あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part200
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part199
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1230113457/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
3 :
ウルトラ5番目の使い魔 第28話:2008/12/28(日) 18:21:35 ID:7kkzoYZU
本年度も、どうもありがとうございました。
では、200回記念の一番手、予約が無ければ今年最後の投下を開始したく思います。
開始予定は10分後の18:30で、よろしくお願いいたします。
すいません、うっかりsage忘れました。
ホロの人GJ!
キュルケ無残wwと思いきや、ナイスコッパゲールw
次回に超wktk。
おぉ、ウルトラの人キタ。支援!
第28話
ウルトラマンエースVS異形の使い魔!
怪獣兵器 スコーピス
大モグラ怪獣 モングラー (ヴェルダンデ) 登場!
怪獣兵器スコーピス……それはかつて生命のあるあらゆる星を不毛の荒野に変えようとした悪魔のような怪獣、
異形生命体サンドロスが手駒として大量に作り出した人工怪獣たちのことである。
宇宙空間を飛行する能力は当然、ミサイルやレーザーも寄せ付けない頑強な外骨格、最大の武器は口から
吐き出す腐食光線ポイゾニクトと額から放つ破壊光弾フラジレッドボムで、これを使って破壊の限りを尽くす。
その猛威はわずか一体で星を一つ滅ぼしてしまうほどである。
数年前にサンドロスは滅ぼされたものの、宇宙に散ったスコーピスたちの生き残りは野生化し、サンドロスから
与えられたあらゆる生命の抹殺というプログラムのみが一人歩きし、宇宙のあちこちを荒らしていた。
そして今、そのうちの一匹がこのガリアに来襲し、ラグドリアン湖周辺の広大な地域をわずか1日で
砂漠に変えてしまった。
ただし、この個体は宇宙での戦いで負った傷でそれ以上は動けず、砂中に潜んで傷の回復を図っていたのだが、
原因不明の砂漠化を調査しにやってきたタバサとキュルケを発見して、その凶暴性のおもむくままに二人に
襲い掛かっていた。
シルフィードに向かって放たれたフラジレッドボムの赤黒い光弾が猛スピードでタバサとキュルケの頭上を
通り過ぎていく。的が小さいだけにそうは当たらないので、二人は余裕を持って攻撃魔法の詠唱をおこなう
ことができるが、スコーピスも怪獣兵器の異名はだてではない。
「ああもう! なんて硬い怪獣なの!」
フレイムボールの直撃に焦げ目すらつかないスコーピスの頑丈な体に、頭にきたキュルケが叫んだ。
スコーピスの外骨格には並大抵の攻撃は通用しない。だが、奴はどういう理由か大きく負傷している、
付け入る隙はあるとタバサは考えた。
「あいつの左下半身、焼け焦げて殻がはがれてる。あそこなら攻撃が効くかも……」
得意のジャベリンをスコーピスの殻に簡単にはじかれてしまったタバサは、敵の傷口に攻撃を集中しようと考えた。
「やっぱりそれしかないか……このあたしがそんな姑息な手段に頼るしかないってのは腹が立つわね。
しかし……見事なまでに左足と左の羽根がもぎ取られてるわね。墜落した衝撃でかしら」
「飛べるんだから、空から落ちて大ダメージを受けるなんて考えにくい。焼け焦げてるのも妙、何者かに攻撃を
受けたのか……?」
思わず口に出たその仮説は、キュルケだけでなく、口にしたタバサ本人にも戦慄を覚えさせた。
「まさか……あれにこれほどの傷を負わせるなんて、どんな化け物よ。まさか、ウルトラマンA……?」
「わからない。けど、それに匹敵する何かと戦っていたのは、多分間違いない」
「もう一人、ウルトラマンが……まさかね。他の怪獣と同士討ちしてたと考えるのが妥当よね……」
頭に浮かんだ想像を、まさかと思いながらもキュルケもタバサも胸のうちにしまいこんだ。
もしもエース以外にもウルトラマンがいてくれるなら、これほど頼もしいことはないが、まだそんな姿を見たものは
誰もいない、根拠の無い期待はしないほうがいい。
だが、まだ彼女達は過去にエース以外のウルトラマン、ウルトラマンダイナがハルケギニアに現れていたことを知らない。
二人は、もう一度フレイムボールとジャベリンの詠唱を始めながら、シルフィードにフラジレッドボムの間合いを
計らせながら慎重に接近を狙った。
外れたフラジレッドボムが砂丘や森に着弾して爆発を引き起こす。直撃されれば木っ端微塵は間違いない
だけに、シルフィードの目つきも真剣になっている。
それでも、タバサの冷たく研ぎ澄まされた目が、フラジレッドボムの発射のほんのわずかな間隙を見つけた。
「今!!」
その瞬間、シルフィードは急旋回して、最大スピードでスコーピスの懐にもぐりこんだ。
『フレイムボール!!』
『ジャベリン!!』
氷の槍がスコーピスの左脇腹のえぐり、高熱火炎が広がった傷口に侵食してさらに内部を焼いた。
「やったわ!!」
やっと怪獣にダメージらしい打撃を与えられた。
思わずタバサの肩をぶんぶん振り回して興奮するキュルケ、だが痛む傷口をさらに広げられて、激痛に
怒りを燃え上がらせたスコーピスは、すれ違って後方に飛び去ろうとしていたシルフィードに向けて、
巨大なサソリのような尻尾を振り下ろしてきた。
「しまった!」
ほんの一瞬だが浮かれてしまったことを二人は後悔した。なまじか優れている動体視力のせいで、目の前に
迫ってくる巨大な尾がだんだんと近づいてくるのが見えてしまう。
キュルケは目をつぶって観念したが、シルフィードの力を信じているタバサは命中する寸前に急降下の
指示をするのと同時に一番詠唱の短い風魔法を頭上に向かって放ち、下降への推進力に変えた。この間
わずかコンマ1秒、何千回と詠唱を繰り返してきた経験と、とっさの判断力、シルフィードとの連携のどれが
欠けてもうまくいかないタバサならではの神技、スコーピスの尾はシルフィードの真上3メイルを砲弾のように
通り過ぎていった。
(やった!?)
このときばかりはさすがに死を覚悟した。戦争の耐えないハルケギニアでは、死は特別なことではないが、
死んで成し遂げられることはない。
だがそれでも、巨大な尾が超高速で走っていったことは、その周辺に強烈な衝撃波を残し、あおりをもろに
受けたシルフィードは叩きつけられるようにバランスを失って、スコーピスの作り出した砂漠の上に墜落していく。
スコーピスは、その様子を後ろ目で見て、勝どきのようにかん高い鳴き声をあげた。
「う……タバサ、大丈夫?」
シルフィードから投げ出され、体中砂だらけになりながらキュルケはタバサを助けおこした。
「大丈夫……砂がクッションになってくれた。それよりもシルフィードが……」
タバサは砂の上に横たわっているシルフィードを見て、悔しそうにつぶやいた。
柔らかい砂地は二人の落下の衝撃を和らげてはくれたが、人間に比べてかなり重いシルフィードまでは
無理だった。着地の際に右の翼の付け根を傷めたらしく、右の翼はビクビクと痙攣するだけで羽ばたけ
そうもない。
しかし、そんなことでスコーピスが獲物を見逃すわけはない。不自由な半身を引きずりながら、ゆっくりと
二人とシルフィードにとどめを刺すために反転してくる。
「キュルケ、あなたは先に逃げて」
一人だけなら『フライ』の魔法で空を飛べば逃げ切れるかもしれない。しかし、タバサは傷ついたシルフィードを
見捨てていくことはできない。『レビテーション』で浮かせて運ぶしかないが、同時に二つの魔法は使えない。
これでは狙ってくださいと言っているようなものだ。
「馬鹿言ってるんじゃないわよ! あんた死ぬ気!」
憤慨したキュルケは迷わずタバサに手を貸した。二人がかりのレビテーションならばシルフィードの巨体でも
かなり楽に運べるが、ここは砂漠、砂に足をとられて自由には動けない。
「ひとりでなんとかできるから、キュルケは先に行って」
「だから! あんた一人じゃどうにもならないって言ってるでしょ!」
「できる」
「できない!」
「できる」
「できない!」
ここまで来たらもはや意地の張り合いである。双方ともに相手を説得する台詞など持ち合わせていないし、
パートナーもシルフィードもどちらも見捨てることなど絶対にできない。シルフィードもどうすることもできずに、
ただ二人を交互に見て、きゅいと鳴くしかない。
だがスコーピスはそんな二人と一匹をまるごと吹き飛ばそうと、口を開いてポイゾニクトの狙いを定めた。
「あっ、まずっ!」
「……!」
スコーピスの口に赤黒い光が収束する。タバサは無駄と知りつつ、氷の壁を作って防御する魔法
『アイス・ウォール』を唱え始めた。
だが、タバサの詠唱が完成する直前。
「ちょっと待ったあ、怪獣野郎!!」
スコーピスの横っ面を光の弾丸がひっぱたいた。ポイゾニクトの発射直前の攻撃に、スコーピスは溜め込んだ
エネルギーを拡散させ、新たな敵を捜し求めて、それを湖の上に見つけた。
「やっぱしあんま効かないか……だが、なんとか間に合ったみたいだな」
久しぶりに撃ったガッツブラスターを構えて、ほっとした様子で才人が言った。
湖の上に作られた道を、数頭の馬を駆けさせて、ルイズ達がようやく駆けつけたのだった。
一行は、湖岸に着くと馬から降りて走り出した。砂漠では馬は使えない。
「こりゃ、近くで見るといちだんと怖いな。ギーシュ、やっぱりやめないか」
ギムリがスコーピスの姿を見て、ひびって言ったが、ギーシュはやる気まんまんな様子で、ワルキューレを
一体錬金すると叫んだ。
「なにを言うか! そんなことではぼくらがいつか公式に水精霊騎士隊と名乗るという夢はどうする? それに
ヴェルダンデのためにもここは引けん! さあワルキューレよ、貴族の誇りと勇気をあの虫けらに思い知らせてやれ!」
一番融通の利かないウルトラマンが現れるかと思っちまったぜ支援
ギーシュが薔薇の花の形をした杖を振るうと、青銅の騎士人形は一直線にスコーピスに向かって飛んで
いく。しかし、一行の中でそれにこの砂漠の砂粒ひとつ分さえ期待を抱いているものはいなかった。
案の定、スコーピスはなにをするでもなく、ワルキューレはスコーピスの腹に軽く触れただけでばらばらに
なって落ちていく。
やっぱり……口には出さなかったが全員がそう思った。大体学院有数の使い手であるキュルケとタバサの
攻撃でさえ効かないのに、ドットメイジのギーシュの攻撃が効いたら天地がひっくり返る。
「あ、あれぇ……おかしいなあ」
少しもおかしくない。というよりその根拠のない自信はいったいどこから湧いてくるのか、一度頭を
かちわって見てみたい、きっと七色に光り輝いているのだろうが、それよりいいかげん矛先をこっちに向けてきた
スコーピスのほうが大きな問題だった。
「来るぞ!」
フラジレッドボムが彼らのいた場所を吹き飛ばした、一行はとっさに飛びのいて難を逃れ、当たらなくてよかったと
冷や冷やしたが、同時に大量の砂煙を巻き起こしたためにスコーピスもすぐには次の攻撃を仕掛けては来ない。
「どうすんのよ! あんなのとまともに戦えるわけないじゃない!」
怒ったモンモランシーがギーシュに詰め寄った。ギーシュのためと、タバサとキュルケが心配でついてきては
みたが、やっぱりどうしたって敵いそうもない。
「し、しかしあいつを倒さないと水の精霊の涙が」
「現実を見なさいよ! 勇敢に立ち向かうだけで勝てるなら負けるやつなんていないわよ。少しは頭を使いなさい!」
「は、はい……」
ようやく熱狂を覚まさせられたギーシュがうなづくと、一行は円陣を組んだ、この砂煙が去るまでに策を
立てなければならない。皆の視線は自然レイナールに集まった。
「みんな、このまま戦っても勝ち目はない。幸いあいつは動けないみたいだから、ぼくとギムリが奴の気を
そらすうちに、ほかのみんなはタバサとキュルケを助けて、後はあいつの見えないところまで全力で逃げる。
あとのことはそれから考えよう」
皆がうなづくと、ギムリとレイナールは先んじて飛び出した。まだ学生とはいえさすがは貴族の子弟、
やると決めたら危険に飛び込むことを躊躇しない。
「よし、じゃあぼく達も……あっ!」
ギムリ達に続いて飛び出していこうと思ったギーシュだったが、そこで肝心なことを思い出した。
そうだ、ルイズと才人は飛べないんだった。フライでは人を抱えて飛ぶことはできない。
どうしようか、とすがるようにモンモランシーを見るギーシュだったが、彼女はそ知らぬ顔。しかしそれを
見ていたルイズがギーシュに指を突きつけた。
「あんた、たった今モンモランシーに頭を使えって言われたばかりじゃない。あんたには、空を飛ぶより
速いものがあるでしょうが!」
「え? ……そうか、ワルキューレ」
合点がいったギーシュはすぐさまワルキューレを錬金した。忘れがちだがワルキューレは熟練の傭兵を
しのぐほどの力と素早さを誇る。以前才人と決闘したときに使った際も、10数メイルの距離を一瞬で
詰めて才人をボコボコにしている。人間を乗せて走るくらいたやすいものだ。
「さあ乗りたまえ、ワルキューレは馬なんかよりずっと速いぞ、二人のところまであっという間だ」
誇らしげに言って、ワルキューレを呼び出したギーシュだったが、やはり彼のことだから大事なことを
忘れていた。ワルキューレは青銅製の等身大の騎士人形、当然すごく重い、そしてここは砂漠。
「ああっ! ぼくのワルキューレが沈むう!」
やはり2、3歩歩かせただけで砂中にズブズブと沈んでいく。見ていられなくなった才人はギーシュに
言って、ワルキューレの足に雪国で使う『かんじき』のようなものを作らせた。これでようやく沈まなくなり、
ギーシュはルイズと才人に礼を言った。
「あ、ありがとう。君達は頭がいいなあ」
「……どういたしまして」
「あんたが考えなしすぎるだけよ。それより、次が来るわよ!」
言った瞬間砂煙が晴れ、スコーピスは丸見えになった彼らにフラジレッドボムを放ってきた。
「走れ、ワルキューレ!」
4人を背中に乗せた4体のワルキューレは、砂の上をマラソン選手のように走り出し、着弾の爆発が
彼らの背後で巻き起こる。
スコーピスはすぐに第2撃を撃とうとするが、その前をギムリとレイナールがハエのように飛び回って
気を引いた。
「化け物! お前の相手はこの俺だ!」
「こっちだこっちだ!」
フラジレッドボムの連射が二人を襲うが、人間ほど小さな相手に命中させるのは簡単ではない。
だがそれも時間の問題でしかないが、その貴重な時間のうちに、ルイズ達はタバサ達の元に
たどりついていた。
「大丈夫か、二人とも?」
「あ、あなたたちどうしてここに!?」
まったく思いもよらずに助けに現れた才人達にキュルケもタバサも驚いていたが、才人は話は後で
と答えると、ギーシュが新たに錬金したワルキューレの背にキュルケを乗せた。
その間にもモンモランシーは水魔法でシルフィードに応急の手当てを施し、ワルキューレの背から
フライをかける。
「よっし、逃げるわよ!」
二人は助けた。長居は無用、ルイズは逃げると聞いて仏頂面をしているが、フーケのときと同じ失敗を
むざむざ繰り返したら、今度こそ学習しない"ゼロ"が確定してしまう。
また、スコーピスを引き付けてくれている二人もそろそろ限界に近づいてきている。
「ギーシュ、いいよ!」
「よし、走れワルキューレ!」
6体のワルキューレは一行を乗せて全速力で走り出した。
しかし、6体ものワルキューレが一斉に走る姿はさすがに目立ちすぎた。いや、逃げるものをこそ好んで
追い詰めようとするスコーピスの残忍な本能がそれを呼んだのかもしれない。突然スコーピスはギムリと
レイナールから視線を離すと、一行へ向かってフラジレッドボムを放ってきた。
「まずい! 散れワルキューレ!」
ギーシュの叫びから一瞬遅れ、バラバラに飛び去ったワルキューレたちのいた場所を、フラジレッドボムが
掘り起こし、爆発の火炎とともに四方に大量の砂煙を飛散させた。
「あっ! ギーシュ、ギーシュどこ!?」
「ここだ、何も見えない。どこにいるんだモンモランシー!」
もうもうと立ち込める砂煙の中は、一寸先さえ見えない黄土色の世界となり、すべての視界を覆いつくした。
だが、例え暗闇の中であろうと、ルイズと才人は光によって呼び合った。
「サイト!」
「ルイズ!」
リングの光が闇を縫い、伸ばした手と手が重なり合う。
「「ウルトラ・ターッチ!!」」
乾いた嵐を吹き飛ばし、ウルトラマンAただいま参上!!
「トォーッ!!」
登場一発、ジャンプキックがスコーピスの胴体を打ちのめし、激突のショックで激しく火花が飛ぶ。
いかにスコーピスの体が頑丈とはいえ、エースの攻撃にまでは耐えられない。角や触覚を何本もへし折られ、
スコーピスは背中から砂の上に崩れ落ちた。
凶悪怪獣を一発で地に沈めたエースの勇姿に、少年達も歓声をあげる。
「ウルトラマンAだ!」
「よっしゃ、これでもう大丈夫だぜ!」
空の上からレイナールとギムリがいっしょにガッツポーズをとると、地上でもキュルケ達がいっせいに表情を
ほころばせた。
「いっつもおいしいところで登場してくれるわね。よーし、がんばれー! ウルトラマンエース!」
「ヒーロー……本当に、また来てくれた……」
声を震わせ、感慨深げにしているタバサをキュルケが後ろからおもいっきり抱きしめている。
「ウルトラマン…………はっ、ぼくとしたことがつい見とれてしまった。いやあ、さすが正義の味方は美しいな、
まあ、ぼ……」
「ギーシュなんかより断然かっこいいわ! あれこそが勇者よ」
「くの……ほう、が」
モンモランシーの言葉にギーシュがダメージを受けていたりしたが、その期待に答えるためにも、なんとしても
ここでスコーピスを倒さなければならない。
「シャッ!」
着地したエースは、油断なく構えて起き上がろうとするスコーピスを見据えた。
支援
まだ奴はどんな武器を隠し持っているかわからないから、うかつにはかかれない。
幸いスコーピスは半身を負傷しているせいで、すぐには起き上がってこれそうもない、その間にエースの中では
3人が作戦会議を立てていた。
(それにしても、今度はサソリの化け物とはね。サイト、あいつの名前は?)
(いや、俺もはじめて見る奴だ。エース、あなたは?)
(私の知る限りではない、この世界の特有種なのかもしれん……それと、超獣とは違うようだが、こいつには
何か何者かの邪悪な意志を感じる。どこかの宇宙人の侵略用怪獣なのかもしれん)
エースはその長年つちかった経験と勘によって、スコーピスが怪獣兵器であることを見抜いた。
そして、そうであるのならばなおさらこいつはここで倒さなければならない。
ようやく起き上がり、エースを見たスコーピスは、なぜか一瞬怯えたようにびくりとしたが、すぐにエースを
新たな敵だと認識して、壊れた笛のような凶悪な鳴き声をあげてきた。
(それでサイト、あいつへの対策は?)
(お前な、少しはお前も作戦立ててくれよ)
(黙りなさい。ここのところ役立たずが続いたんだから、名誉挽回の機会を与えてあげようっていうご主人様の
温かいご好意よ)
到底そうは思えないんだが、と思った才人だったが、もうスコーピスは目の前だ。
(よし、あいつはサソリだから……エース、尻尾に気をつけろ!)
(わかった!)
それは半分助言であり、半分は見たままを言ったものだった。
エースの視線が光線を出すスコーピスの口と額に集中しているうちに、頭上を飛び越えてスコーピスの
巨大なカギ爪付きの尻尾が迫ってくる!
「セヤッ!」
間一髪、エースは向かってきた尻尾を左腕を使って受け止めた。
攻撃が失敗したことを見たスコーピスは、伸ばした尾を引き戻そうとするが、そうはさせじと引き戻される
より速く、エースの手刀が尻尾の真ん中を斬りつける。
『ウルトラナイフ!!』
超獣の首さえ切り落とす一撃が、スコーピスの尻尾を真っ二つに切り裂いた。
(よしっ! いまだエース!)
尻尾を失ったスコーピスは苦しげな遠吠えをあげた。
攻め込むなら今がチャンスだ、エースはスコーピスの体にパンチ、キックの連撃を撃ち込んでいく。
スコーピスの体は尻尾が無くなれば接近戦には向いていない、鋭い爪のついた腕はあるが、ほかの武器に
比べれば補助的なもので、懐に飛び込んできたエースを相手にするには頼りなさ過ぎる。
しかし、このままであれば楽勝かと思われた戦いであったが、エースが次の攻撃のためにいったん間合いを
離した瞬間、スコーピスは口を開いてポイゾニクトの発射体勢に入ると、その狙いをエースではなく、なんと
地上で見守っていたキュルケやギーシュ達に向けた。
(あっ、危ない!)
エースはとっさにスコーピスとキュルケ達のあいだに立ちふさがったが、放たれたポイゾニクトの直撃を
もろに受けてしまった。
「グッ、グォォッ!」
ひざを突いてくずおれるエース、それを見てスコーピスはうれしそうに甲高い鳴き声をあげ、さらに
フラジレッドボムの連射をエースに撃ち込んできた。
「グワァッ!!」
ここでエースが避けたらフラジレッドボムは後ろのキュルケ達を直撃する。バリアを張る余裕もなく、
ただ耐えるしかエースにはできなかった。
「エース!!」
エースの巨体に守られながら、キュルケ達は必死でその名を呼んだ。
「まずい、まずいよキュルケ、このままじゃエースが」
「あの怪獣、最初からこれが狙いであたし達を、なんて卑怯な奴!」
キュルケは血がにじむほど唇を噛み締めた。
本当なら、怪獣はウルトラマンの敵ではなかっただろう。自分達の存在がなければ、エースは存分に
戦えるのにと、助けたくてもエースの体に守られている以上援護は不可能な状況で、4人は悔しさに震えた。
そして、エースの限界も刻一刻と近づいていた。
カラータイマーの点滅がいつもより早くあがっていく。
(エース、大丈夫か!?)
(まだ……持つが、これ以上は……くそっ)
スコーピスは反撃の機会を与えまいと、フラジレッドボムを絶え間なく撃ち続けてくる。
そして遂に、スコーピスはエースにとどめを刺そうと、フラジレッドボムの攻撃を続けながら、ポイゾニクトの
発射体勢に入った。
(これまでか……っ!)
あれを食らってはもう耐えられない。
絶望か、と誰もが思いかけた。
だが、スコーピスがポイゾニクトを発射しようとしたその瞬間、スコーピスの足場の地面が突如陥没して、
スコーピスを地中へと引きずり込み始めたではないか!
(いったい、なにが……あっ、あれは!)
見ると、スコーピスの下半身に巨大なモグラが抱きついて、その身の自由を奪っている。
(あれは……ギーシュの使い魔のヴェルダンデ!?)
そう、モンモランシーの薬のせいで怪獣モングラーと化してしまったヴェルダンデが、今エースの危機を
救わんと勇敢に宇宙怪獣に立ち向かっている。
スコーピスは反撃しようにも、尻尾を失い、半身が傷ついた状態では思うように動くことすらできずに、
アリジゴクにはまったようにもがくしかできない。
(エース! 今だ!)
ヴェルダンデの勇気を無駄にするわけにはいかない。
「デヤァッ!!」
エースは残ったエネルギーを振り絞り、拳に込めてスコーピスへと正拳突きのようにして撃ちだした!!
『グリップビーム!!』
強力な破壊光線がスコーピスの胴体を捉えて火花を散らせる。
(爆発するぞ! 逃げろヴェルダンデ!)
才人はエースを通じてヴェルダンデにテレパシーを送って警告した。それに応じてヴェルダンデは掴んでいた
足を離して地中深く潜っていく。
それからほんの数秒後、過剰に注ぎ込まれたエネルギーに、遂に耐え切れなくなったスコーピスは、
あおむけにゆっくりと倒れると、全身から炎を吹き出して、砂漠を揺るがすほどの轟音と衝撃波を撒き散らし
ながら爆発した。
「やった! 勝ったぁ!」
爆発が引いて、スコーピスの跡形もなくなったのを見ると、少年少女達の遠慮のない歓声が響き渡った。
「タバサ、エースがやってくれたわよ! これであなたの任務も完了ね!」
「ええ……」
タバサは、キュルケの言うように素直に喜ぶことはできなかった。今回の任務は、エースがこなければ
まず成し遂げることは不可能だっただろう。まだまだ自分には力が足りない、人ととしてどこまで強く
なれるかはわからないが、自分の望みをかなえるだけの力にはとても足りない。
ただ、手放しで大喜びしているギーシュらほどではないが、仲間達とともに分かち合う勝利というのは、
うれしいものであるのは間違いなかった。
そのギーシュはといえば、エースとともにヴェルダンデが活躍したことに、涙まで流して歓喜に震えていた。
「やったやったやったよ! 見たかい、ぼくのヴェルダンデがウルトラマンの危機を救ったんだよ。ああ、
ぼくはハルケギニア一の幸せ者だ、こんな素晴らしい使い魔を得られたメイジなんてほかにはいないだろう。
そうだろうモンモランシー!」
「まあね。あなたの使い魔は素晴らしいわね……けど、それよりもこれで」
「そうだ! これで水の精霊の涙が手に入るんだ! よーし、待っててくれ、すぐに元の姿に戻してあげるからね!」
「やれやれ……この優しさが人間にも向けばいいんだけどね、特にわたしに……」
一人で万歳三唱をしながら大喜びしているギーシュを見ながら、モンモランシーは切なげにつぶやいた。
(やった……しかし、恐ろしい怪獣だった)
爆発で作られた巨大なクレーターを見つめながらエースは思った。
カラータイマー明滅支援
まるで破壊するためだけに存在するような怪獣、こんな奴が何匹も暴れたらそれこそ宇宙はめちゃくちゃに
なってしまうだろう。
「ショワッチ!」
これが最後であってくれと祈りながら、エースは蒼穹の空へと飛び立った。
そして、キュルケとタバサも含めて、湖のほとりでルイズ達は再び水の精霊と会った。
「約束を果たしたようだな、単なる者達よ……ならば我も約束を守ろう」
水の精霊の体が短く震え、ピンポン玉程度の水滴が切り離されて、ギーシュの持ってきた小さなビンに納まった。
こぼしては大変と、慌てて蓋を閉めて、ビンの中に納まった水の精霊の涙をまじまじと見つめ、ギーシュは
満面の笑みを浮かべて、ビンをモンモランシーに手渡した。
「これで解毒薬を作ってくれるね。はーあ、ようやくヴェルダンデを元に戻してあげられる。あと少し待っててくれよ」
「はいはい、学院に戻ったらね。まさか、怪獣退治まですることになるとは思わなかったわ」
目的の半分を果たした二人は、もう解決したかのように喜んでいるが、水の精霊が湖水に戻る前に、
才人は気になっていたことを聞いてみた。
「ちょっと待ってくれ、少し聞きたいことがあるんだ……どうして水かさを増やしてるんだ。あんたは、
いくつかの悩みを抱えてるって言ってたよな。まさか他にも怪獣が?」
水の精霊は、大きくなったり小さくなったり、様々に形を変えた。どうやら考えているようで、微妙に
人間のようで人間ではない仕草がなんとも面白い。
「……お前たちになら話してもよかろう。確かに、ここのところ邪悪な気配が世界に漂っているが、今のところ
この湖を襲ってきたのはあいつだけだ。今から数えるのも愚かしくなるほど月が交差する時の間、お前たちの
暦にして2年ほど昔になるか、我が6千年の昔より守りし秘宝を、お前達の同胞が盗み出したのだ」
「秘宝?」
「そうだ、『アンドバリ』の指輪、我と同じ水の力を込められた唯一の秘宝だ」
その名前を聞いて、ピンときたようにルイズはつぶやいた。
「アンドバリの……そういえば、伝説の秘宝の本でそういうものがあったわね。人間の心を操り、死者に
偽りの生命までもたらすという……水系統の禁忌の邪宝」
「ふむ、お前達の概念ではそうかもしれんが、我にとっては水の力を蓄える大切な秘宝。だから我は
この世界を水で満たすことによって、そのありかを探そうと考えていた」
なんとも、何百何千年単位のとてつもなく気の長い話だった。
「気が長い話だな。じゃあ、機会があったら俺達が取り返してくるよ。水を増やされたら、周りの人達が困るだろう」
「……わかった。お前達を信用することにしよう」
「ありがとう。それで、そいつの名前とかわからないのか?」
「確か個体の一人がクロムウェルと呼ばれていた……それから、お前達二人」
水の精霊は、才人とルイズを指差すと、手招きするようにして二人を岸辺まで呼んだ。
二人は、怪訝な顔をしながらも、水の精霊の機嫌を損ねてもまずいなと、首をかしげながら岸辺に歩み寄った。
「よし、そこでよい。二人とも水に手を漬けよ」
「えっ!?」
二人は思わず顔を見合わせた。水の精霊が心を操るということを思い出したからだ。
しかし、水の精霊は穏やかな声で言った。
「案ずることはない。お前達に危害は加えぬ」
二人は、恐る恐る湖水に手のひらを漬けた。
すると、湖水からまるで電気のように水の精霊の思考が伝わってくる。
(これは! テレパシーの一種か)
(さすが、水の精霊と呼ばれるだけはあるわね……)
二人は頭の中に直接響くお互いの言葉に驚いた。まるでエースと一体となっているときのように、
心と心がつながっている。
(聞こえるようだな。お前達とは、こうして話したほうがよいと思ってな……光の戦士よ)
(えっ!?)
ルイズと才人の驚愕の感情が、それぞれに伝わる。
何故水の精霊がそのことを知っている。そしてどうしてこうして話そうというのか。
(驚かせて悪かったな。しかし、我はお前達と共にある強い存在に覚えがある)
(えっ、ウルトラマンAとか!?)
まさか、そんなことが……
(いや、お前達の光とは違うが、とてもよく似た存在だった。もはや我の記憶すらかすむ、今からおよそ
6千年の昔、この地を未曾有の大災厄が襲った。無数の怪物が大地を焼き尽くし、水を腐らせ、空を濁らせ、
世界を滅ぼしかけたとき、その者は光のように天空より現れ、怪物達の怒りを鎮め、邪悪な者達を滅ぼして
世界を救った。彼がいなければ、我もお前達もこの世には存在しなかっただろう)
(それほどの戦士が、6千年も昔に……)
あまりにも想像を超えた話に、才人は唖然とするしかできなかった。
(ふむ……もしかしたら、お前達と彼とにつながりがあるかもと思ったのだが。どうも我の思い過ごし
だったようだな……すまぬ)
(いや、俺達に似てたってことは、その人もきっとウルトラマンだったんだろう。これで、またハルケギニアに
ウルトラマンが来てたってわかっただけでもよかったよ)
(そうか、もしかしたらいずれお前達も彼と会うことがあるかもしれぬ。何かあったら来るがよい。お前達の
水の流れは覚えた。この世の秩序を守るためなら、我は手を貸してやろう)
(ありがとう、じゃあ俺も、そのアンドバリの指輪ってやつを見つけたら、必ず持ってきてやるよ)
才人は水の精霊と固く約束をかわした。
だが、ルイズは水の精霊の話を聞いて、それとは別の疑問も感じていた。
(6千年前といえば……始祖がこの地に降臨したと言われる時代じゃない。もしかして、何か関係が……)
また、新たな謎が生まれたが、今はそれを確かめようもない。
だが、二人が水の精霊と話している間に、一行の中からタバサの姿が消えていた。
それはほんの2分前、水の精霊との会話を見守っていたタバサとキュルケの元に、例のガリア王宮からの
指令を送ってくるフクロウ、目的の人物の元へ自動的に向かう鳥形の魔法人形が飛んできて、内部に
仕込まれていた手紙を吐き出した。
まだ任務完了の報告すらしていないのにもう次の任務が? 任務がダブるなどというようないいかげんな
ことはさすがにイザベラもこれまでしなかったのだが、何かあったのかといぶかしげに手紙を開いて、
タバサの眉がぴくりと震えた。
「どうしたの? また無茶な命令?」
肩越しに覗き込んできたキュルケに、タバサは手紙の中を見せた。
「どれどれ……なに? すぐ帰れですって」
そこには、ガリア語で"任務を中断して、即時にリュティスに帰還せよ"と書かれていた。しかし、それは
タバサの部屋や屋敷に届いた、形式だけは公文書を取り繕ったものではなく、そこらにありそうな安物の
しわくちゃの紙に殴り書きで書かれたひどいものだった。
「なにこれ……わけわかんない」
「……」
キュルケの言うとおり、タバサにもこの文面からでは何も読み取れない。
ただし、これを書いた人間が相当に焦って書いたということだけはわかる。なにかはわからないが、
リュティスで事件が起こって、タバサの力が必要とされているのは間違いないだろう。
そして、どうあれ北花壇騎士であるタバサにとって命令は絶対である。
「すぐ行く。シルフィード、もう飛べるね」
タバサが声をかけると、シルフィードはきゅいと元気よく翼を広げて答えた。すでにモンモランシーの
治療で、その傷はほとんど癒えていたのだ。
「待ってタバサ、わたしも行くわ」
シルフィードに飛び乗ったタバサに慌てて声をかけたキュルケだったが、タバサはゆっくりと首を横に
振って言った。
「だめ……リュティスまでは連れて行けない。キュルケはみんなと学院に帰ってて」
「で、でも」
「大丈夫、なにがあろうとわたしは戻るから……だから待ってて」
「わかったわ……気をつけて、待ってるからね。わたしのシャルロット」
キュルケは最後に、満面の笑みとタバサの本当の名で彼女を見送った。
タバサもそれに答えて、一瞬だけ笑顔を見せると、シルフィードとともに空のかなたへと飛び去っていった。
だが、数時間後にリュティスに到着したタバサが見たものは、以前来たときとは見る影もなくめちゃくちゃに
荒らされた王宮の庭園と花壇、そして完全に破壊されて瓦礫の山となったプチ・トロワの無残な姿だった。
「これは……いったい?」
さしものタバサも呆然とした。
破壊されているのはプチ・トロワとその周辺に限られているようで、グラン・トロワやリュティスの街には
被害はないようだが、戦争か大地震の後のような惨状は、まるでこの世の終わりだった。
「グラン・トロワへ……」
ともかく、これではイザベラの生死もわからないが、とにかく彼女を探さなくては始まらない。
しかし、グラン・トロワの一室でタバサを待っていたのは、とても話などできないほど変わり果てたありさまに
なったイザベラの姿だった。
「いったい……ここで何があったの?」
部屋から出て、胸の動揺を冷たく凍りついた無表情で覆い隠しながら、タバサはこの部屋の警護についていた
カステルモールというらしい若い騎士に尋ねた。
「はぁ、なんとご説明したらよいものやら……事のはじまりは先日の正午、イザベラ様が突然サモン・サーバントを
なさるとおっしゃったのです……」
彼は淡々と記憶の糸をたぐりながら、タバサにプチ・トロワを襲った事件のあらましを語り始めた。
続く
投下乙です
一体何召喚したんだ、イザベラw
ウルトラの方、乙です。
宇宙怪獣に対して現地(地球)の怪獣が協力というのは、ガイアやコスモスを彷彿とさせますな。
それにしても、続きが気になる終わり方をっ……!
これで、今年は最後です。
今回もまた支援してくださった方々、どうもありがとうございました。
初めは短編のつもりで見切り発車で始めた作品が、ここまで続けられるとは当初思っていませんでした。
これも、投下する度や、雑談の中、避難所でも私の作品を面白い、先が楽しみだと言ってくれた皆さんの後押しが
あったからです。本年の最後に、改めてお礼申し上げます。
では、2009年はガリアからのスタートとなります。
アルビオンにはまだ多少寄り道になりますが、来年もゼロの使い魔とウルトラマンへの愛をもって連載を
続けますので、どうかよろしくお願いします。
乙です
今度はイザベラ様ですか
変なの召喚して冷たい目で見られるイザベラ様が想像出来るよw
乙です。
誰か、イザベラ様に愛の手を差しのべてやってくれ…。
19:30に強殖装甲ガイバーからアプトム召喚ものを投下したいと思います。
以前から召喚されたらどうなるだろ?と話題にされていた彼ですか
姉妹スレのノトーリアス並の惨劇になるのかそれとも……
究極の戦闘生物か…。かなりwktk
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし"使い魔"を召喚
せよ!」
呪文と共に少女は杖を振り下ろす。
それはメイジの半身とも言える存在を呼び出す魔法。
彼女のような学生は、現れる使い魔を見て自身のメイジとしての適正を知り、学ぶ属性を固定する。
そうして現れた召喚のゲートを潜り現れたそれは少女の、否、誰も想像しなかった物であった。
「なんなの? コレは……」
呟く少女の足元には、うつぶせに倒れ断末魔の声をあげ痙攣する生き物。
立ち上がれば二メイルを超えるであろう巨体を持つ生物。
それは人間のように二本の足で立つ生き物のように見えた。
それはカメレオンのような顔を持つ、おそらくは亜人であろう生き物であった。
そして、その亜人の首にはナニかが貼りついていた。
それの首に貼りついた物は、肘から切り離された人間の腕に似ていた。
だが、そのナニかが人の腕であるはずがない。人間の腕であれば切り離された後も掴んだ手を離さないなどという事はありえない。
掴んだ手のひらが、首に癒着し融合するなどありえない。
少女の見下ろすなか、腕は亜人の首に溶け込み亜人はカタチを変える。
「どこだ? ここは」
そう言ったのは、火傷の痕だろうか? 顔の左側に大きな傷跡をもつ男だった。
「変化の先住魔法というやつでしょうか?」
突然の、真横からの男性の声に、少女は驚きにビクリと体を震わせそちらを見ると、そこに見知った教師を発見する。
「ミスタ・コルベール。コレはいったいなんなのでしょうか?」
それは当然の疑問であったが、コルベールはその答えを持たない。
単純に考えれば先住魔法を使う亜人。それだけで説明がつく。だが、それでは説明できないものがある。
それが、亜人の首に消えた腕のようなもの。コルベールは、正体の分からないそれを危険なものでないかと疑っていた。
「あなたは何者なのですか?」
「それは、こっちのセリフだ。俺をここに連れてきたのはお前達じゃないのか?」
睨みつけてくる男の、殺意すら含んだ剣呑な声にコルベールは内心身構えながらも表面上は笑顔で答える。
「失礼しました。私はコルベール。ここ、トリステイン魔法学院の教師をしている者です」
「魔法だと?」
「はい。どうかしましたか?」
「いや、なんでもない。それでどうして俺をこんな所に連れてきた?」
「それはですね。学院では、春に使い魔召喚の儀式を行っており、あなたはこちらのミス・ヴァリエールに召喚されたのです」
そう言って指し示された少女は、内心の脅えを隠し男を睨み返す。
「私があんたのご主人様になるルイズよ。あんたの名前は?」
怒鳴りつけるような声に、ここで男を刺激することを恐れているコルベールはギョッとするが、男は特に表情も変えずに答えた。
「アプトムだ」
かつては秘密結社であったクロノスが世界を支配するようになってから一年近い時が過ぎていた。
人々は最初クロノスの支配に戸惑っていたが、時間と共に慣らされ受け入れ、当初はクロノスの構成員にしかいなかったゾアノイド、人を
怪物のような姿に獣化させる調整を受けた者になる一般人も出るようになっていた。
だが、受け入れられない者もいる。
それは、クロノスが世界を侵略する戦争で戦った兵士であり、秘密結社であった頃のクロノスに理不尽な理由で生命を脅かされた被害者で
あった。
彼、アプトムはクロノスの調整実験において失敗作である損種実験体とされ、使い捨ての即戦力として、秘密結社であった頃のクロノスに
敵対したガイバーと呼ばれる者に戦いを挑んだ過去を持つ者達の生き残りである。
アプトムがいつものように、クロノスにガイバー一味とされている瀬川兄妹の住むアパート周辺の見回りをしていた時、それは起こった。
何かに驚いたように目の前の空間を見つめる斥候用獣化兵。それが何に驚いているのかなど彼にはどうでもいい。
彼が倒すべき敵、今は行方不明のガイバーT。深町晶は必ず瀬川兄妹の所に帰ってくる。ならば、自分のやるべきことは深町晶が帰ってく
るまで他の何者からも兄妹の身を守ること。そう決めていた。だから、彼はそのゾアノイドを始末することにした。
それは簡単な作業であった。周囲への警戒を怠った獲物の背後に忍び寄り、後ろ首を掴む。
掴んだ手のひらはゾアノイドの首に融合し侵食する。これが彼の能力、融合捕食。あらゆる生物の肉体を細胞レベルで侵食、吸収し、それ
を己のエネルギーと変え同時に遺伝子情報から優れた形質をコピーする能力である。
そうして、取り込もうと同化したゾアノイドの視界がおかしなものを捉えた。
中空に浮かぶ鏡のような何か。それは、かつて出会った強大な力を持つ者が使った空間を越える力に似ていると彼は感じた。
その鏡を潜ると、どこに行ってしまうのかは分からなかったが、はっきりしていることがある。
融合捕食をしかけられたゾアノイドの右手が鏡に触れていたこと。そして、その身がその鏡に吸い込まれそうになっていることである。
その鏡に吸収された場合、自分がどこに移動させられるのかは分からない。分かるのは、それを許してはいけないという事実だけ。彼は、
瀬川兄妹から離れるわけにはいかないのだから。
決断は一瞬。彼はゾアノイドに融合をしかけた腕を即座に肘から切り離し、斥候用獣化兵はそのまま鏡の中に吸い込まれ鏡も消えた。
「なんだったんだ今のは?」
呟いてみるが答えは出ない。
斥候用獣化兵がどこに移動したのかは分からないが、彼の片腕の侵食を受けている以上、移動した先で彼の分体になっていることだろう。
ならば帰ってこれる場所に移動していたなら、いずれ帰ってくるだろうし、その時に融合すればいい。
帰ってこれないのなら、考えるだけ無駄なこと。
そう割り切ると、彼は失った腕を再生させ、その場を立ち去った。
そして、ハルケギニアの大地にアプトムは降り立った。
「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で裸の平民を呼び出してどうするの?」
そんな声が上がり、周囲に何人もいた少年や少女がアプトムに注目する。
彼らがアプトムに目を向けたのは、腕の侵食が終わり、人間形体になった後。ゆえにアプトムが人になる前の姿を見ていない。
「違うわよっ!!」そう言おうとした口をコルベールにふさがれる。
コルベールは、ルイズが召喚した得体の知れない亜人を危険だと感じていた。
見たことも聞いたこともない得体の知れない亜人であるだけでなく、男の眼光には人の命を奪うことに躊躇いを持たない者特有の冷徹さが
潜んでいる。
ここで始末して、なかったことにしてしまうべきではないかとも思ったが、それは否定する。
生徒たちに人を殺める姿を見せたくないし、二度と誰も殺さないという誓いもある。
そして、何よりも確実に勝てるという保証もない。ここで戦って生徒たちに被害が及んでは悔やんでも悔やみきれない。
はたして、そんな危険なものとルイズに使い魔の契約をやらせてもいいのか。契約をさせるにしても、この存在を変に刺激しないためにも
王宮やアカデミーには知られないように秘匿すべきではないのか。
彼は、そう考えていた。
「魔法と言ったな? お前達は魔法が使えるのか?」
メイジが魔法を使うのは当たり前の話である。何故そんな事を聞くのかと思いつつも頷くと、アプトムは「使って見せろ」と言ってきた。
その言葉に、ルイズが「なに偉そうに命令してるのよ」と怒りだしたが、気にせずに魔法で炎を出して見せる。
コルベールの生み出した炎が、蛇のように細く伸び中空を踊るのを注意深く観察したアプトムは、なるほどと納得する。
魔法などという訳の分からないものを彼は信じない。しかし、目の前の男が魔法と呼ぶに相応しいなんらかの能力を持っているのは確かで
ある。
だが、それはどうでもいいことでもある。
「使い魔がどうとか言ったな。俺に何をさせたい?」
召喚したと言うのなら、やらせたい用事があるということ。その用事を片づけてやるから、さっさと元の場所に戻せ。
そう思っての問いだが帰ってくるのは思いがけない答え。
使い魔とは、召喚したメイジと一生を共にする者であり、また召喚した使い魔を元の場所に戻す魔法は存在しない。
馬鹿げた話だ。アプトムにはやらなければならないことがある。
ガイバーTを倒す。それは誰にも譲れぬ誓い。自身が分体であり、元の場所にはもう一人の自分がいる事など関係ない。
帰す手段がないとでもいうのなら、自分の足で帰ればいい。
だが、ここはどこだ?
なんにしろ情報が必要だろうと。彼は、詳しい話を聞くことにする。
ルイズは不機嫌だった。理由は、彼女が召喚した男。
得体の知れない亜人をあまり生徒たちの目に曝すべきではないというコルベールの配慮により場所を学院の一室に移し、今はルイズとコル
ベールとアプトムの三人しかいない。服もコルベールに借りた物を着せている。
亜人であるらしい男は、主人である自分にまったく敬意を払わず、質問ばかりをしてくるくせに自分の事はまったく話さない。ばかりか、
使い魔になることも認めない。使い魔の契約には自分の進級がかかっているというのに。
ルイズは怒り、ご主人様をなんだと思っているのかと何度も叫び、怒鳴ったが、男は取り合わない。
まあ、いまだ契約をしていないのだから主人と言うには語弊があるわけだが。
そして、男はどんな田舎に住んでいたのか知らないが、ハルケギニアの事をまったく知らず、コルベールからハルケギニアの地理を、次に
歴史を質問し、それこそが教師の本分だとばかりにコルベールが答えるうちに何時しか時は過ぎて窓からは夜空が見えていた。
「月が二つあるだと」
何気なく窓を見たアプトムが驚きと共に吐き出した呟きに、他の二人は怪訝な顔をするが、それどころではない。
コルベールの話に、もしやとは思っていた。地球上にハルケギニアなどという六千年もの歴史を持つ国々は存在しない。
獣神将ではあるまいに、獣化もせずに超能力を使う者たちなど知らない。
そして、空に輝く二つの衛星。
これは、今自分がいる場所が地球とは別の天体であることを意味していた。そして自力での帰還が叶わないことも。
已むを得ないか。とため息を吐く。
「ルイズとか言ったな?」
呼びかけると、すっかりへそを曲げた少女は「なによ?」と低い声で答える。
「お前の使い魔になってやってもいい」
「へ?」
突然の変心に、何を言われたのか分からないという顔になる。コルベールも同じだ。
「ただし、条件がある」
そうして、告げた条件は彼を元いた場所に帰すこと。
使い魔の召喚とは、このハルケギニアの地のどこかにいる生物を呼び出す魔法だと言う。だが、ルイズだけは地球からアプトムを呼び出し
た。
ならば、アプトムを地球に帰せる者がいるとすれば、それは自分を召喚したルイズただ一人だろうと彼は判断した。
そんな魔法はない。先ほども言ったが、サモン・サーヴァントの魔法にしても呼ぶだけの一方的なもので送ることは出来ないと答える彼女
にアプトムは言う。
「なければ、作ればいい。魔法とは最初から存在したものでなく、ブリミルという者が作った物なのだろう?
ならば、お前に作れない道理はない。それとも、お前には伝説に残るようなメイジになろうという夢はないのか?
その程度の目標もないくせに俺を使い魔にしようというのか?」
自分が手伝おう。時間はかかってもいい。
そう告げるアプトムに、ルイズは最初呆然として、そして不敵な笑みを顔に浮かべる。それは、貴族として恥ずかしくないように魔法を使
えるようになりたいとだけ思っていた少女に、目標が与えられた瞬間。
「まかせなさいよ。なってやるわ。伝説に残るようなメイジにね。そしてアンタをどこだか知らないけど元いた場所に帰してあげるわよ」
こうしてここに、後世に伝説の再来と呼ばれるメイジと最強の使い魔と呼ばれる主従が生まれた。
のかもしれない。
投下終了。
ここでもし融合捕食で犠牲になった斥候用獣化兵が実は平賀才人だといったら
あの雷影様・・・黙ってませんね
冗談ですが。
書くだけ書いて推敲がまだのがあるので明日には、二話を投下したいと思います。
>>39 乙です。
元の世界にも、ハルケギニアにも本人がいるってのは珍しい展開だなぁ。しかも無理がない。
つか、アプトムとルイズは性格的には結構あってるのかもしれん。いいコンビになりそうだ。
爆発させるメイジと究極の戦闘生物だから物騒なことこのうえないが。
ウルトラの人、お疲れ様でした!
来年も楽しみにさせてもらいます
>>39 あれは……乙の家紋!
なんです!?
犠牲になったのだ……
楽しみがまた一つ増えたな
メイジの魔法は生物的特性なので
元の能力を数段に倍増させるアプトムならザコ一人食うだけでスクウェア超えるメイジになるぜ
アプトムの人、乙です。
メイジやエルフやらを食いまくって(性的な意味ではなく)最強の魔法使いになるアプトムを夢想しました。
あと、七万の軍勢を食らうアプトム。 アプトムが7万人。
ウルトラの人乙です。
イザベラ何呼んだw
次回にwktk。
アプトムの人乙です。
うわ。wktkが止まらない。
次回に超wktkしつつ正座で待機。
乙
アプトムか、その時点なら顔は怖いが、基本的にはいい奴だよな。
ガイバーとか十二神将レベル連れてこないと戦闘力は釣り合わないだろうがなー。
アプトムの人乙です。
本体が残ってるって事は、地球では原作の展開が普通に進行中なのかな。
確かに珍しいパターンだし設定的に無理が無くて面白いな。
ガンダールヴの槍として召喚されてるものは原作と同じでもいいんだろうけど、
クロノス絡みでなにか来てると面白いな。
武器と一緒に連れてこられたハイパーゾアノイドとか居るかもしれない。
もっともその場合聖地でどんな遭遇が起こったかと考えるとそっちの方が見てみたい気もしてくるがw
携帯からすまない。
投下しようと思ったら、本スレは規制中で、
仕方ないから避難所で代理頼もうとしたら、
したらばまで「公開PROXY規制中」とか出たんだが、どうしたらいいんだろうか?
乙です
アプトムとなると境遇からしてギーシュとのやり取りが楽しみだ。
ところで、メイジを捕食すればアプトムも魔法が使えるようになるのかな?
>>48 どこかのアップローダーにテキストファイルとしてうpして
それを貼り付けてもらうとか・・・?
どこからどうやってアクセスしてるのか知らんけど串通してると基本的に書き込めないよ。
串通してないのにってんならDSBLに載ってんじゃないの。俺も昔どっかのwikiでかかったことがあった。
解除方法はぐぐればわかる。とりあえずIP変えればいいだろうけど。
52 :
48:2008/12/28(日) 21:19:19 ID:bBAp9UAq
eonetなんだ
DSBLってのググってみたら見事にかかってんな
どないしよ…
testファイルとしてアップローダーに上げてくれれば代わりに貼るよ
テキストだった……
まあ規制解除するまで待つというのも手だとは思う
IPアドレス変えるのなら、ルーターの再起動かな
いや、そういうタイプの規制じゃないから解除しないとずっと書き込めないよ。
載ったら解除申請しない限り載りっぱなしだから、解除申請しといてね。
56 :
48:2008/12/28(日) 21:32:48 ID:bBAp9UAq
色々すいません
規制かかりまくりのアドレスなんで規制解除の隙間待つか
しかしまさか したらばまで規制食らうとはなぁ…
味噌コーンチャーシューバター乗せがお勧め。
書きたいクロスSSが2つも頭に浮かんでしまった、
まだ執筆中のSSが1つあるのに俺はどうすれば?
全部書いちゃえ…と言いたいところだけど、プロットだけメモしておいて、ひと段落したら
ちまちま書いていけばいいんじゃね?
同時進行という茨の道があるが、二兎を追ってもなぁ
執筆中のを中断して、新作書く
そして両方とも途中で捨てる
>>58 現在執筆中の作品はソードマスターヤマト的な打ち切りにして新しく書く
>>58 今書いてるのを今年中に書き上げて今年度中にもう1作書いてそれから最後を全力で仕上げれば良い
今年はあと三日も無いのにかw
>>63 昨日なんとなくアニメのギャグ漫画日和見てたら
それよりひどい1ページ打ち切りがあったのを思い出したw
与えられた3ページで人気巻きなおしのための風呂敷広げまくって
次の週の打ち切り1ページでそれを全て回収するっていう奴だった
そうだそれでいこう
ラスボスの人がそれやったら盛大に吹くwwww
スパロボのラスボスといえば、最強親父呼ぼうぜ。
召喚ゲートから出てきた瞬間、世界が破裂して終るから10行ぐらいでOK!
ハルゲギニアは大丈夫かもしれんよ、異世界なんだし
アポロン総統を召喚してもあんまり話が膨らみそうにないし、
イルイを召喚しても、ガンエデンがないとただの幼女だしなぁ。
>>56 eoは規制ばっかだからp2にすれば?
100円だし一年使えるし便利よ
ハルゲギニアが地球(とバルマー)と同じ宇宙にあることにすれば
ガンエデンがあってもおかしくない。
>>59-67の皆さん、アドバイス感謝。取り合えず今のSSを書き終えたら
2つを本スレに投稿する事にする。と言う訳で、HELLSINGスレに戻る。
アプトムの人乙!
アプトムも良かったけど、ゼクトールか深町パパを救済して欲しかった…
あれだ、武士沢召喚して年表エンドにしようぜ
もうルイズとサイトが聖地で爆弾を起爆させてから、
12000年後に『オカエリナサト』で良いんじゃない?
なんか前スレは異常な速度で埋まったな……。
あっ、こういうときは若林源三を召還すれば・・・
エルフと同等の力を持った少年少女、メイジレスが活躍する12000年後の続編
81 :
ゼロの黒魔道士:2008/12/28(日) 23:57:41 ID:UZ39udKl
つなぎ直してみたらイケるかな?
00:10時ぐらいから投下いたします。
そこはオカエリナサイトだろ…jk
83 :
ゼロの黒魔道士:2008/12/29(月) 00:10:31 ID:he+dO6Ds
投下開始です。
――
夢の中で、「あぁ、夢なんだ」って思うことって、何回かあるよね?
今回も、そんな夢だったんだ。
ボクは、多分、水の中にいたんだ。
水面には、小舟が浮いていた。
その上で、小さな女の子が、
ボクよりも小さい女の子が、膝を抱えてさらに小さくなっていた。
一人ぼっちで、悲しそうに、寂しそうに、
シクシク泣いていた。
助けたい、そう思ったんだ。
もがくんだけど、手足が思うように動かない。
水の底に引きずられるようにズルズルと沈んでいってしまう。
この水は、あの女の子の涙?
水の底の闇は、あの女の子の悲しみ?
ボクは、あの女の子を助けることはできないの?
焦りの中、女の子のいる水面ごとあたりは黒く濁っていって、
ボクはその暗い暗い水の底へ――
ドサッ
「うわっ!?」
水の底はベッドの下だったんだ。
「いたたた……あれ?もう、朝……?」
―ゼロの黒魔道士―
〜第二十一幕〜 足りない何か
「あ、ビビちゃん、おはよ〜!昨日はゴメンなさいね〜?」
昨日は遅くまで起きていたし、慣れない馬で疲れちゃってたから、
1階に降りてきたときには朝ごはんはもう終わっているみたいだった。
でも、昨日の夜にしっかり食べたから、朝ごはんは食べなくても別に大丈夫、かな?
(こんなこと言ったら、クワンおじいちゃんに、
「何を言っているアルか!!食は生活の基本!朝を食べずして――」って怒られるんだろうなぁ……)
「あ、うん、大丈夫だよ?……キュルケおねえちゃんは大丈夫?あの後……」
昨日、結局このお店のワインがほとんどなくなるまで飲んだあと、(お店の人が泣いてたなぁ)
キュルケおねえちゃんはタバサおねえちゃんに引きずられるようにしてお部屋に戻ったんだ。
酔っ払ってたしなぁ……身につけているものを脱ごうとしたり、通りに出て踊ろうとしたり……
「んー、ちょっと頭が痛いぐらいね。うん、平気平気。水もしっかり飲んでるし」
キュルケおねえちゃんって、かなりタフだと思う。
……あとは、もうちょっと加減してくれると、うれしいなぁ……すぐ抱きついてくるところとか……
「あぁ、やっと起きたのか。ねぼすけ使い魔君!」
「あ、ワルドおじさんと、ギーシュ、どこに行ってたの?」
水と、サラダの残り(すっごく苦い野菜が混じってたのでそれだけは避けた)を食べてると、
正面の入口から二人が帰って来たんだ。
「今日飛べる船が無いかと念のためワルド子爵と探しにいったんだよ。結局、無駄骨だったけどね――」
「キュルケ君、私の婚約者とタバサ君は?」
「さっきまで一緒に朝市を見てまして、今はお部屋に戻ってるはずですわよ。――“ハシバミ草オイル”なんてどうするつもりなのかしら、タバサったら」
……みんな、朝から色々やってたんだなぁ。
昨日の夜、あんなに騒いだりしてたのに……
84 :
ゼロの黒魔道士:2008/12/29(月) 00:11:37 ID:he+dO6Ds
「そうだ、使い魔君、ちょっといいかね?」
「え、どうしたの?ワルドおじさん?」
部屋に戻ろうとしたところで、ワルドおじさんが声をかけてきたんだ。
「は、ハハハ……その、『おじさん』はやめてほしいな。こう見えてもまだ若いんでね」
「あ、ゴメンなさい……それで、何か用ですか?」
……ワルドおz……じゃないや、ワルドおにいさんのこめかみがちょっとひくつくのが気になる。
「あぁ、君、『ガンダールヴ』だろ?」
声をひそめて、ボクにそっと耳打ちをする。
「え、ど、どうしてそれを!?」
オスマン先生が秘密にしておけって言ってたし、
知られて無いと思ってたのに……
「ふむ、フーケ討伐の件、僕の耳にも入ってね。八面六臂の活躍だったそうじゃないか?」
「え、うーん……ボクは、別に……」
あれは、ボクというよりも『猫の手ラケット』のお陰だし……
「謙遜かね?美徳ではあるが、君はその力を誇ってもいいと思うがね?
ともかく、王宮に申請されたシュヴァリエの件は学生には時期尚早として却下されたが、
その際に聞いた君の武勇伝、並びに、君の左手のルーンの件が噂としてだが耳に入ってね。それで僕なりに調べた、というわけさ」
……有名なんだなぁ、左手のこの模様って……隠した方が、いいのかなぁ?
「えーとー……ワルドおじs……おにいさん、ゴメンなさい、このことは秘密に……」
オスマン先生が言っていた。『大きな力は知られるとロクなことがない』って。
……よく分かるんだ。ガイア全部を巻き込んだ、あの戦争を思い出すと……
「ハハ、謙虚だな、君は!まぁ宣伝するつもりは無いがね、少し付き合ってくれないか?」
ワルドおにいさんがボクの肩をポンポンと叩く。
「付き合う……?あの、どういう……?」
帽子がちょっとズレたから、しっかりとかぶりなおす。
「伝説と呼ばれた『ガンダールヴ』の力、試してみたいと思うのが武人としての心でね。ついでに言うと、君の使い魔としての力も気になる」
「使い魔としての?」
ワルドおにいさんの顔が獲物を狙うタカのように鋭くなる。
「そう、僕の婚約者を守る、使い魔としての力が君にあるか、気になるのでね。どうだい、ここの中庭で手合わせなど」
ボクの肩をつかむワルドおにいさんの手が鉤爪みたいに深く強くえぐってくる。
なんだろう、『手合わせ』っていう軽いものじゃないみたい……断ることを許さない、ってことかなぁ……?
「え、あ、う、うん、分かりました……じゃぁ、ちょっと準備してきます……」
ワルドおにいさん、何かを……焦ってる?
何をだろう……
「相棒ぉ!なんでおれっちじゃなくてそっちのナマクラ使うんだよ!?」
「え、だって、ボクの力を見たいんだったら、デルフ使うのは……ちょっと卑怯じゃない?手合わせ、だし……」
「うむ、魔法を吸収するというのは対メイジでは卑怯すぎるとは思う。しかし、あのワルド子爵との手合わせだぞ?卑怯とも言えないんじゃないか?」
部屋から中庭に向かう。
ボクの手にあるのは、練習用の青銅の剣。
デルフはギーシュに預かっててもらう。
「ん〜……でも、『使い魔としての力』を見られるんだったら、こっちの方がいいかなって……」
それに、朝見た夢が気になった、っていうこともあるんだ。
ボクは、誰かを助けられるのか、誰かを守ることができるのか、
ボク自身、気になることなんだ。
「ちぇ、相棒ぁそーいう変なところが真面目くさってていけねぇや!まぁいいけどよぉ〜、イザってときはおれっちを使えよ?な?」
「いいかい、ワルド子爵の強さは本物のはずだ、僕との特訓の成果、見せつけてやるんだ!」
「う、うん……」
なんか、ボクよりもギーシュやデルフの方が気合が入ってるなぁ……
85 :
ゼロの黒魔道士:2008/12/29(月) 00:12:53 ID:he+dO6Ds
「よし、来たかね、使い魔君」
「ワルド、本当に戦うの?」
「ルイズおねえちゃん?」
中庭には、ワルドおにいさんと、ルイズおねえちゃんが来ていたんだ。
なんで、ルイズおねえちゃんも?
「決闘には介添え人が必要だ。そこで、僕の婚約者にお願いした、というわけだよ。依存は無いだろうね?」
「え、け、決闘って、手合わせじゃ……」
「そうよ、ワルド!やめなさいよ、任務の前に――」
「何、ただの手合わせさ。それとも、君は自分の使い魔には力が無いと言うつもりかね?主を守る力もない、と」
その言葉に、昨日の夢を思い出す。
ボクには誰かを守る力がない?……それは、嫌だなぁって思ったんだ。
「ルイズおねえちゃん、ボク、がんばるから……」
帽子をきゅっとかぶりなおす。
「ワルドおにいさん……よろしく、お願いいたします。」
「ふむ、それでは、はじめようか!」
互いに、距離をとり、向かい合う。
「岩砕き、骸崩す、地に潜む者たち
集いて赤き炎となれ! ファイア!」
ボウッと炎の球が地面を抉る。
そこに立っているはずのワルドおにいさんはそれをアッサリと避ける。
「ほう、これは、なかなかのいりょk っ!?」
「まばゆき光彩を刃となして
地を引き裂かん! サンダー!」
避けるだろうと思っていた方向に、サンダーを叩きこむ。
でも、それもやすやすと避けられる。
だけど、それも予想の範囲内なんだ。
「えぇぃっ!!」
魔法による詰将棋。
ギーシュとの特訓で学んだこと、魔法による攻撃をあえて陽動に使うということ。
ファイアもサンダーも、剣の一撃のための布石に使った、
はずだったんだけど……
「なるほど、そういう戦い方をするのかね、君は」
上から叩きつけて繰り出した剣は、ワルドおにいさんの杖で横になぐように弾かれる。
「く、えぇぃっ!」
弾かれたその勢いのまま、体をひねって回転斬り。
でもそれもワルドおにいさんに杖の切先で止められる。
「太刀筋は、悪くない。魔法による威力もなかなかだね。戦略も及第点と言える。だが――」
ワルドおにいさんの反撃、それは、突風のように鋭く速い杖の嵐。
とてもじゃないけど全部を剣でさばききれなくなってしまう。
「え、く、う、うわっ!?」
「致命的とも言える弱点が、君にはある――」
たまらず、後ろに下がって距離を取ろうとする。
もう一度、魔法の詠唱をはじめようと……
「君には、『速さ』が足りない!!『エア・カッター』!!!!」
風の刃が、詠唱する隙を与えないままボクに叩きつけられる。
このままじゃ、やられる!
「こ、このっ……あぁっ!?」
剣を構えて前に出る。そちらにしか、活路が無かったから。
でも、それは詰将棋の決まり手。
ワルドおにいさんの杖が、ボクの目の前につきつけらていた。
魔法を詠唱する暇も、剣をふりかざす暇ももう無い。
ボクは……負けたんだ……
86 :
ゼロの黒魔道士:2008/12/29(月) 00:13:39 ID:he+dO6Ds
「……ボクの、負けです……」
剣を地面に落とし、降参する。ギーシュ、ゴメンね。特訓の成果、見せれなかったや……
「君の力、年齢の割には大したものだと言えるだろう。だが、今の君では――」
ワルドおにいさんが杖をしまいながら、ルイズおねえちゃんの方に向き直り、帽子を斜めにかぶりなおす。
「今の君では、誰ひとり守れないだろう。君には、その力はない」
その言葉が、杖よりも、風の刃よりも、深く心に突き刺さったんだ。
ボクは……誰も守れない?誰も助けることができない?
ボクは……何もできないの、かなぁ……?
空の青さがまぶしくて、地面をしばらくじっと見つめていた。
「そんな落ち込みなさんなって、相棒!おれっちの見たとこじゃ、そう悪いセンじゃなかったぜ?」
「そうそう、ワルド子爵も言っていたじゃないか、『太刀筋、戦術、威力は良い』って――」
夕食の時間、ギーシュの言葉も、デルフの言葉も頭に入ってこなかった。
ボクは、ルイズおねえちゃんを守りたい、それだけを思っていたんだ。
できることをやりたい。せめて、手の届く範囲は守りたい。
ボクの憧れだった、ジタンみたいに、なれればいいな、と思っていたんだ。
ボクは、いつまでも弱虫のままで、勇気のない、臆病者で、
最後の瞬間まで、自分自身のことしか考えていなくて……
でも、ジタンは違ったんだ。『誰かを助けるのに理由がいるか?』
そう言って、危険な場所へ、しかも敵を助けるために一人で向かった、
ジタンみたいになれればいいなって思っていた。
だから、せめて、生まれ変わった今、ボクも、変わりたいって思ったんだ。
もう一度、生きられる。
まだ、やれることが、できることがある。
だから、ジタンみたいに、かっこよくなれたらいいなぁと思ってたんだ。
そう思って特訓してたし、使い魔としてやれることはやろうと思ってた。
でも、今のボクは誰も助けることができない。
今のボクでは、結局誰かに助けられてしまうだけだ。
今のボクでは……
ゴンッ
「あたっ!?」
「まったく、それでも僕を倒した男かい、君は?」
ギーシュがボクをデルフで小突いたんだ。
「そーだぜ、相棒ぉ!足りねぇんなら、足しゃぁいいんだよ!速さだけだろ?足りねぇのぁ!」
「え?ど、どういうこと……?」
ちょっとだけズレた帽子をかぶりなおす。
「おれっちが足してやるよ!お前さんは、使い手で、おれっちの相棒だ!ウジウジしてる相棒なんざ見たくねぇんだよ!」
「僕のライバルとしては、立ち止まったままなんて許さないからね?ビビ君」
……そっか。
勝手に一人だって思ってたのかもしれない。
足りなければ、足せばいいのかもしれない。
今はまだ、だけど、今からは、なのかもしれない。
言い訳かもしれないし、目の前のことから逃げているのかもしれないけれど、
ほんのちょっぴり楽になった気がするんだ。
「……ギーシュ、デルフ、ありがとう……ちょっと、落ち込んでたね、ボク……」
「フッ、バラはライバルのためにも咲くのさ!」
「カカカ、気にしなさんな、真面目すぎるのが相棒らしさよ!」
87 :
ゼロの黒魔道士:2008/12/29(月) 00:14:18 ID:he+dO6Ds
「ビビちゃ〜ん、ルイズがまだ降りてこないんだけど、知らない?」
「え?ルイズおねえちゃん?」
ルイズおねえちゃんはまだ1階に降りてきてなかったんだ。
……だから、さっきまで「見捨てられちゃったのかなぁ」って思って落ち込んでたんだけど……
「おや、ルイズなら僕よりも先に部屋を出たはずだが?」
ワルドおにいさんも見てないらしい。
どうしたのかなぁ……?
「あ、じゃボク、ちょっと探してくるね?」
椅子からぴょんと飛び降りて、階段に向かう。
ルイズおねえちゃん、どこにいるんだろう?
ルイズおねえちゃんはバルコニーにいた。
ほとんと重なったような2つの月をボーっと見ていたんだ。
……もしかして、勝手に手合わせとかしたから、怒ってるのかなぁ?
「あ、あの……ルイズおねえちゃん?」
「――ん?なんだ、ビビじゃない。どうしたのよ」
「えっと……今日は、その、ゴメンなさい……勝手なことばっかりして……」
ルイズおねえちゃんは、きょとんとした後、クスクスと笑いはじめたんだ。
「何?そんなこと気にしてたの?バッカじゃない?もう――あれは、ワルドが言いだしっぺって分かってるから、何とも思わないわよ」
あ、良かった、笑ってくれた……でも、どうしたんだろう?何か、寂しげだなぁ……
「でも、だらしないわねぇ、ワルドに手も足も出なかったじゃない。そりゃ、ワルドが強いんでしょうけど――」
「う……」
痛いところを指摘されてしまう。
でも、仕方がないことかもしれない。
「ルイズおねえちゃん……ボク、がんばるから。使い魔として、もっともっと、がんばるから!」
足りないところは、足せばいい。デルフの言うとおりだと思うんだ。
ルイズおねえちゃんが、またキョトンとする。そして、また笑う。
でも、さっきよりももっと寂しそうな笑顔。何かを悩んでいる、のかなぁ?
「――あ、あたりまえじゃない!私の使い魔なんだから、しっかりやりなさいよ!」
そう言って、ボクに背を向ける。
何か、あったのかなぁ?様子が変だけど……
ボクも、一緒になって月を見る。
寄り添うように重なる2つの月は淡く雲を照らしていた。
「――ビビは、強いわよね――」
ルイズおねえちゃんが、ふっと言葉をもらす。
「……ルイズおねえちゃん?」
その声が消えそうだったから、おもわず聞き返してしまう。
「自分のやりたいこと、できることがハッキリしてるもの、強いわよね――」
月がルイズおねえちゃんのシルエットを形作る。
それが、どことなく、儚いって感じがしたんだ。
夢の中の、ボクよりも小さな女の子みたいに……
「あのね、ビビ、私、私――」
ふいに、シルエットがかき消される。
ドォンという大きな音と共に……
「ルイズおねえちゃん、危ないっ!?」
――
投下完了です。次回は年明け前後に投下できれば、と思っております。
それでは、お目汚し失礼いたしました。よいお年を。
しえん
GJ!
デルフとギーシュが輝いてやがるぜw
乙!
ルイズどころか誰も守れないとか、ワルド酷い事言うなあ・・・。
Wメテオでも食らって反省すべき。
エンディングの後のビビより強いって事はワルドは3人でペプシマンを倒せるくらいの実力者・・・か
ムービーのトランスクジャはアルビオン艦隊を一人でボコボコにできそうな気もしたけど気のせいだったぜ
乙です。
ワルド戦はイベントなので勝つ事は出来ません。
たぶんこんな理由だろう。
速さが足りなければヘイストを使えばいいじゃない。
ビビの人乙
FF9ではビビのアビリティー『リフレク倍返し』を多用していたんで、
ルイズ失敗魔法→リフレク倍返し→ワルド爆散を幻視した……
が!
よく考えたらリフレクが存在しない……orz
亀だが、ホロの人GJ
泣いたキュルケ可愛いすぐるw
てかキュルケが泣いたのってこのスレでは初めてじゃね?
ビビの人乙
まぁビビも相手を倒すつもりでなかった以上、ある程度以上の火力の呪文は使えなかったということでしょうか。
96 :
サイヤの使い魔:2008/12/29(月) 06:53:41 ID:kvLPy5/l
予約無さそうなので7時から投下します
97 :
サイヤの使い魔:2008/12/29(月) 07:00:40 ID:kvLPy5/l
アルビオン首都、ロンディニウム。
王城ハヴィランド宮殿の執務室にて、レコン・キスタ総司令官、オリヴァー・クロムウェルの前に一人の従者が現れた。
儀礼的な敬礼をし、懐から一通の書簡を取り出す。
「閣下、例のものが到着致しました」
「ん、御苦労だった。早速中へ」
従者が部屋の外から運び入れたのは1個の飾り気の無い箱だった。
いくつもの中継点を経て、出自は判らないようにされているが、クロムウェルはこれがガリアから送られてきたものだと知っていた。
蓋を開け、中身を確認すると、クロムウェルは従者に頷いた。
「下がってよし」
従者が部屋を出ると同時に、クロムウェルの背後から一人の女性が歩み出てきた。
身体のラインが浮き出る、細くぴったりしたコートを纏い、その顔は深く被られたフードの奥に隠れて見えない。
「やっと来たようですわね」
「ミス・シェフィールド。この時期にわざわざ送り元を伏せてまで調べて欲しいというこれは、いったい何なのだね」
「それをこれから調べますわ」
シェフィールドと呼ばれた女性が箱から貢品を取り出すと、フードの奥で彼女の額が微かな光を放つ。
「確かに、ここ近辺では見ない代物ですわ」
「では、やはり貴女と同じく東方由来のものか」
「のようですわね」
シェフィールドは薄く微笑んだ。
自分はこの道具を知っている。
この道具は東方よりももっと遠く、もっと技術の進んだところから来たものである。
それをこの男に話したところで、真に理解するとは到底思えない。
とりあえず、東方ということにしておこう。
シェフィールドの興味は、既に眼前の男からは失せていた。
彼女が取り出したのは、片目から耳までをすっぽり覆う装具だった。
レンズに相当する部分には緑色のガラスに似たものがはめ込まれ、そこから赤いボタンのついたアーチが耳当てに伸びている。
シェフィールドは目深に被っていたフードを脱いだ。
クロムウェルは輝きを放つ彼女の額に目をやった。
古代語で刻まれたルーン。
シェフィールドが耳当てを自身の左耳にあてがうと、ひとりでに内側のゲル状のクッションが形を変えて、彼女の耳にぴったり合う形状に収まった。
装具を身につけたシェフィールドがクロムウェルに向き直る。
奇妙な形状ではあるが、クロムウェルには用途がさっぱりわからなかった。
「で、それは何なのかね? 一見片眼鏡のようにも見えるが……」
「モノクルではございませんわ。ちょっとしたマジック・アイテムのようなものです」
「聞くところによると、そのレンズに浮かび上がる文字がガリアのものにはさっぱり解読できなかったとか」
この道具の出所は伏せられている。
ガリアから来たというのも、アルビオンでは今ここにいる二人しか知らない。
そこまでしてわざわざシェフィールドに鑑定させる程の価値がこれにあるのか、クロムウェルには皆目判らなかった。
「だからこそ、私の元に運ばれてきたというわけですね。……見つかったのはこれ一つだけですか?」
「いや、あと3つ同じものがあると聞いている」
シェフィールドはアーチ部分に納められたボタンを押した。
ピピピピ…と小気味いい音がして、レンズ越しに見るクロムウェルの身体を黄緑色の線が覆い、傍らに見たことも無い文字が躍る。
驚くべき事に、浮かび上がる文字も彼女が見るクロムウェルも、ピタリと焦点が合っていた。
やがて、レンズにはクロムウェルを指す矢印らしい線と1桁の文字が現れた。
「4」とシェフィールドが呟いた。
「読めたのか!」
「そのようです」
98 :
サイヤの使い魔:2008/12/29(月) 07:02:14 ID:kvLPy5/l
「それで、何が4なのだ?」
「それはわかりません。もっと調べてみないことには」
シェフィールドの答えは半分嘘だった。
手に取るまでも無く、この道具のことは全て頭に入っている。
さっき額のルーンが光ったのは、クロムウェルからは見えない側の手で懐に忍ばせたマジックアイテムに触れたからだ。
ただ、シェフィールドには少し気掛かりなことがあった。
この道具、機能も表示された文字も、確かに彼女の記憶にあるそれと同じだった。
しかし、この形状は彼女の記憶にあるそれとは幾分違っていた。
シェフィールドが知っているものはもっと角ばっていて、ボタンも赤い四角のものではなく白くて丸いものだった。
自分がこの世界に召喚されてから、元の世界で技術の進歩があったのか。
それとも、この道具は彼女の居た世界とも、ここともまた異なる世界から来たのか。
シェフィールドはそれを調べる必要を感じていた。
「4…、4…。おお、そうだ!」
「なにか?」
「今日は紅茶を4杯飲んだぞ!」
「それは全く関係ないと思いますが」シェフィールドの顔を一筋の汗が流れた。
「そうか…」クロムウェルはがっくりと肩を落とした。「他に判ることは無いか?」
「この道具の名前が判りました」
「何というのだね?」
チェシャ猫のような微笑をその口元に漂わせたまま、シェフィールドは言った。
「スカウター、ですわ」
悟空の――60人前にも及ぶ――夕食が終わった後、アルビオン極秘任務組は、今ではただの物置き場と化した中庭の連兵場へと足を運んだ。
吹き抜けになった連兵場の上からは月明かりが煌々と降り注ぎ、隅に積まれた樽や空き箱が暗い影を地面に落としている。
キュルケが場内のそこかしこに設えた松明に明かりを灯し終えると、墓場のようだった連兵場に生気が戻ってきた。
ルイズが素直な感想を口にした。
「ただの高級な宿だと思ったけど、まさかこんな場所があるなんてね」
「この宿は昔、アルビオンからの侵攻に備えるための砦だったんだよ」
連兵場の中央に佇んだワルドがそれに答えた。
そこから20歩ほど離れたところに立っている悟空に向き直る。
「昔……といっても君には判らんだろうが、かのフィリップ三世の治下には、ここでよく貴族が決闘したものさ」
「へえ」
「古き良き時、ロングロングアゴー…じゃなかった、王がまだ力を持ち、貴族たちがそれに従った時代……。
貴族が貴族らしかった時代……。名誉と誇りをかけて、僕たち貴族は魔法を唱えあった。
でも、実際は下らないことで杖を抜きあったものさ」
「強えヤツと戦いたいからってのは無かったのか?」
「もっと古く、グラップラーの時代はそれもあったかもしれないが、生憎僕たちの頃にはそういうのは無かったね」
「なーんだ」
つまらなさそうに言う悟空に、ワルドは思わず苦笑いを浮かべた。
そうか、この男はそういう時代の精神を受け継いだ人間なのか。
ワルドは貴族だが、強さを求めるというこの男の言い分は非常によく理解できた。
自分も、かつてガムシャラに強さを追い求めた時代がある。
名誉だとか誇りだとか、そんなものは後から付いてくるものだと思っていた。
唯一の肉親であった母親を亡くした、あの日までは。
「さて」
ワルドは物思いを断ち切るように言った。
「準備も整ったことだし、そろそろ始めようか、使い魔くん」
99 :
サイヤの使い魔:2008/12/29(月) 07:05:20 ID:kvLPy5/l
「ああ。…ところでよ、おめえは何のメイジなんだ?」
「僕の属性は『風』。風のスクウェアメイジだ」
ワルドは腰から杖を引き抜き、フェンシングの構えのように、それを前方に突き出した。
対する悟空はワルドに対し真正面を向き、下げた両手を軽く握り、足を肩幅に開いたまま、微動だにしない。
互いに動かず、その姿勢のまま数十秒が経過した。
「なによ……さっきから2人とも動かないじゃない」
「ダーリンったら、子爵様が相手だってのにやる気ないのかしら…?」
当惑げな顔を見せる観衆の中で、タバサとギーシュだけがこの状況を理解していた。
「……隙が無い。気配も感じない」
「だな…。子爵殿もそのせいで、最初の一歩をなかなか踏み出せないでいる」
心臓が早鐘を打っている。
立っているだけで呼吸が乱れる。
まったく、何というプレッシャーだろう。
こうして対峙しているだけで押し潰されそうだ。
ワルドは乾いた唇を舐め、今や自分の数倍の大きさにさえ見える悟空の隙を伺い続けていた。
相手がこちらに向かってきたのを切り捨てようと思っていたのだが、逆にこちらが誘われているかのようにすら感じる
その時、燃え盛る松明の火種の1つが、パチンと音を立てて爆ぜた。
それを合図に、ワルドは殆ど反射的に悟空へと突進した。
2歩で間合いを詰め、相手の胴、腕、腰、それらを目にも留まらぬ速度で連打する。
それを驚くべき反射速度で巧みにかわしながら、悟空はワルドの予想以上の速さに内心驚き、そして少し喜んでいた。
ギーシュの高速型ワルキューレよりもずっと速い。
常人には切っ先を捉えるどころか、剣筋を見ることすら叶わないだろう。
「いいぞいいぞ! メイジなのに思ったより速ぇじゃねえか!!」
「それ…はっ、ど、う、もっ!」
余裕綽々の悟空とは対照的に ワルドは既に限界に近い速度で突きを繰り出していた。
自分とてスピードには自身がある。「閃光」の二つ名は伊達ではない。…つもりだった。
焦りから、徐々に呼吸が乱れ始めた。
一旦後ろに下がって距離を取り、乱れた呼吸を整える。
「確かに素早いな。流石は伝説の使い魔だ…」
おまけに隙が無い。
突きをかわしているその最中にも、全く隙を見出せなかった。
まるで赤ん坊扱いではないか。
ワルドはルーンを低く呟き始めた。
「デル・イル・ソル・ラ・ウィンデ……」
悟空の耳にそれは届かなかったが、徐々に大きくなるワルドの気が魔法が来ることを雄弁に物語っていた。
ワルドの気の上昇が止まる。と同時に、悟空の左側の空気が撥ねた。
「っと!!」
咄嗟に左腕で受け止める。
衝撃で、防御体制のまま悟空の身体が5サントほど地面の上を擦れた。
奇襲攻撃を軽々と受け止められ、ワルドは一度も攻撃されずして早くも窮地に陥りつつあった。
相手の虚を突く戦法が悉く功を成さない。
ならば魔法と体術、両方をフルに使って戦ってやる。
「ラナ・デル・ウィンデ」
ワルドは素早くエア・ハンマーのルーンを詠唱した。
それをを悟空の正面に叩き込み、自身も再び間合いを詰めるべく地を蹴った。
が――
ドンッ!
目に見えない何かがエア・ハンマーに炸裂し、その後ろから突っ込んできたワルドにモロにぶち当たった。
「ごぶっ!!!」
ワルドは地面と平行に10メイル以上飛び、連兵場の隅にうず高く積まれた樽に激突して止まった。
粉砕された樽がガラガラと崩れ落ちる。
「あ、お、おい! 大丈夫か?」
とりあえずエア・ハンマーを気合い砲で粉砕したつもりが、その後方から迫ってきていたワルドをもぶっ飛ばしてしまった悟空が慌てて駆け寄った。
樽の残骸の山からワルドを引っ張り出す。
鼻血と涎を垂らし、木屑にまみれたワルドの目は焦点を失っていた。
「勝負あり」
タバサが呟いた。
タバサのヒーリングで外傷は癒えたが、ワルドは脳震盪を起こしていたため、彼が目を覚ますまで一行はしばし自由行動を取ることになった。
ルイズは片時もワルドの傍を離れず、甲斐甲斐しく世話を焼いている。
悟空とギーシュはルイズが買い込んだ土産を置きに瞬間移動で一度トリステイン魔法学院へと戻っていた。
(悟空一人で良かったのだが、ギーシュがヴェルダンデの様子を見なければ僕は死んでしまう!と言って半ば強引についてきた)
タバサとキュルケはラ・ロシェールを観光中。
フーケは姿を暗ましていた。
「今にして思うと、僕は何て無謀だったんだろうね」
「何がだ?」
ルイズの部屋に荷物を運び込んでいるギーシュがぽつりと洩らした。
「スクウェアの子爵ですらあの有様だろう? 僕だったら死んでるよ」
「いやあ、手加減したから多分死にゃしねえと思うぞ」
「あれで手加減なのか……」
ギーシュの顔が蒼白になった。
そういえば、あの時のゴクウは金髪になっていない。
ルイズが言うには、あの姿になると普段以上にとんでもない強さになるんだそうだ。
下手したら彼一人でレコン・キスタを相手に戦えるんじゃないかとギーシュは思った。
「だけど、あいつでスクウェアなんだろ? オラもっと強えヤツと戦いてえんだけどな」
「いや十分常人離れしてるから。…う〜ん、子爵殿でも不満だと、あとはオーク鬼とかエルフとかでないとゴクウの相手は務まらないんじゃないかな」
「オークオニにエルフ? そいつら強えのか?」
「オーク鬼は、1匹で人間の戦士5人分に匹敵すると言われてるね。
エルフは……、正直口に出すのすら恐ろしい。なんせその戦力は人間の10倍とも20倍とも言われてる。
正直、マトモな人間なら出会うことすら考えたくない」
「へえ…。なんかオラ、そのエルフってヤツとちょっと戦ってみてえな」
「ウワァァァン言うと思ったー!!」
思わず頭を抱えて嘆く。
なにげに悟空の性格を誰よりも理解しつつあるギーシュであった。
「ところでギーシュ、そろそろおめえのワルキューレと組み手してえんだけど」
「何でさ…? 僕のワルキューレじゃもうゴクウの相手をするには役者不足なんじゃないのかい?」
「まあ、一対一だとそうなんだけどよ。大勢をいっぺんに相手するってのは、あれはあれで結構面白えんだ」
「そうなのか…。そういうことなら。実はちょっと温めていた戦術があるんだ」
「なんだ、おめえもやる気あったんじゃねえか」
「まあね」
ギーシュが実体化させた4体のワルキューレを見た悟空は、その形状がまた変化していることに気付いた。
1体1体が、上半身にゴツい甲冑を着込んでいる。
力重視、速度重視ときて、今度は守り重視なのだろうかと悟空は思った。
「準備はいいかい?」
「ああ、いつでもいいぞ」
「では!」
ギーシュが造花を振り下ろすと、ワルキューレが悟空を取り囲むように距離をとった。
移動速度は通常のワルキューレと大差ないようだ。
1体が繰り出したパンチを軽く受け流し、もう1体の体当たりを馬飛びの要領でかわす。
時折攻撃を当ててみると、幾重にも重ねられた複合装甲がわずかに凹んだ。
やはり、装甲を重ねることによって衝撃を分散させる防御重視のワルキューレのようだ。
その証拠に、攻撃がのろい。
だいたいこのワルキューレの性能が判ったので、悟空が反撃に転じようとすると――
「キャストオフ!」
ギーシュが叫んだ。
その命令に従って、ワルキューレたちが腰部に取り付けられたレバーをいっせいに倒す。
すると、上半身の重装甲がバラバラと外れて地面に落ちた。
中から出てきたのは、前よりも一層装甲が薄くなった速度重視型のワルキューレ。
更に落ちた4体分の装甲も、再度ギーシュから放たれた薔薇の造花によって速度重視型のワルキューレへと姿を変えた。
総勢8対の速度重視型ワルキューレが悟空に襲い掛かる。
さっきまでのろい動きのワルキューレに慣れていた悟空の反応が僅かに遅れ、1体の攻撃が髪を掠めた。
「うわっとっと!!」
即座に速くなったワルキューレの攻撃に順応し、姿が掻き消えるほどの超高速移動でワルキューレの包囲網から抜ける。
それでもう悟空に勝てる見込みは無いと判断したのか、ギーシュはワルキューレの錬金を解いた。
「どうだった?」
「いやぁ、おでれーた! 自分で言うのもなんだけど、オラじゃなかったらあの速えほうのワルキューレにやられてたぞ」
「一度遅い攻撃に慣れさせて、後から早い攻撃に転じるのがこの戦術の要だったんだ。そう言ってもらえると考えた甲斐があったよ」
「あとは…そうだな。ギーシュ、いったん外したヨロイを動かすことってできるか?」
「できるよ。原理はワルキューレを動かすのと同じだからね」
「じゃあさ、外したヨロイをそのまま落っことすんじゃなくて、相手にぶつけちまうってのはどうだ?」
「なるほど! 確かにそうすれば攻撃にもなって一石二鳥だ!! ありがとう、参考にするよ!」
「さて、それじゃそろそろ戻ろうぜ」
「ああ! ゴクウ、今日はありがとう」
その日の夜、目を覚ましたワルドは付き添っていたルイズに求婚した。
日がな一日彼と過ごしていたルイズは、その言葉を聞いた直後に顔をぱあぁっと輝かせたものの、すぐに暗く、落ち込んだ表情になった。
その様子を見たワルドは、心配になって声をかけた。
「……嫌かい?」
「…ううん、嫌じゃない。嬉しいわ」
「じゃあ、何でそんなに悲しそうな顔をしているんだい? 僕のルイズ」
「…………わたし、貴方に相応しくない」
「え?」思いがけないルイズの言葉に、ワルドの眠気は彼方へ吹き飛んだ。「いきなり何を言い出すんだ。君が僕に相応しくないなんて、そんなことは無いよ」
「ほんとう……?」
「本当さ。現に君は、あんなに強くて素晴らしい使い魔を召喚しているじゃないか」
「でも……ゎ…」ルイズの声が切れ切れになる。
「何だって?」
「でもわたし、何も変わってない……」
ルイズの目から、涙が零れ落ちた。
「ゴクウは…ゴクウはガンダールヴだって先生が言ってた。伝説の使い魔のルーンだって。
でもわたし、そんな凄い、使い魔を、召喚したは、はずなのに、ち、ち、ちっとも、変わっ、て、ないの……」
とうとうルイズは泣き出した。
大粒の涙が、しゃくりあげるルイズのブラウスを濡らしていった。
「ぜ、ぜ、ぜろな、の。わたし、まだ、ゼロの、ルイズ、なの………」
(知っていたのか…あのルーンがガンダールヴだって)
10年前、ラ・ヴァリエール家の領地の池でそうしたように、ワルドは子供のように泣いているルイズを優しく抱きかかえた。
以上、投下完了。
遅々として進まない話を進展させるべく、もっと後に登場させる予定だったシェフィールドさんを登場させたら、
その余波でギャグ成分が干上がってしまいました。反省。
今回は挿絵と言うよりイメージイラスト。
スカウターを着けたシェフィールドさんです。
ttp://roofcity.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upload/src/up0088.jpg さーてコミケ(3日目)行くぞー!!
投下乙
スカウターは良いネタだなあw
ツンぐるみゲッツ頑張ってね
サイヤの人 乙
DBはライフル持ったおっさんが戦闘力5だったから、
戦闘力4は悪くないんじゃ無かろうか
シェフィールドフリーザ軍の出かよwww
サイヤの人乙です。
スカウター吹いたww
次回にwktk。
戦闘力たったの4……ゴミめ。
サイヤの人、乙。
スカウターを入手したシェフィさん、悟空を見たらあまりの数値に卒倒するんじゃなかろうかw
それにしてもワルド……そうかぁ、4千年前のハルケギニアはまだ男たちが自由に憧れたり女たちが優しかったりしたんだ……
フリーザ編終盤ベジータで既に測定不能になってたのに、
セル編終了後の悟空なんてどうなってる事やら……ガクガク
ボンッ!で終了
>>104 アンドバリの指輪込みで4ってかなり悲惨じゃね?
サイヤの使い魔の方乙です。
スカウターネタは反則過ぎるw
悟空に使われるときが楽しみです。
流れを立つようで申し訳ありません
今更ですが出て行かれた方で行き先がわかってる方って何人くらい居られるのでしょか
ぶっちゃけ「続きを書き続ける」と宣言された爆熱の方がどちらに行かれたのか知りたいです
ちなみにわたしが知ってるのは理想郷にいかれた目付きの悪い方と某ナデ所に行かれた
いろいろな方だけなのです
戦闘力たったの4か・・・ゴミめ。乙
ディシディアFFのED後から光の戦士(FF1の主役)を召喚ってどうだろ?
あの兜についた長い角がドアにしょっちゅう掛かりそうな気がしてならないが・・w
ゼロ魔と関係ない話題ふってわるいけど、戦闘力4の元ネタって
銃を持った農夫の戦闘力だったと思うのだがあの世界って
ホイホイカプセルみたいなオーバーテクノロジーがあるから銃もそれに比例して強いのだろうか?
武器が戦闘力に含まれるならメカフリーザ来襲時のトランクスは戦闘力がもっと高くないと
ディシディアとかどうでもいい。あれはキャラねつ造&改悪ゲーだから、
出すなら普通に元の作品から召還すべき。
サイヤの使い魔といえば、腐なルイズとアンアンがなんともなんだよな(いい意味で
サイトはガンダ発動でいくらなんだろう
>>115 ED後なら、割と従ってくれそうだが……
ジョゼフかエイジスが確実にガーランドを召喚してしまうな。
俺のイメージだとゴクウが1000万だとしたらサイトは100くらいか
122 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:19:45 ID:cqwmPbRc
sage忘れ失礼
久々にサイヤの人乙ー
悟空さは普段体力の消耗を抑える為に戦闘力を控えめにしてるから5000前後じゃ無いかなぁ
それでもチチを手加減し損ねてぶっ飛ばすくらいのパワーだったけど
普段体力の消耗を抑える為に戦闘力を控えめ?どこ設定だよ
ナメック星に到着した時にスカウターで戦闘力を見ても5000程度でジースたちが実力を見抜けなくて
ソレに対する解説としてギニュー隊長が戦闘力をコントロールして体力の消耗を抑えてるって言ってたじゃ無い
>>121 たしか亀仙人が139だったと思うから100ってとんでもなく強いぞ。
あとフリーザ第二段階で100万超えてるって本人が言ってたから1000万だとフリーザ第二段階が10人いれば勝てる計算になるからもっと多いと思う
初めてスーパーサイヤ人になった時点で一億超え果たしてたと思うけど。
ノーマル状態はよく分からんね。
その頃と比べて基準値が既に二桁どころじゃなく上がってるわけだが?
初変身時点のフルパワー<セルゲーム開始時セーブモード
ぐらいのパワーインフレは起こってるぞ
ここで延々と続ける話題じゃないと思うニダ。
そろそろ自重する頃合アルよ。
>>127 天下一武闘会に参加したチチが戦闘力100。つまり素手で厚い壁を砕いたり、数十メートルジャンプしたり、常人には捉えられないスピードで動いたり、悟空対ピッコロ(マジュニア)戦を目で追えるレベル。
これ以降、投下予告あるまでスーパー書き手応援・感想タイム
戦闘力なんてただの目安だろ
トランクスなんて戦闘力13程度しかないのにメカフリーザを一刀両断した
サイトの戦闘力が低かったとしてもフリーザぐらいは倒せるさ
じゃあ夜から超探偵・榎木津を召喚する話投下します
>>133がマジで言ってるんだったら病院に行った方がいい……。
>>132 スーパー書き手を応援するんだな!
へっぽこの人帰ってこないかなあ。 あとイザベラ管理人のひと。
>>134 エノさんはどちらかっつうとタバサに合いそうだ
よくわからないまま勢いで王家の問題を「解決」してしまいそう
前スレながらジルの人GJ
重火器使い放題でスカッとします。
エルザがレギュラー化してるのもうれしいです。次回も楽しみにしています。
サイヤの人乙。
ずっと待ってたよ!!スカウターとカブトネタは吹いたww
俺は劇場版を楽しみにしているぜ。
以前ここで、映画公開初日に見にいってクロス書くと宣言してるしナー。
まぁ戦闘力云々は公式がまずおかしな数字になってるから語るだけ無駄だと思う
超サイヤ伝説基準の戦闘力なら納得もできるけど
ルイズが召喚した使い魔は、パンツ一丁の暑苦しい男だった
彼はギーシュと決闘をし、幾度と無くワルキューレに倒されるが
それでも彼は血みどろ、満身創痍の中で何度でも立ち上がる
「平民の使い魔よ、貴様は、本当は何者だ?」
「…オレは…スーパーの店長だ!」
「1、2の三四郎」より三四郎を召喚
>>142 ギーシュをパイルドライバーで仕留めるんですね、テラオソロシス。
>>98 >古き良き時、ロングロングアゴー
てつをBLACKの名曲ですなw
み〜ど〜り〜 な〜す だ〜い〜ち〜
ディシディアじゃないが
FFXIから
ガンダ:シャントット
ミョズ:ロベルアクベル
ヴィン:カラハバルハ
20年前の大戦時代から召喚
ダメだ、シャントットはともかくあとの二人がどう動くかわからん・・・
つかこのネタ知ってる奴が果たして何人いることやら・・・
すまん、FF7以外はあまり詳しくないんだ^^;
でもディシディアはシナリオ自体は悪くないと思うぞ?
まあ個人的にやりたかったのは
ガンダ:光の戦士
ヴィン:スコール
ミュズ:アルティミシア
???:カオス
とか考えてたりしたんだが・・・・
EDが以外に出来よかった気がしたんで悪乗り気味ですまなかった
>>146 カラハバルハを使い魔にしていると知れた時点でロマリアの命運が尽きる
連邦の黒い悪魔が一人で国を焦土に変えに行くぞ
FFっていうとT〜Wまでとファイナルファイトぐらいしか知らないぜ(あとフーファイターズ)
ハガー市長でも呼ぶか、ジェシカもいるし
>>146 ロベルは設定がまだ明らかになってないし
カラハは神子様以外に従いそうにないし
シャントット様はデジョンで帰るw
>>146 ウィンダスが滅んじまうだろw
全員その場でデジョン使いそうだがw
シャントットだけはルイズをきっちり
北の大地ならぬ東方置き去りの刑にしそうだ……
>>149 FFって言ったらファイティングファンタジーだろ。
最近萌え絵になったからゼロの使い魔との親和性も高い。
知ってる奴がいて感動したw
流れを切って申し訳ないですが
15分後の17:45ごろから投下させてください。
FF8のキャラがメイジからドローしたら何がとれるんだろう?
おっと、支援する
FFっていったらファンタスティックフォーだろ
まあフェイマスフォー(ゾンビ化したFF)召喚してハルケギニア滅ぼすも一興か
>>154 支援させて頂くですよー
「あたしたちのいたとこと、ここ、ハルケギニアじゃ、使ってる魔法の種類が違うんだよ」
アクアは、ルイズの部屋で、ルイズと向き合うように椅子に座っていた。
ルイズはアクアの話に興味深そうに耳を傾けている。アクアが使った魔法に付いて、ルイズが説明を求めたのである。
アクアは面倒くさがったが、ルイズに押し切られる形になった。
曰く、誰がギーシュを治療する水の秘薬の代金を払ってやったのか。曰く、アクアの爆発でひびが入ってしまった『火の塔』の事で、教師たちに必死で頭を下げまくったのは誰だと思っているのか。
決闘の後、一通り暴れて満足したアクアは、そのままどこかへ行ってしまった。使い魔の不始末は主人の不始末、そんなわけで、アクアの主人たるルイズが後のフォローに奔走したのである。
「あたしらの言う魔法ってのはね、自然界の力や人間の力を変換すること」
四大系統と呼ばれる『火』『水』『風』『土』を始め、自然界を取り巻くあらゆるパワーや、生物を流れる霊気。
それらを司るもっとも根本的な単体エネルギー『魔力/マテリアル・パワー』。
それを自由に組み換え、新エネルギーをつくり出すこと。
この世に新たな法則をつくり出すこと。
「それが『魔法/マテリアル・パズル』」
アクアは、テーブルの上にアメ玉を転がす。
「あたしのマテリアル・パズルは『スパイシードロップ』。魔法効果は、まあ昼に見た通りだね。アメ玉の魔力を組み換えて、破壊のエネルギーに変換するの」
「すごいわ、四大系統のさらに根本的な力を操作する。そんな魔法があるなんて」
ルイズは好奇心に身を乗り出すようにして、話を聞いていた。
「そうよ、これなら!系統魔法は一度も成功しなかったけど、これならわたしにも魔法が使えるかもしれないわ!」
ルイズは興奮して叫ぶ。しかしアクアはそんなルイズの熱意を一笑に伏した。
「あー、無理無理。千人に一人の才能の持ち主がちゃんとした指導を20年受けて、それでもなれるかどうかってくらいなんだから。こっちの『系統魔法』とやらの方が、よっぽど身に付けやすいだろうさね」
その言葉に、ルイズはがっくりと肩を落とした。せっかく光明が見えたかもしれないのに。
「それにね、ちゃんと魔法と呼べるレベルの組み立てができるなんてのは、天才中の天才!あたしらんとこじゃ、いまの世の中、魔法使いなんか10人もいないんじゃないかな」
「はいはい、つまり自分は大天才だと言いたいと」
ルイズは頬杖を付き、憮然としている。
「いや────」
突然、アクアの纏う空気が変わった。
ガリッ!と、不機嫌に舐めていたアメ玉を噛み砕く。
「あたし達は不死身にさせられたんだ……!100年、そりゃ魔法も使えるようになるさ」
部屋がしばし沈黙する。気圧されていたルイズは、やがて溜息をひとつ付き、椅子の背もたれに身を沈めた。
「……ま、いいわ。結局、わたしに使える魔法はないってことなのね」
「そんなに気にすんなよ。人生長いんだ、そのうち使えるようになるって。魔法」
「不老不死の人間の感覚で物を言わないで欲しいわ」
なぐさめ丸出しのアクアの言葉に、またため息をついた。
話し込んでいたら、すっかり夜が更けてしまっていた。
ふたりは揃って大あくびをした。
アクアに言い渡されたベッド使用禁止令は解かれていなかったのだが、なんとなく怒る気にならなくて、ルイズはアクアが勝手にベッドに潜り込むのを許し、寝息をたてはじめた。
それからも、アクアは変わらず派手にはしゃぎまわり、そのせいで上級生に目を付けられることも多かったが
ヴァリエール家の家名と、ヴェストリ広場の決闘騒ぎの噂で、アクアに正面切って喧嘩をふっかけてくる者はほとんどいなかった。
それでも絡んでくる者はいたが、アクアはその都度自分の魔法で黙らせた。
決闘らしい決闘になったことは、一度もなく、相手はアクアの魔法の一撃で、あっさりと意識を手放すのだった。
あの子の性格、あれは自分の力への絶対の信頼から来ているのね。
アクアは、強い。ひょっとしたら、スクウェアクラスに匹敵するメイジかもしれない。
そんなアクアに振り回されて、しょっちゅう言い合いになったりもしたけれど、ルイズはこの奔放な使い魔のことが、なんだか好きになりはじめていた。
アクアが召喚されてから、そろそろ一週間が過ぎようとしていた。
魔法学院の中庭は、学生の使い魔たちのたまり場になっている。授業中や食事中は使い魔と主人は離れて過ごすので、自然とそうなったのだ。
そんな中で、ルイズの使い魔アクアは、はしゃいでいた。
巨大な風竜に抱きついたり、カラスを追い回して困らせたりしている。
それでも使い魔たちは、アクアに懐いているように見えた。先ほどの風竜がアクアの顔を舐め回し、涎で顔がベタベタになったアクアは、無邪気にけらけら笑った。
「アメ食べる?」
「爆破すんじゃないわよ!」
ルイズは、そんなアクアのことを遠巻きに眺めていた。動物たちとじゃれ合うアクアの背中に、声をかける。
「ほら、行くわよアクア。そろそろ午後の授業が始まるんだから。」
「あいよー。じゃーね、バイバイ」
アクアは動物たちに手を振って、ルイズの元へ駆け出した。
ルイズもきびすを返し、教室に向かって歩き出す。と。
背後から、ドサリ、と何かが倒れるような音がした。
振り返ると、アクアが地面に突っ伏している。
「ちょっと、こんなところで寝ないでよね」
ルイズはそう言う。しかしアクアは答えない。
「ちょっと……アクア?」
ルイズはようやく、アクアの異状に気が付いた。
「水の魔法が効かないって、どういうことですか!」
ルイズに運ばれて、アクアは、ルイズのベッドに寝かされていた。
アクアの顔は熱で火照り、額には玉のような汗が浮かび、荒い呼吸を繰り返している。
苦しそうなアクアを前に、ルイズは養護教諭に向かって声を荒げる。
「熱が全然下がらない。水の秘薬も効果がないわ。水の治療魔法というのは、身体をつくっている水の流れを操作して、回復を促す魔法なのだけれど……あの子には、抵抗力とか、免疫力とか、そういったものがまったく無いのです」
養護教諭は、困惑した顔で答える。
「足、草で切っちまったからねえ……毒が、入っちゃったか……」
無理矢理笑顔を作りながら、アクアは言う。しかしその言葉は、熱に浮かされて弱々しかった。
「不死身じゃなかったの」
「不死身だよー。大丈夫だからさ、授業行ってきなよ」
「そんなわけにいかないでしょ」
口ぶりはいつものアクアと変わらなかったが。
(目に、生気が感じられない……)
アクアの瞳からは、普段の自信に満ちた光が、そっくり消え失せていた。
ルイズは午後の授業を欠席して、アクアの看病に当たった。
水のメイジの教師たちを頼ってみたが、アクアの容態は回復せず、ルイズを焦らせるばかりだった。
ここにいても、駄目だ。
「アクア、城下町に行くわよ。モンモランシーから聞いたの。あそこにはとても優秀な薬剤師がいるって。その特製の秘薬を使えば、あんたの病気なんてすぐに直るから」
半分自分に言い聞かせるようにして、アクアを背負う。その身体はあまりにも軽すぎて、ルイズはぞっとした。
まるでアクアの命が、身体の中からこぼれ落ちてしまったようで。
「ルイズあなた、こんな時間にどこへ行くの?」
部屋を出ると、キュルケに呼び止められた。
「町の医者にアクアを見せるのよ!お城のお抱えの優秀な医者がいるはずだわ」
「ルイズ、病人を馬で運ぶっていうの?明日まで待って、馬車を呼びましょう」
「止めないでよツェルプストー!」
ルイズは心配そうに声をかけるキュルケを振り切ると、馬舎に向かって駆け出した。
「ヴァリエール!」
キュルケも後を追う。
途中、何度か教師に止められたが、かまっていられない。
「……ルイズ……」
「アクア!気が付いたの?」
背中から声がかけられる。
「ごめん……揺れるから……もっと、ゆっくり……」
その声は、普段のアクアからは想像もつかないくらい、弱々しくて、ルイズは思わず足を止めた。
怒りなのか、悲しいのか、よく分からない感情がぐちゃぐちゃにルイズの心に渦巻いて、思わずルイズは背中のアクアを下ろし、掴みかかった。
「ふざけないで!わたしは騙されないわよ!あんたがこのくらいでまいるわけないでしょう!?わかってるんだから!」
「ルイズ、やめなさい!」
キュルケの声で、ルイズははっと我に返った。
アクアは、ルイズの手の中で、ぐったりとしていた。体中に汗をかいて、苦しそうに喘いでいる。
ルイズは自分を突き動かしていた衝動が、ぐっと萎んで行くのを感じた。
ルイズとアクアは、キュルケに連れられて、また自分の部屋に戻っていた。
「アクア……ごめんね」
ルイズはベッドのそばに腰かけながら、呟いた。
「んー……?」
「いきなり喚び出したりして……」
ルイズは、膝の上で手を握りしめる。
「明日になったら、お医者さまを呼ぶわ。もう少し辛抱しててね」
アクアは、答えない。
「アクア?」
アクアは、答えない。
「アクア?」
ルイズは、アクアの様子を見ようと、顔を覗き込んだ。
「あれ?」
静かな部屋の中を、ランプの明かりがぼんやり照らす。
ランプの灯が、ちろちろと揺れて、部屋の影を揺らす。
アクアの呼吸は、止まっていた。
「……あれ?」
アクアは、死んだ。
支援
「あの子ったらすっかり取り乱しちゃって。こんな夜に、アクアを町に連れて行く!だなんて言うもんだから、焦ったわよ。今は落ち着いたみたいだけど」
キュルケは、机を挟んで座っている青い髪の少女に話しかけた。
グラマラスなキュルケとは対照的に、スレンダーで小柄な少女は、ランプの明かりで本を読みながら、キュルケの話に耳を傾けている。
ルイズを落ち着けて、部屋に戻した後、キュルケは親友のタバサの部屋で駄弁っていた。
一方的にキュルケがしゃべっていて、タバサは時々思い出したように相槌を打つだけであったが、キュルケはこの無口な友人といる時間が好きだった。
「消灯時間」
短くタバサが呟く。夜遅いのだからもう部屋に戻れ、と言いたいのだ。
「でもねえ、タバサ。アクアってば、本当に弱ってるんだもん。あんな様子を見せられたんじゃ、もう、心配で。今夜もデートの約束があったんだけど、とてもそんな気になれないわ」
キュルケは、意外と世話焼きなのだった。タバサは、パタンと本を閉じる。
「明日」
「え?」
「明日、町へ行って、医者を連れてくる。シルフィードなら、町まで二時間で行ける」
「あなたの風竜を借してくれるの?ありがとうタバサ!だからあんたって好きよ」
感極まって、キュルケはタバサに抱きついて、思うさまかいぐり回した。
タバサはされるがままになって、髪がくしゃくしゃになったが、不思議といやな気分ではなかった。
微熱のキュルケと、雪風のタバサ。この一見対照的な二人は、親友なのであった。
その頃、キュルケの部屋では、彼女のボーイフレンドの一人が、天を仰いでいた。
期待に胸をときめかせて、女子寮の窓から忍び込んだのだが、そこで彼は、約束がすっぽかされたということを悟った。
「ああ、キュルケ!微熱のキュルケ!きみは、こんなにも僕を弄ぶ!」
彼女の気まぐれに翻弄されるのはこれが始めてではないものの、やはり嘆かずにはいられなかった。
落胆しつつ、女子寮に忍び込んだことが教師たちに見つからないよう、そっとキュルケの部屋を出ることにする。
『レビテーション』の魔法で窓から飛び出した彼は、彼の背中を照らす光に気付いた。
ふり返って見ると、キュルケの隣の部屋の窓から、強烈な光が漏れ出ている。
あれは確か『ゼロのルイズ』の部屋じゃなかったか?
また何か魔法を失敗させたのだろう、と大した感慨も持たずに、彼は女子寮を後にした。
ルイズは目の前の光景に、言葉を失っていた。
死んだアクアの身体が突然まばゆく光り出したのだ。
アクアの身体から放出される魔力の波が部屋中を暴れ回り、ルイズは後ずさった。
「アクア!どうなってるのアクア!」
魔力の嵐に翻弄されながらも、ルイズは必死にアクアに手を伸ばす。ルイズの手が、アクアの腕を掴もうとしたそのとき。
アクアの腕が、ばらばらに崩れた。
腕だけではなく、身体や顔にもひびが入り、服までもが、まるでパズルのピースのようにばらばらになって、魔力の波に飲まれ、ルイズの部屋を飛び回った。
いったい、何が起こっているの?
ルイズは床にへたり込み、ただ、目の前の光景を見ていることしかできなかった。
やがて、宙を舞うパズルのピースたちは一ヶ所に集まって、何かを形作ってゆく。
バラバラになったアクアの身体が、『別の何か』になってゆく。
その『何か』がついに組み上がったとき、ひときわ大きな魔力が、部屋の窓を揺らした。
ルイズは思わず顔を庇うようにして、衝撃に備えた。
やがて、魔力の嵐が去ったあと、ルイズはおそるおそる顔を上げた。
すると、見慣れた自分の部屋に、見知らぬ少年が立っていた。
身長は160から170サントほどで、ルイズと同い年くらいであろうか。ツンツンととんがった、ハルケギニアでは珍しい黒髪をしていた。
「あれ?えーと……ここは、どこだっけ……ぼくは、なにをしてたんだっけ。久しぶりだから、頭ボーッとするなァ」
寝ぼけたような顔で、きょろきょろとあたりを見回している。
ぼんやりとした少年の言葉に、ルイズは目を白黒させた。
ば、ばば、化けた。これも魔法なのかしら?
「ぼくは何をするんだっけな……なんだっけ?ここはどこだ?」
少年は、ぶつぶつ言いながら部屋をうろつきはじめた。
ルイズは得体の知れない少年に、心底怯えていた。そんな少年が、ぐるりと首を回してルイズのことを見たものだから、ルイズは思わず縮み上がった。
「きみは……ルイズ?」
「そ、そそそ、そうよ」
「ルイズに喚び出されて……ルイズのおでこにゴーラの実をぶつけて……ゴーラの実をぶつけて……『契約』の儀式をして……ああ、そうだ、使い魔召喚の儀式だ!それでぼくはここにいるんだ!」
これですべて分かったぞ、といった調子で少年は叫んだ。
反対にルイズはますますこんがらがってしまった。
「あんた……誰?」
「んー……」
少年は少し考え込むようにして、頬を掻いた。
落ち着いてきたルイズの口から、堰を切ったように、疑問が溢れ出してきた。
「アクアはどこへ行ったの!?今のも魔法!?変身!?あんた今どこから来たの!?」
「ちょいちょい、落ち着いて。アクアは大丈夫だよ、また会えるから」
「……そうなの?」
少年に詰め寄っていたルイズは、その言葉を聞くと、なんだかほっとして、力が抜けてしまった。
「ただ、今は、ちょっと出て来れないんだ。この身体は、いまぼくが使っているから」
どうやらアクアは、いなくなってしまったわけではないらしいが、ルイズには分からないことだらけである。
落ち着いた頭で、あらためて少年を見る。異国の服に身を包んだ、気の優しそうな目をした少年であった。
そして、その髪と同じ色の黒い瞳は、アクアと同じ、まるで人形のような目をしていた。
人形のような瞳……
「あんたは、もしかして。アクアと同じ、不老不死のメイジの一人……」
少年は、ニコっと笑って答えた。
「そう、魔法使いティトォ。趣味は風景画、見るのも描くのも大好き。使い魔の件は、アクアに変わってぼくが請け負うよ。よろしくね、ルイズ」
「……はあ。その。よろしく」
ルイズは曖昧に返した。
寝ぼけたような目をしていたティトォは、すっかり頭がはっきりとしたようで、部屋の調度品を感心したように眺めていた。
「うん、いいなァ、なんか雰囲気ある部屋だな、ここ。ねえ、紙とペン貸して」
「へ?ああ、うん。これでいい?」
ティトォに言われるがまま、ルイズは授業で使う羊皮紙と羽根ペン、インク壷を差し出した。
「紙巻きの鉛筆はない?」
「ないわよ、わたし絵なんか描かないもの」
「そっか、残念。うん、でも、ドローイングってのも一度試してみたかったし、ちょうどいいや」
そう言うと、ティトォは床に座り込んで、見事なゴシック調の化粧台のデッサンを取りはじめた。
ルイズはそんなティトォの様子を、立ち尽くしたまま見ていた。
なにかしらこれ。
なんか、おかしくない?
こんな夜更けに、男の子を部屋に入れるだなんて。色ボケのツェルプストーじゃあるまいし。
いやでも、ティトォはわたしの使い魔、なのよね?じゃあ問題ないのかしら。
でも『契約』したのはアクアのはずなんだけど。そこんとこ、どうなってるの?
そうだ、使い魔のルーン!
「ティトォちょっと」
ルイズはそう言うと、ティトォの右手を取って、手の甲を確認した。
「どうかした?」
「ない……」
アクアに刻まれたはずのルーン文字は、綺麗さっぱりなくなっていた。
「ルーンが、なくなってる」
「ルーン?」
「使い魔のルーンよ!あれが『契約』の証なのに」
ルイズは、がばっ!と顔を上げてティトォを見る。
使い魔の契約が解除されるだなんて、前代未聞だ。また意地の悪いクラスメイトたちにからかいのネタを与えることになる。
と、ルイズはティトォの額に、何かうっすらと、模様があることに気付く。
ティトォの前髪をかきあげてみると、そこにルーン文字を確認し、ルイズは安堵の息を吐いた。
よく見ると、アクアのものとは文字が違っているようだったが、この際なんでもいい。『契約』の証があることが重要なのだった。
なにぃぃぃ!?支援
そのとき、突然ドアが開け放たれ、見慣れた赤髪がルイズの部屋に飛び込んできた。
「ルイズ、アクアの調子はどう?……って、あら」
深夜の来訪者キュルケは、部屋の中の様子を見て、一瞬固まった。
そんなキュルケを見て、ルイズは自分が今、どんな体勢を取っているかに気が付いた。
男の子と一緒に床に座り込んで、向き合った彼の髪をかきあげている。ふたりの身体はとても近くて、ルイズがティトォにのしかかるようになっている。
一瞬で顔を茹で上がらせたルイズは、ばね仕掛けのおもちゃのように飛び上がった。
そんなルイズを見て、キュルケは呆れたような顔をする。
「まあ、信じられない。あなた、自分の使い魔が苦しんでいる時に、男の子を部屋に誘い込んだのね。ルイズ。エロのルイズ」
「だれがエロのルイズよ!それはあんたでしょーが!」
ルイズはムキになって叫んだ。キュルケはやれやれといったふうに、ため息をつく。
「アクアはどうしたのよ。あの子、あなたのベッドで寝ていたんじゃなかったの?」
「え?それは」
ルイズは答えに詰まった。というか、ルイズ自身、アクアがどうなってしまったのか分かっていないのだった。
「あの。アクアはいったいどこへ行ったの」
と、ルイズはティトォに訪ねた。
ティトォは、トントンと指でこめかみを叩く。少し考えたあと、キュルケに向かってうやうやしく頭を下げた。
「はじめまして。ぼくはティトォと言います。あなたは」
「え?ええ。あたしはキュルケ。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと申します」
かしこまったティトォの様子に、キュルケは戸惑った。
「ぼくはアクアの腹違いの兄です。ミス・ツェルプストー。あの子は、チャケカバ車で家に帰らせました」
「チャケ?」
「ああ、えっと。そうじゃなくて、馬車です。馬が引く乗り物です」
「それは知ってるけど」
「あの子は身体が弱いので、使い魔の仕事を続けるのは難しいでしょう。そこでぼくが、アクアに代わってルイズの使い魔をつとめることにしたのです」
キュルケはぽかんとして、ティトォがつぎつぎ吐き出す嘘を、頭の中で整理していた。
しえん
ルイズはティトォの横腹を小突いた。
「なによ、腹違いの兄って。ほんとなの?」
小声で尋ねる。
「嘘だよ。あんまりぼくらの身体のことをふれまわりたくないからね」
「ああそう。でもね、使い魔の身代わりって言い訳はどうなの。ありえないわ。いくらなんでもありえないわ。もう少し何かあるでしょう!」
ぼそぼそと小声でやり合っていると、キュルケが声をかけてきた。
「ねえルイズ。あんたにはいつも驚かされてきたけれど、使い魔の兄妹に代わりをさせるなんてのは、さすがに初めて聞いたわよ。ゼロのルイズ。あんたって本当、ぶっ飛んでるわ」
「なによそれ。褒めてるの、けなしてるの」
「驚いてんのよ、単純に。それにしてもねえ、彼ったら。なかなかいい男じゃないの。ちょっとぼんやりした顔してるけど、そんなところも可愛いわ」
また始まった、この淫乱ゲルマニア人。とルイズはじとっとした目でキュルケを見る。
キュルケはそんな視線を気にも止めず、言葉を続けた。
「あなたのタイプがああいう殿方だったとはね、ちっとも知らなかったわ」
一瞬ルイズは何を言われたのか分からなかったが、キュルケが部屋に入ってきた時のことを思い出すと、顔を耳まで真っ赤に染めて叫んだ。
「あのね、あれは!そう言うんじゃないから!違うわよ!」
「なにが違うの、エロのルイズ。あなたから誘ったのでしょ?娼婦のようにいやらしい流し目でも送ったんじゃないこと?」
恋多き女キュルケは、自分のことを棚に上げて、ルイズをからかいはじめた。
ルイズは羞恥に肩を震わせる。ルイズは基本的に純情なので、この手の侮辱には耐えられないのだった。
「ややや、やめてよね!色ボケのあんたと一緒にしないでちょうだい!このゲルマニアの野蛮人が!なあに?ゲルマニアで男を漁りすぎて相手にされなくなったから、トリステインまで留学してきたんでしょ?」
頭に来たルイズは、キュルケに挑戦的な言葉を投げかけた。キュルケの顔色が変わる。
「言ってくれるじゃない、ヴァリエール」
「なによ、ホントのことでしょ」
「ねえ、ご存知?あたし、あんたのことだいっきらいなのよ」
「あら、奇遇ね。わたしもなの」
「気が会うわね」
「そうね」
「そろそろ、決着を付けませんこと?」
「あんたの口から、初めてまともな言葉を聞いたわ」
ふたりはばっと飛び退ると、同時に腰に差した杖に手を伸ばし、相手に向けて突きつけた。
「決闘よ!」
興奮して睨み合うふたりを、ティトォはぼんやりと眺めていた。
あのギーシュと言い、貴族って人たちはみんな血の気が多いのかなァ、と、呑気なことを考えていた。
以上です。
今年最後の投下でキリのいいとこ(アクア死亡)まで持ってけてよかった
支援どうもありがとうございました。
18:30から2話投下させていただきます。
ティトォの人乙です。
ティトォがミョズか…プリセラは何だろ?
次回にwktk。
そしてアプトムの人支援
夜が開け、木々や小さな動物達が目覚める時間。
泡沫の眠りから目覚めようとする瞬間こそが、人が最も至福を感じる瞬間だとルイズは信じる。
目覚めるか目覚めないかのまどろみと、自身の人肌に暖まった布団。この幸せをもっと味わおうと、ルイズは毛布に潜り込む。
いわゆる二度寝である。
だが、今日に限っては、至福の時は不埒な何者かによって妨げられる。
「いつまで、寝ている気だ。さっさと起きろ」
耳に馴染みのない男性の声と共に、毛布は剥ぎ取られ、更に首根っこを持ち上げられ子猫のようにつまみ上げられる。
「ふにゃ?」
何が起こったのか理解が追いつかず、声の主であろう男を見やる。
そこにいたのは、がっしりとした体格の黒いシャツを着た、顔の左に広く傷跡を残した見覚えのない何者か。
「だっ、誰? なんで、わたしの部屋に見知らぬ男が!?」
「寝ぼけるな。昨日お前が召喚したんだろうが」
左手に刻まれた使い魔のルーンを見せてくる男に、そういえばそうだったわね。と持ち上げられたまま拍手を一つ。
なんだか分からないけど偉そうな亜人を召喚してしまい、紆余曲折あって契約のキスをすませたんだった。
ファーストキスだったけど、使い魔だし亜人だしノーカウント。そういえば、ミスタ・コルベールが珍しいルーンだとか言ってスケッチし
てたような。
「でも、なんでこの状況?」
「お前がいつまでも起きないからだ」
「へ?」
首を傾げる。窓から差し込む光からみて、いつも起きている時間と比べるとまだ早い。
起き抜けで回らぬ頭で告げる言葉に、その男、アプトムは渋面になる。
「お前がいつもどの時間に起きてるか知らないが、昨日寝る前に自分が何を言ったか思い出してみろ」
「寝る前? 何か言ったっけ?」
首を捻るが、いい感じにボケた寝起きの頭は答えを出してくれそうにない。
「『使い魔の役目を説明したいけど、今日はもう遅いし明日の朝に教えるから早めに起こして』
お前は、そう言って布団に潜り込んだんだがな」
言われてみれば、そんな事を言った気がしないでもない。
「えーと、ごめん」
「もういい。それより使い魔の役目というのをさっさと説明しろ」
なんか偉そうね。と思いつつも、半ば寝ぼけたままの頭のおかげか、怒りは涌いてこない。
というか、説明したら二度寝させてくれるかしら。
使い魔の役目は大雑把にわけて三つ。
一つ目は、主人と視覚聴覚を繋げ、自分の見たものを主人に伝える。鳥のやコウモリのような空を飛ぶ使い魔に与えられることの多い役目。
二つ目は、主人の指示に従い、主人の求める秘薬の材料を探し見つけてくる。モグラやトカゲのような人が入り込めないような所に行くこ
とのできる使い魔に与えられることの多い役目。
そして三つ目、主人を守り戦う。人と同じかそれ以上の体躯を持つ使い魔に与えられる役目。
「つまり俺の役目は、お前に危機が迫った時に守って戦うことなんだな」
「うん。なんでか視覚も聴覚も繋がってないみたいだし。あと、わたしのことはお前じゃなくてお主人様って呼びなさい」
答えながら、なんとなしに昨日見たアプトムの姿を思い浮かべる。
オーク鬼と同じくらいの体格の爬虫類に似た亜人とその首に貼りついた腕……。
「って、何よアレ!?」
「急に、どうした?」
どうもこうもないだろうと、思い出した事を追求する。先日は自分もコルベールもうっかり追求を忘れていたが、放っておいて良い話題で
はないとルイズは思うのだが。
「大したことじゃない。それと、昨日のあれが俺の本当の姿というわけでもない」
などと不可解な答えが返ってきた。
どういう事なのか、しっかり説明しなさいと命じてみたが、説明しても理解できないだろうと言われた。まあ、確かに先住の変身魔法なん
か説明されても理解できないだろうし、なんだかどうでもよくなってきた。と言うか眠い。
変化の先住魔法とは何だ? アプトムは、昨日から何度も思い、しかし質問のタイミングが取れなかったために保留したまま忘れていた疑
問を頭に浮かべるが、聞いても答えは返ってこないだろう。
なにしろ自称ご主人様は、彼に摘み上げられたまま寝入ってしまったのだから。
しかも「授業の前に朝食だから食堂に連れて行ってね。その前に着替えも」などと寝言なんだか分からない言葉まで残してだ。
ふざけるなと、ベッドに投げつけてやろうかと思ったが、子供の言う事にいちいち腹を立てるのも大人気ない。
だからといって、本当に寝ているルイズを着替えさせてやるのはどうだろう。とは、アプトムは考えない。
相手は、おそらくは12か13歳の子供でしかも貴族とやらだ。彼女にとってこれらは、ごく普通の言動なのだろうし、彼はいい歳をした大人
である。意味もなく反発しようとは思わない。
アプトムは子猫のようにぶら下げたルイズを持ってクローゼットに向かう。
ルイズの年齢は16歳なのだが、彼はまだそのことを知らない。
着替えさせて、まだ眠ったままのルイズを担いで部屋を出ると、ちょうど同じようなタイミングでルイズより軽く五歳は年長に見える赤い
髪の少女が別の部屋から出てきていた。
「おはよう。ルイズ」
アプトムの肩の上のルイズに気がついた少女の朝の挨拶に、ルイズは薄目を開けて「おはよう。キュルケ」と返してまた重い瞼を下ろす。
「なんか、眠そうね」
「昨日は、夜遅くまで話をしてた上に、布団に入ってからも興奮して中々眠れなかったようだからな」
話をしていたのは、ほとんどがアプトムとコルベールで、ルイズは付き合いで起きていただけのようなものだったが。
「ふーん。あなたがルイズの使い魔?」
肯定すると、キュルケはアプトムを指差し笑った。
「あっはっは! ほんとに人間なのね! 『サモン・サーヴァント』で平民呼んじゃうなんて、さすがはゼロのルイズだわ」
その言葉に、なるほど自分の獣化について知られていないようだな。とアプトムは昨夜のコルベールとの会話を思い出す。
ルイズとの契約を済ませた後、コルベールはアプトムが亜人であることは隠して欲しいと頼んできていた。
亜人で先住魔法の使い手の使い魔だなどと、アカデミーにでも知られれば、取り上げられるのは間違いなしと言われルイズも同意した。
アプトムとしても、そんなところに連れて行かれてモルモットにされるのはごめんだが、隠したところであの召喚の場に居合わせたものが
喋れば同じことだろう。それ以前に自分は亜人などというものではないが。
だが、コルベールは召喚の瞬間と変身するところは誰も見ていないはずだと言う。
あの時、ルイズ以外の生徒は皆、召喚と契約を済ませていた。ルイズだけが終わらせてなかったのは、彼女が何度も召喚に失敗していたか
らで、アプトムが現れた時にはもうルイズの召喚の魔法の失敗笑うのにも飽きて、彼女を注目している者はいなくなっていたのだ。
「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわわねぇ〜。フレイム」
キュルケが呼ぶ声に応えて、巨大な赤いトカゲがのっそりと姿を現す。
虎ほどもある体躯と、呼吸と共に口からこぼれる炎に、これは自分と同じで主人を守る役目の使い魔だな。と思っていると、キュルケがつ
まらなそうな顔になる。
「驚かないの?」
そう言われても、彼はこのハルケギニアを地球とは別の惑星だと判断している。ついでに言うと、メイジも地球の人類と似た姿をしている
だけの別の生き物だと思っている。ここで、未知の動物が出てきたところで驚くには値しない。地球でも見られる普通の動物が出てきたほう
がよっぽど驚いだろう。いや、普通の動物もいるのだが。
もっとも、彼らの文化レベルから考えて別の星から来たなとと言っても頭がおかしいと思われるだけなので「珍しいのか?」と答えておく。
「珍しいのよ! 火トカゲよ! ほら見て、この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ。ブラン
ド物なんだから! 好事家に見せたら値段なんかつかないんだから」
そう言われても比較の対象がないのだから感心のしようがない。
反応の薄いアプトムと、本当に見せびらかしたかった相手であるのに舟を漕いでいるルイズに、キュルケはつまらなそうな顔になる。
「じゃあ、お先に失礼」
踵を返し立ち去ろうとするキュルケだが、それをアプトムが呼び止めて言う。
「悪いが食堂の場所を教えてくれ」
支援スマッシャー
キュルケに案内されて行った食堂は、学園の敷地内で一番高い本塔の中にあった。
無駄に広い食堂内には、やはり無駄に長いテーブルが三つ。テーブルには豪華な飾りつけと豪勢な料理。なんのパーティだといいたくなる
様だ。
「朝から、こんなに食べるのか?」
呆れた声を出すアプトムに「そんなわけないでしょ」と答えが返ってくる。
朝からそんなに入るわけがないし、この学院に通う生徒は皆貴族なのだが、貴族たるもの出された料理を全て平らげるような、はしたない
ことはしない。適当につまんでお腹が膨れたらあとは食べ残すのだ。
「なんともコメントし辛いものだな」
言って、ここだと教わった席にルイズを座らせると、さすがに目を覚ましたらしいルイズが、ここがどこだか分からないのか小動物のよう
にキョロキョロと周りを見回しアプトムを見つけて納得した顔になる。
「あー、食堂ね。うん。分かってる。わたしが連れて行けって言ったんだもんね」
「何を言い訳している。いいから、さっさと食べろ」
「うん。偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうことを感謝いたします……。
ってそういえば、あんたの食事を忘れてたわ」
言われて見るとその通りである。というか、アプトム本人は自分が食事を必要とする生き物であることを失念していた。
アプトムには融合捕食という、他者をそのまま栄養分として取り込む能力がある。別に普通の食事が出来ないわけではないが、こちらの方
が効率がいいし、ここに来る前には獲物となる敵にも不自由しなかったので、食事という行為を長らくしてなかったのだ。
だが、こちらではそうはいくまい。ルイズの使い魔という立場である以上、その辺りを歩いている人間を獲物にするわけにはいかないし、
優れた遺伝子情報をコピーするという戦闘生物の本能が、獣化兵ですらない人間を融合捕食するという行為に積極的ではない。
しょうがないわねえ。とルイズは嘆息する。
この使い魔が反抗的な平民とかだったなら、肉の切れ端の入ったスープと固いパンでも食べさせていたのだろうが、そうではないし何の用
意もしていない。
「わたしの食事を分けてあげるから適当につまみなさい。主に、はしばみ草とかを」
そう告げると、ルイズは食事に取り掛かったのだった。
この期に及んでも半ば寝ぼけたままのルイズが、朝食を済ませアプトムに学院のことを話しながら授業のために向かった教室に入ると、先
に来ていた生徒の多くがルイズと次にアプトムを見て聞こえよがしに笑い声を上げる。
あからさまな嘲りの笑いに訝しく思ったが、先に朝食を済ませて教室に来ていたキュルケを見つけて、そういえば平民がどうの言っていた
な。と他の生徒が連れている使い魔らしき動物たちを見回し、自分以外に人間の姿をした生き物はいない事を確認する。
人間の何に問題があるのかは分からなかったが。
そして、ルイズはと言えば困惑していた。
彼女の主観では、自分が召喚したのは亜人でしかも先住魔法で変身までして見せる凄い使い魔である。
しかし、他の生徒は人間の姿になった後のアプトムしか知らず、コルベールとの話し合いによって、ただの平民を召喚したという事になっ
ているので、ルイズが間抜けにも何の役にも立たない平民を使い魔にしたと思い込んでいた。
ルイズも、アプトムの正体を隠すことに同意し、彼がただの平民と見られていると知っているのだが、現実としてアプトムがただの平民な
どではない事を知っているために、認識に食い違いがあるのだ。
そんなこんなで、居心地悪げにルイズが席に着いた後、アプトムは自分はどうしようかと考える。
授業中の教室に大の男が突っ立っていたら邪魔だろうし、後ろに下がっていたほうがいいのかもしれないが、自分の使い魔という身分を考
えるとルイズの傍にいた方がいいのかもしれない。
どうしたものかと尋ねてみると、ルイズは少し考えて「隣に座ってて」と答えてきた。
そこには、貴族でもない者を座らせていいのだろうか? でも平民じゃないし、よくみたらコイツ目つき悪いいし怒らせたら恐そうだし。
なんて葛藤があったりしたのだか、そんなことはアプトムには分からない。
二人が席に着いてすぐに教師なのだろう、中年の女性が教室に入ってきて教卓の前に立った。
「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽
しみなのですよ」
そう言って教室を見回したミセス・シュヴルーズの視線がアプトムで止まる。そこに込められた感情は、疑問。
彼女は、コルベールにルイズの召喚した使い魔が少し特殊なので注意しろと言われていたが、どう特殊なのかは聞いていなかった。
だから、どう特殊なのかと思ったのだが、そこにいたのは大人しくルイズの隣に座る平民の男が一人。人間を召喚して使い魔にするという
のは珍しいが、凶暴な幻獣でもあるまいに特に注意しなければならない理由が分からない。
もしかすると顔の左側にある大きな傷跡のことを言ってはいけないとかそういう理由なのかもしれない。一人納得すると、微笑んでルイズ
に言う。
「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
その言葉に悪意などひとかけらもなく、ルイズも確かに変わった使い魔だと心中同意したのだが、そこにありもしない悪意を感じ便乗する
ものたちがいた。
「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」
小太りの少年が笑いながら吐き出した言葉には、強い相手を見下す嘲りの響きがあり、ルイズはそれに敏感だった。
「違うわ! きちんと召喚したもの!」
「嘘つくな! 『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」
笑いに包まれた教室の中、その対象の一方であるアプトムは呆れた目で、笑う生徒たちを見る。
事情を知らないアプトムだが、聞いていればルイズが出来のいいメイジでなく、そのせいで馬鹿にされているのであろうことは察しがつく。だが、あまりにも大人気ないだろう。
見たところ、彼らも15〜18歳の子供なのだろうが、それでも更に年少の子供であるルイズが実力で劣ることを笑うなど、褒められた話では
ない。
ルイズが彼らより年少だというのは、アプトムの誤解なのだが。
それに、ルイズが年少の子供でなかったとしてもだ。と朝食の後、教室にくるまでにルイズが言っていたことを思い出す。
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ。メイジは、ほぼ全員が貴族なの。『貴族は魔法をもってその精神となす』の
モットーのもと、貴族たるべき教育を、存分に受けるのよ」
貴族たるべき教育を受けた結果が、これというのはお粗末すぎるだろう。
「では、授業を始めますよ」
シュヴルーズがそう言ったのは、ルイズと小太りの少年の言い争いが収まったというか、彼女が力ずくで収めた後のこと。
そうして続くシュヴルーズの話をアプトムは適当に聞き流す。ルイズたちはこの学院の二年生であり、つまりこの授業は一年の教育を前提
として進められるものである。そんなものを魔法などというものと無縁な世界で生きてきた自分が聞いても理解できるとは思わなかったし理
解したとしても、このハルケギニアの住人ではない自分には使えないだろう。
むろん、将来メイジと敵対かあるいは共闘する可能性があることを考えれば、魔法で何ができるかは把握しておく必要があるだろうが。
シュヴルーズが、先にルイズと言い争いをしていた小太りを指名して質問をしたり、火水土風の系統がどうの、失われた虚無の系統がどう
の自分は土系統だのと話していたがアプトムの興味は惹かない。
シュヴルーズが錬金の魔法とやらで教卓の上に置いた小石を真鍮に変えた時は、流石に少し驚いたものの、やはりアプトムの興味を惹くも
のではなかった。
アプトムが興味を惹かれたのは、シュヴルーズが錬金をやってみなさいとルイズを呼んだときである。魔法自体には興味のない彼だが、ル
イズには立派な魔法使いになって自分を地球に返す魔法を開発してもらわなければならない。
となれば、ルイズの魔法の実力を見ておいて損はない。出来が悪いのだろうことは察しているが。
そして、他の生徒の「やめて。ルイズ」「はやまるな」「思いとどまれ」「君のご両親は泣いているぞ」「ちょっとまてよ!」「なんです
?」という応援の言葉を送られたルイズは、ルーンを唱え「えい、やー」と杖を振り下ろし。アプトムとシュヴルーズ以外、全員の期待に応
えて小石を爆発させた。
その爆風は、人一人を容易く吹き飛ばす威力。爆音は、耳元で破裂した爆竹の如し。
ゆえに、至近距離にいたルイズとシュヴルーズは黒板に叩きつけられ、教室にいた使い魔たちは驚き暴れだし生徒たちもそのカオスに巻き
込まれた。
「だから言ったのよ! あいつにやらせるなって!」「もう! ヴァリエールは退学にしてくれよ!」「俺のラッキーがヘビに食われた!」
「チャッピー! エサ!」「対抗しようとするな! ナマモノ!」
悲鳴と怒声の上がる阿鼻叫喚の最中、煤で真っ黒になり、服もボロボロにしたルイズが無表情にで立ち上がり、ハンカチで顔の煤を拭いな
がら淡々と一言呟いた。
「ちょっと失敗したみたいね」
もちろん、その言葉は他の生徒たちの逆鱗に触れた。
「ちょっとじゃないだろ! ゼロのルイズ!」「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」「何事もなかったような顔して誤魔
化そうとしてるぞ!」「許すな!」「くらわしてやらねばなるまい、然るべき報いを!」
怒号の響く中。なるほどな、とアプトムはゼロのルイズという呼び名の意味を理解する。
戦闘生物を自認する彼からすれば、錬金などより爆発の魔法の方がよほど有用性がありそうにみえたが、そんな事を言っていては、ルイズ
に帰還のための魔法を使わせるなど夢のまた夢だな。と嘆息するのだった。
投下終了。支援に感謝。
アプトムって子供にごちゃごちゃ言われたくらいでキれるような大人気ない人じゃないよな。
と思って書いてたら面倒見のいいお兄さんになってしまったでござるの巻。
明日は三話を投下できるといいなぁ。
>「チャッピー! エサ!」
>「くらわしてやらねばなるまい、然るべき報いを!」
おいww
と、終わってたか。
アプトムの方、乙でした。
ルイズの認識と周囲の認識のズレとか、アプトムの一歩引いた態度とか、面白かったです。
アプトムの人、乙です。
まあ、晶と戦うためとはいえ瀬川兄妹の護衛までしてたんだし、
もともと仲間思いのところあるしなあ。戦う相手以外には案外優しい気がする。
>>179 何気に最強の少年と魔少年まで召喚されているwww
アプトムの人乙です。
まぁアプトムの性格上いきなりキレて暴れることはないだろうしな。
ギーシュ戦とゴーレム戦を楽しみにしてます。
まぁアプトムの性格上いきなりキレて暴れることはないだろうしな。
ギーシュ戦とゴーレム戦を楽しみにしてます。
次回にwktk
連投スマソ。
ちょっと吊ってくる
orz
オブリビオンの人が最近静かなので
fallout3でもやってんじゃないかと思う
あの世界は殺伐としていて
こわすぐる
アプトムの人、乙です。
しかし、アプトムって本名なんていうんだろう。
>>187 原作でも獣化兵になる以前の事は何一つ語られていないしなあ。
完全装備の砂ぼうずが虚無の誰かに召喚されたら。
……まあ、補給できないからすぐに元の装備は使えなくなるだろうけど。
まずは自然溢れる環境に感動しそうだな。
ジョゼフに召喚されりゃあ雇われた凄腕の庸平として暗躍するだろうし、テファに召喚されたら巨乳天国をしばし味わった後でおマチさんに半殺しにされたのちコンビを組んでハルケギニアを荒らし回りそうだ。
ルイズの場合はしばかれながらもエンジョイしそうだ。
ヴィットーリオの場合は……どうだろ?
俺的には土くれと砂ぼうずのコンビが面白そうだ。
書きたいけど手元に無いからなぁ……。
ルイズが「黒の剣」召喚
・・・・・・・・ダメだ、バッドエンドしか思い浮かばねぇ
最後にラッパ吹くために切るのは・・・・・・やっぱアンリエッタか?
決闘イベントは自分から吹っかけないといけないんだぜ
嫌みではあるがそこそこ常識的なプレイボーイをキレさせる程の罵倒を
最近社長の人こないなぁ
たのしみにしてるんだが…
熊の爪の人来てくれぇ〜!!
キン肉分を補給したくなってきたwww
まだシエスタがギーシュをフルボッコというのは誰もやってない…よな?多分
>>191 そうは言っても、
初期のサイト並みに精神年齢の低いキャラはそうは居ないからな。
バイオハザードから、レオン&アシュリー(鎧)を召喚
>195
その後、魔改造だの厨ニ病やらヘイトとかで書き手がフルボッコですね。わかります><
>>195 ギーシュに危害は加えなかったが、「ミス・カラテ」がサイトの見せ場を奪ってたな。
魔改造ってどこまでの範囲ならありなんだ?
ミス・カラテがいるならミスター・ブシドーがいても違和感ないな
格闘系、剣術系、魔法系シエスタはいるがメイドロボ系は何故か無いなあ
ピノキオの人があるいは…と思うが更新せんなあ
序盤出てこず、「破壊のメイド」とか言う設定で宝物庫に保管されてるパターンが
見たい
東鳩かとらはか
>>204 まともに起動させて普通に働かせると皿とか花瓶とかを破壊しまくるのですね
家電少女なミソッカス90Fで
>>202 個人的には原作での弱キャラが強くなるならアリだな。戦闘力も性格的にも。
ルイズ、ギーシュ、マリコルヌ辺りなら、見てみたい。
>>202 「魔」が付いた時点でやりすぎの意味があると思う。
安易に祖父が…とかいうのが特にアレかね。
JOJOスレでDIO様に本当に改造されたのとかは別にOKだろう。
魔改造ギーシュなら最近よく見かけるな
憑依モノだけどw
やっぱり、シエスタのひいじいちゃんイジるのって鬼門か?
今書いてるので、素性変えてそのうち出す予定あるんだが
>>210 シエスタが変わり果てること多くて食傷気味なだけなんで、気にせんでください。
シエスタのじいちゃんがクロス先の世界の人間で、なおかつクロス先が地球でないなら設定いじくる必要もあるよな。
クロス先もファンタジー世界でじいちゃんが原作そのままなら、クロス先のキャラが竜の羽衣みてびっくりする展開もアリかも。
マスターカラテカ召喚
後藤磯吉がシエスタのお爺ちゃんだったら
魔改造のイメージ
Lv0>名称や設定だけの変更
Lv1>原作キャラのイメージを破壊しない程度の改造
Lv2>イベント限定やチョイ役で本筋に影響の無い魔改造
Lv3>レギュラー陣の魔改造によりストーリーに歪みが生じる
Lv4>原作キャラのアイデンティティが崩壊する魔改造
Lv5>名前だけ借りた完全なオリキャラがレギュラーで大活躍
俺はLv3までなら多分大丈夫
Lv4は基本的に無理だが短編なら許容範囲
久々にここを覗いてみたら一時期構想練ってて挫折したマテパが…
乙です。ホント。
ティトォの戦いと
ワルドのボコられっぷりに期待
でもギーシュが召還された奴に影響されて男前になってくのは好きだけどな俺
プラス方面の改造なら許容できるかな
たとえばルイズが高潔な人格者だったりたりとか
ギーシュは立派な人から下衆まで幅広く改造される印象があるな
ソウルキャリバー4のジークED後から
ジークフリードを召喚、幸の薄い主役に光を・・・・
武装はレクイエム(専用ツヴァイハインダー)なのか、それともソウルキャリバー?
ギーシュの改造なら許せてしまう
設定や世界観の改造はどこまでが許容範囲なんだろうか?
>>217 LV表記してあると、ハマり度LV0〜MAXのガイドライン思い出すわ
時系列とか弄ったらまずいんだろうな
半年とか一年とか経たせるのも嫌だなって時もあるんだが
ゼロ魔キャラの強さの底上げはどう?
初期のギーシュですら黄金闘士クラスの強さとか
主人公の不用意な一言で、最後の一線を越えてしまう危険極まりない爆破魔のルイズを理想郷で見た……あれも魔改造なのかも?
改造は出来る限りやらんほうがいいと思う。
出来る限り『変化』で対応したほうがスマート。
>>217 その定義だと
Lv0>主人公の名前はサイトじゃないが、それ以外原作コピペ。
Lv1>原作トレース。
Lv2>Lv1+サブストーリー的な二次創作。
Lv3>タバサやキュルケヒロイン方向で再構成。
Lv4>ルイズが虚無じゃなかったり、タバサが普通に王女だったり、イザベラのデコが狭かったりで再構成。
Lv5>サイトが傭兵だったり、ルイズがおしとやかだったり、タバサが内気な図書委員的キャラだったりで再構成。
ってことか?
読める読めないにレベルが関係ないような気がするんだが……
>>230 設定とストーリー展開を混同するのはどうかと思うよ?
ifなんだから。
そのキャラが介入してどう物語が変化するかを楽しむんじゃないの?
あと、ルイズやタバサが簡単にデレすぎるのもどうかと思う。
>イザベラのデコが狭かったりで再構成
ものすごく怖いもの見たさセンサーが反応するんですが。
タバサは強者にゆれる
揺れるものなんてタバサにはついてないだろ。
>>232 でもほとんどやりつくした感はある。で、テンプレ展開に収まってる
ぜろろさんまだですかね
ペルソナ2の人も
おマチさんも結構改造範囲広いな
殺人上等の凶悪盗賊だったり不殺の義賊だったり
タバサやキュルケはどの作品でもあんまり性格変わんないけど
普通は召還の時点からのifになるので、舞台設定について暗黙の了解があるもんね。
過去の時点で分岐してると、キャラの性格や世界の情勢を自由に改変できちゃって
ある意味オリジナルになっちゃう。
読者がついてこなかったり作者が力尽きたり。
時々思うのだが、なぜ「ネギま」から、神楽坂明日菜を召還する話が無いのだろう。
すべての魔法を無効化されて、彼女に頭が上がらなくなる貴族たちが見てみたい。
性格改変というと某キノコだが、エルクゥの人のオチがおマチさんがジョセフにハンテンタケたばさせました反省しましためでたしめでたしじゃ嫌だなあ
>>214 一時期シエスタの祖父が宗美さんだったら...とか妄想してた事が
>234
デコの広さは文中で言及されてないような気がするんだが
>>240 一応別サイトにあったぞ
え〜と、ネギ、エヴァ、茶々丸、夕映、刹那、のどかと何故かGSのヨコシマと一緒に召喚されていて準貴族扱いで(確かに元王族なんだろうが)
何故かヨコシマにぞっこんというという俺も何言ってんだかわからんがとにかくすごいもんだった
そう言えばイザベラは実はいい人でした、みたいなのもチラホラ見るよな。
原作の出番少ないキャラは多少いじっても違和感少ないからね
>>244
………………………………何それ?
>>240 そう言うのってさ、そもそも召喚自体が成り立たない気がするんだが。
召喚のゲートすら消滅しちまったりとかで。
召喚された以降のキャラ周りが変化するのは当然
シエスタは祖父が来た世界が変化する場合がある
これ以外は改造になるのかね
>>248 シエスタは出番のない話とかけっこうあるし、タバサもスポットライト当たり始めるのは後半からだから、その辺に改変改造の理由があるのかもな。
はは、スーパーヨコシマものですな
U-1の流れをくむ……
スーパーサイト、スーパールイズ
スーパーシエスタにスーパーギーシュか
>>247 こういう時は理想狂だ
「ゼロの使い魔×魔法先生ネギま!」
で検索 すればいい
なんか変な流れ
いつからこんなに窮屈になったの?ここ
自分達で制約ばっかり駆けて自縄自縛状態じゃん
遅ればせながらマテパの人乙です
やっぱフーケの相手はティトォか
まぁ、アクアのままじゃBBジャベリンズで即終了だからなw
>>240 それなら爆れつハンターからキャロ召喚
魔法攻撃されてハルケギニア終了のお知らせでもいいんじゃないか?
でもフリーダムな書き手は縛られない。
安心していい
誓約なんて無い
各人が好き勝手に好みを主張しているだけだ
「私は縛られるより縛る方が好きです」
自分で縛られててください。
>>254 >自分の好きなキャラクターを中世ファンタジー風魔法世界で活躍させるためのフレームワークと化しています。
言い得て妙だな
いっそ全滅みたいな形でいいんじゃね
戦国自衛隊みたいに
>>264 あれは歪んだ歴史を修正するために無理矢理に呼び出されたんじゃなかったっけ、漫画版では。
言い得て妙も何もそのためのスレだと思うのだ
”中世ファンタジー風魔法世界で大活躍”というのは、
30台以下の日本人なら誰もが一度くらいは妄想するであろうロマンだから仕方ない
そりゃあ好きなキャラを中世ファンタジー世界でフルボッコにするSSとかサディストかアンチしか楽しめないよな
マテパの人乙
ティトォは支援系キャラだから、ゼロ魔側のキャラを引き立てることができるな
前線で戦える戦士系キャラがいないのが惜しいところだが……
アニエスとか強化すれば、メイジとも十分に良い勝負できると思う
近世、なんだけどな…マスケット銃あるし
まあいいけど
風の歌、星の道からソード召喚。
身体能力はそこそこ高いし魔法っぽい力も使えるみたいだからまぁまぁ活躍出来るかな。
レティシア+リルでもいいなぁ。
誰か書いてくれないかな。
逆に召喚されたせいで才人以上に酷い目に合って全然活躍できないキャラっていないかな。
使い魔ヤプーですね、わかります
>>257 明確なルールがないから時間がたつと必ずこうなるね
ネトゲもこんな感じよ
これはどうあがいても避けられない
>>271 結婚後、宿屋経営してる一家の大黒柱を召喚するのか?
どうせならセラ+リル
ここでの憑依モノの風当たりはどんな感じ?
>憑依モノ
DQ3のゾーマ憑依的なヤツは好きですとも
>>276 スレの趣旨に反するので俺は好きじゃないが
需要あるみたいだし風当たりは悪くないんじゃないの
>>276 賛否両論あるし、どうしてもやりたいのなら避難所にした方がいいと思うぞ。
憑依するようなモノを召喚すればこのスレに投下する意味があるということ
ここはクロススレなんだからオリキャラ憑依とか現実の世界からの憑依とかはアウト。
クロス先が憑依する話ならいいんじゃない、ジャレコのファンタズムとか。
イマジン召喚はたしかまとめにあったなあ。
実体化しないでずっと砂状態、電王に変身もしないなら憑依もののカテゴリーになるんだろうか。
例えばだ、懐かしのシャーマンキングのアミダ丸召喚して
ルイズが憑依合体してデルフ振り回して戦う〜とかそう言う流れだったら
投下しても問題ないんじゃね?
ディスクリートの旦那でも良いかもな。
剣の達人だしガンダールヴに最適じゃないかと
ソードは妖魔に好かれる体質からヴィンダールヴもアリかもしれん
シャーマンキングよく分らんが簡単にパートナー変えれんの?
さ〜?w
いやほらそこらはたとえ話だから、マジに受け止めんといてくれw
シャーマンキングの持ち霊的存在ならいいわけね
ルイズならシャーマン特性はありそうだ
>>280 俺TUEEモノとか過剰な改変モノじゃなければいいんじゃないかな。
タバサ涙目ですね。わかります。
例えばさ、クロス先の設定で簡単に変えられないような設定だったのに
オリジナルの設定でルイズに憑依とかしたら、住民的にはどうなん?
また憲法解釈みたいに解釈を変えて理由づけは、住民的にどうなん?
この流れなら言わないと
ゼロの憑き魔の続き待ってます
ところで憑依ってジャンルってキャラにスタンドとかまあオリ主の幽霊がとりつく感じなの?
読んだこと無いから説明だけでてっきり人格を乗っ取ってるのかと思ってたよ
先生それはそれはよそでやったほうがいいと思います
冴木忍作品なら、卵王子カイルロッドからイルダーナフというのはどうだろう。
彼なら辛い過去を背負った上でそれを乗り越える人間になろうと言う意思と実績があるのだし。
>>291 原作知らない人なら「そういうものなの?」で済ませられるかもしれないけど、
原作知ってる人から見たら猛反発を食らう可能性があるのではないでしょうか。
虚無の使い魔なのに虚無の王たるL様が召還されていないのはおかしいと思うんだ。
……パワーバランス狂いまくりでストーリーすすまないな。
だからよくわからないなら避難所の投下スレ練習スレ。
荒らしたくないけどどうしても書きたいってひとはそっちでやって、
反応を見てからこっちに投下ってのもありだと思うぞ。
基準をはっきりしたいだけ、
というなら避難所の運営議論スレでやってくれ。
持ち霊とは違うけど葉はアミダ丸以外に李白竜の師匠を憑依させてたよ。
それにリゼルグとチョコラブは途中で持ち霊が変わってた(増やした?)し、結構アバウトなんじゃね?
>>294 むしろメルヴィのイグレットを召喚して貴族社会の中で幸せにしてやってくれよ……
初挑戦ですが、投下してもよろしいでしょうか?
どぞー
風の歌、星の道を知ってる人が多くてなんだか嬉しい。
冴木忍作品で一番好きなので。
>>301 タイトルとか元ネタとか、そこらへんお願いします。
>>301 クロス先とかを俺は教えてくれると嬉しいかもしれない
クロス先は読んでくださいとしか……今回はあまり明かしませんけど、とりあえず投下します。
308 :
ジル:2008/12/30(火) 00:23:38 ID:oeESs/Cu
0030に投下
309 :
ジル:2008/12/30(火) 00:24:22 ID:oeESs/Cu
撤回。
更新なしで予告してすみません。
>>306 長編予定です。のんびり書いていきます。クロス先は投下後に明かします。では投下します。
支援
支援
ルイズがサモン・サーヴァントを始めたのは今から30分ほど前のことだ。
最初は失敗ばかりしていた。呪文を唱えるたびに爆発。マリコルヌは吹き飛び、コルベールのカツラは前衛的美的感覚溢れるオブジェに早変わり。
キュルケやタバサは繰り返される永遠の爆発に飽き飽きしたのか、さっさと帰ってしまう。
コルベールも内心ではさっさとルイズを留年させて、帰ってしまいたい気分で一杯だった。
の気持ちをかろうじて抑えていたのは、彼の教職に対する強い責任感の表れだろう。
何度目の詠唱だろうか、ルイズの唱えた呪文が爆発し、破片によりギーシュが負傷。それをモンモランシーが懸命に救護する中、異変が現れ始めたのだ。
空が暗転する。
先ほどまで雲ひとつなかったはずの空に、突然一つの黒い円が浮かび上がる。
それはルイズの詠唱に伴って徐々に大きくなっていく。
「……強くて美しい…………」
詠唱にのめり込むルイズは頭上の変化に気づかない。
(な……一体、何が起こっているというのだね……)
教員歴数十年。トリステイン魔法学院に勤める教員の中でも熟年の部類に入るコルベールをして、一度も見たことがない現象。
学院を覆う暗幕はついには、校舎全体を覆い隠すほどの巨大さになる。
(い、一体どういうことだ?)
皆目見当がつかない。
だが、目の前の少女ルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエールがこの異変を起こしていることだけは確実にわかる。
(なら止めるか? 今なら詠唱を止めることも容易い……)
自然、杖を握る手に力が入る。かつて炎蛇と呼ばれた自分の力をもってすれば、一生徒の詠唱を止めることぐらい造作もない。
そう、他の生徒の安全を考えるのなら、ここは止めるべき。教師として学院の異常は速やかに排除すべきなのだ……
(だがしかし、この異変はミス・ヴァリエールの魔法が成功したからともいえる……)
そう。ほかの生徒のことを考えれば、魔法を止めるべきと言えなくもないが、ルイズのことを考えれば変わってくる。
目の前にいる処女はゼロのルイズ。魔法の成功確率ゼロ%の意味だ。
彼女はなぜか、今まですべての魔法に失敗してきた。どういうわけか、一度も成功したことがない。
そのことは、本人の態度を見れば明らかと言うものだ。
そして、そのルイズが今、失敗以外の明らかな異変を引き起こしている。これは魔法の見地から考えれば、成功とはいえなくとも『失敗ではない何か』だ。
尋常な力によって引き起こせない現象を起こすのが魔法なら、これは魔法の一種ともいえる。
(しかし……どうする? 一生徒の想いをとるか、他の生徒の安全をとるか……とるべき道は二つに一つ)
コルベールの悩みをあざ笑うかのように、暗幕は突如雷雲へと変わり、あたりに稲光が轟き始める。
(ま、マズイ……)
これはもう、ルイズの魔法初成功を祈っている場合ではない。他の生徒の安全のため、一刻も早くルイズを止めなければ。
「皆さん!! 体を低くし、レビテーションは使わず校舎に戻りなさい!!」
生徒たちも異変を察してか、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
その様子を見守り、コルベールは生徒たちが安全であることを確認すると、すぐさま魔法の詠唱に入る。
だが、刹那。空を覆っていた雷雲が突然地面に降り、ルイズの周りを囲み始める。
(な……)
突然のことに、全く対処できないコルベール。ルイズは稲光轟く雷雲の中、そのシルエットだけが周りから見える状態だ。
(ま……まさか、召喚の儀で死ぬなんてことは……)
あってはならない。魔法学院始まって以来の大失態。
それが自分の担当する授業で起こったとなれば、減俸や退職で済む話ではない。
(生きていてくださいよ、ミス・ヴァリエール……)
心に落ち着けと言い聞かせ、再び詠唱を始めようとするコルベール。
だがしかし、何を唱えたらいい。相手は雷。唱える魔法などない……
暫くして……
コルベールの目の前にある雷雲は小さくなり、次第にその威力を落としていく。
中にいたはずのルイズはいつの間にか、姿を消しどこかに消えてしまったようだ。
そして、雷雲はついには拳大の大きさになり、そして消えてしまった。
「ば、馬鹿な……一人の生徒を飲み込んだというのか……」
信じられない。召喚するはずの儀式で、生徒がなくなるなど……
突然の事態に、落胆する感情すら追いつかず、半パニック状態に陥ったコルベール。
そして、そんな彼の頭上に、本日最高の異変が今起こったのだ。
頭上2,3メイルに光の円が出来る。それは広さにして野球の球場ほどもある大きなもの。
まだ終わっていないのか、と思うコルベールは、それが見慣れたものであると気づいた。
(こ、これは……)
支援
馬鹿でかすぎるが、間違いなく召喚のゲート。使い魔が通り抜けるゲートだ。
(まさか……詠唱は成功していたのか……)
しかし、主たるルイズはもういない。一体何のためのゲートだというのだ。
今更使い魔などに来られても、どうにもならないというのに……
だが、そんなコルベールの心配は杞憂に終わる。
そう、ゲートをくぐって出てきたのはルイズ自身。
頭上にあるゲートから、ルイズが降ってきたのである。
(よ、よかった……ミス・ヴァリエール。死んだのかと……)
「ミス・ヴァ……」
どすん、どたどた……
「え??」
突然の出来事だった。
怪我がなくて一安心、と思ったコルベールの目の前に、ドサドサとルイズがたくさん降ってきたのだ。
空から降るルイズは見る間に積み上がり、気づけばそれは大きな山になっていた。
「な……これは……」
ジャン・コルベール。4X歳。生まれて初めてみるルイズづくしの(山盛)女体盛りであった。
<<続く>>
さるさんが怖いね
支援
クロス先は「ゼロの使い魔」
タイトルは「101匹ルイズ大行進」でお願いします
乙です。
元ネタ分からんけど、最後ので笑わされたw
フエルミラー?
お、乙です…
カ、カオス過ぎるwww
322 :
ジル:2008/12/30(火) 00:29:59 ID:oeESs/Cu
再起動。
15分後くらいに投下します。
ありのまま起こったことを伝えず略すぜ
もしかして、ゼロ魔からルイズを召喚したということですか?
もしかして、101人も召喚したということですか?
もしかして、両方ですかーッ?
今後の展開に期待してますw
おつおつ
元ネタなにか知らんけどデズニーだけはNG
偉い目に遭うぜ
予測。
平行世界云々。
これはIFスレ向けではないでしょうか?
これ、クロス小説っつーよりか、IFスレ向きなのでは
ゼロ魔×ゼロ魔ってクロスしてねえじゃんw
『いともたやすく行われるえげつない乙』
もうすでにここでルイズ召還やってるじゃん
>>320 101あるという多次元宇宙からルイズが召喚されて殺し合い
残った最後の一人が全宇宙の全能の存在“ザ・ゼロ”になる。
ルイズ:ジェット・リー
キュルケ:ジャッキー・チェン
タバサ:スティーブン・セガール
コルベール:ブルース・ウィルス
101氏は続き待ちとしか。
とりあえず乙
ジル氏待機
コルベール:ブルース・ウィリスwww
>>331 豪華と言うかあんまりなキャスティングだなw
ま、それはさておき俺も101匹氏のはIFスレ向きだと思うよ。
向こうなら歓迎されるだろうし。
>>331 ステルス機の中で戦闘する以外にタバサが負ける図が思いつきません
あの作品=ゼロの使い魔
キャラ=ルイズ
…なんかもやもやするけど問題ないな、うん。
サイトが1000人やってくるやつがよそにあったっけ
>>338 あれは面白かったw
サイト相手にルイズ無双だったんだよなw
更にギーシュをハリウッド得意の黒人枠にしたり、マリコルヌをジャック・ブラックにしたかったんだぜ。
あと、モット伯かマルトーにアンソニー・ホプキンス。
コルベール「男は髪の量じゃない、ハートで決まるんだ」
コルベール「イピカイエー」
コルベール「ちくしょうなんで俺がこんな目に・・」
343 :
ジル:2008/12/30(火) 00:44:48 ID:oeESs/Cu
投下!
>>339 誰かがイラつく度に二桁単位で殺されたり、隻腕や貴族の誇りに目覚めたサイトが活躍する?
345 :
ジル:2008/12/30(火) 00:45:23 ID:oeESs/Cu
次の日の朝、ジルはギーシュと剣を交えていた。とはいっても、そこらの木の枝をデルフで削った木刀による模擬戦だが。
「うおぁ!」
上段から、ギーシュが木刀を降り下ろす。
「フッ……」
それをジルは簡単にかわす。そして反撃。
「ぐうっ……」
ギーシュはどうにか反応して木刀で防ぐが、薙ぐ木刀の重さは殺せずに脇腹に当たる。鈍痛が走るが、どうにか耐えて攻撃にでる。
だが。
「!?」
視界にジルはいなかった。そして襲いくる脚の痛み。
「ぐおおお……」
地面でのたうちまわるギーシュ。それを冷ややかに見つめるジル。
「上半身を狙うだけじゃだめ。人間って、案外脚が弱いの。切り落とせなくても、動きが鈍くなるわ。痛みがあれば尚更」
身を以て理解するギーシュは叩かれた左脚を庇いながら立ち上がり、木刀を構える。
「どんなに歴戦の兵士でも、傷を負えば痛いの。どんなに痛みに耐えられるとしても、絶対にどこかに隙ができる。躯を支える脚なら
尚更」
ジルとの距離が遠く感じられた。ジルは木刀をナイフの様に右手で構え、左手は軽く握っている。対してギーシュは両手で持ってい
る。脚が痛い。こんな激しい痛みなど、久しく忘れていた。
「くっ!」
突撃を敢行するが、あっさり弾かれる。弾かれた木刀に視線をやり、あ、と思った瞬間、同じ場所に打撃が入る。
「ぐあ!?」
「相手から眼をそらさない。相手の弱点を衝く。敵に情けはかけない。フェイント。奇襲。戦闘の基本よ」
ギーシュは膝を突くが、今度はのたうちまわることはない。そんなことをすれば、ジルは追い討ちにくるだろう。なるべく隙を見せ
ない、数日前の訓練の教訓だ。忘れていたが。
「今日これくらいにしておきましょう」
朝の訓練は授業の10分前に終わる。ギーシュはその間に、片付けをし、汗を拭き、着替え、教室に向かう。『できることをなるべく
短時間でこなす』という非常時の常識を、平時から身に付けさせるのが目的だ。
「では、いってきます!」
「ええ、いってらっしゃい」
木刀を広場の角の青銅の箱にしまい終えたギーシュが、深々と礼をして去ってゆく。ひょこひょこと痛めた脚を庇いながら。
「相棒……ナイフじゃなくてよぉ……普通に剣として使ってくれよおおぉ……」
デルフが嘆く。買われてから今まで、サイドパックに封印されていた孤独は、かなりのものだろう。
「現時点じゃ、真剣(あなた)の出番は無いわね。危険すぎるから」
ジルは箱の側の樹の影に寝転ぶ。汗などかいていないし、疲労の色も見えない。しかしこれからすることも無いので、ここでだらけ
ているのだ。休めるときに休む。これは無意味な時間ではなく、戦士として有意義な時間なのだ。
「変な場所に閉じ込められたと思ったらそのままずっと放置、出られたと思ったらナイフの代わり……ひでーよ」
「本当は……あなたの出番なんてずっと来なければいいの」
「なんでだい」
「剣を使う機会がない、つまりは平和って事よ」
「なるほどね。でもそんな時代はこない。だからあの貴族に訓練してやってんだろ?」
「そうね、人類に平和なんて夢物語でしかないわ。だから、生き延びる力を与えてあげたいの」
「見込みのあるあの小僧にか。確かに成長が早いな」
訓練を始めてから二週間くらいしか経ってないが、ギーシュの成長はめざましい。軍人の気質は血にまで染み渡るのか、『上官』に
対しては素直であり、『命令』には忠実だ。そして誇りと義務感からくる向上心。しかし、何より特筆すべきは女好きな性格だろう。
支援
347 :
ジル:2008/12/30(火) 00:47:17 ID:oeESs/Cu
頭の中の根底にあるのは、『女の子とキャッキャウフフしたい』であり、それから発展した思考の中の幾つかに『強くなれば英雄に
なれる』『英雄になれば女の子にモテる』『モンモランシーを惚れなおさせる』などがある。つまりは、強い=モテるという超短絡思
考が動機のメインサーキットなのだ。
貴族としての誇りや振る舞いも、それと同じ。ジルと決闘したのだって、良いところを見せようとした結果だ。完璧に全てが裏目に
出たが。
だが、それを嘲ってはいけない。ジルに入門した時に言ったように、護るべきものを護りたい、その意思は本心だ。
「性格の方向を修正してやればいいのよ。ギーシュの目的は護る力。それでいいじゃない」
「いや、悪いとは言ってないがよ。人間、変わる奴は変わるなーって思ったんだよ」
「あら。六千年も生きてきて、人間の本質を見抜けてないみたいね」
「そうは言うがな、剣を持つ人間は、大抵どこか芯が通ってると言うか、頑固というか、あまり変わらなかったぜ。変わる前に死んだ
よ」
「ブリミルは?」
「あー、よくわからん。あんま覚えてねーのよ」
「それだけ都合よく忘れられると、作為的なものを感じるわね。ブリミルにでも記憶を消されたんじゃない?」
「はっは、そうかもな!」
カタカタと笑う鍔。
「ふう。平和よね……」
「まあ、ここらはな」
「元の世界は今頃────」
どうなっているかしら、そう言おうとした瞬間、硝子の割れる音が聞こえた。
「…………」
音のした方を見れば、丁度誰かが塔から落ちてくるところだった。
「うわ、痛てぇなありゃ」
とデルフが感想を漏らす頃には、傍らのジルは消えていた。
「お? あれ? 相棒? あ……」
デルフがジルを見付けたとき、彼女は既に落ちた人間のもとに走っていた。
「……ギトー、だったかしら」
いつか物理的に地上から浮かせた人物の顔を、ジルは朧気に覚えていた。傲慢を絵に描いたような貴族、そんな印象しか覚えてない
が。
「綺麗に顎ね。暫くは起きれないわ」
これがギーシュの仕業と見て、上を見上げる。窓から、生徒らしき頭が引っ込んだ。
「嫌われてるのね」
一ミリの同情もなく、ギトーの躯を抱え上げ、医務室へ運んだ。
教室では、ちょっとした騒ぎになっていた。
事の始まりはギトーの風自慢だった。
「最強の系統は何だと思うね、ミスタ・グラモン?」
「虚無では?」
「私はお伽噺をしているのではない。現実をみたまえ」
少しばかりムッときたが、相手は教師。抑える。
「そんなものは存在しません。いかなる系統にも弱点と隙があります」
ジルの教えに基づく、彼なりの結論だった。
「ほう。平民に負け、平民に師事している者は言うことが違うな」
常に冷静であることを教えられたギーシュは、それでも腸を煮えくりかえしながらも平静を装う。
「残念ながら、それは誤りだ。そうだな、自信があるならば、試しにその弱点や隙を突いてみたまえ」
ギトーが杖を抜く。ギーシュは立ち上がり、一言。
「どうなっても知りませんよ」
「構わんよ。本気でなければ理解できまい」
「ならば、暫しの時間を下さい。ここにはゴーレムの材料がありませんので」
「構わん。君のゴーレムがここに来るまで待とう」
この時点で、ギトーの敗けは確定した。宣言する前にギーシュの杖には花弁が無く、既に造られたワルキューレは窓辺にぶら下がり
、或いは教室の扉に手を掛け、更に二体のワルキューレに担がれた一体がその前に待機していた。
「来い! ワルキューレ!」
349 :
ジル:2008/12/30(火) 00:49:18 ID:oeESs/Cu
ギーシュの声に応じ、開け放たれた窓からワルキューレが突入。それに反応したギトーは囮にまんまと向き、杖を振る。エア・ハン
マーがワルキューレを砕くが、扉が勢いよく開かれ、ワルキューレが投げられフライングクロスチョップを敢行。しかしこれもギリギ
リで避けられ、ワルキューレは粉砕される。
「ふん、きしゅ────」
ギトーは台詞を最後まで言えなかった。いつの間にか懐に潜り込んだギーシュの、腰の入った綺麗なフックが顎にストライク、不幸
にも開け放たれた窓の硝子を引っ掛けて落ちた。
「あ」
ギーシュが間抜けな声を漏らすが、時既に遅し。意識を刈り取られたギトーは地面に叩き付けられ、同級生か窓に集っていた。
「凄いじゃない」
キュルケに誉められるが、色々と失敗した感が否めないギーシュは素直に喜べない。まさか窓から叩き落としてしまうとは。
「あれも『師匠』から教えてもらったの?」
「ああ。フェイクとフェイントは戦闘の基本だって言ってたからね。あそこまでうまくいくとは思わなかったけど」
照れ臭そうに頭をかくギーシュ。平民に負けたヘタレから、一躍英雄の様に扱われていた。それだけギトーは嫌われていたのだ。
「やったなギーシュ!」
「ギトーの野郎、ざまみろ!」
「ヒャッハー!」
その熱狂は、一瞬で冷まされる。
「何事ですか騒がしい!」
コルベールが、教室に入ってきた。
その時、確かに時は止まった。
やたらきらびやかな装飾の服と、カールだらけの金髪カツラ。誰もが、反応に困っていた。
「おや、ミスタ・ギトーは?」
「諸事情により医務室です」
今まで沈黙を保っていたルイズが答える。彼女にはシュヴルーズという前科がある。成る程彼女の仕業と納得したコルベールは、本
題に入ることにした。
「うぉっほん。今日の授業は全て中止です! 皆さんにお知らせですぞ!」
わざとらしい咳払いと勿体ぶった言い回し。更には胸を張り、大きく仰け反った。その拍子に、ずるりと金色のものが落ちる。
「滑りやすい」
タバサの一言で、教室は笑いに包まれる。
「ええい黙らんかこわっぱどもが!」
珍しいコルベールの憤怒の声に、水を打った様に黙る生徒達。そう、それはまるで、ベクトルは違うがジルに似た迫力だった。
静かになった教室を見回し、般若の形相を誇示していたコルベールはいつもの柔和な顔を取り戻し、説明を始めた。
「えー、本日はよき日です────」
馬車の中のアンリエッタは溜め息をつく。枢機卿のマザリーニが回数を伝え、それを諌めるが、憂鬱な気分は消えず、また溜め息を
つく。これの繰り返し。
憂鬱の原因は幾つもある。昔からのものもあれば、つい最近できた頭痛の種もある。
そして、これから難事を頼みに行く幼馴染みの顔を思い浮かべると、頭痛ではなく申し訳なさと哀しみが頭を支配した。
しかし、成し遂げなければならない。絶対に信頼できる彼女にしか、この『お願い』は頼めない。たとえ友情を利用しようとも。
マザリーニの案だ、という逃げ道も無い。身から出た錆なのだ。彼女にどれだけ責められても、アンリエッタはそれを受け入れるつ
もりだった。
歓迎式典を自動的にこなし、幾多の貴族の子女の言葉を適当に捌いて、気が付けば夜になっていた。
あてがわれた豪華な部屋で、用意しておいた学院の制服とフード付きのマントを羽織る。足音を立てないように、そして耳を澄ませ
ながら、人に出会さないように進む。夜も遅く、運もよかったらしい。目的の扉の前まで、誰にも見付からずにたどり着けた。
>>340 スマン、忘れた(汗)
でも多分そうじゃないかな?違ったらゴメン。
>>344 しないw
ただ腹減らしたサイト軍団が食堂占拠してルイズに次々と(拳で)吹っ飛ばされたりしてたと思うw
そしてジル支援!
351 :
ジル:2008/12/30(火) 00:51:03 ID:oeESs/Cu
そして、秘密の符丁をノックする。
入ってきた人物は、挙動が怪しく、ベレッタを分解していたジルに警戒心を抱かせた。ただでさえガンオイルが少なくなって気が立
っているのに、その怪しい人間が杖を取り出したからさあ大変。『疑わしきは制圧』、テロリズム対策も万全な元S.T.A.R.S.のジルは
、その人物を組み伏せ、首にデザートイーグルを突き付けた。その射線は、何かあれば声帯を破壊する意志が込められていた。
「ルイズ、フードを」
地に伏している人物に劣らぬ挙動のルイズが、やたらとぎくしゃくしながら近寄ってくる。昼の歓迎式典からおかしかったルイズを
ジルは敢えて放置したが、今はそれに輪をかけて怪しい。
ゆっくりフードを掴み、持ち上げ……
「ひ、姫殿下!?」
一番あって欲しくなかった現実に、気が遠くなる。神は死んだ。
「この娘が?」
ルイズの声を聞いても、まだ拘束の手を緩めない。既にインシュロックまで取り出している始末。
「は、放しなさい! 正真正銘、アンリエッタ姫殿下よ!」
ルイズのお墨付きをもらい、やっと解放されるアンリエッタ。生まれて初めての体験に頭を若干混乱させながら、改めて杖を振る。
「ディテクトマジック?」
「誰が聞き耳を立てているか、判りませんから」
もう遅いかも知れませんが、と呟くが、どうやら魔法による盗聴や監視は無いという結果がでた。
「姫殿下……使い魔の無礼をお許――――」
「あら。他人の部屋でいきなり魔法を使おうとするのは宣戦布告と同じではなくて?」
魔法イコール武器のイメージが強いジルにとってその行為は、フラッシュバンを部屋に投げ込んで突入する対テロ特殊部隊と同義だ
った。応戦されて当然の行為だ。
「ジル! なんてことを……」
「いえ……あなたの言う通りです。この物騒な世の中ですから」
言いたいことを言って満足したのか、ジルはベレッタをいじりながらルイズの言葉を無視した。
「姫殿下、お怪我はありませんか?」
「はい、どこにも。優秀な衛士ですね、ルイズ・フランソワーズ」
普通ならば嫌味に聞こえる言葉だが、アンリエッタのそれには全く毒が無かった。純粋に、羨んでいる、そんな風に聞こえた。
「いえ、ただの使い魔……」
「訂正しなさい。私は使い魔になった覚えはないわ」
ジルにそう言われたら訂正せざるを得ない。この時点で主従関係ではない事は証明された。
「えーと、居候? です」
使い魔は否定、使用人は何か違う。騎士や衛士はルイズが認めたくない。よって、とっさに出たのが居候という結論だった。
「兼衛士(ボディーガード)よ」
ジルによって、ルイズに否定された肩書きが追加された。微妙にニュアンスが違うが。
「ジル・ヴァレンタイン。ジルでいいわ。よろしく、姫様」
階級や権力など関係ない、純粋に対等な力関係がここに構築された。
「アンリエッタ・ド・トリステインです。よろしくおねがいします、ジル」
この時点で、アンリエッタのシナリオは白紙になってしまった。
ルイズの情に訴える、芝居のシナリオ。自分で考えておきながら虫酸が走った。絶対に断られてはならないから、どんな茶番でもす
るつもりだった。しかし、始まる前に終わってしまった。眼の前のジルというイレギュラーによって。
「本題に入りましょう。今は再開を喜ぶ暇もないのです」
もう、全てを正直に話すしか手は無くなった。ルイズに断られたら、後はない。
「アルビオンで反乱が起きているのはご存知ですね?」
「はい」
「戦況は知っていますか?」
「いえ。どうなっているんですか?」
>>336 ステルス機の中で戦闘と聞いたら「もっと、もっとだ、いかん、いしきが、グヘェ」のドM創造神が出てくるゲームを思い出した
353 :
ジル:2008/12/30(火) 00:52:01 ID:oeESs/Cu
その答えは、意外な所から出た。
「聖地奪回を掲げるレコン・キスタなる組織を中心に貴族達が蜂起。数に劣る政府軍は開戦より戦力を減らしつつ首都より徐々に後退
。反乱軍が開戦当日に首都ロンディニウムを制圧。最新鋭戦艦を奪われた政府軍は後退速度を上げて、つい最近、大陸の端のニューカ
ッスル城にまで撤退、籠城。散発的な戦闘が起きているものの、反乱軍は決戦の準備の為の時間稼ぎに過ぎず、落城も時間の問題」
ジルが、今までの経緯を簡単に説明する。
「お詳しいのですね」
「何でそんなに詳しいのよ」
「情報を制す者が勝つのは世の常よ」
事も無げに言う。エルザとロングビルの情報収集能力のお陰だ。
「今聞いた通りです。そう遠くない未来に、アルビオン王家は消えてしまうでしょう。そうなれば貴族派……反乱軍は、ハルケギニア
統一と聖地奪回を掲げ、トリステインに攻め込むでしょう。今のトリステインにはそれに対抗できる力はありません。もし統一が成功
したら、今度は勝てる見込みのないエルフとの戦争です。それだけは回避しなければなりません」
「それで、ルイズをどこに送り込むつもりなのかしら?」
ジルの問いに、アンリエッタは固まる。
「ニューカッスルかしら。あなたとルイズの関係は知らないけど、敢えてルイズを使うのは……スパイってところね」
「城の貴族に!? まさか、そんなはずは……」
「残念ながら、いるのです。それも、恐らくはかなり上層に」
そしてアンリエッタは、その理由を語る。
内戦が拡大し、レコン・キスタの存在が明らかになり、王家の敗北がほぼ確実になったとき、ゲルマニアとの同盟案が浮かび上がっ
た。『もし』同盟するならばアンリエッタとゲルマニア皇帝アルブレヒト三世との結婚が条件になる。ゲルマニアは『始祖の血』によ
る正統性を何より求めているからだ。これ以下の条件では不安が残り、これ以上の条件は無い。マザリーニは同盟せざるをえなくなる
、つまりはアルビオン王家の敗北が確定する前に全ての不安要素を取り除くべく全力で行動していたのだが……
「過去に、私がウェールズ殿下に送った手紙が、その……問題に」
その内容が何かはルイズ達には判らない。しかし、同盟阻止に充分な威力を持つのは確かだ。王女自ら依頼に来るのだから。
「その手紙の回収に、信頼できる者を使いに出しました。しかし、二度と帰ってきませんでした。定期報告も無いので捜索させたら、
ラ・ロシェール近郊で死体が出てきました。極秘任務なので、あまり大勢を動かせません。次に数人を送ったのですが、一人が瀕死で
帰ってきました。その者が死ぬ前に報告してくれたのです。まるで来るのが判ってたみたいに何度も賊に襲撃された、と。状況証拠で
しかありませんが、衛士隊の作戦内容を知ることができる立場の人間全てに疑いがかかっています」
「……ルイズを、回収に向かわせるのね。ついでに、できればネズミも狩りたい」
「……そうです。決戦が近い今、一刻の猶予もありません。ルイズ、お願いできますか?」
「え!? あ、もちろんです姫様!」
胸を張り、どんなことでもやってみせると言わんばかりに返事をするが、
「……死ぬ覚悟と、殺す覚悟はあるのかしら?」
その言葉で、時が止まる。
「姫様も、ルイズが死ぬ可能性を考慮しているかしら。どこに裏切りが潜んでいるか判らないし、行く先は戦場、地獄に送り込むのと
同義よ」
「ええ、理解しています。残念ながら、これしか方法がないのです」
アンリエッタの眼を見て、ジルはもう何も言わなかった。
支援
355 :
ジル:2008/12/30(火) 00:53:25 ID:oeESs/Cu
「殺さ……」ルイズが重い口を開き、一度だけ躊躇った。「いえ、殺さないと、成し遂げられないのなら。死ぬ気は無いわ、そんなこ
と、許されないから」
「Okay。なら、姫様。ルイズに王女として命令を。姫様の『お願い』だけでは、死んだときに名誉の欠片もないから」
ルイズは、その言葉に違和感を感じた。貴族の名誉など欠片ほどの価値を見い出していないジルが、名誉について云々を言っている
。しかし、深く考える前にアンリエッタの命令が下される。
「トリステイン王国王女、アンリエッタ・ド・トリステインが命じます。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエー
ル、アルビオンに赴き、ウェールズ皇太子より外交障害となる手紙を回収せよ」
「了解しました」
ひざまづき、恭しく頭を垂れる。ルイズだけ。
「……ジル?」
「どうかしましたか?」
「ギーシュ。逃げたら殺すわ」
扉の向こうから、声無き悲鳴が聞こえた気がした。ドタバタと慌ただしく痛々しい音が聞こえて、止まる。
暫くして、ジルがベレッタ──いつの間にか組み上げていた──を扉に向け、トリガーを引く。
「ひっ!」
「逃げたら殺すわ。入ってきなさい」
穴の空いたドアが開かれ、鼻を押さえたギーシュが入ってきた。
「見え、見えるのですか!?」
「逃げる気配がしたから撃っただけよ。どこに当たっても死なない限りどうにかできるんだから」
訓練の地獄絵図が思い出される。死にかけるまで斬られて撃たれて殴られて、ハーブで強制回復。ジル曰く「少しは痛みに慣れてお
くこと」とのこと。しかし、絶対に『少し』なんてレベルではない。銃弾を自分で摘出させたり、肩を外したのをはめなおしたり、よ
く正気を保てたなと自覚できるくらいの痛みを経験している。今、鼻の頭にある横一文字の深い削り傷も、どうでもいい程度だ。指の
隙間からダラダラと漏れるほどに出血は激しいが。
「何でそこにいたの?」
「あ、いや、姫殿下が制服で一人で散歩されていたのでね、こっそり護衛をと思いまして」
「何で判ったのかしら? 姫様はフードで顔を隠してたけど」
そこでギーシュは不敵に笑う。人差指を左右にチッチと振りながら、誇らしげに語る。
「この僕が、後ろ姿だけとはいえ、姫殿下のような美しい女性を間違えるはずが無いじゃないですか!」
ルイズが脱力する。ジルは頭を押さえ溜め息をつく。アンリエッタとギーシュだけが平然としていた。
「あの、あなたは?」
「は! ギーシュ・ド・グラモンと申します! 姫殿下、先程の任務、私にもご命じ下さい!」
ジルは処刑の準備を始めている。機密漏洩を防ぐためだ。
「グラモン? もしや、あなたはグラモン元帥の……」
「はい! 四男であります!」
ハートマン軍曹、もといジル教官のブートキャンプを経てそれなりに逞しくなったギーシュの言葉は、それなりに説得力があった。まるで軍人のようなその物腰に、アンリエッタはホイホイ信用してしまった。
「では、この未熟な王女のために、命を賭けてくれますか?」
「無論です! 姫殿下の為に死ねるのならば本望です!」
「……ギーシュ・ド・グラモンに命じます。ルイズに従い、アルビオンから手紙を持って帰ること」
ルイズとは雰囲気が違うのは、信頼と信用の違いなのだろう。
「……姫様。一つ忠告を」
「なんですか?」
ジルは、アンリエッタに近寄り、耳打ちする。
「…………」
ジルの声は聞こえない。
「……ええ……」
アンリエッタの相槌が時々聞こえる程度だ。
「…………」
>>350 理想郷じゃないよ
1236人の使い魔でググったらすぐ来る
357 :
ジル:2008/12/30(火) 00:55:05 ID:oeESs/Cu
「……ああ、そうですね。そうしましょう。ええ、判っています。誰にも秘密です」
結論が出たらしい。忠告にしてはやたらと長かったが、それを気にする程の鋭さは、残された二人には無い。
「では……姫様を送ってくるわ。戻ったら予定と準備を始めるから、ギーシュ、ここにいなさい」
「コピー」
教えた通りに返事をするギーシュを見て、部屋を出るジル。その顔はどことなく悲しそうで、誇らしそうだった。
358 :
ジル:2008/12/30(火) 00:56:59 ID:oeESs/Cu
以上です。
アンリエッタがやたら馬鹿扱いされていたので、試しにちょっと聡明にしてみた……
ワルドはこれで出番が遠のきます。
乙です。
乙でした。
レビテーション思い出して吹いたw
おrつです
362 :
ゼロの魔王伝:2008/12/30(火) 01:04:23 ID:ZXCuyaDn
お疲れ様です。ギーシュの成長が悲しくて誇らしくて、か。複雑な心境ですね。
予約なければ15分ごろ投下します。
ジルの人乙です。
しかしギトーもまさかギーシュからダイレクトアタックを喰らうとは思ってなかっただろうなw
それとジルがスパルタ過ぎて吹いたw
>>356 そうそう、そんなタイトルだった。
普通のサイトの中に逆行サイトとかヨコシマ風サイトがいたりするけど、あまりにサイトが多すぎてルイズは気にも留めないw
365 :
ゼロの魔王伝:2008/12/30(火) 01:15:47 ID:ZXCuyaDn
投下しますね。
ゼロの魔王伝――6
いかにして彼らはハルケギニアに召喚されたか――魔界医師の場合。
西暦198X年――魔なる者共が跳梁跋扈し、宵月夜に異形の影を黒々と落とす夜の事、東京都二十三区の一つ“新宿”区は震度九を越す都市直下型地震に襲われる事となった。
その地震が、後に人類の歴史が続く限り連綿と語り継がれる、おぞましき大地の咆哮“魔震”と呼ばれたのには、無論相応のわけがある。
新宿区と他の区との境界を一ミリでも超えた向こう側では、一切の揺れが伝わる事はなく、新宿区外の人々は音も揺れもなく崩壊してゆく新宿の光景を、現実のものとして受け入れられずに呆然と見つめていたという。
地震直後の消防・病院・警察関係への通報の際に関係各所の対応が、通報のほとんどをいたずらによるものと判断して初動が遅れたのも、この魔震の、二次災害における人身御供を望んだ“慎ましさ”による。
もし、それだけで終わっていたならば決して魔震などと呼ばれる事はなかっただろう。不謹慎な言い方ではあるが、数千、数万のオーダーでの死傷者の発生と壊滅した区の再建に投じられる巨額の費用のみで済んだからだ。
だが、魔震直後から発生した旧新宿区における非現実的な現象の数々が、人々に現代に突如として地獄の底の様な魔性の世界が生まれた事を高々と宣言した。
旧新宿区の土地面積と一ミリのずれもないのにもかかわらず、魔震によって新宿を他の区から隔離した亀裂は、数十から数百メートル、深度は五千メートルとも、あるいは無限とも言われて存在している。
時折その亀裂の中から発見される数千、数万どころか数十万年から数百万年の、既存の人類史を覆す超古代文明の残滓や、現代の技術をはるかに超越した古代文明や人類外の文明が残したオーバーテクノロジーの産物達。
崩壊した市ヶ谷の生物研究所から漏れ出た様々な遺伝子サンプルと、魔震直後に新宿に立ち込み始めた妖気とのブレンドが、毎秒単位で生みだし総数数万種にも及ぼうかと言う異形のクリーチャー達。
現代科学と立ち込める妖気のみならず、伝説の彼方に消え果てた筈の魑魅魍魎・妖魔の類が冥府の底から蘇り、陽光を遮る日陰に、夜闇の下ならば往来を堂々と闊歩する現代と過去の魔性が混在する街。
法と秩序を失い、地獄絵図の酸鼻さも色褪せて映る血と暴力と死と滅び、この世全ての悪徳がはびこる街には区外から血の匂いを求める凶悪な犯罪者達が惹かれる様にして集まり、数十万を超す人口の半分は犯罪者とさえ言われる。
光の表舞台から退き、闇と影に満ちた裏の世界で魔道の研鑽に努めていた魔法使いたちもまた、現代に突如癌病の如く生じた、ソドムとゴモラも比較にならぬ魔性の住む街に惹かれ、彼らの住みついた高田馬場は今や“高田馬場魔法街”の異名で知られている。
亀裂から発見される超古代のロスト・オーバーテクノロジーはSFや映画、小説の中の産物でしかなかったサイボーグや、光学兵器、ロボットの類をいち早く新宿に誕生させ、区民レベルで軍隊顔負けの武装を整えるのも難しくはない。
科学技術の異常なまでの進歩に留まらず、区外から集った魔法使いや呪術師たちもまた自分達の成果を生活の糧にすべく堂々と商品にした。これらの効果は区外にも及び、デパートでは殺傷能力のない、悪戯レベルの黒魔術グッズが堂々と売られている。
いかなる邪悪な者も、異端なる者も受け入れる街。
それゆえに如何なる者も排除される街。
人間の持つすべての悪徳と邪悪が集うが故に、人間の持つすべての善と希望とが輝く街。
故にその街を人々はこう呼ぶ。魔界都市<新宿>と。
そして、<新宿>区民、いや妖物までもが口を揃えてこう語る者達がいる。
敵にしてはならぬ魔人、触れてはならぬ三魔人。魔界都市<新宿>において凄惨無比な鮮血の伝説と共に語られ、<新宿>に住む超人魔人妖物達の頂点に君臨する者たちを指す。
一人目、黒づくめの格好の西新宿でせんべい屋を営み、副業として人探しも行っている主人、二人目、ある吸血鬼の女との魔戦で命を落とした、高田馬場魔法町に住むチェコ一の魔法使いの老婆、三人目、旧区役所跡に建つ病院の院長。
これは、その内の三人目、白衣の医師の身に降りかかったとある出来事についてのお話である。
366 :
ゼロの魔王伝:2008/12/30(火) 01:16:48 ID:ZXCuyaDn
新宿が<新宿>と呼ばれるようになってから二十数年余の年月を経たとある夜の事。<新宿>に潜む魔性や外道の精神を宿した人間モドキ達は昼夜を問わずその牙をむいているが、やはり昼よりも夜の方がその兇暴性を発露させる。
しかし、凶暴無残さでは他に類を見ないと評判の三つ首犬も、筋肉組織を変化させて鉛に変える強化薬で武装した殺人鬼も、注射一本であらゆる獣へと変身するトランス・ビースト・マンも、どんな命知らずの化け物だろうと決して悪意を持って訪れない場所がある。
旧新宿区区役所跡に建つ白亜の大病院だ。最大二千人の収容人数を誇り、時間を問わず病苦や傷に苦しむ人々を受け入れ、世界最高の医療水準を誇り、魔界都市が区外に対して胸を張って誇れる輝かしい業績の一つである。
その際限のない財源は病院の院長が完成させた分子変換装置によって生み出される大量の金銀や宝石とも言われ、それを狙った業突張りや、入院中の患者を狙った暗殺者達はこれまで、美しき女吸血鬼とその眷属を除いて五体満足に生還した例はない。
病院の誇る超科学技術からなる物理防御及び迎撃兵器群、加えて魔術への造詣の深い院長が施したとされる病院そのものに備えられた極めて高度な霊的・魔術的防御が、不逞の輩の喉笛を噛みちぎり、心臓を抉り、その痕跡を抹消してきたからだ。
その病院の中庭で二つの影が対峙し、二つの影がそれを見守っていた。対峙する影の片方は黒い影であった。闇夜の事、それも当然かもしれぬ。だが、これを見てもなおそう言えるだろうか?
月の冷たい白い光の下でも、無味な人工の電灯の明かりの下でも、決してその光に染まる事も跳ね返す事もない、奈落の底に繋がっているような漆黒。尋常ならざる黒であった。他を拒絶し塗りつぶし、屈服させる傲慢なまでの黒。
その黒をオーバーの形で纏い、近世の欧州紳士さながらの衣服に身を包んでいるのは二十代中頃から後半にさしかかった精悍な若者であった。
日に焼けた肌に眩いまでに白い歯が良く映え、匂い立つ気品に目を剥くような野生の凄味が絡み合い、一目見た女の胸を焦がす色香を纏っている。だが何よりもその全身から吹きつける悪意そのものとしかいえぬ気迫。
吸い込んだ肺を中から腐敗させ、目に映した瞳をそのまま焼き尽くし、触れた肌を容赦なく貪らんまでの、生命全てに対する絶対的な憎悪。理由もなく無造作にあどけない命も容易く踏み潰せる残忍さ。
人間の悪の面のみを抽出し、濾過し、凝固させても果たしてこれほどの異形の雰囲気を生みうるか否か。
男は、霧深き魔都倫敦の魔王、“闇男爵”呪紋大三郎という。かつて、世界一の大魔道ガーレン・ヌーレンブルクと魔界医師を相手に、<新宿>と倫敦の存亡を賭けた死闘を演じ、そして敗れた筈の男であった。
魔性の都として寿命を迎えつつあった倫敦を復活させる為に<新宿>の魔性をそのまま倫敦に移し、<新宿>を凡百の一都市に変えんとし、<新宿>の象徴たる魔界医師に敗れ、異世界へと放逐された筈の魔王。
その一助となったガーレンの死より数年、いかなる手段によりてか、現世へと帰還した闇男爵は、今一度<新宿>へとその魔手を伸ばしていた。
理想的なフォームから闇男爵が投げた黒一色の槍が、世界中の破邪の呪文によって浄化された院内の空気を裂いて走った。闇男爵と対峙する白衣の医師の心臓を貫かんと飛翔する黒い槍を、医師の手元から延びた銀の筋が絡め取り、空中で止める。
地上六六六メートルまで存在する妖気圏によって不純物が存在できない<新宿>の大気は、霊峰の山頂の様に澄み渡っている。その夜空越しに降り注ぐ月の光を浴びて輝く銀の筋は、なんということはない平凡な針金であった。
医師の親指と人差し指の狭間から無限長に伸びた針金は闇色の槍を、銀色に包んで大地に落とした。長さ一メートル弱の槍の表面を隙間なく針金が巻き絡まって覆い尽くしていた。
医師の唇が動いた。紡がれた言葉は賞賛であった。
「見事だ。一巻きで止めるつもりがそうはいかなかった。修行の程が伺えるな。闇男爵」
「お褒めに預かり光栄の極みです。ドクター・メフィスト、貴方とこの街に追いやられた場所で良き師と巡り合いました。その成果とお思いください」
人間がどれだけ歴史を重ねても再現成し得ぬ重厚な気品を纏わすメフィストの声に恭しく応える闇男爵の声音もまた、人間以外の何かが人間の真似をしているような違和感を抱かせるが、しかし果てしない重さを持っていた。
重さを持った夜の闇が、そのまま全身に圧し掛かってきたような錯覚を覚えさせる声であった。事実、二人の魔戦妖闘を見守っていた少年と男の影はわずかに膝を屈し、苦鳴を漏らしつつあった。
367 :
ゼロの魔王伝:2008/12/30(火) 01:18:08 ID:ZXCuyaDn
メフィストを見つめる闇男爵の顔を黒い影が覆った。魔界都市の闇さえも白く見えるほどの暗黒の中で、闇男爵の双眸だけが赤く赤く燃え盛り、爛々と凶光を明滅させながらメフィストを見つめていた。
その影に覆われた闇男爵の双眸に覚えがあるのか、メフィストはどこか懐かしげに眼を細めていた。その挙措に、初めて闇男爵の傲岸な自信が揺らいだ。異界でさらなる力を得た倫敦の魔王を前に、魔界都市の象徴たる美の魔人は静かに語る。
「黒い神父、顔の無いファラオ、アウグストゥス、ナイア、無貌の神、這い寄る混沌……。決して人の声帯では発音できぬ名を持つ神々の中でもっとも狡猾で、唯一宇宙原初の住人“旧神”の束縛から放たれた存在。それが君の師かね?」
「恐ろしい方だ。そこまでお見通しでしたか。ならば、今の“おれ”の体に満ちる力の凄まじさが、貴方にもお分かりの筈だ。旧支配者、外なる神の力は一つの宇宙の命運をいともたやすく左右するほどです。いわんや魔界都市一つなど」
「ふむ。確かに、かつてない空腹によって本来の力を発揮出来ぬクトゥルーとヨグ=ソトースの激突だけでついこの間、宇宙が一つ滅びたばかりだ。その力を鑑みれば、君の自惚れもいた仕方あるまい。だが愚かなり闇男爵」
「なに?」
「ここがどこだか忘れたか? 魔界都市<新宿>、何が起きてもおかしくはない不思議の街。ヨグ=ソトースの落とし子の脳と心臓を移植し、体内にヨグ=ソトースを宿した写真スタジオの助手や、お前の師たる神の一面が天才料理人の姿を借りて訪れた街だ。
いかなる神もこの街では絶対の存在足り得ぬ事を、いまだに理解出来ぬと見える。闇男爵の名を継ぎながら、この街の闇の深奥を見測れぬ男」
「辛辣な物良いですね。しかし悪魔――メフィストフェレスなら勝てますか? 千の貌を持つ神に?」
「その為の手は打った。もっとも、正確には君の師たる神に勝つわけではないが」
「あそこの詰まらぬ二人がその鍵ですか」
影の奥で光る炎の眼のまま、闇男爵は石像と化したように固まっている二人を見つめて、限りない嘲笑を言葉に乗せる。不意に、メフィストの口元が淡く笑みを刻んだ。魂を捧げる契約に血の署名をした愚か者を前にした悪魔の様な、美しくも恐ろしい笑み。
「紹介が遅れたな。<新宿>一のガイド、外道棒八氏とその息子のイチローくんだ」
「下らぬ街のナンバーワンガイドと、その息子殿が何の役に立つとおっしゃる?」
「君のその物言いが命取りだ。君は知るまい。知っていたならそのような口は傲慢の極みたる君とて口が裂けようと言うまいよ。
外道氏は正真正銘の人間、サイボーグではあるが――君に力を与えた存在■■アル■■■テ■■の夫だよ。そして、イチローくんは邪神と外道氏との間に生まれた人と神のハーフだ」
「!?」
「外道氏の妻となった邪神は、どうやら人間に化けている間は人間そのものとなるのか、子供まで作った。その子供と夫を、君は侮辱した。もう分かっているだろう? 邪神とて赤の他人よりも我が子と夫の方が、邪な神なりに大事と見える」
「馬鹿な、力が……」
見よ、メフィストと外道、イチローの目の前で闇男爵の総身からそれまで溢れ出していた混沌とした闇色の霧が薄れはじめ、その精悍な美貌を覆っていた影が消えて行く!
「君の様子を薄笑いを浮かべながら眺めていたのだろうが、夫と子への侮辱は怒りを覚えるのに十分だったようだな。存外に人間くさい神だ」
「は、謀ったか!? 魔界医師」
「罠に陥ったのは君の浅はかさと愚かしさによるものだ。自らの業が災いを呼び寄せたと知りたまえ。愚かな闇男爵よ。そして戻るがいい。這い寄る混沌の力を借りて脱出した異空間へ。自力で戻ってきたその時には、今一度君の挑戦を受けよう」
「おのれ、ドクター・メフィスト、おのれ、魔界都市!! だが、私ひとりでは消えん! 白い医師よ、お前もまた私と共に異界へと落ちるがいいっ!」
最後の足掻きとして闇男爵の影が伸び、メフィストの黒いシルエットと混ざり合い融け合った。月光が落とす黒い影は、やがて人の形を失い、輪郭を失い、ぶよぶと無重力の環境に置かれた水の様に不定形に変わる。
膝を屈したままの外道と息子イチローの口が等しく驚きによってこじ開けられた。邪神の加護を失いつつも人間としては最高最悪の極みに位置する魔王の背後に、極彩色が蠢く空間が垣間見える切れ目が出現していた。
割られた硝子窓の様に空間に刻まれた切れ目は、徐々に闇男爵の体を引きよせ、モ説いた場所へと引きずり込もうとしていた。しかし、それには別のものもついていた。闇男爵と影を融け合わせたドクター・メフィストであった。
368 :
ゼロの魔王伝:2008/12/30(火) 01:19:20 ID:ZXCuyaDn
浮かべる表情はなく、メフィストはかすかに目を細めて自分の影と繋がった闇男爵の影を見つめていた。闇男爵の口元に浮かぶ厭らしく、しかし圧倒的な威厳を持つ魔性の笑み。
外なる神の力無くとも、やはり霧の深い魔都を象徴する魔人。最後の最後に魔界医師へと一矢を報いたか。
「三度目の敗北、しかし闇男爵に四度目はない。<新宿>よ、魔界都市よ! お前の破滅を告げるラッパの音はこの闇男爵が吹くぞ!!」
たからかに地獄のサタンの如く笑う闇男爵は尾を引く笑い声と共に彼方の異空間へと消えていった。それにあわせ、ぐん、と引き寄せられるメフィスト。右手に握られた手術用のメスを、月明かりが銀に照らして示した。
「ドクター!?」
ハルマゲドンの襲来を眼の当たりにした敬虔な信者の様な声を挙げる外道の瞳に、地面の上で融け合った影にメスを突き立てるメフィストの姿が刻印された。何の抵抗もなくは先が地面にめり込み、徐々に吸い込まれながらも横一文字を描いて影を斬り裂いて行く。
地面に投げ落とされた影を切り離すその奇跡が、はたしてメフィストが異世界に放逐されるのとどちらがはやいか。<新宿>の象徴たる魔人の明暗を、外道は唾を呑む音を大きくたてながら見守った。
やはり音もなく地面からメフィストのメスが抜き放たれ、異空間からの吸引の力が弱まった。影を切り離された闇男爵の姿は、すでに万色に染まっては粘度の高い濁流が渦巻いているような彼方に消えている。
あらかじめこうなる事を知悉呈していたように、影を切り離す手術を終えたメフィストは常と変わらず静かな冬の聖夜の様にすがすがしく、厳かにそこに立っていた。
やはり、魔界医師は別格か――<新宿>一の評価を受けるガイドは、心底からその事実を再認識していた。だが、それを裏切る様にメフィストは不意に目の前に迫っていた空間の亀裂に目を向けた。
徐々に小さくなるその亀裂の中に、人の身の丈ほどもある大鏡が浮かんでいる。それだけならば、この医師は眼を向ける事もなかっただろうが、そこから聞こえてきた声がメフィストの意識を引いた。
それがなんであるかを理解した時、メフィストは躊躇する事無くその美影身を混沌の空間へと躍らせていた。
黄金がそのまま滴り落ちる液体となった様に美しい金の髪を持った少女が、一人の少女を抱き抱え、大粒の宝石の様な瞳を悲しみに染めていた。ウエストウッド村に住む孤児の子供達と、その姉であり、母である少女ティファニアだ。
アルビオン王国の辺境に位置するこの村は王政府の眼からひっそりと隠れる様にして、森の奥に造られた小さな村だった。村を留守にしているとある人物からの仕送りによって生活の大部分を支え、静かな時ばかりが流れる村だ。
ティファニアは人間の父とエルフである母との間に生まれたいわゆるハーフであった。
その出自のみならず、父が今のアルビオン王政府にとって許されざる罪を犯した者として家名を奪われ、貴族としての地位も無きものとされているため村の外に出ることは許されない。
時折姿を見せる義姉の話してくれる外の様子や、幼い頃に父母に聞かされた見た事も言った事もない世界の様子は、時折、この村で生涯を終えるのだとぼんやり思っていたティファニアの胸の中を切なくさせていた。
だから、ほんの気まぐれだった。姉に習った魔法の一つで使い魔を召喚する気になったのは。いつも幼い子供達の為の存在である自分が、自分の為の存在を手に入れるという想像は、思いのほかティファニアの胸を高鳴らせた。
子供達に無償の慈愛を捧げながらも、そうやってただ日々を過ごす事に対する鬱屈とした想いが、かすかに堆積していたとしても仕方のないことだろう。エルフの血を引く自分を恐れぬのは子供達と義姉だけ。
外に出ればどんな目に逢うか、まず間違いなく生命の危機に陥る事だけは、ティファニアにも分かっていた。目の間で無残に殺された母の姿は、今も時折夢に出てはティファニアの頬を涙で濡らすのだから。
外に出られない自分の境遇を理解し、閉鎖された小さな世界で終わる自分の寂しさを紛らわす為の行為は、ティファニアにとって、心躍るものだった。
単なる人間の子供として世に生を受けていたなら、蝶よ花よと育てられ、アルビオン王国の内乱が怒るまでは高貴な一族の血を引くものとして何一つ不自由のない生活を送っていたことだろう。
方々に伸びた木々の枝と新緑の葉をすかして差し込む木漏れ日のなか、四方を森に囲まれた家の裏庭に出て、ティファニアは小さな指揮棒の様なシンプルな拵えの杖を持ち、深呼吸をした。
369 :
ゼロの魔王伝:2008/12/30(火) 01:20:16 ID:ZXCuyaDn
ティファニアの胸元で幼子の頭ほどもあるのではと眼を剥く巨大な果実が、噛み締めた時の芳醇な果汁を想像させるたっぷりとした豊さで、呼吸に合わせて揺れていた。
その神秘的なほどの美貌とは反対にあまりにも豊かすぎるその肢体は、望めばいくらでも女としての幸せを掴めると美の神に約束されているに違いない。
使い魔の召喚を行う事を決めてから、一生懸命唱え続けて暗記したルーンを口ずさみ、歌うような軽やかさでティファニアの呪文が紡がれてゆく。
かつてない昂りは、子供達の目の前では決して見せない寂しさを紛らわしてくれる誰かへの期待の表れであったかもしれない。やがてルーンを唱え終え、閉じていた瞼を開いたティファニアの眼には、宙に浮かぶ巨大な鏡が映っていた。
慌てて周囲を確認するが、自分以外に生き物の息遣いや気配は感じられない。失敗したのか? それともこれから何かが召喚されるのか?
抑えようのない興奮に思わず豊かすぎる胸元を抑えて、ティファニアは新雪のきらめきを閉じ込めた頬に、朱を昇らせていた。そんな時である。お姉ちゃんと、子供達の泣き声が自分を呼んでいるのに気づいたのは。
これまで耳にした事が無いくらい切迫したその響きに、我に返ったティファニアは急いで声の元へと駆けだした。自分が開いた使い魔を召喚する鏡をその場に放置したまま。
声のした方へと息せき切って到着したティファニアが目にしたのは、数人の男の子と女の子の輪の中心で、顔を青白く変えて、右のわき腹から血を流している五歳くらいの女の子の姿だった。
「サンディ、どうしたの!?」
自分自身も白磁の肌をさらに青褪めてティファニアがサンディと呼んだ女の子の顔を覗き込む。しゃくりあげていた男の子の一人が、つっかえつっかえ事情を説明した。
昼食の後に、サンディや男の子を含む数人が森の中に蛙苺やモモリンゴを取りに出かけたのだが、ふと眼を離したすきに一番小さなサンディがいなくなり、慌ててみんなで探した時に、血を流して倒れているサンディを見つけ、ここまで運んで来たのだという。
おそらく、足を滑らせたサンディが、運悪く斜めに枝が折れた木にぶつかり、その鋭利に尖っていた枝で脇腹を抉ってしまったらしい。今も男の子が抑えているサンディのわき腹からは赤い血が滔々と流れては地面を赤に染めている。
水系統の魔法の中には強力な癒しの魔法もあるが、ティファニアは生まれてこの方系統魔法を使った試しがないし、ひょっとしたら父の血のお陰で学べば系統魔法も使えたかもしれない。
だが現実には、ティファニアにはそのような魔法を使う実力はなく、まず自分が落ち着かなければ、とパニックに陥りそうになる自分を宥めすかす事しかできずにいた。
自分も必死の思いでサンディのお腹を押さえ、生暖かい血の感触に、その暖かさの分だけサンディが死に近づいているのだと意識し、目の前が暗くなってゆく。
(神様でも誰でもいい、お願いです、この娘を助けてください。この娘の命が助かるのなら、私はどうなったっていい! だから、どうかお願いです、この子を)
「助けて……!」
切なる願いを聞き届けた者はいた。しかし、しかし、果たしてそれは幸福な事であったろうか?
ティファニアは、自分の背後に誰かが立っている事に気づいた。黒い影が自分とサンディの上に投げかけられている。この村でこんな長身の人間などいない。では、一体誰が?
いぶかしむ思いで背後を振り返り、ティファニアは凍りついた。自分の願いが聞き届けられた事を悟ったからだ。なぜなら、目の前に立つものが、こんなに美しい者が人間である筈がない。
ならば答えは天に住まう御使いか、地の底から現われた魔物のどちらかしかあるまい。白衣を着た異邦人は、ティファニアには目もくれずサンディへと囁きかけた。その声の居つくしさに充ち溢れた響きに、ティファニアは安堵した。
突如姿を見せたこの男が、サンディにとって救い以外の何者でもないと、その声だけで分かったのだ。
医師――メフィストの声が優しく、ゆっくりと語りかけた。
「治療を望むかね?」
息を荒げ、意識がもうろうとしている筈のサンディの瞳が確かに焦点を結び、世界が色褪せる美貌を見つめた。その瞳に安らかなモノが広がる。今、目の前に居るモノが、自分にとってなんであるかを悟ったから。
かすかに、サンディの首が縦に振られた。メフィストの口元に浮かぶ微笑はより優しく、無限の慈愛を湛えていた。
「我が治療の門戸を叩く者に生を」
それ以外の者には死を――。ドクター・メフィストのハルケギニア大陸最初の患者は、このようにして魔界医師の治療を受ける事になったのだった。
370 :
ゼロの魔王伝:2008/12/30(火) 01:21:55 ID:ZXCuyaDn
かつん、と硬質の床を靴そこが叩く音を一つ立てて、ティファニアは足を止めて夜空に浮かぶ月を眺めていた。ウエストウッド村に開院されたメフィスト病院の廊下である。
消灯時刻となり(デンキという明かりらしい)、暗く寝静まった病院の見回りに出ていたところだ。
メフィストを召喚し、意思のある人間を使い魔には出来ないと――というよりは美しすぎて契約の行為にまで及ぶ気にもなれなかった――ティファニアが固辞した次の日から、メフィストはこの小さな村で病院を開き、治療の日々を送っていた。
あの日サンディの命を救ってもらった恩、そして自分が返す事も出来ないのに召喚してしまったという負い目を抱いていたティファニアにとって、メフィスト病院の手伝いを申し出るのは至極当然の事だった。
患者以外に対しては冷厳と言う言葉を越えて冷酷非情の体現者の如く変るメフィストは、特に“女”を必要以上に無意識に主張しているティファニアに対して事の他冷たくはあったが、“教育”を受ける事と引き換えにその主張を認めた。
“教育”と言うのは、無論メフィスト病院のスタッフとして最低限の能力を身につける事である。
この基準を満たさぬ限り、どのような者でもメフィストの首を縦に振らせる事は出来ないし、逆に能力さえあればどんな氏素性の持ち主でも病院のスタッフとして採用される事を意味している。
一人の患者の治療の為なら世界を敵に回す事に何の躊躇も感じず、そして勝ってしまうだろうメフィストらしい採用方針であった。ティファニアがメフィストに施された教育というのも、実に簡単なものだった。
後日、司祭が教会で寝泊まりに使っていた部屋に呼び出されたティファニアは、粗末な木椅子に腰かけてメフィストと対面した。
白い医師は相変わらず石ころを見るよりも冷たい瞳をティファニアに向けていたが、背筋を凍らせただけでティファニアは耐え、メフィストの言葉を待った。
瞼を閉じる様に、と言われたティファニアが素直に言う通りにすると、メフィストがケープから五センチほどの針金を取り出し、それをティファニアの額に押し付けるや水に指したみたいにするするとティファニアの頭の中に入ってしまったのだ。
目を瞑っていたティファニアには何が起きたか分からなかったが、メフィストに目を開いて良いと言われその通りにした時、唐突に自分の頭の中にそれまでまるで知らなかった様々な知識が溢れている事に気づいた。
それがメフィストの言う教育だという事もその場で理解できた。その後、開院したメフィスト病院正規看護士として採用され(給与もある)、自分以外全てのスタッフがメフィストの作り出したホムンクルスという環境で、ティファニアは働く事となったのだ。
120mm戦車砲の直撃にも耐える特殊錬金加工の施されたガラス窓に映る自分の姿を、ティファニアはじっと見つめた。
抱えてしまえば折れてしまいそうな細腰とは不釣り合いに、爆発的に突き出た、たぷんたぷんとした胸とお尻。その二つを押し込めた、すべすべとした滑らかな肌触りの、ハルケギニアではお目にかかれない生地の白いナース服とナースキャップに白タイツ。
どこの病院に出しても恥ずかしくない白衣の天使ことハーフエルフナース・ティファニアがそこに居た。
371 :
ゼロの魔王伝:2008/12/30(火) 01:23:46 ID:ZXCuyaDn
その二つぴょこんと金の流れから突き出た長い耳。ちょっと気弱そうな顔。でも、今は少しだけ誇らしそうだった。
メフィストが病院を開院し、周囲の村を回っては治療を施し、道に迷った人々全ての怪我や病気を治癒する事で、すでに近隣の村々にメフィスト病院とその評判は知れ渡っている。
この病院にエルフの血を引く自分が勤めている事もだ。以前の自分ならそれだけで自分の運命の扉が閉じる重々しい音を幻聴しただろうが、今は違う。看護士として病院で働く中、これまでの人生で出会った人間の数に匹敵するたくさんの人々と会った。
ほとんどすべての人間は、エルフの特徴を持ち実際に血を引く自分を恐れたが、こちらに悪意がないこと、あくまで病院のスタッフとしてここに居る事を諦めずに言葉で伝えて話しかける事で、徐々にではあるが理解してくれた。
その事は、小さな世界に埋没していたティファニアの心を大きく励まし、明るい光をあてていた。二十四時間医療の手を休めぬこの病院での日々は忙しくあるが、なによりも充実していた。
自分が生きている。自分を必要としてくれる人たちがいる。自分が力になれる人たちがいる。自分が居てもいいのだと思える。
ティファニアにとって、使い魔召喚の儀式は大きく人生を変える分岐点となっていた。ティファニアの瞳が月を見上げ、口元に笑みを浮かべた。この世を去った父と母に私は大丈夫と、伝える様に。
思わず月も身惚れてしまうほど柔らかく暖かな笑みを浮かべ、メフィスト病院正規看護士ティファニアは残る見回り区域へと足を向けた。
意図せずティファニアの人生と精神に大きな影響を与えた当のメフィストは、滴ったばかりの血液と変わった吸血鬼化抑制薬を封じた小瓶を片手に、最凶最悪の吸血姫の復活に対して、なにやら思案しているようであった。
宇宙の真理に挑む学究の徒の様だが、纏う雰囲気の荘厳さは比較にならない。誰かがこの場を目撃したならば、神か悪魔の降臨を目の当たりにしてしまったような感覚に囚われる事だろう。
「あの女が殺されたのはひとえに生きる事に対する絶望だ。絶望を抱かぬ限りあの女を物理的に滅ぼす事は不可能。蘇るとなれば、その絶望を払拭する希望を見つけるか、あるいは絶望を忘れなければならん。忘却、か」
忘却。その言葉が何を意味するのかメフィストは、姦計謀略を持って人間の魂を奪わんとする悪魔の様な雰囲気を色濃くたたえ、月の光の明るい晩、一人院長室に立ち尽くしていた。
今回ここまでです。展開遅い、ゼロ魔のキャラの出番少ないの悩みですね。うーむ。
支援
せっかくだから誰かルイズがダイハードのマクレーン刑事召喚して
魔法学院がレコンキスタのテロリストに乗っ取られる話書いてくれ
>>256 見てきた。
ヨコシマはやっぱりヨコシマだった。
乙!
すげぇ濃厚な描写に酔いしれてしまったぜ(主にテファの部分で)。
てかこのシリーズ妖怪グルメと繋がってんのか。妖怪グルメしか読んだことないけど、他のも読もうかな?
というかそれよりニャル様が子供産んだことにびっくりだ。
>>373 おいおい、マジかよ……クソッ!約束が……ルーシーにまた嫌われちまう><
>>373 玉石混合とはいえ多くのメイジがいる魔法学院をターゲットにするなんて、なんて奴らだw
何か分らんかったが中の人つながりか
ゼロ.・ハード…始祖降誕祭のパーティーだってのに、レコン・キスタとかいうテロリストが学院を占拠しやがった!
セロ・ハード2…今度はラ・ロシェール国際港を占拠してルイズの乗った船が着陸できない!?畜生、もう降誕祭なんてまっぴらだ!
ゼロ・ハード3…クロムウェルの弟だかなんだかがトリスタニアで連続テロだと!?4ガロンきっかりを量れったって…
ゼロ・ハード4.0…アカデミーに侵入したヤツがトリスタニアを乗っ取った!ガキのお守の簡単な仕事?どこがだ!
リーサルウェポンでもおk
魔王伝の方、乙でした!
あのダークバロンがかませで、外道父子は背景ですか……ソー・テリブルwww
しかし“姫”の復活のキーワードが「希望」or「忘却」とは……続きが気になりますなあ。
魔王伝の方、菊池秀行クロスオーバーとか嬉しすぎて鼻血が出そうです
描写の濃さといい、関わったら最後だろこいつらと思わせられるような描写がこれでもかと重ねられる所といい
次を楽しみにしてます! 頑張ってください!
それはそれとして、ゼロ・ハード ルイズ極 を妄想した私は死ぬべきだろう
魔王伝の人、乙でした。
姫のお顔はどうなっているのかが気になりますな。
いろんなフラグ乱立するよーなキャラ召喚って少ないと思ったので
某まじんの主人公で考えてみたけど
戦闘→最強戦力おかんの猛攻を受けてもなんとか生きてる
攻撃力は無いらしく主に幼なじみや押し掛けくのいちに守られてる
難攻不落のトラップ屋敷突破経験有り
生活→色んなキャラやモノとフラグ乱立する為日夜トラブルやイベントに巻き込まれる……
ハハハ、道理で召喚されない訳だ
しかも作例に出した作品だと蔵にハルケギニアへ続くゲートが開いてそうだし
命の魔神や冬将軍とかも一緒に来そうだしでハードルバカ高いな
フラグ乱立なら柊蓮司呼ぼうぜ。
魔王伝の人、乙&GJです
しかし、“アウグストゥス”に“ナイア”って…………
そう言えば、<新宿>と某ロリコン貧乏探偵とのクロスSSをどっかで見た覚えが。
先走りで東方世界を描いたSSもぼつぼつ出始めているが、日本っぽい国、中国っぽい国、ロシアっぽい国、ビザンチンっぽい国はあるがK半島はまだ出てこないなあ
あちらの日本も浮遊大陸でアルビオンと周期的にランデブーコースを北極海上空あたりで取るというのは…
魔王伝の人乙。
人物や背景の描写が素晴らしい。特にテファはリアルに想像出来た(スタイル的な意味で)GJ
次回に超wktk。
グリリバが使い魔のも続き読みたいなぁ・・・
ふとフラグと聞いて死亡・恋愛フラグクラッシャーのアーディガン家長男が使い魔になったら
とか考えたけれど、単独召還だとトレイラー心得をことあるごとに出しそうな以外はわりと普通
ヴァルホーク込みでミヒロと一緒ならそれなりに面白そうかもしんない
でも流石にガードやザカードで出すと・・・なぁw
思いついたけれど上手くまとめられそうにないや
ジルの人乙です。
おぉ、ギーシュ強っ。次回に超wktk。
ジョンマクレーンが召還されるのはすでにまとめの小ネタにあった気がする
>>340 まとめwikiのリンクから
もしゼロの使い魔の○○が××だったらスレにいけるよ
>>391 アーディガン家長男カズマを使い魔にした場合。
タルブの村に龍の羽衣を受け取りに行ったら、博物館級のゼロ戦はインファレンスに
よって貴重な文化財として回収され、そこには「代車」と書かれたメビウス・ゼロが。
有線式ガンバレルはガンダの能力でどうにかなる方向で。
トリスタニアで武器を買おうとしたら、デルフはアリアによって貴重なサンプルとして既に
購入され、そこには「代用品」と書かれた量産型ボン太くんが。
フーケが宝物庫の中に忍び込んで破壊の杖を奪おうとしたら(略)
>>395 ありそうだなぁw
行く先々でアイテムによる進行フラグクラッシュ・・・まさにもう一人一人のカズマたちw
ロマリアがどうなっているのか
改心前のザ・データベースだったら略奪と破壊の対象でロマリア崩壊
改心後のザ・データベースだったらぶち切れインファレンスさまによる
サピエンティア無双で狂信者涙目
ガリアに暗躍する謎の義賊キャプテン・ブレス、それと相対する正体不明の
マスク・ド・ジョセフ。
がんばれオリバー、早めにイベント起こさないと指輪を取り返されちゃうZO☆
>>396 フラグはクラッシュしてるがめちゃくちゃ戦力アップじゃねーかwww
ぶっちゃけボン太君あれば七万なんざ余裕だろ、核融合炉搭載のASと互角に戦えるんだぜアレw
アームスレイブは核融合炉じゃNEEEEE!とスパロボ厨が訂正してみる。
第2世代ASまではガスタービンエンジン。第3世代以降はパラジウムリアクターという燃料電池だ。
スパロボJでも変わらなかったはず。
まあぶっちゃけ宇宙を駆け回りながらクルーゼやテッカマンオメガと戦うしな
スパロボのボン太君
おっとこれ以上はスレ違いだから余所でやってくれよな
>>400 パラジウムリアクターは常温核融合炉だったはずだが
>>403 調べなおした。
常温核融合炉だった。すまん、俺が間違っていたorz
あとほんとにスレ違いなんでそろそろやめようかと思う。
…パワードスーツ系っていえば他にはハインラインの『宇宙の戦士』のアレとか『バブルガム・クライシス』のモト・スレイブとかもありだよなぁ…。
アーマードマッスルスーツ!アーマードマッスルスーツ!
ハルキゲニア丸ごとアーカムの保護対象になる
メタルヒーローシリーズから、というのも面白そうではあるが…相性が良いのはジライヤとかビーファイターあたりかなぁ?
やる夫がルイズに召喚されたようです
フェイトちゃん9歳バリアジャケット姿をマリコルヌが召喚
>>406 アーカムというと、禁書魔導書満載な図書館のあるあの大学が存在する町でしょうか?
スプリガンもケツアククアドルとかティアフラッドとかバベル編に出てきたやつとか
何気に強力な魔法使い多いよな
ミサイルとかサイボーグ兵士出てくる世界観なんだがw
>>411 あの混沌さがスプリガンの魅力だな。
宇宙人、超古代文明、魔法、科学と全部こみこみ。
これで面白くならないわけがない。
>>406 アーカムって、ま、まさかゴッサム・シティに在るあの病院か・・・
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
>>412 思い切ってツァトゥグアでも喚ぶかい?
属性的にギーシュが。
>>415 魔法学院の地下に神殿を築いて平民を給餌するんですね
スプリガンのキャラなら、ケツアルクアトルにティア・フラットな。
元ネタの方がそういう名前ならスマンです。
あと、ケツアルクアトルを挙げるならテスカトリポカもじゃね?
バベルのは、ヘウンリー・バレスだな。
張り切って書いたのに、アンカ忘れたんだぜ……
ここでケツアルクアトルつながりで翡翠峡綺譚からククルカン召喚というのはないのかそうなのか。
他にもジョゼフのバックにニャル様がついてたり。
主要な人物の使い魔は旧支配者クラス。
整理しよう。
アーカムはラブクラフトのクトゥルフ小説に出てきた名前。
伝奇ものに出てくる「アーカム」は全てHPLに敬意を表したオマージュ
ギャグマンガ日和の三国志を思い出した
>>419 「打ち切りの女神、川島芳子 見、参!」
424 :
装甲騎兵ゼロ:2008/12/30(火) 14:42:34 ID:AcD/4hjy
たまには昼間に投下を。
予約等がなければ14:50くらいからで
>>387 柊蓮司…地面に突き刺さった状態で召喚されそうだww
426 :
装甲騎兵ゼロ:2008/12/30(火) 14:50:51 ID:AcD/4hjy
第4話「変動」
ハルケギニアの空に、一日の始まりを知らせる朝日が昇ってくる。
同時に、夜明け前特有の薄暗さに染まった地表を、日光が次第に塗り潰していく。
このころになると、起きて活動を始める生徒や、メイドが仕事をする様子が学院内に現れてくる。
その中に、メモを片手にザックを背負い、一路ルイズの部屋へと向かうキリコの姿があった。
彼を見る者は一様にその格好に目が行くが、朝も早い時間故か、一瞥するだけで何を言うわけでもない。
そういった周りの視線に構わず、キリコは歩を進めていく。
歩きながら、キリコは考え事をしていた。昨日の光る円を見つけてから今までのことである。
(あの円に吸い込まれたら、俺はこの世界にいた。)
その時着いた先は、サモン・サーヴァントで使い魔を呼び出そうとしていたルイズのところだった。
結果を考えれば、あれはこの世界と自分の世界を繋いでいたのだろう。
(だが何故、あの場所にあった……?)
本来はハルケギニア大陸の生物を呼び出すはずの魔法が、どういうことかアストラギウス銀河に繋がっていた。
それは何故なのか?
サモン・サーヴァントにそういった特異性があって、それをルイズたちは知らなかったか。
あるいは本当に、異世界に繋がるのは通常ではありえない、極めてイレギュラーな事態が起きたのか。
それとも……。
(やめよう。)
ふと行き着いた、一つの推測を打ち消す。
そんな思考を巡らせている間に、身体はいつの間にかルイズの部屋の前に着いていた。
キリコは考えをやめて、恐らくはまだ眠りこけているであろう、主人の部屋のドアを開ける。
「う〜ん……もう食べられない……うふふ」
大方の予想通り、熟睡(それも幸せそうな笑顔で)しているルイズの姿がベッドにあった。
(起こすとするか。)
部屋の隅にザックをおろすと、手っ取り早くすむ方法で起こしに掛かる。
「朝だ、起きろ。」
掛け布団を剥ぎがら、ルイズに言い放つ。
「ん……ひぃやぁっ!?あ、あんただれよ?」
「お前の使い魔だ。」
「あ、あぁそうだったわね……。ってアンタ、ご主人様に対して昨日からその態度は何よっ!」
よく眠ったので疲れも取れ、すっかり元気になったルイズ。
寝起きにもかかわらず、昨夜と変わらないキリコの態度を見て早速叱るあたりは大したものだ。
しかしキリコはどこ吹く風、ザックの中身を取り出し、一つずつ状態を確認している。
「大体仕事はしないし、口の利き方もなってないし……って、ちょっと聞きなさいよ!」
怒るルイズを尻目に、キリコは作業を続けながら口を開いた。
「こういう性分だ。それと話は聞いている。」
「口答えしないで、こっちを向きなさいっ。」
言われて顔を向ける。手はいつの間にか作業をやめていた。
427 :
装甲騎兵ゼロ:2008/12/30(火) 14:53:28 ID:AcD/4hjy
腕を組み、仁王立ちでキリコを見下ろしながらルイズは言う。
「随分と不遜な使い魔ね。ご主人様に対して、いつまでもそんな態度が出来ると思ったら大間違いよ。」
「これで今までやってきた。それはそうと、聞きたいことがある。」
「何よ。」
「お前は、俺をどう扱いたいんだ?」
やや鋭くしたターコイズブルーの眼を、キリコは真っ直ぐに自分の主人へ向ける。
その視線に軽く物怖じしながらルイズは答える。
「ど、どうって、そりゃ使い魔に決まってるじゃない。」
「なら『従者』や『下僕』みたいな仕事がほとんどなのは何故だ?」
「あんたは人間でしょ。人間の『使い魔』なんだからどっちの仕事もやるの!」
「……まるで奴隷だな。」
そう言うと、ルイズから視線を外してキリコは作業を再開する。
「ど、奴隷だなんて人聞きの悪いこと言わないでよっ!いーい、使い魔ってのはね、主人の命令には絶対服従なのよ!?
それに貴族はね、下僕がいるときは大概のことは自分でやらずに下僕にやらせるものなの!
だから『人間で使い魔』なあんたは、『使い魔』の仕事と『下僕』の仕事、両方やらなくちゃいけないの!わかった!?」
ルイズは慌てて弁明する。一気にまくし立てて説明したせいか、ぜぃぜぃと肩で息をしている。
キリコは顔色一つ変えずに、淡々と言っていく。
「俺が了承したのは『使い魔』になることだけだ。『下僕』になるとまでは言ってないし、聞いてもいない。」
掃除と洗濯くらいはしようとも思っていたが、何から何までルイズの世話を焼く気はキリコにはなかった。
対するルイズは、キリコの言葉に我慢の限界がきたようで、ついに怒りを露にする。
「〜っ!あぁそう、もういいわ!そこまで言うのならわたしにだって考えがあるもの!あんた今日一日ご飯抜き!!」
非情な食事抜き宣告が下される。だがキリコは動じずに、
「そうか。わかった。」
と、携帯用合成食品の種類を確認しながらそう返した。
「なっ……!?」
流石に食事を抜けば、いくら不遜な態度をとるキリコでも、素直に自分の言うことを聞くだろう。ルイズはそう考えていた。
ところどうしたことか、キリコがあっさりと了承してしまったので返す言葉もみつから無い。
そのキリコは、愛用のアーマーマグナムを組み立てながら再び口を開く。
「授業があるんじゃないのか?」
言われてハッとするルイズ。本日からは通常授業があるので、支度をしなければならないことを思い出す。
「そ、そうだったわ。着替えて食堂に行かないと……あ、服を着s」
「食事を抜かれているならする義務はない。自分でやれ。」
一蹴されてしまった。
ますます怒りがこみ上げてくるルイズだったが、このまま叱っている間に遅刻するのも嫌だったので、渋々自分で着替えた。
その間も散々悪態をついていたのは言うまでも無い。
準備を終え教室に向かおうとルイズがドアを開けると、ちょうど同じタイミングで隣の部屋から誰か出てきた。
「はぁ〜い、おはようルイズ。」
「……おはよう、キュルケ。」
朝っぱらから嫌なやつに出会ってしまった。ルイズは露骨にそんな表情をする。
さしずめ、行く先々に『あの男』が現れるキリコと似たような心境だろうか。
二人の少女は話を続ける。
428 :
装甲騎兵ゼロ:2008/12/30(火) 14:56:42 ID:AcD/4hjy
「それにしてもまさか人間、しかも平民を呼んじゃうなんてね〜。オマケにゴーレム付きの。」
さっすがゼロのルイズと、ケラケラ笑っていた。
キリコはどうやら「ゴーレム使いの平民」という、実におかしな存在として認知されている様子だ。
言われる本人としては別段どうでもいいことだったが、その主人は腹が立ったらしい。
「何よ。いいでしょ、召喚には成功したんだから!だからもう私はゼロじゃないわ!」
「でも人間を召喚しちゃってもねぇ〜……。」
そういってキュルケはキリコに視線を移す。
「……。」
徹底的に無愛想なキリコ。
「ふ〜ん……?よく見れば中々いい男じゃない。」
ちなみに顔の評価で「ハンサムと言えなくもない」とされたことがある(評価したのは『あの男』)。
「でも使い魔にするなら、やっぱこういうのがいいわよね〜。フレイム〜。」
その呼びかけに応じて出てきたのは、尻尾の先に炎を灯す、赤で染まった巨大なトカゲ―サラマンダーである。
「どう?立派な子でしょ。それにこの尻尾の炎。この大きさと鮮やかさは間違いなく、火竜山脈にいるサラマンダーの証よ。」
しゃがみこみ、フレイムの頭を撫でながらそんな自慢を口にする。
「そう、よかったじゃない。」
聞かされるルイズは面白くないとばかりに、ブスッとした表情になっていく。
「それに一発で成功よ?何度も何度も失敗してた、誰かさんとは違ってねぇ〜。」
その言葉にますます不機嫌な顔つきになるルイズ。
片やキリコといえば、顔色一つ変えずにフレイムを眺めていた。
「こんな生物もいるんだな」という、実に平凡な感想を抱きながら。
ルイズに対する優越感で満足したのか、キュルケはフレイムを撫でるのをやめて立ち上がる。
「それじゃあもういかなくっちゃ。あなたもぐずぐずしてると遅れるわよ?」
「あんたなんかに言われなくたって分かってるわよ。」
「はいはい。そうだ、そこのあなた、まだお名前を聞いてなかったわね?」
思い出したようにキリコの方に向き直り、そこはかとなく色気を振りまきながらキュルケは尋ねた。
「……キリコ・キュービィだ。」
「そう、あまりきかない感じの名前ね。キリコで良いかしら。」
「好きにしろ。」
「もぅ、さっきから愛想がないわねぇ。あ、ひょっとして緊張してる?」
無論、キリコは緊張などしていない。が、先ほどからの態度からキュルケはそう思い込んでいた。
「そうよねぇ、あたしとルイズじゃあ、女としての魅力が違いすぎるものね〜。緊張するのも無理ないわ。」
長くなりそうなキュルケの語りにルイズが割り込む。
「そんなんじゃないわよ。こいつは昨日からずっとこんな感じ。」
「ふ〜ん?そうなの。」
余裕な物腰のキュルケと、それを睨むルイズ。そんな二人の少女を眺める、一人と一匹の使い魔たち。
「ま、どうでもいいわね。それじゃ、お先に失礼〜。」
赤い髪を揺らし、フレイムと共に優雅に立ち去っていく。そんなキュルケを見送りながら、ルイズは地団太を踏んだ。
「くやしぃ〜!なんであの女がサラマンダーで私はこんな平民なのよ〜!」
何もかける言葉がないキリコは、ルイズの怒りが収まるまで黙っていた。
429 :
装甲騎兵ゼロ:2008/12/30(火) 14:59:23 ID:AcD/4hjy
食堂に着いた早々、奇異の眼で見られるキリコとルイズ。
あれがゼロが呼んだ平民か、ゴーレムからでてきたらしいなどと、昨日のことがあちこちで話されている。
怒りは収まったものの、未だ不機嫌なままのルイズは『ゼロ』と聞こえるたびにその方向を睨む。
その後ろについていくキリコは、周りの声も特に気にせずに食堂を見渡す。
(確かに貴族というだけはある。)
どことなく、惑星メルキアのクメン王国の宮殿や、寺院等に似た雰囲気を感じていた。
途中でキュルケが手をこちらに振っていたが見えたが、さっきのこともあったので一瞥するだけにしておく。
やがてルイズは席に着くと、すぐ後ろまで付いて来たキリコにこう告げる。
「さっきも言ったけど、あんたはご飯抜きだから。邪魔にならないように大人しくしてなさいっ。」
言われたキリコが適当な場所の壁に背を預けると、朝の食事が始まった。
(時間がかかりそうだな。)
豪勢な食事を楽しんでいる生徒たちを見てそう思うキリコ。しばらくすると食堂をでていった。
そして人目につかない場所に来ると、先ほど持ってきた携帯用合成食品を食べ始める。
(……自力での調達方を考えるか。)
噛み千切り、租借していき、芳しくないと評判の味を口内に広げながら、キリコはそんなことを考えていた。
朝食が終わり、生徒達が食堂を後にしていく。
同じように出てきたルイズは食堂の外にいたキリコに、自分と教室について来るよう命じた。
この時、また何かキリコは言うんじゃないかとルイズは思ったが、キリコは特に何も言わずについてくる。
(言うこと聞いたり、聞かなかったり……ホントにわけわかんないわ。)
ルイズは未だに、キリコという人物について図りかねていた。
キリコとしては、一日中コルベールをあの小屋で待つことも最初は考えた。
だが勝手に動けば、その件で後々ルイズに責められるのは容易に予測できる。
それならばある程度ルイズに従っていたほうが、トラブルは少なくてすむと考えての判断だった。
(しかし、やはり会っておく必要はある。)
会ったら会ったで、自分やATについてどう話したものか。
そもそもどうすれば確実に会えるか。歩きながら思考をめぐらせる。
そんな二人は互いに何を語ることもなく、足早に教室へと向かっていった。
予告
持つものは上を飛び、持たぬものは下を這う、それが掟。
だが少女は、上を飛ぶも持たぬものだった。
失意、屈辱、挫折。まとめた歪みが襲い来る。
若き身を焦がされ、未熟な心は蝕まれていく。
それでも少女は「いつか」を目指し、峻烈まみれの道を行く。
次回「理由」
ルイズの飲む学院のコーヒーは、苦い。
430 :
装甲騎兵ゼロ:2008/12/30(火) 15:01:09 ID:AcD/4hjy
以上で投下終了です。
年内にギーシュ戦までいけるかと思ったけど無理でした……
気づいたら投下されててしかも終わっていた!?
でも乙!今回も面白かったぜ!特にキリコがまったく態度変わらないあたり。
そうだよな、こいつはそういう奴だよなぁ…。
そして予告で吹いた。対象はルイズかw。
そういえば原作ではハルケギニアにはコーヒー無かったような。
あってもなんら問題は無いけど。
最低野郎さん乙でした
来年も楽しみにさせてもらいます!
キリコの人乙です。
ギーシュ戦が楽しみです。
次回にwktk。
初投稿です。
召喚対象は“トーキョーN◎VA the Detonetion”リプレイ 「ビューティフルデイ/あるいはヒュー・スペンサー最後の事件」
より、本編終了後の“ゴーストステップ”ヒュー・スペンサーです。
よろしければ40分辺りから行きます。
>>407 メタルダーは?
ただ奴は怒るたびに変身するし強いからイ`ギーシュw的なことになるがww
災厄の街に一人の男がいた。
昔はとある大きな会社で一生懸命に働いていたけど、その会社ももう無い。
男も身体を壊すまで会社に尽くしたけどぜーんぶ無駄になってしまった。
同僚達は色んな道を選んだ、会社を吸収合併した所にそのまま就職した奴もいれば、ヤクザの手下になる奴もいた。
男はどうしたかって?
男は探偵(フェイト)になったのさ。
まぁ、なりたての頃は真面目に探偵業に精を出していたんだけどね。
その内、男の身体は耐え難い痛みに苛まれるようになっていった。
会社勤めをしていた頃の後遺症ってやつだ、どこかの会社に勤めれば身体は治ったかもしれない。
男は何故かそうしなかった、その代わりといってはなんだけど薬に手を出した。
痛みを止める為の薬…。所謂、麻薬の類だ。
男は薬を得るために色々やった、普通の探偵は扱わない話でも受けた。
悪い事はできないもので、程なくして探偵同士の互助会(そういったものがあるのさ)に後ろ暗い所がばれて免許は取り上げられた。
ま、無免許で続けてたんだが延々闇夜を歩いているようなものだ、明るい未来なんてとうてい見えなかったのさ。
そんな落ちぶれ人生の真っ只中、男…もとい死に掛けの探偵はある事件を解決する。
仲間は死に掛けの探偵を入れてたったの4人。
怖いお巡りさんと陽気な記者の女の子、それと自分は神になり損ねたというクマのぬいぐるみ。
どういった事件だったのか興味がある人はどこぞにあるという掲示板を見るなり本屋で資料を購入してくれ。
ばらしたらお楽しみが減ってしまうだろう?
それはそれとして、死に掛けの探偵はその事件を機に立ち直った。
街でも有名どころの名探偵に大変身だ!
死に掛けてるのは変わらなかったけどね。
死に掛けの名探偵は最後の事件まできちんと解決して街の雑踏の中に消えた、誰もその後の名探偵の行方は知らない。
新生路支援!
ゴーストステップ・ゼロ シーン01 “メイジの少女と死に掛けフェイトの契約”
シーンカード:エグゼク(運命/状況の運命的な変化、進展。偶然の姿を借りた必然的な出来事。)
トリスティン魔法学院。
ここは次代を担う貴族の子弟達が貴族として、また超常の力を操るメイジとしての教育を受ける学び舎である。
そして今日、その学び舎では2年に進級しようという生徒達が自身の半身とでもいうべき使い魔を召喚する日でもあった。
そんな小春日和の草原では爆発音が鳴り響いている。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン!
我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!」
そしてまたもう一回爆発の回数を重ねていく、周りにいる他の級友達はすでに自分の使い魔を召喚し契約まで終えている。
未だ契約どころか召喚すら出来ていないのは彼女…ルイズだけだった。
「まだ終わらないのか?」
「何回目だっけ」
「10回位までは数えてたんだけどねー」
「さすがにもう終わるんじゃないのか?」
そうした級友達(友と言えるか怪しい言い草だが)の会話は風に乗ってルイズの耳に届いてくる。
腹が立った、元々短いルイズの堪忍袋の尾は既に限界ギリギリだったが、それ以上に不甲斐ない自分に対する怒りがあった。
(どうして召喚できないのよ!召喚できなければ留年しちゃうのよ?
いいえ、留年したことが父様や母様に知られたら家に連れ戻されるに決まっているわ!
そうなったら良くて政略結婚に使われるか、最悪一生館の奥に閉じ込められちゃうじゃないの!)
そう自問自答し、ぶるぶると怒りに震えているルイズを見ている学院の教師の一人、召喚の儀の監督官でもあったコルベールは、この学院の教師には珍しく彼女を応援している一人だった。
(ふむ、どうにもミス・ヴァリエールは力が入り過ぎているようだ。
日没までにはまだ時間もあるし、他の生徒達は先に戻しておくか…)
「皆さん、先に学園に戻り召喚した使い魔達と親睦を深めておいて下さい。
自分の使い魔に何ができるか、そして何ができないのか、図書館で調べたり他の先生方に聞くなどして自分の使い魔の能力を十分に理解するように、いいですね。」
このコルベールからの自習通達(事実上、自由時間宣言)に生徒達は湧き上がり、我先にとフライをかけて学園へと戻って行く。
そうして、草原にはルイズとコルベールだけが残された。
「さて、ミス・ヴァリエール。
日没までは時間をあげましょう。大丈夫、落ち着いてやればきっと貴女に相応しい使い魔が召喚に応じてくれますよ。」
「ミ、ミスタ・コルベール…。
は、はいっ!」
コルベールの言葉を聞いたルイズは、あまり話した事が無いこの男性教師の励ましに感動した。
そして昔から変わらず応援してくれている、故郷にいるすぐ上の姉の事を思い出して瞳が潤んでしまう。
潤んでしまった瞳を見せないよう、流れそうになった涙を拭うように目蓋を乱暴に袖口でゴシゴシと擦った後、改めて杖を構えた。
今度の呪文は自分だけの為じゃなく、ちぃ姉様やミスタ・コルベールの為にも唱えよう、こんな私を今まで応援してくれた人達の為にも。
二人しかいない草原にルイズが唱える呪文の詠唱が朗々と響き渡る。
自分のみではなく、自分以外の人達をも想って唱えた呪文は今までのモノとは違い、世界に染み入る様なそんな感触と確かな手応えをルイズに与えた。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン!
我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!」
そうして起きたのはまたしても爆発ではあったが、今までの失敗とは何処か違うようにルイズには思えた。
2人のメイジの視界を遮る爆煙が晴れると、そこには予想もつかない存在が倒れていた。
「…ミスタ・コルベール、人が倒れている様に見えるんですが…。」
「ミス・ヴァリエールにもそう見えますか、どうやら私の目がおかしくなった訳ではなさそうで安心しました…
ではありませんぞ!ミス・ヴァリエールッ!」
そう言うとコルベールは急ぎその人物へと駆け寄って行く、呆然としていたルイズも慌ててその後を追った。
倒れている人物は男だった、身長は大体180サント位か乱れた髪の間から不健康そうに痩せた顔が見える。
マントは付けていないし、杖も持っていない所から考えると平民だろうか。
着ている服は、くたびれてはいるものの珍しい様式のものを纏っている。
傍らには男の持ち物なのか、見た事が無い布で出来た鞄のようなものが落ちていた。
「ふむ、怪我等は無いようですな。
見た所旅行者でしょうか、変わった格好の平民だが一応話は聞いておいた方が良いでしょう。」
「あ、あのミスタ・コルベール。
もしやその平民が…。」
「その辺を確認する為に彼に話を聞くのです、よろしいですかな?ミス・ヴァリエール」
「わ、分かりました。」
そうルイズに言い含めると、男の頬を軽く叩いて覚醒を促す。
倒れていた男は程なく閉じていた目蓋を開いた。
「ここは…?」
「おお、気が付きましたかミスタ。
怪我等は無いように見えますが、何処か痛む所はありますかな?」
「いや、痛むといえば痛むんだが、いつもの事だしな…ミスタ?」
気が付いた男は倒れていた体を起こすと、地面に座り込んだまま辺りを見回した。
青い空・青々とした草原・とどめに遠くに見える石造りの建造物、しかも目の前にいる2人ときたらマントを着て杖を持っている。
(待て待て、冷静になれヒュー・スペンサー、とりあえず昨日の事を思い出してみようじゃないか。
確か、最後の依頼人にメールを送った後、例によって棺桶に潜り込んで眠っていたら…。
なんだこりゃ?何時の間にイントロンなんてしたんだ?
訳が分からん、なんでこんなCDなゲーム空間に放り込まれてんだ?)
「おお、自己紹介がまだでしたな私はコルベールというものです。
あそこに見えるトリステイン魔法学院に奉職しているメイジですぞ。」
「ああ、これはご丁寧に。
俺はヒュー・スペンサー、ついこの間まで探偵(フェイト)をしていた…ってメイジ?
いや、まぁどうでもいいや。
ところで、これは一体何の冗談だい?暇といや暇なんだが流石にゲームに参加するような気力はないんでね。
ゲームのモニターを募集してるんだったら、そこらのニューロキッズに頼んでくれないか?」
コルベールにそう応えた後、ヒューはアウトロンしようとしたが出来ない事に愕然とした。
しかもイントロンしていたらあるはずのないポケットロンの存在を自分の懐に感じて、一気に意識が覚醒する。
慌てて懐からポケットロンを取り出し電源をONにする、がそこにはとんでもない現実が待っていた…、ウェブに接続されていないのだ。
実際の所、ヒューが生活していたニューロエイジにおいてウェブに接続できないという状況は極めて限られている、何しろ自然が支配する
死国でさえもごく限られた地を除いて使用できるのだ。
が、流石にその辺はヒューも知らないので自然と次の台詞が出てくる。
「まいったね、流石に死国に行った事なんて無いんだが…。」
そうぼやいたヒューに少女の声が聞こえてきた。
ちなみにコルベール氏はヒューの手元にあるポケットロンを興味深げに見ている。
「ちょっと、いきなり何訳分かんないこと言ってるの?
ゲームだとかニューロなんちゃらだとか、見た所平民の旅行者みたいだけど、おとなしく私達の質問に答えなさい。」
そう言って胸を張る少女に苦笑を覚えながらヒューはゆっくりと立ち上がる、ついでにポケットロンは電源をOFFにして懐に戻しておく。
そうすると少女の小柄さが改めて分かる、なにしろヒューの胸位までしかないのだ。
「で、聞きたいことは何かな?お嬢さん、できれば先に君の名前を教えてくれると助かるんだけど。」
「無礼な平民ね、いいわ特別に教えてあげる。
私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
まずは貴方が何者なのか、どこから来たのか教えなさい。」
「何者と問われてもね。
さっき言った通り、名前はヒュー・スペンサーこの間までトーキョーN◎VAで探偵(フェイト)をやってた。
というかあんたらそれを知ってて俺を攫ったんじゃないのかい?」
「は?なんで平民のアンタなんか攫わなくちゃならないのよ?
ていうか、とーきょーのばって何処の田舎よ、それにフェイトって何?」
ルイズのその台詞にヒューは疑問を感じ横目でコルベールと名乗った男の表情を盗み見る、こちらも訝しそうな表情をしている。
どうにも厄介事に巻き込まれたようだ…それも飛びっきりの…。
ルイズのその台詞にヒューは疑問を感じ横目でコルベールと名乗った男の表情を盗み見る、こちらも訝しそうな表情をしている。
どうにも厄介事に巻き込まれたようだ…それも飛びっきりの…。
「トーキョーN◎VAっていうのは日本の…まぁ言っても分からんか。」
と言った後、ヒューは懐に戻したばかりのポケットロンを出して電源を入れた後、なにやら手元をせわしなく動かし始める。
コルベールはそれを興味深そうに見ていたが、ルイズはというと無視されていると思ってヒューを睨みつけている。
目当てのものが見つかったのか二人にポケットロンのディスプレイを向ける、そこにはニューロエイジの世界地図が表示されていた。
大事な事なので二度言いました支援
ルイズとコルベールにとってその小さな物体は驚くべきモノだった、掌に乗ろうかという位の小さな画布
(大体一辺が5サント位)には青白く光る線で精緻な地図が描かれていたのだ、しかもそれはヒューが持っている筆を
硝子板に当てる事で自在に動いているのだから、驚きを通り越して呆然とするしかなかった。
「こ、これは物見の鏡の様な物ですかな?」
「ん?ああ物見の鏡っていうのがどんなものか分からんがね、これはポケットロンっていう個人携帯型の情報端末さ。
(ポケットロンを知らないっていう事は…、やれやれ本当に面倒な事になっちまったみたいだな。)
と、あった。
ここがトーキョーN◎VA、俺が住んでた街だよ。」
「ふ、ふ〜ん。中々珍しいマジックアイテム持ってるみたいだけど、そんな物で誤魔化されないんだから。
それが地図だっていうのならトリステインは何処にあるのよ?」
苛立ちまぎれに言うルイズの言葉を受けてヒューは再びポケットロンを操作する。
「ここの地名はトリステインで良いのか?
あー、コルベールさんよ。」
「え?ええここはトリステイン王国で間違いありませんぞ、ミスタ・スペンサー。」
「ヒューでいい、ミスタなんぞつけられると鳥肌が立っちまう。
代りにこっちも呼び捨てさせてもらうがね。」
苦笑しつつそう返すと検索結果が出たのか溜息を付いてポケットロンを懐に戻す。
「やっぱりか…」
「何がやっぱりよ、今更嘘でしたとか聞かないんだから。」
「いや、別に嘘とか付いちゃいないがね…。
ところでコルベールの旦那、ここにウェブは通ってないんだよな。」
「は?うぇぶ?…網とかでしたら近在の漁師が持っていると思いますが。
通っているというのはどういう意味ですかな?」
「いや、まぁ分かっちゃいたんだがね。
どうもこの近辺はウェブから隔離されているのか、俺が持っている情報に含まれていないみたいだ。」
「何よそれ、言い訳にしてももっとましな言い訳考えなさいよね。
網とか隔離されているとか意味わかんない。」
「あー、そこら辺は聞き流して貰えると助かる。
ところで俺はなんでこんな所に?確か宿屋で寝てた気がするんだが」
曖昧な表情を浮かべつつ2人に尋ねると、顔を見合わせた後コルベールが話し始める。
「実はですな、このトリステイン魔法学院では2年の進級時に試験として使い魔を得なければならないのです。
で、最後に残ったこのミス・ヴァリエールが召喚したのが」
「俺って訳かい?」
からかうようなヒューの言葉にコルベールは済まなさそうな表情をしていたが、呼び出した張本人のルイズはというと不機嫌そうな顔を隠そうともしていなかった。
「ミスタ・コルベール!もう一度召喚させて下さい!
こんな平民が召喚されるなんてきっと何かの間違いです!」
「残念だがね、ミス・ヴァリエール。
呼び出した以上、彼に使い魔になってもらわないといけないんだ、それは座学の成績が優秀な君なら分かっている事だろう?」
「ところで、俺の意思は無視かい?」
「平民の意見なんかお呼びじゃないのよ、少し黙ってなさい。」
「ミス・ヴァリエール、これは伝統なんだ。
それにヒュー君、君にも悪いとは思うが彼女の使い魔を勤めてくれないだろうか、私は彼女ほど勤勉な生徒をみすみす退学にしたくはないんだ、話を聞く限り君の故郷もかなり遠いみたいだし、帰還するにしても先立つものが必要だろう。
ある程度までなら私が用立てても良い、ミス・ヴァリエールが君を必要としなくなるまでで構わない、この通り私からお願いする。」
そう言ってコルベールはヒューに頭を下げる。
その行動にルイズは驚いた。
いくら教育熱心とはいえ自分のような劣等生の為にここまでしてくれるのが不思議でたまらなかったが反面、自分の努力を認めてくれる人がいた事に例えようが無い程の喜びを感じてもいた。
しかし、自分が呼び出したヒューと名乗るあの男はどうだろう、自分の使い魔になってくれるだろうか、いやおそらくことわ
「いいぜ、俺が死ぬまでで良いのなら引き受けてやる。」
「へ?」
間抜けな声を上げたのはルイズだった、それ程ヒューの言葉が意外だったのだ。
そんなルイズとは違ってコルベールはといえば喜びまくっていた。
「何と!本当に良いのですか?ヒュー君。」
「いいさ、実際もうN◎VAでやる事は全部終わらせて来たしな、先の事は分からんが何とかなるだろ。」
「良かったですな、ミス・ヴァリエール!
彼の了承も得られましたし、もはや問題はありませんぞ。」
「そんなっ…!」
ルイズは喜ぶコルベールに反論しようとしたが、ならば再び召喚魔法を唱える為に彼を殺すか?と問われれば「否」と答えるだろう。
流石に自分の我侭で人一人殺そうなど思わなかったし、そういった行為はルイズが目指す貴族像とは大きく外れるものだった。
ならば選べる選択肢は極めて限られたものになる、すなわち。
「分かり、ました。」
「おお、それでは早速契約を済ませてしまいましょう。」
「んじゃあ、契約書を「ちょっと」あん?」
契約と聞き、コルベールに契約書を見せてもらおうと思ったヒューは横合いからの声に振り向くと、
そこには顔を真っ赤にしたルイズが仁王立ちしていた。
「どうしたんだい、お嬢さん?」
「いいから、少し屈みなさい。
全くどうして貴族たる私がこんな事…。」
不思議に思いつつ、まぁこれからの雇い主になるっていうのだから少しは言う事を聞いておくかと思い腰を屈める探偵。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」
油断していたといえばその通りだろう、目の前にいる少女に脅威を感じろというのは酷く困難な事だし、
ヒューにとっては魔法など理解の埒外なのだから…。
【各種説明】
(用語=Y、スラング=S、アイテム=I、地名=M、人物=P、スタイル=St、神業=神、特技=特)
シーン01
フェイト(St)
…探偵、良心的な弁護士、正義の味方。真実を一つ明らかにする事ができる。
鋭い観察眼を持ったキャラという位置付けでも使用される。
シャーロック・ホームズや金田一耕介、wikiではウフコックやADAが相当する。
エグゼク(St)
…大企業の重役、ブルジョア、経営者。金で買えるものなら何でも購入できる。
覇道瑠璃や王留美、wikiでは海馬瀬人が相当する。
カゲ(St)
…スパイ、企業工作員、忍者、暗殺者、諜報部員。誰にも悟られずに行動できる。
ジェームス・ボンドや白土三平的な忍者、wikiではエイリアン共生体(GIFT)やフリーダが相当する。
棺桶(Y・S)
…最下層のカプセルホテル、何時あの世に旅立ってもおかしくない人が利用する事から棺桶=コフィンと呼ばれる。
ヒューは棺桶付きのDAK(トロンの一種、持ち運び不可)からイントロンしていると思っていた。
イントロン(Y)
…意識を全てウェブに送り込む事、ウェブにアクセスする事。
ウェブ(Y)
…トロン(コンピュータ)同士を有線・無線を問わない情報網で繋げた世界規模の情報ネットワークの事。
CD(S)
…のろい、ぐず、肝心な時に役に立たない、時代遅れ、ダサい、空気読めてないという意味。
ニューロキッズ(S)
…ニューロなものに目が無いストリートの若者を指すニューロタング。最近のガキという意味。
ニューロ(Y)
…電脳犯罪者。事の善悪を問わず“すごい”という意味の感嘆詞。カッコいい、イカす、新しいという意味。
アウトロン(Y)
…ウェブのアクセスを止める事。
トーキョーN◎VA(M)
…TRPG・トーキョーN◎VAの舞台、現在の東京湾に建造された人工都市。超大国“日本”の唯一の出島。
ポケットロン(I)
…個人用情報端末。携帯電話、デジカメ、アドレス帳等を統合したもの。入力用のタッチペンが標準装備。イントロンはできない。
指紋と声紋を登録する事で簡単な音声コマンドも受け付ける。
ニューロエイジ(Y)
…トーキョーN◎VAにおける現代、TRPG・トーキョーN◎VAの舞台となる未来の地球。(かもしれない)
ニューロタング(Y)
…ニューロエイジにおいて一般的に使用される言語。スラング。
死国(M)
…現在の四国に相当する地域。自然が支配する地域で危険なミュータントが闊歩している。
日本(M・Y)
…現在の日本、四国と北海道それに沖縄を除く地域を指す。
ニューロエイジにおいては鎖国政策をとっている超大国で、いかなる手段を用いても侵入できない。
【クロスキャラ説明】
ヒュー・スペンサー
…トーキョーN◎VAで探偵を営んでいた元企業工作員。
スタイルはフェイト◎、カゲ=カゲ●。
アイテムに関しては、基本装備の他は持っていても変ではないものを身に着けている。
又、適当な装備が召喚された際に持っていた鞄に入っているとする。
バッテリー等に関しては太陽電池稼動とでも思っていて下さい。
(但し、武器はハンドガン程度。乗り物は無しとしている。)
登場リプレイ…ビューティフルデイ あるいはヒュー・スペンサー最後の事件
以上シーン01 投下終了、おそまつさまでした。
ウェブに接続しなくても何とかなる調査能力の乏しいなんちゃって探偵GJ
דトーキョーN◎VA the Detonetion”
○“トーキョーN◎VA the Detonation”
…orz
ヒューの人乙です。
次回にwktk。
otu
名称表記系統でツッコミどころの多い日だな
>スプリガンのキャラなら、ケツアルクアトルにティア・フラットな。
ケツアル「コ」アトル
>第3世代以降はパラジウムリアクターという燃料電池だ。
パラジウムリアクターは常温核融合炉
半端な知識ひけらかす前にぐぐって再確認取るぐらいしろよお前等
おっと、パラジウムリアクターの件は調べて訂正してたな
半端な突っ込みひけらかす前にレス読み直して再確認取るぐらいしろよお前
>>452 スプリガンって漫画だと、ケツアル「ク」アトルなんすよw
テスカトリポカがテスカポリトカだったりテトカトリポカだったりな
後者はともかく前者は発音の問題なんだからカタカナで表記する以上どっちでもいいんじゃないか…?
クアトルでもコアトルでもカタカナ表記なんて正確な発音じゃないだろ。
クトゥルフじゃなくてク・リトル・リトルが正しいって言うのと同じくらいどうでもいい。
>>458 一番正確にカタカナに表すと「ク・ルールー」になったと思う
改めて考えるとパラジウムリアクターは燃料電池といっても良いかもな
エンジンは燃料を使って動力を生み出すもの
燃料電池は燃料を使って電力を生み出すもの
パラジウムリアクターは燃料を使って電力を生み出しているから燃料電池に含まれそうだ
本日は18:30から激闘ギーシュ対アプトムをお送りしたいと思います。
>>459 衝撃の事実!! 核融合は電気化学反応だった!!ですね、わかります。
>>458 それは妖怪である(と水木先生に認定されている)アリャマタコリャマタ氏の霊的感覚から導き出された
結論だから、HPLがどう発音していようと関係ない。
ヒュー・スペンサー氏、ようこそハルケギニアへ
ちなみに、ルイズの馬鹿犬発言を聞くたびにイヌを召喚したらどうなるかなと思ってたり
「き、貴様、貴族にこんな事をしてただで済むとでも…」
「悪いなぁ、兄ちゃん。あっちのゴシュジンサマが言ったのが聞こえなかったのかい?
俺はイヌだからねぇ。人間の法は関係ないんだ、残念な事に」
赤熱した義手に喉を焼き潰された少年の声にならない悲鳴が広場に響きわたった
―――〈〈火刑官〉〉召喚
「ねー、アプトム。わたしはアンタのご主人様なんだってこと分かってる?」
「ああ。俺がお前の使い魔だという事は理解している」
「だったら、この扱いを何とかしなさいよ!」
怒りの言葉を吐き出すルイズは、アプトムによって後ろ襟を掴み持ち運ばれている状態であった。
「疲れて動けないと言うお前を、親切にも食堂に輸送してやっていることの何が不満なんだ」
「荷物扱いしないでって言ってるのよ。大体こうなったのはアンタが手伝ってくれなかったせいでしょ」
それは、ルイズが小石を爆発させた後の話。
錬金の魔法に失敗し教室内をパニックに陥れたルイズは、その後騒ぎを聞きつけてやって来た教師によって教室の片付けを命じられた。
その際、魔法の使用を禁じられたのは、ルイズの失敗魔法が爆発と言う結果を伴うから。というわけではなく、授業をめちゃくちゃにした
ことのペナルティである。
魔法の成功率ゼロのルイズ。その不名誉なあだ名は、学院に来てからつけられたものであるが、それ以前からも魔法を成功させたことはな
い。
彼女が、これまでの人生で魔法を成功させたのはわずか二回。サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントのみである。
だが、そのたった二回の成功こそが彼女はゼロではないという証明。
ゼロではないという証明であるアプトムに、伝説に残るようなメイジになれと言われたとき、これこそが天啓だとルイズは信じた。
だけど……。
もう自分はゼロじゃない。これからは、ちゃんと魔法が使えるはずだ。それが根拠のない思い込みでしかなかったことを思い知らされたル
イズの心はグチャグチャにかき乱れ、もう自分が悲しんでるのか怒っているのかも分からなくなっていた。
それに、と感情の読めない表情で側に立つ、自身の使い魔を見る。
大きな口を叩いたのに、このざまだ。もう見放されるのではないだろうか。その恐怖がルイズを縛り、追い詰め、そして暴走させる。
「なによ! 言いたいことがあるなら言ったらいいでしょ! そうよ! わたしはゼロのルイズよ! 魔法なんて一度も成功したことがない
わ! そんな、わたしが伝説のメイジになれるわけないって思ってるんでしょ!」
激発した言葉は止まらない。自然にあふれ出す自分の心を削るソレは、幼い頃から周囲の人々に言われ続けた言葉。
そんな彼女に、アプトムは静かに問う。「だから、あきらめるのか?」と。
ルイズの魔法が失敗ばかりだということは分かった。今のままでは、メイジを名乗ることすら叶わないことも。
それでも、魔法が使えないと決まったわけではない。可能性は低くとも望みがないわけではない。彼女はアプトムという使い魔を召喚する
魔法には成功しているのだから。
だが、ここであきらめてしまえば終わりだ。ルイズはメイジにはなれない。アプトムが、ここに使い魔として留まる理由もない。
どうするのかと、返答次第では今すぐにでも立ち去ると言う使い魔に、ルイズは彼がまだ自分を見放してなどいないことを知る。彼女がメ
イジになるという未来を信じていてくれることを悟る。
そうなると、ルイズの負けん気が頭をもたげる。
「あきらめるわけないでしょ。わたしは、ブリミルの再来と呼ばれるようなメイジになるんだから」
それは、アプトムをが使い魔になると告げたときの焼き直し。自らの未来を輝かしいものだと信じ不敵に笑う。
「そうとなったら、ちゃっちゃと教室片づけて授業に出るわよ!」
「がんばれよ」
張り切って仁王立ちになるルイズと、その辺に腰を下ろすアプトム。
「手伝って……くれないの……?」
「これは、お前の罰だろ。それに、魔法の使用を禁止するっていうのは、魔法で呼び出して契約した使い魔に手伝ってもらうのも禁止なんじ
ゃないか?」
「いや、まあ、そうなんだろうけど……」
かくして、新しい窓ガラスや机の運搬から、煤だらけの教室の雑巾がけまで一人でやり遂げたルイズは、生まれたてのバンビよろしく自力
では立つこともできなくなるほどに筋肉を酷使することになったのであった。
昼休みが終わりかけた時間になって、ようやく教室の片付けが終わったルイズは、猫の子よろしく食堂まで運ばれ椅子に座らせて貰ってか
ら、困ったことに気がついた。
過剰に酷使した筋肉の痙攣で、手が震えてナイフもフォークも持てないのだ。
ルイズは考える。これは、困った。なんとかしなければ昼食が取れない。しかし、考えている時間はない。昼休みはもうすぐ終わる。すで
に、学院で働いているメイドたちがデザートを配っている時間だ。どうするルイズ。負けるなルイズ。昼休み終了まで、あと数分。
「……食べさせて」
それは、消え入りそうな小さな声であったが、アプトムの聴覚はそれを捉えた。
だが、聞き間違いということもありうるので、彼は聞き返すことにする。そして、それはルイズにしてみれば一種の羞恥プレイ。
羞恥に顔面を朱に染めたルイズは、開き直り怒声を上げる。
「食べさせてって言ったのよ! 文句ある!」
よく通るルイズの声は、広い食堂の隅々まで響き渡り、デザートに手を伸ばしかけた生徒たちが何事かと振り返る。
その生徒たちの中にある少年がいた。名をギーシュ・ド・グラモンとう金髪巻き毛の少年である。
友人たちとの会話に集中していた彼は、近くの席にルイズが座ったことに気づいていなかったため、突然の大声に驚きふり返った拍子に、
ポケットに入れてあった小瓶を落としてしまった。
その小瓶がアプトムの足元に転がっていったのはいかなる運命の悪戯か、ただのご都合主義の賜物か。
転がってきた小瓶を拾ったアプトムは「坊主、落し物だ」と無造作にギーシュに投げ渡し、投げられたそれを無視するわけにはいかないギ
ーシュは小瓶を両手で受け取る。
それは、ギーシュにとって最悪の展開。彼の友人を含む食堂中の生徒たちの目はルイズに向いており、そのすぐ傍で行われた小瓶の投げ渡
しもまた見られていた。
そして、友人たちの中には、その小瓶の出所を知る者もいたのである。
「おお? その香水は、もしや、モンモラシーの香水じゃないのか?」
「そうだ! その鮮やかな紫色は、モンモラシーが自分のためだけに調合している香水だぞ!」
「そいつが、ギーシュ、お前のポケットから落ちてきたってことは、つまりお前は今、モンモラシーとつきあっている。そうだな?」
それは、疑問の形を取った断定。だが、肯定するわけにはいかない。ルイズには気づかなかったギーシュだが、後ろの席に座っている少女
には気づいている。その名はケティ。彼がモンモラシーと二股をかけている少女である。
さあ、この人生最大のピンチベストテンに初登場、堂々の第一位に輝いた苦難をいかにして乗り越えるべきか。考えろギーシュ・ド・グラ
モン。お前は、やれば出来る子だ。
「違……。」
「ギーシュさま……」
口から出かけた、否定の言葉を遮った背後からの声をギーシュは知っている。手遅れなのか? いや、まだ間に合う。間に合ってくれ。
内心の動揺を面に出さない事には成功したギーシュは、余裕を持って声の主の少女、ケティに振り返る。
「やはり、ミス・モンモラシーと……」
「彼らは誤解しているんだ。ケティ。いいかい、僕の心に住んでいるのは、君だけ……」
その言葉に、ガタッと音を立てて椅子を蹴り立ち上がった少女がいた。
それは遠く離れた席であり、そちらには目を向けていなかったにも関わらず、ギーシュにはそれが誰なのか分かった。分かってしまった。
分かりたくなかった。
冷や汗をかいて口ごもるギーシュの頬に、ケティの平手が飛ぶ。
「その香水があなたのポケットから出てきたのが、何よりの証拠ですわ! さようなら!」
もう顔も見たくない。と立ち去るケティと入れ替わるように、金髪、縦ロールの少女がギーシュの前にやってくる。
「モンモラシー。誤解だ。彼女とはただ一緒に、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけで……」
「やっぱり、あの一年生に、手を出していたのね?」
地獄の底から聞こえてくるような低い声は、まさに断罪者のそれ。
「お願いだよ。『香水』のモンモラシー。咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りでゆがませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」
言いながら、本当に悲しくなってきたギーシュである。二股がバレて片方にはフラれるし、もう一人は凄い顔で怒ってるし。
そんなギーシュに追い討ちをかけるように、モンモラシーはテーブルに置かれたワインの壜を手に取ると、中身をギーシュの頭にぶちまけた。
「うそつき!」
最後に、怒りの声を残して去るモンモラシーにギーシュは何も言えず、ハンカチを取り出して濡れた頭と顔を拭く。
悲しくなんかないやい。顔を濡らしてるのはワインなんだ。涙なんかじゃない。
それは、ともかく。
「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」
平静を装いつつ、何故こんなことになってしまったのか考える。自分は、上手くやってたはずだ。現に今までバレなかったんだから。
ならば、誰が悪い? そうだ! あの平民だ! あの平民が気を利かせてればこんなことにはならなかったはずだ!
悲しみの感情は流れるように怒りに変わり、その矛先を定める。
「そこの平民!」
激しい叱責を込めた声と共に指差す先。そこにいた平民は……。
「わたし、はしばみ草嫌い〜」
「文句を言うなら自分で食え」
なんて、主人である少女にご飯を食べさせる、和む光景を作り出していた。
「聞けよ!」
叫んでみるが。平民と少女は、何言ってんだコイツ? という怪訝な顔をしてくる。
すぐ傍でやってた修羅場に、気づいてなかったのかよ! こいつら。
いかん。また涙が出そうだ。
気を取り直し、あらためて平民と主人の少女に眼を向けて。それが誰だかをはっきりと理解したとき、その顔が嘲りに染まる。
「ああ、そうか。君はゼロのルイズが呼び出した平民だったな。それじゃあ、貴族の機転を期待するほうが間違いだよね」
ニヤニヤと笑うギーシュに、瞬間湯沸かし器よろしく頭に血を上らせたのはルイズである。
彼女は、アプトムとの出会いにより、自分はもうゼロのルイズではないと自認していた。この先の道がどれだけ辛く厳しくとも、その矜持
に相応しい実力を持ったメイジになると決めていた。
その自分と、そう思わせてくれた使い魔を貶める言葉など、彼女には到底容認できない。
ちなみに、アプトムの方はというと、ギーシュの言葉に何も感じていなかった。なにしろ損種実験体という、同じ境遇の仲間が死ぬまでは、
生きた標本のような身分にも甘んじてクロノスに忠誠を誓っていた男である。その程度の侮辱で傷つくような矜持は存在しないし、これで怒
るくらい短気なら、ルイズ相手にも何度も切れている。
「なに勝手なこと言ってるのよ! なんだか分からないけど、どうせ何か自業自得で酷い目にあって八つ当たりしてるんでしょ! みっとも
ない」
「そのとおりだギーシュ! フラれたのは二股かけてたお前の自業自得だ!」
ギーシュの友人たちが、はやし立てる。本来なら、ゼロのルイズに味方することなどない彼らだが、恋人の一人もいない彼らに、二股がけ
をするような羨ましい事をする男に味方するような広い心は存在しない。むしろ敵だ。これは嫉妬ではない。正義だ。
周囲の生徒たちの嘲りの笑いに、ギーシュも真っ赤にして頭に血が上る。
「黙ってろよ。ゼロのルイズ! 僕は、この無礼な平民に教育をしてやろうって言ってるんだ!」
そんなこと、いつ言ったよ? とは、誰も言わない。ルイズとギーシュは冷静な思考が困難な状況だし、他の生徒たちは面白ければ、それ
でいいのである。
「教育されなきゃならないのは、アンタの方でしょ! 何よフラれた八つ当たり? 恥ずかしいわね」
ヒートアップした二人は、互いに相手を更に怒らせる言葉を吐き出し、もはや口論だけで済ませることを不可能にする。
「決闘だ!」
それを口にしたのが、どちらなのかすら二人には、もう分からない。
「貴族同士の決闘は禁止されている。ルイズ、君は代理に使い魔の平民を出したまえ」
それは決闘の罰を恐れたのではなく、どれだけ腹を立ててようが、相手がゼロのルイズだろうが、女性を傷つけるわけにはいかないという
彼の矜持が言わせた言葉。
「いいわよ。アプトムの強さを思い知らせてやるわ!」
それは、己が使い魔への絶対の信頼。
かくして、舞台はヴェストリの広場へと移る。
アプトムの意志とは、関係なく。
学院本塔の最上階にある学院長室。そこには今、学院長であるオールド・オスマンと秘書のミス・ロングビルが熱い戦いを繰り広げていた。
テーブルに肘をついてだらだらと暇を潰しながら、引き出しから水キセルを取り出すオスマン。部屋の端の机で仕事をしながら、魔法で水
キセルを取り上げるロングビル。使い魔のハツカネズミに命じて取り返そうとするオスマン。取り返されまいと、ネズミを捕まえようとする
ロングビル。その手をかわしてロングビルのたわわに実った胸に飛び込もうとするネズミ。叩き落とすロングビル。めげずにスカートを下か
ら覗き込もうとするネズミ。
その戦いは、いつもロングビルの勝利に終わるのだが、オスマンはあきらめない。あきらめは愚か者の選択なのだ。人類は、不屈の心でい
かなる困難にも打ち勝つ生き物なのだから。
その戦いに終止符を打ったのは、ノックもなしに開かれた扉。
ロングビルの注意が足元に移ったのを見計らって、ネズミらしからぬ跳躍力で飛び上がり、ロングビルの服の襟から中に入らんとしたのだ
が、跳んだ瞬間に開いた扉に直撃し、綺麗な放物線を描いて床に落ちた。
「おおぉぉぉ! モートソグニルよ、何故死んだぁ!」
ピクリとも動かなくなったネズミに悲痛な声を上げるオスマン。
急な事態に、反応が遅れたロングビルだが、動かなくなったネズミを確認すると止めとばかりに、机の上にあった分厚い本を投げつけるが、
死んだフリをしていただけのネズミはすぐに眼を開けると本を回避して、オスマンの元に逃げ帰る。
「遊んでる場合じゃありません。大変なことが分かったんです!」
扉を開けて入ってきた男、ミスタ・コルベールが叫ぶが、オスマンはすました顔だ。
「この世に、女体の神秘以上に大変なものなど存在せんよ」
つまらなそうに鼻毛なんかを抜いてみせるオスマンであるが、コルベールが持ってきた本を開きある記述を指差すと共に、同時にアプトム
の左手のルーンのスケッチを渡すと、表情を変える。
「ミス・ロングビル。すまんが少し席を外してくれ」
とロングビルが神妙に頷き、部屋を出て行き更に足音が遠のくのを確認してから、オスマンは、コルベールに向き直る。
「詳しい話を聞こうか。ミスタ・コッパゲ」
「コルベールです」
春の使い魔召喚の儀式においてルイズが呼び出したのは、先住魔法を使うらしい亜人の男である。
学院の生徒や教師が知れば大騒ぎになりそうなその事実を、コルベールは隠すことにした。
男が人の命を奪うことに躊躇いを持たないと感じ、何が殺人へのスイッチになるか分からなかったからである。
そんな特殊な使い魔のことが気にならないはずがなく。その日は、相手を刺激しないことを心がけつつも多くの質問をしたのだが、ほとん
ど何も分からず、あるいは東のロバ・アル・カリイエから召喚されたのでは? という予想が出来ただけである。
では、左手に刻まれた見慣れないルーンがその正体を知る手がかりにならないか?
そう考えて、調べた結果……。
「始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』に行き着いた、というわけじゃな」
「そうです! あの男の左手に刻まれたルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』に刻まれていたモノとまったく同じです!」
「ふむ……。確かに同じルーンのようじゃな。亜人だから『ガンダールヴ』になったのか、『ガンダールヴ』になるはずだったから亜人が召
喚されたのか」
もっとも……。とオスマンは続ける。
「これだけの情報で、決め付けるのは早計じゃろうな」
「確かに……」
オスマンの独白にコルベールが答えた時、室内に扉をノックする音が響いた。
「誰じゃ?」
「私です。オールド・オスマン」
扉の向こうから聞こえてくる、先ほど席を外したミス・ロングビルの声に、オスマンは何の用かと尋ねると、ヴェストリの広場で決闘をし
ている生徒がいて大騒ぎになっているようだと答えが返ってきた。
その生徒が、ギーシュ・ド・グラモンという名を持ち、相手はルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの名を持つ少女、つまりルイズの使い魔であ
るとも。
顔を見合わせるオスマンとコルベールに、扉の向こうのロングビルは、教師達が決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可を求めている
と伝えてきたが。二人は、これはチャンスだと考える。
「アホか。たかがケンカを止めるのに、秘宝を使ってどうするんじゃ。放っておきなさい」
「わかりました」
オスマンの言葉を教師達に伝えに行ったのだろう。ロングビルが、立ち去っていく足音が聞こえると、オスマンは杖を振り壁にかかった大
きな鏡に、ヴェストリ広場を映し出した。
「伝説では『ガンダールヴ』は、ありとあらゆる武器を使いこなしたとか」
「うむ。では、あの男がどうやって武器を用意するかが決め手になるかもしれんの」
「というか、考えてみたらミスタ・グラモンが殺されたりしませんかね?」
「いくらなんでも、子供のケンカで相手を殺そうとするほど大人気なくはないじゃろう。そう信じよう」
鏡を注目する二人の集中力はすばらしく、少し経って扉がノックされたことも、こっそりロングビルが帰ってきて机に戻り、聞き耳を立て
ながら仕事の続きを始めたことにも気づかなかったほどであった。
ヴェストリの広場には、もう昼休みも終わるというのに、話を聞きつけた多くの生徒が集まっていた。
普通に考えればメイジと平民の決闘などが面白い見世物になるはずがないのだが、学び舎である学院には娯楽が乏しく、街は馬に乗って三
時間の距離。
刺激に飢えた生徒たちにとっては、メイジが一方的に平民を痛めつけるだけのワンサイドゲームでも充分に見世物になりうるのであった。
もちろんそれは、平民たちなどから見れば不快なだけの見世物であり、貴族の中にも同じ感想を抱く者もいる。
「なに考えてるのよ。ヴァリエール」
そう尋ねてきたのは、キュルケ。ルイズとは、反目しあう仲の悪いメイジであると周囲に認識されており、実際いつも口喧嘩ばかりしてい
るような関係ではあるが、この学院の人間でもっとも多くルイズと接触している少女である。
彼女は、この学院で一番ルイズを理解している人間であり、それゆえに使い魔をメイジと決闘させようとしているルイズの考えが理解でき
ないでいた。
平民がメイジと決闘などすれば、良くて大怪我。悪くすれば命を落とすこともありうる。すぐに降参すれば避けられるが、今の頭に血が昇
った状態のルイズがそれを許すとも思えない。
ルイズは激しやすく短慮な少女ではあるが、こんなことで自分の使い魔の命を危機に陥れるような娘ではないはずなのに。
逆にルイズの方は、何故キュルケがそんな事を聞いてくるのか分からない。
例えば、ルイズが召喚したのが何の力もないただの平民であれば、彼女は決闘をさせようとは考えなかっただろうし、その平民が決闘をす
るなどと言い出したなら、それを止めもしただろう。だが、そんな事実はない。
先住魔法を使う亜人である自身の使い魔が、メイジのレベルとしては一番低いドットでしかないギーシュに負けるはずなどない。それが、
ルイズの認識。
コルベールの判断でアプトムの正体を誰にも話していないため、キュルケにそんな考えが理解できるわけがないという思考ができるだけの
想像力のないルイズであった。
それ以前に、アプトムが先住魔法を使う亜人というのは誤解であり。ついでに言えば、アプトムは正体を隠すために本来の戦闘形態である
獣化を封じて戦わなければならないのだが、そんな事をルイズは知らない。誤解させていると知っていて黙っているアプトムにも非はあるが。
「とりあえず、逃げずに来たことは、褒めてやろうじゃないか」
手に持った薔薇の造花を掲げ、歌い上げるように告げるギーシュ。気分は舞台俳優である。主演はもちろん自分だ。
「逃げる理由がないからな」
淡々と返すアプトムに、やる気を感じさせるものはない。本人的には、子供のケンカに無理矢理担ぎ出されたような感覚なのだから当然で
あるが。
と言っても、まったくやる気がないというわけでもない。使い魔の役目が主であるメイジを守ることであるなら、いずれ来るその時のため
にメイジとの戦いを経験しておくのも悪くないのだから。そんな理由でもなければ、ルイズが何を言おうが決闘などする気はなかったが。
「では始めるか」
ギーシュには、相手のやる気のなさなど意味を成さない。彼の脳裏には華麗に平民を叩きのめし、小生意気なヴァリエールをへこませる自
分の輝かしい未来予想図が浮かんでいるのだから。ようするに自分に酔っているのだ。
客観的には、女の子にフラれた腹いせに平民をイジメ倒そうとしているだけなのだという自覚は、彼にはない。
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」
そう言って振った薔薇の花びらが一枚宙に舞い、それが甲冑を着た女戦士の形をした彫像になる。
「言い忘れたな。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。したがって、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」
ギーシュの命令に応えて、ワルキューレはアプトムに青銅の拳をぶつけ……。ようとして、その腕を取られ足をかけられてひっくり返り、
その頭を踏み潰されて沈黙する。
あっさりと着いた決着に、ギーシュも周囲の生徒たちも頭が真っ白になり、少ししてアプトムが「終わりか?」と尋ねてきて始めて、彼ら
は現実を理解し喚声を上げる。
ただし、彼らの認識はアプトムが凄いというものではなく、ギーシュが不甲斐ないと嘲る種類のもの。
自分の世界に入っていたギーシュの耳にもそれは届き、羞恥に顔を赤く染める。
「少しは、やるようだね。だけど勝負はこれからだよ」
そうして、もう一度振られた薔薇から舞う花びらは六枚。七体のワルキューレを生み出すのがギーシュのメイジとしての限界。一体では敵
わないと知った彼は、残りの六体にアプトムを襲わせる。
そんなギーシュを、アプトムはつまらなそうに見ていた。
調整により単体で戦車と戦える戦闘力を得たゾアノイドといえど、普通は獣化していなければ、ただの人間と変わらない。
だが、アプトムは普通のゾアノイドではない。度重なる再調整による突然変異体であるアプトムは、融合捕食の能力を借りてではあるが、
獣化なしで並のゾアノイドを押さえ込む筋力を持っている。
そうでなくても、ワルキューレは一対一なら戦闘訓練をつんだクロノスの戦闘員なら誰でも獣化なしでも、まず負けることはない相手だろ
うとアプトムは判断する。
ワルキューレが剣なり槍なりの武器を持っていたなら話は別だが、ギーシュも命のやり取りまでする気はなかったので、ワルキューレは皆
素手である。
「行け! ワルキューレたちよ」
ギーシュの号令に従い、ワルキューレたちはアプトムに向かい取り囲もうとするが、それを許すアプトムではない。一体の腕を掴み、それ
が棍棒であるかのように振り回し他のワルキューレに叩きつける。
アプトムの剛力で叩きつけられた青銅の女戦士たちは、ひしゃげ歪み破壊される。
「次はどうする?」
アプトムが、そう尋ねた時には、もう動くワルキューレはなくなっていた。
もはやワルキューレを作るだけの精神力は残っていない。そして、魔法なしで勝てる相手ではない。自己陶酔の激しいギーシュといえど、
それが分からないほど現実がみえないわけではない。
「参った」
それは、敗北宣言。だが、ギーシュの胸のうちにはまだ闘志が燻っていた。なぜなら、アプトムの自分を見る眼に気づいたから。
この平民は、自分を敵と認識していない。対等の相手と認識していない。子供が大人を見る眼とも違う。いうなれば、それは虫かごに入っ
た昆虫の観察。
そんな眼で自分を見る相手に怒りを感じないほど彼の矜持は小さくはない。
だから、彼は心に誓う。今は無理でも、この平民をいつか必ず屈服させてやると。
「勝ったのう。素手で」
「勝ちましたね。素手で」
ヴェストリ広場を映し出した鏡を見ていたオールド・オスマンとミスタ・コルベールは、使い魔の平民が素手でギーシュに勝利する様を納
得がいかないという眼で見ていた。
「ガンダールヴの、ありとあらゆる武器を使いこなすという設定はどこに行ったんじゃろうの?」
「まあ、考えてみたら、剣だの槍だのが使いこなせたからと言って、平民がメイジに勝てる道理はないですしね」
「うむ。そう考えると武器がなくても強いというのは理にかなってるわけか。まてよ……」
オスマンの眼が、鋭く光る。普段は、ミス・ロングビルにセクハラをする時にしか見せない鋭さで。
「或いは、ガンダールヴとは全身これ武器の人間凶器で、その肉体のあらゆる部分を武器として使いこなしたから、あらゆる武器を使いこな
したと伝えられたのかもしれん」
「なるほど。その拳は空を裂き、蹴りは大地を裂く破壊の化身というわけですね」
「うむ。それにガンダールヴは『神の盾』とも呼ばれる。息の一吐きで火の魔法を吹き飛ばし、水の魔法は飲み干し、腕の一振りで風の魔法
を蹴散らすぐらいはできるのかもしれん」
「ええ。さらに……」
コルベールが言いかけた時、黙って仕事をしながら聞いていたロングビルが、耐え切れず口を挟む。
「馬鹿ですか。あなたたちは」
というか、馬鹿ですね。そう思ったロングビルに二人から「いたのか?」という視線が集まる。
「ええ、いましたよ。さっきから、ずっとね」
冷たく答えたロングビルは、二人の自分を見る視線が思ったより冷たいことに気づき狼狽する。
この女にだらしない二人なら、どうして戻ってきてるのか、と詰問されても「入室の許可はちゃんと確認したはずですよ」と言い逃れをす
れば済むだろうと考えていた彼女にはあまりにも以外な反応である。
失敗したか。そう思う彼女にオスマンは冷たい声で告げる。
「カーッ! 空気を読まん秘書じゃのう」
「へ?」
「まったくです。我々とて、馬鹿な妄想だという事は理解していました。その上で真面目に馬鹿な話をしていたというのに」
「あの……」
「そんな風だから、その歳になって結婚もできんのじゃ」
「えっと……」
「空気を読まないで投げるって感じですよね」
やれやれ、どうしようもない女性だ。と、どうしようもない男二人が肩をすくめて首を振る姿に、ロングビルはぶち切れる。
「分かりましたよ。話をあわせればいいんでしょう?
ガンダールヴは、変身することができて、空を飛び火を噴き雷を操る不死身の戦士で、一度戦った相手の必殺技を使いこなし、更に後二回
変身を残しているんです」
どうだ! と言い放つ彼女に向けられる視線は温度を取り戻す。そして、二人は言う。
「うわあ……」
「痛いのお……」
その生暖かい視線に、ロングビルは、もうだめだ。限界だわ。と自覚する。
後に彼女は述懐する。
「給料もいいし、もう盗賊なんてやめて学院長の秘書を続けていこうかしら。そんな風に思っていた時期が、私にもありました。でも、無理。
あいつらと同じ職場なんて耐えられない」
支援
投下終了。
ギーシュイベント終了。そしてシエスタフラグは立てない男アプトム。
書いてて私はこう思いました。これはルイズに召喚されたアプトムの物語やない、
アプトムを召喚したルイズと、その他の人たちの物語や。
それは、さておき情景描写が書けなくて心理描写で誤魔化してる私に、バトルなんぞ書けるわけも無く、
しかし、あまりにもあっさりしすぎて盛り上がらないので、学院長室で漫才やってもらって誤魔化すでござるの巻。
さるさん規制くらったけど、00分解除と聞いたのでちょっと待ってみた。
戦闘描写は犠牲になったのだ……。漫才の犠牲にな……。
お尻を触ったネーチャンがフーケだったでござるの巻
難しく考えないで、石が跳ねたとかそういうのを大げさに書いておけば戦闘描写はなんとかなるもんさ
投下乙
アプトムの人、乙です。
まあ、アプトムはハルケギニアではほぼ最強だろうし、
本人よりも周囲の物語のほうが面白くなるんじゃないかな。
しかしシエスタは見事に割り食ったなあ、もう出てこれないのだろうかw
これはいいゼロ魔レイプ
アプトムが本気を出せないようにシナリオを調節するのが大変そうだw
確かに、アプトムにとってこの程度、戦いの内に入らない。子供のケンカレベルですらない。
それこそ、虫けらが人間に挑むようなものでしかない。
しかし、シェスタフラグ無しということは、ゼロ戦も登場しないのか? まあ、アプトムが
本気を出せば、ゼロ戦なんかより遙かに強い、そんなもの必要ないとは言えるだろうが。
まあ乙ですが、強すぎる上に比較的温厚なせいで盛り上がらんねえ。
蒼みたいに大人げない性格ならもうちょっとは…
乙です
わかってたさ、バージョンWを見せる相手じゃない事くらい…
まあまあ。アプトムが本気出したら冗談抜きで一国を滅ぼしちゃえるから。
それどころか単体でハルケギニアを焦土に出来る。
そう、都市のひとつか二つ食っちまえばいいんだ。数万のアプトム軍団。
やっても意味無いからやらんだろうけど。
>>477 ゼロ戦で思い出したが、この時点のアプトムって単独で飛べるはずだよな。
どのくらい速いんだろう?シルフィードといい勝負できるんだろうか?
みんなアプトム好きだなあ。
俺も大好きだ。
それとは別に妙な電波を受信してしまった。
実在の人なんで呼べないが・・・
「虚無をいつまで信じてた?なんてふざけるな!いつからなくなったんだよ!
いいか?始祖の心を受け継いでこれからはルイズが虚無になるんだよ。
虚無なんか実際ないよなんてことをまるで自分は知識人?常識人である風に言う奴には、正面から向かって目をみて言ってやれ!
俺が虚無だと私が虚無なんだと。ルイズ、虚無になろうよ。
でかい、でかい虚無になれ」
ロングビルがやけになって言った「変身することができて〜」が当たっていて笑えるw
>482
STVはどうにもならんかったみたいだ
アプトムの人乙です。
まぁ、アプトムだからねw
次回にwktk。
アプトムってハイパー5人衆を4人食ったところからパワーアップしてないから、ガイバーがパワーアップしたり
獣神将がぞろぞろ出てきてる昨今、弱っちく感じるけど本当は凄いと再確認した
言われてみれば、メイジにゃヴァモアレーザーだけでも反則攻撃だよな。
偏在作っても生体ミサイルが来るし・・・
アプトム乙。
これは嫉妬ではないに吹いた。
うむ、これは正義だ。
>>486 獣神将には融合捕食も通用しないから、能力的には頭打ちなんだよな。
今死海にいるカールレオンなら食えるかもだけど、ゾア・クリスタルなしで遺伝子情報だけ取り込んでもどれだけ強くなれるんかねってのはあるし。
でも奴の真価はスペックそのものよりも、踏んだ修羅場の数と戦況に応じた無数の能力を使いこなせる機転のような気もする。
>>407 メタルヒーローならジバンとかどうかな。
「対バイオロン法第一条。 機動刑事ジバンは、いかなる場合でも令状なしに犯人を逮捕することができる。ミス・ロングビル・・・いや土くれのフーケ! 連続マジックアイテム窃盗犯として逮捕する!」
「ちょっと、証拠は!?」
「必要ない」
「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!」
とか。
「ワルド!あなたレコン・キスタの・・・!」
「いかにもぼくはレコン・キスタの一員さ・・・・ん? 使い魔君、何か言いたい事でもあるのかね?」
「・・・・対バイオロン法 第五条。人間の信じる心を利用し、悪のために操るバイオロンと認めた場合、自らの判断で処罰する事ができる。
ワルド。お前は自分を信じていたルイズを裏切った。その気持ちを踏みにじった。貴様は紛れもなくバイオロンだっ!」
「信じるのはそちらの勝手さ。それとも何かい? ぼくは自分が望みもしない信頼にもいちいち応えてやらなければならないのかい?」
「対バイオロン法第六条! 子供の夢を奪い、その心を傷つけた罪は特に重い! 貴様はもはや、抹殺ですら生ぬるいぞワルド!」
「ちょっと、誰が子供よっ?!」
とか。
いや、ハルケギニアでも多分対バイオロン法を振りかざして大暴れしてくれるだろうなと思って。w
ジバンはスパイラスで空中戦するのが見たいw
>>488 >ジバン
デカレンジャーとジャッジドレッドがアップを始めたようです。
ジバンか・・・
「使い魔っていうのは」
「分かっているさ、愛する者を自分を捨てても守るんだ」
>>375 遅レスだがニャルさまは幼女と子作りしているのもいる
さすがニャルさま、俺たちに出来ないことを(ry
アプトムの方、乙でした。
作中に漂っている軽妙な雰囲気が良いですな。
さて、他に予約の方がおられなければ、21:45から投下を行います。
待っていたのも私だ!
支援するのも私だ
支援するでセガール
きたきた
支援
トリステインの王宮の門の前に、巨大なモグラをくわえた青い風竜が降り立つ。
その背に乗っているのは、5人。
桃色がかったブロンドの美少女、燃えるような赤毛の長身の女、眼鏡をかけた青い髪の少女、金髪の少年、そして……やたらと気分が悪そうな、銀髪の男である。
「ぐっ……き、気分が、悪……い……」
「あーもう、やっぱり酔ったか。もう目的地には到着したから、取りあえず深呼吸でもしたらどうだね?」
「……下手に深く呼吸をすると、むしろ……」
「これでよく吐かなかったよなぁ」
金髪の少年と銀髪の男のそんなやり取りが交わされている間に、幻獣……マンティコアにまたがった兵士たちが、彼女たちを取り囲んだ。
「杖を捨てろ!」
隊長らしきヒゲ面の男が叫ぶ。
彼女たちは少し相談した結果、言われた通りに杖を地面に投げ捨てた。
そして桃髪の少女が前に出て、隊長らしき男と話を始める。
「今現在、王宮の上空は飛行禁止だ。ふれを知らんのか?」
「……わたくしはラ・ヴァリエール公爵家が三女、ルイズ・フランソワーズです。怪しい者じゃありません。姫殿下に取り次ぎ願いたいわ」
やり取りをする少女と隊長を横目に『かつて全てを超越しようとした男』―――ユーゼス・ゴッツォは竜酔いに苦しみつつも、その竜の背から降りた。
別に自分の主人を守ろうとか、援護しようとか思ったわけではない。
ただ竜の背中に乗っているよりは、平坦な地面にいた方が幾分マシだろうと判断したのである。
その情けない姿が見ていられなくなったのか、他のメンバーも風竜の背中から降りて行く。
「動くな!!」
しかし、その動きを警戒したマンティコア隊の隊長に制止されてしまった。
途端に他の隊員たちは見事な手際で杖を構え、呪文を詠唱し―――
「ルイズ!」
その詠唱終了まであとわずかとなった時、宮殿から鮮やかな紫のローブとマントを羽織った女性……アンリエッタ王女が駆け寄ってきた。
「姫さま!」
アンリエッタの姿を見て、ぱっと表情を明るくするルイズ。
そしてそのまま二人はひしっと抱き合あった後、ルイズは自分自身と今回の任務の主目的である手紙の無事を示し、アンリエッタはそのことを大いに喜ぶ。
だが、帰ってきたメンバーの中に自分の愛する人物がいないことに気付くと、アンリエッタの顔は曇ってしまった。
「……ウェールズさまは、やはり父王に殉じたのですね……」
と、その時、
「…………アンリエッタ姫殿下」
ユーゼスが青い顔をしながら、アンリエッタに話しかけた。
「あなたは確か、ルイズの使い魔の……」
「……ユーゼス・ゴッツォと申します」
相変わらず気分は悪いが、取りあえずこれは果たしておかねばなるまい。
「これを」
懐から『風のルビー』を取り出し、アンリエッタに手渡す。
「これは……『風のルビー』ではありませんか。ウェールズ皇太子から預かってきたのですか?」
「そのようなものです」
本当は死体から抜き取っただけなのだが、あのまま放置しておくよりはマシだと考えたのである。
そして次に、その今は亡き皇太子からの伝言を伝えた。
「『ウェールズは勇敢に戦い、勇敢に死んでいった』……これだけを伝えてくれれば心残りはない、ともおっしゃられていました」
「そう……ですか」
ますますアンリエッタの表情が曇っていく。
だが彼女は周囲にいるマンティコア隊の面々の視線に気付くと、気を取り直して彼らに説明した。
「……彼らはわたくしの客人ですわ、隊長殿」
「さようですか」
それだけで、アッサリとマンティコア隊は引き下がっていく。
君主制における王族の権力は凄いな……などと、ユーゼスは思わず変な感心をしてしまった。
まあ、それはさておき。
「……それでは、私はこれで」
「はあ!? ちょ、ちょっと待ちなさいよ、ユーゼス! どこに行こうって言うの!?」
いきなりその場を立ち去ろうとしたユーゼスに、ルイズは仰天した。
ユーゼスは、体調の悪さが窺える口調で話す。
「……あの風竜に酔ったので、気分が悪い。酔い覚ましに風に当たっていたいのだが」
「だからってねぇ……!」
「……それに、こんな格好で王宮の中に入るわけにもいくまい?」
言って、自分の服装を改めてルイズに見せた。
その白衣は道中の戦闘で、かなりボロボロになっている。確かに『王宮の中にふさわしい服装』とは言えない。
「……まあ、そうね」
納得してしまうルイズ。
よくよく考えてみれば別にユーゼスがいなくとも、自分とギーシュとキュルケとタバサで詳しい状況の説明は出来るだろう。
「じゃあ、適当にトリスタニアをブラついてなさい。何だったら、そのまま魔法学院に戻ってもいいわよ」
「そうしておく。……ついでに白衣も新調しておこう」
言って、ユーゼスはブルドンネ街へと、ルイズたちは王宮の中へと入っていった。
「……やれやれ」
溜息と共に、ストレスを吐き出すユーゼス。
実を言うと、体調管理などクロスゲート・パラダイム・システムを使えば一瞬で解決が出来た。
と言うかたった今、酔いは消した。
自分自身の因果律も操作が出来ないようでは、このシステムを持っている意味がない。
何せ、やりようによっては死人ですら無傷で復活させることが出来るのだ。
今までユーゼスが自分の身体に対してそれをしなかったのは、怪我などの『痛みをともなう』ものはあまり急激に回復すると怪しまれるし、自分は『痛い振り』が出来るような演技力も持ち合わせていないからだった。
……なお、筋肉痛を治さなかったのは『中途半端に腕力や体力があると思われても困る』からである。
なのでこれらに関してはシステムを使わず自然回復や秘薬に任せているが、酔いのような『少し時間を置けば回復する』ものならば別に構わないだろう。
―――また、言えば確実に主人から怒鳴り声が飛んだだろうから言うつもりはないが、ユーゼスは『王宮の中』などという空間があまり好きではない。
どうせ無駄な装飾でゴチャゴチャした内装をして、高飛車な貴族でごった返しているに決まっているのだし。
「さて……」
まずは白衣を新調する必要がある。
そしてその後は、
「そう言えば、呼び出しを受けていたな……」
直接会うのはこれが二度目になるが、あの眼鏡の女性の所に行かなければならないだろう。
支援
魔法って貴族の血統=遺伝子とかに使用条件等あるだろうから
貴族を融合捕食したら魔力も使えるようになるんだろうかアプトム
ぺたぺたぺた。
「ふぅーん……」
「……………」
ぺたぺたぺた。
「外面的には、これと言って特長的な部分はないわね……」
「……終わったか、ミス・ヴァリエール?」
少しゲンナリした様子で、エレオノールに語りかけるユーゼス。
彼は、御主人様の姉に身体中を触られまくっていた。
白衣を新調し、次にアカデミーに向かい、衛兵に自分の名前とエレオノールに用がある旨を告げ、そして前にも来たことのあるエレオノールの研究室に通された直後、
「あなたの身体を調査するから、脱ぎなさい」
と、金髪眼鏡の美人から、いきなり出会い頭にそう命令されてしまったのである。
言われるがままにユーゼスは上半身裸になり(下半身を脱がない程度の羞恥心やプライドは、まだ彼にもあった)、そしてそのままぺたぺたぺたぺたと触診されていたのだが。
「…………よく分からないわ」
「何だ、それは?」
エレオノールからその結果を聞いて、ユーゼスは更にゲンナリした。
「取りあえず、そこに座りなさい」
いつまでも上半身裸でいるわけにもいかないので上着と白衣を着直し、言われた通りにその辺りにあった椅子に腰掛ける。
エレオノールは何かを考え込む素振りを見せた後、ユーゼスを見てゆっくりと口を開いた。
「……あなた、自分の身体に何か変化は感じる?」
「変化だと?」
「例えば、ルイズと使い魔の契約をする前と比べて、『道具を上手く扱えるようになった』とか……」
じっとユーゼスを見ながら問いかけるエレオノール。
……前置きなしで物を言う女だな、などと思ったが、これはこれで話が早くて良いかも知れない。
ならばこちらも、余計な前置きや詮索はなしで行くとしよう。
「私をここに呼び出した用件とは、ガンダールヴのことか?」
「!」
エレオノールの目が見開かれるが、その目はすぐにスッと細まった。そして一瞬の沈黙の後、警戒するような口調で質問を開始する。
「……どこまで知っているのかしら?」
「『伝説の使い魔である』こと、『かつて同じ存在がハルケギニアで確認されていた』こと、『あらゆる武器を使いこなした』……いや、『使いこなせる』こと、『武器を持てば身体能力が強化される』こと、『身体能力の強化は感情の高ぶりに比例する』こと―――この程度か」
「そう……。まあ、あなたなら自分でその程度は調べられるでしょうね」
意図的に隠している部分もあるが、精神操作や言語の理解などの機能は、別に明かさずとも良いだろう。
自分の体調を操作できるのならキン肉をつけることも出来そうなのにそれをしないのは・・・サボりか
支援
このユーゼスなら久保も見逃しそう支援
では、次はこちらが質問する番だ。
「そちらの持っている情報は?」
「あなたと大差はないわね。ただ……」
「ただ?」
エレオノールは少し躊躇したようだが、やがて意を決したように告げる。
「……これから話すことは他言無用でお願いしたいのだけど、良いかしら」
「その内容によるな」
「……………」
躊躇の度合が深くなる。
自分の持っている情報を、果たしてこの男に明かすべきかどうか……。
「……『他の人間に話さない』と確約が出来なければ、私からあなたに情報を与えることは出来ないわ」
「ほう、ならば『私が自分でその情報を掴んだ』のならば、いくらでも話して構わないのだな?」
「っ……」
眼鏡越しに睨まれる。
それ自体は彼女の妹から頻繁にされているので慣れたものだが、年齢や経験を経た『鋭さ』のようなものが加味されている分、いくらかプレッシャーを感じた。
やがて、ふう、と大きく溜息を吐き、諦めたようにエレオノールは手持ちのカードをさらす。
「……ガンダールヴは、かつて始祖ブリミルが使役したとされる使い魔なのよ」
「…………始祖だと?」
ユーゼスの表情が動いた。
魔法学院の図書館で様々な書物を読んでいれば、始祖ブリミルに関して書かれた本に行き当たることも珍しくはない。
よって、ユーゼスもハルケギニアの一般常識程度には始祖とやらの知識があったのだが……。
「人間を使い魔にしていたのか、ブリミルは?」
「そうらしいわね。かなり古い本に書かれていたことだから、真偽は疑わしいんだけど」
曰く、始祖は4体の使い魔を使役していた。
曰く、それらの名称はガンダールヴ、ヴィンダールヴ、ミョズニトニルン、そして名称不明のものが1体。
そしてユーゼスの左手に刻まれているルーンは、記録されているガンダールヴのそれと同じである。
「名称不明とはどういうことだ?」
「『記すことすらはばかられる』って書いていたけど……記録されていないのなら、知る方法はないわね」
ふむ、と思考するユーゼス。
(……つまり、私は『始祖ブリミルが使役していた使い魔』と同じ存在ということか)
もしそれが本当ならば、『それを使役する自分の主人』は―――
「―――ならば私の御主人様は、始祖と同じ存在ということになるな」
「……………」
支援しますの
これで、この女が伝えることを躊躇した理由が分かった。
まさか『自分の妹が始祖ブリミルと同じです』などと、軽々しく口に出来ようはずもない。
難しい顔をしているエレオノールに構わず、ユーゼスは言葉を続ける。
「始祖の系統は、四系統のいずれにも属さない『虚無』……。
これでいくら系統魔法を使おうとしても『不可解な爆発』しか起こらない理由に、ある程度の説明がつく」
全く系統が異なるのであれば、他のメイジたちと同じようにやっても成功するわけはあるまい。
「『ゼロ』が転じて、『虚無』のルイズか。知れば笑いが止まらないだろうな、御主人様は」
「……笑いごとじゃないわよ!」
平然と言うユーゼスに向かって、エレオノールは怒鳴り声に近い叫びをぶつけた。
そして左手で額を押さえたまま、悩みながら喋り出す。
「…………私だってね、いまだに自分の妹が『始祖が使った伝説の系統』だなんて信じられないわ。でも、あなたの存在がそれを裏付ける証拠になってしまう……」
「まるで自分の妹が『虚無』では都合が悪いような言い草だが……」
「悪いわよ、物凄くね」
もはや恨みすらこもった視線を向けられる。
「……これが私以外の研究員や、王室に直接知られてごらんなさい! ルイズは良くて『道具』や『兵器』扱い、下手をすれば『実験動物』や『解剖のサンプル』よ!?」
そのエレオノールの剣幕に、ユーゼスは意外そうな顔をした。
「……何よ?」
「お前はもう少し割り切った考え方をするものと思っていたのでな、驚いただけだ。研究者ならば、まずは調査や実験が最優先なのではないか?」
自分ならそうする……と言おうとして、眼鏡越しに睨む視線がキツくなったことに気付いた。
「……確かに興味や好奇心はあるわ。それは認めましょう。
…………でもね、好きこのんで自分の妹をサンプル扱いするわけがないでしょう!! 私は研究者である前に、ルイズの姉なのよ!!」
「ふむ」
怒り方がどことなくルイズに似ているな、などとユーゼスはどこかズレた感想を抱く。
しかし、どうもこの女は自分とは―――少なくとも過去の自分とは、違うタイプの研究者のようだ。
何せ自分にはクロスゲート・パラダイム・システムの実験がてら時空間と因果律を操作して異星人連合ETFを乗っ取ったり、
ウルトラマンをデビルガンダムに取り込ませよう……などと考えて実行しようとしたり(それは失敗したが)、
そのデビルガンダムの生体ユニットの予備として操るため、5人の少年たちにナノマシンを注入した(ナノマシンは抹消されたが)前歴がある。
それに比べれば、甘いと言わざるを得ない。
しかし。
「……人間としては、それが正しいのだろうな」
「当然よ!」
人としての一線。倫理観や道徳の縛り。人間を『単なる道具』として見れるかどうか。
かつて自分が踏み越えた道ではあるが、そのあげくの果てが『今の自分』であることを考えると、決してお勧めは出来ない道である。
まあ、エレオノールがその道を選ぶとも思えないが。
「……話を戻すわね。
それで、ガンダールヴの身体を直接調べてみれば『虚無』の片鱗くらいは分かるんじゃないかと思ったんだけど……」
「見事に当てが外れたわけだな」
「まあ、ね。
……そもそも触って分かるくらいなら、『ディテクト・マジック』をかけた時点で分かってるはずだし……」
エレオノールはユーゼスを見て考え込む。
「あなたの方で、ガンダールヴの能力以外に何か分かっていることはある?」
「それならば私よりも、この剣に聞いた方が良いだろうな」
そう言うと、ユーゼスは近くに置いていたデルフリンガーを鞘から抜いた。
「デルフリンガー、お前の知っている『虚無』の情報を提供しろ」
「…………いきなり抜いてそれかよ。もうちょっと、こう……愛情とまでは言わねえけど、愛着って言うか、さ。
仮にも命がけの戦いを共に潜り抜けた『戦友』に対する―――」
「いいから言え」
ぶつくさ文句を言うデルフリンガーだったが、その途中でユーゼスに黙らされてしまう。
と、そんな様子を見てエレオノールが眉をひそめた。
「何、そのうるさそうなインテリジェンスソードは?」
「この剣が言うには、『自分はかつてガンダールヴに握られていた』そうだ」
「……本当?」
「真偽は怪しいがな」
「おい、引っ張り出しといて何だ、その言い草は!?」
自分のすぐ近くでかなり失礼な会話をされて、さすがにデルフリンガーも怒る。
研究者2人は、揃って『大して期待していません』という視線をデルフリンガーに向けて、
「では、あらためて質問するが。かつての『虚無』やガンダールヴについて、お前が記憶―――この場合は記録か? ともかく、知っていることを話せ」
ぞんざいな口調で質問した。
だが、返って来た回答は、
「覚えてねえ」
「……捨てるか」
「そうね」
ほとんど感情を込めずにそう判断するユーゼスとエレオノール。
そして『この剣は頑丈で、魔法も吸収するから炉に直接放り投げて―――』などとユーゼスが説明し始めると、デルフリンガーは慌てて弁明を始めた。
「ちょ、ちょっと待てって! 俺は六千年も長いこと剣をやってきたんだぞ!? そんだけ時間が経てば、そりゃ忘れもするって!!」
「……私は二万年以上もの間、生き続けている種族を知っているぞ」
「何それ!? どんなバケモンだよ!!? ああもう、とにかく捨てないで、溶かさないでぇ……!!」
鍔をガチャガチャ鳴らして自分の存在を主張するデルフリンガー。
彼の一応の主人であるはずの男は、一瞥すると黙って彼を鞘に仕舞った。
「余計な時間を取らせてしまったな」
「まあ、良いわ。……でも、結局『虚無』については何も判明してないわね……」
「いずれ御主人様が系統に目覚めれば、判明することもあるだろうが」
「……それじゃ遅いのよ」
少し苛立たしげに言うエレオノール。
保守
そんな彼女に構わず、ユーゼスは立ち上がる。
「これ以上、ここにいても意味がないな。
私は魔法学院に戻る。連絡があれば、手紙なり直接足を運ぶなりしてくれ」
「ええ」
ユーゼスはそのままドアへと向かい、取っ手に手をかけたが、そこでエレオノールがあることに気付いた。
「…………待ちなさい」
「まだ何かあるのか、ミス・ヴァリエール?」
振り向くと、ルイズと同じようなジトっとした目が自分を見ていた。
「私、あなたが前に来た時に『喋り方を直しておきなさい』って言ったわよね?」
「む?」
そう言えば、そんなことも言われていたか。
それに対して、確か自分は……、
「『考えておこう』と返したはずだがな。確かに『考えた』ぞ? おかげで敬語を使わねばならん状況では役に立っている」
「……じゃあ、なんで私には使おうとしないのよ?」
「その気にならんだけだ」
取りあえず自分が敬語を使うのは『ある程度以上の社会的地位があり』、『ある程度以上、腹の内が読めず』、『ある程度以上、気を許せない』と判断した相手としている。
ちなみに『ある程度』の基準は、かなり曖昧だが。
「何だか、ごく自然にあなたのその口調を聞いてたけど……」
「……では、これからはこのような口調であなたに対して接することにいたしましょうか、ミス・ヴァリエール?」
試しにエレオノールに対して敬語で話してみると、不機嫌そうな顔が余計に不機嫌になった。
「…………今更そんな風に喋られても、気持ちが悪いことが判明したわね」
「私も違和感があるな」
この辺りは、主人に対して敬語を使わないのと同じだろうか。
はあ、とエレオノールは溜息を吐き、ユーゼスに退室をうながす。
「ああもう、じゃあ口調はそのままで良いわ。……私も仕事があるから、今日はここまでね。
分かってるとは思うけど……」
「“御主人様に『虚無』のことは伏せておけ”だろう、承知している。私もそこまで短慮ではないよ」
これでまた『考えておこう』などと抜かしたら、そこらにある本を手に取って思いっきり投げつけよう―――などと思っていたが、さすがにそんなことはなかったようだ。
「……信用するわよ? 良いのよね?」
「それこそ『信用する』しかあるまい」
そう言って、今度こそユーゼスは退室した。
自分一人となった研究室の中でエレオノールは本日何度目かの溜息を吐き、こめかみを押さえる。
「何かあの男といると変に口が回ると言うか、ペースがおかしくなると言うか……」
よくよく考えてみると『自分と対等に話す男』というのは、アレが初めてなような気がする。
他にリラックスして話せる男と言えば父親くらいだが、親子の関係を『対等』とは言えないだろう。
「……そう言えば、あの男に関しては何も聞いてないわね」
研究内容に関してはレポートを見せてもらっているし、そのレポートから薄くではあるが人間性も読み取れている。
だが、ユーゼス個人については何も知らないことに気付いた。
「……今度会った時にでも、聞いてみるか」
しかし次に直接会う機会はいつになるのだろう……などと考えていると、自分のデスクの上の一枚の書類が目に入った。
王宮からの仕事の依頼だが、アカデミー内では断る方向で話が進んでいたものである。
「……そうね、ガンダールヴの戦闘能力を見る良い機会だし……」
自分の仕事がある程度落ち着いたら持ちかけてみるか、とエレオノールは画策するのであった。
間違えた
支援
アルビオンから帰還した翌日。
いつものようにルイズの世話をしようとしたユーゼスは、困惑していた。
ルイズの態度がおかしいのである。
洗濯を済ませ、身体を揺らして起こすことまでは同じであるのだが、顔を洗おうとしたら『自分で洗うから、いいわ』などと言い出した。
これは明らかに変だ。
ユーゼスの記憶にあるルイズは、『さっさと洗いなさいよ』とか『まったく、これだから平民は……』とか『閉じこもって本ばっかり読んでるから動作が遅いのよ』とか、そのようなセリフをバシバシ飛ばすはずだったのに。
頭に疑問符を多く浮かべながら黙って下着を替える光景を眺めていると、顔を赤くしながら『あ、あっち向いてなさい!』と言われた。
……以前、羞恥心を感じないのかと質問したら『使い魔に見られたって、何とも思わないわ』と言っていたはずのに、一体どういうことなのだろうか。
次は着替えさせようとすると、今度は慌てた様子で『服、置いといて』と言い放った。いつもなら眠そうな目をしながら腕をダランとさせて『早く着せなさいー』という感じだったのに、何があったのだろう。
更に、下着だけではなく普通に服を着替える時まで見ることを禁止された。何なのだ、この豹変ぶりは。
さすがに髪を梳くのは普通にやらせていたが、顔が妙に紅潮していた。意味がよく分からない。
変化はまだあった。
食堂に移動し、またいつものように床で食事を取ろうとしたら、その食事がなかったのである。
理由を問い質そうとすると『今日からアンタ、テーブルで食べなさい』と言われてしまった。『アンタはわたしの特別な計らいで、床』と言っていたのに。
ルイズが指差した席に本来座るはずだったマリコルヌという生徒と一悶着あったが、そこはユーゼスが自分で椅子を持って来ることで解決した。それについてルイズは良い顔をしなかったが。
(…………?)
おかしい。変だ。怪しい。
この少女が自分を懐柔しようとしたり、何らかの罠を仕掛けようとしているのか、あるいは別の何者かの陰謀か?
まさか何者かが過去に時空間移動してルイズの人格を改変したのでは―――などと考えてクロスゲート・パラダイム・システムを起動させてみたが、特にそんな形跡は見当たらない。
自分が何かしたのだろうか、とも考えたが、特に思い当たる節もない。
(……全く分からない……)
本当に分からないので、やむを得ず無駄に人生経験(人ではないが)が豊富そうなデルフリンガーに聞いてみると『駄目だこりゃ』と言われた。何が駄目だと言うのか。
(…………まあ、私に実害があるわけでもないのだから、構わない……のか……?)
どことなくしっくり来ないのだが、とにかく半ば強引に納得しようとするユーゼスであった。
しかしユーゼスの戦闘力は並のガンダールブより一回り以上弱いんだよなぁ
テンションの起伏が少ないから有る意味正確に実力を測れるだろうけど
支援
エレオノールフラグ支援
それはともかくとして、その日の授業はコルベールが担当だった。
彼は自慢げに教卓の上へと妙な物を置くと『早くこれについて説明したいなぁ』とばかりにニヤニヤする。
(……アレは……)
ユーゼスはその『妙な物』が何なのか、一目で理解した。
円筒状の金属の筒に、また金属のパイプが付属。
そのパイプは簡単な造りではあるが送風機のような部分に繋がっている。
円筒の頂上にはこれも簡単ではあるがピストンがあり、ピストンは更に円筒の脇にある車輪に繋がる。
そして車輪は扉のついた箱に、数個の歯車を経由して接続されていた。
「……………」
ユーゼスは黙ってそれを見ている。
やがてコルベールは『これは油と火の魔法を使って、動力を得る装置です』と説明し、その『原始的な動力装置』を起動させた。
「ほら! 見てごらんなさい! この金属の円筒の中では、気化した油が爆発する力でピストンが動いておる!」
興奮しながら原理を説明するコルベール。
……それに対する魔法学院の生徒たちの反応は冷ややかで何の感想も抱いていないようだったが、ユーゼスだけは『ある感想』を抱いていた。
(……危険だな、この男)
自分の専門は工学系ではないが、多少の知識や実務経験はある。
アレはあのまま順調に改良・発展を重ねれば、間違いなく兵器に転用されるだろう。
それはこの世界の文明に多大な貢献をもたらすだろうが、引き換えにこの世界の住人たちを傷つけ、殺し―――大気を汚染し、自然を破壊するのだ。
たとえ発端の思想が『平和利用』だったとしても、それを悪用する人間は必ず存在する。
かつて自分が所属していた、銀河連邦警察ですらそうだった。
宇宙刑事ギャバンの父であるボイサーが命懸けで守り抜いた超兵器、ホシノスペースカノンの設計図。それを元にホシノスペースカノンを量産し、他星に対する自分たちの戦力として配備した。
……ユーゼスが『人間』というモノを嫌悪した一因でもある。
「で? それがどうしたって言うんですか?」
「そんなの、魔法で動かせばいいじゃないですか」
「何も、そんな妙ちきりんな装置を使わなくても……」
―――まあ、この生徒たちの反応を見るに、そこまで危険視する必要もないかも知れないが。
なお、その後『アレを動かしてみなさいよ』と金髪巻き毛の少女に挑発されたユーゼスの御主人様が、勢いあまってあの装置を木っ端微塵に爆発させて火事が起こしたりしていた。
これであの男の研究意欲も削がれれば良いのだが……と思ったが、おそらく無理だろう。研究者とはそういうものだ。
何よりも、今の時点での問題は……。
……この滅茶苦茶になってしまった教室を、また自分たちが片づけなくてはならないということである。
ユーゼスの抜けてるとこが大好きだ支援w
教室の片づけが終わったのは、日が暮れてからだった。
相変わらずルイズは肉体労働をユーゼスに担当させるものだから、とにかく疲れた。
藁束の上に倒れ伏すユーゼス。……そう言えば、そろそろ就寝の時間である。
疲労でクタクタの身体をどうにか奮い立たせ、御主人様の着替えを取り出そうとクローゼットに向かうと、その御主人様はハッと慌てたようにベッドに立ち上がり、天井からシーツを吊り下げ始めた。
「?」
何なのだ、と思ってその行動を眺めていると、ルイズはベッドから降りて小走りにユーゼスを追い越し、自分の手でクローゼットから着替えを取り出した。
「…………馬鹿な」
思わず声が出てしまう。
『そのような雑用をやれ』と召喚した初日に言いつけたのは、他でもないルイズではないか。
更にルイズは着替えを持ったままシーツのカーテンの中に入り、その中で着替え始める。
もしや自分を警戒しているのか? とも思ったが、その後は黙ってブラシで自分に髪を梳かせていたので、そういう訳でもないらしい。
そして髪を梳き終わり、ルイズは魔法のランプの明かりを消して就寝しようとしたところで、話しかけられる。
「ね、ねえ、ユーゼス」
「……何だ、御主人様」
言いにくそうなルイズと警戒しているユーゼスとでは、どうにも互いの会話がぎこちない。
「いつまでも、床ってのはあんまりよね」
「? ……ああ、寝床か。もう慣れた」
最初はあまり寝付けなかったが、今では普通に眠ることが出来る。
今更、何なのだ―――と思っていると、本日最大の爆弾発言が飛び出してきた。
「だ、だから、その……ベッドで寝ても、いいわよ」
「―――――」
ユーゼスの身体が硬直する。するとまた慌てたように、ルイズは言いつくろった。
「勘違いしないで! ヘ、変なコトしたら、殴るんだから!」
そんなつもりはチリほどもないが、いい加減に混乱してきた。
(まさか、寝首を掻こうとしているのか……?)
油断させておいて、などと言うのは暗殺の常套手段である。
いや、そもそも目の前にいるのは、本当に一応の自分の主人であるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールなのだろうか?
(何者かに乗り移られている、という可能性もあるな)
ウルトラ族がよく使っていた手だ。同じような能力を持つ存在がいても、別に不思議ではない。
(あるいは偽者か……)
ザラブ星人が使ったような方法かとも考えたが、じっと見てみても外見的には全く差異が見当たらない。
と言うか、じっと見ていたら顔を赤らめてぷいっと逸らされた。
(いや待て、乗り移りなり偽者なりだった場合、クロスゲート・パラダイム・システムを使った時点で判明しているだろう……)
個人に絡みつく因果律が二人分であったり、本来のものとは明らかに異なっていたりすれば、さすがに気付く。
(……もしや、これが『虚無』発現の前兆か……?)
そんなことまで考えるが、少し冷静になると違うに決まっていると気付いた。
(洗脳、催眠術、禁制の水の秘薬、水魔法の『制約(ギアス)』……どれも違うか……)
とにかく、分からない。
他に人格が大きく変わるようなことと言えば『衝撃的な事件』くらいだが……。
(……あのアルビオンでの一件が、何か影響を与えたのか?)
おそらく、あの旅路の自分の知らない場面で『何か』が起こり、それが今の自分に対するルイズの態度へと繋がっているのだろう。
―――それが最もしっくり来るような気がする。完全に納得は出来ないが。
かと言って、それで一緒のベッドで眠れるかと言うと、そうでもない。
「いや、注文していた本がラ・ロシェールから届いたのでな、今夜はそれを読もうと思っている」
「あ……、ふ、ふーん、そう。相変わらず研究や読書が大好きなのね」
「性分なのでな」
そうしてルイズの部屋から出て、隣の研究室へと移動するユーゼス。
その中で本のページをめくりながら、今度からは研究室で寝るか、などと彼は密かに決意した。
現代人的に見れば天才だったり柔軟な思考ととらわれるコッパゲもユーゼスから見れば危険物か・・・まぁそうだわな
支援
ユーゼスが出て行って、ルイズは一人でベッドに寝転んでいた。
「……何よ、もう。せっかくベッドで寝てもいいって言ってるのに……」
しかも、このわたしと一緒に寝れるって言うのに、それよりも本を優先するとは。
本や研究なんかより優先するコトがあるでしょ、色々と。
「でも……」
胸に手を当てて、考える。
ユーゼスのことは……、まあ、ある意味では尊敬している。
いつも冷静だし、自分の知らないことをたくさん知っているし、たまに思いもよらない発想をしたりするし、研究熱心だし……、少なくとも無能ということはないだろう。
それに、自分を助けてくれたという恩もある。
ルイズのユーゼスに対する優しさや親切心はその恩返しでもあるのだが、こうして胸に手を当てて考えると、それだけではないことに気付く。
最初は、単なる理屈っぽい使い魔。
それが、屈服させる目標になって。
今では……、
「今では……、どうなんだろ?」
何だかうまく説明がつかない気持ちが、ルイズの中に芽生え始めていたのである。
それを意識し始めたら今までの行為がいきなり恥ずかしくなって、肌を見られることが耐えられなくなった。実を言うと、寝起きの顔も見られたくない。
どうしてこんな気持ちを……と考えてみると、真っ先に浮かぶのは先日のワルドとの一件だ。
したたかに頭を打たれたせいで意識はかすんでいたが、断片的にユーゼスとワルドの会話は耳に入っていた。
―――『……使い魔はその主人に対して……、……情も感じて……!』
―――『私が御主人様に従っているのは……、あの少女…………たからだ』
「わ、わたしに対して、何を感じてるって言うのかしら……?」
恩義? 忠義? 義理? 同情? 憐憫? 仕事としての義務感?
それとも……愛情?
「……!!」
自分で考えて、自分で赤面するルイズ。
なぜこんなにスラスラとユーゼスの自分に対する感情の推察が出来るのか分からなかったが、これもきっとユーゼスとワルドの会話に出て来た単語だからだろう。
そしてルイズの推察は、一つの結論に行き着く。
もしかして、あの使い魔は……自分のことが好きなのではないか? と。
「〜〜〜〜〜……!」
その結論にベッドの中で身もだえするルイズ。
しかし、そう考えるとツジツマの合わない部分もある。
例えば今、この瞬間。
御主人様の隣で寝れると言うのに、どうしてそそくさと部屋を出て行ってしまうのか。
ユーゼスがいるすぐ隣の部屋の方を、小さな唸り声を上げながらじーっと見つめてみるが、それで答えが返ってくるわけでもない。
しばらくの間、ああでもないこうでもないと使い魔の心理の推察を行っていたが、どうにもならないと気付いて……。
……考えることに疲れたので、ルイズはそのまま眠りに落ちたのだった。
発想がずれてるよな、ユーゼス。
支援。
以上です。
ユーゼス・ゴッツォ、デレの兆候が理解出来ないでござるの巻でしたw
……いや、人の心の機微がほとんど分からないキャラだったら、多分こんな反応するんじゃないかな、と思いまして。
しかし『ユーゼス・ゴッツォ』と『恋愛』……。
……一番遠いキーワードですなぁ……。
それでは皆様、支援ありがとうございました。
乙ー
都合の悪い部分が聞かれなくて良かったのか悪かったのか・・・
あの時のユーゼスの台詞の全貌をルイズが知ったらどうなる事やら
乙です
ルイズ哀れ・・・しかしギャグにしかならんのは何故だw
乙でした
ヴィレッタも天然気味だから創造主のユーゼスにもそういう部分があるんだろうなw
思わずふいてしまったのは私だけでいいはず。
乙でした。
乙です。
来年も続きをよろしくお願いします。
そういえば今回が今年最後のラスボスになる可能性大なんだよな
まぁ良いお年を
ラスボスの人乙です。
ルイズが真実を知ったらどうなることやらww
次回に超wktk。
知性派キャラの召喚ってやっぱり少ないよなあ
>>知性派キャラ
ラッキーマンから天才マンを召喚!・・・でも何だかんだで「カッ!」とか「ピカッ!」の力押しだけでどうとでもなるか
>>531 冷静さを失ってもハルケギニアで敵うキャラはいないか
スーパーフェニックスとかどうかな?
ラスボスの人乙ですの
来年も楽しみにお待ちしてます
特にワルドがトロニウム地雷を踏みに逝くのをw
ラスボスさん乙&よいお年を
予約なければ23:10ごろから黒魔道士産の代理投下行きます
規制ばっかりのクソアドなんとかしたいけど、
マンション共用だから変更もしにくい黒魔です。
またも代理投下願います。毎度すいません。
――
「ルイズおねえちゃん、危ないっ!?」
バルコニーをもぎとろうとする大きな手が、
夜空からニュッと伸びてきた。
「え?キャァァッ!?」
その手はバルコニーの柵をひねり潰したんだ。
この手って、まさか……
「ルイズおねえちゃん!?」
「いたたた――な、何よ!?何なのよ、いきなり!」
「あらあらあら、ちまっこいのが揃ってるわねぇ」
「「フーケ!?」」
大きなゴーレムの上、牢屋にいたはずの盗賊が、
ボクたちに月灯りのシルエットを見せたんだ。
―ゼロの黒魔道士―
〜第二十ニ幕〜 走れ!
「嘘でしょ!?なんであんたがこんなところに!?」
「籠の中の小鳥は似合わないって出してくれたヤツらがいてねぇ――それで飼われてちゃ世話ないんだけど」
脱獄ってことなのかなぁ?
……籠の中の小鳥って、どっかで聞いたような言い方だなぁ……?
「さてと、あんた達にそこまで恨みはないけど、飼われてちゃ餌もらうために働かなきゃいけないんでね。大人しく――くたばってきなっ!!!」
土くれがみるみるうちに岩に変わって、堅そうな拳を作り上げる。
「ルイズおねえちゃんっ!?」
「逃げるわよ、ビビっ!」
ドゴーンッ
バルコニーが完全に砕かれてしまうちょっと前、なんとかルイズおねえちゃんと一緒に建物の中に戻る。
でも、ゴーレムの腕は2本あるわけだから……
「い、1階っ!1階にとにかく降りるわよっ!!」
「うんっ!!」
ゴシャーンッ
ゴーレムのもう1本の腕が廊下にまで突き刺さる。
『廊下は走ってはいけません』っていう規則なんて今は考えない。
とにかく、階段までルイズおねえちゃんに引っ張られながら走った。
「ビビ君!ルイズ!無事だったか!!」
1階も、ひどい様子だったんだ。
床には料理が散らばってて、倒されたテーブルにいくつも矢が刺さってて、
火矢も混じっていたのか、煙が視界を防いでて、
みんな倒れたテーブルの後ろで煙の隙間から外の様子をうかがっていた。
「相棒ぉ〜、ちょいとピンチみてぇだぜ?おれっちの出番だなぁ〜」
……デルフがうれしそうだから、かなり嫌な予感がしたんだ。
「えっと……これって……」
「どういうことよっ!?何よこれ!?」
……ルイズおねえちゃんの声って、ときどき大きすぎると思うんだ。
その声を目標にして2、3本矢が飛んでくる。
「危ないっ!?」
キィンッキキィンッ
デルフをひっつかんで、1本はボクが叩き落とす。
残りの2本は……
「静粛に」
「ふぅ、怪我はないかな、ルイズ?あぁ、使い魔君も」
タバサおねえちゃんとワルドおにいさんがそれぞれ杖で防いだんだ。
「ルイズ〜、迂闊すぎよ〜?もっと冷静に、ね?」
「う、わ、分かってるわよ!あんたに言われたかないわっ!」
「あら、ごあいさつね。そうやって場をかき乱すような――」
「きゅ、キュルケおねえちゃん、ルイズおねえちゃんも……」
状況が飲み込めないけど、喧嘩してる場合じゃないって思う。
「2人とも、敵の襲撃中だ。静かにしよう」
……意外にも、ギーシュがすごく冷静だったんだ。
……特訓の、成果、かなぁ?
「敵は平民の傭兵が2、30人程だね。メイジ戦を理解しているのか、距離をうまい具合に使っている」
ワルドおにいさんが分析する。
「フーケの他にもそんなにいるの!?あー、もう!なんだってのよ!」
「ルイズ?フーケって?まさか、あのゴーレムが来てるの!?」
どうやら、かなり困った状況みたいだ。
「敵に行動が筒抜けだった、ということですか、ワルド子爵?」
「いい女は居場所がすぐに知られて嫌になりますわね」
「だから、あんたはなんでいっつもそういう発想に――」
どこからバレちゃったんだろう……周りを見渡すけど、答えは出そうにない。
ともかく、今は敵に囲まれている、できることはそう無いと思うんだ。
「えっと……逃げる、ってできるかなぁ……」
戦うことは目的じゃない。今は、安全にアルビオンでお手紙を手に入れることが目的なんだ。
「状況から見て困難と言えるだろうね、使い魔君。敵の行動が読めないのだから、従って――」
「二手に分かれる」
タバサおねえちゃんがワルドおにいさんの言葉を引き継ぐ。
そう言って、ちょっと考えてから、キュルケおねえちゃん、ギーシュ、と指さして、
最後にタバサおねえちゃん自身を指示して「囮」と短く言う。
「――やるね、タバサ君。そういうことだ。誰かが傭兵達の目を引きつけておき、その隙に任務を果たす部隊を半数以上送り込む、これが正解だな」
「そんな!?それじゃギーシュ達は――」
ルイズおねえちゃんが心配して声を荒げる。
確かに、人数の差が大きいし、何よりフーケのゴーレムまでいるんだ。
メンバーを2つに分けるのは危険じゃないかなぁって思う。
でも……
「ルイズ、大丈夫さ。君は任務を果たしたまえ」
ギーシュがボクにデルフを渡しながら胸を張ってこう答える。
少しだけ、ほんの少しだけギーシュの手が震えているのに気がつく。
「守られてばかりでは、バラとしての名が廃るしね。せいぜい、ゲルマニアのお嬢様達にトリステインの男の実力を見せるとするさ」
「あらあら、ギーシュにしては言うようになったじゃない!でも、まだトリステインの男に守られるほど落ちぶれたわけじゃないわよ?」
「……ホントに、大丈夫?」
デルフを握りしめながら確認する。
キュルケおねえちゃんとタバサおねえちゃんは、強い。
それに、ギーシュもボクとの特訓で、頭を使った戦い方ならボクよりもずっと強い。
だけど、心配になってしまうんだ。
「カカカ、相棒〜?ライバルがこう言ってんだ!俺様達は、俺様達のやれることをやろうぜ!」
「問題無い。行動は迅速に」
「ほらほら、ルイズ〜、あんたもそんな情けない顔しないで!お国のための任務とやら、サクっと終わらせてきちゃいなさいな♪」
「きゅ、キュルケ――あんたに心配される筋合いは無いわっ!!勝手にくたばるんじゃないわよ?」
……話は、決まったみたいだ。
なら、ボクのするべき仕事ははっきりしている。
「……行こう、ワルドおにいさん」
「ふむ、なら船着場へ、だな。無理やりにでも飛んでもらうとしよう!それでは、状況を――開始する!」
ゴゥッと一陣の風が傭兵達の集団を煙ごと襲い、轟音をあげる。
それを合図にして、ボクたちは船着場へ。
ギーシュの引き締まった顔と、ルイズおねえちゃんの戸惑っている顔の対比が、
なんとなく、印象的だったんだ。
――――――
ピコン
ATE ―男ギーシュ、ここに立つ―
「で?どうするおつもりかしらトリステインの男代表さん。何か見覚えのあるゴーレムまで出てきちゃったんだけど――」
まだ体の震えが止まらない。
だが、自分より小さな子供が男を見せて行動をしている。
その子は自分のライバルだ。
ライバルががんばっているのに、何で自分が隠れていられる?
麗しの女性が2人もいるこの状況で、咲かずして何がバラだ?
「――ヴェルダンディ、いるだろ?」
地面に向かって最愛の使い魔に声をかける。
姿は直接見えないが、間違いなく、そこにいる相棒の気配に安心する。
大丈夫か、と気づかう素晴らしい使い魔の心づかいを感じる。
そうだ。
ライバルに自分自身が言ったんじゃないか。
立ち止まることは、許されないんだ。
「――特訓の成果、見せつけるよ。ヴェルダンディ」
杖を握りしめる手は冷汗にまみれ、
だが震えはおさまり、敵を見据える男の顔がそこにはあった。
「諸君、僕は援護に徹する。いくつか指示を出すから、よろしく頼むよ」
できることを、最大限のやれることへ。
少年の顔は、戦士のそれへと変わっていた。
「了解」
「――ま、いいでしょ。ぬるい援護してたら、あんたごと燃やすからね、ギーシュ!」
造花のバラから花びらが舞う。
今宵、少年の力が開花することとなるのは、まだ誰も知らない――。
――――――
灯りも消えて暗い街並みを走る。
敵の姿は全然ない。
……傭兵達、なんか、うっかりさん?
このまま、何も無いまま船に乗れればいいけど……
丘を上へ上へと駆け上がる。
足が何度かもつれそうになるけど、必死に走ったんだ。
ルイズおねえちゃんも息があがっている。
丘の上にはイーファの樹によく似たおっきい樹、
その木に階段が蔦のように巻いていて、
飛空挺っていうよりも海の上を走るみたいな形の船が何隻かくっついていた。
……こんな形で、本当に飛ぶのかなぁ……
「ワルド、どの船に乗るの?」
「一番上の桟橋だ!あれが一番速度がある!」
「あ、あそこまで登るの〜……」
「相棒、もう一踏ん張りでぇ!泣きごと言うな!」
……デルフに足が無いのって、ときどきずるいなぁって思うんだ。
ラスボスの人乙でした〜。
しかしビジュアルがどうしても仮面被った状態しか浮かばないw
ルイズの変貌に対するユーゼスの考察のズレっぷりは凄いなwww
「て、てっぺんはまだ〜……?」
足がガクガクする。
リンドブルムのお城みたいな昇降機って無いのかなぁ……
「ビビ!速くっ!追手が来るかもしれないじゃない!」
ありがたいことに、後ろから追手が来てる様子はない。
だからといって、のんびりするわけにはいかないけど……
みんな速すぎだと思うんだ……
「なぁに、娘っ子!ここまで来りゃ追手もねぇだろうよ!」
デルフが笑って言う。
……だから、ちょっとだけ不安になる。
デルフには悪いけど、デルフの機嫌が良かったときって、何か変なことが起こる気がするんだ……
「いや、安心はできなかったようだ」
ワルドおにいさんが杖を懐から取り出す。
おおきな樹のてっぺんの桟橋、その前には仮面をつけた人が立っていた。
ゆらりと、ゴーストみたいな妖気と殺気を放って……
「待ち伏せ!?」
「そのようだね。ルイズ!僕の後ろに控えていたまえ!」
ワルドおにいさんが颯爽と杖を構える。
ボクは、それよりも一瞬早く走り出したんだ。
決闘や手合わせなんかじゃない、これは実戦なんだ。
相手は不意打ちをしてくるかもしれないけど、
こちらも先制攻撃が可能。
ボクは、足や動きが遅いかもしれない。
それなら、
「相棒っ!魔法が来そうだぜっ!おれっちを構えなっ!」
「うんっ!」
足りないものは足せばいい。
判断力の速さと、ガンダールヴの剣技、ボクの持っている魔力、デルフの魔力吸収能力、
全てを足す、それだけだ!
仮面の人がボク達の動きに気づいて杖の方向をボク達に向ける。
そのとき、仮面の下の顔が歪んだような気がしたけど、気のせいかな?
ビシャァァンッ
サンダラ並の強力な雷が、デルフを伝ってボクにもわずかに伝わる。
デルフが吸収してくれなかったら、ちょっときつかったかもしれない。
でも、デルフが吸収してくれたんだ。
だから、ボクは止まらないでいられる。
「っかぁ〜!しびれるけど、相棒の雷ほどじゃぁねぇなっ!いくぜっ!」
「無念の響き、嘆きの風を凍らせて
忘却の真実を語れ… ブリザガ!」
デルフに雷を吸収されたことを驚いているのか、
一瞬うろたえた仮面の人、
その喉元にデルフの突きを、お腹のあたりにブリザガを同時に叩きこむ。
仮面の人の後ろは桟橋、左右に避ける隙間はあまりない。
一気に片付ける、そのつもりだったんだ。
カシャーンッパリッ
……凍りついたのは、桟橋だけだった。
デルフの切っ先が仮面に触れたと思った瞬間、フワッと、仮面もローブも何もかも消えちゃったんだ。
「え!?」
「お、おいおい、相棒?やっこさん、消えたぞ!?」
「――『風の偏在』、だな。敵はかなりの使い手らしい――」
取り逃がしたことを悔しく思うのか、
ワルドおにいさんが渋い表情で杖をしまいながらボクに解説する。
「『風の偏在』?……これも、魔法なの?」
「うむ。自らの分身を作り上げる高度な魔法だよ。しかし、君は見事打倒した――」
「ちょ、ちょっと!?スクウェア・クラスの呪文でしょ?ビビ、あんたよく倒せたわねぇ――」
ルイズおねえちゃんは無事みたいだ。
よかった、ボクは、守れたんだ……
「相手も、突然のことに驚いたようだし、偶々だろうね。えー――使い魔君、そのインテリジェンス・ソードには魔法吸収の効果でも?」
「あ、はい……デルフは、魔力を吸い取るみたい……」
「おう、ただのサビ刀じゃねぇぞっ!なめるなこんちきしょー!主役はおれっちだぜ!!」
……デルフって、本当に調子がいいと思う。
「なるほど、なるほど――いい剣を持ってるね、君は――あー、今日の昼間は少々言いすぎたようだ」
ワルドおにいさんがにっこりと笑顔を作りなおす。
「君は、護衛としてそれなりの力を持ているようだ。これからも、共にルイズを守ろうじゃないか、使い魔君」
そう言って、ボクの肩をポンと叩くワルドおにいさん。
ちょっとは、認められた、かな?
「さぁ、諸君!アルビオンに急ごう!また追手が来ないとも限らんしな!」
「えぇ、急ぎましょう!姫殿下のためにも!」
任務はまだ残っている。
お手紙を早く取り戻しにいかなきゃならないんだ。
帽子をきゅっとかぶりなおして、気合を入れた。
……色々考えてて忘れてた。
これから乗るのって、やっぱり飛空挺、だよね……?
「相棒、酔い止め薬ぐれぇ買っときゃよかったな?」
「……船の中で寝る場所ってあるかなぁ……」
目が覚めたら着いている、ぐらいだったらいいなぁって思ったんだ。
――――――
ピコン
ATE ―舞台袖の密会―
「ったく、どうなってんのさ!」
マチルダも走っていた。
走りながら怒っていた。
以前学院で働いていたときよりも、
例の事件で対峙したときよりも、
そして仮面の男に聞いた情報よりも、
ガキどもは恐ろしく手ごわかったのだ。
それも、ある程度予想していたトライアングルの女2人の戦力だけじゃない、
あのドットメイジのボンボンのバカたれがあんなに強くなっているのは予想外だった。
酒を可燃性の油に錬金し、火魔法のサポートをしたのを皮切りに、
矢の雨に対する的確な盾の役割、
さらには使い魔のデカモグラと一緒に落とし穴でこちらのゴーレムを封印。
ただ女の鎧でお人形ごっこをするだけの脳無しと思っていたが、
どこで鍛えたのか攻守に渡る大活躍を見せやがった。
そのサポートに支えられる形で、
トライアングルクラスの火球だの氷槍だのを飛ばされちゃクズ傭兵共じゃ役者不足にもほどがある。
せいぜい役に立ったのは、慌てて逃げ出すそいつらに紛れ自分もとんずらすることができたことぐらいだ。
「あぁ〜、もうこんな役はゴメンだねっ!さっさと逃げt っ!?」
森に逃げ込んでしばらく走ったころ、目の前に見覚えのある銀髪オカマ野郎が立っていた。
「三文芝居のお手伝い、ご苦労さま。大根役者共を従えた割には名演技だったと思うよ」
逃げ出すのを見越しての待ち伏せか?
「及第点は君ぐらいかな?後は大根すぎて話にもならない。やはりオーディションは実技で見るに限るね」
オーディションだ?
この野郎、あたし達を試してやがったらしい。
ますますもって鼻もちならないくそったれ玉なし野郎だ。
「ハッ、仮面の野郎にも言っておきな!あたしゃもう降りるよ!契約期間はもう終わりだろ?」
何にせよ、もうこいつらの元に戻るつもりは無い。
「ん〜?確かに、『レコン・キスタ』との契約はもう終わりかも、ね――」
含みを持たせたまま、妖しげな笑みを浮かべるオカマ野郎。
「あぁ?何が言いたいのさ、あんたは!いいからどきな!あたしゃ帰るんだよ!」
帰る?どこに?帰る場所があるとすれば、それは1つしかない。決まっている。
「あぁ、サウスゴータ近郊のウェストウッド、別名『物忘れの森』へ、かな?丁度いい」
脳裏に描いた場所、その名を言われ反応してしまう。そんなことまで調べていたのか?
「――あんたら、どこまで――」
「あぁ、このことは『僕達』しか知らないさ。『レコン・キスタ』のおバカさん達は自分たちの猿芝居に夢中だしね」
ご丁寧に身振り手振りを大仰に使ってこちらの疑問に答えてくれやがる。
この男、『レコン・キスタ』とやらとは関係ないということか?
その情報は、どこまで信用できる?
「――“丁度いい”ってのはどういう意味だい?」
「フフ、土くれの女騎士が守る麗しき女王様にお目どおり願いたくてね。道案内と紹介をお願いできないかな」
知ってやがる!
この男、何もかも知ってやがる!
殺すか?今すぐにでもこいつを殺して、あの子たちの安全を図るか?
しかし、こいつは“僕達”などとぬかしやがった。
裏に控えてるヤツらがいる?
こいつを殺したところで、新手が来るのは確実、か?
ならいっそ、この男が別のやつらと組んでいると『レコン・キスタ』にぶちまけて自分達の保身を図るか?
いや、そんな不確かな話で信用が得られるわけがない。
くそ、情報が足りない!
どうする?どうするのが正解だ?
裏社会で培った知恵が目まぐるしく動く。
「浅知恵の芝居はやめておきたまえ、マチルダ。失敗模様は、先ほど君が演じる羽目になったからご存じだろ?」
この男、この紫唇のオカマ野郎は仮面男の失敗を予測してやがった。
少なくとも頭があるのはこっちだ。
裏社会のもっとも単純な原則は『強い者につけ』だ。
飼われることになるのは癪だし、何より、大事なあの子たちが人質にとられているも同然だ。
だが、ここはこの男に従うフリでもしてなきゃ全てが終わってしまう。
自分が守りたかったものも、全て、だ。
「――あんた達の素性を明かしな。それが交換条件さね」
最大限の譲歩。
目には目を、情報には情報を、だ。
いざというときの保険はかけておく。
情報はかさばることのない、最もお手軽で価値の出る質種だ。
「フフフ、交渉成立、かな。ようこそ僕達の芝居へ、マチルダ・オブ・サウスゴータ!特等席から花を投げる栄誉を与えよう!」
そう言って、木の間から射す月光のスポットライトへ歩を進めるオカマ野郎。
舞台の真中には、風龍が一頭眠るように座って待っていやがった。
用意のいいことだ。
このままアルビオンにでも行くつもりか?
「善は急げ、さ。とりあえず、三文芝居の幕が降りるのは見なくてはいけないからね。君も来るだろう?」
拒否権などあるものか。
こうなりゃ自棄だ。
この男の全てを知って、あとでどこかに売りつけてやる。
「――交換条件に答えな。あんた、何者だい?」
風龍にまたがりつつ、何度したか分からない質問をする。
「僕達かい?僕達はね――」
何度したか分からない質問に、初めて見せる表情で銀髪の男が答える。
嘲笑と、悔恨と、野心の入り混じった、奇妙な表情。
それは男の化粧と相まって、艶美な魅力をかもし出す。
「僕達は、『運命に敗れ、運命を倒す者』さ。君も、そうだろう?」
風龍が月影を森林に残し高く飛びあがった。
―――
以上です。代理お願いいたします。
なんとか年内にラ・ローシェルまで書けました。
それでは、良いお年を。
お目汚し失礼いたしました。
代理投下完了、黒魔の人もよいお年を
黒魔道士の方、代理の方、乙でした。
ワルドがデルフの能力に気付きましたが、これが後にどう影響するのか楽しみです。
では、よいお年を。
代理の人、乙。
そして黒魔道士の人GJ!
この分だとビビがクジャの事を知るのはアルビオン編後か。
しかし最重要の切り札がばれたビビが心配だ。
>>532 >スーパーフェニックス召喚
毎回、何故か予め用意しておいた自分たちに有利な場所で戦うんだな?
>>545 サイバアァァァァァアアアアアアップ!っするルイズ達を思い浮かべた
>>毎回、何故か予め用意しておいた自分たちに有利な場所で戦うんだな?
ワルド「使い魔君、ルイズの前で良いカッコしたいから手合わせだ」
そしてワルドが手合わせの為の試合場に行く前に大きな門が現れた
この門は全身に返り血を浴びた戦士にしか開く事のない仕掛けなのだ
しかも早く開かないとトゲ付の天井が落ちてくると言うギミック付だ!
そしてワルドは自分のグリフォンを殺して返り血を浴びる事でなんとか門を開く事に成功し
何の苦労もせずに試合場で待ち構えていたフェニックスと対峙する!
ちなみにルイズはご丁寧にベルト付の椅子に体を固定されているぞ!
こうですか
わかりません
>542
三点リーダの多用に一人称からの視点移動とかダメすぎる
全く進歩が見られない
話もつまらないしもう見切る事にします
OK、毒吐き行こうな。
ふと思ったんだけど、カオス・レギオンってマイナーだろうか?
一人称の視点とかラノベの古典扱いされてるスレイヤーズの時代からある手法なのに何言ってんだか・・・
ゼロ魔蹂躙でもない普通の作品に本スレで毒吐く行為がどれほど痛いかよくわかった。
>>551 メジャーかマイナーかで言えば後者だと思うけど、ここでも一回は話題に上がったよ。
>>551 ゲーム版ならそこそこマイナー、小説版ならハードコアだ!!(小説版も面白かったけど…
>>551 マイナーだけど後書の担当話が神がかってるよな
自分が見てる限り三回は話題に上がってたと思う
ウェールズやアルビオン兵が魔兵化するとかの雑談でだったかな?
ギーシュにマッスルリベンジャーをしたらどうなるだろうか
ビッグボディーであれだから・・・
>>530 知性派キャラは書き手の力量が問われるから難しいんだろうな
知性派と暴力派の中間として青年アカギはどうだろう
カイジは読んだ事あるけどあとなんとかなりそうなのって
涯と黒沢くらいかな
>>552 スレイヤーズも古典扱いか・・・月日は経つな
>>553-555 返答、ありがとう。
何て言うかさ、ジークが召喚された場合ってミョズニトニルン以外だとあんまり意味が無いような気がしたんだ。
ガンダールブだと戦闘中は基本的に右手だけで剣を使うし、動物に避けられるからヴィンダールブも効果が期待出来ないじゃんか。
だから時間が出来たら嘘予告でも書いてみようかと思ったんだけど、その場合どれにしようかと思ったんだ
>>546 アニメ…門が完全に閉じたせいでハルケギニア滅亡。世界を再構成し新たなブリミルに…
2000の使い魔の世界に
原作…門が完全には閉じてないので滅びてない2000の使い魔最終章にゲスト登場
ってか?
>>559 記す事も憚られるじゃないの?
死者召還するんだし
世界崩壊と聞いてイデオンが頭に浮かんだ俺って一体
>>557 涯は鏡に写った自分より速く動ける中学生だぞ
>>561 言われてみれば、それもそうですね。
返答、ありがとう。
知性派と聞いてスーパースターマンを思い浮かべたが
……ガンダと相性いいかもしれない
567 :
560:2008/12/31(水) 01:29:03 ID:hvWGJ+Nr
ブリミルよりも始祖の方が超聖神っぽいな…まずった。
知性派ねぇ
戦う描写が無いキャラは知性派扱いでいいのだろうか
だったらコードギアスR2本編終了後のシュナイゼルとか逸材だろうなぁ
主にルイズに忠実な辺り
知性派か……!
モンモンが、カエルではなくペルソナの貴公子を召喚!
>>569 シュナイゼルはゼロに従えのギアスをかけられてるからルイズの言うことは
ゼロだから聞くね
ここまでキュアアクアなし
そういえばモンモンがカエルを召喚するSSがあったな…
>>552 ラノベ古典以前に漱石の時代にはすでに(ry
>>552,574
一人称の視点じゃなくて一人称での視点移動だろ?
途中で語り手が変わるっていうこと。小説での禁止事項の一つだ。
>今宵、少年の力が開花することとなるのは、まだ誰も知らない――。
この部分とかが一人称だとおかしいと思う。
ギーシュの視点なんだから自分自身を「少年」なんていわない。
もっともだ。視点移動はいかん。
スレイヤーズは一人称の利点を最大限使ってるし。
それってただの地の文じゃないの?
視点移動とかについては、菅谷充原作の小説の書き方漫画を読むと、意外と素人では気がつかないものらしい。
とはいうても、一人称の小説だったのに突然に三人称になったりというのはたまに商業でもあったりする。
まあ、そういうのでもたいがいはそこの部分だけ独立している風にされているけど。
そしてこのスレの禁止事項だろうなあ…毒吐きは毒吐きスレでってのは…。
>>575は、そこら微妙ではあるけどな。とりあえずこれ以上は本スレでいう必要はないと思う。
>>578 たしかに気づきにくいな
たしか神坂先生もミスってたw
けど、そういうことは読み手を混乱させるってことを認識してるとしてないとじゃ大きく違うから軽く解説しといた
あくまで視点となるキャラを同じ場面の中で変えるのがアウトであって、視点となるキャラが知らない情報を読者に伝えるのはOKでしょ?
司馬遼太郎の「余談」とか。
なら>575はOKじゃない?
そんなこまっしゃくれた講釈は割りと同でもいいわー
別に金出して読んでるわけでもないし気楽にやりゃいーんじゃねーのー?
読みたくなきゃ読まない、でいいじゃん
まあ視点変更自由自在で一時的に一人称での独白や心理描写もおkって意味で
三人称で書く方が色々と難易度低くなるのは間違いない。
ヤマモト・ヨーコは毎度毎度冒頭に名前を挙げてたね。
あとは章ごとに視点を変えるといえばマリみてとか。
>>583 章ごとに視点変わるっていえばブギポだな
初めて読んだラノベってのもあるけど未だに印象に残ってるわ
ルイズスーパーフェニックス召喚かあ
ラストでルイズの躯相手に激闘、今まで出てなかった婚約者が飛び込んでくるわけか・・・
他はシマウマを召喚、使い魔と合体してまったルイズ
傭兵だったルイズ
ストライカーユニットを召喚したルイズ
長身、ぐらまあな巨乳ルイズ…
モンモランシーが、使い魔(ロビンだっけ?)の上にうっかり転倒、服に貼りついてしまう。
そこから始まるストーリー
「ド根性ガエル」
書ける気がしません。
「円は直線を包む」とか胸に張り付いたカエルが助言するんですねわかります
ルイズの使い魔だったら、まさに平面ガエル……
モンモランシーがカエルじゃなくて軍人召喚。
さらに
モンモランシーが、使い魔の上にうっかり転倒、服に貼りついてしまう。
そこから始まるストーリー
「ド根性ガイル」
もっと書ける気がしません。
>>590 気分によって青いのと銀色のを付け替えます。
年をとると仮面に髭が生えます。
モップを被ったかと思ったら、ロボカエルを鍛えたりするのか
代理板にて要請がありましたので、代理投下いたします。
骨董品クラスの壺や小さな額縁に飾られた自作の肖像画や勲章。
本棚には小型の金庫やチェス盤、数々のマジックアイテム。
部屋の隅にはトリステイン王国の国旗を持った国軍騎士の鎧。
丁度真ん中には大きな縦長机にそれに寄り添うかのように二つのソファが置かれている。
そして、傾いている太陽から発せられる緋色の光が窓から差し込みこの学院長室を更に古く見せていた。
「さてと、では今からおさらいをしてみるとしようかのぅ。」
嗄れてはいるが、威厳のある声でそう言ったのは窓側に置かれたデスクに膝をついているオールド・オスマンであった。
いまこの場にいるのはオスマンを含めたルイズ・ド・ラ・ヴァリエール、教師のミスタ・コルベール、キュルケ・ツェルプストー、タバサ…そして博麗 霊夢の6人である。
オスマンは学院長机の椅子に座り、後の5人は全員ソファに腰掛けていた。
「えーっと…ミス・ロングビルは土くれのフーケであり、それをミス・レイムが倒したという事じゃな?」
「ハイ。ミス・ヴァリエールを人質に取られても動じる事はありませんでした。」
コルベールはそう言うと霊夢の方へ視線を向けた。
フーケを自分の勘違いで見事倒し、ルイズを人質に取られても何処吹く風の巫女は先程出された紅茶を飲んでいる。
オスマンは立派な顎髭を手で扱きながら霊夢をじっと見つめていた。
以前『遠見の鏡』でギーシュとの決闘を見たとき、ある程度のやり手だと見ていた。
(しかし、この様な少女が30メイルのゴーレムと土くれのフーケを倒すとはな…。)
観察するようなその視線に気が付いたのか、霊夢がオスマンの方に顔を向ける。
「何ジロジロ見てるのよアンタ?」
「ば、バカ!アンタ学院長になんて言い方を…。」
年上に対する言葉だとは思えないその言い方にルイズが見逃すはずもなかった。
立ち上がろうとしたルイズはしかし、それよりも先にオスマンが宥めた。
「よいよいミス・ヴァリエール。怒り過ぎてはミスタ・ギトーの様な大人になってしまうぞ。」
学院長の優しい慈悲の言葉にルイズは思わず反論しようとしたがその眼光から溢れ出る気配に思わず竦んでしまい、
平然と紅茶を飲んでいる霊夢をただただ睨むだけとなった。
大体一息ついたところでオスマンは再び口を開いた。
「さてと、フーケの件に関しては良くやってくれた。と、言いたいところじゃが…?
いくらなんでも学院を無断で抜け出すのはいかんよ?3人とも。」
オスマンはそう言うとコルベールから聞かされたルイズ達が無断で学院を抜け出した事を話題にし始めた。
タバサがビクッと一回だけ体を小さく震わせ、他の二人も額に小さな冷や汗を浮かべる。
そもそも霊夢を除いた生徒3人が抜け出した理由は「宝探し」という名目の為なのだ。当然許されるわけがない。
この学院は、生徒に対する処罰は甘い方であるがそれでもお金持ちの子供にはきつい物だ。
例に出せば課題や親の呼び出し、説教、謹慎などがある。だが貴族の子弟達が苦手なのが「掃除」なのだ。
以前ルイズがさせられていた教室掃除や廊下、トイレの掃除、一番きついのが各広場の草むしりである。
たかが掃除など、貴族なら魔法を使えばいい。と言いたいところだが魔法などは一切禁止。全て自力でこなさいと駄目なのだ。
ルイズ達も処罰には掃除関係が来るだろうと腹を括っていたがそれは無駄足に終わることとなった。
「本来なら、ヴェストリの広場の草むしり――と言いたいところじゃが…。聞けば破壊の杖を最初に見つけてくれたのはお主等らしいのぅ?
盗まれた学院の財宝を確保してくれた代わりに厳重な処罰と、王宮にこの事を報告するだけにしておこう。」
優しい口調でオスマンはそう言うとホッホッと嗄れた喉で笑った。
その言葉を聞いた3人はお互い顔を見合わせ小さく微笑んだ。
生徒達の喜ぶ様を水を差すようにオスマンはゴホン、と大きく咳をすると再びルイズ達の方へと体を向けた。
「喜ぶのはいいが、そろそろ自室に戻って今夜の準備でもしていなさい。
なんせ今夜はフリッグの舞踏会じゃ。女の子はちゃんと時間を掛けて準備せんとな。」
そう言いオスマンは壁に立てかけていた杖を手に取り、短いスペルを唱え扉に向けて振った。
『風』の魔法によって扉はひとりでに開き、五人の退室を促していた。
コルベールとルイズ達生徒の四人は頭を下げ霊夢それに伴い席を立ち、部屋から出ようとしたが、
「あぁ、ミスタ・コルベールとミス・ヴァリエール。それにミス・レイムには話したい事があるから残っていてくれ。」
咄嗟にオスマンが思い出したかのようにその言葉を投げかけた。
指名されなかった後の二人の内キュルケが顔だけをヒョコッと出した。
「ルイズ、ちゃんとしたドレスを着てきなさいよ?」
挑発とも取れるキュルケの言葉に喧嘩っ早いルイズはすぐに食い付いた。
「わかってるわよ!あんたの際どいドレスより素晴らしいのがあるんだから!」
案の定いつもの調子のライバルを見てキュルケは軽く微笑むと駆け足で女子寮塔の方へと戻っていった。
やがて足音も聞こえなくなり、扉の傍にいたコルベールがドアを閉める。
そしてオスマンの方へと体を向けて不安と期待が入り交じったような顔で学院長に話しかけた。
「オールド・オスマン。話とはまさかアレの事を…?」
コルベールの言葉にオスマンは重々しく頷くとルイズと霊夢の方に視線を向け、口を開いた。
「さてと、話したいと言うことは…ミス・ヴァリエール。君が召喚した少女のことについてじゃ。」
「え?レイムの事についてですか?」
ルイズはその言葉にビクッと反応した。
今まで霊夢には学院長と会わせた事は無い。いったい何なのだろうか?
「コイツ、何かやらかしましたか?」
ルイズはそう言って霊夢を指で指した。
「なんか私が前科者みたいな言い方ね…。」
ルイズの言葉に霊夢は素早くそれに突っ込んだ。
しかしルイズの質問に対しオスマンは首を横に振り否定の意を示す。
「いんや、彼女は別に何もしておらんぞ。ただ―――」
「ただ?なんです?」
途中で言葉を詰まらせたオスマンを待つかのようにルイズが首を傾げて問う。
オスマンは軽くため息を吐くと霊夢の左手の甲を指さしてこう言った。
「――彼女の手にある筈の使い魔のルーンは何処じゃ?」
「―――えッ…!?」
その言葉を聞き、数秒の間を置いて驚愕したのはコルベールであった。
何せ彼は直接霊夢の左手の甲に伝説の使い魔『ガンダールヴ』のルーンが刻まれていたのを目にしたからだ。
「そんな馬鹿なっ…し、失礼!……」
コルベールは言いながら霊夢の左手の甲をチェックし、驚いた。
契約したとき彼女の手の甲に焼き付いていたガンダールヴの刻印は跡形もなく消え失せている。
「ほ、本当に無い…一体コレは…?」
「ちょっと、いつまで掴んでるのよ。そんなにアタシの手が珍しいの?」
霊夢はそう言うとコルベールの手を振り解き、オスマンの方へ刺すような視線を向けて口を開いた。
「アンタ、何か知ってるでしょう?使い魔のルーンが何たらといい…ルイズも同じようなことを言ってたわよ。」
その言葉を聞き、唖然していたコルベールは真剣な顔でルイズの方へ向き口を開く。
「ミス・ヴァリエール。君はこの事を前から…?」
あまりにも真剣な態度で聞かれたため、ルイズは少し堅くなりながらも話す。
「は、ハイ。私がコイツを最初に部屋へ連れてきたときに確認しました…。でも、契約はちゃんとしました。」
ルイズの言葉に、オスマンとコルベールは頭を捻るとため息をつき、霊夢に話しかけた。
「では、まず君に話すとするか。まずは…君の左手の甲についている筈のルーンから教えなければいけない。」
そこからオスマンの説明が始まった。
使い魔は主人との契約の際、体の何処かに刻印を付けられるということ。
コルベールの話では霊夢にはその刻印が左手の甲についていたという……
「しかし、君の左手の甲に付いていたと思われるルーンは別格じゃ。根本的には変わらないがのぅ?」
オスマンの「別格」という言葉を聞き、霊夢は首を傾げた。
「根本的にって…何がどう違うのよ?」
「まぁ待ちなさい、今からその事について話すのじゃ。ミスタ・コルベール、その棚にある本を。」
「あ、ハイただいま。」
そう言いながら棚から一冊の分厚い本を取り出したコルベールはそれを学院長机に置き、ページをパラパラと捲り始めた。
断片的ではあるがルイズが見たところ、どうやら始祖ブリミルについて書かれた古い書物らしい。
所々シミや欠けた所もあり、保存状態はすこぶる悪いものである。
やがてページを捲っていたオスマンの手は、『始祖の使い魔達』という項目で止まった。
右から順に『ガンダールヴ』、『ヴィンダールヴ』、『ミョズニトニルン』の名前と軽い説明文が記されている。
オスマンは『ガンダールヴ』の項目を指さすと二人に説明し始めた。
「君に記されていたというルーンはこの神の左手と言われた『ガンダールヴ』のルーンじゃ。」
それを聞き霊夢もページを覗き見るがちんぷんかんぷんで全然読めない。
ルイズも最初は何が何なのか全然分からなかったが、段々と理解し始めた。
「ガンダー…ルヴ?…えぇ、ウソ?」
「そのガンダールヴとか言うのは…どういう効果があるの?」
とのあえず霊夢がオスマンにそう質問すると彼は口を開いた。
「このルーンを持つ物は、例えドが付くほどの素人でもいかなる兵器と武器が使えるらしいのじゃが…」
その言葉を聞き、ルイズがもの凄い勢いでオスマンに近寄った。
「……っ!?、ということはオールド・オスマン…私の使い魔は…私の使い魔はもしかすると…!?」
その言葉を聞き、ルイズがもの凄い勢いでオスマンに近寄った。
「……っ!?、ということはオールド・オスマン…私の使い魔は…私の使い魔はもしかすると…!?」
何せこの生意気で平気でこちらに攻撃してくるな少女が伝説の使い魔なのかも知れないのだ。
それを考えると自然と胸が躍るのを感じた…自分がガンダールヴを召喚したのだと。
ルイズのそんな反応を待っていたかのようなオスマンはカッ!と目を見開くと叫ぶ――
「そう…『虚無』の使い魔であり、ありとあらゆる武器を使いこなす伝説のガンダールヴ!!
……の筈だが。」
が、最後はまるでしぼんだ風船のような感じの声で呟いた。
3人は霊夢の方へと一斉に視線を向け、ため息をついた。ルイズに至っては頭を抱えている。
突然投げかけられた3人分のため息と視線に霊夢はキョトンとした顔になる。
「なによ?その残念そうな顔は。私が何かした?」
ルイズ達がうんざりするのも無理はない。何せその左手に伝説のルーンは無く、本人には全く使い魔としての自覚は無いのだから。
それに先程コルベールが言っていたことをおさらいすると、他人のことなど殆どどうでも良いという人間。
貴族の子弟が人質にされようがお構い無しだ。
オスマンは二、三度顔を横に振ると再び席を立ち、棚に置かれていた一本の太刀を手に取った。
「……まぁ、とりあえずは確認せんとな?ルーンが無いだけ…という事もあるかも知れんし。」
そう言うとオスマンは霊夢の近くに来ると、彼女の前に両手に持った太刀を差し出した。
「この太刀を手に取ってくれ。それだけでいい。」
霊夢はそんな事を言うオスマンを怪訝な顔で見たがとりあえず見た感じ大丈夫そうだったのでその太刀を手に取った。
そして鞘から抜いた刀身を見て苦虫を踏んだような顔をして呟く。
「……随分と酷いわねぇ。」
彼女は剣に関しては余り詳しくはないが素人の目でも見て分かるくらいにソレは刃こぼれと錆びに覆われていた。
かつては白銀色に輝いていた刀身は見る影もなく焦げ茶色になっていて、下手に振るとあっさりと折れそうなくらい、弱々しく見えた。
太刀を手に持った霊夢に何も起こらないのを確認したオスマンは再び大きなため息をついた。
「ふぅむ…やはり何も起こらな――
『おいコラ!誰が酷いだって!?』
突如オスマンの声を遮り、男の怒声が学院長室に響いた。
ルイズは突然のことに辺りをキョロキョロとしていたが霊夢の方はジッと手に持っている太刀の鎬を見た。
霊夢がポツリとそう呟くと、ひとりでにその鎬がカチカチと動かし、再びあの声が聞こえてきた。
『おうよ、何せ俺はインテリジェンスソードだからな!』
若干怒り気味だが、何やら嬉しそうな太刀の言葉に霊夢は目を丸くしていた。
「インテリジェンス…?何よソレ。」
「つまりは喋る武器の事よ。価値はそれほどでもないけど昔からある武器なの。」
声の主が誰だかわかったルイズは霊夢にそう言った。
幻想郷には変わったマジックアイテムや道具などたくさんあるがそんな場所に住んでいる霊夢でもこんなのは見たことがなかった。
『おぅ、よく知ってるじゃねぇか!』
大声で喋るインテリジェンスソードの持っている霊夢は鬱陶しそうな顔をする。
生意気なこの剣をどうやったら黙らせることが出来るのか考えているとふとコルベールが視界に入った。
「ねぇコルベール。」
「なんですか?」
「コイツ、どうやったら黙らせれるの?」
その質問を聞き、コルベールはインテリジェンスソードを指さした。
「えーっと、それを売っていた武器屋の店主の言葉では…鞘に入れたら黙るとか…。」
彼がそう言い終えた直後、再びあのインテリジェンスソードが喋り出した。
『聞いて驚くな?俺はインテリジェンスソードの中でも一際輝くデルフリン――
チン!
綺麗な金属音と共に、お喋りな太刀は鞘に納められ何も言わなくなった。
それを見て霊夢は満足そうな顔をするとインテリジェンスソードを乱暴に学院長机の上へと置いた。
「コレを買った奴は相当な物好きね。何の目的でこんなのを―『オイオイオイオイ!!名前は最後まで聞けって!』
やっと黙ったと思っていたインテリジェンスソードはしかし、勝手に鎬部分だけが鞘から出てきて再び喋り始めた。
『俺はデルフリンガー。お前ら人間達よりも遙かに長く生きてるインテリジェンスソードの一つさ。
だが人間とは違って動けない俺たちにとっては人との会話は唯一の娯楽なんだ。だからさ、鞘に収めるのはやめ―
更に喋ろうとしたデルフリンガーを、霊夢は素早く手に取り…
チン!
鎬の部分が鞘に納められ、デルフリンガーは博麗の巫女によって再び黙らされた。
「うっさいわね、。あんたの声は大きすぎるのよ。」
霊夢はそう言うとデルフリンガーをコルベールに突き返した。
コルベールがそれを受け取ったのを確認すると霊夢はオスマンの方へと顔を向けた
「確かめたかった事ってこれだけ?」
オスマンは軽く頷くと口を開いた。
「あぁ、そうじゃ。」
「ならもうルイズの部屋に帰るわね。色々あって疲れたから…。」
霊夢はそう言うとルイズを置いて踵を返しドアを開けて出ようとした。
しかし、そんな霊夢をオスマンが思い出したかのように止めた。
「あぁ、待ってくれ。一つだけ質問させてくれんか?」
オスマンの言葉に霊夢は手を止め、まだ何かあるのかと言いたそうな表情をオスマンに向けた。
「…何よ?」
「君は…これから先、ミス・ヴァリエールをありとあらゆる危機から守ってくれるか?」
オスマンの質問に、霊夢は考えるそぶりも見せずこう即答した。
「そうねぇ、一応私の見える範囲なら守ってあげるわ。…それじゃ、先に帰ってるわよ。」
霊夢は最後の一言をルイズに向けて言うと退室した。
ルイズもいなくなり、学院長室には二人だけとなった。
「オールド・オスマン。心配だとは思いませんか?」
「心配…とは?」
コルベールの言葉にオスマンは首を傾げる。
「ミス・レイムの事ですよ。見たところミス・ヴァリエールとは少々険悪な雰囲気が出ていると私は思います。」
その言葉を聞き、オスマンは顎髭を数回扱くと口を開いた。
「君はまだまだ若いのぅ…髪は無いのに若いのぅ。」
「!?っ…と、突然何を言い出すかと思えば…無礼ですぞ!」
突然頭の事を言われたコルベールは頭を押さえて叫んだ、
「そういう意味ではなく、まだまだ人を見る目が若いという事じゃ。さっきのは冗談さ。」
それはウソだ。と、思いつつコルベールはオスマンの言葉に耳を傾けた。
「確かに見た感じ、相性が悪いとは思うが…別にかなり酷い。というレベルではない。
もしもの時には、あの子―ミス・レイムはミス・ヴァリエールをきっとあらゆる危機から救ってくれるだろう。
別に彼女がその気じゃなくとも、結果的にはそうなるかも知れん。」
オスマンはそういうと右手を地面に下ろし、足下にいた自身の使い魔を手のひらに乗せた。
「だけどワシは、そういうタイプよりモートソグニルのようなモノが好みじゃが。
…さてと、君も退室して構わないぞ。今日は君もパーッと飲みたまえ!何せ年に一度の舞踏会じゃからのぅ。」
「はぁ…では、失礼いたします。」
コルベールはオスマンに頭を下げると、デルフリンガーを持ったまま部屋を出た。
オスマンは彼が去ったのを見届けると使い魔の顔に耳を近づける。
それからすぐに相づちを二、三回うつと不満そうな顔をしてナッツを2個モートソグニルに与えた。
「う〜む…ドロワーズを履いていたとはな…。だからあんな平気で空を飛んでいたのじゃな。いやはや…」
オールド・オスマン学院長――
彼はやはりれっきとしたカリスマを持つ素晴らしき変態であった。
「あぁーもぉ…。とんだ骨折り損だったわ。」
霊夢は大きく欠伸をしながらルイズの部屋目指して女子寮塔の廊下を歩いていた。
せっかく舞い込んできた美味しい情報はあっさりと乱入してきた盗賊に潰れてしまい、
その盗賊を満足いくまでボコボコにしたのでまぁ良かったがその分かなりの疲れが体に溜まっていた。
何やら先程、今日は舞踏会だとか言っていたのだがどうしようか霊夢は今悩んでいた。
飲み会などは嫌いではない、むしろ好きな方ではあるが、疲れている今は柔らかいベッドで一寝りして疲れを取り除きたい。
しかし寝る前に一杯飲んでから寝るのも良いと考えており、
霊夢はどちらにしようか考えながら薄暗い廊下を歩いていると奥からふとボソボソと話し声が耳に入ってきた。
(…よ、私は…知っ…。)
(でも、キ……が持ち込んで…)
声からして女性ではあるが何を言っているのかわからない。
こんな所で良からぬ事を企んでいるのか。と霊夢は思いながら声の方へと近づいていく。
やがて声の発信源がルイズの部屋の入り口だという事に気が付いたと同時に、誰が喋っているのか理解した。
その正体は、霊夢に背を向け声を小さくして口論していたキュルケとタバサであった。
一体何事かと思い霊夢はすぐに声を掛けようとしたがその前に口を開いたのはキュルケだった。
「それにこうやってこっそり置いてた方が誰が送ったか分からないじゃない……?」
両手に銀細工の箱を抱えたキュルケがそう言ったがタバサは首を振る。
「彼女は見たところ勘が鋭いと見る。素直に差し出した方が良い。」
タバサの言葉にしかし、キュルケは首を振った。
「でもでも…あの子すごく怒りそうなんじゃない…?」
そろそろもう良いかと思った霊夢は、こちらに背を向けて話していた二人に声を掛ける。
「ちょっと、誰が怒りっぽいですって?」
「えっ…?うひゃっ!!」
キュルケは素っ頓狂な叫び声を上げると、手に持っていた箱を落としてしまい、
コロコロと床を転がる羽目になった箱は丁度霊夢の足下で止まった。
「?…何よコレ。」
「あっ…それは…。」
霊夢の問いにキュルケは箱に手を伸ばしたが素早く霊夢がその箱を取った。
それを見たキュルケは数歩下がってタバサの傍に寄ろうとしたがタバサもまた後ろに下がる。
「中に何か入っているけど…。」
中身が何故か気になる霊夢は怠そうな目でキュルケに尋ねた。
それに対しキュルケは少し悩んだそぶりを見せた後、口を開いた。
「実はそれね…今日迷惑かけたお礼として渡そうかと思って。」
箱を軽く振りながらそう呟く霊夢に、少し落ち着いたような感じでキュルケはそう言った。
「お礼…?まさかびっくり箱とかじゃないでしょうね。」
霊夢は怪訝な顔をしながらもその箱の蓋に手を掛けた。
「違うわよ…なんていうか、そのぉ…。」
キュルケはそんな霊夢の顔を見て悩んでいたとき――
「その中には地図に書かれていたマジックアイテムが入っている。」
ポツリと、タバサがそう呟いた。
同時に、霊夢も蓋を開けて箱の中身に入っていた『縄』を見た。
その瞬間、ギクリと体を震わせたキュルケは踵を返してそさくさと自室へと帰っていった。
タバサはそんな友人と箱の中身を見たまま固まっている霊夢を一瞥し、自室へと戻った。
一方の霊夢は箱の中に入っていた『お宝』を見て硬直していたがバッと顔を上げると箱をその場に叩き捨て、目を鋭く光らせた。
急いで自室に戻ってきたキュルケは鍵を『ロック』の呪文で閉めると椅子に座って頭を抱えていた。
キュルケは最初から、『境界繋ぎの縄』というマジックアイテムなど信じていなかった。
大抵の宝の地図に書かれている名前は大げさな物であるがご丁寧にもあの地図には大層な説明まで書いていた。
しかも埋まっている場所も近く、あの時こそチャンスだと思いルイズ達を誘ったのだ。
思いの外あの霊夢もそれに乗ってくれた。
だけど、どうやら霊夢はアレが紛い物だと知らなかったに違いない。
じゃなければ廊下から漂ってくる良からぬ気配など感じないのだろう。
使い魔のフレイムも不安そうに部屋をグルグルと歩き回っている。
(どうする…今回ばかりは素直に謝ろうかしら?じゃないとやばそうだし。)
いつものキュルケならそんな事を思いはしないが、フーケとの戦いを見て流石にアレ怒らせたらは不味いと感じていた。
そんな風に悩んでいる突如扉から小さな破裂音が響いてきた。
咄嗟に杖に手に持ち扉の方へと向けた瞬間、ドアが軋みを上げて開いた。
ドアの前に立っていたのは、御幣を左手に、お札を右手に持ち、体から何やら嫌な気配を出している霊夢であった。
彼女から出てくる気配に圧倒されたのか普通主人の前に出て威嚇するはずの使い魔は情けなくもベッドの下に隠れている。
キュルケもイスに座ったまま口をあんぐり開け硬直していた。
(キャ〜、ツェルプストー大ピンチー!…なんて言ってる場合じゃないわn―――
キュルケがどうしようかと頭の中で考えようとしている時には既に遅く――
――霊夢の素早い蹴りがキュルケの額に直撃していた。
――――――
ルイズの部屋に入り口に投げ捨てられている一つの箱―――
その中からは一本の縄が出ていた。両端には小さな持ち手があり、十歳ぐらいの子供には丁度良いサイズの物であった――
遊び道具としても、運動器具としても役立つそれは――
「境界繋ぎの縄」でなく、「なわとび」と呼ばれている。
今夜行われるフリッグの舞踏会は食堂の上の階にある大きなホールで行われる。
テーブルクロスの上に並べられた数々の山海珍味、高級なワイン。
生徒や教師達は皆華やかな衣装に身を包み、今宵の宴を楽しむ。
舞踏会ということだけあって、皆ダンスに夢中であるが中には例外もいる。タバサが正にそれである。
「あなたって本当に良く喰うわね…。」
額に包帯を巻いたキュルケが小皿に盛られた肉料理をフォークを突っつきながら横でサラダを食ってる友人を見て呟く。
幸いあの蹴りは気絶だけで済んだがさっきからジンジンと痛む、もし機会があるならあの紅白に一矢報いてやろう。
そんな事を思いながらキュルケはタバサが食べているサラダへと視線を向ける。
「ハシバミ草」と呼ばれる植物をメインにしたそれは、タバサ以外に指で数える程の者しか食べていない。
そのハシバミ草を食べようなんて考えるのは変わり者だけ。と豪語する程不味いらしいので当たり前と言えば当たり前だろう。
自分の友人がそんな物を美味しそう(?)に食べているのを見てついついこんな事を聞いてしまった。
「ねぇタバサ、それって美味しい?」
「普通に美味しい。」
キュルケの質問にタバサは手の動きを止めてポツリとそう呟き、再びハシバミ草を口の中に入れ始めた。
本当なのかどうかわからないその様子にキュルケはただただ苦笑いをするだけとなった。
「やけに不機嫌そうだけど、どうしたのかしらツェルプストー?」
そんな時、ふと後ろから声を掛けられ、聞き覚えがあったキュルケはすぐに振り返った。
予想通りそこにいたのは、綺麗な純白のドレスに身を包んだルイズが腰に手を当て突っ立っていた。
振り返ったキュルケの顔を見たルイズは、顔をキョトンとさせた。
「あれ…、その額の包帯はどうしたのよキュルケ?」
「どうしたもこうしたも無いわよ。あの紅白に蹴られたのよ…全く。」
キュルケは嫌みっぽくそう言うとそっぽを向いた。
「大体、10の内9がハズレの地図なんか信じる方が悪いのよ。それなのにアイツったら…問答無用で私の額を蹴ったのよ。」
「…そういう事は先に言っておいた方が良かったんじゃないの?あぁ、そういえば聞きたいことがあるんだけど…。」
キュルケにそう突っ込んだルイズは、キュルケに質問を投げかけた。
「何よ?」
「レイムの奴が何処にいるか知らない?あいつ、部屋にいなかったし。」
その質問に、キュルケは首を傾げて答えた。
「さぁ…知らないわね…タバサは?」
「さっきバルコニーにいるのを見た。」
タバサはそれにスラッとそれに答え、顔をバルコニーの方に向けた。
一方、場所は変わってバルコニー
ホールと比べここには人はおらず、寒い夜風が吹きすさんでいる。
そんな場所で霊夢はただ一人ベンチに腰掛け、ホールから勝手に拝借したワインを飲んでいた。
酒の肴は無く、ただボンヤリと双つの月を眺めグラスに入ったワインを口に入れる。
そんな時、後ろから誰かが声を掛けてきた。
「こんな所で何辛気くさそうに飲んでるのよ?」
振り返ると、そこにいたのは立派なドレスで着飾ったルイズがいた。
「何って…寝る前に一杯飲んでおこうと思ってね。」
霊夢は顔を向けずルイズに素っ気なくそう言うとクイッとワインを飲んだ。
空になったグラスを口から離し、一息入れると視線だけをルイズに向けた。
「で、何の用よ?」
「別に、ただ何処にいるのか探してただけよ。」
ルイズはそう言うと霊夢の横に座ると、手に持っていたグラスにワインを入れ、飲み始める。
しかし、ルイズはお酒には余り強くなく、むしろ弱い方なのでチビチビとしか飲めない。それを見て霊夢が口を開く。
「なにチビチビ飲んでるのよ。もうちょっとガバッと飲んだら?」
「私はお酒に弱い方なのよ。ほっといて頂戴。」
ルイズの言葉に霊夢は軽く笑うと手に持っていたグラスにワインを注ぎながら喋り始めた。
「今回は踏んだり蹴ったりだったわ…まさかただの縄一本の為にあんな苦労したなんて…。」
そんな霊夢の愚痴を聞き、ルイズはグラスを口から話すと口を開いた。
「でも丁度良い運動にはなったんじゃないの?フーケも倒して国の治安維持にも貢献出来たし。」
しかし霊夢は不満そうな顔で首を横に振るとこう言った。
「私はそんなのに興味は無いわよ。ただ幻想郷に帰れるかも知れない情報が都合良く舞い込んだから行っただけ。
もしも最初からあの地図がデタラメだと知ってたら疲れることは無かったのに…。」
ルイズはその言葉に微笑むとこう言った。
「フフッ、丁度良いじゃない。この世界の詐欺商法の一つをしっかりとキュルケが教えてくれたんだから。」
「そんなのを学ぶ暇とアイツを叩く暇があるなら、アタシはお茶でも飲んでた方がずっと有意義だわ。」
霊夢はそう言うとグラスに入っていた残りのワインをグイッと口の中に流し込んだ。
「まぁとりあえず今はお茶よりお酒ね。」
―何せ今日は舞踏会なんだから。
ルイズはそう言うと再びグラスに口を付けてチビチビと飲み始めた。
それを見た霊夢はフッと微笑むともう一度グラスにワインをつぎ足した。
―酒一杯にして人、酒を呑み。
酒二杯にして酒、酒を呑み。
酒三杯にして酒、人を呑む。
こんな月の綺麗な日は酒を呑むのには丁度良いけど、
呑みすぎると翌日には悪夢を見ることになるので程々にしましょう。
「モンモランシィ〜〜…もういっぱぁ〜…イ゛ィ゛ッ!!?」
「アンタは飲み過ぎよ!!」
「だ…だからって空のワインボトルで殴らないでくれぇ〜…。」
代理の人支援
以上で投稿は終わりです。
代理の方、何卒御願いします、
クリスマスから書き続けていたら、何故かこんなに長くなってしまった…。
とりあえずこれでゼロ魔の原作一巻分のストーリーは全て終了です。
ギーシュとモンモンは個人的に好きなキャラなので締めを括って貰いました。
年が明けてからも続きますが、相変わらずのマイペースでゆっくりと書き上げていきます。
本スレと避難所にいる皆さん、支援してくれた人や、お絵かき掲示板で霊夢とルイズを書いてくれた人。
来年は良いお年になるのを願っています。正月はゆっくりしていってね!
あと、お賽銭は博(ry
以上で代理投下終了いたしました。
最後のレスだけ行数オーバーでしたので、
こちらで勝手に分割いたしました。
606 :
ゼロの魔王伝:2008/12/31(水) 10:27:25 ID:4FKO/iQJ
おはようございます。予約なければ40分ごろ投下します。今年最後の投下です。よろしくお願いします。
607 :
ゼロの魔王伝:2008/12/31(水) 10:42:30 ID:4FKO/iQJ
ゼロの魔王伝――7
ぽす、と軽い音を立てて柔らかなベッドに一人の少女が頬を埋めた。
ゆるく波打ち長く伸ばされた桃色がかった髪は手入れが行き届き、最高級の絹糸の滑らかさと染色や脱色ではあり得ぬ艶やかさに濡れ光っているようで、一本一本が纏う香りも胸の梳くような爽やかさとかすかな甘さを持っていた。
ゆったりとした生地の薄いネグリジェに包まれた体はお世辞にも豊かとはいえぬラインを描いてはいたが、膨らみかけた双乳を包む肌は、その下に流れる血管が青く透けて見えそうなほど透き通り、煌めいていそうに見えた。
掌で簡単に包み込める幼い胸元から腰、腰から尻、尻から足へと流れる肢体の曲線は、発達途上に在る未成熟さを補って余りあるほど美しい流れを描いていた。
そのままの美しさを貪るも良し。いずれ花開く時を待って思う様味わうもよし。女として今も未来も、絢欄と咲き誇る美貌を約束されている。
花開く前の蕾を手折る危険な誘惑と、実りきった時の美味を感じさせる絶妙な青い未熟さが、古い歴史を持つ血統のみが伝える高貴を持った美貌とあいまって、絵画に描かれるような美少女を作り上げていた。
意志の強さがうかがえるものの、いささか我の強さも目立つ鳶色の瞳を、今は襲い来る睡魔にとろんと、半ばとろかせている少女の名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール。
つい先ほど自分達の目の前で起きたトリステイン魔法学院の宝物庫を、なぞの巨大ゴーレムが襲撃するという現場に居合わせ、慌てて起きた衛兵や教師達からの質問を終え、とりあえずは翌朝にまた呼び出しを受ける、として開放された後だ。
自室に戻ってから緊張の糸が切れたのかどっと疲労が吹き出し、いそいそと着替えて、やや行儀悪くベッドに身を投げた所だ。なおルイズの持論では、貴族は着替えや洗顔などの雑事は自分では行わず、あくまで従僕や使用人にさせるものである。
ルイズは先の使い魔召喚において、全生徒の中で唯一人間(正確には異なるのだが)を召喚し、それまでメイドにやらせていた着替えなどを、この使い魔にやらせようと考えた。
だが、その考えは黒雲から雷が地に落ちて轟くよりも早くルイズの思考から撤回された。自分が呼び出した使い魔にそんな事をさせようものなら、下着姿の自分を見られる事になる。そんな事は到底許容できなかった。
だから、ルイズは使い魔を呼び出してからはずっと自分で着替え、顔を洗っている。(水だけは汲んで来てもらった)。そうしたのは使い魔に対してそんな姿を晒す事に対する嫌悪感、羞恥心といった類に似て非なる感情が、理由だった。
羞恥の心はあった。ただ、それが自分の体を他者、それも異性に対して晒す事へのモノではなく、美しいモノへ醜いものを晒す事への、となれば話は別だ。いわば美への冒涜を無意識に恐れたのである。
無論、ルイズは一般的な美的感覚に置いて類稀と評しても過言ではない美貌の片鱗を持ち、今でも飾り立てて相応しい化粧を施せば、どんな社交の場でもダンスを申し込む男に事欠かぬだけの素質を秘めている。
しかし、それはあくまでもこの世の範疇や、人間の常識の内に収まる美貌だ。しなを造り、媚を売って、色香で男をだまし破滅させた傾城の美女も世に多く居た事だろう。しかし、ルイズが呼び出した使い魔はそれを超越した領域に居た。
一国を傾かせる美女を指して傾国の美女という。しかし、その使い魔の前ではその美女も二目と見れぬ醜女の如く変わり果てて見える事だろう。所詮、この世の美は、この世ならぬ美の前では無力なのだから。
ルイズは悩ましげにベッドの上で溜息をついた。精巧な人形に魂が宿ったように愛らしいルイズがそのような行為に耽れば、その未成熟さゆえに目を向けていなかった男共も、思わず息を呑む美しさを醸し出す。
なにやらブツブツと呟いて自分と格闘し、それから意を決して着替えている間部屋の外で待ってもらっていた使い魔を呼ぶ。うつ伏せに寝転んでいた姿勢から上半身を起こし、使い魔の名前を呼ぶ声は切なげであった。
心を切るような思い、それが切なさだと誰もが理解できるような声が、ルイズの薄い花びらの様な唇から零れ落ちた。
608 :
ゼロの魔王伝:2008/12/31(水) 10:44:51 ID:4FKO/iQJ
「D、もう入ってきてもいいわよ」
眠れる美女の寝室に忍び入る夢魔を思わせる黒い影が、開いたドアの向こうからその全貌を露わにした。ルイズは既に何度も目にしているのにもかかわらず、火照りはじめる頬と心臓の脈動が一層激しくなるのを認めた。
室内でも変わらずに被り続けている鍔の広い旅人帽。楕円の帽子から流れ落ちるような黒い髪は、雲ひとつない夜空の暗黒よりもなお深く、その一本一本が夜の闇を閉じ込めたかの様。
目、鼻、唇と人間と同じはずの部位で構成されている顔は、しかしあり得ぬ黄金比で存在し、異世界の法則に則って配置された部位が作り上げる美貌は、一目見た者の魂までも奪い去る魔貌の域にあった。
鍛え抜かれ、もはや鍛える余地の無い鍛え終えた体を包むロングコートも、銀の滑車が付けられたブーツも全てが黒一色。黒とは死人の色だ。真の意味で生者に似合う色ではない。では、それこそが唯一相応しい色と見えるこの若者は何だろうか。
胸元に揺れるペンダントの蒼と、雪も恥じらって赤く染まりそうな肌の白、処女の血だけを吸って花開いた薔薇の花弁の様な唇の赤、この三色だけが漆黒のDのシルエットの中で艶やかに輝いていた。
D、ルイズが召喚せし超絶の美貌を誇る光と闇の遺伝子を受け継いだ魔人であった。流石に学院内、しかもルイズの個室内とあってかデルフリンガーを収めた鞘は背ではなく左手に握り、Dはいつもと変わらぬ死仮面の様に無表情な顔のままで部屋に入っていた。
「きょ、きょ今日はもう寝るわね。あああ、貴方もゴーレム相手にあれだけ戦って疲れているんじゃないかしら? も、もう寝たら? ね?」
自分としては自分に満点をあげたいくらいの意思表示で、ルイズは黙ったまま定位置となった椅子に腰かけたDに話しかけた。この使い魔、顔は途方もなく良いが、対人関係に関するコミュニケーション能力は著しい弊害がある。
主人たるルイズが話しかけても返事が返ってくる事はあまり多くないし、わずかでもその表情を変えた所を見た事さえ無い。
一応と言うかなんというか、ルイズの意を汲んでくれているらしい事はこれまでの経験でなんとか分かるのだが、いかんせんその美貌の凄まじさと、それとは別に一目見ただけでも思わず息を呑む鬼気とでもいうようなものを纏っている。
理由もなく体が勝手に震えだし、歯が打ち鳴る音を立ててしまう、名状しがたい恐怖を感じるのだ。
その身のこなし、見た事もないような衣服、トリステインでもその格式、歴史、品格において他の追随を許さぬラ・ヴァリエール家の令嬢たるルイズをして思わず背筋に鉄筋が通ったように正してしまう途方もない貴品が、Dへの文句を封殺していた。
椅子に腰掛け彼方の闇を見つめるDは、ルイズの言葉を聞いているかどうか判別しがたいが、ルイズはなんとはなしにそれを了承と受取り、パチンと指を鳴らした。
それに応じ、マジックアイテムであるランプの明かりが消え、部屋の中に夜の闇が訪れた。
そうやって夜を過ごす事を何日も経っているのだが、ルイズは、Dを召喚した事でほぼすべての生徒(男女問わず)から向けられる羨望と憎悪が互いを高め合った視線を浴びせられる所為でろくすっぽ眠れずにいた。
この間は疲労の極みの為に肉体が限界を感じて眠りに就いたが、今日も騒動の影響もあってか疲れがたまり、すぐさま睡魔の手の中に落ちていった。
うとうととし始めた瞼と格闘しながら、ルイズがむにゃむにゃと眠たそうに口を開いた。半分寝言と言った所か。
「ねえ、D、どうして貴方は私の召喚に応えてくれたの? そうするしかない状況だったの? 貴方は私の事をどう思っているの?」
「……」
「相棒」
「ほっとけ」
ルイズの言葉に応える素振りさえ見せないDに左肩に寄せられたデルフリンガーが声をかけたが、すぐさま左手から聞こえてきた皺まみれの老人を思わせるしわがれ声に遮られた。
半ば夢の世界の住人と化したルイズは、答えの無い事を気にも留めず、言葉を続けた。
「私ね、ずっと思ってた。私は本当に出来損ないで魔法が一生使えなくって、家名を汚すだけで、生まれてこない方が良かったんじゃないかって。
その度に絶対誰もが認めるようなメイジになって、私を馬鹿にした連中を見返してやるって思っていた。ううん、今もそうよ。貴方を召喚する事は出来たけど、他の魔法は相変わらず失敗の爆発しか起こせない、ゼロのルイズのまま」
美の神と芸術の神が結託して世に送り出した美神像の様に窓の外の彼方を見つめていたDの黒瞳が、あろうことかベッドの上でうとうととしているルイズを見つめた。ルイズの言葉の何が、感情とはいっさい縁の無いと見える冷美な青年の気を引いたのであろう。
609 :
ゼロの魔王伝:2008/12/31(水) 10:45:55 ID:4FKO/iQJ
「ああ、でも、なんだかね、貴方を見ていたら絶対ゼロのままで終わってたまるもんですかってね、思うの。なんでか分かる? 貴方とね、何時か肩を並べてみたいって、貴方の見ているものを私も見たいって思うようになったからよ。
どうしてかしらね、貴方の背中を見ているとそう思うの。変よね、主人の方が使い魔と同じものを見ようとする、なんて……。でも、ね……貴方と同じ所に立てたら、きっと、父様や母様をもう悲しませなくて、済むと、思う。
ずっと、私なんかが生まれてきてごめんなさい、そう思っていたから、何時か……こう言いたいの。私を産んでくださって、ありがとうございますって。私、父様や母様、姉様やちいねえさまの、自慢の娘と妹に……なりたい」
だんだんと眠りの世界に落ちて行くルイズの耳に、小さな奇跡が届いた。
「君ならなれる」
それがDの声と悟り、ルイズは夢の中だから聞こえた幻の声であったか、現実のそれであったか分からなかったが、それでも幸せそうに微笑みながら、すう、と瞼を閉じた。
「……ふふ、ありが、とう」
穏やか寝息をルイズが立てるのを聞き届け、Dは再び視線を窓の外に広がる無窮の闇へと向けた。環境開発や操作が行われていない夜の空は、Dにとっての貴族達の多くも知らぬ、自然のままの世界が広がっていた。
人が作った狭い箱庭の建物の中から悠久の時が流れてきた夜空を見上げ、Dよ、何を思うのか。
「どうしたい、相棒。ずいぶん娘っ子に優しいじゃねえの」
「デルフリンガーの言う通りじゃのう。およそお前らしくないわい。なんじゃ、お前ああいう平たい体が趣味か」
揶揄するデルフリンガーと左手の追及を一顧だにせず、Dの瞳は彼方を見つめたままだった。その先に、途方もない何かが居るのだと、史上最強最高の吸血鬼ハンターの勘が告げているのかもしれなかった。
Dの視線のはるか彼方、同じ蒼と紅の双月に照らされる夜だというのに、その世界だけは時の流れから隔離させていた。
始祖ブリミルへの信仰からなる宗教の頂点に立つ聖王エイギス三十二世のお膝元である、ロマリア国にある打ち捨てられた寺院に、顔こそ隠しているがやんごとない身分に在ると分かる二つの人影が足を踏み入れた。
数十年前の嵐で荒れ果てて、神官が再建を諦めた日々がより一層荒廃に拍車を掛けて、今や積み上げられた土台の石にも罅や蔦が縦横に走っている。
白絹の法衣に身を包んだ若々しい男と、それを護衛する様に先を行く紫のマントと腰に差した瀟洒な細工の拵えの短剣を提げた少年であった。既に何度かこの場所に足を運んだのか、暗闇の中を月明かりのみを頼りに足を運んで行く。
そのうちに巧妙に瓦礫の陰に隠された木の扉が姿を見せ、少年が引きあけた扉の向こうには暗黒がぽっかりと顎を開いて待ち構えていた。そのまま足を運べば二度と光の射す世界へは帰れぬと予感させる暗闇である。
それに一瞬だけ躊躇する様な動作を二人は見せたが、すぐに意を決して足を進ませた。背信の匂いを漂わせ、神に仕える清廉な聖職者たちは悪魔が三日月のような笑顔を浮かべて待つ奈落へと堕ちて行く。
十分か、三十分か、一時間か、闇の中を歩み続ける二人は、やがて赤錆を浮かせた鉄鋲がいくつも打たれた鉄扉を前にした。
両開きの扉は一辺が十メイル、高さはその倍もあろうかと言う巨扉である。オーク鬼を十匹集めても開く事はできそうにない重厚さがのしかかる様に聳えている。
その扉の前に、くらぶれば到底気付けそうにもない小柄な老人が居た。ロマリアやトリステイン、ガリアでは見慣れぬ、しかし金糸銀糸をふんだんに使った長衣を纏い、節くれ立った杖を突いている。
地面に着きそうなほど伸び、垂らされた見事な白髭と痩せこけて鶴の様な細い体の老人である。長く延びて瞳の大部分を隠す白い眉の下の瞳だけが異様に輝き、そこに途方もない知性と知識が秘められている。
両手を組み合わせて老人は深く頭を下げ、ハルケギニアの公用語であるガリア語を流暢に語った。
610 :
ゼロの魔王伝:2008/12/31(水) 10:46:48 ID:4FKO/iQJ
風のうわさでハルケギニアの人々が耳にする東方の出自かと思うような風体だが、流れる様に紡がれる言葉は生まれも育ちもハルケギニアのものでも、こうも巧みに操れる者は少ないだろう。
「ようこそのご入来、このような老骨のみで恐縮ですが歓迎いたしますぞ、教皇聖下、聖騎士ジュリオ殿」
「麒鬼翁殿も変わらずご壮健そうでなによりです」
ブリミルの信徒全てに対し無限の慈愛を向ける、まさしく理想そのものの教皇の慈笑を浮かべて、麒鬼翁(ききおう)と呼んだ老人とにこやかに挨拶を交わした。
あくまでも友好的な笑みを浮かべる教皇ヴィットーリオ・セレヴァレの傍らに控えるジュリオという少年は、左右で色の違う月目と呼ばれる特徴的な瞳に好々爺然とした老人の姿を油断なく映している。
Dや幻十、メフィストなどと言った人の領域を外れた美とは比べるまでもないが、ハルケギニアでは忌避される月目が、その非の打ち所の無い美貌に宿る限りにおいては神秘的な輝きとして世の女性の胸をときめかすに違いない程の美少年である。
まだ二十歳にもなっていない若さで聖騎士の地位にあるのならば、由緒ある家柄かよほどの功績をあげたか、あるいは有力な権力者の後押しを得ているのだろう。おそらくは目の前の教皇の。
二三言、ヴィットーリオと言葉を交わした麒鬼翁が、背後の鉄扉を振り返り、数百トンはあろうかと言う鉄扉を手に持った杖で小突いた。たったそれだけで、錆びついた音を立てて扉が奥へと押し開いてゆく。
そのまま押し潰されてしまいそうな質量を感じさせるほど深い闇が四方を占めていたが、ぼんやりと月輪の様に光るほの白い光があった。舳先に幻燈を吊るした一艘の小舟である。
白い光を水面が照り返していたが、ゆらゆらと揺れる様子はない。どうやら波風の無い静けさに満たされた場所の様だ。この過程もすでに幾度か経ているのか、ヴィットーリオとジュリオに動揺の色はない。
白い光に照らされる船に乗り込み、麒鬼翁が杖でもやわれていた縄を軽くこすると、するすると一人手に縄はとけ、船の真ん中の左右にある球体から突き出た櫂が動き出した。
燃料も、人の手も一切必要とせぬ完全自動の船なのだ。魔法を使えば同様の事も可能ではあろうが、ディテクトマジックにも何の反応も見せぬこの船は、ヴィットーリオの目の前の小柄な老人の技術によって作られたものなのだ。
ジュリオが、自分達に向けられた視線に気づき、周囲の暗闇に月目を向けた。一瞬だけ、廻らせた視界の中に、水面から首から上を突き出した女の顔が見えた。三人分、良く似通った姉妹の様な美女である。
やや鼻は低いが儚い花の一片の様な美女たちである。ジュリオがこちらを見返している事に気づいたのか、とぷん、と水音を立てて水の中に消えていった。そのすぐ後に、ぬらぬらと光る鱗を輝かせた大蛇の胴が現れて、首を追うようにして水の中に潜ってゆく。
瞼を瞬いた次の瞬間には、美女の顔も大蛇の胴も消えていた。夢か幻の様に跡形もなく消えた女達が、しかし現実のものだとジュリオは知っている。
初めてこの場所を訪れた時、麒鬼翁に案内される道中、この船の上で四メイルの高みからこちらを美味そうに見つめていた女たち。見目麗しい若々しい美貌が覗かせた歯は、槍穂のように鋭く研ぎ澄まされた刃であった。
その女怪達を一声で追い払った麒鬼翁が言うに、あれらの妖魔はこの老人が生み出したものだという。その多くが既に死に絶えているが、まれにああやって生き延びた者がいるそうだ。
(相変わらず、気味の悪い所だ)
何度足を運んでも慣れぬ不快感を表には出さず、心の中にしまい込み、ジュリオは一刻も早くこの暗黒の船旅が終わる事を切に願った。ほどなくして彼方に半円状に陽の光が滲む出口が見えた。
闇に慣れた目には明るい太陽の光はいささか辛いモノがあったが、その先にある光景にはジュリオも飽きず感嘆の吐息を洩らしてしまう。
この世界の主である麒鬼翁からしてみればかつての広大で、雄大な自然を湛えていた残影はかすかにしか留めていないが、それでも夜の闇の中に昼の世界を構築する技はヴィットーリオ達にとって驚嘆に値した。
611 :
ゼロの魔王伝:2008/12/31(水) 10:47:47 ID:4FKO/iQJ
夜の闇が深まる時刻だというのに、中天に太陽が燃え盛り、どこまでも突き抜ける青い空には白い雲が風に乗って流れ、翼を広げた鳥の群れが時折鳴き声を遠く響かせながら飛んでいる。
船を乗せた川の左右は山頂が雲に掛かるほどの巨峰が連なり、その麓から川辺までを濃緑が埋めている。鬱蒼と生い茂った深い森である。地を走る大蛇の様に蛇行した川をそのまま船で行き、やがて小さな東屋が見えた。
小さな桟橋の横で船が止まり、舗装された道がうねくりながら続くその先こそが三人の目的の地であった。小鳥たちの囀り、かすかに頬を撫でて行くそよ風、滾る陽光の活力が満ちた世界である。
ぎ、と小舟を揺らしてまずジュリオが、ついで差し出されたジュリオの手を握ってヴィットーリオが桟橋に降りた。最後に麒鬼翁が降りた。
麒鬼翁が再び杖で縄を突いて、生きた蛇の様にくねった縄がするするともやわれ、小舟を係留した時、三人の前に中国衣を纏った侍女たちが姿を見せ、うやうやしく膝礼をしてヴィットーリオ達を迎えた。
無論、尋常な人間に在らざる、麒鬼翁の手によって生み出された人造の者たちである。見た目は幼ささえ感じるあどけない少女たちであるが、その実オーク鬼やミノタウルスも素手で解体する鬼女達だ。一人で並の兵士五十人分の働きもするだろう。
どこの宮廷に出しても感嘆の吐息が零れるような優雅な仕草でヴィットーリオ達を先導する侍女たちに突き従い、深い森の中に伸びる道を行き、やがてハルケギニアではお目にかかれる古代中国風の豪奢な屋敷に辿り着く。
緻密な透かし彫りの細工が施された巨大な翡翠の扉を抜け、異国の香り漂う屋敷の中へと三人は足を進めた。麝香に似た香りが屋敷の中に満ちていた。ここはいつも何かの香が炊かれているのか、澄み切った香りはない。
幼い子供の様に屋敷の中を見回していたヴィットーリオが、不意に麒鬼翁に質問をした。
「そういえば、貴方のご主人殿はいつごろ目を覚ましになられるのですか? もう随分とあなた方を呼んでから時が経っておりますが?」
「いやいや、それにつきましては誠に申し訳ない。我が主は今だ負った傷が癒えませぬで床に伏したまま起き上がる事もままなりませぬ。そのような醜態を教皇聖下にお見せする事は礼を失すると」
「そのような事、わたくしは構いませぬが、誇り高い方なのですね」
「どうかご寛恕願います。いずれ、主ともども教皇聖下にご挨拶に伺います故」
深々と腰を折って頭を下げる麒鬼翁の様子に、ヴィットーリオは変わらずにっこりと、その教皇、聖王の尊号に相応しい慈悲に充ち溢れた笑みを浮かべる。
頭を下げたまま、麒鬼翁は、言葉とは裏腹に悪意の影をちらつかせた笑みを口元に刻んでいた。古代中国夏王朝の頃より生きる齢数千年を数える妖科学者は、このハルケギニアの世界で何を企むか、年経るごとに増した邪悪さを隠し、ただただ笑んでいた。
かつてヴィットーリオの召喚によって姿を見せた崩壊寸前の船より姿を見せたこの老人の技術と、ヴィットーリオとロマリアの持つ虚無に関する知識とを引き換えに、互いを利用しあう関係を築いたが、いまも麒鬼翁の主人は姿を見せずにいた。
その主人こそが、両者の関係に決定的な不和か、同調を齎す存在となるだろう。そして、この古代中国の故事に在る壷中天の世界を模した世界に立つ屋敷の地下、そこに麒鬼翁の主人は居た。
薄闇がそここそに蟠る広い部屋だ。月光が変じたかのような薄い紗の幕を幾枚も重ねた奥には金色に輝く巨大な甕があった。
同じく金色の魔物がそこにいた。首の付け根で動が一つになった四つ首の龍であった。メフィストや麒鬼翁がもといた世界の欧州地方でいう、四肢に蝙蝠の翼を備えたドラゴンではなく、水神として奉られる事もある東方の龍だ。
広げられた口の中には、凶暴かつ鋭い牙が幾重にも並び、口腔からは今にも紅蓮の炎が迸り、その長く伸びた鉤爪で目の前に立つ者を引き裂き貪ってしまいそうだ。
瞳は見られた者の心臓が止まってしまいそうな錯覚に襲われそうなほどに残忍な造りであり、一枚一枚の鱗も繊細にして大胆に造られている。四方を向く龍は、大きな甕を支える土台であった。
612 :
ゼロの魔王伝:2008/12/31(水) 10:49:32 ID:4FKO/iQJ
甕の中から、吸い込んだ肺の中に血の球を結んでしまいそうなほど濃厚な血の匂いが香っている。手を握ればその中に、血が滴り落ちそうなほどに濃い。ともすれば世界が赤い靄に覆われているように見えそうだ。
直径ニメイルほどもある甕の中に一人の女が身を沈めていた。赤い海の底に沈んだように赤く染まる女のその美しさを語る言葉はない。女の美を超えた美を表す為の言葉を、すべての人間は滅びるまで生み出す事は出来ないだろう。
かつてドクター・メフィストにさえ美しいと言わしめた女、メフィストよりも幻十よりもDよりも美しく、しかしその女は死んでいた。十文字に断たれた頭は麒鬼翁によって傷跡一つなく縫合されていたが、決して首と繋がる事はなく固く瞼を閉ざしたままだ。
処女の血で満たされた甕の底にあっても赤をすべて白に変えてしまいそうなほどに輝く肌は、生前と変わらぬが胸の内に植え付けられた絶望がある限り女は死に続けるだろう。
女は吸血鬼であるが故に、死んでも滅びる事はない。吸血鬼とは不死者、死なずの者と呼ばれる。殺すでは吸血鬼には足りぬ。殺す事で死を与える事は出来よう。しかし死なずの者たる吸血鬼は、殺されてもいずれは蘇る。
吸血鬼の真の死とは滅びに他ならない。その意で言えば今のこの女は決して滅びてはいなかった。本来の女の能力を考えれば、このような状態は女にはありえない。例え核の炎の中心地に居ようと傷一つなく蘇ると称されたほどの不死者だ。
その女がこうして死に続けているのは、かつてメフィストが告げたように生きる事への絶望が理由だ。かつて心底から愛した男によって、あるまじき手段によって殺された女は、今も尚その胸の内にいかなる希望も及ばぬ絶望を宿し、蘇る事を拒絶していた。
それはこのハルケギニアの世界とそこに住む全ての命にとって幸いだったろう。この女の生命の復活は、他のすべての生命にとって地獄の底と繋がる事に相応しい。
呪われた街<新宿>をしてなお、その存在を全力を掛けて否定せねばならなかった魔物。その女に名はない。あえて言うならば“姫”だろうか。目覚めてはならぬ姫は、しかしいずれ目覚めると魔界医師が予言していた。
かつて魔界都市の象徴たる魔人――ガーレン・ヌーレンブルク、ドクター・メフィスト、秋せつらの三人をもってしても終には滅ぼしきれなかった吸血姫よ、何時までも目覚める事無かれ。その時こそこの世に地獄絵図が描かれる時なれば。
終了です。皆様、よいお年を。
魔王伝の方お疲れ様です
良いお年を
ところで
逞しき使い魔と言う名で
スパルタの亡霊こと無敵のマッスル
クレイトスを召喚とかどうだろ?
まあぶっちゃけありえないが・・・・
574-584
「ライトノベル作法研究所」の第一研究室「タブー、これをやってはいけない!」に
「時点移動に注意」「究極のタブー。視点移動をしてはならない」「魔音さんからの質問」
が書かれているので、参考にされてみてください。視点移動に関して詳しく説明されています。
別にあそこに書いてるのが絶対じゃないんだがな
一瞬「時点移動」が「時空移動」に見えて焦った
うまい人はタブーを犯しても逆にそれを利用して面白く書くからな。
ラノベに限らず昔からそうだ。
618 :
ナイトメイジ:2008/12/31(水) 11:39:13 ID:zI0qCzrB
私も45分から投下させてください
>615
今まで、プロの作者や編集者が積み重ねてきた不文律だろ
それ以上の知識や経験が自分にあると思うなら否定すればいい
>617
タブーを犯すのは素人が大半だけどなw
620 :
ナイトメイジ:2008/12/31(水) 11:47:18 ID:zI0qCzrB
「でてってよーーーっ!」
とは言ったものの別に永遠に出て行けと言ったつもりは全くない。
なのに、なのに、なのに
あいつは、使い魔は、ベルは全然戻ってこない。
お腹がすけば戻ってくると思って食堂で待っていてもベルは戻ってこなかった。
──あれで拗ねるなんて可愛いところもあるじゃない
とか思っていつ帰ってきても良いように、部屋に食事を運んで待っていたけど戻ってこない。
寝ようかと思ったけど、部屋の前まで帰ってきて鍵がかかって入れないのもかわいそうだと思ってずっと起きていた。
だけど途中で力尽きてしまった。
「まだ戻ってこない」
というわけで机を枕に代わりにしたまま朝を迎えてしまった。
空は晴れているし、鳥がチュンチュン鳴いているがちっとも爽やかじゃない。
おまけに鏡を見たら顔に机の跡がついて、それがルイズを苛つかせる。
「どこに行ったのよ。いったい」
おまけに朝にいつも来るはずのシエスタも来ない。
なにも喋ってないから居ないような気がするのではなく、本当にいないのだ。
「絶対、見つけてお仕置きしてやるんだから」
というわけでルイズはベルを探して学院内のあちこちを歩きまわっている。
ところが見つからない。
どこを見ても見つからないし、どこに行っても見つからない。
影も形もないのだ。
全く手がかりを見失ってしまったルイズは考えた。
そして、とびきりのアイデアを思いついた。
探しても見つからなければどうしたらいいか。
答え 誰かに聞く
というわけで聞いてみた。
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーの証言
「あなたの使い魔?昨日、庭にいたのは見たけど……そう言えば今日は見てないわね。そういえば近頃旅行でも流行ってるの?あなたもこの前どこかに行ってたでしょ。タバサも居ないし」
だが、聞けばすぐに分かるというものではない。
それでも、まだ聞いていない人はたくさんいるのでルイズは聞き込みを続ける。
「で、なんであんたがついてきてるのよ」
ただし、同行者が1人増えていた。
「いいでしょ。べつに。それに、面白そうじゃない」
「邪魔しないでよ」
「あら、私の方がこういうことを聞くのは得意よ」
と言って、キュルケが勝手についてきたのだった。
マリコルヌ・ド・グランドプレの証言
「キミの使い魔?銀髪の人間だよね?そうだ、彼女だ!ルイズ、あれはいったいどういう事なんだ?え、知らない?
じゃあ教えてあげるよ。昨日の昼過ぎ……もう夕方に近かったかな。
とにかく、その頃にギーシュが大きな荷物を持って出かけるのを見たんだ。
それとキミの使い魔となんの関係があるのかって?ギーシュは女の子を連れていたんだよ。
それがキミの使い魔だったんだよ。それだけじゃない。あとタバサと学院のメイドまで連れていたんだよ。
そう、3人もつれていたんだ。両手に花どころじゃないよ!なんでギーシュばっかりモテるんだーーーーーっ」
「ふぅん、あのギーシュにね。タバサには恋をしてみなさいって言ってたけど……まさか相手がギーシュなんて寝。しかも、他の子と一緒に旅行。考えてなかったわ」
とはキュルケの談だが、ルイズは全く別の考えを持っていた。
「いや、違うわね」
「心当たりでもあるの?」
「ギーシュが他の3人を連れて行ったんじゃないわ。ベルが他の3人を連れて行ったのよ」
「そうなの?でも、タバサもつれないわね。それだったら、私にも声かけてくれればいいのに。でも、ギーシュってルイズの使い魔について行かなくちゃならないわけでもあるの?」
ルイズは顔の右端を引きつらせながら答えた。
「また踏まれたんでしょ。きっと」
「踏まれただって?よく分からないけどなんて羨ましい!!!」
>>619 まああえて犯すのか知らずに犯すのかの違いは大きいわなw
それはともかくベル様支援!
622 :
ナイトメイジ:2008/12/31(水) 11:48:33 ID:zI0qCzrB
「はいはい。マリコルヌ、あなたはもう黙ってて」
突如耳元で絶叫を上げるマリコルヌがキュルケに押しのけられるのを見ながらルイズは昨日のことを思いだしていた。
そういえばシエスタが何か言っていた。
確かこんな事だった。
──ベル様と私、これからタルブに行くんです。あ、タルブって私の故郷なんです。それで、ヴァリエールはどうします?
「思いだした!」
いきなり何事かをひらめいたルイズにキュルケは少しばかりたじろいだ。
「な、なに?いきなり」
「多分その4人、タルブに行ったのよ。間違いないわ。昨日そんなこと言ってたし」
「だったら、探す必要なんて無かったんじゃない」
まったくその通りであるがルイズは気にしないふりをする。
「と、とにかく。タルブに行くわよ」
「ちょっと、待ってよ。私も行くから」
馬小屋に走るルイズに追いかけるキュルケ。
2人が去った後にはマリコルヌが誰にも顧みられることなく寂しげ立っていた。
馬小屋にはいつも数頭の馬がつながれており、学園の関係者なら誰でも好きに使うことができる。
「ルイズ、そっちは?」
「いないわよ。ああ、もう、なんで今日に限って」
既に先客がいたらしく一頭もいない。
そして、その先客の中には確実にベルもいる。
──これじゃ、追いつけないじゃない
焦って意味もなく足踏みをしていると小屋の外で馬のいななく声がした。
半分しか閉めてなかった扉の隙間に体を押し込むようにして小屋の外へ。
頭上にキラリと光る丸みを帯びたものがあった。
「おや、ミス・ツェルプストーにミス・ヴァリエール。2人ともどうしました」
鼻に引っかけるように眼鏡をかけているコルベール先生がまだなにも乗せていない馬車の上からルイズとキュルケを見下ろしている。
太陽は彼の禿頭上にあった。
馬が走れば、繋がれた荷馬車も走る。
となれば道が少しでも凸凹していれば馬車はがたがた揺れるわけで、それに乗っているルイズは舌を噛まないように口をぴったり閉じていた。
「ミス・ツェルプストーとミス・ヴァリエールが遺跡に興味があるとは思いませんでしたよ」
揺れていても平気で喋られるコルベールはある意味すごい。
「それで、ミスタ・コルベール。タルブにあるという遺跡はどのようなものですの?」
と思ったらキュルケもまともに喋っていた。
さて、コルベールは学院でも指折りの奇人である。人によっては変人とも言う。
だが少なくとも変態ではないし、変熊という者は決していない。
魔法を使えばいいことを魔法無しで実行するという意味の分からない研究をしている上に、その研究材料を求めて各地の遺跡に赴き、結局成果も無しに帰ってくることも多い。
それを夜につきあっている男友達から聞いていたキュルケはコルベールの目的地がタルブと知るとこう言ったのだ。
──まあ、ミスタ・コルベール。遺跡発掘に行くのですね。私たち、以前から興味がありましたの。手伝わせていただけませんか。
おかげで気をよくしたコルベールは2人の同行を許してくれた上に特別授業扱いにしてくれた。
これで出席日数もばっちりである。
「竜の遺跡と言われているものですよ。何でもその奥には竜のように自在に空を舞い、フネのように遠くまで飛べる竜の羽衣という秘宝が眠っているらしいのです」
キュルケはぐるんと音がしそうな勢いで振り返る。
その目は期待に輝きまくっていた。
「ねえ、聞いた。ルイズ。秘宝ですって。秘宝。しかも、遺跡に隠されたマジックアイテムよ。すごいものがありそうじゃない」
「それよりも私はベルが」
──なにをしているか心配よ
がくん、石に乗り上げた馬車が大きく揺れる。
「もぐがががががががっ」
「なにやってるのよ」
舌を盛大に噛んだルイズが荷台で転げ回っていた。
タルブに続く道から見える崖には洞窟がぽっかり口を開けている。
普段は森と岩に遮られ気にとめる者がいるはずもないこの場所でキュルケとルイズはコルベールの広げる地図をのぞき込んでいた。
ルイズは先にベル達が行ったというタルブに行きたかったのだが、キュルケとコルベールがどうしてもと言ったので先にこっちに来ることにしたのだ。
1人で行こうにも、馬車無しではタルブはまだ遠い。
霊夢の人乙です。
次回にwktk。
魔王伝の人乙です。
相変わらず描写が濃いんだぜ
あと姫起こしちゃらめぇぇぇっ!
次回に超wktk。
624 :
ナイトメイジ:2008/12/31(水) 11:51:06 ID:zI0qCzrB
「ミスタ・コルベール、ここですね」
「ええ、間違いありません」
ルイズは洞窟の奥をじっと見てみたが、どう見てもただの洞窟だ。
竜の名前を持つような遺跡や秘宝があるような所にはとても見えない。
「それより、これを見てください」
コルベールが杖で地面を指す。が、ルイズにはそれがただのなんの変哲もない地面にしか見えない。
「なんですの?いったい」
キュルケも同じようで腰をかがめて目をすがめている。
「足跡があります。しかも新しい」
言われてみればそんなものがあるような気もする。でも、無いような気もする。
はっきり言ってよく分からない。
「だったら私たちより先に入った人がいるのですね」
「しかも1人ではありません。1、2、3……4人で入ったようですね」
顔を上げたコルベールはいつになく鋭い目つきをしていた。
別人のようだと錯覚しそうになる。
「ミス・ツェルプストー、ミス・ヴァリエール。お二人は来ない方が良い。
こういった遺跡は盗賊に盗掘されることもあるのです。
まさか鉢合わせするとは思いませんでしたが、そういった者達がいるとすれば、ここは危険です。
近くの村で待っていてください。私は貴重な遺物が荒らされないように手を打たねばなりません」
「あら、それは間違いだと思いますわ」
両手を腰に当てるキュルケは絶対に引かないとでも言いたげにその豊かな胸を張っていた。
「私もトライアングルです。足手まといにはなりませんわ」
「しかし」
「それに、盗賊がここに入った4人で全部とは限りませんわ。だとすればここで分かれた方が危険です」
「では、ミス・ヴァリエールは」
「私は」
ルイズも引く気はなかった。
先生と同級生を置いて、逃げ出すというのは貴族のやることではない。
それにヴァリエールの宿敵たるツェルプストーに負けられない。
だが、意気込んでそれを言おうとする前にキュルケの言葉の方が早かった。
「ミス・ヴァリエールも同じですわ。ルイズがあのフーケを撃退したという話はもちろん私も知っています」
先に言われたのにはちょっとむっとしたが、意外な評価は何か嬉しいような気もした。
だけど、そうは思いたくなかったのでその気持ちは封印する。
「……わかりました」
コルベールは一瞬口ごもってから答えた。
その顔に表れていたのは納得か、あきらめか。両方のかも知れない。
「全員で行きましょう」
「ええ、もちろんですわ」
ルイズにも異存はなかった。
ただ、何か見落としているような予感がしていた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今回はここまでです
コルベールは知覚判定に成功した
ルイズは失敗した
キュルケは失敗した
先生ならこの程度のことは多分やるはずです
失礼しました。
ポンコツ支援
ベル様の人乙です。
次回にwktk。
otu
視点に関してはプロが積み重ねてきたとは言い難いけどな
確かに固定の方が判りやすくはあるんだがプロでも普通に無視(ミス?)してる事が多いし
その方が読みやすいので、と言う説で薦めるならわかるが
プロなら誰でもやってるからと言われると具体的に誰ならかっちり固定で動かないんだと聞きたい
じゃあJ・K・ローリングで、とりあえず視点は動かないよ
小津安二郎的視点からハルケギニア世界を淡々と描く「小津の使い魔」
おはようからおやすみまで暮らしを見つめるライオンの視点から描く「ルイズのごきげんよう」
>>631 でけぇサイコロ投げて「何が出るかな、何が出るかな」と言ってるルイズを幻視したw
>>631 ライオンなんて立派な使い魔を呼んだじゃないかと皆が認めてくれたのに
どうしてもキグルミにしか見えなくて一人悩むルイズですね、分かります
>>631 ドラマCDとかのおまけコーナーでやってくれないかなw
>>634 まかり間違ってタバサが「ドヒャー!とした話」にでも当たったらどうするww
>>635 そこはキュルケに恋バナを出してもらってだな…30分じゃ足りんなw
やるなら避難所だが、ルイズが荒川河川敷に逆召喚を考えた
リクからみればルイズも電波
失敗魔法みせて鉄人兄弟に鉄仮面被せられるとかを幻視した
以下略の人達をルイズが召喚…スゲーいい顔で活躍しそうw
コードギアスのシュナイゼルが召喚されてギアスの効果でルイズに従う、というネタはよく見る。
だがこいつの最大の問題は虚無に目覚めてゼロじゃなくなった途端にあっさり見限られるであろうことだw
>>612 魔王伝の方、お疲れ様です
相変わらずの濃い描写、これほどのものをこの速度で書ききる人が居るという事に驚きです
これだけの作品ですから、少しペース落としてでも細部まで詰めて欲しいと思うのはわがままに近い意見だとは思うのですが、
ついそんな事も思ってしまいます。
それぞれのキャラクターをこれでもかと演出してくれ、ただそこに居るという事を表現するのすら難しいと言われるキャラクター達を、
らしさを失わずに描ききっているのは見事の一言です。いつも楽しみにしてします、頑張って下さい
>>632 でも、六面とも0でクラスメイトからツッコミが入るんだろ?
>>639 虚無と書いてゼロと読むと言えばおk
このスレって擬人化キャラの召還ありかね?
>>642 「原作の改変」と受け取られかねないから、やめといた方がいいと思うが。
まあケースバイケースだと思う。
そもそもシュナイゼルは元の世界の「ゼロという人物(ビジュアル含む)」に対してだから
「ゼロの」という冠詞に対して発動する訳じゃないぞ
エース・ベンチュラのシカカじゃあるまいし
>>645 では、何故かゼロの仮面を常につけているルイズにすれば
>>612 魔王伝の方、遅ればせながら乙っした!
素敵すぐるルイズの描写に感激っス。
しっかしガリアじゃ幻十が妙に下手に出てるし、Dもルイズにゃ一目置いてるよーだし、
“虚無の担い手”侮りがたし、って所なんですかねー。
……にしてもテファ、すぐ逃ーげーてー。
ぜってーあの藪医者、またなんか企んでやがるッ!
元ネタは全然知らないのだけど、魔法伝の方は
その文章力というか、技量が凄いなと素直に感心してしまいます。
自分には到底考え付きそうもない表現が目白押しで圧倒されっぱなしです。(汗
別作品で存在する擬人化、性格改変ものとかはどうかな?
マジンガーZ→ジム・マジンガ
涼宮 ハルヒ→涼宮 ハルヒちゃん
それなら問題ねーだろ
擬人化といえば、「ヘタリア」のイタリアが召喚されたら
イタリア半島も地球からごそっと消えたりするんだろうか
へ? そんな設定だったのヘタリアって……
涼宮・ハルヒ・チャン(中国)だと?
国の行動や国民性を擬人化してる設定。
ヘタリアっつーかイタリアは色々伝説を残したからな、前の大戦で。
事実とジョークが混ざってるみたいだがな。
砂漠でパスタ茹でて水が無くなったのは事実ではないらしい。
まぁそんなジョークが創られるぐらい国家間での立ち回りの巧さと、
戦闘の弱さが際だっていたんだろうが。
リリカルなのはのデバイスを擬人化して召還させようと思うんだがどうだろう?
その「ヘタリア」と言うのはもちろん「砂漠でパスタを茹でてた」が嘘だと証明したり、サヴォイア竜騎兵連隊やフォルゴーレ空挺師団の活躍を載せてるんだろ?
原作および派生作品にそういう設定があればいいんじゃないの?
ハルヒちゃんは作者公認、ジム・マジンガに至っては作者本人が書いてるからな。
そういう「公式認定」されたものであれば、問題はないと思うが。
一瞬、ちゅるやさんを召喚するビジョンが頭をよぎっちまったぜ…。
イタリアの伝説は第1次以前から有るぞ
>>660 糸目のキュルケとタバサにツッコミくらう度に「にょろ〜ん」となるルイズとちゅるやさん…スゲー癒されるww
対戦したい人へお勧めの国、イタリア
・最新の戦闘機、戦車装備の部隊なら大丈夫だろうと思っていたら弓と槍のエチオピア軍に負けた
・補給拠点から数百キロの砂漠で兵士が水を大量に使ってパスタをゆでていた
・連合国へヒトラーに便乗して宣戦した、というか宣戦した後からどうするか考える
・イギリス軍兵士がイタリア軍に捕虜にされ、将校も「兵卒も」全員フルコースを振舞われた
・中東戦争中、乗っていた戦車を休憩中に泥棒に盗まれた。
・教会に火薬を置けば安全だろうと思ったら、雷の落ちた場所が教会の尖塔だった
・男性の9/10がナンパ常習者。しかも「命を賭けるときは惚れた女を守るときだけだ!」という民族気質から「隊長ほど危ない」
・「眠い夜中に攻めてくるわけがない」といって見張りを置かなかった部隊がその晩に投降した
・「崩壊寸前の国なら負けるわけがない」とフランスに攻め込んだが、逆に攻め込まれる寸前で戻ってきた
・最近流行っている補給物資は「ワイン」 ワインを一気のみすれば泥酔して戦闘が怖くなくなるから
・近代史においてイタリアが負ける確率は150%。一度降伏して寝返った後、元の同盟国にもまた負ける確率が50%の意味
・イタリア戦史上における主な21戦中イタリアの勝利は4回、うち3回が同盟国が導いた勝利。
やあやあ>662くん。ハルケギニアにスモークチーズはあるかい?
しかし戦争に強いことが女にもてる条件になってると大帝国作るからなイタリア人は
サッカーに強いと女にもてるからサッカー強くなるからなイタリア人は
圧倒的スケベで他にエネルギーを裂かないだけだ
>>666 つまり、世界の命運はイタリア女性が握っているのか……
にょろ〜ん風味なルイズというのはどうも想像できないのだがw
>>663 殆ど全部が単なる都市伝説だな。はっきり言ってみててイライラしてくるんだが。
ついでに自分の母ちゃんにも頭が上がらなかったり、
スゲー仲が良かったりするんだっけか。
>>630 視点が低くて、手前に赤い物体をナメで配置するわけね
セリフはオウム返しが多くて
配役はルイズ=原節子、サイト=笠智衆あたりで
675 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/31(水) 18:34:01 ID:8LGWSJWh
わかりませぇ〜ん
>>・最新の戦闘機、戦車装備の部隊なら大丈夫だろうと思っていたら弓と槍のエチオピア軍に負けた
完全な嘘。そもそも第二次エチオピア戦争はイタリアのエチオピア併合で終了している。
>>・補給拠点から数百キロの砂漠で兵士が水を大量に使ってパスタをゆでていた
何の根拠も無いただのデマ。そもそもそんな事ができる程兵站に余裕があったわけじゃない。
>>・教会に火薬を置けば安全だろうと思ったら、雷の落ちた場所が教会の尖塔だった
18世紀の話を持ち出して何がしたいのやら。
しかも同じ事はロードス島の騎士団にも起こってるのに。
>>・イギリス軍兵士がイタリア軍に捕虜にされ、将校も「兵卒も」全員フルコースを振舞われた
>>・「眠い夜中に攻めてくるわけがない」といって見張りを置かなかった部隊がその晩に投降した
>>・最近流行っている補給物資は「ワイン」 ワインを一気のみすれば泥酔して戦闘が怖くなくなるから
これまた出典不明の都市伝説。
はっきり言って、イタリアを貶めたいと言う意図しか感じられない。
なぜイタリアがあれほどの醜態をWW2で晒したかについては
http://yakouhai.seesaa.net/article/63022096.html と、そこで紹介されているイタリア軍入門を参照。
ヘタリア有名になっていますよね。妹まで知ってた……
ところで、続きを投下してもよろしいですか?
>>676 貶めたいわけじゃなくてイタリアは愉快な国だと言っているジョークだった気がするんだが
まあ半世紀ちょい前の南蛮の長靴国は置いといて、
婆娑羅さんカモン!!!
有名なコピペ、ってかテンプレみたいなものだろ?
ネタに一々イライラしてどうするんだよ
その日……利家はシエスタの家で彼の父と、酒を交わした。
父親は利家と忠勝を見ると目を丸くしていたが、説明を受けると納得したように頷いた。
「……そうか、謙信様は元気でやっておられるか……」
利家から話を聞いた彼は、懐かしそうに呟いた。
しかし、帰りたいか?という利家の問いに彼は首を横に振る。
「わしにはここに新しい家族がいる。アルビオンとトリステインが不可侵条約を結んだのは知っているか?」
顎に手を掛けながら、難しい顔をして彼は言った。
「わしには、どうにも裏がありそうな気がしてならん、近い内に戦が起こるやもしれん……そんな時に家族を守らねばならんだろ?
それに!あっちにはわしの息子もいる!なぁに心配はあるまいて!!」
彼は豪快に笑うと、コップに入っていた酒をぐいと飲み干した。
シエスタの父と話をした利家と忠勝は、その日の内に学院に戻った。
シエスタはそのまま実家に残る事になった。
なんでも、アンリエッタが結婚するという事で特別に休暇が出たらしい。
2人が学院に戻る頃には夜になっていた。
「……こんな遅くまで何処に行ってたのかしら?」
学院に帰った2人を待っていたのは、呆れた顔のキュルケといつもと変わらず、本を読んでいるタバサだった。
「別にあなた1人で行くのならいいのよ。でもタダカツを連れ出すならタバサにちゃんと言いなさい。この子ったらまたソワソワ……」
「してない」
間髪入れずにタバサが言った。
「その……すまなかったな2人共」
「……………」ボフゥゥ〜
利家は素直に頭を下げた。心なしか、忠勝もバツが悪そうな顔をしている。
こんな事ならもっと早く帰れば良かったな……と、利家は思った。
しかし、後にこれが「あっちに泊まれば良かった」に変わるとは、2人には知る由もなかった。
ゲルマニア皇帝、アルブレヒト3世と、トリステイン王女アンリエッタの結婚式はゲルマニアの首府、ヴィンドボナで行われる運びとなった。式の日取りは来月……3日後のニューイの月の1日に行われる。
そしてこの日、トリステイン艦隊旗艦の『メルカトール』号は新生アルビオン政府の客を迎える為に、ラ・ロシェールの上空に停泊していた。
後甲板では、艦隊司令長官のラ・ラメー伯爵と艦長のフェヴィスがいる。
「左上方より艦隊!」
見張りの水兵が告げた方を見ると、そこには雲と見まごうばかりの巨大戦艦とが降下してくるところであった。
アルビオン王国の旗艦、『レキシントン』号である。
「戦場では会いたくないものだな」
艦長のフェヴィスが口髭をいじりながら呟く。
降下してきたアルビオン艦隊はトリステイン艦隊と併走するかたちをとると、旗流信号をマストに掲げた。
「貴艦隊ノ歓迎ヲ謝ス。アルビオン艦隊旗艦『レキシントン』号艦長」
「こちらは提督を乗せているのだぞ。艦長名義での発信とは、これまたコケにされたものですな」
艦長はトリステイン艦隊の貧弱な陣容を見渡しながら、自虐的に呟いた。
どん! どん! どん! とアルビオン艦隊から大砲が放たれた。
弾は込められていない。火薬を爆発させるだけの礼砲である。
しかし、巨艦『レキシントン』号の長大な砲身から放たれた空砲は、辺りの空気を震撼させ、トリステイン艦隊の将兵は皆肝を冷やした。
「よし、答砲だ」
一瞬後じさったラ・ラメーが、それでもどうにか威厳を保ちながら命令する。
「何発撃ちますか? 最上級の貴族なら、11発と決められております」
礼法の数は相手の格式と位で決まる。艦長はそれをラ・ラメーに尋ねているのであった。
「7発でよい」
半ば意地を張って、ラ・ラメーは答えた。
一方、アルビオン艦隊の船から、その様子を見ている2人の男がいた。
松永久秀と、ワルドである。
支援
「何とも壮観な眺めじゃないか、そう思わないかね?」
悠然と飛行するトリステイン艦隊を見て、松永が言った。
「あの艦隊を……今から蹂躙する事を考えると……下品な話だが、欲情してしまうよ。卿には分かってもらえるかな?」
「……悪いが、俺はお前と違ってサディストじゃない」
「さでぃすと?ふむ、私が聞いた事のない言葉だ、どういう意味かな?」
「お前のような性格の人、という意味だ」
ワルドの言葉に納得したのか、松永は低く笑った。
そんな話をしていると、トリステイン艦隊から答砲が1回、2回と発射された。
2人はアルビオン艦隊の最後尾の旧型艦、『ホバート』号に目を向ける。
その先では、船から密かに脱出する乗組員の姿があった。
「作戦開始だ」
ワルドが小さく呟いた。
「騙し打ちか……私はどうにも苦手なのだがなぁ……」
「そうか?俺にはお前の十八番に思えるが」
「買いかぶり過ぎだ。私はただの欲深い人間だよ」
そして、彼がそう言った直後だった。
乗組員のいなくなったホバート号が突如爆発し、炎に巻かれながら地面へと落下していったのである。
「という訳で……彼らの命を貰い、代わりに絶望を贈るとしよう」
この日、アルビオンの罠にはまったトリステイン艦隊は、反撃する間もなく全滅した。
生家の庭で、シエスタは幼い兄弟たちを抱きしめ、不安げな表情で空を見つめていた。
先ほど、ラ・ロシェールの方角から爆発音が聞こえてきた。
驚いて庭に出ると、そこには恐るべき光景が広がっていた。
空から何隻もの燃え上がる船が落ちてきて、山肌にぶつかり、森の中に墜落していったのである。
「お、お父さん……」
シエスタは不安げな表情で、隣に立つ父を見る。
彼は落ちていく船を見ながら、利家達に話した……悪い予感が的中した事を感じた。
そして考えたのは、次に敵がどう動くか、であった。
空飛ぶ船でやって来た敵は、先ず駐屯するための場所が必要な筈だ。
ここから一番近い村といえば……
父は、シエスタを見ず、険しい顔つきのまま娘達と母に言った。
「シエスタ。南の森に逃げるぞ」
「え?」
シエスタが尋ねると、父は声を荒げてまた言った。
「早くしろ!戦じゃ!戦が始まったんじゃ!!」
尋常でない様子の父を見て、シエスタと、母親は急いで逃げる準備を始めた。
そして、逃げる支度が出来て、家を飛び出して森への道を走っている時だった。
空から、雲のように巨大な船が、草原に降りて来たのである。
さらに、その船の艦上から何十匹ものドラゴンが飛び出し、村に向かってきた。
「いかん!」
父は反射的に叫ぶと、荷物の中から一振りの刀を取り出していた。
ここに来た時に一緒に持っていた、戦場で使っていた愛刀である。
「シエスタ!先に行って隠れていろ!わしは一度戻る!!」
そう言って、元来た道を戻ろうとしていた父を、母は悲鳴に近い声で止めた。
「馬鹿な事しないでおくれよ!!!竜騎士に勝てる訳ないじゃないか!!」
シエスタと弟達も、泣きそうな顔で父に「行かないで」と訴えていた。
だが、彼はフッ、と笑って言った。
「わしを誰だと思っている?」
そして、親指を立てて自分を指差してこう叫んだのだ。
「わしは……無敵で!!素敵な“おとうさん”じゃぞ!!心配するな!!」
そう言って、父は勢いよく村の方へ駆け出して行った。
これで投下は終わりです。
そういえば明日は正月だったんですね……
BASARAの方、乙です。
お父さん、なんという死亡フラグ……なのか?
乙でしたー
普通なら死亡フラグなんだけど…元々BASARA世界の出身だからなぁ…w
乙
死亡フラグ叩き居る可能性も無きにしも非ずw
国擬人化と言えばニホンちゃんシリーズがあるが…
一話しか書かれていないストライク・ウィッチーズもその種だが
トリスティンちゃんとかアルビオレくんとかガリあんとかか
ガリあんは喋る時にいちいち韻を踏んで、イラっとしたタバサに引っ叩かれるんだよな
ルイズ「新年あけましておめでとう!!って早いわ!!」
ガリあん・・・
蛇腹剣持ってそうな名前だなあ。
10…9…8…7…ヒャア、がまんできねえ、ゼロだ!
699 :
虚無と金の卵:2008/12/31(水) 22:58:52 ID:H8JMvS6C
予約無ければ、23:05より「虚無と金の卵」投下いたします。
6レス分で、14kbほど。容量的には大丈夫と思います。
年末最後の投下かな?ウフコック支援!
元旦早々スレ立てになるかな?
ネズミさん支援
サイトが傭兵の内の一人を捕らえて、情報を吐かせた。
足を折られて呻き声を上げている賊の襟首を無造作に掴み、剣の切っ先を首筋に当てて静かに脅しつけるサイトの姿を、
ルイズはどこか遠い世界の出来事のような目で眺めていた。
二十人以上を一度に相手にした男と、貴族三人に囲まれて、傭兵は哀れなほどに怯えていた。
実力行使に出るまでもなく、傭兵は壊れた蛇口のように簡単に喋った。
曰く――知らない貴族に雇われた。多分、二十代くらいの男だ。この辺りでは初めて見る顔だった。
曰く――貴族の素性なんてどうだって良かった。内戦も降着してるから、俺みたいな連中は冷や飯食わされてんのさ。
曰く――山賊の真似事でもして暴れてこいと言われた。あんたみたいな腕利きや貴族が居るなんて知らなかった。
曰く――頼む、助けてくれ。貴族に襲いかかったなんて知れたら、一生表を歩けやしねぇ。
幸い、ルイズ達に怪我はなかった。
賊の大部分は、骨折や打撲程度の怪我を負っていたが、死者こそは出ていないようだった。
戦意を無くし無傷のまま取り残された者も居たほどだ。
ただし、賊の内の一人の傷は重かった。真っ先にサイトに狙われ、袈裟懸けの一撃を受けていたのだ。
だが臓腑や重要な血管を傷付けるには至らず、サイト自身が血止めなど最低限の手当を施していた。
後は、賊の仲間がどう扱うかに任せた。
タバサがぽつりと、殺さずに済ませたのか、と尋ねたが、サイトは何も答えなかった。
事が落ち着いたところで、サイトもルイズも、賊や傭兵崩れなどに構って時間を食う必要はないと結論付けた。
そして「こんなところで立ち話もどうかと思うわよね」というキュルケの一言で、
一行はラ・ロシェールへと向かうこととなった。
ルイズ達が腰を落ち着けるために選んだ店は、『女神の杵亭』であった。
ラ・ロシェールで最も上等な宿であり、宿の中の酒場も外の喧噪からかけ離れた、貴族御用達の高級店である。
貴族3人と使い魔一匹を店員は快く迎えたが、サイトは旅の垢に塗れた出で立ちであった。
店員の一人が近づき、使用人の方は別の部屋にご案内いたします、と申し出てきた。
世慣れたキュルケが店員にチップを握らせて黙らせていた。
「悪いなぁ。随分と旅が楽になった上にご馳走になるなんてな」
全員がテーブルに着いたところで、サイトは頭を下げて礼を言い、グラスに注がれたワインを美味そうに呷っていた。
全くと言って良いほど屈託のない表情で、料理やワインを堪能している。
こうして見れば、自分らと同じ世代にしか見えない、とルイズは思った。
むしろ、苦労を知らないの貴族の息子ような稚気があった。
少なくとも剣を振るったり、傭兵くずれを脅しつけているときとは全く違っていた。
一人の人間の中に、峻厳な戦士と、お気楽な少年が同居しているような――ルイズはそんな感想を抱いた。
「全然気にしなくて良いわよー。私達の奢りだから。遠慮なんて無さらないでくださる?」
「ま、良いわよ。ここの払いくらいは私が持つわ」
キュルケの軽口にルイズは反論もせず、ワインと共に話を呑み込む。
「あら、珍しく殊勝ね」
「まあ……今は私がこいつの雇い主だし、皆には助けられたしね」 と言ってルイズは溜息をつく。
「悪いな、ご主人様。ところで……」
「キュルケよ。この子はタバサ。みんな、トリステイン魔法学院の生徒よ」
「へぇ、学生だったのか」
サイトが、微かな羨望が混ざった声で相槌を打った。
「俺はヒラガ・サイト。見ての通り、その日暮らしの傭兵さ」
「……ヒラガ・サイト?」
あまり物事に関心を持たないタバサが、珍しく発言した。
だが、その声色は堅い。何処か警戒を滲ませている。
「なら、あの様子も納得できる」
「タバサ、知ってるの?」
「……火打ち石」
「どういう意味だ?」
ウフコックが、タバサの呟きに反応する。サイトはタバサに目を向けるだけで何も言わない。
「彼の二つ名。……ガリアでは有名なメイジ殺し」
普通、メイジには属性や得意な魔法にちなんだ二つ名が付く。
風ならば、「疾風」や「風上」。火ならば、「微熱」、「白炎」といったように。
そして時折、平民にも二つ名で呼ばれる者がいる。
メイジ殺し――無味乾燥で、称号と言うよりも忌み名に近い。
目の前の男も、そのメイジ殺しであることは間違いない。
サイトがそう呼ばれるに足る実力の持ち主であることを、ルイズ自身目の当たりにしていた。
だがタバサの言葉では、サイトはそうしたメイジ殺しの一人でありながら、メイジ殺しとは呼ばれていないらしい。
由来は諸説ある。
どこまで事実なのかは彼しかわからない――と注釈を付けてタバサは説明を始めた。
それは、軍人のメイジを真っ向から倒したという噂だった。
ゲルマニアとガリアの国境近辺の緩衝地帯では、つまらない理由で小競り合いが頻発する。
そのため、立場のある貴族は巻き込まれるのを嫌い、血気盛んな若い貴族、貧乏貴族や平民の傭兵がよく送り込まれる。
そこでサイトは、ガリア勢の傭兵として戦っていた。
トリステインでもガリアでもゲルマニアでも、傭兵や平民で編成された部隊が貴族の指揮の下で戦う際、
平民はメイジから着火の魔法を借りて火縄に火を灯すのが作法だ。
魔法を借りる――即ち、突撃する者に対して魔法の援護を与えるという保証に他ならない。
それ故に平民であっても、屈強な亜人や敵のメイジに対しても、果敢な攻撃を仕掛けることができる。
だがサイトは、魔法の援護もなく、着火の魔法すらも借りずに単身で突撃してメイジの部隊を全滅させ、
多くの傭兵や貴族を震え上がらせたという。
平民の使う粗末な武器だけで挑む男。魔法など不要――それを押し通す無礼さと畏怖を込めて『火打ち石』。
タバサって意外とこの手の逸話が好みなのだろうか、などと場違いな感想を抱きつつも、
ルイズとキュルケはタバサの珍しく饒舌な説明に聞き入っていた。
「世間って広いわねぇ……」
キュルケがうっとりとサイトを見つめる。
「火打ち石……物騒な名前だな」 ウフコックが重く呟く。
「ま、確かにそう呼ぶ連中も居るけど」
サイトは、タバサの説明に肯定も否定もしなかった。
ただウフコックの呟きに、困ったような、複雑な表情を浮かべただけだった。
普通、二つ名とは基本的には尊称のようなものだが、当の本人は嬉しそうではない。
また、ウフコックが「偶然か……」と意味深に呟いてかぶりを振るウフコックに、ルイズだけが気付いた。
ルイズがそれを尋ねようとしたところを、キュルケの黄色い声が遮る。
や、フリントのナカノヒトか!?支援
「良いじゃないの。強い殿方って素敵よ!」
「また始まったわ……。大体あんたたち、何しに来たのよ」
溜息混じりにルイズが語るが、キュルケはあっけらかんとした態度を崩さなかった。
「朝早くから出て行く貴方たちを見たから、面白そうだと思って急いで追いかけてきたのよ。
おかげでルイズも助かったじゃない。まったく、持つべき物は友達よね」
「で、今は平民の男を口説いてるってわけ?」
「ま、細かいことは良いじゃないの。ねぇ、サイト。魔法無しで武勲を挙げられる腕前なら、ゲルマニアじゃあすぐに貴族になれるわよ。
あなた、ゲルマニアの爵位には興味はないの?」
「……あー……悪い。傭兵といっても、一応はガリアに貴族の主人が居てさ。
腕っ節を鍛えてこいと放り出されて、武者修行中なんだよ」
「あら、じゃあウチに仕えない? そんな薄情な主人なんて放っておいて。給金くらい弾むわよ?」
「……いや……あまり困らせないでくれ……」
本当に困ったような顔でサイトはキュルケの話を受け流そうとするが、キュルケは構わずに猛攻を続ける。
緊張した空気が薄れ行き、タバサとルイズは茶々を入れながら、運ばれてきた料理や酒に手を伸ばす。
他愛ない会話。そんなものを続ける内に、やっとルイズは、一息吐くことが出来た。
ルイズは、口には出さず、心の片隅でキュルケの明るさに感謝した。
だが、サイトの何気ない一言が、ルイズの心を乱した。
「魔法でも剣でも良いけどさ、腕が立つとか強いとか、そんなんで人間を計るもんじゃねぇよ。
大体俺はそんな大層なもんじゃない。目の前の金とか主人からの褒美とか、手前のためだけに働いてるだけだ。
俺は、国とか理想とかのために本気で命を掛けるような本物の貴族に比べりゃ、つまんねぇ平民だよ」
それは常々、ルイズが思っていた。
貴族は魔法が使えるということではない。貴族として振る舞うことだ。
言っていることは同じだ。だが、実力も立場も、何もかもが逆の少年に言われたことは、ルイズにとって衝撃だった。
「……そんなに強いなら、その力を何か役立てようって思ったりはしないの?」
「結局、俺はただの平民だよ。アルビオンとレコン・キスタの戦争なんて、本当は部外者だ。
働き口が無かったら関わっちゃいないし、気に入らない主人や雇い主ならら、とっくに手を切ってるさ」
ルイズは、自己の魔法の非才のために、周囲の誰かを落胆させてきた。
だが、この男は違っていた。貴族という者を魔法が使える、使えない、という目で見てはいない。
というより、中途半端な魔法の腕で、彼が屈服することはなかろう。
ルイズは思う――だから自分はこの平民が怖かったのだ、と。
虚飾や魔法の技量などを剥ぎ取った後に残る、精神の在り方。それこそが貴族たる証。
それは、魔法の使えない貴族であるルイズが出す言葉よりも、魔法など意に介さぬ平民であるサイトの言葉の方が
確かな真実味を持っているということに、気付いた。
ルイズが目の前の男から感じる緊張感が、まさしくそれであった。
そして緊張感は、対抗心の裏返しでもあった。
「……本当に貴方って、珍しいのね」
ルイズは思う――果たして、彼の目から見て自分は貴族か。貴族たる証明を示せるか。
そして、それを示さねばならない日が、来るのだろうか。
支援
「ところで、サイトはどうしてここに来たの?」
キュルケが食事を済ませて食後の一杯を注ぎながら、何気なくサイトに尋ねた。
「レコン・キスタは知ってるよな?」
「……詳しくはないけどね」
そうルイズが答える。サイトの答えに、ルイズの方が堅くなっていた。
サイトは敢えて無視し、話を進める。
「レコン・キスタってのは、アルビオンの貴族の派閥じゃあなくて、国を跨った貴族間の秘密の同盟だ。最近までは」
「最近まで?」
「レコン・キスタに裏切り者が出て、何処の誰がレコン・キスタに所属してるか全部バレたって話さ」
「へぇ、それは初耳ね。じゃあもう、王党派の天下ってこと?」
キュルケの質問に、サイトは頷く。
「そうだ。だから顔が割れた連中に対しては、アルビオンの王党派も、トリステインも、
やっきになって捕まえようとしているところさ。
主立った連中はほぼ掴まったけど、逃げた連中はアルビオンを目指している。
まあアルビオンの貴族派が本拠地みたいなもんだからな。
アルビオンの王党派は勿論、そんな連中を国に入れるのは願い下げらしい。
だからアルビオンの王党派は、昨日レコン・キスタの連中の名前を張り出して、そいつらの首に
かなりの懸賞金が掛けたってわけさ」
「それを狙ってるってわけね……意外と野心的なのね、貴方」
キュルケが褒めそやし、ルイズはそれを耳にしつつ無関心を装う。
「名の売れた連中が意外に多いんだよ。俺が追っていたのは、グリフォン隊の隊長の『閃光』のワルドだった。
取り逃がしたけど」
「……それで、まだ追う気?」
ルイズはワイングラスを傾け、ぽつりと尋ねる。目を合わせもしない。
ルイズの言葉に、サイトは、無感動に頷く。
「ん……ああ。レコン・キスタの残党は、必ずここに来るはずだから」
「まだ、狙う気なの? 逃げられたんだから、止せばいいじゃないの」
「……ま、仕事だからな。それに言っておくけど、俺が狙ってるのはワルド個人じゃあない。
あくまでアルビオン国外のレコン・キスタだ。
相手がそれを降りて諦めない限りは敵同士だし、俺も今のところ、王党派から離れるつもりも無い」
「……どうしたの?」
サイトの答えは歯切れが悪かった。
事情を知らないキュルケとタバサの胡乱げな視線を感じ、ルイズはすぐに首を横に振った。
「……ごめん、なんでもないわ」
支援する
しえん
いつもならば、キュルケはルイズをからかい、上手く本音を引き出させようと手練手管を使ってくる。
だが、今回ばかりはキュルケは敢えて攻めてこなかったようだ。ルイズは密かにほっと一息つく。
「ところで、他にはどんな賞金首が?」 タバサが口を挟む。
「……まあ、有名どころは何人かいたが大体捕まっちまったな。ほかに残ってるのは、脱獄犯の『土くれ』のフーケってところか」
「フーケ!?」
三人と一匹が一様に驚く。ルイズなど立ち上がりかけて机を揺らしかけた。
それだけの驚きを与えるには十分だった。今ここで名前が挙がって良い人物では無かったのだから。
「……ん? 知ってるのか?」
「知ってるも何も……捕まえたのは私達だもの」 ルイズが驚きながらも答える。
「……へえ。やるもんだなぁ」 サイトはそう言って、微かに目を細める。
「脱獄犯って言ったわよね。今この時期に逃げたしたってこと?」
「さあ、俺も傭兵仲間から聞いただけだしな。トリステインの事情はお前達の方が詳しいんじゃないか?」
「……君自身は、フーケのことは知らないのか?」
ウフコックの問いかけに、サイトは首を横に振った。
「知ってるのは、盗賊フーケが盗みを失敗して掴まったことと、レコン・キスタとして名前が挙がってるってことだけだ」
「……そうか」
「まあ、そういうわけだ。危険なレコン・キスタや、食い詰めた傭兵だってたくさんいる。
そんな豪華な指輪付けてたら良い的になっちまうぜ」
「そういえばルイズ、良い指輪してるわね。どうしたの?」
「そのくらいわかってるわよ。外では付けなかったんだから」
ルイズは自分の右手の薬指をキュルケに見せる。そこに嵌められていたのは、アンリエッタ姫から貰った、水のルビーだった。
この手の宿ならば身なりを良くしていた方が扱いが良くなる。そのためルイズは、宿に入る前に何気なく指に嵌めていた。
「……珍しい石ね。なにそれ?」
「ルビーよ」
「ルビーって赤色じゃない。なんで青色なのよ」
「そういえばそうよね……あれ?」
ルイズが頭を悩ませた瞬間、サイトが飲みかけのワインでむせて汚い音を上げた。
次はサイトの方が驚く番だったようだった。
「げほっ、な、青いルビーだって?」
「ちょっと、なによ汚いわね!」
ルイズが、間抜けな表情のままのサイトに抗議の声を上げる。誰がどう見てもサイトの姿は不審だった。
「わ、悪かったよ……。それ、もしかして水のルビーか?」
「知ってるの?」
ルイズは驚きも隠さず聞き返した。
アンリエッタ姫から直接賜った指輪だ。名の売れた宝石だったとしても仕方ないだろう。
だがサイトが宝石の目利きができるような人物とはとても思えず、ルイズは頭に疑問符を浮かべる。
支援
「あ、ああ……聞いたことはある。王家ゆかりの指輪だ。水を現わすから青色をしている。
他にも火、土、風と、魔法の属性毎に合わせて4つのルビーがあるらしい」
「へぇ……タバサは知ってた?」
「知ってる……だけど、ルイズの付けている指輪が水のルビーとは知らなかった」
タバサが頷く――それだけ呟いて食事を続ける。
だが自分でも気付かなかったことをサイトが気付いたのががやや不満なようで、妙に箸の進みが速くなったことに、
ルイズとキュルケだけが気付いた。
「詳しいな。宝石に興味が?」 と、ウフコックが尋ねる。
「いや、俺はそれほどでも。主人が詳しくってな……。主人がいわゆる好事家ってやつで王家のルビーも欲しがってたから、
話を聞かされていたんだ」
言葉少なにウフコックに答えた後、サイトは妙に悩む表情を浮かべた。
だがそれはすぐに消えて、決心した顔つきでルイズに話しかけた。
「なあ、その指輪、俺に売ってくれないか?」
「な、なんでよ! これは大事な指輪なのよ……」
路銀にするように、というアンリエッタ姫からの言いつけも忘れて、ルイズは反射的に断って自分の指を隠した。
ルイズは金に困ったことなど、皆無と言って良い。売り払うという発想自体、今まで無かった。
サイトはルイズの答えを聞いて、がくりと肩を落とす。
「いや、そうだよな。そんな宝を易々と譲るわけはないよな……悪かった」
そう言ってサイトは飲みかけのワインを乱暴に煽り、席を立った。
「長居して邪魔しても悪い。そろそろ席を外させて貰うな。ご馳走様」
「あら、気にしなくて良いのに。何ならもっとご一緒しませんこと?」
キュルケが甘えた声を出して引き留めようとするが、サイトは首を横に振る。意志は固いようだった。
「何処へ?」
「王党派の兵舎が、港のすぐ近くにあるんだ。そこを間借りして寝泊まりをしてる。仕事もまだまだ残ってるから」
タバサの質問に答え、サイトは去ろうとした。
だがサイトは思い出したように振り返り、ルイズに話しかけた。
「何でアルビオンに行きたいのかは聞かないけどよ、どうせスヴェルの月まで船は来ないんだ。
余計なことは考えないで、宿で大人しくしてた方が良いぜ」
「ひっこんでろってこと?」
「……まあ、言葉は悪いけど、そういうことだ。敵か味方かはっきり言わない人間にうろうろされると、困るんだ。
だから、ここで行動するつもりなら、そのあたりをはっきりさせないと王党派からも貴族派からも
敵に見られちまうかもしれないし、気を付けてくれよ。
……それに俺個人としては、あんたたちに剣を向けたいとは思わないし」
ルイズは、きっとサイトを睨み付ける。
だが、何も言い返すことなく、サイトの後ろ姿を見送った。
サイトは振り返らなかった。
713 :
虚無と金の卵:2008/12/31(水) 23:21:28 ID:H8JMvS6C
以上、投下完了。ありがとうございました。
そして今年もお世話になりました。厨二病なSSに付き合ってくれてありがとう。
しかし子年のうちに一本投下できたぜヒャッホウ。
サイト魔改造ですが、なんつーか原作のサイト大好きな人、本当ごめんなさいorz
この理由はアルビオン編が終わったあたりで作中に盛り込む予定っす。
境遇変わればキャラもかわるさ。
気にしない気にしない。
むしろルイズに召喚されてないのにおんなじキャラだったら
そっちのほうがブーイングものだと思いますよ。
まあ言えることはこの才人はいい男だということだ
……自分で書き込んどいてなんだが、青いつなぎを着てベンチに座っている才人を想像しちまったwww
おっと、乙を忘れていました。
いいSSを年の瀬にありがとうございました!
ぐっじょぶ!
一月一日零時から、ベルセルクの覇王の卵を召喚する話「虚無の卵」を投下します
触に巻き込まれるルイズ達の活躍をご期待ください
ウフコックの人乙です。
サイトかっけぇ。
次回にwktk。
ウフコックの人乙です。
支障なければ23:40から4レスで魔法少女リリカルなのはStrikerSより、バルディッシュ・アサルト(擬人化)召還ものを投下したいと思います。
>>719 止めはしないけれど、擬人化というとオリキャラに近くなるわけで、かなりの説得力がなければ反感を買うことが予想されるので注意されたし
まあ支援
大丈夫か・・・?
さすがに擬人化はあかんやろ。
あの作品=どっかの二次創作ってのはちょっとな。
なのは知らないからノーコメント
微妙なら初回避難所でもいいかもね
避難所の方がいいとは思うけど……
とりあえず、気に入らないSSはスルーするというルールを住人が守ってくれる事を祈ろう。
一応投下、皆さんの判断にお任せします。
迸る閃光、それと巻き起こる土煙。当事者、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは晴れた煙壁のなかに一つの影を視認した。
周囲の人間が困惑する中、ルイズの中を二つの感情が駆け巡る。
「やった・・・・・・・・!!」まずは歓喜。その影の存在は召還により導かれたもの、すなわち自身の魔法行使の成功を示す証。
「・・・・て、え?」続いて疑念。自身の瞳が捕らえた“使い魔”の容姿にたいする声。それが疑念から疑問、驚愕になるまでにさして時間はかからなかった。
端的にいうならば、目の前に現れた“使い魔”は人間の、少女の姿をとっていた。
停止しそうになる思考回路を半ば力づくで動かしながら、ルイズは目の前の少女に問い掛ける。
「貴女が・・・・・・・私の使い魔ね」
「使い魔? 私が使い魔?」
その言葉にどこかひっかかるところがあったか、異論を立てようとしたその刹那
(ぐっ・・・・あ、ああああぁぁぁあぁああああ―――――!!!)
少女の脳内、正確には術式構築用仮想演算領域と呼ばれる場所に、数千、数万の情報データが流れ込んできた。
ハルケギニア、先住魔法、サモン・サーヴァント。この世界を構築する全ての情報が少女の脳に刻み込まれていく。
(あっ、く・・・・・・・な、なるほど。“使い魔を召還する”術式に異世界、かつ無機物の私が触れ、術式が発動条件に該当するように私の構築データを強制変更。それによって生まれた余剰個所に視覚情報を書き込んだ・・・・・といったところか。)
これならば自身に存在する肉体の意味も、自身がここにいる理由もわかる。
(この少女が、私の主。)
自身はこの少女の使い魔となるために召還された。主という言葉に自身の担い手である少女の顔が思い浮かぶが今は儀式中だ。
早急に目の前の少女と契約を成し、自身の果たすべきことに専念しなくてはならない。
「そうよ、貴女は私の使い「承知しよう。その契約、ここに成立した」――――へ?」
ルイズの言葉を遮るように少女が声を張り上げる。
その声におののきつつ、ルイズは改めて、目の前の少女を観察した。
馬の尾のような形に纏められた艶やかな黒髪。それと反比例するかのような白磁の肌。何かを見据えるように鋭く研ぎ澄まされた金色の瞳。細身ながらも女性らしさを感じさせる肢体(胸部を除いてだが)
並、いや明らかにそれ以上の美しさだろう。身に付けた鉄甲鎧や外套、毅然とした振る舞いからとても平民には見えず、むしろ騎士のような誉れ高さすら見受けることが出来た。
「ほんと? 今、その契約成立したっていった?」
「はい。それよりも、今は早く契約を」
「あ。わ、わかったわ」
契約、すなわち接吻。無論、ルイズにとっては始めての経験だったが、相手は女性。しかも立場としては使い魔だ。勘定にはいれなくていいだろう。
そう考えたルイズは少女を屈ませ呪文を唱えると、静かに口付けし
「むうっ!?」
少女に、舌を入れられた
艶かしく動く舌がルイズの舌を押しのけ、絡ませ、その口腔を静かに、猛々しく蹂躙していく。
「ん、んむっ、んぐ!、うむっ、んんっ、むっ、ん、んんっ!!」
ルイズの唾液を吸い取り、ルイズに自身の唾液を送り込み、ルイズの、歯を、舌を、唾液を、歯茎を、頬の肉を。一つ残らず喰らいつくさんとばかりに激しい接吻を交わす。
それは時間にして数十秒のことだったか。それでもルイズには、それが何十分にも及ぶことに思えた。
「っはぁ! あ、あああんた、いったい何やってんのよぉおおおおお!!!」
羞恥心で顔を真っ赤にし、たった今契約したばかりの少女に怒号を浴びせるルイズ。
「? 私のもっともよく知る女性二人はッ・・・・!! 接吻とはこういうものだといっていたのですが・・・・・・・」
右腕に走る痛みに声を荒げつつ、担い手とその親友である少女の言葉を思い出す。
(主の驚きが普通の反応とすると、あの二人は・・・・・・・・いや、何も考えぬまい)
艶かしく動く舌がルイズの舌を押しのけ、絡ませ、その口腔を静かに、猛々しく蹂躙していく。
「ん、んむっ、んぐ!、うむっ、んんっ、むっ、ん、んんっ!!」
ルイズの唾液を吸い取り、ルイズに自身の唾液を送り込み、ルイズの、歯を、舌を、唾液を、歯茎を、頬の肉を。一つ残らず喰らいつくさんとばかりに激しい接吻を交わす。
それは時間にして数十秒のことだったか。それでもルイズには、それが何十分にも及ぶことに思えた。
「っはぁ! あ、あああんた、いったい何やってんのよぉおおおおお!!!」
羞恥心で顔を真っ赤にし、たった今契約したばかりの少女に怒号を浴びせるルイズ。
「? 私のもっともよく知る女性二人はッ・・・・!! 接吻とはこういうものだといっていたのですが・・・・・・・」
右腕に走る痛みに声を荒げつつ、担い手とその親友である少女の言葉を思い出す。
(主の驚きが普通の反応とすると、あの二人は・・・・・・・・いや、何も考えぬまい)
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
もう一回言うわよ?スルーよ?スルーしたら年越し早々良いことがあるんだから!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
ふいにルイズが問い掛ける。
「で、貴女は何? 」
ルイズにとっては当然の疑問、今後の主従関係差し支えのないように考慮し、普段よりかは幾ばくか丁寧な態度で訪ねる。
「ベルカ式カートリッジシステムCVK792-R搭載、ミッドチルダ式インテリジェントデバイス」
鈴のように澄み、鐘のように響く声が静かに漏れる。淡々とした口調で事実のみを語る口調はルイズにとって未知のものだった。
否、それ以上に
(い、いんてりじぇんと、でば・・・いす? べるか・・・・しき?)
聞いたことのない単語にルイズの脳は困惑を極めた。
それでも、わかることがひとつだけある。人、人間の姿をとっているものがそんな名を与えられているはずがない。使い魔である幻想種にすら名前は与えられる。
その謎の単語の羅列が目の前の少女の名前でないことだけは確かにわかっていた。
「そうじゃなくて! 名前、あなたの名前、なに?」
澄み切った瞳で自身を見据えてくるルイズの問いに、少女の張り詰めた雰囲気が霧散していく。
(ああ、この瞳は彼女と同じだ。彼女とまったく変わらない。強い信念と誇りに満ちた瞳だ)
目の前の少女に、自身の仕える主の十年来の大親友の姿を重ね、少女は思わず頬を緩めそれから―――――
――――――高らかに、名乗りをあげた。
「闇を貫く雷神の槍、夜を切り裂く閃光の戦斧。バルディッシュ・アサルト」
それは全ての始まり。のちの大戦にてハルケギニア全土にその名を轟かすことになる「迅雷の魔女」ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと、その従者「疾風の騎士」バルディッシュ・アサルトの出会いであった。
一瞬『虚無の石』が戻って来たのかと思ったのに……新しいやつだったか。
あれ、続き待ってるんだがまだかね?
それとも筆を折った?
736 :
閃光の使い魔:2008/12/31(水) 23:49:28 ID:pS+7+9Rb
以上で投下終了です、いきなりレス数間違えてすみませんorz
継続か否かは皆さんの判断にお任せします、スレ汚しすみませんでした
_
〃 ` ヽ . ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
l lf小从} l / え?魔法が使えない?初詣行けよw
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.
((/} )犬({つ'
/ '"/_jl〉` j,
ヽ_/ィヘ_)〜′
理想郷化が始まった
キスシーンを書くためだけに擬人化したとしか思えない
理想郷のほうがマシ
スレ違いですよ
これって(脳内)三次創作からの召喚って考えていいですか?
せっかく理想狂の舞ちゃんが寄付金使ってゼロ魔SS投稿痛まで作ってくれたのに…
理想郷化乙
いや理想郷でも叩かれるレベルだろ
>>745 イメージで理想郷って何書いても怒られない魔境だと思ってたわw
今年最後の投下がこれとかどんな悪夢だよ
初投下に期待しよう
コンペイトウに核弾頭打ち込んだくらいの悪夢
新年初投下は何になるんだ?
751 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/01(木) 00:01:33 ID:JTMOSJ0f
明けましておめでとうございます
おけおめ
バルディッシュ乙
面白そうな板だ→すぐ投稿しよう!! って流れか・・・
どんな流れのスレか理解するための時間とろうよ
あけおめ
とりあえず心機一転、皆あけましておめでとうだ
明けおめですww
ついでに遅レスながらウフコック乙!
今年もよろしく頼むよ
良い年になるといいな
>>719は不幸になるといい
あけましておめでとうございます。
あけおめ。ことよろ。
あけましておめでとうございます。今年もルイズは幸せになったり不幸になったりギャグキャラになたりシリアスになったり、忙しい事をお祈りしておきます
あけおめ、ことよろ〜
良作の豊作を祈りに初詣〜
またなのはファンの評判が落ちたのであった。完
今日こそは…今日こそは投下できるようにしたい……ここんところ夜勤続きだったよ
もうなのはは隔離しようぜ
そっちで好きなようにやってくれ
開けましておめでとうございます!
今年もよろしく!
769 :
::2009/01/01(木) 00:15:13 ID:yy+RSy5d
あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。では、:
>>746 叩かれる作品は叩かれるよ。
感想掲示板をのぞくと、嵐もいれば設定厨もいるし、リアルリアリティ至上主義者も多い。
まぁ、そういう場所と、作品本体が切り離されているから、あまり気にならないけど。
あけましておめでとう!今年もスレが繁盛する事を一心に願う!
作品を投稿してくれる書き手さん達にもWktk!
>>719>>728-
>>736そ
これを通してwikiに登録したら、悪しき前例になるから普通に無いよね?
おめ
あれ?
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします
>>773 もし登録されたとしても即効で削除依頼だします。
エヴァンゲリオン擬人化して喚ぶか
もちろん嘘だが
>>767 何も隔離することはないだろ。
こういうのは一部の熱狂的なファンがするだけ。
普通に好きな人はまずこんな事はしないと…思う。
>>780 SS書くようなのが熱狂的じゃないファンなわけないだろJK
何度も続いたら分からんけど、現段階では
>>754や
>>780パターンかもしれないし、作品ごと隔離することは無いんじゃね?
さすがに、これ以前にもあったんならアウトだろうけどさ。
>>778 内容だけでなく、
>>719以前にも何度か質問してはやんわり否定されてたのにもかかわらず投下したから、
削除依頼が出されれば普通に通りそうだよね。
ファンかそうでないかとか関係なくただの基地外でしょ
>>783 いつかのセガールの人だな。
投下にかぶせて、スレを混乱させたんだから、さっさとSSを書くように。
一番好きなククルス・ドアンの島を見るまで寝ない。
あ、ミスった。ごめそ・・・。
>>782 それ以前に、その何とかの擬人化ってのは公式に存在してるのか?
してないなら、スレ違いで削除って流れになるんじゃないのか?
一部の熱狂的なファンはバルディッシュTS擬人化なんかしない
>>785 違います。
>>788 詳しいことは知らんけど、関連レスを読んだ限りでは公式に存在していないっぽい。
それに投下した奴が、「公式なら良いんじゃね?」だか「公式に無いならダメじゃね?」って感じのレスをスルーしてたから、無いんだと思う。
あったらそれを盾にごねまくるだろうしさ。
言われてみれば、スレ違いで削除って流れになるね。
質問しといてスルーした奴って説明は、する必要が無かったか。
公式に擬人化されたものならOKだろう
使徒XXとか
次スレ立ててきます。
TSとかこのスレでその単語が出てくるとは思わなかった
スマン、無理だったんで↓の人お願いします。
テンプレ良かったら使ってくれ。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part200
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1230455459/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
TS、つまりティアリングサーガからオイゲン召喚か?
元旦にpart201というのはいいな、ともかくおめでとう!
>>795 まぁ、そのあたりを突き詰めていくと、擬人化BATEみたいなのはOKなのか、という問題も出てきそうだが。
少なくとも、バルディッシュは無しということで問題ないと思う。
2008年最期にあんなの投下するなんて、どうかんがえてもわざとだろう。
気持ち悪いやつだなー。
スレ立て、行ってみる
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l;/::;'7::::::::::::/ ゙、:::::',\'、.、;:::::::\::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
/://::::::::/:/ \:::゙、`''= `''- 、;;;゙、、::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
>>804乙!
l/ .!:::l:::::l:::! __ `''x、 ,、-─''‐-`'-、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;l ポルコがキスしてあげようか?
. l:::|::::::';:',. ''"´_ " ,,-‐-、 ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;/
゙、l゙、::;::::', f",‐ 、゙ "f´`i ゙ .!;;/""'i;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l/
゙ .r-'、 '、_,! l ゙、ノ |/ / .l;;;;;;;;l;;;;;;;/;;;/
. ', :',. l ( ./;;;;;;;;|;;;;;//
ヽ、 ',. ` ' _/;;;;;;;;;;;';;ツ"
ヽ.! _,、-─-、 / ヾ;;;;;/_,,....,,,_,,,,.........,,,_
゙、 ヽ ./ ./゙、 \ / "''‐- 、
ヽ、 `゙''" ,、 ' .\ ゙、 / "'''
. ,、-‐` .、 _, イ / ! .|
. ,、-' | ` " / ,.' .| |
. / .l! | l ノ | l!
./. l! l! /~\ ヽ、 ( --、_ l! ヽ
l! l! V ヽ--、 / `'-" ヽ
! \ 0! \
', ゙、 l! \
. l! \ | _,,_ `"'''----''‐--‐-、
_,,l! l! | __,,,、-‐'" ゙、 \ フ
_,,、-‐''"~ l! ゙、. | ', ヽ > '"
aaですれ埋めんのやめろや
/:./: : : //: : : :/ /.: :!: : : ! : : : |: : : : l: : | : : : ハ
,': :l : : :/ !l : : : |: |: : :|: : : |: :l: : |: : : !:|.:!:.|: : : :l : ',
l : l : : :|: :!l:|: :l: |: |:!:.:.|: : : |: :l: : |: : : !:|.:!:.|: : : :l: : |
|: :.l : : :|: :!j:|: :l: | ;小j:|: : : |i: |: :j|_:_:j:|:j :! |: : : :l: : |
l:|: l : : :l: :l从: :l爪丁八: : :jl: |.:从: : リノ小!: : : :l: : |
|:l: l : : :l: :|,≠≦戸气从: :.リ ル行戸≧_l: : : :j: : j
|:l: l: : : ', :|{{. ト:匕゚i| Vjノ' ト匕゚i| }} : : /: : ,'
|ハ: l: : :.ヽ|l{ヾ,込.以、 ' ,込.以 〃: : ,': : /
iい: : : : : ヘヽ .:.::::: j :. ::::.:./イ: :/j: :/!
',:l : : : 小 / / :l: ;'リ
!:l : j/:.|:ヘ ー‥ ,.' / :l |: |
|リ: :ハ ! : ヽ、 イj ,':.:/j ルj
j/V ハ:|/Y |> _, <|Vj:八: { リ' リ
fjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfj
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| . ..|
| あけましておめでとうございます . ..|
| ....|
/⌒丶、 |\
/ -┬‐ 、_) / ⌒丶、
,r'´ ‐'´‐┴‐‐-、 (_ イ⌒\ \
/ } ー‐―─-イ . /  ̄ ̄_ ∧
/ 〈 -┬‐一’ ‘ー( ̄ ̄ {ハ
新年おめ
>>344 懐かしすぎるネタだぞwww 知ってる奴がいたとは驚きだwww
うめうめ
,、-'" ,、-';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`''‐-、 ゙、、
,、-' ,、-'";;;;;;;;;ノ;;;;''-、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`''‐-、__ノ;;;\
/ ,、-'"::;;;;;;,、-'";;;;;;;;;;;;;;;`''- 、_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ヽ;;;;\
. f_/;;;;;;;、-ニ';;;;;;、-‐ ''''""""''''‐-二、''‐-、___,ノ、 \;;;ヽ
. |;;;;;;;;,、ニ'";;、-'" `"ニ、;;;;;;;;;;;;;;\/;\;;',
>>806 . |,-,ニ '::/, -─ .,、-─-゙、-'、;;;;;;;;;;;、-、ノ;;;;)! ええっ!?
. Y::::::::/ .,、 -─- 、 ///:::::::::\ ';;;;;;/;;;;;;;;ヽノ
|::::::;' /://::::::::::ヽ '"""'' .、|:::l /::::::::::::::::ト|;;;;|;;;;;;;O;;;;';ヽ
ヽ:::|. |::l l::::::::::/,, .,-、.\:::::::::::::::::::ノ |;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;';;;|
|::::| ̄ヾ;;;;;;;;;;;;/ /_| ヽJ ゙、── '" |;;;|;;;;;;;;;;;;;/;;;;;フ__
/|::::/. ,、_,、ヽ, ___ノ~"ヽ'l |:;;゙;;;;;0;;;:';;- '-"
| |::;'. l;;;;;;;;;;;-'""~__,,,`ヽ;;;;;;ノ |::;;;;;ヾ=;/''"
V:::| ,、-,'二──---、) ./:;;;;;;;;;;;;/-────
`|:|! ,、'ヽ'" _ _/:;;;;;;;;;;;;/ ____
|:|;', `" :::::: ,、-'"/:;;;;;;;;;/-─ '"
|:|;;\ ,、-'" /二フ
|:|;;;;;;;`' .、 _,、-‐'"-'",、-'" ̄
. |:|;;;;;;;;;;;;/ >.、 ,、-‐'",、-‐'" /_,,,、---──-- 、,,__
|:|;;;;;;;;;;/ / -`'" ,、-' ./-'" `"'-、
||;;;;;;;;;/ .ヽ 、__,、-‐'" , _,、-'"
| ゙̄7 / - '" ,、-',、-'
. `'''" ( ,、-'" /
`'-, , '
( /
./"''" |
>>808 あれってそんなにマイナーなのか。
今の心情はこんな感じだ。
トv'Z -‐z__ノ!_
. ,.'ニ.V _,-─ ,==、、く`
,. /ァ'┴' ゞ !,.-`ニヽ、トl、:. ,
rュ. .:{_ '' ヾ 、_カ-‐'¨ ̄フヽ`'|::: ,.、
、 ,ェr<`iァ'^´ 〃 lヽ ミ ∧!::: .´
ゞ'-''ス. ゛=、、、、 " _/ノf:::: ~
r_;. ::Y ''/_, ゝァナ=ニ、 メノ::: ` ;.
_ ::\,!ィ'TV =ー-、_メ:::: r、
゙ ::,ィl l. レト,ミ _/L `ヽ::: ._´
;. :ゞLレ':: \ `ー’,ィァト.:: ,.
~ ,. ,:ュ. `ヽニj/l |/::
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