あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part211

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part210
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1233482365/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 03:58:27 ID:8x92gh0B
テンプレは以上
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 04:00:22 ID:curavSE+
祝! ttp://nagamochi.info/src/up25007.gif


『涼宮ハルヒ、本格始動。』 4月からTVアニメ放送開始!

ニュータイプ3月号表紙より
ttp://www.uploda.org/uporg1988924.jpg
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm6039019


祝! ttp://nagamochi.info/src/up25006.gif


                〆 /\ l::::: |::::厶:::::ハ:  i\:::::..::.  l::.. |::j;ィ|' |:.  l  > \
              / /:::::::/7|::::: l::/  ト{、小:. ! \::.::. iイl:::: /.l |::.  |メ´ l \\
  ┏┓  ┏━━┓   ∨:::::::::: //|:l :::: l:{ ,.ィ≠ミk\\ヽ   X´;ィ=≠く リ :  |\\ .:\!     ┏━┓
┏┛┗┓┃┏┓┃    l::l:::::|: //_j:ハ::::::l代〃 :ハヾ ` \、  "f〃下:ハ>|:::::  |、 \\ l   .┃  ┃
┗┓┏┛┃┗┛┃┏━|::l:::::| { {/│:ヽ:: ', Vヘ:::j.|         |rヘ::j.リ '゙ |:::::  l、}  lヽ/;━━┓┃  ┃
┏┛┗┓┃┏┓┃┃  |::l:::::|::V !^|::::: \ヽゝ-‐'    ,    ゝ‐-'   |::::  l_ノ::.|: |: l: |    ┃┃  ┃
┗┓┏┛┗┛┃┃┗━|::l:::::l::::::: `l:::::: .::::f`      _____      ,'::::  ハ:::. l:: |: l: |━━┛┗━┛
  ┃┃      ┃┃    l::ハ::: !:::::::::::l:::::::: ::ヘ     ∨     リ      /:::: /::  /::: l: l: |      ┏━┓
  ┗┛      ┗┛    ヽ! ヽ::ヽ:::::::::ヽ::::: l.\       /   ,. ィ/:::: /::  /:::: /:/l:リ      ┗━┛
                  \ \ゝ :::::: ヽ ::ハ  fヽ、   ー '  イ |: /::: イ::  /\/ノ リ
                   X ヾ:::::::::lヘ::.ヽ l   >ー<   〃:/ l:: /  /\
                      <  \\::::j リ \V l_`ヽ     x‐/イ   |〃 / /\
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 04:07:35 ID:aFQK0Bw4
>>1
乙乙乙
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 04:33:33 ID:ejrvMEc1
1乙!

そして3は死ね。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 06:19:28 ID:kg3S++/n
キチガイは何処にでも湧くな
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 08:40:26 ID:SIr6gvo4
どんなに〜頑張ってみても〜どんなに乙しても〜>>1に届かない〜何かが乙れない
8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 09:39:08 ID:bqhgp907
>>1 に名状しがたき乙!
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 14:02:06 ID:lJ2yEQYU
>>1
10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 15:37:48 ID:1xWaVcwz
>>1
初めに乙ありき
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 16:35:47 ID:LsrEYKqV
>>1
まさか…
乙るとでも思っていたのですか?
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 18:41:48 ID:/rgSU/t7
http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/5957.html

使い魔の左手、悪魔の右手-01

--------------------------------------------------------------------------------


作品内容に別作品からの盗用疑惑がかけられているため、一時的に掲載を取りやめております
詳細は避難所の運営議論スレ5,>>888->>907を参照。

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1227588208/888-907
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 19:44:33 ID:JwOPi6Kk
最近このスレを紹介されて、暇を見つけては堪能させてもらってるんだが……
「ディセプティコン・ゼロ」って止まったまま?
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 19:51:22 ID:8m2KCxce
>>1乙!
俺、ヤマグチポルノだけど何か質問ある?
15名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 19:53:28 ID:BxQrmk+Y
>>13
一年以上止まってるので続きは厳しいかも。
ただ、一年止まってから復活したゼロの花嫁の例もあるので絶対にないとはいえない。
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 20:10:35 ID:4yLcQxRm
一瞬山口昇だと思った私のドキドキを返してくれ!
一さん乙であります
17名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 20:30:48 ID:/d2fBUfm
>>972
  *
*ヾヽヽ  *
 (,, ・∀・)  もう二度と三羽揃っても牙を剥いたりしないよ!
* ミ_ノ  *
  ″″
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 20:31:19 ID:/d2fBUfm
ごめん誤爆
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 20:36:42 ID:707+SqTQ
うめぇ!
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 20:45:54 ID:yPYwambX
>>19
…もしや、貴殿は俺と同じスレに常駐しているな!?
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 20:46:42 ID:yPYwambX
ageてしまった、申し訳ない
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 21:02:01 ID:KY7o3NN9
アプトムが最初に食ってたゾアノイドが
あの世界の才人だったという電波を受信した
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:04:50 ID:ejrvMEc1
とまあ、今日投稿は無いみたいですな。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:12:37 ID:cxUwK9FV
最近ここに来たんだが、ブロントさん召喚ってありそうでないんだな。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:15:42 ID:LeDTyvq+
投下がないなら、ここ最近よく投下されてる作品で自分が面白いと思うものを語ってみるとか

言いだしっぺなので一応
虚無のパズルは続きを楽しみに待てるいい話
存在変換する度に変わるキャラのやり取りは原作を思い出す
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:18:30 ID:e1sK7u9a
>>25
ラスボスが楽しみ
それと聖帝サウザーが召喚された話の続きが見たい
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:23:09 ID:6WF36SYj
俺は日替わり使い魔が楽しみだな
一家休日編が読みたいぜ
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:23:09 ID:UWvXqclG
オレはバージルの兄貴とユーゼスが楽しみだ
後は避難所のバレッタ
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:24:03 ID:Elns7g/L
>>25
おマチさんがメテオン使ったりしねーかなと思ってる

あとウルトラが好きだ
オンディーヌ組がわいわいやってるのが好きだから
そういうのも見たいな
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:25:46 ID:Fg6oCS3N
日替わりがめっちゃ大好き
びっくり箱的な作者の人が次は誰を使い魔にするかわからないあの独特な作風が楽しめるのはアレだけ
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:25:48 ID:rVn+04mK
>>25
鷲と虚無だな
苦労人の才人ガンガレ
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:27:22 ID:1HhTfMME
やっぱり元ネタ知ってるやつが面白かったな
アクマとユーゼス、どろろに日替わり
藤田成分が足りないから追加で作品来ないものかね
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:29:10 ID:7JBpf3z6
>>25
この話題は他作品の批評が出て論争になるのと
話題に上がらなかった作品の作者のモチベーションが下がる諸刃の剣だ・・・
34ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:29:14 ID:qhW0AGBz
こんばんは、ご予約なければ40分ごろから投下いたします。
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:31:00 ID:gen+L0U0
>>29
アースメテオンとヨルムンガントが戦ったら面白そうだ

そして支援
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:31:35 ID:BuMo91C3
mtlが一番好きだな。
予想不能な展開にいつもハラハラしてる。

ここ暫く空いてるけど。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:31:38 ID:NKx+slK4
ボンボン世代としては、騎士団の人が楽しみかな。ペース早くて嬉しい
あとは先に出てるけど、ウルトラ、ラスボス、日替わりも大好き
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:32:09 ID:gJkVS0y3
黒ルイズな「GIFT」と「虚無の闇」

おマチさんをルイズが殺してしまった黒蟻も非常に気になる。

&支援
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:32:17 ID:UWvXqclG
支援
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:32:43 ID:vl4b48Lh
昨日、自分で書き込んだ森長可を使い魔でSSを考えてみたんだが何度考えても召還してすぐにルイズ殺害ENDにしかならん・・・
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:32:46 ID:hN++Z7DD
アレはローマ時代の人物というよりも現代人みたいだな
クロス元の作品自体がそうなのかもしれんが(見たことない)

普通に考えると、現代人のサイトとの価値観のズレでは、中〜近世的なゼロ魔の登場人物よりも紀元前のローマ人の方が大きいと思うのだが
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:35:01 ID:/stOMH5e
MtLはウェザーライト初陣のワクワク感が異状だった
ぜひ完結してほしい作品だ

>>29
原作での結成が遅いから、水精霊騎士団が出てくるSSって少ないよな
早い段階でメンバーが集まるウルトラは珍しい
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:35:24 ID:VYTWIyPw
鋼の使い魔と蒼い使い魔、ラスボスがお気に入りだけど、最近の作品では日替わり使い魔と重攻の使い魔が好きだな。

日替わりと重攻の人続きカモンですよ。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:36:01 ID:6jgzmbQG
アクマがこんにちわが好きだ

アルビオンって言ったらアマラ宮殿の飽食満腹を思い出しそうなもんだがなあ、人修羅w
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:36:01 ID:R/JLcEB9
ジャンガとアンジェリカが気になる
同じ人殺しでもえらくキャラがズレてるな
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:39:10 ID:yNE7rhy/
おれはガンダムファイターの復帰を願う
47ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:41:29 ID:qhW0AGBz
投下します。

ゼロの魔王伝――20

 白々と輝く星と、淡い紅と朧な青の月光だけが光となる夜の闇に、岩礁にぶつかり砕ける波のような銀粉が散った。
 三色の光に照らされ、刹那の時だけ眩く輝いた銀粉は、次の瞬間吹いた疾風に掻き乱されて、あえなく消え去る。
 闇が衣と変わったようなロングコートの裾を翻す疾風はDという名前を持っていた。
 神秘的な青い光を湛えたペンダントが、疾風さえも追い抜くであろう主の動きに乱れ踊る中、Dが一足飛びに跳躍した。
 両手で握ったデルフリンガーを大上段に振り上げ、眼下に立つ自分自身同様に闇を傅かせた美貌の青年へと振り下ろす。
 夜の帳さえも一太刀で裂くような一撃を、百条に及ぶ魔糸の斬撃の群れが受けた。
 光の速さで指先に伝わる斬撃の威力に、魔糸の主である幻十は月輪を思わせる麗貌に氷から削り出したかの如く冷たい表情の仮面を被っていた。
 一太刀を防ぐために百条の魔糸を切断された幻十は果敢に追撃の手を放った。
 刃を打ち合せた態勢で、二瞬ほど動きを停滞させていたDめがけて、前方より波涛の如く襲いかかる銀の光。
 縦に放った千分の一ミクロンという細さの突き、無限長に伸びる魔糸を用いての斬撃の無数の組み合わせによって、D目掛けて襲いかかる魔糸総数二十条は、すべてが微細に異なる攻撃方法であった。
 Dがデルフリンガーで風を貫きながら突きを放ち、最短距離を飛んできた一条の魔糸を絡め取る。刃毀れや錆の浮いた刃に不可視の魔糸を絡み付かせ、瞬時に手首を回す。
 銀色の渦のようにデルフリンガーの刀身に絡み取られた魔糸が、Dの手首の動きに従順に従い、幻十の繊指の支配から逃れた魔糸は、他の魔糸達へと襲いかかり、Dと幻十との直線距離を覆うアーチの様に極細の死神達を追い払う。
 絡み取った魔糸を、手首こねる動作で断ち切りながら、Dの足が大地に沈み、猛烈な反発の力を得て駆ける。
 幻十は彼方にある木立に巻きつけた魔糸を引き、後方へ十メイル以上の跳躍を行いながら、神速で迫るD目掛け、左手を下方から掬いあげる様に振るった。
 同時に左手の五指全てが、百分の一ミリ単位で細やかな動きを見せる。
 指一つとっても奇跡の産物の様な幻十の左五指は、あまりの動きの速さに霞んで見えた。放たれるはいかなる魔技か。そしてまた、迎え撃つDの剣はいかなる神業か。
 Dが黒瞳を周囲に走らせ、上後方、全面百八十度、襲い来る五十以上の魔糸を認めた。
 いずれも描く軌跡はこれまでのような、直線や弧ではない。
 一本一本が意思を持った生物の様に、まるで一つの群れとなったかのようにDという獲物を駆り立てるべく縦横無尽に、じぐざぐと動き回り、螺旋を描き、多種多様に迫ってくる。
 斬撃と数のみならず、描く軌跡と二色の月光のきらめきを利用した催眠効果を与える幻十の必殺を狙った攻撃であった。
 Dの瞳が半眼に閉ざされた。視覚から脳髄に忍び入ってくる魔糸の催眠効果を遮断し、迎撃に、視覚を除く五感と直感に命運を委ねた夢想の剣が閃く。
 右足を視点にその場で旋回し、それがどれほどの速度で行われたものか、コートの裾は刃の鋭さを得て襲い来る魔糸の幾本かを弾き返し、Dの体に淫らな意思を持った蛇の様に絡み付かんとする魔糸は、例外なくデルフリンガーの刃に迎え撃たれた。
 Dの右腕が幻十の指同様に霞んで消える。迫る魔糸を迎え撃つDの剣舞もまた神速の領域へ到達したのだ。
 魔糸を迎撃する中、Dは再びコートの内側から取り出した木針を幻十へと投じる。幻十の反応速度から言って、マッハ十前後で投じても迎撃されるのは火を見るよりも明らかであったが、わずかなりとも集中を崩さねば、反撃の一手を放つ切欠さえ掴めない。
 魔糸の連続攻撃に神経を割いていた幻十の反応は万分の一秒遅れた。一万五千分の一秒の遅れであったなら、額を貫いた木針に脳漿をぶちまけられていただろう。
 魔糸を操る指先はそのままに、体に纏っている防御用の魔糸『糸よろい』を数本外し、燃え走る流星となった木針の縦に両断し、その衝撃で木針はわずかな火の粉となって幻十の冷美な横顔をかすかに照らした。
 Dは、思考を伴わぬ剣士としての本能に命運を委ねた夢想剣で、先程とおなじ迎撃手段を取った。
 襲い来る魔糸のことごとくに刃を合わせると同時に刀身に巻きつかせ、デルフリンガーへと伸びる銀の筋が五十を越えると同時に、わずかに刀身の角度をずらして巻きとった魔糸を断つ。
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:42:01 ID:yT2BuXd5
支援
49ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:43:01 ID:qhW0AGBz
「同じ手が二度も通じると思うのか?」

 笑う幻十の声と同時、Dがその場上方へと跳躍する。切断し、幻十の指から離れた筈の魔糸が、断たれた事など知らぬとばかりに鎌首をもたげてDへと斬り掛かってきたのだ。
 コートの裾を幾本かの魔糸に斬られたDは、空中で幻十の声を聞いた。

「コードレス・コード。糸は断たれても込めた殺意と技は残る」

 その技の名を、かつて幻十と争った幼馴染もまた口にしたとは、幻十は知らない。しかし、断たれてなお襲い来る魔糸とはなんたる技か。
 無論、幻十の指が直接操作していた時とは違い、単純な動作のみで、一瞬のみの発動とはいえ人間業ではあるまい。
 跳躍し、空中の人となったDは、下で待ち受ける魔糸と前後左右から迫る魔糸を見ていた。
 落ちるは斬撃地獄、待つも斬撃地獄。
 漆黒のロングコートを、天界とのハルマゲドンに赴く魔王の如く広げ、Dがデルフリンガーを右下段に構えて空中でさらに飛翔した。
 あろうことか後方から襲い来た魔糸の一本を足場代わりにしたのだ。タイミングを誤ればそのまま体を両断されかねぬ行為を、一瞬の躊躇いもなく行うのが、この青年であった。
 そんな中、Dに握られたデルフリンガーは主の苦境とは別に恍惚の中にあった。それは一振りの刀剣としての歓喜であった。主の美しさにではなく、その技量への感動であり、かつてない高揚であった。
 魔法によって知性を与えられたとはいえ、デルフリンガーの本質は剣だ。何かを斬り、誰かを斬り、何もかもを斬る道具だ。
 道具としての自分の真髄をこの六千年の中で最も引き出し、使いこなし、振るっているのが今の主たるDであった。
 刀剣としての自分をここまで完璧に使いこなし、これほどまでに鋭く、早く、重く、軽妙に振るい、壮絶な鬼気さえ纏わせた者は、これまでデルフリンガーを握ってきた者達の中にはいなかった。そう、かつてのガンダールヴでさえ。
 なんという僥倖、数百年の退屈の果てにこのような出会いがあるとは、夢にも思わなかった。恐るべき使い手だ。凄さまじい剣士だ。称える言葉が思いつかぬほどの戦士だ。
 ならば、そのような使い手に相応しい姿にならねばなるまい。
 幻十めがけて跳躍するDの右手の中のデルフリンガーが、幻十の張った防御用の糸を天から地への一閃で斬り散らすのと同時に、デルフリンガーの刀身が目も眩む眩さで輝いた。
 たちどころに刀身を覆っていた錆は消え、零れていた刃も欠損を埋めて、瞬く間にデルフリンガーはボロだらけのナマクラ刀から、剣匠の込めた魂の気迫が匂い立つ見事な剣へと変わっていた。

「ああ、そうだ、おれを振るえ、相棒!! このおれが認めてやる、お前さんはハルケギニア六千年の歴史で最強の剣士だ!!」

 デルフリンガーの変身の中も目を閉じなかったDは、デルフリンガーの興奮した声を気にも留めず幻十へと目掛けて、右足が地を踏むのと同時に更に飛翔。
 低空すれすれを這うように飛ぶ蝙蝠の様な影を月光に落としながら、ついには幻十の姿をその刃圏に収めた。振り下ろし切れば幻十の体を斜めに両断する構えは右下段、切っ先は後方に流れている。
 幻十が大きく右手を振るう。万軍に命令を下す覇王の如く。
 Dが右手を振るう。巨人の首さえも落とす神話の英雄の如く。
 螺旋を描いた無数の魔糸不可視の螺旋衝角を形作った魔糸の刺突と、真の姿を取り戻したデルフリンガーの刀身とが激突した。
 幻十の頭頂まで残り五十サントの位置で鮮やかに煌めく無数の銀粉。天空に輝く淡紅と白みを帯びた青い月光を受けて銀色から変わる光の燐粉は、デルフリンガーの刃に切り裂かれる魔糸の残滓の姿であった。
 放たれたDの一刀にどれほどの力と技が込められていたものか、更なる魔糸の一撃を放つ余裕は幻十にはなく、デルフリンガーの刃に徐々に切り込まれる螺旋衝角の維持で手一杯であった。
 ぎり、と奥歯を噛み鳴らし、幻十の美貌に初めて余裕以外のモノが翳を過ぎった。
 デルフリンガーが魔糸を切り裂くかと思われた瞬間、螺旋が弾けた。さながらホウセンカの果実の様に。
 常人には何もないと見える目の前の空間に、無数の糸が乱舞している様が見て取れるDは、デルフリンガーの刀身を縦に構えて自分に迫る魔糸のことごとくを弾く。
 睨みつけた獲物を逃さぬ鷹の眼は、幻十の姿が前方上方六メイルの位置にあると認めた。互いに決め手を欠いたまま、今一度、飽く事無く二人の間で透き通った殺意が交差した。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:44:27 ID:PxVu4Dyg
パズルと聖帝さま、餓狼MOWの続きが早く読みたいんだぜ。
51ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:44:39 ID:qhW0AGBz
 天と地とに分かれて争う美影身を、タバサはただ呆然と見つめていた。
 美しいからか? 然り。
 恐ろしいからか? 然り。
 辺り一帯を埋め尽くす二人の鬼気よ、殺気よ。それは尋常ならざる魔界の地に足を踏み入れたのかと錯覚するほどに濃密で、空を握った掌の内側に結晶の形となってしまいそうだ。
 Dと幻十、あの二人で生死を賭けて戦い始めたその瞬間から、ここはただの人間が居てはならぬ異世界へと変わり果てていた。
 息を忘れて、漆黒の魔人二人の戦いをタバサは瞳に映し続ける。
 天空には双子月と浪蘭幻十。
 大地には彼方まで広がる悠久の大地とD。
 二組を繋ぐのは夜の世界を渡ってきた風と月光。
 二人の戦いは、どちらの方がより美しいかという答えを出す為のものであったかもしれない。
 六メイルの高みからDを見下ろしていた幻十が、何度目か必殺の意を万と込めた一撃を放った。Dの頭頂から両断すべく振り下ろされた魔糸。全長は一リーグ≒一キロを越す。
 十分な余裕を持って回避できる筈の魔糸を見ていたDの瞳の中で、一条の煌めきは、たちまち一千の閃光と変わった。
 千分の一ミクロンの魔糸千本を縒り集めた一ミクロンの魔糸を、敵の頭上で解き、たちまち一筋の斬撃を千の斬撃へと変える。
 たった一本を回避する事から、千本にも及ぶ魔糸の斬撃の回避へと行動を変える事は、もはや不可能なタイミングであったろう。幻十の唇がひどく残酷な形に吊り上がる。
 目の前で数千の肉塊へと変わる強敵の様を思い描き、サディスティックな愉悦に胸の内をどす黒く焦がそうとしているのだ。
 成す術なくDが微塵に斬り裂かれるかと、彼の魂を連れ去るべく待っていた冥府の使い達が目を見開いたその時、動いたのはDの左手であった。
 降り注いだ魔糸の雨を防いだ時同様に、Dの左手に宿る老人が、死の運命の扉を塞ぐ鍵となったのだ。
 左手を掲げるのと同時に老人の声はこう流れた。

「風だけじゃが、なんとかするしかないか」

 開かれたDの左手の掌に浮かんだ老人が、再び抜け落ちた歯の目立つ口を、大きく開いた時、その喉の深奥でちろちろと燃える青白い炎があった。
 Dの左手に宿る老人は、世界を構成する四元素『火』『土』『風』『水』を食らう事で、膨大なエネルギーを生み出す生産プラントでもある。
 幻十の放った魔糸を吸い込む時に吸引した風を元にしてエネルギーを生み出し、左手の老人は喉の奥から、青白い炎を一気に噴き出した。
 それがどれほどの熱量と勢いを持っていたものか、襲い来る魔糸はすべて蒸発し、炎が舐めた大地はガラス状に解けた断面を晒しているではないか。
 幻十が目の前まで迫った炎の舌に、かすかに目を細めたその瞬間、背筋を貫く鬼気の放射に愕然と炎の中から姿を見せた黒影に目を見張った。
 自らの左手が生み出した炎の灼熱地獄の中を、右手に握るデルフリンガーで切り裂き、飛翔したD!
 紅蓮の海を挟み対峙する両者の間を、白銀の弧月が繋いだ。
 デルフリンガーの切っ先を真横へと向けたまま、Dは音もなく地面に着地した。すっくと立ち上がった時には、すでに戦闘の気配を納めている。
 幻十の左頸部を狙った一撃が、肌に触れるその寸前、幻十の姿はDの目の前から消えていた。どこか遠くに巻きつけた魔糸を利用して幻十は退いたのだ。
 それがどれほどの速度であったものか、発生した突風に千切られた風がはらはらとDの周囲に舞落ち、残っていた炎に燃やされて灰に変わる。実に、幻十が逃亡に用いた魔糸は、彼の体を音速を超えて運んだのである。
 左手がやれやれ、と骨の髄まで疲労を溜め込んだ声を出した。

「なんなんじゃ、この世界は? あのメフィストとか言う医師だけでなく、幻十とか抜かすあ奴も大概バケモノときおった。
 しかも、戦い始めた時から常に成長しておったぞ? 下手をすれば無限に成長するかもしれん。
 ここで首を落とせなんだ事を後で悔やむ様な事にならなければ良いが、それも自業自得というものなのかの。お前があのチビのお嬢ちゃんを庇うとはな。構わなければ止めは刺せずとも深手くらいは負わせられたものを」

 Dが真横の突きだしていたデルフリンガーを下げた。Dの一刀を浴びる寸前、幻十がタバサめがけて放った魔糸を防いだデルフリンガーを。
52ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:46:58 ID:qhW0AGBz
 変貌したデルフリンガーの事は露ほども気にする様子はなく、Dは右手に刃を提げたままタバサへと歩み寄った。
 タバサは自分に歩み寄るDの姿に、死を覚悟した。いわば自分はDを罠へと誘いだしたのだ。目の前の青年が、そんな相手を許す様な性根の主とは見えない。
 両手で握りしめた杖が大きく震えるのを感じながら、タバサは目の前で足を止めたDの顔に見入った。
 Dは冷たくタバサを見下ろしている。右手が動いた。デルフリンガーの刃が風を薙いだ。無造作に、草でも刈る様に。そうやって、タバサの首も刈るのだろう。
 弁明も言い訳も何も意味を成さないと悟ったタバサは、静かに目を閉じて息を飲んだ。自分と家族の人生を狂わせた男への復讐を果たせず、母の心を取り戻せずに終わる事だけが心残りだった。
 シルフィードは泣いてくれるだろう。きっとわんわん泣くに違いない。キュルケやルイズも、自分が死んだら涙を流してくれそうだ。ルイズは自分を斬り殺したDの事を責めるだろう。
 本当なら、こんな所では死ねないと、終わるわけには行かないと、地べたを這ってでも生きようと足掻かなければならない。なのに、どうしてもそんな気力が湧いては来なかった。
 思ってしまったのだ。目の前に黒衣の青年が立った時に、このまま殺されてもいいと。この美しい青年に、殺されてしまいたいと。自己破滅願望とこの世ならぬ美への恍惚が入り混じった極めて危険な心理に、タバサは陥っていた。
 Dの手が振られた。タバサは、自らの体を両断する冷たい感触が流れるのを待った。

「……?」

 しかし、待てども訪れぬ感触に、訝しげにタバサが目を開いた時、Dはデルフリンガーを握ったまま人差し指と親指で何かを摘まむような動作をしていた。
 訳が分からずDの指を見つめるタバサに、Dが口を開いた。

「目には見えんが、糸がある。あの幻十という男のものだ。これが君の体に巻き付き、あらゆる情報を奴に伝えていたのだ」
「糸?」
「今は斬ったから何を話しても問題はないがな」

 Dの告げた幻十の武器の正体に、愕然と眼を見開いてタバサはDの指先を見つめた。目を凝らして凝らしても、何も見えない。
 ただ、時折降り注ぐ月光を反射して何かが煌めくのが見えた。それが、Dの言う糸なのだろう。Dはデルフリンガーで斬った魔糸を、左手の口の中にしまい込んだ。
 タバサの体に巻きつけられた魔糸は、糸そのものを震わせる振動からその場で行われている会話、巻きついた対象の体温や血流、体内の電気信号などから感情、精神状態までを光の速さで幻十の指に伝えていたのだ。
 これまでタバサの会話や心は全て幻十の手の内に把握されていたと言っていい。

「知っている相手の様だな。何者だ?」

 タバサが身を強張らせた。Dの声は質問に答える以外の言葉を許さぬ冷厳な響きであった。

「彼は、ガリア王ジョゼフの使い魔として呼び出された青年。けど、契約は結んでいない」
「続けろ」
「ジョゼフは、彼に何の命令も下していない、ただ彼の好きにさせているだけ。私は彼に従うように命令を受けた。だから、貴方を呼んだ。彼は貴方に興味がある様だったから」
「また命令が来れば同じ事をするか?」
「……しなければならない理由が、私にはある」
「そうか」

 タバサは杖を握る手に力を込めた。つい先ほどまで生を諦めきっていたが、仇敵に従う振りをしてまで果たそうとしている事を思い出し、わずかでも可能性があるならそれに全霊を賭けようという気概が蘇っていた。
 もしDが自分を殺そうとするのならば、わずかなりとも抵抗してみせる。
 瞳に強い光を取り戻したタバサを見て、Dは何を思ったか、無言で踵を返した。その背に、タバサが声をかけた。

「待って、貴方に頼みがある」

 Dが立ち止まってタバサの言葉の続きを待った。かすかな逡巡の後に、タバサが意を決して、言葉を続ける。

「彼を、ロウランゲントを斃して欲しい。貴方なら彼を斃せる。いいえ、貴方にしか斃せない。彼は明言はしていなけれどおそらくジョゼフの味方をする。
 私は、どうしてもガリア王ジョゼフを斃さなければならない。私の前にロウランゲントが立ち塞がると思う。もし、ガリア花壇騎士団が全員私の味方になってくれても彼には勝てない。
 それに、彼はたぶんこの世界に来てはいけなかった人。ゲントの存在は、この大陸にとても良くない事を巻き起こすと思えて仕方が無い」
「おれは殺し屋ではない。吸血鬼ハンターだ」
53ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:48:24 ID:qhW0AGBz
 再び歩み去ろうとするDに、慌ててタバサが声をかけた。浪蘭幻十と対抗しうるおそらく唯一の男を、味方にする千載一遇のチャンスだ。逃すわけには行くまい。

「なら、ゲントと彼の連れている吸血鬼を始末して」
「吸血鬼を従えているのか?」

 足を止めて聞き返してきたDの様子に、タバサが安堵の吐息をひとつ吐いた。少なくとも興味を引く事は出来たようだ。しかし、吸血鬼ハンターとは、文字通り吸血鬼を狩る者の事だろうが、ハルケギニアではそう言った者は聞いた事が無い。
 目の前の青年がはるか遠方から、それこそハルケギニアの名が伝わっていないほど遠いどこかから呼ばれたのだという噂が、タバサの脳裏に蘇った。だが、今はDの素性を確かめようとするよりもするべき事があった。

「私に払う事の出来る報酬は多いとは言えない。けれど、私が支払えるものであったなら、何でも払う。この体でも命でも構わない。
 だから、お願いします。どうか、この世界の為にロウランゲントを斃してください」

 深く腰を曲げて頭を下げるタバサを一瞥し、Dは無言のまま背を向けて学院へと歩き始めた。タバサの懇願も、誠実な態度も、まるで知らぬという様に。
 顔を上げて離れ行くDの背を見つめていたタバサは、ひたむきな瞳を向けていた。

「どうして、私に何もしないの?」

 タバサにとっては、その答えを得られぬ事が、Dの刃の露と消えるよりも辛かったかもしれない。
 タバサは、Dの姿が消えるまで、そこに立ち続けた。世界のすべてから忘れ去られたような、ひとりぼっちのまま。

 なお、Dの背に戻されたデルフリンガーが、

「相棒、おれが変わった事、気にしないの? ねえ?」

 と寂しげに呟いたが、むろん黙殺された。


 ルイズの部屋に戻ったDは、なにやら神妙な顔をしてこちらを見つめるルイズと、なぜか部屋に居るギーシュを見た。こんな夜遅くに女の部屋に男の姿がある。争った形跡もないという事は

「ませとるなあ、しかし、よりによって引っ張り込んだのがこいつか。お嬢ちゃん、もうちっと男を見る目を養った方が」
「違うわ。D」

 いつもなら簡単にDの左手の挑発に引っかかるはずのルイズが、冷えた声を出した。いつもとはだいぶ違う様子に、左手もふむん? という声を出す。
 ギーシュの方も口に薔薇を加えた気障なポーズはともかく、顔つきにはふざけた様子もおどけた調子もない。ルイズ同様に真摯な瞳でDの顔を見つめている。
 どんな鈍感な人間でも、これは何かあると分かる二人の様子だ。
 ルイズはDの目の前まで歩き、使い魔の顔を見上げた。正面から、逃げる事も恥じる事も何もないと、堂々と胸を張って、主人らしく。

「D、私アルビオンに行く事になったの。明日の朝、出立するわ」
「理由を聞こう」

 Dに対して、ルイズは静かに事情を話し始めた。Dが浪蘭幻十と死闘を繰り広げていた時、ルイズはトリステイン王女アンリエッタの訪問を受けていた。
 頭巾を取り、素顔を晒したアンリエッタは、膝を突くルイズの手を取って懐かしい友との再会を喜んだ。ルイズは、幼少の頃にアンリエッタの遊び相手を務めていたのだ。
 お転婆娘だった小さな頃を懐かしみ、その頃の自由に思いを馳せている間は良かった。Dも特に反応を見せる様子はない。それで終わったなら、そもそもルイズはこんな神妙な顔はしないだろうし、ギーシュが部屋に居る理由も分からない。
 雲行きが怪しくなり出したのは、アンリエッタがこのたびゲルマニア皇帝に嫁ぐことになった下りからである。
 別段王室同士の婚姻など珍しい話ではない。アンリエッタにもトリステイン王家のみならずアルビオン王家の血が流れている。
 では何が問題かと言うと、それはアルビオン王国の政治情勢に一因があった。Dも、下僕というか小間使いにしたフーケから話を聞き、かの浮遊大陸のきな臭い情勢については風聞程度で知っている。
 アルビオンの貴族達がどこぞの司教を旗印にして王家に対して反旗を翻し、いまや王家は追い詰められ、始祖ブリミルが授けた三王権のひとつが倒れるのも時間の問題だというのだ。
 トリステインは始祖ブリミルの子の血を引く由緒正しい王家であったが、国力で言えば小国と言われても反論できない。
 平民といえども領地を購入すれば貴族となる事も出来、国力を増大させたゲルマニアやハルケギニア一の大国であるガリア、宗教的な理由から神聖不可侵な地であるロマリアと違い、トリステインは歴史の古さ位しか取り柄が無いのである。
54ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:50:36 ID:qhW0AGBz
 さて、そこでトリステインとゲルマニアが、いずれアルビオン王家を打倒した反乱軍が、両国いずれかに矛先を向けると考えたのは至極当然であったし、対抗するために同盟関係を結ぼうとするのも自明の理だ。
 その為にトリステイン王家の一粒種であるアンリエッタが、親子ほども年の離れたゲルマニア皇帝に嫁ぐのは、両国の関係強化にこれ以上ない方法だったろう。
 アンリエッタも望まぬ恋ではあっても、王家に生まれ者の宿命とそこは諦めと共に受け入れてはいる。ここで、いよいよ大問題に差し掛かった。
 ルイズが淡々と事実を述べる様に口を開いた。極力私情を交えぬようにと配慮しているらしい。
 なんでもアンリエッタとゲルマニア皇帝との婚姻を妨げる材料が存在しているというのだ。よりにもよって戦乱のアルビオン王国に、よりにもよって渦中にあるウェールズ皇太子の手元に、である。

「なにが、王女と皇帝の婚姻を妨げる材料になるのだ?」
「姫様がいぜんしたためたという一通の手紙よ。内容はお教えくださらなかったけど、それが明らかになればゲルマニアの皇室は決してアンリエッタ姫を許さず、婚姻も反故にされるそうよ」
「たった一通の手紙でか?」
「……ええ」

 その事を語る時のアンリエッタの様子は、ルイズに手紙の内容を容易に想像させたが、それをDには語らなかった。

「アルビオン王国が反乱軍の汚らわしい手で潰えてしまうのは悔しいけれどもう決定的。であれば来る反乱軍との戦いとの時に、トリステイン一国で相手をするのは……絶望的なのよ」
「では、王女の頼み事は」

 いつもより冷たく見えるDの眼差しに、体の内側から冷やされる思いで、ルイズはわずかに息を飲んだ。それでも、一度だけ目を瞑ってから答えた。

「戦乱の只中にあるアルビオンから、その手紙を取り返す事よ」
 
 ルイズはその時のアンリエッタとのやり取りを思い出した。
 ルイズの目の前でそれまでの友との再会を喜んでいたアンリエッタが、たちまち顔色を蒼ざめさせて、狼狽しだしたのだ。ルイズはその変化に戸惑いながらもアンリエッタを宥めてその先を促した。
 ウェールズ皇太子の元にあるという手紙と、その事を告げた時のアンリエッタの様子から、何を求められているのかは薄々分かっていたが、アンリエッタの口から直接聞きたかった。

「では、姫様、私に頼みたい事とは?」
「無理よ! 無理よルイズ! わたくしったらなんてことでしょう! 混乱しているんでしょう! 考えてみれば貴族と王党派が争いを繰り広げているアルビオンに赴くなんて危険な事、頼めるわけがありませんわ!」

 弱々しく首を左右に振り、自分の浅慮を悔いるアンリエッタ。だが、その様子をルイズは不意に遠いモノの様に見ている自分に気づいた。つい先ほどまではアンリエッタ同様に大仰に喜び、芝居がかった言葉を交わしあっていたのに。
 ふと脳裏に、今は部屋に居ない――ようやく気付いた――使いの間の姿が過ぎった。彼の影響だろうか?
 ルイズはそっとアンリエッタの手を両手で包みこんだ。アンリエッタが不意に顔を上げ、涙の粒を眼の端に浮かべた瞳に、慈愛に満ちた顔を浮かべるルイズの顔を見上げた。
 ついさっきまで同じ過去を共有する懐かしいおともだちだったのに、今はアンリエッタの知らないルイズがそこにいた。
 妹を慈しむ姉の様な、娘を想う母の様なそのルイズの姿に、アンリエッタは身惚れた。

「姫様」
「ルイズ?」
「わたくしは、わたくしをおともだちと言ってくださったことがとてもうれしゅうございました。このルイズ、姫様のおともだちとして、そして家臣としても、貴女様の僕であり、理解者でございます」
「ルイズ、ルイズ・フランソワーズ、貴女はわたくしの知らない間に、こんな立派な貴族になっていたのですね」

 感極まって涙ぐむアンリエッタの目元をそっと、取り出したハンカチでぬぐってから、ルイズは膝をつき再び臣下の礼を取った。

「ルイズ?」
「ですが、唯一のわがままをお許しください。姫様、姫様はおともだちとして私にお願いしてくださいました。ですが、どうか、主君としてもご命じくださいませ。私に、命を賭して命を果たせと」
「ルイズ、どうしてそのような事を」
「姫様がご存じかは存じ上げませんが、わたくしはゼロのルイズと呼ばれております。満足に魔法を使えぬ未熟者という意味でございます。そんなわたくしが姫様の命を果たすには身命を賭す以外にありませぬ。
 どうかおともだちの為に戦うという事以外にも、このわたくしに勇気を振るい起こすお言葉をお授け下さいませ。おともだちの為に、主君の為にと、勇を振るい起こすお言葉を」
55ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:52:36 ID:qhW0AGBz
「ああ、ルイズ、わたくしは貴女になんて事を頼んでしまったのでしょう」

 かすかに肩を震わせるルイズの様に、アンリエッタは我に返ったように慄いた。ルイズが今、アンリエッタの願った事を果たす為に命を賭ける覚悟を決めている。そして、恐怖を必死に押し殺そうとしている事も分かった。
 自分はルイズに死ねと言っているようなものなのではないか? アンリエッタは初めて他人の気持ちを慮るという事を考えていた。
 では、自分がおともだちと呼んで泣き付き、頼りにしたこの少女になんというべきか。聞かなかった事にして欲しいと告げ、今宵の出来事を自分もまた忘れるべきか。
 それでもルイズの願いどおりにおともだちとして、そして王家の姫君として戦の只中にアルビオンに赴き、手紙を取り戻して来いと、命を賭けて果たせと命じるべきか。
 自分の言葉で目の前の少女の運命が変わると、アンリエッタは初めて感じる恐怖に震えた。

「おお、おお、わたくしはなんと浅はかだったのでしょう。懐かしいおともだちであった貴女が、この学院に在籍していると知った時は始祖ブリミルが哀れな私をお見捨てにならなかったなどと思いあがり、貴女を死地に赴かせる事を口にするなど」

 打ちひしがれたようにベッドに倒れて手をつくアンリエッタの言葉をルイズはただ待った。アンリエッタの心が決まるのを待った。
 震えるアンリエッタの肩が、ようやくおさまった頃、流した涙をそのままにアンリエッタが毅然と顔を挙げた。
 少なくとも先程までルイズに泣き崩れていた弱々しい少女の顔ではなかった。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール、貴女に命じます。アルビオンに赴き、ウェールズ皇太子よりわたくしがしたためた手紙を取り返してくるのです」
「はい、杖に賭けて」

 ルイズもまた凛とした声で答える。人の上に立つという事の責務をようやく実感し出したアンリエッタとルイズだけの部屋に、ノックの音がしたのはちょうどその時であった。

「誰!?」
「失礼する」

 ルイズの誰何の声に応える間もなく声の主は静かに扉を開いて入ってきた。フリル付きのシャツに鮮やかな色のスラックス、胸のポケットには薔薇の造花を模した杖が一輪。
 ギーシュである。何を聞きとったのかはたまた単なる偶然か、ルイズとアンリエッタの会話を耳にしていたらしい。扉に鍵を賭けていなかったので容易く入ってきたギーシュはそのままアンリエッタに向けて膝を着いて首を垂れた。

「姫殿下、盗賊の如く様子を伺うという下劣な真似をいたしましたご無礼は、どうか、このギーシュ・ド・グラモンがミス・ヴァリエールと共に任務を果たす事でお許しくださいますよう、お願い申しあげます」
「グラモン? あのグラモン元帥のご子息かしら?」
「四男でございます」

 涙の跡を拭いたアンリエッタが、やや赤くなった目元をきょとんとして、小首を傾げながらきょとんとした顔で聞き返した。なんともはや、抱きしめて頬に接吻したくなるように可愛らしい。
 ギーシュはかすかに頬を赤らめながら、立ちあがって恭しく一礼した。

「ありがとう、あなたも私の力になってくださるというのですね。でも、とても危険な任務なのです。ルイズにも申しましたが、命を失うかもしれないのです」
「姫殿下、わたくしは武門の子です。物心ついた時には、こう教えられ育ちました。命を惜しむな、名を惜しめ。決して表に出るような任務ではないと存じております。
 ですが、トリステインの可憐な花たる姫殿下のお心に一時でも私の名を覚えていただければ、それはなによりの名誉なのでございます。父にも母にも兄にも伝える事は出来ずとも、わたしはグラモン家の家訓を守る事が出来るのです」
「ルイズ」
「姫様の御心のままに、お決めくださいまし。ギーシュ、いえミスタ・グラモンにこの任務を任せるか否かは」
「今のわたくしにはその言葉が何よりも重いものなのですよ、ルイズ。……お父上は立派で勇敢な貴族ですが、あなたもその血を受け継いでいるようですね。この愚かで身勝手な姫をお助け下さい、ギーシュさん」

 アンリエッタはにっこりと微笑んだ。それは街道の脇を埋める民衆や、城のバルコニーから見下ろす民衆達に向けるいわば営業用のスマイルに近い。ただ決定的に異なるのは、そこに心からの申し訳なさと、それでも縋る他ないやるせなさが宿っている事か。
 ギーシュは感動した様子でうっとりと首肯した。
56ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:54:35 ID:qhW0AGBz
 モンモランシーはどうしたのよ? と内心でルイズは呆れていたが、まあ、ギーシュとは最近気心が知れてきたし、ドットメイジの割には優秀なのは分かっていたので、文句は言わずにおいた。

「ルイズ、ギーシュさん、旅は危険に満ちている事でしょう。おそらく反乱軍の手先たちがこのトリステインやゲルマニアに多く放たれている筈。
 あなたがたの目的を反乱軍が知ったならどんな手段を取ってでも妨害する事は明白。そんな任務に赴かせるわたくしを許してとは申しません。ですが、どうか生きて戻ってきてください、そしてその無事に、始祖への感謝を捧げさせてください」

 そう言ってアンリエッタはルイズの机の上に在る羽根ペンと羊皮紙を使って手紙をしたためた。アルビオンの王党派とウェールズ皇太子への、ルイズ達の身分を証明する手紙であろう。
 おそらく最後の一文までを綴ったアンリエッタが、羽根ペンを止めて苦悩する様子に、ルイズは自分の思う通りの内容であったのだろうと、アンリエッタの心中を想い胸を痛めた。
 だから、耳に届いたアンリエッタの言葉は聞かなかった事にした。それはアンリエッタとウェールズの二人の間のささやかだが、なによりも輝いている秘密だ。それを他人が知ってはいけない気がした。

「始祖ブリミルよ……。この自分勝手な姫をお許しください。でも、国を憂いても、わたくしはやはり、この一文を書かざるを得ないのです……。自分の気持ちに嘘を着く事は出来ないのです……」

 熱に浮かされていたようなギーシュも、アンリエッタのひたむきなその横顔に身惚れたかの様に黙っていた。
 アンリエッタは新たに加えた一文をじっと見つめていたが、やがて手紙を巻き、杖を振るうやどこかから封蝋が成され、花押が押される。ルイズはその手紙を神妙な気持ちで受け取った。
 この手紙と自分達の行動に、これからのトリステインとゲルマニアの両国の命運がかかっているのだ。まさしく、ルイズの命を引き換えにしてでもなさねばならぬと、ルイズは心中の決意をより堅固なものにした。

「ウェールズ皇太子にお会いしたらこの手紙を渡して下さい。すぐに件の手紙を渡してくれるでしょう。それからこれを」

 そういって、アンリエッタは右手の薬指にはめていた指輪と革袋をルイズに手渡した。透き通る様に美しい水を宝石にしたように美しい指輪であった。

「母君から頂いた『水のルビー』と私が都合を着ける事の出来たお金です。せめてもの贈り物です。お金が心配になったら売り払ってください。
 この任務にはトリステインの未来が掛かっています。母君の指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、あなたがたを守りますように。
 ルイズ、ちいさいころからのわたくしの一番のおともだち、貴方にこんな事を頼んでおいて、言えた義理ではないかもしれませんが、どうか生きて帰って下さい。貴女だけがわたくしの真実のおともだちなのですか。
 そしてギーシュさん、宮廷では貴族とは名ばかりの権利と利益の亡者ばかり。この学院にきて、久しぶりに貴族らしい方とお会いできました。どうか、貴方のその気高さを持ったまま、立派な軍人になってください」

 そう言って、アンリエッタは始祖に祈る様にして二人に手を組んだまま頭を垂らした。
 以上が、ルイズがDに語った事の顛末であった。黙ってそれを聞いていたDの代わりに左手のしゃがれ声が口を開いた。
57ゼロの魔王伝:2009/02/04(水) 22:56:06 ID:qhW0AGBz
「お前ら二人とも死にに行く気か? 内乱真っただ中の外国に子供二人でか。命と精神力がいくらあっても足りんぞ。ずいぶん命が安いらしいの」
「D、確かにあなたにとってはそうかもしれないけれど、私は姫様のお願いを聞いたの。おともだちとして、そして家臣として。どうあろうとも私は任務を果たすわよ」
「任務を果たした所で、ゼロの汚名を返上する事はできんぞ」

 若さの中に鋼の響きを交えたDの声であった。一切の嘘を許さないその声に、ルイズはかすかに声を震わせて答えた。

「分かっているわ。言ったでしょう? おともだちとして、家臣として、聞き入れたと。汚名を返上する為ではないの。そうでしょ、ギーシュ」
「……いや、実は、ぼくはちょっとそーいうのも、あるかなあ、と」
「ぬあんですってえ?」

 般若も青褪めて逃げ出しそうな顔と声に変わったルイズの形相に、ギーシュはさっと顔色を青く変えた。本気で怒らせた父よりも怖い。
 軍の元帥とあって威厳も迫力もたっぷりな父が怒ると、すぐそばに雷が落ちた様に恐怖に震えるのだが、今のルイズは氷の海に突き落とされたように背筋を震わせる恐怖の塊であった。

「いや、あのね、ぼくは四男坊だから家督を継ぐわけでもないし、かといって上の兄達に不幸があればいいなどとは思わないしね。
 それにアルビオンの話が本当ならいずれ武勲に恵まれる機会もあるかもしれないけどさ、ほら、姫殿下にぼくの顔と名前を覚えていただくのはそんな話じゃないだろう? 
 加えてトリステインでもっとも美しい白百合か白薔薇の如き姫君の為に働ける事は、トリステインの男としてこの上ない名誉だよ。誉れだよ。誰かに口にする事は出来なくとも、生涯自分自身に誇れるからね」
「どいつもこいつも浮かれておるのう。なんじゃ、またわしらにケツを拭いてもらえると期待しておるのか? だとしたら甘い、甘いぞ。なんでそんな危険な真似に付き合わなければならんのだ。いくら使い魔でも限度はあるぞ」
「いいえ。D、今回ばかりは貴方を無理に連れていくとは言いません」

 きっぱりと言い切るルイズに、ギーシュがおや? という顔をした。今、ルイズは何と言っただろうか。この中で最大戦力である使い魔を連れていく気はないと言わなかっただろうか?

「D、貴方には本当に良くしてもらっているわ。本当なら、貴方はわたしなんか気に掛ける暇なんてない人なのでしょう。それ位は私も分かるわ。
 そんな貴方を元の場所へ返すという約束を今も果たせていないけれど、せめて貴方に命の危険を負う様な真似をさせないくらいの事はさせて。フーケの時だってそうだったけれど、今回は比較にならないわ。
 ここに姫様から頂いたお金と貴方から借りた金があるわ。節約していれば食べるのに困る事はないでしょう。私に無理に付き合わなくていいのよ、ね?」
「使い魔の契約はどうする?」
「契約が生きている間は新しい使い魔を召喚できないけれど、それだけの事よ。貴方が特に困る事はないはずよ。それに、もしこの任務の最中に私が死ねば、その契約も解けるはずよ」

 ギーシュが、はっとした顔に変わった。そうだ、ルイズが死ねばDは使い魔の契約に縛られる事はない。
 Dが特に使い魔としての扱いに不平不満を述べた事が無いから疑問に思わなかったが、むしろDにとってはルイズが死んだ方が都合がいいのではないだろうか。
 Dを見つめるルイズとギーシュの前で、Dはルイズが机の上に置いた革袋を手に取った。Dが辺境のダラス金貨を溶かして作った黄金と、アンリエッタが用意した宝石や金貨の詰まった革袋だ。
 ずしりと手の中に重みが伝わってくる。Dはそれをパウチの中にしまった。まさか、とギーシュが口を開きかけて止めた。誰よりもそう思っているのはルイズ自身だろう。ルイズは唇を固く閉ざしたまま、Dの姿を見ていた。
 鳶色の瞳に揺れるのは不安か、恐怖か、口にした言葉への後悔か。それとも、別離への悲しみか。
 踵を返し部屋の扉に手をかけたDに、ルイズが声をかけた。震えている。精一杯に押し隠して、それでも抑えきれない声。

「D、今までありがとう」
「達者でな」

 それだけを告げて、Dは開いた部屋の扉を閉じた。


投下終了でございます。今日はなんだか投下がないですね、さみしいものだ。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 22:56:12 ID:yT2BuXd5
支援
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:00:42 ID:ejrvMEc1
投下乙!
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:00:46 ID:/stOMH5e
乙です

[選択肢]
→・ゲントと戦う
 ・ルイズを追う

さあどっちだ!?
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:01:59 ID:ejrvMEc1
そして自分としては氷竜と虚無の闇が早く来てほしいなぁ。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:04:18 ID:Zxff2ptt
投下乙

虚無の闇をずっとwktkして待ってる俺
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:07:49 ID:H6t7H7rC
魔王伝の人、乙。

俺はアンタの話が好きだぜ。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:10:36 ID:vYIH2KMW
924 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 22:39:32 ID:d3zg/Wc.
元ネタの知名度の無い作品が多すぎる。虚無と賢女とか、Wikiで調べたら売り上げ本数
1万本ってコアすぎるだろ。マイナー作品は作者が簡単な説明をしてくれないと
読むのに無駄に脳みそを使わされてだるい。

930 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 23:03:25 ID:d3zg/Wc.
元ネタに興味をもつったって、読者のことまったく考えてないだろ。PSの10年くらい
前に出された売り上げ1万本のソフトだぞ。いくらなんでも限度がないか?もはやクロス作品じゃないだろ。
例えば、召喚される前にクロスキャラの話を2〜3話して、元ネタが無くてもすんなり読めるようじゃないと、
クロス作品っていうならある程度の知名度は必要と思う。

65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:13:34 ID:QBzs/EOr
ふーん。ならブラスティ召喚でこれから予告しようとしていたオレは
捨てた方がいいわけだな...ということであめておきますねorz
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:14:37 ID:KY7o3NN9
クルーズチェイサー・マニエルならいいと思うぜ
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:15:01 ID:NT5dGF0p
昨日はラッシュだったから差が激しいですよね。
魔王の人、そんな中乙っす!

さて、予告どおりキャラ崩壊しまくりな文章投下したいんですが、
特にアニエスファンの方々、及び某脇役キャラファンの皆様、覚悟等よろしいでしょうか?
先に謝ります。本当にごめんなさい!!

23:25ぐらいから失礼します。

FF9屈指の名(?)イベント絡めたいと思います。
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:15:16 ID:OELaRgLm
知ってる人も居るわけだし、何も問題ねえな。
69ゼロの黒魔道士:2009/02/04(水) 23:15:44 ID:NT5dGF0p
あ、すいません、名前忘れてました。
投下準備投下準備

すいません、ホントグダグダで
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:15:45 ID:X3VAiZ14
>>65
戯れ事は無視してGO!
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:16:02 ID:vmZzlK4x
>>65
俺なんてヴァン・ヴィールだぜ
童貞の方じゃないぜ
しかも今更藤田版のデザインなんて誰もわかんねーぜ
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:16:20 ID:LeDTyvq+
>>65
投下しようと思うなら、心のままに行動!
マイナーであっても、知っている人は必ずいる
人の手に触れなければメジャーもマイナーもないんだから

気になるようだったら、作品の簡単な説明を付け加えるてもいい
毒吐きの戯言に屈しては駄目だよ
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:16:56 ID:+MNK8S1d
>>64
毒スレですら袋叩きにあってる書き込み持ってきて何がしたいのん
ここでなら同意が得られると思ったのか
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:18:55 ID:ejrvMEc1
皆は>>64にスルーの魔法を使った☆

>>64の発言は虚無の彼方へと消えていった。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:24:41 ID:5mnY2h84
ニフラムだっけ、それ
スラリンが覚えてたなぁそういえば
76ゼロの黒魔道士:2009/02/04(水) 23:24:56 ID:NT5dGF0p
投下開始です
もう、ホントにゴメンなさい……

―――

裸のお姫様なんて、影も形も無いねって、アニエス先生と目で会話したんだ。
「む?――ゲホゲホッ」
「……アニエス先生、大丈夫?」
アニエス先生が突然咳きこんだんだ。
「――何ともないぞ。うむ、少々風邪気味だったかな?」
「大丈夫?アニエス先生?……モンモランシーおねえちゃんも……???」
なんか、モンモランシーおねえちゃんも顔が真っ青だったんだ。
……風邪でも、流行ってるのかなぁ?
「え?え、い、いえいえいえいえ、私は大丈夫よ?私は。
 あ、あの、アニエスさん、でしたかしたら?
 風邪気味ならば、無理をなさらず、医務室に行かれては――」
「――ふむ、そうだな、慣れぬ仕事が続いたことだし、一度診てもらうか」

……アニエス先生、大丈夫かなぁ?
顔、合わせてくれないけど……


―ゼロの黒魔道士―
〜第三十一幕〜 愛にすべてを

―――
ピコン
ATE 〜ラブレター大作戦〜

ハァイ☆皆さん、こんばんは!
え、誰って?
ふっふ〜ん♪
みんなのアイドル、ケティ・ド・ラ・ロッタでぇす♪

――はい、そこぉっ!誰がチョイ役よ!!
私こそが!私こそがメインヒロインなのよ!!プリマドンナなのよっ!!!
ルイズだかタバサだかモンモンだかキュルケだかシエスタだかがなんぼのもんじゃいぃっ!!

――あ、いっけな〜い☆ケティったら、知らない誰かに怒っちゃった♪
これじゃただの危ない人、よね♪
そうそう、アイドルなんだから、いつもスマイルスマイル♪

そんなアイドルのケティちゃん、今、重大な作戦実行中なの!
え?『どんな作戦だよ』ですって?
いや〜ん☆乙女の秘密を暴こうだなんて、乱暴はダ・メ・だ・ぞ♪

――あぁゴメンゴメンゴメンウソウソウソ!!
ウザいからってどっかに行かないで!
ちょっとは聞いてってよ!
寂しいんだから!乙女心はロンリー・ハートなのよ?

今、ケティは恋の作戦決行中なの!
そう、恋よ!ラブよ!フォーリンラブよ!
ケティはイエス、フォーリンラブなのよ!!

え?誰にって?
はいここ重要!テストに出ます!耳ほじってよくお聞きなさい!
愛しいケティのハートを鷲掴みにしちゃった罪な人、その名前は――
いや〜ん、ケティ恥ずかしいぃ〜♪
77ゼロの黒魔道士:2009/02/04(水) 23:25:28 ID:NT5dGF0p
――ゴメン、本当反省してるから!呆れてどっかに行かないでって!!
言うわよ、言いますわよ、さっさと言っちゃえばいいんでしょ?
もう、せっかちなんだからぁ♪
――いやいやいや反省してますゴメンナサイスイマセン。

ギーシュ様なんです!ギーシュ・ド・グラモン様なんです!
ケティのハートをもうドキュゥゥゥンとズギャァァンと打ち抜いた殿方なんです!
あぁ、しかも姫殿下の任務から帰られたあのお方はっ!!
もう、なんて言いますの?男らしさあふれる?陰のある?ニヒルでダンディな?
あぁん、もうどうにでもしてぇ〜♪

――本題に早く入れ?あー、どうもすいませんねー。
乙女心なんてどうでもいいってか、コンチクショー。

ギーシュ様は素敵なお人。だから、ライバルも多いのです。
もうライバルだらけなんです!バトルロワイヤルです!!所詮この世は弱肉強食なんです!!!
し・か・も!!
あのモンモンだかオモラシーだかが恋人気取っちゃってるんです!!
あぁもう腹立たしいですわ!!
あの香水だか怪しい薬でギーシュ様をたぶらかして!!
魔女ですわ!魔性の女ですわ!!きっとお腹まっ黒なんですわぁぁぁっ!!
ムキィィィィィッ!!

――はい、ケティちゃん深呼吸〜。ビ・クール、ビ・クール。
いい女は叫ばな〜い。はい、大丈夫?大丈夫ね?

で、一計を案じました。ケティ、寝る間を惜しんで考えました。
そして、書きあげました。一世一代のラブレターをっ!
渾身の一枚をっ!!感動の一文をっ!!!全ハルケギニアが震える恋文をっ!!!

内容?いや〜ん、ケティ恥ずかしいぃ〜♪
――あ、このくだりもういらない?ゴメンなさいね、はいはい、分かりましたよーだ。

では――コホン、とくと聞きなさいっ!この名文をっ!!!

   『夜空が月のペンダントで着飾る頃
    私はヴェストリの広場であなたが来られるのを待っています』

あぁん、ロマンチックぅぅぅぅ♪

え?なんだコレ、って?
ブーブー、乙女心を理解できない非モテ共めー!!
いーい?これは、作戦なのよ、作戦!!

あえて宛名や差出人を書かないことで、不安と期待を煽る!ここ重要!!
そして、夜――
みんなが寝静まった後、ひっそり会う二人、
はじめて分かる相手の顔、それはかつて好きあった恋人同士っ!!
そこに登場、私特製のクッキー(お酒多めですぐ酔う)!!
もうロマンチックに酔って?酔いどれて?あんなことやこんなこと――
ニヒヒヒヒヒヒ――
あぁん、もぅワクワクドキドキぃ☆コラコラ、静まれ、胸の鼓動♪
78ゼロの黒魔道士:2009/02/04(水) 23:26:05 ID:NT5dGF0p
そんな乙女心がバーニング・ソウルな状況で、私は今、廊下を急いでるの!
ギーシュ様の部屋のドアに、そっと手紙を忍ばせるために!
足早に、風のように、滑るように!
廊下は走るな?知ったこっちゃありません!!
乙女心はランナーズ・ハイなんです!走ったら最後、ユーキャント・ストップなんです!!

そんな乙女心大爆走中に、何やら堅い物に当たりました。
障害物です。恋のバリケードです。おのれ、私の邪魔をする気か!!
「ちょっと!邪魔よ!!」
「――あぁ、すまない。
 ――あ、ついでだが、医務室は、こちらで良かったかな?迷ってしまってな――」
「えぇ、そうですよ!私は急いでるの!!」
あぁ、もう、とんだお邪魔虫もいたもんです!
鎧を着て突っ立ってるなんて!

――でも、多少の障害は恋のスパイス、ですよね?
あぁん、今宵の恋は燃え上がりますわ!!
今夜、燠火は愛の業火へと燃え盛りますわ!!!
あぁん、愛しのギーシュ様☆貴方がその手でロウソクつけて♪

階段昇ってすぐ曲がり、恋のゴールはもうすぐです!
作戦任務、ロックオン☆
想いを乗せて飛んでけ愛のファイアーボール♪
そう、乙女心はこのラブレターにっ!!
ラブレターに――
ラブレター――

ない?
ない!?
ないぃぃぃぃ!?!?
ないないないないないないない!?
確かに手に持ってたのに!?
この手にしかとにぎっていたのに!?
いずこに消えたか神隠し!?
何たる悲劇!何たる衝撃!!

――そうか、あのとき!!!
あの鎧にぶつかったとき!!
思い出すが早いか、ダッシュで戻る急ぎ足!!
階段降りて曲がり角、やっぱりそこにケティの手紙!!!

見つけたラブレターは鎧女の手の中に!!!
何たること!!!人の手紙を見るなんて!!
「ちょっと!!おばさ――」
「な、なんですか、この手紙は!?
 これは、もしかして――。 ビビから私へのラブレター?」
はい?何勘違いしてるですか?この鎧おばさんは?
79ゼロの黒魔道士:2009/02/04(水) 23:26:36 ID:NT5dGF0p
「もしもーし?ケティの手紙を返してください?」
聞こえてるんでしょうか?耳まで老化しちゃってるんですか?
「――とすると、やはりこの体の火照りは――恋!?そ、相思相愛ということか!?」
なんか震えちゃってますよ、このおばさん。
ケティの手紙を、ケティが渾身込めて書き上げたラブレターに何勘違いしてるんですか?
何マイワールドに入り込んで引きこもってるんですか?

「――こうしてはおれん!!この胸の高まり、抑えてなどおけるものか!!!」
「え、あ、ちょっと!?待ちなさい!?待て!?」
な、なんかものすごい勢いで走って行っちゃいましたよ?
あれは、女子寮の方向ですけど――何なんですかね?
てゆーか、あんなゴテゴテ着ててよく走れますわね……
なんなんでしょう、ホント。
ケティ、さっぱり分かりませんわ……

廊下に一人残されて、
なーんかおいてきぼりなこのハート。
メインヒロインの私がなんでこんなロンリーになってるんでしょう?
あ、そうか、これはきっと夢ですね!ドリームですね!!
目覚めたら、ギーシュ様の膝枕な展開ですね!!
そうに決まってます!決めつけます!!
というわけで、ケティは寝ます!
それじゃ、ケティファンのみなさ〜ん☆まったね〜♪

―――

「……へぇ〜、それで、ルイズおねえちゃんがその詔っていうのを詠むの?」
「なんでぇ、娘っ子、えれぇ出世じゃねぇの!」
ルイズおねえちゃんの部屋、
ギーシュも疲れているっていうことで、今日の夕食後の特訓は中止になったんだ。
タバサおねえちゃんとキュルケおねえちゃんも、
何か用事でいないっていうから、お話し会も今日は無し。
だから、のんびりと洗濯物を畳みながら、ルイズおねえちゃんに今日あったこととか聞いてたんだ。
「そうなのよ!オールド・オスマンが呼びだすから何事かと思っちゃったわ!」
ルイズおねえちゃんは、王宮から大事な大事な用事を仰せつかったんだって。
お姫様の結婚式で、巫女っていう大事な役をするんだって。
そのときに、詔っていう詩みたいなのを詠まなきゃいけないらしいんだけど……
「……本当に、真っ白だね、その本……
 それを持ちながらやるの?……あ、こっそり、言うことを書いておくとか?」
そのときに持ってなきゃいけないアイテム、『始祖の祈祷書』って言うらしいんだけど、
古ぼけてるわりには、真っ白で何にも書いてなかったんだ……
「ダメよ!歴史的に価値のある本なんだから!!!
 ――って言っても、なんか詔のヒントぐらい書いてて欲しいわよねぇ……」
ルイズおねえちゃんがため息をつく。
何でも、詔って、言うことは巫女、つまりルイズおねえちゃんが考えなきゃいけないらしいんだ。

「ん〜――詩なんて考えたことないし――ビビ〜、なんか無い?
 あんたの呪文って、詩みたいじゃない?」
「う〜ん……詔って、縁起よくないといけないんでしょ?お祝なんだし……」
流石に、お祝いの場所で『大地に染み渡る、復讐の赤い血よ』とかはどうかなぁって思うんだ。
「そーよねぇ、『滅びゆく肉体に暗黒神の名を刻め』とかよね、ビビの呪文って――」
はぁ、とため息をつくルイズおねえちゃん。
……もうちょっと、良いこと言ってる呪文とかだったら良かったのになぁと思う。
「――あーもう、しょうがないっ!自分でがんばるしかない、か」
ベッドの上、真っ白な本を広げて、グッと気合を入れるルイズおねえちゃん。
「ケケケ!娘っ子、やる気出し過ぎて空振んなよ〜!」
「……ボクも、手伝うことあったら言ってね?」
「任せときなさいっ!姫殿下の期待がかかってるんだから!」
拳を突き出すルイズおねえちゃんは、にっこりと力強い笑顔を見せたんだ。
80ゼロの黒魔道士:2009/02/04(水) 23:27:09 ID:NT5dGF0p
ドンドンドンドン!!
夜もだいぶ更けてきたのに、大きなノックの音が聞こえてきた。
乱暴な、ドアが壊れるぐらいの大きな音。
「誰かしら?ずいぶんと下品なノックね――」
「は〜い……今開けま」
ザンッ
ドアから、突然金属の棒が生えてきた。
「……え?」
ノブにかけた手が、『ブリザド』をかけたみたいに凍りつく。
ザンザクッザザンッ!
「え?え?え!?」
次から次に生えてくる鋼の光が、剣だって気づくのにちょっと遅れてしまったんだ。
ドゴォォンッ!!
「えぇぇぇ!?!?」
「ビビッ!?」
だから、木端微塵に破壊されるドアに押しつぶされちゃったんだ……

「――待っているのももどかしい!このアニエス!自ら出向いたっ!!ビビ、何処にっ!!」
潰されたドアの下、アニエス先生の声が聞こえたんだ。
「……こ、ここにいま〜す……」
粉々のドアの影からよろよろっと立ち上がるボク。
剣とか握ってないから、全然避けれなかったのは、言い訳にならないよね?
……もっと鍛えなきゃな……
「おぉ、ビビ!?ボロボロではないか!!一体、誰に!?」
「いや、姉ちゃんにだろ」
デルフが、珍しく冷静に指摘した。
「おぉ、ビビ――聞いてくれ!!」
「……な、何を?」
目がうるうるしているアニエス先生。
……風邪、そんなにひどいのかなぁ……?
「このアニエス、女を捨てたつもりであった――が!!」
「ちょっと、貴女!何、人の部屋のドア壊してくれて――」

「このアニエス!!全身全霊をもって、そなたの心に応えよう!!!!
 そなたの愛に忠誠を誓うっ!!!愛しているぞ!!ビビっ!!!!」
アニエス先生が、力いっぱい、ボクを抱き締める……

「は?」
「……え?」
「――こりゃ、おでれーた」

なんで、こんなことになっちゃったのか、全然理解できなくて、
もしかしたら、風邪をひいてるのがボクで、
これは熱とかが見せる夢みたいなものかなぁって思ったんだ……

―――
以上です。
……ゴメンなさい、本当にorz
お目汚し失礼いたしました。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:29:04 ID:GRJmphfH
なんだこの少女漫画よろしく、不思議テンション少女ケティはw
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:38:07 ID:fJrbMWTX
投下乙。これはひどい(良い意味で)
これからの展開が気になりますね。主にビビと水の精霊関連とか、
惚れ薬抜けた後のアニエスの反応とか…。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:38:37 ID:707+SqTQ
乙です!
あ、アニエスさーーーーーーーーん!!!w
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 23:39:33 ID:H6t7H7rC
黒魔道師の人、乙。

同じ惚れ薬イベントでも、それぞれの作者によってかなりアプローチの方法が違うものだなぁ…。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 00:03:36 ID:X3Qtsyen
黒魔導師の人乙カレー!!
こんな惚れ薬イベント初めてだ、オラワクワクしてきたゾ
黒魔導師さんお疲れ様です。
アニエスさんが、アニエスさんがぁああああ!正気に戻ったらどうなることやら。
先約無ければ5分後に投下しますねー
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 00:20:02 ID:aTf/xtxR
黒魔導師の方、乙です。

そーいえば、FF9でもラブレター事件があったな。
確かエーコの手紙を紆余曲折の末にベアトリクスとスタイナーの手に渡ったような・・・
・・・・・・・・
・・・・
・・・
・・あれ?アニエスさん、何だかスタイナーと化してないっすか?
もしくはオ○ンジ?
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 00:21:36 ID:v/kAUeVz
投下乙!
激しい、激しすぎるよアニエスさん!w
37.魂の本質、そして古き法

ジェームズのベッドがある部屋、ルイズ達が寝ている頃に戻る。
マチルダが部屋の皆にイザベラの説明を詳しくしていた。

「…とまぁ、こんなことがあった訳さ。言うなって青髪の子からは頼まれたけど、
 流石にこれ言わなかったらまずいよねぇ?」

ああ。とフォックスが力無く頷いている。頷き続けている。
聞いてないねこいつ。マチルダは聞いていた人の方へ向いた。

「レキシントンにマニマルコが乗っていて、
 しかもそこにガリア王家の者までいると…
 考えられるとしたら――」

マーティンは、あまり考えたくない事を考えなくてはならなかった。
死霊術師の主にして、とても強大な力を持ったメイジだった存在。
手を掲げるだけで何百もの死霊が蘇り、その魔法は山を震わせると言われる化け物。
実際の所結構な誇張表現があるのだが、そんな事マーティンは知らない。

「つまり、始祖の血統からの3つの『虚無』が揃った。という訳かね?
そういえば、王家の血筋から魔法が使えぬ者が生まれた事があると聞いたことがあったが、
まさかそれが『虚無』の鍵であったとはな…」

ジェームズは難しい顔をして続ける。

「そして、アルビオンで起こったレコン・キスタには、ガリアが絡んでいると」
「その可能性が高いかと。その、残念ですが」

マーティンは弱々しい声だったがジェームズはふむ。
と何度か頷くだけだった。

「なに、今こそ小康状態だったが、昔はよく国家間で争っていたものだ。
 何も残念な事ではない。おそらく、ガリアの『虚無』は魔法の使えぬジョゼフだろうな。
 だが解せん。ミス・ヴァリエールや私の姪は、
 魔法が使えるようになってから強大な力を得た。
 何故未だにその力を使わず、無能と言われているのだ?」

マーティンは、まだ使い魔を呼び出しただけではないでしょうか?
と、自分の経験と照らし合わせてジェームズに言った。


「綺麗な月夜だなぁ、シャルルよ」

ガリアが首都のリュティス。
さらにその中央のヴェルサルテイル宮殿の中庭から、
ジョゼフは月を見ていた。

「素晴らしい使い魔を引き当てたぞ。お前をこちらに呼び戻す事が出来るかもしれん」

ジョゼフは夢想する。死霊と動く屍だけしかいないアルビオンを。
そしてミューズがそれを足がかりとして、この地に破滅をもたらす様を。

「素晴らしい」

始祖によって祝福されしこの地を、汚らわしい化け物達が滅ぼす様を見たいジョゼフは、
一言そう呟いた。
「生も死もない世界にお前を連れてきたら、シャルルよ。お前は何を思うだろうか?
 俺はそれが見たいのだ。」

あの記憶の中にある笑顔がひどく歪んで、自分を侮蔑した目で見るだろう。
一度で良い。弟の人間らしい所を見てみたい。
ただそれだけの為に、全てを壊そうとジョゼフは考えた。

魔法が使える様になったのは、胡散臭いあの香炉をかいでからだ。
しかし、全て遅かった。もはや魔法などどうでもよくなっていたジョゼフは、
マニマルコの真意を知りつつ、分からないフリをしている。

「楽しいぞ。宮殿も随分と変わった。俺を仇とする者は皆消して死霊にした。
マニマルコが言っていたよ。死に方が納得できなければできないほど、
霊は怒り強き力を持つとな。まったくその通りだ。」

宮殿に配備されているガーゴイル達。
表向きには東方の特殊な魔法によって、
従来のそれらより強力な力を持つとされている。
しかし本当はガーゴイルの鎧に、人間の魂を入れた存在なのだ。
タムリエルにおける普通の魔術師でも、武器や防具の様な無機物に魂を注入し、
その力を魔法に変換することでマジックアイテムを作り出す。
人骨に魂を固定し、スケルトンにする事が出来る死霊術師の長、
マニマルコにとって鎧の亡霊を作ることぐらい、それほど面倒ではなかった。

「知っているかシャルル。人間やエルフの魂は黒いらしいぞ。
 お前もそうなのか?今は、それだけが知りたいよ」

笑い声をたからかとあげる。どの様な人間だろうと、
その本質は黒いのだ。それを知れただけでも良かったが、
ふと、弟だけは違うのではないかと脳裏によぎった。
だからこそ、それを確かめたい。マニマルコにアルビオンを任せる条件として、
シャルルの蘇生を頼んであった。本当かどうかは知らないが、
しばらくかかるらしい。

ジョゼフに誰かが気が付いたのか、東の庭に甲高い女性の声が響いた。

「陛下!もう、こんな所にいらっしゃるなんて」
「おお、モリエール夫人!もう夜更けだというのに、どうしてこんな所に?」

以前に比べ、数段美しさに磨きがかかっているモリエール夫人は、
愛する王に節操なく抱きつき、甘い声でささやいた。
綺麗な方がいいだろう?とマニマルコはジョゼフに言った。
彼は特にどちらでも構わなかった。

「今日は、わたくしと寝所を共にすると言ってくれたではありませんか。
 なのに何の音沙汰もなく、花壇の方から声がするからきてみれば…」

王の胸に顔をうずめ、芝居がかった話し方をする。
彼は、やはり芝居がかったやり方で返した。

「ああ!そうだった。申し訳ありませぬ。あなたの様な麗しい貴婦人を待たせてしまうとは!すぐに参りましょう」
そう言ってモリエールと手を繋ぎ、ジョゼフは歩いていく。
イザベラに術式を施す前に、色々と試せるメイジはいないか?
との要望に応え、彼女を引き渡した。
存外上手くいったらしく、少なくても自身と同じ性質にしたとの事だった。
どう上手くいったのかなど、ジョゼフにとってどうでも良かった。
ああ、早くハルケギニアを屍共が徘徊する大地にできないものだろうか。
そしてそれを蘇らせたシャルルに見せて、あれが何と言うのか。
ただ、ジョゼフはそれだけが見たかった。


朝焼けが眩しいタルブ。ルイズは何ともなしに窓から太陽を眺めている。
部屋の中では、ルイズが最も目を覚ますのが早かったらしい。
部屋の皆は寝ていた。

「二度寝はいやね」

正直、またあんな物を見るのはごめんだった。
メリディアはひどく美しかったけれど、
あんなチカチカした場所にまた行くのは困るし。
そんな事を思うルイズは、ふむ。と自分の髪を目の方へと降ろす。

「桃色かしら?」

母親譲りの「桃色(またはピンク)がかったブロンド」を見てルイズは呟いた。
きっとあんな変な色の世界にいるから、目がおかしくなってるんだわ。
そうルイズは自己解決をして、次にオルゴールの歌を思い出した。

「ロルカーンって結局何なのよ?世界を創造したり人を助けたり、
 邪神と言われたり…でも、ブリミルが倒したのよね」

始祖歴は6000年以上昔から続いている。タムリエルは大体4000年以上前に、
古代エルフのアイレイドを人間達が滅ぼしたらしい。けれどマーティンはハルケギニアとタムリエルの暦が、
多少違うと言っていたし――

「そもそも、そんな大昔の事がハッキリ分かる訳もないわよね…
 結局デイドラとエイドラの区分だって、性質の違いだけみたいだし。
 それにしても、死なないって面倒そうね。特に悪い奴とか」

実際、タムリエルにちょっかいをかける事が大好きなデイゴンの復活は、
その度に帝国の危機になる為、とても面倒である。
別に、彼がタムリエルに現れなくても彼に影響を受けた連中や、
もしくは契約によって何らかの力を授けられた連中がいれば、
帝国はそれだけで未曾有の危機に陥るのだ。
彼にとって、帝国の破壊はライフワークの一環になっているので、
今後帝国が崩壊すればどうなるのか、見所である。

「…だめね。考えても意味無い事で悩んでも仕方ないわ。
 今はそんな事よりも――これね!」

ベッドの脇に置いておいた杖を取り出す。
ルイズは今までこれを持って、良い気分になったことなど一度も無かったが、
今は違う。魔法が使えるようになった今は持つだけで気分が良くなり、
口元がゆるんで笑みがこぼれる。

「ふふふ…ゼロのルイズはもういないわ!
新しい二つ名は何がいいかしら。烈風から一文字もらって旋風とか?」

何か違う。もっとこう凄そうな名前が欲しい。うーんとルイズは考えるが、
そういったセンスがないのでしっくり来る二つ名が浮かばなかった。
「そんなのは後でいいわね。今は何が使えるか確かめないと」

名前だけで時間が潰れるのはもったいない。そんなわけでルイズは部屋から出て行った。
4系統のルーンの唱え方、呪文使用における心構え、
その他たくさんの注意事項は全て頭に入っている。
失敗なら相当な数をこなしているのだ。
別に一人で練習しても特に問題は無い。
いつも一人で失敗ばかり繰り返していたのだから。

念願のメイジになれた。はっきり言って自分が『虚無』の系統だと分かった事より、
そっちの方が嬉しいルイズは杖を持ってギルドハウスから出る。
彼女は建物から十分離れて魔法の練習を始めるのだった。


「ふむ…老いとは怖いものだなぁ」

何で忘れているんだろう。そうマーティンは思いながら、
ふと手に取った『栄光と嘆き』を閉じた。
外で派手な爆発音が聞こえ始めた頃に、マーティンは目が覚めた。
ルイズが魔法の練習をしているのだろう。邪魔をするのも悪いだろうな。
彼女の事だから、おそらく危ない事態には慣れているだろうし。
私の方がこちらの魔法に詳しくないからな。
そんなわけで、彼は昨日の青年が持ってきた本を読む事にした。

「基本中の基本だというのに、何故忘れたのか…まぁ、いいか」

「四元素を現代の自然哲学で定義されるもの、すなわち土、水、気、そして火」
『栄光と嘆き アイレイドの遺跡にて』アレクサンドル・ヘトラルド著
の3ページ目に記載された部分を見て、ううむ。とマーティンは呻いた。

「曇王の神殿でこれを読んだ覚えがあるんだが。まぁ、
 忘れる事もあるか。気とはつまり空気の事だから、
 風について分かるはずもない。そもそも、
タムリエルの魔法は基本的にエセリウスの魔法力によって使える訳で――
ここにも竜神の介入があったみたいだし、似通っている事もあるか」

どちらにせよ、ルイズに言う前で良かった。
マーティンはほっと胸をなで下ろして部屋の外に出る。
一階の個室で眠っていたマーティンは、
ダイニングの椅子に座って他の本を読むことにした。


朝食が始まったのはルイズが自身の知っている魔法を、
ある程度唱えた後だった。美味しい匂いがしたので水で体を洗ってから、
ルイズは家に戻って食卓に着く。遅く起きた友人達も、それくらいに席に着いた。
先に食べたマーティンはティファニアと話があるらしい。一緒に外へ出て行った。

「いくつかのスクウェアに対応する、ドットクラスの魔法も使えたわ。例えば――」

と、笑顔で食卓の上に黄金の石を乗せる。
タバサもシルフィードも興味を示さずにただ食べ続ける。
キュルケだけがそれをじっと見る。

「どうかしらツェルプストー?本物のゴールドよ。これを作るために、辺り一帯が黄金色になったけど」
「あらあら…ねぇ、ルイズ。儲け話があるんだけど」
「私がのると思う?」
それもそうね。とキュルケは苦笑した。そして、やはり私の目に狂いは無かったのだと歓喜した。
狩人の血が騒ぎ、一人で悦に入って微笑んでいる。
タバサはそんな、ちょっと怖いキュルケを見ながらサラダを一人で食べている。
先ほど取れたての新鮮なハシバミ草を用いたサラダである。
その強烈な苦みが引き立つ様に調理されたそれは、
一部の食通以外、喜々として食べるような品ではない。

「お姉様の舌はどうなっているのかしら?不思議なのね」

これ以上ないくらい上手そうにご飯を食べるシルフィードは言った。
念願のスペアリブだった。昨日出す予定だったらしい。
また、彼女としてはどうでもいいのだが、タバサがちゃんと服を着せている。

龍から人へ変わるとき、試作型の可変式ガーゴイル。
という少々無理のある設定をタバサは押し通した。
試作品だから食事も必要なのである。と更に無茶な事も言った。
幸いガーゴイルはガリアが主流産地であり、
トリステインの片田舎であるこのタルブでは、見たことの無い者の方が多い。
おかげでその嘘を信じる者が多かった。
もちろんそうでないと分かる連中には他言無用を徹底するよう言った。

「おかしいのはあなたの舌」
「え〜。ハシバミ草は苦いよう」

その苦さが良い。とタバサはシルフィードに言って、
無表情でハシバミ草を食べていく。

「ところで、アンリエッタとウェールズ様がお見えになられていないけど」

ルイズの本質は空気の読めない子である。
貴族として生まれたからではない。根っからの性質だ。
キュルケはああとためいきをつき、いつもの口調でルイズに言った。
やっぱり、わたしの炎を燃やす相手ではないのかしらとでも言いたげな顔で。

「察しなさい。色々と」
「なによ、それ」

キュルケのサイレントが上手く決まったらしく、
彼女が部屋に来た時、外に声は漏れていない様だった。
コレだからガキは…と言いたそうなキュルケを見て、
ルイズは口をとがらせた。

「だから、なんなのよ」
「あなたの胸がもう少し大きくなってからお話しましょうか」
「ねぇ、決闘したいの?表出てしたいの?」

今の私ならやってやるわよと言わんばかりに目から火花を散らすルイズを余所に、
ツェルプストーは気怠げに話を変えた。

「外と言えば、マーティンったら何しているのかしらね」

魔法の話じゃないの?とルイズは言って、
まぁ、そうでしょうね。自身の色香に全くなびかなかった、
中年男を思い出してキュルケは言った。


ティファニアはタルブの村のはずれの方で、タバサとルイズの薬を作る準備をしていた。
マーティンはそれを手伝っている。
「すいません。手伝ってもらって」
「いえ、こちらのエルフの魔法…『先住』の魔法でしたかな。それに興味がありましてね」

ああ、なるほど。とティファニアはマーティンに言った。
もしマーティンの予測が当たっているなら、
これはタムリエルの魔法である可能性がある。
果たしてどうなのだろうか?と準備をしていく。
といっても、何かを溜めておく桶をいくらか置いただけで作業は済んだ。

「少し、離れていて下さい」

彼女は目を閉じて呪文の詠唱を始める。とても長い呪文で、それはマーティンが知らない体系だった。
さて、どうなるのか。と思いながら、両腕を前に出して唱えるハーフエルフを見る。
穏やかな晴れの天気のタルブに、突然大きな雨雲が現れる。

「…これは」

正確には、ティファニアを中心に、空に大きな雨雲が集まっていく。
そして、雨がごうごうと降り始めた。

「水よ、わたしが契約した水の精霊達よ、わたしが指し示す先に行き先を変えて下さい」

だが――水は一滴も地面に落ちていかない。テファの頭上に降りかかるくらいで速度を落とし、
桶にゆっくりと落ちていく。そして、その桶の中で互いに結びつきを強くして、一つの柔らかそうな固体となっていく。

「なんと…ううむ」

正直言って見たことが無かった。これはもしかしたら、
今は失われし古代エルフの一種アイレイドや、
全てのエルフの祖であるアルドマーが使っていた「古き法」かもしれない。
とさっき見たいくつかの本を思い出しながらマーティンは唸った。
現在は最初の魔術結社であるサイジック会や、
タムリエル各地の森林地帯で暮らす、ワイルドエルフ達のみがその一部を使える魔法を見ながら、
どの様な原理なのだろうか。とマーティンは考える。

大昔のエルフ達が用いたとされる魔法と、現在タムリエルで使用されている魔法は色々と違う。
メイジギルド創設者のガレリオンが広めた魔法は、彼の手によって誰もが使えるように変えられている。
それまでの魔法は多少の体系化はされていたものの、
今以上に曖昧で難解であり、多くの人が使うのに適していなかったのだ。

ガレリオンが広めた魔法はコストパフォーマンスに優れているのと、
当時誰も考えつかなかった、魔法をただ「魔法」と呼ばずに、
様々な系統にちゃんと体系化してあった。その功績から彼は偉大な魔術師と呼ばれている。

現在の魔術専門家によると、昔の魔法――特に、サマーセット諸島で代々受け継がれ、
アイレイドも用いたとされる「古き法」は、神秘系統の儀礼的名称とも言われるが、
その複雑さ故それだけにとどまらないとする説や、
魔法力を行使しない全く別の魔法体系だとする説等、多岐に渡る。
残念ながら、サイジック会もワイルドエルフ達も他者を寄せ付けたりしないので、
ここら辺の魔法の構成は全く分かっていない。
噂によると、コロールと呼ばれる街に住むはぐれメイジが謎を解き明かしたらしい。
そしてそれにはマーティンの友人が関わっているらしいが、
マーティンはそれを友から聞いた事もなかった。
もし英雄にその事について聞けば、
「もっと使える魔法はたくさんある。言っても大した意味がない」

と学術的見地を一切無視した解答が帰ってくることだろう。

興味深い。とマーティンはテファを見つめる。
おそらく魔法力由来だから、私も使えるのだろうか。
いや、使うには私の力が足りないか。
と、エルフは元々魔法力が高い事を思い出しながら、
マーティンはその幻想的な風景を眺めている。

やがて雨は止み、雨雲も消える。桶には水が固まった物で溢れそうになっている。
ふぅ。と息をついて美しいハーフエルフは満足げに言った。

「終わりました〜。これだけ水の精霊さんの力があれば、治らない病気なんて無いですよ。
後はこれで薬を作るだけです」

と、人は水の秘薬と呼ぶ物質で満載になったいくつかの桶を、
タムリエルの「神秘」系統魔法である念動の魔法でいくつも浮かしながら、
テファはニッコリ笑って言った。

「あれ、どうかしましたか?」
「あ、ああ。いや、普通に持ち運んで来ていたからね。ところで、さっきの魔法の事だけれど――」

十中八九、彼女はアルドマー達から派生した種だろうと思いながら、マーティンは尋ねた。

「はい。さっきの魔法の呪文は、精霊さん達から教えてもらいました」
「精霊から?」

タムリエルの精霊といえば四元素に即した、またはそれから派生した存在の事か、
自身の先祖が天に昇り、何らかの力を持って霊的存在になった事を指す。
彼らは基本的に気まぐれで、オブリビオンにいたりエセリウスにいたりと様々だ。
彼女の言う精霊とはどちらだろうか?マーティンは口に出さずに、テファの話を聞いた。

「はい。精霊に愛されたエルフは、その声を聞き正しく力を使うことが出来ると母に教わりました。
 その時は使えませんでしたけど。エルフの魔法を教えてくれた時に言われたんです」

「なるほど…」

才覚という物は必ず存在する。彼女は生まれながらに、
偉大な魔法使いの素質を持っていた訳か。こちらで言う所の『虚無』の系統だから、
当然といえば当然の話だな。と、重い桶を念動の魔法で一つ浮かして、
マーティンは何故彼女にはその魔法が使えて、ルイズ達には使えないのかを考え始めた。

投下終了。
それではまた次の投下まで。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 00:52:37 ID:5QDDkleN
sienn
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 01:07:04 ID:v/kAUeVz
投下乙!
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 04:45:30 ID:zC9a8pF/
投下乙っすよ!

>>13
遅レスだけど、トランスフォーマーで検索しててディセプティコン・ゼロ引っかかって
それ読んでてここにハマった自分からするとおまえさんが他人には思えないぜ・・・
超気になる続き!
99色々頑張ったな〜。(1レスのネタ):2009/02/05(木) 09:24:34 ID:wUEVYWMP
トリステイン魔法学園の留学生タバサは悩んでいた
母の病、北花壇騎士の任務、無能王とデコに翻弄させられる祖国ガリア
タバサの小さな体は苦悩によって満たされていた
そしてタバサは使い魔を召喚した
こんなやくざな仕事のわたしにも、ささやかながら平穏な幸せが来ることを願って

召喚された使い魔は

まぶらほ。の神城凜
はにはにの野原結
恋姫無双の董卓
ぺとぺとさんのちょちょ丸

その他多数

タバサを苦しめていた色々な問題は解決し、遂にタバサにも春が来た



                 いのくちゆかさんのご結婚を心よりお祝い申し上げます
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 11:16:51 ID:Rbb1hzDr
>>57
ぬふぅ
なんたる死闘
101沈黙の魔法学院:2009/02/05(木) 12:56:47 ID:77+Lb3UL
沈黙の魔法学院(予告編)


〜始祖暦6242年4月、トリステイン魔法学院〜
「全宇宙のどこかにいる私の僕となる者よ! 比類なき力を持つ使い魔よ! わたしは心より求め、訴える!! 我が導きに答えよ!!」
轟音とともに盛大に広がる爆発。魔法学院毎年の春恒例行事、使い魔召還の儀式。先ほどからそこの生徒であるルイズにより繰り返される光景だが今回は少々様子が違う。爆発の大きさと幽かに見える何かの影・・・
そこには厨房の制服の様なものを着た一人の男性が倒れていた。
その後意識を取り戻した男は名を”ケイシー・ライバック”、職業をコックだと名乗った。

(中略)

始祖暦6242年12月、レコン・キスタの命を受けたメンヌヴィル達傭兵部隊は魔法学院を襲撃、これを制圧せんとした。

しかしメンヌヴィル達は知らなかった。
ルイズによって召還され、学院の厨房を手伝うあのコックの存在を・・・




沈黙シリーズ(UNDER SIEGEシリーズ)より”ケイシー・ライバック”を召還
----------------------------------------------------



予告編のみの一発ネタ(小ネタ)ですw
(主にVIPの「スティーブン・セガールが他の映画に出演してぶち壊すスレ 」から)
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 15:07:58 ID:hYrGgvxT
いまさらだが話題にあがらない作品って面白い面白くない以前に
投下のペースが多いか少ないかで決まる気がする
投下の間隔がありすぎて他の作品に目が向くなんてよくあることだしねぇ
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 15:13:57 ID:/s4aSpxf
1週間〜10日くらいのペースは維持したいところだけど、それを維持するのってけっこう大変なのよ、これが。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 15:22:37 ID:QGTmlY4T
投下ペースがそうでもないのに名前がたまに出る作品とかは、つまり超名作認定ってことだよな、>>102の言いたいことは。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 15:36:23 ID:hYrGgvxT
そういうつもりはなかったんだがそうなってしまうなぁ…
どっちかといえば名前があがらなくても面白い作品はあるって言いたかったんだが
106始祖の聖杯:2009/02/05(木) 15:36:43 ID:NxKmZ/wg
初投稿・小ネタです。タイトルは「始祖の聖杯」召喚元はネタバレに付き秘匿。
−−−−−−−−−−−−−
ルイズが召喚したのは、奇妙な平民の集団だった。
1人は剣と盾を携え、全身鎧を着込んだ戦士。
残る4人は、質素な服を着込み、剣や斧で武装した蛮族としか思えない男女2人ずつ。
とりあえず、まともそうな戦士と使い魔の契約をし、
蛮族達も戦士の仲間だというので使用人と同待遇で学院に置くことになった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「諸君!決闘だ!」
ギーシュがバラの造花を掲げた。歓声が巻き起こる。
「ギーシュが決闘するぞ!相手はルイズの平民たちだ!」
”5人の”平民とギーシュは広場の中央に立ち、お互いぐっと睨み合った
「とりあえず、逃げずに来たことはっ…て5人全員で来たのか?まぁ、良いだろう」
ギーシュは余裕の笑みを浮かべながら言った。
「平民が武器を持ち、徒党を組んだとて、僕たちメイジには敵わないってことをまずは教えてやろう!」
そう言ったギーシュがバラの造花を振るうと花びらが5枚散り、女戦士の姿をした人形になった。
「僕の二つ名は『青銅』、青銅のギーシュだ。従ってこの青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ、
文句はあるまいね?…では、始めるか」


青銅のメイジ ギーシュが現れた!

ししょうは大地を踏みしめ
完全防御を展開した!

青銅のメイジ ギーシュは
ワルキューレ突撃を使った!

あおソドおに
0のダメージを与えた!
カウンター発動!
25のダメージを与えた!

あかソドおに
0のダメージを与えた!
カウンター発動!
25のダメージを与えた!

でこソドこに
0のダメージを与えた!
カウンター発動!
25のダメージを与えた!

ししょうに
0のダメージを与えた!

あかソドこに
0のダメージを与えた!
カウンター発動!
25のダメージを与えた!

青銅のメイジ ギーシュを撃破した!

−−−−−−−−−−−−−
「世界樹の迷宮U〜諸王の聖杯〜」より冒険者パーティを召喚。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 15:50:32 ID:GW+2f768
1レスで終わりのにネタ元秘匿もくそもあるかよ
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 15:55:50 ID:TSeKrdJq
全裸カウンター?!
使い方によってはラスボスすら容易に倒すこの技をギーシュに……えぐいなあ。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:07:42 ID:QGTmlY4T
というか、投下ペースが速い人は燃え尽きるのも早いのか、突然燃え尽きて消息不明になるパターンがあるんだよなぁ。
久保とかも完全に消息不明だし……
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:11:31 ID:/s4aSpxf
久保の場合は、また別問題なような気がするがな…。
でも俺、いつかユーゼスの直前か直後に久保が投下してくれる日を待ってるんだ…。

………無理かなぁ、やっぱ。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:13:09 ID:JkBQM2Nb
>>109
久保は仕方ない。

提督騒ぎの時に「次に久保が来たらフルボッコにして潰そうぜ!」なんてカキコミが(本スレにすら)いくつもあったんだ。
まともな人なら、そんな所には絶対に投下しないよ。
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:25:39 ID:VA5r+lHF
その矛先がラスボスへ向きませんようね
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:27:08 ID:tYMQRf9F
『超時空要塞マクロス』(初代)より、ルイズがSDF-1マクロスを召喚というネタで三話まで書きました。
宇宙に関する話が混ざった時点でゼロ魔成分が薄くなってしまったため、避難所に投下するか迷っています。

少なくともギーシュ戦やフーケ戦は存在しないのですが、スレ住人の方々としてはどうお考えでしょうか
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:28:06 ID:wH2E4LWq
本スレにすら、というか本スレの空気汚したいのが書き込んだんだと思う、ことにしている。

ゼロの花嫁の人みたいにひょっこり一年たって投下再開する人もいるから、希望を捨てきれない…。
いやー、帰ってきた時はまじで嬉しかったです。

リリカルルイズとかアースガルズの人とか、復帰して欲しいのはいっぱいあるんですがね。
そういえばそろそろ魔砲使いの人が来られるかな…。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:28:06 ID:0b2FSLj4
>>113
避難所がオススメ
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:30:50 ID:SYjEGqPJ
>>113
投下しないのがオススメ
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:31:27 ID:qYtR5bES
>>113
荒れてもしらないよ?
でもどうしてもというならどうぞ
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:32:46 ID:rWaQauBu
俺は別にかまわないと思うけど
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:34:16 ID:tYMQRf9F
>>115-117
レスありがとうございます。
やはり荒れる原因になりますよね――。

『使い魔を買いに』(恒川光太郎「夜市」が元ネタ)が有りならば、本スレでもよいかと考えたのですが、
その作品も避難所投下のようで。

>>118さんには申し訳ありませんが、
やはり避難所に投下したいと思います。

判断を仰いでしまい申し訳ありません。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:35:30 ID:u5jmfBwQ
別にストーリーをなぞってないと本スレでやっちゃいけないということは無いよ。
ルイズ以外が誰かを召喚したとか、スレの本来の趣旨から外れてるのは避難所の方がいいが。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 16:48:03 ID:ENSk+bYX
>>109>>111
まー久保はちとやり過ぎたわな。
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:11:36 ID:KrKO0CAu
>>104
良かれ悪しかれ印象に残るという意味では間違ってないね
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:15:14 ID:/s4aSpxf
いわゆる問題作ってヤツか。
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:20:44 ID:VHhant7M
話題作でいいだろ
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:22:55 ID:YXnH09YZ
>>121
やりすぎつーか、スパロボの原作知ってりゃ全然問題ないんだが
つか、ゼロ魔側のキャラ殺したりするのは駄目ってのもどーだろ
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:24:25 ID:unZM7YMI
予約なかったら17:35から投下します
初投下なのでミスとかがあったら指摘してください

召喚元は「灼眼のシャナ」
召喚キャラは「坂井悠二(原作14巻から派生)です

127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:24:36 ID:Xl1zPi9N
グロやっちゃったからな
脳だけとか首からしたが無いとか
反感を感じる人間が出るのも仕方が無い
幽閉されてるとかタバサママと同じ毒飲まされたとかじゃ駄目だったのかなぁ
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:25:53 ID:Xl1zPi9N
進路クリア >>126どうぞ
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:26:15 ID:2tBSsTSc
>>125
そういう単純化できる話でもあるまいよ。ゼロ魔キャラ殺した作品が全部弾かれてるわけでもないし。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:29:45 ID:1cZB6FfU
あれを相手にショックを与える為の幻覚、とかにして置けば問題は無かったと思うんですよ。
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:32:46 ID:z7yS/U2M
いや実際そんな感じなんだよ?スパロボ原作的には。
132残り滓の使い魔:2009/02/05(木) 17:35:31 ID:unZM7YMI
────その日、少年は選択を迫られていた。
長々と引き延ばしてきた決断であったが、2人の少女の決意と、
少年へと向けられている思いに真摯に向かい合わなければならない。

(振り返ってみれば、本当に色々あったよなあ)

半年前唐突に訪れた非日常。炎髪をなびかせる少女に告げられた“この世の本当のこと”、
『本物の坂井悠二』が既に死んでいるという現実。
そして、自分がその残り滓から作られた代替物『トーチ』であるということ。

(あの時から全部始まったんだよな)

一人ビルの屋上で、喧騒に包まれている街を見下ろし、彼は一つ小さなため息をついた。
本来は残された“存在の力”を徐々に失い、全てを忘れ去られてしまうはずだった。
しかし、幸か不幸か、毎夜零時にその日失った“存在の力”を回復させる永久機関『零時迷子』という宝具を身の内に宿している。
その為今まで存在することが出来ていた。

(と、そんなことより待ち合わせ場所に行かなきゃな)

少年を待ち焦がれているであろう少女を思い出し、ひとつ大きく白い息を吐いた。

「───よし」



少年が踵を返した先には、光る大きな鏡のようなものがあった。
(ん? 鏡なんかさっきまではなかったよな)
少年は鋭敏に“存在の力”を感じることが出来たが、このときばかりは何も感じることは出来なかった。

(自在法とかじゃあないみたいだよな)
近くに“紅世の徒”やフレイムヘイズの気配もない。
突如として現れたこの鏡のようなものに少年は警戒していた。

(マージョリーさんかカルメルさんに聞いてみたほうが良いかな)
すぐに、自在式に詳しい知り合いのフレイムヘイズを呼ぼうとも考えた。
(差し迫った危険もなさそうだし、少し僕なりに調べてみるか)

そう思い、鏡に手を触れた瞬間少年の姿はビルの屋上から消えてしまった。

────少年が来ることを信じて待つ二人の少女を残して。
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:35:40 ID:QGTmlY4T
まあ、多数の人にとってはそれが免罪符にならなかったってことでいいんじゃね?
ということで、この流れを変える投下に期待。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:35:52 ID:Xl1zPi9N
でも主要キャラは脳だけにはならんだろスパロボでも
スパロボで脳だけになったのは名も無いエスパー達
でも久保の人は主要キャラこの違いは大きい
135残り滓の使い魔:2009/02/05(木) 17:38:43 ID:unZM7YMI
この日、澄み渡る青空の下トリステイン魔法学院では春の使い魔召喚の儀式が行われていた。
生徒たちが各々自分の使い魔と戯れている中、今日何度目かの爆発音が響いた。

「ミス・ヴァリエール、もし次の召喚に失敗してしまったら今日はもう終わりにしましょう。明日もあるんですから大丈夫ですよ」
禿頭が眩しい教師コルベールが言う。
彼自身としては、全ての生徒たちが無事に使い魔を召喚して終わりにしたいと思っている。
しかし、ただ一人の生徒のためだけにあまり時間を使ってもいられない。
彼としては、これが最大限の譲歩であった。

「……はい。わかりました」

ただ一人使い魔を召喚できていない桃色の髪の少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは落ち込んでいた。
いままでは魔法が使えずゼロのルイズと馬鹿にされていたが、今日は誰にも負けない使い魔を召喚しようと意気込んでいた。
しかし実際、使い魔も召喚できない本物のゼロではないか。
やはり自分には魔法の才能がないんだ。と、既にルイズは半ば諦めかけていた。

「ルイズ、がんばりなさいよー」
遠くからキュルケの声援が聞こえてくる。

(いいえ、これは声援じゃないわ。
憎きツェルプストーめ、あんたの前ですっっっっごい使い魔召喚してほえ面かかせてやるわ。
そうよ、私は出来るのよ。ううん、違うわルイズ。できる、じゃなくてやるのよ。
さあ、今に見てなさい。驚いて腰を抜かしても知らないんだから!)

「宇宙の果てのどこかにいる私の下僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心から求め、訴えるわ! 我が導きに応えなさい!」
いままでよりも一際大きな爆発音が鳴り響いた。
立ち上る土煙の中、ルイズは今までにない手ごたえを感じ、成功を確信していた。
しだいに土煙がはれ、使い魔の正体が明らかになっていくと周囲の疑念の声は嘲笑になった。

土煙の中心にいたのは、一人の少年だった。
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:39:06 ID:Bu72xOWF
同じゼロ魔キャラ殺害・改悪でも、話の流れ上理解できるやつ(黒蟻のフーケとか)と
明らかなヘイトでやってるの(提督のアンリエッタ腕切断)では全然違うからな。
要は書き手の構想次第なんだよな。

それはそうと支援。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:39:17 ID:/s4aSpxf
凄いタイトルだなww支援
138残り滓の使い魔:2009/02/05(木) 17:41:23 ID:unZM7YMI
悠二はいつの間にか土煙の中にいた。
先ほどまでビルの屋上にいたはずなのに、鏡に触れた次の瞬間、そこは見知らぬ場所だった。

「くっ、封絶」
悠二が封絶を展開したとき既に土煙はほとんどはれていた。
比較的大きな封絶を展開したが、“紅世の徒”の気配もフレイムヘイズの気配も感じ取ることは出来なかった。

周囲を見回してみると、奇妙な格好をした同年代の少年少女たちや、ゲームや漫画でしか見たことがないような生き物がいた。
当然のことながら、封絶内なので全ての生き物が止まっていた。
周りの少年たちの顔立ちを見ると外国人のようだ。
それにみんなマントのようなものを身に着けているのでどうやら学校か何かのようだった。
戦闘体勢の人もいないようなのでひとまず敵ではないようだ。
そこまで確認して悠二は封絶をといた。

周りからは明らかに馬鹿にした笑い声が聞こえてきた。
まだ警戒はしているが、気分のいいものではなかった。

「あんた、誰?」
目の前にいた桃色の髪の少女に話しかけられた。

「……誰って、僕のこと?」
「あんたに話しかけてるんだからそうに決まってんでしょ。まあいいわ、あんた変な格好してるけど平民ね」

悠二が答える前に、目の前の少女が矢継ぎ早に話し始めた。
悠二自身は、ジャケットに厚手のズボンだったので変という格好ではないと思った。
季節にあってはいないようだったがそれはこの際どうでも良かった。

(変なのはそっちじゃないか。しかも平民って何だよ。どこの国の人間だ?)
悠二はそんな余計なことも考えられるほど警戒心はなくなっていた。

「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」
周囲の誰かが目の前の少女にそう言うと、少女は顔を真っ赤にし反論する。
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
しかし、少女の反論も周りからの揶揄に取って代わってしまう。

「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん」
「さすがはゼロのルイズだ!」

どうやら目の前の少女はルイズといい、自分は『サモン・サーヴァント』なる自在式でルイズに呼び出されここにいるようだ。
相手に敵意がないことと呼び出された方法はわかったが、まだまだわからないことがある。
悠二はそう思い、ルイズに話しかけようとしたが、突然ルイズが声を張り上げた。

「ミスタ・コルベール!」
そうルイズが怒鳴り、現れたのは中年の男性だった。
この男性も奇妙な格好をしていた。手には木の杖のようなものも持っていた。
悠二は、ひょっとするとここは外界宿なのかもしれないと思った。
ただし呼ばれた目的は皆目見当がつかなかったが。
139残り滓の使い魔:2009/02/05(木) 17:43:27 ID:unZM7YMI
「もう一回召喚させてください!」
ルイズは、いままで何度も失敗してようやく召喚できたのも忘れ、コルベールに詰め寄った。

「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
「どうしてですか?」
「一度呼び出した『使い魔』は変更することは出来ない。
何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。
好むと好まざるとにかかわらず、彼を使い魔にするしかない」

そんなのはルイズも頭ではわかっていた。
しかし、平民を使い魔にするというのは貴族としてのプライドが許さなかった。

「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」
ルイズがそういうと周りの生徒が笑う。

コルベールは諭すようにルイズに言う。
「確かに前例はないかもしれないが、それでも君が呼び出した使い魔なんだ。
それとも君はせっかくの魔法成功をふいにするつもりかな?」

そう言われてルイズははっとした。
(そうだ、平民といえども初めて自分が成功した魔法なんだ。
せっかく成功したのにこれを無駄にするわけにはいかない。)

「では、儀式を続けなさい」
コルベールが促すとルイズは先ほど召喚した平民の少年に向き直る。
少年は辺りを見回していたが、ルイズが近づくと振り返った。

「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」
そう言うと、若干唖然としている少年を一瞥したあと、目を瞑る。

「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
呪文を唱え、杖を少年の顔の前に掲げる。

そして、覚悟を決めると一気に少年の唇に自分の唇をくっつけた。
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:44:01 ID:ad2z9Q7Z
主要キャラであるワルド子爵が悲惨な末路をたどる作品については皆寛大だよなw
141残り滓の使い魔:2009/02/05(木) 17:45:41 ID:unZM7YMI
「終わりました」
ルイズがそう言うと、悠二の体が燃えるように熱くなり、左手の甲に激痛が走る。
その突然の痛みに悠二は封絶を展開することも出来ない。

「ぐううおおおおおお」
痛みはすぐに治まったが、悠二は攻撃に備えるためにルイズから距離をとる。

「使い魔のルーンが刻まれただけよ。そんなに警戒する必要はないわ」
少年の警戒する様子を見てルイズは説明する。

「使い魔のルーン?」
「そ、使い魔のルーン。ところで、あんた名前は?」
「僕は、坂井悠二」
「ふーん、変な名前ね。まあいいわ、あんたは今日から私の使い魔だから」
当たり前のようにルイズは宣言するが、悠二にはさっぱり意味不明であった。

「ちょっといいかね」
そう言ってコルベールと呼ばれていた男性が悠二の手を取る。
「ふむ、珍しいルーンだな」
そう言いつつ悠二の左手の手の甲に刻まれたルーンをスケッチしていく。
そのときになって初めて悠二は自分の手の甲に何らかの紋様が刻まれていることに気がついた。

「これが使い魔のルーン? 自在式じゃあないみたいだな」
「ジザイシキ? ま、これであんたが私の使い魔だってわかったでしょ?」
「ちょ、ちょっと待って! まず使い魔って何? それとここどこ? どうして僕はここにいるの?」
とりあえず悠二は現在疑問に思っていることを口に出してみると、ルイズはめんどくさいというかのように大きくため息をついた。

「さて、じゃあみんな教室に戻ろう。ミス・ヴァリエール、彼は混乱しているようだから色々説明してあげなさい」
そういうと、コルベールという男性は中世欧州の建造物のような城に向かって飛んでいってしまった。
それの後を追うように他の少年たちも飛んでいった。
非日常に足を踏みいれて半年ほど経つ悠二であったがこれには驚いた。

「飛んだ?」
悠二は、他の人が飛んでいるのはさまざま見たことはあったが、何も使わずに飛んでいるのを見るのは初めてであった。

「ルイズ、お前は歩いて来いよ!」
「『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないからな!」
飛んでいく生徒たちがそう揶揄していたが、悠二にはまったく聞こえていなかった。

「あれって、どうやって飛んでるの?」
「ああもう、うるさいわね! いまからそれを全部説明するからついてきなさい!」
ルイズはそう言って城に向かい歩き出した。
142残り滓の使い魔:2009/02/05(木) 17:48:22 ID:unZM7YMI
悠二を伴ってルイズは自分の部屋に戻ってきた。

「それで、あんたの質問は何?」
若干いらいらしながらも悠二に質問を促した。

「えーと、まずここどこ? 使い魔って何? 何で僕をここに呼んだの? それから」
「うるさいうるさいうるさい! 質問は一つずつにしなさい!」
「……あ、ああごめん。じゃあまず、ここどこ?」
「ここはトリステイン魔法学院。そんで私、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの部屋」
悠二の頭の中にクエスチョンマークが浮かんだ。
トリステイン? そんな地名聞いたことない。
それに魔法? 魔法なんかあるのか? いや“紅世”さえもあるんだ、魔法があっても不思議じゃあないのかもしれない。

「他には?」
「トリステインってどこにあるの?」
「トリステインはガリアとゲルマニアに挟まれてる国よ。ちなみに王都はトリスタニア。あんた、そんなことも知らないなんて、どんな田舎から来たのよ」
ため息を交えながらルイズは答えた。

「日本って国知ってる?」
「ニホン? どこそこ、そんな地名初めて聞いたわ」
悠二は頭を抱えたくなってきた。日本がわからないなんてありえない。
でも、ルイズが嘘をついているようには見えなかった。
ふと窓の外を見てみると月が出ていた。
悠二が常の夜の鍛錬で見慣れていた月ではなく、二つの大きな月が輝いていた。

(ん? 月が二つ?)
「あの、月が二つあるんだけど」
そう悠二が言うと、おかしいものでも見るように悠二を見てルイズは言った。
「月が二つあるなんて当たり前じゃない。あんた、大丈夫なの?」
「たぶん大丈夫だと…… アメリカってわかる?」
「わからないわ。ねえ、もういい?」

頭痛がした。悠二はここで直感した、ここが異世界であると。
それでもまだわからないことはあった。
その後も悠二は様々なことを聞いた。メイジのこと、使い魔の仕事、自分の立場全てが頭を抱えたくなることばかりだった。

「元の場所に戻る方法ってあるの?」
「ないわ。使い魔の契約は一生だもの」
悠二は今度こそ頭を抱えた。
元の世界で長い時間、世界を守っていくと決めたのに、何より二人の少女との約束も守れない、たくさんの人に心配をかけることになる。

「どうにかして戻れないのか? 僕は戻らないといけないんだ!」
今までにない悠二の気迫にルイズは圧倒された。
「さ、探してみるわ。それと、あんたも図書館を使えるようにするから」
「ああ、わかった。代わりに使い魔の間は必ずルイズを守ると誓うよ」
「まあ期待しておくわ。ふう、しゃべったら眠くなっちゃった」

考え事している悠二の頭に何かが乗っかった。
「? って下着!?」
「それ、明日になったら洗濯しといてね。じゃあ、おやすみ」

この瞬間、悠二の悩みの種がまた一つ増えた。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:48:58 ID:2tBSsTSc
何気にヤバいやつ召喚だな。

・・・厳密に設定を考えると、異世界に来た以上一人くらい食わないと存在を保てないし、
悠二なら躊躇わずに食うだろうけど、まあ、その辺は魔法の効果でOKかね。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:49:47 ID:/s4aSpxf
随分と軽々しく「必ずルイズを守ると誓うよ」などと口にしたなぁ支援。
145残り滓の使い魔:2009/02/05(木) 17:50:57 ID:unZM7YMI
ルイズが寝てしまってから悠二は部屋を出ていた。
洗濯をする場所などの確認をするって理由もあったが、もう一つ気になっていることがあった。
零時に自身の“存在の力”が回復するか否かであった。

この世界に召喚される前に、“紅世の徒”との戦闘があり“存在の力”をだいぶ消費していた。
だから、回復できないとなると、まさに生死にかかわる問題であった。

学校の周りを歩いていると、人影を見つけた。
近づいてみると、どうやらメイドさんのようだ。
初めて見る生メイドさんに少しばかり感慨を覚えつつ話しかけた。

「あの、すみません」
「ひゃぅい」
メイドさんは驚いたようだった。

(誰もいないと思っていたのにいきなり後ろから声をかけられれば驚くのは当たり前か、しかも夜だし。)
「驚かせてすみません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「はい。何なりとお聞きください……あの、もしかして、ミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう……」
「え? 知ってるんですか?」
「ええ。召喚の魔法で平民を呼んでしまったって噂になってますよ」

彼女の話を聞いても、やはり人間が召喚されるのは稀のようだった。
あんまり噂されるのは気分良くないな、と思いながら本題を切り出した。

「日付ってもう替わりましたか? それと、洗濯ができる場所を教えてほしいんだけど」
悠二がそう言うと、彼女は時計を見てから答えた。
「日付はもう少しで替わります。洗濯場でしたら案内しますよ、ちょうど着くころに日付も替わると思います」
こうして悠二はメイドさんに案内されて洗濯場に連れて行ってもらった。

向かう途中の話で彼女はシエスタという名前だということがわかった。

「ここが洗濯場です。あと、日付も今替わりました」
彼女がそう言うのとほぼ同時に自分の“存在の力”が回復するのを感じた。

「わざわざありがとうございました、シエスタさん」
そうシエスタにお礼を言い、ルイズの部屋に戻った。

部屋に戻ってから、悠二は今日一日を振り返った。
(ひとまず大きな危険はなくなったけど、元の世界に戻るまではまだまだ問題は多そうだ。
さしあたっては、寝る場所かな。とりあえず、ここにいるのは一種の鍛錬ということで、なるべく封絶は使わないようにしよう)

と、悠二はこれからの生活に不安か感じつつ床に寝転がり目を閉じた。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:51:18 ID:Xl1zPi9N
契約できないんじゃないかと思ってたんだが?
零時迷子のプロテクトはどういう理由で回避できたんだろう
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:52:39 ID:/s4aSpxf
零時になったら契約もキャンセル、とはいかんかったか支援。
148残り滓の使い魔:2009/02/05(木) 17:53:56 ID:unZM7YMI
以上で投下終了です

おかしな箇所などを指摘していただけたら幸いです
あと、初投下なので少しでも感想をいただけたら今後の参考にしようと思います
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:57:24 ID:2tBSsTSc
投下乙。

元の世界に返るためにはこっちの世界の、メイジの協力が必要なわけで。しかし、平民の立場だとそれは難しい。

悠二なら、メイジと平民の立場の違いを知った時点で、まず自在法を使って自分が異能の力を持つことを示し、
オスマン辺りと交渉して己の立場を確保しそうな気がするんだけどな。基本的に人を動かすタイプの奴だし。

ところで、悠二が真っ先に考えるのは、ハルケ世界が自分の目的に役に立つかってことだろうけど。
徒に好き勝手させても地球や紅世に影響がないかも知れない世界の存在を、この時点のこいつに
知らせるのはヒジョ〜にマズイような・・・
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:58:06 ID:QGTmlY4T
以前召喚されたシャナとほぼ同じタイミングからの召喚か。
召喚したルイズの環境が全然違うし、被ることはないと思うけど・・・
ともかく続きに期待。

シャナの人は戻ってこないのかな。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:58:18 ID:JkBQM2Nb
悠二さん乙です。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 17:59:56 ID:Xl1zPi9N
契約のキスをした瞬間ルイズが燃え出して契約できないんじゃないか?と思うんだが
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:00:52 ID:/s4aSpxf
乙。
祭礼の蛇はどうなったんだと思うが、蛇と融合した場合、コイツは自分の長所をフルに活用し始めて始末に負えんようになるからなぁ…。
まあ、その場合はもう主人公とは言えんかw

>>140
ある時は死ねないスライムにされ……ある時はメッタ刺しにされた上に爆散し……最近ではブラックホールに飲み込まれて消えた、そんなキャラか…。

………おいしいな。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:02:41 ID:ooNlK23H
ワルドは一応敵キャラなんだからしょうがない
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:03:44 ID:unZM7YMI
>>143
紅世から来た場合だけじゃなかったでしたっけ?

>>144
そこは、戻るためならなんでもするという気持ちで言ったことにしてたんですが
やっぱりおかしかったですか?

>>146
魔法は例外ということで
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:06:47 ID:unZM7YMI
色々と問題点が浮き彫りに……実力不足ですね

ちなみに悠二はルイズに何も説明してません
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:07:15 ID:/s4aSpxf
>>155
感想に対しては迂闊に反応しない方がいいぞ。荒れる原因になりかねない。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:08:34 ID:p25r8/4W
>>125
他の版権とのクロスオーバーでシリーズを生み出してきたスパロボだからこそ、
ゼロ魔を踏み台にした「だけ」の久保主人公SSへの反発が生じたんじゃないの?
(α一作目のリュウセイのように)
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:11:30 ID:2tBSsTSc
>>155
世界に対して大きな影響を与える人間ほど大きな存在の力を持ってるわけだが、
それを考えると、地球人が異世界のハルケギニアへの影響力を本来持っているわけがないからね。

地球での存在の力を山ほど持ってる悠二でも、ハルケギニアでの存在の力は別腹だろう。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:22:06 ID:BvNRVcsw
俺としては続き見たいんだけどな
ガンゼロ、問題は大きかったけれど
αユーゼスのキャラ強調のためにやったことだろうし解決へ向けての構想が無かったわけでもないと思いたい
テファやおマチさん憎しで書いたわけでもあるまいし、踏み台にされてる感はあるけれど
個人サイトか避難所とかででも続けて完結してからきちんと判断したいな
未完のまま埋もれちゃうのは一番悲しいぜ
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:29:07 ID:YXnH09YZ
>>134
正直久保の人のネタつぶしになっちゃうから言うまいと思ってたけど、
あのシーンはスパロボ本編で主人公の仲間の一人がああいう風になるってイベントがあんのよ
だけどそれは幻覚で、実際は生きてて助けに来る、ってイベントがある。
で、スパロボしってりゃああ多分フーケが燃えるタイミングで助けに来るんだろうなって思うだけで、
どう考えてもアンチの類ではないのよ
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 18:42:02 ID:wUEVYWMP
悠二って家事とかに関してはどうだっけ?
ママン任せだった気がするけど料理とかはカルメルさんよりマシかな
剣術はシャナにどつかれて鍛えてたからガンダ無しでも結構いけそう
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 19:41:22 ID:P5BLN8Yb
>>161
でもその後助けにくるキャラの精神コマンドとかが捕まる以前とは違うとかいろいろあったような・・・
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 19:51:10 ID:0b2FSLj4
>>163
それで別人ってのは完全にファンの勝手な妄想
ゲームバランスや機体の乗り換えの都合で精神コマンドが変わる事はある
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 19:52:02 ID:dUqhVqbf
>>163
スパロボじゃ良くあることだぜ?
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:00:31 ID:DdbTQF90
保管庫ざっと見てみたが、意外なことにCLAMPキャラって召還されてないのか?
CLAMPワールドって基本的に多元世界だし、剣を使うキャラも多いし相性良いと思うだけどな。
小狼とか黒鉄とか。
クロウカードwithケロちゃん(雪兎はワルドあたりで)を召還してCCルイズってのも面白いかと思ったけどリリカルイズと被るか。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:03:53 ID:dkKNbshO
>>161
確かに第三次αであったネタだけど、読者全員が全員、それを知ってるわけじゃないしなぁ
正直、知らない読者に叩かれても仕方のない展開だと思う
久保の人がどういう意図でああいう展開を書いたのか、本人じゃない外野には分からないが
続きが書かれてない以上、今まで書かれた部分から判断するほかないわけだし、アンチ言われても仕方あるまい
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:07:46 ID:zSGYKmnL
>>166
ケロちゃん召喚はなかったっけ?
見た覚えがある、小ネタだけど
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:12:32 ID:OBTNwNB+
乙でした
あの段階での悠二さんを拉致るとは……危険すぎて涙が出てくるなぁ
能力より所有装備より同居者より、なにより奴本人の頭の切れがやばすぎる
今の時点でワルドの未来が、未来がっ! 赤子同然だろ、知略的に考えて
それに、本人及び中の人及びもう一人を捜す面子の必死具合も凄そうだし、続き楽しみです
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:28:04 ID:jJcqYN4f
悠二にはシャナとルイズの声は違って聞こえるのだろうか?
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:37:35 ID:fm7wGqJJ
>>159
地球人が異世界のハルケギニアへの影響力を本来持ってるかどうかって、
ノボルがそんなこと考えてるわけないんだから作者の胸先三寸じゃなかろかw
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:38:06 ID:5wgquhwL
スパロボその物でも遠慮してオリジナルキャラでやったような行為を既存キャラでやったらそりゃどんな描写だろうが厳しいよ
それだけの話しだろう
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:53:03 ID:dtTOYYti
原作通りかなんか知らんが、あれは普通にやり過ぎだと思ったし、わざわざあそこまでやらなきゃならない必要性も本当にあったのかよ?とも思った
もしかしたら何らかの必要不可欠な伏線だったりしたのかも知れんけど
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:55:06 ID:SYjEGqPJ
こんな話を続ける必要は無い
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:55:37 ID:th6cMWxm
つーかラスボスさんのところのテファに何かしようとしたら縮退砲が飛んできそうだな
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:56:21 ID:uA/kbxFJ
>・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
っつーか一方的すぎなのが良くなかったな、アレは
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 20:58:50 ID:9itHqsVP
一方的って基準が不明瞭すぎる、テンプレから削除すべき
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:00:50 ID:Xl1zPi9N
>>177
一方的なのを書きたいのかね?
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:01:49 ID:rO4vkeKP
アレが悠二と同化したのは、同調可能な思想と志向を持っているから。ということは、つまり、同化前でも、
「悠二の行動≒アレの行動」なわけで。

しかも、まったく同じであるなら同化の必要はないわけで、時として悠二はアレすら感嘆する行動を取るわけだ。
つまり、まずそこにいるのがアレであった場合の行動を考え、その上で、アレが感じ入るような行動をさせにゃ
ならんわけで、悠二は二次創作で描くにゃ極め着けに難しいキャラなんだが。

それに挑んだ作者さんに期待したいな。
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:04:41 ID:/s4aSpxf
>>179
そうまで「アレ」を連呼されると、何だかピー音みたいだぞwww
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:05:41 ID:rWaQauBu
>>177
同意、基準がないと一方的だって因縁つければ気に入らない作者追い出すことが可能になる
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:10:59 ID:uA/kbxFJ
まぁ運営で言ってください
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:25:29 ID:OBTNwNB+
>>149
帰還問題についてだが、悠二さんの中にはアレだけじゃなくて自在式の専門家も居るからのう
本人はともかく、どちらかがその気になれば元世界への自力帰還もありえる
無論、アレの関係者も今頃は血眼に……あれ?
そもそもこの時点で、本人は知らないけどジャケットの右ポケットに例のブツが入ってるんじゃね?
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:46:52 ID:m0ZOdSyb
wikiにまとめるときに注釈ではいかんだろうか?
好意的なキャラが不幸になるのは憤懣やるかたないだろうが
悲劇劇もあってもいいとおもうし何より途中で消えてしまうのが寂しい
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:55:23 ID:m+JfbcNY
つーか一方的じゃない作品は少ないし、難しい。もうすこし敷居を下げてもいい気がする
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:57:15 ID:uCOytAhF
判断難しいのは避難所でやればいい
避難所ならよほどじゃない限り非難は出まい
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 21:59:02 ID:6vddCYS6
> ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
運営議論スレ6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

議論がしたいならこっちでとことん話して結果だけ本スレに持ってきてくれ
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:00:04 ID:upJqRcOC
それは敷居を下げるんじゃなくて書き手が努力するとこじゃねぇの?
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:03:36 ID:3E5pBUcJ
自分の好きなキャラで俺TUeeeeeをやりたいだけなら、いつかは必ずボロが出る
その程度の視野で作品書いてる人間は、よほどひねくれ者でもなければ、途中で投げ出して消えるよ
だからといって、どんな人間でも投下できる自由がありすぎる環境は問題
その手の輩を生み出さないためにも、一定の規則は必要
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:32:41 ID:uVnygSLe
悠二召還か…何気にラスボスだからなコイツ。声のネタはあるのか
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:38:51 ID:jJcqYN4f
ゼロ魔とシャナは声優の共通が多いからな。
目をつぶって声だけ聞いたらすぐにはどっちの作品か分からん。
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:51:27 ID:b+8a/MM3
いきなり小ネタ投下 今このスレにはギャグ分が足りない 

行け!!ガリア王国

「こ・・・これは・・・」
ガリア王国のプチトロワ、この場所の主、イザベラ様が従姉妹のシャルロットの召喚した
使い魔の風竜を妬んで自分も召喚の儀式を行いました
父のガリア王ジョセフさんとカステルモールさんも立会いです
そして呼び出されたモノは・・・


ダンボール箱


「箱・・・だな」
流石に予想の斜め上のモノが召喚されて引きつり笑いのジョセフさん
「・・・・・・ぷっ(わ・・・笑っちゃいけないんだよな)」
必死に笑いを我慢するカステルモールさん
そしてイザベラ様は、

「・・・・くれ・・・」
「「「は?」」」
「送れぇえええええええ!!」

泣きつつ大絶叫しながら床をごろごろ
「お、送れって・・・家にか?」
あまりの事に怯えつつも聞く父 ジョゼフさん
「ちがーう!! もおどうでもいいよぉー 送ってくれよー」
さらにゴロゴロと床を転がるイザベラ様

「ああああーーー もうわかったよ!!送ってやるよ!!」
ハルク級にいきなりカステルモールさんぶち切れ
そして・・・

箱の中にイザベラ様はすっかり納まっていました
「じゃあ、しめますよ」
流石に心配になってきたジョゼフさんが一緒に色々入れます
「待て、これおかし、お金と水も」
「よせっ!!まだわからねーのか!!イザベラ様は国なんかどーでもよくなったんだよ!!
 どーでもいいってのは俺たちも含まれているんだよ!!」
そう言ってカステルモールさんは静かにダンボールを締め始めました
「じゃあな イザベラ様、俺たちよりも魅力のある国があるかその目で確かめて来い」
泣きつつ本当にいい顔でサムズアップしながらカステルモールさんは
とうとう段ボール箱を閉じてしましました

「あの・・・それであて先は?」
恐る恐る侍女が聞くと

「こーーんなかんじーー」
「うひゃーちょーてきとー」
「ねぇっ それ届くの?」
「届く届くーー」
「行ってみよーーー」
ノリノリで二人は段ボール箱を送りに行きました

その時の侍女曰く
「完全に楽しんでますわ・・・」
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:52:37 ID:b+8a/MM3
そして翌日・・・ヴァリエール領
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「貴方・・・誰かしら?」

イザベラ様はヴァリエール家にいました
「手紙が入ってまわすね」
カリンさんがその手紙を読んでみると・・・
「私はイザベラです どっかテキトーに送ってください・・・(汗」
おもわず箱の中のイザベラ様を見返すカリンさん
「・・・どこでもいいのかしら?」
「どーでもいーよ」
その時、ぎゅるるるとイザベラ様のお腹がなりました
「貴方、お腹がすいているんでしょ 今日は泊まっていきなさい 明日送ってあげるから」
その日、ヴァリエール家では久々に明るい笑い声が聞こえてきました
そして次の日イザベラ様はヴァリエール家のみなさんと泣きながら別れたのです

そしてまた翌日
「きゃあああ!!誰よ!!この子!!」
エレオノールさんの所にイザベラ様はいました
「どこでもいいから送るって・・・」

その日の夕方
「どこでもいいからって勇気あるわねぇ」
酒場でエレオノールさんとイザベラ様は盛り上がってました
「よーし じゃあ今度は身内じゃないわよー 全く知らない所に送ってあげるわー」
「おやおやきついですなー」
あははははと笑い声が響きました
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:53:29 ID:b+8a/MM3
次の日
「・・・なんだ お前は?」
盲目のおっさんでした おっさんの命令でイザベラ様は掃除や洗濯をします
「よくやったな これをやろう」
おっさんからイザベラ様は毛糸の帽子を貰って次の場所へ送られます

「妹が増えた気分です」
胸革命のハーフエルフ

「これがタルブ産のワインで」
田舎のおっさんの家

「あらぁん もう少し経ったらお店に出て欲しいわぁん」
オカマのお店

「我慢してるんですけどねぇ・・・」
きつい性格の婚約者に泣く伯爵

「でょお・・・そいつが言うのよ、鳥の骨って」
苦労人の枢機卿 

そして・・・
「あっ!!」
「なっ!!」
「・・・・・・何してるの? イザベラ」
「・・・・・・さぁ?」
従姉妹に送られてイザベラ様の旅は終わった・・・

プチトロワ・・・イザベラ様はここに戻ってきました
「「「「あああああ!!」」」」
侍女や大臣、カステルモールさんが一斉にイザベラ様を取り囲みます
「一週間も大丈夫でしたか?」
「変な事されなかったですか?」
みんなが色々聞きます そして何よりも大事な事を聞きました
「・・・で直ったんですか?」
「やる気なし子」
その言葉にイザベラ様は深く頷き答えました
「私は私の出会ったやさしい人達のためにがんばる」

「おーーイザベラ様がなんかカッコいいぞー!!」
「イザベラ様が大人になったー」
今日もガリア王国は平和のようです




イザベラ様が王宮に戻ったその頃
ジョゼフさんは・・・

「やぁ、お世話になるよ」
「それ 流行ってるのかしら?」
箱に入ってヴァリエール家にいたそうな



イザベラ様が 行け!!稲中卓球部 から ダンボール箱を召喚
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:56:37 ID:upJqRcOC
元ネタは知らんがこの空気感は好きだww
GJ
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:57:30 ID:b+8a/MM3
投下終了 ギャグSSしかやらない自分が異端なのだと・・・つくづく思う 
後悔?何それしらなーい あ、ぼーん
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 22:59:39 ID:Tnz+kYOB
いい話だ……どうつっこめばいいのか知らんが。
いい話だ。
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:01:53 ID:OMfa1Weq
元ネタは稲中卓球部の田中の話だな
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:02:03 ID:oKs/kPXM
黄門様ご一考が召喚されて、一同土下座であっという間に終了する
ゼロ魔とか
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:02:32 ID:OBTNwNB+
うむ、いい話だ。
なんだかほっとした気分になったよ、ありがとう。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:06:40 ID:S/+/XYrl
>>199
ファミコンだと全世界で印籠掲げてたから、ハルケギニアでも通用しちゃうんだろぉなきっとw
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:10:14 ID:EpG2nLYp
>>201
吸血鬼だって懲らしめるんだぜ
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:14:20 ID:th6cMWxm
てか盲目のおっさんてメンヌヴィルじゃねーか?
お前キャラ違うだろwww
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:15:09 ID:zH5NupUz
稲中懐かしすぐるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:20:37 ID:WEBiiauq
>>166
桜召喚はどっかのサイトで見たなあ
確かごく普通の大学生が書いていたと思うぞ
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:35:38 ID:BFbuNd8y
         ハ,,ハ  
        ('(゚∀゚∩_ おいらをどこかのスレに送って!
      /ヽ   〈/\ お別れの時にはお土産を持たせてね!
     /| ̄ ̄ ̄|.\/
       | .モツ煮..|/
        ̄ ̄ ̄
これだと思ったのは俺だけでいい
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:42:51 ID:wTrgPCGO
残念な事に俺もだ。最初、うわっ懐かしいな〜と思ったのは秘密だ
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:44:43 ID:piZghdN9
今でもまれに見かけるがな。
以前に比べて、お土産の意味不明さが増したように感じる。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:46:44 ID:dcyZjVNU
>>206

よう俺。
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:47:24 ID:Y+LUGeRs
主要キャラが死ぬので文句が出てるが
姉妹スレじゃギーシュがワキガやら生ハム兄貴に
ポンポン殺されているんだが・・・
211ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/05(木) 23:51:47 ID:YLin6DBs
予約がないようなら0:00からシーン14の運命の扉を開きます。
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:53:23 ID:98amaNFm BE:857823438-2BP(51)
龍が如くより桐生さん召喚。基本的にロリを守るときに強くなるのでルイズのために頑張るんじゃなかろうか
声同じだしw
宮本武蔵Ver+ガンダールヴだったらもう手が付けられなくなりそうだ
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:53:49 ID:PKOp1eJS
>>206 自分も同じ。稲中は読んだことあるけど、ダンボール云々は覚えてないぜ

>>189 召喚されるキャラが元から俺TUeeeeeな奴ならどうすればいいんだ?
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:53:53 ID:P18QyCFU
このスレは荒らしも常駐してるようだし、嵐が反応すると住人だってどうしても反応しちゃうから仕方が無いといえば仕方が無い
でも悲しい事だね
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:56:48 ID:CcIH1Zwp
>>213
作者の腕の見せ所だろ?
人修羅の人みたいに戦わないとか
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:57:46 ID:Y+LUGeRs
>>215
人修羅はパトラッシュしまくるひ弱な子です><
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:58:35 ID:X3Qtsyen
ニードレスからブレイド召喚とか
あの人ロリコンだから
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:59:16 ID:uCOytAhF
フリーザとか呼ぶなら死人出るのも諦める
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/05(木) 23:59:23 ID:hVeUwFg7
レイアースからモコナ召喚はあったなあ。

そして支援
220ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/06(金) 00:00:19 ID:YLin6DBs
では、運命の扉を開きます。今回は8レス+後書きの予定です。


ヒュー達を置き去りにして先行していたワルドは、グリフォンの足を些かも緩めることなく、ラ・ロシエールへの行程を進め
ていた。
朝靄に隠れていた太陽は中天にさしかかろうとしており、ワルド達を追っているヒューとギーシュの姿は最早豆粒程度にしか
見えなくなっている。
このままでは2人を置き去りにしてしまうと思ったルイズが、ワルドに話しかける。

「ワルド様、少しスピードを落とされた方が…、この速さではヒューとギーシュを置き去りにしてしまいます。」
「ふむ、これでも馬に合わせてるのだが…。どうだろう、僕等だけでも先行しておかないか?」
「2人を置き去りにするつもりなのですか?ワルド様。」

ルイズの言葉に、僅かに篭った感情にワルドは気付いてはいたが、残念そうに話を続ける。



ゴーストステップ・ゼロ シーン14 “Journey course to the sky / 空への旅路”

    シーンカード:ミストレス(豊穣/母性。女性ゲストの協力。物質的な恩恵を被る。)



「ああ、非情なようだが仕方があるまい、何しろこの任務はスピードが命だ、今は1分でも惜しい位だからね。」
「ですが…!」
「君にも分かっているはずだよルイズ。今、アルビオンの王党派は追い詰められて明日をも知れない状況だ、なればこそ今は
一刻も早く動かねば。」

ワルドが言っている事は確かに正しい事だった、自分達が遅れれば遅れる程、状況は悪化していくことは間違いないのだ。
しかし、いくら急いでいるとはいえ、仲間を置いて行っていいものか…。意見を聞くためにヒューと連絡を取ってみたかった
が、人前での使用はきつく止められていた。

(適当な所で休憩してもらって、その時に連絡をとるしかないのかしら…)

等とヒューとの連絡方法を思案していると、ワルドがおどけたような口調で話しかけて来た。

「やけに、あの2人を気にするね。もしやどちらかとお付き合いしてるのかな?」
「そっそんなわけないじゃない!あっ…」

ルイズは、思わずいつも通りの口調で返してしまった事に気付いて、思わず口に手を当て黙り込む。
真っ赤になったルイズを見たワルドは、快活に笑い声を上げてルイズの髪を軽く撫でながら話しかける。

「無理しなくていいよルイズ、どうか僕には飾らない君の姿を見せてくれ。
 しかし、良かったよ。婚約者に僕以外の恋人がいるとなると、婚約者失格の烙印を押されてしまう。」
「そんなことはありませんわ、ワルド様は十分以上に自慢できる婚約者ですもの。」
「ほら、また。」
「あ…。」
「いきなり直せと言うのも無理があるからね、少しずつ直していこうじゃないか。
 実際、僕も今日まで君を放っていた不出来な婚約者だ、この旅を機にもう少しお互いを知る事から始めよう。」
「は…うん。」
「そうそう、その調子。それじゃあ何から聞こうかな。」

2人は共通の思い出話や、ルイズの学校における話題、ワルドの苦労話等を語り合いながら、ラ・ロシエールへの空を行くの
だった。
221ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/06(金) 00:02:40 ID:YLin6DBs
場面は代わり、地上を行くヒューとギーシュ。
空を行く2人、というかワルドは此方を一顧だにせず、ひたすらラ・ロシエールへ急いでいる。それと対照的に地上の2人
は、馬に負担を掛けない程度の早足で行程を消化していた。

「ヒュー、次の駅で一旦休憩を取ろう。」
「ああ、そうしてくれると助かる。」

余裕があるギーシュと違い、ヒューはかなり限界っぽかった。
しかし、それは無理もないだろう、一応乗馬の訓練をしているとはいえ、あくまで1日2時間かそこら[休憩付き]である、
これほど長い時間、馬に乗って移動するなど良くやっている方だろう。

「くそ、せめてタバサがトリステインの貴族なら協力を要請出来たんだが。」
「しょうがないよ、それでなくともこれは隠密任務なんだ、知っている人間は少ない方がいいからね。」
「分かっちゃいるんだけどな…。」

ヒューの愚痴をギーシュがなだめるという、普段見られない状況がそこにはあった。人間、不慣れな事で疲れると、余裕が
無くなるという事なのだろうか。
そうこうしている内に駅に着いた2人は、一旦休息をとる事にした。
ヒューは駅に着くなり、後の手続きをギーシュに任せて、駅に設置されている休憩所でひっくり返る。
しばらくして、手続きが終わったのだろう、ギーシュが消化にいい食べ物をトレイに乗せて、ヒューの所に持ってくる。

「やれやれ、魔法衛視隊は化け物揃いとは聞いていたんだけど、ここまでとはね。」
「いや、どっちかって言うとこれは馬とグリフォンの移動方法の違いだろう。」
「どういうことだね?」
「馬は地面を蹴って進むだろう?その反動は否応無しに、乗っている人間や馬そのものにかかってくる。対してグリフォンは
飛んだり滑空したりする…恐らく先天的な魔法も使用している…事で進む、馬と違って反動は少ないだろう。
 違いは明白だよ。」
「なるほどね、ところで食えるかね?一応食いやすい物を選んできたんだが…」
「ああ、悪いな。」

そうして2人が軽めの昼食を摂っていると、表の方でなにやら騒動があったのか、馬の嘶きや人が騒ぐ声が聞こえてくる。
何やら「ドラゴンだー」とか「貴族様」とか聞こえてくるが、疲れ切っていたヒューには気にするほどの余裕が無かった。

「ヒュー、大変だよ!」
「何だよギーシュ、食べてる間位ゆっくりさせてくれ…」

ギーシュの言葉に嫌々ながら応えたヒューの耳に、ここにいない筈の少女の声が聞こえてきた。

「見つけたわよヒュー、私達に黙ってアルビオンに行こうだなんて薄情じゃなくて?」
「…ギーシュ、今日はここで一泊しようか、疲れのあまり幻聴まで聞こえてきやがった。」
「…ヒュー、信じたくない気持は僕にも分かるけどね、残念ながらこれは現実だよ。」

そう、ヒュー達の背後にいるのはキュルケとタバサだった。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:03:37 ID:JwEhKKp0
支援
223ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/06(金) 00:05:01 ID:U0vd7fEU
「で、何でお嬢さん達がここに来ているんだ?授業はどうした。」

昼食を摂り終え、冷えた果汁で喉を潤しながら、ヒューは不機嫌そうに2人の少女に尋ねる。
ヒューの機嫌をまるっきり無視して、キュルケが答えた。

「貴方ね、昨日の夜あれだけ騒いでおいて、ばれていないとでも思っているの?」

小声で話していたはずだが…と考えているヒューの視界に、ハシバミ草のサラダをかきこむタバサが見えた。

「魔法か…」
「ええ、そうよ。昨日はちょうどタバサが遊びに来ていたの。で、廊下で何やら話していたから、ちょっと聞かせてもらったの。」
「もう少し、令嬢らしくするべきだと思うのは俺だけか?」
「あら、これ以上無いくらい貴族の令嬢らしいじゃない、私は嫌いだけどね。好奇心には逆らえないわ。
 それにね、ゲルマニアにとっても、私にとっても他人事じゃないのよ。」
「どういうことだ?」
「ツェルプストー家はゲルマニアでもかなり力を持っている。」
「という事よ、あのお姫様が輿入れしないと、私にまでお鉢が回ってくる可能性があるの。
 それにレコン・キスタがトリステインを併呑したら厄介だわ、私の家も最前線になっちゃうし。だからこの同盟は成功して
欲しいのよ。」

キュルケの意見にヒューはしばらく考え込んだ後、2人に話しかける。

「条件を呑んでくれたら許可しよう。」
「何かしら。」
「他言無用。自分の命を最優先にする。こちらの言う事を聞く事。以上だ。」

たった3つ、しかも簡単な条件だったので、キュルケは拍子抜けした。

「あら、たったそれだけ?」
「トリステインの姫殿下から受けた用事で、他国の人間が死んだ…なんて事になってみろ、いきなり戦争沙汰だ。
 出来る事ならここから引き返して欲しい位さ。」
「ふーん、どうしようかタバサ。」
「ヒューの意見は真っ当。けど、私達もトリステインという緩衝地域は欲しい。」
「という事よヒュー、さっき言ったとおり私も引く気は無いから…分かった、受けるわその条件。」

晴れ晴れとした笑顔で、そう言い放ったキュルケを、ヒューは溜め息を吐きつつ見ていた。
当のキュルケは周囲を見回しながら、ギーシュに不思議そうに尋ねる。

「ギーシュ、そういえばルイズはどうしたのよ、一緒じゃないの?」
「ああ、ルイズだったら婚約者のワルド子爵と一緒に先を進んでいるよ。」
「ええっ、アンタ達置いてきぼりを食らったの?急いで追いかけないとダメじゃない!」
「いやいや、それがそうでもないんだよ。考えてもみたまえ、今日はまだスヴェルの夜じゃないんだ、ならばラ・ロシエール
には明日までに着けばいいのさ。」
「…そういえばそうね。ギーシュ、貴方にしては冴えてるじゃない。」
「ま、まぁね、僕だって成長はするのさ。」
「という訳で、俺たちはしばらく休んでから再出発しようかと思ってたのさ。」

そんな話をしている中、ヒューはおもむろに立ち上がって休憩所の隅に移動する。
懐から<ポケットロン>を取り出して、ディスプレイを見ると、ルイズから連絡が入っていた。
224ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/06(金) 00:07:55 ID:U0vd7fEU
「はいよ、何かあったのかい?ルイズお嬢さん。」
【何言ってるの。貴方達が見えなくなったから心配になったんじゃない!】
「ああ、そりゃあすまない。けどまあ大丈夫だ、今日の夜までにはラ・ロシエールに到着できるよ。」
【そうなの?それじゃあ、遅くならないように気を付けて来なさいよ。】
「了解。ところで子爵には見られて無いよな?」
【大丈夫、休憩を取ってもらってから話しているから。じゃあね。】
「ああ、そっちも気を付けてな。」

そこまで言って通信を終了する。
3人の所に戻ったヒューにギーシュが話しかけてきた。

「気分でも悪いのかね?」
「まあ、良いとは言えないな。けどまぁそんな事も言ってられないし、行こうか。」
「そうね、じゃあお願いねタバサ。」

キュルケの言葉に頷いたタバサを先頭に休憩所を出ると、そこにはやはりというべきか、シルフィードが佇んでいた。
一行がシルフィードに乗った事を確認すると、タバサはシルフィードをラ・ロシエールへと飛翔させる。

その後、一行は夕方過ぎにラ・ロシエールに到着した。途中、傭兵崩れの山賊に襲われる事もなく無事に到着したのは、シル
フィードで飛んでいたからだろう。本当ならもう少し早く着く予定ではあったが、長時間の乗馬で体力を消耗していたヒュー
がいた為、控えめな速度で飛ばざるを得なかったのである。

「さて、ルイズ達は何処に泊まっているのかしら?」
「ここで一番高い宿じゃないか?」
「…そりゃそうよね、何たってルイズだもの。」
「子爵も婚約者には格好良い所を見せたいだろうしな。」

キュルケとヒューの会話と共に一行が到着したのは、ここラ・ロシエールで最も高級かつ洗練された宿「女神の杵」亭だった。

一行は宿に入り、ルイズ達が逗留している事を確認した後、宿の1階にある酒場で夕食を摂る事になった。
その席上、ギーシュがふと思いついた疑問をヒューに尋ねる。

「よく2人がここに泊まっていると予想できたね。」
「絶対とは言いきれないけどな、かなりの確率でこの手の宿に来ているとは考えていた。」
「根拠」
「お嬢さんの性格と立場+婚約者である子爵の感情…いや見栄かな?」
「ルイズの立場とかは分かるんだけど、子爵の感情や見栄って、どういう理由なんだい?」

ギーシュの疑問に、ヒューは食事をしながら簡潔に答えていく。

「まずは、子爵の感情からいってみようか。お嬢さんに婚約者がいると知っていたかい?」
「いや、全くの初耳さ。けどまぁ、考えればおかしい事でも無いけどね。」
「私は知らなかったわね。」
「初耳。」
「俺も今朝方まで知らなかった。
 さて、キュルケここで問題だ、“婚約者が魔法衛視隊の隊長をしている”…ギーシュに聞いたらかなり凄い事らしいな。」
「そうね、あれだけの若さですもの、かなりの凄腕と見て間違いないわ。」
「さて、そんな凄い婚約者の話題を今の今までお嬢さんがちらつかせなかった理由は?」
「…そうね、あの子の性格もあるだろうけど…。ああ、なるほどね。」
「確かに…、理解した」
「ええっ?どういうことだい?僕には今一つ分かり難いんだが。」

キュルケとタバサが頷く傍らで、ギーシュが慌てている。そんなギーシュにキュルケとタバサが説明をする。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:08:02 ID:q2q0OFxI
支援
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:08:18 ID:JVOW98k5
出遅れた!支援
227ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/06(金) 00:10:23 ID:U0vd7fEU
「あの2人には、ほとんど交流がなかったって事。忙しさにかまけていたのか分からないけどね、多分手紙のやりとりも無か
ったんじゃないかしら。」
「だからこそ、今、自分の優秀さをアピールする。」
「そう、優秀である事を示す役職。並のメイジでは御し得ない乗騎。金回りの良さ。その他もろもろ。
 恐らく今回の任務で、お嬢さんの気持を引き寄せる算段なんだろうさ。ここまで説明すれば見栄の方はいわずもがなだろう。」

最後にまとめたヒューの説明に、ギーシュは納得して頷く。

「なるほど、ワルド子爵も大変だな。」
「そうだな、せいぜい頑張って欲しい所だ。」


食事も一段落つき、全員で食後の茶を楽しんでいると、宿の扉が開いて件の2人が入ってきた。

宿の扉を潜ったルイズは、酒場をぐるりと見回した後、信じられない光景を見つけた。何と、ここにいて欲しくない人物の
上位に入る2人が、自分の使い魔やギーシュと談笑しているのだ。
一瞬で頭に血が上ったルイズは、そのテーブルに突進していく。その速さたるや、ワルドの制止が間に合わない程だった。

「ちょっと!キュルケにタバサ!なんで貴女達がここにいるのよ!
 ていうかヒュー!アンタこの間、私にあれだけの事言っておいて、何してるの!」

テーブルに到着したルイズは、一気にまくしたてると、ヒューに詰め寄る。
対するヒューは、驚きはしたものの、ルイズとワルドに席を勧めて座らせると、飲み物を注文して説明を始める。

「まぁ、落ち着きなってルイズお嬢さん、これには事情があるんだよ。」
「へぇー、聞かせてもらおうじゃない。」

一応、聞く気になったのか、運ばれた飲み物を一気に飲み干して、ワルド以外の4人を睨みつける。
苦笑しつつも説明を始めたのはキュルケだった。
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:11:33 ID:QmIuYQAz
支援
229ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/06(金) 00:12:52 ID:U0vd7fEU
「じゃあ、私から説明するわね。実は貴女達が何しにアルビオンに行こうとしてるか、大体のところは昨日の夜に廊下で話し
ていたのを聞いてたから知っているのよ。
 でね、私としても貴女の国のお姫様には御輿入れ願いたいの、他ならぬ私と我が家の為にもね。」
「どういう事よ。」
「考えてごらんなさいな、トリステインが負けたら次はガリアかゲルマニアに決まっているでしょう?で、国力的に見ると
ガリアよりもウチの方が組し易いの。ゲルマニアは都市国家群の集合体だから、内部から切り崩しをするのが楽なのよ。
 それにね、実家はトリステインと領地を接しているから、トリステインが無くなると防御体制の見直しもしなきゃならない
でしょ?面倒なのよ、お金もかかるし。
 後は本当に私事だけど、御輿入れがなくなったら、私にお鉢が回ってくる可能性があるの。だから協力する。理解した?」

キュルケのもっともな意見に、ルイズは納得するしかなかった。確かに最後のは馬鹿らしいが、前半の理由は頷ける。
連中の手先はトリステインにすらいた。それをゲルマニアに照らし合わせたら、あの国の体制からして惨憺たる状況になる事
は間違いないだろう。
その後の防御体制に関する話もそうだ、トリステインはどちらかというと陸戦をメインにしている。キュルケの実家の防御
体制も当然、対陸戦をメインにしているだろう。そこに空戦主体のアルビオン軍が来たら苦戦は免れない。見直しが間に合
ったとしても、その費用は莫大なものになる事は想像に難くない。

「ぐぐぐ、分かったわよ。そういう事なら貴女も当事者だしね、けどタバサはどうして?」
「基本はキュルケと同じ。」
「基本は?じゃあ別の理由でもあるの?」
「情報拡散の防止」
「どういう事?」
「貴女達がいなくなった場合、多分私に調査の手が伸びる。」
「なるほど、なるべく情報を広げない方がいいという判断か。確かにそれは助かるよミス・タバサ。
 トリステイン貴族の1人として貴女方の協力に感謝しよう。」

キュルケとタバサの説明を聞いていたワルドが恭しく礼をする、それに対してキュルケは笑いながら応える。

「あら、気にする事ではありませんわ、先にも言ったとおり。これは私と我が家の為でもあるのですから。」
「同じく」
「じゃあ、言っとくけど。」
「分かってるわよルイズ。他言無用、自分の命第一。でしょう?ヒューに約束させられたもの。」
「そ、そう。ならいいのよ……」

とりあえずの問題が解決したからか、テーブルに弛緩した空気が流れる。
ルイズとワルドは夕食を摂り始め、ヒュー達は再び話しをはじめていた。ルイズ達の食事が一段落した所を見計らったのか、
ギーシュが2人に会話を振った。
230ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/06(金) 00:15:01 ID:U0vd7fEU
「ところで子爵はどちらに出かけられていたんですか?」
「アルビオンに渡るフネを探していたんだが…」
「ああ、まだ出せないと言われましたか。」
「ギーシュ君!なぜその事を。」
「いえいえ、簡単な話ですよ、ラ・ロシエールを出るフネはスヴェルの夜を迎えないと出れませんから。」
「ほほう、君のような若者がいるのなら、トリステインの未来は明るいな!うん、君が軍に入る時が今から楽しみだよ。」
「い、いやぁ…ははは。」

得意気に話すギーシュに驚いたワルドは、話題を切り替えながら懐から鍵を二つ取り出す。

「さて、残念な事に部屋は2つしか取っていないんだ。ミス・ツェルプストーとミス・タバサには自分達で部屋を取ってもら
いたいんだが、構わないかね?」
「それは構いませんが、ワルド子爵。そちらはどういう部屋割りにされるの?」

部屋2つという言葉に疑問を抱いたキュルケが、ワルドに尋ねる。

「ギーシュ君とヒュー君が相部屋。僕とルイズが同室になろうと思っているんだが?」

ヒュー以外の視線が、ワルドとルイズに集まる。そんな視線を意に介したふうもなく、ワルドが全員に聞こえるように言った。

「僕とルイズは婚約者だからね、別に問題は無いだろう?」
「ワ、ワルド。いきなり何を!私達結婚しているわけじゃ無いのよ!」

意識が飛んでいたルイズだったが、ワルドの言葉で正気に戻ったのか、首から上を真っ赤にして抗議を始めた。

「大事な、とても大事な話しがあるんだ。君と2人きりで話がしたいんだよ。」
「だったら、その時だけ会えばいいだけじゃない!」

傍迷惑な2人の会話をよそに、ヒューがキュルケに話しかける。

「なぁ、3人部屋を取ってくれないか?」
「いいけど、どうして?」
「ルイズお嬢さんを泊めてやってくれ。」
「私は別にいいけど」
「ちょっと待ちなさい!ヒュー!」

ヒューの意見に噛み付いたのはルイズだった。
231ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/06(金) 00:17:12 ID:U0vd7fEU
「何だい、ルイズお嬢さん。」
「あ、貴方。よりにもよってキュルケのお情けに縋れって言うの?」
「じゃあ、嫁入り前に男と同衾するかい?」
「ど、どどどど同衾って!そんな事するわけないでしょ!」
「なら、選択肢は無いだろう、言っておくが1人で寝るのは安全上却下だぞ。それに、もし子爵と一緒の部屋に泊まった事が
ご両親にバレたらやばいんじゃないのか?
 第一、キュルケに貸しを作るのが嫌なら、部屋代を折半すればいいだろう。」
「た、確かに。それなら一応の言い訳は立つわね…、じゃあお願いキュルケ。」

ヒューの意見にルイズはしぶしぶ応じる事にした。確かに、旅先でヒューと同じ部屋に泊まるわけにはいかなかったし、それ
が婚約者とはいえ、ワルドと同じ部屋で泊まるという事になると、ヒューが言うようにあの両親が怖すぎた。
宿代を折半にすれば貸しを作る事にもならないから、まだいい方だろう。

なんとか落ち着いたルイズを横目に、キュルケはワルドに話しかけていた。

「という事よ、ごめんなさいね色男さん。」
「いや、確かに彼が言うとおりだよ。
 婚約者とはいえ結婚前のお姫様と同じ部屋に泊まろうとは…、少し気が急いているのかな。
 それに、彼女のご両親にも睨まれたくは無いしね。」

冗談めかした会話をするワルドに、ヒューが横合いから話しかけてくる。

「歓談中済まないんだが子爵、俺とギーシュの部屋の鍵をくれないか。」
「ん?ああ、いいとも。」

鍵を受け取って、部屋へと去っていくヒューの疲れ切った背中を見たワルドは、不安そうにキュルケに零す。

「彼は、大丈夫なのか?」
「彼って…ああ、ヒューの事?慣れない乗馬なんてしたから疲れてるのよ。」
「乗馬に慣れていないだって?不思議な話もあるものだな。聞いた話では、彼はメイジだそうじゃないか。
 期待していたんだが、これは期待外れという事か。」
「馬で移動する習慣がなかったみたいね。乗馬の練習は、ここ最近始めたって話だもの。
 腕前の方は…、まぁ自分で確かめてみなさいな。」

幾分か、からかう様な口ぶりでヒューを評したキュルケが、同室になる2人を連れてカウンターへ向かう。
その場に残ったワルドは、ヒューとギーシュが登った階段を冷めた瞳で見て、一人呟いた。

「ああ、そうさせてもらおう。」
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:17:54 ID:JVOW98k5
支援
233ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/06(金) 00:19:26 ID:U0vd7fEU
支援ありがとうございました。今回はこれにて終了、運命の扉を閉じます。

今回少しヒューの格好悪い所を見せてしまいましたが、ニューロエイジの死に掛け探偵ですし、しょうがないじゃない。
というか、1週間でこれだけ乗れれば大したものだと思うんですが。
(私なら未だ普通に歩かせる事すらできていないだろう…orz)

とりあえず次回はフネに乗るまでか、空賊襲撃までを予定しています。
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:20:45 ID:AATCLjYl
>>3

残念だったな、4月から放送されるハルヒは「一期の再放送」だ

…二期の新情報なんてねーよorz
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:21:41 ID:G80dxx9P
おつかれー
主人公が主人公だからだろうか?休憩場所がジャンクフード店みたいなイメージが湧いてしまった。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:23:14 ID:JVOW98k5
まあそうだよね
自転車に乗り始めて一週間の人間が離れた町まで遠乗りするようなもんだ
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:24:11 ID:Lx+gSBwr
>>235
私は忍た○とかに出てくるお団子屋さんを想像してしまった。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 00:24:51 ID:Z640I2VW
乙です。
今までが戦闘、知識、人間面で完璧だったぶん
弱みを見せられると萌えますね。萌えますね?
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 03:01:15 ID:RgvqL5CH
御晩です
卒論の追い込みと後期試験がやっとこ一段落して久し振りに来たら、何か久保の人が行方不明とか
ログ読もうにも読めないんでお訊きしたいんですが、何事かあったんですか?
このレスの情報から類推するに、脳髄だけの状態が拙かった?

もし、このネタが御法度の様なら無視して下さい(_ _)
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 03:42:01 ID:l7g0iNfr
たかだか数ヶ月更新が途絶えただけで行方不明扱いとか…
仮にもう更新されないとしても、そんな作品いくらでもあるだろ。
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 04:19:08 ID:hu2YMADk
なんにもないよ。
ただ更新されてないだけ。書くの辞めたかどうかは知らない。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 04:27:14 ID:X2YQuv/V
久保に限らず最終投下から期間があいてるけど作品を応援してるとか
期間があいてるから作者が心配とかなら避難所の応援スレでいったほうがいい

本スレだと作者もレスしづらいし
応援スレでのレスで再開する書き手も多い
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 04:35:31 ID:y6k/ddZs
久保久保言ってるから最初ブリーチの作者を召喚したSSが出たのかと思った
馬鹿でゴメンね
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 07:36:04 ID:tTuTsEsZ
十一番隊隊長の更木剣八召喚
ところが死神は霊感が強くないと見えないのだった
誰も居なくなった茜空の草原にぽつんと立ち尽くす剣八…完!


ってのは冗談だけどwボロボロの血刀ぶら下げて登場して生徒gkbrになればいいと思うよw
機嫌損ねたら首落とされそうだけど、案外ルイズならクソガキの戯言で流してもらえるんじゃないか
外見的にもやちると被るしね
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 07:42:45 ID:HloANBQt
まぁいきなり少女の首を飛ばしたりはしない…と思う
ギーシュフーケワルドはご冥福を(ry
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 08:11:53 ID:q2q0OFxI
>>245

下手すりゃ5万に突撃して大暴れだなw

まぁ他の隊長はもっとヤベェけどww
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 08:12:27 ID:tyq2+gTM
何気に危険な使い魔多すぎね?
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 08:42:44 ID:2uNr5djc
>>247
何を今更
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 09:10:23 ID:3TuePpVp
卑猥というかH関係での危険で考えるなら、
ご立派様、ユリア100式、おっぱい星人、鬼作が盗んだ自転車+少女、
いや、鬼作は泣きゲーか……。
そういえば、卑猥というかH表現ってどこまでならいいのだろうか?
気さくな王女もちょっとHだったし、ユリアは……、おっぱい星人は
まあ、ギャグとして……ご立派様はうん。ご立派。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 09:12:30 ID:zOby9kNG
>249
避難所で投下されてたのが多いな
職人が気になるくらいなら避難所ってことか
251Zero May Cry:2009/02/06(金) 09:26:16 ID:x2ni2mBj
あまり人がいなさそうな時間に投下しようとする自分
ということで予約なければ30分頃に第7話投下させてもらいますね
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 09:28:57 ID:7KBW/yk5
しかし居るんだなこれが
支援
253Zero May Cry:2009/02/06(金) 09:30:59 ID:x2ni2mBj
Zero May Cry - 07


 その日の夜。
 昼の決闘の一件が嘘だったかのように何事もなく生徒達の一日は終わりを迎える。

 ―――はずだったが。

「……よく考えれば今日はロクなもの食ってないな」

 そう言ってネロは寝ているルイズを起こさぬように彼女の部屋を後にした。
 確かにネロはいくら腹が空いていようが飯で釣られるような男ではないが、流石に一日中何も食べなければ我慢するのも限界だ。

 そんな彼が廊下に出た時。

「あっ、ネロさん」
「シエスタか」

 そこにいたのはメイド服の少女だった。一応彼女も昼の決闘を見ていた者の一人だ。

「あの、昼間は……大丈夫でしたか?」
「あんたには俺が怪我したように見えたのか?」
「いえ……そんなことはないですけど……」

 タフな笑みを浮かべるネロに思わず苦笑いするシエスタ。
 そんな彼女はとある疑問を彼にぶつける。

「あの、それでネロさん。こんな時間に何処へ行くおつもりだったんですか?」
「ああそうだ。シエスタ、どっかに飯が食える場所はないのか?」

 ネロのその一言に、彼女は笑って答えた。

「残り物で宜しければ、食堂のほうにいけばありますよ」








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








「中々旨いな、オッサン」
「ガッハッハッハ! 気取らねぇところも気に入ったぜ! 流石は貴族の小僧に勝った男だな!」
「あんなのは只の遊びだぜ。こっちは武器を抜いてもないんだからな」
「皆聞いたか!? 真の達人はこんなにも謙虚な物言いをするもんだぜ! こうなりゃ我らの剣じゃなくて我らの英雄か?」
「止めろよ、英雄なんて。ガラじゃねえ」
254Zero May Cry:2009/02/06(金) 09:32:21 ID:x2ni2mBj
 そう言ってネロは相変わらず大声で笑う料理長、マルトーの方へ綺麗になった皿を差し出した。

「おうおう! イイ食いっぷりだねぇ! 残ってる分、全部食っちまいな!」

 マルトーはそう言うと鍋に残っていたシチューを大きい皿に盛ってネロの前に持ってきた。

「……流石に多すぎだろ、こいつは」
「何言ってんだ我らが英雄! これぐらい、ぺろりと食っちまいな!」
「……やれやれ。完璧なオーダーミスだな」

 口では皮肉を言いつつ、しかしネロはスプーンを手に取って目の前の大盛りシチューを食べ始めた。
 折角出してもらった料理を残すのも悪いなどという殊勝な思いがネロにあるはずもないが、この時ばかりはネロは目の前の料理を残すまいと手を動かした。

 やがてネロの前には綺麗になった皿だけが残った。
 口元を拭いながらネロは水を呷る。当のマルトーはネロの食べっぷりに感激したらしく、彼に向かってアツい抱擁をしようと飛びついてきた。

「お前さんって奴ぁ……! どこまでもイカした奴だよ!」
「おいおい、落ちつけよオッサン」

 すかさずネロはマルトーを避けるために左手で彼の顔を押し退けたが、そんな様子を見ていたシエスタが叫ぶ。

「ダメですよ、マルトーさん! ネロさん、右腕を怪我してるんですから!」

 言われて、マルトーは初めてネロの右腕が包帯とギプスで覆われてるのに気づく。そしてネロに済まなそうに頭を下げた。

「お、おっ。済まねぇ、ネロ! 気が付かなかったぜ」
「別に。気にすんなよ」
「それにしても、お前さん怪我した体で貴族の小僧を負かしたのか? てぇしたモンだな、オイ!」

 豪快に笑ってマルトーはネロの背中をばしばしと叩いた。
 本来ならばネロはこうした人付き合いは好むところではない。普段の彼ならば煩わしさでマルトーにも冷たく当たっていることろだろう。
 しかし食べるものを用意してもらった手前、ネロは何時もの皮肉なセリフを引っ込めて薄く笑うだけだった。
 そんな二人を見ながら、シエスタも嬉しそうにその顔から笑みをこぼしていた。


 貴族は居らず、平民だけの食堂には何とも言えぬ暖かい時間が流れた―――。





 やがて食堂を後にしたネロはシエスタに見送られていた。

「ネロさん……。とてもお強いんですね。本当は魔法も使えるんじゃ……」

 シエスタのその言葉にネロはかぶりを振って答えた。

「俺は魔法のお勉強なんかしたことないぜ?」

 その言葉を受け、シエスタはネロを見やった。彼の顔は夜空に浮かぶ二つの月に向けられている。
 しかし、そんな彼の表情はどこか悲しさと寂しさを引き連れていた。

 ―――月が二つか……。やっぱり、俺の考えは正しかったんだな―――
255Zero May Cry:2009/02/06(金) 09:34:11 ID:x2ni2mBj
 空に月が二つも存在しているのを普通の人間が見たら驚きに腰を抜かす所だが、ネロは一度己の中でこの世界を異世界と判断していたため、さほど驚きはなかった。

 それよりも、本当に自分は異世界に来てしまったという失意。もう元の世界には帰れないのかという不安。それらの方が大きかった。

「あの……ネロさん?」

 そんなネロの横顔を見ていたシエスタは少し悲しい瞳でネロへ声をかけた。
 ネロは彼女の心境を悟ったのか、それとも己の心境を悟られたくなかったのか、何時もの不敵な笑みを浮かべながら言った。

「そんなシケた顔すんなよ。こっちまで気が滅入るぜ」
「え………」

 そう言ったネロの顔を目にしてシエスタは思わず顔を赤らめたが、ネロはその言葉を放つと同時に彼女に背を向けて歩き出していた。
 その背中にシエスタは、勇気を出して、声をかけた。

「ネロさーん! おやすみなさーい!」

 背中から聞こえたその言葉にネロは思わず唇を笑みに歪め、振り返らずに手を振りながらその場を後にした。
 シエスタは素っ気無いネロの反応に満足したのか、僅かに笑みを浮かべたままネロの背中を見送った。








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








 ルイズの部屋の前まで戻ってくると、巨大なトカゲのような生き物がネロを迎えた。思わずそれを凝視するネロ。
 無言の睨み合い――その前に相手は言葉を話せないが――の様にも見受けられる。しかし、大きなトカゲはネロの方へ近寄ってくると彼のコートの裾を口で引っ張ってきた。

「……なんだ? 遊んで欲しいのか?」

 その言葉を受けると、トカゲはキュルキュルと鳴きながらルイズの部屋の隣の部屋―――キュルケという名の生徒の部屋へ入ってゆく。扉は開いたままだ。
 訝しげに首を捻ったネロだが、恐らくは入って来いということなのだろう。ネロは好奇心に負けてトカゲの後を付いてゆく。

 そんなネロが部屋のドアを潜ると。

「……………」
256Zero May Cry:2009/02/06(金) 09:35:08 ID:x2ni2mBj
 部屋の中は薄暗く、数本の蝋燭の火と、先ほどのでかいトカゲの尻尾に灯っている炎以外の光源はない。
 そんな部屋にいたのは何とも悩ましい服を来ているキュルケの姿だった。彼女はネロより年下とは言え、体型の方は抜群のプロポーションを持っている。
 思わずネロは彼女から視線を逸らして尋ねた。

「……何の用だ?」
「まずは扉を閉めてくださらない……?」

 言われたとおりに部屋の扉を閉めるネロ。するとそんなネロにキュルケが歩み寄った。

「ようこそ、私のスウィートルームへ……。私はキュルケ。よろしくね。貴方はネロ……で宜しいかしら?」
「……一応な」

 相変わらずキュルケと視線を合わせないまま、ネロは言葉を続けた。

「それで? 俺に何の用があるんだ?」
「あなたをここに呼んだ理由……?」

 ネロはキュルケから視線を逸らしたまま、無言で頷いた。
 本当はすぐにでもこの部屋から出たかったがこの雰囲気がどうもそうさせてくれない。

「私の二つ名は、『微熱』。ご存知でしたかしら?」
「……生憎熱っぽいのは嫌いでね」

 皮肉なセリフを言い放つネロにも、キュルケはクスリと妖艶な笑みを浮かべるだけだ。
 彼女はいつまで経っても視線を合わせないネロのすぐ近くまで歩み寄ると、

「『微熱』の私は、松明みたいに燃え上がりやすいの。それがどういう事か……分かる?」

 と、艶めかしい態度でネロに尋ねる。
 しかしネロはやれやれと首を振ってウンザリしたように声を出した。

「俺の質問に答えてないぜ」

 「あら……」と呟きつつキュルケは悪戯っぽい笑みを浮かべてネロを見つめた。
 一方ネロの方は心底迷惑そうな顔を見せている。

「私……恋しちゃったのよ? あなたに」

 流石のネロもこの一言には面喰ったように驚いた。
 恐らく、異性の人からここまで露骨に告白されたことなど初めてのことだろう。

「はぁ……。恋って、突然よね。ホントに……」
「そりゃ大変だな」
「あなたがギーシュを素手で倒した姿を見た瞬間、私は痺れてしまったのよ!」
「おっと」

 突如抱き着いてきたキュルケを、ネロは咄嗟に華麗な回避をして――いわゆるテーブルホッパーという奴だ――床へ倒れたキュルケを見やった。
 当のキュルケは上半身を起こし、これまた悩まし顔をして彼へ言った。

「もしかして……激しいのはお嫌い?」

 万人を虜にさせる美少女がこんな顔をしてこんなセリフを言えば男なら誰しもが陶然としてしまうことだろう。
 しかしネロに限った話で言えば、彼には既に心に決めた人がいる。ネロは咄嗟にキュルケから視線を逸らして答えた。
257Zero May Cry:2009/02/06(金) 09:36:10 ID:x2ni2mBj
「……そういう問題じゃないだろ」

 心なしか、声のトーンが先ほどより落ちているような気もしないでもない。
 甘えるような眼差しで己を見つめるキュルケに、流石のネロも動揺しているようだ。彼も男ということだろう。

「燃えるような恋の前ではどんな問題も些末なことよ?」

 ―――オイオイ、勘弁してくれ……。

 こういう手合の女性は、ネロが最も苦手とするところだった。彼の他人と関わりたがらない性格のせいもあるだろう。
 しかも彼はその性格とは裏腹に意外と純なところがあるせいか、愛しい人以外の女性とは付き合いが薄い。それゆえネロはこういうシーンに慣れていないのだ。
 ネロの鼻白ろんだ顔にキュルケの顔が近づいた瞬間―――部屋の窓が大きな音を立てて開いた。

「キュルケ!」

 声を上げた生徒の一人と思しき男が、部屋の窓越しにこちらを睨みつけている。
 それに対してキュルケは、まるでなんでもないように「あら、スティックス」とだけ言った。
 ステイックスと呼ばれた男はそんなキュルケに対して不満のこもった声で抗議する。

「待ち合わせの時間に君が来ないから来てみれば……!」
「じゃあ二時間後に変更して♪」
「話が違う!」

 さらりと酷い事をいうキュルケ。男の反論もやむなしというものだろう。しかし引き下がらない男に対して、キュルケはさらに酷い仕打ちを敢行した。
 蝋燭の炎を蛇のようにして男に撃ちだす。それに直撃した男は有無を言わずに落下して二人の前から姿を消した。

「いいのかよ?」
「いいのよ。レディのプライベートを邪魔する輩にはあれぐらい」

 「それより……」と呟いたキュルケの視線がネロへ戻る。その瞳に見つめられてネロは己の置かれていた状況を思い出した。
 今の内に逃げれば良かった―――と後悔するのも遅く、ネロは再びキュルケに迫られる。

「とにかく、今私が一番愛してるのは……」

 と、その時。

「キュルケ!」

 なんかさっきも似たような台詞を聞いたな―――そんな思考をするネロの視線の先は、先ほどと同じように窓へ向けられている。
 そこにいたのは先ほどとは別の男だったが先ほどの男と同じ理由で怒ってそうな男が一人。彼も学院の生徒のようだ。

「その男は誰だ! 今夜は僕と激しく燃え上が――のわああぁ!」

 ああ、不幸な奴だな―――とネロから心の中で同情された生徒は、台詞を皆まで言い終える事なく先ほどの男と同じようにキュルケ自身に撃ち落された。
 当のキュルケはまたすぐにネロの方へ向き直って愛の言葉を並べる。

「とにかく、夜は短いわ。あなたとの貴重な時間を………」
「「「キュルケ!!!」」」
258Zero May Cry:2009/02/06(金) 09:37:36 ID:x2ni2mBj
 今度は三人分の叫びだった。ネロもこの部屋に来てから驚きの連続だ。

「「「何してる! 恋人はいないって言ってたじゃないか!!」」」

 ―――じゃあお前ら、今体引っ張り合ってる男は何だと思ってんだ―――と、ネロが最もなツッコミをする。勿論心の中で。
 流石のキュルケもこれには動揺したようで、焦った表情を見せている。

「マニカン! エイジャックス! ギムリン! ええと、それじゃ六時間後に!」
「「「朝じゃないか!!」」」

 最もな反論をする三人の対処に困ったのか、彼女は一言、

「フレイム!」

 と己の使い魔の名を呼ぶ。すると直後にその使い魔が起こした炎によって、三人まとめて吹っ飛ばされてしまった。
 三人分の悲鳴を聞きながらネロは彼らしくもなく冷や汗を流しながら呟いた。

「……オイオイ」

 そう言ったネロの顔を見つめ、キュルケは微笑すると今度こそネロへ抱き着く。
 どこぞの十七歳の高校生とは違って、ネロは身長も高く体付きも良い。流石にキュルケが押し倒すことはできないが、ネロが動揺するにはそれで十分だった。

「愛してるわ……ネロ……」
「……悪いが、夜の相手ならキャンセルするよ。さっきの男どもで元気をなくしちまったからな」

 相変わらずキュルケと視線を合わせないようにして――それがキュルケの女心をくすぐるのだが――ネロは彼女の体を引き剥がそうとした。
 するとその瞬間。

「キュルケ!!」

 先ほどの男たちよりも高く、大きな声が部屋に響いた。それも今度は窓からではない。扉の方からだ。
 声の正体はルイズだった。彼女はキュルケと共にいるネロを目にして柳眉を逆立てて叫ぶ。

「ネロ!!? あんた、やっぱりここにいたのね!!?」

 間違いなくご立腹の様子だ。恐らくネロがキュルケと親しげにしていると勘違いしているのだろう。
 ネロはそんなルイズを目にして面倒臭そうに嘆息した。

「あ、ああああんたご主人さまに内緒で、よよ、よりにもよってツェルプストーと一緒いるなんて………!」
「あらルイズ、ネロを取られて妬いてるの?」
「なっ、ななななな………!」

 ルイズに取っては、別に妬いているというよりも自分の使い魔が憎きツェルプストーと一緒にいるのが我慢できなかったのだが、何故か彼女は顔を真っ赤にさせて声を張り上げた。

「そそ、そんなわけないでしょ! とにかく、今すぐネロから離れなさいよ!」

 だが、その時既にネロはキュルケから離れ、部屋の扉―――即ちルイズの方へ歩き出していた。

「あっ、ダーリン……」

 名残惜しそうなキュルケに、やはりネロは迷惑そうな顔をしながら背を向けて言った。
259Zero May Cry:2009/02/06(金) 09:38:07 ID:x2ni2mBj
「悪いな。その……こういうのは、またな」
「またなんてあるわけないでしょ! さっさと行くわよ!」

 ルイズは強引にネロを連れて行こうとしたが、誰かさんとは違って彼の体格ではそうは行かない。耳を掴もうにも耳へ手が届かない。
 ネロは逆にそんなルイズの体をひょいと持ち上げて、キュルケの方を見ないようにしながら彼女へ軽く手を振った。

「じゃあな」
「もしルイズに嫌になったらいつでも私のところへ来てね、ダーリン」

 ルイズは未だにネロへ未練を持つキュルケへ、ネロに抱えられた状態で子供のように「べー」と舌を出していた。
 キュルケはそんなルイズに対してまるで知らん顔をしていた。流石にこの辺りは大人らしい。


 ―――ともあれ、その後の部屋に戻ってのルイズの説教を含めれば、ネロにとっては散々な一日だったと言えよう。








―――to be continued…….
260Zero May Cry:2009/02/06(金) 09:40:17 ID:x2ni2mBj
以上で投下終了です
未だに自分の中での「ネロ」が構築できていないような気がしますね
精進しなければ………

次もヨロシクです
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 09:58:47 ID:f41wCEwy
>249
Bまでならオッケーと思っているが自分は避難所に投下するぜ
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 10:02:16 ID:q2q0OFxI
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 10:05:03 ID:q2q0OFxI
>>261

Bは18禁だろうw
だが読みたいので是非とも避難所に
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 10:33:00 ID:VljJI1ZD
テンプレにはエロパロにって書いて有るな
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 10:35:37 ID:tTuTsEsZ
「Bまでなら…」つまり火星田マチ子召喚か
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 10:41:18 ID:q2q0OFxI
>>264

確かに、スマソ。ちょっと吊ってくるorz。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 10:49:08 ID:VljJI1ZD
確かウィキに載せられないとかで避難所もNGになったんだったか
まあ十八禁の話でチョイエロなら大丈夫なんじゃないん?
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 10:50:05 ID:q/4LmpGG
Aもダメにしておけば、コントラクトサーバント出来ずにスレ自体が終わる。
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 10:51:49 ID:60r4Jyof
サーバントなら出来なくても問題ない
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 11:48:01 ID:EHqDMCwp
ムチで叩く、縛る、股関を蹴り上げる、床で食わせる等の御褒美は18禁なので不可ですね
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 12:28:01 ID:zsbgiRRl
なるほど
ゼロ魔は18禁だったのか
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 12:42:55 ID:/EfutRlO
>>271
ひでぇ結論だなw
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 12:43:12 ID:w+zz013v
時々15禁ぐらいだろ。普段は12禁?
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 12:48:44 ID:60r4Jyof
全年齢でレモンちゃんはないわ
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 12:53:46 ID:3HoEsIHN
B禁止といっても原作でもテファの胸揉んでたりするしなぁ
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 13:05:20 ID:zOby9kNG
あれは按摩の一種と言うことで
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 13:15:24 ID:k1dRBiK2
才人直伝のおっぱい体操ですね。わかります。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 13:47:07 ID:3aMpVSwG
同じノボルが書いてるストライクウィッチーズいらん子中隊は劇中で女の子同士で
3Pとかやってるんだが。あと下着に指を滑り込ませて“女の子の引き金”を引かれたり。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 14:27:56 ID:3rNl4LoE
朝チュンはどうなん?
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 14:31:18 ID:9rBQAYI+
>>278
wikiで見てみたらこれにも日野聡さんが出演してるのにちょっと驚いた
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 14:39:42 ID:Kxjek4F+
>>274
防犯アラームですね わかります
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 14:55:42 ID:zOby9kNG
原作者が全年齢向けライトノベルでやってることは全部OKってことで
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 14:57:15 ID:UxIL8ABt
タバサのスカートに手を突っ込んだり
裸エプロンしたり生クリームプレイしたりだな。
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 15:28:38 ID:8/XBxEL6
天井の染みを1時間数えてるもん、も追加で。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 15:58:27 ID:SC0PAsWD
ところでまとめサイトを携帯で更新ってできる?
ゼロの魔王伝の続きを登録したい
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 16:08:01 ID:l7g0iNfr
できん
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 16:13:50 ID:8jsBVQCs
全年齢向けライトノベルというだけにしちゃうとガチやおいとかガチの本番エロとか
やってる人もいるからな…別レーベルだが。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 16:29:09 ID:LHbxMAxd
他の回では特にそういう描写は無いけど、
ある1話だけはエロ有りとかだとその回だけエロパロ行き?
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 16:32:10 ID:f41wCEwy
>287
っかのこん

同じMFJ文庫だがあれはもうエロ通り越して下品だが
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 16:52:59 ID:LsRaSoA1
ゼロの使い魔の方がよっぽどエロゲ
と言われるだけあるな
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 16:53:59 ID:CUJuyKFL
だって作者が……
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 16:58:00 ID:/EfutRlO
>>291

まて! それ以上言うと消されるぞ!
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:06:37 ID:LiUA0VbK
お前たち、慌てるな。
これは孔明の罠だ。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:08:55 ID:ZHFAdgWD
やっぱりレモンちゃんはないと思うわけで
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:09:30 ID:q2q0OFxI
てかイラスト書いてる人も…
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:10:37 ID:UxIL8ABt
>>294
だってサイトだし。
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:16:22 ID:zOby9kNG
だがレモン以外の何があるというのだろう
らっきょやピーマンでもいいとは思えない
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:16:46 ID:CUJuyKFL
りんご?
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:26:57 ID:2uNr5djc
チェリーだと意味合いが違ってくるしなぁ
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:35:00 ID:CUJuyKFL
青い果実
これでおk
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:37:53 ID:ZHFAdgWD
>>297
メロンだとルイズじゃ足りないから
ざくろとかイチジクが適当か?
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:39:04 ID:8/XBxEL6
イチゴならそれっぽいかも。でもまあ、確かに、レモンが一番イメージ通りではあるな。
ちなみにメロンちゃんは胸革命です。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:43:49 ID:CUJuyKFL
スイカとメロンだとどっちのが大きいんだろうか?
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:46:12 ID:ZHFAdgWD
>>303
スイカでしょ
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:46:19 ID:LiUA0VbK
スイカの方がでかいが、メロンは果物、スイカは野菜だ。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:50:27 ID:2uNr5djc
メロンは野菜だぞ
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:52:16 ID:YGUocJjB
ルイズも「貧乳はステータスだ」と開き直ることが出来たなら、道は開けただろうに。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:52:36 ID:LiUA0VbK
途中で送信しちまった・・・
同じウリ科なのに、メロンだけは市場で果物扱い。
つまりメロンは特別扱いされるということだ
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:55:31 ID:4I9PFUzC
レモンモンちゃん
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:59:09 ID:m0fVjvrk
つまりカリンはママレモン!
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:01:08 ID:q2q0OFxI
スイカ=テファ
メロン=キュルケでよくね?
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:03:09 ID:4I9PFUzC
>>310
上手い!銀河烈風カリンとかw
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:03:34 ID:q2q0OFxI
つか木にならない果実は全て野菜だった希ガス。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:19:39 ID:QvEZCcfx
でも中学のとき家庭科の先生にメロンとスイカが果物で教科書に乗ってますっつったら
食物学(栄養学だったかな?)では果物分類されるって言われたことあるな
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:20:20 ID:bspKL1ib
クロスキャラはほとんど男だから、その点で比較されることは少ないな。
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:24:42 ID:Tf7UGP+J
>>313
それだとバナナもイチゴも野菜なのか、と思って調べてみたらその通りだった。

まあ、農水省の分類では、ってことだけど。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:27:30 ID:m6fxx8HG
>>246
わんこ隊長なら大丈夫だと思う。
外見も可愛い人外だし強い上にやさしい。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:36:34 ID:YGUocJjB
しかし、女性キャラが召喚されるとまずルイズは胸に注目して敵味方識別を行うのが通例です。
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:36:48 ID:8aDmUKpG
ドリアンは毒物だと思います、押忍
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:38:25 ID:c6grOa1Z
イチゴが成ってるアレって木じゃないのか
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:46:01 ID:Tf7UGP+J
>>320
イチゴは地面に這ってる蔓に生るんだよ。
イチゴ狩りとかやればわかる。

瓜もそうだよね。

あと、バナナは木に見えるけど草。
太くて硬くて大きいけど、草。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:48:55 ID:KJjAdNV2
ずいぶんご立派なんだな・・・
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 18:54:19 ID:Tf7UGP+J
>>322
バナナの木(厳密には草)が召喚されました。


ご立派な使い魔……




ごめん。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 19:22:54 ID:q2q0OFxI
>>317

その手があったか…
わんこ隊長なら大当たりな希ガス。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 19:32:32 ID:8aDmUKpG
バナナの皮を剥いてねっとりと嘗め回すようにキスするルイズですねわかります
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 19:33:18 ID:IiWKzHMF
スイカもメロンも食い物としての一般分類上は果物だ

もちろん農産物分類上は野菜であることは既出の通りだが
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 19:34:09 ID:tTuTsEsZ
八番隊長と十三番隊長だって温厚で激強だぞ?黒星無いし
まあセクハラ的な問題や吐血的な問題で当たりとは言いにくい気はするけど
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 19:43:07 ID:zc/nLQNP
もうポッカのレモンマン呼べよ
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 19:50:44 ID:9Yp6aRQs
間をとってオカレモンでひとつ
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 19:58:33 ID:CnOWVyad
じゃあホモ★レモンで
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:04:51 ID:8aDmUKpG
マユリさまが無能王に呼ばれました

メイジという面白そうな研究材料と実験材料に不自由せずに済むようになって
大変ハッピーな日々をすごせそうだな
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:13:22 ID:CdXBNylK
怖えええええ
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:25:50 ID:8aDmUKpG
あと果物話で思い出したが
農業系の人って今までに召喚されてたっけ?
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:31:05 ID:kAQlNaub
偶然ハルケギニアに迷い込んで、タルブでワイン事業を興した銀河帝国の方ならいましたが。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:32:40 ID:OE1HGcIB
農業系……アストロノーカとかそのへん?
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:33:07 ID:ZHFAdgWD
>>335
牧場物語とかじゃね?
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:36:23 ID:CUJuyKFL
東の人間牧場のマグニスを…
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:42:40 ID:0YMmeT1z
陸上戦艦大和召喚。
上様の命により小麦収穫&小麦粉をおかずに小麦粉を主食として食う様を見て
ジョゼフが「ア、アグリカルチャー!」とひっくりかえるわけですね、わ(ry
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:46:25 ID:JwEhKKp0
農業系・・・・

魔界でメロン栽培に勤しむビクトリームを召喚とか・・・
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:46:56 ID:EHqDMCwp
ハクオロが肥料を教えてた
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:47:18 ID:LFb4gT4j
加持さん召喚してスイカ畑を・・・!
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:48:57 ID:2O39SKwS
>>333
独立愚連隊は農業系の大学出身だった気がする。職業軍人だけど。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:49:14 ID:rtFm8hDu
>>338
小麦粉主食って、もちろん調理して食うんだよね?
生のままの小麦粉食うわけじゃないよね?
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:52:18 ID:DYbP2nZm
サイボーグじいちゃんを是非
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:54:26 ID:bspKL1ib
スイカ畑を召喚したらケムジラも付いてきて、さらにそれを追って火竜山脈から…
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:58:10 ID:lklswO9+
4コマの「耕してマイダーリン」
ダメだマイナーすぎる
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:58:11 ID:UCk3JvAb
牧場物語というかルーンファクトリーからならきっと違和感なく馴染めるはず!
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:04:34 ID:CdXBNylK
学園の庭で野菜作ったり生徒と出来たりしそうだな、牧場物語だと
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:07:35 ID:lakA+dgR
ミストさんによってトリステインが一面カブ畑に…
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:14:57 ID:2uNr5djc
ここは野菜を育てることにかけては定評のある津上翔一をですね。
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:19:11 ID:blPzzo1S
ミョズな錬金術師が菜園作ってたよーな…
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:20:21 ID:0rrFz1OK
道尾幸司(みちおこうじ)は・・・・・・・・工事関係だし
農業には関係無いね
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:21:20 ID:HloANBQt
ギーシュが…
そういえばギーシュがその場で即座にボコられることってあんま無いよね
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:22:14 ID:HloANBQt
>>353>>337へのレスです
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:24:11 ID:sbhaNWlH
>>337
マグニスさま、だ…ブタが
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:28:49 ID:SCVaUX1p
そういやギーシュが土いじりしてるのもあるな

悪魔くんに改造されて
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:37:40 ID:lOvdzXeh
>>350
トリニティーフォームでリアルガンダールヴするんですねわかりますw
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:41:01 ID:ZHFAdgWD
豚の真似をしたら助けてやろう
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:41:23 ID:uQnN5vUq
一巻を何気なく見直してみたんだが、「さてと、始祖ナントカ。女王様
ほんとにささやかで粗末な食事をコンちくしょう、いただきます」
ブリミルが女って言うのは、サイトの勘違い?
360ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:42:10 ID:82Ox+BSp
外伝の投下予告させていただきます。
21時50分を予定しております。
今回はギャグで前編となっております。
いろいろと酷いです。
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:43:08 ID:pGM39tIv
アラビア語で頼む
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:43:47 ID:60r4Jyof
>>350
キャベツケーキは勘弁

>>359
女王様はアンアンのことだろ
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:44:35 ID:uQnN5vUq
>>362
素で忘れてた。
と言うわけで支援
364ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:50:11 ID:82Ox+BSp
生き物は何かしらの思いを持って生きている。
「お姉さまったら、本当にひどいのね」
タバサの友人である、シルフィードは自身の友人の事で憤慨していた。
「最近扱いがひどかったけど、あの青トンガリが来てから、更に酷くなったような気がするのね」
最近現れた、タバサの使い魔を頭に浮かべながら、矛先をそちらに向ける。
数年前、自身が森で怪我した際に、彼女はタバサに助けられた。タバサの両親はシルフィードを快く迎え、大事に扱われた。
シルフィードはタバサとその家族を好きになり、彼女達と生きていく事を選んだ。
そして、今の境遇に置いてからは、更に彼女の元にいたいと思った。
「だいたい、なんなのね、アイツは召喚された上にお姉さまの騎士気取りなんて」
タバサの使い魔であるゼータの騎士としての振る舞いが何より鼻持ちならなかった。
シルフィードが見たこともない容姿に人の言葉を話し、
あまつさえタバサと共に食事を取るゼータが羨ましくも有り、自身の居場所と存在を蔑にする事をシルフィードは直感で悟った。
「あんなのが騎士なんて、お笑い草なのね、鏡で自分の姿を見てから言えって事なのね」
シルフィードからすれば、ゼータの容姿はタバサの周りに居る物としては相応しくなかった。
剣の腕は立つようだが、自身は竜それもブレスや先住魔法も使える伝説と言われた韻竜である。
少なくともゴーレムもどきとは比べられる物では無かった。
「この間も、私よりも態度が上と言わん態度だったのね」
ゼータはシルフィードがタバサの友人であるから、彼女に別段敬意を払う訳でもない。
「あきらかに、私の方が付き合いも含めて格上なのに、お姉さまはどうしてそこら辺を解ってくれないのね」
主が使い魔に序列を教えない事が一番の不満であった。

人は何かしらの願望を持って生きている。
ジャン・コルベールは落胆していた。
「なんで私の発明を認めてくれないのでしょう・・・・」
今日、自分の授業時間にやった、油で物を動かすと言う発表は生徒たちから不評よりも疑問すら投げかけられなかった。
火薬に鉱石を混ぜてその色を楽しむと言うのも、魔法の方が綺麗の一言で済まされてしまった。
生徒達はコルベールの行いを、物を投げれば下に落ちてくると同じ程度に思わなかった。
コルベールの人生は火と共にあった。彼はその事を恨みもした。
しかし、彼は今では誰よりも火を好んでいた。
「誰か、私の発明を分かってくれる人はいないのですかね・・・」
心配する必要のなくなった頭を、コルベールは抱えていた。

人は常に愛に悩んでいる。
ギーシュ・ド・グラモンはその患者とも言えた。
「ああ、モンモランシー」
ギーシュは昨夜の逢瀬の事を振り返る。
だが、その顔は喜びからはとても遠い所にあった。
(昨日はいつもどおりだった・・・けど)
「モンモランシーは僕に不満を持っている」
昨日の彼女は不機嫌では無かった。
むしろここ最近は平穏とも言える。しかし、ギーシュから見て彼女の顔は何かしらの不満を持っていた。
二人の間は一年の頃からそう変わらない。
だからこそ、この状況そして、彼女の反応が彼の危機感を煽っていた。
365ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:50:44 ID:82Ox+BSp
昼 アルヴィーズ食堂
食堂では二人の生徒がある問題について喋っていた。
「ミリーナ、どうだい調子は」
男は期待では無く、答えを知っているような声で聞いた。
「ヨシュア先輩・・・・・はっきり言って余り状況はよくありません。ヨシュア先輩は?」
ミリーナは先輩であるヨシュアに報告する。お互い解っているが報告する側はにこやかにとは行かない。
「そうか、こちらも状況は良いとは言えない、
まぁこの問題は前から上がっていた事だ。今更動どうにもならないよ」
ヨシュアは自身が長く関わって来ただけに、その問題の難しさを理解していた。
「毎年、参加者が余り居ないですけど、駄目ですね賞品の魅力が落ちたのが一つと、彼がいますから」
自身の調べた事の結果を思い出しながら、ミリーナは溜息をつく。
「それは解っているよ、ミリーナ。けど、僕にとってはこれが最後なんだ、三年間の集大成でもあるんだ、
人は大した事とは思わないかも知れないけど、僕は何としてもこれを成功させたいんだ。」
会ってまだ短い付き合いであるが、彼はこの事を語る時はいつも真剣だ。
「はい、解っています。」
気持ちは曖昧ながらも、ミリーナは彼の真剣さに思わず返事する。
(解ってはいるんだけど・・・・)
ミリーナは自身の課題の障害を思い浮かべる
(普通、誰が「激闘・鉄鍋レース」なんて物に参加したがるのよ・・・)
実行委員として、過激なイベントを行う経緯をミリーナは思い出そうとしていた。

ケティとゼータの問題の次の日、校内を歩いている途中ミリーナは男子生徒から声をかけられた。
「君、今度やるイベントに、僕と一緒に実行委員に参加しないか?」
自身と似た赤い髪を持つ三年生に声をかけられて、ミリーナは少し動揺した。
彼女の友人ほどではないが、ミリーナは年頃の男性に声をかけられる経験が多いわけでは無い。
(口説いている訳では無いのよね・・・)
「あの私、1年何ですけど実行委員と何をするのですか?」
いきなりの異性からの勧誘に、ミリーナは少し興味を持った。
「今度やるイベントなんだけど、あまり人がいなくて困っているんだ、内容は参加者の募集を告知したり、
構内でみんなに知らせるような紙を張ったりするんだよ、後は設備を考えて配置する、
配置はメイドやここで働いている人達に手伝ってもらうんだ。そうだ、君の名前は?」
一通り説明を終えた後に、赤い髪の男が名前を聞いてくる。
「私はミリーナ・ド・エンベルファスと言います。あなたは?」
自身を紹介し、男の名前を聞く。
「僕はヨシュア・ド・メネスこのイベントの実行委員長だよ」
そう言って、ヨシュアは自己紹介する。
(ふーん、結構面白そうかもね・・・・)
ミリーナはその内容を聞いて、更に興味が湧いた。
ミリーナ自身はそう言ったイベント等が嫌いではないし、学校に入った以上、
そう言った自身が何かをやりたいと言う願望は少なからず持っていた。
「すごいですね、私そう言った事やってみたかったんです。」
「本当かい、実行委員をやってくれるかい」
相当嬉しかったのか、ヨシュアがミリーナに握手を求める。
「はい、どんなイベントなんですか?」
自身の学校生活の第一歩の内容を聞く、
ミリーナはこれを機会に学園での人脈を広めるつもりでいた。
「うん、「激闘・鉄鍋レース」だよ」
「おかしいから、それ!」
彼が朗らかに言った単語の過激さをミリーナは真っ先に指摘した。
366ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:51:21 ID:82Ox+BSp
ミリーナが回想から現実に戻り、ヨシュアと別れた頃。ルイズ達は天気も良好である為、外で昼食をとっていた。
気候も少し寒い春を終えたこの時期は、外でのランチが評判良かった。
「なぁ、ここ最近、飯の味が落ちてないか?」
ダブルゼータが自身の食べていた鳥のソテーの感想を述べる。
「2皿も食べて言う事じゃ無いわよ、けど、味が少し違う気がするわね」
ダブルゼータの行いを否定しつつも、味が普段と違うと言う部分をキュルケが肯定する。
「二人とも失礼だぞ、マルトーさんが作っているのに。」
ニューが、二人の感想を注意しながらも、出されたスープが先程から進んでいない。
(たしかに、いつものスープと少し違うな)
何度か飲んでいるだけに、マルトーの作る料理の味のレベルでは無い事に気づく。
「アンタ達に違いが分かるの?シエスタ、いつもの頂戴」
給仕をしているシエスタに、ルイズが自身の好物であるクックベリーパイを所望する。
それが一番の楽しみにあるせいか、この異変には興味が無いらしい。
「はい、ただいまお持ちします。」
シエスタがパイを切り分け、全員に乗せる。
シロップにつけられたクックベリーが赤い宝石の様な輝きを見せ、
その下には卵黄、砂糖、小麦粉を混ぜたクリームが敷き詰められている。
クリームの甘い匂いと、クックベリーの匂いを引き立てる。
「ルイズではないけど、たしかにこれは美味しいよ」
ルイズの好物であるが、その味はニュー達も納得するものであった。
「・・・・違うわ」
ルイズが一口食べて、違和感を口にする。
「ルイズ、如何したのだ?」
ニューがルイズの調子でも悪いのか聞いてくる。
「違うわ、これはいつものクックベリーパイじゃない!」
「何を言ってるんだ、ルイズ何時もと変わらないじゃないか」
ニューも何度も見ているので、ルイズの叫びが理解できなかった。
「だから、アンタは馬鹿なのよ、この馬鹿ゴーレム!」
ルイズが、ニューに指をさす。
「何が違うんだ?ルイズ、言いがかりだぞ」
味もさほど変わらないのか、ニューが抗議する。
「いい、クックベリーパイはクックベリーの酸味と程良い果物的な甘みと、クリームの柔らかい甘み、
そして、少し塩気の利いたパイが三位一体となって初めてクックベリーパイとなるのよ!」
ルイズが、ニューが見てきた中で一番強い口調で力説する。
「定義は解ったが、何が違うんだその条件は十分「甘いわよ」」
ニューの言葉を聞く暇もなく、ルイズがそれを否定する。
「まずはパイ、塩気が足りないわ!確かに強すぎると味が崩れてしまう、
しかし、これはその加減を分からずに弱気を感じさせるわ!
次にクリーム、小麦を入れすぎよ!柔らかいと言うよりもむしろ固いわ!
最後にクックベリーのシロップ漬けこれが一番いけないのよ!
本来の酸味がシロップが甘すぎて消されているわ!これではクックベリーパイを名乗れないわ!」
普通は分からないような事を、ルイズが一つずつ指摘する。
だが、そう言いながらもすでに一切れ食べ終えて、二切れ目に突入している。
367ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:51:48 ID:82Ox+BSp
(そんなに違うか?普通に美味しいのだが・・・)
「ルイズ、お前が好きなのは知っているが、それはもはや「さすがルイズ様!」」
ニューがさすがに呆れる横で、シエスタが口に手を当て驚いている。
「シエスタ、どうかしたのかい?」
ゼータがシエスタの驚きに戸惑いながら驚きの原因を聞く。
「・・・皆さんの言う通り、味が落ちていると言われても仕方ありません、
なにせ、ここ最近はマルトーさんが厨房に居ないのです。」
シエスタが、いつも厨房を管理する料理人を思い浮かべながらその理由を述べる。
「何で居ないんだ?まさか、マルトーの親父に惚れた貴族が連れて行ったのか?」
ダブルゼータが勝手に推測し、モット伯の時とは比べ物にならない位怒り出す。
ダブルゼータにとって、ここの食事は楽しみであり、それを奪われたと感じ怒り出すのはある意味当然の権利とも言えた。
「違います、実はここ最近あるイベントの為に休暇を取っているんです。」
「ああ、あのイベントね」
キュルケが何かを思い出したのか、マルトーが居ない理由に妙に納得する。
「ん?この時期何かあったけ?町のお祭りはもう少し先よ」
ルイズは合点いかないのか、細い首をかしげる。
「シエスタ、そのイベントとはなんだい?」
二人の反応を見ながら、ニューがシエスタにイベントを聞く。
「はい、「激闘・鉄鍋レース」です。」
「なんなんだ、それは!?」
シエスタの言葉から出てきた、イベントには程遠い過激な単語にニューがその点を指摘する。
「ニューさん達の所には無いんですか?「激闘・鉄鍋レース」?」
「当たり前のように繰り返さないでくれ!スダ・ドアカワールド全土を探したってそんな物は無いよ!」
おおよそ、自身の人生で初めて聞いた単語を当たり前のように範唱するシエスタを全力で否定する。
「ああ、そう言えばこの時期だったわね・・・」
やっと思い出したのか、ルイズも納得する。
「なんだ、ここでは珍しくないのか?」
「珍しいわよ、一部の貴族が運営して平民が手伝うのよ、こんな事やるのはこの学院だけよ!」
ルイズにとっても非常識なものに感じるのか、ニューの意見を否定する。
「それで、マルトー殿とそのレースとどういった関係があるんだ?」
(そのイベントの炊き出しでもするのか?)
ゼータにとってはこの二つの共通点が分からなかった。
「それはなぁ、この俺が「激闘・鉄鍋レース」の5年連続チャンピオンだからだよ!」
ゼータの疑問に応えるように、その場に一番現れて欲しい人物が現れる。
「親父!何だ、その格好は!?」
現れたマルトーの格好を見て、ダブルゼータが驚く。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:51:58 ID:8aDmUKpG
>>362
一巻時点じゃアンアンはまだ女王じゃないぜ支援
369ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:52:56 ID:82Ox+BSp
マルトーの格好は唯の私服であるが、その背中には巨大な鍋が括り付けられて、両腕で同じような鍋を持っていた。
その光景はいろいろな意味で唖然とするものであり、その場の空気はルイズ達の居る場所に注目が集まる。
「当然、鉄鍋レースに向けての特訓だよ、この時期になると特訓期間で俺が居ないんだ、味が落ちるのは勘弁していくれ」
手に持った鍋を地面に響かせながら、マルトーが弟子の未熟を謝罪する。
よく見ると、長時間の訓練の後なのか全身を汗と蒸気でサウナの様になっている。
「マルトー殿はその鉄鍋レースの為に休暇を取っているのか?」
呆れながら、ゼータが聞く。
「当然だ、5年連続チャンピオンとして、王座防衛に余念はねぇ!」
マルトーが仁王立ちで、自身の絶対を現す。
自身の特訓と日ごろの肉体労働で、マルトーの腕は彫刻の様に太かった。
「あなたが強すぎるから、カルチョが盛り上がらないのよね・・・・」
去年、マルトーの余りのオッズの低さに、参加を拒否した事をキュルケは思い出す。
「・・・で、そのレースってのはどんなんだよ?」
ダブルゼータが内容を知らない為に近くのシエスタに概要を聞く。
「鉄鍋レースは十年前に、ある美しい貴族の娘に恋をした男達を誰にするか選ぶために、
その娘が条件に出したのが由来です。」
「なんか、迷惑な女性だな・・・」
そのレースを考えた女を、この間自分を図った少女に姿を重ね、ゼータがひとり頷く。
「もちろん、そんな条件を飲む貴族はいませんでした。」
「いや、正解だと思うよ」
ニューが当時の貴族たちの判断の正常さを評価する。
「けれど、そんな中、この学園で働く一人の平民がその挑戦を受ける事にしたのです。」
なぜか、嬉しそうに手を組み合わせて、シエスタが続ける。
「いつの時代も、馬鹿な平民が居るものね、貴族と結婚できる訳ないじゃない」
ルイズがその平民の行いを愚行だと思いながら、2切れ目を食べ終える。
「トリステインではそうかも知れないけど、ゲルマニアなら可能よ。シエスタ、続けて」
キュルケはシエスタに続きを促す。
「ルイズ様の言う通り、その行いを笑い挑戦した時には沢山の石が投げられました。
しかし、その平民はその鍋を盾にして石の雨を潜り抜け見事、その娘の許に着いたのです。」
右手を光の方に向け、演技をしている女優の様にシエスタが語る。
「貴族たちは、娘が平民を選ぶ訳がないと思いました。
しかし、「彼は私の為に石の雨の中を潜り抜けてきました。私は彼を選ぶ事にします。」と言い、
貴族の娘は親の反対を押し切りその平民と結ばれたのでした。」
舞台が終わりを告げたのか、シエスタの動きがクライマックスから一気にフィナーレへと移行する。
そして、語り終えた後、エプロンをつかみ優雅に一礼する。
その様子を見ながら、周りの者達はまばらな拍手を送った。
370ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:53:35 ID:82Ox+BSp
「ありがちな話だな、娘の出した条件以外は・・・」
拍手を送りながらも、ニューは心の底からその二人を祝福する気にはなれなかった。
「本当よね、いい話に見えた喜劇じゃない」
ルイズもニューと同じ気持ちの様であった。
その話を頷きながら、マルトーが話を切り出す。
「そいつは悪かったですね、まぁ、
その名残で男達が好きな女が待つ所に鍋を持って走るんだよ、お前達は出るのかい?」
「出ませんよ、そんな危険なレース」
ニュー達が呆れながら参戦を拒否する。
「安心しろよ、今は割れやすい動物の皮に水を入れて、投げるだけだからよ!」
俗に言う水風船を当てるようになった事で安全性を強調する。
「安全とか関係なくて、言ってんだよ!そんな事やってないで「ダブルゼータ、あなた出なさい!」何い!?」
珍しくマルトーを諭そうとしたダブルゼータを、キュルケが遮り参戦の命令を出す。
「この大会は優勝賞金500エキューと旅行付き、今年はアルビオンだけどそれでも出場する価値はあるわ!」
キュルケは何かを勝手に計算し、勝算ありとみているらしい。
「逃げるのかダブルゼータ、この学院のチャンピオンなんだろ?」
マルトーがダブルゼータを右手で挑発する。
「・・親父、厨房に戻りな特訓の必要はないぜ、この俺が参戦するんだからよ!」
ダブルゼータが立ち上がり、参戦の表明とマッシブなポーズを取り出す。
(単細胞め・・・)
ダブルゼータに対する感想を、5人が心の中でハモらせる。
「ゼータ、お前はどうなんだい?」
「下らない、ダブルゼータでないですけど、怪我はしないで下さいね」
ゼータが参戦を問われ呆れながら、紅茶を口にする。
マルトーはそれを見て、不敵に笑いカードを切り出す。
「ほう、さすがは騎士様だ、戦場から逃げる事は一流の様だな」
「そうだゼータ、引っこんでろ!」
マルトーが挑発し、ダブルゼータが無意識に追い打ちをかける。
そして、それは彼の参戦を促すのには充分であった。
371ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:54:16 ID:82Ox+BSp
「貴様ら・・・よかろう、私も参加しよう。貴様らのその口黙らせてやるわ!」
ここに、もう一人の参戦が決定した。
(直情一直線バカ)
4人が再度同じ評価を下す。
「アンタ達って、本当に馬鹿らしいわね。ニュー、アンタは挑発になんか乗らないでよ!」
先程のやり取りが馬鹿らしかったのか、ルイズがニューに釘をさす。
「ほう、貴族様は平民に負けるのが怖いんですかねぇ?」
「今、なんて言った?・・・」
ルイズにとっては聞き流せない事を、マルトーが耳に届ける。
「いえ、いつもふんぞり返る割に平民に恐れをなすなんて、さすがはヴァリエール家ですねぇ・・」
マルトーがいやらしく、笑いを残す。
本来はその場で首を切られかねない暴挙だが、マルトーには確信があった。
「ふざけるんじゃないわよ!平民がヴァリエールの名前を出すなんて100年早いわ!
ニューあんたも参加しなさい、この際だからキュルケやタバサの使い魔より優秀ってところを見せてやるのよ!」
ここに、三人目の挑戦者が現れた。
(ガキ・・・すべてが)
3人が、今までと変わらない評価をさらに強める。
「何やっているんだ、お前は・・・」
今更ながら、ニューがルイズの行動に単純さに呆れる。
それに構う事は無く、場は既に、4人のにらみ合いの様相を呈していた。
「結局、いつものメンバーが出る事になりそうね・・・」
紅茶を飲みながら、ある意味予想通りの展開をキュルケが眺めていた。
「待ちたまえ、君達!その勝負、僕も参加するぞ!」
ルイズ達4人のにらみ合いに、一擲を投じるような声が響き渡る。
「ギーシュ!あなたも参加するの!?」
金髪の少年の参戦に、キュルケも驚く。
「もちろんだとも、キュルケこれは神聖な愛の戦い、
君達みたいな功名心やちっぽけなプライド、欲の為に戦う物ではない。このギーシュ、薔薇に誓う。」
意外な参戦者に冷えかけた場が熱を取り戻す。
「いいぞ、ギーシュ!」
「貴族の力見せつけてやれ!」
「ダブルゼータ、貴様の天下もここまでだ!挑戦代100エキュー返せ!」
他人事なので、好き勝手に周りの貴族たちが声援を送る。
「いいじゃない、アンタ達なんか返り討ちにしてあげるわ!」
「おもしれぇ、みんな纏めて叩きつぶしてやる!」
「騎士を侮辱された償い、甘くないぞ」
「君達に、貴族の力と恐ろしさを教えてあげるよ」
「このマルトーに挑もうとは恐れ知らずなガキどもだ」
各々がかつてないほどの気迫で、意気込みを語る。
広場は久しぶりに熱気に包まれていた。
「馬鹿ね・・」「馬鹿だな・・」「馬鹿ばっか・・」
当事者たちに近い三人は冷静に感想を述べた。
その様子を一人の少女が眺めていた。
「神様、始祖ブリミルよ・・・感謝いたします!」
ミリーナにとってまさにその光景は天恵とも言える物であった。
372ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:54:47 ID:82Ox+BSp
「・・・なんて事なのね」
その様子を上空から見つめるシルフィードがいた。
「あの青トンガリ!お姉さまの使い魔のくせに愛の為の戦いだなんて!」
ゼータ参戦の理由よりも、このレースの由来とギーシュの言葉だけがシルフィードの心を捉えていた。
「許せないのね、あの青トンガリ使い魔の分際で!・・・アイツの体で爪をそぎ落としてやるのね!」
そう言いながら、興奮してシルフィードは高速旋回をしていた。

人は神という何かに感謝する事がある。
コルベールは自身の発明を見せたが今日も生徒達の反応はいま一つであった。
「ミスタ・コルベール!」
午前の授業が終わり、コルベールはある一人の生徒に声をかけられた。
「おや、あなたはミスタ・メネスでは無いですか、どうかしましたか?」
コルベールはあまり声をかけられた事の無い生徒に声をかけられ、
「ミスタ・コルベール今日の授業の事なんですが」
「おおっ!アレの事ですね、興味を持ってくれましたか?」
「はい、誰でも使えると言うところが特に興味を持ちました。」
ヨシュアにとってコルベールの発明は神の啓示にも見えた。
「素晴らしい、私の発明の着眼点を一目で見抜くとは、どういった所を知りたいんだい?」
「はい、それなのですが・・・」
そう言って、話をしながら二人が歩き出す。
(ミリーナ、こちらは目処が立ったよ。)
自身の長年の課題に決着がついた事で、彼の表情は至福の一言であった。

人は何かしらの思惑を持って生きている。

ゼロの騎士団−外伝 「激闘・鉄鍋レース」 前編

「21.5お姉さまの為にアイツを亡き者にしてやるのね」
風竜 シルフィード
人語を理解する。
HP 870

青い竜が跳ぶ、吼える。
咆哮が唸り、ブレスが吐かれる。
鉄の爪が奴の体をこじ開ける。
炎の向こうに待ち受ける、ゆらめく敵は奴だ。
いま、解きあかされる、「黒い三年生事件」の真相。
いま、その正体を見せるコルベールと使い魔の真の姿。
次回「逆襲」。
シルフィード、牙城を崩せ。
373ゼロの騎士団:2009/02/06(金) 21:56:14 ID:82Ox+BSp
以上で投下終了です。
次回は激闘・鉄鍋レース編です。
最後の嘘予告はボト○ズっぽくしましたが特に意味はないです。
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 21:56:44 ID:60r4Jyof
>>368
\(^o^)/
じゃあマリアンアンか

支援
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:23:17 ID:NLcYYoa2
黒い三年生吹いたwww
こういうノリは大好き。次回も期待!
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:26:38 ID:ltBkk80r
ボトムズ3話の予告だっけw
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:28:34 ID:X7u/zHDg
なんぞコレw
結構好きかもしれん乙
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:32:27 ID:w+zz013v
鉄鍋レースw
春の大運動会か?w
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:33:12 ID:UDYilCXI
>黒い三年生
元ネタは「With You」のおまけシナリオだったな
史上最強の妹・乃絵美召喚もいいが
ムエカッチャー使いの真奈美でも可
380虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/02/06(金) 22:45:38 ID:Hw099tda
いいなァこのノリ
ケティ暴走の話とかこういうのって二次創作の醍醐味ですよね
でもアルビオン旅行は時勢的にヤバいんじゃw

対照的にゼロ魔原作筋からあまり離れない話を
22:50頃から投下させてください。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:48:06 ID:8gQk2XBA
先に言っておく
俺の支援は超凄い!!
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:50:04 ID:bzqHLYl8
おつかれーぃ

しかし鍋で思い出したがハルケギニアに飛ばされた純和風系のキャラって食生活で苦しみそうだよな。
少なくとも白米が無いとヨシェナベだけじゃ耐え切れねーと思うよ(現代人でも海外では和食が欲しく時あるしな)

あと支援
383虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/02/06(金) 22:50:30 ID:Hw099tda
『星のたまご』
それは、この大地が生み出す究極の力の結晶体。
『存在を司る力』の結晶体。
この世でもっとも清い力。
この世でもっとも強い力。
この世でもっとも素晴らしいこと。
わたしが
あなたが
ここに存在するということ……


大地の奥の奥の奥、そこで星のたまごはつくられる。
数千万年にひとつ、あるいは数億年にひとつか定かではないが。
星のたまごは、そのまま大地の中ではじけたり、何かの拍子で地上に直接ばらまかれたりする。
そして、大地に大いなる潤いを与えるのだ。
森は広がり、新たな草花が生まれ、生き物は次の段階へと進化する。
そして大地より生まれた生き物は、海は、山は。
また、大地を暖める。


そうやって、星のたまごはつくられる。


(生命循環システムの具体的系図)
(生物も物質も、本質的属性は『大地そのもの』であるということ……)


星のたまごははじけ、エネルギー体となり地上に広がる。
しかしなにかの偶然が重なり、はじける事なく残る星のたまごがあるという。
数億年分にも及ぶエネルギーを溜めていると言われる星のたまごは、まさに究極。
この世の法則さえもねじ曲げるその禁断の力は、失われた存在を、またこの大地に甦らせることができるという。
それは、かつて死んだ人間でも、封印された大魔法でも、国や大陸でさえも。
エントロピー・時空間を超越し、復活させることができる。
そして、その形はまるで……


『これを……』
薄れゆく意識の中、ティトォはその声を聞いた。
『『星のたまご』だ』
ティトォの側には、栗色の髪をふたつ括りにした女の子と、桃色がかったブロンドの、背の高い女性が倒れ伏している。
二人とも深く傷つき、今にも力尽きる寸前であった。
『生き延びたいと願うなら……、委ねるがいい、お前たちの魂を』
ティトォはぼんやりと、差し出されたものを見つめる。
「これを……?でも、これはまるで……」
まるで、
木の実。
『いいか、よく聞け。この場で命が助かるだけじゃない。死なない身体になるのだ。……死ねないのだ。永久に生き続けなければならない。そして生き続けるという事は、つまりこれを狙う者たちと戦い続けなくてはならない』
その『声』は、淡々と言葉を続ける。
「……ぼくが……?」
『いつかきっと、また現れるはずだ。10年後か、100年後か……、あるいは1000年後かもしれないが、これを求める者達……、破滅の目的を持つ者達が』
「ぼくが……?どうしてこんなぼくが……、ぼくに何ができるっていうんだ!」
『お前がやらなければいけない。見ろ』
声に従い、ティトォは振り向く。そこには……
『こうなったのはすべて……、お前たちのせいなのだからな……』
世界の終わりの風景。
『大魔王』の降臨。
すべての崩壊。
A.D.1569───今より111年前。
太洋に浮かぶ島国ドーマローラ国は、この世より姿を消した。
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:53:05 ID:D/TGJhum
これ支援です。
侑斗をよろしく♪
385虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/02/06(金) 22:53:20 ID:Hw099tda
ルイズたちを乗せた軍艦、『イーグル』号は、アルビオンを覆う雲中に潜り、大陸の下にある秘密の港に向かっていた。
アンリエッタの手紙を読んだウェールズは、手紙の返却に快く応じた。
 しかしながら、手紙はニューカッスルの城にあるので、こうしてニューカッスルへと向かっているのである。
大陸の真下は日が射さず、おまけに分厚い雲が視界を遮っている。
ややもすれば、簡単に頭上の大陸に座礁する危険があるため、反乱軍の軍艦は大陸の下には近付かないのだ。
「地形図を頼りに、測量と魔法の光だけで航海することなど、王立空軍の航海士にとっては雑作もないことなのだが……、
 なに、貴族派、あいつらは所詮空を知らぬ無粋者さ」
ウェールズは得意そうに笑った。
やがて『イーグル』号は、大陸にぽっかりと開いた、黒々と大きな穴の下に到着すると、ゆるゆると上昇を始めた。『マリー・ガラント』号も後に続く。
穴に沿って上昇すると、そこはニューカッスルの秘密の港であった。
巨大な鍾乳洞の中を、真っ白い発光性のコケが覆っている。
鍾乳洞の岸壁に接舷し、港に降り立つと、大勢の人がウェールズたちを迎え入れた。王党派の生き残りたちであろう。
背の高い、年老いたメイジに近寄ると、ウェールズは声を張り上げた。
「喜べ、バリー!硫黄だ、硫黄!」
それを聞くと、集まった兵隊たちが、うおぉーッ!と歓声を上げた。
「おお!硫黄ですと!火の秘薬ではござらぬか!これで我々の名誉も、守られると言うもの!」
老メイジは、おいおいと泣きはじめた。
「反乱が起こってからは、苦汁をなめっぱなしでありましたが……、なに、これだけの硫黄があれば……」
にっこりとウェールズは笑った。
「王家の誇りと名誉を、叛徒どもに示しつつ、敗北することができるだろう」
「栄光ある敗北ですな!この老骨、武者震いがしますぞ!してご報告なのですが、叛徒どもは明日の正吾に、攻城を開始するとの旨、伝えて参りました」
「してみると間一髪とはまさにこのこと!戦に間に合わぬは、これ武人の恥だからな!」
ウェールズたちは心底楽しそうに笑いあっている。
ルイズは、敗北という言葉に、顔色を変えた。
つまり、死ぬということだ。この人たちは、それが怖くないのだろうか?
ウェールズとさらに二言三言交わしていた、バリーと呼ばれる老メイジが、ルイズたちに近付いてきて、微笑んだ。
「これはこれは大使どの。殿下の侍従を仰せつかっておりまする、バリーでございます。遠路はるばるようこそこのアルビオン王国へいらっしゃった。
 たいしたもてなしもできませぬが、今夜はささやかなる祝宴が催されます。是非ともご出席下さいませ」


ルイズたちは、ウェールズに付き従い、場内の彼の居室へと向かった。
ウェールズの居室は、王子の部屋とは思えない、質素なものであった。
王子は椅子に腰掛けると、机の引き出しから、宝石が散りばめられた小箱を取り出した。
鍵を開け、蓋を開けると、内側にアンリエッタの肖像が描かれている。
ルイズたちがその小箱を覗き込んでいることに気付いたウェールズは、はにかんで言った。
「宝箱でね」
ウェールズは小箱の中から一通の手紙を取り出すと、愛しそうに口づけた跡、開いてゆっくりと読みはじめた。
何度もそうやって読まれたらしい手紙は、すでにボロボロであった。
読み返すと、ウェールズはふたたびその手紙を丁寧に畳み、封筒に入れ、ルイズに手渡した。
「これが姫からいただいた手紙だ。何より大切な手紙だが、姫の望みはわたしの望みだ。この通り、確かに返却しよう」
「ありがとうございます」
ルイズは深々と頭を下げると、その手紙を受け取った。
「明日の朝、非戦闘員を乗せた『イーグル』号が、ここを出航する。それに乗って、トリステインに帰りなさい」
ルイズは、その手紙をじっと見つめていたが、そのうちに決心したように口を開いた。
「あの、殿下……。先ほど、栄光ある敗北とおっしゃってましたが、王軍に勝ち目はないのですか?」
ルイズは躊躇うように問うた。しごくあっさりと、ウェールズは答える。
「ないよ。我が軍は三百。敵軍は五万。万にひとつの可能性もありえない。我々にできることは、はてさて、勇敢な死に様を連中に見せつけることだけだ」
ルイズは俯いた。この王子様はきっと、自分が一番に死ぬつもりなのだ。
386虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/02/06(金) 22:54:32 ID:Hw099tda
「殿下……、失礼をお許し下さい。恐れながら、申し上げたいことがございます」
「何なりと、申してみよ」
「この、ただ今お預かりしました手紙の内容、これは……」
「ルイズ」
その質問は行き過ぎだと思ったか、ワルドがルイズをたしなめる。
しかし、ルイズはかまわずに続けた。
この任務をルイズに申し付けたときの、アンリエッタの態度は、まるで恋人を案じているかのようで……。
それに、ウェールズの小箱の内側のアンリエッタの肖像。
いとおしそうに、手紙に接吻したときのもの憂げな表情。
つまり、アンリエッタとウェールズの関係は……
ウェールズは額に手を当て、言おうか言うまいか、少し悩んだ仕草をしてから、口を開いた。
「察しの通り、ぼくとアンリエッタは、恋仲であった。昔の話だ。とは言え、この手紙……、恋文が、ゲルマニアの皇室に渡っては、なるほどまずいことになる。
 なにせ彼女は、始祖の名において、永久の愛をわたしに誓っているのだから」
始祖の前に誓う愛は、婚姻の誓いなのだ。
この手紙が白日の下に晒されたら、アンリエッタは重婚の罪を犯すことになってしまうだろう。
ゲルマニアの皇帝は、重婚を置かしたアンリエッタを許すまい。
となれば、婚約は解消、同盟相成らず。
トリステインは一国にて、貴族派の連盟に立ち向かわねばならなくなる。
「なにぶん、子供のしたこと。それが後々どのような影響を持つかなど、考えもしなかった。愚かなことだ」
自嘲気味に、ウェールズは笑った。
子供のしたこと。
ウェールズは、アンリエッタとの関係を『昔の話』と切り捨てていた。
しかしルイズには、そうは思えなかった。
アンリエッタも、ウェールズも、今でもお互いのことを想い合っているに違いない。
ルイズは、熱っぽい口調で、ウェールズに言った。
「殿下、亡命なされませ!トリステインに亡命なされませ!」
ワルドが、ルイズの肩に手を置いた。しかし、ルイズの剣幕は収まらない。
「お願いでございます!わたしたちとともに、トリステインにいらしてくださいませ!」
「それはできんよ」
ウェールズは笑いながら答えた。
「殿下、これはわたくしだけの願いではございませぬ!姫さまの手紙には、そう書かれておりませんでしたか?姫さまが、ご自分の愛した人を見捨てるはずがありません!
 おっしゃってくださいな、殿下!姫さまは、手紙の末尾であなたに亡命をお勧めになっているはずですわ!」
ウェールズは首を振った。
「そのようなことは、一行も書かれていない。姫と、わたしの名誉に誓って言うが、ただの一行たりとも、亡命を薦めるような文句は書かれていない」
ウェールズは苦しそうに言った。
その口ぶりから、ルイズの指摘が当たっていたことがうかがえた。
ウェールズは、アンリエッタを庇おうとしているのだ。臣下のものに、アンリエッタが情に流された女と思われるのがいやなのだろう。
「殿下!」
なおも食い下がるルイズに、ウェールズは優しく微笑んだ。
「それに、これは、我々の名誉をかけた戦いなのだ。滅びゆく王家が、最後の勇気を見せつけねばならんのだ。ラ・ヴァリエール嬢。きみも貴族なら、わかってくれるね」
名誉。
それは、貴族が最も大切にしなくてはならないものだと、ルイズは常々教わってきたし、またその通りだと考えてもいた。
名誉を引き合いに出されると、ルイズはもう、何も言えなくなってしまう。
ルイズは、寂しそうに俯いた。
ウェールズは、ルイズの肩を優しくぽんぽんと叩く。
「きみは、正直な女の子だな。しかし、真っすぐなばかりでは大使は務まらぬよ。しっかりしなさい」
それから机の上に置かれた、魔法の水時計をちらりと見やる。
「そろそろ、パーティの時間だ。君たちは、我らが王国が迎える最後の客だ。是非とも出席してほしい」
ルイズとティトォは、部屋の外に出た。ワルドは残って、ウェールズに一礼した。
「恐れながら、殿下にお願いしたい議がございます」
ワルドはウェールズに、自分の願いを語って聞かせた。ウェールズはにっこりと笑った。
「なんともめでたい話ではないか。喜んでそのお役目を引き受けよう」

パーティは、城のホールで行われた。
簡易の玉座が置かれ、玉座にはアルビオンの王、年老いたジェームズ一世が腰掛け、集まった貴族や臣下たちを、目を細めて見守っていた。
明日で自分たちは滅びるというのに、ずいぶんと華やかなパーティであった。
王党派の貴族たちはまるで園遊会のように着飾り、テーブルの上にはこの日のために取っておかれた、さまざまなごちそうが並んでいる。
387虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/02/06(金) 22:55:40 ID:Hw099tda
すっかり客が集まったと見ると、玉座のジェームズ一世がすっと立ち上がる。
若き王子ウェールズが、高齢の父王に寄りそうように立ち、その身体を支える。
陛下がこほんと軽く咳をすると、ホールの貴族、貴婦人たちが、一斉に直立した。
「忠義なる臣下の諸君に告げる。いよいよ明日、このニューカッスルの城に立てこもった我ら王軍に、反乱軍『レコン・キスタ』の総攻撃が行われる。
 この無能な王に、諸君らはよく従い、よく戦ってくれた。しかしながら、明日の戦いはこれはもう、戦いではない。おそらく一方的な虐殺となるであろう。
 朕は忠勇な諸君らが、傷つき、倒れるのを見るに忍びない」
老いたる王は、ごほごほと咳をすると、ふたたび言葉を続けた。
「したがって、世は諸君らに暇を与える。長年、よくぞこの王に付き従ってくれた。厚く礼を述べるぞ。
 明日の朝、巡洋艦『イーグル』号が、女子供を乗せてここを離れる。諸君らも、この艦に乗り、この忌まわしき大陸を離れるがよい」
しかし、誰も返事をしない。一人の貴族が、大声で王に告げた。
「陛下!我らはただひとつの命令をお待ちしております!『全軍前へ!全軍前へ!全軍前へ!』今宵、うまい酒の所為で、いささか耳が遠くなっております!はて、それ以外の命令が、耳に届きませぬ!」
その勇ましい言葉に、集まった全員が頷いた。
「おやおや!今の陛下のお言葉は、なにやら異国の呟きに聞こえたぞ!」
「耄碌するには早いですぞ!陛下!」
老王は、目頭を拭い、ばか者どもめ……、と短く呟くと、杖を掲げた。
「よかろう!しからば、この王に続くがよい!さて、諸君!今宵は良き日である!よく、飲み、食べ、踊り、楽しもうではないか!」
辺りは喧噪に包まれた。こんな時にやってきたトリステインからの客が珍しいらしく、王党派の貴族たちが、代わるがわるルイズたちの元へとやってきた。
「大使どの!このワインを試されなされ!お国のものより上等と思いますぞ!」
「なに!いかん!そのようなものをお出ししたのでは、アルビオンの恥と申すもの!このハチミツが塗られた鳥を食してごらんなさい!うまくて、頬が落ちますぞ!」
そして最後に、アルビオン万歳!と怒鳴って去っていくのであった。
貴族たちは悲嘆にくれたようなことは一切言わず、ルイズたちに料理をすすめ、酒をすすめ、冗談を言ってきた。
そんな姿が、勇ましいというより、この上もなく悲しくて、ルイズは憂鬱になった。
この場の雰囲気に耐えられず、ルイズは会場を飛び出してしまった。
ティトォも、やや悲しそうな顔で、ワインをちびちびやっていた。
死を目の前に、生き生きと明るくふるまっている人々の姿は、死を失って、長い時を過ごしてきた彼らには、感じ入るものがあったのだ。
また、それとは別に、気がかりなこともある。
アンリエッタの『水のルビー』と、ウェールズの『風のルビー』
『星のたまご』と共鳴した、ふたつの宝石のことだ。
(あれは、星のたまごと近しいもの……。『星のたまごのかけら』かもしれない)
星のたまごがはじけたとき、まれに結晶の粒が残ることがある。
その結晶の粒は微細でも、超々爆発的な力を持っており、あらゆる方向のエネルギーとして利用ができると言われている。
(ここは、ぼくたちのいた大地とは違うけど、このハルケギニアの大地にも、同じような生命循環のシステムがあって……、星のたまごに相当するものも、存在しているのかもしれないな)
ふとティトォは思い出す。
あのふたつの宝石は、石の大きさが親指の先ほどもある、巨大なものだった。
あれほどの大きさの『かけら』は、ティトォも見たことがない。
なるほど王家の秘宝にもなるわけだ、とティトォは思った。
388虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/02/06(金) 22:57:50 ID:Hw099tda
そんな風に考え込んでいると、後から肩を叩かれた。
振り向くと、ワルドが立って、ティトォをじっと見つめている。
「きみに言っておかねばならんことがある」
ワルドは、低い声で言った。
「なんでしょう」
「明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる」
ティトォは、目を見開いた。あんまり驚いて、しばらくものが言えなかった。
「こんな時に?こんな状況で?」
「そう。是非とも、ぼくたちの婚姻の媒酌を、あの勇敢なウェールズ皇太子にお願いしたくなってね。皇太子も、快く引き受けてくれた。明日の決戦の前に、ぼくたちは式を挙げる」
ティトォはワルドの顔を見つめた。ワルドの顔は、自分の言葉を少しも疑っていないような、そんな顔だった。
ルイズは了承したのだろうか?とふと思ったが、失礼かと思ったので質問するのはためらわれた。
「でも子爵。『イーグル』号は、明日の朝一番に出航するんですよ」
「ぼくとルイズは、グリフォンに乗って帰る」
「グリフォンはあまり長い距離は飛べないんじゃ……」
「滑空するだけなら、話は別だ。ぼくとルイズの二人乗せるくらい、問題はない」
ワルドはもう、結婚式を挙げることを決めてしまったようだった。何を言っても譲りそうにない。
「はあ、それじゃあ……、ここで一旦お別れですかね」
「そうなるかな。短い間だったが、きみたちとの旅は楽しかったよ」
そういって、ワルドは笑った。
強引な人だなあ、とティトォは思った。
でも、貴族ってのは多少の差異はあれ、こういう人が多いのかもしれないな、とも思った。


真っ暗なニューカッスル城の廊下を、窓から月の光が照らしている。パーティの喧噪が遠くに聞こえる中、ルイズは窓に寄り添い、月を見上げて涙を浮かべていた。
どうして……、どうしてあの王子様も、臣下の貴族たちも、みんなみんな、死を選ぶのだろう。
滅びゆく王家に、最後まで忠義を尽くす。
立派なことだと思う。貴族として、誇りに思うべきなんだと思う。
でも、ルイズの貴族の部分はそれをわかっていても、女の子の部分の感性が、納得を拒んでいた。
「姫さまが、逃げてっていってるのに。……恋人が、逃げてっていってるのに」
そう呟くと、悲しい気持ちが大きくなって、涙があふれた。
ルイズは袖でぐしぐしと涙を拭い、窓から体を離すと、自分にあてがわれた部屋へと歩き出した。
ふと見ると、暗い廊下の向こうから、明かりが近付いてくるのが見える。
それは、燭台を手に持ったティトォであった。
「やあ」
ティトォはいつも通りの笑顔で、手に持った燭台をちょいと上げて、ルイズに軽く挨拶した。
廊下は暗いけど、きっとティトォには、泣きはらして目が真っ赤になっているのが見えている。
ルイズはそう思って、顔を伏せた。
ティトォがそんなルイズの様子を心配して近付いてくると、ルイズは前のめりになって、ティトォの胸にぼすんと頭を埋めた。
「とと……」
いきなり寄りかかられて、ティトォは少しバランスを崩したが、すぐに持ち直した。
さすがにこの状況で、後に倒れるのは男として情けない。
ティトォの見下ろすルイズの肩は、小さく震えていた。俯いた顔は見えないが、どうやら泣いているようだ。
「……どうして?」
ルイズが尋ねる。
389虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/02/06(金) 22:59:55 ID:Hw099tda
いろんな意味が込められた「どうして?」だった。
どうして、あの人たちは死を選ぶの?
どうして、ああやって笑っていられるの?
どうして、あんたは。そんなふうにいつもどおりでいられるの。
ティトォは黙って、ルイズの頭を撫でてやった。
むずかる子供をあやすような、優しい手つきだった。
「貴族にとって名誉は何よりも大事よ。でも、姫さまはどうなるの?ウェールズ皇太子は、愛する人よりも名誉が大事なの?それが、立派な貴族なの?わたしもう、わけわかんない……」
ルイズは、まとまらない考えをこねまわしながら、頭をぐりぐりとティトォに押し付ける。
「アルビオン王家には、もう行き場がないんだよ」
ティトォは静かに言った。
「もしトリステインに亡命したなら、貴族派にトリステインへ攻め込む格好の口実を与えることになる。
 ゲルマニアやガリアも、同じことさ。亡命を受け入れて、わざわざアルビオンを牛耳る貴族派を敵に回すような真似はしたくないだろう。
 王党派を受け入れてくれる国はどこにもないんだ。とすれば、内憂を払えなかった王家にできることと言えば、討ち果てるまで戦うことくらいだ。
 『誇りと名誉』を後の世に示す、と考えれば魂も慰められる」
ティトォの言葉に、ルイズはぎゅっと服のスソを握りしめた。
「……そんなの、ただの理屈じゃない。あんたの言葉、冷たいわ。貴族派がなによ。たとえトリステインに不利をもたらすとしても、姫さまはウェールズ皇太子の亡命を受け入れるにちがいないわ。愛してるんですもの」
「皇太子だって、姫殿下を愛してるよ。愛してるからこそ、身を引かなければならないこともある。姫殿下に、ひいてはトリステインに迷惑をかけることになるのは耐えられないんだ」
それは耳に優しい響きの言葉だったが、ルイズは気に入らなかった。
「ずいぶんとわかったような口をきくじゃない。あんたに皇太子の気持ちの何がわかるのよ」
「言葉や表情の断片から、その人となりを読み取るのは難しくないよ。人の心だって、その気になれば読める……」
ルイズはかっとなって、どんとティトォを突き飛ばした。泣きはらした赤い目で、ティトォを睨みつける。
「お利口さんなティトォ。理屈だけで、人の気持ちもなにもかもわかると思ってるのね。それって、すっごく傲慢だわ」
ティトォのそういうところが、ルイズはきらいだった。
ティトォだけじゃない。
姫さまを残して、勇敢なる死を選ぶ王子様。
自分のことしか考えてない、王軍の人たち。
男なんて、みんな傲慢だ。
「わたし、ワルドにプロポーズされたの」
ルイズは、ティトォの目を見ながら言った。
「わたしはそれを受けるかどうか、悩んでるわ。これは理屈じゃない、気持ちの問題よ。憧れていたのは確かだけど、自分の今の気持ちがわからないの」
ティトォは黙って、ルイズの言葉を聞いている。
ワルドは『結婚式を挙げる』などと言っていたが、ルイズはまだ悩んでいたのだ。しかし、ルイズの心は決まったらしい。
「でもね、今決めたわ。わたし、ワルドと結婚するわ。あの人、頼りがいがあるから、きっと安心ね。それに、あ、あ、あんたより、ず、ず、ずっと人間らしいもの」
ルイズは感情的になって、声が震えていた。
それだけ言うと、ルイズはくるりときびすを返し、暗い廊下をずんずんと歩いていってしまった。
ティトォはルイズの姿が見えなくなるまで見届けると、窓に寄りかかって、月を見上げる。
「……あんな言い方、冷たいって?」
ティトォが呟いた。まるで、誰かに話しかけるような口ぶりだった。
「ルイズとおんなじこと言わないでよ。ぼくだってわかってる。悲しくて、気持ちが荒んでたんだ。だからつい、あんなふうに言っちゃったんだ」
ばつの悪そうな顔をして、そんな言い訳がましいことを言う。
辺りは静まり返っていたが、ティトォには、声が聞こえていた。
それは、不死の身体の中に眠っている二人の言葉だった。
今、存在を許されていない二人の言葉は外の世界に届くことはなかったが、ティトォにははっきりと聞こえていた。
「理屈だけで考えすぎる、か。ルイズはああ言ったけど、それはぼくの一番の武器なんだ。でも……、きっとそれ、ぼくの悪いところでもあるんだろうな」
ティトォは小さくため息をついた。
390虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/02/06(金) 23:04:21 ID:Hw099tda
以上です。
頭いいのにいまいち人の気持ちが読めてないというか
「人の心だってその気になれば読める」とか言った直後に
いきなりリュシカの心情読み違えたりしてるのがティトォ君の魅力だと思います
超覇導天武刻輪連懺支援ありがとうございます。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:09:23 ID:bzqHLYl8
おつかれ
やっぱりこの場面だけはよほどのことが無い限りはシリアスになっちまうわなー
ここをコメディに乗り切った使い魔って何か居たか?
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:14:56 ID:8gQk2XBA
乙でした

こういう状況でティトォはちょっと不向きだよな
プリセラあたりならもっとうまい事行きそうな気がするが
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:17:46 ID:cNHG2CSm
そりゃあんた、ご立派様しかおるまいよ

パズルの人乙です。
ティトォってわりと空気読めてないよな。
月花光刺態戦でもグリンの気持ちを読めてなかったりしたし…
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:18:21 ID:GPUmPml6
パズルの人、乙です
ティトォは色々鈍感だからなぁw
まぁどっかのフラグクラッシャーと違ってティトォはちゃんとリュシカと和解してメギドウィングしちゃってるけどw

次回以降におそらく訪れるであろうワルドさんフルボッコ回に期待w
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:19:56 ID:976N2Maw
乙ー

ティトォはまだワルドの裏切りには気付いてないんかね?
流石に情報が少なすぎるか
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:28:01 ID:SLQKWra8
ご立派様……いや、あれは最早、シリアスとかギャグとかそんな次元の話じゃね、
カオス代表のお父さんやチェコちゃんとも違う。別次元の存在だ。
あれに対抗できるお方は高みへと登られた気さくな王女、イザベラ様ぐらいしか自分には
思いつかない……あれ、なんの話してたんだっけ?
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:30:27 ID:8oVwxTKT
短編ってまだ需要あったりする?
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:33:27 ID:UsX0sLna
いつだってあるさ。
だがsageてくれ。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:34:49 ID:vIvwT1hn
>>395
ワルドが意図的に遍在を隠してるからねえ
仮面の男がティトォの前に姿を見せたらメイプルソンの時みたく一発でバレるし
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:37:07 ID:8gQk2XBA
ティトォって何だかんだでチートキャラだよな
魔法や能力が支援系だからあまり目立たないだけで
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:38:13 ID:QF5TZQfF
そろそろ
ルイズ「私の使い魔になりなさい!」
ゴルベーザ「いいですとも!」
な話が来るかと思ったてらそうでもなかったぜ
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:39:12 ID:kAQlNaub
いっその事、ライヘンバッハの滝に召喚ゲートを開いてだな…



あれ? これじゃガンダルヴじゃなくてミョズニトニルンだな
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:40:14 ID:8oVwxTKT
>>398
了解した
早けりゃ明日には投下する
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:42:52 ID:qmIpIH9S
こんばんわ。
初めて作品を投下したい者です。

株式会社フライト・プランより
PSゲーム「サモンナイト2」。
呼び出されるのは
敵方、大悪魔メルギトスの配下の悪魔ビーニャ。

で計画しています。
よろしければ11時50分ごろに、プロローグを投下させていただきたいと
思います。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:45:37 ID:ttDB57d2
魔獣使いか

個人的にはキュラーさんのほうが…
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:48:13 ID:7KBW/yk5
しえn
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:49:39 ID:HBgbBs63
サモンナイトはエクステーゼしかやった事がないな。
DSで1・2リメイクされてるけどPS版と同じ話なのか?
408ゼロと魔獣のような悪魔:2009/02/06(金) 23:51:53 ID:qmIpIH9S
プロローグ



激しい激戦の前に見るも無残に破壊されたギエン砦。

虚言と姦計をつかさどる大悪魔メルギトス。
その配下として、気の向くままに暴れ、壊し、殺しを行っていた
悪魔ビーニャ。
彼女はそこで因果応報という形で、最後の時を迎えようとしていた。

呼び出した手駒の魔獣をことごとく失い
召喚のすべとなる魔力も尽きて
そして体からとめどなく流れる血
409ゼロと魔獣のような悪魔:2009/02/06(金) 23:54:13 ID:qmIpIH9S
「レイムさまぁ・・・っ アタシを・・・たすッけ・・・
 ぎッ!?ヤあアァぁ〜ッ!!」

自分達だけが最高なのだと
他は利用して 弄んで 壊して 捨ててしまえばいい
それだけを考えて生きてきた
なのに

「戻ってきただけだよビーニャ・・・
 アナタが魔獣達に与えた苦しみが回りまわって、戻ってきたの・・・」

自分は散々見下してきた奴等に 負けるはずのない奴等に敗れて
消滅させられようとしていた。

「そんな・・・っ
 こんなの・・・こんなの・・・」


死にたくない
死にたくない
嫌 いや イヤ イヤ
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:54:46 ID:bzqHLYl8
ビーニャかよw支援
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:55:04 ID:5xHXeth/
>ライヘンバッハの滝に召喚ゲートを開いてだな…
「モリアーティのやつ、やりあってみると、レスリングの物凄い名手なんだ!」
S.H氏(職業・探偵)談

どうやら肉弾戦も大丈夫な様だ
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:56:59 ID:18XTldT1
しえん
413ゼロと魔獣のような悪魔:2009/02/06(金) 23:57:11 ID:qmIpIH9S
今まさに消えようとする体を震わせ、腹の底から、

「・・・誰でもいいから助けてえぇぇぇぇ!!!」

渾身の力を込めて叫んだ。
だが、叫んだところでどうにかなるはずもない。
周りには敵しかいないのだから。

体から力が消えてゆく、形が保てなくなる、
視界が白くなっていく。

認めない。自分が死ぬなんて認めない。

そんなビーニャの前に、突如としてまばゆい光を放つ鏡が現れ

「ッ・・・・!?・・・・・」

悪魔にとっては眩しすぎる光。
たちまちに意識を失い、ビーニャはその鏡が放つ光に飲み込まれていった。



414ゼロと魔獣のような悪魔:2009/02/07(土) 00:01:04 ID:qmIpIH9S
以上です。

おっかなびっくりですが、とりあえず
プロローグという形でまず投下させていただきました。
今後の話をどう書くかでサモナイ2を引っ張り出してプレイしながら
ゼロ使い魔のDVDを凝視しています。
時々お邪魔して投下させていただきたいと思っています。
ありがとうございました。
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 00:06:54 ID:xPvXIEV2
乙です。
何人かが書いたサモンナイトシリーズを、どのように料理していくか期待しています。

……すみません、qmIpIH9Sさんが投下したばかりですが、
他に投下される方がいないようでしたら、
0時10分頃から4レスの小ネタを投下したいと思っています。

よろしくお願いいたします。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 00:07:55 ID:rJEz0Ip9
亀ですが黒い三年生懐かしい…
確か小学校低学年のころ持ってたSDガンダムのカードダスで三体ドムの黒い三年生カードがあった…
417男爵(1/4):2009/02/07(土) 00:10:28 ID:xPvXIEV2
「おかしいな。女の子がキスしてきたら、そうすればもっと親密になれると、ベルニーニが言っていたが」
 トリステイン魔法学院女子寮塔。
 リーゼントに黒ぶち眼鏡、ワイルドに上着の袖を破り取った姿の男が、一心不乱にメモ帳を書き込むのは一種異様な光景であった。
「女の子を押し倒してはいけない、と。まいったな、この星系のコモンセンスを一から覚え直しか」

「あなた、ルイズの使い魔じゃない。どうしたの、廊下になんて座り込んで」
 男は立ち上がり、声の主へと視線を向ける。赤い髪に褐色の肌の女性、キュルケの名前を、当然ながら男は知らない。
「ルイズが鍵をかけて、僕を中に入れてくれないんだ」
「ありそうなことね。ちょっと待ってなさい」
 キュルケが杖をかざすと、音もなく扉が開く。

 ルイズは不機嫌な様子で、
「あら、ツェルプストーが何の用? アンロックは校則違反よ」
「用があるのはあたしじゃなくて――」
 キュルケは男を指差す。
 するとルイズは有無を言わさず扉を閉める。
中から聞こえる音からして、ありったけの家具を、扉の裏に積み上げているようである。
418男爵(2/4):2009/02/07(土) 00:11:48 ID:xPvXIEV2
「ベッドに押し倒したァ!?」

 男とキュルケは向かい合って座っている。
 自ら自室に招き入れたとはいえ、流石のキュルケもドン引きである。

「僕の行為はタブーだったようだね。状況からして可能だと思ったのだが」
「うーん、どうしたものやら……。貴族にそんなことして、あなたが使い魔じゃなかったら打ち首よ」
 キュルケは頭を抱える。
「どうしてだい?」
「どうしてもなにも――」
「ルイズは自ら、僕に接吻を求めてきたじゃないか」
 そう言われて初めて、キュルケは使い魔召喚の儀に思い至る。
「えーと、あれは儀式のようなもので」
「なるほど、参考になる。――キスは儀式、と」
 男は手帳を取り出し書き付ける。
 キュルケはぽかんと口を開け、その行動を観察するほかない。

「書き留めておかないと覚えられないんだよ」
 キュルケが問うと、男はそう答える。
「ともだち手帳?」
「うん」
「見せてもらってもいいかしら?」
 男はキュルケに手帳を手渡す。
「……教訓――相手の目を見ながら話す、名前を覚える、女性に年齢を尋ねない――」

 びっしりと書き込まれたのは、社会常識ばかりである。
「でも、この手帳はもう役に立たない。君達のモラルやコモンセンスを、一から学び受け入れなければ」
「なぜ?」
「それは――」
 急に男は思案する様子で、
「新たな星系での円滑なコミュニケーションのためには、明かすべきか、明かさないべきか――」
 と呟く。

「なによ、話しちゃえばいいじゃない」
 しかし男はキュルケの言葉に応じ、再び彼女の目を見つめた。
「そうだね。――僕はレティクル座人なんだ」
「れてぃくる……なに?」
「そうか、この星系の座標からいうと――、僕は、あの方向から来た」
 男は天井を指差す。
「空?」
「君達にとってはそういうことになる」
「じゃあなに? 神か精霊か――」
「ああそうか、まだこの星系では空間の認識が発達していないのか。
――そうだね、僕が別の世界からやってきたと思ってもらって差し支えないよ」

「じゃあなに、そうやって手帳に書き付けるのは、あなたがハルケギニアの人間じゃないからなの?」
「そうだ。この星系の人間にも精神感応能力があれば、こんな失敗はしないのだが」
「テレパシー?」
「レティクル人は中枢神経にそのための器官を持っているんだよ。
同じ器官を持つ者同士なら、意思や感情を表に表さなくとも相手に伝わるんだ」
「……でもルイズにそれを試してみたら」
「今の僕の体は、君達と同じなのさ。もうテレパシー器官はないんだ」
 淡々と語る様子が、キュルケには淋しげなものに見えた。
419男爵(3/4):2009/02/07(土) 00:12:58 ID:xPvXIEV2
「ねぇルイズ。だから、彼はそんな人じゃないんだってば」
「あれの話はしないで。顔も見たくないわ」
「そりゃああんな行動をされちゃ、あなたも怖いかもしれないけど、悪気があって――」
「そうね。ゲルマニア人の倫理観にはお似合いね」
 ルイズは教科書を揃えると、キュルケを振りほどくようにして、教室から出ていった。
「ちょっとルイズ、約束よ! 夕食が終わったら待ってるから!」


「――来ないわね」
 星空の下、キュルケと男はヴェストリの広場の一角に腰掛けていた。
「帰る?」
「いや、もう少しいるよ。たった今、気が向いた所かもしれない。
僕はルイズに失礼なことをしたんだ。謝らなければ」
「うーん……」

「ねェ、あなたは、どうしてそんな体になったの?」
 すると男の鋭い視線がキュルケを貫いた。おそらく、同様の質問を幾度も投げかけられ続けているのだろう。
「いや……、まあ、話したくないならいいけど……」
 一瞬の沈黙の後、男はキュルケを見ずに語りだした。

「……銀河連邦調査局辺境文明観察隊の隊員として、僕は単独である惑星に来た。
この惑星に来る以前のことだ。まだ若かった僕には、退屈な任務だった。
――だから僕は、いろんなイタズラをしたよ。牛の体に穴を開けて殺したり、麦の穂を倒して落書きしたり」

 話半分に聞いていたキュルケであるが、静かに感情を込める様子に、だんだんと表情が変わる。
「惑星の人間が頭を抱えて右往左往するのを見て笑った。テレパシーが通じなかったから、彼らの気持ちは無視できたんだ」

「でも、それは重罪だった。僕は裁かれ、罰としてこの体に作り変えられた。
それで前にいた星系に放置されたんだ。はじめはそんな仕打ちを呪った。
でもやがて環境に慣れ、自分に下された罰の意味を考えるようになった。
――またこの惑星に移されたってことは、まだ、考える途中なのかもしれないね」

 男が口を閉じるのを見て、思わずキュルケは、優しく言葉を発さずにはいられない。
「……そう、あなたも、いろいろあって大変なのね」
 男はキュルケに顔を向ける。
「……最後まで聞いてくれたのは君が二人目だ。僕の話を信じてくれるのか?」
「……信じるわ」
「――なぜ?」
「なぜって言っても――、目で分かるわ。この学院にいる男達よりも、ね」

「――ありがとう、ミス・ツェルプストー」
 男は初めて微笑んだ。

「あら、ツェルプストーなんて他人行儀ね。キュルケでいいわ。どう、今夜もあたしの部屋に泊まってく?」
 しかし男は、キュルケの言葉に構わぬようにして、勢いよく立ち上がった。
「ルイズ!」
「え? あ!」
420男爵(4/4):2009/02/07(土) 00:13:49 ID:xPvXIEV2
「うわっ、まだいたの!?」
 塔と塔を結ぶ通路を、ちょうどルイズが通りかかっていた。一瞬ひるんだルイズに男が駆け寄り、キュルケも後を追う。
「来てくれたのか、ありがとう」
「部屋に戻るから通っただけよ」
 あからさまに嫌な顔をするルイズ。
 しかし男はルイズが言葉を続けるよりも早く、
「昨日はごめん」
 深々と頭を下げた。

 どうしたものかと呆気に取られるルイズだが、いつまで経っても男が顔を上げないことを見かねた様子である。
「……わ、わたしもやっと召喚できた使い魔をどうこうするつもりはないわ。
でも、謝る気持ちがあるなら、誠意で示しなさい。それ如何では考えなくもないわ。面を上げなさい」

 それが彼女なりの最大限の譲歩なのであろう。
「まあ、彼がやったことを考えれば仕方ないわね」
 彼が信用されたわけではないが、キュルケも妥協点として納得している様子である。

 だが男は、ルイズの目を見据えると、更に言葉を続ける。
「でも」
「なに? 言い訳は認めないわよ」
「君の唇の感触はとてもステキだった。ありがとう」
「……こ、こっ、こっ、この! 盛りのついた犬ぅぅぅっ!」
 自身とキュルケを巻き込んで、ルイズの爆発魔法が男に炸裂した。


「――ああ、やっぱりダメだったわね」
 キュルケはふたたび頭を抱える。
「この星系のコモンセンスについて知らないから――。ん?」
「どうしたの?」

「ルイズ、君は精神感応能力があるのかい?」
 ぼろ布のようになったルイズは、恨めしげに男を睨みつけているが、ふいに表情が緩む。

「なによ――、なに、これ。この声、考え、あなたの――」
「ルイズ! いったいどうしたの?」
「考えてることが、流れ込んでくる――。本当に悪気はなかったのね――、ごめん、あなたのいうことを信じられなくて――」

「……僕も驚いたよ。テレパシー器官がないのに、ルイズと精神感応できるだなんて」
「そういえば、使い魔は主人と感覚を共有できるっていうわね。
人間どうしだったら、考えていることが共有できてもおかしくないわ」
 ルイズは男の手を取ると、自室へと引き連れていく。
「ほら、行くわよ! あんたの考えることは分かったけど、ツェルプストーと一緒にいるなんて、許さないんだから」
「……あらあら、一日しか経ってないとはいえ、なんだか寂しいわね」

 すると遠くから男が叫ぶ。
「おやすみ、ミス・ツェルプストー! ――ルイズは君のことが大好きなみたいだ!」
 キュルケは苦笑しつつ、男に手を振った。
421男爵:2009/02/07(土) 00:15:20 ID:xPvXIEV2
――以上で終わりになります。

幸村誠 『プラネテス』(ΠΛΑΝΗΤΕΣ)より、「男爵」を召喚。

……まとめWikiを「プラネテス」と「男爵」で検索してみたけど、まさかネタ被ってないよね!?
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 00:19:55 ID:Umk7b8dA
GJ!
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 00:20:04 ID:lvsaU3d9
テレパシーと聞くと「おかあさんのうた」のギーグを思いだすな。
やっぱ、宇宙人だって人と分かり合うことができるだな。
いい話でした。
424超力ガーヂアン2 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:21:24 ID:oSKXEPZo
投下乙でした。

0:30より第2話を投下させていただきます。
第3話が全然進まないので、自分を追い込む意味合いもあったり。
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 00:24:38 ID:DN4qkZSL
全力幼女支援
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 00:29:45 ID:coV7e+oA
調理器カーチャン支援
427超力ガーヂアン2 1/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:31:02 ID:oSKXEPZo
 
 モー・ショボーを召喚して、早1週間が過ぎた。
 初めは、ただ可愛いだけで役に立たない使い魔かと思っていたが、ギーシュとの決闘騒ぎその認識は改められることになる。
 なんと彼女は、凶悪な先住魔法の使い手であったのだ。その威力は凄まじく、ドットメイジなど比較にならぬものである。
 不意打ちの様なものであったが、ギーシュとそのゴーレム(+α)を纏めて吹き飛ばし、それだけでは飽き足らず、ヴェストリの広場に破壊を撒き散らしたのであった。
 その破壊跡は既に修復され、そんな事があったとは微塵も感じさせないが、関係者の記憶には深く刻み込まれている。
 その所為か、私の周りは平穏なモノで、緩やかに時間が流れていく。
 私のことを『ゼロ』と呼ぶ声もだいぶ減った。陰では言っているのかもしれないが、私の耳には入ってこない。
 モー・ショボーは相変わらず無邪気に遊んでいる。使い魔たちの中でも、一目置かれる存在のようだ。
 特に、幼風竜と仲が良いようで、よく一緒に遊んでいる姿を見かける。
 そんなモー・ショボーに、私は何かご褒美をあげようと思い立った。
 情けない話だが、あの忌々しいゲルマニア女に言われて気がついたのだ。決闘騒ぎで確かな力を示したモー・ショボーに、褒めたり何かしたのか?と。
 そんな訳で、今更だがモー・ショボーに、ご褒美をあげようと思う。
 と、言っても、何をあげれば喜ぶのか分からないので、直接聞いてみる事にした。

「えっとね、じゃあ…… 宝石ちょうだい!」

 宝石か…… 私の持っている物をあげてもいいが、幸い明日は虚無の曜日だ。城下町まで足を伸ばして、そこで見繕ってやろうと思う。
 うん、それがいい。城下町までは馬で行くことになるが、風を切って走るあの爽快感を思えば苦など感じない。

「いますぐくれないの?」

 少しくらい我慢しなさい。
 楽しみは、後に取っておいた方がいいでしょ?

「はーい。たのしみだな〜」

 モー・ショボーは、空中で軽やかにとんぼ返りを打つと、能天気に笑った。




                   超力ガーヂアン 2

      〜デビルサマナー(仮) ルイズ・(中略)・ヴァリエール 対 土塊怪盗〜
428超力ガーヂアン2 2/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:32:35 ID:oSKXEPZo
 3時間ほど馬に揺られて城下街に到着した。
 本当ならばもっと早くに到着していたはずなのだが、モー・ショボーがあっちにうろうろ、こっちにうろうろしていた所為で、やたら時間がかかってしまった。
 街中に入っても、街並みが物珍しいのか、周りをキョロキョロと忙しなく、気を抜くと糸の切れた凧のように何処かに飛んで行ってしまいそうだ。
 落ち着きのないモー・ショボーの首根っこを掴んで引き寄せる。

「ほら、寄り道しない。唯でさえ人が多いんだから、迷子になっちゃうでしょ。
 大丈夫だと思うけど、渡した財布は大丈夫でしょうね?」

 下僕がいるのなら、貴族が財布など持つ道理などない。
 この子に財布を渡すのは多少の不安も感じないでもなかったが、使い魔の仕事を覚えさせるためだ。甘やかしたりは出来ない。
 それに、使い魔を信じる事も主人の務めだと、自分に無理矢理に言い聞かせる。

「おサイフならちゃんともってるよ。こどもあつかいしないでよねっ」
「はいはい、ここら辺はスリが多いから気をつけてね」

 口をとがらせるモー・ショボーを適当に窘めつつ、この通りにスリが多い事を伝える。
 今日は、残っていたお小遣いの大半を持ってきたのだ。スられてしまっては元も子もない。

「ダイジョウブだよ。みつけたら、やっつけてあげるから! キャハッ!」
「なるべく穏便にね。『真空刃』とかいうのは、使っちゃダメよ」
「『ショックウェーブ』ならい〜い?」
「……広範囲に破壊を撒き散らさない奴だったらね」
「……ちぇっ。だったら、どうすればい〜の?」

 ……止めて正解だった。ショックウェーブがどんなのもか知らないけど、真空刃と同じようなモノらしい。
 あんな魔法を街中でぶっぱなされたら、即お縄だ。いくら私が公爵家の令嬢だとしても、許される事と許されない事がある。
 しっかり手綱を引いておかないと、どうなるか分からない。
 モー・ショボーは丸っきりの子供だ。使うと決めたら、躊躇なしに力を振るうだろう。それだけは避けねばならない。
 主人の私がしっかりと、倫理観を教えてやらねば……

「いい、モー・ショボー? そんなにホイホイ魔法を使っちゃダメよ」
「ど〜して?」
「どうしてもこうしてもないわ! こんな所であんなの使っちゃ、関係ない人まで巻き込んじゃうでしょ!」
「う〜ん…… そっかぁ」
「わかった? だから、スリを捕まえるのに魔法は使っちゃダメよ」
「人間がそういうんなら…… うん、わかったよ!」

 よかった。駄々をこねられたらどうしようかと思ったけど、素直に言う事を聞いてくれて助かったわ。
 それじゃ、お目当ての宝石店に行きましょうか。露店で探すのもいいけれど、偽物とかが多いから余り期待は出来ない。
 今日は堅実に正規のお店で買いますか。
 ……路地裏? 武器屋? 何でそんな所に行く必要があるのよ?



 ◆◇◆
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 00:35:02 ID:ZkD/VvOq
いきなりデルフ涙目か支援
430超力ガーヂアン2 3/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:35:13 ID:oSKXEPZo
 城下街で宝石を買い求め、学院へと帰った時には既に、陽は西の山の陰に隠れようとしていた。
 白い筈の学院の壁を緋色に染め、影法師は身長の数倍の長さに伸びている。
 遠くの空ではカラスが鳴き、夜がゆっくりと忍び寄ってきている事を告げている。
 赤く染まった部屋で今日の出来事を思い返し、気だるい仕草で窓の外を眺めながら溜息をついた。
 憂鬱だ。苛立ちさえも感じる。
 出来る事なら目も耳もふさいでベッドの中で蹲りたい。
 けれど、そんな事は出来る筈もない。
 私の天敵ともいえるこの女を前にして、逃げるような真似など出来よう筈もない。
 またひとつ、溜息をついてから胡乱気な表情で、さも当たり前のように私の部屋にいる女を睨む。

「どうしたの、ヴァリエール? 溜息ばっかり吐いちゃって、幸せが逃げるわよ?」

 何でこの女は私の部屋でお茶など飲んでいるのだ。
 確かに、この女が持参してきたお茶とクックベーリーパイは美味しい。食べ物に罪はないので遠慮なくいただく。
 しかし、だ。
 私とこの女は、楽しく優雅にお茶会をするような間柄ではないはずだ。
 なのに、どうしてこの女は、嬉々と私の部屋を訪ねてきたのだろうか? 余計なオマケ付きで。
 オマケというのは、蒼髪の少女のことだ。断りもなしにベッドに腰掛け、本に目を落としている。
 確か同級生だったはずだが、名前は何と言っただろうか? キュルケと一緒に居るのを見かけた事はあるが、名前までは知らない。
 冷たく他人に関心を払わない瞳、短い髪と小柄な体格は、キュルケとは何もかもが正反対である。
 どうしてこの2人が友人をやっているのか不思議だ。なにか裏でもあるのかと、勘繰ってしまう。

「で、何の用なのよ? まさか、本当にお茶をしに来たわけじゃないでしょ?」
「あら、お茶だけじゃ不満?」
「惚けないで!」

 小さなテーブルの向い側に座り、ティーカップを優雅に持ち上げて肩を竦めるキュルケを睨む。
 けれど、涼しげな表情をピクリとも動かさない事に苛立ち、乱暴に拳をテーブルに叩きつけて怒鳴る。
 カップからお茶が零れ、テーブルを伝って小さな川を作るが、それは無視する。

「一体、何を企んでる訳? とっとと用件を言いなさいよ」
「せっかちね。もっと心に余裕を持った方がいいんじゃない?」
「余計なお世話よ。
 ……で、何の用なのよ?」

 キュルケは軽く溜息を吐くようにして鼻で笑った。
 一々癇に障る女だ、全く。
 忌々しい…… そんなに私を怒らせて楽しいのか?
 ギリギリと、奥歯を力の限り噛み締める。

「はいはい、落ち着きなさい。
 別に、貴女に用があってきたんじゃないわよ?」
「じゃあ何しにきたのよ!」

 人をからかうのも大概にして欲しい。
 このままだと、抑えが利かなくなるかもしれないわよ?
 分かってんの? 怒っちゃうわよ?
 温厚な私でも、怒る時は怒るのよ? そうなったら、どうなっても知らないわよ?

「あの子に用があってきたのよ」
「モー・ショボーに?」

 キュルケは、部屋の脇に流し眼を送る。
 その視線を追うと、ベッドの上で寝そべっているモー・ショボーがいた。買ってあげたオパールのブローチを眺めている。
 オパールは光の加減により、虹のように多彩な彩色を示す。
 その色の揺らぎが面白いらしく、モー・ショボーは部屋に帰って来てから、飽きもせずにずっとブローチを眺めているのだ。
 買ってあげて正解だった。思わず頬が緩む。
 少し大きな出費だったが、あれだけ気に入ってくれたのなら、プレゼントして良かったと思える。
431超力ガーヂアン2 4/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:37:58 ID:oSKXEPZo
クックベーリーパイってなんだよ。誤字っちゃったよorz

-
「貴女からのプレゼント、気に入ってるみたいじゃない?」
「当然でしょ、私の使い魔だもの。好みくらい、ちゃんと分かってるわ!」

 本当は、モー・ショボーが選んだ物を買って上げただけだけど、そういう事にしておく。
 使い魔に任せるのも、主人の裁量の内よね。
 すると、何が可笑しいのか、キュルケは口元を押さえて小さく笑う。

「それは良かったわね。
 そうそう、私がここに来たのはね。あの子にプレゼントを持ってきたのよ」
「プレゼントぉ〜?」
「そうよ。
 お近づきの印に、ね?」

 キュルケは事も無げに、ウィンクをしながらそう言った。
 一体何のつもりなのだろうか?
 気まぐれにしては、いやな予感がする。
 まさか、モー・ショボーを横から掻っ攫うつもりなんじゃないでしょうね?
 私の実家、ヴァリエール家と、この女の実家、ツェルプストー家は先祖代々の宿敵なのだ。
 何代前から続いているのか分からないが、気づいた時には既に宿敵だったに違いない。
 ヴァリエール家とツェルプストー家の領地は、トリステインとゲルマニアの国境を挟んで隣同志である。
 戦争の度に両家は殺し合い、屍の山を築き上げてきた間柄だ。
 ……それだけならまだよかった。
 ツェルプストー家がヴァリエール家の宿敵だという認識は、比較的平和な時代である今でも、些かも揺るいではいない。揺るぐはずもない。
 なぜならば、あの女の一族は、私のご先祖様の婚約者や恋人を禿鷹の如く奪い去っているからだ。
 数えるだけでも馬鹿らしく、腹立たしい。
 あの女には、ヴァリエール領の砂粒一つさえくれてやるものか!
 そうでないと、ご先祖様に顔向けできないわ。

「余計なお世話よ。
 私のモー・ショボーに変な物をあげないでくれる?」
「変な物なんかじゃないわ。
 それに、受け取る受け取らないは、あの子が決める事じゃなくて?」
「アンタからのプレゼントなんて、受け取る筈ないわ!」
「じゃあ聞いてみましょ。
 ねえモー・ショボー、こっちへ来なさいな。良い物をあげるわよ」
「なになに? なにくれるの?」

 キュルケはモー・ショボーを手招きする。猫なで声が鼻につく。
 モー・ショボーは何も疑わず、あっさりと物に釣られてしまった。何やってんのよ!

「コレよ」
432超力ガーヂアン2 5/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:39:25 ID:oSKXEPZo
 そう言って、キュルケは、む、胸元からペンダントを取り出した。
 ど、ドコに入れてんのよ! 胸がおっきいっていう自慢なの?! それとも、私に対する当てつけ!?
 ……オホン。
 取り乱してしまったようね、失礼。
 赤い石は鮮血をそのまま固めた様な深紅色をしている。ガーネットだろうか?
 確かに美しいが、私がプレゼントしたオパールには及ばないわね。
 ……負け惜しみとか貶しているのではなく、純然たる事実だ。客観的な意見だ。

「キャハッ! きれい〜。ホントにくれるの?」
「遠慮することなんてないわよ」
「わーい、血染めのレアものもらっちゃった〜」

 モー・ショボーの表現は、一々猟奇的だ。無邪気に言う分、なお性質が悪い。意味もなく寒気を感じてしまう。
 これには、キュルケもいささか顔が引きつっている。ざまぁみろだ。
 私は既に慣れてしまっているので、こんな事では驚かない。
 こんなもの、目の前で嵐を圧縮したような暴風が吹き荒れる事に比べたら、可愛いものだ。
 っと、そうじゃない、そうじゃない。

「待ちなさい、モー・ショボー。どうして受け取るの?
 知らない人に物をもらっちゃ、メッでしょ!」
「どうして? くれるなら、もらってもいいじゃん」
「駄目なの! コイツに借りを作ることなんて、絶対に有っちゃいけないの。
 アンタは私の使い魔なんだから、主人に恥をかかせちゃいけないでしょ!」

 貰える物は貰うとか、くれるから貰っていいなんていう考えは、貧乏人の考え方よ。
 私には、いえ貴族にはプライドがある。誇りがある。ソレを汚すような真似なんて出来はしない。
 この女は先祖代々、不倶戴天の敵なのだ。そう易々と、気を許すわけにはいかない。

「人間、うつわがちいさいよ」
「そうそう。この程度で怒ってると、底が知れるわよ、ヴァリエール?
 あたしは別に、貸しだなんて思ってないから」
「私が気にするの! 何で宿敵からの贈り物なんて受け取らなきゃいけないのよ!
 モー・ショボーは渡さないわよ!」
「ああ、そう言う事ね。フフッ……」

 何を得心したのか、心底可笑しそうに笑う。
 私が怒っているのに、それを無視するなんて失礼な女だ。

「なによ? 気持ち悪い」
「フフッ……
 いえね、そんな風に考えてるなんて、思ってもみなかったからつい、ね?
 そんな心配しなくても、人の一番大事な物を取ったりしないわよ?」
「ふんっ、どうだか……」

 コイツに恋人を取られたなんていう話はそこら中に転がっている。
 他人の恋人を取るなんて、手癖の悪い女だ。
 わざわざゲルマニアから留学してきたのも、そこら辺が関係しているのだと思う、恐らく。

「人間、なんでそんなにおこってんの?」
「アンタのためでしょうが!」
433超力ガーヂアン2 6/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:40:39 ID:oSKXEPZo
 気楽に言ってくれるわ。
 何としてもこの色ボケ女の魔の手から、モー・ショボーを守らないといけないというのに、当の本人はお菓子を片手にのほほんとしている。
 私がおかしいのか? 私がずれてるのか?
 そんな筈はない、これは宿敵との聖戦なのだ。

「人間、お菓子わけたげるから、きげんなおしなよ?」
「あのねえ!
 子供じゃないんだから、そんなもんで誤魔化されるわけないでしょ!」

 差し出されたクッキーを乱暴に払いのける。
 手を払いのけられて、モー・ショボーは不満そうだ。けれど、ここで甘い顔をしてはいけない。
 ……ん、クッキー?
 何かがおかしい。違和感を感じる。 
 キュルケが持ってきたのは、クックべリーパイだ。
 クッキーなど、この部屋にありはしない。ならば、どこから出てきたのだろうか?
 モー・ショボーに向き直る。

「ねえ、そのクッキーは、何処から持ってきたの?」
「あの人間にもらったの。おいしいよ?」

 モー・ショボーが指差す方向を見ると、蒼髪の少女と目が合った。
 何となく気まずいモノを感じて視線を逸らす。すると、クッキーの入った紙包みを発見した。
 ちょっと、ベッドの上に置かないでよ。食べカスで汚れちゃうじゃない。
 睨みつけるようにして、蒼髪の少女に問いかける

「それ、貴女が持ってきたの?」
「欲しいの?」
「要らないわよ! 私の使い魔に餌づけしないでくれる?!」

 何を勘違いしたのか、紙包みをよこしてくる。
 もう我慢の限界だ。堪忍袋の緒どころか、袋自体が破裂した。
 この部屋に私の味方はおらず、敵だらけだという事が良く分かった。
 マグマが湧き上がるかの如く、激しい怒りが心の奥から噴き出してくる。それを止める術を私は知らない。
 例え知っていたとしても、止める気などサラサラない。怒りのままに指を突き付け叫ぶ。

「け、け、け…… 決闘よーっ!」



 ◆◇◆
434超力ガーヂアン2 7/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:43:26 ID:oSKXEPZo
 春といえど夜風は冷たく、ヒュウヒュウと物悲しく吹いている。
 時刻は深夜、中庭から寮を見上げると、殆どの部屋の明かりは落ちていた。
 左右前後を注意深く見渡し、誰も居ないことを確認して私は走り出す。
 目指すのは、本塔を挟んで寮塔の反対側にあるヴェストリの広場。そこが決闘の場だ。
 最近では、ギーシュの決闘騒ぎが起きた事が記憶に新しい。
 本当ならば、あの後すぐにでも始めたかったのだが、人目につくと不味いので、こんな時間になってしまったのだ。
 早足の私の後ろからは、モー・ショボーが目を擦りながらついてくる。眠たいようだが、そうは言っていられない。
 これは、私とあの女の因縁の対決だからだ。
 ……正直、私は決闘を申し込んだ事を少し後悔している。
 別に怖気ついた訳じゃなく、感情に任せて決闘を申し込んでしまったことに、だ。
 今なら、あの時のギーシュの気持ちが良く分かる。一時の激情に流されてはいけないと理性で分かっていても、踏み止まることが出来なかった。
 何時までも気を揉んでいても仕方ない。次からはこうならないように気を付けよう。
 そんな事を考えていると、ヴェストリの広場に到着した。
 本塔寄りの樹の下に2つの人影が見える。

「遅いわよヴァリエール、逃げだしたのかと思ったわ」
「あらそう? 時間通りだと思うけど?」
「まあいいわ。早く始めましょうか」

 ……焦らし戦法は失敗か。 
 まあいいわ。そんな小細工なんかなくても負けはしない!

「それにしても、私とタバサに決闘を申し込むなんて、なかなか度胸があるじゃない」

 タバサというのがあの子の名前か…… 変わった名前ね。

「で、どうやって勝敗を決める気?
 どんな方法でも良いけど、私とタバサがタッグを組んで貴女と戦うのはフェアじゃないわね」
「む……」

 そういえば、勝つことばかり考えていて、肝心の決闘方法を考えていなかった。
 1人づつ相手取ってもいいが、あまり時間をかけ過ぎると見つかる可能性がある。
 できればシンプルで、直ぐにでも勝敗が決まるようなものがいい。
 しかし、そんなに都合の良い方法があるだろうか?
 ふと横を見ると、タバサがキュルケに何かを耳打ちをしている。

「へぇ、それは良い考えね。で、何を使うの?
 ……ふぅん、なるほどねぇ」

 ボソボソ言っていて、私には何も聞こえてこない。
 何か良いアイデアでもあるのかしら? とにかく聞いてみよう。

「なに? いい考えでも出たの?」
「ええ、タバサがいいのを考えてくれたわ。
 まあ、ちょっとしたゲームみたいなものよ」
「どんなの?」

 なんだかよく分からないげれど、この女は乗り気のようだ。
 このタバサとかいう子が贔屓をするようには見えないが、もし私に不利な条件ならば、異議を唱えなくてはならない。

「的を作ってそれに当てる。一発勝負」

 非常に簡潔な説明に眉を顰める。
 言いたい事は何となくわかるが、すごく言葉足らずだ。
 もう少し人と話す努力をして欲しいものだ。自己啓発セミナーでも薦めてみようかしら?
 まあ、そんな事はどうでもいいか。不明瞭な部分は問い詰めればいいだけだ。

「的ってなにを的にするのよ?」
「コレよ」
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 00:44:19 ID:6fHdGpNx
男爵の人乙
こうして見ると、あのエピソードはよくできた短編だよなあ
超の付く世間知らずの男爵とルイズの生活は面白そうだ

そんで支援
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 00:46:24 ID:KFrK93TF
支援
437超力ガーヂアン2 8/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:47:18 ID:oSKXEPZo
 
 そう言って取り出したのは例のペンダントだった。
 ……そんな物を的にして大丈夫だろうか?
 壊れでもしたら、それこそ勝負にならない。まあ、私が勝つのだから関係ないけど。

「そんでもって、これを向こうの木にロープで吊るす」
「それで?」
「20メイルくらい離れて、そこから魔法を使ってペンダントを地面に落とせば勝ちよ。
 あと、ペンダントに魔法を当てたら負けだからね。潰したりしたら、弁償してもらうから」

 いたってシンプルで公平だ。
 20メイルも離れれば、細いロープなどそうそう当りはしない。
 それ以前に、私には魔法が成功するかどうかという問題があるが、既に解決策はある。
 要はペンダントを地面に落しさえすればいいのだ。そう、落としさえすれば、ね。

「その条件で良いわ」
「じゃあ早速準備しましょうか」

 そう言うと、キュルケはタバサからロープを受け取り準備に掛かる。
 準備の間、私とタバサが取り残され、少し気まずい。
 全く話したことがないというのに、つい勢いで決闘を申し込んでしまった所為で、多少後ろめたい気持ちがある。
 チラリと横目で窺う。
 タバサは全くの平静で、感情が読み取れない。冷たい月の光も相まって、人形のように感じ、話し掛けるのを躊躇わせる。

「人間、ねむいよ〜」
「直ぐだから、もう少し我慢してて」
「お菓子、いる?」

 ぐずるモー・ショボーに、タバサが紙包みを差し出してくる。
 中身はおそらく、件のクッキーだろう。

「わ〜い、いるいる〜」

 モー・ショボーは眠気など吹き飛んだようで、喜んで紙包みを受け取ろうとする。現金なものだ。
 だが、そんな事を見逃せるはずがない。受け取る寸前で紙包みを取り上げる。

「駄目よモー・ショボー、歯を磨いた後なんだから。虫歯になっちゃうでしょ。
 アンタも軽率な真似はよしてよね。それに、何で餌づけしようとするのよ?」
「唯のお礼、何時も使い魔が相手してもらっているから。次からは気をつける」
「お礼?」

 はて? モー・ショボーが相手をしている使い魔?
 記憶を手繰る。
 けれど、使い魔同士の友好関係など知らないので頭を捻るしかない。

「アンタの使い魔って?」
「ウィンド・ドラゴン」
「ああ、あの青い竜ね……」

 あの竜なら、何度か一緒に居るのを見かけた事がある。
 お互い奔放に空を飛びまわって、とても楽しそうにしていた。
 ソレを見て、上手くやっていけているようで安心したし、少し羨ましくも思ったものだ。
 あの竜の主人がタバサだったとは知らなかった。
 ……やっぱり、勢いで決闘なんて申し込むものじゃないわね。今更ながら決意が揺らぐ。

「準備出来たわよ。それじゃあ始めましょうか」
「えっ? ああ、そうね」
438超力ガーヂアン2 9/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 00:49:53 ID:oSKXEPZo
 唐突に上から声が降ってくる。どうやら、準備が整ったようだ。
 枝からロープが垂らされ、その先に括りつけられたペンダントが振り子のように揺れている。
 キュルケは私の眼前に着地すると、不敵に笑った。

「どうしたの? やっぱりやめる?」
「冗談言わないで! さっさとやるわよ!」

 ……コイツ、上で盗み聞きしてたわね。
 私の内心を見透かしたように、ニヤニヤと笑うキュルケに苛立ちを隠せず、怒鳴り返す。
 タバサには負い目を感じるが、コイツは別だ。意地でも負けられない。

「はいはい、お先にどうぞ」

 キュルケの余裕の態度が腹立たしい。
 どうせ失敗すると思っているんでしょうけど、そうは行かないわ。
 何故なら、私には必勝の策があるからだ。
 我ながら自分の頭脳が恐ろしい。ふふふ……

「ニヤニヤしてないで早くやりなさいよ。時間稼ぎのつもり?」

 呆れた様な声で背中から野次が飛んでくる。
 振り向かなくてもわかる、キュルケだ。
 文句の一つも言いたいが、どうせアイツは強がりだと取るだろう。ならば、行動で示してやる。
 完璧なまでに決闘に勝利し、輝かしい栄光を手にするのだ。
 決意を新たに、気を引き締め目標を見定める。
 的であるペンダントまではおよそ20メイル。辺りは明かりも殆どなく、目測がつけづらい。
 確かに月明りはあるが、それはとても頼りなく、ロープはユラユラと風で揺らいでいて、狙いを定めるのは困難だ。
 けれど、そんな事は問題ではない。要は、的を小さく絞るからいけないのだ。
 狙うのはロープではなく枝、枝ではなく樹そのものを狙えばいい。
 これならば、多少狙いがずれても問題ない。樹ごと吹っ飛ばせば、自ずとペンダントは地面に落ちる。
 ペンダントが樹の下敷きになるかもしれないが、そうならない事を始祖に祈ろう。日頃の行いが良いのだから、きっと聞き届けて下さるに違いない。
 万が一魔法が失敗しても、樹が爆発するだろうから、勝率は五分五分だ。

「完璧ね…… 何度シミュレーションしても、私の勝ちは揺るがないわ」
「いいから早くしなさい。結構寒いんだから」
「分かってるわよ。そこで私が華麗に勝利する瞬間をその眼に焼き付けてなさい!」

 無粋な女だ。囁き戦法で私の集中を乱す気か?
 ふん、そこで指を咥えて見ているがいいわ。私が魔法で華麗に木をなぎ倒すところを。
 唇の両端を伸ばしてほくそ笑む。見える、あの女の悔しがる顔が目に浮かぶ。
 指揮棒にも似た愛用の杖を振りかざし、歌う様にルーンを詠唱する。
 唱えるは『ウインドカッター』、風の刃が樹を切り倒すイメージを脳裏に浮かべながら、ルーンの完成と共に力強く杖を振り下ろす。

「ウインドカッター!」

 ……あれ? 何も起きない?
 失敗したのだろうかと思い、再び杖を振り上げようとしたところで爆発音が響いた。
 俊敏な動きで本塔を見上げると、一瞬だけ爆発の閃光が網膜に残り、黒い煙が立ち上る。
 どうやら、魔法は失敗してしまったようだ。
 目標は20メイル先の樹だった筈だが、爆発したのは本塔上部の壁。失敗も失敗、大失敗である。

「あはははは! 流石ね、ヴァリエール!
 樹じゃなくて壁を爆破するなんてどうするのよ?! 狙いを外し過ぎよ!
 そんな器用な真似、私には出来ないわ!」
「人間すごーい! だいばくはつだね!」
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:00:16 ID:H2lDMbJq
支援
440超力ガーヂアン2 10/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:05:09 ID:oSKXEPZo
 キュルケは私を指差しながら腹を抱えながら笑い、そして、モー・ショボーは何故か手を叩いて喜んでいる。
 ホントにムカつく女だ。人の失敗をあげつらって喜ぶなんて、どれだけ面の皮が厚いのやら。
 そして、今回ばかりは、モー・ショボーの無邪気さに腹が立つ。何のための決闘だと思っているのか?
 イライラと心がささくれ立っていく。
 笑いを噛み殺しながら、それでもクスクスと含み笑いをして、キュルケが近づいてくる。
 そしてすれ違う瞬間、目と目が合うと、キュルケは悠然とした仕草で髪をかきあげ、鼻で軽く笑った。

「さて、あたしの番ね。
 見てなさいヴァリエール。魔法っていうのはこう使うのよ!」

 悔しいが、怒鳴り返しても惨めなだけだ。拳を固く握りしめ、歯を食いしばって耐える。
 キュルケはその余裕の表情のまま杖を振り上げ、ルーンを唱える。
 どうやら『ファイアーボール』を使うようだ。『ファイアーボール』とは、その名の通り火の玉を放つ魔法だ。
 キュルケの二つ名は『微熱』。
 その名が示すとおり、彼女が得意とする属性は火であり、その腕前は、同級生の中でも頭一つ抜きんでている。悔しいが、それは認めざるを得ない。
 ルーンが完成すると、杖の先にメロン大の火球が出現し、キュルケが更に杖を振ると目標めがけて一直線に飛んでいきロープを焼き切った。
 ペンダントが地面に落ちる小さな音が響く。

「ざっとこんなものね。何か文句があるなら聞いてあげるわよ、ヴァリエール?」
「文句なんかないわよ! ふんっ!」

 うぅ…… 悔しい悔しいっ!
 胸の奥から沸々と怒りがこみ上げてくる。しかし、それはキュルケへの怒りではなく、自分自身への不甲斐なさに、だ。
 どうして私は魔法が使えないのだろう……
 どれだけ努力しても、どれだけ魔法書を読み漁っても、私に使えるのは、意味をなさない爆発のみ。
 すり潰す程に奥歯を噛み締め、肩を戦慄かせて屈辱に耐える。
 けれど、そんな事では悔しさと、やり場のない怒りは抑え切れず、何かに八つ当たりでもしなければやり切れない。けれど、それは駄目だ。
 モー・ショボーの見本となると決めたのだ。主人の私が醜態をさらす訳にはいかない。
 グッと怒りを呑みこむ。……草でも千切って憂さ晴らしをしようか?
 ふと、その瞬間、月が陰った。
 降り注いでいた月光は遮られ、冷たい闇が辺りを支配する。
 月が雲に隠れたのかと思い空を見上げると、黒く巨大な何かが目に飛び込んできた。

「な、なにあれ?!」

 キュルケの唖然とした声が聞こえる。
 その何かとは、土で出来たゴーレムであった。それは巨大で、30メイルはあるだろう。
 突如として現れたゴーレムは、こちらへゆっくりと歩いてくる。
 ゴーレムが足を踏み出す度に地面は揺れ、その巨体が圧倒的な存在感を放つ。

「キャァァァッ!」

 静かに放たれる恐怖に耐えられず、絹を切り裂くような声が迸る。
 それは果たして、私の声だったのかキュルケの声だったのか、もしかしたら、タバサだったのかもしれない。
 それすらも判別がつかず、腰砕けになりながらも何とか走ってゴーレムから逃げる。
 必死になって走る背中に、鈍い轟音が叩きつけられた。
 その音で我に返り、振り返る。
 振り向くと、ゴーレムはその巨腕を本塔の壁に叩きつけた姿勢のまま固まっていた。
 それも束の間、ゴーレムはゆっくりと姿勢を立て直し、再びその岩塊といえる拳を振りかぶる。
 ゴーレムは私たちなど無視して、学院の壁を連打する。

「あれ見て! あそこ、ゴーレムの肩!」

 キュルケの声に従いゴーレムの肩を注視すると、そこには黒い人影がいた。
 月明りに照らされ、その人物の姿が浮き上がる。その人物は、全身を覆う黒いローブに身を包んでおり、男か女かの判別はつかない。
 おそらく、あれがゴーレムを作りだし、命令を下しているメイジだろう。

「宝物庫」
441超力ガーヂアン2 11/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:05:57 ID:oSKXEPZo
 タバサの言葉で、あのメイジが何をしようとしているのかに気がついた。
 金庫破りだ。
 学院の5階には、貴重物を収めた宝物庫がある。賊は、その宝物庫にある宝を狙っているのだろう。
 そんな事をさせるわけにはいかない! さっきは思わず逃げてしまったが、今度は逃げてはいけない。
 義憤が私の体を縛った恐怖を取り除く。

「ファイアーボール!」

 果敢に魔法を唱えるが、それはあえなく外れ、先ほどの樹を吹っ飛ばした。
 何故、さっきこうならなかったのだろう、と、不謹慎にもそう思ってしまう。
 顔を顰める私の横から、キュルケの怒声が飛んでくる。

「なにやってるのよ! ちゃんとやりなさい!」
「…………」

 見ると、キュルケとタバサは杖を振り、ルーンを素早く唱えていた。 
 詠唱はほぼ同時に完成し、2人は魔法、キュルケはさっきのモノより巨大な火球‐フレイム・ボール‐を、タバサは幾つもの氷刃‐ウィンディ・アイシクル-を放つ。
 その2つの魔法は、異なる軌道で正確に賊に襲いかかる。
 だがそれは、賊の前に突如として出現した土壁で、悠々と防がれてしまった。
 賊は、攻撃されたというのに反撃はせず、壁を壊すことに専念している。
 目標さえ達成できればそれで良いと、そして、私たちなど大した障害にならないと高を括っているのだろう。
 悔しいが、その通りだ。
 向こうとこちらでは、あまりにも距離が隔たっており、魔法を使おうにも簡単に防がれてしまうだろう。それほどに、あの賊の魔法の腕は卓越している。
 先ほどの応酬で、それが分かってしまった。魔法を当てるには、如何にかして距離を詰めないといけない。
 距離を詰めるには、空を飛ぶしかないのだが、『飛翔‐フライ‐』や『浮遊‐レビテーション‐』を使っている最中は、他の魔法を使う事は出来ない。
 それに第一、私にはどんな魔法を使おうとも、爆発しか起こらない。悔しさに臍を噛む。

「どうすれば……」

 不意に、場違いな口笛が響いた。
 振り向くと、タバサが空を見上げ口笛を吹いている。
 眉を顰めるが、程なくしてその意味は知れた。
 風を切る音が耳に届き空を見上げと、東の空からウィンド・ドラゴンが脇目も振らずに飛来してきた。

「乗って」

 あくまでも平静な声のタバサに促され、私とキュルケは慌ててウィンド・ドラゴンに飛び乗った。
 ウィンド・ドラゴンは一気に上空まで上昇し、今度は私たちがゴーレムを見下ろす形となった。
 うげ…… 慣れないと辛いわ。
 急上昇により、頭がくらくらする。
 タバサは全く平気なようで、注意深くゴーレムの出方を窺っているようだ。
 上を取ったとはいえ、安易な攻撃では容易に防がれてしまうだろう。

「ねえねえ、人間。あれってなぁに?」

 ふと、横から呑気な声が掛かった。ウィンド・ドラゴンと平行に飛んでいるモー・ショボーだ。
 モー・ショボーは興味深々といった具合でゴーレムを指差し、瞳を爛々とさせている。
 こんな時まで呑気なものだと呆れるが、ある事にハッと気づいた。

「モー・ショボー! あのゴーレムに『真空刃』よ!」
442超力ガーヂアン2 12/19 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:07:27 ID:oSKXEPZo
 そうだ。うっかり忘れていたが、私にはモー・ショボーがいるのだ。
 モー・ショボーならあれを何とかできそうな気がする。
 私はすかさず、決闘の時に使った『真空刃』とかいう魔法を使うように命令する。あれならば、生半な防御は意味をなさない筈だ。

「いいの? つかっちゃいけないんじゃないの?」
「今は良いの! なんなら『ショックウェーブ』とかいうヤツでも良いわよ。
 とにかく、あのゴーレムの動きを止めなさい!」
「うごきをとめればいいんだね! わかった〜」

 モー・ショボーは威勢良く返事をすると、あの時と同じように両手を重ね前へ突き出した。

「ちょ、ちょっと、何をする気なの!?」

 横手から、キュルケが慌てた声を上げるが、そんな事、私だって知らない。モー・ショボーに聞いてほしい。
 だが、モー・ショボーは、キュルケの声を無視してゴーレムに向かって叫ぶ。

「ぜったいれいど!」

 そう叫んだ瞬間、モー・ショボーを起点として、凄まじい氷嵐が吹き荒れた。
 雪国に吹くというブリザードよりも冷たく、そして激しい嵐が吹き荒れる。激しい氷嵐はゴーレムに襲い掛かり、その姿を覆い隠す。
 それは正に『絶対零度』の名に相応しく、全てを凍てつかせる冷気の渦だ。
 強烈な冷気の影響で辺りは冬のように寒くなり、空に居るのも相まって、手足の先が氷のように冷えていくのを感じる。

「ストップ、ストップ!
 もうその位でいいから! じゃないと、こっちも凍えちゃうわ!」
「は〜い」

 私の叫びに応え、モー・ショボーが魔法の行使を止めると、氷嵐の勢いは緩やかにおさまった。
 空気が冷やされて出来た氷の粒が夜空に舞い、月光を反射してキラキラと輝く。
 美しく幻想的な風景だが、気温の低下が止んだ事にホッと一息を吐き、私はウィンド・ドラゴンの背でへたり込んだ。
 あの時といい、今といい、モー・ショボーが魔法を使った後は、何故か極度の倦怠感に襲われる。これは、気のせいではないと思う。
 全身がだるいが、どうなったかを確認しない訳にもいかない。
 何とか体を動かし、ウィンド・ドラゴンの背から顔だけを出して地上を見下ろす。
 そこには、真っ白になったゴーレムがいた。全身に霜が降り、冷たい光を放つそれは、さながら氷のオブジェのようだ。
 その光景を見て、私は言葉を失う。キュルケとタバサも同様に言葉をなくしている。
 ……うん、やり過ぎ。
 確かに動きを止めろと言ったけど、心臓まで止めろとは言っていない。
 けれど、モー・ショボーを怒るというのも理不尽な話だ。
 どう言ったものだろうかと考えていると、モー・ショボーのキョトンとした声での呟きが聞こえてきた。

「あれ? ヒメイをあげないねぇ……」

 何気ない一言だけど、その無邪気さが怖い。



 ◆◇◆
443超力ガーヂアン2 12/20 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:08:24 ID:oSKXEPZo
 あの後、駆けつけた警備員や先生方に事情を説明し、私たちはそれぞれの部屋へ戻った。正確には戻された。
 当事者なのだから事後処理に立ち会いたいと申し出たのだが、生徒に夜更かしさせる事は出来ないと、却下されたのである。
 不満もあったが、私たちはそれに大人しく従った。なぜなら、既に心身ともに疲れ果てていたからだ。
 おそらく、張りつめていた緊張の糸が切れてしまったのだろう。ホンの短い間の出来事だった筈だが、何時間もあのゴーレムと対峙していたような気がする。
 モー・ショボーに手を引かれるように部屋に戻ると、着替えもせずに泥のように眠った。
 そして一夜明け、私たちは学院長室へ呼び出された。
 疲れは完全に抜けきっていなかったが、無視するわけにもいかない。
 体を引きずるようにして学院長室まで赴き、事件の顛末を聞いているのが今の状況だ。

「ミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプストー、ミス・タバサ……
 以上の3人が宝物庫を襲撃している賊を発見し、これを撃退したのであります。
 そして、事後処理を引き受けた我らで賊を捉えた所、驚くべき事が発覚いたしました」
「フム? ……続けて」

 コッパゲ先生が報告書を読み上げ、それにオールド・オスマンが頷く。
 室内には、私たち4人を囲む形で大勢の教師が壁の両側に並んでおり、少々息苦しく感じる。
 それにしても、驚くべき事とはなんなのだろう?
 事後処理には立ち会っていないので、事件の詳細は知らないのだ。

「ねえ、人間。なんかモゾモゾするよぉ」

 と、その時、モー・ショボーが話しかけてきた。
 どうやら、この神妙な雰囲気に慣れないらしく、居心地が悪そうにしている。

「ちょっとの間だから、我慢してなさい。後でお菓子あげるから」
「ほんとう? じゃあがまんする」

 モー・ショボーは目を輝かせて、大人しく言う事に従った。
 やれやれ、大人しくさせるのにも一苦労だ。

「オホン、先を続けてもいいですかな?」

 コッパゲ先生が咳払いをする。どうやら、先ほどのやり取りが聞こえていたようだ。
 慌てて佇まいを正す。

「あっ、はい…… 続けて構いません」
「では、気を取り直して……
 捉えられた賊の正体は驚くべき事に、ミス・ロングビルだという事が判明しました」
「本当かね?」
「間違いありません」

 オールド・オスマンは目を見開き、寝耳に水といった様子だ。
 突然告げられた事実に誰もが耳を疑い、ザワザワとざわめきが広がる。
 ミス・ロングビルとは、学院長であるオールド・オスマンの秘書を務めている知的な雰囲気溢れる女性だ。
 生徒からも教師からも評判がよく、馬鹿な男子が噂しているのをよく小耳にはさんだ事がある。
 まさか、あの人が盗みを働くなど、誰もが予想しなかったことであろう。

「それでミス・ロングビルですが、発見された時には既に意識はなく、全身が凍りついており、凍傷の恐れがありました。
 しかし、発見が早かったおかげで命に別状はありません」
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:08:48 ID:/hLocfOi
ビーム魔法4種継承させたのかよ!
猛突進とかカジャ・オンが入る隙間がないなwwww

支援
445超力ガーヂアン2 14/20 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:09:22 ID:oSKXEPZo
 その報告を聞き、ホッと胸を撫で下ろした。
 あの惨状では、もしかしたら死んでいるかもしれないと思ったが、生きていてよかった。
 確かに犯罪者であるが、生きて罪を償うチャンスが出来たのだから、それに越したことはないだろう。

「ふむ、彼女は今、どうしているかね?」
「今は杖を取り上げて、牢屋に入れてあります。
 後は、城の衛士が引き取りに来るのを待つだけですな」

 如何に手練のメイジといえども、杖を取り上げられれば魔法は使えない。
 とりあえずは、これで一安心だ。
 でも、ミス・ロングビルは何を盗むつもりだったのだろうか? それが少し気になる。

「ところで、君たちは深夜の広場で一体何をしていたのか、聞かせてくれるかね?」
「うっ……」

 痛い所を突いてくる。流石はオールド・オスマンだ。伊達に年は重ねていないという事か……
 眼を泳がして言葉を濁す。
 横を見れば、キュルケも同じような仕草をしている。
 タバサは相変わらずの能面だが、だんまりを決め込んでいるという事は、考えている事は同じか。
 どうしたものだろうか?
 オールド・オスマンを相手に嘘をついても、直ぐにばれそうな気がする。ここは、正直に言うのが得策だろうか?

「フフ…… 心配せんでも、そんな無粋な真似はせんよ。
 君らは賊を捉えたのだ。そんな些細な事は不問とする。
 じゃから、胸を張りなさい」

 笑えない冗談だ。嫌な汗をかいてしまった。
 思わずジト目で見つめるが、オールド・オスマンは気にした様子もなく、涼しい顔で受け流す。
 年季の違いからか、この爺は変な迫力があるから困る。
 安堵の吐息と共に汗が冷えていく。

「さて、君たち3人の勇気を評して『シュヴァリエ』の爵位申請を宮廷に出しておいた。追って沙汰があるじゃろう。
 といっても、ミス・タバサはすでに『シュヴァリエ』の称号を得ているので、代わりに『精霊勲章』の授与を申請しておいた」
「本当なの、タバサ?」

 まさか『シュヴァリエ』の称号を賜るとは、思ってもみなかった。
 しかし、それ以上に驚いたのは、タバサが既にそれを得ていたという事だ。その事はキュルケも初耳だったらしく、目を丸くして驚いている。
 『シュヴァリエ』とは、王室から賜る称号としては最下級だが、誰もが得る事が出来るというわけではない。
 男爵や子爵なら、領地を買う事で与えられもするだろうが『シュヴァリエ』は違う。
 『シュヴァリエ』は純粋に、業績に対してのみ授与される。いわば、実力の証明なのだ。
 確かに、昨夜見た魔法の腕は、その称号に見劣りしないものだった。
 そこで、ハッとなる。
 オールド・オスマンは3人と言った。それが意味する事は……

「……オールド・オスマン。モー・ショボー、私の使い魔には、なにもないのですか?」
「残念ながら、その子は貴族ではないし、第一、亜人だ。なので、そう気軽に『シュヴァリエ』の授与は申請出来ん」
「そんな……」

 あの賊を捉えるのに、一番活躍したのはモー・ショボーである。
 それなのに、なにも褒美が与えられないのはあんまりだ。
446超力ガーヂアン2 15/20 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:10:32 ID:oSKXEPZo
「まあまあ、話は最後まで聞きなさい。
 聞けば、その子がいなければ、賊を取り逃していたじゃろう。それなのに、何もないのはあんまりじゃ。
 なので、ワシが身銭を切って、その子に褒美を与えようと思う」
「本当ですか!」

 その申し出に、思わず声が大きくなる。
 モー・ショボーの働きが報われるのでさえあれば、多くは望まない。
 確認する私を見て、疑っているとでも思ったのか、オールド・オスマンはニヤリと笑うと、顎髭を撫でながら隣にいるコッパゲ先生に同意を求める。

「ワシは、嘘はつかんよ。のう、ミスタ・コルベール?」
「はて? そうでしたかな?」
「こやつめ、ハハハ!」
「ハハハ」

 お互いに笑い合っているが、目は笑っていない。心無し、部屋の気温が下がった様な気さえする。
 何となく居心地が悪く感じ、身じろぎする。
 周囲を窺うと、先生方の表情は凍りつき、何やら物々しい雰囲気だ。
 隣を窺えば、キュルケも私と同じようにソワソワし、タバサは身じろぎもしない。だが、その頬に冷や汗が一筋垂れていくのが見えた。
 変わらないのは、モー・ショボーだけだ。部屋の空気が変わったのに気がつきもせず、無邪気に微笑んでいる。

「まあ、冗談はさておいて、何がいいかのう?
 ミス・ヴァリエール、君の使い魔に何が欲しいか、聞いてみてくれんか?」
「は、はい、わかりました」

 軽い冗談だったようで一安心だ。皆一様に胸をなでおろし、部屋に安堵のため息が満ちる。
 そうと分かれば、随分と気が楽になった。
 一度深呼吸をして気を取り直してから、モー・ショボーに訊ねる。

「モー・ショボー、オールド・オスマンが貴女にご褒美を下さるようよ。
 何か欲しい物はある?」
「なんでもいいの?」
「ワシに出せる範囲でなら、出来る限りのことはしよう。遠慮なく言ってかまわんよ」

 オールド・オスマンは朗らかに笑う。
 先ほどの緊張感が嘘のようだ。
 そういえば、部屋に入った時から感じていた重苦しい雰囲気は、いつの間にかなくなっている。
 もしかして、これを狙っていたのだろうか?
 もしそうなのだとしたら、唯のふざけ好きの爺さんではないという事か。

「じゃあね〜 魔石ちょうだい!」
「ふーむ? よく分からんので、別の物をお願いしていいかな?」

 モー・ショボーは遠慮の欠片もなく、要求を述べる。
 けど、魔石ってなに?
 風石や火石みたいな物? それとも、私が知らない何か別の物かしら?
 そしてそれは、オールド・オスマンも知らないようだ。
 トリステインの生き字引とも呼ばれる老人も知らないとなると、いよいよ分からない。
 魔石とは何だろうか?

「も〜、しょうがない人間だなぁ…… それじゃ別のにしてあげる。
 宝玉、ほしいな〜」
「うーん? 他の物ではいかんかのぅ?」
「ふ〜んだ! このケチ〜!
 もういいもん! みんなキライッ!」
447超力ガーヂアン2 16/20 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:11:25 ID:oSKXEPZo
 2度も要求が退けられて、我慢が利かなくなってしまったようだ。
 癇癪を起して暴れ出そうとするモー・ショボーを叱りつける。

「こらっ! そんな口をきいちゃいけないでしょ!」
「だって、だって、なんでもいいっていったのにくれないんだもんっ!」
「すまんのぅ。
 生憎、魔石や宝玉というのがどんな物か分からぬのでのぅ……
 他の物にしてくれんか?
 爺にもう一度だけチャンスをくれんじゃろうか?」

 口を尖らせて文句を言うモー・ショボーに、オールド・オスマンが頭を下げる。
 これは驚きだ。学院長が生徒の使い魔に頭を下げるなど、そうそうある事ではない。

「ほら、オールド・オスマンもああ言ってくれてるんだから、他のにしときなさい。
 アンタ、宝石とか好きなんでしょ? それにしたらどう?」
「人間がどうしてもっていうんなら……」

 どうにかそれで納得してくれたようだ。
 渋々といった様子だが、分かってくれたのならそれで良い。
 もし、こんな場所で例の魔法でも使われたなら、手のつけようがなくなるところだった。
 人知れず安堵する。

「じゃあね〜 アメジスト、ほしいな〜」
「アメジスト、じゃな?
 相わかった、後でミス・ヴァリエールの部屋へ届けさせよう」
「わぁい、ありがと〜」

 諸手を挙げて喜んでいるのは良いが、これで3つ目だ。少し、甘やかしすぎの様な気がする。
 いや、働きに対する正当な報酬なのだから、文句を言うのは筋違いか。
 でも、次からは、別の何かにしないといけないだろう。
 何か基準を設けないと、事ある毎に宝石をねだってくるようになるかもしれない。
 今回は、オールド・オスマンが出してくれるからいいが、自分で出すとなれば話は別だ。そう毎度毎度、宝石などやれはしない。
 シエスタにでも聞いてみようか? MAGを知っていたあのメイドなら、魔石や宝玉の事を知っているかもしれない。
 そういえば、私自身、MAGが何なのか未だに知らなかったわね。折を見て、さり気なく聞き出しておこう。
 そんな事を考えていると、オールド・オスマンが手を軽く打ち合わせた。

「さて、この話はここまでにしておいておこうか。今夜は『フリッグの舞踏祭』じゃ。
 多少の騒動はあったが、幸いにも賊は捕えられ何事もない。予定通り行うとしよう。
 今日の主役は君たち3人だ。存分に着飾るとよい」

 そういえばそうだった。ゴタゴタ続きですっかり忘れていたが、今日は『フリッグの舞踏祭』だ。
 別段意識していたわけではないが、自分が主役だと言われると、ついその気になってくる。
 主役ならば、それに恥ずかしくないよう、相応しい身なりをしなくてはならない。
 私の本気ってものを見せつけてやるわ!



 ◆◇◆
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:11:27 ID:+OKA5nEq
支援!
449超力ガーヂアン2 17/20 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:12:37 ID:oSKXEPZo
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおなーりぃー」

 衛士の呼びかけに応え、ダンスホールへと続く壮麗な大扉が開く。
 足を踏み入れると同時、ホール中が騒然となり、私に視線が集まる。
 着飾った甲斐があったという事か、大勢の奴等がポカンとした表情を見せている。注目されている事に、少なからずの優越感を感じながら進んでいく。
 私の姿を確認した楽隊が音楽を奏で始めると、それに合わせて大勢のカップルがダンスを始めた。ホール中が調子づき、独特の雰囲気が溢れてくる。
 そして、いつの間にか私の周りには、大勢の男子が群がり、しきりにダンスを申し込んでくる。
 全く、虫の良い話だ。
 普段あれだけ私の事を『ゼロ』と呼んでからかっていたというのに、急に手のひらを返したようにすり寄ってくるなんて…… ホント、男って馬鹿だわ。
 当然、全員お断りだ。わたくし、そんな安い女じゃなくてよ?
 中には、しつこく追い縋ってくるのも何人かいたが、その中の1人の股間を蹴り上げてやると、全員手を引っ込めた。
 ……意気地なしどもめ!
 まあいい、誰と踊るかは既に決めている。人の輪から抜け出し、目的の人物を探す。

 ダンスホール、バルコニー…… と、視線を動かしてゆく。

 ……居た。料理が並んでいるテーブルに居る。
 少し呆れながらも、ゆったりとした足取りで近づいていく。ドレス姿で走るなど、言語道断だ。
 テーブルには、背中の大きく開いた黒のナイトドレスを着たタバサが、ナイフとフォークを手に、ローストチキンと格闘している。
 小柄な体格によらず、結構な健啖家のようだ。見ている方がお腹一杯になってくる。
 だが、お目当ての人物ではない。探していたのは、タバサの隣でこれまた山盛りの料理を相手にしている、モー・ショボーだ。

「ココに居たのね」
「人間もたべる? おいしいよ〜」
「後でいいわ」

 並んでいる料理は、確かに美味しそうだが、せっかくのドレスが汚れてしまっては困る。
 それに、せっかくの舞踏会で、いきなり料理に舌鼓を打つというのもどうだろう?
 舞踏会なのだから、先ずは踊らないと、ね。
 さて、どう言って切り出したものか……
 事前に考えてはいたものの、いざ誘うとなると、躊躇ってしまう。女同士なのだから、ダンスに誘うのには少し勇気がいる。
 しかし、そんな小さな悩みなど、モー・ショボーはいとも簡単に乗り越えてしまった。

「ねえ人間、おどろうよっ!」
「えっ? ええ……」
「ほらっ、はやくはやく!」

 そう言うや否や、私の手を取ってホールの中央に引っ張っていく。
 迷っていた私が馬鹿らしく思えてくる。遠慮する必要など、初めから存在していなかったようだ。薄く自嘲する。
 躓きながらホールの中央まで引っ張られていくと、モー・ショボーは私に向き直り両手を取り、音楽に合わせてステップを刻む。
 モー・ショボーは奔放に、軽やかに舞う。まあ、浮いているから当然の事なのだが。
 ダンスの基本も抑えていないステップだが、不思議と心が躍る。
 文句を言うなど、無粋な真似はしない。心の底から楽しんでいるのがよく分かるし、私も優しい気持ちになってくる。
 ステップを合わせながら、何気なく訊ねる。
450超力ガーヂアン2 18/20 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:13:43 ID:oSKXEPZo
「ねえ、楽しい?」
「うん。こんなにたのしいの、ハジメテだよっ!」
「よかった、これからもヨロシクね」

 屈託のない声に、思わず笑みが零れる。
 私もこんなに楽しく感じるのは、ずいぶんと久しぶりだ。

「ねえ、人間。
 人間は、アタシのこと…… スキ?」
「えっ? えぇ…… 好きよ」

 唐突な質問に、言葉を詰まらせながらも頷く。
 嫌いなわけがない。『好き』だといえば『好き』なのだろうと思う。
 でも…… どういう意味の『好き』なのだろうか?
 使い魔として? それとも……
 私には判別がつかず、全てが曖昧だ。私は、私の事を全く理解出来ていない事に気がついた。
 そんな疑問を余所に、モー・ショボーは天真爛漫な笑顔でニッコリと微笑む。

「よかったぁ……
 アタシも人間のこと、スキだよっ!」

 …………
 私は何も言えなくなり、ステップを踏む足が止まった。しばし、見つめ合う。
 モー・ショボーは不思議そうな顔で小首を捻る。しかし、次の瞬間、花咲くような無垢な笑顔を投げかけてきた。

「だからね、これからもいーっぱい、あそんでね!!」

 意外だった。こんなにも無邪気に『好き』だと言われるなんて、思ってもみなかった。
 表裏のない笑顔で好きだと言われると、思わず頬が熱くなる。きっと、林檎より赤くなっているだろう。
 そんな笑顔を見せられると、私も少しは素直になれるような気がしてくる。
 いや、なろう。そうなるよう、先ずは一歩を踏み出そう。

「……そう、ね。改めてヨロシク、モー・ショボー」

 私はとびきりの笑顔でモー・ショボーに微笑んだ。
 ……見ないでよ、恥ずかしい。



 ◆◇◆
451超力ガーヂアン2 19/20 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:14:43 ID:oSKXEPZo
 再び見参、業斗童子である。そう、気軽にゴウトと呼べばよい。
 ……先に言っておくが、我は猫ではない。猫の姿を借りているだけで、魂は違うのだ。そこを憶えておいていただきたい。
 こうして無事に、諸兄らと再び相まみえる事が出来たのを嬉しく感じる。
 さて、挨拶はここまでにしておこう。
 我らは今、志乃田にある『名もなき神社』を訪れている。
 人里離れ、鬱蒼たる山中にひっそりと建つその神社は、厳かな雰囲気を持ち、何人をも寄せ付けない。
 しかし、ここは我らにとって重要な意味を持つ場所であるのだ。
 この『名もなき神社』には、修験界と呼ばれる修行場が存在し、ヤタガラスの使者との連絡口でもある。

「チミにしてはいい選択だったよ。ドゥフフフ…… コレあげる。ホメなくてもいいっスよ」

 緑の丸太を組み合した様な体を持つ悪魔が、甲虫をライドウに差し出す。
 この悪魔の名前は『モコイ』、豪州北部の神話に登場する悪魔で、殆ど全ての病気や事故の原因なのだという。
 愛嬌すら感じられるその外見からは、連想できない程に大悪霊なのだ。
 そのような悪魔がライドウを慕っている。これは、先達として嬉しい事柄だろう。
 だが、これから先に立ちふさがるであろう強敵に対しては、いささか力負けするのではないかと思う。例え、御霊により強化されているとしてもだ。

「して、うぬは何の用があって此処に足を運んだのだ? よもや、虫取りのためではあるまい?」

 ライドウが頷く。
 流石に、そこまで非常識でなかった事に、ホッと胸を撫で下ろす。

「ならば、修験界で仲魔集めか? それとも、異界開きか?」

 ライドウは軽く首を振った。
 何? どちらでもない?
 ヤタガラスの使者に頼みがあるだと?

「何の用があるというのだ? 言ってみろライドウ」

 ライドウは帽子を目深に被り、眼を逸らした。嫌な予感が我の中でムクムクと膨れ上がる。
 こやつはなにか、碌でもない考えを持っているに違いない。そう直感し、鋭く問い詰める。
 ライドウは、始めはのらりくらりと言い逃れをしていたが、そんな事が長く続くはずもない。
 幾度目かの追求にて、ようやく渋々といった具合で、ポツポツとここに来た理由を白状した。

「何という…… そこまでやるか? この馬鹿者め!」
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:15:44 ID:TSx9muEj
支援
453超力ガーヂアン2 20/20(代理):2009/02/07(土) 01:25:34 ID:nPiWsfkR
 嗚呼、何という事だ。激しい頭痛が我を襲う。
 こやつは、先日消滅した仲魔のことをまだ諦めていなかったらしい。
 そんな事をしようとも、消えた仲魔が返ってくるはずもないだろうに……
 だが、そんな我の言葉にライドウは頭を振り、強く否定する。
 なに? 消滅などしていないだと?
 ただ迷子になっているだけだから、自分が探しに行く?

「馬鹿な……
 何の根拠があって、そんな事を言うのだ。諦めも肝心だぞ、ライドウ?」

 む……?
 待てライドウ。その手に持っているのは何だ?
 ライドウが手にしたモノを見て、我は咄嗟に飛びのき身構える。
 都合が悪くなると、直ぐこうだ。今日という今日は、ひとつガツンと言ってやらねばなるまい。
 まあ、話を聞け、ライドウ。先ずは、大人しくソレを仕舞うのだ。
 だが、ライドウは、我の話になど耳を傾けようともせず、我の本能をくすぐる醜悪なる植物を頭上で左右に振る。
 こ、こら、止めぬか。や、止め……

「ニャー!! も、もうたまらん!!」



 ・
 ・
 ・



 ルイズは仲魔から更なる忠誠を得て、称号が『新進気鋭』から『アヴァンギャルド少女メイジ』に変化し、『アヴァンギャルド少女メイジのルイズ』と呼ばれるようになった。



 ‐了‐
454超力ガーヂアン(代理):2009/02/07(土) 01:26:07 ID:Tpd458nL
 嗚呼、何という事だ。激しい頭痛が我を襲う。
 こやつは、先日消滅した仲魔のことをまだ諦めていなかったらしい。
 そんな事をしようとも、消えた仲魔が返ってくるはずもないだろうに……
 だが、そんな我の言葉にライドウは頭を振り、強く否定する。
 なに? 消滅などしていないだと?
 ただ迷子になっているだけだから、自分が探しに行く?

「馬鹿な……
 何の根拠があって、そんな事を言うのだ。諦めも肝心だぞ、ライドウ?」

 む……?
 待てライドウ。その手に持っているのは何だ?
 ライドウが手にしたモノを見て、我は咄嗟に飛びのき身構える。
 都合が悪くなると、直ぐこうだ。今日という今日は、ひとつガツンと言ってやらねばなるまい。
 まあ、話を聞け、ライドウ。先ずは、大人しくソレを仕舞うのだ。
 だが、ライドウは、我の話になど耳を傾けようともせず、我の本能をくすぐる醜悪なる植物を頭上で左右に振る。
 こ、こら、止めぬか。や、止め……

「ニャー!! も、もうたまらん!!」



 ・
 ・
 ・



 ルイズは仲魔から更なる忠誠を得て、称号が『新進気鋭』から『アヴァンギャルド少女メイジ』に変化し、『アヴァンギャルド少女メイジのルイズ』と呼ばれるようになった。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:27:04 ID:Tpd458nL
重なってしまいましたか…すみません支援。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:29:31 ID:/hLocfOi
乙でしたー
さすが猫じゃらし、強力すぎるww

さて、現在判明しているショボーたん情報を勝手にまとめました


疾風族 モー・ショボー Lv??(初期レベル13)

電撃吸収 衝撃無効 火炎・呪殺弱点 銃撃に弱い

特技
真空刃    ショックウェーブ
絶対零度  ???
???    ???
???    打撃

思い出特技
火炎半減  呪殺半減
???    ???
???    ???

捜査特技
神風     偵察


ところで褌凛々しいルイズになるのはいつですか?
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:32:48 ID:Tpd458nL
つーかこの流れだと帝都最強のデビルサマナーが降臨することになるような気がしてならないww
次回をwktkしながら待っています!
458超力ガーヂアン2 ◆kjjFwxYIok :2009/02/07(土) 01:35:33 ID:PGhdvIPF
 重なってしまったようですが、お二方、代理投下ありがとうございました。


 第2話投下完了。

 残るは第3話のみですが、全然進まない……
 1巻分のストーリーを1話に圧縮するのは難しいなぁ。
 短いシーンで分かりやすくするのに四苦八苦してます。
 なにより、ルイズとワルドのシーンが書きにくい。デレデレなルイズってなんか書きにくいです。
 照れてるくらいなら書き易いけど、デレはさじ加減が微妙でどう書いたものか……

 そう言えば、ここ1年ほどゼロ魔のss書いてましたが、ギーシュ戦を書いたのは前回が初めてでした。
 今回の分にしても、おマチさんがとっ捕まる展開を書いたのは初めてとかいう有様。

 >>444
 実は、ファイアブレスは継承してないんスよ。
 攻撃魔法は『真空刃』『絶対零度』『ショックウェーブ』の3つです。

 >>456
 前回で小壜を拾っているので、ヒロ右衛門も入ってますね。
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:37:13 ID:/hLocfOi
>>457
あれはヤバい、強力すぎるw

>>456ですが、作者様が不快に思われるならもうやりませんです
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:37:53 ID:1aLdwQ/L
モーショボーの人乙です。
おマチさんが失敗したのは珍しいかも。
あと幼女怖いよ幼女
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:38:49 ID:PGhdvIPF
現時点での情報なら全然OKです。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:39:27 ID:/hLocfOi
>>458
あれ、「偵察」のついでに拾ってきたものではなかったんですか?
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:44:20 ID:PGhdvIPF
そういう考え方もできますが、ヒロ右衛門で設定してます。
モー・ショボーのステータスは、実際にゲーム内で作ったモノのまんまを持ってきていますので。
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 01:56:50 ID:/hLocfOi
>>463
なるほど、御霊バーストでいろいろやっちゃったクチですね?
つまり、衝撃弾やザン、ディア、衝撃高揚を必ずしも持ってるわけではないと
レベルアップしたらギフトくれるから、まだレベルアップもしてないわけですね
では、ちょっと修正


疾風族 モー・ショボー Lv13

電撃吸収 衝撃無効 火炎・呪殺弱点 銃撃に弱い

特技
真空刃    ショックウェーブ
絶対零度  ???
???    ???
???    打撃

思い出特技
火炎半減  呪殺半減
ヒロ右衛門  ???
???    ???

捜査特技
神風     偵察
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:21:42 ID:DN4qkZSL
ガーヂアン乙、幼女可愛いよ幼女

ところで桜国ガイストから主人公(どっちか)を召還するのを考えてるんだが
マイナー過ぎるのはやめといた方がいいかな?
モートソグニル(ホシネズミ)抜刀とかしてみたい。
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:26:05 ID:eBLLgQq9
マイナーはダメって書いてないからおkだと思う
ただ、wikiの方に説明があるとありがたいね
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:35:02 ID:DN4qkZSL
wikiにはゲームの存在しか書かれてないが公式ホムペっぽいとこに微妙にキャラ紹介はある
それだけだと少なすぎるか
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:38:41 ID:+pwg0Jzg
えーっと、このたび初投稿する者です、
ガンダムXネタを投下したいんですが構いませんか?
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:41:58 ID:+OKA5nEq
>>468
ガンダムは専用スレあるからそっちにしといた方がいい
と思う
「過ちは繰り返させない!」
「バカな!送電システムはこちらの手中にあるはず・・・!」
「兄さん・・・!」
「DXを撃つ!」
「でも、チャージが・・・!」
「構わん!」

「衛星」の名前を冠した2つのレーザー兵器。
青白い決戦兵器が、ピンクの最終兵器が、真正面からぶつかりあう。
「「「うわああああっ!!」」」
だが、衛星レーザーの照射が終わったとき、宇宙に浮かんでいたのは満身創痍の白い機体だった。
ではもう1つはどうなったのか。ピンクの衛星レーザーの照射元は・・・。
彼らは消えていた。だがレーザーで消し飛んだ訳ではない。
世界を憎み続けた兄弟は、ソロモン72柱の貴族の名を冠する機体を駆る兄弟は、
AW(アフターウォー)の常識が通用する世界から消えていた。

「宇宙の果ての何処かにいる私の僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!
私は心より求め訴えるわ!我が導きに答えなさい!」
少女が杖を振り下ろすと共に爆発が起こり、何か巨大なものが煙の中に現れる。が。
「・・・なに?これ・・・・・・」
そこに現れたのは、訳の分からないゲテモノゴーレムだったからだ。
大きさは、彼女の世界の基準にしておおよそ20メイルといったところだろうか。
スキー板のようなものに乗った赤いゲテモノが、長い大砲を構えて鎮座ましましている。
そのままの格好で全く動く気配が無いことが、更に不気味さを助長する。
「なんなのよ・・・これぇぇぇぇぇぇぇ!」
>>469 さて、その事実をうっかり知らないままに投下してしまった俺はどうすればorz
・・・とりあえず今は続けさせてください

「流石ゼロのルイズだ!訳の分からないゴーレムを召喚しやがった!」
からかいの声をよそに、ゲテモノを召喚した少女は彼女の先生と思しき人物にまくし立てる。
「ミスタ・コルベール・・・!もう一度召喚させてください!」
「それは出来ない」
それが決まりだの神聖な儀式だのという言い争いが起こる中、ゴーレムのパイロットは目を覚ます。
「・・・ここは?我々は、DXとサテライトランチャーを撃ち合ったはずでは・・・」
「・・・どうやら、生きてるみたいだけど・・・ここはどこなんだろう、兄さん?」
「うむ・・・機体に目立った損傷無し・・・損傷らしい損傷はといえば・・・」
「撃ち合う前までの、ちょっとしたダメージだけだね・・・」
「ここが月だとしたら、草が生えていることはおかしい。さりとて地球にしては・・・豊かすぎる」
「とりあえず降りて調べてみようか、兄さん」
『紛い物』のレッテルを貼られた兄弟が動き出す。
動き方を忘れたかのように止まっていた2機のゴーレムが今になって動き出す。外界は大騒ぎだ。
「う、動き出したァーーーッ!?」
「落ち着いて!うろたえてはいけません!・・・うん?」
驚くのも無理は無い、ゴーレムから2人の人間が出てきたからだ。
1人は黒を基調としたパイロットスーツを着た、背の高いオールバック風の男。
もう1人は、黒と紫を基調としたパイロットスーツを着た、これまたオールバック風の男。
「月が出ているだと・・・!?しかも2つも!」
「そんな・・・ここは一体・・・!?」
小説より奇怪な現実を自らの目で、体で目の当たりにし、更なる困惑へ落ちた2人に、先ほどの少女が歩み寄る。
「感謝しなさいよね・・・。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから。
我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン・・・この者たちに祝福を与え、我の使い魔となせ」
戸惑いを隠せない双子に、呪文を唱え終わった少女は接吻を交わした。
「むっ・・・?貴様、何のつもりだ!?」
「・・・何をする!?」
「うっさいわね!仕方ないでしょ、こういう儀式なんだもの!」
当然のように少女は言うが、当然のことながら双子には理解不能なようだった。
「コントラクト・サーヴァントはきちんとできたようだね」
少女の先生と思われる人物は彼女を褒めるが、当の本人はあまり嬉しそうな顔をしていない。
「うおおおっ!」「うああああっ!」
直後、双子は揃って左手を抱える。これが中学校だったら間違いなく厨二病確定だ。
「使い魔のルーンが刻まれているだけよ。我慢なさい」
魔法世界でなければ邪気眼確定である。
「ん?・・・兄さん、これを見て」
「・・・なんだ?この紋様・・・」
苦痛が終わった兄弟が左手を見ると、何かの模様が刻まれていた。
「へえ、珍しいルーンだね。スケッチさせてもらっていいかな?」
言いながらスケッチを始める。答えを聞いていない。
「おいお前。いったい、これは何なんだ。我々の身に一体何が起こったんだ」
「ああ、説明してませんでしたね。端的に言うと、あなた方は彼女の使い魔となる契約を結んだのですよ。
ほら、左手に紋様が浮かび上がってますでしょ?それが、ルーンという、契約書みたいなものです」
使い魔・・・?ルーン・・・?契約・・・?彼ら兄弟にとって、彼らの常識では理解しがたい事のオンパレードだ。
「・・・兄さん。僕達は、なんてところに迷い込んでしまったんだろう・・・」
「奇遇だな、オルバ・・・私もそう思ったところだ・・・」
「え?あんたたち、そんなことも知らないの・・・?本当、信じられない・・・!
だいたい、なんで私はこんな無知な平民を使い魔にしなくちゃいけないのよ・・・!」
兄弟と少女は揃って頭を抱える。
「・・・それで?スケッチ男。ここは一体どこなんだい?」
「え、私?ああ、はい。ここはトリステインの魔法学園です。ご存じない?」
「・・・・・・魔法、だと?この男はそう言ったのか?オルバよ」
「・・・・・・うん、兄さん・・・・・・」
「ハルケギニアのトリステイン魔法学園よ。・・・本当に何にも知らないの?
あんたたちは一体どんなド田舎から来たのよ・・・それとも両方ともただのバカ?」
そういい終わるか言い終わらないかのうちに、彼女の頬が高らかな音を奏でた。
「口の利き方に気をつけろ・・・!」
「オルバよ・・・」
「分かったよ、兄さん・・・」
兄貴が弟をたしなめたが、兄弟間で自己解決したって打たれた本人の怒りが収まるわけは無い。
「なっっにすんのよーーーーーーーっ!」
本人達は一触即発ムード、例えて言うなら見ず知らずの女の子のファーストキスを奪ってしまったかのような、
間違いなく「死なす」or「殺す」の一言と共に、鼻の頭に頭突きでも飛んできそうなほど険悪な雰囲気だが、
ギャラリーはむしろ大爆笑。ミシュランで言うと三ツ星クラスの空気の読めなさである。
「見ろ!ゼロのルイズが使い魔に頬を引っ叩かれたぞ!」
「流石はゼロのルイズだ!使い魔にもなめられてやがる!」
ゼロのルイズ。その言葉を聴いた瞬間、怒り心頭に達したのは少女ではなく何故か兄弟の方だった。
そう、彼らが、かつて自分の上官を手にかけたときのような激しい怒りと憎しみと、殺意とが混じった感情だった。
『ニュータイプでもないお前達をここまで取り立ててやった恩を忘れて!カテゴリーFめ!』
――その言葉に、普段は冷静沈着であるはずの兄のほうが激昂し、その言葉の主を射殺した。
その時と同じ。もしくはそれに似た感情。どす黒い何かが腹の内から湧き上がってくるのを感じた。
「だいたい、その使い魔だってどこにでもいるただの平民だろ!強そうなのは見掛け倒しだ!紛い物だ!」
『紛い物』その言葉に、兄者が完全に切れた。
「彼女を甘く見るのはどういう訳か知らんが、私達を甘く見てもらっては困るね・・・!」
そう吐き捨てると、彼は赤いゲテモノに乗り込んだ。ソロモン72柱の悪魔、ウァサゴの名を冠した『ガンダム』に。
そして、先の言葉を発した者に。   ・・・・・・・・・
いや、正確には、先の言葉を発した者の左腕の服の袖の表面を狙ってストライククローを振り下ろす。
彼はストライククローが地面に叩きつけられた際の衝撃で吹っ飛ばされた。
そして彼が起き上がったときに左腕の袖に鋭利なもので切り裂かれたような切れ込みがあることを目の当たりにし、
愕然とすると共に言い知れぬ恐怖に怯える。あ、漏らした。
「お前らには分かるまい。『似て非なる者』と烙印を押された者が、どんな思いをしてきたのかを!」
あまりの事態に、その場にいた全員が静まり返る。先ほどまで烈火のごとく怒っていた少女でさえ。
「ルイズの使い魔が見たことも無いゴーレムを操り、服にのみ切れ込みを入れた」。
その兄弟の放つ異様な殺気を今さら感じたのか、彼らの主たる少女を残して全員逃げてしまう。
「フン!素人が・・・」
「甘いねあいつら・・・」
いや、そりゃ当然逃げます。
「・・・もしかして、私のために怒ってくれたの?――いや、そんな訳ないわよね・・・」
「いや、あの言い方に、昔手にかけた奴のことを思い出してな。君がどう思おうと勝手だが」
「手にかけた・・・って・・・まさか・・・」
「そのまさかさ、お嬢さん。まあそうでなくとも、パイロットである以上・・・ね」
「そ・・・そうなの・・・」
彼女の第六感が告げていた。この2人を本気で怒らせてはならないと。
「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。ルイズって呼んで」
「私はシャギア・フロスト。フリーのモビルスーツ乗りです」
「僕はオルバ・フロスト。僕らは厳密には新連邦のエージェントさ」
兄弟は奇妙な感覚を感じていた。この少女にニュータイプの可能性があるから、ではない。
そう、まるで似たもの同志が惹き合うような、そんな感覚だった。

「・・・なるほど、理解しがたいが概ね受け入れた」
彼らは主人たるルイズの部屋で、この世界に関することを彼女に聞いていた。
彼らの常識と当てはまるところなどほとんど無きに等しかったが、それでも聞いていた。
「それで、僕らはこの世界に召喚された。今のところ、契約が死別以外に途切れた事は無い、と」
「・・・ねえ。もしかして、元の世界に戻りたい?別の世界から来たとしても、一度契約すると取り消せないの」
「へえ?君もおしとやかに話せるんだね?」
「何よ!人がせっかく気遣ってるっていうのに!」
「・・・まあ、今さら戻ったところで、何も無――いや、好都合かもしれんな。DXは大破したんだろう?」
「・・・そうだね。でも、戻ったところでどうするの?」
「・・・それが問題なんだ。まあ、結局我々がGXを打ち破った。この事実だけでよしとしよう」
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:49:27 ID:FGH0u0HX
桜国ガイストか、懐かしい。
モンスターを仲間にする方法が「歌で自分に惚れさせる」事なんだよな、たしか。
おまけに男女の性別関係無く惚れさせられると言う、良く考えるとアブノーマルなゲームだった記憶がある。

個人的には結構好きなゲームだし、人間の武器化とか面白そうなネタもあるから、チャレンジして欲しいと思います。
「GX?」
「そう。僕らの宿命のライバルさ」
「・・・まあ、話したところで理解できまい。我々がこの世界の事を理解できないのと同じように」
「・・・そう。まあいいわ、話を戻すわね。いい?使い魔には主人の目となり、耳となる能力が与えられるわ。
・・・でも、どうやら無理そうね。何にも聞こえないし何にも見えないもの」
「我々はどんなに離れていてもお互いの事は分かるが、他人のこととなると少し能力が落ちるからな・・・」
「え!?何それ!?あんたたち、実は魔法使えたんじゃないの!?」
「僕達はジャミル・ニートとは違う。これはツインズ・シンクロニティだよ」
「・・・なんだ・・・。ぬか喜びした少し前の私がバカらしいわ・・・。――で、使い魔は
主人の求めるものを持ってくることが往々にして求められるわ。たとえば、鉱物とか秘薬とか・・・」
「それなら問題ないね、兄さん」
「そういえばティファ・アディールの行方を占いで捜したことがあったな・・・」
「・・・うーん、問題ない・・・のかしら?まあいいわ。
それで最後に一番大事なのが、使い魔は主人を守らなければならないの」
「守るために戦う・・・。我々からは最も縁遠い概念だな」
「まあ、世界を滅ぼすために戦ってきたからねぇ・・・僕達。でも見方を変えれば、
僕達の名誉のために戦ってた、ってことにもなるんじゃないかな?」
目の前で行われている恐ろしい回顧録に、彼女はこれ以上の言葉をなくした。
「あとは掃除や洗濯とかの雑用ね。流石にできるでしょ?」
「・・・そうか」
「仕方ないよね・・・兄さん」
仕方なしに受け入れる様子を見て、ルイズはほっとあまりない胸をなで下ろした。
「・・・ルイズとやら・・・我々はこのキャラデザだが、まだ19歳だ」
咽喉まで出掛かってやめた、『それなりに年くってるでしょ?』という台詞を見透かされて彼女は戦慄した。
「なに、殺したりはせんよ・・・。たとえ我々がこの世界を頂くとしても、その時君が邪魔になったとしても、まだ殺しはしない」
なんて恐ろしい使い魔を召喚したんだろう――ルイズは切にそう思った。

次回からは、俺はあちら側に移行した方がよろしいですね?
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:53:18 ID:iNICDK/f
の方が荒れないと思うよ
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:54:39 ID:iNICDK/f
何でかっていうと、多分この後に暫くぐだぐだと変な空気が流れるレスが付くから。

という予知をしてみる。
479ゼロスト:2009/02/07(土) 03:00:12 ID:+pwg0Jzg
>>477-478 分かりました、そうします。ではまた、機会があれば。
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 03:03:01 ID:TETwG9PO
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 03:30:43 ID:5Sunpw3y
ガンダム以外のロボットならここでもいいんだよな
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 03:34:14 ID:iTN2jX2H
溶接ロボットとか?
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 03:35:56 ID:EfN7cesK
向こうのスレが寂れてるからガンダムもここで問題ないと思う
ルール違反でもないしね
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 03:49:17 ID:5Sunpw3y
>>482
メタルヒーローモノとか
ロボコンやカブタックを喚んでドタバタコメディをね
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 03:57:21 ID:t/CLONU3
クロノトリガーから「ロボ」とか
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 04:01:14 ID:7WuslLVw
ヂークベックやシグナル、ピョロとかか
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 04:40:35 ID:VO6XAxXF
>>479
ルール的に問題ないのでココ、避難所、シャア板お好きなところでどうぞ。
ただシャアスレでかつあの魔wikiにのっけたいならその旨書いてくれるとありがたいかも。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 05:06:13 ID:A4Xa+Psh
>481
むしろガンダムもここで別に問題ない
ガンダムスレに誘導する奴はほぼ確実に運営スレも何も見て無い奴だからスルーした方がいいぐらい
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 05:46:49 ID:QddlETy9
>>486
シグナルはノブヒコ(字を忘れた)がいないと小さくならないのが問題だな


ガンダム関係に関してはここでもいいと思う
何処に投下するかは作者が決めること
外野がどうこう言う話じゃない
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 05:47:48 ID:ZkD/VvOq
ロボなら俺はマザーのイヴを推したいな。
落ち込んだルイズをメロディで励ますとか、そんな感じに
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 06:03:04 ID:2UP/4+cR
>>490
イヴはマザー世界のギミックであってこそのロボだからな
いっそハルケ世界をマジカントにするくらいの設定改変をしてみるとか
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 06:24:56 ID:wkNgKfTD
でもロボット物とのクロスってここでは殆どが何故か続かないんだよね・・・
最初の時点で満足しちゃうのだろうか
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 06:52:12 ID:jLoj12n/
サガフロのT-260みたく記憶障害とかだったら色々設定ぶち込めるけど
基本的に自律型でも、プログラムの範囲から抜けれ無いイメージだから風呂敷広げにくいんじゃないかな
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 06:58:05 ID:wkNgKfTD
戦火拡げてあっはっはーだけだと面白みがないだろうしね
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 07:06:32 ID:LgdoNwGB
契約効果でプログラム書き換え。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 07:06:50 ID:C3MofDJw
ロボっていうかARMSのシルバー兄さんとかはやってみたいなぁ
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 07:14:50 ID:1aLdwQ/L
>>496

それならレッドも…ってそんなに内面出さないまま退場したからほとんどオリジナルにしないと無理かorz
グリーンだとチートだしなw
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 07:22:51 ID:KXC0tTkv
>>492
ディセプティコンやグランパの続き楽しみにしてるんだがなぁ

それはそうと、一次同人とのクロスはOKなんだろうか
一応、イベント・ショップ委託ありとそれなりにメジャー作品なんだが
以前避難所のテンプレ議論スレで喧々諤々だったので気になった
499ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/07(土) 07:52:25 ID:uQaEWRsj
>>498
まとめwikiを見て判断したらどうかな?
後、不安なら避難所に投下してみるのも手だと思う。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 07:55:58 ID:KPixC02m
>>497
でもキースシリーズで話聞いてくれそうなのってグリーンだけじゃないか?
バイオレットもいけるかも知れんけど。
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 08:04:57 ID:TYYM7Wei
東方がアリだからいけるんじゃね?
ただ俺が知らないから上に同人だとォ〜?って理由で噛み付いてくる馬鹿が居ると思うからその辺よく考えて
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 08:05:55 ID:Ao9prEcl
最近ウォーリー見たせいでイヴっつーとツンデレクリオネロボ連想するんだが鼠の国はいかんよな…
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 08:06:43 ID:LgdoNwGB
ここに投下するのが当然ですよって顔して
しれっと投稿しちまやいいんだよ。
わざわざお伺いなんぞ立てたら
それこそ誘蛾灯じゃねーの。
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 08:15:00 ID:abJOUyp6
>>498
あっちで議論が起こるならこっちでも起こるだろうな
同人はやめといたほうが無難
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 08:40:23 ID:admEVu/Z
>>501
東方自体は商業展開してるぞ?
ここにある東方作品が投下された時はどうだったかはよく分からんが。
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 08:46:22 ID:pjrO+tTg
商業展開されればOK・・・じゃないかな?
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 08:48:14 ID:XoS3h1En
>>496
('A`)デルフです…私の出番はどうなるとですか…?
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 08:50:17 ID:KXC0tTkv
うーん、賛否両論か。

ただ、向こうで同人に否定的だった意見の根拠って、
「自分のブログに書いた小説のオリキャラを召喚させる」
パターンを危惧してのものだったから、
明らかに他人の創作である出典が示せれば問題ない気もするな。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 08:54:59 ID:DDr+2989
>>502
むしろウォーリーがルイズの後をずーっとついていってる様を想像して和んだ
好奇心旺盛だから全然違う環境でも楽しそうだな、ウォーリー
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 09:05:07 ID:QddlETy9
ウォーリー召喚というと、すぐ人ごみに紛れる使い魔を必死に探すルイズしか思い浮かばない
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 09:06:54 ID:4kPlwAXP
>>510
そっちのウォーリー思い出そうとしてまことちゃんの作者が出てきちまったじゃねぇか
トリステインの景観問題で揉める使い魔なんざ見たく・・・見たいか?
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 09:20:46 ID:1aLdwQ/L
>>500

バイオレット姐さんはな…グリーンほどのチートでないだけでな…ほとんどジルになったからボツにしたんだorz
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 09:25:31 ID:IdcWcV1S
>>508
ここでやる必要あんのか?
自分でブロクでも作ってやっとけ
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 09:34:36 ID:4BQBBZ/C
拒む気持ちも理解できなくはないが、スレを根底から覆しかねない理屈を持ち出すのはいただけないな。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 09:39:31 ID:1aLdwQ/L
その手の議論は避難所でよくね?
てか俺と一緒に議論スレ行こうか。
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 09:52:16 ID:9phDmGwe
>>507
ガンダ効果でデルフ握ってる間は変身しほうだいなブルーはどうだろ
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 09:57:19 ID:gc5C+K7J
キースさん達は使い魔になれなんていったら全員キレてルイズ瞬殺で終わりだろ
温厚なバイオレットにしてもプライドは高いしブルーは車椅子だし
他の面子にいたっては人間なんて石ころくらいにしか思ってない連中だぞ
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:08:36 ID:VfRbkpFx
なんとなく召喚者がジョゼフならホワイトは交渉の余地ありだと思う
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:24:42 ID:5Sunpw3y
そもそもキースシリーズはロボットじゃねえ
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:26:09 ID:rd8qNJP3
魔王(セイタン)クリフも考えたが展開がイマイチなのでボツ
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:41:46 ID:1aLdwQ/L
>>520

> 魔王(セイタン)クリフも考えたが展開がイマイチなのでボツ

奴は呼んだらラメェ!
使い魔になれなんて言ったら即ギレ大暴れ確定だしw
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:43:28 ID:COBezj83
あー、今更なんだが召還ゲートをくぐるか否かは選ばれた側の自由意志ってのを忘れてないか。みんな。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:45:09 ID:K2lmg5De
くぐりそうな状況をどう作り出すかだな
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:45:58 ID:261CPsGV
デグチ・ホソナール大活躍というわけだな!
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:46:42 ID:gc5C+K7J
自由意志といっても大抵の場合向こうはくぐったら何があるか知らないぜ?
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:47:07 ID:1aLdwQ/L
もういっそのことリーマン忍者夫妻を呼んだらどうだろうw
きっといろんな問題を片付けるついでにルイズを心身共に鍛え上げてくれるに違いないw
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 10:56:24 ID:2X9RFVGx
召喚ゲートですけど、よく有るのが回避不可能な状況の先に存在する、というパターン。
例えば車や電車の中に突然発生、避ける間もなく接触するとか。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 11:02:49 ID:laOnsWvs
>>526
あの二人が涼を引き取ってから本編までどのくらいの期間だっけ?
その幅しだいで本編開始前ってのもありかもしれん。
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 11:10:12 ID:5alFLtr8
>>528
少なくとも涼が物心付く前から育ててたような。
記憶が曖昧だけど涼は自分が実の子供じゃないって知らなかったよね?
十分時間はあるな。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 11:29:57 ID:5Sunpw3y
単身赴任のサラリーマンだけならあちこち飛ぶからどの期間だろうといけるか
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 11:31:29 ID:7UCgbjSm
>>505
商業展開してないだろ
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 11:32:10 ID:AObAv/Fs
特命係長召喚か…
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 11:34:50 ID:HGKVLiKB
>>531
amazonあたりで検索して見ろ
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 11:37:16 ID:1yIMsD9O
ロボットはアポリオンの大群召喚で
あれ?遅かったか
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 11:58:18 ID:/hLocfOi
もうサイコアポリオンはいいよ
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:01:09 ID:LHQk4QRp
昨日小ネタ投下予告した者です
普段はエロパロ住人だからうまく書けてるかわからんが投下します
537あのコンビがルイズに召喚されたようです:2009/02/07(土) 12:06:59 ID:LHQk4QRp
さまざまな世界があるということを私はこの年で知りました。
こういった話は物語の中だけだと思っていたからです。
『まさか自分が』と言うのは物語の序章としてはありきたりでしょうがしかし、今まさに私の状態が『まさか自分が』と言う状況に置かれています。
剣と魔法、平民と貴族……今回はそんなお話です。

私が召還したのは平民の二人組みだった。
どうみてもさえない中年の二人、私はゼロの称号から逃げれないのだろうなとため息をついたのを覚えている。
まわりに人間を召還したものなどいなかったのだ。
一人はとても落ち着きがなく、もう一人は気だるげな空気を醸し出していた。
この二人の話によれば、二人はもともと衛兵のような職業についていたらしい。
ミスタ・コルベールなみのハゲ頭を持つ平民はもう一人の平民の部下なんだとか。
自分は上司の相棒なんだと言っていたが、その上司が彼に対する扱いを見ているとどう見ても相棒として見ているようには思えない。
そのことをよく表しているのがギーシュとの決闘騒ぎだろう
538あのコンビがルイズに召喚されたようです2:2009/02/07(土) 12:08:37 ID:LHQk4QRp
ハゲの方が転んでギーシュにケーキをぶちまけ、それに激怒したギーシュが彼を叱責、ハゲはあろうことか一言謝っただけで済まそうとしたのだ。
これにギーシュは侮辱されたと激怒し決闘の騒ぎにまでなった。この時上司の方はと言うと報告しにきた私に
「彼が決闘?少し痛い目見たほうが落ち着くんじゃないかなあ……それにしてもこのケーキはじつに美味しいね」
と言って決闘を見に行った学生の分のケーキをどさくさ紛れに食べていた、好物らしい。
結局彼はケーキを食べたあとにゆっくりと決闘の場に行き、ぼこぼこにされたハゲを一瞥し
「一応大切な友人なんですが……」
と呟き勝利の余韻に浸っていたギーシュのもとへ行った。
そしてポケットから壜を取り出して何故ハゲが転び決闘になったのかを事細かに説明、その壜の持ち主についてねちねちとギーシュを追い込み耐えられなくなったギーシュは浮気をしていたことを告白した。
その後は……彼の名誉のためにあえてぼかすが、ギーシュはひどい目にあった。
539あのコンビがルイズに召喚されたようです3:2009/02/07(土) 12:10:53 ID:LHQk4QRp
決闘後は、『敵に回したくない平民』として彼はハルケギニアに数々の伝説を作ることになった。
なにしろ頭の回転の速さは異常である。その伝説のはじまりはやはり『土くれのフーケ事件』だろう。
なにしろ彼はミス・ロングビルがフーケであると最初に気がつき、武器も魔法も使わずに彼女に負けを認めさせたのだから。
その最後のやりとりが、数々の難事件を解決した彼の伝説の始まりである。
衛兵たちに囲まれながら去っていくロングビルは振り向き
「最後に、あなたの名前を教えていただけないかしら、使い魔さん?」
と聞いた彼女に彼はあの独特の笑顔でこう答えた。
「古畑任三郎でした」


古畑任三郎と今泉慎太郎がルイズに召還されました
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:11:57 ID:fFyY/8cC
なぜageる?
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:12:17 ID:LHQk4QRp
以上、お目汚しすまん
エロ抜きって難しいのねw
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:14:34 ID:d0bvZeOZ
一瞬相棒かと思ったが、亀山くんはハゲじゃなかったなw
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:16:26 ID:UbxoQfNW
レベルが高いな・・・
投下しにくいぜ。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:18:12 ID:LHQk4QRp
>>540
悪い、なんかやっちまった……orz

>>542
実はそれも構想中だったりする、今は別のコンビ書いてるけど
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:22:51 ID:9E/H47Ll
最後の古畑でした。の使い方が変じゃね?w
でも何か癒されたのでGJ!
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:31:12 ID:LHQk4QRp
>>545
勉強させてもらいますw

一応長編もある程度は書けてるんでその時またいずれ、でもその前に小ネタ2本くらい投下するかも
それでは……
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:36:57 ID:Ilic3JC1
あれ。
wikiの新着の方見てきたけど
男爵の前に新しく始めた人のがなかったっけ?
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:43:02 ID:GSxTJnbe
Q:あの作品がまとめに無いんですけど……。
A:気付いた人が積極的にやりましょう。
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:46:33 ID:PtlyxtBj
エロパロ住人なら、ドラマ版特命係長を召喚した話を書いて欲しいぜw
古畑よりも書きやすいと思うぞww
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 12:52:13 ID:jLoj12n/
トリステインにフンフンフンの嵐が吹き荒れる
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 13:34:53 ID:PdfhN3LE
:::::::::::::::男 は こ            {::::::{
:::::::::::::::坂 て の      _ ,−v   、::::::、
::::::::::::::::を し       _/rァ  ̄ヽn  ヽ::::::ヽ
::::::::::::::::よ な     -こヽ__)ヽ へフ -‐':::::::::::}
::::::::::::::::::  く   /::::::://, 7′:::::::::::::::::::::/
::::_n_  遠   、:::::::::ー' //-‐  ば の よ オ
:::`ニl lニ  い   ヽ::::://\   か ぼ う  レ
::::`フ \:::::::::ヽ __ ノ:::ー':::::::::::::ヽ  り  り や は
/'´|_|`ニ_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l  だ は く
:::::::ノ'r三7/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} か じ
::::::::`フ, 匸/l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  ら め
:::::: ̄´::: ̄´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/   な  た
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 14:49:37 ID:QBrp4Go0
ガンダムは駄目ならカンタムはいいですか?

シャダーン召喚というのを思いついたが踏切が無ければシャダーンの存在意義が無い
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 14:52:46 ID:coV7e+oA
カンタム・パーンチ!はいがらしみきおだったっけ
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 14:53:07 ID:Ruk9eBBi
そこでイエオン召喚ですよ
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 15:40:52 ID:z/PPH7sF
悲しい物だな...
生れついての演算能力という奴は!

普通にかっこよかった
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 15:46:21 ID:Qj8jTwKS
ガンダムが駄目でもダブルゼータヴァンダムならいいだろう。
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 15:48:39 ID:6UBeJ5Oy
>>497
ポケモンかと思った
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:26:29 ID:YlEawoH/
とりあえず飛行能力の無い巨大ロボットを呼び出したらストーリーが途中で詰むよな。
船に乗せられずにアルビオンに行けねぇw
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:29:42 ID:1yIMsD9O
そこで極道兵器ですよ
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:35:29 ID:qstbASpe
トランスフォーマーからネメシスプライム呼べネメシスプライム。ダッジラムに変形する奴。
ちょっと大きめの車だから頑張ればフネに載せられるぞ。

まあ、ロボモードなら普通に飛べそうだけどな、ユニクロンの端末だし。
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:36:07 ID:rFq3hra3
>>559
危険すぎるだろw
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:39:29 ID:QBrp4Go0
そういやガラット達って飛行能力あったっけ
ジャンブーとか呼んだらけっこルイズと上手くいきそうな気がする
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:40:31 ID:qstbASpe
しまった、全長5m67cm・全幅2m・全高1m69cmのダッジラムSRT−10はちょっと大きいじゃすまんな…w
まあ、魔法学院に置いておく分には何の問題もない気がするけど。
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:41:21 ID:rI7Qn0SA
>アルビオン行けない
アルビオン大陸を貫通できる攻撃能力があれば、結婚式シーンの視覚リンクでなんとかならんかね?
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:44:55 ID:JI+lNwVR
極道兵器召喚か

いきなりルイズぶっ殺して戦場を求めて傭兵になる可能性が高いな
あれでも部下の面倒見はいいあたり大物ではあるが制御不能だからな
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:45:11 ID:qstbASpe
ピンポイントでワルドをジュッてやるのか。
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:49:31 ID:yCfTpILf
呼べばすぐ飛んで来る、みたいなのだったら行けそうな気もするけど、そういう遠隔操作も可能なヤツって少数派だからなあ。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 16:59:37 ID:YlEawoH/
乗って操縦するのがロボットモノの醍醐味だしなぁ。
そうでなかったら元から自分の遺志があったりするタイプだし
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 17:00:32 ID:sKJyaGjn
ロボかぁ・・・・・・MtLで出てきたロボは1話限定の登場だったけど、アレは燃えたなぁ。
パワーバランスとかの関係でずっとロボが出ずっぱりっていうのはアレかもしれんけど、ああいう風に大活躍、とかはいいね。
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 17:01:58 ID:rFq3hra3
ま゛っ
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 17:03:09 ID:S65cLTz/
>>559
あの人いろいろ狂ってる上に意外と駄目人間だからw
なんていうか、コイツと比べると竜馬も慎一も虎もかわいく見えるw
海座を戦車でひき殺すところはガチで笑った
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 17:09:06 ID:Ruk9eBBi
ネオグランゾンがいるじゃないか


・・・召喚したのルイズじゃないけど
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 17:11:17 ID:JI+lNwVR
竜馬は闘争本能が強いとはいえ敵が来たから倒してるだけだし
慎一や虎は言語に絶する悲惨な目にあわされた復讐の鬼だけど
あの人はホンマモンのヤクザで前科者だしw
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:00:46 ID:5XQ/x3P1
一話限りのロボならマウンテンガリバー5号を召喚ならどうだ。
ちびすけしか乗れないのはルイズなら問題ないし、操作はこなくそーっで大丈夫。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:10:19 ID:6vjcpoJC
いっそコンバトラーVでも召喚しろ
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:10:41 ID:rCwekDxx
敵は海賊の?冥・ツザッキィ召還とかどう? 
と思ったけどシュウ・シラカワ並に支配されること嫌いなキャラだから
即殺されて終わり…じゃなくてなんか物凄い遠まわしな嵌められ方しそうだな…
実家ごと破滅とか国ごととか

馬鹿猫アプロならまだいけそうな気もする
マチルダさんのゴーレム喰ってご機嫌になってそう
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:21:29 ID:3X5lnJPb
ロボットを召喚してもメンテナンスをどうするかだな
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:24:14 ID:yZVmCXZ4
またこの話題か…
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:25:00 ID:AObAv/Fs
ウォーカーマシンなら燃料は大丈夫だな
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:26:01 ID:3+jpowRJ
ガンソードのオリジナルのヨロイは衛星で勝手に修理されてたな
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:30:35 ID:laOnsWvs
>>579
WMなら「小説だからね!」って言っとけば壊れようが治ろうが問題ない。
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:32:08 ID:QoZwQebT
>>575
合体ロボの分離状態をパイロット込みでそれぞれの虚無の使い手が召喚して争奪戦とか思いついた
その場合四体合体じゃないと駄目だが
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:32:22 ID:XIHe/j4U
saga2のメカはどうよ
宿屋で寝ると回復する機械
ついでに破壊の杖もリロードされちゃうぜ
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:33:40 ID:laOnsWvs
>>582
ダンクーガとかダンガイオーとかその辺かな。>4体合体
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:38:43 ID:n88mmIw+
どうよとか言われても書き手次第で変わるんだからとりあえず7万戦くらいまで書いてそれから聞いてくれ
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:38:44 ID:QoZwQebT
ダンガイオーは乗ってる連中自体が化け物揃いだからダンクーガの方が無難かな
一応主人公機の頭部パーツは空を飛べるからアルビオンにもいけるし
あと何気に藤原忍は格闘戦が結構弱いらしいからバランス取れるかも
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:43:19 ID:RXSMDRxY
魔王伝15〜20話がまとめwikiに追加されてるけど、一覧ページの所には14話までしか追加されてないな。
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:51:22 ID:FnC5i5w/
>>583
所がぎっちょん、装弾数1の武器を装備したら装弾数が半分以下、0になってしまう罠
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:55:40 ID:m7KTRxZh
そんなん波動砲とガラスの剣くらいしか無いじゃん。
にしても、リメイクはどうなる事やら……
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 18:59:19 ID:Ruk9eBBi
>>588
じゃぁクィックストライクでも召喚するか
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:01:04 ID:wzzA29bD
それでもガミガミ魔王なら自作してくれると信じてる
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:01:41 ID:JaCbUZCV
遅レスだが男爵さん、反射的に「また書き捨てネタか!」と思った俺を許してくれ。
きちんと綺麗にまとまった上手い小ネタだったよ。GJ!
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:02:43 ID:RfGN1WRc
>>591
夜も寝ずに昼寝して作るんですね
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:24:03 ID:3X5lnJPb
初代ペルソナがPSPでリメイクを記念してピアスの少年を
3のキタロウより無個性だからオリキャラになっちまうか
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:27:28 ID:JI+lNwVR
ロボ系は中の人も超人だらけだぞ
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:37:00 ID:7buvrGop
>594

漫画がOKなら上田信舟のペルソナオススメ。
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:45:34 ID:wkNgKfTD
>>591
ならいっそラットルだ
「はい、ばーくーだーん〜」(かっぺボイス)
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:50:16 ID:FnC5i5w/
>>595
ロボ・・・中の人・・・超人・・・ゲェー!
ウォーズマンまだかなぁ
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:50:30 ID:C85wgSuO
和也だけなぜか分離しましたとか
神取は・・・拒否だな絶対
生きる気力も無いし
ちょっと飛んで3のタカヤ・・・気紛れでもありえないか
ジンなら「しゃーない、一宿一飯の恩くらい返させや」とかで承諾しちゃうかもしれんが
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:51:34 ID:1yIMsD9O
極道兵器がだめなら邪気王でいいじゃない
従順かつ超高性能。進化、侵食の石川能力を兼ね備えてる化物
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 19:59:06 ID:JI+lNwVR
邪鬼王は虚無戦記シリーズに組み込まれちゃったから
あれを呼ぶとドグラだのなんだのも来るぞw
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 20:08:49 ID:5XQ/x3P1
そういや地球はかいばくだんを置いていった無責任なネコ型ロボットがいたな
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 20:18:30 ID:EPPWURdO
快男児なら問題無しだな
ハルケだろうが何だろうが呼べば何処からともなく飛んでくるダイターン3と万能執事ギャリソンがいるしな
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 20:39:48 ID:JI+lNwVR
ダイターンはあれで結構暗い部分があるぞ
605ゼロの騎士団:2009/02/07(土) 20:42:01 ID:jRY4heg9
後編の投下予告させていただきます。
20時50分を予定しております。
前回の嘘予告は気にしないでください。
よろしくお願いします。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 20:42:39 ID:QohqkwrM
万丈のダンディで明るい姿は演技だしな
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 20:44:04 ID:dYjRdUtz
さすがにハルケギニアには飛んでくるのに時間がかかりそう

ギーシュとの決闘で「カァムヒアァ!」

アルビオンあたりでダイファイターが飛んでくる
608ゼロの騎士団:2009/02/07(土) 20:50:51 ID:jRY4heg9
ゼロの騎士団−外伝 「激闘・鉄鍋レース」 後編

三日後 虚無の日 レース当日
いつもまばらなはずの広場は観客と出場者達で賑わっていた。
「何だって、こんな所に居なければならないのよ・・・」
勝手に参加を表明し、付き合わされたモンモランシーが声を出す。
周りを見回すと出場者達のパートナー達が周りの一つ高い台に集められている。
その様は、見世物その物であった。
「なんでギーシュはこんな馬鹿げた大会に参加したのかしら・・・」
自身の知っているギーシュは普通ではないが、それでもモンモランシーは今回の参加の理由は解らなかった。
3日前、ギーシュが突如この大会に参戦すると言いだし、
自身にゴールにいてほしいと言われてあまりの迫力にOKを出してしまった事を今更ながら悔やみ始める。
「あなたがこの間の二股騒動を許して無いから、名誉を回復したいんじゃないの?」
理由の一つを推測し、カルチョのオッズを見ながらキュルケが応える。
「この間の事は許したわよ、それに最近はその事もあってか優しくしてくれたし・・・」
少し俯きながら、モンモランシーは言葉を無くす。
「そう、けど今までに見た事無いくらい迫力あったわよ。ね、タバサ」
青髪の少女の方に向けてキュルケが同意を求める。
しかし、その少女は自身の周辺にサイレントをかけて読書をしていた。
「あなた達、うるさいわよ!もうすぐレースが始まるんだから、ニュー負けるんじゃないわよ!」
ルイズが二人を注意しながら、10メイル程の距離に居るニューに向けて発破をかける。
「しかし、今年はオッズが高いわねマルトーなんかは去年の2倍以上よ」
去年のオッズの低さを思い出し、キュルケが感想をもらす。
ここ数年の連続優勝があり、マルトーの去年のオッズは2倍を切っていた。
そこに、実行委員であるミリーナがやってくる。
「今年はハンデ戦だそうです。大体の能力に応じて鍋の大きさが違う様になります。」
ミリーナがルールの書かれたプログラムを見ながら説明する。
「ルールはフライなどを使ってはならない、相手を攻撃してはならない、
鍋を持たずゴールしてはならない、こちらは例年通りです。」
そう言いながら、キュルケにプログラムを渡す。
それを受け取り、キュルケはしばらくそれを見つめる。
「それはいいんだけど、この今年は例年よりエキサイティングな大会ですっていう部分が気になるんだけど、どういう事?」
その部分が気になったのか、周りを見回しながら変わった部分を探す。
その中で何時も貰う筈である、水風船を誰も持っていない事に気づく。
「はい、実行委員長が毎年変化がなくて客も飽きているだろうからと言って、
今年は仕掛けを変えたみたいです。もったいぶって私達にも教えてくれません。」
ミリーナは、昨日のよほど自信を持ったヨシュアの顔を思い出す。
「ふーん、まぁいいけどね、ダブルゼータなら頑丈だから何が起きても平気そうだし・・」
キュルケが、選手たちの中で威嚇し合っているダブルゼータ達を見ていたが、飽きたので空を見つめていた。
「平和よね・・・・」
空にはタバサの使い魔が咆哮をあげながら旋回していたが、キュルケにはそれすらも暢気にすら見えた。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 20:51:04 ID:Ruk9eBBi
支援砲撃
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 20:51:20 ID:JI+lNwVR
支援包茎
611ゼロの騎士団:2009/02/07(土) 20:51:28 ID:jRY4heg9
やる気のない、女性陣に比べいつもの面子は一人を除いての威嚇合戦が続いていた。
「親父、今日は最悪の日になりそうだな、もっともこれからは無駄な休暇を取る必要もないが」
勝利が近いのか、腕を組みながらダブルゼータがマルトーを威嚇する。
3日前と同じ大きさの鍋を背中にしょっているその姿は滑稽の一言であった。
「ダブルゼータすまねぇな、お前には俺の飯をもう少しの間、喰わしてやる事は出来ねぇ、
まぁ、家族旅行から帰ってきたら好きなだけ食わせてやるよ。」
ダブルゼータと同じ大きさの鍋を両手で持ちながら、マルトーもそれに応じる。
二人の鍋はこの中では最大であった。
「タバサの為、騎士の面子の為この勝負、負けられん」
まるで戦争に行くかのような面持ちで、ゼータが静かに闘志を燃やす。
(そのタバサは、お前の事を見ていないがな)
自身に発破をかけるルイズの隣で、タバサは黙々と読書に講じている。
ニューとゼータの鍋は1回りほど小さい。だが、自分には少し重く感じられた。
(私は肉体労働は苦手だし、水晶の盾は軽かったからな)
自身が持っていた水晶でできた盾の軽さを懐かしむ。
「ああ、モンモランシー見ていてくれたまえ君の為に華麗に戦って見せよう」
少しは離れたところでは、ギーシュがバラを口元にあてて何かを誓っている。
出場者の中でオッズが最も高いが、それでもニュー達より一回り小さく背中に背負っている為、ダブルゼータ同様滑稽であった。
「おや、ミスタ・ニューも参加するのですか?」
「コルベール先生、先生も参加するのですか?」
内容的にも、条件的にも似つかわしくないコルベールの登場に、さすがのニューも驚く。
「いえ、私はこの大会に協力させてもらったんです。最も一部だけで全容は知らないのですが。
実行委員長が私の研究をこの大会に生かしたいと言ってくれたんですよ。」
何か良い事あったのか、コルベールは嬉しそうな表情を浮かべていた。
「はぁ、そうですか・・・」
ニューはそれ以上は聞く必要がないから、言葉が続かなかった。
「選手たちの皆さん、そろそろ位置について下さい。」
係りの生徒が選手たちを呼び集める。
それを聞いて、選手たちはスタートラインに向かった。

「選手の皆さん、開催する前に当たり本大会の説明をさせていただきます。」
実行委員長のヨシュアが、設置された台の上にあがり内容を説明する。
「コースは学院内を一周してもらいます。途中妨害があるので、それを避けながらゴールに向かってください。
フライなどを使ってはならない、相手を攻撃してはならない、鍋を持たずゴールしてはならない、こちらは例年通りです。」
プログラムに書いてある事をそのまま述べてボールの様なものを取り出す。
「では、これが地面に落ちたらスタートです。」
そう言って、上に向けて軽く放り投げる。
(ん?あれは見たことあるような、たしか)
地面にそのボールが落ちた時、閃光と轟音と共にニューの思考がたたき壊された。
612ゼロの騎士団:2009/02/07(土) 20:52:21 ID:jRY4heg9
「!何が起こったの!?」
ニュー達より離れていたために、意識を早く回復したルイズが余りの状況を確認する。
見るとそこには、少し焼けた地面を中心にニュー達が倒れていた。
「分からないわよ!ミリーナなんなのあれは!?」
キュルケも軽いパニック状態に陥りながら、ミリーナに掴み掛かる。
「分りません!」
揺さぶられて自身も意識を回復したのか、全力で関与を否定する。
「ミスタ・メネス、これはいったいどういう事ですか?」
何か感じたのか、ヨシュアの方にコルベールが向かう。
「そうよ、何で爆発してるのよ!」
ルイズも状況がつかめず、主犯であろう男に掴み掛かる。
数人からの抗議を受けて、ヨシュアが事情を説明する。
「ミリーナ、この大会の課題は解るよね?」
「え!はっ、はい大会に刺激がなくなってきているでしたよね?」
突然、話を振られたがよく聞いてきたことなので、ミリーナが何とか思い出す。
「そう、伝統あるこの激闘・鉄鍋レースであるが、石が水風船に変わり、
妨害禁止などのルールが出来たため年々、観客、出場者共に飽きを感じ始めていた。
出場者の中には明らかに緊張感を欠く人物もいた。僕はそれを許せず、そしてずっと危惧していた。」
「普通に充分、刺激的じゃない!」
ルイズが、音の衝撃で痛む耳を押さえながら、ヨシュアに抗議する。
「この大会を初期のころの様に刺激的な大会にしたい、そう思いながら、日々を過ごしていた所。
ミスタ・コルベールの発明を見てピンと来たんだ。」
そう言って、暗い顔から明るい表情に変わる。
「そう水風船で、刺激が足りないのなら、花火を投げればいいんだと」
「過激すぎるわよっ!」
そう言って、ルイズの右フックがヨシュアの顔面をとらえた。
「先輩、無茶苦茶ですよ!じゃあ、観客に水風船を渡さなかったのって・・・」
ミリーナはこの時、ヨシュアに対して何か嫌な物を抱いた。
「もちろん、激闘・鉄鍋レース実行委員会OB協力の元、上空から無差別に投げてもらう事にしたんだ!勿論、ゴールするまで」
ヨシュアが胸を張り自身の計画の内容を明かす。
「この馬鹿先輩、ふざけるなぁっ!」
ミリーナの渾身のアッパーがヨシュアの顎をとらえた。

「・・・ん、何が起きたんだ」
地面に叩きつけられたニューが目を覚まし辺りを見回す。
辺りにはまだ、他の参加者達が倒れている。
ニューは自分の状態を確認する。衝撃と音の割には火傷などはほとんど無かったが音の為に耳が遠くなっていた。
「みんな大丈夫か、リカバー」
周りの参加者達に、気絶を回復する呪文をかける。
「ニュー何が起きた?」
「分からん、実行委員長が花火らしきものを地面に落としたら、
閃光と音で気絶したらしい。」
目覚めて復活したゼータに自信の分かる限りで情報を伝える。
「・・・このイベントは、たしか水じゃなかったのか?」
ゼータが自身の煤けた体を見てつぶやく。
その時、ルイズがニュー達の基にやってくる。
「・ニュー・・・この・・・・・ゴー」
ルイズがニューに何かを必死で伝えるが、まだ耳が遠いのか伝わらない。
「ルイズ、何を言ってるか聞こえないんだ?」
そう言って、耳の部分を叩き音を聴きやすくするよう試みる。
「ニュー、この大会はゴールするまで、上空から無差別に今のが落ちてくるのよ!」
「なんだって!!」
そう言って、上を見ようとするが、すぐ近くに落ちた花火が破裂する。
今度は先程より距離があり、とっさに気づいて目と耳を覆ったので先程のダメージよりは軽減できた。
「何て事だ、これでは意地でもゴール目指さなきゃならないではないか、ダブルゼータ、マルトー殿、急ぎゴールをってあれ?」
ゼータが共闘を呼びかけようとし、二人を探すがそこには姿が見当たらなかった。
「ゼータさん、ニューさん、二人共もう先に行ってしまいましたよ!」
話を聞いていた、比較的無傷なシエスタが二人に教える。
「あの猪どもは・・・」
そう言ってゼータと顔を見合せ、二人は駆け出した。
613ゼロの騎士団:2009/02/07(土) 20:53:18 ID:jRY4heg9
トリステインの広場は無差別爆撃により、阿鼻叫喚の坩堝とかした。
生徒たちや、平民、そして教師までもが逃げ惑う戦火の中とさほど変わらなかった。
中には風の魔法でバリアを張る物がいたが、断続的な物であり、焼け石に水とはこの事であった。
その中で、約三名は闘志を失わず、むしろ興奮から意欲をさらに増していた。
「おもしれぇ、こう過激だと俄然やる気が出てくるぜ!」
ダブルゼータが嬉しそうに先頭を往く。背中に背負っているからあまり鍋が邪魔にならずスピードが落ちなかった。
ただ、無防備なため、そこかしこに火傷を負っていた。
その後を、金髪の少年が追う
「モンモランシー、君を思えばこのくらいは訳もないさ、必ず勝利してみせる!」
ギーシュはワルキューレを盾にして、後を追う。
体力は及ばないが鍋が小さい事とワルキューレのおかげでスピードをそれほど落とさずに済んでいた。
「6年連続チャンピオンが懸っているんだ、小僧共に負けられるか!」
マルトーが三番手として後に続く、職業柄火に強く鍋を盾にしているせいでダメージもさほどない。
しかし、鍋を手に持っているためスピードが二人よりは落ちていた。
こうして、この三人での熾烈な争いが先頭グループの状態であった。

その後方では、第2グループの二人が懸命に先頭に追い付こうとしていた。
「なんて奴らだ、まるで追い付けん」
マルトーの様に、盾にしながらニューが前方の三人を見つめる。
体力がないうえ、無理をせずに走行して居る為、更に差が開きそうなくらいであった。
「確かに、だが何としてでもゴールにたどり着く。それに、奴らにだけは負けたくはないのだ!」
そう言いながら、ニューを突き放すべく、ゼータが防御を捨てペースを上げる。
「おい、無茶をするな!」
無謀とも言えるペースアップにニューが声をかける。
「私は、タバサの為この戦い負けられんのだ!「きゅいきゅい」なにっ!」
ゼータの決意と同時に、周辺の熱気は一陣の風と共に消え去った。
見ると、上空から青い竜が降下してくる。
「シルフィード!助かっ「きゅいさっきから聞いてればふざけるんじゃないのね」な、喋った!」
ゼータがシルフィードに割り込まれて驚きの声を上げる。
二人はタバサのペットだと思っていた。シルフィードが声を上げた事に、驚きを隠せなかった。
「前から気に入らなかったけど、この間の事と言いもう頭に来たのね、やい青トンガリ!
お姉様の使い魔の分際で愛の為とはいい度胸なのね、
お姉様の愛は私の為にあるのね、お前みたいな不細工ゴーレムが出る幕じゃないのね」
ゼータを威嚇しながら、今まで溜まっていた恨みをぶつける。
「シルフィード、どいてくれ私は勝ってタバサに「その必要はないのね」」
ゼータの言葉も聞かず、シルフィードがまた飛びあがる。
「お前はここでくたばるのね、シルフィードの爪の垢にしてくれるのね」
そう言いながら、シルフィードがゼータに急降下で襲いかかる。
ある程度は身構えて居た為、横に跳んでその攻撃をかわす。
「きゅい、やるのね、けど負けられないのね」
避けられて、更に戦意を高揚させてシルフィードがブレスを放つ。
懐に潜り込むように前方に跳んで、そのブレスを回避する。
「ニュー、何を見ているんだ!何とかしてくれ」
タバサの友人であるために、剣を抜くわけにはいかずゼータはニューに援軍を求める。
しかし、ニューは二人のやり取りを冷静に見て考えていた。
(つまり、シルフィードはタバサをゼータに取られて事に及んだ訳だな、じゃあ禍根を残す訳にはいけないな。)
そう考えて、前のグループに追い付こうと再び走り出す。
「ゼータ、それは当人たちの問題だ、私が手を出すにはいかない、二人で存分に議論してくれ」
振り返り手を振りながら、ニューは二人を置いていく。
「きゅい、ニューニューは話が分かるのね、さぁ、決闘の続きなのね」
いつの間にか、シルフィードの中では立場を極める決闘へとすり替わり、再びゼータに襲い掛かる。
「薄情者ぉー!」
ニューの背中を見る暇もなくただそう叫び、ニューへの罵声を浴びせた。
614ゼロの騎士団:2009/02/07(土) 20:54:05 ID:jRY4heg9
その頃、先頭グループは遠くにゴールが見える所まで迫っていた。
「あ!見えたわよ」
先頭に自身の相棒を見つけ、キュルケが嬉そうに指をさす。
「ニュー!負けてんじゃないわよ、負けたらご飯抜きよ!」
ゴールを目指せば良いと思ったが、キュルケに負けてると思いその事を忘れて檄を飛ばす。
その隣では、自身の為に走るギーシュの姿がモンモランシーの視線を捉えていた。
ワルキューレでガードしているが、所々を火傷しており服も少し熱で破けていた。
(ギーシュ・・・私の為に)
だが、ボロボロになりながらも今まで見た事無い、ギーシュの力強い眼光にモンモランシーは言葉が出てこなかった。
「あれ?あそこに見えるのはミスタ・コルベールじゃありませんか?」
ミリーナは間に割って入るようにコルベールに注目する。
それは、先頭グループも同じであった。
「ゴルベールさん、じゃまだどけ!」
「・・・ませんよ」
俯きながら、何かをつぶやくコルベールの声を誰も聞き取れなかった。
だが、顔を上げた次にはハッキリと分かった。
「許せませんよ、私の研究目的をこんな野蛮な事に利用する等!私は絶対に許しませんよ!
こんな大会壊れてしまえ、こい、ハリマオスペシャル!」
怒りの声をあげながら、コルベールが相棒の名前を呼ぶ。
今までも花火の音が鳴り響いてが、更に強い地響きが学園内を駆け巡る。
「なんだ!?」
三人が、その異変に気づき足を止めて周囲を見回す。
「あっ、あれは!」
三人よりも先に見つけたルイズが、その原因に気づく。
「ハリマオスペシャル!」
トリステイン魔法学園の使い魔のボスの登場に場の注目は、そこに一気に集まる。
「とうっ!」
掛け声とともに、コルベールがハリマオスペシャルの背中に飛び乗る。
「あれは、もしや!」
珍しくタバサがそれを見て驚きの声を上げる。
「知っているの、タバサ!」
キュルケが、その様子が珍しいのかタバサに聞く。
「かつて、学園を荒らした三人のトライアングルのメイジ「黒い三年生」を倒したと言う、
コルベール・ケンタウロス・スペシャル!まさか、この目で見られるとは・・・」
タバサが、それ見つめながら言葉を失う。
「これが私とハリマオスペシャルの奥義ケンタウロス・スペシャル、
こうなったからにはあなた達に勝ち目はありませんよ!」
ハリマオスペシャルの上に立ち、コルベールが腕を組み勝利を確信する。
「ケンタウロスというか、あれただ、上に立っているだけですよね・・・・」
ミリーナの指摘は誰の耳にも届いていなかったが、何人かは同じ感想を抱いていた。
615ゼロの騎士団:2009/02/07(土) 20:54:41 ID:jRY4heg9
「行きますよ!ファイヤー・ボール」
そう言いながら、魔法を行使する。それと同時に、ハリマオスペシャルが炎のブレスを放つ。
トライアングルのコルベールと規格外のハリマオスペシャルの炎は熱線といっても過言では無かった。
「くそっ!なんだありゃぁ、シャレにならんぞ・・・」
ダブルゼータが横に跳んで避けた後の炎の道を見つめる。
この間のモット伯の時とは威力が違いすぎていて、背中の鍋が熱くなっていたがそれすらも気づかなかった。
「うおっ!」
三人が避けた為に、後から追っていたニューの足元付近に着弾し火山の噴火の様な爆発が起こる。
「ニュー!ミスタ・コルベールやめて下さい!」
自身の使い魔が吹き飛ばされるのを見て、教師に懇願する。
しかし、コルベールの耳にはその声は届かなかった。
「許せませんよ、私の発明を、人を傷つける物の為に使うなど、絶対に許しませんよ!」
そう言いながら、詠唱を済ませ2発目を放つ。
今度は3人の足元に打つことで、その衝撃の余波でダメージを与える。
その狙いは成功し、三人とも余波だけでもかなりのダメージを負う事となった。
「このままじゃ、やられちまうどうすりゃいいんだ・・・」
「あきらめるな、使い魔君!」
「そんな坊やに喝入れられるなんざ情けねぇぜ!」
ダブルゼータの弱気をギーシュが一喝し、マルトーも発破をかける。
ギーシュもボロボロの状態であるが、何とか立っており目からは闘志が失われていなかった。
「僕のワルキューレが壁を作る、少しは時間を稼げるだろうから、その間にミスタ・コルベールを倒すんだ。」
もはやゴールだけではこの事態が終わらない事に、三人は気付いていた。
「俺も行くぜ、二人なら成功の可能性が2倍になる。」
マルトーが不敵に笑い、鍋を前に掲げる。
ダブルゼータも、二人の決意に自信の背中の盾を前に掲げる。
「よし、いくぜっ!」
そう言いながら、二人が駆け出す。
「いけ、ワルキューレ!」
2人までに減ったワルキューレを再度7体に増やし、二人を援護する。
3発目の熱戦を7体のワルキューレが受け止めるが、それでも数秒と持たなかった。
「後は頼んだよ」
精神力が尽きたのか、ギーシュが片膝を屈する。
「ギーシュ!」
振り返る事も出来ず、彼の気配が消えるのをダブルゼータが背中で感じる。
鍋を持つ手は既に、火傷で感覚を無くしつつある。しかし、二人はいまだコルベールの元にたどり着けなかった。
「どうやら、俺の方が先のようだな」
そう言いながら、マルトーがダブルゼータの前に出る。
結果的にそれがダブルゼータの盾になった。
「オヤジ!」
「行け!あの坊やの行いを無駄にするな!」
そう言いながら、熱戦が途切れたのに満足したのかマルトーが力尽きる。
「何!」
自身の魔法に耐えきった事で、コルベールに動揺が生まれる。
「うおぉぉぉぉっ!これで終わりだ!」
その叫びと共に、ダブルゼータが飛ぶ。そして、コルベールを鍋で体当たりする。
616ゼロの騎士団:2009/02/07(土) 20:55:11 ID:jRY4heg9
コルベールは3メイル程空中に舞い地面に叩きつけられた。
そして、そのままゴールの線を飛び越えた。
「優勝!優勝です!ダブルゼータが劇的なフィニッシュで今年の激闘・鉄鍋レースの優勝を飾りました!」
勝者が決まった事で、ダブルゼータのフィニッシュに惚けていたミリーナがアナウンスする。
「ダブルゼータ、凄いわ!」
珍しく損得に関わらず、キュルケが称賛を贈る。
「何ていうか、壮絶だったわね・・・」
自身の使い魔が負けた事の悔しさよりも、レースの内容が終わった事への安堵からため息が漏れる。
「ルイズ、無事か」
自身とマルトー、ギーシュを回復させて、ニューがやってくる。
「モンモランシー、すまない」
ギーシュが謝罪するが、その顔は晴れ晴れとしている。
「いいの、かっこよかったわギーシュ」
目に涙を浮かべ、モンモランシーがギーシュに近寄る。
「平民がゴールした時、貴族の娘はこう続けたそうです。」
いつの間にか近づいてきたシエスタが、話を始める。
「「私には宝になるようなものがありません。だから、今日からはこの鍋を宝にします。」と言いました。」
「それ聞いても、やっぱりその二人を祝福するつもりはないわよ・・・」
シエスタの涙を浮かべたエピローグを聞いても、二人を心から祝福する気にはなれなかった。
「素晴らしい、僕はこの光景を見たかったんだ・・・・」
いつの間にか復活したヨシュアがその光景を見ながら涙を浮かべている。
「ミリーナ、来年からも、是非このルールを継続していこう!」
「するなっ!」
力強くこぶしを握るヨシュアの決意を、周りが拳で否定した。
「馬鹿ばっか・・・・」
拍手と殴られる音がタバサのつぶやきをかき消した。

「なんで、こんな事しなければいけないのかしら・・・」
夕方 保健室
ニュー達から制裁を受けた、保健室に運ばれたヨシュアを介抱しているミリーナを見ながらケティがつぶやいた。
「放っておけばよかったじゃない」
ヨシュアはさすがに重症だったのでニューが蘇生させた。
だが、そのままにして置く訳にはいかず、ここに連れて来たのだ。
「ケティ、あなた平民を選んだ貴族の気持ち分かる?」
「分かる訳ないじゃない」即座に否定する。
ミリーナは水に浸して、タオルを絞り交換する。
「私ね、その娘の気持ちわかっちゃった」
そう言いながら、嬉しそうな顔をしているヨシュアの顔をミリーナが優しそうに見つめる。
「私、本当にあなたが分からないわ」
ケティが友人の事を全く出来ず溜息をつく。
「まぁ多分、誰もその娘の気持ちは解らなかったでしょうね・・・・」
少し離れたところでは、青い竜とゼータの死闘が続いているが平和な光景に変わりはなかった。

数日後、ニュー達が食堂で嬉しそうに会話するヨシュアとミリーナを見かけるが、それは別の話である。
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 20:56:01 ID:UhtoOygh
支援
618ゼロの騎士団:2009/02/07(土) 20:57:16 ID:jRY4heg9
「また、この力を使う日が来るとは・・」
炎蛇 コルベール
ボ○ボン 3月号 応募者全員サービス
HP 1000

このカードを剥がすと・・・

「私達の真の力を見よ!」
コルベール・ケンタウロス・スペシャル
スペシャルシークレット
HP 1900

以上で投下終了です。
2部はもう少し先になります。
関係無いですけど、
自分はガンバルガーを召喚して、ルイズ達が操縦する
小ネタを考えた事があります。
もちろん書いていません。

619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 20:57:47 ID:+qphLThi
ファルコン・加藤と名乗る妙なオーラを纏う使い魔を
召喚したキュルケの物語が見たいが、18禁だろうなぁ・・・
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 21:27:14 ID:M7AlQIRi
>>618
ああ……無責任な地球の守護者のロボですねw
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 21:48:00 ID:KZmkdqWL
乙鍋レース・・・って、うわぁコレはひどいw
ミリーナさんが妙に好きだw

スタートの爆発で、大会大道具委員20歳を思い出したのは私だけか
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:02:05 ID:N0HqK5B0
7人のメイジ
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:25:03 ID:COBezj83
この際、あさりよしとおの復活!無節操超超巨大戦闘兵器から超巨大ロボ(推定身長2万km)のギオでも呼んじゃえ。
馬鹿デカイくせに一人乗りだし、選ばれた人にしか操縦できないし、ルイズが選ばれたってことにすればぴったり。
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:45:02 ID:JqXWK5eg
ルイズってかなりのオーラ力ありそうじゃね
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:47:08 ID:QoZwQebT
思いっきりハイパー化しそうな気が
……テファ以外の虚無全員に言えることだが
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:49:22 ID:gzgGoiUv
SAMURAI7のキクチヨとかいい感じに強くて、ドジで
弱い者の味方で、メカで、子供に遊ばれて、コルベールに狙われて・・・
スゴクいくない?
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:50:48 ID:OS7611gP
シエスタ「平民平民ぱかにするな 同じメシ食ってぬくいクソ出す どこ違う 胸の辺りちょと違う…」
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:50:57 ID:yZVmCXZ4
ルイズならTA2系列艦も動かせる気がする
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:51:08 ID:+tTCmROv
>622
黒沢映画とのクロス、いやSAMURAI7か? ……ルイズがカツシロウのポジションなのは目に見えてるけど。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:51:57 ID:1/JpRl4s
空気は読まない。申し訳ない。
カードキャプターさくらのさくらを召喚させようかなぁ、とか思ってるん
だけど、小狼の方がいいかなぁ。性格的に。
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 22:58:22 ID:yCfTpILf
>>630
取りあえず君の妄想が膨らむ方を選べばいいんじゃないの。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:03:36 ID:tbaiGZ8x
ぼくは断然さくちゃらん!(AA略
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:07:15 ID:dvQQitqb
大いなる遺産今やるとかなりバランス悪いな
ナイトガンダムなんて物理全くくらわないし
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:19:23 ID:TobgYFiG
召喚とはちと違う形になるが犬マユと絡ませてみたいな…
1.杖(笑)ガンダールヴ(笑)な素手無双
2.脱線経営ゲールート
かで…
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:25:41 ID:M7AlQIRi
>>634
犬マユ……Vジャンプか……なつかしい
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:26:24 ID:MC3Wj+FI
>>623
問題は召喚した瞬間ハルケゲニアが吹き飛ぶことだな
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:29:28 ID:laOnsWvs
>>630
いっそ二人まとめて召喚してしまえ。
まあ問題点としてはさくらカードの出鱈目っぷりをどうするか、何だが。
たしか時を止めたり出来たぞ、彼女。
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:36:24 ID:KZmkdqWL
いっそ限りなく原作に近いパラレルなオリジナルとかで。どーせCLAMPだし
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:38:37 ID:QohqkwrM
時間巻き戻しもしてたぞ
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:39:32 ID:ZYsOI27M
>>630
ケロちゃんかユエ(だった気がする)だったらルイズは大喜びしそうだなぁ。
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:40:02 ID:yCfTpILf
CLAMP世界は永井豪や寺田もビックリなパラレルっぷりだからなぁ。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:43:24 ID:tbaiGZ8x
とりあえずXの完結はまだか<CLAMP
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:53:47 ID:COBezj83
>>636
待ってたよ。そのツッコミw

>>630
CLAMPキャラなら、いおりょぎ召喚してルイズをこばとポジションにしても面白いかも。

644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:56:29 ID:vGRAquO9
教皇「おらと一緒に聖地さ行くだ!」
ジョゼフ「おらもとりなしてくだせ。おらもつれてってくだせ」
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 23:58:15 ID:nGlYfq0E
とりあえず、さくらが召喚されたら風上あたりがハアハアしそうだな
でも、行方不明になった世界では大変だ
どーみても性犯罪目当ての誘拐とか考えられるくらい可愛い少女だしなぁ・・・・
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:00:39 ID:R472pOYy
結局桜と小狼は何処の世界の二人がオリジナルなの?
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:00:57 ID:z1ZW2z+4
>>640
ケロベロス召喚で、虚無=クロウの魔法でも良いかもね。
始祖の書は空っぽ……いや、ウィンディが一枚だけ入ってるクロウブックで。
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:06:54 ID:17pqekQc
桜1人だけ読んでら衣替えができない
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:11:24 ID:gLnCbJw3
諸星大二郎か、なつかしい
いまも活動しているのか
650ゼロの黒魔道士:2009/02/08(日) 00:15:21 ID:mC9aQBiX
流れを切るようですいませんね。
アニエスさんが暴れたがっているんで、続き書かせていただいちまいました。

もい予約なければ、00:25ぐらいから失礼させていただきます。
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:16:00 ID:wzjtgBPi
最近妖猿伝が連載再開しなかったっけ
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:22:46 ID:hf62mv75
支援します!!
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:23:35 ID:ZdqQjmmn
>さくら召喚
ttp://toukoutosyo.net/bbs/e0001/treebbs01.cgi?mode=allread&no=385&page=40&list=&opt=
まあ、もう更新しそうにないな
654名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:24:23 ID:hl7rN+cP
>>556
木曜洋画劇場自重w
655ゼロの黒魔道士:2009/02/08(日) 00:24:53 ID:mC9aQBiX
投下開始です
―――
「あぁ、愛しき者よ!どうこの思いを伝えるべきか!!」
ボクは、とっても、困ってたんだ。
「あ……あの……」
「どうした、ビビ!?何なりと言ってくれ!!」
アニエス先生は、顔が真っ赤で、目もうるんでいて……
「……風邪、そんなに酷いの?」
「なんと!そこまでわたしの体調を気にしてくれているとは!!
 あぁ、このアニエス、優しき人にめぐり合えたことを感謝するっ!!」
……相当、重い病気なのかなぁって思ったんだ。
「えっと、その……アニエス先生?ゴメン、ちょっと、離れて?」
それにしては、抱きしめる力がやたらと強いのが不思議だったんだけど……
「――お?おぉぉ!!そ、それはすまなかった!!い、いきなりは迷惑だったか?
 そうだな、そなたがラブレターを出したことを考えれば、まずは文通から――」
とりあえず、病気なら、安静にしてなきゃ、だよね?
「青き海に意識薄れ、沈みゆく闇
         深き静寂に意識閉ざす… スリプル!」
「いやしかし、そんなまどろっこしい真似など――第一、恋文など書いたこともな……い……ぞ……」
「……ゴメンね、アニエス先生……」
眠っても、剣を離さないあたり、流石アニエス先生だなって思うんだ。


―ゼロの黒魔道士―
〜第三十ニ幕〜 好きにならずにいられない


「ね、寝たの?」
「……病気みたいだし、安静にしてもらった方がいいんだよね?」
ルイズおねえちゃんがおそるおそる近寄ってきたんだ。
「え、いや、病気っていうか、アレって――」
「恋、だよなぁ、どー考えても」
ルイズおねえちゃんの言葉を、デルフが引き継ぐ。
「……え?恋?誰に????」
全然、さっぱり分からなかったんだ。
「そりゃー、この場の面子考えりゃぁ――」
「ビビ――しかいないわよねぇ。散々叫んでたし」
それに、ボク、恋愛って全く経験無いし……
「え、えぇぇ!?ぼ、ボクに!?ど、どどど、どうしてっ!?」
「そりゃおれっち達の方が聞きてぇんだが。つか相棒もスミにおけねぇなぁ〜!」
「いやまぁ他人の恋愛は止めるつもりないけど、流石に年齢差が――」
「ちょ、ちょっと待ってよっ!?」
そんなこと言われても、心当たりは、全く無かったんだ。

「――まぁ、冗談はさておき――
 なんかあったの?あんたとアニエスって言ったっけ?この剣士と――」
ベッドに腰かけなおして頬杖をつくルイズおねえちゃん。
何かあったか?そう言われても、ボクには全然心当たりは無かったんだ。
「うーん……お昼休みに会ったときはギーシュをボコボコにしちゃってたぐらいで普通だったし……」
「あぁ、ありゃひどかったなぁ、ギーシュの野郎、巻き髪の娘っ子に治療されるまで顔3倍だったしな」
あれはすごく痛そうだったなぁ……
「巻き髪?あぁ、モンモランシー?あの子もあんた達の特訓に付き合ってるの?」
「うぅん。怪我したら、治してもらうぐらいで……」
「そういや、夕方に鎧の姉ちゃんと会ったときもギーシュの野郎と巻き髪嬢ちゃんいたっけか」
このとき、考え込んでいたルイズおねえちゃんの眉毛がぴくりと動いたんだ。
656ゼロの黒魔道士:2009/02/08(日) 00:25:32 ID:mC9aQBiX
「――待ちなさいよ、『愛してる』だのと突然のたまう女でしょ?そこに水メイジがいて――」
ブツブツとつぶやくルイズおねえちゃん。
「??水メイジが、何か関係あるの……?」
「――もしかして――まさかだけど、アニエス、何かを飲んだ後変なことにならなかった?」
何かを飲んで……?
「うーん……そういえば、ギーシュが持ってたワインを飲んで……」
「あぁ、そういやその後咳きこんでやがったっけ。
 酒にゃ強そうな姉ちゃんに見えんだけどなー」
「――どうやら、ポイントはそこね」
ルイズおねえちゃんは突然立ち上がると、アニエス先生をまたいでボクの手を取って走り出したんだ。
「ビビ!行くわよ!犯人は――」
「え、え、は、犯人?……アニエス先生、病気じゃないの?」
「病気よりもひどいわよ、この予想が当たってるなら!!」
ルイズおねえちゃんの顔はとっても険しくて、
眉間の皺がペンで書いたみたいにくっきり浮き出てたんだ。
「――なんか、おもしれぇことになってきたな〜!」
デルフがこういうこと言うってことは、すっごく困ったことになったんだなぁって思った。



「いい?ビビ、あんたは何も言わなくていいからね?」
女子寮のとあるドアの前、ルイズおねえちゃんが人差し指を立てて注意する。
「う、うん……ここ、誰のお部屋なの?」
「すぐ分かるわ――それじゃ、行くわよ……」
コンコンとノッカーを叩くルイズおねえちゃん。
「はい?どちら様?」
聞き覚えのある声が、中から聞こえたんだ。
「ちょっと、お話があるのよ、モンモランシー」
あ、ここってモンモランシーおねえちゃんのお部屋なんだ。
……あれ?ってことは、ルイズおねえちゃんの言う犯人って……
「――な、何よ、話って!わ、私はもう寝るんだから――」
モンモランシーおねえちゃんの焦るような声がお部屋の中から聞こえる。
「いいから、開けなさい!ドアを『錬金』で爆発されたくなかったらね!」
ルイズおねえちゃんの声が、険しくなる。
うーん……『錬金』で爆発って……確かに、ルイズおねえちゃんがやったら爆発するんだろうけど……
「わ、分かったわよ――」
鍵がカチャリと開く音がして、ゆっくりとドアに隙間ができる。
ガッ
その隙間にすかさず足を入れるルイズおねえちゃん。
「ちょ〜っとお話があるの。長くなりそうだから、入れてくださらない?」
優しく言おうとしてるんだろうけど、それがかえって怖い感じがしたんだ。
「え、ちょ、ちょっとちょっとちょっと!?」
モンモランシーおねえちゃんの静止をふりきり、無理矢理中に入るルイズおねえちゃん。
「ケケケ、こりゃいよいよおもしれぇなぁ」
なんか、デルフの笑い方でいよいよ不安になってきたんだ。
657ゼロの黒魔道士:2009/02/08(日) 00:26:11 ID:mC9aQBiX



「おや、ビビ君に、ルイズも?どうしたんだい?」
「あら、ギーシュもいるの?丁度いいわ」
モンモランシーおねえちゃんのお部屋の中は、香水の匂いが入り混じってはいるけど、
ギーシュの部屋よりはセンスが良かったんだ。
あちこちに、フラスコとか液体とかの実験器具が置いてある。
「も、もう何なのよ!私が何をしたって――」
モンモランシーおねえちゃんがドアの鍵を『ロック』して戻ってくる。
「『惚れ薬』」
ルイズおねえちゃんは、モンモランシーおねえちゃんの鼻に人差し指を突きつけて、
一言だけそう言ったんだ。
そうしたら、モンモランシーおねえちゃんの顔がみるみる青くなっていったんだ。
「な、と、突然何よ!そんなこと言うためだけに部屋に入ってきたの!?」
その反応に、満足そうに鼻でフフンとするルイズおねえちゃん。
「なるほどね、やっぱり――大方、ギーシュに飲ませるつもりでワインに入れたんでしょ?」
惚れ薬?えーっと、どっかで聞いたことあるなぁ……
「な、何を根拠に!だ、大体『惚れ薬』って何よ、聞いたことすら――」
……あ、そっか、どっかで聞いたことあると思ったら、
ジタンが『ブランクは薬作りが上手いけど惚れ薬は失敗してるんだよな〜』って言ってたんだっけ。
その効果って、確か……
「……相手を、強制的に『チャーム』にする薬、だっけ……?」
半分以上伝説の薬って聞いたけどなぁ……
「そう、そのとおりよ、ビビ。相手を誘惑し、惚れさせる薬。だから文字どおり『惚れ薬』ってわけ」
「ば、バカバカしいわね!私がその『惚れ薬』をギーシュに!?
 そ、そんなことする必要が私にあって!?ねぇ、ギーシュ!!」
ギーシュに同意を求めるモンモランシーおねえちゃん。
その額からは、玉のような汗の粒が流れ落ちてたんだ。
「あぁ、そうだよ!今の僕にとってモンモランシー以外の恋人なんて考えられないね!」
確かに、ギーシュとモンモランシーおねえちゃんのベタベタっぷりはよく見てたから、
それもそうかなって思ったんだ。

「『今の』、ね。それがそもそもの動機でしょうね」
モンモランシーおねえちゃんに突きつけていた人差し指を自分の顔の前まで戻して、
ちっちっちっと左右にふるルイズおねえちゃん。
その姿が、なんとなく、役作りをしているように見えた気がしたんだ。
「ギーシュの浮気癖は治まったとはいえ、いつ再発するか分からない――」
一歩一歩、わざとらしく、ゆっくりとギーシュに向かって歩くルイズおねえちゃん。
なんとなく、真相がボクにも分かってきた。
「――さらに、先日以来、ギーシュの人気が上がっていて――」
ギーシュに向けた人差し指を、もう一回モンモランシーおねえちゃんに戻す。
「――モンモランシー、あなたは危機感を抱いた。違う?」
その姿はビシッと決まっていて、とってもかっこ良かったんだ。
「し――証拠はっ!?い、今のはぜぜ全部推測じゃないのっ!!」
一方、指されたモンモランシーおねえちゃんは、
見ていて震えが移りそうなぐらい、焦っているのが分かったんだ。
「まぁ、そのときのワイングラスがあれば完璧、なんだけど――
 目撃証言があるのよ。ビビが仲良くしているメイドからのね――
 あなた、惚れ薬を入れるところを見られていたのよ、バッチリと」
シエスタから?いつの間に、そんな情報を手に入れたんだろう?
「う、嘘よっ!!あ、あのとき周りには誰も――」
658ゼロの黒魔道士:2009/02/08(日) 00:26:49 ID:mC9aQBiX
「『あのとき』――それは、どのとき?」
ルイズおねえちゃんの唇が、ニヤリとちょっと上に曲がったのが見えた。
「あ――あ、あの――その――」
モンモランシーおねえちゃんの膝に、力はもう入りそうになかったんだ。
「自白した、わね。『惚れ薬』を入れたワイン、それをギーシュに飲ませようとして、
 アニエスがそれを飲んでしまった。認めるわね?」
床に崩れ落ちたモンモランシーおねえちゃんの肩を、ギーシュが抱きとめる。
「モンモランシー――まさか、本当に?」
「あ、あなたを!ギーシュ、あなたを失いたく無かったのよ!!」
大粒の涙が、ポツリポツリとモンモランシーおねえちゃんの目からこぼれおちる。
「そんな――僕のことをそんなにも思ってくれていたのかい?」
「あ、あなたが悪いんだからね!!」
「バカなことを!僕が、君以外を愛することはもう無いのに!」
「あぁ、ギーシュ!」
「モンモランシー!」
抱きしめあう、二人。
それは、恋愛劇のエンディングみたいで、ちょっと感動的だった。
……思わず、涙ぐんじゃった。

「はーい、はい!そこの二人ー!言っておくけど、『惚れ薬』作成は重罪よー?」
ルイズおねえちゃんが手をパンパンと叩き、話を戻したんだ。
「ちょ、ちょっと待ってくれたまえよ、ルイズ!も、モンモランシーは僕のために――」
ギーシュが慌てて立ち上がろうとする。
「――いえ、確かに、罪は罪よ――でも、『惚れ薬』は失敗したのよ?
 即効性なのに、何の効果も出なかったはず――それでも罪になる?」
少し泣いて、落ち着いたのか、モンモランシーおねえちゃんが反撃に出たんだ。
「かぁ〜、女ってぇのぁ怖ぇなぁ……バレなきゃ大丈夫ってか」
デルフのつぶやきはそのとおりだと思うんだ。
でも、確かに即効性って言うなら、アニエス先生のアレは違うみたいな気もするけど……
「あのねぇ、あんた――いいわ、被害者見たらハッキリするわ!」
「被害者って、何言ってるのよ!あの女、ちょっと風邪気味ってだけで何とも――」

おねえちゃん達が言い争いをはじめようとした、その時だったんだ。
ドンドンドン!
ちょっと乱暴なノックの音がドアから聞こえたのは。
「――もうっ!今度は誰!?何よ!今取り込みちゅ」
ザンッ!!
そして、どこかで見た気がする鋼の光が、ドアから生えてきたんだ。
「……え」
「あ」
「何だい!?」
「な、何ごと!?」
「ケケ、主役のお出ましだぁな!」
ザンザクッザザンッ!
見覚えのある、鋼のきらめき。
……そっか、『スリプル』って、そんなに長くもたないっけ……
ドゴォォンッ!!
ドアが粉微塵になった、そんなことを考えてたんだ。

659ゼロの黒魔道士:2009/02/08(日) 00:27:33 ID:mC9aQBiX
「賢者は云う、愚か者のみが事を急ぐと――」
アニエス先生が、こんな風に詩みたいなのを暗唱するのも、『惚れ薬』の効果なのかなぁ?
「だがわたしは、だがわたしは――恋に落ちるのをどうすることも出来ないっっ!!!」
ドアを壊したその勢いのまま、アニエス先生が部屋の中になだれ込んできて、
ボクの手をとってギュッとにぎりしめたんだ。。
「あぁ、ビビよっ!!!わたしの手を取ってくれ!わたしの人生ごとさらってくれ!!
 もはや恋に落ちるのを止めることはできそうにも無いのだからっ!!」
……『チャーム』って、こんな『バーサク』みたいになることを言うんだっけ……?
「え、えっと、ど、どうしてここにいることが……??」
確かに、『スリプル』をかけて眠ってもらった、よね……?
「愛する二人に、障害などは存在せんっ!!!」
なんて言うか……アニエス先生、こんなに熱い人だったんだなぁ……

「ちょ、ちょっと!!何人の部屋のドアを壊して――」
モンモランシーおねえちゃんが、アニエス先生に背後から近寄ったんだ。
「――愛する二人に、障害はあってはならんのだっ!!」
音も無く、モンモランシーおねえちゃんに剣をつきつけるアニエス先生。
「な、なななな――」
目の前に切っ先がきて、ヘナヘナと崩れ落ちるモンモランシーおねえちゃん。
これって、流石に危ないよね?だから……
「青き海に意識薄れ、沈みゆく闇
         深き静寂に意識閉ざす… スリプル!」
「安心してくれ、ビビ!何人たりとも、二人の絆を邪魔さ……せん……から……な……」
とりあえず、もう一回寝てもらうことにしたんだ。



「――何か、申し開きは?」
仁王立ちをして、ルイズおねえちゃんが静かに言う。
「は、反省してます!!!なんでもするから!!許して!」
モンモランシーおねえちゃんは、涙で顔がベチャベチャになっていた。
「それじゃぁ――即刻、アニエスを元に戻しなさい。それで手打ちにしとくわ」
そうだよね……アニエス先生がこのままだと……
うーん、考えただけで、大変そうだなぁ……
「そ、そうしたいところだけど――アレを見ると――」
モンモランシーおねえちゃんの目が泳ぐ。
「何よ!?まだ言い逃れでもするつもり!!いい?ドアをこんな風に壊されちゃたまらないの!!」
ちなみに、モンモランシーおねえちゃんの部屋のドアは、
ギーシュが頑張って『錬金』で直したんだ。
……だから、ちょっと薔薇の模様が入ったり、妙に変な形になってるけど……
「そ、その、あの――お、怒らないでよ?解毒薬を作るには、材料がいるんだけど――」
「そりゃそうでしょうよ!何よ、今更そのお金が無いとでも?
 それぐらいなら私が用立てるからちゃっちゃと作りなさいよっ!!」
ルイズおねえちゃんの足が小刻みに地面を叩く。
あぁ、きっとものすごーくイライラしてるんだなって思った。
「そ、それもあるけど、い、一番肝心な材料がね?その、惚れ薬を作るときに、最後の分を――」
「はぁっ!?使っちゃったって言うの!?」
ルイズおねえちゃんが一際大きな声をあげる。
その声に、アニエス先生が起きないか、気が気じゃなかったんだ。
660ゼロの黒魔道士:2009/02/08(日) 00:28:07 ID:mC9aQBiX
「お、怒らないでって言ったのに――」
「ま、まぁまぁ、ルイズも――えーと、モンモランシー?使ってしまった材料って?」
ギーシュが間に入って場を落ちつけようとする。
「み、『水の精霊の涙』――この間、買ったとき『しばらく入荷できない』ってお店の人言ってたし――」
うつむいて話すモンモランシーおねえちゃん。
「『水の精霊の涙』、ねぇ――確か水の精霊からもらうんだっけ?」
ルイズおねえちゃんがため息を一つつく。
「そ、そうよ」
「じゃぁ――直接取りに行くわよっ!!!」
「はぃっ!?」
ルイズおねえちゃんがグッと拳をつきあげる。
「そうしないと、学校にいる間、ビビの周りでずっと剣が振り回されてるわけでしょ?」
……それは、困るなぁって思ったんだ。
洗濯とか、できそうになくなるしね。
「あんた何でもするって言ったわよね?サクッと取りに行くわよっ!!」
「えっと――今から、かい?」
ギーシュが、恐る恐る聞く。
「……そうだね、もう、夜遅いよ……?」
色々あって、流石にちょっとは寝てから出発したかったんだ。
「そうね、明日の朝、出発ね!!モンモランシー!あんたも来るのよ!」
ビシッと人差し指をつきつけて、ルイズおねえちゃんが念を押す。

「ちょ、ちょっと待って!?こ、この女、どうするの!?」
アニエス先生は、床で眠っている状態だった。
「あんたの責任でしょ?縛り付けるなりなんとかしなさい!」
……ちょっと、それって乱暴だなぁって思うんだけど……

「また冒険、だな!おもしれぇことなってきた〜!!」
「デルフ……いつも思うんだけど、それ、賛成できないよ……」
大変なことになりそうだなぁって、
アニエス先生と、ルイズおねえちゃんと、モンモランシーおねえちゃんを見回して、
思わずため息をついてしまった。
―――
以上、投下完了です。
私内設定:アニエスさん+惚れ薬=素直ヒート(松岡しゅーぞークラス)
…崩し過ぎてごめんなさい。
支援いつもありがとうございます。
お目汚し失礼いたしました。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:40:28 ID:hf62mv75
乙です!
いやー、こんなアニエス始めてみるから面白かったですよww
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:41:07 ID:dEVAdIHN
黒魔導師の人乙です。
アニエスさんに惚れ薬加えたら間違いなく「猪突猛進」ですね。
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 00:44:44 ID:hh2y3Uwx
ビビの人乙です。
修造なんてレベルじゃねぇwww
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 01:37:03 ID:JZAnCPSF
ビビの人乙です!
熱い、熱いよ先生
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 02:55:11 ID:httJusog
黒魔道士氏も騎士団の人も乙でした!
所で騎士団氏、最初の所で空飛んでるの
この話ではタバサの使い魔じゃなくて友人では?
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 06:22:16 ID:2n7wn6pt
おはようございます
短いですが投下致したいと思います

ヴァルキリープロファイル2よりの召喚、短編物です
2のエンディング後からですので、なにかが物足りないかも知れません
一応、知らない方にもわかるようにと気をつけましたが
参考までにyoutubeには2のイベントムービーが有ります
70編程のものですが50幾つか辺りから見ていけば、活躍が見られると思います
667裁きの後に:2009/02/08(日) 06:27:14 ID:2n7wn6pt
「神とは、期待していたほど万能ではなかった」
消滅してゆくその男の表情はどこか失望を感じているようでもあり、そして辿った半生からは似つかわしくないほどに清清しかった

第一話
  我、悠久の刻の渦中に身を委ねし者、汝は我が名を知るがよい、知らぬは己が知れた者と知れ
――我が名は冥王の烙印と化し、汝の楔となるだろう、そして刻め ――
  我が名は、レザード・ヴァレス

よく晴れ、澄み切った青空がどこまでも広がる―そんな朝だった
サモンサーバントを行い何かを呼び寄せた感触はあった
初めて実感する魔法の手応え、その喜びに浸りつつ、応じてくれた何かに対する期待と希望が膨らんでいくまでは良かった
大きな爆発とともに巻き上げられた砂埃と、その奥に隠れた使い魔が徐々に姿をハッキリとさせるにつれ怪訝な表情から
青ざめ、そして動転へと変わっていった
初めはとにかく何でも良かった―蛙以外ならば
サモンサーバントが成功するのなら、ワシとかフクロウとかとにかく何でも良かった
ドラゴンやグリフォンが来てくれたりして、来てくれないかなと僅かばかりは期待もしていたが
それは高望みが過ぎたと自分でも思う
砂埃が引いていき、視界に入ってきたのは倒れている紫だった
なんだろうと思いよく見るとなんだか人っぽかった
そんなはずないでしょと自分に言い聞かせ、よく見るとやっぱり人だった

幻獣でも動物でもなくて?人?なにそれそんなの聞いた事ないああでも人も一応動物に入るものね
予想外もいいところの予想外の事態に混乱するあまり、思考がするするすると勝手に脳を流れていく
ああ最初に見た紫はローブだったのねと思い至り―え?ローブ?
ってことはメイジ?呼んじゃったの?ああ、下手をしたら外交問題、お家取り潰し?!いえ、まだ呼んだだけだから未遂だから
でも万が一重要人物で一刻を争う重要な決断迫られているところを呼んでしまったなら―
もし呼ばれたのが自分だったら?ええ、勿論許さないわね
歓喜一転、反動の如く思考は悪い展開ばかり駆け巡る
ゼロどころかマイナス!マイナスのルイズ!語呂も悪い!
とりあえず混乱極まる脳内会議は平身低頭、誠意を持って何とか穏便に済ませてもらう方向で決定した
曲がりなりにも公爵家の末娘なのだから、余程の相手じゃない限りは分かってくれるわよねそうよね
そうよなあんだ余程の相手じゃなければ良いんじゃない
そう、詰る所重要なのは相手が何であるかね、まずはさり気無くこれを聞き出しましょう!
そう、詰る所ルイズは混乱していた
668裁きの後に:2009/02/08(日) 06:28:04 ID:2n7wn6pt
「気がつかれましたか?ここはトリステイン魔法学院、私はラ・ヴァリエール公爵家の三女
 ルイズ・フランソワーズと申します」
気が付いたら、覗き込まれていた
抜けるような青空と、奇天烈な色の髪を持った少女、それが目を開けて飛び込んできたモノだった
何とはなしに上半身を起こし、何とはなしに眼鏡をクイと持ち上げ、何とはなしに観察する―つまりは無意識的な行動だった
だったのだが、ルイズはそれを状況説明を求める相槌だと判断した
「実はサモンサーバントの儀式で―」
男が無表情、というか半眼のまま無言不動で続きを促す様は如何にも不服であると伝えているようで
メイジがサモンサーバントで呼び出されたのだから憤りも当然と思っているのもあり、ルイズは弁解をまくし立てる

小生意気そうな表情ながらも何処と無く高貴そうな顔つき、今はなんとも微妙な表情をしているが
まあ、なかなかに良い逸材ですね、纏う雰囲気に相応しく声もまた宜しい、若さもまた良いものです
そんなとり止めもない事を考えるまでも無く考えていると、普通まず最初に思うべき疑問が沸いてきた
「それであの、貴方のお名前をお聞かせ願えないでしょうか」
一体なぜ自分がこんな所に、いやそもそも自分は消滅したはずなのでは?
「ええと、言葉は通じていますよね?―」
ああ、もしや、もしや愛しの女神が私を?忌々しい王女と姉妹にとり憑かれ、変ってしまった愛しの―レナス
魂の消滅を、と慈悲なき断罪を宣告された筈なのですが―我が魂此処に在り、断罪しきれぬは躊躇、躊躇するは情故に!
「あ、あの、もしもし?―」
ああ!ああ!私の想いは彼女に届いていたのですね!
恐らくは融合されてしまった貴女の、自身も気づかぬほどの感情であったのでしょう!しかし、しかし!確かに其れは存在し
存在するが故に私は、今此処に―
「ふむ、ところで此処は何処でしょうか」
ふと思いついた疑問が口に出てしまい
「あんたは一体何なのよ!」
何故だか突然目の前の少女が癇癪を起こした
彼女の背後に見えた空はどこまでも広く、そして―澄んで見えた
669裁きの後に:2009/02/08(日) 06:28:54 ID:2n7wn6pt
最終話
――私にとってより大切なのは、ヴァルキュリアよ!!私があなたを愛しているという事実なのだから――

VSギーシュ
切欠はある少年のズボンから落ちた香水のビンを態々拾って差し上げ、一言添え紳士的にテーブルに置いた事だった
周りの者はそれを見、騒いでいたようだが何ら興味は無かった為、その場を去ろうとした所で事態は転化を迎える
時の悪戯―傍にいた下級生が弄ばれたのだと嘆き、少年は慌てて愛するは君しかいないと告げるも玉砕す
想いなき言葉、取り繕った偽念など通じる由もない
どころか始終目撃していたのはビンの送り主であった
気付き弁明するも浅薄な前言が無かった事になる道理もない
全ての音は消え、一瞬の永遠が生まれる
二兎を追い二兎に散った男の末路はしかし、このままでは他の者を逆恨む公算が大きいものであるが―

「下級生の輝きに目を奪われ、同級生を御する力を鈍らせた愚人」
それは唯の一言だったがしかし、誰もが何かも言い得ぬ僅かばかりの時の間隙を縫ったその一言は
確実に場を支配し、余人が飲まれるなか悠然とその男は歩み寄ってくる
「爆弾処理を怠れば破局に転じるは世の習い」
時が止まったかのような静寂を、ただ一人歩むは支配者のみ
ついには卓上の根源へ至り、その手を伸ばす
「このポーションを手にするに相応しきは―我なり!」
ポーションを手に取り鷹揚に振り返り睥睨する、その存在には―誰も抗えない

男がどこかにテレポートしてしまって僅かばかりしてから、ようやく時が動き出した
思考は突然の展開を理解できず―寧ろ理解する事を拒んでおり
なかった事にして話を続けようと
「あのレディたちはバラの存在の意味を理解していな―」
したのだが
「笑止!偽り、貫き通せぬ半端な情念など愛にあらず!
愛されるを求めるにあらず、己が愛するをこそ求めよ!」
最早ここにおいて神出鬼没かつ唐突に遮られた事など、この言葉の前には些事でしかなかった
「―!!」
愛の為に時を越え神に叛き、愛の為に次元を越え神になり、そして愛する者を目の前で奪われ
愛に闘い散った男ゆえのそれはまさに―力ある言葉
愛するが極致とは即ち、愛する者その当人に拒絶されようとも、自分のモノとするを望む狂おしいまでの自己本位の愛
しかし例え神の力をもってしても心を、魂を他者のモノにする事などできはしない―出来はしないと、識っている
未練、私の求めた愛はレナス、貴女にはついぞ判っては頂けぬままに―
しかし私の捧げた愛はレナス、貴女には確かに届いていた―私には、今の私にはその事実で充分なのです
670裁きの後に:2009/02/08(日) 06:29:35 ID:2n7wn6pt
そんな事は露知らぬギーシュ、だけではなくビンタをかました二人や周囲の者たちも、その高潔な観念
―愛されないのであれば魂ごとの融合という結論へ至るは妄念、されども妄執をこそ真意と捉える才能のある者は極めて少数であろう―
に自己を省み衝撃を受けたようであった
「己が愛するをこそ求めよ・・・」
ヨロヨロと打ちひしがれたギーシュはそう鸚鵡返しする
それが、それが愛!
なんてことだ、僕は愛を嘯きながら、しかし愛を識らなかった!
響いたのは心、だから紡がなくてはならない
己が傷付けてしまった二人に向き直り―心に伝える言葉を!
「モンモランシー!ケティ!すまない!僕は貴族として、いや人として恥ずべき事をしてしまった!
その場を取り繕いたい一心で君たちの名誉を、君たちへの愛を―」
大切な何かに気づいた彼の姿は、凛としていた
想いは言葉に紡がれ、言葉は想いに糾われ―現し世への現出の折より別たれた対極が
根元の太極へと昇華した瞬間であった
「ギーシュ様!私も、私も恥ずべきながら求めてしまっていたのです!」
ギーシュの誠心謝罪に声を被せ己が未熟を打ち明けるケティ
「私もよ!あなたを責める事なんて出来なかったのに!」
自らの軽率を恥じ入るモンモランシー
「ああ!こんな僕を赦してくれるというのかい!?このギーシュ、たとえ赦されずとも二人に愛を、今度こそ偽らぬ愛をここに誓う!」
感激に咽び入りながら雄々しく宣言するギーシュ
「「ギーシュ(様)!」」
三人を中心に芽吹いたユグドラシルで、偽りの愛に哂い囃し立てていた周囲の者もまた―愛を識る
アルヴィース達は陰ながらそっと見守りつつも、その眼差しは子供達の成長を祝福しているかのようだ
それはまさに愛を体現した光景、真理の顕現、美しい調和であった

まるでネズミ捕りを誘って役者を総入れ替えした歌劇の様ですね、と凡人には及びつかないような喩を抱いた男は
ある意味このハッピーエンドの立役者でもあり、しかしもとよりただ気まぐれで一言放っただけであるが故に
何を言うでもなく早々と立ち去っていった―ポーションは返しそびれた
その後姿に、あたかも最早これ以上の節介はいらないようですねと言わんばかりの振る舞いを幻想―
幻想した周囲の余人は、黙して誇らぬ、これぞ尊ぶべき精神その在り様!と勝手に魂を震えさせていた
独りルイズはその寸劇に他人を観ている気がせず―他の衆目とは別の意味で勝手に体が震えていた
671裁きの後に:2009/02/08(日) 06:30:09 ID:2n7wn6pt
オマケ
――たまらない、その冷ややかな瞳――

「で―それを、私に、返してきて欲しいって?」
昼間の騒ぎは私も見ていたので―いっそ気付けないでいたかったのだが
目の前にいる台風の目に向かい、半眼で呻く様に言った
先刻、自室で勉学に励んでいると、この男は部屋に帰ってくるなり私に頼み事をしだしたのだ
その内容を聞いて惨劇の羞恥が蘇り―全く不可解な事に自分を客観的に見せられているような、白昼の悪夢だった
私はやらないわよ!やってないわよ!やりたいとも思わないわよ!あんな―自己陶酔劇なんて!
だというのに、自分は潔白だというのに何故、あんなにも悪寒が止まらなかったのだろうか

狂宴の記憶に気が触れそうになったので思わず一言、あれを放っておいてどこいってたのよ!と文句を言いたくなった
なったのだが答えは聞かずとも判ってしまった為、眼で訴えるだけに留めた―どうせあそこだ、図書館だ、そうに決まっている
この男は目を離すとすぐふらふらと何処かに行っているのだが、どうも最近は図書館に入り浸っているらしい
その放浪癖について一度文句を言った事があるのだが
「すみません、図書館に行っていたのですよ
 私もまだまだ知らぬ事ばかりなので、つい」
なんて微笑を以って返されたものだから
目の当りにした、この若き賢者の賢者たる所以には大いに内省したものだった
賢者は一日にして成らず―その体現者の在り様に、魅せられた
奏でられた鳥の囀りが大きく聴こえたところで我に返り
だから出てきた言葉は
「そ、そうなの、それじゃあ仕方ないわね、うん、私も見習わなくちゃね」
ああ、もう、しどろもどろだった
それにしても、ついこの間まで私に文字を教わっていたとは思えない習熟の早さだった
貴女の教え方が良いからですよ、と笑みを返されたのだがそんな問題ではないだろう
なにせ簡単な単語と文章を幾つか教え、一応参考までにと辞書を貸しただけで
次の日ふと気が付いたら何時の間にか専門書を読んでいた程なのだから
私も魔法が使えない分、学習には力をいれており、理解力にもそれなりに自信があったのだが―
天才の努力という絶望の淵を見てしまったような―ううん、塞ぎ込むのは良くないわ、私だっていつか!
ええと、それはともかく

「ええ、このまま私が持っているよりも、やはり在るべき所へ返った方が良いでしょうから」
じゃあ何で持ってきちゃったのよ!とは言わない
数日間程度の付き合いだが、それでも身に染みて理解していた
なんというかこの男は、そう、ズレているのだ
頭が良くて、顔立ちも整っていて、紳士的で―しかしどこかズレている
まあ以前は塔というところで魔術の研究をしていた、と語っていたから何となく察せなくもないけどね
そういえば学院長には余り騒ぎを起こさないようにと念を押されていたのだが―
思考が再び横道に入ったのを自覚しつつ、苦笑しながらも首肯した
双つの月明かりは今宵も優しく穏やかだった
672裁きの後に:2009/02/08(日) 06:30:46 ID:2n7wn6pt
後日談
――我は一介の魔道師にあらず――

VSヴィダーシャル
「決してシャイターンの門に近づくな!その時こそ我らはお前たちを打ち滅ぼすだろう!」
そう言い放ってこの場を去ろうとするエルフの捨て台詞に、魔道師は表情を険しくする
認めぬ!この様な結末―私は認めぬ!
そう、天才が故に気づいてしまったのだ―投げ付けられた言葉の裏に隠されし、認め難い真実に
その様は明らかに先の戦闘時よりよほど危険な、比べるべくもないほど鬼気としたものだった
予想もしなかった魔道師の反応にエルフは気圧される
「エルフと言うだけの無能な人間が、私の舞台を奪った挙げ句―」
「む、人間ではないぞ」
反射的に返してしまったが内心で警戒感は高まっていく、寧ろこの状況は即発―戦闘前の緊迫だ

魔道師は頭に手をやり下を向いたため表情は伺えぬ、しかしそれでも伝わるは暴発寸前の憤怒
おかしいと思っていたのだ!半裸にすらあった出演依頼が、無かったのだ!
私がいないなどと!
だがその理由がこの目の前の忌まわしき男から告げられたのだ
「緻密な計算の上に書き換えた私の歴史を狂わせるとは・・・」
皆勤賞のお約束、様式美がなくなってしまえば今後万が一という事態も、ないとは言い切れない

「っ、何故今になって闘争の気配が押し寄せるのだ」
理解できない、私が退くのを見ていたはずだ、それよりもこの気配は先程の戦闘では感じなかった
目の前のアレは何だ、人間に似ているがそれでも人間ではないと直感する
覗き見た深遠の闇に逆に覗き込まれるような、そして知覚したと思い込んだ闇とは
自身を深遠に模造された人ならざる投影、余りに歪な何かと気付いてしまったような―
なにせ突然の敵意には全く理解が及ばない

体からは黄金の粒子が噴出し、最早激情は抑えるものではなくなっていた
門へと行けば敵対する、其はつまり自分は住人であるがお前は住人ではないとの宣言!
のみならず!決して近づくなとは、つまり明確な挑発!―其が意味するは単純にして明快!
目の前の男はこう言っているのだ―自分はお前に取って代わり熾天使の門の住人となったのだ、故にお前はもう関わるなと!
私の出番が無かったのも―あの時既にこの男が手を回していたのだ!
私は奪われたのだ!私が、私で在る事を許された、あの居場所を!掛け替えのない隣人を!
瞬間、深く暗い闇の如き情動と相反するかのように黄金の粒子は周囲へ爆発的拡散を遂げ、此処を此処ではない何かに変え―
「・・・許せん!」
地獄から響いてくるかのような声音と垣間見せた形相は、紛れも無い復讐者のそれであった
673裁きの後に:2009/02/08(日) 06:31:46 ID:2n7wn6pt
用語

 レザードヴァレス
愛に生きた天才魔道師
2では爽やか紳士にイメチェンを計り
創造神となった想い人に相応しい男となるため努力を重ねた
ラスボス戦後、その願いは叶わないという事を受け入れ消滅していった

 熾天使の門
準本編のセラフィックゲート、恒例のおまけ的なもの
咎を背負う者ではレザードの出演は無かった

 半裸
半裸の傭兵、通称アリューゼ
セラフィックゲート含めると皆勤賞


以上です
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 06:49:07 ID:CU0YwsTC
聖剣伝説3のシャルロットを召喚
675炎神戦隊ゴーオンジャー ◆955ynBBa1I :2009/02/08(日) 07:32:47 ID:+MlLWiQy
原作最終回終了後の8:00から投下します。
よろしいですか?
676炎神戦隊ゴーオンジャー@ ◆955ynBBa1I :2009/02/08(日) 08:00:58 ID:+MlLWiQy
「炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! GP−12」
次回予告
「バスオンでい! おい姫さん、ルイズの嬢ちゃんに勝手な頼みするんじゃねえ! おいおい、アルビオンが大変な事になっちまってるぜ!? あれを? 急ぐ? 皇太子?
 GP−12 姫君ライホウ(GP−10 発車オーライ)
 ――GO ON!!」
677炎神戦隊ゴーオンジャー@ ◆955ynBBa1I :2009/02/08(日) 08:02:02 ID:+MlLWiQy
すいません、ファイルを間違えて改変前のを書き込んでしまいました。
では改めて。

「炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! GP−12」

次回予告
「バスオンでい! おい姫さん、ルイズの嬢ちゃんに勝手な頼みするんじゃねえ! おいおい、アルビオンが大変な事になっちまってるぜ!? あれを? 急ぐ? 皇太子?
 GP−12 姫君ライホウ
 ――GO ON!!」
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 08:02:07 ID:wV0cqZjH
支援
679炎神戦隊ゴーオンジャーA ◆955ynBBa1I :2009/02/08(日) 08:04:49 ID:+MlLWiQy
 新聞騒動から数日後、リンテンバンキのばら撒いた新聞記事による諸々は無かった事となっていた。影響といえば街のあちこちに捨てられた大量のゴミの後始末程度で、魔法学院はすっかり日常を取り戻していた。
「最強の系統とは何か判るかね?」
 授業中、前座を務める風属性担当教師・ギトーが質問した。
「虚無ですか?」
 生徒の1人の答えに教壇に立っているギトーは不機嫌そうな表情で、
「現実での話だ。ミス・ヴァリエール、答えなさい」
「そんなものは存在しません。攻撃するだけなら確かに火が最強でしょうが、そんなもの個人の実力差と戦術でどうにでもなります。ミスタ・ギトーは常々風が最強と言っていますけれど、風を使われなければオールド・オスマンにも勝てるとお思いですか?
さらに言えば戦略・謀略によって持てる力を十分発揮できなかったとしたら?」
「なるほど、確かに私とて属性の強さだけでオールド・オスマンに勝てるなどとは思っていない。だがメイジの実力差が同程度であれば最強は風属性に他ならない」
「たいそうな自信ですね?」
「君の得意な魔法で私にかかってきたまえ」
「それならば私が相手になるぞよ」
 ルイズの背後からした男の声に全員がその声の主に視線を向ける。
「キタネイダス……」
「ミスタ・キタネイダス、確かあなたは大気……つまり風属性でしたな。ひとつお手合わせ願いましょうか」
「いいぞよ」
 ギトーの挑戦を受けたキタネイダスの言葉に、2人の間にいる生徒達が慌てて批難していく。
「それではどうぞ」
「それではいくぞよ」
 そう言うが早いか杖を振り呪文を詠唱するギトー。風の刃がキタネイダスに殺到する。
 それに平然と耐えてキタネイダスは黒煙をギトーに浴びせた。
「ゲホッゲホッ、ゲホゲホゲホ!」
 激しく咳き込み行動不能に陥ったギトーの隙を突いて、キタネイダスはその喉に自身の杖を突きつける。
「お前がさっき言ったとおり風属性には大気、すなわち空気もまた含まれるぞよ。空気を吸わずに生きられる者は少ない。そこを工夫すべきだぞよ」
680炎神戦隊ゴーオンジャー ◆955ynBBa1I :2009/02/08(日) 08:06:28 ID:+MlLWiQy
 ――GP−12 姫君ライホウ――

「ミスタ・ギトー、失礼します……どうしましたか?」
 丁度その時コルベールが教室に入ってきた。
「本日の授業は全て中止です」
 生徒達が歓声を上げる。
「いかなる理由があっての事ですかな?」
「最後まで聞いてください、ミスタ・ギトー。それをこれから説明するのです」
「最後から話してください、ミスタ・コルベール」
「……皆さんにお知らせです。恐れ多くも先の陛下の忘れ形見、我がトリステインがハルケギニアに誇る可憐な一輪の花、アンリエッタ姫殿下が本日ゲルマニアご訪問からのお帰りにこの魔法学院に行幸されます。そのため今度の使い魔品評会には姫様も御出席されます」
 生徒達がざわめく。
「アンリエッタとは何者でおじゃる?」
「このトリステイン王国のお姫様よ」
「したがって粗相があってはいけません。急な事ですが授業は中止し、今から全力を挙げて歓迎式典の準備を行います。生徒諸君は正装し門に整列すること」
 生徒達の間に緊張が走る。
「皆さんが立派な貴族に成長した姿を姫殿下にお見せする絶好の機会です。しっかり杖を磨いておきなさい。よろしいですか」

 王女一行が魔法学院の正門をくぐった時、既に生徒達は整列していた。
 ――シャン!
 いっせいに杖を振った音が見事に重なって喜びの挨拶を王女に伝える。
 停車した馬車の横に代表者オールド・オスマンが迎える。
 召使達が赤絨毯を素早く敷き詰める。
「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーりー!」
 衛士が王女登場を告げる。
 馬車から降りたアンリエッタはにっこり微笑んで優雅に手を振った。
 彼女は童話から抜け出してきたようないかにもという姫がいた。すらりとした気品ある容貌、薄青の瞳、高い鼻が目をひく瑞々しい美女。男子ばかりか女子も歓声を上げている。
681炎神戦隊ゴーオンジャーC ◆955ynBBa1I :2009/02/08(日) 08:09:24 ID:+MlLWiQy
 大慌てで進められたわりには立派に準備が整った使い魔品評会会場。
 キュルケ・タバサ・ギーシュ等が各自趣向を凝らして使い魔を披露していき、ついにルイズの順番が回ってきた。
「火竜山脈のサラマンダーや風竜にもできない事がケガレシア達にはできるのよ! それは素敵な歌を歌う事!」
「うん。だから目一杯歌うでおじゃるううう!」
 ドラムスティックでヨゴシュタインがカウントを取り、
『サンギョーカクメイだ!!』
 ルイズがギター、ケガレシアがベース、ヨゴシュタインがドラム、キタネイダスがキーボードでメタルサウンドに乗って高らかに歌い始めるのは「害悪産業革命宣言」。
「♪澄んだ空は気色悪い」
「♪豊かな大地反吐が出る」
「♪綺麗な水飲めやしない」
「♪夢や希望は邪魔なだけ」
『♪ケガれヨゴれてキタナくするぜ』
「ビックリウムエナジー発動!」
『♪サンギョーカクメイだ!(ジョッジョバー) 俺たちゃガイアーク(気高く)
  サンギョーカクメイだ!(グチャグチャー) 俺たちゃガイアーク(かしこまれ)
  地獄に悪の華咲かせ ガイアーク』
 ノリにノッて歌う4人とは裏腹に、キュルケ達を含む観客の大部分は耳を押さえて悶絶していた。
「ぐああーっ! 何よこの酷い歌は!」
「歌って言うよりほとんど雑音じゃないか!」
682炎神戦隊ゴーオンジャーD ◆955ynBBa1I :2009/02/08(日) 08:12:59 ID:+MlLWiQy
 ――コーンコーン、コンコンコン……
 夕食を終えたルイズが寝る支度を始めていると突然扉を叩く者が現れた。
「このような時間に何者でおじゃる?」
 ――コーンコーン、コンコンコン……
 ルイズはその音の規則性に気付いて扉の方に向かうと扉を開いた。
 その途端、真っ黒なフードを被った少女が室内に入ってきた。
「……何者ぞよ?」
 キタネイダスの問いかけにフードを被った少女は「静かに」と口元に指を立て、杖をマントから取り出して軽く振り光の粉を室内に舞わせる。
「……ディティクトマジックなりか?」
 ヨゴシュタインが尋ねると少女は静かに頷き、
「どこに目と耳が光ってるかわかりませんからね」
 周囲を確認してフードを脱いだ少女は神々しいほどの高貴さを持つ美少女だった。
「姫殿下!」
 慌てて膝を突くルイズにアンリエッタは笑みを浮かべ、
「お久しぶりね、ルイズ」
「姫殿下、いけません。こんな下賎な場所へお越しになられるなんて」
「ルイズ、そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだいな。あなたと私はお友達じゃないの」
「勿体無いお言葉でございます。姫殿下」
「……席を外した方がよいでおじゃるか?」
 思わずそう声をかけてしまったケガレシアにアンリエッタは気付いていなかったようで彼女に視線を向け、
「あら、ごめんなさい。お邪魔だったかしら?」
「お邪魔? どうして?」
「だってそこの彼女、ルイズの恋人なのでしょう? 嫌だわ、私ったら懐かしさにかまけてとんだ粗相をしてしまったみたい」
「違います!」
「あら、では何でこんな時間に?」
「ケガレシア――そしてヨゴシュタインとキタネイダスは私の使い魔なのです」
「ルイズ、あなたって昔から変わっていたけれど相変わらずなのね」
「信じられないでしょうけれど実力は保障します。火竜山脈のサラマンダー以上、風竜の幼生体以上、『土くれ』のフーケのゴーレム以上です」
683炎神戦隊ゴーオンジャーE ◆955ynBBa1I :2009/02/08(日) 08:16:11 ID:+MlLWiQy
 強く言い切ったルイズにアンリエッタは頷いて微笑む。
「いい使い魔を召喚しましたね。……これなら安心して頼めるというものです」
「……頼める?」
 アンリエッタの依頼というのは以下の通りだ。
 アルビオンでクーデターが発生、王朝は転覆寸前の状況になっている。
 王朝転覆後の新政権とトリステインは確実に敵対するが、現時点でトリステインの軍事力は対抗策として大きな不安が残る。
 そこでアンリエッタがゲルマニアの王と政略結婚をする事になったが、その政略結婚の障害となる可能性のある内容の手紙をアルビオン皇太子が所持している。
 アンリエッタとしては王朝転覆前にそれを回収せねばならない。
 しかしトリステイン貴族達はアルビオンクーデター派との内通の危険性が高いため、アンリエッタは信用できる人物としてルイズに依頼に来たという事だ。
「国王陛下とウェールズ皇太子はニューカッスル城に篭城、陣を構えておられます。
『土くれ』のフーケを難無く捕まえたルイズ達ならば、この困難な仕事もきっと果たせるものと見込んで参りました。可能ならばお二方をも密かにお救いし王位奪還を成し遂げられるようご援助したいものですが。
……しかしこれは危険な仕事です。だからこそ王女としての命令ではなく、受けるか否かをルイズの判断に任せられる依頼という形を取ったのですが……」
「姫様、涙をお拭きになってください。たとえ地獄の釜の中でも異世界ヒューマンワールドでも、この私は姫様と王国の危機を見過ごしません。その一件是非お任せください。必ず完遂した上で生還してご覧に入れます」
「その通りでおじゃる。ルイズとわらわ達が姫殿下の命を果たせぬはずがないでおじゃる」
「まあ、頼もしい方。私の大事なお友達をこれからもよろしくお願い致しますね」
「かしこまり」
 アンリエッタは頷いてルイズの机を借り一筆したためる。最後に躊躇しつつも末尾の一文を書いた。
「始祖ブリミルよ……、この愚かな姫の自分勝手をお許しください……。でも私はやはりこの一文を書かざるを得ないのです……」
 そう呟くとアンリエッタは手紙を巻き杖を振るった。手紙に封蝋がなされ花押が押される。
 そして指から青いルビーの指輪を外し手紙と共にルイズに手渡す。
「ウェールズ皇太子にお会いしたらこの手紙を渡してください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょうから。それと……、これは母君から頂いた『水のルビー』です。身分証明とせめてものお守りに持ってください。旅の資金が不安ならば売り払ってもかまいませんが……」
「そんな、王国に伝わる始祖の秘宝に値段など付きませんわ」
「この任務には我が国の未来がかかっています。この指輪がアルビオンの猛き風より貴女方を守りますように。……明日の早朝、学院正門前に来てください。案内の者を呼んでありますので」
684炎神戦隊ゴーオンジャー ◆955ynBBa1I :2009/02/08(日) 08:18:13 ID:+MlLWiQy
以上投下終了です。

祝・原作ゴーオンジャー完結!!
でもこちらはこれで終わりではありません。もうちょっとだけ続くんです。
685名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 08:22:24 ID:wV0cqZjH
乙。
品評会の展開吹いた。
次の戦隊シリーズ共々楽しみだ。
686ウルトラ5番目の使い魔:2009/02/08(日) 10:46:13 ID:yuf97cyt
皆さんこんにちは。
それでは今週は34話をお送りいたしたいのですが……その前に、ビビの人GJ!!
アニエス凄すぎ、というか怖すぎ。これが才人だったらどうなっていたか……
私もアニエスは好きですが、ここまではちょっと書けません。続き大いに楽しみにしています。
と、いうか今回うちでもアニエス達銃士隊が出てきます。あと多少デルフも。
 
まあそういうわけで、これからで投下問題ないでしょうか。
よろしければ開始時刻は10:55からで、お願いします。
687ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (1/14):2009/02/08(日) 10:58:18 ID:yuf97cyt
 第34話
 老いた龍
 
 宇宙野人 ワイルド星人
 宇宙竜 ナース 登場!
 
 
 人間を含む、全生命……それらには生まれ出でた以上、決して逃れることのできない定めが二つある。
 その一つは死、例え宇宙全体を支配するほどに強大な力を持った存在だろうと、何万年という長大な寿命を持つ
種族でも、悠久の時の中に滅び、消えていく。
 それでも、生命はその共通する本能により、少しでも死を遠ざけようとして生きてきた。
 しかし、死を遠ざけようとする者には、逃れられないもう一つの定めが待っている。
 緩慢に訪れるそれは、静かにあらゆるものを死へといざなっていく。
 いつか、それがあなたの身にも訪れたら、あなたはそれをどう受け止めますか……?
 
 
 ある夜、盗賊でさえ眠りにつく沈黙の時間……
 トリステインの首都トリスタニアの郊外の丘に、怪しい二人の人影がたたずんでいた。
「あれが、トリスタニアか……」
「そうだ、君の望みをかなえるための場所だよ」
 その二つの人影は、一つは感情を押し殺した声で、もう一つは過剰に陽気さを飾り付けた芝居くさい口調で
話し始めた。
「大きな街だ……」
「そうだな、とても大きな街だ……すばらしいだろう。人間が大勢いる」
 二人の姿は、夜陰に紛れて影法師のように黒く染められていた。
 しかし、陰影だけ見ると、一つはとても大柄で、もう一つは帽子やコートを身にまとっているのがわかる。
「本当に、よいのだな?」
「ああ、もちろん。地球ではもはや防備が固くなりすぎて、君の入り込む隙は少ないだろうが……ここの人間どもは
無防備も同然だ。存分にやりたまえ」
「できれば、こんなことはしたくはないが……これも我が種族のため……」
「そうだな、君達にとってはこれが最後の機会だものな……絶対に、成功させなくてはな、ふふふ」
 大柄なほうが思いつめたようなのに対して、もう一人のほうはそれを煽り立てるように、わざと陽気を装って言った。
 彼らはそれから後も、二言三言話し合っていたが、やがて大柄なほうは闇夜の中を何かを決意したかのように
トリスタニアへ向けてゆっくりと歩き始めた。
 コートの男は、その姿をしばらく見つめていたが、その口元には不気味な歪みが生まれていた。
「ふふふ、まあ精々頑張るがいい……滅び行く愚かな者よ」
 そのとき、男の頭上の闇がガラスが割れるように砕けて、真っ赤な裂け目が現れた。
 そして、その不気味な空間からかん高い音を立てて、金色に輝く一頭の竜が飛び出し、夜の闇の中へと
消えていった。
「さて、成功するか失敗するか……しばらくは様子を見るか、くくく」
 風に暗い笑い声が流されていき、数秒後には男の姿はハルケギニアから消え去っていた。
 
 
 その一週間後……
 この日は週に一度の休日である虚無の曜日で、商店街はいつものように大変なにぎわいを見せていた。
 すでに復興も大体が終了し、ツルク星人の出現以来怪獣の出現もなく、トリスタニアは以前の活気を完全に
取り戻しつつあり、そんな街並みの中を例の二人連れが歩いていた。
「前来たときよりもさらに人が多いなあ、復興ついでに道幅を広げればよかったのに」
「城の防衛上、そうもいかないのよ。道が広ければそれだけ敵が入り込みやすいってことだからね」
 人ごみをかきわけて、はぐれないように歩いていくのはおなじみの才人とルイズだった。
688ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (2/14):2009/02/08(日) 10:59:07 ID:yuf97cyt
 魔法学院も今日は休み、今頃学院では生徒達が思い思いの方法で休日を満喫していることだろう。
本来なら、今日はルイズものんびりと羽根を伸ばしたかったのだが……アニエスからの手紙で呼び出されて
わざわざ時間をかけてここまで出向いて来た、なお前回の反省を活かしてキュルケには気づかれないように
撒いてきてある。
 が、それにしても人が多い。街についてから2時間は経っているが、歩けど歩けどちっとも城が近くにならない。
「やれやれ、これじゃ城まで着くのにどれだけかかるか……ルイズ、こうなったら裏道を通るか!?」
「だめよ!! そんなところ入ったらまた迷うのが関の山じゃない、それよりもあんたはスリにやられないように
ちゃんと財布を持ってなさい!」
 にぎやかすぎて、叫ばなければお互いの声さえろくに聞こえない。秋葉原の歩行者天国での混雑さながら
の人の波、波、波……先に進むどころか、本当にはぐれないだけで精一杯だ。
 だが、そんな中でも唯一はぐれる心配がまったくない奴の声が久しぶりに響いた。
「よお相棒」
「あっ、デルフか、どうしたよ?」
 才人はここのところずっと背負っているはずなのに、しばらく話した覚えのない愛剣に話しかけられて
ちょっとびっくりした。
「どうしたじゃねーよ。おめーここんところろくに俺っちを使わないじゃねーか、おかげで寂しくってよお」
「使ってるじゃねえか、ツルク星人からテロリスト星人のときまでずっと活躍してきただろう。2度も巨大化
したくせに贅沢言いやがって」
 確かに、ホタルンガ、バム星人、ツルク星人、テロリスト星人とデルフリンガーが倒した敵はけっこう
多い。が、デルフの不満はそれだけではないようだった。
「そりゃーさ、けど最近は立て続けに怪獣ばっかだろ、おめーあの銃ばっかりで、しかも暇なときでも
ずーっと鞘に入れっぱなしだしさあ」
「駄々っ子かお前は……わかったよ、これからは暇なときでも鞘から出してやるよ。で、用事はそれだけか?」
「ああ、そうだ大事なことを言い忘れていたぜ。財布な、さっきスラれたぞ」
「なに!?」
 慌ててポケットをまさぐるが、そこにあるはずの感触が影も形も無くなっていた。振り返ると人ごみの中を
そそくさと逃げていく怪しい男が一人。
「それを早く言えよ!! この馬鹿野郎!!」
 役に立たない見張り役に一言怒鳴ると、見失う前にと男の後を追おうとするが、その袖をルイズが引っ張る。
「待ちなさいよ、ご主人様を残してどこに行く気?」
 そうは言っても早く追わなければスリに逃げられてしまう。前門のスリ、後門のルイズ、どっちを選んでも
後が怖い。だったら取るべき道は一つ!!
「ルイズ、体借りるぞ!」
「えっ、えっ!?」
 才人は左手でデルフリンガーを握ってガンダールヴの力を発動させると、右腕でルイズの小柄な体を
抱えて人ごみの上に飛び上がり、そのまま飛び石のように通行人の肩から肩へと飛び移りながら、
スリを猛烈なスピードで追いかけていった。
689ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (3/14):2009/02/08(日) 10:59:46 ID:yuf97cyt
「待てーっ!!」
「きゃーっ!!」
 財布を無くしてルイズに身の毛もよだつ罰を喰らってはたまらないと、才人は必死でスリを追いかけて、
その腕の中でルイズは恥ずかしいやらうれしいやら怖いやらで、顔を真っ赤にして悲鳴をあげる。
 このとんでもない追手に、スリも裏道にそれて必死に逃げるが、ガンダールヴの能力を発揮した才人は
オリンピック選手以上の身体能力で追いすがる。
 
「逃がさねえぞ、この野郎!!」
 遂に裏道の一角で追いついた才人はデルフリンガーを抜くと、刃を裏側に返してスリの脳天に目掛けて
振り下ろした。
「峰打ちだ、安心しな」
 鈍い音がして、スリの行く足がおぼつかなくなる。
 だが、スリは意識を失う寸前に別方向からやってきた別の男に、財布を投げ渡した。
「しまった。仲間がいたのか!」
 しくじったと思った才人は再びルイズを抱えて追いかけようとした。しかし、それより前に、男の前に
見覚えのある軽装の鎧をつけた一団が立ちはだかった。
 
「止まれ!! 逃げると発砲するぞ!!」
「銃士隊!?」
 
 それは忘れるはずもない、対ツルク星人戦で命を預けて共に戦った銃士隊の勇士達の姿、その後ろからは
あのときと変わらず凛々しい隊長アニエスと副長ミシェルの二人も駆けつけてくる。
 スリは銃口を突きつけてくる銃士隊を見て、仰天して反対側に逃げようとするが、白兵戦技では現在
トリステイン最強と言ってもいい銃士隊に抜かりがあろうはずもない。たちまち全ての通路に隊員達が
剣と銃を構えて現れ、逃げ道を完全に塞いでしまった。
「ミス・ヴァリエール、サイト、どうしてこんなところにいる?」
「スリを追っかけてきたら、ここに逃げこまれて……アニエスさん達こそ、どうしてここに?」
「最近トリスタニアを荒らしている窃盗団を追っているところだ。少し待ってろ、すぐに片をつける」
 アニエスは、相変わらず猛禽のように鋭い目つきで指示を出し、才人が倒した男を縛り上げさせると、
もう一人をあっという間に包囲してしまった。
「あきらめろ、今投降すればしばり首だけは免れられるぞ」
 冷徹に、ドブネズミかゴキブリを見るような目つきでアニエスは盗人に言い捨てた。普通、街の治安維持は
衛士隊の仕事だが、犯罪の規模が大きいときは銃士隊や魔法衛士が援軍に出ることもある。日本で
言うなら警察とSATの関係に近いか。
690ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (4/14):2009/02/08(日) 11:00:18 ID:yuf97cyt
 周囲は完全に包囲されて、無理に逃げようとしても切り刻まれるか蜂の巣にされるかしかない、
盗人の進退も窮まったかと思われたが、奴は往生際悪く、道ばたでゴミにまみれて眠っていた浮浪者の
首根っこを掴むと、その首筋にナイフを突きつけて脅してきた。
「近づくんじゃねえ、さもねえとこいつの命はねえぞ!!」
「……クズが、やってみるか? そうしたら貴様には斬首しか残ってないがな、もっともその前に拷問で
組織のことを洗いざらい吐いてもらう、軍の拷問の苛烈さ、貴様の低劣な脳みそでも想像くらいできよう。
私は聖職者ではないから天国とやらには案内できないが、地獄なら迷わず送り込んでやる」
 そのときのアニエスは、悪人に一片の情けもかけずに無限の苦痛へと叩き落す地獄の閻魔大王そのものの、
罪人への一切の妥協を許さない鬼の目をしていた。
「くっ、くそ! 俺は本気だぞ! 銃士隊が一般市民を見殺しにしていいのかよ?」
「アニエスさん、このままじゃ人質が!」
 盗人と才人の声が薄暗い裏通りにこだまするが、アニエスの態度は変わらない。
 しかし、盗人のナイフが浮浪者の喉下に当たろうとしたとき、離れた家の2階の窓から金属の筒のような物が
盗人に向けられた。
「くっ、こうなったらこいつを殺し……」
 そのとき、怒りの形相だった盗人の目から急に光が消え、腕がだらりと下がってナイフが取りこぼされ、
ついで体が人形のように地面にぐしゃりと倒れこんだ。
「確保しろ!!」
 すぐさま銃士隊員が人質を助け出し、犯人を拘束する。
 しかし、取り押さえられたはずの犯人の顔を覗き込んだ隊員は絶句した。
「し、死んでます」
 盗人の呼吸は完全に止まり、瞳孔が開いて脈も途切れていた。つまりは、完全に死亡していた。
 これには成り行きを見守っていた才人とルイズも驚き、呆然と遺体を見つめていたが、アニエスがぽつりと
つぶやいた言葉が二人の意識を現実に引き戻した。
「またか、これで13件目だ」
「またか? だって」
 そう、この事態は銃士隊にとってはじめてではなかった。
 ふたりはアニエスから、ここ数日トリタニアで盗人、ごろつき、違法商人などが次々と謎の死を遂げていることを
聞かされ、唖然となった。
「しかも、死因は王宮医師が念入りに調べてもまったく判明しない。魔法の可能性も考えられたが、ディテクトマジックにも
一切反応がないそうだ……しかし、罪人ばかり突然死するというのも偶然にしても多すぎる。つまり、なんらかの
トリックを使った連続殺人というのが我々の見解だ」
「連続殺人、もしかして俺たちを呼んだのは、そのためですか?」
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 11:01:31 ID:O2JKMqMq
支援!
692ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (5/14):2009/02/08(日) 11:02:06 ID:yuf97cyt
 才人はそう言うと、ポケットから一通の手紙を取り出して広げた。そこには『ヒラガ・サイト殿、至急知恵を借りたし、
明日銃士隊詰め所まで来られたし。銃士隊隊長アニエス』とハルケギニア語で書かれていた。ただし才人はまだ
ハルケギニア語を読めないためにルイズに代わりに読んでもらい、「なんであんたが城に呼ばれなきゃならないのよ!!」
と怒って一緒にトリスタニアまで来たのだ。
「ああ、それは間違いなく私が出したものだ」
「ふんっ、天下の銃士隊も落ちたものね! こんな冴えない犬っころに助けを求めるなんて」
 才人が他人に手を出したり出されたりすることを極度に嫌うルイズは、そのうっぷんをそのまま吐き出した。
 だが、その銃士隊を侮辱する発言にミシェルが剣の柄に手をかけた。
「貴様、いかにヴァリエール家の息女だろうと、侮辱は許さんぞ!!」
「やる気? ちょうどイライラしてたところだし、相手になってやるわよ」
 ルイズも杖に手を掛けて睨みあうが、一触即発になる寸前に、アニエスと才人が止めに入った。
「よせミシェル、決闘はご法度だぞ。ヴァリエール殿も杖を収められよ」
「やめとけってルイズ、ここで銃士隊とケンカしてどうすんだ。すいません、なんでかこいつ気が立ってるみたいで」
 それでようやく二人とも武器を収めたが、才人は「誰のせいで気が立ってると思ってんのよ!!」とルイズに蹴りを
入れられて、切ない場所の痛みに理不尽さを感じながらもだえた。
「申し訳ありません隊長。沈着さを欠いておりました……ふぅ、まあとりあえず久しぶりだなサイト。どうやら、
まだ殺されずに使い魔をやっていたようだな」
「ミ、ミシェルさんこそ……相変わらずキツイっすね。そんで、俺を呼んだのはその事件の捜査のためですか?」
「そうだ。もちろん、単なる殺人事件なら銃士隊の面目にかけて解決する。しかし、2日前にそうも言ってられない
事態が起きてな」
 アニエスは、 まだダメージから抜け切れない才人をやれやれというふうに眺めて、腰に手を当てると
才人をわざわざトリスタニアに呼び寄せることになった事件のあらましを語り始めた。
「2日前の夜、衛士隊の本部に30人ほどの罪人が収監されていた。ロマリアから流れてきたという強盗団の
一派で、貧民街に潜伏していたところを逮捕したのだが……」
 
 
 その夜、久しぶりの大捕り物に衛士隊本部は厳戒態勢で臨んでいた。
 本部の建物はいつもの倍の見張りが置かれ、非番の者も駆り出して、強盗団の脱走や仲間達が奪還に
来ることに備えていた。
 しかし、実のところとしては彼らは、ツルク星人の襲撃時に大損害を出した上に、女ばかりの銃士隊に手柄で
大きく水を開けられてしまったことへの焦りがあったのだが、理由はともあれ本部はアリの一匹も通さないはずの
鉄壁の守りを備えていた……はずだった。
 翌日の朝、朝食を持って監房に入っていった兵士の見たものは、鉄格子の奥で物言わぬ冷たい塊となった
盗賊達の姿だったのである。
693ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (6/14):2009/02/08(日) 11:03:15 ID:yuf97cyt
 いったいこれはどういうことだ!! 衛士隊長をはじめとする幹部連は激怒して見張りについていた兵士達を
問い詰めた。だが、兵士達の誰一人として犯人の姿どころか、夕べは何も異常はなかったと言うばかりだった。
 もちろん、監房は本部の最奥、しかも地下に置かれており、侵入するには本部の中を突っ切らねばならない。
けれどもその途中には何十人もの武装した兵士が見張りに着いており、さらにディテクトマジックのかかった
魔法の探知装置も存在しており、その全てを誰にも気づかれずにすり抜けて強盗団を殺害するなど不可能だ。
 だが、強盗団の中にたった一人だけ生存者がおり、そいつの証言から驚くべきことが明らかになった。
 彼は、強盗団の会計をしていたという年のころ60過ぎの老人で、牢獄の片隅で眠っていて、夜中に扉の開く
音がして目を覚ましたところ、入り口から見張りの兵士といっしょに、全身まるで羊のように毛むくじゃらの
大男が入ってきた。
 その老人は最初、その毛むくじゃらの異様な風体に寝たふりをしていたが、薄目を開けてじいっと観察していると、
大柄な男の額が光って、兵士を赤い光で包み込み、それを浴びた兵士はまるで人形のようにふらふらと
部屋の外に出て行った。
 そして、毛むくじゃらは自分を含む一団の顔を順繰りに見回していき、やがて仲間達に手に持った鉄で出来た筒の
ようなものを向けていき、そうしたら仲間達の寝息が順に聞こえなくなり、そのまま入り口から出て行ったという。
 当然、この話は真偽を疑われたが、作り話にしてはできすぎているし、こんな荒唐無稽な話を作る必要もない。
 と、なると……犯人はその毛むくじゃらの大男、しかもそいつは兵士といっしょに入ってきたという、ただちに
監房の見張りの兵が尋問され、その結果昨晩の深夜の一時、記憶がなぜか飛んでいたといい、他の兵士にも
問いただしたところ、皆同時刻に記憶を失っていたといい、事件の全貌が見えてきた。
 
「なーるほど、その赤い光ってやつは催眠術か、そいつで兵士達を操って侵入したってわけだな」
「デルフか、お前も久しぶりだな。しかし、それだけの人間をいっぺんに操れる催眠術師なんて聞いたこともない。
魔法かマジックアイテムを使えば別だが、探知には何も反応が無かった。それに、そいつが一連の殺人事件の
犯人だと推定できるが、どうにも不可解な点が多すぎる」
 まず第一に、殺害方法がまったく不明、外傷も毒物の反応もなく、全員死亡理由が分からない。
 第二に、殺害されているのは全員罪人ばかり、その場にいた兵士や市民はまったく被害を受けていない。
 第三、犯人の目撃情報が無い、これは目撃者の記憶を片っ端から消しているとしか思えない
 第四、魔法やマジックアイテムは一切使用された形跡はない。
 そして何より、こんなことは人間技では不可能だということだ。
 
 そこでアニエスの記憶をよぎったのは、バム星人、ツルク星人戦で敵の特徴を正確に言い当てた才人の
存在だったというわけだ。
694ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (7/14):2009/02/08(日) 11:04:32 ID:yuf97cyt
「と、いうわけだ。人間技では不可能でも、ヤプールの手下のウチュウジンとかいう連中なら不可能ごとも
やりかねないからな。心当たりはあるか?」
「うーん、なくはないけど……」
 顎に手を当てて才人は考え込む仕草をした。
 地球でもウルトラ警備隊の時代に同じような事件が起きた事がある。しかし……正直、この宇宙人とは
あまり戦いたくはなかった。
「恐らく、被害にあった人達は殺されたんじゃなくて、生命を吸い取られたんだ」
「生命を? どういう意味だ」
「説明しずらいけど、そうとしか言えないらしい。人間の体から、生命そのもの……魂といえばいいか、それを
奪い取ってしまう機械を作り出した星人が、昔来たことがあったそうだ」
 地球人の科学でも、いまだ全容が知れない宇宙人のテクノロジーをハルケギニアの人に説明するのは
面倒だが、とにかく心当たりがあるということは伝わったようだ。
「まぁ、まったく手を触れずに人を殺せる道具を持っているということはわかった。とにかく、犯人がお前の
知っている奴なら話が早い。質問したいことは他にも山ほどあるが、とりあえずそいつがどこにいるかが知りたい」
「たぶん、どっかに隠れ家があるはずだけど……トリスタニアも広いからな……」
 そう簡単そうに言われても才人も困ってしまう。この人口数万人の大都市からたった一人を探し出すなど……
いや、考えてみればそれが銃士隊の仕事だった。
 頭を抱えていると、アニエス、ミシェル、ルイズの役に立たないなという視線が痛い。しかし、どうしたって
わからないものはわからない。難問のときに限って自分を指名してくる教師に当たったときのように、才人は
困り果てたが、そのときデルフが鞘から出てきた。
「よお、相変わらずおめーら相棒を困らせるのが趣味だねえ、けど相棒は基本どーしょーもないくらいの凡人
だってこと忘れんなよ」
「デルフ、お前それ全然フォローになってねえぞ。物干し竿にされたいならいつでも言えよ」
「軽いジョークだよ。俺は退屈には慣れてるけど、退屈は好きじゃねえ。それで、人探しのヒントだが、
そいつは悪党ばっか狙ってんだろ? だったら適当な悪党囮にしておびきよせりゃいいんじゃねーの」
 デルフの提案に才人とルイズははっとしたが、アニエスは冷めたもので。
「その案は考えたが、あいにく収監中の罪人は2度目を防ぐために全部城の地下牢に移された。ならば
我々が罪人に扮しておびき出そうとしてみたが、相手もさるもので引っかからん。だから現行犯で
捕まえようとこうして出張ってきていたのだ」
「敵もなかなか頭がいいね。だったら、隠れ家に踏み込むしかねえが、相棒、お前の国じゃあそいつは
どうやって捕まえたんだ?」
「確か、洞窟に潜んでいたところを、妙な音がしてそれで発見された……けどトリスタニアに洞窟なんて……
いや、待てよ、なんで妙な音なんかが……そうだ!」
 何かが頭の中で組み合わさったようで、才人ははたと手を打った。
695ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (8/14):2009/02/08(日) 11:05:22 ID:yuf97cyt
「アニエスさん、トリスタニアに下水道かなにかみたいな、大きな地下空間がある場所はないですか?」
「ぬ? ……西の公園区画の地下には有事の際の地下貯水槽があるはずだが」
 そこだ! 才人は犯人がその地下貯水槽の坑道の中を隠れ家にしていると断言した。
 理由は後で話すが、敵は一人分の生命を奪うことに成功し、いったん隠れ家に引き上げている可能性が高い、
銃士隊はただちに西の公園区画に向かった。
 
 
 地下貯水槽は公園の地下深くにあり、そこに続くまでには洞窟のような地下通路が広がっていた。
 案の定、入り口にかけられていた鍵は壊されており、扉にも頻繁に開け閉めした跡がある。
「この狭さでは大軍では入れないな。よし、私とミシェルで様子を探る。残りのものは出口を塞いで誰も
外に出すな……サイト、お前はどうする?」
「俺は行くよ。俺の思ってるとおりの奴なら……いや、とにかく行きたい」
 言おうとした言葉をぐっと飲み込んで、才人は同行を願い出た。
 そしてルイズも。
「あんた、何か隠してるわね……わたしも行くわ、使い魔だけに危地に行かせるわけにはいかないからね。
その代わり、しっかりわたしを守りなさいよね」
 何かを思いつめたように闇の奥を覗き込んでいる才人に、ルイズも深く追求するのはやめた。
 
 地下通路はしめっぽく、懐中電灯代わりのたいまつの明かりだけが暗闇をぼんやりと照らし出して、
地獄に向かって下りているような印象を受ける。
 そんななかで、才人は心当たりの星人に関する自分の知る情報を三人に話していっていたが、
やがて彼らの目の前に、半径50メイルほどの広大な地下の湖が姿を現した。
 まるで東京ドームをそのまま地下に作ったかのような広大さを持つこれは、かつて土系統の使い手
20人と、モグラなどの使い魔によって作られたという。地球で同じ規模のものを作ろうとすれば土木重機を
総動員して何ヶ月もかかるだろう。ペルシダーのような地底戦車を使えば別だろうが、こういう部面では
ハルケギニアの魔法力が地球の科学力を凌駕しているようだ。
「出て来い! ここにいるのは分かっている!!」
 地下の湖のほとりでアニエスが叫んだ声が、山彦のように地下空間にこだまする。
696ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (9/14):2009/02/08(日) 11:08:38 ID:yuf97cyt
 才人とルイズは固唾を呑んで、木霊が収まるのを待った。
 そして、十回以上響き渡ったアニエスの言葉が完全に消えたとき。
 
「よく、ここがわかったな」
 
 突然目の前から声がして、闇の中から顔以外の全身を長い体毛で覆われた、雪男のような巨漢が
姿を現した。
 とっさにアニエスとミシェルは銃を向ける。しかし大男は落ち着いた様子で、両手のひらを前に出して
戦う意思がないことを伝えてきた。
「撃つな、人間よ。我々ワイルド星人は、この星を侵略しにきたわけではない」
 ワイルド星人は両手をさらして銃口の前に無防備に立っている。
「侵略の意思はない、だと? ならばなぜ大勢の人々を殺した?」
「聞いてくれ、我々の種族は皆老衰し、間もなく滅亡しようとしている。どうしても若い生命を取り入れなくては
ならない。その必要な若い生命を集めるために私は来た。分かってくれ、たくさんではない、ほんの少し、
人間の若い生命を分けてほしいのだ」
 やはり……と、才人は自分の推測が当たっていたことを複雑な気持ちで感じた。
 宇宙野人、ワイルド星人……ケムール星やケットル星などと同じく種族全体が老衰し、滅亡を免れる
ためにかつて地球でも生命を吸い取るカメラを開発して、地球人の若い生命力を盗み出そうとした宇宙人。
「貴様の言い分はわかった。だが、勝手に人の命を奪っていいと思っているのか?」
「悪いことをしているとは思っている。しかし、願い出ても人間は私の頼みを聞いてくれはしないだろう。
だから、市民には手を出さずに悪人のみの生命を採取した。どうせ放っておいても死罪になるような者達だ、
奴らの無駄な命の代わりに、未来を失いかけている我々は救われることができるのだ!」
 その懇願の言葉に、だまそうとしている意図はなく、ただ必死に生き延びようという意思のみがあり、その執念は、
アニエスらはともかく、才人とルイズを圧倒し、少なからず心を揺さぶった。
 ……悪人が死んで、代わりに普通の人が生き残れるのなら、そのほうがよいのではないか……
「確かに、どうせ死罪になるような連中なら……サイト?」
「俺も少しだけそう思った、けどな」
 ルイズと才人は複雑な思いを抱いたまま、目を見合わせた。
 それは、口には出せないが、万人が多かれ少なかれ抱いている思いだった。
 けれど、だからといってそれは善では決してない。
697ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (10/14):2009/02/08(日) 11:10:58 ID:yuf97cyt
 銃口を下ろすことなく、アニエスは言った。
「貴公の一族の境遇には同情する。しかし、たとえ明日処刑される罪人であろうと、トリステインの人間の命を
勝手に持ち去ることは許さん」
「ならば、我々にこのまま死を待てというのか? 生きる努力を放棄することも、また罪ではないのか!?」
 ワイルド星人もまた必死に訴えた。彼も自分のしていることが悪だということは自覚している。
 だが、こんな例え話がある。あるところに飢えた子供を抱えた父親がいる、目の前には誰のものともわからない
桃の木が一つ、この場合、桃を盗んで子供に食べさせるべきか、それとも盗まずに子供を飢え死にさせる
べきか……どちらを選ぼうと罪になる。この問題に正解はない。しかし、回答拒否は許されない。
 アニエスは断固として言い放った。
「貴様が生存権を主張して、我らの生命を狙うのならば、我らにも同様に抗う権利がある。一つたりとて、
貴様に命をくれてやることはできん」
「悪人を庇いだてしようというのか?」
「そうではない、人の命はどんな人間であれ、その者のみのものだ。どんな理由があろうと、人の血を吸って
身を肥やすような文明を、私は認めない」
 同情はする。しかし、だからといって一方的に生命を持ち逃げしようとしているのは、形は違えど侵略と
同じである。そして、いかなる悪人といえども、その尊厳を奪い取る権利は誰にもない、どこまでいこうと
人間は人間、その命はその者だけのもの。例えるなら、今すぐ臓器移植を必要とする患者がいたとしても、
刑務所の死刑囚の体を切り裂いてよいなどいう法はない。
「それでは、これまで集めた分の生命だけでもいい」
「だめだ、私が貴様に提案する選択は、今すぐ集めた分の命を返すか、ここで撃ち殺されるか、二つに一つだ!」
 妥協案にも、アニエスはまったく動じず銃を構えなおした。
 すると、ワイルド星人は黙ってうつむいていたが、やがて悲しそうに顔を上げた。
「残念だ……だが私もここでやられるわけにはいかない!!」
 いつの間にか、ワイルド星人の手には大型のライフルのようなものが握られていて、それがアニエスへと向けられた。
「隊長!!」
「宇宙カメラだ!!」
 ミシェルと才人の絶叫が地下空間にこだまする。
 宇宙カメラに捉えられたが最後、目に見えない光線が人間の生命をカメラの中へと吸い取ってしまうのだ。
 だが、交渉が決裂したときのために神経を研いで待ち構えていたアニエスは、山猫のように俊敏な跳躍でカメラの
フレームから逃れると、銃の引き金をワイルド星人の心臓をめがけて撃った。
698ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (11/14):2009/02/08(日) 11:12:07 ID:yuf97cyt
「グッ!!」
 撃たれたワイルド星人は胸を抑えてよろめいた。しかし、パワーのないフリントロック式の火薬銃の威力では、
球形弾丸はワイルド星人の分厚い体毛にさえぎられて、その下の皮膚までたどり着くことができずに、ぽとりと
地面に転げ落ちた。
「撃て!!」
「はっ!!」
 ミシェルもまた星人をめがけて銃を撃った。体には効き目がないので体毛のない顔面を狙ったのだが、見越していた
星人に腕で防がれてしまった。
 こうなると、再装填に手間のかかる銃は役に立たない、アニエスらは銃をしまうと剣を引き抜き、才人もデルフリンガーを
抜いて、杖を構えるルイズの前に立った。
「イヤァァッ!!」
 アニエスに先じてミシェルが大きく振りかぶって斬りかかる。
 しかし、ワイルド星人の額についているマークが光ると、ミシェルは振りかぶった姿勢のまま、凍りついたように固まってしまった。
「催眠光線だ!!」
 ワイルド星人は肉体こそ衰えているが、超能力ではまだ人間をしのいでいる。立ったまま眠らされてしまったミシェルに、
生命を吸い取る宇宙カメラが向けられた。
「ミシェル!!」
「ルイズ、今だ!!」
「ええ!!」
 星人が引き金を引く寸前、ルイズの爆発魔法が地面を吹き飛ばし、大量の粉塵を巻き上げた。
 いかに超テクノロジーの塊とはいえ、カメラはカメラ、被写体がなければ写真を撮ることはできない。
「うぬ……おのれ」
 対象を失い、うろたえるワイルド星人は宇宙カメラを構えたまま立ち尽くした。
 だがそのとき、煙の中から飛んできた短剣が星人の左手の甲に突き刺さった。
「ぐっ……」
「あきらめろ、私は貴様より夜目が利く、その手ではもう満足に狙いはつけられまい」
699ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (12/14):2009/02/08(日) 11:12:51 ID:yuf97cyt
 最後の情けと、アニエスは剣の切っ先を突きつけて降伏を勧告する。けれど、ワイルド星人もまた、どうしても
譲れない使命を背負っていた。
 
「ナァース!! ナース!!」
 
 ワイルド星人が湖に向かって叫ぶと、水面が泡立ち、そこから金色に輝く龍の頭が浮かんできた。
「あれは!?」
「黄金の……龍?」
 これこそ、ワイルド星人の宇宙船兼用心棒のロボット竜、ナースだった。この地下貯水槽は単なる隠れ家と
いう訳ではなく、ナースを隠しておける空間として活用されていたのだ。
 浮上したナースは湖岸に突進してくると、アニエス達を蹴散らしてワイルド星人を収容し、天井に頭を打ち付けて
飛び上がり始めた。
「まずい、崩れるぞ!!」
 地下空洞の天井が崩れだし、巨大な岩の塊が水槽に落下して水しぶきをあげる。一行は気を取り戻した
ミシェルに肩を貸しつつ、全力で出口へ向かって走った。
 
 
「あっ! あれはなんだ!?」
「お、黄金のドラゴンだあ」
 公園の一角が突如盛り上がり、ナースが地上に飛び出してくる。
 地下貯水槽の入り口で待ち構えていた銃士隊の隊員達は、突然現れた金色の龍の姿にあっけにとられて動くことができない。
中世の感覚を色濃く現すハルケギニアにとって、龍は怪獣として恐怖の対象にされるのではなく、竜騎士の象徴として、
強さと畏怖を持って覚えられるものであるから、しかもそれが黄金の色をしていればなおさらだ。
 だが、そのとき崩れゆく地下通路から駆け出してきたアニエスが全員に向かって怒鳴った。
「何をしている!! あれは侵略者の乗り物だ!! ただちに全市に非常警報を出し、近辺の住民を避難させろ!!」
「隊長!? はっ、了解しました!!」
 隊員達は、隊長の命令が下るやいなや、鍛え上げたカモシカのような足を駆け出して方々へと飛び出していく。
 公園にいた市民達も、一時の自失から開放されると、ベロクロンに街を焼き払われた恐怖が蘇り、悲鳴をあげて逃げ出し始めた。
けれど、上空のナースは逃げる人々や街並みには一切手を触れようとはせずに、公園の周りを数回往復すると、上空へと
向かって上昇を始めた。
「逃げる気か!? くそっ、だがあれではどうしようもない」
 次第に高度を上げていくナースを悔しげに見上げるしかアニエスにはできなかった。
 
 このままでは、奪われた生命はワイルド星人に持ち逃げされてしまう。ハルケギニアの飛行戦力である飛竜やグリフォンでは
ナースを止めることはできないし、第一今更間に合わないだろう。
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 11:13:38 ID:Tz0P0UtE
ワルド星……気のせいか
支援
701ウルトラ5番目の使い魔 第34話 (13/14):2009/02/08(日) 11:14:25 ID:yuf97cyt
 今、戦うことのできるのは才人とルイズ、この二人だけであった。
「行くわよ、サイト」
「いいのか、盗賊や人殺しの命を取り返しに行くんだ。フーケのときとは違う、これは名誉には全然ならねえぞ」
「アニエスの言葉で気づいたの、形はどうあれ、これはトリステインへの侵略と同じ。あんたこそ、もうじき滅亡する民族の
一縷の希望を奪うことになるのよ」
「ああ、だけど、これを許したら、人間はもっと大事な物をどんどん他人に奪われていくことになる気がする。どっちを
選んでも間違ってるなら、せめて自分で選びたい」
 二人は無言でうなづき合うと、ぐっと右手を重ねあった。
 光が二人を包み込み、その姿を一人の戦士へと変える。
 
「ショワッチ!!」
 空へ昇っていくナースを追って、ウルトラマンAは全速でその後を追い、尻尾を掴んで引き戻そうとする。
"ウルトラマンA、邪魔をするな!!"
 だが、ナースはワイルド星人の執念が乗り移ったかのように激しく暴れてエースを振り落とそうとした。
「ワイルド星人、気持ちはわかるが、どんな理由があれ侵略を見逃すわけにはいかない!!」
 エースにもワイルド星人が生きるために必死であるということは分かる。しかし、宇宙警備隊員として無法な他星への
干渉を黙って見過ごすことは絶対にできない。
「デヤァッ!!」
 力を込めて、ナースを掴んだままエースは降下していく。ナースは、激流に抗い天に昇ろうとするも果たせぬ
鯉のように、次第に空から引きずり下ろされていく。
"どうしても邪魔をしようというか、ならば!!"
 エースのパワーからは逃れられないと知ったワイルド星人は、ナースを一転して振り返らせ、その長大な体を
エースに巻き付けさせると万力のように締め上げ始めた。
「ヌウッ!?」
"ウルトラマンA、私の邪魔をした報いだ、恨みはないが、骨も肉もバラバラになって死ぬがいい"
 エースの体に何重にも巻き付いたナースは、ギリギリと音を立てて力を込める。
 しかし。
「……こんなものか?」
 余裕を充分に持ってエースは答えた。
 よく見ると、ナースの体はエースを締め上げてはいるものの、エースの体にはほとんど食い込んでいない。
それどころか、ナースの体からは錆びた歯車が無理矢理回されるような、きしんだ異音が鳴り、節々の動作も
ギシギシと鈍くなっている。
(なんでだ? ナースはウルトラセブンを苦しめたほどのパワーがあるはずなのに)
 才人はまるで知っているのと違うナースの力の無さに、逆の意味で驚いた。
702名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 11:15:17 ID:iIITpJSe
>>700
あれ、俺書き込んだかな
支援
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 11:21:38 ID:Tz0P0UtE
ちょっと代理してくる
 けれど、これもまた逃れえぬ運命の悲しき定め。
(龍もまた、老いからは逃れられないということだ……)
 そうだ、人が老いからは逃れられないのと同様、機械もまた老朽化という運命からは逃れられない。
星全体が老衰し、活力を失っていく星で、ナースもまた錆び付き、老いていたのだ。
「テヤッ!!」
 一気に力を込めると、巻き付いていたナースはいともあっけなく振り払われた。
 しかし、追い討ちをかけることはせずにエースは空に浮いたままのナースを見ている。
 本来なら、ワイルド星人は他星の侵略など考えない友好的な宇宙人だったかもしれない、戦いたくはない、
それでもナースは抵抗をやめずに、長い体を頭部を中心にとぐろを巻くように収納して、高速飛行の可能な
円盤形態へと変形しようとしている。
 エースも、決断しなければならないときは来た。静かに両手を額のランプへと添える。
『パンチレーザー!!』
 ビームランプからの青色光線はナースの胴体に命中、本来なら牽制程度の威力の光線だが、老朽化した
ナースは耐えられずに、変形を解いて、糸の切れた凧のようにふらふらと失速して公園の中へと落ちていった。
  
 
「ぐ……うう」
 墜落、炎上するナースからワイルド星人は宇宙カメラを持って、よろめきながら脱出してきた。
 だが、墜落のショックに、人間でいえば90歳を超えるほどに老衰したワイルド星人の体は耐えられずに、やっと
這い出したところでその力は尽き、公園の芝生の上へと崩れ落ちた。
 そこへ、アニエス率いる銃士隊の一派が駆けつけてくる。
「いたぞ!! あの妙な形の銃を奪え、あれが奴の仕掛けのタネだ」
 地面を通じて、十数人の足音が近づいてくるのを感じるが、もはや起き上がる力も彼には残っていなかった。
 せめて、このフィルムだけは……宇宙カメラに仕込まれた生命を焼き付けたフィルムを取り出そうとしたとき。
 
「ご苦労だったな」
 
 突然現れた骨ばった手が、ワイルド星人の手からフィルムを奪い取った。
「き、貴様は……」
 その男は、全身黒ずくめの服に身を包み、漆黒のマントを翻して、黒色の帽子の下には不気味な笑顔の
老人の顔が浮かんでいた。
「何者だ、貴様!?」
 アニエス達も、突然現れた異様な風体の男に驚き、用心して距離をとって包囲陣を敷く。
 しかし、男はアニエス達などまるで目に入っていないように、愉快そうに笑って言った。
「ふふふ、感謝するよワイルド星人……お前のおかげで、労せずしてマイナスエネルギーに満ちた生命エネルギーを
得ることができた。後は安心して滅亡するといい」
 そう、その男こそ……
「くっ……ヤプール、貴様!!」
「なっ!?」
 銃士隊の言葉にならない絶叫が漏れる。
 白昼堂々、これまで正体すらつかめなかった悪魔が、今ハルケギニアの人々の目の前に現れていた。
「くっくっくっ、はーっはっはっはっ!!」
 ヤプールが天に手をかざすと、空が割れて、そこから巨大な影がゆっくりと姿を現してきた。
 
 続く
では、今週はこれまでです。
 
今回、久しぶりにヤプールが登場しました。
黒装束に不気味な老人の姿はメビウスに登場したときのものですが、人間体のブラック司令をほうふつとさせる、
不気味さは恐ろしいくらいヤプールのイメージにぴったりくる役者ぶりだったと思います。
ウルトラシリーズにはシリーズを通した敵役は他にもいますが、卑劣、残酷、陰湿の3要素を満たした完全悪は
ヤプール以上はいないでしょう。
では、次回は大ボス、ヤプールが超獣を引き連れて暴れますのでご期待ください。

代理ここまで

ちょっと今からじっくり読んでくる
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 11:49:37 ID:aqg5mfF2
ウルトラの人、乙。

ヤプールの人間体って言ったら「ホレ、信じなさい」が真っ先に浮かんでしまう俺って一体…。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 11:56:15 ID:Tz0P0UtE
改めてウルトラの人GJでした
ワイルド星人はなぜか宇宙原人だと思い込んでて、友達にそれ言ったら相手もそう思ってたことがあったので印象に残ってたなあ
こっちは犯罪者限定か、セブンの方じゃ無差別盗撮してたからそれに比べて可哀想に見える、それでも一喝するアニエスさんかっけえっす
あと一瞬ワルド星人って読んだのはマジ、大マジ
708名無しさん@お腹いっぱい:2009/02/08(日) 13:39:48 ID:iNAbemnH
ウルトラの人、GJでした。
最初の語りかけるようなモノローグが「ウルトラQ」みたいw
しかし、今回のワイルド星人にはちょっと同情してしまった・・・。
悪人限定での犯行というのなら、情状酌量というのは・・・ダメか?(新しい極刑手段として、ワイルド星人に生命提供とか)
次回のエースとヤプールの対決が楽しみです。

俺もワルド星人って間違えたw;
投下予約無ければ5分後に投下しますね。
38.出発までの休憩

ルイズ達が朝食を食べ終わる。彼女は再び魔法の練習をしに出て行った。
キュルケは暇なのと、自身の勘が正しいのかどうかを確かめるためにそれを見に行く事にした。
青い髪の二人はというと――

「眠いから寝ますわ。今日は帰らないでしょ?お姉様」

コクリとタバサが頷いた事を確認して、シルフィードは2階のベッドに行った。
食っちゃ寝は体に悪いだろうが、そんな事を気にする程老いてはいない。
タバサはというとハシバミ草のお代わりを頼んだ。
タルブ独特の味付けが気に入ったようで、15杯目であった。


「にしても――凄いわねぇ」

爆発音と共に豪快な土煙が吹き上がる。
さっきからの練習は、明らかに爆発が多いが成功も何度かしていた。
とんでもない氷柱が出来たり、見たことのない大火球が出来る度に、
ルイズの目があり得ないほどに輝いていく。魔法を使う喜びをかみしめているのだ。
キュルケが優しい眼差しでそれを見ていると、ごうと風が唸った。
教本でしか見たことの無い巨大な竜巻がルイズの前に現れる。
本来そう簡単に扱えない、真空の層が混じった竜巻だ。

「カッタートルネード!?よくやるわねぇ」

体が覚えていたわ。とルイズは謎の言葉を残している。
キュルケはその後も、おーとかあーとかやる気のない歓声を、
ルイズが失敗したり成功する度に上げる。体が高揚していくのを感じながら。

「ねぇ、ツェルプストー」
「なにかしら?ルイズ」
「その声援、凄く腹が立つというか、つまり邪魔というか」
「あらそう?良いじゃない暇だし。ところで爆発の穴ぼこ、そのままにしておいて良いの?」

後でゴーレムでも作って、それに埋めさせるわよ。とルイズは爆発させながら言った。
土埃が派手に宙を舞いルイズを汚すが、服に付いた汚れを払おうともせず、
彼女は眩しい笑顔で練習を続ける。
キュルケはこんなに楽しそうなルイズを見たことがない。
先ほど文句を言った時も、満面の笑みで楽しそうな口調だった。
魔法が使えなかったから、使えるようになって余程嬉しいのでしょうね。
キュルケは、やはりやる気のない声援を送りながらルイズの魔法の練習を眺めた。


ギルドハウスの二階、窓からその風景をマチルダとジェームズは眺めている。

「私も――昔はあんな風に練習をしたねぇ」

ジェームズはため息をつくマチルダに何も言わず、
ただ彼女を見ている。窓から元王へと視線を変え、
彼女はゆっくりと口を開いた。

「モード様は皆にはチヤホヤされていたけど、実際のとこありゃ図体だけでかくなった悪ガキの類だね。
 あんたが王様やって正解だったと思ってる…ああ、思っちゃいるけど――」

杖がジェームズの首筋に当たる。マチルダの顔は、何の表情も宿してはいない。
「まだ、許しちゃいないからね。でも、テファがああ言ったからどうにか我慢するよ。
 もしあの子にまで何かしたら、地獄行った方がマシな事をしてやるから」

ジェームズは、何も言わずコクリと頷いた。またため息を吐いて、彼女は杖を離す。

「悪いね。今も引きずってんのさ」
「親を殺されて、引きずらん方がおかしいだろう」
「ああ、そうかもね。忘れたいんだがねぇ…」

身の振り方は今のままで良い。ある程度踏ん切りは着いた。
しかし、何とも言えぬもやが心に残る。
そしてそれはこの場で王を殺しても、絶対に晴れぬ物だという事も理解している。
どうすれば良いのか、マチルダには全く分からなかった。

「あの馬鹿は夜の色とか言ってたけどねぇ」

あの場はそれで収まったが、何年も溜まった怨恨はそう簡単に消せる物ではない。
夜の女王の気分転換方法は、人間にはそんなに通用しない様だ。

「あの黒いローブの不思議な女性かね?あの後現れた者達も急に消えたが、先住の魔法の使い手とか?」

あー…今のは無しで。うむ。分かった。
噂をすれば影。特に影を司っているらしいあいつ。
また来られると厄介だからと、彼女は早々に話を打ち切った。


「ねぇ、ルイズ」

キュルケは、爆発によって埃まみれのルイズをおかしそうに見ている。
私が魔法を使えるようになった時は、どんな気持ちだっただろうか。
少なくても、こんな風になるまでした覚えは無いけれど。そう自分の昔を思い出しながら。

「何よ」

気持ちの良い風が吹く。季節は夏に変わる少し前。青空の下――先ほど少し雨雲があったけれど、
今は綺麗な青い空の下で、ルイズはとても清々しい気持ちで魔法の練習をする。
こんな事、今まで彼女は経験したことが無かった。

「楽しそうね」

これ以上無いくらい、満面の笑みを湛えてルイズは言った。

「ええ、とっても!」
「そ。けど油断は禁物よ。私にだって、意地はあるんだから」

え、とルイズは赤い髪の艶やかな女性を見る。
笑みを浮かべるその顔は、紛れもなく祝福の思いに溢れているが、
それと同時に、何か別の感情も含んでいる様に思えた。

「敵対は終わったんじゃなかったの?」

ふふん。とキュルケは笑った。獲物を見つけた狩人の目で。
彼女は胸元から杖を取り出し、ルイズに向けた。

「フォン・ツェルプストーとラ・ヴァリエールの関係の中ではね。
光栄に思いなさい。このキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・
 フォン・アルハンツ・ツェルプストーが、直々に敵として認めたのだから」
あの日、体がゾクリと震えた感覚がキュルケに蘇り、自身に流れる炎の本能がささやく。
『虚無』がこの子の力なのだとすれば、それを倒す事がお前の炎を燃え上がらせる理由だと。
本当の獲物を見つけた狩人は体中に喜びが溢れる。敬虔な宗教人が、
神に祈りを捧げている時のように至福に包まれ、それ以外に目が行かなくなる。
青い髪の友人はまた別の話である。

キュルケの体から、炎のもやが漂うのが見える。
彼女の精神が高ぶり、まるで炎が舞っているかの様に辺りを赤いオーラが包む。
ルイズは、何故か自身の気分が高揚していく事に気が付いた。
どうしてか分からなかったが、少しして母の言葉を思い出した。

「戦場で敵に相まみえた時、本当に『敵』と認められる存在に出会った時、
 貴族は心から喜びに満ちあふれてしまうものなのですよ。
そして、それを倒す喜びは何物にも代えられぬのです。
ルイズ、いつかあなたにも敵ができましょう。
そう言うわけで、今日は逃げないで私の『お話』を聞きなさい」

お母さま。ここは戦場ではないけれど、私にも敵が出来たみたいです。
ルイズはキュルケに杖を向け、高らかに声を上げた。

「ならば、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとして、
 貴殿を敵と認めるわ。ヴァリエールの家柄とは関係なくね」

色無き虚無がルイズを包む。不思議な事だが一切の感情の揺れが無く、
彼女はただ真っ直ぐに、宿敵となったキュルケを見ることが出来た。
キュルケはいつもとは違う風に笑った。

「そうこなくっちゃね。今はまだやり合ったりしないけれど。
 国周りが色々ややこしくなっているし、
 あなたもまだ自分の力に振り回されているしね。
 実力が発揮出来るようになってから、思いっきり打ち負かしてあげる」

「そんな余裕、持ってていいの?」

ルイズも母が戦場でそうしていた様に笑った。だが、それも長くは続かなかった。

「だって、あんたお子様だし」

子供じゃないってば!ほら、そういう反応するから。
仲良き好敵手達は、未だ赤き髪の乙女の方が一枚上手のようだ。
彼女達がこの後どのような道を歩むのか、
それは神々すら分からない。予言書無きこの世界で吹き荒れる、
動乱の嵐の行く末と共に楽しんで見ている事だろう。


昼食を食べるにはまだ少し早い時間に、
アンリエッタとウェールズは一階に下りてきた。
歩きにくそうなアンリエッタを、ウェールズが支えて歩いている。
一階でたむろしていた盗賊達が二人を見て、ニヤニヤしだした。

「おはようございますオレン王子」

ウェールズは顔を赤くするが、素敵な名前ですわ。
とアンリエッタに言われて、悪い気がしなくなった。
あの湖で両思いになったのは違いないが、
しかし振り回されるのはウェールズだ。
仕方がない。分が悪い、悪すぎるのだ。
「昨晩はお楽しみでしたねオレン王子」

ウェールズはまた顔を赤くするが、笑っているアンリエッタを見ているとどうでもよくなった。

「お前ら、ちょっかいをかけるのもそこらにしとけ。
 さて、アンリエッタ姫殿下。依頼は果たしましたので、
 残りの代金を頂きたく」

恭しく頭を下げて、グレイ・フォックスは言った。
まだ落ち込んでいるけれど、出来る男は仕事に私情を挟まないものだ。
そんな訳でグレイ・フォックスは「出来ない男」なのだが、
部下の手前、涙を見せるわけにはいかなかった。

「ええ、もちろんですわ。王宮に戻ったらすぐに手配いたしましょう。
 ところで、昨日言った事ですけれど」

「もちろん。こちらにお任せ下さい」

アンリエッタはウェールズから離れ、フォックスが彼の肩を叩いた。
大変だなお前もと言いたげな顔で。もっとも、頭巾に隠れて誰もその表情は分からないが。

「え?」

ウェールズを無視してフォックスは話を続ける。

「それとこれを。手下が重要な機密を得たようで…まだ確証は得られていませんが」

ぽん、と首をかしげるウェールズの肩を誰かが叩く。他でもない、
彼がこの世で最も愛するアンリエッタ姫だ。

「今あなたを王宮に連れ帰ったら、スキャンダルでは済まないでしょう?
 私がゲルマニアに嫁いでから、あなた様を秘密裏にヴィンドボナに連れて行く手筈になっています。
 しばらく離ればなれになりますけど、わたくしはあなたの事を忘れませんから。
手紙は、王宮でゆっくり読ませていただきますわ」

ウェールズが何かを言う前に、フォックスが口を開いた。

「まぁ、そう言うわけですウェールズ皇太子殿下。
 今腕の良い船乗りが少ないので、しばらくは空賊でもしてもらえますかね?
 ご心配なく。ちゃんと「らしく」なるようお教えしますから。
あ、姫殿下。出来れば早急に見られた方がよろしいかと。
真実かどうかは怪しい節もありますし、証拠も確たるものがございませんがね」

「え?」

やはりウェールズは無視して、アンリエッタは頷いた。

「あ、ウェールズの名を使うとまずいので、オレンとでも名乗っといて下さい」
「え?」

「素敵ですわオレンさま。じゃ、わたくしは帰りますからお達者で。
 もう死ぬだなんて言わないで下さいね」

美しい姫が口づけをする。ウェールズはそれだけで、全て許せる気持ちになった。

「あ、ああ。分かった。それじゃ、元気でねアンリエッタ」
「あなたも。どうかヴィンドボナで再会できますように」
王宮から盗み、学院脱出時に使ったグリフォンに乗るアンリエッタをウェールズは見送る。
フォックスの命令によって、とても大人しくなった空を舞う獣は一声吠えると、
天高く舞いアンリエッタだけを乗せて王都へと去った。
タバサは、そこら辺に置いてあった三文小説を読みながらその様を眺めている。
小説の名は『トリスタニアの休日』。最近話題の劇を書籍化した物だ。

後に空賊王子の異名を持つオレン、またはウェールズ・テューダーの半生を綴った本が出版される。
『空賊王子』と題されたその本の著者は、ガリア文学の流れを汲む謎の売れっ子作家、サバタ・ラザベイだ。
彼女の著書が持つ、リアリティのある記録されていない情報をどうやって手に入れているのか等が、
著者の不思議さに拍車をかけているのだが――それはまた別のお話。


アンリエッタが去ったのと同時刻、水の秘薬を作ってから後、
ティファニアはギルドハウスの地下でずっと薬を作っている。
マーティンは薬品精製に関しては見習い程度の腕前なので、
何も言わずに彼女のやり方を見ている事にした。
タムリエルで使われている、錬金術の器具とはまた違う道具で、
ほうと思いながら、それらの使い方等を眺めていた。

「いやはや、影の君の所作はどんな時でも様になりますなぁ」
「まったくだなチュレンヌよ」

何処かに潜んでいた変なおっさん二人と共に。テファはニコリと微笑んだ。
本来ならロウソクの炎だけが頼りの薄暗い室内だが、
そこにいる四人がそれぞれ魔法で明かりを灯している。

「そんなことないですよ」
「謙遜は美徳と申しますが、されすぎるのもどうかと思われますぞティファニア様!」

困った笑顔で二人をあしらい、薬品製作の方にテファは頭を切り換えた。
邪魔するのは悪いよねー、とダメ貴族達はマーティンの方を向く。

「聞きましたぞ。彼のグリフォン隊長ワルドに一歩も引けを取らなかったとか」
「え、いや」
「いやはや、灰色狐からお噂はかねがね。タムリエルの皇帝陛下であらせられたのでしょう?」
「え、ええ。確かにそういうのでしょうが――」

公務とかした事が無いので、果たしてそう名乗るべきかどうか。と、
マーティンはあまり言えない胸の内を語った。ご謙遜を!と二人は同時に言った。

「民を守る為に己が命を犠牲としたとか…。まっこと上に立つ者の鑑ですな」
「そうでしょうか?」

チュレンヌの言葉にテファは疑問符を投げかけた。
え、とチュレンヌは彼女を見る。美しい顔が陰りを含んだ表情を見せる。
自身の家族と近しい人々がどの様に死んでいったか、彼女はそれを忘れていない。
その惨劇を見たからこそ彼女は死を嫌う。特に死の美化は好まない。
言わなきゃよかった。悲しげな影の君を見たチュレンヌは心の底から後悔した。

「マーティンさんが悪いとは思いません。それ以外方法が無かったと思います。
 でも、命を落とす事を美徳とする考え方は、やっぱりどうかと思うんです」

人間もエルフも生きてこそ、です。とテファは静かに言って、
再び薬品製作の方へ戻る。あうう。とチュレンヌは下を向いた。
「確かに――私がいなくなって、帝国が混乱しているのは間違い無いだろうしね。
 オカートには苦労を掛けてしまったな…」

その程度では済みません。と動乱まっただ中の帝国を舵取りするオカート総書記官は、
今日もあくせく働いている事だろう。マーティンが死んだ事で一番割を食ったのはこのエルフかもしれない。

「しかし、貴方様が己の国を救ったのは事実でしょう?」

ティファニアに聞こえないくらいの声でモットが問うた。
マーティンは自慢げに話そうともせず、ぽりぽりと頭を掻く。

「まぁ、それはそうですが」
「ならば、英雄たり得る存在でしょう」
「でしょうな」
「もしよろしければ、英雄譚の一つでも」

そう言った物って、何かあっただろうか。
ううむ、とマーティンが考えながら、
比較的そういう話になりそうな物をいくつか喋っていると、
ティファニアがぐっと伸びをした。

「出来ました!これなら問題無く病気を治せると思います。
 これをルイズさんに渡して下さい。さて、次はタバサさんのお薬を作らないと…」

薬を受け取ったマーティンは一人地上へと戻り、爆音の鳴る場所へと歩を進めるのだった。


投下終了。
カリーヌさんだもの。しつけにスクウェアスペルの一つくらい使うさ。
それではまた次の投下まで。
716”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw :2009/02/08(日) 16:34:34 ID:Zw2ywNUX
投下予約が無いようでしたら、16:50から「”舵輪(ヘルム)”の使い魔」を投下します
投下は6レスですので、宜しくお願いしますノシ
717”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw :2009/02/08(日) 16:52:19 ID:Zw2ywNUX
第4話『美少女と幻獣と…』

ルイズとミュズが部屋を出ると、そこには木のドアが幾つか並んでいた。その中の一つが開いて、燃える様に赤い髪の女の子が現れる。
ルイズより背が高く、彫りが深い顔に、大きく豊かな胸で、上の二つのボタンを外し、開いたブラウスから褐色の肌をした谷間を覗かせている。
身長、肌の色、雰囲気、胸の大きさ、全部がルイズと対照的だった。
彼女はルイズを見ると、にゃっと笑った。
「おはよう。ルイズ」
ルイズは顔をしかめ、嫌そうに挨拶を返した。
「おはよう。キュルケ」
「あなたの使い魔って、それ?」
ミュズを指差して、バカにした口調で言った。
「そうよ」
「『サモン・サーヴァント』で人間喚んじゃうなんて、あなたらしわ。」
ミュズはキュルケをまじまじと見つめて言った。
「ぼくはヒトじゃないんです」
「あっはっは!ほんとに?人間じゃない?すごいわね!流石、ゼロのルイズ」
キュルケは信じる様子を微塵も見せずに、ミュズの言葉を笑い飛ばす。
ルイズの白い頬に、さっと朱が射した。
「五月蝿いわね。あんたも黙ってなさい」
ルイズはしかめた顔をミュズに向けて睨む。
718”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw :2009/02/08(日) 16:53:27 ID:Zw2ywNUX
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」
「あっそ」
「どうせ使い魔にするなら、こう言うのがいいわよねぇ〜。フレイムー」
キュルケは、勝ち誇った声で使い魔を呼んだ。
キュルケの部屋からのっそりと、真っ赤で巨大なトカゲが現れた。
「わぁ!真っ赤な何か!」
ミュズは慌てて後退り、ルイズの陰に避難する。
その姿にキュルケが高笑いする。
「おっほっほ!あなた、この火トカゲを見るのは初めて?」
「昨日、『戦える』って言ったのはどうしたのよ。あっ、そんなに強く引っ張んないで、マントが伸びるじゃない」
「だめです!これは恐いです!あんなの見たことないんです〜」
ルイズの後ろでマントをぎゅっと握り締め、顔をくしゃくしゃにして目に涙を貯めたミュズが悲鳴に近い声で叫ぶ。
「平気よー。あたしが命令しない限り、襲ったりしないから。臆病ちゃんね」
キュルケは手を顎に添え、色っぽく首を傾げた。
鼻のから燃え盛る炎の尻尾まで小さなミュズの1.5倍位の長さで、頭がミュズの胸の位置にあり、とても大きい。
「これって、サラマンダー?」
ルイズが悔しそうに尋ねた。
「そうよー。見て?この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ?ブランド物よー。好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」
「そりゃよかったわね」
苦々しい声でルイズが言った。
「素敵でしょ。あたしの属性ぴったり」
「あんた『火』属性だもんね」
「ええ。微熱のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は微熱。でも、男はそれでイチコロなのですわ。あなたと違ってね?」
キュルケは得意げに胸を張った。ルイズも負けじと胸を張り返し、ぐっとキュルケを睨みつける。
「あんたみたいにいちいち色気振りまくほど、暇じゃないだけよ」
キュルケはニッコリと笑う。余裕の態度だった。
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 16:54:54 ID:5KqVaPy9
風は翼に乗り、翼は風に乗る、支援
720”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw :2009/02/08(日) 16:56:07 ID:Zw2ywNUX
それから、キュルケはミュズを見つめる。
「あなた、お名前は?」
「ミュズです」
「ミュズちゃんね」
キュルケはちゃん付けで名前を復唱すると、目をキラリと光らせる。
「じゃあ、お先に失礼」
そう言うと、炎の様な赤髪を掻き上げ、颯爽とキュルケは去っていく。
ちょこちょこと、大柄な体に似合わない可愛い動きで、フレイムがその後を追う。
ルイズ達に見えない所で、キュルケは新しい玩具を見つけた子供の様に嬉しそうな顔をした。
ツェルプストーの血筋なのか。他人の物、特にヴァリエール家の物を見ると、悪戯心が点る。
キュルケがいなくなると、ルイズは拳を握り締めた。
「くやしー!何なのあの女!自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって!ああもう!」
「そう言う物なんですか?」
「そうよ。メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言われる位なんだから」
ミュズの質問にルイズは得意げに説明をする。
「ところで、あの人がゼロのルイズって言ってましたけど、『ゼロ』ってなに?わからない言葉は覚えておかないと」
「ただの仇名。知らなくていいことよ」
ルイズは二つ目のミュズの質問にバツが悪そうに言った。
721”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw :2009/02/08(日) 16:57:03 ID:Zw2ywNUX
トリステイン魔法学院の食堂は、学園の敷地内で一番高い、真ん中の本塔の中にあった。
食堂の中にはやたらと長い、百人は優に座れそうなテーブルが三つ並んでいる。
それぞれに同じ色のマントをつけた生徒達が座っている。
朝食、昼食、夕食と、学院にいる全てのメイジ、生徒も先生も引っくるめて、ここで食事を摂るらしい。
一階と二階の間に中階があり、教師達がそこで歓談に興じている。
全てのテーブルに豪華な飾り付けがなされていた。
幾つもの蝋燭が立ち、花々が飾られ、果物が盛り付けた籠が乗っている。
ミュズが豪華絢爛さに驚いて、口をぽかんと開けているのにルイズが気付くと、得意げに指を立て、鳶色の瞳を悪戯っぽく輝かせて言った。
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ」
「はあ」
「メイジはほぼ全員が貴族なの。『貴族は魔法を以ってしてその精神と為す』のモットーのもと、貴族たるべき教育を存分に受けるのよ。だから食堂も、貴族の食卓に相応しい物でなければならないのよ」
「はあ」
「分かった?本当ならあんたみたいな平民はこの『アルヴィーズの食堂』には一生入れないのよ。感謝してよね」
「はあ。アルヴィーズってなんですか?」
「小人の名前よ。周りに像が沢山並んでいるでしょう」
言葉通り、壁際には精巧な小人の彫像が並んでいる。
「夜中になると、踊りだすのよ」
「凄いです。まるでぼくみたいです」
興奮気味にミュズが驚く。
「いいから、椅子をひいてちょうだい」
中央にあるテーブルに入っている椅子を見つめ、腕を組んでルイズが言った。
ミュズはその椅子を引き出し、ルイズはそれに腰掛ける。
722”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw :2009/02/08(日) 16:58:16 ID:Zw2ywNUX
「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことを感謝いたします」
祈りの声が唱和される。
ルイズも目をつむってそれに加わっていた。
そして唱和が終わると、ルイズはおいしいそうに豪華な料理をほお張り始める。
ミュズはその横でルイズが食事をする様子を突っ立って眺めていた。
「そう言えば、あんたの準備をしてなかったわね」
昨日はミュズの存在に悩んでいたので、使い魔の食事の種類や量を使用人に伝えておくのをすっかり忘れてしまっていた。
主従の差を見せつける為に、質素な料理を床に準備するのも手だったが、ミュズは主人の言う事を素直に聞くのでその必要もなさそうだった。
そこに、見覚えのある黒髪のメイドが近づい来る。
ペコリと頭を下げると、シエスタはこっそりと囁く。
「ミス・ヴァリエール。ミュズさんのお食事でしたら、こちらでご用意いたしましたが宜しいでしょうか?」
「えっ、ええ。お願い出来るかしら?」
困っていたルイズにとってはちょうど良い助け船だったので、戸惑いつつも直ぐに首肯する。
「ミュズさん、こちらにいらして下さい」
シエスタが歩き出すと、ミュズはその後ろをてとてとと付いて行った。
723”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw :2009/02/08(日) 17:00:38 ID:Zw2ywNUX
ミュズが連れていかれたのは、食堂の裏にある大きな鍋やオーブンが幾つも並んだ厨房だった。
「ちょっと待っててくださいね」
ミュズを厨房の片隅に置かれた椅子に座らせると、シエスタは小走りで厨房の奥に消えた。
そして、お皿を抱えて戻ってきた。お皿の中には、温かいシチューが入っていた。
「賄い食ですけど、どうぞ」
「これはなんですか?」
「貴族の方々にお出しする料理の余り物で作ったシチューですよ。」
ミュズは皿に入ったシチューをしげしげと見つめ、横に置かれた木のスプーンを掴み、先程まで見ていたルイズの真似をしてシチューを口に運ぶ。
上手く啜れなかったらしく、口の端からポタポタとシチューを零してしまう。
それを見たシエスタはポケットからハンカチを取り出し、ミュズの口の周りを拭き、田舎の小さい妹を思い出してくすりと微笑んだ。
「口とお腹が素敵な感じです」
一口、二口、食べるとミュズはおかしな表現でシチューの感想を言う。
「それを『美味しい』って言うんですよ」
「美味しいです!」
その言葉を聞き付け、コック長のマルトーが「そうだろう、そうだろう」と喜び、ミュズの頭をわしわしと撫でた。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 17:08:14 ID:5KqVaPy9
あれ?投下おわったん?
725”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ◆K432ala2Gw :2009/02/08(日) 17:09:59 ID:Zw2ywNUX
以上で投下終了

>>719さん、支援感謝です!
早くギーシュ戦書かなきゃな〜
でも、原作が新展開で、シェアードワールドも出るし、投下はまた来月かな?
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 18:23:36 ID:bQe6tpUM
18:30から小ネタで、この人がいなかったら強殖装甲ガイバーという物語はなかったといっても過言ではないほどの重要キャラ。実験体さん召喚ものを投下したいと思います。
昔アニメでモルモット野郎と呼ばれていたので長らくモルモットさんと呼んでました。誰か本名で呼んであげてください。
4レスくらいです。
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 18:26:38 ID:aqyC6To/
ガイバーシステム持って組織をトンズラしたけど結局追いつかれて自爆したおじさんか?
728強殖装甲と使い魔:2009/02/08(日) 18:30:33 ID:bQe6tpUM
 一つ目の目的は、ルイズだと男は言った。
 だが、その言葉はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール本人によって跳ね除けられていた。

 二つ目の目的は、アンリエッタが送った手紙だと男は言った。
 その時、彼は男が敵だったのだと気づき杖を振るい呪文を唱えた。
 だけど、それよりも男が杖を抜き呪文を完成させる方が早かった。

 三つ目の目的は、貴様の命だと男が言ったとき、彼の胸は『エア・ニードル』という魔法がかかった男の杖に刺し貫かれていた。

「き、貴様……、『レコン・キスタ』……」

 そう口にするのが精一杯の彼は、血を吐き力尽きる。

 目の前が真っ暗になり意識が遠のく、それが死なのだと彼は理解する。
 あっけないものだなと彼は思う。
 この国は今、王党派と『レコン・キスタ』を名乗る貴族派に分かれての内乱の真っ最中であり、皇太子である彼、ウェールズ・テューダー
は王党派の旗頭の一つに数えられる存在であった。
 自軍は三百、敵軍は五万という奇跡でも起こらない限り負けは見えている戦いではあるが、彼は逃げられない。王族の義務として、そして
ここで少しでも敵兵を減らし、次にこの憎むべき敵たちと戦わなければならなくなるであろう愛する者のために。
 だけど、それすら……、戦って死ぬ事すら自分には許されないと言うのだろうか。誇り高き死を得る権利すらないというのか。
 否。こんなことは間違いだと、彼は思う。今更死を厭いはしない。だが、卑劣な暗殺者に一矢も報いずに死ぬなどという事を許容できはし
ない。
 だから、彼は力を望んだ。愛する女性の命を受けてやってきた少女に送られた力を。


 ドンッ。そんな何かが破裂したような空気音と共に吹き飛ばされたジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドは、何が起こったのか、理
解できないでいた。
 ワルドの任務はウェールズの命と彼が持つトリステイン王女アンリエッタの手紙を奪うことである。もう一つ、個人的な目的もあったが、
そちらはもういい。
 そして、彼はウェールズの心臓を貫き、確かにその命を奪ったはずであった。
 ならば、そこにいたのは何者であろうか。一分と待たず死を迎えるはずのウェールズが倒れているはずのそこに立つ者。
 人の骨格を思わせる形状の装甲に身を包んだ、人のようでいて人とは違う鬼のようなシルエットを持つ何者か。

 そいつは額にある球形の金属を輝かせた後、ゆっくりとワルドを、いや、その向こうにいる少女。ルイズに眼を向ける。

「行きたまえ、ミス・ヴァリエール。ワルド子爵が『レコン・キスタ』であり、今私の命を取ろうとしたという事は、貴族派の者たちが今に
も攻めてこようとしているということだ。君がこんな争いに巻き込まれねばならない理由はない」

 その言葉にワルドは、やはりそうなのかと思う。そして確認のための声を上げる。

「貴様! ウェールズなのか!」

 その叫びに、ソレは応える。

「そうだ。ワルド子爵! 卑劣な裏切り者! 王子として、メイジとして使いたくはなかった、この異端の力。貴様を倒すために使わせても
らう!」


729強殖装甲と使い魔:2009/02/08(日) 18:32:40 ID:bQe6tpUM
 ウェールズが出会った、アンリエッタの使者だと言う少女は二人の男を連れていた。
 一人は、いかにも騎士然とした身なりも立派なメイジ。もう一人は、薄汚れ、みすぼらしい格好をした中年の男だった。
 一方は王国魔法衛視隊隊長で、もう一方は少女の使い魔であると、その場で説明され、少女自身は、ヴァリエール公爵家の姓を名乗った。
 少女が渡してきたアンリエッタの手紙には、ある報告と二つの要求が記されていた。
 その報告とは、ゲルマニアの皇帝と婚儀を結ぶというものであり、要求の一つは、婚儀の邪魔になるある物。ぶっちゃけるとアンリエッタ
がウェールズに送った恋文を返却してほしいというものである。
 この手紙を見て彼がショックを受けなかったと言えば嘘になる。だが同時に納得もしていた。アンリエッタは王女であり、王族には果たす
べき義務があるのだから。
 だから、彼は手紙の要求の一つには応えようと思った。だが、もう一つの要求には応えられない。それは、王族としての義務を無視したア
ンリエッタの我侭としか言いようのないものだったから。応えてしまえば、一つ目の要求が無意味になってしまうから。だから、その要求は
なかったものだと扱うことにした。
 そんな彼に、使者である少女は、こう言った。「亡命なされませ! 手紙にもそう書いてあるはずですわ!」と。
 それは事実であったけれど、彼は認めるわけにはいかなかった。誇りにかけて彼は逃げるわけにはいかなかったのだし、アンリエッタの名
誉のために、そんな事実を告げるわけにはいかなかったから。
 彼が決して折れぬと知った少女は、ある物を彼に託した。それは、少女の使い魔が持っていた鞄に入っていた物。ハルケギニアのいかなる
敵にも打ち勝てるであろう力。
 それを受け取り身に着けた彼は、しかしその力を使う気はなかった。それがあれば、『レコン・キスタ』との戦いで生き残れるのではない
かと思われたが、王子でありメイジである自分に誇りを持つ彼は、生き残るために魔法以外の力に頼ることを良しとしなかった。
 だから、貴族派との戦いにおいて、彼はメイジとして戦い、そして死ぬ覚悟をしていた。
 だが、その覚悟は踏みにじられた。
 敵は、こちらの誇りなど一顧だにしない卑劣な者たちだと彼は知らされた。
 だから彼は、その力を使うことを決めた。異世界において強殖装甲と呼ばれる鎧を身にまとった。



「異端の力か。それがどのようなものか知らんが、こちらも本気を出そう」

 異形の姿になったウェールズに恐れも見せず、ワルドは杖を構えて、呪文を唱える。

「偏在か」

 呪文を聞いて、何の魔法であるか気づいたウェールズにワルドは笑う。
 彼が唱えたのは、自身の分身を作り出す魔法。一つ一つが本体と同じ意思と力を持つ風の偏在。
 一人一人がスクウェアクラスのメイジの実力を持つ、本人を含めた五人のワルドに勝てるものなどいない。
 そう思ったそれが、間違いだとワルドが気づいたのは、偏在の一つが一瞬で消滅した時。
 額の金属球の少し上にある小さなレンズが光ったと思った時、偏在の一つは、閃光に胴体を刺し貫かれ消滅したのだ。

「貴様! 何をした!」

 叫ぶワルドにウェールズは何も答えない。もはや、ワルドと交わす言葉などない。

「おのれ化け物が!」
730強殖装甲と使い魔:2009/02/08(日) 18:34:26 ID:bQe6tpUM
 怒声と共に三人のワルドがウェールズに襲い掛かる。一人は、『エア・ニードル』をかけた杖でウェールズに突きかかり、残りの二人は、
相手を吹き飛ばす風の魔法『ウィンド・ブレイク』をもう一人は、電撃にて人の命を奪う『ライトニング・クラウド』の魔法の呪文を唱える。
 だが、それに意味はなかった。一撃で人の命を奪う魔法も、その異形に対しては、必殺には遠く、ウェールズの額から発射される光線は一
瞬で偏在を消し去り、彼の腕は『エア・ニードル』のかかった杖を掴み取り握りつぶし、それを持つ偏在を殴り砕く。
 本体が攻撃に加わらなかったのは、それに自分の魔法は通じないのではないか? という不安を持ったから。偏在に攻撃を任せた本体は人
質にできるかもしれないと、婚約者であった少女に目を向けて、ワルドはもう一体の異形を見た。
 それは、ウェールズが変じた異形に似た。しかし女性的なシルエットを持った者だった。

「そうか……、ウェールズの力は……。ルイズ……、君が与えたものだったのか。その力、どうして僕にくれなかったのだい?」

 虫のいいことを言っている。とは思わない。彼は、彼女を裏切っていたが、そのことを教えるまで、彼女は犬か何かのように盲目に自分を
慕っていたはずだ。なのに何故だと彼は疑問に思う。
 それに対する少女の答えは苦笑。

「だって、あなた出発の直前になって一緒に来ることになったじゃない。あなたの分まで用意する暇はなかったわ。それに、あなたは、こい
つより強いんだもん。こんなものが必要だとは思わなかったから」

 呟きと共に目を向けるのは、みすぼらしい格好をした彼女の使い魔。一見してただの平民に見えるが、異形の怪物に変化し、青銅のゴーレ
ムを作る彼女の学院のクラスメイトと決闘をし打ち勝ったこともある男。
 アルビオンへの旅路の途中、ワルドはその男と決闘をして勝っていた。
 無論それは、お互いの命を懸けるようなものではないただの試合ではあったのだけど、それでも、それだけの実力を持つワルドに余計な力
は必要がないと彼女は判断した。
 いや、そもそも彼女が持ってきたこの力は、使い魔に使わせるためのものであった。
 この力を、この世界に持ち込んだのは、この使い魔である。と言っても、本人は、これがどういうものなのか、理解していなかった。
 召喚されてきた時、彼はそれの入った鞄を決して手放そうとはしなかった。だが、空を見上げ、二つの月を見た時、最初呆然として次に大
きな笑い声を上げた彼は、鞄にも中身にも興味を示さなくなった。
 それが何故なのか、ルイズは知らないし彼も語らない。ルイズがそれに興味を持ったのはただの気まぐれ。それが、その後の彼女の運命を
大きく変えることとなる。
 そこにあった三つの何か、強殖装甲ユニットに触れた彼女は、偶然に強殖装甲の殖装者になり、その後の『土くれのフーケ』と呼ばれる盗
賊との戦いにもその力を振るうことになったのだが、その話は置こう。
 なんにしろ、そこで初めてユニットがどういうものか知った使い魔は、自分ではそれを使おうとはしなかった。
 どのみち長く生きられないのだから、使っても無駄になるなどと自ら口にするこの使い魔は、しかし、このユニットを使えば延命の可能性
があった。
 なにしろ、三十メイルのゴーレムに殴られて普通なら助かりそうにない傷を負ったルイズが、強殖装甲を身に纏ったとたん、元気になった
という経験があるのだから、説得力のある話ではある。
 だが、彼は使おうとしない。しかし、あきらめきれないルイズは残った二つのユニットの一つを、いつでも使えるようにと彼に持たせ、し
かし、アンリエッタの悲しむ顔を見たくないと言う想いに突き動かされてウェールズに与えてしまっていた。
 ちなみに、最後に残ったユニットは、生まれつき体の弱い二番目の姉にプレゼントするつもりである。本人が使う気になるかどうかはとも
かく。
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 18:35:55 ID:aqyC6To/
しかしあのおじさんも並みのメイジじゃ歯が立たない強さだよな支援
732強殖装甲と使い魔:2009/02/08(日) 18:37:21 ID:bQe6tpUM
 なるほどとワルドも苦笑する。ルイズを手に入れるのに邪魔になりそうな使い魔を引き離そうとしてやった決闘が、ここで足を引っ張ると
は皮肉な話である。

「子爵よ。言いたい事はそれで終わりかね」

 そんな言葉に、振り返ったワルドは、振り返り、ウェールズと向かい合う。

「そうだな。しかし、僕はこんなところで死ぬ気はない!」

 叫びと共に、杖を振るい呪文を唱える。そうだ自分にはやるべき事がある。こんなところで死んではいられない。
 強い意志は、メイジの力を高める。生きたいと、負けられないと思った心は彼の力を高め、結果としてワルドは、あるいはエルフと呼ばれ
るこの世界最強の存在を超えたかもしれない力を手に入れ。しかし、異世界からもたらされた力には届かなかった。




 浮遊大陸アルビオンから、突き出た岬にはニューカッスルという城があった。
 王党派の拠点であったそこに、今は動くものはいない。
 そこで戦った三百の王軍と五万の『レコン・キスタ』は等しく、物言わぬ屍となっていた。
 それを成したのが、たった一人の異形だとは、実際にそこで見ていた者にしか信じられまい。
 強殖装甲。異世界からもたらされたその力を手に入れたウェールズは五万の兵を打倒した。だか、それだけの力も、仲間を守る力とはなら
なかった。
 強殖装甲を解いたウェールズは、足元に転がるクロムウェルの屍を見下ろして、これからどうしようかと考えていた。
 ここで、死ぬことを考えていた彼には、今後のビジョンというものがない。
 貴族派を打ち倒したのだから、はれて王位につく? 馬鹿馬鹿しい。得体の知れない力に頼って生き残り、臣下の全てを失った自分に王の
資格などない。
 愛した少女に向かうはずだった禍根の全てを断った今の自分には、もうやらなければならないことなどない。
 ここで、何もせずに朽ち果てるのも悪くないか。そう思った時、もう一つやることがあることに気づいた。
 そうして、強殖装甲をまとった彼は、アルビオン大陸か飛び降りた。

 

 アンリエッタ王女が嫁ぐことで結ばれるはずだったトリステインとゲルマニアの同盟は白紙になったのは、ゲルマニア皇帝が暗殺された事
が理由である。
 それを成した犯人は見たこともない亜人だったと言われるが、それはトリステインにはどうでもいいことである。
 元々、『レコンキスタ』が壊滅した現在この同盟に必要性はなくなっており、唯一の王位継承者を外に出さなくてもよくなった事は、トリ
ステイン側には都合のいい話でしかなかったのである。
 そして、その後、その亜人の目撃例はなく、生き残っているはずのウェールズが歴史の表舞台に姿を現すこともなかった。
 ただ、アルビオンのある森に囲まれた小さな村で、気品ある金髪の青年が、帽子をかぶった胸の大きな女性と一緒にいるのを見かけたと言
う者がいたが、その青年がウェールズであるかは不明である。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 18:38:36 ID:aqyC6To/
ゲルマニア皇帝無駄死にじゃねーかw支援
734強殖装甲と使い魔:2009/02/08(日) 18:40:03 ID:bQe6tpUM
投下終了。支援に感謝。

>>727
イエス。

蛇足ですが、いく当てもなくアルビオンをうろうろと旅していてウエストウッド村に偶然たどり着いたウェールズが、ティファニアと出会
い彼女が王家の血を引く事を知って「自分にはもう王たる資格がない。君がアルビオンの王になってくれ」「だが、断る」な会話をして、
その後コバルト文庫的な紆余曲折あって、二人が結ばれるという過程がありますが、それを書くと話のまとまりが悪くなりそうなので省略
しました。
べ、別に、ラブロマンスを書くのがこっぱずかしかったわけじゃないんだからね。
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 18:44:01 ID:pUhqGq1R
舵輪の使い魔さん乙!
ミュズの力をもちょっと発揮してもいいかな?
とか思います。
頭脳体単体でも戦列艦と戦えるおにゃのこですから。


ガイバーの方乙!
結局アルビオンは滅びるのですね(w
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 18:47:17 ID:aqyC6To/
投下乙です
そういえば一個破損品が無かったか?と思ったけど自爆前なら問題ないわな
>女性的なシルエット
ここで初期OVAのガイバー2を思い出してルイズかカトレアの死亡フラグ?と思った俺
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 18:51:52 ID:eEZccmAP
乙です。
何故だかコバルト文庫と聞くと、フランス書院と勘違いしてしまう。
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 18:58:26 ID:bSif9rQd
それはオマエの日常がソレだからだ!
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 19:16:21 ID:LcIKvNYs
(AA略)ガラッ「話は読ませて貰った、アルビオンは滅亡する」

ΩΩ Ω<な(ry



(AA略)「時空を超えてあなたは一体何度ーーー
我々の前に立ちはだかってくるというのだ!!始祖ブリミル!!!」
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 19:42:49 ID:sMCGsZi1
>>739
ブリミル「え?」
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 19:46:23 ID:yZgJDjPA
>739
ブリミル「何それ……そんなん知らん……キモい」
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 19:56:14 ID:yVkXcJbl
突然だがマルコメがサムスピのいろはを召喚する電波を受信してしまった
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 19:58:18 ID:5ai8taT0
>>742
ならばその受信した電波を増幅してSSに仕上げて投下するのだーのだーのだーだーだーだー・・・・・(残響音)
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 20:07:36 ID:Xv+fostW
脳内召喚、脳内投下、脳内完結よゆうでした
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 20:12:21 ID:r66V2L22
つまり全てはルイズの妄想ッッ
体重100kgの巨大カマキリ召喚ッッ
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 21:04:45 ID:7twkt7Tm
>>700、702、707、708
【偏在宇宙人 ワルド星人】
身長180cm (推定)
体重70kg (推定)
詳細
謀略を好み、卑怯な策略を使うことで有名な宇宙人。
偏在と呼ばれる分身を作り出し、敵を翻弄する戦法を得意とする。
しかし、家族意識が強い一面も持ち、特に母親に強い執着心を持つ。
また、若い女性、すごく若い女性を好む。
個体差が大きく、人間の味方になるものもいれば、無謀な戦いを挑んで木っ端微塵にされるものもいる。
正史ではすでにその存在は伝説となっており、その存在感はザザーン並みと言われている。
バイブ星人のように透明化能力を得たという説もあるが、その詳細は不明である。
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 21:17:58 ID:EjXJmC52
>>746
俺のお茶返せwww
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 21:29:21 ID:Dzx9z3Eu
>>745
飢狼伝の片岡を呼ぼうと画策中
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 21:31:39 ID:P1/sZe6u
久しぶりにスレきた

とある魔術の使い魔と主の作者って最後に現れたのいつ?
好きな作品だから気になるんだ

>>746
鼻水吹きだしたじゃねーかwww
750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 21:46:05 ID:bGF2AvFO
>746
変態宇宙人 ワルド星人 と読んだ

バイブ星人で確定した
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 21:54:42 ID:3pNItUVg
>>746
ウルトラマンのサブタイが出る時みたく斑の背景にシルエットが浮かび上がる図を想像したw
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:05:02 ID:SJHGQqvh
そろそろ新スレじゃね?
携帯なので誰か頼む
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:06:48 ID:bvsHPAWc
じゃあ立ててくる
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:08:59 ID:dEVAdIHN
さっきAEIOUっていうN○Kで放送してた砂絵のアニメを見てたんだが
あのバイオリンどんだけチートなんだろうな・・・

つい砂絵の少年がハルケギニアを駆け回るシュールな妄想をしてしまったよ。
バイオリン奏でただけで、ゴーレム消滅、偏在消滅、惚れ薬も心壊す薬も効果解除・・・
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:09:43 ID:bvsHPAWc
ほいよ

あの作品のキャラがルイズに召喚されましたPart212
 >>http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1234098502/
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:18:05 ID:M32iSMAu
>>754
バイオリンクラーッシュ
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:22:50 ID:TIt327+0
フルアヘッドココのザギなら聖地奪還、エルフ撲滅、なんたらかんたら言ってる連中にも
「聖地とやらを奪還しないと人間は生きていけないのか?人間が生きていく為には本当にエルフを絶滅させないといけないのか?」
くらい言ってくれると思いつつ、そこまで異世界の事情に首を突っ込まないかなぁって思うと書けぬ
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:27:02 ID:+f4rE8Hx
>754,756
オーボウランチャー!
トロンボンバー!
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:35:57 ID:uBApihDk
オリン爺さん召喚!
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:36:25 ID:uBApihDk
オリン爺さん召喚!
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:41:13 ID:LiUM4LI3
500kbならニンジャブレイドからケン・オガワ召喚!!
まだクリアしてないけど!!
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:43:37 ID:TIt327+0
向こういきなりAA埋めしてんぜ
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:46:37 ID:LiUM4LI3
こっちと間違えたんじゃねw
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:47:31 ID:5jqLIfji
>>746
今週の大怪獣バトルを見た後だけに、笑い死ぬかと思ったw
青野さんのナレーションで読んじまったぜ!
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:49:20 ID:wYOfWSSO
>>759
オリン爺さん召還したらルイズが襲われて子供できちまうじゃないか

やっぱココはタケノッコーンとか最期は剣になっちゃったギータ様かコルネットのが…
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 22:58:27 ID:nlBOFh/w
>>758
ピアノミサイル!!
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:03:39 ID:xqIYzMWm
アーマードコアfAから首輪付きを召喚

見た目も使い魔っぽいしルイズも喜んでくれるだろ
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:15:30 ID:Q9L3Lnb4
>>765
・・・?
続編の話?
>剣になっちゃった
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:20:23 ID:TITW6pIf
たしか魔剣ギータとか言うのが出てたな

>>766
お母さんの愛キ〜ック!!
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:26:53 ID:ZZZB+KZp
サイトに違う作品の設定を付与したらおもしろくなる、と思ったがそれじゃクロスにならない

クロスって難しいな
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:29:32 ID:hfgY1vn5
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ   <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< 特にこの辺
イツモシヅカニワラツテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジヨウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ陰ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ツテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ツテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ツテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクワヤソシヨウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボウトヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハ
ナリタイ


サイト「ルイズ、こんな文があるんだがどう思う?」
ルイズ「何が言いたいのよ」
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:31:14 ID:hfgY1vn5
ごめん、誤爆。
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:32:06 ID:UUqq7zUF
>>769
獅子奮迅剣!!
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:32:27 ID:NTLrWsIN
>>770
それをやろうとしているのが私だ。
ただ、ルイズは別キャラを召喚してて。
才人は後から他の担い手に召喚されて出てくる予定だが。
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:36:07 ID:ZZZB+KZp
それができればいいんだが・・・
キャラクターらしいキャラクターがいない元ネタTRPGは難しい
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:47:20 ID:dEVAdIHN
>770
「モンハンの世界でハンターやってるサイト」とか
違う世界の設定の住人にサイト設定を付与なら問題ないんじゃない?なんとなく
破壊の杖がガンランスとか浪漫過ぎると思うんだ!
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:51:19 ID:ZZZB+KZp
じゃあ地球から○○世界に行って、そこからさらにゼロ魔世界とかでもいいのか?
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:53:16 ID:6My5orcW
こちらの世界からサイトが出てきたわけで
もともとモンハンの世界にサイトが居た事にすればそれでも別にいいんじゃないかと思う
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:54:16 ID:qeENDieC
地上からバイストンウェルに行ってそこからハルケギニアに行くだって!?
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:54:18 ID:TITW6pIf
以前、「俺屍から平賀家当主才人を召喚はどうだろう?」って書き込みがあったが、
そりゃオリキャラだろって意見が結構あった
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:58:18 ID:NTLrWsIN
>>780
EDの生まれ変わった当主?
それは、普通の人間なのか、朱点マーク3なのか分からんな。
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:58:55 ID:ftN3g+KE
修理に出したパソコンを引き取りに秋葉原へ。しかしそこで封鎖に巻き込まれ、偶然手に入れたCOMPで生き延びるために戦い続けているうちにルイズに召還される。
そんな、デビルサバイバー経由のサイトとか?
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 23:59:36 ID:Q9L3Lnb4
原作レイプじゃなくて面白けりゃなんだっていいだろうに
「アクマがこんにちわ」だって実質オリキャラみたいなもんだけど大好きだぜ
784ゼロと魔獣のような悪魔:2009/02/09(月) 00:01:44 ID:cydAFbrq
こんばんわー。
以前プロローグを書かせていただいた者です。
一話ができたのでよろしければ10分ごろに投下したいと思います。
キャラはサモンナイト2のビーニャです。
よろしくお願いします。
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:01:53 ID:6My5orcW
まあどんな作品でも二次創作である以上、完全完璧に元のままってのは無理だろうね
設定だけを見れば文句を言われそうでも、どうにかこうにかそれから気を逸らせておけば問題ないと思うよ
786名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:01:56 ID:QAxbLvJB
ストレッチマンしょうか…無理だな
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:02:12 ID:3Mz/GDI+
ドラゴンボールの世界で鍛えられたサイトでも召喚するかw
788名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:02:19 ID:7PSb+ELF
>面白けりゃなんだっていいだろう
その「面白い」の基準が各人違う事に注意
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:02:46 ID:iJmQ08X1
容量的に新スレのほうでどうぞ
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:03:13 ID:lMRh26BN
>>784
待つんだ
ここはもう500キロバイト間近で投下不能だ
次スレで予告して投下しなおすんだ
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:04:00 ID:9gKw5RKw
クロスキャラが反則気味に強くても爽快感があれば蹂躙と言われなくても済むかな?
てつをとかてつをとかてつをとか
792名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:04:04 ID:rDk1V2US
>777
それだと別物だと思う。
モンハンみたいな個の無いキャラクターだとオリキャラと変わらないから
「平賀才人」を個性として付け加えることで縛りにしたらどうかと・・・
うんよくわからん、誰かオレのこの思い代わりに伝えて!!
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:05:05 ID:3Mz/GDI+
まぁやらんほうが吉だな
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:06:06 ID:EijrNoxg
一度はサガフロのアセルスを召喚して
激甘百合展開、みたいなのを妄想したけど
話書き上げる前に飽きた
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:06:51 ID:M32iSMAu
>>792
並行世界というよりは、パラレルワールドのサイトということか?
796ゼロと魔獣のような悪魔:2009/02/09(月) 00:07:27 ID:UzcKeLmP
>>790
おわ。ご指摘ありがとうございます。
今のナシでお願いします。
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:09:57 ID:3Mz/GDI+
ちょこっと変えて もしゼロの使い魔の○○が××だったらってスレのがよさそうな設定だと思うな
>サイトに違う作品の設定を付与したらおもしろくなる、と思ったがそれじゃクロスにならない
798名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:15:26 ID:FiBr/riq
>>792
それいいな
蓬莱学園のクロスずっと前のスレで宣言して以来書き続けてるんだけど、サイトを学園生にしてみるわ。
……バドミントン部は風のスクウェア扱いされ兼ねんからボツか。
やっぱ無難に「古典からくり研」「帰宅同好会」「図書委員会」辺りか。
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:18:29 ID:omgwnJhn
>>798
平賀才人二級生徒と申したか。
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:20:33 ID:ZIAW1hX6
だれか仮面ライダーカブトの天道総司を召還した話書かないかなー?
801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:21:36 ID:LewdSoIZ
二級生徒は平民だろ
サイトは、妙な特技や知識を持たない一般生徒だと思うな
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:24:33 ID:6qMWVpSx
IFスレでも受け入れられるか怪しいからな・・・
分家のソードワールドのキャラがルイズに召還されましたのほうがいいのか?
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:25:10 ID:6qMWVpSx
ソードワールドとかなら が抜けた
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:26:22 ID:x9pGiReu
地球以外から来たら、それはもう才人じゃないんじゃない?
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:29:09 ID:rDk1V2US
>795
そうなんだが、言いたいことがなんか一言足りないんだ。

セリフが無くて性格のつかめないRPGの主人公とか
ネトゲとか人の数だけストーリーが(ryなキャラとか召喚したとき
「平賀才人」としての人格を引っかかりにすれば、話がまとめやすいかな〜とか。
ごめん、もう言葉ではなく魂で理解してくれ。そして理解できたら後でオレに教えて。
806名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:30:26 ID:fyxVG6RT
サイトはサイトだろ。魔改造は止めて欲しいな。
変化をつけたいなら、作中でして欲しいところ。
807名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:31:02 ID:FiBr/riq
やっぱこのスレ学園生徒多いな。

>>801
>一般生徒
帰宅同好会・生活委員会・愚者の舞辺りがアクが少ないかな。

マリコルヌは真っ先に性愛研の門を叩く気がする。あっこなら受け入れてくれるだろうし。
……卑しいブタ役で。でもこれはこれで幸せか。
808名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:31:19 ID:9gKw5RKw
サイトがウルトラマンだったら
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:31:30 ID:6qMWVpSx
つまり、ドラクエ方式主人公を
平賀才人の性格を与えて平賀才人にするってことか?
810名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:33:22 ID:Y86Nw0RF
あの作品の〜だからなんかズレてるよな、
なんつ−か他の投稿サイトでたまに見るような
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:33:45 ID:KF1p4xWe
性格がないようなキャラをサイト風に味付けするってこと?
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:34:17 ID:rDk1V2US
>807
マルコルメ?
家畜小屋で豚の餌を貪ってる姿しか覚えてないな。
シエスタ「ほーらいっぱい食べてはやく大きくなってくださいね」
813名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:35:05 ID:uDeyOg7q
>>770
そういうのはスレチだろ
該当スレや理想郷で投下されたら読みたいけど
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:35:29 ID:omgwnJhn
原作で書かれていない部分にクロス作品の設定を使う、みたいなもんかね。
サイトのクラスメイトにフカヒレがいました、とか。
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:38:35 ID:x9pGiReu
脇キャラなら才人魔改造もいいと思う。
ただルイズが才人召喚して、それが魔改造されてるのは、理想郷向きのただの強化才人になってしまうね。
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:38:42 ID:rDk1V2US
>>809、811
大体そんな感じ?
作品の世界観は面白いのに主人公に明確な設定が無いために召喚できないモノ
の打開策的な?
だったら同作品の別のキャラを、といわれたらまた頭をひねるな。
817名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:42:06 ID:9gKw5RKw
要するにペルソナ1の主人公が平賀才人でそれをルイズが召喚したら的な
818名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:42:55 ID:g3fMWPxV
>>800
「小説家になろう」っていうサイトに駄作が投稿されている。
まあ、お前がその作者本人という可能性もあるがw
819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 00:43:37 ID:3Mz/GDI+
そういやネギ魔」であったないろんな世界回ってスキル身に付けてるやつ
えらい設定だって聞いただけで読んでないけど
820名無しさん@お腹いっぱい。
                    |
                    | あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part212
                    | ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1234098502/
             ____   .|                 ミ /〉__人__
         / ̄      `  、 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  // )  ( ピシッ ̄ ̄ ̄ ̄
       ,. ‐'            ` ー-、     人_     ミ//  `V´
      /  / /    /   i       \   `Y´      //
     /  / /  / /    |   \  ',   _!_        //
     |  |  T ´厂 「`メ / i_」_    i   |    !       /,イ  _!_
人    |  |  |r坏テミリiイ/ / 「ノ `メ、  | | |          _///   !
'Y´   |  |  | トr:::リ  ∨ rテi{∨/  / |/リ       ///,イ     ペルペルペルペル…PSPリメイクを召喚!
.    /  ∧ ハ ゝ‐'    ハr:リイ/__ノ/        ノ//.ノリ  _!_
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