あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part202

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。



(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part201
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1230739130/



まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/




     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!




     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。





.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:31:13 ID:PjILQmNR
>>1乙!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:32:26 ID:qCJL1S/c
>>1
乙!
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:33:23 ID:wdq+g3Lc
>>1
乙!
5MtL:2009/01/04(日) 23:35:17 ID:vhAfNXq9
それでは投下を開始しますー。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:37:47 ID:PjILQmNR
了解!支援!前方良し!
7MtL:2009/01/04(日) 23:39:10 ID:vhAfNXq9
マジシャン ザ ルイズ 3章 (52)ウルザの意思

アルビオンへと潜入を果たしたキュルケ達は曲がりくねった鍾乳洞のような区画を抜け、階層を降りながら中枢へ向かっていた。
途中、動く屍や黒い油にまみれた戦争機械などとも遭遇したが、幸いこの作戦に選ばれた精鋭達の前では敵でなく、これまでのところ大きく被害を受けることもなく進んでいた。
順調すぎて、むしろ案内役のマチルダの方がへばっている始末である。
さて、そうこうして一同は新たなる区画に入った。
その場所はこれまで見てきた光景に比べて格段に人工の匂いが強い、明らかに人の手が入った作りであった。
床には歩くと乾いた音をたてるできた灰色のタイルが敷き詰められ、通路の形は正方形。
そこは、ハルケギニアとは全く違う、異質な文明の遺跡のようにも見えた。
「ここから進んだしばらく先に、アルビオンを浮かせている風石があるはずさ」
今は前から三番目を歩いているマチルダがそう口にすると、全員の注目が彼女に集まった。
「あたし自身はこれ以上先に進んだことは無いけれど、ワルドの奴はそんなふうに言ってたよ……」
堅い面持ちで言うマチルダ。
そう、彼らの目的はアルビオン下層部にある、アルビオンを浮かせている風石の破壊。
その意味するところは、アルビオンの『墜落』である。
彼女がどのようなことを思って自分の故郷を地面に叩きつけようとしているのかは、この場の誰にも分からない。
しかしキュルケは、呟いたマチルダの顔に、郷愁ともの悲しさを見た気がした。

通路を道なりに進んで少しすると、一同は突然開けた場所に出た。
その光景に全員が身を強ばらせて警戒する。
吸血コウモリしかり、戦争機械群しかり、これまで開けた場所に出ると決まって敵との遭遇戦に突入していた。
二度あることは、三度ある。
全員が警戒したのは、それぞれ戦士の勘とでも言うべき第六感によるものであった。

出た場所はすり鉢状に中心に向かうほどへこんでいる、ホールのような円形の大部屋。端と端までの距離はゆうに二〇〇メイル以上はあるだろう。
そして、その中心には高さ三〇メイルを超える、異彩を放つ巨大なモニュメントが安置されていた。
遠目から見た質感は、黒曜石の輝きを持った金属。
形は、この世のあらゆる動物と、あらゆる虫をツギハギに継ぎ足したらこうなるかも知れないといった、醜悪な姿をしている。
そして、それはあたかもそのままの形でこの世に生まれ出たように、どこにも継ぎ目が見あたらない。

その像の背後、キュルケ達が入ってきた出口の丁度正反対、そこにはこの部屋の出口があるのが見えた。
必然、そこにたどり着くためには巨大像を迂回して回るしかない。

キュルケが無言で手を振って進むジェスチャーをすると、一団は頷いてゆっくりと壁沿いに沿って移動を始めた。
移動しながらも、部屋の中央で不気味に鎮座している巨像の沈黙に、それぞれの警戒心が嫌が応にも高まっていく。
一歩二歩三歩、一団はゆっくりとだが確実に歩みを進めていく。
そうやって全員が中心の巨像を警戒しながら、壁沿いを半ば近くまで進んだとき、キュルケは小さな音が聞こえた気がした。

ミシリッ

という音。
同時、
「散って!」
「散れっ!」
キュルケとカステルモール、二人の声が残響を伴って、その場に響いた。
声に反応した隊員達が蜘蛛の子を散らすように一斉に散開する。

8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:40:25 ID:qCJL1S/c
支援
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:40:48 ID:huU9b+0I
支援
10MtL:2009/01/04(日) 23:42:30 ID:vhAfNXq9
その直後だった、轟音をたてながら、巨大な質量が彼らに向かって動いたのは。

煙る視界、宙を舞う無数の破片、そしてなにより、聴覚を麻痺させるほどの衝突音。
見れば彼らが先ほどまで背後にしていた壁には、中央に鎮座していたはずの巨像がめり込んでいた。
三十メイルはあろうかという巨体が、一瞬の間にこれだけの距離を移動したという事実は、それだけで彼らにとって驚異以外の何者でもなかった。

「早く!」
舞い上がった埃によって十分な視界が得られない中、キュルケの切迫した指示が飛ぶ。
何を早くかなど問いかけるものはいない、精鋭達は一斉に行動を起こした。
一端ばらばらに散会し、次いで示し合わせたように目的地へと殺到する。
逃げ込む先は、巨像の図体では入り込めないその背後の通路。
あれだけの巨体を相手に、正面から戦う愚は冒せなかった。

こういった場合には風の機動力はものをいう。
カステルモールを含め幾人かの風のメイジは空気の対流で敵の位置を読み、迅速に目標地点へと駆けた。
だが、他系統のメイジにとっては、巨大な図体でありながら警告から襲撃まで一瞬の間しか許ぬような爆発的な突進力を持つ敵に狙われて、それを振り切るのは至難の業である。
だが、そのような状況の中、彼ら猛者達は、この局面を確実に切り抜ける手段を既に導き出していた。
それは誰かが囮となって敵を引きつけ、その隙に全員が逃げおおすという方法である。
彼らの目標は仲良く全員無事にアルビオンを堕とすことではない。
むしろ、誰か一人でも中枢にたどり着き、アルビオンを浮遊させている風石を破壊すれば、その目的は達せられる。
例え犠牲を払ったところで、その他の大勢が助かるのなら、それは是とするべきことなのである。

だから、キュルケの走る先に、曇る視界を切り裂き、地面を盛大に削る爆音を伴った巨像が滑り現れたときには、彼女も覚悟を決めていた。
「ウル・カーノ……」
キュルケは大急ぎで呪文を詠唱する。
せいぜい暴れて敵を引きつける、それが彼女に残された最後の見せ場であり、使命であった。
「ファイアーボール!」

しかし無慈悲な現実は、 非情なこの世界は、 そんな彼女を嘲笑う。

キュルケの放った火の玉は、相手の巨体に対してあまりに非力で、そして無力だった。
トライアングル以上の力で放たれた火球が、巨像のぬらりと黒い表面ではじけた。
――後には傷一つ残っていない。

巨像はキュルケの攻撃など露程にも気にしていないのか、躊躇無く彼女に向かって突進を開始する。
その動き、猛獣が飛びかかるよりなお早い。

決定的な死の前に、一矢報いることすらままならない。
一瞬の後には己が挽肉になるであろうことは、彼女にもはっきりと理解できた。
それは直感というより、すでに必定に近い。

人は時として、死を前にすると感情を爆発させる。
それは恐怖であったり、怒りであったりする。
自分の死を悟ったキュルケの胸にそのとき到来したのは、意外にも悔しいや憎いといった激しい感情ではなかった。
むしろ心地よい、これで楽になれるという安らぎですらあった。

11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:42:46 ID:qCJL1S/c
支援
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:45:17 ID:ms6Ma5SF
ヒャア がまんできねぇ支援だ!
13MtL:2009/01/04(日) 23:46:54 ID:vhAfNXq9
諦念か、絶望か。

ここ二月の間、ルイズもそうであったように、キュルケの周りではあまりにいろいろなことが起こっていた。
学院の長期休暇に国元に戻り、そこで戦争が勃発した。
そしてその最初の戦火で、唐突に父を失い母を失い、そして続いて仲間を、国を失った。
得たものもあったが、失ったものはあまりに多く、それは何があろうと元の形には戻らない。
それでも、何かができる、何かをしなければと、彼女は今日この日まで生きてきた。
キュルケはここまでの短くとも濃密な時間を、必死に駆け抜けてきた。
振り返ることもなく、ただ、前だけを見つめて。
皮肉にも、せわしすぎる時間が彼女から顧みる余裕を奪っていた。
だが、末期の刹那、彼女にもようやくそれが与えられた。

ああ、これでもう、悲しい思いをしなくてすむ

自分はここまで十分すぎるほどに頑張った。
自分ができる限りの最善を尽くしてきた。ここで果てるのも、天命かもしれない。

そのような思いを抱き、彼女の心は凪いでいた。
心地よい達成感に似たものすら、抱いていた。


だが、そんな彼女の思いを
     良しとしない者がいた。

キュルケが轢き殺される直前、巨像に比べるとあまりに小さな黒い異形が煙の中から唐突に現れ、キュルケの前に立ちはだかった。
そして、重く堅い金属同士がぶつかり合ったような、鈍重な衝突音があたりに響く。

「……あ」
キュルケの口から、呆気にとられて言葉が漏れる。
唐突に現実に引き戻される。
誰かが自分を助けてくれたという現実に、認識が追いつく。
飛び出してきたそれは、彼女のよく知る人物であった。
「……キーナン」

横から飛び込んできた甲冑姿のキュルケの部下、元傭兵のアルビオン貴族キーナンは、両手でがっちりと巨像を受け止めていた。
その姿を見て、キュルケはとっさに助けなくてはと思った。
だが、それすら見越したようにキュルケに声がかかる。
「お嬢! 早くっ!」
遠くから、そう叫ぶ声が聞こえた。
いや、遠いと感じるだけで、実際にはそう遠くもない。
奥へと続く通路の口で、ヘンドリックがキュルケに向かって叫んでいた。
「そいつはキーナンに任せて、お嬢は早くっ!」
そんな見捨てて逃げるような真似は、と喉まで出かかった言葉を、キュルケは堪えた。

キーナンは行けた、一人でなら先へ行けた。その彼がここに残るのは、自分を先に進ませる為だ。
キュルケは血が出るほどに、拳を強く握りしめる。
自分のために身を投げ出した男の、最後の願いに気づかぬほど、彼女は愚鈍では無い。
彼はただ、キュルケに生きていて欲しい、そう純粋に願って、行動を起こしたのだ。
その思いを、無為にすることなど、できるはずがなかった。
「……っ!」
キュルケはヘンドリックが待つ通路へ向かって全速力で駆け出した。
その最中、奥歯にぎりりと力を込める。
今のキュルケには、そんなことくらいしか命をかけてくれた部下に対して、してやれることはなかった。




14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:48:52 ID:qCJL1S/c
支援
15名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:49:08 ID:iZjzM0+V
支援!!
16MtL:2009/01/04(日) 23:50:59 ID:vhAfNXq9
普段使う系統魔法のルーンに、古代のルーンを絡めた特殊な呪文詠唱を終えたモンモランシーは、自信の呪文の効果に目を見張った。
ギーシュを捕まえていたドラゴンの背後に、銀色に光る鏡が出現していた。
どこかで見覚えがあると感じたモンモランシーは、それがすぐに使い魔召喚の儀式の際に現れるものとそっくりであることを思い出した。

『ギャッギャ!?』
変化はすぐに訪れた。
あの巨大なドラゴンが、鏡のある方へ、背後へと引き寄せられ始めたのである。
『ギャギャギャッ ギャッギャー!』
身をよじらせ抵抗する意を示す赤竜。しかし、引き込む力はそれ以上なのか、どれだけ抵抗しても一向に開放される様子は無い。
そうこうしているうち、ドラゴンの手からギーシュの体がするりと落ちた。
「フ、フライ!」
慌てたギーシュの呪文。
荷物を抱えたまま二階ほどの高さから船の甲板へと叩きつけられる直前、何とか浮遊の魔法が間に合って、ギーシュは危ういところで怪我をせずに済んだ。
ギーシュが命からがらといった様子でルイズ達の方へ駆けてくる一方、ドラゴンを捕らえた呪文も最終段階を迎えていた。
暴れるドラゴンの存在感がどんどんと希薄になっていく。その姿も半透明に薄れ、その向こう側の景色が透けて見えるようになる。
この世界と別の世界をつないだ扉が、その存在を放逐しようとしているのだ。

『ギャッギャー、ギャシャーッ!』
咆哮一声。
ドラゴンはなおも抵抗しようとしたが、結局、断末魔にも似た叫びを残し、一気に鏡へと吸い込まれていった。

そして、その叫びを最後に、静寂が周囲を包む。
脅威は去った。
今やそのドラゴンがこの世界にいたという痕跡は、損傷したウェザーライトUのブリッジだけであった。

モンモランシーはこの日の為に、秘本に記されていた古代ルーンを絡めて構築された、ドミナリア呪文のハルケギニアアレンジ版とでも言うべき魔法を、二つ丸暗記してきていた。
今彼女が使ったのはその片方。
秘本に記されたところによれば、『送還/Unsummon』という呪文は、ドミナリアのウィザードが扱う、最も基礎的な呪文の一つなのだそうである。
その効果は、元の世界とのリンクを絶たれていない被召喚物を、強制的に元の世界に送り出すというもの。
非常に限定的な効果の呪文である『送還/Unsummon』を選んで暗記してきたのは、それが自分に扱えそうな呪文の中で唯一攻撃的な呪文だったからだ。
襲ってきたドラゴンが異世界からの被召喚物であったのは、幸運だった。
とは言え、ドラゴン一匹をこの世界ではないどこかに放逐して、危機に瀕している状況を脱したのは確かであった。

「も、モンモランシー! すごいじゃないか、ドラゴンを一発で倒してしまうなんて! そんなすごい魔法をいつ使えるようになったんだい!?」
そもそも、ドラゴン退治と言えば、成し遂げただけでシュヴァリエの称号を与えられるほどの偉業であり英雄的行為である。
駆け寄ってきたギーシュが、興奮した様子で開口一番そう言ってモンモランシーの手を掴んだのも、当然と言えば当然だった。
「え、ええ……」
しかし、そんな彼を前にして、モンモランシーの心中は複雑だった。
(確かにすごいけど……)
心中には自分の行為に無邪気に舞い上がって喝采を上げる自分がいる一方で、自らの得た大きな力に、不安を抱く自分もいたからだ。
(ドットの私が使ってこれほどなら、ラインやトライアングル、ましてやスクウェアなら、どれほどのものが使えるの? これは、本当に、使って良いものなの?)
あまりの成果に、モンモランシーは逆に落ち着かないものを感じていた。
しかし、そんな不安も目の前で鼻息を荒くしたギーシュが、自分の手を掴んで上下にぶんぶんと振り回しているのを見ていると、些細なことのように思えてくるから不思議だった。
今はただ、彼を救えたというその事実を喜ぶべきだと、心の底から思えた。

17名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:52:49 ID:ms6Ma5SF
支援
18MtL:2009/01/04(日) 23:54:10 ID:vhAfNXq9
「モンモランシィィィ!」
だが、感極まったギーシュが勢いよく抱きついてくると、話は別だった。
「ありがとう、助けてくれてありがとうモンモランシー、僕ぁもう、僕ぁもう駄目かと思ったよ!」
よほど恐ろしかったのだろう、どんなときであれ外面を取り繕うのは忘れないギーシュが、涙声でそんなことを言っていた。
モンモランシーの豊かとは言い難い双丘に顔を埋めて、顔を左右に素早くふるふるさせて。

物思いに耽っていたモンモランシーだったが、そこでようやく乙女的に考えてちょっとあり得ないギーシュの体勢に気がついて、顔にぼっと火を付けた。
「ちょ、べ、別にっ!」
あまりに恥ずかしさに『あなたの為にやったんじゃないんだからねっ!』、と叫ぼうとしたところで、突然モンモランシーの膝が折れた。
「あ、あらら……?」
バランスを崩して、前から抱きついているギーシュに体重を預ける形になってしまう。
おかげでギーシュはモンモランシーの細くて柔らかい体を堪能できてご満悦である。

気がつけばモンモランシーの膝は完全に力を失っていた。
元来、彼女は胆力のある娘ではない。
生まれてからこの方、多くの名のある貴族の子女がそうであるように、彼女も大切に育てられてきた。
そんな彼女がドラゴンを相手にするなどと、普段なら考えもしないところである。
それでも友達の為、と思って自分を奮い立たせていたのだが、気が抜けてしまえばごらんの有様。本当なら膝どころか腰が抜けてしまってもおかしくなかったのだ。
加えて、先ほどの使用した魔法による精神力の消耗も深刻だった。
(くう、今更しょうがないことだけど……やっぱりこの呪文、反則よ。一回でこんなに消耗するなんて、異常じゃない!)
モンモランシーがこの日のために、ウルザの秘本から習得した魔法は二つ。そのどちらも、モンモランシーの普通使っている水魔法に比べ、格段に燃費の悪い代物だった。
モンモランシー自身の見立てでは、同様の魔法は三回が限度。それ以上はまだ試したことがないが、無事では済まないだろうと思った。

「モンモランシー……」
ギーシュの熱い抱擁にもがくモンモランシーに、ルイズが声をかけたのはそんな頃合いだった。
「あなた……」
言ったルイズの顔色は蒼白。
まるで悪夢を前にした子供のようだ。
そんなルイズに様子に気がついて、モンモランシーは強引にギーシュを振り切って胸を張った。
「見ていたかしら? どうせあなたは何でも自分でできるとか、何とかできるのは自分だけとか、そんなことを思ってたんでしょうけど。お生憎様、ごらんの通り、私にだってこのくらいできるってこと、分かったかしら」
挑発的な言葉。
かねてから言おうと思っていた通りに、モンモランシーはルイズに言ってやった。
「分かったら、これからは少しは私や……タバサ、キュルケ達、他の人も頼りなさいよねっ」
そう、何でも一人で抱え込もうとする彼女に、言いたかったことを、やっと言えた。
今までは言えなかった。力がない自分が言っても、何の気休めにもならなかったことを、やっと言えた。
その言葉には周囲が抱え込ませようとする、そしてルイズ自身一人で抱え込もうとする重責と負担を、少しでも肩代わりしたい、そんな気持ちが現れていた。

19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/04(日) 23:55:00 ID:qCJL1S/c
支援
20MtL:2009/01/04(日) 23:57:12 ID:vhAfNXq9
だが、それを聞いてもルイズの顔色は変わらない。
「そんな……そんなことじゃないっ! 今の呪文、誰が……誰があなたに教えたのっ!?」
なぜなら、ルイズが問題としているのはそんなことではなかったからだ。

虚無を除いて、ハルケギニアの魔法には『召喚』の概念はあっても、『送還』の概念は無い。
今となってはルイズはそのことを、恣意的に消された概念なのではないかと疑っている。
確証はない。ただ、歴然として存在する『外』の世界に対するアプローチが、ハルケギニアの歴史の中で一切生まれてこなかったということからの推測だ。
しかし、そこまで深く考えずとも、ルイズにはモンモランシーの使った呪文が、確実に本来のハルケギニアの枠からはみ出した呪文だということくらいは分かった。
問題は、誰がそんなものをモンモランシーに教えたのか。
誰がこんな場所に来るように、モンモランシーを唆したのかということだった。

「えっと、それは……」
モンモランシーが口ごもる。
けれどルイズにはその答えが分かっていた。
そんなことができる者は、今この世界に二人しかいない。
そして、モンモランシーに枠外の呪文を教えるなどということを実際に行おうとするのは、一人しかいない。
だから、
「あなたの呼び出した……ミスタ・ウルザよ」
その名前が出てきたことも、半ばルイズの予想通りだった。

「なんで……っ! なんでよっ!」
ルイズは力が入らない手に、それでも力をこめられるだけこめて握りしめた。
そして、怒りと困惑を隠さず吠えた。
「私はみんなが死なないために頑張った! みんなを生かす為に、ここにいる! それなのに、なんでモンモランシーも、ギーシュもここにいるのよっ!? これじゃあ意味がないじゃないっ! 何のために、私が……私がっ!?」
張り上げた声に、涙がにじんだ。
みんなが笑っていられる世界のために、せめて自分の視界に入る世界だけでも守るために、ルイズは虚無を手に取った。
誰かが犠牲になるなら、自分がそれになろうと。
自分の行いが誰かの為になるならと、体を蝕む病にも耐えるつもりでいた。

だというのに――

「何を考えているのっ!? ウルザッ!」


                             今、誰が笑っている?
                             そしてこれから、誰が笑う?
21MtL:2009/01/05(月) 00:00:35 ID:YKHegTOT
ウルザは正しくなんて無い。


改めてあけましておめでとうございます。
2007年に始まったお話も、もう2009年になってしまいました。
お話としては残りわずかですので、読んで下さっている方、もう暫くお付き合い下さい。

それでは、次の投下で……


追伸 スターライトマナバーンが次回で最終回だそうです……
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 00:01:13 ID:xciiTChr
乙です
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 00:13:22 ID:P/qL6GBP
乙です
いよいよ正念場って感じですな
ルイズの病気がどうなるか心配です
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 00:30:45 ID:tJvZm5ug
>742,745,747
強殖装甲を纏う際、装殖者の肉体は強殖生物に置き換わる。
装殖者の肉体を留めているのは脳髄だけ、なので纏った際に装殖者の体格から
逸脱する可能性はある。
晶が装殖した時は身長は2m、体重も100kgを越えていたはず
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 00:32:04 ID:tJvZm5ug
>742,745,747
強殖装甲を纏う際、装殖者の肉体は強殖生物に置き換わる。
装殖者の肉体を留めているのは脳髄だけ、なので纏った際に装殖者の体格から
逸脱する可能性はある。
晶が装殖した時は身長は2m、体重も100kgを越えていたはず
2625:2009/01/05(月) 00:33:30 ID:tJvZm5ug
2重投稿しちまった…orz
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 01:01:09 ID:Pc0I3KF+
SSを書こうかと思っても、どんなSSが良いか迷って筆が進まない。
書きたくて書いても、読んでくれなければ自己満足にしかならないし。
どんな内容なら、多くの読み手に読んでもらえるんだろうか・・・?
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 01:03:09 ID:8L/9Axj5
とりあえず一回書いてみようぜ!
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 01:05:46 ID:WbZ/e2F9
自己満足のため以外の理由で書くのは商業だけだよ、キニスンナ!
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 01:09:48 ID:2vSoyXIv
避難所にも練習用スレやらなんやらありますです
基本的には新規さん歓迎よ
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 01:10:09 ID:3hhZiRQT
前スレ>>757
それじゃアンタ貴族じゃなくなっちま(ry
32MtL:2009/01/05(月) 01:21:30 ID:YKHegTOT
むう……重複の方に投下しているのは私ではありません……
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 01:24:12 ID:J2lo+VZF
でしょうねw分かってます。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 01:28:47 ID:2+EzLHDD
いつもの基地外コピペ荒らしのしわざであるのは一目瞭然
気にする事もありますまいて
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 01:49:46 ID:00d07EuQ
前スレ>722
ノアの神とウルトラマンノアの関係

結論から言うと世界観がそもそも違うのでまったくの別人です。
なお、ノアの神については円谷プロ監修の漫画『ウルトラマンSTORY0』においてゾフィーらしいということが描かれています。
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 01:53:39 ID:XhRX+3rS
あの漫画はバルタン黒幕の時点でNプロジェクト以上に参考にならんよ
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 04:13:23 ID:GkMQCKAP
ウルトラマンの台詞で私にわたくしってルビ振ってあるのが・・・
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 05:47:01 ID:S6DarJF8
mtlさん投下乙でした
39毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:26:32 ID:7rN2Zxn9
おはようございます。
特にご予定などがなければ、毒の爪の使い魔の第23話前編を6:30から投下します。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 06:29:13 ID:nj13VTb8
支援
41毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:31:00 ID:7rN2Zxn9
では時間ですので、投下開始します。

激闘の一夜が明け、朝日が昇り始めた。暖かな陽光が魔法学院を照らし出す。
夜闇が徐々に掃われていき、それに呼応するかのように、眠らされていた学院中の人が目を覚ましていく。

「あれ…私、どうして?」
「寝てたの…こんな所に?」
「何で…廊下なんかで?」

目を覚ました者達は一様に首を捻った。
何故こうしているのか…一切の記憶が無いのだ。
眠らされた者の中で、夕べの事を覚えている物は誰一人としていない。

――そう…”眠らされた者”の中では…。

「ふわぁ〜」
大きな欠伸が学院長室に響く。
「ああ、よく寝たの〜…」
眠りから覚めたオスマン氏は、大きく伸びをし、目を擦る。
その時、ノックの音が聞こえた。
オスマン氏は目を擦る手を止め、窓の外を見る。…まだ朝日は昇り始めたばかりのようだ。
――こんな朝早くに一体誰だ?
オスマン氏は首を捻る。そして、新しく秘書を雇わねばならぬな、と思いながら来室を促した。
「鍵は掛かっておらぬ。入ってきなさい」
扉が開き、ルイズとタバサ、そしてルイズの使い魔のジャンガが入ってきた。
「君達――」
こんな朝早くからどうした?…そう聞こうとし、言葉を飲み込む。
ジャンガが背中に背負っている血塗れの男が目に留まったのだ。
その男はオスマン氏も良く知っている人物だった…。

目を細め、オスマン氏は三人を見つめる。
ジャンガは無表情のまま壁際に歩き、背負った人物=コルベールを床に横たえる。
それをオスマン氏は黙って見つめる。そして、ルイズとタバサに視線を移す。
「一体何があったんじゃ?」
「…私から話します」
そう言ってタバサは一歩前に出た。
オスマン氏は頷き、静かにタバサの話を聴いた。
42毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:33:59 ID:7rN2Zxn9
「なるほどの…」
タバサの話を聞き終え、オスマン氏は目を閉じた。
髭を弄りながら、今の話を考える。
ミス・タバサ――いや、ミス・オルレアンの事情はある程度熟知していたが、今回の件は少々厄介だ。
昨夜、北花壇騎士としてミス・ヴァリエール拉致の命令を受けた彼女は、
ガリアの何者かの使い魔と共にこの学院を密かに襲撃。
ミスタ・コルベールや、この場に居ないミスタ・グラモン、ミス・ツェルプストーの介入、
ジャンガの説得(?)などがあり、任務を途中放棄し、
ジャンガやミス・ツェルプストーと共に使い魔等を撃退。
そして、気絶したミスタ・グラモンやミス・ツェルプストー、ミス・モンモランシは部屋に運び、
比較的無傷な自分達だけで、今こうして報告に来たとの事。
「うむ……随分と大変な事があったんじゃな…。そんな時に、私は眠りこけていたのか…。
すまなかったの…」
「ジョーカーの奴にやられたんじゃ仕方ねェよ…。恥じる事じゃねェ…」
申し訳なさそうな顔をするオスマン氏に対し、ジャンガは言う。
オスマン氏は小さくため息を吐くと、タバサを見た。
「君もまた苦労をしておるの…、ミス・タバサ」
悲しげな、寂しげな表情で、タバサは俯く。
そんなタバサにオスマン氏は優しく声を掛けた。
「あいや、別に君を責めたりなどせん。事情は十分に理解しておる。
じゃから…必要以上に気にするでないぞ」
その言葉にタバサは小さく頷いた。
そこで、ルイズがオスマン氏に話しかけた。

「あの、オールド・オスマン」
「なんじゃな?」
「その……こいつの事なんですけど…」
言いながら、ルイズはジャンガを指差す。
オスマン氏はジャンガを見据え、彼女が何を言いたいのか理解した。
ルイズは不安げな声で尋ねた。
「その…こいつの事は、一体どうするのですか?」
「ジャンガ君、君に聞きたい。…君が、ミスタ・コルベールを――」

「ああそうだ…、俺が殺した」

その言葉に全員が押し黙る。
「で、俺をどうする気だよ?罰したりなんだりするんなら、勝手にしやがれ。
…正直、俺はもう半ばどうでもよくなってるんでよ」
何の感情も表さず、ただ淡々とそう告げた。
その無表情や感情の籠もらない言葉から、後悔している様にも、そうでない様にも感じる。
オスマン氏は目を閉じ、何事かを考える。
ルイズは複雑な、タバサは不安げな表情を浮かべる。
ややあって、オスマン氏は目を開け、ジャンガを真っ直ぐに見つめた。
「今のは、君の本心かね?」
「…質問の意味が解らねェな?」
「後悔も何も無いのか、と聞いているのじゃよ」
オスマン氏の言葉にジャンガは眉をピクリと動かす。
「…それが何だってんだよ?」
「君はミスタ・コルベールを殺したかもしれん…。
じゃが、その一方でミス・タバサやミス・ヴァリエールを助けてくれておる。
本当に何もかもがどうでも良くなっているのなら、そのような事をする意味は無いはずだが?
少なくとも…私が知っている、いや知っていた君ならば、そのような事はしないだろう。…直ぐにトンズラしてるはずじゃ」
「……」
ジャンガの視線が刺す様な鋭さを帯びる。
その視線を平然と受け流しながら、オスマン氏は続ける。
「では、改めて聞こう……君は後悔をしているかね?」
43毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:36:18 ID:7rN2Zxn9
沈黙がその場を支配した。
ジャンガとオスマン氏は瞬きもせずに静かに見詰め合う。
そんな二人をルイズとタバサは息を呑んで見つめる。

やがて、根負けしたのか…ジャンガは小さくため息を吐き、目を逸らす。
「…解らねェ…」
「ふむ…」
「後悔してるのか、そうでないのか、まるで解らねェ…。
テメェの事なのによ…、解らねェんだよ…」
ジャンガは帽子を押し下げ、顔を隠す。
「嬢ちゃん達を助けた事も解らねェ…。
あいつを殺した事に対する罪滅ぼしなのか、ただの気紛れなのか…それもな」
オスマン氏は目を閉じ、黙ってジャンガの話に耳を傾けていたが、やがて顔を上げた。
「なら…今この場で、君をどうこうする事はできないな」

オスマン氏に視線が集中する。
ジャンガが怪訝な表情でオスマン氏を睨む。
「どう言う事だ?」
「言ったまでの意味じゃよ…。今この場で君を罰する事は私にはできん」
「情けでもかけてるつもりか?…そんな偽善、いらねェってんだよ」
今にも掴みかかりそうな様子のジャンガ。
しかし、オスマン氏は怯む事無く、真っ直ぐに見つめ返す。
「偽善か…そうかもしれん。君がミスタ・コルベールを殺したのは事実。
それに対してお咎め無しではの…」
「解ってんじゃねェか? だったら、今直ぐに俺を殺すなりなんなり――」
「そうじゃの、私もそれ相応の対応をしていたろう……君に明らかな”悪意”が有ったらの。
今の君からは最初に感じておったような”悪意”と言うか、そう言った物が一切感じられん…。
そんな相手に、ほいほい罰を与えるなんぞ、私にはできん。何しろ、このような老いぼれ……少しばかり弱気でな」
「チッ…、だったらどうするってんだよ?言っとくがよ…俺はあいつを殺した事を本気で後悔している訳じゃねェぞ?」
コルベールを顎で示しながらそう言う。
オスマン氏は目を伏せる。
「じゃからの……君に考える時間を与えたい」
「ハァ?」
――唐突に何を言うんだ、このジジイは?
困惑しながらもジャンガはオスマン氏を睨み返す。
「どう言う意味だ?」
「言ったまでの意味じゃ。君自身が後悔しているのか、そうでないのか、考えるのじゃ…。
そして、答えが出たら…また私の所へ来てくれたまえ」

――とことんまでのお人好しだな。
ジャンガは目の前の老人を見据えながら、そう思った。
自分が殺したコルベールもそうだが、ほんの少し変わったくらいで悪人が善人になったと思う考え方は甘すぎる。
そんな事で、また取り返しのつかない事態になったらどうする気だ?

「…返事を返さなかったら、どうするつもりだってんだよ?」
「君はそれほど器用な男では無いと思っているのでな。
返事を返さないつもりなら、ここに居座らずに黙って消えているだろう。
その時は、私もそれ相応の対応を取るつもりだがな…」

――喰えねェジジイだ。
全く何も考えていない訳でも無いらしい。
まぁ、それでも甘いと言わざるを得ない対応ではあるが。

ジャンガは呆れた様子で鼻を鳴らす。
「チッ…解ったよ」
その言葉にオスマン氏は静かに頷いた。
44毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:39:37 ID:7rN2Zxn9
結局、それ以上のジャンガに対する責任や罪の追及などは無かった。
ミスタ・コルベールの事など諸々を含め、全てをオスマン氏が預かると言い、その場は解散となった。
三人は学院長室を後にした。
螺旋階段を下り、本塔の外へと出るまで、誰一人として口を聞かなかった。
ルイズとタバサは目の前の亜人の背を見つめる。
変わらない長身だったが、今は何故だかその背が小さく見える。

ルイズは目の前の亜人の事が解らなかった。
召喚した時から今までの事を振り返る。

――基本的には最悪だ。残酷で卑劣、他人を苦しめて愉快そうにするなど、
ハズレなどではすまないほどに酷い使い魔――いや、使い魔と呼ぶのも躊躇われる。それほどまでに酷い物だ。
しかし、その一方で自分達を(結果的には)助けてくれたり、ダンスの相手として振舞ってくれたりもしている。
こいつの本当の姿って…どっちなんだろう?
(そう言えば?)
そこで夕べの夢を思い出した。

「ねぇ、ジャンガ?」
「……ンだよ?」
振り向かずに答えるジャンガ。
ここで聞くべき事か一瞬悩んだが、ルイズは自然とその事を聞いていた。
「そのマークの事なんだけど…」
僅かにジャンガの肩が震えたのが解った。
――やっぱり、あの夢は本当の事なんだ。

「珍しい物よね?少なくとも私は見た事が無いわ。
前にフーケの時に、あんたが使った銃みたいなのにも同じようなマークが付いていたけど……何かある?」
暫しの沈黙の後、ジャンガは口を開いた。
「…テメェには関係無ェ」
「…そう」
再び沈黙。
「じゃあ……同じマークを付けた銃を持った亜人と――」
ジャンガの目が見開かれた。
「――月で戦った?」
ゆっくりとした動作で、肩越しにジャンガは振り向き、ルイズと目が合った。

――何で、あの事をこいつは知っている?
少なくとも自分は話した事が無い。こっちへ来た時にもだ。

ジャンガは警戒心も露わにルイズを睨み付ける。
「テメェ…何で知ってるんだ?」
「夕べ、夢を見たのよ…」
ルイズは夕べ見た夢の内容をジャンガに話した。
話が終わった時にはジャンガは苦虫を噛み潰したような表情になっていた。
45毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:42:16 ID:7rN2Zxn9
その様子にルイズは小さくため息を吐いた。
「やっぱり、本当の事なのね」
ルイズの言葉にジャンガは舌打をし、前に向き直る。
「――ああ、そうさ…本当の事さ」
「そう」
「…それで? 俺がどうしようもないくらいの悪党だって事が解って……どうするんだ?」
「どうって?」
「あのジジイに報告するか? 別に構わねェゼ、俺は――」
「別にそんなつもりはないわ」
ジャンガは肩越しに睨みつける。
そんな彼の視線をルイズは悲しげな表情で見つめ返す。
「何のつもりだ?」
「別に…」
「別に…って、そんな訳あるか。何を企んでるんだよ?」
「あんたじゃあるまいし…何も無いわ、本当に」
互いに、静かに見詰め合う。
「ただ…」
「ただ?」
「崖下に落ちる時の…あんたの表情がね。何となく…寂しそうだったから」

歯を噛み締め、ジャンガはバツが悪そうに前に向き直る。
そして、昔の事に思いを馳せた。


――……めよ…………やく……がえ……――


ズキンッッ!


妙な声(と言っていいのか解らないが)が脳裏に響き、これまでに無い激痛が左手に走った。
「がっ!?」
あまりの激痛に、ジャンガは苦しそうな声を上げると左手を押さえ、その場に蹲る。
その様子にルイズとタバサは、慌ててジャンガに駆け寄った。
「ど、どうしたの急に!?」
「しっかりして」
気遣う二人の言葉を聞きつつも、ジャンガは直ぐには答えられなかった。
汗を流し、荒く息を吐きながら呼吸を整えようとするも、左手の痛みはなかなか収まらない。
暫くジャンガは痛みに苦しみ続けた。

「放しやがれ…、もう平気だ」
漸く痛みが治まり、二人の手を振り解きながら立ち上がる。
未だ呼吸は荒いが、特に気にしない。
ジャンガはルイズを睨み付けると、静かに口を開く。
「…テメェが俺の過去をどう解釈しても構わねェ。だが…余計な詮索はするんじゃねェ」
それだけ言うと、ジャンガは一度だけタバサを見た。
そして、多少ふらつきながらも、その場を離れていった。
46毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:45:56 ID:7rN2Zxn9
「ねぇ、タバサ?」
「何?」
ジャンガがいなくなった後、ルイズはタバサに尋ねた。
「あなた、あいつの事どれだけ知ってるの?」
突然のルイズの言葉にタバサは、それでも表面上は動揺を悟られぬように振舞う。
「…何故?」
「何となく……って言うと、根拠が無いように感じるわね。
でもね…本当に何となくなの。あなたがあいつを見ている時の目……何だか、感情籠もっていたから。それに…」
そこで一拍置く。
「あいつ…、最後にあなたの事を意味有り気に見たから…、それだけ」
その言葉に押し黙る。

タバサは考えた、ここで彼の事を話すべきなのかと。
彼の涙、彼の後悔、彼の思い、…全てを話すべきなのかと。
全てを知ってもらえば、多少なりと彼との蟠りも消えるかもしれない……一瞬そう考えた。

だが……

「悪いけれど言えない」
タバサはそう答えた。彼は自分の過去の事を一切話さなかった。
そんな事を、部外者である自分が話すのは、とても失礼な事だと考えたのだ。
それに、単純に相手に同情を誘っているだけにも見えかねない。蟠りは消えないだろう。
何より最後に自分を見た時のジャンガの目。
…あれには”余計な事は言うな”と言う意味が込められているのを感じとれた。
だから、タバサは彼自身が自分で話すのを待とうと考えたのだった。

「そう」
タバサの雰囲気にルイズは、これ以上聞いても無駄だろう事を感じ取り、そう呟いた。
そして、二人はどちらからとも知れずに、別れた。



タバサは部屋に戻ると、ベッドの上に何かが居るのを見つけた。
それは見慣れない物だった。
黄色い卵のような身体に大きな瞳と赤い鼻、頭頂部には小さな翼のような物が二つ生えており、
脚の無い足に青い球のような手、背中にはゼンマイと非常に珍妙な物体だった。
何だろうと思っていると、それはタバサの方へと向き直り…
『シャルロット・エレーヌ・シュヴァリエ・ド・パルテルさん、ですね? ンガ』
言葉を発した。
タバサの眉間が僅かに寄る。
自分の本名…それも、北花壇騎士である事を知る者はそれこそ極少数だ。
そして、任務を放棄したこのタイミングである――疑う余地は何処にも無い。
任務を途中放棄した事に対する処分の通達だ。
タバサは黙って頷く。
それで本人と確認したのか、ガーゴイルと思しき物体は言葉を続ける。
『貴方にメッセージがあります。ンガ』
「聴く」
タバサの言葉にガーゴイルは一拍置き、再び話し出した。
――ただし、今度は全く別の……そして、彼女が良く知る者の声だった。

『あ〜、ああ〜〜、あ〜ああ〜? テスッ、テスッ、……んん、ああ〜〜?』
「ッッ!?」
その声を聞いた瞬間、タバサは驚愕に目を見開く。
無理も無い…、その声は憎むべき伯父王の物でもなければ、その娘の物でも、昨夜のガーゴイルを操っていた者のでも無かった。

それは昨夜、自分達の目の前で壮絶な爆死を遂げたはずの、伯父王の娘の使い魔=ジョーカーの物だった。
47毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:48:08 ID:7rN2Zxn9
『あ〜、あ〜、聞こえてますか? 聞こえてますよネ〜? 聞こえてなかったら困りますのでネ』
「……」
タバサは無言でガーゴイルを見つめる。
『では、改めて…おはようございます、シャルロットさん。ワタクシです、ジョーカーです。
いや〜多分驚いてる事でしょうネ。何しろ、爆発して吹き飛んだはずのワタクシが、
こうしてメッセージを、この『ンガポコ』ちゃんにお届けさせているのですから。
…結論から言ってしまえば、あれはワタクシの分身くんなんですよネ』
「分身…」
タバサは分身と聞いて、ジャンガとの決闘の時の事を思い出す。
自分が騙された分身は本物のそれと全く見分けが付かなかった。
だが、夕べの物は分身と呼ぶにはあまりに本物と似すぎていた。
『ワタクシの分身はジャンガちゃんのそれとは違いまして、全く同じ物を生み出せるんですよ。
まぁ…実力は本物のワタクシには及びませんがネ〜』
つまりは風の魔法『偏在』のそれと同じ物なのだろう。
そんな物まで生み出せるとは…。正直、タバサは驚いた。
『もっとも…ルーンの効果でしょうか? 分身くんもワタクシ同様変身できるようになっていたので、
そこそこ信用はしていたんですがネ。…まさか、ジャンガちゃんがあのような行動に出るとは…驚きでしたよ。
…貴方と組み合わせたのは、少々失敗でしたかネ?
まぁ、それはとりあえず置いておきましょう。…ここからが本題です』
タバサの表情が僅かに強張る。
『まぁ、当然と言えば当然ですが……貴方のシュヴァリエの称号とその身分、全て剥奪されました。
北花壇騎士団も当然クビです。いや〜良かったですネ?
これでもう危険な任務にさらされる事も無いのですから…、のほほほほ♪』
ジョーカーの暢気な笑い声が静かな室内に響く。
『そして…もう一つ』
――まだ何かあるのか?
妙な胸騒ぎをタバサは感じた。…そして、その予感は見事的中した。

『…貴方のお母上の身柄、押さえさせてもらいました』

「――ッッッ!?」
血が逆流した。
怒りが体中をめぐる。
思わず唇を噛み締めた。
ンガポコ…もとい、ジョーカーの言葉は続く。
48毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:51:21 ID:7rN2Zxn9
『多分、そうとうお怒りになられたと思いますが……貴方がもたらした結果だと言う事をお忘れなく。
人形のように振舞って、素直に任務を遂行していれば、こんな事は起きなかったんですからネ?
…とまぁ、貴方への通達は以上です。状況がご理解できたのであれば、一週間以内に貴方のご実家までご足労願います。
よければ、このンガポコちゃんに返事を持たせても結構ですので。良い返答を期待してますよ。
あ、念の為に付け加えておきますが……下手な事は考えないのが良いですよ〜?のほほほ』
そして、メッセージは終了した。
『伝言終了、ンガ』
「……」
タバサは体中をめぐる怒りを抑え、ンガポコに近寄る。
『何か、伝言はありますか? ンガ』
「ガリア王ジョゼフと、その娘の使い魔ジョーカーに」
『分かりました、ンガ。では、伝言をどうぞ、ンガ』
タバサは深呼吸を一つし、ンガポコに――否、届けられる相手に向かって告げた。

「母さまを助けた後…、貴方達の首を貰う」

メッセージは短くそれだけ。そして、今度はンガポコに対して言う。
「宜しく」
『ンガ』
首が無いからか、全身を使って頷き、ンガポコは開け放たれた窓から青空へと飛び立った。
飛び去っていく、ンガポコの背中を見つめながらタバサは思った。

――夕べの事に後悔は無い。
どの道、自分は何れ復讐を果たすべく伯父王の首を取るつもりだったのだ。
ならば、今回のような件は遅かれ早かれ訪れる事だったとも言える。
ただ、一歩を踏み出せずに躊躇していただけ。後悔するのを恐れただけ。
…彼が背を押してくれたおかげで、その一歩を自分は漸く踏み出した。
そして、踏み出した以上、あとは振り返らずに進むだけだ。

タバサは窓に近づくと、口笛を吹く。
いつもの様に自分の使い魔の風韻竜がやってくる。
その背に飛び乗り、タバサは短く行き先を告げた。

「ガリアへ」

風韻竜は一声鳴くと、青空をガリアに向かって飛んだ。
49毒の爪の使い魔:2009/01/05(月) 06:53:09 ID:7rN2Zxn9
以上で前編終了です。

まぁ、メッセージ伝えるのは別にカラスとかでも良かったんですが、
伝言ロボがいるのですし、折角ですから使いました。
でも、『ンガポコ』って名前……言いにくいですよね?

では、後編はまた夜にでも投下します。アデュー!
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 07:37:23 ID:eIriA3Tf
ジャンガ乙
だよなー、ジョーカーがあんなあっけなく終わるわけが無いよなー…
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 08:46:57 ID:PJY/W6L5
GJ!
次回にwktk。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 09:27:27 ID:dRO4wX15
毒の爪の人乙!
やっぱりアイツはあれで終わってなかったか。
続きにwktk。
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 09:38:48 ID:uPda34Ii
乙です!
ンガポコとンガググって似てますね。いや意味はありませんが。
そういえばサザエさん、今はじゃんけんなんですっけ?
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 10:03:31 ID:NddzCIdt
空いているようなので小ネタ投下させてもらいます。
55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 10:10:22 ID:lHgXeZhr
まずはsageれ。
56DISSIDIA ZERO:2009/01/05(月) 10:15:57 ID:NddzCIdt
神と呼ばれ、崇められし"ブリミル"
悪魔と呼ばれ、憎まれし"シャイターン"
この二つの名が伝え続けられている世界の名は

"ハルケギニア"

その世界には数多の異世界から数多の者たちが召還される。
彼らは時に平和を災厄を調和を混沌を栄光を破滅を齎した。
無限に存在する平行世界だが彼らが出会うことはないはずだった。
だが、シャイターンに導かれた10人の破壊者たちの暴挙が均衡は崩したのだ。
彼らが創り上げた無限の軍勢によって
そして、シャイターンの門は開かれ
ハルケギニアは崩壊し混沌へと沈んだ。

後に残されたのはブリミルに導かれた。
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 10:22:44 ID:PJY/W6L5
NGNGっと
58DISSIDIA ZERO:2009/01/05(月) 10:35:27 ID:NddzCIdt
【虚無に導かれし戦士陣営】

傲慢不遜の幼女二人は魔を断つ剣となるか
『Louise&Al Azif』 ルイズとアル・アジフ

魔界より来てしまった正真正銘の魔王です
『Lahar』 ラハール

王女が極めしは帝王学にあらず鬼畜道なり!
『Izabella&bicycle+girl』 イザベラと鬼作がパクった自転車+少女

堕天使の姿をした人形はなにを願う
『Mercury Lampe』 水銀燈

謎の空手少女 ”ミス・カラテ” 彼女の正体は?
『Siesta』 極限流シエスタ

その竜はどんな夢と幻を見せてくれるのか?
『Latias』 ラティアス

彼はハルケギニア一…いや、日本一だ!
『Hayakawa Ken』 早川健

死んだ魚の目をした天パだが、その胸には武士道が
『Sakata Gintoki』 坂田銀時

強者を追い求め、狩る狩人
『Predator』 プレデター

人の心を受け継ぎし英雄の赤き子
『Dante』 ダンテ

『Brimir』 ブリミル
59DISSIDIA ZERO:2009/01/05(月) 10:38:41 ID:NddzCIdt
【闇に導かれし破壊者陣営】

人は彼女を『白き悪魔』と呼ぶ
『Takamati Nanoha』 高町なのは

極悪非道!残虐非道!悪逆非道!巨悪の魔王!!!
『Toutaku』 董卓

復讐を願う少女にその竜はなにを齎すのか?
『Tabitha&Gaos』 タバサとギャオス

薔薇がよく似合うその人形は今日も優雅に紅茶を飲む
『Reiner Rubin』 真紅

任せて安心、メイドガイ!
『Maidguy Kogarasi』 メイドガイ・コガラシ

無限の時を生きし姫はなにを楽しむのか
『Houraisn Kaguya』 蓬莱山輝夜

卑劣、残虐、子悪党とはこいつのためにある言葉
『Janga』 ジャンガ

欲望のままに男は欲する
『Matunaga Hisahide』 松永久秀

黒き蜘蛛の少女は善か悪か
『Louise&Symbiote』 ルイズとシンビオート(エイリアン共生体)

悪魔の力を受け継ぎし英雄の青き子
『Virgil』 バージル

『Say-tarn』 シャイターン
60DISSIDIA ZERO:2009/01/05(月) 10:49:19 ID:NddzCIdt
ゼロに終焉は無い。

永遠に語り継がれる究極のゼロから
これはたった一度だけ語られる"異説"である。
悠久の果てしない時を共にあり続け
受け継がれ続ける虚無と闇
二つは無限であり同じ
何より全てである

10人の闇に導かれし者どもの暴挙が均衡を崩し
混沌に沈んだ世界
世界に残された僅かな希望は
虚無に導かれし10人の戦士達だけ

これは彼等が紡ぐある平行世界の可能性の物語


"ゼロに限定された形はない"



以上で投下終了です。
元ネタは『DISSIDIA FINAL FANTASY』です。
初投下だったため、色々とご迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 11:34:36 ID:RjiE9zjP
作品の出来の良し悪し以前に
どれだけ他のSS作家さんに無礼な真似してるかを考えろよ
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 11:40:31 ID:OWbKWLxa
とりあえず序盤のメル欄はなんのつもりだ?
まるで自分は空気読まないお客さんですって宣言してるようにしか……
ああ、そのものか
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 11:48:37 ID:2OM5yIX9
ギャオス軍団Vsその他大勢で充分だろ?
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 11:51:10 ID:hZcN34p0
スルーしろ
書き逃げ厨房にレスしても何のメリットもない
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 12:25:50 ID:EU5exddJ
ゴジラ×ギャオス×ルイズ
―大怪獣超魔法決戦―

という電波を受信したような気がしたが別にそんなことはなかったぜ
さて卒論でも各科(´A`)
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 12:38:42 ID:6SoEV/Dz
どっちかっつーと幼生イリスを召還して育てるルイズを想像したぜ
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 12:43:22 ID:vKL3rTQc
遅れましたがジャンガの人、乙です!

ジョーカー生きてましたね〜
まぁ、あっさりやられる奴ではないと思ってましたが

タバサ、雰囲気が少し変わった?
実家で待ち受けてるのはビダさんかそれとも…
ジャンガがどう動くか楽しみです
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 12:45:34 ID:Ew+uvfxf
ガバドンだと……日がな一日寝てるだけで凄くいびきがうるさい使い魔、駄目だ使えねえw
シーボーズは弱気だから戦闘向きじゃないし
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 13:17:31 ID:rhUDqTHn
ルイズやタバサにカオスヘッダーが取り付いたらえらいことになりそうだな。
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 13:30:09 ID:8YFEY2j3
カオスヘッドからタクを召還したら

……駄目だ現実逃避しまくりで話が進まない
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 13:33:15 ID:furnYDqJ
FF11からシャントット召喚
・・・ダメだ、ルイズがころころされる絵しか浮かばん
72DISSIDIA ZEROの人:2009/01/05(月) 13:34:08 ID:lvj+vDM3
すいませんでした。
ど初心者でしたのでsageの意味も分からずにして、皆様に不愉快な思いをさせて
しまいました。以後、気をつけてます。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 13:49:40 ID:I6WT3F7t
>>66
触手責めされるルイズとな

けしからんな、実にけしからん
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 13:52:10 ID:MXuNUd/t
逆に覚醒後のタクだと今度は無敵過ぎる、みたいな感じかな? かな?
まだこっちは最終回放送してないんで見てないんだけど。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 13:57:16 ID:00d07EuQ
カオスシルフィードとかになったら、まるっきりリドリアスだな。
問題はコスモスがいないとカオス怪獣化したら、カオス抗体を作れないと殺すしかない点だが。
水のルビーがソアッグ鉱石だったっていう展開はありかな。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:02:43 ID:/QPPHRbu
>>71
デジョンでいつでも帰れるから、
ハルケギニアに興味をもってしばらくいてくれるかもしれないぞ。
ルイズは初期段階でおしおきされて素直になりそうだなw
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:08:14 ID:xciiTChr
>>72
>>61読んだか?
間違ってもwikiに追加なんてするなよ。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:27:49 ID:2OM5yIX9
ロリカードの人は実は自分の中の世界で2424867の己をひたすら殺し続けている途中のアーカードだというのはどうだろうか?
ハルケギニアも当然、中の世界
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:38:51 ID:XS9M/vcQ
モットクレロンが現れてハシバミ草が不足、困るタバサ。
ベロンが現れてタルブ産のワインは底をつく。
トリスタニアでは人々がカネゴンに。
そしてカオスに拍車をかけるブルトン。

ハルケギニアの明日はどっちだ!?

…ウルトラ怪獣ってチョイスが難しいなぁ。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:39:08 ID:6SoEV/Dz
ここってマイナーな漫画ネタだとどれくらいまでならOKなんだ?

ドロヘドロや星を継ぐ者とか
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:42:27 ID:IA/SJeyw
○○思いついたけど文才ないから書けないとか××想像したけど△△だから駄目だ
とかブツブツ言うだけじゃなくてちゃんと書くならどんなにマイナーでも関係ないと思うけどな
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:42:34 ID:xciiTChr
一時創作なら、マイナー具合に制限は無いんじゃないかな?
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:45:05 ID:2vvQSWXk
>>80
どんだけマイナーでも面白いなら大丈夫さ

SS読んで気になる作品はチェックするし、宣伝になるよ
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:47:56 ID:XS9M/vcQ
俺なんかデビルメイクライとかクロノアヒーローズ全く知らないけど、毒の爪の使い魔や蒼い使い魔を読んでるぜ!

でも最近ちょっと興味が出て来てたりもする。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:48:37 ID:yH0OMFzF
そもそもクロス元知らないのばかりだし面白ければ読むしつまらなければ読まない。
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:48:53 ID:eUVWmNXN
頼まれもしねぇのに、人様のSSに糞みたいなアイディアを提案するアホとかな

本当に面白いと思うなら、てめぇで書けっていう
文才がどーとか、どんだけ勉強したり書いたりしたんだっていう
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:49:54 ID:o31jvW2j
>>80
どんなにメジャーでも知らない人は知らない。
逆にどんなにマイナーでも知っている人は知っている。
このスレはその全てを受け入れるだけの層を持っているよ。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:51:49 ID:XhRX+3rS
作品のマイナーは関係ないが文才は書いてもヘタならどうしても叩かれるだろうな
ある程度のレベルは求められるわけで
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:53:01 ID:e7GP9Rda
投下しようと思って書いてる内に上手くなるものだろう
俺も小説を書こうだなんて思った事はたまにしかないし、実質的に書いてた期間って2ヶ月かそこらだ
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 15:55:51 ID:XS9M/vcQ
文章だけきれいに整ってても、それが面白さに直結するわけでもないしな。
多少の誤字脱字や文法、日本語の間違いがあっても、面白いのはそれがあんまり気にならず
「そんなのはどうでもいいから続きはどうなった!?」となるし。
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:00:28 ID:yH0OMFzF
>>86
どこぞの絵師に俺が原作やるのでマンガ書いてくださいとかいうのに似てるな
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:04:22 ID:xciiTChr
う〜ん、俺は逆かな。
作品が面白ければ面白いほど、そういうのが気になってしまう。
物語にのめり込んで読んでいたところで、ん?と違和感を感じて現実に戻ってきてしまう。

逆に面白くないなら気にならないな、すぐに切るしさ。
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:06:14 ID:XhRX+3rS
まあ書いてたら多かれ少なかれ途中で上手くなるだろうな
ただある程度のレベルは求められているのは確かかなと

ヘタがちょっと思いついたから程度で書いても
原作読んだかとか基礎をどれだけ勉強したかとかは問われるだろうし、それは仕方ないかと
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:14:20 ID:XS9M/vcQ
>>92
それもちょっと分かるかも知れん。
まあ、正直文章が下手かな、って人はこのスレで俺が読んでる作家さんの中にもいるけどね。

あと改行もロクにしないで文章がギチギチ詰まってるのは、内容以前に読む気がしない。…俺だけか?
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:20:34 ID:eUVWmNXN
原作を読むのは必須とかいうレベルの話じゃないだろうしな
読まなきゃ分からんだろうっていう
そして分からなきゃ書けないだろうっていう
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:35:07 ID:XhRX+3rS
いやそういうことじゃなく矛盾があったらそうつっこまれるだろうなと
数回読んで入った知識程度じゃ辛いときもあるし
キャラが動いた影響とかじゃないのに原作と違う流れにした場合とか
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:39:16 ID:XS9M/vcQ
召喚キャラが才人とほぼ同じような行動しか取ってないのに、なぜかゼロ魔のキャラが突飛な行動を取るのはたまに見るな。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:46:05 ID:02yOPEhI
>>97
キャラクターの性格が周りに影響してたりするからその辺は楽しむ部分だと思うよ
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:52:41 ID:eUVWmNXN
すまん、話が違ったか
>>95>>95でってことで

疑問に思う人はいるだろうし、つっこむ人もいるだろね
例えば、誰かさんが先住魔法を使ったりとか
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:52:48 ID:o31jvW2j
>>97
でも人の心というのは複雑なものだから、同じことをすれば同じ反応が返るというものでもないと思う。
もちろんキャラのイメージを壊さない範囲でだけど。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:53:49 ID:hZcN34p0
面白ければ何でもいいよ
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:55:23 ID:Mm5tgwK+
召喚されたのがサイトじゃなく鬼作さんだったらルイズも自分の下着洗わせないだろう?
行動が同じでも、それをやる人間の容姿なんかも重要な要素だよ

ジュリオが召喚される→「こ、こ、こここの下着は貴方に見て欲し……くて買ったんじゃないわよっ!何よ、笑わないでっ」
サイトが召喚される→「これ洗濯しときなさい(ぽい)。何よ、動物同然の使い魔なんかに見られても恥ずかしくないわ」
鬼作さんが召喚される→「あんたと同じ部屋で息するなんて穢れそう……きゃっ、何いやらしい眼でベッドを見ているのよキモッ、死んじゃえ!!」
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 16:59:06 ID:qpEoA6NS
周りに影響を与える序盤の山場はギーシュとの決闘だろうな
元から強い奴とかだと
1.素直に感心してギーシュにアドバイス→アレンジワルキューレや集団戦術を編み出す
2.良いサンドバック代わり→プラス方向よりもマイナス方向に

同等ぐらいだと切磋琢磨するライバル化や悪友化に
さらには内容によっては無名のその他大勢にも影響与えたり(ガンダ補正や自前の能力などで)

同じ行動でも微妙に違う、サイトはあくまでその中の一つってことで
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:01:14 ID:XS9M/vcQ
>>98 >>100 >>102
……確かに殺気が常に出てる「明らかに人を殺した経験があるだろう」ってキャラが出たら、
そりゃみんな警戒して普段どおりに振る舞えないよなぁ。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:03:15 ID:xciiTChr
北野くんとかな
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:05:34 ID:+f2hPG5M
北野くんは、いい人だよ! いい人だよ!
大事なので(ry
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:21:49 ID:AkVD5h0q
北野くん、再開して欲しいよな。
せめてギーシュ戦くらいは終わらして欲しい。
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:23:41 ID:uPda34Ii
>>94
改行って一行開けてスペース取る事だよな?
それは俺の場合気にならない。このスレ速いんで携帯でチェックしてるせいもあるがw
PCでまとめて読む時も食いごたえありそうでwktkする
規約を読んで同意してくれって時みたいな絶望感は無いなw

ただ一行は40文字前後にした方がとは思う、新書でも42程度だし
長くなる傾向ある人はメモ帳のウインドウサイズと折り返しの併用すると
目安として判りやすいんじゃないかな

まあWEBの場合その人ごとに文字サイズバラバラで見てるんだから
最小でも最大でも見やすいよう考慮した方がいいよね
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:42:52 ID:2vSoyXIv
ゼロ魔の文庫本1冊の分量:約10万字・250ページ(1ページ平均400字)+挿絵10枚前後
 1ページ:40字×17行(最大に詰めれば680字)、全体の行数は17×250=4250行(文字なしの空行含む)
 1冊内訳:本編9章(1章25ページ前後=1万字)+プロローグ・エピローグ・電波な後書き
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:43:06 ID:/14qc7Id
ご立派様とかな
アレを目の前にして普段どおり振舞える奴はかなりの猛者だ
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:56:16 ID:2OM5yIX9
スーパーマイナー大戦かあ
やっぱジャンプ10週打ち切りもの大集合とか
大相撲刑事召喚してルイズにレポート1000枚書かせまくって欲しい
「えっ、それ書くと魔法がつかえるようになるの?!」
「ならん!」
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:57:55 ID:52llDxpf
>107
自分の投下直後に同ネタの投下なんて当て付けを毎回やられてたんだぜ?
また同じ事やられるかもだから再開なんて無理だろ
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 17:58:28 ID:o31jvW2j
>>111
ロマンサーズとかすきですね。
あれも20週行かなかったはずだけど。
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:01:52 ID:4n9R54hH
最近だとアスクレピオスがやばい位置に居るよね…結構好きなんだがなぁ、あの作品。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:05:39 ID:073RjwnH
>>108
改行は「文章として改行すべき場所」以外に入れると死ぬほど見づらくなるのでやめたほうがいいと思うんだが。
妙に中途半端なところで改行入ると、読んでて妙に苛つかんか?

俺だけか?
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:08:58 ID:XhRX+3rS
40文字前後でそれなりにキリがいい所で改行するのがいいと思う
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:09:53 ID:W5AFHpEk
>>102
一番下、伊織が混ざってないか?
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:16:03 ID:nnou5hLn
式神の城のロジャーとかどうなんだろ?

だが帰れないとわかった瞬間、真っ先に被害が及ぶのは…
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:16:55 ID:PXan0fnd
>>115
2chで改行無しで五行以上続くと読む気せんな。よほど面白くない限りは。
>>116も言ってるが40文字くらいで、できれば句読点で切ってもらえると個人的には読みやすい。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:17:45 ID:yH0OMFzF
>>115
いや。同意。
見やすくなるように…と思ってのことかわからんが、句読点があるでもないのにいきなり改行の入ってる作品が時々あるな。
単に一文がやったら長いとかいうのは文章の問題だし、原則として1文中に改行は入れるべきじゃないと思う。
ウインドウの端に行ったらブラウザのレンダラが勝手に改行というか折り返ししてくれるんだし。
まぁ詰まってると行間0が基本の2ch上ではひどく読みにくいと感じることもあるけど、@wikiとか普通のサイトならある程度の行間に設定されてるから大抵は問題ない。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:27:56 ID:073RjwnH
>>120
あー、やっぱそう思うよね?
行頭3文字目とかで脈絡もなく改行とかされたりすると、もう……!
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:39:17 ID:lbpbIBy+
>>120
128文字制限の受け取り方が人それぞれなんだろう
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:43:41 ID:J2lo+VZF
>>119
ここで五行以上がキツイとかw
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:58:15 ID:02yOPEhI
五行がキツいのってVIPじゃないですか先生
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:59:27 ID:grAc2jFn
>>123
改行無しでってことだろ。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:59:33 ID:jppFXrdX
2chブラウザ使ってない馬鹿は放置でいいとして、モニターの大きさにも依存するから難しい。
24wideと19以下使ってる人の差は結構でかいと思うよ。

勿論後者なんて慮る必要性はないが、ある程度そろえるのは見栄えとして必要だと思う。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 18:59:57 ID:bGYoRJvA
>>111
俺はファイアスノーの風が好きだったよ
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:02:44 ID:073RjwnH
>>126
ノートPC使ってる俺は考慮されませんか。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:09:21 ID:ePzamZtM
 ノノノノノ
( ○○) 自分も何か書こう・・・。
  (||||)
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:09:41 ID:J2lo+VZF
>>125
それにしたって一段落五行までは短いだろ。
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:12:28 ID:PgLuxfjN
>>130
一段落じゃなくて一行が長く続いてウィンドウ端で折り返して五行ということじゃないのか?
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:13:45 ID:yH0OMFzF
2chでそれって可能なの?
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:19:38 ID:J2lo+VZF
>>131
レス辿ると分かるが一行空けてスペースをとる話かと思ってたわ。
それなら分かる。
見たことほとんどないが。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:29:27 ID:grAc2jFn
>>133
なるw話が噛み合わない訳だw
確かにここの文章で頻繁に1行スペース開けられたらたまらんなw
だがその場合は改行ではなくて行間だと思うのだが。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:30:55 ID:PgLuxfjN
>>133
俺も最初それかと思ったけど、「句読点で・・・」といってるから多分一行の長さのことかなあと。

一つ気になったが、普通改行続けて入れて縦にスペースをあける時って「空行を入れる」もしくは「空白行を入れる」って言わないか?
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:33:27 ID:J2lo+VZF
>>134
そう思いつつも、誰も指摘しないからまぁ良いやってな感じで話進めてたわw
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:35:14 ID:J2lo+VZF
>>135
うん、たぶんそういう言い方が一番分かりやすいと思う。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 19:54:44 ID:lbpbIBy+
話がどうも見えないが、1行が半角25文字しかないブラウザがあるって事なのか?
よく判らないが携帯だとそうなのか?
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 20:21:49 ID:c+ds0igu
>>138
設定しだいだろう。
ギコナビだってウィンドウ小さくすれば文字数少なくなるぞ。
あと、2ちゃんの一行は全角128文字までだから、表示桁数が全角30字くらいなら五行に届いてしまう可能性はある。
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 20:27:08 ID:P25i6vjV
俺のはこれが限界↓

途中、動く屍や黒い油にまみれた戦争機械などとも遭遇したが、幸いこの作戦に選ばれた精鋭達の前では敵でなく、これまでのところ大き
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 20:31:15 ID:lbpbIBy+
>>139
すまん、全角と半角を読み違えしていた
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 20:45:22 ID:grAc2jFn
一行に最大文字数まで書き込んで、文章途中でブッタ切った所で次の行に移る書き方は読み辛くてたまらんって話かと思ってた。
空行に関しては適度にあったほうが俺は読みやすいかな。人それぞれだと思うが。

なんか理解したつもりで話の流れ読めてなくてスマン(・ω・ )
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 20:49:21 ID:K3kow+NV
作者の一人なんだがさ、この流れで聞きたいことがある。
改行もそうだが、空行ってどうすうのが見やすいと思う?
一応、場面転換のときは空行つけてるんだが、
最近、会話文の前後も空行を入れた方が見やすくなるかなと迷ってるんだが。
最も、空行入れまくるとスッカスカになってかえって見場も悪くなりそうでな。
どうしたもんだか。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 20:52:20 ID:PgLuxfjN
>>143
本で見るときは会話分の前後に空白行は入れないが、モニタだとデザインによってはみづらいから入れることがある。
2ちゃんブラウザの標準状態だったら必要ないとおもう
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:14:17 ID:XS9M/vcQ
>>143
それだとモノローグと会話が交互に入るような場合は、スカスカになる危険があるな。
原作1巻P170〜171あたりをそのまま引用させてもらうが、


 いきなりスイッチを入れたオルゴールのように、キュルケの口から言葉が飛び出した。

「タバサ。今から出かけるわよ! 早く仕度をしてちょうだい!」

 タバサは短くぼそっとした声で自分の都合を友人に述べた。

「虚無の曜日」

 それで十分であると言わんばかりに、タバサはキュルケの手から本を取り返そうとした。キュルケは高く本を掲げた。背の高いキュルケがそうするだけで、タバサの手は本に届かない。

「わかってる。あなたにとって虚無の曜日がどんな日だか、あたしは痛いほどよく知ってるわよ。でも、今はね、そんなこと言ってられないの。恋なのよ! 恋!」

 それでわかるでしょ? と言わんばかりのキュルケの態度であるが、タバサは首を振った。キュルケは感情で動くが、タバサは理屈で動く。どうにも対照的な二人である。そんな二人は、何故か仲がよい。


と、まあ、こんな感じになるんだけど、これをどう判断するかはそっちに任せる。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:16:05 ID:grAc2jFn
俺は会話文の前後に空行は無いほうが良いと思うな。乱用すると逆に見辛い気がする。
場面の転換時や、話の流れが変わったときなどに空行入ってれば十分だと思う。
作者の方が、読み手に行間読ませたくて空行入れるのはアリだと思うけど。
読み手の感覚や環境次第って所もあるから難しいね。
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:17:49 ID:GJY948lj
地の文を減らして極力台詞で進めたいと思っている作者です……。
横書きは、縦書き以上にテンポが難しいから、サクサク読んで貰うには地の文を極力減らす努力が必要かなと思ってます。

現実は台詞ちょろちょろ地の文どばばで、理想は遠く果てしないのですが。
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:27:30 ID:IA/SJeyw
一読者としての意見に過ぎないけど
台詞ばかりだと「原作知らないけど面白そうだから読んでみよう」って気にはならないと思う
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:30:31 ID:2vSoyXIv
昨日あれだけ投下ラッシュだったせいか、今夜は誰も来ないなぁ…
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:30:32 ID:DdZL03wd
俺は空行は極力使わないで欲しいな。
空行使いまくりのSSを見た事有るが、読みづらいは無駄にスレを使うは最悪だった。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:30:56 ID:yH0OMFzF
俺は場面転換で空行はあったほうがいい…かな。
段落ごとに…とか会話文と地の文の間とかは作者次第で読者的にはどっちでもいいと思う。
魔女候補の人とかは会話と地の文の間にきっちり空行入れてるけど読みにくいと思ったことはないし。
>>145の言うことも理解できるしケースバイケースってことでいいんじゃないか

ほとんど会話文のSSは…偏見なのかもしれんけどなんとなく読む気になら…
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:37:55 ID:A1hWrQvl
書きたい所だけ書けばいいと思うので原作通りの部分は(中略)とか差異のある会話文のみでも結構
宇宙の(ry
153世紀末第二段。:2009/01/05(月) 21:38:28 ID:PpfBa+sm
さて……ジョジョの方を見た人は知ってるかもしれないが……

最近、ただでさえペースが落ちてきてる上に、ガンダである必要性の無い聖帝様の一話が完成した。
一話をここに投下するという事は終わらせる予定のアルビオンまではやらねばならない……
だがッ!兄貴と兼業なので投下期間が相当長くなってしまうかもしれない……ッ!
それでも投下して構わないか……住人ッ!君達の意見を聞こうッ!!
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:39:24 ID:2+EzLHDD
そもそも1行文字数限界まで書き込んだら
まとめwikiの段階でも意図外の折り返しが確実にかかって
文章体裁乱れまくるんだがな
ページ書式的な意味での1行の限界は100字(全角)
改行の目安は40〜60字としておく方が無難だろ

たとえば今横1680pxのモニター解像度でまとめwiki全画面表示してるんだが
魔砲の人の9話の
>わらわらと出てきたお針子達にあちこちサイズを測られる〜
って所の行末が

   服と下着が
出される。

みたいに折り返しかかってる

この場合で一行の字数数えたら折り返しまでで全角117字だった

この場合この行は「〜測定そのものはすぐに終わった。」で一端改行しておく方が
見やすい体裁になるはず

誰だったか体裁乱れについてはもっと酷いのがあったような気もするが
一例として多分これが判りやすいだろう
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:39:50 ID:DdZL03wd
会話文より地の文が少ないSSは読みたく無いな〜
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:42:57 ID:8QhXv4zH
>>153
誰よりも愛の深いルイズに成長することを祈って楽しみにしてる!
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:43:01 ID:DdZL03wd
聖帝様を歓迎します。
兄貴の実績から一話の後も確実に続けてくれると確信しています。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:44:08 ID:2vSoyXIv
ウェルカムトゥージスクレイジースレッド
159帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:45:32 ID:PpfBa+sm
住人のぬくもりに感謝ッ!そして、俺…この投下が終わったら兄貴の続き始めるんだ……

199X年
世界は核の炎に包まれた!
地は裂け、海は枯れ、あらゆる生命体が絶滅したかにみえた。
だが、人類は死滅していなかった!!

その世紀末の世に築き上げられた巨大な陵墓に立つのは二つの極星。
北斗の救世主と南斗の帝王。
互いに奥義を尽くした中、力が上回ったのは北斗の男だった。
だが、勝負が決まったとはいえ南斗の帝王も退きはしない。

「俺は聖帝、南斗六星の帝王!ひ…退かぬ!!媚びぬ、省みぬ!」
自由を奪われた脚で一歩前に踏み出す。
男を支えている物は、愛と情けを捨て去ってきた己の生き様。
そして帝王としての意地とプライド。

司る星は将星。親も友も持たぬ独裁の星。
それ故に、ここで退けば己の全てを否定する事になる。

「帝王に逃走は無い!!」
そう咆哮をあげると、鎧を奪われ、翼をももがれた鳳凰が残された腕を使い天空へと飛んだ。
目指す獲物は胸に七つの傷を持つ男。
南斗聖拳と対をなす北斗神拳の正統伝承者にして、この帝王が対等と認めた唯一無二の相手。

両雄並び立たず。
二つの極星が激突した時、落ちていったのは南十字星だった。


受けた技は北斗有情猛翔破。
肉体の内部からの破壊を真髄とする北斗神拳において苦痛を生まぬ有情の拳。
その技を受けたからこそ、あえて聞いた。
愛や情けは哀しみしか生まぬ。それでも哀しみや苦しみを背負おうとする、と。
そして、北斗の男の言葉で今まで忘れ去っていた物を思い出した。
それと同時に完全に負けたと納得してしまったが、悔いなど微塵も無かった。
南斗乱るる時、北斗現れり。南斗の宿命を断ち切ろうとして、全身全霊を以ってして北斗神拳伝承者と闘い敗れたのだ。
だが、唯一悔いがあると言えば、あの大きなぬくもりをもう感じる事が出来ない事だろうか。

――憑き物が落ちた。

巨大な陵墓の下で見守る、無数の兵士や子供達でさえそう感じたかもしれない。
死に行く場所へと歩く帝王の顔からは険が消え、まるで子供の顔のようだと言ったのは誰であったであろうか。

「お師さん…もう一度……ぬくもりを……」

消えていきそうな意識の中で思い出す事は、厳しくも優しかった南斗鳳凰拳先代伝承者オウガイとの修行の日々。
どんな辛い修行にも耐え、あの大きな手、大きなぬくもりに抱かれるために鳳凰拳を覚えたと言っても過言ではない。
15歳になった時のあの忌まわしき出来事以来、ずっとそれを忘れていた。
死の間際だからこそ思い出せたのかもしれない。だが、それも直に終わる。
せめて子供のころの記憶を持って、天に、我が偉大なる師オウガイの元に還ろう。
オウガイの元へ行けるのであれば、死ぬのも案外悪くは無い。
だが、闇に身を任せ、完全に同化させる寸前にその世界から引き戻されたような気がした。
160帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:46:48 ID:PpfBa+sm
第壱話『ゼロと帝王』


気が付けば無意識に身を起こしていた。
「………っぅ」
身を起こした時に僅かに上体に痛みが奔ったが些細な物だ。
身体を見回したが、北斗神拳奥義『天破活殺』によって浮き出た秘孔の位置も消えている。
驚くべき事は、自由を奪われたはずの脚が再び動くようになっていた事だろう。

額に違和感を感じ手を当ててみると包帯が巻かれていた。
確かに額から流血はしていたはずだが、そうなってくると誰かに手当てされたという事になる。
「……だが」
額の傷は別に問題ではない。問題なのは北斗有情猛翔破によって致命の秘孔を突かれたはずなのに、何故生きているかだ。
苦しみを生まぬとはいえ、身体を内部から破壊する必殺の北斗神拳を受けたのだ。
外科的処置では対応する事はできないし、対応するには北斗神拳しか無い。

「……まぁいい」
どちらにしろ、考えた所で分かりはすまい。
窓から差し込む日の光に釣られて外を見たが、世紀末の世では見られない光景がそこにはあった。

透き通るような青空と鬱蒼と茂る草原だ。
核の炎で消え去ったはずの、あの少年時代にオウガイと共に過ごしたような風景が。

ここが天かもしれぬ。
消し飛んだはずの光景と死んだはずの肉体が動いている事から、わりと本気でそう思いもした。
が、呼吸を整えてみると、紛れも無く生きている事が実感できる。
南斗聖拳も根の部分は北斗神拳と同じである。
流派によって多少の差異はあるだろうが、南斗鳳凰拳や南斗弧鷲拳は闘気よって手刀や突きの破壊力を増大させている。

闘気を用いれば鋼鉄すら引き裂く事が可能であるし、また同じように闘気でその鋼鉄をも引き裂く拳をも僅かな傷で防ぐことが出来る。
闘気とは言い換えれば生命エネルギーと言ってもいい。
とにかく、闘気を纏えるという事は死んではいないという事だ。

本調子とはいえない体で部屋の外に出てみたが、やはり見知った光景ではない事が容易に伺える。
日の入り具合からして、朝というところだろうか。
少なくとも、周りに人の気配は感じられない。

暗殺拳の使い手である以上、気配を消す術と察知する術には長けているが、これならば警戒する必要も無かろう。
もっとも、帝王がそのような事をするなどありえないので、元からするつもりもなかったが。

一通り歩いてみたが、どうやらこの建物は四つの子塔と一つの本塔。
合計すると五つの塔とそれを繋ぐ通路から構成されているようだった。
建築には興味は無いが、それでも西洋の、どちらかというと古い感じのする建物だという事は分かった。
それともう一つ。

「ふん……この場所は学校のようなものという事か。ならばなおの事、解せぬな」
歩きながら特に興味もなく言い捨てたが、半円形のホール状のような部屋と、その中心にある教壇と黒板を見てそう判断した。
幼少の頃から修行漬けだったので特に行く機会も無かった場所だが
彼にとっての教師とはオウガイであり、教室も自然の中という環境だったので、感慨という物は無い。
それよりも、何故学校などという場所に居るのかが問題だろう。
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:48:05 ID:A1hWrQvl
yesyesyes!
162帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:48:13 ID:PpfBa+sm
最後の本塔へと近づいたが、ここまで来るとさすがに人の気配を感じ始めた。
結構な数の使用人……メイドというやつだろうか。が忙しそうに働いている。
働いている者達を少し眺めてみたが、姿形自体は汚れているわけでもなく、そこそこ綺麗にされている。
世紀末のあの世界なら、使用人なぞボロ同然という風体なので、やはり何か決定的に違うのだろう。
とりあえず、聞きたい事は山ほどある。使用人程度からは大した事は聞けないかもしれないが最低限の事ぐらいは分かるはずだ。
答える気が無くとも答えさせるがな。と考えながら塔に入ろうとしたが、後ろから恐る恐るといった具合で声をかけられた。


「…ひょっとしてミス・ヴァリエールが召喚したという使い魔の方でしょうか?」
その声を受けて振り向くと、他の使用人と同じ服を着た黒髪の少女が立っていた。
少し怖がっているようにも見えるのは、筋肉質の男が上半身裸で(包帯を巻いてはいるが)居た事が原因だろう。

「知らぬな。だが、丁度良い。ここはどういった場所だ」
腕を組み見下ろしながら言ったが、そんな名の者は知らないのだから本当の事だ。
「え?ち、違うんですか?貴族の方たちがゼ…ミス・ヴェリエールが死に掛けの平民を召喚したと話していたもので……」
途中何かを言い直したようだが、特に関係ない要件だったので無視したが、どうも幾つか聞きなれない言葉があった。
「召喚だと?この俺をか?」
「えっと……その、ここはトリステイン魔法学院で、春の使い魔召喚の儀式で呼び出されたと聞きましたが……」

「クク……」
魔法?御伽噺の世界じゃああるまいし。
それも、この聖帝を呼び付けて使い魔……よく分からぬが奴隷かそれに類する事をしろだと?

「クハハハハハハハハハハ!」
「……あ、あのぅ?」
突如笑い出した男に少女が困惑した様子になったが、ああ、とある意味納得した。
召喚され、貴族の使い魔になれと言われたとあれば、笑うしかなくなるという事だ。
見知らぬ土地で知り合いもなく、貴族の使い魔にならなければならないのだから、そうなってしまうのも仕方ない。
いくら体付きが立派でも、魔法が使える貴族と、そうでない平民の間では意味を成さない。
貴族に逆らえないという事は、ここで働いている自分達が一番よく知っている。

「だ、大丈夫ですよ。生きてさえいれば良い事あります!わたし達もお手伝いしますから!」
少女の持ち前の優しさというやつもあるだろうが、そんな同情と励ましが混じった言葉は男にはあまり届いていない。
あまりにも馬鹿馬鹿しすぎて怒る気にもなれないというだけだ。
師のぬくもりを思い出したとはいえ、帝王は帝王である。
対等ならまだしも、帝王を使い魔などというものにしようなど、余程の愚か者か、身の程知らずである事は間違い無い。

「なるほど、俺の身体を治したのも魔法というやつか、クッハハハハ」
「そうみたいですね。秘薬の代金は全てミス・ヴァリエールが出したそうですよ」
少なくとも、天に還ったわけでもなく、死んでもいない。
魔法とやらで北斗神拳の秘孔に対応できるのか分からんが、生きているのだからそうなのだろう。
「まぁ、よかろう」
「少なくとも平民が出せる額ではないようなので…お礼を言っておいた方がいいと思います。…と、その前に食事がまだでしたらいかがですか?」
拳王あたりが見たら、目の秘孔を突きそうな、それぐらい似合わぬ少々和やかな会話だったが
少女―トリステインでは珍しい黒髪の持ち主と金髪の男との考え方には、その髪の色程の違いがあるという事にはまだ気付けていなかった。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:48:15 ID:2vSoyXIv
世界は支援の炎に包まれた
164帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:49:48 ID:PpfBa+sm
本塔とは離れた学生女子寮の一部屋。
ベッドの上では桃色がかったブロンドの髪を少女がうずくまるように眠っていた。
彼女こそが、天上天下唯我独尊の塊ともいえる男を召喚したミス・ヴァリエールこと
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールである。

「…ぅ……ん」
目を覚まして部屋を見回してみたが、彼女が期待していた物はそこにはなかった。
「やっぱり……夢じゃないんだ……」
力無く呟きながら昨日起こった事を思い出す。

サモンサーヴァント――
トリステイン魔法学院の生徒が二年生の進級時に行われる春の使い魔召喚の儀式。
これによってメイジの系統が決まる大事な儀式だ。
今年から二年生に進級する彼女も当然それに臨み、幾度かの失敗を経て無事成功はした。
だが……

風竜や、サラマンダーなんて高望みはしない。
猫や犬、鳥でもよかった。とにかく普通のメイジと同じ物さえ召喚できればなんでもよかった。でも――

彼女が呼び出した使い魔は、二人。いや、正確には二体。
一体は地に座ったミイラで、もう一体も何故かそのミイラに縋り付き、血に塗れ、背中には七つの穴の跡があった。

周りが『ゼロのルイズが死体を召喚した』などと喚きたてているが、そんな声は彼女に届きはしない。

――こんなのってない。どうしていつも自分だけこうなんですか……始祖ブリミル。

頭の中に浮かぶのは二人の姉の姿。
ヴェリエール公爵家において三人いる娘のうち、上の二人は優秀なメイジ。
だが、三女であるルイズは魔法が使えぬ『ゼロ』のメイジ。

その不名誉な二つ名を返上したいという思いがこのサモンサーヴァントにあったのだが
例え儀式をやり直せたとしても、死体を召喚したなどという事実は消すことはできない。
トリステイン魔法学校の長い歴史の中でも、死体を召喚したという珍事例は無いだけに、それが一層気分を落ち込ませていた。

地面に座り込んだルイズの後ろから心配そうに一人の男が近づいてきたが、ルイズはそれに気付く様子も無い。
「……大丈夫ですか?ミス・ヴァリエール」
「ミスタ・コルベール……はい、大丈夫です」
そうは言ったが、全然大丈夫でないのは誰が見ても明らかだろう。
はぁ、とため息を吐いて、若干寂しくなった頭を片手で押さえたが、どうしたものかと本気で悩んでいる。
本来使い魔召喚の儀式は神聖なものでやり直しはできない。
だが、この場合は話が異なる。使い魔の契約は使い魔が死ぬ事により解除される。
つまり、最初から死んでいるという事は、契約のし様が無いと考えてもいい。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:51:21 ID:lcN89Hr4
北斗しえん拳だ。
                
166帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:51:24 ID:PpfBa+sm
だが、再召喚に成功したとしても……辛いな。彼女には。

炎蛇の二つ名を持つ学院の教師である彼も、ルイズが普段からゼロと呼ばれている事はよく知っている。
それも、何もしないからゼロではなく、人一倍努力を重ねている上でそう呼ばれている事もだ。
これを機に、昔の自分と同じ間違った道へ進まねばいいが、と考えたが、立ち止まったままというわけにもいかない。

「ミス・ヴァリエール。この場合は仕方ありません。再召喚の準備を、これはわたしがどうにかしましょう」
「……はい」
力無く杖を持つルイズを見て心配になったが、それより先に二体の死体の違いに目がいった。
一体はかなり古い物で、もう一体は新しい。というよりは召喚される直前までは生きていたのかもしれない。

どこかの遺跡に入った盗掘者が罠に掛かり死んだというところだろうか?
それにしては、体躯に似合わぬ子供の面影を残す顔が不自然なところだ。

コルベールが少し触れてみたが、まだ身体にはぬくもりが感じられる。
まさかと思い慌てて脈を取ってみたが、かすかだが動いている事に気付き声を出した。
だが、その動きは一刻ごとに弱くなってきている。

「ミス・タバサ!召喚したばかりで悪いのですが、その風竜で彼を学院まで運んでいただきたい!」
タバサと呼ばれた青い髪の小さい少女が頷き、呪文を唱え身の丈程もある杖を振ると、男の身体が浮き上がり風竜の背中に乗った。
「ミス・ヴァリエール。一先ず再召喚は中止にします!非常に危険な状態ですが、処置すれば間に合うかもしれません!」
コルベールとタバサも風竜に乗り込むと、青い鱗の翼を羽ばたかせ風竜が猛スピードで学院へと飛んでいった。


「はぁ……」
ため息を吐くのは何度目かしら。

まだ起きて十数分しか経っていないのに、吐いた数は十を超えている。
あの後学院に戻ったが、コルベールから外傷は大した事ないが
原因は不明だが体内の水の流れを大きく狂わされており、秘薬を用いねば助からないだろう、と聞かされたのだ。
ついでにディティクトマジックで調べてみたが、何の反応も無かったので平民という事は間違い無いという事も。

秘薬という物は高い。公爵家の子弟とはいえ、学生の身分であるルイズにとっては間違いなく高価な代物だ。
それも召喚した平民に使うとあればなおさら高く感じてしまう。
事態が事態だったので使い魔契約の儀式こそしてはいないものの、召喚した事には違いはない。
大金を支払って助けても、平民の使い魔ができるだけ。再召喚も可能だ。
だが、助けなければ死体を召喚したという事は確定し語り草になってしまう。それに再召喚が成功するという補償も無い。

それに、ルイズは常に貴族であろうとしている。
魔法が使えないからこそ、人一倍その傾向が強い。
このまま見捨ててしまえば、貴族などと名乗っていいものかと心の隅でそう思っている。

結局自腹を切って秘薬代を出したのだが、手元に残ったのは百エキュー程だ。
百エキューと言えど平民からすれば大金だが、ルイズにとってこの出費は痛い。
次の仕送りまでかなり間があるし、訳を話すにしても『瀕死の平民を召喚したので、それを助けるために使いました』などと言えるはずがなかった。

ともあれ、授業には出ねばならないし、そろそろ朝食が始まる時間だ。
着替えを済ますと部屋の外に出たが、今現在、最高に見たくない顔と鉢合わせになった。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:51:59 ID:Al/durS+
北斗支援拳
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:52:14 ID:DdZL03wd
支援
169帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:52:46 ID:PpfBa+sm
「おっはよ〜、昨日は大変だったわねぇ。大丈夫かしら?ルイズ」
赤い髪が特徴的な、胸元の大きく開いた服を着た、ルイズとは対象的な美女が軽い感じに話しかけてきたが
朝一番から嫌な物見た。という具合に、これまた対象的に嫌そうに返した。
「あんたに心配されるほど落ちぶれてないわよ。キュルケ」
ほぼ同世代なのに、ここまで差が出るあたり、どこの世界にも格差というものは存在するらしい。

「そ、なら大丈夫ね。それで使い魔の平民ってのはどうなったのかしら?」
「ミスタ・コルベールに聞いたら、落ち着いたみたいね。いつ起きるかまでは分からないみたいだけど」
「やっぱり使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ〜。来なさい、フレイム」
そのキュルケの部屋からのっそりと、現れたのは存在するだけでその場に熱を放つ真紅のトカゲ。
身の丈は虎程もあり、尾の先は炎で出来ている異形の生物。
当然、ルイズはこの生物の正体は知っている。
「サラマンダーね。『微熱』のあんたにはお似合いじゃない」
メイジの実力を測るには使い魔を見よ。という言葉がある。
使い魔を見れば、そのメイジの属性と実力がどのぐらいか測れてしまう。
同じ学年で言えば目の前のキュルケと、昨日の風竜を召喚したタバサはツートップ的存在と言えた。
サラマンダーを呼び出したキュルケの属性が炎で、風竜のタバサが風になる。
ならば、死に掛けの平民を呼び出した自分は一体なんになるのだろうか。
考えれば考えるほど『ゼロ』の二つ名が嫌になってくる。

色々考えていたが、気が付けばキュルケとフレイムは既に居なかった。
「はぁ……あいつの自慢話も聞こえないなんて、なにやってるんだろ…わたし」
ため息のカウントをまた一つ増やすと、ルイズも食堂へと歩いて行った。


「騒がしいわね……」
朝食を摂るべく食堂に着いたルイズだったが、何やらやけに騒がしい事に気付いた。
食堂の入り口前に生徒達が集まって中を覗いているのである。

「ねえ、そこのあなた」
メイドなら何か知ってるかもしれないと思い、丁度近くにいた黒髪のメイドに声をかけたのだが、なにかやたら慌てている。
「は、はい!?ど、どど、どうかなさいましたか?ミ、ミス・ヴァリエール」
慌てているというより、声をかけられたから慌てだしたと言った方が正しいだろうか。
それでも一応の応対はしているのだから、さすがというべきだろう。

「なにかあったの?」
「え、っと………ミス・ヴァリエールの……」
やたら言いにくそうにしているが、ミス・ヴァリエールの、と言ったという事は自分に関わりがあるという事になる。
食堂に入っていないのだから、自身は関係無い。
なら他になにかあるかと思ったが、最高に嫌な予感がしてきた。入り口の方から『ゼロの…』とか『召喚…』とか聞こえてくるし。
恐る恐る食堂の中を除いてみたが、言いようの無い脱力感に襲われ思わずその場に座り込んでしまった。
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:52:56 ID:uPda34Ii
改行と空行混同してごめんねごめんね支援
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:53:49 ID:2vSoyXIv
南斗支援拳
172帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:54:08 ID:PpfBa+sm
\タタタ〜ン♪タタタタタタタタタタッタタ〜♪/

今のルイズの頭の中には、そんなマーチ音が縦横無尽に鳴り響いている。
それもそのはず。昨日まで瀕死のはずだった男が、『貴族は魔法をもってしてその精神となす』をモットーとした
貴族の食卓にふさわしい貴族のための食卓で食事を摂っているからだ。
しかも、限りなく偉そうに、かつ悪びれる様子も無くである。
軽く三人前片付けた所でナイフを置いたが、脚を組み片手で頬杖を付くと、もう片方の手でグラスを取りワインを飲み始めた。

「フッ……悪くない」
グラスの半分を飲んだところでそう呟いたが、それに突っ込む物は誰一人として居なかった。
いや、居るには居るのだが、射抜くような眼光を飛ばされ、近付こうとする前に退散させられていたりする。

「な……なに、やってんのよ……」
あれ本当に昨日召喚したあれよね…?と自分に再確認させてみるが間違いなく本人だ。
本来、平民が入れるはずのない『アルヴィーズの食堂』で、あろうことか脚を組み頬杖を付きながらワイングラスを傾けゆったりしている。
貴族でもあそこまで偉そうにしているのは正直見たことが無い。

よろよろと立ち上がったが、さっきのメイドが心配そうに話しかけてきた。
「だ、大丈夫ですか……?」
「大丈夫じゃないわよ……なに?なんであいつは平民のくせにあんなに偉そうにしてるのよ!」
「い、いえ…わたしは、止めたんです、貴族様しか入れない場所だって。……そしたら、その」
「その?」
「『俺は聖帝。ナントロクセイの帝王。ならば帝王がこの場所に入る事になんの不都合もあるまい』っておっしゃられて……」

……帝王?

「ナントロクセイって、聞いたことありませんが、どんな国なんでしょうかね」
半ば感心したようにメイドがそう言ったが、当のルイズは聞いちゃいない。

国王、皇帝、君主。言葉は違えど帝王って事はそれと同じ?
……一国の王を使い魔にするのって拙くない?下手すれば戦争よねこれ。
いえ、落ち着くのよルイズ……素数を数えて落ち着くのよ……2 3 5 7 11 13…
ナントロクセイなんて国聞いたことないし、そもそもあれ平民だってミスタ・コルベールも言ってたし……
で、でも、そう言われて見ればあの態度も納得いくわね……。ああ、でも自称帝王かもしれないし……。

ひょっとして国家レベルでやらかしたかもしれないという思いと、やってない、まさかという思いが頭の中をぐるぐる回っていたが
食堂の中の方から聞こえてきた声によって、そんな考えを打ち消された。
173帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:55:36 ID:PpfBa+sm
「君、その席はモンモランシーの席だ。あまつさえ平民が、この食堂に入るなど言語道断だと思わないのかね」
芝居掛かった台詞が聞こえてきた方向を見ると、金髪の少年が腰に手を当て薔薇の杖を突きつけている。

『い、言った!』
『さすがギーシュ!俺達に言えない事を(空気も読めず)平然と言ってのけるッ!』

この状況の中、あえて言ってのけたギーシュに賛辞半分の言葉が送られたが、快く思っていない貴族がほとんどなのか追従する者まで出ている。
だが、帝王は一切動じず、頬杖を付いたまま面白い物でも見るかのような軽い笑みを浮かべて言った。
「デカイ口を利くな、小僧」
まさに傲岸不遜。完全に見下した態度にカチッときたのか、薔薇を持つ手が小刻みに震えている。
「き、聞こえなかったのかね!平民風情が入れる場所ではない、すぐに立ち去りたまえ!」
ギーシュと呼ばれた少年が声を荒げたが、相手は一向に意に介していない。恐らく道端の小石程度にしか思っていないのだろう。
「大方、そこの小娘にいいところを見せたいとでも考えているのだろうが、随分と浅はかだな」
グラスに残ったワインを飲み干し鼻で笑いながら言ったが、ギーシュは顔を赤くして小刻みに震えている。
「モ、モンモランシーは関係無い!僕は君に礼儀というものを……!」
「ハッハッハ……俺は小娘と言っただけだが?」
「なぁ……ッ!」

完全にやり込められたギーシュが言葉に詰まったが、入り口の方から一人の少女がギーシュに近付いてきた。

「ギーシュ様……」
「ケ、ケティ……ど、どうしたんだい」
「やっぱり、本当の想い人は、ミス・モンモランシーだったんですね……」
ケティと呼ばれた少女が声を落としなら言い、目に涙を浮かべたまま走り去って行ったが、次いで金髪縦ロールの少女がギーシュに近付いてきた。
ギーシュが狼狽し始めたあたり、それがモンモランシーだという事が見て取れる。

「やっぱり、あの一年生に手を出してたのねぇ〜ギーシュ!」
「モ、モンモランシー!彼女とは馬でラ・ロシェールの森まで遠乗りをしたぐらいで……!」
必死に言い訳をするギーシュだったが、そこに思いもよらぬ追撃が飛び込んできた。

「男の心変わりは恐ろしいものよのぅ」
その言葉の鋭さは最早槍の切っ先と同等。お前どこの殉星だよと突っ込まれそうな言葉の出所は無論あの男。
「き、君!なにを言ってくれるんだ!いいかい?薔薇というものは多くの人を喜ばせるために咲く……あ」
言葉のあまりの鋭さにギーシュが我を忘れて反論したのだが、もう一つの存在を完全に忘れていた。
「つまり、あんたにとってのわたしも、多くの人の一人って事ね?よ〜く分かったわ」
殺気混じりの声が食堂に響くと、ギーシュが冷や汗を滝のように流し始めた。
今が夜で世紀末ならば、七つの星の脇に燦然と輝く小さな一つの星がはっきりと見えている事、疑いの余地無しだ。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:56:49 ID:OHDT0jNE
支援だ
175帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:56:53 ID:PpfBa+sm
モンモランシーがポケットの中から瓶を取り出すと、その中身をギーシュにかけた。
辺りに、薔薇の香りが強く漂ってきた事から香水の類のようだ。
「今度、あんたのために香水じゃなくて、除草剤作ってきてあげるわ」
怖いぐらいの笑顔でそう告げると去ると食堂に沈黙が流れたが、そこに笑い声が聞こえてきた。

「クッハハハハ、己の力量を見誤った者の愚かな末路と言ったところか。中々に面白い見世物だったぞ、小僧」
ひとしきり笑うと頬杖を付いたまま、まるで蝿でも払うかのように手を二回振った。下がってもいい、という意味だ。
完全にギーシュに興味を失ったが、コケにされた方はそうもいかない。
「ま、待ちたまえ!」
「まだ居たのか。何の用だ?」
最早その目には何の感情も帯びてはいない。だが、あくまでも帝王の風格を崩さず、そして不敵にギーシュに問い返した。

「君が余計な事を言ってくれたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね!?」
「知らぬな」
短く一言で済まされたが、いよいよ我慢ならなくなったのかキザったらしい仕草を取りながら叫ぶかのように言った。
「いいだろう…!確か、ゼロのルイズが召喚した死にぞこないの平民だったか。その態度も気に入らない、君に貴族の礼というものを教えてやろう!決闘だ!!」
「ほう……」
「祈る準備ができたら、ヴェストリの広場に着たまえ」
体を翻すとギーシュが立ち去ると、周りの生徒達の大半も後を追って行く。
教師達も一応は止めようと試みているようだが、あまり積極的ではなかった。

「ミ、ミス・ヴァリエール、あの方はメイジなんですか…?」
一連の流れによく付いていけないルイズが辛うじて首を横に振って答えたが頭の中は色んな考えが飛び交っている。

そもそもわたし、あいつの事何も知らないのにどういうなの事よこれ。
それに決闘って、普通もう少し授業とかのイベントをこなして起こるもんじゃないの?

メタ発言的考えはおいておくとして、完全においてけぼりを食らっている事にさすがのルイズもいい加減怒りたくなってきた。
それとは対照的に、未だ椅子に座る続ける男は、依然として変わらぬ姿勢を取りながら『ふむ』と呟くと、メイドを呼んだ。
「シエスタだったな。酒が切れた、代わりを持て」
シエスタ――そう呼ばれルイズの傍にいたあの黒髪のメイドが走り寄って行ったが、男がメイジではない事を知ったせいか声が少しばかり上ずっている。
「だ、大丈夫なんですか?魔法が使えないのに貴族を本気で怒らせたりしたら……」
「三度は言わぬ。代わりを」
「は、はい!」
次はないと言わんばかりの口調に、シエスタが厨房の方へと走って行ったが、そこにルイズが駆け寄ってきた。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:57:13 ID:grAc2jFn
支援あるのみ
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:57:44 ID:OHDT0jNE
支援
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:57:50 ID:lcN89Hr4
おまえはもう、しえんでいる。
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:58:50 ID:lcN89Hr4
ギーシュはもう、死んでいる。
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 21:59:01 ID:Ew+uvfxf
何て偉そうな使い魔なんだ、お師さんコンプレックスのくせにw
181帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/01/05(月) 21:59:06 ID:PpfBa+sm
「こ、ここの平民!わたしに命助けてもらったくせに勝手になにやってんのよ!まずはわたしに言う事があるんじゃないの!?」
物凄い剣幕でルイズがわめき立てたが、テーブルを挟んで開かれた口から飛び出た言葉はルイズが全く予想しない言葉だった。
「誰だ貴様」
「あんたを召喚したご主人様!一度しか言わないからよく聞きなさい!ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!」
ぜーぜー、と息を切らして一応自己紹介を済ませたが、長ったらしい名前の最後のヴァリエールという部分を聞いて男が思い出したかのように言った。
「ああ、俺を使い魔などというものにしようとした、身の程知らずか」
「身の程知らずはあんたよ!このバカ!いい?あんたがどれだけ偉かろうと、魔法も使えないやつはメイジには絶対勝てないの!」
「俺がわざわざ小僧と決闘をするだと?ふっ…冗談はよせ」
どこからか、『兄上も意外と甘いようで』とか聞こえてきたのは幻聴に違い無い。
「ああ、もう、とりあえず謝ってきなさい!わたしと契約するのはそれか……って、え、なんでよ?」
すっかり決闘をするつもりだと思っていたルイズも、これには怒りを忘れて思わず間の抜けた声で聞き返してしまった

「例えば……木に実った果実がある。お前ならどうする?」
「そ、それは、木に登るか、梯子を掛けたりして取るんじゃない?」
唐突にそう質問され、ごく一般的な当たり前の答えを言ったが鼻で笑われてしまった。
「な、なにが可笑しいのよ!」
「凡夫の考えだな。収穫などという事は他の者に任せておけばよい。居ながらにして果実を食うという物が帝王の姿という事だ」
口元を獣のように歪めながらぬけぬけと己の帝王学を語る姿にさすがのルイズも唖然としていたが
そういえばこいつの名前も聞いていない事に今更ながら気付くと素性を問い質す。
「な、名前、あんた一体どこの誰よ!」
そう聞かれると、ゆっくりと手を掲げ指を天へと突き出すと名乗りをあげた。

「俺は聖帝サウザー。我が星は極星・南十字星。故に誰にも頭を下げぬし屈っしもせぬ」

帝王の名はサウザー。南斗聖拳総派百八派において、最強と評される一子相伝の南斗鳳凰拳の伝承者。
その力と身体の謎により、あの世紀末恐怖の覇者『拳王』ですら闘いを避けた非情の帝王。
だが、誰よりも愛深く、それ故に愛を捨て覇道を突き進んだ哀しい男。

ゼロの少女と、世紀末の帝王の初めての会合はこうして行われた。

ok投下したッ!次回第二話『否退』(予定)
聖帝様はやっぱり頬杖付いて、脚組んだポーズが一番似合うと思う。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:01:21 ID:OHDT0jNE
乙っしたー! 続きが見てぇえ!
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:02:51 ID:2vSoyXIv
こ…こいつはとうてい使い魔なんぞにおさまる器じゃねえ!
乙でした、次回おマチしてますぜ兄貴ィ
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:03:15 ID:8QhXv4zH
中世ファンタジーにあっても、なんて偉そうな使い魔w
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:03:51 ID:6TIo2is8
>>183
誰が上手いこと言えとw

ともかくGJ!
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:04:25 ID:lcN89Hr4
傲岸不遜!
さすがは聖帝サウザー!
かっこいいぜ。

乙&GJ!
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:05:23 ID:2+EzLHDD
聖帝様は中の人繋がりで最低野郎風味の予告が聞こえてきそうになる
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:06:36 ID:5gJpvNpA
ここは「今日のは口に合わぬ!」と言ってテーブルを破壊する聖帝様が見たかったなw
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:07:03 ID:K3kow+NV
乙!

ルイズも、真の帝王学が学べて幸せもんだなw
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:08:14 ID:XS9M/vcQ
サウザーの方、乙でした。
そう言えば外伝だったかで、
「ガケの上にある花が欲しい。トキとラオウとケンシロウとサウザーはそれぞれどうしようとするか?」
って例え話がありましたな。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:08:28 ID:uPda34Ii
GJ!
しかしビジュアル的にも凄いインパクトあるな
あの絵面の中に混じったサウザーってw
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:12:20 ID:5mENwmiq
頭の中がサウザーと最低野郎のロッチナの所為で銀河万丈祭りだwww
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:12:54 ID:KEoFDS35
>>190
たしかそれ、トキは自分で種を取ってきて地に蒔く、サウザーは子供や老人を使役して
自分を運ばせる、ケンシロウは望まずとも民衆が持ってくる、ラオウは岩山ごと破壊して
天命であれば花は砕けずに降りてくる、だったかな?
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:15:03 ID:pW9gLK4W
アミバとジャギならどうするんだろうか
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:18:16 ID:A1hWrQvl
ヒャッハー
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:23:27 ID:00d07EuQ
ルイズに心からの同情を、しかし前に召喚された妖星のユダ様よりはましだ
そして歴代最凶の決闘を挑んだギーシュのKYぶりにGJ!
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:32:11 ID:2+EzLHDD
>銀河万丈祭りだwww
ttp://toku.xdisc.net/Sn2/up3/ggg/re4027.zip.html
後押ししてやろう
DLkeyは目欄に入れるのが常識なアレ
名前変更で拡張子だけzipからwavに変えるべし
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:46:16 ID:2OM5yIX9
>>197
となると次回は惑星ゾラと呼ばれているハルケギニアを…
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:49:31 ID:2w5I9jBE
やべえ、絵がありありと再生される。流石は聖帝様だぜ!
この勢いのままドガっといって欲しいものですね
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:50:32 ID:lN3gCrH6
ギーシュの攻撃じゃ聖帝様に羽根と化す南斗鳳凰拳はどうとらこうたら言われてかすりもしないだろうな
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:57:40 ID:6TIo2is8
グレイル クエスト(ドラゴン ファンタジーの方が通りがいいか?)から
ピップを召喚というのを思いついた。
やるとするとソーサリーと同様の選択形式になると思うが、最大の問題は
中の人が「読者」である点だ。ぶっちゃけ、憑依ものと変わらん。
やっぱ地雷過ぎるかね?
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 22:59:22 ID:2IpniKw2
だが待ってほしい
このサウザーは何らかの影響で人並み以下にまで弱体していて
ギーシュにフルボッコされるのではないだろうか
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:01:11 ID:Fzv4bO70
なにげにフェニックスつながりだったりするなw
聖帝様の人物描写の完成度が凄すぎwww
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:02:45 ID:7se0AeU6
一部を除きマンネリ化がえぐいな
そろそろ潮時かなー
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:05:48 ID:02yOPEhI
何も口に出して言う事じゃない。
まるで批判してるように聞こえるぞ。気をつけろ
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:10:29 ID:lbpbIBy+
自分は何もせず上から目線か・・・
無能の言う事さ
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:13:41 ID:ZJGExoXc
>>204
というマンネリな発言でした
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:17:08 ID:e7GP9Rda
SSをかいてて、「しどろもどろ」って書いてたら、何回か間違って
しもどろもろ
しろもどもろ
しどろもろろ
しろもどろも
しろろもとも
とか、頭がポルナレフになりそうになった
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:17:31 ID:2IpniKw2
>>204
そういう物言いだから器量が小さいんだ
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:19:02 ID:UY6ANYXI
でも銀河万丈キャラって他のやつ呼んでもこんな態度とりそうだよなwリキッドとかw
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:20:45 ID:yH0OMFzF
じゃあヴァン丈で
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:21:24 ID:XhRX+3rS
ダイバスターから博士を召喚するとか
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:21:30 ID:7DFRrrSS
リキッドならナノマシンの支配から解放されたとか言って大喜びしそうだな
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:25:46 ID:WbZ/e2F9
銀河万丈なら「ぶったわね?!」「ああぶったさ!」としか思いつかねぇ
なんで声優の名前まで覚えてるのさみんな
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:25:55 ID:CZuCfB6/
シャドウハーツ・フロム・ザ・ニューワールドにも
フランク・ゴールドフィンガーという銀河万丈キャラが居るんだよな。
仙人掌や梶木鮪、こけしを武器にする。最強武器はおでんのアメリカン忍者。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:27:11 ID:UY6ANYXI
私の名前はベック大佐だ!!!
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:28:54 ID:2vvQSWXk
犬軍団のボスとか半端なく強いぜ
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:34:43 ID:7se0AeU6
>>205
そりゃ最初のころはどれもそこそこ読めたよ
原作氏らねーもん俺wアニメも糞つまらなくて2話で切った
そこそこ力のある作家さん削除されてるのもあるけどけど
例えば夜天、提督とかるるる、UG,ガンパレ、アトリエ,
ここじゃないけど理想郷のごく一部の読むと
凡百のSSは俺には苦痛でしかないよもう
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:35:32 ID:xciiTChr
>>208
ナゾナゾか何かに見えてきたw
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:37:23 ID:3vN7LPuN
>>218
上から目線はやめろバカ
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:38:53 ID:2IpniKw2
>>218
君は読まないorここには来ないという選択肢がないのかね
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:38:56 ID:GJY948lj
ス・ルー
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:39:03 ID:lHgXeZhr
とりあえず毒吐き行こうか?
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:39:44 ID:yZJknSkn
まるでマクドナルドで俺はロッテリア食いなれてるからwwwwwとか言ってる様な意味不明な子がいます
ええ、モスでもバーガーキングでもなくロッテリアです
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:40:04 ID:2vSoyXIv
ヒント:冬休み
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:42:19 ID:7se0AeU6
>>220
変に卑屈な読み手や書き手に虫唾が走るんだが
つまらんもんはつまんねーよ
おもろいのはおもろいんだよ
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:42:29 ID:lbpbIBy+
>>218
もう何度引用されたか知れない若先生の言葉
「どんな映画を観ても面白くないとすれば、それは観る側の感性が鈍っているのだ」

そういう訳で、自分の感性が鈍っているのを他人のせいにしないでね
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:44:46 ID:XhRX+3rS
釣りにしてもレベルが低いな
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:45:00 ID:xciiTChr
これを思い出した。


ダメだ・・・もう我慢の限界・・・

もうね、物理学をやってる自分には馬鹿馬鹿しくて観てられないのね・・・
文系とか高卒の人達には楽しめるかも知れないけど、自分は無理・・・

っつーことで退散しますわw あとは文系の諸君だけでやってくれやノシ
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:45:19 ID:A1hWrQvl
「>>nさんマジパネエッスww」って言えばいいと思うよ
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:46:02 ID:LJcOIme1
サウザーなら是非AC版の性能であってほしいなw
何処からとも無くピラミッド出したり槍出したり…
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:46:10 ID:IEqvfVlt
>>226
てか原作読んでないなら原作読めよwww
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:46:53 ID:3zidLWDb
すみません。
嘘予告ってか、短編?
ってな感じのを書いたので投下しても宜しいですか?
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:47:10 ID:RJICfSRt
>>227
面白いと感じた作品を挙げてる奴にその話をしてどうする
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:47:52 ID:A1hWrQvl
>>233
ごーごー
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:48:51 ID:xciiTChr
>>233
ダメです。と言ったらどうする?って言われて困ってる人がいました(´;ω;`)
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:48:56 ID:lbpbIBy+
>>234
あれって、自分の自尊心を満足させるためにわざわざ挙げてるんじゃないの?
俺はお前らよりレベルw高いんだぞー、みたいな

ま、冬休みだよねぇ
238変態な天使? 天使と言う名の変態?:2009/01/05(月) 23:49:16 ID:3zidLWDb
では、投下します。


 一際大きな爆発が起き、中心地点が砂埃によって何も見えなくなって永い数瞬の時が流れて、成功した事を理解した。
 何故なら、中心地点の辺りから聞きなれない音楽が流れて来るからだ。
 ゆっくりと土煙が薄くなる中、人型のシルエットが見えたかと思うと、人型を中心に紫に輝く巨大な光の柱によって土煙は一瞬で吹き飛ばされる。
 同時に、強過ぎる光によって人型のシルエットがソレ以上鮮明に見える事も無く、誰かが唾を飲み込む音が耳に聞こえた。

「LOVE!」

 聴き為れない音楽のテンポに合わせられるように、人型のシルエットが発した声が聞こえた。
 声の質からして間違い無く、性別は男性だろう。
 何故なら、ハッキリと断言出来る程にその声は低かったのだから。

「&」

 徐々に紫色の光によって作られた柱が、細くなる。
 同時に、力自慢の工夫が街で筋肉を自慢する為にやるポーズをシルエットがしているのに気付く。
 しかしながら、光の柱からはとても強大な魔力を感じた事を考えると、工夫では無く、貴族なのだろう。
 ・・・いや、なのだと信じたい。

「PEACE!」

 光の柱が完全に消えると、ソコには・・・白鳥の羽を半分のサイズにしたような翼を羽ばたかせながら此方を見る変態が居た。
 見た目は人間なのだが、人間かと聞かれれば即座に否と私は答える。
 それ以前に、遠巻きに此方を見ていた女生徒の数名が『イヤァァァアアアアッ!!!』っと叫びながら倒れたのか、数名の男子生徒が慌てる声が聞こえる。
 正直に自重しろと言いたかったが、言えるわけも無く・・・コレと契約をする為に口付けをするのかと思い、視界が霞むのも気にせずに、コルベール先生の方を向く。

「ミスタ・コr・・・」
「ミス・ヴェリエール。神聖な儀式ですので、早く契約を。それに彼は、古い書物に登場する天使のようですよ」
「てっ、天使?」
「それが私のポリシ〜!」

 野獣の咆哮。もしくは、爆音のような大声によって、空気をビリビリと振動させる天使(?)を見る。
 両腕の筋肉を此方に見せつけながら、胸筋をピクピクと動かして筋肉をアピールしながら私に熱っぽい視線を向ける天使。
 服装は・・・正直に言って卑猥と言うよりも気持ち悪いと言う言葉が似合う服装であり、180サントを超えるだろう巨漢の天使?の腕には見慣れぬ文字と絵の刺青が入っていた。

「天使・・・・・・様?」
「まぁ! なんて可愛らしい御嬢さん!」

 人の良い笑顔をして、筋肉を強調しながら此方に向かって歩くる変態を見て一歩下る。
 風に乗って、汗の匂いが僅かにただよって来たのを感じ、視線を逸らそうとするが、恐怖から逸らす事が出来無い。

「んもう! んもう! 何てキュートなのかしら! 我輩、たまらないわっ!!」
「こっ、来ないでっ!? ファイヤーボール!」

 『ドゴンッ!?』と言う、過去最大級の爆発が天使を飲み込む。
 これだけの爆発が直撃したならば、お母様とて無事にはすまないだろう。
 幾ら天使が人とは違うとは言え、これで死んでくれれば再召喚の機会が与えられる。
 それに一縷の望みを賭けた爆発の結果を見る為に、注視し続ける。

「何て可愛らしいアプローチ。こんな風に焦らされるのは初めてで・・・」

 濛々と立ち込める砂埃の中から無傷で現れた天使を見て、一歩後ずさる。
 何故? どうして? why? と幾つもの単語が頭に浮かんでは消えるだけで、答えなど出て来るはずも無い。
 言うなれば、恐怖によって思考が支配されているに近い。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:49:30 ID:lbpbIBy+
支援
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:49:48 ID:2OM5yIX9
毒吐きといえばケムラーだなあ
テレスドンの目とどう違うんだろう?
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:49:58 ID:VHueK0ll
科学読本でも読んでなさい。
俺はすごい科学で守りますでも読むから。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:50:16 ID:I+T3fI3S
聖帝の人乙!
ギーシュよ!天を見よ!見えるはずだ!!あの死兆星が!!
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:50:52 ID:E0i+Hgqb
挙げてる作品からしてろくに読んでないのが丸わかりだなw
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:50:55 ID:xciiTChr
>>240
アラシ隊員だろ支援
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:51:20 ID:IEqvfVlt
これは死人が出るわ……
246変態な天使? 天使と言う名の変態?:2009/01/05(月) 23:51:39 ID:3zidLWDb
「我輩、軽くイッてしまったわ」
「い、嫌・・・」

 両足から力が抜けてしまい、その場にへたり込んでしまう。
 動かない両足の代わりに、両手を使って服が汚れるのも気にせずに逃げようと動く。
 御願いだから、誰か助けてっ!と叫ぼうにも、その叫びは声にならず、ヒューヒューと口から漏れ出るのみ。

「天使殿、御待ち下さい。彼女が怯えているではないですか!」

 声のした方向に首を向ける。
 其処には、炎の蛇をしたがえたコルベール先生が天使を睨み付けていた。

「まあっ、理知的なおじ様! 貴方にも後でハグしてあげるから、待っているのよ!」

 だが、天使はコルベール先生の話を聞かずに私を捕まえると、両腕で軽々と私を抱き上げた。
 その時に無理矢理に近い形で一瞬見せられた顔は恐怖だったと言える。
 切れ長の瞳を潤ませ、紫色のルージュが引かれたのであろう唇。
 髭面で、髪は角刈り・・・気持ち悪さを助長させて余りあるとしか言えないその姿。

「もう、なんて! キュートな御嬢さん!」

 頬擦りされる最中、コルベール先生が繰り出した炎の蛇による一撃が、天使に当たる前に虚空に向かって跳ね返されるのを見て絶望に支配される。
 純粋に攻撃力と言う点だけを見れば、火の系統魔法の威力は非常に高いだけで無く、炎によって生み出された熱波が喉を焼く事すらある。
 だが、見えない壁によって阻まれた火の蛇からは、熱波すら感じる事が無い。
 その為に最終手段とも言える事を行なう為に口を開く。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え・・・」

 そこまで言葉を紡ぐと、頬擦り等は無くなり、天使と正面から顔を見合わせる事になる。
 正直、ワルド様ならば喜んで顔を見合わせるぐらいの事はするが、こんな濃い変態と言う名の天使と見合わせたいとは思わない。
 その為に、意を決して残りの言葉を紡ぐ。

「・・・我の使い魔となせ!」
「貴女に幸あれっ!!」

 ほぼ同時に言葉が終わった私と天使の唇が重なり、それで終わったかと思ったのが甘かった。
 『むっちゅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううっ!』
 と言う言葉が似合いそうなまでのディープキスによって私の唇は蹂躙され、そしてキスが終わった後に地面に優しく下ろされた。
 ついでに言うと、『ぢゅぽん!』ってな感じの擬音語が相応しい音を鳴らしながら唇を離した天使に向かって、キスの音じゃ無いと言ってやりたい。
 言うだけの体力も気力も無いので言わないが・・・

「ああん! 左胸に感じた事の無い痛みと模様。我輩を使い魔にする何て、いけない子ねっ!」

 気色悪くシナを作りながら、うっとりと私を見つめる視線を感じ、心の底から泣きたくなる。
 だがソレも数秒の事であり、天使はコルベール先生に向かって歩いて行く。

「お、御待ち下さい天使殿! 私の名前は、ジャン・コルベール。円滑なコミュニケーションの為に御名前を御教えいただけますかな!」
「んまぁ! 我輩とした事が自己紹介を忘れていたわ。 我輩は、能天使(パワーズ)に属する天使、ハプシエル。以後お見知りおきを」

 そう言って、ウインクしたハプシエルがコルベール先生との距離を5メイル程まで続けた時、1人の少女の声が周囲に響き渡った。

「今よ皆! 一斉攻撃っ!!」
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:51:57 ID:2vSoyXIv
キングアラジンの真似っ(ぎたん)
248変態な天使? 天使と言う名の変態?:2009/01/05(月) 23:53:12 ID:3zidLWDb

 赤い髪をした宿敵とも言える少女の声と、その姿を見て私は救いの女神の姿は、彼女と同じ姿をしているのではと考えてしまった。
 何せ、彼女の隣を駆け抜ける、女性の姿をした青銅のゴーレムや無数の魔法を見て、彼女がそれだけの魔法を従えているようにすら見えたのだから・・・
 総勢数十と言う攻撃魔法が絶え間無くハプシエルに向かって飛来し、土埃が巻き上がるとホボ同時に風の魔法によって土埃が吹き飛ばされる。
 すぐさま、炎の蛇が混ざったのを見て、私も魔法と言う名の爆発を態とタイミングをズラして放ち続けた。

「あああん! 激しい・・・」

 ハプシエルが発したその言葉を聴いた一同が動きを止め、絶望に支配されたかのような表情で一様にハプシエルを見る。
 誰1人として手を抜いていない、全力の攻撃が何十と降り注ぎ、一部の召喚された使い魔も攻撃に参加していたと言うにも関らず・・・
 掠り傷一つ付いていないその姿を見れば、誰であろうと動きを止めてしまうに違い無い。

「何て激しいアプローチ。我輩、イッてしまったわ!」

 最早打つ手無しとばかりに、何人もの同級生がフライで逃げて行く中、コルベール先生はその唇を奪われた。
 そして、ハプシエルは逃げて行く同級生を、スキップしながら追いかけて行く。
 その日・・・幾度もの絶叫が校舎から木霊した理由を、私は永遠に知りたくないと本気で思うのだった。


 場所は変わって、異なる空間に存在するとある学園では・・・

「エーネウスさん。先輩の機嫌が凄く良いみたいですけど、何かあったんですか?」
「実は、数時間程前の事です。御主人様の前に見慣れぬ鏡が現れたのですが」
「鏡がどうかしたんですか?」
「丁度その時、御主人様を不意打ちで抱き締めようとしたあの天使が、濡れていた廊下で足を滑らせ、そのまま鏡の中に突っ込んで行ったのです」

 犬耳に尻尾を生やした美しいメイドの言葉に、ソレを聞いた少年は何と返したら良いのか解らないと言う微妙な表情を浮かべる。
 正直、抱き締められてディープキスをされなかっただけでも、運が良かったとしか言い様が無い。
 それを考えると、上機嫌なのも確かに頷ける。

「その後、御主人様が鈴穂さんを其処に連れて来て、リボンを外させた為に教授連でも探せないと言う状況になってしまったわけです」

 確信的としか言い様が無い捜査の妨害を聞き、少年は自身が先輩と呼ぶ青年に視線を向ける。
 丁度、紅茶を机の上に置いたばかりの青年が少年の姿に気付き、口を開いた。

「おお、拓人じゃ無いか。こっち来て適当に座れ。エーネの作ったスコーンがこんなに美味いと感じたのは初めてだぞ」
「何度も申し上げていますが、美味しく無いと感じているのは御主人様の味覚がオカシイからです」

 不自然なまでに爽やかな笑顔を向けられ、普段とはまるで別人なその姿に驚きながらも机に向かって行く。
 その横で、主人にツッコミを入れるエーネウスの言葉を聞きながら、上座に座る青年に促されるようにして拓人は空いていた椅子に腰を下ろす。
 拓人と青年以外で椅子に座っているのは、巫女服とボンテージ姿をした二人の女性がおり、二人揃って地獄から解放されたかのような穏やかな表情をしている。
 もっとも、この二人の女性にとっての地獄とハプシエルは、直接的には関係無いのだが、野暮な事を言う必要は無いだろう。
 ただ一言、この場に居る者達が発するとしたならば、それは拓人ですら簡単に想像が出来る。

【平和だ】

 間違い無く、その一言だと拓人は断言するに違い無い。
 尤も、他の地において、ハプシエルが現在進行形でドタバタ騒ぎを引き起こしまくった為に、十数年後にはその地で崇められる者がが変化し、『愛と平和と美の天使ハプシエル』として崇められる事になろうと・・・
 この場に居る者達にとってソレは何ら関係が無い事だろう。


 続かない。
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:53:37 ID:oq6S5fCD
>>211
ガン×ソードだっけ。
あれは面白かったが、主人公(童貞)は呼べないな。
ヨロイを何とかできれば可能性はあるが。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:54:07 ID:xciiTChr
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:55:07 ID:xciiTChr
>>249
何で主人公(童貞)を呼べないんだぜ?
ヨロイってのは、息子さんの状態か?
252変態な天使? 天使と言う名の変態?:2009/01/05(月) 23:56:04 ID:3zidLWDb
拙作を御読み頂いた方々、ありがとうございました。

キャラの元ネタは、「まかでみ・らでぃかる」と言う小説に登場する能天使ハプシエルです。
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:56:08 ID:foA1yauQ
>>243
るるると夜天は良かったぞ
提督途中から切ったけど
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/05(月) 23:58:10 ID:HFT9sBdf
うわあ……どうしよう……

すっげえ好きだ、こーゆーのw
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:00:06 ID:/WIMcDKS
榊の作品はすてプリしか知らず
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:00:14 ID:6OVqePYo


コルベール、合掌・・・
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:04:53 ID:tby5anVx

あいつは凄いインパクトだった
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:06:33 ID:jAjfZ3LD
>>253
だから、住人の間で話題になってる作品適当に挙げただけで実際はろくに読んでもないだろってことw
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:07:25 ID:6OVqePYo
>>226
要は、誰もお前個人の感性に合わせる気がない、
お前が他人から見て程度の存在だったってだけの事だよ
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:09:10 ID:Q7WNDEFu
GJ!
コルベールは哀れだけど、ハプのベーゼはいわゆる神の祝福
髪の毛生えたんだろうし問題ないな
261変態な天使? 天使と言う名の変態?:2009/01/06(火) 00:09:37 ID:00e3Fdfi
>>236
ごめんなさい、投下しちゃいました orz
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:09:37 ID:byo7NteZ
WAっしょいでビジュアル化されたインパクトが甦る
どんだけ濃ゆいんだよ
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:13:03 ID:oUihUKsR
アニメだと、その回のEDも乗っ取ってましたっけね……何はともあれ乙でした。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:13:28 ID:velQ5uDU
まあ、ハルケギニアは平和になるっちゃなるわな。
この愛の天使にゃ誰も逆らえないし・・・
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:13:44 ID:99RJoVMi
風呂入ってる間になんてものが召喚されてんだwww
GJ!
266毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:15:42 ID:tmLRxDgo
どうも。
毒の爪の使い魔の第23話後編、予定などがなければ0:20から投下します。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:16:10 ID:x7uMn/qt
>>226
お前の感性に文句は付けないが、それをわざわざ書き込みするとは子供だな

一番感性が鈍ってるのは10代後半から20代前半な気がする
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:17:36 ID:RpDmtJ0k
>>226
年齢は関係ないと思う。鈍い奴は鈍い。あきらめるべし。

そして支援する
269毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:20:40 ID:tmLRxDgo
では、時間ですので投下開始します。

ラグドリアン湖の近くに位置する旧オルレアン邸に、タバサの乗ったシルフィードは降り立った。
タバサはシルフィードの背から降りると、屋敷を見渡す。
見た限り変化は無い。だが、敵意のような物は微妙に感じられる。
当然だ。最早、用済みの自分を生かしておく理由は何処にも無いのだ。
中には自分を捕らえる…もしくは、始末するための刺客がいるのは間違い無い。
シルフィードもまた屋敷を覆う空気が、夕べとは様変わりしているのを感じ取っていた。
きゅい、と心配そうに鳴きながら主人を見る。
そんなシルフィードにタバサは、いつもと変わらぬ調子で言う。
「あなたはここで待っていて」
「きゅい、きゅい、きゅい!」
鳴きながらシルフィードは首を振る。
今度の相手はガリア王国そのものだ。今までの亜人や幻獣、メイジなどとは違いすぎる。
一国と個人ではお話にならない。自分の主人がどれほどの力をつけていようともだ。

そんなシルフィードの頭を撫でながら、タバサは諭すように告げた。
「あなたが待っているから、わたしは戦える。帰る場所が在るから、わたしは戦える」
シルフィードは目に涙を溜め、主人を見つめる。
そんなシルフィードに対してタバサは――優しく笑った。
「大丈夫……必ず戻ってくるから、約束」
その言葉にシルフィードは涙を零す。そして、一声小さく鳴くと、空へと羽ばたいた。
空を旋回するシルフィードを見つめながら、タバサは「ありがとう」と呟いた。

玄関に鍵は掛かっていなかった。
タバサが押すと、抵抗も無く扉は開いた。
ギィ〜〜〜、という重たい音が屋敷に響く。
いつも飛んでくるはずの、執事のペルスランや他の使用人の姿も、当然の事ながら無い
タバサは屋敷へと踏み込んだ――瞬間、物陰から一斉に何かが飛んできた。
「デル・ハガラース」
呪文を唱え、タバサはその場を飛び退く。
飛んできた何かはブーメランのようだ。
タバサが立っていた場所でUターンし、それぞれが飛んできた場所へと戻っていく。
ブーメランが消えると、物陰から何かが姿を現した。
それは大きさが一メイル前後の、真紅の身体を持った幻獣だった。

『スラッツァ』――頭に生えた、毒のある二つの角をブーメランのように使う幻獣だ。
全部で三種類おり、真紅の身体を持ったこの個体はその中でも最強。
普段でも獲物を積極的に狩る、根っからの狩人だ。

タバサは見慣れない幻獣の群れにジョーカーの存在を確信する。
杖を握る手に自然と力が籠もる。
現れたスラッツァは全部で五体、何とかならない数ではない。
スラッツァが一斉に頭の角に手をかける。
その仕草にタバサは先程の攻撃を思い返し、角を飛ばす前にけりを付けようと杖を振ろうとした。
――瞬間、足元が陥没し、タバサは足を滑らせて尻餅を付く。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:21:31 ID:00e3Fdfi
毒の爪氏、支援!
271毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:23:20 ID:tmLRxDgo
見れば、床には何時の間にか、蟻地獄の巣のような物が出来ている。
しかし、穴の中心に向かって流れているそれは砂ではない。何より、穴は青く輝いているのだ。
すると、穴の中心から一つ目の黄色い幻獣が頭を出した。

『ガザロウ』――蟻地獄の巣の様にも見える次元の洞<ウロ>に住み着いている幻獣。
洞の力で吸い寄せられる獲物にクワガタの顎にも見える、鋭い牙が何本も生えた巨大なハサミで攻撃する。
黄色と青色の二種類が存在し、黄色い方が強い個体である。

ガザロウは一つ目をギョロリと動かし、タバサの姿を捉える。
巨大なハサミを振り上げ、タバサへと打ち下ろす。
ガキンッッ!!!
ハサミが噛み合わさった、大きな音が響き渡る。…そう”噛み合わさった”のだ。
そこにタバサの姿は既に無い。大きく跳躍し、洞から脱出していた。

そこへスラッツァ達の角が迫ってきた。
回転しながら飛ぶそれは、さながらジャンガのカッターの縮小版といった感じだ。
しかし、比べるまでも無いほど、タバサはそれに脅威を感じなかった。
短く呪文を唱え、杖を突き出した。
旋風が巻き起こり、角を残らず押し返す。
押し戻された角はそれぞれの主人を切り裂いた。
途端、砂の城が崩れるようにスラッツァは細かな粒子となって消滅する。
着地したタバサは、間髪入れずにジャベリンを生み出し、洞の中心のガザロウ目掛けて放った。
洞から出られないガザロウに為す術は無い。
大した抵抗も出来ずに一つ目を串刺しにされ、洞ごと消滅した。

幻獣達が消滅したのを確認し、タバサは再び歩き出した。

屋敷の一番奥…母の居室に通じる長い通路を歩いていると、またしても何かが姿を現した。
黒光りする丸いボディに赤い目、左右には鬼の角のように白いトゲが生えている。
珍妙な物体だが、タバサはそれに見覚えがあった。
そう…確かプチ・トロワに警備用として何体か配置してあった物だ。

『ササルン』――幻獣なのか機械なのか、一切が不明な謎の存在。
しかし、上位の存在は”向こう”の『ルナベール』の主が製作した戦闘メカと同じ特殊鋼でできており、
どちらかと言えば機械なのであろう。
黒いボディの固体は一番格下ではあるが、それでも通常の攻撃ではビクともしないほど頑丈である。
無論、並みのメイジの魔法も容易く弾く事が出来る。

普段のタバサならば厄介な相手だったろう。
だが、今のタバサをこの程度で止められる道理が一体何処に有るだろうか?
一斉に飛び掛るササルンにタバサは全く動じずに杖を振る。
風の渦…『エア・ストーム』の呪文が発動する。
巻き起こる竜巻にササルン達は残らず飲み込まれた。
無論、この程度でどうにかなる物ではない。…本命は飲み込まれた後だ。

『エア・ストーム』の中で、飲み込まれたササルン達は互いに激しくぶつかり合った。
何度も何度もぶつかり続けるササルンの身体は、次第に罅割れていく。

そう…これが本当の狙い。
硬い物体はスポンジ等と違い、柔軟性が無く衝撃を逃がす事が出来ない。
同程度の硬度を持った物体同士が、激しくぶつかり続ければ何れ砕けてしまう。
タバサはそれを見越して呪文を唱えたのだ。
罅割れ、砕けたササルンは、体中から小さな火花を吹きながら動かなくなった。
それらを一瞥し、タバサは更に奥へと進んだ。
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:25:35 ID:cqFyDgui
支援
273毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:26:43 ID:tmLRxDgo
タバサは母の居室の前に立ち、取っ手に手を掛けた。
鍵は掛かっておらず、タバサはそれを無造作に引いた。
「お待ちしていましたよ、シャルロットさん」
部屋の中へと入った瞬間、気安い感じで声を掛けられた。

タバサは声の主へと、怒りの籠もった視線を向ける。
部屋の奥…三方を窓に囲まれた日当たりの良い場所に置かれた椅子の上に、ジョーカーの姿は在った。
その反対側にもう一人、こちらに背を向けて立っている細身の長身の男がいた。
茶色のローブを着て、つばの広い羽根の付いた異国の帽子を被っている。
ぱらぱらと本のページを捲る音が聞こえた。どうやら本を読んでるらしかった。
見たところ、杖らしき物は持っていない。…メイジ殺しと呼ばれる者だろうか?
だが、例えどんなに腕の立つ傭兵でも、不意打ちでも食らわなければ後れを取る事は無い。
男の方は一先ず置いておく事にし、タバサは改めてジョーカーを睨む。

ジョーカーはタバサの方を向いたまま、座り心地を確かめるように身体を動かす。
「この椅子は中々に良いですネ。いやいや、貴方のお母上もさぞかし気持ち良かった事でしょう〜」
そんな風に楽しげに話すジョーカーに対し、タバサは怒りを募らせた。
母がいつも座っていた椅子に無遠慮で腰掛けているのだ。怒らない方が無理だった。

「母は何処?」
タバサは静かに尋ねた。
ジョーカーは指を人で言う顎の辺りに当て、何事かを考える素振りを見せる。
暫く考え込んだ後、タバサを見た。
「大人しくついてくるのでしたら、会わせてさしあげますがネ?
と言うか…先程、ンガポコちゃんが貴方のメッセージを持って来てくれたのですが……面白い冗談でしたよ」
言葉の最後の方、不気味なまでに声のトーンが下がった。
「首を貰う……いやはや、あんな返事が来るとは驚きです。――とはいえ、ある程度は予想できていましたがネ。
まァ…素直についてくるとは思っていませんでしたよ。ですから…」
ジョーカーは椅子から下り、タバサを静かに見据える。

「力ずくでいかせてもらいましょう」

言い終わるや否や、ジョーカーはパチンと指を鳴らす。
ジョーカーの前方の床に青いゲートが開き、暗い赤色をした幻獣が三体姿を現した。

『アタックマギ』――魔法学院で召喚された『マジックマギ』と同じ種族の幻獣。
体色が赤っぽく、頭に闇色の翼を生やし、背中のマークが剣であるのが違いだ。
今召喚されたのは、その中で最強の個体だ。
アタックマギは他の幻獣の攻撃力をパワーアップさせるのを得意としているのだが、
ジョーカーによって弄られている為、それに当て嵌まらない。
マジックマギが『スリープ・クラウド』を唱えていたように、アタックマギもまた…。
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:28:56 ID:vX+hpkI2
支援
275毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:30:01 ID:tmLRxDgo
一斉に杖を翳す。三体のアタックマギの身体の周囲を、無数の赤い光の玉が回る。
攻撃補助の魔法が掛かった証だ。
続いて、アタックマギ達は一斉にタバサに杖を向ける。
その杖の先端に火の玉が膨れ上がった。
それを認め、タバサは身構える。
「では、やっちゃいなさーい!」
叫びながら、ジョーカーは再度指を鳴らす。
途端、杖の先端から途方も無い熱量と勢いを持った火炎放射が放たれ、タバサを襲う。
瞬く間に炎はタバサの小柄な身体を飲み込み、渦を巻く。
その光景を見つめながらジョーカーはほくそ笑む。

――まさかこの程度で死んだりはしないだろう。
あいつの事だ、防御用に冷気を身に纏わせる位はしているはず。
しかし、この炎を完全に防ぐ事は幾らなんでも不可能だ。多少の火傷などは負うだろう。
そうして弱った所で捕獲すればいい。…もとより、これ位の無茶はしなければ捕まえられない相手なのだ。

…そんなジョーカーの予想は、見事に裏切られた。

「なんですと?」
ジョーカーの目の前で炎が猛烈な勢いで鎮火していく。
水蒸気が煙のように立ち上り、煙幕の如くその場を覆い隠す。
次の瞬間、立ち込める水蒸気を突き破り、三本の氷の矢が飛んできた。
それらは正確に三体の幻獣を貫く。消滅するアタックマギ。

水蒸気が晴れ、その向こうにタバサが見えた。
その周囲には猛烈な勢いの冷気が吹き荒れている。
その冷気は、とてもあの炎を消し止めた後とは思えない勢いを維持している。
タバサが杖を再度振ると、吹き荒れる冷気の嵐は瞬く間に消滅した。

顔を顰め、ジョーカーは再度指を鳴らした。
再びゲートが開き、二体の幻獣が姿を現す。
赤い貝殻を背負い、足の代わりにキャタピラが付いた幻獣だ。

『グリッヅファランクス』――両脇にミサイルランチャーを備えた幻獣で、大砲を備えた『グリッヅ』とは同じ種族。
好戦的で凶暴な性格をしており、ちょっとした事でも激怒する。
赤い貝殻をしたこの個体は小型の中では最上位の存在。
その貝殻の赤は、屠った敵の血の色であり、残虐な性格を如実に表している。
それ故に、全ての幻獣に恐れられる存在である。
…ちなみにグリッヅ達には大食い大会によって決まった階級が存在し、この個体の階級は准尉。
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:33:00 ID:vX+hpkI2
俺はここで支援することしかできない
277毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:33:02 ID:tmLRxDgo
「こうなれば容赦はできませんネ…」
ジョーカーの言葉に答えるかのように、グリッヅファランクスはミサイルランチャーの照準をタバサに合わせる。
六連装のミサイルランチャーが両サイド合わせて二つ、それが二体分だ。
(まァ、腕や足がもげても生きていればいいでしょうしネ…)
残酷な事を考えながら、ジョーカーは指を鳴らす。四つのミサイルランチャーが一斉に火を噴いた。
合計二十四発のミサイルが火を噴きながらタバサへと殺到する。

フーケのゴーレムを破壊した、あの『破壊の箱』と同程度の威力を持っているだろう事を、タバサは解っている。
それでも、タバサは動じない。ルーンを唱えて杖を振る。
風が渦巻き、ミサイルを絡め取った。
恐るべき推進力で進むミサイルは、しかし…タバサの巻き起こした風で完全にその動きを止められていた。
再度タバサは杖を振る。
風に新たな動きが加わり、ミサイルの向きを強引に変える。
ミサイルはその目標を自らを打ち出した幻獣へと向け、牙を剥く。
「くっ!?」
ジョーカーは手を眼前に翳した。

直後、巻き起こる大爆発。

濛々と煙が立ち込め、それをタバサは油断無く見据える。
煙が晴れていき、ジョーカーが姿を現す。
傍にはあの幻獣の無残な姿があったが、それも直ぐに消滅した。
母がいつも座っていた椅子も机も、三方を囲む窓も全てが吹き飛んでいた。

「いやはや…、これはこれは凄いですネ」
ジョーカーが感心しきった様子で呟く。
「これほどまでの力をお持ちとは……ワタクシのメガネも多少曇ったのでしょうかネ?
本当に予想外でしたよ…。いやはや…」
素直な賞賛なのだろうが、タバサは喜びなど感じない。
あるのは、押さえきれないほどの”怒り”だけである。
見ると、ジョーカーは腕組みをするようなポーズを取り、考え事をしているようだ。
ややあって、ジョーカーは明後日の方へ顔を向ける。

「やっぱり、ここは貴方にお任せしますネ…ビダーシャルさん」

ジョーカーの見ている方へタバサも視線を向ける。そこには先程の男が居た。
あれほどの大爆発に晒されたのにも拘らず、先程の男がまるで何も無かったかのように本を読んでいた。
しかも、服などには僅かな焦げ後も見られない。…これは一体どう言う事であろうか?
メイジではないと思っていたのだが…、何かしらの魔法を使ったのだろうか?
いや、やはり杖などは見当たらない。ならば、どういった手段を用いたのだろうか…。
278毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:36:08 ID:tmLRxDgo
男が本から顔を上げる、非常に整った美しい顔だ。
しかし、その年齢は解らない。実に不思議な雰囲気が感じられる男だ。
男はジョーカーを一瞥し、タバサへと視線を向ける。
「お前に要求したい」
ビダーシャルと呼ばれた男は、気の毒そうな声でタバサに言った。
「要求?」
「ああ。我の要求はただ一つ、”抵抗しないで欲しい”と言う事だ。
我等は無益な争いは好まない。我はお前の意思に関わらず、お前をジョゼフの元へ連れて行かねばならない。
そう言う約束をしてしまっているからな。だから、穏やかに同行を願いたいのだ」
伯父王の名を聞き、タバサの血が逆流する。
有無を言わせず、『ウィンディ・アイシクル』が飛んだ。
しかし、無数の氷の矢は男に当たる寸前で停止し、床へ落ちて割れた。
一瞬驚いたが、直ぐにタバサは再度ウィンディ・アイシクル唱えた。今度は倍の量だ。
だが、その氷の矢も尽く男の眼前で停止し、床へ落下した。

男は哀れむような表情をタバサに向ける。
タバサの表情に焦りの色が浮かぶ。
相手は杖を持たず、呪文を唱える素振りすらない。
それでいて、自分のウィンディ・アイシクルを意にも介していないのだ。
どのような系統呪文を使えば、そのような事が可能なのだろうか?

――系統呪文?

タバサはハッとなった。
そうだ、この世には自分達メイジが使う系統呪文の他に、もう一つ別の系統が存在している。
北花壇騎士団として戦ってきた、亜人達が使う呪文…。
それは……

「先住魔法…」

その言葉を聞き、男はさも不思議そうな表情をした。
「どうしてお前達蛮人は、そのような無粋な呼び方をするのだ?
…ああ、もしや私を蛮人と勘違いしていたのか。失礼をした。
お前達蛮人は初対面の場合、帽子を脱ぐのが作法だったな」
男はそう言うと、帽子を脱いだ。
そこに現れたのは、美しい金色の髪の間から突き出た……長い尖った耳。
「私は”ネフテス”のビダーシャルだ。出会いに感謝を」
「エルフ」
タバサの目が驚愕に見開かれた。次いで、杖を持つ手に力が籠もる。

エルフ……ハルケギニアの東方に広がる砂漠に暮らす長命の種族。
人間の何倍もの歴史と文明を誇り、強力な先住魔法の使い手である恐るべき戦士。
タバサにとっても竜と並んで立ち会いたくない相手だった。
初めて対峙した事で、その実力が嫌と言うほど解った。
何しろ、自分のウィンディ・アイシクルがまるで通用しないのだから。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:39:00 ID:JeI6m5sA
しえん
280毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:39:03 ID:tmLRxDgo
エルフの男は哀れみを含んだ視線をタバサに向ける。
「お前では我には決して勝てない。故に、これ以上の争いは無意味なものだ。
大人しく、我と共に来てほしい」
「――ッッ!」
エルフの脅威に心が折れそうになる。
しかし、タバサは恐怖を必死に抑えた。

――そうだ、母は自分のこの手で取り返すのだ。
後悔しない為にも…必ず。その為にはどんな相手にも負ける訳には行かない。
相手がエルフであろうが、竜だであろうが、神であろうがだ。
そうだ……負ける訳には行かない!

タバサの強い意志と激しい怒りは、自身の魔力と呪文の威力を跳ね上げる。
「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ハガラース」
タバサの周囲の空気が瞬時に凍り付き、とぐろを巻く蛇のように身体の周りを回転する。
芸術的な美しさと、触れる物全てを凍てつかせて切り刻む威力を併せ持った、『氷嵐』<アイス・ストーム>が顕現する。
荒れ狂う嵐は、部屋の内装を尽く引き裂いていく。
嵐の目が杖に移り、タバサは杖を振り下ろした。
アイス・ストームがエルフ目掛けて直進する。
どんな防御魔法が掛かっていようが、それごと飲み込んでしまうように思えた。
しかし、エルフはまるで動じた気配が無い。それどころか、タバサから視線をずらそうともしないのだ。
その瞳に宿る感情が”遠慮”であると気が付き、タバサは愕然とした。
目の前のエルフは自身を敵とさえ認めていないのだ。

アイス・ストームがエルフを飲み込もうとした瞬間、突如としてアイス・ストームは逆回転を始めた。
そのまま同じ勢いを保ったまま、アイス・ストームはタバサへと襲い掛かる。
それは今し方、タバサ自身が風でグリッヅファランクスの攻撃を跳ね返したのと皮肉にも似ていた。
実践豊富なタバサは一瞬で呪文を完成させ、その場から飛び退こうとする。――しかし、飛び立てない。
見れば、タバサの両足は床に飲まれていた。粘土の様に形を変えた床に、両足が掴まれているのだ。
タバサは呆然と自分に襲い掛かるアイス・ストームを見つめた。

「ごめん…約束守れ――」

タバサの言葉は最後まで完成しなかった。
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:41:02 ID:V4LWLUeE
しえん
282毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:42:05 ID:tmLRxDgo
アイス・ストームに飲み込まれ、ボロボロになったタバサにビダーシャルは近づいた。
己の作り出したアイス・ストームにより、その小さな身体は無残に傷付いていた。
氷の融けた水と流れ出た血が混ざり合い、床の絨毯を濡らしている。
首に手を当てる。虫の息だ。
「この者の身体を流れる水よ…」
ビダーシャルは呪文を唱える。
彼等エルフが”精霊の力”と呼ぶそれの効果は系統魔法を凌駕していた。
タバサの身体の傷が絵の具で塗り潰すかの様に、瞬く間に消えていく。
系統魔法の『治癒』とは比べ物にならない回復力だ。
傷の塞がったタバサをビダーシャルは慎重に抱えあげた。

「いやはや、大した物です。実に鮮やかな手際でしたよ」
パチパチと拍手をしながらジョーカーはビダーシャルに声を掛ける。
ビダーシャルはジョーカーを見ようともしない。
「我は与えられた役目を終えただけだ」
「のほほ、のほほほほ」
何が可笑しいのか、ジョーカーは頻りに笑った。

――背後で何かの気配がした。

二人は揃って背後を振り返る…、そこには一匹の風竜がいた。
タバサの使い魔のシルフィードだ。その目が今、怒りに光っている。
その目の光に、ビダーシャルはシルフィードがただの風竜ではない事を悟った。
「韻竜か…」
絶滅したとされる古代種…、知能が高く、言語感覚に優れ、先住の魔法も操る事の出来る、非常に優れた幻獣。
ビダーシャルは腕の中で昏睡する少女を見下ろした。…韻竜を使い魔にするほどの少女。
相当の手練だったのだろう。自分が”契約”をした場所でなければ、危険だったかもしれない。

ビダーシャルは再びシルフィードへと目を向ける。
「韻竜よ、お前と争うつもりは無い。”大いなる意思”はお前と私が戦う事を望んでいない」

”大いなる意思”――エルフや韻竜など、ハルケギニアの先住民が信仰している概念。
”精霊の力”の源であり、自分達の行動を決定付ける存在。
――極端な言い方をすれば”神”そのものである。

”大いなる意思”と言われてもシルフィードは引かなかった。
逆に恐怖に蝕まれそうな自身を奮い立たせるように、唸り声を上げる。
――目の前のエルフは強い。…恐らくは、自分など足元にも及ばないほどに。
だからと言って引けない。自分の愛すべき主人は目の前のエルフの腕の中にいるのだ。
この場で助けられるのは自分だけなのだ…。

シルフィードが一向に引く気配を見せないのを見て、ビダーシャルは哀れみの表情を浮かべる。
「魂まで蛮人に売り渡したか。使い魔とは哀しい存在だな…」
ビダーシャルのその言葉に呼応するかのように、シルフィードは牙を剥いて襲い掛かった。
寂しげに首を振り、ビダーシャルは手を翳そうとする。

――次の瞬間、シルフィードは炎に巻かれて吹き飛んでいた。

吹き飛ぶシルフィードを見つめながらビダーシャルは口を開く。
「…なんとも乱暴だな」
「いえ……こちらの事情も考えずに牙を剥いてくる”駄犬”にはお仕置きが必要ですからネ」
ビダーシャルの隣にはフラワージョーカーへと変身したジョーカーがいた。
シルフィードが動かない事を確認し、ジョーカーは変身を解いた。
そして、ビダーシャルへと向き直る。
「では、参りましょうか?」
ビダーシャルは答えない。
ジョーカーは笑って指鳴らした。

次の瞬間、部屋には誰の姿も無かった。
後に残ったのは、ボロボロになった部屋と重傷のシルフィードだけだった。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:42:30 ID:f3mSypnh
支援
284毒の爪の使い魔:2009/01/06(火) 00:45:36 ID:tmLRxDgo
――あの事件から三日。
ジャンガは最早、自分の指定席とも言える、本塔の屋根の上で寝転んでいた。
「ふぅ…」
小さくため息を吐いた。
そのため息に気が付いたか、デルフリンガーが話しかける。
「どうした、相棒? ため息なんか吐いてよ」
「いろいろあって、疲れただけだ…」
言いながら青空を見上げる。
ジャンガは未だ、後悔しているかどうかの答えを出せずにいたのだった。
いや、答えを出すのを迷っていると言えばいいのだろうか?
何しろ、彼の中では未だ”悪党としての死”に対する悩みが残っているのだ。

「なぁ…相棒、悩んでる所悪いんだが…、ちょっといいか?」
「…ンだよ?」
「いやな…前にあの、眼鏡の娘っ子の家に行った時に聞こうとした事なんだけどもよ…」
「ああ…、そんな事があったな。…で、何だよ?」
デルフリンガーは一拍置いて口を開いた。
「お前さんのルーンについてなんだが…」
ジャンガは袖を捲り、左手のルーンを見た。
「これがなんだってんだ?」
「いや……なんて言うのかな…、ちょっと普通じゃない気がするんだよ…」
「普通じゃないのは当然だろうが。偉大なる”始祖様”の使い魔『ガンダールヴ』のルーンなんだからよ」
そうなんだがよ、とデルフは言う。
「なんて言うのかな……こう、何か…普通のガンダールヴと違うと言うか…、
何か違和感みたいなのがあるんだよ」
そのデルフの言葉にジャンガは引っかかる物を感じた。
「あン? テメェ…まるでガンダールヴに以前にも握られていたような物言いじゃねェか」
「それは流石に分からねぇ、…と言うか忘れた」
「当てにならねェ奴だゼ」
「仕方ねぇだろ? 六千年も生きてりゃ忘れる事だって沢山あるさ」
「それじゃ、テメェの感じている”違和感”とやらも、気のせいかもしれねェじゃねェか?」
「う〜ん…そうなんかね?」
デルフリンガーを他所に、ジャンガは大きな欠伸をすると、帽子を目深に被って昼寝を始め――
「おい、相棒!?」
――ようとして、デルフリンガーの声に遮られた。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:50:32 ID:quQ/eABX
おっと、支援だ
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:52:34 ID:udUuG0Ru
支援


ハプ召還にマジ吹きしてノーパソがピンチだったぜ

>>251
ヴァンは鉤爪に抱き締められた際に死にかけ、エレナによってオリジナルに乗れるよう改造されてる
お陰でダンに乗れば多少の傷はすぐ治るが定期的に乗る必要が有り、
オリジナル用衛星が無ければダンを維持できない

詳しくはWikiで
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 00:59:59 ID:4PeNwMYx
支援!
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 01:00:54 ID:4PeNwMYx
さるさんみたいなので代理投下いたします
289毒の爪の使い魔:代理:2009/01/06(火) 01:01:49 ID:4PeNwMYx
規制を受けました。ので、誰か代理お願いします。

不愉快な気分を隠そうともしないで、ジャンガは帽子を持ち上げ、デルフリンガーを睨む。
「ンだよ、今度は?」
「そんなふうに睨むなって…。そんな事より、あれを見てみろ」
「ン?」
デルフリンガーに言われるまま、前方に目を向け――驚愕に目を見開いた。
「ありゃ…」
「眼鏡の娘っ子の使い魔の風韻竜だ」

そう…、自分の遥か前方、空をよろよろと危ない羽ばたきで飛んでいるのは、シルフィードだった。
その全身に火傷の跡が見える。何があったのだろうか?
やがて力尽きたのか…、シルフィードは森の中へと落下する。

「ただ事じゃねぇな?」
「チッ…」
舌打ちし、ジャンガはデルフリンガーを掴むや本塔から跳躍した。
地面に降り立ち、疾風の如き速さでシルフィードの落下地点へと駆ける。
森の木々の間を走り抜けていくと、降り立ったシルフィードが荒く息を上げているのが見えた。
シルフィードの眼前で急停止。
突然の事に風韻竜は驚き、目を見開く。
「きゅ、きゅい!?」
「落ち着け、俺だ」
「あ、お前だったのね!?驚かさないで欲しいのね…きゅい」
「ズタボロのくせに、口は変わらず達者だな…」
ジャンガは半ば呆れたようにシルフィードを見つめる。
「で、何でテメェはそんなにズタボロなんだ? テメェの大切なご主人様はどうしたんだよ?」

ジャンガのその言葉を聞いたシルフィードは、俯き全身を振るわせる。
目に涙が溢れ、ポタポタと雫となって落ちていく。
その様子にジャンガはただならぬ物を感じた。
「何があった?」
シルフィードは暫く俯いたまま泣いていたが、やがて顔を上げてジャンガを真っ直ぐに見つめた。
「…この際だから、お前で我慢してやるのね!」
「…あン?」
突然の暴言に、ジャンガは額にハッキリと青筋を浮かべる。
「風韻竜のシルフィが、お前のような亜人に頭を低くして物事を頼むのね。だから、大人しく聞くのね」
「豪く生意気な口を利くじゃねェか、テメェ。――細切れになりたいのかよ?」
言いながら爪を構えるジャンガ。
…しかし、そんな彼の怒りも、次のシルフィードの言葉で雲散霧消した。



「頼むのね…、お姉さまを助けて欲しいのね!」
290毒の爪の使い魔:代理:2009/01/06(火) 01:03:17 ID:4PeNwMYx
以上で投下終了です。
今回はとりあえず、ある程度の数の幻獣を出そうと思って書きました。
グリッヅ系はナムカプであまりに弱すぎたので、強いイメージにしようと思って書きました。
てか、ミサイルランチャーや大砲など、クロノア世界の幻獣は危険な奴が多すぎるな…(汗)

で、次回はガリアでのタバサ救出へと続いていきます。

それでは、今回はこれで。アディオース♪





以上、代理投下終了です。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 01:08:56 ID:0QWrQGek
毒の爪と代理の人乙!

後帝王の人、亀の上にいささか野暮な突っ込みではあるが南斗聖拳そのものは基本的に暗殺拳じゃないんだぜ。
中には南斗無音拳みたいに暗殺拳になったのもあるけど、少なくともレイは「南斗は陽拳、表の拳」つーてた。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 01:09:47 ID:4PeNwMYx
毒の爪の方、乙です!

ジョーカーだけでなくやっぱりビダーシャルもいましたか
ビダーシャルの反射はやっぱり反則だw

そしてシルフィードのジャンガへのタバサ救出依頼、来ましたね〜
これはジャンガのイーヴァルディフラグ?w
とはいえジャンガといえどビダーシャル相手はキツいかな?
ルイズ達も付いて行くだろうけど、チームワークなさそうだしw

次回も楽しみにしております
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 01:41:08 ID:RN6u2su3
722 名前:あのゼロ@管理人 ◆pLTNYd6DxQ[sage] 投稿日:2008/11/25(火) 04:03:59 ID:5llRJzGo
 分かった。分かりました。

 判決撤回は無し。

 例え管理者の意見であろうとも、一度決定した判決は覆さない。
 多数決によるスレ全体を総合した意志を最優先事項とする。


 そして無理を承知で頼みがある。お願いだ。後生だ。
 削除申請を取りやめて、元通りのままでいてくれないだろうか。

 俺を見下しても蔑んでもいい。無様でも愚かでもいい。
 感情では理屈よりも何よりも、wikiそのものを俺は守りたいんだ。
 此処を愛用してくれている閲覧者の方々に迷惑を掛けたくないんだ。
 全て俺が悪かった。俺の責任だ。変な事をして申し訳なかった。
 一度決めた事を裏切るような真似は二度と絶対にしない。

 だからお願いだ、このスレを見限らないでくれ。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 02:18:06 ID:jvdeHkl9
そういえば、前にヒデオ&ウィル子召喚とかいうネタが出てたけど、
本編終了後のあいつらはバランスブレイカーってレベルじゃないよな

一月もあればハルキゲニアを現代日本に変えられそうだ
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 02:33:47 ID:SPmRpZ1z
レザードが召喚された場合、餌食になるのは誰か考えるでござるの巻
まぁ時空突き破って女神さまも来ると思うが
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 02:43:24 ID:8wSItmiM
むしろヴァルキリー召還の悪役に出れるよね、と言うか呼ぶなら面子も揃ってるしベストな素材だと思う

復活しないかなぁ
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 02:49:09 ID:7kiqBNoI
ヴェドのギーラッハは……無理か。リャノーン一筋だし
リャノーン自身呼んだらそれはそれでおもろそうだけど
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 02:54:39 ID:/N2BBwZ+
そういえばエース召喚するって言ってた人は元気じゃろかw
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 02:55:37 ID:xfHn0S1u
榎本武揚を召喚
300これは作品ではない:2009/01/06(火) 03:29:11 ID:LyImphbj
ダチョウの使い魔

ルイズは考えた平民3人を使い魔にするより1人のほうが効率的ではないかと
「って事で誰が使い魔になる?」
肥後が答える
「俺がやるよ」
寺門も答える
「いや俺がやるよ」
上島は意を決して答える
「じゃあ俺がやるよ」
「「どうぞどうぞ」」
こうして上島は使い魔となった



みたいに芸人が召喚されるのは無しだよね?
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 03:33:34 ID:fDNEoW3s
芸能人は著作権が五月蝿いからやめた方がいい
どうしてもやりたいなら専用スレ建ててみればどうだ
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 03:51:24 ID:Sj9Hm+La
著作権(笑)
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 04:03:08 ID:f3mSypnh
どうぞどうぞはフーケ討伐隊の選抜時や、手紙回収イベントでも使えそうw
ギーシュとの決闘イベントは、熱くて払いのけたおでんがぶつかる所からスタートw
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 04:24:13 ID:iQzTX2ci
生ものは事務所(笑) がうるさいのもあって基本的に同人の世界でも深く静かに動いてるから
やるなら専用スレ(笑)を立ててやらないと余計な摩擦が生まれる
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 06:25:32 ID:RTKjPmih
>>291
あれって確か
北斗は一子相伝だから陰の拳で、南斗は誰にでも教えるから陽の拳て意味じゃなかった?
どっちも根本的には天帝を守護する為の暗殺拳だったはず
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 06:28:49 ID:vL/C3dTg
まとめにも検索避け(笑)が必要だと思うよ
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 06:34:21 ID:rSVVVNLM
>>297
呼び出された瞬間、日光浴びて即死しそうだ。

そーゆー話あったよね?ダイ・アモンだっけ?
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 06:43:07 ID:i7rjNtjE
ミサイル数十発を難なく跳ね返すとかやりすぎじゃね?
そんな事できるメイジがいるなら軍艦の大砲も無意味だろと
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 06:48:55 ID:pD5jic2A
>>210
姉妹スレのピンク色の元獣王さんはとても友好的だった
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 09:54:37 ID:ScL3MDVf
戦車砲やら銃器やらの近代兵器の戦果が具体的に出てるから二次創作書きやすいけど
難しくなるクロスもあるわな
あれが防げないのに何でこれが防げるんだよ!ってのはよく出てくるムジュンだし
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 10:36:17 ID:8TS2E73C
>>260
wwwそういう問題なのか?
髪の毛が蘇るならベーゼしてもいいって男は世に何割くらい居るんだろうな…

そしてルイズとその姉は胸が健やかに成長するのだろうか
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 11:14:32 ID:vX+hpkI2
>>308
ミサイルったってピンキリじゃないか
グリッヅファランクスの話ならクロノアシリーズだし、多分人間基準ならミニチュアサイズだぞ
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 11:32:25 ID:Q7WNDEFu
>>311
神様の奇跡にもできないことある
まして邪な気持ちではなおさらだと思わんかね?
314ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 11:42:04 ID:iUbMh3de
予約が無いようなら11:45分位にシーン03の扉を開けます。
315ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 11:45:58 ID:iUbMh3de
では、シーン03の扉を開きます。

明ける朝、ヒューはいつになく快適な気分で目を覚ました。
ポケットロンの目覚まし機能を使用してだが…、それにしたところで空気の違いは実感できる。
流石に科学文明が発達した世界と環境汚染がほぼゼロの世界では空気自体にかなりの違いが出ようというものだ。



ゴーストステップ・ゼロ シーン03 “洗濯メイドと隣のツエルプストー”

    シーンカード:ミストレス(豊穣/母性。女性ゲストの協力。物理的な恩恵を被る。)



「さてと、ご主人様の言い付けを済ませてくるか」

目を覚ましたヒューは前日就寝前にルイズから言われた洗濯を済ませるべく、洗濯物を抱えてルイズの部屋を後に
する。
しかし、その足は寮の1階に到着した所で止めざるを得なくなった…、ランドリーの場所が分からないのである。
その上、この地はウェブはおろか電気が発明されているかどうかすらも怪しい場所なのだ、恐らくヒューが考えて
いる施設などあるはずがないだろう。
となると己の服はもとより、「これ」も自分の手で洗わなければならないという事か?
想像すると頭が痛くなって来た…、そんな事をトーキョーN◎VAでやったとしたら、まず間違いなく特殊な性癖
持ちという評判が立ってしまう。
(基本的に電脳化が進んだニューロエイジでは、殆どの物にトロンが仕込まれている為、洗濯にしても機械任せで
済むような状態だった。)

そういう風にヒューが廊下のど真ん中で所在無さ気に佇んでいると、背後から少女が声を掛けてきた。

「あの…、どうかなさいましたか?」

その声に振り向くと、そこにはメイド服を纏った少女が洗濯物を入れた籠を抱えて立っている。

「いや、ランドリー…じゃなくて、洗濯する場所が分からなくてね。
 見た所、君も洗濯するみたいだし、ついでに案内してくれないか?」
「ええ、いいですよ、こちらです。」
「悪いね、そうそう俺はヒュー・スペンサー。
 昨日からルイズお嬢さん、あーミス・ヴァリエールとか言った方が分かるかな?彼女の使い魔ってヤツを始めた
モンだ。
 色々とこっちの常識を知らないんでね、迷惑はなるべくかけないつもりだがよろしく頼むよ。」
「まぁ、そうだったんですか。
 ミス・ヴァリエールが召喚した平民の使い魔ってヒューさんの事だったんですね。
 私はシエスタといいます、この学院で貴族の皆様のお世話をさせてもらっています。」
「と、女の子に重い物を持たせたままじゃ外聞が悪いな。
 案内のお礼だ、代わりに持とう。」

そういうと、シエスタが何か言う前に鮮やかな手並みで自分とシエスタの籠を取り替える。

316ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 11:48:06 ID:iUbMh3de

「え?ええっ?
 い、いいですよ!貴族の使い魔の方にそんな事して頂く訳には「いいって、同じ平民の誼ってヤツさ」」

と言ってシエスタに悪戯っぽくウィンクして歩き始めると、シエスタも楽ができるのはそれはそれで嬉しいので
ヒューの横に並んで井戸端に向かう。
その道すがらヒューはシエスタからこの辺り、というかハルケギニア全体における常識を聞き出していた。
内心ちょっと暗澹とした気分になってしまったが。

(はぁ、なるほどね貴族っていうのは要するにメガ=コーポのエグゼクやクグツって考えれば良いのか。
 連中がいない事にはインフラやら医療なんかの生活に必要なアレやコレやらが回らなくなっちまってる訳だ。
 んで、この学院はこの国の貴族の坊ちゃん嬢ちゃん達を一人前にする為の学校、と。)

「あの、ヒューさんどうかなさいましたか?」
「ん?ああ、まあどこでも同じ様なモンだなと思ってね。」
「じゃあ、ヒューさんの故郷でも貴族の方々が…」
「どっちかっていうと、俺のいた所じゃあ金がモノをいったがね。
 持ってるヤツでもピンキリさ、こっちだってそうだろう?」
「そうですね、評判が良い方もいれば…」
「人なんてそうそう変わらないて事さ。」
「あはは、そうかもしれませんね。
 あ!着きましたよ、あそこが洗濯場です。向こうに見えるのが飲み水や洗顔用の水を汲む井戸になります。
 道具やピッチャーは備え付けの物を使って頂いて構いません、部屋に持って行ったピッチャーは私達が部屋を掃除
した時に回収しますので、部屋に置いていて下さい。」
「悪いね色々と。」
「何言ってるんですか、ヒューさんも言ってたじゃないですか“同じ平民の誼”ってヤツですよ。」
「じゃあ誼ついでに、ソイツの洗い方も教えて貰えるかい?」

情けなさそうな表情を浮かべながら、シエスタが抱えている籠を見る。

「あ、これ。ミス・ヴァリエールの洗濯物ですね?なんでしたらこちらで洗っておきましょうか。」
「いいのかい?」
「ええ、これ位なら別に手間は変わりませんし。
 それに、ええとヒューさん男の方でしょう?」

渡りに船と聞いて来るヒューに、ちょっと恥ずかしそうに応えるシエスタ。

「だ、だよな、普通男には洗わせないよな?
 いや、安心したよ、下手するとこれがこっちでは当たり前なのかと思っちまうところだ。」
「あはは、流石にそれは無いですよ。
 多分、ミス・ヴァリエールとしては使い魔の教育の一環として考えてたんじゃないですか?」
「かもな、けどまぁ何にしろ助かった、下手すると変態扱いされる所だ。
 これのお礼と言っちゃ何だが、何か困った事があったら相談しな、大して力にはなれないだろうけど一応手助け
位はするよ。」
「そんな、大げさですよ。
 ヒューさんも洗濯物があったら遠慮なく言って下さいね、ついでにやっておきます。
 それから、乾いた洗濯物はお掃除のついでにお部屋に届けられる様になっているので安心してください。」
「ああ、分かった。
 じゃあよろしく頼むよ。」
「はい、それじゃあお疲れ様でした。」

そう挨拶を交わした後、ヒューは井戸端からルイズの部屋に戻って行った。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 11:50:17 ID:dHBOyr6b
     _     
    〃 ` ヽ  . 
    l lf小从} l / 
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.  
  ((/} )犬({つ' 
   / '"/_jl〉` j, 
   ヽ_/ィヘ_)〜′   
           
318ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 11:50:57 ID:iUbMh3de

寮の構造を確認しながらヒューがルイズの部屋に戻ると、御主人サマであるところのルイズはというと未だ夢の国の
住人だった。
ポケットロンで現在時刻を確認するとそろそろAM7:00になる、学生というのならそろそろ起こした方が良い
だろう。

「ルイズ、ルイズお嬢さん。
 朝だ、そろそろ起きた方が良いんじゃないのか?」

とりあえず何度か声を掛けてみるが、反応は全く無しである。
次に肩をつかんでゆっくりと揺さぶってみるが、手を払った後に寝返りをする、まだ起きる気配はない。
しょうがないので、箪笥からハンカチを失敬して水で濡らした後、寝返りを打って露出したルイズのうなじにそれ
を軽く押し付ける。

「ひぃやあー!」
「おはよう、ルイズお嬢さん。
 朝だぞ、そろそろ起きた方がいいんじゃないのか?」

うなじに冷えたハンカチを押し当てられたルイズは、その冷たさで一気に覚醒する。
うなじに手を当てながら目を白黒させているルイズに対するヒューはというと何でもなかったかのように、カーテン
を開いたりしている、無論ハンカチは押し当てる前に十分絞っているので証拠を残すようなヘマは無い。

「え?え?
 あ、貴方誰よ!何で私の部屋に許可なく入っているのよ!」
「おいおい、昨日呼び出してくれた使い魔にたいしてずいぶんな言い草じゃないか、御主人サマ」
「え?あ、ああ。
 そうか、そうだったわよね、確かヒューだったっけ?」
「そう、御主人サマの忠実なる使い魔。ヒュー・スペンサーだ、目が覚めたんなら顔を洗って着替えして学校に
行こうじゃないか?」
「言われなくても分かってるわよ。
 じゃ、ヒュー着替えさせて。」

と言いベッドから立ち上がるルイズ、聞いていたヒューはというと呆然としていた。

「あー、すまん、よく聞こえなかったんだが…今、着替えさせろとか言ったか?」
「言ったわよ、何グズグズしてるの朝食が食べれなくなるでしょ。
 早くして頂戴、着替えは箪笥の中にあるから、よろしくね。」

ヒューは、今日2度目の頭痛に苛まれていた。が、契約の一環と考え一先ずルイズの言う事を実行することにした、
まあ老人介護のバイトをしてると思えば別に大した事はあるまい、幸いルイズは彼のストライクゾーンの遥か彼方である事だし。
(大体、セカンド辺り)

そんなこんなで慣れない着替えの手伝いなどをさせられたヒューは朝から疲れ切っていた。
着替えを手伝わせたルイズも疲れてはいたのだが。

「つ、使えないわね、アンタ」
「しょうがないさ、生まれてこの方他人に服を着せるなんてやった事ないしな。
 ま、脱がせるんだったらそこそこ慣れてるけど。」
「な、レディの前で何て事言うのよ!
 何よその目は…」
「いやいや何でもありませんよ、ルイズお嬢様。
 それよりも宜しいので?食事の時間があると思うんですが。」

そうしてヒューがドアを開くと同時にすぐ隣のドアも開く。
中から出てきたのは、燃えるような赤毛と褐色の肌をした、ルイズと何もかもが対極の位置にあるような少女だった

部屋から出てきたルイズはその少女を見るとあからさまに嫌そうな顔になる。

319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 11:52:37 ID:TPdw81vB
支援
320ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 11:53:04 ID:iUbMh3de
「あら、おはようルイズ」
「おはよう、キュルケ」
「へぇ、そちらが貴女の使い魔?」

ヒューを値踏みするように上から下までじっくりと観察する。
(ふうん、大体180サント位かしら。痩せてるっぽく見えるけど筋肉自体は普通に付いてるみたいね。
 顔は…まぁ普通に合格点あげられるかな、ヴァリエールの使い魔にしては良い男じゃない。)

観察されている方はというと、少々居心地が悪い雰囲気を感じていた。なにしろ空気がギスギスしているのだ。
喧嘩の一歩手前というかそんな空気が周囲を取り囲んでいる、あまり得意ではないがこういう空気のままでは疲労
が溜まっていくだけなので緩和を試みてみる。


「よろしくお嬢さん、ヒュー・スペンサー、探偵だ。
 お隣さんのよしみで主人共々これからも仲良くやっていける事を願ってるよ。」


地雷、だった。
キュルケはともかくルイズにとってヒューの今の台詞は到底、聞き逃せるモノでは無かった。

何か切れる様な音をヒューが聞いたのは決して間違いではなかっただろう。

朝食前のトリステイン魔法学院女子寮の廊下で、それはそれは大きな爆音が響き渡った。

321ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 11:57:15 ID:iUbMh3de
シーン03
ミストレス(St)
…バーのママ、姉御肌の女性、女親分、指揮官、カウンセラー。応援する事で他人に力を与える。
 人を応援するようなキャラという位置付けでも使用される。
 ベルダンディーやスメラギ・李・ノリエガ、wikiではミントやホロ。

メガ=コーポ(Y)
…ニューロエイジを支配する超巨大企業の事、ヒューは過去G.C.I.というメガ=コーポの企業工作員だった。
 有名な所では千早グループ、イワサキ、テラウェアという企業がある。
 ちなみにG.C.I.は現在テラウェアに吸収合併されている。

クグツ(St)
…企業の非合法工作員、ビジネスマン、サムライ。完璧な偽装工作を行う。
 個人的に忠誠を誓う人物がいるキャラという位置付けでも使用される。
 企業戦士ヤマザキや十六夜咲夜、wikiではアイリやリック・アロースミス

シーン04
レッガー(St)
…ヤクザ、マフィア、チンピラ、犯罪者。証拠を隠滅したり圧力をかけることで、揉み消しや偽装を行える。
 アル・カポネやガウルン、wikiではジャンガやバレッタ。

アーサー(S)
…英国人、頑迷に拘り続ける事、頑固な事、あるいはそのような人という意味。


以上で投下終了です。
投下予告や冒頭に書いてある扉云々は、TRPG・トーキョーN◎VAにおいてストーリーを始める際の定型句
の一つです。(例:かくして運命の扉は開かれる。)
322ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 12:11:42 ID:iUbMh3de
用語解説にシーン04 の分も入れちまった。
とりあえず次回は今日中にも投下しよう…orz
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 12:54:36 ID:w+uOhqbN
ヒューの人乙です。
続きをwktkして待ちます。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 13:51:19 ID:VldBnDx0
>>311
俺は………今よりほんの少しだけでも幸せになれるなら
アレのベーゼに耐える覚悟がある!

>>313
「神の奇跡でも無理」っつーのはコルの髪?姉妹の胸?どっちの事を言ってるんだ?
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 15:36:57 ID:udUuG0Ru
>>324
無茶……しやがって(AA略


祝福の結果、残った毛根が超強化されて伸びてたりして

胸は残念ながらポージングでピクピク動かせるようになったとかだったり?
それはそれで見てみた(ry
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 15:47:28 ID:XMVFa7si
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 15:50:11 ID:hqGDWkMN
>>325
アレは祝福の結果だろ?>姉妹の胸
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 15:56:20 ID:lxrB+/Ih
ちなみに天使の中の人誰?

いや、自分で探せるけど、なんか検索すんのが嫌で・・・
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:06:23 ID:BV1Nv7U2
キュルケやシエスタはすごくミストレスだよね
タバサはやっぱりクグツでカゲでカブトワリなんだろうか
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:08:12 ID:DBCKLqvM
>>307
リャノーンレベルでも即死だったら泣けるな
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:13:02 ID:VldBnDx0
>>328
ぶっちゃけるとカミーユです
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:18:15 ID:lxrB+/Ih
>>331
少佐ですかwサンクス
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:42:42 ID:MuXE+KWx
ドクロちゃんでも碌な天使やってなかったよなカミーユw
あの人は仕事選ばない
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:50:05 ID:VldBnDx0
逆に「ギャグキャラ、ヘンなキャラは嫌だ」「まともで普通な役がやりたい」と
公言しているのが若本氏なのだよな
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:54:47 ID:DBCKLqvM
若本のマジメキャラといえばトップの教官が最初に出てくるな
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:55:53 ID:DxqtskXG
>>334
そりゃあんだけ変わった役をやればなあ
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:57:27 ID:RAmpNor+
>>332
ちなみに登場時のBGMはフラッシュゴードンのパクリっぽい感じ。
ビッグオーのOPみたいなアレね。

アレに男の裏声みたいな『あっ! ああ〜〜〜っ!』とコーラスが加わります。
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 16:58:58 ID:y5ebZypb
オスカー・フォン・ロイエンタールを忘れないであげてください。
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:04:50 ID:dlDi4aV4
>>335
俺はオスカー・フォン・ロイエンタールだな

紺碧の艦隊より
アンアンが大高弥三郎
鳥の骨が木戸孝義
コッパゲが東野源一郎
ルイズが高野五十六
タルブには蒼莱
とか浮かんだ
トリステイン空海軍がエラい事になりそうだが
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:05:32 ID:gUt8F92x
おいおい、プラネテスのギガルト先生を忘れてるぜ
ドラマCDではっちゃけてたけど…
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:07:18 ID:MuXE+KWx
いやでも若本は結構真面目なキャラも
ギャグキャラと同じくらい数やってないか?
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:09:28 ID:lvcl1t5Z
昔はそういう役多かったけど…
最近じゃ色物キャラばかりの印象が強いね
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:12:50 ID:XdpyNVLx
主役サイドの真面目キャラは少ないな
戴宗の兄貴と岡星くらいしか思いつかん
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:13:59 ID:OJDbKgs4
あなご君を最初に思い出すのは異端かな。
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:15:24 ID:4HpqIThB
異端もなにも代表作じゃん
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:15:55 ID:VldBnDx0
ブリタニア皇帝はまともかな
アレをまともと呼ぶと碇ゲンドウもまとも呼ばわりせねばならなくなるが
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:16:30 ID:f3mSypnh
BlurのCMには是非!
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:21:16 ID:XMVFa7si
DBのセル、GSのパイパー、ジョジョ3部OVAのホル・ホース
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:24:24 ID:iNjx1LpW
>>326
なんかエルフって変態だったのね、とか言われそうな耳だ
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:45:27 ID:uNV8VNBb
真っ先に貂蝉が浮かぶ俺は間違いなく異端者
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:46:00 ID:2nLp55OI
>349
待て、羽だってあるんだぞ
変態呼ばわりされるのは翼人の方だろ
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:46:41 ID:MuXE+KWx
>>344
別名アナゴ役の人で通るくらい超有名じゃん
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:46:52 ID:a7+POtSe
若本の真面目な役って言ったらビバップのビシャスだな
あれは最高だった
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 17:58:15 ID:sk6iTjyN
よく分からんのでググったら、ダンクーガでシャピロやってた人か。
「私は神になるのだ」
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 18:02:57 ID:vX+hpkI2
テッカマンオメガは真面目だよな
356ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 18:09:55 ID:iUbMh3de
昼に予告した通り、誰も投下しないのなら18:15からシーン04の扉を開く。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 18:10:27 ID:VldBnDx0
音速丸も真面目だ

他人からどう見えようと彼(と配下の者達)は日々人生の目標を真面目に追い求めている
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 18:11:02 ID:VldBnDx0
全力を持って支援するでアリマス
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 18:13:18 ID:lxrB+/Ih
「殺すというのかこのぁあ〜〜にを〜〜」辺りの言い回しはイロモノ系だったけどなー
360ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 18:15:16 ID:iUbMh3de
時間になったので今からシーン04の扉を開こう。

爆煙が止んだ廊下から場所を変えて3人と1匹は食堂前の通路に来ていた。
2人の少女は煤にまみれた服を着替えて来たが、ヒューと燃え盛る尻尾を持つ大トカゲはそのままである。

「何でアンタは平気な顔してるのよ、しかも服も汚れてないし…。」
「逃げ足だけは速くてね。」

怨嗟が込められたルイズの言葉に平然と応える使い魔、ちなみにキュルケの使い魔であるところのサラマンダーの
フレイムは所々煤が付いている。

「あ、ああああアンタ!主であるメイジを放って自分だけ逃げるなんて信じられない!反省するまで今日のご飯抜き
!」
「おいおい、そいつは無いだろう。第一あの爆発は御主人サマがやったんだろう?」
「うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!ご飯抜きって言ったらご飯抜きなんだから!アンタはここで反省して
なさい!」

そう言い残して1人、食堂に突入して行く御主人サマであった。



ゼロのフェイト シーン05 “シエスタとルイズの爆発魔法”

    シーンカード:レッガー(災難/予期せぬ不運。苦渋。絶望。不本意な屈従を求められる。)




「やれやれ、一体何だってんだ?」

取り残されたヒューにとってみれば、訳が分からないことだらけだった。
自分は何か変な事をしたのか?新しく知り合いになったお隣さんと挨拶しただけではないか。それとも着替えの手伝
いの時に何かやっちまったか?
と、訳が分からない御主人サマの行動を理解しようと頭をひねるヒューの耳に忍び笑いが聞こえてくる。
考え事を中止してそちらを見ると、お隣さんである所のキュルケ嬢が笑っているではないか。

「あー、レディ?
 何が可笑しいのか説明してくれると助かるんだがね。」
「ああ、ごめんなさいミスタ・スペンサー。
 だってルイズの行動が可笑しくって。」
「ふむ、察するに俺の所の御主人サマとレディの間には確執がある…とか?」
「ええ、そう。あるのよ先祖伝来のヤツがね、どうやらその様子だと聞いてないみたいじゃない?
 まあそうでないと、あのタイミングであの発言はありえないわよね。」
「教えてくれるとありがたいんだが?」
「ん〜教えてあげても良いんだけど、私から言うのは流石にね。
 今晩にでもルイズから聞きなさいな。」
「楽しみは後に取っておけって?」
「そ、極上のワインもある程度寝かせたほうが美味しいでしょ?
 それに、その頃にはルイズの頭も冷えてるだろうしね。
 あら、そろそろ行かないと食事が始まっちゃうじゃない。
 それではミスタ、この後の授業でまたお会いしましょう…っと、そういえば自己紹介してなかったわね。
 私はキュルケ、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
 二つ名は“微熱”、“微熱”のキュルケよ。それじゃあまたねミスタ「ヒューでいい」え?」
「昨日コルベールの旦那にも言ったんだが、ミスタなんて柄じゃなし、平民だからな呼び捨てでいい。」
「あらそう?じゃあ私もキュルケでいいわ。じゃあねヒュー。」
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 18:17:26 ID:Z223F4m1
車輪……
「責任を押し付けられない立場の人間の謝罪が赦される社会は堕落の一途をたどる」はキた
362ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 18:17:29 ID:iUbMh3de
肩をポンと軽く叩いてキュルケも食堂に入っていく、後に残ったのはフェイトが一人と妙なオオトカゲが1匹である

そのオオトカゲも踵を返して中庭の方へと歩いて行った、興味を覚えたヒューは後を付いて行くと…。

「いやまぁ尋常な場所じゃないとは思っていたがね…」

流石にここまでとは思っていなかった、見渡す限り動物がいるのだ。種類としては中型〜大型の草食動物や肉食動物
、中には怪物と称しても良さそうな生物もいる。
恐らくここにいる生物は全て使い魔なのだろう。とするとここは使い魔用の餌場といった所だろうか、見てみると
使用人達が使い魔の間を練り歩いて餌を配っているのが見えた。この作業は主に男の使用人が担当している、流石
にシエスタのようなメイドに任せる訳にはいかないのだろう。

そんな使用人達の仕事振りを見物しながら、ヒューはコートのポケットに突っ込んだままだったカロリービスケット
を頬張る、味気は無いが何も食べないよりは遥かにマシだし、あの御主人サマの相手をするのに空腹というのは
あまりにも無謀な気がする。
腹が減っては戦もできないのだ。

そんなこんなで主従共に対照的な食事(ちなみにルイズはいつも通り豪勢な朝食を摂ってきた)を済ませた後、2人
揃って教室に向かう。
本来使い魔は授業に出なくても良いらしいのだが、召喚後しばらくは主と使い魔の精神的繋がりを強化する為になる
べく一緒にいるようにしているそうだ。
2人が教室に入ると一瞬静まり返った後、様々な視線が2人に集まってくる。興味深げなもの、楽しそうなもの、
しかし一番多い視線はルイズとヒューを嘲るようなものだった。
昨夜の会話で使い魔というのは普通、動物辺りがなるものなのだろうと中りをつけていたヒューは見世物になった様
な気分だった、表情にこそ出さなかったがあまり良い気分ではないというのが正直な感想だ。
ついでに、ひそひそと生徒達は近くの級友達と話を始める。一応聞こえないように気を付けているのか、こちらには
聞こえてこない。

(まあ、どんな事言っているのかは想像がつくがね…)

押し黙ったままの御主人サマは爆発しないだろうなと思いながら横目で見ていると、意外な事に背筋を伸ばして教室
の通路を進んでいる。

(やれやれ、分かっちゃいたけど我等が御主人サマは筋金入りのアーサーじゃないか。)

そうこうしている内に授業が始まるのか、何処からともなく鐘の音が響いてくると教室に中年の女性が入ってきた。
ちなみにヒューはルイズの席の近くにある通路の段差に腰掛けている。

入ってきた教師は紫を基調にした服に身を包み、帽子を被っていた。
シュヴルーズと名乗ったその女性が教室に入った途端、騒がしかった教室は一旦静まった。ここら辺は流石に貴族の
子女といったところだろうか。
しかしその礼儀正しさも、シュヴルーズ教諭がルイズの使い魔であるヒューを見て言った不用意な一言によって木端
微塵に破壊される。
ヒューとしては別段気にはしなかったが(教師としてその発言はどうだ?と思いはした)、召喚した御主人サマと
しては面白くなかったらしい、しきりに挑発してきた小太りの少年と共にシュヴルーズに軽い説教を食らっていた。
その後、ルイズと小太りの少年(“風上の”マリコルヌという名前らしい)の諍いをいささか強引に止めたシュヴ
ルーズは、二人と諍いを見て笑っていた生徒の口に赤土の粘土を貼り付けて授業を始めた。

始まった授業を見てヒューは呆れていた、話によると前年度の復習をやっているそうだが、その物理法則を無視した
“練金”とかいう魔法などその最たるモノだ。(ヒューにとって理解できない技術など魔法と大差ないのだが、さす
がにこの魔法という名の物質変換には呆れた)
噂位しか聞いていないが、バサラとかいう連中の扱う術というのはこういうものなのだろう。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 18:17:57 ID:Z223F4m1
割り込み失礼支援
364ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 18:20:51 ID:iUbMh3de
授業も半ばを過ぎた頃だろうか、教壇に立つシュヴルーズ教諭が“練金”の実習にルイズを指名した。瞬間、教室内
が騒然とする。
シュヴルーズ教諭へとかかる声は抗議を通り越して最早悲鳴に近かった、何と言うか阿鼻叫喚という表現がぴったり
だ。
そんな怒号が響き渡る中、ルイズは教卓へと進み出る。
ルイズが“練金”の呪文をゆっくりと唱え始めると、今まで声を上げていた生徒達は泡を食って机の影に退避を始め
ていた。
騒然とし始めた教室を見回しているヒューに背後から声が掛けられる。

「ヒュー、悪い事は言わないから隠れた方が良いわよ。」
「キュルケじゃないか、なんでまた。」
「今朝方みたいな爆発が起きるのよ、本当に早く!」
「あ?ああ」

キュルケの警告に従って机の影に退避をするのと、呪文が完成したのはほぼ同時だった。

教室に爆音が響き渡り、爆煙が窓を突き破って窓の外に吹き出す。衝撃はそれ程でもなかったがそれでも中々の威力
だろう。


教室に充満していた煙が晴れ渡ると、教卓周辺には最早惨状という表現が正しい状態になっている。
今まで魔法の理論を書き出していた黒板や、シュヴルーズが立っていた教卓はバラバラになり、周囲は煤にまみれて
いた。
それを見たヒューは2人の元に近付く、爆心地にいた2人の様子は対照的だった。ルイズは服や髪がボロボロになっ
ている程度だが、シュヴルーズは気絶した上に痙攣を繰り返しているが特に大した怪我は無いように見えた。
(あの規模の爆発でこの程度の被害?というか被害規模が人と物で違うというのはどいう事だ?それともそういった
魔法っていう事か?)

教室内は起きた爆発で使い魔達がパニックを起こし、混乱の極みにあった。

「だから言ったのよ!ルイズにやらせるなって!」
「なんで、断らないんだよ、迷惑だって分からないのか!ゼロのルイズ!」

しかし、原因であるルイズはそんな騒ぎを右から左に流しながら、煤で汚れた顔をハンカチで拭った後一言呟く。

「ちょっと失敗したみたいね。」

色々と人生経験を積んできたヒューではあるが、流石にこういった状況でこの台詞を出すような人物には心当たりは
…1人いた。
(とんでもない大物か…、それともただ単に他人に頓着しない性格なのか。)

「どこがちょっとだよ!ゼロのルイズ!」
「いっつもいっつも失敗しているくせに!」
「成功回数ほとんどゼロのくせに、なに威張ってるんだよ!いい加減にしてくれ!」


その後、爆発を聞きつけた他の教師によってシュヴルーズは医務室へと連れて行かれ、ルイズとヒューは罰として
教室の後片付けを命じられるのだった。

ここでシーン04は終了、題名を間違えたまま投下しちまった。
毎回何かやらかさないと気が済まんのかオレは…orz
wikiに登録する時に直しときます、支援ありがとうございました。
365ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/06(火) 18:22:14 ID:iUbMh3de
後、シーン04の用語については前回分の用語集に入っているのでそちらを参照して下さい。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 18:29:29 ID:Z223F4m1
乙ー。
トーキョーNOV@……シャドウランみたいなもんですかな
サイバネメイジ大好きとしてはそっち方面も期待期待
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 18:32:28 ID:cUCRLVtF
若本ったらプリズングレイクのティーバックだろjk
まぁ、ダンバインの頃からオキニなんだけどさ。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 18:37:54 ID:QkvtJfZA

テンプレが4話も続くと感想レスしずらいわな
そろそろ探偵らしい行動キボン
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:10:02 ID:byo7NteZ
こんなに赤いのに

ちよは、おいしいと言う

若本話なんかしてるから「三人」を唐突に思い出した
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:11:32 ID:oCmx+A4U
声優っていったらオスマンの中の人は
ピッコロに真田技師長にザラブ星人だっけか?
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:14:33 ID:gPS6tknw
>>370
らっしゃい!おぉ、たまねぎ坊主じゃねぇか。
372ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:19:17 ID:fGqytUaX
一年以上空いてしまいましたが、続きを書こう、何とか最後まで書ききろうと思いたったので、
恥ずかしながら顔を出させていただきます。
瀬戸の花嫁より、瀬戸燦を召喚したお話、7話目でございます。又今作からきちっとサブタイトルも付けてみようかなと思っております

……感覚を取り戻すのに、主要登場人物以外のお話を膨らませた所、燦の出番がまるで無くなってしまったというのはさておき
19:25から投下開始します
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:25:28 ID:MuXE+KWx
>>371
むき出しのコックを打ち込んでくれ!!
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:26:15 ID:XMVFa7si
お帰りゴー
375ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:27:07 ID:fGqytUaX
ゼロの花嫁第七話「アニエスとロングビル」


事の発端はいつもの酒場でのちょっとした会話であった。
ロングビルとアニエスの二人は、何時ものようにお互いの近況などを話しながら楽しい時を過ごす。
そこで、アニエスの仕事の話題が出た。
ここ最近になって街に入る麻薬の量が格段に増えたと。
先だっての暴動、ルイズも巻き込まれたあの騒ぎも、それが原因の一つと考えられている。
当局も必死に摘発に当たっているが、急激な増加である為、検挙の人手が足りていないという話らしい。
おかげで半ば黙認に近い形が成立してしまっている。
新しい犯罪組織が出張ってきた。そう考えるべきなのだろうが、その影も形も捉えられずでは打つ手が無い。
これには強気のアニエスも流石に参っていた。
ロングビルはグラスを傾けながら、何の気無しに呟く。
「何処かで派手な値崩れでも起こしたのかしらね?」
ロングビルの言葉の意味がわからず問い返すアニエスに、意外そうにロングビルは答える。
「麻薬なんて元々貴族連中でもなきゃ手が届かないぐらい値が張るじゃない。
 その値段が落ちたから平民達も手に出来るようになったんじゃない?」
違法な植物である麻薬は、当局の摘発を逃れる為、細々と隠れるように栽培されているのが常だ。
生産量も当然少なく、値段も張るというわけで。
「大きな産地でも出来たのかしら」
まるで商人のような事を言うロングビルを、アニエスは目を丸くしながら見ていた。
「そういう発想は無かった……凄いなロングビル。お前は賢い。そうだ、その通りだ。
 何処かで大量に作っている場所があるからあれだけの量が入り込んで来る」
宝石類並みの希少価値であった麻薬に対し、そこまで考える人間は今まで居なかったようだ。
周囲の目もあり、大規模な麻薬栽培は現実的ではないと考えられていた。
そもそも麻薬の市場というものが統治側である貴族に限られていた今までとは、明らかに状況が違うのだ。
新しい犯罪のあり方を今アニエスは目にしているのかもしれないと思うと、背筋が薄ら寒くなってくる。
「そうだ、あれだけの量を栽培しているとなれば産地は限られてくるはず。国中に人をやって調査すれば必ず……」
「産地がトリステインとは限らないんじゃない? いえ、むしろトリステインだったら既存の組織が関わってないはずないし、それなら貴方達の耳にも入るんじゃないかしら」
ロングビルの指摘で言葉に詰まるアニエス。
殊更に陽気に言うロングビル。
「私だったら……そうね、国境に網を張って怪しそうな連中片っ端から当たるわ。
 運んでる人間押さえれば、幾らなんでも何の情報も得られないって事はないでしょ」
尊敬に満ちた視線でロングビルを見るアニエス。
「こんな身近に賢者が居たとは、もしよければもう少しお前の考えを聞かせてはもらえないか」
快く承諾すると、ロングビルは考えを整理する時間をもらい、一つ一つ確かめるようにしながら発言する。
「どの国が臭いかって話だけど、まずアルビオンは却下。あそこから物運ぶのは目立ちすぎるわ。
 それにあの国に居たら今は麻薬で遊んでる暇無いでしょ」
真剣な表情でロングビルの発言に一々頷くアニエス。
「後はゲルマニアかガリアかだけど、これは根拠が薄いけど勘弁してね。私の読みだとガリアよ」
「何故だ? ゲルマニアの方がよほどらしい気がするが」
ロングビルはトリステインと国境を接する領地を治めるゲルマニアの貴族、ツェルプストー家の反応がそれっぽくないと理由を述べる。
先日、学園で騒ぎを起こしたキュルケが実家に家族呼び出しの連絡を送られたのだが、ツェルプストー家からは冷淡と言っても過言でない程おざなりな使者が来ただけであった。
ロングビルもオールドオスマンに従い使者の話す様を見ていたが、目の肥えたロングビルの目から見ても、いかにも重要度の低い使者が頭を下げに来たのみ。
それも早々に引き上げていってしまった。
自国内で大規模な麻薬栽培の気配があったとして、国境を治める領主がそれを知らぬはずがない。
そこに来て理由を付けての呼び出し、もしトリステイン側にゲルマニアが疑われていると考えていれば、もっと気の効いた人物をよこしてこちらの状況を探るはず。
もちろんツェルプストー家当主がボンクラの可能性も否めないが、実力主義のゲルマニアにおいて代々国境を任されるているかの一族を、ロングビルは過小評価してはいなかった。
そんな気配すら感じぬツェルプストー家の対応は、必然的に残るガリアへの疑惑となっていく訳だ。
大きく頷くアニエス。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:27:09 ID:MuXE+KWx
怪獣コンピューター・チェック!

……って今の若い子知らねえだろうな
377ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:27:50 ID:fGqytUaX
「ありがとうロングビル、早速私も対応しよう! 皆この件をどうにかしたいと悩んでいた所だ、きっとすぐに動いてくれる! 犯罪者共に目に物見せてくれる!」
「少しでも力になれたんなら嬉しいわ。頑張ってね」
随分長い事犯罪者やってきたが、治安組織にその知識をもって協力したのはこれが始めてだ。
人生何がどう役に立つかわからないものね、と暢気な事を考えながらも、友人からの敬意の眼差しがこんなにも気持ちの良い物とは思いもよらなかったロングビルは、上機嫌でグラスを傾けるのだった。



アニエス率いる調査隊が国境付近に着いたのは、夜も更けた頃だった。
十人程の兵は全員徒歩で移動しており、指揮官であるアニエスと、協力者でありメイジであるロングビルのみが騎乗していた。
「すまないロングビル、貴女にまで手間をかけさせてしまった」
これで六度目であろうか、そんな謝罪の言葉を口にするアニエス。
ロングビルは内心苦笑しながらも、アニエスへの配慮を失わぬ朗らかな笑みで答えた。
「元々これは私が考えた策よ、だから最後まで面倒みさせてちょうだい」
アニエス自身が国境付近に出張って密輸の調査に当たると上司に上申した所、国境警備の者に任せれば良いという上司と意見が対立してしまった。
アニエスは渋る上司を半ば脅すようにして兵を出させたのだが、メイジを手配する事も出来ず、数もたったの十人のみ。
その話を聞いたロングビルはオールドオスマンに話をつけ、こうして協力出来るよう手配を頼んだのだ。
ロングビルはもしアニエスが当たりを引いた場合、間違いなくメイジが護衛に付いていると踏んでいた。
事と次第によってはそれ以上に厳しい護衛に囲まれているという事も在り得る。
そして運んでいる物が物なだけに、密輸犯は強行突破も辞さぬであろう。
そんな場所にアニエスと僅かな手勢のみで乗り込むと聞いて、ロングビルは居ても立ってもいられなかったのだ。
ロングビルが地図から引き出した密輸犯の予測移動ルート。
幾つかあるルートの内、それらが一番多く交差するポイントにテントを張り、通る行商人達を片っ端から調査する。
輸送のタイミングがわかるわけでもなく、確証を得ての行動でもない。
持久戦の覚悟で必要な物を全て揃えていた一行は、途中見かけた行商人にも都度調査を行っていた。
アニエスの叱咤とロングビルの助言を繰り返す事で、兵達は次第に調査のコツを覚え始め、
ポイントに辿り着く頃には、二人が何を言わずとも手際よく確認を済ませられる程になっていた。
「思ったよりしっかりした兵達みたいね」
ロングビルの賞賛に、しかしアニエスは渋い顔である。
「まともに動ける奴を選んだからな。……が、まだまだ甘い。先に出会った商人達が密輸犯であったなら、何と思う間も無く斬り臥せられていただろう。全く、警戒心が無さ過ぎる」
本当、らしいわね。そう思いながらも兵達に疲労を溜めぬためにも一言言っておくべきと感じたロングビルは苦言を呈する。
「貴女の基準が高すぎるのよ。彼等が一生懸命な所は認めてあげなさい。
 訓練じゃない実戦だからこそ、疲労を溜めるようなやり方は感心出来ないわよ」
兵達の前では決して見せない、口をへの字に曲げたアニエスの顔。
「……お前がそう言うのなら、少し手加減するとしよう」
「よろしいっ」
鉄面皮の裏側に隠されたこんな表情を知っているのは自分だけ。
密かな優越感と、妙に可愛らしいアニエスの様子に、ロングビルは満足気に頷くのだった。

街道からは見えない場所にテントを張り終え、物陰に隠れるようにして通行する商人達を待ち構える。
まるで野盗のようだが、相手に対応する隙を与えぬ為の処置だ。
こちらの身分は鎧に描かれている紋章で明示出来るし、その上で逆らうようなら強硬するまで。
実際の所そこまで大事にはならず、荷物に被害を与えるような真似さえしなければ、商人達は従ってくれる。
もちろん彼等を信用している訳ではない。
一箇所に留まり続ければ商人達のネットワークにより、すぐに意味の無い検問となってしまう為、数日滞在したらすぐに別の場所へと移動する予定である。
だが、どうやら幸運の女神はアニエスとロングビルに微笑んだようだ。
最有力ルートを押さえていたせいもあろうが、夜中に到着しテントを張って明け方を迎える頃に、奇妙な一行を捕捉した。
積荷の量に比して明らかに護衛の数が多すぎる。荷馬車一台のみにも関わらず護衛の人間が十人以上は居る。
積んでいる物がそれこそ黄金だとでも言わんばかりの護衛体制。
街道側に隠れながらロングビルがアニエスに囁く。
「……アニエス、護衛の人間達見れば多分私なら雰囲気でわかる。後は手はず通りに」
378ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:28:39 ID:fGqytUaX
「了解した。頼むぞロングビル」
アニエスの合図と共に街道から兵士達が飛び出す。
「止まれ!トリステイン警備隊による検問だ!」
荷馬車の一行は人影が飛び出してきた事に反応し、緊張した面持ちで荷馬車を守るような位置取りを計る。
一行のリーダーらしき男が2メイル程の杖を片手に前へ進み出る。
「これは……警備隊が一体何事ですかな」
年の頃は三十台半ばだろう、杖を持っている所からメイジであると思われるが、簡素な衣服では到底隠し切れぬ鍛えぬいた体をしている。
ロングビルからの合図は未だ無し。アニエスは通常通りの段取りに乗っ取って男を詰問する。
「禁制品の密輸が行われているとの通報があった。荷物を改めさせてもらう」
男は懐から一枚の紙を取り出し、アニエスに向け広げて見せる。
「こちらはトリステイン国通商認可証です。ガリア側の物もお見せしましょうか?」
通商認可証は通常、商取引に携わる貴族の後ろ盾が無くば入手出来ない。
つまりはこれを持つ者の身分は、認可証を発行した国に保障されているという事だ。
彼等を相手にゴリ押しなどしては後々確実に面倒な事になる。
しかしアニエスは引かない。
「了解した。だが積荷の確認は全ての商人に行っている、すぐに護衛を下がらせろ」
「貴女様のお名前をお伺いしても? 私共も遊びでこれを手に入れた訳ではございませぬ故、行使出来る力は当然利用させていただきますが」
「アニエス・ミラン。トリスタニアで警備隊副長をやっている」
「その地位も我々がトリスタニアに着くまででしょうな」
男は脅すでもなく、強がるでもなく淡々と述べる。
幾多の修羅場を越えた事のあるアニエスをして底冷えのするような寒々しさを覚える程、男の慇懃無礼な態度は薄気味の悪いものであった。
「私めがお与え出来る機会は一度きりです。我が主は見くびられるような真似を何より嫌います故」
丁寧な口調は当人交渉のつもりなのであろう。
しかし、アニエスは表情一つ変えず言った。
「積荷から離れろ。三度は言わんぞ」
男はアニエスをじっと見つめ、そこに冷静さと尊大さが同居していると認める。
覚悟あっての事ならば是非も無しと言う事であろう。すっと一歩引いて見せる。
「……いいでしょう。部下達を下がらせます」
男の合図で荷馬車から護衛達が離れると、アニエスは迷う事無く指示を下す。
「良し、何時もどおりだ。取り掛かれ」
アニエスの号令に従い、配下はただちに荷物の検査に入った。

幾らアニエスとて貴族相手に勝算も無しにケンカを売るような真似はしない。
ロングビルから合図が無ければゴリ押したりはしなかっただろう。
部下達とは予め打ち合わせをしてある。
アニエスが「何時もどおり」という言葉を用いて検査を行うよう指示した場合、「多少積荷を傷つけてでも、全てを確認して決して麻薬が存在せぬと確証が得られるまで調べろ」という意味だ。
アニエスと男のやりとりは部下達にも聞こえていたが、その程度で怯むようなシゴキ方をアニエスは部下に施していなかった。
部下達は二人一組となって、遠慮呵責の無い積荷検査を行う。
積荷の中身は、何と黄金であった。
山と積まれたそれを見れば、これほどの警備も納得出来よう。
検査は部下に任せ、アニエスは男の前に立ったまま報告を待つ。
男の僅かな表情の変化も見落とさぬ、そんなアニエスの視線を男は飄々と受け流す。

ロングビルは内心この男の腹の座りっぷりに舌を巻いてした。
『こいつらはおかしい、それは間違い無いわ。これだけのトラブルにも関わらず、まるで動じる様子の無い護衛達といい、
異常に統制の取れた動きといい。そしてこの男。アニエスのプレッシャーを受けてるのに、まるで怯えの影が見られない。
信じられない。犯罪者だっていうのなら、兵士の姿を見ただけで何かしらの反応を示してしまうものなのに』
この荷馬車は怪しい。それはロングビルにとって確定事項である。
この道を通る時間帯、規模、そして何より護衛達のレベルの高さだ。
長年犯罪に携わってきたロングビルの勘が、これらの要素から犯罪臭を嗅ぎ取っていたのだ。
だからこそギリギリのタイミングでアニエスに合図も送ったのだ。
しかし解せない部分もある。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:28:47 ID:XMVFa7si
私怨
380ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:29:58 ID:fGqytUaX
この護衛達からは裏街道を生きてきた者特有の腐臭が感じられない。
先のアニエスにすら通じる通商認可証といい、積荷の黄金といい、どこかロングビルの考えと咬み合わない部分がある。
今まであった情報を元に、様々な可能性を考えるロングビルの脳裏に、突如閃光が走る。
『まさかっ!? そうよ! そう考えれば全ての辻褄が合う!』
ある発想に思い至った時、荷馬車の中からアニエスの部下の叫び声が聞こえてきた。
「ありました! 黄金の下に山と隠されています!」
男は微動だにせず。
しかし、代わりに別所に居た痩せぎすの男が号令を出した。
「殺せ!」
その男を見たロングビルが眼を剥く。
何という事か、その男も又杖を翳すメイジであったのだ。
『メイジが二人ですって!? こいつらどれだけ用心深いのよ!?』
痩せ男は号令と共に呪文を唱えだす。
兵の数は五分だ。ならば、このメイジはロングビルが何とかしなければならない。
もう一人のメイジも居るのだ、メイジでないアニエスには荷が重かろう。
その事も考えるに、速攻でこの痩せ男を倒す必要がある。
ロングビルもすぐに魔法を唱え、眼前に土壁を作り上げ盾とする。
思ってた以上の音が土壁から轟く。
土壁は痩せ男の放った魔法の一撃で崩れ去るが、ロングビルは既に次の呪文を唱え終わっている。
十体の人間大土ゴーレムがロングビルの周囲を取り囲むように現れる。
普段作っているものより軽量にする事で、コントロール精度もスピードも格段に上がっているタイプだ。
痩せ男を取り囲むように移動させ、袋叩きを狙う。

剣撃と怒号が支配する空間で、アニエスは男と対峙していた。
どちらも動けない。
アニエスは先制ではなく、後の先を取るべく様々な思考を巡らせていた。
ここで自分が倒れると残された者達が大きく不利になる為、確実に、慎重に、動く必要がある。
しかしそれは相手も同様で、やはりアニエスを凝視したままピクリとも動かない。
二人共、お互いの動きを見逃さぬよう対峙しておきながら、当然自身の周囲にも気を配っている。
『くっ、動けん。これでは部下達次第だが……』
相手がただのメイジならば、間違いなく踏み込んでいただろう。
増長したメイジならば付け入るべき隙は幾らでもある。
しかしこの男は違う。
僅かに前傾した姿勢、杖を両手に持って前へと突き出しているのは、おそらくそれを魔法以外にも利用するつもりだからだろう。
アニエスをして隙の見出せない程のこの男は、魔法だけではなく、体術にも優れていると思われた。
一手打ち間違えば、即、死に繋がる。
アニエスの額を冷汗が伝った。

ロングビルは戦場の全てを観察しながら痩せ男と戦っていた。
どうやらアニエスは身動きが取れぬ模様、ならば自分が指揮を執るしかない。
だがそれもこのような混戦となってしまっては難しい。
既にこちら側の兵士は三人斬り倒されている。
複数のゴーレムはそれをカバーするつもりもあったのだが、痩せ男はロングビルにそんな余裕を与えてくれなかった。
せめても兵士達と連携が取れれば、最大サイズのゴーレムで一気に戦況を変えてやったものを。
詠唱の時間と、ゴーレム使い最大の弱点であるメイジ本人への直接攻撃を防ぐには、この状況では命を賭した兵士が数人必要だ。
直接の上司でもないロングビル相手にそれをしろというのは、兵士達には酷な命令であろう。
四人目の兵士が斬り倒された所で、完全に戦況は商隊側へと傾いた。
兵の練度がまるで違う。これはロングビルの推理を裏付ける証拠となるが、だからといって嬉しくも何ともない。
「アニエス! 一度引きなさい!」
退却の援護をすべく他の護衛達にも数体のゴーレムを差し向ける。



放逐されてからかなりの年月を経ているだろう山小屋。
アニエスとロングビルの二人はその中に隠れ、漸く乱れに乱れた呼吸を整える事が出来た。
特にロングビルがひどい。
この世の地獄を潜り抜けてきたかのような壮絶な皺を顔中に刻み、小屋の床に這い蹲っていた。
アニエスは常時体を鍛えていたせいか、山中での逃避行もロングビル程苦としなかったが、それでも余裕があるとはとても言えず、こうして休息を取らなければ戦闘もままならない有様であった。
アニエスとロングビルの二人は、戦闘継続不可能と判断し、部下達を引き連れ逃走したのだ。
山の中に逃げ込んだのは馬を用いられてはとても逃げ切れぬ事と、追跡者の視界から逃れる為であった。
381ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:30:49 ID:fGqytUaX
逃走中に、一人、また一人と部下達は失われていき、遂に二人のみとなった時、ロングビルが足をもつれせて倒れた為、アニエスがロングビルを抱えてこの山小屋へと逃げ込んだのだ。
しばらくの間荒い息が漏れる音のみが小屋中に満ちていたが、先に回復したアニエスがロングビルに確かめる。
「これ以上逃げるのは無理……か。ロングビル、魔法で空を飛んで逃げたとして、街まで一息に向かえるか?」
呼吸は整わぬままだが、何とか物を考えられるぐらいには回復したロングビルは、今にも引きつりそうな両腿を手でとんとんと叩きながら答える。
「……ちょっと、無理だと、思う。一人でも、難しいのに……人抱えて逃げるとか、無い……」
「そうか」
相手側にもメイジが二人居るのがネックとなっている。
例えロングビルが一人で向かったとしても、彼等の追跡を振り切るのは至難であろう。
だらしなく床に寝そべっていたロングビルが上体を起こす。
「聞いてアニエス。私達は藪をつついて蛇を出したのよ」
「何?」
「こいつら犯罪組織何かじゃない、軍隊よ。多分ガリア軍。つまり、今回の麻薬騒動の背後に居るのは……」
一度息を整えた後、言葉を続ける。
「ガリアの貴族、それも相当な立場に居る奴。国の方針を左右出来るような、そんなレベルの人間よ」
護衛の者達が熟練の兵である事には気付いていたが、そこまで考えていなかったアニエスは息を呑む。
「連中が軍人なのはもう間違いない。その上でここまでレベルの高い兵を使役出来る人何て限られてる。隠密作戦に専用の部隊、金塊をカモフラージュに使う程の資金力、ありえないレベルの用心深さ、こんな真似が出来る連中、国家レベルでないと維持なんて出来ないわ」
そこから導き出せる結論をアニエスは、認められない。
「馬鹿な……それでは今回の麻薬騒動は……そんな馬鹿な事が……」
ロングビルはあくまで冷徹にアニエスへ結論を言葉にして突きつける。
「ガリアによるトリステインへの工作。目標がトリスタニアである事、利益を度外視した平民ですら手に出来る価格の麻薬、既存の犯罪組織とはまるで違う組織体形、そして今回のコレ。疑う余地無いと思うわよ」
そしてそれ故彼女達の命が絶望的である、そう締めくくった。
アニエスにもわかる。
ガリアがこの件に関わっていると決して知られてはならない。疑いすら持たれてはならないのだ。
国家間の問題にまで発展してしまっては、ガリア側の損失は計り知れないからだ。
アニエス達を殺した後、検問の理由を探り、それ次第で連中はこの件から手を引くだろう。
『せめてもそれが救いか』
それでもロングビルだけは何としてでも守らなければならない。それがアニエスに残された使命だ。
「ロングビル、体力が回復したのならすぐに小屋を出ろ。私がここで時間を稼ぐから……」
見るとロングビルはがくがくと足を震わせながら立ち上がろうとしていた。
「それでも生き残れる可能性は低い。死に物狂いであのメイジ二人をぶっ倒した方がまだ生き残れるかもしれないわよ」
そう言ってくれる彼女を巻き込んだのはアニエスである。
大切な友人を自らの責で死に誘ってしまったのである。アニエスの表情は優れないままだ。
ロングビルはそんなアニエスの頭にぽんと手を載せる。
「ほら、女の意地の見せ所よ。生憎私はこんな所で死ぬつもりなんて無いんだから」
この期に及んでこんな言葉の出るロングビルを、アニエスは信じられぬ想いで見上げる。
アニエスの困惑が解るのかロングビルはこの稀有な友人に、自らの思う所を語って聞かせる。
「妹の話……したわよね」
妹の生活を支える為に生きている、そう言っていたロングビルがこんな場所で朽ち果てるのは、さぞや無念であろうと、アニエスは目を伏せる。
「私はあの子の為ならどんな事だって出来る。私がどうなろうと知った事じゃないわ。
 今更アニエス相手に着飾っても仕方無いから言っちゃうけど、私は薄汚い女よ。
 卑怯な事も、決して貴女が許さないだろう事もたくさんやってきた」
もうロングビルは笑っていない。
今が絶体絶命の窮地であると、彼女も理解しているのだ。
「それでもあの子を守るって決めたの。私は私一人の命だけじゃない、あの子の命も背負ってる。
 だからこそ、どんな事にだって耐えられるし、どんな事だってやってみせる」
アニエスは今までこんなに強い瞳を見た事が無い。
一過性の衝動ではない。そう決断し、覚悟を決め、何年も生き続けてきた、そんな重みがそこにあった。
ロングビルは窓の外、更にその奥に居るだろう敵に向かい、自らの存在全てを込めた殺意を放つ。
「この程度の危機で諦めてやる程、私の命は軽く無いのよ。だから……」
382ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:31:48 ID:fGqytUaX
アニエスへと視線を移すロングビル。
その瞳の輝きを、アニエスは生涯忘れられぬ、そう思った。
「貴女も覚悟を決めなさい。手足を失おうと、全身五分刻みに斬り刻まれようと、私達は絶対に生きて帰るのよ」

飲み屋でたまたま知り合った、それだけの存在。
しかし言葉を重ねる度、彼女に惹かれて行くのが自分でもよくわかった。
懐の底を見せぬ彼女の最奥を、知りたいと願った。
遂に願い果たされその奥底を垣間見た時、心に刻まれたのは感動にも似た震えるような感覚。
ロングビルはアニエスが想像してた以上の、凄い人だった。
年も変わらぬ、女性だからという言い訳も利かぬ。全き五分の存在。
なればこそ、アニエスにここで引く事など出来ようはずもない。
震える程の感動をもたらした彼女に、自らに厳しく生きてきた半生を持って応えきる。
体の芯から響いてくるこれこそが、武者震いというものか。
口の端を上げ、決意を口にする。
「わかった。これから二人で、奴等を皆殺しにしてやろう」
すぐにロングビルから返ってき微笑を自分が浮かべさせたと思うと、何にも変えがたい程に誇らしかった。

もう手の内隠していられる段階ではない。作り得る最大のゴーレムを作り出して連中を粉砕する。
全長30メイルの巨大ゴーレムだ、これが倒される事など考えなくてもいい。
問題は術者ロングビルを守る存在だが、これはアニエスを頼るしかない。
メイジを自由にさせては、如何にアニエスとてそれも厳しかろう。
ロングビルがゴーレムにてメイジ二人を、アニエスはその側にあって残る兵達を抑えきる。
山小屋の周囲は数十メイル程開けた荒地になっている。
そこに複数の人影が歩み寄って来るのを確認するなり、ロングビルは詠唱を開始した。

山が増えた。
アニエスが呆気に取られながら見上げるそれは、天までそそり立つ神の城壁を思わせる。
この場に居る全ての者がゴーレム使いを見た事がある。だが、これ程の規模のゴーレムなどそうお目にかかれる物ではない。
一国の軍全てを見渡してみても数える程もおらぬ。そんなレベルである。
さしもの護衛達もたじろぎ、進退に迷う。
それは率いているメイジ達も同様で、動きを止め惚けた様にてっぺんは何処かと空を見上げている。
精製が完了するなり身の丈30メイルの巨大なゴーレムは、神の鉄槌を思わせる絶望的な拳を大地に向け振り下ろす。
間一髪、メイジ二人はレヴィテーションの魔法によりこれを逃れた。
『チッ、楽させてくれない連中ね!』
まるで蚊トンボにしか見えぬ二つの粒を狙い、ゴーレムは豪腕を振り回す。
同時に下に居た兵達も動き出した。
『このゴーレムを見て尚踏み込めるか。これが出来る兵が千人も居ればどんな城とて落とせるだろうに!』
殺到してくる男達、アニエスは最初の交錯で二人を斬り倒す。
が、その為に踏み込みすぎたのかアニエスの二の腕にも血の筋が走る。
すぐにロングビルを狙っていた二人に斬りかかる。
一度に二人以上を相手にしてやらなければ、ここは押さえ切れ無い。
不意打ちはもう通用しない。
正面から二人相手に不意打ちも何も無いものだが、それを可能とする程にアニエスの持つ剣技の引き出しは多かったのだ。
これで注意深くなってくれれば、尚結構。
逃げ出してくれれば万々歳なのだが、流石にそこまでは望めない。
メイジ達とは別の、兵の一人が指揮を執っているが、その男が何やら指示を下しながら前へと出てくる。
後ろに下がった男達が構えた武器を見て、アニエスはほくそ笑むと同時に気を引き締める。
剣で数を頼りに押し切られるのが、今のアニエスには一番キツイ。
彼等の選択は、ここがゴーレムが暴れまわる足元であるという事を考えれば、最善ではあるのだが。
前に出た男の合図で、後方に下がっていた数人が構えた弓から矢を放つ。
同時に五本、なればこそ防げる。連中の腕が良い分、剣の一振りで届く範囲に全ての矢が集中してくれるからだ。
全ての矢を斬って落としたアニエスは、その作業の困難さに眩暈せん思いだ。
これを後何度繰り返さねばならないというのか。
『思ったよりキツイ……か。ロングビル、悪いが大した時間は稼げそうにないぞ』
どうしようも無い矢は、自らの体で防ぎきる。
そんな覚悟を決めながら、アニエスは男達と対峙していた。



アニエスの体に突き刺さった矢はこれで三本目になる。
383ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:32:13 ID:fGqytUaX
ゴーレムの防壁としか形容しようのない足を背にし、矢による攻撃と剣による接近戦を交互に行ってくる敵を迎え撃つ。
最初の二人以外、アニエスは敵の数を減らせずに居る。
指揮を執っている兵は特に剣技に熟達しており、アニエスをもってしても片手間に斬り伏せる事など出来ぬ。
近接チームはその男を中心に、踏み込んでは下がるを繰り返す。
その合間合間を縫うように、弓による遠距離攻撃を狙う後方チームが射撃を繰り返す。
せめても銃を持っていないのが救いだ。敵側に一丁でもあったらとうに終わっている。
弓矢も全員分あるという訳ではないらしい。
メイジを二人も要しているチームだ、当然といえば当然ではあるが。
その二人のメイジを相手にしているロングビルも苦戦を強いられていた。
空を飛びまわる二人のメイジはゴーレムの撃破を諦め、使い手であるロングビルへの攻撃に切り替えている。
足元にアニエスとロングビルが居る以上、足を使う事も出来ないゴーレムは両腕を振るって迎撃するしかないのだが、相手が小さすぎるせいか、一度も命中打を与えられていない。
ひらりひらりと嘲笑うようにかわし続けられているのだが、実の所二人のメイジにも見た目程の余裕は無かった。
攻城槌を一回りも二回りも大きくしたような豪腕が、正確に自分目掛けて振り回されるのだ。
拳だけではない、そこから体へと繋がる腕の何処に当たっても、致命傷は免れ得ない。
堅牢な城砦が自ら動き、襲い掛かってくるようなものだ。
高速で迫ってくる視界全てを埋め尽くす程の土くれの壁を、魔法の速度を信じて回避し続ける。
そんな事を何度も繰り返す事が、どれだけの消耗を強いるか。
逃げる事は許されない。
眼下で剣を振るう部下達の為にも、この巨人はメイジ達が抑えねばならないのだ。
キツイのはお互い様、これだけのゴーレムを操るのに必要な集中力は、並大抵ではないのだから。

誰もが必死になって自らの役割を果たしている。
均衡を崩そうと躍起になって相手の隙を探るも、いずれもが一流だ。そんな隙はそうそう見出せない。
我慢比べの様相を呈してきた戦場を一瞬で引っくり返したのは、意外にもこの場に居合わせた彼等ではなかった。

「グリフォン隊突撃! 敵味方を誤るなよ!」

血飛沫舞う戦場にありながら、気品と格式高さを失わない澄んだ声が空高くから聞こえて来た。
何処から現れたか、十数匹のグリフォンと騎乗する騎士達が突入してきたのだ。
隊を二つに分け、空を飛ぶメイジ達と地上の兵達に襲い掛かる。
降伏勧告すらしない。
敵と定めた相手に躊躇無く襲い掛かる彼等の勇姿を、ロングビルは唖然とした顔で、アニエスは歓喜の表情で見上げている。
「グリフォン隊? って事はトリステイン軍?」
「おおっ援軍か! こちらはトリスタニア警備隊です!」
隊長と思われる口ひげを蓄えた立派な体躯の青年がグリフォンと共にアニエスの下に降りてくる。
「話は聞いている。トリスタニア警備隊アニエス・ミラン殿と、トリステイン魔法学園のミス・ロングビルとお見受けするが」
「はっ、グリフォン隊と申しますと……ワルド子爵様であらせられますか?」
「ああ、後は任せてくれ」
既に制空権はグリフォン隊が確保している。
ここでゴーレムを動かせば味方に当たってしまう為、ロングビルはゴーレムをただの土くれへと戻していた。
「軍が動いてるって話は初耳よ」
「君達が動いているという話も、我々にとっては寝耳に水だったよ。
 後方に下がっていたまえ、奴等は我々が蹴散らしてみせよう」
ロングビルはゴーレムを土くれに戻した為、口に少し入ってしまった土煙を唾と共に吐き出す。
384ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:32:48 ID:fGqytUaX
「冗談でしょ?」
剣を振るって自らに突き刺さった矢を斬りおとすアニエス。
「ここで下がる軍人はおりません」

グリフォン隊の攻撃により、二人のメイジは地面に叩き落される。
頭を振って立ち上がるメイジの一人に向かって、アニエスが斬りかかる。
着地時の危険性は理解していたのであろう、メイジはすぐに詠唱を始める。
確実にメイジの魔法の方が先だ。
それがわかっていながらアニエスは足を止めない。

地面への衝突をレビテーションのコントロールで回避し、何とか着地を決めた痩せ男メイジ。
そんな彼に向かい、人間サイズののゴーレムが一体駆け寄ってくる。
大慌てで魔法を唱え、氷の矢をゴーレムに放つ。
土くれならばこの一撃で粉々に砕ける、そんな威力を秘めた矢の嵐。
しかしゴーレムは素材を強化してあるのか、全ての矢を弾き飛ばす。
「これを弾くだと!? 鋼鉄ででも出来ているのか!」

放たれた炎の弾には敵を捕捉し、誘導する能力が備わっている。
しかしそれも紙一重でかわされては意味が無い。
アニエスの背後へと抜けていった炎の弾は地面に着弾し、爆発を起こす。
アニエスはその爆風を背に受けながら、バランスを崩す事なく加速した。
「馬鹿な!? そんな真似が……」

氷の槍を作り出し、突進してくるゴーレムに放つも効果は無い。
ロングビルが全力で強化したゴーレムは、その衝撃をすら押し殺し、痩せ男メイジの眼前に立ちはだかった。
「あ……」
歴戦のメイジらしからぬ呟き。
直後、鋼鉄の強度を誇るゴーレムがその全体重を乗せた拳を放ち、決着が着いた。

次の魔法を唱える暇もない。
まるで弾丸のように迫りくるアニエスから、メイジは身をよじって逃れようとするが、アニエスの剣は狙い過たず、心臓を貫き背中へと突き抜けた。
「キ、サマ……」
メイジの体に体当たりするように飛び込みながら、大地に両足を滑らせて減速したアニエスは、乱暴に剣を抜いてメイジの体を引き剥がすと、剣を振るって血糊を払う。
「死ねるお前は幸運だ。生き残りにはそう思わせてやるから、安心して死ね」



おそらくトライアングルメイジと思われる術者の魔法を弾く。
その強度を維持出来るゴーレムの作成は、並みの術者に可能な事ではない。
そしてトリステンの何処を探しても、あれ程の巨大なゴーレムを作成出来る者など居はしないだろう。
ファイアーボールとフレイムボールでは僅かに弾速が異なる。
そもそも放たれる魔法を踏み込みながら避けるなどという芸当がおかしい。
どちらが来るかを詠唱から読みきり、そしてその速度を体に覚えこませていなければ、とてもではないが炎の弾を避け、あまつさえ背後から来る爆風を利用して加速するなどという真似は出来ないだろう。
地上に降りたグリフォン隊隊員に怪我人も出ている。
彼女達はそれ程の手練を相手に、たった二人で戦っていたのだ。
救援に来たグリフォン隊隊長ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵は、二人の女性の信じられぬ実力に言葉を失っていた。
事後処理を行っているグリフォン隊隊員を他所に、アニエスはワルドの前に立ち報告を行う。
礼の言葉から始った報告事項を聞きながら、ワルドは全く別の事を考えていた。
『欲しい……この二人、万難を廃してでも私の手元に置いておきたい』

お互いの状況を説明し終わり、ようやくアニエスとロングビルの二人は一休みが取れた。
ワルド達グリフォン隊もまた独自に麻薬の調査を行っており、ワルドはその背後に他国の影を見ていたのだ。
より詳しい状況をと警備隊の捜査状況を確認しに行った所、アニエス以下十二名が国境付近で網を張る作戦を行っていると聞き、その策の有効性を認めたワルドは協力すべく現地に向かっていたという訳だ。
既に麻薬密輸隊を補足し、戦闘まで行っているとは思いも寄らなかったがね、とワルドは笑いながら言っていた。
元凶はガリアであろう。
385ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 19:33:16 ID:fGqytUaX
しかしそれを表立って糾弾するのは難しい。
相手が国である以上、アニエスが幾ら憤慨しようと、善悪のみでは計れない次元に話は行ってしまっているのだ。
口惜しそうに拳を握り締めるアニエスに、ワルドは出来る限りの事をしようと約束する。
断罪する事は出来ないが、この事件はトリステインにとって有利に働くであろうし、ガリアに重大な損失を与える事が出来るだろうと語って聞かせ、その心を慰めるよう腐心する。
ワルドはトリステインが誇る精鋭部隊の隊長様である。
それがわざわざ一介の警備隊ごときにここまでする理由をロングビルは理解出来なかったが、ワルドはロングビルにもまた労いの言葉をかけ、その功を称えて必ずや報いると約束してくれた。
軍の中枢を担う部隊長の誠実な態度に感動しているアニエスとは違い、ワルドの言葉全てを信じる程お人よしではないロングビルは、興味なさそうに聞き流しているだけだったが。



ロングビル程の実力者が何故魔法を使わぬ秘書のような仕事をしているのか。
アニエスもワルドもその点が気になっていたのだが、その疑問にロングビルはこう答えた。
「時期が悪かったのよ。今年は巨大ゴーレム使い受難の年だと思うわ」
二人共すぐにぴんと来たようだ。
ここ最近は噂を聞かなくなったが、少し前まではゴーレムを操る盗賊「土くれのフーケ」がトリステインを賑わしていたのだ。
フーケならずとも優秀な土のメイジならば巨大なゴーレムを作り出す事も出来よう。
そしてその素材は当然得意な「土」で作る事になる。
そう、正体不明の盗賊がそうするようにだ。
下らない事であらぬ疑いをかけられるのも不愉快だし、実力を僻んだ相手に無実の密告でもされたら目も当てられない。
給金で言うのなら兵士をやってるのと大して変わらない金額であるし、それなら無用の疑いを持たれぬ秘書という仕事も悪く無い。
ワルドはそう言ってぼやくロングビルを勇気付けるよう言った。
「もし以降そのような疑いをかけられたならば、私の名を出しても構わない。貴女の実力とトリステインへの忠義はグリフォン隊隊長ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵が保証しよう」
棚からぼた餅。
トリステイン魔法学園秘書、ミス・ロングビルの正体こそその土くれのフーケなのだが、勝手に保証してくれるというのなら有り難い話である。
何処まで本気なのか窺い知れないワルドに、ロングビルは適当な感謝の言葉を述べる。
彼を利用すれば自身をより有利な立場に置けるとも思ったのだが、一つ懸念がありそれを見送る。
である以上、機嫌を取る必要も無い訳で。
不自然でない程度にそれなりの態度で応対しておいた。
トリスタニアに取って返した後もまるで賓客のような待遇を受け、グリフォンで学園まで送ろうとまで言ってくれたのだが、流石にそこまで目立つのは嫌だったので丁重にお断りした。
帰りしなにワルドはロングビルに袋を握らせる。
「いずれ正式に手柄への恩賞が行われよう。だからこれは私からの感謝の印と受け取って欲しい」
中身を見ずに懐に収める。
「ありがとうございます。私はこれで充分ですから、どうかアニエスには充分に報いてあげて下さいませ」
そう言い残し、怪我なぞ何のそので捕虜の尋問に加わっているアニエスを置いてロングビルは帰路へと着いた。
帰りの馬上で中身を確認すると、流石に子爵様だけあって社交辞令以上の金額が入れられていた。
命の値段に釣り合うとまでは言わないが、これだけの任務をこなすに相応しい額であった。
「……ヤバッ、ちょっと揺れるかも」
気前が良く、目下の者にも分け隔て無い。それにかなりの色男。
帰り道はワルド子爵という人物の考えを読む事に費やそうと思っていたのだが、その際思考に色目が入らないようにするのにちょっと苦労するロングビルであった。



『かんぱーい』
上機嫌の女二人はお気に入りのカクテルを満たしたグラスを交わす。
帰還して翌日の夜、アニエスとロングビルの二人は何時もの店で祝杯を挙げる事にした。
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:36:16 ID:jk+wfbjN
>>329
カゲよりはハイランダーじゃないかという気もするねぇ>タバサ
王族的な意味で
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:38:03 ID:oCmx+A4U
>>376
ウルトラ怪獣大百科、もしくはウルトラビッグファイト
って知ってる俺はまだ若いが

ついでに支援
頑張ってください。
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:38:40 ID:Q/ZE0Ffh
花嫁の題名でおマチさんの名前が出てくると嫌がらせかと思えてしまうから困る

嫁き遅れって嫌ですよねえエレオノール女史
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:47:19 ID:jk+wfbjN
>>366
むしろ、サイバーパンク2050>N◎VA
なお、バサラの能力の多くはサイバー化による悪影響を受けませぬ
よって、バサラの多くはバリバリのサイバー人間
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 19:59:36 ID:ES9iU2ag
test
391ゼロの花嫁:2009/01/06(火) 20:01:56 ID:fGqytUaX
少なからず興奮した口調で先日の戦いを振り返る。
お互いが想像していた以上に、相棒は優れた能力の持ち主であった。
それが確認出来、共に苦難を乗り越えて口にする酒の何と美味な事か。
しかもアニエスの口から驚くべき出来事がもたらされる。
「聞いてくれロングビル。ワルド子爵は私をシュバリエに推挙して下さるそうだ」
仰天するロングビル。シュバリエはそんな簡単にどうこう出来る地位ではないはずだ。
「もちろんロングビルも一緒だ。ははっ、リップサービスだろうが、そこまで言ってもらえるとは思わなかったぞ」
アニエスが正常な判断能力を失っていないようでほっとする。
確かに危険な任務だったが、こちらはワルドの仕事を奪ってしまっているのだ。
むしろ文句でも言われるかと疑うべき状況のはず。
ロングビルはワルドへの考えをまとめ終えていた。
もし彼が悪意を持っていたとしても、すぐにアニエスとロングビルをどうこうするつもりは無いだろう。
アニエスは既に直接の上司への報告も済ませており、そうするにはその前の段階で二人を黙らせておく必要があった。
グリフォン隊とは別経由でも上へと報告が上がり、裁定は双方からの報告を元に行われる。
その過程でおそらくロングビル達の手柄は幾分か目減りするはず。
貴族社会とはそういうものだ。
酒も回った頃、アニエスはこう呟いた。
「私が一番嬉しかったのはな、ワルド子爵が死んだ部下達の家族にも存分に報いると言ってくださった事だ……奴等は、私のわがままに付き合って死んだようなものだから……」
恐らくここまで溢す事も無かったであろう涙がアニエスの頬を伝う。
ロングビルは彼女の背中に触れ、赤子を宥めるようにゆっくりと諭す。
「兵士達は立派に勤めを果たしたのよ、隊長の貴女がそれを悔やんでどうするの。胸を張って、見事だったと送ってあげなさい」
「ああ……ああ、その通りだ……」
掛け値なしにそう思える。彼等は勇敢で、任務に対して誠実であったと。
だからこそアニエスが涙を流すのだろう。
アニエスは芯の強い女性だ。
明日になれば、彼女はまた毅然とした態度で部下に死ねと命じる事が出来るであろう。
それでも今日ぐらいは。
友の前でだけならば。
女の子らしく、泣いてもいいではないか。
ロングビルの胸で、すまない、すまない、と繰り返し胸元をぬらす彼女を宥めながら、この先、まっすぐで一生懸命な彼女が折れるような事のないよう、始祖ブリミルに祈りを捧げるのであった。


以上です。次回は何とか一週間以内にーと考えております
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 20:05:22 ID:tCx6qPpZ
GJ!
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 20:11:35 ID:jFu4/pNB
IZUMO零〜横濱あやかし絵巻〜から警視庁特別班の六人を召喚希望
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 20:16:00 ID:Q/ZE0Ffh
新桃太郎伝説からカルラを召喚

ジョゼフに召喚させたら手に負えなくなりそうだな
悪辣さ・外道さは飛びぬけてるから
395ゼロの黒魔道士:2009/01/06(火) 20:19:26 ID:SIZiffnJ
カッコ可愛い女騎士が活躍する話は大好物です!
花嫁様、GJ&乙っした!

予約は無いようですね?
20:25時ごろから投下しようと思います。
よろしくお願いいたします。
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 20:20:27 ID:w+uOhqbN
花嫁の人GJ
これはいいおマチさん。
次回にwktk。
397ゼロの黒魔道士:2009/01/06(火) 20:25:09 ID:SIZiffnJ
投下開始です

―――
「あ、あの、失礼ですが、あなたがウェールズ殿下であられる証は――」
「ハハハ、確かに空賊じゃない証拠が必要だったね、可愛い大使殿!ちょっと失礼を――」
そう言って、さっきまで髭を生やしていた空賊のお頭は、
ルイズおねえちゃんの左手を優しく右手で持ち上げて、自分の左手をそっと添えたんだ。
そうすると、ルイズおねえちゃんのつけていた『水のルビー』から、
キラキラと揺らめいている虹が伸びてきて……
「ほら、『風のルビー』と反応している。君の『水のルビー』も本物のようだね!
 これが王家の間にかかる虹の橋で本物の証っていうわけさ。納得、いただけたかな?」
2つの指輪でできた虹の橋がクルクルと色を変えながら輝いていた。
「た、大変、失礼をばいたしました!」
ルイズおねえちゃんがさっと頭を下げる。
「いや、気にすることは無いさ。僕だって、君達を疑ったわけだしね!それで、用とは何かな?大使殿」
そうだ、この人に会うためにここまで来たんだ。
ここでウェールズ王子に出会えたことは、運がすっごく良いってことなのかなぁ?

でも……なんか、都合が良すぎて、嫌な予感がするなぁ……

―ゼロの黒魔道士―
〜第二十四幕〜 真愛の希望


「なんと!姫は結婚するのか?あのアンリエッタが?私の可愛い従姉妹が?」
ルイズおねえちゃんが、お姫様から預かったお手紙を渡すと、
ウェールズ王子は目を卵みたいにして驚いたんだ。
「そうか……そういう事情ならば、あの手紙はお返しせねばなるまいな」
お手紙をじっくりと読んだ王子様は、ニッコリと微笑んでこっちをこっちに視線を戻した。
なんとなく、スッキリしたような、悲しいような、そんな顔をしていた。
「――それで、ウェールズ殿下。件の手紙はまさかこの船に?」
さっきまで黙っていたワルドおにいさんがふいに聞いた。
ちょっとだけ、声が上ずってる気がするのは、任務が成功しそうで嬉しいからかなぁ?
「ハハハ、まさか!多少面倒だが、ニューカッスルの城までご足労願いたわねばね」
398ゼロの黒魔道士:2009/01/06(火) 20:25:52 ID:SIZiffnJ
ボク達の乗る船(軍艦『イーグル号』って言うんだって)は、
アルビオンの海岸線を、お昼ごろのクリーム色のお日様に照らされた雲に隠れるようにして、ゆっくり進んでいったんだ。
そしたら、前の方に、アルビオンの海岸線が切れる端っこの方に、おっきなお城がそびえてた。
……あんなところに建ってて、落ちたりしないのかなぁ?
「あれが、ニューカッスルの城、我が最期の砦、さ!」
ウェールズ王子がそう説明する。
「あの、恐れながら、最期、というのは――」
ルイズおねえちゃんが聞く。
「――戦況を甘く見るつもりは無いさ。我が軍は三百、敵軍は五万。我々にできる事は、せいぜい華々しく散ってやる事だけさ」
肩をすくめて、まるで何ともないという風に、ウェールズ王子が答える。
……この人は、自分が死ぬっていうのに、なんでこんなに笑顔になれるんだろう?
「そ、そんな――」
ルイズおねえちゃんが声を失くす。
それが普通の反応だと思うんだ。なんでこの人は、笑顔で自分の死を迎えられるんだろう?
「――さて!これから本船は雲の中を通る、視界が悪くなるから注意してくれよ!」
「……えっと、お城は真っ直ぐ先にあるのに、まだ、わざわざ雲の中を通るの?」
目指すお城まで、雲の無い空間が広がっているのに、そこを通らずに真下の雲に入ろうとしていた。
「叛徒どもの、艦だ」
ウェールズ王子が城のはるか上空を指差した。
遠く離れたところから、おっきな、もしかしたらお城よりも多きかもしれない船が降りてくるところだったんだ。
帆を何枚もはためかせて降りてきたと思うと、 ニューカッスルのお城めがけて並んだ大砲から一斉に煙が上がった。
それに少し遅れて、お城から煙と炎が上がってくる。
……やっぱり、戦争って、嫌だなって思うんだ。
「かつての本国艦隊旗艦『ロイヤル・ソヴリン』号だ。叛徒どもは『レキシントン』と呼んでいるがね」
ウェールズ王子は微笑を浮かべて言った。
「あの艦は、空からニューカッスルを封鎖しているのさ。たまに嫌がらせのように砲撃を加えてくる」
ボクも、ルイズおねえちゃんも、雲の切れ目に遠く覗いているおっきな戦艦を見つめる。
「備砲は両舷あわせ百八門。おまけに竜騎兵まで積んでいる」
ウェールズ王子の言うとおり、数えきれないぐらいの大砲が船の横から突き出ているし、
船の上にはドラゴン達が死体に群がる蝿のように飛んでいた。
「さて、我々の船はあれを避けて、大陸の下から城に近づく。そこに我々しか知らない秘密の港があるのだ」
……なんで、戦争って起こるんだろう。
ボクの頭は、答えの出そうにない思いで、グルグルと回り続けていた。

「いやぁ〜相棒ぉ!忘れられたと思ったぜぃ!」
「あ、うん、デルフ、ここはお城だし、静かにしててね?」
洞窟のような港に着くと、デルフを返してもらって、ボク達はウェールズ王子の部屋に向かったんだ。
「あったぼーよぉ〜!おれっちだって、マナーはわきまえっぜ?」
「インテリジェンス・ソードかい?なるほど、勇敢な少年にお似合いのおもしろい武器といわけか!しかし君が使い魔とはね――」
ウェールズ王子が変な感心をする。
デルフがおもしろい武器っていうのはボクも思うけど……勇敢な少年って、ボクのことかなぁ?
ボク、何かやったっけ?
399ゼロの黒魔道士:2009/01/06(火) 20:26:54 ID:SIZiffnJ
王子様の部屋は、イーグル号の船長室以上に質素な部屋だった。
こういう、趣味なのかな?
無駄な飾りが無いのは使いやすくていいと思う。
ウェールズ王子は机の引き出しを開き、キラキラの宝石がちりばめられた小箱を取り出したんだ。
その光が、こぼれるように部屋の中を照らす。
鍵を使い蓋を開けると、そこにはアンリエッタ姫の肖像が描かれていたのが見えた。
「――宝箱、でね」
王子様は最初にお姫様のお手紙を読み終わったときみたいな寂しそうな笑顔を見せたんだ。
その後、箱の中からボロボロに擦り切れた手紙を取り出し、ゆっくりと読み返し始めた。
笑顔に隠れた寂しさの色合いが、どんどん濃くなっているのを感じた。
読み終わると、ウェールズ王子はそのお手紙を丁寧に、丁寧にたたんで、封筒に入れてルイズおねえちゃんに手渡したんだ。
「ありがとうございます」
ルイズおねえちゃんは深々と頭を下げて、そのお手紙を受け取る。
これで、任務は完了、かな……
でも、なんだろう、ちっとも嬉しくない。
「――殿下、失礼をお許しください。恐れながら、お聞きしたいことがございます」
「ん?何だい?」
ルイズおねえちゃんが意を決したように言葉を紡ぎだす。
「ただいまお預かりいたしました手紙の内容、これは、もしや――」
「ルイズ!」
ワルドおにいさんがルイズおねえちゃんが言葉を続けようとするのを止めようとする。
でも、王子様はほんの少し悩んだ表情を見せた後、はっきりと、堂々と言ったんだ。
「ハハハ、お察しの通り、恋文だよ。ゲルマニアの皇帝と婚約するとなれば、邪魔になる類のものさ」
恋文?え?アンリエッタ姫とウェールズ王子って、そういう仲だったの?
ますます、お芝居みたいなお話だなぁと思ったけど、これって現実の話なんだよね。
「――こいつぁおでれーた。事実は芝居よりも奇なりってぇヤツだな」
……ちょっとだけ、デルフと同じことを考えていたのが悔しい気がするのは、なんでだろ?
「姫様は、殿下と恋仲であらせられたのですね?」
「昔の話だ」
ルイズおねえちゃんはワルドおにいさんに抑えられながら、熱っぽい口調で言葉を続けたんだ。
「殿下、亡命なされませ!トリステインに亡命なされませ!」
「それはできんよ」
寂しそうな笑顔でルイズおねえちゃんの言葉をすぐに否定する王子様。
……亡命すれば、お姫様と幸せに暮らせるのに、どうして、死ぬようなところに?
「明日の朝、非戦闘員を乗せて出航する『イーグル号』に乗ってお帰りなさい。君達の乗っていた貨物船の乗組員も同乗するよ」
「そんな!殿下と姫は!殿下と姫は――」
「――そろそろパーティーの時間だ。我が王国最後の客として、君達には是非出席して欲しい」
それだけ言うと、ウェールズ王子はボク達を部屋の外に促したんだ。
……なんか、ボクまで王子様みたいに寂しい気分になった。
400ゼロの黒魔道士:2009/01/06(火) 20:27:40 ID:SIZiffnJ
パーティーは、華やかに進んでいた。
まるで、明日も、こうしていることができるように、いつもどおりといった感じで。
「相棒ぉ〜、元気出せよ〜」
「あ、う、うん……」
さっきまでの王子様の部屋での会話が頭の中でグルグル回って、
いくつもの「どうして?」が浮かんできて、ボクはあんまり楽しい気分にはなれなかった。
「ろくなおもてなしができなくてすまないね。これでも、精一杯の宴なんだが、楽しめてもらえてるかな?」
邪魔にならないように、隅っこの方に立ってたら、ウェールズ王子から話かけてきたんだ。
「あ、う、うん……みんな、戦の前なのに、笑ってる、ね……」
ボクは、すっごく複雑な気持ちだったんだ。
ボク達は戦争のために作られた存在というのは理解したし、
ある程度は乗り越えたつもりだった。
いつかは動かなくなってしまうことも理解できたし、
動かなくなることは悲しいことだけど、静かに迎えることもできた。
でも、この人たちは、今から命を投げ出すというのに、笑ってパーティーをしてる。
ボクには、よく分からなかったんだ。
「――あぁ、まぁ、ね。みんな、怖いのさ。本当のところは」
肩をすくめてニッコリ笑ってみせる王子様。
どことなく、ジタンに似た笑い方だった。
「……ならどうして、死ぬと分かっていながら、怖いと思っていながら、笑えるの?」
寿命が近づいていて、諦めているっていう笑い方でもない。
今までの人生に満足して、旅立とうとしてるって笑い方でもない。
今をしっかり生きようとする笑い方、そんな笑い方がどうしてできるのか、ボクには不思議だったんだ。
「ハハ、最もな質問だね。だが、君の質問は順序が逆だな。怖いと思っていながら笑うんじゃなくて、怖いから笑っているのさ」
「……怖い、から?」
「そう、怖いからだ。怖いけど、戦わなきゃならない。間違いなく、死ぬだろう。それでも、戦わなきゃならない。
 だから、せめて笑い飛ばしてやるのさ。恐怖も、悲しみも、敵も全部、ね。それが、せめて僕達がここに今生きていることの証になれば、ってところかな」
ウェールズ王子は、ボクに分かりやすいようにか、簡単な言葉を考えながらゆっくり話してくれる。
その優しさが、その言葉が、あったかくて、悲しかったんだ。
「……じゃぁ、なんで、戦うの?」
ボク達みたいに、世界を救うってわけでもない。
逃げたり、降参したりすることだってできるはずなのに、
それでも、負けるだろう戦いにこの人達は行こうとしている。
「――そうだね、難しい質問だが――強いて言うならば、そうだな」
ボクの肩にポンと手を乗せる王子様。
その手が、妙に軽い気がした。
「――愛する人を守るのに、理由はいらないだろ?」
「え」
ドキッとしたんだ。
あの時のジタンと、同じようなことを言ったから。
「このままヤツらに黙ってやられれば、あいつらは、すぐさま全戦力でもってトリステインを、愛する人の国を襲うだろう。
 だから、せめてヤツらの戦力を削ってやるのさ。そうすれば、時間が延ばせる。愛する人を、死んでたとしても守れる時間がね」
この人は、アンリエッタ姫のことが本当に好きだったんだって思った。
どんな無理なことがあっても、好きな人を守りたいって気持ちがあるんだなって思った。
肩に乗せられた軽い手が、ちょっと震えていることに気づく。
この人も、怖いんだ。死ぬことは。
それでも、守りたいモノがあるんだ。
この人は、強い。
純粋な力じゃなくて、心がものすごく強い。
この人が、なんだかすっごくかっこよく見えたんだ。
「ある意味、君と同じかもね?勇敢な使い魔君。君も、君の可愛い主を守ろうとしたじゃないか、敵陣の真ん中で」
「え?」
「ほら、今朝の空賊船だよ。危うく僕は君に殺されそうだった、違うかい?」
……あ、この人に『バイオ』をかけようとしてたことはバレてたんだ。
「……あ、えっと……ご、ゴメンなさい……」
「ハハハ!あの状況なら、仕方ないよ!気にしないで、これからも主を守ってあげたまえ!――あぁ、そうだ、勇敢なる少年にお願いしたいことがある」
401ゼロの黒魔道士:2009/01/06(火) 20:28:21 ID:SIZiffnJ
そう言って、王子様は左手から指輪を、『風のルビー』の指輪を取り外してボクの手に押し込んだ。
「これを、僕の大事な人に渡してくれないか?僕が死んでしまっても、お嫁さんに行っても僕のことを覚えてくれるように、ね」
もう1回、顔に笑顔を作り直して王子様が言う。
その笑顔は、さっきよりももっと悲しく感じられたんだ。
「……あ、え、えっと……ウェールズ王子は、人っていつ死ぬと思う?」
あんまり悲しそうな笑顔だったから、ついついこんなことを言い始めてしまったんだ。
「ん?」
「ぼ、ボクは……誰かに忘れられなければ、誰かの『記憶』に残っている限り、死んでないって思うんだ……だから……」
『記憶の回廊』でボク達が見つけた答えの一つ。
誰かが覚えていてくれている限り、命は続くんだ。
だから、ボクは生きてこられたし、これからも生きていたいと思うんだ。ずっと。
「ふむ――おもしろい!すると僕達はまさに不死の軍団になれるというわけだ!これはいい!!」
ウェールズ王子がニカッと歯を見せて笑う。
さっきの悲しさは少しだけおさまったみたいだ。
「ならば是非、僕達のことを覚えておいてくれるかい?勇敢な君に覚えられれば、永久の命を持つ精霊にも匹敵しそうだからね」
そう言って、握手をする僕達。
王子様の手の震えは、少しだけ治まっていた。
「さて、そろそろ行かなくては。他の連中にも不死の軍団構想を話してやらねばね!それじゃ、宴を楽しんでくれ!」

去っていく王子様の後姿を見て、強い背中だなと思ったんだ。
憧れの人が、もう1人増えた気がした。


「――よぉ、相棒?」
「……ん?どうしたの、デルフ?」
「――忘れっぽい俺様だけどよ?俺様はいつでもお前さんのこと覚えててやるぜ?」
「……ありがとう、デルフ」



ピコン
ATE ―偽恋の野望―

男は苛立っていた、と同時に、高揚していた。
計画していた流れこそは全て壊滅的なまでに崩れていた。
雇った傭兵共は学生すら相手にできぬ屑ばかり、
虚無の力を持つであろう婚約者の返事は色よく無く、
さらに使い魔の所持する剣は魔法を吸収する厄介な代物ときている。
自分の力を見せつけ、婚約者を落城せしめんと意気込んでいただけに、
予定外のことばかり起き未だ城壁にへばり着いたままの状況には辟易していた。
だが、それも今は昔の話だ。
そう、今この瞬間、もう一つの目当て、その城壁どころか城そのものの中に潜入した今となっては。
目指す獲物はまさに目と鼻の先。
後は美味しくいただくだけの状態だ。
だが、焦りは禁物だ。
弛んだ頬を再び引き締める。
こういったものは時期が問題となる。
罠にかかった獲物でも、暴れ逃げるという可能性は捨てきれない。
慎重に、と理性では考えつつも、顔は自然とにやけてしまう。
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 20:28:25 ID:WG1rc5HC
支援
403ゼロの黒魔道士:2009/01/06(火) 20:29:18 ID:SIZiffnJ
力が、待ち望んでいた力が、欲していた力が、
手首をひねればもぎ取れそうな位置に存在しているのだ。
それは魔力であり、権力であり、望みを叶える力そのものだ。
所詮この世は弱肉強食。
力の無い野鼠は雄々しく飛ぶ鷹の爪で引き裂かれる。
かつて自分も野鼠だった。
母の愛に飢え、野の隙間を彷徨うだけの愚かな小動物だった。
だが、今は違う。
磨きに磨いた杖は天地を引き裂く虎の爪だ。
上司の覚えめでたく確立した地位は山の頂だ。
だが、足りない。
まだまだ力が必要だ。
虎の爪ではまだ足らぬ、欲する武力は龍神の強さ。
山の頂ではまだ足らぬ、欲する権力は天界の高み。
神々のごとき力が、そう、運命すらねじ伏せる力を、男は欲していた。
その武力の源が、ほぼ間違いなく、自らの隣、婚約者の中にある。
その権力の鍵が、ほぼ間違いなく、自らの目の前、王子の首に宿っている。。
高揚せずにはいられなかった。

しかし、男はまだ手を出していなかった。
夜の帳が降り、宴の終焉が近づいてもなお、動かなかった、
否、動けなかった。
怖気づいたのか、と自問自答する。
否、自分は野鼠のごとき臆病者ではない。
全てを一度に手に入れるための計画を練っていただけなのだ。
決して、予期せぬ事態が続いたことで考えが回らないということは無いのだ。
予期せぬ事態が続いたからこそ、計画に穴が無いか、慎重に考えなおしているだけなのだ。
「大舞台でのアクシデントもフォローできないなんて!やはり、君は三流の大根役者だねぇ!」
あのクジャという男の嘲笑が聞こえる気がする。
誰が三流だ!誰が大根役者だ!
自分は主役だ、自分こそ全ての力で舞台を操る神なのだという自負が、
掌に伝わり、グラスにヒビの文様を作りだす。

「おぉ、大丈夫ですかな?お手にお怪我は?」
「あぁ、いや大丈夫――少々、任務が続いて気が立っていたようだ」
力への渇望も、黒き野望もひた隠し、微笑の仮面を作りだし給仕に答える男。
「大丈夫?ワルド?」
「あぁ、大丈夫さ。君こそ、持ち直したかい?」
優しき婚約者の仮面を被り、小娘へのフォローも忘れない男。
そうさ、仮面など、いくらでも被ってやろう。
演技などお手の物だ。
誰が三流大根役者だ、クジャめ!
あの露出の多い男が『レコン・キスタ』に姿を見せたときから、
その笑みに、その容姿に、その口調に、気に入る点など何一つ存在しなかった。
芝居がかった物言いに、道化のような仕草、思いだすだけで反吐が出る。
芝居、という単語に思考が至り、男の仮面が一瞬陰る。
そうだ、芝居だ。
仮面を元の微笑に戻しながら、心では己の計画がみるみる組みあがる様にドス黒い笑い声をあげる。
404ゼロの黒魔道士:2009/01/06(火) 20:29:57 ID:SIZiffnJ
「どうか、なさいましたかな?」
「あぁ、なんでもないとも――少々飲みすぎたかもしれん」
「ちょっと、ワルド、大丈夫?」
仮面が剥げるのを給仕や婚約者に見とがめられたかもしれないが、
如才なくこれを切り抜ける。
頭では完璧な台本が出来上がった。
今度は、どんな邪魔が入ろうとも、完全な芝居ができるだろう。
あの少年使い魔なぞ、雑音にもならない。
そう、全ての力を一度に手に入れることができる秀逸な台本だ。
「――そうだな、酔い潰れる前に、部屋に戻るとするか。だが、その前にウェールズ殿下にご挨拶したいのだが、今はどちらにおられるかな?」
「ウェールズ様なら、あちらのテーブルの方で臣下の方とご歓談中のようですぞ」
そうか、と一言。
婚約者には少しここにいて欲しいということと、後で大事な話があると言い残し、思い描いたとおりに歩を進める。
仮面ではない、本当の笑みが顔からもれる。
宴を楽しむ笑みにも見えるが、その実、己の脚本の素晴らしさに称える喝采の笑みだ。

クジャめ、誰が大根役者だ?

見せてやろう。

今宵も、今後も、

主役はウェールズでも、使い魔でも、演出家気取りの男娼野郎でもない。

全ての力を手中に収める、この自分なのである、と。

「ウェールズ殿下!実は、恐れながら殿下にお頼み申し上げたい儀がございまして――」

――
投下完了です。
次回は、めっさ未定です。〆切日程間違ってた事例が発生しましたので。
お目汚し、失礼いたしました。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 21:10:38 ID:eqwDinr4
乙です
ワルドが調子に乗ってるけどロウソクが消える前の最後の輝きだろうかw
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 21:21:13 ID:QkvtJfZA
>391
乙。お久しぶりー
ブランクを感じさせない相変わらずの濃い内容に満足です
戦闘シーンも手に汗でwktk
ドSなアニエスを思い出しつつ保管庫を再読しようと思わせる出来でした
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 21:23:58 ID:Pko3+Hqp
つくづくミスター死亡フラグだよなぁワルド
ギーシュの場合は敗北は有っても死ぬことは無いし、おマチさんも何だかんだでフラグ回避する事多いしなぁ

とりあえず戦闘終了時に死体が残ってれば良いねw
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 21:28:24 ID:JVAkeDRj
おお、ゴースト・ステップさんが来てる。
にしてもヒューって戦場とストリートの裏側の浅いところしか知らないんだねぇ。
もう少し深く潜れば退魔師と魔物、魔術師と吸血鬼が妖精女王の宴で飲んだくれてるのがN◎VAだってのに。
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 21:37:51 ID:RTKjPmih
>>407
でも破壊のなんちゃらが本当にマジックアイテムだった場合は高確率で死にます
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 21:44:32 ID:EGEEOZO2
姉妹スレのほうじゃギーシュとて安心できないぞ
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 21:52:48 ID:pOdZGJDB
>>409
確かにワルドより死亡率は低いけど、死に方の酷さならある意味ワルド以上だしな
JOJOスレの至近距離からのロケットランチャーとかゴーレムを逆に操られてプチッとか
このスレでも魔剣に食いちぎられたり蒸し殺されたり
412虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/01/06(火) 22:07:05 ID:Am0w6lv/
22:15頃から投下させてください。
413虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/01/06(火) 22:15:58 ID:Am0w6lv/
ミス・ロングビルが御者をつとめる馬車で、ルイズ、ティトォ、キュルケ、タバサの四人は出発した。
「ミス・ロングビル……手綱なんて、付き人にやらせればいいじゃないですか」
キュルケがロングビルに話しかけると、彼女はにっこりと笑って、答えた。
「いいのです。わたくしは、貴族の名をなくした者ですから」
キュルケはきょとんとした。
「だって、あなたはオールド・オスマンの秘書なのでしょ?」
「ええ。でも、オスマン氏は貴族や平民だということに、あまりこだわらないお方です」
「差し支えなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」
ミス・ロングビルは優しい微笑みを浮かべた。それは言いたくないのだろう。
「いいじゃないの、教えてくださいな」
キュルケが興味津々と言った顔で、ロングビルににじり寄る。
ルイズがその肩をつかんだ。
「よしなさい。あんたのお国じゃどうか知らないけれど、聞かれたくないことを無理矢理聞き出そうとするのは、トリステインでは恥ずべきことなのよ」
必要以上に刺々しい口調だった。
「なによ、暇だからおしゃべりしようと思っただけじゃないの」
かちんときたキュルケは、ルイズを睨みつけた。しかしそれっきり、ルイズはむっつりと押し黙ってしまったのだった。
「ヴァリエールったら、出発してからずっと不機嫌ね!あなた、何かご存知?」
キュルケはティトォに尋ねる。ルイズは旅が始まってからというもの、一度もティトォと顔を合わせようとしていなかった。
ルイズとティトォの間に、異様にギスギスとした空気が漂っている。
そしてティトォもまたロングビルと同じように、曖昧な笑みを浮かべるばかりだった。
なにかしら。この馬車には事情を詮索されたくない人ばかりが集まってるのかしら。
キュルケはタバサの方へ席を詰めた。相変わらず口数の少ないタバサだったが、それがひどく落ち着いた。
「あたしの心を安らげるのは、あなただけだわ」


馬車は森の深い場所へと入っていった。鬱蒼とした森は、昼だというのに薄暗く、気味が悪かった。
「ここから先は、徒歩で行きましょう」
ミス・ロングビルがそう言って、全員が馬車を降りた。
みんな、警戒して杖を持っていたが、ティトォだけは魔法学院から持ってきた水筒を肩に下げていた。
「一口ちょうだい?」とキュルケが要求したが、これは飲み物じゃないんだよ、とティトォは断った。
森を通る道から、小道が続いている。
それを辿っていくと、開けた土地に出た。魔法学院の中庭ほどの広さで、なるほど、その真ん中に、今にも崩れそうな廃屋があった。
「あれが?」
「ええ、話に聞いた廃屋でしょう。フーケの隠れ家である可能性が高いと思われます」
ミス・ロングビルが廃屋を指差す。しかし、人が住んでいる気配はまったくない。
フーケはあの中にいるのだろうか?
「とにかく、中を調べないといけないね」
ティトォが意見を述べると、皆頷いた。ルイズだけはそっぽを向いていた。
偵察兼囮として、タバサが名乗り出た。
タバサはすばしこく、シュヴァリエの称号を賜っているだけのことはあり、学院の中でも特に優秀な『トライアングル』であった。
タバサは素早い身のこなしで、小屋に近付く。ちょいと杖を降ると、光る粉が舞い、小屋全体を覆った。
探知の魔法『ディテクトマジック』である。どうやら、罠などの仕掛けはないようだ。
タバサは用心しながら小さく扉を開け、小屋の中へ音もなく滑り込んだ。
他の者たちは茂みに隠れ、緊張した面持ちで杖を構えていた。
どれほどの時間が経ったのか、タバサが再び小屋から出てきた。
「誰もいない」
その言葉に、キュルケとティトォも、小屋の中を調べるために、中に入っていった。
ルイズは外を見張っていると言って、その場に残った。
ミス・ロングビルは、辺りを偵察してきますと、森の中に消えた。
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 22:16:30 ID:VgnWmKkb
支援
415虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/01/06(火) 22:16:54 ID:Am0w6lv/
小屋に入ったタバサたちは、手がかりを探しはじめた。
ほどなくして、タバサがチェストの中から、高級そうな装飾の施された小箱を見つけ出した。
「禁断の鍵」
タバサは無造作にその箱を開き、中身を確認して、言った。
「あっけないわね!」
キュルケが叫んだ。
「これが『禁断の鍵』?」
ティトォが尋ねる。
「ええそうよ、あたし、見たことあるもん。宝物庫を見学したとき」
キュルケの言葉に、タバサも頷く。
ティトォは『禁断の鍵』を、まじまじと眺めた。それは一見、シンプルな作りの、ただの鍵のように見えた。
しかしそれは魔力を付与された『マジックアイテム』の一種であることが分かった。
ティトォが『禁断の鍵』を手に取って確かめようとした時、外で見張りをしていたルイズの悲鳴が聞こえた。
「きゃあああああ!!」
その声に、小屋の中にいた3人は、開け放した小屋の入口を振り返る。
次の瞬間、小屋の屋根が吹っ飛んだ。
屋根がなくなった天井から日の光が差し込み、その光の中から、フーケの土ゴーレムが見下ろしていた。
「ゴーレム!」
キュルケが叫ぶのと同時に、タバサは素早く呪文を完成させた。
自分の身長より大きな杖を振るうと、巨大な竜巻がゴーレムにぶつかった。
遅れてキュルケも呪文を唱え、ゴーレムを火炎に包む。
しかし、風と炎の嵐がおさまったとき、ゴーレムはびくともせずにそこに立っていた。
のろのろとした動作で、3人を踏みつぶすべく、片足を上げた。大きな影が、小屋の中に落ちる。
「無理よこんなの!」
「退却」
タバサはそう呟くと、指をくわえて、ピュウっと口笛を吹いた。
キュルケとタバサは、一目散に逃げ出した。
ティトォは小屋を出ると、外にいたはずのルイズの姿を探した。
いた!
ルイズはゴーレムの背後に立って、杖を構えている。ルイズが呪文を唱えると、ゴーレムの表面が弾けた。
まずい!ルイズに気付いたゴーレムが、身体の向きを変えた。
「逃げろ!ルイズ!」
ティトォは叫び、水筒を手に取る。と、次の瞬間、ゴーレムの背中に氷の矢が突き刺さった。
小屋から逃げ出したタバサが、使い魔の風竜に跨がり、杖を構えていた。小屋を出る時の口笛で、竜を呼ぶ合図をしたのだ。
ゴーレムがそちらに振り向くと、今度はゴーレムの背中を炎が襲った。
反対方向からのキュルケの呪文だ。
「こっちよ!土くれ!」
挟み撃ちの攻撃を受け、ゴーレムはどちらを追いかけるか迷って、うろうろし始めた。
その隙に、再びルイズが呪文を唱える。しかし、杖を降ろうとした手は、駆けつけたティトォによって制された。
「だめだ、ルイズ!」
ルイズの爆発は、ゴーレムの表面を焦がすことしかできないのだ。いくら撃っても、ゴーレムの注意をいたずらに引き付けるだけだった。
「離してよ!あいつを捕まえれば、誰ももう、わたしをゼロのルイズとは呼ばないでしょ!」
目が真剣だった。
「あんなヤツに勝てるわけないだろ!」
「やってみなくちゃ分かんないでしょ!」
「無理だ!」
ティトォの口調も真剣で、断固とした響きがあった。
416虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/01/06(火) 22:19:11 ID:Am0w6lv/
ルイズは苦しそうに眉を歪める。
「……あんたの言ってることくらい、わたしだって分かってるわよ。魔法の使えない貴族。最初っから、わたしにできることなんてなかったの」
「だったら」
「でも!だからって、逃げられないのよ!わたしにだって、ささやかだけど誇りがあるの!決して敵に後ろを見せない、貴族の誇りが!ここで逃げたら、ゼロのルイズだから逃げたって言われるわ!」
最後の方は、ほとんど泣き叫ぶようになっていた。
ルイズは肩を震わせ、ふたたび呪文を唱える。しかしティトォは、自分の手をルイズの手に添え、また杖を下げさせた。
「ルイズ、だったら、きみがここでゴーレムに立ち向かって死んだら、きみの名誉が回復するのかい?」
ティトォは、優しく諭すように言った。
ルイズは、ぐっと俯くと、ぽろぽろと涙をこぼした。
「だって……だってわたし、魔法が使えないの。……これで、誇りまでなくしたら、わたし本当に貴族じゃなくなっちゃう……」
めそめそと力なく泣き続けるルイズの背中を、ティトォはぽんぽんと叩いてやった。
誇り。魔法の使えないルイズは、『貴族のプライド』だけを足がかりに、クラスメイトの嘲笑と戦ってきたのだった。
出発の前、ルイズの無鉄砲を諌めようと口にした言葉が、ルイズのその『プライド』をひどく傷付け、思い詰めさせてしまったのだろう。
端正な顔をぐしゃぐしゃに歪めて泣くルイズを見て、ティトォは胸がちくりと痛んだ。
しかしそんな感傷に浸っている時間はなかった。ゴーレムがふたりを踏みつぶそうと、足を上げてきたのだ。
遠くから魔法を撃つキュルケとタバサよりも、まずは足下のふたりを片付けようとしたのだろう。
ティトォは慌ててルイズを抱え上げ、その場を離れた。ゴーレムの足が地面に打ち付けられ、煙と小石のつぶてが舞った。
ゴーレムは地響きを上げて,ふたりを追いかけてくる。
逃げるふたりの前に、タバサの風竜シルフィードが舞い降りた。
「乗って!」
背中に跨がったタバサが叫ぶ。そこにはキュルケもいて、ルイズを竜の背中に引き上げた。ティトォが乗り込むと、ゴーレムが迫りくる間一髪のところで、シルフィードは宙へと飛んだ。
シルフィードはぐんぐん高度を上げ、ゴーレムの頭の上を、ぐるりと大きく旋回した。
「やれやれ、助かったわね」
キュルケがほっとした声で言って、こちらを見上げてうろうろするゴーレムを見下ろした。
「さて、これからどうする?」
「撤退。『禁断の鍵』は取り戻した」
タバサは、『禁断の鍵』の装飾ケースを軽く降ってみせた。
残念そうにキュルケが同意する。
「そうね、フーケを見逃すのは悔しいけど、あの土のゴーレムにはちょっとかなわないもの。ああ、ミス・ロングビルはどこに行ったのかしら?」
タバサは、偵察に出たはずのミス・ロングビルを探したが、森に隠されて、ミス・ロングビルの姿はなかなか見つかりそうになかった。
ティトォは、しゃくり上げるルイズの、髪の土ぼこりを手で払いながら、言った。
「待って。ぼくに、フーケを倒すための考えがある」
キュルケは驚いて、ティトォの顔を見る。
ティトォは、ハンカチを取り出して、ルイズの顔の泥を拭ってやった。
ゴーレムが飛ばした石つぶてで、ルイズの頬に小さな傷が付いていた。
ティトォは懐からライターを取り出し、魔法の炎でその傷を消した。
「無茶よ!あなたの魔法は、回復魔法じゃない。それでどうやって、あのゴーレムに立ち向かうというの?」
ティトォが最後にルイズにハンカチを渡すと、盛大な音を立てて、ルイズは洟をかんだ。
「大丈夫、考えがあるんだ」
そうティトォは繰り返す。
ティトォはルイズの顔を覗き込むようにして、言った。
「ルイズ、言ったよね。『メイジの実力をはかるには、使い魔を見ろ』って。ぼくが、きみがゼロでないことの証明をしてみせるよ」
ティトォが傷付けてしまったルイズのプライドは、ティトォの手によって回復されるべきだと、彼は考えたのだ。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 22:19:14 ID:lbM0BQEE
支援
418虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/01/06(火) 22:20:26 ID:Am0w6lv/
タバサは、シルフィードに高度を下げさせると、ゴーレムの頭上を小さく旋回させた。
ゴーレムは巨大な腕をぶんぶん振り回して、シルフィードをたたき落とそうとするが、シルフィードには届かない。
ティトォは、手に持った水筒のふたを開け、中身をゴーレムの頭から振りかけた。
独特のツンとしたにおいが、鼻を突く。
「これって、油?」
キュルケが言った。
油はびちゃびちゃと音を立てて、ゴーレムの全身を濡らした。
「ありがとう!タバサ、ぼくを下ろしてくれ!」
ティトォは空になった水筒を投げ捨て、シルフィードから身を踊らせた。
タバサがルーンを呟くと、地面にぶつかる寸前、ティトォの身体がふわりと浮いた。『レビテーション』の魔法だ。
地面に降りると、ティトォはすぐさま枯木の枝を拾って火をつけた。
パチパチと音を立てて燃え上がる枯木を、ゴーレムに向かって放り投げる。
枯木は巨大なゴーレムの身体にぶつかり、ゴーレムを塗らす油に火をつけた。
炎は勢いよく燃え上がり、全身を炎に包まれたゴーレムはよろめいた。
しかしキュルケは、それを見て表情を曇らせる。
「だめ、油が少なすぎる……!」
炎はゴーレムの表面を焦がしたが、巨大な質量を持つ土のゴーレムを燃やし尽くすには、炎の力はとても足りなかった。
燃えるゴーレムは標的をティトォに定めると、愚かにも自分に立ち向かうちびすけを踏みつぶすべく、ずしんずしんと地響きを立て歩き出した。
ティトォは物怖じしたふうもなく、その場に立っていた。
迫るゴーレムをまっすぐ見据え、右手を突き出し、ゴーレムを包む炎に集中する。
「マテリアル・パズル……」
ティトォの言葉とともに、魔法が発動した。
ゴーレムを包む炎が白く色を変える。
すると、どうしたことだろう。ティトォへと向かっていたゴーレムの動きが、だんだんとゆっくりになってゆく。
まるで見えない手によって、身体の自由を奪われているようだった。
ティトォの目の前までやってきたゴーレムは、ぎすぎすとした動作のまま、ティトォを叩き潰すべく巨大な拳を振り上げ……
そしてそのまま、ぴくりとも動かなくなってしまった。
どうなっているの?と、タバサとキュルケが動きを止めたゴーレムを見つめる。
ティトォが呟く。
「炎のマテリアル・パワーを組み替えた。変換させられた炎はもう物は燃やさない。白い光を放ち、傷を癒す」
ルイズもまた、涙を拭いながら、ティトォを見た。
「そして、その炎は生き物に力を与える!炎の力が宿り、潜在能力を引き出してくれる!」
ゴーレムの表面がざわざわと波打ち、頭から緑の新芽が芽生えた。
そして、それを合図にしたように、身体中から次々と草花が芽吹き、土色のゴーレムの身体を緑色に染め上げてゆく。
「これがぼくの魔法。活力の炎・ホワイトホワイトフレア」
土のゴーレムは、緑の彫像となって、その場に立ちすくんだ。
「すごい……」
「ゴーレムの身体を作る土。その中に閉じ込められた植物を成長させ、身体中に根を張って動きを止めた」
シルフィードから降りたキュルケとタバサが、驚きを持って緑のゴーレムを見上げた。
419虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/01/06(火) 22:22:01 ID:Am0w6lv/
と、ティトォがぴくりと眉をひそめた。
動きを封じられたはずのゴーレムが、ぎぎぎ、と再び拳を振り上げたのだ。
キュルケは驚いて一歩後ずさった。
ティトォが再び炎に集中すると、ちらちら燃えていた炎が再び燃え上がり、ゴーレムを包む。
再びゴーレムは動きを止められたが、その拳を振り下ろそうと力を込め、身体がぎしぎしと音を立てた。
キュルケが不安そうな顔で尋ねる。
「どうしたの?」
「ホワイトホワイトフレアで成長させた植物が、枯らされてるんだ」
ティトォはゴーレムを睨みつけたまま答えた。
見るとゴーレムの腹の辺りの緑がしおれ、茶色く変色し始めていた。
ティトォが魔力を込めると、枯れた植物は再び青さを取り戻した。
「枯れてる……それって!」
「錬金」
タバサが呟く。
フーケが『錬金』の魔法を使い、ゴーレムを絡めとる植物を枯らしているのだった。
フーケの『錬金』によって枯れた植物を、ティトォが『ホワイトホワイトフレア』によって復活させる。
その度にゴーレムは少し動いては止まり、少し動いては止まり、を繰り返していた。
「これじゃあ、膠着状態じゃない」
キュルケが悔しそうに呟く。しかし、状況はもっと悪かった。
ティトォの額に、じんわりと脂汗がにじんでいる。
膨大な魔力を操るアクアと違って、ティトォの持っている魔力量はけして多くはないのだ。
(さて……どうするかな。大見得切ったのはいいけど、このままじゃジリ貧だ)
フーケの精神力が尽きるのが先か、ティトォの魔力が尽きるのが先か。
フーケの持っている魔力量がどれほどかは分からないが、このまま魔力比べを続けるのは、ティトォには分の悪い賭けに思えた。
(換わるか?アクアに。……だめだ、変換中は全くの無防備……)
無意識に、こめかみを指でトントンと叩きはじめた。ティトォが考え事をする時の癖である。
さて、少し考えてみよう。
『錬金』の魔法を使っているのだから、フーケはこの近くに隠れているんだろう。
では、なぜ?『禁断の鍵』を手放していたんだろうか。
足がつかないように、盗品を寝かせておくために、あの小屋を使っていた?それにしては、あんまりにも無防備すぎる。
まるでぼくらに、見つけて欲しいとでも言わんばかりじゃないか。
こめかみを指で叩きながら、ティトォは思考を展開し、やがてひとつの仮説を作り上げた。
ティトォは炎に魔力を込めたまま、振り返ってルイズに叫んだ。
「ルイズ!『禁断の鍵』をぼくに貸して!」
「え?」
一歩引いた場所でティトォの戦いを見ていたルイズは、突然声を描けられて、驚いた。
ティトォはルイズを真剣な瞳で見ている。
それを見て、ルイズはタバサから『禁断の鍵』の箱をひったくるようにすると、ティトォの元に駆け寄った。
飾り箱を開いて『鍵』をティトォに差し出す。
ティトォが『鍵』を手に取ると……
「これは!?」
突然、ティトォの額のルーンが輝きだした。
ティトォの頭の中に、次々とイメージが浮かび上がる。
わかる。
わかるぞ。
この『鍵』の正体が。そして、使い方が。
でもなぜ?
いや、今はそれよりも!
キッとゴーレムを睨みつけ、ティトォは『鍵』を手に、ゴーレムに向かって歩き出した。
ゴーレムの足下に近付くと、その巨大な足に『鍵』を差し込んだ。
「マテリアル・パズル、マスターキィ!」
そして『鍵』を直角に捻る。
すると、土の塊であるはずのゴーレムから、ガチャリ!と、まるで金属の錠前を外したような音が響いた。
次の瞬間、振りかぶっていたゴーレムの右腕がボロリと崩れた。
続いて、頭が崩れ、左腕が崩れ、身体が崩れ。とうとうゴーレムは元の土くれへと戻ってしまった。
後には、ティトォの魔法によって強化された植物が、まるで骨格のように、ゴーレムの形を作っていた。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 22:23:11 ID:lbM0BQEE
やっぱりマスターキィか、支援
421虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/01/06(火) 22:24:09 ID:Am0w6lv/
「やった……」
ルイズが呟く。
ティトォは、ふう、と大きく息をつく。と、次の瞬間、キュルケが抱きついてきた。
「ティトォ!すごいわ!あたしのダーリン!」
「ちょっと、なにやってんのよ!離れなさいよ!ていうかダーリンてなによ!」
ルイズが叫んだ。
「恋したのよ、あたし。あなたがゴーレムに立ち向かう姿、ステキだったわ!まったく恋は突然ね」
「あんた、誰にでも同じこと言ってるんじゃない!いいからわたしの使い魔から離れなさい!」
ティトォにしなだれかかるキュルケ。それを引き剥がそうとするルイズ。
興味なさそうに本を読んでいるタバサ。困ったように笑うティトォ。
さっきまで泣いていたルイズは、すっかり元の調子を取り戻したようだった。
「ティトォ、今の、どうやったの?それが『禁断の鍵』の能力なの?」
ルイズはキュルケを近付けさせまいと牽制しながら、言った。
「うん。なんであろうと、物には鍵穴がある。たとえ石コロや、鉄のかたまりや、水であっても。そこをマテリアル・パワーの鍵で付き、自由に開く。
 それがこの魔法器具『マスターキィ』の能力。あのゴーレムの身体を作っていた土と土の結びつきを、このマスターキィで『開いた』んだ」
そういって、ティトォは『マスターキィ』をルイズに差し出した。
ルイズはそれを受け取ろうと手を伸ばす、しかし、ふっと横から伸びた手が、『マスターキィ』をつまみ上げた。
「ミス・ロングビル!」
それは、辺りを偵察に行っていたミス・ロングビルであった。
ロングビルはうっすらと笑みを浮かべながら、マスターキィを手の中でもてあそんだ。
「無事だったんですね、ミス・ロングビル。でも、フーケはどこに?」
ルイズの言葉に、全員ハッとして、周囲を見渡す。
ゴーレムは退治したが、肝心のフーケの姿が見えないのだ。
ミス・ロングビルはすっとルイズに近付くと、素早い動作でルイズの腕を後ろ手にねじり上げた。
「ご苦労様」
突然の痛みに、ルイズは唖然として、ロングビルに声をかける。
「ミス・ロングビル!どうして?」
「あのゴーレムを操っていたのは、わたし」
囁くようなロングビルの言葉に、ルイズは目を見開いた。
「まさか、ミス・ロングビル。あなたが……」
「フーケ」
キュルケとタバサは同時に杖を構える。
「おっと、動くんじゃないよ」
ミス・ロングビル/フーケはルイズの首元にマスターキィを突きつけた。
「あらゆるものを自在に『開く』魔法だそうじゃないか。この鍵で人間を『開いた』ら、いったいどうなるのかねえ」
フーケの言葉に、キュルケは青ざめた。
巨大なゴーレムをバラバラに分解した魔法、それがルイズに使われたら?
ぎり、と歯がみして、キュルケは杖を捨てた。タバサもそれにならう。
「そこの坊や、アンタはその着火装置を捨ててもらうよ。どうやらそれがアンタの『杖』代わりらしいからね」
ティトォはその言葉に従い、ライターを放った。
「驚かないんだね、アンタは。まるでこうなることが分かっていたみたいじゃないか」
フーケが見下すように言った。
「あなたはきっと『禁断の鍵』の使い方が分からなかったんでしょう」
あくまで冷静に、ティトォは言う。
ミス・ロングビルの眉がぴくりと吊り上がった。
「学院の秘宝と聞いて『禁断の鍵』を盗み出したはいいけれど、さて、振っても魔法をかけても『鍵』はうんともすんとも言わない。秘宝として売るにしても、その『鍵』の造作はずいぶんとみすぼらしいからね。使い方を知ることは『鍵』をさばくのに絶対必要だった」
こめかみを指で叩きながら、ティトォは続ける。
「だからわざと見つかりやすい場所に『鍵』を放置して、ゴーレムをけしかけた。追いつめられたぼくたちは、きっと『鍵』の力を使うだろうからね」
「ふん、何もかもお見通しってわけ。大したもんね。でもね、小賢しいガキは嫌いだよ」
フーケがせせら笑う。
「さ、そろそろお別れね。『鍵』の使い方を教えてくれて、ありがとう。短い間だったけど、楽しかったわ」
422虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/01/06(火) 22:25:18 ID:Am0w6lv/
フーケはマスターキィの先端を、ぐいとルイズに押し当てた。
ルイズは観念して、目をつぶった。
キュルケも目をつぶった。
タバサも目をつぶった。
ティトォは、目をつぶらなかった。
それから、しばらくの間、森に沈黙が訪れた。
しかしいつまで経っても、マスターキィの魔法は発動しなかった。
「な、どうして!」
フーケは焦って、ぐいぐいとマスターキィをルイズに押し当てたが、やはり何も起こらない。
「残念だけど、フーケ。その魔法器具は、適性のある人間にしか使えない。いくらやっても無駄さ」
「なんですって!」
フーケは舌打ちし、マスターキィを放ると、杖を抜き放つ。
しかしそれより早く、ティトォが指をぱちんと鳴らした。
それを合図に、ルイズの身体から、ごう!と白い炎が吹き出した。
シルフィードの上で、ルイズの傷を治したときに、ルイズの身体に炎を潜伏させていたのだ。
炎はフーケに燃え移り、全身に広がった。
「うわあ!」
フーケは驚き、ルイズを捕まえていた腕を放してしまった。ルイズは慌てて、フーケから離れた。
人質を失ったフーケは、身体に火をつけたまま、逃げ出そうとくるりと向きを変える。
「動くな!」
ティトォが叫ぶ。
その強い声に、フーケは思わず立ち止まった。
「ぼくの炎は、物は燃やさない。しかし、その魔法の炎を、元に戻したら、どうなると思う?」
魔法を解き、フーケの全身を包んでいる炎を元に戻す。
その光景を想像し、フーケはごくりと唾を飲んだ。
「それがいやなら、杖を捨てて降伏しろ」
しかしフーケは、杖を手放さず、ティトォに背を向けたまま、小さく呪文を唱えはじめた。
フーケの足下の土に波紋が広がり、フーケの身体が沈み始める。
「無駄なことはやめろ!」
ティトォは叫び、フーケの右手に纏わせた魔法の炎の一部を、元の炎に戻した。
フーケは右手を焼かれ、小さく悲鳴を上げて、杖を放り投げてしまった。
「土の中に逃れて、火を消そうったって無駄だ。その炎は上っ面だけじゃない。骨の髄から、五臓六腑、細胞のひとつひとつに至るまで行き渡ってるんだ!」
ティトォの叫びとともに、フーケを包む炎がより強く燃え上がった。
「最後だ、フーケ。降伏か!抵抗か!」
フーケはその端正な顔を歪め、血がにじむほど唇を噛み締めると、悔しそうに声を絞り出した。
「ったく、だから、小賢しいガキは嫌いなんだよ」
フーケは両手を掲げ、降伏した。
423虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2009/01/06(火) 22:27:29 ID:Am0w6lv/
以上です。
デルフ関係を華麗にスルーしましたが、もっと後の方で登場願う予定です。
支援どうもありがとうございました。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 22:38:53 ID:lbM0BQEE
乙ー

やっぱり宝物庫のアイテムがマジックアイテムだったときはマチさん碌な目にあわないものなんだろうか

そしてマスターキィがあるってことは命七乱月も・・・・どうなるのか期待してます。
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 22:41:30 ID:/jUdo2JW
乙です。
デルフはなんとなく予想つくし、登場を待ちます。
個人的にはゴーレムVSアクアも見たかったw
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 22:44:10 ID:w+uOhqbN
ティトォの人乙です。
そう言えばWWフレアって攻撃もいけたよな。今思い出したw
次回にwktk。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 22:57:27 ID:Q7WNDEFu
まずい、三十指のあれがハルケにあるってことはドルチルが涙目なことにっ!

テンション下がってきたぜーーーっ!www
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:05:50 ID:OxWSMQ0I
マスターキィの正体で禁断五大魔の一つ命七乱月
まだ原作で使われてないからどういう能力なのかよく分からないんだよな
扱いにくそうだぜ
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:05:52 ID:dAc00X5B
キングダムハーツ系で誰か呼ばれないかな
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:06:34 ID:2kERKsKs
パズルさん乙でした。
ドルチルの魔法って、テンションが上がろうと下がろうと、どちらにしても迷惑なほどパワーが出るんですよね。ある意味、一番ルイズ向き?
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:09:10 ID:bQBfQnUD
>>429
そう言えば、あのアメリカ産の黒ネズミ関係から召喚されたことは……いや、危険すぎるか……。
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:15:35 ID:HkW1vqVc
>>429
月光蝶で黒歴史を作るくらいに危険な代物だぞ、ありゃ
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:21:50 ID:SPmRpZ1z
ノヴァ教授を呼んだらこうなります

ルイズ「アンリエッタは…アンリエッタはどうしたの!?」
ノヴァ「アンリエッタ君は…」
50cmくらいの箱ドスン
ノヴァ「この箱の中です」
ルイズ「ど…どういう事?」
イーライ「頭のニブい娘ですわね自分で見てみなさいな」クスクス
ルイズ「…」
カチッ ガチャ バタン!
ルイズ「くっはぁ!はあはあはあはあはあ!」
イーライ「教授?」
ノヴァ「うむ、エンドルフィンの禁断症状ですね」
ルイズ「う嘘よッ!こんなの…違う!!」
ノヴァ「いいや」


ノヴァ「アンリエッタ君は死んでしまいました」パカッ

箱の中には………
ルイズ「どうして…」ペタン
ノヴァ「アンリエッタ君は、バーサーカーと化したワルドを止めようとしたねですがあえなく…」
ルイズ「ううおぉああ!!」
ノヴァ「まっ待ちなさい!短絡は…」
以下割愛
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:27:03 ID:IED58T7G
ぴちぴち跳ねる魚介類と一緒に褌一丁の宇喜多秀家を召喚とか…

駄目だ…海が遠いw
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:31:49 ID:Ahpa146N
>>433
>アンリエッタ君は、バーサーカーと化したワルドを止めようとした

それまでにアンアンとワルドに何があったのか非常に気になるw
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:40:11 ID:IiSZtCEk
>>423
マテパの人乙です。
この一つ前の話読み忘れてたから焦った…

元が「破壊の杖」だからヨマの杖か万象の杖を使う面が出るかと予想してたが見事に外したぜ!!!

後、コッパゲがティトォの魔法を見る日が訪れるんだろうか?
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:47:36 ID:MKdJr/q1
イドはチップ脳だったから復元できたけど
ナマのままのアンリエッタがその状態だと全死にだぜ
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/06(火) 23:53:41 ID:YkkZ4fp2
マテパの人乙です

やはりマスターキィだったか
あの魔法の汎用性は凄いよな、魔法だろうがナンだろうが分解できるんだから


これからもちょくちょく三十指の魔法が出てきたりすると面白いが、超覇導天武刻輪連懺吼は出てこないんだろうな……
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 00:08:38 ID:pQCZLWuQ
イド?あぁ眉毛が枝分かれした赤い人ですね!え?違う?
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 00:16:59 ID:5fKsNm/6
TAPの人乙


>>436
序盤からそんなチート器具出されても扱いに困ると思う>ヨマの杖

>>438
三十指の魔法が出るか…
ジュリオが極楽連鞭持ってそうで怖い
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 00:33:57 ID:LW6Shv3G
>>437
大丈夫、ノヴァ教授ならなんとかしてくれるさ
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 00:37:51 ID:IC232sN0
ノヴァ博士の声がメタルギアの大佐の声、つまりオスマンと同じ声で再生されるwww
ともぞう爺さん、オスマン、大佐「きゃははははは。プリンは至高!」
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 00:46:40 ID:zXjZSLqC
>>393
あの六人よりウズメ様の方が愉快なことになりそうだ
……まあ速攻でUFOに乗って帰りそうな気もするが
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 00:48:20 ID:nPD+wuvz
>>440
ジュリオがジェリドに見えてしまった
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:00:26 ID:ebMB9WIU
>>444
どうみてもワルドと並ぶ、ただのかませ犬です
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:01:17 ID:saweTFzX
ジェリドが死ぬ間際にルイズに召喚されていれば少しは救いがあるだろうか。

でも、ジェリドを助ける女はろくな目に合わないので、シエスタの死亡フラグが立ってしまうw
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:07:06 ID:0Im0Gb+w
マテパの人乙〜!仙里算総眼図の出番かと思ったが、使う必要もなしか。
アクアのBBJや、プリセラ姐さんの大暴れも早く見たいぜ!
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:10:53 ID:BFRRX1Dr
>>444
奴にとっての死神、カミーユがいないから平気だ
汚名挽回のチャンスはある

・・・なんだろ。おかしな事を書いたような気がする
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:11:23 ID:CLRBkjUX
>>446
というか、ルイズが死にそう。
でも、何度も女性を失ってるからこそ今度こそ守りきろうとするかもしれない
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:14:03 ID:74r2w/sV
ジェリドだとタルブかよくてアルビオン辺りでゼロ戦落とされて死にそう
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:15:20 ID:dAXkH48V
典型的なティターンズであるジェリドが、酷な言い方だが無能なルイズに従うとは思えんが
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:15:28 ID:pQCZLWuQ
ジェリドは強い大人の女にしか恋しないだろjk
そんな人いたっけ?
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:17:26 ID:xJOEo7/7
エレオノールだな
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:20:05 ID:7rJeJ1O+
アニエスだな。
ガンダム的に考えると後半に大勢死ぬ。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:20:44 ID:pQCZLWuQ
いたっけ?とか言っといて何だが、その方向性ならカリーヌ様の方がアリな気がする
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:23:43 ID:WVLaFcoC
>>454
ライラと比べたら雲泥の差だけど、通じるトコはありそう・・・・・・というか、タルブに落ちたのがライラだったりしてな
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:25:38 ID:ULywMcbl
わるどくん

「まいどっ。わし、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド」
(ワッ・さん!)イヤイヤイヤ
「わしの嫁さん、ミス・アリエール」
(洗・剤!)イヤイヤイヤ
「ぅお〜こるでホンマこれしかし、ユビキタス・デル・ウィンデやでこれホンマ」
(偏・在!)イヤイヤイヤ
「世界一の風メイジ、飛竜から落ちて、死ぬ!」
(ジャン・ジャン♪)

おわり
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:41:35 ID:dAXkH48V
>>454
>ガンダム的に考えると後半に大勢死ぬ。
つまり4期目のアニメ版は、監督 富野由悠季Ver.80年代になるのかw
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 01:58:17 ID:uEEvsbTG
伝説巨人ですね、わかります
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 02:04:07 ID:IWt+pm9N
全員が全裸になって宇宙を飛ぶのですね、わかります
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 02:16:52 ID:rJNk/Uu9
オールドオスマンが狂喜しそうだな
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 02:53:44 ID:bypa2e44
エクソダス、するかい?
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 03:14:58 ID:MyMxnFTt
>>462
はい、ゲインさん

ゲインが召喚されたら誰が孕まされるか
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 03:21:51 ID:GV/z17pV
そりゃあおマチさん一択じゃないだろか
というか、ゲインで落とせない女が想像できない
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 05:13:30 ID:ExlcyUST
清村君と杉小路君が召喚されたら
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 06:14:02 ID:7jRaxfA5
永沢君と藤木君が召喚されたら


キュルケ「ファイヤーボール!」
永沢君「ひ、火がぁ!僕の家が燃えちゃうよぉ!!」
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 06:23:04 ID:jPi6BHRi
>>463
不平不満はあっても自分からは何もしない……それがハルケギニアのピープルか、でマルトー達を焚き付けそうな悪寒
んで、アデット先生化しつつゲインのワイルドなトコに惚れちゃいそうなおマチさんを妄想
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 08:22:30 ID:WVQ2Y3wp
おマチさんがアデット先生ならガウリは…
「私、十手返しが使えたんです!」とか言い出すヤーパンくノ一シエスタか
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 09:33:10 ID:CovP+36B
聖地に眠ってるのはオーバーデビルか、それともアスハムか
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 09:55:20 ID:Fkkk0nkD
>>469
キッズ様だろ?
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 10:30:31 ID:3X28GtFX
>>470
想像して吹いた
キッズさまなら聖地に眠っていてもおかしくねえな
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 10:35:51 ID:ETGbRajr
マテパがマテバに見えた
トグサ君?
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 10:47:23 ID:pxtCedFL
魔女っ子ルイズってリリカルイズ以外無いのかね?
マスコット型使い魔召喚→念願のメイジに で万々歳の展開、でもそこには落とし穴が…
MPの補給の為にルイズは夜な夜なサイトの〇を…

聖翼姫闘セイントフェザー
超昂天使エスカレイヤー
断罪天使マイティハート

あたりで…マイティハートはアルコールだっけ?
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 10:50:41 ID:zzrcVx5W
>>472
光学迷彩を着込んだメスゴリラを召かry
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 10:57:23 ID:yK+RO9sT
ジブリールだろ、その方向なら
一旦仲間になったもののビダーシャルの手に落ちて洗脳、レイプ目で襲い掛かってくるタバサとかもうおっきおっき
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 10:59:13 ID:krAF3wt2
魔女っ子ルイズ?
……90年代以降のバトルOKなら兎も角、80年代の変身アイドル系だと世界観から改造する必要があるな。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 11:03:41 ID:/wAmGSCr
ミンキーモモ召喚するか
フェナリナーサから自分で来るか、事故った瞬間に呼ばれるか
赤ん坊のモモがみた夢扱いにするか

もしくは海モモが消滅を免れるために呼ばれるか
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 11:16:45 ID:bWqDeNkQ
 393に書き込んだ者ですが追加修正。
 ED直後で奥義・呪法がすべて使え、守護精霊がいる状態で。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 11:19:55 ID:l14uixDu
魔法少女アイを参から召喚
イラスト書きもラクだこりゃ
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 11:30:46 ID:qcVo7DTw
トランセイザーのチーポくんを召喚

ハルケギニアでメタルヒーローの格好をしてもあまり面白くないかも知れない
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 11:36:50 ID:clkqhb3R
フルプレートの仮面の騎士って感じで大人気に
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 11:44:21 ID:O/mip5Ru
冬休みはまだ終わってないのか
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 12:18:29 ID:DMjxU+T7
ミンキーモモの代わりにハマーンさまにしようぜ
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 12:20:51 ID:l14uixDu
ミンキーモモの代わりにニー・ギブンにしようぜ
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 12:23:38 ID:qcVo7DTw
ミンキーモモの変わりならキシリアだろう
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 12:25:44 ID:DMjxU+T7
ニー・ギブンを選ぶお前にオーラ力噴いた
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 12:50:04 ID:s1g3mkaf
亀仙人のじいちゃん
ルイズに手を出さず他の女に手を出しまくるだろう
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 12:56:10 ID:+BwSy6nH
不二子SF短編集より中年スーパーマン左江内係長を召還

弾より速く飛び魔法すらも弾く体に岩をも砕く怪力
その力で色々事件を解決、アタリを引いたと喜ぶルイズだが
例の「自分を見た人の記憶を無くす不可視光線」で
誰も自分の使い魔の活躍を覚えていないのだった(´・ω・`)
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 12:56:31 ID:OqIhOcN7
>>480

サポート役がキュルケ、タバサ、モンモン…結構はまるな。
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:14:24 ID:l14uixDu
>>488
普通にカル・エル呼べばいいんじゃね?
電話ボックスが無いからちと困るかもしれんが
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:14:44 ID:QNAuprvj
>>473
マイティは羞恥心がエネルギー源
だから糞弱いからって雑魚達がセクハラするからヴォルケン隊は負けまくってた
最弱無敵を地で征く奴だな

強化形態は恥女にしか見え(ry

もしマイティ召還しても頭の緩い舞島さんならなんだかんだで使い魔しちまいそうな
となるとテファにヴォルケン召還されてたら遭遇した際にアルビオン墜落の危機が(怒りの爆発的な意味で)
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:18:59 ID:l14uixDu
永井豪の「超マン」は黒歴史扱いなんだっけ?
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:24:18 ID:fLcF+/z6
変キン・タマイダーと申したか。
ポコイダーより無名だが。
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:27:02 ID:b5rsPr6k
当該スレでどうぞ
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:29:10 ID:F6R5ZhxR
>>472
私もよく読み間違えたよ同志

タチコマの続きを読みたいな・・・
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:36:57 ID:aFWoycRB
テファニアがエルフを狩る者達一行を召喚。
解ってる。単に脱がせたいだけさ。悪いかっ!?w
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:38:46 ID:g3gIImUM
その後は速攻でエルフの集落に殴りこんでから聖地に向かうんですね、わかります
498ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 13:39:13 ID:hj4Urbf5
こんにちは、どなたか予約や投下がないようでしたら50分ごろから投下します。
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:39:31 ID:l14uixDu
>>496
ビダーシャルをか?
正直あんまいい趣味とはいえんな
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:43:48 ID:iJAN2vmz
>>496
ミケがティーガーになると
501ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 13:52:15 ID:hj4Urbf5
ゼロの魔王伝――9

「うーん、う〜ん……」

 聞く方も魘されそうな位苦しそうなうめき声と共に、ベッドの上で身悶えている少女を、変わらず窓辺に置いた椅子に腰かけたDが、ちら、と一瞥した。
 閉じたカーテンの隙間から水の様に室内へ沁み込んでくる陽光を、旅人帽のつばを下げて避けた。
 ルイズにはまだ告げていないDの素性は、陽光を親しい友と呼べぬ要素を含んでいる。
 荘厳に世界を照らし出す太陽の光はDにとって、骨身を焼く灼熱の業火にも等しく、その光が昇っている限り、頬を撫でる風は剥き出しにされた痛覚を刺激する痛みそのものに等しい。
 なんの感情も浮かべてこそいないが、この瞬間にも絶えず襲い来る悪寒と臓腑に火箸を抉り込まれているような激痛が交互に襲い来ている。常人ならとうに泣き叫んで発狂している事だろう。
 もぞ、とベッドの上で動く気配がした。着替えずに眠ったせいで皺だらけになった制服の裾や襟をからげたあられもない姿で目を覚ましたルイズは、朝の光に眩しげに眼を細めた。

「ふわぁあ〜〜」

 と淑女にあるまじき大あくびを一つ。ぴょんぴょんとあっちにこっちにと、跳ねた桃色ブロンドの髪はそれでも宝石のように陽光を球の粒に変えて煌めき、睡魔の誘惑と格闘中のとろんとした顔は、どこか男心をくすぐる幼い色香があった。
 ふぅ、と子猫みたいな仕草でこしこしと眼をこすって意識の覚醒を促し、何に気づいたか唐突にびくっと体を震わせた。
 そのまま石像に変わるのではないかと疑ってしまいそうな固まりぶりである。
 世界でいちばん怖いモノがあるのに、どうしてもそれを見なければならない状況に追いやられた、世界一不幸な境遇の人間の顔をして、ルイズは窓辺の椅子に腰かけた漆黒の吸血鬼ハンターを見た。
 ちら、と瞬き一回分の極めて短い瞬間だけ。それと同時にボン、とコミカルな音を立ててルイズの顔が茹だった。
 ちょうど、ルイズの方を向いていたDの視線と、ルイズの鳶色の瞳が絡み合ったらしい。
 あうあう、となにやら口を開いたり閉じたりしているルイズを尻目に、Dは人形が口を利いたみたいな無感情な声で

「おはよう」

 と一言。
 はう、とルイズは一声鳴いて、目の前の存在と現在の状況が現実である事を認識し、朝も早よから妙な疲れを感じていた。Dの動作の一つ一つが、いちいち心臓に負担を強いてくるのだ。
 D自身に非があるわけではない。朝、目を覚ました同居人というかご主人様に挨拶をするのは、一応使い魔の身としては当たり前の事であろう。それをどう受け取るかは挨拶をされた側の問題だ。
 とはいえ、Dにはもっと自分の外見の及ぼす効果と言うモノを考えて欲しいわね、とルイズはしみじみと思いながら、深呼吸をして砕けそうになっていた理性を再構築した。
 正気を取り戻す時間の速さや、美しいと賛美するのが虚しくなる相手を前にしてのこの反応といい、ある程度の耐性を身につけたらしい。

「お、おはよう、D。よく眠れたかしら?」
「座り心地も良いが寝心地も良い椅子だな」
「そそそ、それはよかったわ」

 そういう返事が返ってくるとは思わなかったわ、と心の中でルイズは思う。割と冗談の通じる相手なのかもしれない。
 その冗談の範疇がどの程度ふざけたことを言っても大丈夫なのか、どこから首を刎ねられる事になるか、という命に関わる重要な境界線が分からないので下手な事は言えないが。

「それで」
「な、なに?」
「おれは何をすればいい?」
「え。………………うん、と」

 とりあえず、部屋の掃除とか、私の服の洗濯とか、雑用? とルイズの頭にDにしてもらう事が思い浮かぶ。
 箒やチリトリ、雑巾片手にテキパキと掃除をこなし、塵一つないルイズの部屋を満足げに見つめるD。
 桶に浸した水の冷たさに不平不満の一つを零す事もなくゴッシゴッシとルイズのブラウスやキャミソール、下着を一つ一つ丁寧に洗い、干してゆくD。

「あ、在り得ない」

 自分が一瞬抱いた想像に、ルイズ自身がいくらなんでもそれはないわ、と否定した。そう言う事をお願いしても一顧だにされないだろうし、というか出来るかもわからないし。
 ちなみに、Dは壊れたロボットの修理から牛の乳しぼり、壊れた柵の補修からなにからなんでもござれの人なので、日曜大工や雑用やらをやらせても問題はない。
仮に剣を振るえなくなっても、食べていくのに困らない程度には手に職があったりする。
ま、顔が顔なので一生ヒモで食繋いで行く事も、呼吸をするのと同じくらいに容易い事だろう。
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:53:02 ID:KBpc6m3J
おっと魔王伝さんキタコレ!
支援支援
503ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 13:53:59 ID:hj4Urbf5
「そ、そういう次元じゃないわね」

 がっくりと項垂れて自分の想像の在り得無さに冷や汗だらだらのルイズが、ちら、と問題の使い魔の横顔を見つめた。
 薄闇を払う一筋の暁の光が薄切りの衣を透かしているようにおぼろげに照らし出す、幽幻の世界から現われ出たかの如き美。
 確かにこの目で穴があくほど見つめているというのに、一度目を閉じれば瞼の裏にその姿を思い浮かべる事さえ出来ない。
 美しすぎるのだ。その鼻梁のライン、輪郭、瞳の形、唇の色、美を構成する何もかもが頭抜けて美しすぎて記憶に留める事さえできない。
 ただただ、美しい鼻梁、美しい輪郭、美しい瞳、美しい唇という思いのみが胸に残る。Dという若者はそれほどの美の権化であった。
 で、その、Dに、掃除や洗濯をやらせようという発想を一瞬とはいえ思い浮かべたルイズは、私って何考えてんの!? と軽い自己嫌悪に陥り自分の頭を両手で抱えてう〜う〜唸っていた。まったく、朝から見ていて飽きない娘である。

「と、とりあえず着替えるから、私を着替え……さ、せ……」

 皺の寄ってしまった制服に気づき、あ、これを着替えさせてもらおう、これ名案。と思い立ったルイズだったが、途中でピタリと口を止めて固まった。
 着替えさせてもらう? 誰に? Dに。 
 Dが誰を着替えさせるの? 私を。
 Dが私を着替えさせる? そうね。
 Dの指が一つ一つこの、私の、ブラウスのボタンを外して! そそ、そのブラウスを脱がして、す、スカートのホックも外して私の足からそっと脱がせて! こ、こ、このニーソックスも片足ずつ、ぬぬぬ脱がすのね!?
 それで、し、し、下着姿になった私に、クローゼットかか、から持ってきた替えの、制服を、こ、こん、今度は逆の順番で、私に、着せる! 着せる? うん、着せるの。
 きせ、着せ、着せる!? 脱がして、着せる! 脱がし、着せ〜〜〜〜〜っ、そそ、そういうのが好み!?!?!? 貴方が、それを、望むのなら!! わわ、私はいつでもばばば、バッチこいよ!?

「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」
「な〜にをジタバタしとるんじゃ、あのお嬢ちゃん? 頭のネジでも外れたか?」
「かもしれんな」
「貧乏くじ引いたかのう?」

 Dと左手が揃ってルイズを見た。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!」

 ルイズはごろごろとベッドの上で転がっている。ほっそりとした首筋から耳の先まで、白磁の肌を薄い紅色に染め上げている。絶妙にブレンドされた羞恥と興奮が齎す性的な紅色だ。
 かすかな香水の様にルイズの体から立ち上る雌の匂い。ほんの一嗅ぎであらぬ妄想の囚われそうなそれも、その発生者の狂態を目の当たりにすればたちまちの内に効果を無くすだろう。
 時折『きゃ〜』だの『だめ』など『あ、でもぉ』などと頭の中が暖かい言葉を口走っているルイズの様子は、見ている方が辛いモノがあった。

「……そのようだ」

 突然枕を抱きしめてベッドの上でごろごろと転がりはじめ、おまけに足をジタバタ振って、スカートの中のパンツを披露しながら悶えるルイズに対して、心底あきれた様子でDの左手に宿る老人が感想を零す。
 Dの方も同意見らしい。このハルケギニア大陸に召喚されてからはじめて、どこか疲れた様な響きを交えた声だった。
 更に五分ほどごろごろと転がり続けていたルイズが、これ以上の妄想をしたら死ぬ、私、心臓が破裂して死ぬ、と変に悟って、転がるのをやめた。
 ルイズの、顔の一つ一つのパーツを世に稀な名工が厳選した様に整っている鼻からは、はー、はーっとやたらと荒い息を吐き、真っ赤になった顔をぱちんと、小さな手で叩いて気合を注入した。
 かろうじて正気を取り戻したルイズは、自分がかました行動に途方もない後悔を覚えながら、Dに背を向けた姿勢のままで声をかけた。今、面と向かいあったらその場で首を吊りたくなる気分になるのは必定であった。

「D、私、これから着替えるから部屋の外で待っていて。その後で食堂に案内するから!」
「分かった」

 やや訝しげなニュアンスを含んだDの返事と共に、椅子から立ち上がる気配が続き、すぐさまDがルイズの部屋の外へと移動した。
 なんだかんだで自分の言う事を聞いてくれている現状に、ちょっぴりルイズの緊張が解けた。
 おそるおそる、つい数秒前までDが座していた椅子を振り返り、そこに美影身の無いことを確認したルイズが、肺の中にため込んでいた恍惚の吐息を一気に吐き出した。
 ルイズの顔の周りがかすかに桃色の煙ったように見えてもおかしくはないだろう。ルイズはそのまま脱力し、ベッドの上に腰から折れたように上半身を投げ出した。
504ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 13:55:41 ID:hj4Urbf5
「やっぱり夢じゃなかったんだ。Dが、私の使い魔……」

 きゅっと小さな手でシーツを握りしめ、その握り拳をぼんやりと見つめる。魔法が使えて当たり前のメイジの中で、ただ一人魔法の使えないメイジであった自分が呼び出した使い魔。
 マンティコアやグリフォン、ドラゴンの様な幻獣なんて我儘は言わない、他の生徒達の様にフクロウや犬、猫のような普通の動物でも構わない。
 ただ、私の呼び掛けに応え、魔法を成功させたという事実と私もまたメイジなのだという証拠が欲しかった。張り続けた虚勢とそれを維持し続ける精神的な疲労は、澱の様に重なって心の底にうず高く積り、ひしひしと破滅の音を立て始めていた。
 良くも悪くも、私がいつか魔法を使えるようになるという目標を諦める分岐点があの使い魔召喚の儀式だったのだ。そして私は使い魔の召喚に成功している。

「ん? そう言えば、Dって……何者なのかしら? 剣を背負っていたからてっきり傭兵か何かだと思っていただけど、本人に確認したわけじゃないのよね」

 もっとも、とうのDが召喚されてからしばらく眠りっぱなしであったし、目を覚ましてからすぐにオスマンを訪問しているから、ルイズが質問する暇がなかったのも仕方のない事と言える。 
 纏う雰囲気の凄絶さとあまりの美貌故に、一歩引いた態度で接してしまったが仮にDがただの平凡な平民(仮定しているルイズ自身、まるっきり信じていないが)であった場合、仮にもヴァリエール公爵家の三女たる自分があのような態度を取ったのは如何なものか。
 でもまあ、Dが普通の平民のわけないわよね。オールド・オスマンも慎重に言葉を選んで対応していらしたし。
 そんな風に考えていると、窓の外からあの老人の声が聞こえてきた。

「お嬢ちゃん、まだ着替えは終わらんのかの?」
「すぐ行くから待っていなさい。……腹話術か何かかしら? 趣味悪いわね。子供受けでも狙っているのかしら? 無愛想だし。まあ、本人に聞けばいいわ」

 とりあえずは、使い魔である事に妥協してくれたみたいだし、とルイズは強いて前向きに考えて、制服を着替えるべくベッドから降りてクローゼットへと足を向けた。
 その途中で背後を振り返ってDが腰かけていた椅子の辺りを見つめてから、眼を擦る。

「なんだか、あの辺だけいやに輝いて見えるけど気のせいよね?」

 左右にカーテンを開き、目一杯に朝陽の黄金を取り込んでいる窓の傍に置かれた椅子の周囲が、朝の陽光以上の輝きで煌めいているように見えて、ルイズは自分の目がどうにかしてしまったのかと、瞬きをしたり擦ったりするが結果は変わらない。
 今もルイズの思考の片隅を支配するDの美貌の残滓のたまものか、Dが居た、と言う事実がその空間さえも輝かせているような錯覚に囚われたルイズであった。
 それから予備の制服に袖を通し、食堂の前に顔を洗いに行きましょう、と思いながらが髪を梳く。
 化粧はまだ幼いとも取れる自分の肌には必要ないと知っているから、最低限の身だしなみはこれで整った。
 かちゃ、とドアノブが回る音と共に、人に見せられるだけの格好を整えたルイズがひょっこりと顔を覗かせる。

「D、待たせちゃった?」
「いや」

 意外と言うべきか律義にDは返事をした。だらんと腕を下げ、背を預けていた壁から身を離し、食堂へ案内しようとするルイズと並ぶ。
 ルイズはDのその行動に、この見栄えで言えば魔法学院史上最高の評価を受けるべき青年の主人である事に、我知らず、貧しい胸を精いっぱい誇りたい気分になった。

“ああ、始祖ブリミル、今日ほど貴方の慈悲に感謝の念を覚えた事はありません!”

 鼻歌が飛び出しかけたルイズに水を差したのは、ガチャリと音を立てて開かれた扉と、その向こうから姿を見せた一人の少女だった。
 ルイズの部屋とおなじ部屋の主に心当たりが大ありなルイズは、たちまちの内に可愛らしさで溢れていた顔を不機嫌なものに変えた。
 滴り落ちる様に窓から差し込む陽光を紅蓮に染めて燃えたぎらせるような紅色の長い髪、雄を惑わせる色香を自然と振りまく豊満な肢体、ブラウスの胸のボタンがあいているのは、わざとではなく閉められないからだろう。
 ブーツに包まれた肉感的な太ももや、大胆に開いた胸元から覗く大きな乳房も、瑞々しく張りに富んだ褐色の肌も、すべてがプリミティブな魅惑を隠そうともせずに滲ませていた。
 長身を飾る見事なプロポーションといい、烈火を思わせる紅の髪といい、幼さに通ずる魅力の少女であるルイズに対し、あまりにも女を強調した魅力の少女であった。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 13:56:03 ID:KBpc6m3J
支援伝
506ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 13:56:54 ID:hj4Urbf5
 ルイズと年はそう変わらない筈なのだが、ともすれば十二、三歳に見えなくもないルイズと比べると、同じ生き物かと思うほどに体の凹凸に差がある。
 世の男性がこの二人のどちらかを選べと問われたなら、ルイズに勝ち目はあるまい。

「おはよう、ルイズ」
「おはよう、キュルケ」

 ばち、と両者の交差した視線の衝突点で紫電の火花が散る。

「ともに天を頂かず、不倶戴天という奴か」

 とDの腰のあたりからしわがれた声が感想を零した。胸の絶壁具合も、兼ね備えた女としての魅力も天と地ほどもかけ離れた二人の様子から、関係性を探るのは容易な事だった。
 視線を外した方が石になる、とばかりにそのまま火でも吹き出しそうな勢いで睨みあっていた二人は、ふん、と鼻を鳴らして互いにそっぽを向いた。
 そのそっぽを向いたキュルケが、あ、と小さく唇を開いてDに気づく。少女の瑞々しさと女の艶めかしさが道教する褐色の肌を、たちまちの内に占領する紅色。
 自分自身の髪の色にも負けぬ顔色に変わるキュルケを、む〜とルイズが不満げに見ていた。自分の使い魔の外見の優秀さが証明されたわけだが、証明されても面白くない相手もいるらしい。
 Dを見た人間の億人が億人共そうなる反応を見せたキュルケが、恋の意味を初めて知った少女とよく似て異なる反応で、Dに恭しく挨拶をした。

「初めまして、美しい方。私、キュルケと申します。家名を名乗らぬ無礼は、貴方に名前で呼んで欲しいというささやかな願いですのよ、お許しください。お名前を伺っても?」
「D」
「D。……そう、Dというの。風の様に現れて、そして風のように何処かへと吹いて行ってしまいそうね」
「ちょっと、キュルケ、人の使い魔に色目を使わないでくれるかしら?」
「やだわ、ルイズ、誰が色目なんて使っているって言うの? 私は、ただあなたが呼んだなんて信じられないこの人のお名前を伺っただけよ? あなたに言いがかりをつけられるような事を何かしたかしら」
「日頃の自分の行いを考えなさいよ。そこらの野良犬みたいに媚と色目を使っているあんたが何を考えているなんて、分かりたくなくても分かるわよ」
「あらあらあら、ルイズ、あなたにあたしの考えている事が分かるって? いやね、いつからあなたそんなにあたしの理解者になったの? そんな事いうものだから、ほら、鳥肌が立っちゃったじゃないの」
「あんたと話すだけ時間の無駄ね。D、早く行くわよ!」

 蚊帳の外に置かれたDは、二人のやり取りに欠片ほども関心をむけず、足元にすり寄ってきた赤い火トカゲに視線を向けていた。
 固い鱗に包まれた体に、長い尾の先ではちろちろと火が燃えている。獰猛そうな顔立ちの割にはくりくりとした瞳のサラマンダーだ。
 キュルケの使い魔であろう。同じ使い魔としてのシンパシーでも感じ取ったか、その虎にも匹敵する巨体は、じっとDを見上げていた。
 Dの父方の血筋の種族は野の獣に対する下知能力を持っていたから、それを感じ取ったのかもしれない。
 Dとの初めての起床で頭まで浸っていた恍惚郷から、キュルケの登場で現実に引き戻されたルイズは、キュルケの使い魔であるだろうサラマンダーと戯れているDに声をかけるや返事も待たずにずんずかと歩きはじめた。
 足元に何があろうと蹴散らし、踏み砕いていきそうな勢いである。Dは悄然と影の様にルイズの後を追った。
 そんなちぐはぐな、ある意味では息の合った二人を見送ってから、キュルケは全身を犯す美の衝撃になんとか抗いながら、壁に寄りかかって、そろそろと息を吐いた。
 昨日、ルイズの召喚の際に立ち込めた異様な熱気と爆煙の中から現われたその姿を一目だけ見たが、改めて見ればその美貌に魂までも揺さぶられた思いだった。
 あんなのと一晩一緒に過ごしてよく正気を保てたわね、とキュルケは妙な方向でルイズの事を評価していた。正直、自分では正気を維持する自信がなかった。
 ぐるぐると喉を鳴らして、サラマンダーがキュルケを見上げていた。
 ぐったりと疲れた様子のキュルケを気遣っての事だろう。そんな使い魔の気遣いがうれしく、キュルケはかすかに微笑んでフレイムと名付けたサラマンダーの頬の辺りを撫でた。ぐるぐると、低いうなり声がフレイムの喉の奥から零れる。

「ありがとう、フレイム。微熱は激しく燃える事はあっても冷めて消えてしまう事はないから微熱。けれど、あんな相手だと燃え尽きてしまって、もう燃やすモノがない気分ね。ツェルプストーの恥晒しになるかもしれないけれど。ね、フレイム?」

 フレイムにはキュルケの言いたい事はさほどわからなかったが、自分の頬を撫でる主人の柔らかな手に頬を擦り寄せた。それが一時の慰めにはなると、理解していたからだ。
507ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 13:58:28 ID:hj4Urbf5
 ずんずんと風を切ってルイズは歩く。
 小さな肩をいからせ、つい、と右の人差し指を立てて、講釈する教師の様に足と口を休まず動かしながら、キュルケの生家であるフォン・ツェルプストーの家系とキュルケがどんなにはしたなく、非常識であるかをDに語り聞かせていた。
 聞かされる方のDは、聞いているのかいないのか、いや九割九分九厘聞き流しているのだろう。
 ルイズに一瞥を向ける事もなく、早朝の光の中に落とされた闇の異端分子の様に黙々と足を動かしていた。
 ルイズの歩調に合わせた速度で並んで歩いている。時折すれ違う生徒や教師達が旅人帽の下に在る美貌を認識した瞬間腰砕けになってその場に座り込む事が何度か続いた。中には何を考えているのか両手を組み、敬虔な信者の様にDに祈りを捧げる連中もいる。
 後に学院でDの顔を見た者達を“信奉者”と呼ぶようになるのだが、その理由がこの祈りを捧げる者達の姿が多く見られた事だった。
 その途中、Dが足を止める。ルイズは先ほどから絶え間なく口を開いており、Dが足を止めたのに気付いていない。

「でね! キュルケのひいひいひいひいおじいさんの……」
「ここが食堂か?」
「え? あ、うん、ここが食堂よ。通り過ぎちゃうところだったわね。でも初めて来たのに良く分かったわね」
「食べ物の匂いと騒がしさじゃな。朝からずいぶんな馳走を口にしとるようじゃの」
「ねえ、D」

 ちら、と黒瞳をルイズに向け、Dが先を促す。う、とかすかにルイズがたじろぐが、ごくり、と生唾を飲み込んで自分を激励する。
 がんばれ、私! 負けるな、挫けるな、私! 言うのよ、さあ! と脳裏に描いた小さい自分達からの声援を受けて、ルイズは深呼吸を二回ほどしてからDにこう言った。

「私、その声だけはあんまり良くないと思うのよ。いえ、別にあなたのセンスが悪いとか言っているわけじゃないのよ。でもやっぱりそんなお爺さんの声は似合わないわ」

 言い終えるやぐっと歯を噛んでDを見つめる。一秒、あ、なんだか虹色の霞がかかってきた、二秒、三秒……う、そ、そろそろ意識が……四秒、Dの美貌を真正面から見つめ意識が朦朧としはじめたルイズをDの声が繋ぎとめる。

「おれもそう思う」
「つれない奴じゃの」
「腹話術なの、それ?」
「さて、お楽しみは後に取っとくものじゃ」
「答えになっていないじゃない」

 Kukuku、と意地の悪い声が下の方から聞こえてくる事に、ルイズは眉をひそめたがDがそれ以上口を開こうとしないので追及を諦めた。どうにもこの使い魔は対人コミュニケーションに欠陥があるらしい。
 いつか、その声をやめさせようと心に誓いつつ、ルイズは食堂の扉を開いて足を踏み入れた。
 学院の敷地内にある五つの塔の内、中心の最も大きな塔の中に在るアルヴィーズの食堂は、広い空間に百人は優に座れる長いテーブルを三列並べたものだ。
 左から順に学年ごとに並び、紫色のマントを身につけた三年生が左端、真ん中にルイズやキュルケら黒いマントの二年生、一番右は茶色のマントを身につけた一年生達となる。
 これら約三百名前後の生徒達に加えて教師達もまたすべてメイジであるわけだから、三百数十にも及ぶメイジ達がこの学院に居るのだろう。
 一階の上にあるロフトで教師達が歓談しながら朝食をとっている。教師も生徒もここで食事を取るようだ。
 勉学の場につくもの全てが貴族であるこの学院に相応しく、長テーブルも壁も椅子も、何もかもが精緻な飾りで埋め尽くされ、豪奢なそれらは眼をくらますほどの絢爛さであった。
 技量のみならず美意識もまた高いメイジか職人達の手によるものだろう食堂の装飾は、その豪華さゆえにすぐにも飽きを覚えてもおかしくはなさそうだ。
 けれど、精密な計算で持って配置されたテーブルの上の食器や籠、壁を飾る石造りの花や木々、目にも鮮やかな色彩の絵画らが訪れるたびに新しい発見をもたらし、毎日利用しても食堂に来る事を作業として感じてしまう事を防いでいた。
 あまり関心の無さそうなDの様子に、ルイズは平民だったら驚くわよね、とやっぱり普通じゃないのかしらと疑惑の念を強めていた。

「ふむ。豪華絢爛さではわしらの知悉しておる貴族共に遠く及ばぬが、なかなかのものじゃ。八十点といった所かの。おい、そこらの食器か燭台のひとつでもガメておけ。先立つ物はあるに越したことはない」
「……」
「なにをぶつぶつ言っているの?」
「なんでもない」
「ふぅん?」

 Dはともかく、あの左手は信用できないわねぇとルイズ。と、ふいにずわわ、とうなじの辺りからなにか冷たいモノが駆けのぼってくるのに気づき、食堂の方を振り返り

「ひゃっ!?」
508ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 13:59:32 ID:hj4Urbf5
 自分の傍らの使い魔に集中している三百人以上の視線に気づき、可愛らしく悲鳴を挙げた。物理的な圧力さえ備えているような視線が、針の様にルイズの肌に突き刺さる。
 本当に血を噴いているのではないかという錯覚に気が遠くなり、ふっと倒れ掛かるルイズを、逞しい右腕が支えた。Dである。
 きゃあ、うおぉ!? と男女織り交ぜた悲鳴と怒号が重なった。Dの腕の中に倒れ込んだルイズへの嫉妬と羨望が憎悪の渦に巻かれて食堂の中に充ち溢れた。空気をどす黒い色に染めそうなほどに濃い。
 感情を物質に変えられたなら、食堂どころか学院の敷地内を埋め尽くす事だろう。きゅう、とDの腕の中で目を回すルイズを一目見てから、Dが食堂の中の全員を見回した。
 操り糸を斬られた人形のように、次々と食堂の中の生徒達が倒れ伏しはじめた。倒れる人々が波の様に続いてゆく。
 Dの視線にさらされた至福の歓喜によって興奮の余り失神したものはまだ幸福であった。そうでない者達は、さざ波のようにDの影から四方へと放たれた気に打たれて昏倒していた。
 明確な殺意を込めれば、常人の心臓など容易く止める超常現象じみたDの殺気であった。桶に這った水に一滴垂らされた墨汁の様に薄く薄く広がるそれが、食堂の中を静かに満たしてゆく。
 そろりと頬を撫で、首筋をさすり、目に見えぬ気配は生徒達の心臓を握りしめ、脳髄を貫き、容赦なく意識を絶っていた。
 がちゃん、がちゃん、と食器を取り落とし、目の前の皿に頭を突っ込む音が重なり、落ちかけたルイズの意識を覚まさせた。うう、とむずがる様な声を上げてDの右腕に支えられたルイズがぱっちりと目を開いた。
 ルイズが意識をはっきりとさせるよりも早く、Dはルイズを支えていた腕を離した。ルイズは、ぽけ、と立ち尽くしていたが、食堂に来た目的を思い出して自分の席を目指して歩きはじめた。
 自分が意識を失いかけていた数秒の間に、なぜか生徒の大多数が倒れ伏してテーブルに頭を打ちつけているのを不思議そうに眺めている。
 隣の席の太っちょのマリコルヌが唇の端から涎を垂らして幸せそうに気を失っているのを、気味悪げに見てからルイズがようやく自分の席に着く。
 目の前には鱒の形のパイやら、ローストしたチキンやら、テリーヌ、と朝から肉も魚も野菜も何もかもが盛りだくさんに並び、一口ずつ食べるだけでも満腹になってしまうだろう。
 始祖ブリミルへの祈りをささげようとしたルイズが、はたと気付いて固まった。傍らに立ったDの方へ、錆びついたブリキ人形を思わせる動きで首を向ける。ぎぎぎ、と骨が鳴っていたかもしれない。

「D……」
「なんだ」
「どうしよう。あなたの朝食を用意するよう厨房に言うのを、忘れてた」

 顔面蒼白のルイズである。Dを刺激する事をいささか過剰に恐れているようだ。対してDは相も変わらずの万年顔面神経痛の表情なので、気にしているのかどうかさえ判別機でない。

「使い魔は別の所で食事を摂るのだろう。別にかまわん」
「そ、そう? あ、そうだこのマリコルヌの席を使ったら? 料理もまだ手を着けてないみたいだし!」

 どげし、とマリコルヌを蹴り飛ばしてルイズがにこやかにDに提案したが、とうのDは聞いている素振りも見せずに食堂の外へ出ようとしていた。蹴られたマリコルヌは幸せそうな笑みを浮かべたまま気絶している。

「結構」
「じゃ、じゃあ、食堂の入口――はまずいからまた私の部屋で待っていてね?」

 返事はなく、Dは食堂の外へと足を向けていた。その背が見えなくなるのを見送ってから、ルイズはぶはあ、と朝からため込んでいた疲労の息を盛大に吐き出した。
 Dの意図した事ではないだろうが、一緒に居ると神経が参ってしまうような緊張感を強いられる青年だ。ルイズの心労はかつてないほど重かった。

「Dと一緒に居ると疲れるわ。……でも、ようやくわたしの魔法が成功したのよ。Dみたいなのを呼べたんだから、これからはどんどん魔法も使えるようになるわ」

 体の中に鉛を入れたみたいに精神的な疲労は溜まっていたが、それを上回る高揚感を、ルイズはゆっくりと噛み締めていた。
 コモン・サーヴァントもコントラクト・サーヴァントも成功した。しかも呼び出して契約した相手がアレだ。平民か貴族かさえも分からないが、絶対に普通ではない。
 やたらと怖い雰囲気が滲みでてはいるが、今のところ理不尽な事を言わない限りはある程度こちらの意を汲んでくれている。
 ルイズには未来は明るい薔薇の色に輝いているように見えた。数ヶ月後には、鮮血の赤に変わる薔薇の色であった。
509ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 14:01:11 ID:hj4Urbf5
 Dは、食堂の外に出てから厨房の裏口に回った。水の一杯でも失敬しようと思ったらしい。だったらルイズに水だけでも貰えばよかったのだが、自分があそこに留まる事で及ぼす影響を考えたのかもしれない。
 ルイズの身を案じたというよりは、いちいち生徒達を恫喝する手間を省きたかったのだろう。
 厨房の裏口をノックして対応を待った。ここらへん、割と常識的な人である。
 は〜い、と明るい声がしてドアが開いた。食堂と違いDを目視していないから、厨房の中は今も騒がしい。
 メイド服を着こんだ黒髪の少女が顔を覗かせた。朗らかな雰囲気の、親しみやすそうな女の子だ。
 開いたドアの向こうに居たDの顔を見つめて、ぽかんと口を開く。精神は虹色に輝く夢の世界へと旅立っている事だろう。

「ふむ、美醜感覚はやはり同じか」

 とDの左手から嫌に真面目な皺くちゃの声が聞こえた。勤勉な学者の様な呟きであったがどこか面白がるニュアンスを否定する事は出来ない。

「あ、の……」

 ようやく口を開いたシエスタに、Dが短く告げた。

「水をもらえるか?」
「た、ただいま!!」

 骨格から蕩け出していたようなメイドが、急に背筋を伸ばして全速力で厨房の中へと駆け戻った。
 目の前の男に頼まれ事をしたという事実が、かつてない使命感と奉仕への喜びを少女の胸の中に燃えたぎっていた。
 行き交う人々と山と盛られた食材で狭い厨房を、全速力で駆け抜けた少女は、すぐに銀盆に水の入ったグラスを乗せてDの元へと戻ってきた。
 頬を染める色は桜の花びらを思わせた。
 うっとり、蕩けた視線をDの白皙の美貌に向けすぐに逸らした。意識を維持するためにはこの青年の顔を直視してはいけないと本能が悟ったのだろう。

「どうぞ」
「ありがとう。グラスは後で返す」
「あ、はい。あの、私、シエスタと言います。お名前を伺ってもいいですか」
「Dという」
「Dさん、あのどうしてこの学院に? 衛兵の方には見えないですけれど」
「ヴァリエール家の息女の使い魔だ」
「え、あ。ミス・ヴァリエールの? 噂になっていましたわ! ミス・ヴァリエールが人間とは思えない人間を使い魔にしたって! 人間とは思えないという理由が今わかりました」

 確かに人間とは思えない。美しすぎて、だ。瞳の中に星を煌めかせて自分を見つめるシエスタにそれ以上声をかける事もなく、Dは踵を返した。
 水一杯飲むのにも人の目を気にする理由でもあるのだろうか。
 適当な木陰に入り、腰の戦闘用ベルトに括りつけたパウチの一つから錠剤入りの瓶を一つ手に取り、真っ赤な錠剤を一粒だけグラスの中に落とした。
 瞬く間にグラスの中の水は溶けだした錠剤によって真紅に染まり、風には血の匂いがたちこみ始める。錠剤のラベルには乾燥血漿と書かれていた。
 言葉通り血漿を特殊な製法で乾燥させて錠剤の形に固形化したものだ。グラス一杯に一粒落とせば等量の血液に変わる。Dの居た“辺境”では闇医者や闇市に行けばいくらでも手に入る代物だ。
 この場合、その血へと変わったグラスの中身をDがどうするかの方が、世界の耳目を集めるだろう。
 グラスは優雅に傾けられ、血の色を刷いたDの唇に縁を触れさせた。グラスは身悶えさえしていたことだろう。
 やがて、グラスの中の血液がDの口腔へと流れ込み、食道を通って胃の腑へと染み渡る。一息に飲み干し、血の一滴も残さずDは自らの体内へと血液を取り込んだ。
 陽光を嫌い、血を飲む――すなわち吸血鬼の代表的な特徴であった。血の気が引いた様な青白い肌も、そこだけは赤い唇も、そのあり得ざる美貌も、すべては体に流れる吸血鬼の血の賜物であったろうか。
 吸血鬼ハンターD、その身に吸血鬼と人間の血を宿す光と闇の落とし子――ダンピールと呼ばれる存在であった。
 飲み干した血の影響か、活性化する吸血鬼=貴族の細胞を感じ取りながら、Dの左手に宿った老人が、ぐりっと左手首を捩じってDの顔を見上げて口を開いた。

「どうにも妙な所じゃ。日の光が地球と同じようにお前の体に作用しておる。通常、太陽の光は地球上でのみ貴族を焼く筈なのじゃが」

 Dの居た世界で、地球の覇者となった貴族は太陽系に留まらず銀河系、外宇宙にまで進出し、宇宙の各地でエイリアン達と星を吹き飛ばし、銀河図を書き換える死闘を繰り広げた。
 太陽の光の前には灰と変わる貴族達が、宇宙へと進出できたのは、その天敵たる太陽の光があくまで地球上でしか彼らの身に作用しなかった事による。
 つまり月面や静止軌道上に建造された浮遊城郭、宇宙戦艦の艦橋でいくら太陽の光を浴びようとも貴族達の体はささいな苦痛も、灰に変わる恐怖も味わう事がなかったのである。
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 14:01:21 ID:KBpc6m3J
支援薄いよ何やってんの支援
511ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 14:02:54 ID:hj4Urbf5
 宇宙は、貴族達にとって太陽の光を忌む必要も、避ける必要もない真の自由の世界だったのだ。だが、その太陽の光がこのハルケギニアでは地球と同様に作用し、Dの体の中を流れる貴族の血を苛んでいると左手は言う。

「ひょっとしたらどこかの次元隔壁が常時地球と繋がっておるのかもしれん。肝に銘じておけ、太陽の光の下ではダンピールは本来の戦闘能力を四割かそこらしか発揮できんぞ。お前は特別製じゃからもうすこしマシだがの」
 
 左手の言葉を聞いているのかいないのか、Dはまた歩きはじめた。厨房へと向かっている。グラスを返すつもりらしかった。


 朝食の後、自室で授業で使う教科書や参考書、筆記用具を準備していたルイズと合流し、教室を訪れた。ここでも食堂同様の出来事が起きたが、流石に一度Dの鬼気を浴びて本能的な恐怖を植え付けられた所為か、ルイズへと殺到する無言の憎悪は薄い。
 その後、教師が入室し、この世界の魔法に関しての講義が続き――Dを見た教師のミセス・シュヴルーズは授業中半分蕩け掛けていた。放っておけば丸一日は夢心地のままだろう――が、どこかぼんやりとした顔でルイズを指名したのが事の始まりだった。
 杖を振るだけで机の上に石ころを生み出し、さらにその石ころを真鍮に変えたシュヴルーズの『錬金』の魔法に、Dの左手から感心した声が零れる。

「分子変換かの? ふぅむ、わしらの知っとる貴族共の魔術でも容易くできる芸当ではないぞ。ちとこちらの世界の評価を改めるべきかな」

 その錬金の魔法を、ルイズが行う様に、と指名を受けたのである。Dの横顔に視線を集中させてはへたり込んでいた生徒達の間が、はっと意識を取り戻して悲鳴に近い声をあげる。
 なにやらルイズが魔法を行うと大変よろしくない事が起きるらしいのだが、シュヴルーズはそんな声を聞き流し、というか耳に入ってこない様子で、ルイズに魔法の行使を促した。
 中年を過ぎた女性がうっとりと頬を朱に染めながら、あらぬ方向を見やっているので、ルイズからすればあまり気持ちの良いものではなかったが、せっかくの指名であり、さらにDの見ている前という事もあり、俄然闘志を燃やしていた。
 召喚と契約は成功したのだ。ならば、一年生の内に使える様になる者もいる錬金の魔法位は成功させる!
 短いルーンの詠唱の終わりと同時に机の上の石ころが盛大に爆発した。机の下に避難していた生徒達は眼を瞑って耳を塞ぎ、その爆発をやり過ごしていたが、ルイズとその傍に居たシュヴルーズはもろに爆発の影響を受けていた。
 二人揃って吹き飛ばされて黒板に叩きつけられている。突然の爆発に教室の中の使い魔達が暴れ出す中を、Dは爆発の前と全く変わらぬ様子で椅子に腰かけたままだった。ルイズの起こした爆発に動じていないあたり、流石に肝が太い。
 というよりはこの程度でいちいち騒いでいてはいられない環境で、生涯を過ごしてきたのも大きいだろう。
 なにやら自分の左手に声をかけた。

「どうだ?」
「ふむ。地・水・風・火の四大要素ではないの。もっと物理的に細かい、分子か原子へ働きかける類かの。
浮遊分子やイオン、塵なんかを操作して不死身の兵士を作り上げる技術があったじゃろ? 比較的そっちよりのエネルギーが働いておった。ほっほっほ、破壊力はなかなかのものじゃ」
「殺傷力はそうでもないようだがな」

 吹き飛んだ机や割れたガラスに反し、直接の被害を被ったシュヴルーズとルイズに、さしたる外傷が無いことを見てとり、単なる爆発という現象を起こしているわけではないと、Dが左手に言外に告げた。

「科学も魔術も下の連中かと思うとったが、いやいや、なかなか見所のある事じゃ」

 けらけらと愉快気な笑い声をあげる左手を無視して、Dは煤まみれの顔を起こしたルイズを見た。傍らのシュヴルーズは頭を強打したらしく、時折痙攣しながら気を失っている。
 それとて、黒板に強かに頭を打ったからなのであって、爆発に晒された体の前面部に目立った外傷はない。なんとも奇妙なルイズの爆発である。
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 14:03:24 ID:n957lrLd
マチさんが阿白みたく黒コゲにされなくてよかったよ
513ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 14:04:04 ID:hj4Urbf5
 爆発の影響でスカートやブラウスが裂け、不条理な暴力にさらされた後みたいな無残な格好になったルイズが、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した教室を見回して一言

「ちょっと失敗みたいね」

 頬についた煤をハンカチで拭きとりながら、である。余ほど慣れているか、肝が相当太いに違いない。周囲の生徒達からの猛反撃はとどまる事を知らなかった。

「ちょっとじゃないだろ、ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」

 ハルケギニアに召喚されてはじめて、Dはルイズが『ゼロのルイズ』と呼ばれている事を知った。
 浴びせられる罵詈雑言を、つんと澄まして聞き流していたルイズが、自分を見ているDに気づき、鳶色の瞳に恐れと不安の影を揺らめかせた。魔法が使えないというコンプレックスが、もはや血肉と化すまでに植え付け、常にルイズの胸の中で渦を巻く感情。
 自分が呼び出した使い魔が、こんな無様な姿を見て失望してはいないかと、ルイズはただそれだけが恐ろしく、不安であった。
 
 同刻、ラ・ヴァリエール領。
 ルイズには二人の姉がいる。十一歳年上の長姉エレオノールと、八歳年上の次姉カトレアである。エレオノールは小さな頃からその秀才ぶりを発揮し、今では王立アカデミーの研究員として活躍し、生家を出ている。
 次女カトレアは温和な人柄と見目麗しい容貌に、メイジとしてもすぐれた実力を有し、将来を渇望された才女であったが、生来体が弱く大人になるまで生きられないと、多くの医者に匙を投げられていた。
 高価な水の秘薬をいくら使っても、どこかを直せば、またどこかが悪くなるという循環を繰り返し、カトレアは生まれてから一度もヴァリエールの領地を出た事がなかった。
 カトレアの自室にはあちこちで拾った傷ついた動物たちが走り回ったり、寝転がったりしている。
 天井から下げられた籠の中には何羽もの鳥がおり、子犬や子猫が仲良く追いかけっこをしている。様々な種類の草花が植えられた鉢植があちこちに在り、幾重にも折り重なった芳醇な香りが部屋を満たしていた。
 可愛がっている妹のルイズに、進学している魔法学院で使い魔召喚の儀式を行うと、送られてきた手紙に書いてあったのが、ちょっとしたきっかけだった。
 体が芯から悪く、簡単な魔法の行使でも体調を崩しかねないカトレアは、使い魔の召喚を父母や周囲から禁じられていたが、今度ルイズが帰省してきた時に、お互いの使い魔を紹介しあえたらきっと楽しいわね、と考えたカトレアは杖を取っていた。
 ルイズとおなじ桃色のブロンドに、目元は柔らかく常に浮かべた微笑は宗教画に描かれる聖母のものと比べても何の遜色もない。
 ゆったりとした部屋着に包まれた肢体は、ルイズと比べて母性を形にしたように曲線を描いていたが、透けるように白い肌が病弱な雰囲気とあいまって、手に取ろうとしたら誤って潰してしまいそうな、可憐な花のようだった。
 そよ風にさえ散ってしまう小さな花びらを思わせる唇は、よどみなく召喚のルーンを唱え始めた。
 カトレアの部屋の中の動物たちが、鳴き止み、時が止まった様な静寂が訪れた部屋の中で、カトレアの声だけが朗々と紡がれる。荘厳な、一種の宗教的儀式にも通ずる神聖ささえ感じられる。
 やがて、カトレアの目の前に大きな銀色に輝く鏡が現れた。
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 14:04:21 ID:KBpc6m3J
支援
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 14:05:43 ID:g3gIImUM
今度はどんな化け物が召喚されるんだw支援
516ゼロの魔王伝:2009/01/07(水) 14:05:52 ID:hj4Urbf5
いかにして彼らはハルケギニアに召喚されたか――――???の場合。

 一人の青年が、血煙と共にどう、と倒れ伏した。その青年を見下ろすもう一人の人影に、倒れた青年が口を開いた。左右の肋骨の真ん中から脊椎までを割られ、さらに脳天から顎までを斬られている。視界はすでに朱に染まっていた。

「出来……不出来は……仕様が……ねえ」

 なんということか倒れた青年も斬った青年も同じ顔をしていた。双子の兄弟であろうか? 自分と同じ顔の二人が互いを見ていた。

「だがよ……愛は……平等を……モットーにしたかった……ぜ……やっぱ……愛されていたのは……おまえか。なあ……せめて……おれと同じ目には遭うな……よ。おれの分…………ま…………」

 で、と言い切るのと同時に倒れた青年の意識は暗黒の彼方へと飲み込まれていった。最後まで握りしめていた長剣も、胸元で揺れる青いペンダントも、黒髪を抑えていたつば広の旅人帽も、意識に従う様にして世界から姿を消していた。
 永遠の闇の中へと埋没したはずの意識が、海底から長い時を掛けて浮上する様に、どこか漫然としたまま目を開く。途端に走る痛みは割られた顔面と、断たれた脊髄が齎すものだろう。
 口中に溢れる血潮を飲み下し、体内の吸血鬼の血肉が歓喜して肉体の治癒を促した。右手には握り締めていた長剣の感覚がある。また体の前面には柔らかい触感があった。硬質の床の上に被せられた分厚い絨毯であった。
 自らの体から流れる血潮で汚れるそれを、うっすらと開いた黒い瞳で見つめ、青年は、弁償を要求されなきゃいいが、とどこか場違いな事を考えていた。
 浮き沈みする意識が、こちらに向かって近づいてくる気配を感じた。残った力を振り絞れば、右手の長剣に音の壁を破り、超合金製の扉を真っ二つにするくらいの威力を与える事は出来る。
 状況の把握は出来ないが、自分の命を取るつもりなら道連れにしてくれると、青年は腹をくくった。しかし、近づいてきた影がうつぶせの青年の体を動かし、その傷の凄惨さに息を飲んでも長剣はピクリとも動かなかった。
 こちらを害そうという気配が露ほども感じられないのである。かろうじて開いた視界を桃色が埋め尽くしている。それから、顔面蒼白になってなにやら口を動かしている女の顔があった。

「……大丈夫ですか!? 今お医者様を呼んでいます」

 どうやら自分の怪我を心配してくれているらしい。地獄にも親切な奴がいるもんだと、妙に感心した。

「ああ、こんなに血が出て。一体どうしてこんな傷を」
「…………なに…………ちょ……と、兄弟……喧……嘩を……した……だけさ」
「喋ってはいけません。生きているのが不思議なくらいの大怪我なのですよ」

 そんなのはおれが一番分かっているよ、と思いつつ、青年が瞼を閉じた。なんだか良い匂いがした。血の匂いとは違う、安らぐような優しい匂い。それに暖かくて柔らかいものに包まれているような感覚。
 このまま死ぬのも悪かねえ、と青年は思いながら、再び意識を暗黒の底へと沈めていった。

今回ここまで。カトレアが呼ぶのはほかにもせつら、十六夜京也、フジテレビの『主』と候補がありましたが、彼ということで。
もうすっかり魔王伝ではなくなっていますが、お付き合いくだされば幸いです。お邪魔しました。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 14:07:22 ID:g3gIImUM
兄弟キター!?
話をとうやって収拾つけるつもりなんだwww
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 14:10:43 ID:KBpc6m3J
乙っした〜!
寝起きにDみたいなのが部屋に居るのを見たら
確かに疲れるだろうなぁw
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 15:08:32 ID:clkqhb3R
乙でしたー

ワルドとかは野望捨てて気立ての良い奥さんでも見つけて、ささやかな幸せを手に出来ればいいのになーと
今の内から思ってしまう今日この頃
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 15:16:29 ID:g3gIImUM
つーかワルドがルイズじゃなくてDの方を取り込もうとするんじゃね?
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 15:17:04 ID:l14uixDu
気立てのいい奥さん・・・・・・・エレオノール?
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 15:37:47 ID:clkqhb3R
気が立ってる奥さんではない
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 15:50:54 ID:cykIyyY7
乙でしたー。
菊池作品って読んだことないんですが、それでも尋常じゃないと解るこの作品がとても好きです。
またなんかやばい人がやってきたみたいですし、これからも無理しない範囲で執筆頑張ってください。

あとエレオノール姉様はルイズと同じでメロメロにしてしまえばとことんまで尽くしてくれると思うんだ。
攻略難易度が超高いと思うけど(グラディウスX3周目くらい)その分堕とした後のデロデロッぷりも凄いと思うんだ!
ありとあらゆるエロシチュエーションを受け入れてくれるくらいに!<お前はエレオノール姉様を何だと
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 15:50:54 ID:BwDUKvy7
メイジの杖は自身が契約した杖じゃないと魔法が使えないって設定をよく見るんだけど
原作にそんなのあったっけ?
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 15:53:06 ID:GVmOXTKB
>>490
本家スーパーマンは魔法にはめっぽう弱いから
かなり苦しい戦いになるぞ
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 15:57:33 ID:8dWznFPe
>>524
有った。だからどっちにしろ破壊の杖はルイズに使えない。たとえほんとにハルゲニア産の魔法の杖でも
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:20:29 ID:zXjZSLqC
>>526
……どこまでアホの子なんだ、ルイズは
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:23:42 ID:iTF8ZII0
確か契約には丸三日くらいかかるんだよな
どんな儀式で契約するんだろ
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:25:27 ID:l14uixDu
>>523
エレオノールって落とした後はメロメロってよりキシャーのごとき独占欲を発揮すると思うのだな
ギーシュと並んで食事したら「ギーシュと浮気した」
きゅいきゅいの背に乗って移動したら「韻竜と浮気を(略
コートを羽織ったら「コートと(ry
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:26:41 ID:pQCZLWuQ
言われてみればルイズダメすぎだなw
と思ったけど特定の機能があるマジックアイテムだって
分かってたから問題ないんじゃね?
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:39:11 ID:LQdTWXAo
やったみなきゃわからない!むしろ私なら使える!的な考えもってそう
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:41:45 ID:YdIppW6d
ぶっちゃけ、杖に契約がいるというのが、後付設定の可能性も・・・
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:46:57 ID:BwDUKvy7
>>526
サンクス

あと、ルイズってさフーケのゴーレム戦の時敵に背を向けないのが貴族とか言ってたけど、
ウェールズに対して思いっきり逃げろって言ってるよね、名誉とかどうでもいいってな感じで。
これって決死の覚悟をして戦いに行く貴族(王族)に対しての侮辱になるんじゃない?

なんかルイズって自分に都合のいい様に貴族という言葉を言ってる気がする。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:54:37 ID:5p9HPsW3
>>533
きっとウェールズは王族だから。
替えが居る諸侯より替えの居ない皇太子が命を大事にすべきなのは自明の理。
とか弁護してみる。


……というか、言動に矛盾の全くない奴なんか居ないだろう。現実的に。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:54:41 ID:74r2w/sV
ウェールズの場合は勝ち目がない負け戦で明らかに死ぬつもりだったし
ルイズ的にフーケ戦は勝機が僅かながらあったのだろう
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:58:08 ID:ls0/GIAh
>>525
なら仮面ライダースーパー1を召還してですね…

駄目だワルド涙目過ぎる
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 16:59:27 ID:qcVo7DTw
ハルケギニアには誰でも使えるマジックアイテムがある
破壊の杖もそう言うものだと思われていたんだろ
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 17:09:31 ID:Fkkk0nkD
もうこの際、長谷川千雨タンでよくね?
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 17:15:50 ID:GVmOXTKB
>>538
ネギまにはいろんなタイプの使い魔適任者がいるのに
よりによって
なぜ
千雨?
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 17:29:40 ID:74r2w/sV
モンモンがピョン吉召喚
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 17:52:49 ID:pxtCedFL
>>538
改変型千雨ならどっかで見たが…
確か召喚時に契約返ししてルイズをガンダ化、自分に対する忠誠心を植え付けていたな
しかしネギま!キャラ召喚はまだまともなのが無いな
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 17:56:37 ID:IipEBKIp
ガンダム化に見えた
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 17:58:43 ID:OMihFYyb
>>542
30メイルゴーレムとガチンコですね
見たい!
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 18:02:31 ID:MyMxnFTt
>>536
スーパー1は魔法が一切効かない身体と赤心少林拳ぐらいだろ
さすがにワルド涙目になるような一方的な戦いにはならないでしょ
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 18:19:08 ID:5Sgw5hw2
>>544
>魔法が一切効かない
この時点でメイジ全員涙目確定だが。
使い魔契約とか成り立たない事になるし、そもそも召喚のゲートを無効化されずに
くぐれるかどうかすら怪しい。
つーか、奴はそんなの無しでもとんでもないオーバースペックもいい所だ。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 18:20:15 ID:k6g4hfpn
マルトーのおやっさん!
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 18:25:46 ID:Fkkk0nkD
>>539
萌えるから
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 18:37:04 ID:2iisNUZd
ハーメルンのバイオリン弾きのオカリナを召喚。
実力もあって身の回りの世話もサイザーの幼少時で経験済み。
あんまデルフ使わなさそうだけど
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 18:43:30 ID:Ce6S8qQ9
じゃあ「メルヴィ&カシム」からメルヴィ召喚
魔法が大っ嫌いな超フェミニスト永遠の28歳な最強無敵の魔法使いなら、結構ルイズと気が合う気がする。
あの人、正しく努力する人間には男女問わず真摯に接するし。
性格がめちゃくちゃ不器用だけど。
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 18:45:44 ID:KBpc6m3J
>>540
嫉妬した時のルイズがぶっさいくな潰れアンパン顔になる光景が浮かんだw
ひろしの毎度の悪ノリになんのかの言って付き合ってあげるピョン吉はいい奴だよね。
ど根性ガエルはガチで神アニメなので超オヌヌメ。
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 18:47:43 ID:EzU2OSck
カプコンのゲームのキャラは召喚しても良さそう、と思ったら

キャプテンコマンドーはコレダー連発
ストライダー飛竜はオプション出せば鬼畜
ジン・サオトメは下手したらブロディア

とりあえずマイナーなゲームは駄目だと思った
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 18:53:48 ID:YXFbE78b
フランク・ウェストなら一緒についてきたゾンビ化蜂のせいでハルケギニアゾンビパニック
みんなでショッピングモールに立て篭もる
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:00:24 ID:C9M2x3Mx
>>543
ライジンオーでヒロインの1人が巨大化して敵とガチンコバトルを繰り広げたのは思い出した。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:02:36 ID:IipEBKIp
マイナー…?
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:03:19 ID:k6g4hfpn
絶対無敵って凄いよな
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:29:08 ID:6pTNgWtb
>>529
ゲームの評価でツンだけでデレがねえとか言われてたな
557ゼロと魔砲使い ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 19:30:53 ID:LmYzcZx1
とりあえず23話完成しました。
ただ長いのでかなりの確率でさるさんくらいそうです。
書き込みも少ないみたいですので、ちょっと様子を見て1940〜50あたりを目安に投下開始します。さるさん対策を兼ねて。
ですのでそれまでにもし投下があったらお先にどうぞ。

ちなみにキュルケファン待望の必殺技も出ます。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:33:25 ID:L8J11dxy
ボンバーマンジェッターズのマイティ兄さん召喚
『白の使い魔(仮)』


…だめだ、俺じゃ無理だ
誰かかわりにやってくれる人はいないであろうか
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:39:50 ID:AEyf+ZYW
ライジンオーがアリなら
対異種知性体最終決戦機・雷神皇(創世機【ジェネシスリアクター】アンゴルモア)召喚とか夢想してしまう。
創世機【ジェネシスリアクター】ゼウスでも良いね。

ほんで聖地がルッチェランドよろしくタルタロスβ2型非重力性平面型ブラックホールになってるとか。
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:41:32 ID:yIoCC581
>>557

 ノノノノノ  ∩
( ○○) 彡 おっぱいミサイル! おっぱいミサイル!
  (||||)
   ⊂彡




561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:42:01 ID:k6g4hfpn
>>558
いません!
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:42:59 ID:rVOEL0JD
白い魔王支援
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:45:47 ID:6pTNgWtb
某やる夫スレではシモ・ヘイヘ役でしたね魔王様
まことにピッタリな役柄でした
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:47:25 ID:EWLu8VNv
魔王来てる!GJでした!
Dって夜は牙むきだしの真っ赤な目で我慢してるんだろうか?
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:49:15 ID:dMyjdBoy
>>545
冷熱ハンドはたしか火星極値の氷河をすべて解かせるほどの熱線と
灼熱の星を居住可能に出来る冷気ガスを発射できるんだっけ?
566ゼロと魔砲使い ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 19:50:41 ID:LmYzcZx1
時間も良さそうなのでこれより投下開始いたします。
五分経っても次が来なかったらさるさんを疑ってください。
その場合は避難所に投下しますので代理よろしくお願いします。

567ゼロと魔砲使い第23話-01 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 19:52:19 ID:LmYzcZx1
23話 鼓動

 キュルケは見たものが信じられなかった。
 背後からの完璧な奇襲。それを易々と外された。
 それどころか、その男は。
 
 「よう、お熱いお誘いだな」
 
 悠然とそう言ってのけたのだった。
 自分の放った必殺の炎は、むなしく男の後ろにあった立木を燃やしている。
 その明かりが、かえって男の姿を見えにくくしていた。闇夜の中、赤々と燃える炎が、ちょうど男の姿を影に変えてしまっているのだ。
 と、その時キュルケは、背後から幾つかの人の気配を感じていた。
 「何事ですか!」
 遠間からそう叫ぶ声に、眼前の男は怒鳴り返す。
 「残りがいただけだ! それよりさっさと戻れ! 取りこぼしがこいつ一人とは限らないぞ! せいぜい一人か二人だろうが、油断するな! それがメイジだろう!」
 「わ、わかりました!」
 同時に遠ざかる気配。どうやら自分は目の前の男を何とかすれば大丈夫そうだと気がついた。
 この男を押さえれば、間違いなく圧倒的に動きやすくなる。思ったより腕の立ちそうなミスタ・コルベールと力を合わせれば、状況をひっくり返すことも出来そうだ。
 ただ問題なのは、目の前の男は明らかに自分より経験豊富な使い手だと言うことだ。
 自力では負けていないだろうが、経験が圧倒的に足りないのは判る。幸い相手の男の取った行動のおかげで、一対一の体勢にはなった。これなら決闘に近いので、何とか捌ける。
 もっとも相手は歴戦の勇士。それにその粗野な雰囲気からすると、卑怯な手もためらわないであろう。
 (タバサでも足りない……なのはを相手にするつもりで行く!)
 杖を片手に小さく詠唱を開始し、同時に周囲の様子にも気を配る。
 今こそキュルケはマルチタスクを教えてもらったことを心から感謝した。
 これを使えなければ、おそらくは瞬殺されていたはずだ。
 現に相手の空気が少し変わった。
 「ほう? 女、少しは出来るようだな。これは燃やしがいがありそうだ」
 燃える立木を背後に余裕を持って言う男。表情は見えなかったが、それが笑いで歪んでいることが容易に推察できた。
 「その余裕、どこまで持つかしら」
 こぶし大の火球を相手に向けて撃ち出す。キュルケの実力からすれば、信じられないくらいヘロヘロの火球だ。速度も遅く、威力もない。
 「なんだこれは。そんなはずあるまい。さっきの一撃はどうした」
 キュルケは答えない。いや、答えられない。
 なぜなら火球を放った直後から次の呪文を詠唱していたから。
 遅いと言っても着弾までは一秒足らず。言葉と共に男が難なく火球を打ち払うのと同時に、次の呪文をキュルケは解き放っていた。
 動いた男の目前で、閃光が広がる。
 火球の動きを見定めようと注視していたところへの閃光。かつてキュルケが故郷で決闘をしていた時に編み出した得意のコンボ攻撃であった。以前は稚拙であった連携も、マルチタスクの恩恵で遙かに精度が上がっている。
 これによって目を潰し、そこに大技をたたき込むのが彼女の必殺パターンであった。たいていはまともに喰らって目が見えなくなるし、目を閉じられてもそこが絶対の隙になる。
 苦し紛れに反撃してきた相手もいたが、目の見えていない状態で攻撃が当たるはずもない。
 だが、閃光を見ないように目をそらしていたキュルケがタイミングを合わせて相手の方を向いた時、そこに見たものは。
 
 燃えさかる炎の壁だった。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:52:54 ID:rVOEL0JD
全力全開支援
569ゼロと魔砲使い第23話-02 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 19:53:41 ID:LmYzcZx1
 一瞬思考の停止するキュルケ。だが即座にそれが、相手の放った火球であることに気がついた。威力は自分のそれと同程度かそれより少し上。だが、相殺は間に合わない。
 そこにあるのは燃える自分。絶対の死。自分には防ぐ術がない。
 「…」
 声を出すことすら出来なかった。硬直した体が動くようになっても間に合わない。と、その視界がいきなり暗くなった。同時にずしんと来る衝撃。巻き起こる閃光。それを遮る黒い影。
 突き飛ばされ、仰向けに倒れたキュルケの視界に、どアップになった使い魔の顔が飛び込んできた。
 「フレイム!」
 そう。偵察に出していたフレイムが間に合ったのだ。自分を突き飛ばした時、背中に火球を受けていたようだが、フレイムはサラマンダーである。この程度の炎はむしろ食事みたいなものだ。
 「使い魔に助けられたか。運も日頃の行いもいい女だ。しかもこの熱さ……炎の幻獣か。どうもこれは、燃えそうにないな」
 その言い方に不審を覚えるキュルケ。仮にも炎を操るメイジにとって、サラマンダーは常識の範囲である。知らないなど考えられない。
 そして起き上がりつつ相手の方を見た時、キュルケはその答えを知った。
 「あなた、目が……」
 位置が変わり、明かりの向きが変わったことではっきりとキュルケにも見えた。
 相手の目は、こちらを見ていなかった。そう、それは義眼だった。
 「そういうことだ。うまい手だったが、相手が悪かったな」
 しゃべり終わると同時に飛んでくる火球。交わすまでもなく素早くフレイムが盾となって受け止めてくれたが、キュルケは心底驚いた。
 しゃべりながら呪文を詠唱することは出来ない。つまりこの男は、しゃべり終わった後のわずかな時間でこれだけの火球を打ち出せるだけの呪文を唱えられるのだ。
 ほとんど無詠唱と言ってもよいくらいの超高速詠唱。
 正面切って戦っていたら、まるで勝ち目はない。
 (撃ち合いをするわけにはいかないわ。いったん仕切り直しよ、フレイム)
 (御意)
 キュルケは起き上がると、脱兎の如く、障害物の多い森の方へと駆け出した。当然背後から攻撃が来るが、フレイムが巧みにそれを防ぐ。
 「ちっ……まるで俺の炎が効いてないとすると……あれは、サラマンダーか。いい使い魔を持ったな」
 とはいっても男と女。サラマンダーもそう足の速い生物ではない。すぐに追いつけると思ったのだが、森の中で突然女の匂いと熱の気配が途切れた。
 疑問に思ってその近くに行って見たメンヌヴィルは、その理由を悟った。
 地面に穴が空いている。しかも結構深く、長そうだ。
 「土メイジがいたのか……やっかいだな」
 メンヌヴィルは対策を練りつつ、女の匂いに集中した。
 程なく、かすかに匂いが風に乗ってくる。派手に火を燃やしたせいか、匂いを運ぶ風が止まることもなかった。
 「思ったより楽しませてくれるな、女。そしてまだ見ぬ相手よ」
 笑みすら浮かべつつ、メンヌヴィルはその後を追った。
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:54:44 ID:Tiolk1JF
しえん
571ゼロと魔砲使い第23話-03 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 19:54:52 ID:LmYzcZx1
 「助かったわ、ギーシュ。あなたも脱出していたなんて」
 「いや、僕は隠れていただけだよ。様子は探っていたけど、僕一人じゃなにも出来なかった」
 結果的にキュルケの窮地を救ったのは、ギーシュと使い魔のヴェルダンデだった。
 キュルケもいったん離れたものの、まともに逃げ切れるとは思っていなかった。そこにヴェルダンデが顔を出したのである。
 ヴェルダンデが広げた穴を通って、キュルケは逃げるのに成功した。もちろん穴はすぐに埋められた。
 「でも大変なことになったね……どうも捕まっていないのは僕たちだけみたいだ」
 「あ、後コルベール先生が無事よ」
 「先生が! それは良かった」
 喜ぶギーシュを、キュルケは押さえた。
 「ギーシュ。今私は盲目の敵に狙われてるわ。目が見えていないのに、まるで見えているかのように動ける炎のメイジなの。たぶん貴族崩れの傭兵ね。真っ当な貴族の雰囲気じゃなかったわ」
 「……強敵だね。でも目が見えないのになんで平気なんだろう」
 「判らないわ。勘か、音か。でもね、たぶん……温度」
 「温度?」
 キュルケは先ほどの戦闘を注意深く思い出す。あいつは言った……フレイムの方を見て、『この熱さ』と。
 だとすると、あいつには人の体温が、目以外の何かで見えているのかも知れない。
 いずれにせよ正面からでは勝てない。ならば。
 「ギーシュ。あなたが力を貸してくれれば何とかなるわ」
 「判った」
 言葉はいらなかった。
 
 
 
 メンヌヴィルは程なく女を見つけた。まわりに建物のある庭らしきところ。作戦前に触れて確認した学院内の地図を思い出す。彼のために同志が練金した学院内の簡易模型のおかげで、地理は頭に入っていた。
 というかそうでもなければ未知の場所を盲目のまま動けるわけがない。
 中庭にいくつか置かれた青銅像の影から、女はこちらの様子をうかがっていた。
 その隣でやたらに熱いものが像に触れていた。
 一つだけ暖まった青銅像は、どうやら女性のシルエットをしているらしい。
 「考えたな」
 メンヌヴィルはにやりと笑う。久しく感じていなかった興奮が体内を駆け巡る。
 どうやらあの短いやり取りだけで、彼が外界を認識する手段が『熱』だと見抜いたらしい。
 こちらの目が見えないことを利用して、青銅像を誤認させようというのだろう。
 おもしろい手だったが、自分の感覚はそんなにいい加減なものではない。
 ただ漠然と熱を『視て』いる訳ではないのだ。
 その感覚は、匂いによるものを併用すれば、相手の感情の動きや肉体の予備動作すら見抜く精度を誇っている。
 盲目でありながら接近戦闘をこなす腕をメンヌヴィルは持っているのだ。
 「おもしろい」
 そうつぶやくと、メンヌヴィルはあえて仕掛けに乗ったかのように、おそらく使い魔が暖めていたと思われる青銅像に向かって、特大の火球を打ち込んだ。
572ゼロと魔砲使い第23話-04 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 19:55:56 ID:LmYzcZx1
 「かかった」
 キュルケは青銅像に密着しつつ、そうつぶやく。
 「とりあえず第一段階は突破ね」
 自分にそう言い聞かせつつ、キュルケは青銅像に張り付く。
 ひんやりとした感触が、気持ちを引き締める。
 そして男は、ゆっくりと自分が燃やした青銅像の方へと歩み寄っていった。
 
 
 
 中庭に入っていったとたん、突然あちこちで火柱が上がった。どうやら油か何かを撒いて、それに火をつけたらしい。
 「なるほど……囮で誘い込み、まわりを熱して俺の『熱』を封じるか……だが、甘い」
 メンヌヴィルは感心しつつもそれを表に出すことなく、くるりと向きを変えると、ターゲットの女の方にまっすぐ近づいていく。
 雑多な匂いが混じって少し判りづらいが、女が激しく緊張しているのは判る。
 まわりが暖まったので判ったが、ここにある像は皆女性の形をしている。こうやって熱源を混乱させれば、目の見えない彼が誤認すると踏んだのだろう。
 しかもこの女は、そんな像の一つに張り付いて彼が隙を見せるのを伺っている。
 なるほど。俺の『熱』の精度が甘ければ引っかかっただろう。メンヌヴィルはそう思った。
 上出来だ。そう考えつつ、彼は彼女の張り付いている像の前に立った。但し、女の裏側に。
 そしてメンヌヴィルは、今も極上の『匂い』を発散している女のことを考えた。
 女は身動き一つ出来ない。だろうな。この距離で動いたら仕掛けがばれると思っているのだろう。
 緊張と、興奮がほどよく入り交じった匂いが漂っている。恐怖と期待もあるな。
 これなら実にいい−−極上の匂いをかげる。
 メンヌヴィルは自分が興奮しているのを感じていた。それもかつて目を失った時、あの隊長との戦い以来の興奮を。
 そして彼は相手に最後のスパイス−−『絶望』を振りかけるべく、最終宣告をした。
 「俺の勝ちだぜ、女」
 だが、返ってきたのは。
 「いいえ、私の勝ちだわ、傭兵さん」
 その言葉と同時に、『青銅像』がメンヌヴィルのことを殴り飛ばした。
 
 
 
 危なかった……やはりあいつは、特定の人間の『温度』を追えるくらいの力を持っていた。
 キュルケは内心の恐怖を押しつぶしつつ、一斉に動いた残り六体のワルキューレにタコ殴りにされている男の方を見つめた。
 相手はギーシュのことを、七体のブロンズゴーレム、『ワルキューレ』のことを知らないはず。それだけがキュルケに残された勝機だった。
 まともに戦ったら腕を上げているギーシュといえども勝ち目は薄かっただろう。
 勝つには不意を突くしかない。そしてキュルケが思いついたのが、ギーシュの存在をぎりぎりまで隠すことだった。
 相手が気づく前にワルキューレを出しておき、ただの像の振りをさせる。
 そしてフレイムに像の一つを暖めさせたりとか、周辺に火を放って相手の『温度』を混乱させたりするといった小細工を弄する。
 すべてはただ一つ。この『像』が『ゴーレム』であることをごまかすため。
 普通の相手にはあまり意味がない。だが相手は目が見えない。
 そう、ディテクトマジックが使えない可能性が高いのだ。あの呪文は光で魔法を示すのだから。
 後はキュルケの演技力一つであった。乙女の青銅像を利用して自分をはめようとしている……そう思わせることさえ出来れば、ワルキューレで不意を打てる。
 不意さえ打てればたとえ高位メイジ相手でも、ギーシュは決して引けを取らない。接近戦に持ち込んでしまえばこっちのものだ。
 そしてキュルケは、その賭に勝った。
 
 
 
 
 
 
 賭には勝ったが、勝負には負けていた。
573ゼロと魔砲使い第23話-05 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 19:57:02 ID:LmYzcZx1
 突如、一方的に攻撃を加えていたワルキューレが、爆音と共にはじき飛ばされた。間合いが空くと同時に炸裂する火球。距離を取られるとワルキューレはもろかった。体勢を立て直す前に次々と溶かされていく。
 
 「詰めが甘かったな、女、そしてゴーレム使い。特にゴーレム使い、殴る蹴るじゃなく、ためらわずに剣の一つも練金して、さっさと俺を殺すべきだった。そうすればおまえ達の勝ちだったよ」
 
 そういって見えない目をキュルケに向けるメンヌヴィル。
 その存在しない視線に、ついにキュルケの腰が砕けた。
 駄目だ。さすがにこうなると、もはや自分一人ではどうにもならない。
 なまじ力量が拮抗するだけに、バランスを崩すことが出来ない。
 せめて死す時でも優雅であれと、艶然たる笑みを貼り付けるくらいしかできない。
 
 「やられている俺を視て気を抜いたんだろうな。そこの影にいる男。さっきのは『自爆』っていてな。自分ごとまわりをぶっ飛ばすための魔法だ。おかげでこっちもただじゃすまねえが、ま、死ぬよりはましになった」
 
 ギーシュも気づかれた。もはや手札はない。
 
 「逃げるなら今のうちに逃げな。まずはこっちの女を焼く方が先だ。これだけの女だ。さぞいい匂いをかがせてくれそうだからな」
 
 そう言うと詠唱と共に今までとは桁違いに強力な火球を練りはじめる。
 キュルケはそれを聞いて、自分の敗因を悟った。この男の感覚には、温度だけでなく『匂い』もあったのだ。
 なら最後まで突っ張り通そう。たとえ匂いフェチの変態が相手でも、最後は笑うのがツェルプストーの心意気。
 (ルイズ、タバサ、なのは……ごめんなさい。先に逝くことになるわ)
 そう、キュルケが覚悟を決めた時だった。
 目の前の男は、自分を焼き尽くすために練り上げたと思われる炎を、突然明後日の方向に打ち込んだ。
 突然のことに逃げることすら忘れてしまった。
 そして撃ち出された炎は、向かってきた炎−−まるで炎で出来た蛇のように軌道を読ませない動きで彼に向かっていたそれにぶち当たり、激しい爆発を引き起こした。
 
 それと同時に上がる歓喜の声。
 
 「この熱。匂い……まさか、隊長殿、あんたか! そうか、この女はあんたの弟子だったのか! 道理で焼きごたえがあるわけだ」
 「ミス・ツェルプストーはただの教え子だ。私の弟子などではない、メンヌヴィル」
 
 キュルケの前に現れたのは、偵察に出ていたコルベールであった。
574ゼロと魔砲使い第23話-06 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 19:58:58 ID:LmYzcZx1
 一転して命を救われたこの状況に、キュルケは少し混乱していた。
 「ミス・ツェルプストー」
 「は、はいっ!」
 そこに突然名を呼ばれ、声が少し裏返る。
 「ミスタ・グラモンと一緒に、この場を離れなさい。この男は、私が相手をします」
 「でも」
 勝てるのだろうか……と思った疑問に対し、コルベールはキュルケが信じられないような言葉を返してきた。
 「足手まといです。幸い敵は彼以外全員、食堂で人質となったみんなの見張りをしています。二人はここを脱出して、王宮に連絡を」
 「でも……」
 「行きなさい」
 そのあまりの語気の強さに、キュルケは引いた。とりあえずギーシュと合流し、校舎の陰まで下がる。
 フレイムとヴェルダンデもこちらによってきた。
 「ごめん……キュルケ。あいつのいうとおりだった」
 そう言って頭を下げるギーシュ。
 「いいわよ。助かった以上は。それにあなたに人殺しをしろって言うわけにも行かないし」
 キュルケも責めるようなことは言わなかった。
 「で、行くの?」
 「そんなわけないでしょ」
 一転してからかうようなギーシュの問いに、不敵に笑って答えるキュルケ。
 「まさかミスタにあんな顔が出来るなんて思わなかったわ。ただの変人じゃなかったのね」
 「同感だ」
 ギーシュも頷く。
 「こうして遠間からみていても判る……ミスタ、かなりの使い手だ。ちょっと動きが鈍いけど、この間練習したミスタ・ワルド並に強いと思う」
 「現役の風のスクウェアより速かったら化け物よ」
 相づちを打ちつつも、キュルケの目はコルベールに注がれていた。
 そんな彼女らの元に、コルベールとメンヌヴィルの語り合う声が聞こえてきた。
 
 
 
 
 
 
 
 「くっくっくっ、隊長殿、二十年経っても鈍っちゃいないようだな」
 「……なにが言いたいのですか」
 「おっと、ちょっとは丸くなったようで……でも、百人あっさり殺した上でその台詞が言えるとは、さすが隊長殿だ」
 「!……」
 メンヌヴィルの言った言葉に、コルベールもさすがに固まった。
 物陰のキュルケとギーシュも。
 メンヌヴィルは、そんな彼らの見せた隙を気にもせず言葉を繋げた。
 「ごまかしても無駄ですぜ隊長殿、別働隊、たった一人で殲滅してきたんでしょうに」
 「……何故、それを」
 さすがに驚愕するコルベールに、メンヌヴィルは自慢げに言う。
 「一つはさっきの態度。あんたなら今の状況が判っているはずだ。周辺に警戒が出ているっていうこともな。そんな状況で、大切な教え子に外に行けなんて言うはずがない」
 コルベールは無言のまま歯を食いしばっていた。
 「そうでなくても俺には『判った』けどな。でもまあ、そんなことは些細なことだ」
 メンヌヴィルは大きく手を広げて言う。
 「あんたに会えた。しかも歳こそ喰っているものの、腕も、心も、全然鈍ってねえ」
 対するコルベールの顔は、苦悩と不満に満ちていた。
 「だからこそ、焼いてみてえ。あんたの肉の焼ける香りを嗅いでみてえ」
 そして感極まったかのように、メンヌヴィルは言った。
 「仕事なんかどうでもいい! 二十年分の修練、たっぷり味わってくれ!」
 同時に、いくつもの火球がコルベールに襲いかかった。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:59:09 ID:bI29FkTY
支援
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 19:59:24 ID:Tiolk1JF
支援
577ゼロと魔砲使い第23話-07 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 19:59:50 ID:LmYzcZx1
 「大変です! メンヴィルヌ隊長が、メイジと戦いを!」
 人質を保護している食堂にも、この騒ぎは伝わっていた。
 だが、動けない。今動いたら、人質を押さえきることは出来ない。
 彼らを押さえていることが、自分の身を守ることになるのだ。
 幸い、彼らの戦っている場所は、食堂の窓からかろうじて見て取ることが出来た。
 だが援護をするには遠い場所だった。
 彼らに出来たのは、固唾を呑んで成り行きを見守ることだけであった。
 
 
 
 戦いは攻めるメンヌヴィルに避けるコルベールという構図になった。それを見ていたギーシュがつぶやくように言う。
 「ミスタ、なにを狙っているんだ?」
 「どういうこと、ギーシュ」
 キュルケの問いに、ギーシュは答えた。
 「僕の見た感じだと、力量は互角に近い。自力はあいつで、経験はミスタが上に見える」
 キュルケの目にもそう見えた。
 「そしてミスタに不利なのが、この闇だ。もう少ししないと夜が明けない。あいつは暗がりを利用してミスタの間合いを外している」
 「そっか、ミスタは相手を視認しないと攻撃を当てられないけど、あいつには関係ないのよね」
 「でも」
 そこでギーシュはぐっと前を見る。
 「ミスタの動きは、それすらも計算しているみたいなんだ。仮想訓練でさんざんしごかれた僕が断言する」
 「ああ、ワルキューレの」
 キュルケもギーシュがマルチタスクの練習と並行して、ワルキューレの運用訓練をなのは(正確にはレイジングハート)相手にやっていたのを思い出す。
 「ミスタはあえて彼を闇の中、相手が有利な位置に誘導している。しかもそれを悟らせないように」
 「どういうことかしら」
 ギーシュは何かを思い出しながら答える。
 「たぶん、必殺の何かがあるんだと思う。あいつは現役の分、持久力が違う。現に君とあれだけのことをしているのに、全然弱った様子がない」
 「そういえば」
 キュルケは相手の底なしの精神力に思わず震えていた。
 「対してミスタは腕はともかくあいつの言い方からすると、二十年近いブランクがあると言うことになる。教師をしながら軍人並みの力は維持できないと思う。特に持久力は」
 技はともかく、スタミナは地道な訓練がものを言う世界だ。
 「そうね。つまりミスタは、一気に勝負を決めようとしているって言うわけね」
 「たぶん」
 「だとすると……そうだギーシュ、あのね……」
 キュルケはあることに思い至り、それをギーシュ伝えた。
 「確かに。任せてくれたまえ」
 彼がそう答えた時、状況が動いた。闇の中に閃光が炸裂する。風が巻き起こり、視界が閉ざされる。そしてそれが晴れた時、一人の男は立ち、一人の男は倒れていた。
 倒れていたのは……コルベールであった。
 
 「ミスタ!」
578ゼロと魔砲使い第23話-08 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 20:00:43 ID:LmYzcZx1
 「降参してほしい」
 闇の中、コルベールの声が響く。
 「ん? 隊長殿」
 返ってくるのは不思議そうな様子の言葉。
 「ついさっきもあんだけ殺っちまっている隊長殿が、今更俺を殺すのをためらうともおもえんしな」
 「ああ。やむを得ないとはいえ、もう後へは引けない。殺したくはないが、ためらうつもりはない。その方が危険である以上」
 「ならば、何故」
 心底不思議そうな声が闇に響く。
 「おまえを殺してしまって楽にするのはな。出来れば裁きを受け、罪を自覚してほしい」
 「そんなわけないだろうに。第一俺は、自分が悪いことをしているなんて思っていないぜ」
 「やはりか……やむを得ん。死んでもらう。いや、あのときにとどめを刺しておくべきだった」
 「来い隊長殿。隊長殿の全力、受けさせてもらう。それと、後悔役にたたずだぜ」
 「それは後悔先に立たずです」
 その言葉が終わると同時に、必殺の魔法は発動した。
 コルベールの爆炎には、一つだけ問題がある。水蒸気を油に練金した後、少し待たないと十分に拡散せず、効果にムラが出来て取りこぼす場合があるのだ。
 先ほどの会話は、その時間稼ぎを兼ねていた。
 最大速度で燃焼する油。急速に食い尽くされていく酸素。
 が。
 その瞬間、メンヌヴィルの足下で巨大な爆発が炸裂した。
 それに見とれた隙を逃さず、打ち込まれる火球。
 同時に風が吹いたためかすぐに火は消えたが、コルベールは全身に軽くはないやけどを負っていた。
 軽くはない、というところがポイントであった。決して即死するほどひどくはない、しかし身動きできるほど軽くもないという、絶妙な深度の火傷。
 すぐに治療すれば、少なくとも冷やせば後遺症もなく直る程度だ。だが放置すれば命に関わる。
 見事なまでに芸術的な『焼き加減』であった。
 「惜しかったな、隊長殿」
 メンヌヴィルが大きく鼻をふくらませつつ言う。
 「やはり……実にいい香りだ。今隊長を焼いたのは、俺が研鑽に研鑽を重ねた、もっとも人を長く焼き続ける火力の炎だ。人の体内の油に食いつき、じっくりと焼き上げるために調整された炎……ああ、至福だ」
 「……何……故」
 全身を苛む苦痛に耐えつつも、コルベールは問うた。
 「一見だったらさすがに俺でも死んでいたよ、隊長殿」
 メンヌヴィルはすべて判っているかのように答える。
 「だけど隊長、別働隊をその魔法で殺ったのは失敗だったな……風が運んでくれたぜ。かすかな油臭と、死の薫り……焼死じゃねえ、窒息死した奴の胸くそ悪い臭いをな」
 返事はない。かすかなうめきが返って来るのみ。
 「だから油臭がした時、ヤバいと思った。とっさにこっちからも爆発で迎え撃って、風を呼び込んだ。何とかうまくいったみたいだったぜ」
 そしてメンヌヴィルは、伸びをすると視線を別の方に向けた。
 「さて、前菜かと思っていたが、デザートになっちまったな、女」
 視線の先には、もはや立ち上がることすら出来なくなったキュルケがいた。
579ゼロと魔砲使い第23話-09 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 20:01:47 ID:LmYzcZx1
 ミスタ・コルベールが負けた。
 その瞬間、キュルケの中で何かが折れてしまったような気がした。
 だが、不思議と恐怖は感じなかった。心が麻痺してしまったのだろうか。
 目の前に浮かぶのはほんの数刻の思い出。
 わずかの時間に見た、まるで別人のような姿。
 ぶつかり合う炎と炎。
 自分が想いもしなかった、その荒々しい本質。
 どっくん、どっくん、どっくん。
 聞こえるのは、自分の鼓動だろうか。
 一歩一歩、男が近づいてくる。
 その手に炎を浮かべつつ。
 どっくん、どっくん、ドックン、ドックンドックン。
 鼓動が乱れる。不協和音が鳴り響く。
 どくんドックンどくドクんどク
 鼓動は乱雑な音を刻み続ける。気がつけばまわり中にその音が満ちている。
 ドクドクドクドクドクドクドクドク
 ドクドクどくドクドクどくどくドクドクドクドクどくどく
 
 とっくん……とっくん……とっくん……
 
 そんな中、一つだけ、奇妙に落ち着く音があった。
 そちらに注意を向けた瞬間、キュルケの意識が現実に戻ってきた。
 
 
 「焼け……うおっ!」
 「やらせは……しません」
 キュルケの眼前に映っていたのは、あの男にしがみついているコルベールの姿だった。
 今、自分は、コロサレルところだった。
 ミスタが、それを、じゃましてくれた。
 とびかけていた意識の中で、それが急速に認識された。
 どっくんどっくんどっくん。
 二重写しの意識に、先ほどの鼓動が響いている。
 その中でも特に不快なリズムが、恩人を責めさいなんでいる。
 キュルケの心の中に、むかつくようないらだちがわき上がってきた。
 鼓動は至る所で鳴り響いている。乱雑に響いていたそのリズムは、気がついてみれば至る所でその存在を主張するかのように鳴り響いていた。
 鼓動そのものは、母親の心音を聞いているかのようになじみ深い、安心できる音だった。なのにその音は気にくわない響きをがなり立てている。
 あの音が。あのリズムが。あの鼓動が。
 そして焦点を結ぶキュルケの視界。全身を熾火のような炎に包まれながら、苦痛に顔を歪めながら、それでも。
 
 生徒のことを想って身を挺する、教師の……男の姿が。
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 20:02:21 ID:bI29FkTY
支援
581ゼロと魔砲使い第23話-10 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 20:03:02 ID:LmYzcZx1
 その姿は、激しくキュルケの心を揺さぶった。
 ドックンドックンどくんどくんどくどくどくどく……
 彼を責めるものとは違う、心地よい鼓動が激しくビートを刻む。
 (ああ、これは)
 唐突に理解が及んだ。これは心臓ではない、魂の鼓動。
 情熱の鼓動。
 どくどくどくどく
 どくどくどくどく
 どくどくどくどく
 ど く ど く……
 それが激しくうなりを上げている。心臓が破れんばかりに激しく揺れている。
 だけど、何かが足りない。何かが流れを止めている。
 
 「はなせ、こら」
 「うっ!」
 
 視界の中で、男が打たれた。その瞬間。
 
 
 
 
 
 
 
 「やめなさいっっっっ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 どっくん!
 
 
 
 完璧に調和した、四重のリズムが全身を駆け巡った。
 どっくん。どっくん。どっくん。どっくん。
 どっくんどくん。どっくんどくん。
 どくどくどくどくどくどくどくどく。
 どんどんどくん。どんどんどくん。



 全身に力があふれる。ぶれていた意識が結合される。混乱していた精神と視界が、急速に正常になる。
 鼓動の音は相変わらず鳴り響いている。だが今それは、ごく当たり前のように自然に存在している、風景の一部でしかない。
 だが、それを乱している存在がある。暴れるそれが、大事な人を苛めている。
 それを見たキュルケの脳裏に、自然に一つの言葉が浮かんでいた。
 
 「スリザ……ナウーシュ……ダ・イーサ!」
 
 それは短いが、間違いなく『詠唱』であった。言葉は命令となり、現実を揺るがした。
 
 
 
 それは雪のように見えた。
 倒れ伏すコルベールの周囲に、どこからともなく白い雪が出現する。
 それと同時に彼を責めさいなんでいた淡い炎が、白い氷に取って代わられる。
 徐々に、徐々に、彼の体が薄い氷に包まれていく。
582ゼロと魔砲使い第23話-11 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 20:04:23 ID:LmYzcZx1
 「氷結の呪文だと! 女、貴様、水も使えたのか!」
 「いいえ」
 キュルケは答える。
 「私は『微熱』のキュルケ。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー 。情熱に燃える、炎のメイジよ」
 先ほどまでの恐れは微塵も感じさせずに、キュルケは男を睨み付ける。
 「なにがあった……先ほどまでとは別人だな」
 「ようやく判ったのよ。親友がたどり着いた境地が」
 そう。あの瞬間、キュルケは理解していた。混乱の中鳴り響いていた鼓動。激しいあのリズムこそが、炎の精霊の声だと。
 タバサが『歌』と呼んでいた、精霊の力の流れ。炎のそれは、万物の鼓動。
 炎は実体がない。なのははあらゆるものに魔力が宿り、それが魔法になると言った。
 だが他の三つ、地、風、水と違い、火にはその宿る基盤がない。ものを燃やせば炎が生じるが、逆に言えば『燃やす』という行動がない限り自然の炎は存在しない。
 唯一の例外としてあるのは、フレイムの尾に灯っている炎くらいだ。
 だが、今はっきりとキュルケには判った。
 炎は万物を暖める。その暖かさこそ、炎の根源。そしてそれは、普通は聞こえない、精霊の鼓動。精霊の情熱。
 自分をかばって打たれるコルベールの姿を見た時、キュルケの心の中に、今までの恋とは違う何かが灯った。そしてそれが、自分を押しとどめていた最後の関を打ち砕いた。
 情熱を燃やし尽くすこと。それを自覚すること。
 それが自分の殻を打ち破る、最後の鍵だったのだ。
 今の彼女には、自分たちを取り巻く炎の力が感じられる。地や、水や、風と並んで、自然に存在する『炎』の力が。
 (タバサ……あなたはこんな世界を見ていたのね)
 親友の魔法に対する感覚が激変した理由が、今こそ理解できた。現に自分にも出来たのだ。
 師を苦しめる炎の精霊に『止まれ』と命ずることが。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 20:04:43 ID:Tiolk1JF
しえん
584ゼロと魔砲使い第23話-12 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 20:05:55 ID:LmYzcZx1
 「先ほどまでとは違うようだな。ツェルプストーと言ったか。おまえ、隊長殿に惚れてでもいたのか?」
 揶揄するようでも隙のない言葉。メンヌヴィルの言葉に、キュルケは艶然とした笑みを浮かべつつ答える。
 「ええ、ついさっき、惚れたかも知れないわ」
 そう言いつつ、メンヌヴィルに杖を向ける。
 「だからあなた、燃え尽きなさい」
 同時に唱えられる詠唱。飛び出す火球。
 その速度は、メンヌヴィルをも上回る速さだった。
 「! なんだそれは、いきなり速くなりやがって!」
 必死に相殺しつつ叫ぶメンヌヴィル。余裕を持ったままキュルケは答える。
 「ついさっき、四つめに目覚めたみたいなのよ。詠唱の無駄も省けるみたいで」
 といいつつ再び襲ってくる火球。メンヌヴィルは慌てて闇に隠れた。
 (どういうことだ。さっきまで震えていた小娘が……だがここで負けるわけにはいけねぇ)
 闇の中で時間を稼ぎ、とびきりの一撃を放つ。
 だが、
 
 「……イーサ……イレイズファイア!」
 
 先ほど唱えたのと似た呪文と共に、必殺の一撃はあっさりと霧散していた。
 「ばかな!」
 さすがに唖然となるメンヌヴィル。
 「なにをしやがった!」
 「止めただけよ、炎の精霊を」
 平然と答えるキュルケ。
 「あの人を助けようとして浮かんだ魔法。精霊を止め、熱を奪い、あらゆる炎を消し止める『消炎』の呪文」
 「なん、だと……」
 まずい。さすがにメンヌヴィルも悟った。
 もしその魔法があらゆる炎を消し止めるというなら。
 自分には勝ち目がなくなる。
 実際に無限と言うことはないだろうが、先ほどこの女は「四つめに目覚めた」と言っていた。つまりスクウェアに届いた、ということなのだろう。
 彼は戦場などの極限下でいきなり爆発的に力を伸ばすメイジがいることを知っていた。
 こいつもそのタイプだったと言うことだろう。
 ならば正面切ってではまずい。
 メンヌヴィルは直ちに意識を切り替えた。コルベールと対峙した時のように、闇に紛れて優位を伺う。
 こちらが姿を隠したと見ると、彼女は詠唱に入っていた。
 巨大な熱量が出現する。だがどんなに威力があっても、当たらねば意味はない。
 (カウンターを決める……あれを放った時が勝負だ)
 今不用意に姿を見せれば、あれの直撃を受ける羽目になる。熱と臭いで周辺を感知できるとはいえ、視覚のない自分はとっさの動きに問題がある。
 相手に大きな隙を作らねば逃走は難しいのだ。
 と、その熱が何故か凝集をはじめたのを、彼の感覚は捉えていた。
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 20:06:41 ID:Tiolk1JF
ぶれいくするーしえん
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 20:07:38 ID:bI29FkTY
支援
587ゼロと魔砲使い第23話-13 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 20:08:15 ID:LmYzcZx1
 相手が闇に隠れたのを見て、キュルケは力を溜めることにした。今、自分の内側では、本来のものの他に四つの心臓の鼓動が聞こえる。
 キュルケはそれを太鼓に置き換えて意識した。タバサが楽器にたとえたのに倣ったのだ。
 四つのリズムを一つに合わせ、まわりのリズムと同期させる。
 自分の前に大きなリズムが刻まれる。だが、今ひとつキュルケには気にくわなかった。
 なんというか、百人の子供が遊んでいるような感じを受けたのだ。集まっているもののてんでんばらばら。このまま相手に放っても、まさに子供の喧嘩のような気がした。
 (どうせなら隊列を組んだ兵隊みたいに、きちんと整列している方がかっこいいし、威力もありそうね)
 そんなことを考えて、詠唱を変化させ、隊列を整える。
 それはタバサがフライの呪文を調整した時と同じ行為であった。
 一つの音がリズムを生み、二つの音で縦と横に整列をさせる。そして残る一つのリズムで相手に撃ち出す。
 そしてリズムがそろった時、目の前の巨大な火球は、人の頭ほどの、妙に実体感のない光の球になっていた。
 それは何か見覚えのある球だった。
 (あ……なのはの魔法、あの光の球)
 この大きさだと、ゴーレムを打ち倒した時に見たあの魔法くらいだろうか。
 その瞬間、最後のイメージが形になった。
 キュルケは、じっとある一点を見つめていた。
 
 メンヌヴィルの不覚は、彼女が使い魔を連れていたのを忘れたことだろう。
 闇に潜む彼の姿は、炎の蜥蜴によってその位置を把握されていた。
 そしてキュルケがためらわずに闇に潜む自分に杖を向けたのを、目の見えないメンヌヴィルは察知できなかった。
 それに気がついた時は遅かった。背後に感じる小さい熱源……それが燃えていた森ではなく、あの火蜥蜴のものだと気がついた時には、キュルケの口から最後の一言が放たれるところだった。
 
 
 
 キュルケが放とうとしていた魔法。
 それは熱を整列させて放つもの。
 さて、少し考えてみよう。
 熱は分子の振動である。同時に熱は電磁波の一種でもある。
 熱を持つ物質は、赤外線のような形で電磁波を放出している。
 本来ランダムなそういうものを、きちんと整列させるというのはどういうことだろうか。
 また『火』の属性は、その特性上『光』を内包している。
 
 
 
 結論……電磁波の位相をそろえて一方向に打ち出す。
588ゼロと魔砲使い第23話-14 ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 20:09:32 ID:LmYzcZx1
 キュルケは、初めてそれを見た時から、内心あこがれを持っていた。
 虚無の使い魔、なのはの魔法。ミッドチルダ式と名付けられた異界の魔法。
 自在に誘導される光球、ディバインシューターとアクセルシューター。
 巨大ゴーレムすら粉砕する光の魔砲、ディバインバスター。
 そして周辺のすべてを滅ぼす滅びの魔法、スターライトブレイカー。
 そして今自分が放つ魔法にも、それが反映された。
 キュルケにも具体的にはともかく、ここから自分の放つ『炎』が、常のものとは違うことは感じられていた。
 故に、その解放の言葉は。
 
 
 
 『フレイム・バスタアァァァァッ!』
 
 
 
 その言葉と同時に、光球は一条の光線となって、闇に潜んでいた男を打ち据えた。
 
 
 
 
 
 
 
 メンヌヴィルは痛みを感じる暇すらなかった。見えないはずの目が、かすかな光を感じたかのような錯覚を覚えた瞬間、胴体の半分が消滅していた。そこからはあまりの高熱で瞬時に焼かれたため、肉の匂いすらろくに漂ってこない。
 「驚いた……な……」
 その言葉と共に、盲目の戦士は絶命した。
 
 
 
 
 
 
 
 「な、なんだ、ありゃあ」
 窓から外の様子をのぞいていた六人の男達は、最後にキュルケの放った魔法を見て仰天していた。
 わずかな閃光のみを放ち、相手を倒す謎の魔法。
 それに見とれたのが命取りになった。
 気配を感じた時は遅かった。突然出現した気配に気がついた時には、すでに首を絞められていた。
 人間ではなかった。突然出現した女性型のゴーレムが、仲間の首を絞め、同時にこちらの身を拘束していた。
 意識が落ちる瞬間に見えたのは、金髪の少年が女生徒の拘束をほどき、同時に縦ロールの女性に飛びかかられて倒れるところだった。
 
 
 
 
 
 
 
 こうして、魔法学院を襲った謎の一団は、一人の教師と二人の生徒の活躍によって無事に収束したのであった。
 さえない禿頭の教師が、学園で一、二を争う美女に惚れられるというオチを残しつつ。
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 20:10:41 ID:8dWznFPe
支援
590ゼロと魔砲使い ◆IFd1NGILwA :2009/01/07(水) 20:13:56 ID:LmYzcZx1
以上、投下終了です。
キュルケ、ついに必殺技を身につけました。レーザー光線。
光速で炸裂するその熱戦は、誰にもよけることは出来ない。
もっとも実は霧やなんかに弱いという弱点も山ほどありますがw 火の呪文なので水は鬼門。

次は再びロマリアへ。タイトルもたぶん『教皇』。
そしてビダーシャルさんがガリアに帰還したあたりから最終エピソードに突入します。
突っ走りますよ〜。
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 20:13:59 ID:f6cCyFjX
支援
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 20:16:35 ID:bI29FkTY
魔砲のヒトGJです
相変わらず戦闘の演出が上手で読んでいてわくわくしました。
大出力レーザーか。一瞬で攻撃が終わるスクウェアスペルだろうから見破られる心配もほぼない必殺技ですな。
次の話を楽しみにしております。
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 20:35:12 ID:cykIyyY7
魔砲のひとGJでしたっ!
キュルケの新必殺技、範囲を広げればハイメガキャノンみたいなMAP兵器になりそーな。
問題は発動前の溜めが長そうだということくらいでしょうか?

ともあれ、次回の話も楽しみにしています。
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 20:54:46 ID:a+kjindf
覚醒イベントこそなさそうだが地味にギーシュが強くなってるのがいいな
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:02:32 ID:pQCZLWuQ
ファイナルフラッシュ受けたセル状態かよ
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:05:43 ID:GVmOXTKB
GJ!
なんかベギラマ使えるようになった時のポップ思い出した
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:12:54 ID:8p6OdeD/
すげーな!火の系統からここまで発展した魔法ができるんか!
GJっした!

作者の1人として、戦闘表現はお手本にさせていただきます。
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:18:58 ID:va0ch0Qh
色々な奴をまとめで読んできたけど、魔法についての考察やその説得力
成長するのは何もルイズだけじゃなく、皆も成長していく姿が一番かっこいい
毎度の事ながら思わず読みふけってしまった、GJ
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:22:14 ID:k6g4hfpn
>>563
kwsk!
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:23:46 ID:JqAY4tru
>>599
あんそく 雪中の奇跡でググレ。
スレ違いスマソ
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:24:26 ID:rPROZkZL
なんかギーシュの冷静さに惚れた
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:28:08 ID:ETGbRajr
ギーシュはあれだけの強敵と渡り合ってるんだ
そりゃ強くもなるだろ
603ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 21:38:38 ID:iRLWnUmf
 魔砲の方、乙です。
 そう言えば炎ってメチャクチャ温度を上げると、プラズマ化するらしいですね。

 では、他に予約の方がおられなければ、21:45から第21話の投下を行います。
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:39:40 ID:5aC9KnYB
ブレンを呼んでルイズにめーでしょ!してほしい
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:40:16 ID:FeivDmBi
おお。とりあえずオープニングを歌いながら支援準備だ

むねーに つけーてる まーくは りゅーせー
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:42:28 ID:rPROZkZL
>>604
是非ヒメブレンを呼んでヒメとセットでやってくれたまえ
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:42:28 ID:JqAY4tru
事前支援と行くか
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:44:17 ID:OqIhOcN7
支援
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:44:39 ID:5aC9KnYB
>>606
ルイズと一緒に

「ちゃくらえくすてんしょーん」
「しゅーとー」

の棒読みですね、分かります
610ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 21:45:00 ID:iRLWnUmf
「あれ、使い魔さん? それにミスタ・グラモンも……」
「……お前は……」
「おや、確か学院のメイドじゃないか。どうしてこんなところに?」
 タルブの村に到着するや否や、『貴族の方がおいでなすった』と村長を始めとする村の主要人物がエレオノールたち一行を出迎えたのだが、そこでユーゼスとギーシュは見知った顔と出くわした。
 最近は洗濯を免除されたので顔を合わせていないが、それ以前はよく朝に洗濯するために洗い場で一緒になった……。
(……名前は、何だったか)
 確かいつかどこかで名前を聞いたような気はするのだが、特に名前を呼び合う必要も、そもそも会話する必要すらなかったので忘れてしまった。
 仮に他の人物との会話でこのメイドの話題が出たとしても『あの黒髪のメイド』で済んでしまうので、覚えようとする意欲そのものが湧かなかったのである。
 しかし村娘の格好をしている今のこの少女を、『メイド』呼ばわりするのは問題があるような……。
「シエスタ、この方たちを知っているのかね?」
「はい。わたしが勤めている魔法学院の生徒の方と、別の生徒の方の使い魔で平民の人と……」
 言いよどむメイドだった村娘―――シエスタ。タイミングよく村長が娘の名前を呼んでくれて、助かった。
「えっと……申し訳ありませんが、そちらの方は?」
 なぜかシエスタはユーゼスに質問してくる。
 ……貴族に直接質問するよりは、その従者のような立場の自分に質問した方が良いと判断したのだろう。
 特にギーシュはシエスタと一悶着あったし、エレオノールに至っては完全に初対面、しかも高圧的な空気を撒き散らしていて容易には近寄りがたい。
 なるほどな、と感心しつつもユーゼスはその質問に答えた。
「私の御主人様の姉君にあたる方だ。エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール……で良かったか?」
 人物紹介を疑問系で締めくくるユーゼス。
「そうだけど……何でわざわざ確認なんか取るのよ?」
「お前の名前は長いからな、間違って覚えている可能性も少なくない」
「……ああ、そう。短い名前の人間はそんな心配をする必要がなくて便利よねぇ、ユーゼス・ゴッツォ?」
「全くだな、ミス・ヴァリエール」
 また始まったよ、とばかりに横にいたギーシュは溜息を吐く。
 道中、この二人の会話はいつもこんな感じなのである。
 そして『こんな感じの会話』に上手く入れない自分としては、とても居心地が悪かった。
 まあ、そんな道中もここで終わりのはずなのだが。
611ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 21:47:25 ID:iRLWnUmf
「……………」
 タルブ村の面々は、驚いていた。
 ヴァリエールと言えば、確か広大な領地を所有しているトリステインでも屈指の名門貴族のはずだ。そのくらいはこんな田舎の村でも知れ渡っている。
 ……しかし、そのヴァリエールの人間と対等に会話をするこの銀髪の男は、一体何者なのだろうか?
 シエスタの話によれば『使い魔の平民』だそうだが、こうまで貴族と対等に話す平民など、今まで見たことがない。
 いや、そもそも『使い魔』が『平民』?
 何だかよく分からないが、とにかく凄い人物なのかも……と、本人が聞いたら間違いなく良い顔はしないだろう評価をユーゼスは受けていた。
「……………」
 一方、ある程度はユーゼスを知っているシエスタも驚いていた。
 自分が持っているユーゼスのイメージと言えば、無口・無愛想・無表情の三拍子に、桃髪のミス・ヴァリエールの世話を色々としていて、よく知らないけど頭が良いらしい人。
 そんな感じの人のはずだったのに、少なくとも他人とここまで軽妙……と言うほどでもないが、とにかくスムーズに会話をするとは、びっくりだ。
 『アンリエッタ姫の結婚式も近いので休暇をとって良い』と魔法学院から帰郷の許可をもらったのが数日前のこと。
 その更に数日前あたりから姿が見えなかったが、それから今までに何かあったのだろうか? もしやこの金髪の女性と……いやいや、いくら何でもそんなことは……。
 そんな感じでタルブの村人たちが揃って首をひねったり驚いたり妄想に花を咲かせたりしていると、エレオノールが一歩前に出て村長に申し出る。
「前置きも歓迎も必要ないわ。……早速だけど、この村にあるという『銀の方舟』を見せていただけないかしら?」
「は? ……まあ、構いませんが……んん?」
 言われた通りに村の秘宝がある場所へと案内しようとする村長だったが、何かに気付いたようにエレオノールの顔をジッと見つめ始める。
「……いきなり貴族の顔をジロジロと見て、何?」
「あ、これは失礼を。……申し訳ありませんが、お尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「言ってみなさい」
 失礼な平民ね、と言わんばかりの態度を取りつつ、エレオノールは村長の質問を聞く。
「血縁の方が、33年ほど前にこのタルブにお越しになったことはございませんか?」
「33年前? ……生まれてないから分からないけど……どうしてそんなことを聞くの?」
 村長は昔を懐かしむようにして語り始める。
「その頃、村にやって来た貴族のご一行様の中に、あなた様と目元がよく似た女性の方がおられたもので……。髪の色は違うのですが。しかし、あの方々と同じく『銀の方舟』が目的とは、これはまた……」
「……待ちなさい。その一行とやらは『銀の方舟』を持って行かなかったの?」
 自分に似ているとかいう女性はともかく、その一行が『銀の方舟』を持って行かなかったという点が引っ掛かる。それはつまり『持って行く価値がなかった』ということだ。
 ……見たところ凶暴な怪物や幻獣が近くにいる様子もないし、本格的にハズレか……などと思い始めていると、
「はい。動かすことは出来たのですが、その動かした……黒い帽子に白い楽器を背負った男の方が、『自前の移動手段があるから、別にいい』と言いまして」
「?」
 少し聞いただけでは、理解のしにくい話だった。
 ともかく、いつまでも村の入り口で立ち話も何なので、目当ての『銀の方舟』に向かうことにする。
(……まさか……)
 『銀の方舟』に向かって歩いている途中、ユーゼスは嫌な予感を感じていた。
 ……なぜなら、彼には“『銀の方舟』を動かすことが出来る”、“黒い帽子に白い楽器を背負った男”に心当たりがかなりあったのである。
612ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 21:49:55 ID:iRLWnUmf
 『銀の方舟』が安置されている倉庫……いや、『銀の方舟』が先にあってそれを囲むように倉庫が作られていると言った方が正しいだろう。
 そこにあったのは、ユーゼスの予想通りのものであった。
 しかも宇宙用である。
「へえ、鉄をここまで見事に加工するとは……」
「……いえ、これは鉄ではないわね。もっと別の金属よ」
 その装甲に使われている技術だけでも、土メイジのギーシュとアカデミーの研究員であるエレオノールは興味を惹かれる。
 だが、最もこれを興味深そうに観察するであろうユーゼスが一言も発していないことに気付き、彼の方に視線を向けると、
「「?」」
 そこに、珍しい物を見た。
 ユーゼスが感慨深げに『銀の方舟』を眺めていたのである。
 この旅では随分とユーゼスの違った一面が見られるなぁ、と思いながらもギーシュはユーゼスに話しかけた。
「もしかしてこれを知ってるのかい、ユーゼス?」
「……取りあえずはな」
 言って、ユーゼスはあらためてその銀と赤の戦闘機を眺める。
 ―――胸によぎるのは、かつての記憶。
 忘れもしない。
 アレの同型機に自分が作った大気浄化弾を運搬させて……。
(コンバットスーツに付属している高性能探知機と同じ物を、ウルトラホーク2号に組み込んだこともあったか……)
 そんな作業もやった覚えがある。
 ……懐かしさと苦い記憶のフラッシュバックが混在する、何とも妙な気分だった。
「「……?」」
 そんなユーゼスを見て、怪訝な顔をするエレオノールとギーシュ。
 しかし、ずっとそうしているわけにもいかないので、『銀の方舟』の検分を再開する。
「……でも、これが飛ぶってのはいくら何でもあり得ないでしょう」
「そうですね、こんな金属のカタマリが飛ぶわけはないです。この翼だって羽ばたくようには出来てませんし、後ろに付いてる……何だこりゃ? とにかく変な銀色の物にだって、これを飛ばせることは出来ないでしょう」
「使われてる金属は、研究する価値がありそうだけど……」
 何しろこの中型のドラゴンほどもある大きさでは、運ぶのも一苦労だ。
 やっぱりハズレか、と辟易する貴族二人だったが、そこに村長が声をかける。
「いえ、これは飛んだことがあるんですよ」
「え?」
「はぁ?」
 にわかには信じられない言葉だったが、村長は話を続けた。
「先ほど言った、ご一行の『黒い帽子の方』がこの『銀の箱舟』の中に入り込んで、中の……私たちにはよく分からんのですが……出っ張りや光るガラスをチョチョイといじったら、動き出しまして」
「……本当?」
「本当ですよ! 実際に見た本人が言うんですから、間違いありません!
 で、その方が言うには『ネンリョウがほとんどゼロで、セイビも必要だ』ってことでして」
 その言葉に反応したのは、ユーゼスである。
「待て、その状態でどうやって動かすことが出来た?」
「はあ、最初にこれに乗ってどこかから飛んで来たって言ってたタケオ爺さんと話をして、『銀の方舟』の中に入ってた『コウグバコ』って箱から鉄の棒みたいなのを取り出して、二日か三日くらいかけて色々やっておりました。
 ……それと確か『ジェットネンリョウ』とかいうのを、貴族の女性の方のツテで呼びつけた土メイジの方に『錬金』で作ってもらってましたね」
「…………なるほど」
613ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 21:52:10 ID:iRLWnUmf
 『俺は整備の腕もニッポンイチだ』とか言ってました、と言う村長の話を聞き流しつつ、ユーゼスは思案する。
「……気になる点がある。これの本来の持ち主と『黒い帽子の男』とやらは会話をしたのか?」
「したはずですが」
「その内容は?」
「……う〜〜ん……、何せ33年も前の話ですからねぇ……。
 ……あ、そうだ、『俺は戻るつもりだが、アンタはどうする』とか『年を取りすぎたし、家族も出来たから自分は行けない』とか言ってたような……」
「ふむ」
 取りあえず納得はいった。
(しかし、あの男はどこにでも現れるな……)
 鞭を取り出して、それを見つめる。
 もう、本当に『イレギュラー』としか形容する言葉が見当たらない。
 あの男が今、自分と同じ時間軸に存在していないことは、果たして良いことなのか悪いことなのか……。
「……ちょっとユーゼス、一人で納得してるところ悪いんだけど」
「む?」
 少し不機嫌そうな(と言うか、ほとんどの場合において不機嫌そうなのだが)エレオノールが、ユーゼスに話しかける。
「結論だけ言いなさい。これは飛べるの?」
「飛べるぞ。……私の予想通りの人間が整備して、燃料までチェックしたのならば、確実にな」
「はあ……」
 ユーゼスがそこまで言うのならば、本当に飛べるのだろうが……。しかし、どうやって飛ぶと言うのだろう。
 それを質問してみると、
「まず機体の下部からジェット……高出力の炎が噴き出して、宙に浮く。次に後部の噴射口からまた高出力の炎を噴射させて、前進した後は翼で揚力などを得て、という感じだな」
「?」
 そう言われたが、どうにもイメージが掴みにくい。
「……実際にやった方が早いか。村長、これを飛行させて構わないか?」
「そりゃあ、飛ばせるものなら……ああ、そうだ、忘れておりました」
 いきなり何かを思い出すと、村長は『少々お待ちください』と言ってどこかへと走っていく。
 そして15分ほど経過した頃、息を切らしながらボロボロの本を持って戻ってきた。
「ハア、ハア……。こ、これです。ここに書いてある文字なんですが、読めるでしょうか?」
 表紙に書かれた文字を指差す村長。
 ……長い年月を経たせいか、その文字は随分とかすれていたが、それでも何とか読むことは出来た。
「『ジェットビートル操作マニュアル』、だな」
「では、これは」
 続いて村長は、その下に手書きで書き込まれている文字を指差す。
「……『国際科学警察機構 科学特別捜査隊 日本支部隊員  ササキ タケオ』」
 なお、『科学特別捜査隊』は通称『科学特捜隊』、あるいは更に縮めて『科特隊』とも呼ばれていた。
(…………しかし、本当にジェットビートルとはな)
「おお、読めますか! ……いえね、『少なくともこの文字を読める人間でなくては、これを渡してはならん』とタケオ爺さんからキツく言われてたもので……」
「そうだろうな」
 内心は少々複雑であったが、その科特隊隊員の心情は理解が出来た。
 ……自分の乗機を渡すのなら、せめて自分の世界の人間に渡したかったのだろう。
「では、これを。よく分かりませんが、動かすためには必要な物だそうで」
 そうしてマニュアルを差し出される。
 ジェットビートルが『兵器』である以上、ガンダールヴの効果が発揮されるのでわざわざマニュアルを読む必要などはないが、あるのならば貰っておいて損はない。
 ユーゼスはマニュアルを受け取り『危険だから下がっていろ』と言うと、搭乗口に立てかけてあるハシゴに向かっていく。
 ……しかし、33年前に来たという『あの男』ならば、ガンダールヴのルーンや操作マニュアルなど無くとも自由自在にこれを動かすであろう様子が簡単に想像出来て、少し憂鬱だった。
614ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 21:54:15 ID:iRLWnUmf
「……………」
 中に乗り込み、操縦席へと向かう。
 ……まさか、自分がこの席に座るとは思わなかった。
 それでは取りあえず倉庫からこれを出して、それなりに広い場所に出た後、周囲に人がいないことを確認して―――
「ん?」
 そこまで考えたところで、前方に妙な物があることに気付いた。
 空中に浮かんでいる……いや、風防に貼り付けてあるそれは……。
「あら? 母さまが持ってるのと同じじゃない、それ」
「む?」
 いきなり横から響いてきた女性の声に振り向くと、そこにはエレオノールがいた。更に後ろを見れば、ギーシュも乗り込んでいる。
「お前たちも乗ったのか」
「当然でしょう。この『銀の方舟』が、どのくらいの速度でどんな飛び方をするのかは知らないけど、『そのまま飛んで行って戻って来ませんでした』なんてことになったらルイズに合わせる顔がないわ」
「それで置き去りにされても困るし……」
 どうやら自分の逃亡を警戒しているようだ。……当然か。
「それは分かったが……『このカードに見覚えがある』とは、どういうことだ?」
 ユーゼスは風防に貼られていたカードを剥がして、エレオノールに見せる。
 ……白地に赤く、『Z』を模したデザインのマーク。
 こんなものを持っている人間は、数多の並行世界広しと言えどあの男しかいない。
 いや、このハルケギニアでも色々と活躍したらしいから、持っている人間がいても不思議ではないのか。
「子供の頃、母さまが大事そうに持ってるのを見た覚えがあるのよ。『それは何ですか』って聞いても、『昔の知人から貰いました』としか言ってくれなかったんだけど」
「ふむ」
 そう言えば、ルイズの母……つまりエレオノールの母は、昔に『あの男』と行動を共にしていたとオールド・オスマンが言っていた。
 ならばこのカードと同じ物を持っていても、それほどおかしくはない。
「よく分からない文字が書いてあるけど、何て書いてあるの?」
「『整備完了 燃料満タン』だそうだ」
「セイビ……ネンリョーマンタン? どういう意味?」
「後で説明する。しかし、到着から約60年も経過していると言うのに、随分と状態が良いな」
 これならば、ほとんど現役で通用するほどだ。
「わざわざお金を払って土メイジを呼んで『固定化』をかけてもらったらしいわ。さすがにこの大きさだから、金額はかなりかかったらしいけど」
「……つくづく便利な物だな、魔法とは」
 呆れたものか感心したものか、判断に困る。
 まあ、とにかく発進させよう。
 ルーンを通して流れてくる『発進・操縦方法』に従い、パチンパチンとスイッチを入れて計器をチェックする。
 するとエンジンが起動して、『銀の方舟』―――ジェットビートルに低い音と振動が響き始めた。
 ジェットビートルの後部ブースターに軽く火がともり、ゆっくりと機体の底に付けられた車輪が前進を始める。
「ホ、ホントに動いた!?」
「どういうマジックアイテムなの、これは!?」
 驚くギーシュとエレオノール。
 見れば、周囲にいた人間たちもワーワーと騒いでいる。
(……完全にオーバーテクノロジーだからな。無理もないか)
 しかし、エレオノールに『これはマジックアイテムではない』ということを説明するのには、かなり苦労しそうである。
 何せ、エンジンの仕組みや燃料の役割、航空力学まで交えて説明をしなければならないだろうから。
615ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 21:56:20 ID:iRLWnUmf
 そのままジェットビートルを広い平原まで移動させる。
 この機体は通常の航空機とは違って発進のために滑走路を必要としないので、ある程度のスペースがあれば飛行は可能なのだ。
 と、ユーゼスはそこで重要なことに思い当たった。
「……これを飛行させるのは許可を得たが、そのままいただいてしまって構わないのか?」
 一応、これはタルブ村の物のはずである。
 操縦が出来るからと言って、勝手に貰っていく……というのは、さすがにどうだろうか。
 だが、それにエレオノールは素っ気なく答えた。
「別に構わないそうよ。無駄に大きいし、管理も面倒だし、飛ばそうにも動かせる人がいないしで、今じゃ村のお荷物だとか」
(まさに宝の持ち腐れ……いや、オーパーツなど、そんな物かも知れないな)
 どれだけ優れた技術の結晶も、価値が理解されなければガラクタとそれほど変わらない。
 内心でわずかに苦笑しつつ、ユーゼスは飛行の手順を進めた。
「む?」
 そこで、エレオノールとギーシュが『操縦席の中で直立している』ことに気付く。
 いくら何でも、これは危険だろう。
「……座席に腰掛けて、固定用のベルトを締めろ。発進時の衝撃はそれなりにあるはずだ」
「べると?」
「椅子に付属している、金具付きの帯のことだ」
 ギーシュはよく分かっていない様子だったが、それでも素直に座席に座ってガチャガチャとベルトを装着し始める。やはり取り付けるのには若干苦労していたが、そこは横から自分が口を出すことでどうにかなった。
 ……だが、エレオノールはベルトどころか座席に向かうことすらしていない。ユーゼスのすぐ横で、その手元をじっと見ている。
「『座れ』と言ったはずだが?」
「座ったりなんかしたら、あなたが何をやっているのか見えにくくなるでしょう」
「……御主人様と接している時もたまに思うが、お前たちはなぜこうも意固地と言うか、頑固と言うか、意地の張り所を間違えていると言うか、融通が利かないと言うか……」
「フン、あなたは黙ってこれを動かしてなさい」
「了解」
 取りあえず皮肉のようなことを言ってみたが、効果は無いらしい。
 そして姉にしろ妹にしろ、一度こうなったヴァリエールの女を口で言い負かすのは不可能である、とユーゼスは経験として知っていた。
 なので、黙って従うことにする。
「どうなっても知らんぞ」
「いいから、早く飛ばしなさい。……それとも、やっぱり『動く』だけで『飛ぶ』ことは出来ないの?」
「今、飛ばせる」
 ……そこまで言うのであれば、もうこちらからは何も言うまい。
 ユーゼスは機体の底に付いている3基のブースターを起動させ、ジェットビートルを垂直上昇させる。
「う、う、浮いたぁ〜〜!!?」
「こ、こんなのが宙に浮くなんて、どういうこと!!?」
 ある程度の高度まで上昇し、目的地を定める。着陸用の車輪を収納することも忘れてはいけない。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:56:32 ID:6pTNgWtb
新たなる魔改造佐々木さんがまた一種類生まれた支援
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:57:23 ID:JqAY4tru
支援
618ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 21:58:25 ID:iRLWnUmf
「行き先は魔法学院で構わないか?」
「え? ……えーと、そうね、あなたたちもそろそろ戻らないといけないでしょうから、そこで構わないわよ?」
「うむ」
 10日も留守にしていたのだから、そろそろ戻らねばなるまい。
 後部ブースターを操作し、ゆっくりと大きくカーブを描いて方向転換を行う。
「ま、ま、ま、回ったぁぁあ〜〜!!? そして動いたぁぁあああ〜〜〜!!?」
「……いちいち驚くな」
 オーバーリアクションを繰り出してくるギーシュに、一言だけ釘を刺す。
 ちなみにエレオノールは自分の手元を見ながら色々と考えているようだった。
「では、行くぞ」
 最後に後部ブースターに本格的に出力を回し、次の瞬間、
「っ!」
「うおっっ!!??」
「きゃあああああああ!!!??」
 爆音と共に、猛スピードで前進するジェットビートル。
 当然、反動でコックピットの中は大きく揺れた。
 何しろ『揺れる』ことをあらかじめ知っていたユーゼスですら多少ひるんだのだから、予備知識のないギーシュなどは仰天しっぱなしである。
 そして、ベルトをつけずに座席に座りすらしなかったエレオノールはと言うと。
「ぐっ……」
「ぅ、ぅうう〜……」
 大きく揺れたコックピットの中でバランスを保てず、何かつかむ物はないかと手を動かした、その結果。
「……私を掴むな、ミス・ヴァリエール」
「し、仕方がないでしょうっ!!」
 動かした手はユーゼスの肩を捉え、更にユーゼスの方に倒れ込み、傍から見れば『ユーゼスの膝の上にエレオノールが乗っている』という形になってしまった。
「とにかく、早くどけ」
「それが出来たら、そうしてるわよ!」
 大抵の男にとっては憧れのシチュエーションでも、ユーゼスにしてみればハッキリ言って操縦の邪魔でしかない。
 エレオノールにしても、普段であれば即座にユーゼスの膝の上から脱出しているのだが、今回は脱出が出来ない理由が存在していた。
「……立って動いたりしたら、転ぶでしょう」
 このジェットビートルを『動かすことが出来る』とは言え、これがユーゼスにとって『初めての操縦』である以上はやはり振動は多く、また多少のグラつきがある。
 貴族が無様に転ぶ姿などをさらす訳にはいかない以上、エレオノールとしてはユーゼスにしがみ付かざるを得ないのだ。
「く、屈辱だわ……」
「だから『座ってベルトを締めろ』と言ったのだ」
「何よ!」
 相変わらず頭に来る喋り方をする……と、エレオノールは文句を言おうとユーゼスの方を見て、反射的に顔を近付ける。
 そして、ふと気付くと。
「…………!!」
 目の前、数サントに、ユーゼスの顔が、至近距離で。
「っ!」
 エレオノールは思わず顔をそむけた。
 ……動悸が激しかったり、顔が妙に熱かったりするのは、初めてこの凄い乗り物に乗ったせいだ。そのはずだ。そうに決まっている―――と自分に言い聞かせる。
 そんなエレオノールの内心の動揺などはつゆ知らず、ユーゼスはどうしてか顔が紅潮している彼女を見て、思わず心の呟きを口に出す。
「なぜ顔をそらす?」
「うるさいわねっ、この馬鹿!!」
「?」
 ……ポツリと疑問を言っただけなのに、なぜ自分が馬鹿呼ばわりされなければならないのだろう。
 首を傾げるユーゼスと相変わらず赤面するエレオノールだったが、そんな彼らに構わずジェットビートルは猛スピードで進んでいく。
 なお、余談ではあるが。
 この日、この瞬間において、ギーシュ・ド・グラモンはユーゼス・ゴッツォに対して初めて『馬鹿かコイツ』という感想を抱いたのであった。
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 21:59:23 ID:JqAY4tru
支援
620ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 21:59:55 ID:iRLWnUmf
 ルイズは落ち込んでいた。
 自分の使い魔が、長姉とギーシュと一緒に出かけてから、早10日。
 その間、一切の音沙汰はなく、どこにいるのかすら分からない。
 『宝探しに行った』ということくらいは知っているが、どこにどのような宝を探しに行ったのか、全く知らない。
「……そう言えば、わたしがアイツについて知ってることって、どのくらいあったっけ……」
 まず、どこか『遠く』から自分が召喚したこと。
 ハルケギニアの常識に疎いこと。
 何かを研究してたらしいこと。
 頭がいいこと。
 あんまり強くなくて、体力もないこと。
 乗馬が下手なこと。
 あと、ゲートの感知が出来ること。
「それと…………あれ?」
 他に『自分が知っているユーゼスについての情報』は、何があっただろうか。
「…………ない」
 いや、よくよく思い返してみれば、もっともっとあるはずなのだが、パッと思い付くのはそのくらいしかなかった。
「わたし、アイツのこと何にも知らない……」
 ユーゼスはルイズに対してほとんど自分の情報を明かしていなかったので、これはある意味では仕方がないことなのだが、ルイズにとっては『仕方がない』で済ませられることではない。
 いっそのこと、自分も『宝探し』に付いて行けばよかったかしら……などと思っても、後の祭りである。
「詔(ミコトノリ)だって、あんまり進んでないし……」
 アンリエッタの結婚式まで、もう1週間ほどしかない。
 本来ならば、一心不乱に敬愛する姫さまのために詔を考えなくてはならないのである。
 しかしふと部屋を見回してみると、部屋の隅には空っぽの藁束が。
「うぅ……」
 それを目にしてしまうと、どうにもこうにも寂しさがこみ上げてきて、とても詔どころではなくなってしまうのだ。
「さみしい……」
 向かいの部屋のキュルケは相変わらずちょっかいをかけてくるし、授業に出れば同学年の生徒たちだってたくさんいるのだが、それだけではこのさみしさは埋まらない。
「どこ行ったのよぉ……」
 ルイズは、もう何度目になるのか分からない呟きと溜息を漏らす。
 ―――その瞬間、魔法学院に轟音が走った。
「ひゃあっ!!?」
 思わず驚きの声を上げるルイズ。
 轟音はゴゴゴゴゴ、とけたたましく学院中に響き渡っており、その影響で学院全体が小刻みに揺れていた。
「な、なにごと!?」
 音が聞こえた方向からすると、中庭あたりで何かがあったようだ。
 しかし、爆発……にしては音が長続きしすぎているし、何かが燃えている……にしては音が大きすぎる。
 一体何なのかしらと警戒していると、やがて轟音はピタリと止まった。
「?」
 ワケが分からない。
 好奇心旺盛な生徒が、いち早く中庭の方に様子を見に行ったようだが……。
「……まあ、危険なものならもっと大騒ぎになってるだろうし……」
 悲鳴や絶叫が聞こえてこないということは、誰それが怪我をしたとか、ナントカが暴れているとか言うことではあるまい。
「って、何だかユーゼスみたいな考え方ね……」
 そんなことを考えていると、外から声が聞こえてきた。
「おい、中庭に大きな鉄のカタマリが落ちて来たんだって!?」
「いや、落ちて来たんじゃなくて、飛んで来たんだ!」
 別に何が落ちて来ようと、飛んで来ようと、地面から出て来ようと、ルイズには関係が―――
「中から人が出て来たぞ!」
「おい、アレはギーシュと……ルイズの使い魔じゃないか!? それに誰だ、あの金髪の人!?」
「……はぁ!!? 何ですってぇ!!!?」
 ―――関係が、大アリである。
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:01:22 ID:JEWEc/CQ
何かユーゼスがヴァリエール家に行ってカトレアさんを見たら激しく悩みそうだな。
「何故この者だけこうも違うのだ…(色々な意味で」とか
支援
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:01:43 ID:JqAY4tru
支援
623ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 22:03:28 ID:iRLWnUmf
「……中庭に着陸させたのは失敗だったな」
 ジェットビートルの周囲にワラワラと集まってきた野次馬たちをジェットビートルのコックピットから眺めながら、ユーゼスは溜息を吐いた。
 どこか適当な場所に着陸させようと思い、中庭が良い感じに開けていたのでそこに着陸させたのだが……。
「これでは、落ち着いて点検も整備も出来ん」
 後で学院の敷地外に移動させるか、などと思いながら、取りあえず同乗者たちに到着したことを伝える。
「魔法学院に着いたぞ。……どうした、酔ったか?」
 しかし相変わらず膝の上に乗りっぱなしのエレオノールも、振動しながら猛スピードで進むことが怖かったのか座席の端を握り締めているギーシュも、どこか唖然と言うか呆然としていた。
 ちなみに操縦者が酔うと笑い話にもならないので、ユーゼスは因果律を操作して自分の酔いをキャンセルし続けていた。
 それはともかく、エレオノールやギーシュの呟きに耳を傾けてみる。
「タ、タルブから、1時間かからずに……」
「……どうなってるんだ……」
「何だ、そのことか」
 ジェットビートルの最高速度は、マッハ2.2。時速に換算すれば毎時約2700キロメートルほど。
 実際には最高速度に達するまでに加速距離が必要だし、停止するためにもある程度の距離が必要なのだから、単純にずっとマッハ2.2ではないのだが……。
 ともかく面積の狭いトリステイン程度ならば、たとえ一周しても1時間半とかかるまい。正確な数字は、やってみないと分からないが。
「取りあえず降りるぞ、二人とも」
「え? ……あ、ああ、そうね」
「う、うむ」
 タラップなどという気の利いた物はなかったので、吊りハシゴを使って降りるユーゼス。なお、メイジ二人は『レビテーション』を使って降りた。
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:04:05 ID:JqAY4tru
支援、と
625ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 22:05:30 ID:iRLWnUmf
(オールド・オスマンに説明をして、置いてもらえるように許可を取らなければならないか)
 相変わらず心ここにあらずなエレオノールや、野次馬たちに質問されまくっているギーシュはひとまず放っておいて、これからの行動を考える。
 ではすぐに学院長室へ、と思ってそちらに足を向けると、遠くからそのオールド・オスマンが驚いた様子で小走りに駆けてきた。
(騒ぎを聞きつけてきたか)
 これは都合が良い、とユーゼスはオスマンの到着を待つ。
 そしてやって来たオスマンは開口一番、
「……やっぱり君か」
「む?」
 何だか納得したような、呆れたような口調であった。
 更に小声でヒソヒソと喋り始める。
「『銀の方舟』……ケンと同じ世界から来た君ならばあるいは……とは思っていたが」
「そう言えば早川健と行動を共にしたのだったな、お前は」
 実際に乗り回した人間と一緒にいたのならば、『銀の方舟』についての知識がある理由も説明がつく。
「しかし、まさか何も情報を与えていないのに自分で乗って来るとはの」
「いや、情報源は別にある」
 チラリとエレオノールに目をやるユーゼス。
 彼女はこの飛行機械についてうんうん唸りながら考え込んでいるようだったが、そんな彼女を見てオスマンは狼狽し始めた。
「ミ、ミス・ヴァリエールの姉君!? ちょ、ちょっとゴッツォ君、どういうことかね!? アカデミーの人間には気を付けろと、あれほど言ったではないか!!」
「どういうことも何も、それを言われる前から交流があったのでな」
「じゃあ、何でそれをあの時に私に言わなかったんじゃ!?」
「言う必要性を感じなかっただけだ」
 ああもう、このトウヘンボクめ……と、頭を抱えるオスマン。
 いつまでもこんな老人に構っている暇もないので、精神年齢だけを見れば立派な老人のはずの銀髪の男はこれからのことを考える。
 …………ついでに、何だか物凄い形相をしながら自分に向かって全速力で走ってくる、桃髪の少女への対処も考えなくてはならないのだが、それは差し当たって置いておく。
 まずはビートルを学院の外に出す。
 宇宙用のブースターは、必要ないから取り外さねばなるまい。
 いや、その作業をするには自分一人だけでは手が足りないか。ギーシュあたりに補助を頼むにしても、やはり専門的な知識を持つ人間は欲しい。
 しかし工学系に強い人間となると、ハルケギニアには……。
「……やむを得んか」
 『あの人物』に協力を頼むのは正直気が引けるし、危険でもあるのだが……この際だ、仕方あるまい。
 それに『あの人物』とは、落ち着いて話をしたいとも思っていた。
 ユーゼスは一度だけ溜息をつき、心に浮かんだ『あの人物』を呼ぶ決心をする。
 そして―――

 ―――興味深げに自分とジェットビートルに視線を向けてくる禿げた頭の中年教師を無視して、懐にある『あの人物』から受け取ったエーテル通信機の存在を確認する。
 問題なく通じるだろうな……などと思いながらも、ひとまずユーゼスは走ってくる御主人様の対処に回るのだった。
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:07:46 ID:JqAY4tru
支援 そろそろしまいか
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:07:52 ID:MaRnHGWg
早川さんは本当に何でも出来るな支援。
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:08:14 ID:6pTNgWtb
なんと コッパゲが きょうみぶかげに こっちを みつめている
629ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2009/01/07(水) 22:08:30 ID:iRLWnUmf
 以上です。

 うーむ、何だか今回は説明描写が多かったと言いますか、ホントに『無駄に長かった』ような気がします。
 やはりまだ精進が足りませんね……。

 ……そして、『ラブコメする推定年齢28歳(精神年齢は68歳)と27歳』って、私は何を書いているのでしょうか……。
 更に何だかカヤの外な原作正ヒロイン。……おかしいな、つい数話前までは確かに彼女がヒロインっぽかったはずなのに。
 でも原作を見ても、『あれこの話のヒロインって誰だっけ?』と思うことがたまにあるし、スパロボだって主人公に対してヒロインの出番が途中までえらい少なかったり、途中から出ることも多いし、まあ良いかなぁ、と思う今日この頃です。

 それでは皆様、支援ありがとうございました。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:08:40 ID:oXOAKISd
>>627
彼にできないことってなにさ?
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:08:57 ID:JqAY4tru
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:09:19 ID:DPqXdWm8
日本で二番目になること
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:10:50 ID:ZWtF4TCV
>>630
上手に歌をうたうことと、他人の見せ場を奪わずに影に徹する事とか?
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:13:26 ID:g3gIImUM
久しぶりにシュウ登場か
……ワルドさんは今頃どんな酷い目に遭っているかと思うと涙が止まりませんw
(執念深さは天下一品だからなぁ)
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:14:05 ID:MaRnHGWg
ユーゼスの人、乙です!

>>630
叩きのめす前にその男が犯人かどうか知ること。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:16:33 ID:dMyjdBoy
>>630
家族や知り合いの類を救うことかな
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:21:06 ID:JR3OTooB
ラスボスの人、乙です。
相変わらず楽しく読ませていただきました。
『ラブコメする推定年齢28歳(精神年齢は68歳)と27歳』面白いですよ!

…ところでワルドさんは、もうシュウを利用しようとした代償を…?
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:25:36 ID:8HyPfn+L
ユーゼスの人、乙
まさか宇宙ビートルとは……メビウスにサコミズ隊長が乗って登場したときは嬉しかったなあ。
639630:2009/01/07(水) 22:26:23 ID:oXOAKISd
>>633>>635>>636の意見をまとめると
下手な歌をうたい、他人の見せ場を奪う。
無実の男を叩きのめし、家族や知り合いの類を救えない男になった。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:30:51 ID:OqIhOcN7
>>639

違う…って言い切れない俺ガイルw
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:34:58 ID:74r2w/sV
無実の男を叩きのめしはしないし、主役だったので他人の見せ場を奪うことはなかった
まあ他は仕方ないし、見せ場を奪うのは他の役でとやってるってのもあるが

ワルドも早川さんを相手にするよりはマシだったと思うしかあるまい
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:44:49 ID:3E3VL5J3
俺はエレオノールがヒロインで全く問題ない!
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:48:17 ID:OqIhOcN7
ラスボスの人乙です。
うーむ姉様をデレさせるとは恐るべしユーゼスw
ワルドの安否も気になるしw死んでるか死んだ方がマシのどちらかだと思うがw
次回に超wktk。
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:54:48 ID:kNQPiDCh
>>629,637
おいおい年齢間違えてるよ
17歳だって言ってんだろうが!
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 22:56:43 ID:qcVo7DTw
>644
おいおい
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:00:05 ID:FYiyA8QF
おつです
ガチデレしたエレオノールはかわいいな
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:00:19 ID:k6g4hfpn
>>600
ありがとう!
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:00:23 ID:oXOAKISd
>>644
エレオノールさんじゅうななさい?
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:04:20 ID:ggMwPMyb
中の人が17歳ってネタだろ
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:09:51 ID:Bh+sxmwd
いや、わかった上での返しだろそれ
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:13:08 ID:axJK4NOi
吊り橋効果乙でした
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:21:52 ID:GVmOXTKB
エレオノールを17歳にしたらルイズとひとつ違いじゃねえか!
しかもカトレアが計算合わないし
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:29:00 ID:k6g4hfpn
そこで双子ですよ。

双子にするならカトレア以外の二人だよな、t性格的に考えて!
654名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:39:25 ID:iJAN2vmz
おいおい、と言うお約束だぞ、と
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:46:06 ID:dLS2TT07
このユーゼス、長女と三女だけでなく、
この先、次女ともフラグ立てたりしないよな…
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/07(水) 23:53:10 ID:EGZYJGsP
魔王伝面白いです
また菊地作品を大量に買ってしまいそうw
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:04:34 ID:dfFVfi0x
ドラクエ5からメタリンLV20とはぐりんLV8召喚
まさに無敵
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:04:49 ID:pE//Jjyw
ホワッツマイケルからマイケル

ワルドが手紙を奪おうとウェールズを襲うと
「ちくわしか持ってねえ」
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:08:00 ID:Cagn4HlE
二百三高地召喚
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:14:37 ID:tC47Ylvl
魔王伝いいなあ。
ロマリアの武器庫には魔界都市か貴族の武器庫からガメた洒落にならない武器がありそうだ。
この調子でイザベラが豹太召喚してくれないかな。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:17:24 ID:ae+Wwrai
>>654
一回目は小さくぉぃぉぃだな
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:19:41 ID:Avxu7FcB
エレオノールと聞くと、最終話直前にようやく笑えたしろがねが思い浮かんだ
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:23:04 ID:OGTGJ7of
割と中盤ぐらいには普通に笑ってた気がする>つろがね
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:25:47 ID:GPq3fOPL
ぜひ…
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:26:42 ID:EoUgeWUJ
レコンキスタ操ってるのはシャルルか
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:28:58 ID:EFaqig2s
サハラ編終了直後の鳴海を召喚してだね
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:31:36 ID:D6pLLqI7
魔砲の人もラスボスの人も乙でした〜!
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 00:52:19 ID:zGjo7zau
>>658
また懐かしいモノをw
気まずくなって踊りながら逃げていくレコンキスタ7万を想像して吹いたw
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 01:20:29 ID:9OyMJlvz
カイザーナックルの最強の尖兵を召喚するのを考えたが
奴なら普通に7万倒してしまいそうで困る
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 01:28:09 ID:OQGQa6Mq
「母を訪ねて三千里」のマルコ召喚………って鬼畜か俺は。
母親の乗った船を追っかけてる途中であの鏡が目の前に現れて………てな展開だったら鬱だろうな。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 01:33:59 ID:tyvOXwF+
ルイズに召還される鳴海&しろがね
教皇に召還されて契約前に即逃亡したタランダ・リーゼロッテ・橘&ドラム二世
皇帝に召還されて遊びに興じるフェイスレス
テファに召還される勝

なんかこんな電波が…
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 01:41:16 ID:EoUgeWUJ
白金は改心したバージョンが召喚されて欲しいなあ……
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 01:51:04 ID:IEdB7stc
魔王伝のルイズさんは……スゴイね。
たぶん、「辺境」や「新宿」にもいないってくらいスゴイ子だよ、うん。
むろん、いい意味で。
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 02:00:00 ID:/hwMMhTY
>>671
止めろ、勝にエルフの組合せは危険だ
あの悪名高い黒賀村編を思い出してしまう
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 02:04:17 ID:ZuxcNKCQ
……辺境?
つまりエルンガー召還フラグか
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 02:57:28 ID:NhUjU4Ni
アクロバンt…
違いますねそうですね
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 04:49:15 ID:BPBEb3AD
ルイズに召喚されたけど特にものともせずケロっとしているアルル
キュルケに召喚されて文句たらたらだったけども意気投合するルルー
テファに召喚されて文句をいいつつも割とちゃんと働くシェゾ
教皇に召喚されて結構本気で使い魔やってるラグナス
ジョゼフに召喚されて、ジョゼフのやる事や命令された事を面白おかしくして楽しんでいるサタン

ぷよぷよ!を買ったせいか、久々に魔導熱が湧いてこんな事を妄想してしまった。
意外と魔導キャラって召喚されてないのね。
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 06:28:38 ID:n/U/PMd3
>ルイズに召還される鳴海&しろがね
何の因果か本名エレオノールと言う点から
もう一ネタ受信できてないのはちと惜しい
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 06:38:21 ID:svanl76J
DQ6から海底宝物庫の番人を召喚。
他のだとアレだけど、あそこのなら話が通じそうだ。
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 07:30:34 ID:wV+wZKDz
>>679
「使い魔になって欲しければ私を倒していくがいい」

常時マホカンタ

全滅

の流れですねわかります
681名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 07:33:44 ID:EgD2vbho
>>638
ところで、宇宙ビートルって水爆ブースター…
ブースターの中で核融合反応を起こしてその推力で前進するというイカレたシステム…
682名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 07:52:09 ID:aq4Jl4/h
あの時代のSF考察は現代科学で考えちゃダメだ。
似たような名前のもっと凄いモノと考えるべきだ。
柳田理論でなく長谷川理論で考えるんだ。

あそこまで前向きかつ練り込まれた愛ある屁理屈は
そうそうとまねできないが
683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 07:53:29 ID:rwXPVcKA
核融合推進は宇宙用ブースターの候補の一つだよ
もっとも外宇宙探査用で半年以上かけて加速するためのシステムだけど
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 07:58:42 ID:cbveGzwL
ふと思ったこと。
アルカナハートの連中呼び出したら、いったいどんな展開になるんだろーか?
685名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 08:06:55 ID:E1TOMCDC
アルカナに限らず格ゲの連中はどれもこれもヤヴァイ気がする
特にKOFのボスとか

でもジェネラルだったどうだろうかねぇ・・・・
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 08:12:06 ID:+W4OpSQ1
草薙京と八神庵を同時召喚したらいい
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 08:22:16 ID:4SVN8as9
まとめで魔砲の人のを読み返してて、キュルケの新必殺技についてふと思ったこと。
名称は『フレイム・バスター』

フレイム=キュルケの使い魔
バスター=壊す者、破壊する者の意。転じて殺人者、などという意訳も。

すなわち……『使い魔殺し』……?

うん、ただの電波だから気にすんな
格ゲーということでタツノコVSカプコンから…はさておき。
ヴァリアブル・ジオから御剣珠緒呼んで「たまおビィーーッム!」とかいう電波も届いたなぁ…。
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 08:25:58 ID:zGjo7zau
趣旨が微妙に違うけど、いま唐突に思い付いた一レスネタ。
もしルイズの召喚に応えたのが一冊の分厚い本だったら。
『使い魔カタログ』
そう書かれたカタログには作品名順にあらゆる人物が、強さ・賢さ・性格・容姿・従順度がランク付けされ、さらにそのキャラについて簡単な解説も載ってる。

ルイズは使い魔を番号で選び、その番号を再度唱える呪文中で言えば、その通りの使い魔が召喚できる。
言わなきゃランダム。
一度届いた使い魔はお取り替えできません。


当たり外れが激しいからたまには選ばせてあげたくね?
ただし自分で選らんだのが実は地雷でも救済の技法はなし。(ヘタすりゃ即死)
689ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 08:27:37 ID:qamcbE6F
投下予定がないようなら8:30からシーン05の扉を開こうかと思う。
この回からギーシュ戦までは長い回が続くので、規制食らったら避難所へ行きます。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 08:28:22 ID:4SVN8as9
おおっと、朝早くからトリック・オア・トリートっ!?
691ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 08:30:18 ID:qamcbE6F
ではシーン05の扉を開きます。

ルイズとヒューは黙々と教室の片付けをしていた。
服が破けてしまったルイズはヒューのコートを身に纏っている。

「ところでルイズお嬢さん、「おかしいでしょう?」何が」
「魔法も使えないメイジのくせに貴族なんて威張ってる。誰もが言ってるわ、威張るだけなら平民でもできるって。
 だけどね、私は貴族なの!このトリステイン王国の栄えあるヴァリエール公爵家の!お父様とお母様の実の娘なの
!魔法が使えませんなんて言える「使えてるじゃないか?」え?」

足元に落ちている教卓の破片を教室の隅に片付けながらヒューは淡々と言葉を綴る。



ゼロのフェイト シーン06 “ギーシュの香水と夢の魔法”

    シーンカード:マヤカシ(幻影/裏切りの露見。魔的な襲撃。毒。不実な人間の罠。不確かな夢。)



「少なくともオレはこんな事は出来ない、お嬢さん達が平民っていう連中と同じだっていうのもあるかもしれんがね
。それに、オレをこのハルケギニアに呼び出して契約までしたんだ、何も出来ないっていう事はないだろう。」
「アンタを召喚した事だってただの失敗だったかもしれないじゃない、ただの平民なんだから。」
「けど召喚したっていう事実は残る。どうして失敗しているか調べた事は?」
「なによそれ、ちゃんと呪文を唱えて杖を振れば魔法は発動するのよ?
 お母様や姉様達、先生方が言うような感覚は掴めないけど、発音もちゃんと完璧にしてるんだから成功しない方が
おかしいのよ。」
「その辺かもしれないな。」
「なんですって!お母様や姉様達が私に嘘を教えていたとでも言うわけ!「いや、そういう意味じゃなくてだな」
どういう意味よ?」
「別にルイズお嬢さんの家族が嘘を付いているとは言わない。ただ、本人にとっての真実が他人にとっての真実とは
限らないって事。
 簡単なたとえ話さ。普通の貴族が使う魔法がナイフだとする、片やルイズお嬢さんの魔法はフォークだったら?っ
ていう話だよ。
 使う道具が違うのなら、使う方法も目的も違って当たり前だろう?」
「な、何よそれ。
 私には普通の魔法は使えないとでも言うつもり?」
「怒るなって、別にそんな事は言ってないだろう。フォークだってケーキは切れるしナイフでも肉を突き刺せる。
 要は自分なりの使い方があるんじゃないか?っていう事を言いたいのさ。
 所詮は門外漢の話だから話半分で聞いておいてくれると助かるんだがな。
 とりあえず、お嬢さんの魔法の証明が目の前にあるんだ、諦めるのはまだ早いだろ。」


そう言ってヒューは片付けを再開する。
だがヒューの魔法に関する見解を聞いていたルイズは机を拭く手を止めてしまっていた。
今までそういった事を言ってくれる人もいなかったし、ルイズ自身考えもしなかった事だからだ。
しかし、それはしょうがない事でもある、第一ハルケギニアの常識から外れている考えなのだから。決められた手順
で行使すれば魔法は発動するものなのだ、その手順が(自分にとって)間違っているかもしれないなんて考えもしな
かった。

692ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 08:32:28 ID:qamcbE6F
なんなのだろうこの使い魔は、本当にただの平民なのか。ハルケギニアの常識は知らないし、主どころか貴族も敬わ
ない。
だけどいくら田舎育ちとはいえ、常識を知らないの一言で済ませられる程、貴族と平民の身分の差に関する常識は
軽々しいものではない、事この件に関して言えば始祖ブリミルがここハルケギニアで系統魔法を広めて以来のものだ
。第一あの“ぽけっとろん”とかいうマジックアイテムを持っていた時点で貴族の力を知っているはずなのだ。
普通ではありえない程の無知…その上先程の魔法に関するヒューの意見は、ある意味始祖ブリミルの系統魔法を否定
するものだろう、なにしろ魔法が使えない理由を行使者ではなく魔法の法則そのものに求めているのだ。
結構前にこのトリステインにもいたという新教徒の一員だろうか。しかし、彼等でも貴族と平民の差というものは
理解していただろうし、魔法の法則に疑問を抱いたという事は無かった筈だ。

そこまで考えると、ルイズの中にはこの使い魔に関する好奇心が湧き上がってきた。今までどんな生活をしていた
のか、とーきょーのばという故郷の話、持っている不思議なマジックアイテムの話。聞く事はこれでもかという位
いっぱいある、今日の夕食が終わったら全部聞き出そうとルイズは決心していた。

そうして2人で行った片付けは、昼食前にはなんとか終わらせる事が出来た。とりあえず昼食を取ろうと、食堂に
向かうルイズ(制服は着替えた)と後からのんびりと付いていくヒュー。

「じゃあルイズお嬢さん、オレは中庭辺りで昼寝でもしてる。用事があったら呼びに来てくれ。」
「ま、待ちなさいヒュー!」

とりあえず飯抜きという話なので、寝て空腹を紛らわせようと中庭に行こうとしたヒューをルイズが呼び止める。
ヒューがふり返るとルイズは真っ赤になりながら仁王立ちしていた。

「ご、御主人様に色々と気をつかうなんて、使い魔としては基本中の基本だけど褒めてあげる。
 それから、本来はご褒美をあげる所なんだけど、今朝方の罰の撤回をしてそれを褒美とします、御主人様の慈悲に
感謝なさい。」
「そいつはありがたいけどな、何処で食えばいいんだい?
 ルイズお嬢さん達と一緒ってわけにはいかんだろう。」
「それもそうね、さすがに他の使い魔と同じようにはできないし…、そこのメイド!」

そう言ってルイズが呼び止めたのは、今朝方ヒューと出会ったシエスタだった。
ワインボトルと水が湛えられているピッチャーを乗せたトレイの傍にいる所を見ると、どうやら飲み物の給仕をする
為に控えていたらしい。ルイズに呼ばれた彼女は共にいた同僚に一言断って歩み寄って来る。

「お呼びでしょうか、ミス・ヴァリエール」
「ええ、私の使い魔に食事を用意してくれないかしら。
 この通り、あなたたちと同じ平民だから、他の使い魔と同じ所で食事をさせるのも憚れるのよ。」
「左様ですか。それでしたら私どもが食しているものと同じものはどうでしょう、すぐにご用意できますが。」
「ええ、それでいいわ。それと代金が別に要るようなら私宛に請求してもらって構わないから。
 じゃあヒュー、食事が終わったらここで待ってて頂戴。」
「ああ、悪いな色々と。」
「き、気にしなくてもいいわよ、使い魔の管理や世話は主人たるメイジの務めなんだから。」

赤面しながらそう言うと、ルイズは食堂の中へと消えていった。
693ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 08:34:08 ID:qamcbE6F
「やれやれ、じゃあそういう事で、悪いけど何処で食えるか教えてもらえないか?」
「ええ、こちらですヒューさん。」
「そういえばシエスタ、ちょっと聞きたい事があるんだけどいいか?」
「ええ、何でしょう?」
「うちの御主人サマってどういった評判なんだい?」
「ええとそれは私達平民から見た…という意味ですよね…。
 すいません、そういったことは流石に。」
「そうか、いや別に無理にっていう訳じゃないんだ、さっき教室で騒ぎがあったからちょいと気になってな。
 悪かった、忘れてくれ。」
「本当にすいません。
 着きました、ここが厨房です。私達はここで賄いを頂いてるんですよ。」

シエスタに連れられて来た厨房はヒューにとって、知ってはいるものの初めて見るものだった。
ヒューが生きていたニューロエイジにとって料理とは(少なくとも一般庶民にとって)、ある程度加工された培養
食品に独自の手を加えて個性を出す…といったものである、とりあえず上を見ればキリが無いが、少なくとも目の前
で展開している光景というのは見たことが無い光景だった。
そんな風に呆然としているヒューの前へ恰幅が良い中年男が現れる、他の料理人と微妙に異なる格好から恐らくここ
の責任者だろうと当たりをつけ、笑顔を浮かべる。

「マルトー親方、こちらミス・ヴァリエールの使い魔さんでヒューさんです。
 何でも、ミス・ヴァリエールが他の使い魔と一緒の食事は具合が悪いので私達と同じ食事を摂らせて欲しいそう
で。」
「面倒をかけてすまないマルトーシェフ。
 ヒュー・スペンサーだ、こっちの常識には疎いんで色々迷惑掛けるかもしれんがよろしくたのむ。」
「おう、まあ貴族の連中からっていうんならいいさ。
 ところでお前、俺の名前に妙なのをくっつけたがありゃなんだ?」
「何って“シェフ”の事かい?あれはオレの住んでた所で料理長って意味さ。」
「へえっ、おまえさんが住んでた土地じゃあそんな言葉があるのか?
 変わってるなあ、ええおい。」
「いやまぁ、結構遠い所だからな。珍しい風習もあるさ。」
「何が珍しいものか!良い話じゃねえか。よし、賄いだが味の方は作った俺様が保証するし量もたっぷりあるからな
、遠慮なく食っていきな。」
「じゃあ、ありがたく頂くよ。」

そういうやりとりの後、席に着くとシエスタがシチューが入った深皿と固めのパンが入った籠を持って来る。
やってきた食事はヒューにとって十分以上に満足するものだった、なにしろトーキョーN◎VAでは滅多にお目にか
かれない天然素材の食材を名人ともいえる料理人が調理しているのだ、その味は推して知るべきというものだろう。

「美味かったよ、ありがとう。」
「そうですか?それは良かったです。マルトー親方にも伝えておきますね。」
「しかし、君には今朝から世話になりっぱなしだな。何か手伝える事があったら言ってくれないか?
 流石にこう借りばかりできると申し訳ない。」
「え?いいですよそんな一応仕事ですし。」
「これから、世話になる事もあるかもしれないしな、挨拶代わりってヤツさ。」
「え、っとそれじゃあデザートの配膳を手伝ってもらえますか?」
「ああ、それじゃあさくっと終わらせようか。」
694ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 08:36:03 ID:qamcbE6F
そうしてヒューとシエスタは2人でケーキを配膳することになった。
ヒューが持ったトレイからシエスタがケーキを取り、貴族の子女の前に邪魔にならないように配膳していく。
数名の生徒達はシエスタの隣に立つヒューを見て驚くが、程なくして会話に戻る。
そんな仕事の最中、ヒューとシエスタは少年達のグループが歓談しているテーブルに近付いた。どうやらグループの
中でも派手目な外見をした少年に他の少年達が交際関係の詰問をしているようだ。
(風上のマリコルヌという少年もいた)
若くて結構な事だ…等とヒューが感心していると、シエスタがかがみこんで何やら拾い上げた、見た所香水壜の様に
見える。

「あの、落とされましたよ?」

シエスタは当然、近くの少年達に訪ねる。

「ん?いや知らないな。君の見間違いじゃないのか?」
「いえ、確かに貴「そうでしたか、これは失礼。いこうかシエスタ」え?ちょ、ヒューさん?」

シエスタと派手な少年の会話を遮り、シエスタと一緒に少年達のテーブルから離れる。
ヒューは困惑するシエスタを他所に、受け取った香水壜を観察する。

「ヒューさん、どうして返さないんですか?多分あの人達の誰かの「モノだろうね」?じゃあどうして。」
「連中の話を聞いてると、交際関係の事で盛り上がっていた。そんな中で“知らない”と言っているということは…
まぁ知られちゃ困る事情があったり、友人にばれると恥ずかしいというのもあるんだろう。
 それにこれがあるのなら、作り手の特定はそう難しくはないさ。」

香水壜を持ち上げてニヤリと笑う。

「え?ヒューさん分かるんですか?」
「いや、正確には知っていそうな人物を知っているってところだね。まあここは仕事を続けようじゃないか。」
「は、はい…」

そうして仕事を続けたヒューとシエスタは、キュルケとその友人らしい小柄な少女がいるテーブルにやって来た。

「あら、ヒューじゃない。どうしたの?まさかもうクビになっちゃった?」

笑いながら、明らかに冗談めかした言い方でヒューをからかうキュルケ。友人らしい少女は読んでいた本から一瞬
だけ頭を上げた後、興味を失ったのか、再び読書に戻る。

「いやいや、これは色々とお世話になった礼に仕事を手伝っているのさ。
 ところで、お嬢さん方に一つ尋ねたい事があるんだが良いかい?」
「あら、ヴァリエールに聞かなくていいの?」
「うちの御主人サマは聞きたい事に疎いみたいだからね、それに君の方が詳しいと思ったのさ。」
「へぇ、まあいいわヴァリエールの使い魔に頼られるツエルプストーっていうのも面白いしね。で、何?」
695ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 08:39:51 ID:qamcbE6F
そういうキュルケにポケットから取り出した香水壜を見せ、事のあらましを軽く説明した後、見覚えがないか確認
をとる。

「件のお坊ちゃんは知らないと言ってたんで、オレが知っている中で香水に詳しそうな君に聞きに来たという訳さ
。」
「へぇ、ギーシュがねぇ。嗅いでも?」
「どうぞ、一回位開けたからって蒸発しないだろうしな。
 オレの見立てでは個人で、しかもあまり裕福じゃないが貴族の作だと見ているんだが。」

キュルケはヒューの意見を聞きながら香水壜を開け、香りを確認する。

「へぇ、ところでヒュー、どうしてこれが個人製作だと?」
「壜さ。ラベルも貼っていない上、ごく僅かだが、硝子の厚さもまちまちで歪みもある、趣味は良いがね…。という
事なら売り物の線はかなり低い。一応、御主人サマも香水とか持っていたけど、これよりかなり上等な壜を使って
いた、御主人サマの話だと実家は金持ちらしいからな。それに、オレ達平民には香水なんて仕事にしていない以上、
そうそう作れないだろう?」

最後の言葉はシエスタにだったが、別段卑下したり馬鹿にするような口調ではなかったので、シエスタは素直に
頷けた。
キュルケと友人らしい少女は驚いていた、たった一つの香水壜でそこまでの事を推察できるというのはメイジでも
そうはいないだろう。
ディティクトマジックを使えば、魔力の反応からメイジが作成したのであれば分かるだろうが、目の前の男はそれ
すらせずに見ただけで言い当てたのだ。

「参ったわね、なかなか凄いじゃないヒュー。
 その通り、これはメイジの生徒が個人で作成した香水よ。製作者の名前はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェ
ール・ド・モンモランシ、あのテーブルに座っている金髪巻き毛の子。
 何だったら私が渡しておきましょうか?」
「いや、いいよ。無関係の娘さんを騒動に巻き込むのは忍びない。じゃ、助かったありがとうな。」
「ええ、どんな騒動が起きるか楽しみにしてるわ。」

そうしてヒューとシエスタはキュルケ達のテーブルから離れる。
ヒューが十分離れた後、小柄な少女が口を開いた。

「興味深い」
「あら、タバサ珍しいわね貴女が興味を持つなんて。で、どこら辺?」
「足音」
「え?観察眼じゃなくて?」
「それもある。けど、足音はもっと興味深い。」
「足音?変な音はしなかったと思うけど?」
「違う、しなかった。全然」
「え?」

そこまで聞いてキュルケは背後、ヒューとシエスタが去っていった方向に振り向く。2人はそろそろモンモランシー
がいるテーブルに着こうというところだが誰もヒューに気を払っていない。“ルイズが呼び出した使い魔の平民なの
に”誰も話題にしないのだ。
それを見てキュルケは可笑しくなった。ただの平凡な平民の男かと思っていたが、あの使い魔はこの場にいるほぼ全
てのメイジを謀っているのだ、平民とはいえあの男に背後から近付かれて察知できるメイジは一体どれ程いるだろう。

「へぇ、全然気が付かなかった…。ていうとヒューってばそっち関係の仕事をしてたのかしら、どう思う?」
「まだ分からない、ただ可能性はあると思う。」
「じゃあ、ルイズが召喚したのはメイジ殺しかもしれないのね…。ああ、そういえば今朝方の話なんだけどヒュー
ってばルイズの爆発を避けてたわね。」

キュルケのその話を聞いたタバサは今まで読んでいた本から顔を上げ、ヒューの姿を見る。
その姿が朧気に霞んで見えるのは自分の気のせいだろうか…。

(本当に、興味深い。)
696ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 08:42:02 ID:qamcbE6F
「失礼、レディ・モンモランシですね?」

モンモランシーは最初、自分に声を掛けてきた男性が誰か分からなかった。分かったのは身に纏っている変わった
コートを見てからでだった。

「え、ええ。何か用かしらミス・ヴァリエールの使い魔さん。」
「ヒュー・スペンサーと申します、レディ・モンモランシ。
 落し物を届けに参りました。」
「落し物?何かしら、覚えが無いけど。」
「いえ、正確には貴女様の落し物ではないのです。実はこの香水の小壜でして。」

と言いつつ、手品の様に件の香水壜を取り出し、モンモランシーの掌の上に乗せる。
モンモランシーは急ぎ壜に刻んである徴を確認すると、ヒューに顔を向ける。

「これは、何時どちらで拾われたの?」
「ミスタ・グラモンという方が談笑されているテーブル付近です、初め彼等に尋ねたのですが知らないと言われまし
て。ならばこの香水を作った方なら持ち主をご存知では?と思いまして。」
「そ、そう。ありがとうスペンサー、これは私から返しておくわ。ご苦労様でした。」
「いえいえ、お役に立てて光栄です。それでは本日のデザートを存分にお楽しみ下さい。」

モンモランシーの顔は笑っていたが額には太い青筋が浮かんでいた。

ヒューとシエスタが立ち去って数分経った頃、モンモランシーはギーシュに香水を渡して小言を言おうと近付いたが
、聞こえてきた声に足を止める。

「そういえばギーシュ、この間だけどね1年のケティ嬢と一緒じゃなかったか?寮の窓から2人揃って出て行く所を見たっていう噂を聞いたんだが。」
「なに?ケティ嬢といえば、1年でも可愛い部類に入ると評判のレディじゃないか!」

と俄かにギーシュの周りが沸き立つ、生来目立ちたがり屋な所があるギーシュは、その騒ぎに苦々しく思いながらも満更悪い気も起きなかったのか、友人達を静める為に異性との武勇伝を披露し始めた。

「たしかにケティとは親しくさせてもらっている。しかし、君達に一つ言っておきたいのはだね。
 ん?どうしたんだね?君達、顔が真っ青じゃないか…。後ろ?」



友人達の表情をいぶかしんだギーシュがふり返ると、そこは恐ろしい形相をしたモンモランシーが立っていた。




「げげぇぇぇッツ、モッモッモッモンモランシー!いっいや違うんだこれは!ケティ…いや彼女に乗馬を教えて欲し
いと言われただけであってだね!「酷いですギーシュ様!」ケティ?」

モンモランシーに弁解しようとしたギーシュではあったが。その時、反対側から可憐な少女の声が聞こえてきた。
ギーシュや人々がそちらに目を遣ると、そこには友人らしい数人の女生徒に支えられた栗毛の少女が、涙に瞳を濡ら
しながらギーシュに近付いていった。

「あの森の中で“僕の心の中にいるのは君だけだ”と言ってくれたのは嘘だったのですか?」
「いっいや、それは違う「貴方の先程の言葉が何よりの証ですわ!」」

そういうとケティはギーシュの頬をひっぱたいて風の様に走り去っていった。
697ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 08:44:07 ID:qamcbE6F
後にこの光景を見ていたマリコルヌ・ド・グランドプレは、恍惚とした表情でこう述懐する。
「あの時の平手打ちは見事だったね。細い足首から引き締まったウエスト、さらに上半身の捻りを手首のスナップ
に余す所なく伝えきった至高のスパンk…うわなにをするきさまら!」

ケティの平手打ちを左頬に食らって床に倒れ伏したギーシュだったが、未だ彼のピンチが去った訳ではなかった。
朦朧とする彼の意識を呼び覚ます香りがある。これは、嗚呼そうだこれは愛しのモンモランシーの香水の香りでは
ないか、そう思って目を開いたギーシュの目の前には足があった。
恐る恐る顔を上げると、そこには先程の恐ろしい形相とは打って変わって、麗しい笑顔を浮かべているモンモランシ
ーがギーシュを見下ろしていた。
笑顔だった、確かに笑顔だったが、見ている者には泣いている様にしか見えなかった。
左手に持っているのは、あの時落としていた香水壜。その壜の中身はもう残り少ないのだろう、一滴二滴と自分の為
に作ってくれた香水が目の前の床に落ちていく。そうして、とうとう空になってしまったその壜を床に落とした後、
何も言わず踵を返して食堂から立ち去っていった。

食堂は静寂に包まれた、流石にここまでの修羅場というのはそうそう見れないものなのだろう。ケティという少女の
烈火の如き平手打ちもさることながら、何よりモンモランシーの冷たい氷の様な怒りが恐ろしかった。



何故、どうしてこんな事になったのかギーシュには分からなかった。呆然と床にへたり込んだまま、落ちている香水
壜を見つめる。
モンモランシーが僕の為に作ってくれた香水…。いつも彼女と一緒にいるような気になれたので、いつも持ち歩いて
いた、モンモランシー以外の少女と歓談している時だって持っていた。彼女と過ごす時にだけほんの少し使っていた
、大事な香水だった。
それがもう無い、何が悪かったのか分からなかった。そうしてしばらく“床に落ちた”“香水壜”を見た時、少し前
の会話が脳裏によぎった。

(「あの、落とされましたよ?」…「ん?いや知らないな。君の見間違いじゃないのか?」…「いえ、確かに貴「そ
うでしたか、これは失礼。いこうかシエスタ」え?ちょ、ヒューさん?」)

そうだ、あの2人の平民だ、あの2人が余計な事をしてくれたからあの2人が傷ついたんだ。あの2人が気を利かせ
て後から届けてくれれば、僕は振られずに済んだし、モンモランシーもケティも傷つかないで済んだんだ。
思い立つと、ギーシュは止まれなかった。香水壜を拾い上げ食堂を見回すと、香水壜を拾ったメイドがいた。もう1
人の平民は見えないが、そっちは後からにしよう。とにかく貴族に対する躾を叩き込んでやらねば気がすまなかった
698ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 08:46:02 ID:qamcbE6F
シエスタは食事で使用した様々な食器を片付けている最中だった。
食堂で貴族達が何やら騒ぎを起こしていたが、食器が割れる音とかしなかったのである意味安堵していた。そうして
いつもの様に仕事をしていると、何やら背後から呼ばれたので、振り向くとそこには恐ろしい形相の貴族の少年が
1人立っていた。
左頬には見事な紅葉が付いていたが、笑うような事はできなかった。何しろ訳はわからないが、この貴族の怒りは
間違いなく自分に向いているのだ。周囲で仕事をしていた同僚達は、巻き添えを恐れて離れている。別に責める気は
無い、自分でもそうするだろうから。
とにかく何故、怒っているのか理由を知らなくてはどうしようもないので、恐ろしいが聞いてみる事にした。

「あ、あの。ミスタ・グラモン、何か御用でしょうか…。」
「ああ、君ともう1人の平民に“これ”の事で言いたい事があってね。」

そう言うとギーシュは懐から空になった香水壜を取り出してシエスタに見せた。
対するシエスタはというと、香水壜が持ち主の下に戻った事に安堵しつつもそれが何故怒られる原因になるのか今一
つ分からなかった。

「あ、その香水壜でしたら、ミス・モンモランシに「いや、いいんだ」え?」
「僕が言いたいのはだね、これが僕の物だと分かっていながら何故、モンモランシーに渡すような事をしてくれたの
かっていう事だよ!おかげで僕の名誉はもとより。2人のレディの名誉まで傷ついてしまったじゃないか!」



その頃ルイズは昼食を摂り終え思索に耽っていた、周囲の級友達は他愛のないおしゃべりに熱中していたが、ルイズ
は思考の海に深く潜り込んでいた。

考えていたのは先程ヒューから言われていた魔法の事について、“使い方を変える・自分の魔法がどういう魔法なの
か発見する”言うのは簡単だ。しかしこれは一から魔法を作り上げるという事でもあるだろう。困難な茨の道だ、
誰にも理解されないだろう。それに、もしかしたら異端の烙印を押されるかもしれない…。
だけど、そう…だけどこの道には光が見える。道は蜘蛛の糸の様に細く頼りなく、道の長さときたら遥かに遠い天空の果てだろう。
だが、分かるのだきっとこれが正解だと、この道を往くしかないのだと。それに1人ではない、使い魔が…ヒューが
いる。
昨日彼はいった“死ぬまででいいなら一緒にいる”と。私の使い魔、唯一つのそして初めての魔法、彼が近くにいて
くれるなら自分の道を信じられる。
そう、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはきっとどこまでも行けるはずだ。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 08:47:25 ID:4SVN8as9
ヒューはお茶目だなぁはっはっは。
…原作でもたまにこういういたずらしてもんなー支援
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 08:48:19 ID:d/JP+rQ/
行の頭に句読点が入るのはどうかと思うんだが……
701名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 08:56:13 ID:KuYjgRxB
機械的に改行してるからだな
文章を整えるのはまとめwikiでいいだろ
702ゴーストステップ・ゼロ:2009/01/08(木) 09:12:20 ID:qamcbE6F
シーン05
培養食品(I)
…ニューロエイジにおける代表的な食物。

シャーロックホームズ(特)
…僅かな情報かりから推理を行うフェイトの特技。ヒューはこれを香水壜に使った。

影化(特)
…気配を消失させ影と同化するカゲの特技。特に使用していないがスパイスとして使用。


以上で今回の話の扉を閉じる事にします。
408さんへ>
ヒューが活躍しているリプレイは2話しかないので、そこまで言及されていないのですよ。
ただ私個人としては深い所までは知っていると思いますよ?ただそれがアストラル方面
でなかったという解釈をしています。
例えばヒューが千早やイワサキのクグツだったら知っている…という事にしていたでしょう
が、所属していたG.C.I.はサイバーウェアを主な商品としていたのであまりそうした方向に
は詳しくなかったのでは?と思いました。

というかヒューは人間同士のドロドロとした話に関わっていたんじゃないかと思います。
もしくはバサラと知らずに対峙していた可能性もあります。

それではまた次回、何か疑問がありましたら気軽に質問して下さい。
…とりあえず次からは避難所で答えたいと思います。
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 09:38:29 ID:KuYjgRxB
ヒューはアストラル関係のコネとか社会持ってないからな
深いところまで知らないんじゃなくて知ってる方向性がアストラル関係とは違うんじゃね
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 10:39:16 ID:/hwMMhTY
>>685
アーデルハイドならルイズに協力してくれると思う
705ヘタリア伝説(1レスのネタ):2009/01/08(木) 10:46:20 ID:kjjZfZZ0
ルイズが召喚した使い魔は様々な伝説を残した

・使い魔がギーシュと決闘し苦戦していると聞き、ルイズが慌てて救援にいったら
 ヘタリアはヴェストリ広場の真ん中でパスタをゆでていた

・捕まった盗賊フーケ、しかし牢で出された食事はパスタに肉料理にワインまでつく豪華なもの
 死刑囚への最期の食事かと覚悟したフーケに、翌朝ヘタリアは
 「元貴族である貴殿に間違って平民の食事を出してしまった、囚人虐待の積もりはない、許して欲しい」

・タルブで戦艦に包囲されたルイズ達のために、アンリエッタは一個師団を救援に向かわせた
 しかし既にヘタリアがルイズ達を助けに来たという 「何ですって?至急三個師団を派遣しなさい!」

・ウェールズ達と運んだ火の秘薬を落雷から防ぐべく「教会に集めれば大丈夫」
 尖塔に雷が落ち、20tの爆薬が誘爆


・アルビオンで撤退するトリステイン軍の殿軍に任じられるが
「俺が命を捨てるのは惚れた女を守る時だけだぜ」と翌朝には居なくなっていた

・同盟国の艦から銀食器や恩賜の葉巻、はては提督自慢の葉巻入れまでもを失敬するが
 バチが当たったのか停泊中の戦艦を泥棒に盗まれる

・後ろ向きで走る時だけは速い
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 11:20:19 ID:WnOL3Tfh
地球意思の中でも無界さんならルイズに協力してくれそう
使い魔にしたら絶対アレなのはギースとルガール…いや、虚無の力とりこんでゼロ・ルガールに進化(ry
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 11:31:01 ID:0RPg6bEQ
ルイズ
「こうなったら極上の使い魔を召喚して周りのド肝を抜くしかないわ
 ・・・・・そうね、たとえば・・・・・何でも出来る万能アイテムを生成できる時給255円な戦闘民族の王子とか」
「前略中略以下略我が導きに答えよ!」
どっかーん

「俺の事ならシャークって呼んでくれ」
「一番役立たずが来ちゃったー」
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 11:35:54 ID:fCKI+Am3
ウイングマンならガンダールヴの力まで加えれば7万の軍勢にも遅れは取るまい
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 12:02:53 ID:SJ9732Q2
オセッカイザーにガンダールブ加えたら、人助けでおせっかいに被害を広げまくるだろうな。
……7万の軍勢止めるためにアルビオンを砕いたりとか。
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 12:12:31 ID:VcFx+fyu
某君ネロことエンネア召喚
ハルケギニアが色んな意味でヤバイ
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 12:21:30 ID:A7apFTix
リファインのクロスボーンガンダムでマップス思い出した。
呼ぶとしたら誰が適当だろうか?
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 12:35:01 ID:0RPg6bEQ
>>711
八万のラドゥの内の一隻
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 12:41:30 ID:uDmhT/LE
>>705
パスタの話は、ガセらしいよ。
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 12:46:56 ID:NxJcWJad
『ラブコメする推定年齢28歳(精神年齢は68歳)と27歳』……
ラブコメは少年少女だけに許されているんじゃない!
全人類に許されているファンタジーだよ!
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:25:13 ID:Te1x4SEn
>>706
あっさりルイズに協力するKOFキャラなら、もう真吾でいいんじゃないか
早々にシエスタルートに直行して、平凡なタルブ村民に納まりそうではあるが
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:25:40 ID:8P/+MisP
>>713
しかし支援物資にパスタ贈る
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:27:37 ID:LZTwyAHe
宇宙 スペース ナンバーワン♪
戦国魔神 ナンバーワン♪ 合身 GO 合身 GO 〜♪
718名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:30:32 ID:mZmm1Vuj
いいからブンドル召喚しとけよ
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:35:00 ID:hv17qfdu
>>715
もし庵が召喚されたら奴の蒼い炎を見たコッパゲやキュルケが庵を警戒か敵視するとかありだろうか?
炎蛇&微熱(もしくは白炎)VSツキノヨル オロチノチニ クルフ イオリ とか見たいんだが
720名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:49:01 ID:PkEm0SZL
>>718
いやカットナルで新政権樹立をだな
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:50:07 ID:4SVN8as9
>>719
その場合白炎は豪鬼に瞬獄殺で倒されるベガと同じ立ち位置になる気がするー。
「さあ、あんたの焼ける匂いを嗅がせてくれよ隊長どのぉぉぉぉっ!」とか格好つけて襲い掛かった次の瞬間、
MAX八稚女ぶち喰らって倒される様が目に浮かぶぜ…w。
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:50:47 ID:Uchk0hb/
ゲーニッツ召喚したらどうなるかね?
とりあえずギーシュが「お別れです!」される姿はありありと思い浮かぶが。
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:51:43 ID:0RPg6bEQ
格ゲーなら「わくわく7」より妖精ローラ召喚
一つだけ何でも願いをかなえてくれるがその前に
「たいへん!くるわよ!」
「負けないで!」
「こっちも巨大化よ!」
で、フェルナンデスとファイト
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:54:27 ID:AjPXig+h
ルイズは魔法が使えなくても、原作通りの可憐な容姿で・・・・・

そして!

人一倍”おっぱい”が大きかったのです!(ど〜ん!)
お隣の領地のお嬢さんが一目見て「負けた」 orz となるくらい

魔法は使えないけど”オンナ”として誰にも負けない彼女。
が、使い魔召喚の儀式でやってきたのが同い年の平民の男の子
同級の男子の総意で「やり直し」を懇願するが、元・「虐殺部隊の隊長」に通じるわけもなく・・・・

ヒステリーとか無くて、最初からサイトは犬になるパターンでのSSとかアリかな?
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:56:49 ID:hv17qfdu
>>721
その後暴走庵に立ち向かうが歯が立たないキュルケとコッパゲ
裏百八式・八酒杯で動きを止められもう一度MAX八稚女が発動寸前かという時にルイズ乱入
ルーン効果で暴走が解かれて気を失う庵とか妄想した
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 13:59:03 ID:hrvsgbQ1
>>720
ハブられて可哀相なのでケルナグール召還を考えてみたが、
せいぜいおマチさんと平和な家庭を築くあたりまでが限界でした。
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:06:04 ID:hv17qfdu
>>722
エルフ側につくんじゃね?
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:06:51 ID:8xAiDL3q
宇宙刑事シャリバンから軍師レイダー召喚したらどうなるか考えたら
とりあえず召喚と同時にタバサは気絶、決闘を挑んだギーシュは屍同然にされ
ウェールズは死霊界に引きずり込まれ、レコンキスタは乗っ取られてしまって
とどめに勝手に呼んだガマゴン大王がシエスタを食べちゃったりする展開になった
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:13:26 ID:0Vju782Q
格ゲーならブシドーブレード2から千尋召喚とかどう?
偉そうな幼女で武器もある程度使えるし投げ武器として蛙を所持……
ルイズの怒声が聞こえてきそうだなあ
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:20:03 ID:zGjo7zau
>>724
それ、IFスレで全く同じ書き込みを見た気がするんだが……
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:21:30 ID:jqohrTtX
ところで、イナズマイレブンのように必殺技が飛び交うスポーツ(?)から召喚された場合、その必殺技はどうカウントされるんだろうか。
練習すれば誰にでも出来る可能性があるのだから……レコンキスタ七万が迫り来る中、錬金によって作り出されたサッカーボールを一列に並んだ王党派の貴族が蹴りだす『長篠式必殺キック』の雨あられ……

テニヌのほうが適任か。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:24:58 ID:0RPg6bEQ
>>731
だめだ、ガッツが足りない!
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:42:01 ID:PSJhEUwI
>>729
千尋は男
734蒼い使い魔:2009/01/08(木) 14:42:35 ID:tPs+rHEa
34話完成いたしましたので投下しとうございます
寝不足のテンションで書いたので、お察しください
予約がなければ14:50に投下します
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:43:20 ID:ljWsg/5p
格ゲーならKOFや餓狼からキム・カッファンを召喚すればいいよ。
ギーシュもフーケもワルドもジョゼフも更生させられるよ、テコンドーで。
ルイズの鳳凰脚って何か良くない。
736蒼い使い魔:2009/01/08(木) 14:50:06 ID:tPs+rHEa
「あ、バージルさん!」
朝食も終わり、シエスタは食堂で後片付けをしていると、
ふらりとバージルが入ってくるのを見てうれしそうに声をかける、
「シエスタか」
見るといつもより元気がない…というよりかは機嫌が悪そうに見える。
「あの、元気がないみたいですけどどうしちゃったんですか?」
「別に何もない……」
やはり機嫌が悪い、そう察したシエスタはどうにか機嫌を取り戻してあげようと、
朝、バージルが食堂に来ていないことを思い出す、
「そうですか……、あ、そう言えば、今朝、食堂で見かけませんでしたけど、もう朝食は取られてますか?」
「いや……」
バージルが力なく首を振る、
「それじゃあ、すぐに用意しますね、賄いですけど」
シエスタはポンと手を叩くと厨房へと向かう、バージルはふらりと適当なテーブルにつき、頭を抑える
「………」
シルフィードたった一人に振りまわされている自分に嫌気がさしているのか、深いため息を吐き目をつむる。
「俺は……何をしている……」
彼の苦悩は誰にも届かず……、食堂は静寂に包まれていた。

「はい、おまたせしました!」
「……あぁ」
にこやかな笑顔で賄いの料理を運んできたシエスタに少しだけ視線をよこすと
目の前に出された食事に手をつけ始める。
黙々と出された食事を口に運ぶバージルにシエスタは少しでも気分を和らげてあげればと明るく振る舞った、
「バージルさん、どうしちゃったんですか? やっぱりいつもより元気がないですよ?
いつものバージルさんなら……バージルさんなら……えーっと……」
そこまで言ったはいいが彼の様子はいつもと同じだ、いつも無表情の鉄面皮、
表情が変化したところを見たことがない。
ただ疲れている、というか機嫌が悪いということだけは嫌でも伝わってきた。
バージルはちょっと困ったように言い淀むシエスタをチラと見る
「お前が気にするところではない、ただ疲れているだけだ」
短く言うとテーブルの紅茶へと手を伸ばす、そしてそれを口に運ぼうとした瞬間
「あっ! おにいさま! 見つけたのね!」
背後から突然聞こえてきたシルフィードの声に思わず紅茶を噴き出しそうになる、
「.......Damn it!」
呻く様に呟くバージルの背中にシルフィードが抱きつき頬ずりをする
「きゅいきゅい、捕まえたのね! もうっ! 目を離したらすぐどっかいっちゃうんだから!」
「離れろ、今は食事中だ」
努めて冷静に、今すぐ閻魔刀で首を斬り飛ばしたくなる衝動を抑えつつ、黙々と食事をとり続ける
「むぅ〜……お腹がすいてたのね、きゅい」
そう言うと隣のイスに腰掛け置いてあった食器を手に取るとバージルの口に食事を運ぶ
「はいっ! あ〜ん」
「やめろ鬱陶しい」
そう言いながらシルフィードを無視し食事を口に運んで行く、
シルフィードはつまらなそうにぷくーっと頬を膨らませながらあたりを見回す、
そしてあんぐりと口をあけ呆然と佇むシエスタと目が合うと、今気が付いた、と言わんばかりに口を開いた。
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:51:38 ID:C04mq5HL
お待ちしておりました。m(__)m支援
738蒼い使い魔 第34話:2009/01/08(木) 14:52:15 ID:tPs+rHEa
「むっ! おにいさま! また別な女の子に手を出そうとしてたの!? いけない人ね! きゅい!」
そういうやバージルの鼻の頭をちょんっと突く、それを鬱陶しそうに手で振り払う、
するとようやく我に返ったのかシエスタが顔を青くしながら、震える声でバージルに尋ねてきた
「あ……え……? あ、あの……バージルさん……えっと……その方は一体……?」
そんなシエスタにバージルは少々溜息交じりに答える、
「何を勘違いしているか知らんがコイツは――」
「恋人なのね!」
だがそれよりも先にシルフィードが声高だかに宣言しバージルの首に両手を回しガッチリとしがみつく
それを聞いたシエスタが手に持っていた皿を取り落とした、
重力に従い床に落ちた皿は粉々に砕け散り欠片があたりに散乱する。
「えっ……そ、そんな……う、嘘ですよね……バージルさん……?」
シエスタは今にも泣きだしそうなほど目に涙を溜め、ふるふると頭を振りながら必死に言葉を絞り出す
「無論――むぐっ!?」
バージルが否定しようとそこまで言った途端、突如シルフィードが身を乗り出し強引に彼と唇を重ね口を塞ぐ
「ん〜〜っぷぁっ! はぅ……乙女のファーストキス……捧げちゃったの……きゅい」
さすがにその行動はバージルの逆鱗に触れたのか
両手を頬にあて悦に入るシルフィードの頭をガシリと掴み、テーブルに向けガァン! と勢いよく叩きつける
頑丈なテーブルにヒビが入るほど強烈に叩きつけられたシルフィードはそれきりピクリと動かなくなった
「いい加減にしろ貴様……コイツの言うことは鵜呑みに……おい」
「嘘です……嘘です……嘘です……」
バージルが視線をやるとシエスタがまるで壊れたレコーダーのように繰り返している、
もう目は虚ろになり焦点が合ってない、それもそうだ、いきなりあんなものを目の前で見せつけられて動転しないはずがない
これ以上話しかけてもまともな反応は期待できないだろう、そう判断したバージルは本日何度目になるか分からない溜息を吐く
「行くぞ」
「きゅぅ〜……」
渾身のツッコミによりテーブルに突っ伏し目を回すシルフィードの襟首を掴むとズルズルと引きずりながら食堂を後にする。
「嘘……嘘……」
ただ一人食堂に取り残されたシエスタはうわ言のように繰り返していた。
その日の食堂は一日中、シエスタから放たれる負のオーラで満たされていたという……。

「まったくあのメイドの子ったら! おにいさまに色目を使うなんて!」
ズルズルと引きずられながらシルフィードが頬を膨らませ手足をばたつかせる
太陽はようやく真上に来ている、そろそろ昼時だ、授業が終わり食堂へ向かう生徒達の姿がちらほらと見え始めた
「おにいさまはシルフィだけのものなの! 誰にも渡さないのね!」
バージルは奥歯をギリッと鳴らしながら大声で宣言するシルフィードへと視線を送る
「貴様は本当にタバサの使い魔なのか? 奴の慎ましさを少しは見習ったらどうだ……」
ペットは主人に似る……ではないがメイジの実力を測るには使い魔を見ろという言葉もある、
それを考慮すれば風韻竜を召喚したタバサの実力は推して知るべし、と言ったところである
だがこの性格の違いっぷりはどういうことだろうか、惚れ薬の影響にしてはいささか疑問が残る、
そこまで考えるとバージルは頭を振り思考を中断する、これ以上考えても無意味だ、
なんにせよシルフィードがこの状態では大幅に行動が制限されてしまう。
「そもそも、貴様があの薬を飲まなければ……いや、飲まなかったとしてもタバサが飲んでいたか……くそっ……」
どのみちこうなる運命だったのだろう、忌々しそうにバージルは吐き捨てる。
この世界にきて急に女難の相が出始めた気がする、
元の世界では悪魔相手に切った張ったの日常だったためにこういうことには慣れていない。
弟も弟で額に鉛玉もらったり、すこし先の事だが心臓を剣で刺されたりと女難には事欠かないのだが……血は争えない……。
寮塔へ戻る途中、シルフィードがきゃんきゃんと騒ぐため、多数の人の目を引いてしまう、
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、
バージルが美人でスタイルのいい恋人を学院に連れ込んだ
そんな噂が学院中に広まるのに、時間はかからなかった。
739蒼い使い魔 第34話:2009/01/08(木) 14:54:10 ID:tPs+rHEa
「お? 相棒、逃げるのはあきらめたのか?」
「……」
シルフィードの襟首を引っ掴み部屋まで戻ってきたバージルは茶化すデルフを蹴飛ばすと、
部屋の中に突き飛ばし、ソファへと腰かける
学院内を歩けばもれなくシルフィードがくっついてくる、
かといって下手に撒こうとすれば、先ほどのように騒ぎになりかねない。
つまり、シルフィードが元に戻るまで、基本的に部屋に缶詰ということになる。
この状態があと一日、下手すると数日かかるかもしれない
もちろんそうなった場合、あの巻き毛を生かしておくつもりはないが……。
「……何をしている」
バージルがせっせと服を脱ぎ散らすシルフィードを睨みつける
「きゅい? だってきついんだもん! 苦しい! ごわごわする! 人間って不便なのね!」
身につけていた最後の一枚をポイっと投げ捨てると、バージルに飛び付き頬を摺り寄せる
ますます頭痛が酷くなる、バージルは眉間に一段と深い皺を寄せながら窓を指差した
「だったら元に戻ってどっか飛んで行け、ついでに戻ってくるな」
「やだやだ! おにいさまと一緒にいるの〜!!」
そろそろ本格的に殺意がわき始めた、もともと気の長い方ではない……
というよりダンテに輪をかけて沸点が低い彼である、気がつくと閻魔刀の鯉口を切り刃を少しのぞかせていた。
バージルは必死に、それこそ強力な自制心によりなんとか刃を納める。
「(コイツは竜だ、人間ではない……)」
ここで殺してしまっては貴重な移動手段がなくなってしまう、そう必死に自分に言い聞かせる。
怒りを何とか収め、大きく息を吐き、ルイズのベッドからシーツを引きはがすと、シルフィードに投げつけた
「体に巻いてろ」
「むぅ」
シルフィードは少し唇をとがらせると渋々布を体に巻きつけた。
窓の外を見るとようやく日が傾き始めている、バージルにとってこの一日は果てしなく長く感じたという。

「ねぇねぇ、おにいさま、おにいさま」
「…………」
「おにいさまおにいさま」
「…………」
「ねぇねぇ」
常に絡みついてくるシルフィードに対抗する手段が無視、
という結論にたどりついたバージルは徹底的に無視を決め込む、
「ぐすっ……おにいさまが相手をしてくれないの……」
シルフィードはバージルが自分には手が出せないことを知っているのかここぞとばかりに身体をすりよせ密着させてくる。
耳に熱い吐息がかかり、首筋や頬に柔らかい唇が触れる、さらに舌まで這わせてくる、
健全な男性なら鼻の下を伸ばしまくり、ともすれば押し倒してしまいそうにもなるシチュエーションだが、
バージルはこれ以上ないほど鬱陶しそうな表情でシルフィードの存在を全力で無視し……
時に無言でアイアンクローをかけながら魔剣文書の解読を進めていた。
「おにいさまおにいさま、何を読んでいらっしゃるの?」
「…………」
シルフィードがなんとかバージルの気を引こうと横から抱きつき、
彼に頬ずりをするように魔剣文書を覗き込む、
そして余白に書かれた注釈の部分を見るや頓狂な声を上げた。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:55:31 ID:YM+CjEAc
私怨
741蒼い使い魔 第34話:2009/01/08(木) 14:56:08 ID:tPs+rHEa
「あっ! スパーダ! スパーダの本なのね! シルフィ、スパーダのこと知ってるの! 竜達の間で伝わる伝説なの!」
「……なんだと?」
シルフィードから出た思いがけない言葉にバージルが顔を上げる
「やっとおにいさまのお顔が動いた。シルフィードのお顔をみてくだすったわ、うれしい!」
今まで無視してきたバージルがようやく反応を返してくれたことに感激したシルフィードがさらにぎゅっと抱きしめる、
それを鬱陶しそうに引きはがし、バージルはシルフィードに質問する
「スパーダを知っていると言ったな? その話を聞かせろ」
「うふふ、おにいさまはせっかちなのね、それじゃあ教えてあげるかわりに………」
シルフィードはそう言うとバージルの耳元でぼそぼそと耳打ちし、顔を赤くしながら頬に両手をあてる。
「貴様……ならいい、正気に戻ったらゆっくり聞かせてもらう」
それを横目でジロリと睨むとバージルは小さく舌打ちし吐き捨てるように言った。
「もうっ! おにいさまったら! シルフィはいつでも正気! 本気なのね!」

「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ………あの雌竜ぅぅぅぅ!!」
「あらぁ、あの子ったらずいぶん積極的なのね……」
「我ながらすごい効果ね……」
「はっ鼻血が……!」
「…………」
図書館にてタバサの実況中継を聞いていたルイズ達は、一人は怒りで、残りは気恥ずかしさに顔を赤くしていた。
「しっかし、良く耐えたね、彼は…僕だったら絶対喜んで……グフォア!」
「何言ってんのよ……ギーシュ……!」
モンモランシーの裏拳をくらい顔を陥没させながらギーシュがぶっ倒れる。
「耐えたっていうより、もう受け流し方を心得たって感じがするわね」
流石は天然のロイヤルガード、
シルフィードの求愛をすべてジャストブロックで受け流している状況を見ると押し倒すということはなさそうである。
……それよりも、いつ閻魔刀によるRGゲージMAXのジャストリリースが放たれるのか、それが問題であるが……。
「……それにしてもモンモランシー、君はこんな強力な惚れ薬を僕に飲ませようとしていたのかね?」
ギーシュが鼻の頭を擦りながらモンモランシーに尋ねる、たしかあの時ワインに入れようとしてなくしたことに気が付いていた様子だった。
もしかしたらあんな風になっていたのは自分だったのかもしれない。
少々青くなるギーシュだったが、モンモランシーは自分を思って調合したのだと勘違いし一人感激する。
「モンモランシー……君はそんなに僕のことを……」
「ふんっ! べつにあなたじゃなくてもかまわないのよ? おつきあいなんて暇つぶしよ! でも浮気されるのは嫌なだけ!」
さすがはプライドの高いトリステインの女貴族、たいした高慢ぷりである。
「僕が浮気をするわけないじゃないか! 永久の奉仕者なのだから!」
ギーシュはがばっとモンモランシーを抱きしめる、そして彼女の頬に手をあてキスしようとする
モンモランシーもまんざらではないのか目をつむる
「これ以上続けるならあの世でやりなさい」
ルイズは二人の間に杖を差し込み無理やり中断させる、目が本気だ
それをキュルケがなだめながら口を開く、
「それにしても、モンモランシー、あなた大丈夫なの? 明日までに調合の準備を終わらせないと本当に殺されちゃうわよ?」
「だ、だから図書館で調べてるんじゃない! とりあえず必要なものはわかったわ、
手元にないものはメモにまとめておいたから、渡しておくわね」
モンモランシーはそう言うと必要素材の書かれたメモをルイズに手渡す
「じゃあ、調合の準備をしてくるわ、殺されたくないからね」
そう言うとモンモランシーは席を立ちギーシュとともに自室へと小走りで去ってゆく、
「それじゃ、私達も行きましょ、ほらルイズ、早く戻らないと、ダーリンがシルフィードに食べられちゃうわよ〜?」
「キュルケッ! 茶化さないでよ!」
からかうキュルケに顔を真っ赤にしてルイズが反論する、そんななかタバサがぼそっと呟く。
「抱きついた」
「うぅ〜〜っ!!?」
その言葉を聞くやルイズは即座に身を翻し図書館を飛び出して行った。
「まっ、ダーリンに限ってそんなことはないと思うけどね〜」
キュルケは面白そうに呟くと、なにやらうつむいているタバサへと視線を送る、
「……? タバサ? どうしたの?」
「あの子……一ヶ月肉抜き」
タバサは顔を耳まで真っ赤にし、それだけ言い残すと倒れこむように机に顔を突っ伏す
「ちょっと! どうしたのタバサ! 鼻血が!」
どくどくと机に血だまりを作るタバサを抱え、キュルケも急ぎ図書館を飛び出して行った。
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:56:14 ID:E1TOMCDC
支援だ
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:56:49 ID:E1TOMCDC
支援
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 14:58:06 ID:0Vju782Q
>>733
あれ?ショタだっけか?
なんか酷い記憶違いしてたわ

それはそうと支援
745蒼い使い魔 第34話:2009/01/08(木) 14:58:27 ID:tPs+rHEa
「バァァァァァジルゥゥゥゥゥゥ!!!!」
ドアを蹴破るように……実際蹴破りルイズが部屋の中へ飛び込んでくる
「むっ! 桃髪が帰ってきちゃったの! 帰れなのね!」
「どこへよ! ここが私の部屋よ! あんたこそ森へ帰りなさい!」
「シルフィが帰る場所は森じゃないのね! 帰る場所は……コ・コ♪」
そう言いながらバージルの胸板を人差し指でトントンと叩く、妙に色っぽいのがハラが立つ
ギリギリと奥歯を鳴らしながら今度はバージルへと怒りの矛先を向ける
「バージル! あんた一体何したのよ! あんたが恋人を連れ込んだって学院中の噂になってるわよ!?
それにシエスタが灰みたいになってたわよ!? っていうかなんて格好させてるのよあんたはぁぁぁ!!!」
「サイズがきついと脱いで騒ぐんでな、何も着せないよりマシだろう、それに、
噂など言いたい奴には言わせておけばいい、そんな事実はないのだからな」
一気にまくしたてるルイズをよそに、そんなもの露ほどに気にしてはいない、と言わんばかりにしれっとバージルは言う、
「そんなことより、明日調達する素材はわかったのか?」
バージルは顔をあげルイズを見る、もし進展がなかったら即座にモンモランシーを殺しに行く
そう目が語っていた。
「大丈夫よ、ちゃんと調べさせたわ、今モンモランシーも必死に準備を進めてるわ、はい、これがメモ」
ルイズはそう言いながらメモをバージルに手渡す、
それを受け取るとメモをしっかりと確認する、
「よし、明日は予定通り街へ行く」
バージルはそう言うとメモを大事そうに仕舞いこむ。
本来ならば今すぐにでも行きたいが日はすでに沈みかけている、なにより、疲れた。
こんな馬鹿馬鹿しい茶番はさっさと終わりにして、魔界への手がかりを探したい、
そこまで考えると、バージルはもう数えるのすら面倒になるほどの溜息を、大きく吐いた。

「おにいさま、ぎゅうってして?」
「してくれないならこっちからするの!」
「シルフィねぇ、子供は10人くらい欲しいの! おにいさまは何人欲しい?」
おっそろしいセリフが次々シルフィードの口から飛び出していく
当然横で聞いているルイズは気が気ではない
「あぁもう!! シルフィード! ちょっと……いやもうちょっとどころじゃないわ! 本当に自重しなさいよ!」
「自重するのは桃髪の方なのね! 空気を読むこともできないの!? おにいさまとの甘い時間を邪魔ばっかりしてからに!」
「何が甘い時間よ! っていうかバージル! あんたもちょっとは抵抗くらいしなさいよ!」
「……コイツはもう相手にするだけ無駄だ、俺も殺意を通り越して呆れ果てているところだ」
バージルは呻く様に呟くとソファへと向かい倒れこむように横になった。
「きゅいきゅい、おにいさま? もう寝ちゃうの?」
「疲れた、寝る」
バージルは今日一日で我が身に降りかかった事態に心底疲れているらしく手を頭の後ろに組み、目をつむってしまった。
それをみて待ってました! といわんばかりにシルフィードがビッとルイズを指差す。
「ここから先はR指定なのねっ! 子供はさっさと寝るっ! さぁおにいさま! Let's Rock!」
「黙れ」
「きゃうん!」
そう叫ぶや横になっているバージルに飛び込むも、カウンターの蹴りをくらい床に転がる。
「あいたたたた……、でもこれしきのこと! シルフィはめげないのね!」
シルフィードはすぐさま復活すると、再びソファへと近づいて行く、それをルイズが呼びとめる。
「ちょっとシルフィード! あんた、どこで寝るつもりなのよ!?」
「へ? どこって? おにいさまと一緒に寝るの! これは決定事項なのね!」
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 15:00:23 ID:E1TOMCDC
支援
747蒼い使い魔 第34話:2009/01/08(木) 15:01:00 ID:tPs+rHEa
その言葉を聞きルイズは顔を真っ赤にして反論する。
「ダメったらダメ! 絶対絶対ダメ! バージルと一緒に寝るなんて絶対許さないわよ!」
「使い魔同士一緒に寝て問題おあり? というか、今日ここに来た時も気になってたけど、
どうしておにいさまはこんなソファで寝てるの? そんなに広いベッドを使ってるなら
半分くらいスペースをあげればいいのに! ひどいご主人さまなの!」
その言葉にルイズは苦々しい表情を浮かべ反論する
「そっ……それはっ……わ、わたしだって一緒にベッドで寝ていいって言ったわよ!
でもアイツが断ったのよ! 椅子で寝るのが慣れたって! し、しょうがないじゃない!」
「ははぁ〜ん、でもおにいさまは今、横になって眠っているのね、桃髪には魅力が足らないのね!」
ルイズの頭にハンマーを食らったような衝撃が襲いかかる、魅力が足りない? 意識されてない?
「でっ、でもっ! バージルは私のこと興味があるっていってくれたもん! 意識されてるもん!」
ルイズは目に涙を溜め地団太を踏みながら必死に否定する、
「あ、あんただってあんなに色仕掛けしておいてまるで相手にされてないじゃない!」
ルイズの必死の反撃もシルフィードはどこ吹く風、女性としての魅力は全て勝っている、そう確信したのだろう、
……変化を使っている時点では、だが
「おにいさま? 桃髪よりもシルフィの方が魅力的だと思わない? きゅい」
シルフィードがバージルへ顔を向けると既にバージルはソファの上で眠っていた。
「あらら、もう寝ちゃってるのね、ふぁあぁ〜……シルフィも眠くなっちゃったの……」
そんなバージルを見てシルフィードが欠伸をした隙に、ルイズがバージルの上に抱きつく様に飛び乗った。
「あ、あんたなんかをバージルと一緒に寝かせるもんですか! 私はここで寝るの! あんたは床よ!」
「むっ! 桃髪! ずるいのね! おにいさまはシルフィと寝るの!」
シルフィードも負けじとバージルに抱きつく。
「離れなさいよ!」「そっちこそ離れるのね!」
きゃんきゃんと喚く二人をよそに、よほど疲れていたのかバージルは静かに寝息を立てていた。

夜、ルイズがパチリと目をあけ、眠っているバージルを見つめる、
シルフィードに対抗するため勢いでバージルに抱きついて現在に至るわけだが……
冷静になってみるととんでもないことをしていると気がつき、思わず顔が赤くなる。
こうしてバージルの顔をじっと見ているだけでドキドキと心臓が高鳴ってくる。
ルイズの現在位置から見て右斜め45度、人がもっともカッコよく映るアングルである。
バージルは世に言う美形の部類に入る、しかもかなりの高レベル、
凛とした気品溢れる立ち振る舞い、どこか影のある雰囲気に魅せられた女生徒も少なくないらしい。
学院内にもかなりの数の隠れファンがいるという噂だ
この間一緒に街を歩いた時も、やたらと道行く女性の目を引いていた気がする、
実はその時ほんの少し優越感に浸っていたのであるが……
「(本当に格好いいんだけど……もうちょっと優しかったらなぁ……)」
ルイズはバージルの寝顔を見つめそんな事を考える、
そしてシルフィードが眠っていることを念いりに確認した、
「寝てる……わよね……?」
少し身を乗り出しバージルの顔を覗き込む、心臓が先ほどよりも激しく高鳴る、
ルイズは自身の心臓の音でバージルが目を覚ましてしまわないか不安になりつつも
ゆっくりと顔を近づける、そして、そっと彼の唇にキスをしようとしたその時、
タイミングがいいのか悪いのか、バージルがふいっと顔をそむけてしまった。
「……ばか」
ルイズは口を尖らせると、バージルの顔を手で抑え元の位置に戻すと静かに口づけを…、
「うっ……うぅ〜ん……むにゃ……」
しようとした瞬間、突然シルフィードが身をよじらせる、
「こっ……この雌竜ぅ〜……」
恨めしそうにシルフィードを睨みつけると呻く様に呟く、
今のでバージルが起きてしまうかもしれない、そんな不安を覚えキスはあきらめる。
ルイズは高鳴る鼓動を必死に抑えながら、ゆっくりと眠りに落ちていった。
748蒼い使い魔 第34話:2009/01/08(木) 15:02:03 ID:tPs+rHEa
――深夜
ふと自身にのしかかる妙な重さにバージルが目を覚ます、
なんだと思い視線をやると……
シルフィードが横から抱きつき静かに寝息を立てており、
さらにどういうわけかルイズまで上に乗っかり、しがみつく様に眠っていた。
「なんだこれは……」
バージルは呻く様に呟き、顔をしかめる
「……重い」
そう言うや、すやすやと寝息を立てる二人を床に突き落とし…再び眠りへ落ちて行った。



これにて投下は終わりでございます、支援感謝であります
バージルはなんでシルフィードにキスされても動じないかって?
答えは簡単、竜だから
彼にとっては犬に顔を舐められたのと同じ、
見た目は問題じゃない!竜だからノーカウントだ!
では次回お会いしましょう…まだ課題終わってないんだぜ…○<\_
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 15:02:52 ID:E1TOMCDC
乙!
750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 15:27:16 ID:hv17qfdu
投下乙です
……ありえない事だがもし一線を越えてたら、悪魔と人と韻竜の血を引くスーパー生物が生まれるんだろうかw
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 15:35:31 ID:OAYWllMa
>>750
自由人が生まれます
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 15:41:21 ID:2Vj/YHjT
風魔竜人
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 15:42:39 ID:EkPSdS7V
いや竜魔人だろ
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 15:51:10 ID:bng4j12t
MP全消費で全体999ダメージのカイザードラゴンに変身することが出来るようにゲフンゲフン
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 15:53:43 ID:mZmm1Vuj
>>753
スレ違い
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 16:24:17 ID:4wVD7DM9
>>755
専用スレがあるからスレ違いってどんだけ排他的なんだ
その程度がスレ違いならおっぱい談義が始まったら「キャラ板でやれ!」ぐらい言ってくれればいいのに
お前の好みなんざチラ裏でやれって話で見ててつまらないんだよアレは
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 16:28:19 ID:jJcID6Fe
話書く気の無い召喚ネタに対して避難所の専用スレでやれって言うのなら支持する
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 16:34:49 ID:mz+Ar94e
重要なのは卵生なのか胎生なのかだ!!
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 16:38:44 ID:DnsGJkaQ
このスルースキルの無さはいずれこのスレを滅ぼすぞ
あっ一回滅びかけてたな
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 16:40:02 ID:d/JP+rQ/
>>758
15巻でP43で「必ずなにか一波乱あって、傷ついたり、タマゴを産んだりするのね」って言ってるから卵生なんじゃないの。
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 16:59:30 ID:+W4OpSQ1
何度でももたせてみせるさ
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 17:35:17 ID:0RPg6bEQ
でも戻ってきて欲しいなぁ
爆熱の人とか左手の人とか北野君とか
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 17:36:46 ID:mZmm1Vuj
だから爆熱はもうここには…
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 17:55:09 ID:vLBKw8s8
ここには…ってゆーか何処にも…夜明けの人も後が分からんなあ
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 17:59:45 ID:EoUgeWUJ
>>751
アンアンとかジョゼフが馬鹿でかいのか。
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 18:00:33 ID:/RQBSgMv
だから爆熱は再開場所決まったらここで報告するって言ってたから多分いる
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 18:03:26 ID:0RPg6bEQ
っていうか行き先分かってるのいろいろの人と目つきの悪い人だけ
他の誰か知ってるです?
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 18:06:55 ID:mZmm1Vuj
黒騎士は眼つきと同じとこにあるな
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 18:07:57 ID:vLBKw8s8
>>767
るるるの人とウィザードリィ(さ〜う゛ぁんと)の人は分かってるよ
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 18:58:30 ID:7I7AgZSe
蒼い人乙です。
バージルって20歳前後らしいのに、もうEDなの?
とーちゃんは異種族との間に子供を作るくらい、お盛んだったらしいのに・・・
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 18:58:43 ID:CV88Jzcn
最初はテンポよく進んでたくせに決闘やフーケ編をやったら急に減速して、
そのまま消えてしまうってパターンが多いわな。

連載終了まで行ける人はほんとすごい。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 19:10:53 ID:z+U4e2CK
うむ
いよいよ出発のようだな…
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 19:18:54 ID:3WAkMMpX
>>770
思春期が来ていません
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 19:37:45 ID:L7FAs+xE
仕事中に恋姫†無双の北郷一刀召喚という電波を受信した、
外史補正でネームド男性キャラが女性化するというオマケつきで。

直後、褐色マッチョの若本声になったティファニアという毒電波受信して激しく落ち込んだorz
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 19:38:35 ID:gdXuya43
ウルザの人はあの文量で、もう少しで完結という所までいってるな。
話も毎回メリハリついてるし、ほんとすごい。
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 19:52:41 ID:NU6syZad
>>774
どの外史でも美女に扮装しないと気がすまないのかアイツはwwww
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 19:55:30 ID:fuePLe9s
>774
該当スレでやれ
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 19:59:35 ID:+WEaIAbW
>>777
誘導もしないで該当スレでやれの一言。
雰囲気悪くするという意味では荒らしと同じだな。
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 20:24:31 ID:qeHVIewe
>>774
一刀召喚は面白いかも。一刀はそれほど強くもないし飛び抜けて頭が切れる訳でもないけど、
人の使い方は抜群に上手いからな。「戦わない主人公」の方針でやっていけそうだ。
対人折衝能力が高いのでルイズとも割と仲良くやっていけるだろうし。
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 20:30:09 ID:4wvVOyyD
同じ三国志つながりで一騎当千の関羽をだな(ry
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 20:36:17 ID:4SVN8as9
そしてまたスーパー関羽対戦をというネタがだn(ry
782ギィギーシュ(1レスのネタ):2009/01/08(木) 20:37:47 ID:kjjZfZZ0

ルイズが召喚したのは、大きなトランクを持った金髪長身の男だった

「僕はギィ、オートマータ使いさ…人は人生という舞台で、誰もがその役目を演じなくてはいけない…」
ルイズはなんか腹が立ったのでその使い魔を5秒でぎたぎたにした

使い魔ギィは、シエスタがギーシュに落し物の香水を渡そうとしているのを見て、自分が返すと言った
「バラは多くの人のために咲くものなのさ」 ギィはギーシュのポケットにそっと香水を戻した

「使い魔よ、君の機転のおかげで淑女たちの名誉が守られた、礼を言わせてもらう」
「未開の星の者よ、ぼくも君の言葉のおかげで、この遅れた世界にも美が存在することを知った」
「ところで君の美しいガーゴイル人形と僕の美しいゴーレムで、腕試しをしないかね?」
「僕は生に倦んだアルルカン、一時の座興に身をゆだねるのもいいだろう」

「踊れ!僕の愛しいオリンピア」
「ゆけ!僕の妖艶なる戦乙女よ」

「あっはっは!君のオリンピックは強くて美しいなぁ〜」
「はっはっは!君のワるきゅーれこそ、美しくて強いぞ〜」

薔薇の花が飛び交うふたりの美しい決闘に、周囲はゲンナリした

・水のルビー編
「姫様!その指輪の奪還、このギーシュにお任せを!」「いや、このギィにお任せを!」

・アルビオン編
学院にて「あぁ、平民の使い魔よ!僕は友情など感じていたんだよ!君の姿を残すべく像を作ろう」
ウエストウッドにて「未開の星の者よ!僕と君は友達だ!君の姿を絵に描こうと思うんだ」

・学院、12巻ぐらい
「ギィ、よければ僕の領地にこないか、君ひとりくらい養ってやれるぜ」
「ギーシュこそ僕のママンの家にこないか?君ひとりくらい雇ってあげよう」
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 20:48:27 ID:8WyImEIy
南国さく乳アイランド〜妊娠させて!? 乳搾り〜 (MBS TRUTH -DeepBlue-)
http://www.orange-mikan.com/index.php?topic=1060.0
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 21:18:56 ID:4wVD7DM9
>>782
オートマータ使いの一言でお前さんがからくりサーカスを見てない事だけは判った
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 21:20:47 ID:MOBYImVv
ギギギーシュ・ギーシュシュ
786名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 21:22:16 ID:MOBYImVv
>>782のギィのキャラに違和感を感じたのは、俺だけじゃないってことかな?
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 21:22:49 ID:CV88Jzcn
>>785
カセギの声かと思った
788名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 21:39:58 ID:0Vju782Q
>>786
大丈夫、俺もだ
最初の数巻読んだだけとかじゃね?
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 21:43:18 ID:ONoNqFxY
>787
『お前の鼻水を飲みつくしてくれるわ』と叫ぶのですか?
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 21:50:43 ID:ZuxcNKCQ
>>780
ランペイジの張飛をだn(ry

実際問題悪知恵働くし戦闘力も問題無いんだが
得物が北斗の創った槍で槍に乗っ取られる事有るし
デル公が使って貰えないんだよな
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 21:54:45 ID:E1TOMCDC
そろそろ次スレか?
一本投下が来たら丁度いい感じだな
792名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 22:24:46 ID:e7WoHsnr
今の内に言っとくわ。AAで埋めるな。
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 22:34:22 ID:1wHBC5y6
あいつは聞く耳もたんよ
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 22:38:19 ID:5b6u2RQy
>>793
次のはまだ残ってる番号ミスってる重複スレを再利用かね?
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 22:44:12 ID:zy/Z5/MO
重複スレコピペとAA馬鹿にくれてやったらどうだ?
796名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 22:46:09 ID:1wHBC5y6
再利用が妥当なんだろうけど作家も気分悪いだろうな
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 22:49:46 ID:n/U/PMd3
荒らしのゴミレスだけで埋まってるような所使えなんて
どうしようもない事言わずに放置落としでいいじゃないか
あんなゴミ捨て場なんぞ
普通に203立てりゃいい
あんな場所「再利用」なんぞしようもんなら荒らしが増長しかねんよ
798名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 22:54:29 ID:LIOcjLxf
荒らしが荒らす目的で立てたんなら俺も無視に一票だけど、
元は単にスレタイ間違えただけだし、ありがたく使わせてもらおうぜ。
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 22:55:21 ID:cmuAIwKH
その重複スレはみてみたことないんだけど…なにかヤバイ書き込みされているの??
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:04:30 ID:nZS6aBLA
>>799
コピペとAAで埋まってるだけ。
でも、雑談スレってわけじゃないんだから、新スレ立てるほうがいいと思う。
あそこにSS投下するのはあまりいい気分じゃないと思うぞ。
801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:05:23 ID:3WAkMMpX
あのコピペが乱立されまくってるスレを再利用とか、本気か?
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:09:04 ID:UAhnH21y
新スレたてるに一票
コピペAA大好きな方々の邪魔をするのは忍びない
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:09:36 ID:OGTGJ7of
元はともかく現在コピペで荒らされてるんじゃな
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:19:07 ID:gbgP+u/b
全然急いでないのに宣言しないで建てた馬鹿が悪い
建てる時は宣言してからな
んで書き込み押す前に深呼吸してからもう一度内容を見直せ
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:36:44 ID:LGwq5U8l
遅レスなんだが魔砲の人乙!
キュルケが冷気攻撃するから
熱属性→分子の振動を激しくするのが得意→なら逆に止めるのも出来るだろ→「超能力絶対零度」!
のよくある黄金パターンかと思いきや…


思うんだが今話でキュルケがやったように使い魔との視覚共有を利用して死角を補う戦法はかなり有効そうなのに何故、あんま軍人・傭兵メイジは使い魔連れてないんだろ?
ぶっちゃけメンヌヴィル、使い魔の視覚共有、補助に使った方がよくない?
原作でも学院生徒と虚無メイジ、オスマン以外使い魔連れてないんだよなあ
806名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:40:44 ID:OGTGJ7of
7万の大軍連中にはそういうことしてたのもいたような
807名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:41:58 ID:ZZn5FxzC
解釈としては、使い魔とて生物だから戦闘中にし慣れたりして足手まといになると困る可能性、
あとは実際、感覚共有してそれを役立てられるほど訓練してるかどうかって辺りか?
808名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:44:32 ID:vk7p7eQT
作者が既に設定を忘れている
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:45:35 ID:/j0gMS4L
竜を使い魔にできた場合なんかは当然使うみたいだけどね。
めったにそんな幸運なメイジは居ないけど。
810名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:45:48 ID:LIOcjLxf
宣言しないで立てたのはこっちも同じなんだが。
先に立ったスレを先に消化ってのは2chの不文律だろ。
新しいスレ立てる理由が「いい気分がしない」ってだけじゃな。

それに、この板は過疎板だからスレが落ちにくいんだよ。
削除人もあまり巡回してないし。
とっとと使いきった方がいいっしょ。
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/08(木) 23:50:04 ID:gbgP+u/b
俺も既存スレの消化に一票
どうせすぐ埋まるだろし
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:27:12 ID:3qhmgGd7
それじゃあ、皆でこっちに移動しましょう。
同時期に建てられたスレ。

http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1231078840/

813名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:43:05 ID:kGfGIsyN
超亀レスだけど、白い冥王殿乙です
卒研で大学にいたので、書くに書き込めなかったww
溜まってた文一気に消化しようとまとめwiki読んだんですが、本局組の再登場は何時?
と、思ってしまった
後、書いてて思ったんですけど。冥王と言えばチャンピオン星矢のアニメ、アテナが平野嬢らしく
ま た 平 野 か ww
以上、失礼致しました
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:46:12 ID:eCRR1+2y
みなみけの新キャラもまた平野らしいな・・・
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:46:12 ID:+ubdC5OR
>新しいスレ立てる理由が「いい気分がしない」ってだけじゃな。
間接的な荒らし容認=幇助行為にしかならんから無視して沈め落とすが吉
それでなお荒らしがageたら削除依頼の口実にもなるだろ
本来なら重複削除で依頼出しとくべきだった代物なんだから
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:48:09 ID:qymzWK+T
不文律とかいってると反逆する提督みたいなのが来るぞ
817名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:49:02 ID:eCRR1+2y
絶対に沈まないし。
削除依頼しても遅いから使いきろうと提案してるんでしょ
818名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:52:46 ID:+ubdC5OR
なんだ、コピペ荒らしの自演擁護・自演誘導だったか
反論自体無意味だったな
>>817
荒らしの思惑にまんまと乗せられて気付きもせずに荒らし擁護なんぞしても何の得にもならんぞ
819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:56:55 ID:m8al0MoH
…一体何と戦ってるんだ
820名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:57:17 ID:eCRR1+2y
> なんだ、コピペ荒らしの自演擁護・自演誘導だったか

酷い言い草だな・・・荒らし扱いですか
821名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 00:59:48 ID:b2SsUO2z
お前ら服を全て脱げ
もめ事なら相撲で決めろ
822名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 01:09:34 ID:yFQ01c4B
>>818は急に仕切りだして疎まれるタイプ
823名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 01:20:43 ID:/Idx0cHz
>>821は急に脱ぎだして通報されるタイプ
824名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 01:21:26 ID:m8al0MoH
やめて!私のために争わないで!
825名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 01:22:50 ID:+JLEqRpp
>>824
おめえじゃねえ、座ってろ
826名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 01:40:42 ID:V6S8y9ha
なんで座ってろなんだと思ったら、あずまんがか。
827名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 01:46:39 ID:b5wLauCd
どすこい!
じゃあ、誰か俺と相撲を取らないか?
裸のぶつかり合いを楽しもうじゃないか。
828名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 02:43:18 ID:Yu3eltzG
無意味なレス連発=荒らし幇助
829名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 03:25:16 ID:3HQj15FL
>>779
一刀召喚して戦わない使い魔とかありえないから、と子連れ狼を念頭に置いてレスする俺
830名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 03:33:59 ID:672hLUH2
つかっても使わなくてもいいと思うけど
削除依頼を出してあるなら使わなければいいし、出して無いなら使えばいいんじゃないかな
831名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 03:51:00 ID:V6S8y9ha
どうせ10日前後で埋まっちゃうんだから使っちゃえ。
832名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 04:03:03 ID:cGLouH+0
みんな気になるならあのスレを凄い勢いでネタ雑談して埋めてしまえば良いのよ
得意だろ
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 05:48:06 ID:t6Haeq1n
放送開始日のアニメが多いからかして人が少ないな
834名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 07:08:22 ID:Qi+v1TIS
お前らどれだけ最低作品量産すれば気が済むんだよ
835名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 07:10:25 ID:rnXKPOrx
チハたんの生産台数と同じくらい。
836名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 07:17:10 ID:3dy0GJ42
自分で何もしない奴ほどよく見下す
837名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 07:29:06 ID:QaiGSRGc
で、新スレ立てるの? 再利用するの?どうすんの?
838名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 07:34:01 ID:3Rkyc2cR
>>829
拝さんはたしか小ネタにいたな

コッパゲに乳母車の連発銃を量産化してもらえば軍事力アップだ!
839名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 07:39:38 ID:N5svV6Kt
今のとこ再利用で話がついてるが気にいらないのなら建ててもいいんじゃね
840名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 07:44:17 ID:QaiGSRGc
841名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 08:17:00 ID:S1D5Nc/B
次スレあるなら梅ちゃうか
                                       ___
                                     ,  ‐''"´       `''ー 、_
                                     /                  >-─- 、
                               /   /               `ヽ
                             _,ノ     /                       ',
                             、_, イ´    /             }   ヘ       ',
                             |     /       /  / ハ  ハ        ',
         ⌒ヽ、                  |   /       / /  / リ  ∨| ',  l     い
        ,  "´ ̄ ̄¨ ''ー-、              | /     /  / /| / 〃  /ハ|  l, |   } ヘ `ー-‐'
       /              `丶、       ‐-イ     /  / /l |./ /  / │ リV|   リ  ト、
.     /  /             ─-、     / 从    {  ハ/--┼ '     ナ'' ー- |  / } | )
    /    /{     }      ヘ   i \   / / 八  从(   __       _    リ /  リノ
.   /   /八      ハ ヽ   }  l      〃     ト、 ハ   ,.-=ミ      '゙=ミ、厶イ イ
   { /|  /│{ \   / } }∧   |  │  . イ   {   :、 ヽ{  ´                /_八 い
   イ' |  ト、l八   /  _j」L. ',  |  |     {/ {  ヽ  `'ー- 、 :::::::::      .  :::::::八    } }
 / .{ | リ __`ーV/ハ '´ _   リ} |  |      八  \  いrヘ、           ノ  }  リノ
    │ハ〈 Vう     '゙ V'うヽ lレ^ヽ |        \( ヽ\人/ (| `  .  (__ノ   イ   jノ乂ノ
      Vハ ......     .....`゙  リ/ } |             __/   \  `r-< ̄⌒''<,_
.      ノ八 ゙゙゙゙  '   ゙゙゛゛  _, イ i l           //ハ   o\  ヽ、 \   o ゚> .._
     /イ l\    _     , イ[  |i i│         //     ', o /几  |   |\ 「 ̄   ` ミュ、
    / jレ'  ̄{:{> __,  ´    ̄`ヽi│       .厂\      '.c/ / |  ト、 │  )〉         /`丶、
     { |    |:|   }          } l      ,′       |/ /^ |─┤ \|.  /         /     `
       |   .! | ヽ , -‐        |:il     {          0 |  0〉⌒Y    /         i
      |   |: |           |     川      {              |  |   \- /    /      i
     │  l}: :l、     . -‐…‐-、 i||     |         n  |  |   │ /  /   -─=彡
.       |   ′: :Y^ー-‐' : : :r‐…‐、 ∨ }     |      | r┘_,コ |  │rヘ_厶-‐┐     _..  厂¨ ''─-
.      |. /: : : : |o : : : : : : ,    ∧: :∨     |      |  ̄   0| _,rく    ヽ  イ     ´   /
.      │{ : : : : : : : : : : : :/   / : ト、/     |      |   , ‐'゛   ',    |  ]      /
.      | \ : : : : : : : : :/   / .:.八      |      { /     l l    |  ,ハ     /
.      {   | : : : : : : : /   / : : : : \     |     /       l l    |-┘ l     イ
.      l   丁ト---‐ァ   /: .:_, ィ´     儿                 _j厶 -┘|   l   ,ハ
.       l   | !   /   / ̄   !     く /         , イ「 |      |  |     |
     │  │ |  l/   /        ヽ    {          . ‐'"  |  |      |  |     |
     │  ││ /   /          \   L二ニ=-r─'´    0|  |     |  |     |
842名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 08:22:29 ID:fVnbr07R
500kbならロスオデからトルたん召喚!!
843名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 08:23:24 ID:S1D5Nc/B
l: : : : : : : : : :|   く ̄\| ____
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: : : : : : : : : : :〈 : :/: :.:.\_/    _   〃f9 |:/:__;∧       _,/⌒\
: : : : : : : : : : :く/ : j : : :ト   ィ- =ミー     ̄ j::::::::厂ト、   / /   ∧
: : : : : : : : : : : :.`ヽ/: :∧ト|     f9      ::::j/ ∧`7<二ニ=-、/⌒\
、: : : : : : : : : : :::::└:八勹.     ̄    ′ 厶/   ∨  \  〈     ヽ
_\:::::::::::::::::::::::::::::::::∧_ ーヘ、  / ̄ ̄〕イ ∠. -―┬〉    ∨ 丶    |
 \`ミー=ニ 二:::/  /乂 {`¨ └─/ ノ/       |´ー┼ 、_{ ̄ ̄〉ー'´了\
: : : :\   ヘ/\__,/  ((_込. ` /\/     /  ノ    〉  /    :|  \
    \ {  \ : /    (汽_,ノ\//: ノ       /       /  {      |    `丶、_
.: : : : : : : :ヽ\  ∨       ゝ/: : : :}.    /::::::\    / ̄  〉、___)        `丶、
: : : : : : : : : : : :\ `丶、__,/: : : :ノ! |   ∠_::::::::::::::::::>くヽ  /    /           }\     / ̄ ̄ ̄\
 ̄ ̄  、: : : : : : :  ̄ ̄: : : : : : : : : / j: j/ / `ー―<   \/       〉ー…──--- ...__ノ  \ / >>842  丶
     >─ァ-、: : : : : :___ :∠二:イ   '′  /   〉、_/ \.    /            `丶、  ̄\ ヽミ      l
    /: : : :/    ̄ ̄\    / 〈イ ̄ ̄ ̄^'ー-、/ ' /    \/                   `⌒>、 ∨:}   == | '.・’
  /: : : : :/        丶 _/   く_|        ∨〈 ┬―一'´                  /  `' ノ_人__):::::/ ';
./.: : : : : :/                   |        /丁 ̄                        /  ・     ―┬ー'
ー'ァ: : : :./                     i          ト、j                       /        ・  /
/: : : : /                  '.         j /                     /            /
: : : : /                     、        /                    /          /
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844名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 08:23:27 ID:NUjiCsYG
>>841
ゼロ魔に関係無いAA貼るなよ
何よりストパンは好きだがそいつら大嫌いなんだよ!!
845名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 08:29:54 ID:aWhFbUy/
じゃあ、消し飛ばしますか

                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>

846名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 08:30:35 ID:FxwA8zDH
そういや、このAAネタの元になったウェールズいれたユニオンジャックってどうなったんだ?
847名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 08:31:19 ID:aWhFbUy/
あと2匹かな?
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>

848名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/09(金) 08:32:03 ID:aWhFbUy/
スレ終了

                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
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                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
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  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
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849名無しさん@お腹いっぱい。
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