あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part204

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。



(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part201
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1231078840/



まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/




     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!




     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。





.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 20:44:14 ID:/xg/Dj5z
>>1乙!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 20:45:08 ID:UrqziQX+
>>1
4ゼロHiME:2009/01/12(月) 20:48:07 ID:AgMUXkJY
>>1

20:55ぐらいから投下します;
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 20:51:59 ID:JvHB23vC
支援
6ゼロHiME:2009/01/12(月) 20:56:32 ID:AgMUXkJY
時間になったので投下はじめます
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 20:59:35 ID:6UZ/PAv9
まさかいきなり規制?
8ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十話 1/5:2009/01/12(月) 21:02:03 ID:AgMUXkJY
 アルビオンを脱出したルイズ達は、静留の治療とアンリエッタに報告のためシル
フィードでトリステイン王宮の中庭に乗りつけた。
 だが、王宮はアルビオン王軍敗れるの報を受け、厳重警戒中だったため、不審者
とみなされたルイズ達は魔法衛士隊に取り囲まれてしまった。
 ルイズは自分の身分を明かし、王女との面会を求めたが信用されず、衛士隊との
間で押し問答をしてると、宮殿からアンリエッタが現れた。衛士隊に囲まれたルイ
ズに気づき、慌てて駆け寄ってくる。

 「姫様!」
 「ルイズ!」

 皆が見守るする中、二人はひっしと抱き合った。

 「ああ、無事に帰ってきたのね。アルビオンの王軍が敗れたと聞いて一時はどう
なることかと……よかった、本当によかった……」
 「姫様……」

 アンリエッタの言葉にルイズは思わず涙ぐむ。

 「件の手紙は、無事、この通りにございます」

 ルイズは胸ポケットに入った手紙を見せる。アンリエッタは頷くとルイズの手を
両手で握り締めた。

 「ルイズ、あなたはわたくしの一番のお友達ですわ」
 「もったいないお言葉です、姫様」
 「あなたとあなたの友人に心よりの感謝を。それと聞くまでもないのでしょうけ
ど……ウェールズさまはやはり父王に殉じられたのですね、ルイズ?」

 寂しげな口調で問うアンリエッタにルイズは無言で頷く。

 「……して、ワルド卿は? 姿が見ませんが、別行動を? それともまさか……
いえ、あの子爵に限ってそんなはずは……」

 動揺するアンリエッタの様子に、ルイズは一瞬、逡巡した後、ありのままの事実
を伝えようと口を開く。

 「実は……」
 「ワルドはんは裏切り者だったんどす、姫様」
 
 ふいに背後から聞こえた声にルイズが振り返ると、そこには静留の姿があった。

 「裏切り者?」

 アンリエッタの表情に影が差すが、静留の格好に気づくと衛士隊の隊長に声をか
ける。

 「隊長どの、彼らはわたくしの客人ですわ。杖を収めて衛士を下がらせてくださ
い」
 「さようですか」

 アンリエッタの言葉に隊長はあっさり納得すると、隊員たちと共に持ち場へと去
っていった。
 
 「どうやら道中で何かあったようですね……とにかくわたくしの部屋でお話しま
しょう。他のかたがたは別室でお休みになってください。それからシズルさんには
着替えと水のメイジの準備をさせますので」

 キュルケ達と分かれた後、ルイズは着替えと怪我の治療を終えた静留と共にアン
リエッタの居室に招かれた。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:02:23 ID:DzRSGUz8

10ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十話 2/5:2009/01/12(月) 21:04:16 ID:AgMUXkJY
 ルイズはアンリエッタにことの次第を説明した。
 ラ・ロシェールで襲撃を受けたこと。
 アルビオン行きのフネでも空賊に襲われたが、それは皇太子の変装で無事にニュー
カッスルにたどり着けたこと。
 そして、決戦の朝にワルドとの結婚式を挙げようとしたこと。
 その最中にワルドが豹変してウェールズを殺害し、手紙を奪い取ろうとしたが、
静留の働きで手紙は奪われずにすんだこと……。
 しかし、これで同盟を妨害する敵『レコン・キスタ』の企みが阻止され、任務は
成功したというのにアンリエッタは悲しみの表情で一杯だった。

 「あの子爵が裏切りものだったなんて……わたくしが、ウェールズさまのお命を
奪ったようなものだわ。裏切り者を使者に選ぶなんて、わたくしはなんということ
を……」

 アンリエッタは我が手に戻った自筆の手紙を抱きしめ、はらはらと涙を流した。

 「姫さま……」

 ルイズは、思わずアンリエッタの手を握った。

 「あの方は、わたくしの手紙をきちんと最後まで読んでくれたのかしら? ねぇ、
ルイズ?」
 「はい、姫さま。間違いなくウェールズ皇太子は姫殿下の手紙をお読みになりま
した……やはり皇太子に亡命をお勧めになったのですね?」
 
 ルイズの問いに掌中の手紙を悲しげに見つめたまま、アンリエッタは小さく頷い
た。

 「ええ、死んで欲しくなかった……だって、愛してたんですもの」

 それからアンリエッタは呆けたようにぽつりと呟いた。

 「わたくしより、名誉の方が大事だったのかしら?」
 「……それは違いますえ」

 それまで二人の様子を黙ってみていた静留が口を開く。

 「あのお人は姫さんが大事やったからこそ、自分が亡命することで反乱軍が攻め
入る口実を与えるより、敵と戦って少しでも長く姫さんとトリステインの平穏を守
ることを選んだんどす」
「敵は攻めてくるときは攻めよせてくるでしょうし、攻めぬときには沈黙を保つだ
けのこと。それはウェールズ様が亡命しても変わらないのではありませんか?」

 どこか投げやりなアンリエッタの問いに、静留は否定することなくうなずく。

 「確かにトリステインの状況は変わらんと思います。ただ皇太子は亡命しても碌
なことにはならんでしょうな」
 「……どういうことです」
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:05:03 ID:DzRSGUz8

12ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十話 3/5:2009/01/12(月) 21:07:04 ID:AgMUXkJY
「そらこの同盟はトリステインとってはレキン・コスタに対抗するのが目的かも
しらんけど、ゲルマニアの狙いはトリステインとアルビオンを将来併合するための
布石を打つことや。当然、その邪魔になるアルビオン王族の生き残りの皇太子の引
渡しを要求、トリステインはその要求に応じるざるをえない――そうなれば最悪レ
キン・コスタとの取引きの贄にされて殺されるか、良くても生涯幽閉は免れんやろ
ね。それが分かっているからこそ皇太子は戦おうと考えたんや思います。姫さんか
て、愛する人を奪われた上に、そんな辱め受けるとしたら同じことをするんと違い
ますか?」
 「―――!」

 静留の言葉にアンリエッタは一瞬はっとした表情を浮かべた後、両手で握り締め
た手紙をじっと見つめた。
 そんなアンリエッタを気遣うようにルイズが声をかける。

 「姫さま、私が手紙で亡命を勧められたたのではと聞いた時、ウェールズ殿下は
『アンリエッタが、そんな愚かなことをするはずがない』とおっしゃって姫さまを
庇っていました……殿下は姫さまを愛しておられた、それだけは確かです」
 「ルイズ……」

 アンリエッタは顔を上げると、そう断言したルイズに向かってぎこちなくにっこ
りと微笑んだ。

 「わたくしの婚姻を妨げようとする暗躍は未然に防がれました。これで、わが国
はゲルマニアと無事同盟を結ぶことができるでしょう」

 アンリエッタは何かを悟ったような表情で無理矢理に明るい声を出した。心なし
か先ほどまで淀んでいた瞳に精気が戻ったようにも見える。
 
 「姫さま、これをお返しします」
 
 ルイズはポケットから水のルビーと風のルビーを取り出し、アンリエッタに差し
出す。

 「まあ、水のルビーだけでなく風のルビーまで……ウェールズ皇太子から預かっ
てきたのですか?」
 「はい、殿下から受け賜ってきました」

 ルイズはアンリエッタのせめてもの慰めにと思って嘘をついた。
 アンリエッタは早速風のルビーを指に通した。そして、アンリエッタは風のルビー

を愛おしそうになでると、ルイズの手に水のルビーを戻した。

 「それはあなたが持っていなさいな。せめてものお礼です」
 「こんな高価な品をいただくわけにはいきませんわ」
 「忠誠には、報いるところがなければなりません。いいから、とっておきなさい
な」

 アンリエッタに促され、ルイズは渋々とそれを指にはめた。そんなルイズの仕草
にアンエリエッタはくすりと微笑むと、静留の方へと向き直る。

 「ありがとうございます、シズルさん。もう少しでわたくしはウェールズ様の想
いを疑うところでした。私たちが愛を誓い合ったことに嘘はなかったというのに…
…だから、せめてあの方の意思を無駄にしないためにも、わたくしは強く生きてい
こうと思います」

 そう言って、アンリエッタは風のルビーを見つめた。
13ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十話 4/5:2009/01/12(月) 21:10:15 ID:AgMUXkJY
 「……まあ、何はともあれ全員無事に帰ってこれて本当によかったわ」

 王宮から魔法学園に戻る途中、分かれて以降の顛末をルイズから聞いたキュルケ
がほっとした表情で軽口を叩く。

 「そうね、一時はどうなるかと思ったけど……シズル、体のもう平気なの?」

 ルイズはキュルケに相槌を打ちながらシズルに尋ねる。

 「へえ、おかげですっかり良うなりました。城で治療してもろうたし、なにより
その前にご主人さまからたんと元気の元を補給させてもらいましたさかいに」
 
 その静留の言葉に一瞬、ルイズは怪訝な表情を浮かべるが、すぐに自分が脱出の
ときにしたことを思い出して頬を染めた。

 「あああ、あれは単なる感謝というかご褒美というか……って、あなた、一体い
つから目を覚ましてたのよ!」
 「そうやねえ、ルイズ様がうちにキスするちょっと前には目覚めてましたな」
 「ちょっ……だったら目覚めたのになんでわざわざ寝た振りしてたのよ!」
 「せやかて、うちが起きてるの分かったらルイズ様はキスなんか絶対せえへんで
すやろ。それにせっかくのチャンスをふいにするなんてもったいないことできます
かいな」
 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

 静留がそう言って悪戯っぽく微笑むと、ルイズは何も言えずに赤らめた顔を更に
紅潮させてうつむく。

 (私としたことが、キスの時にシズルが目を覚ましていたのに気づかなかったな
んて! しかもその前の恥ずかしい台詞も聞かれていたのは確実なわけで……うあ
ぁぁぁ、このルイズ・フランソワーズ一生の不覚だわ)

 あまりの恥ずかしさに頭を抱えて悶絶するルイズに、キュルケがニヤニヤとしな
がら声をかけてくる。

 「へえ、ルイズったら後ろでそんなことしてたんだ、ふ〜ん」
 「う、うるさいわね! 大体、あくまでご褒美であってやましいことなんてない
んだからね! 男だけじゃ飽き足らず、色んな娘にちょっかい出してるあんたとは
違うわ」
 「あら、失礼ね。私は相手が誰であれ、いつだって本気よ……情熱の炎が消えな
いかぎりわね」

 食ってかかるルイズの言葉にキュルケは悪びれもせずに答えると、艶然とした笑
みを浮かべた。

 「……そのうち刺されても知らないわよ、ツェルプストー」
 「その点なら心配には及ばないわ、ヴァリエール。生憎と私はギーシュと違って、
恨みをかうような覚えはないもの……そういえばギーシュが嫌に静かなんだけど、
まさかタバサ、王宮に忘れてきてないでしょうね?」
 「……そこにいる」

 タバサが面倒くさそうにシルフィードの後方を指差す。そこには虚ろな表情でな
にやらブツブツと呟いているギーシュの姿があった。

 「はあ……やっぱりモンモランシー、絶対怒ってるよな……帰ったらおしおきは
免れないか……ああ、考えただけでも恐ろしい」
 「壊れた……」
 「……悪いけど、自業自得としかいえないわね」
 「うわ、キモイ……」
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:12:53 ID:T8eaSHnM
しえん
15ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十話 5/5:2009/01/12(月) 21:13:36 ID:AgMUXkJY
 「まあ、うちらには分からんことがギーシュさんとモンランシーさんの間にはあ
るいうことなんですやろ……タバサさん、どないしました?」

 どこか恍惚とした表情で怪しく身もだえするギーシュの様子にドン引きする女性
陣に苦笑しながら、静留は自分の服をくいくいと引っ張っているタバサの方へと顔
を向ける。

 「ご褒美……」
 「……はい?」
 
 自分の言葉に困惑する静留におかまいなく、タバサは静留の方へとぐっと身を寄
せてきた。

 「ご褒美って……まさかタバサさん、うちにキスして欲しいんどすか?」
 
 静留の問いにタバサはコクンとうなづく。そのやり取りを聞いていたルイズがタ
バサに噛みつく。

 「ちょっと、タバサ! 人の使い魔相手に何勝手なこと言ってるのよ!」
 「私も手伝った……でも、それはルイズじゃなくてシズルのため……だからシズ
ルからご褒美が欲しい」
 「……どういう理屈よ、それ?」
 
 タバサの説明に納得のいかない様子でムッとするルイズをなだめるように、キュ
ルケが声をかける。
 
 「別にいいんじゃない? タバサのシルフィードがいなかったらアルビオンの王
城から脱出できずに皆死んでたかも知れないのは事実なわけだし……」
 「まあ、それはそうだけど……そうね、キスじゃなくてタバサをぎゅっと抱きし
めるぐらいなら許可してあげるわ」
 「タバサさん、ご主人様もああ言うとることやし、それで堪忍しておくれやす」
 
 ルイズの許可を受けた静留はそう言ってタバサに微笑む。それを聞いて納得した
のかおずおずと手を伸ばしてきたタバサを静留は優しく抱きしめた。

 「あ……」
 「うふふ、タバサさんはほんにかわいいどすなあ」
 
 抱きしめられてほんのりと頬を染めるタバサの様子に静留は目を細めながら、ち
らりとルイズの方へと視線を向けた。
 二人の様子をうらやましげな表情で見ていたルイズは、その視線に気づくと慌て
て顔の表情を引き締め、静留に抱きしめられているタバサに向かって声をかける。

 「いいこと、こんなことは今回だけよ! あくまで静留は私の使い魔なんだからね」
 「はいはい、焼餅もほどほどしなさいね」
 「う、うるさいわね! 私はシズルの主人として当然のことを言ってるだけのこ
とであって――――」

 キュルケのつっこみにルイズが真っ赤になって反論し、それをきっかけに言いあ
いが始まる――そんないつも通りのバカ騒ぎをしながらルイズ達は学院へと帰還し
たのだった。
16ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十話 5/5:2009/01/12(月) 21:15:31 ID:AgMUXkJY
以上で終了です
17名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:23:38 ID:DzRSGUz8
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:33:19 ID:TEho33/T
>>1も乙。
19ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 21:40:09 ID:gsgwQkfH
>>1の方、舞HiMEの方、乙でした。

支障がなければ、21:45から第22話の投下を行います。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:43:34 ID:Sqp5XzsQ
おーラスボスの人待ってた!
21ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 21:46:05 ID:gsgwQkfH
 ウェストウッド村。
 浮遊大陸アルビオンの玄関口である港町ロサイスと、観光名所である古都シティオブサウスゴータを結ぶ街道から、少々外れた森の中にある小さな村である。
 知名度は、ハッキリ言って低すぎるほどに低い。
 何せ存在する家屋は小さなワラぶきの物が10件ほど、その住民はほとんど子供だらけ、最年長の人間ですら『少女』と形容して問題のない女性であり(今はその女性よりも年上の青年が居候しているが)、知っていてもほとんど意味がないのだ。
 そしてその『最年長の女性』ことハーフエルフの少女、ティファニアは家の中で夕食の準備をしていた。
「♪〜〜♪」
 最近はアルビオンもかなり危険な雰囲気が充満しつつあるのだが、それは大きな街や重要拠点の話である。こんな小さな村には、ほとんど関わりがない。
 強いて言うなら、最近になってアルビオン各地で出没するようになった『怪物』が真剣に命の危機を感じるほどの脅威なのだが、居候の男が操る『闇色の魔神』にかかれば、チョチョイのチョイである。
「ずっとこのままの暮らしが続いてくれたらなぁ……」
 思わずそんなことを呟くティファニア。
 ……しかし、それはおそらく無理であろうことは分かっていた。
 居候の男は、いつかここを出て行くだろう。『帰ろうと思えばいつでも帰れる』というようなことを言っていたし。
 子供たちとて、いつまでもこんな小さな村に閉じ込めておくわけにはいかない。
「…………」
 おそらく、自分は最後の一人として死ぬまでここにいることになる。
 この楽園は、いつかゆっくりと壊れていくことが決められていた。
「でも……それは、今じゃないよね」
 しんみりしかけてしまった気分をわざと声を口に出して切り替えると、ティファニアは夕食の準備を再開する。
 そろそろ夕食も完成である。
 それでは誰かに頼んで、最近は部屋の中に閉じこもりっきりの居候の男を―――
「お邪魔しますよ、ティファニア」
「あれ、シュウさん?」
 ―――呼ばなければと思っていたら、その居候の男……シュウ・シラカワが自分から顔を出した。
 珍しい。と言うか、『自分から夕食を取りに来る』など初めてではないだろうか?
 特に、近頃は食事に呼んでも『少し手が離せませんので、申し訳ありませんが部屋に持ってきていただけませんか』などと言っていたのに……。
 まあ、一緒に食事を取ってくれるのは良いことなのだが。嬉しいし。
 しかし一応は聞いておく。
「研究……は、良いんですか?」
「ええ、一段落しましたので。後はデータや結果をまとめるだけですね。それと、一つご報告があります」
「……け、研究の報告とか言われても、わたしには何が何だか分かんないんですけど……」
 シュウが何か難しいことを研究しているのは知っている。しかしそれを説明されても理解が出来るほど、自分は頭が良くない。勉強だって、そんなに出来る方ではないのだ。
 『“勉学の出来不出来”と、“頭が良い悪い”の間には直接的な関係はありません』とシュウは言っていたが、どっちにしろ理解が出来るとは思えない。
 そんな風に困惑するティファニアだったが、シュウは苦笑しながらティファニアの言葉を否定した。
「違いますよ。あなたにミルトカイル石やアインストについて説明しても、あまり意味はありません。……報告と言うのは、外出についてです」
「外出……ですか」
(また何か研究材料を見つけに行ったり、誰かに会いに行ったりするのかな?)
 このシュウ・シラカワと言う男は、たまにフラリとどこかに『(比喩ではなく本当に)飛んでいく』ことが多かった。
 とは言え長期間留守にすることは無かったし、何よりも『闇色の魔神』に乗っているので、ティファニアも特に心配はしていなかったのだが。
「知人に呼ばれましてね。明日はトリステインに向かいます」
 知人と言うと、以前にラ・ロシェールで会ったと言っていた人だろうか。
(……シュウさんにはシュウさんのお付き合いとか、都合とかあるわよね)
「はい、分かりました」
 笑顔で承諾するティファニアだったが、続いてシュウから発せられた言葉によってその笑顔は少しばかり固まった。
「ありがとうございます。……行き先はトリステインの魔法学院ですからね、ミス・マチルダにもご挨拶をしてきますよ」
「え?」
22ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 21:49:00 ID:gsgwQkfH
 いきなり姉代わりの女性の名前が出てきたので、困惑するティファニア。
「……え、えっと、マチルダ姉さんに会いに行くんですか?」
「いえ、会いに行くのはあくまで『トリステイン魔法学院にいる別の知人』です。……とは言え、私もその知人がミス・マチルダと同じ場所にいるとは思いませんでしたが」
 何か作為的なものを感じますね、などと呟く声が聞こえた気がしたが、ティファニアの心には微妙に波が立っていた。
 そんな彼女の様子に気付いているのかいないのか、シュウは今後の予定をスラスラと述べていく。
「明日の朝には出発します。用件を詳しくは知りませんが、もしかすると数日ほどかかるかも知れないとのことでしたので……。一応、チカを置いて行きましょうか?」
「あ、いえ、チカちゃんもシュウさんとずっと離れ離れじゃさみしいでしょうから、一緒に連れて行ってあげてください」
「ではエーテル通信機を置いて行きましょう、何かありましたら呼んで下さい。使い方は私が教えます。
 ……最近は、人の周りを嗅ぎ回っている失礼な人間もいるようですから、気を付けて下さい」
「? はい」
 後半部分はどういう意味なのかよく分からなかったが、とにかくティファニアは頷いた。
 そして台所から出て行くシュウ。
「…………」
 ティファニアはしばらく沈黙すると、やがて意を決したように声を上げる。
「チカちゃん、ちょっといいかしらー?」
「はいはいー」
 その声に答えて、窓の外からパタパタと青い小鳥が飛んで来た。
 シュウのファミリア(使い魔)である、チカである。
 何でもハルケギニアのメイジが使っている使い魔とは違って、『召喚で呼び出す』のではなく『シュウの無意識の一部を切り取って作り出した』存在らしい。
 しかし、口数が多くて口調はイヤミったらしく、毒をたっぷり含んだ言葉を吐いて、しかも金に意地汚い……と、その性格はお世辞にもシュウに似ているとは言いがたかった。
(チカちゃんを見るたびに思うんだけど、シュウさんも心の奥じゃチカちゃんみたいなことを考えてるのかしら……)
 それは何か嫌だなぁ、などと思いながら、ティファニアはチカと会話を始める。
「何ですか、ティファニア様? ご夕食の味見か何かでしょうか?」
「ううん、ちょっとチカちゃんに頼みたいことがあるの」
「はあ」
 首をちょこんと傾げながら、チカはティファニアの話を聞く。
「さっき聞いたんだけど、シュウさん、トリステインの魔法学院に行くんですって?」
「そうらしいですねぇ。たとえ並行世界の別存在だとしても、ユーゼス・ゴッツォの頼みなんか怪しすぎて普通は受けないでしょうに」
 そのユーゼスという人物はよく分からないが、ティファニアにとっての問題はそこではない。
「でね? 魔法学院に行くってことは、そこで働いてるマチルダ姉さんにも会うってことだと思うの。挨拶するって言ってたし」
「そうでしょうね」
 知り合いなのだし、挨拶くらいはするだろう。むしろ、会わない方が不自然かもしれない。
 ……そう、『会っても別に不自然ではない』のである。
 そして、『そのまま二人きりになっても特に怪しまれはしない』のである。
「そこで、チカちゃんにお願い。……シュウさんとマチルダ姉さんの会話とかやり取りをね、こと細かく見張って、観察して、見続けて、帰ってきたらそれをわたしに報告して?」
「え? な、何のために私が御主人様とマチルダ様の会話を……」
「いいから。……ね?」
 にこやかに微笑みながら、ティファニアはそっとチカの小さな身体を左手で包み込む。
「あ、あの、ティファニア様?」
「お願い、チカちゃん。……ほら、そんなことはあり得ないってわたしも思うんだけど、マチルダ姉さんも否定はしてたけど、こんな小さな村でそういう微妙な関係が出来ちゃうと、色々と困るでしょう?」
「いえ、御主人様に限って、男女関係でどうこうっていうのはホントにあり得ないと……」
 『常日頃から、かなり熱烈なアプローチを受け続けてましたけど、全然なびきませんでしたし』と言おうとしたが、チカの中で『何か』が警報を鳴らしてその言葉を言わせなかった。
「って言うかティファニア様、その右手に持っているナイフは何なんでしょうか?」
「だってお料理の途中だもの、ナイフくらいは持つわ。……さ、チカちゃん。お返事を聞かせて?」
 少しずつチカを包む左手に力を込めつつ、更に少しずつ右手のナイフをチカに近付けてくるティファニア。
 ……手の中のチカは小刻みに震えているようだったが、寒いのだろうか?
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:49:45 ID:4KHt274G
支援
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:49:59 ID:UrqziQX+
支援
25ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 21:51:05 ID:gsgwQkfH
「ティ、ティファニア様、そのにこやかな顔と声で、恐ろしい空気をかもし出すのは……その……」
「え? いやだ、何言ってるのチカちゃんったら。わたしの空気がどうしたんですって?」
 グ、と左手に力が込められ、チカの身体が軽く圧迫される。
「ぐぇっ!?」
「……『ぐぇ』? ……わたしが聞きたいのはそんな言葉じゃないの。ねえ、わたしの頼みを聞いてくれるの? くれないの? 答えて、チカちゃん?」
 もはやナイフの切っ先は、完全にチカを向いていた。
 チカはアワアワと口ごもりながらも、何とか返答する。
「は、はい、分かりました。帰りましたら、逐一ご報告させていただきます……」
「本当? ありがとう、チカちゃん!」
 パッと左手の『抱擁』を解いてチカを開放する。
 直後、チカは全力で羽ばたいてティファニアから距離を取った。
「どうしたのチカちゃん、そんなに急いで。もうすぐご飯の時間なんだから、お出かけなんかしちゃ駄目よ?」
 そうしてティファニアは、再び夕食の準備に戻る。
 チカは恐怖の対象を見る視線で、物陰からティファニアを見ていたが、やがて彼女の姿が見えなくなると溜息を吐いて呟き始めた。
「じ、自覚がないのが恐ろしい……」
 シュウに言い寄ってきた2人の女性とは、また違ったベクトルの女性である。
 しかも、あの2人の場合は『あの人とこんなコトしてましたよ』と言っても大体は行動の予想がつくが、この少女の場合は迂闊なことを言えば何をしでかすか分からない。
 下手をすると、

『今日のメニューは、鳥の丸焼きですよー♪』
『おや、これは美味しそうですね。……そう言えばチカを見ませんでしたか? どうも姿を見かけないのですが』
『どこに行ったんでしょうね?』

 ……みたいなことになりかねない。
 少し想像が飛躍しすぎな気もするが、あながち的外れでもないような気もする。
「と、取りあえず、御主人様が『そういうこと』をしでかさないことを祈ろう……」
 少なくともシュウからどうこうするのはあり得ないだろうが。
 マチルダの方から……と言うのも、確率的にはかなり低いだろう。何だかかなり警戒してたみたいだし。
「何もなかったら『何もありませんでした』って報告すれば良いんだし、多分そうなるだろうから、そんなに心配することもないかなー」
 半ば強引に自分に言い聞かせて、チカは主人のいる場所へと飛んでいったのだった。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:52:02 ID:UrqziQX+
チカちゃんにげて〜
支援
27ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 21:56:26 ID:gsgwQkfH
 ジェットビートルを中庭から学院の外の平原に移動させたユーゼスは、まず燃料の精製に取りかかった。
 と言っても、ハルケギニアの工業技術力では『ジェット燃料』を作り出すことなど不可能であるし、それほど簡単に作れるのであれば60年前に転移してきた科特隊隊員とて苦労はしなかっただろう。
 なので、やはり『錬金』に頼ることになる。
「駄目だな、揮発性と燃焼性が低い。……手本がすぐそばにあるのに、なぜ作れないのだ?」
「あのなぁ、こんな特殊な油をパッと見てすぐ作れるわけがないだろう!!」
「……やはり、この場合は『原料』から始めた方が効率が良いのか……」
 『錬金』担当のギーシュの叫びに、今更ながらユーゼスは思考を始めた。
 ジェット燃料の主成分は、原油を精製して作られたいわゆるガソリンに近い物である。しかし、それに更に様々な化学物質を混入させなければならない。
 となると、前段階として『普通のガソリン』を精製しておいた方が良いのだが……。
 ……しかし、そのような排気ガスを撒き散らす化石燃料の使用は、大気汚染などの公害に直結してしまうため、ユーゼスとしてはあまり乗り気ではなかった。
 ジェットビートルの1台程度がどれだけ空を飛ぼうと、ハルケギニアの環境に与える影響は微々たる物だろうが、自分の存在がきっかけとなって化石燃料が大量に出回るようになってしまう可能性を思うと、やはり二の足を踏んでしまう。
 だが一度使ってしまった以上は、もうどんな言い訳も……他の誰でもなく、自分自身に通じるまい。
(そもそも燃料の精製が出来ないのであれば、このような悩みも抱くだけ徒労なのだが……)
 少し離れた場所で、ジェットビートルから汲み上げた燃料を『ああでもない、こうでもない』といじり回しているエレオノールが、『作れるのなら作りなさい』と言っている以上、努力はせねばならない。
 ……どうでもいいのだが、エレオノールの顔を見ながら話をしている時、ある一定の時間が経過するとプイッと顔を逸らされるのは何故なのだろう。
 しかも、その『一定の時間』の間隔は少しずつ短くなってきているような気がする。
(まあ、特に支障があるわけでもないが)
 ともあれ、ガソリン→ジェット燃料の段階を踏んで精製しなければならないのである。
「ガソリンの原料は石油……。その更に原料となると、微生物や動植物の化石などか」
 石炭くらいならばハルケギニアにも存在しているし、本気で探せば石油も採掘が出来るだろうが、そんなものをいちいち探している余裕はない。
(……いっそのこと、クロスゲート・パラダイム・システムを使うか?)
28ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 21:58:15 ID:gsgwQkfH
 そんな考えが頭をよぎるが、すぐに否定する。
 体調管理やゲートの感知などはともかく、『ハルケギニアへの過度の干渉』は自分的に最大のタブーだ。
 それもよりによって因果律を操作して行うなど、侵してはならない領域に踏み込みすぎている。
 ハルケギニアの工業技術力が発展しようが停滞しようがユーゼスとしては別にどちらでも構わないが、発展するにしても『ハルケギニアの人間の力』で成し遂げなければならない。
 自分の役割があるとしたら、その『補助』くらいだろう。
「…………」
 ちなみに作業開始時に、学院の教師であるミスタ・コルベールが嬉々とした表情で『私にこれを見せてくれ』と申し出てきたが、丁重にお断りした。
 あんな(ユーゼス的に)危険な人物にこんな物を見せたりしたら、完全な『オーバーテクノロジーの提供』になってしまう。彼には悪いが、研究は独力で進めてもらおう。
 遠くの木陰から羨ましそう……と言うか恨めしそうにこっちに向けられる視線と、禿げた頭が反射する光を感じないでもないが、取りあえずは無視である。
「ふむ……」
 ……もうこうなったら、そこそこにギーシュを酷使させて『申し訳ないが、精製に失敗した』とエレオノールに謝るのがベストなような気がしてきた。
 『33年前の人は精製してたじゃない』と言われたら、『あれは監督している人間が特殊すぎたのだ』と言おう。
 何せ、早川健なのだから。
 そうと決まればギーシュに『錬金』を無駄遣いさせよう……などとと密かに決心していると、懐からピピピ、と電子音のような音が鳴った。
「な、何の音だい?」
「……しまった」
 突如鳴り響いた『謎の音』に困惑するギーシュをよそに、ユーゼスは自分が呼びつけた男について失念していたことを思い出した。
 まさか『呼びつけておいて何だが、やはり帰ってくれ』とは言えない。
 ……言ってしまったら、超神ゼストとネオ・グランゾンの戦いという、ハルケギニアどころか近辺の並行世界まで崩壊してしまいそうな事態に発展しかねない。
(…………取りあえず、通信に出るか……)
 まずは話をしてみてから考えよう、などと思いつつ、ユーゼスはエーテル通信機を手に取った。
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 21:58:45 ID:Sqp5XzsQ
支援
30ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 22:00:20 ID:gsgwQkfH
「ほう……これはまたクラシカルな……」
 ジェットビートルを見たシュウ・シラカワの第一声はそれだった。
 自分の目から見ても『古い』のだから、シュウの目から見ればそれは『古い』などというレベルではないだろう。
「ふむ、燃料はジェット式、装甲はそれなりの合金……エンジンは通常の戦闘機とそう変わりがありませんね。バッテリーも同様ですか。私にとっては骨董品に等しいですが、ハルケギニアにしてみれば完全なオーバーテクノロジーですね」
 ビーカーに入った燃料を一瞥し、外見をざっと見回し、整備用に少し開けた部分からパッと見ただけでジェットビートルの概要を理解するシュウ。
 そんな紫の髪の超天才に対して、銀色の髪の天才は自分の懸念を話す。
「整備もそうだが、何よりも問題はその『燃料』についてだ。『錬金』で精製するのは不可能に近いようだし、仮に精製に成功したとしても……」
「……化石燃料を使用する以上、ハルケギニアの大気が汚染されることになりますね」
「そういうことだ」
 『お互いの素性や過去を既に見ている』という前提で、二人は会話を行う。
「では、化石燃料以外の方法でエネルギーを得れば良いのではありませんか?」
「どうやってだ? この世界の魔法には、そこまでの力は無いぞ」
「ええ、『ハルケギニアの魔法』では力不足でしょうね。風石とやらにも、そこまでの力はないでしょう。……ですが、それならば『ハルケギニア以外』から持って来れば良いのです」
「…………別の世界か?」
 その発想はなかった。しかし……。
「この機体にマッチするエネルギーなど、どこから見つけてくるつもりだ? ……いや、それ以前にエネルギー源を変えるとなれば、大幅な改修が必要になるぞ」
「改修については、私とあなたが協力すれば何とかなるでしょう。
 ……エネルギーなど、私のいた世界では探すまでもなく転がっています。原子炉、光子力、ゲッター線、超電磁エネルギー、ムートロン、オーラ力、縮退炉―――お望みとあらば、ブラックホールエンジンなどもご提供して差し上げますが?」
「そのような物騒かつ制御の難しいエネルギーなど、いらん」
「それは残念です」
 ……冗談だということは分かっているのだが、この男が言うと全然冗談に聞こえないから困る。
31ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 22:02:21 ID:gsgwQkfH
 そしてシュウは薄く笑いを浮かべながら、おそらくは本命と思われるエネルギー源を提示した。
「ならば、それ以外……比較的入手が容易なプラーナコンバーターをご用意いたしましょう」
「何?」
 プラーナコンバーターとは、シュウの故郷であるラ・ギアスの技術である。
 『プラーナ』は言うなれば『感情エネルギー』のようなものであり、個人の感情の高ぶりに応じてその値が上下する。『気』や『オーラ』のようなものと捉えても問題はない。
 消費しすぎると生命の危険があったり、弱ったプラーナを回復するには口移しが最も手早い……などという話もあるが、本筋と関係がないのでそれについては割愛する。
 そのプラーナを、『魔装機』と呼ばれる機動兵器のエネルギー源として変換するための装置が、プラーナコンバーターなのだ。
 そのような、ジェットビートルとはまた別の切り口でのオーバーテクノロジーを用意してくれるとは……。
「……見返りは何だ?」
 シュウ・シラカワが無償で世話を焼いてくれることなどは、あり得ない。
 並行世界を見て、それは熟知していた。
「話が早くて助かります。……私の要求は、あなたの研究している『ハルケギニアの魔法』に関しての資料です」
「?」
 それは別に提供しても構わないが、何故わざわざ自分から受け取る必要があるのだろうか。
「お前ならば、独力で研究を進められるのではないか?」
「あいにくと『別の研究対象』を見つけましてね。そこまで手が回らないのですよ」
「『別の研究対象』だと?」
「……あなたも気付いているのではありませんか? 我々以外の『異邦人』に」
 自分たち以外の『異邦人』。
 それには、確かに心当たりがあった。
(……アインストか)
 確かに気にかかる存在ではある。研究する価値もあるだろう。
「ではコンバーターの調達は任せた。こちらもレポートをまとめておこう」
「お願いします。コンバーターはラ・ギアスに行けばすぐに手に入るでしょうから、1日もあればお届け出来ますよ」
 では前段階として、まずはジェットビートルをバラバラに分解しよう、という話になる。
 装甲板などを外すにはかなりの労力が必要になると思っていたが、そこはシュウが『デモンゴーレム』(土くれに死霊の霊気を宿らせたもの)という兵器を2体ほど召喚することで何とかなった。
 さすがにこんなことにネオ・グランゾンを使う気にはなれなかったらしい。
 なおプラーナコンバーターについては、ラ・ギアスにいるシュウの仲間に連絡してあらかじめ用意してもらうそうだ。
32ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 22:04:25 ID:gsgwQkfH
 ミス・ロングビルは、オールド・オスマンに仕事を依頼されていた。
 依頼と言っても、そう大したことではない。
 『学院の外でミス・ヴァリエールの使い魔が何かやっているようだから、それを見てきてくれ』だそうである。
 だったら自分じゃなくても……とは思うが、ちょうど暇でもあったので、軽い運動がてら見に行くことにする。
「ま、どうせ変な実験でもしてるんだろうけど……」
 思い返すも忌々しい『フーケ対策会議』が頭をよぎり、表情が苦くなる。
 ……とは言え、それも過去のこと。『土くれ』のフーケも現れる予定は当面ないし、自分に影響がなければ実験でも何でもやってくれて一向に構わない。
 危ないことをやっているようだったら注意しないといけないか、などと思いながら歩いていると、ズシンズシンと何か重いものが移動する音と振動を感じた。
「?」
 ふと音と振動のする……目的地の方へと目をやると、何だか不恰好な20メイルほどの土ゴーレムが2体ほど存在していた。
 その2体のゴーレムは、協力して大きな鉄板のようなものを運んでいる。
「……十中八九、例の使い魔が関係してるんだろうねぇ」
 『何かをやっている』と言われた現場に、そうそう都合よく『偶然に』巨大な土ゴーレムなど出現はするまい。
 ともあれ何をやっているのか、確認はせねばならないだろう。
 少しペースを速めながら歩き、目的地に到着すると……。
 まず、何だかよく分からないが複雑な鉄のカタマリ。
 色々と大きくて重そうなものを運んでいる、2体の土ゴーレム。
 例の銀髪の使い魔。
 青銅のゴーレムを操って細かいものを運ばせている……確か、ギーシュとか言う生徒。
 少し離れた地点でチラチラと作業の様子を見ながら、変な液体をごく少量ずつ触ったり振ったり燃やしたりしている金髪の女性。
 更に離れた地点の木陰から、じーっと彼らの様子を見ているコルベール。
(何をやってるんだか……)
 特にコルベールに対してそんな感想を抱くミス・ロングビル。
 取りあえずあの男は無視しよう、と作業中のユーゼスたちのいる場所へと進んでいき、
「…………!!?」
 そこに、あり得ない人間を発見した。
 何故、ここにいる。
 何故、土ゴーレムに命令を出して……いや、そう言えば『少しだが魔法が使える』とか言ってたっけ。どう見ても『少し』などというレベルではないが。
 何故、あの使い魔とペラペラと話をしている。
 何故、自分に気付いてこっちに歩いて来る。
「ああ、もう!」
 何だかイライラしてきたので、あの男―――シュウに向かって走り出す。
「おや、ミス・マチルダ。作業が一段落したら、ご挨拶に伺おうと思っていたのですが―――」
「いいから、こっちに来る!!」
 そのまま腕を掴んで、少しムリヤリではあるがズンズンとコルベールとは別の木陰に入って行くミス・ロングビル。
 ……ユーゼスやギーシュが学院長秘書のそんな様子を見て首を傾げていたのだが、そんなことを気にしている余裕など今の彼女からは失われていた。
「……ご婦人が男性を引きずるというのは、あまり上品とは言えませんよ、ミス・マチルダ」
「うるっさいね! 何だってこんなところにいるんだい、アンタは!? それと、私はここじゃマチルダじゃなくてロングビルだっての!」
「そう言えばそうでしたか」
 シュウ・シラカワに詰め寄りながら、アッサリと『学院長の秘書』という仮面を取り去るミス・ロングビルこと、マチルダ・オブ・サウスゴータ。
「取りあえず、何のためにいつからここにいて、そして今は何をしてるのかを答えな!」
「知人に呼ばれたので今朝からここにいて、今はある『飛行機械』を分解しているところです」
「ぐっ……」
 激昂しながら放った問いがスラスラと冷静に答えられてしまったので、思わずマチルダは言葉に詰まってしまう。
33ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 22:06:25 ID:gsgwQkfH
「……『知人』ってのは、あのヴァリエール家の娘の使い魔のことかい?」
「使い魔? ユーゼス・ゴッツォのことですか?」
「あのメンツで『使い魔』なんて、あの男しかいないだろ」
 シュウはアゴに手を当てて『ふむ』と頷くと、何かに納得したように呟き始める。
「……そうでしたね。最近はほとんど意識していませんでしたが、私も一応は『使い魔』として召喚されたのでした。ならばユーゼス・ゴッツォもまた『使い魔』として召喚されていると考えるべきでしたか……」
 ブツブツと何やらよく分からないことを呟くシュウ。
 マチルダはそんな彼の様子を怪訝に思いつつ、次の質問へと移ろうとする。
「それよりもだね……」
「ミス・マチルダ、一つ質問があるのですが」
「……っ、な、何だい?」
 だがシュウに視線向けられた途端、その意欲も霧散した。
(コイツの視線……凄みを利かせられてるわけでもないのに、身体がすくむ……。いや、身体だけじゃなくて、魂まで射抜かれたような……)
 冷や汗を流しながらも、マチルダはシュウの問いかけを聞く。
「ユーゼス・ゴッツォは、使い魔として契約しているのですか?」
「そのはずだよ。アンタとは違ってね」
「……ほう、そうですか……」
 何かに納得したような、あるいは興味深い新発見をしたような様子を見せるシュウだったが、目の前でそれをやられているマチルダは気が気ではない。
「……感謝しますよ、ミス・マチルダ。あなたのおかげで、興味の対象が増えました」
「ああ、そうかい……」
(コイツに比べれば、あの銀髪の使い魔の方が50倍はマシだね……)
 『得体の知れなさ』という点ではどっこいだが、シュウにはユーゼスにはない『不気味さ』や『近寄りがたさ』がある。
 よくティファニアはこんなのと一緒に住んで、毎日生活が出来るね……などと考えていると、先ほど口から出かかった質問が再び湧き上がってきた。
「そうだ、ティファニアはどうしたんだい? アンタが留守にしてたんじゃ、ほとんど無防備みたいなもんじゃないか」
 マチルダにとっての最重要事項はそれである。
 この男がいるから、ある程度は安心……などと思っていたのに、これでは元のモクアミだ。
 しかし、シュウはそんなマチルダの懸念にも構わず、平然と問いに答える。
「大丈夫でしょう。私がいない時を狙って何者かの襲撃を受けるほど運が悪いとも思えません。私の周囲を探っている人間も、ウェストウッド村までは突き止めていないようですから」
「……『周囲を探っている人間』?」
 何だか聞き捨てならないセリフだ。
「ご心配には及びませんよ。ほとんど私が行った場所の足跡を辿ることや『私がどのような人間か』を追っているだけのようですし。……とは言え、目障りなのは確かですからね。機会があれば『お話を伺いたい』とは思っていますが……」
「ふ、ふーん」
(一体、どんな恐ろしい方法で『お話を伺う』んだか……)
 そいつがどのような人間かは知らないが、もうご愁傷さまとしか言いようがない。
「まあ、取りあえずあの……飛行機械? だかをイジってるってことで良いんだね? 学院長にもそう報告しておくけど」
「それは私ではなくユーゼス・ゴッツォに尋ねるべきですね。この場の責任者は、あくまで彼のはずですから」
「分かったよ、ったく」
 そして木陰から出る二人。
 マチルダは再びミス・ロングビルの仮面を被り、何食わぬ顔でユーゼスに確認を取って学院長に報告に向かう。
「まさか、これから頻繁に魔法学院に顔を出すんじゃないだろうね、アイツ……」
 嫌な予感を感じながらも、その予感が外れることを願うミス・ロングビルであった。

「……えーと、『マチルダ様が御主人様を木陰に引っ張って行って、ちょっと強めの態度で詰め寄ってました』、と……」
 なお、シュウのファミリアは居候先の家主の依頼を忠実に果たしていた。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:06:30 ID:g7zBsr2r
支援
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:06:39 ID:UrqziQX+
色々なフラグ来てる

支援
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:08:05 ID:d/EluP+6
支援
37ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 22:08:25 ID:gsgwQkfH
「ふう……」
 夕日と共に去っていくシュウを見送りながら、ユーゼスは大きく息を吐いた。
 一通りジェットビートルの分解が済んだ所で、本日の作業は終了となったのである。
 おそらくこの後、シュウはネオ・グランゾンに搭乗してラ・ギアスに転移を行い―――
「ちょっと、ユーゼス!」
「む?」
 考えている途中で、エレオノールから声をかけられた。
 次の彼女のセリフは、容易に想像が出来る。
「あの男は一体誰なのよ? あなたの知り合いらしいけど、私たちに何の説明もなしなんて……」
「紹介だけで時間が潰れそうだったからな、省かせてもらった」
 取りあえず『燃料の精製は見送った』ことと、『代わりの動力を調達してもらう』ことを説明する。
「……あなたねえ、私に相談もなくそんなことを独断で……!」
「これをタルブ村から譲り受けたのは私であるし、操縦が出来るのも私だけだ。ならば私がどうしようと、問題はあるまい?」
「……………」
 ジロリと眼鏡越しに睨まれる。
 ……最近はそれなりに『研究者同士の関係』を築けてきたので忘れがちであったが、エレオノールはこのように刺すような視線を放ってくる女性だった。
 まあ、変に馴れ合いになってもむしろやりにくいので、これで良いとも思うが。
「改修……いや、改造についてはお前も立ち会うといい。扱う分野は専門外だろうが、『アカデミーの研究員が立ち会った』という事実は王宮からの立ち入り検査があった際などに、カードになり得るからな」
「……つまり『私が立ち会ったのだから、これに関しては問題ありません』と言い張るわけ?」
「ありていに言えばそうなる」
 エレオノールの視線が険しさを増した。
 ルイズやギーシュであれば向けられただけで平謝りしてしまうような眼力だったが、それをユーゼスは平然と受け流す。
「…………それについては不問にするにしても、まだ私の疑問はかなり残ってるわよ?」
「ではその疑問を言ってみろ。答えられる範囲でならば答えてやる」
 そしてエレオノールは矢継ぎ早に質問を繰り出し、ユーゼスはその質問に次々に答えていった。
 『あの油を使わない』と言う結論に達した理由―――これについては、『空気中に有害な物質を撒き散らすから』と説明したら一応納得してくれた。
 『代わりの動力』とやらの詳細―――プラーナの説明に苦労した(特にメイジが使う『精神力』との違いがネックだった)が、誰もが持っている『意志の力』ということで少し強引に説明した。
 ユーゼスが呼んだあの男の素性―――シュウ・シラカワという名前、『自分のいた場所』から『比較的近い場所』の出身であること、自分よりも優秀であることを説明したら、どういうわけか『なるほど』と納得された。
「あなたの知り合いで、しかもあなたが“自分よりも優秀”って認めるくらいなんだから、ある程度は何でもアリでしょう?」
「……私はそれほど得体が知れない存在か?」
「あえてノーコメント、とさせていただくわ」
「……………」
 心外であるが、自分がハルケギニアの常識からは少々外れていることは自覚しているので、こちらもノーコメントとさせてもらう。
「それにしても20メイル程度の戦闘用の土ゴーレムを2体も作れるなんて、相当優秀な土メイジなんでしょうね。おまけに知識はあなた以上って、もう手が付けられないじゃないの」
「そうだな」
 実際はメイジというわけではないのだが、ある程度『魔法』が使えるのは確かであるし、『手が付けられない』という点に関しても同意は出来るので肯定しておく。
 ちなみに作業に使ったデモンゴーレムはそのまま放置しておくと破壊衝動だけで行動してしまうため、召喚した2体を同士討ちさせて相打ちにさせている。
(これでネオ・グランゾンを見せでもしたら気絶するだろうな……)
 自分の超神形態については棚に上げて、そんなことを考える。
 ……それなりの時間を一緒に過ごして分かったのだが、このエレオノールという女性は確かに優秀ではあるが固定観念に捕らわれすぎている節があった。
 自身の予想の範囲内ならばかなり柔軟な対応を取るのだが、それから外れると途端に狼狽したりパニックを起こしかけたりするのである。
(まあ、研究者とはそのようなものだが……)
 思い返してみると自分もそうだった。と言うか、今でもそうだ。
「……な、何よ、人の顔をじっと見たりして」
「いや、少し考えごとをしていただけだ」
 心なしかエレオノールの顔が赤いが、これは夕日に照らされているせいだろう。
38ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 22:10:30 ID:gsgwQkfH
「そう言えば、あのジェット燃料はどうする? 使用しないことが決まったわけだが」
 ジェットエンジンと宇宙用ブースターは、すでにシュウのデモンゴーレムに破壊してもらっている(その残骸も、周囲に人がいなくなった時を見計らって『消滅』させる予定である)。
 エレオノールがもったいなさそうな顔をしていたが、ユーゼスとしてはあまり好ましい類の物ではないので、『代用品の方が良い物だ』と何とか説得した。
 ……なお、破壊する際に『壊すくらいなら私に』という男の悲鳴が聞こえたような気がしたが、これは無視した。
 燃料についても、燃料タンクの中に入っていたものはユーゼスが『タンク内にゲートを開いて』あらかた片づけている。
 だが、サンプルとして採取したジェット燃料だけは、そのままだった。
「アカデミーで預かるわ。色々と研究する価値はありそうだし」
「……………」
 ……アレが研究されて大量に精製された場合、どのように使われるかは大体想像がつく。
 大気汚染が生じることは伝えてあるし、少し調べれば燃焼性や爆発性に関してはすぐに分かるので、『エレオノールだけが扱う以上は』それほど心配していない。
 問題なのは他の人間だ。
 ジェット燃料やガソリンの性質を知れば、間違いなくこれを武器や兵器に転用する人間が現れる。
 ユーゼスは『人間はそういうものだ』とある意味で諦めており、別に兵器として使われても構いはしない。大気汚染が気にかかりはするが、『燃料』として頻繁に使用されない限りはそれほど深刻な事態にはならないだろう。
 33年前に『錬金』で作り出したものが流通しなかったのは、単純に運が良かったか、あるいは固く口止めされていたかのどちらかだろう。早川健ならば後者を選択しそうなものだが。
 ……自分や自然環境、33年前のことなどはともかくとして、気がかりはエレオノールがどうなるのか、である。
 『自分が“有効利用しよう”と思って作り出したものが人を殺す』ということになった場合……、エレオノールの精神は果たして耐えられるのだろうか?
 下手をすると、良心の呵責や罪の意識に一生苦しみ続けるかも知れないが……。
「……それがどのような結果をもたらすか、気付いているか?」
 思わず声に出して『確認』しまった。
 かつての自分……いや、召喚された直後の自分であれば、考えられないセリフである。
 ハルケギニアという環境の影響もあるのだろうが、やはり分野は違えど同じ研究者だからか。
 若く才能もある彼女が―――道を踏み違えて、下手をすると自分のようになってしまうのを見るのは、正直忍びない。
 そんなユーゼスの内心は知らないだろうが、エレオノールは毅然と言い放つ。
「馬鹿にしないで。……気付いてるわよ、『どう使われるか』くらいは」
 フラスコに入ったジェット燃料を眺めながら、淡々と語っていく。
「だから、あくまで『比較的よく燃える油』として研究するわ。……仮に王宮に提出することになったら、劣化品でも送れば良いでしょう」
「その『劣化品』を発展させる可能性もあるが?」
「……その時は、発展させた人間を褒めるわよ」
 決して根本的な解決にはなっていないのだが、これが彼女なりの『戦争行為への貢献』に対する拒否反応なのだろう。
 罪の分散化、とでも言えば良いのだろうか。
 ……よく見るとその手は硬く握り締められており、表情も若干ではあるが、こわばっている。
「だから『息苦しさを感じている』と言ったのだ」
「……大きなお世話よ」
 ユーゼスにしてみれば、あの時の言葉に特に深い意味を込めたわけではない。
 ただ単に、常に気を張っているように見えたこの女性に、少し忠告するつもりであった。
 言われた当の本人は、予想以上にその言葉を重く受け止めてしまったようだが……。それが巡り巡って、このような形でまた同じセリフを口にするとは。
「そうなった場合の決着は……自分で付けられるな?」
「当然よ。私を誰だと思ってるの?」
 ならば良い、とユーゼスはそれ以上の追求を止める。
 エレオノールは、若干引っ掛かる点があるようだったが……すぐに気を取り直して、いつもの気の強そうな顔に戻る。
「では日も暮れてきたから、戻るか」
「そうね」
 雨が降る様子もないし、明日まで分解状態で放置しても特に構うまい。
 そして二人は魔法学院に戻っていった。


「……僕のあの油を作った努力は、一体なんだったんだろう……」
 すっかり存在を忘れ去られてしまった、ギーシュを残して。
39ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/12(月) 22:12:32 ID:gsgwQkfH
 以上です。

 ……『ユーゼスがジェットビートルをシュウと一緒に魔改造して、ジェット燃料だと環境に悪いからシュウの世界の別のエネルギーを使うことにしたよ』ってだけの話なのに、どうしてこんなに長いのでしょう……。
 しかもテファが病んできてるような。
 と言うか、テファが嫉妬した場合ってどういう風になるんでしょうなぁ。原作じゃ描写されていないので、想像するしかありません。

 そして『ルイズ』という単語が、いきなり地の分で1つだけしか登場しないというこの状況。
 うーむ、ホントならこの話の内に『ユーゼスによる詔(ミコトノリ)の添削』まで行くはずだったんですが……。
 ま、それは次回というコトで。

 そして、無限のフロンティアをやっていて思いついたけど、おそらく私の話ではシチュエーションやら何やら的に無理だと思われるボツネタのコーナー。


神夜「いっぱい牛乳を飲むといいですよ?」
ルイズ「え……? そ、そ、そんなに気にしてないわよ! 調子に乗らないで、このヒョーロクダマ!!」
神夜「ひょ、表六玉……」
ルイズ(……牛乳、か)
モンモランシー(……牛乳、か)
タバサ(……牛乳、か)
エレオノール「待ちなさい! 騙されてはいけないわ、それは単なる迷信よ!!」
ルイズ・モンモン・タバサ「「「ええっ!!?」」」
ユーゼス「既に試していたのか……」


 はい、色々と無理がありますね……って、あれ? 神夜をテファに入れ替えれば良かったんじゃ……?
 ま、まあ、いっか。

 それでは、支援ありがとうございました。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:17:13 ID:d/EluP+6
ラスボスの人乙です。
なんというヤンデレテファww空鍋に期待w
そして哀れギーシュとコッパゲールww
次回にwktk
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:18:14 ID:UrqziQX+
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:19:20 ID:R9t2hL9I
オーバーテクノロジーイベントでコルベールガン無視って初めてじゃなかろうかw
GJ
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:23:26 ID:Cm9I6Mky
ラスボス乙ー
最近は一番の楽しみだわ
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:29:55 ID:Sqp5XzsQ

今のところワルドは存命で安心したようながっかりしたようなwww
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:36:33 ID:6UZ/PAv9
ワルドは下手したらテファに刺されてお亡くなりになりそうだがw
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:36:54 ID:4tI3NpSl
>>39
乙ー

しかし、神夜とルイズたちのそのイベントはあっちこっちの人が思いついてますな。
2,3か所で見かけましたぜ。

ところで、エンジンをプラーナコンバーターに換装すると、プラーナコンバーターを回して
発電機を動かして電装系やレーザー砲を動かすってことになるのかしら。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:38:19 ID:txSg1WKI
>>44
ワの人は「私を利用しようとしたので、それなりの対応をとらせて頂きました。」
この一行で二度と登場しなくなる予感w

ラスボスの人乙です。
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:40:32 ID:+dGuLxVN
ラスボスの人乙です。
ネオグラとゼストの共闘にちょっと期待してますw
49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:56:31 ID:Cm9I6Mky
ラスボスの所で今のところ立ってるフラグは
ユーゼスとエレオノール
シュウとテファ
ワルドの死亡フラグ
チカの死亡フラグ

ってとこかな
モンモンとユーゼスはフラグって程じゃあないだろうし
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:56:34 ID:bDIjeI0x
ラスボスの人GJ。
とりあえずチカ、もうちょっと言葉をえらべ、自分のために。
しかし着々とエレオノールフラグが建てられていますな
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:58:21 ID:gL1gRTlB
俺はルイズの事はもうどうでもいいなw
エレオノールのみで十分!
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 22:59:36 ID:6UZ/PAv9
ルイズの空気化フラグもお忘れなく
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:04:29 ID:lEbEvodI
お絵かき掲示板でも書いてあったが「零魔娘娘追宝録」といい「鋼の使い魔」といい、
最近はエレオノールフラグが多いな。
まあ、全員、そのフラグに気づいていないというのがお約束だが(笑)
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:06:25 ID:kbwbMJ2s
謙虚なナイト
55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:07:44 ID:UrqziQX+
>>49
2番目は立っていないような気がする。
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:08:46 ID:T8Fp5BFF
えっ、シュウとおマチさんのフラグじゃないの?
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:15:47 ID:oQZy3L/s
>49
ワルドの場合廃人フラグも忘れちゃイカンな。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:20:13 ID:qgzg48oi
裏をかいて変人フラグを立てるワルド
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:21:17 ID:4KHt274G
そのうち空気化してるルイズがもっと自分にやさしくしろと大爆発するかもな。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:23:26 ID:az1bNfPp
色々と凄いエネルギーを提示しているが流石のシュウも無限力イデは駄目だったかw

個人的にはマルチプライヤーでルイズさん当たりに怒り(嫉妬?)のスーパーモードをやって欲しい感じだがww
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:36:22 ID:ZwwK0NuU
イデを使ったらもう何もかも終わるからな
その後また始まるわけだが
すいません。空いていますか?予約無ければ10分後に投下したいと思います。
間が開いて申し訳ございません。22KBなので、よろしければ支援お願いします。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/12(月) 23:48:09 ID:DWZ9BRl2
支援ー
34.本物のアンリエッタ

『何か、マズイか?』

脳天気にヴァーミルナは言った。
ノクターナル程ではないが、彼女も定命の存在からの盗難被害が多いデイドラ王子である。
ただ、バレたらその後一生悪夢の世界で過ごさせるので、こっちの方が性悪である。
サイトはまだそれらに会った事が無かった。
もしくは会ったとしても、骨とかゾンビとかになっているから分からなかったのだろう。

『まだ生きておるのだ。問題はなかろう』
「ありすぎだよっ!」

ノクターナルの答えにマチルダが叫んだ。思考がアレなのが二人に増えたので、
ハリセンを振り回す気力は起きなかった。
その横でうわ、とフォックスの顔が歪む。
袋を肩からさげている青年は、どう見ても普通の状態には見えない。

「もしかして…こいつ、コープラスか?」
「コープラス?」

タバサは以前、マーティンからその名前を聞いた事があるが、
その内容までは聞いていない。ルイズはそんな病気すら知らない。

「ああ、生きたままゾンビになる病気みたいなものですよ。ミス・ヴァリエール。
 感染するとか聞いた事がありますが…」

そう言って、フォックスはサイトから距離を取った。
他の皆も同様に距離を取って、サイトから離れた。

実際の所感染力は高くはないが、相当に問題のある病気である。
体の腐敗と共に精神にも異常をきたし、最終的に機能不全を起こして死んでしまうのだ。
尚、この病気中は他の病気に一切罹らない。
この性質からある学者は「神々しい病(the divine disease)」とも呼んでいる。
イカレてる学者だから言うのだ。普通そんな風には言われない。

『…本当か?』
「いえ、私に言われても」

こうさせたのはあなたでしょ?と灰色頭巾に目で言われる。
サァ、とヴァーミルナの顔から血の気が引いた。
そう言えば、何かおもしろい病原体ばらまこうかなとか、
こいつが来る前に少し仕掛けたような。これも仕込んでたか?
もしかしてやっちゃったか?やってしまったのか?

後先考えずにやってしまうと、色々問題が起こる良い例である。
彼女の世界で見る夢は基本的に全て忘れてしまうので、
それなりにハメを外して恐ろしい事をするのだ。

基本的に覚えている夢は、寝ている本人の脳内で見ているか、
もしくは他のデイドラなりエイドラなりが見せているのだ。

「どシタの?う゛ぁーミるな」

よく聞いてみれば発音が変だと、彼女はようやく気付く。
まずいと顔が青くなる。コープラスの治癒魔法を彼女は忘れていた。
もし彼女が病気に罹ったりするのなら話は別だが、デイドラは病気になったりしない。
それ故彼女が治癒できる病気は、一般的な病気と一部地域の吸血病だけである。
神様とはいえ万能ではない。そんな神様ならたくさん必要ないだろう?
顔を真っ青にさせて考えるヴァーミルナの肩を、ノクターナルがぽん、と叩いた。

『これを飲ませよ』

どこから取り出したのか、怪しげなポーションを持っていた。
この親父の通称と司る物が同じだから偉い、
とか抜かすデイドラ王子は色々とアレだが、
作る物の質については良い。装飾を除いて。
この男を死なせるのは凄く嫌だ。アズラの所に行くかどうかすら分からないし、
私の蘇生魔法が効くのかも分からない。
そう思ったヴァーミルナはノクターナルからその薬をもらうと、
サイトの口を強制的に開けてガラスビンを押し込んだ。

『さて、治るか…死ぬか』

コープラスの特効薬は、確認される限りたった一種類しかない。
ちょっとイカレた魔法学者が造りだしたそれは、
コープラスの持つ負の作用を消し、
とても素晴らしい効用のみを体に残す。
すなわち、それ以外の病気に煩わされない、
というコープラスの良い特徴のみを残すのだ。

もっとも、それがちゃんと効いたのはたった一度しかない。
そして、それ以外は皆死んでいる。

『ちょっと待て、今のはどういう意味だ!』

ノクターナルは笑っている。基本的に弟や妹で遊ぶのが好きなようだ。
そうでなければ誰か一神くらい友達はいるだろう。
彼女と親しくする神なんて誰もいないのだ。

『では、後は任せたぞ?我が妹よ』

そう言って夜の女王は影に消えた。逃げたな。誰もがそう思った。
皆がサイトを見守る中、ルイズはヴァーミルナと呼ばれた女性を見る。
妹って事は、この人もデイドラなのね。揃ってマトモそうで無いのは、
創り主はマトモじゃなかったという事かしら。そんな事を考えた。

「お、おお、体の色が!」

フォックスの声で、ルイズはヤバそうなオモロ顔の男を見る。
彼の体の色が元の色なのだろう、黄色に戻っていく。

流石は英雄になりうる存在とでも言うべきだろうか。
ぽかん、と口を開けた英雄のタマゴは辺りを見回して言った。

「あ、あれ?何か周りの色が…」

彼は色覚にまで異常をきたしていたらしい。危機一髪だった。
悪夢の女王はほっと安堵の息を吐く。

『すまなかったな、サイト』
「へ?あ、ああ。いいよ別に」

よく分かっていない彼は、のほほんとヴァーミルナに言った。
そういえば、初めて名前で呼ばれたような。
何とはなしに嬉しく思いながらも、
サイトはとりあえず場所を確認する。

「ところで、ここってハルキゲニアとか暁の何とか(Dawn's Beauty)って所だっけ?」
悪夢を司る彼女が、タルブという村に来た事を言った。
その目的は手紙を渡す事であり、その手紙はタマネギ頭が持っている。
ああ、そういえば可愛らしいピンクがかったブロンド髪の女の子がいたな。
とサイトは水晶玉をのぞいて、少しばかりそれで見たことを思い出した。

「手紙…この筆跡は私の友の!」

タマネギ頭の熱狂的なファンが、頼まれた品を渡す。
親愛なるマーティンへ、から始まる手紙は、
それなりに長い文章だった。

要約すると、デイドラ王子達の依頼をこなしていく内に、
モリアン・ゼナスの様に神の世界を行き来できるようになった事や、
マーティンのお陰で帝国は平和である事。
ハルケギニアには最後の休暇として、アカトシュ神に頼み込んで行かせた事。
その地は遙か昔に竜の神が創った世界らしい事、
そして、かの神は君にとても感謝している事等が書かれていた。

アカトシュ神との約束でそちらには行けないけれど、
その内エセリウスで、ゆっくり話でも聞かせておくれ。
何だかよく分からない内に、帝国で七人目の英雄になった私より。

「そうか…シロディールは平和なのだな。友も元気そうで何よりだ。
変な事に関わっていないとよいのだが」

シロディールを旅した思い出が蘇る。少々気分が良い方向へ傾いていく。
何故か得た物は全て友が持って行ったな。前衛を任され続けた気もするな。
私は味方だ!(I’m your side!)とたくさん叫んだ事も、今は良い思い出だ。

英雄だって、現在の帝国が良い状況とは思っていない。
さらに言えば、通常邪神認定を受けている神様に成り行きでなってしまったのだが、
そんな事を書いてマーティンに心労を掛ける程愚かではない。
そこら辺は適当に書いてあるし、その事については言わないようにと頼んでいた。

『ま、そんなわけだ。で、アレは一体何をしでかした?』

夢の国の女王は、ノクターナルが何で薬なんて渡したのかを何となく理解した。
薬の代わりにここにいろといいたいのだろう。
効いた限りは頼みを聞いた方が良いだろう。無視して帰れば何をされるか…
それにすぐ帰るのもあれだ。ここに自力で来る事はひどく面倒なのだ。
ただでさえアカトシュの制約があるというのに。
そんな事を考えながら、彼女はマーティンが語る話を聞く事にした。
二階の別の部屋。
王子様とお姫さまは、同じ部屋で抱き合って眠っている。
正確には、爆発の影響で気絶して、そのまま眠っている。

ぴくり、とウェールズの体が動く。目を開けて辺りを確かめる。
月が綺麗な夜で、愛する人と一緒に眠っていた。

「ん…ああ、ここは?あ、アンリエッタ?」

と、月明かりしかないベッドの上で、最愛の人を抱きしめている事に気付いたウェールズは、
はう、と顔を真っ赤にして腕を離し、そう言えばとんでもないことを言ってしまったな。
と考え始めた。

「いや、だけど…あれはアンリエッタが誘って、でも、僕がそれにつられたのは良かったのか?けれど…」

と、そんな事をヤケ酒で痛む頭の中で考えていると、お姫様がもぞもぞと動き始めた。
体を起こし、可愛らしく欠伸をする。

「う、ん…?あ、ウェールズさま。おはようございます」

とろんとした顔のアンリエッタが、二つの月の光に照らされる。
この上なく美しい。ウェールズは惚れっぱなしではあるが、
また惚れ直して、何も言わずに彼女を抱きしめてしまう。

「うふふ、大好きですわ。ウェールズさま…」

ルンルン、と歌でも歌いそうな声で言って、
アンリエッタはウェールズに体重をかける。

「幸せですわ。国も、わたくしも」
「国?」

全くそんな事を考えていなさそうだから意外だった。
ウェールズは何となく聞き返す。

「はい。わたくしの身の振り方次第で、国はレコンキスタに飲まれてしまいますから。
 あまりわたくしや王宮の良い話は聞きませんわ。トリスタニアで流行っている歌ですけれどね。
 トリステインの王家には、美貌はあっても杖がない。杖を握るは枢機卿。
 灰色帽子の鳥の骨…」

おもしろそうに歌うが、良い歌とは言えなかった。
ウェールズは何か言うべきか迷ったが、とりあえず黙っていることにした。

「こんな歌が流れてしまうのですから、わたくしは好かれていないのでしょうね。
 ですが、わたくしはこの国が好きですわ。トリスタニア以外はあまり詳しくはありませんけれど」

クスクス、とアンリエッタは笑う。ウェールズは不思議がった。

「どうして?」

純粋な疑問だった。民に嫌われてこそ政をする者だ、という考え方はあるが、
それで好きでいるというのは、何か変じゃないかと彼は感じた。

「小さい頃、よく王宮を抜け出して街へ行きましたわ。
 皆、働いていました。活気づいた市場は人が多くて息がつまりそう。
 けれど、一生懸命な皆の様子を見ていると、全く違う世界にいる様にも思えましたわ」
まだ王家の意味を理解していなかった頃、
彼女は街へ事あるごとに繰り出した。
可愛らしくて、豪華な服を着た女の子が現れても、
何もしないように。したら打ち首。普通に仕事してれば良い。
というお触れがトリスタニア全体に出回っていたのと、
女の子には気付かれないように衛兵が常に近くにいた為、
彼女は安全に、様々な所を周る事が出来た。
衛兵さんも大変だねぇ。いえ、いつもの事ですから。
みたいな会話があったとかなかったとか。

「魅惑の妖精亭だったかしら。おもしろい所でしたわね。
 古いご先祖様がこの店に送った『魅惑の妖精のビスチェ』を着させてもらいましたわ」

王様が着させて構わない。むしろ着させて働かせるように。と命令したので、
スカロン氏の所で一日働く事になったアンリエッタ姫。
その日は平均より5〜6倍はチップが増大したとか。
公務をサボった王様やその周りの諸侯がフェイス・チェンジをして現れて、
大量のチップを払ったのは公然の秘密である。
彼らは後でマリアンヌ王妃とマザリーニに、
こってり怒られたとか怒られなかったとか。
アンリエッタ姫はお咎め無しである。
何か、皆前提を色々間違っている気がしないでもない。

「街のはずれの貧民達とて、トリステインの民草ですわ。もちろん、お恵みもしましたわよ?」

こうべを垂れ、涙を流して彼らは喜んだ。
王家の方々が俺たちの事をちゃんと考えていてくださるなんて。
感激した彼らは国への忠を熱く誓っている。それは今も変わらない。
悪い貴族連中とはまた別に考えている。

国を抜け出すのは力を持った連中だけだ。
そして大抵の場合、戻る為の資金すらなくなってしまう。
だから、未だに不名誉な歌が歌われてしまう。

本当に悪い所かどうかを考えると、そこまで悪い訳でもない。ただ、
夢を追いかける時、人は現状を悪いと認識してしまうものだ。
武器屋の親父が戻ってきたのも、トリステインの良い所に気が付いたからだろう。

「ウェールズさま。わたくしは国を捨てて、あなた様と何処かへ行く事も出来ますわ。
 けれど、それは嫌ですの。だって、民草は皆明日を生きる為に働いているのに、
 王家のわたくしが、それを無視してどこかへ行ってはいけませんもの」

彼女はわがままで世間知らずだ。
街の皆は彼女が姫様だと分かって接していたから、
暗いところや辛いところは見せてはいない。

しかし、真っ白な彼女はとても影響を受けやすい。
わがままであると同時に、自分とは全く違う世界に住み、
活気ある生活を営むトリスタニアに住む人々を、
守りたいと、彼らの生活を見て思った。

これを優しいと捉えるか、所詮持ちうる者の自己満足と捉えるかは人それぞれだ。
だが、何かを守ろうと思うことは悪い事ではないと思う。

「…立派だね。アンリエッタ」

一度でも彼女と共に逃げ出そうと考えていたウェールズは、自分が恥ずかしくなった。
その言葉にいいえ。と姫殿下は首を横に振った。
「本当の王家に属する者なら、自分を捨ててゲルマニアへ行くべきなのでしょうけれど、
 わたくしにはそれは出来ませんでしたわ。それをすれば、
 きっとわたくしは壊れてしまっていたでしょうから」

ぎゅっと、アンリエッタはウェールズに抱きついた。
薄暗い月明かりの中、二人の間に距離は無い。
お互いの鼓動が聞こえる。少し早い。

「わたくしは幸せ者ですわ。民の平和も、自分の幸せも手に入れられたのですから」
「ぼくも、愛する君と共にいられて幸せだよ」

二号さんは嫌だけどね、とぼやく。アンリエッタはまた笑った。

「お慕いしておりますわ。ウェールズさま。だから…その…」

ぽ、と顔を赤らめる。ウェールズは何も言わず口づけを交わす。
心の中で始祖と母からの許しは得た。なら後は何も問題はない。
アンリエッタは、うっすらとこれから起こる事に期待した。
マーティンからだいたいの話を聞き終わったヴァーミルナが、
そんな事で一々泣いたりするから、我らから小さき者とか呼ばれるのだ。
と思いながら一言だけ言った。

『真に受けるな』

それで全てを終わらせようとしたが、
もうちょっと言い方があるのではないでしょうか?とルイズが言ったので、
ああ?と面倒くさげに続きを話し始めた。

『アレは親父の受け売りを頭から信じ込んでいるのだ。
 だいたい、ニルンをロルカーンが創造したのは間違いないが、
 かと言って竜神はお前達を消したがってもいないだろうさ。
 ジャガラクでもあるまいし、もう少々頭は柔らかいぞ』

昔はそうだとしても、気が変わる事もあるだろうに。
そう言ってヴァーミルナは笑う。
タマネギ頭とサイトは、何の話なのか分かっていない。

『それに、最近のエルフ共はデイドラを信仰しているが、
 その理由も現金なものだからな。私が言ったところで何の説得力も無いが、
 エイドラの方がお前達には合っているぞ?』

古来は神々への畏敬の念からの信仰が多かったが、
最近の信仰の理由はデイドラの魔法力目当てか、
お使いをすれば何かアイテムをくれるからだ。
心からの信仰ではない。デイドラ信仰は基本的に異端である為、
そんな事でもしないと人が寄って来ないのだが、
それが一般的な神の方にまで波及しつつある。

「では、では何故神々は私たちに何も…」

マーティンは辛そうに言った。

『甘えるな。と表向きには言いたいのだろうな。
 事あるごとに神に頼み事をしていたら、お前達はどうなる?
 いざという時、現人神にばかり頼んでいたモロウウインドの者達は、
 今一体どうなっている?…お前達の頭で考え、体で動け。
 それが定命の者として生まれた宿命だよ。
 こちらの奇跡はむこうの偶然。一度くらい聞いた事があるだろう?
 神が遊びでやった事が、お前達にとっては良きしるしとなる事もあるんだよ』

ある種納得のいく話と言えなくもないが、疑問が残る。

「では、裏向きは…?」

『面倒だからじゃないか?エイドラとデイドラは古来同じ存在だった。
 それはアカトシュの制約が、他のエイドラ達にも有効である事を示すな?
 で、お前達の領域に行く前に、オブリビオンを抜けなくてはならない。
 いくらかの連中は抜けようとすらしなかったなぁ。ま、抜けようとしてもだ。
 今回の騒動はおもしろかったからな。皆、エイドラ共を通さぬようにしていたわけだ。
 教会とかのは別だぞ?あれは契約でボエシアが通しているからな。
 だが、あの帝都が落ちる最後の最後でペライトが裏切りやがった。
 空気読めよな。ああ、まったく。あんなに面白いことは滅多に無いというのに』

信者を助けてもらったから、借りは返しておかないと。
とは生ある者にとっての空気が読める、緑色のドラゴンなデイドラ王子、ペライトの談である。
彼は悪魔的とも称されるが、実際のところ定命の存在の意志をとても尊重している。
そんな所が一部で人気を呼んでいるのだが、
その信者達が無謀にも彼の領域に行こうとした。
当然成功するはずもなく、その時とてもニルンと近くなっていた、
破壊神デイゴンの領域に魂を持って行かれてしまう。
ペライトといえども下手にその領域に行くと、
後でとても面倒な事態に陥るので困っている時、
通りすがりの旅人が彼の頼みを聞き、
見事信者達の御霊をこの世に返したのだ。

何故か肉体が傷だらけの信者達をよそに、
後のチャンピオンは褒美として、とても素晴らしい盾を授けられた。
義理堅いペライトは、それだけではまだ恩を返しきれていないと思い、
最後の一件の時に、アカトシュの力をニルンへと送る手助けをしたという訳である。


マーティンはまだ不安そうだ。己が信じる神があんなのに否定されたくらいで、
一々ウジウジすんなこのバカ皇帝が。と思いながら夢の国の女王は話を続ける。
刺激しちゃだめだから。と前もって言われていた。
サイトは、マーティンの隣にいる女の子に見とれている。
どんなサイトだって、普通の平賀才人ならそうなってしまうのだ。

『心配するな。アカトシュがお前を誉めていたのは真実だ。
 エセリウスには私も足を運んだからな。何だかんだで情も移っただろうよ』

切実な問題である。本来の信仰者であるはずのハイエルフ達はそっぽを向きつつある現状、
帝国に頼るしか策がない。その割に現在、帝国は崩壊のカウントダウンの真っ最中なので、
アカトシュも結構楽観的なのかもしれない。

『神も色々と大変なのだ。ノクターナルは違うようだがな。
 あれは何を考えているのかサッパリだ』

「大変…なのですか?」

ルイズが言った。ああ、そうだ。と信者でないし、
バラす事もないだろうからと悪夢の主は裏話を始める。

『信者達の前で何か奇跡でも起こさないと、すぐに別の奴の信者になるし、
 かといってやりすぎると、神殿が他の神に消されかねん。
 バランスが大事なんだよ。やりすぎたボエシアは神殿吹き飛ばされたからな。
 あいつは血が好きでな。確か年に一回訓練日とか修練の日等と称して信者を戦わせてな。
 何人か死なないと満足しなかったらしい。懲りずにまだやってるそうだ。
 神殿壊したのは多分シェオゴラスの仕業だ。あいつは嵐が好きだからな…
 シェオゴラスというのは乱心の神だ。なかなか楽しい奴だった』

定命の存在がちゃんと神様をやろうとすると、
気が狂ってしまうくらいに大変だ。
だから英雄は手を抜いて、冒険をしたりしながら神の業務をやっている。
具体的に言うと、真っ当に生きていくのが辛くなった人々の肩を叩き、
危ない事をしでかす前に、楽しい人生を送れるようにお手伝いをするのだ。

楽しい人生。といわれると色々思われるだろうが、
いわゆるその個人のみ楽しい人生である。他に迷惑がたくさん掛かったりする。
具体的には犬に生まれ変わったと錯覚したり、
子供食べたいとか真顔で言ったり、
光が見えるか?あの光が見えるか?と暗闇を指差したり、
お前凄いな。個人的には目ん玉くり抜きたいけどな!
とか言い出したりするということだ。
他にもフォークが大好きになったりする。
「歌うフォーク。岩の様に歌うんだ」

どんな歌かさっぱり分からない。

「はぁ…」

狂気の神様とかもいるのね。どんなのよ一体。
ルイズは、何だか自分の思考の中の神様像が、
ここ最近ずっと崩れっぱなしなのを感じながら、
ヴァーミルナの話を聞いている。

『ところで、私の事は覚えているか?ルイズ・フランソワーズ。
 最近、お前には何度か特別な夢を見せているからな』

あの時の人ってあなたなの!?そうだとも。
いつだったか、夢で出会った女性と全く違う姿に驚く。
やっぱり普通じゃないのね神様って。でも、
この神様達に物事を頼みたくはないわね。ルイズはそんな事を思った。

さて、とヴァーミルナは魔法を唱えて、鏡を造り出す。

『そう名残惜しくも無いが、私も帰るぞ。じゃあな竜の子よ。
 また私の領域で会うとしよう。怖い悪夢を揃えて待っているからな。
 お前が恐怖と共に目覚める様を、私は楽しんで眺める事にするよ。
 アカトシュに何か言いたい事があったら、直接言え。どうせその内逝くだろう?』

それはそうですが。と何か言おうとするマーティンの言葉に耳を貸さず、
ほら、行くぞと二人に呼びかける。タマネギは早々に帰っていった。

「んじゃ、失礼します」

あの子を気にしすぎて何か忘れたような。と思いながら行こうとするサイトに、
マーティンは待ったを掛ける。この青年は人間のようだが、
デイドラの信仰を…私が言えた義理ではないのだがな。
そんな事を思い、話しかける。

「君が何者かは知らないが、デイドラがどういう存在かは分かっているのかい?」
「え?あんまり考えてないですけど」

結構人っぽいですよ?と言うサイトの言葉に、
だと思ったよ。とマーティンは苦笑した。
昔の自分のような危なっかしさを、この青年から感じた。

「一言だけ、経験則から言わせてくれ」
「はぁ」

「そなたがオブリビオンに立ち入るとき、オブリビオンが汝に入り込む。
 オブリビオンの領域は危険だ。飲み込まれない様に気をつけるんだ。
 分かったかい?」

とりあえずサイトは頷き、ヴァーミルナと共に帰ろうとしたが、
肝心の夢の国の女王が、青い髪の女の子に止められていた。
ノクターナルに頼んでくれ?無茶を言うな。絶対に嫌だ。
それよりだな…と彼女は青髪の女の子に何かを言っている。

チラリ、とルイズに視線を向ける奇妙な服を着た青年を見て、
分かってないよなぁ。若い頃は無茶をしてしまうからなぁ。と、
マーティンは自分の昔を思い出した。とりあえずは何とか、心に平穏が戻っている。
友人の手紙の効果もある。しかしノクターナルの話が、
他のデイドラ王子に否定された事も大きかった。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 00:01:13 ID:ZwwK0NuU
シエーン
「ねぇ、マーティン。その…」

ルイズがマーティンの顔を見る。考えてみれば、とんでもない所を見られてしまったな。
ようやくそう気付くと、マーティンは恥ずかしそうに目線を逸らして頭を掻いた。

まだ否定されたダメージは残っているが、
判断材料が少ない事に、彼はようやく気が付いた。
どんな事であろうとも、一つだけの情報を鵜呑みにしてはいけない。
研究者メイジとして、基本的な事柄を忘れてつい信じ込んでしまった。

見習いメイジがよくやる、初歩的なミスだというのに。
あまりにも衝撃的だったからこそ、信じてしまったな。
少々、顔を赤くしてルイズの方を向いた。

「あー、その、年甲斐もなくあんな姿を見せてしまって…」
「泣きたい時は、誰だって泣けば良い。そんな事に年は関係ないぞ?お若いの」

ジェームズが微笑んで言った。ほら、マスターだってこの意気だよ。
いや、でもなぁと、まだ立ち直るきっかけが現れないフォックスは、
嫁の手紙でも来ないかな、と思っている。
夫の事を完全に忘れているミローナ伯爵夫人は、明日の公務のためにもスヤスヤ眠っている。


「分かった」

タバサはそう言って話を終え、ティファニアの方へと向かう。
さて、帰るか。と鏡の方へと二人は歩く。

「あれに入ったら帰れるんじゃないの?」

「いや、オブリビオンに行くだけだ。ニルンには戻れないよ。
 それに生身で行きたい所でもないしね」

うん?とルイズは不思議がった。

「じゃあ、何で二人はここに来れたの?さっきの変な小さいエルフとは知り合いでしょ?」

「ああ、多分さっきの彼はアズラ信者だからじゃないかな。
 デイドラの領域に踏み込んでも、おそらく帰る事が出来るのだろう。
 私には知り合いのデイドラ王子がいることはいるんだが、世話になりたくないんだ。
 その内アカトシュ神が迎えに来てくれるみたいだしね。
 それと、どうもあの青年はタムリエルの生まれでは無い気がするが…」

その青年、平賀才人は何かを思い出したようで、ヴァーミルナに二言、三言呟いて振り向いた。

「えと、マーティンさんでしたっけ?」
「ああ。そうだ」
「これを。もし機会があれば渡してくれって」

今思い出しました。とサイトは肩からさげていた袋を渡した。
マーティンが中身を見ると、結構な量の本が入っていた。

「おお…重かっただろうに。ありがとう」
もらった本はタムリエルの魔法について書かれた本と、
いくつかの文学作品だった。正確に言うと、
魔法学の本は欲しかった『神秘論』に、
サイジックについて詳しく書かれている『アルテウムについて』、
フォックスに間違えて覚えられていた高名なメイジ、
ズーリン・アルクタス著の『魔法戦の技術』、
そしてアイレイドについて書かれた『栄光と嘆き』等だった。

文学書の方はというと続き物が多かった。
おそらく暇つぶしにでも、ということだろう。
絶版になって久しい、激動の第一紀の終わりを描いた名作歴史小説『2920』を始め、
ウォーヒン・ジャースの力作『火中に舞う』や、
その続編とも言える『アルゴニアン報告』等、読み応えのあるシリーズだ。
ここまでは何も問題なかった。これらをどこから持ってきたのかを考えなければ。

他にも、何故か『アルゴニアンの侍女』(Lusty Algonian maid)
とか『仁徳ある義賊』に『本物のバレンジア』、
そして『ハルガードの物語』もあった。
マーティンはううむと顔をしかめ、この年で何をしろというのだ?友よ。
と窓から見える二つの月を見ながら思った。

投下終了。
オブリビオンの巻き込まれ型主人公は、色々あったけどマーティンの友達です。ではまた次の投下まで。
遅くなりましたが本年もよろしくおねがいします。おやすみなさーい。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 00:09:02 ID:RP8lOeGF
もしかして規制かかった?
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 00:18:12 ID:Q83obf6G
お疲れ様ですシチズン。

帝国有数の萌え本が来てしまいましたw
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 00:32:58 ID:HzCwYjjX
遅ればせながら、TAPの人乙です

少々気が早いですが誰がワルドをボコるのか楽しみにしてます
…まぁ、シチュ的にあの人以外考えられないんですけどね
79魔導書が使い魔:2009/01/13(火) 00:55:14 ID:/OIPuobk
あ……ありのまま起こった事を話すぜ!
『おれは虚無の休日を書いていたら
まったく違う話が出来上がっていた』
な……何を言ってるのかわからねーと思うが
おれも何をしていたのかわからなかった……
頭がどうにかなりそう(セリフAA略

すいません、この間はこのスレをお騒がせした愚か者です。
なんとか、書いている物に区切りが出たので、1時5分から投稿しようと思います。
31kbとか大変なことになっているので、できれば支援をお願いいたします。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 01:04:23 ID:IOk7Q/0X
カモン
81魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:05:49 ID:/OIPuobk
「『エア・カッター』」
唱えた魔法は風の刃になり、後ろの大木を数本巻き込みながらソレを両断した。
上下を寸断されたソレは動きこそ鈍ったが、這いずりながらも進んでくる。
その様を見て、少々顔が強張る。夜の暗闇で詳細が見えないのが唯一の救いか。
だが安堵しているヒマはない。
深き森の奥。遠くうめき声を伴って続々とソレは出てくる。
その中でも特に動きの速い集団が迫る。
それを見て、柔らかい腐葉土に杖を突き刺す。
詠唱は短い。
「『錬金』」
杖を引き抜くとすぐにその場から駆け出す。少しでも距離を稼ぐために。
だが“活きのいい”その集団はそれ以上の速さで追いすがり――
先頭から転び始めた。
何度も不器用に立とうとして、また転ぶ。
ソレらは地面に広がる油にまみれていた。
息を切らせて走る。
途中途中『エア・カッター』でまとめて木を切り――不意に出くわしたソレら
をも巻き込んで――防壁のように倒す。カバーしきれない分は『錬金』で腐葉
土を油に変える。
所詮は時間稼ぎだと判っている。
このままではいけないとも。
だが――
繋いでいた手にギュッと力が込められる。
そちらを向くと、今にも零れそうな涙を目に溜めた少女がこちらを見ていた。
タバサは少女の目を見つめ返すと、少女の心の内にある不安や恐怖が少しでも
無くなるように言った。
「大丈夫。あなたはわたしが護る」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


トリステイン学院女子寮の一室。
日はとうに沈み、双子の月が頂から傾き、虫も眠る夜の帳。
「…………」
静寂……。
そこには静寂があった。
もちろん、空気の対流、舞う微量な埃、吐かれる息、規則正しい鼓動などなど
を挙げれば動いていることになるのだろうが。それは静寂である。
たとえ多少の動きはあっても、観測する物がそれを認識しなければそれは無き
に等しい。
そう、動いたという認識がなければ全ては静止し静寂へと沈む。
この部屋の主、タバサは普段からその静寂を愛し、浸りそれを感受するのが旨
なのだが。
今日はいつもとは違う。
手に持つのは1冊の書籍。
彼女のお気に入りの本の1つであり、遥かなる想像の世界へ旅立たせる翼である。
「…………」
先ほどから覗き込んでいるそれは、1時間前からページは捲られておらず。タ
バサは微動だにしない。
だが動かぬ体とは裏腹に、頭の中では様々な思想が飛び交っている。
思考を占めるのは昼、ヴェストリの広場で行われた決闘騒ぎ。
心配性の親友に付いて行く形で一緒にいたタバサは大体の流れは見て取ってい
た。
メイドがギーシュから理不尽な怒りを買い、それをルイズとその使い魔の少女
が代わりに解決した事件。
結局ギーシュは負け、勝ったルイズも疲労か医務室へと運ばれていった。
そこまではあまり興味のないことがらである。
文字で羅列するとなんのこともない日常なのだが。
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 01:06:21 ID:ZhMRqlqS
支援
83魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:06:48 ID:/OIPuobk
(――あの魔法はなに?)
そう、その合間。劣勢であったルイズが、魔法が使えないゼロのルイズと呼ば
れる少女が。ギーシュに勝った理由であった。
剣を取った後のルイズの動きは素早く、左手に光るルーンも興味を引いた……
が。
やはり使い魔と言われている少女が、ギーシュの『練金』した剣を“更に別の
剣へと『錬金』した”ことが一番の疑問であった。
剣をさらに『錬金』するとき、少女はなにも持っていなかったのである。
通常メイジが魔法を使うのには杖が必要となる。
メイジという存在は己の魔力を、杖を通して魔法として世界に放出する。それ
は絶対であり、人間であるならばその前提を覆すことはできない。
倉庫でそれを例えるなら。倉庫がメイジ自身でその中身が魔力、杖は倉庫の扉
となっている。
メイジは倉庫から魔力を運び出すことによって、初めて魔力を魔法へと昇華で
きる。
あの始祖ブリミルでさえ杖を使ったのだ。
だが、あの銀髪の少女は違う。扉のない倉庫から魔力を運び出した。
(……先住魔法?)
そこで考え付いたのはそれだった。
この世界には、メイジとは違い杖を使わなくても使える魔法がある。エルフ、
韻竜、吸血鬼などが使う5元素以外の魔法。
彼らはそれを精霊の力と呼ぶ。
その力なら、杖を使わずとも魔法が使える。
だが――
(……違う)
そう、あれは違った。
先住魔法とは、彼らが言う精霊の力であると考えられている。
それゆえに精霊、自然と関わりのある物でなければその力は発揮しない。銀髪
の少女が『錬金』した剣は、元々はギーシュが作り出した剣である。
手放したとはいえ、精錬した青銅は未だギーシュの魔力が篭っていた。早々操
ることはできないだろう。
となると、やはり銀髪の少女はメイジの魔法でも、先住魔法でもない“別系統
の魔法”を使ったことになる。
(違う系統の魔法――そういえば)
パタリと書籍を閉じる。ようやく静寂が破られた。
閉じた本を置くと、代わりに別の書籍を手に取り、捲り始める。
「…………」
その題名は『失われし秘蹟』。
300年以上前に大陸中を渡り歩いたと言われている2人の冒険家の残した書籍で
ある。
著者名は無く、そこには荒唐無稽の様々な冒険が綴られている。
専門家は「あまりに馬鹿げている。これは想像で書いた物だ」と一蹴した。
だが、本当にそうなのだろうか?
確かにこの話は、タバサも初めは空想の話として読んでいた。事実、信じられ
ない話ばかりである。
海の底に沈みし大陸ほどもある巨大都市、遥か空から来る無形の異形、人が生
まれるより前からこの地に眠る邪悪なる神々、常人が見れば発狂する謎の言語
が書かれた石盤、人知未踏の場所で暮らす“人ではない人種”。
本来ならこのことを気にもしなかったであろう、だが。
「…………」
開かれたのはとある章。
そこへ書かれているものは――
その時、バサバサと窓からなにかが降り立つ。
「?」
窓枠には1匹の鳩。
この深夜。梟などの夜行性でないかぎり、鳥が夜に飛ぶはずはない。
だがその鳩をよく見ると、わかるだろう。
それが石で作られた鳩であることに。
ガーゴイル。
84魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:08:24 ID:/OIPuobk
ゴーレムと違い力こそ無いものの、ある程度まで自立的に行動させることがで
きる魔法人形。
「…………」
その石の鳩の足には、1通の便箋が結わえられていた。



上空3000メイル。
見渡す限り拡がる緑、吹き荒ぶ風の中。空を飛ぶ1匹の竜。
青い。空に溶けるような青い鱗を纏い、その巨体で悠然と空を飛ぶ姿を見れば、
誰もが見事な風竜だと息を呑むだろう。
翼は風を掴み、尾は風に流れ、体は風を突き抜ける。
空においては他に勝る生物はいないとまで言われる風竜は、まさに風の名に恥
じぬ貫禄を持って――
「もうなんなのねあの王女は! きゅいきゅい!」
――甲高い声を上げた。
厳つい、強面、ごつい。そんな形容詞が似合う顔から、まるで多感な少女のよ
うな声が吐き出される。
「シルフィードはあいつ嫌いなのね!」
姿を見たものが見事と息を呑むのなら、声を聞いた者は驚愕に息を呑むだろう。
いくら竜は知能が高い幻獣だとしても、喋れるはずもない。
そして更に、聡い者ならその答えに行き着くだろう。そう人語を介し、先住魔
法をも操る一説には絶滅したと言われている風韻竜だと。
「お姉さまもそう思うでしょ! きゅいきゅい!」
自らをシルフィードと名乗った竜は、不意に自身の背中へと語りかける。
果たしてそこには――
「…………」
背中に並ぶ鶏冠のような突起の1つに体を預け、タバサが座っていた。
風が激しく吹き流れ、これもまた空に解けるような青い髪を乱雑に撫でる。
そんな風の中、タバサはなにごともないかのように本を広げている。
「…………」
シルフィードの言葉にも反応せず、自分の世界を構築しているタバサ。
この強風の中、ページを捲る手は迷わず止まらず進めていく。
「あの王女なにが簡単な任務ね!」
それでもシルフィードの口は止まらない。
「相手もわからないのにどうしろと言うのね!」
ぴくりとタバサの手が止まる。
任務自体はそう珍しいことでない。
母国の王女は、なにかとタバサを目の仇にし。気まぐれに危険な任務へと向か
わせる。
大抵はその相手ぐらいは教えてくれるものなのだが。
脳内にその声が再生される。
『今回の任務は化け物退治よ』

多数の使用人が控える部屋の中心。
退屈そうに椅子に座る少女が言った。
「山岳地帯で村々が襲われているって話」
タバサと同じ青い髪を揺らし、少々装飾過多なドレスに身を包んだ少女――イ
ザベラはタバサを見る。
そこに浮かぶのは蛇を彷彿とさせるようなネットリとした憎悪。
「なんでも、その化け物に襲われた村は死体が1つ残らず消えちまうらしいん
だよ」
イザベラはタバサの傍まで歩み寄ると、その端正な顔をスレスレまで近づけま
るで好物を前にした獣のようにぺろりと自身の唇を舐めた。
それは到底王女のする行動ではないが、見た目の気品にその粗野な行為は妙な
生々しさを色づける。
「さあ、どんな化け物なんだろう。一部じゃ、メイジに住処を負われた吸血鬼
の集団が、村々を襲って全員グールにしている、なんて噂もあるが。そんな可
愛いものだったらいいねぇ。ははははは!」
85魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:09:44 ID:/OIPuobk
堪えきれないという様に笑うイザベラ。
俗に言われる吸血鬼とは、日光に弱いが多少なり先住魔法を使え。人よりも高
い身体能力。また血を吸うことで人間を1人を意のままに操れるとくる。
そしてなによりも、完璧に人に擬態することが出来る。それはメイジでも見破
ることは適わず。吸血鬼とは夜の狩人、人狩人(マンハンター)と呼ばれる人
間の天敵のような存在なのだ。
決して可愛いと呼べるものではない上に、村人全員をグールにできるような集
団など笑い話にもならない。ここでイザベラがわざわざ出したのは恐怖心を煽
るためであったのだろうが。
「…………」
タバサは無言。
「なんとか言ったらどうなんだい人形娘!」
焦れたのか、イザベラがタバサの顎を掴み強引に目を合わせ。
「…………」
その瞳は、まるで底無しの井戸のような途方もない虚無と、凍えるような冷た
さを有していた。
「――っ!」
思わずイザベラは手を離す。
「せ、せいぜい死なないように祈ってあげるよ!」
椅子へ座りなおすと、まるで自分が怯んだことを取り繕うように言い放った。

「きゅい! お姉さま聞いてるの!」
タバサはその声で現在へと引き戻される。
「さっきから本ばっかり読んでシルフィードの話をちっとも聞いてないのね!」
ぼんやり思考に浸っていたのだが、話を聞いていないという点では同じか。
「お姉さまは悔しくないの! あんな王女に変な命令されて!」
「…………」
「きゅいきゅいきゅいきゅいっ!」
不満を表すようにグラグラとシルフィードが体を揺らす。
だが、まるで接着剤で着けているかのごとくタバサは定位置から動かない。
「無視しないで! 無視しないで! お話したい! お喋りしたい! お肉食
べたい! お腹がすいた! お腹がすいた! お腹がすいた!」
なぜか途中から欲望に忠実な発言へと切り替わっているが、本音はこれだろう。
だが。
「…………」
タバサはただ黙々とページを捲った。
更なる実力行使に出ようとシルフィードが構えたとき。
「見えた」
「きゅい?」
すっとタバサが杖を差し出す。その先には――山々の緑の中に埋没するように
村があった。



ザビエラ村。林業と王宮の料理人も注文する山菜を主とした村である。人口は
350人前後。周囲の村と比べると人口はそこそこ多いが、多すぎるほどではな
い。
だが最近周囲の村々から連絡が途絶え。様子を見に行った者が見たのは。
無人の家々と、大量の血の跡であった。
そして大量にあったそれに比較しても、死体の1つも見つからない。
またそれと時を同じくして、森の奥で不気味に徘徊する大量の人影を見たとい
うのだ。
その様子から村人は恐らくは吸血鬼のグールだと思い、王宮へと助けを求めた
というのが報告書の中身である。
確かに人を自由に操れるのは吸血鬼だが。
そこまでの状況を吟味しているタバサの脳内に疑問が生まれていた。
それは本当に、吸血鬼なのだろうかと。
86魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:12:19 ID:/OIPuobk
いきなり村の中心に下りると混乱を招くと判断したタバサは村から少し離れた
場所へシルフィードを着地させた。
シルフィードの背から降り立つ。
少し高い場所になっていて、ここからは村が見下ろせる。
見る限りは平凡な田舎の村なのだが。
よく見ると、昼間だというのに出ている人数はほとんどなく、どことなく寂れ
かけた村の腐臭が漂ってくるかのようだ。
それを見て、タバサは歩き出そうとして。
ぐい、とタバサのマントが引っ張られる。
振り返ると、マントを咥える風竜が1匹。
「なに?」
素朴な疑問をあげるタバサ。
「お姉さま、わたしはどうするの?」
「…………」
タバサは少し考えると。
「空で待機」
「嫌なのよ! 嫌なのよ! お腹がすいた! ご飯食べたい!」
ジタバタと暴れるシルフィードを見て、ゴンとシルフィードの頭を杖で叩いた。
「痛いっ!」
あまり力を込められているようには見えないが、かなり痛かったのだろう。
うーうーと唸っているシルフィード。
タバサは1つため息を吐くと。
「後でご飯を貰ってくる」
「きゅいっ!」
キラキラと目を輝かせるシルフィード。
「ほんとなのね? ほんとなのね? ほんとなのね?」
しつこく念を押すように聞いてくるシルフィードにタバサはコクリと頷いた。
「さすがお姉さまなのね! るる〜る〜――痛いっ!」
今にも踊り出さんばかりに歌い出したシルフィードの頭をタバサは杖で叩く。
「お姉さまなにをするのっ」
「喋らない」
タバサが静かに言うとシルフィードはシュンとして鳴いた。
「きゅいー……」
それを見たタバサは、背を向けて村の方向へ歩き出す。
「お姉さま! ご飯たくさんもらってきてね!」
背後でシルフィードの羽ばたく風の音とそんな要求が聞こえた。

「おお、よく来てくださいました。騎士様」
歓迎の礼を取り、村長と名乗った白髪の老人がタバサを迎える。
それにタバサは名乗った。
「ガリア花壇騎士、タバサ。“風”の使い手」
「騎士様。どうか、村の不安を晴らしてください」
そう言い頭を下げ頼み込む尊重だったが、遠巻きに見ている村人の反応は違っ
た。
騎士の話を聞いて集まったはいいが。タバサの姿を見ると露骨にため息を吐き、
ひそひそと話し合う。
「見ろよ、あれが騎士だってよ」
「まだ子供じゃないか」
一時は期待に顔を輝かせていた村人たちの間に、重い空気が立ち込める。
「大丈夫なのか?」
「さあ? でも杖を持っているから少しぐらい魔法は使えるんだろ?」
決して大きくはないが、かといって抑えているわけでもないその声はタバサに
も聞こえるが。
「…………」
タバサ本人は気にもしていないのかただ無言を突き通した。
「こらお前たち」
村長が軽く嗜めるも表向きは黙るが不信な瞳は変わらなかった。
「お前たち、せっかく騎士様がな――」
それに更なる言葉を費やそうとした村長だったが。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 01:13:43 ID:IOk7Q/0X
しぇん

この言葉書き込むの一年ぶりだ
88魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:14:33 ID:/OIPuobk
「いい」
「騎士様?」
タバサが村長を制する。
「それよりも、状況を説明して」
申し訳なさそうにしている村長に、タバサは先を急かした。
「はあ、それでは話はわたしの家で」
そう言うと村長が率先して歩き出す。その後ろをゆっくりと付いて行くタバサ。
「…………」
その姿に向けられる視線は、いぜん冷たいままだった。

村長に連れ立っていくタバサを見送った後、村人たちは口々にその思いを言っ
た。
「あんなのが騎士だなんて」
「王宮め……子供なんて送ってきやがって……」
「税を搾るだけ搾って、いざこちらが助けを求めてもこんな仕打ちとは」
「やはり、無能王の名に偽りはないみたいだな」
出るものは不安に嘲り憤慨に失望。
期待していた者とはあまりにもかけ離れた人物が来たことで、村人たちが抱え
ている黒いものが次々に吐き出されていく。
「どうするんだよ。あの騎士様は役に立ちそうにないし」
ふと1人が漏らした言葉がみんなの心を縛った。
まだ実際の被害に出ていないが、逆にそれが村人たちの不安を増徴させている。
正体がわからない。
未知の恐怖、対策をどうとればいいかもわからない状況に彼らは怯えきってい
た。
そんな中。
「あの騎士に頼れないなら、俺たちで解決すればいい」
そう言ったのは、薬草師であるレオンだった。
村1番の切れ者だと自負しているレオンは皆へ向き直る。
「なんでも近くの村を襲っているのは吸血鬼の集団らしいじゃないか」
彼は語る。
「吸血鬼はずる賢い。だがあっさりと村が消えたのはおかしい。いくらなんで
も急に襲われても1人ぐらい免れてもいいはずだ」
それは確定していない、有象無象の噂の1つだった。
「そうすると、吸血鬼が村に入り込んで手引きしていたからに違いない」
だが、
「そ、そうに違いない!」
人々は正体のわからない相手に明確な“形”を与えられたことに、ある種の
“安堵”をした。
それはとても楽なことだろう。吸血鬼は人にとって最悪の部類に入るのだが、
みなは未知への恐怖から既存の恐怖へと逃げた。
「だ、だったら誰が吸血鬼なんだ」
「そうだ、誰なんだ!」
まだいるともわかっていない相手(吸血鬼)を探す者たち。
決して愚かしいと笑うことなかれ。
決して嘆かわしいと嘆くことなかれ。
彼らは苦しみ、その救いを求めているだけなのだから。
「みんな、よく考えてみろ」
だから彼は語る。
それはまるで熱弁を揮う演説者のように、指揮棒を振るう指揮者のように、暗
闇に恐れる子供のように……。
「最近この村に来たやつらがいるだろう?」
「あの占い師のアマンダ婆さんか!」
ああ、誰よりも賢き彼は。その実、誰よりも恐れているだけなのだ。
「たしかにあの婆さんは病気だなんて言って昼間も外に出ねぇし、吸血鬼に違
いねぇ」
「でも息子のアレキサンドレは日中も外に出てるぞ」
「それはアレキサンドレがグールだからだよ」
89魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:16:02 ID:/OIPuobk
「そうだなアレキサンドレなんて向かえの娘と乳繰り合うようなことを聞いた
ぜ。血を吸おうと狙ってるんだ」
恐れるべき相手がわかったことで、急速に広がっていく憶測。
それは留まることを知らず、皆へ伝播していく。
そして皆の視線がレオンへと止まる。
「そ、それでどうするんだレオン」
やはり憶測で語ることにどこか不安が残っているのだろう。窺うような物言い
にレオンは迷いなく応えた。
「それは簡単だ」
彼の目には嗜虐の喜びと、意識しない恐怖が宿っていた。
「俺たちでこの村を守るには、天敵たる吸血鬼を排除するんだ」



平凡な家々が並ぶ中、村長の家は他の家よりも多少大きいといった程度で。中
の様子も田舎の家らしく質素なものである。
応接間へと案内されたタバサはそこで村長から改めて話を聞き終えていた。
「本当に、その村には死体1つなかった?」
出されたお茶を手に持ちながらタバサが改めて聞く。
「はい。その村へ行った若者の話では」
結局、村長の話したものは報告書の内容と大差はなかった。
「森で見た人影は?」
「はあ、複数人が不審に徘徊していたとしか」
そうして話を聞きだし、無駄な情報をそぎ落とそうとしているのだが。あまり
にもこちらの話が不透明すぎた。
ほとんど、近くの村人が消えた以外には確実な情報がないである。
メイジに負われた吸血鬼の集団。森にいる大量のグール。
その2つは冷静に考えればあるはずもない。
だけど実際に人の消えた村があることから皆は不安から噂を作ることにより、
心の平静を保とうとしているのだろうとタバサは推測した。
「……そう」
一息入れるためか、タバサは手にしたお茶を口へ運ぶ。
お茶を含むと独特の苦味が口内に広がっていく。
この村の自慢の特産のハシバミ草で入れたお茶だそうで。栄養価が高く、遠く
他国からも求める料理人がいる。だがその味は基本的に酷く苦い。多少なら料
理の味を引き立てるが、よほどの物好きでない限り好む者はいないのだが。
「…………」
さきほどからそのお茶をタバサは頻繁に飲んでいる。
はじめ村長が飲んだとき、顔をしかめて淹れる茶葉を間違えたと言っていたが。
目の前で黙々とお茶を飲み、何度もお代わりを頼む彼女に驚いていた。
「…………」
「…………」
暫しの沈黙。
タバサが10杯目となるお茶に口をつけた時であった。
「あの」
沈黙に耐え切れなくなったのか、村長が口を開いた。
それは心に燻っていた不安だったのだろう、弱弱しく吐き出された不安は。
「噂ではこの村に吸血鬼が――」
「それはない」
タバサによって断ち切られた。
「今の話を聞く限りでは吸血鬼が行った行動にしては不審点が多すぎる」
二の口を告げなくなった村長は居心地が悪そうになった。
少し言い方が悪かったかと思ったが。憶測や噂で勝手に想像を膨らませて、勝
手な行動を取られてはタバサとしても行動がしづらい。
可哀想だがそういう話はバッサリと切らなくてはならない。
別の意味で空気が重くなる。
その状況を変えようとしたのか。タバサが11杯目のお茶のお代わりを頼もうと
した時。
ふと、視線を感じた。
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 01:16:47 ID:J1xLi9jC
支援
91魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:17:57 ID:/OIPuobk
そちらを向くと、開いた扉の影から小さな目がこちらを覗いていた。
「……?」
「――っ」
タバサが目をそちらに向けると、目は扉に隠れてしまう。
それを怪訝に思ったのだろう、村長もそちらに目を向けると。
「おお」
その相貌を崩した。
「こちらへおいで」
村長が声をかけると小さな影がパタパタと扉から出てきて、村長へと駆ける。
「ほら、騎士様に挨拶を」
小さい影は村長に抱きつくと、村長は優しくその影の背を叩き促した。
影――5歳ぐらいの美しい金髪の少女は、恐る恐るとタバサを見て。
「――」
その杖に目が止まると、顔を強張らせて村長へと顔を埋めた。
「――っっ!!」
よしよしと背を撫でる村長を見て、タバサは口を開いた。
「その子は?」
すると村長は少し苦い物が混じった笑みを浮かべる。
「この子はエルザと申します……先ほど話した村の唯一の生き残りです」
びくりと少女――エルザの背が震えた。
タバサの目が細まる。
「なぜ、さっき話さなかったの?」
少し責めるような口調になったがしょうがない。ほとんど無いに等しい情報の
中、唯一報告書にもない新たな情報源。
いくらあっても足りず、いくらあっても困らないのが情報である。
「待ってください」
それに耐えかねたのか、村長がタバサへと口を開く。
「なに?」
「この子は……なにも知らないのです」
「なにも、知らない?」
「この子は、村が全滅する前の日に近くの森で迷子として見つけられたのです」
村長がゆっくりとエルザの頭を撫でる。
「無人の村を見た若者も、この子のことを連絡するために向かったのです」
「……」
「この子は村を、両親をなくし行き場もなく、今は私が預かっています」
エルザの頭を撫でる村長の顔にはまるで実の子を労わるような表情が浮かぶ。
タバサが視線を視線を向けると、エルザは深く顔を埋めた。
「すみません、その……この子は村を無くした不安か。他人に中々懐きません
で」
「……そう」
落胆からか、視線を外したタバサは再びお茶を手に取り、中身が無いことに気
がついた。
「ああ、お茶の御代わりをお持ちしましょう」
村長が立ち上がり、それにつられるようにエルザもついていく。
なにもすることがなく、タバサは窓の外へと視線を向けると。
「――」
突如として立ち上がった。
そのまま玄関の扉へと向かうタバサに問いかける村長。
「騎士様どこにへ」
それに杖で窓の外を指し。
「止めてくる」
そのまま出て行った。
「……一体何が」
首を傾げ窓の外を見た村長が見たのは、1軒の家を取り囲む大勢の村人であっ
た。


家を囲む大勢の村人。
「吸血鬼をだせ!」
92魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:19:48 ID:/OIPuobk
「出て来い! 吸血鬼!」
その手には鍬や棒、中には火の付いた松明を持ち、ドロリと憎悪と殺気に染ま
った目を向けている。
そして家の入り口へと入ろうとする大勢を前に1人。
「だから! おっかぁは吸血鬼じゃないって言ってるだろ!」
真っ向から立ちはだかる青年がいた。
「どこに俺のおっかぁが吸血鬼だという証拠があるんだよ!」
その言葉に黙り込む村人達だが。
1人、利発そうな青年が村人たちの間から歩み出てきた。
「じゃあ、逆に聞こう。どこにあの婆さんが吸血鬼じゃない証拠があるんだ?」
薬草師のレオンである。
「そんなの屁理屈じゃないか!」
「そもそも占い師だと言うのに、この村に来てから誰も占うことも無く。一度
だって家から出たこともないじゃないか」
「病気で寝ているだけだ!」
「話にならないなぁ。だったら僕達の前に出すぐらいわけないだろう?」
「そんな物騒な物を手に持ってなに言ってやがる!」
「ただ僕達は吸血鬼かどうかを調べるだけなんだよ。大丈夫、吸血鬼じゃない
なら殺しはしないよ」
「安心できるか!」
「じゃあ、しょうがない。無理矢理でも調べさせてもらうよ」
そうレオンが言うと、他の村人たちが家へ入り込もうとし、その前にアレキサ
ンドルが立ちふさがる。
それに困ったようにレオンが言った。
「アレキサンドル。どいてくれないかな? 吸血鬼を殺せないよ」
「だから! 俺のおっかぁは吸血鬼じゃないってんだろ!」
一種即発の空気が流れる。
ギリギリと睨みあう双方。
そしてそれを見つめる村人達。2人の衝突は彼らの意思まで仰いでいき、つい
に場が決壊しそうになった時。
「なにをしているの」
冷たい声が響いた。
村人達が道を開ける。
「き、騎士様」
「ち」
そこからタバサが2人の元へ歩いてきた。
「なにをしているの」
にらみ合う2人の間で脚を止め、タバサは再度の問う。
すると周囲の村人たちが興奮した様子で騒ぎ出した。
「吸血鬼を殺すんだ!」
「そうだ! 俺たちでこの村を守るんだ!」
「邪魔をするな!」
殺気立つ村人たち、それは周囲にも伝播し異様な熱気を呼び込むが。
すっとタバサが杖を構えた。
すると周囲は一斉に黙り込む。
たとえ見た目が子供でも、メイジであり魔法が使えるということはある種の絶
対権力を持つ。
メイジに逆らうことは出来ないという、常識で育った者達を黙らせるにはそれ
は有効的だった。
黙り込んだ村人たちを捨て置き、タバサは再三の問いをレオンとアレキサンド
ルに付きつけた。
「なにをしているの」
「それは……このアレキサンドルの婆さんが、吸血鬼かどうかを調べるために
……」
苦しくもそう応えるレオンにタバサは静かに言う。
「調べる必要はない」
「そんな! でも確かに吸血鬼はこの村に!」
「それは誰が見たの」
興奮し喋るレオンにタバサはあくまでも冷静に返す。
93魔導書が使い魔-タバサと怪異-01:2009/01/13(火) 01:21:29 ID:/OIPuobk
「吸血鬼がいるかどうかは噂に過ぎない。誰かが確実に見たという証言も無い」
「で、でもっ! 俺はグールを見たんだ!」
レオンはなにかに恐怖するかのように叫んだ。
「あの日、確かに森の奥で! 不気味に動くやつらを見たんだ!」
それは恐怖と言うより畏怖に近かった。
恐れるというレベルではなく、すでに心は折れているのだ。
だがそんな彼の心中を察することが出来るほど、タバサの精神は老齢しておら
ず、その手の経験もない。
「それは本当に、確実に、グールだった?」
だからこそ、冷静に現状と状況を俯瞰し彼に問い返した。
「か、確実かと言われれば……」
言葉を濁すレオン。
「でもあれは人間じゃない!」
「それだけでは、グールましてや吸血鬼が関与しているとは断定できない」
「だがっ!」
詰め寄ろうとしたレオンは。
「なにをしておるか!」
割り込んできた声によって遮られた。
「村長!」
村長はゆっくりと3人の下へと歩いていく。
「先ほどから吸血鬼だ、グールだなど騒いでおるが。そんなことよりも、疑い
なく他人を攻めていることのほうが私は怖い」
その顔には紛れもない悲しみが宿っている。
「…………」
押し黙る一同。
その村長の説得の甲斐もあってか、1人また1人とその場を離れていき。
残ったのはレオンとアレキサンドルの2人だった。
「っく!」
レオンはアレキサンドルを睨んだ後、その場を後にする。
「ありがとうございます騎士様」
ため息を吐きながら村長は言う。
「私は何もしてない」
タバサがそう返すが、村長は首を振る。
「いえ、私だけでは彼らは止まらなかったでしょう」
「俺からも、おっかぁを庇ってくれてありがとうございました騎士様」
アレキサンドルもその大柄な体に似合わず(逆に似合うのか)、ぺっこぺっこ
と頭を下げる。
「……結果的にそうなっただけ」
そんな2人にタバサはそっけなく返した。
すると村長がぽんと手を叩き。
「おお、そういえばそろそろ夕食の時間ですが騎士様もいかがですかな」
少しタバサは考えた。
あまり時間をかけるのは得策とはいえない、暗くなる前に無人となった村へ調
査に行きたいのだが。
そこまで考え、夕食を断ろうと口を開いたとき。
「うちの家内が腕により掛けた料理を作りますよ。今夜は特製ハシバミの煮込
みスープです」
「――」
「騎士様はハシバミがお好きなようですが、いかがですか?」
「ぜひ」
きゅぴーん、と擬音が鳴りそうな目の輝きを見せながらタバサは頷いた。



夜。
満月に近くなった2つの月の光が部屋に入り込み、タバサの横顔を照らす。
大量のハシバミのスープと山盛りのハシバミのサラダをお代わりに次ぐお代わ
りにより、結局は日が落ちるまで食べてしまったタバサは、村長の勧めのもと
その家に泊まることとなった。
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 01:28:51 ID:njVsAUx4
支援
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 01:39:38 ID:2MaBkv0B
支援
96魔導書が使い魔-タバサと怪異-01 代理投下:2009/01/13(火) 01:41:01 ID:YLWYOWyw
いくら魔法が使えるとはいえ、暗い夜道で獣に不意を突かれれば危ない。
調査は明日に回すことにして、あてがわれた部屋で今は静かに杖を磨く。
杖を磨くことに意味があるのかと言えば、意味はある。
見た目の立派さや装飾など無きに等しい杖だが、潜り抜けた戦闘の頻度は凡庸
なメイジの杖とは比較にならない。時には魔法の行使ではなく打撃にも使うこ
の杖は、亀裂や磨耗が致命的になることもある。
そうなると自然、杖を磨くのではなく点検といった具合になる。些細な汚れの
下に亀裂が隠れているのかもしれないからだ。
大方拭き終わり、ヒビも曲がりもないことに安堵をした。
まあ、杖にはスクエアメイジによる『固定化』がかかっているので、自然と朽
ちることはほぼないのだが。
一先ず杖を横に置く。ここはある程度の安全を保障された学院ではない。安心
できる場所以外では彼女は杖を常に傍に置いて何事にも対応できるよう体に教
え込ませている。
ふと、窓から空を見上げる。
満月が近い空は、大きな月が空を占める。
それはまるで矮小な人を嘲笑うかのごとく空を占領する。
タバサは昔読んだ哲学と詩とが混じった本を思い出した。

『夜空は舞台である。
暗闇の暗幕を掛け、それを切り裂くのは主演の月の光。それを支えるは星の針
光。
その夜空の下にいる者全ては観客へとなり果て、朽ち果てるまで空を貪り見る
こととなる。
限られた参入者は、空を飛ぶ獣か、空を侵す“ナニか”である』
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 01:41:22 ID:IOk7Q/0X
しぇん
98魔導書が使い魔-タバサと怪異-01 代理投下:2009/01/13(火) 01:42:20 ID:YLWYOWyw

その書の著者は翌年に塔から転落死をしたという。
唯一“獣以外で空を飛ぶ手段を持つメイジ”だというのに。
彼はどうして死んだのか。それも空に近き場所から。
空には本当に“ナニかが”いるのか。
タバサは得体の知れない恐怖で体を震わせた。
ギシ。
その物音がしたとき、すでにタバサは杖を突きつけていた。
物音の音源。わずかに開かれた扉の隙間から、見覚えのある金髪が揺れる。
「ひっ!」
それは村長が保護している少女、エルザであった。
硬直したエルザを見るとタバサは軽く息を吐き、杖を降ろす。
益体も無いことを考えていたせいか神経が過敏になっていることを少し反省し、
エルザへ話しかける。
「どうしたの」
その声にエルザはようやく硬直から開放されるが、先ほど杖を突きつけられた
ことからか中々扉の傍から動こうとはしない。
なぜここまで少女が怯えるのか。
よく見るとエルザの視線はタバサの持つ杖へと注がれている。
昔メイジとなにかあったのかと推測し、杖を少し遠い場所へと立てかける。
その間も少女の視線は杖へと注がれているが、そこばかり気にしているわけに
はいかず、ベッドに腰掛ける。
「どうしたの」
2度目の問い掛けにエルザはびくりと震えると、ゆっくりとタバサへと近づい
てきた。
まだ杖を横目で気にしているが、それでも震える口を開いた。
「お姉ちゃんは、なにをしにきたの?」
その問いにタバサは少し考え込んだ。
この少女はタバサがなにをしに来たのか判らない知盲ではないだろう。
本当の“ソレを”知っているタバサは少女にはそれ相応の知性があると読み取
れた。
少女はタバサのしていることを知っている。その上で、タバサへ問うているの
だ。
なにをしに来たのか、と。

99魔導書が使い魔-タバサと怪異-01 代理投下:2009/01/13(火) 01:43:23 ID:YLWYOWyw
「わたしは……」
当てはまる言葉は色々ある。
仕事、任務、もっと端的に言うなら事件の解決。
だが、どれを言っても少女は納得しないだろう。
その目に宿る知性は、そんなことを聞きにきたのではないと語るようにタバサ
には見えた。
だからだろうか、そっとタバサは自分を抱きしめる。
「わたしは……」
心に浮かぶは幼き日の思い出。
常に吹き荒ぶ吹雪の中で宝石のように大事に仕舞っている大切な日々。
そしてそれを護るように、囲うように燃え盛る静かなる業火。
「成すべきことを成すためにここにきた」
その全てを吹雪の奥へ、巨大な氷山の深層へと封じ込め少女への答えとした。
「…………」
静かに目を見つめる。
「おねえちゃんは、氷のような目をしているね」
少女はなにを感じたのだろうか。
「まるで、わたしみたい」
小さくその身のことを語る。
「なにもかも凍りついた心の下に押し込めて、それでも押し込めた物は消えて
ない」
少女はタバサの隣に座った。
体を更に縮めるように体を抱きこみ。
「ねえ、聞いておねえちゃん。わたしはね……」
その身に溜め込んだ物はいかほどのものなのか、その心に刻まれた傷はどれほ
ど深いのか。
「お父さんとお母さんをメイジに殺されたの」
「……そう」
未だ月は頂点にも達しておらず、虫は騒ぐ。
ただ、その光は哀れなる地を這う者を嘲笑うように全てを照らす。
少女の語る話は、吹雪いた心になにをもたらすのだろうか。
夜はまだ落ちない。
100魔導書が使い魔-タバサと怪異-01 代理投下:2009/01/13(火) 01:44:28 ID:YLWYOWyw
山深い森の中。その中でも比較的開けた場所にそれはいた。
大きな体、固い鱗、とがった爪、ギラリとした歯、鋭い瞳。
それは横たえた体をむくりと起き上がらせると空を睨む。
それはまるで空を恨むように、空を憎むように。
まるでなにかに焦がれるかのように。
その大きな首を空へと向け。
「お姉さま! シルフィードのご飯ーっっ!!」
空腹のおたけびを上げた。

エルザの言葉に耳を傾けていたタバサは、ふとなにかを忘れているような気が
したが。
「…………」
気にしないことにした。



静寂に沈む森。
そこには動く物はおらず、全ては月光の陵辱の元で物言わぬ観客へと成り下が
る――はずであった。
初めは小さな音だった。
だが、それを聞いた獣は一斉にその場から離れだした。
静寂が、一時にして多種な雑音に取って代わられ。
再び訪れた静寂の中――ソレは現れた。
ソレは深い森から
ソレは飢えていた。
ソレは喋らない。
101魔導書が使い魔-タバサと怪異-01 代理投下:2009/01/13(火) 01:45:02 ID:YLWYOWyw
ソレは感じない。
ソレは考えない。
ソレは欲しない。
ソレは止まらない。
ソレらは群れとなりただ進む/進む/進む/進む。
ただ愚直なまでに、ただ盲目的に、ただ命じられるままに。
ソレには腕がない。
ソレには脚がない。
ソレには臓物がない。
ソレには頭がない。
欠けて=失って=落として=零して。
五体満足な者などただの1体としていない。
何よりソレには――命がなかった。
鬱蒼と茂る木々草木に脚を取られるが気にもしない。
ソレは脚を引きずり、腹から零れた臓物を引きずり、足が欠けた者は這いずり、
腐った腕をぶら下げ、中には死した赤子を引きずる者いる。
その口から漏れるのは風鳴りにも似た低音。
まだ暗き森の奥から重なる複数の音。
それは澱んだ魂の放つ怨鎖叫びか、生者を羨む渇望の声か。
その音は、森の奥から奥からいくつも響いてくる。
数とはその強大さを少しでも支配しようとする人間の考え付いた小さな傲慢。
だが、数え切れないのならば、それは恐怖へと変わる。
1が2へ、2が10へ、10が大数へ……。
ソレらの大群は静かに、だが確実に静寂を犯し進む。
うっすらと霧が森を包む。
もし感性の高い者がその霧に触れたら、気が狂えるほどの恐怖を味わうだろう。
それは死せる者達から漏れ出した濃い怨念と魂の残滓なのだから。
その怨念と残滓は現界を冒す瘴気となり、土を木を草を空気を腐らせていく。
正気な者は耐えられまい、正常な者は留まれまい。
ソレらは、自ら出した瘴気で自らを腐らせながらも進む。
静寂を保っていたはずの森が、ゆっくりとそして確実にその“怪異”に犯され
ていた。
だが、その“腐りの中心”。
そこには他とは違う者が居た。
それはローブを頭から被り、瘴気の真っ只中にいて動じた風もない。
木々の間、月の光がその身を照らした。
ローブはまるで砂漠の民のように黄色に染まり、その端々には絢美とも言える
細かな装飾がある。
体を包むその布は、体を隠してもその線までは消しきれず、凹凸の効いたその
シルエットは女であると主張し、その歩き方からも気品すら感じさせる。
だが、ある一点がその者自体に疑問を投げかけていた。
それは、ローブの奥。照らし出された仮面。
それは嘲笑っていた。
まるで三日月のように刻まれた口、抉り抜いたかのような両の目。
笑う、嗤う、哂う。
その仮面は、女は全てを嘲笑っていた。
雲が月を隠す。
月の光を失い、ソレらは――女は暗闇へと沈む。
暗闇へと染まる森。
だが、森は確かに“怪異”に侵され、今もソレらは進んでいた。
102魔導書が使い魔-タバサと怪異-01 代理投下:2009/01/13(火) 01:46:00 ID:YLWYOWyw
以上です。
本筋を書いていたら突如として生まれたタバサの話。
まさに作者からしても予想外でした。
一応、軽い構想は練っていたのですが、ここまで膨らむとは……。
続きのほうは、早々に書く予定です。
早く本筋のほうを進めなきゃ……。
では、ここまで読んでくれてありがとうございます。


103魔導書が使い魔-タバサと怪異-01 代理投下:2009/01/13(火) 01:47:48 ID:YLWYOWyw
以上、>>102まで避難所からの代理投下でした。
名無しに戻ります。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 02:04:07 ID:nUqeaCJ5
魔導書の人GJ!
代理の人乙!

魔導書さんの書く文はなんか好きだ
次も期待してるぜ
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 04:11:42 ID:NRcNI9F3
ここでメリケンからの逆輸入、ウルヴァリン召喚
どうも、蔭洲升に三ヶ月ほど滞在していたらいつの間にか年が明けていました。
久々に戻ってきたついでに投下を4:40より開始させていただきますが、覚悟完了ですか?
走れ、ただ今は走れ。そう足に命じて路地を駆け抜けて行く。
何処を走っているかわからない。息切れがして苦しい。足がもつれてこけそうになる。
何かに引っ掛けてブラウスが破れる。スカートがこけて泥だらけになる。
だけど、止まれない。止まってはいけない。

――GIIIIII’AAAAAAAAHHHHH!

今まで聞いてきたどんな獣の声ともつかない、魂まで凍りつかせるおぞましい咆哮が背を撫ぜた。
冷や水をかけられたような悪寒が走り抜け、全身が総毛立つ。
振向いたら最後、その声から逃れるすべはない。脅迫めいた思考がルイズの足を動かす。
眼の前の建物が後ろに流れて行き、背後ですぐさま崩れる音がする。
アレが、建物を壊しながらやってきているのだ。自分を狙って追いかけているのだ。
そうだと限らないのに、だけど、そうだと理解できた。
だから走る、走り続ける。
いったい、どうしてこんな事になったんだろうとルイズは考える。
ただ、ちょっと追い出してしまった自分の使い魔を連れ戻すだけだったはずなのに。
見つけて、怒って、連れて帰るだけだった筈なのに。
それがどうしてこんな事に。
ルイズの脳裏に【あれ】の姿がよぎる。
病的に生々しい白色をうねらせた、自分の肩幅よりふた周りも大きな胴回りの、巨大な、巨大な、それ。
瞳はなく、こちらに向けた口腔にはびっしりと埋め尽くされた牙は汚濁した粘液で濡れていて。
突然現れたバケモノ、もしあのまま逃げられなかったらと思う。
牙に裂かれる皮膚、引き千切られる四肢、咀嚼され嚥下される肉、残るものはない。
血に塗れ虚ろな目を向ける自分の生首を想像し、全身から熱が去るのを覚えた。
とにかく逃げなければ、それだけを考えルイズは路地を駆け抜ける。
でも、どうして誰も気づかないのだろうか。こんなに大きな音をたてているのに、こんなに
地響きがするのに。
誰も来ない。誰も気づかない。
まるで自分だけがこの世界に取り残されたような錯覚。

――そりゃそうさ、君と騎士殿に必要なイベントだからね。御都合主義というやつさ

「……っ」
一瞬の忘我、ルイズは頭の中で何かが聞こえたような気がした。だが、それは気のせいだった
気もする。
いや、それよりも逃げなければ。思考を切り替える。言い聞かせる。脳に命じる。
迷路のような路地を駆け抜け、右、左、斜め右と、ジグザグに逃げる。
遠くで人の声がした。だが、そちらに逃げることはできない。もし逃げればどんな事になるか
なんて考えるまでもない。
しかし、体力の限界は、いよいよ本当の限界を迎える。
「きゃあっ!」
足がもつれ、前につんのめり、勢いは殺される事なく前方に三回転して盛大にこけてしまう。
「ううっ……」
呻き、立ち上がろうとするが、疲れきった足は悲鳴を上げていてもう動きようがない。
腕が震えて、起き上がることすら出来ない。
そして、

――GIIIIII’AAAAAAAAHHHHH!
また、あの咆哮が。
逃げなければ、そう思考するが、体が言う事をきかない。地響きは確実に自分の元に近づき、
路地裏に漂うそれとは異なる、吐き気を催す、据えた匂いが鼻を突く。
「ッ――!?」
脳内を、今まで感じた事のない灼熱が疾走(はし)るのを覚える。
それは痛みという感覚からかけ離れていた。
人の言語では到底表す事の出来ないソレは脳内を反響して肉体の隅から隅までくまなく
伝播していく。

――蛆!
――■ドウ■ク・プ■ン
――■e ■er■is M■steriis!
──蛆、妖■、蟲、■蛆──!

頭の中を語【ワード】が走る。意味を成さず、流れていく。今のルイズには理解すら出来ない
語句は流れ泡沫となって消える。


――閲覧接続異常発生
術師、魔導書閲覧位階に未到達、魔導書閲覧不可
魔導書閲覧の接続を強制解除→承認
異界領域からの接続を遮断
結界外からの接続を遮断
――第192542182167世界への接続を全遮断
――情報削除
――記録削除




――削除完了


怒涛のように押し寄せた情報は一瞬の内にルイズの中から失われた。消失した記憶は再び一瞬の
忘我となる。だが、それをルイズが認識する事はない。
「逃げな……きゃ」
生まれたばかりの子鹿のように足を震わせて立ち上がろうとする。こんな事になるのなら
来なければ良かったと思う。だが、既に起きてしまった事を悔やむ暇は今はない。
今は逃げなければ。
壁に手を付き、ようやく立ち上がろうとしたその瞬間、

――GuuuuuruuuI’iiiiiiHHHHHHH!

「ッッ!?」
咆哮がルイズの鼓膜を震わせ、眼の前の石畳が――割れた。その振動に揺られ、尻餅をつく。
汚濁した粘液に覆われた死肉の色が、割れた石畳を突き破って噴出す。
1、2、3――5メイルに及ぼうかという巨体が影を生む。
見上げると、こちらに向けた口腔内、敷き詰められた牙が歓喜するように戦慄いた。
「……ぁ」
全身が金縛りにあったように、微動だにできなくなった。2メイルの幅もない路地裏を、戦慄く
肉壁が立ち塞ぐ。

嗚呼、駄目だ。
もう、助からない。

眼前の絶望に、全身の気力が抜け落ちた。限界まで疲労達した疲労が身体を微動だにもさせない。
諦観が、ルイズの心を塗りつぶしていく。だが、それでも肉体は恐怖に震える。
恐怖に震えるが、だが、何もできない。致命的な諦観がルイズの瞳を閉じさせる。

世界が暗闇に閉ざされていく――
***

疲弊し、怯え、竦む『殻』となりえる少女を蟲は見下ろした。それが持つ匂いを感じ取る器官が
その少女の肉がどれほど美味で、その臓物がどれほど美味いのかを察知する。
少女がここで生きるための『殻』としてだけではなく、食事にも適してる事に歓喜し戦慄つ。
背骨を抉り出し、髄をすすり、骨にこびりつく肉を削ぎ、血に照る腸を噛み千切り咀嚼する。
皮膚に残る肉を噛み砕き、嚥下する。眼球を噛み潰し、濃厚な汁をすする。
そうして肉を己の糧とする事で、蟲は少女の持つ肉の形を覚える。
そうする事で、己が少女の肉の内に納まることが出来るのを本能で知る。
故に、蟲は歓喜する。
芳しい香りを放つ少女の身の内に潜む厖大な魔力と甘美な肉の味を共に味わえる事に。
人とは異なる思考形態で蟲は少女を今まさに喰らわんと決断する。
牙をむき出し、口腔内を曝け出し、竦む少女へと狙いを定める。
叫ぶ少女の絶叫を耳にあたる器官で感じ取りつつ、迫る。
そして、

――GUuuuuuuuuRaaaaAAAAaaaaaaahhhhhhhhhhhh!

地響きと咆哮と共に、蟲は大地に、ルイズに、その悪怪なる歯牙をたたきつけた。
しかし、
「――!?」
割れた大地、たたきつけた汚濁した牙。だが、肉の感触はそこになかった。
香る少女の肉の美味がそこにない。
少女の姿が、汚濁した牙に貫かれ、美味なる血を垂れ流し、潰れた臓腑を撒き散らし、
痙攣する少女の姿が、か細い悲鳴をあげる少女の声が、そこに、そこに、どこにも、ない。
蟲の思考が、人の言う所の戸惑いを覚えた。瞬時に獲物の居場所を追おうとする本能が探る。
感覚器官を周囲にめぐらせ、消えた少女を追う。
嗅覚器官から伝わる少女の香りの残滓を追う。
聴覚器官から伝わる少女の心臓の鼓動を追う。
追う、追う、追う。
追って、追いかけ、探り、そして。
「――――!」
蟲は気づいてしまった。
そこにいる存在を感知してしまった。
それは圧倒的畏怖と、超越的絶望、宇宙的な悪意を持って蟲に受け入れられる存在。
それを蟲は気づいてしまった。

――そこにいる

――自分の近くに

――【我等の怨敵が】いる

退化した視覚器官ではなく、蟲自身が本来持つ、魔術的感知器官。この世界に生まれた事により
変化したその細胞が読み取り感知する。
それは少女の側にいた。それは少女を守るようにそこにいた。それは蟲を見ていた。
それは蟲が最も恐れるべき存在。
それは、それは――
***

空を飛んでいた。大地を踏みしめる重さが身体から消失し、風が頬を撫でていた。
初めての浮遊感、自分一人で、空の中にいるその感覚に胸がかすかに高鳴るのを覚えた。
そして、生きていることに。
「え……?」
そして恐怖に瞑った瞳を開き、眼下に広がる光景を目にする。
そこはトリステインの城下町。今先ほどまでいた路地裏がそこにあり、蟲がそこにいた。
その頭上を自分は飛び越え、弧を描き、また町へと下っていた。
そしてルイズは気づく。自分を抱え、空を跳んでいた者を。そしてその姿を双眸に収める。
蒼銀が、朝の陽光を反射する河のように煌めき、たなびいていた。
若草が、揺り篭に寝る赤子のようにルイズを優しく抱きしめていた。
乳白が、中性的に整った顔を彩り、清潔な美しさを微笑の中に湛えていた。
翡翠が、桃色のブロンドを映し、ルイズを覗き込んでいた。
衝撃を殺し、住家の屋根に降り立つ。
それは美しい少女だった。それはまるで御伽噺の中の存在だった。妖精の様だった。
そして自分はそんな少女にお姫様抱っこされていた。
だが、それは紛れもなく、
「クザク……?」
どういう訳か女装をしていた自分の使い魔だった。ただでさえ女性じみた中性的な顔立ちが
薄化粧によって、完全に女性のそれとなっていた。
だが、間違いなく、自分の使い魔であるダイジュウジクザクだった。
「大丈夫か、ルイズ?」
「あ、う、うん。アタシは大丈夫だけど……」
お姫様抱っこで、しかも(一般的観点で)美男子に無事かどうか心配してもらえるなんて乙女的
観点からすればこれ以上は無いほどの好シチュエーション。
しかし、
「ルイズ、何処か怪我でもしたのか?」
心配げな眼差しに酷く何故か心が痛む。正直自分にはそういう属性とかそういう趣味はないはず
だったのだが、嗚呼どうしてか。
「そうじゃないけど……あの、その、えっと……」
「ん?」
「ご、ごきげんよう」
「……ごきげんよう」

――さわやかな昼過ぎの挨拶が、汚濁した大気の中に木霊した。

もちろん、別に深い意味はない。ただ言ってみたかっただけですね、良く分かります。
「ルイズ――」
「え?」
その瞬間クザクの瞳の色が変わる。翡翠が引絞られ、抱える腕が、全身が緊張に強張る。
「――跳ぶぞ!!」
「え……あ、きゃあっ!?」
言うが早いか再び空へと跳躍。同時、今先ほどまで立っていた屋根が崩れ去った。
そこに現れたのはあの巨大な蟲の腹、屋根を突き破り、口腔が再び牙を剥いていた。
「な、何なのよあれ!? ああ、あれ……おっきくなってる! それに太くなってる!」
その通りだった。先ほど2メイルかそこらしかなかった蟲の巨体、それが今では5メイルを
超えようとしている。
「叫ぶのは後だ! 逃げるぞ!」
蟲から距離を取るように路地裏に着地するや否や、九朔は二の句を告げさせる間もなく駆けた。
ルイズが悲鳴をあげるが、構いなしに右から左へと聞き流し、入り組んだ町中を走り抜ける。
「……しかし奇妙だ」
駆ける速度を落とすことなく九朔は呟く。
これほどの大騒ぎだというのに、周りに人の姿が見えない。周りは閑散とし、建物自体も数年は
人が住んでないようなものばかりではあったが、それにしても人一人見ないとはどういうことか。
人がいないと言う事は、必然的に二次的な被害は防げる事になるのだが、それにしても余りにも
異常なこの状況はなんだというのか。
「クザク……」
その不安はルイズも感じているのか、九朔の若草色のワンピースの袖を握り締め震えている。
――そうだ、ルイズだ。
彼女は自分が辿り着くまで独りであの蛆から逃げ切ったのだ。その恐怖、どれ程のものだったか。
本当に間に合ってよかった、心からそう思う。
そう、例え爆発魔法とやらをぶつけられて窓から放り捨てられようと、お仕置きと称して木に
括り付けられようと、はたまた爆発魔法で空に打ち上げられようと、良かったと思う。
……別に怨んじゃいない、うん。ちょっと、軽く、腹が立つだけ。
だが、それでも
「良く頑張ったな」
「え?」
「ここからは我に任せろ。我が、汝を守る」
それは本当だ。しかし、口を衝いて出た言葉に、ルイズの顔が一瞬固まるのを見た。
「なっ……な、ななっ……なあっ……!」
「なんだ?」
「な……何でもない!」
「そうか。――ならば、しっかり掴まっておれ!」
後ろから追いすがる蛆の戦慄きを大気に感じつつ、それを引き離さんと足に力を込める。
身の内から滾々と湧き上がる力は際限なく、疾風となって町を駆け抜ける。ギーシュと決闘を
したときと同じあの力が、五臓六腑に染み渡るのを感じる。
そうだ、今は何も考えず、彼女を守る事だけを考えねば。念じ、九朔は駆けた。
町中を駆ける。左へ、右へ、右斜め前へ、左斜め後ろへ、ジグザグに駆ける。
壁を駆け上がり、腐った木壁を蹴り倒す。
咆哮が背を撫ぜる。しかし、その咆哮すら押し退けるが如くにさらに疾走する。
疾走、疾走、疾走疾駆。
跳びあがり、屋根に飛び移る。蟲の姿は見えない。だが、止まらず駆ける。
駆ける。
駆ける。
駆ける。
疾走る。
疾走る。
疾走る。
跳ぶ。
跳ぶ。
跳ぶ。

――だが、逃げども、逃げども、終わりは、ない

走れども走れども、何処にも辿り着く気配が無い。メビウスの輪のように終わりが無い。
それはまるで、自分たちの世界だけが切り離されたような、そんな感覚。
これほどの騒ぎにも関わらず、官警の一人すら出てこない。それは明らかな異常事態。
やはり、何かがおかしい。
ザラつくような不快感が胸で澱む。その不快感が何か、それを知る術も知識も九朔にはない。
にも関わらず、その不快感を九朔は『識っていた』。
意味不明な矛盾に混乱しそうになる思考、果たして自分は何を識っているというのか。
まるで何かに突き動かされるように、九朔はそれを思い出そうとする。
疾駆する肉体で思考を疾走らせ、深く深く、原初の記憶まで遡ろうとする。
穴あきの、字の欠けた書を保管するように探り、パズルを組み合わせるように思考する。
かすかに浮かぶワード、それがゆっくりとおぼろげに九朔の脳内で構築されていく。
それは――
それの名は――
その■■は――

――N#%rl?t凵覇p
「が……は……っ!?」
脳を、何かが灼いた。知らないはずの――いや、知っていたはずの【何か】が灼いた。
それは、思い出してはいけないのか。それとも、思い出すべきなのか。
覚えているのに、覚えていない。
知らないはずなのに、知っている。だが、知らない。知っている。

――それは、世界と裏と表の狭間を裏返しにした三角形を外側に四次元的に開いた六尺三寸虫が
凡人に生卵をアイスの当たりくじに含めた衝撃的クライアントにこれはです奇妙なボールの座り
ますいえあげませんぼくはそのこれをいえませんいえますソレしっているだれだれきみぼくそれ
あれしってるしらないしりますしりません……尻?
知り私利四里尻シリシリシリカゲル死霊資料飼料支流しりりりりジリリリリジリリリリちりり
りりりチクタクチクタク

=死■秘■/わR% →???
→虚数魔術領域へのアクセス/%◇■#の記述へのアクセス/異界との接続
暗号解読不可―――■■■◇の断片情報の破損を確認
破損術式再構築を開始
破損領域再構築を開始
全情報への接続を停止

*警告* *警告* *警告* *警告* *警告* *警告* *警告* *警告* *警告*
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*警告* *警告* *警告* *警告* *警告* *警告* *警告* *警告* *警告*

・復元完了まで全術式をシャットダウン
・再起動まで全術式の使用を一時停止
                                   ――全術式、停止
「か……は……っ!」
脳を途方もない熱量が灼いた。その激痛、四肢を引き千切られたかのようにさえ錯覚する。
「きゃあっ!?」
悲鳴が上がる。だが、誰のものか一瞬判別が付かなかった。それほどに激痛はすさまじかった。
「あ……がぁ……」
「――ク!? ね、――え――ザク!? ――――たのよ!?」
遠くから、近くから、ルイズの声が山彦となって頭の中で反響した。視界は焦点が定まらないか
ぼやけ、彼女の姿を鮮明に捉えられない。
全身が痛みで麻痺する。
脂汗が額を伝う。
その汗さえも、痛みとして知覚する。
だが、今は。
だが、今は。
それよりも、今は。
「――――ッッッ!」
脳を灼く痛みとは別の、全身を駆け巡る悪寒が九朔の肉体を動かした。
ぼやける視界に映りこんだルイズを、激痛で麻痺する肉体で抱きかかえ、飛び退く。
ルイズの悲鳴が耳もとで山彦となって反響し――――

ゴッッッ――――!

同時、足元の石畳が崩壊した。
大騒音/大音響のシンフォニーが空間を満たし、大地が、石畳が、奈落に呑まれる。
立ち並ぶ家屋さえも巻き込み、路地裏の一角が陥没する。
飛び退いた筈も、しかし、奈落は一瞬で九朔達の足元へと迫り、人を呑んだ。
「ぐぅっ……!」
「きゃああああああっ!」
魔法世界にも関わらず働く物理法則に従い、二人の肉体は奈落の底へと落下する。

世界は一路、真昼の光の下から漆黒の闇へ。
投下終了。
本年度はもう少し更新を早くしようと思いますが、所用でまたも大きく遅れるかもしれません。
それでは、少し海を見てきます。
おやすみなさい
114毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:15:41 ID:JFPzMLGE
おはようございます。
デモンベインネタ(?)の2作品乙です。

そして、毒の爪の使い魔の第25話前編が書き終わりました。
予定その他が無ければ6:20に投下します。
115毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:20:00 ID:JFPzMLGE
では時間になりましたので、投下開始します。

――竜の吐き出す炎はイーヴァルディを容易く飲み込み、吹き飛ばしました――

――炎が消えた後には、地面にボロボロになり倒れたイーヴァルディの姿が在りました――

――竜は倒れたイーヴァルディに近づき、哀れみを含んだ目で見下ろしました――

――「お前では我には勝てぬ。ここから立ち去れ、小さき者よ」――

――竜はイーヴァルディに背を向け、洞窟の奥へと歩き出しました――



広間には砕けた床の粉塵が、煙幕のように立ち込め、
それをビダーシャルは、微動だにしないまま見つめている。
やがて、入り込む夜風に粉塵が払われていき、視界が利いてきた。
広間の端まで吹き飛び、床に倒れたジャンガの姿が見えた。
仰向けに大の字に倒れたその姿は、見るも無残にボロボロだった。
あの巨大な石の拳を避ける事も出来ずに、まともに食らった結果だ。

「相棒!? しっかりしろ! 相棒ーーー!!?」
鞘から出たデルフリンガーは、倒れた相棒に必死に呼びかける。
しかし、返事は無い。
デルフリンガーは悔しそうな声で呟く。
「だから言ったじゃねぇか…、相棒でも勝てっこねぇって…」
そこまで言って、デルフリンガーは息を呑んだ。
すぐそこに、相棒をこのようにしたエルフが立っていたからだ。

自分達を侮辱した亜人を黙って見下ろすビダーシャル。

――今この亜人に止めを刺すのは簡単な事だ。
だが、自分達は無用な争いは好まない。命を奪うなど以ての外。
何より、侮辱に対する報いと言うならば、これでもう十分だろう。
亜人の首筋に手を添える。
弱ってはいるが、命に関わるほどではない。
立ち上がり、今度は亜人の背に背負われている剣に目を向ける。
「な、何でい…エルフ?」
剣は金具を動かしながら喋る。明らかに動揺していた。
余計な警戒心を煽らないように、静かな口調で話す。
「意思を持つ剣よ…、我はこれ以上の争いは好まぬ。
この亜人が目を覚ました時、お前の口から伝えてもらいたい。
”この場から去れ”と」
剣は一瞬口篭ったが、解った、と言った。
その答えに頷くと、もう一度亜人に目を向ける。
そして、亜人を見下ろしたまま、ビダーシャルは呟いた。
「”大いなる意思”よ……。このような下らぬ事に…我が一時の怒りの為に”精霊の力”を行使した事を赦し給え……」
そして、倒れたジャンガに背を向け、歩き去ろうとする。
116毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:23:02 ID:JFPzMLGE
――「ま…、待て……」――

――背後から聞こえたその声に、竜は後ろを振り返りました――

――そこにはボロボロになりながらも立ち上がっている、イーヴァルディの姿がありました――



「待てってんだよ……長耳……」
背後から聞こえた声に、ビダーシャルは哀れみの表情で振り返る。
「力の差を見ても、まだお前は戦うというのか? 名も知らぬ亜人よ」

ビダーシャルの視線の先には、立ち上がったジャンガの姿が在った。
全身はボロボロ、夥しい量の血を流し、とてもまともな状態ではなかった。
それでもジャンガは両の足でしっかりと床を踏みしめ、
未だ闘志と嘲りの感情が消えていない目でビダーシャルを見つめていた。



――イーヴァルディは剣を真っ直ぐに構え、竜と再び対峙しました――

――ボロボロの身体で、振るえながら剣を構えるイーヴァルディを見て、竜は言いました――

――「小さき者よ、お前は何故そこまでして我と戦う?」――

――「ルーを取り戻す為だ」――

――「妻でもない、パンを食べさせてくれただけの娘に、何故そうまでして命を掛けられるのだ?」――

――イーヴァルディは震えながら…しかし、真っ直ぐと竜を見つめながら言いました――

――「パンを食べさせてくれたルーを……僕が好きだからだ!」――



荒く息を吐きながらビダーシャルを真っ直ぐに見つめる。
今の石の拳の一撃は想像以上に効いた。
身体は可也の悲鳴を上げている。――だからと言ってここで引けるものか。
また足を飲み込まれないように注意を足元にも向けつつ、いつでもその場を飛び退く事が出来るように身構える。
「相棒、まだやる気かよ!? 本当にやめとけ! これ以上はあのエルフも本気を出すぞ!?
そうなったら相棒の命が無いって! いやさ、本当にお願いだから――」
「黙ってろ…」
「あい――」
煩いボロ剣を鞘に収めて黙らせる。
先程から目の前のエルフはただ自分を見つめているのみだ。
その目には憐れみの表情だけでなく、明らかな見下しの色も見て取れた。
自分が他人にそれを向けたりするのだから尚の事解ってしまう。…正直イライラする。
自分がするのは良いが、他人にされるのは我慢がいかない。
117毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:26:05 ID:JFPzMLGE
「亜人よ、今一度言おう」
唐突にビダーシャルが口を開き、静かな口調で話す。
そんな余裕を見せているような態度が癪に障り、ジャンガは舌打する。
「我はこれ以上の争いは好まぬ。この場から立ち去れ」
ジャンガは目を閉じ、深呼吸をする。
そして大きく息を吸い込み、目を見開く。
「嫌だって言ってるだろうが! いい加減無駄だって学習しろ、バァァァーーーーーカッッ!!!」
「そうか…」
ビダーシャルの声が僅かに低くなった気がした。
そして、ジャンガの背筋を何か冷たい、悪寒のような物が走った。
相手の様子を慎重に観察する。
目の前のエルフは何も変わった所は無い。
だが…、その身体から発せられるプレッシャーのような物が、肌で直接感じられる程に強まっている。
…どうやら、いよいよ本気になったらしい。
「キキキ、初めからそうくればいいんだ…。争いが嫌いだとか言っても、暴言とかには耐えられねェ。
結局最後は力押しになるのさ…」



――立ち上がったイーヴァルディは再び竜に挑みかかりました――

――しかし、竜の硬い鱗はイーヴァルディの剣を、やはり弾いてしまいました――

――竜は爪や、大きな顎や、噴出す炎で何度もイーヴァルディを苦しめました――



ジャンガは床を蹴り、ビダーシャルへと飛び掛る。
ビダーシャルが両手を振り上げると、床が隆起し巨大な拳が形作られる。
拳はそのままジャンガ目掛けて振り下ろされた。
ジャンガの姿が拳の下に消える。
その直後、ビダーシャルの真上に衝撃。
「チッ!」
ビダーシャルが見上げると天井にジャンガが張り付いていた。
ジャンガが張り付いている場所を中心に、天井はクレーター状に罅割れている。
頭上から仕掛けたらしいが、『反射』に跳ね返されたのだろう。
天井を蹴り、ジャンガは離れた所に降り立つ。
ビダーシャルは変わらない哀れみの視線を向ける。
「無駄だ、亜人よ」
「ああン? まだ全部手札を見せたわけじゃねェんだよ。勝手に決め付けるな、ボケ!」
言いながらジャンガは三体の分身を作り出す。そして、散開。
部屋を縦横無尽に飛び回る四つの影。
しかし、ビダーシャルは少しも慌てた様子を見せない。
やがて四つの影は、頭上、左、右、背後の四方から同時に襲い掛かった。
「くたばりなァァァーーーーーッッッ!!!」
ジャンガの声が広間に響き渡り、四つの紅い軌跡が踊った。

直後、広間の四方から四つの轟音が響き渡った。
118毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:29:02 ID:JFPzMLGE
「ガッ、ゲホッ……クソが…」
「無駄だと忠告はした。それを何故理解せぬ?」
壁にめり込み、血を吐くジャンガにビダーシャルは冷たくそう言い放った。
天井と右と背後の壁にめり込んだジャンガが消える。
やはり分身か、とビダーシャルは納得し、本物のジャンガに向き直る。
ジャンガは壁から身体を引き抜き、床に膝を付いた。
荒く息を吐く口からは、未だ血が滴り落ちている。その血を腕で拭う。
感覚が微妙な両足に、力を込めて立ち上がった。
体は未だフラフラするが、関係無い。

ボロボロのジャンガにビダーシャルは問い掛けた。
「亜人よ…お前は何故そこまでして、我と戦う…。あの母子はお前の何だ?」
ジャンガはその問い掛けに、笑みを浮かべながら答えた。
「別に…特に何も無ェ。…ただの玩具だ」
「そうか。だが、あの母子はここで我が”守る”。そう言う約束をガリア王ジョゼフとしているのでな」
「ハァ…、そうかよ」
「理解したのであれば立ち去れ。蛮人を玩具とする趣味など我には無いが…あのような母子は他にも――」
「何も解って無ェな…テメェよ?」
「どう言う意味だ?」
ジャンガは嘲りを含めた笑みを向ける。
「あれは…特別だ。他の替えなんか在るかよ。俺は、あのガキでとことんまで楽しむって決めたんだ。
あのガキが何をして、何を決めて、何を考えるか、一挙一動を見るってのも楽しみ方の一つだしよ。
だからよ……こんな所に閉じ込められてちゃ、困るんだよな?
普通に飼ってるペットだってよ、適度に運動させる必要があるだろうが」
「なるほど」
「ああ…それと、今あのガキを”守る”とかぬかしていたな?
キキキ、いつから守るって言葉は拉致監禁を指す言葉になったんだ?」
ジャンガは再び目を見開いて叫ぶ。

「少しは言葉も勉強しろや、能無しがァァァーーーッッ!!」

「……」
最早言葉を交わす必要も無いと判断したのだろう。
ビダーシャルは手を振り上げ、先程の石の弾丸を繰り出してきた。
それをジャンガは体に鞭打ってかわす。

弾丸をかわしながら、ジャンガは考える。
――やはり、どんな攻撃もあいつには通じない。
他方向からの同時攻撃も容易く弾いてしまったのだから、障壁には死角も隙も無し。
攻防共に完璧……これ以上無い位の強敵だ。
だが、直接自分の手で何もしない奴に負けるのは非常に腹立たしい。
やはり”あれ”しかないか、と考えた。
ジャンガはエルフを見据えた。
離れた所に降り立ち対峙する。
119毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:32:02 ID:JFPzMLGE
(玩具か…)
――思わずため息が口から漏れた。
正直な所、玩具だと言う理由はこじつけに近い。
本当の理由は別にあった。表には出せない理由だ。

そうだ、俺はあいつに…

ズキンッ!!
左手に激痛。反射的に左手を押さえる。
――まただ……またこの激痛だ…。
ジャンガは忌々しげに左手を見る。…正確には左手に刻まれたルーンを。
このルーンが痛みを与えているのは間違い無い。
それも決まって”優しい事を考えている時に”だ…。
…俺らしくない事を考えていると戒めているのか?
ルーンの事など解るはずもない。
だが、それだけは何となく理解できた。

――…くむを……めを………めよ………れに……えよ――

――また声が聞こえた。
どこかで聞いた覚えがある気がする声。
だが、そんな事はどうだっていい。
ルーンの痛みも、頭に響く声も、なんだろうと関係無い。
今はただ…
「ウゼェだけだ…」
右手で額を押さえながら、左手を壁に叩きつける。
声と激痛を振り払い、目の前の敵を睨み付ける。
こいつを片付けなければ話は進まない。
あいつをここ<アーハンブラ城>から連れ出せない。

…そうだ、連れ出すんだ!

こんな所はあいつの居るような場所じゃない!

恵まれた奴の居る場所じゃない!

こんな所が似合うのは――俺のような奴だ!

(他の奴が…こんな所に来るのは認めねェ…)
心の中で叫んだ。
自分の中の…ある種の”誓い”を反芻する。



(俺のような奴は……俺だけで十分なんだよォォォーーーーーッッッ!!!)
120毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:35:14 ID:JFPzMLGE
「きゅい…」
心配そうな表情で森の中で座り込み、体を休めるシルフィード。
その視線の先には二つの月明かりに照らされるアーハンブラ城。
夜の静寂を破り、響き渡る轟音が届いたのは今し方だ。
おそらくは、城の中であの亜人とエルフの戦いが始まったのだろう。
――勝てるのだろうか…あのエルフに、あの亜人は?
――もし勝てなければ…負けてしまったら……
悪い方向へ進む思考にシルフィードは項垂れる。
…ふと、先程の会話が思い出された。

――ピッタリな二つ名って、何なのね?――

――キキキ…、笑っちまうゼ? こじつけだからよ――

――いいから教えるのね――

――『裏切り者』……『裏切り者のジャンガ』――

――裏切り…者?――

――俺が昔…裏切った奴のガキにそう言われたのさ…――

――きゅい…――

――だが…考えたのさ。これは逆にいいんじゃないかってな…――

――それはどう言う意味なのね?――

――『裏切り者のジャンガ』……ありとあらゆる物事を裏切る奴…ってな――

――だから、今度も裏切ってやるゼ…――

――何を?――

――…タバサ嬢ちゃんを助けられない…って、お前の考えをだよ――

シルフィードは目を見開いた。
――そうだ、あの亜人は言った。
――裏切って見せると…、お姉さまを助けてみせると…
首を持ち上げる。轟音がまた響いた。だが、もう不安になったりはしない。
真っ直ぐに、迷いの無い目でアーハンブラ城を見つめる。
(このシルフィが応援してやるのね。絶対にお姉さまを助けるのね。…がんばるのね)
121毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:38:36 ID:JFPzMLGE
――イーヴァルディは何度も倒れました。でも、その度に立ち上がりました――

――何度も何度も、倒されても倒されても、立ち上がり、竜へと挑みました――



ジャンガは力の限り挑み続けた。
無数の分身でかく乱した。
カッターを何度も放った。
毒の爪で何度も切り付けた。
だが、その攻撃は全てが障壁に弾き返された。
ビダーシャルの行使する”精霊の力”の攻撃も凄まじかった。
攻撃の度にジャンガは倒れた。

だが、それでも諦めようとはしなかった…。
地面に叩き伏せられようと…
壁に叩き付けられようと…

何度も…

何度も…

何度も…

彼は立ち上がった。

荒い息遣いが広間に響く。
ジャンガの全身は目を背けたくなる位にボロボロだった。
対してビダーシャルは未だ無傷だった。
呼吸は乱れておらず、汗すら掻いていないのだ。
――圧倒的である。あれ程の動きをする相手を、歯牙にもかけていない。
それでもジャンガは眼前の敵から目を逸らさない。
強い意思の力で持って苦痛を押さえ、真っ直ぐに相手を睨み付けた。
122毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:41:03 ID:JFPzMLGE
「…やはりな」
唐突なビダーシャルの言葉に、ジャンガは一瞬呆気に取られた。
しかし直ぐに我を取り戻すと、鋭い目で睨み付ける。
「何がだ?」
「お前は、あの母子を――いや娘をか…、玩具と呼んだな?」
「それが…なんだってんだ?」
「お前がそのように心から思っているとは…我には思えぬ」
「……」
「やはりそうか…」
「だったら…どうだってんだ?」
「…いや、特に何が変わるでもない。ただ…我が個人的に気になっただけだ」
「…そうかよ」
「お前にもそれなりの理由が有るのだな…。だが、我もジョゼフとの約束が有る。
あの母子には同情するが……お前を行かせる事はできない」
「そうかよ…」

そこで会話は終わった。
もう、言葉を交わす必要は無い。
あとはどちらかが完全に倒れるまで戦うのみ。

「……」
「……」

互いに微動だにしない。
隙も何も存在しないのだ。
それを探り合うが故に動けない。
一瞬即発の空気が流れ――唐突にジャンガが笑った。
不適なその笑みにビダーシャルは怪訝な表情をする。
「何を笑う?」
問い掛けるビダーシャルに、ジャンガは笑みを崩さずに言った。

「テメェ…気分はどうだ?」
「それはどうい――」

ベシャッ

水が床に撒き散らされる音がした。
それは赤い、紅い、水だ。――否、水ではない。
ビダーシャルは足元に広がる紅い水溜りを見つめる。
暫し見つめ…、口元に手をやる。

ぬちゃり

濡れる感触が手に広がる。
口から手を離す。
見れば紅く濡れていた。

――それが何であるか理解した瞬間……視界が傾いた。
123毒の爪の使い魔:2009/01/13(火) 06:44:42 ID:JFPzMLGE
ドサリ、と音を立て、うつ伏せの形で床に倒れた。
何が起こったのか、現状を確認しようとする間にも、体中から力が抜けていく。
「い…一体……何が…」
「教えてやろうか?」
靴音がした。
何とか顔を上げると、紫色の影が立っていた。
先程とは立場が逆転していた。
自分は無様に地面に這い蹲り、相手がそんな自分を見下している。

ジャンガはニヤリとした笑みを浮かべながら言葉を続ける。
「毒を盛らせてもらったのさ…」
「…いつのまに?」
「まァ…気付くのはほぼ無理だな…。なんせ、こいつは特別性だからよ…」
言いながら爪を見せ付ける。
「この毒の爪はな、俺の意思で様々な毒素を出せるんだよ…。
今テメェを蝕んでる毒はな…時限式って言うべき物だ。
最初、埃のような極々微量を空気中に散布し、相手に吸引させる。
量だけじゃない……毒素そのものも最初は無い…。
だが…ある一定量を吸引すると相手の中で結合し、毒素を発生させ始める。
後はゴキブリやネズミのようにドンドン増えていき……毒殺する。
キキキ……テメェご自慢の『反射』も”埃”までは跳ね返さないだろう?
それこそ精霊の力を”下らない事”に使う事と同じだからな…」
「……なるほど…考えた…物だ……」
ビダーシャルは息も絶え絶えだ。
そんな相手をジャンガは笑みを引っ込め、見下ろす。
「…卑怯とは言うなよ? それを言うんだったら…テメェの方が万倍も卑怯極まりないんだからよ…」
「……」
ビダーシャルは答えない。
ジャンガはビダーシャルに背を向け、階段へと歩き出した。
「あばよ…」
ただ一言。それっきり口を閉ざす。
水が跳ねる音が聞こえた。
気にも止めない…、止める必要も無い。
振り向かずにジャンガはその場を歩き去った。



以上で投下終了です。
まぁ…『反射』は流石に埃までは跳ね返していないだろうと思いましたので、
こういう展開にしました。やっぱ、ジャンガと言えば毒ですな(笑)
後半は夜にでも。では、アデュー!
124ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 08:38:46 ID:U9kgluYN
ジャンガの人乙でした〜。
他に投下予約していないのなら8:45からシーン06bの扉を開こうかと思う。
125ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 08:48:57 ID:U9kgluYN
ギーシュは目の前に立つ、自分の大事な女性達を傷つけた男を見据えると周囲にいる群衆に向かって、青銅の薔薇を
模した杖を振り上げ声を上げた。

「諸君!決闘だ!」

一瞬の後、広場全体を揺るがす様な歓声があがる。


ゼロのフェイト シーン06b “ゴーストステップ”

    シーンカード:イヌ・U(審判/事件の決着。逮捕。失われしものの再生、復活。蘇生。浄化。)


「よくもまあ逃げずに来れたものだね。とりあえず褒めてあげよう。」
「そいつはどうも。で、決闘っていうのはどうやるんだい?
 あいにくとこっちの流儀には慣れていないんでね、教えてもらえると助かるんだが。」
「ふむ、まぁいいだろう。
 基本は相手が“まいった”と言ったら勝ちだ、それと君は平民だからねハンデを付けてあげよう。僕はこの薔薇を
落としたら負けを宣言しようじゃないか。」
「中々太っ腹じゃないか。」
「ただし!」

そう言うと同時に杖を振るったギーシュの隣に青銅製の人型が出現する。

「僕は貴族…メイジだ、だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」
「ああ、別に気にはしない。好きにすれば良いさ。」
「言い忘れていたが僕の二つ名は『青銅』。『青銅』のギーシュだ。従って青銅のゴーレム『ワルキューレ』が君の
相手を務めよう!」

ギーシュが宣誓すると同時に『ワルキューレ』と呼ばれたゴーレムがヒューに向かって突進してくる。
後で見ているルイズは目を瞑りたくなったが、我慢した。自分の使い魔が自分のスタイルを貫くと言っていたのだ、主
が見守らなくてどうする。
ルイズの傍にいたキュルケとタバサも見ていた。変わった服を纏う遠くから来たルイズの使い魔、貴族を平気で呼び捨
てにし、自分の生き方を貫くと豪語したのだ、それなりの物を見せるに違いない。いざという時の為に杖を握りながら
広場を見据えた。

ギーシュの命を受け忠実な僕が駆け寄ってくる。見た所、魔法で作った白兵戦仕様のドロイドだ。どれ位の能力かはっ
きりしないが、ルイズお嬢さんのような遠隔爆破の魔法じゃないのは助かる。さてヒュー・スペンサー、一仕事始めよ
うじゃないか。

<スリーアクション  on>
<ニルヴァーナ    put−on>
<ソルジャーブルー  setup>
<Model.2002 setup・投影迷彩デフォルトを選択>

いつも通り脳内にあるニューラルウェア<IANUS>を通じて戦闘準備を整える。が、次の瞬間<IANUS>か
ら妙なメッセージが入る。
“詳細不明のサイコアプリケーションを検出しました、ウィルスチェックはクリア。起動させますか? Y/N”
戦闘中、しかも脅威が目前に迫っている為、Nを選択。標的の回避に移行する。
ギーシュの『ワルキューレ』が拳を振るってくる、それに対して<Model.2002>の熱工学迷彩を効かせながら
回避を行う。その際、余裕ができたので『ワルキューレ』を観察、どうやら知覚情報等はギーシュに依存しているら
しい、自己判断して攻撃を行っているように見えるがこれも恐らくはギーシュの無意識領域での操作だろう。
多分武装をしたVer.もあるはずだ、ここは『ワルキューレ』を各個撃破するよりもギーシュを狙った方が楽に終わる
だろうと判断する。

「へえ、上手く避けるじゃないか。
 それにその服、マジックアイテムだね?周りの景色を写して見えにくくなる。なるほど、中々良い品だ。しかし
それも避けるだけの余裕があったらの話だ!」
126ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 08:51:10 ID:U9kgluYN
再び薔薇を振り翳す、ギーシュはここで自己の限界一杯の『ワルキューレ』を生み出した。

「行けっ!『ワルキューレ』!その目障りな平民を叩きのめせ!」

1体を残して『ワルキューレ』が突撃してくる、残った1体は恐らく防御用に取っておいたのだろう。ここは至近に
いる1体を潰して手を減らす事にする。

「そういえばこっちも名乗ってなかったな。俺は“ゴーストステップ”ヒュー・スペンサー、フェイトだ。そちらに
いるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢の使い魔をやらせてもらっている!」

そう宣言した後、ヒューは右腕を振るう。メイジが杖を振るう様に剣士が剣を振るう様に。

<スリーアクション  on>
<タイプD       setup>

ヒューの神経が加速する、今まで普通に追ってきた『ワルキューレ』の動きがコマ送りになり、己の動きが鋭くなった
事を知覚する。
そんな先鋭化した世界の中、ヒューが振るった右手に仕込まれていた単分子ワイヤー<ワイヤード・ハンズ>は最初に
ギーシュが作った『ワルキューレ』を熱したナイフでバターに触れるよりも容易く切り裂いていく。
そうして右腕を引ききった時、ヴェストリの広場には『ワルキューレ』の残骸が転がる音が空しく響き渡った。

「え?」

そう言ったのは誰だろう、ルイズかそれともヒューの目の前にいるギーシュか、それとも観客の誰かか?しかし次に発
せられた声が広場に響いた瞬間、そんな疑問は無駄になる。

「トリック・オア・トリート
 チェックメイトだギーシュ・ド・グラモン」

いつの間に移動したのか、あの使い魔は『ワルキューレ』を切り裂いた右手をギーシュの首に沿えながら、背後に
立っていた。

「え?」

ギーシュは顔を動かさず、目の前にいる6体の『ワルキューレ』を見る。そうしてさっきの言葉を思い返す、そんな
はずは無い、あの使い魔はさっきまで目の前にいたはず。それが不意にいなくなったかと思うと背後にいる、さっき
自分の『ワルキューレ』を壊した右手を首に添えて。残骸になった『ワルキューレ』を改めて見ると、その切断面は
鮮やかだった。これ程の切断面は見た事がない、そして恐ろしい事にその切断面を生み出した右手が今、僕の、首に
、添えられている。

「ところで聞きたい台詞があるんだが?ギーシュ・ド・グラモン」

ギーシュは唇を噛む、恐らくこの男はメイジ…それも風のスクエアだろう、そうでないと今までの説明がつかない。
マントを付けていないのは家が没落したからだろうし、杖は何処かに隠しているのだ。自分はとんだ道化だった訳だ、
恐らくこれはこの男の企みだったのだろう。この男の挑発に易々と乗り、これ程の醜態を晒した自分に腹が立つ。
しかし、ここで降参しないと『ウィンドカッター』が自分の首を刎ねるに違いない。
ギーシュは血を吐く様な思いで終わりの言葉を口に…。
127ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 08:53:36 ID:U9kgluYN
否、それは否だ!
確かにこの男は自分よりも強いだろう、今から考えても愚かな理由で軽々しく決闘を仕掛けたのも自分だ。
それはこの広場に来ている者達全てが知っている、元々自分が蒔いた種で受けた恥を逆らう力をもたない平民(しかも
女性)をいたぶって誤魔化そうとしただけの話…自分の身勝手な保身の為に。
想像すれば分かる、今ここでこの男に勝ったところで自分がしでかした過去は消せはしない。
勝っていた所で所詮平民と思われていた男に勝つ事など、メイジにとって当たり前の話でいかなる誉れにもならない
だろう、それにこの男も言っていた。
(「彼女等に詫びた所で以前の関係には戻れない」)
そう、二股をかけて彼女達を傷つけたのは自分だ。今、目の前にいるこの男やメイドの少女ではなくこの自分なのだ。

「ひ、一つ聞きたい事があるんだが、ミスタ」

その声を聞いたヒューは片眉を上げる。声色が違った…今までの軽薄さは消え、覚悟を感じさせる声。

「何かな?ミスタ・グラモン」

首筋に当てた右手は微動だにしない、見守る群衆は固唾を呑んで見守っている、先程までの喧騒が嘘のようだった。
ヒューに命を握られたままギーシュは言葉を綴る。

「あ、貴方はメイジ…スクエアクラスのメイジだったのか?」
「さて、どうだろうな。
 ≪そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない≫
 仮にその質問に違うと言ったところで君は納得しないだろう、納得するまで考えて自分が信じたいように思う事だ。
 それとも言い訳をするかい?「相手が平民のふりをしていた」「ゼロのルイズの使い魔だから無能だと思った」そん
な風に。
 言っておくが例え俺がただの平民だったとしても君に負けるつもりはないぞ、いかなる手を使っても勝ってみせる。
罠に不意打ち、ああ遠距離からの狙撃という手もあるな、要するに工夫次第で君らメイジを倒す事は造作もない。
 まぁ、俺の故郷と違ってここの平民は根深い洗脳状態にあるから難しいだろうがね。」


ヴェストリの広場は静寂に包まれた、この男の正体が分かったのだ。

           メイジ殺し

しかもメイジとしてほぼ最高位のスクエアでありながら、同じメイジを魔法も使わずに殺せると言う程の手練。
召喚した少女を知っている者なら「ああ、成る程」と納得しかねない話だ。
魔法を使えない貴族の少女が召喚できた存在ならば、こういった事もありえるだろう。


そんな静寂の中、再びギーシュの声が流れる。

「いや、言い訳はしない。この事態を引き起こしたのは他ならぬ僕の愚かさが原因だからね」
「それじゃあどうする?降参するなら早くして欲しいところだが。」
「我が家の家訓にこういうものがある≪命を惜しむな、名を惜しめ≫…とね、正直こんな情けない事で≪名を惜しむ≫
も無いが、これも僕の不明が引き起こした結果だ、裁きは甘んじて受けよう。」
「成る程、それが君のスタイル…、いや貴族としての生き方か。」
「ああ、そうだ君の方からさっきの少女に詫びておいてくれないか。≪見当違いの怒りをぶつけてしまい誠に申し訳な
い。このギーシュ・ド・グラモン、女性を讃える薔薇でありながらその事を失念いていた≫と。」
「分かった、詫びていた事は伝えておこう。ところで2人のお嬢さんにはいいのかい?」
「彼女達には詫びても詫びきれないよ、この僕が持つありとあらゆる言葉を使い尽くしても未だ不足だろう。ただ≪詫び
ていた≫とだけ伝えてくれたまえ。
 そうだ、あと一つだけモンモランシーに伝えて欲しい≪愛している、本当にごめん≫と。」
「分かった、言葉は伝えておこう。
 じゃあな、おやすみ。」

ヒューのその言葉を最後にギーシュの意識は闇に落ちた…、最後に見たヒューの口元が悪戯っぽく笑っていたのは気のせ
いだろうか。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 08:53:36 ID:38xmNsCY
支援
129ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 08:55:51 ID:U9kgluYN
瞬間、ヴェストリの広場が凍りついた。

ギーシュが殺された!ルイズの使い魔がメイジ殺しだった!
様々な憶測が乱れ飛ぶ中、ヒューは特に何とも思っていないのか、“傷一つ無く倒れているギーシュ”を担ぐとルイズ
やキュルケ達がいる場所に飄々とした足取りで近付く。

「待たせたかい?」

そう何も気負わない様子で話しかけてきたヒューの左手を掴むと、ルイズは無言でヒューを学院内に連れて行く。



場所は変わり、学院長室。

「むう、どう見るかねミスタ・コルベール」
「彼は風のスクエアだったのでしょうか?」
「うむ、普通に考えればそういう結果になろう。グラモンの子倅のゴーレムを切り倒したのは『ウィンドカッター』、
姿を消したり現れたりは『遍在』とな。しかし、ワシ等は彼が杖を振るっている所は見ちゃおらんのだ。」
「はい、そこは私も不思議に思いました。
 ミス・ヴァリエールが召喚した際にも、メイジの事を知らないようでしたし。」
「芝居の可能性は?彼女は公爵家の娘だからの、どこぞの国の間諜という線も捨てきれん。」
「いえ、それは無いと思います。仮に間諜だったとしたらこの様な騒動を起こす事は可能な限り避けるでしょう。目
的を果たすまで、《役には立つが普通の平民》を装うはずです。」
「じゃのう、疑われる行動は極力避けるはずじゃ。「それに」なんじゃ?他に何かあるのか。」
「はい、彼は召喚された時、掌に乗る位のマジックアイテムを所持していました。」
「掌じゃと?どんなものじゃった?」
「はあ、それが不思議なものでして。彼は“ぽけっとろん”とか言っておりました。
 外側はつるりとした枠で、真ん中には黒い硝子板が嵌っておりました。ところが彼が操りだすとその硝子板に極め
て精緻な地図が描かれたのです。しかも枠についている筆を硝子板に当てる事で、その地図が動きさえしました。い
やあ、あれは本当に不思議でしたな。
 それに彼はその“ぽけっとろん”を個人用の情報端末とか言っておりました。」
「ふうむ、ところでその地図を見て君はどう思ったのかね?」
「我々が使っている地図とは全くの別物でした。それに彼が言うにはその地図にはトリステインは無いとも言ってま
したな、なんでも“うぇぶ”が通ってないからとか…。」
「“うぇぶ”…網とな?しかし、何から何まで妙な男じゃのう。
 様々なマジックアイテムを持っているかと思えば、風のスクエアとしか思えんような所業を杖も無しでやってのけ
る。
 ミスタ・コルベール、これは一手間違えるとトリステインどころの話では無くなるかもしれんぞ。」
「と、言いますと?」
「考えてもみたまえ、ワシらが確認しておるだけでも見た事が無いマジックアイテムを2つも所持しているんじゃぞ。
 その内一つは“個人用”ときた、ならばその“ぽけっとろん”とやらは彼の国…とーきょーのばとか言ったか…そこ
ではごく普通に出回っとるモノなんじゃろう。恐らく1人1人が持っておるに違いあるまい、でなければおぬしが見て
いる前で使ったりはせんだろう。」
「確かに、だとするとどうするべきでしょう。私が知っている限りその様な国には心当たりが無いのですが。」
「まあのう、近くにそんな国があったら、とっくにここら一帯の国は征服されとるわい。となると可能性は一つしか
なかろう。」
「聖地の向こう…ロバ・アル・カリイエですか…。」

学園長室に重い沈黙が降りた。
130ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 08:58:01 ID:U9kgluYN
場面は再びヴェストリの広場に戻る。
決闘の当事者であったヒューはルイズに連れられて行き、ギーシュに至ってはヒューに担がれていった。揶揄する敗者も
讃えるべき勝者もいなくなったこの広場には極々少数の生徒だけが残っている。その中にキュルケとタバサの姿もあった。
2人はヒューの立っていた位置に来て、先程までの決闘について分析をしていた。

「しかし、驚いたわねヒューがスクエアクラスのメイジで、その上“メイジ殺し”だったなんて。」
「けれど変」
「何が?ギーシュの『ワルキューレ』を壊したのも、一瞬でギーシュの背後に現れたのも風のスクエアなら説明でき
るわよ?」
「スクエアメイジだとするなら何故、彼女と使い魔の契約を結んだのか。」
「ん?そうねぇ、ヴァリエールの家かルイズ個人に何か恩義があるとか?」
「ヴァリエール家に恩義があるなら公爵に雇ってもらえばいくらでも恩を返す機会はある、彼女個人に恩義があると
してもそう。なにしろ風のスクエアだから《別に使い魔になる必要は無い》」
「そうよねえ、平民と私達貴族に対する態度もあまり差が無いし、となるとメイジって線は無くなるのかしら。」

タバサはキュルケのその言葉に対して、肯定も否定も示さなかった。

「分からない、だけど『ワルキューレ』を壊した時も、移動した時も。呪文を唱えたり杖を振るったりしている様に
は見えなかった。」
「そういえば、最初から最後まで手には何も持っていなかったわね。となるとまさか先住?」
「可能性はある、けど疑問が出てくる。先住魔法で攻撃するにしても『ウィンドカッター』で攻撃するにしても」

と言いつつ、地面に向かって『ウィンドカッター』を唱える。魔法が当たった場所には鋭い切り口があったが、そこ
だけだった。
ヴェストリの広場のどこにも同じ様な跡は無いのだ。

「ああ、そうよね。魔法を使って切断したのなら…。」
「そう、どうしても痕跡は残る、だからこれを調べてみる。」
「これって『ワルキューレ』の残骸じゃない、これを調べるって…私も貴女もそういった魔法は得意じゃないでしょ
う?」
「だったら得意な人に聞きに行く。」
「となると…コルベール先生かシュヴルーズ先生辺りかしら?」
「その辺が妥当」

とりあえずの結論を出した2人は、上下に断たれた『ワルキューレ』をそれぞれレビテーションで浮かせてコルベー
ルの研究室へと歩いて行った。
131ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 09:00:33 ID:U9kgluYN
再び場面は変わり、ルイズの部屋。

色々と用事を済ませた後、ルイズが待ち受ける部屋に戻ってきたヒューはいぶかしんでいた、どうやら主であるとこ
ろの少女は怒っているらしいが、何が原因なのかさっぱり分からないのだ。確かに決闘は無断で受けたが、本番前に
一応の合意は取ったからこれは違うだろう。情報が無い以上どうしようもないのでここはルイズの出方をみて見る事
にする。

「ただ今、ああ疲れた。ところでいきなりどうしたんだ?ルイズお嬢さん。別に褒めて「黙りなさい!」」
「あ、あああアンタ、私をだっ騙したわね!何が平民よ!スクエアクラスの魔法を使えるメイジの上にメイジ殺しなん
じゃない!さぞ可笑しかったでしょうね!魔法を使えないくせに貴族ぶってるって!笑いなさいよ!」
「なにを言いたいのか良く分からないんだが、俺は魔法なんてただの一つも使っちゃいない。」
「アンタこの後に及んでまだシラを切る気?いい加減にしなさいよ!どこまでこの私を「ストップ!」」
「まあ、落ち着きなってルイズお嬢さん。とりあえず君の疑問に一つずつ答えようじゃないか、それを聞いて自分で
判断してくれ。
 さ、どうぞ。質問は一つずつだからな。」
「アンタ本当に偉そうよね。」
「人生の先輩だからね。」
「そう、じゃあ質問、始めるわよ。
 まずは、そう。アナタ、メイジなんでしょう?」
「違う、俺には君達みたいに魔法とかいう便利な力は使えない。」
「じゃあ、ギーシュの『ワルキューレ』はどうやって壊したの。」
「あれは武器で切っただけだ。」
「武器?あなた剣なんて持ってなかったじゃない。」
「これさ」

ヒューは悪戯っぽくウィンクすると、右手の親指を左手の親指と人差し指の腹ではさみ左右に広げる。そこには何も
無かった、否、何も無いように見えた。しかし、よくよく見ると極細の糸の様な物がヒューの右手から左手に繋がっ
ている。

「これが武器?ただの糸じゃない。」
「おっと、危ないから触っちゃダメだ。」
「どうしてよ、ただの糸でしょう?」
「ただの糸じゃあないのさ、こいつは単分子ワイヤーっていう代物でな、この糸自体が鋭い刃物になっているんだ。
どれ位切れるか見たいのなら…そうだな、何か持って来てこの手の間に振り下ろしてみるといい、さっきの『ワルキ
ューレ』みたいになる。」
「ふん、そんな糸如きで物が切れますか!ちょっと待ってなさい。」

そう言い放つとルイズは箪笥から乗馬用の鞭を取り出してくる。そろそろ古くなって来た鞭なので、別に壊れても大
丈夫だし。もし嘘をついているようなら、そのままこの鞭で躾けてやろうとほくそえんでいた。

「じゃあ、いくわよ。もし嘘だったら覚悟しておきなさい。」
「ああ、いつでもどうぞ。」

ヒューの返事が終わった瞬間、ルイズはヒューの両手の間に鞭を振り下ろした。
鞭はヒューの両手の間を手応えも無く、あっさりと通過する。ルイズは「そらみたことか」という表情を浮かべヒュ
ーに向き直るが、相手は別に気にしていない風である。

「ヒュー誰が糸を収めて良いと言ったのかしら?」
「いや、ルイズお嬢さん。ワイヤーは今から収める所、手応えが無かったのはそれだけ切れ味が良いって事でね。
ほら、その手に持っている鞭をもう一度見てみな。」

ヒューの言葉をいぶかしみつつ、右手に持っていた鞭を改めて確認すると先程、ヒューの両手の間を通過したと思し
き所から鞭が切断されていたではないか。切断部を確認すると恐ろしく滑らかだった。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 09:02:46 ID:lPV9A7N5
モノフィラメントワイヤーは近未来物の花形ですのう支援
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 09:02:48 ID:J1H1QuDt
しえーん
134ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 09:02:55 ID:U9kgluYN
「というわけさ、分かったかい?」
「分かったわ。ところでその糸だけど、それもマジックアイテム?」
「ただの武器…だけど、こっちじゃ売ってないだろうね」
「どうしてよ」
「分子って分かるかい?」
「なに、それ?貴重な鉱物か何かの事?」
「物が物として構成できる最小単位の事。物質はその分子が寄り集まって構成されているっていうのが俺の故郷での
常識でね、そういった概念が無い以上作れないのさ。
 で、俺が持っているこのワイヤーは、炭素分子っていう硬度では最高のもので構成されている。基本的にこいつで
切断できない物質はないっていうのが触れ込みだけどね。」
「嘘おっしゃい、それだと持つ事さえ出来ないじゃない。どうやって持っているのよ。」
「とは言ってもね、俺が作ったわけじゃないからな、要は使えれば良いのさ。持ち方っていうか鞘はこれさ。」

ヒューはルイズに親指を見せると、そこにワイヤーを収めてみせる。
それを見た時、ルイズの頭は真っ白になった。何しろ人の身体の中にあの恐ろしい切れ味を秘めた糸が収められてい
くのだ。

「え、えぇぇぇぇ?な、何?何なのヒューそれ!その手は!」
「うん、まぁ驚くだろうとは思ってはいたんだが、予想以上だな。
 とりあえずこれも俺の故郷の常識の一つ、ってやつなんだが。これはサイバーウェアの一種だ「さい…何?」サイ
バーウェア。要は人の身体に色々入れて便利に暮そうって技術。」
「何?それ気持悪いわね…。」
「まぁ、そう言うな。言っただろう、俺の故郷の常識だって。こっちでは気持悪いんだろうが、俺が住んでた場所で
は当たり前の技術だったんだ。それに一応こういった技術の進歩の根底には医療技術の発展という側面もあるからな、
一概に悪いと断じるのもどうかと思うんだが。」
「そ、そうね。国毎に色々と風習もあるでしょうし…。と、とりあえず謝ってあげる。
 所で、医療技術が進歩しているって言ってたわよね?だったらどれ位の事が出来るの?」

ルイズのその言葉にヒューは考え込んだ。実際の所、ニューロエイジでは金さえあれば全身を義体化する事もクロー
ン技術で若返る事も可能だ。知り合いの女医・芳華玲にかかれば、時間的制約はあるにしろ死さえも絶対では無くな
るだろう。文字通り金で命が買えるのがニューロエイジなのだ。
しかし、義体化やクローン技術については話さないほうが良いだろうと考えた。この2つの技術については倫理上様
々な問題が出ていた事を覚えているからだ。サイバーウェアでさえあれだけの拒絶反応を示したのだ、それに恐らく
信じないだろうという予感もする。
135ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 09:05:04 ID:U9kgluYN
「そうだな、大体の疾患は治癒可能だろう。両手足や内臓の欠損にしたところで贅沢言わなければサイバーウェアで
代行は出来る。
 ただ、最先端の技術情報や未知の疾患等に関しては専門じゃ無いからな、勘弁してくれ。」
「それ本当?本当に何でも治せるの?」
「多分ね、難しいケースになればなるほど資金はかかるけど。…いや、もうこの話は止めよう、実際もう意味が無い
話だろうしな。」
「どうしてよ、アンタの故郷に行けば病気が治せるんでしょう。」
「その故郷が何処にあるか分からなければ行きようがないだろう?」
「あ…」
「少なくとも俺はトリステインとか、ここら辺の国名は聞いた事が無いしな。」
「じゃあアンタの故郷ってロバ・アル・カリイエなの?」
「まあとりあえずはそういう事にしとくさ。」
「アンタ、自分の故郷の事でしょう?何でそんないい加減なのよ!」
「やり残した事はもう無いって言ったろ?あそこに家族がいるわけでもなし。と言うよりもだルイズお嬢さん、何だ
ってそんなに俺の故郷の医療事情に固執する?」

ルイズはヒューの言葉に一瞬押し黙った後、ぽつりぽつりと語り始めた。

「私の上には2人の姉様がいるんだけど、すぐ上のカトレア姉様のお身体が悪いの。公爵家の領地からあまり出た事
も無いし、お身体が弱い所為で魔法もあまり使えない位。一番上のエレオノール姉様はアカデミーに入って治療法を
探そうとしているわ、私も何とか水魔法の使い手になって姉様のお身体を治して差し上げたいけど…。
 だから治療方法があるのなら試してみたい、それが理由よ。」
「なるほどね、悪い事聞いたが。実際、故郷への道は断たれてしまっている、悪いが諦めてくれ。」
「とりあえずはそういう事にしておいてあげる。但し!アンタの故郷の場所がわかったらちゃんと教えるのよ!」
「ああ、約束する。で他に何か聞きたいことは?」
「そうね…、そういえばギーシュの『ワルキューレ』を切った後、どうやってギーシュの所まで移動したの?
 風の魔法にある『遍在』でもなければ説明できないんだけど。」

ルイズはこれでも言い逃れができるかとヒューに対して質問を浴びせた。が、対するヒューは何でもないかのように
応える。

「『遍在』っていうのがどういった魔法か分からないが、あれは手品さ。」
「手品?ってあの大道芸人が何処からともなくハトを出したりするあれ?」
「そうそれだ。」
「ア、アンタねぇ!貴族を馬鹿にするのも本当に「『ワルキューレ』が壊れた時どう感じた?」は?吃驚したわよ!
いきなり真っ二つになっちゃうんだもん!」
「そう、その時の意識の間隙を利用したのさ。例えば目の前でありえない事が起きた場合、人はそれを理解しようと
するだろう?で、そういった時は次に物事を認識するまで、ほんの一瞬だけど意識に空白が生まれる。その間に移動
すれば…ほら一瞬で移動したかのように見せる事ができるだろう?」
「だけど、それだけで説明がつく訳ないでしょう?」
「まあね、実際タネは他にもあるんだけど、それは今後のお楽しみって所だ。」

理解はできたが納得は出来なかった。しかし、ルイズにはヒューの言葉を否定できるだけの確たるものが無かった、
だから黙って次の質問を始めた。

「そうね、今後の楽しみにさせてもらうわ。じゃあ次の質問、“ふぇいと”って何」
「ああ、それはだな…」

その日、ルイズの部屋の灯りは遅くまで絶える事が無かった。
136ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 09:07:25 ID:U9kgluYN
支援ありがとうございました。今回はこれで終了、扉を閉じます。

ギーシュ戦はちょっと苦労した。
簡単に勝利をつかめてしまうせいで、どうやっても恨まれてしまう可能性があったからなぁ。
実際グラモン家の家訓には助けられました。
後、今回の話でルイズはある程度N◎VAの知識とウォッチャーを手に入れましたので了承してください、
ただし、現実感はありません。

一応次回はギーシュとモンモンが仲直りする回を予定しています。
書いてて砂糖吐きそうになったw
ラブコメとしては落第点なんだろうけどな!
とりあえず今日中には投下するつもりです。それではまた。

ちなみに:ギーシュのワルキューレ作成
      ・タタラの“<超スピード作業>+<親衛隊>+製作:ドロイド”でワルキューレ相当のトループを作成。
      ・<元力/大地・正>+自我は特に必要ないが、一応付ける事で魔法と言い張れる。
      ・達成値=人数だがここはあえて一体毎の耐久力に変更する。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 09:11:22 ID:lPV9A7N5
乙ー。
砂糖吐くような仲直りか……死ねばよかったのにw
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 09:52:10 ID:TXfptsI8
>136
乙。面白かった

なんだ戦闘力あるのかよー
今まで、ただのくたびれたオッサン探偵かと思ってたぜ
っていう書き手の思惑にまんまと載せられちまったw
139ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 09:58:08 ID:U9kgluYN
用語集投下するのを忘れていたので今から投下します
140ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 10:00:19 ID:U9kgluYN
シーン06b
スリーアクション(I)
…あらかじめ思考トリガーを決定し、複雑な行動を一瞬で行うシステム。

ニルヴァーナ(I)
…苦痛を抑制するコンバットドラッグ。設定上は脳内麻薬のトリガーとしている。

ソルジャーブルー(I)
…サイコアプリケーション(精神に刷り込むプログラム)。恐怖や過度の興奮を抑制し、理想的な戦士として行動させる。

Model.2002(I)
…熱光学迷彩コート。

ニューラルウェア(I)
…サイバーウェアの中でも神経に作用するものの総称。

IANUS(I)
…人体をウェブにリンクさせるシステム。ニューロエイジの人々は基本的に装備している。
 これがないとサイバーウェアは使用できない。

詳細不明のソフトウェア(I)
…『ガンダールヴ』のルーン
 能力値増強と白兵技能の底上げ、様々なスタイルの攻撃特技を適時付与するサイコアプリケーションや神経加速を含んでいる。

空蝉(特)
…様々なものを身代わりにして隙を作るカゲの特技。ヒューは素早く飛び退っているとしている。
 劇中ではこれを使用して出来た隙で『ワルキューレ』に対してシャーロックホームズを使用した。

タイプD(I)
…神経加速装置。使用することで反応速度が爆発的に上昇する。

ワイヤード・ハンズ(I)
…指に仕込むタイプの単分子ワイヤー。サイバーウェアで考えるだけで使用可能状態になる。

死点撃ち(特)
…相手の弱い所を看破し、攻撃するカゲの特技。

霞斬り(特)
…武器が霞むほどに素早く攻撃するカゲの特技。

不可知(神)
…カゲの神業。どのような状況下でも姿を消し行動することができる。

サイバーウェア(Y・I)
…外科手術により人体に埋め込む機械、システム、人工器官などの総称。

義体化(Y・I)
…脳と魂以外を全て人工物に置き換える技術。

クローン技術(Y・I)
…ニューロエイジでは本人の細胞を培養するなどして移植に使用したりする。
 また、万が一死ぬような怪我を負っても、自分と同じクローン体があれば再生も可能。そういうサービスもある。
 神業と呼ばれる能力で殺害された場合、同様に神業を使わない限り蘇生は無理となっています。

治療法
…個人的にはトーキョーN◎VAに行けば恐らく治癒は可能だろうと思う。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 11:19:34 ID:MfNhY3Bx
>123
乙です
確かに相手が反射使いまくりだからこの倒し方でも卑怯に見えんな
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 12:30:35 ID:WA6ASh3b
ヒューの人おつでした。
昔書こうとして断念したけど、もう一度クロスに挑戦してみようかなあ。
ここの作品読んでると意欲が沸いて来る。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 12:31:01 ID:a5886GRX
迷わず書いていただきたい
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 13:02:01 ID:jCcOu9Tl
大人のヤマグチノ〜ボル〜♪
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 13:24:50 ID:X6e6VN7b
DQVのフローラの娘を召喚。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 13:44:29 ID:0kLs9lwv
>>145
デフォルトネームが・・・
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 13:49:15 ID:UiSMie9m
ジョゼフが目が光る変装好きのハゲを召喚して世界征服する
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 13:52:03 ID:UYkMCWpg
ヒューはセクシーコマンドーの使い手なんですね。わかります。
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 15:40:16 ID:5pxw93X6
>>148
おk、元ネタ知らんかったけどヒューのキャラが脳内で固まった。
150Fatal fuly -Mark of the zero-:2009/01/13(火) 16:04:18 ID:3bsXrk79
十分後くらいに一機投下させてもらってよかですか
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 16:06:43 ID:N6lcUGBs
>>150
構わん、池
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 16:09:27 ID:VogjW2qY
>>150
ステーイ……
ステーイ……!

ゴッ!!!
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 16:10:55 ID:bqTII6z0
覇王支援拳を使わざるを得ない
154Fatal fuly -Mark of the zero-:2009/01/13(火) 16:11:18 ID:3bsXrk79
ちょっと早いけどいきまーす。 


 最早深夜にさしかかろうかという時刻であった。
 ルイズとロックは他愛のない雑談に花を咲かせながら、寝るまでの時間を稼いでいたのだが、どうも落ち着かない。
 それは、昼間の品評会での予想外の受けと、取り囲まれた際の危機感が特にあるのだろう。
 だが、冷静に考えれば、実際の話、そもそもが同室に年頃の娘と男が寝泊りしているのだ。
 それだけで落ち着かぬ事態にならなかったことこそおかしい。

「で、ロックはあれ以上の芸って持ってないの?」
「芸って言うなよ。ありゃ、技だ」
「どっちも同じじゃない」
「見せるためだけの物が芸であってだな……ああ、もう、めんどくせぇ!」

 ロックは頭をくしゃくしゃと掻いて言った。

「一応、あるにはあるよ。だけど、あれとか使っちまうと――」

 言いよどんだロックに、ルイズは白い目を向けた。
 この後に続く言葉とすれば、ご主人様にどうして出し惜しみなんてするのよ、という所だろうが、使い魔は使い魔にせよ、対等の関係を謳うだけにどうしても完全な強みを見せられない。
 そこでルイズが発したのは若干常より柔らかい言葉だった。

「使うと、駄目なの?」
「…………」

 予想外の言葉だったのか、ロックの口が止まる。
 しかし、顎を掌で少し撫でつけ、落ち着きを取り戻した彼は、戸惑いがちなルイズの目を眺めながら言う。

「俺、さ、こんな力欲しくなかったって言ったこと、あったよな」
「……ええ」
「あれ、色々ルイズにも見せたんだが、昔、俺は知らなかったんだ……どうも親父の使ってた技らしい」
「どういう事?」
「自分でも知らない間に、親父のものを自分のにしちまってたんだな。――――皮肉だよ。一番憎んでる相手だぜ?」
「は?」

 貴族社会に於いて、親を憎むという事は確かに多かろうが、ルイズはそういう認識から遠い所にいる。
 だからこそ、ロックの発言が理解できなかった。何で親を憎むのか?

「ちょ、ちょっとロック。自分のお父様が憎いって何よ!」
「……あのさ、ルイズ」
「…………」
「母さんが病気で倒れたんだ」
「…………」
「治療に必要な金が無かった。まともに顔も見たことのない親父だけど、それに助けを求めて、だ。開口一番、帰れって言われた気持ちが

分かるか?」
155Fatal fuly -Mark of the zero-:2009/01/13(火) 16:13:50 ID:3bsXrk79
 言葉も無かった。そんなこと、ルイズには分かるはずもない。
 人の生き死にまでになると、口をおいそれと出せるほどに彼女は鈍感ではない。
 そして、ルイズはそういう家族形体がまずにして分からなかった。
 母親、父親、寄り添って暮らすのが当然だという認識があるからである。

「母さんの死に際、凄く寂しかったよ。小さな教会で、おざなりな牧師の説教とか聞いてさ。……なんで、なんであんな……」

 当時を思い出したのか、ロックの放つ言葉に嗚咽が混じり始めた。ただ、その名残はあっという間に消え去り、少しばかり残った鼻の頭の赤みが、見え隠れするばかりだった。
 それに何か言える立場にルイズはいない。確かに、ゼロのルイズだとか言われ、呆れを覚えられているが――

「あいつを、ギースを絶対にぶっ倒してやろうと思ってた」

 オスマンとの対話で出て来た名前を思い出し、ルイズはどきっとした。
 やっぱりか、やっぱりなんだな。実際は分かっていたが、改めて口にされると驚きは来る。

「ねぇ、ロック。その人って今は――」
「いない」
「…………」
「俺の今の親父、テリーが、殺した」
「なっ」
「そんな奴を親父にしてるってのが、分からないか?」
「わたしに言われても、分かるわけ無いじゃない」
「俺だって……分かっちゃいないんだけどな。でも、テリーは言ってくれたんだ。お前も俺と同じ身の上か。よし、じゃあ、今日から俺が面倒を見てやる、ってな」
「何よ、それ。殺した相手に対する贖罪って言うなら、あまりにも陳腐よ」
「その時は知らなかったと思う。でもさ、テリーの話を聞いてわかったんだ。つい最近のことなんだけど」
「?」
「テリーも、自分の親父を殺されたんだ」
「!?」
「もう、これで分かるよな。ギースにだ」
「出来すぎよ。何、物語の中の話じゃない」
「ほんとにな。でも、事実だ」

 負の連鎖。
 その単語がルイズの脳裏を過ぎった。
 生い立ちの話で言えば、下々の人間にせよ、貴族にせよ、難しいものは多々ある。しかし、それは話で聞く部分だ。自分と関わる事では

ないと高をくくっていた節はある。
 これが、わたしの使い魔。
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 16:15:05 ID:u27tSCJh
sien

月下の剣の楓と間違えられる男よ・・・
157Fatal fuly -Mark of the zero-:2009/01/13(火) 16:18:37 ID:3bsXrk79
「複雑だよ。人の感情ってのはな。そして、テリーは復讐を成し遂げた。やりきれないと思った。俺からしたらな。本当に、やり場のない怒りをもてあます。
 頭がぐちゃぐちゃになってよ、考える事すらできねぇ。理解は出来るんだ。だけど、どうしても最後の一線が越えられない。嫌いなんだ、宿命だとか、運命だとか。
 そいつに必死になって喧嘩を売ってる。ルイズだってそうだろ? お前は、貴族の血があるのに魔法が使えないって言うよな」
「認めたくない話だけどね……」
「ベクトルは逆なんだけど、俺とお前、根本が一緒なのかもな。どこまでも足掻いて、必死で戦って。そうでないと、見てもらえない。自分って奴が希薄になっていくのが――耐えられない。何か見えない糸に操られてるような、気持ち悪い感覚。分かるか?」
「性質の悪い冗談ね。わたしはわたし。ラ・ヴァリエール家の人間よ。意思は絶対に譲らない」
「強いよな。暗黒の血はどうしても俺を支配したがる。さっき言った、ルイズの俺の技……頭の中をぐじゃぐじゃにするそんな、どす黒い血の力に頼らないといけねぇ」
「何言ってるのよ、ロック」
「は?」
「あんこくのち? それがどうかする? 馬は手綱をつければ思い通りに動くじゃない」
「……成る程な。でもそりゃ説得力ねぇぞー。お前は実際どうなんだよ」
「い、今はとりあえずなんとかしようとしてるだけ! 暴れ馬なの!」
「ははは……だな、結局落ち着くのはお互い様って話なんだけど……ああ、俺は、そこまでの意思の強さがねぇのかな。まだ、誰か隣にいないと駄目なのかな」

 寂しげに、両腕を組んでロックは言う。
 ルイズは思わず彼を抱きしめて言ってやりたかった。今はわたしがいるじゃない、と。
 だが、そんな事を実行出来るほどの行動力は彼女にはない。ロックの話を聞けばすぐに分かる。テリーという父親に依存していた事が。
 そこまで自分は至れるのかという疑問、拭いきれないそれが、ルイズをとどまらせていた。

「下らない話をしちまったな。ははっ、俺もちょっと流されすぎだな。でも、ルイズに俺の事を少しでも分かってもらえたのなら、いいさ。運命共同体だし」
「どう返せって言うのよ」
「いいよ、おまえはそのままで」
「馬鹿にしてるの!?」
「そんなわけねぇだろ。正直な所、お前に会えてよかったと思うよ」
「何を……」
「ほんとさ。新しい事だらけだ。人の出会いは一期一会。お前みたいな強い奴は、結構好きだぜ?」
「――――なっ、なにをっ! そんな別に、言われた所で……」
「女の子と話なんて、ほんとはまともに出来なかったんだよ、俺」
「その割にはツェルプストーとかと……ああ、あれはちょっと困ってるだけね」
「やめて欲しいんだよな……あれ、って、まぁ、だけど、さ。凄く今自然にルイズとは話せてる。昔からの知り合いみたいに」
「そうよね、何でか、わたしにも分からないわ」
「ちょっと、考えた。だから言うよ。――ケンカ、でっかいケンカだ。自分を閉じ込めてる運命って奴を、一緒にブチ破ろうぜ。その為に会えた、なんてな」

 そこでルイズは顔を真っ赤にさせた。言うロックも誤魔化した笑いを浮かべているが、顔の赤らみは最高潮だ。
 それこそ陳腐なのはロックの発言だ。だけど、この湧き上がる気持ちはなんだろうかと考えている間、さらに彼は続けた。

「結局の所、俺は狭いところに縮こまってただけなんだろうな。世界は広いよ、本当に。それこそ隔たりなんて無かった。見ろよ、月が綺麗じゃねぇか。二つ明るいのが。俺のいた所じゃ見れなかった」

 ロックの言葉にルイズは窓の外に目を向けた。
 成る程。
 雲が晴れた日には双月がよく映える。

「キザね」
「そんな事言われたのは初めてだな」
「言ってやらないと分からなかったようね」
「かも知れない」

 額に手を当てて笑うロックにつられて、ルイズも笑い声を上げた。
 平民の使い魔を呼び出したなどという事で負い目を感じていたが、今になって彼女は思っていた。
 ――呼び出したのが彼でよかった。
 月の輝きが満ちているこの頃、扉のノックの音が響いたのは突然の事だった。
 
158Fatal fuly -Mark of the zero-:2009/01/13(火) 16:21:58 ID:3bsXrk79
以上、投下終わりです。
意外とロックとルイズ似たもの同士ってとこでした。
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 16:40:01 ID:bqTII6z0
そういやロックで留年高校生よりよほど運命とかに縛られてるんですよね
お疲れ様でした
次も期待しておりますです、はい
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 17:12:28 ID:jCcOu9Tl
大人の階段ノ〜ボル〜♪
ヤマグチ階段ノ〜ボル〜♪
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 17:18:07 ID:BiHHRAkT
乙!ロックカッコイイよロック。
でも早く俺の永遠のカリスマ、ギース様に出て来てもらいたいぜ。
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 17:22:17 ID:rJUSKLjF
同感だな
宿命の親子対決が見たい
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 17:22:46 ID:sM1OpD/i
ロックがギースの話すると、どうしても墓標の親子会議を思い出してしまうな。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 17:24:09 ID:IGdX0kvY
>>159
パシる代わりに古武術を使う先輩に弟子入りしたやつと比較するのはどうかと
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 17:28:11 ID:rJUSKLjF
古武術を使う先輩イコール留年高校生 じゃなかったっけ?
ライバルはとっくに卒業してるらしいのに……
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 17:46:56 ID:X6e6VN7b
大人のヤマグチノ〜ボル〜♪
君はまだツンデレ〜さ♪
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 18:01:10 ID:iryktA/l
ロックの人投下乙でしたー。次回アンリエッタのお願い、楽しみにしてます。

>>163
『ギース』『墓標』の二つの単語が同時に出てくると、どうしてもギース・ボヒョー・ハワードを思い出す。
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 18:01:18 ID:hSnO2/dk
京「下がる男とか呼ばれてる野郎も卒業したってのに俺はorz」
169ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 19:00:04 ID:U9kgluYN
予約がないようなら昼前に宣言したように次の話を19:05から投下します。
個人的には砂糖をふんだんに使った、お菓子製の扉のような気がする。
一応本筋とは微妙に違っているので6.5となります。
170ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 19:05:08 ID:U9kgluYN
それでは扉を開きます。

ルイズはヴェストリの広場から去った後、学院の廊下をヒューを引っ張りつつ歩いていた。
ヒューの肩には意識を無くしたギーシュが担がれている…傍目には死んでるように見えるが。

「お嬢さん、ルイズお嬢さん、ちょいと寄り道いいかい」
「何よ!」
「これこれ」

ルイズの目の前には、満足そうな表情で気絶しているギーシュの顔があった。

「ひっ!」
「おいおい、それはかわいそうだろう。ちょっと気絶しているだけだ。
 でだ、この人騒がせな男を医務室に寝かせた後も色々と用事を済ませないとならないんだが。」
「そうね、さすがにこのまま放っておく訳にはいかないし…。
 分かったわ、とりあえず用事が済んだら部屋に戻って来なさい…。それと今晩の食事は部屋で食べるから、その連絡
もお願いね。」
「分かった、料理長に伝えればいいんだな?」
「ええ。
 逃げるんじゃ無いわよ?」
「分かってるって。」

そうして2人は右と左に別れていく。この後、ヒューは料理長に抱きつかれたり、シエスタに伝言を伝えたりと忙しか
ったのだが、そういった話は割愛する事にする。

だって今回の主人公はギーシュなのだから。



ゼロのフェイト シーン06.5 “薔薇と香水”

    シーンカード:イヌ・V(審判/事件の決着。逮捕。失われしものの再生、復活。蘇生。浄化。)



深い水の底から浮かぶような感覚と共にギーシュは意識を戻した。

(あれ、僕は確かヒュー・スペンサーなるスクエアメイジに殺されて…、ああここが俗に言うあの世とやらか。
 しかし、あの世というのは奇妙なものだ、学院の医務室にとってもよく似ている。
 父上は怒るだろうか、スクエアとはいえ決闘騒ぎを起こした上に死んでしまったのだから、それともよくぞ最後まで
意地を通したと喜んでくれるだろうか…、喜んでくれると良いなぁ。
 死んだ上に怒られるのは勘弁してほしい。
 そうだ、ミスタ・スペンサーは伝言を伝えてくれただろうか。殺される前に自分の素直な気持に気付くなんて情けない
事この上ないが、逆にあの状況だったから気付けたのかもしれない。
 モンモランシーには本当に幸せになって欲しい、本当は自分が幸せにしてあげたかったけど、死んでしまってはもう
叶わない夢だ、せめて彼女に優しい夫ができる事をここから祈ろう。)

ギーシュがそんなとりとめもない事をつらつらと考えていると、不意にカーテンを開く音が聞こえてきた。
何と、天国にはカーテンがあるのかと思いそちらを見る。するとそこにはモンモランシーそっくりの天使が洗面器を持
って立っているではないか。
天使の身を包むのは何故かトリステイン魔法学院の女子用制服で、驚いているのか表情から何から固まってしまってい
る。いやにサービス精神旺盛な天国だと思っていると、モンモランシーそっくりの天使の瞳にみるみる涙が溢れてきた。
ああ、泣かないでおくれ。モンモランシーにそっくりなその顔で泣かれてしまったら僕はどうしていいか分からなくな
ってしまう。

そんな疑問や思いも次の瞬間、聖地の果てへと吹き飛んでしまった。
171ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 19:07:14 ID:U9kgluYN
何と!モンモランシーそっくりな天使は、感極まったのか、洗面器を取り落とすといきなり抱きついてきたではないか!
ああ、いけない!君にそっくりだけど僕にはちゃんと心に決めた彼女がいるんだ!だけどもう死んじゃったしなぁ!待て
よ?この天使の抱擁はあの戦いをやり遂げた僕へのご褒美じゃあないだろうか?そうだ!きっとそうに違いない!
それにしても僕という存在は何と罪深いのだろう!生きている頃には数多の少女達をただそこに居るだけで誘惑してし
まい。死してなおこれ程までに可憐な天使を誘惑してしまうなんて!ああ、この身に宿る薔薇の宿命が憎い!

しかし、本当に天国なんだなぁ、姿かたちはもとより香りまでモンモランシーにそっくりではないか。
嗚呼!天国万歳!


「うおっほん!ミスタ・グラモン、ミス・モンモランシ。
 感極まっている所、申し訳無いのですが少々よろしいですかな?」

この世(?)の幸せを味わっていると、横合いから無粋な中年男性の声が掛けられる。
そちらを見てみると。

「うをっ!眩しい!目が、目が潰れてしまう!」

そこには光そのものがあった!何と!これ程の光を放つとは!もしやこの光こそ始祖ブリミル!?
何たる事だ!天使のみならず、始祖ブリミルにまで拝謁できるとは!このギーシュ・ド・グラモン生涯(?)の誉れ!

「くっ、申し訳ありません。始祖ブリミルの御前とはいえ恥ずかしき姿をお見せしてしまいました。」
「始祖ブリミル?いかんな。もしやまだ意識の混濁が残っているのか?」
「いえ、もう大…丈…夫………おや?ミスタ・コルベール?」
「ええ、そうです。ようやく目が覚めましたか…それはそれとして、いつまでそうしておられるのですかな?」
「は?え?わっ!」

コルベールの視線を辿ると、自分の腕の中には顔を真っ赤にしたモンモランシーがいる。
慌てて離れるとここが何処なのか、はっきりと理解できた。

「あれ?ここは…医務室?
 確か僕はミスタ・スペンサーに首を落とされて死んだはずじゃあ…。あれ?」
「ほほう、その様子だと自分が何をされたか気付いていないようですな。」
「え?ミスタ・コルベール、僕は一体…」
「君は意識だけ刈り取られてこの医務室に運ばれてきたのですよ、あまりにも鮮やかだったので殆どの人が君が殺され
たと思い込んだほどでした。」
「何と…、あのじゃあ彼はミスタ・スペンサーは?」
「君をココに運んだ後。ミス・モンモランシー達に君からの言葉を伝えておりましたな。
 私は廊下で少々事情を伺ったのですが、彼は用があるからと今はミス・ヴァリエールの部屋におりますぞ。」
「あの、彼は何と…」
「彼…ミスタ・スペンサーですな?
 確か、大人気ない事をしてしまった、詫びといっては何だが伝言は伝えておく…と。
 ところで伝言とは?」
「いや、この件で色々と迷惑を掛けた女性達がいたもので…。」
「なるほど、そうでしたか。迷惑をかけたら謝る、これは貴族とかではなく人として大事な事ですぞ?」
「はい、僕自身今回の件で至らない所を自覚したつもりです、彼女達はもとよりミスタ・スペンサーにも謝罪をしようと
思ってます。」
「ええ、それがいいでしょう。
 とりあえず、明日の授業は大事をとってお休みなさい、これはオールド・オスマンからの指示でもあります、よろしい
ですな?」
「はい、ご心配をかけてしまい申し訳ありませんでした。」
「ああ、それと禁止されていた決闘を行った事に関する処分ですが、色々と自分に足りないものを自覚しただろうから
それをもって処罰とするそうです。」

そこまで言うと、コルベールは微かに笑みを浮かべて医務室を後にした。
172ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 19:10:22 ID:U9kgluYN
コルベールが医務室を辞すると、そこにはギーシュとモンモランシーだけが残された。
モンモランシーの顔は赤いままだが、ギーシュからは顔をそむけている。
ぴんと張り詰めた空気が医務室に充満していた。食堂の修羅場再びかと覚悟したギーシュだったが、何とはなしに違うと
理解していた。
そういえば、先程ミスタ・コルベールにも言っていた事があることを思い出した。

「モ、モンモランシー」
「何よ」

返す彼女の言葉は氷の如き冷たさと固さを有していた。
ギーシュは思う。ああ彼女をここまで悲しませたのは自分なんだと、だからこそこの氷は溶かさなくてはならないのだと。

「謝っただけで許してもらえるとは思っていない、君が言うことなら何だって聞こう。
 あんな事をやっておきながら、何を今更と思うかもしれない。僕もそう思う、実際とても情けないし恥ずかしい。
 僕は自分が犯してしまった罪でかいた恥を、平民の少女をいたぶる事で誤魔化そうとした卑劣漢だ。
 モンモランシー、君やケティにしてしまった裏切り行為に至っては本当に万の言葉を費やしても謝罪しきれない位さ。
 ただ、これだけは理解して欲しいんだ、僕は君が好きだ…この世で一番君を愛してる。
 例え君が、他の誰を好きになろうともこの気持だけは誰にも譲るつもりはない。
 悲しい事に、僕にはもう君を幸せにする資格は無いんだけどね。「さっき」え?」
「貴方が気絶してここで寝ている時に、ルイズの使い魔が私の所に来たのよね。」
「みたいだね、ミスタ・コルベールも言ってた。」
「で、貴方が馬鹿な理由で決闘を仕掛けて、負けた事も聞いたわ。」
「あ、あはは…はぁ。」
「で、貴方の言葉も聞いた…、正直腹が立ったわ。」
「そ、そうなんだ…」
「そうよ!何で勝手に死のうとするのよ!私が好きなんでしょう?誰にも渡したくないんでしょう?だったら家訓なんて
無視なさい!あんな伝言残された方の身になりなさいよね!
 あの人、ミスタ・スペンサーが身体に怪我はさせてないって言ってたけど、ずっと不安だったんだから!このまま目を
覚まさなかったら、死んじゃったらどうしようって!生きてたらさっさと起きて私を安心させなさい!」

背けていた顔をギーシュの方に向けると、その顔は涙に濡れていた。そうして一気に言葉を捲くし立てるやギーシュの
懐に飛び込み両手で彼の胸を叩き続けた。
ぽかぽかと悲しくなる位、弱い両の拳を優しく両手で包み込むと。モンモランシーに負けず劣らず顔を真っ赤にしたギー
シュは自分のおでこを彼女のおでこにくっつけて目を閉じると、優しく問いかける。

「心配させてごめん。それじゃあ僕は君を好きでいていいの?」
「ええ」
「君を愛しても?」
「許してあげる、ただし浮気は許さないわ。」
「怖いね…」
「当たり前でしょう、今回は何とかなったけど、毎回こんな結果になるとかありえないんだから。」
「うん、そうだねもうしない。ミスタと戦って…いや教えられて分かったよ。
 じゃあ、君は僕の事どう思ってる?」
「好きよ」
「それだけ?」
「まさか、愛してるわ。この世界の誰にも負けない位にね。」
「うん、僕もだ、この世界の誰よりも君を愛してる。」
「ミスタと戦っても良い位?」

くすくすと笑みを浮かべながらモンモランシーが問いかける。

「そ、それは勘弁して欲しいなぁ。でも頑張るよ、ミスタが言った様にどんな手を使っても君を愛してみせる。」
「う、うん。ごめん意地悪言っちゃった。私も貴方を他の女に取られないよう頑張るわ。」
「信用ないなぁ…」
「あら、あると思ってたの?」
「ごめん、本当に反省してます。」
173ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 19:12:19 ID:U9kgluYN
そうして、2人は瞑っていた目蓋をほぼ同時に開いて、ちょっと恥ずかしそうに微笑みあう。

「じゃあ行きましょうか。」
「え?」
「ミスタ・コルベールと約束したでしょう?
 まずはあの一年ね、それからとばっちりを受けちゃったメイドの子、そうそうミスタにもちゃんと謝罪しないと。」
「あ、あれは僕だけで行くよ、君には何の落ち度もないんだから。」
「いいえ、これというのも私が貴方の手綱をしっかり握っていなかったのが問題の発端だったのよ!
 貴方が誰のモノかちゃんと周りに知らせておけばもうこんな事は起きないでしょ。」
「そ、それはそうなんだけどね。ねぇ、モンモランシーちょっと急ぎすぎじゃないかい?」

モンモランシーはギーシュの言葉を聞こうともせず、腕を引っ張りながらずんずんと廊下を歩いていくのだった。
片や引っ張られるギーシュはというと、「ちょっと早まったかなぁ…」とほんの少しばかり後悔はしたものの、モンモ
ランシーの幸せそうな笑顔を見ると、「まぁ、彼女が幸せならこれもいいか」と早々と彼女の尻に敷かれる事を楽しん
でいた。

その後、ギーシュとモンモランシーは学院生徒公認のカップルになり、平民にもそこそこ受けのいい貴族として知られる
ようになる。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 19:13:37 ID:lPV9A7N5
死ね、いや支援
175ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/13(火) 19:14:13 ID:U9kgluYN
今回はこれで終了、扉を閉じます。

どうでしたでしょうか皆さん、砂糖は吐けましたか?
吐けたら投下した甲斐があったというもの。

さて、何故ここまでシーン06に含めたかというと、答えはシーンカードにあります。
今回のシーンはイヌ。
暗示するものは、『事件の決着。逮捕。失われしものの再生、復活。蘇生。浄化。』です。
今までの話も大体シーンカードの暗示に則って進めているつもりですが、合ってるかなw

それではまた。
176炎神戦隊ゴーオンジャー ◆955ynBBa1I :2009/01/13(火) 19:15:52 ID:ph9pTiEX
ゴーストステップ・ゼロの作者さん、お疲れ様でした。
GP−11投下OKですか?
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 19:15:59 ID:lPV9A7N5
ギギギ、乙じゃくやしいのうくやしいのう
つ怨
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 19:29:04 ID:lPVUenud
何月何日何曜日何時何分何秒に投下するかくらいは事前に言っとくのがマナーだと思います
179炎神戦隊ゴーオンジャー ◆955ynBBa1I :2009/01/13(火) 19:31:07 ID:ph9pTiEX
>>178
すいません。
19:35から投下します。
180炎神戦隊ゴーオンジャー@ ◆955ynBBa1I :2009/01/13(火) 19:36:28 ID:ph9pTiEX
「炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! GP−11」
次回予告
「ガンパードだ。とんでもねえ奴がマジックワールドにやってきた。その名はヒラメキメデス。打つ手はあるのか」
「ごきげんよう、人間ども」
「GP−11 合流ヒラメキ
 ――GO ON!!」
181炎神戦隊ゴーオンジャーA ◆955ynBBa1I :2009/01/13(火) 19:41:31 ID:ph9pTiEX
 屋上で原稿用紙とにらめっこで新たな紙面の文章を思案しているリンテンバンキ。
「今度は……『CO2増加目標発表 1年で2000%増加』ってとこかな?」
「見つけたわよ!」
「追いかけられろ、蛮々。新聞! 世界で一等愉快な新聞〜」
「あんたが新聞を使ってみんなを操ってたのね!」
「そうだよ。私が書く新聞記事に仕込まれた催眠効果で人間達は何でも信じ込んじゃうんだよ」
「許せない!」
 助走して跳躍、リンテンバンキに飛び蹴りを浴びせるキュルケ。
「気付いたってあんた1人じゃ私は倒せないわよ」
 リンテンバンキとの孤軍奮闘空しくキュルケは地面に倒れた。
「押し紙カッター!」

 ヘルガイユ宮殿では前倒ししての祝杯。
『乾杯!!』
「リンテンバンキの新聞に騙されてキュルケ達は散り散りバラバラなり」
「1人ずつなら恐れるに足らぬぞよ」
「ケガレシア達の言ってたゴーオンジャーが来でもしないとどうにもならないわね」
「この世界はわらわ達が汚しつくしてやるでおじゃる」

「押し紙カッター!」
 悲鳴を上げて屋上から転落するキュルケ。
 するとどこから来たのか衛兵隊が、
「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプシュトー、逮捕する!」
 とキュルケに群がってきた。
「やめなさい! 放して!」
「新聞で報じられたぞ! お前は死刑だ!」
「ええいっ!」
「ガイアークの邪魔者の最後をリアルタイムの号外でマジックワールド中に報じるよ! ウガッツ、写真写真!」
 ウガッツにその様子を写真撮影させるリンテンバンキ。
182炎神戦隊ゴーオンジャーB ◆955ynBBa1I :2009/01/13(火) 19:43:48 ID:ph9pTiEX
 ヴェルサイテイル宮殿では、
「土くれのフーケが逮捕されたって?」
 執務中のタバサが顔を上げると「蛮々。新聞」があり、1面に衛兵隊に取り押さえられたキュルケの写真が掲載されていた。
『窃盗容疑で指名手配中のキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプシュトー 逮捕の瞬間!』
 それを手にしたガリア官僚達も死刑死刑と大はしゃぎしている。
「……キュルケ……」

 ビプリーベ伯邸でも、
「土くれのフーケ、当然の報いだわ」
 腰まで伸ばした青髪をツインテールにしている少女の声に、ギーシュも新聞を見つめる。

 押し紙カッターの前に倒れたキュルケが見据えるのは、リンテンバンキとカメラを構えたウガッツ達だった。
「往生際が悪いわね。あんたはもうおしまいよ」
「黙って! こんな事で私達は負けたりしないわ!」
「あんたは仲間達に見捨てられてここで1人寂しく死ぬのよ。押し紙カッター!」
 キュルケは満身創痍で倒れたがすぐに、
「私は2人を信じてる! 私が倒れても、タバサの秘めた情熱はあんた達を許さない!」
 口の中に溜まった血を吐き出して立ち上がり訴えるキュルケ。
「………」
「うるさいうるさいうるさい!」
「ギーシュの愛の力に、あんた達は絶対勝てない!」
「………」
「2人は必ず目を覚ましてあんた達を倒す!」
 押し紙カッターを何度も受けても立ち上がるキュルケの言葉と姿が、新聞記事内のコメントと掲載写真を通して2人に伝わる。
「この世界は絶対にあんた達の思い通りにはならない!」
「言いたい事はそれだけ? 新聞紙より薄く切り刻まれてあの世に行きなよ! これでおしまい!」
183炎神戦隊ゴーオンジャーC ◆955ynBBa1I :2009/01/13(火) 19:45:35 ID:ph9pTiEX
 そう言ってリンテンバンキがとどめを刺そうとした時、
「きゃあっ!」
 リンテンバンキ・ウガッツに氷つぶてと青銅のナイフの雨が命中、爆発するウガッツ。
 キュルケが振り向くと、そこには油断無くリンテンバンキに杖を向けるタバサと笑ってキュルケに手を振るギーシュの姿が。
「みんな……」
「あんた達は!」
「……よくもインチキニュースで騙してくれた……」
「いやあ、かなりハッピーだったよ。……でもこんな悪巧みはごめんだね」
「そんな……、あんた達は私に踊らされてたはずなのに……」
 呆然とするリンテンバンキ。
「……キュルケの叫びが私達の心に火を点けた……おかげで目が覚めた……」
「シルフィ達も催眠にかかってたみたいなのね。ごめんなのね、フレイム」
 ――キュルルル
(まったく……。たるみすぎです)
「3人揃った私達は絶対無敵、元気爆発よ!」
「くっそー、押し紙カッター!」
 押し紙カッターを前転・跳躍で素早く回避する3人。
「ファイヤーボール、ゼロ距離射撃!」
 前転で接近したキュルケが突きつけた杖から放たれた火球が即座に爆発!
「きゃああっ!」
 そこにすかさず、
「……はっ……」
「はあっ!」
 跳躍したギーシュ・タバサの氷の刃を纏った杖と錬金で作成した長剣による斬撃が決まる!
「うわあああっ!」
 地面に倒れのたうち回るリンテンバンキの姿を好機と見て、キュルケは2人に声をかける。
「とどめよ!」
 キュルケを中心に3人は杖を重ね合わせていく。
『フレイムボール!!』
 ――キュルキュル! キュルル!
(キュルキュル! ターゲットは外しません!)
 火球という概念を超えた高熱を持つ真紅の光弾がリンテンバンキに炸裂した!!
「自分の寿命が100日縮まったー!!」
 辞世の句を残して爆発四散するリンテンバンキ。
「これで催眠にかけられてた人達も目が覚めるわね」
184炎神戦隊ゴーオンジャーD ◆955ynBBa1I :2009/01/13(火) 19:47:18 ID:ph9pTiEX
 街に平和が戻り、町の人々が滅茶苦茶に出したゴミ袋を片付けている。
 魔法学院の中庭では、疲労困憊という様子でテーブルに突っ伏すキュルケにギーシュが紅茶を入れていた。
「今日はキュルケ様々って感じだね」
「……感激……キュルケが私達の事……あんな風に思ってくれてた……」
 タバサも後方からキュルケの肩を揉む。
「あれはあんた達が目を覚まさないから……」
「……照れない照れない……」
「照れてないわよ!」
「でもタバサはもっと王女やってたかったんじゃないのか?」
「……そういうギーシュこそ……可愛い妹を婚約者にしたかったはず……」
「僕は自分の魅力でハーレムを作るさ。ルイズの使い魔の事が解決したらね」
185炎神戦隊ゴーオンジャーE ◆955ynBBa1I :2009/01/13(火) 19:49:56 ID:ph9pTiEX
 その夜……。
 マチルダは目の前の男に焦りを浮かべる以外不可能だった。
 隠し持っていた杖を含む3本の杖を取り上げられて収監された牢獄から、記す事すらはばかられる場所に隠していた4本目を使用して脱走した自分の前に出現した人影。
 突然現れて協力を強要してくる男に仮面を被っての交渉、怪しい以外の何でもない。
「気に入らないね」
「……協力するのかと聞いているのだが」
「あんたのそれは脅迫って言うのさ」
「貴様……」
「はっきり言ったらどうなんだい? 『死にたくなければ協力しろ』ってさ!」
「……最後だ。協力するか死ぬか選べ」
「お断りだよ、外道の同類が」
「では残念だが貴様には死んでもらおう」
「ママに習わなかったのかい? 初対面の人間に貴様とか言っちゃいけません、って」
「貴様!」
「女性には優しくって習わなかった? 今のあんた図星をつかれてあせってるお子様みたいだよ!」
「盗賊ごときが! 死ね!」
 視認も難しい神速で迫る風をまとった杖がマチルダの胸を……貫けなかった。
 三角形の光弾が2人の間に割って入り、即座に2人は飛びのいた。
「……おやおや、断られたら殺すですか……。計算のできない方はいけませんね。私でしたらもっと上手く立ち回りますよ?」
 そう言いながら路地裏の闇から出現したのは、全身を鎧と鉄仮面で固めた男だった。
「貴様、何者だ!?」
「生憎ですが、今名乗るわけにはいきませんね。あなたのような人間の前では」
「ならば貴様も死ね!」
「黙って殺されるわけにはいきませんね。直角二等辺三角形斬り」
 鉄仮面が振るった剣から放たれた三角形の光弾が直撃、仮面の男は堪らず吹っ飛んだ。
「くっ、覚えていろ!」
 仮面の男はそう捨て台詞を残して逃走した。
「あんた何者?」
「害地副大臣ヒラメキメデス」
「さっきの男の同類かしら?」
「革命? ナンセンスですね。王家打倒? 我々の前に王家など無意味。聖地回復? エルフも聖地も世界ごと汚染するだけですよ」
「王家どころか世界を敵に回す気……? そんなとんでもない目的を持ったどこぞの副大臣様が、こそ泥風情に何の用かしら?」
「私達は優秀な協力者1人でも多く必要としています。協力していただけないものでしょうか? もちろん断られてもあなたをどうこうする気はありません」
「……まあ助けられた恩もあるしね。わかったわ、協力する。ところであんた達の組織とやらは何て言うのかしら?」
「蛮機族ガイアーク」


蛮機獣リンテンバンキ
【分類】害地目
【作製者】害地大臣ヨゴシュタイン
【作製モデル】輪転機
【口癖】「シーンブーン」「ゴーガーイ」
【身長】190cm
【体重】190kg
「輪転機」をモデルとして製造された女性型の蛮機獣です。
 輪転機とは、主に新聞や大量部数を発行する雑誌の印刷に使われる道具です。
 リンテンバンキは、胴体が強力な輪転機になっています。
 捏造した嘘の新聞記事を掲載した「蛮々。新聞」を印刷して、それがどんなに荒唐無稽な内容でも読んだ者に信じ込ませる事ができます。
注1)リンテンバンキは、アンテナバンキのデータを応用してテレビの無いマジックワールド用に製造された蛮機獣です。
注2)アンテナバンキ同様裏目に出る恐れがありますので、現実を号外で報道させない方がいいでしょう。
186炎神戦隊ゴーオンジャー ◆955ynBBa1I :2009/01/13(火) 19:51:17 ID:ph9pTiEX
以上投下終了です。
しかしいろいろ小ネタを書いてはみたが反応が無い……。
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 19:57:13 ID:rJUSKLjF
そういう時もあるさ、例えば特撮ネタが分かる人がたまたまいない時間だったとか
自分は仮面ライダーとウルトラマン以外の特撮はよく分からんのだが
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 20:31:55 ID:4ydOBP49
乙ですー。
射命丸自重しろとか思ったけどまあガイアークだしこれくらいのネタはありだよなぁ、と微妙に突っ込みそこねたのですよー。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 20:50:06 ID:xrnK1QBi
>>138
まだ、若いのに・・・>ヒュー
(゜ーÅ)ホロリ
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 21:15:24 ID:FB2GT0by
何げに他局の番組の主題歌うたってやがる。
押し紙はやっぱり環境に悪いのかw
191MtL:2009/01/13(火) 22:57:26 ID:+PoMNkWy
何事も無ければ23時10分から投下を開始しますー
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 22:59:38 ID:HOS0n3jm
支援の階段no〜boru〜♪
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 23:03:38 ID:GnzoUgm3
支援!
194MtL:2009/01/13(火) 23:11:02 ID:+PoMNkWy
マジシャン ザ ルイズ 3章 (53)ウルザの砲台

これで何度目かとなる交錯。
空中を素早く逃げ回るワルドの進路を武具の射出で妨害し、一気にウルザがその距離を詰める。
『ハッ!』
距離が縮まると同時、裂帛の気合いとともに、二人は互いに弾幕のような無数の光条を放った。
ワルドのそれは、迎撃のため。
ウルザのそれは、ワルドの迎撃を打ち落とすため。

ウルザの呪文はワルドの呪文を残らず撃ち落としていく。それは相手の放った矢を射るが如き、針の穴を通す達人技。
迎撃が意味をなさないことを悟ったワルドも即座に後退に徹しようとするが、追随するウルザがそれを許さない。
ウルザは無造作にワルドの懐に飛び込むと、左手でに握った大剣を払う。重さと早さが乗った一撃が、ワルドを襲った。
しかしてワルドもただ者ではない。
ワルドは回避しきれないと判断すると、素早くサーベル型の杖を腰から引き抜き、ウルザの剣をいとも簡単にいなしてしまった。
そう、接近戦こそは彼本来のフィールド。
ロングレンジの戦いならともかく、ショートレンジでの戦いなら、転化前の技能が存分に生かし切れる。
追い詰められたワルドは、防戦どころか逆に剣杖にブレイドの呪文を纏わせて、ウルザに接近戦を挑んできた。
こうなってしまっては、いかに長い時を生きてきたとはいえ、所詮はアーティフィクサー。本職の戦士を相手にするのは難しい。
それが自身と同じ、定命の軛から解き放たれたものとあっては尚更に。

あっという間に攻守は逆転。
今度はワルドが攻める展開となった。
突き、払い、突き、フェイント、簡易詠唱呪文による牽制を織り込みつつ距離を詰め、間髪入れずに引き込む真空を纏わせての跳ね上げる斬撃。
立て続けに鋭い攻撃を繰り出されたウルザが、堪らず距離を離そうとするが、その動きにもぴったりとワルド追いすがる。
突き突き突き突き、刹那に四度。恐るべきプレインズウォーカーの魔力を乗せた刺突がウルザを襲う。
流石にこれは防ぎきれないと判断したウルザが、非常手段に訴える。

次の瞬間、二人がいた空間を極太の熱線が焼き払っていた。

「埒が開かんな」
そう呟いたウルザは、最初そうであったように、再びワルドとの距離を離していた。
ウルザもワルドも、共に熱線によるダメージはない。
単に仕切り直しとなっただけである。

こうして距離を詰めようとしたウルザを、ワルドが撃退して距離を離すというやりとりも、すでに何度か目となっていた。
そもそもプレインズウォーカー同士の戦いというものは、片方が消極的な戦法を取ると長期戦になりやすい。
加えて、本来ウルザは自分で戦うことを得意としないプレインズウォーカーである。
愚か者どもの破滅<eヴェシュ・ザットや、世界最古のプレインズウォーカー<jコル・ボーラスといった面々のような戦闘力は持ち合わせていない。
もしも戦うならば、莫大な魔力やアーティファクトを利用して、距離を離しての戦いが本来の戦法なのだ。
一応、杖を使った格闘術もある程度身につけているが、それにしたところでファイレクシアの闘技場でジェラードに打ち負かされる程度の腕前である。
本物の勇士を相手にするには心許ない。
それでも、ウルザがワルドに接近戦を挑むのは訳がある。
それはワルドが展開し、周囲の空間に編み込まれた儀式魔法の術式陣に理由があった。

今や二人の戦闘空域の至る所に浮かぶ、一見すると無造作に漂う光の紐にしか見えないそれは、ワルドが作り出している次の攻撃のための布石だった。
捕縛か、封印か、攻撃か、防御か、巧みに偽装された術式は、一見しただけではその正体を掴みきれない。
その呪文がどのような呪文であるか、ワルドの狙いがなんなのかを突き止めるのが、ウルザにとってのワルド攻略の第一歩だった。
その為にも、ウルザにはワルドとの距離を詰めて戦う必要があった。
距離を詰めれば、儀式魔法の展開を直接その目にすることができる。そうなれば、判別は痕跡から魔法の正体を探るよりもずっと容易い。
また、距離を詰めることで、儀式魔法の正体を知られまいとするワルドが一時的に呪文の詠唱を中断するという副次的な要素もある。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 23:11:28 ID:PPOLJZ9U
sienn
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 23:13:56 ID:u27tSCJh
支援
197MtL:2009/01/13(火) 23:14:09 ID:+PoMNkWy
だが、ウルザにとっての誤算は、ワルドの有する卓越した戦闘技術。
覚醒してからほんの数ヶ月のプレインズウォーカーとは思えないほどに、ワルドの動きは的確だった。
センスが良いというべきか、それとも昔取った杵柄とでもいうべきか。
ワルドの動きは、プレインズウォーカーの動きとしても、実に合理的であった。
相手の術を捌きながら行う攻撃のタイミングにしても、複数の呪文を操りながら相手の呼吸を乱すフェイントにしても、熟達のプレインズウォーカーに匹敵する動きなのである。

結局、ウルザはワルドの得意とする接近戦を挑まなければならず、その度に接近戦になれば有利なワルドが、結果的にウルザとの距離を離してしまう、そんな戦いが続いていた。


一方で、ワルドはウルザが焦れてきているのを感じ取っていた。
これまで六度、それがウルザが接近戦を挑んできた回数である。

その判断は間違っていない。確かに、時間をかければかけるほどに、不利になるのはウルザなのだ。
再びウルザが飛翔速度を上げてくる。
これで七度目となる接近戦を挑もうというのだ。
だが、すでにワルドは準備の殆ど終えてしまっている。
(……そろそろ頃合いか)
予定よりも準備に長く時間をかけてしまったが、ファイレクシアの英知から授かった、ウルザを倒すための秘策は下拵えが済んでいた。
あとは最後のピースを嵌めて、絵を完成させてやる段階だ。
(それでは最後の一押し、決めさせてもらおう!)


ウルザの動きに合わせたように、ワルドもまた、その距離を詰めてきた。
短い時間で互いに接敵を果たすと、ウルザは杖とデルフリンガーで、ワルドはブレイドを纏わせた杖で、必殺の一撃を放った。
杖同士がぶつかり合い、弾き合う。杖を弾いた後も、デルフリンガーが追の撃となってワルドを狙うが、これは危なげもなくかわされてしまった。
そして続けざまに一合、二合、三合、ウルザとワルドは切り結ぶ。


ウルザは迎え撃つのではなく、自ら踏み込むようにして接近戦を挑んできたワルドに違和感を覚えていた。
これまではウルザが挑み、ワルドが消極的に対応するという形だったのが、ここに来て自分から前に出てきたことに引っかかりを覚えたのだ。
その意味するところは何か?
――決まっている、相手の準備が整ったのだ。

すぐさまウルザはその場を離脱するために動いた。
だが遅い。
ワルドの動きははウルザのそれより尚早く、捕らえた獲物を逃しはしない。

退きながら/追い詰めながらの一進一退。
迷い無く打ち込むワルドに、ウルザが押され始める。
そして数度目の打ち合いの末、杖と大剣を振り上げたウルザに、決定的な隙が生じた。
杖も大剣も防御にまわせ無い。胴体はがら空き、これを隙と言わず、何を隙というのか。
「終わりだ!」
ワルドが必殺の刺突を繰り出そうとした、その時だった。
ウルザの口元が、微かに動いた。
その瞬間、ワルドの背筋を這い上がる悪寒。
遅れて、その鋭敏な感覚が、自分たちに迫る膨大な熱量の発生を感じ取った。
「貴…ッ!」
見ればウルザの唇がわずかに歪んでいた。
そこで初めて、ワルドはウルザの意図を読み取った。
ウルザは、自分もろともワルドを火線で焼き払うつもりなのだ。
なんて馬鹿げた計画。しかし、『ファイレクシアの目』から受け取ったウルザに関する知識から考えれば、あり得ないとは言い切れない。
無論、気づいたワルドはその場を離れようとする。
だが、ワルドは必殺の刺突を繰り出すために、踏み込みすぎていた。
「…様ッ!」

198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 23:14:53 ID:PPOLJZ9U
4円
199MtL:2009/01/13(火) 23:17:26 ID:+PoMNkWy
ウルザの右手が、ワルドの右腕を掴んでいた。

ウルザが右手で握っていたはずの杖は、いつの間にやら虚空に溶けて消えている。
つまりは、最初の隙から、全ては罠だったのだ。

「経験が足りないな、子爵」

ウルザはそう呟くと、掴んだ腕をぐいと引き寄せ、ワルドの体を盾にするように、その体を密着させた。
そして、次の瞬間、怒濤の火線が正面からワルドに迫り、その視界を赤一色に染め上げた。
十分なだけの防御を備える余裕は、無い。

「あ、あああああああああああああああああああ!!」
ワルドの絶叫がこだました。


プレインズウォーカーとは。
世界の外に広がる久遠の闇、そこに繋がることで供給される無限の魔力。
老いることなく、永久の時間を約束された不死。
たとえ破壊されようとも、虚無の闇に溶け込んでいる本体を殺されない限り死ぬことはない、血を流さぬ肉体。
それらを併せ持った、超越的な生命体である。
プレインズウォーカーとウィーザードの存在は、よく象と蟻に例えられる。
象にその気がなくとも、彼が寝転べば無数の蟻が潰され、また、彼が池で水浴びをすれば、無数の蟻が溺れ死んでしまう。
無自覚のままに力をふるう、恐るべき存在。

だが、一見、無敵に見えるプレインズウォーカーも、滅ぼす方法なら無数に存在する。
それは長いドミニアの歴史の中で、どれだけのプレインズウォーカーが滅ぼされてきたかを紐解けば容易に証明できる。

如何に不老不死を約束されたプレインズウォーカーとはいえ、世界への意志表層体である肉体を破壊されればダメージとなるし、肉体を破壊されれば再構築するまでの暫くの時間は世界に関われなくなってしまう。
だが、彼らにとって真の驚異は、プレインズウォーカーの例外。
『プレインズウォーカーならば、プレインズウォーカーを葬ることが可能』ということである。
大した力も持たないプレインズウォーカーなら兎も角、強大な力を持つプレインズウォーカーともなれば、世界への端末である意志表層体への攻撃で、プレインズウォーカーとしての核に直接ダメージを与えることもできるのである。
そしてまた、その延長として、死に至らしめることもまた可能なのであった。


炭化して、パチパチと爆ぜるワルドの亡骸を特に感慨もなく空に投げ捨てる。
先ほどまで展開されていた儀式呪文の陣は消えている。

ウルザは無傷だった。
いや、正確には所々に火傷は負っていたが、負傷と呼べるような負傷は負っていない。
それもこれも、盾にしたワルドと、アーティファクト『ウルザの鎧』のおかげであった。

しかし、ワルドを葬ったウルザの顔色は優れなかった。
「……手応えがなさ過ぎる……?」
そう呟いたウルザは、右手で白い髭を撫でた。
確かに先ほどまでの戦いは激しいものだった。
だが、相手はファイレクシアの支援を受けているのだ、ウルザの予想ではもっと激しいものとなるはずだった。
「……ふむ」
ウルザが気まぐれに下を見下ろしてみると、そちらでは連合軍と、アルビオン軍とが熾烈な戦いを繰り広げいるところだった。
どうやら形勢は連合軍にとって不利な流れらしい。
これに関しては戦闘の最中に、強大なクリーチャーが召喚されたのをウルザも感じ取っていた為、別段驚くこともなかった。
その光景を見ながら、ウルザは独りごちる。
「……子爵がここまで呆気ないとなれば、計画を少々変更した上で、予備のプランを動かさねばならぬか」
今のところ、ウルザの行動計画は少々の修正を加えねばならぬ程度で、まだ大きな支障はきたしてはいない。
このまま順調に進めば、ウルザの目論見通りにことは進むことになるだろう。
そのことを思い、ウルザは小さく唇の端を上げた。
200MtL:2009/01/13(火) 23:21:14 ID:+PoMNkWy
だが、それこそが油断だった。

突如として体の中心から、ズンッ、と重たい衝撃が広がった。
ゆっくりとウルザが自分の肉体を見下ろすと、自分の体の鳩尾から、見覚えのある軍杖の先が生えていた。

――背後から、貫かれている。
そう理解したのと、声を聞いたのは同時だった。
「遍在さ。ミスタ」
背後からウルザを刺し貫いた、ワルドが言った。
風の遍在。それは実体のある分身を生み出す、風のスクウェアスペルだ。
倒したはずのワルド、そして今ウルザを貫いているワルド、風の遍在。
それらから導き出されるのは、先ほどまでウルザが戦っていたのは分身に過ぎなかったという結論である。

「今回の化かし合いは、私の勝ちのようだ」
言いながら、ワルドは深く、根本まで杖を抉り込む。
血は出ない。プレインズウォーカーは、血を流さない。

人間ならば致命傷であろう一撃を受けても、ウルザは顔を歪めるに留まった。
「愚かな。確かに無傷とは言えないが、この程度はプレインズウォーカーにとって、致命傷にはなり得ない。知らぬ訳でもあるまい」
「勿論知っている。だからこその下準備なのだよ」
ワルドがそう言った途端、先ほどまで消えていた、儀式呪文の術式である輝く紐が、再びその姿を現した。
そして、その先端がウルザを貫いたワルドの杖の先端に繋がっていた。
「ウィアド!」
ワルドがそう、儀式呪文を締めくくるキーワードを叫ぶと、周囲に縦横無尽に走っていた光の帯が、黒く変色した。
そしてそのまま、ウルザを取り囲む輪と変化して、圧縮するようにして杖の先に灯された、呪文の終端へと収束していった。
そして全ての術式が巻き取られると、ワルドの術は完成した。

最初に爆発したのは黒い光≠ニした表現できないものだった。
それが収まったときにはもう、術の効果は発揮されていた。
目と鼻の先に灯された極小の黒点、そこから発せられる超級の重力が、ウルザを捕らえて放さなかい

現れたのは、全てを吸い込む黒い穴だった。
それは空気、魔力、音、光の別なく、どんなものでもリバイアサンのようにどん欲に飲み込んでいく。
その危険性を察したウルザは、その底の抜けた穴を消滅させようと呪文を唱えた。
だが、その呪文すらも吸い込まれてしまう。
二度三度と繰り返してみたが、結果は変わらない。
そうこうしている間にも、穴はウルザの体をも引き込み始める。
「――、―――!」
その声すらも吸い込まれてしまう。

「ハハハ、無駄なあがきだ! その『黒い穴』の前にはどのような抵抗も無意味だ! おとなしく吸い込まれ、放逐されるが良い!」
そして、その言葉を契機にしたように、指先ほどのサイズだった黒い穴は、一気に二メイルほどの大きさまで巨大化し、すっぽりとウルザを飲み込んでしまったのだった。



201MtL:2009/01/13(火) 23:24:09 ID:+PoMNkWy
時間は少々遡る。
ウィンドボナ周辺、およびその上空での戦いは、泥沼化の様相を呈しつつあった。

地上から空へ、弾雨が下から上へと登っている。
先ほどまで勢いを弱めていた対空砲火が、先ほどよりも一層強くなり、空に展開した連合艦隊を攻撃しているのだ。
「アントワープ¢蜚j!」
「救助を急がせろ!」
「地上軍は何をしている!?」
「伝令だっ、伝令を飛ばせ! 地上軍に対空砲への攻撃を優先するように伝えろ!」
「くそっ、下の連中は何をやっている!?」
ブリッジから場所を移して作戦室。そこでは怒声が飛び交う中、アンリエッタが慌てる参謀達に囲まれて、きりりと口元を引き締めていた。
「対空砲火が強くなりましたね」
「は……」
その言葉に、司令官席に座ったアンリエッタの横に立つマザリーニが口を開いた。
「先ほど空にドラゴンが多数出現するのと同時に、地上でも多数の魔物が出現したのが報告されております。それに関連するのではないかと思われますが……」
マザリーニがそう言っている間も、参謀達は喧々囂々と地上軍に敵の対空攻撃を止めさせる算段を立てている。
現在トリステイン艦隊は、アルビオン艦隊を相手にしつつ無数の大型ドラゴンを相手にしている。更にそこを地上からの対空攻撃を受けている形だ。
けれど、苦しいのは空の艦隊だけではない。地上に展開した軍も、同様の状況にあるはずだった。
そんな中で、地上軍に対空砲火を止めるのを最優先させるというのは、地上軍にさらなる血を流せと命じるようなものである。
しかしそれでも、
「やってもらわねば、我々の命運は尽きてしまいますね……」
今の連合艦隊に、アルビオン艦隊、ドラゴンの群れ、対空砲、これらすべてを相手に三面作戦をとって、戦線を維持できるほどの体力はないのだ。
このままでは遠からず、連合艦隊は再編不能なほどの打撃を受けてしまうに違いない。
そうなってしまえば、地上への援護もままならない。つまり、艦隊の命運はそのまま地上軍の命運をも左右するのである。
選択肢はない、無理でもやってもらう他無いのだ。
「しかし……それでも、あのドラゴン達をもう一度呼ばれたら」
「押し切られてしまうでしょうな」
そう、アルビオン側の追加戦力として現れたドラゴン達は、それだけ戦局を塗り替えるに十分な戦力であった。
アンリエッタ達には、アルビオン側がこの後どれだけ追加戦力を投入できるかが分かっていない。
相手の総兵力が全く見えてこない状況での戦闘は、恐るべき重圧となってアンリエッタを押しつぶそうとする。
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 23:24:55 ID:PPOLJZ9U
支援
203MtL:2009/01/13(火) 23:27:27 ID:+PoMNkWy
しかしそれでも
(私は……強くなると決めたのだから。あのとき、決して二度と泣いて立ち止まったりしないと、誓ったのだから!)
あの日の想い、あの日の言葉を嘘としないために、愛したウェールズと釣り合う王となるために、こんなところで負けるわけには、いかないのだった。
「地上に伝令を飛ばしなさい! 対空砲への攻撃を続行。その破壊を最優先にするようにっ! もたもたしているとアルビオン艦隊からの対地攻撃が雨あられと降ってきますよ、とも付け加えるように伝令に伝えてください!」
その言葉に、一瞬まごつく参謀もいたが、その場にいた多くの将兵および参謀は、アンリエッタの言葉に即座に従った。
彼女の言葉を地上へ伝えるために、慌ただしく人が動く。
ばたばたと足音が響く中、席に座ったアンリエッタだけが静かだった。
アンリエッタは美しい爪が傷つくのも気にせず、何かを考えながら右手の親指の爪を噛んだ。
「戦力が足りません……」
「………」
横に立つマザリーニが、何も聞かなかったという風に沈黙を保った。
「……奇跡などという都合がよいものが本当あるなら、今こそ出現願いたいところですね……」
マザリーニは、その言葉も聞かなかったことにした。

「報告いたします!」
慌てた様子の士官が一人、作戦室へ飛び込んできたのはそのときだった。
「どういたしました?」
喧噪の中、入り口に現れた彼に、間髪入れずにアンリエッタが問いかけた。
「はっ……」
女王自らに直接声をかけられるとは思っていなかった年若い下士官が、戸惑いながらその場に傅いた。
「形式など気遣い無用。そのまま続けて下さい。何がありましたか?」
先ほどまでの苛立った様子などおくびにも出さずに、アンリエッタが落ち着いた声色で再び聞いた。
通常、作戦室にはある程度以上の地位のある士官でなければ、立ち入りが許されていない。彼のような下士官が報告に来たということは、現場では上級士官がその場から離れられない何かが起こったということである。
そのような事態の前に、形式などに拘ってはいられなかった。

「は、それが……空に、穴が……」
「……穴?」
「はい。穴、でございます」

そしてちょうどその時、大きな音を立てながら、船体が傾いた。


                         この、大きくて長いものはなんですか?
                         エレオノールからウルザへ
204MtL:2009/01/13(火) 23:29:43 ID:+PoMNkWy
以上で投下終了です。
今日はこの冬一番の冷え込みだそうです。
皆さん風邪などひかぬよう、夜寝るときはしっかりと毛布を被って寝ましょう。
ではではー。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 23:30:31 ID:GnzoUgm3
乙!
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 23:31:02 ID:PPOLJZ9U
乙です乙です!!

207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/13(火) 23:58:10 ID:L0SOfrmq
空に穴が開く時がある。 古い伝説は言う。なぜならそう、空だって自分を見て欲しいと思う時があるからだ
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:07:08 ID:aTc5c3YK
ブータの人帰ってこないかなぁ・・・・。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:17:34 ID:blcwdxwV
魔王伝、せっかく投下されてるのに誰もwikiを更新させないなあ。

まあ、それよりもGUN OF ZEROの人の再降臨をただひたすら待ち続けてるわけだが・・・
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:21:38 ID:A+HFDWci
久しぶりにこれ書くぞ

Q:あの作品がまとめに無いんですけど……。
A:気付いた人が積極的にやりましょう。
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:23:32 ID:P+wF7H2Y
>>まあ、それよりもGUN OF ZEROの人の再降臨をただひたすら待ち続けてるわけだが・・・
テファがあんな事やそんなことに!ってヤツでガタガタ言われた辺りから更新が無いんだっけ
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:27:06 ID:0nUnqoeO
一応あの後2回ほど更新してたと思うけど>GUN
ロボ系ではサモンジ隊長と九朗ちゃんをずっと待ってるんだぜ
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:31:15 ID:IWnTiNL8
他作品で奴がラブコメやってる今ならテファの件も許容されるはずなのに
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:33:50 ID:n/BuJFPy
されないから
投下されたらまた叩くよ
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:36:08 ID:SFTBbd7V
まあ頼もしいお方
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:39:03 ID:LKUEp81D
頼もしすぎて反吐が出ますね
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:39:12 ID:0nUnqoeO
wiki見たらクヴォレー2ヶ月開いてたのか、でもまだまだ待つんだぜ!
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:40:02 ID:h7mYNtgh
しかし、読みたくないものだったから叩くのではなくて
見なかったものとしてスルーできないものなのだろうか

まあこんな話題もある種の釣り針な訳なんだが
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:45:51 ID:NsOxTJ2A
読みたいんじゃなくて叩きたいんだよ
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:46:15 ID:blcwdxwV
なぜ、そこまで叩くのか理解できん。
そもそも久保が絡んでる時点でテファがあのような姿になったとしても、何らかの力で元に戻りそうなもんだが・・・。

まるでネット憎し!で凝り固まってる毎日新聞の記者みたいだ

221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:46:41 ID:SFTBbd7V
いや、そういうのはいい
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:48:11 ID:Gv9E3MQz
戦争男の人がきてくれないかな
せっかく29周年なんだし、もう少し投下のペースが早くても
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:48:50 ID:OkUMH+pn
>>220みたいな反応が増長させてるんだよね……真面目な話。
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:57:17 ID:F7KowVEA
いいんじゃない?
嫌気がさしたなら河岸を変えればいいだけの話。
夜天さんみたいに順調にマイペースで続けてる人もいるし。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 00:58:30 ID:NsOxTJ2A
コピペ荒らしも飽きたのかいなくなったしな
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:05:14 ID:EiGPBRoL
Mtlの人乙です
しかしワっさんがこんなに強くなるSSって珍しいよなあw
Mtg知識はメルカディアンマスクス辺りで止まってるから『穴』の正体が分からないんだぜ
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:14:05 ID:PA6yUX1h
新参だけどMtL一気に読んだ
もともとMTG好きでウルザも気に入ってたのもあるけど
それ抜きにもどんどん読み進めたくなる魅力があるね、巧いとおもう
ただここまで読むのに凄く時間かかった、量半端ない
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:17:28 ID:+0MoVQA4
マザりんの胃に穴があいたのかとおもた
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:18:29 ID:WqCuRK5A
96 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/12/04(木) 03:08:31 ID:DO3FnTGf
皆様、感想、雑談をぶった切るような形での書き込み。初めに謝罪をしておきます。
本スレに書くものかと思ったのですが、一応気になったので書き込みをします。私、この板ではリリカルなのはクロスとゼロの使い魔クロス、この二つのスレ・まとめサイトをよく見ております。
そんな中で、ふと気になりましたのが、先日投下されました「使い魔の左手、悪魔の右手」氏の作品、第一話の事です。
DMC4のクロスはまだまだ少なく私も大好物ですが、読んでいて思ったのです。召喚される前、ネロとキリエのシーンの文が、リリカルクロススレの方で連載されている作品によく似ていると。
その作品は、DMC4とのクロス、「魔法少女リリカルなのは〜DEVIL HUNTEERS〜」氏の同名作品です。
その第5話後半、シグナムとフェイトがネロを次元犯罪者と勘違いし、地球まで追ってきて、ネロ達と出会う場面の文及び描写と酷似している部分があります。

悪魔の右手氏
『城塞都市フォルトゥナ、ミティスの森
フォルトゥナ城を過ぎた辺りにある、ラテン語で「優しい」を意味する広大な森。
そのフォルトゥナで信仰されている宗教、再建が進む魔剣教団の本部が一望できるその場所で
二人のカップルが歩いている。』

リリカルなのはDHS第5話 
『何かを知っている。フェイトは今度こそは失敗しない事を胸に誓い、歩いて行く。
2人が向かうは、ミティスの森。フォルトゥナ城を過ぎた辺りにある、ラテン語で「優しい」を意味する広大な森だ。 』

悪魔の右手氏
『「ネロ」
「何だい?キリエ」
ネロ、と呼ばれた青年が振り返る。
「いつ来てもここは…素敵なところね、小鳥のさえずりと川のせせらぎがよく聞こえるわ」
「静かっちゃ静かなんだがな…」
「あなたとの時間もとても長く感じれる」
キリエ、と呼ばれた美しい女性はそういうと彼の左腕に腕をからめる。
「まぁ……ね…」 』
見ているこっちが恥ずかしくなるほどのノロケっぷりである、恋人であるキリエの口から出た素直な言葉に
ネロは少々頬を赤くしながら鼻の頭を気恥かしそうに?いた。

リリカルなのはDHS第五話
『「ここは、やっぱり静かね・・・・・・動物の鳴き声と川の流れの音だけ・・・・・・・ネロはそう思わない?」
「いや、いいところだとは思うさ」
ミティスの森でネロとキリエの2人はゆったりとしていた。何をするでもなく、ただ寄り添い、自然を感じる。
自然は人の心を癒し、恋人の存在はさらにそれを加速させる。ただ、静かに2人でいることが若い二人には幸福だった。
特にネロは、キリエがいいならなんでもといった感じだ。普段のはねっ返りぶりとは正反対である。
「でも悪魔が出たら危ないだろ?」
「でも、ネロが守ってくれるでしょ?あの時も・・・・・そうだったし・・・・・・・」
思い出されるのはあの全てが解決した日。2人の初めての接吻を邪魔した悪魔をネロは完膚なきまでに叩き潰した。それを持ってこられるとネロの顔も赤くなる。
「まぁ・・・ね・・・・」
鼻を掻き、照れ隠しをするネロ。そんな彼の様子を見て、キリエは優しい笑みを浮かべていた。 』
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:19:08 ID:WqCuRK5A
904 :名無しさん:2008/12/06(土) 01:29:09 HOST:i118-19-228-83.s05.a011.ap.plala.or.jp
失礼いたします。
私、「リリカルなのはクロスSSスレ」にて、「魔法少女リリカルなのは〜DEVIL HUNTERS〜」という作品を連載させて頂いている者です。
自分は、こちらのスレの作品の読み手として、主にまとめwiki、たまにスレ・避難所を覗いております。
この度、私の拙作からの盗用疑惑というのが報告されたようですが、同一作者の可能性及び、被害者の存在というコメントがありましたので、書き込みをさせて頂きました。
結論から言いますと、私は、こちらのスレでの長編作品は現時点では一切投下しておりません。
確認として、自分が執筆しておりますのは、件のリリカルなのは&DMC4クロス
某サイトにて投稿しております、マブラヴオルタネイティヴ&アーマード・コア4クロス、デビルメイクライ&ブラック・ラグーンクロス。
更新を停止しておりますが、ジョジョスレにて、仗助&トニオ召喚モノの4本を手掛け、これ以外に執筆しました長編作品はございません。
盗用疑惑に関するコメントですが、報告のレスを拝見させていただきました。
確かによく似ている部分があるなという感想を私は持ちました。あくまで個人的な意見ですが、あまりよい気分は致しません。
何故かと言いますと、クロス元がゲーム作品であり、今夏発売予定だったノベライズ版も未だ発売に至っていないと記憶しております。
また、設定資料集「デビルズ・マテリアライズコレクション」・「Saber of Savior」にも開発段階でのシナリオ台本のみで
DMC4本編の後日談に関する文献が存在しない状態で、こうも似るものだろうかと思うわけであります。
自分の中では、試作予告編も含めれば、10ヵ月近くに渡って執筆してきたものであり、所詮2次創作といえど、思い入れの強い作品であります。
それを盗用されたとなりますと、前述の通りいい気分は致しません。
とは言え、全て完全なコピペというわけではなく、現時点ではあくまで「疑わしき」でしかありませんので、管理者の方、議論をされた方の結論を待ちたいところであります。
仮定として、もし、盗用事実があるのなら、私はこのケースに関しては即刻削除は求めません。話の前半部分であり、完全なコピペではないからです。
但し、該当部分の全面改訂だけは求めたいと思います。
また、このスレの判断であります、「悪魔の右手」氏を反応を待つというのは、それはもう結構であります。
偉そうな事を言える立場ではございませんが、確実な検証をして頂き、氏のコメントを待ちたいと思います。
疑惑が事実であるのなら上記の該当部分を改訂していただければ結構ですし、
完全に氏が「そのような事実は全くない」と申されるのであれば私はそれ以上何も申しません。
そこからは議論者の方々の判断にゆだねたいと思います。
かつて、リリカルスレで盗作擁護の判定を受け追放された書き手もおりました事を考え、発言いたしますと
私は、盗作・盗用行為は許されざる事だと思っております。
ただ、今回はケースがケースですので比較的穏やかな姿勢で見ていきたいと思っております。
しかしながら、この件に対するレスポンスの皆無、反省のない態度、私以外からの引用、引き続き同様の行為が繰り返される等の事態になった場合
私は、流石に厳しい態度を取らざるを得ません。そのような場合は、削除を求めたいと思っております。

最後に、長文の書き込みを謝罪いたしますと共に、日々運営に関して議論を続けられています管理者及び他の方々に感謝を意をささげたいと思います。
追伸として、今後私に対する何らかのレスポンスが求められた場合、「リリカルなのはDHS」の名で書き込みをいたしますことをお伝えしたいと思います。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:19:46 ID:WqCuRK5A
906 :名無しさん:2008/12/06(土) 01:51:22 HOST:wb01proxy01.ezweb.ne.jp
>>904 リリカルなのはDHS作者氏
自分はDMCもなのはもわからんので判断できんのですが
わかりやすい判断基準としてラテン語で云々の部分て
どっちかの原作とか資料とかであるんですか?

あと>>888=889であげられた以外に作者からみて疑わしいところってありますか?





>>管理人および議論スレ諸氏
盗用問題はコピペでもない限り検証が非常に難しいので
疑わしい部分の比較や双方の作者のコメントを待ちたいと思いますがどうでしょうか

あと期間とかの案として
一ヶ月間使い魔の左手、悪魔の右手氏からレスポンスがない場合
wiki登録分から本文を削除して盗用疑惑があるために一時削除の注意書きのみとし
二ヶ月間レスポンスがなければページを削除という形はいかがでしょうか

使い魔の左手、悪魔の右手氏からレスポンスがあった場合はコメントの内容次第になると思いますが
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:20:27 ID:WqCuRK5A
907 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M:2008/12/06(土) 02:45:24 HOST:i118-19-228-83.s05.a011.ap.plala.or.jp
ラテン語云々の部分に関しては、設定資料集などには一切記述されていません。
ただ、私が参考にいたしましたのは、2007年11月初め、プレス向けなどに発表した当時の最新情報にラテン語で「優しい」を意味するという記述はありました。
それの原文に関しては
『「デビル メイ クライ」シリーズでは珍しい、日差しが強く緑に囲まれた世界。それがフォルトゥナ郊外に広がる森林地帯「ミティスの森」だ。
ミティスとは優しいという意味を持つラテン語。
その名の通り、見る者の心を和ませる雄大な森だったか、フォルトゥナの悪魔に呼応するかのように、不気味な樹木が数多く見受けられるようになってきた。』
となっておりまして、私の文とは違うのは、原文では、場所については『フォルトゥナ郊外』、広さに関しては広大ではなく『雄大』と表現されています。
ただ、公式サイトでミティスの森に関して述べていたのは、比較的短期間で、詳細なキャラクターや武器などの紹介ページが出来てからは見ることが出来なくなっています。
また、他の疑わしいところという質問ですが、報告されましたレスでは、ネロが照れるシーンがありますが、鼻頭をかく。とはっきり言っているのは
拙作第六話にて
『この3人が集まり、使い捨ての尖兵にも等しい下級悪魔に劣ることがあろうか。
もとより悪魔を滅する使命を持つ者、愛する者のために重圧を押しのけた者、主の為にすべてをささげた者。古からの『原初の恐怖』でも彼らをすくめることなど出来なかった。
大剣が炎を巻き上げ悪魔を喰らう。大鎌が無慈悲にも悪魔の命を刈り取る。炎の魔剣が悪魔を切り裂く。
相手が人間ではないのならネロはもとよりフェイト達にも手加減をする理由は無い。30を超えるスケアクロウの群れが瞬く間に散っていく。
身を膨らませ、甲虫の群れが体液をまき散らしながら飛び散っていく。あとに残るのはちぎれた布袋、されどそれもやがて霞のように消え去っていく。
5分とかからない戦いであった。背に剣を戻したネロはすぐさまキリエの下へと歩む。
「大丈夫だったか?」
「うん・・・・・ネロが・・・守ってくれたから」
「まあ・・・・・ね」
鼻頭を掻きながら照れた表情を浮かべるネロ。
離れた場所で初めてその穏やかな表情を見たフェイト達はわずかに驚いたものの、すぐさま当初の目的を果たそうとする。 』
という5話と同じように「まぁ・・・ね」と言うシーンがございます。
とは言えどちらも同じような台詞まわしですので、現時点では疑惑でしかない事を考えますと
どちらかだ!とは申せませんが。
鼻頭をかく行為自体は、DMC4エンディングスタッフロールにて、あまり内容には触れませんが
2秒ほど映る場所があります。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:20:39 ID:2hu7cLvn
アホが釣られてコピペ荒らし

みみっちぃなぁ
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:21:40 ID:WqCuRK5A
http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/5957.html

使い魔の左手、悪魔の右手-01

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作品内容に別作品からの盗用疑惑がかけられているため、一時的に掲載を取りやめております
詳細は避難所の運営議論スレ5,>>888->>907を参照。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:22:20 ID:BvN6cvhg
>>225
おまえのせいだぞ。セガール呼んだら許してやる。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:23:43 ID:WqCuRK5A
爆熱の人復活しないかな〜
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:29:13 ID:yee7nl8i
コピペ荒らしを召喚するとは……やるな
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:29:18 ID:WqCuRK5A
>>235
ここにライバックが登場している

イチローがルイズによって召喚されたようです@wiki
http://www39.atwiki.jp/ichiro-ruiz/
239毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 01:32:19 ID:Cl4d5wU6
どうも。
毒の爪の使い魔、第24話後編が書きあがりました。
予定がその他が無ければ、1:40から投下します。
240毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 01:33:16 ID:Cl4d5wU6
いけね、間違えた。25話後編です。
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:36:33 ID:UB0GTHoG
毒の爪の人支援

>>227
俺がいる
第3章がメチャクチャ長いんで、読んでて止めどころが分からずに困ったw
ウェザーライト出航や、タバサvsスペクター編は章分離してもいいんじゃないですかね?と一読者の身勝手な意見
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:39:40 ID:38JP33/k
支援だ!
243毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 01:40:03 ID:Cl4d5wU6
では、時間ですので投下開始します。

――竜が止めとばかりに炎を噴出した時、驚くべき事が起こりました――

――イーヴァルディが握った剣が光り輝き、竜の炎を弾き返したのです――

――イーヴァルディは飛び上がり、竜の喉に剣を突き立てました――

――どう! と音を立てて地面に倒れました――

――イーヴァルディは、倒れた竜の奥の部屋へと向かいました――



そこまで読み終えたタバサは、本から顔を上げた。
隣の母は安らかな寝息を立てている。
先程まで響いていた恐ろしい音はいつのまにか止み、静寂が辺りを包んでいた。

――否、靴音が聞こえた。

タバサはその靴音に、ハッとなり、扉に顔を向けた。

聞き覚えのある…ありすぎる音だ。

何故…、何故この音が聞こえるのだろう?

それも”こんな所”で……

ありえない…

ありえるはずがない…

こんな所まで来るはずがない…

こんな…玩具と呼んだ小娘一人の為に、来るはずがない…

来るはずがないのだ…

必死に自身の中の考えを否定しようとするタバサ。
しかし、彼女の耳は靴音が自分の知る物である事を教え、
同時に自分の中の考えが間違ってはいない事を伝える。
響く靴音が、部屋の前で止まる気配がした。
ガチャガチャ、とドアノブを弄る音が聞こえる。
暫く音は続いていたが…、やがて音は途絶えた。
直後、ガンッ! という音と共に、三本の紅い爪がドアから生えた。
その爪を見た瞬間、タバサは自身の中の考えを否定するのを止めた。
爪が動き、扉をズタズタに引き裂いた。
原形を失った扉の破片が床に落ちる。
切り裂かれた扉の向こうに、見知った紫色の長身が見えた瞬間、タバサは今度こそ呆然となった。
手にした『イーヴァルディの勇者』が零れ落ちる。
ベッドに落ち、ページが捲れる。
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:42:29 ID:IWnTiNL8
支援
245毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 01:43:20 ID:Cl4d5wU6
――イーヴァルディが洞窟の一番奥へと行くと、そこではルーが膝を抱えて震えていました――

――震えるルーにイーヴァルディは優しく声を掛けました――

――「もう大丈夫だよ」――

――ルーは恐る恐る涙で濡れた顔を上げました――

――怯えるルーにイーヴァルディは優しく微笑み、手を差し伸べました――

――「竜はやっつけた。君は自由だ」――



扉の破片を踏みしめながら、ジャンガが歩いてくる。
それを、ただ呆然と見つめるしかなかった。
何も考えられない。――否、色々な事が頭を駆け巡り、考えが追いつかないのだ。
気が付けば、自分の目の前にジャンガは立っていた。
近くで見て、更に良く解ったが…彼は全身ボロボロだった。
そう……彼が召喚された時よりも…更に。
無論、この怪我の理由は解る。――あのエルフと戦った為だ。
こんなにボロボロになるまで彼は戦ったのだ…、自分の為に…。
…自然と涙が溢れた。

突然泣き出したタバサにジャンガはため息を吐いた。
――どうにも泣く子供は苦手だ。
ジャンガは困ったように頭を掻く。
そして思い出した…、今のそれと同じような状況を…

――泣いている少年が目の前にいる

――あいにくと唯一あやし方を心得た男はいない

――少年は泣き止む気配を見せない

――ため息を吐き、帽子を取って少年の頭に被せた

「あっ…?」
「ッたく……泣いてるんじゃねェよ」
帽子を被せられ、その上から優しく頭を撫でられる。
顔を上げると困った表情を浮かべたジャンガの顔がそこにあった。
その表情は直ぐに笑みに変わる。
「まァ…テメェの場合、それがいいんだろうがな…。
泣きたい時に泣けないようなのは…ただの人形だしよ…」
「う…うう…」
タバサは彼の胸に顔を埋め、声を押し殺して泣いた。
それまで押し殺していた分の感情を、爆発させて泣いた。
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:44:06 ID:gFq2TIu0
支援するのね!
247毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 01:46:34 ID:Cl4d5wU6
しがみ付いて泣くタバサを、ジャンガは引き離そうとはしなかった。
両手でその小さな…小さすぎる身体を優しく抱く。

…ちょっと力を込めれば、簡単に壊れてしまいそうなほど華奢だった。
身体を震わせ、声を押し殺して泣く少女の背を優しく撫でる。
泣き崩れるタバサは最早、ただの少女だった。
以前、自分と命のやり取りをした時の面影はどこにも無い。

――そうだ…、こいつはまだまだガキなのだ。
親に甘え、泣いて笑って過ごしたい、年頃の子供なのだ。
自分は生まれた時から過酷な環境で過ごしてきたから、そんな物にそれほど飢えてはいない。
だが…、こいつは違う。生まれてから恵まれた生活をしてきた。
それで、自立も出来ていない時に自分のような生き方を強要されたのだ。
…感情を押し殺して人形のようになるのも無理は無いと言えた。
(…あの時は、少し言い過ぎたな…)
未だ泣き続けるタバサを見つめながら、心の中でジャンガはタバサの実家での事を謝罪した。
そして、唐突に”それ”を口ずさみ始めた。
シエスタがこの場に居れば、それが以前、自分が偶然聞いた物であると解っただろう。

ジャンガが口にしたそれは――子守唄だった。

タバサは驚いて顔を上げる。
あのジャンガが子守唄を歌っているのだ……驚くのも無理は無い。
「それ…」
「…知り合いだった女が作った歌だ」
「…綺麗な歌…」
「ああ……そいつが歌えばもっといいゼ。…もう居ないけどな。
それも、一番聞かせたい奴には聞かせられずに終わったしよ…」
「……そう」
悲しそうな表情を浮かべ、顔を伏せるタバサ。
ジャンガは小さくため息を吐き、タバサの頭を少々強めに撫でた。
それにビックリしたタバサはジャンガを驚いた表情で見上げた。
そのタバサを見つめ返し、ジャンガはニッと笑って見せる。
「乳離れできてない、今も泣き続けているガキに心配される必要は無ェってんだよ」
その言葉にタバサは小さく頷いた。

その時、寝ていたタバサの母が目を覚ました。

「母さま…」
タバサは声を掛けたが、やはり反応を示さない。
ただ、ジッとタバサを見つめている。
そんな母の姿を見て、タバサはやりきれない気持ちでいっぱいになる。
二人を見比べ、ジャンガは小さく頷いた。
248毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 01:49:34 ID:Cl4d5wU6
タバサから離れ、タバサの母の傍へ行く。
タバサの母の視線がジャンガに移る。しかし、暴れだそうと言う気配は見られなかった。
ジャンガは爪をタバサの母の首筋へ沿わせる。
それを見てタバサはジャンガへ声を掛けた。
「何をするの?」
「…黙って見てろ」
そう言って、ジャンガは首筋に沿わせた爪を少し押した。。
爪の先が肌に少しだけ食い込み、小さな血の玉が浮かぶ。
その血の玉を爪の先で掬うと、自分の口の中へと入れた。
そして目を閉じ、味わうかのように口をモゴモゴと動かす。
何をしているのか解らず、タバサはただ見ているだけだった。

暫くし、ジャンガは動かしていた口を止め、目を開く。
「ちょいとばかし複雑だが……やれない事は無いか?」
「何を?」
「いいから黙ってろ…。上手くすれば、お前に奇跡を見せてやる」
奇跡と言われ、ますますタバサは解らなくなった。
悩むタバサを尻目に、ジャンガは爪を左右に広げたり合わせたりをする。
爪同士が合わさる度に、カチカチとリズミカルな音が響く。

――これはジャンガが真剣に毒を調合させる時の癖であり、
血を舐めたのは相手の体に流れる毒素を判別する為の行動である。
必要に応じて解毒をしたり、更に効果的な毒を味合わせる為に、身に付けたジャンガの特技である。

ジャンガは暫く爪を鳴らしていたが、やがてその爪の動きが止まった。
鳴らしていた方の爪を、タバサの母の顔の上へと持っていく。
タバサの母はその爪を静かに見つめている。
すると、爪から一滴…液体が垂れた。
それは呆然と見つめているタバサの母の、半開きになった口の中へと入った。

翳していた爪を下げ、ジャンガは母親の様子を窺った。
すると…目に徐々に正気の色が戻ってきた。
母親は二、三度瞬きをすると、呆然と辺りを見回し…タバサの所で目が留まった。
ジッと自分を見つめる母親に、タバサは言葉が出ない。すると…

「シャル…ロット?」

…母親が自分の名前を呼んだのだ。
タバサの目に瞬時に涙が浮かび、瞬く間に溢れ出す。
急に泣き出した娘に母は、どうかしたの? と心配そうに声を掛ける。
「何でもない……何でもないの…母さま」
そして、タバサは愛すべき母の胸へと飛び込んだ。
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 01:50:44 ID:lHz+FXFK
sien
250毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 01:52:21 ID:Cl4d5wU6
――ガリア王国:プチ・トロワ――



天蓋付きのベッドでビッグの腹に寄り掛かりながら、イザベラはジョーカーの話に耳を傾けていた。
「と、まぁ…とりあえず救出自体は無事成功といきましたよ。
今頃は風竜に乗って、魔法学院を目指しているんじゃないんでしょうかネ?」
「そうかい…。あんたもご苦労だったね」
「いえいえ、ワタクシはただ、イザベラさんに言われて兵士の皆さんを眠らせただけですよ。
それを命じたのは貴方ですし、ジャンガちゃんに手紙を届けさすようにフェザーに命じたのも貴方です。
紛れも無く功労者は貴方ですよ、のほほ」
「……わたしはそれ位しかしてないよ。ほとんど…あんたの友人の亜人――ジャンガとか言ったかい?
そいつのお陰だよ。…感謝してもしきれないね」
「のほほ、それはそれは……友人であるワタクシも鼻が高いですよ♪」
心底嬉しそうに、ジョーカーは大仰な仕草で喜ぶ。
「まぁ、ジャンガちゃんが少々心配でしたが…何とかなって良かったですよ。
シャルロットさんの杖も返しておきましたし、これで万事解決ですネ」
「万事解決……ね」
イザベラは悲しげな表情で俯き、静かに呟く。
その様子にジョーカーは首(?)を傾げる。
「イザベラさん?」
「…何でもないよ」
「そうですか…。では、ワタクシは用事がありますので、少し席を外したいのですが…?」
「ああ…いいよ」
ジョーカーは会釈し、その場から消えた。

「はぁ…」
一人きりになったイザベラはため息を吐いた。
理由は勿論、人形娘=シャルロットの事だ。
無茶な任務や、任務ですらない用事で呼びつけては嫌がらせを行っていた相手。
しかし、それも全ては事実を直視できない自分の弱さが原因だ。
自分には魔法の才が無い。だが、シャルロットに直接の原因があるわけではない。
才が無いのは生まれつき……こればかりは天命とでも言うべき物だ。
誰かを恨む権利は無いし、恨んだ所で魔法が使えるわけではない。
それでも、自身の才の無さを直視する事が、受け入れる事ができなかった。
そして、そのイライラを周囲にぶつけ……彼女にぶつけた。
一時期は命を奪う直前にまで行った。――馬鹿みたいだ。
何れの場合も、全てが終わってから考えると……悪いのは自分であると言うのがよく理解できた。
そして、今度は自分が悪いと言う事実を受け入れる事が出来ない為、イライラが生まれる。
そのイライラを紛らわせる為に、周りや彼女にあたる。
そして後悔する。そして、また当たる。…その繰り返し、終わる事の無い悪循環。
251毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 01:56:13 ID:Cl4d5wU6
「うう…」
自然と涙が溢れた。申し訳ない気持ちで、胸が張り裂けそうだった。
彼女をあんな境遇にしたのは、他でもない…自分の父なのだ。
そして、そんな彼女を理不尽な暴力で甚振っているのは自分だ。
…謝りたい。素直な気持ちで、彼女に接したい。
だが、生まれ持ったプライドと自分の弱さが、素直になる事を許さない。
…本当に情けない。
「…すまないよ……シャルロット」
こんな、一人でいる時にしか謝罪できない、己の弱さに更に苛立つ。
膝を抱え、顔を伏せる。
――ふと、自分の袖が引っ張られるのを感じた。
顔を上げると、大好きなペットの姿が在った。
「ムゥ…」
「…リトル」
リトルが笑っていた。いや、リトルだけではない。
フェザーも、ビッグも、自分を励まそうとしているのか、自分に笑いかけていた。
「お前達……ありがとう」
「ムゥ♪ ムゥ♪」
最早、なくてはならない存在となった三匹を見回し、イザベラは心の底から感謝した。

――そして、決意した。
もし、次に会う機会があったら……その時は、謝罪をしようと。
そして、正直な気持ちで向かい合おうと。

そんな誓いを心に決めたイザベラは、笑いかける三匹に答えるように、太陽のような笑顔を浮かべた。



――同時刻――

――ガリア王国:グラン・トロワ――



僅かな明かりが照らし出す、薄暗い玉座の間。
そこでは今、主のジョゼフとジョーカーが密会していた。
ジョーカーの報告を聞き、ジョゼフは満足げな表情を浮かべる。
「ふふふ、素晴らしいな……素晴らしいではないか! お前のガンダールヴとなった友人は!
あのエルフを”虚無”の力も借りず、ただの”毒”で仕留めてしまうとはな」
ジョゼフは興奮して叫ぶ。
ジョーカーもまた笑った。
252毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 01:59:09 ID:Cl4d5wU6
「それはまぁ…ジャンガちゃんですしね。…正直に言えば、少〜しばかり心配にはなったんですよ。
でも、結果的に打ち負かしたので、ばんばんざいと言う事になりました。
それよりも、良かったのですか? シャルロットさんとお母上を逃してしまって」
「構わぬ、それほど重要な駒でもないからな。…それで、ビダーシャル卿はどうなった? 死んだか?」
ジョゼフの言葉に、ジョーカーは不敵な笑みを浮かべる。
「あ、いえ…ジャンガちゃんが、解毒も同時にしたようで……死んではいませんよ?
まァ…一歩手前の状態ではありましたがネ。今は手当てをして、療養させております」
「ふむ、そうか」
顎に手を沿え、ジョゼフは考え込む。
「しかし、それでは”あれ”の完成が滞る事になるな」
「ご心配には及びません♪ 基本的な部分は既に出来上がっておりますし、
提供された技術もワタクシの方で色々と弄くらせてもらいますので、大丈夫かと。
まァ、仕上げはワタクシとシェフィールドさんで行いますので、心配無用ですよ。のほほ♪」
「そうか。…しかし、予定は少々狂ってきたな」
「ええ……そうですね。ですが、仕方ありませんよ。こういう策略にはハプニングは付き物ですし。
それに、簡単に進まない方が楽しめると言う物ではないですか?」
「それもそうだな」
言いながら、ジョゼフは傍らの小机に置いてあったオルゴールを手に取った。
それを見てジョーカーが言った。
「では、本来の予定通りに進めるとしましょうか?」
「ああ、そうしよう。せっかく王にしてやったのだ…”あいつ”にも少しは出番をくれてやらねばな」
ジョゼフはニヤリと笑う。
「そうですネ…、せっかく楽しい白昼夢を見ているのですし。
…もう暫くは夢を見させてあげるのもいいでしょうネ、のほほほほ」
ジョーカーの笑い声が木霊する。

――次の盤はアルビオンだ――



――約10分後――

――高度三千メイル:ガリア王国〜魔法学院――



澄み渡った夜空を、背にジャンガとタバサと母親を乗せたシルフィードが飛んでいく。
ジャンガは夜風を全身で受け止めながら、満足げな表情を浮かべている。
冷えた夜風が傷だらけの体には、とても心地よい。
「相棒、今日はお疲れさんだな」
「ああ、帰ったらゆっくりと眠りたいもんだゼ」
デルフリンガーに返事をしながら、ジャンガは大欠伸をする。
そして背後へと視線を移す。
タバサと母親がシルフィードの背鰭を背凭れにして眠っていた。
253毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 02:02:08 ID:Cl4d5wU6
タバサは未だジャンガの帽子を被っており、二人の首にはジャンガのマフラーが巻かれている。
そんな二人を見つめるジャンガにデルフリンガーが声を掛ける。
「なぁ、いいのか? あのマフラーは相棒の大切な物なんだろ?」
ジャンガはデルフに目を向ける。
「…構わねェ。戻ったら返してもらえばいいし…、糠喜びさせちまった詫びだ…」
いいながら、ジャンガは再び二人を見た。

――結局…、タバサの母親を完全に戻す事は出来なかった。
一時的に戻った母親は、また直ぐに心を失ってしまったのだ。
しかし、タバサは、また話せて良かった、とジャンガに礼を言い…特に責めるような事はしなかった。

シルフィードが声を掛けてきた。
「別に気を落とす事は無いのね。多分、お姉さまのお母さんを狂わせた水魔法の毒は、
相当に厄介な代物のはずなのね。それを、おいそれとは直せないのね。だから仕方ないのね、きゅい。
寧ろ、それを少しの間とはいえ、元に戻したお前にシルフィは感心するのね。
お姉さまの幸せそうな寝顔、久しぶりに見たのね。お前には本当に感謝するのね、きゅい、きゅい」
「…へ、褒めても何もでないゼ」
言いながら、ジャンガはいつかはタバサの母親の心を完全に治してやる事を、心に誓った。

――誓った瞬間だった…



ズキンッ!

左手に激痛が走った。

「う、ぐう……ガッ!? ウガァッ!!?」
――痛い…、とてつもない激痛だ。
今までに経験した痛みのそれを遥かに上回る。
まるで、針を差し込まれて、中で掻き回されているかのような感じだ。

シルフィードやデルフリンガーが、心配そうに声を掛けてくるのが解った。
しかし、激痛は凄まじく、答える余力はまるで無かった。

――最早……限界だ…――

(な…?)
今まで頭に響いてきた声が、今度はハッキリと聞こえた。

――汝は…最早、夢集める者にあらず……――

――汝に宿りし力……我が元へ帰らん…――
254毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 02:05:44 ID:Cl4d5wU6
(何だ…テメェは?)
しかし、ジャンガに声は答えなかった。
ただ、激痛が激しさを増していく。
コートの上からでも分かるほど、ルーンが光を放った。
それは、光とはとても呼べない、禍々しい闇色の輝きだ。
輝きは徐々に増し、突如収束。
小さな闇色の欠片となって、虚空へと飛び上がり、消えた。

「ガッ、ハァ……ハァ…ハァ…」
「だ、大丈夫なのね?」
「平気か、相棒?」
ジャンガは手を上げ、今度こそ答える。
「…平気だ」
「本当なのね?」
「当たり前だ」
そう言って、ふと気になり、ジャンガは左袖を捲くる。
左手の甲が露出した瞬間、その目は驚愕に見開かれた。
その表情にただならぬ物を感じたのか、デルフリンガーは恐る恐る声を掛けた。
「ど、どうしたんだ…相棒?」
「ルーン…」
「…あんだって?」
「ルーンが…」
「ルーンがどうしたのね?」
シルフィードの声が引き金となった。
ジャンガの絶叫に近い、叫び声が夜空に響き渡った。

「ルーンが無ェェェーーーッッ!!?」



ジャンガの目の前には、見慣れない…見慣れた文字が消えた、綺麗な左手があった。
255毒の爪の使い魔:2009/01/14(水) 02:10:40 ID:Cl4d5wU6
以上で投下終了です。

明るくなったり、影が差したり、場面で温度の差が激しい今回でした。
とりあえず、泣いている女の子に帽子を被せてあやすシチュエーションが
個人的にツボなので、書いてみた次第です。

それにしても、タバサ救出、ルーン消滅と三巻までの展開で随分とつめこんでいますな(汗)
まぁ、もともとこの小説はアニメ第一期の流れで終わりにするつもりでしたのでね。

では、今回はここまで。アディオ〜ス♪
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 02:26:49 ID:38JP33/k
毒の爪の人、乙です!

ジャンガが正にイーヴァルディになっちゃった
タバサに帽子を被せてあげたり抱きしめたり、子守唄まで歌うなんて…
ジャンガって心を許した(?)相手には優しいなぁ〜
タバサとの仲はこのまま進んでもらいたいところ

イザベラも裏で動いてたのか
仲直りできればいいけど、死亡フラグが立ったような気がするのは気のせいか?

ル−ン消えちゃいましたね〜
これはサイト登場のフラグか?
謎の声の判断基準がよくわからんね
虚無の担い手のルイズにジャンガが心を拓かないからかな?
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 03:26:10 ID:5eX+27Sr
>>256
まさかのクロノア登場
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 07:15:43 ID:pN1n9W4u
           /    /´ -‐…‐- .`\
         /     /´    i   !`ヽト、
 .    ,ヘ  ,'   i    !  !  | |i  |ハ i ヽ キリッ
    /  ゝ!  ノ|  ! !::__!::ノ ´  ̄  i::.i |!
    \  .| .:i i :i i |´   \  / `!、ハ:!  
       `ヽi  从 i i | ニニミ    .ニニ !:::::|   <まピョーん☆ 豆食え、豆。 大自然のおいしさを表現しました。
 .       |  YハiハN  {r::リ`  ´{r::リ '::::N    
 .       |  ヽゝ   ´´     ``ハ!`     
 .       |∧   Y!        ′ ,':::|
        j/∧  _!::} 、   ⊂' ..イ:::::|
       ///∧´ ∨  `  ,.... ィ´゙Y:::::|
 .     /////∧ ヽ    {ト、∧ |::::::!
      ,< ̄ ̄∧  } `ヽ  >''} { ̄`ヽ
          _ ___
         ,. :'´: :,. -―‐-ミ:ヽ、
       /: : : :厶ィ': ´ ̄ ̄ヾ : :\
       /: : : : : :.!: :M: : : : : }、: ヽト、:.\   <じゃっておwww
      i: : :.!: : : レ‐' ` ̄⌒ ⌒" トヘ:ハ!
    ト--|: : :.!: : 、|  ー‐'' ´ `'ー  }: :.ト
   ミ ミ ミ : :!: : : :! z=≡   ≡z.{: :.ハ    ミ ミ ミ
  /⌒)⌒)⌒.ハ :_Nとつ \\\ C VVリ   /⌒)⌒)⌒)
  | / / /:弋こ \ヽ __,.   } (⌒)/ / / //
  | :::::::::::(⌒) : :}\  /   1  /  ゝ  :::::::::::/
  |     ノくf⌒Y ` {_  _,ノイ|    /  )  /
  ヽ    /  ヽ ヘ,、  _「 |::!:::::}   /    /     バ
   |    |   l||l 从人 l||l.!::|イ:::ヽ_./ l||l 从人 l||l  バ  ン
   ヽ    -一''''''"~~``'ー--、/:::::イ;  -一'''''''ー-、    ン
    ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ):::/}  (⌒_(⌒)⌒)⌒))
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 08:20:02 ID:SBZmwQ7v
毒の爪の人、乙!

囚われのお姫様を救うジャンガ、似合ってないような気がするけどカッコイイぜ!
タバサはまんまヒロイン役だね〜 
母親が完治しなかったのは残念だけど、ジャンガとタバサの仲はかなりよさげだ
今後の2人がどうなるか楽しみだ
一方ビダーシャルが生きてたのは意外
とどめを刺すどころか解毒までしちゃって、あとでしっぺ返しがこなきゃいいんだけど…
消えたルーンが次は誰の左手に宿るのか楽しみ

260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 09:57:14 ID:nn9DhfVE
>>209は飛び火させてラスボスの方も叩き潰したい愉快犯
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 11:21:41 ID:OsM9zweQ
ルーンを消すんじゃなくてルーンが消えたってのは珍しい
実際(本編の方で)あくまで使い魔が従う事を拒んだらどうなるんだろ?
より強制力が増してくるのか、それともこの作品のように消えるのか
ひょっとしたら(別のを召喚させるために)ルーンが使い魔を殺すってのもありそうだが……
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 11:24:03 ID:gFq2TIu0
お前がゴルゴムの手先だろ
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 11:25:00 ID:gFq2TIu0
失礼、>>260
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 11:49:37 ID:yee7nl8i
レイ・ミステリオの如き見事な空中

アンダーテイカー呼びたい……
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 12:06:30 ID:goKd3K62
ところでスキルニルはどの程度「再現」できるのでしょう
「古代の王が戦争ごっこに用いた」とあるからオリジナルの
技や知識はおろか魔力まで再現出来るのでしょうね

するとカリンやワルドが使うとスクェアメイジ量産?
はたまたジョゼフやルイズなら虚無のメイジがオリジンにおける
ザクレロのごとく量産されてしまうのか?
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 12:10:59 ID:IDnC57Eo
>265
その質問はここでは受け付けておりません
避難所の該当スレまでお越しください
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 12:21:56 ID:goKd3K62
今ネタ練ってるSSで必要だから聞いたのですが・・・・・申し訳ありませんでした
他所行きます
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 13:34:32 ID:zclEM0U5
>>264
ビックショーも呼んで(ry
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 13:34:43 ID:/cIQHH9+
なんにでも化ける使い魔…
ギャンゴの隕石召喚、24時間ちぃ姉さまといっしょ
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 13:35:58 ID:nVANBo/V
>>267
該当スレはこっちですね。そろそろ埋められそうですし、次スレに持ち越してもいい気がしますが……
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1223128215/
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 13:37:19 ID:3hJq/FOP
.hack//G.Uからオーヴァンを召喚





・・・ごめんなさい、トライエッジでボロ屑のようにボコボコにされる
ワルドとおマチさんが見たいから言ってみただけです・・・
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 13:58:04 ID:eu90PNiv
ファンタジーRPGクイズから誰か呼ぼうと妄想してみたが
カールスやフンバルトだとワルドに勝てる気がしない…
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 14:01:01 ID:qlVeR/wM
ゴルゴム呼んで一連の事件を全部奴らの仕業にさせようぜ
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 14:07:38 ID:AGTZ4PMz
ワルドはプラナリア怪人で
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 14:09:48 ID:cQXHNJtu
ウェールズとその他7万の亡霊怪人軍団
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 14:10:19 ID:ENp3Uh0a
シャドームーン呼んだら亜人扱いされるのか、変なスーツアーマー着た人間扱いされるのかちょっと気になる。
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 14:24:48 ID:cQXHNJtu
エルフってことはないし、ガーゴイル?
何か6000年前にブリミルが戦ってたのがゴルゴムだったとかになりそう
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 15:09:03 ID:CiaD82l2
>>275
もはやバイオハザードだな。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 15:20:19 ID:QOz7UEZJ
ラクーンシティを召喚とかどうだろう?
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 15:36:25 ID:ueU3kxR7
感想に変な予想とか希望とか書いて作品の先をつぶす奴いるけど
あぁいうやつらは何がしたいんだ?
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 15:52:29 ID:JKeQ26Lp
嫌がらせじゃないの?
書く側のこと考えれば展開だけとか書かれてそれが被ったらどんな気持ちになるかくらいは分かるだろ
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 15:57:00 ID:yo1pnhYU
そこまで考えていないだけじゃないかな。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 16:29:36 ID:goKd3K62
バイオハザードと聞くとキメラアント召喚というのを思いついてしまった
この世界にはキメラアントに立ち向かえる能力を持った者なんていなさそうだ

まあその分念能力者が食われるという事態も起きなさそうだが
どっちにしろハルケギニア滅亡へのカウントダウン開始
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 16:36:26 ID:yo1pnhYU
キメラアントが喚ばれると
メイジ喰って魔法使えるようになった奴が大量発生しそうだが。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 16:55:24 ID:vv0sJZLI
風の聖痕の和麻で書こうとしてるが
召喚→即ルイズ死亡って展開しか思いつかないんだが。
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 16:55:30 ID:lHz+FXFK
パワポケ11のハタ人間編のあのハタを召還かハタ人間亀田かギャスビゴー・・・
いや本当になんでもない、気にしないでくれ〜
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 16:59:56 ID:goKd3K62
和馬は能力がなくて虐げられる者の気持ち知ってるし
使い魔(実質奴隷)でなければ案外面倒見のいいにーちゃんするんじゃないかな
ただ精霊使いとなるとエルフとのからみが面倒くさそうだ
そこを面白くするのがキモだが
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:01:12 ID:11JeyMmP
パワポケ3の主人公は?
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:03:47 ID:vv0sJZLI
>>287
そっちは何とかなると思うんだ。
でも問題は召喚直後・・・めんどくさいって理由で周り全員の首飛ばすんじゃないかと。
黒和麻だし
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:08:57 ID:lHz+FXFK
>>288
あのゲームのゾンビの要素が薄いから出さなかっただけ
人間ENDの主人公かサイボーグENDの主人公で展開分かれそうだし・・・

それよりも荒井姉弟あるいは''のりか''召還だ
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:11:41 ID:rR80hQOD
>>289
召喚→アンタ使い魔になりなさい→やだね→コッパゲも説得→絶対やだね→下手すりゃコッパゲと戦闘
→多分勝つ、以後は風のメイジ扱い→その辺の学生に質問して状況把握→めんどくさくなってきた

こんな感じか?
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:18:58 ID:CVXO1S+6
金とミスロングビルで説得。

素直に弟のほうがいいかとも思うけど。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:20:01 ID:vv0sJZLI
>>291
Thx.
なんかそんな感じならいけそうだな。
遅筆だけどちょっとがんばってみるわ。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:29:17 ID:k/2UUZTz
>>285
召還以前に和馬なら召還ゲートを余裕で回避しかねない。
そして仕事中の綾乃あたりがドジって身代わりに飲み込まれる。
ほんで和馬はゲートを解析して自力で綾乃を追ってハルケギニアにやって来そうな感じ。
使い魔契約は綾乃対象で、それも修行の一環みたいな方向へ持っていけば何とかならなくない?

てか精霊使いはまんま先住魔法やね。
詠唱無しで行使するからマジメイジ殺し。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:30:57 ID:k/2UUZTz
>>291>>295
>以後は風のメイジ扱い
杖&詠唱無しだから先住魔法使い扱いだと思いますょ〜。
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:33:16 ID:vv0sJZLI
294もThx.
そういうパターンもありかな。

後ひとつ思ったのは、和麻は精霊王の力を行使できるのかどうか。
世界のって言ってるからハルキゲニアではできない希ガス
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:40:34 ID:hTEOYNBP
>>294
煉もついてきたら、ギーシュが『優しく説教』されそうだwww
298294:2009/01/14(水) 17:49:11 ID:k/2UUZTz
>>294
改めて考えてみたけど、やっぱり和馬単独でワールドドアは
話が破堤しそうなのでやめておいた方が良いかもしれないような気がしないでもなく。

>>296
地球とハルケギニアの風の精霊王が別の存在だと設定したとして・・・
とにもかくにも和馬は『風の精霊王』との契約の証を持っているので
ハルケギニアの下級の風の精霊はとりあえず問題なく言うことを聞いてくれそう。
でも風の精霊王とは改めて接触しないと駄目、みたいな感じかしら。

むしろ精霊王が違うと言うのは綾乃の方に大きな影響与えそう。
綾乃の浄化の力は、血筋に地球の炎の精霊王の加護が与えられてるお陰だったハズ。
精霊王との接触が実力的に不可能な綾乃は大きく力が減衰しちゃいそうな。
それとも加護は加護って事でハルケギニアでも有効って事にした方が良いかな?
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:56:42 ID:hTEOYNBP
>>296
精霊王は上位世界にいるとか書いてたし、別世界の者が契約者になっていたとかなったら聖痕世界での契約者の存在が伝説級なのも証明できるし、大丈夫じゃね?
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 17:57:03 ID:k/2UUZTz
>>298
>綾乃の浄化の力は、血筋に地球の炎の精霊王の加護が与えられてるお陰だったハズ。
失礼。血の濃さではなく『家系』に対して加護が与えられてるっぽいんでしたっけ。
血の濃さに依存せず、常に本家に強い術者が生まれる、みたいな話がありましたょね。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:16:23 ID:kxfZEy+7
風の聖痕なら原作始まる直前からの和麻召喚。
キュルケが操召喚してて、それが気になってて使い魔として雇われてやる。
だが、契約は断る。
ってのを考えてたが、原作持ってないので、そのまんま書くことなく忘れてたな。
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:33:47 ID:vv0sJZLI
>>298
そうだな。パターン的には294パターンが一番よさそう。

>>299
確かにそうかも。
説明できるな。

綾乃って一般人に対して実は怪我とか考えるとあまり戦えないよな。炎雷覇で突っ込みもできないし。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:38:23 ID:rR80hQOD
和麻は確か仙人の修行もしてるから、余裕で人間は超えてるはずだよな。
しかし綾乃って、炎雷覇がないと煉以下ってイメージがあるんだが…。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:39:26 ID:8S3mnYbb
>302
和麻なら、絶妙の手加減を交えつつ術でツッコミが入れられるのでしょうね。
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:46:53 ID:goKd3K62
炎術師の炎って「歪み」だけを焼き払い普通の人間には火傷させないって設定なかったっけ?
まあチンピラクラスの炎はともかく
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:48:41 ID:G6wqgXiN
>>294
回避も何も、ゲートなんてただ開いてるだけなんだから、入ろうとしなければ誰だって拒否はできるよ。
そのところを無理なくするのもアイディアのうちだと思う。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:50:10 ID:rR80hQOD
>>306
そう言えば原作も、才人が好奇心旺盛じゃなければスルーしてただろうなww
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:53:56 ID:26Z+Nlqk
和麻なんて凶悪犯罪者召喚したら一話で話が終わっちゃうな。
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:54:23 ID:veIwQB97
>>306
綾乃に炎雷覇でぶん殴られた拍子にゲートに片手突っ込んじゃって
そのまま飲み込まれるとかいうギャグっぽいのでもいいわけだなw
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 18:57:12 ID:rR80hQOD
つーか、そもそもやる気がなかったな。
「そこそこの仕事をこなして、そこそこの生活が出来りゃいーや」みたいなことを言ってたような気がするしw
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 19:47:47 ID:Zg1pHetC
ハルケギニアが多元世界に組み込まれた。
って妄想した。

貴族が生意気ほざいてティターンズに制圧される辺りで妄想が止まり、
そもそも召喚関係無い事に今更気付く。

でもジエーデルとルイズは相性良いと思うんだ。
ジエーデルすげーMだし。
問題はルイズの命令をジエーデルが面白おかしい方向に曲解して行動するくらいか…
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 19:54:35 ID:/cIQHH9+
>>311
ラスボスの人はある意味それに近いな。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 19:54:50 ID:mHPm2lMu
ジエー博士が「オッス、ルイズ様のお仕置きごちそうさまですニャン!」とか言ってアヘ顔に…
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 20:07:03 ID:gMIOgUDw
>>280-282
テンプレで三人に言わせたいな、良いコンビネーションだw
構想中のネタについて、他の人が書きにくくなるくらい語るのも避難所のスレでやって欲しいわ。
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 20:21:21 ID:oUbq7Pvp
>>305
それ自体は凄いんだが
炎術師はいくらスペック的に強くても
かませ犬にしかならないという設定があってな
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 20:23:36 ID:VxSOKvdU
>>271
トライエッジとなると再誕起こす前の段階で召喚しないと。
再誕の後だとAIDAでできてる第3の腕は消えてるしね。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:08:01 ID:F2A+GPCo
>>315
ヒデェ……
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:11:29 ID:+gfApSgH
>>305
炎術師で燃やす対象"だけ"を燃やせるのは神炎だの黄金だの持ってる親父連中と、
成長した宗家の術師だけだぞ〜〜

炎は威力しか取り柄無くてさらに傲って努力を忘れたから神凪一族の分家は弱体化の一途を辿ってる

某ハンバーガーチェーンのお嬢さんなんかは式神とか他系統の術組み込んで創意工夫で綾乃と張り合えるくらいなんだけどね
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:22:57 ID:OkUMH+pn
>>311
ハルケギニアがオルタレイション・バーストに巻き込まれました、
とかだったら割とすんなりできそうな気がする。
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:27:56 ID:rR80hQOD
>>313
黒のカリスマさんのことも忘れないであげて!
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:29:29 ID:kMzR+caH
>>311
>ハルケギニアが多元世界
MtLがおもっきりそのままそれだな。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:34:16 ID:9kIhhQJW
>>316
いつ暴走するか分からんのは欠点と同時に面白くもありそうだなぁ

結婚式場のところでズタズタにされる子爵。正に未帰還者
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:40:59 ID:xbDcJixK
>>318
>ハンバーガーチェーン
あの物言いは綾乃の程度の低さを表してるよな。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:48:53 ID:hTEOYNBP
>>318
一応、現時点での分家最強は操だったっけ?
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:52:41 ID:yHa5v+sw
>323
でも、一言でキャラの名前が覚えられる、読者に優しいコメントでしたよ。
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:52:44 ID:Crc02UKd
『攻殻機動隊』の少佐を召喚。

……だめだ、どう考えたってルイズが少佐に相手にされないっていう図しか浮かばない。
つかメンテ自体できないし、鬼門なことこの上ねーな……
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:54:39 ID:h6owXzMG
電脳系はつらいよね。
ヒューもどっか壊れたら終わるキャラなのでドキドキしてる
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:56:04 ID:H/a9D4WA
ヒューってある意味既に壊れているしな
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:56:31 ID:26Z+Nlqk
GS美神の300歳あたりのドクターカオスをマリアと一緒に召喚すれば無敵だなw
事前にこの人が召喚されていたら電脳系のキャラもメンテできそうだし。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:58:49 ID:hKTLDz3D
逆に超ローテクな連中を呼ぶのは…よくあるか。
ダークタワーシリーズのガンスリンガー呼んだら面白そうだ。
ギーシュやルイズとカ・テットを組むんだろうがキャラのうち八割方死にそうだな
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 21:59:58 ID:rR80hQOD
難易度的には現代系<魔法・ファンタジー系<機械系<電脳系ってとこか。

現代系はある程度は原作をトレースすれば何とかなる。
魔法・ファンタジー系はゼロ魔世界とのすり合わせがネック。
機械系はコッパゲの協力を得た上で、コッパゲの技術力を上げる必要がある。
電脳系は……どうすればいいんだろう?

まあ、そもそも機械系と電脳系の境界線もあいまいなんだが。
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:01:10 ID:5eX+27Sr
超ローテクか
北京原人から北京原人とか
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:01:44 ID:rbAqT93C
壊れると…というか、定期メンテが要るからみなわが呼べないんだよな。全盛期のまほろさんも然り。
ナノマシンがどうのってレベルだから、もう。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:03:20 ID:xCjI43Yq
本人がメカニックならと思うがサガフロのレオナルド博士くらいしか思い浮かばない
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:08:20 ID:0y+9Ur5L
>>331
コッパゲは零戦の整備ができるんだから
ヘリコプターは無理でも戦車の整備はどうにかなりそうだ

戦国自衛隊は呼べる
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:08:47 ID:JKeQ26Lp
>>334
あぁ、あのカレーからスクーター作る博士か
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:09:55 ID:+0MoVQA4
現実歴史作品からの古代・中世系というのもあるが
ファンタジーに含めていいのだろうか
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:10:20 ID:h6owXzMG
零式戦闘機やティーガーが限界だろうな。
F86セイバーとか74式戦車になると電子部品が作れないから、戦国自衛隊チックに
兵器がなくなった時点で終わりって話にしかならない。
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:15:33 ID:2j9U0J5z
>>337
『時代劇は日本版ファンタジー』って誰かが言ってたな。

印籠を見せられてひれ伏す悪徳貴族やエルフ……うん、ファンタジーだ。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:15:45 ID:yHa5v+sw
>336
元ネタ知らないんですけど、アトリエシリーズに匹敵しますね、その科学者は。
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:35:42 ID:xbDcJixK
ドクターカオスが来たら、ガンダよりミョズが似合いそうだ。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:36:43 ID:+0MoVQA4
若カオスでは強すぎるので老カオスの方が
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:39:34 ID:eH4O6cwi
でも若カオスでも、ドジ・間抜け属性は残っている
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:46:32 ID:3I54cCnW
>>331
電脳系でも、マトリックスなんかは全然大丈夫だと思う。
ハルケギニアはMATRIXの一部だったんだよ! なんてことになりそうだが。
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:58:16 ID:lRWk01Mf
>>309
ツッコミを回避したらその先にいきなりゲートが出現した、みたいな状況だと
ゲート出現を感知できない限り回避不能やね。

そんな状況でさえ華麗にゲートを回避するのが和馬クオリティー >>306
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 22:59:09 ID:RArEITUx
機能停止寸前までぶっ壊れても電気さえ与えとけば自己修復するトンデモマシンのオービタルフレームならいける
ただ軌道エレベーターを全部停電させて予備電源まで食いつくしてやっと足りるってほどの電力をどうやって用意すんだって話だが
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:04:56 ID:iHu3T994
ドロレス召喚か。シルフィードのように、ルイズの事を
お姉さまって慕ってるのとか読みてぇ。
まぁ、他の生徒からエロのルイズと呼ばれそうではあるが。
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:06:46 ID:KnZgd3D5
ドロレスは機体色がピンクだからルイズにぴったりだな
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:08:36 ID:PA6yUX1h
和馬召還した場合やっぱコントラクターとしての能力は失うのか?
アニメしか見てない
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:08:57 ID:sl9CIo4l
>>730
前にも挙げた人が居たけど、あれ他の作品とリンクしまくってて、
把握が死ぬほど大変だから無理って言われてたなw
俺も読みたいけどさw

シエスタの曾祖父ちゃんはキングな!
ホラー作家として売れてるけど、演劇化されてヒットするのはホラー以外だから、
それを知らないでシエスタと仲良くなったタバサとの絡みが……
曾祖父がキングだったら裕福だろうから奉公に来ないかw
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:12:33 ID:lRWk01Mf
>>318
>炎は威力しか取り柄無くてさらに傲って努力を忘れたから神凪一族の分家は弱体化の一途を辿ってる
分家になった時点で神凪の力は薄れていくらしいょ。
『本家』から濃い血を取り入れても『分家』である限り強い力を持つ子供が生まれないらしい。
どうも炎の精霊王の加護は血じゃなくて『神凪本家』みたいな枠を対象としてるっぽい。

>>349
>>299で精霊王は上位世界に居ると言う素敵設定が。
もっともコントラクターとしての能力が無くても風使いとしてスバ抜けてるのは間違いないょね。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:12:42 ID:vhRaBudN
>>348
逆に言うと正パイロット(?)の筈のジェイムズが合わなさすぎるw
妻に逃げられ子供たちからも疎まれてる五十路のオッサンが耳ピコピコするピンクの巨大ロボに乗って戦うとか
あらためて考えるとスゲエ設定だ
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:13:03 ID:9U03lfDH
>シエスタの曾祖父ちゃんはキングな!
ああ、あの事ある毎に獣人と間違えられるマスクマンか
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:13:04 ID:zxp0KBpH
>>346
虚無の魔法なら核融合なりなんなりでなんとか出来そうじゃない?
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:18:18 ID:8vWQ1TUV
>>353
ワンダフル・タルブ・コンボとか使うシエスタですね。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:18:51 ID:QBjw1CLX
CITYHUNTERの冴羽が召喚されて、
ルイズが100tハンマー振り回したりギーシュがスケベの弟子になったりするのを想像してみた

自分で書いてみようと思ったが、代名詞のもっこりギャグを下品にならないよう文章化するのが想像以上に難しくて
あえなく挫折orz
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:23:25 ID:w+pizIVP
○○を召喚
駄目だ、○○なシーンしか思い浮かばない

こういうレス見るのも飽きてきたな……独り言は自分の日記にでも書いてろ
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:23:40 ID:K53dWSQ9
>>356
涼ちゃんがもっこりしそうなキャラってキュルケ、おマチさん、エレオノール、カトレア、アニエスぐらいしかいないべす
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:26:35 ID:XIoazv5F
ふと思ったんだが、連金って相当恐ろしくね?
ハガレンみたくとげをいきなり出現させたり、土の質量で押しつぶしたり…
わざわざ複雑なゴーレムで戦わなきゃいいと思うんだが
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:28:04 ID:oJNEU/at
>>356
100tハンマー振り回す描写は古臭いな〜って思うよ、別なクロスものであったけどキャラ違うんじゃ違和感しかない
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:28:08 ID:d7pvjQ1o
>>351
細かい話かもしれんけど結構最初の巻で分家も過去は金色の炎を使えたと言う記述が有った筈だ

>>356
テファにダイブした直後オマチさんに年齢叫ばれそのまま壁に激突しそうだな
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:29:18 ID:h6owXzMG
キュルケ16歳だろ?
守備範囲外というか「もう2、3年したら」というか。
いくら色っぽくても子供には手を出さない人だから。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:30:05 ID:BvN6cvhg
>>358
そいつらをCITYHUNTER風に書いたらエレオノールだけ酷い絵になりそうだぜ
体格の良い無乳の女性
ゲームの立ち絵セパレートver並みにバランス悪そう
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:30:14 ID:+0MoVQA4
18歳じゃなかったか
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:30:15 ID:KolXN14y
ドロレスの話題一年以上前にこのスレでやったなw
懐かしいw

でもチートになってまうな。∀みたいに洗濯機にでもなってもらうか。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:31:05 ID:K53dWSQ9
>>362
18歳だあよ
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:33:06 ID:xbDcJixK
>>361
一巻で、「分家が「金」を失って久しい」って書いてあるからね。
あと、分家の三下が殺される寸前に金に届いたってシーンもあった。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:33:48 ID:h6owXzMG
>>366
高2になったばかりじゃないの?
物語開始時点だと
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:34:47 ID:xbDcJixK
>>368
ルイズより年上だと明記され取るわい。
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:36:31 ID:BvN6cvhg
んあ?
キュルケってルイズよりも年上じゃなかたけ?
18ぐらいじゃなかったか?
マチ、カトレア、アニエスが23ぐらい?
エレオノールは興味ないからいいや
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:37:48 ID:xbDcJixK
たしかゲルマニアの魔法学院中退して、縁談から逃げるためにトリステインにきた、とか。
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:39:43 ID:2hu7cLvn
>>368
学年と年齢の関係は固定されてる物という一方的な思い込みか
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:41:53 ID:xbDcJixK
>>368
ついでに言うとタバサはルイズより年下。
学院への入学は年齢関係ないようだ。
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:42:11 ID:sl9CIo4l
>>353
そうそう、そのキング。
自虐的に書きすぎて顰蹙を買った人では無い。
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:43:24 ID:qjvI9QeD
>>372
というかSS設定だと同学年で同い年ってのがちらほら目に付くからじゃないか?
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:45:51 ID:ZHpsKFvx
ハルケギニアと地球では1年の日数にちょっとズレがあるので
ハルケギニア人は実質プラス1〜2才くらい
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:48:10 ID:9U03lfDH
ルイズ>男塾一号生ってのもあったな>年齢
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:50:14 ID:yoqLu+jV
>>353
連載2話目にしていきなりお面を被る羽目になるも
お面のおかげで禁断魔法をかけたトーナメントで優勝できたあの人か
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:50:44 ID:GdypQ7Ed
>>346
メタトロンのパワーを放出しすぎて機能完全停止(機体だけ)しなかったっけ?
でもまあ不完全とはいえゼロシフトできるチート機体だから扱い難しい。
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:50:59 ID:yo1pnhYU
>>377
1号生って一応高校1年生。
留年退学とかしていないなら15歳から16歳だから、
2年生のルイズの方が年上になる計算だな。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:53:24 ID:d7pvjQ1o
最近キングと言うと紅一族に身包み剥され妻まで奪われた挙句中の人も職質された可哀想な人が連想されて困る
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:54:47 ID:9U03lfDH
>>378
そんな五年間も素顔を晒さなかったり、
キャラも大分増えたのに主人公しか素顔を知らない人なんて知りません
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:55:29 ID:K53dWSQ9
キングってあれだろ?死んだはずの師匠と再会したら問答無用で投げられて
ガルルルと捨て台詞を吐かれた有名マスクマンの二代目
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:58:35 ID:cv/SdSJf
博士召喚とゆーと究極博士なりはらとかどーだろう
あの人ならある意味なんでもありだ
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/14(水) 23:58:37 ID:qjvI9QeD
一族最強の戦士なのに小道具くれるばっかりの人だろ>キング
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:02:00 ID:SSxVf+jf
>>380
でも、あの連中ってどう見ても「留年退学しまくってきました」って感じがするんだがw
ごっついタイガーバズーカ的な意味で
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:04:06 ID:SSxVf+jf
>>358
たしか僚ちゃんって女子大生はOKだけど女子高生はNGなんだよな。
キュルケは境界線上の微妙なラインか

たぶん一番のストライクゾーンはおマチさんだと思う。僚ちゃん尻フェチっぽいし
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:04:48 ID:uYI2a3ui
俺はキングというとムテキングだなぁ
フハハハナントゴクトケン!
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:05:55 ID:Jb249TXB
パンツ盗むほど好きだもんな。
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:06:44 ID:6H1DWEmo
それはハルケギニアに壊滅的な被害をもたらした…
それはトリステインの魔法学園から出てきた…
それは城下町を野原にしてしまった…
ハルケギニアにはそれから逃れる手段はあるのだろうか…
ゼロのイオン革命始まる
街ingシリーズからローs
あれこんなじk
うわ冗談ですごめn
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:06:44 ID:Rpi3ldce
>でも、あの連中ってどう見ても「留年退学しまくってきました」って感じがするんだがw
虎丸や伊達は確か留年してるのが
冨樫は中学卒業直後に入塾してるので確実に15、6歳くらいだ
ちなみに桃は年令不明というかいまだに正体不明
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:17:37 ID:yawstcRL
奇面組でも抜作先生でもなんでも呼び出してくれ
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:23:29 ID:8hTEYTFu
レバーを←にしばらくひいて、→とどうじにパンチボタン。
かぜのドットスペル、ソニックブームだ。
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:31:35 ID:wjvrHvfp
悪はとにかく許さないってキャラはいないかなあ
ルイズもたじたじな正義一辺倒のキャラ
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:36:51 ID:RtXfR/d0
テコンドー家の金さんだな
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:37:38 ID:Rpi3ldce
チェルノブだな
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:38:27 ID:/FEsmeAM
>>394
以前召喚されたこともあったが
ファリスの猛女とか
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:39:06 ID:8hTEYTFu
>>394
カッファン・テコン・ド・キムというのはどうか。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:41:48 ID:QlrcB0Mr
>>394
戦国BASARAの浅井長政
善悪の根拠は自分の主観だけどな。

考えたことはあるんだがなんというかその…収拾がつかなかった(アク強すぎな意味で
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:42:26 ID:B7G2tEqe
>>394
俺様が正義だッ!!
みたいなキャラだったら一杯いそうだなw
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:43:28 ID:0IGizfuJ
>>394
正義の味方か
パンプキンシザーズの少尉は「女版葉隠覚悟」とか言われてるな
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:43:29 ID:8hTEYTFu
>>400
俺が孫正義だッ!実在の人物のためSSに出来ませぬ。

しかも性格改変。
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:44:20 ID:CN5hWaTd
ズバっと快傑してくれるヒーローがいるじゃん
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:45:37 ID:07gKzheO
ズール様が正義だ!
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:46:41 ID:swrRUXVd
妻子持ち単身赴任ヒーロー シグナルマン・ポリス・コバーン
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:48:49 ID:/FEsmeAM
ルイズでも魔法が使えるようになる魔法の杖フニクラとか
正義かどうかは微妙だが、悪に対する容赦の無さはガチ
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:49:05 ID:wjvrHvfp
正義一辺倒のキャラってたくさんいるのね
テコンドのカッファンさんを召喚したら誰が更正対象になるか
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:50:03 ID:c550n+US
アンデルセン神父とかピエトロ・バレッサとか、狂信者系はいろいろいるな
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:50:44 ID:c550n+US
ああ、べレッサな
すてプリの
410405:2009/01/15(木) 00:50:56 ID:swrRUXVd
よく考えたらシグナルマンは正義じゃなくてルール一辺倒だった…
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 00:53:43 ID:3meI6DU/
>>408
仮にルイズの使い魔になったとしても、ブリミル教のことを聞いたら一人で戦争を仕掛けそうな人ですか?
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 01:04:04 ID:l92ehO9h
そこで必殺メイドのロベルタさん召喚ですよ
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 01:08:02 ID:Rpi3ldce
あれ正義じゃねえやん
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 01:08:30 ID:k9ZXWbxs
>406
ああ、あの触手がウネウネしている魔法の杖のフニクラ様ですね
魔法が成功したのに虫の居所が悪かったのでフニクラ様にお仕置きされるルイズですねわかります
触手を通じて回復薬を無理やり飲まされるルイズとかエロいな
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 01:17:09 ID:i0iH3iRB
悪を断つ剣な人は?
「黙れ!そして聞け!」で敵の台詞も全部ぶった切っちゃうぞw
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 01:24:34 ID:RDnVY9hf
悪即斬な斎藤は?
己の正義ってやつ
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 01:28:53 ID:TGMx33GN
ああ、あのミスタースポックの祖先な。
ttp://lib5.store.yahoo.co.jp/lib/toyokuni/260427.jpg
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 01:45:33 ID:BhygPGf8
魔を断つ剣の姫さん(都心復興Ver)
地球皇帝等を爆破する度アイムジャスティスと無駄に良い声で叫んでくれるぞ
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 01:48:51 ID:Jp7Cbrkm
>>417
そんな顔だったのか。
自分が見た写真のはクッキングパパの荒岩(父)みたいな顔だったけど、
他の人間と見間違えたのかな。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 01:55:58 ID:c550n+US
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 02:09:42 ID:uR9qo/d+
>>420
小山ゆうの書く漫画に出てきそうな顔してるな
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 02:13:54 ID:+jIryVVh
>>336
それは「秘密結社鷹の爪」だ
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 02:30:27 ID:NmEmrttc
law of the westのシェリフ
「ここじゃ俺が法律だ」
そして射殺
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 03:05:09 ID:I3utuN2P
俺が正義だジャスピオン
ジャンパーソンふぉージャスティス

あの時代のメタルヒーローって実は大抵・・・
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 03:08:19 ID:RkL/IK+I
リューナイトのアデュー、騎士道大原則も正義だよな?


あと正義とは違うが……

ロリコンは変態ではなく信仰と迷言を遺したマイティーハートのアリオト
.....速攻タバサに仕えようとして爆破される姿が用意に想像出来るな
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 03:12:09 ID:u4EBge1d
お?
今日は投下ないのか珍しい
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 04:06:14 ID:DVUcrW8h
そういえばアデューは誰か召喚してたな、見なくなったけど
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 04:50:17 ID:IUvhX2ip
>>415
ああ、あの人書いてみたいな。実力的にはサイトよりは強いだろうけど
生身の人間だし、精神力も凄くてロリコン疑惑もある。
なんとか説教臭い展開にしなけりゃ面白くなりそうだ
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 05:21:12 ID:wji9NqVh
>>426
その今日が始まってまだ3時間しか経ってないのに投下とか贅沢だな
ゼイタクは敵だ!

ということで、ベルサイユの薔薇よりマリーアントワネット召還
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 05:36:18 ID:Cbk+ApPf
>>424
あれ?俺いつの間に書き込んだんだ?
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 06:36:21 ID:CrF4VPHn
>>429
パンが高くて買えないならパンより安価な小麦で作れるブリオシュを食べればいいじゃない、と言った人だな。
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 07:26:22 ID:aHzkzM6M
パンが手に入らなくなった場合、他の食べ物を安価に提供しなければいけないという
法律があったのでそのことを言ったのだとかいろんな説があるな

当時のマスコミの定番のネタだったらしいが
いろんな人に対してこの台詞をいったという記事を書き倒していたが、最後に記事にした
マリーがメジャーになりすぎて他の人にネタが使えなくなった
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 08:52:04 ID:i0iH3iRB
>>428
あの人やロム兄さんは決め台詞のシーン想像するだけでwktkするw
>ロリコン疑惑
あれは本人の嗜好とは関係なくロリ誘引物質を撒き散らす体質なんだよw
彼本人が好きなソフィアタイプは該当者居ないから結局ロリフラグしか立たない気はするけど
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 09:01:44 ID:Jp7Cbrkm
>>433
あの人に寄ってきたロリってイルイ以外いたっけ?
αでどうだったかは忘れたけど、
アレに出ていた面々は変なのばかりだったから、
多様強面でも面倒見の良い感じの親分に懐く子供(男女とも)は
結構いてもおかしくはないだろうが。
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 09:12:48 ID:Tzrusgwo
>>432
当時の政治的パンフの隅に走り書きをした、名も無き注釈者曰く
「彼女が実際に発言したかではなく、彼女なら発言しても不思議ではないと思われたことが、彼女の問題なのだ」

実際のところは、寄付を募ったりと、むしろ貧困層の救済に関心を持っていたらしいけど。
あの時代、誰がフランス王妃でも、ああなってたんだろうね。<マリー・アントワネット
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 09:23:07 ID:4xIgVtzI
アントワネットの故郷でのブリオシュは村の皆が共同で作る
小麦を固〜く焼き固めレンガのように積み上げて保存する救荒食料だったという
そういう飢饉や危急時の互助システムを使えという意味とも聞いた

国民の間で誰かしらを悪者にしたい気持ちが高まった時に、偶々目に付いたアントワネットの
今でも2chである改変コピペや台詞コラ画像のようなものだったんだろうね
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 09:30:41 ID:oT1eJ+SU
晋の司馬炎の息子か孫かが
「米がなければ肉を食えばいいじゃない」
と言ったのは事実らしいけどね。
もっとも彼は自分を庇って死んだ警護の血で汚れた服を
「これは朕を守った者の尊い血である。そのままにせよ」
と代えさせなかったそうだから、無知だけれど優しい人だったのだろう。
438ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第二十話 5/5:2009/01/15(木) 09:46:36 ID:/4cbyJSm
>>435
んー、いい方に性格変わったのは子供が出来てからだから、早々に子供つくってりゃ周りのロクデナシの貴族連中とも縁切れて多少運命変わったかもしらん
まあ、旦那がダメすぎだから革命は避けられんだろうがw
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 09:48:07 ID:Ezu1j6+4
確か、使われている小麦粉の質の関係でパンよりもお菓子のほうが廉価だったとか。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 10:05:27 ID:Tzrusgwo
>>438
ルイ16世も最近は再評価されてるね。
とはいえ、平時ならともかく、お世辞にも非常時向きの人材ではなかったというのは変わらないけど。
ルイ14世、15世の積極政策が裏目に出て、16世の即位当時すでにフランスの財政はすでに破綻してたから。
多分、王宮の側が多少変わった程度じゃ結末はさほど……。
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 10:10:05 ID:4Uoe9kOk
これ何のスレだっけか?
まあアンリエッタはパンケーキの焼き方もろくに知らない完璧なお姫さまタイプだが。
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 10:33:14 ID:TuT86HAZ
>>440
ルイ16世は海軍提督にでもなっていたら、さぞやその勇名を轟かせていたろうにって人だな。
およそ海に関する全てのことを専門家が裸足で逃げ出すレベルで習得していた希有な才能だった。
惜しむらくは、彼が海軍や海運に直接関わることのない「王」であったということか。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 11:25:33 ID:hI5THo+L
まぁ時代に押しつぶされちゃった人なのは確かだな。
年金問題が「発覚」した時点での大臣やら役人やらが叩かれてるけど、
年金問題が「発生」した時点での大臣やら役人やらの責任者は別人じゃん、みたいなもんか。

まぁ年金問題と違ってその「責任者」は既に死んでしまってるから今更叩きようがなかっただろうけどさ。
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 11:58:13 ID:TvZD1U5n
なんつー世界史スレwww
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 12:00:16 ID:GaCh8H8E
こういう流れが投下しにくい流れにしてるんじゃなかろうかと危惧
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 12:08:50 ID:6ojDUKoN
そういう話を具体的に出してしまうとさらに難易度が上がらないかと愚考
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 12:23:27 ID:6tHg1kJ0
>>443
お前の世評なんて聞いてません
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 12:25:17 ID:Oexs2ubt
蘊蓄はそこまでだっ!!
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 12:29:07 ID:m3cWN1Ex
生アイデアを陳列して他の人の新作投下を未然に阻止し
雑談を繰り広げてスレを浪費するも作家挨拶は非難
もうこのスレも末期状態だな
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 12:35:15 ID:y9bUTmUH
ここは場の雰囲気を変えるためにも誰かに「へんちんポコイダー」
(へんきんタマイダーでも可)召喚をお願いしよう

しかしナンだ、永井キャラで安心して呼べるのって殆どいないよな
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 12:53:25 ID:bTwjC4ix
ボスとボスボロットとか。

ハンドメイドであんなロボット作れるボスって何気に天才だよな。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 12:57:33 ID:oM51kqlJ
アレ作ったのはボスじゃないぞ
ボスが三博士を脅して廃材を再利用して作ったんだ
それでも20万馬力(ザクの約3倍)あるけど
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 13:15:39 ID:DsYrk3ZA
グレートマジンガーの頃は何をどうやったか巨大化してるっぽいし
マジンガーZより強かったかも
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 13:18:00 ID:uaXM9Kvu
しかも頭部は超合金ニューZ
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 13:27:56 ID:P+7IAGJL
整備は理科の知識があればできるしな(Wでボスが明言している)
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 13:34:43 ID:KTcvwwRz
有る意味マジンガーよりも高性能だな
量産機的な意味で
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 13:45:29 ID:0SS7vJ5I
コストが低く(粗大ゴミの再利用)、設計も単純で整備しやすい(理科の知識で十分)、居住性も高い(まるで四畳半、ちゃぶ台TVトイレ完備)。
しかも毎度やられるにしてはパイロットの生還率も完璧という事で、優秀なことは間違いない。
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 13:47:25 ID:DsYrk3ZA
でも甲児でも乗りこなせないぐらい操縦難しいんだぞ、ボスボロット
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 13:48:23 ID:XzoNH4PX
スレと関係ない雑談すんな
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 13:48:44 ID:Q/vaGQyD
短足で腕が長いゴリラ体型だから建機として使いやすいという意見もあったなぁ、ボスボロット
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 14:15:25 ID:oM51kqlJ
ボスと三馬鹿の場合呼び出されてもサイトと大差ない展開になるだろうな
同じスケベで馬鹿だけど情に厚いタイプだから

タルブ村にボスボロットが置いてあったらコッパゲはどう反応するのかな
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 14:30:14 ID:Q/vaGQyD
70年代ロボットアニメからということで色々と考えた結果『超電磁大戦ビクトリーファイブ』から仮面の戦士モノホーンを召喚することに…

いやいやいや、ちょっとむりがあるか。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 14:41:30 ID:oM51kqlJ
市川治氏のご冥福をお祈りします。
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 15:22:25 ID:Jb249TXB
>>449
言いたいことは分かるが
>雑談を繰り広げてスレを浪費するも作家挨拶は非難
何か私怨を感じるわw
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 15:39:22 ID:F9JKmeEv
所詮ここは2ちゃんであって、管理の行き届いた投稿サイトじゃないからね。
スレ住人は定期的に作品が読めればいいだけで、作家の動向に興味がないんだ。
良い悪いでなくてそういうものだと割りきれ。
それが嫌ならゼロ魔の投稿サイト立ち上げるしかないね。
そこが魅力的なら作家も移動するだろ、まとめサイトの騒動時みたいにさ。
そうなればスレは廃れ楽しみもなくなるんだから、スレ住人だってついてくるしかない。
まあとにかく頑張れ。
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 15:39:49 ID:3v0s5u3Q
>>464
言いたいことも分かんないし何か私怨を感じるわ
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 15:43:34 ID:J73jyQwY
作家の自己主張は雑談以上にうざがられるのは仕方ない
生アイデア云々はモノによってはネタ潰しに繋がるから別だが
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 15:47:07 ID:F9JKmeEv
と後、別にスレ住人が正しいって言ってるんじゃないからな。
作家には「ここには書かない、投下しない」って選択肢あるんだから、住人の煽る態度が嫌なら理想郷にでも行きな?
ここが良いなら、良い悪いはおいといて、火種になりそうなことは意識して避けるべし。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 15:47:14 ID:3meI6DU/
作家さんが他人の意見を聞きながらマジでネタを煮詰めるのなら、
他の人のネタ潰しになりかねないここよりも、避難所でやれば良いのに

幻視したとか、文才が無いから書けないとかは、無能を装った荒らしなのでスルーしてください
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 15:53:48 ID:hI5THo+L
過剰な展開予測は確かにネタ潰しにもなるかもしれない。
だけど「○○を召喚!××で大騒ぎ!!」程度の書き込みで
ネタ潰しだと主張するのはそれこそ職人を装った無能の言うことだと思うが?

「前に『○○を召喚!××で大活躍!!』という書き込みしたから
この作者は俺のネタをパクったニダ!!」なんてことを言い出す
ドキュソが大量発生してるならともかくさ。
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 16:04:43 ID:3meI6DU/
たんにウゼーってだけだす
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 16:06:46 ID:tDFCx0uX
避難所で や ら な い か ?

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
  /       丶
 | ノ゙ ̄ ̄)イ) ̄""||
 ||   ソ   ||
  ヒ|ィ==ァ r==>|
 f Y ィ旬丶 /ィ旬‖
 |(ソ   ̄′ |` ̄‖
 丶_    |  |
  ||   ^ー′ /
  |/丶 `-==ァ /
_/‖ \  ̄~ /
/ |丶 \_ノ_/|\
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 16:07:02 ID:3v0s5u3Q
うん、正当な理由は無いけど物凄くウザイ
「ルイズに召喚させたいキャラの名前を挙げるスレ」でも作って勝手にやって欲しいくらいだ
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 16:10:08 ID:J73jyQwY
結局どれもこれもうざいのは確か
自治りすぎて過疎るのもまずいが
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 16:10:22 ID:3meI6DU/
>>473
いつからここはSS投下と感想だけのスレになったんですか?
雑談してる人がいないと、投下時に支援が受けられるか分からないです。

と言われると反論できないのが悲しいところよね
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 16:14:49 ID:3meI6DU/
やべぇ!自己解決しちゃったかも分からんよ?

雑談:避難所の雑談スレか、>>473のスレを避難所に立てる
支援:そこを確認して、人が居ればそこで投下宣言
相談:避難所の構想スレか、作家が相談するスレを避難所に立てる

これでどーよ?
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 16:21:43 ID:c550n+US
さて
投下が来るまでいつもどおり、雑談を続けましょうか…
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:05:09 ID:7UGRGZ9J
「○○を召喚」と言っておきながら、同レス中で
「ああ、でも無理か。○○は××だもの」とか「俺の筆力では無理だorz」
とか言ってるのはイラッとくる。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:07:23 ID:i+D0dNRJ
前者はチラ裏、後者はリクエスト紛い
死ねば良いのにな
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:09:41 ID:i0iH3iRB
この白けた空気をものともせず話引っ張るお前にもイラッとくるよ?
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:10:41 ID:u92HAZrr
自己中なことを言えば雑談とかネタ潰しになってる妄想はウザイ消えろと思うが
このスレ自体の発祥は妄想スレだから現状SSスレになってるとはいえ
スレ違いとか言ったり追い出すのは筋違いだろう

まあ折角避難所があるのだからそこをもう少し有効活用して欲しいとは思うけどね。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:17:27 ID:3meI6DU/
なんで避難所じゃダメなんだろうなあ
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:24:41 ID:0NKNEfuA
>>482
専用のスレも立ってるのにね
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:35:14 ID:3meI6DU/
自分で言っといてなんだけど、ルイズが○○を召喚したらについての雑談は
質量共に雑談スレでもウザがられるかもしれないし需要もあるみたいだから
「ルイズに召喚させたいキャラの名前を挙げるスレ」を作った方が良いだろうけどね
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:38:01 ID:3pa6Se8W
よし、お前立てて来い。
俺は知ったこっちゃない。
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:42:25 ID:3meI6DU/
ルイズに召喚させたいキャラの名前を挙げるスレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1232008876/l50

ということで立てて来た
以後よろしく
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:45:47 ID:NmEmrttc
自然に過疎るまではこのままでいいんじゃないかな
2chで人が来なくなってもss自体の需要が無くなるわけじゃないし
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:53:35 ID:6VGnUMVG
というかいつもこの流れになるよな
このスレが始まった頃からのお決まりの流れだ
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:53:46 ID:i0iH3iRB
>>411では雑談に参加しておいてなんでいきなり隔離叫び始めたんだ?
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:55:26 ID:3meI6DU/
避難所でやってもいいんじゃないかな
SSは2chにスレを置いてやることで作家さんが増えるのを期待したいけど
『ルイズに召喚させたいキャラの名前を挙げる』だけの人が増えるのは誰も望まないから
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 17:58:41 ID:3meI6DU/
>>489
つい乗っちゃった、スマン
前々からウゼーって意見があったし、投下に混じってやってるバカまで居たのと
>>490に書いた通りSSと違って2chでやる必要が無いからだな
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:00:33 ID:Bk/8QIc1
>>491
むしろSSの方がここでなくていい気がするんだが
SS投稿サイトは沢山あるが○○を召喚するのとかどうよって話が続くのはここぐらいだし
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:02:45 ID:3meI6DU/
>>492
スマン、ちょっと分からない部分があるので説明を頼む
2行目の『話』ってのは、SS?雑談?

俺が言ってるSSスレを2chに置く理由は読んでくれた?
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:03:43 ID:tDFCx0uX
ジョジョスレから発生した初代スレから張り付いているが、SSが多々投下されるスレ案定期になるまでは
召喚したいキャラ名とか作品名、もしクロスしたら〜の妄想ネタを書いていくだけのスレだったぜ、最初は。

スレ発生当初と現在では違うだろって言われたらそれまでだが。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:04:14 ID:RtXfR/d0
元々「○○を召喚するのとかどうよ」って雑談が始まりのスレだからな

あと、避難所のスレ立てって一応運営議論スレに掛け合わないといけないって聞いた気がするけど、どうだったっけ?
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:04:20 ID:9V/sc3Po
2chに秩序を期待するな
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:06:20 ID:3meI6DU/
>>494
それは>>481で一応理解したつもり
作家さん呼べそうなSSと違って妄想なら別に避難所で良いじゃん? ってこと
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:08:35 ID:3meI6DU/
>>495
構想スレが勝手に立てられても特に何もなかったから
立てちゃったけどダメだったかな?
なんか強制sage措置を願い出る時にも注意もなく普通に許可されてた
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:25:07 ID:5LQerU2Q
そんなことよりも、おっぱいの話をしようぜ。




巨乳ハンター召喚とか。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:26:42 ID:W8bVBC1A
フォルゴレを召喚して女性キャラの乳をもごうぜ
無敵だし鉄の男だし
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:28:31 ID:9V/sc3Po
乳を召喚して巨乳になるルイズでどうよ
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:30:54 ID:CN5hWaTd
ここはビッグボインを
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:33:19 ID:ysUk6rel
なんか急に作品の書き込み減ったな・・・
何かあったか?
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:34:10 ID:5LQerU2Q
>>501
ルイズだと、虚乳、か――。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:38:55 ID:dMg/2IuZ
>>499
おっぱい星人召喚ならこないだ避難所で見たよ
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:41:41 ID:5LQerU2Q
>>505
俺も見た。
おっぱいは偉大だと思った。

全ての者は乳に還る――といったのは、ゼロのガンパレードのマリコルヌであったか。
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:46:11 ID:kytWyPXV
何か勘違いがいるみたいだな
ここはルイズが才人以外の使い魔を召喚したらどうなるか妄想するスレだぞ
投下される小説もそれを楽しむ要素のひとつ
当然、誰を召喚したら楽しいかって話し合うのもね
ただ、おっぱいの話で白熱しちゃ駄目ですよ
美乳がいいのよ。美乳が
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:56:15 ID:3pa6Se8W
なんだ、この上から目線w
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:57:34 ID:IRjEvJ7H
おっぱいを上から目線で見るのか……
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:58:05 ID:6gwqGrnw
谷間が見えるな
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 18:58:10 ID:TvZD1U5n
丁度投下の波が来ない時期なんだし、Wikiに登録されてる作品を頭から読み直してみるのも面白いよ。
最新話待ってるうちに初期の流れがどんなんだったか忘れちゃうし。
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 19:04:32 ID:OEO45lSX
>>511
そして自分が長らく中断しているものを見て、ごめんなさい書く気はあるんです。
でも、書いてる自分ですら納得できない代物になってしまうんで何回も書きなおしてるんです。
と心の中で謝罪するんですね。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 19:07:36 ID:c550n+US
IFスレがクトゥルフ的な流れになってきている…
ダマスカスの路上で白昼生きたまま不可視の怪物に貪り喰われたとされる狂える詩人は、
実は異世界に召喚されたに過ぎなかったのであろうか
514ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:47:20 ID:ujrqt6am
他に投下がなければ、19:55分よりゼロの花嫁9話を投下したいと思います
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 19:53:56 ID:c550n+US
ふんぐるい支援
516ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:55:04 ID:ujrqt6am
ゼロの花嫁9話「シエスタ奪還」



ルイズは見栄っ張りである。
それ故、訓練は誰にも見咎められる事が無い早朝や夜に行われる。
最初の頃こそ気にせず、というよりそこにまで気が回らなかったのだが、時折すれ違う生徒達の視線を鬱陶しいと感じ、そういった形に落ち着いたのだ。
燦と二人での訓練は、当初あまりの厳しさに当日の授業に差し障る程であったのだが、今では慣れたもので平気な顔で授業をこなせるようになっていた。
これは訓練に慣れたという意味ではなく、訓練でヘロヘロになった状態で授業を受ける事に慣れたという意味だ。
燦は常にルイズに出来るギリギリの訓練を課していた。
もちろん心優しい燦に、いつまでもそれをルイズに強要するような真似は出来ない。
放っておくとすぐに限界を超えて無茶をしてしまうルイズを止める為、燦はルイズが納得するような訓練でかつ体への負担がより軽くて済むよう日夜考え続けているのだ。
その過程で、剣を振るうとは、体を動かすとは、といった事を真剣に考えるようになった。
ルイズが授業を受けている間、時折授業を抜け出して自らルイズの訓練を試してみる燦。
剣の師である政の教えを何度も反芻し、その意味を考え直しながらより高みを目指す。
元々はいじめっ子に対抗する為に覚えた剣術だ。
それが充分に為せる、そんな自信を得てからは最初の頃の必死さは失われていた。
今、その心を取り戻す。
再び真剣に剣の道と向き合ってみると、自身が如何に不足しているかが手に取るようにわかる。
殺意持つ相手との実戦経験も良い方向に影響しているのだろう。
ルイズとの訓練の中で、瀬戸燦は確実に剣士としてその腕を上げていっていた。



使い魔品評会、結果発表。
結果を聞いたルイズ、キュルケ、タバサの三人は、翌日燦を連れて街へと出向いていた。
ルイズお勧めのクックベリーパイが置いてある店に入ると、ルイズとキュルケは仏頂面のまま、燦は嬉しそうに、タバサは相変わらずの無表情のまま席につく。
注文を終えると、キュルケは片眉をねじくれさせながらこれで三十六回目になる愚痴を溢す。
「絶対に勝ったと思ってたのにぃ。二位なんてゴミよゴミ、一位以外は全て等しく価値が無いわ。決め手は最後のブレスよ絶対。あれをズルと取るなんて本当器量の狭い連中よね」
続いてルイズも不満を口にする。ルイズの愚痴は四十九回目である。
「何て見る目の無い審査員なのよ……ありえないわ、燦が一位じゃないなんて……三位ですって? 馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ。きっとアンリエッタ王女はわかって下さってたわ。それなのに他の連中ときたら、全くわかってないんだから」
一位を取ったタバサは少々拷問じみたこの場でも平然と二人の愚痴を聞き流している。
品評会の結果にタバサは大満足であった。
自身が一位を取った事は正直どうでもいい。
それよりも会が終わった後の教師陣の誇らしげな表情が、タバサにとっては何よりの褒美であったのだ。
近年稀に見る程レベルの高い品評会であったと、来た者全てが誉めそやしたという。
自分の生徒が褒められて嬉しくない教師など居ない。
直接担当していた教師達の歓喜は想像に難くなかろう。
少し興奮気味であった王女から「流石は近隣諸国に名を馳せるトリステイン魔法学院、こんなに興奮したのは久しぶりです」との言葉を賜り、教師一同歓喜に飛び跳ねる勢いであった。
特にコルベールの喜びようといったら無かった。
押し付けられた問題児三人がこれほどまでの高評価を得られようとは。
品評会後に行われた教師達の慰労会では、感極まったコルベールが涙を溢す場面もあったという。
これで少しはかけた迷惑を取り戻せたかな、とそんな事をタバサは考えていた。
もちろん勝者の特権は最大限行使させてもらうつもりでもあったが。
「……おかわり」
これで都合十皿目。
払いは敗者の役目との事なので、情け無用とばかりに次から次へと口の中に放り込むタバサ。
敗者が一人であったのなら、キュルケもルイズも素直に泣きを入れていたであろう。
しかし眼前に憎っくきライバルが居るその場所で、お小遣いがなくなるから勘弁してなどと口に出来ようか。
517ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:55:39 ID:ujrqt6am
ルイズはキュルケに、キュルケはルイズに強がる為、ただそれだけの理由で、お金なんて幾らでも沸いて出てくるわ、と涼しい顔をしてみせていた。
結局三十皿オーバーを軽く平らげたタバサが満足げに店を出る頃には、ルイズもキュルケも今月無駄遣いをする余裕など欠片も残らない様に成り果ててしまっていた。
真っ白に燃え尽きた二人を尻目に、燦は驚いた顔でタバサに言った。
「よう食べたなあタバサちゃん」
「……勝利の美酒は格別と聞くけど、その意味が少しだけわかった気がする」

教師達にかけた迷惑を何かで返せたのは確かに嬉しかった。
しかし、それとは別にもう一つタバサには嬉しかった事がある。
一位を取った事ではなく、この二人と真剣に勝負して勝てた事が凄く嬉しかった。
今までそんな事は無かったのに、何故かそう思えたのだ。
帰り道その点に思いを馳せていたタバサは、ふとその理由に気付いた。
ルイズの懸命さと燦のまっすぐな姿勢、キュルケの才能と魔法に対する真摯な態度、それらをタバサ自身が高く評価していたのだ。
それこそ修羅場を幾たびもくぐり抜けてきた、自身の持つ能力と比しても遜色無い程に。
尊敬出来る、そう思える相手と真っ向から向き合い、全力で勝負し結果を評価される。
そんな満足感は、余人と比較しようもない程濃いタバサの人生においても、初めてだったのだ。



日々は事も無く過ぎていく。
毎日の恒例行事であるルイズVSギーシュ、男と女の色気無い追いかけっこ。
週に一回のルイズVSアニエス、ドSの惨劇。
不定期に開催されるルイズVS燦、目指せ師匠越えバトル。
ケンカが高じた時行われるルイズVSキュルケ、女の意地のぶつかり合い決戦。
医務室に常備されている水の秘薬は、実にその4割がルイズ一人によって消費される。
そしてさりげなくキュルケも1割程消費していたりする。
ルイズに隠れてやっている戦闘訓練が時に度を越してしまい、そのせいで笑えない怪我を負う事があるのだ。
最近のタバサは二人が怪我を負わないよう、色んな所で配慮する事に追われて読書量が大幅に減ってしまっていた。
実はそれだけが原因ではないのだが、二人を言い含めるのに都合が良いのでその事は口にはしなかった。

早朝、ルイズと燦がランニングに出発。
ほぼ同時刻、キュルケもルイズ達とは違うルートで部屋を出る。
その時間からほんの少しだけ早い時間、タバサは近くの森まで馬を走らせる。

ランニング(身動き取れなくなるまで走り続ける)筋トレ(規定回数こなせなければトゲトゲしい何かが体に突き刺さる)ここまではルイズもキュルケもタバサも一緒である。【注:()内はルイズのみ】
その後キュルケとタバサは魔法のコントロール訓練に入り、ルイズは剣の素振りを開始する。
極度の集中力を要する精密な魔法を繰り返す事で、常時のコントロールをより的確な物とする。
地味だが魔法の精度を上げるにはこれを繰り返すしかない。
ルイズが行う剣の基本となる動きを繰り返す素振りは、これだけは毎日確実に行わなければならないと燦は釘を刺していた。
すぐに新しい動きをと欲するルイズに理由を説明するのは燦には難しかったが、それでも絶対だと強く主張する燦に気を使ってか、ルイズもこの指示には従っていた。
それらが終わると、魔法組みはより実践的な訓練へと移行する。
想定した戦術に沿って魔法を放ち、確実な魔法行使を自分の物とする。
連続使用や様々な動作を複合した魔法の行使、詠唱の短縮などもこの時に行う。
ルイズの素振りが終わると、燦が考案した訓練メニューへと移行する。
都度様々な訓練が行われ、最後は燦との模擬戦闘でその成果を確かめ締めとする。

ちなみにルイズが訓練している事を、キュルケもタバサも知っている。
キュルケが訓練している事は、タバサしか知らない。
そしてタバサが訓練している事は、誰にもバレてはいない。
別に知られても構わないだろう。
傍から見ていればそんな気にもなるのだろうが、当人達は真剣である。
518ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:56:06 ID:ujrqt6am
キュルケは努力している所をライバルと目しているルイズやタバサに知られるのを嫌う。
そしてタバサは訓練の目的が目的である為、知られて理由を問われても返答に窮するからだ。
特にタバサは複雑である。
国元からの命令を確実にこなす為、そう自身で理由付けてはいるが、こうして早朝や深夜に訓練を繰り返している理由はそれだけではないのだ。
毎日必死になってより高みを目指す二人を見て、自分も居ても立ってもいられなくなった。
それが事の真相であるのだから。

平穏と言うには少々語弊のある日々であったが、それなりに過ごしていた四人に新たな事件が起きたのは、品評会での見事な演技のおかげで学園内に蔓延っていた悪評が薄まりかけていた、そんな頃であった。

燦の代わりとして、ルイズはシエスタに様々な雑事を頼んでいた。
その繋がりからか、シエスタはキュルケやタバサからも身の回りの事を頼まれるようになった。
今までに起こした事件のせいか、使用人達の間でも噂に上る程恐れられているこの三人の世話を、他の使用人達が嫌がったせいもあるのだが。
既に三人の専属として見られていたシエスタであったからこそ、その知らせはすぐに三人の耳に入った。
のんびりとランチタイムを過ごしていたルイズ、キュルケ、タバサの三人は、顔に見覚えの無い使用人から報告を受ける。
「シエスタが学園を辞めた?」
ルイズが問い返すと、使用人はがたがた震えながら報告を繰り返す。
「は、はい。なんでもモット伯のお目に止まったとかで、その日の内に……」
あからさまに不愉快そうな顔でキュルケが使用人を睨む。
「その日って何時よ」
やはり報告など止めておけばよかった。そんな後悔が使用人の表情の端々から滲み出ている。
「け、今朝方早くの事です。公務でいらっしゃったモット伯が大層お気にめしたご様子でして」
キュルケはルイズにモット伯に関する説明を促す。
ルイズは吐き捨てるような口調であった。
「ご立派な方よ。平民の女の子をかどわかして喜ぶような趣味さえ無ければね」
予想通りだったのか特に驚いた様子もないキュルケ。
「フン、そんな事だと思ったわ……人の物勝手に持ち出すなんて気に入らないわね。攫い返してきちゃおっか」
「誰がアンタのなのよ。一応言っておくけど、相手はれっきとした貴族なんだから無茶なんてしたら後でヒドイわよ」
「ルイズにだけは言われたくないわねえ」
「何ですってえええええええ!?」
またケンカが始りそうになった二人をタバサの言葉が制する。
珍しく、少し焦っているように見えた。
「ルイズ、サンは何処? 姿が見えないけど」
機先を制されたせいで鼻白みながらルイズは答える。
「それが朝から姿が見えないのよね。昼前には戻ると思ってたん……だけ……ど……」
ある一つの可能性に思い至り、言葉の語尾が弱々しく擦れていく。
キュルケも目を大きく見開き、ルイズ、そしてタバサを見やる。
タバサは大きく頷いた。
「確認した方がいい。サンが知ったら間違いなく動く」
ルイズとキュルケは蹴飛ばすように席を立ち、燦が立ち寄りそうな場所全てを調べるべく走り出すのだった。



半刻後、三人が方々から集めた情報を整理した結果、やはりというか、最悪の事態であった。
燦はシエスタ不在を使用人に確認し、同時にモット伯の人物像を伝え聞く。
厩舎の人間から馬を一頭借り受け、ついでにモット伯の住居を確認。
後ろも見ずに飛び出して行ったらしい。
そしてトドメはルイズの部屋にあった置手紙。

『ごめん、わたし、つかいまやめる』

覚えたての文字がたどたどしく書かれているそれが、何よりの証拠であった。
519ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:56:35 ID:ujrqt6am
キュルケが大きく嘆息する。
「思い切り良すぎよね、あの子……」
「タバサ! シルフィード出してもらっていい!? あの子馬術下手だから飛竜ならまだ追いつけるかもしれない!」
すぐにシルフィードの背中に乗り、三人はモット伯の屋敷へとかっ飛んでいく。
既に何処までも突っ切ると腹を決めているキュルケや、唯燦が心配なだけのルイズと違って、タバサは最後の決断を下せない。
これがどれだけ危険な行為か、それを考えれば介入の深度には十二分な注意を払わなければならないのだ。



ルイズが期待するよりも燦の運動神経は優れていた模様。
入り口で槍を構える門番の前に馬を止めると、ひらりと飛び降りて門番を睨みつける。
「ここ、モットハク言う人の家か?」
年若い少女であり、身なりもそれなり、そして剣を背に差している事から、衛兵は邪険に扱うのをやめる事にした。
何よりその乗馬の鞍は上等な物で、何方かの遣いである可能性もあったからだ。
「そうだが、何か御用か?」
「そうか……」
鉄製の門扉は格子状になっており、中央に閂のような形で錠がかけられている。
通常はすぐ隣にある扉を使って入るのだろうが、燦はそれが様式美と信じている形を取る事にした。
門番が止める間も無く剣を抜き放ち、門扉の中央を切り裂く。
剣で鉄を切るなどという芸当など想定している方がおかしい。
何が起こったかもわからぬまま呆然としている門番を他所に、燦は扉を蹴り開く。
ずかずかと中庭へ入り込む燦。
その段になってようやく門番は硬直から解かれた。
「お、おい! お前何を……」
振り返った燦のデルフリンガーの峰による一撃で門番は昏倒する。
門を蹴飛ばした時に鳴った異常な音に、屋敷の中に居た人間が外を見やると、すぐに尋常ならざる事態が発生した事に気付いた。
屋敷の入り口近くに居た者が数人、燦の元へと駆け寄って行くが、燦は一顧だにせず次々デルフで殴り倒す。
そうして屋敷の入り口前まで辿り着くと、抜き身の剣を肩に担ぎながら声を大にして叫んだ。


「モットハク言うの今すぐ出て来んかい! 瀬戸燦がケンカしに来てやったでーーーーーー!!」


明らかに腕の立つ侵入者。
妙に可愛らしい容姿に惑わされるような事もなく、屋敷に居た人間達は燦を取り囲む。
すぐに襲いかからないのは、人数で威圧するといった意味もあるが、屋敷の主を待っているためだ。
もちろん威圧の方は効果が無く、泰然としたまま燦は主のお出ましを待つ。
「一体、何の騒ぎかなこれは」
そこまで行ってはむしろ品性が欠けてると疑われかねない程の豪奢な衣服に身を包んだ彼こそがモット伯爵である。
「私は瀬戸燦。シエスタちゃんを返してもらいに来たで」
燦の言葉に訝しげに首を傾げるモット伯。
すぐに隣に控えていた男が説明すると得心したように手を叩く。
「ああ、学園のメイドかね。彼女が何か? 君の主に粗相でもしたのかね?」
従者の暴走、燦の容姿身なりや腕っぷしからそう判断したモット伯はそんな言葉を口にしたが、当然燦とは話が合わない。
「アンタがシエスタちゃん手篭めにしようとさらって行ったんじゃろが! ぐだぐだ言うてんでとっとと返さんかい!」
燦の意図を把握したモット伯は、見ただけでわかるぐらい露骨に眉をひそめて見せる。
「主人の名を言え。その無礼、如何な貴族の従者であろうと捨て置けんぞ」
相手が平民であるのなら抜群の効果を発揮する彼の表情も、元々貴族という位にさして敬意を抱いていない燦には通用しなかった。
「主人なんておらん! 私は私の意思で来たんじゃ!」
相手は貴族、ならば無理を通せばルイズに迷惑がかかる。
520ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:57:09 ID:ujrqt6am
そう使用人に諭された為ルイズに置手紙を残してきたのだ。ここでその名前なぞ出すはずもない。
モット伯の眉間や口元に深い皺が刻まれる。
「……もう良い、不愉快だ。鬱憤はあのメイドめで晴らす故、このバカは今すぐ殺してしまえ」
主抜きで平民ごときが貴族に歯向かおうと言うのだ。
それも伯爵位を許されているモット伯に向かって。
これを許したらそれはもう貴族ではない。
周囲を取り囲んでいた者達の中で、特に荒事慣れしている者がずいっと包囲を狭めてくる。

モット伯の位置と、周囲を取り囲む者達の配置を横目に確認する。
一息に踏み込めるギリギリの距離だが、流石に側に並んでいるメイジと思われる者がそれを阻むだろう。
ならば……
「女一人にこの人数……こんの根性無しがーーーーーーー!!」
突如真後ろを振り返ってハウリングボイスを放つ。
放射状に伸び行く衝撃波は、燦の真後ろから機会を伺っていた男五人を一撃で吹き飛ばしてしまう。
吹き荒れる衝撃は男達のみならず、奥の花壇を巻き込み、更に奥の木々を切り裂く。
花壇の敷居に使われていたレンガは、一つ一つが地面からえぐり出されて宙を舞う。
そして音。少女の口から放たれたとは到底思えぬ音量に、聞く者全てが思わず耳を塞ぐ事で両手を封じてしまう。
ハウリングボイスは随分とこちらでは珍しい物らしい。
ならばそれで動揺を誘い陣形を乱す。

燦の思惑通り、完全にガタガタになった男達の眼前から燦の姿が消えてなくなる。
低い姿勢でモット伯へと一直線に駆け寄っていると気付いたのは、構えた剣を一突きするだけでモット伯を捉えられる程の距離まで燦が迫ってからであった。

ギィンッ!!

鈍い金属音と共に、突き出した燦の剣が弾かれる。
すぐ隣に居たメイジは立ち回りにも覚えがあるようで、抜いた剣を真横に払って燦の攻撃を防いだのだ。
驚いたのはモット伯だ。
この状況から、まさか眼前にまで剣を突き付けられるなど思いも寄らなかったのだから。
数歩後ずさると、どすんと尻餅をつく。
しかしそれでも問題は無い。
燦の剣を弾いた男がモット伯と燦の間に立ち、その周囲を今度こそ逃がさぬとばかりに男達が囲んでいたのだから。
魔法を使う間など与えぬとばかりに槍を突き込み、剣を振り下ろす男達。
燦はそれらを丁寧に捌きながら、一人一人確実に仕留めるやり方へとシフトした。
この状態になってしまっては最早他に取る手立てなど無いのだから。

モット伯の直衛についたメイジの男は、倒れるモット伯に手を貸して起こしながら次の指示を待っていた。
おそらく殺すなという令が下ろう。
逃亡を謀ったり、言う事をきかぬ者達をこらしめる為の部屋がこの屋敷には存在する。
これ程の侮辱を受けたのだ、久しぶりにその部屋を利用せんとするに違いない。
「……おのれ小娘……いいか決して殺すでないぞ! 生かしたまま捕えよ!」
時折、期待を上回るような反応をモット伯に期待してしまう自分が居る。
都度期待を裏切られるのだからそもそも考えなければ良いものを、幾つかの考えが、自分ならもっと良い判断が出来るのに、そんな様々な思考が巡り、そして結論が出る。
モット伯との身分の違い、それが絶対的で決定的で圧倒的な差だ。
いっそ伯の元を去りアルビオン戦役にでも参加するか、そこでなら実力さえあれば自身の力も認められる。
戦闘の最中であるというのにそんな事ばかり考える自分が滑稽で、つい顔に出てしまった。
伯が怪訝そうにこちらを見ている。
硬い表情に戻し戦場、そう呼ぶにはあまりに一方的ではあるが、に視線を戻す。
魔法を封じさえすれば、詠唱の時さえ奪ってしまえば、それで十全と思っていたのだが、この小娘とんでもない手練だ。
取り囲む部下達もそれを感じ取ったのか、一度仕切りなおしとばかりに距離を置く。
521ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:57:46 ID:ujrqt6am
もちろん魔法を使う気配があれば即座に斬り込める距離には居るが、それはこの上無い悪手だ。
「馬鹿共! 引くなっ!」
男の絶叫に被るように、小娘が動いた。
紫電一閃、間抜け共の目には一筋の輝きが流れたとしか映らなかっただろう。
剣を顔の横に引いた姿勢による一瞬の溜めから、美麗さに目を奪われるような剣技と体捌き。
四人がこの一瞬で倒された。離れた場所から見ていた男にすらその動き全てを見切る事は出来なかった。
男は確信する。
魔法抜きでこの小娘は倒せぬ。
例え人数が倍居ようとも、触れる事すら適わぬと。
今だ、今やらねばこのバケモノを仕留める機会は永劫に失われてしまう。
小娘は先の一閃で彼女の願う最良の位置取りを得た。
ならば次は……

小娘を支える大地が爆ぜる。

「はあああああああああっ!!」

気合の叫びと共に地を蹴り、部下達を次々斬り倒していく。
蹴り足の力が強すぎて、びっちり踏み固められているはずの大地が削り取られ、その欠片が振り上げた足に引かれて宙へと跳ね上がる。
それほどの踏み込み、その速度は既に人の域ではない。
ただの一人も逃れられない、取り囲んだ全ての部下達はこの連撃で完膚無きまでに斬り倒される。

だからここが伯の力を借りず小娘を倒す唯一のチャンス。

既に詠唱を終えていた術を放つと、十数本の氷の槍が小娘に殺到する。
部下達に注意が向けられている今ならば、これをかわす余地すらあるまい!



半分まで斬り倒した所で、燦はその気配に気付く。
体の中を通りすぎ、直接心の臓を撫でる冷たい掌の感触を覚え、周囲への警戒レベルを一つ上げる。
モットハクの側に居た男が、この位置取りならば味方に当たるからと魔法を警戒していなかった男が、なりふり構わず魔法を放ってきている。
コレが急所に当たればこの男達の命は無い。
迷う事無く剣の軌道を変え、氷の槍に向き直る。

いける。今の私なら、デルフと共にある私ならっ!


「上等じゃ! 纏めて叩き落としたるわーーーーー!!」


全ての槍の軌道を瞬時に見切り、剣を振る順、振り方、体裁きを見極め、そして斬りおとす以外避けようのない位置に自ら踏み込む。
ただの一本すら落とせぬ。どれを逃しても確実に誰かに当たる。
判断ではないのだろう。
人に優しく生きてきたこれまでの燦の人生が、唯そうあれと体に命じただけの事だ。

少女を除く、全ての時が止まった。
動きのせいで波打つように揺れていた薄茶色の髪が、穏やかに、優美に、背中に降りかかる。
たわみ、踊り回りながらも品の良さを保っていたスカートの裾は、ようやく従来の清楚さを取り戻す。
522ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:58:14 ID:ujrqt6am
本来は殺意に満ちていたはずの無数の氷片すら、少女を称えるかのごとく周囲を取り囲み、きらきらと陽光を照り返しながら大地へと降り注ぎ、その美を引き立てている。

すぐ側に居た男達も信じられぬ奇跡の技に、唯呆然と少女に見入るのみ。
モット伯も、その側で魔法を唱えた男すら、まるで至高の絵画に魅入られているかのごとく、触れるを許さぬ神域を目の当たりにしたかのように、身動きすら出来ず案山子のように立ち尽くす。

彼等の硬直を解いたのは、外部から聞こえてきた声であった。

『サン!』

少しキーの高い少女の声と艶のある大人びた少女の声が重なる。
男達を乱暴に突き飛ばしながら駆け寄る二人の少女。
背の小さいピンクの髪をした方の少女は、つかつかと女神に歩み寄り、

ばちーんと音高くその頬をひっぱ叩いた。



「る、るいずちゃ……」
目を見開く燦。
ルイズは目の端に涙すら浮かべながら燦を睨みつけている。
その手にはくしゃくしゃに握り締められた燦からルイズへと宛てられた手紙がある。
「こんな……こんな紙切れ一枚で何がどうなると思ったのよ!」
燦に紙切れを叩きつける。痛くは無かろうがそんなルイズの様に燦は大きく怯む。
「こんな紙切れ一枚で! 私が貴女を見捨てるとでも思ったの!? 馬鹿にしないでよ!」
激昂したまま燦の襟を掴むルイズ。
「情けないっ! 情けないわサン! ……貴女の主人はそんなに頼りない!? 貴女一人を危地に向かわせて黙っているような人間だとでも思っていたの!?」
燦は子犬のように縮こまって許しを請う。
「ご、ごめんなさい……わたし……これ以上るいずちゃんに迷惑かけられんて……それで……」
「貴女は私の何なの! 答えなさいサン!」
怒鳴りつけられる度にびくっと震える燦。
覚悟を決めての行動であったが、ルイズの言葉の正しさと、何より必死さに燦は折れた。
「わ、わたしは……るいずちゃんの……使い魔……です」
その言葉が聞きたかった、そう言い聞かせるようにルイズは漸く笑みを見せる。
ゆっくりと燦の頬に手を伸ばし、氷の破片が解け僅かに濡れている髪を愛おしげに指で梳く。
「そうよ。貴女は私の使い魔なの。ならわかるわよね、私は決して自分の使い魔を見捨てるような真似はしないわ」
燦は涙目になりながら何度も頷く。
「もうこんな真似しちゃダメよ」
「うん、ごべんなざい……もうわたしせんきに……」
涙声でそう謝る燦の頭を、ルイズはゆっくりと何度も撫でてやるのだった。



燦を叱るルイズの代わりに、モット伯とはキュルケが相対する。
「お初にお目にかかります。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと申します」
ここでトリステインではない国の貴族が出てくるのはモット伯にとっても意外であった。
「ツェルプストー? 確かゲルマニアの……」
豊満な胸を誇示するよう両腕を殊更に内へと寄せ、艶のある微笑を見せる。
「ご存知でしたとは、光栄ですわ」
その瞬間の男達の表情を、キュルケは抜け目無く観察していた。
モット伯、超好感触。シエスタを選んだ事といいこいつおそらくおっぱい魔人だ。
隣のメイジ、反応無し。趣味故か弁えている故かは不明。更なる調査を要する。
523ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:58:55 ID:ujrqt6am
取り囲んでいる男達、個人差はあれど概ね好感触。というか一人ぐらい弁えてる奴居なさい。仕事中でしょ貴方達。
ただそれだけで誤魔化せるはずもない。
「で、君達がどうやらこの小娘の主人らしいが、この始末どう着けてくれるのかね?」
ぐるっと見渡して周囲の状況を確認する。
どうやらハウリングボイスも使ってしまっているらしい。いよいよこれは逃げ道が無くなってきたようだ。
「そうですわね……当主自ら陳謝し、その上で損害を私達で持つ。そこまでは当然すべき事でしょう。後は……」
上目遣いでモット伯を見る。
「下手人の引渡しかしら?」
「そこまでが当然の条件だ。これだけの事をしでかしてくれたのだ、そんな程度で済ますつもりもないがな」
キュルケは笑う。ころころと愉快そうに。
「そうですか、それはそれは……ねえモット伯様、よろしければ細かい条件はもっと静かな、邪魔者も居ない場所でしません事?」
露骨に不愉快そうな顔をしたのは隣のメイジで、当のモット伯は目尻が垂れ下がり下卑た笑いを見せてくれている。
モット伯が何を言うより早くキュルケは隣のメイジに問う。
「ねえ、そこのメイジさんはどう思うかしら? みんなで話し合った方が良いと思う?」
見え見えすぎる意図を込めそんな言葉を紡ぐと、モット伯は面白いように引っかかる。
「コヤツはたかが護衛にすぎぬ! 判断は私が下す!」
そろそろ頃合。
キュルケは慇懃無礼に一礼をする。
「了解いたしました。では我等の責任者にその旨問うてみますわね」
ふいっと後ろを振り向く。
「ルイズ、穏便に済ませる最低限の条件の一つはサンの引渡しだそうよ」
ちょうどルイズと燦のやり取りが一段落ついたタイミング。
キュルケの役目は、単なる時間稼ぎであった。
「あ?」
何言っているんだこの馬鹿は。そんな顔でキュルケを睨むルイズ。
キュルケは両手を上げ、降参の意を示す。
「じゃあこの件の責任者である貴女に処理を任せるけど構わないかしら?」
「当たり前よ。サンは任せるわね」
ルイズとキュルケが位置を移動し、キュルケが燦の側に、ルイズがモット伯と相対する形になる。
すれ違いざま、キュルケがルイズをからかう。
「負けたら指差して笑うわよ」
「ふん、その指咥えて見てなさい」
まだ少しぐずっている燦を宥めるキュルケを他所に、ルイズは燦から受け取ったデルフリンガーを肩に乗せモット伯を睨む。
「勘違いがあるようだから言っといてあげる」
ふてぶてしい態度には、キュルケとの交渉で機嫌を取り戻しかけていたモット伯を、再度不機嫌時空に巻き込むだけのパワーがあった。
「まだ動ける連中も残らず張り倒されたくなければ、今すぐ、シエスタを返しなさい」
「何を小娘が……」
怒りに任せて怒鳴りつけようとするモット伯より先に、ルイズの怒声が響いた。
「ぐだぐだ言ってないでとっとと寄越しなさい! それが嫌ならどいつもこいつも叩っ斬るまでよ!」

モット伯の怒りが有頂天に達する。
トライアングルメイジである彼を怒らせる事がどれ程恐ろしい事か。
その気配を感じ取った部下達は、我先にと避難する。
残っているのは、モット伯のすぐ隣で彼を守るようにルイズ達に視線を飛ばしている男ぐらいだ。
モット伯の詠唱が始るなり、キュルケとルイズが動いた。
キュルケはレビテーションにて燦を抱えて宙を舞う。
ルイズは一直線にモット伯へと駆け寄っていく。
「愚か者が!」
ルイズの踏み込みよりも、当然モット伯の魔法の方が早い。
庭園にあった噴水の水が全て巻き上げられたかと思うと、小さく凝縮され、モット伯の眼前に集まる。
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 19:59:24 ID:3meI6DU/
支援
525ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 19:59:24 ID:ujrqt6am
そしてモット伯がそうあれと念じると、眼前に浮いた水の塊から津波と呼んでも差し支え無い程の濁流が噴出してくる。
明らかに元の水量よりも多い。その比率の大きさが、モット伯のメイジとしての技量なのであろう。
かわす所ではない。幅六メイル、高さ三メイトルを越す大津波がルイズに襲い掛かったのだ。
これ程の水量を一詠唱で捻り出すモット伯の力量は確かな物であった。
キュルケはレビテーションが間に合い、辛うじて空高くへと退避する。
「サン、こいつはね。貴女とはちょっとだけ相性悪いのよ」
燦は水を被ると人魚へと戻ってしまうのだ。
「ひやぁ、あっぶなかったでー」
戦闘中に下半身が魚になんぞなった日には、それこそまな板の上の鯉となろう。
眼下には信じられぬ光景が広がる。
モット伯により放たれた水流は、正門へと続く小道、そしてその周囲の木々や草花を薙ぎ倒し、家を取り囲む壁へと辿り着く。
ただ流れているのではない。
濁流となり壁に叩きつけられる勢いで水はうねり、壁を跳ねた水は逃げ場を求めて上へと舞い上がる。
空高く飛んだ水飛沫は6メイルの高さにも達しているだろう。
それでも逃げ切れぬ水達は、左右へと逃れ屋敷の庭全体へと広がっていく。
もう一つの逃げ場、正門はヒドイ有様だ。
鉄製と思われる門扉は根元から剥ぎ取られ、とうに姿が見えなくなっている。
外へと至る唯一の出口に水達は殺到し、そこで圧縮された水達は更なる勢いを込めて外へと吹き出す。
水流に巻き込まれ、根元からへし折られた芯のか細い樹木は、右に左にと水の中を彷徨い、その圧力に抗しかねて一片数サントの木片と化す。
「さあて、お手並み拝見」
学園では見られぬ水魔法の極致を目の当たりにし驚愕に目を見開く燦を抱えたまま、キュルケはそう言って愉快そうに口の端を上げた。



モット伯の放った水魔法で、水圧が最も高い場所は何処であろうか。
一箇所は間違いなく正門周辺であろう。
そしてそれ以上の水圧を誇る場所が、モット伯の眼前、水球から水が生まれ出ずる場所である。
そこから三メイル程下がった所で、ルイズは地面に剣を突き刺し、この激流に逆らっていた。
『きょ、強烈ねコレ!』
両手でがっちりとデルフリンガーを掴むが、何せ頭の上まで周囲全部水である。
それもルイズを根こそぎ跳ね飛ばさんとする暴力に満ちた水だ。
一瞬でも気を抜けば手が滑って流される事は必定であろう。
それでも、無限に魔法を放つ事は出来ない。
位置的にも、モット伯からはルイズがこの場で堪えている事実は見えていまい。
ならば水が途切れた瞬間踏み込めば、次の魔法より先に斬りかかれる。
透明な水ではなく、水飛沫舞い、うねり狂う水流である為、ルイズからもその先の様子は見えていなかった。
故に見誤る。
水流が途切れた瞬間、勢い込んで踏み込もうとするルイズに向かい、モット伯ではない隣のメイジから氷の矢が放たれた事を。
ルイズも動き出していた為、何とかこれをかわす事も出来るだろう。
だがそれではダメなのだ。それだけでは、勝利を手にする事は出来ない。
「ああああああっ!!」
一瞬で腹を決めたルイズは雄叫びを上げながら、モット伯ではなく隣のメイジ目掛けてまっすぐに走り出す。
剣を持ったまま両腕を顔の前で交差し、急所への一撃を少しでも減らす。
矢が突き刺さる度前進の勢いが失われるが、両足に込めた力で再び加速を開始する。
体中の筋肉を硬化させ、何があろうと前に進む体勢が崩れぬよう固定する。
つまり、ルイズは数多放たれた氷の矢に向かって、そのど真ん中を突っ切って行ったのだ。
氷の弾幕を抜けると、最早遮る物もない。
大口を開けて間抜け面を晒すメイジの男は、それでもこの剣を受け止めようと杖を構える。
左下から振り上げ、脇の下を狙う剣の一撃に対する為杖を下に降ろした瞬間、ルイズの剣が加速し、今度は右上へと跳ね上がる。
その神速と手練の妙は、目の前でそれをされたメイジの男をして、剣が消えたと思わせる程であった。
526ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 20:01:00 ID:ujrqt6am
男の左肩口にデルフリンガーの峰が全力で叩きつけられる。
「馬鹿……な、下から振り上がった剣が……何故上から……」
骨が砕ける嫌な音と共に、男は昏倒した。

すぐ隣に居たモット伯は小さく悲鳴を上げながら魔法を唱える。
幸い、目標はモット伯ではなく部下のメイジに行ったようだが、とても安心など出来ない。
詠唱の時間がもどかしく、そうこうしている間に部下のメイジが剣の一撃で倒されてしまった。
間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え……
それだけを心で繰り返しながら、恐怖に歪んだ顔で女に向かって手を突き出す。
メイジを斬り倒した女が、じろっとこちらを睨んだ。
『ひいいいいいっ!?』
今にも泣き叫んでこの場から逃げ出したかった。
濁流の魔法を堪え、氷の矢を全身に浴びて尚突き進むこんなバケモノの相手などしたくはない。
しかし、必死になって恐怖を堪えた甲斐があった。
ギリギリ詠唱が間に合い、こちらに飛び込んで来ようとする女に向かって、自らが最強と自負する濁流を放つ魔法を叩き込んでやれたのだから。
ほぼ距離は無し、この間合いならば最強の圧力で押し飛ばす事が出来よう。
勝利を確信した安堵で腰が抜けそうになるが、ぐっと堪えて水流を放ち続ける。
自身が放ち続けられる最長時間水流を放ち、確実に女を倒しきる。
そんな思考が、そも女への恐怖から生まれているとモット伯は気付いていなかった。
突き出した手の先からは、誰に見せても賞賛と羨望の眼差しで迎えられる水の嵐が吹き荒れている。
これを見ていると、恐怖に歪んだ自信が戻ってくる。
見よ、この圧倒的なまでの力を。
火の魔法など一瞬で消し去ってくれる、土の魔法など土砂と共に押し流してくれる、風の魔法などこの水の壁で跳ね返してくれるわ。
我が水の魔法こそが最強ぞ。
伸ばした右腕の先、そこから続く水の奔流はいつだってモット伯に絶対の貴族たる自らを思い出させてくれるのだ。

だから、手の先から放たれた水流を突き破って女の手が伸びてきたその光景を、モット伯は即座に信じる事が出来なかった。

手首がへし折れるのではないかと思える程強い力で握られた右腕。
その痛みに魔法の集中が途切れた瞬間、女の全身が水飛沫の壁から姿を現す。
腕は掴んだまま、逆の腕で握り締めた拳を振り下ろす。
一撃目で逆らう気力が根こそぎ奪い取られる。
二撃目で視界が真っ白に変わった。
三撃目で何も感じなくなった。

後はわからない。



顔が変形する程何度も殴りつけたルイズは、モット伯がその場に崩れ落ちるとようやく返り血に塗れた拳を引いた。
濡れそぼった衣服からは、じわりと血が滲んでくる。
そんな自身にさして興味がないのか、つまらなそうに周囲を見渡す。
ルイズの視線を受けた屋敷の者達は、自らの主人が倒れた事を理解すると、我先にと逃げ出した。
これだけの戦闘だ、見逃していた人間は一人とて居ないであろう。
しかしその中にシエスタの姿は見られない。
すぐにキュルケが燦を抱えたまま降りてきた。
「派手にやられたわねえ」
「うっさい。シエスタ探しに行くわよ」
二度目の水流を堪える為、大地へと突き刺してあったデルフリンガーを抜き取る。
「しっかし、娘っ子も強くなったなあ」500
「娘っ子?」
戦闘直後で気が立っているルイズにぎろっと睨みつけられると、デルフリンガーは即座に降伏を申し出た。
「ルイズ! ルイズな!」
ふんと鼻を鳴らして屋敷の中へと向かおうとするルイズは、屋敷の入り口にシエスタの姿を見つけた。
シエスタは口元に手を当てて仰け反り、全身で信じられぬといった想いを表現していた。
「みなさん……どうしてここに……」
その姿を見た燦が大喜びで駆け寄り、シエスタに抱きつく。
しかし、事情を説明してくれた燦の言葉を聞いても、とてもではないがシエスタには信じられない。
貴族がこんな大騒ぎを起こしてまで平民を助けるなど、聞いた事もない。
527ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 20:01:33 ID:ujrqt6am
ルイズはシエスタの様子に苦笑しながら、その頭をぽんと叩く。
「サンに感謝しなさいよ。この子が動かなきゃ私は指一本動かすつもり無かったんだから」
いまだ濡れそぼったままのルイズ、氷の矢を体に突き刺したまま平然と笑っている姿も、シエスタには信じられなかった。
余りの畏れ多さに絶望すら感じてしまう。
「ああ……ああっ! ミス・ヴァリエール! このようなお姿になってしまって……わた、私の為に……」
これは放っておいたらいつまでもこの調子であろう。それを面倒と感じたルイズは気楽な口調で語る。
「流石に少し寒いわ。帰ったらとっておきの紅茶をちょうだい。ミルクたっぷりで」
燦、ルイズ、キュルケと順にその顔を見渡した後、シエスタは腰を直角に曲げる程大きく頭を下げた。
「あ、ああ、ありがとうございます! この御恩は一生忘れません!」



燦とシエスタは馬で先に学園へと戻らせた。
残ったルイズとキュルケは並んで歩きながら、タバサがシルフィードと共に待機している場所へと向かう。
気を失っているモット伯の襟首を掴んでずるずる引きずりながら、キュルケは空を見上げる。
「ねえ、シエスタってあの状況だとどっかに閉じ込められてたんじゃないかしら?」
傷口がじくじくと痛み出しているが、キュルケにそれと悟られるのが嫌で平気な顔をしているルイズ。
「そうね。人質とかに取られてたらちょっと面倒だったかも」
キュルケはルイズと顔を合わせない。
「……いつもこういう尻拭いばかりさせてる気がするわ」
ルイズも又、前を向いたまま。
「今度何かしてあげないとね」
そこでお互い顔を見合わせる。ルイズもキュルケも超が付く真顔だ。
「でも、食事奢るだけは無しよ」
「ええもうそれだけは絶対嫌。二度と御免よあんなの」
恐らくルイズ達が屋敷の前で大騒ぎしている間に、屋敷に忍び込んでシエスタの安全を確保していたのだろう、この場に居ないもう一人の友人の、食堂での勇姿を思い出してぞっとする。
そして二人は笑いあう。
どちらもこんな日が来るなんて思ってもみなかった事であった。

二人がタバサの元に辿り着くと、タバサはシルフィードに寄りかかって座り、本を読んでいた。
何も無かった、そう言葉にせず主張しているタバサが可愛らしくて、ルイズとキュルケは二人がかりで嫌がるタバサにスキンシップを強要したりする。
そんな年頃の女の子らしい騒ぎも一段落すると、タバサはルイズに簡単な治療を施し、そして全てが終わった後で問うた。
「……それ、どうするつもり?」
まだのびたままのモット伯を指差して言うタバサに、ルイズとキュルケの二人は口角を極限にまで引き上げた意地の悪そうな笑みを見せた。



学園に戻るなりルイズはまたも医務室送りとなった。
既に水の秘薬をどうこうする持ち合わせなど無くなっているルイズに代わり、コルベールがその代金を立て替える。
となれば当然事情の説明も必要になってくる。
タバサはこの件に関わっていない事になっているので、キュルケが、やせ我慢がたたってぶっ倒れたルイズに代わって説明する。550
話を聞くにつれ、頭皮まで青ざめていくコルベール。
正式な手続きに基づいて譲渡されたメイドを取り戻す為、伯爵家の屋敷に乗り込んで、伯爵含む家人を叩きのめして来た。などと聞いて正気で居られるはずもない。
当のキュルケは悪びれた様子も無く、コルベールはコルベールで怒りを通り越して眩暈すら覚えている。
キュルケは、相変わらず危機感の無い調子で最後に報告する。

「……で、こらしめる意味も含めまして、モット伯をパンツ一枚にひん剥いて、トリスタニア中央にある教会の尖塔にロープで吊るしてやりましたわ。おほほほほほっ」

からからと笑うキュルケを他所に、コルベールは絶望の余り卒倒してしまうのであった。
528ゼロの花嫁:2009/01/15(木) 20:03:34 ID:ujrqt6am
以上です。次も何とか一週間以内で仕上げようと思いますので、その時はまたよろしくお願いします
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 20:11:01 ID:fioRt4el
サンちゃんってこんな喋り方なの?
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 20:48:55 ID:fioRt4el
誰もいないようなので、20時50分よりタミフル飲みながら書いた
読み切りを投下してよろしいですかね。

作品名:サクラ大戦
主人公:大神さん
ストーリーは、サクラ大戦でありがちなパターン
531檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 20:52:02 ID:fioRt4el
   プロローグ

 六度失敗した彼女の召喚魔法は、ついに七度目には爆発すら起こさなくなっていた。
 貴族の子弟を教育するトリステイン魔法学院での恒例となっている二年生の使い魔召
喚の儀式。魔法学院の中庭で生徒たちは、一生の相棒となる使い魔を召喚する。周りの
生徒たちが火蜥蜴や梟、中には大型のドラゴンなど次々に召喚している中で、桃色の髪
をした小柄な少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールは詠唱の度に
爆発を起こし、ついにただ一人召喚魔法を達成できていない生徒となってしまったのであ
る。
「ミス・ヴァリエール。日を改めましょうか」立会いの教師の一人がそう言って少女に声をか
ける。
「いえ、もう一度やらせてください」しかし彼女頑なにやめることを拒否した。
 そして最後のチャンスとばかりに杖を振り上げるルイズ。
 周囲の召喚を終えた生徒たちは、また爆発がくると思い身構えている。
 しかし、七度目の召喚において、ついに爆発すら起こらなくなった。
「どうして…」涙目でつぶやくルイズ。
 と、その瞬間、学院の敷地外で大きな爆発音が響くと同時に地面が大きく揺れる。
「え…?」
 状況がよく理解できていないルイズは、急な揺れに尻餅をついてしまった。
「何が起こった!」
「外です、外で爆発が起こりました」
 塀の向こうから黒煙が立ち上っているのが見える。かなり大きな爆発音だったらしく、教師
陣も他の生徒たちも混乱している。
「山賊か?異民族の攻撃か」
「わかりません!今様子を見に行っているところです」
 学院の敷地外の爆発が、自分の仕業だとはルイズは思わなかった。目の前ならともかく、
わざわざ離れた所を爆発させるような器用な真似などできるはずもない。もしそんなことが
できるのならば、とっくに使い魔も召喚しているはずだ。
「馬車だ!馬車が壊れていました」儀式の立会をしていた教師陣に対してそんな報告がなさ
れた。
「馬車ですって?それはどういうことなの。説明してちょうだい!!」
「あの馬車には、今日学院に来るはずだった新しい教師が乗っていたはずなのですが…」
 教師の一人の顔がみるみると青ざめている。
「本日の使い魔召喚の儀式は中止と致します。指示があるまで各自は自分の部屋に戻って
ください!!」
 そんな声が中庭に響き渡った。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 20:54:04 ID:3meI6DU/
支援
533檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 20:54:24 ID:fioRt4el

   檄・トリステイン華劇団!!

 一体何が起こったのか。
 気がつくと目の前に大きな石の壁が見えた。そして周りを見回してみると、バラバラに
なった馬車、らしき残骸。そして尻を火傷した馬。
 状況が全く飲み込めないまま彼はその場にへたり込んでいた。
「大丈夫ですか!?」
 不意に誰かの声がきこえる。
 振り返ると、数人のこげ茶色のローブを着た人が数人がこちらに駆け寄ってくるのが分
かった。
 彼はゆっくりと立ち上がり、服の泥を払い落す。
「大丈夫ですか先生!」
 先生?
 一瞬彼らの言葉の意味が理解できなかった。
「あの…」
「はい?」
「ここはどこですか」
 彼のその質問に、駆け寄ってきた人たちは顔を見合わせた。

   *

 重厚な本棚や作りのしっかりした窓。それに大きな机。それだけでこの部屋が偉い人の
ものだということがわかる。
「イチロー・オオガミ?」
「はい」
 白髭の老人はそう言って彼の表情をじっと見つめる。
「状況を整理しよう。本日、当学院には首都トリスタニアから新しい講師を迎える予定であった。
しかし、講師が乗っていた馬車は学院に来る直前に爆発。そして爆発の後には講師ではなく、
キミ、オオガミ君がいたということかね」
「そう…、なんでしょうか。自分にはよく状況が理解できないのですが」
 彼、大神一郎は仙台から上野に向かう列車に揺られているはずだった。客車でついウトウト
していると、いつの間にか目の前には馬車か何かの残骸が転がっており、客車の中とは全く
違う環境にいたのである。
「学院長、よろしいですか」
「ん?なんだねコルベール君」
 大神の横に立っていたコルベールと呼ばれた男性、頭が見事に禿げあがり、かつメガネを
かけているその人は白髭の学院長から許可を得て喋り始める。
「ミスタ・オオガミが突然現れた件なのですが、本日行っていた使い魔召喚の儀式が原因では
ないかと思われます」
「ふむ、しかし、彼が現れた時には召喚の儀式は概ね終わっていたのだろう?」
「はい、そうなんですが、一人まだ残っておりまして」
「ヴァリエール家の三女かね」
「はい。実は、彼女の召喚魔法が何かしら影響したのではないかと私は考えるのです」
「しかしミス・ヴァリエールの魔法は未だかつて成功したことがない、と聞いておるのだが」
「確かにそうですが、彼女の魔力に関しては底知れぬものがあります。本人はまだ気が付いて
いないようですが、その魔力の強大さゆえに上手く制御できていない。それが彼女の魔法が成
功しない最大の原因だと考えております。
 ですから、今回の召喚の儀式でも彼女はことごとく失敗しました。そして最大の失敗が、トリス
タニアからおいで下さった教師の乗った馬車の破壊。そしてミスタ・オオガミの召喚です」
「なんと、では彼がここの現れたのはミス・ヴァリエールの召喚魔法のせいだと」
「断定はできませんが、その可能性は高いと思います」
「しかし、では教師はどこへ行ったのか」
「はあ。ミスタ・オオガミの話を聞く限り、彼はどうもこの世界、少なくともハルケギニアに住んで
いる人ではないと思えるのです」
「なに?」
「例えば、蒸気機関などというものが実用化された、という話を我々は聞きません」
「ふむ、蒸気機関?」学院長が白髭をさすりながら尋ねる。
「あの、蒸気機関とは蒸気の力で物を動かすものです」と大神が答えた。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 20:57:52 ID:3v0s5u3Q
コッパゲなら蒸気機関余裕だよな支援
535檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 20:59:46 ID:fioRt4el
「蒸気の力とな?」学院長は、今度は大神の方を正面に見据えて聞いてくる。
「お湯を沸かすと湯気が出てくるじゃないですか。その力を、物を動かす、例えば車を動
かしたり工場で糸を作ったりするのに利用するのです」
「聞いたことがない。それは魔法なのかな」
「魔法…?魔法ではありませんよ」
「学院長、ミスタ・オオガミの住む世界では魔法というものはあまり一般的ではないようです。
ですよね」そう言ってコルベールは大神の方を見る。
「は、はあ。しかし…」
「じゃがコルベールくん。彼からは魔力のようなものを感じるぞ。一般の平民がこのような
魔力を帯びているとは考えづらいのだが」
「この力ですか。自分たちはこの力を『霊力』と呼んでいます。この世界で言うところの魔力
に近いでしょうか。でもこの世界で言う魔法ほど頻繁に使われるものではありません」
「ふむ、なかなか興味深いの。しかし今日は時間がない。コルベールくん」
「はい」
「彼には職員用の宿舎で休んでもらおう。行方不明になられた教師の探索も含めて、今後
色々と検討せねばならんからの」
「はい、わかりました」
「あ、そうだコルベールくん」
「はい、なんでしょう学院長」
「とりあえず彼を首都から来た教師ということにしてみようじゃないか」
「はい?」
「え……」
 大神とコルベールは同時に驚き顔を見合わせた。
「どういうことですか」戸惑う大神に対しコルベールは学院長に詰め寄る。
「ふむ。教師、それも首都トリスタニアのアカデミーから派遣されてきた者が行方不明になった
とあっては大変じゃ。ゆえに、しばらくの間オオガミくんにはその教師の代わりになってもらおう」
「隠すんですか?」
「ば、バカ者。人聞きの悪いことを。異世界から来た者を学院に置いておく、などと言うわけには
いかんじゃろうが」
「いや、しかし……」それ以上言葉が出ないコルベール。
「そ、そうですよ。自分は海軍の士官学校を出ただけで特別に教えられるようなことは……」大神
はそう言ってみたが白髭は澄ました顔のままであった。
「まあ気にする事もない。あくまで表向きじゃから。その間に何とか調べるよ」
 そういうと白髭の学院長はかっかと笑った。
「それであの、行方不明になった先生のことは……・」大神が恐る恐る口を開いてみた。
「まあ、なんとかなるじゃろう。それよりキミは自分の心配をしたまえ」そう言って老人は、白髭
を手でいじり、窓から外を見た。
 一刻も早く帝都に帰り、家で休みたいと思っていた大神にとって、長い長い帰りの旅路が今、
はじまったばかりである。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:00:06 ID:qS7Htt5v
支援
537檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:02:03 ID:fioRt4el
   *

 案内された職員用の宿舎は多少埃っぽかったものの、寝泊まりするには申し分のない広さ
だ。しかし、ここには照明用の電気がなく、夜の明かりは月明かりとランプが頼り、という心許
無い。
「それにしてもコルベールさん。見ず知らずの僕にここまでしていただいて申し訳ない」部屋を
案内してくれたコルベールに対して素直に礼を言う大神。
「いえ、あなたをこの世界に呼んだのは我々にも少なからず責任があるのです。どうぞお気に
なさらずに」
「はあ、そう言われましても」
「ところで、オオガミさん」
「はい」
「先ほどの蒸気機関の話を、もう少し詳しく聞かせていただけないでしょうか」
「はあ。僕も技術者ではないのであまり詳しくは知らないのですが、僕がここに来る直前まで
蒸気機関車というものに乗っていました」
「ほお、蒸気機関車ですか」
「簡単に言えば、蒸気の力で動く馬車ですね」
「でも、その馬車よりも早い」
「馬よりも早いのですか」
「そうですね」
「じゃあ、竜はどうですか」
「それはわからない」
「グリフォンは」
「申し訳ない。そういう生き物は、僕らのいる世界にはいないもので」
「なるほど。ドラゴンやグリフォンの代わりに、蒸気で動く幻獣を扱っているわけか」
 コルベールは何かブツブツと言っている。
「いや、幻獣というわけでは……」
「ところでオオガミさん。話は変わるのですが」
「はい」
「あなたの世界では、その蒸気というもので動くゴーレムはいますか?」
「ゴーレム?」
「いや、その。大きな人形とでもいいましょうか。魔法で動く物なのですが…」
「光武のことかな…」
「え、コウブ?」
「ああいや、霊子甲冑のことをそう呼んでいるのですが」
「レイシカッチュウとは何ですか」
「蒸気と霊力、あなた方で言うところの魔法ですか、その力を併用して動く兵器です」
「兵器…、武器なのですか」
 一瞬コルベールの顔が曇る。
「はあ」
「いや、失礼。変なことをお聞きしまして」
「いえ、自分の方こそあまりお役に立てるようなことが教えられなくて」
「いいえ、とても勉強になりました。あの、そろそろ私は」
「はい。どうもありがとうございます」
「ごゆっくり」
「はい」
 コルベールが部屋を出て行くと、急に静かになったような気がする。
 それと同時に緊張の糸が途切れたのか、急に力が抜けベッドの上にへたり込んでしまった。
 やはりここは日本ではないのか。
538檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:05:26 ID:fioRt4el
 日本どころか、地球であるかどうかも怪しい。薄暗い部屋の中に差しこむ月明かりは、
ロウソクの火よりも強いかもしれない。そう思い外を見ると、二つの月が浮かんでいた。
 急に不安になる心。ここでは一人なのだ。
彼は今まで何度も死の危険を乗り越えてきた。それをしてこれたのは、信頼できる仲間
がいたからこそである。部下のいない隊長がこれほどまでに無力でみじめなものだとは
思わなかった。
「さくらくん、元気にしているかな…」
 沈みかける心。しかし大神はそれを振り払うかのように頭を強く横に振った。
「いかんいかん。こんなところで弱気になっていたら、それこそ帝劇や巴里の隊員たちに
笑われてしまう」
 彼は自分に言い聞かせるように呟くと、ほおを強く叩いた。

   *

 翌日、コルベールに案内されて職員用の食堂で朝食を済ませる大神。他の教職員たち
からは奇妙な格好をした大神は変な動物を見るような目で見られていた。ちなみにこのとき
大神が着ていた服は帝國華劇団のモギリ服である。
 さっさと朝食を終えた彼は途方にくれていた。
 これからどうすればいいのか。
「あ、オオガミさん。ちょうど良かった」
 ふと、この学院で数少ない顔見知りであるコルベールが声をかけてきた。
「どうしましたコルベールさん」
「いや実は、ちょっと人を探しているのですが」
「人?」
「ミス・ヴァリエールのことなんです」
「ミス、ヴァリエールですか」
 そういえば、昨日の学院長室での会話でもそんな名前が出てきたな。
「はい。ちょうど今朝から姿が見えなくてですね」
「え? もしかして脱走……」
「まさか。それはないと思うのですが」
「ですよね」
「ただ、彼女は今年の二年生の中で唯一使い魔召喚ができていませんでしたから、そのショック
があったのかもしれません」
「はあ」
「桃色の長い髪をした、小柄な少女がいたら、おそらくそれがミス・ヴァリエールです」
「そうですか」
「オオガミさんも見かけたら、私に教えてください」
「あ、はい。わかりました」
 学院は高い塀に囲まれていて、正規の出入り口以外では簡単に出入りできそうにない。という
ことは、やはりこの学院内にいるということだろう。それにしてもこの広い敷地で、見つけることなど
できるのだろうか。
 いた……。
 コルベールの言う事をそのまま理解するならばおそらく、いや間違いなく彼女だ。
 中庭の芝の上に一人座りこむ少女。黒いマントはこの学校の制服なのだろう。桃色の長い
ブロンド髪はかろやかに波打っている。
「や、やあ」
 いったいこの世界の住人、それも女性にどう声をかけていいのか大神にはわからなかったけれ
ども、帝都、そして巴里においてあらゆる国籍、あらゆる性格、あらゆる外見の女性とフラグを立て
てきた彼にとってはピンク色の髪でしかも魔法使い、などという特徴は障害のうちには入らない
(ただし、年上は除く)。
「……だれ」鋭い目つきで威嚇するようにこちらを見る少女。
 しかし大神には、その鋭さが逆に弱さを覆い隠そうと必死になっているようにも思えた。
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:05:49 ID:Z4CO6QX1
大神さん、軍人が民間人にホイホイ霊力だの光武だのペラペラ喋るな支援w
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:06:21 ID:qS7Htt5v
支援
541檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:07:39 ID:fioRt4el
「僕は大神一郎。え、ええと……、首都から派遣されてきた教師だよ」
 大神はとりあえず学園長に言われた通りのウソをついてみた。すぐバレるウソなのだが。
「そう……。って、ちょっと待って」
「ん?」
「もしかして昨日の爆発に巻き込まれたっていうのは、あなた」
「あ、ああ。そうだね」
「身体は、大丈夫なの」
「ん?おかげさまで」
「……悪かったわね」
「いや、別に何ともないから」
「そう……。私はこれで退学になるみたいだから、それで許して」
「え? 退学って、学校をやめるってことかい」
「そうよ」
「そりゃどうして」
「どうしてって。二年生で使い魔を召喚できなかったのは私だけなの。使い魔はメイジにとって
重要ものよ。それの召喚ができなかったってことは、メイジとしても貴族としても失格
ってことよ」
 大神にはわからない言葉も色々と出ているのだが、話の腰を折らないためそのまま聞き
流すことにした。
「し、失格だなんて」
「そうなのよ。ねえ、私、他の生徒からなんて呼ばれているか知ってる?」
「ん?」
「“ゼロのルイズ”って呼ばれてるの」
「それはまた……」
「成功率ゼロ、才能がゼロだからゼロのルイズ。ぴったりでしょう」
 自嘲気味に笑う少女。
 そんな横顔を見て大神は何か言わずにはいられなかった。
「そんなことないよ」
「へ?」
「昨日コルベールさんも言ってたよ。ミス・ヴァリエールは凄い力を秘めているって」
「そんなお世辞、聞きたくもないわよ。っていうかあなた、なぜ私の名前を…?」
「いや、間違えたのかな。ミス・ヴァリエールっていうのは」
「間違いじゃないわ。私の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール」
「へ、へえ……」
「ルイズでいいわよ」
「ああ、わかったよ」
「あなたの名前……」
「ん?」
「もう一度教えて」
「え、ああ。大神一郎だ」
「イチロー・オオガミ。随分シンプルな名前なのね。どこの出身?」
「あ、いや」
「そういえば首都から来たとか言ってたわよね」
どうやら勝手に納得してくれたらしい。
「ねえ」
「なんだい」
「オオガミって言いにくいからイチローでいい?」
「ああ、構わないよ」
「それじゃイチロー先生。短い間だったけど、会えて嬉しかったわ。それじゃ」
「あの、どこに」
「心配しないで。コルベール先生の所に行くの。ちゃんと正式な手続きを経て学院を辞めるわ。抜け
出すような真似はしないから」
「そうか……、って、それは」
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:07:48 ID:3meI6DU/
支援
543檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:10:23 ID:fioRt4el
 昼食時。
 相変わらず奇異な目で見られる中、大神とコルベールは昼食を食べていた。
「いや、オオガミさんのおかげでミス・ヴァリエールがすぐに見つかって良かったですよ」
「いえ、俺は何もしていませんよ」
「なあに、慣れない環境でただでさえ疲れるのに、このような用を頼んでしまい申し訳あり
ませんでした」
「いえ、そんなことはありません。ところでコルベールさん」
「なんでしょう」
「ルイズは…、いやミス・ヴァリエールは本当に退学してしまうのでしょうか」
「う……」コルベールはパンを持ったまま固まってしまった。
「なんでも、使い魔召喚の儀式に唯一成功しなかったとか」
「ミス・ヴァリエールは、実技こそ得意ではありませんが、学科でも熱心ですし、私どもとし
てはしっかり卒業して欲しいとは思うのですが」
「そうなんですか?」
「ただ、彼女の家のほうが問題がありまして」
「家」
「あまり他人の、それも貴族の家の問題にとやかく言うつもりはありませんが、ラ・ヴァリ
エール家は、彼女に、ルイズに魔法使い(メイジ)ではなくお嫁に行って欲しいと考えている
ようなのです」
「はあ…、でしたら別に学校を卒業してからでも」
「ええ、そうなんですが、前にも言いましたようにミス・ヴァリエールは魔法の実技で一度も
成功したことがありません。ゆえに、彼女の家としてはこのまま勉強を続けさせるよりも、
いっそ退学させて嫁に行かせた方が良いと考えているようなんです」
「そんな。ルイズの気持ちはどうなんですか」
「先ほど、私の所に来た彼女は、このまま学院を辞めてもいいと言っておりました」
 不意に思い出す寂しげな横顔。
 それでいいのか。そんなことで本当にいいのか。大神は手にもっていたフォークを強く握りしめる。

   *

 翌日、学院内の中庭にはルイズと大神の二人がいた。
「一体どういうこと?」まったく解せないという顔で大神を見るルイズ。
「いや、学院長に頼んでキミの指導をさせてくれるようにしたんだ」
「指導って、私はもうやめるのよ。今さらそんなこと……」
「キミには能力があるんだ。それを上手く活かしきれなかったのは学院のカリキュラムに何か
問題があったのかもしれない。僕もキミみたいに上手く能力を使えない子を何人か知っている
から、そういう経験を生かしてやってみようかと思うんだ」
「そんなこと言われても」
「一度でもいいから成功したいと思わないかい?」
「え?」
「キミは凄い力の持主なんだ。その可能性を潰すのは惜しい」
「そんなの、嘘よ」
「まあ無理にとは言わないけどね。もし成功すれば、学院の皆もあっと驚くんじゃないかな」
「学院の皆……」そう言うとルイズは黙り込んだ。
「どうだい」
「べ、別にいいわよ。勘違いしないでよね。あなたを信用しているってわけじゃないの。ただ、これ
から学院を出るまで少し時間があるから、その間だけならあなたに付き合ってあげてもいいのよ」
「そうか、よかった」
 大神が笑いかけると、なぜかルイズは赤面していた。
「どうしたんだいルイズくん」
「な、なんでもありません」
 こうして、大神によるルイズの指導がはじまったわけである。ただ、士官学校を卒業した後はすぐ
に帝国華劇団に入った大神にとっては、教えられることは限られていた。それでも彼は、できるだけ
のことはしようと決意したのである。
 それは、これまでの部下たちとルイズの姿を重ねたからかもしれない。大神は困っている女性を
放っておくことなどできない。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:12:11 ID:DVUcrW8h
隊長、ルイズはくん付けか、支援
545檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:13:51 ID:fioRt4el
「こうして、草をむしって」
 大神は、中庭の芝生をすこしつまみ、両手の上に置いた。そしてそこに自身の霊力を流し
込む。
 すると、掌の草は静かに、それでいて素早く燃え上がる。
「すごい」
「いやいや、こんなもの普通だよ」
「私、こんなのもできないのよ。笑っちゃうでしょう」
「そんなことないって。やってごらん」
「う……」
 大神に言われるがまま、両手の上に草を乗せるルイズ。
「本当にいいの?」そう言って大神の方を見るルイズ。
「構わないよ。どうぞ」
「うん……」
 そう言うとルイズは静かに精神を集中させた。
「VUUR(ヴュール)」
 そして火の呪文を詠唱するルイズ。しかし、掌の上の草になんの変化もなかった。
「ん……?」
 次の瞬間、大きな音とともに、ルイズの掌が強い光を放った。
「うわあ!!!」
 あまりの衝撃にのけぞる大神。
「げほっ、げほ」
 ルイズの掌の草は、燃えるどころか爆発をしてしまった。
「ひゃあ、驚いだ」そう言って起き上がる大神。まだ心の臓が激しく鼓動している。
「ご、ごめんなさい。やっぱり駄目なのよ私。こんな簡単な魔法すら上手くいかないんだから」
「すごいよルイズ!」
「へ?」
「凄い力だ。これなら光武も操縦できるかもしれない」
「え、コウブ?」
「あ、いや。こっちの話。とにかくコルベールさんの言っていたことは本当だったんだね。やっぱりキミ
には能力がある」
「で、でも何をやっても爆発しちゃうんですよ」
「キミの持つ力が強すぎるってだけさ。もっと訓練すれば、自分の霊力も制御できるようになるはずだ」
「レイリョク?」
「いや、ここでは魔力というのかな。とにかく、キミは凄いんだ」
「は、ふ……」
「どうしたの?」
「私、そんなに褒められたことなんてなかったから……。べ、別にお世辞なんて言わなくても私は」
「お世辞なんかじゃないよ。キミは能力がある。俺が保障するよ」
「そんな」
「俺なんかの保障じゃダメかい?まあ、そうかもしれないけど」
「そ、そんなことないもん! わ、私凄くうれしい」
「そうか。じゃあ、次の訓練に行こう」
「は、はい。と、その前にイチロー」
「ん?」
「顔、拭きに行きましょう。煤がついててカッコ悪い」
「そういうルイズくんも」
「えへへ」
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:16:27 ID:rFwCLcJb
ちょっと、セリフが多すぎるかも支援
547檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:16:45 ID:fioRt4el
   *

 中庭での黒髪の男と、ルイズとのやり取りを見ている二つの人影。
「あら、あれってトリスタニアから来たっていう新しい先生じゃない?ゼロのルイズと何
をやってるのかしら」
赤い髪、褐色の肌、そしてあふれんばかりの巨乳が目印のキュルケがそんなことを言った。
「個人授業……」青髪の少女が本を読みながらも、時々中庭の方に目をやりながら答える。
「あら、なんだか怪しい雰囲気ね」
「キュルケ、あなたは考え過ぎ」
「そうかしら。それにしてもあの先生、結構いい男じゃない?」
「よくわからない」
「そう、アンタは男には関心示さないわよね、タバサ」
「そういうキュルケ、あなたは関心を示し過ぎ」タバサ、と呼ばれた青髪の少女は本を読み
ながら冷静に切り返す。
 しかしキュルケもそういうぶっきらぼうなもの言いには慣れているらしく、深くは考えない。
「あらま、なんか木の棒を持ち出して剣の稽古をはじめたみたいよ」
「……」
「いったい何を考えてるのかしらあの先生」
「……」
「メイジが剣で戦うなんてありえないわ。そうよね、タバサ」
「……ユニーク」
「へ?」
「何でもない。部屋に戻る」
「ああ、ちょっと待ってよタバサ」

   *
548檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:18:26 ID:fioRt4el
 乾いた木を打ち合う音が中庭に響く。
 警備兵が訓練用に使う木刀を使って大神とルイズは剣の稽古をやっているのだ。
「ちょ、ちょっとイチロー。いったいどういうこと?」
「どうって、剣の稽古だよ」
「私たちって、魔法の訓練をするのよねえ」
「ああ、わかってるよ」
「じゃあなんで剣なんか」
「ルイズくん。キミは少し急ぎ過ぎなんだよ」
「急ぎ過ぎ?」
「そう、何事も近道はないんだ。キミ自身の力は巨大だけども、俺の予想だとそれを抑える
ための受け皿がまだ完璧じゃない。だったら、魔法サイドを鍛えるより、もっと身体を使った
ほうがいいんじゃないかと思ってね」
「そう、なんだ。よく考えているのね」
 半分は口から出まかせなのだが、それは黙っておいた。
「とりゃああ!」
「いいぞ、ルイズくん!」
 大神によるルイズの指導はその後、数日続いた。

 ある時は乗馬。
「結構うまいな」
「そうよ。乗馬はわりと得意なの」

 ある時は釣り。
「精神を静めるためにはちょうどいい」
「ああ、イライラするわあ。早く釣れないかしら」
「ははは、焦っていると釣れないよ」
「う、もう。そうよね」
「あ、引いてるよルイズくん」
「あ、あ、あ、どうしよう。どうすればいい?」
「竿をあげて、竿を!」
「いやああああ」

 そして帝國歌劇団でもやっていた歌の練習も。
 聖堂のオルガンを弾いて声を出して見る大神。
「ラーラーラーラーラー♪、はい」
「ら〜ら〜ら〜ら〜らああああ」
「……」
「なに?」
(歌は、苦手みたいだな…)
 そんな日々の終わりは突然やってきた。
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:18:53 ID:qS7Htt5v
支援
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:19:13 ID:3meI6DU/
支援
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:22:06 ID:l92ehO9h
女湯に引き寄せられない大神なんて大神じゃない!
552檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:23:05 ID:fioRt4el
   *

 物凄い勢いで学院内に入ってくる馬車。
 その日も大神は、ルイズの指導をしようと、彼女と一緒に学院内を歩いていた。しかし、
大神のすぐ近くで馬車が止まる。
「は!」
 馬車を見てルイズは立ち止った。見覚えがあるのだろうか。大神がそう思っていると、
馬車から髪の長い、少し背の高い女性が出てくる。
「ここにいたのねルイズ。まあちょうどいいわ」
 メガネをきらりと光らせた背の高い女性は隣にいる大神には見向きをせず、ルイズを
見つめてそう言い放った。
「誰?」
「エレオノールお姉さま。私の姉です」心なしかルイズの声が弱い。
「お姉さんか」
「さあ、何をやっているの。一緒に来なさい。学院長に最後の挨拶をするの」
「ええ?」
「さあ」
 そう言ってルイズの腕を引っ張りだすエレオノール。
 変だ。いつものルイズなら、そんな強引なやり方には反発するはずだが、この日の彼女
は大人しい、というか元気がない。
「待ってくれロベリア!」思わず大神は声を出した。
「ロベリア?」
「あ、すいません。知り合いに声が似てたもので」
「この人はイチロー・オオガミ。私の先生よ」大神に代わって紹介をしてくれるルイズ。先ほど
よりは、少し声に張りがある。
「先生?見たことないわね……。まあいいわ。とにかく邪魔しないでいただきたいわ。それ
では」
「だからちょっと待ってくれよ。彼女が何をしたっていうんだ」大神が食い下がる。
「何をしたですって?たとえ先生といえどもわが家のことには口出ししないでいただけますか」
「教え子を守るのは教師の務めです」インチキ教師だけど教師は教師だ、と大神は自分
に言い聞かせた。
「先生。あなたも教師なら、事情はご存じと思います。妹のルイズは使い魔の召喚に失敗し、
未だにまともな魔法を扱う事もできません。これ以上この学院にいたとしても意味がありま
せんわ。ゆえに、本日をもって学院をやめさせます。これはお父様、ラ・ヴァリエール公爵
の意思でもあるのです」
「しかしですね……」
 大神が何かを言おうとした次の瞬間、大地を揺らすような大きな爆発音が中庭から聞こえて
きた。
 その場にいる者が一斉にルイズを見る。
「わ、私は何もしていません!!」顔を真赤にして否定するルイズ。
「と、とにかく様子を見に行きましょう」
 そう言って大神とルイズは、爆発のした中庭に走りだす。


 中庭は、文字通り地獄絵図と化していた。
「なんだあのゴーレムは!!」
 ゴーレム、などという聞きなれない言葉に大神は立ち止る。
「え?」
 見覚えのある巨大な人型の機械。それはヨーロッパの巴里で見たあの蒸気獣たちであった。
それも一体や二体ではない。
 学院の警備兵が弓や槍などで応戦するも、とてもかなう相手ではない。
「生徒たちは下がっていなさい!!」そう言って教師陣が前に出て、杖を振り上げる。
 火炎や氷の矢が蒸気獣を狙うが、全く効いた様子がなかった。蒸気獣どもは、何かを探す
ように並木や周辺の建物を攻撃している。
「コルベールさん!」見知った者がいたので、大神は駆けつけ声をかけた。
「危ないですよオオガミさん。早く逃げてください。ミス・ヴァリエールも」
「そんなことより、何なんですかあれは」
「わかりません。正体不明のゴーレムが急に学院内に現れ、暴れ出したのです。私も戦い
ますので、あなた方は」
「待って下さいコルベールさん。あいつら相手に、普通の戦い方では無理です」
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:24:57 ID:0+w3YrgL
支援しかあるまい!
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:25:46 ID:ocy36e3S
支援せざるを得ない
555檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:28:04 ID:fioRt4el
「どういうことです」
「俺は一度あいつらと戦ったことがあります。少なくとも普通の武器で連中を倒すことは
できません」
「驚いた。すると、あれらはこの世界のものでは……」
「おそらく」
「え? どういうこと」ルイズは事情がわからないようで戸惑っている。
 彼女には、まだ大神が異世界から来た人間である、ということを話していない。
「くそう、こんな時に光武が、霊子甲冑があれば」
「オオガミさん」不意にコルベールが大神の方を見つめて言う。
「はい?」
「ちょっとこっちに来てください」
「え、でも」
「いいから」
 コルベールに引っ張られるようにして動き出す大神。
「ルイズくん!」
「え?」
「キミもくるんだ」
 そう言って大神はルイズとともに、学院内にある地下室へと向かった。


 一体この地下で何をするのというのか。いや、危険なのでここで大人しくしていろ、という
意味だろうか。そんな事を考えつつ走っていると、ひとつの大きな扉の前に来た。
 コルベールが杖を振ると扉が開く。魔法で施錠しているらしい。
 部屋の中は真っ暗であったが、目が慣れてくると上の方から漏れるわずかな光で、部屋の
中の全容が見えた。
「こ、これは…!」
 コルベールが杖から炎を出すと、そこには帝劇で見た光武、霊子甲冑によく似た機体が
二体ほど立っていたのだ。
 一体は見覚えのある真っ白な機体。そしてもう一体は桃色の機体だ。
「コルベールさん。これは一体…」
「何十年か前に山で発見したものらしいのです。学者を色々と集めて研究したのですが、
その正体がわかりませんでした。我々は、もしかしてこれが伝説の『鋼鉄のゴーレム』かと
思っていたのですが……」
「鋼鉄のゴーレム?」
「ええ、伝説に出てくる、この世の災厄を取り払う神の使いです。もちろん、そんなことは誰も
信じていないんですけどね」
「しかしそれは」
「ただ、オオガミさんの話を聞いていると、あんたの世界にあった光武というものに近いのでは
ないかと思い……」
「近いというか、そのままですよ」
 そう言って大神は再び光武を見上げる。
「このゴーレムを動かすことはできますか?我々は今まで何をやっても動かすことができなかっ
たのですが」
「イチロー、あなた……」うるんだ目で大神を見つめるルイズ。
「ルイズくん、すまない。俺は本当は先生なんかじゃないんだ。こことは違う世界から来た住民
なんだよ」
「……・ううん、そんなの関係ない。別に異世界だろうがなんだろうが、あなたは私の先生だから」
「ありがとう」そう言うと大神はルイズの頭を軽く撫でた。
 その時、地下室にある光武が反応する。
「な! ゴーレムが動く姿、初めて見ました」驚がくの表情を浮かべるコルベール。
「光武が、反応している……?」
 光武は蒸気の力と霊力を併用して動くものだ。故に霊力の強いものが近くにいれば、それに
反応する。
 霊力=魔力とするならば、今まで反応しなかったのはおかしい。だとすれば、霊力と魔力はやはり
別モノ、ということになるのか。
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:28:34 ID:3meI6DU/
支援
557檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:30:19 ID:fioRt4el
 色々と考えているが迷っている暇はない。今はあの外にいる蒸気獣をなんとかすること
が先決だ。もしこの光武が動くのならば。そう思い大神は光武に手を伸ばす。
 すると、光武のメインモニタが光り、起動しはじめたではないか。
「やはり動くのか、お前は」
 大神がそう言うと、光武は彼を受け入れるかのようにコックピットのハッチを開いた。
 ふと横を見ると、桃色の光武も何かに反応している。
「ルイズくん!!」
「は、はい」
「もしよかったら、俺と一緒に光武(これ)で戦ってくれないか」
「え?私が」
「そうだ。恐らく、今これを動かせるのは君しかいない」
「でも、私そんなゴーレムの動かし方なんて」
「迷っている暇はない。君が無理なら俺一人で行く」
 そう言うと大神は光武に乗り込む。形としては、巴里で乗った光武Fに近いが、どことなく違い
もある。
 ハッチを閉めると、機器類は驚くほど正常に作動した。
「一体……」
 構造を知りたいところだが、今はそれどころではない。

   *

 タバサは肩で息をしていた。並のメイジが束になっても敵わないほど強力な魔力を持つ彼女
が疲労の色を露わにするほどの敵。
「いったい何なのよあいつら。魔法が全然効かないじゃないのよ!」さきほどから手応えのない
魔法をくり返すキュルケにも焦りの色が見える。
 もちろん全く効かないというわけではないが、これまでの幻獣やゴーレムなどと比べて、
明らかに強い装甲と攻撃力を持っている。
「お前たち、何をやっている。早く逃げるんだ」ローブをボロボロにした教師の一人が二人を見て叫ぶ。
「先生、あなたこそ逃げた方がよろしくて」キュルケはそう言って笑って見せた。笑顔を見せる
ほどの余裕があるわけもないけれど、彼女なりの誇りがそうさせているのだろう。
「え、あれは…?」
「ん」

《そこまでだ!!》

 大きな声が学院内に響く。聞き覚えのある声。
 土煙の中から、二体のゴーレムが姿を現した。
 しかし先ほどまで学院内を荒らし回っていたものとは、明らかに形が違う。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:31:59 ID:Z4CO6QX1
合体技クルー?
559檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:34:15 ID:fioRt4el
   *

 白色の光武は見慣れない二本の片刃の剣を、桃色の光武は大きな剣を武器にしている。
『ルイズくん、調子はどうだい?はじめての光武だけど』
「あ、はい。大丈夫です。なんか、乗馬よりもよっぽど簡単というか。それよりこの声が出る
のって、どんな魔法を使ってるの?」
 どこからともなく大神の声が聞こえる。
『その説明は後だ。まずは目の前の敵を倒すことから』
「りょ、了解」
 まるで自分の体を動かしているみたいに動くゴーレム、いや巨大な鎧と言ったほうがいい
だろうか。
 ルイズは目の前にいる蒸気獣に対して剣を振るった。相手も槍のようなもので対抗してくる。
 魔法が全く効かなかった相手。怖い。しかしその恐怖心を押さえなければ……。
 その時、大神とほぼ毎日やっていた剣の稽古を思い出す。
「見えた!」
 紙一重で敵の攻撃をかわしたルイズは、大剣を振り下ろす。剣は的に当たると同時に、
大きな稲光を発生させた。
「すごい……」大剣の破壊力に驚愕するルイズ。
『それがキミの力だルイズくん』と再び大神の声が聞こえる。
「これが、私の力?」
『そうだ、光武は乗り手の力を使って動くんだ。キミの力があるからこそ、敵を倒せる』
「はあ……」
『来るよ、ルイズくん』
「わかった」
 ルイズは精神を集中させる。この機体に乗っているためだろうか、その心は今までにない
くらい澄み渡っていた。
「Bliksem Zwaard(雷の剣)!!!」

   *

 まるで初めてとは思えない桃色の光武の動きに関心しつつ、大神も敵蒸気獣を次々に
斬り倒す。
 弱い相手ではないが決して強くもない。
「危ない!!」そう言って大神はルイズに迫る攻撃を防ぐ。
『あ、ありがとう』
「どんな時もキミを守るよ」
『イ、イチロー……』
「来るぞ、ルイズくん」
『了解!!』
 大神は気力を溜め、両手の刀を構えた。
「狼 虎 滅 却  刀 光 剣 影 !!!!」
 一瞬の閃光とともに吹き飛ぶ蒸気獣。
 中庭を見渡すと、先ほどまで暴れていた蒸気獣は軒並み倒したようだった。
《その程度でいい気にならないことね!》
「誰だ」
 どこからともなく声が聞こえる。
 と、思ったら中庭の地面が大きく盛り上がる。先ほどとは明らかに違う、巨大なゴーレム
が出現した。しかもゴーレムの手には学院長が握られている。
「ホッホッホ。この爺の命が惜しければ、その鋼鉄のゴーレムを渡しなさい」
 紫色のローブで顔を隠した魔術師のような女がゴーレムの肩に乗り、そう言う。
「やめろ! 学院長を離すんだ」と大神。
「ならばそいつを早く渡しなさい」
 巨大ゴーレムや、先ほどの蒸気獣の狙いはやはりこの光武。そう考えると、簡単に渡すわけ
にはいかない。
「オオガミくん!わしのことはいいから、こいつをやっつけてくれ」学院長は気丈に叫ぶ。
「しかし……」
560檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:37:27 ID:fioRt4el
「オオガミさーん! 学院長もああ言っていることですし、やっちゃってください。いや
もう、学院長ごとスッパリと!!」今までにないほど大声で叫ぶコルベール。
「コルベールさん……」
 学院長ごと、と言われてもそう簡単に倒せる相手ではない。何よりその巨大さだ。
ゆうに二十米(メートル)はあろうか。
 その時、

《Glace Hache(氷の斧)》

 氷の矢がゴーレムの指に当たったかと思うと、

《Der Holle Rache kocht im meinem Herzen》

 次いで激しい炎が腕を焼いた。
「ぬわ!!」
 一同がゴーレムの右腕に注目している中、そこには何も握っていないゴーレムの手が
あるだけであった。
「どういうことだ」
 周囲を見回すと、上空に青い竜が見えた。そこにはこの学院の制服を着ている二人の
少女と学院長の姿があった。
「うぬぬ、小娘どもが小癪なまねを」魔術師が悔しがっている。
 そのチャンスを大神が見逃すはずがなかった。
「今だ、ルイズくん!」
「はい!!」
 大神の刀、そしてルイズの大剣が一斉に斬りかかる。
「なに!」
 しかし先ほどの蒸気獣などと違って、巨大ゴーレムはそう簡単に斬れるものではない。
「ホホホ、無駄よ無駄。蒸気獣を倒したくらいでこのゴーレムを倒せると思って?」
 ゴーレムの拳がルイズの乗る桃色の光武に襲いかかる。
「危ない!!」とっさにルイズの前に出た大神はそのままルイズの機体ごと吹き飛ばされ
てしまった。
 金属製のバケツを頭にかぶり、それを思いっきり殴られたような衝撃が大神を襲う。
前が良く見えないのは、モニターの不具合だけでもなさそうだ。頭を横に振るときっと前を
見据える。
「ルイズくん!大丈夫か」
『な、なんとか。それよりイチローは』
「問題ない、と言いたいところだけど。かなりダメージを負っているようだ」
 光武のダメージ、というより大神の精神的なダメージの方が大きい。あのゴーレムもまた、
物理的な攻撃だけでなく何らかの魔法的な攻撃効果も有しているのだろう。
『イチロー、逃げよう。もう私たちは戦えない』
「ルイズくん。それはやりぬいてから言うものだ。俺はまだ戦える」
『でも……』
「ルイズくん。俺と心を一つにするんだ」
『え……』
「あいつを倒すためには、俺達が心を一つにして戦わなければ、倒せないと思う」
『それって』
「可能性は低いが、やってみる価値はあると思う。ここにいる全員を救うためにも」
『イチロー』
「俺を信じてくれ」
『……、はい。了解』
 大神は気力を振り絞って動き出す。恐らくこれが最後の攻撃になるだろう。怖くないと言えば
うそになるが、恐怖よりも彼自身の使命感がそれを優先させた。どんなことがあっても人を
助ける。それは帝都でも外国でも、そして異世界でも同じであった。
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:40:25 ID:qS7Htt5v
支援
562檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:42:22 ID:fioRt4el
「イチロー!!」
「ルイズ!!」
 大神とルイズが手を取り合う。一瞬そんな光景が彼の脳裡を過った。

《 donderen zwaard storm (雷と剣の嵐)》

 巨大な光の柱がゴーレムを包み、そして天高くへと押し上げて行く。
「な、なんなんだこの力はあああああああああああ!!!!」
 雪のように舞う光の粒。
 それが大神とルイズの持つ霊力の残り火だとは、誰も気がつかなかった。

   *

 敵の消失を確認した大神は、すぐにコックピットのハッチを開けて、ルイズのいる桃色
の光武へと駆け寄った。
「ルイズくん!」
 大神が呼びかけると、彼女の光武もその声に呼応するようにハッチを開ける。
「大丈夫かい」
「え、ええ」力はないものの、はっきりとした口調で答えるルイズ。
「よかった」
「大丈夫ですかあああ」
そんな二人の元にコルベールが駆け寄ってきた。
「はあ、なんとか。さすがに疲れましたけど」
「私も、大丈夫です」とルイズ。
「いや、良かった。それにしても二人とも、凄い活躍でしたね。ほら、見てください」
 ふと周りを見ると、それまで避難していた学院の生徒や教師および職員が全員集まっていた。
「すごいぞルイズー!」
「やったわねー!!」
 拍手、そして称賛の声が聞こえる。それらがルイズを元気づけてくれるようで、彼女は目を
きらきらと輝かしている。
「ルイズくん。キミはよくやったよ」
「そんな、私なんてイチローに守られてばかりで」
「いや、キミがいなかったら勝てなかったよ」
「はあ」
「もうキミは、ゼロのルイズなんかじゃない」
「……うん」
 今までに見たことのないような満面の笑みであった。
そんなルイズを見た大神は、ふとあることを思い出す。
「ねえルイズくん。実は俺が元いた場所では、戦いに勝利するとあることをするんだ」
「え?あること」
「いいかい、こうやるんだよ。あ、コルベールさんもどうぞ」
「え、何をやるんですか」
「せーのっ」


「勝利のポーズ、決めっ!」


「……」
「……」
「なんだよ、二人とも、恥ずかしがっちゃダメだよ」
「は、はあ」
 と、次の瞬間ルイズはその場に崩れ落ちるように倒れた。
「ルイズくん、ルイズくん!」
「無理もありませんね、あのような巨大な魔力を使ったのでは、いくらミス・ヴァリエールでも」
「ルーイーズーくーん!」
 大神の腕で気を失ったルイズは、まるで赤子のような無邪気な顔をしていた。
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:50:57 ID:fJXBTNBq
支援するでござる。
さるさんくらったのかな?
避難所にはまだ投下されてないでござる。
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:52:23 ID:3meI6DU/
さるさんでしたら、下記のスレへどうぞ

【代理用】投下スレ【練習用】3
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1222096182/l50
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:52:43 ID:2v3+CQDi
とりあえず支援
566檄・トリステイン華劇団!! ◆937OxU5ygs :2009/01/15(木) 21:56:16 ID:fioRt4el

エピローグ
 すっかり元通りになった広場で、ルイズは杖を振るった。
「Om in te trekken vertrouwd animo(召喚)」
 何度やっても成功しなかった召喚魔法。しかし今は、しっかりと成功している。
 召喚したのはもちろん、あの時共に戦った桃色の光武だ。
「どう、お姉さま。これが私の使い魔よ」
「うぬぬ……」
 目の前であんな戦いを見せられた以上、ルイズを全くの役立たずと断定するわけにもいかない。
「私はもう少しここで勉強したいの。いいでしょう」
「ええ、勝手になさい」そういうと、エレオノールは足早に、その場を離れる。
 大神はその様子をじっと見ていた。
 出会ったころのルイズとは違い、その表情は自信に満ちているようだ。
 姉を見送った彼女は、大神を見つけると、笑顔で親指を上に立てたので、大神も同じような仕草をした。




   お  わ  り








 おまけ

1位 ルイズ:やる気十分
2位 コルベール:やる気まあまあ
3位?????
4位?????
5位?????

大神一郎:熱血隊長
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:59:00 ID:Z4CO6QX1
乙。
ストレートでノリ良く楽しめたよ!
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 21:59:30 ID:uzEH1y5Y
乙!
面白かった。続きも欲しくなるわ。
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 22:07:46 ID:DVUcrW8h
乙、
楽しかったぜ
しかしおまけを見るとなんかコルベールは風呂にはいって実は女だったとかありそうだな
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 22:10:06 ID:Srygwm+V
投下乙です
ところで
>それが大神とルイズの持つ霊力の残り火だとは、誰も気がつかなかった。
何かここ読むとこれで完全に霊力が尽きたと解釈できるんだがどうなんだろ?
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 22:11:17 ID:fXkLWzdb
>>569
禿てますけどね。何か急に暑くなっt
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 22:13:51 ID:fJXBTNBq
>>569

ギーシュが実は男装してた女だったっていうSSがあるくらいだからあってもよさげw
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 22:16:40 ID:DfMO6bqQ
>>571
ハゲのヅラかぶってるんだよ
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 22:36:00 ID:fIGvS3Zj
ヅラが禿を操縦してんじゃね?
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 22:49:33 ID:yBAbAzmB
>>539
大神さんはプレイヤーによっては凄く軟派になるからなw
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:01:20 ID:RK/gRmb5
キモ神さん、キモ神さんじゃないか! 
乙です。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:06:24 ID:jyI0KtUS
入浴施設の前に近づくと、意思に反して体が動くのは大神と大河を見ると、遺伝の可能性が……
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:08:28 ID:fJXBTNBq
檄・トリステイン華劇団!! がもうwikiに登録されてる!
早すぎ!
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:13:09 ID:br87UvM1
>>576
スタイリッシュ乙
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:15:33 ID:goCnq2Xu
>>579
あのスレ見てるな?
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:26:42 ID:ih+bwGo/
大神さんの人、乙です。
ちょっと台詞が多めで描写が少ないかなーとか、端折ってあるせいでちょっと展開に無理あるかなーとかオモタ。

でもそれ以上に面白くて読んじゃったぜ。ルイズかわいいよかわいいよルイズ。
『イチロー』という呼び方に引き寄せられたってのもあるけどw
もし続くならタバサが無口つながりでダス・ラインゴルトを、キュルケが情熱つながりでクアットロ・スタジオーニをぶっ放すようになるのだろうか……

あ、エレオノールさんはデモン・ファルチェでFA。
582ゼロの黒魔道士:2009/01/15(木) 23:29:45 ID:N1iWKHI9
どうも、腰をいわせてしまい、屁をこくだけで死ぬほどの痛みの黒魔です。
腰への注射って、半尻でやるんだぜ、知ってた?
……すっげー羞恥プレイだぜ、あれは……

さて閑話休題、第二十六幕書いたんで投下したいと思います。
23:35頃から失礼させていただきます。
お暇でしたらお付き合い願います。
583ゼロの黒魔道士:2009/01/15(木) 23:35:06 ID:N1iWKHI9
投下開始です。
やっとアルビオンクライマックスだぜ

――

「光り輝く使い魔、か」
「まさに『神の盾』と呼ぶにふさわしい」
「その力を失うのは惜しいな」
「今も、俺に仕える気はないのだな?」
「主共々生かしてくれてもいいが」
5人のワルドが、嫌悪感しかもたらさないセリフを次々と続ける。
周りを取り囲まれて、間合いをゆっくりと取りながら聞こえるそれは、
嫌悪感と合わさってさらにゆらゆらと揺れて聞こえた。
「誰が、お前になんか!」
デルフをまっすぐ構えて気持ち悪くなるのをごまかした。

「(おい、相棒、大丈夫か?ちーっと足がやべぇんじゃね?)」
デルフが小声で話しかける。
ありがたいことに、『ガンダールヴ』の力か、
両手の怪我は気にならない程度になっている。
でも、左足は……深く傷つけられて、思うように動かない。
正直に言えば、絶好調とは言えない状況だ。


でも……

「ボクは……守るんだ!」
そう、ボクは……


―ゼロの黒魔道士―
〜第二十六幕〜 この刃に懸けて


ルイズおねえちゃんを守るんだ。
視線の端っこに、ルイズおねえちゃんがへたりこんでいるのが見える。
ボクがこの場所にいる限り、ルイズおねえちゃんが巻き込まれることは無いだろう。
……確かに、一歩も動けそうには無いんだけど……
「ひとつ、若いお前に忠告しよう」
「戦闘において」
「余所見は厳禁だっ!!」
「っ!?」
キィィンンッ
背後から2人のワルドが、杖で襲いかかってきた。
デルフを逆手に持って後ろに払い、これをなんとか押しとどめる。
でも、これで左手がふさがれた状態になってしまう。

「そしてもう1つ」
「戦闘の基本は戦力の封殺に他ならない」」
「お別れだ!」
「「『エア・カッター』!!」」
正面から2つ分の風の刃が飛んでくる。
魔力を吸収するデルフを封じた上での、魔法の雨。
間違いなく、このワルド達は今までのボクを見て戦略を練っている。
そのままだったら勝ち目は無い。

でも、だからこそ、

「地の砂に眠りし火の力目覚め
         緑なめる赤き舌となれ! ファイラ!」
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:35:41 ID:T2Ce2FNM
待ってたよー支援支援
585ゼロの黒魔道士:2009/01/15(木) 23:35:43 ID:N1iWKHI9
付け入る隙は、あるんだ!


中級クラスの火炎弾で風の刃もろとも、目前のワルド2人を退かせる。
「なん――だと?」
「あの手合わせでは本気では無かったということか?」
やっぱりだ、ワルドが考えていたのは、
あの手合わせで使った『ファイア』や『サンダー』が最高火力ってことだろう。
怪我の功名ってことなんだろう。
あのときに最低クラスの魔法を使ってて良かったと思う。
(あのときは、もっと長期戦になると思ったから温存してただけなんだけど)


誤算が1つ。それは新たな油断を生む。
「よいしょっ!」
ドテッとワザとその場に前のめりにコケる。
「なっ!?」
「くっ!」
それに後ろでデルフを押さえていたをしていたワルド2人がバランスを崩す。
油断はボクの機動力を削いだとワルド達が思っていること。
だからこそ、デルフを封じれば物量で押し通せると思ったんだと思う。
だけど、残念ながらボクは「トロくさくてよくコケる」。
そう、足りなければ足せばいい。
機動力が無いなら、それを逆手に取れば戒めから逃れられる。
全部の力は、守る力に変えられる。
ワルドは……それに気づいていないんだ。

「肉体の棺に宿りし病める魂を
         永劫の闇へ還したまえ… ブレイク!」
コケた勢いで回転しながら、右後ろのワルドに石化の魔法を詠唱する。
トランスしているおかげで、口が素早く動くし、魔力の流れも素早く整う。
だから、もう1人のワルドにもデルフで同時に攻撃することができる。
ザンッ
「ぐぁっ!?」
「か、体が固まって――!?――」
胸の辺りをデルフで突かれたワルドは煙みたい消えてしまった。
……分身のワルドは幻、なのかな?
でも『ブレイク』をかけた方はしっかり石になってるなぁ……

「やるな、使い魔風情が!」
「だがまだ物量ではこちらに利がある!」
「3方向から行くぞ!」
「「「『カッター・トルネード』!!!」」」
石になったり消えたりしたワルドに気を取られている隙に、
素早い詠唱で魔法を唱えられてしまった。
「相棒構えろっ!!!」
「うんっ!」
さっきよりも強い風が渦を巻いて襲ってくる。
「ぐぅぅぅっ!!」
服に、帽子に、怪我をした左足に、
デルフで凌ぎ切れなかった風がビシビシ当たっていく。
「ぐっはっ!こりゃ腹一杯だわ!腹ぁねぇけど――相棒、大丈夫か?」
「な、なんとか……」
やっぱり、回避行動が取れないのが痛い。
ワルドのニヤニヤ顔が3つ重なる。
こちらの機動力はもうバレてしまったみたいだ。
このまま物量でジワジワと押しつぶすつもりだろう。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:35:45 ID:XNZbtU1i
作品を投下したいのですがテンプレ以外何か注意することはありますか?
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:35:57 ID:ULj6dz8L
>>582

腰とはまた辛いところを…お大事にしてください。
そして支援
588ゼロの黒魔道士:2009/01/15(木) 23:36:20 ID:N1iWKHI9
「相棒よぉ、近づけりゃなんとかなりそうなんだけどなぁ?さっきからすげぇ力で光ってやがっし――
 あれ?なんかこの力、おれっち何かを思い出しそう?ありゃ確か――」
デルフが何かブツブツ呟いている。
確かに、この距離が問題だ。
ワルドが作る三角形の真中にボクがいる形。
全体魔法をかけようにも、ワルド同士の距離が離れている。
今なら同時に2つぐらいの魔法を放つことはできなくはない。
けれども、2人を相手している間にもう1人の風を防ぐのは至難の業だ。
今は防御に徹したとして、『トランス』の輝きはいつまでも持たない。
輝きが消えたら、なんとか立ててる左足がどうなってしまうか……
なんとか、なんとか距離をつめたい。

「――思い出すっつーからにゃ、昔の話だよなぁ?えーと、相棒と出会う前の武器屋の客ぁ――」
デルフと出会う前、ふとその言葉に引っかかる。
デルフと出会う前……ギーシュとの決闘騒ぎがあった日……
あのときも、やっぱりボロボロになって……
『ブレイク』で石化したギーシュの鎧人形を……
「……そっか!」
「――結局あのメガネの金髪貧乳姉ちゃんはおれっちのことバカにして買わなくて――あん?相棒、どうした?」

「年貢の納め時だ、ガンダールヴよ」
「最期に聞こうか?俺の盾になる気は?」
「その力、悪くは無い」
ワルドが再び杖を構える。
余裕の態度でボクをなぶりものにするつもりみたいだ。
今は、その油断しているところがありがたい。
「……ルイズおねえちゃんを、泣かせるようなヤツに、従うつもりは無い!」
左足を少し引きずって、石化したワルドの陰に隠れる。
おそらく、正面のワルドから見れば盾にするつもりと思われるだろう。

「惜しい、実に惜しい」
「まぁいい。所詮思い通りにならぬ力だ」
「剣だけは後で使ってやろう」
「――ケッ!髭っ面の老け顔腹黒オヤジに使われるぐれぇなら、自分で錆びまみれになって朽ちてやるぁ!!――ってあぁ!?」
ワルドが杖を構える。
次の一瞬は賭けになる。
ガンダールヴの力と、『トランス』の輝き、ギーシュとの特訓で鍛えた戦略眼、
それと、ルイズおねえちゃんを守りたいっていう気持ち、
足りない速さは、全部で足すんだ!
589ゼロの黒魔道士:2009/01/15(木) 23:37:11 ID:N1iWKHI9
「「「死ね」」」
「行くよデルフっ!」
「相棒!お、思いだしたぁ!!おれっちってばこんな重要なことをなんだって――」
ワルドの杖が光る。……風の魔法じゃない!!

「「「『ライトニング・クラウド』!!」」」

閃光が、石化したワルドを襲う。
ボロボロと崩れるワルド像。
だけど、そこにはボクはもういない。

「消えた!?」
「上だ!」
「『フライ』か!?」
石化したワルドをつかんで、腕の力だけで跳ぶ。
ボクの体は小さくて軽い。
ギーシュとの特訓でも、運悪く殴られたときは、安々と吹っ飛んでしまったこともある。
だから、ボクの腕の力だけでも体を空へ投げ出すことはできる。
「やるな」
「だがそれはミステイク」
「『フライ』で飛んだとていい的だ!」
もちろん、これで狙われるのは分かり切っている。
その動きや速さは予想されてしまうだろう。
だけど……きっと、これは読めないはず!
「飽食なる星よ、魔空より来りて
         光も闇も平らげよ! グラビデ!」
『グラビデ』、本来は相手を重力の力で包み込んで押しつぶす魔法。
これを、ボクと2体のワルドの“間”、何もない空間に放つ。
元々のアイディアは、ダガーおねえちゃんの召喚獣の『アトモス』の技なんだ。
重力によって、吸い寄せられて、引きつけられて速度が上がるボク。
「な、なんだこれは!?」
「吸引の風魔法か!?」
それと黒球に引き寄せられてバランスを崩す2体のワルド。
「相棒っ!相棒っ!俺様、思いだしたんだ!おれっち実は――」
「時を知る精霊よ、因果司る神の手から
         我を隠したまえ… ストップ!」
         「命に飢えた死神達よ、汝らに
                  その者の身を委ねん… デス!」
2つの魔法を重ねるように詠唱しながら、何かを喚くデルフを構える。
後はワルドがボクに忠告した「速さ」の勝負だった。
2体のワルドが体勢整える前に、残る1体がボクの動きに対応する前に、
重力球に引き付けられた2体を倒す。
「ぐぁっ!?」
1体は頭にデルフを突き立てた瞬間にうめき声を上げて、
「――」
もう1体は自分が止まったことにも気づく前に、
2体共、霞のように消え去ってしまった。

「……残ったのが、本物のワルドだね」
やっぱり、本体は一番攻撃してこなかったワルドだった。
こういうのなんて言うんだっけ?「お約束」、かなぁ?
「――おいおい相棒ぉ〜!?ちょい修羅場ってやがっけどおれっちの話聞けよ〜!」
デルフを構えて、残ったワルドに向ける。
着地のときに少し左足が痛んだけど、まだ耐えれる範囲だ。
590ゼロの黒魔道士:2009/01/15(木) 23:37:54 ID:N1iWKHI9
「こんな――小僧ごときにっ!」
ワルドの顔が醜く歪む。
こんな男がルイズおねえちゃんの婚約者だったなんて信じたくなかった。
「……大人しく、帰ってくれるなら、何もしない」
「おい相棒ぉっ!?」
でも、それでも、ルイズおねえちゃんの婚約者だった人だ。
できることなら、殺したりはしたくなかったんだ。

「情けをかける気か?――使い魔ごときが、貴様まで俺を愚弄するというのかっ!!!」
ワルドが、獰猛な獣のように怒りをむき出しにして吼える。
それが何か……悲しかった。
「でも……もう、分身は出せないんでしょ?出せるなら、最初に2体消したときに出したはずだし……」
きっと、魔力をものすごく使う魔法なんだと思う。
……便利すぎるもんね、自分を増やせるなんて。
「かー!相棒はなんでもお見通しってぇことか!やるじゃねぇの!あ、でもついでだからおれっちの話聞いて?ね?実はおれっち――」

「うるさい!!黙れっ!俺の力は、俺の力はこんなものではないっ!!まだ、勝負はついていないっ!!」
ワルドが突然駆け出した。それは獲物を見つけた狼のような動き。
そしてその狙いは、デルフを持ったボクじゃなかった。
「!!しまった!!!」
ルイズおねえちゃんを、狙われた!
こちらも駆け出そうとするけど、足が思うように動いてくれない。
左足がズキリと痛む。
「くっ!!」
ワルドの方が距離はあったのに、はるかに速い。
「最後の忠告だ!勝負は最後の瞬間まで分からん!!」
ワルドがルイズおねえちゃんに届く目前の所で勝ち誇った笑みを浮かべるのが分かった。
届かない、あと1歩。

「相棒ぉぉぉ!!」
「ビビぃぃっ!!」
2人の声が、届かない1歩を埋める考えを呼び起こしたんだと思う。
「……砕けよ岩よ、天より堕ちて」
普段よりも2倍近く速い詠唱が、ボクの口からこぼれ落ちた。
「愚か者達への鉄槌となせ! コメット!」
礼拝堂のステンドグラスを突き破り、愚か者への鉄鎚が、『コメット』が降ってくる。
「なっ!?」
痛む左足をただ前に、
キラキラと降り注ぐガラスの破片をかいくぐって、
ルイズおねえちゃんに辿り着く。
『コメット』は1人を対象にした魔法だから、被害は及びにくいはずだけど、
それでも降ってくる破片はデルフで全部なぎ払った。
そして……
「なんのこれしきっ!!」
迫りくる『コメット』をなんなく避けようとするワルド。
ワルドはその場を跳んで避けようとしているのが分かる。
全てが、『ガンダールヴ』のお陰か、『スロウ』をかけたようにゆっくり見える。
591ゼロの黒魔道士:2009/01/15(木) 23:38:38 ID:N1iWKHI9
「……滅びゆく肉体に暗黒神の名を刻め
         始源の炎甦らん! フレア!」
デルフに、『フレア』をかけて、自分の持てる全ての力を、一点に集中する。
デルフにオレンジ色の光が集まって……あれ?なんかフレア以外の光がする?
「はっはっはぁ〜!!俺様Wシャイニング〜!!!これで相棒ともお揃いだなっ!!」
「えぇっ!?デルフどうしたの!?」
ワルドにもう突きかかる姿勢だった。
「これが俺様の真の姿よぉっ!!」
デルフが光り輝く大きな剣に生まれ変わっていた。
……デルフも、トランスするのかなぁ?
「いけいけぃ!俺様最大の見せ場だぜぇぇぇっ!!」
そんなことを気にする余裕もなく、『コメット』と、ワルドと、デルフが一直線に並ぶ瞬間は目前だった。
「……行くよっ!」
「おぅっ!」

……実際は、こんな会話は全部できなかったはずって、後でルイズおねえちゃんが言っていた。
それぐらい、一瞬の間だったのに、デルフと通じたのは、なんだったんだろうって思うんだ。
心で通じ合った、とか?もしかして、そうなのかもしれない。

「ち、ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!」
「いっけぇぇぇぇぇぇっ!!」
「『フレア剣』突きっ!!!」

朝日のように眩く輝く切っ先が、ワルドに突き刺さった。

――
以上、投下完了です。
次回は――来週に投下できるよう努力します。
もうね、腰意外でも本業で修羅場ってて泣きそうですわorz
それでは、お目汚し失礼いたしました。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:39:19 ID:ih+bwGo/
若い看護師に見られながら大腸ファイバー検査するよりは恥ずかしくないはずだ

支援
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:40:24 ID:1gWShxBQ
盲腸手術前の剃毛よりは…

支援
594ゼロの黒魔道士:2009/01/15(木) 23:44:03 ID:N1iWKHI9
>>592,593
すまん、俺はまだまだ甘ちゃんだった。
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:49:31 ID:16ai6L1N
心底どうでもいい
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/15(木) 23:56:48 ID:6tHg1kJ0
>>595
なら黙れ
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:00:00 ID:6z1e5WEF
>>595
そして死ね
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:00:35 ID:dFpxE+CJ
はいはい、スルースルー。
んでもって、黒魔道士の方、乙でしたー!
デルフのきめ台詞スルーされるかなと思ったけど、よかったね!
腰痛めたなら無理はしないで完治するまで投下控えるのも一つの手段だと思いますよ。
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:04:42 ID:5yVfi5qh
腰はやばいよ、腰は。
軽く見て治療を怠ると、後々までずーっと悩まされる事になる。
経験者が言うんだから間違いない。
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:06:20 ID:MIfEuPt/
腰使いの激しい使い魔か……どんなやつだろうか?
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:07:03 ID:5yVfi5qh
加藤鷹
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:07:15 ID:f1s0U/gC
「あなた、タイが曲がっていてよ」
 そう言って私の胸元に手を伸ばしたのは、トリステイン学院魔法科のルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 この時、私、平賀才人は、彼女に妹にならないかと言われる日が来るなんて考えもしなかったのです。
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:13:51 ID:vUk4jpiu
IFスレでやれ
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:14:13 ID:ZpCR2TLL
>602
色々とおかしいだろ
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:27:34 ID:oLWFwulb
>>601
彼は腰じゃなくて指使いじゃないかw
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:30:56 ID:ipoZNdp9
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 00:40:52 ID:ZX1T6Lho
グルグルのじじいを思い出した
608約束は次元を超えて:2009/01/16(金) 01:01:32 ID:uLMPii/7
さて、次ができましたので、投稿予約いいですかね?
問題なければ1:10からスタートします。

正直ビビの人のあととかガクブルもんですが(汗)
609約束は次元を超えて1-5:2009/01/16(金) 01:10:04 ID:uLMPii/7
それでは、第5話投稿開始します。



「……そして、突然光に包まれたと思ったらあの草原にいた」
 三人とも、すっかり聞き入っていたようだ。長い話が終わり、ため息をつくルイズとキュルケ。
「嘘みたいな話ね。過去に行って来たり、たった数人で国を相手に勝っちゃうなんて」
「そうよね。いくらか話を聞いてたわたしでも信じられないくらいだわ」
 確かに、そう簡単に信じられる話でもないことは、自分でもよく分かっている。二人の言葉に頷いた。
「証明する手段は流石にないが、まぁ証明できたとしてだからどうと言う話でもないから、少し面白い話を聞いた程度に思ってもらえればいい。
 それに色々なものに助けられた。信頼できる仲間、支えてくれた人たち、足並みの揃わない敵。俺たちの力だけで勝ったわけではないのは確かだ」
「ふうん」
 気のないような、でも関心したような相槌を打つキュルケ。
「さて、これで話は終わりだ。そろそろいい時間ではないか?」
 話をしている間にかなり時間が経ってしまっていた。もう日が傾いてしばらく経つ。夕食の時間も近いだろう。
「いけない、そろそろ夕食の時間じゃない。それじゃ食堂に行きましょ」
 そこで何か思いついたのか、ルイズがキュルケをタバサに向き直る。
「キュルケ、タバサ。くれぐれも内緒にしてよね。アカデミーに引っ張られるなんて御免だもの」
「わかってる」
「それに心配しなくても、話したところで誰も信じちゃくれないわよ」
 それもそうね、というつぶやきが聞こえた。

 食堂の入り口で三人と別れ、厨房へと向かう。扉を開けると、そこにはマルトーの熱烈な抱擁が待っていた。
「おぉよく来たな『我らの槍』!」
 我らの槍?
「マルトー、とりあえず離れてくれ。それに『我らの槍』とは?」
「見てたぜ〜あの小生意気な貴族のガキを槍みたいな武器でぶっ倒す所!それも相手に傷一つ付けずにだ!そんじょそこらのヤツにできることじゃねぇ」
「いやしかし、だからといってその呼び方は……それに相手の油断にも助けられた勝ちだ」
 そう言うとマルトーはさらに感激した様子で抱きついてきた。
「そこで謙遜するたぁ……いや俺は心底お前に惚れた!おっと、ここへ来たってことは晩飯だな。ちょっと待ってろ、気合入れて作ってやるぞ」
 少し対応に困ったが、出された夕食はいつも通りの美味だった。というか、いつもより豪華だった気がする。
「美味かった。ありがとう」
「なぁに、俺が使える唯一の魔法よ。貴族みてぇに色んなことはできねぇが、こうやって絶妙な味に料理を仕立てあげるのだって一つの魔法みたいなもんだ。そうだろ?」
 マルトーの言葉に、旅の途中でクラリッサがログナーの味に追いつかないとぼやいていたことを思い出す。
「確かにそうだな」
 同意すると、さらに感激したように太い腕を肩にかけてくる。
「いいやつだな!全くお前はいいやつだ!おい『我らの槍』!俺はお前の額に接吻するぞ!こら、いいな!」
 流石にそれは遠慮願いたい。俺はマルトーの体を押しやって、言葉を続けた。
「接吻は遠慮してくれ。できればその呼び方も」
「なぜだ?」
「なぜだと言われても……そこまで大したことじゃない」
 できることをやっただけだし、言うことはできないが別の要因もあると思っていたらマルトーが言葉を続けてきた。
「謙遜しすぎだ!お前らも見習えよ。本当の達人は自らの腕を誇ったり、ましてや驕ったりしない!」
 若いコックや見習いの声が唱和するのを、流石に少し疲れた気分で聞いていた。


 そんなこんなで、数日が過ぎた。
 ルイズもキュルケもタバサも、マルトーやシエスタたち平民も相変わらずの穏やかな日々だ。
610約束は次元を超えて1-5:2009/01/16(金) 01:13:27 ID:uLMPii/7
 日中はルイズと共に授業を見学し、タバサの手が空いたときは稽古に付き合う。
 その際に、トリステインの文字が俺の知っているものと違うため読むことができないことが判明し、それではと言うことで稽古のお返しにとタバサに字を教えてもらうこと

になったりした。
 またある夜にキュルケがフレイムを使って俺を部屋に連れ込み、困惑していたところにルイズが駆け込んできたこともあった。
 その時二人の家に纏わる因縁を聞き、俺の話の時に頭を下げたことについて感心すると、
「べ、別にあんたのためにやったんじゃないんだからね!?」
という、なんとも返答に困る返事が返って来たことは、忘れてやった方がいいエピソードかも知れない。

「明日は虚無の曜日だから、街へ行くわよ」
 そうしてある夜、突然にルイズが宣言した。
「街へ?」
「そうよ。あんたの服とか、武器とか買ってあげるわ。感謝しなさいよね」
 確かに俺の服は召喚された時に来ていたこれ一着だけだし、手持ちの武器ができるのもありがたいのだが……
「いいのか?」
「必要なものはちゃんと買い揃えるわよ。使い魔を養うのも主人の務めってね。それに武器無しじゃ、いざというときわたしを守れないでしょ」
 なるほど。
「わかった」
「それじゃ今日は早く寝ましょ。王都は馬で3時間かかるからね」


   ◇◆◇


 虚無の曜日。
 わたしとフィアースは早朝から馬に乗って、王都へと来ていた。
「とりあえずは武器かしらね。いいのがあるといいんだけど」
 そう言いながら、大通りを外れて路地裏へと入っていく。
「この辺はきれいじゃないから、あんまり来たくないのよね……えっと、ビエモンの秘薬屋の近くだったから確かこの辺……」
 記憶を頼りに、目当ての武器屋の看板を探して歩く。
「お財布は大丈夫でしょうね?スリとかもいるんだから気をつけなさいよ」
「あぁ、分かっている」
 自信たっぷりに言うけど、たぶん分かってないと思うから注意させておこうかしら。
「魔法を使われたらどうなるか分からないわよ。気を抜かないようにね」
「む?魔法を使うのは貴族だったはずだが」
 あぁ、やっぱり勘違いしてる。
「貴族は全員メイジだけど、メイジのすべてが貴族なわけじゃないわ。事情はそれぞれだけど、傭兵や犯罪者になったりする人もいるから」
「なるほど」
「分かってもらえたみたいね……っと、あった、ここだわ」
 剣の看板。間違いないわね。
 ドアを開けて店に入ると、店内は昼間だっていうのに薄暗く、ところ構わず乱雑に武器が陳列されている。
 ……ここにしたのは失敗だったかしら。
「旦那、貴族の旦那。うちは真っ当な商売をしてまさぁ。お上に目をつけられるようなことはしちゃいませんぜ」
 そう言う台詞が逆に怪しいと思うんだけど、まぁそれはいいわ。
 くわえていたパイプを離して、胡散臭げに話しかけてくる店主に、言葉を返す。
「客よ」
「こりゃおったまげた!坊主は聖具を、兵士は剣を、貴族は杖を、そして陛下はお手をお振りになるのが相場だってのに」
 あら、なかなか気の効いた文句ね。ちょっと感心。
「使うのはわたしじゃなくって、彼よ」
 そう言うと、店主はフィアースに視線を移した。
「あぁ、従者の方にですかい。わかりやした、そんじゃしばしお待ちくだせぇ」
 そう残して店の奥へ引っ込んでしまった。何かいいのがあるのかしら?
611約束は次元を超えて1-5:2009/01/16(金) 01:16:47 ID:uLMPii/7
「わたしは武器のことなんて分からないんだけど、どうフィアース。いいのありそう?」
「ふむ」
 そう残して、フィアース陳列されている武器を見て回りだした。
「フィアースはどういう武器がいいの?やっぱりあの時みたいなのがいいのかしら」
「確かにポールアームは一番使い慣れた武器だが、ARMがある以上大抵の武器は使いこなせる。ここは性能重視で選びたいところだな」
 そう言えばそういう物だったわね。
 ぐるりと店の中を見回して見たけど、あの時フィアースが使ったような武器は、きれいな物の中にはなさそうだった。きれいなのはもっぱら剣ね。
 一際乱雑に、陳列というよりは置いてあるだけのところには似たようなものがあるけど、錆びてたり悪いのになると曲がってたりする。
 そうこうしていると、店主がいくつかの武器を抱えて戻ってきた。
「そういや、昨今は宮廷の貴族の方々の間でも、従者や下僕に剣を持たすのが流行っておりましてね」
「貴族の間で?」
「へぇ、最近このトリステインの城下町を『土くれ』のフーケってぇメイジの盗賊が荒らしてまして。貴族の方々も自衛のために、皆さん下僕に武器を持たせてるってぇ次第

でさぁ」
 ふぅん、女王陛下のお膝元だって言うのに、随分と大胆な賊もいたものね。
「この辺なんていかがでしょう?どれもウチの秘蔵の逸品ですぜ」
 あら、きれいな剣じゃない。
 店主が奥から持ってきたのは、見た目にも豪華な大剣や細剣などが二・三本。
「特にこの大剣などは、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿の作で。ちゃんと銘もこちらに。魔法もかかってるんで、鉄だろうと一刀両断ですぜ」
 げ、よりによってゲルマニア製なの。
 ちらりとフィアースを見ると、目を輝かせているかと思いきや微妙な顔をしていた。
「どうしたの?」
「いや、こういう、煌びやかなのは……」
「趣味に合わない?」
 訊くと、目を閉じてしまった。あぁ、当たりだったのね。
「旦那、旦那。趣味よりは性能重視で行きましょうぜ。それにこの剣なら、公式な場でも恥ずかしくないものですし、貴族様にお付きなら便利だと思いやすがねぇ」
 店主の押しもいまいち効いてないみたいで、渋い顔を崩さないフィアース。どうしたのかしら?
 わたしはフィアースを店の反対側まで引っ張って、小声で訊いてみる。
「どうしたのよ?いい剣じゃない」
「俺の経験から言うと、あれは装飾用の剣だ。壁に飾るにはいいが実用には耐えられまい。値も張るだろう」
 お金のことは気にしなくてもいいのに。
「ふぅん……」
 相槌は打ってみるものの、やっぱりよく分からない。
「わたしが話してても埒が明かないわね。直接話しなさいよ」
「そうだな」
 頷くと、フィアースは店主の方へと向かった。
「店主、もう少し実用性の高い武器は……」
 あちゃぁ、言葉を選びなさいよフィアース。さっきの売り文句聞いてなかったのかしら。店主も渋い顔をしちゃったわ。
「はははは!にいちゃん分かってるじゃねぇかッ!儲け損ねたなオヤジ!」
 いきなり別なところから笑い声が響いた。
「な、なにごと!?」
「黙ってろぃデル公!お客様の前だぞ!」
 店主が積まれている武器の山に向かって怒鳴り返す。
 なに?何かいるの?
 フィアースが声のした方に向かい、山の中から一本の剣を引き抜いた。錆びも浮いてるし、作りも片刃で変な感じの剣ね。
「お、にいちゃんなかなかの腕だね」
 剣の金具がパカパカするのと同時に声が聞こえる。あれって……
「もしかして、インテリジェンスソード?」
612約束は次元を超えて1-5:2009/01/16(金) 01:20:12 ID:uLMPii/7
「そうでさ。意思を持った魔剣、インテリジェンスソード。一体どこのメイジ様がこんなこと始めたんですかねぇ。特にこいつは口は悪いわお客様に喧嘩売るわで閉口してまして」
「剣の扱い方もわからねぇようなヤツに使われるなんて真っ平なんだよ!おいにいちゃん、俺を買えよ」
 剣が自分で売り込みしてる……ちょっとめまいが。
「ふむ、面白いな。名は?」
「俺はデルフリンガーってんだ。長けりゃデルフって呼んでくれや」
 何か意気投合してるし!
「もうちょっと綺麗なのにしましょうよフィアース。わたしイヤよ、こんなボロいの」
「いや、これはなかなかの物だ。下手な剣よりは役に立ってくれるだろう」
 あぁもう、言うこと聞かないんだから!
「はぁ……わかったわ。店主、おいくら?」
「そいつなら百で結構でさ」
 思わず他の剣の値札を見る。どれもこれの倍以上の値で表示されてる。
「安い、のね?」
 比較的って話よ。金額自体を見ると安いものじゃないんだから。
「厄介払いみたいなもんでさ。こっちとしても商売の邪魔にならなくていいやってなもんで」
「おぉ、にいちゃん只者じゃないと思ったら『使い手』か!こりゃいいや」
「フィアースだ」
 フィアースとデルフリンガーは仲よく話しながら、カウンターへ行って店主に金貨を支払った。
「毎度。どうしてもうるさくて仕方ないときは、鞘に押し込んじまえば黙りますんで」
「あぁ、ありがとう」
「俺としては止めてもらいたいんだがなー」
 まぁフィアースが気に入ったんならいいでしょう。
 それに、インテリジェンスソードなら確かに下手な剣よりは強度はあるはずだし。実用的かどうかはわからないけど。

「ところで、その剣がどれくらいの物か確かめなくてもよかったの?」
 ふと思いついたことをフィアースに訊いてみる。店を出てから気づいたわたしもわたしだけどさ。
「おいおい嬢ちゃん、俺を疑ってんのかい?」
「当たり前じゃない。そんな錆まで浮いてるような剣のどこが信用できるっていうのよ」
「何をぅ?やるか?」
 剣に喧嘩を売られるって、なかなか珍しい経験だと思うわ。ホントに変な剣を掴まされたんじゃなきゃいいんだけど。
「まぁそう言うな、ルイズもデルフリンガーも。そうだな、とりあえず二つほど理由はある」
 二つも?
「一つは、デルフリンガーがインテリジェンスソードだったことだ。
 魔法のかかった武器というのは、見た目や普通の使い方以外の点で力を発揮することがある。それを確かめるには、試し切りでは意味が無いと思った。
 それに、誰が見ているか分からない。何かあった時のために、見知らぬ土地では立ち回りは控えたい」
「なるほどな」
 ふぅん、そんなものかしらね。
「二つ目は?」
 言葉を区切ったフィアースに、先を促す。
「二つ目は、デルフリンガーには悪いが、見た目が良くなかったためだ。
 貴族と共に武器屋に入った俺が錆びた剣を試し切りで振り回すなどと言った光景は、お前としても見られない方が良いだろう?さっきも言ったが、誰が見ているか分からない。それに、店の評判にも関わる」
 店の評判なんて気にしてたの?なんで?そんなのわたしたちには関係ないじゃない。もともとボロっちぃ店なんだし。
 よく分からない顔を浮かべているだろうわたしに、フィアースは言葉を続ける。
「お前が、あそこで武器を買ったからだ」
 わたしが?と思ったところで、わたしの家名のことをフィアースが気にしていることに気が付いた。
613約束は次元を超えて1-5:2009/01/16(金) 01:23:29 ID:uLMPii/7
 わたしが武器をフィアースに買い与えるのに、わざわざボロ剣を売っているような評判の悪い店に入って、錆の浮いている剣を……あまり気持ちのいい風評じゃないわね、確かに。
 つまり結局、こいつは買った武器自体を信用すると共に、わたしのことまで気にかけてくれていたのだ。
 ホントに、気が利くんだか利かないんだかよく分からないけど……
「へぇ、にいちゃんも実は色々考えてんだなぁ」
 あ、デルフにセリフ盗られた。

 そんなやりとりをしながら裏路地を出て、そのままもう一つの目的であるフィアースの服を買いに出た。
 そっちはヴァリエール家でいつも注文を出している店に行って、用立ててもらうことにした。もちろんすぐにはできないので、出来上がったら学院まで送ってもらうように手続きをしておいた。
 ついでに既製品で着れそうな服を数着買ってから、店を出る。
「でもやっぱり黒なのね」
 似合ってるからいいと思うけど。でもモノクロって誰にでも似合うのよねぇ。
「キュルケじゃないけど、元は悪くないんだから、もっとお洒落すればいいのに」
 ふと思い出したキュルケの台詞をフィアースに言ってみるが、それでも首を縦に振らない。
「派手な服装は好きじゃない」
 まぁ、フィアースらしいといえばらしいんだけど。
 そんなことを話しながら軽食を摂るために店に入ると。
「はぁい」
「なんであんたがここにいるのよキュルケ!」
 そう、キュルケとタバサが陣取っていた。
「なによ、虚無の曜日なんだもの。街に出てきてたっていいじゃない」
「そりゃそうだけど……」
 何か先回りされたみたいで嫌だわ。
 でもまぁいいか、とその席に相席する。
「クックベリーパイと紅茶を2人前」
 ウェイターに注文を済ませると、キュルケが話しかけてきた。
「で、今日は何の用だったのよ?」
「フィアースの買い物よ。服と剣」
 へぇ、とキュルケの相槌。
 ちらっと目を向けると、我関せずとタバサは本を読んでいた。
「そっちは?」
「内緒」
 なによ、こっちには訊いといて内緒はずるいんじゃない?
 ちょっと気になったけど、わざわざ問いただすのも癪だったから、こっちも気の無い相槌を打っておいた。


   ◇◆◇


 運ばれてきたパイと紅茶は、とても美味いものだった。
「あんた、それ好きよねぇ。前も頼んでたでしょ」
「いいじゃない、美味しいんだもの」
 ルイズは、キュルケの家とは不倶戴天の敵同士だと言うが、この二人は仲がよさそうに見える。まぁ学友ともなれば仲が良いに越したことは無いのだろうが。
 ……ルイズに知られたら、すごい反論をされそうだ。傍から見るとどう見ても友人なのだがな。
「で、買ったのってその剣?」
 ひと段落ついたところで、下ろしてあったデルフリンガーを見てキュルケが言う。
「わたしはイヤだったんだけど、フィアースが気に入っちゃったのよ」
「ふぅん」
 キュルケの相槌。見てみると、分かりづらいが意味深な表情をしている。
614約束は次元を超えて1-5:2009/01/16(金) 01:26:51 ID:uLMPii/7
「さて、そろそろ行きましょうフィアース。今から帰れば大体いい時間だわ」
 そういえば、帰り道も3時間の馬旅だったな。
「分かった」
 俺の返事を受けて、ルイズは二人にも問いかける。
「あんたたちは?」
「あたしたちはもう少しのんびりしていくわよ。シルフィードは流石に速いわぁ」
 タバサの使い魔の竜に乗ってきたのか。それは確かに速いだろう。
 ちらりとルイズを窺うと色々思うところがありそうな、傍から見ると面白い表情をしていた。


 往きと同じく3時間かけて馬で帰ってきてみると、俺たちよりあとから出発したはずのキュルケたちが出迎えてくれた。
「ちょっ、ホントに速いわね!?さすがは風竜、ってところかしら」
「快適だったわよぉ〜?」
 あまりルイズを挑発してやるな……
 慰め、というわけではないが、ポンとルイズの頭に手を乗せる。
「何よ」
「いや、別に」
「じゃぁ手をどけなさいよ」
 裏目に出てしまったか。言われたとおり手を引っ込める。
「ふぅん?」
「……なによ?」
 意味ありげな目を向けたまま、キュルケは何も言わない。アレが彼女の性格とは分かってはいても、性質が悪いと言わざるを得ないな。
 そんなこんなしていると、我関せずとタバサが話しかけてきた。
「練習」
 ふむ、休日で稽古も休みかと思ったが、タバサはそうは考えていなかったようだ。
 時間もあることだし、それでは付き合うとしようか。

 カンカン、と木の棒を打ち付けあう音に紛れて、ときどき盛大な爆発音が響く。
 俺がタバサと稽古をしている間に、手持ち無沙汰だったのかルイズが魔法の練習を始めた。
 結果はご覧の通り。目標になった小石があったと思われる地点が、あちこちと陥没している。
 時々挟まれるキュルケの挑発にも耳を貸さず、次の目標へと杖を振り下ろす。
 ドオオオーン!
 そして、また爆発。
「どの魔法を唱えても失敗するなんて、ホント一種の才能よね。今更だけど」
「うるさいわね!気が散っちゃうじゃない!」
 ついにこらえきれなくなったか、ルイズが叫んだ。その苛立った、若しくは泣きそうな声に思わず手が止まる。
「すまない、ちょっと待ってくれるか、タバサ」
 彼女が頷くのを確認して、ルイズとキュルケに歩み寄る。
「キュルケ、ちょっといいか」
615約束は次元を超えて1-5:2009/01/16(金) 01:30:18 ID:uLMPii/7
「あら、どうしたの?」
 最初の授業の時、ルイズが爆発させた教室の片付けの際にルイズに一蹴された考えが、未だに頭をもたげ続けていたのだ。いい機会なので訊いてみるとしよう。
「魔法を失敗した時というのは、ルイズのように爆発したりするものなのか?」
 その言葉に、キュルケとタバサの動きが止まる。固まった、と言ってもいい。
「俺はあの教室の時に、レジストブロックで爆風を防いだ。それはルイズの爆発が魔法に近いものであることを示しているのではないかと思ってルイズに訊いて見たのだが、そんな魔法はないとルイズは言った」
「確かにあんな爆発を起こす魔法なんて、聞いたことないわね」
「それに、魔法を失敗しても爆発しない。精神力が霧散するだけ」
 近づいてきたタバサと顔を見合わせるキュルケ。
「ちょっとフィアースもキュルケもタバサも、何言ってるの?」
 先ほどの受け答えの意味が分かっていないのは、当のルイズだけのようだ。困惑した表情で話の流れに乗れないでいる。
「でも、だとするとどういうことなのかしら」
 得意ではないが、仮説を立てるとしようか。
「アレは、ルイズの魔法が正しく発現した形、若しくは他の魔法と互換性のない術式に因る魔力の暴走ではないか、と思うのだが」
「互換性のない術式?」
 よく分からないという表情で、ルイズが問い返す。
「トリステインで主に使われているのは、火・水・土・風の4要素に因るものであるのは間違いないな?」
 ルイズと共に授業を聞いているので、ある程度の知識は頭に入っている。
 三人が頷くのを確認して、言葉を続ける。
「では、その4大魔法『以外』の魔法を、4大魔法と同じ手順で使ってしまったとしたら。そしてその魔法が、4大魔法の術式以上の威力を持つものだったとしたら」
 沈黙が降りる。
 許容量以上のエネルギーを流された回路は焼け付き、爆発する。あの時、ロンバルディアのジェネレーターを暴走させ、爆発させたように。
 機械と魔法の違いはあるだろうが、同じことが起こる可能性が無いわけではないだろう。
「じゃあ、なに。わたしは4大魔法以外の使い手、ってこと?」
 ルイズが重々しく言ったその言葉を受け、タバサが口を開く。
「……『虚無』」
「そんな!だってアレは伝説の話で」
 タバサの思考もキュルケの反応も分かる。4大魔法以外で今は失われてしまった伝説上の属性があることは、授業でも時々話題に上ることがあるからだ。
 しかし。
「可能性の話だ。決め付けるには早計だし、証拠もない。
 だが、それらを別にしたとしても、あの爆発の攻撃力は侮りがたいものがあることは間違いない。ならば、それを使いこなしてみるのも一つの道だ」
「爆発を、使いこなす?」
 今まで考えたこともなかったのだろう。ルイズが呆然と問い返す。
「ルイズの爆発も一つの魔法として考えればいい。未知の物には前例など無いのだから。道がないのなら、作ればいい。
 それに、力そのものに善悪はない。敵を倒す力とは、味方を守れる力でもある。今ある力をどう使うかは、その力の持ち主次第だ」
 そう言って踵を返すと、タバサもついてきた。
「続き」
「あぁ」
 そうして再び、中庭に木の棒を打ち付けあう音が響きだした。



今回はここまでです。
途中改行ミスってる・・・Wikiに載せる時には直しておきます。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 01:33:48 ID:+i3GMJB1
カブトムシマニア乙。
お願い、フィアース、働いて!
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 05:52:09 ID:9RH6d3WU
ぬるぼ
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 06:02:29 ID:G0szCCbJ
ガッ
619ゲゲゲの使い魔:2009/01/16(金) 09:49:10 ID:hWmW9ja7
9時55分ぐらいに「ゲゲゲの鬼太郎」から鬼太郎が召喚されるSSを
投下します。
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 09:54:04 ID:MA+52E4f
>>619
どこの鬼太郎?
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 09:54:59 ID:57xedKTV
鬼太郎か……人と妖怪が絡まないと結構ドライなんだよなアイツ……
他の3人の使い魔が何か想像しつつ支援の手紙をポストに
622ゲゲゲの使い魔 01話:2009/01/16(金) 09:57:15 ID:hWmW9ja7
やぁ、人間の皆さん。僕はゲゲゲの鬼太郎です。
皆さんは僕が別世界に飛ばされたらビックリしますか、
今回は僕が別世界に飛ばされた話を紹介します。

それは今から数時間前、僕は父さんにおつかいを頼まれて街へ行ったときだった。
突然道の真ん中に現れた魔法陣みたいな鏡に僕は近づいた。
「なんだ、これは。」
僕がそれに手を触れた瞬間、僕はその鏡に吸い込まれていった。
そこから僕の生活が変わるのであった。

一方、後に僕が暮らすことになるハルケギニアでは、召喚の儀式が行われていった。
その中、ピンクの髪の女の子が召喚の儀式に挑戦していた。
後にその子が僕を使い魔にしていくのです。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!神聖で美しく!!そして、強力な使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ!
我が導きに、応えなさい!」
その子は杖を振り下ろすと、爆風が発生した。しばらくして爆風が消えたその先には僕の姿があった。
僕は立ち上がった。
「いててててっ、何処だろうここは。」
僕がここが何処だか周りを見渡そうとした時、ピンクの髪の子が僕に近づいていった。
「あんた誰?」
その子の問いに僕は答えた。
「僕はゲゲゲの鬼太郎、君の名前は?それにここは何処だか教えてくれないか。」
「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。呼ぶときはルイズでいいわ。
ここはハルケギニアのトリスティン魔法学校よ。」
ハルケギニア?そもそもそんな国は聞いた事がない。もしかしたら僕は別世界に飛ばされたのかもしれない。
僕がそう思っていると、周囲が騒がしくなった。
「平民を召喚したぞ!さすがゼロのルイズだ!」
平民?もしかして僕の事を言ってるのかな、だけど僕は腹が立つ気分じゃなかった。
別世界に飛ばされて僕は戸惑っているのだから。
「ちょっと間違えただけよ!ミスタ・コルベール!召喚をもう一度やり直させて下さい!」
ルイズが真っ赤になりながらローブを纏って杖を持っている中年の男性に反論した。
「駄目です。この神聖な儀式をやり直すことはできない!召喚した以上は彼が君の使い魔だ。」
男性にそう言われたルイズは僕に近づいた。
「五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」
ルイズがそう言うと、僕の唇に・・・ 

その時僕は慌てたのか、後ろに転んだ。しばらくすると僕の左手に文字みたいなのが刻まれる。
左手が熱くなって、僕は左手を抑えた。
「ルイズ、君って大胆だなぁ。」
「それはこっちの台詞よ!私だってあんたとキスしたくなかったんだから。」
キ、キス!?僕は顔を思わず真っ赤にした。
「平民のあんたにこんな事一生ないんだからありがたく思いないよ。」
なんて強気な女の子なんだ、それよりも僕の左手に刻まれた文字が気になり、ルイズに聞き出した。
「ルイズ、僕の左手に刻まれたこの文字何だい。」
「どれ?どうやら『コントラクト・サーヴァント』は成功したみたいね。」
623ゲゲゲの使い魔 01話:2009/01/16(金) 09:58:07 ID:hWmW9ja7
その後、僕とルイズは魔法学校の遼へと戻った。夜になり、窓から夜空を見渡すと、
月が二つあった。僕は驚いてルイズに問いかける。
「月が二つあるけど、どういう事なんだい。」
「そんなに月が二つあるのが珍しいの。」
「僕のいた世界では月が一つしかないんだよ。二つあるからビックリしたよ。」
僕の一言でルイズは驚いたようだ。ルイズが言うには、ハルケゲニアでは月が一つしかないのは一度もない。
その事でルイズは僕が違う世界から来たというのを信じたようだ。
「鬼太郎、私の質問に正直に答えて。いい?」
「分かった。」
「あんたが住んでいた所は何処?」
「僕は妖怪横丁の外れにある所で家で、父さんと一緒に暮らしているよ。」
「妖怪横丁?どういう所なの。」
ルイズが知らないのも無理はない。妖怪横丁は特別な方法を使わない限り人間は入ることができないから。
それから僕はルイズに妖怪横丁がどういう所なのかを教えた。
「あんたには仲間がたくさんいていいわね。その妖怪横丁とやらに、」
そう言うと、ルイズは少し悲しげな表情をした。
しばらくして、なんとルイズは僕の目の前で衣服を脱ぎ始めたのだ。
「ルイズ、僕の目の前で着替えるというのはどうかと。」
「何言ってるの、あんたは私の使い魔なのよ。ご主人様の為ならどんな事だってする『犬』なのよ。」
それからルイズと僕は眠りについた。ここから僕の生活の歯車が狂い始めるのです。

そして朝を迎えた時、僕はまだ眠っていた。だって僕はのんびりするほうがよかったから。
ルイズに召喚されてからは、のんびりすることもできなくなった。
「鬼太郎!いつまで寝てるのよ!」
ルイズが僕を起こした。なんで僕がこんな早くから起こされなれなければいけないんだろう。
心の中で僕はそう思った。
「何してんのよ、早く私の制服と下着取ってよ。」
僕はルイズに言われるまま、制服と下着を取り出した。次にルイズは僕に自分の着替えを手伝わされた。
こんな事今までなかった。悪い妖怪と戦う日々、横丁のみんなと楽しむ日々、僕のいつもの日常生活が夢のようだった。
それから僕はルイズに頼まれた洗濯をしに、外へ向かった。
624ゲゲゲの使い魔 :2009/01/16(金) 09:59:06 ID:hWmW9ja7
以上でゲゲゲの使い魔 01話の投下を終了します。
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 10:11:29 ID:T5rm1FwA
ダメだ、そんな事よりパパイアの根は煮えたのかい
って台詞が脳裏を過ぎる
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 10:31:17 ID:U7Xe+2iw
きらりん、リボーンと同じ匂いがする……
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 10:36:21 ID:v3atALfG
鬼太郎はタイムスリップする妖怪もざらにいるから、異世界くらいじゃなあ。
異世界って言ったら地獄もそうだし、次回からの独自展開に期待します。
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 10:47:48 ID:57xedKTV
鬼太郎って幽霊族なんだよね。
タバサは……
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 10:54:55 ID:ZpCR2TLL
葵ちゃんを、是非とも巨乳雪女の葵ちゃんを!
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 11:18:40 ID:GP5oMmGk
398 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 10:42:08 ID:yZoz5Ws2
鬼太郎の人は、小説の書き方云々の前にちゃんと国語を勉強したほうがいい

399 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 11:17:02 ID:1zltW6dY
たしかに
朝からひどいのを見てしまった
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 11:32:55 ID:puB9hH1c
くっらやみの〜なかでタ・バ・サがダァンス♪
(タバサびっくりしまくりのカットインが入る)
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 11:37:56 ID:Zp3PL4//
幽霊族という種族であって幽霊とは別物だぜ
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 11:43:36 ID:iLb9rWgP
>>631
想像して吹いたw
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 12:26:52 ID:A6nshjeD
>>632
悪霊型戦闘獣みたいなものですか?
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 12:48:43 ID:zADMTtbD
幽霊族って物凄く優れた超人種族みたいな扱いだったような。
サイヤ人並みに絶滅危惧種の。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 13:04:27 ID:kXkqpJdV
幽霊族は柱の男の種族よりも
数が少ない絶滅危惧種。
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 13:23:25 ID:wBUSGw2N
妖怪と人間の両方の特質(短所も長所)を持った
少数民族だったような・・・
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 14:11:20 ID:H/wp4rTG
じゃあ妖怪人間て事にしておこう
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 14:13:12 ID:MO/SB5b+
早く人間になりた〜い!
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 14:14:16 ID:2E7xeZhO
鬼太郎も大人になったら俺みたいになるんだぜ
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 14:31:18 ID:cn7T0DZ/
だが君の傍にあんな可愛い猫娘は居ない。
そこが決定的な差だな。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 16:10:30 ID:tBS5tg+o
墓場鬼太郎なら水の精霊を怒らせてトリステイン水没させるんだろうか。
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 16:19:12 ID:9VRBPWGa
檄・トリステイン華劇団!!面白かった
基本wikiでしか読まない俺が、はじめて感想言いたくなるくらい面白かった
連作短編形式で続きが読みたいですわ
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 17:18:31 ID:1S35LdCu
ぼのぼのからしまっちゃうおじさんを召喚

片っ端からしまわれるギーシュ、おマチ、ワルド、7万
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 17:25:58 ID:A6nshjeD
>>644
○○を召喚、という雑談は昨日から禁止されたんですぜ
専用スレが立ったのでそっち行けってさ
>>486
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 17:27:26 ID:MO/SB5b+
そこは削除されたぜ
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 17:33:49 ID:1IOLKbmn
破壊の杖はデル棒なんですね、解ります!
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 17:34:22 ID:A6nshjeD
そいつぁ失礼
つまり雑談解禁ですか
>>644さま、失礼致しました
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 17:51:22 ID:lsnyOJLx
>967 名前:言い出しっぺ ◆pLTNYd6DxQ[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 03:29:16 ID:hIvtSUW6
>許可というか確認というか。スレ乱立と拡散防止の為ですな
>
>それで、これは構想スレの範疇ですね。削除しました。
>厳密に分けたらキリが無いので。ご了承ください。

構想は練れるけれど文才がない人のためのスレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1227584310/

こっちでやれということらしい
まあこのスレでやっていいかどうかまでははしらんけどな
650日替わり使い魔の人 ◆VZdh5DTmls :2009/01/16(金) 17:51:31 ID:ojFKLwat
 皆さんお久しぶりです。ほぼ一ヶ月ぶりでしょうか。
 覚えている人がどれぐらいいるかわかりませんけど、一話で書き捨てとかにはせずに帰ってきました。
 一応、コツコツ4話まで書き溜めました。だいたい半日置きに、順次投下して行こうと思います。
 まず前回の続き、2話目を18:00に投下いたします。8レス消費予定。支援よろしくお願いします。
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 17:53:27 ID:cn7T0DZ/
グランバニア王ktkr!
最初は誰がやるんだろう…キラーパンサーとかかな?
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 17:57:32 ID:o3gbbkAm
取り敢えず事前支援
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 17:58:29 ID:lyBcgIMQ
支援せざるを得ない
 
 ――ルイズは夢を見ていた。

 フェオの月第三週、エオローの週第二曜日、ユルの曜日。春の使い魔召喚の儀式に臨む彼女は、期待に胸を膨らませていた。
 魔法が使えず、何を唱えても失敗して爆発ばかり。挙句についた二つ名は『ゼロ』。魔法成功率『ゼロ』のルイズ。いくら座学が優秀でも、いくら貴族としての礼儀作法を完璧に修得しても、魔法が使えなければ貴族足り得ない。
 無論、そんな彼女を認めてくれる者は、どこにもいなかった。
 だが、それも今日まで。自分は今日、使い魔を召喚するのだ。
 メイジを見る時は使い魔を見よ――その格言が示す通りならば、召喚した使い魔が強大であれば、それすなわち自身の才能の照明となるのだ。
 ならば、誰もが認める使い魔を召喚できれば、自分は『ゼロ』ではなくなる。馬鹿にされ続けていた惨めな日々は、もう終わるのだ。

 果たして、彼女が呼び出した使い魔は――

「やった……やったわ……!」

 その使い魔を見て、ルイズは感動に打ち震えた。それは一言で言えば、亜人であった。
 緑色の肌の筋肉質な上半身に乗っかっているのは、立派な髭をたくわえた歴戦の兵士もかくやといった厳つい顔だった。だがその頭からは角が生え、下半身は獣のそれだ。その上、背中からはドラゴンのような翼が生えている。
 呼び出された亜人は、バトラーと名乗った。バトラー……執事か。公爵家の三女の使い魔になるのに、なんと相応しい名前だろう。
 その使い魔を見て、周囲からも驚きの声が上がる。

「すごい! ルイズがとんでもない使い魔を召喚したぞ!」

「もう『ゼロ』なんて呼べないわね! おめでとう、ルイズ!」

「ふふ……負けたわ、ヴァリエール」

「さすが」

 彼らは――仇敵のツェルプストーや、普段口を開かない青髪のクラスメイトすらも、「すごい」だの「さすがだ」だのと口々に褒め称え、喝采を上げた。
 そうだ。これでもう『ゼロ』じゃない。これから私の、栄光に満ちた偉大なるメイジとしての道が、始まるのだ。

「ありがとう……みんな、ありがとう……!」

 ルイズは涙を流し、自分を褒め称えてくれるみんなに感謝した。

 だが――ルイズは気付く。
 そのクラスメイトの中に、青紫色のボロを身に纏った、どこかで見覚えのあるような平民が混じっていることを。
 彼はにこやかに笑い、口を開いて――



「ザメハ」



 それはなぜか男の太い声ではなく、鈴を鳴らしたような可憐な女性の声であった。
 
「ひゃうわっ!?」

 いきなり眠気の一切が吹っ飛び、ルイズは素っ頓狂な声を上げて布団から飛び起きた。

「あ、起きたねルイズ」

「失われた古代の目覚めの呪文、成功したようですわね」

「ああ。これで明日から、子供たちを起こすのも楽になりそうだ」

「いやですわ、あなたったら。楽することばっかり」

「え!? え!?」

 横から聞き慣れない男女の声が聞こえ、ルイズはわけがわからないままそちらに顔を向けた。
 するとそこには、青紫色のボロいターバンとマントに身を包んだ、いかにも平民っぽい黒髪の男。そしてその隣に、小奇麗な白いドレスを着た、いかにも淑女といった物腰の青い髪の美女。腰には杖を差している。
 美女の手には、ボロボロになった古ぼけた本があった。何かの古文書だろうか――いやそんなことより。

「だ、だだだだ誰よあんたたち!?」

「いや誰って……昨日、君に召喚された使い魔のリュカだけど」

「へ? いや、私の使い魔はもっとこう……」

 そうだ。確か、もっと立派な使い魔を召喚し、みんなから拍手喝采の嵐……あれ? そうだったっけ?
 リュカの言葉に、ルイズは直前まであった記憶が急にあやふやなものに感じた。そういえば、みんなに認められるほどの使い魔と言うが、何を召喚したんだかよく覚えてない。ドラゴンだったような、亜人だったような……

「もしかして……夢?」

「すっごく幸せそうな寝顔だったんで、起こすのが悪い気がしたんだけどね」

「ああああ……」

 申し訳なさそうなリュカの言葉に、ルイズはようやっと現実に引き戻された。
 始祖様ステキな夢をどうもありがとう。彼女はベッドの上でがっくりとうなだれ、呪詛を吐くような気分で始祖に感謝の言葉を贈った。

「あ……」

 と――そこで彼女は、急速に思い出されてきた昨日の記憶と共に、一つの疑念が心中に浮上してきた。
 彼女はガバッと顔を上げ、本物の自分の使い魔――リュカを見上げる。

「そうよ! あんた! 昨日の! 昨日のアレ! い、一体何!?」

「昨日の?」

「帰るとか言って、突然消えてっちゃったアレよ! 何なのよ、アレは! 見たことも聞いたこともないわよ!?」
 
「ああ、ルーラね」

 問い詰められ、リュカは大したことでもない様子で頷いた。

「あれは移動用の呪文で、一度行ったことのある町や村とかに、一瞬で行き来できるやつなんだけど……こっちには、そういうのないの?」

「え……何その便利魔法? もしかして、先住魔法?」

「先住魔法ってのが何なのかわからないけど……あ、そういえば忘れてたけど、これって失われた古代呪文だったんだっけ。まあどのみち、こっちの呪文とハルケギニアの魔法とは体系が違うみたいだから、ルイズが知らないのも無理はないか」

「…………」

 リュカの説明に、ルイズは開いた口が塞がらない。魔法の体系が違うということは、話半分に聞いていたとはいえ、昨晩話してもらったことなのだが――まさか、ここまで異質な魔法まで存在するようなものだとは、思っていなかった。
 疑うにも、昨晩実際に目の前で見せられたこともある。まあ、とりあえずカラクリがわかったのであれば、何も言うまい――興味はあるので、後できっちり話は聞かせてもらうが。

「と、とにかく――リュカ!」

 ルイズは気を取り直すため、コホンと一つ咳払いした。そしておもむろに、ビシッ!とリュカに指を向ける。

「昨日も言ったけど、あんたは私の使い魔なの! もう勝手にいなくなるのはダメ!」

「そんなこと言っても、僕にも仕事が」

「口答えを許した覚えはないわよ!」

「えー」

 主人の威厳を示そうと、厳しくリュカを縛ろうとするルイズ。そんな彼女に、リュカは困ったような様子で頭を掻いた。
 と――

「まあまあ……そう興奮なさらないで」

 そこで横から、それまで黙って二人のやり取りを見ていた女性が、割って入ってきた。
 ルイズはそこでようやっと彼女の存在を思い出し、訝しげな視線を向ける。

「そういえば、聞くの忘れてたけど……あなた、誰?」

 少なくとも、平民ではなさそうである。だが、貴族の女性がこんな早朝に自分の部屋に、しかも使い魔の平民と一緒にいる理由がわからない。
 しかしルイズのその問いに、女性は何ら臆することなく、スカートの両端をつまんで優雅に一礼すると――



「初めまして。私、リュカの妻のフローラと申します。今日は多忙な夫に代わり、一日あなたの使い魔を代行させていただくことになりました。よろしくお願いしますね、ルイズさん」

「……………………はい?」



 その丁寧な自己紹介で告げられた内容を、しかしルイズはすぐに理解することができず、たっぷり十秒ほどの間を空けた後で間の抜けた声を上げた。
 
 ――その後、ルイズはフローラに着替えを手伝ってもらった。

 リュカは、フローラによって部屋から追い出されている。
 ルイズとしては彼に手伝わせるつもりだったのだが、まあ確かに召使い――もとい使い魔とはいえ、男にやらせることではないかもしれない。こういうのは通常、召使いに手伝わせるにしても、同性にやらせるものなのだから。

(ってゆーか、何この夫婦? わけわかんない……)

 夫の方は、平民でもここまでみすぼらしくはないだろうと言うほど、汚らしいボロを身に纏っている。かなり年季の入ったその身なりは、どれほど長い間風雨に晒されていたのか、ルイズには想像もできない。
 その一方で、妻の方は至って綺麗なものであった。服装は元より、その容姿さえもが可憐で美しい。物腰も優雅で育ちの良さを伺わせ、どう見ても貴族にしか見えないほどである。
 そんな二人を『夫婦』という等号で結びつけるなど、ルイズにはとても無理なことであった。いくら本人たちにそう言われたからとて、簡単に信じることなどできない。からかわれたと思った方が、まだ納得できる。

 が――たったの二言三言とはいえ、仲睦まじく会話を交わすその姿には、とても割り込めないものを感じた。

 それが芝居によるものか、本物の恋愛感情によるものかなど、まだ生まれて十六年しか生きてない――しかも恋愛経験など皆無の――ルイズには、到底わかりようもないことであった。

「…………知恵熱出そう」

「はい?」

「ううん、なんでもないわ」

「そうですか? はい、これで終わりです」

 フローラに言われて自分の体を見下ろすと、なるほど確かに着替えは終わっている。なかなかの手際であった。



 その後部屋を出たら、そこで待っていたリュカが何をしていたかというと――

「うん。確かになかなか格の高そうなモンスターだね」

「そうでしょう? 違いがわかるのね、あなたって」

「まあ、これでも魔物に対してはちょっとした目を持ってるし」

「あら。面白いこと言うのね、あなた」

 などと、ルイズの仇敵たるキュルケと、使い魔をダシにして戯れていた。
 それを見て、ルイズは当然――

「何をやってるのよ、あんたはーっ!」

「おぐぅっ!?」

 ――額に青筋を浮かべて叫び、リュカの股間を背後から問答無用で蹴り上げた。
 自身の『切ない部分』を蹴り上げられ、リュカは顔を青くして悶絶する。

「あらあら。元気ですわね、ルイズさんは」

 悶絶する夫を見ても顔色一つ変えず、フローラはそう言ってほほ笑んだ。
 そんな視線の向こうでは、フレイムが仲間になりたそうに倒れたリュカを見ていた。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:06:48 ID:0N0Lt7nb
石にならずに我らの王様が帰ってこられた!支援せざるを得ない!
 
 ――それからリュカは、ルイズが怒鳴りながら必死に引き止めるも、のらりくらりとかわしてルーラで帰って行ってしまった。
 その際彼は、「夜には迎えに来るから」と言ってフローラを抱き寄せて口付け――いわゆる『いってきますのキス』をし、傍で見ていたルイズとキュルケに砂糖を吐かせたものである。

「うわ……いくらなんでも、人前で惜しげもなくやる?」

「微熱どころの熱じゃないわね……はいはい、ごちそーさまごちそーさま」

 ちなみにそのせいで、キュルケは使い魔ネタでルイズをからかうのを忘れてしまったのだが……まあそれはどうでも良いので割愛。
 その後キュルケと別れたルイズは、「自分の使い魔の妻」という微妙な立場の女性と共にアルヴィーズの食堂で朝食を摂った。
 動物や幻獣などの使い魔を期待していた彼女は、自分の足元で使い魔に餌をあげるという光景を夢想していたものだが、さすがに淑女然としているフローラ相手にそんなことはできない。
 見た目貴族っぽい雰囲気を持つ彼女にそんなことをしたら、自分の品位が疑われる。そんなルイズの心境も知らずに「美味しいですね」とほほ笑むフローラに、ルイズは引き攣った笑みを返すしかできなかった。

 ――そして、教室――

「あらあら」

 ルイズと共に入るなり、フローラは目を丸くして驚いた。先ほど目にしたキュルケのサラマンダーを筆頭に、バグベアー、スキュアなど、魔物にしか見えないものが数多くいたからだ。

「普通の小さな動物さんもいっぱいいらっしゃるんですね……ルイズさん、もしかしてこの子たち全部?」

「ええ。使い魔よ」

「まあ……」

 フローラの問いに短く答えたルイズの言葉に、彼女は感嘆の声を上げた。
 その後、ちゃんとした使い魔を呼べなかったルイズに野次が飛ぶ――かと思いきや、彼女と一緒にやってきたのは昨日の平民の使い魔ではなく、マントこそ着用していないものの、杖を持つ貴族のような物腰の女性。
 これにはさすがにどう野次を飛ばしたら良いのかわからず、クラスメイトたちは大いに戸惑った。そんな彼らに、フローラは優雅に一礼して本日三度目となる自己紹介をすると、周囲に更なる喧騒が巻き起こる。
 ちなみに二度目の自己紹介の相手であったキュルケは、興味深そうに様子を見ているのみだ。

(……私だって、どうしたらいいのかわかんないわよ!)

 その渦中にいるルイズは、そんな周囲の戸惑いを敏感に感じ取り、胸中で叫びを上げた。
 そんなルイズの心境を知ってか知らずか、フローラは彼女に疑問を投げかける。

「あの、ルイズさん……見たところ、ここにいる人間は全員メイジのようですが、もしかして人間の使い魔っていないのですか?」

「そんなのいるわけないでしょ。普通は人間以外のものが召喚されるものなのよ。ったく、もう……私だって平民なんかじゃなくて、もっと皆の注目を独り占めできるようなすっごい使い魔を召喚したかったわよ……」

「注目を独り占め、ですか? 今がまさにそうだと思いますけど」

「これは違うの! 私が欲しかったのは、こんな注目じゃ……はぁ、もういいわ」

 からかってるのか本気なのかいまいちわからないフローラのコメントに、ルイズはため息をついて自分の席へと向かった。
 フローラはその後ろについて行き、ルイズの隣に腰掛ける。あからさまに落胆の色を見せる彼女を視界に収めながら、彼女はぽつりとつぶやいた。

「皆の注目を独り占めできるような使い魔……ですか」

 すぐ隣にいるルイズにさえ聞こえないぐらいの小さなつぶやきの後、彼女は「んー」と考え込んだ。
 
 ――やがて授業時間を迎え、教室に女性教師が入ってきた。
 彼女は『赤土』のシュヴルーズ。教壇に立つと生徒たちをぐるりと見回し、使い魔たちの姿を確認するとにっこりとほほ笑む。そして社交辞令的な挨拶を終え、フローラに目を留めると、彼女による四度目の自己紹介がなされた。
 シュヴルーズも生徒たち同様に驚きはしたが、人間の使い魔を召喚したとなればそういうことも有り得るとでも思ったのか、さほど大袈裟な態度は取らなかった。

 授業が始まると、フローラは熱心に授業を聞き始めた。
 リュカは「自分の住んでいる場所とは魔法の体系が違う」と言っていたが、彼女はその違いに興味があるのだろうか? 時折ルイズに質問しながら、ふんふんと頷きつつ聞き入っている。

「ルイズさん、トライアングルとかスクウェアとかって何ですか?」

「それはね……」

 フローラの質問に、ルイズは律儀に答える。
 四つの系統、足せる属性の数、それによって決まるメイジのランク――その説明に、フローラはあからさまに瞳を輝かせた。

「……ということよ」

「そうなんですか……なかなか興味深いですわ」

「ミス・ヴァリエール! 授業中の私語は慎みなさい!」

 が――そんな会話をシュヴルーズは聞きとがめた。
 そして彼女は、罰としてルイズに錬金魔法の実践を命じ――しかしそれは、教室中の生徒の反対の嵐を受けることとなる。
 だがそれは、かえってルイズの対抗心に火をつける結果になってしまった。彼女はムキになってシュヴルーズの指示を承諾し、教卓の上に置かれた石に向かい合った。

 ――後の結果は、大方の予想通りである。

 ルイズの起こした爆発に教室はパニックとなり、阿鼻叫喚の地獄絵図が出来上がってしまった。
 その中心で、騒ぎの元凶とその使い魔代理はというと――

「ちょっと失敗みたいね」

「とても見事なイオでしたわ」

 まったく悪びれもせずにズレたコメントを残していた。

「ちょっとじゃないだろ、ゼロのルイズ!」

「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」

「ってゆーかイオってなんだよ!?」

 教室中からのツッコミの声が木霊した。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:11:36 ID:v3atALfG
支援、ずっと待ってました!
けど、半日おきってのは急すぎでは? もう少し間をおいてゆっくりでもいいんじゃないですか
 
「「…………」」

 誰も居ない教室の中、ルイズとフローラは黙々と片付け作業を進めている。
 あの後、息を吹き返したシュヴルーズによって教室の片付けを命じられ、フローラと共に作業をしているところだった。魔法を行使しての作業を禁じられたが、元より魔法の使えないルイズには関係のないことである。

「……はぁ」

「どうかしましたか?」

「なんでもないわよ」

 思わずこぼれたため息に、フローラが心配そうに声をかけた。だがルイズは、持ち前のプライドの高さから、その気遣いを跳ね除ける。

「ルイズさんって、凄い才能を持ってるんですね」

「……何言ってるのよ? 嫌味?」

「違いますよ」

 訝しげに眉根を寄せるルイズに、フローラはにっこりと笑みを向けた。

「お尋ねしますけど、系統魔法って失敗したら爆発するものなのですか?」

 その問いに、ルイズは首を横に振った。
 普通は、失敗すれば発動しないものである。詠唱も間違ってないのに、発動するのは爆発のみ。失敗と一言で片付けるには、その現象は異常に過ぎた。
 無論、彼女の周りの人間も、ただ何も考えずに失敗と決め付けていたわけではない。
 他に例を見ないその現象を解明し、ルイズが魔法を使えるようになるため、父も、母も、姉も、そしてこの学院の一部教師も、書物を漁った時期があった。
 が――皆は既に匙を投げてしまっている。諦めていない者は今はもう、ルイズ本人を残すのみであった。

「ルイズさんはきっと、自分の力の使い方を見つけてないだけだと思いますわ」

 しかしそんなルイズに、フローラは笑みを崩さないままそう言った。

「私も魔法を使う者ですのでわかるのですが、さっき爆発を起こした時、凄い『力』の流れをルイズさんの中から感じました。
 こっちの魔法の法則はまだよくわかりませんが……私が思うに、あれはたぶん、あなたの『力』が唱えた魔法の法則に収まりきらずに起こった――いわゆる暴発に類するものなんじゃないかと思います。
 その杖についた手垢を見れば、ルイズさんが今まで、どれほど努力してきたかわかりますわ。でも、こっちの魔法に明るくない私では、ルイズさんの悩みを解決するだけの知識は持ち合わせてません。
 ですが……あなたの中に、誰にも負けない才能が眠っていることだけは、間違いないと断言できます。
 その才能が開花する時は、いつか必ずやってくるでしょう。それはもしかしたら、ルイズさんが望んだ形ではないのかもしれませんが……その才能は、ルイズさんが今まで積み重ねてきた努力に、きっと応えてくれるはずです」

 そこまで言って、フローラは「だから、諦めないでくださいまし」と締め括った。

「あ、当たり前でしょ。誰が諦めるもんですか」

 そんなフローラの励ましに、ルイズはそっぽを向いて唇を尖らせた。
 が――そんな素っ気無い態度を取られたフローラは、しかしルイズが今どんな表情をしているかを悟り、くすりと微苦笑を漏らした。

「あらあら。褒められるのに慣れてないんですのね」

「うっさいわよ」

 ルイズのその返答は、フローラの笑みを崩す効果足り得るものにはならなかった。
 
 一方その頃グランバニアでは、リュカが王族としての正装に身を包み、チゾットの村長と会談するべく護衛を伴って山を登っていた。
 魔物もいるにはいるが、大魔王が倒れて邪気が世界を覆うこともなくなったため、いたって大人しいものである。彼らは基本的に人前には姿を現さず、人とは関わらずにひっそりと暮らすのみだ。

 ――そのはずなのだが。

「えっと……」

 リュカがひとたび物陰に視線を向けると――



 ――ミニデーモンが仲間になりたそうにこちらを見ている。

「……」

 メッサーラが仲間になりたそうにこちらを見ている。

「…………」

 はぐれメタルが仲間になりたそうにこちらを見ている。

「……………………」

 メイジキメラが(ry
 ベロゴンロードが(ry

「…………………………………………」



 おかしい――明らかにおかしい。
 いくら世界を覆う邪気がなくなったとはいえ、こうまで簡単に懐かれることは、今までなかった。しかも懐く可能性がない魔物まで、好意的な視線を送ってきている。そもそも、戦闘すらしていない。

「……『ひとしこのみ技』は使ってないはずだけど」

 なにげにメタなことをつぶやき、しきりに首を捻るリュカの右手では――
 ――使い魔のルーンが、淡い光を放っていた。
664日替わり使い魔の人 ◆VZdh5DTmls :2009/01/16(金) 18:14:49 ID:ojFKLwat
 以上、投下終了です。支援ありがとうございました。
 3話投稿は明日の8時か9時ぐらいを予定してます。
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:16:48 ID:zI+AxPRo
投下乙です
元のゲームをやってないせいか
>メッサーラが仲間になりたそうにこちらを見ている。
で、どうも紫色の巨大MAが思い浮かんで困るwww
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:20:35 ID:puB9hH1c
>あんな可愛い猫娘は居ない。
2期猫娘似のカーチャンなら居るかもだが…
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:20:43 ID:m/edmTem
乙でした。
「ひとしこのみ技」……この作品内の世界では確立した技なんですか?!
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:20:56 ID:43O4ZBNP
日替わり乙。はぐれメタル来い来い


>>649
禁止とかできる話題じゃないと思うんだな。スレタイとかテンプレ的な意味で。
SS歓迎の雑談スレって体制は変わってないだろうし、ウザいならスルーは基本だし
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:25:26 ID:lyBcgIMQ

つか、フローラは何を使い魔につれてくるんだw
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:31:44 ID:mEpMGBzb
日替わりの人、乙
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:41:12 ID:A6nshjeD
グレートドラゴンとかキラーマシンとか来たらステキな騒ぎになりそうですね


爆弾岩とか・・・・・・・・・・
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 18:47:53 ID:z3v8hln4
>>671
確かに、どういうものか知ってたら色んな意味で注目集めるな、爆弾岩はw
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:02:57 ID:1VaIZPsI
日替わり使い魔の方、乙でした。
かなり楽しみにしてましたので投下してくださり、本当に嬉しいです。
VS ギーシュ、 VS ゴーレム、 VS マチルダで誰がやってくるのか・・・

楽しみにしてます。
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:05:28 ID:DsJ0h3Fo


>>667
きっとスーファミ版なんだよ
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:07:40 ID:6z1e5WEF
日替わり使い魔氏、投下乙でした。
ネタ潰しになるから詳細は自重しますが、vs青銅ゴーレムとvsマッドゴーレムには期待しています。
でも、人材揃いすぎでネタ潰しになるどころか誰を出そうか選択肢に困るぐらいかなw
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:20:23 ID:yyOy05jv
注目を集める使い魔候補 踊る宝石
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:30:53 ID:S7ufKa5T
>>676
キュルケが思いっきり反応しそうだなw
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:32:53 ID:zI+AxPRo
ウィズ4小説の10F守護者にクリーピングコイン渡して油断したところをフルボッコな場面を思い出したw
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:33:48 ID:4u1rizyj
妻がフローラということは、子供の髪は青。
娘の登場が楽しみですな。
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:43:06 ID:+eKZfVUv
>>679
それ何てタバサw
681名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:52:45 ID:G9N8Buap
日替わりの人乙です。
お待ちしておりました
m(__)m
次回にwktk。
682名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 19:58:54 ID:57xedKTV
やっぱりフローラですよね乙!
683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 20:02:32 ID:4CNgPzth
乙でした〜!
次は誰がくるかなとwktkwktk
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 20:03:43 ID:xPxJkAPL
大穴狙いでアル中のブロンド!
685ゼロの騎士団:2009/01/16(金) 20:09:02 ID:ay34VgGy
はじめまして、投下予告させていただきます。
元ネタはSDガンダム外伝ジークジオン編よりアルガス騎士団を召喚します。
8時15分を予定しています。予告はこんな感じでいいんですか?
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 20:10:15 ID:ipoZNdp9
うむ
まずはsageれ
687ゼロの騎士団:2009/01/16(金) 20:12:44 ID:ay34VgGy
こんな感じでいいですか?
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 20:13:43 ID:DIGdVgRP
おk
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 20:14:15 ID:1IOLKbmn
>>685
さようなら
690ゼロの騎士団:2009/01/16(金) 20:15:24 ID:ay34VgGy
ゼロの騎士団 プロローグ

今とは違う時代
どこかにあるというスダ・ドアカワールド・・・
今、一つ長きにわたる戦いが終結の兆しを見せていた。
ムーア界 ジーク・ジオンの住むティターンの塔
後に、伝説の勇者ナイト・ガンダムとジーク・ジオンの決戦の場として語られる事となる。
ナイトガンダムは宿敵ブラックドラゴン、そして、ジーク・ジオンを討つべくナイトアムロ、アルガス騎士団と共に乗り込んでいった。
そして塔の頂上でパワーアップしたネオ・ブラックドラゴンと相まみえることとなる。
ネオ・ブラックドラゴンの力は圧倒的でありナイトガンダムをもってしても歯が立たなかった。
ネオ・ブラックドラゴンがとどめを押さそうとしたその時、突如二人を閃光が包んだ。
二人はもとは一つであり、その正体であるスペリオルドラゴンであったのだ。
業を煮やしたジーク・ジオンはスペリオルドラゴンを倒すべくついにその恐るべき正体を現した。
スペリオルドラゴン、アムロ、アルガス騎士団はジーク・ジオンに最後の戦いを挑んだ。
それは、死闘と呼べるものであり、一人、また一人と戦列を離れ最後にはスペリオルとナイトアムロだけになっていた。
「ナイトガンダム殿・・我々の力を!!」
アムロはアレックスの声を聞いた。
「この世界に平和を!!」
ゼータの声と共に竜の盾がスペリオルの体を守るように
「我々の力を!!」
獅子の斧がスペリオルの左手に握られた時、アムロはダブルゼータの叫びを聞いた。
「今こそ、ジーク・ジオンにとどめを!!」
ニューの願いとなって、梟の杖がスペリオルの体を包む。
「くらえっ!ジーク・ジオン!閃光斬!」
スペリオルが黄金の閃光とともにジーク・ジオンを二つに切り裂いた。
二つに裂かれ光となるジーク・ジオンの間にいる。スペリオルガンダムの背を見たのが、アムロがムーア界で見た最後の光景だった。
アムロが目を開けた時、そこにはフラウ姫の顔があった。
「・・ガンダムたちは?」
朦朧とした意識で一番聞きたい事を聞く
「わかりません・・大きな閃光と共に気が付いたら、あなただけがここに倒れていました。」
「ガンダムたちは・・ジーク・ジオンを倒し・・いったいどこに?・・なぜ自分だけが?・・」「アムロ、あなたは選ばれたのでしょう。このスダ・ドアカワールドを守っていくために・・」
夜、あたりを包まれた闇の中一筋の光が昇っていく。
(あの光はガンダムだろう、彼は帰って行くんだ・・)
安堵から、薄れゆく意識の中でアムロはあの光がガンダムだと思った。そして、一つの疑問が生まれた。
(あれがガンダムとするならば・・ほかの騎士たちはいったいどこに?・・)
アムロはそこで意識を手放した。

「ほかの騎士たちは一体どこに?・・     」
T                   T
T                   T
T                   T
T                   T
T                   T
―――――――――――――――――――――――
T新たなる始まりT彼らはどこにT PROLOGUE  T
T       T行ったのか?T       」
691ゼロの騎士団:2009/01/16(金) 20:17:28 ID:ay34VgGy
投稿終了させていただきます。最後のはカードダスを
AAぽっくしてみたんですが失敗してしまいました。
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 20:27:53 ID:xPxJkAPL
乙!

AAは専ブラ使うと良いらしいですよ。
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 20:48:59 ID:GbAv0fY6
うわw超懐かしいw
ナイトガンダムは何気に凄いOVAの出来いいんだよな
694名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 20:59:30 ID:dFpxE+CJ
乙でした。
だけど、確か騎士アムロはムーア界には行けなかったんじゃなかったっけ?
一緒にというか、ムーア界で合流したのは騎士シャアでは?
695名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:02:43 ID:zf0npmLC
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ほかの騎士たちは一体どこに?・・・             ┃
┠──────────────────────┨
┃                                            ┃
┃                                            ┃
┃                                            ┃
┃                                            ┃
┃                                            ┃
┃                                            ┃
┃                                            ┃
┃                                            ┃
┠───────┬──────┬───────┨
┃新たなる始まり │..彼らはどこに.│ PROLOGUE ...┃
┃              │ 行ったのか?. │              ┃
┗━━━━━━━┷━━━━━━┷━━━━━━━┛

勝手に修正
カードダスってこんなんだっけ・・・?記憶が薄いw
中の絵は各自の脳内で補完してくれ
696名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:10:08 ID:0WyzB74n
>>694
導きのハープだかの効果でムーア界の道が開いて、ガンダム以下4名はムーア界に行き、
アムロはそれに付いて行こうとしたけど資格なしと判断されて(?)弾き飛ばされたんだっけか。
697ゼロの騎士団:2009/01/16(金) 21:10:53 ID:ay34VgGy
>>694
イメージ的にはファミコン版のナイトガンダム物語2光の騎士
をイメージしています。
>>676
ありがとうございます。自分のイメージにぴったりです。
他のキャラとかも考えてます。
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:14:18 ID:lsnyOJLx
>>691
テンプレとかもまともに読んでないしここはゼロ魔スレなのだから
ルイズとの対面くらいは一回の投下で進めて欲しい
とりあえず半年romれ
699名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:23:02 ID:0uURXwgM
>>698
sageに関しては作者さんが悪いけど、
一回の投下でルイズと対面させろっていうのはただの好みの問題では?
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:24:20 ID:DTmsz6HI
AA続けんの? 続けるならエディタ導入した方がいい。
今回のを見る限り、毎回「ずれたorz」とか言いそうだし。

ところで、wikiに転載した時に体裁崩れないんだろうか。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:27:42 ID:WpT69mPF
つーか、それ以前にAAを安易に使うなと言いたい。
ただでさえこの所埋めにAA使う奴の所為でAAに対する忌避感強くなってる傾向あるし。
まあ、それもここ暫くのスレを見てれば容易に察する事が出来る事だろうに。
702694:2009/01/16(金) 21:31:21 ID:dFpxE+CJ
>ゼロの騎士団様
ファミコン版はやったことなかったので…失礼しました。
そうか、ボンボンコミック版とは違うのか。
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:31:52 ID:f/FnfH3r
そうやって絡むから俺みたいな馬鹿が調子に乗るんだ
黙ってスルーできないのか?
                                                _
                                   __ l7 _,.ィ:´ ̄    ̄ :.ー-、
                                       / : 〉|レ:.         . . : : : :.\
                                /: : : </: : . ,. -‐ : : ̄,イハ: .: : : : : :ヽ/7
                               /.: : ::// : /:: : :: :: :/}/ !:ト、:: :: : : : !/ー┐
                              /.: :: ://:,イ::_;>' ´ /  |/ ト、:: :: :|\: |
                             /.: :: ./ ./://:: :/_ ̄`ヽ、  /  ハト、: : |∨ :|
                            /.: :: :/  /:/ /:: /! 千示テュ、   -─-、|: : .| : : :|
                           /.: :: ./   レ′/: /(l { 辷ソ      ィテ卞ュ.!: : .! : : .|
                             / .:/.: ./        |: 八,ハ          弋ソ //:: /|. : :. ',
                         /.: / : :/        |/  ∧       '     ,イ |:/ 人:: ::ハ
                           |: / : :/          !   _,」\  { ̄ フ    /|:| /    \:: ::\
                           |/!: : {        /~了 ̄ ト、 \`ー _,.  イ !:|,′     \.: ::\
                           |: /|      /    |    |  \._`て、      j/          \:: :ハ、
                          |/ ヽ   /   ハ   \   / |\                );: :| \
                             /     / ハ    \ ,/  .| /ヽ           //:: :|   )
                            /       /   !\_,. -─ト、 / /  !           / ./.: ::/
                            /        /   |   |_//-∨ /   |           /.::/
                           /       ,イ   |  ヽ_/l    |   /            //
                          /       /|    〉   | !   .| ./          _,/
                    /       /  ノ    ./     / /   / ./
                   /       /  /    /    / /   //
                  /  ___,. --┴一'′´ ̄ ̄    ./ /  //
                ∠ -‐ ´ _,.  -──          / / ./ /
              /\        ____,..  --─=// ./  |
             /| : : : :`ー-- 二 ̄         ___,./! /  /l   |
            / |: : : : : : : : :/ `ー--┬ ' ´    /| |lー=〈./   |
          厶、  | : : : : : : : ..ム- 、__   \__,. イ ||   ヽ  |
         /7_/\__| : : : : : : : /    \>- .、     | .||   |   」
          〈--‐'   メ! : : : : : : /     \二二ニー 、└ー! |   |__ノ \_
        〉二  / | : : : : : :.|       ヽ二二二ニ>ー| |   \_ ーァ′
         `ー一 ′ \ : : : :.|        ト-r‐ '´     | |   / ` ̄
                   \: : :|        |: :ヘ      | |  /
                    \,|        |: : ハ      |_|/|
                   |        |-─!         |
                        |         | |         |
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:39:07 ID:lsnyOJLx
>>699
確かに言い方が悪かった。
まともな分量で必要描写を書いてたらそこまで行きませんでしたって
状態なら言わんけど連載するつもりでこれって酷いと感じたんで

705名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:46:22 ID:MIfEuPt/
またおっぱいの話かよ……
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:47:48 ID:wnFNORbL
桂花かわいいよ桂花
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:48:18 ID:oLWFwulb
もういっぱいいっぱいだな
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:48:34 ID:wnFNORbL
誤爆した
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:51:53 ID:XVhMFLBB
>>706
すぐに魏√をする作業に戻るんだ
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 21:59:02 ID:e3QtaA03
呉√も捨てがたい
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:12:31 ID:5dRGTurn
買ったけど、やる暇がねぇ
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:18:57 ID:LSBPaO8f
次スレの季節ですね
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:20:33 ID:9ZSkF8pV
日替わり使い魔の方乙!
ここはフローラ様の姉上様も!エレ姉様あたりと絡ませて!
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:21:01 ID:lK5tEnRC
うん、次スレの季節だね
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:25:51 ID:hSRuhgGf
>713
エレオノール姉様VSデボラ――ツンデレ系横暴姉最強対決!?
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:28:21 ID:1VaIZPsI
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:38:27 ID:e3QtaA03
>>716
立てやがったな!?乙だ!!!
718名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:41:53 ID:0WyzB74n
>>716
乙。

500kbなら、死んでも明日中に最新話を投下する。
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:42:56 ID:DTmsz6HI
やる気ゼロだなw
720名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 22:45:51 ID:0WyzB74n
いや、このまま普通に進めてても明日には書き上がりそうなんだけどね。
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:03:42 ID:diji7AKD
そういや明日はセンター試験か、
AA投下すんならちっとは景気良いヤツお願いしたいね、とかつての受験生が言ってみる
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:10:25 ID:/mzJkSdK
   ,、,、
  (・e・) ウルセーバーカ
   ゚しJ゚
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:11:23 ID:+MKjqEu3
500kbならレッドパンチャーが召喚される
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:13:02 ID:MO/SB5b+
500kbならライエル召喚
ルイズの心に深い傷が……
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:13:15 ID:8S/xAuFd
500kbならテトラボーイが召喚される
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:14:28 ID:EIVYMHVE
レッドパンチャーとはまた懐かしいものを
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:14:32 ID:zADMTtbD
500kbなら問題作が投下されて大荒れ
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:19:04 ID:0uURXwgM
>>727
おい
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:20:53 ID:0WyzB74n
問題作と意欲作の境界線ってどこにあるんだろうな。
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:21:10 ID:NgJ1Z3yf
500kbならメガテンVを一時中断して今書いてる小ネタを書き上げる。
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:24:37 ID:zADMTtbD
>>729
作者の偏見が透けて見えるか否か、とか?
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:25:13 ID:bWy1p2qv
500kbなら、スパロボJ本編終了後のカルヴィナ・クーランジュとアル・ヴァン・ランクスの二人をルイズとテファが召喚するSSを書く




かも知れない
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:28:30 ID:dBOalx5l
>>727
銀英伝がらみの話はやめたほうが無難かね
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:28:41 ID:LBvZYJ8P
500kbでなければここまでの500kbネタが全て実現する
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:31:28 ID:0uURXwgM
>>727
大概は内容以前の問題かと
まわりの話はまったく聞かないとか荒れても気にしないとか
いや、荒らすほうにも問題はあるんだけどもね。
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:34:08 ID:+MKjqEu3
500kbなら龍星王が召喚されてルイズ大喜び
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:41:24 ID:ni37+zG1
500なら大神マリナが召喚されてルイズが体格差に絶望する
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:41:48 ID:SQQfYrQS
>>732
ちょ、時間停止
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:44:41 ID:fepQHwhk
500kbなら提督復活
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:44:45 ID:VisSwaaU
500kbならすべての釘宮キャラ召喚SSを書く
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:47:04 ID:WApXqfP2
500kbなら投下しようと思っている日までに書きあがりそうに無い次の話をあきらめて番外編を書く
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:58:05 ID:4qDYoDfG
500kbならそろそろフロゥエンが帰ってくる
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/16(金) 23:59:11 ID:EIVYMHVE
500kbならAA荒らしが尿結石
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:02:04 ID:UihfV6t5
500kbならハロが召喚される。
ただし召喚されるハロはゴッド・ハロかもしれないしハロ長官かもしれない
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:05:39 ID:pFJ2rHOS
500kbなら伊武さんが召喚される。
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:08:37 ID:3K4LOFPU
500kbなら次スレの終盤に
荒らし「おまえらがうるさいから見てたけど500kbならって展開つまんねーよ。だから埋める」

という展開。
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:11:02 ID:pFJ2rHOS
500kbなら次スレのテンプレ説明は、エレオノール様、アニエスさん、おマチさんになる。
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:13:01 ID:qouTNyf2
500KBなら『謎の男』が召喚される
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:16:49 ID:A338EGp4
500ならフェストゥムが・・・・
750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:18:14 ID:pFJ2rHOS
500kbならピアノが弾けるようになって思いの全てを歌にして
ラーメンネタのハリウッド映画に出てブリタニー・マーフィーにサインを貰う
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:20:21 ID:ZZLPVs/Y
500kbならデューンから神皇帝が召還
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:24:50 ID:pFJ2rHOS
必殺!裏支援!
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:29:09 ID:pMNqSKEY
500kbじゃなくても次スレに面白い話が投下される
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:30:30 ID:UihfV6t5
500kbならジェネシックが召喚される
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:37:57 ID:3K4LOFPU
ルイズに過剰な勇気を求める作品になるのか。

勇気だ!勇気だ!勇気だ!勇気だ!勇気だ!
勇気だ!勇気だ!勇気だ!勇気だ!勇気だ!
ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!
おい!おい!おい!おい!ワアアアアアアアア!
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:46:42 ID:pqcyxHPF
アニマルヴァリエールとかいらないよw
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:47:06 ID:pFJ2rHOS
ルイズ:勇気の人
ジョゼフ:熱くなれよの人
教皇:元気の人
テファ:気合だの人
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 00:48:19 ID:pFJ2rHOS
>>756
あの公爵が気合だ!気合だ!って叫んでるのかw
ルイズは何を目指すことになるんだろうか?
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 01:19:00 ID:KhWASuaf
500kbなら一方通行さんが逆方向
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 01:24:50 ID:coT2lniL
500kbだったらたっちゃんが帰って来る
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 01:36:37 ID:SOczMTY+
500kbだったらかっちゃんが生き返る
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 01:39:17 ID:pqcyxHPF
500kbなら太田さんがルイズを甲子園に連れて行く
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 01:55:52 ID:DUk/7OOm
500じゃなくても急いで書く
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 02:54:48 ID:IJinN2KX
500kbなら44マグナムを持った守護天使が召喚される。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 06:36:17 ID:ii7ZLjve
test
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 06:51:40 ID:HaUPr0eu
500kbなら次スレ1000まで行く
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 07:41:49 ID:dZAn3nN9
500KBなら筆がダッシュでマッハ
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 09:09:46 ID:0mP6Ajjw
500なら某スレで執筆宣言した人が投下開始する。
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 09:31:26 ID:kzC05844
500ならディンガル魔道アカデミー最凶の劣等生が召喚されて魔法学院が吹っ飛ぶ
770使い魔トーマス(1レスのネタ):2009/01/17(土) 11:52:28 ID:0+8l96i/
トォォォマスゥゥゥ!!

ルイズが召喚したのは、三流大学を出て就職浪人をしていた平民の男だった
彼はギーシュと決闘をするが、土の魔法で出した戦乙女達に取り囲まれる

彼の手が無意識にワルキューレの下腹部へと伸びる、その時、彼の左手が光った

       エターナル モレスター!!!

ワルキューレは神の右手による愛撫を受け、マッハの速さで…イっちゃった…

その後、盗賊フーケを、そしてワルドを痴漢必殺技アナル・アナライザーで倒した彼は
様々な活躍をし、その痴漢の功績により痴漢貴族シュヴァリエへと取り立てられるが
彼の前には更なる強敵が立ちふさがる、果たして彼は7万人をイかせることは出来るか

彼の右手、痴漢貴族トーマスの伝説の右手が光る


        モレスターノヴァ!!!!!!


                 PCゲーム「痴漢者トーマス」より遠山万寿夫召喚
771名無しさん@お腹いっぱい。
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
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       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
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           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
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