙が混じっているのが見える。
青黒い煙が凝り固まり、その使い魔が形を成して……

使い魔の召喚に成功したならば、契約の儀式を行う……それが私が次に行うべきことだ。
そう、そうするべきなのだ……
だというのに、私は召喚されたモノを前にこんな手記とも呼べないような物を書きなぐり続けている。


怖い……そうだ、怖いのだ……
私はこの召喚されたモノが恐ろしくてたまらない!!
一歩でも近付いたならば、それが生命の終わりになる。
そんな確信があった……怖い……すぐにでも逃げ出してしまいたい。
だがその瞬間、このモノが私を得物として認識するのではないか?
そう思うと、近付くことはおろか、逃げることさえ出来ずにいる。
私はこのモノから、目を逸らすことが出来ずにいる。
私は恐怖を紛らわせるために、この手記を書きなぐり続けている。
もしかすると、もうじき終ってしまうかもしれない私という存在がいた証を残したいがための行動なのかもしれない。
122ゼロの猟犬:2009/03/19(木) 21:14:06 ID:Y3mY5gvH
怖い……そうだ、怖いのだ……
私はこの召喚されたモノが恐ろしくてたまらない!!
一歩でも近付いたならば、それが生命の終わりになる。
そんな確信があった……怖い……すぐにでも逃げ出してしまいたい。
だがその瞬間、このモノが私を得物として認識するのではないか?
そう思うと、近付くことはおろか、逃げることさえ出来ずにいる。
私はこのモノから、目を逸らすことが出来ずにいる。
私は恐怖を紛らわせるために、この手記を書きなぐり続けている。
もしかすると、もうじき終ってしまうかもしれない私という存在がいた証を残したいがための行動なのかもしれない。

このモノ、もはや使い魔とさえ思えない……このモノは一体どんな生き物、いやそれ以前にこれは生き物なのだろうか?
一切の善というものを排除した、宇宙の邪悪全てが凝縮されたモノ……
そう呼ぶことに躊躇いを覚える者はいないだろう。
その姿は名状し難いとしか言えないが、蝙蝠が近いだろうか?
それでいて四本の足と思われる器官がどことなく、猟犬を思い起こさせる。
ツギハギだらけの布のような……邪悪な襤褸の翼、少なくとも私にはそう見える物がはためくのが見える。
太く曲がりくねり、鋭く伸びる針のような舌のような器官。
細かく不気味な触手が蠢く全身からは、青みがかった粘液を滴らせ鼻を酷く刺激する臭いを放っている。

クラスメイトの声が聞こえた。
失敗、爆発ばかり、臭い、毒でも発生させたのか……そんな野次が。
……見えていないのか?これが見えないのか?

いやきっと見えないのだ、彼等には。
彼等のいる位置からでは、彼等の見ている角度からはこれが見えないのだ。
そうに違いない……

123ゼロの猟犬:2009/03/19(木) 21:14:38 ID:Y3mY5gvH
だってこのモノは言葉で言い表すことが出来ない角度に存在している
何もない空間が
       裂けて何かが見えるのだ
そう異常な角度を持った空間が
いけない
     これ以上あの空間を見てはいけない
あれは人間とはまっ
たく相容れないモノなのだ
           言うならばこれは完
    全なる邪悪そのもの
   理解してしまえば気が狂う
そうだきっとそうだ本能が理
    解する事   いるのだ
       を拒否して

   見てはいけないあの裂けた空間の向
こうがこの     異常な角 
     モノの世界    度の世界それがこのモ
  ノの世界なのだ
     邪悪そのものの世界をこの世界と
   はまったく違う法則の世界を
         これ以上見てはいけない理解して
             はいけない認識しては駄目だ

     そう思い目を逸らそうとしただができな
   モノが動い蠢いたの
        今もずるずとその動
こちに出ようとているか      きをまし
       その動き再開しようとして

   こなでこ いでこ いこあなで こない こでこいでこ こあな うあで こあにで




こ な い で



124ゼロの猟犬:2009/03/19(木) 21:15:32 ID:Y3mY5gvH
私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
自分のことながら滅茶苦茶な文章だと思う。
状況が状況だったから仕方ないとは思うけど。
最後など焦って書きなぐったので、ぐちゃぐちゃでほとんど意味をなしていないではないか。
これはないと思うけど、仕方ないわよね。
思い出しても震えがくるもの。
少し漏らしたのは内緒だ……ってなに書いてるんだろ私は。
まあいいか、日記なんて人に見せるものじゃないし。

話を戻して、結果だけを書くとあの怪物はこちらに出てくることなく、あの空間の向こうへと去っていった。
本来こちらに存在できない……そう、魚が陸で生きられないように、あの怪物はこちらでは存在できなかったのかもしれない。
ただあの怪物は何かを追いかけていたような感じがする。
だから私よりもそちらを優先した、それだけなのかもしれない。
やめよう、考えても答えなんて出るものではないし、もう済んだことなんだから。

取り敢えず、あのあと再び召喚を行うことになった。
私以外に誰もあの怪物を認識していなかったから、召喚は失敗したと思われたからだ。
その後の召喚でも、なんだかよく分からないものが出てきたりして失敗扱いされた。
正直そこら辺はあまり思い出したくない。
最終的に呼び出したのは平民だった。
平民、素晴らしい、私の理解できる存在だ。
ちゃんと契約も出来たし、万々歳だ。
しかし、なんだったのだろう?
私が召喚したあれらは……


ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの日記と貼り付けられた手記より

125ゼロの猟犬:2009/03/19(木) 21:17:02 ID:Y3mY5gvH
投下終了です。初めてなんで不手際が無いか心配ですが。

ロングからでもよかったかもしれないですが、貪り食われるというオチもなんなので、
クロウを追っている途中だから、そっちを優先したので助かったことにするため…ということで、
召喚作品と召喚キャラは、タイタス・クロウの帰還よりティンダロスの猟犬

手元も見ずに手記を書きなぐっているという状況と、SAN値ヤバイことになってきたというのを、。が無くなったり改行がおかしくなるというので表現してみました。

126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 21:26:37 ID:mIZi6qP0
乙です。

グッチャになった文章が「なんかヤベェゾ!」感が出てて面白かったです。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 21:28:44 ID:wUFOk+Us
 その平民の顔をよく見ると、何となく魚っぽく見えたりして……。
128ゼロの猟犬:2009/03/19(木) 21:33:46 ID:Y3mY5gvH
あ、>>122の前半、同じ文が被ってました。
すみません、なにやってんだ俺orz
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 21:35:14 ID:WRwcS0zR
>>127

そして一人また一人と魚っぽい顔に…こわっw
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 21:39:06 ID:WRwcS0zR
>>118

メイズは…前に考えたが…確実にハーレム+最強TUEEEEになるんだよ…
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 21:46:11 ID:mIZi6qP0
>>129
ちょっとまて、もしかしてコッパゲールが焼いた村って・・・
いや、アレは疫病を食い止めるためで、邪教徒なんて関係なかったね。ね?
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 21:51:21 ID:UFKXrJyr
>>131
いや、あれって実は疫病対策の名を借りた「新教徒狩り」だったんだよね?
じゃあ、新教徒ってのはまさか……
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 21:57:01 ID:UiwciOSU
忍空から風助とか召喚したら、忍空技って先住魔法そのまんまだよな
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 22:08:17 ID:e044eE/H
「バッカーノ」からクレア・スタンフィールド召喚

人間とは思えない超絶肉体能力に逆切れルイズ
「あんたはいいわよ、私みたいな『ゼロ』と違って生まれついての才能が……っ?!」
「……俺がこれだけの力を手に入れるためにどれだけ努力したか分かっているのか?
それをお前は『才能』の一言で片付けるのか?」
13516=ネタばれスレの365:2009/03/19(木) 22:14:54 ID:KThgX3Qw
遅くなりましたがレスです。
ちなみに今ちまちま距離や原作の記述を追加して
なぜ地図がこうなったのかを見ればわかるようにしています。なぜかって?

>>17 鳥がなんか吐いてるみたいだな
>>19 ツチノコだよ絶対ツチノコだよ
ガ━━━( ゚ロ゚)━━━ン
な、なんとか、なんとかもう少し見栄えを変えないといけないのか!?
というか必然性があってこの形にならざるをえなかったんだと理解してくれ(T_T)

>>21 こうしてみると案外狭い地域の話だな、なんてw
ヨーロッパ自体があまり大きくないですからね。
メルカトル図法で誇張表現になっているからでかいように感じてしまいますが、
思ったよりは小さいです。それをモデルにして、しかもまともな国家描写は5国のみ。
モデルよりかなりそぎ落とされているのですから小さいのも納得です。
というかここまで小さいとまでは私も思いませんでした(w

>>23 カムチャッカ半島を巨大化させた感じなんだな。
書いていてどんどんイメージと違ってきて頭を抱えた事が数知れずあります(w

>>25 トリステインはめちゃくちゃ小国だな。
人口密度の差と面積に比例して大きくなる治安維持部隊による国力の消耗、
対立国家との国境線にはつける必要のある戦力量、及び外交などでなんとか
独立を保ってきたのだと思います。

今までは。

ゲルマニアとの同盟に唯一の正当な後継者を差し出して自ら属国化の道を
歩もうとしていたのはこのような国力差が背景にあったのかもしれません。

>>30 ゲルマニアって小国が集まってできた国だったはず その戦争時に一つにまとまってなかったんじゃね
なるほど、そういえばそんな話もありましたね。

>>32 ゲルマニアに食い込んでるトリステインの領土ってほとんどヴァリエール領じゃないのかな。
歩いて数日くらいの差し渡しはありそうに思います。

>>38 ウィーントリステインに近すぎかリュティス東に寄りすぎ ガリアの西部地域よく反乱おこさんなw
描写上の整合性を取ろうとするとこういう事になってしまいました。
反乱は、15巻で起きました(w
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 22:24:10 ID:jM/wMG/l
OKOK、考察スレ行こうぜ兄弟。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 22:27:24 ID:i6psFWN/
全レスとかないわー
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 22:31:40 ID:w9NHpX0E
すれへ かえるんだな
おまえにもなかまがいるんだろう・・・
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 22:35:40 ID:gQl3CCrq
待ちガイルで足止めか……
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 22:44:45 ID:TwSmurQG
ゲーセンでの嫌われっぷりは異常
14116=ネタばれスレの365:2009/03/19(木) 22:51:45 ID:KThgX3Qw
空気読まずにすまんです。
以後は地図の投下以外のときは空気ということで。
さておきどこに行くべきか。考察スレはグダグダで怖いしなあ。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 22:52:07 ID:Somxb980
ど根性ガイル
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:16:09 ID:zCwbPInR
>>141
IFスレにでもどうでっしゃろ。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:17:47 ID:gQl3CCrq
IFじゃないじゃんw
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:29:36 ID:gtUyWw8P
アイディアファクトリースレとな!
スペクトラルフォースから大魔王ジャネスを召喚。
ルイズに父性でもって接してもらうとか。宝物庫には天魔剣があるとか。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:30:07 ID:qc3QaSIt
アイディアファクトリースレとな?
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:31:22 ID:qc3QaSIt
おぉう、ネタが被ったぜ…
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:32:58 ID:CtyE0GiA
IFか…

以前、タワー2からウェイブ召喚ってのを考えた事があるが、
ワルキューレを貪り食うウェイブが何だか生々しくて止めたな

ちなみに決闘の理由は、椅子を食べるなというギーシュの注意を無視したっていうよく分からないものだったっけ
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:40:28 ID:+Y+5c1nE
フォースは早めにウェイブ見つけるとヌルゲーだったな・・・
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:43:02 ID:gtUyWw8P
フォースからリトルスノー召喚を考えた事もあるが、
異界の魂は何が出来て何が出来ないのかいまいちわからなくて……。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:45:39 ID:VDcSeRwV
>>134
バッカーノ!からならアイザックとミリアを、とか考えた。

「待てよミリア! こうは考えられないか? 
いいか、俺たちの世界で魔法が使える人がいたらどう思う?」
「スゴイ!」
「スゴイよな! でもよ、それは俺たちの世界では魔法が使えないからだろ?
『魔法が使えないのに魔法が使える』。だから魔法使いはスゴイんだよ!
じゃあさ、ルイズはどうだ? なんかよくわかんないけど、メイジってやつなんだよな?」
「魔法が使えるはずだね!」
「なのに魔法が使えない! 『魔法が使えるはずなのに魔法が使えない』ってことだ!
でもよ、それは俺たちの世界で魔法が使えるってことと同じぐらいスゴイんじゃないか!?」
「スゴイ! ルイズってスゴイんだ!」
「しかもだぜ! ルイズは魔法が使えないはずなのに俺たちを呼び出しちまった!
つまり『魔法が使えるはずなのに魔法が使えないはずなのに魔法が使えた』ってことだろ」
「スゴイの二倍だね!」
「スゴイよな〜! さすが俺たちのご主人様だぜ!」
「ご主人様バンザイだね!」

あの二人ならいろんな人に影響与えまくるんだろうなぁ。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 23:57:06 ID:ygPelNq6
>>151
貴族から杖を盗む強盗として有名になるんだろうなあ
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 00:04:01 ID:mIZi6qP0
なんかズルの名を聞いた気がするんだが?
ガーディアンヒーローズのスーパーだとオートヒールで股間から波動砲を打ち出す変人
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 00:09:55 ID:3+zahTDw
ゆくのだぁ!
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 00:12:56 ID:fMyLdiAN
>>151
アイザックという文字をみて一瞬で下のAAが頭に浮かんだ

ヽ( 圭)ノ  ン゙−ッッ!
  |  |||
 ノ ̄ ┐:.。゜+.
   .. ゴシャァッ
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 00:14:11 ID:KzFuq73D
>>150
>異界の魂の能力
分かってる範囲では、

小雪 絶大な魔力、未来視、読心、ネバーランドの知識
クリングゾール 読心、驚異的な身体能力、イビル・アイ(遠見、未来視)
アキラ(ナイヅ) 天然ガンダールヴ 剣本来の力を引き出す能力(らしい)
ラリオン 失明から回復、連続的に禁呪を放てるほどの魔力
リー ネバーランドの知識、身体能力強化
レストール 身体能力強化

レストールしょぼいな…
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 00:28:06 ID:hD/VF5hD
小雪にはもれなくジャドウが着いてきます
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 00:29:38 ID:Ax98bH69
魔大陸にうっかり置き去りにされる彼か。
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 00:37:41 ID:gY+1uYUN
>>158
彼には主人より強い犬がもれなくついてきます
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 00:51:18 ID:hD/VF5hD
むしろ犬が本体だろ。どこぞのアメリカ忍者みたいに
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 00:59:59 ID:nWWbg48F
アメリカ忍者って、あの亀どものことか?
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:01:24 ID:KzFuq73D
雷忍 ワイルドの事だろ?
え、違う?
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:02:49 ID:COopE4c1
ガルフォードに決まってんだろjk
パピーがいないとマジ役立たずだけどな!
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:04:14 ID:3+zahTDw
ガルフォードのことかああああッ!!
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:05:16 ID:3+zahTDw
解説
アメリカ忍者ガルフォードの超必殺技は犬のパピーしか攻撃しません
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:05:52 ID:GRmQM56Z
双剣がレオナルド
サイがラファエロ
棍がドナテロ

ヌンチャクはなんつったっけ?
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:06:21 ID:ut5Bs0dB
ミケランジェロだっけか
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:08:55 ID:GRmQM56Z
ところでレストールってアレか、ゾンビ男と結婚したりする
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:21:02 ID:vAGwNpMt
 こんばんは。

 投下をしようと思うのですが、内容の中に16巻で得た情報を元に書いている部分があります。
 この場合は避難所に投下するべきでしょうか?
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:32:13 ID:LpehbpQ6
最新刊で得られる情報の解禁に関するルールは無いので、ここでも問題は無いと思います。
171ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 01:36:02 ID:vAGwNpMt
 それでは、1:45よりこちらで第32話の投下を行います。
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:37:10 ID:qakhAQsf
待ってました
173ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 01:45:45 ID:vAGwNpMt
 『アンドバリ』の指輪で蘇ったアルビオン騎士たちの数は、十人ほど。
 対するこちらは総勢六名。
 決して巻き返せないほどの戦力差ではなかったが、こちらの陣営と敵とでは決定的な違いが一つだけあった。
「ううっ、攻撃してもすぐ傷が塞がって……!」
「向こうも精神力を節約するみたいだから、あんまり大きな攻撃はしてこないみたいだけど……このままじゃジリ貧よ!?」
 自分たちは生きているが、敵は既に死んでいるという点である。
 しかも、いくら傷つけようがその傷はあっという間に再生してしまうのだ。
 つまり攻撃しても意味はなく、また攻撃したとしても敵はそれに対して防御や回避を行う必要がない。
 ルイズが爆発を炸裂させようが、ユーゼスが剣で斬りかかろうが、タバサが氷の矢で貫こうが、ギーシュがワルキューレで殴りつけようが、『アンドバリ』の指輪の効力によって動いているメイジたちは構わず攻撃を仕掛けてくる。
 ……と、そこでキュルケの放った炎弾が敵に直撃し、その相手を燃やし尽くした。
 一同は『どうせまた再生するのだろう』などと思いつつその光景を眺めていたが……。
「再生……しない!?」
「ってことは、炎が効くのね! なんだ、燃やせば良いんだわ!!」
 『水』系統のマジックアイテムの力によって動いている彼らに、それと相反する属性の『火』をぶつければ、その効力を相殺することが出来るということだろうか。
 とにかく効果的な攻撃手段を発見した一同は、キュルケを中心とした陣形に切り替えた。
 この戦法に対してルイズは微妙に、エレオノールは非常に不機嫌な様子であったが、今はいちいち家の問題を持ち込んでいる場合ではないことも分かっていたので、二人は黙って援護を行っている。
 しかし、そのキュルケの炎による攻撃で敵メイジを三人ほど倒した時点で、敵は魔法の射程から一気に離れた。
 どうやら体勢を立て直すつもりらしい。
「このまま、少しずつ炎で燃やしていけば……勝てるかもね」
 キュルケが呟く。
 そのまま両陣営はジリジリと睨み合いを続けていたが……。
「……?」
 それに最初に気付いたのは、タバサだった。
 ぽつぽつと、頬に水の雫が当たっている。
「!」
 さすがにこの状況で『この現象』は不味い、とタバサは彼女にしては珍しく焦った表情で空を見上げる。
 ―――その数秒後、雨が降り出した。
 雨はすぐに本降りになり、この場にいる人間たちに降り注いでいく。
「杖を捨てて! あなたたちを殺したくない!!」
「……姫さまこそ、いい加減に目を覚ましてください!! ただ盲従するだけの愛なんて、そんなのは愛でも何でもありません!!」
 ルイズが叫んでアンリエッタに呼びかけるが、その訴えは降り続く雨音によって打ち消されてしまう。
「見てごらんなさい! 雨よ! 雨!! 雨の中で『水』に勝てると思っているの!? この雨のおかげで、私たちの勝利は動かなくなったわ!!」
「ぐ……」
 それは確かに、その通りだった。
 アンリエッタはトライアングルの水メイジである。
 これだけ激しく雨が降っていれば、材料の水などほぼ無尽蔵に用意されているようなものだ。
 『大量の水によるバックアップがある水メイジの優位さ』は、奇しくもラグドリアン湖の戦闘によるモンモランシーの活躍によって証明されている。
 ドットのモンモランシーでさえあれだけの力を発揮出来たのだから、トライアングルのアンリエッタならば自分たちをまとめて圧倒出来てもおかしくはないだろう。
 そしてこちらには、水メイジなど一人もいない。
 火を使って相手を焼こうにも、雨の中では役立たずである。
「……っ、打つ手なしなの……?」
 苦しそうな表情と声で呟くルイズ。
 だが。
「…………いや、そうでもないだろう」
 これまでほとんど『敵を観察する』ことに集中していた銀髪の使い魔の呟きによって、その顔はパッと明るくなるのだった。
174ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 01:47:00 ID:vAGwNpMt
 ルイズは期待を込めた瞳でユーゼスを見る。
「対処法を考え付いたのね、ユーゼス?」
「対処法……と言うよりは、相変わらずの『その場しのぎ』でしかないがな。いつも通り、根本的な解決にはなっていないぞ」
「それでもいいわ、とにかく言いなさい!」
 もったいぶっている暇などはない、と言わんばかりの強い口調で早急な説明を要求するルイズ。
 ユーゼスはそれに頷くと、自分が考案した『対処法』についての簡単な説明を始めた。
「了解した。……それでは、ミス・ヴァリエールとミスタ・グラモンに働いてもらうぞ」
「え?」
「……私たちが?」


 ボソボソと何かを相談し始めたルイズたちを見て、アンリエッタは不安に襲われる。
「何を話しているのかしら……?」
 おそらく撤退するか、しないかの相談だと思うのだが……。
 ……いや、そうであってくれなくては困る。
 もし彼らが、この状況にあってもなお自分たちに敵対すると言うのなら……もう、殺すしかなくなってしまうからだ。
 いや、何も殺さずとも、最低でも脚か腕のどちらかは失ってもらうことになるだろう。
 いずれにせよ、これ以上ルイズたちとは戦いたくない。
 戦いたくはないが、立ちはだかる障害とは戦わなくてはならない。
 自分の愛を貫くために。
「……………」
 そして、ルイズたちは行動を起こした。
 金色の巻き髪の少年と、長い金髪に眼鏡をかけた女性が、両人とも緊張した面持ちではあるが前に出る。
 どうやら、彼らは撤退ではなく戦いを選んだらしい。
「っ……」
 こうなったら、仕方がない。
 アンリエッタは杖を振り、メイジたちに水の鎧をまとわせようとする。
 だが、その直前……。
「!」
 ズ、と味方のメイジの内の一人が立っている地点の土がうごめき、隆起していった。
 一体何が……と確認する間もなく、隆起した土のカタマリは味方のメイジの全身をスッポリと飲み込んでいく。
「土で動きを封じた……?」
 まあ、戦闘において土メイジがよく使う手ではある。
 普通は動きを鈍らせたり足止めを行ったりするために、それこそ足のあたりにでも土を絡み付かせるものだが、完全に動きを封じるためにその規模を少々大きくしたのだろう。
 しかしこの程度の土のカタマリなど、すぐに大量の水で洗い流すことが出来る。
 不死身と化しているこのアルビオンの騎士たちならば、いちいち怪我をさせないように威力を加減する必要もなく、怒涛の勢いで一気にこの土を払うことが出来るだろう。
 そう思って、アンリエッタはあらためて水魔法を唱えようとするが……。
 次の瞬間。
 その土のカタマリは、一つの巨大な岩に変化した。
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:48:01 ID:XjoGjL3O
支援
176ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 01:48:15 ID:vAGwNpMt
「……ラグドリアン湖の時にも思ったんだけど、どうしてこうアンタは非人道的って言うか、えげつないって言うか、情け容赦のない魔法の使い方を考え付くのよ?」
「私に言わせれば、今までこのような魔法の使われ方が成されていなかったことの方が疑問だがな」
「貴族の戦いは、誇りを持って行われるべきなのよ。だからこういう……まあ、邪道な戦い方は、普通しないわ」
「そういうものか」
 反撃として飛んで来る魔法をデルフリンガーで吸収しつつ、ユーゼスはルイズと会話を行う。
 ルイズが使える魔法は取りあえず『エクスプロージョン』だけで防御に転用出来るものがないので、こうしてユーゼスがガードしているのである。
 『エクスプロージョン』もやりようによっては防御に転用が出来るのではないか……とユーゼスは考えているのだが、それを考案している暇も、その防御方法を練習させる暇も、今はない。
「それにしても、まさか『倒さない』ことを選ぶなんて……」
「あのような敵とは、マトモに戦おうとするだけ無駄だ」
 ユーゼスが一同に説明した『対処法』は、割と単純である。
 まず土メイジのギーシュが、敵メイジを大量の土で包む。
 続いて、同じく土メイジのエレオノールが、その大量の土に『錬金』をかけて石(と言うか、岩)に変える。
 他のメンバーは敵メイジを封じた岩を壊されないように、また敵の動きを止めるべく援護と牽制を行う。
 これだけだ。
「『あのような敵』? ああいうのと戦ったことがあるの?」
「実際に戦ったことはないが、自己再生を行うモノならば心当たりがあってな。それへの対処法を元に考え付いた」
 自己再生を行うモノへの対処法は、大きく分けて四つである。
 一つ目は、再生速度を上回る圧倒的な大火力で、破壊し尽くす。
 二つ目は、エネルギー源……コアを破壊、もしくは抜き出す。
 三つ目は、動きを封じて、身動きを取れなくする。
 そして最後に、どこか手の届かない遠くに放り出す。
 ユーゼスはこの中で、最も現実的な方法を選択したに過ぎない。
「まあ、今更いちいちアンタの過去を詮索するつもりはないけど……」
 ―――この男は自分に召喚される以前には、一体どこで何をしていたというのだろうか。
 もう何度目になるのか分からない問いを、ルイズは心の中で呟く。
(コイツがたまに言う『経験』とか『心当たり』とかって、少なくともハルケギニアでのことじゃないのよね……)
 知りたい、という思いはある。
 だが、そう軽々しく聞いてしまって良いものか、というためらいがある。
 そして……あの夢が脳裏をよぎる。
 もしアレが、自分の予想通りのものならば……。
「……む、予想より対応が早いな」
「えっ?」
 ルイズが思考に没頭し始めた時点で、横からユーゼスの声が聞こえて正気に戻る。
 見れば、敵メイジたちの周囲には分厚い水の壁が展開されていた。
 どうやらアンリエッタが行ったらしい。
「これで『土で包む』ことは困難になったな。『単なる土』ならばともかく、水の混じった『泥』に対しては石に錬金することは難しい」
 せっかく確立した敵への対抗手段が打ち破られつつあるというのに、ユーゼスは冷静だった。
「……それでは次善の策を打ち出すとするか。御主人様、任せた」
「…………普通は、主人が使い魔に指示を出すものなんだけど…………」
 ぶつぶつと不満を言いつつ、ルイズは展開された水の壁に向かって『適当な魔法』を唱える。
 『エクスプロージョン』をきちんと使おうとすると爆発自体は発生するのだが、術者であるルイズ自身が詠唱の途中で気絶してしまうため、いつもの『失敗魔法』による爆発を使った方が効率が良いのだ。
 それに、何も水の壁を消滅させる必要はない。
 ただ吹き飛ばすだけで十分だ。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:48:39 ID:LpehbpQ6
支援
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:49:29 ID:FJgS9/Sg
支援だ
179ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 01:49:30 ID:vAGwNpMt
「っ!!」
 いつも通りのルイズの失敗魔法の結果として、爆発が発生する。
 その爆発はアンリエッタが敵メイジに対して張った水の壁をバラバラに砕き、単なる水飛沫に変えてしまう。
「そんなことで……!」
 アンリエッタは再び水の壁を展開しようとするが、それよりもユーゼスがタバサに指示を出す方が速かった。
「ミス・タバサ、打ち合わせ通りに」
「分かった」
 すかさずタバサが前に出て、呪文の詠唱を始める。
 次の瞬間、水の壁を吹き飛ばされた敵メイジの周囲の空気が動き始めた。
 それを敵メイジが怪訝に思う間もなく、魔法の効果は現れる。
 その効果とは……。
「!? 凍った!!?」
 アンリエッタが驚きの声を上げた。
 そして彼女が泡を食っている間に、次々と敵メイジたちに張った水の壁は爆散し、飛び散った飛沫は氷の棺となってアルビオンの騎士を閉じ込めていく。
「な、な……!?」
 こんな戦い方、アンリエッタは見たことも聞いたこともない。
 いや、これもそうだが、『土で包んでから石に錬金して閉じ込める』というのも、前代未聞な……少なくとも自分は知らない戦い方だ。
 いったい、誰が考えたのだろうか。
 ……いくら何でも、魔法学院の学生がこれを考案した、とは考えにくい。
 ルイズの使い魔である平民。これもないだろう。平民が魔法の使い方について考えても意味がない。
 ということは、消去法で残りの一人に絞られる。
(ルイズの姉君の……エレオノール殿が……?)
 ありえる話だ。
 そもそも彼女は魔法の研究機関であるアカデミーの主席研究員である。
 アカデミーは基本的に、そのような『効果的な魔法の使い方』だとか『魔法の応用方法』の研究はしないものなのだが……。
(独断で研究を始めたと言うの……?)
 そこまで考えて、しかし今はそんなことを考えている場合ではないと気付く。
 アンリエッタにとっての味方のメイジたちは一人、また一人と氷付けにされていっているのだ。
「…………!!」
 呪文の詠唱を開始する。
 自分の精神力を総動員して、彼らを打ち倒すために。
 と、その詠唱に重なるものがあった。
 ウェールズの詠唱だ。
 アンリエッタは思わずウェールズの方を向き、そしてウェールズもまたアンリエッタを見る。
 二人は見つめ合い……アンリエッタの心は、その視線のやり取りだけで熱く潤み始めた。
 間もなく、水で出来た竜巻がアンリエッタとウェールズの周囲に発生していく。
 『水』、『水』、『水』。『風』、『風』、『風』。
 水が三つと、風が三つ。
 合計六乗の力は結集し、絡み合い、一つになっていく。
 ……王家にのみ許された、ヘクサゴン・スペル。
 直撃すれば人間どころか城壁ですら吹き飛ばすことが出来るだろうその攻撃を、アンリエッタは友と呼んでいたはずの少女に向かって放とうとしている。
180ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 01:51:00 ID:vAGwNpMt
 時間は少々巻き戻る。
 エレオノールは、不機嫌だった。
 自分の魔法が、邪道的な使われ方をした……ということに対する不満は、もちろんある。
 よりによって『錬金』で人間を固めるなど、まともな貴族は思いつかない。いや、思いついたとしても実行しようとはしない。
 これが野に下った下賤な傭兵風情ならまだしも、由緒正しい貴族であるならば、正道かつ真っ当な使い方で魔法を行使するのが筋というものだろう。
 アカデミーならば、こんな魔法の使い方は即座に『異端』のレッテルを貼られるはずだ。
(……でも、それはこの際、やむを得ないこととして……)
 しかし、今は生きるか死ぬかの瀬戸際でもあるのだから、この程度は大目に見よう。
 発表など絶対に出来はしないだろうが、それでも『生き残るための手段』としてならば許容が出来ないこともない。
 人間を氷で閉じ込めることについても同様だ。
 ルイズの魔法で水の壁を吹き飛ばし、その飛び散った飛沫や振り続く雨粒を、タバサのラインスペルかトライアングルスペルの応用で氷に固める。
 わざわざ水の壁を一度吹き飛ばしたのは、『まとまった形』で存在している水のカタマリよりも、バラバラに四散している状態の方が氷にしやすいためだ。
 風メイジが水蒸気などを氷にするのと、それほど違いはない。
 理屈としては、こんなところである。
 いくら傷付けてもすぐに再生してしまうのでは、もう動きを止めるしかないのだから、こうするしかあるまい。
 『雨が降っていて水が豊富にあるのだから、初めから土や石ではなくて氷で固めていれば』……とも思いはしたが、そうも行かない理由があった。
 タバサにかかる負担が大き過ぎるのだ。
 遠隔魔法……距離が離れている対象に向けて放つ魔法は、至近距離にある対象へのそれよりも精神力の消費が大きい。
 最初に行った『土で包んで石に錬金する』の場合、『ギーシュが土で包んでエレオノールが石に錬金する』という役割分担が成されていたため、精神力の負担も分けることが出来ていた。
 これはこの場に土メイジが二人いることで出来る分担だった。
 しかし、一同の中では風メイジはタバサ一人しかおらず、補助としての水メイジも一人もいない。
 その結果として、貴重な戦力であるトライアングルメイジのタバサを酷使することになってしまうのだ。
 これでもし不測の事態が発生した場合、最悪タバサを欠いた状態で対応しなければならなくなる。
 これは痛い。
(まあ、作戦って言うか、戦いの成り行きからすれば、仕方がないんだろうけど……)
 この場では最年長である自分が特に何もせず、学生に任せっきりという今の状態は、エレオノールとしては決して好ましくはない。
(それに……)
 トリステインの女王であるアンリエッタの乱心に対する、苛立ちもある。
 同じ女としてその気持ちは分からないでも……いや、誰かを本気で好きになったことがないので実はあまりよく分からないが、とにかく全く分からないということはない。
 だが、よりにもよって自分をさらって行ったはずの連中に協力して、救出に来たはずの自分たちに敵対することを選ぶとはどういうことだろうか。
 そしてこの件とは直接関係がないが、降り続く雨によって全身がずぶ濡れになっている。
 今の状況でこのことに対して文句を言う程に空気が読めないわけではないが、不満なことは不満なのだ。
(それとかは、取りあえず我慢が出来るんだけど……)
 …………そして、何より。
「前に出過ぎだ。少し下がれ、御主人様」
「これだけ暗いんだから、前に出ないと位置がよく分かんないでしょ!」
「そう動かれては守れんぞ」
「そこを何とか守り切るのが、本来のアンタの仕事でしょうが!」
(…………っ)
 『ユーゼスがルイズを守っている』、ということが不機嫌の最大の理由であった。
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:51:59 ID:LpehbpQ6
支援
182ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 01:52:30 ID:vAGwNpMt
 いや、別にそのことが問題であるというわけではない。
 むしろ理屈の上では正しい。
 使い魔が主人のことを守るのは当然であり、ごく自然なことだ。
 何の不都合も不自然な点もないし、違和感なども感じない。
 妹とその使い魔は、当たり前のことを当たり前に行っているだけである。
 ……だが、だからこそ面白くない。
 その『当たり前である』ということ自体が、不愉快なのである。
 って言うか、何なのよ?
 キスしたってのに、その素っ気なさは何よ?
 まあ、アレは厳密に言うとキスとは少し違うけど、それでも、こう……何て言うか、もう少し気恥ずかしさとかを感じてくれても良いんじゃないの?
 お……おまけに……仮にも、い、い、い、一緒のベッドで寝たくせに。
 何でそんなに平然としてるのよ?
(これじゃ、意識してる私が馬鹿みたいじゃ……)
 と、そこまで考えた時点で、ふと気付く。
 プラーナの口移しにせよ、一緒に寝たことにせよ。
 …………よくよく思い返してみれば、どっちもこの自分からやったことではないか。
「そ、そんな……!!?」
 カア、と顔から首にかけてが一瞬で熱くなっていく。
 ここ数日はどうも色々とあり過ぎて、駆け足で過ぎ去ったようなものだったので、あらためてその出来事を振り返る暇もなかった。
 しかし落ち着いて過去を回想してみれば、自分はかなりとんでもないことをやらかしている。
 いや、どちらもそうせざるを得ない状況ではあったのだが、しかし……。
(それにしたって……もうちょっと、こう、あるでしょ? 普通なら!?)
 ふとした拍子に目と目が合って、お互いに『あっ……』となるとか。
 お互いに対応がぎこちなくなって、妙に気まずくなるとか。
 その……『行為』を思い出して、ボーっとするとか。
 せめて、少しくらいは照れるとか。
 まともに恋愛した経験などないのでほとんど想像の域を出ないのだが、エレオノールとしてはそういうのを少しは期待……ではなく、予想していたと言うのに。
(……何だか私、ないがしろにされてる気がするわ)
 実際にはユーゼスはエレオノールだけではなく、主人であるルイズを含めた全ての人間に対して一線を引いた態度を取っているのだが、『不機嫌』というフィルターを通してユーゼスの行動を見ているエレオノールには、そう映らない。
 何だか、自分とルイズの扱いに差があるように感じるのである。
「…………うぅ〜」
 小さく唸ったところで、この状況が変わるわけでも、ユーゼスの注意がこちらに向くわけでも、自分の機嫌が直るわけでもない。
 しかし、どうしてもこう考えてしまう。
(もし、何かの歯車が一つか二つくらいズレてたら……)
 今、ユーゼスに守られているのは自分だったかも知れない。
 それを思うと、やはりエレオノールの不機嫌度はどんどん増していくのだった。
183ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 01:54:00 ID:vAGwNpMt
 ……と、『敵への対抗手段』効果を上げたために生じた精神的余裕をエレオノールが最大限に活用していると、いきなり巨大な水の渦が発生し始めた。
 さすがにこんな天災規模の攻撃を繰り出されては、優勢だった一同も慌てざるを得ない。
「さ、さすがに反則だろう、アレは!?」
「よし、逃げましょう!!」
「……多分、逃げ切れない。それにわたしたちが逃げ出したら、身動きの出来ないヒポグリフ隊の生き残りがアレに巻き込まれる」
「じゃ、じゃあ、こっちも魔法を使って、相殺して打ち消すってのはどうかね!?」
「あんなメチャクチャなのと互角の威力を持った魔法なんて、あるワケないでしょうが!」
 ギーシュとキュルケとタバサがうろたえながら対抗策を模索するが、あのような規格外の攻撃に対してそう簡単に有効な対抗策を考え付くことは出来なかった。
「「「……………」」」
 ならば、と三人は『有効な対抗策』を考え付いてくれそうなユーゼスに視線を向けるが……。
「……デルフリンガー、アレを吸収出来るか?」
「出来なくはねーが、厳しいな。俺にも一応は吸い込んだ魔法の許容範囲っつーか、耐久限界ってのがあるし。一応その魔法の力を消費することも出来るんだけど」
「その『溜め込んだ魔法を吐き出しながら、同時に吸収する』ということは可能か?」
「んー、やったことないから、分かんね」
「…………使えん防御装備だな」
「いやいや、俺は防御じゃなくって攻撃のための『武器』だよ!?」
 どうやら、そうそう虫の良い話はないらしい。
 はあ、と溜息を吐きながら、どんどん接近してくる水の竜巻を見るユーゼス。
 もうこうなったら、空間転移を使って自分とエレオノールとルイズだけで逃げるというのも一つの手段なような気がしてきた。
 他の三人は……まあ惜しい人材ではあるが、唯一無二の逸材というほどでもない。
 後はエレオノールとルイズに対する言い訳だが、これは……アレだ、『無我夢中になってたら、自分の秘められた力が開花した』とでも言おう。
 ドモン・カッシュが死の淵に立たされて、ようやく明鏡止水の境地に目覚めたようなものである。
 そうと決まれば、行動開始だ。
 ルイズは隣にいるので、早くエレオノールと合流しなければならない。
 では御主人様の身体を抱えて、ミス・ヴァリエールのいる場所に向かおう……と思った瞬間、デルフリンガーが間の抜けた声を上げた。
「あー」
「む?」
「思い出した。アイツら、随分懐かしい魔法で動いてやがんなぁ……」
「どういう意味だ?」
 いきなり意味深なことを言い出したデルフリンガーに向かって、ユーゼスは訝しげに問いかける。
「水の精霊を見た時、こう、なんか……背中のあたりがムズムズしたが……。いやユーゼス、忘れっぽくてごめん。でも安心しな、俺が思い出した」
「…………言ってみろ」
「アイツらと俺は、根っこは同じ魔法で動いてんのさ。とにかくお前らの四大系統とは根本から違う、『先住』の魔法さ。ブリミルもアレにゃあ苦労したもんだ」
「……………」
 出来ればラグドリアン湖で水の精霊を見た瞬間に言って欲しいことだったが、とにかくユーゼスは黙ってデルフリンガーの言葉を聞く。
 しかしその回りくどい言い回しに、横で話を聞いていたルイズが怒り始めた。
「何よ、伝説の剣! 言いたいことがあるんなら、さっさと言いなさいよ! 役立たずね!!」
 まったくだ、とユーゼスは内心で主人の言葉に頷く。
 デルフリンガーはそんな自分の持ち主の酷評にも気付かず、ルイズと会話を行う。
「役立たずはお前さんだ。……せっかくの『虚無』の担い手なのに、見てりゃあ馬鹿の一つ覚えみてえに『エクスプロージョン』の連発じゃねえか。
 確かにそいつは強力だが、知っての通り精神力を激しく消耗する。今のお前さんじゃ、この前みてえにデッカイのは一年に一度撃てるか撃てねえかだ。今のまんまじゃ、花火と変わんねえよ」
(……そういうことは、もっと早く言え……)
 チッ、とユーゼスが舌打ちするが、雨音に掻き消されたのでデルフリンガーには聞こえていない。
「じゃあ、どーすんのよ!?」
「祈祷書のページをめくりな。ブリミルはいやはや、大したヤツだぜ。きちんと対策は練ってるはずさ」
 言われた通り、ルイズは『始祖の祈祷書』のページを次々にめくっていく。
 そして見つけた。
 『ディスペル・マジック』という、ある意味では無敵の魔法を。
184ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 01:55:30 ID:vAGwNpMt
 雨音に重なって、謳うようなルイズの詠唱が響き始める。
 一体何だ、とギーシュたちは怪訝な顔でそんなルイズを見ているが、完全に詠唱に集中しきっている今の彼女にはそんな視線など何の意味もない。
 何も聞こえないし、何も見えない。
 ただ、自分の中で脈動する精神力を制御し、古代のルーンを唱えるだけである。
「……この子、どうしたの?」
 首を傾げながら、キュルケがユーゼスに聞く。
 それに対してユーゼスは面倒そうに答えた。
「分からん。御主人様のそれは、私にも不明な点が多いからな」
「?」
 疑問符を浮かべるキュルケに構わず、トランス状態にある主人を一瞥するユーゼス。
 そしてとうとう完成し、更にこちらに向かって迫ってくる水の竜巻を眺め、また考え込む。
「さて、それではアレをどうするか……」
「どうするかもこうするかもねえだろが。あの竜巻を止めるのがお前さんの仕事だよ、ガンダールヴ」
「……私が? 何故?」
「いや、何故ってお前……」
 本当に不思議そうに言ったので、思わずデルフリンガーは絶句してしまう。
「あんなモノをまともに食らって……いや、僅かでも触れてみろ。腕か脚の二、三本程度は千切れてもおかしくないぞ」
「え、えーっと。一つ聞いていいか、ユーゼス?」
 ユーゼスの言い分は確かにその通りなのだが、どうにも腑に落ちないことがあったので、デルフリンガーは以前のワルド戦においても浮かんだ疑問をもう一度投げかけてみた。
「何だ?」
「お前、あの嬢ちゃんの詠唱を聞いてて、勇気がみなぎってくるとか、安心するとか、心が落ち着くとかは……」
「無い」
「……………」
 しばし沈黙するデルフリンガー。
 だが、今はこの問題に関して議論を行っている場合ではない。
「と、とにかくだ! お前さんの仕事は、敵をやっつけることでも、研究することでも、あのビートルとやらを飛ばすことでもねえ! 『呪文詠唱中の主人を守る』!! お前さんの仕事はそれだけだ!!」
「……それならば、別に『私』である必要はないのではないか?」
「ああもう、屁理屈ばっかり言ってんじゃねえ! お前が望もうが望むまいが、とにかくお前はガンダールヴなんだよ!! だったらガンダールヴの仕事を果たしやがれ!!」
「…………やれやれ」
 あまりにもデルフリンガーがうるさかったので、渋々ユーゼスは一同から飛び抜ける形で前に出る。
 とにかく、身体を張ってでも主人を守るのがガンダールヴの仕事らしい。
 とは言え。
(さすがにアレを真正面から受けるのは無謀だ……)
 荒れ狂う水の竜巻が接近してくるに連れて、危機感も増していく。
 自分の身体は、アレには耐え切れない。
 デルフリンガーでは、アレを受け止めきれない。
 それでは、どうするべきか。
(……ふむ。『反則』を使わせてもらうか)
 どうも最近、自分的なタブーを犯す頻度が増えているな……などと思いつつ、ユーゼスは脳内のクロスゲート・パラダイム・システムを起動させる。
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 01:57:13 ID:glKUUFHG
支援
186ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 02:00:05 ID:vAGwNpMt
 実を言うと、因果律を少し操作すればこの程度の事象の消滅などはごく簡単に行うことが出来る。
 つまり、あの水の竜巻を丸ごと完全に消滅させることなど造作もない。
 造作もないが、うかつに丸ごと完全に消滅させてしまうと、『怪しまれる』などというだけでは済まなくなってしまう。
 なので、部分的に消滅させることにする。
(『私の身体に当たる分』のみを消滅させるか……)
 本体はそのままで、ごく一部を消す。
 これならば大丈夫だろう。
 無論、デルフリンガーに当たる部分は消したりなどしない。この剣には『魔法を吸収する』という大役があるのだ。
(何にせよ、行くか)
 竜巻が寸前にまで迫る。
 ド、と響く轟音に顔をしかめつつ、ユーゼスはデルフリンガーを構え、竜巻を受け止める……振りをする。
「ぐおっ!? やっぱスゲエ威力だ……!!」
「……………」
 デルフリンガーがその強力さに感嘆しているが、身体に当たる水流と暴風、その衝撃、水の冷たさ、ついでにうるさいので音も遮断しているので、どの程度強力なのかユーゼスはいまいちピンと来ていなかった。
 さすがに目に映る光景はカットしてはいないが、近すぎる上にあまりにも強力すぎて視界はほとんど水飛沫の白一色になってしまっているので、『見て威力を判断する』ということも出来ない。
(……む)
 そのままデルフリンガーを構えながら突っ立っていると、やがて少しずつ竜巻の回転力が弱まっていく。
 そして『水の竜巻』から、単なる『水の柱』程度にまで威力が弱まった時点で、ユーゼスは因果律の操作を止めた。
(やれやれ……)
 軽く自己嫌悪に苛まれながら、溜息を吐くユーゼス。
 まあ、後は御主人様が何らかの『虚無』の魔法を放つだけである。おそらくそれで終わるだろう。
 と、ユーゼスが安心して気を抜ききっていると。
 バシャーーーーンン!!
「っ!!」
 魔法の支えを失った水の柱が、盛大に崩れ落ちた。
 因果律の操作はもう行っていないので、ユーゼスはその衝撃をモロに受けてしまう。
 その結果として、ユーゼスの手からデルフリンガーが離れてしまった。
「くっ……」
 大量の水を身体で受け止めたために多少フラつきながらも、ユーゼスは後ろを確認する。
 ……どうやら、主人の詠唱はまだ終わっていないようだ。あと一歩か二歩、というところだろうか。
 やれやれと再び溜息を吐きつつ、ユーゼスはデルフリンガーを拾おうとして……。
「っ、ユーゼス、前を!!!」
 いきなり響いたエレオノールの叫び声を聞き、反射的に使い慣れたごく普通の剣を抜き放った。
187ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 02:01:05 ID:vAGwNpMt
 エレオノールの言葉通りに前を見れば、そこには、
「……ウェールズ・テューダー!」
「君は危険だな……!」
 真っ直ぐ自分に向かって駆けて来る、かつてのアルビオン王国の皇太子、ウェールズ。
 その手に持つ杖には、おそらく『ブレイド』によるものだろう魔法の刃が発生している。
「チッ!」
 剣を振るい、自分に向かって襲い掛かってくる魔法の刃を受け止めた。
 そのまま、幾たびか剣を交差させる。
「……往生際が悪いな。『勇敢な死』とやらをレコン・キスタに見せ付けてやると息巻いていたのではなかったか?」
「フフ、『若き息吹は敗者の中から培われていく』と教えてくれたのは君だっただろう? ……そして僕は、今度こそ勝者になる! クロムウェル閣下と共に!!」
 バッ、と両者は同時に飛び退る。
「だが、そのためにはまず君が邪魔だ。あのヘクサゴンスペルを耐え切るような強力な兵士がトリステインにいてもらっては困るのだよ」
「……まったく……」
 本日三度目の溜息を吐いて、ユーゼスはウェールズに告げた。
「仮にも一国の皇太子だった男が、操られているとは言え使い走りにまで落ちるとはな」
「何とでも言いたまえ。僕は今のこの境遇に、この上なく満足している」
「……それは本心か?」
「そうとも!!」
 ウェールズが持つ魔法の刃が霧散し、間を置かずに風の大槌が繰り出される。
 放たれた特大の『エア・ハンマー』は、素晴らしい速度でユーゼスへと向かって行き、
「ぐ……っ、がああっ!!」
 ユーゼスが反射的に構えた剣を打ち砕いて、その身体を盛大に吹き飛ばした。
 空気のカタマリはユーゼスの胴体をしたたかに強打し、飛び散った剣のカケラは手や顔を傷付けていく。
 更に手持ちの武器がなくなったので、ガンダールヴの効果も消えていく。
 最後の武器として鞭があるにはあるが、どこまで通用するものか。
(やはり、メイジと正面から戦うのは無謀だな……)
 倒れ込み、咳き込みながらも、あらためてそう思うユーゼス。
 見れば、ウェールズは自分にトドメを刺そうと最後の呪文の詠唱を行っている。
 そしてその魔法……『エア・スピアー』は、躊躇なく放たれた。
 ……ただし、ルイズが詠唱を完成させ、『ディスペル・マジック』を叩き込むのに2秒ほど遅れて、ではあるが。


 自分が唱えた魔法の光がウェールズの『エア・スピアー』を消し飛ばし、更にウェールズ本人をも包み込む有様を、ルイズは見た。
 ウェールズの身体は、ドサリと地面に崩れ落ちていく。
 ……ふとその後ろに目をやれば、アンリエッタもまた倒れていた。
 精神力の使いすぎで倒れたのだろうか。
「……………」
 本来ならば、すぐにでもアンリエッタの元に駆け寄るべきなのだろうが、どうもその気が起きない。
 それよりも、かねてからの悩みが少しだけ解決しつつあることの方が、ルイズにとっては重要だった。
 ―――自分は、自分の力である『虚無』をどう使えば良いのか?
 ハッキリとした答えは、まだ分からない。
 だが、何となく分かってきた。
(今みたいにして、使おう)
 使いたい時に……自分が使うべきだと判断した時に、使えば良いのである。
 逆に自分が使いたくない時、使うべきではないと判断したのであれば、使わない。
 ……そう、どんな力だって、結局使うのは『自分』なのだ。
 誰かに命令されたとか、『使わなければいけない』という強制や強要とか、そういうのは違うと思う。
 だが、もしもその『自分の判断』が間違っていたら……。
(…………間違ってから考えましょう)
 やる前から間違ってしまうことを考えていても、しょうがない。
 そもそも自分が間違っていないと思ったからこそ、自分は『虚無』を使ったのだ。
 それに対する後悔など、せいぜい未来の自分にでも任せておけば良い。
「……よし」
 少しだけ晴れやかな気持ちで、ルイズは一歩を踏み出す。
 ユーゼスは……それほど重傷でもなさそうだから、大丈夫だろう。すぐに動ける状態でもなさそうだが。
 それよりも、アンリエッタを起こして話をしなければならない。
188ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 02:02:30 ID:vAGwNpMt
 ルイズは倒れ伏しているアンリエッタの元まで歩み寄ると、その肩を揺すり、更に声を上げて彼女に呼びかける。
 すると間もなく、薄っすらとアンリエッタのまぶたが開いていった。
 そして完全に目が開ききると、辺りを見回し、すぐそばに冷たくなったウェールズの死体があることを認識する。
「あ、ああ……!」
 顔を両手で覆うアンリエッタ。
 どうやら後悔の念に襲われているらしい。
「……わ、わたくしは……、何てことを……!」
「目が覚めましたか?」
 そんな女王に向かって、ルイズは冷ややかな声で問いかける。
 この事件におけるアンリエッタの行動を見て、ルイズの彼女に対する評価は大きく下がっていた。
 ……要するに、この女性はつい最近の自分と同じだったのだ。
 そう、惚れ薬の影響下にあった頃の自分と。
 しかもアンリエッタの場合、薬も何も使わずに自分から湧き出た感情の結果としてこうなってしまったため、かなり性質が悪い。
(この人も人間だった、って言えばそれまでなんだろうけど……)
 幻滅した、と表現すると言い過ぎかも知れないが、少なくとももう彼女を神聖視することは出来ない。
「……何と言ってあなたに謝ればいいの? わたくしのために傷付いた人々に、何と言って許しを請えばいいの? 教えてちょうだい、ルイズ……!」
(そんなことくらい自分で考えてください)
 ……と言ってやりたかったが、ルイズはそれをグッと我慢しながら努めて平坦な声で言い放つ。
「それより、姫さまのお力が必要なんです」
 ウェールズたちの攻撃にさらされ、しかし生き残っていたヒポグリフ隊の方を指差すルイズ。
「姫さまの『水』で、治してあげてくださいな」
 出来ればユーゼスを先に治療してやりたかったが、自分の使い魔の怪我はそれほど深刻ではない。それに対して、ヒポグリフ隊の怪我は放っておけば死んでしまうほどのものだ。
 さすがにどちらを優先するべきかくらいは、ルイズでも分かる。
「っ、……わ、分かったわ」
 ルイズの視線の冷ややかさに気付いたのかアンリエッタは一瞬たじろぐが、すぐに気を取り直すとヒポグリフ隊の生き残りたちの元へと駆け寄り、治癒の魔法をかけていく。
 そして最後にユーゼスの怪我を治すと、一同は石や氷で固められたアルビオンの騎士たちの死体を解放させつつ、敵味方を問わず死体を木陰に運んだ。
 取りあえず、このまま街道の真ん中に死体を置いておく訳には行かないという判断である。
 ちなみに『死体に触るのは嫌だ』という理由で、一部を除く女性陣は死体の運搬を拒否したが、人手の問題はギーシュのワルキューレに頑張ってもらうことで何とかなった。
 そして最後にアンリエッタがウェールズを運ぼうとして、その冷たい頬に触れると、信じられないことが起きる。
「ぅ……」
「え?」
 固く閉じられたはずのウェールズのまぶたが、弱々しくではあるが開いたのだ。
「……アンリエッタ? 君か……?」
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:03:22 ID:PzebTEpB
支援
190ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 02:04:00 ID:vAGwNpMt
「終わったか……」
 飛び去って行くシルフィードを見送りながら、ユーゼスは呟く。
 あの後、一時的に息を吹き返したウェールズは、消えゆく命を振り絞りながら『ラグドリアン湖の湖畔に行きたい』と言った。
 スピードを優先するのならば移動にはビートルを使うべきなのだが、真夜中で見通しがこの上なく悪く、しかも操縦者であるユーゼスはかなり疲弊していたため、移動はタバサのシルフィードに任せた。
 ラグドリアン湖に行ったメンバーは、アンリエッタとウェールズ、シルフィードを操るタバサ、自主的に付いて行ったルイズ、同じく『見届けたい』と言ったギーシュである。
 この場の事後処理は回復したヒポグリフ隊なりに任せて、残ったユーゼスとエレオノールとキュルケは休息を取りながらラグドリアン湖に行ったメンバーが戻るのを待っていた。
「……………………」
「……………………」
 三人並んでその場に座る残留メンバー。しかしどうにも気まずい沈黙が場を支配していた。
 まあ、元々ユーゼスは自分から会話を行うタイプではないし、エレオノールとキュルケにしても『ヴァリエールとツェルプストー』という関係からすればそう会話が弾むわけもない。
 だが、この沈黙は『エレオノールがユーゼスに対して不機嫌を露わにしている』ため起こっている沈黙であった。
「……?」
 そんな二人のカヤの外に置かれたキュルケなどは、これがどのような沈黙なのかすらよく分かっていない。
 ……実を言うと、ユーゼスにも何故自分たちが沈黙しているのか分からなかった。
 しかしこのまま気まずい沈黙を続けるのも精神衛生上よろしくないので、ユーゼスはエレオノールに取りあえず当たり障りのない話題を提示してみる。
「そう言えば、雨が止んでいるな」
「……そうね」
「……………………」
「……………………」
 会話が続かない。
(何なのだろう……)
 エレオノールが不機嫌であるのは、何となく分かる。伊達に宝探しで10日間も一緒にいたり、その後も色々と騒動を共にしてきたわけではない。
 ……エレオノールの感情はそれなりに読めるのだが、一体何にそんなに苛立っているのかが分からないのだ。
 分からないので、もうストレートに聞いてみることにする。
「……ミス・ヴァリエール、何を怒っているのだ?」
「怒ってなんかないわよっ!!」
 どう見ても怒っているようにしか見えないエレオノールは、そのままプンプンと怒りながらユーゼスから30メイルほど離れていった。
「?」
 ワケが分からずに首を傾げるユーゼス。
 それを見かねたキュルケは、溜息を吐きつつユーゼスに話しかけた。
「……追いかけてフォローしてあげた方が良いんじゃない?」
「フォローと言われてもな。何に対して不機嫌になっているのかよく分からないのでは、対処のしようがない」
「はあ……。『たとえ原因が分からなくても、機嫌の悪い女をなだめる』ってのが、男の甲斐性の一つでしょうが」
「何だそれは?」
 ユーゼスはキュルケの言っていることが理解出来ない。
 不機嫌の対象の正体が分からないのだから、なだめられるわけがないではないか。
「……アンタって、本当に……」
 そんなユーゼスを、キュルケは心底呆れた表情で見つめる。
「ああもう、一から全部教えてる暇もないか……」
 そして額を右手で押さえてかぶりを振ると、取りあえずではあるが『手っ取り早い機嫌の取り方』を伝授することにした。
「……じゃあ、コレをあのカタブツに言ってごらんなさいな」
「ふむ?」
191ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 02:05:30 ID:vAGwNpMt
 ゆっくりとエレオノールに歩み寄っていくユーゼス。
 それに気付いたエレオノールは、ジトッとした目を銀髪の男に向ける。
「……何の用よ?」
「お前と話がしたくてな」
「……………」
 ぷいっと顔を背けるエレオノール。
 どうやら、まだ機嫌は直っていないらしい。
 仕方がないので、キュルケから伝授されたばかりの『手っ取り早い機嫌の取り方』とやらを早速試してみる。
 だがそのためには、適当な話題を投げかけなくては……。
「あのアンリエッタ女王は、これからどうするつもりなのだろうな」
「さあ? 私が分かるわけがないでしょう、そんなの」
「……ラ・ヴァリエール家はトリステインでもかなりの名門なのだろう? ならば国の舵取りをする女王の動向は、お前の家にとっても無関係ではあるまい」
「それは当主である父さまが考えることであって、私には直接関係はないわよ」
(よし、ここだ)
 そう判断すると、ユーゼスは多少ぎこちないながらも『その言葉』を口にした。
「だが無関係という訳でもないだろう、……エレオノール」
「それはそうだけど……。……ん?」
 気の利いた言葉の一つも言おうとしないユーゼスに更に苛立ちを募らせながら、不機嫌なままで適当に相槌を打とうとして、エレオノールは妙な違和感に気付いた。
 先程のユーゼスのセリフに、妙な違和感を感じる。
 何なのかしら、とそのセリフを頭の中で反芻してみると……。
「…………っ!!!」
「ぐぁっ!」
 エレオノールはいきなり顔を真っ赤にして、ポカッとユーゼスの頭を叩いた。
 そして、更にユーゼスから30メイルほど離れていく。
 ―――残されたユーゼスは、叩かれた頭を押さえながら思案に耽り出した。
「……むう……」
 やはり駄目だったか。
 怒っているのとは微妙に違うような気がするし、チラチラとこちらを窺っている様子ではあるから、エレオノールの機嫌も多少は改善されたのだろうが……根本的な解決になっていない以上、失敗したと見るべきだろう。
 ふとエレオノールの様子を見てみると、いつかと同じように慌てて目を逸らされたので、機嫌は悪いままだと思われる。
(ミス・ツェルプストーのアドバイスも、当てにはならんな……)
 そう考えつつ、キュルケのアドバイスを思い出す。
(……やはり『“ミス”も付けずに名前で呼ぶ』というのは逆効果だったか)
 いくら何でも馴れ馴れし過ぎるし、何より不敬だったのだろう。
 そう判断したユーゼスは、次からエレオノールに対する呼び方を『ミス・ヴァリエール』に戻した。
 ……しかし、そうしたら前よりももっと不機嫌になってしまった。
 何故だろう。
(全く分からない……)
 少し離れた所でキュルケが笑いを堪えているが、一体何がおかしいと言うのだろうか。
 まあ、ともかく。
 これ以降、ユーゼスのエレオノールに対する呼び方は、少なくともプライベートにおいては『エレオノール』で一貫されることになるのだった。
192ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/20(金) 02:06:30 ID:vAGwNpMt
 以上です。

 ……俺は一体、何を書いているんだ……。
 見れば見るほど、28歳(精神年齢68歳)の男と、27歳の女のやり取りじゃないですよね、コレ……。
 そして、相変わらず『御主人様』呼ばわりの原作正ヒロイン。
 …………ま、まあ、それはこれからどうにかしてフォローして行きましょう。

 しかし、ディスペル発動前にはもっとウェールズとガチで戦っても良かったかも知れませんが、ガチで戦うと劇中にあるようにユーゼスが負けるんですよねぇ、これが……。
 かと言って因果律を操作してしまうと、ハッキリ言って物凄くつまらなくなりますし。
 ……私はどうしてこんな両極端なキャラを選んでしまったのでしょうか。

 さて、ここで一つお知らせを。
 ……色々考えたのですが、5巻の内容はほとんど飛ばすことにします。
 ストーリーの上で飛ばしてもあまり影響はないだとか色々と理由はあるのですが、最大の理由は『余計なフラグが立ってしまうから』です。
 私は基本的にテンプレに沿った進行をしているので、順調に進めるとアンリエッタかアニエスのどちらかとフラグを立ててしまう可能性が非常に高いのです。
 ……まあ、この話を書き始めた当初は、アニエスもヒロイン候補だったのですが、そうやたらとフラグを立てたりすると収拾が付かなくなる可能性がありますので……。
 とは言え、魅惑の妖精亭は出したいとは思っておりますが。

 代わりと言っては何ですが、次回は番外編になります。
 ……基本ギャグの3本立てなのですが、少々やり過ぎな感があるので避難所に投下しようと思います。

 それでは、支援ありがとうございました。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:08:56 ID:Nlfh4irH
乙。
相変わらず朴念仁なおじいさんだw
そしてエレオノール女史のフラグがどんどこ建っていきますな
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:16:26 ID:YqU35Eov

エレオノールなんて可愛い27歳だ
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:18:31 ID:gEOowikU
もうさ、エレオノールとくっついちゃえばいいじゃん
ヒロイン=恋愛に絡むんじゃないんだぜ、某元姫みたいな例もあるし
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:18:44 ID:fleTNhaC
あーもー付き合っちゃいなよ。
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:21:03 ID:XjoGjL3O
乙です
ここらでルイズ頑張れと応援しておこう
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:28:28 ID:COopE4c1
>>195
水島乙!
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:33:27 ID:YW+MS/sF
乙ー
なんか行くとこまで行っちゃったら、ルイズは自分の使い魔を「お兄様」とか呼ぶ羽目になるんかねい
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:48:33 ID:726Na6kD
>>199
無理じゃね?
原作でキュルケがやったくらい下着姿で迫っても
「暑いのかね?」とか返されちゃいそうだし
行くとこまで行くには逆レ○プしないと
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:52:26 ID:LpehbpQ6
姉ちゃんとユーゼスが結婚して「お兄様」と呼ぶ羽目になるってことじゃないの?
お義兄様?
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 02:55:49 ID:qakhAQsf
結婚しても何故こうなったか首を傾げそうだ
203sage:2009/03/20(金) 02:59:46 ID:m3YHZqJ8
ていうか戦闘中にラブコメするんじゃないよw
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 03:05:45 ID:PzebTEpB
実は逆なんじゃね!?
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 03:18:30 ID:g/PiF03Q
あれ、まとめWikiの鯖落ちてる?
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 03:31:35 ID:OJp8ePCf
>>205
落ちてるみたいだね
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 04:11:56 ID:pesZPxMm
まとめ、繋がらないね
せっかくssを纏め読みしようとしたら繋がらないとは…残念
Arcadiaも繋がらないけど、あっちは引越しだっけ?
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 04:18:21 ID:pkeL8xg5
ヤクザものの作品とか読んでみたいな。
静かなるドンとかのキャラとか。
なんかあったっけそんな作品?
長編、短編問わずで。見ようと思ったら、wiki見れないし、チェックできん。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 04:19:23 ID:pkeL8xg5
sage忘れた。スマン。
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 04:51:20 ID:5AuF6hDN
>>207
理想郷は引っ越しの告知してたな。一週間くらいダメなんじゃないか?
長編完結作品読みかけだったから、ちと辛い。orz
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 05:07:29 ID:u/C5W7si
>>208
小ネタにドスペラードがなかったっけ?
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 05:47:24 ID:TYK2WiEj
>>211
うーんちょっとピンとこないんだが、元ネタkwsk

あと個人的には、静ドンの近藤静也はこっちに召喚されたら
幸せなんじゃないかと思う。秋野さんがいない以外は。
抗争に巻き込まれることもないし、自分のライフワークである
下着のデザインとかも、できると思うし。
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 07:03:30 ID:Ta2br0Qf
>>210
理想郷は24日には再開できると思う、と管理人さんが。

読みかけの奴はローカルに保存しておいたから、再開するまではそっち読んでよっと。
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 07:34:29 ID:LWqFcxoj
ラスボスの人乙
…番外編?
ハッ、チカー! 逃げてー!!
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 08:31:18 ID:bYP9Fvfq
ちょっと思いつきで書いた2レスの小ネタの投下をします。
猫神さまから猫神さまを召喚です。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 08:34:03 ID:z8IQYnBO
猫女神様?
あのむちむちぼいんな。そしてルイズがネコの王に。
217使い魔さま:2009/03/20(金) 08:35:08 ID:bYP9Fvfq
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし使い魔を召喚せよ!」

 ルイズが呪文を唱え召喚したのは……。何というか、変な生き物だった。
 二頭身で巫女服を着た猫耳の女の子?
 そんな姿の生き物である。

「あんた誰? っていうか、何?」
「誰と言われましても、猫神さまですとしか言いようがないわけですが」
「猫……神……? 神様? あんたが?」
「いえいえ、そう呼ばれているだけで、別に神様ってわけじゃないんですけどね」

 何なのよそれは? と頭を捻って考えていると、監督責任者の教師コルベールが声をかけてきた。

「ミス・ヴァリエール。きみは一人で何をブツブツ言っているのかね?」
「一人で? ってミスタ・コルベール。これが目に入らないって言うんですか!」

 憤慨して、猫神さまを指差して見せるが、コルベールは何もいないですよと言わんばかりにキョロキョロと視線を迷わせ、メガネをハンカチで拭いてみたりもするが、やっぱり猫神さまを視界にいれない。

「どういうこと?」
「どうもこうも、私の姿は見える人と見えない人がいるってだけですよ。というか、大抵の人は見えないんですけどね」

 大抵の人は見えない? と、周りを見回すと、なるほど確かに他の人間には見えてないらしく、他の生徒たちがこちらを指差して、「ゼロのルイズが、魔法の失敗のし過ぎで、ついに頭がおかしくなったらしいぞ」なんて言っている。失礼な!

「なんなのよ、あんた! なんでわたしにしか見えないのよ! オバケだとでも言うつもり!」

 感情に任せて叫んだ瞬間、小さな悲鳴が上がり、何かが倒れる音がする。
 へ? と、そちらを振り返ると、そこには気を失ったらしい青い髪の少女と、それを介抱しようとしているらしい赤毛の少女。

「自分がサモン・サーヴァントに失敗したからって、一番凄い使い魔を召喚したタバサにオバケがどうのと言って嫌がらせをするなんて。ルイズ、恐ろしい子」

 何のこと? と思うが、赤毛の少女、キュルケはタバサを連れてさっさと学院に戻っていってしまう。

「おやおや、人を妬んで嫌がらせとは、心の貧しい人ですね」

 やれやれと肩をすくめ、ため息をつくそいつを、ルイズは力任せに投げつけた。ただひたすら遠くへ。



「ははあ。つまり、私はルイズさんの使い魔として召喚されたと?」

 寮に戻ってきて、猫神さまに春の使い魔召喚の儀式についての説明をして返ってきた言葉がこれであった。
218使い魔さま:2009/03/20(金) 08:37:50 ID:bYP9Fvfq
「そ。これには、進級がかかってるんだけど……。あんたが、わたしにしか見えないせいで、落第決定だわ」
「おやおや。そんな風に失敗を人のせいにしていては、立派な大人になれませんよ」
「あんたのせいよ!」

 ガシャンッ、と音を立てて割れる窓ガラス。
 わざわざ、こちらの神経を逆撫でするような物言いばかりの使い魔に、ついにぶち切れたルイズが猫神さまを投げ捨てたのであった。

「もう寝るわ」
「それを人は現実逃避というのですよ」
「ほっといて」

 そうして彼女は布団に潜り込む。そして、うなされた。

「って、何なのよ!」

 と眼を向けた先には、恨めしそうな顔を向けてくる半透明の人たち。そして彼女は悲鳴を上げる。そりゃもう盛大に。

「ちょっと、ルイズ。あんた、なにこんな時間に大声上げてんのよ」

 そう言って入ってきた隣室の住人であるキュルケに、半透明の人たちを指差して指摘してみるが、「何もないじゃない。寝ぼけるて大声だすのとか止めてよね。迷惑だから」と言い捨てて出て行ってしまう。

「どういうことなのよ」

 呆然と呟いた言葉に、答える声があった。

「なるほど。ルイズさんは見える人だったから私が見えたんじゃなく、私を召喚したから見えるようになったんですね」
「どういうことよ?」
「いや、よくあることなんですよ。それまで見えなかった人が、何かのきっかけで急に視えるようになるって事が」
「それじゃあ何? 今までは見えなかっただけで、この部屋には最初から半透明の人たちが住んでたってこと?」
「いえ、この幽霊たちは、私と一緒に召喚されてきた人たちですね」

 ぱりーん!

「話の途中で窓に投げるのはどうかと思いますよ」
「どうでもいいわよ。それより、あんたと一緒に来たってどういうことよ?」
「いえね。私が前にいたところには、幽霊をひきつけやすい人が住んでたんですが、幽霊を追い払おうって話になりまして。
それで、どこに追い払おうかって話をしていた時に変な鏡と言うか空間の穴と言うかがあるのを見つけまして、ちょうどいいからそこに捨てていたら私もそこに落ち込んでしまいまして……」

 ガシャーンッ!

「……気が付いたら、ここにって、おおうっ! 何か凄い飛距離を投げられてますよ私」


 それが、ゼロのルイズの人生をそれまでとは大きく変えていく使い魔との出会いであった。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 08:39:32 ID:z8IQYnBO
そーか、源久也か…
GJ!大好きな漫画だっ!
220使い魔さま:2009/03/20(金) 08:40:35 ID:bYP9Fvfq
投下終了。

>>216
いえいえ、それとはまったく関係のない、今は亡き電撃帝王で短期連載していた漫画なのです。
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 08:41:45 ID:IghzcgcI
>>211
そこでさりげなくドスペラードを出すなよw
たしかにヤクザだけどさw
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 09:27:19 ID:SRZNh70Q
まとめwiki消えた
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 09:28:48 ID:pjBTVRgi
atwikiのwww35鯖が落ちているみたいだな。
最近、atwikiの鯖落ちが多いな。年度末でメンテが多くなっているのか?
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 09:30:51 ID:BwKSdps0
まとめに繋がらなくね?
なんかあったのかな?
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 09:45:19 ID:zzuFBOnS
ヤクザか…
つ水滸伝
後はヤクザじゃないけど
つリアルバウトハイスクール
つ押忍空手部
とかいい感じかも。
とりあえずアイアンメイデンの刑を喰らうモット伯や爆裂発剄で吹っ飛ぶワルドは見えたw
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 09:52:35 ID:eeruWVdW
ヤクザなら殺し屋1のドMなのが小ネタにあったろ
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 10:06:48 ID:z2JdyIKj
静かなるドン――そして吹き上がる「トリステイン下着革命」!
甘い生活でも代用可能なのがネック?
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 10:08:17 ID:qakhAQsf
>>227
近藤なら喧嘩も強いぞ
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 10:18:43 ID:zzuFBOnS
あぁヤクザと言えば職コロの赤松さんもいたなぁ元だけど。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 10:20:40 ID:euoRKjjo
龍が如くの郷田とか非常に召還したいんだがな、ギーシュを挑発するシーンとかすげぇ楽しそう
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 10:24:27 ID:zzuFBOnS
以下略のヤクザは召喚されたらもの凄く喜びそうだw
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 10:28:11 ID:JfI23k+0
ヤクザか…ブラックラグーンの銀さんとか?
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 10:48:34 ID:ZKau5CQ2
メイジ崩れのヤクザは、えげつない魔法の使い方に習熟してそうだ
暗殺とか拷問専門の没落メイジってどうかな?
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 11:08:10 ID:XtLKyQPi
みんな忘れてないか? ゼロの花嫁で召喚されてた彼女を……!

ところでハルケギニアの下着事情ってどんなものだったっけ?
ブラジャーが無いというSSはいくつかあったけど
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 11:22:14 ID:M8eAAGa6
でも下はドロワーズではなくショーツという不思議。
まぁリアリティ追求したらキリがないけど。

地球でブラジャーが実用に耐えるものになるのは20世紀まで待たなければならなかった。
(民明書房刊「下着に見る技術発展」)
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 11:26:56 ID:tt+OXgwT
ショーツに限れば布地は自然素材だし、ゴムはあるらしい。
となると、ドンを召喚したらデザインもしくは合成繊維の開発に着手……かな? 自作下着のサンプルを上司に渡そうと机を離れた途端に召喚されるとかで。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 11:28:00 ID:Rmo4VuTb
ヤクザじゃなくヤンキーだけどカメレオンから矢沢永吉とか
サイコメトラーの明日真映児、湘南純愛組の鬼塚英吉を召喚
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 11:40:26 ID:zzuFBOnS
はいすくーる仁義のヤクザも忘れないでやってください。あとミナミの帝王も。
どっちにしろギーシュは舎弟にされるけどw
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 11:46:43 ID:Rmo4VuTb
ぶっちゃけヤクザ程度がハルケギニアに言ってもただ喧嘩が強いだけの平民って事で日本のように恐れられることはないだろう
まぁ男塾とかゲトバカのヤクザなら……
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 11:50:11 ID:GRmQM56Z
恐れられる必要は無い。任侠の生き様を見せられればそれでいい。

……個人的にゃ「ヤーさんの“仁義”ぃ? ハッ」って思うけど
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:16:44 ID:+hvqJNAM
>>228
江戸伸介も合気道系で十分強いですよ。
近藤さんほど理不尽ではありませんが
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:18:44 ID:n0uDBSG6
ヤクザといえば高倉健。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:22:08 ID:z8IQYnBO
『傷だらけの仁清』とかもありかなぁ
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:30:16 ID:6mcdlmEb
死んでも生き返り、テロリストの攻撃からも生き延びた阿久津丈二を超えるヤクザは居ない!
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:31:45 ID:D4Sb8bbR
まだ規制されててここの話題にのっかれず涙目
なにがかなしゅうてネカフェに来なければならんのだ
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:33:49 ID:0cw6YXlo
虎を2匹素手で倒す程度の強さと、銃弾を数発食らった後に全力で殴りあう程度のタフネスをもったヤクザなら心当たりが。
さすがに死んだら死にっぱなしだがw

>>245
乙w
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:36:33 ID:JJvvzsZg
超大型のさめの脳みそを水中で素手で潰せるヤクザとか!
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:38:27 ID:LpehbpQ6
>>230
岸谷gじゃなくて真島吾朗は?
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:41:57 ID:JqcabR9S
>>247
スカーフェイス乙
花山って文明的なオーク鬼扱いされそうだな
勝手に勘違いして人を喰わせるわけにもいかないしと悩むルイズとか
さすがに大丈夫だと思いたいがデルフはあの握力に耐えられるか否か
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:43:33 ID:LpehbpQ6
握力に耐えられるかの前に、花山って武器を使うの?
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:45:13 ID:KzFuq73D
デルフが耐えられるかどうかより、花山がデルフを使うかどうかじゃね?
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:46:37 ID:euoRKjjo
>>248
3やってないから使いづらいんですよ、いいキャラだけどw
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:47:46 ID:qakhAQsf
死刑囚相手にも素手だから使わないかと
最大トーナメントで短刀を持ってたのは忘れよう
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:50:13 ID:0cw6YXlo
魔法も背中で受ければ耐えられるだろうしな
デルフを構えてる姿が想像できないw
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 12:52:06 ID:JqcabR9S
そういえば花山武器使わなかったな……
武器を使いそうなのって言ったら……ドイルに頑張ってもらうしかないか
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:06:07 ID:LpehbpQ6
柳と本部もいるぜ!

>>252
私も3はやってません!
確かに使いづらいっすよね、いいキャラだけどw
ネタ半分+岸谷五朗って言いたかっただけなんで気にしないでください!
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:07:55 ID:JfI23k+0
バキと言えばシンシア・ザ・ミッション
つまりシンシア・ロウ召喚
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:09:14 ID:MakMKvVo
ここまで白銀本気の名前無し
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:15:18 ID:jFWYDxgH
でも現実のヤクザってチャカみたいなのばっかだよな
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:16:58 ID:jFWYDxgH
物語的には花山が一番面白そうだけど
武器も武術すらも使わないで腕力だけで戦うのがポリシーなんだよな花山w
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:30:48 ID:zzuFBOnS
ヤクザで鬼強くて武器使いそうなキャラか…魔界都市のヤクザ位か?
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:33:53 ID:3Q38m0jH
魔界都市のヤクザ屋さんならメイジにだって勝てるさ!きっと…。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:34:43 ID:zzuFBOnS
連投スマソ
リアルバウトハイスクールの奥さんもヤクザだったな。正確にはマフィアだけど。
でも召喚される時期によっては旦那が乗り込んでくるなw
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:35:04 ID:KzFuq73D
鬼強いヤクザ

山本一発とか?
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:39:02 ID:jFWYDxgH
いいじゃんデルフ必ずしも使わなきゃいけないってことはないんだし
デルフに果てリーマン役になってもらってry
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:43:35 ID:xE0YVslY
魔界都市のヤクザは
普通に銃弾避けたりできるような奴とか抗争で核爆弾持ち出すような奴ばっかだぞw
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:52:08 ID:3Q38m0jH
>257
シンシアでは無く、姉のシベールはどうだろう。
…うん、ルイズ死ねるね。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 13:55:00 ID:3+zahTDw
>>249
ふんどしで漢立ち中に召還とかいろんな意味で阿鼻叫喚とか

>>250
絶対使わないだろうなw 
修行や訓練ですら女々しいって言い切っちゃうキャラだし
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 14:11:37 ID:vrssqHoK
>>266
でも共倒れするから拳銃サイズのレールガンは持ち出さないんだけどなw
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 14:43:10 ID:9V6eoGY6
wiki復活しとるな。
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 14:51:12 ID:BwmkJY3u
ページ編集ができん・・・・
もう暫く待つか
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 14:52:09 ID:zzuFBOnS
書いてから思ったが…水滸伝はやめた方がいいな…普通に人喰うし…
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 15:07:31 ID:yM3gwacb
ヤクザなら極道兵器を。
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 15:32:29 ID:N3ypWvY0
ゲッターエンペラーを主食とする山守義雄
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 15:47:28 ID:QA1RXS2f
>>266
そんなヤクザが有象無象な雑魚扱いな世界だからねぇ、魔界都市ってw
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 15:49:57 ID:MUiRJZ5w
なぜみんな餓狼伝説の山崎を挙げないんだ
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 15:51:45 ID:zzuFBOnS
>>274

> ゲッターエンペラーを主食とする山守義雄

誰も勝てねぇよww
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 16:31:51 ID:M8eAAGa6
>>276
奴は闇のブローカーであって、、893じゃない。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 16:34:25 ID:GSMn15TW
極道兵器の主人公とかは?
補正が無い一般人が、メイジに勝てるわけないんだけどな
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 16:35:12 ID:3+zahTDw
>>278
>米軍の武器の横流しに関わった際、日本本土に拠点を持つ極道組織の幹部である反町(そりまち)と出会い、彼の弟分となる。
281 :2009/03/20(金) 16:43:15 ID:kwqPYcEX
山崎だとルイズの出会いのシーンで蒼い兄貴同様に大暴れしそうだけどね(^^)
しかし、山崎だとvsワルド戦でライトニングクラウドを倍返しで投げ返すとか平気で出来そうなので面白そうなキャラではあるな。

というか、山崎に拘らず飛び道具反射系の必殺技を持つキャラは大抵はいわゆるメイジ殺しに認定されそうで面白そう。

山崎竜二、如月影二、アテナ、ローズ、エリック、ジョニー・マキシマム・・・・・
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 16:43:21 ID:fJxRXap5
>>279
あれのどこが一般人だw
一応サイボーグ化するまでも歴戦の勇者だし

あの人なりに子分思いではあるし器はまあ大きいと思うが制御はできないだろうな
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 16:44:05 ID:GuF6Ht/D
>>279
一般人?
石川賢作品の主人公を、一般的なホモ・サピエンスだと思っているのか?
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 16:47:41 ID:/q0OFy+b
逸般人
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 16:48:15 ID:BwmkJY3u
>>281
すごい漢はどうした・・・・?
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 17:03:02 ID:mm1K11Yo
>>284
うまいw
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 17:05:34 ID:GSMn15TW
ゼロキャラの容姿設定が、石川絵に!
クロムウェルの悪人顔が凄いことになりそうだ
288小ネタ:2009/03/20(金) 17:06:08 ID:QiltqqG3
目の前には地を埋め尽くすようなアルビオン軍を前に、その使い魔は笑っていた。
「かみ に ケンカ を うる ひとびと が こんなに いる とは !
 なんて ゆかいな セカイ だ!
使い魔はその独特の喋り方で感激している。
いつもは役者っぽくて、傲慢で、気に食わない奴だが、今回は頼もしく見えてなんだか悔しい。
「とっとと かたづけ なさいよ
いけない、喋り方がうつってきている。
「かみ に めいれい するとは …
 それも ごしゅじん の サガ か …

 ひかりあれ!

あんなにいた、アルビオン軍は、もはやどこにもいなくなっていた。
まるで最初からいなかったかのように、辺りは静寂に包まれている。
改めて、この使い魔は人間ではないと確信した。


カギかっこを締めないのは仕様です。
引っぱり出して久しぶりにやったらおもしろかったので、つい。

題名は何にしましょう、「バラバラになった使い魔」でいいかな(笑)
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 17:09:42 ID:BwmkJY3u
>>288
既に小ネタであったぞ
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 17:40:07 ID:msZTKI69
極道兵器が極殺兵器に見えて緋蜂召喚
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 17:46:20 ID:g/PiF03Q
瀬戸の花嫁もヤクザっちゃヤクザだけどな
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 17:53:40 ID:eeruWVdW
二番煎じな上に内容が劣化してるw
同じ作品の小ネタでも書き手で随分と差が出るもんだな
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 17:56:10 ID:M/2u+qmz
>>289
同じキャラを呼んじゃいけないってルールはない。
ま、召喚されて退屈はしない世界だろうな。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:06:11 ID:eeruWVdW
そりゃそうだがさ
出来心で書いたチラシの裏みたいなのがwikiに登録されたら
同じ元ネタの下に登録されたら
恥ずかしいよなぁ
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:14:46 ID:LFlbHt//
>>294
それは別にあなたが心配することじゃない。
あなた自身がそれによって何か明確な不利益を被っている訳じゃあないのだから。
対して、小ネタを投下した方は作品投下によってもしかしたら恥をかき叩かれるかもしれないことは承知の上でしょう。
ならば、作品内容に対する批判はともかく、投下それ自体とWikiへの登録について非難するのは筋違いだと思いますよ。
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:42:13 ID:LpehbpQ6
>>277
食べるもの無くて餓死するんじゃね?
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:46:04 ID:BUU+afCg
ふと神に仕える神父キャラってまともな奴が少ないなあと思った

アンデルセン、プッチ、言峰…基地外、電波、中二とか最悪だ
しかも全員スレが違う
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:50:38 ID:eeruWVdW
>295
こんなレスはスルーしろよw
非難も何もちゃかしただけのレスに反応するなって
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:52:40 ID:tDgYjowR
>>297
まともな神父だと、異界の地で異教徒扱いされるのに耐えられそうにないような
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:53:11 ID:yK6alNqt
>>297
日本だからじゃない?
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:53:38 ID:GRmQM56Z
大抵のニッポンジンは「宗教」だの「信仰」だのへの偏見があるからなぁ
特にティーンズ向け作品内でのキリスト教叩きは凄いね
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:53:43 ID:tDgYjowR
抜けてたorz
もしまともな神父が『召喚』されたら、異界の地で異教徒扱いされるのに耐えられそうにないような
と言いたかった
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:55:14 ID:3+zahTDw
>>297
つ ドラクエ
つ FE
つ ペリペティアの福…これは違った
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:57:19 ID:3+zahTDw
>>301
迷惑かけない限りすべての信仰に平等でもあるんだけどな
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 18:57:53 ID:JfI23k+0
神なら休暇とってベガスに行ってるー
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:05:18 ID:FQqHbowX
>>297
アンデルセン ガンダールヴ
プッチ ヴィンダールヴ
言峰 ミョズニトニルン

もう一人適任の奴が居ないかなあ
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:09:26 ID:gQPitvtq
石川賢作品の人間は人間ではない。もっとおぞましい何かだ
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:09:57 ID:3+zahTDw
ウルフウッドも神父さんじゃなかったっけ
牧師のほうだったか?
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:12:11 ID:FQqHbowX
>>308
牧師じゃなかったっけ?
アンデルセンが一方的にキレちゃうぜ
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:14:02 ID:fJxRXap5
主役曰くテロ牧師だから牧師だよ
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:15:23 ID:LpehbpQ6
>>306
バサラのアビーは?
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:16:38 ID:zVHS0b21
チェスタトンのブラウン神父ならまともだろ。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:19:40 ID:3+zahTDw
ミステリ方面は盲点
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:30:08 ID:N3ypWvY0
GSの唐巣神父はまともじゃないか
カトリック教会からは破門されてるけど
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:33:21 ID:3+zahTDw
記すことの憚られる唐巣神父…
コルベールとのタッグのことかね
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:34:54 ID:euoRKjjo
トーキョーN◎VAでは高確率で神父=テロリスト
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 19:38:28 ID:u/C5W7si
エクソシストのカラス神父、メリン神父はまともな神父。
やたら悩みが多い気もするけど。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 20:01:54 ID:+YNL+B1C
>>208
マフィア的なのなら、GTAだかなんだかのキャラが呼ばれてたな。
さも当然のように馬車強奪したのには腹抱えて笑ったわ。
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 20:14:27 ID:3TrevcRF
20世紀少年の仁谷神父なんかはどうだろう。
元ヤクザだけど、まともな神父だと思う。
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 20:19:14 ID:V2gy6puU
ニードレスのブレイドはどうだろう?

本人もロリコンと自認してるしノリノリでルイズに協力する…かは微妙か
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 20:33:04 ID:bZCcve3j
>>320
喚んでくる時期考えないと能力無しになるけどなw
魔法吸収して憶えられるって話なら別だが
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 20:35:52 ID:sMzdc9fA
神父と聞いてマイナーかもしれんがデバイスレインのビショップ思い出した。
まぁオーギュメント無いと一般人だけどなw
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 20:36:33 ID:JfI23k+0
>>320
「俺を使い魔にしたいなら全裸(靴下は着用)で俺のケツを舐めろ」とか言うよ
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 20:43:38 ID:3Q38m0jH
ルイズに従いそうな神父(牧師)というと「エンジェルバレット」のクラウス牧師がいる。
ただ、色々と難しいキャラだ…
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 20:50:31 ID:vAGwNpMt
神父と牧師の違いはカトリックとプロテスタントの違いらしいんですけど、
正直私にはその二つの違いが良く分からない……。
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 20:54:36 ID:llEE3KiG
シスターの方ならまともというか普通に話ができそうなのも多いのに何故だ
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:03:22 ID:LpehbpQ6
>>325
ヘルシング読め、ヘルシング
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:07:37 ID:WLh+9K/J
日本を召喚
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:09:14 ID:yK6alNqt
>>328
2ch外のサイトだけどあるよ。
ゼロ魔レイプの最低系だけどね。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:11:53 ID:60QtSaIT
>>327
それ盛大に間違った知識じゃないのかw
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:13:14 ID:+YNL+B1C
牧師さんは結婚できるし酒も飲めるし煙草も吸えると聞いたことがある
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:14:05 ID:CKNYgnvi
原作では旧時代の戦闘機1機に軍隊がレイプされてたがな
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:15:48 ID:QtD8wUcd
>>328
馬頭龍ですね
そして『虚無』戦記に参戦させるぞ、と
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:16:21 ID:CIyB/9Bj
「神父 牧師」でググれば出てくるのにここで聞く意味があるのか?
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:17:31 ID:M/2u+qmz
神父?
クリフト呼べクリフトを、気弱だから交渉次第、アリーナのところに帰す方法を探してやるから
そのあいだ使い魔をやれと言えば、あとは押ししだいだ。
ルーラが使えないキャラなら逃げられる心配はない。

エビルプリーストを呼んだら洒落にならんが。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:21:34 ID:JqcabR9S
>>335
>クリフト
七万がザラキで散るんですねわかります
一撃で決着はつかないだろうけどいきなり全身の血液が凝固して死ぬ味方を見たらまず大混乱だな
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:23:37 ID:QtD8wUcd
クリフトは何でザラキばっかりするんだろうな。神様に仕える身なのに呪殺ばっかり
あいつ死神に仕えてるとしか思えん
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:25:32 ID:60QtSaIT
自分に逆らうもの=神に逆らうもの
だから天罰下って死ね
とか考えてんじゃねw
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:26:35 ID:LpehbpQ6
異教徒と化け物には暴力を揮って良い、むしろぶっ殺せって人に教えられちゃったんじゃね?
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:27:26 ID:fJxRXap5
>>337
宗教と思想は鉄男も毛さんも真っ青な量の人殺してきた代物ですぜ
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:29:05 ID:mm1K11Yo
>>337
死神でも神は神だ!
そもそもドラクエの神の定義が不安定だ。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:30:23 ID:LpehbpQ6
>>338
しかしそれを行うと「神父」にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。素人にはお薦め出来ない。
まあ俺らド素人は、クリスマスケーキでも食ってなさいってこった。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:39:28 ID:AyysOdXF
>つまりシンシア・ロウ召喚
「ジェネラル・ルージュの凱旋」で事故死してたぜ

>クリフトは何でザラキばっかりするんだろうな
元祖4ではクリフトにとって最も効率の良い攻撃魔法だから
AIの学習によって連発するハメになった

PS版以降ではそのシステム上の行動が面白かった為に仕様になった
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:47:25 ID:KbaGLD96
DQ7の怪物に姿を変えられた神父さんとか
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:48:13 ID:3TrevcRF
>クリフト
確かボスにまでザラキやりまくるんだっけか。
……そのうちクリフトが某剣八を召喚しそうな気がするのは俺だけか?
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:55:39 ID:PY6qK8ep
とりあえず、ブレカナからロリ教皇ことアンゲリア7世呼んで
腐敗しきったロマリアの皆さんに教皇の務めのなんたるかを
見せつけてあげるのがいいと思うな
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:56:14 ID:QtD8wUcd
>>344
あの話は嫌いだけど一番好きという複雑な気分になる話だ
人間らしいくていいけど、すごくやるせねぇ…
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 21:59:11 ID:60QtSaIT
>>346
ルイズが召還するのはマリオンですか?w
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:04:42 ID:mEdhMd3X
むしろアリーナを召喚。
そう思ったら素手でぼこられるギーシュが浮かんだ。
なにゆえワルキューレの方じゃあないんだろう?
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:17:04 ID:IyLMv/71
牧師はプロテスタントだけど神父はカトリックだけとは限らんのだがよく間違えてる奴多いよな
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:21:08 ID:BUU+afCg
もう神父ネタはいいよ…
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:31:05 ID:XRNM+Mcn
>>348
マリオンより、ロリコンの冒険科学者と
ホモの宮大工が召還されるのはどうだろう?
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:41:20 ID:MUiRJZ5w
神父じゃないが、牧師ならゲーニッツがいるな。
超冷酷非情だがアンデルセンよりはよっぽどまともだし、強さもハンパじゃない。
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:44:14 ID:lzwIBKz2
ナイ神父に来てもらって、ルイズに智慧を授けてもらおう。
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:46:16 ID:tDgYjowR
姉妹スレだとプッチ神父が、「この蛮人共が! 私達を召喚してこき使おうとはいい度胸だ!!」とキレて
白蛇の能力をフルに駆使してハルケギニアを滅茶苦茶にしようとしてるな
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:53:52 ID:eeruWVdW
ごもっともです
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:55:45 ID:v0AcSwrg
ゲーニッツはオロチ一族、つまり地球意思っていうか自然意思の一族だからエルフに味方しそうだな
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 22:56:40 ID:v0AcSwrg
失礼、ageてもうた
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 23:13:24 ID:b6q/nnRO
>>352
テファが風雲はだか侍を召還する絵面を幻視して抹茶オレ吹いた
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 23:15:29 ID:DOfguCJJ
全裸のマッチョ召喚なら、虚神の使い魔でやってるぞ

続編投下されないんだよなぁ・・・
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 23:27:29 ID:VJwSPZhu
>>357
オロチ八傑衆四天王の力はもろに先住魔法ですもんね
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 23:39:21 ID:M/2u+qmz
今日は祝日のわりにはちーとも投下が無かったな。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 23:45:51 ID:W5YD3sT0
代理になんかあったぞ?
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/20(金) 23:48:05 ID:FQqHbowX
>>357
ゲニ子ならおkなんだがなあ
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:07:00 ID:4HcAajq4
>>348
すなおにミハイル召喚させとけよ

憚られるのはあれだ、BoA世界をレイプしたS=F世界の魔王で。
366ゼロの黒魔道士 幕間4 代理:2009/03/21(土) 00:09:56 ID:/+GkUsEN
10分から代理投下しまーす
さるったら携帯で報告するので代理の代理お願いしまーす
367ゼロの黒魔道士 幕間4 1/8:2009/03/21(土) 00:11:01 ID:/+GkUsEN
アルビオン本土はサウスゴーダ地方郊外、ウエストウッド村においては、
タルブ会戦における大爆発は、対岸の花火よりも小さなものにしか映らなかった。
距離的な問題もあるが、神聖アルビオン共和国にあって、
この地だけはその統治を受けていないことが、大きな理由として挙げられるだろう。

村を覆う林、その切れ間に村への入口となる小道があるのだが、
数か月前までは無かった看板がそこには掲げられていた。
曰く、
「これより先、『籠の鳥社 アルビオン研究所』
 生命が惜しく無い限り、立ち入りを禁ず」
である。
近頃売り出し中の武器商人の研究所を謳うその看板は、少し知恵のある人間を寄せ付けなかった。
立ち入った人間を改造し、人間兵器としてこきつかわれるという噂が立っていたためだ。
また、より知恵の無い人間もこの森に近づこうとしなかった。
何しろ、『忘却の森』だ。
この森に迷い込んだが最後、生きて帰ったとして己の名すら忘れるという噂は、
人払いの看板よりずっと昔から地域の伝説として広まっている。

もっとも、多くの都市伝説がそうであるように、その伝説はここ数年のうちにできたものでしかないと、その女は知っていた。
マチルダ・オブ・サウスゴーダ。最近までは土くれのフーケという名が知られており、今はロングビルと名乗る女だ。
帳簿から目を上げて、ググッと伸びをする。
外には彼女の大切な妹――血の繋がりこそはないが、大切な肉親だ――ティファニアの姿がある。
ブロンドの美しい彼女が『忘却の森』の伝説の正体であるということは、この小さな村の住人しか知らない事実だ。
王家に伝えられる虚無の血、それを受け継ぐ彼女が使える魔法が「忘却」だ。
文字どおり、対象者の記憶の一部を消却する恐るべき魔法、それを用い村の安寧は守られていた。
村への邪な思いをもった侵入者は、綺麗さっぱりと目的を忘れ去っていく、という寸法だ。
そこまでして村を守る理由は、ティファニア自身にあった。
マチルダが彼女の後姿を見やる。今は表で花に水をやっているところだ。
その後姿、こぼれる黄金の髪から覗く耳は、ナイフの先ほどに尖っていた。
エルフ、ハルケギニア人が恐れる血が受け継がれている証。
エルフの血と王家の血、交わってはならない禁忌の子。
その存在がマチルダの運命の歯車を狂わせた、といっても過言ではない。
だが、彼女がテファを恨むことは無かった。
恨めるわけがあろうか?自分以上の非運な人生を歩むことになってしまった幼子を。
それに彼女は運命といった物事に対しては、比較的ドライな見方をしていた。
問題は起こるときには起こる、せいぜいそれを避けるか対処することしか人間にはできない。
とはいえ、と彼女は帳簿に視線を戻し、溜息をついた。
近頃、再び人生を狂わされたことは恨みつらみが出る。
あぁ、畜生、あの男に出会わなければ、とマチルダは考える。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:12:26 ID:Qng1dWOP
支援
369ゼロの黒魔道士 幕間4 2/8:2009/03/21(土) 00:12:26 ID:/+GkUsEN
とはいえ、悪いことばかりではなかった。
1つ目に、件の人払いの看板だ。
その男は、アルビオン内乱のドサクサに紛れ、この村の権利所を買い取ったのだ。
看板のお陰で村に侵入しようとする大馬鹿野郎の数は大幅に減った。
おまけに、看板の文句ほど酷い実験が行われているわけではない。
せいぜいが新しいゴーレムの動きを確認する程度のものだ。
今村にいる子供が少し手伝えば済むぐらいの簡単な実験だ。
しかし、村1つを買うとなると、かなりのコネがいるはずなのに、
「新兵器の研究所」という名目で、新皇帝サマから承ったとはあの男の政治力には恐れ入る。
それでも、多額の金を代償として支払ったはずだが。
その点についても、あの男は多大な能力を発揮している。
男は、黄金の卵を産む孔雀だった。それが2つ目の悪くはないことだ。
武器商人としての稼ぎはもちろん、表の商売も大したものだった。
ゲルマニアで近頃話題のオークションハウス、「キング商会」。
成金貴族の集まるヴィンドボナにおいて、そいつらの見得を満足させるべく、
適当にいわくをでっちあげた品を、拝金趣味の馬鹿共の競争心をゆさぶって高く叩きさばくという商売は、
かつての盗賊稼業がバカバカしくなるぐらい黒字を出していた。
今つけている帳簿の桁がありえないことになっている。
その中からかなりの額がマチルダや、この村に回ってくることを考えればそう悪い話ではない。
つまり、村の平和、ひいては愛妹の安全を考えれば、その男との出会いは文句のつけようが無かったことになる。

しかし、それでもマチルダは、その男が好きにはなれそうになかった。
何故ならば――
「お邪魔するよ!元気にしてたかい?」
「あ、クジャさん!お帰りなさい!」
「嬉しいかな、新たな役者がまた増えたよ。テファ!すまないけど、手伝ってくれないかな?新たに始まる僕の華麗なるショーのためにね!」
今、表に帰ってきたその男、その露出の多い服装といい、言葉遣いといい仕草といい――
何1つ、マチルダの美的感覚に重なるところが無かったからだ。
理解できない存在、それがマチルダの見たクジャという男である。


ゼロの黒魔道士
〜幕間劇ノ四〜 ウエストウッド茶会談


「えっと――お人形さん、ですか?」
「人間、の方が近いだろうね。彼は生きてるよ」
「え?あ、お人形さんじゃないんですか?それじゃぁ――」
「そう、君が母上から頂いた高貴なる指輪が役に立つ、ってわけだ!」
「な、治るのか!?相棒は無事に治るんだな!?」
「え、け、剣がしゃべった!?」
「こらこらこら、デルフリンガー君!麗しい女性を怯えさせるのはいささか優雅さにかけるよ?
 言っただろ?君の相棒は僕にとっても必要な存在なんだ」
「お、おう、すまねぇ――あれ、おれっち名乗ってたっけ?」
「うわ〜、剣がしゃべるんですか?おもしろいですね――」
窓辺からチラチラと見える影と聞こえる声、一体どういう人物が連れて来られ、どういう状況なのかある程度推測がつく。
そこからマチルダ弾きだした感想は、1つ。
何を面倒なことを。である。
この間まで敵対していたトンガリ帽子の使い魔と、そのしゃべる剣が怪我をして来たらしい。
なんとも、クジャという男は、トラブルを持ち込まずにはいられないのか。
溜息をつきつつ、仮にも雇い主である男のために、紅茶の1つでも入れねばとポットを探すマチルダであった。
 ・
 ・
 ・
370ゼロの黒魔道士 幕間4 3/8:2009/03/21(土) 00:13:42 ID:/+GkUsEN
「――それで?」
小僧の治療があらかた済んだらしく、クジャはさも当然といった風にマチルダの部屋に上がりこんでいた。
「うん、茶葉は悪いが蒸らし時間が丁度いいね」
部屋のテーブルには帳簿ではなく、紅茶のカップとお茶菓子の類が並べられ、優雅な午後の茶会の様相となっていた。
「紅茶じゃないさね、あのお人形の坊やのことさ」
「ビビ君かい?怪我をしていたから連れてきた、何かご不満な点が?」
「――あんたが無償の愛をふりまく輩にゃ到底見えないけどね」
マチルダは疑問に思っていたのだ。
あの小僧に、この男は何を求めているのかを。
以前から何度も聞きだそうとしていたことだが、クジャの真意が知りたかった。
情報の見えない怪しい所で働き続けていることは、かなりのストレスとなっていたからだ。
「――おれっちとしちゃー、何だってフーケがミョズニトニルンと一緒にいるかが不思議だがね」
「ミョズニトニルン?」
汚い言葉遣いで剣が語った名前に、マチルダは首をかしげた。
どこかで聞いたことがあるような気はするが――
「なんでぇ、あんた、名乗ってなかったのか?」
「――全く、重要な事実は舞台の最後まで伏せるものだよ?お客さんの興が冷めるだろ?」
クジャが頭に巻いた朱の額当てをほどく。
白磁のような額には、焼印のような文様が刻まれていた。
「――しかし、早々に見抜くとは、流石ガンダールヴの剣、かな」
ガンダールヴとミョズニトニルン、だと?
頭の中で、遠い昔に聞いたわらべ歌が蘇る。

 神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、
                      右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。
 神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。
                   あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは陸海空。
 神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。
                 あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。
 そして最後にもう一人…、記すことさえはばかれる…。
 四人の僕を従えて、我はこの地にやって来た…

始祖ブリミルとその使い魔の伝説を詠うこの童謡は、ハルケギニアでは有名なものだ。
マチルダにその歌を聞かせてくれた両親も、後に待つ運命を予想だにしていなかったと思うと、胸が少し痛む。
「カカカ、おめぇさんこそおれっちのこと見破ったじゃねぇの」
「――待って、待って、頭が痛くなってきた……」
しかし、感傷に浸る前に頭痛の種となる会話が目の前で繰り広げられていた。
「つまり、あんた達は伝説級……いやちょい待ち、あのとんがり帽子のガキんちょも同じかい?」
神の右手と頭脳が一同に介して、しかもかつての知り合い同士、とは。
歴史家だったら興奮する状況かもしれないが、マチルダはますますもってこのクジャという男が理解できなくなっていた。
しかし、あのチビスケがガンダールヴとは。
確かに、ワルドの野郎を不利な状況にあって逆転勝利していた。
いけすかないが、風のスクウェアであり、魔法衛士隊対等であった男を、だ。その実力はかなりのものと言えよう。
「うん、なかなか着眼点が鋭いね」
否定しなかった、ということは認めたということだろうか。
やれやれ、ということは、この男はどこぞのメイジの使い魔なのか。それもテファと同じ、『虚無』の。
あの桃色髪の生意気貴族も『虚無』ということになる。
まったく、伝説がこうも転がっているとありがたみも何も無いではないか!
「――で、結局、あんた達は何なの?」
溜息混じりに、何度となくした質問を再び聞く。
いい加減、カードを伏せられ続けられる状況にイライラしていたところだ。
「そうだね、この物語の主人公、とでも名乗ろうか?」
「――いい加減にしないと、自慢の髪の毛ごと土くれにしてやろうか?」
もう、はぐらかされるのはゴメンだった。
言葉尻はやや冗談に聞こえるように配慮はしたが、目つきでこちらが真剣であることを伝える。
「おぉ、怖い怖い――そうだな、この際、色々教えておこうか。六千年を経た珍客もいることだし」
「お?カー!ありがてぇな!おれっちをこんな大切に扱ってくれる野郎は久しぶりだぜ!」
いやにアッサリと、求める情報をくれるようだ。
マチルダの肩から力が抜ける。
では、今まではぐらかされていたのは一体なんだったというのだ。
371ゼロの黒魔道士 幕間4 4/8:2009/03/21(土) 00:15:03 ID:/+GkUsEN
「さてと、どこから説明しようか?僕自身?それとも、ビビ君から?それとも――」
「余計な話は聞く気はしないよ、あんたの素性からきっちり聞こうか」
心変わりがしない内に、色々聞きだすつもりだった。
情報は力だ。それは、たとえ今は雇用主と被雇用者の関係であってもだ。
「そうだなぁ――僕がこの世界の人間じゃないって聞いたら、驚くかい?」
「何を今さら」
少なくとも、こんな露出の多が多い服を好み、変態趣味で金もうけが異様にうまく、魔法にも妙に精通している男が、
同じハルケギニア出身であるということを認める気にはならなかった。
東方よりもっとずっと遠くから来たと言われた方がまだ納得がいく。
「――よし。それじゃぁ、僕が人間じゃないって聞いたら?」
とはいえ、こんな冗談を挟まれるとは思わなかった。
どこからどう見ても――認めたくはないが――彼女自身と同じ人類であると思っていたのに。
「こいつぁおでれーた、まぁ確かにちーっと違う感じはしたけどよ?」
「――どういう意味だい?」
伝説を自称する剣が言うなら、冗談でも無いのだろうか?
「ん〜、分かりやすい言葉を選ぶならね、ゴーレムなんだ。僕やビビ君は」
趣味の悪いゴーレムを作る男もいたものだ、と思ったが、
あのチビスケがゴーレムである、ということにはさほど抵抗が無かった。
確かに、どこか人形のように見え、世俗的では無いとは思ったが。
「僕は、自分の作り方を参考に、ビビ君達、黒魔道士を作った。どうだい?」
「待って、理解が追いついてない――なんだってあんたみたいな――もんが作られたんだい?」
『変態的な』という単語をなんとか飲み込みつつ、そういう質問をする。
「そうだねぇ、どこから説明しようか――まずは聞こうか。人がその人生の終幕を迎えるとどうなる?」
「死ぬ」
「そりゃ息の根が止まるんじゃねーの?」
マチルダと剣が当然のことを答える。何の説明を始めようというのだ、この男は。
「その後だよ、どうなる?」
「――死体になって、燃やされるか埋められるか餌になるか、ってとこじゃないの?」
「あー、クロムウェルとかゆーオヤジにとっつかまれば死体でも動くんじゃねぇの?」
そういえば、あのエロオヤジ、『アンドバリの指輪』とかいうものを持っていたな、と思いだす。
食事の約束は何度となく断ったが、今頃は死体と仲良く会食でもしているのだろうか。
「フフフ、これはなかなか驚いてくれそうだ」
極上の獲物を前にした猫のようにペロリ、と舌舐めずりをするクジャ。
マチルダは、その姿に眉をしかめる。
この男がこうした仕草をワザとらしくした場合、その相手はからかいつくされるということを、この1か月ほどで学んだからだ。
「聞いたことはないかい?人が死んだ後に怨念が残ったり、情念が溜まったりという話は?」
「――幽霊話なら腐るほど聞くけどね」
お宝を狙っていた泥棒時代、そうした話はよく聞いた。
そうした噂のついたお宝というものは、それなりに価値があるという証明でもあるからだ。
とはいえ、マチルダ自身は幽霊なんて絵空事、と考えていた。そんなもんがいられてたまるか。
「そう、幽霊、すなわち、魂さ。人が死ぬと、死体と魂が残る」
「魂、ねぇ――見えないもんを言われても信じにくいさね」
盗賊であれ、秘書であれ、彼女の就いていた職業は徹底したリアリズムの下になりたっている。
目に見える物だけが真実、なのだ。
「君も何度も見たはずというのにかい?」
「――どういう意味だい?」

「『幸運の帯虹』――君達はそう呼んでるそうだね?」
それは、空の高い所を横切る虹の帯。
普通の虹とは違い、弧を描かず、真っ直ぐと広がる色彩の幕。
「あの空にときどきかかるあいつが?死人からフヨフヨ浮いたヤツだってのかい?」
身の毛が少しばかり逆立つ。死人の魂とやらを見て『幸運』だのとのたまっていたというのか。
「正確には、死体からだけとは限らない。生命が誕生するときにもまた魂の流れがあるからね」
クジャが紅茶に口をつけてから訂正する。なるほど、生まれることを『幸運』というならばまだ納得はいく。
「だからこそ、『幸運の』と君達は呼んだんだと思うよ――最も、戦争で敵が死ぬことを『幸運』とした可能性もあるが」
「――与太話にしか聞こえないねぇ。まあいいわ。で、そっからあんたの素性にどう持ってくつもりだい?」
マチルダは、とにかく先に進めたかった。オカルト話で煙に巻かれてはここで話をしている時間がもったいない。
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:15:34 ID:AMN5aL5A
sien
373ゼロの黒魔道士 幕間4 5/8:2009/03/21(土) 00:16:19 ID:/+GkUsEN
「死した人、いや、あらゆる生命の魂は、その星――と言っても、君達には理解できないかな?世界、と言い変えよう――
 その世界ごとに存在する、大きな流れに乗るんだ。お芝居の大筋のように、決まった流れにね」
マチルダの頭の中で、シレ河よりも雄大な光る流れが生まれた。
その流れが空の高いところを悠然と横たわっている。
「そいつが、『幸運の帯虹』ってぇわけか?」
「概ね当たりだね、デルフリンガー君。大きな流れ自体は、世界によっては『ライフストリーム』と呼ばれたりもする。
 そして、その流れの特に濃い部分を『幸運の帯虹』と言ったり、『魔晄』や『幻光虫』と言ったりする――」
「つまりは、大量に死んじまったり、大量にオギャーと生まれたりすりゃ『幸運の帯虹』が出るってわけだな?」
「優秀な生徒で助かるよ」
「――それで?」
魂の大いなる流れから頭を引き揚げる。
浪漫的な話ではあるが、クジャの言葉はライフストリームとやらと同じく、彼女にとって流れる先がつかめなかった。
「うん、その魂の大いなる流れは、やがて世界の中心にある存在に集まる――僕たちは『クリスタル』と呼んでいる」
そう思っていたら、魂の流れの方は行先を見つけたようだ。
クリスタル、結晶か。
大きな宝石のようなものであれば、価値があるか?と盗賊らしい想像をおもわずしてしまう。
「クリスタルは、世界を支える基盤だ、いわば舞台装置のさらに土台でね。そこに魂の持つ記憶の情報が流れ込んで、クリスタルはより豊かに育つんだ」
「育つぅ?そのクリスタルってのが生きてるっていうことかい?」
「そう捉えてもらっても結構だ。むしろ、そうした方がここからの話が理解しやすい」
はぁ、とため息をつくマチルダ。
生きている物なら盗むわけにはいかないだろう。
以前、それで酷い目にあった。
あれは嫌味ったらしい貴族のババアから盗もうとしたペットで、
名前が「キャロットちゃん」なんて言うから可愛らしいものと考えていたら――
「魂の運ぶ記憶を糧に、クリスタルは育つ。そして浄化された魂は再び新たな命に宿る――
 だけどね、クリスタルが育つのも限界がある。いわば寿命のようなものだね」
「死んじまったら、どうなんのよ?」
「世界の崩壊。舞台が無くなれば役者は存在できないだろ?」
食人植物のウネウネ動く触手を頭から振り払う。
クリスタルとやらは、確かに貴重な存在らしい。
世界を支える基盤となればおいそれと盗むわけにはいかないだろう。

「――で?あんたみたいなゴーレムが生まれた理由は?」
結局、まだ核心部分を語っていないことに気付かされる。
「滅びゆく世界を救うため、って言ったら信じるかい?」
「信じない」
どこのどいつがこの変態パンツ野郎を英雄だなどと考えるものか。
大体、この男が誰かを守ったり救ったりするために動くなどと想像できない。
「ハハハ!やっぱりな!じゃぁ分かりやすく説明するとしよう」
そう言うと、クジャは、紅茶のカップを引きよせた。
「――クリスタルをカップ、中の紅茶を魂としよう」
カップを綺麗に色をつけた爪でピンと弾く。キンと高い心地いい音が部屋に広がった。
「――カップが寿命で砕けようとしている、でも中の紅茶は守りたい、さてどうする?」
「――別のカップに移し替える、とか?」
その前に紅茶を飲んでしまった方が早いとは思うが、
質問の意図を考えるならば、これが正解であろうと、マチルダはあたりをつけた。
「そういうことさ。より正確に表現するならば、『カップを同化させて乗っ取る』ってところだね」
「同化ってーと、あれか?カップをひっつけちまうってことか?」
「そう、そうして、あたかも自分たちのカップ――クリスタルであったかのように、中の紅茶は振る舞うんだ」
頭の中で今の話を反芻する。
砕けようとしているカップを、無理矢理他人のカップとひっつけて、自分のカップであると主張する様を。
家で例えるならば、下宿人が母屋を乗っ取るようなものか、とマチルダは理解した。
昔、父に聞いたカッコウの託卵を思い出させた。
狡猾な生きる知恵を身につけた鳥の話を。
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:16:41 ID:Dx4CSCgM

既に代理済みじゃまいかコレ
375代理:2009/03/21(土) 00:18:39 ID:/+GkUsEN
>>374
今になって気付きました。
作者さん、そしてスレの皆さん申し訳ありません。

これから最新の方を投下しますので、支援お願いします。
376ゼロの黒魔道士 第41幕1/8 代理:2009/03/21(土) 00:20:04 ID:/+GkUsEN
ピコン
ATE 〜とどかぬ想い〜

「――以上のように、建造物の破損、倒壊はかなりの件数にのぼりますが、住民の被害は軽微と言ってよろしいかと」
ラ・ロシェールの火災は、王宮から派遣された水メイジの手により沈静化していた。
その筆頭に立ったのは“波濤”という二つ名がして知られるモット伯であり、今報告を行ったのも彼だ。
艦隊が煉獄の炎を伴い落ちてきたことによる家々の崩落と火災は、駆け付けたトリステイン王軍の指揮を著しく下げたが、
蓋を開けてみれば、突然の発光、爆発(この件については未だ情報が錯綜しており、正体不明となっている)によるアルビオン軍の壊滅、
及び住民の避難がほぼ完了していたことによる人的被害の軽減、
何より見目麗しくも勇ましいアンリエッタ姫殿下自身による鼓舞により、
主に残務処理となった軍の行動は着々と進んでいた。
「――軽微とはいえ、死んだ方が出たのですね……」
「おそれながら、アンリエッタ様。それが戦争かと」
と答えるものの、マザリーニ枢機卿は安堵していた。
軍人の被害は、当初の式典に参加していた者達の内に限られ、
民間人の死者は式典を危険な屋根の上や崖の傍で観覧していた無謀な輩のみだった。
数で言えば、軍・民間合わせ200人に満たない。
これはこの規模の戦闘行為から考えれば軽すぎる、とも言える。
軍人ではないマザリーニにしても、被害がここまで抑えられたことに驚嘆するしかなかった。
それは被害状況を視察に来た閣僚達も同様であった。
「被害に遭われた方、ならびにそのご遺族には国庫より何らかの保護を」
「そうなりますと今期の予算が――」
デムリ財務卿が苦言を挟む。
とはいえ、彼自身も予期していた軍事費を削れたことに胸をなでおろしていたはずだが、
それでも秋小麦収穫前の思わぬ出費は時期的に頭を悩ませることになっていた。
「我々のお給金を削るなり、必要無い予算を削ればよろしいでしょう」
「――確かに、この際ついでに不明瞭な予算を見直すのも手ですな」
「そ、そうですな。アルビオン軍が出てくることはもはや考えにくいですし――」
アンリエッタの言葉に、マザリーニが含んだ視線をリッシュモン高等法院長に向ける。
ここ数年のリッシュモンの散財ぶりが収入に合わないとする噂は耳に入っている。
流石に、高等法院長ということで易々と調査できないことから機会あればと常々狙っているのだ。
「――ところで、この街を守られた勇猛な方はどちらに?」
 ・
 ・
 ・
ラ・ロシェールの玄関口であるビッグブリッヂ付近、そこに勇敢なる者達がいた。
「ひ、姫殿下!またご尊顔をたまわることは光栄の極みでして――」
跪く所作こそ貴族らしい優雅なものではあったが、ギーシュの身だしなみは酷いものだった。
メイジの象徴たるマントはズタズタに破け、フリルつきの特注のシャツは血と汗で汚れている。
自慢であろうハニーブロンドの髪もグシャグシャである。
しかし、それら全てが戦いを終えたという男の持つ独特の雰囲気とあいまって、戦士たる者であったことを主張していた。
「あぁ、よいよい、面をあげよ。ふむ、君だったのか。グラモン家の」
「はっ!不肖の四男坊、ギーシュ・ド・グラモンと申します!」
威風堂々とまではいかずとも、立ち上がって名乗る。
しかし、その膝は流石に疲れていたのか、笑いが止まらない様子であった。
「ふむ、そなたの活躍によりラ・ロシェールの民が守られたわけだ。いや実に素晴らしい――」
軍人であるド・ゼッサールがその髭面に似つかわしい豪胆な笑いでこの若き勇者を称える。
彼にとって、有望な若人は常に大いなる刺激であり、また期待を寄せる存在なのだ。
377ゼロの黒魔道士 第41幕2/8 代理:2009/03/21(土) 00:21:36 ID:/+GkUsEN
「あ、あの、そのことなのですが――実は私めよりもこの方が――」
「こ、こらっ、ギーシュ!?引っ張るなっ!?」
フラフラになった足取りで少年が橋の欄干の影より連れだしたのは、鎧に身をまとった妙齢の女性であった。
彼女もまた、ギーシュと同じく血と汗にまみれた良い姿になっている。
「――む、君は?」
「――アニエス、その後には何もつきませんよ」
不満たっぷりといった様子でその女は名乗った。
単純で明快な名前のみで苗字が無い。ハルケギニアにおいてその事実が示すこととは――
「なんと、ミスタ・グラモン!?君は、君よりもこの平民の女性が活躍したとでも!?」
「えぇ、私めなどひよっ子もいいところです!しかし、アニエス先生の活躍はまさしく八面六臂!
 敵をちぎっては投げちぎっては投げの大活劇!まるで紙の兵隊を相手にするような――」
まるで自分のことのように、まるで物語の英雄譚を思い出しながら語る子供のような表情で、
ギーシュがアニエスの活躍を語る表情は晴れ晴れとしており、そこには曇りは一点たりとも無かった。
「ギーシュ、やめろ。そう宣伝される武勲でも無い。第一、お前が来なければわたしは死んでいた」
頬をかき、苦い笑顔をつくりこれを聞くアニエス。なるほど、求道の武人らしく誇張を嫌う性質なのだろう。
ゼッサールは彼女が気に入り始めていた。武人の性さえあれば、男女の区別なしに気に入る彼もまた武人である。
「――ぬぬ、しかし、平民の活躍譚とあっては確かに喧伝するのは対外的に――」
これとは反対に、渋い顔をするのがド・ポワチエである。
彼は武人としてはそれなりの実力はあるのだが、身分や階級というものに固執するきらいがあり、
今回の若き者達の活躍譚も、素直に快く受け入れるだけの度量というものが無かった。
「あぁ、構いませんよ。わたしはただの平民です。以前、貴公方の警護役を務めましたが勝手にやめた無責任さですし」
アニエスの語ったことは真実である。
彼女が密かに抱いている目標のために、一時期“王宮警護官見習”という低い職を得たとはいえ、
剣士にあるまじき醜態を衆目に晒した追い目から自分探しの旅に出る際、
一言「一身上の都合で辞める」とだけ書いた封書を王宮に送りつけていた。
「――ならば、もう1度登用し、貴族の称号でも与えれば、対外的な言い訳も立ちますわね?」
「アンリエッタ様!?」
ここまでの話を、目を瞑りじっと聞いていたアンリエッタ姫がおもむろに口を開いた。
「アニエス、とおっしゃいましたわね。――此度の一連の出来事から、私どもも王宮銃士隊というものの結成を考えております。
 主に、私の手足となっていただく部隊ですが――その初代隊長の任をおまかせしてもよろしいでしょうか?」
この発言は、メイジとしての地位がより重要視されるトリステインにおいては異例中の異例、前代未聞、空前絶後であった。
何より、いつも傍にいてアンリエッタのことを知るマザリーニにしても、このような計画は初耳であった。
「――身に余る光栄ですが、何か裏でも?平民の下衆な勘ぐりで申し訳ないですが」
アニエスの右目が猜疑の色に見開かれる。左目は今回の戦闘で血が少し入り、今は開けにくい状況だからだ。
「フフ、流石ですね。――貴女と同様、メイジもメイジを信用できなくなりつつあるのです」
アンリエッタの語ったことは真実である。
魔法衛士隊はグリフォン隊の隊長職であったワルド子爵の裏切り、
閣僚会議の情報が外部に流出しているらしいという伝聞、
トリステインの貴族社会は、今までに無いほど腐敗しているといっていいだろう。
ならばこそ、平民を登用し、腐った貴族達の牽制とする――
アンリエッタの狙いは施政者として的を射たものであった。
「――なるほどな。お受けするのは結構だが、大人しく飼われはせんぞ?」
そのしたたかな狙いを感じ取ったアニエスが不敵に笑う。
その狙いの意味するところは、彼女の密かな目標と合致するものではあるが、
貴族という存在を嫌う彼女としてはただの尻尾をふるだけの飼い犬になる気はサラサラ無かった。
「――貴様、先ほどから不敬にも程があるぞっ!!貴様のような平民が――」
ポワチエが吼える。もちろん、不敬であることを咎めるわけではない。
彼は危機感を抱いたのだ。平民を登用し、自分と同等以上の地位に上げられてしまうという事実に。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:21:59 ID:ixEwaC/o
改行とか空行が入って無いと、読み難い事この上無いな・・・。
379ゼロの黒魔道士 第41幕3/8 代理:2009/03/21(土) 00:23:09 ID:/+GkUsEN
しかし、彼の咆哮はアンリエッタ自身の手により制止されてしまった。
「結構でしょう。フフ、貴女のような方と共にいれば、私も強く見えますかしらね?」
「――いえ、噂よりお強い姫様にはわたしなど不要でしょう」
「貴女ほどではありませんわ」
力強い笑みを浮かべる二人の若き女性の姿に、今は亡き前王の姿を重ね、
あの幼き娘が立派になられたと、マザリーニは1人歓喜の涙を心で流していた。

「ギーシュっ!!」
「やぁ、愛しのモンモン、無事だったグホブァっ!?」
それは、ただのパンチというには、あまりにも重い一撃であった。
走りながらの前傾姿勢、そこから生まれるダウンフォースは、重力というものを味方につける。
沈んだ体から放たれた右手は、自然のままにひねりが加えられていた。
そう、彼女の髪の毛と同じく、螺旋の軌道を描いて定めた目的点に到達した。
定められた到達点、そこはギーシュの肋骨の稜線の合わさる地点、
東方医学においては水月、すなわち鳩尾と言われる部分であった。
全てが本能のままに、自然に。
それは古に生きる肉食獣、虎をも戮すとされた拳、
“タイガーブレイク”とも呼ばれた技であることを、殴った本人すらも意識していなかった。
まさに天賦の才。ナチュラル・ボーン・ファイターとはこのようなことを言うのだろうか。
ゼッサールはそれを見逃さず、小さく「ほぅ」と感嘆の声をもらした。
「バカバカバカバカバカっ!!何勝手に突っ込んでるのよっ!!」
「あ、あの場で逃げてはカッコ悪いじゃないクベラッ!?」
その生来生まれついた格闘センスでもってひたすら殴り続けられるギーシュ。
だが、なおもそれに耐えているところを鑑みるに、彼もまた驚くべきタフネスぶりだ。
ゼッサールは将来の見込みのある戦士達が育っていること嬉しく思いながら、無骨な優しい瞳で見つめていた。
「だっからあんたは大馬鹿なのよっ!!あのねぇ、ほんとねぇ、私が、私が、どれだけ心配したか――」
「モンモランシー……」
「ギーシュ!」
だが、涙ながらに抱き会う若いカップルを凝視し続けるほど無粋では無いので、
すぐに視線を明後日の方向へとそらすのであった。

「――あの、ミスタ・グラモン?」
その傍から見て微笑ましくも鬱陶しい抱擁を破ったぬったのは、素朴な魅力のある女性の声だった。
「ん?あ、あぁ、シエスタ、ルイズ、キュルケ君も!みんないたのか?」
「さっきからいたわよ!も〜見せつけてくれるわねぇ!妬けるわぁ〜」
赤髪の少女がニヤニヤとする。これでまたからかうネタが出来たと手ごたえを感じていた。
「ギーシュ、ビビは!?ビビは、どこにっ!?」
周囲の笑顔を破る声は、桃色の髪の少女、ルイズから発せられた。
白き大爆発の後、あまりにも多大な精神力を消費し、眠りこけたのを友達に発見され、
目が覚めまず心配したのは自身の使い魔のこと。
彼の無事が、とにかく心配だった。
愛すべき使い魔であり、友であり、自身の進むべき道を示した大事なビビのことが。
「ビビ君――そうだ!?ビビ君はっ!?ビビ君は無事なのかっ!?」
「あんたと一緒じゃなかったの!?」
「ビビ君は敵の旗艦に1人立ち向かって――」
「ルイズ、何事ですか?」
彼女を支えた者達の慌てように、アンリエッタが眉をしかめる。
「姫殿下!!私のビビ、いえ使い魔が――」
 ・
 ・
 ・
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:23:21 ID:Dx4CSCgM
ドンマイ
改めてしえん
381代理:2009/03/21(土) 00:25:50 ID:Qng1dWOP
さるったので代理の代理お願いします
382ゼロの黒魔道士 第41幕4/8 代理の代理:2009/03/21(土) 00:32:49 ID:f9RyeCFI
「――敵の脱出船は粗方拿捕いたしました。しかし、お探しの少年は――」
即席の司令部がラ・ロシェールに作られていた。
といっても、地下場で唯一焼け残った酒場を利用したものであるが。
そのため、あちこちに割れた酒瓶やマグが散らばっている。
帳面に敵方の捕虜の詳細な情報を急ぎ集め、献上するはめになった書記官の疲れた表情がそこにはあった。
「そんなっ!?それじゃ、まさか脱出が遅れて――」
「『レキシントン号』より脱出した捕虜の証言によりますと、船が謎の光に包まれて爆破した前後、
 “お客”と戦闘をし腕を失ったとの情報も――」
書記官は表情を変えない。彼はあくまでも文官で事務的に物事を処理する性質だった。
そんな彼が、わずかに首を横にふる。それは、彼なりの精一杯の“ご同情申し上げます”という仕草だった。
「そんな――そんな――」
「まさか、ビビちゃん――」
「墜落した船群は破損が激しく、全てを調査しきってはおりませんが生存者がいる可能性は――」
書記官は、淡々と事実を述べていく。そこには嘘や冗談といったものの存在を許さない確固たる意志が存在していた。
「ビビさんが、そんな――」
「ビビ君――」
「ビビが――ビビ――ビビぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
少女の悲痛なまでの叫び声が、ラ・ロシェールの岩場に反響し、
遠く、高く、淡い黄昏色に染まる空に弾けて、やがて風になった。

---------------------------------

目覚めた朝は、いつも喜びを願うんだ。
今日もいい日でありますようにって……
……その日の目覚めは、深い水の底から上がってくるみたいに、
やっと光が見えたって感じのするものだったんだ。
「ル……イズ……おねえちゃ……ん……?」
寝ぼけた目で、辺りをキョロキョロと見渡したけど、ルイズおねえちゃんの姿は無い。
確かに、ルイズおねえちゃんの声を聞いたような気がしたんだけど……
「……?ここ、どこ……??」
見慣れない壁、見慣れない天井、でも、窓の外の木漏れ日は、どこも変わらない優しいものだったんだ。

ゼロの黒魔道士
〜第四十一幕〜 忘却の森 ウエストウッド村

しばらく、ボーっとしていた。
なんか光を見るのが久しぶりって感じがして、目がショボショボした。
何十回目かの瞬きの後、軽い音がして、水の入ったマグを持った女の子がその部屋に入ってきたんだ。
「あ、気づいたんですか?よかった〜!3日3晩寝てたんですよ?」
「……あ、えーと、君は……」
小鳥のさえずるような声。蜂蜜をこぼしたような髪の毛。
ニッコリ笑うその子は、とっても優しそうな女の子だった。
「ビビちゃん、ですよね?私はティファニアと言います。どうぞ、テファって呼んでね?」
「あ、う、うん……え、っていうか、どうしてボクの名前……それに、ここは……」
跳ねるようにしゃべるその子は、何故かボクの名前を知っていたんだ。
「ここはアルビオンのウエストウッド村というところです。あなたの名前は、あなたを助けた人から聞いたの」
「ボクを……助けた人?」
記憶がちょっとずつ戻ってきた。
ラ・ロシェールの上空で飛空挺同士の戦いがはじまって、
ギーシュと分かれて、一番大きな飛空挺の上までチョコボで駆け上がったら、
ワルドがいて、ワルドにやられて、光に包まれて、とりみだしたワルドに左腕を砕かれて……
「そう、クジャさんって言う人なんだけど――」
「クジャ!?あいつが、やっぱりあいつがいるのっ!?」
記憶の最後に見た光景は、夢や幻では無かったみたいだった。
ボク達の世界で酷いことをしたあいつが、まだ生きてこっちの世界にいたんだ!
いてもたってもいられなくなって、跳ね起きた。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:33:16 ID:Qng1dWOP
支援
384ゼロの黒魔道士 第41幕5/8 代理の代理:2009/03/21(土) 00:33:45 ID:f9RyeCFI
「キャッ!?」
「……あ、ご、ゴメンなさい……」
そしたら、テファにぶつかっちゃった。
水が入ったマグがバランスを崩して、中の水が全部テファにかかってしまった。
「大丈夫ですよ、よくあることだし――やっぱり、クジャさんとお知り合いなの?」
「知り合い……そんなもんじゃ……」
テファが、この優しそうな子が、クジャをさん付けで呼ぶことにものすごく違和感があった。
それに、もっと違和感があったのは、テファが最初に言ったこと。
クジャが、ボクを助けた?右手で左腕の付け根をおさえる。
違和感も痛みも無く、つなぎ目すらも見当たらない。
左腕がちぎれたって記憶すら嘘に思えてしまう。
なんで、クジャがボクを?頭がグルグルしてきた。
「いい人ですよね、クジャさん。優しいですし」
「そんなわけっ……」
「?どうかされました?」
「う、ううん……なんでも、無い……」
そう言って途中で言い淀んでしまった。
ボク達の世界での、クジャの最後を思い出したからだ。
あのとき、自棄にんったクジャは、みんなを巻き添えにしようとして、ボク達に倒されて、その後は……
ジタンが、助けに行った。そこからのクジャを、ボクは知らない。
あのクジャが、そう変わるとは思えない。ボクがクジャを憎む思いも、そう変えられそうにない。
でも、クジャはボクを助けた。あのときも……あのときも?
うまく言葉にはできない、モヤモヤとしたもので頭が一杯になって、ものすごく気分が悪くなった。

「あ、そうそう、ビビちゃんにクジャさんから伝言があったんでした!」
「クジャから?」
「えーっと、ちょっと待ってくださいね、長いのでメモが――あぁ、あったあった」
テファが、胸元の辺りから、小さい紙を取り出した。
さっきマグをひっくり返したときに、水がかかったからちょっとグシャグシャになっている。
ちょっぴり申し訳ない気持ちになっちゃったんだ。
「“二度目のお目ざめ、いかがかな?お久しぶりだね、ビビ君!
  虹も出さずに戦乱に終止符を打った君達は、まさに最高だ!
  だがね、まだ第二部だ。終幕の音は近い。覚悟したまえ。
  追伸。指輪に注意したまえ”――」
間違いなく、この言葉遣いはクジャだった。
何が終止符だ。何が最高だ。あいつは、あいつがやった酷いことは、あいつは……
嫌な気持ちが、どんどんとボクを満たしていったんだ。
「あ、まだ続きがありますね。“さらに追伸。 許してもらえるとは思わないが、すまなかった”」
最後の追伸の意味が分からなかった。
すまなかった?許してもらえるとは思わないが?
誰に、謝っているの?なんで、何を、謝っているの?
いや、それよりも、あのクジャが……謝った?
こんがらがったグチャグチャが、声にならない喉元の辺りでうずまいてる感じがして、クラクラした。
「――色々、あったんですね?」
「……うん……」
色々、あった。本当にそれしか言いようが無さそうだった。
「とりあえず、起きれます?朝ごはんには遅いですけど、用意してますから」
「うん……」
……ここにいたクジャって、この間ボクが見たクジャって、今までボクが知っていたクジャとは違うの?
頭はみっちりと、そういうわけわかんない考えで一杯だったけど、お腹は空っぽだったから、テファについていったんだ。
 ・
 ・
 ・
385ゼロの黒魔道士 第41幕6/8 代理の代理:2009/03/21(土) 00:34:37 ID:f9RyeCFI
ウエストウッド村って、静かな木漏れ日の中に細い道があって、どことなく、黒魔道士の村に似ている。
だから、村の中を歩いているだけで、なんとなくホッとして落ち着く。
「あ、テファ、ゴーレムのチェックレポートだけど――ゲ、チビ助!?」
「な、なんでフーケもがあふぁふぁ!?」
小道を抜けて、ちょっと大きめの家にたどりつくと、見知った顔があったんだ。
土くれのフーケ。ボク達を2度も襲った泥棒だ。
会ったと思ったら、いきなり口をフーケに塞がれてしまった。
「わ、わたしもこの村出身なのよ、オホホホ。いや、奇遇ね〜、ビビちゃん?」
口を塞いでくる手が汗でじっとり湿ってきている。
……テファに、フーケってことを秘密にしているのかなぁ?
「あら、マチルダねえさんもビビちゃんとお知り合いなの?」
「そ、そうさね。ちょっと、色々と、外でね。うん。」
どうも、テファはフーケをマチルダねえさんって呼んでいるらしい。
……“フーケ・マチルダ”とかそういう名前だったのかなぁ?
「いいなぁ〜!私も、色んな人と出会いに外に行きたいな!」
木漏れ日の間から、空を見上げるテファの顔に、黒魔道士24号さんの面影を見た気がするんだ。
いっつも、村の入口近くにいて、木の間から光を見ていたっけ。
みんな、もっと命が続けば色々見たかったって言ってたなぁ、とちょっぴりしみじみしちゃった。
「――いいかい、チビ助、私はあんた達に何するつもりも無いから、ここじゃマチルダかロングビルで頼む」
そんなテファを、チラチラ見ながら、ボクにだけ聞こえるような小声でフーケが言う。
テファを見る目が、子供を見守るお母さんのように優しいもので、
そんな目をするのがボク達を襲ったフーケであることに、なんか違和感があった。
「う、うん……」
「あ、ほら、ビビちゃん!ご飯、あっためなおしますから、早くっ!」
「ほら、じゃぁ行くよ、チビ助っ!」
「うん……」
 ・
 ・
 ・
「相棒ぉぉぉぉぉ!!無事で良かったわ!いやおれっちマジで心配しててよーっ!!しかしあれだな――」
デルフと再会して、遅めの朝ごはんを食べている間、ずっと考えていたんだ。
……今まで会った悪い人たちって、本当に悪い人たちだったのかなって。

------------------

ピコン
ATE 〜渇いた望み〜

タルブからほどほどに離れた林の奥、人立ち入らぬ泉の傍に2つの影があった。
「ちっくしょ……
 ちくしょう……ちくしょう……
 ちくしょう ちくしょう ちくしょう
 ちくしょう ちくしょう ちくしょう
 ちく ちく ちく ちく ちく
 ちく ちく ちく ちく ちく
 ちっっっっくしょーー!!」
2度までも主の命を救ったグリフォンと、2度までも命を救われた男である。
「この俺がっ!!2度までもっ!!」
男は、グリフォンの労をねぎらいもせず、呪詛を唱え続けていた。
「あいつらさえ、あいつらさえいなければっ!!」
あの糞ったれのガキがいなければ、思い通りにならない元婚約者さえいなければ、
仮定の文章をいくら重ねたところで、事実は覆らない。
それは重々承知していたが、言わずにはおれなかった。
386ゼロの黒魔道士 第41幕7/8 代理の代理:2009/03/21(土) 00:35:53 ID:f9RyeCFI
そして、一通り吐きだし切った後、身の振りを考える。
アルビオンに、レコン・キスタに戻る?答えはノーだ。
今回の戦は、必勝たるべく立てられた作戦であった。
であるからこそ、惜しげもなく戦艦を出陣し、奇襲を敢行したのだ。
だが、結果といえば、多くの残骸を作り、散り散りに燃え尽いただけ、
しかもトリステイン本軍はほぼ無傷の状態である。レコン・キスタは遅かれ早かれ瓦解するだろう。
しかも、である。最後の目を覆わんばかりの白い光は、恐らく“虚無”であろうと、ワルドは見当をつけた。
あれは魔法以外の何物でもなく、スクウェアたる自分をはるかに凌駕する威力を示した。
クロムウェルが見せた“虚無”などとは違う、圧倒的な力の存在。
思い当たる節は1人しかいなかった。思うが儘にならぬと切り捨てた少女の桃色の髪が浮かぶ。
あの力を見てしまえば、クロムウェルの“虚無”の力など羽虫もいいところだ。
そして、理想ではなく力のためだけにレコン・キスタに与していたワルドにとって、
力無き組織に戻ることなど、選択肢に入るわけが無かった。
では、トリステインに戻るか?それも論外だ。
今さらどうやって戻る?二重間者であったとでも言い張るか?
幼児の頭でも鼻で笑う稚拙な策だ。第一、ウェールズを始末したところは伝えられているだろう。
恋人を殺した男を、あの姫様が許すとは到底思えない。
帰るべき場所を失い、ワルドは落胆した。
力を求めれば、高みに登りさえすれば、全てが叶うと思っていたのに、
今や何もかもを失い、地に伏している。
だから、もう一度、苦渋の思いを吐きだすかのように「畜生っ!!」と叫んだ。

「ようよう、吠えてるな大将」
ガサリ、と茂みから音がして堂々たる体躯の男が、ワルドに近寄った。
左半身を覆う醜き火傷の痕さえ無ければ、獣と思ったことだろう。
事実、この男は人ではない野獣も同然の臭いがする。
「――メンヌヴィル、貴様も、嘲笑いに来たか!!」
メンヌヴィル、年齢で言えば、ワルドよりもずっと年上の歴戦の兵であるが、
その評判と言えば、畏怖こそされ尊敬はされず、軽蔑の声が多いという散々たるものである。
理由は、敵味方の区別無く、邪魔という理由で、否、“燃やしたい”という理由で相手を灰に変えてしまう残虐さにある。
その残虐さがゆえに、かつて上官を殺そうとし、反対に両目を焼かれ、正規軍を放逐されたという噂を聞いた。
今やかつての栄光をも凌ぐ非劣なやり口の傭兵として成り上がり、レコン・キスタにおいても相応の地位を築いている。
何を隠そう、ワルドをレコン・キスタに誘ったのもこの男だ。
「なぁに、お前さんの熱を確認しに来ただけだよ。まだ消し炭にはなってないようだな」
腐ったミルク色の両眼でギロリと見られても、既に粉々に砕かれていたワルドの心には何も影響が無かった。
「言っていろ!くそ、ちくしょう、ちくしょう――」
ただ、地面を見、呪いの台詞をつぶやくだけの人形と成り下がっていた。
387ゼロの黒魔道士 第41幕8/8 代理の代理:2009/03/21(土) 00:36:34 ID:f9RyeCFI
「もっと、“力”が欲しいってか?」
それを見透かすのは焼け焦げた2つの目。
「貴様に、何が分かるっ!薄汚い傭兵風情にっ!!」
「もう同じ穴のなんとやら、だろ?いいから、答えろよ!“力”が欲しいか?」
煙で燻されたような、品の無い笑いと共に、メンヌヴィルが質問を繰り返す。
「――あぁ、欲しいとも!全てを蹂躙しつくす力が!万物を睥睨する力が!」
ワルドは、大声で答えた。
そうだ、地面にはいつくばり続けることに、誰が納得するというのだ?
力が、欲しかった。再び高みへと這い上がり、虚仮にされてきた連中を踏みつぶすだけの力が。
「――いい熱さだ。じゃぁお前さんも案内してやろう」
にやりと笑みを浮かべるメンヌヴィル。黄色い歯からが鈍く光る。
「どこへ?」
「本当の“スポンサー様”のところへだ」
「スポンサー、だと?」
怪訝な表情を浮かべるワルド。とすると、この男はレコン・キスタに雇われたわけでは無かったというのか。
「あぁ!更なる“力”を、更なる“熱”をお与えくださるぜ!こんな風に、なっ!!」
軽く、拳に力をこめた。少なくとも、ワルドにはそれだけに見えた。
杖は手に持っていない。それだけなのに、である。
紅から紫色に揺らめく禍々しい炎が、メンヌヴィルの両の手から沸き起こり、
意志を持つかのようにのたうちまわってダンスをしている。
火力といい、速度といい、火は専門外であるとはいえ、ワルドとしては魅惑的な力が、その妖炎には煌めいていた。
「――ほぅ」
「どうだ?」
「――断る、とでも?」
力への渇望は、最早戻れないところまで来ている。
無詠唱による魔法の発動、それだけでも御の字のつく力だ。
あるいは、そのスポンサーとやらがさらなる力を与えてくれるヒントになるかもしれない。
ここまで来てしまえば、ワルドは悪魔にすら魂を売り渡すつもりであった。
「フハハハハハハハ!更なる地獄の業火へようこそ兄弟よっ!」
「ふん、貴様と兄弟になった覚えはない」
そう言いながら、立ち上がるワルドの顔には、悪魔よりも邪なる笑みが浮かんでいた。

-------------
以上です。
登場人数が多くなって、整理しきれて無い気もします。どうもすいません。
次回ぐらいで、タルブ会戦編にケリをつけようと思います。
しっかし、ワルドがケフ化してるなぁ……(苦笑)
お目汚し、毎度失礼いたしました。
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:37:22 ID:Qng1dWOP
乙です
ご迷惑お掛けしました
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:41:20 ID:xwgGtXA6
乙です。
読んでいると、自分も書きたくなってくる。
なんか書いてみようかなぁ。
390かかって来いよワルド!!:2009/03/21(土) 00:48:24 ID:aZqw6wv5
50分から、2レスの小ネタいきます
初投下は緊張しますね
391かかって来いよワルド!!:2009/03/21(土) 00:50:20 ID:aZqw6wv5
ハルケギニア唯一の水蒸気機関を備えたフネ、探検船《オストランド号》が往く。
伝説の虚無の担い手とその使い魔としての使命を果たした、一組の男女を、遙かなるオストランド(東方)へと遣わすために……。
もう戦わなくていい。舵を取るコルベールを始めとした乗組員達の顔にはやっと訪れた平和への喜びと、これから向かう新天地への希望に満ち溢れていた。

――――ただ一人を除いて。

多くの人に見送られた華々しき旅路の空は、そのまま忘却の彼方に消え去るはずだった宿敵との決戦の舞台となったのだ!


オストランド号、機関室。
置きっぱなしにされていた工具箱にぶつけた脛を抑えて屈み、ルイズはか細い呻き声をあげた。
これが平時だったらば「かかか片付けときなさいよ! っもう!」とか何とか言って蹴っ飛ばす所だが、さすがに今はダメ絶対。
息を殺して追っ手の動向に全神経を注ぐ。杖を落としたのだ。助けが来るまでは逃げるしかなかった。
「……っ!」
すぐに風を感じるほどの近さでエア・ハンマーが炸裂。折れた蒸気パイプが熱い中身をけたたましく噴き上げる。
「今のは当たったかな? ……当たったか〜い? 痛かったか〜い? 痛かったら泣けぇ! 泣いて許しを請うんだぞ、ルイズぅ〜〜〜」
汗を流してルイズを追うのは、今や見る影もなくなった元婚約者ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドである。
彼女の使い魔に味わわされた屈辱的な敗北からか、それともレコン・キスタ瓦解後の筆舌に尽くし難い労苦のせいか……とにかく彼は復讐の鬼。
貨物箱の中に隠れ、単身オストランド号に潜入。妄念漲る二十体もの偏在でブリッジを占拠し、ルイズの使い魔と仲間達を抑え、こうして無力となった
彼女を鬼気として追い回しているのであった。

「ハッハッハッハ! 見つけたぞ、ルイズぅ〜〜! 眉間なんか撃ってやるものか! ボールを吹っ飛ばしてやる!!」
「ボールって何よーーーーーっ!!?」

お互いに逃げ場のない空の上、逃げるルイズに追うワルド。
どちらも必死の健脚だが後先考えてないワルドが勢いで勝り、とうとうルイズの首根っこをふん捕まえた。

「怖いかいクソッタレ? 当然だ。元グリフォン隊隊長の僕に勝てるものか!」
「た…試してみる? わたしの使い魔だって元コマンドーよ……!!」
「ルイズーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
「来たな、大佐ぁ!!!」

機関室へ飛び込んできた憎むべき相手に、振り向きざまのエア・カッター。

「メイトリクス!!!」

逞しい右肩から散る鮮血を見て、ルイズは使い魔の名を叫んだ。
「大佐ぁ、腕はどんなだい?」
「こっちへ来て確かめろ!」
「いいや結構。遠慮させてもらうよ」
手応えあり。柱の陰に隠れたメイトリクス大佐の傷の深さに余裕の狂笑を浮かべるワルド。
繰り出した偏在のほとんどは彼の操るガンダールヴの槍≠ノよって案山子のように撃ち倒されてしまったが、それももはや弾切れ。あの魔法を吸収する
インテリジェンス・ソードもない。

後は、この筋肉もりもりマッチョマンの変態をぶっ殺すだけだ!
392かかって来いよワルド!!:2009/03/21(土) 00:52:09 ID:aZqw6wv5
「実に気分が良い。ハハハッ! これから死ぬ気分はどうだ大佐ぁ? 貴様は老いぼれだ!!」
「ワルド! ルイズは関係ない。放してやれ! 目的は俺だろう?」
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
「ワルド、お前でも勝てる」

見え見えの挑発。軋る奥歯の音。
分かっていても受け流せないほどに、ワルドはメイトリクスへの憎悪に蝕まれていた。

「来いよワルド。杖なんか捨てて…かかって来い……!!」

「楽に殺しちゃつまらんだろう? ナイフを突き立て、俺が苦しみもがいて死んでいく様を見るのが望みだったんだろう?」
「〜〜〜〜〜っ!!!」
「そうじゃないのか、ワルド?」
図星である。あの礼拝堂での敗北から付いてしまった人生のケチを払うにはそれしかない。それしかないのだ。
逃げようとした所に投げられた丸ノコっぽい物で切断された左腕が痛む。残酷に削られた頭皮が疼く。
タルブ上空では騎乗していた風竜ごと、ロケランとかいう破壊の杖で火の玉にされた。
その後も崖から落とされたり、首の骨を折られたり、スパッと出番が無くなったり……恨み言を数え上げればキリがない。
「テメェを殺してやる……!!」
そして何よりも我慢ならないのは、自分がこいつに恐怖しきってしまっているということだ。
「さあ、ルイズを放せ。一対一だ! 楽しみを不意にしたかないだろ? ……来いよワルド。怖いのか?」
「ぶっ殺してやる……!!!」

対峙するだけで足が震える股間が湿る。

「人質なんて必要ないっ……ヘヘヘッ…そうだ! ルイズにゃもう用はねえ! ヘヘヘヘハハ…偏在も必要ねえや…! 杖もいらねえ!! 誰がテメェなんか! 
 テメェなんか怖かねえ!!」

何とかしてよ、お母さん。

「野郎、ぶっ殺してヤぁルぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!」

もはや理性は聖地の彼方。ワルドは絶叫にも似た雄叫びと共に突進した。

「いいいい一体、何が始まるの……?」

自らの思考を超えた急展開に呟くルイズ。
至極冷静に折れた蒸気パイプを拾って振りかぶるメイトリクス。
ちなみに左手のガンダールヴのルーンは炉心限界の輝きを放っている。
この鉄面皮、愛娘ジェニーにも等しいルイズを危険な目に遭わされて密かに激怒しているのだ。
「ふんッッ!!」
バリスタの勢いで投擲された蒸気パイプは狙い過たずワルドの鳩尾を貫き、背後のボイラーに縫い止めた。

「ぎゅうううぇうううぅふうううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ?!!!!?!!!!」

蒸気抜き<_ァァ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!

「地獄へ堕ちろ、ワルド!!」




以上、映画『コマンドー』より、ジョン・メイトリクス大佐(アーノルド・シュワルツェネッガー)を召喚でした。

お目汚しすみません。どうも、ありがとうございました。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:54:49 ID:Dx4CSCgM
なんっつーか、良くも悪くもアメリカンなノリだw 乙ー
394ゼロの黒魔道士 第41幕8/8 代理の代理:2009/03/21(土) 00:56:40 ID:f9RyeCFI
乙www
タイトルと「水蒸気」が見えた瞬間にオチを確信してしまった
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:57:35 ID:f9RyeCFI
あ、名前欄が残ってた…すまん
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 00:57:54 ID:xwgGtXA6
>>394
名前w名前w


初挑戦で書いてみてるけど、これ難しいね。
皆、よく書けるもんだ。
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 01:06:59 ID:7+g1Bf9e
コマンドーはみんな大好きだよな。
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 01:52:04 ID:8TzZF4kn
誰かコマスドーの2人を召喚してくれ
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 01:54:48 ID:xwgGtXA6
1話できたぜ!
なんだこの珍文…もう寝よう…
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 02:03:30 ID:9fX6JLyI
>>398
エロなので不可
ほぼ同人誌だし・・・
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 02:06:13 ID:zFV6qX73
ガンダールヴ:ジハイデタ・ソレローン
ヴィンダールヴ:アーナルト・ブストデモネルガー
ミョズニトニルン:ロリコップ

記す事憚られる奴:……誰だよ!?
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 05:17:08 ID:DLXU0yGG
「ザ・ロック」のハメル准将っぽいワルドも見てみたいが
そうなるとルイズが召喚するのはニコラス・ケイジ
ヘタレそうだ、パチンコばかりして
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 06:18:14 ID:XhVa6frF
>>400
>>エロなので不可

>>・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 08:51:23 ID:i+7WJsPW
とりあえず黒執事召喚してみたやつを書いてるんだが既出だっけ?
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 08:54:04 ID:sBvTRjD5
>>403
「気さくな王女」がその尤もなる例だな。
逆に「ご立派な使い魔」の様に18禁じゃなくても存在そのものが……。
いや、あれはそんな次元の話じゃないか。

というか、エロい内容ってどこまでならセーフなんでしょうかね?
気さくも、ご立派もエロいちゃ、エロい。
やっぱ、書く人の基準次第かな?
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 08:56:20 ID:6cudsmHo
どっちかって言うと板基準に従ったほうがいいんじゃね?
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:17:35 ID:AMN5aL5A
>>406
おととしの夏あたりに、運営議論スレで揉めに揉めた話題だから、
その辺りの議論は出尽くしている感があるな。

同じ板に型月系とか原作十八禁なスレもあるし、
「エロ・下品な話題はPINKちゃんねるへ(18歳未満禁止)」
の解釈は、「内容が十八禁でなければいい」ということでいいと思う。
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:22:56 ID:6cudsmHo
>>407
ああいや、>>405はどこからが18禁なのか?
ってことを聞きたいみたいだからさ。
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:28:56 ID:AMN5aL5A
>>408
そういう話ですか、失礼しました。
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:31:24 ID:Q0ISVRaS
>>404
まとめにはなかった気がする
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:33:02 ID:MEl4ptG1
百合エロスはいいのかい?
女の子同士でのキャッキャウフフはセーフ?
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:42:56 ID:boWgLvuR
多重クロスでの各使い魔パターンこんな感じ?
尤も、選んでる素材についてはテキトーだが

ガンダールブ・蓬莱寺京一(東京魔人学園・剣風帖) 思いついた理由・剣聖
ヴィンダールブ・リュカ(ドラゴンクエストX・主人公)      :     ・魔物使い
ミョズニトニルン・エミヤシロウ(フェイト・英霊の方)      :      ・確か解析の魔術で使い方が判るだろ?というテキトーな思いつき
記す事もはばかられる使い魔・横島忠夫(GS美神・原作初期)    :   ・語ってるうちになんか虚しくなって闇に消されそうだろ? 
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:43:12 ID:6cudsmHo
それはココで聞くんじゃなくて、ローカルルールスレで聞くなりしたほうがいいんじゃないの?
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:44:04 ID:6cudsmHo
ごめん>>411に対して。
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:46:33 ID:oqLMWafe
少なくとも「行為」に及ぶ。もしくはそれに準ずる事がなければいいだけじゃないのかな。

>405
マーラ様は外観がまんま○○○だからな。
それも実際の伝承として。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:50:56 ID:KwpKKQRi
>>412
最初は何を言ってるのか分からなかったけど、適当なキャラを虚無の使い魔に当て嵌めてるのか。

ガンダールブ:セガール(適当なセガール映画)たぶん、武器は何でも使える
ヴィンダールヴ:セガール(適当なセガール映画)たぶん、動物も言うこと聞く
ミョズニトニルン:セガール(適当なセガール映画)たぶん、魔道具だろうと何でも使える、あと不思議なお茶とかね
記すことさえはばかられる:セガール(適当なセガール映画)十中八九、はばかられる
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 09:54:25 ID:AMN5aL5A
>>412
記すことさえもはばかられる:牛の首
とか思いついた。
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 10:20:24 ID:7wrH+1nA
セガール自重しろw
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 10:24:59 ID:KwpKKQRi
>>418
自重しなかったらこうなります。
ルイズに召喚された自称平民のコック(正体は始祖ブリミル):スティーヴン・セガール
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 10:27:42 ID:WnWgR0Rc
>>411
原作でやってるからクリームプレイまではセーフにすべきだと思う
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 10:35:42 ID:eBbwzAh0
>>415
現在の小説基準で18禁の基準だと、克明な女性器描写を書くとか、
ねちっこくそれ以外の性器描写をかくのでない限りOKのようです。
あと性交シーンを詳しく描写するとか。

胸タッチとか股間タッチくらいまではノボル原作のゼロ魔でもあります。
けど寸止めだから問題ないのです。あるいは朝チュンならば。
あるいは寸止めくらいまでの描写の後視点が変わって
覗き穴から興奮してみてる連中の描写に移るとかもOK。

面白いのは何かに例えて描写するとかですね。
波動砲発射シーンにいきなり切り替わったりゲッタードリルでの攻撃シーンに切り替わったり。
同時刻に鍛錬場でスクワット(ピストン運動)しているむさいマッチョのシーンになったり。

もちろん裸もOKです。詳しいのはダメですが。
胸の大きさまではOK、乳首は克明に書くほど黒に近い灰色に。
お尻も形がいいとかまではいいですが克明に書くほど黒に近い灰色に。
おまたは描写しないほうが賢明です。最初から限りなく黒に近いですから
ちょっとで真っ黒になります。

アニメ基準だとお風呂シーンで全裸で美少女達がはしゃぎまわるシーンでは、
乳○やスリ○トの部分になぜか湯気があって見えず、走り回っても湯気がついていくという描写だったり。
あ、もちろん全年齢向け地上波での例ですよ?

オチンチンは、ギャグとして克明に描写しないならなんとかなります。
あるいは象さんとのみ書くとか。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 13:20:00 ID:HkRXME/H
もうセガールにはタルブ村にあるステルス戦闘機に乗ってもらって途中退場してもらうしかないな。

>>402
>そうなるとルイズが召喚するのはニコラス・ケイジ
>ヘタレそうだ、パチンコばかりして

ニコラス・ケイジか……
糖尿病の発作で死にそうなマルコメに「奇跡を見せてやる」と言ったり、
アルビオンからの脱出船内で、ルイズを殴ったワルドに向かって「女は! やさしく! 扱う! もんだ!」とブチ切れ、
手錠で吊るし上げたり、
レコンキスタの追撃で墜落寸前の脱出船になぜかジョゼフが居て「すべってはー 主のー 御手ーに♪」と歌ったり、
不時着の衝撃で吊るされてたワルドの腕がもげたりするんだな。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 13:25:26 ID:7wrH+1nA
セガールがステルス戦闘機からレキシントンに乗り移るときに
一人だけ乗り遅れて落ちるんですね!
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 13:42:09 ID:83O4TkHC
待てお前ら、セガールが喚ばれてまず真っ先に被害を被るのはマルトーさんじゃないか(コック的な意味で
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 13:42:13 ID:Q0ISVRaS
ラストアクションヒーローとクロスすればハリウッド映画からいろんなキャラを出し放題
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 14:06:17 ID:DXpSz0hd
ケイジは夜になると燃える骸骨に変身します。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 14:47:52 ID:TSecOL2L
ハリウッド映画で戦闘機モノはイイす^^
・・・・そういえば、今年卒業の大学生が『トップガン (映画)』知らなくて吃驚したww
まぁ、20年近く前のだしねぇ;
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 14:53:57 ID:p4iwVIy4
『ホット・ショット』なら知ってるけどね。
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 15:22:13 ID:IMZq2DMe
>>423
エクゼクティブ・デシジョンだっけ、特殊部隊隊長の役だったセガールが序盤で死んで驚いたわ。
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 15:32:24 ID:6cudsmHo
>>429
でもあのキャラ、(少なくともセガールの心の中では)生きてるみたいなんだよね……
あれか、
エグゼクティブ・デシジョン→落下中に召喚→帰還→イン・トゥ・ザ・サン
という流れか。
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 15:58:34 ID:Rok+9TcB
確か監督いわく、他の映画一本撮れるくらいの活躍を裏でしているとか。
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 16:01:49 ID:39JJaD+e
製作に噛んでて、ゲスト出演しただけって話らしいね
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 16:02:36 ID:19CPwen2
>>429
別の映画ではステルス機でドッグファイトして生き残るセガールでもあった
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 16:43:37 ID:2Kzb0qmC
まかでみとのクロスが無いものか…アガリン
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 16:52:43 ID:3EOb/GYl
五分後に急に思いついた2レスの小ネタを投下したい。
召喚元は最後に明かす方向で。
436悲しき使い魔:2009/03/21(土) 16:57:06 ID:3EOb/GYl
わたしの名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
トリステイン学院の一生徒である。
幼い頃から、わたしには様々な物がなかった。
昔から足が不自由で、行動するには常に御付を一人は必要とし、体が病弱なため週に一度は医者にかからなければならない。
それだけならまだいい。一つ上の姉であるカトレアお姉さまも非常に厄介な持病を持っているのだから。
だけど一番の問題は、なぜだろうか、わたしには魔法が使えない・・・。
わたしが扱う魔法は全てが爆発へと変わった。
初めは誰もがコツを掴んでいないからだと言った。
だが、年を経るにつれて嫌でも自分のことを認めなくてはならなくなる。
わたしは、魔法の才能が乏しいのではなく・・・才能が一切無いのだと。
幼い頃は愛情を注いでくれた父様もそれがわかるにつれて、わたしに会いに来てくれることが少なくなり。
厳しくもその裏に優しさを持った言葉を放っていた母様は、今では廊下ですれ違っても無言で通り過ぎる。
常に励まし可愛がってくれたエレオノール姉さまは、仕事が忙しいのか気まずいのか家に帰ることがほとんどない。
不自由な足はわたしを遠い景色から隔絶し、病弱な体はどこかへ嫁入りすることもできず、魔法が使えないわたしは貴族という社会からもはじき出される。
ラ・ヴァリエール家、始まって以来の大汚点。全ての劣等の集大成がわたしだった。
いつも慈愛と共に受け入れてくれるのは、カトレア姉さまだけであった。
だけど、カトレア姉さまに甘えれば甘えるほど。わたしの中にある大事な芯が溶け出し、零れ落ちていくような焦燥感に苛まれる。
――わたしには自由が無い――
――わたしには強さが無い――
――わたしには優しさ無い――
――わたしには温もりが無い――
だから、トリステイン魔法学院への入学を父様母様に打ち明けたのは自分を変えたいがためだった。
もちろんのこと父様は猛反対し、母様は無言。
説得は数週間と長引き、途中で帰ってきたエレオノール姉さまも父様側に加わり大変な騒ぎだった。
だけど、カトレア姉さまの説得と、わたしの熱意を根気よく伝えることでなんとか入学を許してもらった。
ただ条件が一つだけつくことになる。
それは家からメイドを一人連れて行くことであった。
本来、学院側の規則として使用人は連れて来てならないが、わたしは足が不自由なことから特例として許可された。
選ばれたメイドはシエスタ。幼い頃からわたしを世話していたメイドの一人だった。
そうしてわたしは新たな自分へと変わるために、魔法学院へと入った。

トリステイン魔法学院での生活はそれほど悪くは無かった。
身の回りのことは大抵シエスタがやってくれる。
建物はさすがに体に障害を持つ者に優しい作りではないが、こちらはこの体と十年以上も付き合っているのだ。多少のことは一人で出来る。
さらに家以外で習う魔法の勉強は非常に興味深かった。
様々な講師、様々な解釈。十人十色の魔法の考えがあり、わたしを退屈させない。
そして領内でさえ、ほとんど家から動けなかったわたしに奇妙な友人ができた。
勉強に励み篭った図書館。席はいくらでも空いているのに、いつも目の前に座る寡黙な少女、タバサ。
どこかしらで出会うたびに気軽に声をかけてきて、なにかと付きまといこちらの笑いを誘おうとする愉快な少女、キュルケ。
タバサとは言葉はほとんど交わさないが、無言の友愛を育み。
キュルケとは初めこそ宿敵の家柄と警戒したが、その根の明るさと情熱に打ち解けていった。
確かに学院生活は悪くなかった。
意欲を、興味を、友情を。様々な物を与えられた。
だが、現実は甘くない。
わたしの目標は魔法なのだ。
一年間、壊れかけのボロボロの体を酷使して頑張った。
冗談抜きで血反吐を吐き、体に負荷をかけ過ぎて生死を彷徨ったこともある。
気を失うことなどしょっちゅうであった。
そのたびにタバサの“ヒーリング”の声を聞き、目を開ければ泣きそうなキュルケにこっ酷く怒られる。
そして怒り顔のシエスタにお仕置きという名目で、目の前で三人が(わたしの好物)クックベリーパイを美味しそうに頬張り、わたしがそれに泣きながら謝る。
元々繊細とは程遠い壊れやすい体が磨耗させた割りに、成果はまったく出ず、いつもの爆発である。
そしていつしか、わたしに付いたあだ名は「欠陥品の」ルイズであった。
437悲しき使い魔:2009/03/21(土) 16:57:37 ID:3EOb/GYl
キュルケはそのことに怒り、タバサは無言だったがそのことを言う者がいれば魔法で撃退した。
ただ申し訳ないがシエスタであった。元々別の場所から連れて来られた専属メイド、学院のメイドと反りが合わずわたしのこともあり、かなり扱いが酷いという。
そしてそのことはわたしの胸に重く圧し掛かる。
さらに悪いことはあった。医者の話によれば足の不自由は正体不明の病気であり、非常にゆっくりとだが最近進行しているという。
わたしは様々なものに押し潰されそうになりながら、一年を過ごした。

そしてその日はやってきた。

春の使い魔の召喚儀式。
これができなければ、留年。
わたしの場合は、実家に連れ戻されるだろう。
タバサはすでに使い魔を持っていたらしく、それは見事な風竜。
先に召喚をしたキュルケは彼女によく合うサラマンダーだった。
キュルケに祝福の言葉を送りながらわたしは緊張する。
そしてわたしの番となり、車椅子(コルベール作)をシエスタに押してもらい前に出る。
周りからは嘲笑の目、無責任な野次。
たった三人を除き、全ての人はわたしの失敗を確信する。
それはわたしも例外ではなく。
振り下ろした杖の先。起こった爆発に落胆し。
そこに現れた一冊の本に驚愕した。
更に本は自らに掛けられた錠を弾け飛ばし、独りでに開く。
『Ich befreie eine Versiegelung.(封印を解除します)』
誰もが驚きに凍りつく中。
勝手に捲られていた本が急に閉まり。
『Anfang.(起動)』
その言葉と共に、ルイズの胸から小さな光が出た。
「――っ!?」
そしてその光は本の前まで来ると。
閃光が辺りを焼いた。
そして光が収まった時、そこには巨大な魔方陣があり、そこには跪く四人の者達がいた。
小柄な目のきつい少女と長身のキリリとした女性、それに温和そうな女性にがっしりとした体躯の男。
驚きのあまり声もでないわたしに、長身の女性が厳かに言う。
「闇の書の起動確認しました」
それに温和そうな女性が続く。
「我ら闇の書の収集を行い、主を護る守護騎士でございます」
そして男が後を引き継ぎ。
「夜天の主の下に集いし者」
最後に少女が締める。
「ヴォルケンリッター。なんなりと命令を」
跪き、命を待つ四人の者達。
それが新しき楽しい日々の――そして身を引き裂くような悲劇の始まりであった。



「リリカルなのはA's」から「闇の書(ヴァリケンリッター付き)」を召喚。
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 16:59:20 ID:B2zacwH6
最後の1行を最初に読みました^ ^
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 18:36:44 ID:AMN5aL5A
ヴォルケンつき……そして、防衛プログラムつき……
ハルケギニア滅んだな。
440ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/21(土) 18:44:08 ID:LBom73/Q
 闇の書の方、乙でした。
 シリアスな雰囲気が全開ですな。

 そう言えば私の話も、最初はシリアスっぽく始まったはずなんですが……。
 ……どこでこんなになっちゃったんでしょう。

 ともあれ、こんなになっちゃった結果としての番外編を避難所に投下しましたので、皆様よろしければ見てください。


http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1223714491/840-
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 18:56:08 ID:gEDjNtP7
>>434
まかでみの魔法使いは強すぎるから使いにくいんじゃないの。
呼ぶとしたら
頭  迷宮倉庫の魔王
右  獣耳の使徒
左  週一で武器の変わるメイドさんのプチ達
胸  祝福を与えてしまうモノ
あたりは考えたことはある。
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 18:57:41 ID:KwpKKQRi
合体ロボか何かの話かと思ったw
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 18:59:29 ID:tMScvwXR
>>440
乙でふ  何かwikiの調子が良くなくて登録が出来ない状態
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 19:05:16 ID:oqLMWafe
>>441
胸のヤツは小ネタであった気がする。
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 19:17:37 ID:V4XDCqFj
>>434
小ネタで福音を告げてしまうものが一回出てきた記憶があるが…
wiki登録されてない?かなり前だしサルベージは難しいか…
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 19:17:47 ID:oD1IU8EV
>440
いろいろな意味で酷いなw
GJ!
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 20:08:13 ID:eNqJpzxF
>>416
すべてのセガールに共通してる事は、セガールチョップで人が確実に死ぬ事だなw
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 20:11:45 ID:5pkevOnR
セガールエルボーで船が落ちるな
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 20:18:48 ID:Q0ISVRaS
魔法とかセガールに効くのかよ
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 20:20:42 ID:Dk51M1Sq
セガールチョップはパンチ力
セガールキックは破壊力
セガールネームで敵ビビり
セガールハッグは首を折る
テロに縁がある現役コック
いま、殴りにいきます。
セガールセガール
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 20:26:45 ID:oqLMWafe
>>445
過去ログならPart164から残っているので探せば出来るけど?
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 20:47:40 ID:iRZNOQHA
>>450
おっぱいエルフがそれを歌うのか?
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 20:53:13 ID:z7Gw/32m
>>450
デビルマンのオープニングの節でいいんですよね。
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 21:00:55 ID:PUqrXUNM
デビルイヤーは地獄耳で吹いた記憶があるw
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 21:07:19 ID:7KbPJY78
>>449
呪術は効いてたが視認できる魔法はどうだろうな
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 21:11:55 ID:dJppMynS
>>455
そういうのは一種の物理攻撃になってるから、余裕で躱しそうだな。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 21:34:28 ID:SOucnzoB
>>450
ハグで首が折れるってどんだけ背が高いんだよw
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 21:43:00 ID:3EOb/GYl
彼のハグは両手が相手の首に巻きつくんですね。わかります。
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 22:37:31 ID:z6D3FbM9
死ねぇ!

こうですね
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 22:38:23 ID:7t99WnOv
宙乙
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 22:58:24 ID:KwpKKQRi
いや、セガールのことだから合気の応用じゃないかな

>>455
呪術ってスゲー!
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 22:59:08 ID:OeNLJ4Iu
闇の書の方乙
今は自ブログの方へ避難した方のもよかったんだけど
やっぱ闇の書の主は身体が不自由でないと
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 23:03:21 ID:Rr48H7dT
>>461
だけど、謎のお茶で解除されるんだぜ?>呪術
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 23:05:02 ID:KwpKKQRi
>>463
お茶ってスゲー!!

まとめると、お茶>呪術>セガール>核兵器その他、か……
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 23:11:38 ID:5PIJ542I
カテキンじゃ、カテキンの仕業じゃ!
466魔法少女リリカルルイズ:2009/03/21(土) 23:23:32 ID:fwx3vWep
30分から投下させてください
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 23:26:11 ID:8KWdb3a1
>>464
セガール(明夫)って核兵器以上かいっww
明夫スゲーwww
468魔法少女リリカルルイズ:2009/03/21(土) 23:31:52 ID:fwx3vWep
朝露に濡れた草の緑は瑞々しく踏むと弾けた水滴がキラリと光った。
キュルケ達が出発を決めたのは、まだ太陽が昇ってからそれほど時間が経っていない、そんな朝だった。
「あの、もう行かれるんですか?」
昨日のうちに仲良くなったのだろうか。
羽を畳んだシルフィードが村の子供達と遊んでいる。
そんな中でシルフィードの背中に乗ろうとしているキュルケをティファニアが不安げに見上げていた。
「ええ、ちょっと急ぎの用事があるのよ」
「でも今は危ないと思うんです」
勝敗は既に決しているとはいえ今のアルビオンは戦争状態にある。
そんな場所を飛ぶのがどんなに危険か。
ティファニアはそう言いたいのだろう。
昨日レコン・キスタの竜騎士に追跡されたキュルケにはそれがよく分かった。
「だけどね、早く助けないといけないのがいるのよ」
「そう……ですか」
シルフィードを見上げると、その背に乗ったタバサがこくんと一つ頷いた。
心配してくれるティファニアには悪いが、ルイズの助けるまではアルビオンから出る気はない。
それは昨日タバサと話し合って決めたことだ。
ギーシュとは話し合ってないが、やる気でいることは聞かなくてもわかる。
「だったら」
うつむいていたティファニアが祈るように胸の前で会わせていた両手をほどき、太陽の昇る方角を指した。
「東の方には行かないでください」
「東?どうして?」
「あっちにはニューカッスル城があるんです」
「ニューカッスル城?]
聞いたことはある。
たしか大陸から突き出た岬の突端にある城のはずだ。
「はい。そっちの方にレコン・キスタの軍隊がたくさん集まっているってこの前聞いたんです」
「レコン・キスタが……」
キュルケは考える。
レコン・キスタが圧倒的勝利を収めつつあるこの時期に改めて戦力を集中させつつある。
それは何故か。
おそらく、この戦争の総仕上げとしてアルビオン王家を圧倒的戦力で討ち滅ぼそうとしているに違いない。
ルイズがどんな任務でアルビオンまで来たかは分からないが、この時期ならアルビオン王家と接触しようとしている可能性は高い。
次の目的地は決まった。
だが、この本気で自分達を気にしてくれているティファニアを心配させたままにしてはおくのは気が引けた。
「そう、ありがとう。気をつけるわ」
だから、キュルケはこう答えた。
「後もう一つ」
「なに?」
「タバサさんとユーノさんのことです」
倒れるくらいに疲労していたタバサは一晩も経たずに回復していた。
決して浅くはない、むしろ深かったユーノの傷も見た限りすっかり癒えている。
キュルケにしてみれば魔法を使っていないはずなのにこの効き目は驚くばかりだった。
「お二人ともまだ病み上がりです。傷も手当てしたけど、まだ治りきってないと思います。ですから、くれぐれも無理はしないでください」
「ええ、わかったわ」
ティファニアは風竜の背中に少し潤んだ目を向けていた。
彼女がみているのはタバサだろうか、それともユーノだろうか。
「それじゃあ、私たち行くわ。昨夜はありがとう。また来るわ。その時はお礼をさせて」
「お礼なんて……」
「いやいや、是非させてくれ」
ティファニアの前に薔薇が差し出される。
ヴェルダンデをシルフィードに乗せた後でギーシュが錬金で作った造花だ。
意外とその出来は良く本物そっくりだ。
「君のような美しいレディにお世話になってお礼の一つもしないのは貴族が廃るという物だ」
ギーシュは戸惑うティファニアの手にそっと薔薇を握らせ、こう言った。
「美しい君にこの薔薇を」
口を少し開けているのは、キラリと光る歯を見せているつもりなのだろうか。
「ギーシュ、おいていくわよ」
「ちょ、ちょっと待ってくれたまえ!」
469魔法少女リリカルルイズ:2009/03/21(土) 23:32:58 ID:fwx3vWep
慌てるギーシュが飛び乗ると、シルフィードは翼を広げた。
「またね、ティファニア」
そのキュルケの声は飛び立つシルフィードの羽ばたきに紛れ、ティファニアには半分も聞こえていなかった。
小さくなっていく村の中で子供達がティファニアと手を振っている。
キュルケは森で村が隠れてしまうまで、手を振り続けていた。


「結婚式……?」
ニューカッスルから疎開する人々が共にアルビオンから離れるフネに乗り込んでいく。
ワルドが結婚式と言いだしたのはアルビオン王家とレコンキスタの決戦を控えた朝だった。
「こんな時、に?」
「こんな時だからだよ」
だが今は姫様から預かった大切な任務の途中。
それにここはこれから戦場となる。
ルイズにはここが式を挙げるのにふさわしい場所とは思えなかった。
「君も聞いたとおりウェールズ皇太子は、この戦争を戦い抜くことで王女殿下を守ろうとしておられる。勇敢なメイジだ。そんな彼に媒酌をお願いすることで君と結婚をして守り続ける証としたい」
白の国アルビオンで王族媒酌による結婚式。平時ならば望外のことであったろう。
だがルイズはうつむいて返答を拒んだ。
「これは僕のわがままだ。だが、そういう形であの皇太子殿下の志を受け継ぎたいんだ。ルイズ、賛成してはくれないだろうか」
ワルドの言うことはわかる。そこまで自分のことを思ってくれていて、それを現そうとしていることは嬉しくも思う。
だけどルイズは「はい」と言えなかった。
大切な物が足りない。
その思いが秋風のようにルイズの心を凍えさせていた。
「ああ、そうだ。もちろんこれは略式だ。トリステインに戻ったら盛大な式を挙げよう。君の両親やお姉様達も招いてね。そうでないと君のお母様の怒りを買ってしまう。それから君の使い魔にもしっかり参加してもらわねば」
足りない物。それがやっと分かった。
お父様、お母様、お姉様。
みんなが待っている式場の中に、ユーノを肩に乗せてゆっくり入っていく。
一番奥にはワルドがいる。
「そうね。わかったわ。ワルド、式を挙げましょう」
ルイズはその光景を思い浮かべ、うつむけていた顔を上げて答えた。
(いいわよね。ユーノ)
その念話が遠くに届くようにと心の中で強く叫んだ。
だが返る答えは沈黙だけだった。


大陸から突き出た岬の突端には鉄と人でできた異形の草原が生い茂っていた。
その正体はレコン・キスタの軍勢である。
「は、はははは。すごい人数じゃないか」
壮観。そうとしか言いようのない光景である。
これほどの規模の軍勢が、この岬と同じ広さの土地に集結したことなど、おそらくハルケギニア史上でも数えるほどしかないだろう。
そして、その人の草原から草いきれのかわりに上り立つ殺気のようなものは、岬から離れた小高い丘の上からレコン・キスタを見下ろすキュルケ達の所までむっと漂っていた。
それを浴びたキュルケは夏の蒸し暑い熱風を浴びたように体中を汗でじっとりと濡らしていた。
「なんて大軍なんだ。10万はいるんじゃないのか?」
ギーシュの声は震えていた。笑っているようにも聞こえる。
見栄っ張りの彼のことだ。隠そうとはしているのだろうが隠しきれていない。
だからといってキュルケはギーシュのことを非難したり臆病者呼ばわりする気にはなれなかった。
「そこまで多くはないでしょ。そうね……5万ってところじゃないかしら」
無論、数えたわけではない。
キュルケも貴族の娘。戦争を見たことだってある。
だが、それと比べてこの軍勢はなんと多いのだろう。
口の中には何もないのに、無性に何かを飲み込みたくなった。
「あなたはどう思う?」
それに比べてタバサはどうか。
いつもと変わらず、汗一つかいていない。
その二つ名の雪風のごとく、冷めた目をレコン・キスタに向けていた。
「たぶん、3万くらい」
キュルケは再び軍勢を見下ろす。
レコン・キスタが攻め込もうとしているのは岬の突端にある小さな城ニューカッスルだ。
「10万、5万、3万か……随分ばらばらね」
つまり当てにはならないということである。
470魔法少女リリカルルイズ:2009/03/21(土) 23:34:06 ID:fwx3vWep
だが、どの数字であってもニューカッスル城に立てこもる利を軽々と踏みつぶせる戦力であることには変わりない。
「で、どうするんだい?ヴェルダンデはルイズはあの城の中にいると言っている」
なら、あの城に行かなければいけない。
そのためにここまで来たのだから。
「あの中を突っ切るのはできないよね」
「当たり前よ」
今にも城に攻め入ろうとする3万以上の軍を突き破ってニューカッスル城まで行けるはずがない。
「なら……そうだ、シルフィードで飛んで行けばいい」
「無理」
ぽつりと呟くタバサは軍勢の上を見ていた。
そこには無数の竜騎士が飛んでいる。
数は多いが士気にムラのある傭兵の多い地上よりも、正規の騎士のみで構成された竜騎士の守る空の方がむしろ警戒は厳しいかも知れない。
「なら、ヴェルダンデに城の中まで続く抜け穴を掘らせよう。そこを潜るんだ」
「それはいいけど、穴の中を這っていくの?」
「もちろん」
狭い半島の中とはいえ、レコンキスタは軍を広い範囲に展開している。
仮にその外側ギリギリから穴を掘ったとしても城の中までは何キロもある。
「無理でしょ」
その距離を這って行くとなると何時間もかかる。しかも暗闇の中をだ。
実際にはレコン・キスタに見つからないようにもっと遠くから穴を掘らなければならない。
それでは開戦までにルイズの元にたどり着けはしないだろう。
「陸はだめ、空もだめ、地下もだめ……え?」
その時キュルケの頭にひらめくものがあった。
「それなら」
地下。そう、他の場所ならともかくアルビオンの地下は他とは違うのだ。


ひらめき。それを覚えたのはキュルケだけではない。
「え……?」
ただし、それはキュルケのひらめきとは全く別のものだ。
ユーノの頭に走った閃光は声を伴っていた。
(ユーノ)
それは念話に似ていた。しかもルイズの念話だ。
だが、ここからニューカッスル城までは離れすぎている。
ルイズの念話が届くはずがない。届くには他の何かの介在が必要だ。
それを証明するかのように、ユーノの目にはここではないどこかが映っていた。
「おい、相棒。どうしたんだ?」
「何か見えるんだ」
椅子に座る足。その膝に当てられた震えるきつく結んだ手。
それはルイズの手と足であることは彼女の肩が居場所のユーノにはよく分かった。
だとすると、これはルイズの見た光景なのだろう。
使い魔のみているものをその主人は見られるという。ちょうどその逆が起こっていた。
うつむいていた視線が起き上がる。
膝と手は視界から外れ、新たに入ってくるものがあった。
ワルドだ。彼は片手をルイズに差し出し、言った。
それがユーノにも聞こえた。
(ルイズ、式の。結婚式の準備はいいかい?)
「だめだよ、ルイズ!」
その時既にユーノの足は地面を蹴り、ニューカッスル城に向けて駆け出していた。


「ちょっと、どこに行くの?」
気付いた時には既に遅かった。
キュルケの隣に後ろ足で立っていたフェレットのユーノは突然駆け出し、草の間に隠れどこにいるかも分からなくなってしまう。
「どうするんだ?ルイズの使い魔が行ってしまったじゃないか」
慌てるギーシュをそのままにしてキュルケは考えをまとめる。
何故ユーノが駆け出したか、それは分かりようもない。
だが、使い魔と主人の間にはつながりがある。ユーノもルイズとつながりがあるのは間違いがない。
ユーノが走り出したのは、そのつながりでルイズの状況が分かったからではないか。
それなら、このまま行かせてもいいかもしれない。
471魔法少女リリカルルイズ:2009/03/21(土) 23:35:12 ID:fwx3vWep
「いいわ。私たちは私たちで行きましょう」
だからといってキュルケ達もじっとしてはいられない。
ルイズを確実に助けるためにはやはりニューカッスル城まで行く必要がある。
「行くってどこから?」
「下から行くのよ」
「下?地下はさっき君がだめだといったばかりじゃないか」
キュルケは人差し指を足下に向ける。
「だから、地下じゃなくて下なのよ」



*********************
今回はここまでです
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 00:06:05 ID:yXiIBSKz
投下乙!
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 01:30:14 ID:4qlakPid
GJ!
ユーノがルイズと感覚を供給したってことはルイズがハルゲニア式にもだんだんと目覚めはじめてるのかな?
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 02:09:58 ID:rs8hAM2J
>>467
明夫って……和田?
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 02:20:58 ID:kcnnjiN4
投下乙ー
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 03:13:11 ID:kOrdl9rN
セガールはセガールども、ソースキー・セガールならどうだろうか
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 05:54:37 ID:2GcVBK+O
セーガン、COSMOSか。懐かしいなあ。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 06:02:28 ID:X7YwCcM/
いまだに「ハルゲニア」だの「ハルキゲニア」だの
どうしようもないのが絶えないな
479ゼロと損種実験体・代理:2009/03/22(日) 06:58:46 ID:mVEGal1D
代理依頼来てますんで、7時きっかりに投下します
6レスです
480ゼロと損種実験体・代理:2009/03/22(日) 07:00:13 ID:mVEGal1D
 その夜キュルケが親友の部屋を訪れたことに、さしたる理由はない。たんに暇だったとか、その程度の理由である。
 そこで彼女は、ベッドに座った親友が両の目を閉じ、両手を合わせ何かをブツブツ言っている姿を発見する。

「何やってるのよ。タバサ?」

 質問に、親友はビクッと肩を震わせてこちらに顔を向けてくる。どうやらキュルケが入ってきたことに気づいていなかったらしい。

「で? 何やってたの?」

 バツの悪い顔の親友に、もう一度同じ質問をすると、どう誤魔化そうかと考えたらしい悩んだ顔の後、渋々と答えてくる。

「始祖ブリミルに、祈ってた。ルイズの使い魔が二度と帰ってきませんようにって」
「始祖ブリミルにって……」

 あなた、始祖ブリミルへの信仰心なんてほとんどないじゃない。そんなことを思いつつも、この親友はこんなに追い詰められていたのかと
も思う。
 ただ、こうも思う。

「なんで、そんなに嫌うわけ?」

 自分はともかく、親友がアプトムを嫌う理由が思い当たらない。

「嫌うって言うか……怖いって言うか……」

 後ろの言葉は、消え入りそうに小さかったがキュルケは、それをはっきりと聞き取った。そして、考える。確かに、あの男は平民と考える
には驚異的な力を持っているが、貴族が恐れるほどの相手とも思えない。というか、相手がどれだけ強かったからといって、タバサが恐れる
というのもなにか違う気がする。
 感じる違和感がなんなのかと、つらつらと考えを言葉につむぐ。

「なんか、オバケを怖がる子供みたいって言うか……」

 そう言った瞬間、ビクンッとタバサの体が弾けベッドから転がり落ちる。

「まさか、あなた……」
「違う! ルイズの使い魔がオバケだなんて思ってないっ! オバケなんかいない! いたら怖いから!」

 うろたえ、そんなことを言う親友をキュルケは優しく抱きしめると、心の中で呟く。
 ルイズ。あんたは早く帰ってきなさい。でも、使い魔の方はアルビオンに捨ててきなさい。
 しかし、その想いは翌日には裏切られるのであった。
481ゼロと損種実験体・代理:2009/03/22(日) 07:01:24 ID:mVEGal1D
 トリステインの王宮はブルドンネ街の突き当たりにあるので、そこに行く必要のあるルイズとアプトムは学院から馬に乗って三時間を費や
した。
 王女アンリエッタから受けた任務でアルビオンに行って来たルイズは、本当なら真っ直ぐに王宮に向かいたかったのだが、そうもいかない
事情があった。
 それは何かと問われたら、帰ってくるのに使った手段である。浮遊大陸アルビオンから歩いて帰ってくるわけにもいかない。
 カブトムシに似た亜人の姿になったアプトムは、信じられない速度で空を飛びルイズをトリステインまで運んでくれたのだが、そのままの
姿で王宮に行くわけにはいかなかった。
 ルイズが最初に見たカメレオンに似た姿のように生々しいものではないので、見た目に嫌悪感を抱くことはないのだが、これまでに誰も見
たことがないであろう異形であるし、見るものに警戒心を与えるに充分な巨体である。警備の魔法衛士隊が見れば、問答無用で撃ち墜とそう
とするだろうし、逆にこっちが撃ち墜としてしまうのもまずい。
 では、街の近くで降りて人間の姿に戻ってもらい、そこから歩いていけばいいのではないかとも思ったのだが、その場合、着替えを持って
いないアプトムには裸でついて来てもらわなくてはならない。急いでいるとはいえ、全裸の男を連れて街を歩きたくはない。というか、それ
はそれで王宮に通してもらえないだろう。
 そんなわけで、最初二人は学院に向かった。もちろん、直接飛んでいったりはしない。まず近くの森に降り立ち、そこからルイズが一人で
学院に走って寮に行き、自分も土で汚れた服を着替えてから、アプトムの着替えを持ってきて、もう一度学院に戻り馬を借りた。
 この時、アプトムがアルビオンに向かった時に乗っていった馬はどうしたのかと尋ねられたりしたが、急いでいるから後でと誤魔化した。
 キュルケたちなりギーシュなりが乗って帰ってきてくれないかなと思ったりするルイズだったが、キュルケはタバサの使い魔の風竜に乗っ
て帰ってきているし、ギーシュは生きて帰ってこれるかも疑問な状況だったりする。

 そんなこんなで王宮にたどり着いたルイズとアプトムであるが、そこの門を潜るのがまた一苦労であった。
 なにしろ、今の王宮には、隣国アルビオンを制圧した『レコン・キスタ』がトリステインに侵攻してくるという噂が流れており、そのせい
で衛士隊の空気は緊張に張り詰めたものになっていたのだ。
 実家のヴァリエール公爵家の名を出して取次ぎを願ったルイズであったが、用件を言えなければ取り次げないと言われてしまう。
 それは、当然のことなのだが、彼女が受けたのは密命である。言うわけにはいかず、ルイズも、衛士も困ってしまった。
 これは、気軽に顔を合わせることのできない者に密命を与えた王女と、密命を受けたのに真正面から門を潜って会おうとするルイズの、ど
ちらに呆れるべきなのだろうか。とアプトムが腕を組んで空を見上げていると宮殿の入り口から紫のマントとローブを羽織った少女が出てき
た。アンリエッタである。
 ルイズの名を呼び駆け寄った王女は、その美しい顔に笑みを浮かべ抱きついた。


 戦時下にあるアルビオンに、ルイズのような世間知らずの小娘を送り出して無事に帰ってくる保証はない。ルイズに負けず劣らずに世間知
らずで想像力に欠けたアンリエッタは、アルビオンにやったルイズが生きて帰ってこないかもしれないなどとは、欠片ほども考えていなかっ
たが、もしかしたら大怪我をして帰ってくるかもしれないと心配し胸を痛めていた。
 だから、特に怪我をした様子のないルイズの姿に、大いに喜んだし、その喜びを表現するために、着ている服はともかく髪やらなにやらが
土まみれの親友に抱きつくことを厭いはしなかった。
 そんな王女に、ルイズの目から涙がこぼれる。アルビオンから帰ってきて、まだシエスタにもキュルケにも顔を合わせていない彼女は、こ
こにきて初めてトリステインに帰ってきた実感を得て緊張の糸が途切れてしまったのだ。
 そうしてウェールズから回収した手紙の入った胸ポケットを見せてくるルイズに、アンリエッタは彼女の手を硬く握り感謝の言葉を口にし、
しかし、ここにルイズとアプトムしかいないことに落胆する。
482ゼロと損種実験体・代理:2009/03/22(日) 07:02:20 ID:mVEGal1D
「……ウェールズさまは、やはり父王に殉じたのですね」

 黙って頷いてくることで伝わってくるルイズの答えは、予想の範囲内のことで。しかし、アンリエッタの心は傷つき、ウェールズは自分を
愛していなかったのではないかと疑念を抱く。
 だって、そうではないか。手紙の上でとはいえ、愛する自分が生きて亡命してくれと頼んだのだ。ウェールズが全てを捨てて来てくれるの
なら、自分はいかなる手段を持ってしても彼を守る覚悟があった。なんなら、王女という身分を捨てて二人でどこか遠くに逃げてもいい。な
のに、彼はその想いに応えてはくれなかった。
 その想いが、自らの国に対する裏切りであるという自覚はあった。それでも捨てられない恋であるとアンリエッタは考えていたのだ。
 だけど、それはただの独り相撲。彼女が想う程に彼は自分を愛してくれてはいなかった。ただ、それだけの話。
 だから今はルイズが無事に帰ってきた事だけでも喜ぼうと、おともだちに眼を向けて、そこにいるはずの者の姿がないことに気づく。それ
は、もちろんギーシュなどではなく……、

「……して、ワルド子爵は? 姿が見えませんが。別行動をとっているのかしら? それても……、まさか……、敵の手にかかって? そん
な、あの子爵に限って、そんなはず……」

 浮かび上がってくるのは、信じられない想像と恐怖。
 自分が、どれだけ危険な任務にルイズを赴かせたのかの自覚のないアンリエッタは、この国はもちろん、強国であるアルビオンを捜しても
匹敵する者がほとんどいないと言われるワルドが帰ってこれないかもしれないなどとは、考えもしなかった。
 だから、恐怖した。もしかしたら、ルイズも帰ってこれなかった可能性に思い当たって。そして、自分の無思慮な命令が大事な『おともだ
ち』の大切な人を奪ってしまったのだと考えて。
 だけど、世界は彼女が思う以上に残酷にできていて。王女は、ルイズの使い魔の男からワルドが裏切り者であった事実を聞かされる。


 さすがに、他の者には聞かせられない話だったので、アンリエッタはルイズとアプトムを自室に招き、そこで唯一つを除いて全てを聞かさ
れる。
 つまりは、アプトムの獣化を含む能力に関すること以外の全てである。
 話を聞いたアンリエッタは、その瞳から涙を溢れさせ、いやいやをするように何度も首を振る。
 自分が送った者がレコン・キスタの回し者で、ウェールズの命を奪い、危うくルイズまで殺されそうになったなどという事実は、世界の醜
いものを見せられることなく生きてきた善良な少女には重すぎる十字架であったのだ。
 そんな彼女をルイズは慰め、親友からの許しを得たと理解した彼女は、ルイズの優しさに感謝し、それからウェールズを想う。
 もしかしたらワルドなどを送らなければ、ウェールズは途中で心変わりして亡命してきてくれたのかもしれない。そんなありえないことす
ら考えてしまう。
 もちろん、そんなものがただの幻想だということは理解している。男性というものは、愛する女より名誉だの何だのを優先する生き物だ。
それを、他ならぬウェールズとワルド子爵が教えてくれた。だけど、そのくらいの夢を見ることは許されるはずだ。
 そんな彼女にルイズは何も言えず、特に関心のないアプトムは何も言わない。
 そうして話が終わり、退出しようとしたルイズは旅立ちの前に託された水のルビーを返そうとして、しかしアンリエッタは受け取らなかっ
た。
 それは罪の意識ゆえである。ルイズに危険な任務を与えたばかりか、ワルドのような裏切り者を同行させることで、更なる余計な危険まで
背負わせてしまったのである。その程度で、労に報いたとは言えないが、そのくらいの物を与えておかなくては、気がすまなかったのだ。
 そうして、ルイズとアプトムが退出した後、アンリエッタは一人になった部屋で両手を顔に当てて泣いた。
 愛するものが命を落とした悲しみに、それが自分の責であるという罪の意識に、ルイズに悲しい思いをさせてしまった自分の愚かしさに。
483ゼロと損種実験体・代理:2009/03/22(日) 07:03:14 ID:mVEGal1D
 王軍と反乱軍の戦争により廃墟と化したニューカッスル城を歩く二つの人影があった。
 一人は、トリステインの魔法衛士隊の制服を来たヒゲダンディ。ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵。
 一人は、フードを被り顔の上半分を隠した、女の細腕に不似合いな長剣を持った者。『土くれ』の異名を持つメイジの盗賊フーケ。
 昨夜、待ち合わせていた酒場で合流した二人は探し物があって、この戦場跡へとやってきていた。
 周りでは、レコン・キスタの兵士が、その辺りに転がる屍から金目の物を剥ぎ取っていて、それを見て何故だか不快な気分が湧き上がって
きたフーケは、気を散らすために隣を歩くワルドに話しかける。

「しかしまあ、あいつと敵対して、よく生きて帰れたわね」

 呆れたように言うフーケの言葉は紛れもない本心からの物で、ワルドは、それに苦笑を漏らす。あいつとは、元婚約者であるルイズの使い
魔の事で、実際に面と向かって敵対していれば自分は生きていなかっただろうと彼は理解している。
 フーケの忠告のおかげで死なずに済んでいるのだという自覚はあるが、どうせならもっと詳細な説明がほしかったところである。
 もっとも、それは筋違いの不満だ。なにしろ、ワルドの偏在を撃退した時に使った、手から撃ち出す光線や切り飛ばされた腕の再生の能力
の事をフーケは知らなかったのである。もしフーケの知る『あいつ』の能力の説明を受けていて、それで対応できるなどと思い込んでしまえ
ば、かえって酷いことになっただろう。

「真正面からの勝負で勝てる相手ではなかった。だが、それだけだ。ウェールズの命も奪えた。脱出の機会も、もうなくなっていた。いかに
強くてもただの一人の力でレコン・キスタ五万の兵から主を守りながら戦って勝てる道理もないし、今頃は……」
「死んでると思うかい? それは楽観が過ぎると思うけどね」

 考えたくない事を言われて口を噤む。
 彼とて、『あいつ』が死んだと信じきれてはいない。なにしろ、あんなバケモノと交戦した者がいれば噂にならないはずがないのに、それ
らしい報告を受けていないのだから。
 とはいえ、生きているとは考えたくない。自分を凌駕する戦闘能力を持った敵が、五万の軍勢を相手に生き残る能力まで持っていては、彼
とて戦慄を覚えずにはいられない。
 そんな事を話しながら歩いていた二人は、瓦礫が山になっているところに辿りつく。そこは、二日前まで礼拝堂であった場所であり、ウェ
ールズの遺体が転がっているはずの場所である。
 ワルドの元婚約者と、その使い魔が死んでいたとすれば、その屍はこの瓦礫の下にあるのだろうと呪文を詠唱し杖を振ることで発生した小
さな竜巻が瓦礫を吹き飛ばす。
 だが……、

「あらら。誰の死体もないじゃないか」

 フーケの呆れ声に、ワルドは顔色を変えて見回すが、確かにそこに転がっているはずの遺体がどこにもない。
 元婚約者も、その使い魔も、自分がその手で害したはずのウェールズの屍すら。
484ゼロと損種実験体・代理:2009/03/22(日) 07:03:59 ID:mVEGal1D
「どうやってか、うまく逃げ出したって事だろうね。ほらっ、あんなところに、大きな穴が開いてる」

 そう言ってフーケが指差した先には、直径にして一メイルほどの大きさの穴がある。

「この穴を掘って、逃げ出したってところじゃないの?」

 にしても、なんでもありだね、あいつは。と思いながらの、「それでウェールズさまの死体までないってのは、どういうことだろうね。ま
さか仕損じたんじゃないか?」と言うフーケの質問に、ワルドはそんなハズはないと答える。
 自分の一撃は確実にウェールズの胸を貫いていたのだ。あれで生きていられる人間がいるわけがない。
 いや、なんかもう、あの使い魔なら心臓に穴が開いても生きていそうな気がするが、あれは例外にしよう。バケモノだし。

「て事は、ラ・ヴァリエールの娘と『あいつ』が持ってったってわけだ」

 まあ、どうでもいいけどね。と本当にどうでもよさそうに肩をすくめる。
 アルビオン王家に恨みを持つフーケではあるが、自分の手で殺してやりたかったとか、遺体を辱めてやりたいという考えはない。
 そんなわけで他にすることもないので、なにやら敗北感に満ちた顔をしているワルドをニヤニヤと眺めていると、遠くから声がかけられた。

「子爵! ワルド君! 件の手紙は見つかったかね? アンリエッタが、ウェールズにしたためたという、その、なんだ、ラヴレターは……。
ゲルマニアとトリステインの婚姻を阻む救世主は見つかったかね?」

 声と共に現れたのは丸い帽子の裾から金髪を覗かせ、緑色のローブとマントを纏った三十半ばの男。レコン・キスタ総司令官オリヴァー・
クロムウェル。
 現れたクロムウェルに対して、ワルドは首を振り頭を垂れる。
 自分は任務に失敗したのだ。相手が悪かったといえばそれまでだが、そんな言い訳が許されるものではない事は理解している。
 だが、クロムウェルは怒らなかった。同盟阻止などより、確実にウェールズをしとめるほうが重要なのだからと言って。
 しかし、しとめたのはいいが遺体を持っていかれたのは残念だ。とクロムウェルは二人を促して礼拝堂を出る。
 そうして歩いていった先にあるのは一つの屍。かつてはジェームズ一世と呼ばれていたもの言わぬ肉の塊。

「我々は聖地をあの忌まわしきエルフどもから取り返す! それが始祖ブリミルより余に与えられた使命なのだ! その偉大なる使命のため
に、始祖ブリミルは余に力を授けたのだ」

 そう言って抜いた杖を振り、呪文の詠唱とともにジェームズ一世に振り下ろした時、彼の王の肉体の損傷は修復され、その眼を開いた。
 立ち上がり、クロムウェルに対して膝を折ったジェームス一世を見下ろし、これこそが、始祖ブリミルが使い今は失われた虚無の系統の魔
法なのだと、彼は言った。
485ゼロと損種実験体・代理:2009/03/22(日) 07:06:08 ID:mVEGal1D
 その夜。酒場にて、ワインを口に含みフーケは思う。昼間見たあれは本当に虚無系統の魔法なのだろうかと。
 たしかに、死者を還すなどという魔法が他にあるとは思えない。だが、違和感を感じる。何故なら、彼女は他に虚無系統としか思えない魔
法を知っているから。
 そして、虚無の魔法を使うというのなら、始祖の使い魔を連れているべきなのではないかとも思うから。
 そんな彼女の隣の椅子に、薬箱くらいの大きさの荷物を持ち、フードで顔を隠した一人の男が腰を下ろした。
 また、馬鹿な男が寄ってきたなと杖を抜く彼女に、男は『土くれ』のフーケだなと問いかけてきた。
 なんだか聞き覚えがある声だなと、そちらを見ると男はフードを外し、その顔を見たフーケは口に入れていたワインを盛大に噴いた。

「あああ、あんた、なんでここにいるんだよ。ヴァリエールの娘と一緒に逃げてったんじゃなかったのかい?」

 周りの視線など知らぬと言わんばかりの大声で叫ぶ彼女を気にすることなく、男はフードを被りなおして、「ああ、無事にトリステインに
帰ったはずだぞ」などと意味不明なことを言ってくる。
 もう、なんでもいいや。こいつの事は深く考えても疲れるだけだ。
 いろいろと馬鹿馬鹿しくなったフーケは、何も言わず無造作に足元に転がしてあった長剣を男に渡す。
 その際、剣が少しだけ鞘からこぼれ、錆びの浮いた刀身が見えたと同時に声が響いた。

「おっ、相棒じゃねえか? そうか俺を迎えに来てくれたんだな。いいとこあるじゃねえか……って、どういうことだオイっ!」

 それは、インテリジェンスソードのデルフリンガー。ラ・ロシェールで忘れられ置いていかれていたそれをフーケが回収していたのだ。こ
んなでも新金貨百枚の価値はあるわけだし。
 何に驚いたのか大声を上げるデルフリンガーにフーケは耳を押さえながら迷惑そうな顔を向けるが、本人はまったく気にするそぶりもなく
言葉を続ける。

「どういうことだよ相棒。使い手じゃなくなってるじゃねーか」

 何のことやら? とフーケは思うが、男のほうは思い当たることがあったらしく、左手を出してみせる。そこには……、

「ルーンがねえ! どういうこった?」

 いちいち叫ぶ魔剣がうっとおしくなったのか、男は剣を鞘に納め言葉を封じるとルーンがある方はルイズと一緒にいるとだけ答えた。
 はっきり言って、いまいち理解できなかったフーケだが、偏在のようなものだと言われて、こいつの事は深く考えるだけ損だと悟ったばか
りだろうと自分に言い聞かせて無理やり納得することにした。
 それで、自分に何の用だい? 別に剣を返してもらいにきたわけじゃないんだろ? と問いかけるフーケに男はもちろんだと答え。自分を
レコン・キスタに入れてくれと頼んできた。
 男。アプトムには目的がある。その目的のためにルイズの傍にいたわけだが、最近それだけではいけないのではないかと考えた。
 だから、彼は半ば偶然に作ることになった分体に情報を集めさせる事を考え、その分体はクロムウェルという虚無系統の魔法を使う者の噂
を聞き、それを調べるために内部に入り込むことを考えたのだった。



以上です。
実は、私がゼロ魔で一番好きなのはアンリエッタだったりするのでした。
なんか、話が短くなってしまったので、最初のキュルケとタバサを入れて水増ししてみたでござるの巻。


--------------------------
以上代理投下終わり
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 08:41:56 ID:62BSSyB/
損種実験体&代理の人乙です

>>474
吹き替え:大塚明夫
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 09:46:36 ID:QB/e5Cea
ヴォルケンリッターの続きが読みたい
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 10:35:31 ID:4zPeHAsY
おつおつ。
相変わらずのタバサのビビりっぷりがナイス!!
ギーシュはどうなるのか楽しみだw
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 11:09:38 ID:SdDkgtV3
損傷実験体の人 乙です

分体の方って、ウェールズの情報を表にだしたら容姿とか記憶とか人格とか
シミュレートできるような気がするな。
でも、自分が死んでることは認識してるから結局アンアンを泣かせることになると思う
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 11:43:23 ID:TdP+LSWG
乙でしたー。
レコン入りしたアプトムはワルドにはどう対応するのやらw
なんにせよこれで系統魔法使うマトリクスも手に入りましたな
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 13:07:27 ID:eOz1mtjI
wiki登録ができない…
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 13:10:18 ID:ppYKeG17
>>489
>分体の方って、ウェールズの情報を表にだしたら容姿とか記憶とか人格とかシミュレートできるような気がするな。
そういう事も出来るのかw
つくづくなんでもありだな
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 14:04:58 ID:GWzo2q4j
アプトムの人&代理の人乙です。
タバサのビビリっぷりがハンパじゃあないけど、よく考えるとごく普通の反応なんだよな。
融合捕食する所を見たら誰だって怖いよ。
食べられるのならまだ理解の範疇だけど手で触れられて取り込まれるからな。

ところで、左手を切り落としその左手から体を再生させたたらルーンはどっちにつくんだろう?
通常なら本体の方に付くとなるけど、アプトムは分体も本体だから分からん。


>>492
いや、容姿はともかく記憶とか人格のシュミレートは原作でもやった事が無い。
もっとも単にやらないだけで実際には出来るのかもしれんが。
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 14:08:36 ID:Ka7ixSHV
損種実験体の人&代理の人乙でした。
そうか、分体の方はルーンが無いんだな。
その辺で後々微妙な差が出て、それが広がって行ったらいずれは……?
次回も楽しみにしてます。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 14:12:26 ID:ppYKeG17
>>493
しかし助けてもらっといてあそこまで怖がって邪険にすんなよwと思う俺
もう救い(ヒロイン候補)はおマチさんしかいないのか……
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 14:46:25 ID:Qcb8RvaO
ヒロインは最萌キャラであるアプトムで決まりだろ
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 15:06:19 ID:0kBYNj54
頭からバリバリ喰われるのと、じわじわ身体を乗っ取られるのって、どっちが怖いんだろう・・・
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 15:23:26 ID:kDqEd5Mh
そんな事より野球しようぜ!
499名無しさん@お腹いっぱい:2009/03/22(日) 15:30:30 ID:jU/lEA1O
アプトムの特殊性がよくわかりますな。
なんかのSFで読んだんですが、完璧なクローンをつくると脳が共鳴現象を起こして双方とも死ぬという納得できるものがありましたが。
それを克服しているアプトムはやはりチート。
っていうか原作があまりにインフレしすぎなんだよな……。
まあ兵器だから続々とバージョンアップするのはわかりますが。
500ウルトラ5番目の使い魔:2009/03/22(日) 15:38:28 ID:cDvrTkex
こんにちは皆さん
第40話、タバサの冒険編、そのVをお送りしたいのですがよろしいでしょうか。
今回の使用予定レス数は11です。
よろしければ開始時刻は10分後の15:50からでお願いします。
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 15:39:27 ID:6H2THWwA
そんなのトンデモ納得させる理屈なんて想像できんw
どんなタイトルだったか覚えてないかね?
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 15:42:06 ID:cxcb3e7a
支援開始、目標ウルトラ5番目の使い魔
503ウルトラ5番目の使い魔:2009/03/22(日) 15:48:25 ID:cDvrTkex
あ、すいません。sage入れるのを忘れていました。
では、あと3分後に投下を開始します。
504ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (1/11):2009/03/22(日) 15:52:28 ID:cDvrTkex
 第40話
 間幕、タバサの冒険
 第二回、タバサと神の鳥 (そのV)
 
 極悪ハンター宇宙人 ムザン星人
 バリヤー怪獣 ガギ
 古代暴獣 ゴルメデ
 友好巨鳥 リドリアス 登場!
 
 
 タバサ達は、翼人達の守っている地下洞穴の見学を終えて、再び地上へと上がってきた。
 長い階段は、下りるには良かったが上がるには大変に体力を要求した。なにせ出口まで高さ80メイルはある。
東京タワーの展望台まで歩いて上がったようなものだが、外に出た瞬間息を切らせて飛んできた翼人の言葉が
彼らに疲労に体を預ける贅沢を許さなかった。
「アイーシャ様、たった今人間どもの村を偵察に行っていた者から報告がありまして。突如地底から巨大な怪物が
出現して村を破壊し、こちらのほうへ向かってきているとのことです!!」
「なんですって!!」
 
 それは、今からおよそ1時間ほど前の出来事だった。
 日が落ち、静けさに包まれたエギンハイム村を突如マグニチュード8クラスの巨大な地震が襲ったかと思うと、
森の地下から鋭い角を生やした怪獣が現れ、村を容赦なく破壊し始めたのだ。
 このとき、夕食時で気の緩んでいた村人は対処するのが遅れて、3件の家が住人ごと踏み潰されたが、ようやく
非常事態に気づいた人々は悲鳴をあげて逃げ惑った。
「逃げろ!!」「村を捨ててどこへ行くんだ」「村といっしょに死のう」「馬鹿、怪物がいなくなるまで避難するんだ!!」
 踏み潰されるよりはましだと、村人達は必死になって村の外へ続く街道へと殺到した。
 けれど、出口にたどり着いた人々はそこから進むことができずに立ち往生してしまった。
「なんだ!? 先に進めない」「何してんだ、早く行け!!」「そんな……見えない壁がある」「そんな馬鹿な、これじゃ
逃げられないじゃないか!?」
 森の出口ですし詰めになる村人達へ向かって怪獣は地響きを立てながら向かってくる。
 この怪獣の名は【バリヤー怪獣 ガギ】、名の通り自分のテリトリーを目に見えない強固なバリヤーで覆って、
そこに閉じ込めた獲物を狙う宇宙怪獣の一種で、繁殖能力が強く、他にも時空間に生息したりと複数種が
確認されている。今回は、そのうちの一匹がチャリジャを介してムザン星人の下僕として出現したのだ。
 ガギは、逃げられない村人達へ向かって両腕の触手を鞭のように振るって襲ってくる。台風に飛ばされた
巨木に打ち据えられるようなもので、村人達は犠牲者を救い出すこともできずに今来た道を必死になって
引き返し、その間にも多数の犠牲者を出しながら生き残った人々は、唯一バリヤーの開いていた翼人達の
住む森の方向へと逃げていった。
 その光景を、人間達が不審な行動をしないか見張りに来ていた翼人の一人が見て、急ぎ戻ってきたのだった。
 
「すでに長の命により、戦える者は全て戦支度を済ませ、里に到達する前に迎え撃つべく集結中です。アイーシャ様達
女子供はいったん森の奥へ避難していただくようにとのことなので、お急ぎください」
 その翼人はそう報告すると、自分も防衛線に加わるべく飛び去っていった。
505ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (2/11):2009/03/22(日) 15:53:11 ID:cDvrTkex
 アイーシャは突然のことが飲み込みきれずに唖然としていたが、いち早く我に返ったタバサとキュルケ、そして村が
襲われていると聞かされたサムとヨシアは愕然として、いったいどういうことかと叫んだ。
「エギンハイム村が、俺達の村が怪物に襲われているだって!?」
「村の人達は、父さん達は無事なのかな!?」
 二人は今すぐにでも村に戻りたいと焦ったが、落ち着いてくださいとアイーシャが止めた。今、村に戻るのは危険
すぎます。村からここまではかなりの距離があって怪物もすぐには来ないでしょう、戦士達が怪物を抑えている
うちに村に帰します。それまで落ち着いてくださいと訴えて、二人は焦りながらもようやく止まった。
「わかったよアイーシャ、心配かけてごめんよ。けど、なんでぼく達の村が怪獣なんかに?」
 これまでも、村が野生の竜に襲われることはなくもなかったし、別の村ではミノタウロスが村人を生け贄として
要求してきた事件もあったといい、ハルケギニアで村が怪物に襲われる例は決して少なくはないが、いざ襲われると
なぜ自分のところがと理不尽さを感じるものだ。
 けれど、今回のものは野生の怪獣がいわば天災的に襲ってきたにしてはタイミングがよすぎる。タバサとキュルケの
脳裏には、当然のようにあの森で戦った怪物の姿があった。
「きっと、森の怪物が呼び寄せた……正体を知られて、証人を一気に丸ごと消してしまおうと目論んでるのかも」
 かつてバム星人がメカギラスを呼び寄せたように、あの怪物が使役している怪獣がいたとしてもおかしくない。
 それにしても、平然と村を焼き払い、さらには翼人達まで始末しようとしてくるとは、奴には心というものが
ないのだろうか……
 
 いや、むしろ奴はこの機に乗じてさらに大規模なハンティングを楽しもうとしているのかもしれない。
 戦士達が集結している翼人の里の上空にあの円盤が現れ、そこからムザン星人が地上に降り立ち、目に付いた
ものや家々に光線を放って焼き払い始めたとき、惨劇は翼人達にも無情に降りかかってきたのだ。
「敵襲だぁーっ!!」
 破壊と殺戮を欲しいままにする星人に、翼人の戦士達が立ち向かっていく。本来争いを好まぬ彼らだが、
故郷を守るためならば勇敢な戦士となる。土足で踏み込んできた侵入者を打ち払うべく、森の精霊の力を
借りて立ち向かっていくが、風の精霊の力を持ってしても星人の破壊光線は防ぎきれず、さらに翼人達より
高く飛ぶ円盤の攻撃の攻撃により、次々犠牲が増えていっていた。
「くっ、化け物め……せめて、大いなる翼の眠る洞だけでも守らねば」
 戦士達は集結し、大いなる翼の眠る里の中心の巨樹を守るべく陣を組む。けれど、そうして死守の体勢に入った
相手と正面からぶつかるのは必死の反撃を誘発して愚策である。これまで数々の宇宙人をハンティングしてきた
歴戦の狩人であるムザン星人は、翼人達の意思の強さを悟り、円盤をコントロールして空の上から大樹に光線で
火をかけさせた。
506ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (3/11):2009/03/22(日) 15:53:57 ID:cDvrTkex
「ああっ!!」
 松明のように瞬時に炎に包まれる大樹を見て、戦士達は愕然とした。住民はすでに里の裏手に避難しているから、
あの中に取り残された者はいないはずだが、あの大樹の根元には大いなる翼の洞がある。大樹が焼け落ちれば、
下の洞も崩れ落ちる、そうなれば先祖代々6千年にも渡って守り継がれてきた意志が消えてしまう。
 超高温のレーザー光線で焼かれた大樹は見る見る炎に包まれていく、何人かが消せと叫んで向かっているが、
先住魔法、精霊の力を持ってしてもできることとできないことがある。
「グゲゲゲ……」
 ムザン星人は燃え盛る森と翼人の醜態を笑い、さらに光線を放って命を摘み取り、破壊を意のままにしていく。
「森が……泣いている」
 誰かが、燃え盛る里の風景を見てそう言った。燃え広がり、火の粉を散らしながらきしんで朽ちていく大樹の
断末魔の叫びが、まるで泣いているかのようだった。
 星人はさらに嘲りながら、向かってくる翼人を自身と円盤の光線で次々と始末していく。
 このまま、翼人の里もエギンハイム村同様に残虐な侵略者に蹂躙されてしまうのだろうか……
 
 だがそのとき、突如惨劇に包まれた森の中を、とてつもなく大きな鳥の声が駆け抜けた。
「今の、声は……?」
 それは、シルフィードの鳴き声を何百倍にも強く、大きく、そして気高く昇華させたような。その魂に響き渡る
かのような鳴き声に、翼人も、避難していたタバサ達も、そして星人さえも一瞬我を忘れて聞き入ってしまった。
 今の声は……幻聴? いや、幻ではない……しかし、あんな強い鳴き声をあげられる鳥はハルケギニアには
存在しない。いったい誰が……いや、それほどの力強さを持つ者がこの世にいるとしたら。
「大いなる、翼……?」
 6千年間守り続け、一度も繭の中から答えなかった太古の守護者が、今?
 けれど、一時の自失から回復した星人は、再び破壊と殺戮のゲームに狂奔しだした。
 星人の光線になす術もなく倒されていく戦士達、引け!! 引け!! という声とともに飛び去ろうとする翼人達を
あざ笑いながら、さらに破壊を欲しいままにするムザン星人。
 やはり、あの鳴き声は幻であったのか……いや、森の空を超えて森のはるかかなたまで響き渡った
その声は、大地を揺るがす地響きとともに、大地に眠れる者の目を覚まさせていたのだ。
 
 一方、巨樹に攻撃が加わる前にかろうじて離れていたタバサ達は、戦いの様子を見に行っていたシルフィードを
迎えていた。
「きゅーい、お姉さまーっ!! あの怪物が、里の入り口で暴れてるの、翼人達が応戦してるけど、かなり分が悪そうなのね」
 飛んできたシルフィードに言われるまでもなく、里の入り口のほうから戦塵と炎が上がり、大勢の翼人の叫び声が
聞こえてくる。人間ならば数千の軍勢がなくては手が出せないような翼人の里へ、奴はたった一体で乗り込んで
好き放題に暴れている。
507ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (4/11):2009/03/22(日) 15:55:00 ID:cDvrTkex
「あの虫頭、まったくスマートさのかけらもないわね。とすると当然あたし達も消す気でしょうねえ。ちょうどいいわ、
森での雪辱、早いとこ晴らさせてもらいましょうか」
 杖を風を切るほど振りかざし、その身から炎が湧き出ているのではと錯覚しかねないくらい闘志を燃やして
キュルケが言うと、星人の恐ろしさを骨身に染みて知っているアイーシャが止めた。
「やめてください。あの怪物は、到底人間の敵う相手ではありません!!」
 言外に逃げてくれと含めたその言葉には一切の他意はなく、キュルケは種族が違う自分達のために本気で
心配してくれるアイーシャの優しさに感銘を受けたが、人懐っこくまるでピクニックにでも行くような気軽さで答えた。
「わたし達の友人にね。少し前に今のように無差別に人を殺す怪物がわたし達の街に現れたとき、たった剣一本で
立ち向かっていってみんなを救おうとした人がいるの、魔法が使えないくせに本当に勇敢にね。しかも彼ったら、
そんな大手柄を立てながら全部他人に譲っちゃったのよ。呆れた馬鹿でしょ、最近どうもね……そんなおバカな
平民の彼に影響されちゃってるみたいでね」
 軽く頭をかきながら、以前に銃士隊がツルク星人を倒したとき、銃士隊といっしょに奇妙な姿の平民の少年がいたという、
そんな根拠のない、しかし心当たりだけはふんだんにある噂のことを彼女は言った。証拠はないが、火のないところに
煙は立たない。そしてそんなことをするのはハルケギニア広しといえども一人しかいない。
 さらに、避難しようとしていた戦えない翼人達が、里の反対側にできた見えない壁に押し返されて立ち往生していると
報告が来て、アイーシャもヨシア達も愕然した。ガギのバリヤーはエギンハイム村と翼人の里をそれぞれ端点とする
巨大なドームとなって人々を内部に封じ込めてしまっていたのだ。これはガギのバリヤーでも超大型に当たる。
流石はチャリジャが探してきて売り渡した個体と褒めるべきか、とにもかくにもこれで逃げ道はなく、戦うしか
生き延びる道はなくなったというわけだ。
「わかりました。わたしは戦えない人達を守らなければなりませんので、行かなければなりません。ヨシア、あなた達は
わたしといっしょに来てください。人間の戦士の方……いえ、タバサさん、キュルケさん、貴女方に大いなる意思の
助けがあらんことを」
 信じる祈りの対象は違うけれども、心からの無事を願うアイーシャの祈りに、タバサとキュルケは素直に無言の
ままうなづいて答えた。
 ほんの数時間前まで命のやりとりをしようとしていた者同士は、今真に戦うべき目的のために武器をとろうとしていた。
「けど貴族様、あの怪物とどうやって戦うんですか?」
 ヨシアの不安ももっともだった。これまでも4人ものメイジを血祭りにあげ、翼人をもまったく苦にせず始末してしまった
ような相手にどうやって挑むというのだろうか。
「手の内が分かってれば、それに合わせて対抗策も出るわよ」
「しかし、あの空の上からの光線は……」
「ふーん、そこが問題なのよね」
508ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (5/11):2009/03/22(日) 15:55:55 ID:cDvrTkex
 正直、あの円盤に対抗する術はないものと思われた。地上で星人に意識を集中しようと思ったら、その隙に頭上から
狙い撃ちにされて燃えカスに変えられてしまう。戦術としては単純だが、制空権を取られているということはそれだけで
圧倒的なアドバンテージとなる。かつて不沈とうたわれた日本の超巨大戦艦『大和』も空中からの一方的な攻撃
により撃沈されてしまっている。もっとも、その大和をミミー星人が改造して建造した軍艦ロボット『アイアンロックス』は
対空砲火によって、当時の防衛チーム、ウルトラ警備隊の主力戦闘機ウルトラホーク3号を撃墜しているのは
歴史の皮肉といっていいだろう。
 すぐ思いつく対抗策としては、シルフィードでの空中戦に持ち込む手があるが、あの円盤は速度、機動性ともに
シルフィードをもしのいでいる。先ほどのように森の中を逃げるだけならまだしも、空中戦をおこなって撃墜しようと
するならどちらかで相手をしのぐか強力な武装がいる。彼女達はもちろん知らないことだが、地球の歴代防衛チームも
テロチルスやバードンなど飛行能力を持った怪獣には苦戦を強いられている。けれど、歴代チームの中でもっとも
多く宇宙人の円盤を撃墜したのは、先の前例のウルトラ警備隊なのだから得手不得手というものはあるものだ。
 だが、タバサは懐の中の膨らみを確認すると、一つだけ奴を倒せるかもしれない可能性を見出していた。
「作戦を説明する」
 短く言ったタバサの言葉に、キュルケは反論することなくうなづいた。この小さな友達の頭脳が自分のそれを、
これまでの人生で読み漁った本の数に正しく正比例していることを彼女は承知していたからだ。
 
 
 だがそのころ、ムザン星人は翼人達の必死の防衛線を易々と突破し、彼らの種族が数千年かけて築き上げてきた
大樹の街に火をかけて焼き払おうとしてきていた。
「グッフフフ……」
 数いる凶悪宇宙人の中でも、特に悪魔の様なと言われるムザン星人は、森ごと自分の正体を知る者を根絶やしに
しようと残忍な手段を当然のように実行してきた。
 火を消せという声があちこちから上がるが、それも強くなりすぎる火勢には抗しきれずに、徐々に小さくなっていく。
 けれど、そんな蛮行をいつまでも黙って受け続けるほど、人間のほうは聞き分けがよくない。火災の中から
飛び出してきた炎弾がムザン星人に襲い掛かり、すんででかわした星人は、まだ敵が残っていることを知って
炎の中から飛翔した一頭の竜に光線を放った。
「ひゃあ、危なかったのね……ちょ、赤いの! もっとしっかり狙いなさいのね」
「うっさいわね、こんな遠くから撃ったらちょっと慣れた兵士程度でもかわせるわよ。それよりも、タバサが乗ってない
からってあんまし無茶な飛び方するんじゃないわよ」
 燃え盛る木々の赤い炎を背にして、キュルケだけを乗せたシルフィードが円盤と星人の同時攻撃をかわしながら、
星人に立ち向かっていく。
509ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (6/11):2009/03/22(日) 16:00:22 ID:cDvrTkex
 しかし、最初からその旗色は明らかに悪かった。シルフィードは確かにすばやいが的としても大きい。森の木々が
ある程度楯になってくれるが、キュルケが狙いやすいように直線飛行なんかしようものなら、あっという間に
撃墜されてしまう。散発的な攻撃では、星人は避けるのには苦労せず、残った翼人の戦士達も、消火作業に
忙殺され、さらに人間をわざわざ助けようという酔狂な者はいない。
 が……正面攻撃でこの星人を倒せるなどと、脳みそに蜂蜜とシロップをかけているような作戦を提案するほど
タバサは低脳ではない。戦場で目立つうまそうな獲物を見つけたとき、それには極辛の隠し味がついているものなのだ。
「囮も楽じゃないわね……ちょっとシルフィード、今当たりそうだったわよ。ちゃんと避けなさい」
 そう、タバサの作戦はキュルケとシルフィードが囮となって星人の気を引き付けて、タバサが隠れて奇襲を
かけるというものだった。それゆえに、なるたけ長い時間星人の注意を引き付けなければならない。けれど
信頼するタバサの作戦だからと、妄信して安請け合いしちゃったかなと、ちょっとキュルケが自分のノリのよさを
反省しながら、シルフィードに毒づいたら、意外にもシルフィードも反撃してきた。
「お姉さまと違って重いから飛びにくいのね。ちょっとはやせるといいのね!!」
「い、今なんて言ったの!? こ、この、竜のくせに、竜のくせに!!」
 女子にとって『重い』の一言がタブーなのはどこも違わない。普段の余裕はどこへやら、この顔をルイズが見たら
さぞかし喜ぶだろう。
「ふふーんだ。人間ごときの美しさなんて、シルフィ達韻竜の足元にも及ばないのね。悔しかったらあいつに一発でも
当ててみるといいのね」
「言ったわね!! このあたしを本気にさせたことを後悔するといいわ」 
 ついさっき話せることが分かったばかりだというのに、キュルケとシルフィードはぎゃあぎゃあと喚きながら
戦闘と呼べるのだろうか、とにかく星人の目を引いていた。
 空と地上からの挟み撃ちを、シルフィードは持てる感覚全てを駆使してかわし、キュルケはやぶさめのように
腕を微妙に振るって星人を攻撃する。その連続攻撃に、さしもの星人もいらだちを見せてきた。
「ググ……ガギ、ナゼマダコナイ?」
 星人は、もうかなりの時間が経ったというのにやってこないガギにも不信感を抱き始めていた。チャリジャが
あのガギを売り渡したときに、奴は極上の個体でコントロールもすでにできていると太鼓判を押してきたはず
だったのだが、まさか不良品をつかまされたのか?
 だがそのころ、ガギもまたそれどころではない事態に巻き込まれていたのだ。
 
 エギンハイム村からほんの数リーグも離れていない森の中で、ガギは突如地中から現れた怪獣との
取っ組み合いに引きずり込まれていた。
「怪獣が、もう一匹現れた!?」
 生き残った村人達は、震えながら2大怪獣の激突を見守っていた。
510ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (7/11):2009/03/22(日) 16:02:18 ID:cDvrTkex
 ガギの前に現れた新しい怪獣は、二本足で立って長い尾を持ち、前へ大きく突き出た上あごが特徴的では
あったが、全体的に恐竜型怪獣そのものの姿をしていた。こちらは、ガギのように鋭い角や鞭などは持っていないが、
その太い腕から生み出される腕力はガギに劣らず、肉弾戦においてはガギを圧倒する勢いすら持っていた。
 ガギが鞭のように振りかざす両腕の触手を、もう一匹の怪獣は厚い皮膚で受け止めて、体当たりを
仕掛けてガギを跳ね飛ばす。
「なんで、なんで俺達の村に怪獣が二匹も現れるんだよ」
 村人の一人が目に涙を浮かべながら、悔しそうにつぶやいた。彼らの手の中には村を逃げ出すときに
持ち出してきた鎌や弓など農耕や狩猟用の武器が握られているが、身長50メイルを超える怪獣相手には
蟷螂の斧にも等しい。
 しかし、彼らはまだ幸運なほうであったのだ、村を破壊した怪獣が森に逃れた村人達に襲いかかろうとしたとき、
突如森全体にとてつもなく大きな鳥の声がしたかと思うと、この怪獣が現れて戦いを挑んだおかげで、彼らは
踏みつぶされる危機から逃れられたのだから。
 否、もしかすると本当にこの怪獣は彼らにとって救いの神であるのかもしれない。
 いらだったガギが、その長い鞭を腹立ち紛れに村人達の方へと振り下ろしたとき、怪獣は自らその前に
立ちはだかって、自分の体でその攻撃を受け止めたのだ。
「俺達を、怪獣が守ったのか?」
「あの怪獣は、まさか……」
 村の長老である老婆が、記憶の井戸の底の底から一粒の砂金を見つけたかのように、ぽつりとつぶやいた。
「ばあさん、あんた何か知ってるのか?」
「あたしの子供のころ、あたしのばあさんが語ってくれた昔話……森のどこかには、守り神の竜が住んでいて、
いつでも村を見守っていてくれてるんだと、作り話だとばかり思ってたんだけど……確か名前は……ゴルメデ」
 長い眠りから、友の呼び声によって目覚め、森の闇に雄雄しい遠吠えがこだました。
 
 
 一方、ガギがゴルメデに足止めされて星人の加勢に来れないでいることは、当然タバサ達には千載一遇の
チャンスとなっていたが、それ以上に状況が思い通りにいかない星人の集中力を乱していた。
 そして、いらだった星人が完全にシルフィードに意識を集中させたと見えたとき、キュルケは叫んだ。
「タバサ、今よ!!」
 そのとき、星人の背後の土中から全身を泥まみれにしたタバサが飛び出してきた。
 風の魔法を使えば軟らかい森の土を掘り返して穴を掘ることはさして難しくない。すぐさま狙いを定めた
タバサは星人に向かって杖を構えた。使う呪文は強力な雷撃の攻撃魔法、『ライトニング・クラウド』、
彼女の使える中でも威力、有効範囲ともに最高クラス、これが当たれば巨象とてショック死するほどの
威力がある。
 だが、この作戦は完全に星人に読まれていた。虚をついたと思っていたはずの星人の首がぐるりと
反転して、昆虫のような目がタバサを見据える。
511ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (8/11):2009/03/22(日) 16:03:54 ID:cDvrTkex
 歴戦のハンターである星人は、目の前にいる敵のうち、先程戦った者が一匹欠けていることにすぐさま
気づき、不意打ちに備えるばかりか自ら隙を見せて誘いをかけていたのだ。
「ゲゲゲゲ……」
 あざ笑う星人の顔と、驚愕するタバサの視線が重なり合う。どうしてもタバサの詠唱が完成するより
星人の攻撃のほうが早い。
 次の瞬間、タバサの全身を炎が包んだ。
「タバサ!!」
「ゲキャキャキャ!!」
 キュルケの叫びと、星人の勝利の笑い声がこだまする。
 だが、そのまた次の瞬間、勝利の女神はコインを裏返した。
 
『ジャベリン!!』
 
 高らかに笑っていた星人の胸に、巨大な氷の槍が突き刺さる。
 星人は、一瞬何が起こったのか理解できなかった。槍が飛んできた方向は、たった今殺したばかりの
下等生物が一匹いただけのはず、もう一匹いたのか、ならばなぜ気づけなかった?
 彼はそこまで考え、胸に刺さった槍を抜こうと手をかけたとき、全身を燃やして死に逝くはずの相手の
体が急速に縮んでちっぽけな人形になり、その後ろからまったく同じ姿の敵が現れて、自分がとんでもない
トリックにはめられてしまったことを悟った。
 
「やったあ!! さっすがあたしのタバサ」
「誰があんたのなのね、お姉さまはシルフィのお姉さまなのね。けれど、あの馬鹿王女のプレゼントも
役に立つこともあるもんなのね!!」
 空の上からキュルケとシルフィードの歓声が響く。
 タバサは、陽動作戦が恐らくは見抜かれるであろうことを見越して、出立前にイザベラから譲られた
使用者とまったく同じ姿形になる古代の魔法人形、スキルニルを盾代わりにした二段構えの作戦を
立てていたのだ。
 これには、鍛え上げられた感覚を持つムザン星人といえども、同じ気配の同一人物と見てしまって
判断を誤ってしまった。さしもの悪魔的能力を誇る異星人も、小さな少女の知恵と、魔法文明が生み出した
ちっぽけな人形の威力の前に見事に足を掬われたのだった。
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 16:06:59 ID:hVHZRI5M
支援
513ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (9/11):2009/03/22(日) 16:07:01 ID:cDvrTkex
「ようし、とどめよ!!」
 深手を負わされた星人は、もはや光線で反撃する余力はなく、円盤も星人の負傷とともに軌道が
おかしくなってきている。やるなら今しかない、タバサは今度こそ『ライトニング・クラウド』を唱え始めた。
 
 だが、詠唱が完了する寸前、ジャベリンを引き抜いた星人に円盤から青白い光が照射されたかと
思うと、星人の姿が円盤の中に吸い込まれ、円盤はよろめくようにしてエギンハイム村の方向へ
飛んでいき始めた。
「逃げる気!?」
 せっかくここまで来て、むざむざと逃がしてたまるものか、殺された大勢の人々のためにも、あいつは
逃がすわけにはいかない。けれど、円盤の飛行速度はシルフィードのそれを軽く超えている。伊達に
宇宙船ではない。
 このまま逃がせば、奴は傷を癒して今度こそ万全の体制を整え、怪獣をも率いて攻めてくるだろう、
そうなればもはや勝ち目はどこにもない。
「きゅい……シルフィも、お姉さまも頑張ったのに……」
 シルフィードが悲しげな声を漏らし、絶望が彼女の心を閉ざしかけたとき。
 
"あきらめないで"
 
「きゅい、だ、誰なのね!?」
 突然頭の中に話しかけてきた聞きなれない声に、シルフィードは驚いて周りを見渡したが、そこには背に
乗っているキュルケしかいない。
 
"最後まであきらめなければ、きっと奇跡だって起きる"
 
「誰なのね、シルフィに話しかけるのは誰なのね!?」
「シルフィード、あんたさっきから誰と話してるの?」
 それは、韻竜であるシルフィードにのみ聞こえる声だった。
 そして、その声はとまどうシルフィードに向かって、こう言った。
 
"みんながあきらめなければ、ぼくもまた飛べる"
 
 そのとき、翼人達の守り続けてきた大樹が遂に轟音を上げて崩れ落ち、その下に隠されていた地下空洞を
白日の元にさらけ出した。
514ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (10/11):2009/03/22(日) 16:09:13 ID:cDvrTkex
 そして、そこで守られ続けてきた巨大な繭の表面に、内側から破かれるかのように裂け目が入り、
大樹が燃える熱によって6千年の眠りから覚醒した大いなる翼持つ者は、遂にその背に生やした
翼を広げて大空へと飛び立った。
 
「あれは!?」
「大いなる、翼……リドリアス」
 真っ赤なとさかを持ち、背中に世界を駆け巡る翼を生やした巨大な鳥、その者の姿に、アイーシャ達翼人達は、
守り続けてきた伝説が蘇ったことを知った。
 かつて、世界を救った勇者とともにあった翼。はるか遠い星でも、同じ種族が平和のために空を舞った、
守るべき者のためにはどんな危険もいとわない勇敢な、そして優しい者。
 彼が、円盤を追って飛び立ったとき、アイーシャは生き残った戦士達を見渡して言った。
「みんな……私たちも行きましょう」
「しかし、精霊の力を争いに自ら使うのは……」
 戦いに向かうのだと思った翼人達は躊躇した。里を守るために戦うのはやむを得ないが、相手が逃げた
以上追ってまで戦う必要はない。人間とは違い、専守防衛に徹するのが彼らの考えだった。
「いいえ、大いなる翼が飛び立った以上、私達は彼が何のために飛び立ったのか、それを見届ける義務が
あります。それに、伝え聞くところによると今この世界を狙う闇の者達の侵略、そして大いなる翼の復活は、
この世界を再び大災厄が焼き尽くす前兆かもしれません」
 大災厄、その単語を聞いて翼人達の間に動揺が走った。
 6千年前、恐るべき力を持つ悪魔達によって世界が焼き尽くされた暗黒の時代、それが再びやってくるというのか……
「私達がこれから何をなすべきなのか、その答えがそこにあるかもしれません。それを見極め、私達の氏族は
いずれ来る新たな災厄に備えるために、これまで彼を守り続けてきたのではないですか。行きましょう、
きっと彼はそのために飛び立ったのです」
「はいっ!!」
 戦士達の叫び声があがる。6千年、大いなる翼を守り続けてきたのは、ただこの日のため。
 そして、いっしょに見守っていたヨシアとサムも、彼らに同行することを望んだ。
「アイーシャ、ぼく達も連れて行ってくれ。何の役にも立たないかもしれないけど、ぼく達の村はぼく達で
守りたいんだ」
「俺も、恥をしのんで頼む。村長の息子って義務もある。だが、どんなにちっぽけで貧しくても、生まれ育った
村なんだ。何もせず、黙っているなんてできねえ」
「わかりました。誰か、お二人を運んでください」
 二人をたくましい体格をした翼人が持ち上げて、翼人達は一斉に夜空へと飛び立った。
 
「タバサ!!」
 地上に下りてタバサをその背に乗せたシルフィードも、翼人達とともに星人の円盤を目指して飛び立つ。
515ウルトラ5番目の使い魔 第40話 (11/11):2009/03/22(日) 16:11:56 ID:cDvrTkex
 そんななか、飛びながらシルフィードは背に乗せた二人にさっき聞いた声のことを語った。
「お姉さま……シルフィ、あのでっかい鳥の声を聞いたの、あきらめるなって、みんながあきらめなければ、
自分もみんなを守るために戦えるって……」
 タバサは何も言わずに、胸に抱いた杖に力を込めた。
 もとより、どんな状況になってもあきらめるつもりはない。しかし、自分ひとりだけで戦い続けても、あの凶悪な
星人や怪獣には勝てないだろう。翼人も人間も、全ての力を一丸とする。そんなことができるのだろうか?
 
 やがて、目の前にエギンハイム村の燃える炎、そしてその赤い光を背にして戦う二匹の怪獣と、一匹の
怪獣を光線で援護する円盤が見えてきた。
「あれは……地に眠る竜……ゴルメデ!?」
 ガギと戦うゴルメデの姿を見て、翼人達は伝承の全てが現在に蘇り、そしてこの世界に本当に危機が訪れている
ことを確信した。
 しかし、ゴルメデはガギと戦いながらも星人の円盤からの攻撃に悩まされている。
 だがそこへ、上空から急降下してきたリドリアスの体当たりが炸裂し、墜落した円盤が火を噴いたかと思われた瞬間、
森の中にまるで怪獣のような姿になって巨大化したムザン星人が立ち上がった。
 
 
 続く
516ウルトラ5番目の使い魔 第40話 あとがき:2009/03/22(日) 16:14:56 ID:cDvrTkex
以上、来週に続きます。
翼人って、原作の挿絵ではいまいちよくわからないんですよね。エルザやアネット、リュリュはしっかり顔が
写ってるんだからアイーシャも見てみたかったと思います。ちなみに、私はブレス・オブ・ファイアUのニーナに
近いイメージで考えてます。
彼女達、本編に登場してくれないものですかね。
 
登場怪獣は、まあ半分好みです。ガギはデザインが秀逸で、シルバゴンに倒されたのが惜しいと思っています。
再登場キャラの悲しい宿命ですかね。
あと念のため注意しておきますが、リドリアスとゴルメデは遊星ジュランに送られたものとは別個体です。
しかし40話、我ながらよくここまで来たものです。どれだけの人が見てくれているのかはわかりませんが、
楽しんでくれる人がいる限り、これからも頑張りたいと思います。
では、来週は翼人編も最終回です。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 16:23:30 ID:Fl3XIQPW
おつー。
来週の最終回に期待してるよー。
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 16:30:40 ID:cxcb3e7a
ウルトラの人、乙でした そして今回の話も大変GJでした。
遂に二大怪獣が復活しましたが、39話での話で
伝えられてた怪獣がリドリアスとゴルメデだなと薄々感じました
が、まさかここで復活するとは思いませんでした。
次回が翼人編の最終回、どうなるか楽しみです。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 16:47:57 ID:pxhDwBDv
乙でした。
毎週楽しみにしてます。これからも頑張ってください。
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 18:05:26 ID:M3+IAOYJ
ウルトラの人、乙です。今回も面白かったです。
なんか、最後のタバサの決意と不安を読んだら『Brave Love TIGA』が脳内再生されてしまった……

たとえ力が強くても〜♪
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 20:29:13 ID:PpvOV6NE
乙です乙です!
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 20:48:01 ID:GWzo2q4j
wikiってまだ完全復活していないの?
>>441-445にある「祝福を与えてしまうモノ」の小ネタを掘り出したんだけど登録できない。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 20:50:22 ID:B2c+xrap
運営が気付いてないかもしれない
524虚無と鬼:2009/03/22(日) 20:51:44 ID:yXiIBSKz
こんばんわー。
作品ができたので、前回の“Bサイド”を投下したいと思います。
投下予定は21:00から、6レスの予定です。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 20:52:25 ID:xinqEgAL
もう24時間以上たってるし、www35共通の障害だからユーザーから報告はガンガンあがってるだろうけど…
土日だから会社休みなんだろう。
526虚無と鬼:2009/03/22(日) 21:00:32 ID:yXiIBSKz
では、投下開始します。
527虚無と鬼(Bサイド)-01(1/6):2009/03/22(日) 21:02:04 ID:yXiIBSKz
そこに広がるはどこまでも続く荒野。
鳥の一羽、虫の一匹、草木一本さえない命無き道。
見渡す先は暗黒。
果て無く、際限無く、暗闇へ向かって沈む道のり。
先にあるのは底無しの絶望。
地獄(ダロマグル)。
罪人が、悪が、黒き者が落ちる最凶最悪のゴミ捨て場。
そこには数多くの悪夢と、罪人と、生贄と、罪無き者が苦悶を、絶望を喘いでいるのか。
そしてそれらを貪る不死の王(ノーライフキング)。
死そのものでありながら、死なずに死んでいるかつての神の片割れ。
どんなに信仰深く彼を崇める信者であろうとも、心に抱くは絶望だろう。
地獄へと向かうということは、不死の王が味わっている無限の苦痛を己が身に受けるということであるのだ。
それゆえに、正気を保てるわけは無く。
もし正気でいられるのならば、それはすでに正気ではない。
だから、
「ふんふふ〜んっと」
鼻歌交じりにこの道を進む男は、異常であった。
「ざまあみろってんだ、大いなる神(エル・アギアス)!」
それどころか、天に向かって中指を立てると舌を出して神を罵倒する。
「てめえが愛した信者は、今地獄へ向かっていますよ〜。悔しいだろう、なんかしてみろよ神様よ」
まるで子供のように1人で騒ぐ姿は他人が見れば馬鹿みたいであろうが、彼はそのことを気にすることはなく。そもそもが周囲に他の者などいない。
「ふあぁ……にしてもこりゃまた、退屈な場所で」
そして飽きたのか。欠伸をかましながら、男は手に持った得物をクルクルと回す。地獄へと向かう気負いさえも無く、無責任なことを言う。
「こう、なんて言ったらいいか。ずばばばーん! と派手なことが起こらねえかな」
無論にして、ここは地獄への道程であり。
余計な物は一切無いはずなのだが。
――カッ!
「な、なんだっ!?」
突如目の前に閃光が奔る。
咄嗟に目を庇うが、光は腕を透過し目へと直接侵入するが――
(なんだ? 眩しいのに潰れねぇ)
前の状態ならともかく。本来こんな光を浴びたのなら、とっくに目が潰れているだろう。
なのに、目の前の光は眩しいが網膜を焼かないという、不可思議な現象を起こしている。
「あー、なんだ? これも死んだ特典か?」
そうこうしているうちに、光はまるで何かの鋳型に押し込められるように集まっていき。
その焦点。光の中心に丸い鏡らしきものが現れた。
「鏡……か?」
らしきものと付けるには理由がある。それは。
「光を放つ鏡ってのは使い道があるのか?」
自ら光を放っているからである。
男はその鏡の周囲をグルグルと回り。
「こりゃいったい……、なんかの魔法ってのはわかるんだが……俺の知ってるのとは随分と術式が違うなぁ」
男は試しに得物の柄を鏡へと差し出してみる。
「手応えは……ねえな」
ずぶずぶと沈む柄。持つ手にはなにも動きは感じない。
かといって。
「柄が鏡を突き抜けることもねえのか」
鏡の後ろには何も無かった。
「こりゃ、“転移”の応用品か?」
確かにそう考えて見れば、そんな風な術式にも見える。
それを前にして男は考え込む。
「ふーむ、あからさまに怪しい鏡。そしてここは地獄の一丁目。どう考えても普通、無視だろ無視」
そう、それが当たり前なのだが。
「だが、そんなことで怯む俺様じゃない。穴があれば迷わず入れ、壁があったら壊して進め、道が無ければ空を飛べってな」
そう言うと。
「あらよっと」
あっさりと鏡へと飛び出した。
それは余りにもあっけなく、気軽で。まるで水溜りを飛び越える子供のような感じで。
「はてさて、どんな場所へ繋がっているのかな?」
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 21:02:24 ID:PvGuEKzV
支援。
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 21:02:35 ID:PpvOV6NE
sienndearu!
530虚無と鬼(Bサイド)-01(2/6):2009/03/22(日) 21:07:01 ID:yXiIBSKz
そんな声だけが荒野に響き。
鏡は男を呑み込むと、自らを解くかのような光を発し消え去った。

          ◆

ティファニア。
それが今現在の名乗るべき名であり、それ以外は公開されるわけには行かない名である。
ティファニア――ここではテファと呼ぼう――はとある“特殊な出自と特殊な事情”により、現在ここウエストウッドの孤児院を営んでいる。
営むといっても、どこからか援助を受けているわけでもなく。時折帰ってくる姉から受け取る金銭によってなんとかやっているだけであった。
それに最近はこのウエストウッドのある島では、アルビオン王国と反勢力による戦争が繰り返されている。
そしてここには、戦争で親を失った孤児しかおらず。大人といえる存在は、まだ成人というには若い彼女しかいない。
日々迫りくる戦火への恐怖。
戦争により長くなりがちの姉の帰り。
女一人で孤児たちを護らなければならない心細さ。
それぞれが混ざり合い。だが子供達に打ち明けることもできず、不安は濃縮し沈み彼女の心の奥底へと溜まっていく。
日々溜まる不安は彼女の心を重くし、真綿で首を締め付けるようにゆっくりと心も締め付ける。
それでも笑顔を絶やさない彼女は十分なほど頑張った。
だからこそ、不意に一人になった時。胸を突く寂しさがあった。
テファは椅子に腰掛け窓から外を窺う。
子供達は外を走り回り、楽しそうな顔で遊んでいる。
その笑顔を見て、彼女の顔にも笑みが浮かぶが。それもやがて憂鬱な顔に歪む。
下げた視線の先にあるのは汚れの染み付いた木目の床。
誰かにこの胸の苦しみを打ち明けたい。立ち込める不安を晴らしてほしい。
そんな思いがモヤモヤと胸を曇らせる。
ふと、テファは姉の言葉を思い出す。
メイジには、使い魔というパートナーがいるらしい。
使い魔はメイジの目であり、耳であり、鼻であり、半身であり、半生である、と。
メイジである姉は、目立つのを嫌い使い魔は持っていないらしいが。大低のメイジは自身の使い魔を持っているものらしい。
彼女は想像する。
自身が使い魔を持つことを。鳥や猫、犬や蜥蜴。もしかしたら竜を召喚し。それを自身の友として、誰にも明かせぬ思いを、言葉を共有することを。
その反面、自分にはそれは叶わないとわかっていた。
自分は“メイジだが、少し違う”と。
だから、その行為は軽い気持ちだった。
実際のやり方も教わっていない、どうせ成功するはずもないと。

ここで話を断ち切るようだが、少し解説をさせて欲しい。
それは〈コモン〉マジックと言われる魔法についてである。
〈コモン〉マジックは全てのメイジが使える、低位の魔法である。
“アン・ロック”“固定化”“ディティクト・マジック”“レビテーション”“ライト”“ブレイド”等々と数と種類こそ多彩なれど、驚くようなものは存在せしない。
火の攻撃力を誇るわけでもなく、水の回復力を有するでもなく、土の応用性を持つわけでもなく、風の汎用性があるわけでもない。
メイジなら誰もが使え、誰もが気にしない。精々が生活や行動範囲内の補助ぐらいにしか使われないものである。
だが、ここで考えて欲しい。
〈コモン〉マジックは誰でも使える。そう、火の使い手でも、水の使い手でも、土の使い手でも、風の使い手でも。
自身の得意属性を把握していれば、たとえライン、ドット“それ以下の者でさえ”使える魔法なのだ。
そして〈コモン〉マジックは、他の魔法は多少なりとも必要とされる詠唱がない。
属性に括られず、詠唱も必要としない。
この〈コモン〉マジックは様々な謎を抱えた魔法でありながら、そのことにほとんどの者が疑問を持たない魔法なのだ。
もちろんこれに疑問を持ち、さらに探求をした者は数少ないがいる。
それは少数派であり、異端扱いされる。
だが確かにいるのだ。
その者たちの論はこうである。
「〈コモン〉マジックは詠唱が無い。それゆえに発動の根源は想像力、または強い思いである。
そして四元素の魔法が確立されている現在、属性が無いということは、ある意味最も“虚無”に近き魔法であると考えられるのだ。」
この論は多くのメイジたちに嘲笑され、相手にされることはなかった。
それではまるで、虚無が現在も存在しているといっているのではないか、と。
531虚無と鬼(Bサイド)-01(3/6):2009/03/22(日) 21:08:00 ID:yXiIBSKz
さて、ここで話を少し戻そう。テファは少々……とはいかないほど“特殊なメイジ”である。
使える魔法はたったの一つ。それにしても原理を理解しているわけでもなく、そんな彼女が〈コモン〉マジックの少数派の論を知っているわけは無い。
だからこそ、手にした細い杖は気持ちを軽くするための遊びであり、紡いだ言葉は戯れ。
だが、溜まりきった不安はその想いを強くしていた。
「どこかにいる誰かさん……どうかわたしのところへ来てください」
目を瞑る。想像するのは様々な動物、その中で遠い昔に母に読んでもらった物語を思い出す。
『イーヴァルディの勇者』様々な悪い竜や悪の魔法いを倒していく“英雄”を。
(そんな人が来てくれたら、いいな……)
そう、彼女は“英雄の存在を望んだ”のだ。
「えいっ……なんちゃって」
杖を振る。
先ほども言ったように、〈コモン〉マジックの発動の根源は想像力、または強い思い。
だからこそ、
「――え」
閃光と共にそこに“道”が開かれた。
突如広がった光、それは網膜を焼くことは無く、だが視界を占領し白以外は写さない。
そして光が収まった時に。
「呼ばれて飛び出て、じゃじゃじゃーん」
妙なことを口走りながら立つ男がそこにいた。
「…………」
「…………」
寒々しい空気が流れる。
男は滑ったかと思ったのか、ボリボリと顎鬚を掻く。
「あー、あーなんだ? もしかして面白くなかったか?」
顔を向けられて、テファはぼんやりと目の前の人物を見た。
見たことも無い黒いボサボサの長髪、無精髭というには伸びた顎鬚、派手な服の上に赤いロングコートを羽織り、その手には身の丈を超す大鎌が握られている。
十人が見れば十人が不審者と答えるその容貌。
「んー? どうしたのかな可愛らしいエルフのお嬢さん?」
そう言って顔を近づけられたとき、ようやくテファの停止していた思考が回復した。
「っひ!?」
怯えて後ろに下がろうとして、そこで自分が椅子に座っていることを失念しており。
「――あ」
ぐらりと大きく体が傾く。
背後には何も無いが、床に叩きつけられるだろうと目を瞑るが。
「おいおい、そりゃあ驚きすぎだ」
フワリと背が支えられた。
目を開くとそこには先ほどの男が間近におり、その体を抱き止めるように支えている。
その手には大鎌はなく、すぐ脇に立てかけられている。
「――っ!?」
必死に体を捩り逃げようとすると、男は困った顔になった。
「そんなに怯えられちゃあ。こちらとしては傷つくぜ」
その言葉で、自分は助けられている立場だと気が付く。
失礼なことをしたとテファの顔にサッと赤みが差した。
「いやあ、やっぱり乙女の顔は恐怖よりも恥じらいの方がいいねぇ」
それを見た男はオヤジ臭い台詞と共にうんうんと頷く。
よく見れば、見た目が過剰に派手だったり髭や髪が伸ばし放題になっているから気づきにくいが。元の顔は整っており、美青年……には年を取りすぎだがカッコいいおじさんと言える。
「どうした? 俺の顔になにか面白い物でもくっ付いているか? 目と鼻と口と髭ぐらいしか思いつかねえが?」
そしてまじまじ顔を見入っていたことに気が付き、恥ずかしくなって顔を手で覆った。
「初々しいのはいいが」
覆った手を優しく掴まれ、外される。
一度意識したら元々男に免疫のないテファは混乱の極みに至り、混乱も度を過ぎると硬直状態へと移行し。ガチガチになったテファに囁くように男が顔を更に近づけ。
「お嬢さん、あなたが俺を――」
「テファおねえちゃんになにをするー!」
ぱこーん、とその横っ面をフライパンが殴打した。
「ぐおっ!?」
「きゃっ!?」
532虚無と鬼(Bサイド)-01(3/6):2009/03/22(日) 21:09:03 ID:yXiIBSKz
痛そうな音と共に男が視界から消え、傾いていた体も元に戻る。
そして視線の先に、先ほどの光で異変を感じたのだろう子供達が廊下に集まっていた。
「いてー」
横を向くと頬を押さえた男が起き上がっているところだった。
「いったいなんだ――」
子供達はそれを見ると。
「テファおねえちゃんを守れー!」
「「「わーーー!」」」
一斉に男へ向かって飛びかかる。
「いてぇ! なにしやがるお前ら! スネっ!? 地味にスネ蹴るな! お前今噛んだろ! いたたたたっ!」
揉みくちゃにされる男と、噛り付き蹴り続け引っ掻き髪を引っ張る子供達。
「っぷ」
そんな様子を見てテファは耐え切れなかった。
「あはは、あはははははっ」
さっきまではどこの野党かと思っていた男が、子供に翻弄される様子はどこか奇妙で、なぜか沸いてくる可笑しさにテファは笑いが止まらない。
「あはははははははは、ご、ごめんなさいっ。うふふ、うふふふふふ」
それを目の当たりにした男と子供達は、目を合わせ。
「なんだありゃ?」
「ぼくは知らないよ」
「どこに笑う要素が……って、いてぇ! まだやんのかよ!」
衣服をボロボロにされ首を傾げる男に、子供達がまた攻撃を再開する。
「うふふ、あはははは」
それを見てテファは久々に心の底から笑う。
そして男が子供達から解放されるのに十分ほど時間が必要だった。

なんとか立ち直ったテファに子供達を宥めさせ、追い出した後。
男とテファは向かい合って。
「おい、お前さんからお話があるとか言ってきたんだろ。せめて棚の影から出てきてくれ」
よれよれになったコートも直さず、男は椅子に座りながら棚の影へと話しかける。
「う、す、すいません」
そこからモジモジとテファが出てくる。
先ほどの大笑いか、それともその前の抱き止められたことか、元々の男への免疫の無さか。顔を真っ赤にしていた。
「そうオドオドしなさんな。別にとって食おうってわけじゃないんだ」
その言葉にビクリと震え、テファが上目使いで男を恐る恐ると窺う。
「まあ、可愛い兎ちゃんを前にして。俺が狼にならない保障は――」
「じー」
視線を感じて男は窓を見た。
そこにはこちらを睨む子供がいる。
「なに覗いてんだ坊主」
「テファおねえちゃんを守るためだ!」
その言葉に男はうんざりとした溜息を吐くと、シッシと手を振る。
「あー、行った行った。これからお姉ちゃんとおじさんは大事な話があるんだよ」
「髭面は信用できない!」
きっぱりと言う子供に、男は立ち上がり。
「てめぇら、お尻ペンペンと頭グリグリどっちがいいかぁ!」
がばーっと腕を振り上げた。
「わー! にげろー!」
それに窓の外にいた子供達は一斉に散っていく。
「ったく」
椅子に座りなおすと、こちらを見てクスクスとテファが笑っていた。
「お前さんもいつまでも立ってないで、座れ。ここはお前さんの家なんだ、遠慮なんかする必要ねえんだよ」
「は、はいっ」
慌ててテファは男向かいの椅子に座ると、男へ話しかける。
「子供に好かれやすいんですね」
照れながら先ほどのことを思い出したのか笑顔で言うテファに男は呆れた風に返す。
「おいおい、あれは遊ばれてるっていうんだよ」
それに、と男は呟き。
533虚無と鬼(Bサイド)-01(5/6):2009/03/22(日) 21:10:51 ID:yXiIBSKz
「俺は極悪人かもしれないぜ?」
「で、でも子供達が怖がらないってことは、少なくとも悪い人ではありません」
「……まるでヘルを相手しているようだ……」
どこか自身ありげに言うテファに男は決まり悪げに顔を逸らす。
また妙な空気になりそうなのを予感したのか男はガリガリと頭を掻くと、テファに向き直る。
「それで、一体なんだってんだ?」
その言葉でテファの顔に緊張が走る。
「あ、あ、あのっ!」
それを横目で見ていた男は。
「ご、ごめんなさいっ!!」
いきなり食卓に額を叩きつけるような謝罪に。
ゴン――
「あうっ」
いや、思いっきり食卓へ額をぶつけた謝罪に、驚き思わず目を見開いた。
「はあ?」
額をぶつけ恥ずかしさの余り額と顔を赤く染めたテファを前にして。
「ごめんなさい、本当にごめんなさい……」
「おいおいおい、いきなりなんなんだよ。こちとらさっぱりとわからねえんだが」
「え、ええっと……」
モジモジとしながらテファは語りだす。
自分が男を“召喚”したという事実を。
話を聞き終え、男からすれば驚愕の一言しかない。
「ってことはなんだ? お前さんが一人で、なんの準備も無く、俺を召喚したってのか?」
「ええ……はい……多分……そうなります……ごめんなさい……」
申し訳なさそうに謝るテファに、男は手を振る。
「いや、別そこはかまわないんだが」
そう言いながら男の思考は目まぐるしく回転していた。
(“サモン・サーヴァント”だぁ? いや、俺は死んでいるから“サモン・アンデット”か? というか、それにしても召喚対象の詳細や複雑な術式なんかもあるしなぁ。しかもよく考えると、俺って今生身なのか?)
ベタベタと体をまさぐってみる。
たしかに生前と変わらぬ肉の体である。
もしかしてと、胸元を開いて覗いてみたが。忌々しい痣はなく、綺麗な……とは言わないが普通の肌があるだけだ。
それに安堵しつつ、再び思考へ陥る。
(地獄行きの魂を呼び出して、同時に受肉させる……どう考えても召喚の一括りでは説明できないものだよな)
ある意味『ネイムレス(名も無き従者)』の“神の降臨(サモン・ゴッド)”と同等かそれ以上の高位の術である。
それを目の前の少女が、気軽にやってしまったことに呆れていいのか、驚けばいいのか判断が付かない。
「はぁ……」
思わず出た溜息を、彼女はどう取ったのかまた頭を下げる。
「本当にごめんなさい! あ、あなたにも住むべき故郷とか友人とか家族とかいるはずなのに……」
次第に目に涙を溜めていく彼女に、男は酷く気楽に返した。
「あー、なんか罪悪感ばりばりのところ悪いが、家族とか俺にはとうの昔にいねぇから。友達もいねぇし」
殺し合い、利用し合ったやつも友人に入るなら一人心当たりはあったが。
「そ、そうなんですか……ごめんなさい、そんなこと思い出させて……」
ずーんと今度は別の意味で沈む彼女。
男はそれに困ったようにバリバリと頭を掻き、強引に話を変える。
「ああもう、それは置いておけ。それで、ここは一体どこなんだ?」
そして何気なく聞いたことにまたもや頭を抱えることになった。
「あ、はい……アルビオンのウエストウッド村です……」
「アルビオン? 聞いたことねえな。アーク・メリア連邦を基準とすると、どこにあるんだ?」
「アーク……メリア、連邦? そこは知りませんが。ここは浮島ですから、今は……ガリア王国の領内を飛んでいると思いますが」
「……おい、ちょっと待て。アーク・メリア連邦がわからないだと? あれほど世界に知れ渡った国も無いと思うが」
そうして、改めて彼女から話を聞きだし、男はある結論に達するほか無かった。
「ここは……ゴルトロックじゃあないのか」
「は、はい」
驚きの連続にさすがの男も眩暈がしてくる。
(俺の人生はそりゃ波乱に満ちてたが、ここまでぶっ飛んだことは早々なかったぜ)
ふいに目の前の彼女を見た。
どこか頬を赤く染め、そわそわとこちらを覗き見ては顔を逸らすことを繰り返している。
己がその少女に召喚された。
534虚無と鬼(Bサイド)-01(5/6):2009/03/22(日) 21:11:49 ID:yXiIBSKz
たとえどんな信じがたいことであっても、事実は事実であり。曲げられることでもない。
そしてこれからの身の振り方を考えた。
――自由。
かつて圧倒的な神の愛で、雁字搦めに縛り付けられていた己に与えられた解放。
だが、完全な自由は男にとって戸惑うものでもある。
産声を上げた瞬間から絡め取られた人生。
男は常になにかしらの縛りと戦ってきたのだから。
ここで思い出す。
己はどうやって喚ばれたのかを。
“サモン・サーヴァント”
糸を切られた凧は考える。目の前にある可能性に。
己がどうしたいのかを。
さいわい、ここは自分のいた大神の作りし大地ではない。ゆえに、己を知る者はいない。
“英雄”であり“英雄殺し”であり“殺し屋”である男を知る者はいないのだ。
だが、と男は考える。
自分がここにいていいのか。血塗れ血まみれた自分が。
そしてその思考を読んだ様に。
「あ、あの!」
「ん?」
「こ、ここで暮らしませんか!」
苦笑した。
「おいおい、これは熱烈なプロポーズだな。いくつか工程を飛ばしてないかい?」
彼女は顔を真っ赤にする。
「え、ええっ!? ち、違いますっ。そ、その……」
彼女は戸惑いかけたが気を取り直すと、その芯の強さを持ってこちらを真剣に窺う。
「あ、あなたはわたしが呼んでしまったんです。だ、だからっ、い、嫌じゃなければ、ここにいても……っ」
「あー、いやまあ、そうなんだが――」
反論の言葉を浮かべようとして。
「……その、やっぱり……嫌なんですか?」
小動物のごとくこちらを窺う目に、涙が溜まっているのに閉口した。
「わかった、わかったよ。ここにいりゃいいんだろ」
不貞腐れたような言葉テファは顔を輝かせ。
「あー……なんでこう、俺にはめんどくさい女ばっかり絡みやがる」
無性に懐く女とか、猿みたいに身軽で攻撃的な女とか、嗜虐趣味全開の女とか。
前者はともかく、後者二つは完全に自業自得なのだが。
ぶつぶつとどこかへと愚痴を漏らす男へテファが話しかける。
「あ、あのっ」
「今度は何だ?」
パタパタと手を振ると、テファはまたもモジモジとして言った。
「その、名前……聞かせてもらえませんか?」
そう言われて、まだ名乗っていないことに気が付いた。
「ふぅむ……」
考える。
己を現す名前は三つある。
だが、どれが一番相応しいか。
元の名は己で殺した。一族の名はあの時殺された。
そもそもキールという青年は、すでにいないのだ。
それなら、名乗るべき名は一つだった。

「――レイス。ただのレイスだ」

もう、その名しか元英雄であった自分にはない。
「お嬢さんは?」
「あ、はいっ。ティファニア……です。テファと呼んでください」
「ああ、わかった。テファ」
「はい」
かつて悲しみの憎悪の元に死を運びし“末裔たる者(ミスティック・ワン)”。
滅んだはずの英雄“スカイウォーカー”。
英雄殺しの殺し屋“道化屍(クラウングール)”。
その男が、新たなる世界の大地を踏んだ。
535虚無と鬼:2009/03/22(日) 21:15:12 ID:yXiIBSKz
なんか、色々タイトルを間違ったりしました。すいませんでした……。
なぜクロノベルト未出演の彼を登場させたかというと、あれです。
レイスvs九鬼先生をやりたかっただけです。
かといって、彼をそんな端役にするのはもったいなく、こうなったしだいです。
2人の主人公・・・燃える。
そして執筆を考えると・・・燃え尽きそう・・・。
今後ともゴリゴリ書いていこうと思うので、よろしくおねがいします。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 21:21:22 ID:GgzEj7lV
ゴリゴリ期待乙

スカイウォーカー……ルーク?
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 21:26:56 ID:eOz1mtjI
レイス(Wraith)の死体って食べると経験値が上がるんだっけ
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 21:38:13 ID:PpvOV6NE
乙でした!
次も期待します!










地図のバージョン3が出来たのでこっそり貼っておきます。
ハルケギニアの面積・距離・位置に絞って整合性を取った地図。
説明とアルビオンを追加。
http://roofcity.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upload/src/up0101.jpg
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 21:43:41 ID:B2c+xrap
地図のこと知らなかったから地理的にいい加減なことを書いてしまった
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 21:54:36 ID:PpvOV6NE
す、すいませんm(_ _)m
そのあたりはなにとぞ気にしないでくださいますようお願いします。
SSなのですから厳密に原作記述に沿う必要も無いと思います。

それに原作でもいくつもの矛盾点などが発見されております。
プロですらそうなのですから、あまり気にしないほうが吉だと思います。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:06:18 ID:VomRfWr7
ゆでだからに比べれば、多少の設定変更など問題にはならない。
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:09:36 ID:Z/mDH5gE
生来目が見えぬとかに比べれば(ry
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:20:12 ID:oCJHU+hA
>>538
SUGEEEE

ガリアとゲルマニア面積72万平方キロって……。
ドイツ35.7万平方キロとポーランド32.3万平方キロ、チェコ7.9万平方キロを足し合わせたくらいの大国だな。
日本の二倍くらいね。

トリスティンが7.2万平方キロ。
北海道が8.3万平方キロで秋田が1.1万平方キロだから小さいな。
アイルランドが7万平方キロか。

国力差はほんと話にならないレベルで開いているんだろうな
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:23:44 ID:rs8hAM2J
>>542
「生まれたときから目の見えない人に、空の青さを伝えるときになんていえばいいんだ?こんな簡単なことさえ言葉にできない俺は芸人失格だよ。」
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:24:43 ID:GOiYZ9UC
タルブで勝ったぐらいでゲルマニアが見方を変える必要があるだろうか
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:26:33 ID:s/yDjy6W
>>544に江頭現る
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:50:16 ID:xN1kP4l0
>>545

まぁあの戦いは100%アルビオンの勝ちと思われてる所にトリステインが勝つなんて大盤狂わせが起こったわけで…
まともな国なら同盟組もうと思うんじゃね?
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:52:19 ID:t9RJ8vhP
>>544
名言だよなそれ
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:54:34 ID:6H2THWwA
>>547
これだけ国力差あんのにお戦争直前に輿入れ一つで同盟ってとこまでこぎつけた鳥の骨マジパネェッス
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:55:55 ID:283jL4UI
REDで赤色バージョンがあったなあ
ちなみに答えは赤ちゃんの色=命の色だった
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:55:57 ID:IWBLX3vx
事実上の属国化だけどな
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 22:58:55 ID:F4N72Y95
>>545
ゲルマニアは始祖の血統なんて実は要らないんじゃないかと言ってみる。
確かにあると箔がつくが聖地奪還なんて負ける確率が高く、
儲からないことに巻き込まれる可能性があるから
実利主義なゲルマニアとして、タルブの戦いでそれなりにトリステインが強いと解ったから
エロは諦めて共同戦線張りつつ、トリステインを矢面に立たせて
楽してズルして美味しいところをいただきかしらに方針を変えたのかもしれん。
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:06:35 ID:IWBLX3vx
トリステインがあんなに小さいのは聖地奪還戦争で軍隊がぼろ負けしたからなんて考察もあったな
クルデンホフ大公国も元はトリステイン内部の土地だったとか
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:18:02 ID:MrDjZMNF
広さだけでは国力は測れないだろ
イギリスがアフリカとかインドとかより弱いと思うか?
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:20:33 ID:6H2THWwA
上に乗ってる国や国民の教育程度が同じならアフリカのが強いだろうよ

っつか、トリスティンやアルビオンと比べてガリアやゲルマニアの制度や教育程度が極端に劣ってるわけないだろjk
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:20:38 ID:WSfJ6T9i
広さ=国力ならロシア最強だな
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:22:54 ID:PpvOV6NE
ウィキペディアにもアップロード・本文追加してきました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AD%E3%81%AE%E4%BD%BF%E3%81%84%E9%AD%94
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AD%E3%81%AE%E4%BD%BF%E3%81%84%E9%AD%94%E3%81%AE%E7%94%A8%E8%AA%9E%E4%B8%80%E8%A6%A7

>>20さん、おかげさまで大変いいものが出来ました。
ありがとうございますm(_ _)m
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:24:02 ID:rmxYRyxf
ゲルマニアはあくまで多数の都市国家や小国の寄せ集めなんだから単純に比較出来ないだろ。
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:26:07 ID:rs8hAM2J
>>550
どうせ他のREDだろうと思って村枝REDネタに繋げようと思ったら、村枝REDで噴いたw
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:26:28 ID:xN1kP4l0
トリステインは…そもそも王不在が長い上にリッシュモンみたいなのがいたから…普通にナメられるだろJK。と言ってみる。
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:26:49 ID:xinqEgAL
だからwikipediaをそういう…(ry
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:30:13 ID:6H2THWwA
基本的には広さ=国力で間違ってないだろ

>>558
動員できる兵力に差がありすぎてどうにもならんと思う
そもそも、アルビオン一国にすら圧倒されるんだぞ?
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:33:17 ID:xXhvOcGL
まあそろそろ避難所の設定スレにいったほうが……
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/22(日) 23:53:22 ID:Tfny5wom
あの文化レベルだったら国土の広さで国力が決まるだろう
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:00:23 ID:AG6uDGtN
兵士も指揮官兼大砲のメイジも人口の多いほうが多く産出するはずだしな
人口を多くするには食料が無いとな
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:05:09 ID:xA3YIU6z
平地はそうだろうが、山とか砂漠とかはどうなんだ?
火山は、火の秘薬がとれるので国力にプラスだろうけど。

鉱物資源とか国力にどれくらい影響を与えるかというと……
金は、錬金で作ったものは質が悪いそうだけど、卑金属もそうなんだろうか?
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:09:25 ID:eUWdl6Yi
だって王女からしてアレだからねぇ。
ハートマン軍曹だったら何と言うかな?
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:13:06 ID:GSrUv4L7
wikipediaで説明文に(笑)とかパネェッす
アンサイクロペディアじゃないっての
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:14:57 ID:36Bn+qSc
ガリアが東西に長すぎ。あの世界のレベルでは
まともに統治できまい。よく国家として成立してるなあ。
火竜山脈の先の方で反乱がおきても、そこまで軍隊を
移動させるだけで負担になる。とてもじゃないが治めきれない。

おまけに国境線も長大すぎる。
国境に貼り付ける兵力だけで相当な負担になるし、
国民は貧しいだろうなあ。
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:15:12 ID:2gnvXoNk
>>554
ブリ公や日本の場合島国ってのが地続きと比べるとかなりでかいんだけどね
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:17:53 ID:AG6uDGtN
しょうがないって適当に何日かかるとか距離入れちゃっった辻褄を合わせるとこういう地図になりましたって地図なんだから
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:18:54 ID:/vvOU8e9
とりあえずwikipediaに載せるのはどうかと思う
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:22:32 ID:diBhPm1J
>>569
封建制国家ってのはその辺があって中央集権にできないはず。
各領地に領主を置いて、基本的な統治や防衛の責任を負わせるのは
中央の指示を待たせてるとどうしようもなくなる以上他に選択肢がない。
反乱が起きた場合、その近くの領主に命じて討伐させることになるはず。
室町時代なんかはそうやって大名同士で戦わせてた。
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:23:07 ID:xA3YIU6z
旅でかかる日数は街の位置に依存するぞ。
朝一で町を出ないと、日暮れまでに次の町にたどり着けない場所なら、
昼前に街についたら、そのままその街で宿をとるし。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:23:47 ID:EnKG2wB+
素人考えかもしれないけどさ…
作中の「馬車で○○日」とかいう表現を直線距離で考えるから、あんなに横に長くなるんじゃないの?
実際は山とか森とかで大きく迂回しなきゃならん場所も少なくないだろうに。
57620:2009/03/23(月) 00:25:30 ID:Kq8p8wVG
詳しい地図乙、なんだが…
文体は本文と統一させるべき。特に、(笑)はいらない。
あと、あの日本地図はgooglemapからのコピペなので、wikipediaに貼るのはGNUのライセンス的によろしくないかもしれない。まあ、自分でうpしといて矛盾してるが。
画像を貼るなら、設定・考察wikiの方が良いかと思う。wikipediaには「独自研究は載せない」方針があるので。

ガリアは確かに面積は広いけど、山脈やら砂漠やらで、実際に有効利用できる土地は少ないような。
それでもトリステインよりは圧倒的に広いけれど。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:26:05 ID:cFwU20aC
俺もwikiに載せるのはどうかと思った

>>569
リアル中世とは移動速度の差である程度政治形態にも差が出るように思える
まあ、封建制ならなんとかなるでしょ
しかし国境線広いのはきついだろうね

>>570
海は道路引く必要ないからなあ

>>574
道の有無や出来不出来にも左右されるな
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:27:54 ID:cFwU20aC
>>576
地図どおり細長くて山がちだと治水大変そうだな
治水できてれば平野部は豊かそうだけど
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:29:12 ID:NKFo9m2w
>>568
すいません、直してきました。

>>569 そこまで軍隊を移動させるだけで負担になる。
計算してみると馬が時速20キロ程度、馬車でも時速15キロくらいは出せるみたいです(汗
軍隊もものすごい強行軍が可能な進軍能力を持っています。
ローマ以上に魔法土木工事で街道が整備されているのではと推測しました。

あと、この世界フネの戦列艦や砲亀兵や風竜伝令などがあります。

>>571
えっと、一応ストーリー上破綻はしない数値である事が計算上は求められています。
ですので多分、そんなに破綻はしない・・・ハズです。
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:37:26 ID:Ip4x4Z+m
>>579
おいおい、(笑)だけ消せば良いと思ってたのか?
お前さあ、何が拙かったのか全然わかってないだろ?

件の地図と説明文は誰かがちゃんと全部消してくれたみたいだけど。
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:37:37 ID:36Bn+qSc
>>579
中世の西欧よりは、ハルキゲニア世界は機動力に優れてる
みたいだから、たとえばガリアの端っこで反乱が起きたら、
機動部隊が速攻で行って、シメる。で、屠城、みたいなやり方なら
統治可能かもね。モンゴルがそうであったように、長続きしなさそう
だが。
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:43:38 ID:Ip4x4Z+m
つーかさ、地図の話題は設定考察スレ向きの話題だろ。

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1237571843/
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:43:45 ID:l/ET3Vis
街道がずっと直線ってことは無いと思うんだがw
ヨーロッパみたいな地形なら山とかけっこう多いんじゃ?
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:44:29 ID:36Bn+qSc
それにしても結構面白い地図だね。
俺の持ってたイメージとかなり違う。

現代の西欧に当てはめると、ガリアは
大体フランス、スイス、オーストリアくらい、ゲルマニアがドイツ、
東方の砂漠はポーランド、チェコあたりから、みたいな
感覚でとらえてた。
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:47:28 ID:0RjGOCLZ
今、wikiにある地図って公式の地図?
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:47:44 ID:NKFo9m2w
>>576
なるほど。了解です。

となると、丸写しした現行の地図もまずいということか。
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:52:27 ID:sUbCT8/T
半年ほど・・・ね?
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:54:53 ID:cFwU20aC
>>579
旧軍の騎兵隊の普通行軍速度は1時間7.5km程度だったそうな
8時間行軍で行軍速度は一日60キロ程度かと
日本場の場合、伝令で20キロも時速20キロで走れば死んでしまったなんて記録もあるよ
歩兵混成軍なら当然歩兵に合わせるので計算は歩兵でするほうが無難ですね

ただし、この世界ではメイジが馬鹿火力を持ってるので、
少数のメイジの飛行部隊など足の速い部隊で足止め、少数なら討ち果たすと言う戦術は一般的なものだと思う
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 00:58:48 ID:xA3YIU6z
>>588
平民の反乱ならそれでいいだろうが、メイジが行動を起こした場合はどうなるんだ?
ハルケギニアのメイジは、防御より攻撃に重点を置いているようだから、
少数のメイジで足止めというのは難しそうに感じるんだが。
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 01:06:47 ID:cFwU20aC
>>589
土メイジで野戦築城やって粘ってればある程度以上の数のメイジ部隊なら持つかと
普通なら困難な地形でもフライ+錬金で篭れちゃいますし
たとえば、がけの上や険しい山の中でも作れるわけで、平民部隊はそこまで気にせずにいけそうですし

国がそこそこの規模の部隊でも作ってれば、よほどの大貴族でもない限りメイジの数の差でなんとかなりそうな気が
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 01:08:26 ID:xA3YIU6z
>>590
緊急派遣部隊のメイジは、普通に考えて風だろう。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 01:11:00 ID:mP5ggr8q
>>591
派遣頻度が高そうだな風メイジ
ワルドも忙しかったみたいだし
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 01:13:38 ID:cFwU20aC
>>591
グリフォンや竜なんかは普通に訓練で乗ってるんじゃないの?
っつか、対軍の緊急派遣軍に土いないってのはありえないよ
最悪でも二人乗りで連れて行くと思う
ゴーレムや錬金なんかの重要魔術を得意とする連中いないんじゃ
ちょっと話になんないし、敵のゴーレムに対抗するのがとてつもなく難しくなる

俺が言うのもなんだけどこれ以上はほんと設定板に移動したほうがいいかと
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 02:30:22 ID:2gnvXoNk
予定が無ければ03:00頃投下良いでしょうか?
作品は「闘神都市U」から「シード君」を召喚です
初投下ですが宜しくお願いします
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 02:35:09 ID:RnY81vcW
>>592
クソッ!僕が派遣メイジにまで落ちぶれるとは……ッ!!
だが…このままでは終らん!!必ずや正社員メイジになってみせる!!

こうですか?わかりません!
596虚無の闘神:2009/03/23(月) 02:59:03 ID:2gnvXoNk
ではそろそろ投下開始します
597虚無の闘神-プロローグ:2009/03/23(月) 03:00:00 ID:2gnvXoNk
「***よ・・・。」
男の前に存在する巨大な体躯を持つソレは静かに告げる
「騙されていた事は、分かるが・・それでも罪は、重い・・・いや重すぎる。」
威厳に満ちた声でソレは男に審判を下す
「よって…永久牢の刑とする。堕ちるがいい、永久の地獄へ・・!」
ソレが男の足元を指差すと男の足元にぽっかりと穴が穿たれ…男は静かにその穴に吸い込まれるように落ちていった…

最初の100年は数々の拷問が続いた…男は何時までも苦しみ続けられるように年を取らず死ぬ事の出来無い体にされた
次の100年は何も無かった…永遠と思われる一条の光も射さない闇世界で男は牢獄に繋がれ続けた
時折襲い掛かる拒絶反応が男を苦しめるが常人なら死んでいるであろう苦痛をしても男は死ぬ事を許されなかった
1000年が建つ頃には拒絶反応の苦痛も拷問による肉体の破壊にも声一つあげる事は無くなった
目を穿たれ頭蓋を割られ腕を引きちぎられ内腑を引きずり出され斬り付けられ刺され叩き潰され窒息させられ
ありとあらゆる死に至る行為を受けても死なない死ね無い男は深い闇の底で責め苦を受け続けた
しかし刑は終わらない
男に下された刑は"永久牢の刑"である
言葉通り永久であるならば「まだたった1000年しか」刑は完了していない
男の罪は其れほどまでに重かった…染まりきってしまった魂を洗浄するにはまだ全く足りていないのだ

だが数千の年を経て、
その世界の誰もが予想しえない事が起きた…


永久牢の刑を受けた男がその姿を消したのだ


どの位の時が流れたか…男はそこに堕とされそこで数千の時を過ごした
一条の光も射さぬ深い闇の底でありとあらゆる責め苦を受け続けた男の精神は完全に擦り切れてしまっていた
数千の年の中で何も変わらずただただ深い闇の中何の変化も無かったその空間に今までに無い出来事が起きていた

其れは白く輝く何か

両の目は数年前に再び潰され今だ視覚を失った状態ではあったがはっきりとその光を感じられた
喉も潰されており声を出す事すら叶わぬがまだ残っている左手を伸ばし懸命に光へ手を伸ばし…


ついに男は光をその手に掴んだ
598虚無の闘神ープロローグ:2009/03/23(月) 03:01:19 ID:2gnvXoNk
男がいた世界とはまた違う世界――
そこ…トリステイン魔法学院では二年に進級する際に行なわれる春の使い魔召喚の儀式が執り行われていた
授業は最後の一人を残すのみ
桃色がかったブロンドの髪の少女は静かに召喚の呪文を詠唱する
「――五つの力をつかさどるペンタゴン。我が運命に従いし使い魔を、この地へと召喚せよ」
瞬間あたりは光に包まれる

成功…其れも一発目での成功だった
彼女はコレまで幾度と無く様々な魔法を試みた
しかし結果は全て失敗…なぜか彼女は魔法の行使を試みると唯一つの例外無く爆発が起き失敗と言う結果だけが続いていた
成功させようと人一倍努力もした、勉学にも励んだ…その積み重ねた努力の量は学院内で恐らく叶うものはほぼ居ないであろう
それだけの努力をしてきた、しかし足りない、どれだけの努力を積み重ねようとどれだけの知識を得ようと彼女の魔法行使は…
爆発と言う結果だけを残し続けていた
しかし其れもつい先ほどまでの話、系統魔法…ではないがサモン・サーヴァントの魔法に成功したのだ
彼女の胸中は今にも飛び上りたいほどの喜びに満ちていた…しかし、光が収まりそこに呼び出されたモノの姿を確認した瞬間

彼女の思考は停止した

そこに現れたモノは人間だったのだ

教師を務めていたコルベールはソレを確認すると同時に杖を構えてしまっていた
ソレは不気味なほど静かで身動き一つしていないにも拘らず、恐ろしい力を持っていると判断させられた
もし万が一ソレと戦闘になった場合100%勝機は無い、
出来るとしても精々ホンの数秒足止めを出来るかどうかという判断をコルベールは自身に下していた

男は自身に起きた状況を確認していた
あの時あの深い闇の底で突然現れた光を掴み…気が付けばここに居た
そして時をかければ直るとは言え抉り出された眼球も、引きずり出された内腑も、引き千切られていた手足も元に戻っていた
明るい春の日差し…実に数千年ぶりに太陽の光を浴び世界はこんなに明るかったのだと言う事を思い出した
恐らく…いや間違いなくここに自分を知る者は居ないし自分が知る者も居ないだろう
だが男の脳裏に様々な記憶と思い出が蘇って来る
そしてふと周囲を確認してみるとこちらに向けて戦意を見せる男、真正面に少女と周りには数十の少年少女と様々な生物
そして一つの答えに辿り着く…ここは違う世界だと

「ミス・ヴァリエール」
コルベールは思考停止してしまった少女…ヴァリエールに声を掛ける
未だ油断は出来ないがソレは彼女が召喚したものだ、そして今行なっているのは神聖な儀式
相手の姿形がどうであれその神聖な儀式を中断する訳には行かないと教師である部分が次の儀式を
『コントラクト・サーヴァント』の儀式を行なうよう促す
「あの、ミスタ・コルベール…もう一度召喚をやり直させてください」
彼女の願いは最もだった、だが…
「ソレは出来ない。この儀式は神聖なもので伝統なんだミス・ヴァリエール…気持ちは判りますが例外は認められない」
そう言いつつもコルベールは不安を拭えなかった
『コントラクト・サーヴァント』を行なう際彼女は誰よりもあの召喚されたものに接近するのだから
「…わかり、ました」
しぶしぶながら彼女は呼び出されたソレに歩み寄る…ソレは先ほどと変わらずびくりとも動いていない
そしてソレの前に辿り着いた彼女は『コントラクト・サーヴァント』の呪文を詠唱する
「――我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール五つの力を司るペンタゴン
この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」
ルイズの唇がソレの唇に重ねられる
599虚無と闘神ープロローグ:2009/03/23(月) 03:02:40 ID:2gnvXoNk
長い時の中で色んなものが麻痺あるいは壊れてしまったその男は数千年ぶりに動揺していた
何かの詠唱を目の前の少女がしていたが特に危険も感じられなかったので放って置いたら唇を重ねられた
一体何事なのかと
数千年ぶりに深い闇の底から突然…男にとってはありがたかった事ではあるが太陽の下全く違う世界に呼び出され
挙句の果てに突然少女にキスされたりと何が起こったか良くわからなかった
「…ところで、あんた名前は?」
心の中で喜んでいる所に目の前の少女から声がかけられた
「俺は…シード、シード・カシマ…」
「そう…じゃあシード、今日からあんた私の使い魔ね」
「……はい?」

目の前の少女の言う意味を理解しようとシードが考えてる所不意に左手に痛みが走った
「…ぐっ…何、だ…コレ」
「使い魔のルーンが刻まれてるだけよ、直ぐ終わるわ」
確かにそのルーンが刻まれる痛みは大したものではなかった…が
「ぐ…ぐあああああがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ほぼ同時に久しく忘れていた天使喰いの拒絶反応が始まった
(何だコレは…今までの拒絶反応何か比べ物にならないぞ…)
シードは蹲り痛みを堪えようとするがその苦痛は今までに地獄で受けたどんなものより強力だった
コレまでに喰らった天使の力が体中を暴れ周り新しく入って来た力と激しくぶつかり合う
元々が人の身には過ぎた天使の力が拒絶反応を起こすこの痛みとルーンが刻まれた事によって入ってきた新しい力とが反発し
ぶつかり合って今までの拒絶反応の数十倍とも言える苦痛がシードを襲った

「ちょ…ちょっと…?」
刻印が刻まれる際多少の痛みが使い魔に生じるのは事前に知識として知ってはいた
だがシードの苦しみ方は大げさだとかそういうレベルでは無いのだ
全身から脂汗を噴出し顔色も相当悪い、そして意識を失い倒れた
「ミ、ミスタ!ミスタ・コルベール!」
ルイズが慌てて教師のコルベールを呼ぶ
おかしいと思って様子を伺っていたコルベールは慌てて駆けつける
どの道ルイズで最後だったということもありコルベールは生徒達に授業終了を告げ、解散するよう指示を出した
レビテーションをシードに掛け急ぎで医務室へ向う

この時は誰も知らなかった
このぼろぼろになった男が、かつて元いた世界において、とある大会で頂点を極めた『闘神』と呼ばれる存在であった事を
そして天使を喰らいその力を自身の物とする事が出来る天使喰いと呼ばれる存在であると言う事を
600虚無の闘神:2009/03/23(月) 03:06:04 ID:2gnvXoNk
以上です
このシード君は働ける悪事をパーフェクトにこなしてラスボスと戦う事無く地獄に落とされた、という形で進めていく予定です
下からがチートじみた強さがあるので(特に終盤だと)ガンダと天使喰いが反発すると言う設定を無理矢理こじつけて無双をある程度出来なくした形でお送りしています

それでは
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 03:17:05 ID:5fB3FH2Y
乙ー

まぁなんだ。がんばれ
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 03:40:41 ID:GWsJGQE7
3は物足りなかったんだぜ
がんばれ支援
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 09:52:31 ID:Qd2Zd0DH
てすてす
604ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 09:54:01 ID:Qd2Zd0DH
わーい

規制解除されとる

話も遅いわ筆も遅いわで呆れられているのではと心配な中の人です

お久しぶりのお約束


誰もいない……?

投下するなら今の内……

10:00ぐらいから……
605ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 09:55:07 ID:Qd2Zd0DH
それにしてもこんなローカルケーブルテレビプロバイダーにも

あほなことする人いるんだなぁと変に感心してしまったですよ
606ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 09:56:33 ID:Qd2Zd0DH
でもwikiは相変わらず駄目か……
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 09:59:42 ID:2CFgPlBZ
ひぇっひぇっひぇっ…
支援がご入用かね…?
608ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 10:00:45 ID:Qd2Zd0DH
>>607
お頼み申す
609ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 10:01:51 ID:Qd2Zd0DH
ゼロの氷竜 十七話

シエスタとギーシュの決闘が行われた翌日、ブラムドは深刻な苦境に立たされていた。
「やっぱりブラムドには白が一番似合うと思うわ!!」
トリステイン王国の王都、トリスタニアの一角。
「馬鹿ねぇルイズ。そこであえて黒を身に付けて、落差で肌の美しさを強調するのよ!!」
一番の大通りとされるブルドンネ街、王城に近い貴族向けの仕立て屋で。
「いえ、ツェルプストー様。あの肌の白さならば、淡い色合いで十分に引き立ちますわ」
傍らの仕立て職人にも、ブラムド当人にも、三人の少女たちは口を挟ませない。
服を仕立てる本人に発言権が与えられなかった理由は、ブラムドが仕立て職人にいった一
言が原因だった。
「こういった派手な服ではなく、地味な服を仕立ててもらおう」
人間の姿となったブラムドがまとう服は、元々オスマンの秘書であるロングビルのものだ。
秘書という職業の性質上、その服装は派手なものではない。
貴族としての相応しさを持つ学院の制服に比べ、地味であることは明らかだろう。
とはいえ狩りをする竜と人間とでは、派手さ、つまり目立つか否かの感覚は大きく異なる。
まして、ブラムドはルイズの守護者たる役割を自らに課している。
必然的に戦うことの有利さを考え、景色にまぎれやすい色彩を考えてしまう。
ブラムドの考えはルイズたちに却下されるが、それは確かに間違った考えでもあった。
人間が人間の集団に溶け込み、まぎれる為には個性というものを消す必要がある。
ブラムドの考える通りの色彩を再現したならば、土や石に近い淡色のものか、もしくは景
色に溶け込みやすい色を使ったまだら模様になっていただろう。
トリステインにおいて、そのような服をまとう人間は他にはいない。
そういった形で目立つよりは、美女が美女として目立つ方がまだしもましといえるだろう。
感覚の落差を端的にあらわしたブラムドの言葉は、人間として、貴族として育てられたル
イズとキュルケには衝撃だった。
当然、貴族にかしずくための教育を受けたシエスタにとっても。
ただ一人、服装に頓着しないタバサは無表情なままであったが。
それからブラムドは意見することも禁じられ、三人の着せ替え人形のように扱われている。
普段と比べ、明らかにうんざりとした表情を浮かべるブラムドと対照的に、三人の少女た
ちはひどく楽しそうだった。
「これなんかいいと思うんだけど?」
とキュルケが持つ服は淡い色合いと対照的な原色で、胸元に深い切れ込みが入っている。
「誰もがあんたみたいな露出狂だと思わないことね」
そういいながらルイズが抱えるのは、白いブラウスと黒いベストだ。
「それじゃ地味すぎない? 下をスカートにしないと男装にしか見えないわよ?」
ルイズは無論、それを意図してはいない。
しかしその単語を聞き、数拍の間があったのち、三人の少女は顔を見合わせた。
互いに目配せをし、その視線をブラムドへと投げかける。
突然口をつぐんだ少女たちに、ブラムドは不思議そうな視線を投げかけた。
だが少女たちはブラムドの視線には応えず、額をつき合わせるように相談を始める。
「……髪は……?」
「……そのままでもいいと思うけど……」
「……後ろで縛るのも良いかと思います……」
目の前で不穏当な会話が繰り広げられる中、ブラムドは柔らかく微笑んでいる。
かつてルイズの顔を覆っていた影が、ほとんど抜け落ちていたからだ。
魔法を使えない事が変わらない以上、不安の全てが解消されたわけではない。
ただ、ブラムドを召喚した事が、そしてそのブラムドが魔法を使えると保証したことが、
ルイズの不安を緩和している。
召喚の儀式から、つまり一人と一体は出会ってまだ二日しか経っていない。
にも関わらず、ブラムドの強さが、ブラムドの知識が、何よりブラムドの優しさが、ルイ
ズの心から重石を取り去っていた。
とはいえ、ルイズの笑顔の理由は他にも存在する。
親愛の情を持ってはいても、ブラムドは使い魔でありながらルイズにとっては上位者だ。
心とは裏腹に、立場の違いがルイズとシエスタの関わり方に一線を画してしまう。
ルイズには対等の友人がいなかった。
だがそれも、キュルケとタバサという友人が出来た今では、過去のことにすぎない。
自身がそうとは意識せず、ルイズは友人たちとの語らいを謳歌している。
ブラムドはそれを喜んでいたが、性の別なく着せられる服の量にいささか辟易もしていた。
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 10:01:55 ID:Cwj56Nja
WBC見ながら支援だッ!!
611ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 10:02:41 ID:Qd2Zd0DH
「この先、僕が愛するのは君だけだ」
仕立て屋からそれほど離れていないカフェの一角で、キュルケの言葉を聞いた他の少女た
ちがわずかに頬を赤らめる。
少女ではない女性、しかもその正体は人間ですらないブラムドには、色恋という感覚が存
在しないため反応はない。
無論、キュルケはその中の誰かへいっているわけではない。
昨晩モンモランシーから繰り返し聞かされた、感謝と報告の一部を抜粋しただけだ。
「ひねりはないけどいい台詞じゃないの?」
頬の熱さを感じながら言葉を返すルイズに、キュルケが首を振りながら応える。
「他人ののろけ話なんか聞きたくもないわよ。しかもあんなに遅くまで……」
キュルケはそういいながら口元をおさえ、あくびをかみ殺す。
「いつも物事をはっきりとおっしゃる、ミス・ツェルプストーとも思えませんわね」
毒づくルイズの心中は、割合複雑に絡み合っていた。
これまでさんざんやり込まれていたことに対する復讐心も多少ある。
隣室から寝しなに聞こえ続けた声を止められなかったのか、という非難も多少は含む。
そして、疲れている様子のキュルケを慮る気持ちがある。
素直さが足りないという点について、ルイズにはいささかの進歩も見られなかった。
とはいえ、キュルケは洞察力に優れている。
ルイズが、自分に気を使っていると言うことを読み取れるほどには。
ほとんど表情や態度に変化のないタバサと、一年以上も友人付き合いをしているのだから
当然ではあるが。
ただし、素直さが足りないという点についてはキュルケも同じ。
故に、ルイズが気を使ったことに対し、素直に礼を言うはずもない。
「何がおっしゃりたいのかしら、ミス・ヴァリエール?」
「どこかの誰かへは、言いにくいこともはっきりとおっしゃいますのに、ミス・モンモラ
ンシには気を使われるのかと思いまして」
回りくどく嫌みを口にするルイズの言葉に、キュルケは誘導するための答えを返す。
「お友達だからこそ、隠しておきたいこともありますわ」
「そうでしょうか? お友達であれば、隠し事などするべきではないかと思います」
自分の言葉を否定しようとするルイズの性格を、キュルケはよく理解している。
長い間彼女のやる気を維持するために挑発してきたことは、伊達ではない。
ルイズの返答は、キュルケの導く通りだった。
「隠し事はよろしくありませんか? ミス・ヴァリエール」
「ええ、もちろんです! ミス・ツェルプストー」
キュルケが浮かべたわずかな不機嫌さが演技だと、ルイズは気付かない。
「ならばミス・ヴァリエールはお友達に隠し事をなさらないのですか!?」
売り言葉に、買い言葉。
「ええ、当然ですわ! ミス・ツェルプストー」
罠にはめられたことに、ルイズは気付かない。
ただキュルケの表情が一転して楽しげになったことで、途端に不安が生まれる。
その不安を、キュルケは微笑みながら助長していく。
「時にミス・ヴァリエール、夜や朝、隣室の音や声が聞こえることはございませんか?」
唐突な話題の転換だったが、ルイズは引くことを知らない。
「時折、そういったこともございますわね……」
そういった瞬間、ルイズはキュルケの言葉に不穏な単語が混じっていたことに気付く。
……夜や……朝?
ルイズが疑問を覚えても、最早罠から抜け出す手だてはない。
「昨日の朝、私は声を聞きました。どなたの声かはわかりませんでしたが、ひょっとした
らミス・ヴァリエールはご存じではありませんか?」
まるで底なし沼にでもはまったかのように、ルイズは身動きがとれない。
「その声はこういっておりました。内緒、とか、シエスタにも、とか」
昨日の朝の出来事を思い出し、ルイズはみるみるうちに顔色を青く変えていく。
キュルケはシエスタの視線がルイズへ向かうのを横目に、心中で短くつぶやいた。
……チェックメイト。
無言で向けられるシエスタの視線が、ルイズには恐ろしいほどの重圧に感じられていた。
「私たちもお友達でしょう? もしご存じなら、どうか隠し事などなさらないで?」
キュルケの言葉は冗談交じりではあったが、今現在ルイズはそれを否定するほど彼女を嫌
ってはいない。
さらにはタバサもルイズへ無言の視線を送っている。
友人へ隠し事をしないという自らの言葉が、ルイズから選択肢を奪い去っていた。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 10:02:43 ID:aZVaYIb2
氷竜の人きたー
支援
613ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 10:03:46 ID:Qd2Zd0DH
時は前日の夜に戻る。
トリステイン魔法学院の門扉を支える支柱に背中を預け、一人の女が自らの体を抱き寄せ
ながらうずくまっていた。
二つの月が、緑色の髪を照らす。
学院長オスマンの秘書、ロングビル。
そのもう一つの顔は、貴族を専門に狙う盗賊フーケ。
魔法学院の宝物庫を狙うフーケは、見張りや逃走経路の下調べに時間をかけていた。
肝心の宝物庫を破る方法がわかりさえすれば、あとはいつ仕事を済ませるか決めるだけ。
しかしそんな時期に、得体の知れない人間が姿を現す。
トリステイン王家とも深くつながる大貴族の家に生まれながら、一切魔法が使えない娘。
悪い意味で名が売れていた彼女が、事故で呼び出した使い魔。
東方の魔法を操るという、得体の知れない一人の女。
ブラムドと名乗るその女は、大した時間もかけずに秘書ロングビルの裏の顔を見抜く。
間諜であるという虚言は即座に見破られ、盗賊は不本意な約束を強いられた。
学院の生徒を傷つけないこと、合言葉を聞いた時には即座に秘書としての仕事に戻ること。
その合言葉は、その日のうちに聞く羽目になった。
決闘を覗き見るため、本塔の上層階へ向かう生徒たちの話を小耳に挟んだ。
貴族と平民が決闘をすれば、結果は火を見るよりも明らかとなる。
平民に勝ち目など存在しない。
だが、立会人として名乗りを上げたブラムドが力を使うのならば。
その力の一端だけでも、見ておいて損はない。
用心はしたはずだった。
窓から顔を出すこともしていなかった。
にもかかわらず、どこからともなく合言葉だけを聞かされる。
「二本足の鼠」
戦慄を覚えて窓から顔を出しても、魔法を使わなければ表情すらわからない。
どうやって自分の存在を確認したのか、ロングビルには全く理解できなかった。
未知への恐怖に襲われ、無人の学院長室へと走る。
手を出すべきではない。
仕事を取りやめ、今すぐ学院を出て行くべきなのかもしれない。
そんなことを考えながら、踏ん切りもつかなかったその日の夜、寮塔を出たブラムドとそ
の主を見かける。
気配を消したまま、正門へと向かう足音だけを確かめた。
二人の足音がとぎれて正門の向こうへと移ったあと、フライを使って正門の横まで飛ぶ。
姿を見ぬまま足音へ耳を澄ませた瞬間、耳元でささやくような声を聞いた。
「二本足の鼠」
あまりの衝撃に、悲鳴を上げかける。
集中を乱され、フライの魔法が解けてしまう。
背後には正門の支柱、正面にも左右にも人の姿はない。
だが聞いた声は確かにブラムドのものだった。
ロングビルは、自分の視界が揺れていることに気付く。
そして揺れているのが自身の体であることに、全身が震えていることを知る。
背中を支柱に預け、力が入らない両腕を体に巻き付けた。
最早ブラムドのことを知ろうとする意思は、ロングビルの心から消え失せていた。
主と使い魔が目的地に着いた頃、学院の秘書は緩慢に立ち上がる。
何気なく見上げた空を竜が飛び去る姿を見ながら、彼女は首を振って自室へと足を向けた。
ブラムドを排除することも、味方に引き入れることも、可能とは思えない。
であるなら、可能な限り仕事を急がなければならないだろう。
植えつけられた恐怖が、ロングビルの心を急かす。
急く心の中で、しかし、という声が聞こえた。
それは盗賊フーケの声。
フーケが、仕事を急げばろくなことにはならない、と心中でつぶやいている。
かつて急ぎ仕事でしくじった折、彼女は命を落としかけていた。
ロングビルの命の上に妹の命が乗り、さらにその上に幾人もの孤児の命が乗せられている。
その重さが、急く心を落ち着けた。
ところが妹への深い愛情がある一方で、真っ赤に焼かれた鉄のような復讐心が存在する。
いつか復讐を成就できるのか、成したとしてそれが自分と妹に何をもたらすのか?
ロングビルはふとした思いつきを、心中でフーケに問いかける。
だが盗賊は沈黙したまま答えることはない。
ロングビルもまた、答えがないことはわかっていた。
614ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 10:04:46 ID:Qd2Zd0DH
月明かりを奪う木々のヴェールが途切れ、その先には緑の絨毯が広がっていた。
歩みを進めるルイズは自身があけた絨毯の穴に気付き、不意になぜか懐かしさを覚える。
ほんの二日前の出来事が、まるではるか昔の出来事のように思えたからだ。
「ルイズ、どうかしたのか?」
頭に乗せられたブラムドの手を取り、ルイズは振り向いて首を横に振る。
何でもないと仕草に表しながら、彼女は少し考え込む。
たった二日で目の前の竜が、自分にとってどれだけ重要な存在になっているのかを。
同時に、ルイズは緩みかけていた心を引き締める。
今自分は目の前の偉大な竜の主とは釣り合わない。
この上ブラムドに依存するようになっては、貴族と名乗ることも出来なくなるだろう。
かつて父から聞かされた言葉が脳裏をよぎる。
「自らの足で立つこともできない人間が、どうして貴族を名乗れるものか」
貴族として相応しい能力を、ブラムドの主として相応しいだけの能力を、追い求めなけれ
ばならない。
そうでなければブラムドに対し、礼を失することにもなるだろう。
誇りとともに、新たな決意を心に刻み込む。
そうしてブラムドを見やれば、その目線はルイズを向いていない。
ルイズは追随するように振り仰ぎ、木々の上に何かを見つけてつぶやいた。
「……風竜?」
「うむ。タバサとキュルケもおる」
ブラムドの言葉に目をこらせば、確かに風竜の背には人影がある。
まだその顔まで判別できないが、空色の髪の毛と燃えるような赤毛は見て取れた。
「どうする? ルイズ」
うなりながらしゃがみ込んで頭を抱えるルイズに、ブラムドが問いかける。
「……どうする?」
「見せるか、追い払うか、黙らせるか、どうする?」
選択肢を与えられることで、ルイズはようやくブラムドの言っている意味を理解した。
とはいえ最善の選択がいずれであるのか、友人がいなかったルイズにはわからない。
「どうすればいいと思う?」
立ち上がりながら、それでもまだ眉間のしわを晴らせぬまま、ルイズがブラムドに問う。
「決めるのはルイズ、お前だ。信頼に値するならば我の魔法を見せる。あまり信頼がおけ
ぬなら追い払う。信頼に値せぬと言うならば、黙らせる」
挑発という形ではあっても、長い間励まし続けてくれていたキュルケは信頼に値する。
ただ、それを口に出せないルイズでもあった。
「……黙らせるって?」
提案をしてはいたが、ブラムドはルイズがそれを選択するとは思っていない。
また、生徒を傷つけないというオスマンとの約定もある。
だがルイズの本心を引き出すため、あえてブラムドは過激な提案を口にした。
「方法は二つある。他言できぬように魔法で縛るか、二人を殺すかだ」
「こっ……!?」
ルイズは想像もしていなかった言葉に息を飲む。
その主は使い魔が人を殺めることを望まないことも、オスマンとの約定も知らない。
わかることは、いずれの方法も目の前の竜にとってはたやすいであろうということだけ。
それがわかっていながら、ルイズはブラムドがそのいずれも望んでいないように思えた。
使い魔の主はわずかに沈思し、その理由に思い至る。
ギーシュに対してあれだけの寛大さを見せたブラムドが、自分の魔法を見られた程度で人
を殺すのだろうかと。
その瞬間、ルイズは自分がブラムドに試されているのだと理解した。
時を同じくして、キュルケとタバサを乗せた風竜がルイズたちの前に降りる。
「……あらルイズ、偶然ね。あなたたちもお散歩?」
キュルケの悪びれもしないあからさまな嘘に、ルイズは思わずため息をつきそうになる。
しかし次の瞬間、その口から出たのはため息ではなかった。
「……今夜、この場で見たことは他言無用よ?」
その言葉にキュルケは気楽に首肯しかけながら、殊の外真剣なその瞳を見て姿勢を正す。
「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーの名にかけ
て、他言はしないと誓うわ」
キュルケの瞳は、ルイズの瞳と正面から向かい合わされていた。
友の真摯な誓いに少し驚きながら、タバサもルイズの真剣さに応える。
二人の言葉に頷き、ルイズはブラムドを見上げる。
使い魔はどこか満足げに微笑み、主の頭を優しくなぜた。
615ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 10:05:52 ID:Qd2Zd0DH
月が動く間に、緑の絨毯が様相を変えていた。
白い円の中心で、内側から突き出した氷によって裂けた、茶色い人影が立ちつくしている。
ブラムドが魔法の目標として生み出した、『木の従者(オーク)』のなれの果て。
昼間モンモランシーに見せようとした『氷嵐(ブリザード)』の魔法だ。
それは空気中の水分のみならず、『木の従者』の体内の水分へも働きかける。
水分が凍結することで膨張し、氷柱のような形で『木の従者』の体を引き裂いていた。
その隣に立つ、『石の従者』には傷一つない。
正確に言えば、『石の従者』を中心にした円形の部分だけが無傷のままだ。
『魔力隔壁(ルーンアイソレーション)』によって魔法の効果がその内外を行き来できず、
『火球』が外側で炸裂した結果、三日月のような焦げ跡が黒く刻まれている。
ブラムドが右手を開いて『石の従者』に向け、『光の矢』を放ち始めた。
その手元で一本の矢が煌めいたと思った瞬間、ガラス同士をこすりあわせるような音を立
て、『光の矢』は『魔力隔壁』にはじかれて消える。
二本、三本、四本と数が増えても、結果は何一つ変わらない。
だが五回目に生み出した一本の『光の矢』は、それまでよりも遙かに強い光を放っていた。
それは『魔力隔壁』を割り、『石の従者』の眉間を貫き、その頭を粉々に砕く。
重苦しい音を立てて、頭を失った『石の従者』が倒れ伏した。
そして訪れた沈黙の中、傍らに立つ三人の少女たちは呆然と立ち尽くす。
たった今目の前で繰り広げられた、見知らぬ魔法の威力に驚きを隠せない。
タバサは、かつて杖を向けようとした相手が持つ力の片鱗を知る。
……あのファイヤーボールはキュルケのよりも強力。
……でも防御壁はそれを全く通さなかった。
……光の矢を放つ魔法にしても、あの速さではかわすことも防ぐことも不可能。
……しかも、ひょっとして強い魔法は使っていない……?
三人の中で唯一、豊富な戦闘経験を持つタバサの分析は的を射ている。
事実、ブラムドが先刻使った上位の魔法は『魔力隔壁』のみでしかない。
理由はいくつかあるが、今回はあくまで発動に問題がないかを確認したに過ぎないからだ。
ブラムドが体内のマナを確認し、タバサが考え込む中、キュルケがルイズへ問いかけた。
「ルイズ、ブラムド様の魔法を教わらないの?」
その疑問、その選択はルイズも一度考えはしていた。
「キュルケなら、平気かもしれない。でも、トリステイン貴族である私には無理だわ」
ルイズは少し悲しげに微笑む。
しかし、キュルケはその答えだけで納得することはできない。
彼女がどれほど魔法を欲していたのか、どれほど望み続けたのかを知っているからだ。
その様子に、ルイズは言葉を重ねる。
「ブラムドが今使った魔法にも、系統魔法と似ているものもある。でも、詠唱のルーンは
明らかに違うものだった」
確かにルイズのいう通り、ブラムドが使う古代語魔法はハルケギニアのそれとは全く違う
言語体系の上に成り立っている。
魔法が似ていたとしても、魔法が発動する前に系統魔法ではないことがわかってしまう。
「でも、魔法は魔法、力は力じゃないの?」
なおも反駁するキュルケを、タバサが押しとどめる。
「トリステインとゲルマニアでは考え方が違う」
確かに、能力次第では平民でさえも貴族として用いるゲルマニアと、伝統と格式を重んじ
るトリステインでは違うだろう。
しかしその一言だけでは、キュルケを止めることは出来ない。
それを理解しているタバサは、さらに言葉を重ねた。
「異端とされれば、家名に傷がつく」
その言葉に、キュルケはようやく得心する。
「……残念ね? ルイズ」
「……ちょっとね」
キュルケは、自分の言葉に短く応えたルイズの嘘を見透かしている。
ルイズがどれだけ魔法を求めていたのか、それを見てきた数少ない人間の一人だからだ。
そして誇り高い彼女が、秘めた本心を口にしないことも知っている。
だから、キュルケはブラムドがするようにルイズの頭をなぜようとした。
ただ、その慰めを素直に受け入れるルイズではない。
「何するのよ!?」
顔を赤らめてその手を振り払うルイズに、キュルケは笑いながら言い返す。
「いいじゃない!」
そうして始まった小競り合いに、ブラムドは微笑み、タバサは少し口の端を持ち上げた。
616ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 10:07:50 ID:Qd2Zd0DH
以上

えー、なんといいますか、
二ヶ月も経つとは思いませんでした
なんていうかこうすいませんッシタ

何故かマイヤヒーを聞きながら投下してみた
超懐かしーw

ではではあでぃおうす
617ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2009/03/23(月) 10:09:11 ID:Qd2Zd0DH
っと言い忘れ

支援誠に感謝でした
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 10:14:10 ID:2CFgPlBZ
なぁらばっ!
しーえーんーじゃーぁっ!
619虚無と鬼:2009/03/23(月) 12:30:39 ID:Kw4BT57A
投下おつ!
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 12:32:29 ID:Kw4BT57A
名前消し忘れた…
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 14:34:21 ID:aGq4Adbr
改行と空行を入れた方が読み易くなるよ。
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 15:16:02 ID:vVkmZbho
氷竜の人投下乙でした。
フォーセリアとハルケギニアの魔法にはかなりの類似点がありますよね。
蜘蛛の糸=スティッキング・ストリングとか、眠りの雲=スリープ・クラウドとか。
それだけにルイズの悩みも良く分かります。
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 15:35:45 ID:UWS836sP
ロードスからこっちに来たアイテムが何か非常に気になるw
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 15:56:38 ID:PWitjJzq
ロードスで無難なマジックアイテムが思いつかんわw
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 16:06:29 ID:UWS836sP
破壊の杖の代わりにカーラのサークレットが来てたらおマチさん御愁傷様だなぁと今思ったw
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 16:29:23 ID:SFSltthr
ロングソード+1は無難だと思う
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 16:53:22 ID:ZXmHyWeg
虚無の鬼期待sage
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 16:54:41 ID:FzAo2q1Y
魔晶石でも驚かれるかもね

精神回復系ならなおさらだ
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 16:56:47 ID:c9qCqTfY
デルフってフォーセリアでも最高クラスの魔剣だよな
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 16:59:39 ID:N2UZDvk3
>>628
大量の魔晶石と現金で、有無を言わせず先手必勝と人海戦術ですね、わかります
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 17:02:12 ID:5fB3FH2Y
魔晶石が値上がりしたのはヤツらが買い過ぎたからに違いない
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 17:03:14 ID:GSrUv4L7
バブリーズ召喚か
スイフリーは小ネタで来てるが、カンタマパラサも凶悪だ
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 17:15:43 ID:M9Zo7CCm
預言者ムハンマド召喚したら、ルイズとタバサが妊娠させられてしまうなwww
あと、ワルドとも気が合いそう。
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 17:16:13 ID:N2UZDvk3
もしあの連中がハルケギニアに来たら、ラ・ロシェーヌで傭兵を買収したり事前に教会に罠仕掛けといたりとやりたい放題だろうな
ジョゼフVSアーチーの策略対決とかビダーシャルVSスイフリー&パラサの亜人対決とか教皇VSグイズノーの坊主対決とかw
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 17:31:52 ID:4W95rkv6
デルフリンガーは上質ボーナスや特殊能力はあっても命中とダメージにボーナスが付かないような気がするんだ。
多分エンチャントウェポンもかからないだろうしw
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 17:39:20 ID:SFSltthr
ガンダールヴが使用することを前提とした剣だからな
必要とする機能も万人を対象にしたマジックアイテムとは違ってくるだろう
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 17:42:58 ID:c9qCqTfY
デルフは楯代わりなんだから勘弁してやってくれ
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 18:00:25 ID:Cg7eRG4d
ガンダールヴの役割自体が盾と時間稼ぎだからな。
そこいくとこのスレのガンダールヴの方々は、時間稼ぎどころか瞬殺クラスが山のよう。
まともに盾の役割を果たしてるガンダールヴはほとんどおらん。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 18:04:08 ID:ZzBosUjK
何の間違えで召喚しちゃったかなってのばっかりだから仕方ない
話によってはサイト呼ぶはずが手違いでってケースもあるし
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 18:30:19 ID:Uu1Icw2H
一連の話の流れからどこからか「ビッグシールドガードナー召喚!」という緒方恵美の声が聞こえてきた
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 18:57:31 ID:ESq1l1No
>>640
一度攻撃受けたら、2度目は弱いけどね。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 19:38:31 ID:6SIhl8qA
デルフは装備魔法か装備出来る効果モンスターか
効果モンスターだろうな多分
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 19:44:43 ID:ApjA6eh6
デルフリンガー ☆☆☆☆☆☆☆(七つ星)
攻2000 守2600
このモンスターが場にいる時、相手の魔法・罠・モンスターの効果を無効にする
相手が魔法・罠・モンスター効果を発動した時、このカードにカウンターを一つ乗せる
カウンターが5つ付いたとき、このカードは破壊される

ってか
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 19:51:45 ID:LPW1kTd3
つまり……ぬりかべの手にデルフリンガーが渡れば、正しいガンダールヴになれそうだな
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:07:04 ID:UWS836sP
振り回せないだろうから持ってるだけになりそうだがなw
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:27:16 ID:5fB3FH2Y
ぬりかべの中に塗り込めばイイジャナイ
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:28:39 ID:Uu1Icw2H
フェイズシフト装甲・・・・・・
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:39:58 ID:8YusEX6J
>>643
昨今のインフレ具合だと五つ星で良いような気がする
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:47:17 ID:ONweUuQw
乗せたカウンターは次ターン時に取り除くでおk
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:47:45 ID:TYAwHSqX
一応1話を書き上げましたので、投下したいと思います。
作品「黒執事」から、セバスチャンを召喚
名前の案が「ゼロと黒執事」 と 「ゼロ執事」の二つあるんですが。どちらが良いでしょう……?
数レス分です。タイトルについて意見を伺って、21時〜22時くらいから投下始めたいと想います。
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:52:57 ID:N2UZDvk3
ソーナンスに持たせたい
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:53:16 ID:GU5JVkpf
うおおおお!?
ぜひとも召喚されてほしいと思っていたキャラがきたー!!
ここはひとつ「ゼロ執事」で。
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:53:54 ID:33RtYUat
「ゼロと黒執事」 がいいと思うが「ゼロと執事」の方が語感としてはいいような気がする
654名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:54:22 ID:UWS836sP
ゼロ執事かな
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 20:57:45 ID:iYyaMDEe
他人にお題を決めさせるSSは長続きしないジンクス
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:00:08 ID:5fB3FH2Y
グロ執事で
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:01:02 ID:fvTNesIp
こんな投下時間指定をしてる時点で見る気がなくなるレベル
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:05:25 ID:0djd3i4I
ジンクスなんて吹き飛ばしてやる
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:05:48 ID:Z57if5++
別にどっちでもいい
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:06:29 ID:TYAwHSqX
おお、10分の間にこんなに人がいるのか……。
では「ゼロ執事」と言う事で書いて行こうと思います。
ということで作品「黒執事」よりセバスチャンが召喚
ゼロ執事 第一話 投下します。
661ゼロ執事 第一話:2009/03/23(月) 21:07:58 ID:TYAwHSqX
その時、セバスチャンは夕食の支度をしていた。
支度と言ってもすでにほぼ完成した状態でバルドに呼び止められ、火力を見ているだけに過ぎない。
あとはしばらく煮込んでおけばメインは完成する。
場所を外しているバルドが帰ってくれば、すぐ出せる状態だろう。
そして、その前に食器を出しておこうと足を踏み出した瞬間に―――それは起きた。
何の気配もなく、突然鏡が目の前に現れたのだ。
鏡と言っても鏡面に自分が映るわけでもなく、ただ光っているだけなのだが。
「……」
屋敷内の使用人達がうっかりここ置き忘れたという事態も考えたが、確かに数秒前までには何も無かった。
という事は自分の居る側の自称、悪魔や魔法、召喚によるものなのだろうか。
いままでこんな物はお目にかかった事がない。
何をするにもまずはとりあえず主人に伺いを立てた方が良いだろうと判断したセバスチャンは、火を調節した後で立ち去ろうとし―――
「セバスチャンさーん、クロス替え終わったデスだよ? 他に何か……ギャー!」
「……っ」
声を上げて止める暇もなく、足をもつれさせたメイリンが食器棚に突っ込む。
大惨事になる前にセバスチャンはメイリンの背後に回って彼女を押し戻した。
が、その拍子にバランスを崩して一歩後ろに足を付いてしまう。
鏡面の中に、足をめり込ませる形で。

声を上げる間もなく、セバスチャンは鏡の中へと消え失せた。
そして、一層輝きを放った鏡も同じくこの世からかき消えた。
「セバスチャン……さん?」
残されたのはメイドが一人。

こうして、ファントムハイヴ家の執事は、意図せず異世界に召喚された。


**


メイジを見るなら使い魔を見よ……そういう考えを持つのがここの魔法使いである。
その為、召喚の儀には多くの想いが集中する。
この儀式でもしも矮小な使い魔を呼び出してしまったら、と不安に駆られる者も居る。
自分の力を信じている為、自分よりもむしろ他人の呼び出す使い魔が気になる者も居る。
ただ自分のできる事をするだけだと、特に儀式のことを気にかけていない者も居る。
想いが一つでないとはいえ、平時よりも皆浮かれているというのは事実であった。
ここに一人、この召喚の儀に他と比べものにならない程強い思いを抱いている者が居た。
公爵家第三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールである。
学園内では魔法が使えない為ゼロと呼ばれる彼女は、この儀式だけは失敗するわけにはいかなかった。
今まではどこかで期待していた部分があった。
これだけ努力を続けていれば、いつか必ず成功する日が来る、と。
しかしこの召喚の儀という一生ものの儀式は、これからの人生の分水嶺であると理解してしまった。
この儀式に失敗すれば自分は一生魔法が使えないのではないか―――?
そんな恐れが彼女を駆り立て、彼女はこの儀式に向けて全身全霊をかけるようになった。
呪文も杖も、できる事は全て行い、完全な状態で儀式を向かえられるように更に努力を重ねる。
662ゼロ執事 第一話:2009/03/23(月) 21:09:02 ID:TYAwHSqX
そして訪れた当日。
彼女は盛大に失敗を繰り返し―――現在、第十二回目の挑戦である。
爆音。
第十二回目の挑戦 改め十二回目の失敗だった。

周りの生徒はもう皆召喚を終え、使い魔と親交を深めたりしている。
言うまでもなく、ルイズ以外の人間全員、失敗した人間は居なかった。
状況がどうしようもないプレッシャーとなって失敗を続けるルイズを追い込んでいく。
2,3回の失敗時にはまだ他の生徒も気にかけなかったが、回数が片手で数えられる数を超えた辺りで
段々と野次やら何やらが大きくなっていく。

ルイズはもう一度だけ集中する。
魔力を、意識を、一点に向かって集中させていく。
これが最後だ。これに失敗すればもう集中する力も残ってはいまい。

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ―――」

お決まりの魔方陣、詠唱、そして辺りを包むまばゆい光と、一段と大きな爆発。
いつもの風景に、観客は諦めも混じった視線を傾ける。
それまでの爆発と異なったのは、呼び出した人間を中心として真っ黒な煙が噴き上がり辺りを覆い隠した点だろうか。
周りが真っ暗になった事にルイズは困惑していた。
「げふっ……何よ、何も見えない……」

同時に、突然召喚されたセバスチャンも困惑していた。
自分の正体上、今どういう状況にあるのかは十分に理解できる範囲内だ。
しかし、既に契約の上でシエルに仕えている今、何故それを飛び越えて召喚が可能であったかに
ついては全くもって理解できない。
そして、煙を全く気にせず見上げた空には、太陽が光り輝いている。
「日が……昇っている?」
自分が元居た世界ではもう日が落ちていたはずだ。
時間の進み方が違う事も含め、どうやら全く違う世界に召喚されたらしい。
そして、召喚したのは目の前の少女であるらしい。
663ゼロ執事 第一話:2009/03/23(月) 21:09:47 ID:TYAwHSqX
「―――おや」
目の前に居るというのに、どうやらこの少女からはこちらが見えていないようだ。
形なき闇にでも見えているのだろうか。
「これはこれは、また小さなご主人様に召喚(よびだ)されたものです」
「……? どこから声がしたの?」
「貴方は私を必要とし、召喚した」

「その事実は永遠に変わらず、払われた犠牲は二度と戻らない」

「さあ、選んで下さい。私と契約―――なさいますか?」

問いかける声。
召喚の儀によって自分が呼び出した何かであるのは間違いない。
絶対成功しなければならないと臨んだこの儀式に、自分はようやく成功したのだ。
「契約……するわよ。私にはそれしかないんだから」
誰が見ても恥ずかしくない、堂々とした主人となる。
限りない失敗の上にようやく成功したこの儀式に、彼女は全身全霊をもって応えた。
「命令よ! 召喚されし者! 我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。我が一人前のメイジとなるまで、我に仕えよ!」
「―――御意 お嬢様」


煙が晴れ、周りの者が咳き込みながら見回すと、ルイズが煤で汚れたまま立っていた。
そしてその横に、もう一つ影が立っていた。
それは爆発前までは存在しなかった影であったため、俄に観客は騒ぎ始める。
「おい、ルイズが召喚に成功したぞ!」
「あのルイズが!?」
「ゼロが成功した?」
そして煙が完全に晴れた時、その影の正体を視認できるようになった為に更に騒ぎは大きくなる。
「おい、あれ」
「燕尾服……だよな」
「執事!?」
「かっこいい……」
「ルイズの癖に……」
「ゼロのルイズ! 召喚に失敗したからって執事を雇ったのか!?」
彼女の横に立っていたのは、誰がどう見ても執事であった。
きっちり着込んだ燕尾服に、抱えた銀盤、白い手袋。
その恰好をしているのは長身の美青年である。
召喚されたのだろうが何だろうが、その青年の整った容貌には、
男からは嫉妬や羨望の視線が、女からは熱意の籠もった視線が向けられる。
664ゼロ執事 第一話:2009/03/23(月) 21:10:42 ID:TYAwHSqX
野次があちこちから飛ぶが、それを向けられているルイズは気にする様子も見せず、彼に対峙し続けた。
「しかし……ここは不思議な場所ですね。ここではこんな若い方々が契約をするのですか?」
「普通……こんな執事なんかじゃなくて、ああいう動物なんだけど」
ルイズが指した先には既に召喚を済ませた子供達が、様々な生物を連れていた。
とても元の世界の動物図鑑には載っていないものばかりだ。
「私だってドラゴンとか、そういうのの方が良かったわよ」
「何か不服でも?」
「不服ってわけじゃないんだけど―――」
セバスチャンに顔をのぞき込まれると、ついそらしてしまう。
そこらの貴族が及びもしない程整った顔立ちは、免疫のないルイズではとても直視できない。
……と、視界の端から中年教師の頭が洗われた。
「ミス・ヴァリエール? その、呼び出したのはその方ですかな?」
「え、ええ。ミスタ。一応」
「ご存じの通り召喚のやり直しはできません。時間も押していますし、契約をして欲しいのですが……」
「え、あ、契約ならもう……」
「ミスタ。ミスタ……ええ」
「ああ、失礼しました。ジャン・コルベールという者です。当魔法学校で教員をしています」
「ミスタ・コルベール。使い魔の契約ならば、もうこの通り、済ませてあります。この左手の印は、この契約によるものでしょう?」
「ふむ……変わったルーンだ……ん」
コルベールはセバスチャンの左手を指しながら尋ねる。
「この下の模様は、元からあるものですか?」
「……ええ。これは以前からあった契約の印です。お気に為さらず」
手袋をずらして自分の左手に刻まれた契約の証を見る。
上から刻まれた新しい契約印のせいで見にくくなっているが、それは未だ消えていない。
新しく結ばれた一時的な契約によって、元の契約が一時的に弱くなっている状態。
つまり、シエル・ファントムハイヴとの契約は未だ続いていて、
かつルイズ・フランソワーズとの契約が上位になっているという事である。
おそらくはここへと呼ばれるまでに経た経緯、あの鏡のようなものを通過した事で、
あるいはこの世界の魔法と呼ばれる膨大な力によって、本来あり得ない多重契約が成されている。
こちらで交わした『使い魔の契約』では、彼女の言う通り彼女が一人前の魔法師となるまで
彼女に仕え、その身を守ることとなっている。
向こうの主人であるシエルを自分で守れないというのが現状であるが、
今はどうしようもないというのも事実である。
契約してしまった以上、悪魔であるこの身は契約から逃れる事はできない。
願わくば、こちらの魔法というものが他の契約も保護するようなデタラメなものであるように―――。
「しかしこれでは……」
ふう、とため息をつきながら、残してきた者達を想う。
「―――メインディッシュが冷えてしまいますね」
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:13:48 ID:TYAwHSqX
というわけで一話はここまでです。
このセバスチャンは、こちらの世界において既に左手に契約をしていて、
しかもその契約内容が主人を守り抜くと言う物である為召喚がすごい
やりにくいキャラです。
その為ルイズの世界の魔法という強力な法によって、優先順位が変化
している、ということにしてあります。その辺りはまた変更があるかもしれません。
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:15:15 ID:33RtYUat


期待してます。
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:18:44 ID:TYAwHSqX
赤毛のキャラ(キュルケあたり)に死神を召喚してもらおうとも考えたんですが、
よく考えたらあのキャラは漫画の方だとあまり出てきてないんですよね……。
複数キャラを扱う自信がないので、今回はグレルさんの登場は諦めました。
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:21:24 ID:lcCUMqmN
執事のかた乙です。執事といえば元祖変態執事キースを思い浮かべてしまう

669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:28:38 ID:tK1vEuMR
執事と聞くとアデプトクラスの魔術師を拳でぶちのめす覇道家のあの人が思い浮かぶ
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:34:36 ID:Sb3qtnw8
執事と聞くと白石声の(ry
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:35:18 ID:HWdRFgbj
>>669
魔術師であろうがディープワンズであろうが伊達にして返す最強ボクサー執事さんですね
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:36:01 ID:GgoUCu31
真剣白歯取りかましたからな
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:36:06 ID:4W95rkv6
執事、それは主家の平和を守る為に戦う、神秘の従者達の事である!
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:43:13 ID:LPW1kTd3
執事か……俺の脳裏に浮かんだ人は
「でてきてちょー」と、サンダーストロンガー姫を呼ぶ儀式をする人だった……つおいぞコイツ
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 21:50:34 ID:LxUpmcBX
執事と聞いて、丁寧な言葉遣いの青い歩くケータイを思い出して、ちょっと涙目…
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 22:01:27 ID:7qaHc3Jc
遅スレだけど

>頭からバリバリ喰われるのと、じわじわ身体を乗っ取られるのって、どっちが怖いんだろう・・・
後者だろ。
原作であった状況だと、
突然体が動かなくなり、切り落とされた左手が再生。
そして、首から別の頭が生えてきて自分の頭は小さくなっていく。
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 22:15:41 ID:Dmk/xrUF
>>675
うん、お前の気持を受信したわ
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 22:35:44 ID:C3a6uM61
今までセバスチャンが召還されたSSがないのが不思議なぐらいだったからGJです
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 22:44:35 ID:ta9oWDFM
>>675
最終回でお目目になった時は軽く鬱になった。
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 23:04:37 ID:eS+o/z0w
ところで使い魔を召喚して契約できなかったらどうなるん?
留年?それとも退学?
681名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 23:08:14 ID:tLbrFUr1
きっとオールドオスマンが粋なはからいをしてくれるよ……
682ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/23(月) 23:08:15 ID:VwsBYd3H
黒執事の方、乙でした。
元ネタを知らないので事情がよく分からないのですが、どうもこのキャラは自分の置かれた状況をかなり把握してるみたいですな。
次回に期待しております。

さて、避難所の方に番外編の02を投下しましたので、皆様よろしければ見てください。


http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1223714491/861-
683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 23:09:23 ID:mP5ggr8q
作者次第だろうけど
行方が分からなくなったとか、完全に望みがないなら退学じゃね
本人が嫌がってるとかだけなら、要相談?
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 23:11:52 ID:k2zoazYO
こんばんは。
書きたかった作品の1話というかプロローグというかが書き上がりましたので、投下してみたいと思います。
召喚元の作品は『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』、召喚されるのはみーくんとまーちゃん(御園マユ)です。
作品名は『嘘つき使い魔と壊れた使い魔』。
時間は23:15を予定しております。
685嘘つき使い魔と壊れた使い魔 ◆deHK/DwGtk :2009/03/23(月) 23:20:45 ID:k2zoazYO
投下させていただきます。



第×話『××の使い魔』

それは、始まりと終わりの数字。
私に対して、無能を表す数字。

屈辱的な意味を持って広められた二つ名は、既に収まりが聞かない程に定着している。

だから私は、その言葉を口にしない。
私が言えば、私自身がそれを認めてしまう事になる。

これは無能の意ではなく、始まりだから。





さて、今日は満月の夜。
時刻は日付が変わって1時間が経ったところ。
僕(+背中の1人)がこんな夜中に歩いているのは、この町の平和を守るためだ。
最近、国家の忠犬を過労死させるほどのハイペースで起きた殺人(犬猫は含まない)事件。
それを二度と起こらぬようにするのが、緑と悪意豊かな太陽系第三惑星に派遣された僕(+背中で寝てる1人)の使命だ。

言うのも面倒な位、嘘だけど。

実際の理由は今僕の背中で眠り姫と化しているまーちゃん……御園マユにある。

話は数十分前に遡る。

「みーくんみーくん まーちゃん、月見がしたい気分なのです!」
ベッドに座るみーくん……僕の前に飛び込んできたまーちゃんは、元気いっぱいにそう告げた。
「まーちゃんまーちゃん みーくんは布団に入って明日を待ちたい気分です」
現在時刻、12時なり。
「だめー! まーちゃんと一緒に月見にいくの!」
駄々をこねながら、僕の鳩尾を右ストレートで殴るまーちゃん。
憎いあん畜生の顔を目掛けて殴るに十分な威力と決意がこもった一撃だった。微妙に嘘じゃない。
「もうすっかり遅いし、危ないよ。また今度にしようか」
「ふふん、だーいじょうぶ! 暗いのがだめな怖がりのみーくんのために、まーちゃんが手を繋いでてあげます!」
「怖いのはまーちゃんの方なんだけどなー」と二つの意味を込めた言葉は口には出さない。
長引かせてもしょうがないかな、と少し悩んだ結果、こちらから折れることにした。
シャープペンの芯より折れやすく、素麺並に流されやすく。それがまーちゃんと付き合う秘訣だ。嘘だけど。
「うーん…わかった。でも早く帰ってこようね。」
「いよーし! 月見に出発ー!」
さっき僕に使った拳を振り上げ、高々とそう宣言した。
月見ってそんなに気合い入れるものだったかな。
686嘘つき使い魔と壊れた使い魔 ◆deHK/DwGtk :2009/03/23(月) 23:22:25 ID:k2zoazYO
「持っていくものー!」
「んー?」
「おべんとー!」
「いらないから」
立ち上がって台所に向かおうとする彼女の腕を掴んで止めた。
まーちゃんは月見を上手く理解してなかったみたいです。

というわけで、マユは学校から帰ってきてそのまま眠っていたため、制服のまま外出、僕もマユとペアルックであるべく制服のまま外出。僕の理由は嘘だけど。
あと、行く前にマユが「何かあった時のために」と言いながら、何かをタオルで適当に巻いて学生鞄に放り込んだのは見なかったことにしておいた。

そして、玄関を開けて外に出た瞬間にマユの顔から表情が消える。
つい一秒前まで太陽といい勝負が出来そうなぐらいの笑顔だった、なんて微塵も感じさせない徹底的な無表情。
これが、僕以外に見せる「御園マユ」としての表情だ。
…別に猫を被っているわけではない、と思う。
まあ簡潔に言えば、マユの中でみーくんは特別中の特別、とでも解釈していただければ。



……で、振り回されるままに長々と歩き続けた結果、歩き疲れたまーちゃんは僕の背中(ベッドと読むかも)に乗るやいなや、夢見に勤しんでしまったというわけだ。
僕はそんなまーちゃんを背負って鞄を掴み、いどう、マンションを実行中。
「…月見…か…」
二人での初めての月見は病院の中、死体が安置された冷蔵庫の横で行われたのを覚えている。
一緒に言葉も無く、空に浮かぶ月を見つめていたっけ。
「さて、早く帰らないとね」
明日も学校があるからと、どうでもいい理由を口にしながら。


687嘘つき使い魔と壊れた使い魔 ◆deHK/DwGtk :2009/03/23(月) 23:24:26 ID:k2zoazYO



マンションの入口、オートロックという名の警戒心が欠けた自動ドアを抜けた時、それは目の前に現れた。
「…………む」
目の前に現れたのは姿見に使うような大きな鏡だった。
待ち合わせでもしていたように現れたそれを前に、足を止めて眺めてみる。

……お、まーちゃんの頭に白髪発見。続けて自分の頭にも白髪を発見。
切なさと苦労が滲み出てる頭だなぁ。

それからふと思いついたので5分程、鏡とにらめっこして勝つ方法は無いものかと安っぽい頭脳を洗濯機のようにフル回転させて思案していた。

……嘘だけど。
実際、鏡は光ってるだけで何も写っていない。僕達の姿さえ。

そんな失礼な鏡を避けて一歩踏み出そうとした瞬間。
「どっ」
情けなくも足がもつれた。
待ってましたと言わんばかりに視界一杯に近付く鏡を押し退けようにも、両腕は背中のマユを本人に代わり支える仕事を実行中であり、自分の体まで文字通り手が回らない。
そして鏡に盛大に顔面を打ち付け、追加で床にも激突する。
額と顔面に走る痛みと砕けた鏡の破片の中、怪我が無いかどうかを心配した。


…嘘じゃない、はずだったんだけど。


現実には僕が鏡に触れた瞬間、沼に突っ込んだみたいに鏡の中に沈み込んでいったのだ。
水風船を指で突っついた時のような感覚が身体中を侵食していく。
何が起こったかわからないが、せめてマユだけは離さぬように手に力を込めて。


みーくんは、目の前がまっくらになった。





晴れやかだった空が夕暮れに代わりかけた頃、私の21回目のサモン・サーヴァントが失敗した。
派手に粉塵を巻き上げ、轟音を残していく。
それを吸い込んでしまい少しむせたけど、諦めずに杖を構え直す。
「おい、いい加減にしろよルイズ!」
無視。
「そうだ! 次は俺達でも吹き飛ばす気かよ!」
無視。
「『××』のお前にお似合いの使い魔なんかいないって事だよ!」
「うるさいわよ『風邪っぴき』! 黙ってないと本当に吹き飛ばすわよ!」
反射的に振り返り、三番目に口を開いた『風邪っぴき』のマリコルヌに反撃する。
彼がまた何かを言おうとするが、それは別の声に遮られた。
「静かに! ミス・ヴァリエールも、儀式に集中してください」
監督官であるミスタ・コルベールの一喝に、各々の声が止む。
688嘘つき使い魔と壊れた使い魔 ◆deHK/DwGtk :2009/03/23(月) 23:26:48 ID:k2zoazYO
私は「はい」と返事をして頷き、再び意識を集中する。

…これで22回目のサモン・サーヴァントになる。
(どうして成功しないのよ…本当に私の相応しい使い魔なんていないの…?

…そんな筈はない、私はヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
勉学だって誰よりも真面目にこなしてきた。理不尽な罵倒にだって長く耐え抜いてきた。
それに何より…何より私には…!)
そこで思考を打ち切り、息を一つ深く吸い込む。
そして、体に入った空気に意味を持たせて吐き出す。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。宇宙のどこかにいる,私の僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より訴えるわ、我が導きに答えなさい!」

…結果は、今までよりも大爆発。煙と周りの反応も大盛況。
最早それが目的だったのかもしれないと勘違いするほどの、威勢のいい爆発だった。

…集中し過ぎたかも。

こうして私の22回目のサモン・サーヴァントは……。
「何かいる」
誰かが呟いた。この声はタバサだ。
「むう…この煙ではわかりませんな…」
ミスタ・コルベールが、生徒に風の魔法で煙を晴らすように指示する。
私は風の魔法は使えないので、それを見守る形になる。
そして煙が晴れていく中、その中に影を見つけた。そしてそれは、はっきりと存在として認識できるようになった。
「成功…した?」
「嘘だろ…あの『××』のルイズが…」
頑張って、頑張って、頑張って無視…よし。
そして煙が晴れた時…そこには。
「……………人?」
今のは私の声か、或いはミスタ・コルベールか。
とにかく、それは私の目が錯覚を起こしたり幻覚でも無い限り、どう見ても人だった。しかも二人。
一人(多分男)の上にもう一人(おそらく女)が重なっている形だ。
二人とも、ぴくりとも動かない…まさか、呼び出したショックで死んだ?いや、最初っから死んでたとか?
そんな不吉な事を考えていたら、下敷きになってる方がゆっくりと顔を上げた。
「…………」
「…………」
目線だけを動かしながら、暫くの無言。
私も付き合うわけではないが、無言だった。
私が知っている呪文が唱えられそうな程の間の後に、ようやく彼が口を開いた。
「……にもうと?」
「…………は?」

こうして、私の22回目のサモン・サーヴァントが成功した。
689嘘つき使い魔と壊れた使い魔 ◆deHK/DwGtk :2009/03/23(月) 23:31:57 ID:k2zoazYO
以上でプロローグは終わりです。

文法の変な点や不作法な点がありましたら、遠慮無く言っていただければ幸いです。
では失礼します。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 23:39:55 ID:5qRwkZJw
>>675
バディ、君の気持を受信した。
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 00:15:36 ID:C/QHXBFc
>>680
ルイズが召喚か契約に失敗して完全に退学になった長編ってなにかあったっけ?
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 00:22:23 ID:9hTQwwoL
>>691
姉妹スレの「仮面のルイズ」が学校辞めてついでに死んだ振りしてブラリ一人と一本旅
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 01:14:05 ID:NVUYA4CX
15分から「ゼロの黒魔道士 第42幕」の代理投下をするでござる の巻
694ゼロの黒魔道士 第42幕 1/7 代理:2009/03/24(火) 01:15:12 ID:NVUYA4CX
「ビビちゃん、働き者ですね」
小さな森の中の村だから、黒魔道士の村とやるべき仕事はほとんどおんなじだった。
水をくんだり、薪をひろってきたり、木の実やキノコの採取に、家畜の世話……
今ボクが手伝っているのは、「リリパット・ブレッド」っていうパンを作るための小麦袋を運ぶ仕事。
結構重いけど、袋を小分けにしているからそれなりに運びやすい。
「え、せっかく世話になってるのに、何もしないのは悪いし……」
動けるんだから、タダでごはんをもらったりするわけにはいかないなぁって思うんだ。
看病とかしてくれていたみたいだし……
「いいですのに。ゆっくり休んでていいのよ?」
「そーだぜ、相棒〜!怪我してブッ倒れてた後だってのによぉ」
起きてから1日、怪我をしてから4日が経っていた。

ゼロの黒魔道士
〜第四十二幕〜 その扉の向こうに

「――ん〜!あー、眼が〜……テファ〜、お茶にするー?」
土くれのフーケ、本当の名前はマチルダって言うらしい。
ロングビルとか、色んな名前があるなぁって思うけど、
よく考えたら、役者さんだって役によっていろんな名前があるよね?
きっと、この人はいろんな役を演じなくちゃいけなかったんだろうなぁって、そんなことを考えたんだ。
「はい、マチルダおねえちゃん」
「――なんだい、チビ助、気が利いてるじゃないか」
昨日も、同じぐらいの時間にお茶にしようって言ってたから、紅茶の準備はもうしていたんだ。
……って言っても、ボクがやったのは、せいぜいコップを温めるのと、運ぶだけだったんだけどね。
紅茶を淹れるのは、まだ人によって好みがあるから難しいって思う。
シエスタとかは何の苦もなく、それを何人もの貴族の人にやってるからすごいなぁって思うんだ。
「相棒、鍛えられてるからなぁ、雑用に関しちゃ」
「……そうかなぁ?」
鍛えられてるって言っても、そんなに大したことは無いと思う。
まだまだ、覚えなくちゃいけないことはいっぱいある。
でも、覚える時間もいっぱいあるから、ちょっとうれしいな。
「ビビちゃん、スコーンでいい?」
「あ、うん!ありがとう、テファ」
昨日もそうだったけど、アルビオンのお茶菓子って、ちょっと美味しい。
ルイズおねえちゃんにいくつかもらって帰れたらいいなぁ……
ルイズおねえちゃん、甘いものに目が無いから。
695ゼロの黒魔道士 第42幕 2/7 代理:2009/03/24(火) 01:16:13 ID:NVUYA4CX
「――そうそう、悪いニュースだ。やっぱりあと1ヶ月はアルビオンから船は出せない見込みだと」
紅茶にミルクを注ぎながら、マチルダおねえちゃんが教えてくれた。
この間のタルブ平原での戦闘行為は終わったけど、警戒状態が続くだろうし、
さらにゲルマニアやトリステインからの経済制裁の動きがあるだろうってマチルダおねえちゃんは予想していた。
経済制裁っていうのは意味がよく分からないけど、要は、アルビオンから出る船を港に入れないっていうことをやるらしい。
だから、ダメ元でいくつか当たってみるって言ってくれてたんだけど……
「そんなぁ……せめて、無事を伝えられるだけでも……」
「トリステイン含め、ゲルマニアも噛んでるからねぇ。情報統制も万全さね」
お手紙なんかも無理みたいだ。
ルイズおねえちゃんに、あんまり心配かけたりしたくないなぁ……
「んじゃ、裏ルートととかねぇのかよ?姐さんよぉ?」
デルフが聞く。なんか、いつの間にかデルフとマチルダおねえちゃんが仲良くなってるみたいだ。
ボクが寝ていた間に、何かあったのかなぁ?
「裏っつってもねぇ、相手が表のトップじゃ並の裏ルートじゃダメだし、大きな所は鼻がきくからもう逃げてるしねぇ」
「マチルダねえさん、そんなことなんで知ってるの?」
「ん?い、いやいやいや、クジャの奴がそんなこと言ってたんだよ!」
マチルダおねえちゃんが、ちょっと焦っていた。
テファには、泥棒してたこととかは秘密みたいだ。
信頼してるなら、言っても大丈夫とは思うけど、色々事情があるのかなぁ?
「クジャさん、色々知ってるんですね〜」
「……そういえば、クジャは、どうやってアルビオンの外に?」
クジャに頼るのはなんか嫌だけど、もしかしたらその方がいいのかもしれない。
だけど、やっぱり嫌だなぁなんてことを考えつつ、一応聞いてみた。
「飛龍を個人所有してるし、ゲルマニア貴族にも顔がきくからねぇ、アイツは」
「でも、いつも、いつ帰ってくるか分からないよね、クジャさん」
「そっか……」
クジャはオークションハウスを経営したり、色々働いてるみたいだ。
……悪いこと、してないといいけどなぁ……

「なんだい?ホームシックってヤツかい?」
色々考えてたら、マチルダおねえちゃんに笑って指摘された。
ホームシック、なのかもしれない。
でも、お家が恋しいっていうよりも、ルイズおねえちゃんが心配なんだ。
「うーん……みんなに、迷惑かけちゃってるみたいだし……」
「あら、ビビちゃん、お手伝いしてくれるし、全然問題無いですよ?」
「あ、そうじゃなくて……ボク、使い魔だから……」
使い魔の役目は、主人を守ること。
ここにいて、ルイズおねえちゃんに何かあったらどうしようって、妙な心配がつきまとって離れない。
「相棒、真面目だからなぁ〜!まぁ、あの娘っ子が騒いで暴れる前に帰っておきたいわな」
「うーん……暴れるっていうか……」
なんとなく、ルイズおねえちゃんは、すっごく泣いている気がするんだ……なんでだろ?

「ま、今はじっとしてるっきゃ無いだろうさね。下手に動いてもしょうがないときはある」
「ここにいる間は、ここを自分の家だと思ってくださいね?」
「う、うん……」
ともかく、今は機会をうかがう他はない。
もっと情報を集めてみようと思った。
必要だったら、村の外に出向いていって、噂とか聞きに行った方がいいかもしれない。
明日まで何も無かったら、そうしようと思った。
696ゼロの黒魔道士 第42幕 3/7 代理:2009/03/24(火) 01:17:17 ID:NVUYA4CX
 ・
 ・
 ・
「おれっちとしちゃー敵陣を突破して船を奪うって作戦もアリとは思うん――おん?」
デルフの物騒な話を聞きながら、食器の後片付けをしていたら、急にデルフが黙ったんだ。
「……え?」

魔力の集中っていうのかなぁ。
何かが集まるような感覚。
何かが生まれるような、何かが開くような……

小さなシュンッて音、それと共に現れたのは、白い光の壁。
魔力がこもっているのか、光がときどき波紋のような渦をまいて虹を作っている。
見た目は、真四角の壁がその場に立っているだけ。
なのに、何故か、“扉だ”ってそう思ったんだ。

「――こりゃ、おでれーた」
デルフは、驚いている。
「っ!?チビ助、あんた何やらかしたんだい?」
マチルダおねえちゃんが、部屋から顔を出してきて、ボクの仕業だと思ったみたいだ。
「ビビちゃん、どうしたんで――な、何なの、これっ!?」
テファも驚いている。

そして、ボクは……“扉”から声が聞こえた気がしてたんだ。
「……呼んでる?」
「呼んでるってぇ、誰がよ?」
「……ルイズ……おねえちゃんが……?」
泣くように、か細い声。消えそうな、かすれ声。
だけども、はっきりと、ボクを呼ぶ声がしたんだ。
「娘っ子が?」
「――ってことは、これ“召喚の門”?入る側はちょっと違うわけか」
この光の扉の名前は“召喚の門”っていうらしい。
マチルダおねえちゃんが不思議そうな顔をしてたけど、納得しているみたいだ。

ともかく、ルイズおねえちゃんの声が聞こえて、ルイズおねえちゃんが呼んでいる。
それ以上の、情報はいらなかった。
帽子をキュッとかぶりなおして、気合を入れる。
「……テファ、マチルダおねえちゃん……ボク、行かなくちゃ!」
「急だねぇ。まぁ、達者でやんな」
「え、え?あ、あの、ビビちゃんお元気で?っていうかマチルダねえさん、これって何なの?」
「それじゃ……またね!」
手をふるのももどかしく、ボクはデルフを片手に、光の扉の中へと入っていった。

いつか帰るところに、帰るために……

--------------
ピコン
ATE ラフ・メイカー

涙で濡れた部屋に、ノックの音が飛び込んだ。
誰にも会える顔でなし。涙の少女は答えない。

ルイズは部屋にこもりきり、膝を抱えてベッドの上。
壁を背にしてシーツをかぶり、濡れた頬は酷い有様。
この状態が、もう3日は続いていた。
697ゼロの黒魔道士 第42幕 4/7 代理:2009/03/24(火) 01:18:21 ID:NVUYA4CX
魔法が使えた喜びは、失った悲しみには及ばない。
やっと届いたと思ったなら、喜び分かつ者は消えにけり。

どうして?なんで?
繰り返される疑問符は、剣となって彼女の心を突き刺した。

私はどうして、なんであの時、
刺さった傷口からは後悔の渦が流れ出て、彼女を縛る鎖となる。

ビビに聞きたいことはもっと沢山あった。
彼の語る異世界の物語はまだ終末を迎えていなかった。
ビビに見せたいものはまだまだ一杯あった。
もうすぐ訪れる夏休みの予定をこれから立てるはずだったのに。
ビビともっともっと歩いていきたかった。
やっと堂々と、一緒に肩を並べて立てるところまで来たと思ったのに。

何も言わず、何も言えず、彼は旅立ってしまったというのか。
信じたくなかった。信じられなかった。

振り返れば、棘のある言葉ばかりを彼には投げかけた。
辛くあたっていたこともある。
素直になりきれなかった自分の姿を思い出しては、悔恨の槍でそれを貫く。
傷つくのは、自分だと分かっていながら。

「私――馬鹿だ――」

カラカラになった声が、大洪水の部屋へ転がり落ちた。

『そのとおりね』

それにかぶさるように、部屋に同意の声が飛び込んだ。

「っ!? きゅ、キュルケっ!?」

隣室の者の名を問うも、その姿は目に見えず。

『あなたドア開けてくれないんだもの。だからちょっとこんな感じでね。タバサもいるわよー?』
「――趣味悪いわよ!ひっこんでなさいよっ!」

以前、盗聴されたことがあったと思いだす。
今回のはその応用だろう。風魔法を操るタバサもまたいるらしいのがその証拠だ。

『まぁ、いいじゃないの。壁を挟んでおしゃべりするってのもオツでさ』
「誰が、あんたなんかと――」

顔を見られるわけではないが、涙をぬぐってせいぜい強がって見せる少女。

『いいじゃない!ほら、あんたと私って――えーと、ほら、そのー……』
「――何よ」

隣室で戸惑う様子が見えるようだ。
仇敵であったキュルケが戸惑う様子は、昔ならば滑稽だと一笑するところだろうが、
泣いていたためであろうか、そんな気持ちは一切湧かない。
698ゼロの黒魔道士 第42幕 5/7 代理:2009/03/24(火) 01:19:38 ID:NVUYA4CX
『だ、だからほら、アレよアレ!もう、分かりなさいよ!』
『友達』

今まで黙っていた少女の声が、言葉を補った。
友達。
それは、ルイズが心の奥底で求めた物だった。
求めていても、生来の意地の厚さと貴族としての体面が、表に出すことを許さなかった、ささやかな夢。

『た、タバサ!?』
『違う?』
『ち、違わないけど!ほら、もっとこうやんわりと――』
「――ありがと」
『え?』

心が、弱っていたからだろうか。
あるいは、涙で仮面が取り外されたからだろうか。
素直な感謝の意が、喉の奥から自然に出てきた。
自分には、自分を心配してくれる友がいる。
なんだ、こんな近くに夢を叶える存在があったんじゃないか。
別な後悔が、浮かんで消える。

「――少し、楽になったわ」
『――そんなら、いいわ』

抱えた膝を少し崩し、そっと壁に体を預ける。
冷たい無機質であるはずの壁が、ずっとあたたかい物に感じられた。

しばらく、しゃべった。
しゃっくり混じりの泣き声で、恥も外聞も無く、しゃべり続けた。
それはたわいも無いこと。
それは意味の無いこと。
ただただ、寂しさを言葉で埋めるため、かれた声でしゃべり続けた。
友が、ずっと傍にいたはずの友が、それに優しく応えた。

『――不思議なものよね、こんな風にしゃべってるなんて』
「――そうね」

すっかり疲れた泣き声は、相手を認める優しいもの。
それでも失った悲しみは、そのもの自身でしか埋められない。

『みんな、あの召喚の日から始まったのよね――可愛い男の子が召喚されて』
「――召喚……」

思い出すのは春風舞うあの日のこと。
とんがり帽子のみすぼらしい、それでもどこか愛らしい、そんな少年が現れた日。
何度、孤独を救われただろう。今まで見ていた世界が、どれだけ変わっただろう。
物語の歯車は、その日から、動き始めたのだ。

「――我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……」

気がつけば、杖を取り出し、あの日と同じ呪文を唱えていた。

「――五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、"使い魔"を……召還せよ」

時の歯車は、巻き戻ることは決してない。
だけど、もう1度、あの日の奇跡が起こって欲しかった。
全てを破壊しつくすような魔法を使いたいわけじゃない。
今はそれを望まない。
今望むのは、失った友との再会。
699ゼロの黒魔道士 第42幕 6/7 代理:2009/03/24(火) 01:20:43 ID:NVUYA4CX
うんともすんとも言わないで、静寂が部屋を満たした。
溜息1つが零れ落ち、嗚呼、自分は結局ゼロなのか。
残酷な真実が涙へと変わり、またとめどなくあふれ出ようとした。

奇跡の呼び水は、無垢なる祈り。
祈りは、光へ。
光は、扉に。
涙の煌きを覆うような光の扉が、静かに優しく部屋に現れる。
赤く腫れた眼を見開き、少女の視界は光で満ちる。

「――ビビ?」

語りかけるは求める者の名。
新たな道を示した優しき友の名。

「……ルイズおねえちゃん?」

光の中からおずおずと、怯えながらゆるやかに、
懐かしき姿が形を作る。

「――ビビ!!」
「ルイズおねえちゃん、良かった!無事だっ、いたっ!?」

小さな意地が、顔を出し、流した涙を隠すように、妙な仮面を作ってしまう。

「このバカッ!大馬鹿っ!野良犬だってね!?1日やそこらで帰ってくるもんよ!?」
「う……ごめんなさい……」

あぁ、本当に大馬鹿だ。
この私を待たせるなんて。
泣いていいのか、笑っていいのか、怒っていいのか。
仮面の顔が、本音を隠しきれずにグジャグジャに崩れる。

「このバカッ!犬以下っ!大馬鹿っ!あんたなんて、あんたなんてっ――」
「……ルイズおねえちゃん……」

相手をはたいた拳で、涙を1度ぬぐいさる。
どうしようもないほど、呆れるほど、単純な言葉を、言うのを忘れていた。
やっぱり、私、馬鹿だ。
ちっぽけな意地の薄っぺらな仮面はすぐに剥げ、言いたかったことが素直に口に出る。

「――おかえり、ビビ」
「……ただいま!ルイズおねえちゃん!」

もう、離したくないとばかりに、少女は小さな友に抱きついた。
それは、今までに無いほど、素直な笑顔であった。
 ・
 ・
 ・
700ゼロの黒魔道士 第42幕 7/7 代理:2009/03/24(火) 01:21:45 ID:NVUYA4CX
隣室で杖をしまうは青髪の少女。
壁の向こうの音が、途切れるように消えた。

「え、ちょっと!なんでやめちゃうの!?」

赤髪の少女が文句を言う。
うっすらと、彼女も泣いていた。

「これ以上は、野暮」
「う〜ん、しょうがないわねぇ。じゃぁせめて、乾杯する?ビビちゃんの帰還を祝って」

野暮、と言われてしまえば、スタイルにこだわる淑女のたしなみとしてやめざるをえない。
ならば、ここで小さなお祝いをしようと、黒猫のラベルの描かれたボトルを取り出す。

「ワイン?」
「そ!タルブで買っておいたのよ!あんたの好きそうなおつまみもあるわよ。えっと、ギザール・ピクルスだったかしら」
「もらう」

クセがかなりある漬物の類。これも、シエスタの曽祖父が広めた物らしい。
独特の風味が友人の好みに合うだろうとしっかり購入しておいて正解だった。

「――うん、それじゃ、小さな隣人の幸せに!」
「乾杯」

グラスの音が、小粋にチンとこだました。
 ・
 ・
 ・
ちなみに、

「きゅいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!感動的なのねっ!まさにハッピーエンドなのねっ!
 きゅぃぃぃぃ!ハンカチが、厚手のハンカチが欲しいのねっ!きゅい、きゅい、きゅいぃぃぃぃぃ!!」

窓の外では、野暮天な龍が、何やら泣きながらのたうちまわり、
知り合いのサラマンダーに「うるさい」と呆れられていたというのは、また別の話。
-----------
以上です。とりあえず、キリが良さそうな所で。が、まだ完結してるわけではありません。
冒頭でお伝えしましたとおり、しばらくお休みを頂きます。
とはいえ、もしかしたら、今週中に幕間劇1本ぐらいは追加するやもしれませんが。
本当に、当駄文をご愛読ありがとうございます。
また復帰しましたら、そのときはどうぞ生暖かい目でも冷たく見下す目でも結構ですので、読んでくだされば光栄です。
では、また会える日まで。
お汚し失礼いたしました。

代理投下の方、毎度ご迷惑おかけしております。どうかよろしくお願いいたします。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 01:23:05 ID:NVUYA4CX
というわけで投下終了でござる

ニア
702名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 01:25:09 ID:504Oeg0v
ご両者様、乙でござる
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 01:50:00 ID:p33SgQP5
乙乙でござる

復帰お待ちしているでござるよ
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 02:57:00 ID:6GytRNJR
ここのまとめサイトの作品をあらかた読んでしまったので、他にも面白そうなのが無いかと探してたら
レッドサン・ゼロ・メイジを見つけてしまった
すげー面白いんだけど、すでにゼロ魔でも何でもねーなありゃ・・・
705名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 02:57:46 ID:CWFWEJ8A
乙 こ、これは幻術であって乙じゃないんでござるからね!
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 04:59:06 ID:zqpVFOBd
>>704
原作の二巻相当までは、“まだ”普通に読めた。

それ以降は何が何やら……。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 05:01:28 ID:fkMB0rml
他サイトの話題を出すな反応するな
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 06:01:35 ID:R/NmNYIc
本当にお子様増えたな。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 06:28:56 ID:I/nYANRt
もうすぐ春ですね〜♪
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 07:13:35 ID:YvrOdzTh
ちょっと気取ってみませんか〜♪
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 08:34:44 ID:Q9qMA5iy
ところでふと思ったんだけど、ロボット系が召喚されると
基本的にゴーレム扱いされるけど
搭乗型ならともかく、自律型ならあの世界ではガーゴイルなのではないか
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 08:47:31 ID:+BbhZbvp
それはお前、なーんも考えずに書いてるからよ。
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 08:50:58 ID:+ltm0yFj
>>711
ラスボスではテファがネオ・グランゾンを見て「どっちなのか分からない」って描写されてたな。
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 09:11:27 ID:WuJNvxDx
あ〜る君「ゴーレムでもガーゴイルでも無いよ、アンドロイドだよ」
キュルケ「同じだ、バカモノ(すぱーん)」
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 09:13:52 ID:I/nYANRt
ロボットなら三原則に従って行動するはず
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 09:33:27 ID:XhlnuA9E
代理投下します
717代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 09:34:55 ID:XhlnuA9E
規制だって、わぁい^^

デモンズソウルやってて執筆が遅れました^p^
「敵に後ろを見せないものを、貴族と呼ぶのよ!」
と言いながら魔法攻撃(チキンプレイ)する日々が続いてます、放浪者だけど
それはともかく40話完成したので投下します。
ぶっちゃけまたまたほのぼのギャグパートっぽいのがとーぶん続きます
まぁ、原作5巻もそんな感じだしいいよね、
そんなんなった理由は腐れ谷があまりにもアレだったからです、お察しください
では投下の方、行ってみましょう、Let's Rock baby?
718名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 09:35:42 ID:37/zlesz
代理投下支援
719代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 09:36:04 ID:XhlnuA9E
「ふぅっ」
ルイズが室内に新鮮な空気を取り込むべく自室の窓を開け放つ、涼やかな風が頬をなでた。
ルイズはくるりと振り向くと、使い魔をみて言った。
「さて、明日から夏季休暇なんだけど」
「そのようだな」
脚を組みながらソファに座っている使い魔……バージルは本から視線を外さずに相槌を打った。
「せっかくだから領地に帰ろうと思うの」
「好きにしろ」
相変わらず淡白な反応しか返さない使い魔をじろりと睨みつける
「あんたも行くのよ」
「……」
気乗りしない、といった表情のバージルにルイズが再び口を開こうとしたその時、窓に大きな影が差す……
「おにいさまぁ〜〜〜!!」
その声と共に、窓から突然、長い青い髪をした素っ裸の女性が勢いよく飛び込んできた。
「なっなっ、何ごとっ!?」
突然の闖入者にルイズが目を丸くする。
変化を使ったシルフィードが窓から乱入してきたのだ。誰かに見られていたらどうするつもりなのだろうか?
だがシルフィードはそんなことはおかまいなく部屋の中へ降り立つや否や、
固まっているルイズを尻目にバージルの元へ駆け寄ると、そのまま勢いよく抱きついた。
「きゅいきゅい! おにいさま! 明日から夏季休暇なのね!」
「知っている」
顔に胸が押し当てられているにもかかわらず顔色一つ変えずににべもなく言うと、ページをめくる、
シルフィードはソファから立ち上がると、そんなバージルから本を取り上げる、
睨むように視線を上げるとそこには当然のようだが……素っ裸のシルフィードが立っていた。
「そこでシルフィは提案します、おにいさまをシルフィのおうちへご招待するのね!
二人の愛の巣なのね! すてき! きゅいきゅい!」
「こぉの雌竜! 何勝手に入ってきてんのよ!」
ようやく我に返ったルイズがシルフィードに詰め寄った、
だがシルフィードはルイズに向きなおると、ふふんと鼻で笑う
「ふっふっふ、話は聞かせてもらいました! 桃髪! さっさと実家に帰れなのね!
おにいさまはシルフィと一緒にアッツイ夏を満喫するのね!」
「なにがアッツイ夏よ! あんたの頭ん中はいっつも春じゃないの! 大体人の使い魔に手を出さないで!
ぜったいそんなことはさせないわよ! させるもんですか!!」
目の前できゃんきゃんきゅいきゅい喚く二人にバージルは眉間に皺をよせ片耳を押さえた。
すると、今度はドアがバターンと勢いよく開け放たれる、
ルイズとシルフィードが驚いてそちらへ視線をやると、そこに立っていたのはシルフィードの主人であるタバサだった。
唖然とするルイズ達をよそに、タバサは有無を言わさず
きりり、と杖を取り回して脇に引き付け、渾身のスティンガーをシルフィードに叩き込む。
「ぎゃうん!」
その華奢な体のどこにそんな力があるのかと疑いたくなるほどの強烈な一撃がシルフィードを壁まで吹っ飛ばす。
バージルから取り上げた本が空中へ投げ出される、
重力に従い落ちてきたそれをバージルは難なくキャッチすると、何事もなかったかのように再び本を開き、静かに読み始めた。
もんどりうって吹っ飛び、気を失ってしまったシルフィードにタバサはつかつかと歩み寄ると、布でその体をくるくると包み込み、
持っていたロープで手際よく簀巻きにするとずるずると外へと引っ張って行った。
「お騒がせしました」
「まったくだ」
タバサはドアの前でぺこりと頭を下げると簀巻きになったシルフィードを引きずり、ルイズの部屋から退出していった。
720代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 09:36:57 ID:XhlnuA9E
嵐のように現れ嵐のように去っていったシルフィードにルイズは大きくため息を吐く、そのとき……。
ばっさばっさと一羽のフクロウが窓から入ってきた。
「ん?」
そのフクロウはルイズの肩にとまると、羽でぺしぺしと頭を叩いた。
「なによこのフクロウ」
フクロウは書簡を咥えている。
ルイズはそれを取り上げた。
そこに押された花印に気づき、真顔に戻る。
中を改め、一枚目の紙にルイズは目を通した。
それからルイズは呟く。
「帰郷は中止よ」
「好きにしろ」
「……」
721代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 09:37:51 ID:XhlnuA9E
帰郷のために一度まとめた荷物を、ルイズは再び改めると、
先ほどフクロウが届けてきた手紙をバージルに渡した。
「これ、一応あんたも読んでおきなさい」
「なんだこれは」
「姫さまからの手紙よ」
ルイズのその言葉を聞くや否やバージルが手紙を持つ手に力を込める
「ちょっと! なに破こうとしてんのよ!」
「気に食わん」
「中身も見ずにいきなり破こうとするやつがどこにいるのよ! とにかく読みなさいよ!」
ルイズの必死の説得に渋々とバージルが手紙に目を通し始めた。
内容をかいつまむとこうだ、アルビオンは艦隊が再建されるまでまともな侵攻をあきらめ、
不正規な戦闘を仕掛けてくる可能性が非常に高い――マザリーニを筆頭に、大臣達はそう予想したらしい。
街中の暴動や反乱を扇動するような卑怯なやり口でトリステインを中から攻める……。
そんなことをされてはたまらない、そのような敵の陰謀がある可能性を危惧したアンリエッタは
治安の維持を強化する判断を下したということだ。
「あの女にしては妥当な判断だな」
バージルはそこまで読むと、もう読む気が失せたのか、ぱらりと床に手紙を投げ捨てた。
「それで? 俺になんの関係がある」
「だから! ちゃんとこの先に書いてあるでしょ!」
ルイズがあわててその手紙を拾いながらバージルを叱りつける。
「わたしは身分を隠して情報収集をしなくちゃいけないの!
なにか不穏な活動が行われていないかとか、平民達の間で流れてる噂とか調べるのよ!
わたしがやるんだからあんたも手伝うのは当然でしょ!」
ルイズが手紙の中の文字を指でなぞる、なるほど、確かにそこには
トリスタニアで宿を見つけ下宿し、身分を隠して花売りなどをしながら
平民達の間に流れる噂など、ありとあらゆる情報を集め、報告するように指示してあった。
任務に必要な経費を払い戻すための手形も同封されている。
「要は間諜か、俺がいなくても問題のない仕事のようだが」
バージルがそう言うと、ルイズは胸をツンと張る。
「と、当然じゃない! この位の仕事、わたし一人でも余裕よ!」
「そうか、では精々あの女の期待に応えられるよう任務とやらに励むんだな、俺はここで無事を祈っていてやる」
その言葉を待っていたのか、バージルはこの話はこれで終わりだ、と言わんばかりに再び本に目を通し始めた。
言葉ではああ言っているが、彼の態度を見てわかるとおり、祈る気などゼロだ。
「だぁ〜〜かぁ〜〜らぁ〜〜……! あんたも行くって言ってんでしょこの馬鹿ぁぁぁぁぁ!!!!」
ルイズはわなわなと怒りで肩を震わせ……、いつもより派手な音を立て、部屋が爆発した。
722代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 09:40:15 ID:XhlnuA9E

「暑いわね……」
ルイズが額の汗をぬぐいながら呟く。
じりじりと太陽が照りつける街道を、バージルとルイズはトリスタニア目指して歩いていた、
最初は渋っていたバージルも、結局ルイズに同行することにしたのだった、
アルビオンの背後には魔界の姿が見え隠れしている、悪魔を差し向けてくる可能性も捨てきれない。
先日あったラグドリアン湖に悪魔が発生した時のような事態が起きないとも限らない、
また、そう言った場所にはかならず魔界への手がかりがある
実際のところ、この任務はバージルにとっても有用な情報が手に入る可能性があったのだ。
「聞きたかったんだが、何故馬車を使わん」
そんなルイズとは対照的にバージルは涼しい顔をしながらルイズに尋ねる。
「だって……身分隠さなきゃいけないんだからしょうがないじゃない、今のわたし達は"一応"平民なんだから……」
「……一応聞くが、街についたらまずどうするつもりだ」
バージルがルイズを横目で見ながらなにやら含みのある声で聞く。
「まずは財務庁ね、そこで手形を金貨に換えなきゃ」
「平民はよく財務庁を利用するのか? それと……」
バージルは一旦そこで区切ると、改めてルイズをまじまじと見つめる。
「な……なによ……」
「平民が五芒星とマントの着用を許されているとは初耳だな」
「うっ!!!」
どうやらバージルの言いたいことは大体伝わったらしい、
行きは馬車で特に問題はない、トリスタニアに到着し、手形を金貨に換えてから
仕立て屋で平民に変装するなりしてから紛れ込めばいい。そう言っているのだ。
かといって今から学院に戻るには遠すぎる……。
「う! うるさいうるさい!」
痛いところを突かれたルイズは目くじらを立てながら怒鳴り散らす。
「喚くな、暑苦しい」
「誰のせいよこのばかぁぁーー!!」
723代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 09:43:30 ID:XhlnuA9E
街についた二人は、まず財務省を訪ね、手形を金貨に換えた。
新金貨六百枚、約四百エキューである。
その次に、仕立て屋に入り、ルイズが変装に使う地味な服を購入する。
ルイズは最初嫌がっていたが……五芒星とマントをつけたままでは平民の中に紛れるなど不可能だ。
地味な服を着せられたルイズは不満そうに口を開いた。
「足りないわ」
「何がだ」
「この頂いた活動費よ、四百エキューじゃ、馬を買ったらなくなっちゃうじゃないの」
「馬など不要だ、そもそも今のお前は平民だ、自分で歩け」
「平民のフリをしようがしまいが、馬がなくっちゃ満足なご奉公はできないわ」
「……」
「それにちゃんとした馬じゃないとダメね、安い馬じゃいざって言う時に役に立たないじゃないの!
馬具だって必要だわ、それに……宿だってヘンな所に泊まれないわ、
このお金じゃ二ヶ月半泊まっただけでなくなっちゃうじゃない!」
金貨六百枚が消し飛ぶ宿とは、どれだけのものなのだろうか。
「安宿でかまわん、少しは妥協しろ」
「ダメよ! 安物の部屋じゃよく眠れないわ!」
流石は大貴族のお嬢様、平民に混じっての情報収集なのにやたらと注文が多い。
「ご奉公にはお金がかかるの! 妥協なんてできないわ! あぁ、他にも……」
やいのやいのと注文をつけるルイズをバージルが睨みつける。
「お前はそんな風にして俺の金を使ったのか……」
あきらかに怒気を含んだ声にルイズが震えあがる。
「わっ……悪かったって言ってるでしょ! そ、それはあの時、あ、謝ったじゃない!」
ルイズは請求書が届いたあの日のことを思い出す。
あの時は本当にヤバかった、逃げたルイズを追ってきたバージルの背後には視界を覆い尽くさんばかりの幻影剣が浮き
目が合うや否やルイズに向かい一斉に射出してきたのだ。何の比喩もない、まさに剣の暴風雨だった。
幻影剣が容赦なく空から降り注ぐ、回避したと思ったら、今度はぐるりとルイズの周囲を取り囲み、一拍置いた後に一斉に射出される、
必死に地面を転がり回り、虚無を放ち打ち砕く、人間必死になればなんでもできる、そう実感した。
最終的には途中から加わったキュルケ、タバサ、シエスタを含む四人でバージルに謝り倒してようやく刀を納めてくれたのだった。

「お前に金を渡すとどうなるか、よくわかった」
バージルはそう言うと、ルイズが手に持っていた金貨の入った袋を取り上げた。
「なっ! なにすんのよ! 返しなさい!」
「俺も手伝わされるんだろう? 半分は俺の金だ、文句はあるまい?」
バージルがルイズを鋭く睨みつける。
「うっ……」
反論しようにも材料がない、そもそもバージルには金銭面で負い目を作ってしまっている。
バージルそう言うとはおよそ半分ほど、二百エキューほど袋から取り出すと、
残りの金貨が入った袋をルイズにぽいと投げ渡した。
「残りはお前のものだ、好きに使え、ただし、俺はお前には一切金をやらん、その金で自分の面倒は見ろ」
なんともまぁ、ケチくさい発言である。無断で私財を使われた身としては当然だが……。
「これっぽっちでどうしろっていうのよ……」
「この機会に金の使い方でも学ぶんだな」
切なそうに呟くルイズにバージルはしれと言った。
724代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 09:46:30 ID:XhlnuA9E
今も昔も、情報を仕入れるなら酒場と相場が決まっている。
珍しいバージルの助言に従い、二人は居酒屋へと足を踏み入れた。
するとルイズはその一角に設えられた賭博場を見つけた。
そこでは酔っぱらった男や、いかがわしいなりの女たちがチップをとったり取られたりの戦いを繰り広げていた。
「何を考えている」
入るなり見入っているルイズにバージルがジト目で睨みつける
「え? あ、えっと、これで増やせるかな……って、そ、そりゃ私も博打はあまり好きじゃないわよ!?
で、でもご奉公のためにお金は必要だし! ちょっとだけなら姫さまも許してくれるわ……きっと!」
呆れ果てているバージルをよそに、ルイズはおよそ五十エキュー分をチップへ換えると
くるくる回る円盤がついたテーブルへと向かう。
円盤の円周には赤と黒に色分けされた三十七個のポケットに分かれ、それぞれに数字が振られている。
その円盤の中を小さな鉄球が回る。そして円盤の周りには目の色を変えた男女がそれを食い入るように見つめていた。
ルーレットである。
ルイズは、まずは運だめしと、勝っている客と同じように赤に十エキューほどのチップを慎重に張ってみた。
玉は赤のポケットに見事入り込んだ。
「ほら見なさい! 勝ったわ!」
「偶然だ」
気を大きくしたルイズは賭ける額を少しずつ大きくしていく。
どういうわけかそのいずれもが的中しあっという間に八十エキューほど所持金を増やしていた。
「任務遂行のお金が増えたわ! さっすがわたしね! どっかのケチな使い魔とは違うのよ!」
「勝手にしろ、どうなっても知らん」
調子に乗り始めたルイズにバージルは吐き捨てるように呟くと踵を返した。
「どこに行くのよ?」
「外だ、酒臭くてかなわん」
そう言って退出していったバージルの後ろ姿を見てルイズがほくそ笑む。
「ぷぷっ、あの悔しそうな顔! みてなさい、何倍にもしてやるわ!」

三十分後……。
ルイズはがっくりと肩を落とし、恨めしげに盤面を見つめた。
彼女がさっきおいたチップが、バンカーの手でごっそりと消えていった。
ブロンドの美少女はしばらくしっとりと肩を落としていたが、やおら昂然と顔をあげる。
「次は勝つ……絶対勝てるわ!」
バージルと一緒に運が去って行ってしまったのか。
さっきまでの勝ちが嘘のように負け続けているのだ。
今までの勝ち分どころか、チップにしていなかった残りの軍資金まですっていたのだった。
「おかしいわよええ絶対おかしいわ、赤黒二分の一なのに十五回も連続で負けたわ、
というわけで次は勝てる、じゃないとおかしいわ」
鳶色の目をギラギラと輝かせルイズが呟く、もはや止める者は誰もいない。
「赤黒で当てても所詮は二倍……だったら一発数字を当てればいいのよ! 配当は三十五倍、
今までの負けを取り返すどころかおつりがくるじゃない、なぁんだ、最初からこうすればよかった!」
一人狂ったようにまくし立てていたルイズが大きく頷く。
「次こそ必ずJACKPOT(大当たり)よ!」
シューターがホイールに球を放り込もうとしている。
ルイズは一度深呼吸をすると目を閉じる。
その時、ルイズの脳裏にいつかの夢で見た、赤いコートを羽織った銀髪の男の姿がよぎった。
「あいつの弟……! 見えた! 赤の3!」
ルイズがなぜか頭に浮かんだ数字に残りのチップをあまさずベットする。
そして回転するホイールと球を、これ以上ない真剣な目で睨みつける。
赤に入り、跳ねて、今度は黒、また跳ねる……。
そしてカラコロと音をたて運命の球はポケットに入った。
入ったのは……黒(ネロ)の4……。
その結果を見届けたルイズはわなわなと体を震わせると、勢いよく立ち上がり酒場の外へと飛び出していった。
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 09:47:19 ID:37/zlesz
支援
726代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 09:49:26 ID:XhlnuA9E
「バージル!」
「終わったか、結果は聞かん、行くぞ」
酒場から飛び出してきたルイズに冷たい視線を送りながらバージルが背を向ける。
だがギャンブルの魔力に取りつかれたルイズはバージルの前に回り込み立ちはだかる。
「あに言ってるの、まだ終わってないわよ、あんたのお金が手つかずじゃない、次はかならず勝てるわ」
「……言ったはずだ、これは俺の金だ、お前にくれてやる金などない」
こうなることを予期していたのか、ルイズを要求を無視し冷たく言い放つ
「あのね? 使い魔のものは主人のもの、決まってるの、いいから渡しなさいッ!」
ルイズはそう言うと電光石火の早業でバージルの股間を蹴りあげようとした、
だが、バージルの股間目がけ放たれたルイズの蹴りは、彼の左手に握られた閻魔刀の鞘に打ち払われる。
向う脛をおもいっきり打ち抜かれたルイズはあまりの激痛に、目に涙を浮かべながら蹲り、向う脛をさすった。
「いったぁぁぁぁ〜〜〜〜〜……!! んぎゃっ!!」
トドメの一撃、こめかみに返す鞘の一撃を叩き込まれたルイズはそのまま昏倒してしまう。
「Foolish girl...」
呆れた表情で見下しながらバージルが短く呟くと、
倒れ伏したルイズの襟首を掴み、その場から引きずりながら移動した。

ルイズは暮れゆく街の中央広場の片隅にぼんやりと未だ痛む頭をさすりながら座り込んでいた。
ごぉんごぉん、とサン・レミの聖堂が夕方六時の鐘をうつ。
お腹がすいて疲れていたが、どこにも行けない。
ルイズは先ほど仕立て屋で購入した地味な作りのワンピースを身につけていた。
足には粗末な木の靴、マントと杖は鞄の中だ。
恰好だけみるとどこかの田舎娘のようだったが、やたらと高貴な顔のつくりと桃色かかったブロンドのおかげで、
お芝居の中の貧乏っ子のようにちぐはぐな感じがした。
バージルはいつもの恰好だったが……季節が季節だ、ロングコートを肩にかけており、ノースリーブ姿である。
左手にはいつものように閻魔刀が握られており、背中にはちゃんとデルフリンガーも背負っていた。
ぼそりと、ルイズがやっとことの重大さに気づいたような口調で呟いた。
「ど、どうしよう」
「知らん」
「う〜〜……」
バージルの冷徹な一言にルイズが膝を抱えてうなる。
するとルイズはなにやら言いにくそうにバージルを上目遣いで見つめながら口を開いた。
「ね、ねぇ……バージル? あの――」
「断る」
本題切り出す前にバッサリ断られルイズがずるっと肩を落とした。
「ま、まだ何も言ってないじゃない!」
「他に何がある」
バージルはこれ以上ないほど冷たい目でルイズを見る。
「呆れはてて何も言えん」
バージルもまさか自分が去って三十分もしないうちにルイズが全財産を失うとは思っていなかったようだ。
「だ、だったらあの時なんで止めなかったのよ!」
「あの時俺が止めろと言ったとしてだ……お前はやめたか?」
「うっ……」
ルイズが言葉につまる、ルイズはあの時勝ち続けていたのだ。
それ故調子にも乗っていた、仮にバージルが何か言っても聞く耳さえ持たなかっただろう。
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 09:49:46 ID:37/zlesz
支援
728代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 09:51:38 ID:XhlnuA9E
「それで? どうするつもりだ?」
「い、今考えてるの! だまってて!」
ルイズはそれだけ怒鳴るとむっとした表情で膝を抱え、その上に顎を乗せた。
今のルイズの所持金はゼロ、これではどうすることもできない、宿どころか、食事だってとることが出来ない。
姫さまに頭を下げてまたお金をもらうべきか……否、自分だけの裁量で秘密の任務をお授けになっているのだ、
公的資金は、大臣たちを通さないと使う事が出来ない、つまりあのお金は姫さまのポケットマネーだ。
そもそもそのお金を三十分ですってしまったなんてどの顔を下げて言えばいいのだろうか?
いや、まだ半分残ってはいるが、それを持っているのは誰よりも恐ろしいこの悪魔だ……。
ルイズはそう考えながら再びバージルへと視線を向ける、
その視線に気が付いているのかいないのか、バージルはいつものように腕を組み目をつむっていた。
ルイズは意を決したように立ち上がる。
「バージル! あの……宿に泊まるつもりならその……、こ、このさい安宿でもいいわ! だからわたしも一緒に――」
「却下だ」
ルイズの必死の懇願も空しく、またもや言いきる前にバッサリ却下される。
「俺はお前に一切資金の援助はしない、貸すつもりもなければ借りるつもりもない……返済はしてもらうがな。
その金で自分の面倒は見ろ、最初にそう言ったはずだ」
「わ、わたしに野宿させる気なの!?」
「それしか手段がないのであれば、そうするしかあるまい」
絶望に打ちひしがれるルイズとは裏腹に、淡々とバージルが答える。
「信じられない! 貴族であるこのわたしに!? 野宿をしろですってぇ!?」
「この状況を招いたのはどこのどいつだ」
髪を振り乱し飛びかかるルイズをバージルは適当にいなす。
次第に体力が尽きたのかぐったりとルイズが地面に横たわった。
「おなかすいた……バージルぅ……せめてパンだけでも……」
消え入りそうな声でルイズが呟いた時、ちゃりーんと誰かが銅貨を投げた。
ルイズが憤った声で立ちあがる。
「だれ! 出てきなさいよ!」
すると人込みのなかから奇妙ななりの男が現れた。
「あら……物乞いかと思ったんだけれど……」
妙な女言葉だった。
「はぁ? あんたそこになおりなさい! わたしはねぇ! 恐れ多くも公爵家――むぎゃっ!?」
そこまで言おうとした時、バージルの掌がバチーンとルイズの口元に叩き込まれた。
「こーしゃくけ?」
「聞き違いだ」
口元を押さえながらジタバタと悶絶するルイズを尻目にバージルはしれといった。
身分を隠しての任務なのにいきなり正体をバラしかけた、これ以上目立ったらお話にならない。
男は興味深そうにルイズとバージルを見ている。
随分と派手な格好だ、黒髪をオイルでなでつけ、ぴかぴかに輝かせている、
大きく胸元の開いた紫のサテン地のシャツからもじゃもじゃとした胸毛をのぞかせている。
鼻の下と見事に割れた顎に、小粋な髭を生やしていた。
「なんかものすごく痛そうにしてるけど大丈夫なのその子?
それはおいといて……、それじゃなんで地面に寝ていたの?」
「お金がなくなっちゃって……で、でも物乞いじゃないわ!」
男の問いにルイズがふらふらと立ち上がり、バージルを睨みつけながらきっぱりと答えた。
男が興味深そうにルイズの顔を見つめる。
「そう、ならうちにいらっしゃい。わたくしの名はスカロン。宿を営んでいるの、お部屋を提供するわ」
にこっと頬笑み男が言う、最高に気色悪い笑顔だったが、悪い人間ではないようだった。
「だそうだ、決めるのはお前だ」
バージルがルイズに視線を送る、するとスカロンは人差し指を立てると、再び口を開いた。
「でも条件が一つだけ、一階でお店を経営しているの、そのお店を、そこの娘さんが手伝う、これが条件。よろしくて?」
その条件にルイズは渋った顔をしたが、ここで断れば野宿決定、バージルは絶対に助けてくれないため、おとなしく頷いた。
「トレビアン」
スカロンは両手を組んで頬によせ、唇を細めてにんまりと笑った。
――チャキリ……っと鯉口を切る音が聞こえたので、ルイズが即座に閻魔刀の柄頭を押え抜刀を防ぐ。
「じゃ、決まりね、ついていらっしゃい」
ルイズとバージルの水面下のせめぎ合いを知ってか知らずか、リズムをとるようにくいっくいっと腰を動かしながら男は歩きだした。
非常に乗り気がしないが……背に腹は代えられないとルイズは尚も抜刀しようとするバージルを必死に押さえながら男の後をついて行った。
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 09:52:47 ID:qOkhSR2V
支援ラウンドトリップ
730携帯から:2009/03/24(火) 09:57:54 ID:s/EbqQjv
途中ですがさるさんになりました。
申し訳ありません。

もっと間隔開けた方がよかったのかな?

申し訳ありません。
731代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 10:02:26 ID:XhlnuA9E
「ルイズちゃん、じゃ、お仲間になる妖精さんたちにご挨拶して」
「ルルルル、ルイズです、よよ……よろしく、よろしくお願いしますです」
羞恥と怒りで顔を真っ赤にさせたルイズが、それでもひきつった笑顔を必死で浮かべながら一礼する。
ルイズたちがやってきたここ、『魅惑の妖精』亭は、一見ただの居酒屋だが、
かわいい女の子達がきわどい恰好で飲み物を運んでくるれるので、人気のお店であった。
スカロンはルイズの美貌と可憐に目をつけ、給士として連れてきたのである。
そんなわけで、ルイズもそのお店の売りであるきわどい格好をせねばならず……こうしている有様であった。
ただでさえプライドの高い貴族のルイズが、こんな格好をさせられ、
平民に頭を下げている時点でいつ暴れだしてもおかしくない状況なのだが……、
任務を果たさねばならないという強い責任感が、ルイズの怒りを抑えた。
先ほどのバージルの言葉のとおり、酒場は情報が集まる場所である、情報収集としてはうってつけだ。
これも任務、姫さまのため! と必死にルイズは自分に言い聞かせていた。
「さあ! 開店よ!」
店の隅の魔法人形たちの奏でる行進曲にスカロンは興奮した声でまくしたてる。
ばたん! と羽扉が開き、待ちかねた客たちがどっと店内になだれ込んできた。

開店と同時に給士の女の子達が忙しそうに走り回る、
そんな中、バージルは静かに店の一番奥にあるテーブルにつくと
必死に働こうとするルイズを見守るわけでもなく、腕と脚を組むとそれっきり目をつむってしまった。
さすがのバージルも"無償で"宿を提供されるとなると働かなくてはならない、
かと言って、彼が新入りの仕事の一つである皿洗いに素直に応じるかといったら……NOである。
バージルはスカロンに一泊分の代金を支払うと、客としてここに堂々と居座ったのだった。
特に注文をするわけでもなく……しばらくそうしていると、バージルの元に派手な恰好の女の子が現れた。
長い、ストレートの黒髪の持ち主の可愛らしい子である。
「ご注文をお伺いしま〜す!」
「いらん」
居酒屋に来たらなにか頼むのが道理というものであろうに、
バージルは心底鬱陶しそうな表情を浮かべると、女の子に視線すら合わせず吐き捨てる。
「そんなこといわずにさぁ、なにか頼んじゃってよ、エール? それともワイン?」
だが女の子は両手を腰に当て、にっこりとほほ笑むと、バージルの座る向かいの席に腰かけた。
「あったしー、ジェシカ。あんた、新入りの子のお兄さんなんでしょ? 名前は確か……バージルだっけ?」
「……」
ジェシカと名乗った女の子は、両肘をテーブルにつき、人懐っこい笑顔を浮かべながらバージルの顔を覗き込む。
そしてきょろきょろとあたりを見回すと、小さな声でバージルに呟いた。
「ねえねえ、ルイズと兄妹ってウソでしょ?」
「当然だ」
バージルがあっさりと否定する。
店に向かう道すがら、スカロンに二人の関係を尋ねられた時、
ルイズは身分を隠すために、とっさにバージルを自分の兄と説明したのだ、
どうみても兄妹には見えない二人の容姿だったが、
スカロンはその辺のことにはあまりこだわらず、追及もしてこなかった。
ジェシカはあまりにあっさりとバージルが否定したので、少々拍子抜けしたような様子だったが、
すぐに気を取り直すと、あははと笑った。
「そりゃそうよね、髪の色、目の色、顔の形、ぜんっぜん違うわ」
ジェシカはそこで一旦言葉を切ると、再びバージルの目を覗き込む。
「そして纏う雰囲気も」
「……」
「あんた、血と硝煙の中をたった一人で生きてきた、そんな感じがする、あの子とはまるで正反対ね」
732携帯から:2009/03/24(火) 10:05:13 ID:s/EbqQjv
試してみたら再び書き込めたので、代理投下再開します。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 10:05:53 ID:37/zlesz
正時またいだからさるリセット 支援
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 10:08:02 ID:VG64yyhA
しえんしちゃう!
735代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 10:08:03 ID:XhlnuA9E
ずけずけと鋭く切り込んでくるジェシカをバージルが睨みつける。
「貴様はここの従業員だろう? 俺のことはいい、さっさと失せろ」
「いいじゃない、本当つれないわねぇ、これもお仕事のひとつよ、それにあたしは特別だからいいのよ」
ジェシカはそう言うと、いたずらっぽい笑みを浮かべる。
「スカロンの娘だもん」
その言葉には流石のバージルも少々驚いたのか、少しだけ目を見開くと、ジェシカとスカロンを交互に見比べた。
「ま、それは置いといてね、別にいいんだよ、ここにいる子はみんなワケありなんだから、
他人の過去を詮索する奴なんかいないから、安心して」
そこまで言うと、ジェシカはバージルから視線を外さずに、ずいっと体を近づけた。
「ねえねえ、でもあたしだけにこっそり教えて? 本当はどういう関係? 何を企んでるの?」
どうやらジェシカは好奇心の塊のようだ、わくわくとした表情でバージルを見つめている。
「一つ教えておいてやる、詮索屋は早死にする、好奇心の代償を命で払いたくあるまい」
うんざりした表情でバージルはジェシカの詮索を打ち切ると、席を立ち、二階の客室へと戻って行った。

「えーでは、お疲れ様!」
店が終わったのは空が白み始めた朝方であった。
ルイズはふらふらの姿で立っていた、眠くて疲れて死にそうだ、
慣れない仕事でグッダグダになっていた。
「みんな、一生懸命働いてくれたわね、今月は色をつけておいてあげたわ!」
歓声があがり、店で働く女の子やコック達にスカロンは給金を配り始めた。
どうやら今日は給金日のようだった。
「はい、ルイズちゃん」
わたしにももらえるの! とルイズの顔が一瞬輝いた。
しかし、そこに入っていたのは一枚の紙きれだった。
「なにこれ?」
ルイズが首をかしげて呟く、スカロンの顔から笑みが消えた。
「請求書よ、ルイズちゃん、何人のお客さんを怒らせたの?」
スカロンの言葉のとおり、ルイズの給士としてのの仕事っぷりはそれは目も当てられないほどひどかった。
お客にワインをぶっかけるわ、平手を浴びせるわでクレームの嵐だったのだ。
ルイズは大きくため息をはき、肩をがっくりと落とした。
「いいのよ! 初めは誰もが失敗するの! これからがんばって働いて返してね!」

終礼も終わりルイズが与えられた部屋に案内してもらうために、
スカロンの後をついてゆく、二階へと上がり、客室のドアが並んだ廊下を歩いていると、
その中のひとつのドアが開き、中からバージルが姿を現した。
「バージ……っ! ぐっ……お、お、おお兄……さま? いままでなにをしていたの?」
怒りを抑えながら思わず出しそうになった彼の名前を必死に呑み込み、絞り出すようにルイズがお兄さま、とバージルに尋ねる。
スカロンには一応ルイズの兄だと伝えているため、お兄さまと呼ぶことにしたのだった。
どこぞの雌竜の顔が浮かんでくるが、この際そんなことは言っていられない。
バージルはそんな『お兄さま』と呼んできたルイズを気味の悪いものを見るような目で一瞥すると、スカロンに話しかけた。
「スカロン」
「何かしら?」
「部屋は自由に使っていいんだったな?」
「えぇ、もちろん宿代は払ってもらうことになるけどね」
「そうか」
バージルは短く頷くと、何かを考える様に目をつむる、
今は手持ちがあるとはいえ、誰かのせいで全財産を失ってしまった今、もう一度金を稼ぐ必要がある。
立ち去る間際、働くルイズのことを見たが、あのザマだ、返済は一切期待はできないと考えていいだろう。
どうせ一ヶ月以上ここで足止めされてしまうのだ、今のうちに自力で稼げるだけ稼いでおくべきだ。
そう考えていたバージルは、スカロンと何やら交渉を始めた、
それを聞いていたスカロンは少々驚いた顔をしたが……やがて了承したのか「おもしろそうね」と快く頷いた。
「礼を言う、ではこの部屋を使わせてもらうとしよう」
話し終えたバージルは、小さく頷くと踵を返し、部屋の中へ戻って行く。
「ちょ、ちょっとまってよ! わたしもこの部屋じゃないの!? あんた……いえ、お兄さまがここならわたしも――」
蚊帳の外に置かれたルイズがバージルの後に続き、部屋の中に入ろうとした。
だがバージルはそこで止まると、廊下の奥の突きあたりを指差した。
「何を言っている、お前に与えられる部屋は向こうだ」
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 10:09:58 ID:37/zlesz
支援
737代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 10:12:43 ID:XhlnuA9E
ルイズに与えられた部屋は、二階の廊下の突き当たりの梯子を使って上がる、屋根裏部屋であった。
埃っぽく薄暗い、どうみても人が暮らすための部屋ではなく、物置として使われているようだった。
壊れたタンスに椅子、酒瓶の入った木のケース、樽……雑多に物が積み上げられている。
粗末な木のベッドが一つ、置いてあった、ルイズが座ると、足が折れてズドンと傾いた。
「なによこれ!」
「随分快適そうなベッドだな」
一緒に入ってきたバージルが皮肉っぽく言いながら、蜘蛛の巣を払う。
「貴族のわたしをこんなとこに寝させる気!?」
「雨風をしのげるだけマシと思え」
怒鳴るルイズとは裏腹にバージルはそれだけ言うと、出入口である梯子に向かい歩きだした。
「ちょちょちょちょちょっと! まちなさいよ! なんで主人のわたしがこんな場所で! あんたがあんなにいい部屋なのよ!」
「無一文のお前とは違って俺は金を払っている、文句を言われる筋合いはない」
ルイズが必死になってバージルを引きとめる、こんなところで一人で寝なくちゃならないなんて冗談じゃない!
「あんたの部屋にわたしを泊めなさいよ! さっき中を少し見たけど、ベッド二つあったじゃない!」
「ベッドは二つとも片づける、あの部屋には必要ない、スペースがなくなる」
バージルのその言葉にルイズが首をかしげた。
「どういうこと? 片付けるって」
「改装だ、あのままではまともに使うことはできん」
「部屋を改装って……そう言えばさっき何か交渉していたみたいだけど、一体なにをしようとしているの?」
「この状況、俺にとっては少々不本意だが……、仕方あるまい、ここで通用するかはわからんが、
昔、少しの間だがやっていた稼業を再び始める、さっきの通り、スカロンの許可は取った」
「昔やっていた稼業? そういえばあんた、昔はなにをやっていたの?」
バージルが振り向き、ルイズの問いに短く答える。
「便利屋だ」


これにて第40話は終わりであります
魅惑の妖精亭編改め便利屋編スタート
ルイズは下の酒場、バージルは便利屋って感じで
いやね、本編に関係のない思いつきの外伝的なネタがそこそこの数あるから、どうせなら本編にからめてやっちまおうと
六巻は兎も角、七巻八巻あたりのネタが不十分なんで時間稼ぎの意味合いもあったりなかったり……【苦しいです、評価してください】
では次の投下にお会いしましょう、

代理投下のお方、お手数おかけしますが、よろしくお願いします(´Д⊂
738代理:蒼い使い魔 第40話:2009/03/24(火) 10:15:58 ID:XhlnuA9E
以上で代理投下終了です。
途中でさるさんにかかっちゃうし慣れない事するとダメだなぁ…
そんな中支援してくれたみなさん、ありがとうございました。
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 10:17:49 ID:37/zlesz
蒼の人&代理の人 乙〜
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 10:39:29 ID:VD3mJncG
皆様お疲れ様

しかしラスボスの人の作品を呼んで思ったのです
「アンリエッタはビッチなんかじゃない、ごく普通の女の子なのだ」と
あの年頃で色恋に迷って暴走する、というのはよくある話
古来より言うでしょう「人は初恋をした時は、『これが最後の恋』と思うものだ」と
しかしまあ立場というか生まれが彼女に普通を許さなかった、のは確かなのですが
まあぶっちゃけ王族足りえぬ良くも悪くも(どっちかってと「悪くも」の度合いが多い)
「普通の女の子」でしかなかったのは彼女にも周囲にも不幸だった、と
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 10:51:43 ID:G2lnodwY
正気なのに親友殺しかけた時点で普通じゃないよ
あいつら実際親友じゃなくね?って言われたら納得できるが
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 10:51:52 ID:CWFWEJ8A
アンアンの場合、母ちゃんが更にダメだったんじゃね?
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 10:54:13 ID:G2lnodwY
あの母ちゃんと比べたら立派な子に育ったとは言えるな
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 10:59:04 ID:VD3mJncG
「愛のために親友にすら杖を向けるアタシってチョー可哀相」と
酔うのもまたあの年頃の特権
「あたしの愛の逃避行の邪魔しないでよ」とビンタするようなもんでは?
まあ実際に殺す事が出来る能力あった上にマヂで振るったのはいろいろ問題だが
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 11:06:44 ID:G2lnodwY
ビンタどころか発砲したのと同じだからなぁ
銃刀法違反の感覚を除いたとしても流石に問題すぎる
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 11:17:47 ID:RXNVpTtS
人間は爪や牙を持たないから攻撃抑止本能が弱いくせに銃とか一瞬で殺せる武器を作っちゃったから、ついやっちゃうことがあるって昔の生物学者さんが言ってた

魔法の危険性に自覚のないメイジは杖を持つべきじゃないなwそんな法律はないみたいだが歴史上に何もなかったとは思えんw
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 11:21:17 ID:e+29uy8N
あの母は他のどの母にも劣るとしか思えんぐらい見せ場がないな
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 11:35:16 ID:C/QHXBFc
サイトの母でさえ、具体的な描写は数えるほどなのに、すげー印象的だったw
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 11:39:08 ID:jaQRkeT5
>>746
まぁリアルでもついウッカリやっちゃったってのは、日常茶飯事だしな。
>>748
サイトのかーちゃんには泣かされたなぁ。
特にあのメール。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 11:52:39 ID:C/QHXBFc
なんか、このままいくと。久々に100行きそうだなぁ
751750:2009/03/24(火) 11:54:48 ID:C/QHXBFc
100じゃねぇw 1000だw
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:09:56 ID:RXNVpTtS
ハルキゲニアと間違える人を見て村上春樹風ゼロの使い魔が見たくなった
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:18:12 ID:KvbpyLLp
ルイズとアンアンの関係は親友ごっこだと思うなぁ。結局上下関係があるようにしか見えんし。
女子の友情は信用できん。
投下予約なければ、5分後に投下しますね。
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:23:32 ID:NVUYA4CX
>>752
村上違いで文体とパスの精度をクロス先にすれば、ルイズが旅人を召喚!
そして流れ的に龍さんのメールで>>749が泣かされる!
48.トリニティ

「ほう……なるほど。大体分かった」

アニエスはシエスタの話を聞き終わり、ふんふんと頷いた。
シエスタは色々とぼかしながら話したが、
アニエスはそれらを細かく聞こうとはしなかった。
盗賊家業なのだ。漏らしてはならない情報も色々あることは、
誰だって考えがつく。

「お前が最近話題に事欠かない盗賊一味の一人で、
『よきしるし』を持つ者を二人知っているということだな」

よきしるしとは何か、シエスタはそれが何か分からない。
きょとんとした顔でアニエスを見ていると、
ああ、と合点がいったらしくアニエスは説明を始めた。

「よきしるしとは、はるか昔に始祖ブリミルがお作りになられた3つのルーンの事だ。
 だが、ロマリアの者達は滅ぼされた邪神まで……」

またシエスタはちんぷんかんぷんですと顔で表現する。
あのオルゴールの歌の内容はティファニアから聞いたが、
それがどのような存在なのか、彼女は知らないのだ。

「あのー……邪神とは、何でしょうか?」

ああ、そうだった。とアニエスはため息をついた。

「初めから話そう。そのほうが分かりやすい」

長い、長い話が始まろうとしている。どちらかといえば眠くなる類の話だ。

「はるか昔、この地はロルカーンと呼ばれる神によって創られた。
 そしてその神は様々な生き物を生み出したのだ。
 その中に人間もいた。魔法が使える『マギ』と呼ばれる人々と、
 魔法が使えない代わりに力が強く繁殖力が高い『ヴァリヤーグ』と呼ばれる人々だ」

だから今もメイジよりも平民の方が多いのか、とシエスタは話を聞きながら頷く。

「それからしばらくして、ロルカーンと同じ世界で生まれた生き物もこの世に現れはじめた。
エルフや翼手、そしてオルシマー。今ではオーク鬼やオグル鬼と呼ばれ、
それごとの体格もまるで違うが、当時はエルフの一種で美しい姿であったそうだ」

はぁ、とシエスタはあの化け物のどこら辺がエルフなのかを考えるが、
答えは出なかった。

「それからしばらくの間平和な時が流れるが、
 ロルカーンは何を思ったか様々な厄災を招き、
 生きとし生けるもの全てを滅ぼそうとした。ゆえにロルカーンは邪神となり、
それを倒し世界をお救いになられたのが始祖ブリミルと、
『よきしるし』を持つ3つの従者だ」

シエスタは形だけ感嘆の声をあげる。
「後に始祖はよきしるしの一つであるガンダールブを授かりしエルフの乙女、
 サーシャと結ばれる。そしてその偉大なる血統は今も王家に受け継がれているのだ。
色々と省いたが、だいたいこんなものだな」

ぱちぱちとシエスタは手を叩く。
アニエスは少し照れたらしく、顔を赤くした。
コホンと咳を一つして、アニエスは続ける。

「さっきの話に戻ろう。古い文献に残っている四の使い魔は、
 大昔にブリミル教を名乗る連中によってねつ造された物だ。
 ロマリアの神学者共はそれを正しい物と認識している。
 邪神を良きしるしに加えているのだ。ルーンも残っていないのに何故信用出来るのだろうな?」

アニエスは毒づき、シエスタはへぇ、と頷いている。
元々ただの平民であるシエスタは、そこまで神学に詳しくもない。
話は終わりらしく、アニエスは腕を組みシエスタを見ている。
シエスタは軽く手をあげた。

「なんだ?」
「さっき、ガンダールブのサーシャの事を『聖母』って呼んでましたよね?」

ああ、とアニエスはハイランダーの信仰対象について話し始める。

「そもそも、ロマリアの連中は神とその代弁者である始祖を崇めているが、
 それ自体が間違いなのだ。我らは神を倒したからこそ今を生きることができる。
 だから神を信仰しない。始祖ブリミルとその子である王家、そして子を産みしサーシャ。
 この3つを同等に信仰するのが我々の教義だ」

アズラは神様にカウントしないのか。違いってなんなのだろうか。
シエスタにはあまり分からなかった。

「なら、精霊はどんな立ち位置なんでしょうか?」
「お前達とそこまで変わらないさ。侵してはならぬ領域にお住まいになられている、聖なる存在だよ」

ブリミル教は神と始祖を奉るが、精霊をないがしろにするわけではない。
教義としては、神や始祖の次に大事にされる存在である。
もっとも、その気まぐれっぷりから平民達には嫌われているようだ。
まだ何かあるか?とアニエスは聞き、シエスタは質問を続ける。

「やっぱり、レコン・キスタのやり方には異議があったりとか?」

瞬間、くわっとアニエスの目が開く。額にしわを寄せ、怒りのままにまくし立てる。
シエスタは禁止単語を言ってしまったらしかった。

「当然だ!『聖地』の武力による奪還。その上王家を倒すなどあってはならんことだ!
 当然、私も王党派に馳せ参じ戦った。ウェールズ王子の命で傭兵は脱出船の警備に回されて、
 結局私は死にきれず、今も生きている」

立派なお方だった。とアニエスはありし日のウェールズを思い出す。
信仰もあって本来より140%くらい美化されているが、気にしてはいけない。

「勇敢で聡明で……あのお方が王になられたら、国は良くなっていただろう」

実は生きてます。とは言えないシエスタは、はてと疑問を感じた。

「ハイランダーは戦いに参加していたんですか?」
アニエスの話を信じるなら、王家の為に彼らは戦うはずなのだが、
そんな話をシエスタは噂でも聞いた事が無かった。
アニエスはゆっくりとうつむいて手を組む。
その仕草は怒りが込められていると共にどこか諦めを漂わせていて、
一言で表すなら、あいつらきらいとでも言いたいらしかった。

「ハイランダーに、一度会いに行ったことがある。
 排他的で、狂信的で、ブリミル教に染まった王家を崇拝対象として見ていなかった」

ハイランドの住民の一部がダングルテールに降りた理由は宗教観の違いである。
王家を崇めるか否かで揉めた結果、100年以上前に王家を崇める一派がアルビオンを降りたのだ。
その事を知らなかったアニエスはハイランドに行った時に理解したが、シエスタはそれを知るよしも無い。

「だから連中は戦いに参加していない」

とりあえず、一つの宗教にも色々と派閥があって問題もあるのだということは、
シエスタも理解できた。

「ところで……お前は盗賊ギルドの一員だったな」

頼みたい事があるとアニエスは告げる。シエスタは情報をもらったので、
その代価で働くことは当然だろうと引き受けることにした。

「ダングルテールの事件についての資料を、王宮から盗み出してはくれないか?」

アニエスは何がしたいのか。シエスタはその目をじっくりと見る。
好機が巡ってきた人間の目であった。そしてその好機は自身であり、
さらにいえば、自身がもたらす情報である。
アニエスは頷き、実はもう盗ってきてますと返す。

「そうか……なら、教えてくれるか?」

あれの主犯を。シエスタは出がけに聞いたリッシュモンの名を口にする。

「すまないが、奴が出来る限り少数か、もしくは従者を連れずにいる時間帯を調べてくれないか?」

アニエスが何をしたいのか、シエスタは理解した。
本来盗賊ギルドの方針からして人殺しの片棒を担ぐわけにはいかないが、
彼女は違う。曾祖父からの教えで、悪党を倒すのは使命だと考えている。
そしてリッシュモンの悪名は、シエスタも多少は耳にしていた。
ただ、証拠と呼べる物が無かったのだ。

「一週間以上かかりますけど、構わないですか?」
「恩賞として、それなりに金貨を頂戴している。しばらくは働かずとも食っていけるさ」

学院にお手紙を書かないと、シエスタは何か理由を作って学院をもうしばらく休むことにした。

「では、13日後にまたここで」

シエスタが武器屋から去る。アニエスは心地よい気分でそれを眺める。
顔は自然に微笑みが浮かび、思わず笑いたくなっている。
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:29:29 ID:NVUYA4CX
支援
「なぁ、アニエス」

ずっと黙っていた武器屋のおやじが口を開いた。

「復讐なぞ、したところで……」
「それがなければ、復讐を思う心がなければ、わたしはとうの昔に死んでいました」

おやじは腕を組み、むっとした、しかしどこか悲しげな顔でアニエスを見る。
ようやく果たすことが出来る。アニエスは、残りの人生を全てそれだけに捧げる気なのだということを、
おやじは、理解できていなかった。


オスマン学院長は王宮から届けられた一冊の本を見つめながら、ぼんやりとひげをひねっていた。
今朝の会議で正式に美女ガーゴイルの購入が否決された事もあって、
その姿は哀愁が漂っている。水パイプを吸う気力も起きないらしい。
あんなことやこんなことをさせるつもりだったのに、とコルベールを恨めしく見たが、
結果は変わらなかった。むしろ評価が下がった。

ふむ……と無気力な仕草でオスマン学院長はページをめくる。
どこまでめくっても、その本は真っ白である。

「懐かしいのう。あの頃の思い出はもはや悠久のかなた……。
 しかしこんな事になってしまうとは、隠居もなかなかうまくいかんもんじゃな。
シェオゴラスは元気かのう。サングインは今も会いに行った時と変わらんじゃろうが」

学院長は、緩やかな笑みを浮かべてその本を眺める。
そして何も書かれていない始祖の祈祷書を、ていねいに閉じた。

「しかし、これから何が起こっても、それをどうにかするのはわしや古の英霊でなく、
 今を生きる「存在」でないとの。マーティン君やヴァリエール嬢が、
 その役を担う器になれば良いのじゃが……」

そう呟いたとき、ノックの音がした。綺麗なガーゴイルのネーチャンがいれば、
こんな事しなくて良いのに、と思いながら来室を促した。

「鍵はかかっておらぬ。入ってきなさい」

扉が開いて、一人のスレンダーな少女が入ってきた。
桃色がかったブロンドにも、人によってはただのピンクの髪に見え、
大粒のとび色の瞳、ルイズであった。

「わたくしをお呼びと聞いたものですから……」

学院長は立ち上がり、この小さな、いずれは英雄になるであろう来訪者を歓迎した。
そして、改めて、先日のルイズの労をねぎらった。

「おお、ミス・ヴァリエール。旅の疲れはいやせたかな?思い返すだけでつらかろう。
 婚約者に裏切られ、戦場という死の淵をのぞき込んだのじゃからな。
 だがしかし、おぬしたちの活躍で同盟が無事締結され、トリステインの危機は去ったのじゃ」

優しい声で学院長は言った。

「そして、来月にはゲルマニアで、無事王女と、ゲルマニア皇帝との結婚式が執り行われることが決定した。
 きみたちのおかげじゃ。胸を張りなさい」
それを聞いて、ルイズはちょっとどうかと思った。幼馴染みのアンリエッタに恋をするウェールズは、
アンリエッタの二号さんになってしまうからだ。同盟のためにはしかたがないとはいえ、
ルイズはウェールズのやけ酒とそれから続く一連の騒動を思い出すと、
いや、これでいいかと思い直す。どっちともアレっぷりがひどいのだ。
多分、ゲルマニアで仲良くすることでしょうと納得して、
ルイズは黙って頭を下げた。当然、自分は正常だと考えて。

学院長はうんうんと頷いて手に持った『始祖の祈祷書』をルイズに差し出した。

「トリステイン王家の伝統で、王族の結婚式の際に選ばれた巫女はこの『始祖の祈祷書』を手に、
 式の詔を詠みあげる習わしがあるのは知っておるかね?」

「は、はぁ」

ルイズはそこまで宮中の作法に詳しくはなかったので、気のない返事をした。

「姫は、その巫女に、ミス・ヴァリエール、そなたを指名したのじゃ」
「姫さまが?」
「その通りじゃ。そして巫女は肌身離さずこれを持ち歩き、詠みあげる詔を考えねばならぬ」
「えええ!詔を私が考えるんですか!」

「そうじゃ。もちろん、草案は宮中の連中が推敲するじゃろうが……伝統というのは、
 面倒なもんじゃのう。だがな、これは大変に名誉なことじゃぞ。王族の式に立ち会い、
 詔を詠みあげるなど、一生に一度あるかないかじゃからな」

アンリエッタは、幼い頃、共に過ごした自分を式の巫女役に選んでくれた……くれたのだろうか。
少し疑問が浮かぶが、ルイズはその疑問を叩き割った。アンリエッタは友人であり、
友人が大事な儀式の際に自分を頼ってくれたのだ。無下にするなど出来るはずがない。ルイズはきっと顔をあげた。

「わかりました。謹んで拝命いたします」

ルイズは学院長の手から『始祖の祈祷書』を受け取った。オスマンは目を細めて、ルイズを見つめた。

「快く引き受けてくれるか。よかったよかった。姫も喜ぶじゃろうて」

ルイズが退出して後、オスマンは背伸びをしてから立ち上がる。
水パイプを吸い、ぷはと息をはく。

「これから何が起こるか。誰が何を起こすのか……。
 まーわしはただ眺めるだけじゃて。見つかったらめんどうだしの」

感慨深げに、魔法使いは水パイプの煙をたゆたわせるのであった。

投下終了。支援ありがとうございました。
少し間が開きました。キャラクターはどう動くか動かすか。考えるのは難しいけれど、
楽しくもあります。では、また次の投下まで。
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:31:32 ID:NVUYA4CX
支援
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:35:02 ID:NVUYA4CX
乙です
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:49:20 ID:NVUYA4CX
50分から「重攻の使い魔 第13話『死を食らう者』」の代理投下をするでござる の巻
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:50:16 ID:NVUYA4CX
 丸一日かけて、ギーシュ・キュルケ・タバサの三人はラ・ロシェールへと到着した。桟橋に係留された
イーグル号とマリーガラント号から避難民がぞろぞろと下船していく。命からがらアルビオンを脱出した
彼らの表情は優れない。これから先、親戚筋を頼るのか、それとも流浪の民となるのか、保証のない未来
がいやがおうにも圧し掛かってくるのだ。彼らの憂鬱ももっともだった。
 桟橋を下り、宿屋街にやってきたギーシュ達は顔を突き合わせて難しい表情をしていた。

「子爵からここでしばらく待っているように言われたけど、どうしようか。
とにかく帰ってきた以上、僕は姫殿下に報告に行かなくちゃいけないんだけど……」
「あたし達がここで待ってるわ。二日待ってルイズ達が帰ってこなかったらあたしたちも学院に戻るわ。
……ルイズ、ライデンもいるし、きっと大丈夫よね……」
「うん……、だといいけど」

 ギーシュとキュルケが落ち込んだ顔を見せる間も、タバサは特に表情を変えることはなかった。キュルケ
はもとより、ギーシュもこの旅でこの青髪の少女が徹底した鉄面皮だということがよく分かったので、別段
咎めることもしない。
 トリスタニアの王宮へ報告に行く為、ギーシュは早速早馬の手配をする。使い魔のヴェルダンデには地面
を掘って学院に戻っているように指示してある。先日反乱軍の手先と思われる賊に襲われたラ・ロシェール
の玄関口で、ギーシュは二人の少女に見送られていた。

「それじゃあ、頼むよ」
「ええ、まかせて。ルイズが帰ってきたら引っ叩いてやるんだから」

 キュルケの言葉に、ギーシュは苦笑すると手綱を引いて首都トリスタニアへと出発した。遠ざかっていく
ギーシュの後姿を眺めながら、キュルケは憂鬱な溜息を付いた。ライデンがいる以上、ルイズはワルドの
グリフォンで帰還するという手段は取るまい。あれ程の巨体を乗せては、いかにグリフォンといえど滑空する
ことすら危ういだろう。しかしイーグル号から飛び立ったことも思い返し、あのライデンならば主人を守り
つつ、アルビオンからラ・ロシェールまで飛行できるかもしれない。キュルケは出来るだけ楽観的な思考を
するように務める。そうでもしなければルイズの生存を信じることができないのだ。

「とにかく宿を取らなきゃね。行きましょタバサ」

 青髪の少女はこくりと頷くと、キュルケの後について歩き出す。




 トリステイン首都トリスタニアの大通りブルドンネ街の突き当たりにある王宮のとある一室にて、一人の
少女が窓から飛び込んでくる風景を目に、溜息を付いていた。

「ルイズが出発して一週間……、無事かしら。ああ……、ウェールズ様……」
766重攻の使い魔 第13話『死を食らう者』:2009/03/24(火) 12:51:49 ID:NVUYA4CX
 今頃は反乱軍による総攻撃が行われているに違いない。もしかしたら、既に王党派が殲滅されているのかも
しれない。アンリエッタは胸を締め付けられる思いであった。そのような危険な場所に、かつての親友を送り
込んだのは他ならない自分である。だが、もしもルイズがあの手紙を皇太子へと届けてくれたら、もしかすれ
ば……。皇太子が頷いてくれるかは分からなかったが、それでも微かな可能性に縋りつきたかった。
 その時、アンリエッタの私室の扉が叩かれる。枢機卿のマザリーニがやってきたようだった。入るように言
うと、世間で鳥の骨と揶揄される老人が、年を感じさせない矍鑠とした動きで入室した。

「殿下、ご報告せねばならないことがございます」
「……なんでしょう」

 アンリエッタはアルビオン王家が倒れた告げられることを覚悟していた。そしてますますゲルマニアとの
同盟が重要になってくることも。それでも、自分の口から告げたのでは、それが間違いのない真実になって
しまいそうな気がして、とぼける以外にできなかった。
 しかし、目の前の枢機卿の口から告げられた言葉は、彼女が予想していた全ての予想を裏切っていた。

「昨今、革命などと称してアルビオン王家を倒すという愚行を続けていた反乱軍『レコン・キスタ』ですが、
つい先日壊滅したとの報告が上がってきたのです」
「……なんですって?」
「今朝飛竜に乗った間諜が到着したのです。彼によれば、反乱軍は正体不明の強力な魔法攻撃によって一日
にして潰走したとのことです。現在は情報が錯綜しており、正確な事実の確認には今しばらく時間がかかる
ようですが」

 アンリエッタは混乱していた。一週間前、もはやアルビオン王家は風前の灯だったはずだ。比較にならない
ほど開いていた彼我戦力差、その反乱軍を倒したとすれば王党派以外にあるまい。志井の人々からすれば国家
の頭が変わろうと生活に大差はない。傭兵もその時優位に立っている側へと付くだろう。ならば、一体何物が
反乱軍を滅ぼしたというのか。

「ちょ、ちょっと待ってください。反乱軍が敗れたというのは間違いない事実なのですか? 
ならばアルビオン王家はどうなったの?」
「アルビオン王家に関する情報は入ってきてはおりませぬ。ただ、反乱軍が壊滅した、というのは事実である
ようですな。なんでも拠点と睨まれていたロサイスまでも徹底的に破壊されていたとか」

 枢機卿の言葉に、アンリエッタは言葉を失った。アルビオン最大の軍港であり造船都市であったロサイス、
そこに置かれていた反乱軍の戦力は、軍艦・兵士共に膨大なものであったはずだ。それを破壊したとはどういう
ことなのか。追い詰められたアルビオン王軍に、反乱軍の本拠地を襲撃する戦力が残っていたとは到底思えない。
しかも、完全に破壊してしまうなど、人間による所業ではない。

「殿下のご困惑は私としてもよく分かります。今朝この報告を受けた時、私も面食らいましたからな。
窮鼠猫を噛むというには余りに現実離れしていると申し上げる他ありませぬ」

 今まで王軍は反乱軍に対して、常に劣勢を強いられてきた。傭兵の反乱軍への寝返りなどの結果として、亡国
の危機に瀕していたのだ。王軍がどれほど奮戦しようと、その流れを変えることは不可能だった。そして最近に
なって何らかの変化をもたらす要因があるとすれば、それは。
767重攻の使い魔 第13話『死を食らう者』:2009/03/24(火) 12:53:22 ID:NVUYA4CX
「……あなたなの? ルイズ……」

 その呟きが、枢機卿の耳に届くことはなかった。




 ラ・ロシェールのそれなりの宿に宿泊して二日目。キュルケは歯噛みしていた。

「ルイズ……。どうして帰ってこないのよ……」

 一応の期限として決めていた期日がやってきてしまったが、未だ桟橋にルイズの桃色がかった金髪を見つける
ことは出来なかった。タバサと共に桟橋の乗降客が通過する受付にて、朝から晩まで交代で見張り続けていた為、
心労と身体的な疲労が溜まっていた。タバサの表情は余り変わらないが、それでも少しばかり疲労の色を見せていた。

「今日帰ってこなかったら、いい加減出発しなきゃね……」

 キュルケはアルビオンからやってくる定期船を見つけては、降りてくる乗客に桃色髪の少女を見かけなかったか
と尋ねたが、一向に肯定の答えが返ってくることはなかった。
 本日何度目かの溜息と共に、キュルケが肩を落としていると、傭兵と思わしき男達ががやがやと騒ぎながら下船
してきた。

「……っかしよ。信じられるか? 神の雷なんてよ」
「でもよ、あいつ物凄い顔で逃げてきたんだぜ。神の怒りに触れちまったとか何とか叫びながらな」
「まあ俺達からすれば、貰う金貰ったんだから、ばっくれるのは願ったり叶ったりなんだがな」
「革命軍が負けたってのは本当かねぇ」

 粗野な男達の会話を横耳で聞いていたキュルケは、一人の言葉に耳を引きつけられた。革命軍、つまり反乱軍
が負けたというのはどういうことなのか。

「ねえ、あなたたち。そのお話詳しく聞かせて頂けないかしら?」
「あん?」

 突然の質問に、男達は若干うっとうしそうな顔をして振り向く。しかし、豊満な体を持ったキュルケの姿を
見ると、途端に下卑た態度になる。

「へへ、他人に物を頼むんなら相応の対価ってのがいるよなぁ」

 男達はキュルケの体を嘗め回すように眺める。そんな女性として危機的な状況に置かれているにも拘らず、
キュルケは落ち着き払っていた。胸の谷間から小さな杖を取り出すと、呪文を唱える。男達の髪が一斉に燃え始める。

「ぎゃぁぁあ! あちぃぃぃぃ!!」
「私は『微熱』のキュルケ、以後お見知りおきを。それで、さっきのあなたたちのお話、聞かせて頂ける?」
「ははは、はいっ、話させて頂きますぅっ!」
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:54:33 ID:wiS1gO8x
しえん
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:55:02 ID:NVUYA4CX
 髪を燃やされ縮れ髪となってしまった男達は、情けなくキュルケの前に跪くと、自分達が聞いた話を説明し始める。
 なんでも王党派殲滅作戦に投入された戦力は、ほとんど完膚なきまでに葬られた。威容を誇っていた革命軍艦隊
旗艦を始めとした10隻以上の軍艦も沈められた。数少ない生残りの主張によれば、遥か彼方から光の剣が伸びてきた。
それは一瞬にして地上戦力を焼き払った。また、別の生存者は、アルビオン最大の造船所であり軍港であるロサイス
が、天空から降りてきた閃光と強烈な魔法によって、瞬く間に瓦礫の山に変えられた。その彼らが言うには、始祖
ブリミルの血を引くアルビオン王家を倒すという愚行に怒った始祖が、不信心者を神の雷によって裁いた、という
ことらしい。
 キュルケは余りに突飛な話に眉をひそめる。

「それで、反乱軍……革命軍が負けたって言うのね? 革命軍にいたあなたたちは何でここにいるの?」
「へ、へぇ。俺達としちゃあ、金さえ貰えれば命を賭けるつもりもねぇもんで……へへ」

 その誇りも何もない傭兵達の姿に軽蔑の目を向けると、キュルケは男達にもう行っていいと手で追いやる。
男達は卑屈な態度で頭をぺこぺこと下げながら、そそくさと桟橋から立ち去っていった。
 一通り話を聞いたキュルケは、受付近くに置いてあるテーブルに腰掛けているタバサの元へ向かう。

「どう思うタバサ? こんな話あると思う?」
「あなたは私に聞くまでもなく、自分なりの結論を出しているはず」

 無口な友人の言葉に、キュルケは詰まる。仮に彼らの話が事実だとして、それが行える可能性を持つ存在といえば
一つしか思い浮かばなかった。

「やっぱりライデンなのかしら……。でも幾らライデンが強力な魔法を使えるっていっても、これは異常よ。
ありえないわ。それに一回スクウェアにやられちゃってるし……」
「彼女の使い魔は本調子でなかったのかもしれない。もしくは不意を突かれただけかもしれない。少なくとも王軍
にスクウェアが一人加わった所であの戦局を変えられるとは思えない。アルビオンに残って何らかの変化をもたら
せる者がいるとすれば彼女の使い魔くらいしかいないと思う」
「でも、もしかしたら反乱軍の中で内乱が起きたのかもしれないじゃない。それなら……」
「話を聞く限り人間の仕業とは思えない。どんなに強力なメイジが集まっても、たった一日で戦局を覆せるはずがない」

 実際、ライデンは一度は膝をついたものの、一日半の時間を置いて再び立ち上がった。少なくとも外見上に
損傷はなく、さして時間を置かずに主人であるルイズを探しにアルビオンへ飛び立ってしまった。ここ、
ラ・ロシェールで見せた強大な力があるならば、もしかすれば奇跡を起こせるかもしれない。しかしそれは全て
楽観的な推測であり、確たる証拠は何もなかった。
 タバサは読んでいた本を閉じて、目の前に座る友人を見据える。

「あのゴーレムは、先住の魔法によって作られた可能性がある」
「先住って……、エルフがライデンを作ったって言うの?」

 その言葉にタバサは頷く。

「あくまで可能性。でも四系統どの属性にも属していない、詠唱なしで行使される魔法なんて、
先住以外に聞いたことがない」
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 12:55:04 ID:37/zlesz
支援
さっきも言ったけど XX:00 毎にさるがリセットされるよ
771重攻の使い魔 第13話『死を食らう者』:2009/03/24(火) 13:00:12 ID:NVUYA4CX
 タバサの意見を聞いて、キュルケは考えた。確かに魔法を使うゴーレム自体が前代未聞である。どちらかと
いえばライデンはガーゴイルに分類されるのかもしれないが、何にせよそれらの人形は道具を使うことは出来
ても魔法を使うことは出来ない。しかも、行使される魔法が四系統に属していないとなれば、先住魔法の可能性
は大いにある。
 そこまで考えた所で、キュルケはあることを思い出した。

「ねぇタバサ。もしかしたら五つ目の系統の虚無って可能性もあるんじゃない?」
「それは伝説上の系統。現実にあるとは思えない」
「まぁ、確かにね。伝説、か……」

 キュルケはライデンの行使した魔法を思い返す。強烈な爆発を伴った光弾、瞬時にして周囲を瓦礫に変えて
しまう不思議な円盤。伝説と呼ばれても不思議ではない。ルイズもよく失敗して爆発させていた、とつい二週間
ほど前の授業を回想していると、ある共通点に気が付いた。考えてみれば、主人であるルイズも爆発を伴う魔法
を使うと言えなくもない。ならば、ルイズは先住、もしくは虚無の系統なのではないか。

「なんてね」

 キュルケの独り言に、タバサが首を捻る。馬鹿馬鹿しい。ルイズがそんな大それたメイジであるはずがない。
落ち零れだからこそ、何となく放っておけないのだ。伝説だの先住だの使えるのならば、そんな評価をされる
わけがないではないか。
 とにかく、今日の夕方までにルイズが姿を現さなければ、学院に一旦戻らなければならない。事実、これ以上
この戦争に首を突っ込むのは、生徒である彼女達にとっては荷が重すぎた。所詮、子供に出来ることは限られている。
 早く帰ってきなさい、とキュルケは呟いた。タバサはその呟きを聞いていたが、表情一つ変えることはなかった。




 早馬を飛ばして丸二日、ギーシュはようやく首都トリスタニアに到着した。何やら街が騒がしいが、アンリエッタ
の任務の報告をしようと急いでいるギーシュの耳には、それらの雑音は入ってこなかった。
 王宮へと繋がる門をくぐろうとした所で当直であろう魔法衛士隊の隊員に呼び止められた。

「待ちたまえ。氏名及び来訪目的を述べよ」
「僕はグラモン元帥が三男、ギーシュ・ド・グラモンです。姫殿下により直々に命ぜられた密命のご報告に上がりました」

 隊員はふぅむと顎をなで、どうしたものかと考え込んだ。

「グラモン元帥のご子息とな。ううむ、君を疑うわけではないのだが、現在少しばかり警戒が強められていてな。
密命といえど、おいそれと殿下に通すわけにもいかんのだ」
「……何かあったのですか?」

 ギーシュの質問に、隊員は渋い顔を作る。
772重攻の使い魔 第13話『死を食らう者』:2009/03/24(火) 13:01:45 ID:NVUYA4CX
「ここへ来るまでに何か話を耳にしなかったかね?」
「いえ、少しでも早くご報告に上がる為に急いでいたので……」
「そうか、実はだな……」

 隊員の話を聞いて、ギーシュは目を丸くした。なんでも、アルビオン王家を倒そうとしていた反乱軍が、たった
一日にして瓦解してしまったというのだ。城下町はその噂で持ちきりだという話だった。始祖ブリミルが愚か者達
に裁きを下しただの、忌まわしきエルフが気まぐれを起こしただの、様々な憶測が飛び交い、現在王宮はその現状
確認に躍起になっているという。

「密命なので、本来ならば言うわけには行かないのですが、実は僕はつい先日までそのアルビオンにいたのです。
殿下は僕の報告をお待ちになっているのです。お願いします、通していただけませんか」
「ううん……、どうしたものかな」

 隊員は困ったような様子で頭をかいた。と、そこに見知った顔が小走りにやってきた。アンリエッタ姫その人
である。どうやら城の窓から門で、ややこしい事態になっているギーシュを見つけたらしかった。
 ギーシュと隊員は、慌てて跪く。

「ミスタ・グラモン! 任務からお帰りになったのですね」
「は、はっ! ギーシュ・ド・グラモン、只今帰還致しました!」
「あの、それで、ルイズと子爵はどちらに? 姿が見えないようですが……」
「ええと、実は、その……」

 難しそうな表情で説明しあぐねているギーシュの姿に、アンリエッタは何かあったのかもしれないと感じた。

「ここで報告を聞くのも何ですね。私の私室でお聞きしましょう」

 隊員は複雑な表情を浮かべたが、姫殿下がそう言うのならば止められるはずもなかった。小さく嘆息すると、
ギーシュの肩を軽く叩く。ギーシュは慌てて城へと歩いていくアンリエッタの背を追いかけた。
 アンリエッタの私室へと通されたギーシュは、余りの緊張に体が硬直していた。学院に在籍するものの中で、
王女の私室へと通された者がどれだけいるだろうか。緊張していたものの、アンリエッタから報告を求められると、
ギーシュは佇まいを正して任務の詳細な報告を始める。
 ラ・ロシェールにて反乱軍と思われる賊に遭遇し、ライデンが退けたこと。
 そこでキュルケとタバサという同級生と図らずも合流することになったこと。
 宿を襲撃され、その場はライデンは片をつけたものの、その後のスクウェア・メイジとの戦闘で、ライデンが
前後不覚となったこと。
 航海中に空賊に襲われたが、それはウェールズ皇太子の変装であったこと。
 その後、ルイズが皇太子から件の手紙を受け取ったこと。
 アルビオンから脱出する際、ワルドは皇太子に用事があってしばらく残ると言ったこと。
 そして、ルイズが脱出船に乗り損ねたことと、出航してしばらくしてからライデンが再び起き上がり、アルビオン
目掛けて飛んでいってしまったこと。
 報告を聞きながら、アンリエッタは暗い表情をしていた。

「では、皇太子のお手紙は燃やしていただけたの?」
「いえ、そのですね。手紙はミス・ヴァリエールが預かったので、私としては彼女が燃やしたのかどうかは……」
773重攻の使い魔 第13話『死を食らう者』:2009/03/24(火) 13:02:48 ID:NVUYA4CX
 アンリエッタはそう、と短く答えると黙り込んでしまった。ギーシュが居心地の悪い思いをしていると、少女は
口を開いた。

「反乱軍が壊滅したという話はご存知ですか?」
「え、ええ。先ほど軽く話を聞いただけですが……」

 そんな神話級の逆転劇など、ギーシュとしては余りに眉唾であった。
 ギーシュの表情を見てアンリエッタは軽く慰労の言葉を掛け、忠誠には報いるならない、と言って200エキュー
もの金貨が詰められた麻袋を手渡した。ギーシュは慌てふためきながらも恭しく受け取ると、失礼しますと言って
退室した。
 一人となった部屋で、アンリエッタは思わず呟いた。

「ルイズ、ウェールズ様……、生きているのですか?」




 草木も眠る丑三つ時、ガリア王国首都リュティスから海岸線に向かって100リーグほどの位置にある寒村にて
蠢く複数の影があった。影は全部で三つ。人気の無くなった家屋を漁っている。

「ちっ、シケた村だなおい。ロクなもんがねぇ」

 盗賊を生業とする男達は、夜の闇に紛れてこの村を襲った。ほとんどの村人は起きるまでもなく寝首をかかれ、
目を覚まして抵抗した者も、やはり例外なく殺害された。男たちにとって、村というのは人間の住む場所ではなく、
己たちが狩り立てる獲物が生息している、いわば狩猟場であった。
 比較的目ぼしい物を盗んだ男は、苛立った声で少し離れた場所にいる仲間に呼びかけた。

「おい! てめぇらいつまでガキ犯ってやがる! こんな糞みてぇな村からとっととずらかるぞ!」

 しばらく間を置いてから、興奮して息を切らせている仲間の声が返ってくる。

「も、もう少し待ってくれよ。まだやり足りねぇんだ……!」
「お、俺もせめてあと一回やらせてくれ!」

 男達の喘ぎ声に混じって、未だ年端のいかない少女のものと思われる呻き声が届いてくる。男は苛立ち紛れに
地面を蹴り上げる。

「クズどもめ……。呑気なもんだぜ」

 男は自らの腕で、額に浮かんだ汗を拭う。酷く嫌な空気だ。村は蒸し暑いような、それでいて寒気を感じさせる
ような、説明しがたい空気に包まれている。

「……っ。何だこの空気は……。気持ちわりぃな……」
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 13:03:54 ID:6HMAfmOt
支援機
775重攻の使い魔 第13話『死を食らう者』:2009/03/24(火) 13:03:57 ID:NVUYA4CX
 汗を拭っても拭っても不快な空気により再び吹出してくる。村には少女を嬲っている男達の狂ったような嬌声
が響く。何か、どこかからか何物かに見られている気がする。男の動機が徐々に速まっていく。

「はぁっ、はぁっ、何だってんだちくしょう……!」

 仲間の喘ぎ声は更に激しいものになる。同時に、見張りの男の精神も、異様な圧迫感に晒される。体内に重石
を抱えているような、粘り気のある液体の中に飛び込んだような、凄まじい不快感が体に纏わり付く。しかし、
体を動かそうにも、悪魔に魅入られたかのように硬直してしまっていた。

(なんだ……。なにがいやがるんだ……)

 何かがいる。自分達以外に、得体の知れない何物かが、この付近に潜んでいる。そしてどこからか、自分達を
眺めているのだ。
 男の目は血走り、力一杯に見開かれている。体は動かない。何とか目だけでも動かして、その何かを見つけよう
とするも、潜んでいる影を捉えることは出来ない。だが、いるのは間違いないのだ。男は確信していた。
 異様な恐怖感に呼吸を乱す男は、背後に忍び寄る影に気付くことはなかった。影は巨大な四本の爪を広げ、男の
体をまるで紙細工を丸めるかのように、容易く握り潰してしまった。

「ごびゅっ……」

 それが男の最後の言葉だった。力任せに握り潰されたことで、男の口からは内蔵が逆流して飛び出していた。
体内からの圧力に負けた皮膚は無残にも裂け、そこから大腸や小腸などの臓器が絡み合ったロープのように零れている。
 爪から血を滴らせた影は、仲間の死にも気が付かずに狂宴を広げている二人の男に忍び寄る。二人とも、目の前
の少女の体に夢中になっているようで、気が狂ったように腰を振り続けていた。

「ひ、ひっ、ひゃはははっ、うひへぇへぇっ、はぁっ、はぁっ……!」

 真後に得体の知れない何かが佇んでいるにもかかわらず、少女を犯す男達は気が付かない。影は手にした巨大な
鎌を振り被ると、目にも止まらぬ速度で振り下ろした。男の体は袈裟懸けに切り下ろされ、一瞬置いた後に、
凄まじい勢いで鮮血が吹出した。
 己の番を今か今かと待ち侘びていた男は、目の前で仲間が殺されたことなどどうでもよいようで、半分になった
仲間の体を突き飛ばして、少女に圧し掛かり腰を振り始める。男の目は完全に焦点が定まっておらず、ただただ本能
に従い、行動していた。
 影は気を違えた男の上半身を爪で包むように握り潰した。千切り取られた上半身は、まるで道端に紙屑を投げ捨
てるかのように放られる。

「あ……うぅ……えぁ……」

 二人の男に嬲られ続けていた少女の心は既に壊れていた。言葉にならない声を上げながら、涙に濡れ濁って
しまった瞳を影に向ける。その少女が短い人生の幕を引く瞬間に見たもの。それは月明かりによって照らされた、
全身が骸骨のように白く、背中には巨大な羽、頭には金色の角を生やし、赤い相貌を爛々と輝かせる死神が、
手にしている長大な鎌を振り上げる姿であった。
 少女の細い肉体は難なく両断される。絶望にまみれた少女に、ある種の救いを与えた死神は、誰に気付かれること
もなく、やはり静かに村から立ち去っていった。
776重攻の使い魔 第13話『死を食らう者』:2009/03/24(火) 13:04:53 ID:NVUYA4CX
以上です。タバサがやけに饒舌な気もしますが気にしない。

あと、四月から社会人となるので更新速度が大幅に低下することを、一応お伝えしておきます。
777代理と書くのを忘れていたでござる……orz:2009/03/24(火) 13:07:06 ID:NVUYA4CX
というわけで投下終了でござる

ニア

>>770
それを考慮してのスタートだったのでござるが、
思ったよりも早くさるさんになってしまったでござる の巻
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 13:28:18 ID:A8lKPiSj
ライデンの人と代理の人乙。
ほんとに怨恨呪詛的暗殺機体さんが出やがった!!しかもRNA仕様!!
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 14:06:31 ID:2jISXI/b
GJ
だがこの描写は・・・投下してもいいのか?
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 14:23:31 ID:05+NWSR3
エロの方は直接描写はないし、グロ描写もそれほど長くはないが、
特に必然性も感じられないレイプ描写だし、かなり黒に近いとは思う。

ただ、ここで論争が起こるよりこらえてスルーした方がきっと無難だとも思う。
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 14:45:52 ID:NVUYA4CX
代理投下前には、それまでを読んでいない作品でも目を通した方が良さそうですね……
782デモゼロ:2009/03/24(火) 15:17:27 ID:6VTNBCVP
お久しぶりです、年明け以降ずっと体調崩していた人間であります。
予約などないようでしたら、15:20くらいに第十三話投下開始してもよろしいでしょうか?
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 15:20:02 ID:HC47ySeG
重攻の人と代理の人乙
スペシネフなら流石のライデンも全力戦闘ですね。
魅惑と音速な漢脱ぎライデンに期待してます。
784デモゼロ:2009/03/24(火) 15:20:38 ID:6VTNBCVP
他に投下ないようですので、十三話目、投下開始させていただきます


 ぱからん、ぱからん
 馬車が駆ける
 ぱからん、ぱからん
 空が、ゆっくりと、星空から明け方へと変わっていく時間帯
 馬車は、学院に向かって駆け続ける

 すやすや、すぅすぅ
 馬車の中では、疲れ果てた少女たちが、穏やかに寝息をたてていた
 奥には、布で体を包まれた状態で、かつて化け物の姿となっていた人間たちが転がっていて
 …さて、どうしたらいいものか
 馬車を操るロングビルは、小さくため息をついたのだった


 学院についたのは、夜が完全に明けた頃
 …学院は、大騒ぎとなった
 当たり前だ
 キュルケとロングビルの、二人が負傷
 そして、馬車の中には身元不明の(ほぼ全裸)の人間多数
 何事か、と大騒ぎ
 ルイズたちも、どう説明したらいいものか、わからず
 とにかく、キュルケとロングビルは、医務室で本格的な治療を受け
 タバサは、身元不明の、その気絶したままの人間たちを、コルベールと一緒にどこかへと運んでいった
 ルイズは…とにかく、まずは改めて服を着るべく、自分の部屋へ
 その際…じっと、鏡で自分の顔を、見つめる
 間違いなく、私の顔
 …人間の、顔
「デルフ、私…ちゃんと、人間、よね?」
「少なくとも、今はちゃんと人間の姿だぜ、相棒」
 …そうだ 
 私は人間だ
 化け物なんかじゃない
 狼の化け物なんかんじゃない!!
(…けれど)
 けれど、とルイズは悩む
 人狼のような姿となって、戦っていた時
 …自分は、恐怖していたか?
 終わってみれば、自分は恐怖したけれど
 戦っている間は…不思議と、恐怖を感じなかった
 むしろ…不思議な昂揚感すら、感じて
 あれは、一体何だったのか
 まだ、わからない
 ただ、理解できるのは
 これは、自分の中の、使い魔の力だと言うこと
 …それに
 モートソグニル
 ただの、ネズミだと思っていた
 オールド・オスマンの使い魔のネズミ
 …使い魔となったからと言って、人間に変身できるようになるものか?
 それとも、ネズミと言うのは表向きで、本当は珍しい幻獣だったのだろうか?
 ……よく、わからない
「…とにかく、学院長に報告に行かなくちゃ…」
 あぁ、結局、土くれのフーケは捕まえられなかったし
 …悪魔の種は、ルイズの体の中に入ってしまった
 どうすればいいのだろう
 憂鬱を感じながら、ルイズは部屋を後にした
「…え?あれ?俺様置いてけぼり?待ってーお願いおいてかないでー!」
 …そんなデルフの寂しい呼び声を、ルイズはさらりとスルーしたのだった
785デモゼロ:2009/03/24(火) 15:21:57 ID:6VTNBCVP
 ルイズが学院長室についた頃には、キュルケとロングビルも、治療を終えたようで
 きっちりと服を着替えて、到着していた
 タバサも、コルベールと共に、学院長室に入ってくる
 モートソグニルはオールド・オスマンの手の平の上で、ちゅう、と声をあげている
 …オールド・オスマンは、そんな己の使い魔を見つめ、少々、考え込んでいる様子
「オールド・オスマン、その…」
 何と、言ったらいいのか
 ルイズたちが悩んでいると、ロングビルが、口を開こうとして
 …それを、オールド・オスマンは手で制した
「…大体の事は、モートソグニルから聞いたわい…まさか、またあの化け物が出るとはのぅ…」
 『また』?
 またとは、一体どう言う事なのか?
 ルイズたちの疑問の表情に、気付いたのだろう
 オールド・オスマンは、モートソグニルをそっと机の上に降ろし…真剣な表情を浮かべてきていた
「……これから話す事は、他言無用じゃ」
 こくり、全員が頷く
 オールド・オスマンは、ゆっくり、話し始めた


 …それは、どれほど昔の事であったろうか
 オールド・オスマンは、オーク鬼が出ると噂の森にやってきていた
 だが、そこで現れたのは、オーク鬼とは似ても似つかぬ化け物たち
 魔法で応戦するも、化け物たちはなかなか倒れず
 戦いのさなか、使い魔のモートソグニルが戦闘に巻き込まれて怪我をする事態となってしまった
 ……もう、駄目か
 死を覚悟した、その時

 奇跡が、起こった

 オールド・オスマンに喰らいつこうとしてきた化け物が、光によって薙ぎ払われた
 天から、翼を生やした何者かが、ゆっくりと降りてくる
 …オールド・オスマンには、それが天使として視界に映った
 美しい、耳が尖った…一見、エルフのような外見をしした、翼を生やした天使
 それは、化け物たちを次々と薙ぎ払い、倒していく
786デモゼロ:2009/03/24(火) 15:22:53 ID:6VTNBCVP
 …化け物たちを、粗方片付けて
 天使はゆっくりと、オールド・オスマンに
 そして、傷ついたモートソグニルに、近づいてきた
『…大丈夫ですか?怪我は、ありませんか?』
 酷く、優しい声だった
 天使は、オールド・オスマンとモートソグニルの傷を癒し…その時、モートソグニルを見て、一瞬、難しそうな顔をして
 そして…化け物たちの上に、手を当てる
 すると、再び奇跡が起きた
 化け物たちは、人間へと姿を変えていき
 ころり、ころり
 代わりに、あの小さな悪魔の種が、転がり出たのだ
 その悪魔の種を手に…天使は、再び、オールド・オスマンに声をかけた
『あなたが、人間としても地位ある者であると見込んで、お願いします。
 どうかこれを、誰の手にも渡らぬよう、封印してください。
 これは、悪魔の種。
 人間を悪魔に変えかねない、悪魔の種。
 どうか、これらを封印して。
 誰の手にも、わたらないように』
 …そして
 気を失ったままの、モートソグニルを見て、こう続けてきた
『……しかし。
 もしかしたら、この悪魔の種の力が、必要となる日が来るかもしれません。
 その時は、どうか、心正しき者に使わせてください。
 これを、悪魔には渡さないで。
 悪魔の手に渡れば、それは悲劇にしかならないから』
 命の恩人の願いを、オールド・オスマンは承諾した
 …魔法学院の学院長として、これを宝物庫に封印する、と
 オールド・オスマンの言葉に、天使はほっとしたように、笑ってきて
 そして…ゆっくりと、天へと戻っていったのだと言う
787デモゼロ:2009/03/24(火) 15:24:19 ID:6VTNBCVP
「…天使…」
「少なくとも、ワシの目にはそう見えた。光で化け物を薙ぎ払い、ワシらの傷を癒したあの姿は…天使、そのものじゃった」
 話を終えた、オールド・オスマン
 …ルイズたちが遭遇した、化け物は
 その時の化け物によく似ていた、とそう呟く
 オールド・オスマンの話が終わると…ぴょん、と
 モートソグニルが、学院長の机から飛び降りる
 その姿が…ルイズたちも見た、青年の姿に、変わる
「…ここから先は、僕がお話しまちゅ」
 驚くコルベールを前に、モートソグニルはゆっくり、話し始めた


 …モートソグニルの体に変化が起きたのは、彼らが化け物と遭遇し、天使に助けられたすぐ後
 モートソグニルは突然、自分が人間の言葉を話せるようになった事を理解した
 人間の姿に変身するなど、通常ネズミが得るはずも無い力を手に入れた事を、確かに理解した
 ……自分は、あの天使と似たような存在になったのだ
 不思議と、そう理解できた
 知性が冴えている、人間と同じくらいの知力が、自分に身についた
 そして…同時に、理解する
 あの時の化け物ような存在は、今の自分と同じような力を得ながら、人の心を失ってしまった存在だと
 化け物と成り果てた人々を、何とかしなければ
 …そして
 化け物を人間へと戻す事で手に入る、悪魔の種
 それが欲しい、と
 そう、強く願うようになった
 しかし、主人であるオールド・オスマンから、そう離れる訳にはいかない
 モートソグニルは、自分の状況をオールド・オスマンに話してもいいものかどうか、なかなか決断できなかった
 主人の事は信頼している
 しかし、自分がこんな存在となった事で、オールド・オスマンに迷惑がかかるのではと思うと、言い出せなかった
 だから、こっそりと…学院の傍に化け物が現れた時などに、それらと戦い、悪魔の種を得るようになった
 悪魔の種を摂取する事により、自分がもっと強くなると、そう理解できていた
 化け物の気配は、本能でわかる
 誰にも秘密のまま、モートソグニルは一匹で戦い続けていたのだ

788デモゼロ:2009/03/24(火) 15:26:45 ID:6VTNBCVP
「…まったく。ついさっき話してもらうまで、まったくわからんかったわい…主人失格じゃのう」
「……御免なさいでちゅ」
 しょんぼりしているモートソグニル
 彼なりに、悩んだ結果なのだろう
 …ルイズも
 その悩みを、理解できる気がした
 自分が、あんな姿になる事を…本当なら、誰にも知られたくなかった
 あんな姿、人間を超えた力 
 それを手にした事が知られたら…恐れられるのではないか、化け物として罵られるのではないか
 考えただけで、恐ろしい
 幸い、キュルケたちは、自分を受け入れてくれたけれど
 …それは、稀な例なのだ
 通常ならば、化け物として、一緒に駆逐されてしまうだろう
「…私、も…モートソグニルと、同じ…状況、なのね」
 ぽつり
 ルイズは、力なく呟いた
 あぁ、きっと、そうなのだ
 自分も、悪魔の種を『欲しい』と思った
 あれを手にする事で、自分がもっと強くなるのだと…本能で、理解できる
 俯くルイズの体を、キュルケがそっと、支えてきた
 支えられた事で…ルイズは、自分の体が震えていたことを、自覚する
「…ルイズ、大丈夫?」
「……大丈夫、よ」
 大丈夫
 自分は、大丈夫だ
 …自分は、人間の心を失ったりなんか、してない
 化け物に成り果ててなんかない!!
 必死に、必死に、自分に言い聞かせ続ける
 そうでもしないと…心が、壊れてしまいそうだ
「…ルイズちゃん」
 じ、と
 モートソグニルが、こちらを見つめてくる
「今なら、まだ、間に合いまちゅ…その、力。捨てる事も、できまちゅ」
 え、と
 ルイズは顔を上げ、モートソグニルを見つめる
「ルイズちゃんは、その力を手に入れてから、あんまり日にちが経っていないでちゅ。
 今なら、ルイズちゃんの中のその力を取り出すことができまちゅ。
 そうすれば…ルイズちゃんは、その力から、逃れる事ができまちゅ」
 …捨てる?
 この、力を?
「それは……使い魔を捨てる、と言う事?」
 ルイズのその言葉に、キュルケが、タバサが、ロングビルが
 コルベールも、オールド・オスマンも…ルイズとモートソグニルを、交互に見つめる
 …そうだ
 この力は、ルイズの使い魔の力
 力を捨てる、ということは
 己の中の使い魔を…捨てる、ということだ
「そう言う事になってしまいまちゅ。でも…その力が、ルイズちゃんにとって重荷となるのなら
 それを、捨てる事も、できまちゅ。
 …今はまだ、人の心を保っていられるけれど、力を使いすぎたら…
 ルイズちゃんも、人の心を失ってしまうかも、しれないでちゅ」
789デモゼロ:2009/03/24(火) 15:28:31 ID:6VTNBCVP
「−−−−−−−っ!!」
 ぶるるっ、と体が震える
 人の心を失う?
 …私も
 あの化け物たちと、同じような存在に、なってしまう?
「ルイズちゃん次第でちゅ。しっかりと、強い意思をもって、力を抑えていれば
 …力の使い方がちゃんとわかれば、そんな事にはなりまちぇん」
「私…次第…」
 選択を、突きつけられる
 力を、使い魔を捨てる?
 それとも、化け物に成り果てるかもしれない、そんな恐怖を抱え続ける?
 ルイズは、ぎゅう、と自分の体を抱き締めた
 そうでもないと…体の振るえが、いつまでたっても、止まらない
 キュルケも、心配そうにルイズを見つめ、その体を支え続けてくれていた

 どうすれば
 どうすれば、いいのか
 ルイズは、おのれの体の中にいる使い魔の存在を感じながら、悩み続けるのだった
790デモゼロ:2009/03/24(火) 15:31:07 ID:6VTNBCVP
投下終了いたしました
まだまだペースは超ノロノロペースと思われますが、ゆっくりと続きを書き続けていきたいです


もう血を吐くのも固形物吐くのも嫌です
皆様も、どうか体調管理にはお気をつけください
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 15:33:45 ID:+ltm0yFj
デモゼロの人、乙。
…なんか壮絶ですな、色々と。

しかし読んでる途中、童話を読んでるような錯覚にとらわれてしまったのは俺だけだろうか?
792名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 16:48:57 ID:qOkhSR2V
>>790
原作プレイヤーとして乙

…お大事に。悪魔寄生体に頼れぬ身、医者に頼るのが正道かと。
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 21:06:23 ID:bybGanDR
理想郷の方はまだ復活しないのだろうか?
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 21:16:13 ID:qEQcm0z/
最速で今日だからね。まあ4月までには復活するでしょうな。
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 21:34:11 ID:GlpnswNz
ライデンの人乙です。
スペが登場かってそいつはヤヴァイ。
つか早々に殺戮しまくっているし。
796名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 21:35:55 ID:PaAkAccn
乙です。
モートソグニルにライトを当てたSSは珍しいですね。

とにかく体を壊しては大変ですので、どうかお大事に。
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:12:49 ID:5sR9A1KE
ラスボスの人乙でした。
テファ大嫌いだから、もっとやって欲しいです!
798名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:15:44 ID:faMbYgi/
O.K!
毒吐きに帰ろうな。
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:46:02 ID:8mcSpux/
>>797
チラシの裏にでも書いてろ
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:50:19 ID:VhtADmfu
そういう口調も>>799の言うチラシの裏とか毒吐き向けなんだぜ?
相手が荒らし紛いだからって、煽って良いってことは無いよね。
801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:52:37 ID:Pl1OwMZX
モートソグニルとヴェルダンデをしばらく勘違いしてた
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:53:31 ID:Ef82eXDA
そんなことより野球しようぜ
803聖樹、ハルケギニアへ:2009/03/24(火) 22:55:57 ID:UM0Rc0Bf
こんばんは。
よろしければ11時ご分ぐらいに投下したいの
ですがよろしいでしょうか?
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:56:31 ID:37/zlesz
いいんじゃない?
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:59:00 ID:VhtADmfu
>>802
俺ボブな!
806聖樹、ハルケギニアへ―3 1/10:2009/03/24(火) 23:03:53 ID:UM0Rc0Bf
聖樹、ハルケギニアへ―3




砕け散った机の残骸を二人が片付けている。
あのあと罰として魔法を使わず片づけをするように言われていたのだが、被害は机のみなのでエクスデスが大きな残骸をまとめてルイズが箒で細かな木屑などを集めていた。
「あとはこのゴミを持って行って新しい机を持ってくれば終わりのようだ」
エクスデスはそういうと軽々と残骸を脇にかかえるとゴミがまとまった袋を持って教室から出て行こうとした。
「待って」
ルイズに呼び止められてエクスデスは振り向くと一旦ゴミを置く。
「さっきので分かったでしょ。わたしがゼロって呼ばれる訳を
 あんたから見たらどう?」
何をやってもうまくいかない失敗の連続。
成功率ゼロ、それからついたあだ名のゼロ。
それを自分の使い魔は由来を知ったのだ。
ここで成功させてあっと驚かせるつもりもそれは失敗。
同情や憐れみが欲しかったわけではないが、特に何も言わずに黙々と作業するエクスデスにルイズは尋ねた。
「・・・・・・」
作業の手を止め無言でエクスデスはルイズに歩み寄ると目の前にやってきた。
この無言の圧力、ルイズ
罵倒を覚悟の上だったがエクスデスから帰ってきたのは予想外の言葉だった。
「・・・さっきから顔を顰めているからなにかと思えばそんなことか」
へ?
そんなこと?
えっ、という顔で見上げる少女にエクスデスはやれやれと思った。
「私をサモン・サーヴァントで呼び出したのは何処の何者だ?」
「あ・・・」
「何をやっても失敗の意味でのゼロならば、既に気にすることでもなかろう。
 お前は私を召喚することに成功したのだからな」
確かに。
今までは失敗ばかりだったけど、サモン・サーヴァントでわたしはこいつ、エクスデスを
召喚できたのだ。
807聖樹、ハルケギニアへ―3 2/10:2009/03/24(火) 23:07:08 ID:UM0Rc0Bf
召喚を成功させた。
良く考えればそうなのだ。
「それに本当にゼロならばあの爆発すらも起きぬだろう、お前をゼロと呼ぶ者どもは一体何を考えているのやら」
こいつはこいつでわたしを認めてくれているんだろうか。
そういえば。 
ミスタ・コルベールも認めてくれていた、召喚の儀式が終わって学園に着いて別れる時に、
(どんな時も悲観してはいけません。これから、これからと考えるのです。
 彼?・・・は貴女に従うと言ってくれたのです。
 貴女が沈んだりしていては、彼?に不安を与えることになるかもしれません。
 自信を持ちなさい、ミス・ヴァリエール、貴女は決して落ちこぼれなどでも、一部の生徒や教師が言うような「ゼロ」ではないのですから)
と言って笑顔で励ましてくれた。
ルイズはそれを思い起こし自然と口元が笑っていた。
エクスデスはそんなルイズの様子を見てやっと元に戻ったかと安堵していた。

「気は済んだようだな。ではさっさと片付けるとしよう」
「指示はわたしが出すの!エクスデス!ゴミを片付けて新しい机を早く持ってきなさい!」
「結局やることは同じではないか」
「いいの!」
やれやれとエクスデスは置いたゴミを持って教室から出ていく。
ルイズは先に行くよう言われたので食堂へ向かうことにした。
周りを確認し落ち度が他には無いことを見て自分も教室から出ようとすると、ひょいとエクスデスが顔だけ覗かせて、
「ゼロはもはや相応しくない。
爆発と閃光を巻き起こす「爆光のルイズ」と名乗るのはどうだ?」
・・・・・はい?
今なんて言ったのこいつは。
真面目にエクスデスは考えて答えたのだが、ルイズにはおちょくっているとしか伝わらなかった。
エクスデスにはわなわなと震えながら怒りのオーラを立ち上らせるルイズがまるでリクイドフレイムのように見えた。
「そんな二つ名はこっちから願い下げよ!励ましているように見せかけてからかうなんて
 い、いい度胸じゃない!」
(なぜ怒るのだ?・・・・ぬう!?)
怒号をあげるルイズにエクスデスはぎょっとする。
808聖樹、ハルケギニアへ―3 3/10:2009/03/24(火) 23:10:12 ID:UM0Rc0Bf
なぜならルイズの手には杖ではなく、うっかり回収し損ねた机の足の残骸、角材が握られていたのだ。
「待て!それで何を考えている!」
「あんたにはこれぐらいじゃないと効きやしないでしょう!」
角材を振り上げて向かってくるルイズを目の当たりにし走り出すエクスデス。
だが走りは得意ではないエクスデスは角材の攻撃をぼこぼこと喰らってしまう。
まだ杖で魔力の爆発を使ってきた方が防ぎようがあったのだが、直接の殴打は厳しいものがあった。
「止めぬか!からかったつもりなど毛頭ない!」
「問答無用よ!このバカ木――――っ!!庭に植樹してあげるわ!」
「うごごごごご!!」
「逃げるんじゃないわよ!この、この、この―!」
逃げ惑う巨体とそれを叩きながら追いかける少女。
どうあっても通りすがりの生徒達の注目を集めるのだった。


ばたばたと二人が追いかけっこをしている頃、ミスタ・コルベールは本塔の図書館でルイズの使い魔、エクスデスの手に浮かんだルーンを調べていた。
閲覧自由な一般の本棚ではその正体を知ることが出来なかったので、教師のみが閲覧することができる「フェニアのライブラリ―」で答えを探していた。
やがて始祖ブリミルが使用した使い魔たちの記述された古書の一節と、エクスデスのルーンのスケッチを見比べると、声にならぬ声をあげ「レビテーション」の効果を失いかけるほど仰天し、本棚に掴まりおぶおぶとしながら何とか床に降りると、全速力で学院長室へと走り出した。
息を切らせて学院長室に転がり込んだコルベールを学院長のオールド・オスマンと秘書のミス・ロングビルが迎える。
しかし様子が少し変でロングビルがオスマンを荒い息で盛大に踏んでいる最中だった。
「・・・いい加減にやめたらどうですかオールド・オスマン・・・」
「年寄りの生きがいじゃ。例え処刑されることになろうとこれだけはやめん!」
「ではお望みどおりに」
ロングビルが壁に立てかけていた木槌をとって振り上げる。
「ごめんなさい」
さっと土下座ポーズで謝罪する・
そんなやりとりを見てコルベールはいつも元気そうで何よりです・・・と机の上にいるオスマンの使い魔であるハツカネズミ、モートソグニルと目を合わせ若干関心、大半呆れ気味に思いはぁ、と一人と一匹はため息をついた。
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:10:39 ID:VhtADmfu
支援
810聖樹、ハルケギニアへ―3 4/10:2009/03/24(火) 23:12:38 ID:UM0Rc0Bf
頭にたんこぶを二つほどつけたオスマンがむっくりと立ち上がる。
「ところでミスタ・コルベール。ずいぶん慌てていたようじゃが、何か問題でもあったのかね?」
「はっ!そうでした!!これとこれを見てください!」
「む!新作の大人向けむふふな本か!」
「なわけないでしょう!いいから見てください!!」
ずいと突き出された「始祖ブリミルの使い魔たち」とエクスデスの手に現れたルーンのスケッチを見る。
途端オスマンの目つきと表情が厳しくなる。
「ミス・ロングビル。すまんが席を外してくれ」
きりっと言い放つオスマンにただならぬ状況を感じながらも、ロングビルは木槌を置いて部屋を出て行った。
彼女の退室を見届けてオスマンはコルベールに向き直り口を開く。
「詳しく説明するんじゃ。ミスタ・コルベール」



エクスデスがルイズの執拗なまでの殴打に堪え切り、説明して悪意などなかったことを告げなんとか収拾したのは昼休みの前だった。
片付けを終えた二人は食堂へと向かった、追いかけっこで体を動かした結果の空腹を満たすためである。
「なにもあそこまで殴らずともよかろう。私の言葉も足りなかったかもしれんが少しは落ち着いて話を聞くことを知るがよい」
「う・・・でもあれは馬鹿にしてるとしか思えないわよ!」
「良いではないか、爆光」
げしっとルイズがエクスデスの足を蹴る。
「そのすぐに暴力に訴えるのもやめんか」
「あんたがその態度を改めればわたしだってやらないの!」
ぎゃいぎゃいと言い合いながら食堂へと着くと、エクスデスは椅子をひいた。
ルイズが座ったのを確認してふとルイズの食事の横を見ると前に食べたパンとスープな
のだが、量が多い。
パンは成人男性の握りこぶし程のものが五つ、二つは前に食べた物と同種だが三つは別のパンのようで、スープは底の深めの大きめの皿になり中に細切れの肉と野菜が入っていた。
「ルイズよ・・・これは?・・・前の物と間違えてはいないか?」
「間違いじゃないわよ。その体の大きさだと前の量じゃお腹ふくれないでしょ。
 またあのお、お腹の音出されても困るしね」
811聖樹、ハルケギニアへ―3 5/10:2009/03/24(火) 23:15:11 ID:UM0Rc0Bf
エクスデスの腹の虫の鳴き声を思い出して笑いかけるがなんとかこらえた。
「・・・わざわざ手配してくれたというのか?」
「そうゆうこと。感謝しなさいよね」
「うむ、感謝する。我が主よ」
「そうそう、って、え?」
ルイズはまたエクスデスがまたパンか、量だけ増えてもみすぼらしいことに変わりはないとか文句を言うと思っていた。
が、エクスデスは横に腰を下ろすと静かに待機している。
「・・・食べないの?」
「む、食事前の祈りがあるのではないのか?」
ちゃんと作法も守っている。
さっきの言い争いの時とは人が変わったかのようだ。
意外にちゃんとしている使い魔にルイズは満足げな笑みを浮かべる。
それと同時に唱和も始まった。
唱和を終えると当時にルイズは顔をあまり向けないようにしながらエクスデスを見る。
それは何としても気になっていた食事の瞬間を見るためだ。
先の時は好奇心に負けてわざわざ近づいて見にきたマリコルヌのおかげでエクスデスは出て行ってしまったが、
当のマリコルヌは動かないように付近の生徒が睨みを効かせている。
今度こそエクスデス(ルイズの使い魔の)貴重な食事シーンが拝めると、皆気取られないようにさりげなく見ていた。
エクスデスがスープの器を取る。
食べるかしら。
食べる。
食べるぞ。
その場のほぼ全員が意識を集中させる。
そしてパンの皿をもう片手に持つ。
食べ!・・・・・あれ?
「やはり私がいると皆落ち着かんようだ。外で食べてくるとしよう。ではな」
そう言ってスプーンも指で挟むとスタスタと食堂から出て行ってしまった。

・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・誰だ感づかれたのは!

エクスデスが去ったあとの食堂ではまた見逃しただの、誰かが凝視していたのか、
どさくさに人の肉を取るな、だのとちょっとした騒ぎになっていた。
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:16:46 ID:IXfRcV1X
支援する。
813聖樹、ハルケギニアへ―3 6/10:2009/03/24(火) 23:17:50 ID:UM0Rc0Bf


「ふむ、貴族の食事というのはいつも騒がしくするものなのか」
後ろから聞こえてくる喧騒に関心を持ちつつも、せっかくのスープの温かさが冷めてしまっては嫌なのでエクスデスは食事を優先させることにした。
また同じ木の下で食べようと考えたところで知った顔とに会った。
「エクスデスさん!」
「おお、シエスタではないか」
シエスタはにこにことエクスデスに近づいてくる。
「エクスデスさんもこれからお食事ですか?」
「うむ、木の下で食べようと思ってな」
「そうなんですか。あ、もしよろしければ・・・」

シエスタに一緒に食べませんかと誘われ、断る理由も無かったのでエクスデスは食堂の裏にある厨房へとやってきた。
大きな鍋やオーブン、忙しなく走り回り手を動かすコックやそれを運ぶメイドたち。
その様子をエクスデスがほうほうと興味深げに見ているとシエスタが奥からスープとは異なる料理を持ってきた。
(・・・?これは一体なんなのだ)
シチューを見つめるエクスデスがシエスタは気になった。
「もしかして・・・シチューはお嫌いでしたか・・・?」
最初に苦手な物を聞いておくべきだったかと後悔したが、それは杞憂に終わった。
「これがシチューというものか。いやなに、今まで見たことが無かった物でな」
「お嫌いというわけではないんですね!よかったです!」
その後エクスデスはシエスタと共に食事を済ませ、そして「味」と自分に生まれた「味覚」を堪能した

「うむ、満足だ」
「お粗末さまです」
「粗末なものか。美味かったぞ、シエスタ」
確かにエクスデスは満足していた。
ルイズから貰ったパンとスープをペロリと食べてしまい、シチューも何杯も食べたのだから。
量が少なくなって、まだ賄い食を済ませていない他のメイドや使用人に恨めしい目で見られるほどだったが、エクスデスの食事の仕方を見て珍しいものが見れたと皆満足して下がっていった。
814聖樹、ハルケギニアへ―3 7/10:2009/03/24(火) 23:19:54 ID:UM0Rc0Bf
「先の洗濯の礼もせねばならん。何かできることはないか?」
「それでは、ケーキを運ぶのを手伝ってくださいな」
「・・・・ケーキ?ケーキとはなんだ?」
エクスデスのシチューで満足していた興味心に再び火がついた。


「・・・あんたは一体何やってるの?」
銀のトレイを持ってテーブルを周りながら指定のケーキを生徒達に配るエクスデス。
「見ての通りだ、ケーキを配膳しておる。お前も食べるか?
 私も食したがこの甘味はなかなかのものだぞ」
「まあ・・・いいけどね。じゃあ、それとこれ。
 さっさと終わらせなさいよ?」
「うむ・・・・・ん?」
ルイズに終わり次第一緒に部屋に戻る様に言われ手早くやろうとした矢先、騒がしい一団が目に入った。
見てみれば数人の男子生徒が金髪の巻き髪にフリルのついたシャツ、薔薇を胸に挿した一人を誰が本命なんだだの付き合ってるのだのと冷やかしているようだ。
金髪の男子はキザったらしくああしらっているようだ。
「あー・・・ギーシュのやつね。
 いつもあんな感じだから気にする必要はないわよ。ほっときなさい」
「だがここは食堂だ、騒ぐ場所ではない。ケーキを食べるお前や他の者に迷惑だ」
「いいから構わな・・・って!ちょっと!」
ずんずんとギーシュ達に向かっていくエクスデスに何をするのかと慌ててルイズは後を追う。
「ここは食堂だ。騒がしい歓談なら別の場所でやるがい・・・」
話に興じる一団に近づき、おそらく話題の中心であるギーシュに声を掛けようとすると、彼のポケツトから紫色の液体が入った小瓶が落ちた。
エクスデスがそれを拾いギーシュに言った。
「ポケットから小瓶が落ちたぞ」
しかしギーシュはこっちを見ようともしない。
「これはお前の小瓶であろう。落としたぞ」
がんとしてこっちを向こうともしない。
「・・・話すら聞かんというのか」
声に怒気が混じりだす。
すると横の一人の男子生徒がエクスデスの持つ瓶の正体に気がついた。
「それはモンモランシーの香水じゃないか!」
815聖樹、ハルケギニアへ―3 8/10:2009/03/24(火) 23:22:21 ID:UM0Rc0Bf
「そうだ!その鮮やかな紫色はモンモランシーが自分の為だけに調合している香水だぞ!」
「それを持っているということはギーシュが付き合ってるのは・・・!」
口々にギーシュをはやし立てる。
おおよその内容を把握したエクスデスはより具体的に、耳が遠いならばより大きな声で
ギーシュを呼ぶ。
「ギーシュ!お前が付き合っているというモンモランシーから贈られた特別な香水を落したぞ!!」
食堂に軽く響く程の声で呼びかける。
流石に黙っていられなくなったギーシュがばっと振り返る。あくまでキザっぽい仕草で。
「声が大きい。そしてそれは僕の物ではない。君は何を言っているんだね」
といいつつも口の端がひくついている。
「お前のポケットから落ちた物だ。お前のでなくば何なのだ」
言い争いを始める二人を見ていた男子学生がギーシュの背後から向かってくる二人を見て
ひぇっと後ろに下がった。

ルイズは声をかけるタイミングの逃してしまい様子を伺っていたが思った以上に事が大きくなっているようだ。
モンモランシーと一年生がギーシュに詰め寄ってギーシュを揺さぶりながら怒鳴っている。
あ、ケティって子がギーシユを引っぱたいた。
ギーシュが釈明しているようだけど・・・あ、ワインかけられてる。
行っちゃった。
だがこれはどうしようもない。全てはギーシュの身から出た錆なのだから。
この場に留まっていても仕方がない、
「エクスデース。私たちも戻・・・」
「決闘だ!」
「フン、よかろう。受けてくれる!」
そう戻ってけっと・・・・・って・・・
「なんでそうなるのよ!」
エクスデスの腰布をぐいと引っ張りこっちを向かせて事情を聞く。
「こやつがこの惨事を私のせいだというのでな」
「やあ、ゼロのルイズ。君の使い魔を少々借りるよ。
場所はヴェストリの広場だ、先に待っている。用意が出来たら来たまえ」
そのまま立ち去ろうとするギーシュをルイズが呼び止める。
「いい加減にしなさいよ!大体決闘は禁止じゃない!」
「貴族同士の決闘はね。だが平民と貴族の間の決闘は禁止なんかされていない!」
「それはそうだけど!これはあんたの為に言ってるのよ!」
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:22:35 ID:rlc3EIif
オリキャラ乙
817聖樹、ハルケギニアへ―3 9/10:2009/03/24(火) 23:25:04 ID:UM0Rc0Bf
「ふっ、何を馬鹿な事を。僕が負けるとでも言うのかい?」
ちらりとエクスデスを見やる。
確かに体躯は大きい、力もそれなりにありそうだ。だがそれだけだろう。
東の果てのロバ・アル・カリイエから来たという旅芸人、芸人なのだ。
一人旅だったという、ならば多少は腕が立つかもしれないが貴族である僕にかなうはずは無い。
「君の墓前に薔薇の一本でも送ろう。貴族にたてついた珍しい平民としてね」
そういうとさっとマントを翻し取り巻きの男子生徒たちと行ってしまった。
「貴族を本気で怒らせたら・・・エ、エクスデスさん・・・殺されちゃう・・・」
いつのまにか騒ぎを聞きつけてやってきていたシエスタがぶるぶると震え、だーっと走って逃げてしまった。
(いやむしろギーシュが殺されそうなんだけど)
って、そんなことを考えてる場合じゃない!なんとかしないと!
「エクスデス!ギーシュに謝って決闘を無しにする気はない?」
「あり得んな。いわれのないことで頭を下げる気など毛頭ない。
 それにこれは相手が仕掛けてきたことだ。」
予想通りの答え、ならばエクスデスが駄目ならギーシュ!
あいつにエクスデスの正体を告げて向こうから諦めさせ・・・そんなことできるわけない。
ギーシュの父親は軍の元帥。
ギーシュ経由でエクスデスのことが伝われば討伐隊を編成されるかもしれない。
当然エクスデスは差し向けられたそれを容赦なく叩き潰すだろう。
どんどん嫌な方向に考えがいってしまう。
何ともなりそうもない。
かといってこのまま決闘をやらせれば十中八九ギーシュが死亡する。
あいつがエクスデスを墓送りにするとか言わなければ半殺しですんだかもしれないのに。
全殺しは駄目!絶対!
うんうんと頭を抱えて苦悩するルイズ。
「あ、あのミス・ヴァリエール」
「ん・・・あんたはさっきのメイドじゃない」
ルイズの前には先ほど走り去ってしまったシエスタがいた。
「エクスデスさん、行ってしまわれましたが・・・」
「へ?」
ふと周りを見渡せば大半の生徒が興味本位の観戦を目当てにヴェストリの広場に行ってしまい、僅かな生徒がいるのみ。
エクスデスはどこにもいなかった。
「私に決闘を挑む者がいるとはな。ファッファッファッ!・・・と言われながらお部屋に
818聖樹、ハルケギニアへ―3 10/10:2009/03/24(火) 23:26:54 ID:UM0Rc0Bf
戻られて準備なさるようでしたが・・・・」
「あ、あんのバカ木!!ご主人さまをほったらかしにして勝手に何やってるのよ―!!」
ルイズはエクスデスを追って慌ただしく食堂から出て行った。




819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:32:43 ID:504Oeg0v
聖樹の人、楽しみに待ってたよー!
乙でしたー
820名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:32:52 ID:EBtg+S/I
乙。
バカ木……ふむ……
821名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:37:59 ID:7aPyDcWx
GJ!!
頑張って下さい
822名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:45:52 ID:+ltm0yFj
バカ木、ってのも何だか新しいな。
823名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:51:32 ID:faMbYgi/
容量ヤバイんで新スレ挑戦してみます。
824名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:55:29 ID:faMbYgi/
ホスト規制で失敗したので誰かお願いします。
825名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:57:54 ID:8dhCZEWD
●あるからたててくる
826名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 23:59:12 ID:WuJNvxDx
>822
『キャプテン・ファンタスティック』に「おどろ木(Mobing tree)」と言うのが。
827名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 00:01:13 ID:8dhCZEWD
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part222
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1237906820/
828名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 00:01:48 ID:hhlc5qsT
ダメギしか浮かばないw
829名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 00:04:42 ID:NNcoCyJE
>>827
830名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 00:11:03 ID:rKGu1Bj9
ファッファッファッ…じゃねーよw
それにしてもオスマンの執務室の片隅に木槌が置かれてるってのも何かシュールだな。
831名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 00:25:50 ID:AwZVXruK
捻った時の音!
愚木
832名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 00:26:05 ID:2+wwZD8x
亀レスですが、ライデン乙です

スペシネフ、堂々参戦
オペレーター(操縦者)は誰?

そう言えば、こっちのライデンってパージ出来るんですか?
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 01:23:21 ID:rWTigFdP
FFXにガラフが一人でエクスデスと戦うイベントがあるよな。
ホーリー、フレア、メテオがギーシュに襲いかかる。
834名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 02:20:33 ID:QJ8dZBhH
>>833
たしかガラフって土クリ担当だったよな
835名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 03:11:39 ID:zZSsm+M1
>>834
ガラフは風だろ?土はクルルだった気がする

にしても蒼の使い魔は意外性がよく長続きするな
今後とも期待してるぜー
836名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 03:20:30 ID:Lb57/SlT
>>835
風はバッツだ。土はガラフからクルルに受け継がれた。
837名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 03:21:30 ID:xaoybrfG
風はバッツじゃないのか。
そうじゃないとガラフが死んだとき、
そのクリスタルがどこに行くかという問題が。
838名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 10:16:50 ID:Mm6hPlua
遅いけど、ライデン乙
スペシネフ登場か
そうすっと、ロマリアとアルビオンは果たして何呼ぶんだろ
テムジン、サイファー、ドルドレイかアファームド系列のどちらか、辺りかな?
テファのが記す事さえ〜ならアジムとかその辺もありだな
839名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 15:18:52 ID:zZSsm+M1
ああ、所持してるクリスタルの加護か
てっきり護りに行ったクリスタルの話とばかり思ってた
840名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 15:22:38 ID:qflQbklg
FF5……ファリスが召喚されたと仮定する。
海賊育ちなのでアルビオン編の空賊の違和感にいち早く気づくだろうし、クリア後はおそらく王族としての教育を施されているだろうからルイズ達に引けはとらないだろうし、宝塚に匹敵する美形でもある。
……むしろ、記憶喪失状態のガラフの方が面白いかな?
841名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 15:31:59 ID:xaoybrfG
ファリスだと男と勘違いされるイベントがありですね。

クリア後だと無いかな。
842名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 16:30:30 ID:1PN6QaLI
ファリスがそこまでガチで海賊やってたかな
843名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 17:21:00 ID:OC2FwEA7
クリア後のバッツ召喚の続きマダー?
844名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 18:09:12 ID:4YvsXGHz
FF4のリディアならさしずめヴィンダールヴになるのか?
845名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 18:12:31 ID:VoplFkva
ファリスは男前過ぎるから、いまいちヒロインとして認識しづらい
というわけで、うっかりファリスに惚れかけて「ファリスは女、ファリスは女、ファリスは女……」と呪文を唱えるルイズが見てみたい
846名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 18:33:35 ID:cLdxWbtJ
ごめん、ファリスっていうと「楽園の魔女たち」の美少年顔の魔女、ファリス=トリエしか思い浮かばない。
無自覚の誑しなので、トラブルは事欠かないだろう。

性格も良いので上手くすれば使い魔をしてくれるかもしれないけど、ネックはやはり他の魔女たちとお師匠さまかな?
847名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 19:14:58 ID:cCdXbR8E
アレクラストのファリス神が以下略。
848名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 19:20:38 ID:/ijACdCX
以前にヴァーティカルエディターを教えていただいたものです。
やっとこさ一話が出来ましたので投下させていただきたいのですが。
849名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 19:25:52 ID:cuoGsYMK
支援しよう
850名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 19:26:59 ID:/ijACdCX
では、五分後には。
851名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 19:29:42 ID:cuoGsYMK
あ、次スレ立ってるから、投下するならそっちにな
852名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 19:35:54 ID:/ijACdCX
「ヤスムコト……ユルサヌ……タダ……ヒタスラ……」

横たわる『鬼』の亡骸に、得体の知れない力が集まっていく。

「ヤスムコト……ユルサヌ……タダ……ヒタスラ……」

やがてその力は渦を成し、『鬼』を覆い、そして――

――その日、その世界から『鬼』が消えた

「五つの力を司るペンタゴン…我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ!」
桃色の髪の少女が、また一度詠唱し、杖を振り、また爆発を起こす。
彼女はもう何度もこの作業を繰り返してはいるが、まだ一度も本来の魔法を発動できないでいた。
『使い魔召喚の儀』――
学院の生徒が、一年から二年へと進級する為の大事な儀式。
と、同時に、生徒一人一人の専門とする属性をきめる、正に今後のメイジとしての人生を左右するものである。
たった今、その『サモン・サーヴァント』の詠唱で失敗し、爆発を起こした少女は
、もう何度目かもわからなくなるほど失敗し、その全てを爆発に変えた。

「どうして!」
と、これまたもう何度目かもわからない叫びをあげる。
そして、禿げ頭の教師が少女に告げた。
『次に失敗したら、それで終わり』だと。
周りを行きかう少女を蔑む言葉。 それに負けじと、少女は流れそうになる涙をこらえ、『最後』の呪文を唱えた。
「宇宙の果てのどこかにいる,私の僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より訴えるわ、我が導きに答えなさい!」
刹那、大爆発。
終わった、と誰もが思った、いや確信した。しかし少女は、まだ諦めては居なかった。

――その男は、ひたすら強さを求めていた――

あらゆる闘い方をする強者を『殺』し、自分の糧としてきた。
だが、それももう終わった。
『殺』されたのだ、強者に、より強き者たちに。
自らが大阪城で闘い、『殺』した者に、暗黒の力を注入され、不本意な強さを手に入れ、自我は崩壊し、その果ての敗北、そして死。
その男は、それで終わった筈だった。

「あんた、誰?」
煙の中から現れた男に、ルイズは問う。
「ぬぅ……」
男は呻きながら立ち上がった。
やがて煙が晴れ、周りの生徒達や教師にもその姿が見えた。
逆立った赤髪、ボロボロの紫の服、それに屈強な体。
「平民だ!」
「ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」
ここぞとばかりにルイズを馬鹿にする生徒達だが、それは禿げ頭の教師によって遮られ、場は静まる。
 禿げ頭の教師はそれを確認すると、ルイズと男に歩み寄り、柔和な笑みを浮かべた。 
が、言葉を発する前に、ルイズの怒鳴り声が彼を襲った。
「ミスタ・コルベール!再召喚を!」
「それは出来ない。サモン・サーヴァントは神聖な儀式だ。再召喚は認められない」
悲痛な表情でそれを却下するコルベール。
彼自身、ルイズを哀れに思い、同情していたのだが、例外を認めることは出来ない。
「……ここはどこだ」
「っ! ミス・ヴァリエール、下がって!」
男がはじめて言葉を発する。 その言葉に反応するようにコルベールが動いた。
ルイズをかばう様に前に立ち、こともあろうに杖を向けたのである。
 コルベール自身、この男に違和感を感じていたものの、やはり平民だと決め付けていた。 それ故に、前代未聞である『人間を召喚』という事態にも危険を感じず、にこやかにしていることが出来たのである。
だが、この男が言葉を発し、コルベールをにらんだ瞬間にコルベールは危険を察知し、戦闘状態になった。 
男が殺気を放ったからである。
 コルベールとて周りには知られていないが数々の戦闘を経験している。
 それゆえ、殺気と言うものには慣れてはいたし、このような状況で、殺気立つのは不思議では無い。
853名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 19:37:00 ID:/ijACdCX
あっと、すいませんでした
では、次スレで行くことにします。
すいませんでした。
854名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 19:46:09 ID:koQYZPE6
タイトルも書いてね
855名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 22:17:34 ID:eg8KKwo8
アリエルからクレスト・セイバーハーゲン
856名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 22:45:55 ID:OePnGCLy
>>855
エリアル。
857名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 22:59:57 ID:88n8NzYo
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part222
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1237906820/
858名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 23:19:24 ID:eg8KKwo8
「女を泣かすような男は許さん」
ジャキン
「ちょっとまて、ブレイドが直撃した筈なのに何故生きている!!」
「不死身だからだ!」
「こんノやろー姿が見えないと思えば出待ちしてやがったな・・・」
「安心しろワルド、今このセイバーがお前の身を処断をきっぱりとつけてやる」

脳天唐竹割 上半身と下半身がさようなら 全身細切れ
などワルドの分身をこらしめ
ついでに攻めてきた雑兵も軽く倒す


「終わった----何もかも終わった」
城跡で一人、孤高の宇宙戦士は夕日を背にたそがれていた
「また戦ってしまった・・・しかしこの世が私を必要とする限り私は戦い続けるだろう」
始祖のオルゴールが寂しいメロディを奏でる
「なぜなら、それが戦士の宿命なのだ」
戦士は一人、戦場をさっていった

「なぜだ!なぜだ!何故僕が負けたんだ!」
「ワルド子爵、この経費はいったいなんだね!しかも任務失敗だと!ふざけるな!」
「いつかかならずこの借りは返してやるからなーセイバー!!!!!!!」
859ゼロと損種実験体・代理:2009/03/25(水) 23:28:02 ID:4e7pTOxi
寒い
860ゼロと損種実験体・代理:2009/03/25(水) 23:29:29 ID:4e7pTOxi
いかん
これでは埋まらん
というか3月なのに寒い
861名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 23:44:40 ID:lmyj7TC/
 タバサの冒険3巻……私にとってはあまり影響がないんですが、人によってはかなり影響があるかも知れませんな。
 特にP139の3〜6行目あたり。

 ……私も実は、これでネタを考えてたんですけど、ね……。
862名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 23:48:52 ID:TVUTdK+/
幽霊が苦手だったって文も微妙だな
つまりあの世界には幽霊が普通にいるって事か?
863名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 23:51:26 ID:qxIMZ7Hk
イザベラがシーツ被ってお化けだぞーって言って
タバサを脅かそうとする姿が思い浮かんだ
864名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 23:59:14 ID:lmyj7TC/
>>863
その結果ビービー泣いてしまう幼いシャルロットに対して、慌ててなだめるイザベラ様。まで妄想しました。
865名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/26(木) 00:00:58 ID:wme7Jk5u
>>861
たぶん例のあれを言ってるんだろうと思うが……。
……あれをサイトが知ったらタバサ、恐ろしい子っ。ってなるだろうなw
866名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/26(木) 00:04:59 ID:P+BGtDQq
>>862
子供の頃幽霊が苦手だった奴なんてこの世界にもいくらでもいると思うんだが
いるのか? 幽霊
867名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/26(木) 00:19:14 ID:68rr5GCW
タバサがスペシネフ見たら気絶しそうだな
その前に発狂するかもしれんが
868名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/26(木) 00:27:10 ID:01x7LX0d
>>866
たけし軍団に一人いるよ
869名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/26(木) 01:08:16 ID:dXDUjkH9
>>866
幽霊くらい信じれないでどうする
そんなことじゃハルケギニアに行くなんて絶望的だぞ!!
870名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/26(木) 01:29:07 ID:zj6uWLB2
もしもこれが500KBなら3月中に今構想練っているのを第1話だけでも書いて投下する。
500じゃなくても投下したいと思っているけど……。
中々思うように筆が進まんのですよ。
871名無しさん@お腹いっぱい。
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>