あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part219

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part218
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1236083042/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

     _
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 16:52:09 ID:hqazcPDB
>>1
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 16:52:17 ID:+B7LW0ze
>>1
4ゼロの魔王伝:2009/03/08(日) 16:56:48 ID:JWDoc2v1
>>1乙&GJです。では、早速ですが投下させていただきます。

ゼロの魔王伝――22

 魔法学院の学院長室の窓から、去りゆくルイズ達の背を見送り、アンリエッタは憂いを湛えた様子で俯いた。死地へと自らが赴かせた者達に待ち受ける運命が、果てしなく暗く重たいものに思えて、アンリエッタの胸中が安らかなものであるわけもない。
 指を組み、せめてもの祈りを始祖に捧げるアンリエッタの姿は、世界中のなにもかもに押し潰されてしまいそうなほど、小さく見えた。一国の王女という立場を考慮しても、重すぎる荷である事だろう。
 アンリエッタは、聞く者の胸に深い悲しみ抱かせる溜息を小さく吐いてから、背後のオールド・オスマンを振り返った。トリステイン最老にして最強と言われる老メイジは、それらしい雰囲気の欠片も見せず、枯れ木みたいな指で鼻の辺りを弄くっていた。
 どうも鼻毛を引き抜こうとしているらしいと悟り、アンリエッタは呆れかえった。王女を前にしてこの態度、世が世なら、いや今の時世でも不敬罪に問われてもおかしくない行動だ。
 そんな事を目の前でかまされても怒りを覚えない辺りが、蝶よ花よ、と育てられて傲慢になりがちな身分の生まれの者には珍しい穏やかな気性がアンリエッタらしい。

「見送られないのですか、オールド・オスマン?」
「ほほ、姫、御覧の通りこの老いぼれ目は鼻毛を抜くので忙しゅうございましてな」
「心配ではないのですか?」

 やや怒りを込めた様子のアンリエッタの声に、いて、と呟いて引き抜いた鼻毛をぱっと捨てて、オスマンは少しばかり真面目な調子で答えた。

「無論、我が学院の生徒の身です。案じぬわけもありますまい。ただ、この老いぼれ目には心配を覆すだけの心当たりが……」

 オスマンの言葉を遮ったのは、激しく叩かれるドアの音だった。まだ使用人くらいしか起きていないであろう時刻に、学院長室を訪れる者はまずいない。
 急ぎの用であろう。アンリエッタはすでに侍従や護衛の者達に一言告げてあるから、格別呼びに来るような用件はないはずだが。
 果たして、オスマンが爪楊枝代わりに使っている銅製の縫い針の様な杖を振るい、解錠するや、勢いよくコルベールが走り込んできた。荒い息遣いが、学園長室まで急いで走ってきたのを物語っている。
 部屋の中のアンリエッタにも気付かぬ様子で、コルベールは赤く変わった顔のまま壊れた堤みたいに喋り出した。

「大変ですぞ、オールド・オスマン。いい、一大事出すぞ!」
「まあ、落ちつきたまえ、コルベール君。最近の君はいつも一大事ばかりじゃのう」
「ですが、本当に一大事なのです! 学院長に命ぜられました通り宝物庫を見てきたら、ないのです! 『破壊の槍』が!!」
「ほう」

 とオスマンは、そうなる事が分かっていたと言う様に呟いた。オスマンの脳裏には、『破壊の槍』=神の槍を奪還してきた時のDの言葉が蘇っていたのかもしれない。槍はルイズを選んだという言葉を。

「『破壊の槍』? あの学院の秘宝ですか?」
「はははい、その通りで……こ、これは姫様!? な、なぜ、このエロじじいの部屋に」
「え、エロ……」

 王宮では一度も耳にした事の無い言葉に、思わずアンリエッタが絶句して、オスマンを見た。その目には不審の光がありありと浮かんでいた。かような反応は、オスマンの普段の行動の賜物であったろう。
 こほん、とオスマンがその場を取り繕うための咳払いをした。いかにも胡散臭い咳払いである。

「『破壊の槍』が行方知れずになった事も大事ですが、今は彼女らの行く末を案じましょう。振られた杖は戻せませぬゆえな。待ちましょう、祈りましょう。なに、彼らには影の様に傍に侍った美しい手助けがあります。なんとかなるでしょう」
「それは、ワルド子爵? それともあのギーシュさんですか? いえ、貴方の仰り方では別の誰かがいるというのですね。その方は、それほど頼りになるのですか?」
「そうですな、この学院の誰よりも。あるいはトリステインのいかなるメイジよりも腕はたちます。なによりも美しい」
5ゼロの魔王伝:2009/03/08(日) 16:58:47 ID:JWDoc2v1
 そういって恍惚となる老人の顔を、飛びきりの悪夢を見た様に気味悪げにアンリエッタは見つめた。頬をうすく桃色に染めた老人の顔など、見ても楽しいものでもない。
 ちら、とコルベールの方を見ると、どういう理屈かこの中年教師も恥じらう様に頬を染めていると来た。同じ人物を思い描いたらしいが、気持悪いったらありゃしない。
 アンリエッタは、先程までの神妙な気持ちを散々なものにしたが、それでもオスマンの言う誰かの事が気になり、こう聞いた。

「その人は、一体誰なのです?」
「……D、という名の男です。ミス・ヴァリエールの使い魔ですが、昨夜お会いにはなられなかった?」
「ええ、昨日はルイズの部屋には、そのような方は。ルイズは、人間を使い魔にしたのですか?」
「ほほ、まあそう言うわけですじゃ」
「昔から変わったところのある子でしたが、人間を使い魔にするなんて初めて耳にしましたわ。それほど信頼されていると言う事は、ひょっとして優れたメイジであったりするのですか?」
「いえ、メイジではありません。ですが、彼に勝てる者は、ハルケギニアのメイジにはおりますまい」

 メイジでもないものがメイジを上回る力を持つ。
 メイジという存在が社会的にもまた、『生物』としても明確にメイジならざる『平民』よりも優れたると、生まれた時から教えられた貴族達の頂点に立つアンリエッタからすれば、如何にオスマンの言葉といえども信じるのは難しい。
 アンリエッタの顔色でそれを察したオスマンは、この姫君に安心を与えようと思いたち、この世界のものでも知っているとある伝説を口にした。

「姫は始祖ブリミルの使い魔の伝説はご存じですかな?」
「通り一遍の事なら知っていますが」
「では『ガンダールヴ』の降りはいかがですかな?」
「『神の盾』ですか? まさか、そのDという方がそのガンダールヴだと仰いますの?」
「ほほ、それほどに使える男だと言う事です」

 しかし、それでも不安がぬぐえぬようで、アンリエッタは小さな粒としか見えないくらい遠くのルイズ達の背を見つめて、呟いた。一層不安の響きは増している。オスマンの言葉は逆効果であったらしい。
 なにしろ

「ですが、オールド・オスマン、彼ら以外に人影は見えませんが?」
「ほっほっほ、なに、影の様に、と申しました通り、目に見えぬどこかで見守っておる事でしょう。必要とあらば生まれたばかりの赤子であろうと容赦なく首も刎ねかねぬ男ですが、割と人が良い所もある気骨漢ですわい」
「……わたくしは見た事もあった事もありませんが、トリステインの誇るメイジたる貴方がそうおっしゃるのなら、そのお言葉に縋りましょう。影さえも美しいというその方が、ルイズ達の力となってくださることを祈ります」

 
 魔法学院を出発してから、ワルドはのんびりとグリフォンを歩かせていた。本当なら休まずグリフォンを疾走させて急ぐ予定だったのだが、ギーシュの言葉で急いでも結局は足止めを食らう事が分かったから、予定を変えている。
 ワルドとしてはこの穏やかな旅の内に、十年間ほったらかしにしておいたルイズとの溝を埋めるべく、飽きることなく口を開いてはおしゃべりを続けていた。
 もっとも応じるルイズの口は重く、ワルドの一方的なおしゃべりとなっている。だから、今のルイズには禁句に近い使い魔の話題を口にした時、わずかにルイズの肩が動いたのに気づき、ワルドはようやく会話が出来るかと安堵した。
 ルイズは、後ろからワルドに抱すくめられるようにグリフォンに跨っているから、ワルドからはその表情を窺い知る事は出来ない。ルイズがワルドを振り向けば、その表情を沈鬱なモノが支配している事に気づくこともできただろう。

「そういえば、魔法学院の二年生はこの時期、使い魔召喚の儀式を済ませている頃だね。君の使い魔はどうしたんだい? 学院で聞いたが、人間を召喚したんだって?」
「D、っていうのよ」
「姫殿下が学院に着いた時、君の姿を見たよ。十年会わずにいても一目でわかったよ。十年前から君は他の人間とは違う雰囲気の様なものを纏っていたけど、今はそれにもっと磨きがかかっていたからね。
 その時、君の友人達の中に、変わった格好の男がいたが、彼が君の使い魔なのかな。見かけない格好だったが、異国の傭兵かなにかだったのかい?」
「詳しい事は知らないわ。何も聞かなかったし、いつか聞けばいいと思っていたから」
「そうか、それでそのDくんは?」
6ゼロの魔王伝:2009/03/08(日) 17:00:33 ID:JWDoc2v1
「……置いてきたわ。姫様の任務は、とても危険なものだから連れて行くわけにもいかないと思ったのよ」
「そうか、使い魔とメイジは一心同体だが、人間を使い魔にした例は聞いた事が無い。向こうの言い分もあるだろう。しかし、ルイズ、君は優しい女の子だな。使い魔くんの事を案じたのだろう?」
「……」

 黙りこむルイズの背を見つめ、ワルドは安堵した様な表情を浮かべ、自分の心に気づいてすぐに恥辱の朱に変えた。
 メイジの最高峰スクウェアメイジであり、誇り高き魔法衛士隊隊長の一人である自分が、平民一人がいない事に安堵するなど、屈辱以外の何物でもない。ワルドが、この時感じた安堵が、極めて正しいものであると知るのは、もう少し先の事であった。
 そんなワルドの端正な顔が、はっと何かに気づいた様にしかめられたのは、それから少し後の事であった。沈んだ心のルイズは、ワルドの表情の変化に気づかない。ワルドは、はるか彼方の光景を見ようとするように、目を細めた。


 灌木や、わずかな茂みがぽつぽつと緑の色彩を浮かべている山道に、呼吸をするだけで鼻や口の中に血の味が広がるほど濃密な血臭が立ち込めていた。乾燥し、ひび割れた地面は、渇いた砂漠の旅人が水を貪るように、次々と溢れた血潮を吸いこんでいる。
 大地に倒れ伏した人影の数は十を超える。手入れだけは欠かさずにいて、磨き抜かれた剣や、短槍、手斧などが持主達自身の血に濡れて転がっていた。いくつかには、肩や肘から断たれた腕も付属していた。
 粗末な革鎧や、鉄製の胸当てを身につけたいかにも傭兵、野盗崩れらしい風体の男達が、一人の黒尽くめの青年を囲んで襲い掛かっていた。
 遠巻きに囲んで矢を射掛けていた者達が、真っ先に倒され、その喉や眉間、心臓から長さ二十サントを越す木の針が刺さっている。
 死の訪れは一瞬であったろう。
 髭まみれの面に、殺人の禁忌など何十年も前に忘れ果てた粗暴野卑な顔立ちの男が、筋肉の瘤を固めて作ったような両腕で、思い切り振りかぶったトゥーハンデッドソードを正面の青年めがけて振り下ろす。
 しかし、鉄製の兜も真っ二つにする剛剣は、青年の片手一刀の刃に容易く弾かれ、万歳の態勢の胴を斜めに銀線が走った。
 脊髄や内臓、肋骨をまとめて斬った一撃に、ずるりと男の体がずれたのは、それから数秒後の事だった。
 その背に、三人ほどが腰だめに構えた短槍が一気呵成に付きこまれる。一切の容赦を捨てた刺突は、視界を黒い何かに遮られるのと同時に跳ねあげられ、間を置かずして短槍を握った男達の首がまとめて胴体から離れた。
 青年が翻したロングコートの裾に槍の穂先は弾かれ、コート共に翻った青年の剣によって、三人の男達の首は藁を大鎌で刈る様に呆気なく両断されていたのだ。
 ぴゅう、と音を立てて、胴と首の切断面から噴水の如く血潮を噴くよりも早く、切断者である青年が宙を舞った。
 まだ昼日中だと言うのに、太陽が消えてしまったように世界が暗く陰ったように思われたのは、宙を舞った青年の黒尽くめの衣装ばかりが理由ではあるまい。そのこの世ならざる美貌に陽光までも吸い込まれてしまったように、男達には思えてならなかった。
 自分達が相手にしているのが、別の世界の住人だと、賊達が骨の髄まで理解するのは、着地した青年が同時に四方に走らせた剣閃によって、さらに五人の胴体が臍のあたりから真横に両断され、四人が頭頂から股間までを、縦に真っ二つにされた時だった。
 断たれた箇所から内圧で臓物や血潮、ピンク色の脳や、胃、食道の中のモノがどろりと毀れ落ちてより一層酸鼻さを増す世界の中で、青年に襲いかかった賊達は、ただ一人を残して皆殺しの憂き目に遭っていた。
 腰を抜かし恥も外聞もなく失禁して、仲間達の流した血の海に尻餅をついた男は涙と洟でぐしゃぐしゃにした顔に、かろうじて正気の名残をとどめつつ、狂気の棺桶に片足を突っ込んでいた。
 この山道の向こうにある港町ラ・ロシェールの酒場で、白い仮面を被った貴族らしい男に頼まれ、酒場に居た者達でグループを作り、この山道を通ってくるある者達を襲えと依頼された。
引き換えに大枚の金貨を与えられ、いざとなれば降服しても構わないと言われていたから、さしたる危機感もなく引き受けた仕事の筈であった。
しかし、男の指定した者達がここを通るよりも前に姿を見せた黒尽くめの青年を、同行していた白仮面に襲うよう言われ、その通りにした結果がこれだ。
7ゼロの魔王伝:2009/03/08(日) 17:04:27 ID:JWDoc2v1
 長剣と木で作ったらしい針だけが武器の青年を相手に、二十人を越した仲間達は今や凄惨な死に様をむざむざと晒したもの言わぬ屍となり果て、自分は美しい冥府の国からの使いに、命を握られている。
 ほんの数時間前の、ラ・ロシェールの娼婦達の味比べといった下世話な話に興じられていた頃が、まるで楽園で過ごした至福の時のように思えた。せめて殺すならひと思いに。もう、これくらいしか思い浮かばない。
 一人だけ残しておいた男の団子鼻に、長剣――デルフリンガーの切っ先を数ミリ突きさし、ぷつりと血の球を浮かばせたまま、青年――Dが口を開いた。
 昨夜ルイズの部屋を辞した後、フーケの部屋を訪れてから何をしていたのか、今この美貌の吸血鬼ハンターは、港町ラ・ロシェールの近くに居た。
 浪蘭幻十を追ってここまできたのか、それともアルビオンに居るドクター・メフィストに会いに行く用事でも出来たのかは、分からない。いずれにせよ、この青年に襲いかかった事は、賊達にとって生涯で最も不幸な出来事には違いなかった。
 ほぼすべての人間が生を終える事になったのだから、これ以上不幸な事もあるまい。
 あとほんの一押しで狂気の奈落の底に堕ちるであろう男を前に、Dの左手からしゃがれた声が零れ出た。いわずもがな、Dの左手に宿る老人の人面痕だ。

「さて、こやつをどうしてくれようか。町の警邏のモノにでも引き渡すか? それとも面倒を省いてこの場で首を刎ねるか? どちらにせよ、誰かに頼まれたのかどうか、口を割らせてからじゃのう。楽しい拷問タイムじゃわい」

 だが、左手の宣言した『楽しい拷問タイム』は、開始の時刻を迎える事はなかった。ひ、と男が喉を鳴らすのと同時に、岩陰の一つから目も眩むような稲妻が男とDに襲いかかって来たのだ。
 稲妻の直撃を受けた男は悲鳴を挙げる間もなくあっという間に黒焦げに変わって、ぶすぶすと黒い煙と、肉の焼ける香ばしい匂いをまき散らす。Dは、男から数メイル離れた場所に着地していた。
 稲妻が放たれる直前に感じ取った殺気に反応し、回避行動に移っていのだ。黒い瞳が岩陰の向こうの敵を射抜き、Dの足が動いた。風を引きちぎりながら黒影は動き、十メイル彼方の岩陰へと走る。
 岩陰の向こうの敵は動揺したのだろう。わずかに殺気が揺らぐのが、Dには手に取る様に分かった。残り、一メイル。十メイルの距離は一秒とかからず詰められ、その途中でDの左手が振られる。
 音の壁を超えて走った木の針は、大気の摩擦に灼熱して真っ赤に燃えながら岩陰の向こうに吸い込まれて、う、という小さな苦鳴の声が聞こえた。だが、その声が聞こえたのと同時にDの足が止まった。
 デルフリンガーがいぶかしげに使い手に問うた。とどめの一手を躊躇する様な甘い男であるわけもない。

「どうしたね、相棒?」
「逃げられたな」
「なに?」

 デルフリンガーを右手に提げたまま、Dはゆっくりと岩陰の向こうに回り、地面に落ちた木の針のみが残っていた。確かに命中したはずなのに、血の一滴も付着していない。稲妻を放ったのは、赤い血の流れぬ人外の存在であったか。
 落ちた木の針を拾って懐にしまって、Dはデルフリンガーを背の鞘に収めた。あ、もうおしまい? と寂しげなデルフリンガーの声が聞こえたが、無論Dはこれを無視した。
 背後から、うえ、だの、うわぁ、だのと今にも嘔吐しそうなのを必死に堪えている声と気配が近づいてきた。若い女のモノである。ベッドの上で喘がせる事が出来たらどす黒い快楽が背筋を流れる様な、美しい女の声だ。
 左肩には皮鞄を下げて、フード付きのコートという旅装姿のフーケであった。袖ですっきりと小気味よく通った鼻を押さえて、美眉をしかめながら、血で濡れていない地面を探して苦労しつつ歩いてきた。
 周囲の光景に一生モノのトラウマを抱えそうになるのをなんとか耐えて、Dの左横に立った。非常の血液補充先としてフーケを伴っているのか、Dがフーケを連れている理由は目下不明だ。
 長い盗賊稼業で修羅場や荒事にも慣れている筈のフーケも、こうまで一方的な殺戮の現場を目にするのは初めての様で、改めて自分の関わった男の異常さに、眼を剥いているようだった。

「まったく、慈悲の欠片もないねえ。あんた、碌な死に方をしないよ。ヴァリエールのお嬢ちゃんらと一緒の時はあんなに大人しいくせに、同じ顔でこんな事が出来るなんてね」
「行くぞ」
「あ、ちょっと! まったく、夜中に突然やってきたかと思えばいきなりアルビオンへの道案内をしろって一方的に言ってさ。まったく、他人の意見てもんを知らないのかね? 馬を飛ばし続けた所為でクタクタだよ。分かっているのかい? この、万年顔面神経痛!」
8ゼロの魔王伝:2009/03/08(日) 17:05:19 ID:JWDoc2v1
 と罵ってから、罵った相手に気づき顔面を蒼白に変えた。思わず口を押さえて恐る恐る近くの木立に手綱を巻いた馬へ近づくDの背を見る。幸い、怒りには触れずに済んだ様で、Dは特に反応を見せない。
 止めていた息をゆっくりと肺から絞り出して、フーケは安堵の溜息に変えた。いちいち口にする言葉を選ばねばこちらの命が危ういような相手と、行動を共にするのはひどく疲れる。
 その癖、Dが目を離した隙に逃げようと言う気が起きないのは――逃げられるかどうかはまた別として――、やはり、この魔性の青年の妖しいまでの美貌に心縛られているからだ。
 吸血鬼の血を引く者に血を吸われてしまったと思い込んでいる事とあいまって、フーケは口では反発してもDの言葉には逆らえぬ心理状態にある。そういった事情を抜きにしても、Dの頼みを断れる人間というものは少ない。
 Dはただ、相手の瞳を見つめ、無感情な、それこそ機械の合成音声の方がまだぬくもりを感じられるような冷たい声で用を告げるだけで良い。
 それだけで相手の脳髄は泥濘の様に蕩け、閉じた瞼の裏に明滅するDの美貌と、鼓膜を揺るがし続けるDの声に唯々諾々と従うだろう。映画ドラキュラの中に登場したツェザーレの如く。
 結局、フーケはいつの間にか馬に乗って待っているDの方へと、しぶしぶと歩いて行くのだった。死ぬまでこき使われるのが分かっているのに、まんざらでもない自分の気持ちに気づいて、フーケは拗ねた子供の様に唇を尖らせた。
 Dは、そんなフーケの様子など知った風でもなく、蹄鉄の音も軽やかに、馬を進めていた。その背には別れを告げた仮初の主人に思いを馳せている様子は、微塵も見受けられなかった。


 通常、ラ・ロシェールまでは学院から馬を飛ばしてざっと二日ほどかかる。早朝に出発し、途中の駅で馬を交換して走り続ければ、なんとか夜中には着く距離だ。
 明日の夜は二つの月が重なる『スヴェルの夜』。その翌日にならないと船は出ないから、到着は明日でも問題はない。街道沿いにある旅籠か、少し離れた所にある街で宿を求めて今日は夜露を凌げばいい。
 ルイズは、グリフォンの上に跨ったまま、うつらうつらと船を漕いでいた。まる一夜泣き続けた所為で、碌に睡眠を取っていないせいもあるだろう。ふらふらとおぼつかない様子のルイズに、ワルドは苦笑し、すぐにその笑みを取り払って周囲を警戒した。
 風のスクウェアメイジとして鋭敏や五感に、空中から近づいてくる何者かの気配を感じ取ったのだ。グリフォンも、主人同様に低いうなり声を上げて警戒を露わにしている。
 ワルドは静かにルイズの肩を揺すり、眠りの世界との境目をうろついていたルイズをこちら側に引き戻した。

「ワルド? あ、ごめんなさい。私ったら」
「気にしなくていいさ。君の寝顔はなかなかチャーミングだったしね。それよりも誰かがこちらに近づいてくる。気をつけるんだ」
「え、ギーシュじゃないんですか?」
「彼なら馬で後を追ってくるだろう。十分に追いつける距離だしね。だが、今近づいてきている相手は、空からだ」

 ワルドは、グリフォンに跨ったまま腰にさしてあるレイピアの様な杖を握り、いつでも閃光の速度で抜剣、いや抜杖できるよう身構えた。ルイズは腰のベルトに指してある杖を小さな手の平で握った。
 トリステイン最精鋭部隊の長であるワルドを援護する事さえもできるとは思えなかったが、それでも何もできずに守られているわけにも行かないだろう。賊の一人くらいは、斃して見せようと、ルイズは小さな胸の奥で誓っていた。
 やがてばっさばっさと派手な音を立てて、上空に蒼い影がぽつんと浮かび上がり、それは徐々に大きさを増してルイズ達を目指して降下してきた。
 最初は、風竜か、と緊張したルイズだが、風竜の姿とその背から時折見える赤い髪に見覚えがある事に気づいて頭痛を覚えた。すっと杖を抜こうとするワルドの気配に気づき、慌ててルイズは声をかけた。
 Dの傍にいた所為か、人が誰かにあるいは何かに対して破壊衝動や殺意を抱くのを敏感に察知できるようになっているらしい。餓えた獣も自殺したくなるような鬼気を纏うDの影響で、皮膚感覚から第六感に至るまでが、鋭敏さを増しているのだ。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 17:07:22 ID:IytBpnf2
>この、万年顔面神経痛!
左手に染まってきてないかw支援
10ゼロの魔王伝:2009/03/08(日) 17:08:03 ID:JWDoc2v1
「ワルド、待って。あれは敵じゃないわ。私の知り合いよ」
「なんだって? 誰かに、この任務の事を伝えていたのかい?」
「そんな事、杖に誓ってしてないわ。多分、ギーシュが話したか、私達が朝出かけて行くのを目撃して追いかけて来たのよ」
「しかし、そんな事で後を追ってくるものなのかい?」
「あの赤毛女なら追ってきてもおかしくはありませんわ」
「ふむ」

 とワルドはとりあえず納得したように頷いたが、杖に添えた右手は離さずにいた。いつでも杖を抜き放って、強烈な風の一撃を見舞えるようにしている。常に利き腕は空けておくか、杖に添えている。
 不意を突かれて襲われた時に、杖を求めて反撃の一手を講じるのに余計な手間をかけぬようにしているのだ。戦闘を専門とする軍人としては初歩の心得だ。
 やがて、ふわ、と風を孕んだ風竜――シルフィードの翼が柔らかく羽ばたいて着地すると、その背に乗っていたタバサ、キュルケ、それにギーシュがシルフィードの背から降り立った。シルフィードの口にはギーシュの使い魔であるヴェルダンデが咥えられていた。
 自慢の炎が変じた様に艶やかな赤色の毛をかき上げて、キュルケがウィンクしながらルイズに近づいてきた。タバサは寝起きを起こされたのか、ナイトキャップを被ったパジャマ姿だった。それでも相変わらず本を読んでいる。

「おまたせ」
「おまたせ、じゃないわよ。なんであんた達が居るのよ。何しに来たわけ?」
「なにって、今朝早くに貴女達が正門から出かけて行くのが見えたからこうして追いかけて来たのよ。なんだか面白そうだし。その途中でギーシュも見つけたから連れて来て上げたのよ」 

 ここまでキュルケの言い分を聞いてから、ルイズはきっとギーシュを睨んだ。余計な事は言っていないでしょうね? という無言の詰問に、ギーシュはちょっとたじろいだ様子で首を縦に振った。
 空の道中で、キュルケにはさんざん勘ぐられて誘導尋問やらなんやらもされたのだが、見事ルイズ達に追いつくまで、アンリエッタから賜った極秘任務については口を割らずにいられた。

「あのねえ、今回の事はお忍びの事なの。それがあんた達まで付いてきちゃったら目立ってしょうがないじゃない」
「あら、なら先に言っておいてくれなきゃ分からないじゃない。でも、だから貴女がそんな恰好をしているわけね。結構似合っているわよ。紅顔の美少年って所かしら?」
「アンタにそんな事言われても嬉しくないわよ。本当にもう」
「まあ、いいけど。それで、あちらのお髭が素敵な方は?」

 とキュルケが値踏みするみたいにワルドの方を見た。確か、アンリエッタが学院を訪れていた時に、馬車の周囲を警護していたグリフォン隊の中に居た顔だ。いかにもエリート散ったたたずまいの怜悧な雰囲気と、端正な顔立ちは良く覚えていた。
 キュルケの誘う様な瞳を真っ向から受け、しなを造りながら近づいてくるキュルケにワルドは固い声で答えた。

「君らの友情には敬意を表するが、それ以上近づくのは止めてもらおう。婚約者に誤解されてしまっては困る」
「婚約者? ルイズの?」

 あらま、と眼をぱちくりさせてキュルケはルイズを見た。ルイズはちょっと困ったような、戸惑っているような顔をしている。ルイズも自分とワルドが婚約者であると言う事実が、実感できていない様子だ。
 面白くないけど、かといって首を突っ込むような事でもないかしら、とキュルケはワルドへの興味をすぐに熱の低いものに変えた。何より、ワルドの氷から削り出したように冷たい瞳が気に食わない。
 ワルドの瞳よりもはるかに冷たく、はるかに暗く、はるかに美しく、また恐ろしい瞳を知っていたという事もあったからかもしれない。いずれにせと、キュルケはワルドの瞳には微熱を燃え上がらせる事もなく、またルイズをからかい始めた。
 からかう言葉の中で、Dの不在を問うものが無かったのは予めギーシュに注意を受けていたからだろう。今のルイズにDの話題は禁句なのだ。
 それに、ルイズからDを取り上げたら自殺してしまいかねないと、かつてタバサに語ったのはキュルケ本人だった。
 だから、キュルケは決してDの事は口にはしなかった。からかいもする。馬鹿にもする。だが、激励以上にルイズを傷つける言葉を、キュルケは決して口にはしないのだ。

投下はここまでです。お久しぶりでした。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 17:26:44 ID:msatKRkf
お疲れ様でした。
Dの目的はなんなんだろう?次回を楽しみにしてます。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 17:32:20 ID:c6fb1orZ
支援の暇がなかったw

GJでした。
消えた槍の行方ともども、続きを楽しみにさせていただきます。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 17:57:49 ID:UgGkraHz
ギーシュ「デッドリーレイッ!」

言ってみたかっただけなんだ。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 17:59:26 ID:R2/PlhDj
>>13
ギーシュさん風のメイジになってまうがな
15ゼロと損種実験体:2009/03/08(日) 18:01:25 ID:3Au3fkKq
魔王伝の人乙です。恥じらう老人とおっさんが不気味で良いです。

18:10から第13話を投下したいと思います。

今回は6レスになるかと思われます。
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 18:06:23 ID:IytBpnf2
>>13-14
ギーシュは土だから『乾いた大地』の人かゴローちゃん役でw
キュルケは『炎のさだめ』でタバサは『荒れ狂う稲光』とか

>>15
支援するよ
17ゼロと損種実験体:2009/03/08(日) 18:10:15 ID:3Au3fkKq
 ルイズたちを乗せた空賊船、いや軍艦イーグル号は、乗っ取ったマリー・ガラント号を牽引し、雲に隠れるようにして進み、ニューカッス
ルの城を目指して進んでいた。
 自分がウェールズ王子であると明かした空賊船長に、最初ルイズは、その言葉を信じていいのだろうかと迷ったが、彼女がアンリエッタ王
女から預かった指輪、水のルビーと同じく、王家に伝わる風のルビーをウェールズが持っていたことにより、その疑念は解消された。この二
つは、共鳴しあい、近づけると虹色に輝くのだ。
 というか、そういう身分証明のアイテムになるのなら、渡すときに教えておけとアプトムは思ったが、同時にもう一つ、それ以上に気にな
ることがあった。
 それは共鳴する二つの指輪。そこから感じ取れるのは生体波動。それも、獣化兵から感じ取れるそれに近しい。いや、あるいは獣神将のそ
れに近いかもしれない。
 だが、何故宝石から生体波動を感じるのだろうかと、彼は訝しむ。
 そんな彼の疑問に共感する者もいなかったので、事態は彼が考え事をしている間に進む。

 ルイズはアンリエッタがウェールズに充てた手紙を取り出そうとして、自分の荷物の中にないことに気づき、どこかに落としてきたのでは
と狼狽したところで、アプトムに預けているだろうとワルドに指摘された。
 そういえば、そうだった。というか、なんでアプトムはすぐに教えてくれないのよ。などと睨みつけると、彼は考え事をしていてこちらに
気づいていない。

「アプトム! 手紙!」

 そう叱責してやると、こちらに顔を向けたアプトムは、すぐにこちらの意図に気づいてくれたらしく手紙を出してくれたので、すぐにウェ
ールズに渡したところ、それを読んだ王子は、最初驚き次に少し寂しそうな顔をした後、ルイズたちが回収に来た恋文、と言ってもルイズは
ある手紙としか聞かされていないのだが。を返すのは構わないが、今は手元にないのでニューカッスルまで来てほしいと言い、そうして三人
は、ニューカッスルに向かうことになったのである。
 それ以前に、ウェールズら王党派はアルビオンのどの港に行くこともできない立場なので、ルイズらを途中で降ろすことなどできなかった
のだが、そんなことをわざわざ口に出して言ってくることはなかった。


 そんなこんなで、ニューカッスルが見えた辺りで、イーグル号は大陸の下に回り、日が射さず雲のせいで視界がほとんど利かないそこを進
み、しばらくして頭上に見えた大きな穴に入り込んでいく。
 現在ニューカッスルの城は、陸も空も封鎖されているが、ここを通れば出入りできる。もっとも、貴族派などでは、それが分かったとして
も、ここを通ることなどできまい。そんな説明をされて、ワルドは「まるで空賊ですな」と呟き、ウェールズは「まさに空賊なのだよ」と答えた。

 穴を進んだ先には港である鍾乳洞があり、そこに艦を泊めると、多くの人々が彼らを出迎えた。王党派の兵士たちである。

「喜べ、硫黄が手に入ったぞ!」

 ウェールズの叫びに、港に集まった者たちは歓声を上げた。

「おお! 硫黄ですと! 火の秘薬ではござらぬか! これで我々の名誉も、守られるというもの。これだけの硫黄があれば……」
「王家の誇りと名誉を、叛徒どもに示しつつ、敗北ができるだろう」

 駆け寄ってきた老人に、ウェールズが笑って返すと、他の者たちも楽しそうに笑いあう。

「栄光ある敗北ですな! この老骨武者震いがいたしますぞ。して、ご報告なのですが、叛徒どもは明日の正午に、攻城を開始するとの旨、
伝えて参りました。まったく、殿下が間に合って、よかったですわい」
「してみると間一髪とはまさにこのこと! 戦に間に合わぬは、これ武人の恥だからな!」
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 18:11:49 ID:IytBpnf2
その宝石ってまさか……支援
19名無しさん@お腹いっぱい:2009/03/08(日) 18:12:10 ID:3+HV3DmB
すいません。二度と読めないと思ってしまいました。もうしわけありません。
とにかくGJ!!いよいよ菊地節が本格的に入ってきました!!
ハルゲニア大災害の始まりです。
20ゼロと損種実験体:2009/03/08(日) 18:12:34 ID:3Au3fkKq
 そんな彼らの姿に、ルイズは急に襲ってきた恐怖に背筋が冷たく感じる。
 誇りのためには、命を賭けなければならないというという考えはルイズにもある。魔法が使えないメイジである彼女には、他に自分を貴族
たらしめるものがなく、それゆえに貴族としての誇りとは命と同じくらいに重い。
 だから、勝つためだと彼らが言うのなら、たとえそれがどれだけ勝ち目の薄いものに見えても、彼女は何の疑問も抱かずに彼らを見送るこ
とができただろう。
 だけど、彼らは敗北と言った。
 誇りのために命を捨てるという考えは、彼女にはない。なぜなら、死ぬというのは、本人にとって恐ろしいもののはずだから、周りの人た
ちにとって悲しいことのはずだから。


 ウェールズは、ルイズたちを連れて自分の部屋に入った。
 そこは、粗末なベッド以外には椅子と机が一組あるだけの質素な部屋。
 王子は、机の引き出しから宝石の散りばめられた小箱を取り出し、それを開けるとその中に入っていた一通の手紙を取り出した。
 彼は、折り畳まれたそれを開き、何度も読み返した後、もう一度丁寧に折り畳み、封筒に入れるとルイズに差し出した。

「これが、姫からいただいた手紙だ。このとおり、確かに返却したぞ」
「ありがとうございます」
「明日の朝、非戦闘員を乗せたイーグル号が、ここを出発する。それに乗って、トリステインに帰りなさい」

 ウェールズがそう言うと、深々と頭を下げて手紙を受け取ったルイズは、少しの間手紙を見つめ考えてから口を開いた。

「あの、殿下……。さきほど、栄光ある敗北とおっしゃっていましたが、王軍に勝ち目はないのですか?」
「ないよ。我が軍は三百。敵軍は五万。万に一つの可能性もありえない。我々にできることは、はてさて、勇敢な死に様を連中に見せること
だけだ」

 あっさりと死を語るウェールズに、ルイズは彼を想うアンリエッタの姿を脳裏に浮かべる。

「殿下の、討ち死になさる様も、その中には含まれるのですか?」
「当然だ。私は真っ先に死ぬつもりだよ」

 まるで他人事のように自分の死を語る王子に、ルイズの感情は爆発する。

「殿下! この手紙は、これは……」

 言葉を詰まらせる。自身の感情の抑制が不得手なルイズには、自分の頭の中で渦巻く想いを上手く言葉にできない。

「この任務をわたくしに仰せつけられた際の姫様のご様子、尋常ではございませんでした。そう、まるで、恋人を案じるような……。それに、
先ほどの殿下も……」
「きみは、従妹のアンリエッタと、この私が恋仲であったと言いたいのかね?」
「そう想像いたしました。とんだご無礼を、お許しください。してみると、この手紙の内容とやらは……」
「恋文だよ」
21ゼロと損種実験体:2009/03/08(日) 18:15:04 ID:3Au3fkKq
 あっさりと肯定してみせる。しかも、この恋文の中において、アンリエッタは始祖ブリミルの名において永遠の愛を誓っていると王子は告
げる。
 始祖ブリミルに誓う愛は婚姻の誓いでなくては許されず、これが知れればゲルマニア皇帝との婚約は破断となり同盟も消え去る。
 ゆえに、このことは誰にも明かすわけには行かず、しかし、アンリエッタの王女としての立場でなく心を守りたいと考える少女には言って
もいいだろうとウェールズは判断する。

「とにかく、姫さまは、殿下と恋仲であらせられたのですね?」
「昔の話だ」
「殿下、亡命なされませ! トリステインに亡命なされませ!」

 何が昔の話だと、ルイズは叫ぶ。幼き頃より王女の遊び相手を務めていたルイズには、アンリエッタが今もウェールズを愛していることな
ど手に取るように分かる。
 そして、王子の態度から、彼の心もまた王女にあることも。ならば、彼は愛する者のために生きるべきなのだ。アンリエッタは、それをこ
そ望んでいるはずだ。

「殿下、これはわたくしの願いではございませぬ! 姫さまの願いでございます! 姫さまの手紙にも殿下の亡命をお勧めになる一文が記さ
れているはずですわ」
「そのようなことは、一行も書かれていない」
「殿下!」
「姫と、私の名誉に誓って言うが、ただの一行たりとも、私に亡命を勧めるような文句は書かれていない。そもそもアンリエッタは王女だ。
自分の都合を、国の大事に優先させるわけがない」

 嘘だ! と心の中でルイズは叫ぶ。ウェールズの言葉は正論だ。だけど、ただの正論でしかない。ルイズの知るアンリエッタという少女は、
そんな正論で愛するという想いを無かったものにするような薄情な人間ではない。
 だが、正論と認めてしまったことに対して、ルイズは言い返すことができない。視野の狭さと世間知らずであるせいで想像力が欠けている
とはいえ、彼女は頭がいい。なまじ頭のいいからこそ、一度、正論だと認めてしまったことを否定するという選択肢を取ることができない。
否定することが、アンリエッタを貶めることになるとなれば尚更だ。
 俯き、何もいえなくなったルイズの肩を叩き、ウェールズは優しく笑いかける。

「きみは、正直な女の子だな。ラ・ヴァリエール嬢。正直で、真っ直ぐで、いい眼をしている。忠告しよう。そのように正直では使者は務ま
らぬよ」

 俯かせた顔を上げてウェールズを見上げるルイズは、何故この人が死ななければならないのかと納得のいかない想いを募らせるが、やはり
言葉は浮かばない。

「そろそろ、パーティの時間なんだ。きみたちは、我らが王国が迎える最後の客だ。是非とも出席してほしい」

 それが、この話はこれで終わりだと言う宣言だと気づかぬはずもなく、言葉のないルイズはアプトムと共に部屋を出る。
 だが、そこにワルドが残った事にルイズは気づかなかった。



22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 18:16:57 ID:IytBpnf2
アプトム影薄いなw支援
23ゼロと損種実験体:2009/03/08(日) 18:17:34 ID:3Au3fkKq
 人気のない廊下を、アプトムは一人で歩いている。
 城内の人間は、一人残らずパーティに出ているらしく、どこを歩いても人に会わない。
 戦争をしている割に無用心なことだと思うが、勝ち目がないと達観し翌日には玉砕するつもりなのだから当然とも言える。
 正直なところ、アプトムには、勝ち目がない戦いに身を投じようという、この城の人間の考えが理解できない。
 彼も、かつても組織というものに身を置いた人間である。組織の利益のために、その身を犠牲にしなくてはならない場合もあるということ
は理解している。
 だが、それも後に残せる結果があって初めて意味を持つ。この戦いで王軍は何を得るというのか。王も、その家臣も死に絶え、後には何も
残らないまったく意味のない戦いだ。
 本人たちは名誉と誇りを残せると言っているが、そんなものは負け犬の遠吠えだ。彼らがいかに果敢に戦ったとして、それを貴族派の連中
が誰かに伝えるだろうか? ありえないなと、頭を振る。
 もっとも、そんなことはアプトムにとって、どうでもいい話である。いま彼にとって重要なのは、ルイズを無事にトリステインまで連れ帰
ることである。
 そのために、彼は城内に不審者が侵入していないかと見回り、ついでに万一のときにルイズを連れて逃げ出せるようにと城の構造を把握し
ようと歩いていた。
 歩きながら、ふと彼は思う。このままルイズと一緒に行動しているだけで地球に帰れるようになるのだろうかと。
 地球に帰るのに一番可能性の高い方法が、ルイズに召還の魔法を開発してもらうことだという考えが間違いだとは思わない。それに、ルイ
ズに情が移ってしまった以上、今更、彼女を放り出すと言う選択も自分には取れそうにはない。
 だが、ルイズの魔法に頼るだけではいけないのではないか。なんとなく、そう、なんとはなしに彼はそう思った。



 開いた窓から、月明かりの射し込む薄暗い廊下で、ルイズは一人涙を流していた。
 彼女は、先ほどまで、王子に招待され、パーティに出席していた。
 豪華に飾り立てられ豪勢な料理が用意された、そのパーティには美しく着飾った貴族たちがいて、簡易に用意された玉座には、国王ジェー
ムズ一世が腰掛けていた。
 ウェールズ王子から、トリステインからの大使だと皆に紹介されたルイズは、明るく笑いあう貴族たちに歓迎されたが、それを喜ぶことは
できなかった。
 それはジェームズ一世の言葉が理由。
 彼は言ったのだ。明日には、『レコン・キスタ』の総攻撃が行われる。明日の戦いで自分たちは皆殺しになるだろうと。
 その言葉に、ウェールズも周りの貴族たちも楽しそうに笑った。
 それが彼女には理解できない。死は悲しいことだ。決して笑って受け入れられるようなものではない。
 ルイズは身近な者の死というものを経験したことがない。それでも、自分が死んだらと思うと、恐怖で震えが止まらなくなるし、体が弱く
安静にしていなければ長く生きられないと言われている下の姉が命を落とすようなことがあればと考えるだけで悲しみで胸が潰れそうになる。
 ウェールズが死ねば、きっとアンリエッタは泣くだろう。ルイズにはそれが分かるし、王子も分かっているはずだ。なのに何故?
 そんなことを思っていると、アプトムがすぐそばに立ち、自分を見下ろしていることに気がついた。
 いつの間に? そんなことを思ったが口に出したのは別のことだった。

「どこに行ってたのよ。パーティにも出ないで」
「見回りに行っていた。見張りも残さずに、全員パーティに参加していたらしいからな」

 そんな答えに、ああ。と納得する。
 ああ、そうだ。この使い魔は、いつでも自分のために行動してくれる。今までに、自分のためにならない事をしたことなど一度もない。
 わたしの事なんか、なんとも思ってないくせに。と心の中で呟く。
 この旅で、少しだけ前より態度が優しくなったと感じているが、それでも自分に対するアプトムの感情が好意と呼べる程のものでないこと
は理解している。
 そのくせに、アプトムに甘え、泣き言を言おうとしている自分を嫌悪しつつも、彼女は口を開く。
24ゼロと損種実験体:2009/03/08(日) 18:20:08 ID:3Au3fkKq
「いやだわ……、あの人たち……、どうして、どうして死を選ぶの? わけわかんない。姫さまが逃げてって言ってるのに……、恋人が逃げ
てって言ってるのに、どうしてウェールズ皇太子は死を選ぶの?」
「名誉と誇りを守るためだろう」

 なによそれ。とルイズは思う。確かにそれは貴族にとって大切なものである。だけど、愛する人の気持ちを踏みにじってまで守る価値があ
るものだとは思えない。
 アプトムは、どう思っているのかと聞いてみると、どうも思っていないとの答えが返ってきた。
 彼にとって、この城の人間の生死など他人事でしかない。王子たちが戦って死のうが逃げようがどうでもいいのだ。
 しかし、そんな答えは、ルイズを満足させない。
 当然だ。彼女の望みは、自分の意見の肯定である。反論はもちろん、こんな突き放した答えも望んではいない。

「なんなのよ! あんたも、あの人たちも命を何だと思ってるのよ! 死ぬのよ。みんな死んじゃうのよ! 人の命って、そんなに軽いもの
なの?」

 激発する感情のまま苛立ちを吐き出し掴みかかろうとして、アプトムの未だ焼け焦げたままの右腕に気づいてしまう。
 そうだった。アプトムは、自分を守ろうとして戦い、こんな酷い傷を負ったのだ。それなのに、自分の考えに同意してくれないからと怒り
をぶつけるような理不尽が許されていいはずがない。

「ごめんなさい。これ使って」

 そう言って差し出したのは、軟骨の入った缶。なんだかんだと言って、ルイズはアプトムの右腕の傷の事をずっと気にしていて、火傷に効
く水の魔法薬を貰ってきていたのだ。
 しかし、実際には焼け焦げた表面の皮膚をそのままにしているだけで、右腕はとっくに完治しているアプトムは、気を使わせておいて黙っ
て、これを受け取るのはどうだろう? などと考えてしまう。
 そんな逡巡をするアプトムに何を思ったか、ルイズは何かに気づき勝手に納得する。

「そっか。左手だけでっていうのも無理よね。うん分かった。わたしが塗ってあげる」

 完全に誤解したルイズは、軟骨を指ですくい、痛みを感じさせないようにと注意しながらアプトムの腕に優しく指を這わせる。
 そんな配慮がなければ、焼け焦げた皮膚は崩れ、新しい皮膚が見えただろうが、そうはならずアプトムも真実を告げる機会をなくした。

「……早く帰りたい」

 消え入りそうな声と共にこぼれた涙が、アプトムの右腕に落ちる。
 ここは、悲しすぎる。平気な顔で命を捨てようとしている人たちも、姫さまを悲しませると分かっていて生きようとしない王子も、ルイズ
には残される者の気持ちを考えない自分勝手な人間たちとしか思えない。
 そんな人たちとこれ以上一緒にいたくない。自分を暖かく迎えてくれる人たちのいるトリステインに帰りたい。シエスタに会いたい。キュ
ルケでもいい。あの二人ならきっと今の自分の気持ちを理解してくれるはずだ。
 その考えは、逃げであり甘えである。トリステインに帰るのなら、最初に会うべき相手はアンリエッタであるが、その事を無意識に考えな
いようにしていたのだから。
 だけど、今のルイズには、アンリエッタにウェールズが自ら死を選んだ事を伝える覚悟がなくて。ただ甘えさせてくれる相手を求めていて。
 そんなルイズの頭に、アプトムは空いた左手を乗せてやり撫でてやる。彼は人を甘えさせてやることが苦手で、その努力をしようと思うほ
どの好意をルイズに対して抱いていないから。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 18:22:19 ID:IytBpnf2
なんて噛み合ってない主従なんだw支援
26ゼロと損種実験体:2009/03/08(日) 18:22:39 ID:3Au3fkKq
 しばらくして、「ありがとう。わたし、もう寝るから」と言ってルイズは、そこから立ち去り、それを待っていたようにワルドが現れた。
 いや、実際に待っていた事を、彼の気配を感じていたアプトムは知っている。

「きみに言っておかねばならぬことがある」

 前置きなしに放たれた言葉は、威圧するような響きを持っていて、アプトムは少し違和感を覚える。

「明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる」
「こんなところでか?」

 そう返しながら、更なる違和感を感じる。ワルドとルイズが婚約者だという話は聞いた。そのことに関してアプトムに思うことはない。だ
が、何故、今、式を挙げようというのか。いや、そうではない。何故その事を自分に伝えるのがルイズではなくワルドなのか。
 別に、ルイズの口から聞きたかったわけではない。ルイズがワルドと結婚することに文句があるわけでもない。ただ、違和感だけがあった。

「是非とも、僕たちの婚姻の媒酌を、あの勇敢なウェールズ皇太子にお願いしたくなってね。皇太子も、快く引き受けてくれた。決戦の前に、
僕たちは式を挙げる」

 何を考えているのかと睨むが、ワルドが何を考えているのか、その眼からは何も読み取れない。

「明日の朝。女子供を逃がすための船が出港する。きみは、それに乗って先にトリステインに帰りたまえ。僕とルイズは式が終わってからグ
リフォンで帰る」

 残っても、その腕では万一のときにルイズを守ることはできまいと、ワルドは嘲る。
 そうして、ふとアプトムはワルドの考えを理解したような気がした。
 ルイズの家族が一人もいない、この地で結婚式を挙げたいと言うのは、婚約者であるワルドが、何らかの理由で、その資格をなくしている
ためではないだろうか? だから、誰にも反対されないこの地で、ブリミルの名において愛を誓い、取り消せないようにしようとしているの
ではないかとアプトムは考えた。
 無論、根拠はない。そこまでしてルイズと結婚しなくてはならないと考える理由も分からない。ただ、そのために自分の存在を邪魔に思っ
ているのだろうということは理解できた。
 ただし、ルイズを置いて先に避難するという選択はアプトムにはない。
 一時的に、ルイズの身を他の人間に預けるということはあっても、それ以上はない。そもそも、その気になれば、『レコン・キスタ』五万
の兵を単騎で壊滅させることも可能なのに、どうしてルイズを置いて逃げなければいけないのか。
 もっとも、そんなことを口にはしない。する必要がないのだから。
 ただ、アプトムは、その式には出席しようとだけ答えた。式の後の脱出にしても自分でなんとかすると。


 ルイズが去り、アプトムも去った廊下で、ワルドは開いた窓から月を眺め何かを考えていた。
 その顔に悩みの色はなく、ただ冷徹な計算だけがあったのだった。
27ゼロと損種実験体:2009/03/08(日) 18:24:26 ID:3Au3fkKq
投下終了。支援に感謝。

今回は読み返してて地味な話だなぁと思いました。

ガイバーを読んでて。

 その一撃は、完全な不意打ち。それに反応できたのはアプトムだけであった。
 彼一人ならば、それを回避することもできたかもしれない。だけど、彼の傍には二人の人間。ルイズと才人がいた。
 彼にできたのは、二人を庇いその身を盾にすることだけ。
 アプトムに庇われ救われた才人は知る。自分が救われたことを、敵の狙いがルイズであることを、自分にはルイズを救う力がないことを。
 己の無力さを理解する少年は、敵の攻撃で肉体のほとんどを吹き飛ばされ、しかし、わずかに残ったアプトムの肉片を発見する。

   暗転

「心配するな才人。守ってやるさルイズを。おまえに貰ったこの命でな」

という展開を書きたいと思ってしまったとしても、誰も私を責められまい。

やりませんけどね。多分。
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 18:27:45 ID:IytBpnf2
投下乙

……アプトムが木端微塵になるような攻撃だと、庇いきれるもんじゃないと思うんだがw
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 18:30:29 ID:EpFKx3EZ
乙であります

ラ・ロシェールでも思ったけどアプトムが分体用意したらルイズ守りながら他のこともできるんだよね
まぁアプトムが何人も同時に居れば回りに誤魔化すのは難しいけど

召喚がもっと後だったなら高性能ステルス機能持ってたのにw
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 18:50:13 ID:LExPiA6e
アプトムがもう投下ですか。早いな。
読む方としてはうれしい限りですけどあまり無理はしないでね。

>召喚がもっと後だったなら高性能ステルス機能持ってたのにw
ステルス機能だけじゃなくて冷気にも強くなるんじゃないかな?
そうなると魔法に対してはほぼ無敵の耐性を持つキャラだ。
少なくとも攻撃系の魔法はまず通用しないだろう。
31魔法少女リリカルルイズ:2009/03/08(日) 19:00:23 ID:40BOxi7P
19時5分から投下させてください
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 19:05:16 ID:ETGbbeZG
そうか、カメレオンと速水さんが入ってないのかこのアプトム
といってもこっそり指一本生態ミサイルにしてドーン、で大概すむだろうけどw
ワの人がどんな風にボコられるか期待w
33魔法少女リリカルルイズ:2009/03/08(日) 19:06:27 ID:40BOxi7P
すいません
急用ができたので後にします
34名無しさん@お腹いっぱい:2009/03/08(日) 19:09:16 ID:3+HV3DmB
オメガブラストは超絶チートですからねゼロ魔では……。
でも魔王伝を読んだ後ではギガンティックやゾアロードならともかく通常のガイバーや超獣化兵で
はDたちに勝てる気がしないのは気のせいだろうか……。
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 19:20:18 ID:4CqGwbCd
いや勝てないだろ普通に
ガイバーは火力では勝るけどそれだけだ
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 19:35:36 ID:0d1BUJjF
アプトムの人乙です。

最新時点のアプトムさんなら周りともすれ違いなく関係を持てて、尚且つ熱いセリフをバンバン吐いてかっこよく立ち回るんだろうなぁ…
37名無しさん@お腹いっぱい:2009/03/08(日) 19:41:18 ID:3+HV3DmB
精神面では菊地キャラはチートですから、あの苛烈さを持つ連中を相手にするには一般的な精神構造をもつガイバー連中にはきついでしょうな。
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 20:01:53 ID:/FiRClGI
魔王とアプトム両氏乙。
久々に魔王読めてうれしいッス。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 20:46:16 ID:9AcBNHGS
核装備したサイボーグとかがドラクエでいえばバブルスライムくらいの扱いだからな
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 20:52:24 ID:hqd8hr+D
インフレ凄すぎワロタ
放射能がバブルスライムの毒か
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 20:57:38 ID:V9GdydU6
周りに浮いてる泡だよ、多分
42魔法少女リリカルルイズ:2009/03/08(日) 20:57:51 ID:40BOxi7P
21時5分から投下させてください
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 21:03:55 ID:ClEdw1sg
>>36
「死んではいないさ ウェールズ・テューダーの魂はな」
と一人レコン・キスタに立ち向かうアプトムが浮かんできた
44魔法少女リリカルルイズ:2009/03/08(日) 21:05:55 ID:40BOxi7P
色とりどりのドレス、煌びやかな飾り付け、かぐわしい香りの花、舌をとろかす料理。
ニューカッスル城のホールにはパーティに必要なものが全て揃っていた。
それなのにルイズはそこに華やかさよりも寂しさを感じていた。
「私と一曲躍っていただけませんか」
壁の花となっていたルイズの前にワルドが跪き、ダンスを求める。
「はい、ワルド様。お受けいたします」
受けはしたものの、それは貴族としての礼儀よりも、ワルドの慕う心よりも、体の芯に寒さを感じるような寂しさを紛らわすためだったかも知れない。
ホールの真ん中に出ると楽団が曲をダンスのためにものに変える。
ルイズはワルドの手を取ると習い覚えたステップを踏んだ。
──ああ、そうか。
そうやってワルドにリードを任せているとルイズはだんだんと寂しさの理由がわかってきた。
──寂しい、はずよね。
ここでパーティを楽しんでいる人の多くは、明日戦いに出る。
わずか数百で万を超えるレコン・キスタの軍と戦うのだ。
そして、いなくなってしまう。生きては帰れない。
そう思うと、このホールに居る人が突然少なくなったように思えた。
「うまくなったね。ルイズ」
寂しさに怯えるルイズはワルドのの手を握る手に力を込めた。


闇の中には光を灯す金の三角形がある。
それはフェイトの持つインテリジェンスデバイス、バルディッシュのもう一つの形である。
バルディッシュより放たれる光は、やがてその上に像を結びつつあった。
四角い像の中に、文字や図形を描き出すそれが何かを知るものは本来ハルケギニアにはいない。
だが、当然と言うべきかその持ち主のフェイトはそれが空間モニターと呼ばれる様々な情報を表示するためのものだと知っているし、その情報を加工も術すら身につけている。
フェイトの手が空間モニターの上を動き、そこに表示された文字列を組み替え、新たな数字に変えていく。
時にバルディッシュ自身もフェイトの指示に従い新たにプログラムを作っていく。
それを繰り返すうち、空間モニターに表示されていた歪な図形は形を整え、ぎこちなかった動きも滑らかさを獲得していった。
ごそり、と音がする。
フェイトは手のひらを閉じ、その中にバルディッシュを隠した。


「ん、ん……ん」
何か予感でもあったのだろうか。
まだ星と月が空にある時間だというのにキュルケは目を覚ました。
横にあるタバサを寝かせたベッドの上をを見る。
そこでタバサは上半身を起こし、いつもと同じ眼鏡をかけた目でキュルケを見ていた。
「元気になった?」
キュルケの友人は言葉を返すことなく、ただ頷くだけで答える。
「そう」
キュルケにはそれで口数の少ないこの少女が体力をわずかでも取り戻したことを理解した。
「ねえ、タバサ。もう、トリステインに帰る?」
タバサは沈黙でキュルケに先を促す。
「そりゃ、ルイズのことは心配よ。私も絶対に助けるつもりでいたわ。でもね、あなたが倒れてしまうなんて考えてなかったのよ。そんなに無理はしなくていいのよ」
「やめない」
それはタバサがこの夜に初めて口にした言葉だった。
「ルイズを助けに行く。私なら平気」
その短い言葉の中にキュルケは決心を感じた。それだけのつきあいはしてきたつもりだ。
「そう……なら」
キュルケはタバサの肩に手を当てベッドに身を横たえさせ、毛布を肩まで引き上げた。
「朝まで寝ましょう。そうでないとまた倒れちゃうわよ」
それだけ言うとキュルケも自分の布団の中に潜り込み、目を閉じてしまう。
そのまま目を閉じるタバサも体に残っていた疲れですぐに眠りに落ちていった。


ギーシュもまた夜中に目を覚ましていた。
正確には眠れないでいた。
レコン・キスタから逃れるためにした曲芸飛行のおかげで目が冴えてしまってしかたがない。
目を閉じると体が浮いてぐるぐる回るような気分になってしまうのだ。
45魔法少女リリカルルイズ:2009/03/08(日) 21:07:50 ID:40BOxi7P
どうやっても眠れないとギーシュはしょうがないと少し散歩をすることにした。


──まるであの時みたいだ。
ユーノは初めてルイズと出会った時のことを思いだしていた。
窓から射し込んでくる二つの月も、フェレットに変身したまま寝かされている藁を詰めた箱もあの時と同じように思えた。
だが箱の前にいるのはルイズではない。
金髪のとがった耳を持つ少女が淡く光る指輪を手にして静かに祈っていた。
「君は……だれ?」
「きゃっ!」
少女は小さく悲鳴を上げる。
思わず息をのんだ少女は、目を丸くしてユーノをしげしげと見つめた。
「話せる……の?」
「うん。話せるよ。君は誰?ここはどこ?」
少女はすぐに落ち着きを取り戻し、ユーノの質問に答えた。
「私はティファニア。ここはアルビオンのウェストウッド村よ」
「アルビオン?そうだ、ルイズを追わないと!」
ユーノは箱を飛び出し床に降りる。
「あ、待って」
ティファニアがユーノを止めようとすると、フェレットの体は光に包まれその姿を剣を背負った人間の少年の姿に変えた。
「え?ええっ!」
驚くティファの前で少年は立ち上がろうとするが、すぐに膝を崩してしまう。
床にうずくまったユーノは体のあちこちから感じる痛みで自分の傷がまだ癒えてないことを思いだした。
「だめよ。まだ治ってないもの」
「でもルイズを助けに行かないと!」
焦りをあらわにするユーノにティファニアはわがままな弟を諭す姉のように顔を近づけた。
「この指輪であなたを治していたの。だから、もうちょっと待って」
「その指輪で?」
「ええ」
ティファニアが指輪をそっと撫でると光が再び灯る。
その光がユーノを照らすと、痛みがすっと消えていった。
「あ……。ありがとう」
「いいのよ。今度は背中ね」
ティファニアの温かい手が背中に当たる。
すると、ろくに力が入らなかった背中にもすぐに力が戻って来た。
「あなたの名前も教えて欲しいな」
「うん。僕はね──」
その時、扉がが音もなく開いた。
誰かが開いたというわけではない。そよいだ風の手がわずかに悪戯をしただけだ。
だからそれを止めようとする者は誰もいなかったし、そこにいた誰もがごく自然に動く扉を見ていた。
扉のすぐ外に呆然とギーシュが立っていた。
顔を引きつらせたギーシュの足は震えている。
そんな足なのに、ギーシュは
「ひぃっ」
と怯えた声を出して逃げだそうとした。
「どうしよう」
怯えたのはティファニアも同じだった。
「見られちゃった」
すっかり慌ててしまったのだろう。
ティファニアは立ち上がったもののおろおろして足踏みをするばかりだ。
「待って!」
慌てたのはユーノも一緒だった。
もしティファニアが先に「見られちゃった」と言わなかったらそれはユーノが口にしていた言葉だ。
「チェーン・バインド」
だから、ユーノは魔法でギーシュをその場に縛り付ける。
「き、き、き、きみは!」
「あのね、ギーシュさん。落ち着いて」
と言ってみたが、ギーシュは全く落ち着く様子がない。
光の鎖に縛られて床に座り込んだままティファニアを見上げて奥歯をかちかちと鳴らしていた。
「君はユーノ?なんで……こんな所に?まさか……だったら……」
46魔法少女リリカルルイズ:2009/03/08(日) 21:09:18 ID:40BOxi7P
「落ち着いてよ。ギーシュさん。僕の話を聞いて。みんなにばれちゃうから」
「だが、だが、エルフが、エルフと……何をしているんだ?まさか……君もエルフ?エルフが何を?」
青ざめているのであろうギーシュの顔は青い月に照らされていっそう青く見える。
同時に月の光と夜の闇はギーシュの恐怖を煽っていた。
「ごめんなさい」
呟くように謝るティファニアの目は沈んでいた。
そして、手には小さな杖が握られていた。
「怖がらせてしまって……すぐに怖くないようにするから」

ナウシド・イサ・エイワーズ

ティファニアの口から歌が漏れる

ハガラズ・ユル・ペオグ

だが、それは歌ではない。

ニード・イス・アルジーズ

ギーシュに怯えを一時、忘れさせるような美しい調べを持つそれは呪文だ

ベルカナ・マン・ラグー

ティファニアが杖を振り下ろす。
すると、ギーシュは首をかくんと落とし、すぐに虚ろな目で首を起こした。
「あれ?僕は何を?」
ティファニアがユーノを見て頷く。
その意味するところを理解したユーノは魔法で作った光の鎖を消した。
「ギーシュさん。寝室はあちらですよ」
「そうだったね。これは失礼した」
ふらふらと、それでも怯えていた時よりはずっとしっかりした足取りでギーシュは自分にあてがわれた小屋の方に歩いていった。
「なにをしたの?」
「ギーシュさんの記憶を奪ったの」
「記憶……」
「私とあなたをここで見た記憶よ。それから、私がエルフだって記憶。エルフは嫌われているから」
そう言うティファニアはどこか悲しげだった。
「僕はいいの?」
「あ……でも、あなたは私を怖がらなかったから。でも、どうして?」
「どうしてって、怖くなかったから」
ユーノもエルフのことは知らないわけではない。
魔法学院で読んだ資料の中にはエルフに関して書かれていた物も多い。
いずれの本もエルフの恐ろしさについて書かれており、中には悪魔とすら書いていた物もあった。
だがユーノはその記述を鵜呑みにはしなかった。
というのも敵対している種族を悪魔として記述するというのは決して珍しいことではなく、ユーノは考古学的な資料でそのような物を読む機会も多かったからだ。
「それに怪我を治してくれたし」
「そっか、そうよね」
月明かりだけではティファニアの顔はよく見えなかったが、ティファの目にあった陰りが少しだけ晴れていた。
「そうだ、あなたのことも秘密でいいのよね。ギーシュさんの記憶から消しちゃったんだけど」
「うん。ありがとう。誰にも知られたくないんだ」
「よかった。だったら、続きね。ちゃんと治さないと」
再び指輪の光が強くなる。
ティファニアはユーノの体の傷の一つ一つを指輪を嵌めた手さわっていく。
「私、あなたの名前聞いてなかった」
「僕の名前はユーノ・スクライアって言うんだ」
「いい名前ね」
その手はまるで春のお日様のように温かくて、ユーノは次第にうつらうつらと眠気を覚えていった。
だからティファニアのつぶやきには気付かなかった。
「ユーノくん。韻竜みたいに言葉を話すフェレット、か」
47魔法少女リリカルルイズ:2009/03/08(日) 21:10:22 ID:40BOxi7P
今回はここまでです

ティファは原作と同じタイミングでは出すのが難しいと考えてここで出してしまいました
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 21:50:18 ID:Z6VqJicN
色々待ち望んでいた作品たちが読める今日はいい日だ。

シルフィードの代わりにギュオーとか来てないかなあ。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 22:31:32 ID:6w3Sfx5d
>>48
ギュオーがタバサのことをお姉さまと呼ぶと申したか。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 22:50:22 ID:lx49nnk6
乙です。
ディケイドから戦いの後の龍騎の世界からシンジ召喚。
リュウキドラグレッダー変身可で。
どうなるんだろ?
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 22:51:36 ID:ioN30sqP
>>49

想像して吹いたww
俺のコーヒーを返せww
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 22:51:42 ID:9kyvYpSO
タバサがエルフに捕まった時に、「おはよう諸君」と言って才人たちに助けを求めてくるのか。
でも、ギュオーならビダーシャルに普通に勝つしなぁ。
カウンターでも重力攻撃は反射できんだろうし。
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 22:54:38 ID:4CqGwbCd
実写版のフルトン・バルカスなら獣神将形態がでっかいドラゴンだから丁度良いな
ちなみに人間体はギュオーまんま
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 22:56:52 ID:ioN30sqP
>>50

性格上人は殺れない希ガス。
仮に呼んだら変わった韻竜扱いだな。
とりあえず最終回見てからディケイド呼んだらいいんじゃね?
55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 23:06:55 ID:lFoUBhOE
ディケイドがカード使わないとドラグレッダーにはなれないだろ
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 23:15:00 ID:NForRqs8
>>16
>キュルケは『炎のさだめ』
自分の炎の臭いでむせたりするのか?
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 23:18:47 ID:LPVMPtqP
そう言えば、メイジって自分の系統を操り損なって怪我とかしないのかな。
火を扱ってたら火傷したとか、真空を使おうとしたら腕を切ったとか。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 23:20:08 ID:o12Z8udt
>>56
最低野郎のほうではなくてだな
上のネタ元である当時のSNKが、歌詞の一部をキャラの二つ名にしただけで
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 23:22:07 ID:jJHbu+tA
>>16
どちかというと吹き荒ぶ風のタバサだな
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 23:23:07 ID:NForRqs8
>>58
それは分かってるんだ

ただ言ってみたかっただけなんだ
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 00:24:55 ID:QuwUl86F
ピンクが馬鹿にされているぞ!
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1236523511/
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 00:37:17 ID:ExF86L9q
そういやパッパラ隊のメンバーは呼ばれてないんだな。わき役から準レギュラーを集めればシット団ハルケギニア支部くらい作れそうなのに
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 00:40:13 ID:LOaFSVAq
しっと団かよw
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 00:50:05 ID:6hhuSPmc
>>47
ちょw
ティファニアが最後、とんでもない勘違いをしてるぞ!!
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 01:21:00 ID:Kr/OGIEs
>64
だいじょぶだ。元々小説版でもきっちり勘違いされてたしw
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 01:24:26 ID:BgIrmO5r
>>47GJ!
久しぶりにwikiの方に来て見たら復活されててビックリしました。
連載再開を一番待ち望んでいた作品なのでとても嬉しいです。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 01:32:17 ID:gGCZJrSb
>>62
小ネタならあったはずだが
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 02:21:51 ID:qg6rkeCk
私の名前を覚えてください… by「テファ」
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 02:45:28 ID:G7y9WtOH
アプトム氏、投下乙でした。
だが一点すごく気になったことが……。

>>24
>軟骨の入った缶
これはちょっとした恐怖ですよ……!
おそらく軟膏のミスタイプなんだろうけどw
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 03:43:23 ID:sv0+muyW
>>62
ルイズ→ランコ・飛び影
ジョゼフ→ときメモ仮面
教皇→嫉妬マスク
テファ→水島・桜花
こんな組み合わせが浮かんできた

ときメモにハマるジョゼフや嫉妬教の誕生、
嫉妬団とランコから逃げ回る水島一行とかすぐ浮かんできたさ
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 05:31:34 ID:KFk4xDbU
虚無の使い魔と煉獄の虚神・・・・続きはまだですか?
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 08:48:11 ID:ph3Q0aQh
>>64
これはテファとの混浴フラグだと判断するぜ。
なのはでも同じようなことあったし。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 14:09:04 ID:anuWbBJ2
あったな。
まったく、なんであの回になって急に作画崩壊なのかと
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 15:02:44 ID:MG4XQwY2
まとめwikiにあるカブトボーグに笑ったわ。
やっぱいつもの四人の中でもマンソンが一番の常識人だよな。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 15:45:58 ID:ihEvPjrE
マンソンは完璧超人だしな
ただ、物語後半になるとそのせいで他の三人が食われたのが惜しい
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 19:54:52 ID:aKa7/FQL
いつもの4人
・ルイズ
・キュルケ
・タバサ
・シドニー・マンソン
※リュウセイは使い魔枠なので除外

うん、完璧だ
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 19:54:58 ID:lABJo13B
マソソソマソソソ?
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 20:58:12 ID:uC92zAAK
チャールズ・マンソン?
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 21:06:47 ID:6zJ0SH4L
今日は妙に書き込みも投下も少ないな。
規制の影響が強いのかな? それとも週末で息切れしたか?
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 21:36:52 ID:eHTsKRkd
>48
シェフィールドとシルフィードを打ち間違えたのは墓まで持っていく秘密にしよう。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 21:50:43 ID:MKVg1noz
>>80
「お姉さま、そろそろ食事にしよう」
「私がメイジの振りをするのか?村ごと焼き払えば良いではないか。
 痛い!痛いぞお姉さま!」
「いけすかない女だな・・・お姉さま、マイクロ・ブラックホールで宮殿ごと消しても構わないか?」
「傭兵どもめ。お姉さま、私が奴等をなぎ払う!」
「お姉さま。この耳長は倒してしまってもいいんだろう?」

お前はシルフィをこんな風にしてしまったんだぞ!!
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 21:58:11 ID:OYkDxkfc
かわりにジョゼフの使い魔がきゅいきゅいなのですね
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 22:15:07 ID:Bj/DpU69
>>82
「お兄様(?)おなかすいたのね!」
「・・・」コトン(チェス中)
「おなかすいたっていってるのね!無視するななのね!」ガシャッ(チェス盤をひっくり返す)
「・・・」スタスタ・・・コトン(チェス版を元通りにする)ふりだしにもどれ。
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 22:17:40 ID:AXW3jJdq
>>81
吹いた。
そういえば、シルフィードって名前はタバサがつけたんだよな。
だから、タバサに召喚されたらギュオー閣下も普通にシルフィを名乗ってしまうのか。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 22:26:51 ID:gJr967td
続けるかわかんないけど投下しちゃうの
8600の使い魔:2009/03/09(月) 22:28:31 ID:gJr967td
軽い目眩の後、刹那はモニターを凝視していた。
 ……おかしい……
月の裏でのアロウズ・イノベイターとの最終決戦
イノベイターの首領であるリボンズ・アルマークを倒し、全ては終わったはずだった

00の状態を見る、破損したはずの機体は何故か完全な状態、
機体の制御プログラムに不調があり、自己修復には二日はかかる。
背中に0ライザーは無く、左慈・クロスロードとの通信は不通。

状況を確認する、レーダーに僚機と敵機の反応無し、トレミーとの通信も不通。

なにより周囲の景色がおかしい。
数秒前まで宇宙にいたはずだ、月の裏側に
「なのに何故俺はここにいる…?」
緑豊かな風景、石造りの建物、戦火に彩られた不毛の宙域とはまるで違う。 

モニターの下部に人影が見える
マントを羽織った少年達と禿あがった頭で神父風の服を着た男
『どうやらAEUかユニオンらしいが…』
見たかぎりでは銃など武器は持っていない、敵意は無い様だが軍や警官を呼ばれたら厄介だ。
何よりアロウズ残党との戦闘が起こるかも知れない、民間人の彼らを巻き込む訳にはいかなかった。
ここが何処なのか確認する必要もある、下の民間人との接触をはかるべきだ。
そう結論付けた刹那は、00を跪け駐機体勢にし降りる、民間人達は呆然とその姿を見るだけ。

8700の使い魔:2009/03/09(月) 22:30:30 ID:gJr967td
「ソレスタル・ビーイングだ、君達に敵意は無い」
刹那の言葉を受けた神父風の男とそのすぐ脇にいた桃色の髪の少女はわなわなと震え始める
「ソ、ソ、ソ、ソレスタル・ビーイング!!?こ、コルベール先生!?」
「お、落ち着きなさい!ルイズ君!落ち着けぇ、落ち着くんだぁ!」
自分達ソレスタル・ビーイングのした事を考えれば無理も無いか、刹那はそう思う。
目の前にいる様な、大多数の連邦住民にとってソレスタル・ビーイングは恐怖の対象である。
何せ世界を相手に喧嘩を売ったのだ、それも二回も。
しかし目の前の二人はどうにも違った様だ、その目に宿るのは尊敬と憧憬、畏敬の入り交じる眼差し。
「わ、私はコルベールと申します!このトリステイン魔法学園で教師をしております!」
「わ、私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します!
 今回は私の様な未熟者の呼び掛けに答えて頂いてありがとうございます!!」
「……?刹那・F・セイエイだ」
やたらと恐縮する二人に面食らいながら自己紹介をした刹那は、二人の言動を精査する。

先ずここがトリステイン魔法学園と言う事。
年代物の石造りの建物とトリステインという名前の響きから恐らくAEUの領内、それも欧州の何処かであると推測できる。
では魔法学園とは何か?
少年少女達はマントを羽織り、教師を名乗った男は神父風の服装を着用している、つまり
『欧州にある手品師の専門学校か』
それが西暦2300年代に生きる刹那の出した答えだ。

次にルイズと名乗る少女が自分を呼んだと言った件について考える。
その長いフルネームから考えて有力貴族を先祖に持つ富豪だろうか?あのルイス・ハレヴィの様な。
ソレスタル・ビーイングに呼び掛けていたと言う事は、恐らくカタロンのスポンサーであろう。
と、考えている内に前の二人の声が聞こえた

「どうしよう先生!!本当にこの方を使い魔にしても良いのでしょうか!?」
「使い魔の召喚の儀式は神聖なものですし、
 でもソレスタル・ビーイングを使い魔にするのは余りにも畏れ多いですし…」
「使い魔とは何だ」
刹那の疑問にコルベールが答える

一つ、使い魔は主人の目となり耳となる
『情報収集か』
一つ、秘薬などの材料の採集
『秘薬が良く解らないが、要は物資の調達か』
一つ、主人の身を守る
『総合するとボディーガードか』
8800の使い魔:2009/03/09(月) 22:32:12 ID:gJr967td
「あの…私の使い魔になって頂けるのでしょうか?」

不安の涙を一杯にたたえ、懇願する様なルイズの目を見ながら刹那は状況を纏める。

原因は解らないが、月の裏側から一瞬で欧州に移動した。
で、そこにあるの手品師の専門学校に通うカタロンの出資者の少女からボディーガードを依頼された。
00の機能が完全になり次第仲間との連絡をつければいいし、その上でエージェントを送って貰えばすむ。
それまでの間ならこの少女を護衛する事はできるだろう。
MSに襲われ無ければの前提条件はあったが。

「わかった、その依頼を請けよう」
その言葉を受けたルイズの顔が喜びに華やぐ
「本当に!?本当ですね!!」
「良かったですねぇ!ルイズ君!では早速コントラクト・サーヴァントを!」
「はい!!ではその兜を脱いで頂けますか?」
兜?随分時代掛かった言い方だな―と刹那はパイロットスーツのヘルメットを脱ぐ
するとルイズが訳の解らない単語を唱える、そして―

キスをされた

直後に左手に走る激痛、そして酷い目眩を感じる。
何故かネーナ・トリニティが頭に浮かぶ刹那だった。
コルベールは、もう日の暮れる時間である事に気付き、他の生徒を学園に帰させる。
幸い危険が無い様に生徒達を巨大なガーゴイルから離れさせていたので、
刹那がソレスタル・ビーイングだという事は知られ無かったが、それでも生徒達は騒然としていた。
「彼がソレスタル・ビーイングであるというのは秘密です、国中が大騒ぎになってしまいます」
と小声でルイズに耳打ちする。
ルイズは惚けた様にハイ、と答えただけだったが。
8900の使い魔:2009/03/09(月) 22:34:18 ID:gJr967td
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは喜びの真っ只中に有った。
トリステインでも指折りの有力貴族であるヴァリエール家の子女であるルイズは
今まで全く魔法らしい魔法を成功させた事が無い。
そのため彼女は『ゼロのルイズ』と言う不名誉なあだ名で呼ばれていた。
でも、もう違う。
今日召喚した使い魔は見たこともない素材で出来た巨大なガーゴイルに乗り、
見たこともない服を来てこう言った『ソレスタル・ビーイングだ、敵意は無い』と

ソレスタル・ビーイングは西暦2300年代に世界に喧嘩を吹っかけた私設軍事組織である。
その目的は武力による戦争根絶。
しかしそれは刹那の世界の話、ハルキゲニアではその単語本来の意味しか持たない。
それはつまり―

『天上人よ!天上人!!』

偉大なる始祖ブリミルは天から舞い降りたと言う説もある。
目の前に居る青年はそのブリミルと同郷の存在かも知れない
つまり神様を召喚してしまったのだ

もう誰にもバカにされない!キュルケにもエレオノールお姉様にだって!!

嬉しそうに微笑むルイズを見ながら刹那は思う

どうやらこの娘は余程不安だったのだろう、恐らくアロウズにその命を狙われていたのだろうか。

潜入用の服に着替えるため00のコックピットに戻った刹那は再びコンソールに目を落とす。
機体制御プログラムは今だに修復中、ここをMSに襲われたら終わりだろう。
何もしないよりマシ程度のブービートラップを仕掛け、コックピットからでると外はもう日が暮れていた。

不幸な誤解が二人の間に有った、もっと不幸なのはこの日は曇りで月が見えなかった事だろう。
もっとも、二人ともそれに気付けないでいたのだが。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 22:46:41 ID:UMXb+mnW
帰れカス
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 22:50:30 ID:Xl7ng+ns
俺は面白いと思うけどな
CBの意味の齟齬とか上手い事思いついたね
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 22:52:28 ID:lABJo13B
テンプレ読んでない?
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 22:55:10 ID:u7D40RFm
さぁハイパースルータイム始まるよー
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:03:47 ID:D9WYNcww
べつにテンプレ違反もしてないし、おもしろいじゃん
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:06:55 ID:Xl7ng+ns
投下終了宣言が無いからテンプレ違反て事?
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:11:02 ID:aKa7/FQL
興味のないSSはスルーしろってことではないかと
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:11:54 ID:gJr967td
すんません、テンプレ読んでませんでした。
以上で終了であります。
あとルイズヘコヘコしてますが、真実を知ったときのカウンターをご期待下さい。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:14:50 ID:yhXU0D4c
「00」というからブラック魔王とケンケンが召喚されたのかと思ったのに…
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:15:16 ID:jq7FoNc+
せめて書き込む前にテンプレくらい読もうぜ
作品投下ならば尚更
それが最低限のマナーだと思う
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:15:48 ID:b1OslO0G
途中で放り出されてるロボット物とのクロスにまた一つ加わるのね・・・

つうかレボか?レボがまた来たのか?
そして自演か何かで面白いが連発されれば完璧だ
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:17:26 ID:DrgLYNC9
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:20:08 ID:AXW3jJdq
シルフィードの代わりにギュオーを召喚するなら、
フレイムの代わりは誰がいいだろうとか考えたが思いつかなかった。
ヴェルダンデの代わりなら地中を進む繋がりでゼクトールがよさそうだけど。
かわいいよゼクトールと言って抱きつくギーシュ。
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:20:29 ID:PBPSLzMm
しかし見事なまでの先回りテンプレ解釈契約だなw
カウンターつってもテンプレ的に平民扱いするだけっぽ
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:21:16 ID:6/AxrRMC
おお、超亀レスだが魔王伝が投下されている!
105代理の人:2009/03/09(月) 23:32:49 ID:2YKF1uZZ
代理依頼が溜まってるので、可能な限り桃香してみますー。

35分から!
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:36:39 ID:Ga5T3ohj
支援しますよ
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:36:51 ID:toT2Q/TF
応。2個目にいくときは00を待つといいぜ!
108虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:37:26 ID:2YKF1uZZ
level-13 「襲撃」


「ルイズ、誰が来ても部屋の中に入れるな」

 そう言ってチーフはキングサイズはあるベッドを簡単に抱え上げ、ドアに立てかけた。
 大の男が数人がかりで動かす物を、まるで小さな空き箱を持ち上げるかのように動かした。
 もとより身体を強化されているチーフ、弾丸の一発や二発で貫けないエリートのエネルギーシールドやブルートのアーマーさえ一撃で殴り打ち破るだけのパワーがある。
 スーツのアシストをも利用すれば、何百トンもの戦車さえもひっくり返す事が出来る。
 そんな法外な膂力を持つチーフに掛かれば高だか木製のベッド、キングサイズであろうと簡単に持ち上げられる。

「え? どうして?」

 そんなチーフの突然な行動に戸惑うルイズ。
 部屋に入ってくるなり、ベッドから降りる事を要求。
 従って降りれば今の行動、訳が分からない。

「敵が来た」

 ただ一言、そう言ってドアの前に物を積み上げていく。
 室内の大きいと言える物をあらかた積み終え、窓の正面に立たないよう歩み寄ってほんの一瞬顔を出して覗いた。
 敵と言うフレーズを捉え、内心戦々恐々とするルイズだったが。
 それを見抜いたのか、チーフは簡潔に声を掛けた。

「片付けてくる」

 平坦だが力強く、安心感を生み出す声。
 何か言わなくちゃと、口を開くが。

「そ……その、き、きき気を……」
「……ああ」

 喉で止まる言葉、だけど言いたい事が分かったのかチーフは頷く。
 振り向き窓を開け、窓枠に足を掛けて体を乗り出した。
 





 宿の外に降り立つと同時に速攻、腰に掛けてあるデルフリンガーを掴んで駆け出す。
 ガンダールヴによって強化された身体機能、その速度は優に人の限界を超える。
 チーフの着地、その音が聞こえた方へ視線を向けた時には、4人の傭兵たちに緑色の鎧が襲い掛かっていた。

「ブッ!」

 デルフリンガーの峰、一回転させながら一人の傭兵の胴に打ち込む、まるで車に撥ねられた様に飛んでいった。
 その傭兵が地面に落ちる前にそのままの勢いで体を回転、踏み込みバットを振る様に3人の傭兵を巻き込み打ち飛ばした。
 鎧を着込んだ3人の男達の悲鳴が上がり、合計40リーブル、200キログラムは有ろう傭兵達が5メイル以上空を飛んで地面に転る。
 発見しても成す術無く、接近、戦闘、終了まで5秒も掛かっていない。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:37:43 ID:CFkgu2q3
>>102
て、てめえ!!
土の中を土竜のように掘り進むゼクトールさんを想像しちまったじゃねえか!!
110虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:39:13 ID:2YKF1uZZ
「ヒュー、流石は相棒だ」

 デルフリンガーが茶化す、それに答えず。

「………」

 チーフは飛来した矢を左手で掴み止めた。

「ヒッ!」

 矢を撃った男、矢を圧し折りながらチーフが視線を向ければ悲鳴を上げた。
 この距離、約30メイルの距離で当てれると確信を持ったのだろう、弓を引き絞り、矢を放った。
 だがチーフはいとも簡単に掴み止めた、時速200キロメートル近いスピードで飛来する矢をだ。
 どのような絶技か、人間ならば止められずに体に当たっていただろう。

 チーフに見据えられた傭兵、慌てて第二射を放とうと矢柄に手を伸ばし。
 弓に矢を掛け、敵を確認した時には目前の振り上げられた長剣。
 双月が照らすその緑色の、人の形をしたそれの顔面に映る、怯えた自分の顔が見えた。

 この男は後日後悔した、あんな美味い話に乗るべきではなかったと。
 怪しむべきだったと、怪我に涙を飲みながら後悔した。
 だがこの男だけではない、この宿襲撃に参加した者の殆どが後悔する事となる。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:40:32 ID:Ga5T3ohj
支援
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:41:02 ID:CFkgu2q3
支援
113虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:41:10 ID:2YKF1uZZ
「何だ?」

 これから貴族様が泊まる宿を包囲しようって所に、端から一際煩い怒声が上がっていた。
 視線をやると、……なんだありゃ?
 人が空を飛んでいる、浮き上がるフライじゃなくて上がって落ちる、放物線吹っ飛ばされる人間。
 次第に近付いてくる喧騒が頂点を迎えた所に、原因となった存在が視界に入った。

「ありゃあ……、ゴーレムか?」

 全身緑色の、顔の部分に金ぴかの何かを張り付けた、人の形をしたモノ。
 2メイルを超えそうなほどデカいそれが、包囲網の一角、雇われた傭兵達をなぎ払っていた。
 人の頭を丸々掴んで持ち上げられそうな右手に錆びた長剣を持ち。
 そのぶっとい足で人間では出し得ない速度で駆け。
 他の奴らを殴り、蹴り、投げ、鈍器と化した長剣で一撃の下に叩きのめしていた。

「おいおい、えらい強いゴーレムだな」

 やられた数は既に20人を超えていた、現れた方向には窓から逃げないよう20人ばかし居た筈。
 つーと、窓から出てきた? 置いてた奴らは逃げたかやられたか、どっちにしろ戻ってはこないだろうな。
 てかあの旦那、あんな強いゴーレム出せるメイジがいるなんで聞いてねーぞ。
 スクウェアメイジでも居たのか? あんだけのゴーレムは早々お眼にかかれねぇ。
 精巧に出来た操作型のゴーレムか、機械的、効率的に倒し続けるそれは同じメイジとして感嘆を覚えた。
 しかしだ、前金も貰ってるし、ここで見逃したり、逃げるわけにもいかねぇ。

「このままじゃあやべぇーな、おい、あのゴーレムぶっ潰すぞ」

 杖を取り出す、周りに居た奴らも頷き杖を取り出す。
 言っちゃあ何だが、俺を含め周りに居る奴は元貴族。
 ラインとトライアングルで構成される実戦派メイジ集団、戦闘経験もたっぷりで殺したメイジは100人を超えている。
 スクウェアメイジも殺った事もある、ちょっとは名の知れた傭兵団。
 その傭兵団の頭として激と命令を飛ばす。

「目標、敵ゴーレム!」

 軍隊方式に則って行動し、整列、杖を構えて集中。
 声を張り上げ、各々が得意な魔法を練り上げる。
 傭兵の群から頭一つ分ほど飛び抜けていたゴーレムの頭が此方を向いた。
 気が付いた所でもう遅い、既に魔法発動の分の精神力は溜まっている。

「構えーッ!」

 一際大きな声をあげ、魔法を撃ち放つと宣言する。
 それに気が付いた他の傭兵どもは、巻き込まれまいと挙って逃げ出し始めたために群集が一気に開け、傭兵団とゴーレムの間に障害物はなくなった。

「チッ」

 だが魔法を放つ号令を出す前に、緑色のゴーレムは魔法から逃れようと走る奴らを壁にして逃れる。

「邪魔だァ!! さっさとどかねぇとブッ殺すぞ!!」

 その怒号で更に傭兵どもが慌てふためき逃げ回る。
 一向に緑色のゴーレムの全身が見えない、人の壁によって守られた存在。
 そのくせ、ゴーレムが駆ければ人が跳ね飛ばされる。

 ただの傍観者であれば、面白い光景ではあったが。
 自分たちも鎮圧対象だからいただけない。

「クソが! 1番2番3番、発射用意ッ!」

 もう他の奴らなんて知るか、無理やりにでも障害物を退ける。
114虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:43:08 ID:2YKF1uZZ
「──放てッ!」

 3本の杖から放たれる魔法、火球、風刃、氷矢、各々が得意とする攻撃魔法。
 3メイルの火の玉が地面を削りながら飛び、不可視の鋭利な風の刃が走り、歪な氷の矢が数十本と駆ける。
 目標はゴーレム、だがこれは障害物を退ける為の物、ゴーレムに当たらなくても良い。
 火球で燃え上がり、風刃で両断され、氷矢で串刺しに。
 阿鼻叫喚、俺ら以外の人間が幾ら死のうと関係ない、俺たちはあのゴーレムを排除して宿の中に居る奴らを殺すだけだ。

「開いた、4番5番6番!」

 大勢の傭兵が死に、道が開ける。
 それが失態、障害物が無い。
 その状態がどれ程危険だったのかはこの時気が付かなかった、そして気が付いた時にはもう遅い。
 炸裂音、何かが弾けた様な音が一帯に響く。

「ギッ」

 杖を構えていた仲間の一人が、声を上げて蹲った。

「あ?」

 座り込んだ仲間を見れば、杖を持っていた右腕があらぬ方向へ圧し折れていた。
 血が噴出し、人の芯と言える骨が飛び出ていた。

「おいおい、何が……」

 何が起こったのか、疑問はすぐ晴れた。
 緑色のゴーレムを見てやれば、俺たちに何かを向けていた。
 月光で白銀に輝く、無骨なデザインのそれ。
 向けられた穴、微かに見えるそれから上る白い煙。

「まさか……」

 あれと似たものを何度か目の当たりにした事がある。
 火の秘薬を使って、鉛を撃ち出す銃。
 近づかないと当たらない上、そこまで威力が無い武器。
 なのに、あのゴーレムが使ったのは短銃身の銃で、この距離で当ててきた。
 撃たれた奴を見た事がある、2サントも無い穴が開く程度だった。
 だがこれは何だ? どうして仲間の腕が圧し折れ、骨が飛び出ている?

 あれは銃なのか? こんな馬鹿げた──。

 ゴーレムが構えるそれは本当に短銃なのか、思考を巡らせていれば再度破裂音。
 無事だった仲間が、押し飛ばされたように倒れる。

「冗談じゃねぇ、逃げるぞッ!」

 すぐさま詠唱を破棄、かがんで蹲る仲間を無理やり引っ張り、四の五の言わずに逃げ始める。
 こんな奴が居るとは聞いてない、こんな奴を相手取るならあれだけの前金では到底足りない。
 腕を圧し折り、骨を飛び出させる銃を持つ奴なんぞと戦えるか!

「ギャア!」

 さらに破裂音が聞こえれば、横に回転しながら飛んで転がった全身鎧の傭兵。
 弾が当たった部分、右肩の金属が大きく拉げ、赤い花が咲いていた。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:43:42 ID:liyo5qO0
支援
116虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:45:10 ID:2YKF1uZZ
「連続発射とかふざけんな!」

 悪態をつきながら逃げる。
 あの距離で金属の鎧を貫通する威力だと?
 おまけに連続で撃てるなどと、常軌を逸した銃。
 それを自分に向けられる恐怖、それが銃に対してのトラウマを植えつける。

「ほら! 逃げろ逃げろ逃げろ!」

 撃たれた仲間を抱え、無事な仲間と走って逃げる。
 フライで逃げれば、目を付けられるかもしれない。
 他の奴らを盾にして走った方が撃たれ難い。
 必死扱いて逃げる、他の奴らとは反対方向。
 何人もの傭兵達とすれ違う。

 無謀にも切りかかる他の傭兵ども、さっさと逃げれば良いのにと思いながら走る。
 横目でその光景を覗けば、剣を振り上げ襲い掛かる奴の手を簡単に掴んで投げ飛ばし。
 軽装の鎧の奴が槍を突き出せば、その穂先が体に触れる前に柄を掴み、引っ張り奪い取る。
 矢が飛んでくれば簡単に叩き落し、奪い取った槍を振り回す。

 左手に持つ長剣をまるで小枝を振り回すように振るい、悉く叩きのめし。
 右手の奪い取った槍で近づかれる前に突き飛ばす。

「化けもんじゃねぇか……」

 秒単位で地に伏せる者が増える。
 長剣と奪い取った槍、その2本が猛威を振るう。
 暴風と言っても良い、駆けながら攻撃を繰り出し、あのゴーレムが通った後は倒れ伏す傭兵たちだけ。
 他の奴らを相手にしている今なら……、と考えて頭を振る。
 また撃たれたら堪ったもんじゃねぇ。
 やはり逃げて正解だった、あんなの幾ら金を積まれても絶対に戦わないと決心した。
117虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:47:19 ID:2YKF1uZZ
 最優先排除目標、メイジの一団の撤退を確認。
 残る目的、宿周囲の敵を掃討。

「一番厄介なメイジが居なくなった、後は簡単だねぇ」

 周囲の敵を見据える。
 確認できるだけでも100人ほど。
 誰もが剣や槍、弓など原始的な武器を持つ。

「簡単だ」

 デルフリンガーを回す。
 そして一歩、高く跳躍した。
 人を優に超える高さまで飛び上がり、数人の頭上を通り過ぎる。
 着地地点、重量が400キログラム以上有るマスターチーフが傭兵の一団へ突っ込んだ。
 空中で足蹴、蹴られた傭兵は大きく仰け反り転倒。

「このッ!」

 着地と同時に前方から剣を振り上げ、斬りかかろうとする男の左脇腹へ右手の槍で払い打つ。
 殴り飛ばされ、他の傭兵にぶつかり転がる。
 その場で横に回転、槍で大きくなぎ払い、当たった傭兵達が吹っ飛ばされる。
 その反動、大きく撓っていた槍が圧し折れ飛んでいく。
 手元に残るのは折れて短くなった槍、それを投げ捨てる。

「調子乗ってんじゃねぇぞ!」

 そう息巻きながらも、チーフに打って向かう者は居らず周囲を囲むだけであった。
 怯えるのも無理は無い、今の行動だけで10人以上が戦闘不能に陥った。
 攻撃すれば自分達も同じようになるかもしれない、と考えたからだ。

「………」

 右、傭兵の壁。
 左、傭兵の壁。
 正面、傭兵の壁。
 後方、傭兵の壁。
 周囲を完全に囲まれている。

「で、どうすんだ相棒」
「決まっている」

 道が無いなら。

「ぶち抜いて作る」

 デルフリンガーを一回転。
 5メイルの距離を一歩で埋め、デルフリンガーを振るう。
 傭兵たちが構えていた槍を叩き折り、勢い付けたまま肩から体当たり。
 そのまま腕を振るえば4人ほど重なって払い飛ばされる。
 飛んだ4人が他の傭兵にぶつかり、10人以上が転倒して怪我を負う。

「くそッ! 何なんだこいつは!?」

 たった一つの存在に蹂躙される100人以上の傭兵達。
 その光景を見て誰かが苦辛を吐いた。
118虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:49:09 ID:2YKF1uZZ
異常とも思える光景は、当の本人、マスターチーフにとって当然出なければいけない光景。
 『彼』、スパルタンは人より早く、より強く、より強靭に。
 より強力な者として作り上げられた超兵士。
 ならば、策を用要らないただの人間が勝てる訳も無い。

 ……いや、『負けてはならない』。
 勝たねば、勝ってしまわねばならない存在である。
 それが彼らが生まれた理由、人類に勝利を齎す存在として作り上げられたのだ。

「ば、化け物が!」

 人類をはるかに上回る存在を打倒する為に彼は生きる。
 より凶悪で、より醜悪で、より強大な存在も明らかになっている時。
 生きて元の世界に戻り、最終兵器の破壊と寄生虫どもの殲滅。
 これらを成し遂げるための、足がかりとなるべき存在である。

 故に負けない。
 折れぬ心、諦めぬ精神、如何なる苦境でも突破し、這い上がる。
 今この場、今まで体験してきた数多の苦難、その時の状況と比べてたらはるかに温い。

「終わりにしよう」

 囲まれた中、落ち着きの有る声。
 それを聞いた周囲の傭兵たちは、この存在がゴーレムではないことを理解する。
 たった一人の人間に、魔法を使わない奴にここまでやられたのか、と。
 チーフに対して向けるべきではない、自業自得でありながら理不尽な怒りに燃える。

「こぉろせぇ!!」

 誰かが声を張り上げて言った。
 途端に襲い掛かり始める無数の傭兵達。

「手加減する必要はなくなったな、相棒」

 最初から正当防衛、殺しに掛かってくる者たちへの止むを得ない武力行使。
 害意を持って襲ってくる者たちへの相応の対応、それは程度により、最悪の場合殺害さえも許可されている。
 多数によって少数を襲う、そして先の『殺せ』と言う言葉。
 この状況はマスターチーフが他の人間を殺害する事も良しとされる状況。

「殺しても意味が無い事も確かだ」

 だが、それでも殺す事を良しとしない。
 戦意の喪失を狙う事はあっても、命の喪失を狙う事はない。
 彼が殺すのは人類に敵対するもの、預言者達が率いるコヴナントや寄生虫と、それに取り付かれた者達だけだ。
 故に、彼は殺さない。
 詰まらない理想と言われるだろう、だが彼にはその理想を実現するだけの力がある。

「143……、136……、131……、119……、103……、100人切ったぜ相棒」

 纏めてなぎ倒され、見る間に数を減らしてゆく傭兵たち。
 その状況を見ていきり立つ者、冷静になる者、傭兵たちはその二つに分かれた。
 雄たけびを上げて突っ込み、容易くなぎ倒され気絶する者。
 我に返り、その異常に恐れをなして逃げ出す者。
 どちらが正解か、考えなくても分かってるだろう。



 元よりこの存在と敵対、向き合うべきではなかったと。
119虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:51:11 ID:2YKF1uZZ
「……外、静かになってきたわね」

 キュルケは盾にしたテーブルに寄りかかり、外の音に耳を澄ます。
 飛び出そうとしたタバサを押し留めた頃から大きくなった喧騒。
 消耗戦に持ち込もうとしていただろう襲撃者、不本意ながらそれに付き合うしか出来なかった自分たちだったが。
 争っているような声がどんどん小さくなる事に疑問を持ち始めていた。

「ダーリンかしら……?」
「かもしれないね、彼なら一人で蹴散らしそうだし……」

 ギーシュが相槌を打つ、ギーシュの言う通り本当にやりかねない。

「彼が外に? まさか……」

 そう言った子爵が宿入り口を一瞬だけ見遣る。

「玄関の傭兵達も外に出たようだ」
「あら? 私達嘗められてる?」

 メイジである私達を抑えず、外に居るらしいダーリンを優先する?
 ある意味正解かもしれないわね、メイジを圧倒する魔法を使えない軍人がそんじょそこらの傭兵に負ける訳が無い。
 外の奴らは魔法が使えないなら数で圧倒する位しか無さそうね。
 
「彼が囮になってくれている今がチャンスだな」
「……チャンス?」
「ああ、僕達は出来るだけ早く任務を達成しなければいけない。 なら今最も優先される事は『先に進む事』だ」
「ダーリンを置いて行くって事?」
「ああ、今ならすんなりと奴らの包囲網から抜けられるだろう」

 そう言って身を低くしたまま階段へ走り出す子爵。
 恐らくルイズの部屋に向かってるんだろう。

「……どうする? 子爵の言う事は一理有るわ」
「子爵の言う事は分かるが、彼を置いて逃げるなんて貴族の風上にも置けないんじゃあないか?」
「ダーリンに貴族や平民なんて関係無さそうだけどね」
「……誰かが残らねばならない」

 異国の軍人であるチーフ、ある程度地図で確認はしていたものの。
 やはり知らない土地では道に迷ったりするかもしれない。
 だから、少なくともチーフより土地勘がある私達の誰かが残らねばならない。

「誰が残るの? 私でもギーシュでもタバサでも、モンモランシーはどうでも良いわね」
「ちょっと! そんな言い方無いんじゃないの!?」
「貴女は怪我した時の治療要員、どっちにしろ危ない方に残る必要があるわねぇ」

 つまり、一番強いスクウェアメイジである子爵とはお別れになる。
 そう言ってやれば、何かを喉に詰まらせたように唸るモンモランシー。

「なら僕はモンモランシーと共に居るよ、僕はモンモランシーの騎士だからね!」

 そんな格好付けの言葉に感動するモンモランシー。

「はいはい。 で、誰が残る? 希望する人は優先するわよ?」
「……私は彼女に付いて行く」
「彼女……、ルイズの事?」

 頷くタバサ。
 ついて行くのはダーリンの主だからかしら。
 それに、チーフが外にいるならば、もう私達の出番は無いかもしれない。
120虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:53:21 ID:2YKF1uZZ
「子爵が彼を置いて進むなら、私は彼女と一緒に居る」
「……そうね、ならタバサがルイズと子爵に付いて行って」

 流石に子爵とタバサに守られるなら、いかにゼロのルイズでも無事で居られでしょうね。

「ちょ、ちょっと待って!」

 と、階段の上から聞こえるルイズの声。

「置いて行くってどういう事!?」
「そのままの意味だよ、彼が囮になってくれている今がチャンスなんだ」
「そんな……、囮になるなんて一言も言ってなかったわ!」
「君の事を心配させないようにしたんだ、彼の気持ちを汲み取ってやってくれ」

 そんな問答、子爵がルイズの手を取ったまま降りてくる。

「君達はどうする? 僕達と共に行くか、ここで傭兵どもを迎え撃つか」
「タバサはお二人に付いて行きますわ、私とギーシュとモンモランシーは残って彼を待とうかと」
「……分かった、さあ行こうルイズ」
「本当に置いていかなくちゃいけないの!?」
「ああ、外にはかなりの数の傭兵どもが居る。 今ここで抜け出さなければ危うくなるんだ」
「で、でも」
「分かってくれ、この任務は非常に大事な事なんだ。 それは君にだって分かっているだろう?」
「………」

 ワルドの剣幕に押され、押し黙るルイズ。
 黙ったが、まだ何か言いたそうな雰囲気。
 あまり時間が無いのに、こんな問答をしている暇なんて無いでしょうに。

「ルイズ、さっさと行きなさい。 子爵の言う通り大事な任務なんでしょ? ダーリンなら囮どころか全滅させるわ、心配するだけ無駄よ」
「……そうね、でもチーフは私の使い魔なの。 置いては行けないわ!」
「もう、こんな事言い合ってる場合じゃないの! すぐに追いつくからさっさと行きなさい!!」

 怒声、余りの愚図り様が癪に障る。

「……タバサ、お願いね」

 すぐにルイズから視線を外し、隣のタバサを見てお願いする。
 それに頷き、立ち上がるタバサ。

「さぁルイズ、行こう」

 私に怒鳴られ、半ば放心状態のルイズを引っ張っていく子爵。
 その後ろにタバサが付いて歩いていき、カウンター横の裏口へと進んでいった。

「……さて、主役はこの舞台から退場してもらったわ。 これからどうしましょうか」
「どうするって言ったって、あの使い魔が無事だなんて本気で思ってるわけ?」
「思ってるわよ? だってトライアングルのタバサに勝ったのよ、そんな人がそこら辺の傭兵に負けるわけ無いじゃないの」
「それは本当なのかい!?」

 ギーシュが仰々しく驚く、その隣でモンモランシーも眼を丸くしている。

「本当よ、その場に居たもの。 ……この目で見なかったら貴方達と同じように信じてなかったでしょうね」
「嘘……じゃ無さそうね」
「こんな時に嘘なんて付かないわよ、不謹慎すぎるでしょ」

 これが嘘で、チーフが既に倒されていたら次は自分達の番になる。
 実際はそんなこと無いだろうと、チーフの実力を知るキュルケは露にも思っていなかった。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 23:56:21 ID:liyo5qO0
支援
122虚無と最後の希望 代理:2009/03/09(月) 23:59:43 ID:2YKF1uZZ
「それにしても、もう殆ど聞こえなくなってきたわね」

 散漫に聞こえてくる音。
 10分前にはうるさいぐらいの喧騒だったのに。

「とりあえず、外を確認してみましょ」

 そう言って盾にしたテーブルから頭を出して、宿内を見渡す。
 宿内に敵は誰一人居ない、テーブルの陰から飛び出して壁沿いに進む。
 ゆっくりと進み、窓から外を覗こうとすれば……。

「ヒィ!?」

 いきなり窓から飛び込んできた傭兵、それを見てギーシュが悲鳴を上げた。

「……気絶してるわよ、ダーリンに殴り飛ばされたのかしら」

 白目を剥いて、倒れ伏す傭兵。
 その鎧の胸の部分、拳の形に凹んでいた。
 無謀にも切りかかったらしい、そして殴り飛ばされた。
 そんな馬鹿な傭兵から視線を外し、窓の外を見る。

「……あらー」
「ど、どうしたのかね?」
「見れば分かるわよ」

 そう言って譲る。
 ギーシュが身を乗り出し、窓の外を覗く。

「……これはまた、凄いな……」
「何が凄いのよ」
「チーフが殆ど倒しちゃってるよ」

 窓の外、数十の倒れ伏す傭兵。
 その中に立つのはたった一つの影。

「やっぱり、頼もしい存在よねぇ」

 頭を抑えられ、身動きを取れなかった私達と比べ。
 単身で敵に襲い掛かり、物の見事に傭兵たちを叩きのめした。

「メイジでさえも出来ない事を、こうも平然とされちゃあねぇ」
「同感だね」

 魔法が使えない人間は、魔法を使える人間より弱いと言う固定概念が崩れ去った瞬間。
 やっぱりとんでもない人間だと思い直す。
 窓から顔を覗かせ、周囲を確認。
 居るのはチーフと、遠くの方に走り逃げ去っている奴らだけ。

「ダーリーン!」

 その声を聞いてこちらに顔を向けてくる。
 それから左右を確認、宿入り口まで歩いてきた。

「大方は片付けた」
「そりゃあ、これだけ倒せば敵も逃げるわよねぇ」

 100に届きそうな、もしかしたら100人を超えているかもしれない。
123虚無と最後の希望 代理:2009/03/10(火) 00:02:19 ID:BZ980Jtr
「怪我は」
「だーれも、ダーリンのお蔭で皆無事よ」
「そうか」
 
 それを聞いてから、宿の中に入るチーフ。

「あ、ダーリン。 ルイズたちは先に行っちゃったわよ」

 動きが止まり、振り向くチーフ。
 バイザーにキュルケの顔が映りこんだ。

「何処へ」
「目指すはアルビオン、と言う事はフネに乗るしかないの」
「……桟橋は何処にある」
「今から追いかけるの? もう出発してるかもしれないわ」
「まだ追いつけるかもしれない」

 落ち着いた声、やっぱりルイズを近くで守りたいらしい。

「向こうよ、行きましょう」

 私が指差した方向、その先には巨大な樹が有った。







 4人は駆ける、正確に言えばチーフのみ走り、それに付いて行くためにフライで飛ぶ3人。
 剣を握ったチーフの走る速度は人の全速の倍近い、フライでも使わなければ到底追いつけない。
 そんなスピードで駆ける4人、巨大な樹で出来ている桟橋が見えて、空を見上げる。
 遠く、月光に照らされ空に浮かぶフネ。
 どんどんと小さくなっていく。

「どうやらあれの様ね」

 見る間に小さくなって行く。
 かなりの速度が出ているようだ。
 それを見ながら走り、桟橋に到着。

「他のフネは」
「聞いてくるわ、少し待ってて」

 キュルケがそのまま飛びながら桟橋の奥へと進んでいく。
 その間に、飛んでいるフネは見えなくなった。
 それから数分、キュルケが戻ってくる。

「駄目だったわ、あのフネが一番風石を積んでるらしいの。 他のフネじゃアルビオンまで持たないらしいわ」

 それを聞いて、視線を戻して空の彼方を見据える。

「明日の朝まで待つしかないわ、そうしないとアルビオンの大地を踏む事は出来ないわ」


 その方角は、ルイズと子爵とタバサが乗ったフネが飛んでいった方向だった。
124虚無と最後の希望 代理:2009/03/10(火) 00:03:44 ID:BZ980Jtr
851 虚無と最後の希望 sage 2009/03/07(土) 15:18:00 ID:qQat99PQ

以上で投下終了です、チーフ無双。
傭兵達からすればチーフはレジェンド並の強さに違いない、カスタムゲームで足が早くなったバージョンと考えれば何と恐ろしい。
使ったハンドガンは初代ので、あの性能で復活しないかなー。



次の代理は10分からー!
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:08:04 ID:USKScwMr
作者&代理乙

そして次への支援
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:10:14 ID:BZ980Jtr
 旅は終わりを告げた。
 あらゆる願いを叶える秘宝「凍てついた炎」を巡る一連の出来事は、一人の少女の解放によって終結した。
 「星を喰らうもの」から生まれた最悪の存在「時を喰らうもの」は、核を失ってその身体を構成していた無限の憎しみを霧散させた。
 やがて、全ての憎しみは還っていくのだろう。それらが本来あるべき、一千億の人とそうでないものの心の海へと。

 イルランザーの剣士・グレン。

 紫髪の魔術師・アルフ。

 「時喰い」の巣食う、時の闇の彼方へと挑んだ仲間も、彼らが本来居るべき世界と時間へ帰って行った。
 多くの旅の仲間達も、また同じだ。

 ならば、僕はどこに帰るのだろう?

 闇に浮かぶ少年は、時の底で考える。
 深い青。海の色の瞳と髪を持った少年は、自分の行く末を考える。
 帰るのだろうか? あの懐かしい海辺の村、アルニへと。
 帰るのだろうか? 始まりの場所、珊瑚の砂浜オパーサへと。

 いや。違うな。

 少年は……より正確に言うならば、少年の記憶の残滓である「彼」は、帰れる可能性を否定した。
 「彼」の存在は、「時喰い」の上に成り立っている。
 だから、時喰いがあらゆる時間と次元において「存在しない」モノとなった瞬間に、「彼」もまた「存在しない」モノとなった。
 数多の世界……パラレルワールドには、「彼」と同じ顔を持ち、「彼」と同じ声を持った少年が居るだろう。
 しかし、「彼」と同じ記憶を持つ少年は存在しない。
 存在しない故に、少年の記憶である「彼」には帰る場所がない。

 きっと、自分は時の底で朽ちていく。

 無限の空間と流れ込んでくる時間の波、時の海の奥底で「彼」はすんなりと自分の運命を受け入れた。
 「彼」の消失など、大事な人と、ついでに世界を守ったことを思うなら、実に些細な出来事だ。

 ―――でも、本当にそれでいいのかい?

 少女の声が聞こえた。数分か、数日か、数年か、数十年か、あるいは数億年ぶりかもしれない、自分以外の人間の「声」だった。
 時間の海の底では、己の持つ時間感覚などあてにならない。

 そうだな、ちょっと寂しいかもな。

 「彼」は「声」に答える。口の端に、微笑みを浮かべて。
 「彼」の答えに、「声」は笑う。鈴の鳴るように。

 ―――それじゃあ、さっさと起きなよ。

 「声」が歌う。いつの間にか、時の闇に光が差している。

 ―――夢の中では、いつだって一人なんだから。

 外から聞こえる「彼」を呼ぶ声。水底から浮き上がっていく感覚。

 そんな中で最後に見えた「声」の姿は、なつかしい道化師姿の少女だった。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:13:11 ID:BZ980Jtr
 その日、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、使い魔召喚の儀式に望んでいた。
 二年次への進級のかかった重要な式典。
 目の前では、クラスメート達が次々と自分の使い魔を召喚していく。
 フクロウ。カラス。カエル。そして、今年一番の大物となるであろう風竜。
 それらが召喚される度、ルイズは逃げ出したくなる衝動にさらされた。
 使い魔の召喚、サモン・サーヴァントに失敗する生徒は、まず居ない。それこそが、衝動の源泉である。
 ルイズは恐れる。

 自分の魔法が、いつも通りに「爆発」してしまうことを。

 使い魔召喚は6000年前、始祖の時代にまでさかのぼる神聖な儀式である。
 故にこの呪文の失敗は、メイジそして貴族として欠陥品の烙印を与えてくれるだろう。

「次、ミス・ヴァリエール。前へ」
「―――はい」

 自らの前途を考える内に、ついにルイズに順番が回ってきた。
 ルイズは前に進み出て、杖を胸の高さに持ち上げる。待ち時間の間、ずっと杖を握り締めていた手には、うっすらと汗が浮かんでいた。
 ざわざわと、周囲から声が聞こえた。
 侮蔑。嘲笑。しっかりと聞くことはできないが、ルイズは声からそんな感情を感じ取っている。
 自然、杖に力がこもる。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……」

 一言一句に力を込めて、杖に己の意識を叩きつけるように、ルイズは詠唱を行う。

 ―――時は、愛も痛みも―――

 その時、歌が聞こえた。優しく、全てを包み込むような歌が、聞こえた。

 ―――深く抱きとめ―――

 歌声が響くたび、ルイズの肩からスゥと力が抜けていく。

「五つの力を司るペンタゴン……」

 優しい詠唱。杖を握る手から余分な力が抜けていく。

 ―――消してゆくけど―――

「我の運命に従いし使い魔を……」

 桃色の髪の少女は、歌声に答えるように、その杖を振るう。

 ―――私は、おぼえている―――

「召喚せよ」

 その姿は指揮者のようであった。

 ―――ずっと―――

 歌が、詠唱が終わる。そして……

 光が、満ちた。


128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:13:48 ID:1v6+4ZVJ
タイトルは何ぞや?
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:13:54 ID:0tMFtYJT
支援
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:15:11 ID:BZ980Jtr
 その大地に立ってはじめに目にしたものは、黄金の太陽の光であった。
 「彼」はぎこちなく身体を動かすと、クルリと周囲を見渡した。
 マントをつけた、同年代であろう少年少女達が居る。年かさの禿頭の男が居る。
 そして、時の奥底にいた海色の髪の少年は、

「あんた、誰?」

 自分を呼んでくれた桃色の髪の少女に、

「僕はセルジュ。こんにちは、はじめまして。……それと」

 出会った。

『ありがとう』

131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:16:09 ID:BZ980Jtr
 854 名無しさん sage 2009/03/07(土) 18:32:39 ID:FpQavYzw

なんとなく書いてみたクロノクロスでセルジュ召喚。無題。
いや、ゼロ魔である必要性が皆無なんですけどねorz

続ける予定は無いです。はい。



次は25分からー!
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:19:10 ID:3wCkqFps
そんなのまで処理するのか乙andがんばれー
133ゼロの黒魔道士第38幕1/5 ◇ICfirDiULM:2009/03/10(火) 00:25:08 ID:BZ980Jtr
まだ規制中なので、代理希望です。今回は短めですがお願いいたします
以下、本文です

-------------
チョコボを育てるときに重要なのは、十分に走れる広い場所があること、なんだって。
「……で、こっちがボコで、あっちがココなの?よく見分けつくね……」
今朝は、シエスタの家でお世話になったお礼に、色々と手伝っているんだ。
「ショコボ番ならあたりまえさっ!」
っていうことで、ボク達はチョコボの世話をしている男の子(シエスタの弟さんなんだって)と、
タルブ平原の真ん中ぐらいまで来たんだ。
若いチョコボは、3日に1度は思いっきり走らせないと、ストレスで羽が抜けちゃうらしい。
あ、ボク達っていうのは、ボクと、デルフと……
「おほっ!け、結構速いな、これは!」
「……ギーシュ、ちゃんと首の辺り持ってないと危ないよ〜?」
……チョコボは、馬よりも乗りやすい。羽がある分、座り心地が柔らかいからなんだ。
でも、それは揺れないっていうことじゃなくて、むしろ馬よりも速い分……
「大丈夫さ!こう見えても乗馬はぁぁぁああぁぁぁ!?」
……ちょっとした段差を飛び越えるときは、しっかりつかまってないと、ギーシュみたいに落ちちゃうんだ。
「っだ!?いたたたた――しかし、これはなかなかハマりそうな感覚だなぁ」
「……大丈夫?」
「ふっ、なんのこれしきっ!!」
……ギーシュって、ホント打たれ強いなぁ……見習おうっと。

ゼロの黒魔道士

〜第三十八幕〜 襲撃

タルブ平原は今日もいい天気で、お日さまの光がまぶしかった。
おねえちゃん達も来ればよかったのにって、思う。
お土産のワインを選ぶんだって言ってたけど……

コケたギーシュを助け起こしていたら、おっきな影がお日さまの光を遮ったんだ。
「……うわ、おっきい船……」
「ん?お〜!あれは我がトリステインの旗艦、メルカトール号じゃないか!」
「軍艦なんだ……え!?じゃまさか……」
まさか、戦争?この間の嫌な感じがまたしてくる。
「ハハハ、違う違う!これも結婚式の式典の一つさ!ほら、もっと遠くに他の船も見えるだろ?」
ギーシュが指さした先は、ラ・ロシェールの岩場のあたり。
よく見ればいくつもの飛空挺が並んで浮かんでいる。
なんとなく、かしこまっているって感じがする。
「……あ、本当だ……あれ、全部軍艦なの?」
「うむ。アルビオンの艦隊もおっつけ来るだろう」
「……え!?アルビオンの!?」
アルビオンって言ったら、この間のウェールズ王子の……今は、ウェールズ王子の敵の人たちがいるところだ。
「不可侵条約を締結しているしね、此度の結婚式にも有力者が来るそうだよ。
 だから、今日は、そのお出迎え式ってわけさ。――最も、軍事力を見せつける意味合いが強そうだが」
「……なんか、ややこしいんだね、結婚式って……」
「仕方ないさ、王族だしね」
今一、なんで敵同士が結婚式に参加したりするっていう理由が分からなかった。
……あ、でも、結婚式に参加できるほど、平和ってことなのかなぁ?
……うーん、頭がグルグルしてきて全然分からないや。
「おふたりさ〜ん!ショコボ達が飽きてきてるぜ!とっとと川の方まで行こう!」
見ると、ボコ(ボクが今手綱を握っている方のオスチョコボ)が、退屈そうに「クェ〜」って鳴いた。
「……あ、ゴメンゴメン」
今日の予定は、チョコボを河で水浴びさせること。
十分あったかくなってきてるし、そこで捕れる川魚がまたおいしいんだって。
「――しかし、見事な艦隊群だなぁ」
遠くに見える艦隊に、ちょっとだけ不安になりながら、ボクはボコにまたがったんだ。
5羽近くもチョコボがいると、ちゃんと見てないと勝手にあちこち行ったりする。
今日は、暑くなりそうだなぁと、飛空挺の通り過ぎた空を見上げて思ったんだ。
134ゼロの黒魔道士第38幕2/5 ◇ICfirDiULM:2009/03/10(火) 00:27:43 ID:BZ980Jtr
ピコン
ATE 〜炎の記憶〜

爽やかな早朝――というにはいささか日が高いと、彼女、アニエスは思った。
「ぬぅ?」
目が覚めると見知らぬベッド。とはいえ、横に男がいるわけでもなし、何も困るわけではない。
「ぬぬぬ?――ふむ」
何やら記憶が欠落している気がするが、ともかく、旅先で慣れぬベッドで寝たためだろう。
野宿が多かったこともあるし、久々に綺麗なシーツで寝れたから、このような違和感があるのだ。うむ、そうなのだ。
部屋に汲み置かれていた水で眠い目をこじあける。
うむ、何も問題は無い。爽やかな朝だ。
そう納得したところで、腹が空いたので、愛用の剣を持って彼女は部屋から出ることにした。

「お、剣士様!お早いお目覚めでっ!」
2階の宿部屋を降りれば、酒場を兼ねた宿の食堂だ。
店主の愛想の良い、くだけた会釈が出迎える。
ただ、『早い』というのは若干皮肉めいたものを感じる。はて、粗相でもしただろうか。
記憶があやふやであることから、考えられる可能性を試す。
「――あ〜、すまん、店主。昨晩の払いを忘れていたか?」
何しろ、昨晩の記憶が曖昧だ。確か昨晩、この宿に来たときに部屋代は前払いをしたものの、
その後の飲み代を払った記憶が無い。それなりに飲んだという記憶はあるのだが。
「いえいえ、結構でございますよ!“お友達”からたんまり頂いたんで!」
「“友達”、だと?」
はて、おかしな話だ。気楽な1人、傷心旅行。自分を見つめ直す旅に、“友達”とは?
「あら?その様子じゃ覚えてらっしゃらないんで?」
「何の話だ?」
本当に分からない。あるいは昨晩、そこまで酩酊していただろうか。
「ほれ、昨日そこのカウンターで剣士様が1人で飲んでいたら男共が寄ってきて――ほれ、剣士様美人だから――」
ゆっくりと思いだす。確かに昨晩は1人で飲んでいた。うむ、確か最初はワインだった。
そうしたら、下品な男共が確かに言い寄ってきたんだ。うむ、揃いも揃ってアホ面だった。あぁ確かにそうだった。
『一緒に飲まないか』、という内容をどうしたらあぁも下心たっぷりに言えるのだと感心したのだ。
はて、そこからどうなったのだ。彼女の記憶は、少し進むとまた袋小路に陥る。
「――で、剣士様が“わたしに酒で勝てるとでも?”っておっしゃって――」
「な!?」
記憶の海を必死で探る。うむ、言いよられた後、ワインの後だ。
蒸留酒を飲んだ記憶がある。そうだ、コニャック、いやウィスキー、いやいやシェリーだったか。
ともかく、マグの縁ひたひたまで入っていたものを飲んだ。うむ、そこまではなんとか記憶がある。
と、いうことは、その蒸留酒が原因か。
飲みすぎるとはなんたる不覚。剣士として恥ずべき行為に、彼女は猛省する。
いや待て。下劣な男共と飲み勝負をしたというのか、このわたしが。
それこそ剣士たる者の行為としては下の下。何をやったと、いや何もされているまいな。
彼女の不安が、思考を満たす。
「――いやぁ、この商売長いですけどね、27人抜きってのは初めて見ましたわ!」
「に、にじゅうななにん!?」
多すぎる。そこまで飲んだというのか。いやおかしい。
あぁでも、そういえば3人目ぐらいまでは顔が浮かんでくるような。
「そいつらは早朝に叩きだしましたよ。そこに転がってちゃ商売の邪魔ですしね」
「あー、えー、あー……」
どこからだ、どこから記憶が無いのだ。むしろ何を飲んでいるのだ、飲み尽くそうとしているのだ。
昨夜の自分を頭の中で何度もののしる。あぁ、全く、剣士らしからぬ行為を粛清するための旅路で、何たる不覚を。
彼女の頭痛は、二日酔い以外の理由からもたらされる物だった。
「朝食の代金もいただきましたんでね、お好きなもんおっしゃってください。すぐ作りますんで」
「――とりあえず、飲み物を」
とりあえず、食事をしよう。うむ、その後考えるべきだ。彼女は、向きあう問題を、過去から現在のものへと移した。
「へい、当店自慢のおいしい水にしますかい?それとも、迎え酒で?」
「――できれば、ミルクを」
朝ならば、栄養価の高い物を摂取すべきだ。ましてや、迎え酒など、そこまで堕落してはいない。
しかし迎え酒を勧められるほど昨日は飲んでしまったのか、何たることだ。
問題点を切り替えたはずが、再び昨日の失態を反芻し頭を抱える彼女であった。
「はいはい〜!」
135ゼロの黒魔道士第38幕3/5 ◇ICfirDiULM:2009/03/10(火) 00:29:36 ID:BZ980Jtr



「ふむ、うまかった――」
宿の食事は完璧だった。
再建中の『女神の杵亭』ほど高級では無いし、荒くれ共のたまり場であるような店ほどボリュームもない。
だが、丁度いい。この宿屋の朝食は、まさに朝食らしい朝食だった。
端がカリッカリになるまで炙られたベーコンの塩味が、目玉焼きの半熟の黄身と合わさる。
わざわざ暖めなおしてくれたらしいライ麦のパンとミルクの相性は長年連れ添った夫婦以上と言えよう。
単純ではあるが、隅々まで配られた心づかい、まさに感服すべきであると、彼女は思った。
朝食の代金は受け取っていると言ったが、これならば自分からチップを弾んでやるべきだろうか。
「気にいっていただけたようで。デザートにフルーツは?」
「あぁ、いいな。いただこう――そういえば店主、何やら外が騒がしいが?」
食べながら、気にはなっていた。人々のざわめき、窓から見れば、通りには人だかり。
屋根に昇る男共の姿も見える。そして、時折通り過ぎる巨大な影と、それに合わせた「おぉ〜」という歓声――
「はいはい、あれはですね、新生アルビオン政府の客がほれ、例の結婚式に参加なさるそうで」
そうか。つまりは貴族のお偉い様のご訪問というわけか。そのために船を何隻も出しているというわけか。
「――大仰なことだ」
平民から徴収した税金をこうした力の誇示に使用することに、アニエスは若干の怒りを感じた。
やはり、貴族は貴族なのだろうか。
先日出会った貴族達――とはいっても、嘴黄色いひよっこもいいところだったが――はマシだと思ったのだが。
「へへっ、確かに!貴族様のやりなさることは理解しかねますわ!」

果物を待っていると、やおら巨大な雷鳴が、外から響く。
「っ!?何の音だ!?」
反応してしまうのは戦士たる所以か、剣を急ぎつかむ。
臭う。なんだ、このチリチリと鼻の奥にこびりつくような臭いは。
「祝砲でございましょ?やたら派手にぶちかましますもんで――」
「祝砲、だと?いや、それにしては――」
おかしい。空砲音にしては、重い。空砲の臭いにしては、火薬臭い。
そして何より、なるたけ戦場に近い所に居続けた感覚が告げる。

空気が――おかしい。

感覚に従い、店外まで一気に駆ける。違和感の正体は、蜥蜴の舌のような鮮やかな赤色で空に現れていた。
「ひ!?ありゃ燃えてんのかっ!?こりゃおったまげた!?なんだって――」
落ちる、船。炎に包まれてだ。逃げ惑う物見の人々。
通りは蜘蛛の子を散らす様相、屋根の上からは慌てて飛び降りる様が見て取れる。
彼女の、アニエスの目は、落ちる船に釘付けになっていた。
焦げる臭い、朱にゆらめく巨大な炎。彼女の忌まわしい記憶が、幼き日の炎の記憶が、呼び起される。
全てが炎に包まれる、慣れ親しんだ家も、よく遊んだ広場も、空も、地も、何もかもが燃えている。
涙はすぐ乾き、母を求める声は煙で潰され、父の腕は炭となりカラカラと崩れ――

「――店主!ただちに町民を避難させろっ!」
一時、その記憶を封じ込める。今の彼女は、剣士アニエスだ。力の無い幼子では、もう、ない。
「へ、へい!?」
「街道沿いはダメだ、川沿いに、今すぐだっ!」
「いやちょちょちょ、ちょっとお待ちくださいよ剣士様!?一体全体なんだってんで――」
「――戦だ!」
幼子のころは知らなかった空気が、辺りを漂い始めている。間違いなく、これは戦場のものだ。
136ゼロの黒魔道士第38幕4/5 ◇ICfirDiULM:2009/03/10(火) 00:31:33 ID:BZ980Jtr
「い、戦って、そんな、あんた冗談は――」
言っているそばで、上空から、轟音とともに巨大な鉄塊が飛来する。
破裂音とともに巨大な船が煙をあげる。掲げる旗からそれがトリステイン船籍であることが分かる。
息をする間に、上空ではいくつもの轟音が鳴り響きだす。
燃え盛る船が地に落ちきるまでに、新たな船が今にも沈みそうだ。
呆れるほどに、これは、戦場だ。
「こ、こりゃおったまげ!?」
「いいか、直ちに町中に避難を呼びかけるんだ!」
「わ、分かりましたっ、す、すぐに互助会で連携して――って、剣士様はいずこへっ!?」
「――胸騒ぎがする」
お偉方が、上空で突如の艦隊戦、それをラ・ロシェールの民に見せつけた。
貴族共が、互いを潰しあうだけで満足するわけがない。そんな甘い糞共がいるものか。
そして、ラ・ロシェールを仮に落すならば、船だけで足りるわけがない。
「一番近い町への入口は!?」
「へ、へい、それならば出て右へ行ったら大通で、そこからまっすぐ……」
「すまんっ!頼むぞっ!」

そこにいるのは炎で乾いた涙を流した幼子ではない。
そこにいるのは内に炎を宿した剣士である。
炎の記憶が彼女に与えたもの、
それは、二度と、二度と何かを失い泣きたくないという決意。
その決意が、彼女を走らせた。
戦場へ。
炎の臭いが燻ぶる、忌々しき、戦場へ。


-----------------

「こりゃおでれーた――」
「え、あ、あれって燃えてるよね!?」
「――あ、あぁ……ど、どういうことだ?メルカトール号が!?」
「しょ、ショコ!デビー!落ちつけっ!!」
川のほとりで、ボク達はそれを見ていた。
まず異変に気づいたのは、チョコボ達。
それに続いて、周りの林から小鳥たちが一斉に逃げ出した。
ボク達が気づいたのは、やや遅れておっきな雷みたいな音がしたときだった。
炎をあげて落ちる船。小型だけど、その炎の熱さがこっちまできそうなぐらい真っ赤に燃えていた。
その後、続けざまに、耳元で太鼓を乱打するような音がして、
トリステインで一番おっきな船らしいメルカトール号から煙があがる。
そんなに遠くない空で起こってる事態に、頭がついていくのには、少し時間が必要だったんだ。

そして、頭が起こっていることに追いついたとき、嫌な予感が、本当に胸とお腹の奥底から嫌な予感が、こみあげてきたんだ。
「……ねぇ、ギーシュ、この間のモットおじさんの話、覚えてる?」
「っ、その話はもう――」
ギーシュは、何を勘違いしたのか、別な嫌そうな顔をする。
「そっちじゃなくて!戦争がまだ起きない理由の話!」
「――あ、あぁ。確か――大義名分と、軍資金問題だっけ?それがどう――まさか!?」
ギーシュも、気づいたみたいだ。
ボクは、詳しく知らないけど、先に落ちたのはトリステインの船じゃないっていうのは、
飛んできた順番でなんとなく分かる。
その前の、大きな音、儀礼用の祝砲ってギーシュは言ってたけど、その順番だけを見ると、
まるでトリステインの祝砲が、アルビオンの船を落としたように見える。
「……あれ、大義名分になる、よね?」
戦争を、起こしてしまうのに十分すぎる理由。誰かが自分たちを傷つけた。
単純な、すごく単純な理由。……だからって、戦争が起こしていいわけは無いけど。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:36:55 ID:RifaBuVe
支援で
138ゼロの黒魔道士第38幕5/5 ◇ICfirDiULM:2009/03/10(火) 00:37:18 ID:NpacFwcH
「ま、まてまてまて!!ぐ、軍資金の問題があるだろ!?まさか短期決戦を狙う気か!?」
もちろん、そっちの問題もある。でも、頭の隅っこで、ずっとひっかかっていたことが、今つながった。
「……この間の、ラグドリアン湖で……」
「――?――っ!?アンドバリの指輪か!?」
水の精霊が失って、今はアルビオンの自称・皇帝っていう人が持っているらしいアンドバリの指輪。
死んだ人を無理やり従わせて、動かす、人の命をバカにしたようなマジックアイテム。
それを使って、兵隊さんを作れば……嫌な考えだけが、頭に浮かぶ。
「……死んだ人って、お給料も食糧も、いらない、よね……?」
「と、ということは――」
目の前の光景と、考えていることが一本の線でつながる。
メルカトール号が黒い煙をあげて、林の中に沈んでいくのが見える。

ボクは、ボク達は、この事態を前に、どうすればいいかって、考える余裕は無かった。
「……ギーシュ!」
「――ビビ君!」
たった、それだけの言葉。ボクもギーシュも、考えていることは同じだって思った。
ボクはボコに、ギーシュはココに、それぞれまたがって、手綱をしっかりと握りしめる。
「あ、お、おい、あんた達!?」
「ゴメンねっ!!チョコボは後で返すから!!」
ボコのケヅメが、川の水をパシャンッと蹴りだす軽い音がして、
ボク達は風よりも速く、駆け出したんだ。

昨日見た夕日と、昨日出会った人たち、そしてボクが願ったことのために。
頭に浮かぶのは、アレクサンドリア、ブルメシア、リンドブルムの姿。
ボクが、ボク達が、事前に何かができれば……そう思ったことは何回かある。
何もできなかったかもしれない。何もできないかもしれない。
それでも、それでも……
「……戦争なんて、起こさせやしないっ!!」
何もやらずに悲しむなんて、そんなことはできないから。

-------------
以上です。
さて、タルブ戦です。
……じっくり書きたいし、次は直接投下できるといいなぁ……
お目汚し、失礼いたしました。

代理投下、いつもいつもすいません。よろしくお願いいたします。
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:38:31 ID:NpacFwcH
途中でさるを食らったので迂回してきました、ID違いますけど代理のものですはい。


次は45分から−!
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:39:06 ID:WvmgAqpm
 863 ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw sage 2009/03/08(日) 23:35:51 ID:fAT43.GM

すみません、本スレが規制中orz
こちらに第5話『その名はゼロ』を6レス消費で投下したいと思います
何方か、代理投下して頂けると有り難いです


      864 ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw sage 2009/03/08(日) 23:37:29 ID:fAT43.GM

魔法学院の教室は、講義を行うメイジの教卓が一番下の段に位置し、階段の様に机が続いている。
ルイズとミュズが中に入って行くと、先に教室にやって来ていた生徒達が一斉に振り向き、そして、くすくすと笑い始める。
皆、様々な使い魔を連れていて、教室中に沢山の生き物が居た。
梟、蛇、烏、猫。ミュズの中のデータにある地球に存在する生き物が見える。
しかし、ミュズの目を引くのは、椅子の下で眠り込んでいるキュルケのサラマンダーの様な見た事も無い未知の生物だった。
アバロス星人に似た姿の、六本足のトカゲがいた。
ミュズは気になって、ルイズに尋ねた。
「あの六本足のトカゲは何ですか?」
「バジリスク」
ミュズは次々に不思議な生き物の名前を尋ねる。
ルイズはそれを次々と不機嫌な声で答えて、席の一つ腰掛けた。
ミュズはその傍らに怖ず怖ずと無言でぴたりと立った。
ルイズは使い魔達が集まっている教室の壁際に居る様に言いつける。
しかし、ミュズが怖がってマントを掴んで離れないので、渋々諦める事になった。
 865 ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw sage 2009/03/08(日) 23:38:16 ID:fAT43.GM

扉が開いて、中年の女の先生が入ってきた。紫色のローブに身を包み、帽子を被っている。ふくよかな頬が、優しい雰囲気を漂わせている。
彼女は教室を見回すと、満足そうに微笑んで言った。
「皆さん。使い魔召喚は、大成功の様ですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」
ルイズは俯き、ミュズが居るのとは反対側の方に顔を逸らした。
「おやおや。変わった使い魔を召喚したのですね。ミス・ヴァリエール」
シュヴルーズがミュズを見て、何気無しにとぼけた声で言うと、教室中がどっと笑いに包まれ、太っちょの男子生徒から野次が飛ぶ。
「ゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺の平民を連れてくるなよ!」
ルイズは立ち上がり、長いブロンドの揺らして怒鳴った。
「違うわ!きちんと召喚したもの!この子になっちゃっただけよ!」
「嘘つくな!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」
ゲラゲラと教室中の生徒が嘲笑う。
「ミセス・シュヴルーズ!風邪っぴきのマリコルヌが私を侮辱したわ!」
握り締めた拳でルイズは机を叩いた。
「風邪っぴきだと?俺は風上のマリコルヌだ!風邪なんかひいてないぞ!」
マリコルヌも立ち上がり、ルイズを睨みつける。
「あんたのガラガラ声はまるで風邪をひいてるみたいなのよ!」
シュヴルーズは小ぶりな杖を振って、立ち上がった二人を制止させ、席に座らせる。
「ミス・ヴァリエール。ミスタ・マリコルヌ。みっともない口論はお止めなさい」
さっきまでの勢いが吹っ飛んで、ルイズはショボンとうなだれていた。


      866 ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw sage 2009/03/08(日) 23:39:13 ID:fAT43.GM

「お友達をゼロだの風邪っぴきだの呼んではいけません。分かりました?」
「ミセス・シュヴルーズ。僕の風邪っぴきは只の中傷ですが、ルイズのゼロは事実です」
マリコルヌの一言に、生徒達からくすくす笑いが漏れる。シュヴルーズは厳しい顔で教室を見回して杖を振るい、何処からともなく現れた赤土の粘土でくすくす笑いをする生徒達の口を塞ぐ。
「あなた達は、その格好で授業を受けなさい」
教室中のくすくす笑いが治まった。
授業の開始を告げ、シュヴルーズは咳払いをして、ルーンを唱え杖を振うと、教卓の上に石ころが現れた。
「テレポート?あの人のESP波が一瞬で急に強くなった様な感じがした…」
ミュズはその光景に眼を見開き、口をきゅっと締めて呟く。
「私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。『土』系統の魔法を、これから一年、皆さんに講義します。」
二年生になって最初の講義と言う事も有り、おさらいをする様に系統魔法や『土』系統の魔法の特長が説明される。
そして、シュヴルーズは『土』系統の魔法の基本である『錬金』を、教授する為のお手本として、自ら石ころに向かって唱える。


      867 ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw sage 2009/03/08(日) 23:40:31 ID:fAT43.GM

石ころが光りだし、それはピカピカした黄色味を帯びた金属に変わっていた。
ミュズはその様子をじっと注視して、目の奥をチカチカと光らせた。
キュルケが身を乗り出し、「ゴールドですか?」と尋ねると、シュヴルーズは謙虚そうに「真鍮」と答えた。
その後に、ゴールドを錬金できるのは『スクウェア』で有り、自分は『トライアングル』だともったぶった様に付け足した。
ミュズがルイズの肩をつつく。
「マスター」
「何よ。授業中よ」
「『スクウェア』や『トライアングル』って何ですか?」
「系統を足せる数の事よ。それでメイジのレベルが決まるの」
「はい?」
ルイズは小さい声で顔を近づけさせる。
そしてミュズに、一つの系統に他の系統を足して呪文を強化する事や、同じ系統を足してその系統を強化する事などを、すらすらと説明した。
ミュズはその説明に納得すると、ぽつりと疑問を投げ掛けた。
「マスターは幾つ足せるの?」
その疑問に口をへの字に閉じて悲しげに眼を細め、ルイズは押し黙ってしまった。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:48:38 ID:RifaBuVe
sien
 868 ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw sage 2009/03/08(日) 23:41:30 ID:fAT43.GM

そんな風にしゃべっていると、シュヴルーズに見咎められ、ルイズはクラスメイトの前で錬金の実技を行う様に言いつかる。
しかし、困ったようにもじもじするだけで、ルイズは立ち上がろうとしなかった。
シュヴルーズが再び呼び掛けると、キュルケが『危険』を理由にルイズの実技を取り辞めるように困った声で言い、教室の殆ど全員が頷いた。
初めてルイズを教えているシュヴルーズはその意味が分からず、励ましの声を掛けルイズに実技を行う様に促す。
キュルケは褐色の肌から血の気が引いて、ルイズに実技の辞退を懇願するが、決心した様にルイズは立ち上がってシュヴルーズに答える。
緊張した顔でルイズはつかつかと教室の前へと進むと、隣に立ったシュヴルーズはにっこりと笑い、錬金したい金属を心に思い浮かべるようにと指導をする。
こくりと頷いて、ルイズが手に持った杖を振り上げ、それと同時に前の席に座っていた生徒が椅子の下に隠れた。
ルイズは目をつむり、短くルーンを唱え、杖を振り下ろす。
その瞬間、教卓ごと石ころは爆発と化した。


      869 ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw sage 2009/03/08(日) 23:43:55 ID:fAT43.GM

爆風をモロに受け、ルイズとシュヴルーズは黒板に叩き付けられた。
驚いた使い魔達が暴れ出し、サラマンダーが火を吐くは、マンティコアが外に飛び出すは、大蛇が烏を飲み込むはの大騒ぎになった。
悲鳴や罵声が溢れる教室で、ミュズは誰も気付かない小さな声で呟いた。
「真空の揺らぎが『ゼロ』になった」
シュヴルーズはたまにピクピクと痙攣をして倒れたまま動かない。
煤で真っ黒になったルイズは、服の至る所が破れた見るも無残な格好で、むくりと立ち上がる。
大騒ぎの教室を意に介した風も無く、顔の煤をハンカチで拭きながら、淡々とした声で言った。
「ちょっと失敗みたいね」
他の生徒達から猛然と反撃を食らう。
「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」「いつだって成功の確率、ゼロじゃないかよ!」
ミュズは、どうしてルイズが『ゼロのルイズ』と呼ばれているのかを、ルイズが魔法を使うと如何なるかを知った。


      870 ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw sage 2009/03/08(日) 23:50:59 ID:fAT43.GM

以上、投下終了です
ちゃっかり、目が良いし(恐がりだけど)好奇心旺盛なので、ミュズが系統魔法を分析したりしています
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:49:59 ID:NpacFwcH
次は1時からー!
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 00:52:14 ID:6XVYfW99
まじでgj
147重攻の使い魔 第10話『高貴なる空賊』代理:2009/03/10(火) 01:00:54 ID:NpacFwcH
 空賊に捕らえられ、ルイズたち一行は雑然と荷物が積まれた船倉へと押し込められていた。メイジである
彼らは皆同様に杖を取り上げられ、手も足も出ない。扉には鍵が掛けられ、押しても引いてもびくとも動か
なかった。マリーガラント号の船員達は自らの船を曳航させる作業を強要されているらしい。貴族と平民を
隔離する目的もあるのだろう。ここには平民の姿は見えなかった。
 皆が押し黙る中、海賊船にしては随分としっかりと造られた扉が軋みを上げながら開かれる。薄暗い船倉
の中に海賊の一人であろう、小太りの男が入ってきた。男はルイズの前まで来ると、細い腕を無造作に掴んだ。

「おい、桃色頭のチビ。頭がてめぇをご指名だ。ついてこい」
「ま、待ってくれ。彼女は僕の婚約者なんだ。手荒なことはしないでくれ、頼む」

 自らの婚約者である少女が単独連れて行かれそうになり、流石にワルドが割って入る。しかし、空賊の男
はそんなワルドの顔を見ると、小馬鹿にした表情となり端正な顔に唾を吐いた。

「俺に指図できる立場だと思ってんのか、ええ? 他人のことより自分の未来でも心配しやがれ」

 そう言い放ち、男はワルドを足蹴にする。ルイズはさっと男の手を振り払うと、無言で立ち上がった。
船倉を出ろという命令に逆らうこともなく大人しくついていく。

「……ルイズ、諦めてはいけない。絶対、絶対にだ」

 腹を蹴り上げられ、呻いていたワルドが発した言葉にもルイズは何ら反応しなかった。ギーシュらは扉が
開いた瞬間に脱出しようかとも考えたが、見張りがいないなどということもなく、あえなく断念することと
なった。
 扉は再び軋みを上げながら閉じられ、船室は薄暗さを取り戻した。キュルケとタバサがとりあえずワルド
の応急処置をする。とはいえ杖も持ち物も全て取り上げられてしまった以上、大したことができる訳もない。
どうにか反乱軍の追っ手を振り切ったと思った所でのこの事態。ギーシュは思わず歯噛みする。




 後ろから空賊に押しやられ、狭い通路を通り、細い階段を上り、ルイズが連れて行かれた先は空賊に似つ
かわしくない程に立派な調度が施された部屋であった。甲板上に設けられたその部屋こそが船長室であるら
しい。
 がちゃりと重々しい音を立てながら扉が開かれると、商人に見せればどれほどの値が付くか分からないよ
うな、精緻なエングレーブに飾られたディナーテーブルが置かれていた。最上座には先ほどの頭が尊大な態度
で腰掛けている。
 頭は足をテーブルの上に投げ出し、大きな水晶が取り付けられた杖を弄っていた。粗野な身なりとは裏腹に、
それなりのメイジであるようだ。室内には頭以外にも多くの空賊がおり、入室してきたルイズをにやにやと
下品な笑を顔に貼り付けながら眺めている。
 後ろから挨拶をするように急かされるが、ルイズは頭を睨みつけるばかりで、口はきっと引き結ばれていた。
そんなルイズを見ても、頭はなんら感じ入る所はない、むしろますます面白いとばかりに含み笑いを漏らす。
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:02:57 ID:RifaBuVe
俺には支援しかできない
149重攻の使い魔 第10話『高貴なる空賊』代理:2009/03/10(火) 01:05:55 ID:NpacFwcH
「くくっ、気の強い女は好きだぜ。たとえガキだとしてもな。さて、てめぇは今日から俺の嫁にすることに
した。名前ぐらいは教えてもらわねぇとな」
「……黙りなさいよ。わたしがあんたの嫁ですって? 笑わせるわ」

 ライデンを奪われたことで怒り心頭となっていたルイズは、自らの身を顧みることもなく、敵対的な態度
を取り続けた。しかし意外なことに、空賊たちは特別ルイズに危害を加えようとはしない。

「大体、どんぱちやってるアルビオンにトリステイン貴族様が何の用だ? 戦争に巻き込まれてぇのか?」
「あんたたちに話すことなんて何もないわ」

 頭はそこで、それまで纏っていた粗野な態度を若干改める。獲物を狙う鷲のように鋭い視線を向けた。
それは幾度も危険な綱渡りをしてきたであろう、空賊を束ねる男に相応しい瞳だった。

「この時期にメイジがアルビオンへ渡るとすれば、それは戦争に何らかの形で関わるもの以外にない、
と俺は考えている。……大方てめぇらもその口なんじゃねぇのか?」

 頭の言葉にルイズは無言を貫いた。今の今まで怒りで冷静さを失っていたが、自分がアルビオンへ向かうの
は正にそれが目的だったからだ。何も言わないルイズをよそに、頭は話し続ける。

「そしてわざわざ王党派に味方するような馬鹿がいるはずはねぇ。自分から死にに行くようなもんだからな。
あんたたちは貴族派の応援にいくつもりなんだろう?」
「……何ですって?」
「ああ、とぼけなくてもいい。実はな、俺達は貴族派の連中相手に商売させてもらってるのさ。ついでに
王党派に味方しようとする馬鹿を捕らえるのも請負ってるんだが、あいつらが言うような王党派に味方する
馬鹿なんて一人もいねぇ」
「あんたたち反乱軍だったのね……!?」
「あくまで対等な立場ってやつさ。まああんたらには悪いことをしたな。こっちとしても馬鹿を捕まえるって
いう建前があるんでな。ちょいとばかり乱暴なやりかたをしちまったが勘弁願おうか」

 頭の話を聞いているうちに、ルイズの顔はみるみる真赤になっていく。ただでさえ怒りが許容量を超えて
いたところにこの話を聞いたことで、ルイズの怒りは大河が氾濫するが如く爆発する。

「ふざけるんじゃないわよっ! わたしたちが貴族派……? 馬鹿にするなっ!」
「へぇ、ってことはあんたらは王党派に味方する馬鹿の記念すべき第一号ってことか。
おい、てめぇら聞いたか! こんな馬鹿がまだいたようだぜ!」

 頭の言葉に空賊たちは大口を開けて笑い始める。腹を抱えて、これ以上おかしなことはないとでも言いたげ
な笑い方であった。
 その様子を見て、ルイズはますます怒りを加速させる。
150重攻の使い魔 第10話『高貴なる空賊』代理:2009/03/10(火) 01:08:36 ID:NpacFwcH
「あんたたちみたいな屑がいるからっ。ライデンも姫様もっ……!」

 そう、反乱軍さえいなければアンリエッタが苦しむことも、ライデンが雷撃を受けて動かなくなることも
なかった。ずっと平和な時間を過ごすことができたのだ。それを思い出し、ルイズの目尻にはかすかな涙が
溜まる。
 目の前の少女が思わず零してしまったであろう言葉を頭は聞き逃さなかった。席を立つと悠然とルイズの
前へとやってくる。

「まあ王党派だってんなら予定通り捕らえなけりゃあな。ただ、お前を貴族派に引き渡して殺しちまうの
はもったいない。あの赤毛の女と青髪のガキもだ。慰み者として生かしておいてやる。感謝するんだな」
「……っ! だ、誰が慰み者だっての!? そんな脅しが効くもんですか!」

 慰み者という言葉にルイズの体は一瞬恐怖に凍りつく。自分だけでなくキュルケとタバサまでもが男達の
玩具にされるという未来を予想し、思わず顔が青ざめてしまう。しかし気丈にも屈することはしなかった。
 あくまで抵抗するルイズに、頭はにやにやと笑い続ける。

「くくっ、脅しじゃねぇぜ。貴族派につくってんなら話は別だが、そんなつもりは毛頭ねぇんだろ?」
「当たり前よっ! あんな連中に味方するくらいなら今ここで死んでやるわっ!」

 頭は下卑た笑いを収めると、再度ルイズに質問する。

「あくまで王党派だってんだな?」
「何度も言わせるんじゃないわよっ!」

 そこで頭は後ろを振り向き、湧き上がってくる笑いを抑えられないとばかりに肩を震わせる。そしてそれ
までの品のない笑い方とは一転して、朗らかな、それでいて高貴な雰囲気を漂わせた笑い声を張り上げる。
 ルイズが豹変した頭に呆然としていると、頭は優雅な動きで結んでいた布を取ると、爽やかな笑顔で語り掛けた。

「失礼した。どうやら君達は本当に王党派に味方してくれるらしい」

 頭の豹変と同時に、それまで優雅さとはかけ離れていた雰囲気を漂わせていた空賊たちは一斉に直立不動
の姿勢となる。
 頭は縮れた黒い長髪を剥ぐと、下からは美しい金髪が現れる。眼帯を取り外し、作り物らしい髭を剥ぎ取り、
顔に塗りたくっていた塗料を拭き取ると、そこにいたのは金髪の凛々しい青年であった。

「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官……、そしてアルビオン王国皇太子、
ウェールズ・テューダーだ。といっても今となっては意味のない肩書きだがね」

 突然の事態に完全に置いてきぼりとなっているルイズに、ウェールズは申し訳なさそうに謝罪する。
151重攻の使い魔 第10話『高貴なる空賊』代理:2009/03/10(火) 01:10:39 ID:NpacFwcH
「色々と手荒な真似をして誠に申し訳ない。こちらとしても迂闊に正体を現すわけにはいかなくてね。君の本心
を聞くまで、どうしても疑念を捨て切れなかったのだ」

 空賊から王国の兵士と姿を変えた部下達にワルド達を連れてくるように命令すると、苦々しげな表情を浮かべ、
皇太子は更に話を続けた。

「全くもって情けない話だ。空賊を装うことでかろうじて貴族派の目から逃れられている。王族でありながら
空賊稼業に身をやつした人間は私だけだろうね」

 そこにワルド、ギーシュを連れた男が戻ってきた。キュルケとタバサがいないのは、少なくとも表向きは
この任務と無関係だからだ。事情を聞いたワルドが部屋の外で待っているように言ったらしかった。自己紹介
をしたワルドとギーシュを見て、ウェールズは改めて謝罪する。

「ジャン・ジャック・ワルド子爵、ギーシュ君。今回は誠に申し訳ないことをした。部下のしたことは全て
私に責任がある」
「いえ、殿下のなさることに私ごときが異論を唱えられるはずもありませぬ。殿下には何ら非はございません」
「本当にすまない子爵……。して、君達は何故戦乱吹き荒れるアルビオンへ向かっていたのだ?」

 未だ呆けたままのルイズを見てワルドは内心溜息を付いたが、気を取り直して優雅な態度でウェールズへ自ら
が承った任務を話す。

「アンリエッタ姫殿下より、アルビオン王家への大使として密書を言付かって参りました」
「ふむ、姫殿下とな。と、そういえば、未だそちらのお嬢さんの名を聞いていないのだが」

 そこでようやく、ルイズは正気を取り戻した。放心・激怒・放心と短期間に余りに感情を激しく起伏させて
しまったので、ある種毒気を抜かれることとなった。

「も、申し訳ありません。わたしはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールでございます」
「なるほど、ラ・ヴァリエール公爵のご息女か。私の親衛隊に君達のようなメイジがもう十人ほどいれば、
もう少し違った今があったかもしれないな。して、その密書とやらはどこにあるのだね?」

 ルイズは自らの胸ポケットに収められたアンリエッタの手紙を取り出し、ウェールズへと渡す為に恭しく
跪こうとしたところでふと尋ねた。

「あの、このようなことをお尋ねするのはあるまじき失礼であると存じ上げますが、
……本当に皇太子殿下なのですか?」
「まあ、先ほどまでの顔と態度を見れば、そう思うのも致し方ない。
でも僕は正真正銘の皇太子だよ。疑うのなら証拠をお見せしよう」
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:14:01 ID:RifaBuVe
sien
153重攻の使い魔 第10話『高貴なる空賊』代理:2009/03/10(火) 01:14:02 ID:NpacFwcH
 ウェールズは苦笑しながら自らの左薬指から透き通った宝石は嵌められた指輪を引き抜くと、ルイズの
手を取り『水のルビー』に近づけた。二つの宝石は共鳴し合い、船長室に小さな虹の架け橋が現れる。

「この指輪はアルビオン王家に伝わる『風のルビー』だ。君がその指に嵌めているのはアンリエッタの
『水のルビー』だね?」

 ルイズが頷いたのを見ると、皇太子は軽く頭をかきながらきまりが悪そうに告げた。

「実はね、先ほど甲板で君がこの『水のルビー』を身に着けているのを見て、我が目を疑ったんだよ。なぜ
アンリエッタの指輪を君が付けているのだろう、とね。だから先に君だけを呼び出したんだが、全く、婦女子
に対してあるまじき行いをしてしまった。怖かっただろう?」
「い、いえ! わ、わたしはその、ええと、……はい、怖かったです」

 皇太子に頭を下げられ、ルイズは慌てて取り繕おうとしたが、安堵した心が本音を言うように強制した。
 そんな少女を見て、皇太子は涼しげな笑顔を見せる。

「ははは、君は正直な女の子だな。それでいいんだよ」

 それから、皇太子はルイズから手紙を受け取ると、愛おしそうにトリステイン王家の花押をなぞり接吻した。
破らないよう慎重に封を解き、中に収められた便箋を取り出すと、真剣な表情で読み始める。徐々に表情は
暗くなっていき、最後の一文に目を通すと、まるでアンリエッタがそこにいるかのように記された署名を指
でなぞった。

「姫は結婚するのか? あの愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……従妹は……」

 ワルドら三人は無言で頭を下げ、肯定の意を表した。ルイズは皇太子が最後、少し言い留まったことが気
になった。皇太子の声には紛れもない悲しみとやるせなさが含まれていたことを、少女は敏感に感じ取って
いたのだ。
 皇太子は軽く目を瞑り、しばらくの間黙りこくっていると、先ほどの憂いを感じさせない声音で告げる。

「了解した。姫はあの手紙を返して欲しいと、この私に告げている。何より大切な姫から貰った手紙だが、
姫の望みは私の望みだ。その通りにしよう」
「それでは……」

 ワルドが顔を上げるが、皇太子は手で制する。

「しかしながら、今は手元にない。ニューカッスル城の私の私室に置いてある。よもや大切な姫の手紙を
空賊船に持ってくるわけにはいかないのでね。多少面倒だが、我が居城までご足労願いたい」

 未だ任務が終わることはなかった。

154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:15:13 ID:Z+7m06iS
これは本当に代理している人が一番のGJw
そして今気づいた。

>870 ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw sage 2009/03/08(日) 23:50:59

一日以上前じゃないか!
畜生!
なんで気づかなかったんだよ俺たちはっ。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:16:08 ID:NpacFwcH
 877 重攻の使い魔 ◆ecegNbNqok sage 2009/03/09(月) 22:52:43 ID:Okfiu7u6

以上、すこし短めです。
ウェールズさん酷い。


以上で全て代理完了です!
自作もさっさと投下しなきゃです。

それじゃばいばーい!
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:17:09 ID:RifaBuVe
>>155
ほんと代理の人GJでした
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:19:18 ID:3wCkqFps
代理の人乙GJ−
自分も前に投下して3ヶ月か……仕事減らないかなー
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:27:26 ID:yUNDs3Sx
代理の人、本当に乙&GJでした
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:29:33 ID:Dn9CwJTp
本当に乙
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:30:18 ID:Y7GzMSQV
本当に・・・・本当に乙でした
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:43:54 ID:uIybMVuv
東京タワーが真っ赤に染まるぜ
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 01:57:58 ID:AXkT17jX
代理の人の代理人魂には感動した
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 02:20:41 ID:Wgfq7INH
>>47
韻獣(いんじゅう)ですねわかります
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 02:42:10 ID:LgLYg6p5
十老頭自慢の実行部隊か・・・・・・ゴクリ
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 04:22:01 ID:wyL11COI
誰かが聖戦のイベリアからシャイタン呼んだりしないもんかね。キスして契約したり、争ってる連中の目的がレコンキスタだったりするあたり世界観がぴったり合うと思うんだ
もっともちょっとあやふやな作品だけど
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 07:05:19 ID:lSjexocM
もう連載終了なんだな
キートンの人の次回作あたりに

ゼロの使い魔「地上最大の使い魔」より
『SAITO』
とかやって欲しい
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 10:10:36 ID:Fu0wZWsH
最後の希望の人と代理の人乙
Halo Warsやって、スパルタンの格好良さに惚れ直したぜ
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 18:00:36 ID:B7Sn7Q4n
ス……バルタン星人を召喚
乗り移られてハルケギニア征服に利用されるルイズ
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 20:01:11 ID:XUj1r70h
>>163
いえ陰獣(いんじゅう)です

江戸川乱歩の。
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 20:05:43 ID:eO1BpMyp
淫じゅ…いや何でもない
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 20:16:48 ID:/HtiOASd
>>165
文字通り誓いの接吻だな
でもそれだとルイズが不死になんじゃね?
172名無しさん@お腹いっぱい:2009/03/10(火) 20:32:35 ID:sS8FS7cM
誰か某奪還屋のドクタージャッカルさんを呼んでくれないかな?
結構面白いと思うのだが……。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 20:46:52 ID:Ra0F19jN
>168
スバルたんと読んで「行くよ、マッハキャリバー」「All right buddy」と(ry
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 20:54:31 ID:NCHkO6TV
>>172
ついでにブラック・ジャック先生も呼んじゃおうゼ!別に深い意味は無いよ?
ジャッカルが切ってB・Jがぼったくるだけの話だ。
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:00:20 ID:1v6+4ZVJ
詐欺レールガンACの中の人召喚とな
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:17:42 ID:d8/vBNtG
>>173
召喚後のお約束
「あなたは飛んでいかないの?」
でウィングロードを夢想した。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:25:18 ID:Q5e2bbNa
異世界召喚モノのキャラを喚んだらおもしろそうじゃない
鈴木くんとか座間くんとか
178ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 21:37:56 ID:S+boJ2ku
 こんばんは。
 他にご予約の方がおられなければ、21:45より第31話の投下を行います。


 また、投下する前に一つだけお断りしておきたいことがあります。
 ……隠していてもバレそうなので、最初に言ってしまいますが。
 私はどうにも、少なくとも『原作の読者としては』、アンリエッタのことが好きになれそうにないです。

 執筆する上でもそういうフィルターが掛かってしまった上で書いてしまっているので、いわゆるヘイトっぽくなっているかも知れません(自分ではそういう点が分かりにくいのですが)。
 ですので、アンリエッタが好きな方はお気を悪くしてしまう可能性があることを、先に謝っておきます。
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:40:37 ID:xc1S1XKU
よろしいそれでは支援だ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:43:32 ID:U8725dd4
支援するぜ


分割するほどの量かな?(大体40kb以上)
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:44:00 ID:0gVwyF4z
なるほどアンアンフラグは見込めないということか、残念無念支援
182ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 21:45:34 ID:S+boJ2ku
 時刻は夜の9時頃。
 トリステイン魔法学院の女子寮の一室、モンモランシーの部屋にて。
「うわぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああっっ!!」
 桃髪の美少女と緑髪の美女は、激しくもがき苦しんでいた。
「解除薬には副作用があるのか?」
「……まあ、惚れ薬を飲んでメロメロになってた時間の記憶は、無くなるわけじゃないし」
「ふむ……。『自分が自分ではない時の記憶』など、忌々しい物でしかありませんからね」
 周囲の面々は、割と冷静にそんなルイズとミス・ロングビルを眺めていたが、惚れ薬の呪縛から解放されたばかりの二人はとても冷静ではいられない。
「嫌な記憶に苛まれる……か。分からんでもないが」
 まあ、要するに。
 ルイズとミス・ロングビルは、先ほどまで自分たちが行っていた『自発的に取った行動』を思い返し、のたうち回り、嘆き悲しみ、精神的苦痛に苛まれ、自責と後悔の念に襲われ、過去の自分を必死で拒絶しようとし、人生最大級の辛苦を味わっているのである。
「ぅ、ぅぅう、ぅぉおおおおおおお……」
 そしてルイズはユーゼスを睨みつけて、相変わらず涼しい顔をしている自分の使い魔へと詰め寄った。
 顔は羞恥と怒りで真っ赤に染まり、杖を持つ手は震えている。
「ア、ア、アアアア、アンタを殺して! その後でわたしも死んでやるわぁぁああああああ!!」
「……その行為に何の意味があるのだ、御主人様」
「うっさいわね!! わたしの尊厳とか色々なものを守るためには、もうこれしかないのよぉぉおおおお!!」
 ガアアアアア、と杖を振り上げ、魔法を放とうとするルイズ。
 ユーゼスはそんな主人に対して、無駄かと思いつつも取りあえず理知的な思考を促してみた。
「まあ、不幸中の幸いと言うべきか、性交には及んでいないのだから……」
 その直後。
 ユーゼスの身体はルイズの失敗魔法による爆風によって吹き飛ばされ、また倒れ伏している状態でエレオノールによる乗馬用の鞭の洗礼を受けまくることになる。

 一方、ミス・ロングビルはと言うと。
「……うう、もうアルビオンに帰る! 帰って、ウェストウッド村でティファニアに頼んで、全部、全部忘れて暮らすぅぅぅうう〜!!」
 地の自分を出してしまうどころか、軽く幼児退行すら起こしていた。
「少し落ち着きなさい、ミス・ロングビル。そんなことをしても何の意味もありません」
「うるさぁ〜〜〜いっ!! ……ぅぅううううぅっ……」
 そしてボロボロと泣き崩れ、とうとう自分の境遇にまで愚痴を言い始める。
「ああ、私はどこで道を間違えちまったんだい……。そもそも4年前のあの日に、馬鹿な連中が……」
「そのような過去を振り返ったところで、虚しくなるだけですよ。それならば現在や未来に目を向けた方が建設的というものです」
「いちいち悟ったようなこと言ってんじゃないよ、もうっ!」
 口調が素に戻っていることにも気付かず、シュウに噛み付くミス・ロングビル。
 さめざめと泣き続ける彼女は、その後一時間に渡ってシュウになだめられたのであった。
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:47:11 ID:U8725dd4
支援
184ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 21:47:30 ID:S+boJ2ku
「……まさか問答無用でいきなり爆発をぶつけられて、鞭でしたたかに叩かれるとは思わなかった」
「………………自業自得よ、この馬鹿」
 ユーゼスの研究室にて、モンモランシーから貰った水の秘薬を使って自分の傷の治療を行うユーゼスを、エレオノールは冷ややかな瞳で見下ろしている。
 エレオノールにとっても、さすがに『性交』うんぬんの発言は腹に据えかねているのである。
 ちなみにルイズも同室の隅にいることはいるのだが、プンスカ怒りながら椅子に座ってそっぽを向いている様子を見るに、まだ許す気はないらしい。
 ……とは言え、チラチラとこちらの様子を窺っていることからするに、ユーゼスに話しかけるタイミングを計っているようではあるが。
「まあいずれにせよ、今回の騒動が終わったのは何よりね。ミスタ・シラカワも帰ったし」
「『暇があれば遊びに来い』とも言われたがな」
 別れ際に、自分の仮住まいの詳細な地図を渡してきたシュウを思い出し、ユーゼスは溜息をつく。
 どうにも、あの『シュウ・シラカワの住まいに自分から向かう』ということに対して、抵抗を感じているのである。
 しかし彼とは話をしておきたいことがある、というのも確かだった。
「……近い内に行かねばならんか」
「私だったら、そんな申し出は絶対に断らせてもらうけど……」
 そのユーゼスの言葉を聞いて、露骨に怪訝な顔を浮かべるエレオノール。どうやらシュウにあまり近付きたくないのは、エレオノールも同じらしい。
「はあ、でも慌ただしい数日間だったわね。せっかくラグドリアン湖に行ったって言うのに、懐かしんでる暇もなかったわ」
「行ったことがあったのか?」
「3年前にマリアンヌ大后陛下の誕生日を祝う園遊会があって、そのお供……と言うか、付き添いみたいなものでね。水の精霊を見たのは、あれが初めてだったけど」
「ふむ」
 エレオノールは昔を懐かしむように語り始めるが、不意にその表情に陰りが現れる。
「……そう言えば、ラグドリアン湖の園遊会にはウェールズ皇太子も出席なさっていたわね。あの時は、まさかアルビオンがあんなことになるなんて思ってもみなかったけど……」
「………」
 ウェールズに対しては、ユーゼスとしても思うところがない訳ではない。
 だが、死んだ人間に対していつまでも執着した所で意味がないとも思っているので、ふと生じてきた微妙な感傷については早々に切り上げることにする。
 と、そこで、研究室の外からドドド、と何か重い物が崩れるような音が響いてきた。
「む?」
「!」
「な、何?」
 驚いたユーゼスとエレオノール、そしてルイズは警戒しながらドアを開け、何が起こったのかを確認する。
 そこには体勢を崩して転倒でもしたのか、ギーシュとキュルケが折り重なって倒れていた。
「……何をやっているのだ、お前たちは?」
「あ、いや、あんな状態から復帰したルイズが、これからどんな行動を取るのか気になって……」
「修羅場にせよ甘々になるにせよ、傍から見る分にはウキウキするじゃないの」
「……………」
 何を言っているんだこいつらは、とでも言いたげな目でギーシュとキュルケを見るユーゼス。ふと横に視線を向ければ、タバサまでいる。メンバーの中にモンモランシーがいないのは、徹夜で解除薬を作って今は睡眠中だからだろうか。
「……盗み聞きをするのならば、もう少し隠密性というものを考えろ」
「いや、キュルケがいきなりウェールズ皇太子がどうとか言い出して、そのままグラッといって、ドシャッとなって……」
 要するに、ドア付近で密集しながら盗み聞きをしていたら、いきなりバランスを崩したキュルケに引きずられる形で、二人まとめて転んでしまったらしい。
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:48:52 ID:U8725dd4
支援
186ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 21:49:31 ID:S+boJ2ku
 そこでギーシュに話を振られたキュルケが、頷きながら立ち上がる。
「そうそう、そのウェールズ皇太子よ! ラグドリアン湖に向かう途中、馬に乗った連中とすれ違ったんだけど、その顔がもう、ウェールズ皇太子そのものでね」
「はぁ?」
 この言葉に訝しげな声を上げたのは、ルイズである。
「そんなワケがないでしょう。ウェールズ皇太子が殺されたところは、アンタだって見たはずじゃないの」
「まあね。でも、ホントにウェールズ皇太子に瓜二つだったのよ。まるで死んだ人間が生き返ったみたいに。……って、あれ?」
「そんなことあるわけが……。……え!?」
 そこまで言った所で、ルイズとキュルケの中である仮説が浮かんできた。
 死んだアルビオンの皇太子、ウェールズ。
 死人に偽りの命を与えるという『アンドバリ』の指輪。
 その『アンドバリ』の指輪は、クロムウェルという名の人間によって水の精霊から奪われており。
 アルビオンの新皇帝の名は、クロムウェルである。
「……キュルケ、その連中はどこに行ったの!?」
「えっと……トリスタニアの方角だったわ」
「っ! ユーゼス、ビートルを出しなさい!!」
「む……」
 ユーゼスの腕を掴み、駆け出すルイズ。
 キュルケもまた『これはちょっと危ないかも知れないわね』、などと言いながらその後を付いて行き、ギーシュとタバサもそれに続く。
「ちょ、ちょっと、いきなりどうしたのよ!?」
 この場でアルビオンでの一件を知らないのはエレオノールだけであったので、彼女は完全に話題のカヤの外である。
 しかし相変わらず無表情なユーゼスはともかく、ルイズたちのやけに切迫した様子が気になり、その後に続いて行った。
187ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 21:51:35 ID:S+boJ2ku
 首都トリスタニアから港町ラ・ロシェールへと向かう街道で、トリステインの女王であるアンリエッタは呆然とウェールズであるはずの男を見つめていた。
「ウェールズ様、あなた……、……いったい、何てことを……!」
「驚かせてしまったようだね」
 そのウェールズは、にこやかな顔をアンリエッタに向けている。
「あなたは……誰なの?」
 怯えながら問いを放つアンリエッタ。
 ……つい先程まで、自分は王宮の居室にいた。
 女王としての重圧や責任などに辟易しつつ、ワインをあおり、かつての幸せだった日を思い返し、その思い出にひたっていた。
 そうしていたら……唐突に、彼が現れたのだ。
 最初は、幻覚か幻聴だと思った。
 しかし、それには確固たる存在感がある。
 偽者ではないのか、とも思った。
 しかし、それは自分とウェールズしか知らないはずの合言葉を知っている。
 そしてウェールズと言葉を交わし、唇を触れ合わせた途端に、意識が遠くなり……。
 ふと気が付けば、ウェールズとその周囲にいるアルビオンの兵たちは、自分を追って来たのだろう魔法衛士隊のヒポグリフ隊を殺していたのだ。
「僕はウェールズだよ」
 笑みを崩さず、ウェールズはそう言う。
「嘘! よくも魔法衛士隊の隊員たちを……!」
「……仇を取りたいのかい? 良いとも。僕を君の魔法で抉ってくれたまえ。君の魔法でこの胸を貫かれるなら本望だ」
 ぶるぶると震える手で、水晶が付いた杖をウェールズに向けるアンリエッタ。
 だが、その杖から魔法が放たれることはなかった。
 その代わりに、アンリエッタの口から嗚咽の言葉が漏れ始める。
「なんで……こんなことになってしまったの……? どうしてあなたが、こんなことを……」
「……君がラグドリアンの湖畔で口にした誓約の言葉を覚えているかい、アンリエッタ?」
 アンリエッタは瞳に涙を浮かべながら、かつて誓った言葉を語る。
「…………トリステイン王国王女アンリエッタは、水の精霊の御許で誓約いたします。ウェールズ様を、永久に愛することを」
「そう。その制約の中で以前と変わったことがあるとすれば、ただ一つ。君は今では女王ということさ。でも、他のすべては変わらないだろう? 変わるわけがないだろう?」
 力なく頷きながらも、ウェールズに抱き寄せられるアンリエッタ。
 そう。
 こうやってウェールズの腕に抱かれることが、自分の望みだった。
 こうやってウェールズの胸に自分の身体を預けることが、自分の夢だった。
 ……叶わぬ望みだとは知りながらも、それだけを支えにして、今まで生きてきたのだ。
 そして彼女は、次第に考えることを放棄し始め……。
 ただ黙って、自分が待ち望んでいたこのウェールズに付いて行けばそれで良い、という結論に至るのであった。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:51:47 ID:7TYIVeBH
支援
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:52:39 ID:U8725dd4
支援
190ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 21:53:30 ID:S+boJ2ku
 ルイズたちはまずジェットビートルとシルフィードでトリスタニアに向かい、かなり強引にではあるが混乱の最中にあった王宮の中庭に直接ビートルを着陸させた。
 ただでさえ混乱しているところに、いきなりこのような飛行物体がやって来れば、当然のことながらいっそうの大混乱になる。
 しかし、そこでルイズがアンリエッタから渡された許可証を取り出しながら『これは新しく開発したマジックアイテムですから、お気になさらず』とこれもまた強引に説明し、更にまた強引に事情を説明させた。
 それに応対したマンティコア隊の隊長が言うには……。
 2時間ほど前に、アンリエッタが何者かに連れ去られた。
 今はヒポグリフ隊がそれを追っている。
 賊は街道を南下し、ラ・ロシェールの方面に向かっているようだ。
 間違いなくアルビオンの手の者と思われる。
「……!!」
 そこまで聞いたところで、ルイズはまたユーゼスの腕を掴み、ビートルに向かう。
 ジェットビートルはプラーナコンバーターによる粒子を撒き散らしながら再び夜空へと飛び上がり、シルフィードもまた飛翔してそれを追い越していった。
 ……ちなみにジェットビートルに乗り込んでいるのは、操縦者であるユーゼスと、ルイズ、エレオノール、ギーシュ、キュルケの5人であり、シルフィードにはタバサが1人で乗っている。
 本当に急いでいるのであれば、タバサは強引にでもビートルの中に押し込んでシルフィードを置いて行くべきなのだが、ここはそうも行かない事情があった。
 ほとんど真っ暗闇のハルケギニアの夜においては、ユーゼスは安全に飛行が出来ないのだ。
 ある程度以上のレベルの文明社会であれば光源もそれなりにあるのだが、このハルケギニアではそんなものは望めない。
 ビートルにも前方を照らす照明くらいはあるのだが、それで何の目印もない闇の中を躊躇なく全速力で進めるほど、ユーゼスの操縦技術は高くない。
 と言うか、太陽が出ている時ですら少々危なっかしい。
 そういう訳なので、まずは風竜に乗り慣れているタバサがシルフィードで先行して、風竜の鋭敏な感覚で進行方向を探りながら全速力で進み、ユーゼスたちの乗るビートルはそれに追随する……という方法を取っている。
「ああ、もう! じれったいわね……!!」
「……これでもかなり速い方だと思うがな」
「わたしは一秒でも早く姫さまに追い付きたいのよ!!」
「……ルイズ、気持ちは分かるけど少し冷静になりなさい。それにいくら気が立っているとは言え、そう当たり散らす物ではないわよ」
「そのセリフ、姉さまにだけは言われたくないんですけど……」
「何ですって?」
 そんなやり取りをしつつ、街道を南へと向かう一同。
 やがて前方を飛ぶシルフィードとタバサが街道の上に転がる人間の死体を見つけて停止し、ユーゼスもそれにならってビートルを着陸させた。
「酷いな……」
 ギーシュの呟きが示す通り、とにかく惨憺たる有様だった。
 真っ黒に焼け焦げたモノ、四肢が切断されてそこらに転がっているモノたちなどが多数と、血を吐いて倒れている何匹もの馬とヒポグリフたち。
「先行していたヒポグリフ隊、とやらか」
 ほとんどの人間が目を背ける中で、ユーゼスは冷静に述べる。
 一同はその冷静さに多少ギョッとなったが、それでもその言葉をきっかけにして行動を起こし始める。
 まずは生存者の確認だが……。
「生きてる人がいるわ!」
 探し始めて間もなく生存者は見つかり、一同はその場に駆け寄った。
 どうやら腕に深い怪我を負っているようだったが、何とか生きているようだ。この分なら、他にも生存者がいるかも知れない。
 ……それはともかく、今は情報である。
 ルイズは内心の焦りを押し留めながら、倒れた騎士に問いかける。
「一体、何があったの?」
「あ……あいつら、致命傷を負わせたはず、なのに……」
 それだけ言って、騎士は意識を失った。
 ……死んだのかとも思ったが、どうやら単に『助けが来た』という安心感から気を失っただけらしい。
 さて、それではこれからどうしよう、と一同が首を捻ったその瞬間。
 周囲の草むらから、ルイズたちに向かって魔法の攻撃が放たれた。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:53:54 ID:numGFkLG
支援
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:54:08 ID:xc1S1XKU
支援
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:55:03 ID:U8725dd4
支援だ
194ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 21:55:30 ID:S+boJ2ku
「!」
 それに即座に反応したのは、風竜の上から油断なく周辺を警戒していたタバサである。
 タバサはあらかじめ奇襲を察知していたのか、即座に空気の壁を作り上げて一同の周囲に展開し、襲いかかる魔法攻撃を弾き飛ばした。
 また、その攻撃を皮切りにして、他の面々も即座に戦闘態勢に移行する。
「……………」
 そして魔法が飛んで来た草むらを注視していると、やがてその草むらから人影が立ち上がった。
「!! こ、この人たちは……!」
「アルビオンの貴族!? ったく、参ったわね。あの時のパーティで見た顔ばっかりじゃないの……!」
 エレオノール以外のメンバー……決戦直前のアルビオン貴族たちと触れ合った面々に緊張が走る。
 ギーシュにワインや料理を勧めた男がいた。
 キュルケが酌をした男がいた。
 タバサの顔を見て、『見覚えがあるような』と首をかしげていた男がいた。
 空賊の格好をして、ルイズと話をした男がいた。
 そして……。
「……取りあえず『久し振り』と言っておこうか、ウェールズ・テューダー」
「ああ、確かラ・ヴァリエール嬢の使い魔だったね。あの時から、もう一ヶ月半……いやそれ以上にもなるか」
 キュルケから情報を得ていたために予測の範囲内ではあったが、やはりその中にはウェールズがいた。
 おそらく現アルビオン皇帝のクロムウェルが水の精霊から奪ったという『アンドバリ』の指輪により、死体に偽りの生命とやらを与えられたのだろうが……。
(……水の精霊から、その話を聞いた途端にこれとはな)
 どうにも都合の良すぎる展開に溜息を吐きながら、ユーゼスは周囲を確認する。
 話の通りなら、ウェールズはアンリエッタ女王をさらっているはずだ。
 つまりこの近くにそのアンリエッタ女王がいるはずなのだが……。
(…………いないな)
 この場にいる女性は、自分の関係者を除けばウェールズの後ろで小さくなっているガウン姿の少女くらいである。
(どこかに隠したか……?)
 連行する必要がある人質をこの場に出して取引を行うメリットよりも、どこかに身動きの出来ない状態で束縛するなり閉じ込めるなりするメリットを選択したのだろうか。
 微妙な判断ではあるが、間違ってはいない。
 そう言えば、あの少女の顔はどこかで見たような気がするのだが……誰だっただろうか。
 まあ正体不明の少女はともかく、今はウェールズに注目するべきである。
 と……。
「姫さまを返せ!」
「おかしなことを言うね。……返せも何も、彼女は彼女の意思で僕に付き従っているのだ」
「何だって……?」
 ギーシュたちとウェールズとのやり取りの中で、不可解な言葉が飛び出してきた。
「姫さま、こちらにいらしてください!! そのウェールズ皇太子は、ウェールズさまではありません! クロムウェルの手によって『アンドバリ』の指輪で蘇った、皇太子の亡霊です!!」
 ルイズが、ウェールズの傍らに立つガウン姿の少女を『姫さま』などと呼んだのである。
(……?)
 その言葉を聞いて、ようやくユーゼスの記憶からアンリエッタの姿が思い起こされてきた。
 確かに言われてみれば、アンリエッタ女王……一度だけ姿を見た時はまだ王女だったが……は、あのような顔をしていたような気がする。それほど記憶力が良い方ではないので、確信は持てないが。
 しかし。
「……ミス・ヴァリエール、質問があるのだが」
「何よ、こんな時に?」
 どうにも納得がいかないことがあったので、ユーゼスは小声でエレオノールに質問をぶつける。
「アレは……あの少女は、本当にこの国の女王なのか?」
「はぁ?」
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:55:38 ID:7TYIVeBH
それも私だ、支援
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:57:11 ID:U8725dd4
シュウ・シラカワ「神の世界への引導を渡してくれる!!」 支援
197ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 21:57:31 ID:S+boJ2ku
 突然のユーゼスの発言に対して間の抜けた声を上げてしまうエレオノールだったが、すぐに気を取り直して素っ頓狂な質問をしてきた銀髪の男に向き直る。
「この状況で今更何を言ってるのよ、あなたは?」
「それは私も分かっているつもりなのだが……」
 だが納得の行かないことは、早めに解決しておきたいのだ。
 幸いにして、エレオノールはこのメンバーの中で唯一アルビオンの騒動と関係がない人物である。つまりウェールズたちとのやり取りに参加しなくても大して問題がない。
 加えてヴァリエール家はトリステイン王家とも繋がりが強いらしい……つまりルイズと同じくエレオノールもアンリエッタと面識がある可能性が高いので、確認してもらうには打ってつけだ。
「ともあれ、どうなのだ?」
「どうなのだ、って……」
 ジッ、とアンリエッタと思しき少女を見るエレオノール。
 そして得られた結論は、と言うと……。
「……私の目には、アンリエッタ女王陛下に見えるけど」
「間違いないのか?」
「私より姫様と親交の深いルイズが、真剣な顔で話をしてるんだから……そうなんじゃない?」
「影武者などではなく?」
「そんな話は聞いたこともないわね」
「………………むう」
 思わず閉口してしまうユーゼス。
 もう一度、可能な限り先入観を排除してアンリエッタを見てみるが……。
「どう見ても女王の器ではないように思えるが」
「……あなた、自分が物凄く失礼なことを言ってるって分かってるのかしら?」
 『そういうことは仮に思っていたとしても実際に口には出さないものよ』とエレオノールにたしなめられるが、彼女もユーゼスの言葉を否定はしていなかった。
 ユーゼスはその言葉に頷きつつも、アンリエッタに対する率直な感想を述べていく。
「女王に見えなかったのだから仕方があるまい。私も『王』と自分で名乗っていた者や指導者の地位にあった者は何人か知っているが、いずれもアレなど比較にもならなかったぞ」
 帝王ゴッドネロス、大帝王クビライ、メフィラス星人、トレーズ・クシュリナーダ、ミリアルド・ピースクラフト……そしてリリーナ・ピースクラフト。
 それぞれ大なり小なり問題はあったが、少なくとも一つの組織をまとめ上げるだけの実力は持っていた。
 だが、あの少女にはそれが感じられない。
 もっと時間をかけてじっくりと観察すればそれに値する『何か』が見つかるかも知れないが、この期に及んでウェールズの陰に隠れ、怯えるようにしている光景からするに、無理なように思える。
 まあ、自分とて指導者の器ではないのだが、だからこそ見えるものがあるのだ。
「あのような……自分の意思すら持っていないような人間が、女王だと? ……この国も長くはないかも知れんな」
「…………そのセリフを言う所で言えば、その場で殺されても文句が言えないわよ」
「だが今、この場では問題あるまい」
 威厳、気概、カリスマ、才覚、誇り、理想、野望、意地、迫力、決断力……指導者の立場にある人間が持つべき要素は様々であるが、アンリエッタからはその中の一つも見えない。
 特に同じ女王だったリリーナ・ピースクラフトなど、自分と相対した時には逆にこちらが気圧されるほどだったというのに、アレはむしろこちらに気圧されそうではないか。
「これ以上の言及は避けるが……ふむ、トリステインの民も苦労するだろうな」
「あのねえ……ああ、もういいわ。そもそも今は、政治批判や女王陛下に対する文句を言ってる場合じゃないでしょうに」
「それもそうか」
 二人は会話を切り上げ、ルイズたちのやり取りに意識を戻す。
 ……なお、このユーゼスとエレオノールの会話はごく小さな声で行われていた上に、他の面々は主にウェールズたちに注意を向けていたので、当人たち以外の誰にも聞かれることはなかった。
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 21:59:01 ID:7TYIVeBH
リリーナ嬢と比べるなwww支援
199ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 21:59:31 ID:S+boJ2ku
 二人がそんな話をしている間に、タバサが放った『ウィンディ・アイシクル』がウェールズの身体を貫き、しかし見る見る内にその傷が塞がっていく……という現象が発生していた。
 それを見たルイズがアンリエッタに目を覚ますように訴えるが、アンリエッタは聞く耳を持たない。
「ルイズ、あなたは人を好きになったことがないのね……」
 にっこりと、軽く狂気すら感じさせる笑みをその顔に浮かべて、女王であるはずの少女は告げる。
「本気で好きになったら、何もかもを捨てても、付いて行きたいと思うものよ。嘘かも知れなくても、信じざるを得ないものよ。
 ……わたしは誓ったのよ、ルイズ。水の精霊の前で、誓約の言葉を口にしたの。『ウェールズさまに、変わらぬ愛を誓います』と。世の全てに嘘をついても、自分の気持ちにだけは嘘はつけないわ。
 だから行かせて、ルイズ」
「姫さま……!」
「これは命令よ、ルイズ・フランソワーズ。わたしのあなたに対する、最後の命令。……道を開けてちょうだい」
「う、うぅ……」
 杖を掲げてウェールズたちの前に立ちはだかっていたルイズの手が、力なく下ろされようとする。
 自分とて、出来ることならばアンリエッタの願いは叶えてやりたい。
 二人が愛し合っていると言うのならば、その愛を成就させてやりたい。
 あのニューカッスル城でウェールズから話を聞いたときに、自分は確かにそう思ったのではなかったか。
 そして今また、これほどまでに愛していると断言されてしまっては、自分に彼女を止めることなど出来ようはずがない。
(……そう、姫さまはウェールズ皇太子を愛して……)
 しかしルイズの心の中で何かが引っ掛かり、完全に道を明け渡すことを良しとしない。
 無論、ここはアンリエッタを通すべき場面ではない。
 トリステインのことを考えるのならば、ここはアンリエッタの意思を踏みにじろうが、その身体を多少傷つけてしまおうが、断固として通すべきでないなのである。
 ……だが、そんな『正論』とは別に、ルイズの中では『何か』が、それは違うと叫んでいた。
 何だろうか、今のアンリエッタの言葉には物凄い違和感を……。
「…………どきなさい、ルイズ」
「!」
 再びアンリエッタが告げる。
 そしてルイズはアンリエッタを引き止める言葉を持たぬままで、あらためてウェールズとアンリエッタの……『愛し合う二人』の様子を見た。
 不敵な笑みを浮かべるウェールズ。
 その彼に寄り添って、しかし身体を少しだけ震わせながら自分に視線を向けるアンリエッタ。
 二人の間には、何者も立ち入ることは出来ないように見える。
(これが……『愛し合う二人』の姿……?)
 違う。
 何が違うのかはよく分からないが、とにかく違うはずだ。
 自分だって、恋や愛に憧れたことはある。
 しかしその憧れていた姿は、こんなモノではない。
 それに……『アンリエッタからウェールズに対する愛の言葉』は今までに幾度となく聞かされたが、『ウェールズからアンリエッタに対する愛の言葉』は、少なくとも自分は一度も聞いていないではないか。
 ……と、ルイズの中の違和感が次第に明確になっていく中で、ふと後ろにいたユーゼスの呟きが聞こえてきた。
「ふむ……。『愛とはためらわないこと』、というやつか?」
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:00:00 ID:U8725dd4
支援
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:01:02 ID:U8725dd4
支援

正時またいだからさるも大丈夫なはず
202ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 22:01:05 ID:S+boJ2ku
「……!!」
 バッ、とユーゼスの方を振り向くルイズ。
 いきなり振り向かれたユーゼスは、自分の発言に何かおかしい点でもあったのかと主人に確認した。
「昔の知人からの受け売りなのだが……。……気に障ったか?」
 ユーゼスとしては、アンリエッタとウェールズの関係やルイズの内心での葛藤などは別に知ったことではない。
 だが一応は現在の状況を把握しておくべきだ、と判断したのである。
 ……『人の心の機微を察する』ということが致命的に下手なユーゼスが、ユーゼスなりにこの状況を判断するために当たって、今のアンリエッタのセリフを材料にするしかなかった。
 この場面に至るまでの途中経過をほとんど飛ばし、しかしたった一つだけ分かったのは『アンリエッタはウェールズを愛しているらしい』という事実のみ。
 その事実を内心で繰り返し、ふと『昔の知人』から聞いた言葉が思い起こされただけに過ぎない。

 ―――もはや記憶もおぼろげではあるが、かろうじて覚えている。
 地球に赴任する直前、あの男と話したこと。
 バード星の銀河連邦警察から危険宙域に指定されている地球圏に向かうことに、ためらいはないのか……と聞いて、あの男は確かこう言ったのだ。
「なあユーゼス……愛って何だ?」
「……愛だと?」
 正直、それを聞いた時は何を言っているのか分からなかった。
「ためらわないってことさ! ……俺は母さんが生まれ、父さんが愛した地球を悪の手から守るために宇宙刑事になったんだぜ。お前だって地球に行くことを自分から志願したんだろ?」
「よく分からんが……私もやる以上は全力を尽くすさ」
「ハハ、そうだな。俺は宇宙犯罪者たちと戦うこと、そしてお前は地球で発生する怪奇現象と大気汚染……あとは『地球圏が何故危険な宙域なのか』の調査だったか。
 まあ『光の巨人』の調査もあるが、遭遇出来るかどうかは分からないし……とにかく、お互いに精一杯やろうぜ!」
「分かっているつもりだ、ギャバン」

 愛とは何か。
 『ためらわないこと』というのは、その一つの答えなのだろう。
 自分も大気浄化弾を強行使用した時には、ためらいなど感じていなかった。
 今にして思えば、アレは自分の『地球を愛する心』がいびつな形で発現してしまった結果だったのかも知れない。
 また、自分がいた世界には他にも『愛』はあった。
 ドモン・カッシュとレイン・ミカムラ……まあ、これは分かりやす過ぎる例ではある。男女の愛というものをストレートに体現しているのがあの二人だろう。
 ヒイロ・ユイとリリーナ・ピースクラフト……これも少々不器用ではあるが、愛だろう。『リリーナ・ピースクラフトを殺してリリーナ・ドーリアンを助ける』という目的のために命をかけた少年と、その少年を信じた少女。彼らには、確かに通じ合うものがあったはずだ。
 『愛』なのかどうか、少々自信がないものもある。
 鎧聖バルスキーと、強闘士ローテール。
 ローテールはバルスキーを戦いに向かわせないために、自分が蓄えた戦闘データを渡すことを拒否し……しかし、そのバルスキーをかばって致命的なダメージを負い、死に際に戦闘データを渡した。
 あれは果たして、愛だったのだろうか?
 その答えは分からない。
 そしてこの目の前の二人……アンリエッタ・ド・トリステインとウェールズ・テューダーの関係もまた、愛なのかどうか分からない。
 何しろ、自分は誰かを愛したことがないのだから。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:01:34 ID:4iESOsly
sien
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:02:20 ID:U8725dd4
支援
205ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 22:02:30 ID:S+boJ2ku
 だがユーゼスの主人であるルイズはその呟きに何か感じ入る所があったらしく、一度だけ頷くとユーゼスに礼を言った。
「……ありがとう、おかげで踏ん切りがついたわ」
「?」
 いきなりそんなことを言われても、ユーゼスとしては何のことやら分からない。
 そんな使い魔の疑問にも構わず、ルイズはその鳶色の瞳に再び力を込めると、この場から立ち去ろうとしていたアンリエッタたちの前にもう一度毅然として立ちはだかった。
「ルイズ……?」
 思わずアンリエッタがたじろぐ。
 先程までのルイズとは、まるで別人だ。
 ……彼女の知っているルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、このような強い瞳をしてはいなかった。
 そして淡々とした口調で、ルイズはアンリエッタに問いかける。
「姫さま、最後に確認をさせていただきます」
「な、何を……」
「姫さまはウェールズ皇太子に付いて行くことに、ためらいはあるのですか?」
「あ、ありません! ある訳がないでしょう!!」
「後悔は?」
「……っ、何が言いたいの、ルイズ!?」
 一連の問いに対する返答を聞いて、ルイズの表情と声と、そして身にまとう空気が冷たくなっていく。
「そうですか、それでは……」
 ルイズは数歩ほど下がり、杖を振り上げて『エクスプロージョン』の詠唱を開始する。
 その視線の先には、ウェールズの姿があった。
「……! ルイズっ!!」
 アンリエッタは激昂して杖を振り上げ、呪文を唱え始める。
 そして大量の水と、不完全ではあるが『虚無』の魔法による爆発とがぶつかり合った。
「!!」
「っ……!」
 魔法の激突の余波を受けて、ルイズとアンリエッタはお互いに吹き飛んでしまう。
 それを見たユーゼスはすかさずデルフリンガーを抜き、ガンダールヴのルーンを発動させてルイズの元に走ると、倒れてしまった主人をかばいながら声をかける。
「もう少しやりようがあったのではないか?」
「……ふん、口で言っても分かんない相手には、行動でどうにかするしかないでしょ。アンタとの付き合いで学んだことよ」
「お前と私の場合は、『口より先に手が出る』だと思うがな」
「アンタの場合は『ああ言えばこう言う』でしょうが!」
 言いつつ、ウェールズからルイズに向かって放たれた風の刃をデルフリンガーで吸収するユーゼス。
 どうやら向こうは様子を見守ることを止めて戦闘態勢に移行したらしく、周囲にいるアルビオンの騎士たちも次々に魔法を唱えようとしていた。
 また、その魔法の応酬を皮切りにして、今まで呆然と成り行きを眺めていただけのキュルケとタバサとギーシュ、エレオノールまでもが呪文を詠唱し始める。
 戦いが、始まった。
206ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/03/10(火) 22:03:30 ID:S+boJ2ku
 以上です。

 ……って、また戦闘ですか……。
 ゼロ魔は戦闘がない時は全然ないのに、ある時は極端なくらいにありますね……。
 さて、この不死身の軍団とどう戦ったものでしょうか。

 劇中にある『愛って何だ?』という言葉は、前々から私がこの話の中でやりたかったことの一つでもあります。
 4巻のこの場面はディスガイア並に『愛』がどうしたこうしたという場面ですし、そこでギャバンと関係のある人間がいるのであれば、このフレーズを使わずにはいられませんでしたww
 ちなみにユーゼスとギャバンのやり取りは、私の『こんなやり取りをしてたら良いなぁ』という願望を含めた、完全なオリジナルです。
 でもスパヒロでは『若さって何だ?』ってセリフはあるんですよね。半分ギャグみたいに扱われてましたが。

 ……つーか、愛がどうしたこうしたってスパヒロのユーゼスならともかく、スパロボのユーゼスは多分考えもしないでしょうなぁ……。

 ともあれ皆様、支援ありがとうございました。

 >>180
 今回は私にしては珍しく、30KBを切っております。
 ……って、30KB手前でも長いですよね。
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:03:32 ID:7TYIVeBH
若さは振り向かないことですね、分かります。
支援
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:05:08 ID:U8725dd4
>206
乙でしたー
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:10:22 ID:0gVwyF4z


ユーゼス、わざわざ引き抜いたヤプールを無視しやがったw
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:17:58 ID:XBWzwG33
ミスターエレガントなトレーズ様と比べたら史上どんな支配者でもランク下だろ……
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:19:32 ID:GR9CNVFB
東方不敗やかくいうユーゼスも地球を『愛』していたしな
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:25:54 ID:d8/vBNtG
よろしく勇気!
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:26:33 ID:1v6+4ZVJ
>>210
対抗できるのはプリンス趙公明ぐらいだな
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:33:00 ID:lSjexocM
まあ、あれですよ。アン様は王宮よりも場末の宿屋や薄暗い地下室でこそ光輝くんですよ。
そーいや黒ルイズはよくあるけど黒アンアン見ないなあ
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:39:41 ID:kuSiCN0E
比較対象が悪すぎるだけでは?
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:40:49 ID:cOT1UG/j
>>214
そんなあなたに、Arcadiaゼロ魔板にある『わたしのかんがえたかっこいいるいずさま』をご紹介。
アンアン黒くて別な意味でトリステインの未来が心配になります。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:42:04 ID:ARFTB5lB
愛とはなにか。
凄まじく深いテーマですな。
ユーゼスGJ.
218216:2009/03/10(火) 22:42:41 ID:cOT1UG/j
おっとすまん。うっかりageてしまった。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:43:00 ID:ORN3R7tg
アン様は乱世の人じゃない気がするなあ
根は善良だから平時なら福祉やら雇用やらで善政をするだろう

・・・平時だと王族の自覚に目覚めるきっかけが無く傀儡政権になりそうではあるが
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:44:33 ID:MwUAeDQ/
>>206

ってかアンリエッタが嫌いなら嫌いなりでエレオノールとルイズで展開し続ければいいんじゃね?
それに反対する人はあまりいなそうだと思うしこの三角関係にwktkしてる人の方が多いと思うよ。
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:45:53 ID:XBWzwG33
何事もなければマザリーニに丸投げで充分だしなマジで
何かあってもそうすべきだとも思うが
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:47:16 ID:0gVwyF4z
いやいや、アンアンはむしろ乱世で輝く人だと思うよ
周りの反対押さえ込んで単身、ガリアに乗り込んだりは普通じゃ出来ない
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:48:25 ID:OLEvLi6s
ゼロ魔で一番好きなのがアンリエッタな私でも、彼女を魅力的に書くのは不可能と言わざるを得ない。
ルイズみたく感情の起伏が激しければ書きやすいものを。
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:49:04 ID:TUFjfAmG
>214
アンアンは元々がドス黒いから黒化する意味が無いんです
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:50:14 ID:y6MTjdt7
ユーゼスも言っていましたが、王に必要な素養は多々あると思うんですが、アンリエッタには他の人間には無い『運』があると思うんですよ。
何をしても結局、後になってみれば彼女にとって都合の良い風に物事が動いているし、あんな行動をしても玉座についていられますし。
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:50:55 ID:BGR4n5l0
http://blogs.yahoo.co.jp/hamamatuhakenmura
トドムンド 浜松派遣村 3月29日
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:50:59 ID:Hvp+PsDj
まあアンリエッタが女王になったのは事故みたいなもんだしな
元々政略結婚の道具程度な箱入り娘なんだから
能力不足もしゃーないっちゃーしゃーない
本来その手の姫に下手に知識や権力与えたらかえってマイナスになるから
普通は政治の中枢からから遠ざけてるだろ
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 22:53:17 ID:VRidje4e
アンリエッタが女王でいいじゃないか
ルイズが女王だったら目も当てられん
(ジョゼフや教皇みたいに狂わなかったとしても、あんだけ癇癪持ちの統治者だと国が滅茶苦茶になるぞ)
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:00:57 ID:cOT1UG/j
そういえば確か、ハルケギニアの王家って始祖の血筋が必須条件だから、
ラ・ヴァリエール公爵家も一応王位継承権あってもおかしくないよね。
なら、もうルイズパパンが王様でいいんじゃね? 規律にうるさい恐妻もいるし。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:02:48 ID:AXkT17jX
王女であるアンアン差し置いてってのは流石に不味いんじゃね?
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:03:26 ID:0gVwyF4z
ルイズは性格的には問題ない。貴族として、女王としてあるべき姿であろうとするだろうし
ただ虚無に目覚めるまでは魔法が使えないのがな
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:08:23 ID:f0O6vi2b
アンアンってカリスマと運だけはむやみにある気がする。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:12:44 ID:VYKDE/y7
ルイズの性格はそれほど問題ないと思うぞ。
ただ、環境が劣悪なせいでああなっているだけかと。
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:14:04 ID:Hvp+PsDj
>>231

「女王様とお呼び!女王様とお呼び!
 跪いて靴をおなめ!
 ヲーッホッホッホッ!ヲーッホッホッホッ!」


こうですね、わかります
……とりあえず国民は床で寝るのがデフォですな
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:14:09 ID:5/UDX82W
アンリも誰かを召喚して性根から叩き直してもらえばいいアル
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:15:32 ID:YjUUi+yP
ウェールズを生き延びてアルビオン再興に執念を燃やすキャラにした場合、
何というかアンアンに同情出来る展開になりそうな感じがする。
たちの悪いジゴロになるウェールズ。
アンアンから色々と借りまくるウェールズ。
沢山の借りを色んな理由を付けて踏み倒すウェールズ。
真面目な話、国を獲ったり守ったり再興したりは奇麗事じゃ済まないよなあ。成る程、女への愛を守る為には死ぬしか無い訳だ。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:18:37 ID:JhfQVQ3U
実際、本編でもルイズは王位継承権得てるんだからアンリエッタに何かあったら
次に玉座に就くのはルイズだろ?
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:19:05 ID:q/EOnPRZ
サンレッドのレッドさんみたいなキャラになれば・・・無理か。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:21:38 ID:vtb+1Yda
>231
それこそが暴君になる最高の条件なのだぜ
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:21:39 ID:7oorpV+D
>>237
現王家の縁戚から捜すだろ
有力貴族だけど、臣籍だから王位継承順位はかなり下だと思うぞ
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:23:27 ID:kBsfd4Q9
>235
王豚、平豚、耳豚を、俺は見下さん
すべて―――
     . .
平等に価値がない!


こうですか、わかりません!
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:32:01 ID:uNIJB8wZ
>>240

ルイズは11巻で高位の王位継承権を与えられているんだ。
母后に次ぐ第二位をな。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:40:31 ID:7oorpV+D
虚無だと判らない状態での話なんだが。
それなら公爵の方が娘より継承順位が高いだろ?
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:40:43 ID:Hvp+PsDj
>>242
さようならアンリエッタ
君はいい女王……でもなかったが
サイトに色目を使ったのがいけなかったのだよ

……ルイズを女王にする為にアンリエッタがどっかで死ぬフラグにしか見えねえ
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:43:32 ID:lp7DUBjy
優秀なアンリエッタを書いたら魔改造になってしまうんだろうか?
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:45:20 ID:aAAVMEzc
普通に結構いるじゃん、優秀なアンリエッタ。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:45:21 ID:lp7DUBjy
優秀なアンリエッタを書いたら魔改造になってしまうのだろうか?
もちろん理由付けをちゃんとした場合だが。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:47:59 ID:mKaTt8Pw
厳しい訓練教官に扱かれて成長するアンアン
タイガーランドに放り込まれて成長するアンアン
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:49:04 ID:ARFTB5lB
優秀な王様って、どういう条件を満たせばいいんだろうか
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:49:16 ID:ozeTFfVO
ショッカーに捕まって改造人間になるアンアン
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:51:30 ID:PpCeXKIZ
>249
幾つかある。
優秀な部下を重用するとか……
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:53:02 ID:Hvp+PsDj
個人的には話の内容としてそれが必然なら
使い魔が超最強だろうがルイズが穏やかで優しかろうがアンアンが優秀だろうが全然かまわんのだが
原作蹂躙だの踏み台だの騒ぐ人がいるから話を続けるには作者に根性がいるな
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:55:50 ID:TJOlzhwS
流れ切ってスマンがまとめの小ネタに追加されてるゼロの君っていつ投下されたやつ?
本スレでは覚えがないんだが直接投稿か?
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:56:49 ID:OLEvLi6s
ミストバーンでも召喚して憑依されれば……。
って、これだと別スレ向けか。
なんか、人間に憑依する系を召喚すればなんとでもなりそうだ。
もしくは、精神支配系。
未調整の人間も支配するドクターバルカスの思念波で。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 23:59:48 ID:pJ5kquHZ
ルイズが召喚した斑木ふらん@フランケンふらんの手術によってアンアンは優秀な王族になります
ついでにウェールズ氏の蘇生手術も成功します
ただし両眼が別々の方向向いてたりイヒイヒ笑ってたりするけど
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:03:03 ID:yx4FJLDt
>>243

確かにその状態なら公爵の方が順位が高い。
しかし、それなら最初からルイズに王位をって話にはならないと思う。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:07:11 ID:fitrtc3D
>>254
ダイモンズのプログレスなんてどう?
エレセロスで操った生物と同化したりと色々とツッコミどころもあるが

しかし義手(ゼスモス)使いのワルドには効かないという…


ん?ワルドがハルケギニアの希望になりそうな気が…
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:10:05 ID:N8sQ1wt6
原作でも一応途中から優秀な政治家になってるじゃないか
ただ毎回相手が悪いのとワンマンなだけで
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:11:59 ID:b95nVJyQ
いっそ優秀な王キャラ召喚してアンアンはその傀儡と言うか
意見を伝えるだけに徹して貰うだけでも大分変ると思う

アンアンに太公望とか紅薔薇とか白皇や前教皇を召喚して貰えば....
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:13:22 ID:wsEDwIpy
>>249

> 優秀な王様って、どういう条件を満たせばいいんだろうか

伝勇伝の兄さまを呼べばいいんジャマイカ。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:13:28 ID:L17ySlRK
>>255
むしろハッスルしすぎてウェールズが1ダースくらい生産されたり
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:15:21 ID:rZHUc+Ia
ウェールズに誑かされたとはいえ、死んでもおかしくない攻撃をしてきた
その後、復讐のために始めた戦争では虚無もバラして最前線送り
さらにロマリアではティファニアまで巻き込んで戦争に巻き込む
人の使い魔をこっそり寝取ろうとする

ルイズもよく引っぱたくだけで済ませるなと思う、友人にすることじゃない
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:15:21 ID:4fSuvk8Y
ルシルまできちゃう!
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:22:22 ID:xraXdNyj
一度ギシギシアンアンがゾンビウェールズをぶちのめす展開が見てみたいな。死ぬだろうけど。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:23:17 ID:xR2a1+xf
亀田召喚
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:23:34 ID:2AblKqls
アンアンが名君だと話が転がらない
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:31:03 ID:PgzP1OvZ
極論王様はちゃんと国を維持して跡継ぎの子供作ればそれでいいんで
本人お飾りでも優秀な臣下で周りを固めることができれば
色ボケロイヤルニートでもまあ問題はない
この国で重要なのは血筋だけだし

正直最近女王になったタバサもまともにやっていけそうにないんだよな
今まで汚れ仕事しかしてこなかった復讐者が急に女王様とか無理だろ
元々社交性に欠けるうえ政治ってなんですかそれおいしいの状態だろうし
ぶっちゃけ女王になった理由は偽サイトに言われたからってだけだし
教会への復讐のために権力乱用ってまんまアンアンなことしそうだ
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:32:38 ID:WTaeLqNg
種死でいう楽すみたいなもんじゃない?
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:37:59 ID:jruRdzHb
>>249 歴史でこれ以上のカリスマはないと呼ばれることもあるカイザーの語源であるユリウス・カエサルだって恐ろしく手癖の悪い男だった
よくも悪くも行動力だね。なんたって未来なんか見えないんだからどう転がるかはわからん
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:38:43 ID:4fSuvk8Y
てゆうかまたこのループか、いい加減見飽きた。
誰かアンアンの業績テンプレ持ってこい。
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:39:49 ID:AOzYr+Gf
おっぱいがでかい。
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:39:51 ID:8+6oHzMz
>>261
二股問題解決のため細胞分裂して増えるギーシュとか思い浮かんだ
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:43:15 ID:jruRdzHb
>>171 不死になってアルビオンに投入されて、戦果はあげるものの→「弱い私は何を憎めばいい」この展開に持っていけるw
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:45:16 ID:jruRdzHb
>>272
キモすぎワロタw服は増えないから分裂シーンは全裸だよな
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:47:04 ID:wj8R91/S
>>260
そういや伝勇伝からの召喚物ってないな
まあ呼んじゃったらチートなキャラばっかだけど
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 00:58:00 ID:ujKbLd8F
う〜む、「ゼロと魔砲使い」を介して、ここの纏めサイトに辿り着き、
一通り読み終えた上で、Wikiでゼロ魔の作品概要を調べて見て、
なのはさんがどれ程チートでストーリーブレイカーなのかを思い知った。

ゼロ魔の概略を知る参考のつもりだったのに、まさか、
管理局の白いm…ゲフゲフ…の凄まじさを再認識する結果になろうとは…。

全くエルフ族も、敵に回しちゃいけない相手に喧嘩を振ってしまったな…。
到着した管理局御一行様&なのはさんの「お話聞かせて」を拒絶して、
闇の書の防衛プログラム宜しく、トリプルブレイカーに飲まれるのでは!?
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:02:30 ID:ko/14Ezr
根底的な問題として、
そもそも10代の人間に優秀だの無能だのと評価するほうが間違っているのでは?
種のカガリとかもそうだけど本来国のトップをさせてよい年齢じゃないと思います。
それでも「やらされてしまう」のは周りの「大人達」が不甲斐ないからで
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:10:14 ID:PgzP1OvZ
なによりも血筋最優先だからねぇ
まともな後継者のいない王様はどんなに本人が優秀でも王様失格です
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:11:08 ID:06Tb7py2
トリステインの場合はマリアンヌママンが王位につかなかったのが諸悪の遠因だよなぁ…
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:11:50 ID:AOzYr+Gf
おっと。劉備の悪口はそこまでだ。
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:28:36 ID:4fSuvk8Y
お前はどこから迷い込んだw
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:33:36 ID:Ws2g64x0
>>280
アンリエッタが桃香を召喚か。
その後影響を受けて、自分には何も出来ないからと、政務を全て家臣に丸投げする王女になるんですね。
とりあえず手紙イベントは、マザリーニに丸投げ。その後、『鳥の骨』から『閃光』に任務が下されて。
うん。確実に悪いほうに話が進むな。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:38:52 ID:ci2OaKMh
>>280
中国だったかなあ?バカの代名詞になってたな、劉備の息子の幼名…。
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:43:16 ID:FD3lPgNT
>279
それは言えるな
ずっと空位だったせいで腐敗は凄まじいスピードで進んだだろう
我が身可愛さに娘を政略結婚させるとかどんだけ無能なんだよw
自分が適当な男を娶ればいいだけだろうに
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:45:37 ID:PgzP1OvZ
>>282
まてや
桃香は確かに周りに比べて能力が足りてないかもしれんが
出来る範囲内で努力してるし仕事だってちゃんとしてたぞ

確かにお花畑な理想主義者で戦闘はからっきしだったが
お勉強に政務に交渉に子作りにとちゃんと君主としてやるべきことはやっていた
断じて無能でも役立たずでもないと言わせてもらおう
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:48:40 ID:ci2OaKMh
>>284
王族としての覚悟がまったくないとしか思えんな。
能力は無くてもいいから、覚悟くらいしとけといいたくなる。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:48:50 ID:OpAJ1/4+
だから蒼天孔明を召喚すればだな
…マザリーニの寿命が縮む
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:49:17 ID:WTaeLqNg
おい…劉禅の悪口を言ってはいけないぜ
状況や過程はどうあれ(抵抗はあったものの)ほとんど無血に近い状態で降伏したんだぞ
あのまま戦争続けてたらもっと酷いことになってた(その上孔明など超優秀者や土地のせいで人材不足だったし)

だが明君でもない
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:50:36 ID:mhD9EU/X
桃香には女性限定で絶大な交渉力を持つ偉大な通称ちんこもいたことだしな。
アンリエッタはどんな人を召喚すればいいのかねえ。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 01:52:38 ID:PD0v9jK7
そういう時は空の軌跡のエステルさんにおまかせww
エステルカウンセリングで悩みや問題も一発解決、その上太陽効果でいいところが更によくなる! 更にヨシュアもセットだと諜報活動もお任せだ!
あ、でもヨシュアを寝取られる可能性が……ないか……ていうかヨシュアが他の女に目を向けること自体考えられん……
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 02:21:24 ID:2hAbt7ow
>>283
劉禅が暗君てのは演技でのキャラ付けだけどな

>>287
赤壁の前後でだいぶ違う

赤壁前ならマザリーニ死亡確認(主にストレスで)になりそうだけどw
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 02:33:33 ID:tRDBgL2l
ギャグマンガ日和から孫権か曹操を召喚してだな
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 02:33:51 ID:xR2a1+xf
劉禅&ジョン欠地王&今川氏真が召喚されました
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 02:35:45 ID:CMv/FlaX
最悪のトリオだなw
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 02:35:47 ID:OpAJ1/4+
ホノリウス&アンゲロスブラザーズとともに苦難を乗り越えていくSS
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 02:38:33 ID:stbJ5xqm
>>277
経験がなかったりアホならアホで官僚に任せるなりすればいいのに独創したがるから火種になったりするんだ
それでもやらされてしまうのは「縁故」もしくは「ご都合主義的能力の付与」だろ
いくらなんでも不甲斐ないとか言われる筋合いはないと思うが
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 02:45:02 ID:7jqBI7Pz
>>280
それにあまり知れていないことだけど、魏と内通していた佞臣の黄皓が
左遷した武将を呼び戻して呉の侵攻を食い止めたという話もありますし、
滅亡した国の王の評価と言うのはいつの時代も最低なのがお約束。

そういえば、呉をめっちゃくちゃにした文字通り暴君であった孫皓は劉禅と
違って、不評されることが少ない。
ところでこの孫皓、親が孫権のせいでひどい目にあったので呉をわざと滅ぼした
という話があったりするんですよね。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 03:09:21 ID:HVrJihuE
劉禅は劉備の息子ってことで余計に叩かれてるっていうか、それが最大の要因って気がすごくする
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 03:18:23 ID:0fraziER
>>298
まあ、あれじゃあプロパガンダには使えないからな。
実際は名より実を取った、意外にしたたかな人物だと思う。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 03:50:25 ID:8+6oHzMz
プロパガンダ……?
そうかゲッベルス召喚すればいいんだ
国民は思考停止するけど団結力はアップだ
301蒼い使い魔:2009/03/11(水) 04:00:11 ID:p2dKZvIj
皆様こんばんは、誰もいないであろうこの時間帯にひっそりと参上
39話が完成しましたので他に予約がないようでしたら投下しとうございます。
今回もなっがいです、ギガピードの全長くらい長いです。
あと、本来この話で使う部分を37話で考えなしに使っちまったんでwikiの方を修正しときました。
つっても小さい部分なんで気がつかなければそれはそれで構いませぬ、
では4:10あたりに投下します
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 04:03:03 ID:06Tb7py2
今日は仕事が休みだからこんな時間に起きている私が支援いたしますじぇ?
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 04:06:12 ID:ps3g/eV9
キタ━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━━━━━!!!!!!
全力で支援しますぞ!!!!!!!!
304蒼い使い魔 第39話:2009/03/11(水) 04:10:22 ID:p2dKZvIj
シルフィードに跨り、バージル達が王宮へたどり着いたのは、魔法学院を出発して二時間後、
深夜の一時を過ぎたころであった。
王宮にたどり着いた一行は、以前と同じように中庭に降り立った。
どうやら予想は当たったようだ、中庭はまるで蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。
それでも風竜が中庭に降りると、一斉に魔法衛士隊が周囲を取り囲んだ。
マンティコア隊の隊長が大声で誰何する。
「なにやつ! 現在王宮は立ち入り禁止だ! さがれ!」
しかし、その一行には見覚えがある、アルビオンとの戦争が始まる直前にも、
このようにしてやってきた一行ではないか。隊長は眉をひそめた。
「またお前たちか! 面倒な時に限って姿を現しおって!」
ルイズは飛び降り隊長に息せききって尋ねる。
「姫様は! いえ、女王陛下はご無事ですか!?」
「貴様等に話すことではない! 直ちに去れ!」
しかし、隊長はこちらと会話をする気はないようだ、
周囲を見ると、貴族やら兵士やらが、灯りの魔法や松明を持って何やら探している。
王宮で何かが起こったことは明白だった。
ルイズは顔を怒りで真っ赤にすると、ポケットの中から何かを取り出すと、隊長へ向け突きつける。
それはまさしく、アンリエッタがルイズに手渡した許可証であった。
「わたしは女王陛下直属の女官です! このとおり陛下直筆の権利書も持っているわ!
わたしには陛下の権利を行使する権利があります! ただちに事情の説明を求めるわ!」
隊長は呆気に取られながらもルイズの許可証に目を通す。
なるほど、言葉のとおりそれは女王直筆の許可証であった。
『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。右の者にこれを提示された公的機関の者は、あらゆる要求に応えること』
その言葉を見た隊長は目を丸くしてルイズを見つめた。
こんなただの少女が、女王陛下からこんなお墨付きをもらっているとは……。
彼は軍人であった、それゆえ相手がどんな姿をしていようと上官は上官、すぐさま直立し事の次第を報告した。
「今から二時間ほど前、女王陛下が何者かによってかどわかされたのです。
警備のものを蹴散らし、馬で駆け去りました。現在ヒポグリフ隊がその行方を追っています。
我々はなにか証拠がないかと、この辺りを捜索しておりました」
ルイズの顔色が変わった。
「どっちに向かったの?」
「賊は街道を南下しております。どうやらラ・ロシェールの方面に向かっているようなのです、
アルビオンの手のものと見てまず間違いありませんでしょう。ただちに近隣の警戒と港を封鎖する命令を出しましたが……。
先の戦で竜騎士隊が全滅しておりますゆえ、ヒポグリフと馬の足で賊に追いつけるかどうか……」
風竜についで足の速いヒポグリフの隊が追跡を開始しているらしいが、追いつけるかどうかは怪しいようだ。
ルイズは再びシルフィードに飛び乗った。
「急いで! 姫さまをさらった賊はラ・ロシェールに向かってるわ! 
夜が明けるまでに追いつかないと大変なことになる!」
タバサが頷きシルフィードに命令する
シルフィードが夜の闇に再び飛び上がった、ルイズが叫ぶ。
「低く飛んで! 敵は馬に跨ってるわ!」
あっという間にトリスタニアの城下町を抜け、シルフィードは街道を沿って低空飛行を続けた。
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 04:12:57 ID:06Tb7py2
支援開始!
パーティの始まりだぜぇー!ヒャァッハーッ!!
306蒼い使い魔 第39話:2009/03/11(水) 04:12:56 ID:p2dKZvIj
グリフォンと馬を足して二で割ったような姿のヒポグリフの一隊は、飛ぶように街道を突き進んでいた。
馬の体に鳥の前足に嘴をもつヒポグリフは三隊の中でもっとも機動力に優れる、
おまけに夜目も利くため追跡隊に選ばれたのであった。
十数名程の一隊は怒りに燃えていた。
敵は大胆にも夜陰に乗じ宮廷を襲撃したのである。
まさか首都、しかも宮廷が襲われるとは夢にも思わなかった彼らは激昂した。
しかもさらわれたのは即位して間もない、うら若き王女、アンリエッタである。
宮廷と王族の警護を司る近衛の魔法衛士隊にとってこれ以上の屈辱はなかった。
「走れ! 一刻も早く陛下をお救いするのだ!」
隊長が部下を激しく叱咤し、一塊となってヒポグリフ隊は疾走した。
先頭を行く騎士のヒポグリフが大きくわなないた。
何かを見つけたに違いない。隊長の合図で炎の使い手が火球を前方に向け発射した。
その明りに照らされ、前方百メイル程の街道に疾駆する馬の一隊が確認できた。その数、およそ二十騎ほど。
「まずは馬を狙え! 陛下には当てるなよ!」
ヒポグリフ隊は一気に距離を詰め、次々と魔法を放つ、
騎士が唱えた土の壁の魔法が敵の進路を防ぎ、間髪入れずに攻撃の嵐が始まった。
炎の球が、風の刃が、氷の槍が、敵の騎乗する馬に向け飛んで行く。
――どうっ! と派手な音をたて馬が次々に倒れてゆく、隊長は先頭の馬の後ろに白いガウンを羽織った
女王アンリエッタを確認した、一瞬だけためらったが今は非常事態だ、怪我で済めば幸いとしなければならない。
お叱りならあとでいくらでも受けてやる。
口の中で小さくわびの言葉を呟くと、隊長は風の魔法で先頭の馬の脚を切り裂いた。
騎乗していた騎士と女王が地面に投げ出される。
ヒポグリフ隊は、容赦なく倒れた敵の騎士にとどめの魔法を打ち込んでゆく。
風の刃が憎き誘拐者の首を裂き、氷の槍が心臓を貫いてゆく。
隊長自らも、倒れて動かない先頭を走っていた騎士の首にひときわ大きな風の刃を見舞った。
その首が切り裂かれる、間違いなく致命傷だ。
勝負は一瞬で決した。
隊長は満足げに頷き、隊を停止させる、
そしてヒポグリフから飛び降り、草むらに倒れた女王に近づこうとした瞬間……。
倒したはずの騎士達が次々に立ち上がった。
驚く間もなく魔法が飛び、敵を全滅させたと思い込み、油断していた部下とヒポグリフ達が倒れてゆく。
「なっ――!!」
驚き杖を振ろうとした隊長の身体を巨大な竜巻が包み込む、
四肢を切断され、一瞬で薄れゆく意識の中、隊長はとどめを刺したはずの騎士が立ち上がり、
切り裂かれた喉をむき出しにして微笑んでいるのをはっきりとみた。

ウェールズは杖を下ろし、草むらに倒れたアンリエッタへと近づいてゆく
アンリエッタは草むらに投げ出されたショックで目を覚ましたらしい、
近づくウェールズを信じられないといった目で見つめた
「ウェールズさま……あなた一体……なんてことを……」
「驚かせてしまったようだね」
アンリエッタは、どんなときも肌身離さず持ち歩いている、腰に下げた水晶光る杖を握った。
それをウェールズに突きつける。
「あなたは誰なの?」
「ぼくはウェールズだよ」
にこやかな笑顔をくずさないウェールズにアンリエッタは口調を荒げる
「嘘! よくも魔法衛士隊の隊員達を……」
「仇をとりたいのかい? いいとも、ぼくをきみの魔法でえぐってくれたまえ
きみの魔法でこの胸を貫かれるなら本望だ」
ウェールズは優しく微笑むと自分の胸を指で指し示した。
杖を握る手が震える、その口から魔法の詠唱は漏れない、その代わりに
小さな嗚咽の言葉が漏れ始めた。
307蒼い使い魔 第39話:2009/03/11(水) 04:14:33 ID:p2dKZvIj
「なんで、どうしてこんなことになってしまったの?」
「ぼくを信じてくれるね? アンリエッタ」
「でも……でも……こんな……」
「わけはあとで全部話す。お願いだ。今は黙ってぼくについてくればいい」
「わからない……わたし、わからないわ……。
あなたどうしてこんなことをするのか、なにを考えていらっしゃるのかも……」
どこまでも優しい声でウェールズは告げた。
「わからなくてもいい、ただ、きみはあの誓いの通りに行動してくれればいいんだ
ほら、覚えているかい? ラグドリアンの湖畔で、きみが口にした誓約の言葉、
水の精霊の前できみが口にしたあの言葉を」
「忘れるわけがありませんわ、それだけを頼りに、今日まで生きてまいりましたもの」
「言ってくれ、アンリエッタ」
アンリエッタは、一字一句、正確にかつて誓った言葉を口にした。
「トリステイン王国王女アンリエッタは水の精霊の御許で誓約いたします。ウェールズさまを、永久に愛することを」
「その誓約の中で変わったことはただ一つ、きみが女王になったことだけさ、でも他は何も変わらない、変わるわけがないだろう?」
アンリエッタは頷いた、こうしてウェールズの胸に抱かれることを夢見て生きてきた自分だった。
「何があろうとも、水の精霊の前でなされた誓約は違えられることはない、
きみは己のその言葉だけを信じればいい、あとは全部僕に任せてくれ」
優しく、甘いウェールズの言葉のひとつひとつがアンリエッタを何も知らないただの一人の少女へと変えてゆく
アンリエッタは子供のように何度も頷いた、まるで自分に言い聞かせるように。


ルイズ達は飛行中、街道の上に無残に人の死体が転がる光景を見つけた。
シルフィードを止め、その上から降りる、タバサは降りずに油断なく辺りを見回している。
「ひどい……」
ルイズは口元を押さえ低く呟く、
周囲には焼け焦げた死体や、手足がバラバラにもがれた死体やらがたくさん転がっている。
血を吐いて倒れた馬やヒポグリフが何匹も倒れていた。
先行していたヒポグリフ隊だろう。
「生きてる人がいるわ!」
キュルケの声に、ルイズが駆け付ける。
腕に酷い怪我を負っていたが、なんとか生きながらえていたのだろう。
「大丈夫?」
ここにいるメンバーでは彼の腕の治療は不可能だ、
モンモランシーを連れてくるべきだったとルイズは後悔した。
「だ……大丈夫だ、あんた達は一体?」
「わたし達もあなた達と同じ、女王陛下を誘拐した一味を追ってきたのよ、一体なにがあったの?」
震える声で騎士は告げた。
「あいつら……致命傷を負わせたはずなのに……どうな……て……」
「なんですって?」
しかし、それだけ告げると騎士は首をかしげる、助けが来たという安心感で気を失ってしまったらしい。
308蒼い使い魔 第39話:2009/03/11(水) 04:17:10 ID:p2dKZvIj
その瞬間、バージルが閻魔刀を抜刀、草むらを中心に空間が歪み、次元斬が襲いかかる。
草むらから大量の血しぶきとともにバラバラに斬り飛ばされた貴族の死体が飛び出したのを皮切りに、
次元斬の範囲外から魔法が放たれた、
周囲を警戒していたタバサがいち早く反応し、頭上に空気の壁を作り出し魔法攻撃をはじき返した。
草むらからゆらりと影が立ち上がる、一度死んで、『アンドバリ』の指輪で蘇ったアルビオンの貴族たちであった。
キュルケとタバサが身構え、バージルは無表情のまま、鞘に納めた閻魔刀の柄を握り締めた。
しかし敵はそれ以上の攻撃を放ってこない、一同に緊張が走る。
その中に、懐かしい人影を見つけ、ルイズは驚愕した。
「ウェールズ皇太子!」
やはり、嫌な予感が当たってしまった、女王をさらった賊とは彼だったのだ。
クロムウェルは水の精霊のもとから盗み出した『アンドバリ』の指輪で、死したウェールズに偽りの命を与え
アンリエッタをさらおうとしたのだ、その卑怯なやり口にルイズは怒りを覚える。
杖を引き抜きウェールズに突きつける
「姫さまを返しなさい!」
だが、ウェールズは微笑を崩さない
「おかしなことを言うね、返せもなにも、彼女は彼女の意思でぼくにつき従っているのだよ?」
「なんですって?」
ウェールズの後ろから、ガウン姿のアンリエッタが現れた。
「姫さま!」
ルイズが叫ぶ
「こちらへいらしてください! そのウェールズ皇太子は、ウェールズさまではありません!
クロムウェルの手によって『アンドバリ』の指輪で蘇った皇太子の亡霊です!」
しかし、アンリエッタは足を踏み出さない、わななく様に唇をかみしめている
「……姫さま?」
「見ての通りだ、さて、取引と行こうじゃないか」
「取引ですって?」
「そうだ。ここできみたちとやりあってもいいが、ぼくたちは馬を失ってしまった。
朝までに馬を調達しなくてはいけないし、道中危険もあるだろう。魔法はなるべく温存しておきたい」
タバサが『ウィンディ・アイシクル』の呪文を詠唱、それと同時にバージルも急襲幻影剣を射出した。
あっという間に何十本にも及ぶ氷の矢と幻影剣がウェールズの身体を貫く。
幻影剣を射出していたバージルが、おもむろに背中のデルフリンガーを抜くと、魔力を込めラウンドトリップを放つ
バージルの手から放たれたデルフが回転しながらウェールズの身体を何度も執拗に斬りつける。
ウェールズはぐらりとよろめき仰向けに倒れると、トドメと言わんばかりに魔力を失ったデルフが彼の喉元に深々と突き刺さった。
「やれやれ、ひどいことをするね」
だが、驚くべきことにウェールズはそういいながらむくりと起き上がると、体に突き刺さった幻影剣を抜きとり始める。
幻影剣が刺さっていた傷口や、ラウンドトリップで負った傷がみるみる再生してゆく。最後にデルフを喉から引き抜くと地面へと突き立てる。
「だが、これでわかったかな? きみたちの攻撃では僕を傷つけることはできない」
その様子を見てアンリエッタの様子が変わった。
「見たでしょう! それは王子じゃないわ! 別のなにかなのよ! 姫さま!」
しかし、アンリエッタは信じたくない、とでも言うように首を左右に振る、
そしてアンリエッタはなにかを決意したかのような顔になると、はっきりとルイズに告げた。
「お願いよ、ルイズ。杖をおさめてちょうだい、わたしたちを行かせてちょうだい」
「姫さま? なにをおっしゃるの!? 姫さま! それはウェールズ皇太子じゃないのですよ!
姫さまは騙されているのですわ!」
アンリエッタはにっこりと笑った。鬼気迫るような笑みだった。
「そんなことは知ってるわ。わたしの居室で唇を合わせたときから、そんなことは百も承知。
でも、それでもわたしはかまわない。ルイズ、あなたは人を好きになったことがないのね。
本気で好きになったら、何もかもを捨ててもついて行きたいと思うものよ。
嘘かもしれなくても、信じざるをえないものよ。わたしは誓ったのよルイズ。
水の精霊の前で誓約の言葉を口にしたの。『ウェールズさまに変わらぬ愛を誓います』と。
世のすべてに嘘をついても、自分の気持ちにだけは嘘はつけないわ。だから行かせてルイズ」
「姫さま!」
「これは命令よ。ルイズ・フランソワーズ。わたしのあなたに対する、最後の命令よ。道をあけてちょうだい」
アンリエッタがそこまで言った瞬間……
309蒼い使い魔 第39話:2009/03/11(水) 04:20:42 ID:p2dKZvIj
――ヴンッ……! っと空気が唸り、アンリエッタが立っている空間が歪む
「っ!?」
それにいち早く反応したウェールズがアンリエッタを突き飛ばす
――ギィン! と空間が切り裂かれる音とともにウェールズの腕が宙を舞う。
腕が切り飛ばされたにも関わらず、涼しい顔でウェールズはバージルに話しかけた。
「女王に剣を向けるとは……いやはや穏やかではないね、バージル君、
彼女にはまだ死なれては困るんだ、丁重に扱ってくれないと困るよ」
そう言うと落ちた腕を拾い、傷口に押し当てる、すると傷口はみるみる再生をはじめ、
数秒後には切断されたはずの腕が綺麗にくっついていた
「その再生能力、悪魔の力でも取り込んだか?」
それを見ながらバージルは右手で引き寄せるような仕草をとる、
すると地面に突き刺さっていたデルフが回転しながら彼の手元にもどってきた。
「あの時、首を切り飛ばしてやった方が、貴様のためにはなったかもしれんな」
デルフを背中に納めながらバージルは冷たい目でウェールズを見た。
「そうしなかったおかげで僕はこうしてアンリエッタと再会することができた。
君には礼を言っても言い足りないくらいさ」
「墓場から出てきたばかりで悪いが……お帰り願おうか、安心しろ、そこの女も一緒に地獄に送ってやる」
冷然と言いきったバージルにルイズが詰め寄った。
「ばっ……バージル! 姫さまになんてことをっ! 殺すつもりなの!?」
「何を言っている、こいつらは敵だ、俺にとってはそのへんに這いつくばる悪魔と、なんらかわらん」
バージルは当然のように言うと、まるで温度の感じられない目でウェールズとアンリエッタを睨みつける。
「敵は斬る、誰であろうとも」
魂の底まで凍り付きそうな冷たく低い声、その場にいた全員が思わず凍りつく。
「ど……どきなさい、これは命令よ!」
心が折れそうになるほどの恐怖を振り切り、精一杯の威厳を振り絞って、アンリエッタが叫ぶ
「誰に命令しているつもりだ、俺は貴様の敵で、貴様は俺の敵だ」
バージルはそう言うと大股でウェールズ達に歩み寄ってゆく。
だが、ウェールズまで後10メイルというところまで歩いたところで、バージルの目の前に水の壁が立ちはだかった。
杖をもったアンリエッタが震えながら立ちすくんでいた。
「ウェールズさまには指一本触れさせないわ」
バージルはぴくりと眉を動かすと閻魔刀を抜刀、魔力を喰われた水の壁はただの水と化し脆くも崩れ去ってしまう
「そんなっ……ッ!?」
アンリエッタが驚愕すると当時に目の前の空間が爆発する。
アンリエッタが吹き飛んだ。
エクスプロージョン、ルイズが呪文を詠唱したのだ。
「姫さまといえども、わたしの使い魔には指一本足りとも触れさせませんわ。
……いえ、姫さまでは触れることすらかなわない、と言ったほうが正しいかしら?」
髪の毛を逆立て、ピリピリと震える声でルイズが呟きニヤリと笑う。
その爆発で呆然と成り行きを見守っていたタバサとキュルケが呪文を詠唱した。
戦いが始まった。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 04:22:00 ID:06Tb7py2
容赦ねーなぁ、兄貴とタバサw支援
311蒼い使い魔 第39話:2009/03/11(水) 04:22:45 ID:p2dKZvIj
「バージル! 姫さまを殺しちゃダメ! 絶対よ!」
「……」
「ちょっと返事は!?」
魔法が飛び交う中、ルイズが必死にバージルに呼びかける
しかしバージルはそんなルイズの叫びを無視しながら、魔法を掻い潜り敵の中へと踊りこむ。
――カシャン! という小気味よい音とともに彼の口元にフェイスマスクが装着される、
一人のメイジの眼前に躍り出ると、バージルに装着されたギルガメスの噴気孔が火を噴いた。
"着弾"と同時に――ドゴンッ! という凄まじい音があたりに響き、大気が衝撃で打ち震える。
フルスチームストレイトを食らった哀れなメイジはあまりの衝撃に骨と内臓をごちゃまぜに破裂させながら
遥か彼方まで殴り飛ばされる、メイジだった肉塊は砲弾のようにウェールズの横を吹っ飛んで行き、
道に生えていた木々を薙ぎ払いながらようやく停止する。
『アンドバリ』の指輪の力をもってすら再生不可能のダメージを負い、その肉塊は二度と立ち上がることはなかった。
「……」
仲間が目を覆いたくなるほど悲惨な死体になったにも関わらず敵はぐるりとバージルを取り囲む、
殺到してくるメイジ達をバージルは首を傾けて見守っていたが、
彼らが間合いの内に入るやいなや出し抜けに背のデルフに手を掛け、襲い掛かった。
挨拶代わりの後ろ回し蹴りを皮切りに、剣劇の幕が開く。
メイジと魔剣士が切り結ぶ、それは正に剣劇としか言えなかった、
あらかじめ示し合わせていたかのように、
不意を突こうが魔法を放とうが、『ブレイド』を唱え接近戦を挑もうが、メイジたちの行動は抵抗の真似事でしかなく、
事前に全て決まっていたことのようにただただ目の前の魔剣士に虐殺されることしかできなかった。
眼前で呪文を唱えていたメイジが空間ごと切り刻まれるのは当然のこと、
不意を突いたつもりか、背後からの攻撃ですらバージルはあっさりと受け止めて、
蹴飛ばす先にはちゃっかり巻き添えを見込んでいる。
バージルは身をひるがえしながら閻魔刀を振い、横一文字に薙ぎ払う
小気味いい程の切れ味で上と下に両断されたメイジの上半身と下半身を勢いよく蹴り飛ばす
それぞれ蹴飛ばした先で呪文を詠唱していたメイジが巻き添いを喰らいもんどりうって吹っ飛んで行った。
杖を叩き折られ、よろめいたメイジの肩を捕まえ腹にデルフを突き立てる、バージルは引き抜くのも面倒だといわんばかりに、
それこそハンマー投げのように一回転させなぎ払った周囲のメイジごと吹き飛ばす。
いくら再生しようが関係ない、二度と起き上がれぬよう徹底的に叩き潰すと言わんばかりに
バージルはメイジ達を次々斬り伏せていった。

「そんな……こんなのって……」
アンリエッタが思わず恐怖で後ずさる
怖い、あの男が怖い、ルイズの使い魔である彼が怖い、彼は、彼は本当に、人間なのだろうか?
「あ……ぁ……」
恐怖で歯の根が合わない、ガチガチと歯が音を立てる
違う、あれは人間ではない、あれはまるで悪魔。
「ひ……」
恐怖のあまり倒れそうになったアンリエッタの肩を優しくウェールズが抱きよせる
「何も恐れることはない、僕がついてるよ、アンリエッタ」
ウェールズが優しく囁く、その言葉がアンリエッタを心の底から安心させた。
ウェールズは空を見上げる薄く笑う、そして手勢のメイジ達を呼び寄せた。
ルイズ達と交戦していたメイジや、バージルと戦い損害の少なかったメイジ達が
態勢を立て直すべくウェールズのもとへ集い円陣を組み始める。
312蒼い使い魔 第39話:2009/03/11(水) 04:25:58 ID:p2dKZvIj
「もうちょっとで勝てるわ! あいつら火に弱いの、私達に十分勝機はあるわ……」
キュルケが呟く、するとぽつぽつと頬に何かが当たりはじめた。
タバサが珍しく焦ったように空を見上げる、空には巨大な雨雲がいつの間にか発生していた。
振り出した雨は、一気に本降りへと変わる、
ルイズが叫んだ。
「姫さま! 目を覚まして! お願いです!」
ルイズの叫びが激しく振りだした雨粒でかき消される。
「見てごらんなさい! 雨よ! 雨! 天は私達を見捨てなかったわ!
雨の中で『水』に勝てると思っているの!? この雨のおかげでわたし達に分があるわ!
あなた達のことを殺したくない! だから杖を捨てて!」
「また寝言が始まったか」
叫びだしたアンリエッタにやれやれといった表情でバージルが呟く
「雨がなんだというのだ、その儚い希望ごと叩き潰してやる」
そう言うと背中のデルフを外しルイズに放り投げる
「わったっ、な、何する気なの!?」
「邪魔だ、持ってろ」
ルイズににべもなくそう言うと左手に握られた閻魔刀を引き抜いた。
「閻魔刀……聞いていたとおり、恐るべき剣だ、僕らの命を喰らい尽すとはね」
それを見たウェールズが苦い表情で低く呻く、
本来『アンドバリ』の指輪で蘇生させられた者は驚くべき再生能力を得ることができる、
もっとも、先ほどギルガメスで殴られたメイジのように原形をとどめないほど破壊されればその限りではないが……
とはいえ、本来は剣で斬られようが、魔法で心臓を貫かれようが、首を切り裂かれようが
その『アンドバリ』の指輪の魔力による再生能力で再び動き出すことができるのだ。
だが例外があった。バージルが振るう閻魔刀、これにより直接斬られたものは、
『アンドバリ』の指輪の魔力を根こそぎ喰い尽され再生が不可能になってしまっていた。
つまり、閻魔刀に斬られることは、完全なる死を意味する。
とある力で他の者より再生能力を高めているとはいえ、ウェールズにとってもそれは例外ではない。

「ヤマトならあの死者達を完全に殺せる」
それに気が付いたタバサが短く呟くとルイズの手元のデルフが半ば自暴自棄気味に叫びだした。
「はいはい! どーせ俺っちは役立たずさっ! へっ! 畜生! 閻魔刀がなんだってんだ!」
「な、何よ急に! いきなり叫ばないでよ!」
ルイズがデルフに怒鳴りつける、するとキュルケがデルフに対し質問をした
「ねぇ、ダーリンの持ってるヤマトってどういうの? そんなにすごい剣なの?」
「あぁ? すげぇもなにも、あいつは人と魔を分かつ剣なんだ、魔に対して絶対的なアドバンテージを持ってるんだよ、
この世界に存在するありとあらゆる"魔"、それを片っ端から喰い尽くし、斬り裂いちまう、
先住系統、精霊、悪魔、果ては神様すら叩っ斬りかねない魔剣さ、
くそっ! 閻魔刀の野郎! 俺だってなぁ! ここじゃ伝説の剣なんだぞ! 畜生……」
デルフはそう言うとさめざめと泣きだしてしまった。
「あんた……相当悩んでたのね……」
ルイズがどこか同情したような表情で柄を撫でる。
すると何かを思い出したのか、またもデルフが叫びだした。
「あぁっ! 思い出した! おい娘っ子! 祈祷書もってるよな!?」
「なっ、なによ藪から棒に!」
「これ以上閻魔刀の野郎に出番取られてたまるかってんだ! 急げ! 相棒が殺しちまう前に!」
急かすデルフにルイズが始祖の祈祷書を開く
「ちょっとボロ剣! ちゃんと説明しなさいよ!」
「あいつらはな、先住の魔法で動いてんだ、根本は俺っちと同じだ、ブリミルもあれにゃあ苦労したもんだ、
でもまぁ、ブリミルもなかなか大した奴だぜ、ちゃんと対策は練ってるはずさ」
ルイズは言われたとおりページをめくる、しかし、エクスプロージョンの次は相変わらず真っ白である。
「なんにも書いてないじゃない! 真っ白よ!」
「あぁ! もっとだもっと! 必要がありゃ読めんだよ!」
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 04:28:02 ID:06Tb7py2
デルフ がんばれ しえん
314蒼い使い魔 第39話:2009/03/11(水) 04:28:30 ID:p2dKZvIj
ルイズは文字が書かれたページを見つけ、それを見つめる
そこに書かれた古代語のルーンを読み上げる。
「……ディスペル・マジック?」
「そいつだ! 『解除』さ、ようは姫さまの目を覚まさせりゃいいんだろ? 
そいつならウェールズから『アンドバリ』の効果を消すことができる! 
相棒に姫さまごと斬られる前にさっさと唱えるんだ!」 
デルフがそう言う間に、バージルがまた一人メイジの首を胴体を斬り飛ばす。
『アンドバリ』の指輪の魔力を失い、崩れ落ちるように倒れ伏してゆく。
十人はいたメイジ達は、すでに6人ほどまでに人数を減らしていた。
「ほ、本当に間に合うの?」
戸惑いながらもルイズが呪文を詠唱し始めた。
「キュルケ! 俺を相棒に投げ渡してくれ!」
キュルケは頷くとデルフをルイズの腕からひったくり、バージルへ向け投げつけた。
「ダーリン! これ使って!」
キュルケが投げた抜き身のデルフをバージルは難なく左手で受け取ると
生き残りのメイジの一団に向け猛然と疾走する。
「ハァァァァアアアアアアッ!!!」
裂帛の雄たけびとともに目にも留まらぬ速さで両手に持った閻魔刀とデルフを振り抜いてゆく。
突き進む空間ごとメイジの一団を斬り刻む。
「ハァッ!!」
一陣の刃の暴風と化しバージルが駆け抜ける。
あまりの速さに斬られたという事実が追い付くまでに数瞬を要したのか、
バージルに斬られたメイジ達が、大量の血を噴き出しながら、
まるで示し合わせたかのごとく、ぼとぼとと同時に身体をバラバラにしながら崩れ落ちた。

メイジ達を皆殺しにしたバージルは、
ああ、まだ肝心のが残っていたか、と言わんばかりに顔を上げウェールズとアンリエッタを睨みつける。
雨と返り血により垂れ下った髪を元に戻すこともせず、沈黙のまま二人へ向け歩を進めてゆく。

アンリエッタは今まで感じたことのない恐怖に支配されていた。
目の前にいるのは、絶対的な強さを持った化物、この雨で少しでも優位に立てると思っていた。
だが自分の放った魔法はすべて男が振るう魔剣によりたちまち力を失い、ただの水となり果てる。
周囲にいた貴族たちと力を合わせようにも、この化物の前ではまるで無力。
あれだけの数がいた味方を一瞬で全滅させた化物は、今自分に明確な敵意と殺意を向けてきている。
このままでは……殺される……。
アンリエッタはなけなしの勇気を振り絞り、呪文を唱え始める。
殺される前に、殺す、この化物を打ち倒す、そしてウェールズと共にこの先へ進む。
固い決意が、彼女を動かした。
その詠唱にウェールズの詠唱が加わる。
ウェールズはアンリエッタを見つめて、冷たい笑みを浮かべた。
その温度に気が付きながらも、アンリエッタの心は熱く潤んだ。
水の竜巻が、二人の周りをうねり始めた。
『水』、『水』、『水』、そして『風』、『風』、『風』。
水と風の六乗。
トライアングル同士といえど、このように息が合うことは珍しい、
ほとんど無い、といっても過言ではない
しかし選ばれし王家の血がそれを可能にさせる。
王家のみ許された、ヘクサゴン・スペル
詠唱は干渉し合い、巨大に膨れ上がる。
二つのトライアングルが絡み合い、巨大な六芒星を竜巻に描かせる。
津波のような竜巻だ、この一撃を受ければ、城でさえ一撃で吹き飛ぶだろう。
315蒼い使い魔 第39話:2009/03/11(水) 04:31:54 ID:p2dKZvIj
「切り札か」
詠唱が始まったのを見てもバージルの歩調は緩まない、
詠唱を終えるのと同時にウェールズを殺す、貴様からその一片の希望すら奪い取ってやる。
ドス黒い感情がバージルを突き動かす。
だが、彼の歩みはそこで止まった。
「ぐッ……!? 何だッ!?」
身体が動かない、これ以上先へ進めない。
左手を見ると、デルフが淡い光を放っている。
どうやらデルフにより身体を止められているらしい
「デルフ……貴様何のつもりだ! なぜ邪魔をする!」
バージルが声を荒げデルフに怒鳴りつける。
「……ッ! こうでもしねぇとッ! 姫さま殺しちまうだろ!?」
デルフが息も絶え絶えな様子で答えた。
どうやらバージルの動きを制御するのに、今まで吸収した全ての魔力を総動員しているらしい。
「当然だ、生かしておくつもりはない! くっ……! 邪魔をするな!」
「だからってな! 娘っ子の気持ちは考えないのかよ!」
「知ったことではない! 敵は斬る!」
「おい! お前こないだ言ったこともう忘れちまったのか!?」
デルフがバージルに怒鳴りつける、だがバージルは引き下がらない。
「他に何の方法がある! 奴らを殺す以外に! 何の方法が!」
「今娘っ子が、『解除』の呪文を唱えてる! その詠唱が終わるまで娘っ子を守れ!」
「そんな必要などない! 俺が奴らを殺せば全て終わる!」
「馬鹿野郎! 勘違いすんじゃねぇ! お前は何だ『ガンダールヴ』!! 言ったはずだ!
お前さんの仕事は敵を皆殺しにすることじゃねぇ! 詠唱中の主人を守る! それだけだ!
その時にこそルーンは最大限の力を発揮する! なのに娘っ子の心を無視して
姫さまとウェールズを斬り殺してみろ! 二度とルーンは力なんか貸さねぇぞ! 力が欲しくないのか!?」
「……!! クソッ!!!」
その一言にバージルは苦々しい表情を浮かべるとエアトリックを使い、
主人の元へと戻る、ルイズを守るべく……。
ルイズは呪文を詠唱していた。今のルイズにはもう何も届いてはいない。
己の中でうねる精神力を練り込む、
古代のルーンを次から次へと口から吐き出させ続けている。
バージルの背中に、ルイズの詠唱がなぜか心地よくしみ込んでゆく、
「この子、どうしたの?」
キュルケが笑みを浮かべて尋ねる。
「さぁな、伝説の真似ごとだろう」
バージルが不機嫌そうな顔で答える、不機嫌そうだが、その顔はどこか柔らかく感じた。
ルイズの『虚無』の詠唱を聞いている内に、
今まで彼を支配していたドス黒い感情が徐々に薄くなってゆくのを感じる、
その心境の変化にバージルは少し眉を顰めながら左手を見つめた。
なぜか悪い気はしない、ルイズの詠唱を聞くと、なぜか心が安らぐのだ。
「そう、そりゃよかったわ、せめて『伝説』くらい持ってきてもらわないと、あの竜巻には勝てそうにないからね」
ウェールズとアンリエッタの周りをめぐる巨大な水の竜巻はどんどん大きくなる。
ルイズの小さな詠唱はいまだに続いている。
「いよぉし、相棒、仕事の時間だぜ、娘っ子の詠唱が終わるまで守り切るんだ、それがお前さんの役目だぜ?」
「殺してやりたいのは山々だが……なぜか気分がいい、今回だけその戯言に付き合ってやる」
「そりゃありがたいね」
316蒼い使い魔 第39話@代理:2009/03/11(水) 04:41:38 ID:06Tb7py2
では、代理投下挑戦してみます


「任せたわよ」
キュルケが呟く、タバサがバージルを見つめる
「誰に言っている」
コートを翻し、不遜に鼻をならしながら、巨大な竜巻へと悠然と歩を進める。
「前から気になってたけど、彼の父上、スパーダって一体何者なの?」
キュルケがタバサに尋ねる、
「はるか昔、悪魔でありながら人の情に目覚め、魔界の侵攻から人間界を守り抜いた、伝説の魔剣士」
「その息子が彼? そんなのを使い魔に? どこまで常識外なのよ……」
呆れたように呟くと、やれやれと肩をすくめる。
「伝説を持ってこいって言ったけど、どっちも桁違いね……まったく」

ウェールズとアンリエッタの魔法が完成した。
うねる巨大な水の竜巻がバージル達にむかって飛んでくる
でっかいくせに、驚くほど速い。
まるで水の城だ、その城が激しく回転し、バージルを飲み込もうと激しく唸る。
「やべぇなぁ、いっくら相棒でもありゃ耐えられねぇんじゃねぇか?」
デルフが他人事のように呟く
「この事態を招いたのはどこのどいつだ」
バージルが手元のデルフをじろりと睨みつける
「それにこんなもの、ダンテに比べれば児戯に等しい」
最も、繰り出してきたのは炎の竜巻だったが……、
バージルはそう言うと閻魔刀を引き抜く、そして竜巻へ向かい駆けた。
バージルと水の竜巻が激突する。
身体の前でデルフリンガーと閻魔刀を交差させ竜巻を受けとめる。
それを中心にしながら水の竜巻が回転する。
「ぐぅ……ぬっ……」
バージルが思わず呻く程の強烈な魔法、だがデルフリンガーが一気に水の中の魔力を吸い込み
閻魔刀が竜巻を切り裂いてゆく。
危うく飲み込まれそうになったが、固く両脚で地面を踏みしめる。
鋭く竜巻の先のウェールズ達を睨みつけると、バージルが低く呟く。
「……スパーダの力、思い知らせてやる」
――バチリッ! と彼の体に紫電が走る、その時、彼を中心にドーム状の力場が展開する
「あぁ、そういやあの手があったな……」
魔力を吸い込みながらデルフが小さく呟く、――相変わらず反則だぜその力は……
沸き起こる力の波動が地鳴りを起こし、彼の立つ地面にひびを入れる。
蒼い稲妻を孕みながら彼の姿が変わる。
――魔人化、悪魔の、彼の魔力を再び解放する。

「人間じゃ……ない!?」
彼の姿をみたアンリエッタが呻く様に呟く。
「そうだアンリエッタ、彼は――悪魔だ」
杖を突きつけながらウェールズが開いた手でアンリエッタの肩を優しく抱く
「倒すんだ、僕らを引き裂こうとする悪魔を、僕らの道を阻もうとする悪魔を、この蒼き悪魔を!」
その言葉とともにさらに竜巻の魔力を強める。
「オオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
再び勢いを取り戻した竜巻と、蒼き魔人が再び激突する。
魔力を吸収していたデルフリンガーにバージルの凄まじい程の魔力が流れ込んでくる。
刀身は彼を象徴する蒼い魔力に覆われ、輝きを放つ。
その時、ルイズの呪文が完成した。
音でも、光でもなく、背中から伝わる感覚がバージルにそれを教えてくれた。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 04:43:40 ID:ps3g/eV9
支援
318蒼い使い魔 第39話@代理:2009/03/11(水) 04:43:51 ID:06Tb7py2
呪文を完成させたルイズの目の前では雷を纏った巨大な竜巻が荒れ狂っていた。
しかしこちらへは近づいてこない。中には蒼き魔人の姿、
ルイズはそれがバージルだと一瞬でわかった。
「あれが……バージルの本当の姿……」
ルイズは思わず呟く、そこにいるだけにも関わらず恐ろしい程の力が伝わってくる。
そして彼の内にある哀しみも……。
「ウゥォオオオオオオオオオ!! ハアッ!!!!」
バージルが渾身の力を振い、交差させたデルフリンガーと閻魔刀を勢いよく振り抜く。
×の字を描き、振りぬいた剣閃はとてつもない衝撃波を生み、
巨大な竜巻を文字通り薙ぎ払いながらウェールズ達に襲い掛かる。
ウェールズ達の立っていた地面が衝撃波によって抉り取られ爆散する。
ウェールズとアンリエッタが木の葉のように上空へ吹き飛ばされる。
「Dust to dust.(――塵は塵へ)」
魔人化を解除したバージルが閻魔刀とデルフリンガーを振り抜き、納刀する。
閻魔刀がカチンと小気味よい音をたてると当時に、
上空へ跳ね上げられた二人がそろって地面へと叩きつけられた。
「グッ……くっ……」
運よく直撃は免れたらしい、二人は吹きとばされただけで命に別条はなさそうだ。
ルイズは唇を噛みながら、ウェールズ目がけ『ディスペル・マジック』を叩きこむ。
アンリエッタの周りに眩い光が輝いた。
立ちあがったウェールズの体が地面に再び崩れ落ちる。
ウェールズの体から、青い光を放つ小石がすぅっと現れ……やがて力を失ったのか、
コロコロとバージルの足元へ転がってきた。どうやらウェールズの異常とも言える再生能力はこれの影響だったらしい。
バージルはそれを回収しコートの中へとしまいこんだ。
アンリエッタは駆け寄ろうとしたが、身体的なダメージと精神力を消耗しきっていたせいもあり、
意識を失い、地面に倒れ伏す。
辺りは一気に静寂に包まれた。
319蒼い使い魔 第39話@代理:2009/03/11(水) 04:44:32 ID:06Tb7py2

しばらく気を失っていたアンリエッタは、自分を呼ぶ声で目を覚ました。
ルイズが心配そうに自分を覗き込んでいる。
雨は止んでいた。辺りの草は濡れ、ひんやりとした空気に包まれている。
先ほどの激しい戦闘が嘘のようにアンリエッタには思えた。
しかし嘘ではない、隣には冷たい躯となったウェールズが横たわっている。
そこかしこにも、無残にも切り刻まれた死体が転がっていた。
夢だと思いたかった。しかし全ては悪夢のような現実だった、そして自分は
全てを捨て、その悪夢に身をゆだねようとしていたのだった。
アンリエッタは顔を両手で覆った。
今の自分にはウェールズの躯にすがりつく権利はない。
ましてや幼いころから自分の支えになってくれた目の前のルイズにも合わせる顔がない。
「わたくし、なんてことをしてしまったのかしら」
「目が覚めましたか?」
ルイズは、悲しいような、冷たいような声でアンリエッタに尋ねる。そこに怒りの色はなかった。
アンリエッタは頷いた。
「なんといって貴方に謝ればいいの? わたくしのために傷ついた人々に、
なんと言って赦しを請えばいいの? 教えてちょうだい、ルイズ」
そう言うとその後ろに立つバージルを見つめた。
バージルはこれ以上ないほど冷え切った目でアンリエッタを見ていたが、
やがて興味を失ったかのように踵を返すとすたすたと歩き去ってしまった。
「ど、どこに行くつもり?」
「くだらん、俺は帰る」
ルイズが呼びとめようとする、だがバージルは歩みを止めずにそれだけ言うと
どこから見つけてきたのか、逃亡者の一団が使っていた馬の生き残りを一頭引っ張ってくる、
そしてすぐさまそれに飛び乗った。
「待って!」
アンリエッタが立ち上がりバージルへ駆け寄ろうとする、だが……
「っ!?」
アンリエッタの脚はそこで止まる、鼻先にいつの間にか抜き放たれていた閻魔刀が突きつけられていたからだ。
「貴様と話す舌など、俺は持たん」
射抜くようなバージルの視線がアンリエッタを貫く、
へなへなと力を失うように地面へとへたり込む、
それを冷たく一瞥すると、バージルは馬を走らせ、闇の中へと消えて行った。
320蒼い使い魔 第39話@代理:2009/03/11(水) 04:45:35 ID:06Tb7py2
「……」
魔法学院に向けバージルは馬を走らせる、
その顔には、嫌悪感がありありと浮かんでいた。
見かねたデルフが声をかける。
「おーい相棒、なんでそんな機嫌悪くしてんだよ、さっきは気分がいいなんて言ってたくせによ」
「お前が知るところではない」
バージルは眉間に皺をよせ短く答える。するとデルフがわかったように再び口を開いた。
「あーわかったぜ、相棒、なんで機嫌が悪いのか」
「……」
「あんとき姫さまが言ってたよな、本気で人を愛したら、全てを捨ててでもついていきたいって」
「それがどうしたというんだ」
「スパーダが力を捨てた理由がそれだからだ」
図星をさされたのか、彼には珍しく動揺を含んだような表情になった。
「ただ一人の魔は人間の女を愛し、生涯を共にせんと自らの力を封じ、
一人の人間として生涯をささげた、魔は人となり人間としてその生を終えた、そうだな?」
「黙れ……」
「愛などという下らない感情に惑わされ、力を捨てた。そのせいで自分達兄弟がもがき苦しむハメになった。
相棒の機嫌が悪いのはそんなところだろ? あってるか?」
「デルフ、俺の世界では詮索屋というものは早死にすると相場が決まっている、お前は……どうだろうな?」
チャキ……っと閻魔刀の鯉口が切られる。青くなったデルフがあわてて口を噤もうとした。
「悪かった! 悪かったって! ……たく、しっかし、あの姫さまの言うことにも、一応の筋は通ってたんだなぁ、
まぁ、今回ばっかしはそれ以外がダメダメだったがね」
デルフの呟きは闇へと消える、朝日が昇り、学院が見え始めていた。

「ただいま……」
ルイズが学院に戻るころには、既に日は高く昇ってしまっていた。
自室に戻ると椅子に腰かけたバージルが読んでいた本から目を離さずに声をかけた。
「遅かったな」
「え? ……うん、ちょっといろいろあってね……」
ルイズがそう言うと、バージルが去ったあの後、起きた奇跡について話し始めた。
なんとあの後、ウェールズが一時的に息を吹き返したというのだ、
そして皇太子の希望でラグドリアン湖へ赴いたそうだ、
その後、アンリエッタに自分を忘れさせる誓いをさせた後、静かに息を引き取ったらしい。
「……」
それを本を読みながら華麗に聞き流していたバージルはつまらなそうに小さく鼻を鳴らすと、ぱらりとページをめくった。
「それで……その話は変わるんだけど……わたし、あの時見たの、あんたの姿」
続けてルイズは言いにくそうに話を切り出した。
「……それがどうした、今さら俺が恐ろしくなったのか?」
バージルは本から視線を外しルイズを見た。
「そんなことない! そんなことないのよ! でも……その……」
「言いたいことがあるならはっきり言え」
「あの姿を見たとき、なんだか、あんたが悲しそうに見えたって言うか……」
その感想は意外だったのかバージルが少々驚いたような顔になった。
「なんだそれは……」
「そ、そう感じちゃったんだからしょうがないじゃない! でも……なんでそう感じちゃったんだろう?」
ルイズは首を傾げると、突然顔を赤くし、言いづらそうに口をもごもごと動かし始めた。
「で、でも、それでもあんたが姫さまの魔法から私を守ってくれたことには、そ、その、か、か、感謝……」
321蒼い使い魔 第39話@代理:2009/03/11(水) 04:46:40 ID:06Tb7py2
ルイズがそこまで言った時、不意にドアがノックされた。
バージルが応対のため立ち上がり、ドアを開ける、
すると、そこには見知らぬ中年の女性が、にこやかな笑顔で立っていた。
「えぇと、貴方がバージルさん?」
「……」
「支払いはこちらに回してほしいって、言われてきたんですけど」
女性はそう言うと一枚の紙をバージルに手渡した。
「人違いだ」
バージルはそう言うやドアを閉めようとする、が女性が閉まりかけたドアに足を引っ掛けなおも食い下がった。
「いやいやいや、確かにここですっ! 4人のお客様から別々にっ!」
「4人?」
バージルは受け取った紙に目を通す、そこには……
「……ルイズ、キュルケ、タバサ、シエスタ……なっ……!?」
とんでもない金額にバージルが目を丸くする、ほぼ全財産だ
日付はトリスタニアへ秘薬を買いに行った日である、
「払っていただけますか?」
「なぜ俺が支払わねばならん!」
ずいっと詰め寄る女性に声を荒げる、だが女性は引き下がらない。
「そんなこと言われたって困ります! ほら、請求書にはちゃんとサインが!」
「……ルイズ! これは一体どういう――」
バージルが怒鳴りながら振り返る、だが部屋の中にはすでにルイズの姿はなくなっている、
きぃ……っと音を立てながら、窓が半開きになっていた。
急ぎ窓から下を覗くと、地上を全速力で走り去るルイズの姿が確認できた。
かなりの高さだが……どうやら窓から飛び降り逃走したらしい。
「Damn...!」
「払っていただけますね?」
そんなバージルを追い詰めるように女性がバージルの肩を叩く。
「いや……ちょっと待て、今金がない」
「無いじゃ困ります!」
「そもそもなんだこの値段は……」
「服ですよ?」
「服だと!? 奴らの服を何故俺が支払わねばならん!」
「そんなことはその人たちに聞いてください!」
バージルと取立人の口論はいつまでも続き……
結局支払うハメになってしまったバージルは全財産を失うこととなってしまった。



これにて投下は終わりです、支援ありがとうございました!
四巻までおわったぜー!どっちが悪役だよこれ!
アン様誘拐部隊、原作じゃ十人ほどだったけど
少なすぎるので軽く十人ほど水増ししちゃいました
兄貴は髪が垂れるとほんの少しだけ優しくなります
オールバックに戻すと悪魔に戻ります
運が良かったんだ、アン様は、兄貴の髪がオールバックだったら即死だった
え?ルイズはどうなったかって?今頃幻影剣を必死になって避けてるんじゃないかな
さて、次は五巻だ、兄貴は皿洗いなんかしないぜ?
ではまた次回の投下にお会いしましょう
322蒼い使い魔 第39話@代理:2009/03/11(水) 04:48:26 ID:06Tb7py2
以上、代理終了です。
一度、改行が多すぎますとエラーが出たので分割させていただきました。
作者様、申し訳ありません。
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 04:50:14 ID:7XE9JyCP
死んでればよかったのに余計なことを支援
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 04:52:36 ID:7XE9JyCP
連投失礼
ありゃもう投下終わってたか乙でした
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 05:09:49 ID:ps3g/eV9

代理の人も乙
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 06:24:24 ID:NxCA5jr2
さすがにこのシーンでアン様殺しちゃう話はまだ無いなあ
そろそろテファの出番かなあ
おマチさんの仕送りが途絶えてどうしているやら
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 06:43:44 ID:Uvi2wFr6

一晩でまさかのVSアンアン戦2連発か
偶然ってスゴいな
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 08:38:07 ID:NRL5LzZI
ラわーん
アンちゃーん
アンちゃーん

はだしのゲン召喚
一発ネタレベルだったけど続き読みたかったなあ
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 10:14:54 ID:vlpnkXLc
そういえば序盤の時点で盛大に
首討ちくらっちゃったんだよな、おマチさん……。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:11:16 ID:fkewskSr
アンリエッタ嬢を鍛え直すキャラ召喚・・・・・・・

モロボシダン?オオタコウイチロウ?鉄乙女?
ナルサスは・・・・・・見捨てそうだな
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:15:53 ID:2hAbt7ow
熱血隼人
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:16:44 ID:CMv/FlaX
>>330
新城直衛とかかな
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:24:39 ID:bROJ5wUT
>>328
アンちゃんネタか……、

コンコンコン!
ルイズ「誰?」
アン様「アンちゃんだよ。幼馴染のアンちゃんだよ」
ルイズ「ほんとに幼馴染のアンちゃんか?」
アン様「ほんとにアンちゃんだよ」
ルイズ「それじゃあ、あたしの質問に答えてみろ。人間の三大欲求の中で一番大事なものなーんだ?」
アン様「色気」
ルイズ「やっぱり、アンちゃんだ!」
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:34:25 ID:LkjGja1c
>>333
クソ吹いたじゃねえかww
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:35:25 ID:iaCzmAa5
いっそのことシルバーブルーメに城ごと飲み込んでもらったほうがいいのでは?
 
>>333
似合いすぎる
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:49:51 ID:T5nVGwuq
ルイ・サイファー閣下ならばアン様をより良く導…………かないな、あの人基本自分の軍勢も放置してるし
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:53:42 ID:LD0/0F3Q
>>336
それよりいっそうの堕落フラグww
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:54:42 ID:cyYjAf7s
アン様可愛いじゃん
俺は悪し様に言って貶めることなんて出来ん
つか時々親の仇のごとく嫌っている人がいたりするけど、なんかされたのかよって思う
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 11:59:45 ID:8UvmUOm4
>338
トリステインの貴族の皆さんなんだろう
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 12:03:09 ID:fkewskSr
っていうか、基本王家の人間に「幸せになる権利」など無いと思うのです
むしろ自分が人間であると考える事すら「図々しいにも程がある」かな
産湯を沸かした薪も産着も税金で賄ったのだから相応の義務を果たすべきであるとおもう

現時点で最も義務を怠っている(と見える描写がある)のがアンリエッタなので
叩きやすいのかも。
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 12:09:34 ID:T5nVGwuq
ああ、でもルイ閣下ならアンリエッタがウェールズ王子を助けようか悩んでる時も
「なに、王子を助けたい? ならば貴女はやるべきではないかな。それは貴女の選ぶことのできる自由だよ、アンリエッタ王女」
とか言って後押ししそうだ。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 12:19:17 ID:BX6RPAIr
>>341
アン王女は己の欲求に忠実だから、カオスルートへ簡単に突入できるな
その代償としてトリステインがヒャッハー!とか汚物は消毒だー!な世紀末救世主ワールド化する可能性があるが
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 12:21:05 ID:VlVQXcsY
この手の話は何万回目やら
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 12:40:23 ID:G9ZN/m2f
219スレで何よその半万年カウントは
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 12:50:49 ID:fkewskSr
>>343
気持ちは分からんでもないが、やはりそんな新入り排除な発言は賛同しかねる
アンリエッタ様で熱くなっている間にイザベラ様はもらっていきますね。それでは、
予約無ければ五分後に投下します。
漆黒のバラと炎蛇

ルイズがマリコルヌをしばいたりぶっとばしたりして、
ギーシュがケティとモンモランシーを舌足らずに褒め称える。
マーティンは死霊術の対策を思案しつつ、ルイズの魔法練習に付き添ったりして過ごしている。
キュルケは対抗して更に修練に励み、タバサはハシバミ草を貪るように食べ続け、
ついにマルトーに完敗宣言をださせた。
学院長はというと美人秘書の形をしたガーゴイルを経費で購入しようとして、
教師たちに止められる。

「なんでじゃ!ここの最高責任者はわしじゃよ!?」
「どう見てもいかがわしい機能付きでしょうが!!」

そんな平和な魔法学院とはうってかわって、トリスタニアでは厳重な警戒体制の中、
ある犯罪者の捜索が行われていた。要所の警備をしている衛兵達が総出で、
王宮の図書室に忍び込んだ盗人を捜しているのだ。大胆にも白昼堂々犯行に及んだ盗人は、
現在も城下町を逃走中である。

「おい、そっちにいたか?」

杖に明かりを灯して、暗所を捜索する衛兵だが捜索は難航しているようだ。

「いえ、こちらには」
「まったく、賊は何処に行ったというんだ!」

ちゃんと仕事に取り組む衛兵は早々に別の場所におもむくが、
明かりを灯して探している衛兵は、暗くじめじめした路地裏に留まっている。
盗賊ギルドとつるんでいる彼は、盗みに入った盗賊に目を合わせた。

「グレイ・フォックスの旦那に付き合うお前さんも大変だな」
「いいえ〜。慣れてますから」

危なかった危なかったと収穫を手にシエスタは微笑んでいる。
次からはもっと上手くやってくれよ、と衛兵は右手を出す。
もちろんですよ、と盗人は金貨を5枚渡した。

「そら、さっさと行け。ここには『誰もいない』んだ」
「はーい。それでは失礼しますね」

どこにでも、金がもらえるならそちらに流れる者はいる。
盗賊ギルドが信用できる組織であることもあって、彼の様な衛兵も多い。
その多くは『革命』による無意識の内のパラダイムシフトが起こっただけかもしれない。
つまり大きいは、正義というパラダイムに移行したということだ。

シエスタは影の様に路地裏を駆けて、裏口からある建物に入る。
中はきわどい服装の妖精さんがたくさんいる店だ。

「あら、シエスタじゃないの」
「ジェシカ。スカロンおじさんはどこ?」

いとこが経営する「魅惑の妖精亭」はギルドの活動拠点でもある。
店長のスカロン氏は平民でオカマだが、裏世界では「影滅」の二つ名で知られており、
影も形も無いほどに無くなってしまった証拠品すら見つけてくる凄腕の情報屋である。
その情報力は盗賊ギルド発足前から一部の貴族も利用していた。
尚、チュレンヌは下っ端な為、ギルドに参加して初めてそんなことを知ったとか。

シエスタはジェシカからもらった妖精亭の服に着替えて、
店の中へと進む。入り口で接客をしているスカロンに目配せすると、
はいはい、とスカロンは他の娘に任せてシエスタと一緒に裏へ入っていった。
個室にて、スカロンは控えめながらもポージングを決めながら、
シエスタを見る。

「ダメじゃないのシエスタちゃん。警備に見つかっちゃうだなんて」

シエスタは苦笑いを浮かべて、弁解をする

「いえ、見つかる気は無かったんですよ。でも」

チチチ、と指を振ってから、スカロンは首を振った。
妙に様になっている。

「一流の盗賊は、尻尾すら掴ませないの。それでこそトレビアンなのよ。
 今のシエスタちゃんはまだまだ一流には遠いわ」

経験が足りていないと目で言われ、あうとシエスタは落ち込んだ。

「オイタはこれくらいにして……今日盗ってきた物をみせてくれるかしら?」

コクリと頷いて、シエスタは一抱えある書類の束を渡した。
シエスタも文字は読めるが、公文書の様な難しいものを読むことは出来ない。
だから、内容の確認のために博識なスカロンに物品を渡しに来たのだ。

眉間にシワを寄せ、スカロンは小さくうなった。

「『魔法研究所実験小隊』……噂には聞いたことがあったけれど、
 えげつない連中だったようねぇ。始祖に近づくってお題目の名の下に……
 あらまぁ、これじゃガリアの北花壇騎士団の方がカワイイくらいだわ」

ペラリと書類をめくる度に、恐ろしい内容が明らかになる。
古代に使われていた魔法の再現という、何の意味も持たない行為の為に、
たくさんの人間が犠牲になっていた。
またそのいくらかが、黒い金の為に犠牲になった事もすぐに分かった。

「今の方針に変わった事を、神様に感謝しないとね。マジックアイテムの値段が下がったのも、
 今のアカデミーのおかげよ」

スカロンは悲しそうな顔で内容を確かめていき、ついにお目当ての報告書を見つけた。

「ダングルテールの異端排除、これね。立案したのは高等法院のリッシュモン。
 あいつか。昔から色々と黒い噂が絶えなくて、いけ好かない男だと思ってたのよ。
けれど、妙ね……この作戦で二人を除いて小隊は全滅しているわ」

実力者が揃った小隊が、魔法を使えない平民に遅れを取ることなどありえない。
それまでの戦績から考えてもそれは明らかだが、報告書にはそう書かれている。

「ダングルテールで何があったのか。もう少し調べてみる必要がありそうね。
 リッシュモンの事はこっちで調べるわ。シエスタちゃんはダングルテールの生き残りからお話を聞いてきて」

シエスタは驚いてスカロンを見る。

「生き残りって…、みんな死んだんじゃないんですか?」
「ホラ話じゃなければ、今この街に一人いるわよ。傭兵やってるんですって」
美しい顔つきに細く鋭い目をたずさえた女は、トリスタニアの路地を歩いている。
髪は短く、鎧を着こなす様は男顔負けで、その表情は近寄りがたい雰囲気を作り出す。
背中の剣は使い込まれているようだった。
最近傭兵として名を上げている彼女は、久しぶりに顔なじみに会いに来たのだ。

「おお、アニエスじゃねえか」
「お久しぶりです、師匠」

武器屋のドアを開けると、少し寂しげな主人が出迎える。
アニエスは礼儀正しく礼をした。

「よせよ。そんな大層なことするんじゃあねぇ。それと、師匠っていうのも無しだ」
「あなたは伝説の英雄じゃないですか。ならそれ相応の礼儀は必要でしょう?」

アニエスは朗らかな顔で、武器屋の主人を見る。ケッ、
と武器屋の主人は居心地が悪そうに頭をかいた。

「昔の話さ……今日はどしたい?」
「数日こちらに滞在する事になったので、顔を見に来ました」
「そうか」

ぶっきらぼうに言い返して、男は黙った。アニエスは辺りを見回すと、
いつも調子の良い事を言っていた剣が無いことに気が付く。

「デルフ……売ったんですか?」
「ああ、お前に渡しても良かったんだが、動く時が来たんだとさ。あいつ、あのガンダールブの左手だったんだとよ」
「なんですって!?」

そんな驚くアニエスの後方、武器屋のドアが開く。
メイド服姿のシエスタが入ってきた。

「おぉ?フォックスのとこの腕利きじゃねえか。どした」
「ちょっとお聞きしたい事がありまして、ダングルテールにお知り合いがいたとか……」
「ああ、ならこいつだよ。おういアニエス……大丈夫か?」

主人がヒラヒラとアニエスの顔の前で手を振る。あ、と正気を取り戻したアニエスは、
気恥ずかしそうに笑う。

「で、アニエスに何の用なんだ?」
「いやー……言いにくいんですけど……」

アニエスは少し汗をかいているシエスタを見る。
鋭く視線は彼女を貫くが、どこか生暖かい優しさを含んでいた。

「さっさと言え。おおかた異端の教義の愚かさについて説きにでも来たのだろう?」

ダングルテールの住人は元々アルビオンの高山地方に住む異端の一派である。
シエスタは首を横に振り、そんなことではありませんと弁明する。

「では、何が聞きたいのだ?」
「あの日……何が起こったか」

ああ、そりゃ言いにくいだろうと主人は思った。
アニエスはふむと遠い目で天井を見る。

「確かに、聞きにくい話題ではあるな。少し辛気くさいが、
 聞きたいのなら話してやらんこともない」

是非、とシエスタが答えたのを聞いてから、アニエスはとつとつと話し始めた。
「あれは今から20年前、わたしがまだ9つの時だったか、
 ヴィットーリアと名乗る女性が漂流して来た。
 重症を負っていたが、村のみんなの看護のおかげですぐに良くなった。
 彼女はロマリアの生まれで、敬虔なブリミル教徒だった」

「え」

シエスタの知る異端者像と言えば、ブリミル教を毛嫌いし、
それに関係する物は壊さないと気が済まない連中、そんな危険な思想の集団である。
アニエスは、またかとでも言いたげに肩を落とす。

「あのな。確かにわたしや村の人々はお前達にしてみれば異端だろうとも。
 だが人外の化け物ではないぞ?話をすれば理解しあえる。同じ人間なのだからな。
個人的にロマリアで私腹をこやす連中はさっさと死んで欲しいが。
 話を続けるぞ。彼女が来て1ヶ月程経ったある日、メイジ共が来た。
 子供やけが人は一つの小屋に集められ、大人は皆戦った……当然、負けたがな。
 小屋に火が放たれ、子供は裏口から外へ出た。メイジはそれを魔法で殺していったよ。
 最後に残ったのは、わたしとヴィットーリアさんだった」

ふぅ、と息をついて、再び口を開く。

「ヴィットーリアさんが炎で燃え、わたしだけになった時、彼女からもらった指輪が光ったのだ。
 指輪が砕けて奇跡が起こり、メイジ共は死んだ」

「奇跡……ですか?」

シエスタの問いに、アニエスは頷いた。

「黒きバラをたずさえたお方だった。古き昔、
アルビオンを聖母サーシャの願いで空に浮かばせた精霊、アズラ様が降臨されたのだ」

シエスタは吹き出した。アズラと言えば、自分のギルドの守護神(らしき何か)のノクターナルと、
とても仲の悪い人の生死や死後をつかさどる神様のはず。
それよりなにより、この世界じゃデイドラは人を殺せないとシエスタは聞いていた。
アニエスは吹き出したシエスタを見て、ああ、とため息を吐く。

「わたしは正常だぞ?これは実話だからな。アズラ様はおっしゃられた。
村人はその命と引き替えに子供たちを救おうとしたのだと。
 本来彼のお方は人間のいさかいに手を出したりはしないのだが、
 その様に感銘を受け、わたしの命をお救いになられた。
 疑問に思ったさ。何故わたしだけなのかとな」

アニエスは、自嘲気味に笑った。武器屋の主人はあまりいい顔をせず、それを眺める。

「ただ宿命によってあらゆる命に終わりがあり、
 ただ偶然によって終わりを迎えなかったのがあなたの命なのだと言われたよ。
 そして、生き残ったわたしはたまたまやって来たこの人に助けられたというわけだ」

武器屋の主人はああ、と低い声で呟いた。

「その、あー、アズラさまだかなんだかは良くわからんが、
 ダングルテールには知り合いがいてな。そいつに会いに行った時、
 たまたまこいつを見つけたんだ。しばらくは俺が面倒を見て、
 それから独り立ちして、たまにこうして顔を見せに来る」
そういう仲だ。と主人はぶっきらぼうに言った。

「な、なるほど」

神様相手なら勝てる方がおかしいと言えるのかもしれない。
ノクターナル様も本気を出したら強いのだろうか。
シエスタは、何故小隊が壊滅したのかを知った。

「ところで、何故お前はこんなことを聞いたのだ?」

アニエスのもっともな問いに、シエスタは所々をぼかして話す事にした。
ノクターナルはNGかもしれないし、ギルドの深いところは教えるわけにはいかないからだ。

ついでにこの人の知っている教義も教えてもらいましょう。
『聖母サーシャ』。ミス・ヴァリエールやティファニアさんが言っていたサーシャと何か関係があるかも。
とシエスタは話しながら、アニエスから情報を引き出そうと決めたのだった。


オスマンに天誅を下し、コルベールは自身の研究室に戻った。
イスに座り「愉快なヘビ君2号」をニヤニヤしながら見ていたが、
ふと、昔の事が頭をよぎる。

ダングルテール。かつて何百年も前、アルビオンから移住してきた人々が開いたとされる、
その海に面した北西部の村々は、常に歴代トリステイン王にとって悩みの種であった。

彼らはブリミル教以外の宗教を信じる異端の集まりで、ロマリアから煙たがられているからだが……、
アルビオン人独特のひょうひょうとした気風を色濃く残し、
飲むところをきっちり飲んだため、激しく弾圧されるということもなかった。
つまるところ、彼らは要領よくやっていたのである。

二十年前、自治政府をトリステイン政府に認めさせ、異端教徒の寺院を開いた。
それがためにロマリアの宗教庁ににらまれ、圧力を受けたトリステインの軍により鎮定された、
と当時の文献には残っている。

二十年前のその日、コルベールは部隊を引き連れてダングルテールにやって来た。
一片たりとも忘れられない、ずっと頭に焼き付いて離れない鮮烈な記憶だった。
疫病の拡大を防ぐため、全てを焼き払えと命令されて彼はその通り任務を行った。

「変な連中だ。こいつらは平民だよな?それにしてもガキがいない」

彼の右腕だったメンヌヴィルが不思議がったが、
コルベールは何も言わず、まだ手が付けられていない家々を燃やし始めた。

「どこかの家に隠れているはず、か。さすがは隊長殿だ!」

子供たちは燃える小屋から飛び出してきて、それらは全て燃やされていった。
最後に出てきた女が少女を庇って炎を浴びた時、奇妙な現象が起こった。

何かが割れる音がしたかと思うと、突風が吹き荒れ炎を全てかき消す。
強い風につぶった目をコルベールが開くと、そこには青白い髪の褐色の女が立っていた。
片腕に黒いバラを持つその女性を見て、コルベールは言いしれぬ恐怖を感じた。
人間の姿をしているが、鎧に身を包んだわけでもない華やかな女の姿だが、
コルベールはその場を動けぬ程の恐怖を体に刻み込まれた。
何があっても、この女と戦ってはならぬと今までの経験からの勘が警告し続ける。
だが、それが分からぬ者がいた。

「あぁ?まだいたのか。まぁ、すぐに燃やすんだけどな!」

メンヌヴィルの火炎は景気よく女に向かう。
だが、女に当たる前に炎は消え、何故かメンヌヴィルが燃え上がった。
青い炎はメンヌヴィルを包みこみ、骨すら残さず燃やし尽くす。
周りにいたメイジ達は驚いて距離を空け、魔法を放つ。
だが全てかき消され、小隊のメイジ達はおののいた。
女は何もしていないのに、メイジ達は炎に焦がされて死んでいく。

「た、隊長!こいつはかないっこねぇ、逃げましょう!!」

近くにいた隊員に引きずられるように、コルベールは逃げ出した。
幸い、化け物のような強さの女は後を追って来なかった。
この任務が異端狩りであったことを知るのはずっと後になってからである。

生き残ったコルベールは贖罪の為として部隊から逃げ出し、
オールド・オスマンに雇われた。
そして火を破壊以外の何かに使う為に研究を続けている。

「何故、わたしは生き残ったのだろうか。生き残ってしまったのだろうか」

いっそあの時、炎に燃やされてしまっていればこんな気持ちにならずに済んでいただろうに。
この二十年ふと己を責めてばかりのコルベールは、そんな嫌な気分から逃げるように、
円筒に錬金をかけ始めた。

投下終了。TESに善神なんざいないので、どうして助けられたのかはその内ちゃんと書きますねっと。
影滅の元ネタはオブリビオンのワインの名前から。
でもやっぱり、大きいも小さいも正義だと思いたい。では、また次の投下まで。
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 13:04:45 ID:wsEDwIpy
ではタバサは俺がもらって行くぜ。
そして支援
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 13:06:29 ID:nl3Ktnj3
>>338
変にリアルティをだそうとするからだろ。
ファンタジーの王女様というなら、必要充分な条件だよ、アンアン。

現実的な王の役割といったら、
ばんばん子を産んで他国と関係を強くする事と、
戦争に負けたら首を切られる事。
アンアンはゲルマニアとの婚姻外交を、相手にも問題があろうと
破棄したから叩かれているような。
元ヒロインつーか、ハーレム候補になったからねえ。
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 13:08:39 ID:kXuoMh72

>大きいも小さいも
そこでヤンマーな精神ですよ

ゼロの社長で究極嫁の登場を待ちわびている俺
光輝嫁は出てくるのかな

融合→究極竜攻撃→融合解除→白竜攻撃×3はノア戦で遊戯がやってたけど
白竜攻撃×3→融合→究極竜攻撃ってできるんだろうか
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 13:16:18 ID:3Um3kMG+
>>355
それ(融合)やっちゃうと、バトルフェイズからメインフェイズ2に移るから無理ぽ
魔法カードは、基本的にメインフェイズでのみ発動可能だった気がする。ちなみに、融合解除は速攻魔法だから、バトルフェイズにも発動できる

って遊戯厨が言ってた
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 13:26:15 ID:kXuoMh72
>>356
解説d
究極嫁をゴールにはできないのね
社長に究極嫁を融合解除はできるのだろうか・・・カイバーマンはGXでやってた気がするけど
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 13:34:10 ID:sUp8YIH0
>>354
トリステインは二代続けて子造りを疎かにしてたからな
何も無い平穏な世界でウェルーズに兄がいてトリステインに婿入りできた場合のアンアンの未来なんだろなマリアンヌ王妃
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 13:36:25 ID:3Um3kMG+
>>357
ついでに、さっきのを応用すると
滅びの爆裂疾風弾(サンボル。しかし青眼が攻撃できなくなる)→融合で究極嫁→攻撃→解除して青眼×3で攻撃ってのも出来る。しかしスレチなのは確定的に明らか
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 14:16:20 ID:Un3fKmo0

アルビオンがほとんどのゴールのなかで、メンヌヴィルの登場まで続けられるって人はほんとすごいと思うわ。
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 14:46:55 ID:LgBKv9cc
>>330
ええっと、モロボシって言うと、あの浮気性で雷を出す宇宙人の婿の彼だっけ?
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 14:48:38 ID:SYOUVp5d
SUMOでまわしが取れること?
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 14:49:53 ID:bnQliUZP
奴がラム以外に本気で惚れる姿は見たくないな
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 15:09:25 ID:J/d6C3na
どーも。亀レスですが投稿者の皆々様、乙です

DMC4>>オチの兄貴がコメディにしか見えない;
哀れ兄貴。さぁ、憂さ晴らしに殺せww

日付変わる前後で、女王様の無能話とか継承権とか諸々話してましたけど、最悪にして真実の一言を言わせて下さい

所詮ラブコメ

以上、お目汚し失礼しました(_ _)
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 17:17:13 ID:Jqz4A7cw
>>357
速攻魔法《超融合》を使えばバトルフェイズ中でも融合は可能。
また、アニメオリジナルだが、《超融合》に類似した手札コストのいらない《瞬間融合》というのもある。

まあ神引きが必要だが不可能ではないってこと。
1ターン目にサイバーエンド出すよりは揃えるのは楽だろう。

社長のアン様は一級のデュエリストだから好きよ。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 17:34:36 ID:kXuoMh72
>>365
可能ではあるのか
d
でも社長は持ってないだろうなそのカード

社長の人はどう料理してくれるかな?
と無駄にプレッシャーをかけてみる
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 18:15:02 ID:zRjLDw5r
今更だが、服の請求書を押し付けられるって弟も通った道だな。
兄弟そろって乙。
とはいえ相手がバージルだと後がめっさ怖いんだよなあ。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 18:44:21 ID:QfHYrJUg
窓から飛び降りてまで逃げるぐらい怖いのか
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 18:55:35 ID:wpDc7X0G
三階だよな
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 18:56:56 ID:ScFBtcdA
>284
ゼロの提督でその辺触れてたなw

>289
1.リリーナ様を召喚。(ユーゼスの回想に釣られた。
2.ラー一族のグリンディエタとかどうだろう。ルイズだと無理に契約して即座に首が飛びそうだが…アン様は生き残るかも知れん。
 もしルイズに召喚されてたら、他の3人は何がくる事やら。(憚られるのはルゥで問題ないとして)
 …怪獣夫婦が来たらそれはそれで怖いが…

>366
なんか、教皇さんが地下に膨大な量のカードを眠らせてる気がしてならん。
いつだったかの社長ばりにカード富豪ぶり見せつけて、そん中にまぎれてそうなw
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 19:33:41 ID:gzOx2BMV
社長はまだ究極嫁だしてないな
アンアンとか普通に強かったのに、まだ究極嫁だすまでもないのか…
劇場版の光嫁に出番はあるのか
社長についてだけでもこれだけ期待は尽きないぜ
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 19:33:57 ID:I/OIY+HZ
>>370
リィがアンリエッタに召喚された場合、デルフィニアに行く前か行った後かで、大分対応が変わる気がする。
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 19:50:00 ID:tr+32rBG
>>371
究極嫁って負けフラグじゃなかったっけ?
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 19:55:22 ID:gzOx2BMV
あ〜カイバーマンが十代に勝った以外で勝ちあったっけ?
なんか無かったような気がする
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 19:56:11 ID:NEdCKIpT
アンアンは有能だぞ
運だろうと他人の手柄だろうと、最終的にトリステインが勝てるから
それだけで、この上なく有能
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 19:57:42 ID:kXuoMh72
>>373
出したときは大抵負けてるね
例外は初使用の王国編VS遊戯かな
あと究極竜騎士の融合素材に使われたときとか


究極竜騎士は・・・カオスソルジャー無いから無理か
377名無しさん@お腹いっぱい:2009/03/11(水) 20:09:40 ID:v9ebOjLx
今さらですが、蒼の使い魔はバージルにルーン効果意味ねwww。
もともと武芸百般(いえ刀も格闘もこなしているし……)だし、どうも近代兵器(銃とか戦車など)はバージルの美学に反するから極力使わない気がする。
オーラバトラーみたいのなら使いそうだけど。
ダンテなら平気で使うだろうけど。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 20:15:45 ID:bc7HMXbl
>>233
亀だが聖女ルイズを見る限り元々ろくなもんじゃないと思われ
ども、お久しぶりです。所用により色々遅れましたが、書きあがったので一話投稿をば。
当方に投下の用意あり。
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 20:47:37 ID:bnQliUZP
>>378
まあ特にコンプレックス持ちじゃないエレオノールがああいう性格だから
正直ヴァリエール家というかあのオカンが育てると否応なく、気位が高くて癇癪持ちになるんじゃね?
それは決戦場だった。
血戦場だった。

――いや、処刑場だったのかもしれない。

闇が集う、闇が集う、闇が集う。
歪んだ/狂った/悶える/異形の闇が集う。

光が集う、光が集う、光が集う。
荒ぶる/吼える/嘲笑う/異形の光が集う。

全てが一つに混ざり合い、全てが一つとして重なる事が無い。
全てが否定しあい、全てが肯定しあい、全てが無に還る。
それはあらゆる万物の法則を無視した、純潔で醜悪な儀式。

そこにルイズはいた。それを人の認識では感知できない感覚で『観ていた』。
その儀式を銀河の果てで、銀河の中心で、宇宙の内側で、ガムの包み紙の外で『観ていた』。
それは、二体の巨人の、二体の神の、極限戦闘【エクストリームバトル】。
苛烈に/兇悪に/鮮烈に/衝突しあう、美麗な/邪悪な/神聖な/醜悪な/舞だった。
そして、舞は突終わり、二体は激突し、離れる。
光と闇の軌跡は、宇宙において完全なるシンメトリを描き、相対する。
そして、二体は鋼の手を伸ばし、ソレを掴み取る。

宇宙の奥底から=宇宙の外側から=宇宙の裏側から=宇宙の彼方から=宇宙の上部から
宇宙の逆から=宇宙の表から=宇宙の臓腑から=宇宙の皮膚から=宇宙の脳から=
宇宙の腕から=宇宙の瞳から=宇宙の夢から

→それを引きずり出した。

「――――――ッ!」
「――――――ッ!」

宇宙を破壊し、宇宙を再生し、宇宙を創生する、その祝詞は、意/威をもって紡がれる。
両者が掴む、歪な線であり、立体。
それは宇宙であり、それは宇宙でなく、それは万華鏡で、それは、それは――


*******
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 20:51:14 ID:tRDBgL2l
>>379
迎撃しちゃうと帰っちゃいますか?支援
「――ッ!?」
そこでルイズは無意識の奥底から目覚めた。
だが、開いた瞳に捉えるのは、塗りつぶされたような一面の漆黒。
「気づいたか?」
「クザ……ク?」
ひどく間近で聞こえる自分の使い魔の声。そう、吐息がかかるほど、近くに。鼻をくすぐる
香水の香り。女性がつけるような、芳しい匂いが鼻を突いた。
「ようやく、起きたようだな。怪我は無いか?」
言いながら、九朔がルイズの額を撫ぜる。それはルイズの怪我を心配してか優しい仕草で、
髪をかき上げ撫ぜる手は柔らかくて、それはまるで姉のカトレアを思い出すようで。
ちい姉さまと慕う彼女の笑顔がルイズの脳裏で鮮明に思い出される。それは女神のような
神々しさと穏やかさを兼ね備えた美しさで、何者の心さえ溶かすような温かさを持っていて。
ああ、そうだ。いつも魔法ができない自分の頭を撫でてくれてて――
「ルイズ?」
「……へ?」
――そこで我に返った。どうやら、また意識が何処かに行っていたようだ。これは恥ずかしい。
頬が真っ赤に染まるのを覚える。
「大丈夫か?」
「だっ……だだだ、だいじょぶよ!? うん、ぜんぜん大丈夫!」
「痛むところは、あるか?」
「う、ううん。平気、ばっちり、ぴんぴんしてる」
「そうか……。ならば、良い」
柔らかな物腰で九朔が呟く。どうにか気づかれていないようだった。
「ねえ、クザク」
「なんだ?」
暗闇の中で、九朔の手を借りて立ち上がり辺りを見回す。
「ここ、何処なの?」
「分からぬ。だが、我等はあそこから落ちたようだ」
「何処?」
「上だ」
「上? 真っ暗で何も……あ」
そこで、気づく。遥か頭上、それこそ小指の先のような、小さな、小さな、点。そこから
光が差し込んでいた。
その微かな光のおかげなのか、よくよく見れば、クザクの姿もおぼろげにだが視認する事
が出来る。
「嘘……。あんなところから落ちたの?」
「ああ、そのようだ」
「死ななかったのが不思議だわ……」
「運が良かったのだろうな。日頃の行いが報われたに違いない」
「でも、どうしたら良いのかしら。フライが使えたら、こんなところすぐにでも抜け出せるけど、
 でも、アタシ……」
落ち込むルイズの頭を、九朔は撫ぜた。その手つきは、やはり優しい。
「安心せよ。魔法が使えなくとも、抜け出す方法はありそうだ」
「え?」
そうして九朔が指差す先には、ぽっかりと空いた洞穴があった。
「トリステインの地下にこのような洞穴があるとはな……知っていたか?」
「ううん。こんなの、本でも見たこと無いわ……姫様から聞いた事も無いもの」
「姫様?」
「このトリステインの王女であられる、アンリエッタ様のことよ。言わなかったかしら?
 幼いころにはアタシ、姫様の遊び相手をさせていただいた事もあるの」
「……汝、貴族は貴族でも、実は相当に身分の高い家柄か?」
「当たり前でしょ、アタシ貴族だもん」
「…………」
ならば、常日頃のあの傍若無人な振る舞いは何だというのか。いや、それほどまでに高貴な
身分なのだ。その常日頃の鬱憤晴らしが必要な事もあろう。とばっちりを喰らう方はとんだ
迷惑千万なのだが。

――正義【ジャスティス】ッッ!

突然見目麗しい妙齢の女性が、その年に似合わぬミニスカートのコスプレで、しかも何故か
涙目でポーズを取っている姿が何故か浮かんだ。その周りには、生ぬるい目つきでそんな彼女を
見るミニスカメイド達と、微笑ましく、それこそ娘の成長を見守る親とでも言わんとばかりに
微笑ましい眼差しを送るウィンフィールドの姿が。
「クザク? もしかしてどこか痛むの?」
「いや……なんでもない」
疲れている、そう思うことにして九朔は今脳裏に浮かんだ姿を記憶から抹消した。
さらに洞穴は奥へと続く。
続く洞穴、不思議な事に奥に行くにつれて道が整備されているような気配があった。
進むにつれ、段々と道を塞いだ岩塊と土が減って行く。
「奇妙だな……」
「うん……」
吹き込む風が段々と肌で感じられるものになっていく。道幅はより広く、天井はより高くなる。
そして、道の先が急激に開けたかと思うや、その全貌が九朔達の眼前に現れた。
「え……!?」
驚きの声がルイズの口から漏れる。
ルイズの目に入ったそれは、文字通り果てしなく広い空間であった。
壁に刻まれた文字は淡く輝き、その空間を仄かな光で照らし出す。だが、その明かりを以てしても
その空間の端を見通すことができない。それほどまでに巨大であった。
「ルイズ、汝はこの場所の話を聞いた事が在るか?」
「ううん……さっきも言ったけど……知らない」
鋼の足場をくだり、その空間の真ん中へと向かう。歩くたびに、積もった埃が舞い、淡い光に
反射しては落ちる。その埃の量や、何年という単位でなく何十、何百年と言う単位で人が
入り込んだ形跡が見られない。
「もしかして、アタシって今、歴史的大発見の場に居合わせてるのかしら」
「………………」
だが、隣にいるはずのクザクは答えない。それどころか、隣にいなかった。
「クザク?」
九朔はルイズのはるか後ろ、淡く輝いた空間のただ中で突っ立っていた。
その姿、瞳に生は感じられず、まるでそこに人形があるだけのように見えた。
「クザク……?」
「……ン……ベイン」
そして、ルイズは卵がひび割れるような音を聞いた。

――ザザッ

九朔の姿が、擦れる。文字通り、後ろの風景が透けて見える。紅く染まる、世界。
九朔の姿が解けて/薄れて/消えて/なくなっていく。
「え!?」
驚き、目を擦る。自分の見ているものを信じられず、もう一度見直してみる。
「見間違い……?」
やはり、何もなかった。九朔が突っ立っているのは同じだが、姿が薄れていると言う事は無い。
消えてもいない。世界は紅に染まってなどいない。
「ふう……。ちょっとクザク、ぼーっとしてないでよ」
「……え?」
ようやく我に帰ったか、九朔がルイズを見る。
「だから……まあ、良いわ。それより、今さっき何て言ったの?」
「さっき?」
「だから、何か言おうとしたじゃない。えっと、なんだっけ。ほら、デモン――」

――GIIIIII’AAAAAAAAHHHHH!

咆吼が、空間を戦慄かせた。
地面が激しく揺れ、鋼鉄の壁が紙細工のようにへしゃげていく。異常に膨れ上がった壁面は
波となってルイズへと向かってくる。地面の中を何かが泳いでいるのだ。
「ルイズッッッ!」
「分かってる!」
同時駆け出す。遥か先に見える通路へと一目散に全力で疾走する。だが、先回りをしたとでも
言いたげに、鋼鉄の床を突き破ってあの巨大な蛆が再びその醜悪な頭部を曝け出した。
「ひっ!」
腐臭が鼻を突く、瘴気をまとった咆吼はなおも大気を戦慄かせる。鎌首をもたげ、汚濁した
唾液を口腔から滴らせる蛆。ここで終わりなのか、眼の前が暗くなるようだった。
だが、ルイズを背に隠し、九朔が前へ出る。
「九朔……?」
九朔は答えない。激しく脈打つ心臓、鼓動はけたたましく、しかし心は何処までも静寂。
九朔の中で術式が組み立てられる。それは邪悪を討ち、魔を断つ外道の智識。
しかし、今の九朔はそれを知る術も、その意味も知らない。
だが、彼の二重螺旋に深く刻まれた【記述】がそれを可能にしていた。
破壊され失われた断片が、九朔の中で再構築され、意/威となる。
親指の皮を噛み千切り、傷口から真紅の熱が――血液があふれ出す。
「血こそ我が存在。我が魔力の証明。我が魔術の源泉……」
少女と見紛うほどの整った顔が、激しい憤怒相を纏う。しかし、その美しさは失われない。
あふれ出した血液は空に解け、鮮血はたちまちの内に血霧と化して蛆の周囲に満ちる。
呻きの叫びをあげる蛆、それを見てルイズが驚きの表情を浮かべる。
「く、九朔!? あんた、今、何を……!」
「ルイズ」
「え?」
「我の合図と同時に、奴へ魔法を叩きつけろ」
「でも……今の……」
有無を言わさぬ響きだった。しかし、失敗魔法しか撃てない自分に何をしろというのか。
「後で話す。今、汝にしかできぬ事があるのだ。頼む」
その響きは自分へ完全な信頼を置いてくれていた。誰にも頼られなかった自分を頼ろうと
してくれていた。ルイズに行動を起こさせるのに、それは充分すぎる理由となった。
「――分かったわ!」
「よし……ならば、駆けろっっ!」
「え!? あ、うん!」
再び疾走、それも蛆に向かって。
「ちょ、ちょっと!?」
蛆が向かってくる二人を見定め、怒りの叫びをあげる。もたげた鎌首が大きくのけぞった。
「飛び込むぞっっ!」
「へ? あ……きゃああ!」
ルイズの手を掴み、九朔は蛆の真横を跳んだ。同時、のけぞった巨体が薙ぐ様にして鋼鉄の
床を抉る。

――ゴォッッ!
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 20:53:47 ID:wsEDwIpy
支援
激しい地響きを立てて抉られた鋼鉄の床は宙を舞う。まさしく紙細工のように引き千切れ、
床へ激しい音を立てて叩きつけられる。
「あ、危なかった……!」
「走るぞ!」
間一髪助かったが、すぐさま再び駆け出す。そして、その先にあるのは、またも通路。
後ろでは蛆がその巨体の全容を曝け出し、身体を蠕動させて向かってくる姿が。
「クザク! どうするのよ!?」
「まだだ!」
走る、駆ける、疾走る、疾駆する。全力で、通路へ向かう。
そして――
「つ……着いたっっ!」
「良し――」
振向くと、凡そ200メートル先、広大な空間に紅の羊膜に包まれた蛆が。
「――今だっっ!」
九朔の合図、それが撃鉄。九朔の言われたとおりに編んでおいた魔法を、ルイズは蛆へと
向けた。
「ファイアボールッッ!」
だが、放たれるのはその名の通りの魔法ではない。彼女の好敵手である少女が操る魔法は炎球、
だがルイズが放つのは失敗魔法と呼ばれる威力――――爆発だ。
血霧の中で起きる爆発は引鉄、血液が魔学反応を起こし、相乗し/連鎖し、強大な爆発を
引き起こす。

――GURRRRRRRRRRRRRYYYYYYYYYYYYYAAAAAAAAAAAA!

血の彩の爆炎と爆風が、ルイズの失敗魔法を巻き込んで蛆の肉体を食い千切った。
壁に刻まれた刻印の緑と相反する色合いの紅が、巨大空間内で混ざり合う。
蛆は、己を焼く炎と混ぜ千切る爆発によって激痛の咆吼を上げて悶えた。だが、

――GRRRRRRRRRRRRRRRRRRRROOOOOOOOWWWWWW!

それは未だ致命ではなかった。自分を傷つけ滅そうとした憎き怨敵を蟲の感覚器官で捉え、
突進を行なう。蠕動する焼けた屍蝋色は激しい爆音を伴ってその巨体を九朔へと向かってくる。
「クザクっ!?」
「――ならば!」
再び、今度は足元に跳んできていた鉄片で腕を斬りつけ九朔は鮮血を噴出させる。
脳内で、魂で、術式を編み上げる。
編み上げた式はすぐさま威へ、転換/昇華され、蛆へ放たれる。血霧は再び蛆を覆う。
瘴気を纏った咆吼が大気を腐らせる。だが、意に介さない。
手に持つ鉄片に【意】を込める。だが、足りない。まだ、存在力(リアリティ)が足りない。
「クザクッッ!」
ルイズの叫び声が聞こえる。だが意に介さない。
鉄片へさらに【威】を込める。イメージする、それは書の頁(ページ)が焼ける様。
式は高密度に編み上げられ、錬度は著しく高められ、純化した魔力が込められる。
圧倒的な存在力【リアリティ】を構築する。血に/二重螺旋に/記述に刻まれた魔術情報が
検索/ヒット/転送/顕現を行なう。鉄片は魔術文字へ分解、新たな組み合わせに
編み上げられる。
星気領域を超え、霊的境界を越え、世界を超え、そこに在らざる可能性を顕れせしめる。
「来い……来い、来い、来い、来い―――――来たっっっ!」
そして、遂に術式は完成する。組み上げられた魔術式、それはスピードローダー、リボルバー弾。
込められた刻印、それの意味は知らない。だが、その威は識っている。
距離は100と少し。巨大な蛆はなおも近づく。
「クザクッッッ!」
悲鳴にも近い叫びをあげるルイズ。だが、意に介さない。

――GRRRRRRRRRRRROOOOOOOOWWWWWWWWWWW!

目標、巨大蛆。
放つ、銃弾を。
人狼(ワーウルフ)の心臓を打ち抜く銀の銃弾をイメージ。
撃つ/討つ、指弾の要領で、
「Blast Blood――【血は、灼け】」
魔力を込めて弾く。
衝撃、銃弾は一直線。
輝く刻印は汚濁した咆吼を切り裂き、血霧を突き抜け、そして。
「Warcry――【爆ぜる】ッッ!」

――爆裂した。

「――――――――ッッッッッッッッッッッ!」
音にもならない大音響が、蛆の口腔/爆発から放たれた。魔炎は濃密な血霧と魔学反応、爆炎は
鋼鉄すら溶かしつくす炎量と高熱を発し、蛆を一片すら残さぬほどの紅蓮と化する。
だが、突進した巨塊はベクトルに従いその動きを止めない。
「いかん!」
瞬時、判断。ルイズの手を引き通路の奥へ疾駆/跳躍。

――ゴォッッッッ!

大激突。焼けた蛆の肉が通路へとめり込み、そして崩れた。だが、それまでだった。
蛆の屍蝋色の肌を舐める炎は一切の慈悲もなくその芯まで焼き尽くした。
沸騰する穢れた血液は瘴気すら残すことなく紅蓮によって浄化される。
跡に残ったのは崩れた洞穴、それのみだった。蛆の存在は跡形もなく消滅したのだった。
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 20:55:21 ID:tRDBgL2l
支援
「……なんだったの、あれ」
「妖蛆だ」
「え?」
「ある呪文を繰り返し己の肉体を蛆に分解し、乗り移り、他人の身体を乗っ取る」
「何よ、それ……」
もはや明かりすらない道を、どうにか進む。かすかに吹く風だけが、出口への頼り。
「おぞましい儀式だ。だが、あれはそれですらない。改変された、改悪された、異形だ」
自分の使い魔がいっている事が理解できない。だが、分かった事がある。
「クザク……もしかして、記憶が戻ったの?」
「…………ああ、少しな」
暗闇の中、自分の手を引く彼の手が、強く、だが優しく握り返してきた。
「あれは邪悪だ。決して人々の世界にあってはならぬものだ。存在すら許されぬ邪悪だ。
 故に我は闘う。故に我は騎士だ。だが――なんだ」
クザクの笑う声が、暗闇で響く。だが、それは決して嘲笑うものでなくて清く正しいもの。
「まあ、実のところ。今の我が騎士を名乗るのは心構えでしかないのだがな?」
「何よ、それ……」
「簡単な話だ。我は結局のところ、ただのガキでしかないということだ」
「意味わかんない」
「それは良かった。我も分からん」
「くすっ……あははっ」
「ふっ……」
ルイズも笑い声を漏らす。緊張が解けたからか、はたまた、心からのものか。そういえば、
この使い魔に何か聞かなければならなかったことがあった気がする。
――いや、そんなことはどうでも良いだろう。今は生きているこの事実だけで充分だ。
「それにしても良く歩くな、今日は」
「ほんとね。災難続きでもうヘトヘトよ」
お互い、見えぬ闇を進む。握り合う手だけがお互いの存在を確かめる。
そして、遂に――
「光だわ……」
「ようやく、ゴールか……」
地上へと、行き返る。光在る世界への帰還だった。
崩落した鋼鉄通路の奥、巨大な空間は静謐に包まれていた。蛆の灼けた匂いは未だ燻り、
魔術刻印は淡く、穏やかに、呪術的脈動を打って輝いている。
その光の中、壁に刻まれた文字が照らし出されている。
だが、それを読む者も、その意味を知る者も、此処にはいない。
否、凡そその言葉を理解できる者はこのハルケギニアはいない。
なぜならば、それは彼らとは違う言語で書かれていたからである。
その淡く輝く光の中で、だが、その黯黒の女だけは読むことが出来た。
燃える闇を纏い、燃えるように輝く三つの瞳を持つ、暗闇よりなお冥い女。
彼女の名を名乗る者はいない。彼の真の名を知る者はここにはいない。
それは、知性を持つ全ての存在が持つ言語を以てしてもその存在の一片たりとも言い表す事が
出来ない存在である。
それは無貌にして千の貌、黒のファラオであり膨れ女、それは厭わしき嘲笑で世界を眺める
道化師、それは変幻自在の躰を持つ宇宙的悪意。
彼/彼女/それ/あれ/ダレ/これ/オレ/アタシ/はニアーラという貌【アバター】を
今だけは捨て去ってそこに宇宙的角度で立り、その名を曠野の眼でなぞる。
そこにあるのは愛、だが、悪意しかない。ソレは観客がいないのにもかかわらず、人が
認識しうる位相に再びその存在を変じさせ、それが愛する矮小な人間が最も良く知る女の姿を
とり、物理的法則に基づいて地面に降り立った。
「ああ、ああ、やはり騎士殿は僕が見込んだとおりだったよ。さすがは君の/彼女の、息子だ。
 いつもどおり用意されたイベントを正しくこなし、いつも通りヒロインをエスコートしてくれる」
女は、かつてナイアと呼ばれた女は心地よさげな表情を浮かべて踊る。踊る。
「ああ、ああ、やっぱり僕は彼が大好きだ。僕を討ち、僕を滅ぼし、僕を斃しただけあるよ。
 ちっぽけな人間だからこそ、ちっぽけな人間だからこそ、楽しい、嬉しい、ワクワクする!」
狂ったような笑い声をあげる。いや、最初から狂っている。狂っているという表現自体が
間違っている。そのような人間の稚拙な表現はこの邪神にはあてはまらない。
「ああ、ああ、愉しみだ。この先が、これからが、愉しみだ! 玩弄者(ゲーミキーパー)に
 して道化師たるこの僕の心を掴んで離さないよ! そうだろう? そう思わないかい?
 だが、これからなんだ。ようやく第一幕開演だ。君はどう思うかな? ねえ――」
そして、女の容が愉悦の余り崩れ落ちた。そこから溢れる闇、黯黒が淡く輝く空間を飲み込む。
黯黒に燃えるように輝く三つの瞳がその黯黒に産まれる。そして、無貌はその名を読み上げた。
人に認識できない、宇宙的発声で、読んだ。愛しき敵を、憎き恋人を。彼らの剣を、読んだ。
その刻まれた文字、その刻まれた語、その刻まれた意/威。それは、その名は

――DEMON BANE【魔を断つ剣】
投下終了。
なんだかデルフを出さずにここまでやっちゃったけど、デルフは出します。
おマチさんが手に入れた魔導書、大体のお方ならもうお分かりのはず。
まあ、どうなるかは今後次第という事で。

それでは
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 20:59:25 ID:yFXiMJG8
支援
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 21:00:34 ID:bc7HMXbl


ナイアさんは相変わらずだなあ
まあ元ネタからして人間いじりが好きでしょうがないお方だけど
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 21:48:54 ID:LkjGja1c
双剣様乙!
同じデモベ書きとして、更新を心待ちにしておりましたw

そして羨望しております……オレヨリイイ文章書キガッテ……アア、プレッシャーデ胃ガ……
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 21:55:09 ID:YVVdjAAR
だって新宿で旦那と子供作ってるし<ナイアさん

芸術家系統のキャラって誰か召喚してたっけ?
写真のないハルケギニア世界で、ルイズや仲間達の思い出を肖像画として残す、とか。
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 22:02:17 ID:ymvi2cmu
確か裸の大将が呼ばれてたような。
ここだったかは忘れたけど。
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 22:20:34 ID:tNoIfEO6
>365
>366
まさかそれするためにタルブに十代を・・・
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 22:22:25 ID:xNExkxqU
はいネタ潰し完了!
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 22:31:14 ID:jruRdzHb
魔法使い系といえば
「まほうよ、まほうよ生まれておいで」←このキャラは呼ばれた?マイナーだけど
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 22:35:27 ID:k8BMpi2W
>>396
芸術家召喚か、「足洗邸の住人たち」から福太郎とかあったらいいな。

>>400
たしか、「み〜ふぁ〜ぷ〜」で・・・「ふぁんふぁんふぁーましー」だっけ?
それよりヘリたこプーちゃん呼ぼうぜ!!
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 22:45:20 ID:jruRdzHb
>>401
ヒデェwぽぷり可愛いよぽぷり
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 22:55:43 ID:KyPJNe4W
>>401
足洗邸の住人なら味野さんあたりが後腐れなく使い魔やってくれそうだな。
もしくは十三太保とか
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:14:46 ID:cGzyIelu
味野のじーさんボケてるからなー
ガシャドクロならガルガンチュアモードでサイトと同時召還→アルビオンでサイト共々死亡→サイトの遺骨を核に復活という燃える展開が……
405名無しさん@お腹いっぱい:2009/03/11(水) 23:17:40 ID:v9ebOjLx
>>396
ナイアさんでいいのか?この場合は?
彼女も召還という作法並みに使いやすいから困ります。というか召喚されたのできましたといっても全く問題ないし。
でもあの話だと上司(アザト閣下)が圧倒的に上だけど、ウィキでは同レベルの実力があるというのを聞いた。
その上でほかの旧支配者をあざけっているらしい。
もっとも召喚されたらルイズのコンプレックスに付け込んで様々な外法を教えそう……。
といか実際はそういう存在だからな、扱いにくいマジで。
406日替わりの人 ◆VZdh5DTmls :2009/03/11(水) 23:32:58 ID:u//sdvX5
 皆さんお久しぶりです。
 色々ありまして、なかなか執筆の時間が取れませんでした。以前は一ヶ月かけて3話溜めてられたのが、今回は二ヶ月かけてやっと1話……なんでしょうね、この遅筆は。前回までと違って、コメディ分が激減した回になったのが原因かもしれません。
 ともあれ、ようやっと5話ができましたので、23:45より投下します。8レス消費予定。結構シリアス分多くなってるので、その辺承知でお願いします。

 今回読むに当たってのヒント:DQ5はDQ4の数百年後の世界という設定らしいです。
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:36:28 ID:DrBeRwnU
あかん耳が聞こえん支援
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:36:50 ID:wsEDwIpy
>>401

足洗邸か…
医者とかお嬢様とかクロノス呼んだら面白いかも。絶対に従わないと思うけどww
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:38:04 ID:wsEDwIpy
失礼しました。支援!
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:38:34 ID:l0pPG6p3
待ってました、支援。
あと投下宣言はダブルブッキング防止目的がメインなので
そんなに早くしないで5〜10分程度前にすれば十分ですよ。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:39:49 ID:u+zAlgty
支援せざるをえない
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:43:18 ID:9zmLfUM/
なげー支援時間なげー
 
「いっけ〜! プックル!」

「ガウッ!」

「ちょ、ちょっと、もっとゆっくり……!」

 トリステイン魔法学院から、王都トリスタニアへと続く街道。その道の上を、レックスとルイズを背に乗せたキラーパンサー――プックルが、元気に駆けていた。
 プックルの出すスピードに、ルイズは振り落とされまいと必死にレックスにしがみつく。そんな二人と一匹を、後ろを行く馬車はのんびりと追いかけていた。

「プックルー。あんまり先に進みすぎるなよー」

 御者席に乗るリュカは、長年連れ添った相棒に向かって釘を刺す。そんな彼の隣では、娘のタバサが「むー」と頬を膨らませながら、不機嫌そうにレックスを睨んでいた。

「お兄ちゃんの後ろは私の席なのに……」

「ん? どうしたの、タバサ?」

「なんでもありませんっ!」

 リュカの問いかけに、タバサはぷいっとそっぽを向く。そんな娘の様子に、リュカはやれやれと肩をすくめた。
 と――

「あらあら。リボンのタバサちゃんは、お兄ちゃんにお熱なのかな?」

 彼らの後ろから、からかうような声が聞こえてきた。リュカがそちらに視線を向けると、馬車の幌の中に燃えるような赤髪の女性――キュルケがいた。
 その隣では、もう一人のタバサ――キュルケいわく、『メガネのタバサ』――が、黙々と本を読んでいる。ちなみに彼女の使い魔である風竜のシルフィードは、今は幌の上で丸くなってあくびをしていた。
 ちなみにこの馬車、リュカが用意したものである。馬車を引く白馬の名はパトリシア――だが、幼生とはいえドラゴンのような巨大生物が幌の上に乗っかってる馬車を苦もなく引っ張るその膂力は、並の馬のものではない。
 まあもっとも、馬車ごと高所から飛び降りても平然としているような馬である。初めて見るルイズたちはともかく、リュカにとってはそんなパトリシアのパワーも、言ったところで今更な話であった。

「ところで、なんで君たちまでいるの?」

「あらダーリン。私たちがいちゃ邪魔?」

「そういうわけじゃないけど……あと、そのダーリンってのはやめてほしいな」

 リュカはそう言いながら、こめかみに一筋の汗を垂らしながら、隣の娘を見る。彼女はじとりとした視線を父親に向けており、その瞳は「お母さんに言いつけるから」と如実に語っていた。
 キュルケもそんなタバサの様子に気付いたのだろう。苦笑を漏らして肩をすくめると、あっさりと矛を収めた。

「……ま、本当のこと言っちゃったら、あの子のためってところかしら」

「あの子?」

「ルイズよ。あなたが子供二人連れて来たら、ほとんど家族旅行じゃない。そこにルイズ一人だけ放り込んでみなさいな」

 その言葉に、リュカは得心がいった。つまり彼女は、リュカ親子の後ろでルイズが一人で歩くといった光景が出来上がらないよう、気を遣ったというわけだ。

「……なんだかんだで、あの子のことは気に入ってるのよ。表面上は衝突ばかりしてるけどね」

 言って最後に、「ルイズには内緒よ」と苦笑しながら付け加えた。
 いわゆる、喧嘩友達といったところか。ルイズの方がどう思ってるかはともかくとしても、彼女は良い友人に恵まれているらしい。
 そんなキュルケの気遣いを見ながら、リュカはふと昔馴染みの悪友を思い出した。やんごとない身分の彼も、一見好き勝手に振る舞っているように見えて、かなり細かいところまで自分を気遣ってくれていたものだ。
 そんな彼も、今や一国の王兄である。互いに忙しい身なので、最近はろくに会ってもいないのだが――たまには暇を作って会いに行くのもいいかもしれない。酒の席でも設ければ、互いに日頃溜まっている愚痴を言い合って盛り上がることだろう。
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:47:08 ID:zENwrOY9
>>406
DQでの繋がりは公式には1〜3のみ。
それ以外はファンの妄想か堀井が直接関わっていない作品の設定ですよ。
少なくとも絶対ではありません。

待機
 
 そんなことを思いながら、リュカは前を行くレックスたちに視線を向ける。「家族旅行……か」などと、先ほどのキュルケの言葉を小声で反芻した。

「これでフローラもいれば、確かに家族旅行だね」

「そういえば、フローラさんはどうしてるのかしら?」

「今回は同行を見送ってもらったよ。おととい、医者に無理な運動を避けるよう言われてね」

「あら? ご病気?」

「いや、そういうわけじゃない。二ヶ月って言われて祝辞を述べられただけだよ」

「それって……」

 リュカの回りくどい言い回しが意味することに気付き、キュルケはわずかに顔を赤らめた。なるほど、確かにそれでは無理な運動を禁止されるわけだ。リュカもこの顔で、やることはきっちりやっていたということか。
 と――そこで、キュルケは思い出す。リュカが二人の子供を紹介した際に、まず最初に抱いた疑問を。

「ねえ、ところで……リボンのタバサちゃんは、何歳なの?」

「11歳よ。お兄ちゃんとは双子だから、歳は一緒」

「じゃあ……ダーリンは何歳なわけ?」

 言って、疑惑の眼差しをリュカに向ける。キュルケの見たところ、彼はどう見ても二十台前半……下手すれば20歳前後にすら見える。フローラにしたって、同じぐらいだ。
 そんな二人に11歳の子供がいるとなると、一体何歳の時の子供なのだろうかと思うのも無理はない。歳の離れた兄弟と言われた方が、まだ納得できる。
 そんなキュルケの疑問に、リュカは「だからダーリンはやめてくれって……」と苦笑しながら前置きし、答える。

「30……だね。レックスとタバサは、僕が19歳、フローラが18歳の頃の子供だから」

「にしては若いじゃないの。あなただけじゃなくて、フローラさんも。どうしてそんなに若くしていられるの? 何か秘訣があるんだったら、是非聞いておきたいわ」

「はは……ろくな手段じゃないよ。お勧めできない」

 と、リュカは苦虫を噛み潰したような顔を無理矢理笑顔に変えているようなぎこちない苦笑で、その問いに答えた。まさか、自分は八年、妻は十年、石になってました……などと言えるはずもない。
 と――

「こらー! ツェルプストー! あんたなに人の使い魔にしなだれかかってんのよ!」

 馬車の前方からそんな怒声が響き渡り、奥で本を読んでる方のタバサを除いた三人が、そちらに視線を向けた。
 声の主は、案の定ルイズだった。プックルの背にまたがり、レックスの腰にしがみついたまま、物凄い形相でこちらを睨み付けている。一方でレックスの方はといえば、そんな怒声をぶつけられている自身の父親に向けて、クスクスと失笑を漏らしていた。
 しかしそんな抗議を受けても、キュルケはどこ吹く風とばかりに平然としていた。それどころか、更にリュカに体を密着させ、ルイズに嘲笑を向ける。

「あ〜ら、ヴァリエール。私が何をしようが私の勝手じゃない。あんたにいちいち口出しされる謂れはないわよ?」

「下品なあんたが誰とサカろうが別に構わないけど、それは私の使い魔なの! 今すぐ離れなさい! いえ、帰りなさい今すぐ! そもそもどーして一緒に来てるのよ!」

「それこそヴァリエールの知ったところじゃないわよ。なあに? 悔しいの? 色仕掛けができないお子様体型だから、羨ましいのね?」

「お、おおおおおおお子様体型!? いいいいいい言うに事欠いて、お、お、お子様体型ですってぇぇぇぇ!?」

 怒り狂うルイズと対照的に、キュルケは余裕綽々といった態度である。その温度差が更にルイズの神経を逆撫でし、一方でキュルケの方は、叩けば響くその反応に笑いが絶えない様子だ。
 そんな二人に挟まれ、リュカは口を挟むこともできずに頬に一筋の汗を垂らしながら、ただ成り行きに任せている。
 その隣にいるタバサはと言うと、たわわな胸を押し付けるキュルケから離れようともしない(実際は動くに動けないだけだが)父に、ただ冷たい視線を向け――

「お父さん……不潔」

「うぐ」

 最愛の娘の言葉のナイフが、リュカの臓腑を抉った。
 
 やがて一行は、首都トリスタニアへと到着した。

 街に入る前に、馬車、プックル、シルフィードを街の外で待機させる。リュカがプックルに「じゃあ、頼むよ」と言うと、プックルは心得たとばかりに「がう」と一声鳴いて応え、街へと入るリュカたちを見送った。
 ルイズたちの級友の方のタバサも、彼に倣ってシルフィードに「お留守番」とだけ告げると、シルフィードは「きゅい……」と寂しそうに鳴いた。だが、いちいち構ってもいられないので、彼女は取り合わずにリュカたちの後を追う。

「で、どこ行くの?」

「とりあえず、適当に見て回りましょうか」

 先を行くリュカとルイズは、そんな会話を交わす。更にその先では、リュカの子供二人が物珍しそうに周囲を見回していた。まんまおのぼりさんである。
 そんな子供たち、そしてリュカを見て――タバサは思う。彼らはいったい何者なのだろうか、と。

(……怪しい……)

 彼女がリュカたちを気にかけるのは、興味などではない。危機感である。今回同行したのだって、友人であるキュルケの付き添いという意味以上に、彼らの正体を探るという目的が大部分を占めていた。
 つい先日までは、彼らに対して危機感など欠片も感じていなかったタバサである。リュカ本人や彼が連れてくる幻獣たちは、奇妙奇天烈ではあるものの、基本的に悪意のない存在たちであった。それをいちいち警戒するほど、タバサも酔狂ではない。
 にもかかわらず、今日になって唐突に危機感を抱き始めた理由――それは、今現在先頭を行く双子の片割れにあった。そう、自分と同じ名前の少女である。

 ――タバサという名前。そして青い髪。

 このハルケギニアにおいて、青い髪を持つということは、それだけでガリア王家の血を引いているということを主張する材料になる。それが可能になるほど、青い髪というのは珍しいものであるのだ。
 そしてそんな青い髪を持つ双子。しかもその片方は、タバサと名乗っている。自分が今現在名乗っている、偽りの名前と同じ名前。その青い髪が示す通り、ガリア王家の血を引く彼女は、とある事情によって本名を捨てていた。
 こんな偶然、あるのだろうか? タバサの思考は、疑心暗鬼に囚われる。彼らは実は『敵』の間者で、あの娘は「お前のことは全部知っている」という脅迫じみたメッセージなのではないか、と。

(……でも、そんな必要、ない)

 そこまで考え、しかし彼女は即座に自身の疑念を否定した。
 あえて自ら『敵』の手駒となっている自分である。そして、『敵』はそれを承知の上で、自分を手元に置いている。ゆえに、自分の全てが向こう側に筒抜けであることは、こんなメッセージを送られるまでもなく、最初からわかりきっていることであった。
 ならば、本当にただの偶然なのか? それとも、何らかの思惑があって自分に近付いたのか? 疑念は晴れず、尽きず……ならば、それを見極めなくてはならない。

 ――タバサは視線を鋭くし、前を行く双子を見る。

 彼らの身なりは、貴族と言っても通用するほどに整ったものだ。のみならず、有事の際にあの服のままで戦闘行為に及んだとしても、おそらく動きを阻害されることはないだろう。その程度の機能性があの服にあることは、一目で見て取れた。
 さらに、兄が背負った剣、そして妹の持つ杖――どちらも共に、飾りなどではないどころか、ただ優秀な武具なだけですらない。
 あれらの武器はただ事ではない……そう思わざるを得ない雰囲気をタバサは感じた。武具そのものからオーラじみた圧力を感じることなど、彼女にとっては初めての経験である。しかもあの二人はそれを平然と受け止め、当たり前のように所持している。
 まあそれらの話を総合し、つまりどういうことかと言うと―― 一言で言ってしまえば、あの双子は只者ではないということである。幼いからと言って、油断できるような相手ではない。

 そんな警戒心を内に秘めたポーカーフェイスで、タバサは彼らを観察するが――



「だーかーらっ! あんたがちゃんと使い魔やればいいだけの話でしょーがっ!」

「おぐぅっ!?」

「「お、お父さーんっ!」」



 いったいどんな話の流れからか、股間を蹴り上げられて悶絶するリュカと、慌ててそれに駆け寄る双子を見ながら。
 ……タバサは胸中に秘めた緊張感が、駄々漏れになって抜け落ちるのを感じていた。
 
「あれ?」

 トリスタニア一の大通り、ブルドンネ街――所狭しと並んでいる露天商を見ながら唐突にそんな声を上げたのは、先頭を行くレックスであった。彼は串焼きの串を行儀悪く咥えたまま、通りの脇に視線を固定していた。

「お兄ちゃん、どうしたの……って、ちょっと!?」

 その様子に、妹のタバサが訝しげに尋ねたが、彼はその問いが聞こえた様子もなく唐突に走り出す。
 慌てて兄の後を追う妹。後ろを付いてきていたリュカたちも、頭上に『?』マークを浮かべながら互いに顔を見合わせ、とりあえず二人の後を追うことにした。
 ブルドンネ街を外れ、狭い路地を行くこと数十秒――ブルドンネ街ほどではないがそこそこ広い通りに出た彼らは、そこでようやっとレックスたちに追いつく。
 どうしたのか、とリュカが問おうとした、まさにその時――

「ターク!」

 レックスが声を上げ、その先にいた小さな人影が「ん?」と振り向いた。
 ほとんど二頭身に近い、冗談のような体型。一見して鎧とも見える、硬質の皮膚。頭から生えた二本の角。お気楽に半開きになっている口に、そこから覗く二本の牙。
 どこからどう見ても亜人としか形容できない彼の背には、一本の槍が背負われている。レックスの後ろにいたリュカとタバサは、その姿に「あ」と声を上げた。
 そう――それはまさしく、かつてリュカたちと共に旅をした自称エスタークの息子、タークであった。その両隣には、おそらく神官か何かであろうと思われる服装をした二人の男がいる。

「おや、誰かと思えばレックスじゃないか。それにリュカとタバサまで。奇遇だねー」

 タークはいまいち感情の掴めない4ドットの瞳をこちらに向け、問いかけてきた。その軽い調子に、レックスは一瞬言葉を失う。

「奇遇って……それで済ませられるの? なんでタークがここにいるのさ」

「それはこっちの台詞だよ。ここはオイラたちの世界とは違うんじゃなかったのかな? どーやってこっちに来たのさ」

「僕がサモン・サーヴァントで呼び出されて、レックスたちをルーラで連れてきたんだよ」

 問い返してきたタークに答えたのは、レックスではなくその後ろにいたリュカだった。タークはその返答に、「なるほどー」といまいち何も考えてなさそうな様子で頷く。

「ってことは、オイラと一緒かー」

「タークも?」

「そーそー。ロマリアってところの、なんか偉そーな人間に召喚されちゃった」

「ロマリアっていうと確か……大臣や通りすがりの勇者に軽々しく王位を譲って、自分はモンスター闘技場で遊び呆けてる人が王様やってる、あのロマリア?」

「そーそー……って、何言ってるんだい、キミは」

 妙な電波を受信したリュカに、タークのノリツッコミが綺麗に決まる。それは同シリーズの別世界です。
 と――

「ねえ、リュカ……知り合い?」

 彼の背後から、ルイズがおずおずと問いかけてきた。リュカが振り向いてみると、キュルケも同じような顔をしている。その後ろにいる自分の娘じゃない方のタバサは、相変わらずのポーカーフェイスだが。
 そんな彼女たちに、リュカは苦笑を一つこぼし、軽くタークを紹介する。かつて旅を共にした仲間で、実力は折り紙つきである――と。

「へぇ……とても強そうには見えないけど」

 などとつぶやきながら、ルイズはタークの両隣にいる二人の神官に視線を向けた。
 彼が召喚されたと言っているロマリアは、ブリミル教の総本山である。ならば神官が傍にいるのも、不思議な話ではない。
 ルイズは最初、この神官たちのどちらかが主人かとも思ったが、どうも違うような気がする。無駄な口を開かずに佇むその姿は、むしろ従者のような雰囲気だった。
 使い魔とはいえ、たかが亜人に二人も従者を付けるとなると、なるほど彼の言う通り、その主人は偉い――位の高い人間なのだろう。だがそうなると、疑問が浮かぶ。ガリアを挟んで向こう側にあるロマリアから、わざわざトリステインに一体何の用事なのか――と。

「ああ、そうだ! リュカ、レックス、面白いもの見つけたんだ!」

 が――ルイズのその疑問は、口にするより前にターク自身の口から語られることとなる。
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:54:22 ID:DXoTa5Xn
sien
 
「面白いもの?」

「せっかく見たこともない場所に来たんだから、どんな武器があるのかって探してたんだけどさー……なかなかオイラの眼鏡に適うやつが見つからなくって、とうとう国一つまたいでこんなところまで来ちゃったよ。
 でも来た甲斐があってね――ほらこれ!」

 どうやら彼は、武器を探してはるばるここまで来たらしい。たったそれだけでここまで来る使い魔もたいがい酔狂だが、その酔狂を許す主人も主人である。ルイズもその後ろにいるキュルケも、一度その主人の顔が見てみたいと本気で思った。
 ともあれ、タークがそう言って取り出したもの。それは――

「おいおい、俺は見せ物じゃねーぜ? 今回の『使い手』は、随分お気楽な奴だなぁ……」

「わっ、剣が喋った」

 ――人語を話す、錆だらけの片刃剣であった。それを見るなり、レックスが軽く驚嘆の声を上げる。

「インテリジェンス・ソードじゃないの、珍しいわね。すっごいボロっちいけど」

「このデルフリンガー様を捕まえてボロとは何だ!」

「事実じゃないの」

 レックスとは違ってさしたる驚きも見せず、ルイズが遠慮なしの厳しいコメントを口にした。剣――デルフリンガーは激昂するが、ルイズはその抗議をさらりと流した。
 そんなルイズに、リュカとその子供達は、「インテリジェンス・ソード?」と尋ねた。持ち主を選ぶ天空の剣のように、意思らしきものを持つだけの武具ならばいくつか見たことはある。だが、人語を喋るまでに至っているものは、彼らの世界にはなかった。
 そんな三人に、ルイズは「しかたないわね」と言って、インテリジェンス・ソードの成り立ちを簡単に説明する。いわく、誰が何のために始めたのか知らないが、この世界にはメイジの作った『意思を持ち人語を解する武器』がいくつかあるという話だ。
 もっとも、ルイズ自身も知識としては知っていたが、見るのは初めてだそうだ。中には特殊な能力を秘めているインテリジェンス・ソードがあるとかいう噂もあるが、真偽の程は定かではない。
 ともあれ、目の前にあるデルフリンガーも、そんなインテリジェンス・ソードのうちの一振りなのだろう。

「ふーん……ま、確かに珍しいと言えば珍しいけど」

 そんな会話の中に、キュルケが入ってきた。彼女はタークの持つデルフリンガーを見て、次いで彼の背にある槍を見る。

「私としては、喋るだけの錆びた剣よりは、あなたの背中にある槍の方がよっぽど凄い業物に見えるけど」

「あ、わかるー?」

「……まー、そりゃ俺はこんなんだし、コイツの槍は即死の魔力がかかってるよーなとんでもない槍だけどよ」

「即っ……!?」

 デルフリンガーの「とほほ」というため息が聞こえてきそうなぼやきに、しかし聞いていたキュルケはその物騒な内容に思わず絶句する。
 その槍の名は、デーモンスピア。かつてタークがリュカと共にいた頃、愛用していた槍である。もっともこの槍は、そんな物騒な特殊能力に頼るまでもなく、それ自体が相当な威力を秘めているのだが。
 と――

「ターク様……」

 その段になって、それまで黙っていた神官たちが、唐突に口を開いた。彼らはたしなめるような視線をタークに送っている。
 その視線を受け、タークは頭上に『?』マークを浮かべて小首を傾げ――ややあって、「ああ」と何かに思い当たった。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 23:57:11 ID:zENwrOY9
支援
 
「そろそろ時間?」

「せ……『あの方』がお待ちになっております」

 何かを言いかけ、曖昧な呼び方で言い直す。その態度から、彼らの言う『あの方』とやらが相応に身分の高い者であり、ここに訪れているのもお忍びか何かの内密な行動であることが伺える。
 それにしても――と、ルイズもキュルケも思う。いくら身分の高いメイジの使い魔だからとはいえ、神官が亜人に頭を垂れている姿は、一種異様な光景に見えた。

「そっかー。久しぶりに会ったんだから、もう少し話していたかったけど」

「これ以上わがままをお言いになられますな」

「それもそーだね。じゃーリュカ、レックス、タバサ。名残惜しいけど、またねー」

 言って、タークは手を振ってリュカたちに別れを告げた。リュカたちもそれに応え、「またなー」と気軽な様子で手を振り返している。タークはそのままリュカたちに背を向け、神官たちを伴って去って行った。
 そんなタークを見送り――

「じゃ、僕たちも行こうか」

「そうね」

 促したリュカの言葉にルイズが頷き、ブルドンネ街へと戻ろうとする。
 レックスも、彼らと一緒に行こうと一歩踏み出し――ふと、その足が止まった。

「…………?」

 何か違和感を覚え、レックスは振り向く。振り向いた視界が一瞬、路地裏に消えるローブの裾を捉えた。
 あのローブ――いや、その持ち主が、どうにも気になった。
 レックスはそれを確かめようと引き返そうとしたが、それより先に「お兄ちゃん、行くよー」と妹の声が聞こえ、彼はそのわずかな違和感を頭から振り払う。そして彼は、「待ってよー」と声を上げながら、父と妹の後を追った。

 ――その時、鞘に収めた天空の剣が、カチリ、とわずかに音を鳴らした――





 そして、彼らが去った後のその路地で――

「……あれが今の天空の勇者、か。まさか、このような異世界で会うことになろうとはな……」

 ――レックスの見かけたローブの持ち主が、ぽつりとこぼした。
 
 ――チクトンネ街、『魅惑の妖精亭』――

 その店内の端の席に、一組の男女が向かい合って座っていた。
 一方は緑の髪が特徴的な眼鏡の美女――トリステイン魔法学院で学院長秘書をやっているミス・ロングビル。そしてその向かいに座るのは、先ほどレックスを見ていたローブの男。
 しかしその男はフードで顔をすっぽりと覆っており、口元とフードからわずかにこぼれる銀髪以外に、その容姿を確認できない。

「はいよ。これが今回の仕送りだ」

 ロングビルは、普段の丁寧な物腰を捨て、素の口調でテーブルの上に小さな巾着袋を置いた。その袋からはチャリチャリと音が聞こえ、中に詰まっているものの正体を容易に教えてくれる。
 ローブの男は袋を手元に引き寄せようとし――その手が、唐突に誰かによって掴まれる。男が視線を上げると、彼の手を掴んでいたのはロングビルであった。

「……どうした?」

「それを渡す前に、私の質問に答えちゃくれないかねぇ?」

「また、か?」

「また、だよ。私はまだ、あんたを信用しちゃいない」

 ロングビルの物言いに、男は小さくため息をついた。彼女とは、会うたびに同じようなやり取りをしている気がする。

「……私がエルフではないことは、前にも話したと思うが」

「でもあんたの長い耳は、エルフの特徴と一致する。フードで顔を隠してるのも、その自覚があるからだろう?」

「無駄に騒ぎになっても鬱陶しいだけだからな」

 その言葉通り、フードに隠された男の耳は、エルフのように長く尖っている。
 だが彼は、エルフではない。彼はそう主張するが、だからと言って何であるかなど、それこそ言えるはずもなかった。彼はある意味、エルフよりも余程危険な存在なのだから。
 そしてそんな彼の態度が、余計にロングビルの警戒を買っているようであった。無理もない――いくらサモン・サーヴァントで召喚された使い魔とはいえ、自分のような得体の知れない男が、故あって世間の目から隠れて暮らす『妹』の傍にいるのだから。
 そう――彼はロングビルの『妹』によって召喚された、使い魔であった。契約のルーンは、胸に刻まれている。

「それで、聞くけど……あんたがテファに近付いた目的はなんだい?」

「そんなものはない……あえて言うなら、召喚されたからとしか言いようがない」

 こんな問答も、いつも通り。何度も繰り返された質問に、何度も繰り返した答えを返す。

「なぜお前は、私をそんなにも警戒する?」

「あんたは危険だからだ」

 短く答えたロングビルの頬からは、一筋の汗が伝い落ちている。
 それを見て、男は「なるほど……」と苦笑した。自分と相対してそう感じられる彼女は、おそらく戦闘者としては優秀な部類に入るのだろう。そんな彼女であるならば、こうして話しているだけでも結構なプレッシャーなはずだが……なかなかどうして気丈なものである。
 しかし――と彼は思う。自分がどういう存在かを思えば危険を感じるのは仕方ないが、自分としては何をするつもりもないのだ。そういう野心は、何百年も前に枯れ果てている。そんな自分に警戒をしてもらっても、対応に困るのだ。

「私にはわかる。あんたはメイジの使い魔程度で収まるような生易しいもんじゃない。なのに、おとなしくテファの使い魔をやっている……一体何の思惑があってのことか、勘ぐるのは当然じゃないか?」

「別に、何かの打算があるわけでもない。私があの娘に協力するのは……そうだな」

 その理由を言いかけ――男は一旦、口を閉じる。
 確かにロングビルの言う通り、自分はメイジの使い魔で収まって良いものではない。かつての部下たちが聞けば、おそらく彼の自由を取り戻そうと、全力でテファを殺しにかかるだろう。
 しかし彼は、勿論そんなことはするつもりもないし、させるつもりもない。なぜならば――

「……あの娘が……彼女の持つ雰囲気、とでも言うべきか。それが、かつて私が愛したエルフの娘に似ているから――という答えでは、満足できんか?」
 
「愛……?」

 彼の返答に、ロングビルはきょとんと目を丸くした。
 虚を突かれたようなその様子に、彼は少々愉快な気持ちにもなったが――反面、「そんなに私が『愛』と言ったことが意外か」と不機嫌にもなる。
 そのまま二人、しばし視線を交わし――

「……わかったよ。とりあえず今日のところは、引いておいてやる」

「助かる」

 渋々、といった様子で引き下がったロングビルに、彼は苦笑してテーブルの上の袋を手元に引き寄せた。袋を開いて中身を見る――その中に詰まった硬貨を確認すると、袋を閉じて懐の中に収めた。
 と――

「かつて、と言ったね。今は?」

 唐突に、ロングビルがそんなことを尋ねてきた。彼は、少し逡巡したが――

「……しばらく前、天寿を全うした。幸せだった、と残して息を引き取ったよ」

「……そうかい」

 小さく返したその答えに、ロングビルは気まずそうに頷き、ワインを一口あおった。男もそれに倣い、ワインを口に含む。しばらく、がどの程度の年月を指すかは――まあ、知る必要はないだろう。
 しばし無言で、食事をする音だけが続く。出された料理が全てなくなるまで――いや、全てなくなってもなお、どちらも口を開かない。やがてナプキンで口元を拭いたロングビルが、おもむろに立ち上がった。

「用事も済んだ。私は帰るよ」

「そうか」

 男は頷き、同じように立ち上がる。二人連れ立って会計を済ませ、外へと出た。西の空は茜色に染まり、もうすぐ夜の帳が落ちる頃合であった。
 ロングビルはそこで男に背を向け、別れようとし――ふと振り返り、男の方を見た。

「そうだ――」

「?」

「そのエルフの娘、名前はなんていうんだい?」

「…………」

 その問いに、男は口を噤んだ。その様子に、ロングビルは軽く後悔を覚える。さすがに踏み込みすぎたか、と。
 返答は期待するべきでないか。そう判断し、再び背を向けて去ろうとする――その時。



「……ロザリー」



 背後から聞こえてきた小さな声に、彼女はハッとして振り向いた。
 が―― 一体どんな移動手段を使ったのか、既にその姿は霞のように消えていた。彼がつい先ほどまでいた空間。そこを凝視しながら、ロングビルはぽつりとこぼす。

「ロザリー……」

 その名前は、どことなく寂しい印象を受けた。
424日替わりの人 ◆VZdh5DTmls :2009/03/11(水) 23:59:40 ID:u//sdvX5
 これにて投下終了。ルイズがヴィンダだったので、必然的にガンダが別のところに回されました。その煽りでデルフ涙目な結果に……まあ原作でも影が薄かったし、これはこれで問題ないと思いますがw
 では次回、フーケ襲撃現場に出くわします。さすがに日をまたげばメンバーの入れ替えもしますが、そうでない限りはメンバー変更無しでいく予定なので、次回もこのメンバーです。
 次がいつになるか未定ですが、気長にお待ちください。ではまたー。(´・ω・)ノシ
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 00:06:13 ID:+vUDGnAq
日替わりの人乙です。
デスピサロキターー!
ヤベェwktkが止まらない。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 00:06:30 ID:uP1fH/WE

楽しませてもらいました。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 00:08:52 ID:kGV3v0Kn


でも普通に4と5は繋がってるよな
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 00:12:50 ID:esEQQ4Br

ピサロだと?
つまりラスボスだった使い魔!?

どうでもいいけど、青い髪というと、一巻でおマチさんの髪が青と書かれてて、これは表記を避けたほうがいいのかと悩んで、自分の書いてるのではそこに触れないようにした覚えがあります。
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 00:12:52 ID:XOKonGk0
不死身なエスタークがいるのが大きいよなw
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 00:26:42 ID:5eEMMw4B
乙!
よりによって大集合のときに襲撃かオマチさん・・・
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 01:31:25 ID:4e6TGk6O
ドラクエ[で神鳥レティスが生まれた世界ではラーミアと呼ばれていたと言っていた。
8と3は異世界みたいな感じで繋がってる?
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 01:56:47 ID:mdjMN0zb
あの世界は狭間の世界みたいな感じで
天空の世界とも繋がってなかったか?
繋がるというより不安定な次元の合間から
流れてくるというか・・。忘れたけど
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 02:16:10 ID:SZzGZJCz
そう言えば、ややこしいと言えば、DQ2に出て来たキラーマシンは
かつてDQ3のゾーマが異界から呼び出した未完成品で
それをハーゴンの手下の悪魔神官が稼働状態にした経歴がありまして
長い間、故郷が不明でした。

DQ5をやってて再びキラーマシンが出てきた時は
コイツの故郷はここだったのかよ!
と、えらく驚いた記憶があります(苦笑)
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 06:36:49 ID:d6BMtRzE
今ノリノリとはいかないまでも作品執筆中な訳だけど、使い魔を二人同時に召喚、契約ってダメですかね?
一応、設定に忠実に書こうとしてるっていうのは嘘だけど、冒頭の召喚から書き直すのは骨なもので意見を伺いたいんですが。
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 07:05:17 ID:+vUDGnAq
いいと思うよ。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 07:15:45 ID:9iqIXu03
じゃあ、ダメ
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 07:36:29 ID:9uRYPKZ9
>434
サイトと仮面ライダーV3を同時に召喚して二人ともガンダールヴになってた作品ならwikiで見た覚えがある。
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 07:42:24 ID:0cm2wi4K
最新刊設定だとタークは謎の新キャラの娘と時々、離れ小島の修道院で逢引しているのか…
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 07:58:16 ID:d6BMtRzE
>>435-437
わかりました。ある程度書き上がったら、投下してみたいと思います。
ありがとうございました。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 07:58:51 ID:A4BF6VGm
>>434
同一作品内なおkじゃないの?
複数人召喚されているのもいくつかあるし。
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 09:39:22 ID:vYPGf+b/
>>433
DQ5(6も)の地下世界は、一説によるとアレフガルド世界の成れの果て(2後)
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 09:49:10 ID:K1f0RaBA
6は4のはるか昔の話ってどっかで見たな。
ドラクエって6までしかやってないけど、楽しかったなぁw
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 10:32:59 ID:jFjzo1Iz
6にはルビスが出てきて、そこにかつてゾーマや竜王が居た事を示唆するセリフを言うんだよね
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 10:38:21 ID:rt5pY/Lj
>>440
別々の作品から複数人が召喚されてるのも無かったっけ?
そもそも複数人を召喚とか複数作品とのクロスに対する制限とか無いよね。

相談すると『難易度が跳ね上がるから止めといた方が無難ですよ。』
ってな感じの助言があるくらい大変なだけですよね……。
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 10:47:48 ID:f8c2enK5
下手すると何この何ってレベルの駄作になるからな。そもそもゼロ魔+αだけでも

・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。

に抵触する危険性はあるのにましてやゼロ魔+α+更に何かとなるとなぁ
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 10:53:20 ID:WI1ps2W1
書いてみたが投下しても良いものか?
よし、しよう
447ゼロの魔物狩人:2009/03/12(木) 10:58:56 ID:WI1ps2W1
ハルケギニア某所に存在する狩猟場【雪山】
万年雪に鎖されたこの地にも生命は息づき
時にはその強靭な生命力で人に猛威を振るっていた

「…此処まで異常無しか」

一人のハンターがこの極寒の地を歩いている
装備しているのは蒼い竜鱗の鎧と鈍く輝く金銀の猟銃

今回請負った依頼は、トリステイン魔法学院の使い魔召喚の儀式によって
【雪山】にどのような影響が出ているかの調査だった

例えば通常のギアノスやブランゴが召喚されたところで影響は皆無であるが
群れのリーダーであるドスギアノスやドドブランゴが召喚された場合
リーダーを失った群れが想定外の動きを見せることが多い
また、強大な力を持つ飛竜が召喚された場合の影響も
把握していく必要があった

これを怠ったために村がひとつ移動せざるを得なくなったことも有る
448ゼロの魔物狩人:2009/03/12(木) 10:59:38 ID:WI1ps2W1
「これで最後、かえって報告を纏めるか…」

そう言うと彼はいきなり崖から飛び降りた
*これは下積みを終えた強靭なハンターにのみ認められる行為です
*よいこは絶対に、わるいこは出来れば真似しないでください

すると着地地点にいきなり光る鏡が現れる

「馬鹿な!?召喚はとっくに終った時間の筈だ!?」

とっさに岸壁を蹴り着地地点を変える
しかし体制は完全に崩れ

次に現れた鏡に飲まれた

449ゼロの魔物狩人:2009/03/12(木) 11:00:27 ID:WI1ps2W1
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!
  私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに、答えなさいっ!!」

皆さんご存知トリステイン魔法学院の使い魔召喚の儀式
皆さんおなじみの桃色の髪をした少女が本日何度目かの召喚をする
しかし、ほかの生徒は皆自室に戻ってしまっている

そしてさらにおなじみの周囲に響き渡る轟音と凄まじい閃光。

その中から声がする

「ゲホッグハッ何だコリャ土煙がヒド何も見えゲホッ」

そして一人のハンターが姿を現す
キャップは外し、顔に浮かぶのは諦めの表情

「ミスタ・コルベール!お願いですからやり直しをお認めください!!」
「おい、召喚しといて名前も聞かずにそれはないだろ」
「ミス・ヴァリエール、残念ですが掟で、校則です。諦めてください」

落胆するルイズにハンターが話しかける

「申し訳ありませんミス・ヴァリエール様もう少し速く対応できればこの様にならなかったのですが」

あろうことか自分の非を認めてしまった
そこから先はルイズから非難の嵐を浴びることになる
しかし彼は一向に気にせずコルベールと話し始める

「すいませんミスタ・コルベールギルドへの連絡がとりたいのですが」
「お安い御用ですえぇと…」
「サイトですよろしくお願いします」
「ふむ、ではサイト君ミス・ヴァリエールの話を聞いてあげてください」
450ゼロの魔物狩人:2009/03/12(木) 11:01:08 ID:WI1ps2W1
サイトが向き直ったときルイズは息切れを起こしていた

「…ハァあんた…ハァ名前は?」
「サイトと言います」
「…ハァそう…ハァ」

ルイズは一度大きく深呼吸して息を整えた
観念を通り越して神妙な面持ちのサイト

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ・・・」

契約が終わりルーンは右手に刻まれた

「そのルーン少し見せてください」
「どうかしましたか?」
「ふむ、見たことのないルーンだ…」

ガードを外してコルベールの頼みに応じる

「ではミス・ヴァリエール私はサイト君と今後の事について話したいので少し連れて行かせていただきますよ」
「…判りました」

サイトはオスマンの前に居る

「つまり今回のクエストの報告と実家の装備品の取り寄せを要請したいということかの?」
「はい、本職をおろそかにするわけにも行きません」

オスマンしばし考え

「よろしいでは、装備が届いたら空き部屋に保管しなさい寝室も貸し出ししようではないか」
「ありがとうございます」
「ハンターも良いがミス・ヴァリエールの使い間も忘れるでないぞ」
「承知しております」

そしてたまたまルイズの隣の部屋が空いていたためそこがサイトにあてがわれた
そして1日が終った
451ゼロの魔物狩人:2009/03/12(木) 11:02:56 ID:WI1ps2W1
投下終わり

基本P2ndG視点

ここまで書いて竜神族の扱いを失念していた
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:03:10 ID:oo5jJiUk
句読点
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:08:25 ID:WI1ps2W1
>句読点
やっべ
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:19:16 ID:3iqxoMHd
元ネタがさっぱり分かりません
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:29:28 ID:WI1ps2W1
一応モンスターハンター…

俺…だめなのかな…(´;ω;`)ブワッ
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:39:29 ID:T3YcAYVB
>>455
避難所で練習するといいかもよ
世界観融合型のクロスは楽しみなんで期待
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:42:47 ID:W37Vpe6+
つまり。モンハン世界とゼロ魔世界が同じ世界という設定で、
そこでハンターをやっているサイト君というモンスターハンターを召喚というわけだな。

うん。よくわかったよ。
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:45:26 ID:ObdY1vTk
ゲームのモンハンって自分だけのオリキャラだからな
小説とかのキャラならともかく
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:48:48 ID:V2EJUrZ2
既存キャラの魔改造に該当するね
スレからの追放レベルだよ
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:52:07 ID:STQDcDni
ゼロ魔の貴族は魔法が使えて平民よりも強いから貴族として君臨している。
モンハンのハンターがいるなら、魔法使い>その他戦士、という図式が崩れてしまう。
なにより、ロケットランチャーとかゼロ戦とか、物語のキーアイテムすらなくなってしまう。
ゼロ魔で世界融合は無理だと思う。
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 11:59:40 ID:xIN0tgDW
理想郷向けだな
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:00:16 ID:WI1ps2W1
   ハンター
勝つ↓   ↑勝つ
  飛竜→メイジ   >>>(越えられない壁)>>このほか一般人
    勝つ

ロケラン等については考えてある
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:01:54 ID:T3YcAYVB
ハンター呼ぶと人格が必要になるしなあ
いっそ無言で通してルイズ=プレイヤーって感じでルイズの思うままに動くハンターでも何とか話はできそうだが
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:14:33 ID:K1f0RaBA
原作読んだら書きたいと思ってるんだが自信がなければ避難所で練習したほうがいいのかね。
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:18:59 ID:AEQxyD0I
そうした方がいいと思う
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:20:48 ID:K1f0RaBA
了解した、ありがとう
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:20:49 ID:5u4RV2Ty
生身で馬鹿でかい龍に勝てるのにメイジには勝てないのか……
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:24:27 ID:ZTO17lvO
おいおい、理想郷はゴミ箱じゃないですよ
チラシの裏にでも書いとけば叩かれないんじゃね(理想郷のじゃねえぞ
まあ名前が同じなだけのオレキャラな時点で、ダメダメだが
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:24:33 ID:f8c2enK5
ウンコ龍どもの能力とか狩猟笛は必死につくろってるけどもろ魔法だしな
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:45:55 ID:eDhFE6rC
理想郷ふうに表記するとタイトルの後ろに(ゼロの使い魔×モンスターハンター オリ主有り)
な感じだな
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:50:38 ID:Auk9Mp0V
モンハンのやつはモンスター(若しくはアイルー)召喚の小ネタは面白かった。
クシャルの奴ではモンハンの世界でも昔は魔法があったらしい話をしてたっけ。
まあ>>469が言ってるように古龍の類いの能力考えると昔は魔法があったけど今は角笛やら狩猟笛とかに名残が残るのみって感じにできないこともないな。

ハンター召喚でも主人公が一切セリフなしで、周りの反応や地の文のみで意思を示すとかすれば長編もできなくはないかも。
ルイズがひたすら主人公のハンターを引っ張り回す展開になりそうだけど。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 12:53:02 ID:ru8kD3jZ
>>470
名前にサイト持ってきてるから (ゼロの使い魔再構成 主人公最強) とかも有り得るぜ
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 13:07:20 ID:kGV3v0Kn
モンハンのハンターなんか召喚したら食堂で黙々とワイン飲み初めて眠り始めるからギーシュイベントが起こらない。

あと話題が出てたからドラクエ考察スレのwikiドゾ
http://www23.atwiki.jp/dq_story/list?&flag_mobilex=1
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 13:20:31 ID:6+Hl431K
確か昔避難所でTTRPGの喋らない『君』が主人公の作品があったな。
セリフのないキャラを呼ぶときはあんな風にやればいいんだろうね。
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 13:22:53 ID:eOzlu2fq
>>467
タバサが成熟した火竜はさすがに無理って言ってるから無理なんじゃなかろうかw
カリンならやれそうな気もするけど。
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 13:25:19 ID:eDhFE6rC
喋らない主人公と言えばブラックマトリクス。
大邪神の鎧を着る前だと役立たずな亜人。着た後だと平民扱い。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 13:40:56 ID:8NXQyiZ4
>>459
なんかおだやかじゃあないなw

一応、世界観から弄ってるというタイプの作品がないわけでもないよ。
避難所で書いてたやつだけど。というか、原作が終わってないから、多かれ少なかれ、多少の修正はみんなしてるわな。
本スレで書かないほうがいいかもとは俺も思うが。
別に面白ければ問題ないと思うけど、言葉選ばずにうるさくいう人たちがいるから…。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 13:55:12 ID:ru8kD3jZ
モンハンのハンター呼んだんなら、無理にサイトって名前付ける必要ないわな
名前が無い→原作主人公の名前だけ借りちゃえってのはクロス云々以前に駄目だろ
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 14:05:16 ID:HH9c+3lL
名前がない→
適当につけとけ→
オリキャラ書くなボケor○○をルイズが召還スレだクロスさせりゃなんでもいいわけじゃねえよボケ
ですね わかります
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 14:10:02 ID:eOzlu2fq
言葉のしゃべれない動物キャラが召喚された時は
ルイズがオリジナルの名前付けるってのは有りだよね?
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 14:10:14 ID:tFop0A+O
サザエさんのサザエ
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 14:27:08 ID:bLkFnRfP
ザサエさんも良いね
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 14:29:38 ID:IOEyyTbw
オトモ召喚してもおもしろいかもね。
旦那しゃんの武器(おくめつやらアーティやら)のお手入れ中に呼びだされてさぁ大変みたいな。
オトモにはちゃんと人格あるしな
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 14:30:24 ID:DBCOfN1T
モンハンとのクロスをやりたいならちゃんとキャラに名前がある漫画版や小説版がいくつもあるからなあ
わざわざ名前をサイトにしてオリジナル主人公にしたってことはつまり・・・そういうことだよなあ
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 14:33:25 ID:cjoGN+vk
>>482
タバサ涙目すぎるw
光太郎ごと呼んだらスゲー暴走しそうだな

ニーギ・ゴージャスブルーとかも先達としていいかも
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 14:38:33 ID:0GEI8TYj
そういえば以前避難所に、ある世界に召喚されてやっと事件が片付いて元の世界に戻ってきたところで
ルイズに召喚された才人の話があったなぁ
結局別のスレに移ったようだが
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 15:16:44 ID:RDqoMOmR
誰かSound Horizonのキャラ召還書ける物好きいないかなぁ
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 15:25:16 ID:kGV3v0Kn
オトモアイルーは小ネタにならあったよ

まだないけどこないだの話題に出たSound Horizonがありならルイズにエレフ呼ばせて平民の権勢劇とか良さそうだなw
アニエス「安全圏からしか魔法を撃てぬ腰抜けどもめ」
マザリーニ「貴族の指揮官は猪突猛進しか知らぬ馬鹿のようだ」
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 15:26:13 ID:kGV3v0Kn
>>487
俺がいる・・・
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 15:28:17 ID:Any1ZkH8
そう言えばマザリーニは、少しだけど平民の血が入ってる可能性があるんだったっけ。
原作でも噂の域を出てないけど。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 15:29:21 ID:8NXQyiZ4
>>486
別のスレっていうかNTいった。幻奏戦記ルリルラとのクロスだよね。
そして最近、ゼロ魔じゃない別のクロススレのまとめから作者のサイトに飛べるというのがあって、
そこにそのルリルラクロスが置いてあった。
そっちのクロスではかなりすきなのかいてた人のサイトだったから、驚いたもんだ。
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 15:30:38 ID:rt5pY/Lj
>>477
投下したのが、注意事項をちゃんと読んでないような奴だから、余計に荒れそうだよな。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 15:31:00 ID:hNVf2bLY
タバサが召還するとしたらおっさんだよな


ザサエさん単独だと見える奴が限られてて却下されたりして……
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 15:44:57 ID:U1SgwHi5
何でサザエさんでタバサが涙目なのかと思ったら、『ザサ』エさんなのかw
てっきりアトムみたいな頭をした高校生かと思ったぜ
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 16:21:14 ID:JMzCLbet
>>494
よく気付いたな
俺はさっぱりだったぜ
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 16:21:55 ID:cjoGN+vk
ザサエさんは肉切り包丁持った食人鬼幽霊だから普通に怖そうw
ロジャー・サスケと暗黒舞踏ワガメちゃんのコンビも捨てがたいけど
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 17:01:57 ID:QfopH0EL
>>491
kwsk
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 17:20:22 ID:8NXQyiZ4
>>497
リリカル! 夢境学園氏
あっちのまとめに当人のサイトへのリンクがあるので、そこにいけば読める。
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 18:43:31 ID:9uRYPKZ9
>モンハン
個人的には、トリステイン近郊の世界観を改変するのはなんつーか、微妙。
でも「モンハン世界は実は東方だった」ならありなんじゃないかなーとか。
別にアフリカ相当の大陸でもアメリカ相当でもオーストラリア相当でもいいのだが。
(この場合、「実際に東方に存在する」のと「異世界からきた」のにどれほどの差があるかよくわからなくなるが)


>487
扱い易そうなんは誰だろうな…ぱっと浮かぶのはこの辺か。
a.古よりの罪と罰の輪舞 小さなランプに閉じ込められていた 愚かな私を出してくれたMasterさぁ願いをどうぞ叶えましょう…
b.嗚呼…雷(チカラ)無きこの腕じゃ君のこと護れない 想いなら誰にも負けないと 叫んでもその言葉虚しくも風に消えた…
c.「キミならば、書の真理が理解できると思ったのだがね…」「ミョズニトニルン(ノア)!貴方って人は…!!」

問題は…大抵一曲だけの登場だから小ネタ・短編になるか、半ば以上オリキャラな長編になるかという点だな。
クロニカ様に事あるごとに似合いそうな曲を歌わせてみてもいいのかもしれないが。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 18:45:18 ID:eOzlu2fq
エリス!エリス!エリス!エリスぅぅうううわぁああああ(ry
な仮面の男は?
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 18:52:30 ID:CRTYWCR1
あるいは胡散臭い賢者
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 19:10:08 ID:h1VvbUqH
じゃあ穴掘ってるロシア人とか
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 19:29:36 ID:0XR+iKj7
バロックなシエスタとか
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 19:34:04 ID:kGV3v0Kn
沢山召還すればいいさ

ガリア王→イヴェールと人形
ジョゼフ「地獄が見たい」
イヴェール「其処にRoman(物語)はあるのだろうか?さぁ行っておいで」

聖エイジス→ルキア
ロマリア軍「敵(異教徒)はみんな殺すんだ。それが幸せを掴む道だ」
ルキア「間違ってる。そんな論理は間違ってるんだ」

ティファニア→シャイタン
聖エイジス「Reconqusita!(聖地再征服!)Reconqusita!(聖地再征服!)Ah..Deus(嗚呼..始祖よ)」
ティファニア「弱い私は何を憎めばいい」
シャイタン「其レハ異教徒(エルフ)カ?同胞(ヒト)カ?其レトモ『聖戦』(あらそい)其レ自体カ」
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 19:36:40 ID:ihMdMxND
>>474
ソーサリーの「君」のことなら今も連載中だが。
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 19:44:04 ID:RtqEDA8g
そういえばウェールズが生き残ったからアンアン逃避行フラグが消えたけど…
魔砲の人で例のシーンになったら、やっぱアンアンは頭冷やされる(作画はTV版)んだろうか?w
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 19:51:43 ID:+vUDGnAq
>>506

冷やされるんじゃね?魔砲的な意味でw
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 20:15:33 ID:9uRYPKZ9
>504
ロマリアの「敵(異教徒)はみんな殺すんだ。それが幸せを掴む道だ」 に吹いたw
タバサだと「その人形は私だ・・・」「ママ私を愛して ママ私を愛して・・・ママ私を愛して ママ・・・」か樹氷の君あたりか。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 20:57:27 ID:l3/ul4rX
>>498
見つけてみた
…エクスカリバーvsエクスカリバーの人だったのか!?
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:15:13 ID:8NXQyiZ4
意外な人は意外なものを書いてるもんだよ。本当に。
ミクとか回ってたら、あの人がこれを! どうしてきづかなかった! というのはままある。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:20:02 ID:beD9LFP+
エクスカリバーvsエクスカリバーか……

ソウルイーターの妙なナマモノVS超巨大レーザー砲という妙な光景が脳裏をかすめた。
ナマモノにパートナーがいるかどうかで結末が大きく異なるなw
あいつあの性格でパートナーが出来辛い(つかパートナー獲得が不可能)だから、まーレーザーで跡形も無く焼き尽くされておしまいかww
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:27:03 ID:qbMtKG03
ロト
破壊神を犬姫と二人で破壊して居場所を無くしたローレシア
般若の面を着け戦鬼と化し神の加護(光の玉)無しで大魔王を一人で滅ぼしたオルテガの子とか
ロトの系譜の勇者でまともな最後を迎えられたのは一騎討ちで竜王を降した代しか居ない?

天空
故郷が消え異郷に一人置かれたライフコットの少年、
神の都合で血縁者から引き離され育ての親も幼馴染も殺され、敵の魔王は恋人と幸せな生活を送り、敵に滅ぼされた故郷の村で幼馴染の幻影を見る勇者
勇者と言うより僧侶(ヒーラー)としての活躍だったが家族が居て、帰るべき家も恋人(双子の少女?)もいるグランバニアの王子

グランバニアは微妙だが天空もロトも幸せな結末を迎えるのは1/3か・・・

グランバニアと竜王期のロト以外は召喚に応じる背景がありそう。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:33:33 ID:Zl9liJSm
エクスカリバーと聞いてYF-19を連想したのは俺だけでいい。
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:37:05 ID:mu1k0zOI
エクスカリバーと聞いてエクスカリ『パー』を連想したのは俺だけでいい。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:37:22 ID:XOKonGk0
山羊座のお方をわすれちゃいかんぜよw
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:42:11 ID:eQMzhRyu
俺はエクスカリバーと聞くとどうもウザいアレを思い出してしまう。
伝説が12世紀から始まるあいつを。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:43:14 ID:0GEI8TYj
そのまま飲み込んで、僕のエクスカリ(ry
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:47:58 ID:hPUp8+1O
>>514
残念ながら、ここにももう一人……
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:51:54 ID:mu1k0zOI
エクスカリパー……FF5のギルガメッシュ召喚したら、コメディにしかなりそうにないなw
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:55:09 ID:qbMtKG03
>>519
だが、それがいい
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:01:36 ID:5u4RV2Ty
>>519
あいつ地味に強いしなww
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:01:59 ID:n3m/kreQ
Xカリバーを召喚。
学院の宝物庫には、巨大な岩に刺さった剣が…。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:05:47 ID:U1SgwHi5
エクスカリバー「ヴァカめ!」
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:06:24 ID:7PH21yvy
>>519
腕が二本か、八本か
無くなった腕の代わりにハリボテをつけている8バージョンか…
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:08:52 ID:i70uCtjj
「SMART BRAIN」のロゴが書かれたX字型の剣……と変なベルトを着けた平民を召喚
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:10:05 ID:/6m6S75T
ルイズがうっかりFF5よりオメガを召還しちゃってさらにタバサが神竜を召還したりしてハルケギニアオワタ
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:15:47 ID:NthC3Lhn
>>525
ルイズやキュルケと親しくなる一方で、タバサを嵌めて孤立させたりしそうだな
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:16:42 ID:5Dbz3zle
「ジャバウォッキー」からサバタ・ヴァンクリフ召喚
韻竜扱いになるか、単なる亜人扱いか……そもそもルイズが何て言うか。
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:18:45 ID:AEQxyD0I
ここがルイズの世界か。この世界で俺が与えられた役割は使い魔のようだな

で初めてもあんまり問題ないような気がしてきた
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:22:14 ID:vYPGf+b/
今正に呼び出されようとしている神龍(シェンロン)を召喚
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:23:31 ID:Any1ZkH8
>>529
カメンライドゥ! ルルルルイズゥ!!

……って、ルイズに変身してどうするんだ……。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:23:44 ID:Ovy+Lx7F
ギャルのパンティおくれ
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:23:46 ID:U1SgwHi5
魔界の王子(プリンス)召喚! → メイジの腕GET! → 魔法使いまくり!
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:24:30 ID:qbMtKG03
>>519
源氏の兜、確かに領収いたしました。土くれのフーケ
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:24:43 ID:7QN2L2bG
>>529
「ちょっとくすぐったいぞ」で背中から開かれて破壊の杖に変形するルイズ
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:27:35 ID:ZsiAa0t4
>>517
山羊座の彼は、原作からの召喚かアニメからの召喚かで性格が大きく変わるな
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:28:19 ID:vxQrYflg
二人召喚でなく
虚無の4の一つが重複で
ガンダルーン持ちが複数とかは有りかな?

4の4+重複で虚無いっぱいとか。
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:30:55 ID:ndE7wlD3
世界的有名なネズミとのクロスはアウト?
異世界に飛ばされたこともあるから召喚されてもすぐに適応できそうだし
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:32:46 ID:K2rh+hkJ
エクスカリバーで思いついたが、アーサー王召喚。

1.後ろで椰子の実をパカパカ鳴らす従者付き。
2.関連スレに行け。
3.俺の名はブラストハンド、或いはブラストキング。ブラストエンペラーと呼んでくれても良い。宇宙一格好良いヒーローだ。で、君の名前は?

540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:35:01 ID:kGV3v0Kn
虚無のパズルみたいなルーンが三つでてるような状態から、相手側にも同じルーンを持ったのがいたりするミョズ対ミョズの戦いとかが見てみたいと密かに期待してる。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:36:37 ID:6AYNTywz
>>536
LCから前代のカプリコーン召喚と言う手も有る
ただシュラ以上に問答無用の切捨て御免キャラだから扱いが難しいな
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:38:54 ID:ZsiAa0t4
>>538
もう小ネタにあるぜ
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:41:48 ID:PiH5uu7f
軟弱に今時の流行に迎合して、スティッチ召喚
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:42:43 ID:ndE7wlD3
>>542
探したけど見当たらないよ
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:43:22 ID:n3m/kreQ
>>537
カンダルーンが複数って言うと、さぁう゛ぁんといろいろがあったな。
最後に見たのはいつだっただろう……。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:43:34 ID:5Dbz3zle
>>539
4.ショーン・コネリー顔の王様が召喚されました。
  アルビオンのティファはリチャード・ギア顔の「騎士の中の騎士」が。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:47:12 ID:Any1ZkH8
>>537
いっそのこと、4人の使い手がそれぞれ4種類の使い魔を召喚してみるとかどうだろう。
つまり総勢16人の使い魔……って、多過ぎるか。
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:47:21 ID:Aoew06Oe
>>512
いや、普通に立派な勇者やってたやつはどうした
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:48:06 ID:kGV3v0Kn
出てない奴っていったらあれか。ワンダと巨像からワンダ召還。対フーケ用兵器になりそうだけどなw
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:51:22 ID:U1SgwHi5
>>547
使い手を含めて5人か……、バスケかフットサルで勝負ですね、分かります。
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:51:28 ID:0mGnRsAm
オリ展開とか設定ってどこまでOK?
初代ヴィンダが武闘派って設定とか出そうと思ってるんだけど……
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:53:41 ID:07jyzIti
>>535
"ファイナルフォームライドゥ"
"ルルルルイズ"



他にもアイテム化したり乗り物化するやつがいるかと思うと想像して吹いたぜw
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:54:10 ID:P52pPmYz
ドラクエならいっそ精霊ルビス召喚とか、ただ炎属性だから召喚者はキュルケか…
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:54:42 ID:U1SgwHi5
>>551
オリ展開については、展開が原作から外れるってことなら何も問題は無いはず。
設定は、テンプレでシエスタが最初に言っていることさえ守っていれば大丈夫じゃないかなあ……。
クロス先inハルケギニアとかは嫌われると思う。
555MtL:2009/03/12(木) 22:55:17 ID:Wx4gFlCz
こんばんは。
何も無ければ11時5分から投下を始めたいと思います。
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:56:21 ID:kGV3v0Kn
>>512
サマルトリア王子を忘れないでください!
あと初代ロト(アルス)はアレフガルドに光を持ってきたと言われているあたり光の玉を使って戦ったのが正史でしょ。

そういやYは天空で一番古いって言われてるけど、その話で恋人(バーバラ/初期の天空人)と別れて、Wの時代でも一緒にいることが叶わず、Xの時代でやっと一緒になれるという考えもあったなぁ。
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:56:59 ID:ZsiAa0t4
>>544
以前元ネタ秘密の所にあったんだが、消されたのかな?
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 22:58:32 ID:GPsm50Fo
>>554
…?
ルイズがキュルケを召喚とかか?
559MtL:2009/03/12(木) 23:05:16 ID:Wx4gFlCz
マジシャン ザ ルイズ 3章 (54)英雄的な行為

 シルフィードの翼が風を切り裂き、風竜は俊敏な動きで空へと駆け上がっていく。
 目標はウェザーライトUから放り出された二人。モンモランシーとギーシュ。

「タバサ!?」

 吸引力によって気流が乱れ、周囲は嵐のように風が猛威をふるっている。
 そんな中を縫って現れた救いの主に、モンモランシーが驚きの声を上げた。
 他方、助けに来たタバサはこのような状況にあっても普段と変わらぬ無表情で、おおよそ何を考えているか分からない顔だ。
 そんな彼女が、口を開いた。

「……手」
「!」

 ごうごうと騒ぐ風音が邪魔で、モンモランシーには彼女が何を言ったのかをよく聞き取ることができなかった。
 だが、すっと差し出された手の意味だけははっきり理解できた。
 慌ててギーシュの方を確認すると、彼はすでにタバサの使い魔であるドラゴンに、マントの端を咥えられていた。
 残るが自分だけ。そう悟るとモンモランシーはその手を捕らえるべく、精一杯腕を伸ばしたのだった。



 主人がモンモランシーを捕まえたことを確認すると、シルフィードは一転、上昇から急降下へと移った。
「全くもうっ、なんて飛びにくい空なのねっ!」
 ギーシュを口から手に持ち替えたシルフィードが文句を言う。
 何せ昇る分には追い風だが、降る今度は向かい風なのだ。こんな空を飛ぶ経験などそうそう無い。
「我慢して」
 そう言うタバサも、先ほどから進行方向にある障害物を呪文で排除して進路を確保する作業で余裕が無い。
 風の竜と風のメイジだからではない。最高に息のあった二人だからこそ、この空を自由に飛べるのだ。

「タ、タタタタ、タバサ! あなたの使い魔、喋ってる!?」
「黙ってて。舌を噛む」
 モンモランシーの声を一言で制してタバサは早口にルーンを唱えた。
 低位の風呪文を発動させて、粉砕されたフネの破片の軌道をずらす。
 落ち着いているように見える彼女だったが、その額からは一筋汗が流れていた。
 シルフィードは吹き上がる気流を見切り飛ぶ。その姿は正に風の精≠フ呼び名に相応しい美しさを備えていた。

 だが、この空は彼女の独壇場に非ず。

 シルフィードが一つ羽を大きく羽ばたかせ、急激にその軌道を変化させた。
 その直後、先ほどまでシルフィードが飛んでいた軌道を、強烈な稲妻が貫いていった。
「お姉さま! 何か後ろにくっついてきた!」
「振り切って」
 急降下からまた一転。今度は水平に体勢を立て直し、シルフィードは乱れに乱れた風の中をジグザグに飛翔する。
 しかしその背後にぴったりとくっついて、嬲るようにして稲妻が数度走る。
 前方に障害となるものがないのを見取ってから、タバサは敵の姿を確認するべく、背後を振り返った。
 すると、シルフィードの背後およそ五十メイルの位置で、こちらにぴったりと張り付いてきている赤い竜の姿が確認できた。

 この出鱈目な空は、シルフィードの独壇場に非ず。
 嵐の次元ラース≠フ空を我がものとしていたその稲妻のドラゴンから見れば、この程度の空は上機嫌な天気と同じなのである。
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:05:55 ID:0mGnRsAm
>>554
サンクス
一応ゼロ魔側と被召喚側の活躍の割合は最終的に8:2になってしまう展開ですけど……
あと初代ヴィンダたちは召喚されるのではなく復活させようと思っていますが
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:08:55 ID:U1SgwHi5
支援
562MtL:2009/03/12(木) 23:09:10 ID:Wx4gFlCz
「無理! 二人もお荷物抱えたままじゃ絶対追いつかれちゃうのね!」
「………」
 タバサは無言。
 稲妻のドラゴンから、再び雷撃が放たれる。その殆どをシルフィードは回避したが、二度ほど危うい位置を貫いていった。

『ウィンディ・アイシクル』

 機会を伺っていたタバサが、背後に向かって氷雪の呪文を放った。
 ルーンによって作り出された無数の氷錐が、弾幕と化しながら敵へと向かう。
 だが、ドラゴンはそれすらも恐ろしいほどの精密な動きで、間隙を縫うようにして難なく回避してしまった。
「〜〜! 本当なら早さならシルフィの方が絶対に上なのに、きゅいきゅい!」
 シルフィードが泣き言を言っている間にも、徐々に稲妻のドラゴンとの距離は縮まっている。
 先ほどから数度雷撃がシルフィードの尻尾にかすり、その度に彼女は『ひゃん!』という、オスマンに尻を撫でられた女子生徒のような声を出しているのだが、
 それはドラゴンの稲妻がいつでもこちらを撃墜可能であるということの証明のようにタバサには思えた。
 ドラゴンの知性がどれほどのものかタバサにも分からなかったが、こちらを嬲って反応を楽しんでいるように感じられるのだ。

 タバサは考える。
 状況は確実に悪化してきている。今すぐにでも何か手を講じなければ、最悪の未来が変えられなくなってしまう。
 時間はあまり無い。
 だというのに、上手い方策が思い浮かばない。落ち着いた顔色とは裏腹に、彼女の心はどんどんと焦った。

 そんなときだった。

「やあドラゴンくん! 今、本当なら自分の方が早いって言ったよね! それは、強がりかな!? それとも事実かな!? 余計な重りが無くなれば逃げ切れるっていう意味だと思って差し支えないのかな!?」
 叫ばれた声。
 タバサ達が騎乗するシルフィードに掴まれていたギーシュの声であった。

「違う」
 タバサは咄嗟に否定する。
「違わなく無いのね! そうよ! お荷物さえいなきゃシルフィの方が絶対に早いのね」
「黙る」
 と、シルフィードがこれ以上余計なことを言わないように、タバサが杖で頭での頭を小突いた。
 ギーシュが何を考えているのか、タバサには手に取るように分かったからだ。
 けれど、そのやりとりがますますギーシュの決意を固くした。
「いいや、黙るのは君だタバサ! ドラゴンくん、それはつまり、重りの片一方、つまり僕を放せば、タバサとモンモランシーの二人は助かるってことでいいんだね!?」

「ギーシュっ!?」
 それまで口を出すことを控えていたモンモランシーが驚きに声を上げた。
 シルフィードはそれに被せるようにしてその答えを発した。
「できる!」
「ようし分かったドラゴンくん! では僕を放してくれたまえ。それで君は彼女たちを乗せて、どこか安全なところに逃げるんだ!」
「………」
 タバサには最初にギーシュが声をかけてきたときから、彼の言わんとしていることが分かっていた。だから嘘を言ったのだ。
 シルフィードの言っていることは確かだ。この場を切り抜けるためには、誰かが犠牲にならなければならない。
 だが、それを良しとしないからこそ、彼女は嘘をついたのだ。
563MtL:2009/03/12(木) 23:13:25 ID:Wx4gFlCz
「やめてギーシュ! そんなことしたらあなたが死んでしまうわ!」
「いいや大丈夫だモンモランシー! 見てごらん周りを! この辺のものはみんな下へ向かって落ちて行っている! ここは あの吸い込む力の範囲外っていうことだ! 『フライ』さえ唱えられれば、どうってことはないっ!」
「でも! 下は戦場なのよ!?」
「はは、望むところだ! 君を傍で守れなくなるのは残念だが、それに見合うだけの活躍を引っ下げて君の元に帰るよ! そう、不死鳥のごとくね! さあドラゴンくん! 議論している時間はもう無いんだろう! 早く僕を捨てるんだ!」

 そのやり取りを耳にして、雷撃を必死に避けながらシルフィードはタバサを伺った。
 タバサは無表情な顔で少しの間目を閉じて考え、それからこくんと小さく頷いた。
「分かったのね!」

「待って!」
 モンモランシーが制止の声を上げた。
「止めてないでおくれモンモランシー。僕はきっと君の元に帰ってくるから……」
「分かってるわよ……。ただ、ギーシュ! 私が渡したお守りのこと、忘れないで! あれはきっとあなたの役に立つから!」
 その言葉にギーシュは、無言のまま右手を横に伸ばし、親指を上に突き上げる仕草で応えた。
 無論、シルフィードの手に吊られた状態の彼の仕草を、鞍に跨っているモンモランシーは見ることは出来ないので、要は格好つけである。

「それじゃいくのね!」
「ああっ、景気よくいってくれたまえ!」
 返事を聞いたシルフィードの、それっ! のかけ声で手を放されるギーシュ。
 自由になった彼の体から、一瞬重さが消える、ふっと浮き上がる感覚。
「う……」

 そしてギーシュは真っ逆さまに。
「うわあああああああああああああああああ!!!!」
 覚悟を決めていようと、怖いものは怖い。
 落ちるギーシュからこの日何度目の叫びが上がった。

 あるいはそれが、一人の男の英雄物語の産声だったのかも知れない。



「しっかり捕まってて」
 ギーシュが落ちていったのを確認したタバサの口から、そんな言葉を呟かれた。
 モンモランシーはその言葉が誰に向けられたものなのか、理解するのに一瞬の時間を要した。
 そしてすぐに気づく、自分以外いないではないか。
 彼女が慌ててタバサにしがみついたのと、シルフィードが急反転したのはほぼ同時だった。


 稲妻のドラゴンは、獲物がヒトを落としたのに気がついて、単純な思考でまずはそちらを餌食にしようと考えた。
 翼を調整し、降下の姿勢を取ろうとする。
 だが、それを見越したように、目標にしていた仔竜が翼をうって上昇軌道に入った。
 それを見たドラゴンは、そう高くはない知能ながらこう思った
小癪な
 自分が今落ちていったヒトを食おうと追いかければ、一端上昇してそれから輪を描くように急降下してくるであろう仔竜に、背後を取られることになる。
 理論的な思考では無いながらも、『狩るもの』『狩られるもの』だけで構築された世界で生きてきたドラゴンは、本能的にそう察知して降下を取りやめ、自らもまた、上昇するべく力強く羽ばたいたのだった。

564MtL:2009/03/12(木) 23:16:33 ID:Wx4gFlCz
「……案外頭が良い」
「ちょっとタバサ! あのドラゴン、ままま、まだこっちを追って来てるわよっ!?」
「問題無い」
 本調子とは言わないが、ギーシュという重しが無くなったことで、シルフィードの動きは格段にキレを取り戻していた。
 逃げるにしても戦うにしても、これでやっと舞台に上がれたということである。
 反撃開始。
 そう思ってタバサがシルフィードに更なる反転軌道を指示して、正面からその脳天めがけて必殺の氷錐をたたき込もうとした矢先だった。

 ヒュゴッという音と共に、突如として横から割り込んできた赤と青の光に貫かれ、稲妻のドラゴンが撃墜されたのである。

 そして、呆気にとられているタバサ達に投げかけられたのは、タバサには聞き覚えのある声だった。
「ようやっと見つけたぞ。かの娘にえにし深きニンゲンよ」
 輝く軌跡を残し――信じられないが、突如としてその場に現れたのだ――その場に現れたのは、全身を赤にも青にも見える鱗で覆った、一匹のドラゴンだった。
「……ふむ、見知らぬ顔もある。ならば再び自己紹介をしよう」
 人語を発するドラゴンは、尊大に言った。
「(Z-->)90°-- (E--N2W)90°t = 1」
 そう、その姿を、その声を忘れるはずがない。
 タバサ達の前に姿を現したのは、サン・マロンの実験農場から脱出しようとしたシルフィード達を追いかけてきたあの竜だった。

「ワルドからおまえを見つけた場合、必ず始末し、その亡骸を彼女に見せつけろという指示を受けている。まあ、極力綺麗な形で死んで貰わねばならないのが至極面倒ではあるが……。過程は兎も角、結果に関しては我も知的好奇心をそそられる。
 そういう訳であるからして、我が知識欲の為に、お前達にはここで死んで貰わねばならない」

「………」
 無意識にタバサの奥歯が噛み締められる。
 逃げることはできない。
 サン・マロンでこの竜に追いかけられたとき、シルフィードは万全の体勢だった。だというのにこの竜はなんら苦にする様子を見せずに、自分達に追いついて見せた。
 モンモランシーを乗せた今、逃げを打って、逃げ切れる可能性は万に一つもない。
 ならば戦う他、道はないのである。
 それに、タバサにしてもこの竜には用があったのだ。

「ふむ、まだ名前を聞いていなかった。これから我に殺されるニンゲンよ。その名を述べよ」
 竜が言葉を放ったその顎の隙間からは、ちろちろと火の粉が舞っている。

 無論、そのような問いかけに答える必要は無い。
 しかし、それでもタバサは口を開いた。
「ガリア北花壇騎士団長<Vャルロット・エレーヌ・オルレアン……または、タバサ」
 あえて口にすることで、戦いに対して気持ちを固める、そんな意志が込められた言葉であった。
 敵の目的が自分達の死をルイズに見せつけることならば、最悪彼女の助けを借りることは逆効果になりかねない。
 自分とシルフィードだけで、目の前の強大な敵に立ち向かう、そんな覚悟を決めた言葉だった。

 そして、
「ただの学生<c塔c宴塔Vー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。お手柔らかに、お願いしますわ。ドラゴンさん」
 予想していなかった声が聞こえたのは、タバサの後ろからだった。
 その声に心中だけで驚いたタバサが、微かに首を右に動かした。
 敵を前にして振り返るほどの余裕は見せられない。
 微妙な仕草で疑問のニュアンスを受け取ったのか、モンモランシーは応えて言った。
「どうせ空の上では一心同体。あなたとこの子に命を預けているんだもの、だったら一緒に戦ってもいいでしょう?」
 その言葉は、まあ、事実である。
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:19:19 ID:U1SgwHi5
支援
566MtL:2009/03/12(木) 23:19:30 ID:Wx4gFlCz
 振り返れないタバサにはモンモランシーの表情までは読み取れない。
 けれど、言葉に込められた真剣味だけは汲み取れた。モンモランシーは生半可な気持ちで言っているわけではない。
「それに……ここでガタガタ震えていたら、私がここにいる理由、それも嘘になってしまいそうだもの」
 そこまで聞くと、タバサは再びドラゴンに向き直った。
 そうして再び模索する。

 二人と一匹、それだけの戦力で、この難敵に立ち向かう方策を。



 アルビオン内部。
 隊員の数を一人減らしたキュルケ達決死隊は、中枢へと向けてひた走っていた。
 呼吸を大きく乱すほどではないが、それでも焦った様子で一同は駆ける。
 先ほどから、大陸全体を揺るがしているような低音を伴った振動が、中枢に近づいているはずのキュルケ達にまで伝わってきているのだ。
 外で何が起きているかを確かめる術はないが、事態が自分達に有利なように好転しているという保証はない。
 ならば一刻も早く使命を果たすことこそ、今彼らがとるべき行動であった。

「! ついた!」
 マチルダの鋭い言葉に、全員の足が止まる。
 ごつごつとした岩肌が露出した通路を抜けて、彼らはぽっかりと広がる開けた場所に出ていた。
 微かに赤く発光している岩肌によって、周囲を見渡す程度の光源はとれている。
 一同が到達したそこは、巨大な空洞。
 広さはかなりあるようだ。
 端の方まではよく見えないが、そこまでの距離は数リーグはあるのではなかろうか。
 
「あれが、アルビオンを浮かせている風石だよ」
 そう言った彼女が指さしたのは、この大空洞の中央に鎮座している巨大な立方体。
 薄く光を放つそれは、キュルケがそれまで見てきた風石とは比べられないほど大きかった。
 高さにして一〇〇メイル以上はあるのではなかろうか。
「あれさえ破壊すれば、このアルビオンは――」

「――墜ちるだろうな」

 マチルダの声を途中から続けたのは、低い男の声だった。
 その声に、マチルダがぎくりと体を震わせる。

 背後から聞こえた声に、全員が振り向いた。
 そして、退路をふさいでいる存在に絶句した。
 そこにいたのは、巨大な炎の固まりだった。
 いや、より正確には、あるものの形をした炎。
 大きさは雄牛ほど。四肢で地面を踏みしめ、尾があり胴があり頭がある。目と思われる場所はらんらんと白い炎が輝いている。
 その姿は、まるで猫科の動物のようであった。
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:20:33 ID:v1iAiNkt
シシシシエン
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:21:28 ID:Dkg1VV8a
支援
569MtL:2009/03/12(木) 23:22:40 ID:Wx4gFlCz
 一方声の主は、怪物の背の上にいた。
「ただのネズミとタカをくくっていたが、随分と素早いネズミだったようだ」
 炎の獣に跨ったその男も大きかった。
 騎乗した姿では正確なところはわからないが、長身のカステルモールよりも更に身長がありそうだ。
 それに何より、細身であるカステルモールよりもずっと体格が良い。
 両手両足を問わず、引き締まった体に鍛え抜かれた筋肉の鎧を纏っている。
 そして何よりも目を引くのは、メイジであることを示すマントと、片目を覆う眼帯。
 騎士の一部が、その姿を見て、うっと呻きを漏らした。
 その者達は知っていたのだ。その風体が、かの伝説の傭兵≠フ特徴と一致することを。
 カステルモールも目の前に現れた男が生ける伝説メンヌヴィルだと気付いた一人だったが、それでも彼の対処は迅速であった。
 敵は所詮一人、開けた場所で戦えば、所詮は多勢に無勢。
 騎士道には反するが、今は任務最優先。始祖ブリミルとてお許しになるだろう。
「総員! 散――」
 次の瞬間、カステルモールの叫びをかき消して、ごうと何かが彼の真横を駆け抜けていった。
 「―――」
 声ならぬ声が、カステルモールの口から漏れる。
 もうそこに、メンヌヴィルの姿は無かった。

「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 その代わり、彼の耳に飛び込んできたのは、耳を覆いたくなる悲鳴だった。
 慌ててカステルモール達が振り返ると、そこには例の真っ赤に燃え上がる炎獣がいた。
 猫に咥えられたネズミのような格好で体を持ち上げられている騎士は、苦痛に叫び声を上げて、やたらめったら杖を振り回している。
 咥えられた腹部からは、黒い煙が上がっている。肉の焼ける臭いが周囲に漂った。
 生きながら焼かれる苦しみ、それは想像を絶するものに違いない。
「くそっ!」
 カステルモールが止める間も無く、そう叫んだ騎士達の数名が、仲間を助けるべく杖を手にして前に出た。
 
 そこから先に起こったことは、虐殺としか表現できなかった。

 一人目。
 恐るべき俊敏さで突進してきた炎の固まりに巻き込まれて、一人がまず火だるまになった。
 二人目、三人目。
 火猫の大きく割けた口に噛み付かれ、最初に襲われた騎士と一緒に、炎にまかれながら食い殺された。
 四人目。
 杖にブレイドを纏わせ立ち向かったが、たちまち炎の爪に切り裂かれて絶命した。
 五人目。
 ブレイドを叩き付けるのに成功したものの、血の代わりに吹き出した炎をまともに浴びて、瞬時に炭化して果てた
 六人目。
 傷つけられて怒り狂った炎獣が吠え、カステルモール達に向かって火を吐き出し、逃げ遅れた一人が直撃を浴びた。
 七人目。
 背後から攻撃しようと飛びかかり、接近するところまでは成功した。
 だが、振り返りつつ放たれた、遠心力が乗ったメイスの一撃が頭部に直撃、血と脳漿を周囲にまき散らした。
 八人目。
 賢明にも距離をとって、風の呪文で攻撃を仕掛けたが、メイスから放たれた炎がその風ごと騎士を巻き込み、結果、自分の魔法を利用される形で炎の竜巻に焼き殺された。
 以上、全てがほんの十秒やほんのそこらで行われた虐殺である。
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:24:19 ID:kGV3v0Kn
支援
571MtL:2009/03/12(木) 23:25:51 ID:Wx4gFlCz
 犠牲になったのは計八人。
 ガリアが誇る精鋭の花壇騎士が八人。
 カステルモール以外の全員が、殆ど何の抵抗をすることもできずに、一瞬で命を奪われたのである。
 これを悪夢と言わずなんと呼ぼう。
 幾多となく敵と戦い、ヒデゥンスペクターとの不利な戦いにも果敢に立ち向かったカステルモール。
 その彼が恐怖した。
 八人のうち六人を殺したのは、男が騎乗していたモンスターだ。だが、それを優々と乗りこなし、最適な舵取りをしたのはメンヌヴィルだ。
 付け加えて言うなら、最後の二人の攻撃は掛け値無しに最適だった。
 最高のタイミング、最上の攻撃選択、最強の一撃であったはずだ。もし仮に自分が同じ局面に立ったとしたら、同様の攻撃を行ったことは想像に難くない。
 だが、それをあの男は、何でもないことのように一蹴して見せた。
 まるで飛び込んでくることが分かっているかのように背後へ攻撃を行い、そこから攻撃してくるのが分かっているように風の呪文に合わせて炎を放った。
 それは、炎の怪物の脅威などよりも、ずっと恐ろしいことのようにカステルモールには思えたのだ。

(本当に恐ろしいのは、炎の怪物よりも、極限の戦闘技術を、息を吸うように駆使したあの男だ)
 カステルモールは氷のような冷たい目をしたその男を、大義もない、名誉も無い、栄光もない、ただ純粋な死と炎に彩られた魔人を、心の底から恐怖した。
「どいて頂戴」
 気圧されたカステルモールの体を、そんな言葉と共に横へ押しやる者がいた。
 前に出たのは、残り三人となってしまった決死隊の、名目上のリーダーであるキュルケだった。
「ミス・ツェルプストー、ここは一度引いて対策を練ってから出直すべきだ……」 
 カステルモールはカラカラに乾いてしまった口で、かろうじてその言葉が捻り出した。
「そいつの言うとおりだよ……あれは正真正銘の化け物だ。地力が違いすぎる。正面から戦って、どうにかなるような相手じゃない」
 マチルダもカステルモールの言葉に同意した。
 だが、キュルケは二人の言葉に薄く笑って返した。
「ミスタ・カステルモール、ミス・マチルダ、どうもありがとう。……でもね、私はあいつに出会ってしまった以上、もう後に退くことはできないの」
 静かだが凛としてよく通る声で、キュルケは言った。
 そのやりとりに興味を覚えたのか、メンヌヴィルもキュルケの方を見た。
 その場にいる誰もが、自分の一挙一頭足に注目した。
 そのことがキュルケには心地よかった。

 ――キュルケは深く大きく息を吸う。
 種火を大きくするときに、風を起こして煽るよう、体の隅々にまで空気を運ぶ。
 すると心の中に燻っていた熱が、かっと一気に呼びさまされた。
 熱い熱い、身を焦がすような熱だ。
 そしてその熱に逆らうことなく、彼女は吠えた。

「メェェェェェェェンヌヴィルゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!」

 大空洞に反響する叫び。
 キュルケは吠えた。
「父と母を殺した男! やっと見つけた! ついに見つけた! このときを、どれだけどれだけどれだけどれだけ待ち望んだか! 」
 心の赴くままに、怒りと憎しみに身を焦がし、キュルケは吠え狂う。
「絶対に、許さないっ!」


 タバサが赤青のドラゴンと対決する意志を固めた同時刻。
 アルビオン内大空洞においても、一つの戦いの幕が上がった。


                自分を捨てて他人のために命を投げ出すことができるものこそ英雄だ。
                      ――モット伯からギーシュへ
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:27:36 ID:kK84anDz
待ってたぜ支援
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:28:23 ID:U1SgwHi5
支援
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:29:52 ID:RtqEDA8g
神龍と聞いてリアジューシネマの支配人思い出してしまった…アレ呼んだらギーシュ頭から喰われるな支援
575MtL:2009/03/12(木) 23:30:41 ID:Wx4gFlCz
以上で投下終了です。
やっとヴィン戦とミョズ戦に入れましたー。

今回前回と間を開けながらの投下となっていますが、余裕が出てきたらもとのペースに戻したいと思う所存です。

ではではー。
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:31:10 ID:ZDoO6DNE
クロノクロスの神龍も人類皆殺しが最終目標か
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:32:07 ID:kK84anDz
投下乙!
モンモンの渡したアイテムはなんだろ
っていうか『送還』使ったりMtLのモンモンは地味に強キャラだな
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 23:45:35 ID:+vUDGnAq
>>535

そこはルイズデルフリンガーだろJK。
そしてデルフ二刀流でワルド撃破…wktkして来たw
579MtL:2009/03/13(金) 00:04:54 ID:W578lgGa
あふ、話数間違いです……。
3章55話、通算で77話目でした……。
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 00:46:39 ID:SQCNQPSM
MtLの人乙です
この辺からギーシュが回顧録を執筆するようになるんだろうか?
しかしウルザの出番ホントにないなw
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 00:46:41 ID:qGg78z0F
>578
ディケーイ本編では(一応)各ライダー縁のものへと変化している。となれば…
タバサシルフィード
キュルケフレイム
ギーシュヴェルダンデ

そして
ルイズサイト
ヴィットーリオジュリオ…
582虚無の闇代理 0/6:2009/03/13(金) 00:49:38 ID:6EKhdt/y
投下乙です。

代理スレに投下来てたので行きます。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 00:52:59 ID:puqrapiS
支援
584虚無の闇代理 1/6:2009/03/13(金) 00:53:00 ID:6EKhdt/y
太陽は東へと沈み、世界は夜の帳に覆われている。漆黒に塗りつぶされた世界を照らすべき双月は、厚い暗幕の向こう側に追いやられていた。
学院から漏れる僅かばかりの光が届かなければ、僅か1メイル先も見通せないほどの闇の深さである。盗賊が仕事をするには最適の天候だった。
ロングビルという皮を脱ぎ去ったフーケは、代わりに黒いローブを着込み闇と同化しながら広場を歩く。予定では今頃、家族と楽しい団欒の時を過ごせるはずが、いまだに彼女はトリステイン魔法学院に居た。

それもこれも、あの無駄口の多いインテリジェンスソードが悪いのだ。フーケは足元に転がっていた石を蹴りつけようとして、音を立てられないので思い切り踏みつけてやった。
あいつが言い争ううちに計画の穴を次々と指摘してくるから、無機物相手に知恵比べで負けられまいと、今日に至るまで予定が間延びしていた。
言い返せなかった事が余計に頭にくる。何が自称千年物の剣だ、とフーケは口中で愚痴を並べた。アンティークとして価値があるならならまだしも、あんなに錆びていては新品より劣るではないか。そんなゴミに負けるところであった自分に嫌悪する。
八つ当たりとして、フーケはデルフリンガーをボロ布でぐるぐる巻きにし、信頼は出来るが扱いはとびきり荒い運送屋でテファが待つウェストウッド村へと送っていた。向こうに着く頃には野菜の山にでも埋もれて、あのお喋りも少しは矯正されているだろう。

「さて、土くれの腕の見せ所、といこうかね……」

自分に張りを持たせるためにそう呟き、フーケは持っていたランタンの火を消した。地面に這いつくばって耳を当て、周囲にメイジや使い魔がないことを入念に探る。
平民の衛兵や生徒の一人や二人に遅れをとる気はさらさらないが、今回の計画な物にするためにも、出来る限り発見されたくなかった。
それに、フーケは殺しが好きではない。必要なら躊躇わないが、自分の実力も計れずに特攻してきたガキをゴーレムで踏み潰したら夢見は悪い。

フーケは何度も深呼吸しながら精神を練り上げていき、今回の獲物が眠る宝物庫を睨み付ける。
あの壁は長い間手こずらせてくれた憎らしい敵だが、それを見るのも今日までだ。入念な前準備をしただけあって気力の高ぶりは十分だった。
フリッグの舞踏会にて、酔っ払ったコルベールから更に宝物庫の弱点を聞き出す事に成功している。柱や壁の構造もなども検討し、衝撃を与えるべきポイントに1週間以上かけて何度も錬金をかけてやった。
予定が遅れている事も、十分に精神力を回復できたと思えば悪くはない。後はただ行動するのみ。
具体的にはゴーレムで思い切り殴りつけてやり、その後はお宝を頂戴して逃げる。言葉にすると実にシンプルだ。

「よし、おっぱじめようか!」

フーケはここ一番の魔力を込め、長い詠唱を歌うように終わらせた。足元の大地が魔力を受けて隆起していく。地響きという胎動と共に巨人が産み落とされ、30メイルはあろうかというゴーレムが天を突いた。
足元に居る自分を踏み潰さないよう、慎重にゴーレムを攻撃の態勢へ移らせる。大きく足を開いて重心を安定させ、土を集めて巨大化させた右の拳にスピードを乗せる。遠くで衛兵が異常に気付いたようだが、もう遅い。
インパクトの瞬間だけ鉄へと変化したゴーレムの拳は狙い通りの位置に着弾し、攻城兵器顔負けの威力と成果を発揮した。天地も裂けよとばかりの轟音が鳴り響き、学院そのものが小刻みに揺れている。
585虚無の闇代理 2/6:2009/03/13(金) 00:55:15 ID:6EKhdt/y
「へ、いっちょあがりさ!」

大規模な魔法の使用によって脱力感を感じたフーケだったが、心中の高揚はたやすくそれを打ち消してくれた。
トリステインで最も強固と謳われた壁には馬車さえも通れそうな大穴が開き、どうぞ入ってくださいと手招きしているようだ。あのセクハラ爺がこの後始末に奔走する様を思えば、腹を抱えて笑いたくなるほど心地よい。
細心の注意を払いながらゴーレムで自身を拾い上げ、作ったばかりの専用通路から宝物庫へと入場する。崩れていく瓦礫を跨ぐのは実にすがすがしい気分だった。

「さて、後はこの金庫を……」

こちらも手こずらせてくれた金庫ではあったが、事前に固定化の呪文を解除し終わっていた。今では単なる鉄の塊に過ぎず、出来のわるい生徒ですら壊せるだろう。
当直さえ日常的にサボられているような、ずさん過ぎる警備体制だからこそ出来た技だった。ご自慢の金庫が砂になっているのを見たときの、オスマンの驚愕の表情が楽しみである。
フーケは軽く杖を振って金庫の一部を小さなゴーレムへと変え、繰り人形が恭しく差し出した巻物を一瞥して懐へと差し込んだ。

「破壊の魔法書、確かに領収いたしました。土くれのフーケ……っと」

ゴーレムを解体し、その土を使って宝物庫の壁へとサインを刻む。普段はそこまで大きく書かないのだが、今回ばかりは心持サイズを増した。
壁に耳を当てて気配を探ってみるが、いまだに宝物庫へと近づいてくる人物は居ない。先ほど気付いたであろう衛兵がメイジを呼びに奔走しているとしても、一杯のワインを嗜めるだけの時間は十分に残されている。

フーケはゴーレムの腕を宝物庫の中に差し込ませると、着込んでいた黒のローブを脱ぎ捨てた。巨大なゴーレムの一部を使用して囮を作り出し、土で出来た顔が完全に隠れるほど深く着込ませる。
近くで見れば一発で見抜かれるだろうが、ただでさえ真夜中なのにこの曇天だ。ランタン程度の明かりしか持たないのでは、肩の上に乗っている人影を視認することさえ難しいだろう。
杖を振ってしばし成り行きを見守ると、その正しさはすぐに証明された。
騒いでいた人間たちを跨いで"黒ローブのメイジ"を乗せたゴーレムが歩き出すと、彼らは明かりに群がる蛾のように追いかけていく。

「はっ! 我ながら、完璧だよ……。惚れ惚れしちまうね!」

笑いながらそう吐き捨て、操作出来る限界の距離までゴーレムを歩かせる。事態に気付いていた少数の人間もデゴイに釣られ、既に蛻の殻となっているはずの宝物庫に注意を向けているやつなど誰も居なかった。
衛兵の持っているランタンの明かりが塀の向こうへと消える。縁から顔を覗かせても誰一人したには居らず、今なら入ってきた穴からフライで飛び降りても発見される怖れは皆無だった。
普段なら嬉々として飛び降りただろうが、今回のフーケは更に用心を重ねていた。分厚い扉の前まで行き、耳を当てて向こう側の様子を探る。案の定、こちら側の警戒もまったくのゼロ。フーケは短く息を吐いて扉へと力を込めた。

「じゃあね、馬鹿どもよ……!」

蝶番にロウを塗りこんだ扉は音もなく開いていくいった。壁を破壊する前に、合鍵を使用して内側から開けておいたのだ。
闇に沈んだ廊下は耳が痛いほど静まり返っており、これだけ時間がたっても教師一人やってこない。フーケはディテクトマジックで周囲を警戒した後、素早く懐から合鍵を取り出して施錠した。
金属の機構が小さくない音を立てる。ドアがしっかりとロックされたことを何度か確かめ、使用したキーに錬金をかけて元の小石へと戻した。

これでフーケとしての仕事は終わった。予測が正しければ数分もしない内に、衛兵か教師かがやってくるだろう。そうしたら劇の始まりである。フーケは自らの完璧な仕事に満足し、大きく頷いた。
当直をサボっていた教師に変わって深夜の見回りをしていた秘書のミス・ロングビルは、フーケ襲撃を察して宝物庫に走ったが、扉を開くための鍵がなくて立ち往生していた、という設定だ。
無能な盆暗どもは、居もしないフーケを求めて捜索隊を出すだろう。そしてプライドと給料だけは高い貴族どもの事だから、王宮に連絡せずに隠密に事件を処理したいとも考えるのが自然な流れだった。誰だって自らのミスを宣伝したくはない。
保管を委託された外部の品であればそうは行かないが、破壊の魔法書は学院長の私物と言っていもいい物であり、建物さえ直してしまえば学院側に被害はない。人的被害も無いから隠蔽は簡単に終わる。
後は秘書として、その流れを後押しするだけだ。最近はアルビオンもきな臭いようだし、しばらくしたらそれを理由にして学院を辞めればいい。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 00:56:53 ID:vvrj9HUh
sien
587虚無の闇代理 3/6:2009/03/13(金) 00:57:02 ID:6EKhdt/y
「お、おぉぉ! み、ミス・ロングビルッ! ご無事ですか?!」

「え、ええ。大丈夫です。……見回りの最中だったので、急いで飛んできたのですが……。鍵が無いのを、忘れていました」

程なくして、寝巻きのままのコルベールが額まで真っ赤にしながらやってきた。フーケはロングビルとして、困惑しながらも必死に対処しようとする秘書を演じる。

「ミスタ・コルベール……。いったい、何があったのでしょうか? 巨大なゴーレムが、森へと逃げていくのを見たのですが……」

「巨大なゴーレム……。そ、それは、土くれのフーケに違いありません! 大変な事になりましたぞ!
こうしては居られません! 急いで宝物庫を確認せねば……! 鍵は、学院長が持っておるはずです! 行きましょう!」

フーケですって、と焦った様な返事を返す。コルベールは胸を張って落ち着かせてくれ、平静を取り戻したロングビルは共に学院長室へと向かった。
まさか犯人が目の前に居るとは思わないだろう。彼と共に廊下を走りながら、フーケは思わず浮かんでしまう下卑た笑みを隠せずに居た。





学院に賊が入ったらしい。
平穏な学院生活に降り注いだビッグニュースは厳かなはずの朝食の場を完全に支配しており、生徒たちは湯気を立てるステーキを放置して会話に花を咲かせている。様々な憶測や作り話などが飛び交い、広い食堂をゴシップが埋め尽くしていた。
口々に騒ぎ立てる名前は土くれのフーケ。土のトライアングルメイジであり、主に金持ちの貴族が持つマジックアイテムを狙う大怪盗。
今回は錬金などの静かな手段ではなく、大胆にも巨大なゴーレムを用いて宝物庫の壁に大穴を開けて行ったらしい。変装用の黒のローブだけを残し、煙のように消え去ったという。昨日の地震はこれだったのかとルイズは思った。安眠妨害もいい所だ。


教師たちは青い顔をして飛び回っているようだが、ルイズにはこれっぽっちも関係ない。対岸の火事よろしく眺めながらアルビオンの13年物で唇を湿らせ、肉厚のステーキを咀嚼する。
年間の食事代だけでも目玉が飛び出るほどの金額になるというトリステイン魔法学院の正餐ともなれば、王都にある一流のレストランにも引けを取らなかった。ステーキ用の肉も高価な部分だけを使用していて、実に美味しい。
最近、食事の好みもかなり変化していた。前はミディアムとウェルダンの中間あたりが好みだったのに、今は血の滴るようなブルーレアがたまらない。それはガリア産の高級食肉牛においてだけではなく、人間に対しても言えた。
エルザは恐怖や絶望がスパイスになると言っていたが、たしかにその通りだとルイズは思う。苦痛なく一瞬で首を撥ねた物より、丹念に痛めつけた固体の方が美味に感じるのだ。エルザによって血抜きされた新鮮な食材には食指が動く。

しかし、痛めつければ誰でもいいという事は無かった。狩猟と隠蔽の容易さから真っ先に試したのはスラムにいた少女だったのだが、肉質はパサパサしている上に味も薄く、決して美味とは言えなかった。
食べている物の良し悪し以前の問題だろう。あそこの住民はどいつこもこいつも痩せていて貧相だし、脂身が少なすぎるのはそれが原因と思われた。

その点、5つほど席を挟んだところに座っている少年などはほどよく肥えていて食べ応えがありそうである。魔法をつかえる固体はそれだけで貴重だ。
魔力の籠もっている貴族のハツに塩コショウをふって、直火で焼いたら美味しそうだった。素材本来の味を引き出すというのだろうか? 冷やした脳みそのシャーベットも捨てがたい。ルイズは口中に唾が沸くことを感じながらワインに手を伸ばした。
588虚無の闇代理 4/6:2009/03/13(金) 00:58:57 ID:6EKhdt/y
「ん……」

グラスを満たしていた緋色の液体を飲み干ほすと、脇から瀟洒なメイド服に身を包んだエルザがワインを継ぎ足す。その姿はぎこちない部分も無く、かなり様になっていた。
これでも最初はおっかなびっくりだったが、よき教師兼餌であったシエスタに仕込まれ、少女は一端のメイドに昇華していた。エリートといっても差し支えないここのメイドに馴染めている。

また根が器用な性格らしく、料理の腕でもメキメキと頭角を現していた。腕のいいマルトー料理長の下で修行を積んでいるだけあって、将来は彼の後を継ぐことも可能ではないか、などとメイドらから持て囃されているようだった。
個人の侍女を持つことに傲慢な貴族のガキどもは文句があるようだが、学院長はルイズの駒である。教師たちを操って反感を黙らせ、それでも騒ぐ者には鼻薬を嗅がせるか、後ろ暗い部分で脅して黙らせた。

「エルザ、片付けておいて」

人間と言う至高の味を知ったルイズはこの食事でも満足せず、贅を尽くした食事の大半を残して席を立った。
そもそも量自体が子供に食べきれるほど少なくないのだ。テーブルに並ぶのはどれも一流に近い食品だというのに、飽食の極みである。
毎回のように出る残飯を王都のスラム街にでも供給すれば餓死する人間は激減するだろう。しかし実際にそのような慈善事業の姿は無く、ただ捨てられて腐るばかり。
それどころかここのコックさえ、味見以外で大っぴらに口にする事は許されず、彼らが賄を作るために別の食材を仕入れる事すらあった。
だが、これは異常ではない。ごく自然なことなのだ。おおよそどこの施設でも似たような事が起きている。これを問題だと思う貴族は居ない。異を唱える平民は左遷されるか静粛される。この世界は貴族の楽園であり、平民のための世界ではないのだから。



校舎を出たルイズは手近な広場へと足を向けた。草原の上に立って首を傾けてみれば、確かに宝物庫の壁には大穴が開いている。
持ち出しが可能で有用な物は根こそぎ奪った後であったし、ルイズの急所とも言うべき悟りの書は全て暗記して燃やした後だ。ガラクタ置き場に用は無い。ネズミが這いまわろうが関係ない。
エルザに命じて、無駄に大事に必要は無いと釘を刺すべきだろうか。かつて目を背けていた数々の邪法は、まだ試した事さえなかった。表側の魔法さえまだ完璧ではなく、それ故ルイズはトラブルを躊躇している。
しばらく思案したが、老獪なグールはルイズが考えるよりよほど上手く問題を捌けるだろうという結論に至った。大まかな意思はエルザに伝えてあるので、自分が頭を悩ます類の物ではない。今は腕を磨くことだけ考えれ居ればいいだろう。

襲撃を瑣末事として切捨て、ルイズは杖を振って空を駆けた。昨日降った雨が残っているのか、多分に含まれた湿気で空気が重い。空は黒い残滓に埋められているが、その隙間から覗く光が何故だか気に入らなかった。
舌打ちし、眼下の森を見下ろす。暇つぶしに生き物を片端から殺して回っているのが不味かったようで、リス一匹気配を感じなかった。不機嫌に眉をひそめる。
自業自得とはいえ面倒だ。人間なら学院にいくらでも居るが、事後処理の煩雑さを考えると使いたくない。これだけ人間が蔓延っているのだから、たかが子供の一人や二人、殺したところで構わないと思うのだが。まったく持って煩わしい。

ルイズは不機嫌に顔を顰め、文字通りの意味での実験動物を探して視線を走らせる。可能なら諜報に適した小動物か、機動力に優れる鳥類が好ましい。
今回試そうと思っているのは、死体を魔物として蘇らせる邪法だった。熟練すればより高度な術式を用いて、完全な無機物にさえ命を与える事が出来るという。新鮮な死体を材料にアンデッドを作るのは、その初歩の初歩の初歩である。
基本的には吸血鬼が作るグールと大差ないが、今のルイズが作れる物では、おそらくその劣化コピーがいい所だ。損傷しても自力では治癒しないし、下手をすれば勝手に肉が腐ってスケルトンになる。大魔王が聞いて呆れる惨状だった。
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 00:59:27 ID:wwj0jwLL
支援
590虚無の闇代理 5/6:2009/03/13(金) 01:00:21 ID:6EKhdt/y
「……狐か」

四半刻ほど森を探し回ったところで、体長約40サントほどの狐を発見した。ルイズはそれを初の獲物とするか決めかねる。
狐は野生動物としてのすばしっこさと発達した聴力を持つが、それだけである。狼のような戦闘能力はないし、ネズミのような潜入能力も無い。鳥のように空を飛ぶことも出来ない。
しかしながら他に試すべき動物の姿も無かったので、ルイズは仕方なくその狐を選んだ。こういう時にヴィンダールヴのルーンは便利だ。
感覚的に動物の位置や種類が把握できたり、知能の低い対象なら容易に洗脳できたりする。惜しむべきは、他者の使い魔の支配権を奪うには至らなかった事か。
シルフィードのような高度な知能を持つ個体だけではなく、カエルやフクロウに至るまで、ある程度の好感を植えつける程度にとどまっていた。

ルイズは枝を避けながら森の中に降下し、棒立ちになっている狐へ接近する。長らく使い魔だと胸を張って紹介できるような傀儡が居なかっただけあって、予想していたより緊張した。
まずは素体の息の根を止める必要がある。大きすぎる外傷を作っては差し支えるので、出来る限りスマートに殺さねばならない。小指より更に細い氷の針を作り、狐の小さな心臓を打ち抜いた。細い悲鳴が漏れる。
膝を着いて狐に手を当てると、まだ暖かい体温を感じた。目を閉じて、深い淀の中に沈んだ記憶を呼び起こす事に専念する。掌に魔力を集中させる。ハルキゲニアで使用されている言語とはまったく異なる呪文がルイズの口から紡がれる。
黒い光を発する六芒星から光を飲み込む漆黒の霧が立ち上り、穴の開いた狐の心臓へと飲み込まれていった。

「ギギ、ギギギィィィィ!!!」

磨り潰すような甲高い悲鳴。初めての工程だが、誰かに聞かなくとも分かる。見事に失敗だった。
ルイズは唇を尖らせ、貧弱すぎた実験材料を一瞥した。術そのものには問題なかったのだが、注ぎ込む力の調節を間違えたようだ。あまりにも多くを与えられた狐は、赤黒く膨れ上がった肉の塊になっていた。
風船のように膨れ上がった胴体からは、手足の端末と鼻先と尻尾だけが覗いている。生物ならばとうの昔に動きを止めているはずが、異常な生命力を見せる狐の残骸はどうにかして立ち上がろうと空を掻いていた。

無様だ。自分の使い魔には相応しくない。

自ら作り出した造物だというのに、ルイズはそれを躊躇い無く踏み潰した。軽くため息を吐き、血で汚れてしまった靴底を大地に擦り付ける。
ちょいと失敗してしまったが、次こそ成功させればよい。
ルイズは再び杖を振り、雲の消えた青空へと飛び立った。




キュルケは苛立ちを隠さず腕を組み、ほぼ無人の食堂で桃色髪の少女を待ち構えていた。
横目で入り口を見やる。まだルイズはこない。柄でもない緊張が胃を焼く。
フーケ騒ぎのおかげで授業がご破算になった今こそ、ルイズを捕まえるチャンスなのである。今までも会おう会おうとは思っていたが、心のどこかで逃げてしまっていた。この機会を逸したら、きっと永遠に向き合うことは出来ないだろう。
後悔と練習だけは十分過ぎるほどやった。今ならルイズを前にしても、嫌みったらしい口調になってしまう事は無いはずだった。
腕を解いて胸に手を当て、大丈夫、大丈夫、と自己暗示をかける。嫌な冷や汗が背中を伝っていった。

ルイズは他の生徒と共有する時間を短縮するため、可能な限り素早く食事を取る。つまり、いつ通路からルイズが出てきてもおかしくない。
心の準備のために通路を見通せる位置に立ちたくとも、そうなると逃げられるかもしれなかった。キュルケは食堂の壁に背中を預け、苦渋になりかけた表情を無理やり戻す。
前にも一度、謝罪はした。しかし許しは得られていない。許されたいと思うことさえ傲慢だ。自分に出来るのは、ただ地に額を擦る事だけ。
591虚無の闇代理 6/6:2009/03/13(金) 01:01:20 ID:6EKhdt/y
ルイズはどうなった? あの意地っ張りで、怒りんぼで、無力なのに誰よりも強く、そして優しかった少女は。

顔を会わせないからこそ、遠くから見つめるしか出来なかったからこそ、キュルケはルイズの異常を敏感に察知していた。
以前のルイズなら、殊更強調しようとはしなくとも、手に入れた魔法を手放しで喜ぶだろう。
以前のルイズなら、美しい鳶色の目を輝かせながら授業にのめり込むだろう。
以前のルイズなら、あんな死人のように悲しい目はしない。
以前のルイズなら、……。

渦を巻くような自己嫌悪に、キュルケは強く目頭を押さえつけた。吐き気と胃痛が酷い。この期に及んで救いを求める浅はかさに辟易する。

何故私だけがこんな苦しい思いをしなければならないのだ。ルイズを貶めていたのは私だけではない。むしろ悪意しかなかった分、今でさえ笑い続けているクラスメイトたちのほうが……。

流されかけて、キュルケは己の頬を強く打った。今はそんな事を考えている場合ではないのだ。またもや逃げ出そうとしている自分を戒める。

「あ、る、ルイズ……!」

顔を上げた瞬間に食堂に入ってきた少女を見て、キュルケは慌てて壁から体を離した。喉の奥が乾いて張り付くのを感じる。

「……なに、キュルケ」

光を失った瞳が此方を捉えた。その惨状と自らの罪を食み、幾度と無くシミュレーションした言葉が喉につかえた。
言いよどんでしまったのを隠すために歩み寄ろうとすると、ルイズは渋い顔をして後退する。傷ついたキュルケは足を止めた。やはり嫌われていたらしい。

「あ、あの……」

搾り出したそれは、キュルケを知る者が聞けば心臓麻痺を起こすほど、あまりに弱弱しい言葉だった。
キュルケは自分でも似合わないと思っているが、あれほど練習したのに声が音にしかならない。自分の無能さに呻く。
私は何を言えばいいのだろうか。重圧から開放されたいという身勝手で、またルイズを傷つけてはしまわないか。そんな思いが喉を塞ぐ。

「悪いけど」

キュルケが葛藤を整理するより早く、ルイズが口を開いた。キュルケが知っているルイズとは真逆の、ゾッとするほど落ち着いた音色で。
彼女は変わってしまった。私が変えてしまった。時計の針を戻すには、どうすればいいのだろうか。

「あまり近寄らないで欲しいの。キュルケは……。貴方まで、巻き込み……」

予想はしていたが、実際に耳にすると大違いだ。拒絶の言葉に心臓が飛び跳ねる。鼓動に耳を閉ざされ、ルイズの言葉が聞こえない。

動けないキュルケを尻目に、ルイズは用件は終わったとばかりに踵を返して歩き去ってしまった。彼女は何が言いたかったのだろうか。
出来るならやり直したかった。あの頃のように、ライバルといえる関係に戻りたかった。
私は、何を行えばいいのだろうか。

「ルイズ……!」

届かない呟きは、誰の耳にも入ることなく霧散していった。
592虚無の闇代理 投下終了:2009/03/13(金) 01:02:17 ID:6EKhdt/y
以上で終了になります。ありがとうございました
フーケ編は短いですがこれで終わりな感じです。1巻分が終わるのに300KBを突破しちゃうところでしたよ……
一応終了までの流れは考えてありますが、こんな自分に最後まで書けるのか不安だったり。でも出来る限り頑張ります



代理投下終了です。
黒魔道士さんも来てるので、どなたか代理できる方お願いします。
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 01:06:52 ID:vvrj9HUh
代理乙です
でも面白かったけど本スレでやるにはちょっと描写的にマズくないですか、これ?
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 01:10:20 ID:9U8IsapT
>>581

> タバサシルフィード
> キュルケフレイム
ドラゴンライダーキックかましたりビームぶっぱなすディケイドを幻視したw
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 01:29:42 ID:eTepfGtX
普通に、別の使い魔召喚してるところにお邪魔するのもいいかもな。
ユウスケの役をサイトに振るとか。

個人的にはご立派様のファイナルフォームライドをだな。
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 01:54:47 ID:jeEtnzln
代理乙!
黒いルイズはたまらんねw
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 02:07:58 ID:02ChntiZ
MtLのヒト 待ってました
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 02:26:31 ID:hcJmz35A
10分ほど後から、黒魔道士の代理投下を始めます
599ゼロの黒魔道士第39幕1/7:2009/03/13(金) 02:34:59 ID:hcJmz35A
雲が後ろに走っていく。木々のざわめきが一際大きい。
「相棒、相棒ぉ〜!めずらしく勇ましく積極的じゃねぇの?」
左手に握ったデルフがカラカラと笑うように言う。
「戦争は……嫌だから!」
チョコボから落ちないように、手綱を握る右手に、より一層力がこもった。
「ま、それにゃ同意だな。決闘ならともかく、戦争にゃ美学が少なすぎらぁ」
「……それは、なんか違うと思うけど?」
美学とか、そういう問題じゃないと思う。
なんか、うまく言えないけど……嫌なんだ。誰かが死ぬのを、黙って見てるなんて。
「ま、いいじゃねぇの!相棒がやう気なら全力サポートすっぜ?で、どうする?」
「……どうしよう」
大砲の音とともにトリステインの飛空挺が沈んでいく。
空は爆音と煙であふれていた。どうすれば、これを止められるんだろう……
「いや早ぇな!?」
チョコボの背に捕まりながら、ザワザワする心をそのままに、考えていた。

どうすれば、守れるのかを。

ゼロの黒魔道士

〜第三十九幕〜 闘う者達

「――ビビ君、一番大きな船が見えるか?」
並走するギーシュが真っ直ぐ前を見たまま話しかける。
「……え?あぁ、アレのこと?」
一番大きな船は、進行方向真っ直ぐの上空で、悠然と居坐っていた。
近寄るトリステインの船を、小蝿をおっぱらうような簡単に大砲で潰している。
いかにも、ボスっていうたたずまいだった。
「いいか、ビビ君、戦の基本は頭と手を潰すこと、だよ」
「……頭と、手?」
ギーシュは、まっすぐ、前を見据えている。
「――ビビ君、頭は、君に任せていいか?」
真剣な、目。覚悟を決めたって感じの目をしていた。
「え、ちょ、ちょっと待ってよ?それじゃ、ギーシュは?」
頭『は』っていうことは、自ずとギーシュはボクと別行動で……
「何隻か、着陸態勢に入っている」
ギーシュが指さす先。
そっちには、『頭』よりも大分小さい飛空挺が2、3隻、岩場の隙間をぬってゆっくりと降下しているところだった。
「ラ・ロシェールやタルブを占領する腹づもりだろう。――僕は、手を潰す」
震える唇で、無理矢理笑顔を作るのが分かる。自分の言ったことに少しだけ怯えているんだろうか。
……思わず、『大丈夫?』って聞いちゃいそうだった。

でも、ボクは知っている。ギーシュは、強い。
最近、特に強くなってきているっていうことは、いつもの特訓で知っている。
それに、何て言ったらいいんだろう。心が、強い。
ここぞっていうときに、何とかしてしまえる、そんな安心感がある。
そういった意味では、ジタンとどこか似ている感じもする。
……だから、ボクが言ったのは、『大丈夫?』じゃなくて……
「……うん、分かった!無事でね!」
「あたりまえさ!」
「おっしゃ!いっちょサクッとズバッと俺様大活躍ぅっ!」
木々の間を抜けて、二手に分かれた。
頭と手、同時に打つために。
やるべきことは、決まった。
それぞれなすべきことが、決まった。
なら、それをやるしかない。
手綱を握る右手をもう1度ギュッと強くにぎりしめた。
600ゼロの黒魔道士第39幕2/7:2009/03/13(金) 02:36:15 ID:hcJmz35A



「……ま、真下から見るとさらに大きいね……」
見渡す地面に全部影を作って、その飛空挺は空にあった。
首が痛くなりそうなぐらい、高いところにあって、ちょっとした島ぐらい、大きく見える。
「狙いは寄ってきた敵の排除ってとこか。近づくだけで殺られんぞ」
デルフがカチャカチャと警告する。
「……『メテオ』で落とせるかな……」
『頭』を潰すって考えたときに、真っ先に考えたけど……
ちょっと距離がある。うまい具合に狙いをつけないと、飛空挺に落ちそうにない。
でも、周りは平地。飛べないチョコボであの高さまで行くのは難しそうだ。
かといって、『サンダガ』や『コメット』でも似たようなものだ。
距離が遠すぎると、どうしようもない。
「どっちにしろ、今落としたら相棒ヤバくね?」
デルフの言うとおり、今落としたらボクの真上に残骸が落ちてくることになる。
……ちょっと、厳しそうな状況だった。
「……うーん……」
ボコに乗ったまま、周囲をグルっと偵察する。
早くなんとかしないとって焦る気持ちがザワつくけど、無茶はできない。
今、ここ、この場所にいるのはボクぐらい。だから、ボクがなんとかしなくっちゃ……

「貴様、ここで何をしている!?」
「……え!?」
おっきな飛空挺と影が重なって気付かなかったんだ。
「何だ?民間人のガキか?」
小さめのドラゴンに乗った兵士。状況からどう考えても、アルビオンの……
「え、あ、あの……」
「おい、どうした?――なんだ、ガキじゃないか」
返事に困っていたら、さらにもう一体、ドラゴンに乗った兵士が寄ってくる。
……よく見れば、『頭』を守るように、何体ものドラゴンがグルグルと偵察をしている。
「いえ、しかし、怪しい動きを!」
「ほう?どうする、上からは、疑わしきは――」
「は!罰せとの指示です!」
どうやら、怪しい動きをしていただけで捕まえられてしまうらしい。
……どうしよう、って思った、その先だった。
突拍子もない、っていうより、トンデモない考えが浮かんだ。浮かんでしまったんだ。
「なら手早くしろ。見張りも暇じゃないんだ」
「ハッ!」
「相棒、どうする?」
「……あのさ、デルフ、こういうのって、できると思う?」
ボソボソっとデルフに相談する。流石に、あり得ない作戦かなって思ったからだ。
「んぁ?なになに――あー?いやさ、できなくはねぇと思うけどよ?相棒、最近はっちゃけてねぇ?」
「……そうかなぁ?」
デルフにまでそう言われるってことは、よっぽどなんだなと思う。
……でも、反対はされてない。
やるべきことのために、他にいい方法も無さそうだ。やるしかない。
601ゼロの黒魔道士第39幕3/7:2009/03/13(金) 02:37:23 ID:hcJmz35A
「そこっ!何をゴチャゴチャと独り言を!」
「青き海に意識薄れ、沈みゆく闇
         深き静寂に意識閉ざす… スリプル!」
「いいか、俺だって子供に手をかけるような真ねは――した――ないねん〜……」
兵士の人だけに眠ってもらう。これで、もう、後には引けない。
「ボコ、行くよっ!」
「クェッ」
ボコの首をポンッと叩いて、速度を上げる。そして、手綱をギュッと引っ張って、ボコが思いっきり……
「ん?どうした、ダット?小僧は始末――なっ!?」
「時を知る精霊よ、因果司る神の手から
         我を隠したまえ… ストップ!」
眠った兵士の乗っているドラゴンを足場に、さらに高く、ボコは跳びあがる。
ドラゴンの、目線の、さらに上まで。
……竜騎士のジャンプって、こんな気分なのかなぁ?
チョコボは、飛べない鳥。
でも、チョコボは、跳べる鳥。それも、ものすごく高くまで。
ということは、足場さえ用意できれば、どこまでも跳べる……うーん、トンデモないなぁ……
「!?」
『ストップ』で空中に張りついたように止まったドラゴンに足場を移す。
まだ、飛空挺ははるか上。足場は全然足りない。
……今は、まだ。
「様子がおかしいぞっ!?」
「えぇい、火龍隊っ!集結っ!」
「い、いっぱいきたぁ〜!?」
予想どおり、とはいえ、こんなにワラワラ寄ってこられるると流石にきつい。
「ケケケ、上行く足場がいっぱいでてきて良かったじゃねぇのっ!」
「や、やっぱりこの作戦は失敗だったかなぁ……」
「相棒、もう遅ぇぜっ!始まっちまったらなぁ、『できるか』じゃねぇんだよ、『やる』1択しかねぇっての!腹くくれや!」
デルフに言われてしまうと、仕方ないなって気分になる。
うん、もうやるしかないんだ。
「う、うんっ!」
「よっしゃ、そんじゃ船の上、目指すぞぉ〜!」
「クェーッ!」
はるか上の飛空挺を目指して、両手をグッと構えた。
---------------
ピコン
ATE 〜ビッグブリッヂの死闘〜

ラ・ロシェールは岩場に作られた要塞都市。
ゆえに、入る道は限られる。
大軍を擁した船が着陸できるタルブ平原からの街道であれば、1つの道しかあり得ない。
よって、その道程を確保できるかどうか、それがラ・ロシェールの攻防の全てと言っても過言では無い。
「ぐわっ!?」
その道程の一部、ラ・ロシェール近くの滝から注ぐ河川によって削られた谷、
そこにかかる太鼓橋、通称“ビッグブリッジ”において、戦の命運を賭けた戦闘が、行われていた。
「――ちっ、数が多いな」
剣士アニエスはそう呟いた。
艦隊戦にトリステイン軍の意識を集中させ、さらに通常の世界樹からの下船ではなく、
タルブ平原側からの歩兵による襲撃、敵ながらよく考えられた作戦ではある。
それを看過できたのは、剣士としての勘と、ほとんどは運否天賊によるものだ。
アニエスは自らの幸運に感謝した。
とはいえ、ここまでの人数差、おおよそ1人に対して300の敵。
これを倒したところで、第二、第三の陣が出てくるだろう。
その点にまで運が作用しないのは、天を恨んでもお門違いではあろうが、恨まずにはいれなかった。
「――ゲヘヘ、姉ちゃん、剣なんておろしてさぁ、仕事終わったら遊ぼうぜ?」
橋を挟んで反対側、一際大きな歩兵が下卑た笑い声を上げる。
かろうじて、橋という地形に救われている。
1度に相手するのは多くても2、3人だ。
しかし、それが長く続くと、流石に息切れもしてくる。
既に橋の欄干に何体もの戦の証が転がっている。
602ゼロの黒魔道士第39幕4/7:2009/03/13(金) 02:38:33 ID:hcJmz35A
「下郎が。どの口でほざくか」
荒れる呼吸をそのままに、せいぜい強がって見せる。
それしかできないのだ。たった1人、耐えねばなるまい。
貴族同士の潰しあいなら看過できようが、貴族の勝手で平民の命を潰そうとしているのだ。
それを見過ごすなど、炎の記憶を抱いた彼女にできようはずがなかった。
握る剣を、中段に構えなおす。
死んだら、屍で橋を塞いでやる。アニエスは死を覚悟した。

「イキのいい姉ちゃんは好きだぜ〜?だが、こっちも300人はいるんだ、大人しくしてた方が――」
一際大きな歩兵が、また粋がった挑発をしようとした、そのときだった。
「――突撃ショコボキック!」
「クェーッ!!」
黄色い影が、下衆の巨体をなぎ倒し、砲弾のごとき勢いで飛んでくる。
「ぐはっ!?」
「な、なんだなんだ!?」
歩兵共が慌てているところを見ると、敵の攻撃では無いようだ。
――しかし、この間抜けな声に聞き覚えがあるのはどうしてだろうか。
「ア〜ンドっ!ギーシュ・ダイナミック・ローリングクラ〜ッシュ!!」
「おがっ!?」
「ぐぇっ!?」
黄色い影から、1体の影が分離し、橋のこちら側のい着地した。
それは、金髪の、マントを着た間抜け面だった。
「ぎ、ギーシュ・ド・グラモン!ただいま参上っ!!」
「青瓢箪!?」
魔法学院の貧層な体つきの貴族のボンボン、それが影の正体と分かり、アニエスは驚かざるをえなかった。
何故、こんなところにこの嘴黄色い青二才が――
「おい、メイジだぜ」
「ひるむんじゃねぇ、メイジっつっても鼻たれのガキじゃねぇか」
歩兵共が陣容を整える。糞、とアニエスは小さく呟いた。
折角、相手の背後にいたのだから、もう少し奇襲らしくすればいいものを。
こうも貴族というものは無駄なことしかしないものか。
「何しに来たのだ、貴様は」
苦々しい毒気のこもった声が出る。
「いてて――あぁ、『命を惜しむな、名を惜しめ』というのが家訓でしてね」
なるほど、功を焦った若気の至りか。
無能な働き者は邪魔でしかない。厳しいが、戦場ではそれが現実だ。
「ふん、そんな理由で死にに来たのか?」
子供とはいえ、憎い貴族だ。いざとなれば見捨てる。そういう冷たい目で見る。
「いえ――錬っ金っ!」
薔薇に包まれた。そうアニエスの目には見えた。
花吹雪が消え去ると、そこには、先ほどまでの青瓢箪とは違う姿。
まるで――魔法のようだった。
「ライバルや、愛する人が待ってるんです!生きて帰りますよ!何より――」
中身は、やはり声の震えたヘタレのボンボン。
しかし、鎧甲冑に包まれた顔には、確かに戦士たる誇りが見える。
「何より?」
「世界の女性のために、カッコよくなりたいんですよ、単純にね!
 だから、守りたいんです、カッコいいから!!」
大馬鹿野郎だ。そうアニエスは判断した。
カッコをつけたいためだけに、ここで戦って、生きて帰ろうとしている。
2対300、圧倒的に不利な状況で、だ。見もせぬ民を守るために。
あぁ、本当に大馬鹿野郎だ。
だが、気持ちいい。貴族にあって、この大馬鹿っぷりは清々しいほど気持ちいい。
603ゼロの黒魔道士第39幕5/7 代理:2009/03/13(金) 02:39:52 ID:hcJmz35A
「――ふんっ、見上げたバカっぷりだな、ヒヨッ子が」
少しだけ、笑みがこぼれる。
「う、酷くないですか、アニエス先生?」
不平を言う大馬鹿野郎。
あぁ、でも救われた。アニエスは素直にそう思う。
「まぁ良い。師と仰がれたのだ、教えておこう」
2対300、相変わらず不利だが、何とかなる気がしてくる。
「何を、ですか?」
「男なら、誰かのために強くなれ」
深く呼吸をし、眼前の敵を見据える。
「へ?」
「歯を食いしばって、思いっきり守り抜け」
この大馬鹿野郎なら、貴族だが守ってやってもいい。
「倒れても、何度でも立ち上がれ」
これは、自分に言い聞かせる。全く、ちょっとでも諦めそうになったのはどこのどいつだ?
「それだけできれば――カッコ良い英雄のできあがりだ」
貴族も、そう捨てた奴らだけでは無いのかもしれない。アニエスは小さくそう思った。
「――了解ですっ!」
「よし、守るぞ、ラ・ロシェール!」
「はいっ!」
体に、精神に、喝を入れる。死闘は、ここからだ。
「かかれ野郎共っ!」
「クェーッ!」
「おぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉ!!」

怒号響くビッグブリッジ、およそ302人と1羽は、
闘いの奔流に飲み込まれていった。

-------------------

上に上に行くに従って、ドラゴンに乗った人達の攻撃は激しくなってきた。
「相棒、後ろっ!」
「うわっ!?」
「クェーッ!」
「ヌァッ!?」
ボコが後ろの兵士を蹴り降ろして、そのままさらに高く跳びあがる。
「ボコ、すごいっ!?」
「相棒、前前前っ!?あぁもう、まどろっこしい!ちょい体借りるぜっ!」
「え!?うわっ!?」
「グビェッ!?」
体が、左腕にひっぱられるように動き、前の敵をなぎ切った。
まるで、デルフが勝手にボクの体を動かしたような……
「魔力吸い取った分、所有者の体を動かせるんだよ、おれっち!」
そんな機能があるんだ。ちょっと便利かもしれない。
とはいえ……
「……そういうの、もっと早く言ってよ……」
「いや、悪ぃ。最近思い出してよ――だぁ、今度は上っ!」
今度はボクが反応する。
「闇に生まれし精霊の吐息の
         凍てつく風の刃に散れ! ブリザド!」
「ドァッ!?」
氷にひるんだドラゴンを足場に、蹴って上に上がれば、そこは飛空挺の翼の上。
後は、この上から攻撃をすれば……
「うし、あとちょっとぉ!」
「し、下は見ない、下は見ない……」
下を見ると、震えそうなぐらい高いところまで来てしまった。
もう、あと戻りはできない。
604ゼロの黒魔道士第39幕6/7 代理:2009/03/13(金) 02:41:00 ID:hcJmz35A
「――久しいな、“神の盾”」
上から、声がした。
「クェ?」
「なっ!?」
「おでれーたなこいつは」
左腕が、金属の光沢に変わっていたけど、間違いなく、その姿と声は……
「――そして、感謝しよう。私に武勲が与えられる機会を与えてくれて」
「わ、ワルドっ!?」
「そしてお恨み申し上げよう。この間の借りをな――」
ギリリと歪む笑顔が醜い迫力で、ボクの目線の高さにまで下がってくる。
「借りはまとめて返してやるよっ!貴様の死でなっ!!!」
ワルドの咆哮が、地面から遠く離れたこの場所で轟いた。

--------------------------
ピコン
ATE 〜マザリーニ回顧録より〜

――幻想は、いずれ終焉を迎える。
それは幼児ならともかく、我ら大人ならば理解せねばならぬことである。
しかし、我々は幻想に頼っていた。
恒久なる平和を、甘い幻想を信じて疑っていなかった。
その驕りが、我々自身を苦しめていた。

「偵察の飛竜より、連絡途絶えました!」
「残存船、1つ!それも落ちかけです!」
「ラ・ラメー伯を救助!しかし大怪我をおっておられるようで――」
「ド・ポワチエ大将とは連絡がつかんのかーっ!」
「が、ガリア方面からも船見ゆとの報告が――」
「それは誤報だ!それよりもゲルマニアへの急使は――」
「応戦は外交問題に――」

会議場にもたらされる情報は混乱模様をきわめ、真偽を確かめる暇すら無かった。
一方の卓を囲む顔ぶれは、所謂、宗教屋あがりである私から見ても、政治家とは思えぬ体たらくであった。
いわゆる『楽観派』であった大臣達は自らの責任の所在を他者へ押しつけようと周囲を見渡すばかり、
『悲観派』であった数少ない将軍連中も、情報の取捨に手を割かれている状況であった。
あるいは、かつてこの国を治めた前王がおられれば、かうたる事態にならずとも済んだやもしれない。
しかしながら、それはかなわぬ幻想に過ぎぬことであると、覚悟しなければならなかった。

「――マザリーニ」
「――何でございましょう、アンリエッタ様」

ゲルマニアとの婚姻は、アルビオン新政府に対する政治的意味合いが強かったこととはいえ、
それを逆手に取られた今、叱責を我が身に受けるべきは私であった。
全ての責はこのマザリーニが受けるべき、その覚悟が無くば政治屋などできるものではない。

「動ける竜兵は?」
「――ラ・ロシェール近辺の情報は混迷しております。今しばらく把握にお時間を――」
「違います!今、このトリスタニアより動ける竜兵です!」
「それならば、常に十機は待機させておりますが?」

政治屋となった時点から、私もまた幻想に囚われていたというのだろうか。
『政治とは理念ではなく、合理性を尊ぶべき』という幻想に。
であったとしても、私は仕えるべきアンリエッタ・ド・トリステインに教えられたのである。

「ならば!直ちに準備をさせなさい!私、自らが参ります!」
「な!?」

婚姻前の姫君が戦場へ。姫自らのその発言が、混乱の中にあった会議室に一石を投じた。
それは常識という名の幻想に浸かっていた政治屋共の肝を見事に冷やすこととなった。
605ゼロの黒魔道士第39幕7/7 代理:2009/03/13(金) 02:42:21 ID:hcJmz35A
「な、なりませぬ!!婚姻前の大事な御体ですぞ!?」
「民が運命に飲まれていると言いますのに、会議室で騒ぐだけの体のどこが大切なのですか!!」

その語気は、未だ幼い女性のものであったと記憶している。
しかしながら、私は見たのだ。その瞳に、前王のごとき為政者の輝きが宿るのを。

「あの方は、勇気をもって私に『生きていてくれ』とおっしゃった!
 しかし、このまま卑怯者達の好き勝手にさせて、どう生きていけというのでしょうか!」

彼女の弁は語彙も足りず、未だ人の上に立つに値するほどではないものではあったが、
熱を感じたのである。我々政治屋の合理的に凝り固まった頭脳を溶かす熱を。

「会議室の皆様に問います!このまま会議室で慌てふためくだけの無能として記憶に残るか、
 護国と民のために戦う運命を取るか!!」

それは、幻想の終焉であった。
政治家とは、机上の書類を前に議論を交わすだけという、ぬるま湯の幻想の終焉であった。
我々は、姫の青臭くも熱のこもった弁に乗り、直ちにタルブへの派兵を決めた。

しかしながら、これが終演の幕開けであることを、
私を含め、この場にいた全ての者が知ることは無かったのである。

                  マザリーニ回顧録 第五集『幻想の終焉』
                  第一章 『終演の幕開け』より抜粋・編集
--------------------------
以上です。
戦闘描写がド下手ですんません。
飛龍部隊に対して、チョコボ上のビビがデルフを振りまわす姿を幻視したのがこのSS書き始めたきっかけなところもありまして、
ここまで書けてある意味満足です。
続きも、ぼちぼちがんばります。
お目汚し失礼いたしました。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 02:46:37 ID:hcJmz35A
以上、代理投下終了です
なお、代理スレの「重攻の使い魔」が未投下のようです
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 03:05:01 ID:q6U4jCdf
>>592
虚無の闇の人GJ、代理の人乙
今一気に読んできたが、最初はガリア王ポジションかと思ったら全くの別物だったね。
しかしゾーマは恐ろしいな。仮面のルイズのように独立した闇の狩人というわけではなくて、
邪悪な闇そのものと同化したルイズだもんな……。マチルダさんは大丈夫だろうか。
光の勇者らしき逆行サイトとティファニアが闇を払うことを期待するしかないな。
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 05:40:05 ID:ukCLiB6X
ビビの人乙
不意打ちのネクサスに思わず吹いた
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 07:03:59 ID:9U8IsapT
>>595

> ユウスケの役をサイトに振るとか。

サイトデルフリンガー…アリだなw


> 個人的にはご立派様のファイナルフォームライドをだな。

すごく…大きいです。的な独特な型の大砲に変型するのを想像して吹いたww
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 08:08:46 ID:pS9+2yPB
>594
タバサやキュルケが大開脚変形するのか

テファバストレヴォリューシュンなんて言葉が湧いてきた
どんな物かは全く不明
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 08:46:37 ID:upcFHWO1
他の世界の使い魔にカメンライドするけど、その能力が凄すぎて使いこなせない、とかありそうだな。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 08:47:40 ID:0vTn2463
肩に背負っておっぱいミサイルとかか?
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 09:47:47 ID:9U8IsapT
>>610

> タバサやキュルケが大開脚変形するのか
うわ見てぇww

テファミサイルという言葉が浮かんだ。当然お(ry
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 09:51:34 ID:pv4iw3WO
ディケイドもだけどルイズを導く大人な響鬼さんとかいいよなぁ
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 09:59:15 ID:Yxk5fwWD
規制に巻き込まれて涙目にもほどがある
自分の手で作品を投下したい派だったのだがなあ
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 10:31:16 ID:VoWM4D9U
>>556
Xで一緒になれたのはターニア(タバサ)とY主(レックス)っぽい。
選択によっては髪の色も同じ青になる。
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:10:50 ID:uucZifpK
世界的有名ねずみで長編を書こうかしら
ただ誰かに従うような性格ではない、能力的にチートなのが難しいところだけど
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:13:28 ID:nh7KqA8M
ジェリー召喚ですね、わかります
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:19:37 ID:uucZifpK
>>618
有名ゲームのキャラとクロスもしたあのねずみだよ
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:21:12 ID:rF2U3ul6
ソニックってハリネズミだっけ?
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:21:31 ID:cUcF22Dc
>>619
いいんじゃないの?ピカチュウかわいいし
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:24:32 ID:bOrt+ZP2
そういやアニメのピカチュウって最初懐かなかったんだな

マッピーは世界的にはどうなんだ
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:25:16 ID:uucZifpK
>>620
うん
世界最速の音速ハリネズミ
一瞬だけなら光速にまで達することができたりするのはやっぱりチートかなあ
624ライデン代理:2009/03/13(金) 12:29:09 ID:HSGvjPUO
代理投下5分後にいきます
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:30:32 ID:u3XHCB3U
>>623
じゃあキツネにしようぜ、コルベール先生との会話が楽しそうだ
626ライデン代理:2009/03/13(金) 12:34:08 ID:HSGvjPUO
重攻の使い魔 第11話『沈む王国』

 ルイズ一行を乗せたアルビオン軍艦『イーグル』号は浮遊大陸アルビオンの入り組んだ海岸線を、大陸
下半分を覆う雲に隠れるようにして航海した。三時間ほどそれを続けると、前方に大陸から突き出した岬
が目に入る。そしてその突端には、高い城が聳え立っている。
 イーグル号は直接城への進路は取らず、更に大陸の下に潜り込むように降下した。疑問を顔に浮かべた
キュルケたちを見て、皇太子は遥か上空を指差す。雲の狭間から見て取れたのは、城へと降下しつつある
巨大な戦艦であった。全長はイーグル号のゆうに二倍はあり、帆を何枚もはためかせている。
 巨艦は城と同じ高度に停止したかと思うと、標的としたであろうニューカッスルの城目掛けて、側舷に
並べられた砲門を一斉に開いた。片舷54門の斉射は空気を震わせ、重々しい砲撃音は離れているイーグル
号すらも揺さぶった。城壁が砕かれ、小規模な火災が発生しているのがここからでも見て取ることができ
る。おそらく今の砲撃で、戦死者の名簿に新たな数行が書き加えられたのだろう。

「かつて私の乗艦であった本国艦隊旗艦『ロイヤル・ソヴリン』号だ。叛徒共に強奪されてからは『レキシントン』
と名を変えているようだがね。我々が奴らに初めて敗北を喫することになった、……忌々しい土地の名さ」

 巨大戦艦は一暴れして気が済んだとばかりに再び上昇していく。艦の周囲には竜が飛び交っているのが
かろうじて見えた。皇太子はかすかに悔しさを滲ませた口調で告げる。

「現在我々はあの艦が率いる反乱軍に包囲されていてね。時々嫌がらせのように砲撃していく。もはや死
に体のこちらを嬲るが如くね。流石にこの艦であの化け物に勝つのは不可能だ。……だから秘密の港を
使って城へと入る。大使を迎えるには色々と味気ない港だが、まあそこは容赦願いたいな」

 大陸の影になっていることも相まって、一寸先も見通すことのできない雲中を器用にイーグル号は突き
進んだ。数十分ほど航行すると、マストに灯された魔法の明かりによって、直径300メイルほどもある巨大
な穴が開かれていた。イーグル号と曳航されるマリー・ガラント号は、隠された港があるであろう穴へと
入っていく。
 その様をみて、ぽつりとワルドが呟いた。

「秘密の港……、まるで空賊ですな」
「君の言うとおり正に空賊なのだよ、子爵」

 そういう皇太子の表情は少しばかり楽しそうであった。
 イーグル号とマリー・ガラント号は巨大な鍾乳洞を利用して造られた秘密港に係留され、一行は待ち構
えていた大勢のアルビオン王党派の人々に迎えられた。皇太子にパリーと呼ばれた老メイジと、集まって
いた兵隊達は、マリー・ガラント号の積荷が硫黄だと聞くと、鍾乳洞が崩れんばかりの大歓声を上げた。
老メイジは感動にむせび泣き、皇太子と自分達の死に様を楽しげに話し合っている。
 ルイズ一行がトリステイン大使であると聞いた老人は朗らかな笑顔で近付いてくる。
627ライデン代理:2009/03/13(金) 12:35:29 ID:HSGvjPUO
「これはこれは大使殿。わたくしは殿下の侍従を仰せつかっておりまするパリーでございます。遠路はる
ばるアルビオン王国へようこそいらっしゃいました。大したもてなしはできませんが、今夜のささやかな
祝宴に是非ともご出席下さいませ」




 ルイズ・ワルド・ギーシュの三人は皇太子に導かれ、彼の私室へと向かった。正式な大使ではないキュルケ
とタバサは、現在パリーに城内の案内をしてもらっている。ニューカッスル城の最上層部、天守の一角に
置かれている皇太子の私室は、一国の王子のものとは到底思えない、非常に質素な部屋であった。これならば、
まだしも学院の寮の方が洒落ている。
 木材で組まれた簡素なベッドに、同じく木製の椅子とテーブルが一組。この部屋で最も手の込んだ物が
あるとすれば、壁に飾られている、戦の様子を描いたタペストリーぐらいのものだった。
 皇太子が椅子に腰掛け机の引き出しを開くと、中には全体に宝石が散りばめられた小箱が収められていた。
彼は先端に小さな鍵の付いた首飾りを外すと、その鍵で小箱を開錠する。中から幾度も読み返され、既にぼろ
ぼろとなってしまっている手紙が取り出された。
 皇太子は愛おしそうに口付けし、破かないように優しく開き、そして静かに読み始めた。手垢の付いた手紙
は、何度もそのように繰り返し読まれたものらしい。一通り読み返すと、同じように丁寧に折り畳み、封筒に入れた。

「これが姫から頂いた手紙だ」

 ワルドが一礼して受け取ろうとした時、皇太子は若干迷った表情を見せた。すまなさそうに手で制する。

「すまない子爵。この手紙は、できればヴァリエール嬢に受け取ってもらいたいのだ。
……アンリエッタから指輪を預けられた彼女にね」

 素直に下がり、ワルドは虚を突かれた顔をしたルイズの背を押した。ルイズは慌てて一礼して皇太子から
手紙を受け取る。

「明朝、非戦闘員を乗せたイーグル号がここを出発する。君達はそれに乗ってトリステインに帰りなさい」

 一体いつ送られたのか分からない、酷くくたびれた手紙を見つめながらルイズは考えていた。なぜ死を前
にしてこれほどまでに落ち着いていられるのだろうかと。この手紙の内容は、きっと自分が考えている通り
のものに違いない。そしてアンリエッタから渡された手紙には、おそらくとある一文が書かれているはずなのだ。
 黙りこくってしまったルイズに、皇太子は小さく眉をひそめながらどうしたのかと声をかける。

「殿下……。やはり、王軍に勝ち目はないのですか? 本当にアルビオン王家はあの汚らわしい反乱軍に
敗れてしまうのですか?」
628ライデン代理:2009/03/13(金) 12:37:07 ID:HSGvjPUO
 ルイズは思わず口をついてしまう。暗い表情をする少女を前にしても、皇太子は何ら気負うことなかった。
彼我戦力差は絶望的だと、至極あっさりと答える。そして自分は誰よりも真っ先に戦死するつもりだとも。
少女は思わず歯噛みする。今ここにライデンがいれば、もしかしたら戦局を覆すことができたかもしれない
というのに。
 皇太子の言葉を聞き、ワルドとギーシュに少しの間だけ席を外してほしいと伝えると、ルイズはそれまで
考え続けていた疑問を口にした。

「殿下、無礼をお許し下さい。恐れながら申し上げたいことがございます」
「なんなりと申してみよ」
「ただいまお預かりしたこの手紙……、これは姫様からの恋文だったのではありませんか?」

 秀麗な片眉を軽く上げると、皇太子はルイズに先を促す。

「この任務をわたしに仰せ付けられた際の姫様のご様子、国を行く末を心配なさっているというよりは、
まるで恋人の身を案じるかのようでございました。それに、先ほど殿下が姫様からのお手紙をお読みな
さった時のお顔は……、その……」

 皇太子は一度は閉じた小箱を再び開けると、内蓋を悲しげな目で眺めた。そしてしばらく眉間にしわを
寄せて悩む仕草を見せた後、ぽつりぽつりと話しはじめた。

「君が言うとおり、その手紙は恋文だよ。始祖ブリミルの名において、私に永久の愛を誓っている、ね。
この手紙が白日の下に晒された時、ゲルマニアのアルブレヒト2世がどのような選択を取るかは分からない。
アンリエッタを重婚の罪だと糾弾して、当然の如く婚約を破棄するかもしれないし、どうでもいいと言って
結婚するかもしれない。まあ同盟を考えれば、そのような手紙は処分されるべきだろうね」
「殿下は姫様を今でも愛しておられるのでしょう?」
「……昔の話さ」

 皇太子の話を聞く内に、ルイズは徐々に俯いてしまう。自分の中で限りなく確実に近い推測を述べる。

「……トリステインに亡命なさるおつもりはないのですか? 姫様はきっと手紙にそう書いておられるはず
です。あの方はご自分の愛した人を見捨てるようなことは絶対になさりません。……わたしは、姫様の人と
なりをよく知っております」
「そのようなことは一行たりとも書かれてはいないよ」

 返された言葉に思わず口を開こうとしたルイズを、皇太子は静かに制する。表情は苦虫を噛み潰した
ように歪んでいる。

「王族は民に嘘はつかぬ。アンリエッタはトリステインの王女だ。己の都合を国の大事に優先させるはず
がない。姫と私の名誉に誓う。亡命を薦めるような文はただの一行も書かれていない」
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:39:04 ID:mpkNcgek
支援
630ライデン代理:2009/03/13(金) 12:39:30 ID:HSGvjPUO
 自分の言葉は皇太子の決意を覆すことはできない。目前に迫った皇太子の死と、間違いなく嘆き悲しむで
あろうアンリエッタの姿を思い浮かべ、ルイズはどうしようもない無力感に苛まれる。自分一人では何もで
きない卑小な自分がどこまでも憎かった。
 俯いてかすかに震えているルイズを前に、皇太子は務めて明るい口調で話す。

「君は本当に正直な女の子だな、ラ・ヴァリエール嬢。ご両親に似て真っ直ぐないい目をしている。だが、
そのように正直では大使は務まらぬよ。しっかりしなさい」

 そう言うと、皇太子は机の上に置かれている時計、水が張られた盆を眺める。俯いているルイズに部屋
から出るように言う。

「そろそろパーティの時間だ。君達は我が王国が迎える最後の賓客だ。是非とも出席して欲しい」




 滅びゆく王国の最後の晩餐は、随分と華やかなものだった。明日の一方的な虐殺になるであろう戦闘の
ことなど頭にないとでも思えるほど、王党派の貴族達の表情は輝いていた。まるで園遊会のように着飾った
老若男女が踊りまわる様は、いささか浮世離れしていた。
 現アルビオン王、ジェームズ一世の演説と、それを聞いて俄然盛り上がる参加者を眺めながら、キュルケ
は珍しく落ち込んだ表情をしていた。

「死を目前にした人たちのパーティって惨めね……」
「……仕方がないんじゃないかな。無理にでも笑わないと、……戦えないよ」

 賓客として迎えられた一行は、上座の傍に席を与えられていた。そこからはホール全体の人々を眺める
ことができた。
 皆笑っている。勇ましい言葉を叫びながら踊り狂っている。ギーシュとキュルケには、しばしば底抜け
の笑顔で語りかけてくる人々がどうしようもなく悲しい存在に見えた。グラスに注がれた赤ワインに写る
自分の顔を凝視する。もとより感情というものがあるのか無いのか判断しづらいタバサは、そのような人々
を前にしても特に何も言うことなく出された料理をほおばっている。ギーシュはかすかに眉をひそめたが、
別段非難することはなかった。あまり喋る気分になれないのだ。
 ルイズは気分が優れないのか、早々に席を辞していた。一人ふらふらと会場から出て行くのを、キュルケ
たちは横目で見ていた。ワルドはというと、なにやら皇太子と話し合っている。距離がある上に、参加者の
喧騒で会話の内容を知ることはできない。

「ねぇ、ギーシュ。この任務って何なの?」
「悪いけど言えないよ。何しろ秘密任務だからね」
631ライデン代理:2009/03/13(金) 12:41:05 ID:HSGvjPUO

 キュルケが話題を振ってみるも、どうにも先に続かず二人は黙り込んでしまった。明日の早朝に自分達
は先に脱出する。その後、虐殺されていくであろう人々を残して。親しい顔見知りがいるわけではなかった
が、目の前の人々の命がもう一日もないことを考えると、暗澹たる気分になってしまう。世の不条理を受け
入れるには、彼らはまだまだ若すぎた。




 ルイズは暗い廊下を、蝋燭を載せた燭台を手に歩いていた。人影の無い廊下には、ホールから漏れ出る
笑い声が響いてくる。窓から差し込む月光は、地上に暮らす人々の生き死になどどうでもよいとばかりに、
普段と変わらぬ輝きを見せていた。
 自分の足音だけが響く廊下を通り抜け、砕かれた城壁の瓦礫を踏み越え、秘密の港へと通じる階段を
下りていく。昼間、ここにいた大勢の人々は皆宴会に参加しており、港は鍾乳石から滴り落ちる水音と、
小さく響く足音以外に支配されていた。ルイズは係留されているイーグル号へと乗り込み、皇太子から
聞いていた倉庫へと向かう。
 蝶番を軋ませながら開かれた扉の先には、赤いゴーレムが力無く座り込んでいた。少女はその隣に座り
込むと、膝を抱えて顔をうずめさせた。

「どうして……、どうしてあの人たちは死を選ぶの? 姫様が逃げてって言ってるのに……、どうして……」

 少女の呟きに返事をするものはいない。床に置かれた蝋燭が、かすかに揺れて倉庫に映し出された影が震える。

「ねぇ、ライデン、起きてよ……。あんたがいてくれたら、皇太子様たちを助けれるかもしれないのよ……。
お願い、起きてよ……、ねぇ……。……うっ……ううぅ……」

 沈黙を貫く己が使い魔に、少女は涙を零す。やはり自分はこの使い魔がいないと何も出来ないのだ。
お勉強ができるだけの頭でっかちな落ち零れメイジが、今この場でできることは何も無かった。またしても
少女は己を糾弾する。なぜこんなにも無力なのか。逃げることしかできない小娘が。自虐の螺旋を留めてく
れる人間は、ここにはいない。




 イーグル号の倉庫でひとしきり泣いた後、ルイズはふらふらとおぼつかない足取りであてがわれた部屋
へと戻ってきた。目の周りは流された涙で腫れぼったくなっている。ベッドに飛び込み、枕に顔をうずめ
ていると、部屋の扉が控えめに叩かれた。しばらく無視していたが、しつこく叩かれるので、よろめきな
がら扉へと向かう。
 扉を押しやると、そこにいたのはワルドであった。
632ライデン代理:2009/03/13(金) 12:43:15 ID:HSGvjPUO
「ルイズ、少しいいかな。余りに君が落ち込んでいて気になってね」
「……少しだけなら」

 そう言うと、ルイズはワルドを部屋に入れる。簡素なテーブルに腰掛けると、少女もまた同じように腰
を下ろした。ワルドは少女の胸ポケットから覗く手紙の端を見やると、ぽつりと尋ねた。

「……手紙、燃やさないのかい?」

 その問いに、しばらくルイズは沈黙していたが、小さな声で呟きはじめる。

「……やっぱり、この手紙は燃やせないわ。……せめて、姫様に届けたいの」

 ワルドはそうか、と一言だけ言うと背もたれに身を預け、天井を見上げる。そして顔を戻すと、真剣な
表情で語り始める。

「僕はしばらくここに残ろうと思うんだ。……少しでも殿下の力になりたいんだよ」

 ルイズははっとした表情で何かを言いかけたが、ワルドは分かっているというように制する。

「死ぬつもりはないよ、本当に少しだけさ。役目を終えたらすぐにグリフォンで脱出する。だから心配は
しなくていい。君達は先に脱出してラ・ロシェールで待っていてくれ。すぐに追い付くから」

 ワルドの決意に、ルイズは目を伏せる。自分は彼のように立派なメイジではない。たとえ言葉でいずれ
素晴らしいメイジになると言われているとしても、今はただの無力な少女にすぎない。
 俯いたルイズに、ワルドは優しく声をかける。

「ルイズ、こんな時にこのような話をするのもなんだが……、トリステインに帰ったら僕と結婚して欲しい。
もう誰にも君を落ち零れなんて言わせたくないんだ」

 少女の心が揺さぶられる。四面楚歌、敵に囲まれた中での晩餐会を目にしたことで弱気になっているルイズ
にとって、ワルドの求婚は安らぎを感じさせるものだった。ライデンが倒れ、すがりつくものを失ったことも
影響していた。
 ワルドは立ち上がり、ルイズの額に軽く口づけをする。ルイズがそれを拒むことはなかった。

「皇太子殿下は、姫殿下に勇敢に戦ったと伝えて欲しいとおっしゃっておられたよ。……だから僕もそんな
殿下の姿を目に焼き付けようと思う。……それじゃあお休み、僕のルイズ」

 ワルドが部屋から出ていった後も、しばらくの間ルイズはテーブルに腰掛けたままだった。
 結局、皆死にに行くことを美化している。待つ人のことなど考えていない。ルイズは男特有の身勝手な、
それでいて自己陶酔している一連の行動に、どうしようもないやるせなさを感じていた。
633ライデン代理:2009/03/13(金) 12:44:16 ID:HSGvjPUO
以上です。なんか微妙にテンプレから外れてきているような……

以上、代理完了
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 13:32:49 ID:VoWM4D9U
乙です。
ルイズもアンリエッタもこの時点では上に立つ器の人間じゃないな・・・
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 14:34:51 ID:hOG2UHg4
乙!
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 14:44:32 ID:1cfW60Xu
>>625
なんかよくわからんけどおマチさんに騙されて泥棒の片棒担がされるナッコーズが思い浮かんだ
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 16:08:43 ID:F1NTBiFF
ロボ乙ー

>>636
虚無のエメラルド、確かにいただきました
ってか。
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 17:18:01 ID:LUZ++gS2
硬化で銃弾跳ね返せるんだから、それなりの金属並の硬さにはなってるってことだよな
拳や足に硬化かけて殴る蹴るで戦う変態メイジもいそうだ
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 17:22:44 ID:Pz/d4Yuu
なんだかガンシュートアーツみたいだな。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 17:24:44 ID:il2gtPX9
>>638
というか生身に硬化の魔法かけられるとは思わなかった
ひょっとしたら固定化もかけられるんじゃね?
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 17:42:18 ID:zuAIE4LT
アストロン!?
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 17:50:37 ID:zuAIE4LT
>>639
ケルピーの口に放り投げられたギャリックは召喚されていたんだよ!
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 17:55:46 ID:H3TWKURA
生身に硬化は間接とか皮膚の伸縮とか血管の拡縮とかめんどくさそうだけどなー
両拳を硬化させたはいいけど、皮膚も筋肉も血管も硬化して皮膚の境界から血を流しながら壊死しつつある拳を振るうとか格好いいだろうけど
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 17:59:59 ID:68eHBV2Q
ライデン乙です

634氏に乗っかる訳じゃないですけど、ゼロ魔の人間って大抵人の上に立てそうにない気が;
経験と才能と、何より覚悟が感じられない・・・・と言うのは言い過ぎ?
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:03:51 ID:uXr2P8rD
>>644
同意。特にアンアン。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:09:22 ID:zuAIE4LT
一番はアンアンの母ちゃんじゃね?
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:09:46 ID:WigcjXza
本編はラブコメなんだから、その辺は勘弁してやれよ……。
16巻だって、『エルフとブリミルの過去について調べれば戦争の種は消える!』と意気込んだすぐ後、楽観論に走ってその辺丸無視して新領地でバカンスしてるし。
王道なら、国力だけはでかい敵国の無能王子とかがやらかす負けフラグ行動だぞw

全てはラブコメの為のガジェットなのだ。あんまりヘイトに走るもんじゃないさ。
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:14:57 ID:uXr2P8rD
>>647
確かに普通の戦記ものだったら敵が何してくるか分からないっつって備えたりしてるよなあww
でもこれぐらい教皇がやってきたことの不気味さを考えると普通にできそうな気がするけど……
そう考えるのは俺だけか? これは読者の視点に立っているからこそできる意見なんだろうか……?
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:15:14 ID:zuAIE4LT
アンアンがそういうことしてくれないと話が回らないもんな
つまり、アンアンはナッパさんとかそういうことだよな
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:16:51 ID:4mKawyF/
よし、ならば負け続けて成長して天下を取った東照大権現様を召喚だ!
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:19:05 ID:Q2oaYe5G
>>642
先生、ギャリックさんはハングドクロスアーツです。
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:21:41 ID:uucZifpK
>>625
テイルスかあ
それならナッコォのほうを主軸に
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:22:18 ID:KnkvETGI
まあゼロ魔キャラはアレくらいのが人間味あっていいさw
「ボクの考えた超完璧なカリスマ様」は中学までで卒業するべき
654名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:25:18 ID:zgACWSQv
ただ滅茶苦茶なだけのような気がするがw
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:26:21 ID:tSHcr97f
ヒゲの伍長を教皇が召喚、
無茶苦茶な妄想で戦争起こすとどうなるかを語られて教皇聖戦に向かわない、
伍長閣下は静かに絵を描いて余生を送りましたとさ

なんてネタが浮かんだが実在の人物はアウトか
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:27:50 ID:uXr2P8rD
俺もそう思う。あれは人間味があるんじゃなくてダメなだけ。
まあそれが面白いっちゃ面白いから文句いえる口でもないのかもしれないけど……
けどダメだと思うけどな。
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:35:43 ID:Pz/d4Yuu
>>642>>651
わかる奴がいて感激だわw

鯱のお腹に収められたギャリックっても、武器いらないからデルフは涙目だぜ。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:36:10 ID:upcFHWO1
クロス先の比較的まともなキャラが、そういうダメな人たちがダメなことを普通にしているのを見て、そのギャップに苦しむ……とか、そういうことはよくあるけどな。
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:36:47 ID:H3TWKURA
ダメな人じゃなくて有能だったり覚悟があったりすると、外交と内政で全ての問題を解決しちゃったりとっとと世界大戦起こしちゃったりで違う話になっちゃうからな
ノボルは死の承認ならぬラブコメの商人なんだろ
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:40:35 ID:pQDPrGyC
黒の予言書から歴史を見てきたルキアに有志以来の争いを淡々と説明してもらえば良いよ
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:42:32 ID:k2MNfwiu
王族の教育係、例えば封神演義の聞仲のようなキャラクターを召喚できればずいぶんと変わるような気がするけれど、愛すべき馬鹿が減ってしまうか。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:47:47 ID:zuAIE4LT
>>651
ししし、知ってるよ
戦車に十字架っぽく括り付けられて竜巻にうんたらかんたら!
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:50:28 ID:zuAIE4LT
>>657
魔法を吸い込めるのは便利だと思います。
背中に括りつければ背後からの魔法攻撃には無敵になるし、目の代わりにもなる優れ物!
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:55:50 ID:gg6wsW9r
ストーリーを作るときは出来るだけ完璧な者を作らずに判りやすい形で欠点を持つ者をってのは基本だぞ
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 18:59:02 ID:upcFHWO1
>>664
何かの話の作者が、前に「完璧なやつは扱いにくい」とか言ってたな。
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:02:18 ID:gg6wsW9r
大抵完璧って設定のキャラでも、明らかに人格欠点で完璧に物事をこなす事が鼻に付く&配慮が足りないみたいな形で欠点用意して個性表現したりするからな
外野視点で突っ込めるってのは創作キャラクターに重要なファクターなんだよね
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:02:46 ID:D6h2v1lg
じゃあできすぎくん召喚で
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:04:40 ID:GkscSdQU
三択−一つだけ選びなさい
答え1.ハンサムのポルナレフは突如反撃のアイデアがひらめく
答え2.仲間がきて助けてくれる
答え3.かわせない。 現実は非情である。

この三択で1.しか答えがない主人公の話ははつまらない
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:04:56 ID:TJD6Pnjv
夜神月…
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:05:48 ID:VoWM4D9U
完璧で動かしやすいのは性格破綻者だしな。
チェスと実戦の区別が付かない戦争狂(銀英ラインハルト)とかも動かし易い方だった。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:06:49 ID:zgACWSQv
キラさんの笑顔が浮かびました。
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:07:51 ID:Q2oaYe5G
>>667
本編じゃ空気、大長編じゃそれ以前に出番ほぼ0という最大の欠点ががが

>>657
しかしガンだとしても武器使わないからデルフ涙目だww
あの人身一つで遠、中、近距離何でもござれになってたし
最後は殺人マグナムにアルティメットマグナムまで覚醒してたしなぁ
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:09:38 ID:uucZifpK
准将は完璧って設定だけどいろんな意味で破綻してる
ついでに作り手も破綻してる
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:09:44 ID:tSHcr97f
かといって人として腐ってる部分ばっかり見せられても嫌だし

まあライバルっぽく出てきたくせに
いつのまにか空気と同化した誰かさんよりは出番があるだけマシか
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:12:11 ID:upcFHWO1
大長編ドラはあのでこぼこチームだから話が成り立ってる部分があるしね。
あれに出来杉が参入すると、何でもこなしすぎてすぐに事件が終わってしまうかもしれんし。
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:16:00 ID:VoWM4D9U
経験不足から間誤付く事はあるかもしれないけど、経験を積んだら完全にこなし過ぎドラえもんが成立しなくなる。
出木杉が参加しても問題無いのは鉄人兵団とかの一人二人が加わったぐらいで趨勢が動かない時ぐらいか。
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:17:22 ID:uXr2P8rD
つかできすぎキャラばっかだって面白い奴は面白いけどな。
マイナーかもしれんがデルフィニア戦記なんて主要人物の大概が良キャラだぞ。
それでも面白いのはやはり作者のキャラの動かし方なのではないかと思うがなあ。
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:18:47 ID:VoWM4D9U
出木杉がルイズ、アンアン、周囲のメイジ舌先三寸で諭し、デルフを抜かないまま物語を終わらせるのはありかも。
小ネタには使えるかもしれないけど長編は無理だな。
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:23:22 ID:5Mo0imEI
出来杉「僕にだってわからないことぐらいある・・・」

これで解決SA!
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:23:45 ID:j+asD1Hh
>>677
後半作者がぼくのかんがえたさいきょうキャラクターをだしてきて崩壊したアレですか。
681名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:29:50 ID:pQDPrGyC
最強キャラというか実在の人物で2万6千の軍で総兵数75万のローマ相手に、ローマ国内で18年間戦った人間がいたな。
そのカリスマかなんかは知らないが金で雇った憲兵が給料を貰えなくても逃亡するものはいなかったどころか慕われていたとか。

ただ国からの補給は一切なしで、兄弟が補助に来たものの途中でやられてその生首が陣営に投げ込まれたり、戦時中に妻と子のいたヒスパニアがローマに占領されたり、貴族に裏切られて母国を追われた挙げ句、逃亡先の国の王の元で自殺するまで戦争を続けたそうだけどね。

昔この人の歴史を見てどんなに強く頭がよくても一人の人間である以上欠点が出てくるもんだと思った。
682名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:31:02 ID:f81WDEzv
>>677
デルフィニア後半微妙だな

最近書いてるのはもうびっくりするぐらい酷いよね…
悪いほうに同人くさいっつーか


まあしかし文章や表現次第ってのは同意
出来杉君だらけでも面白いものは面白いよ、メジャーどころだと銀英伝とかな
683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:34:21 ID:e6fOHIwJ
ここでデル戦の名前を聞くとは思わんかった
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:35:21 ID:tSHcr97f
カリスマというと個人的にはムスタファ・ケマル・アタチュルクかな
おそらく歴史上最高の独裁者の一人
685名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:37:10 ID:TKdl5pwT
では、デルフィニア戦記のキャラを召喚すれば上手く回るかと言うと、そうはいかないだろうね。
我が道しか行かない人たちだから。
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:38:43 ID:hCH39qCP
上でソニックあげてる人がいたが
果たしてフリーダムな彼が偉そうな貴族様に従うかどうか……
世界滅びそうだから召喚された、っていうのは慣れたシチュエーションらしいが
使い魔と英雄はえらく召喚意図がかけ離れてるし
まあそれでも基本人助け好きだから、シエスタとかタバサとか助けそうだけどな
「オレはアンタの使い魔だから助けるんじゃない。オレだから助けるんだ!」とかね
そんなんされたら惚れる
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:43:20 ID:ihDnssgY
銀英伝って出来杉君なんていたっけ?
億単位で人が死ぬ状況を放置して自分の理想ばかりを他人に押し付けようとしているヤツらだけだとばっかり…
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:45:43 ID:cwdpmEnd
カリスマなんてものはそんなもんだろ
徳川家康は、戦国時代を終わらせて二百数十年の平和な時代を築いた日本史上最高の偉人だが
織田信長や武田信玄の方が人気があるだろ
カリスマ=結果ではないってことだ
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:46:01 ID:zuAIE4LT
ソニックってそんなキャラ付けあるのか……

>>681
良かったらお名前を教えてくだせえ
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:46:40 ID:HZ49R6Af
>>682
銀英伝は出来杉君が同類を集めて無能を蹴散らす話という事を考えると
やっぱ書き方次第だなぁ
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:49:02 ID:uXr2P8rD
活躍する場所や状況もあると思われる。
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:49:15 ID:HZ49R6Af
>>687
特撮ヒーローみたいに全員助けるのが有能とは限らないよ
そこら辺の勘定と割り切りが出来る奴が出来杉クラスかもね
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:51:24 ID:KFUnZ9Z9
カリスマというか政戦両略における天才としてリッチモンド伯アルチュール・ド・リッシュモンを召喚。
シャルル7世の下でフランス軍大元帥として辣腕を振るい、百年戦争の趨勢を決定づけた英雄中の大英雄。
信義に厚く清廉な人格者であったが故に、後にシャルルやその側近達に煙たがれ宮廷を追われた大貴族が
トリステインを蚕食する同名の大貴族リッシュモンを見てどう思うだろうか?

一つ問題なのは彼の登場した創作物があるのかどうか分からんことだw
694名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:53:09 ID:uXr2P8rD
余談だが、ゼロ魔にちなんで他にできすぎが多く出る戦記っぽい作品って何か合ったっけ?
俺は「空の鐘の鳴る惑星」でぐらいしか後は思いつかん。
つかあれは個人的な感想だけど面白いけどインパクト不足な気ガス……
そういう意味ではダメキャラでもインパクトのあるほうがより面白いって感じるのかな?
695名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:53:44 ID:9U8IsapT
>>689

ハンニバルじゃね?
696名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:57:15 ID:TgktAKqO
>>695
レクター博士ですね。
697名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 19:58:56 ID:zgACWSQv
>>693
なんか検索したら戦国無双の長政みたいなゲームキャラの画像があったんだがw
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:04:20 ID:9U8IsapT
>>694

天竺熱風録の王玄策
史実ではいつ死んだかわからないから行けるかも。詳しくはググってくだしあ。
超人てか仙人揃いで良ければ小説版封神演義にいくらでも。
後はキングダムか項羽と劉邦位と思われ。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:04:26 ID:pQDPrGyC
>>689
名前はハンニバル・バルカだよ。紀元前のカルタゴの出身
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:06:33 ID:VoWM4D9U
カムイ伝は主人公側が出木杉君系のキャラばかりだったぞ。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:08:18 ID:zuAIE4LT
>>695>>699
ありがとうごぜえますだ
702名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:08:42 ID:uXr2P8rD
>>698
遅レスすみません。
教えてくださってありがとうございます。
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:09:24 ID:f81WDEzv
ちょい残酷だけどウェルキンゲトリクスもいいよ

>>693
ゲクランなら佐藤賢一って人の双頭の鷲って小説に出てるんだけど
リッシュモン出てるのは読んだことないな

>>694
あれも後半失速気味な気がした
戦記物とファンタジーのいいとこ取りと行きたかったんだろうけど、どっちつかずになっちゃった印象
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:11:57 ID:TKdl5pwT
ハンニバルと聞いてもファイアーエムブレムしか思いつかない俺。
召喚してデルフを持たせてみたら、修理に出さなくても壊れないことに驚愕します。
705名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:14:41 ID:f81WDEzv
そういや少女漫画のバトル物には出来杉君結構いそうだよね
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:16:10 ID:uXr2P8rD
>>703
またまた遅レスすみませんorz
ありがとうございます。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:27:19 ID:KFUnZ9Z9
>>703
ゲクランはブサメンの星だけど、ルイズの印象が徐々に変わっていく過程とか面白そうだね。
召喚時なんて「何よこいつ、オーク鬼?こここ、こんなブサイクな平民男とキスしなくちゃいけない訳!?」とか普通に言われそうw
トリステインでも一介の平民(史実は庶子)から軍功を重ねに重ねて最終的に元帥位まで登りつめるのかな。
その頃にはルイズもメロメロになってるかもしれんね。

>>704
デルフの一番の利点てやたら頑丈な所だと思っていたんだが、最新刊であっけなく逝ってしまわれたからなあ。
クロスキャラが鈍器として振り回すのに最適だったのに、意外と脆かったことが判明して面食らった作者氏もいそう。
具体的には、爆熱氏とかサイヤ氏あたりの無茶な使用には耐えられそうにないんだがw
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:27:34 ID:9U8IsapT
出来杉くん揃いで後は…反三國志の蜀サイド。
欠点アリなら奔流の陳慶之あたりいいかも。タイマンは弱かったらしいからガンダ補正でデルフ歓喜と思われ。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 20:42:56 ID:pQDPrGyC
そういえばイギリスドラマのRomeからの召還を書いてる人いたよね。なかなかミスマッチで話を進めるのが大変そうだったけどもう書かないのかな
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 21:02:33 ID:viVEvz2y
>>707
外からの衝撃には強いが、中からの圧力とかには弱いってやつだ。
けっしてデルフが脆いんじゃない、脆いんじゃないんだ!!
ちゃんと取り説にも「デルフリンガーに魔力を込めた技や魔法吸収を多用しないでください。
容量を超えると破損の危険があります。」
「なお、容量は別売りの予備バッテリーで補うことができます。」
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 21:12:12 ID:rZ/RVd9D
頭ん中では色々イメージが湧くんだけど
執筆には踏み切れないぜ…
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 21:14:39 ID:upcFHWO1
>>711
似たような現象として、
「書き手の中ではとっくに6巻でカトレアと出会ったり、7巻で対7万戦に飛んでいるのに、現実にはまだ召喚した直後」
というものがあります。
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 21:17:11 ID:ihDnssgY
デルフはソニー・タイマー内蔵だったじゃないか
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 21:28:08 ID:viVEvz2y
>>713
ソニー・タイマーまさかあの「カチャカチャ」する部分がそうなのか!?
一定回数以上「カチャカチャ」すると壊れるのか、おのれ・・・ハルケギニアにソニーがあるのか?
715虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/03/13(金) 21:33:51 ID:Nb8hRI+2
21:40頃投下させてください。
32kbくらいです。
716虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/03/13(金) 21:40:33 ID:Nb8hRI+2
魔法学院の学院長室、オスマン氏の前に立ちながら、コルベールは何度目かの深〜〜いため息をついた。
見ている方が憂鬱になりそうな、悲しげなため息である。
「……その、きみ。どうしたんじゃね」
オスマン氏が声をかける。
「すみません、いえね、少し悲しいことがあったもので……」
コルベールは粉々に破壊された『愉快なヘビくん』のことを思い出して、せつなそうに言った。
「して、オールド・オスマン。わたしを呼ばれたのは、何用で?」
「ああ、なに。以前きみが届け出ていた休暇届な、受理することにした」
「おお、そうですか!」
コルベールはぱっと顔を輝かせた。
コルベールの変わり身の早さに半ば呆れながら、オスマン氏は言った。
「またタルブかね?飽きんな、きみも」
「ええ、なにしろ実に興味深い!かの地に生える植物には、なにか特殊な性質があります。研究を進めれば、魔法に影響を与えるやも……」
「ああ、うん、わかったから」
話が長くなりそうだったので、オスマン氏は早めに切り上げた。この話も、もう何度も聞かされているのである。
「申請どおり、休暇は一週間じゃ。のんびり研究に励みなさい」
「ありがとうございます!それでは、オールド・オスマン。失礼しますぞ」
コルベールはぺこりと頭を下げて、学院長室を退出した。
コルベールが退出すると、オスマン氏は、王宮から届けられた手紙を取り出した。上等な羊皮紙の封筒に、トリステイン王国の百合の花押がされている。
ふむ……、と呟きながら、オスマン氏は封筒から手紙を取り出し、眺めた。
しばらくするとノックの音がした。オスマン氏は「鍵はかかっておらぬ。入ってきなさい」と声をかけた。
秘書を雇わねばならぬな、とオスマン氏が考えていると、扉が開いて、一人のスレンダーな少女が入ってきた。
桃色がかったブロンドの髪に、大粒の鳶色の瞳。ルイズであった。
「わたくしをお呼びと聞いたものですから……」
ルイズは言った。オスマン氏は、両手を広げて立ち上がり、この小さな来訪者を歓迎した。
「おお、ミス・ヴァリエール。よく来たな、まあ座りなさい」
オスマン氏が杖をちょいと振ると、来客用の椅子がふわりと飛んできた。
ルイズがそれに腰掛けると、オスマン氏は語りだした。
「さて、本日正午、ゲルマニア首都ヴィンドボナにてトリステイン王国と帝政ゲルマニア国の軍事同盟の締結式が行われる。今ごろは条約文への署名が行われていることじゃろう。同盟の締結を急いだのは、先日アルビオンの新政府樹立の公布が為されたためじゃ」
ルイズはそれを聞いて、緊張に身を固くした。
「しかし……、アルビオン帝国初代皇帝、クロムウェルはすぐにトリステインとゲルマニアに不可侵条約の締結を打診してきおった。両国はこれを協議中であるが、まあ、受けるじゃろう。両国の空軍力を合わせても、アルビオンの艦隊には手子摺るからの」
こうして、ハルケギニアに表面上の平和が訪れた。
「学院の生徒たちには、明日の朝礼ででもわしから正式に話すつもりじゃ。この同盟の締結は、おぬしたちの活躍の賜物じゃ。胸を張りなさい」
オスマン氏は、優しい声で言った。
「また、アンリエッタ姫と、ゲルマニア皇帝アルブレヒド三世との婚姻も正式に発表された。来月には結婚式が執り行われる」
それを聞いて、ルイズはちょっと悲しくなった。幼なじみのアンリエッタは、政治の道具として、好きでもない皇帝と結婚するのだ。
同盟のためには仕方のないこととはいえ、ルイズはアンリエッタの悲しそうな笑みを思い出すと、胸が締め付けられるような気がした。
オスマン氏は、しばらく黙ってルイズを見つめていたが、やがて神妙な声で言った。
「トリステイン王家の伝統で、王族の結婚式の際には貴族より選ばれし巫女を用意せねばならぬ。そして姫は、その巫女にミス・ヴァリエール、そなたを指名したのじゃ」
「姫さまが?」
「そうじゃ。これは大変に名誉なことじゃぞ。王族の式に立ち会う巫女を務めるなど、一生に一度あるかないかじゃからな」
アンリエッタは、幼い頃、共に過ごした自分を式の巫女役に選んでくれたのだ。ルイズはきっと顔を上げた。
「わかりました。謹んで拝命します」
717虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/03/13(金) 21:41:53 ID:Nb8hRI+2
それを聞いて、オスマン氏は目を細めた。
「快く引き受けてくれるか。よかったよかった、姫も喜ぶじゃろうて。さて、それではミス・ヴァリエール。おぬしは明日の授業は免除じゃ。わしと一緒に、朝一番で王宮へ向かう」
「王宮へ?」
「さよう、『始祖の祈祷書』を王宮より借り受けるためじゃ」
「始祖の祈祷書……、王家の秘宝ではありませんか」
始祖の祈祷書。六千年前、始祖ブリミルが神に祈りを捧げる祭に読み上げた呪文が記されているという、伝説の書物である。
「王族の式で選ばれた巫女は、『始祖の祈祷書』を手に、式の詔を詠みあげる習わしになっておる」
「は、はあ」
「巫女は、式の前より『始祖の祈祷書』を肌身離さず持ち歩き、詠みあげる詔を考えねばならぬ」
「えええ!詔をわたしが考えるんですか!」
初耳だった。ルイズは、そこまで宮中の作法に詳しくはないのである。
そういう大事なことは、最初に説明しておいてほしかった。
「そうじゃ、まあ、どうせ草稿は宮中の連中が推敲するんじゃ。そんなに気負わんでもええ。引き受けてくれるな?」
ルイズはためらったが、きゅっと唇を結んで「……謹んで拝命します」と言った。
オスマン氏はにっこり笑ってうんうんと頷いた。


夕食のあと、ルイズは自分の部屋に戻ると、ぼすんとベッドに身体を投げ出した。
うーあー、とうなりながら、じたばたとベッドの上を転がる。
「もー、もぉぉぉ……、聞いてないわよ、詔を作るなんてぇぇ……」
ルイズは枕に頭をぐりぐり押し付けた。
「始祖への感謝と、四大系統への感謝の辞を、詩的な言葉で韻を踏みつつ詠みあげる……、だったかしら」
ルイズはしばらく視線を宙にさまよわせて思考に没頭したが、やがて顔をしかめてうなりだした。
「なんも思いつかない。詩的なんて言われても、困っちゃうわ。わたし、詩人じゃないし」
魔法が使えない分、座学では優秀な成績をおさめているルイズだったが、詩才というか、文才というものはまるでないのだった。
そしてそれは本人も自覚しているのである。
ルイズはごろんと寝返りを打つと、ちらりと部屋の肩隅に置かれた藁束に目をやった。
いつもだったらそこで寝息を立てているはずの彼女の使い魔……、ティトォは、まだ部屋に戻っていなかった。
というか、午後の授業にも顔を出さなかった。
この分だと、朝まで戻ってこないかもしれない。実際そんなことが時々あった。
まったく、どうしてあそこまで奔放でいられるのかしら。ルイズは呆れてため息をつく。
ま、いいわ。詔を作るのは、あいつに手伝ってもらおう。あの、青髪のタバサほどじゃないけど、いっつも本を読んでるんだもの。それくらい簡単でしょ。
そうと決めると、明日は早いので、ルイズは毛布をかぶってすやすやと寝息を立てはじめた。


翌朝……、
学院の談話室。窓から差し込む光で、ティトォは夜が明けたのだということに気が付いた。
談話室のテーブルの上には、図書館から借りてきた本がうずたかく積まれている。
燭台のろうそくは、すっかり短くなっていた。
718虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/03/13(金) 21:43:28 ID:Nb8hRI+2
ティトォは結局一晩中ルイズの部屋に戻らず、ここで調べものをしていた。
タバサの読んでいた『イーヴァルディの勇者と大魔王デュデュマ』の物語のベースになったという、始祖の伝説について、ハルケギニアの歴史・神話について調べていた。
そしてその結果、分かったことがある。
始祖ブリミルの伝説については諸説あるが、もっともポピュラーなものはこうだ。


6000年前……、かつてハルケギニアの大地が滅びようとしたことがあった。
いかなる文明の力を持ってしても滅びを食い止めることはできず、人々はあきらめ、滅びを受け入れはじめていた。
そんな中、一人の男が、何処よりこのハルケギニアへと降臨した。
異なる世界より現れ、ハルケギニアの大地に降り立った……、始祖ブリミルである。
ブリミルの力により、大地は潤いを取り戻しはじめたが……、
突如として、大地の底より大魔王デュデュマが現れた。
ハルケギニアに滅びをもたらしたのは、この恐るべき大魔王であったのだ。
ブリミルは、果敢に大魔王に立ち向かった。
ブリミルは、デュデュマと似た力を持っていた。
唯一デュデュマに対抗できる力──
それが、奇跡の技『魔法』
ブリミルと、ブリミルの使い魔たちによってデュデュマは倒された。
ブリミルの力により、人類は生きながらえた。
そして大地を救ったブリミルは、ハルケギニアを離れ、自らの世界に帰還すべく、『聖地』を目指した。
しかしそれはかなわなかった。
ブリミルの降臨せし『聖地』を、エルフたちが占拠したのだ。
ブリミルは『聖地』を取り戻すべく、エルフたちと長い長い戦いを続けたが、ついに『聖地』への帰還は果たせず、志半ばで力尽きることとなった──


始祖の伝説。
ハルケギニアの人間なら、誰でも知っている昔話。
しかし、それにしては……
「似すぎている」
ティトォは重々しく呟き、指でこめかみをトントンと叩いた。
『始祖ブリミルの伝説』は、ぼくらの大地に伝わる『女神と大魔王の伝説』に、あまりにも似すぎている。
なぜ?ぼくらの大地……、ぼくらの『星』に伝わる昔話が、この異世界の大地にも伝わっているのだろうか。
ハルケギニアの生命循環システムが、たまたまぼくらの大地と似通ったものだったのだろうか。
だとすれば、この始祖ブリミルの伝説は……、『大魔王デュデュマ』の真実は……
しばらくティトォは、無言のままこめかみを叩き続けていたが、やがて手を止め、ふう、と息をついた。
「……考えすぎか」
仮に、ぼくの想像したことが真実だったとしても、だからって何が起こるってわけでもない。
これは、気の遠くなるほどの、遠い昔の物語でしかない。
「神経質になりすぎたかな。この大地には、奴は……、グリ・ムリ・アは、いないんだ」
忌まわしいその名を呟き、ティトォの表情が引き締まる。
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 21:44:53 ID:pQDPrGyC
デルフのカチャカチャがソニータイマーワロタw

支援
720虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/03/13(金) 21:45:08 ID:Nb8hRI+2
やはり、いつまでもハルケギニアに隠れているわけにはいかない。やがては、決着を付けなくてはいけない。
しかし、それにはまだ力が足りない。100年かけて魔法を高めてきたが、まだ十分ではない。
かねてより考案していた『実験』を、そろそろ始めるべきだろうか……、とティトォは思った。
「……協力者がほしいな。誰か、いないかなあ……」
うーん、とティトォは伸びをする。徹夜明けの目に、朝日が眩しかった。
結局、またルイズの部屋に帰らなかった。
やばいなあ、怒られるかなあ、とか思いながら、山のような本を抱えて、ティトォは談話室を後にした。


ティトォは調べものに夢中になっていて気付かなかったが、もうとっくに朝食の時間を過ぎているらしい。
生徒たちが談笑しながら、廊下を歩いている。
夕べから何も食べていないことに気が付いて、ティトォは胃袋がせつなくなった。
厨房に行けば、残り物でも分けてもらえるかな、などと思っていると、突然後ろから声をかけられた。
「おや、ティトォ!ティトォじゃないか!」
やたらと芝居がかった、気障なしゃべり。魔法学院でこんな物言いをするのは、一人しかいない。
ティトォが振り返ると、そこにいたのは果たしてギーシュであった。
ギーシュの姿を見て、ティトォは目をぱちくりさせた。金の巻き毛に、薔薇をくわえたその姿は、いつも通りのギーシュであったが、以前のギーシュと違っているところがあった。
それは服だ。
魔法学院のシャツには、カフスボタンやら、ブローチやら、タイピンやらでそこらじゅうに宝石が散りばめられている。
両手の指には宝石をあしらったリングがいくつもはまり、貴族の象徴たるマントの裏地にも、無数の宝石が縫い付けられている。
以前から、ひらひらした襟のシャツなど、あまりいい趣味とは言えなかったギーシュの服装が、はっきりとした悪趣味に塗り固められていた。
「……どうしたの、その服」
ティトォはぼけっとした声で、言った。
ギーシュはそれには答えず、「よかった、きみを捜していたんだ」と言った。
そして、手に持った羊皮紙の束を、ティトォに見せた。
「なにそれ?」
ティトォは本の山を床に置くと、その束を見つめた。地図らしきものが書いてある。
「宝の地図さ」
「宝ぁ?」
ティトォがきょとんとした声を上げる。
「そうとも!これからぼくらは、宝探しに行くんだ。忘れ去られた遺跡!魔物が跋扈する森や洞窟!危険とロマンあふれる冒険の旅!ぜひきみにも一緒に来てほしい。きみの回復魔法があれば心強いからね」
ギーシュは熱っぽく語ったが、ティトォの反応は冷めていた。
「なんで宝探しなんてするのさ。学校は?授業があるじゃないか」
「確かに学業は学生の本分だ。しかしね、きみ。ぼくにも事情ってものがあるんだよ」
「事情?」
「話せば長くなるが……」
ギーシュは、先日のアルビオンへの冒険旅行、ラ・ロシェールでティトォたちと別れた後のことを話した。
傭兵の一団の中に、あの『土くれ』のフーケがいたこと。
フーケがゴーレムをつくり出し、絶体絶命のピンチに陥ったこと。
そのとき、宿に泊まっていた宝石商から、ありったけの宝石を買い集めたこと。
宝石の精霊の力を借り、フーケを見事撃退したこと(この段になると、ギーシュは派手に身振り手振りをくわえて、自分がいかに大活躍をしたのかを熱弁した)。
そして、その宝石を買うために、キュルケとタバサに借金を作ってしまったこと。
「なにせ実家からもらってる年金もほとんど使ってしまったからねえ。返すあてがなくて、困ってるんだ」
ギーシュはため息をつき、かぶりを振った。
721虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/03/13(金) 21:46:21 ID:Nb8hRI+2
ティトォはぼけっとした顔で、ギーシュの服を眺めた。
そして、シャツやマントにつけられている宝石を指差しながら、言った。
「宝石を売ればいいじゃないか。そりゃあ、全額は戻ってこないだろうけど、どれも本物みたいだし、うまくやれば7〜8割は帰ってくるでしょ」
「売るだって!宝石を!」
ギーシュはビックリしたように、目を見開いて叫んだ。
その声に反応するように、胸元のブローチにはめられた石から、小さな精霊が現れた。
くるくる巻いた前髪と、まん丸のほっぺたの可愛らしい精霊。ソフトクリソコラの精霊である。
「売るだなんてとんでもない!そんな残酷なこと、ぼくにァとてもできないよ!」
ギーシュは大げさに叫んで、精霊にほおずりした。精霊はニコニコ笑って、小さな手をぱたぱた動かしている。
どうやらギーシュは、宝石の精霊たちに情が移ってしまったらしい。愛おしげに、身体中に散りばめられた宝石をなでている。
「……はあ、それで、借金を返すために宝探しを?」
「そうだ」
「その地図の束は、どこで?」
「魔法屋、情報屋、雑貨屋、露天商……、いろいろ回ってかき集めてきたんだよ」
「買ったの?わざわざ?」
「うむ。まあちょっと値の張るものもあったけど、それだけ信頼のおける地図ということなんだろう」
ティトォは目を細めて、微妙な笑顔を作ってギーシュを見つめた。
「きみは、あれだな……、ダメな人だな……。二股はかけるし、借金は作る。おまけに金を返すどころか、こんな胡散臭い宝の地図を買い込んで……、本当にダメだなァ……、なんていうか……、ダメダメだなァ……」
「……そんなにダメダメ言わないでくれたまえ」
ギーシュが憮然として言った。
「だいたいね、二股もなにも、ぼかァモンモランシーにだって、あのケティにだってなにもしてないんだ。ケティは手を握っただけだし、モンモランシーだって、軽くキスしただけさ!それなのに……、それなのに……」
ギーシュはうなだれた。そんなギーシュにかまわず、ティトォはギーシュの持ってきた地図を広げて、眺め回した。
「ねえ、ギーシュ。こんなの、どうせまがい物に決まってるよ。『宝の地図』と称して適当な地図を売りつけるなんて話、珍しくもないだろ?騙されて破産したなんて話も聞くよ」
「あら。そりゃ、ほとんどはクズかもしれないけれど、中には本物が混じってるかもしれないじゃないの!」
後ろから声をかけられて、ティトォが振り向くと、そこにいたのはキュルケであった。ギーシュと同じく、羊皮紙の束を持っている。
隣には、彼女の親友であるところのタバサもいて、いつものように本を読んでいた。
「ハイ、ダーリン」
キュルケはいたずらっぽく笑って、手を振った。
「キュルケ。きみも宝探しに?」
「ええ。学院でじっとしててもお宝は手に入らないわ。困難を乗り越えたその時こそ、ありえない何かを手にすることができるのよ!」
キュルケは少し興奮したように言った。キュルケは情熱の人なので、冒険やロマンが大好きなのだった。
「ねえ、ダーリンも行きましょうよ。あなたの回復魔法、当てにしてるのよ?分け前はあたしが3、タバサが3、ダーリンが4でかまわないわ!」
「……そのう。ぼくの分は?」
ギーシュがおずおずと申し出る。しかしキュルケは冷たく言い放った。
「あたしたちが貸してるぶんのお金を取り戻すまで、あんたの取り分はなし」
ギーシュはがっくりと肩を落とした。
どうやら、金策に困っているギーシュに宝探しをそそのかしたのはキュルケのようだった。
金を借りているギーシュは、キュルケに頭が上がらないのだった。
722虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/03/13(金) 21:47:58 ID:Nb8hRI+2
「ねえ、行きましょ。冒険があたしたちを待ってるわ」
「うーん……」
ティトォは悩んだ。
本音を言えば、別に行きたくなかった。まだ調べたいこともあるし、考えたいこともある。
しかし、怪物や魔物がわんさかいるという廃墟や遺跡に宝探しに行くキュルケやタバサやギーシュのことは、心配だった。
ティトォの回復魔法があれば、危険は格段に減るだろう。
それに、ここ最近ずっと篭りっぱなしだったし、外にくり出すのも、いい気分転換になる気がした。
「よし、わかった。ぼくも行くよ」
「そうこなくっちゃ!」
キュルケが嬉しそうに飛び跳ねた。
ティトォは床に置いていた本の山を持ち上げると、言った。
「ちょっと待ってて、準備するから。それと、ルイズに許可をもらってくる」
「ルイズに?別にいいじゃない」
キュルケが小さく鼻を鳴らす。
「だめだよ。ただでさえぼくは、ルイズの言いつけをあんまり守ってないんだから。これ以上勝手なことしたら、ルイズに殺されちゃうよ」
そういって、ティトォはルイズの部屋に向かった。
キュルケは「待ってるからねえ」と、手を振っていた。


ティトォが本を抱えてルイズの部屋に戻ってくると、果たしてそこにルイズの姿はなかった。
「ルイズ?」
食堂にでも行ったんだろうか、と思ったが、朝食の時間はとっくに終わっている。
そろそろ午前の授業が始まる時間だ。
そこで、ティトォはルイズが取っているはずの授業の教室に行ってみた。
しかしそこにも、やはりルイズの姿はなかった。
「おかしいな、どこ行ったんだろ?」
ルイズを探して石造りの渡り廊下を歩いていると、正門の方からギーシュが声をかけてきた。
「おおい、なにをやってるんだね。そろそろ出発するぞ!」
見ると、ギーシュとキュルケとタバサ、それにサラマンダーのフレイム、ウィンドドラゴンのシルフィード、巨大モグラのヴェルダンデがそろってティトォを待っている。
すっかり準備も整って、もうあとは、出発するだけのようだ。
「ああ、うん。わかった」
ティトォはルイズの部屋に戻り、手早く荷物をまとめると、ギーシュたちの待つ正門へ向かった。
まあ、いっか。ルイズにはあとで事情を話せば。


さて、ルイズはどこに行ってしまったのだろうか?
少し時間は戻って、朝の早く。まだ日も上りきらない時間。
ルイズは使用人に言って、自分の部屋にパンとスープを運ばせた。
簡単な朝食を済ませると、身支度を整えオスマン氏の待つ学院長室に向かう。
「準備はよいかの?ミス・ヴァリエール」
「はい」
「よろしい、では出発じゃ」
723虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/03/13(金) 21:48:42 ID:Nb8hRI+2
オスマン氏に連れられて、学院の正門を出ると、ルイズは首をかしげた。
「オールド・オスマン?馬車は来ていないのですか」
辺りを見渡しても、朝もやの中にそれらしい姿は見えない。
「待ちなさい、じきにやって来よるよ」
オスマン氏は髭を撫でながら答える。
すると、どこからか、ばっさばっさと羽音が聞こえてきた。
ルイズは空を見上げて、驚いた顔になる。
「竜籠じゃないですか!」
竜籠とは、その名の通り、竜に籠を持ち上げさせて空を飛ぶ乗り物である。
平民は当然のこと、下級貴族でさえなかなか乗ることのできない高級ハイヤーである。
竜籠が正門前に降りると、籠を持った竜の背中から、一人の貴族が飛び降りた。
太っちょのその男は、男というよりは、まだ少年という歳に見えた。ルイズといくらも変わらないだろう。
皮の帽子をかぶり、青の上衣をまとっている。杖は軍人が好む、腰に差すレイピアタイプのものである。
「王宮よりお迎えに上がりました。ルネ・フォンクであります」
太っちょの少年は帽子を取ると、かしこまった調子で言った。
オスマン氏が、ひげを撫でながら声をかけた。
「ふむ。きみは竜騎士見習いかね」
「はっ!あと一年も修行すれば、正式に部隊に配備されることになります。と、思われます」
「うむ、うむ。精進したまえよ」
ホッホッホ、とオスマン氏は笑った。
「恐縮であります!」
ルネは、背筋をびっと伸ばして叫ぶと、さっと籠の扉を開いた。
ルネに促され、二人が籠に乗り込もうとすると……、
突然、背中の方からかん高い悲鳴が聞こえてきた。
「きゃあ!ド、ド、ドラゴン!ドーラーゴーンー!」
どこかで聞いたことのある声にルイズが振り向くと、そこにいたのはメイドのシエスタであった。
シエスタは地面にへたり込んで、竜籠のドラゴンを見上げて目を白黒させている。
「シエスタ!」
ルイズが驚いたような声を出す。いったい、こんな朝早くに何をしているのだろう?
「あ、ミ、ミス・ヴァリエール?」
「落ち着きなさい、あの竜はあんたを取って食ったりしないから」
ルイズはシエスタを落ち着かせるように、肩をぽんぽんと叩いてやった。
「すす、すみません……、わたしったら、いやだわ。もう」
「そんなに驚くこともないでしょう?風竜を使い魔にしている子だって、いるじゃない」
ルイズはタバサの顔を思い浮かべる。
「でもわたし、こんなに近くで竜を見るのははじめてなんですもの。わあ。わあわあ」
さっきまで怯えていたシエスタは、危険がないと分かると、今度ははしゃぎだした。
見ると、シエスタはいつものメイド服ではなく、茶色のスカートに草色の木綿のシャツといった格好だった。
横には、麻で作ったトランクが転がっている。
「シエスタ、あなた帰省するの?」
ルイズはシエスタの格好を見て、言った。
「あ、はい。休暇をいただいたんです。だから、タルブの村に帰ろうかと……、わたしの故郷なんです」
「タルブ?ラ・ロシェールの向こうじゃない。まさか歩いて行くつもり?」
「いえ、ラ・ロシェールに行く途中の村で、乗り合い馬車を拾うつもりです」
「ふうん。そんなものがあるのね」
そんなふうに話し込んでいると、オスマン氏がルイズを呼んだので、二人はおしゃべりをやめて、別れた。
ルイズが軽く手を振って「じゃあね」と言うと、シエスタはぺこりと頭を下げた。
ルイズとオスマン氏が籠に乗りこむと、ルネが竜を操って、籠は空へと浮かび上がる。
シエスタはしばらく、遠ざかってゆく竜籠を感心したように見つめていた。
竜籠を見上げているシエスタの姿を、ルイズは窓から見ていた。
目をまんまるにしているシエスタの姿がなんだかおかしくて、ルイズはくすくすと笑った。
そんなルイズを見て、オスマン氏は「友達かね?」と言った。
「と、友達なんかじゃありませんわ。彼女、平民ですし。そんな」
ルイズはなんだか照れくさくなって、頬を染めた。
オスマン氏はそんなルイズを見て、目を細める。
「なに、友というものは、身分で決めるものではないよ。気安く接することのできる相手というものは、何よりも貴重なもんじゃ」
そう言って、オスマン氏は優しく笑った。
シエスタはしばらく、遠ざかってゆく竜籠を感心したように見つめていたが、やがてトランクを手に歩き出した。
かくしてルイズとオスマン氏は王宮へ、シエスタはタルブの村へと向かって出発したのだった。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 21:48:54 ID:HSGvjPUO
支援
725虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/03/13(金) 21:50:28 ID:Nb8hRI+2
以上です。
今回グリちゃんの名前を出しましたが、別に今後登場することはありません。
このSSに登場するマテパのキャラはあくまで不死の三人だけです。
途中の支援ありがとうございます。
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 21:58:29 ID:KnkvETGI
投下乙です
精霊使いとかデュデュマとか実験(MP実験?)とか、アルビオン編からの伏線貼りっぷりがすごいなw
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 22:06:13 ID:4mKawyF/
木っ端微塵に砕け散るのはデアフリンガーじゃなくて
インディファティガブル、クイーン・メリー、インヴィンシブルだろ?
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 22:44:49 ID:wQS8d/dH
マテパの人乙です。

特殊な植物に研究者…
何気にタルブの村に滅亡フラグが立ってる気が…

後存在変換しそうな状況になってきたな
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 23:11:05 ID:gEiq4/CR
そろそろティトォの体力切れかな

で、プリセラ姐さんはまだですか?
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 23:15:21 ID:IOiVyLaq
マテパの人乙〜!

舞響さま、ブライクの旦那、クゥは出ないのか〜、ちょっと残念。
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 23:18:35 ID:pQDPrGyC
なんだかんだプリセラさんの外見はルイズの姉に似てるよなw
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 23:25:32 ID:gEiq4/CR
>>730
その三人は未だにどんな魔法か不明だから仕方ないかと
オリジナルの効果にするわけにもいかないだろうし

はぁ、早く神無始まんないかなぁ
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 23:26:11 ID:5Mo0imEI
TAP乙

複線張りまくってるねー
土塚みたいだw
まぁ土塚は1巻でとあるキャラの名前だしときながら22巻まで登場を引っ張ってたなw

あとティトォは原作8巻(1章終了時点)でゼロクロイツの内容にたどり着いてた節があるね
やっぱティトォはすげえや

>>730
虚無のパズルは珍しく原作開始前からの召喚だから
ゼロクロイツ→TAP過去→虚無のパズル→マテリアル・パズル
って時系列になるのではないかと勝手な推測を立ててみる
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 23:47:27 ID:6jxVvdyn
ギーシュが服装まで完全にバケラッタークスになっちゃったなァ
あとちょっと思ったけど、このSSのティトォほとんと図書館にいるな!
まあ2章の大半を研究室に引きこもってた真正インドア派だし仕方ないかw
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 00:04:33 ID:uiCSO0mw
くにおくんシリーズからくにおを召喚とか…
デルフを持ってガンダールヴでマッハ叩きなんてどうかなーとw
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 00:16:57 ID:Qk9IBdEv
まさかのルネ登場wチョイ役だけど
あと「ダメダメだなァ……」ってユージ君の台詞じゃんw
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 00:24:31 ID:WLpvRE2a
そろそろヒュー戻ってきてほしいなぁ。最近更新が遅くなってるのが寂しい。
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 00:27:32 ID:ITClPSEh
>>737
俺も楽しみにしてるんだけどな
まぁ大人しく待つか
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 00:28:27 ID:tsQMOixc
Astro-Ho!召喚とか
いい加減彼(?)にも救済を…
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 00:55:57 ID:P5SXNj5Q
まさかのユージくんネタに吹いたww
今TAP分を補給できるのは虚無のパズルだけ!
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 00:56:07 ID:AfV9HVDU
そろそろ「なぎはらえー」の出番か?
742鷲と虚無 ◆I3um5htGcs :2009/03/14(土) 00:58:59 ID:5HHPrmHk
>>709
読み返してちょっと納得いかない部分があって書き直し始めたら結局殆ど全部変わってしまったのでいつもより大幅に遅れています。
あと少しだけお待ち下さいorz
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 01:16:24 ID:KOhZMgfm
>>742
大好きです。
いつまでも待ちます。
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 01:16:54 ID:j6UXchaE
>>709じゃないけど楽しみに待たせていただきます

ダイオージャ召喚は無理かどうか
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 01:22:16 ID:f+15AgE9
>>741
むやみになぎ払ったりせず
雑談で静かに過ごしたいと思うのはオレだけか?
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 01:28:29 ID:VXoO9QxL
いや、そう思ってる人が大半だと思うぜ
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 01:37:35 ID:0upNeKFT
投下を待つ間、スレの皆で雑談をして待つ一体感・・・心地良い一時ですよね
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 01:39:51 ID:ykozQ34u
デビサバのナオヤ兄さんとか来たら・・・・・・クククッと笑ってるしかしなそうだな
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 01:40:29 ID:nxVE67NC
なぎはらえーは何のヒネリもなくてつまらんが、前にあったルイズAA寸劇は好きだった。
あれなら俺は歓迎する。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 01:42:46 ID:CWHsoMbF
今日からの週末、恒例の投下ラッシュは今回どんな人が来てくれるかな
男たちの使い魔の人、いつか復帰してくれることを祈る
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 02:14:19 ID:AfV9HVDU
>>745〜747
いや、そういうことではなくてだね、

そろそろ容量的にきつくなる
 →雑談は出来るが、投下は苦しい
 →投下がされない為、新スレを誰かが立てる
 →みんな新スレに移動して、雑談も新スレで行われる
 →そして誰もいなくなった
 →「なぎはらえー」

の流れかと思ったんだが、どうなんだいモンモランシー?
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 02:18:44 ID:yvpinAUS
>>751
とりあえず1を読もう。

今新スレが立ったら荒れかねないぞ。
まぁたまにはダラダラとしたのもいいんじゃないかと。

今しか投下する暇がないという人は
代理スレに投下して、次スレ立ったら誰かに投下して貰うように頼んでおくとか。
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 02:20:11 ID:ZXrJbbnW
でも継続して話したい流れもあるし、無意味なAA使って埋めなくても

のんびりだれだれが召喚されたらとかルイズの魅力とか
シルフィード×使い魔とかありじゃね?とか雑談しとけばいいじゃない
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 02:20:32 ID:h/2Mum3x
いつかあった、ギース召喚の埋めネタみたいなの来ないかなぁ
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 02:23:50 ID:zj+bYJrC
俺、この仕事が終わったら……本スレに投下するんだ……
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 02:27:19 ID:ykozQ34u
>>753
シルフィードはヒロインとして結構いける口だと思うんだ
今のところ期待してるのが双剣氏の九朔ではあるが・・・ほら、親も親なら子も子ということで
あとは蒼い使い魔のバージルとか・・・・・いや、殺される可能性も充分あるんだが
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 04:02:28 ID:XlbIchfL
TAPの人乙

まずい…コッパゲ、研究するのはかまわんがアレを手に入れて大地の逆鱗に触れるとかしないだろうな

「私は失った毛根をを取り戻すのだ!」
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 04:42:16 ID:6XXUoT75
エースコンバットのエクスキャリバー召喚面白いな
ストーンヘンジでも書いてくれないかな

あと羅将神ミヅキ召喚の人是非続き書いてくれ!
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 05:18:17 ID:SYFGjarf
FSSのすえぞうが召喚されたら
シルフィードはどう反応するだろうか?
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 05:36:57 ID:OuROref4
>>759
ただの変な生き物と認識するだけだろうw
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 05:48:45 ID:7j3AxHWo
シルフィ×すえぞうは理性と本能が許せないw
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 05:53:04 ID:ykozQ34u
シルフィードにスライムとか触手とかそういうのが絡むのは?
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 07:42:49 ID:F06qcOF/
しかし、バージルの兄貴よく服の代金払ったよな
全財産って、集金に来たおばちゃん叩っ斬ってもおかしくないと思うんだが
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 08:18:49 ID:W8eLg+35
そろそろ次スレか・・・・
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 09:12:55 ID:RGxgpm1j
>ダイオージャ召喚は無理かどうか

『この紋所が目に入らぬかぁぁぁ!!!』

周辺51星を平定した星間国家であるエドン国の継承者との証なので
ハルケギニアでの紋所の扱いはちょっと考えないとアレですね。

原作そのままの世界観だと、ロボそのものからしてサムライの証ではなく、単なるゴーレムとして見られちゃいますしねぇ。
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 11:33:23 ID:DoPGObZ7
デスノートを召喚したルイズ
1.ゼロと自分を貶した連中の名前を次々と書き、タバサと心理戦を繰り広げる
2.良心から名前を書き込む事が出来ず、フーケ戦で死亡
3.デスノートを早速、使おうと土くれの本名を知るため奔走する。テファに会い名前を書き込めなくなる。
デスノートにカキコされるのはクロムウェル、ゲルマニア皇帝など。
デスノートに名前を載せるのに値するかどうかをルイズが知るため諜報力が大きく上がる。
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 11:41:50 ID:XkeEqYzm
すえぞうと言われるとスエゾーが思い浮かんでしまう

キモグロカッコカワイイなMF1、2から召喚とかされないかなあ……
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 11:44:03 ID:XkeEqYzm
>>766
諜報力……フーケ雇ったら良いんじゃね!?
これまでのSSでルイズとおマチさんのコンビってあるのかな。

しかし、自分の名前を書いて死亡が無くて安心したぜ!
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 11:47:55 ID:Yk+UtSB9
>>768
ジョジョクロスの仮面の使い魔とか…と思ったがスレ違いか
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 11:50:23 ID:XkeEqYzm
あったのか、ありがとう!
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 11:51:48 ID:Yk+UtSB9
仮面の使い魔じゃない、仮面のルイズだったわ、スマン
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:04:47 ID:ITClPSEh
>>768
サイヤの使い魔のおマチさんとルイズは妙に仲が良い

そういえば虚無のパズルのティトォのWWFでカトレア姉さんを治すことは可能なのだろうか
あとWWFは魔法の毒(妖老裸骨蛇)にも効いたからタバサ母を治すことも出来るのだろうか
精神に作用する毒に効く・・・のかなぁ
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:15:51 ID:zbks+upo
「ゼロの剣虎兵」の続きが待ち望まれます
・・・・元ネタの作者の真似までしなくても良いと思う
御大が中断するのは珍しくないけどさ・・・
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:21:05 ID:Yk+UtSB9
続き出るのいつになるのかねぇ
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:21:56 ID:Yl1uLyQ+
そろそろアクマの時期になってきたかな?
マニクロしながら待ってます。
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:22:50 ID:Qk9IBdEv
>>772
WWFが治せるのは肉体に関わる傷・毒だけじゃね
精神がアリなら舞響大天が正気に戻っちゃうしw
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:26:17 ID:+R9ShkXf
今話題のドラゴンボールエボリューションから悟空を召喚だ
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:52:28 ID:roRMJXXJ
>>777
あいつ弱いから止めとけwww
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:54:29 ID:ZG43A7yD
>>777
今書いてるから少し待ってろ。
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:57:39 ID:+R9ShkXf
>>778
知ってる
昨日、見てきたよ
>>779
大したやつだ
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 12:59:40 ID:LURiE4xW
アッシュの人早く帰ってこないかな。前回投下時に次は来週と言ってから数週間経つし・・・
あと、1年以上経過したけど、未だにゼロの教師の続きを待ってる俺は、諦めが悪いんだろうか?
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 13:48:00 ID:EMqZDXSP
>>781
自分も数か月ぐらい更新が止まってるSSをいくつも待ってるから安心しろ

あとwikiの長編とか見ると、更新日時が半年前とか一年前とか見かける
途中で投稿を止めてしまったのか、事故や病気になったのか分からない
避難所に作者さん専用の近況報告スレとか有ったら便利だと思うんだけど
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 13:54:51 ID:W8eLg+35
480kb越えているんで次スレ立ててくる
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 13:57:33 ID:W8eLg+35
次スレ

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part220
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1237006602/
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 14:00:56 ID:XkeEqYzm
乙!

>>772
ありがとう、俺が読んでないだけで普通にあるみたいだなw
786名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 14:07:59 ID:CzK+sOiH
>>スレたて乙
さて、埋め立てに土メイジを呼んでこなければ
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 15:34:35 ID:4hW7DoC8
>>782
近況報告スレは欲しいな。
心配し過ぎて精神が磨り減りそうになることもあるから…

>>784
次スレ乙
788名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 16:52:10 ID:c6PzlFYr
残りは原作ではついに散ってしまったデルフについて語ってみてはどうだろうか?
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:19:02 ID:F06qcOF/
「よう相棒、まだ生きてるか?」
の台詞と共に復活してくれると信じてる
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:30:17 ID:ZRELkX8L
封印されていたスカロンに似たおっさんかモヒカンの老人が出てくるんだろう?
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:30:39 ID:ITClPSEh
デルフリンガーEX
とか
デルフリンガー・エクセリオン
とか
デルフリンガー・アサルト
とか
修理を依頼したらなんか包丁みたいになった伝説の剣
とか
サイクロンデルフリンガーあるいはビートデルフリンガー
とかよくわからないパワーアップを遂げて帰ってくるよ
792名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:31:29 ID:o9PBQaP5
>>776
毒を消すの自体はありだと思う。
精神を直接癒す事は出来ないけど、肉体に存在する毒を消して結果的に精神が治る、ってのなら矛盾しなく無い?
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:38:13 ID:BzxJ+86m
>>789
ビガーパンツとして
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:44:20 ID:HZ92JB4H
>>788
いったん折れてから打ち直されるのは伝説の剣の王道なんで心配ないw
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:51:00 ID:kx1CY7yf
折れたデルフリンガーの中から封印されていたブリミル登場
これね!
796名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:55:05 ID:CD+D+f9v
「ガンダールヴの剣」としては終わったデルフが、
サイトの、サイトだけの剣として蘇る!とかの熱血展開が欲しいなw
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:56:47 ID:LfKs2RHS
>>794-796
復活しても喋らないけどね
798名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:59:38 ID:sGyJe++m
刀身が無い状態が真の姿という剣もあるよね
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 17:59:43 ID:aYlJnFpf
デルフ追悼会場と聞いて駆けつけました!
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:00:46 ID:ZG43A7yD
デルフリンガーの正体は初代ガンダールブで、女の子の姿で帰ってくるよ。
801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:04:26 ID:v0ywMEc9
西方の焔と申したか
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:05:10 ID:FwVOyIi1
折れた刀身を加工して万能包丁として平和利用されるよ
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:11:39 ID:XkeEqYzm
デルフってさ、吸収能力を考えれば防具にした方が良くね?
ということで伝説の鎧にジョブ?チェンジだ!

>>792
やるじゃん(AA略
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:14:12 ID:kmtCc1nz
???「デルフリンガーを砕いたからといっていい気になるなよ。奴は『ガンダールヴの左手』四天王の中では最弱の……」
サイト「はいはい、そういうのはいいから」
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:17:04 ID:Zwx9sLIo
シメサバ丸召喚か
806名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:31:19 ID:nr7er5Q3
デルフリンガー復活!

1.パワーアップ
名工に鍛え直して貰いデルフリンゲストに!

2.初期化
名工に鍛え直されるも、初期化され真っ新な状態のデルフリングに!
807名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:48:03 ID:ITClPSEh
>>806
実は今の状態がデチューンされた状態で
初期化されることによって本来の能力が発揮されるようになる!


ジャンパーソン思い出した
808名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:54:39 ID:7j3AxHWo
聖地には悪の心に染まったブリミルが封印されていた!サイトは為すすべもなくルーンを消され無力化されてしまう!
しかしサイトが奇跡の術で蘇った新デルフを握り「アムド」と叫ぶと、魔法を弾きガンダールブ並みの力を持つことのできる鎧が力無き少年の身を包んだのだった!
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:55:18 ID:Xj+jt8yV
キャラデザインから中の人まで全く同じの双子の弟登場
810名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:56:13 ID:c6PzlFYr
オレとしてはなんらかの形で復活すると思うんだよね。
ただし、今までの記憶が全て失った状態で。
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 18:59:09 ID:XkeEqYzm
一行目までは誰もがそう思っているんじゃないだろうか
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 19:08:58 ID:YJsfyY00
>>798
どっきりドクターのエクスカリバー虎徹なんて今時の若い子に・・・・
813名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 19:15:08 ID:Xj+jt8yV
>798
ゴルンノヴァか
正体は宇宙船とか思ってた時もあったな
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 19:16:32 ID:irAVMgnJ
>>798
竜王剣だっけ?


デルフ6000年生きてるなら九十九神になっても良かったのにな
いっそ妖怪馬鹿召還してデルフ九十九神化するのも面白いかもしれん……
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 19:24:57 ID:t//ZCIN0
武器の再生というと、獣の槍の再生はよかったなー。
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 19:30:24 ID:ITClPSEh
>>813
同名のロストシップはあったな
この武器にちなんでつけられたみたいだけど
817罵蔑痴坊(偽):2009/03/14(土) 19:31:08 ID:Sw00PXiR
>798
覇王剣&魔王剣@YAIBAですね、判ります。
818名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 19:31:20 ID:zsDXpxUh
YAIBAの覇王剣と魔王剣は刀身無しが本物だったな。
819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 19:33:35 ID:zsDXpxUh
このネタで被るとは思わなかったw
820名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 19:40:31 ID:ITClPSEh
>>817-818
挙式は何時ですか?
821名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 19:42:32 ID:e0kKTKk1
>>812
確か普通の刀身が鞘だったんだよな。
つうか鞘とはいえあんなにあっさりポッキリと折れるってww
822罵蔑痴坊(偽):2009/03/14(土) 20:09:42 ID:Sw00PXiR
被るなよwしかも両方とも出す所まで。

じゃあ、鉄刃が召喚されたとして、どの時点だろう?デルフリンガーが後のクサナギになるのかね?
823名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 20:23:25 ID:RGxgpm1j
>>791
かの聖剣エクスカリバーはEX・カリバーンって意味だし
EXデルフリンガーでエクスデルフリンガー?

・・・イマイチ!
824蒼い使い魔 第39話@代理:2009/03/14(土) 20:29:56 ID:nFHTwaeS
デルフリンガー・二代目、とか
デルフリンガーJr、とか
デルフリンガー・おかわり、とか
デルフリンガー・二本目はじめました、とか
825名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 20:33:03 ID:f+15AgE9
>>823
そういえばアーサー王の剣も一回折れた後に真のエクスカリバー貰ったんだっけ。

オレはデルフリンガーってロボットの名前っぽいから、
デルフ(残った柄)を起動キーにして巨大ロボでも出してくれると期待してるんだぜ?
826名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 20:40:09 ID:ITClPSEh
エクスカリバーって「輝く剣」って意味だっけ?
これで斬られた傷は治らない、鞘も特別な力があるときいたことがあるような

地球上に存在する発光する金属は放射性物質しかない
つまり・・・
827名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 20:50:33 ID:kmtCc1nz
エクスカリバーってのは「カリバーン」にフランス語の定冠詞の「es」がつき、この"es"が英語圏に逆輸入されたときに音だけとって"ex"に変化したものらしい。

「カリバーン」の語源は「カレトブルッフ(ゲール語ではカラドボルグ)」=「硬い切っ先」。
828名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:02:35 ID:CWHsoMbF
いっそスペースコブラのソード人みたくマジでしゃべって戦える剣にしちまったら?
いや、デルフの刀身に顔が浮き出るのは不気味だな。

しゃーないからブーメランに打ち直してサイトの頭に取り付けよう。
829名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:03:02 ID:QZvWVL+v
>>822
兄弟、卓ゲ板以外にもいるんだな
830名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:03:39 ID:Xj+jt8yV
>824
異世界に飛ばされることを考えるとデルフリンガーJrだな。ピップ
831名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:13:59 ID:XkeEqYzm
デルフリンガーRX!

>>814
妖怪仙人にもなれるぜ!
832名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:14:50 ID:/JsLN5wN
>>806のデルフリンゲストわらた
最上級w
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:15:33 ID:XkeEqYzm
>>822
サヤカの問いかけに「月」と答えた直後、召喚の鏡に突っ込んだりとかw
834名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:23:41 ID:rmfTy6d6
エクスカリバーは与えた精霊に「剣はいいから鞘だけは捨てるな」と念を押されてた
鞘を持ってる限り血を失わないそうな

すげえ微妙な能力
835名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:24:33 ID:nr7er5Q3
死んだと思ったらはるか上空に浮かんでいたデルフリンガーACT2!
更にACT3になると、Fワードを使いこなす!
836名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:32:42 ID:zsDXpxUh
>>833
火星じゃなかったっけ?
それにしてもあの世界、日本が逆さまになって色々と大変な事になってそうだw
837名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:36:43 ID:QZvWVL+v
>>834
傷口から出血しないんだぞ? 例え内臓までやられようが。
出血による衰弱も失血死も無くなるんだから、戦場ではめっちゃ便利。
アーサーに切りつけた敵の騎士が血の流れない傷口を見て恐怖で逃げ出す話とかもある。
838名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:38:48 ID:f+15AgE9
>>834
某エロゲでも出てたね。
「血を失わない」て表現だと微妙だけど、昔の人は血=命そのものって考えだから
実際には不死身の体になるすごい能力なんだよな。
血を失わない=体が傷つくことが無い=防御力強化ってのもありか。
839名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:39:30 ID:kx1CY7yf
>825
ちゃうがな
最初の剣もそれはそれで王権の象徴の王者の剣で別に後の剣に劣る物でもないぞ
後の剣が真のって訳でもない
広い意味ではアーサー王が持ってる剣がエクスかリバーだけど、剣単体で言えば後で手に入れた泉の精霊の剣がエクスかリバー
岩に刺さってた前者は正式な名前はよー判ってない別の物よ(たまに混同されてるけど)
840名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:42:16 ID:xeYlxmtt
エクスデルフか

エクスデスみたいですね。
841名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:42:24 ID:Zwx9sLIo
つまりエスカリボルグですね
842名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:42:54 ID:f+15AgE9
エクスカリバーの鞘一本でエクスカリバー十本分の価値があるってのは
アーサー王原作の設定だっけ?
「スイマセン、この鞘を剣十本と換えてください。」
「ところでいつからデルフがカリバーの話になった?(デルフカリバー?)」
843名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:49:37 ID:XkeEqYzm
ポイントカードみたいだなw
844名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:50:33 ID:241x4/C/
デルフリンガーダブルツインマークIIセカンド
845名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:52:33 ID:aYlJnFpf
「ちょっと幽体離脱してブリミルのところへ行ってきた」
846名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 21:56:31 ID:13crljpA
これは虚無の魔法の中にデルフ復活の呪文があると見た。
847名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:01:53 ID:XkeEqYzm
しかし生贄が必要で、デルフの人格も生贄になった人のもの。とかw
848名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:03:18 ID:0aklFiwp
>>802
どこの妖刀ですか?

>>839
違う、元の伝承が各国で翻訳されていく過程でエピソードが追加されたり誤訳されたりしていつの間にか剣を手に入れる話が増えたから、辻褄合わせるのにそういう風に変化しただけ。
849名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:04:05 ID:f+15AgE9
あ、6000年も生きてるんならそろそろ付喪神してもよくね?
声と喋り方から男だとおもってた・・・はお約束。
850名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:05:02 ID:LMLrb4r6
今ソニックのゲームでエクスカリバーとアーサー王が出てるんだが、
このゲームのアーサー王は、鞘の不死身パワーのせいで調子乗って病んだらしい
というかアーサー王がラスボスってアリなのかね
そしてカリバーンという喋る剣もいる
851名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:08:00 ID:2wqUyx1S
デルフ=ブリミル
852名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:08:59 ID:ZRELkX8L
>>851
その場合ブリミルがフォルサテ大嫌いになるな。なぜそんなやつにw
853名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:10:51 ID:XkeEqYzm
>>850
逆にアーサー王がラスボスではいけない理由があれば聞きたい。
854名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:15:46 ID:afhsntY8
石に刺さった聖剣は実在するんだよな
それにあわせていろいろ各地の伝承がくっついてアーサー王伝説になってる
855名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:17:48 ID:f+15AgE9
>>851
サーシャの左腕として活躍してた頃にはブリミルすでに死去?
856名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:27:35 ID:QZvWVL+v
>>839
最初のはカリバーで「湖の貴婦人」に再生されてEXカリバーになったって説もあるな
857名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:39:30 ID:ePrZdyBp
『デルフリンガーEXリミテッドエディショングランドステージプレミアムコレクションナショナルリファレンススペシャルパッケージ』

通称「デルフリンガー」として再生。
858名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:46:10 ID:f+15AgE9
>>857
更に知能を持ち、人語を解す。また、攻撃魔法の類を吸収する機能も付いております。
859名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:49:44 ID:KgK7u2ZN
壊れてから復活か…
エクシードデルフリンガー
860名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:49:50 ID:RGxgpm1j
>>858
回復魔法の類も吸収しますので万全です
・・・あれ?
861名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:53:41 ID:ByUup2KY
そう言えば、デルフにディスペルかけたことあったけど、あれで何でデルフ自身にかけられてる魔法が無効化されなかったんだろうな。
862名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 22:53:47 ID:f+15AgE9
>>860
そのうえ今回はなんと!
使用者の魂や生命力を吸い取る機能も付き、蓄えたエネルギーで所持者を自由に操る能力もついてきます。
863名無しさん@お腹いっぱい。
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>