新スレ立てました。
まさか容量一杯になってしまうとは…
これから続き投下しますけど大丈夫ですか?
3 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/26(金) 12:53:41 ID:LeUoYQ/6
だから盗作はよせと
本当はこのスレを崩壊させるのが目的だろ?
>>1乙。
携帯からだから俺はできんが、続き投下するなら、先に残りのテンプレの方もお願いな
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
ttp://gikonavi.sourceforge.jp/top.html ・Jane Style(フリーソフト)
ttp://janestyle.s11.xrea.com/ ・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
前の作品投下終了から30分以上が目安です。
【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は応援スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。
【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
【警告】
・以下のコテは下記の問題行動のためスレの総意により追放が確定しました。
【作者】スーパーロボット大戦X ◆ByQOpSwBoI
【問題の作品】「スーパーロボット大戦X」「スーパーロボット大戦E」「魔法少女(チェンジ!!)リリカルなのはA'S 次元世界最後の日」
【問題行為】盗作及び誠意の見られない謝罪
【作者】StS+ライダー ◆W2/fRICvcs
【問題の作品】なのはStS+仮面ライダー(第2部)
【問題行為】Wikipediaからの無断盗用
【作者】リリカルスクライド ◆etxgK549B2
【問題行動】盗作擁護発言
【問題行為】盗作の擁護(と見られる発言)及び、その後の自作削除の願いの乱用
【作者】はぴねす!
【問題の作品】はぴねす!
【問題行為】外部サイトからの盗作
【作者】リリカラー劇場=リリカル剣心=リリカルBsts=ビーストなのは
【問題の作品】魔法少女リリカルなのはFullcolor'S
リリカルなのはBeastStrikerS
ビーストなのは
魔法少女リリカルなのはStrikerS−時空剣客浪漫譚−
【問題行為】盗作、該当作品の外部サイト投稿及び誠意のない謝罪(リリカラー劇場)
追放処分後の別名義での投稿(Bsts)(ビーストなのは)
テンプレ張りました。
続きは十分ごろから投下します。
(では続き行きます)
「セイン!何言ってるんですか!?」
「ははは!ごめんごめん!でも、そんなにムキになって否定するって事は…」
「セイン〜!!」
シャッハは腕をまくり、椅子から立ち上がる。
厄介事に発展すると察した黒岩は、話がこじれる前に仕事の内容を聞くことにした。
「おい、話の続きをしろ。」
「ああ!?そうでした!すみません…こんなからかいに反応するなんて、まだまだ未熟でした…」
シャッハは慌てて黒岩の方を向いて頭を下げた。
彼女のこの愚直なまでの丁寧な態度に、黒岩はシャンゼリオン・涼村暁の相棒である速水克彦、またの名をザ・ブレイダーの姿を重ねた。
楽観的な暁と真面目な速水は絵に描いたような凸凹コンビで、いつも性格の違いから衝突が絶えなかった。
だが衝突が多かったからこそ、二人の結束の力は強く、その力に敵う闇生物は存在しなかったのだと今の黒岩には分かっていた。
「仕事の内容ですが、黒岩さんにはカウンセラーとして、このミッドチルダの首都・クラナガンに相談所を設け、悩める人々を救って欲しいんです。」
「何だと…?」
∴
それから二週間ほどが過ぎた。
「最近、妻や子供の私への対応が冷たいんですよ…私が帰ってきても挨拶はそっけないし、夕食も温めなおそうとはしない…
それどころか!妻は私と口を聞こうともしてくれないんです!それに、四歳になる私の子供ですら、「パパ大嫌い」と言って、私に近づいてすらくれないんですよ!
私が何悪いことをしたって言うんですか!休暇も惜しんで、貧しい家庭のためにと汗水垂らして働いているのに!なんであんなにそっけない対応をされるのか…」
ソファーに座った中年の無精ひげを生やした男性は、目尻に涙を光らせながら嘆いた。
そんな男性の向かい側のソファーに座っグレーのスーツとネクタイを身につけた男・黒岩省吾は、吸っていたタバコを灰皿にこすり付けて火を消し、吸殻をそのまま灰皿の中に捨ててソファーから立ち上がった。
「おそらく、貴方のご家族が貴方に冷たいのは、貴方がそうやって仕事に熱中しすぎるのが原因だ。」
「な…なんですって!?」
男性は涙を拭い、黒岩の目を見た。
「おそらく、貴方が家庭が貧しいからという理由で休暇を取らず、働いてばかりで家族の相手をしないので、貴方のご家族は貴方に失望し、貴方に冷たくなったのだと、私は思いますよ。」
「そういえば…今年はまだ何処にも家族で出かけてないし、子供への誕生日プレゼントも渡してない…」
「貴方は少し仕事を休み、ご自分のご家族に家族サービスをしたほうがいい。そうやって家族と触れ合えば、荒んだ家庭環境も修復できるはずだ。」
「は…はい!でも…私にはお金が…」
「別に旅行に行ったり、高い玩具を子供に買ってあげるのだけが家族サービスではありません。
どこかの大きな公園や山へのピクニックでも、プレゼントは安いお菓子の詰め合わせでもいいんです。
貴方が心を込め、自分に出来る精一杯の家族サービスをすれば、貴方のご家族だって貴方を見直し、今の冷たい関係を暖かい関係に修復できるはずです。
もちろん、貴方の心からの笑顔も忘れずにね。」
「ありがとうございます黒岩さん!では…さようなら!」
男性はさっきまでの沈んだ表情とは一転した笑顔で黒岩に頭を下げ、室内のドアに向かい、もう一度黒岩のほうを向くと一礼するとドアを開けて出て行った。
「ふう…今日はこれで五件目か。」
黒岩は溜息をつくと、所長用のデスクの椅子に腰掛けて新しいタバコを取り出し、咥えて火を点け、吸い始めた。
二週間前、黒岩は聖王教会のカリム・グラシアの手引きでビルの一室を借り、新たな「黒岩相談所」を開き、カウンセラーとして働いていた。
今ミッドチルダには、仕事の厳しさから過労死する者、家庭環境の崩壊から殺人事件に発展したり、家庭内暴力を振るう者、不景気で仕事をリストラされた者の増加に悩まされていた。
9 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/26(金) 13:17:00 ID:LeUoYQ/6
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本来それらの人々を助けるための政策を行うはずの時空管理局は、海と陸の両部隊の管轄問題など、武力についての問題について協議を続けるのに精一杯で、
そう言った人々への救済が追いついていない。
せめて人々の悩みを聞き、アドバイスを与えるカウンセラーが必要であったが、そのカウンセラーの数も全く足りていなかった。
なので黒岩のように、異世界とは言えそれを本業として活動していた人間の力は、喉から手が出るほど欲しかったのだ。
黒岩も慣れた仕事が出来るならこれは好都合と思い、シャッハの紹介した仕事で働くことを決めたのだった。
「まだ昼過ぎか…まだまだ相談者は来そうだな。」
黒岩は吸ったタバコの煙を吐いて呟きながら、デスクの傍に設置した小型液晶テレビのスイッチを入れた。
丁度ニュース番組が放送していて、それに目を通す。
内容はニュース速報、現在の株価など、地球となんら変わりない平凡なニュースだ。
黒岩はシャッハに、このミッドチルダについて、そして時空管理局についての事を相談所を始める前に聞いていた。
ミッドチルダは魔法文化が発達した国で、時空管理局に所属する武装局員達はその魔法を武器として駆使し、ミッドチルダを守る地上部隊と次元世界を守る次元航行部隊(この世界では「海」と呼ぶらしい)に分かれ、
無限に存在する世界を守るために時空犯罪者を取り締まったり、ロストロギアと呼ばれる古代の危険な遺産を回収したりしているらしい。
聖王教会とは、ミッドの大きな宗教団体のようなもので、管理局を全面的にサポートしているようだ。
だが、黒岩は管理局を良く思っては居なかった。
評論番組などで評論家や管理局の将官達が「地上部隊は行動が遅い。これでは事件や災害で助かる命も助けられない。」
「海の連中は優秀な人間ばかりを引き抜いてばかり。だから地上の守りはおろそかだ」という論議を繰り広げるたびに「馬鹿馬鹿しい」と感じた。
どんなお題目を並べても結局彼らが行っていることは責任の擦り付け合い、手柄の取り合いだ。
自分達が優位に立つことばかり考え、一番に考えるべきはずの庶民のことなど二の次にしか考えていない。
ダークザイドの騎士であった昔の自分なら地球と同じように、今にでもこの世界を征服し、ダークザイドの支配する世界へと作り変えようとしていただろう。
だが、そんな意欲も今はわいてこない。
黒岩にとって今大事なのは、全てを忘れ、ミッドチルダ人黒岩省吾として第二の人生をスタートすることだった。
「今の俺には何も関係ない。余計なことは考えず、ひっそりと生きていこう。」
黒岩は自分に言い聞かせると、ニュースを見続けた。
そしてニュース番組が終わり、朝の連続ドラマの再放送が始まったと同時にインターホンが鳴り響いた。
午前中から働きづめだった黒岩はできるなら一人でドラマを見て居たい気分だったが、もし仕事の依頼なら断れないため、客を入れることにした。
「どうぞ。」
「は〜い♪」
「お邪魔します。」
相談所のドアが開くと、セインとシャッハが入室してきた。
客だと思っていた黒岩は少し落胆した。
これが客ならテレビ画面の前に座れず、客への対応を考えながらでも落ち着いてドラマの内容を聴けるが、
やかましいやり取りの多いセインとシャッハの場合、テレビ画面の前に座れたとしても落ち着いてドラマが聴けないからだ。
彼女達はたびたび黒岩の様子を伺いに来る。
黒岩は「途中で仕事を投げ出すことはないからいちいち来なくてもいい」とは言っていたが、シャッハ曰く、
「助けた人の働きぶりをよく見なければ折角助けた私も満足しない」らしいので、彼女はセインを連れてよくここを訪れていた。
煩い女だとは思ったが、命を助けられたと言う立場上、突っ返すことはしなかった。
「シャッハ…それにセイン…またあんたらか…」
「またとは何よ〜!折角来たんだから、コーヒーくらい出しなさいよ〜!」
「セイン!」
シャッハはセインの我侭な一言に腹を立て、彼女の頭部に空手チョップを見舞った。
「痛った…何すんのよシスターシャッハ!」
「マナーが悪いです!いくら私達がお客とはいえ、聖王教会の修道女がコーヒーをねだるなんていうはしたない真似がどうして出来るんですか!」
「冗談だって!ったくクソ真面目なんだから…」
セインはシャッハから顔を背けて口を尖らせた。
セインとは医務室で会ってはいたが、詳しく彼女と話し合ったのは相談所がまだ出来る前、聖王教会本部に数日間身を寄せていたときだった。
彼女は明るく楽観的な性格で、シャッハと違い、自分の薀蓄を聞くのは苦手なタイプだった。
黒岩はシャッハが女版速水克彦なら、セインは涼村暁の女版だと思っていた。
もちろん、彼女は暁と違って金遣いは荒くなく、人を傷つけるような発言はしなかったが。
セインはシャッハから顔を背けて口を尖らせた。
セインとは医務室で会ってはいたが、詳しく彼女と話し合ったのは相談所がまだ出来る前、聖王教会本部に数日間身を寄せていたときだった。
彼女は明るく楽観的な性格で、シャッハと違い、自分の薀蓄を聞くのは苦手なタイプだった。
黒岩はシャッハが女版速水克彦なら、セインは涼村暁の女版だと思っていた。
もちろん、彼女は暁と違って金遣いは荒くなく、人を傷つけるような発言はしなかったが。
「だいたい貴方はいつも…」
「ああもう!うっさいから説教は止めてよ!」
「う…うっさい!?セイン!口の聞き方に…」
「おい、静かにしろ。今やっと時間が空いたんで、ドラマを楽しんでいるところだ。」
そう言っても数分後にはまた二人の言い争いが始まるのだが、例えその場しのぎでも静かにしてもらいたかった。
この二週間、まともな休憩時間が合ったことは少ない。
管理局も軍備の話ばかりではなく、失業者や悩みを持つ者達のために、自分のようなカウンセラーの増加や景気の安定を考えろとなんども心で文句を言ったことがある。
なのでどれだけ無駄なのかは分かっていても、休まる時間がある時くらいは静かにして欲しかった。
「ドラマって、そんなの夕方にも再放送やってるじゃない。そんなのにかまけて、大切なお客様にコーヒーの一杯も出さないなんて…」
「セ〜イ〜ン〜!」
「だって黒岩さん、命の恩人に向かって何の感謝も示してないんだもん。」
「貴方は何もしてないじゃないですか!それに、命を助けたからって生意気な口を聞くというのは修道女として…」
黒岩は溜息をつき、ドラマを見ながらまたその場しのぎの注意を行おうとしたときだった。
「ん?」
テレビ画面の上端に、「ホテル・アグスタでの従業員、利用客行方不明、三十人を突破」というテロップが表示された。
「おい、シャッハ!」
「あ…は、はい!」
「これは何だ?」
黒岩はテレビ画面をシャッハのほうに向けて回し、表示されたテロップを指差した。
忙しいとはいえニュースは見ていたが、こんな事件は聞いたことが無い。
「ああ…それですか…遂に隠せなくなったんですね…」
「どういうことだ?」
「はい、実は…」
シャッハはこの事件についての説明を始めた。
この事件が起きたのは二週間前、ちょうど黒岩が相談所を開いた頃だ。
ミッドチルダでも高級ホテルの一つであるホテルアグスタで、二人の男性利用客が姿を消した。
すぐに捜査班が編成され、ホテル周辺をくまなく探したが、失踪した二人は遺体も見つからなかった。
管理局と協力関係にある聖王教会側は反対したが、管理局地上部隊は徹底的な捜査を行って遺体も見つけられなかった事への責任追及と糾弾を逃れるため、この不思議な事件を内密に捜査をしようとしたために公のニュースにはならなかった。
だが、それ以降も犠牲者が増えすぎたため、事件を隠し通せなくなったのだという。
ちなみに犠牲者の共通点として、消えた人間は皆ミッドでも有数の大富豪だということが上げられている。
「…これが事件の全容です。」
「…そうか。」
さすがシャンゼ世界の人はw
支援
黒岩は顎に手を当て、親指で数回なぞると、テレビのスイッチを消した。
「あれ?見ないの?」
セインが顔を覗いてきたが、黒岩の意識はその不思議な事件にあった。
遺体が全く見つからない大富豪と言う共通点がある犠牲者たち…
黒岩は「遺体が見つからない」「被害者には共通点がある」という二点の事件の特徴に焦点を絞り、事件の真相について考えてみた。
この二点の特長は、自分がよく知っている者達が行う行為と似通っていたからだ。
そして、その答えはすぐに導き出された。というより、事件の特徴から導き出される答えは黒岩の中では一つだけしかなかった。
「まさか…!」
黒岩は驚きの色を顔に表し、椅子から勢いをつけて立ち上がった。
この事件の真相は高い確率でダークザイドの仕業だ。
なぜこの世界にまでダークザイドが居るのかも、考えてみれば不思議ではなかった。
自分達ダークザイドは全てが地球に移住してきたわけではない。
地球への移動中に次元の狭間に飲み込まれ、姿を消した闇生物達も数多く存在する。
もしそれらの闇生物たちがこの世界に逃れてきているのなら、或いは…
「…今日はこれで仕舞いだ。」
黒岩はドアの方に向かい、隣にかけてあった本日休業のプレートを手に取った。
「黒岩さん?」
「どうしたのよ?」
「そのアグスタというホテルへ…案内しろ。」
黒岩はシャッハとセインの二人に事件の場所であるアグスタへの案内を頼んだ。
本当はこのまま傍観することも出来た。だが出来なかった。
もしこれが本当にダークザイドの仕業なら、自分にも無関係ではないと思えたからだ。
そして自分はこの世界でカウンセラーとして生涯生きていくのか、もしくはこの世界に迷い込み、隠れて生きていかなくてはいけないダークザイド達のために再び皇帝として立たなければならないのか、
どちらを選ばなければならないかがこの事件の向こうにある気がしたからだった。
投下終了です。
エラーは多く出ちゃうわ、容量は一杯になっちゃうわで大変でした。
皆さんの文章に比べると全然ですが、感想・批評もらえればありがたいです。
投下とスレ立て乙&GJ。黒岩さん大好きだったから嬉しいね。
あ、でも気になったところが。ラーム吸われた人って体は残っていたような。
……もし伏線の類だったらごめんなさい。
えっと、エリやるいはラーム吸われた時に姿消したり闇生物の体内で固まって「アレ」になったりした事があったんで、そっちの表現にしました。
GJ!
ついに僕らの皇帝閣下が事件解決に動きだした!
この人はいい組織人。
あれ?
>>12の
>セインはシャッハから顔を背けて口を尖らせた。
セインとは医務室で会ってはいたが、詳しく彼女と話し合ったのは相談所がまだ出来る前、聖王教会本部に数日間身を寄せていたときだった。
彼女は明るく楽観的な性格で、シャッハと違い、自分の薀蓄を聞くのは苦手なタイプだった。
黒岩はシャッハが女版速水克彦なら、セインは涼村暁の女版だと思っていた。
もちろん、彼女は暁と違って金遣いは荒くなく、人を傷つけるような発言はしなかったが。
という部分が一つ多い…
修正お願いします…
GJ!
閣下の『知っているか!?』であのテーマが脳内に響いたw
GJ!
閣下!ミッドチルダは閣下が統治すべきです!
367氏GJ!
…で、この話はどの辺が嘘ですか
盗作だな
24 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/26(金) 20:50:51 ID:LeUoYQ/6
盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作
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GJ!
荒らしに負けず頑張れ
投下するときは容量に気をつけてな
元ネタがわからないから何とも言えないが
始めたからには荒らしに負けるな
完結まで走り続けろ
荒れるからもう投下するな
不正をしていない限りは一住人がどうこう言う問題じゃない。
ついでに言うと荒らしは不正だ。荒れるのが嫌いなら君らが消えれば良い。
取り敢えず盗作言うやつは他のとこで議論してくれ
ここではバイト数が足りなくなるからな
GJがんばってください
ところでLeUoYQ/6のいう盗作ってどこら辺が盗作に当たるんでしょうか?
>>30 荒らし曰く
一応ウィキペディアから得た知識を使った部分があるので、その箇所には出典を記しておきました。
この部分が盗作にあたるらしい
NGID:LeUoYQ/6
mhgDjnw1
15pSOQXb
丸写しではなく部分的・少量の使用にとどめ
その上で使用した際は出典を明記すればウイキペディアって特に問題は無いのではなかったっけ
知識を使うだけなら出典表記いらんだろ。
出典表記が必要なのは引用(文章丸写し)する場合だな
あれ?あれって出典記せば良いって聞いたのですが、違うのですか?
という作者への返答が
盗作は正当性にはならない
だからな。
しかも上げてるし堂見ても荒らしだろ
空いてますかね?
空いてたら、みっどちる大王3話を23時45分頃から投下させていただきます。
とりあえず、変な空気を入れ替えになればいいのですが。
38 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:45:49 ID:Ug+R/toV
では時間なんで投下しまーす
39 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:46:37 ID:Ug+R/toV
「本当にやるんスか?」
「確かにね。これは相当リスクが大きいよ」
「バカヤロウ。ここまで来てビビってんじゃねえ」
暗がりの中、ヒソヒソ話が聞こえます。
話をしているのは、3人。
それぞれ闇に顔を隠しながら、張りつめた声を出しています。
「やるかやらないか、じゃねえ。やるしかねえんだ。忘れたか」
「――確かに。そうだったっスね」
「はあ、仕方無い。いい加減腹をくくりますか」
仕方無い、という口調とは裏腹に、全員の声に固い覚悟が宿りました。
空気が、ますます張りつめます。
闇の中、六個三対の瞳がギラリと光りを放ちます。
「それじゃあ、いくぞ?」
「おうっス」
「いつでもどうぞ」
そうして、闇の中から3つの人影が一斉に立ち上がりました。
一人が、呟きます。
「私ら盗賊。欲しいものは奪い取るぞ」
みっどちる大王 第三話
「セイン、ノーヴェ、ウェンディが列車強盗するそうです」
――で、失敗してました。
「「ギャアアァァァァァァ!!」」
「……キュー」
40 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:47:47 ID:Ug+R/toV
ガタンゴトン、ガタンゴトンとレールの上を走る貨物列車。
その上で、2人の悲鳴と1人の呻き声が響いていました。
涙目で悲鳴を上げているのがノーヴェとウェンディ、目を回して呻いているのがセインです。
ノーヴェとウェンディは左右からセインの肩を抱え、悲鳴を上げながら貨物列車の上を走っていきます。
そして、転がり込むようにコンテナの陰に隠れました。
一瞬遅れてその場に魔力弾が迫り、コンテナ表面をガリガリ削っていきます。
響き渡る金属音と、飛び散る火花。
ムチャクチャ怖いです。心底ビビります。
ウェンディがそろそろとコンテナの影から視線を覗かせると、こちらに向けて銃型デバイスを構えるオレンジ髪の少女と、ハチマキをたなびかせる青い髪の少女がいました。
「コラ〜! いい加減観念しろ〜!!」
「今なら情状酌量の余地もあるわ! 大人しく出てきなさい!!」
ハチマキとオレンジ髪が、大声でなんか言ってます。
それを見届けてから、ウェンディはノーヴェに向き直りました。半分涙目になってます。
「ノノノノノ、ノーヴェ! どうするんスか〜!!」
「知らねえよ! 私に聞くな!!」
小声で叫ぶ、という器用な真似をするウェンディに、ノーヴェもまた叫び返しました。こっちも涙目です。
そもそも、何故セイン、ノーヴェ、ウェンディの3人が列車強盗などしているのか?
理由は、お金が無いからです。
基本的に、スカリエッティ一家で定期収入を得ている人はいません。
時々、スカリエッティさんのよく分からない発明品が妙に高値で売れたりして臨時収入が入ることもありますが、本当に時々です。
スカリエッティ一家の収入は、スカリエッティさんのスポンサーからの援助と、クラナガンに出稼ぎに出ているドゥーエさんからの仕送りに頼っているのが現状なのです。
そんな、愛の貧乏大家族なスカリエッティ一家ですから、娘たちのお小遣いは少ないです。
年ごろの娘さんたちとしては、本当に少ないです。
それでも、しっかり者のチンクさんやクアットロさんはしっかり貯金を積み立てているのですが、如何にも無計画で物欲の強いセイン、ノーヴェ、ウェンディの3人は当然のように毎月使い切り、それでも足りなくなるのです。
一家の家計を切り盛りしているウーノさんに頼んで前借するのも、いつまでもは無理です。
というか、現段階で5年分くらい前借してます。いっそ甘過ぎるくらいです。
消費者金融に手を出したら一家まとめて破滅することが目に見えていましたから、その辺はスカリエッティさんと姉たち全員で、厳重に厳重を重ねて禁止していました。
そういうわけで3人は思いあまり、遊ぶ金欲しさ、という実によろしくない理由で犯罪に走ったのでした。
……え? レリック?
なにそれ食えんの?
「何でこんな貨物車にあんなのが乗ってんだーっ!!」
「知らないっスよそんなのーっ!!」
列車の上に、ノーヴェとウェンディの泣き言が響きます。
ハチマキとオレンジ髪が「レリックは渡さない!」とか「ロストギアがどーの」とかよく分からないことを言っていますが、余裕がないので無視です無視。
空を見上げれば、一緒に持ってきたお手伝いロボのガジェットドローンが、桃色の閃光やらデカイ鉄球やらにバリバリ撃ち落とされていきます。
本当、なんでこんな強い連中が列車の警備なんてやってるんでしょう? 意味分かりません。
おかげで、脱出時にはディープダイバーで大活躍するはずだったセインがいきなりやられてしまいました。
エアライナーやエアリアルボードで列車から飛び出すことはできますが、そんなもんただの的です。
全力全壊の桃色バズーカで吹っ飛ばされる未来が有り有りと見えます。
41 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:49:12 ID:Ug+R/toV
「「いやああぁぁぁぁぁぁっ!?」」
「………きゅ〜」
2人の悲鳴と、1人の呻き声が響きます。
なんというか、ダメですね。
本当にダメダメですね。
あまりにもアンポンタンです。
スカリエッティさんも、草葉の蔭で泣いていることでしょう。死んでませんが。
ビックリするほどのボンクラぶり。
これからは、この3人のことを「ボンクラーズ」と呼ぶことにしましょう。
「「「ボンクラーズじゃねー!!!」」」
うるさい黙れ。
何にせよ、大ピンチですボンクラーズ。
今でも、ハチマキとオレンジ髪に追い詰められてます。
ここに桃色バズーカと赤いゲボ子が加われば、もう王手でしょう。
ああ、このままボンクラーズは時空管理局の手に落ちてしまうのでしょうか?
「ハロー」
「っ!?」
「なにっ!?」
突然響いた声に、ハチマキとオレンジ髪が体を震わせます。
一方、ノーヴェとウェンディは固まってます。「え? なんで?」という顔です。
「アイ キャン フラアアァァァイ」
再び、声が響きました。
やたらと低く、渋く、粘っこい声です。
ノーヴェとウェンディは、目に見えてゲッソリしていきます。
それまでの緊張感が、ヤスリでゴリゴリ削られていくようです。
支援
43 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:50:45 ID:Ug+R/toV
「……っ! ティア、上だよっ!」
「上っ!?」
ハチマキとオレンジ髪が、バッと上を向きました。
その先には、一つの影。
頭上に達した太陽の逆光の中、列車と同じ速度で空を飛ぶ何者かがいます。
鳥か?
飛行機か?
空戦魔導師か?
いえ――
「…………なにアレ?」
――ネコです。
正確には、ネコっぽいなにかです。
オレンジ色の扁平な体。
パッチリお目々。
ニョロリンと長く伸びた手足。
そう、彼こそが、先代聖王にしてスカリエッティ一家末っ子であるヴィヴィオのお父さん――通称ヴィヴィ父です。
ビビ父と言ってはいけません。すごく怒られます。
お父さんは発音に厳しいのです。
「「…………………………」」
沈黙が降ります。
お父さんと初めて遭遇した人が例外なく陥る、緊張感も緊迫感もない、ただこの後どう行動したらいいのか分からなくなっての沈黙です。
ウェンディとノーヴェも、気持ちはよく分かるので深く頷いています。
「アイウィッシュ アイワー ア バード」
相変わらずの渋みボイスをまき散らしつつ、お父さんが列車の上に下りてきます。
ハチマキとオレンジ髪は、意味もなく一歩後ずさります。
「……もし私が鳥だったら?」
「私は鳥ではない。吾輩はネコである」
「えと……ネコなんだ……」
「ネコ以外のなんだというのだ」
「……なんだろう……?」
問いかけられても困りますね。現にオレンジ髪は心底困った表情で首を捻っています。
なんだろう? 以外に返す言葉がありません。
「吾輩はネコである。断じて鳥ではない。ああ、翼がほしい」
「……そうですか」
「しかし、そんな私は翼がなくても空を飛べる。ネコは本来空を飛べないはずだというのに」
「……そうですね」
「そんな私は一体なんだというのだ? さあ、応えてみなさい」
44 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:51:59 ID:Ug+R/toV
応えてみなさい、とか言われても心底困ります。
首を捻ったまま沈黙してしまったオレンジ髪に代わり、ハチマキがポツリと呟きました。
「え、と……ネコじゃないなら……」
「うむ、ネコではないなら?」
「……タヌキ? の妖怪、とか……?」
「………………」
「………………」
「………………………………………………っ!!!!??!!!」
「ヒ、ヒイ!? ス、スバル、アンタ謝んなさい!!」
「あ、あううぅぅ!? ご、ごめんなさいいいぃぃぃ!?」
無言のまま、ガタガタと振動し、七色に変色し、目をビビカーッと光らせて。
それはもう凄まじい気配を放ち始めたお父さんに、オレンジ髪とハチマキが半泣きになります。
それはそうですね。とんでなく怖いです。
なんだか宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)な感じです。くとぅるー。
「いやいや、怒っているわけではない」
「そ、そうですか?」
「ところで、君は自分が狸の妖怪呼ばわりされたらどういう気分になるかね?」
「えーと、嫌です」
「なんで自分がやられて嫌なことを人にするかねっ!?」
「う、うわーん、ごめんなさいいいぃぃぃぃ!!」
お説教はしばらく続きました。
「……そ、それで、貴方は一体何者……いや、もうそれはいいですから何しに来たんですか?」
オレンジ髪が、疲れ切った表情でいいます。
ハチマキはなんだか精神に傷を負ったのか、「うわーんティアーこわいよーくらいよーたすけてー」と泣きながらオレンジ髪の腰にしがみ付いてます。
大丈夫でしょうか?
心という器に罅が入っていないことを祈りましょう。曖昧になったゲンヤさんなんて見たくないですしね。
「うむ。実は、娘に友達ができたのです」
「……はあ」
「というわけで、その娘の友達を救出しに来たのだよ」
言うが早いか、お父さんの腕がビローンと伸びました。
そのままスルスル伸び続けて、コンテナの影から覗いていたセイン、ノーヴェ、ウェンディの体に巻きつきます。
「え?」
「あ?」
「ほえっス?」
それぞれの言葉に答える暇もあらばこそ。
「ヘイ、パース」
ポーンという軽い擬音付きで、お父さんはウェンディたちを列車の外に放り出しました。
45 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:53:38 ID:Ug+R/toV
「……って、ちょっ!?」
慌てたオレンジ髪がようやく再起動しましたが、既に時遅し。
ああ、このままボンクラーズは地面に叩きつけられてマグロになってしまうのでしょうか?
「――ゲッチュウウゥゥゥゥっ!!」
なんということでしょう。
その時、列車の走る岩山の影から飛び出した白銀の竜が、宙を舞うボンクラーズ3人を拾い上げました。
竜の背に乗った桃色髪の少女が、手にした巨大虫取り網でボンクラーズ3人を掻っ攫います。
あと、『スバゲッチュ絶賛応援中! ピポスバル可愛いよ!!』という上り旗が竜の尻尾に立てられてパタパタ揺れています。
何のことでしょう? さっぱり分かりません。
でもピポスバルは可愛いよね。
「……って、キャロッ!?」
「話は後! さっさと逃げますよ!
フリード! 全力でトンズラーッシュッ!!」
言うが早いか、竜は翼を一打ちして、そのまま逃げだしました。旗をパタパタ揺らして。
一瞬の早業です。こういうトンズラに慣れているとしか思えません。
ポカーンとしたオレンジ髪は、ただ見送るしかありません。ハチマキは未だに再起動せずにぶつぶつ言ってます。
「うむ、ナアァイスプレェイ。
それでは私も帰るとしよう。アアァディオオォォス」
やたらと渋い声をまき散らしつつ、お父さんがふわりと浮きあがりました。
そのままクルクルと回転しながら、青空へと飛んでいきます。
「ま、待てーっ!!」
その時、その場に今まで無かった声が響きました。
見れば、ガジェット・ドローンを破壊していた二人のうち、白い服に身を包んだ女性がこっちに飛んできます。
白いバリアジャケット。大きな杖型デバイス。長い茶色い髪。
そう、我らがエース・オブ・エース。全力全壊砲撃魔法少女、高町なのはさんです。
ところで19歳の女性を魔法少女と呼称することについてはこの後真剣に話し合う必要があると思うからお前ちょっと体育館裏来いや。
「逃がさないよ! ディバイン・バスタ−ッ!!!」
流石は全力全壊魔法少女(仮)。いきなりの全力攻撃。マジ容赦ありません。
ウェンディたちが恐れた桃色の全壊バズーカが、お父さんに迫ります。
「……………」
ガインッ
跳ね返されました。
「「「嘘ぉっ!?」」」
46 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:55:26 ID:Ug+R/toV
なのはさんとオレンジ髪、ようやく復活したハチマキの声が響きます。
まあ気持ちは分かります。でもお父さんに常識を期待した方が負けです。
お父さんはそのまま回転しながら、青空の彼方へ消えました。
列車の上には、ポカーンと呆けたオレンジ髪とハチマキ。
そして、なにやた自信喪失したのか、膝を抱えていじけてしまったなのはさんが残されたのでした。
どっとはらい。
「……ということで、件のレリック奪取は失敗に終わったらしい」
「ふん、『無限の欲望』も存外に大した事の無い。所詮は試作品の一つに過ぎんか」
「………………」
「しかし、それを防いだのは、あの機動6課であるという話だ」
「ほう、あの夜天の小娘のか。
ならばよかろう。あそこのデータが収集できるのは有意義だ」
「………………………」
「ところで、『無限の欲望』だが本当に大丈夫なのか?
なにやら、培養ポッドから出た際に頭を打って、それ以来様子がおかしいと聞いていたが」
「問題あるまい。確かに妙に従順だったのは気がかりだが。
これまで問題になるような行動ととったことも、その兆候もない」
「……………………………」
「………オイ」
「………起きんか」
「………………はっ」
「やあ、おはよう」
「よく眠れたかね?」
「……いや、違うぞ? 目を瞑って考えていただけで……」
「子供のような言い訳を……」
「そもそも我々に目は無いだろう」
「うう、志を同じくした同士が信用してくれない」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……ごめんなさいー、ねてましたー」
(…………まるで萌えないわね)
キュッキュッとガラス容器の表面を拭きながら、ドゥーエさんは内心で呟きました。
時空管理局本局の奥。
隠し通路を通ったその先にある薄暗いこの部屋には、生命維持ポッドに3つの脳みそがフワフワ浮かんでいました。
47 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:56:57 ID:Ug+R/toV
時空管理局 最高評議会。通称3脳です。
バラバラだった世界を平定し、時空管理局を生み出した人物たちであり、今も肉体を捨てた頭脳のみの存在となって、裏から時空管理局の意思決定の全てを司る、まさに時空管理局の真の支配者――
――ということになっていたはずなのですが、最近ではいい感じにボケが進行してきて、変なことばっかり言ってる脳みそ爺さんと化しています。
天然ボケの関西美少女が言えば萌えるかもしれないセリフも、ボケ始めた脳みそ爺さんが言っては不気味なだけです。
というか、脳みそが喋ってる時点で不気味さ100%ですね。
ちなみに、時空管理局の意思決定は、レジアス中将の陣頭指揮の下、各部署の責任者が揃って会議を行い、方針を決定する合議制へと移行していました。ビバ民主主義。
(……なんで私がこんなことを)
そして、そんな3脳の納まっている生命維持ポッドの掃除を、現在ドゥーエさんは行っているのでした。
この3脳のお世話、時空管理局本部の秘書課の皆さんの業務範囲だったりします。
(仕事変えようかしら……)
乾いた布巾でポッドの表面をキュッキュッと擦りながら、ドゥーエさんは内心で嘆きます。
毎日の仕事ではなく、秘書課の面々で持ち回りで行っている事なのですが、それでもいつも変なこと言ってる脳みそ爺さんたちのお世話は、ドゥーエさんに結構なストレスを与えているようでした。
一日3回くらい「今日の昼飯はまだかね?」とか聞かれるし。アンタら口ないだろうがどこから食う気だ。
老人介護というのは、やっぱり社会全体で取り組まなければならない問題ですね。
(ってダメ! ダメよドゥーエっ! 今は私が一家の稼ぎ頭なのよっ!!)
ブンブンと頭を振り、弱気な考えを振り払います。
空を見上げ――と言っても実際に見えるのは薄暗い天井ですが――ドゥーエさんは改めて思いを確かにします。
(待っててね、ドクター、皆! お姉ちゃん、頑張るからね!)
愛しい家族の姿を思い描きつつ、心に誓うドゥーエさんなのでした。
「ふむ、ところでドゥーエ君。今日の昼食はまだかね?」
「ドゥーエ君、私の眼鏡はどこだろう?」
「先生すいません忘れ物しましたー」
「………………」
とりあえず、今日はオーリス誘って飲みに行こう。
そう決めたドゥーエさんなのでした。
「「「………………」」」
「……お前たちは……」
いつも愉快なスカリエッティ一家秘密研究所。
そこで、セイン、ノーヴェ、ウェンディの3人は正座させられていました。
場所は、リビングです。
48 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:57:48 ID:Ug+R/toV
カーペットも座布団もないところに正座させられているのでとても足が痛いのですが、今の3人に文句をいう気力はありません。
そして、その3人の前でプルプルと震えながら俯いていたチンクさんが、唐突にクワッと目を見開きました。
「こんの、大バカ者どもがああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「「「ひいぃぃぃっ! ごめんなさいいいぃぃぃぃぃっ!!」」」
チンクさん、咆哮。
怒ってます。怒りまくってます。
怒りのあまり、髪が逆立って見えます。
まさに、怒髪天を衝く、って感じです。
「突然いなくなったと思ったら、列車強盗だとっ!? 一体なにを考えているんだ!!
お父さんやキャロが居なかったら、どうなってたと思ってるっ!?
いやその前に、遊ぶ金欲しさに強盗など言語道断だっ!!
姉はお前たちをそんな風に育てた覚えはないっ!!」
アンタに育てられた覚えはない、と返すのがこういう時のパターンなのでしょうが、覚えがない、どころか、ナンバーズ年少組を誰より面倒見ていたのがチンクさんであることは、一家全員の共通認識です。
姉どころか、その存在感はもはや母、と呼んでも過言ではないくらいです。
あふれ出るお袋さんオーラに、幼児体型であるはずのチンクさんが不動明王の如く巨大に見えます。
チンク明王。きっと家内安全や子供の健康にご利益があることでしょう。でも身長が伸びなくなります。
「……ねえクアお姉ちゃん。セインお姉ちゃんたちどうしたの?」
「ん〜、セインちゃんたちは、ちょっととっても悪いことをしちゃったのよ〜。
それでチンクちゃんに怒られてるの」
「悪いこと? つまみ食い?」
「ある意味つまみ食いかもしれないわねぇ。
ほら、じぃっと見てても面白くないから、オットーたちに遊んでもらってきなさいな」
「ハーイ」
横で、ヴィヴィオとクアットロがのんびりとしたやり取りをしています。
ヴィヴィオの純真な視線が、ボンクラーズの胸にグサグサと突き刺さりました。
「……う〜ん」
「どうですか? ドクター」
「やっぱり、色んなところで話題になってるねぇ」
ガミガミガミガミと、背後で延々と落ち続けるチンクさんの雷とボンクラーズの悲鳴をBGMに、スカリエッティさんはPCを弄ってました。
覗いているのは、各ニュースサイトです。
後ろに控えていたウーノさんが覗きこめば、ブラウザ上には、今日の列車強盗事件に関するニュースがずらずら並んでいます。
機動6課のお手柄を称賛する記事が多いようでしたが、中にはセインたちの写真を公開しているサイトもありました。
「……これは、まずいのではないですか?」
「まずいねぇ。このまま放っておいたら、私たちの所まで捜査の手が入ってくるかもしれないし」
フウッとスカリエッティさんとウーノさんが揃ってため息をつきます。
仕方無い、とばかりに、スカリエッティさんは首を振りました。
「全く、しょうがないね。
ウーノ、ドゥーエのところに連絡しておいてくれるかい?」
「分かりましたドクター。今すぐに」
「うん、よろしく。
さて……チンク、お説教はその辺にしておこう」
おっと遭遇支援
50 :
みっどちる大王:2008/12/26(金) 23:58:55 ID:Ug+R/toV
スカリエッティさんが、チンクさんとボンクラーズに声をかけます。
チンクさんは「しかしドクター!」と不満そうな様子でしたが、ボンクラーズは地獄で仏とばかりに輝いた顔をしてました。
その様子に苦笑しながら、スカリエッティさんは口を開きます。
「さて3人とも。
これから出かけるから、用意してきたまえ」
「……? 出かけるって、何処にっスか?」
ウェンディの問いかけに、スカリエッティさんはフフッと笑って答えます。
「悪いことをして、人に迷惑をかけたんだ。
迷惑をかけた人に謝りに行くのは、当然のことだろう?」
「おーいボンクラーズー! ちゃんと働いてるー?」
「うっせーハチマキ! いちいち来んな! 暇なのかよテメエ!」
渡り廊下からかけられた声に、ノーヴェは鎌を振る手を止めて叫び返しました。
視線を上げれば、そこにはニマニマとした笑みを浮かべたハチマキ――スバルの姿があります。
「ほらほら、さぼってないでちゃんと草むしりしなきゃダメだよー」
「うるせーっての! 言われないでも分かってるっ!」
からかうような声に、ノーヴェはキャンキャンと叫び返します。
現在、ノーヴェは時空管理局本部の中庭で、草むしりをしている最中でした。
スカリエッティさんに連れられて時空管理局まで事情説明と謝罪に来たのが3日前。
散々嫌味を言われましたが
(「お子さんの躾はご夫婦お二人できちんとやってくださらないと困りますよ」と言われてスカリエッティさんの隣に立っていたウーノさんが「いやそんな、夫婦だなんて!」とクネクネしてました。とても嬉しそうでした)
一応は、TVなどで報道されている、ロストギアを狙ったテロリストなどではない、ということは納得してもらえました。
普通はそんなにあっさり納得したりしないんでしょうが、きっとドゥーエさんが物凄く苦労して色んな人を説得してくれたのでしょう。
そして、強盗自体は未遂に終わったのでこの一件は立件したりもせず、代わりにボンクラーズ3人は時空管理局で罰掃除をする、ということになったのでした。
一応バイト代も出ることになっているので、ノーヴェたちの金欠も解決です。
「その格好も、似合ってるじゃん!」
「余計なお世話だ! つーかそっちから言い出した格好だろうが!!」
顔を真っ赤にして、ノーヴェが怒鳴ります。
そんなノーヴェは現在、体操服にブルマー、という格好でした。
体操服の胸には、「1ねん3くみ ノーヴェ」と書かれたゼッケンが縫い付けられています。
ボンクラーズが罰掃除をする、と決まった時に、レジアス中将が「この格好じゃなきゃ嫌だっ!!」と駄々をこねたので決まったユニフォームでした。
なお、「体操着の裾はブルマーの中に入れる派」のレジアス中将と、「外に出す派」のスカリエッティさんとの間で、夜を徹した熾烈な論戦があったことは記憶に新しいです。
朝日が差し込む会議室の中、貫徹で激論し続けた2人の間には、夕暮れの河原で殴りあった番長たちのごとく奇妙な友情が芽生えたそうです。
結論は、『一日交代で裾を出したり入れたりしよう』ということでした。
死ねばいいのに。
「まあまあホラ、他の二人もちゃんとやってるわけだしさ」
「あの格好だって似たようなもんだよ! っつーかお前らダメ過ぎだ!!」
ちなみに、ウェンディは割烹着姿で局内の掃除を、セインはメイド服でお茶汲みをやってます。
この服装と仕事は、時空管理局内に意見箱が設けられ、そこに寄せられた実に5325通もの応募の中から、厳正に厳正を極めた審査の上で決定したものです。
この内容が発表された時、時空管理局本部から発せられた勝ち鬨と嘆きの声は、クラナガン全土を揺るがしたと言われています。
今の建物内で、そしてノーヴェの姿が窺える植え込みの中で、仕事そっちのけで美少女の激写に励む局員たちの雄姿があちこちで散見できます。
もうダメですね時空管理局。法の塔もなにも崩れ落ちればいいと思います。
51 :
みっどちる大王:2008/12/27(土) 00:01:30 ID:8Tf5cvBI
「チックショウこのやろう! 勝負だ、今日こそ泣かしてやる!」
「へっへーん! 列車の上で半泣きになってた人にやられたりしませーん!」
「泣いてたのはテメエだろうが! お父さんに迫られてピーピー泣いてたくせに!!」
「なんだとー! やるかー!?」
「やらいでか!!」
思考回路の似ている二人が揃うと、とめどなく話は暴走していきます。
腕まくりをし、額がくっつくほどに顔を近づけて睨みあう脳みそ筋肉な二人。
今まさに戦いの火蓋が切って落とされようとした、その時――
「――止めんかバカ者」
「あ痛ぁっ!?」
――スコーン、と音をたてて、ノーヴェのコメカミに先の丸まったスティンガーが食い込みました。
驚いてスバルが視線をやれば、そこにはスティンガーを投げ放った姿勢のまま、疲れたように溜息を吐くチンクの姿があります。
「あ、チンクさん」
「げぇ、チンク姉、に皆!?」
ノーヴェがビックリした声を出しました。
チンクさんの後から、スカリエッティ一家の皆さんがゾロゾロとやってきたのです。
「あー! ノーヴェお姉ちゃん可愛い!」
「確かに。ノーヴェ姉様によく似合ってると思う」
「そ、そうかな。ちょっと刺激的な気もするけど……」
ヴィヴィオが無邪気に嬉しそうな声を出し、それにヴィヴィオを肩車したオットーと隣のディードが答えます。
オットーはノーヴェのむき出しのフトモモやらチラチラ覗くヘソやらが恥ずかしいのか、少し顔を赤らめています。
そんなオットーの態度に恥ずかしさがぶり返したらしく、ノーヴェは両腕で体を隠しながら、慌てて言いました。
「な、なんで皆がここにいるんだよっ!?」
「お前たちがさぼってないか、確かめに来たんだ」
「後はまあ、折角のノーヴェちゃんたちの可愛らしい格好を、一目この目で見ておこうと思ってね〜」
真面目な顔のチンクさんの答えと、明らかにからかっているいるクアットロさんの答え。
ノーヴェはもう顔を赤くするしかできません。
と、そこでスバルが意地の悪い顔をして、元気よく手を挙げました。
「ハイハーイ! チンクさん、昨日ノーヴェがさぼって木の下で昼寝してました!」
「あ、てめえハチマキ! 告げ口してんじゃねえ!!」
「……ほう、ノーヴェ。詳しく話を聞かせてもらおうか」
楽しそうな顔のスバル、涙目のノーヴェ、真顔でにじり寄るチンク。
その様子を、スカリエッティ一家の面々が楽しげに見守ります。
撮影対象の美少女が増えた局員たちは、より一層気合いの入った動きでシャッターを切りまくります。
きょうも、クラナガンは平和なのでした。
晴れ渡った空の上を、お父さんと、「待つのー! リベンジなのー!」と叫びながら追いかけまわすなのはさんが高速で飛んでいきました。
52 :
みっどちる大王:2008/12/27(土) 00:05:44 ID:8Tf5cvBI
投下しゅーりょー
なんかもうギャグじゃなくてほのぼのコメディとか目指そうかなぁ、と思い始めた今日この頃。
文章で笑いを作るって本当に難しいな。
とりあえず、思いついた頃からやりたかった「ディバイン・バスターを跳ね返すお父さん」を書けたのでちょっと満足です。
あと、×DOD氏。
すんませんでしたああぁぁぁぁぁっ!!!(土下座
でもピポスバルは可愛いと思います!!
GJ!さすがおとうさん!
GJ。果てしなく和んだww
アクセルシューター位は跳ね返すと思ってたけどw
しかも管理局がUCAT並にダメになっとるww
お父さんならアルカンシェルも楽勝だ!
きっと管理世界ではマホカンタとかリフレクの類は禁呪扱いに違いない。
かわええ、和んだわぁwww
GJでした、実に良い和み。
出たwwお父さんの「大丈夫、跳ね返した」
というかホント、平和すぎるww
GJ!
お父さん、宇宙的恐怖ですかw
確かにsan値減少しますが
GJ!お父さんはピポスバルを応援しているようです。
あとゆりかごは面白いことになってると思う、お父さん的に考えて。
どうも、おはようございます。
1000ごろ、投下いいですか?
MYPCが吹っ飛んでデータ全部消えた……
皆有明に行ったのかな?
とりあえず投下しますね。
リリカル・コア捏造依頼集その3です。
依頼:ネクストチーム無力化支援
依頼主:リンディ・ハラオウン
作戦領域:PA-N51
作戦目標:敵ネクスト無力化
ミッションを説明します。
アルゼブラ社の所有する、エリア“PA-N51”に存在する新資源プラントの査察を行います。
ですが現在のところ所有者であるアルゼブラ社は査察を拒否し、あまつさえ警備の増強として複数のネクストを派遣して徹底抗戦
の構えを見せています。
現在確認されているネクスト機は四脚型のランク・15:レッドラム、軽量型のランク・19:スタルカの二体です。
あなたの任務は私と協力し、この二体を無力化、我々の査察を実施できるようにすることです。
しかし、私はフロントでの魔力を使った戦闘にはお世辞にも適してはいません。
大量の魔力を利用した戦闘は得意とするのですが……。
その為、私は支援に回ります。
あなたにはフロントでの戦闘をお願いします。
現地の天候は降雪を伴った濃霧により視界がかなり制限されており、悪天候により巡航艦や衛星からの支援も期待できません。十
分な索敵兵装を用意しておいてください。
これは管理局からの正式な依頼です。
危険な任務とは思いますが十分は報酬を用意いたしました。
なお、追加の成功報酬としてこちらが把握しているあなたの重罪となる幾つかの違法行為に対する減免も考慮しても良いとの事で
す。悪い条件ではないでしょう。
良い返事を期待しています。
依頼:ギア・トンネル確保
依頼主:クロノ・ハラオウン
作戦領域:管理世界“オルセア”ギア・トンネル
作戦目標:大型エネルギー砲“プロキオン”の撃破
時空管理局、執務官・クロノ・ハラオウンだ。
ミッションを依頼したい。
管理世界“オルセア”の交通の要衝、ギア・トンネルに潜んでいる大型エネルギー砲“プロキオン”を全て破壊してほしい。
同地は現在、武装勢力同士の境界線上にあり、交通の要衝ということもあり激戦が繰り広げられている。
トンネル内を自由に出入りしている“プロキオン”は脅威度の高い目標だ。
旧式とは言えその火力は高く正面から当たるのは危険だ。
幸い、交通の要衝ということもあり複数の道路が交差するトンネルで横から回り込むことが出来るだろう。
地中深く掘られているトンネルは上空からの砲撃では一切効果が出せず、二度に亘り突入したノーマル部隊も連絡を途絶した。
このまま放置しておけば同地における微妙な戦力バランスを崩す原因に成りかねず、その場合、バランスがどちらかに傾くのは目
に見えている。
これは秘密事項だが現在、我々主導で停戦協定の協議がひそかに行われている。
両者とも主力となるアームズ・フォートを失ったので戦力の再編成の時間を稼ぎたいのが本音だろう。
この状況で表立って我々が動けば協議は流れ、折角の和平への道筋も流れてしまうのは目に見えている。
君達に依頼しなければならないのは苦渋の決断だが、この状況においては君達を頼りにせざるを得ない。
では、よろしく頼む。
依頼:クラニアム防衛
依頼主:フェイト・T・ハラオウン
作戦領域:“アルテリア・クラニアム”
作戦目標:侵入者撃破
緊急の依頼の為、依頼を直接送信しています。
ミッドチルダに点在するエネルギー供給施設、“アルテリア”の中でも最大の規模を誇る“アルテリア・クラニアム”に対するテ
ロ攻撃が計画されているという情報が入りました。
本来ならミッドチルダ方面管区の部隊でもって対応したいのですが、現在ミッド駐留部隊は他のアルテリア施設防衛に対処中でこ
ちらへの支援は出来ないとの事です。
本局にも打診しましたが、こちらも地上の一世界の案件に対して本局直卒の教導隊等は投入できません。
ただ本局からの増援が許可されたとしてもミッド到着まで時間がかかります。
予想される戦力は通常部隊に加えて間違いなくレイブン、もしくはリンクスが投入されるでしょう。
“クラニアム”には警備部隊、防衛システムが配置されていますが侵入を許す可能性が高いのです。
そこで私と共に“クラニアム”中枢で侵入者を捕捉し、交戦状態になった場合、迎撃、撃破します。
しかし、出来得る限り侵入者を生きたまま逮捕したいのです。
難しい条件だと思います。ですがこれは譲る事の出来ない条件です。
少ないかもしれませんが報酬も用意いたしました。
連絡を待っています。
依頼:輸送車両襲撃
依頼主:エムロード
作戦領域:ミッドチルダ・クラナガン高速輸送路T-20
作戦目標:輸送車両破壊、積荷調査
ジオマトリクス社の輸送車両を襲撃してほしい。
目標はクラナガンの高速輸送路T-20を進行しているがこのルートは平時のジオ社の輸送ルートから外れている。
通常とは違うルートを進んでいるという事は何か特別な積荷を運んでいる可能性がある車両という事だ。
輸送車両を撃破し搭載している積荷を調査してくれ。
襲撃地点だが、輸送車両は秘匿のためか交通量は少ない高速輸送路T-20を通過が予想されている。このルートの分岐も少ない。
護衛部隊も少数しか随伴していないので襲撃は容易だろう。
しかし目標は高速で走行するため、一度見失えば再補足は困難となる。気を付けてくれ。
積荷を調査し、ジオ社の違法研究を白日の下に曝す事が出来れば我々はシェア争いにおいて有利な立場に立つことが出来る。
君達レイヴンに依頼する理由は、ミッドは管理局地上本部のお膝元である以上、我々企業が不用意に動けば例え管理局といえど我
々に対し圧力をかけざるを得ない。
ジオ社がここを輸送ルートに使用したのもそれを利用しようとしているのだろう。
そこで君達の出番というわけだ。
では、朗報を期待している。
依頼:B7R占拠部隊排除
依頼主:ティアナ・ランスター
作戦領域:最深度採掘施設“B7R”
作戦目標:オーメル社占拠部隊排除
ミションを説明させてもらいます。
トーラス社所有のコジマエネルギープラント、“B7”を武装占拠しているオーメルサイエンス社のノーマル部隊を排除します。
これはトーラス社の要請により我々管理局が奪還する事になった為です。
あなたに依頼するミッションは私達管理局突入部隊の進入に際して先行し施設各所に展開しているノーマル部隊を無力化してくだ
さい。
閉鎖空間であるため本来は拡散する筈のコジマ粒子が高濃度で滞留しており、長時間の作戦行動は事実上不可能です。
占拠部隊の兵力は多数のノーマルが中心と見られていますが詳細は不明です。
さらに難しくしている要素は施設最奥部に存在する三基のコジマエネルギープラントで、これが破壊されればさらに高濃度のコジ
マ粒子が流出しさらに危険なことになるでしょう。
これに関連してトーラス社からコジマエネルギープラントの被害に応じて追加報酬が支払われます。
このような状況から、悔しいですが我々だけでは実力による短時間の排除は不可能に近いでしょう。
そこで戦力の増強の為、あなた達の出番となります。
危険なミッションですが十分な報酬を用意いたつもりです。
あなた達の働きに期待します。
依頼:最深度採掘施設“B7”エネルギープラント破壊
依頼主:トーラス
作戦領域:最深度採掘施設“B7”
作戦目標:コジマエネルギープラント破壊
ミッションの概要を説明します。
ミッション・ターゲットは最深度採掘施設“B7”最下層にある三基のコジマエネルギープラントです。
“B7”は現在、オーメルに武装占拠されており、相当数の部隊が展開しているのが予想されます。
本施設占拠事案に関連してトーラスは管理局に対してオーメル部隊の排除を要請しています。
ですがトーラスは現在施設内に展開中の管理局部隊に対する攻撃に関して許可しています。
管理局部隊は執務官に率いられた小部隊です。たいした存在ではありません。
現在、管理局部隊は施設内のシャフト及び地下施設の一部に展開し、オーメル部隊は施設最下層に展開しており、睨み合いが続い
ています。
施設内に滞留するコジマ粒子による機体ダメージが想定されます。さらにプラントを破壊すれば高濃度の流出したコジマ粒子によ
って状況はさらに悪化するでしょう
従って今回のミッションプランは抵抗するオーメル部隊並びに、突入した管理局部隊を排除しつつ施設最下層に侵入、ターゲット
をすべて破壊、その後速やかに脱出して頂く流れとなります。
ミッションの概要は以上です。
危険なミッションです。だからこそオーメルはあなたを希望しています
良い返事を期待していますね。
依頼:証拠物件破壊
依頼主:GA社
作戦領域:エルセア近海
作戦目標:AF“ギガ・ベーズ”破壊
作戦を説明する。
雇い主はいつものGA。
目的は管理局に差し押さえられたGA製の主力AF、“ギガ・ベース”の破壊だ。
目標は現在、管理局艦隊に護衛されエルセア港に向けてエルセア近海を曳航されている。
予想される進路では最短で数日中にも到着、調査の手が入るとの事だ。
護衛の管理局艦隊は第八艦隊の巡航艦を中心に多数の護衛要員に守られており、数だけは十分に揃えている。
この護衛部隊を突破し、目標を破壊しろとのお達しだ。
偉いさん、詳しい話をしなかったが、管理局に差し押さえられると色々と面倒な代物なんだそうだ。
まあ、偉いさんには偉いさんなりの事情があるんだろう。
ああ、それと今回はおまえさんの同業者が関与してくる可能性もある。
悪い事は言わないから武装は充実させておいた方がいい。
こんなところか。
危険な作戦だが見返りは十分に大きいぞ。
連絡を待ってる。
依頼:証拠物件護衛
依頼主:管理局第八艦隊
作戦領域:エルセア近海
作戦目標:証拠物件AF“ギガ・ベース”の護衛
ミッションを連絡します。
我々が証拠物件として差し押さえたAF、“ギガ・ベース”を輸送航路上での護衛をお願いします。
あなたは“ギガ・ベース”に直接乗船し、我々第八艦隊の輪形陣を突破した敵性兵力を撃破してください。
現在、護衛対象は我々の護衛下、エルセア港に向かって曳航されています。
本護衛対象はGA社が我々が兵器の輸出入を禁止している世界、“オルセア”に密輸出しようと準備していたモノです。
主兵装である大口径砲の艤装はされており、副兵装の艤装も完了し、後は移送を待つだけの状態で九割方完成しています。
おそらく本証拠物件の破壊の為、GA社による本格的な妨害工作が予測されています。
我々の護衛だけではGA社の本格的な攻撃には対応しきれません。
ですが本証拠物件の調査によってGA社、ひいてはこれを糸口に企業連全体の不法行為を白日の下に照らす事が出来るかもしれま
せん。
その為にもこれを失うわけにはいきません。
これは貴方達にとっても悪い話ではないでしょう。
企業や武装勢力が大型兵器や、より安価な“ハイエンド・ノーマル”に対する依存を再考する一助になるでしょう。
今度は貴方達に対する依存度を強め、貴方達“独立傭兵”にとって仕事に困る事はなくなる筈です。
我々にとっては不本意な事ですが、次元世界の安定の為にはあくまでも“管理できる戦力”が必要なのです。
説明は以上です。
是非とも貴方の力を我々にお貸しください。
協力をお願いします。
依頼:“イクスヴァリエ”確保
依頼主:キサラギ
作戦領域:ミッドチルダ・管理局海上隔離施設
作戦目標:“イクスヴァリエ”確保
管理局の保護下に在る“マリアージュ”事件における重要参考人、“イクスヴァリエ”を確保してください。
管理局内の内通者からの情報で目標の正確な位置が突き止められました。
目標の“イクスヴァリエ”、通称“イクス”は現在、管理局所有の海上隔離施設に保護されている模様です。
こちらの調査で“イクス”は“マリアージュ”と呼ばれる生態兵器の一種の司令塔であり、さらに生産も可能な古代ベルカの“冥
王”だという事が分かりました。
彼はこの世に現存する古代ベルカの貴重なサンプルです。
オリジナルかどうかは不明ですが、例えクローンであったとしても、新暦以前、旧暦を更に遡る時代に存在した彼女を研究する事
が出来れば我々の研究に多大なプラス要素をもたらすでしょう。
是非とも我々の手に入れたいサンプルなのです。
“イクス”の保護されているミッド方面管区海上隔離施設の警備は自律式のガードロボットが中心で、武装した警備要員は極僅か
であると予想されます。
特に警戒するべき存在はありません。
ただ騒ぎを聞きつけた管理局部隊に急行される可能性があります。
そのため、本作戦は増援の到着前に完了してください。
では、貴方の活躍に期待します。
69 :
261:2008/12/27(土) 10:33:05 ID:2zh2aCIy
依頼:ラインアーク侵攻部隊迎撃
依頼主:ラインアーク
作戦領域:連合部隊FOB
作戦目標:管理局・企業連連合部隊
依頼の内容を説明させてください。
管理局・企業連連合部隊によるラインアーク中央区画に対する攻撃が開始されようとしています。
彼らは我々と話し合いの場による解決を望む、そう言いながらついに牙を剥いて来たのです。
我々には“ホワイト・グリント”という強力な切り札があります。
ですが彼らが本気を出したとすればこの切り札も決して十全な戦力であるとはいえません。
そこで貴方には我々のもう一枚の切り札となって頂きたいのです
利潤のみを追求し地上を捨て、地上を汚染し続ける企業連と、汚染されていく地上を軽視し、次元宇宙に浮かぶ揺り籠から世界を
管理しようとする管理局、彼らは人類にとって独善的寄生虫と、選民的な高ランク魔導士による独裁的管理を標榜するもはや正当
な経済・管理主体であるとはいえません。
彼らの望む未来、そこに人類の未来などありません。
我々地上の自治市民達こそが、共に手を取り合い世界をそして道を切り開いていくのしかないのです。
難しい依頼かもしれませんが勿論、出来る限りの謝礼も用意させて頂きます。
貴方の力を我々に、そして自由の為に貸してください。
依頼:ホワイト・グリント撃破
依頼主:企業連
作戦領域:ラインアーク近郊
作戦目標:ホワイト・グリント撃破
ミッションを連絡します。
ラインアークの主戦力、ホワイトグリントを排除してください。
現在、我々と管理局の合同して実施されているラインアークに対する強制査察はホワイト・グリントの存在によって膠着状態にあります。
ホワイトグリントは登録上のランクでは比較的上位に入っているに過ぎませんが実際には、そのランクよりもはるかに強力なリンクスです。
そうでなければ現在の膠着状態は生まれていません。
あなたであっても、例え彼が単機といえど苦戦は必至です。大変危険な相手といえるでしょう。
本作戦に併せて、ランク1・“ステイシス”に同様の任務が発令されています。
彼と協力し、ホワイトグリントを撃破してください。
戦力の中核であるホワイトグリントを撃破すれば彼らの抵抗の意思は砕けるでしょう。
そうなれば我々の体制は更に磐石なものとなります。
我々はこのミッションの為に最高の戦力を用意しました。
後はあなたにお任せします。
依頼:ラインアーク防衛部隊排除
依頼主:管理局
作戦領域:ラインアーク近郊
作戦目標:ラインアーク防衛部隊撃破
我々は企業連の協力のもと、地上における最大の連合勢力であるラインアークに対して一斉捜索を行う事になった。
君にはそれに先立ち、強い抵抗が予想されるラインアーク防衛部隊を撃破、無力化してもらいたい。
敵の編成はノーマルを中心とした防衛部隊が中心だが、一番の難敵として予想されるのは彼らの切り札、“ホワイトグリント”だ。
君一人では間違いなく苦戦は免れないだろう。そこで今回は企業連側が用意したランク・1、“ステイシス”と協同し、これを撃破してくれ。
ラインアークは複数のテロリストを匿っているという複数の信頼できる情報源からの情報がある。
このまま彼らを野放図にしておけば早晩、最悪の事態を招く事になる。それを阻止する為にも今回の一斉摘発が必要なのだ。
作戦の説明は以上だ。
それでは、君の生還を祈っている。
以上でございます。
今回のコンセプトは……
「こんな話聞いてないぞ!!」
例:海上隔離施設襲ったらN2Rが相手になります。(ハードだとスバルにティアナが付きます)
例:トンネル内を走ってたらそこにはAFよりキツイ相手が!!
例:「ちょ、トーラス、話が違う!!」(依頼人がだまされています)
と、まあこんな感じです。
ひょっとして、ロボゲ板の「いろんな世界にレイブンを…」というスレにいませんでした?
72 :
みっどちる大王:2008/12/27(土) 15:17:56 ID:Uds14+6l
むう、ACは名前くらいしか知らないのでネタが分からない……
ところで、いい加減にまとめの方での掲載を連載に移そうか、と考えているのですが
(まとめに掲載してくれた方、ありがとうございます)
過去に別の名前で書いた短編へのリンクも、自分の連載ページに載せていいものでしょうかね?
その方がいいですね。
あと、他作品の名前を作中で出して、あとがきで謝るくらいなら最初からしない。
もしくはチャットなりどこなりで許可取ってからの方が
GJ!!です。
管理局からの依頼の場合、依頼者が実は嫌がってるのが笑えるw
75 :
一尉:2008/12/27(土) 15:52:30 ID:WMXqXJJr
むしろ依頼主はいずれ裏切りしまうよ。
2日も過ぎてから何ですが・・・
クリスマスって、ハンス・グルーバーとスチュアート大佐の命日で良いんだよね?
という訳で、20:00よりR-TYPE Λ 第二十二話を投下させて頂きます
リインフォース?
ああ・・・居たなァ、そんなのも・・・
77 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/27(土) 17:10:57 ID:nI8GrVV8
このミッションに挑むレイブンのSSをだれか、書いてくれないかな
支援
こんばんわです。
今年最後のラクロアを投下いたします。
時刻はR-TYPE Λ様の前、19時を予定しています。
よろしくお願いいたします。
>>76 もしもし・・・
エスペランザ将軍を御忘れでは?
預言者ムハンマドとのクロス→はやて、ヴィータ、なのは、フェイト(もち
三人娘は9歳)が犯される
連続大作投下支援
申し訳ありません、投下時間を遅らさせていただきます。
R-TYPE Λ様の後、21時でお願いいたします。
それでは投下します
回数が多い為、できる限り支援をお願いします
『フェイト・T・ハラオウン執務官以下7名、小型次元航行艦にて人工天体内部より帰還』
その報告を受けた瞬間、リンディの脳裏へと浮かんだのは安堵だった。
本局を含め、次元世界の全てが隔離空間内部へと取り込まれ、全世界を巻き込んでの艦隊戦が勃発してから、既に2時間。
魔導砲と波動砲、そして陽電子砲の光が乱れ飛び、次元震と核爆発が乱発生する、混沌と狂騒の戦場。
その最中にあって、本局はまるで取り残されたかの様に、無傷のまま人工天体の程近くに浮かんでいた。
何も、理由なく戦火を避けられた訳ではない。
単に本局と各世界艦隊との間に、汚染艦隊が群れを成しているだけの事だ。
巨大な壁となった艦艇群は、背後の本局艦艇へは見向きもせず、只管に不明艦隊へと攻撃を仕掛けていた。
汚染艦隊の攻撃対象となっている不明艦隊こそが、国連宇宙軍・第17異層次元航行艦隊であるとの事実が捕虜の証言から判明したが、しかし彼等が繰り広げる戦闘は管理局の想像を絶する熾烈なものだ。
撃ち掛けられる核弾頭を各種光学・熱化学・実弾兵器で迎撃し、反撃として更に大量の核弾頭と、艦首陽電子砲を中心とする戦略兵器を汚染艦隊へと撃ち込む。
どうやら地球軍の主力艦艇は性能面で汚染艦艇のそれを大きく上回っているらしく、敵の陽電子砲最大射程の更に倍近い距離から攻撃を実行しているのだ。
そして戦域へと展開した数百機のR戦闘機が攻撃に加わり、地球軍艦隊周辺域での戦況は、宛ら殲滅戦の様相を呈している。
一方的な攻撃に、為す術なく撃破されてゆく汚染艦隊。
更に、形勢を立て直した管理局艦隊の突撃による無謀とも思える近距離からのアルカンシェル一斉砲撃により、地球軍による攻撃とも併せ既に400隻以上の汚染艦艇が撃破されている。
其処に各世界の戦力による、魔法・質量兵器を問わない大規模な攻撃も加わり、隔離空間内部は汚染艦艇が爆散する際に放つ強烈な発光によって埋め尽くされていた。
しかし、それだけの猛攻が汚染艦隊を襲っているにも拘らず、戦況は悪化の一途を辿っている。
理由は単純、敵の数が多過ぎた。
たとえ100隻の汚染艦艇を撃破したとしてもその都度、見計らったかの様に撃破した艦艇数の3倍近い汚染艦艇が、何処からともなく戦域へと転送されるのだ。
地球軍の出現後は彼等にのみ向けられていた攻撃の矛先も、汚染艦艇の数が爆発的増加を果たすにつれ再び、管理局艦隊を含めた各世界の戦力へと向けられ始めた。
第97管理外世界に関しては、地球軍が鉄壁と云っても過言ではない防衛網を構築してはいる。
それでも、1つの惑星全域を僅か40隻の艦艇と数百機の戦闘機だけで防衛し続けるのは、彼らならば不可能ではないにせよ、決して長続きはしないだろう。
他の世界に関しては更に酷い状況で、圧倒的な性能差と物量差に押し潰され、無数の核弾頭により惑星全土を焦土と化された世界もあれば、何とか迎撃に成功してはいるものの数発の防衛網通過を許し、首都を文字通りの灰燼と化された世界もある。
中には陽電子砲と次元跳躍砲撃での一斉攻撃により、地形の大部分を、それを構成する大陸ごと消し去られた世界すら存在する有様だ。
現在までの2時間余りの戦闘で、既に14の世界の壊滅が確認されていた。
だが逆に、惑星を攻撃した汚染艦隊が現地勢力により激しい反撃を受け、壊滅に追い込まれる事例も少なからず観測されている。
艦隊と惑星地表面の双方から間断なく掃射される弾幕により殲滅される機動兵器、地表より放たれた極大規模魔導砲撃に呑み込まれて蒸発する艦艇、現地艦隊より放たれた核弾頭により消滅する汚染艦隊。
形は違えども、汚染艦隊に対して実行される猛攻に次ぐ猛攻により、観測済み世界の7割以上は未だ健常を保っていた。
ミッドチルダも例外ではなく、未だ修復作業中の1基を除き、完全ではないが応急的に修復された2基のアインへリアルが放つ猛烈な砲撃により、既に接近しつつあった7隻のゆりかごを撃破している。
「AC-51Η」の更なる発展型、拠点用大型魔力増幅機構「AC-88Κ」による砲戦能力の強化は、それまでの常識を覆す超長距離砲撃戦の展開を可能としていた。
空間歪曲等の特殊反応誘発機構を有さないが故に、純粋破壊力と射程を極限まで強化された魔導砲撃は、あらゆる装甲を撃ち抜き融解させ、内部機構を破壊するに留まらず全てを貫通し、射線上の全てを薙ぎ払う。
その配置ゆえ、クラナガンを中心とするミッドチルダの一部地域のみを防衛するに留まるアインへリアル。
しかし隔離空間内部に於いては各惑星の公転が停止している上、汚染艦隊は常に人工天体を中心として拡散する波の様に出現しては侵攻を開始している。
ミッドチルダがクラナガンを人工天体へと曝すかの様な角度を保っている現状は、当然ながらリスクも大きいが、アインへリアルの能力が最大限に活かせる状況だった。
現在までに判明した、汚染艦隊が有するあらゆる長距離戦用兵装の最大射程を僅かに上回る距離から、一方的な砲撃を加える事に成功している。
更に時間が経過すれば、修復の完了した3基目が砲撃に加わるだろう。
戦況は芳しくないものの、敗北が決した訳ではない。
そんな中で本局は状況の把握に追われ、下部構成員から上層部に至るまで、組織全体が混乱の極みにあった。
最前線で交戦中の艦隊戦力、若しくは各世界での対応に当たっているであろう部隊は独自の判断で行動せざるを得ないが、本局や支局の様に単体の施設内で組織としてのあり方を求められる状況に於いては、混乱を収束する手立ても時間も存在しない。
情報を収集しつつ状況の把握に努めるのは当然だが、その内容を精査し判断を下す段階となると、途端に情報の流れが鈍るのだ。
何せ本局の位置は、余りに人工天体に近過ぎた。
直衛のXV級が40隻、更に第2・第4支局艦艇が周囲に展開してはいるものの、下手に動けば汚染艦隊からの熾烈な攻撃に曝される事は解り切っている為、動くに動けない。
それだけでなく、通常の次元世界・宇宙空間では有り得ない程に各世界が密集したこの状況下では、管理局としては迂闊な動きを見せる事は出来なかった。
全ての世界がバイドによる攻撃を受けているこの状況に於いても、現体制の転覆を狙う世界は確かに存在するのだ。
次元航行部隊の戦力が分散している現状ならば、本局を落とす事も、危険ではあるが決して不可能ではない。
現にその意図を窺わせる動きが、既に10以上の世界に於いて観測されている。
なけなしの本局防衛戦力を下手に動かして、結果として飽和攻撃を受けては堪らない。
様々な意図が交錯し生まれた未曾有の混乱。
其処に呑み込まれたリンディはレティと共に、要請と指示との間で焦燥に駆られつつ業務を行っていた。
そんな中での、フェイトの帰還報告。
転送事故により人工天体内部へと送られた彼女は、数少ない隊員と共に生存者を求めて内部を捜索し、更に1機のR戦闘機と、バイドにより汚染されたと思しき別のR戦闘機を撃墜。
隊員が発見した小型次元航行艦により人工天体を脱出、最寄りの管理局艦艇である本局へ向けて進路を取ったのだという。
そして約15分前、1隻の次元航行艦が本局ドックへと入港した。
リンディとしてはすぐにでも義娘の無事を確認したかったのだが、目まぐるしく変化し続ける状況に追われ、通信すらも儘ならず今の今まで業務に没頭していたのだ。
だが、つい先程、フェイトの方から連絡があった。
喜び勇んでウィンドウを開いたものの、伝えられた言葉は簡潔なもの。
支援
『すぐに研究区画まで来て欲しい』
その内容に疑問を抱きながらも、同時に表示されたラボ主任の名に、リンディの身体に緊張が走る。
表示された人物の名は、ジェイル・スカリエッティ。
どんな目的があるのか、フェイトは帰還と同時に彼のラボへと直行したらしい。
戸惑いつつも、レティによって研究区へと追い立てられ、今は本局内部を走るリニアレールから降り立ったところだった。
センサーによる人物特定を受け、許可が無ければかなり上位の士官であっても立ち入りの叶わぬ研究区、その入口に展開された障壁が解除されるのを待つ。
数秒後、淡い光を放つ壁が消失すると同時、彼女のリンカーコアに掛かっていた重圧が嘘の様に掻き消えた。
同時に彼女は、区画内の全域に対しサーチを開始する。
これは最早、彼女にとって次元犯罪者と相対する際の癖の様なもので、僅かな異変までも察する為の慣例だった。
彼女の意識に飛び込む、複数のリンカーコアが放つ魔力の波動。
流石にリンカーコアを有し、更に研究区を頻繁に訪れる様な知人ともなると数が多くはない為、既知の波動は義娘であるフェイトのそれと、過去に2度ほど間近にした事のあるスカリエッティのもの位だ。
その周囲に存在する複数の波動は、リンカーコアを有する研究員とスカリエッティの監視任務に就いている武装局員のものだろう。
そして、それらに囲まれる様にして存在する、1つの波動。
リンディにとっては、決して忘れ得ぬそれ。
「・・・え?」
その瞬間、リンディの意識は全くの無防備となった。
業務に関する思考から現状に対するそれに至るまで、全てが脳裏より消え失せる。
其処に時空管理局本局所属・総務統括官の姿は既に無く、1人の女性としてのリンディ・ハラオウンだけが存在していた。
手にしていた数枚のハードコピー、機密の問題から電子化できなかったそれらが、リンディのしなやかな指の合間を擦り抜け、人工重力に引かれて落下を開始する。
それらを纏めていたバインダーが自身の役目を放棄し、耳障りな音を立てて床面へと跳ね返った。
しかし彼女はそのいずれにも反応を示さず、何かに急かされる様にして駆け出す。
スカリエッティのラボまで、あと400m。
久方ぶりの激しい運動、そして決して機能的とは言い難いヒールでの疾走に幾度となく体勢を崩し掛け、だが彼女はそれらの事象に一切の関心を払う事なく駆け続ける。
息が上がり、決して体温の上昇によるだけではない汗を噴き、形容し難い感情に翻弄されながらも、リンディは決して足を止めない。
そして、荒い息を吐き出すその口から、微かで弱々しい、普段の彼女からは想像もできない声が零れる。
「嘘・・・」
ラボまで、あと200m。
筋肉疲労により脚を縺れさせ、リンディは固く冷たい床面へと倒れ込んだ。
咄嗟に腕で庇ったものの、衝撃と共に口の中へと鉄の味が拡がる。
膝頭には疼く様な痛みが生まれ、叩き付けられた身体には軋みが奔った。
それでも彼女はすぐさま身を起こし、再度ラボへと向かって駆け出す。
「嘘・・・嘘よ・・・!」
あと50m。
彼女の理性が、リンカーコアが、悲鳴にも似た音を上げる。
23年前、闇の書によって暴走したエスティアと共に、空間歪曲の果てへと消えた筈の良人。
遺体すら戻らず、息子を抱き締めながら絶望と共に泣き崩れた、あの悲しい記憶。
永遠に失われた筈の、会う事など二度と叶わなかった筈の、愛しい人の魔力。
それが、その懐かしい魔力の源が、彼のリンカーコアが放つ優しい波動が、すぐ其処にある。
もう抑えられない。
抑えようとも思わない。
「クライド・・・!」
震える声、零れ出る名。
漸く辿り着いたラボのドアは彼女の目に、胸の内に宿った微かな希望を撥ね退ける、絶壁の様にも映った。
僅かに残った冷静な自我は、ドアに反射する冷たい光と同調するかの様に、冷酷な認識を囁き続けている。
それは致命的な毒の様に、彼女の心を徐々に侵食していた。
希望なぞ持って何になる。
本当に彼が生きているとでも思っているのか。
たとえこの奥に居る人物が本当に彼だとして、あのパイロットの言葉通りならば非人道的な処置を受けている筈だ。
諦めろ、望みを捨てろ。
希望が大きければ大きい程、それが裏切られた際の絶望も深く、大きくなるのだ。
今までに何度、それを実感したのだ。
死んだ筈の彼と再開し、目が覚めてそれが夢だったと気付いた時の絶望。
全てが冷えゆき、惨めさだけが全てを支配する、あの瞬間。
そんな事を繰り返す内、遂にはその夢の中でさえ喜びは欠片も浮かばず、絡み付く悲しみと諦めだけが浮かぶ様になった。
このドアの奥にも、きっとそんな現実が待ち受けているに違いないのだ。
そんな思考が脳裏を埋め尽くしてゆくにつれ、胸中の高まりもまた徐々に醒めてゆく。
クライドの生存が信じられない訳ではない。
信じてそれが叶わなかった時に、嗚呼またか、と絶望する事が怖いのだ。
だからこそリンディは、無意識の内に希望的観測を消し去り、総務統括官としての自身を取り戻す。
あれ程に荒れ狂っていた感情の波は既に、嘘の様に静まり返っていた。
人物特定が終了し、最後の確認としてスキャナーへと手を翳す。
些か旧式な方法だが、確実な確認方法だ。
金属製のドアが、エアの音と共に横へとスライドする。
まず目に入ったのは、治療と検査を受ける複数名の武装隊員達だった。
バイド係数を計測する機器の中央に立つ者も居れば、傷を癒す為に医療魔法を受ける者も居る。
中には、両脚の膝下より先が切断されている隊員の姿もあった。
其処で漸く、リンディは嗅覚を刺激する血の臭い、そして彼等がフェイトと共に帰還した攻撃隊の生存者であると気付く。
どうやら医療区へと赴く暇も無く、この研究区へと直行してきたらしい。
その行動に疑問を覚えつつもリンディは歩を進め、その人物に気付いた。
ディエチ。
JS事件にて拘束、更生プログラム中に戦力として動員された、戦闘機人の1人。
壁際に座り込んだ彼女は、両腕へと抱え込んだ膝に顔を埋めたまま微動だにしない。
周囲の全てを拒絶するその姿は、まるで悲しみに沈む幼子の様だ。
傍らに転がる彼女の固有武装が、持ち主の心情を無視するかの様に冷たい光を放っている。
少し離れた場所では1人の男性局員、確か旧六課のヘリパイロットを務めていたその人物が、言葉を発する事なく壁へと背を預けていた。
既に検査を終えたのか、治療を受ける攻撃隊員を見つめるその目は、此処ではない何処か、或いは何者かを見据えている。
その瞳、酷く濁った殺意が渦巻いているかの様な錯覚すら覚える双眸に耐え切れず、リンディは彼から視線を逸らした。
そしてその瞳が、見慣れた姿を捉える。
「ッ!」
簡易ベッドに横たわる、薄手のバリアジャケットを纏った女性。
逸らした視線の先に、彼女は居た。
「・・・フェイト」
「・・・義母さん」
フェイトだ。
彼女は仰向けに寝かされ、医療魔法による治癒を受けている。
どうやら余程に激しい戦闘だったらしく、高度な医療魔法が継続発動しているにも拘らず、癒え切らない傷が全身へと刻まれていた。
更に、かなりの出血があったのだろう。
輸血を受けるその顔色は、まるで死人のそれだ。
思わず息を呑んだリンディは、すぐに義娘へと駆け寄ろうとする。
だがその行為は、他ならぬフェイトが翳した掌によって押し留められた。
「待って」
思わず足を止めるリンディ。
義娘の行動に戸惑いながらも、何か重要な件についての話があるのだと察する。
程なくしてフェイトは、静かに語り始めた。
支援
「クラナガンに出現した、あの機体・・・撃墜したよ」
「・・・そう」
「多分、あれから強化されたんだと思う。天候操作魔法に、召喚魔法まで使用してた・・・私達の知る同種魔法の、どれよりも強力な・・・!」
突然、激しく咳き込み始めるフェイト。
口元に手をやり、横たえた身体を痙攣するかの様に折り曲げながら咳を吐き続ける。
余りにも唐突な事に、リンディは反射的に手を伸ばすと、彼女の背を撫ぜ始めていた。
十数回ほど身体が跳ね、ようやく落ち着きを取り戻すフェイト。
彼女は優しく背を撫ぜ続けるリンディの手に自身のそれを重ねると、荒い息を吐きながらも安心させるかの様に笑みを浮かべ、赤く充血した目を義母へと向けた。
「ごめん・・・もう、大丈夫・・・」
「何が大丈夫なものですか。良いから、もう休みなさい。本当に・・・本当に、良く帰ってきて・・・」
「義母さん」
幼子をあやす様にして、フェイトを寝かし付けようとするリンディ。
しかしフェイトは再度リンディの行動を遮ると、荒い息もそのままにラボの奥を指差し、言った。
「会ってあげて、義母さん」
「何を・・・」
「23年振りでしょ? お願い、あの人に・・・会って、あげて」
そう言い終えると、フェイトはゆっくりと瞼を下ろす。
後には穏やかな寝息だけが残り、リンディは軽く安堵の息を吐くと義娘の頭を優しく撫ぜた。
しかし数度目に手を這わせた時、彼女は自身の指に絡み付く物がある事に気付く。
リンディは何気なくそちらに視線をやり、視界へと映り込んだ物に絶句した。
「ッ・・・!?」
金色の光を放つ、幾本ものきめ細かい金色の線。
蜘蛛の糸の様に指へと絡み付くそれは、明らかに異様な本数の毛髪だった。
信じられない思いで簡易ベッド上のフェイトを見やるが、彼女は穏やかな寝息を立てるばかり。
堪らず呼び掛けようとするが、その肩を掴む者があった。
反射的に振り返れば、其処には既知の人物の姿。
「マリー・・・」
「お久し振りです、艦長」
マリエル・アテンザ。
彼女はリンディを促し、ラボの奥へと誘う。
戸惑いながら幾度かフェイトへと視線を投げ掛けるも、結局はその傍を離れマリエルの後に続く。
そうして最初のドアを潜ったところで、マリエルは唐突に言い放った。
「重度の放射能汚染です。彼等、全員が被曝しています」
リンディの足が止まる。
次いで、マリエルの足も止まった。
返す言葉は無い。
ある筈もなかった。
更に、マリエルの言葉が続く。
「脱毛の症状は化学物質による汚染が原因であり、放射能ではありません。しかし、このままでは被曝により、遠からず全員が死亡します」
マリエルが振り返り、正面からリンディの姿を捉えた。
自分は今、どんな顔をしているのだろう。
そんな事を考えるリンディの思考は既に、齎された現実を受け止める事だけで精一杯だった。
被曝?
化学物質による汚染?
では、何だ。
フェイトは、攻撃隊は、帰ってきただけだと云うのか。
自分達にできる事は、ただ座して彼等の生命が死神の鎌によって刈り取られる、その瞬間を待つ事しかできないと云うのか?
「その事も含めて、スカリエッティから話があるそうです。彼は第4隔離室に居ます」
リンディが我に返った時、マリエルの姿は既に無く。
人気の無い通路に唯1人、リンディは自身の影を見下ろしていた。
暫し呆然と佇み、ゆるゆると視線を上げれば、長く冷たい通路だけが視界へと映り込む。
「隔離・・・」
力ない呟き。
昂りも、ただ一欠片の希望すら無く。
リンディは、闇の様な深い諦観と共に、第4隔離研究室のドアの前へと立っていた。
数瞬ほど躊躇い、しかし遂にセンサーへと触れる。
ドアが、開いた。
「・・・スタビライザー破壊、対象に影響はありません」
「グレード8を20μ投与。第5スタビライザーの物理的破壊に取り掛かる」
「補助回路に異常電圧・・・電圧低下。自壊シークエンス、阻止しました」
「第5スタビライザー破壊。次の・・・」
部屋の中央、幾重にも展開された環状魔法陣。
それらの中央に存在するものを雁字搦めにするかの様に、無数の結界魔法・魔力障壁が常時発動している。
直径2m程の光の柱となった結界群は、物理的脅威と云うよりは情報面での脅威を警戒してのものらしい。
「全思考抑制機構、無力化を確認。脅威レベル2に低下」
「宜しい、結界を解除してくれ・・・ああ、ハラオウン統括官。少しお待ちを」
すると、何らかの術式が終了したらしく、結界の一部が解除される。
同時に指示を出し終えた1人の男性が、振り返る事もなくこちらへと呼び掛けてきた。
聞き覚えのある、しかし決して親しみなど抱き様も無い声。
ジェイル・スカリエッティ。
「・・・時間がありません。用件を聞きましょう」
「おやおや。久方振りの夫婦再会だというのに、奥方は中々に冷たいね。義娘が自分の命と引き換えにしてまで、地球軍から最愛の良人を取り戻してきてくれたというのに」
用件を問い質すも、嘲る様な物言いであしらわれてしまう。
しかしリンディにとっては、それ以上に言葉の内要こそが重要だった。
信じられないとばかりに、言葉が零れる。
「まさか・・・本当に・・・?」
その言葉に、おや、とばかりに首をかしげてみせるスカリエッティ。
彼は数秒ほどリンディを見つめると、確認する様に声を発した。
「執務官から聞いていなかったのかな、統括官? クライド・ハラオウン提督はこの結界の中に居るよ。ほら・・・」
続けて放たれた、近くに寄ると良い、との言葉に恐る恐る1歩を踏み出すリンディ。
光の柱へと近付くにつれ、それを構成する結界群が数を減らしゆく。
徐々に拡がる結界の隙間、其処から覗く空間には何も存在しない。
彼は座らされているのか、それとも横たえられているのか。
「制御パルス、完全消失を確認、全結界を解除」
そして研究員の声と同時、残る全ての結界が同時に消失した。
光の柱が掻き消え、残るはその中央へと据えられた人物の姿のみ。
その、筈だった。
「え・・・?」
呆けた声。
リンディは、それが自分の声であると気付くまで、数秒ほど掛かった。
そもそも何故そんな声が零れたのか、それすらも認識できなかったのだ。
正確には、そんな事を意識している暇が無かったとも云える。
「クラ・・・イド・・・?」
確かに感じられる、最愛の人の魔力。
しかしその発生源たる目前に、彼の姿は無かった。
其処にあるのは唯1つ、人の姿とは似ても似付かぬ、歪な鉄塊。
灰色の塗装を施された、50cm程の円筒形のポッド。
強引に取り外されたのか、上部と側面には無数の傷が刻まれ、破壊された固定用機構が付随している。
ポッド下部には無数の電子機器を内蔵しているらしき台座があり、見るからに強固な保護チューブに覆われたケーブルが2本、ポッドへと接続されていた。
灰色の塗装の表面に窪む様にして刻まれた、細かな文字の羅列。
『LINKER CORE UNIT - ORIGINAL Ver.5.8 Upgraded』
そして、その更に下。
更に小さく、特に重要でもないと云わんばかりに、付け足されたかの様な表記。
『The person who became the base of the system - Clyde Harlaown』
目前の光景の意味を理解すると同時、リンディはその場に崩れ落ちた。
力なく床面へと座り込んだまま、呆然と金属製のポッドを見つめる。
何ひとつ声を発する事もなく、全ての感情が抜け落ちた様に。
予感はあった。
たとえクライドが戻ってくる事があったとしても、それは最早、自身の知る彼ではないだろうという、漠然としながらも確信にも似た予感。
捕虜の証言からしても、R戦闘機開発陣の非人道性は明らかだった。
地球軍によって確保され、恐らくは魔法技術体系を応用するR戦闘機の開発に利用されたクライドが無事である可能性は、限りなく低い。
彼が此処に居るのだと聞かされた時も、思考の何処かではこんな結末を予想していた。
結局、初めから自分は、希望など信じてはいなかったのだ。
なのに。
なのに、この湧き起こるものは何なのだろう。
胸の最も深い場所から込み上げる、痛みとも苦しみともつかぬ、異様な感覚。
否、若しくは感覚ですらないのかもしれない。
実態があるか否かも定かでないそれに押される様にして、瞼の奥より熱いものが溢れ出す。
喉の奥より込み上げてきたものは嗚咽となって吐き出され、咽る様なか細い啜り泣きとなって隔離室に響いた。
切り捨てたつもりでも確かに意識の片隅へと息衝いていた微かな希望は、計り知れない絶望となってリンディの心を切り刻み、蹂躙する。
周囲の研究員達も、何ひとつ言葉を発しない。
だが、その陰鬱なる沈黙を、楽しげな声が切り裂いた。
さすが外道!支援
「理解できないね。何故、泣く事があるんだい? ハラオウン統括官」
スカリエッティの言葉が、無慈悲にもリンディへと突き刺さる。
だが彼女は、それを気に留める事もなかった。
スカリエッティという人物が情緒という概念を理解しているとは到底思えなかったという事もあるが、何より目前の残酷な現実を受け入れる事に精一杯で、これ以上の事象を受け入れる余裕など無かったのだ。
彼女は崩れ落ちた体勢のまま、微動だにしない。
しかし、続けて放たれた言葉は、崩壊しゆく彼女の心を瞬時に目覚めさせるものだった。
「彼は無事じゃないか。回帰措置に関しても何1つ問題は無い。何を悲しんでいる?」
その瞬間、リンディの意識が忽ちの内に覚醒する。
しかし同時に、周囲の空間が凍ったかの様な寒気を感じた。
口元を覆っていた手も、頬を伝う涙もそのままに、限界まで見開かれた目をスカリエッティへと向ける。
今、何と言った?
この男は、何と言ったのだ。
「回帰措置」だと?
それは真実なのか。
彼を、こんな姿になった彼を。
地球軍によって人としての肉体を、尊厳すら奪われた彼を。
戻せるというのか。
彼を、クライドを。
もう一度、人としてあるべき姿に戻せるとでも言うのか?
「どう、いう・・・」
「どうも何も、そのままの意味だがね。現在の彼はほぼ脳髄のみだが、保存環境は最高としか云い様がない。思考抑制の為のインプラントこそ施されてはいるが、それも本質的な人格への影響及び肉体的な負荷は皆無と云って良い。
インプラント類の機能は既に破壊したから、活性状態に移行すれば彼の人格が復活する筈だ」
流れる様に言葉を連ねるスカリエッティ。
リンディはただ呆然と、興奮の念すら滲んだ声を発し続ける彼を見つめ続ける。
しかし言葉の意味を理解するにつれ、彼女の内に形容し難い熱が生まれ始めた。
内に燻る炎をそのままに、リンディは言葉としてそれを目前の狂人へとぶつける。
「彼は・・・彼は、人としての自我を保っていると?」
「自我どころか記憶に至るまで、確実に残っているよ。恐らくは、深層意識の消滅によるリンカーコアへの影響を恐れたんだろう。魔法に対する知識の蓄積が無かった事が、却って彼という意識の保持に繋がったという事かな」
「身体は、どうするのです」
「それこそ君達次第だ。幸いにも管理局と私自身には、戦闘機人の開発を通して得た知識と技術がある。後は・・・プレシア・テスタロッサ女史の研究成果かな。それだけのデータがあるんだ。
設備さえあれば、中身の無い器など幾らでも製造できる」
其処まで言い終えるとスカリエッティは、何かに気付いたかの様に空間ウィンドウを呼び出すと、幾つかのデータを中空へと表示した。
原子構造などを始めとする、非常に高度な情報の集合体。
それが、捕虜となったパイロット達が所持していた自殺用の、そしてR戦闘機の残骸より採取されたナノマシン、其々の解析結果であるという事はすぐに解った。
理解できないのは、その下に表示された別のナノマシン構造情報だ。
「臨床試験・未実施」と併せて表示されたそれは、何らかの医療用ナノマシンらしい。
リンディの内に沸いた疑問に答えるかの様に、スカリエッティは言葉を紡ぐ。
「地球軍に於いて実用化されているナノマシン関連技術は、破壊にせよ修復にせよ、いずれの用途に於いても私達の知るそれを大きく凌駕した性能を有している。
兵器群の自己修復機能、人体の破壊・修復、限定域に於ける破壊工作、大規模構造体の自動構築、生態系の操作・・・ありとあらゆる局面に於いて、彼等はナノマシン技術を用いているらしい。
医療に於いても同様だ」
ウィンドウ上に指を走らせるスカリエッティ。
表示された映像は、ラボの簡易ベッドに横たわるフェイトを始めとする、帰還した攻撃隊各員の姿だった。
彼等の置かれた状況を思い起こし、再び沈痛な思いに囚われるリンディ。
だが、またもスカリエッティは、彼女の絶望を嘲る様に言葉を吐いた。
「違法実験である事は重々承知しているが、何分、時間が無かったものでね。御息女を含め、攻撃隊各員には臨床試験の検体となって戴いた。なに、危険は無いに等しい。
パイロット達が所持していたナノマシンは、元々が医療用である事が判明したのでね。汎用性が非常に高いので、放射能除染と損傷部修復のデータを組み込んで作り変えただけだ。
リンカーコアへの影響こそ未知数だが、18時間後には身体的な異常は全て除去・修復される筈だよ」
一息に言い終えると、彼はコンソール上に置かれたカップへと手を伸ばし、中身を啜る。
コーヒーだろうか、既に湯気も立ってはいないそれを一口、続けて顔を顰めながら一気に飲み干した。
余程に不味かったのか、些か乱暴に口元を拭うと空のカップを助手であるウーノへと手渡し、君が淹れてくれ、と告げる。
その様子を呆然と見つめながら、リンディは漸く彼の言わんとするところを理解した。
クライドが戻ってくる。
フェイト達も助かる。
未だ危機的状況にあるとはいえ、家族が戻ってくる。
失った筈の、これから失う筈だったものが、全て戻ってくる。
戻ってくるのだ。
「あ・・・」
だから、その言葉が発せられようとしたのは、決して無意識によるものではなかった。
管理局の上層部に属する人物が、司法取引に応じたとはいえ未だ危険視される人物に対して放つものでは決してない、敵意や警戒からは程遠い言葉。
しかし今にもリンディの口から放たれんとしたそれは、他ならぬスカリエッティが取った仕草によって押し止められる。
彼が自身の唇の前に翳した、1本の指によって。
「それは言わない方が良い、ハラオウン統括官。私が欲しいのはそんなものではなく、実験の正当性を保証する言葉だ」
そう言うと、ウーノが淹れてきたコーヒーを一口飲み、満足げな表情を浮かべるスカリエッティ。
彼が欲しているのは、煩わしい倫理観に囚われる事なく研究可能な環境であり、その提供を正式に認可する言葉、管理局員としての信念を捻じ曲げる事を良しとする言葉だ。
通常であれば、頷く事などある筈もない要請。
しかし、今は違う。
リンディの個人的な願いだけでなく、管理局としてもクライドの復帰は大きな魅力である筈だ。
現状でも彼の持つ情報を引き出す事はできるだろうが、その鮮明さは肉体が存在する状態で伝達されるそれに制度で劣る。
単に文章や音声のみでは伝わらない、漠然としながら確固たる情報というものも、確かに存在するのだ。
だが、この男が欲しているのは、管理局の総意としての言葉ではない。
リンディ・ハラオウン個人として、それを許容できるか否かという問いこそが、彼の発言に隠された真意だ。
良人の為、家族の為。
何より自分自身の為に、禁忌たる技術を用いる覚悟はあるかと。
リンディの心は決まっていた。
たとえ違法だろうと、禁忌であろうと、クライドに人間としての姿を取り戻す為ならば、管理局高官として可能な如何なる手段でも講じようと。
第一に、この件に関しては許可が通る公算が非常に高い。
此処で口約束に応じたとしても、何も問題は無いだろう。
リンディ自身としては最早、そんな事にまで思考は及んでいない。
しかし事実として、非常にリスクの低い案件である事は間違いなかった。
問題は、問われた人間の良識の壁のみ。
それですら今この瞬間、リンディには存在しないも同然だった。
艶やかな唇が開かれ、決然とした意思の込められた言葉が放たれんとする。
局員の数名が息を呑み、スカリエッティが薄く笑みを浮かべた。
それを知覚する事すらなく、リンディは微かな力を喉の奥へと込める。
そして遂に、その意思が音として放たれた瞬間。
「ッ! 何だ!?」
「な!」
全てが、闇に包まれた。
あらゆる光源が同時に沈黙し、暗闇の中にうろたえる局員達の声のみが響く。
数秒後、魔法を扱える者が浮かべた魔力球を光源に、何とか視界を確保する事はできた。
しかし明かりが戻る事はなく、入り混じって響く声の内容は更に焦燥を強めてゆく。
なんという裸足のゲン支援
「・・・駄目です。全ての機器が沈黙しています。原因は不明」
「中央センターに連絡は?」
「試みましたが、繋がりません! 一切の回線が切断されています!」
「念話は繋がりますが・・・区画内のみです。それ以上となると・・・」
「ドアが開かない・・・空調も止まっているぞ。こいつは停電か」
「復旧を待ちますか? それとも抉じ開ける?」
「攻撃を受けた・・・いや、振動は無かったが・・・」
その時、突如として照明が復旧する。
他の機器も全てが機能を回復し、室内には無数の光源が生まれた。
リンディもまた、復旧した電力に安堵する。
しかし、ウーノの上げた声が、その安堵を打ち砕いた。
「ドクター」
「何かね」
「中央センターより緊急。通常回線ではありません。非常回線を使用しての、全区画に対する非正規通信です。如何致しましょう」
「繋いでくれ」
非常回線を通じての、中央センターから全区画への通信。
その言葉に、リンディの身体へと緊張が走る。
これは、只事ではない。
開かれた空間ウィンドウはホワイトノイズのみを映し出し、音声だけが正常に出力される。
そして直後、オペレーターの叫びが木霊した。
『・・・繰り返す! システム中枢が内部からのハッキングを受けている! 転送地点、特定! 研究区画、第4隔離室! 付近の局員は急行し、プログラム発信源を破壊せよ! 繰り返す! システム中枢が・・・』
咄嗟に、振り返る。
クライドの脳髄を内包したポッド、その前面に1つの空間ウィンドウが展開されていた。
管理局のものと同じデザインだが、それを展開したのは研究員ではあるまい。
リンディの掌よりも小さなそれは表面に、これまた小さな文字列を浮かび上がらせていた。
彼女やスカリエッティを含めた数人が駆け寄り、文字列を読み取る。
『Now Transferring』
その意味を理解すると同時、微かな振動が隔離室を揺るがした。
そして、リンディは理解する。
この状況を引き起こした存在が、何者であるかを。
何て事だ。
何故、クライドを乗せたR戦闘機が撃墜されたのか。
何故、黙って彼をこちらへと明け渡したのか。
何故、彼等は今まで本局を攻撃しなかったのか。
全てが今、繋がった。
これは「罠」だったのだ。
フェイトの目前でR戦闘機が墜ちた事も、彼女がクライドを回収した事も。
地球軍にとっては全て、初めから定められた作戦行動の一環であったのだ。
フェイトとクライドの機が遭遇したのは、果たして偶然か?
彼女の魔力を探知し、その後を追跡して眼前へと現れたのではないか?
そう、全てはこの瞬間の為。
クライドを、R戦闘機のパーツとなった彼を局員による回収を通じて本局へと送り込み、最も無防備な中枢からシステムを掌握する為。
情報を奪取し、それを外部へと転送する為。
そして、迎撃システムを停止させる為。
何の為に?
考えられる理由は、1つしかない。
彼等の目的は、彼等の任務とは。
『所属不明シャトル2機、外殻を破壊して侵入・・・更に6機、急速接近中!』
『A12、F25にて侵入者を確認! 武装隊は当該区画へ急行、直ちに迎撃を開始せよ!』
捕虜の、救出だ。
『E区画全域、電力ダウン! 予備電力に』
唐突に、回線が途切れる。
誰もが呆然と立ち尽くす中、再度の振動が隔離室を揺るがした。
* * *
『作戦開始予定時刻まで120秒』
その通信を耳にしながら、彼は作戦の概要を反芻していた。
電子的強化を施された脳は余す処なく情報を再確認し、その何処にも問題が無い事を確認すると並列処理を一時的に終了する。
作戦開始前の、短いクールダウン。
通常の単体処理を以って思考するのは、この作戦が決行に至るまでの経緯である。
旧R-9WF、つまりは現「R-9WZ DISASTER REPORT」の制御ユニットである人物についての詳細が判明した時、この救出作戦は立案された。
609のR-13Aと交戦した時空管理局執務官とは義理の父娘に当たり、その背後関係を捕虜となったパイロット達より齎された情報を基に洗い出した結果、制御ユニットを執務官に回収させる事で本局へと侵入させようと考えたのだ。
ヴェロッサ・アコース査察官の記憶に含まれていたフェイト・T・ハラオウン執務官の傾向分析情報から、彼女が義父の救出を実行する可能性は非常に高いと判断された結果である。
管理局バイド攻撃隊が人工天体内部へと転送された事実が判明した直後、6機のR-9ER2が同じく人工天体へと送り込まれた。
ハラオウン執務官の魔力反応を捜索・探知し、その座標近辺へとR-9WZを送り込む。
そして遭遇後、彼女達の目前でR-9WZを撃墜を装って墜落させ、制御ユニットを回収させる。
それが、この作戦の大まかな筋書きだった。
ところがR-9WZと管理局攻撃隊はA級バイド汚染体、更には破棄された上で汚染されたR-9Wと遭遇、交戦状態へと突入してしまう。
一時は彼等による制御ユニットの回収自体が危ぶまれたものの、最終的には何とか当初の作戦通りに事が進んだ。
後は、制御ユニットに組み込まれたプログラムの発動を待ち、浅異層次元潜航で本局へと接近、迎撃システムの停止を以って浅異層次元潜航解除、突入。
そして捕虜を救出し、回収されたR戦闘機の残骸を破壊した上で脱出。
再度、浅異層次元潜航へと移行し、同じく潜航状態にあるヴァナルガンド級巡航艦へと帰還する。
それで、全てが終わるのだ。
無論、作戦失敗時の対応策も用意してある。
艦隊にこちらへと戦力を回す余裕は無い為、その実行も救出部隊が担当する事となるが。
孔明の罠支援
さあ、どうなる?支援
支援、とにかく支援!!
そして、もう1つ。
捕虜救出とR戦闘機の破壊以外に、更に別の任務が彼等には与えられていた。
それは、とある人物を始めとする数名の確保。
「ジェイル・スカリエッティ」。
「戦闘機人」No.1・3・4・7・10の身柄、及びNo.2の残骸。
現在、本局内部に存在する戦闘機人については、つい先程に制御ユニットより情報が齎された。
彼等を確保した上での、周囲に存在する全局員の殲滅、及び当該区画の完全破壊による隠滅工作。
どうやら「TEAM R-TYPE」の次なる興味の向かう先は、アルハザードとやらの古代文明が有した技術と、あの生態兵器群が持つインヒューレントスキルと呼称される特殊技能についての様だ。
如何なる方法を用いても彼等を確保し、艦隊へと連行しろとの事。
スカリエッティに関しては最悪、脳髄だけでも確保できれば良いらしい。
戦闘機人に至っては損傷を考慮する必要は無く、最初から殺害を前提として交戦しても問題は無いとの事だ。
どちらにせよ、余計な危険を背負い込む事は避けたい。
隊には既に、友軍以外は発見次第射殺せよとの指示が下されていた。
特に厳命された事例が、対象の年齢を考慮するなとの指示だ。
先の戦闘に於いても確認されていた事実だが、管理局は基本的に最少年齢を考慮しない組織形態であるらしい。
後方は兎も角、前線に於いても齢10にも満たない少年少女の存在が、既に多数確認されていた。
入手した情報によると、管理局は希少な魔導因子保有者を片端から局員として取り込み、中でも戦闘に適性を示した者は年少の内より実戦任務に就く事が通常らしい。
こちら独自の分析では、年長者が有すべき良識の欠如と云うよりも、魔導因子保有者の精神的成熟が異常に速いのではないかとの結論が下された。
この理由から、魔導文明では古来より年少者の社会進出が早く、同時に戦力としての運用に際しても抵抗が少ないのではないかというのだ。
だとすれば、戦場に於いて年端も行かぬ少年少女の魔導師と遭遇し発砲を躊躇うのは、単に愚かな上に無意味な行為としか云い様がない。
子供を戦場へと送り込んだのは彼等であり、しかも当人達はその状況に納得し受け入れている。
殺害を躊躇い見逃せば、次の瞬間にはこちらの身体が蒸発しているかもしれないのだ。
そうでなくとも、バインド等という対象捕獲用魔法を用いる猶予を与えては、それこそ一方的に殲滅されるのが関の山だろう。
だからこその厳命、繰り返し発せられた意志確認だった。
『目標、迎撃システム沈黙まで30秒。突入に備えろ』
『武装確認』
パイロットからの通信。
強襲艇内部に、金属質な音が幾重にも鳴り響く。
それが収まる頃、機内のエアが減少を始めた。
数秒で真空状態となり、照明がノーマルからレッドへと切り替わる。
『20秒前』
固定器具の肩元が解放10秒前の点滅を開始。
同時に視界へと、照準を始めとする各種環境情報がリアルタイムで表示される。
インターフェースを通じて齎される各種情報は、肉眼のみでの情報重要速度を遥かに上回っていた。
この状況判断の素早さこそが、個人携行火器で魔導師を相手取る上での最大の強みだ。
既に銃弾は対魔力障壁用に開発された物を実装してはいるが、マルチタスクと常識外の火力を兼ね備えた魔導師相手には、これでも不安が残る。
何せ魔導師と歩兵戦力との戦闘記録が存在しない為、実際の交戦では何が起きるのか予測が付き難い。
ならば考え得る最高の対処法は、先手を取っての一方的にして徹底的な弾幕による殲滅。
人工筋肉を内包した装甲服に身を包んだ隊員の半数近くは、生身では決して持ち上げる事などできない大型の分隊支援火器を装備している。
通常の自動小銃やPDWを手にした隊員も居るには居るが、やはりそれとは別に面制圧が可能な火器を携帯していた。
明らかに過剰火力であるとは理解していたが、魔導師に対する無知から来る不安がそれを打ち消しているのだ。
おまけに艦隊は、最高の援護を寄越してくれた。
通常戦域での総合性能も然る事ながら、閉鎖空間では間違いなく並ぶものの無い圧倒的な性能を発揮する機体。
エースパイロットの中でも限られた者のみが搭乗を許される、正にエースオブエースの為の機体。
いざとなればそれらの支援を受ける事で、如何な高ランク魔導師とはいえど数秒と掛けずに殲滅できるだろう。
『10秒前』
そして遂に、その瞬間が訪れる。
カウントが始まり、総員のゴーグルに微かな光が点った。
指揮官たる彼は8名の部下に対し、インターフェースを通じて告げる。
可能な限り、全員で生還する。
それを成し遂げる為の、仕上げの言葉を。
『目標を除き即時射殺。復唱せよ』
『目標を除き即時射殺、了解』
突入5秒前。
彼の右側面、自動擲弾銃を持つ手とは反対のそれには、黒く塗装されたケースのハンドルが握られていた。
その片隅には、小さな白いマークが刻まれている。
円を中心とした、3つの扇形。
『突入』
そして、衝撃。
数瞬後、固定器具が解放され、続いてハッチが開け放たれる。
一糸乱れない行動で4分隊、計36名が機外へと展開。
火花と破片、破壊された構造物。
真空の中、激しくのたうちもがき続ける、複数の熱源。
それらを視界へと捉え、銃口のレティクルとピパーが重なった瞬間にトリガーを引く。
発射される榴弾、3発。
爆発、生命反応消失。
暫し友軍の発砲を意味する表示が視界へと瞬き、やがて鎮まる。
周囲の安全を確保した事を確認し、捕虜の位置を確認。
部下を促し、その区画へと向かうべく足を踏み出した、その瞬間だった。
『・・・バイド係数、増大!』
壁面の遥か向こう、次元航行艦ドック。
バイド生命体の存在を意味する表示が、小山の様に膨れ上がった。
* * *
阿鼻叫喚、地獄絵図。
極端に言い表すならば、これらの言葉が当て嵌まるだろう。
レティはウィンドウに映る光景を見つめながら、きつく拳を握り締めた。
表示されている区画名は艦艇停泊区、第26ドック周辺域主要通路。
現在その区画は、多様な光を放つ魔導弾が乱れ飛び、破壊音と悲鳴、断末魔が響き渡る戦場と化している。
敵は2種、余りにも異様な存在だった。
1つは、防衛用のセキュリティ・オートスフィア。
本来、局員を守るべく配備されているそれらは出動と同時、周囲の局員に対し無差別攻撃を開始した。
攻撃の全ては非殺傷設定を解除されており、標的となった周囲の人間は乱射される魔導弾によって次々に弾け飛ぶ。
地球軍による再度の襲撃を警戒して、新型を大量に配備していた事が現状では逆に仇となっていた。
汚染されたそれらは正規の信号を一切に亘って受け付けず、只管に周囲の生命体へと攻撃を繰り返す。
更に、致命的な損傷を受けるや否や、局員達の中心へと突撃し魔力暴走による自爆を実行するのだ。
如何に百名を優に超える魔導師が現場に存在するとはいえ、無限とも思える程に存在するオートスフィアの群れには太刀打ちできない。
防衛線が押し潰されるのは、時間の問題だった。
そしてもう1つが、爆発的な勢いで膨れ上がる異形の肉塊。
外観こそ有機物にして金属光沢をも併せ持ったそれは周囲の無機物、有機物を問わず吸収し、肥大化してゆく。
砲撃と直射弾を撃ち込まれる度に弾け、明らかに血液と判る大量の液体を周囲へと振り撒きつつも、その侵食速度は些かも衰えはしない。
それもその筈、破壊された部位は修復しているのではなく、更なる増殖によって呑み込まれているのだ。
人も、機械も。
自らを守らんとするオートスフィアから、生命活動を停止した自身の構成部位でさえ喰らい尽くし、その全てを増殖の糧とする醜悪な生命。
既に、区画全体の壁面には毛細血管にも似た肉管が縦横無尽に奔り、その侵食は床面から天井面までをも覆い尽くしている。
「AC-47β」の配備により、魔導師は陸士であっても疑似飛行が可能となっていた為、侵食面に触れずに戦闘を展開する事ができた。
しかし空中への退避が遅れた者、そもそも魔導因子を持たない者などは、毛細血管が脈動する侵食面に触れた瞬間から耳を覆いたくなる様な絶叫を上げ、片端からその場に崩れ落ちてゆく。
そして空中も安全という訳ではないらしく、侵食著しい壁面に囲まれた地点での戦闘に当たっていた空戦魔導師は、突如として制御を失うと自ら肉塊の最中へと飛び込んでいった。
どうやらあの有機体には、物理的のみならず精神的にも生命体を侵食する能力があるらしい。
『こちら1012、限界だ! 抑え切れない! 防御ラインが崩壊する!』
『退避せよ、1012! 停泊区を出るんだ!』
『なら隔壁を開けてくれ! 何をやっても反応が無いぞ!』
『2071より中央、何をやっているの!? また隔壁が展開された! 私達を見殺しにするつもり!?』
『コントロールが効きません! 第2管制区より2071、隔壁を破壊して脱出して下さい!』
『そんな暇は無いんだ、馬鹿野郎!』
ウィンドウより発せられる音声が、更に悲壮なものとなる。
悲鳴は徐々に数を減らし、今は怒号と破壊音のみが戦場を支配している様だ。
其処に時折、湿り気を帯びた肉塊と肉塊が擦れ合う異音が入り混じり、レティは込み上げる嫌悪感を抑える事に苦心していた。
『エミー! クソ・・・畜生! エミーが、エミーが肉野郎に喰われた! エミリア三等空尉、敵性体により捕食!』
『バイタルがあるわ! まだ生きてる!』
『そんな馬鹿な事があるか! 俺は彼女が潰される瞬間を見たんだぞ!』
『あれは・・・見ろ、ロッシだ! ロッシのデバイスだ! 光ってる・・・奴はまだ生きてるぞ! バイタルもある!』
『でも、彼はスフィアに頭を吹き飛ばされて・・・!』
『畜生、何がどうなってやがる!?』
更に錯綜する情報。
レティにできる事は、ただそれを聴き続ける事だけだ。
回線は艦艇停泊区からの一方向通信であり、こちらからの発信は向こうへと届かない。
其処彼処で異常が生じている為、復旧さえ儘ならないのだ。
だからこそレティには、局員が次々に死に逝く様を前に、こうして見ている事しかできない。
その事実が堪らなく憎く、悔しかった。
『ロウラン提督』
だからこそ、彼女は別の指示を下したのだ。
通信の繋がる場所へと、自らの権限を活かして。
本来ならば然るべき指示を下す筈の部署は、回線の切断により連絡が取れない。
よって指示を仰ぐ事もできず、状況の確認も儘ならない部隊が、数多く存在していた。
その中の1つへと回線を繋ぐ事に成功したレティは、すぐさま取り得る行動を伝達したのだ。
「経過は?」
『既に患者の70%がシェルターへの避難を終えています。残るは重症患者と数名のスタッフのみです』
「分かったわ。引き続き誘導に当たって頂戴」
『了解・・・しかし一体、何事なのです? 侵入者は地球軍ではなかったのですか? なぜ停泊区にバイドが・・・』
医療区にて患者の避難誘導に当たっていた部隊からの通信に指示を返し、続く言葉に唇を噛み締めるレティ。
彼女は知っていた。
艦艇停泊区を侵食するバイドが、如何にして本局内部へと侵入したかを。
要するにフェイト達は地球軍のみならず、同時にバイドにも嵌められたのだ。
帰還した攻撃隊の一部は第151管理世界の生存者を捜索する過程で、彼等が脱出に用いた小型次元航行艦を発見した。
だがバイドは既に、その艦を自らの制御下に置いていたらしい。
本局ドックへの入港後、艦は魔力炉の出力を限界まで引き上げた。
御丁寧にも観測機器へは疑似信号を流し、出力を偽装した上での行動。
炉心へと侵入したバイド体は、局員のデバイスに装着された「AC-47β」をすら下回るバイド係数しか検出されぬ状態から僅か20秒足らずで、その260,000倍の数値を叩き出すまでに増殖した。
その結果が、区画そのものをも侵食せんとする、あの金属光沢を放つ肉塊の壁だ。
オートスフィアの制御中枢を瞬く間に汚染し、今なおその侵食範囲を拡げつつある、生ける壁。
恐らくは地球軍も、そしてバイドもこの状況を予測していた訳ではないだろう。
両者ともにフェイトを、攻撃隊を利用する事を画策した結果、同じタイミングで獲物が掛かったというだけの事らしい。
だが、だからといって状況が好転する訳もない。
今この瞬間、この本局内部では侵入した地球軍が、恐らくは捕虜となっているパイロット達を奪還すべく、作戦行動を展開しているのだ。
間違いなく彼等は、このバイドの存在を察知しているだろう。
彼等の事だ。
この艦が汚染されていると判断すれば、間違いなく捕虜の救出後に戦略攻撃で以って本局の破壊へと乗り出すだろう。
そうなる前にバイドを殲滅するか、或いは総員が脱出せねばならない。
『提督、ロウラン提督!』
焦燥に駆られた声。
レティはウィンドウに映る武装局員が、只ならぬ表情を浮かべている事に気付く。
不吉な予感が沸き起こる中、彼女は何事かと問うた。
返ってきたのは、信じられない報告。
『重症患者3名の姿がありません! スクライア無限書庫司書長、アコース査察官、及びシグナム二等空尉の3名が消息不明です!』
その報告を最後に、医療区との通信が途絶える。
同時にレティ自身を揺るがす衝撃、そして轟音。
堪らず執務机に手を突き、身体を支える。
慌てて複数のウィンドウを開こうとするも、一切のシステムが反応しない。
暫し呆然と佇むレティ。
だが、すぐに彼女は行動を起こした。
執務室内の金庫を開け、その中に安置されていた小型のデバイスを手に取る。
彼女自身は前線に出られる程の魔力を有してはいないが、「AC-47β」により強化されたデバイスがあれば、護身を目的とした直射弾を放つ程度の事はできた。
拳銃型のデバイスが正常に機能する事を確かめ、非殺傷設定を解除する。
最悪、相手方を殺傷する事になるかもしれない。
額へと薄く滲む汗を意図して無視しつつ、レティは覚悟を決める。
もう、躊躇ってなどいられない。
スカリエッティの言う通りだ。
これはもはや戦争ではなく、生存競争。
殺さなければ、殺される。
引き金を引く事を躊躇った者、殺す事を躊躇った者から喰われてゆくのだ。
研究区までのルートを脳裏で再確認しながら、念の為に幾つかの迂回路を設定しておく。
残る局員の正確な位置も判然としない今、移動中に遭遇した者と合流していくしかあるまい。
取り敢えず、この執務室の周辺域だけでも200名は居るだろう。
先ずは彼等と合流し、態勢を整えねば。
要するにフェイト達は地球軍のみならず、同時にバイドにも嵌められたのだ。
帰還した攻撃隊の一部は第151管理世界の生存者を捜索する過程で、彼等が脱出に用いた小型次元航行艦を発見した。
だがバイドは既に、その艦を自らの制御下に置いていたらしい。
本局ドックへの入港後、艦は魔力炉の出力を限界まで引き上げた。
御丁寧にも観測機器へは疑似信号を流し、出力を偽装した上での行動。
炉心へと侵入したバイド体は、局員のデバイスに装着された「AC-47β」をすら下回るバイド係数しか検出されぬ状態から僅か20秒足らずで、その260,000倍の数値を叩き出すまでに増殖した。
その結果が、区画そのものをも侵食せんとする、あの金属光沢を放つ肉塊の壁だ。
オートスフィアの制御中枢を瞬く間に汚染し、今なおその侵食範囲を拡げつつある、生ける壁。
恐らくは地球軍も、そしてバイドもこの状況を予測していた訳ではないだろう。
両者ともにフェイトを、攻撃隊を利用する事を画策した結果、同じタイミングで獲物が掛かったというだけの事らしい。
だが、だからといって状況が好転する訳もない。
今この瞬間、この本局内部では侵入した地球軍が、恐らくは捕虜となっているパイロット達を奪還すべく、作戦行動を展開しているのだ。
間違いなく彼等は、このバイドの存在を察知しているだろう。
彼等の事だ。
この艦が汚染されていると判断すれば、間違いなく捕虜の救出後に戦略攻撃で以って本局の破壊へと乗り出すだろう。
そうなる前にバイドを殲滅するか、或いは総員が脱出せねばならない。
『提督、ロウラン提督!』
焦燥に駆られた声。
レティはウィンドウに映る武装局員が、只ならぬ表情を浮かべている事に気付く。
不吉な予感が沸き起こる中、彼女は何事かと問うた。
返ってきたのは、信じられない報告。
『重症患者3名の姿がありません! スクライア無限書庫司書長、アコース査察官、及びシグナム二等空尉の3名が消息不明です!』
その報告を最後に、医療区との通信が途絶える。
同時にレティ自身を揺るがす衝撃、そして轟音。
堪らず執務机に手を突き、身体を支える。
慌てて複数のウィンドウを開こうとするも、一切のシステムが反応しない。
暫し呆然と佇むレティ。
だが、すぐに彼女は行動を起こした。
執務室内の金庫を開け、その中に安置されていた小型のデバイスを手に取る。
彼女自身は前線に出られる程の魔力を有してはいないが、「AC-47β」により強化されたデバイスがあれば、護身を目的とした直射弾を放つ程度の事はできた。
拳銃型のデバイスが正常に機能する事を確かめ、非殺傷設定を解除する。
最悪、相手方を殺傷する事になるかもしれない。
額へと薄く滲む汗を意図して無視しつつ、レティは覚悟を決める。
もう、躊躇ってなどいられない。
スカリエッティの言う通りだ。
これはもはや戦争ではなく、生存競争。
殺さなければ、殺される。
引き金を引く事を躊躇った者、殺す事を躊躇った者から喰われてゆくのだ。
研究区までのルートを脳裏で再確認しながら、念の為に幾つかの迂回路を設定しておく。
残る局員の正確な位置も判然としない今、移動中に遭遇した者と合流していくしかあるまい。
取り敢えず、この執務室の周辺域だけでも200名は居るだろう。
先ずは彼等と合流し、態勢を整えねば。
「えぇい、忌々しいですわね!」
そう毒吐くと、腹癒せにもう一度、扉を蹴り付けようとする。
しかしその脚は、唐突に扉が解放された事により宙を切る事となった。
思わず小さな悲鳴を上げ、態勢を崩して前へと倒れ込む。
其処はもはや独房の中ではなく、扉の外の通路だと気付くクアットロ。
悪態を吐きながら床へと打ち付けた身体を起こし、僅かに視線を横へとずらす。
視界へと飛び込んだのは、随分と頑強な印象を与える漆黒のブーツ。
バリアジャケットだろうか。
皮肉の一つでも言ってやろうかと、クアットロは軽い気持ちで視線を上へと滑らせる。
そして、その意識が凍り付いた。
「・・・ひッ!?」
零れる悲鳴。
それは、魔導師などではなかった。
明らかに質量兵器と判る重火器を手にこちらを見下ろすのは、漆黒の装甲服に身を包んだ所属不明の人物だったのだ。
顔全体を覆うマスクとヘルメット、そして鈍い光を放つゴーグルによって完全に隠された面持ちは、その内面を予想する余地さえ与えてはくれない。
その事実だけでもクアットロが恐慌を来すには十分だったが、更に恐ろしい光景がその先に拡がっていた。
「あ・・・あ、あ・・・!」
それは、局員と思しき人物等の死体。
元が何人であったか、収監されていた次元犯罪者ではないのか等の疑問については、もはや知る術は無い。
彼等は一様に高威力の攻撃によって引き裂かれ、肉片となって混じり合っているのだから。
通路の壁面には虫食い跡の様な無数の穴が開き、その下には僅かばかり原形を留めた腕や足、指や毛髪などが散乱している。
床一面に拡がる血溜まりの中には彼女の親指よりも太く長い薬莢が無数に転がり、血液との接触面から微かな湯気を立てていた。
散乱する肉片と血液の量から見ても、犠牲者の数は2人や3人では済むまい。
まさか、こいつは。
こいつは、遭遇する端から局員を射殺してきたのか?
「嫌・・・嫌・・・来ないで・・・!」
必死に後退さるクアットロ。
しかし、その人物の手に握られた質量兵器の巨大な銃口は、寸分の違いも無く彼女の動きをトレースする。
グリップを銃身上部に設けたその質量兵器が、一体どの様な性能を有しているか。
詳細は不明だが、少なくとも掃射が可能である事は間違いあるまい。
如何に戦闘機人の膂力といえど、大口径機銃による至近距離からの弾幕射を回避する事など不可能だ。
クアットロは、この場を切り抜けられる可能性など、僅かたりとも存在しない事を悟った。
金属音。
クアットロが、小さな悲鳴と共に身を竦ませる。
瞼をきつく閉じ、頭を抱え込んで襲い来る衝撃と破滅に備えた。
再度の異音。
鎖が擦れ合う際の様なそれに、彼女は更に怯えつつ首を振る。
もう、何も見たくはないし、聴きたくもなかった。
だが、何時まで経っても、破滅の瞬間が訪れる事はない。
相も変わらず異音は響き続けているものの、クアットロ自身へと何らかの影響が及ぶ事はなかった。
一体何が起きているのかと、漸く彼女は僅かながらも瞼を見開く。
そして、信じられない光景を目にした。
「・・・バインド?」
デバイスを手に扉の前へと立つレティ。
しかし数秒が経っても、それが開く様子は無い。
其処で機器の殆どが沈黙している現状を思い出し、傍らの非常用パネルへと手を伸ばす。
幾つかのスイッチを入れ、予備電力への接続を確認。
扉が稼働状態となった事を確かめると、再度その前へと立つ。
そしてセンサーが機能し、エアの排出音と共に扉が開き。
其処に、漆黒の装甲服に身を包んだ人物の姿があった。
銃声。
レティの視界が、上下に激しく回転する。
撃たれた?
その事実を、否が応にも理解せざるを得なかった。
大量の紅い飛沫が周囲の壁面を濡らす様を、彼女の視界ははっきりと捉えている。
腹部の辺りに熱と痺れが奔り、下半身の感覚が消えて失せた。
そんな中、脳裏に過ぎったのは、何者かという疑問でも、この状況をどう伝達すべきかという思考でもなく。
嗚呼、叶う事なら。
一度、たった一度だけでも良い。
もう一度、家族みんなで集まりたかった。
些細な願い、そして夫と息子の優しい面持ちだった。
軽い咳。
紅い飛沫が弾ける。
以後、その喉が動く事は無い。
天井面から壁面、床面に至るまで、全てが紅く染まった執務室。
散乱する自身を構成していた生体組織の破片と夥しい量の血液、漆黒の装甲服とその手に握られた大型の銃器。
幸いにもそれらを視界へと映す事なく、レティ・ロウランは家族の優しい表情を脳裏へと焼き付けつつ、永遠にその意識を閉じた。
* * *
「全く・・・何か返事くらいしたらどうなの!?」
そんな愚痴を零しつつ彼女は、厳重に閉ざされた独房の扉を蹴る。
通常の人間を遥かに超える膂力で以って蹴り付けられた扉は、しかし傷ひとつ付きはしない。
その様子に更に機嫌を損ねたらしき彼女、戦闘機人No.4たるクアットロは、ひとつ鼻を鳴らした。
全く訳が分からない。
突然、本局へと移送するとの旨が知らされ、あの忌々しい軌道拘置所を出された。
それはまだ良い。
だが理由を知らせもせず、1ヶ月以上に亘っての監禁とはどういう事だ。
管理局側からのコンタクトは何も無く、こちらからの呼び掛けは悉く無視される。
軌道拘置所だってもう少し面白い反応が返ってきたものだ。
此処では暇潰しとなるものが何も無く、只管に退屈を耐え忍ぶしかない。
デバイスを手に扉の前へと立つレティ。
しかし数秒が経っても、それが開く様子は無い。
其処で機器の殆どが沈黙している現状を思い出し、傍らの非常用パネルへと手を伸ばす。
幾つかのスイッチを入れ、予備電力への接続を確認。
扉が稼働状態となった事を確かめると、再度その前へと立つ。
そしてセンサーが機能し、エアの排出音と共に扉が開き。
其処に、漆黒の装甲服に身を包んだ人物の姿があった。
銃声。
レティの視界が、上下に激しく回転する。
撃たれた?
その事実を、否が応にも理解せざるを得なかった。
大量の紅い飛沫が周囲の壁面を濡らす様を、彼女の視界ははっきりと捉えている。
腹部の辺りに熱と痺れが奔り、下半身の感覚が消えて失せた。
そんな中、脳裏に過ぎったのは、何者かという疑問でも、この状況をどう伝達すべきかという思考でもない、全く別のもの。
もし、叶う事なら。
一度、たった一度だけでも良い。
もう一度、家族みんなで集まりたかった。
些細な願い、そして夫と息子の優しい面持ちだった。
軽い咳。
紅い飛沫が弾ける。
以後、その喉が動く事は無い。
天井面から壁面、床面に至るまで、全てが紅く染まった執務室。
散乱する自身を構成していた生体組織の破片と夥しい量の血液、漆黒の装甲服とその手に握られた大型の銃器。
幸いにもそれらを視界へと映す事なく、レティ・ロウランは家族の優しい表情を脳裏へと焼き付けつつ、永遠にその意識を閉じた。
* * *
「全く・・・何か返事くらいしたらどうなの!?」
そんな愚痴を零しつつ彼女は、厳重に閉ざされた独房の扉を蹴る。
通常の人間を遥かに超える膂力で以って蹴り付けられた扉は、しかし傷ひとつ付きはしない。
その様子に更に機嫌を損ねたらしき彼女、戦闘機人No.4たるクアットロは、ひとつ鼻を鳴らした。
全く訳が分からない。
突然、本局へと移送するとの旨が知らされ、あの忌々しい軌道拘置所を出された。
それはまだ良い。
だが理由を知らせもせず、1ヶ月以上に亘っての監禁とはどういう事だ。
管理局側からのコンタクトは何も無く、こちらからの呼び掛けは悉く無視される。
軌道拘置所だってもう少し面白い反応が返ってきたものだ。
此処では暇潰しとなるものが何も無く、只管に退屈を耐え忍ぶしかない。
質量兵器を構えたその人物は、未だクアットロの正面に佇んでいる。
だが、その銃口は既に、彼女の身体を捉えてはいなかった。
正確には、質量兵器そのものが床面へと転がっていたのだ。
それを手にしていた筈の人物は、自身の頸部へと手をやり激しくもがき続けている。
そして、その頸。
緑光を放つ魔力の鎖が、毒蛇の様に巻き付いている。
幾重にも、幾重にも。
その圧力だけで肉と骨が千切れんばかりに、バインドがその人物の頸部を締め上げていた。
直後、その足下を黒い影が駆け抜ける。
動物らしき影、そして魔力反応。
凄まじい勢いで装甲服に身を包んだ人物の足下を掬い、態勢を崩した上で背面を跳ね上げる。
重厚な装甲服が宙で半回転し、一瞬の後、頭から落下を始めた。
床面へと激突、振動。
何かが粉砕される異音。
「ひ・・・」
三度、小さな悲鳴が漏れる。
音を立てて倒れ伏す装甲服を前に、クアットロはただ床面を這いつつ距離を置く事しかできなかった。
暫し不規則な痙攣を繰り返していた装甲服だったが、やがて等間隔を置いて足が微かに動くだけとなる。
「死んだ・・・の?」
「多分そうだね。頸部を砕いた筈だから」
唐突に返された言葉に、クアットロは反射的に通路の角へと視線を投げ掛けた。
何時の間に現れたのか、其処には1台の電動式車椅子が鎮座している。
その後ろには、補助用の杖を突く人物が1人、更に壁に寄り掛かる人物が1人。
通路の明かりが非常灯のみである為、通常ならば人物の特定などできはしない。
しかし、戦闘機人たるクアットロの視覚は、彼等の正体を看破していた。
「何で・・・貴方達が・・・」
車椅子に乗る人物。
金髪を揺らしつつ右手でグリップを操る彼には、右腕以外の四肢が存在しない。
杖を突く人物。
包帯で目を覆われた彼は、どうやら既に失明しているらしい。
唯1人、自力のみで立つ人物。
しかし彼女は、自身の誇りたる剣を手にしてはいない。
クアットロは、彼等を知っていた。
それこそ幾度となく、繰り返し彼等の情報を精査してきたのだ。
間違う事などない、確かな情報。
「無限書庫司書長・・・本局査察官・・・ライトニング分隊・副隊長・・・!」
「ほう、流石はナンバーズの参謀。良く知っているな」
ユーノ・スクライア。
ヴェロッサ・アコース。
シグナム。
「まあ、間に合って良かったよ。君に死なれると、せっかく此処まで来た労力が無駄になってしまうからね」
「あ、え?」
「他の敵なら心配は要らないよ。2つ向こうの区画で僕等が仕掛けたレリックもろとも、跡形もなく吹き飛んでる・・・知識は力なり、って奴さ」
支援
うお、被った!?
済みません、
>>107、
>>110は無視してください
代理の方、混乱させてしまい申し訳ありません
状況を把握する事ができずに、戸惑うクアットロ。
そんな彼女を余所にユーノ・スクライアは、車椅子を操り彼女へと近付く。
そして、残された右腕を彼女の眼前へと差し伸べ、その言葉を放った。
予想だにしなかった言葉、信じ難い言葉を。
「僕に、君の力を貸して欲しい、クアットロ」
轟音、震動。
殺戮と侵食に揺れる本局。
その極限状況の中で、2人の賢者は互いの手を取る。
魔法技術体系から成るあらゆる文明の情報を内包する無限書庫、その知識の宝庫、無限の情報を統べる結界魔導師。
スカリエッティの参謀としてその辣腕を振るい、一時はかのエースオブエースでさえ絶望の縁へと追い込んだ、魔女の如き戦闘機人。
情報という名の、決して見えず、直接的な実効力をも持たず、しかし何より破滅的な刃。
その不可視の刃、死神の鎌を振るう者達が、静かに動き出す。
自らの刃を失った者、前線へと立つ権利すら奪われた者達と共に。
報復の為に、彼等は動き始める。
時空管理局・本局艦艇。
その機能を麻痺させる、地球軍による情報工作、及びバイドによる汚染。
第7管制室から2つ同時に実行されたアクセスにより、両勢力からの中枢機能奪還が果たされたのは、僅か12分後の事だった。
投下終了です
時間が掛かった上に混乱させてしまい、本当に申し訳ありません
支援、そして代理投下の方、有難う御座いました
という訳で、本局脱出戦突入です
今回の話は
「クライド・ハラオウン復活ッッ! クライド・ハラオウン復活ッッ!」「スカ山『日本の奇跡』再現に成功」「脱ぐと速い人、脱毛症」「地球軍、マジビビリで過剰反応」「熟女その1、むーざんむーざん」
「孔明×2 発動」「ユーノ・スクライア復活ッッ! ユーノ・スクライア復活ッッ!」「ヴェ(ry」「シ(ry」「覚醒のフェレット、新たなるフラグ獲得」「メガネが仲魔(ry」
以上の内容でお送りしました
地球軍の外観については「KILLZONE」というゲームの敵キャラ「ヘルガスト」兵士をイメージしつつ書きました
明らかにプロテクトギアを参考にしたデザインですが、外界と完全に遮断された現実味のある軍用防護服となると、真っ先にあれが思い浮かんだもので
戦闘シーンを読む際にイメージする手助けになれば幸いです
そして次回から本局脱出戦、本格的に戦闘開始です
R戦闘機も出ますが、やっぱり脇役&低ランク魔導師無双になる予定
原作では裏方、または空気だった連中の、派手さは無いけど恐るべきチート能力・一面にご期待下さい
バイドが何を目的に本局を侵食しているかは、この本局脱出戦の最中に明らかになります
本局の形って、初代とかTacticsのアレにそっくりだよね・・・
それでは高天氏、どうぞ!
GJ!
直接戦闘の次は陰謀と知略ですな
博士はすっかり技術レベルが跳ね上がちゃって
最後にはどんなレポートとしてまとめられるのやら
そして、復活する人々
このままリボン体導入だw
R-TYPE Λ様GJです。
凄いボリュームですね、読み応えがあります。
クア姉参戦・・・ほんと、どうなる事やら。
投下時間を22時に致します。よろしくお願いいたします。
いやいやこちらこそ順番をミスってしまいまして。
GJ!
地球軍は完全に管理局も敵に認定したか、まあ残しといたら21世紀の地球がどんな目に遭うか分からんからなあ。
凾フアイギス化って本局\(^o^)/オワタフラグじゃないっすか。消毒は大切!
地球の技術ゲットでスカさんが超進化!これは地球に亡命しかない!
ちょwwwあっさり死にすぎですよww貴重な大人の女性が!特に死ぬ必要ないなら死なせなくても…
そしてまさかのStSで活躍しなかったトリオの復活、ついに管理局の反撃開始か!?
エースオブエースで閉鎖空間に強いR戦闘機、初代とかTacticsのアレ、うーむ?
GJ!!です。
チームメガネの力で本局の中枢機能奪還しましたが、
こりゃ地球軍側のエ−ス・オブ・エースが登場しそうだw
GJ!!投稿お疲れ様です。
リンディの家族の為に違法技術を用いようとする意思は、
地球軍のバイドを以ってバイドを制するに通じてますね。
クライドは試験管キャノピーかw
フェイトの放射能被爆。
今回は無事でしたが、バイドと戦うってことはこういう事を
意味してるんですよね。
管理局はバイド化フラグ立ってますし。
冒頭で結構世界が滅びてますねw
STGらしくなってきたw
そろそろバイドの活躍かな。
次を楽しみにしています。
魔法少女リリカルなのは外伝・ラクロアの勇者
第16話
「・・・・あっ・・・・」
体を取り巻く冷たさに、なのははゆっくりと意識を覚醒させる。
辺りは真っ暗闇、そしてとても静か。
此処は何処だろう・・・自分は何をしているのだろう、そんな事をぼんやりと考える、
その直後、腹部からの強烈な痛みが彼女を襲った。
「う・・・・ぐぁあああ・・・」
空いている左腕で胸を押さえ蹲る。同時に思い出す。此処は何処で、自分はどうしているのか。
今自分がいる場所は海の中、夜とは言え周りが真っ暗という事は、かなり深い所まで落ちているのだろう。
本当なら息が出来ない所か、冬の海の海底の冷たさでショック死しても可笑しくない。
おそらくバリアジャケットに備わっている最低限の生命維持装置が働いているのだろう。
だが、腹部の痛みが今だに収まらない。回復魔法を使う事が出来ない自分にはどうする事もできないし、
バリアジャケットには痛み止めの様な便利な機能は備わっていないため、どうする事も出来ない。ただ我慢するしかない。
「痛い・・・・・痛い・・・・」
この痛みから逃げたい・・・だが、自分にはどうする事も出来ない。
こんな痛みを経験したのは初めてだった。だからこそ怖い。何時まで続くのか、自分はどうなってしまうのか。
いっそ全てを投げ出し、楽になりたいと思う自分がいる。そう思った瞬間、程よい眠気が彼女を包み込んだ。
今までの戦闘の疲れと、程よい海水の冷たさ、そして自分の体を包み込んでくれる海が眠気を加速させる。
自然と瞼を閉じ、意識を徐々に手放す。右手の力が抜けレイジングハートが海底へと沈んでゆく。
「・・・・もう・・・・・ダメ・・・かな・・・」
諦めが彼女を支配する。自分の中の誰かが言う『もういいよ』『ゆっくりおやすみ』『後は他の人にやらせればいいよ』
『なんで痛い思いをする必要があるの?』
「何で痛い思いをする必要があるの?」
高町家の庭にある道場、常に木刀と気合が入った声が木霊するこの場所も、鍛錬が終れば一挙に静まり返る。
今其処には二人の少女がいた。
数分前まで師である士郎に他人から見れば虐待と言っても過言ではないほどボコボコにされた高町家長女、高町美由希。
そんな姉を心配そうに見つめながらも、タオルとスポーツドリンクを渡す高町家次女、高町なのは。
時刻は休日の午前七時、普段毎日行われている鍛錬が終わり、今は美由希だけが道場にいるいつもの光景。
「はい、お姉ちゃん」
そんな疲労困憊の姉にタオルとスポーツドリンクを渡すのが、なのはの日課となっていた。
それを礼を言って受け取った美由希は、さっそく洗い立てのタオルで顔を拭き、よく冷えたスポーツドリンクで喉を潤す。
本来ならこの後、なのはは朝食を作っている桃子の手伝いをするのだが、今日に限っては違っていた。
このようなボロボロになった美由希を見るたびに、聞こうと思っていた事があったからだ。
今日は父と兄は鍛錬後、近くの山に行っている為、此処には自分達しかいない。だからこそ聞く事ができた
「何で痛い思いをする必要があるの?」
その質問に美由希はきょとんとするが、なのはは畳み掛けるように質問を続ける。
「だって、おねえちゃん・・・・・いつもボロボロになって・・・・・・なんでそんな痛い思いをしてまで続けるの?」
士郎が恭也と美由希に教えている『小太刀二刀・御神流』正式名所『永全不動八門一派・御神真刀流、小太刀二刀術』
これは極めれば敵無しと言われる古流武術であり、名の通り二本の小太刀をメインとした剣術である。だが、同時に相手を殺めることに特化した殺人術である。
本来、士郎は男である恭也のみに教えていたが、美由希の願いもあって今は二人に教えている。
だが、美由紀は教えを請うのが遅すぎた。物心ついた時から基礎などを学んでいた恭也と違い、美由紀が学び始めたのはなのはと同じ歳。
御神流を学ぶには年齢的には遅すぎた。
それでも美由希は諦めなかった。基礎体力作りから始め、握った事もない小太刀を握り素振りの練習。
士郎は教えると言ったからには甘えや手加減を一切しなかった。
毎日深夜まで道場からは声が響き、なのはは美由希と一緒にお風呂に入る時には、多くの痣が否でも目に付いた。
なのはも高町家の一員、この御神流がどう言う物なのか父や兄から聞いた事もあるし、素人目からでも易々と身につく物ではないと自然と理解していた。
むしろ美由希がこの御神流を学ぶ必要は無い。仮に護身用だとしても御神流は行き過ぎている。
だからこそ不思議に思う、なぜ姉はこの古流武術を学ぼうとしたのか。
「・・・・・・なのはが生まれてまだ少ししか経っていなかった頃かな・・・・・・」
空のペットボトルを静かに置き、タオルを首にかける。そして、天上を見据えながらポツリポツリと話し始めた。
自然となのはは美由希の隣に座り、彼女の話に耳を傾ける。
「・・・・お父さんが爆弾テロ事件で意識不明になったこと、覚えてるかな?」
「・・・うん・・・」
忘れる筈がない、あの時の寂しさは忘れられる物ではなかった。
士郎が今の翠屋のマスターになる前、別の仕事をしていた事は最近知った。それが、サラリーマンなどの真っ当な物ではないことも。
その仕事関係で士郎は爆弾テロに巻き込まれた。並みの人間なら確実に死んでいたほどの怪我。だが、体力、精神力共に超人の域に達していた士郎は生き残る事が出来た。
それでも重傷を負い、一年近くの間こん睡状態に陥っていた。
それからという物、高町家の皆は目が回るほどの忙しさに負われていた。
親戚がいない以上、自分達でどうにかするしかない。母である桃子は無論、幼かった恭也や美由希にも、それは否でも理解できた。
桃子は幼い子供達の面倒を見ながら開店したばかりの喫茶翠屋の切り盛り。
当時、まだ小学生だった恭也も、時々学校を休んで手伝いを行い、時間が少し手も空けば剣の鍛錬。
美由希は家の家事全般(料理以外)と父のお見舞い、そして幼いなのはの相手。
そして、自分は時々家族が構ってくれる時意外は、一人ぼっちだった。
「ごめんね・・・・辛い事思い出させちゃって・・・・」
泣きそうな顔でもしていたのだろうか?申し訳無さそうに美由希はなのはの頭を優しく撫でる。
確かにあの時は辛かった。だけど自分の辛さなど、姉達に比べれば瑣末な事。
「ううん・・・・・大丈夫、続けて」
「分かった。あの時、私怖かったんだ。もしお父さんが死んじゃったらって。だけど同時にね、『もしお母さんやなのはが、お父さんと同じ目にあったら』って
考えてみたの・・・・・・怖くて震えちゃった。だからね、その事を恭ちゃんに話したの。そしてら、何ていったと思う?」
なのはは考えようとしたが、直ぐに答えが出た。
兄ならこう言うと思ったからだ。
「『安心しろ、母さんやなのは、それに美由希も俺が守ってやる』かな?」
「・・・・大正解!一字一句間違いないし!!でね、正直とても安心した。だけどこうも思った。『恭ちゃんだけに任せていいのか』って。
勿論恭ちゃんが頼りないとかそういうことじゃないんだよ。でもね、いくら恭ちゃんでも限界がある、3人をいっぺんに守る事なんてできない。
だからね、そのとき決心したんだ。私も守られる側じゃなくて守る側になるって」
近くに置いてあった小太刀の木刀を持ち立ち上がる。そして何気なく一度、力強く振るった。
「確かに、なのはの言う通り痛い思いは沢山するよ。それにね、小学生の時友達に一度自分の剣術を見せた事があるんだ。
でも、その時友達に『卑怯』って言われてね、結構落ち込んだ。でもね、私はやめないよ」
『やっぱり憶えたての神速を使ったのがいけなかったのかな〜、あれ瞬間移動みたいだし』とあの時の事を思い出し呟く。
なのはもその考えには納得した。あれは正に瞬間移動、知らない人が見たら驚くのは当然だと思う。
「最初は訓練・・ううん、基礎体力を作るだけでも大変だった。正直、凹んだり、もうやめたいと思った事もあった。だけどね、
それ以上にこの剣術を極めたい、強くなりたいって思いの方が大きかった。自惚れじゃないけど、今の私なら恭ちゃんに守ってもらわなくても良い程に強くなったと思う。
でも、まだ自分を守るだけで精一杯かな?だけど、いつかきっと強くなる。皆を守るために、皆を悲しませないために。
辛い事や、痛い思いも、守るための強さを得るためには何てこと無いよ」
一旦話を区切ると、そのタイミングを見透かしたように、桃子の声が聞こえてきた。おそらく朝食の準備が出来たのだろう。
「さて、行こなのは。朝食冷めちゃうよ」
「うん!!」
二人は一度顔を合わせた後手をつなぎ、道場の出口へと向かう。そこでなのはは現実に戻された。
「お姉ちゃんは言っていた・・・・・強くなるために・・・・・皆を守るために、皆を悲しませないためにって・・・・」
堕ちそうになった意識を繋ぎとめ、徐々に意識を回復させてゆく。その瞬間、再び痛みが襲ったが、なのはは先ほどの様に同様などしなかった。
自分も姉と同じだと思う。フェイトと話をしたい、友達になりたい、だから痛みに耐え、彼女に勝つために強くなった。
ヴィータ達と話をしたい、分かって貰いたい、だから痛みに耐え、更に強くなった。
そして今はフェイトを、ナイトガンダムを、はやてを、皆を救いたい。だからこそ、この痛みにも耐えなければいけない。
「そうだよ・・・・皆を助けるんだ・・・皆を・・・・守るんだ!!!」
意識を完全に覚醒させたなのはは、自ら潜り海中へと沈んでゆくレイジングハートを拾う。そして
「あれ〜・・・死んじゃったかな〜?」
海へと落下した後、一向に上がってこないなのはに、闇の書の闇は一度溜息を吐いた後、多少残念そうに呟く。
同じ映像を見ていたリインフォースは顔をそらし、はやては歯を食いしばりながら、闇の書の闇を睨みつける。
「アンタ・・・・・ゆるさへん・・・絶対に・・・許さへんで!!!」
「うわ〜、こわ〜い。でも私にも同情してよ、折角の第一候補が魚の餌に(ドゴッ!!!」
海が突如大きな爆音と共に弾ける。舞い上がった海水が雨となり、自動防御プログラム、そして
「なのはちゃん!!!」
その雨を引き起こした張本人、高町なのはに降り注いだ。
息を荒げながらも、レイジングハートをエクセリオンモードにしたまま、様子を見る。
同時に考える、どうすれば彼女を倒す事が出来るのかと。
生半可な攻撃は通用しない、やはりACSによる零距離エクセリオンバスターしかない。
だが、それは向こうも気づいている筈、そう易々と接近して打つ事など出来ない。
多重バインドによる拘束、アクセルシューターによるかく乱、有効な手段を考えるが、相手は自分のリンカーコアを吸収している、
どれも読まれているに違いない。
方法があるとしたら、相手が知らない魔法で対抗するしかないが、そんな都合の良い事なんか・・・・
「・・・・あれしか・・・・・・ない!レイジングハート、悪いけど魔力調整御願い!
エクセリオンバスター分の魔力以外は全て身体強化に回して、防御は一切しなくて・・・・・ごめん、障壁を一つ足元に展開して、其処に乗るから」
まだ経験が浅い事、そして砲撃や操作系の魔法に磨きをかけていたため、クロノの様に幾つも魔法を使う事など出来ない。
だが、使えそうな『技』ならある。どういう理屈なのか説明も聞いたし、使っている所を何度も見た事がある。
必要なのは集中力と体力。
操作系魔法などで集中力にはかなり自信がある、問題は体力だが、それに関しては魔法で身体強化をすればどうにか誤魔化せる。
「にゃはは・・・・明日は猛烈な筋肉痛になりそう・・・・・」
筋肉痛で動けなくなっている自分を想像し、少し鬱な気分になる。だがそれも成功させ、明日を掴んでこそ出来ること。
足元に出現した障壁の上に着地し、ストライクフレームを出したレイジングハートを構えたなのはは、ゆっくりと深呼吸をした後、瞳を閉じた。
「ん?あきらめたのかな?」
抵抗らしい抵抗もしないどころか、間合いを取って動かないなのはに、闇の書の闇は初めて眉をひそめる。
念のため周囲を検索するが、トラップは無論、誘導弾も確認できない。
「トラップは無し、お仲間さんがこっちに向かってるけど、それ程脅威にはならない・・・・・これはいただきね」
自動防御プログラムは足元にベルカ式の魔法陣を展開、周囲に赤い刃を無数に出現させる。
「景気良く砲撃としゃれ込みたいけど・・・それじゃ死んじゃうからね、急所を外したメッタ刺しで・・・・許してね!!」
刃を放つように命令する闇の書の闇。
『やめて!!!』と喉が張り裂けんばかりの勢いで叫ぶはやて
だがブラッティダガーは放たれ、かく乱するかのように機動を変えながらなのはへと迫る、
そしてその赤い刃がなのはの体に刺さろうとした時、
「なのはは突然消えた」
その直後
ストライクフレームの魔力刃が、自動防御プログラムの胸から生えた。
目を閉じ意識を集中させる。鼓膜が破れているお陰で、音を消す事は直ぐに出来た。
攻撃が迫ってくる事が、魔力反応で嫌でもわかる。だが、それに構う暇などない。心を沈め、集中力を更に高める。
そして、ゆっくりと瞳を開けると、其処は昔の映画の様なモノクロの風景、そして時間が停止したかの様に止まっている景色。
視覚から色の情報を外し、その文の情報処理能力を知覚に振り分ける。それは、集中力を極限まで高める事により出来る、御神流の奥義。
一瞬とは言え、フェイトのソニックブームと同等、否、それ以上の高速移動を可能にし、
敵が気付く時には急所に刃が刺さっている・・・否、下手をすれば痛みを感じずに死んでしまう程の高度な移動攻撃方法。その名を
『神速』
なのは足場にしていた障壁を蹴る。この技は体の負担がかなり大きく、熟練者の士郎や恭也でも早々多様は出来ない。
本来なら体が未成熟ななのはは使う事は出来ない。仮に使ったら体に一生残る後遺症が大怪我と共についてくる。
だが、魔法という存在がその欠点を補った。身体強化は一時的ではあるが士郎や恭也と同等、もしくはそれ以上の丈夫さを与えてくれる。
そして持ち前の集中力を合わせた結果、一瞬ではあるが使う事が出来た。
時間が停止している様な空間を移動する不気味さ、そしてその中を移動するために掛かる体の異常な負担。
それらを歯を食いしばり耐え、自動防御プログラムの後ろへと回り神速を解除、そして後ろからストライクフレームの刃を突刺し、
収束を開始、自動防御プログラムは何か行動を起こそうとするが、チャンスを掴んだなのはがそれを許す筈がなかった。
「エクセリオォォォォォォォォォン!!!バスタァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
零距離から放たれた渾身のエクセリオンバスターの直撃を受けた自動防御プログラムは、桃色の光に包まれなら海へと落下、大爆発を引き起こした。
「・・凄いわね・・・あの子、まさか自動防御プログラムを行動不能に落とし知れるなんて」
予想外だったのだろう、闇の書の闇は素直に驚きを表していた。
そして、ようやく駆けつけたユーノとアルフに介抱されているなのはを今まで異常に興味を持った瞳で見据える。
「どうや!!これじゃあもう戦えへんやろ!!さっさと降参し!!」
なのはの活躍に元気付けられたのだろう。はやては勝利を確信した笑みで言い放つ。
だが、それでも闇の書の闇の余裕は消えなかった。一度溜息をついた後、はやての方へと体を向ける。そして何の前触れも無く指を鳴らした。
ゆっくりと海から上がってくる自動防御プログラムをなのはは顔を顰めながら見つめる。
だが、以前表情を変える事は無いが、バリアジャケットの綻びや体の傷など、明らかに致命的なダメージを負っている事は確認できた。
それでも、目の前の敵を倒そうと腕を掲げ、ベルカ式の魔法陣を展開させる。
なのはは即座にレイジングハートを構えようとするが、その行動をアルフが手で遮り止める。
「なのはは回復に専念してな。ユーノ、後は頼むよ」
にんまりと二人に向かって微笑んだ後、腕を鳴らし、ゆっくりと前に出る。
そして獣特有の闘争本能を隠す事無くさらけ出し、先ほどなのは達に向けたものとは違う、獰猛な笑みを向けた後、
「さっさと・・・フェイト達を返せ!!!」
突撃を開始。やる事は単純、自慢の拳で目の前の相手をぶん殴る。
正直弱っている相手を殴るのは好きではない。だが奴は別だ。おそらくこんな状態でも今の自分より強いだろう。
だから手加減しない。せめて、クロノが来るまで持たせればいい。
そう考えながら、拳が届く距離まで近づいた直後、自動防御プログラムは黒い光に包まれ爆発、アルフを吹き飛ばした。
「くっ!!なんだ一体!!」
至近での爆発であったが攻撃ではなかったため、吹き飛ばされただけですんだ。
だが、爆発の後、自動防御プログラムは黒い球体に包まれゆっくりと海へと落下、半分ほどを海へと着水した後、徐々に大きさを増し、
巨大な半球へと姿を変えてゆく。
「な・・・・なんだい・・・・これは・・・・」
今ではドームほどの大きさとなった黒い球体を、アルフはなのは達の所まで後退しながら油断無く見据える。
なのはもまた、突然の変化に戸惑いながらも、自分に回復魔法を施してくれているユーノに聞こうとするが、
「・・・暴走が・・・始まったんだ・・・・」
後ろから聞こえる声に振り向く3人、其処には、リーゼ姉妹を送り届けたクロノが、S2Uを持つ手を震わせながらユーノの変わりに苦々しくつぶやいた。
そして
「その通り!!」
突如黒い球体の真上に、映像が映し出される。
そこに映し出されたのは、縛られている八神はやて、そして同じ顔をした二人の少女。一人は血だらけで縛られており、
もう一人は愉快で仕方が無いかの様に微笑んでいる。
言葉を発したのは微笑んでいる少女だった。
「はやてちゃん!!!」
はやての姿を見つけたなのはは、自然と大声で彼女の名前を呼ぶ。
声は聞こえるのか、先度まで苦しそうにしているリインフォースを見ていたはやてが、なのはの声に反応する。
「なのはちゃん!!!」
回復魔法を掛けてもらったのだろう、先ほどよりは元気な表情のなのはに、はやては心から安心する。
「いや〜、さすがね。自動防御プログラムを此処まで痛めつけるなんて、でも残念、暴走は始まっちゃった。今までの苦労は水の泡」
そんな二人の間を割って入るかの様に、闇の書の闇ははやての前に立ち、なのは達を満面の笑みで見つめる。
『暴走が始まった』その言葉が何を意味するのかは嫌でも理解できた。
そうなった場合、アルカンシェルで吹き飛ばすしか方法はもう無い。中に囚われているフェイト達もろとも。
自然と絶望感が皆を支配する。だが、その暗い空気を吹き飛ばすかのように、闇の書の闇は話し始める。
「でも、暴走を止めることも出来るのよ・・・・だって、引き起こしているの私だし。理由に関しては・・・・2回も話すのは面倒だから
八神はやて、貴方が説明して」
『後は任せた』と言わんばかりに、引き下がる闇の書の闇。
支援
その姿を、精一杯にらみつけた後、はやては話し始めた。この女性の事、今までの暴走の事を
「ということは・・・・今までの暴走・・・いや、闇の書の改変はお前が原因だったのか・・・・」
「そういうこと・・・・・ん?あんた・・・・どっかで見たような・・・・・」
クロノの顔をジロジロと見据えながら闇の書の闇は手を顎に野で考え込む、そして時間にして数十秒、
思い出したのだろう、手を軽く叩いた後、指を刺す。
「クライド・ハラオウン!!うん、そっくり!!息子!!?兄弟!?」
その発言に黙っていない人物が5人いた。
モニターから様子を伺っていたグレアムとリーゼ姉妹は目を見開き驚き
リンディは自然と立ち上がり
クロノは四人を代表するかのように疑問をぶつける。
「なぜ・・・なぜ父さんの事を知っている!!?」
父であるクライド・ハラオウンは確かに前回の闇の書に関わっていた、だがそれは輸送の時だけ、
今回の様に直接言葉を交わしたことは無い筈、ならなぜ知っているのだろう。
その理由を闇の書の闇は、笑顔であっさりと答えた。
「なぜって・・・クライド・ハラオウンを殺したのは私だし」
こいつは一体何をいってるのか・・・・・頭が理解に追いつかない。
父は巡洋艦エステアと共に、アルカンシェルで消滅した筈。
「ん?ああ、もしかしてアルカンシェルで蒸発したと思っていた?」
自分の心を見透かされてるようで気分が悪い。だが、そんな彼の心境を気にする事無く、面白そうに話を続ける。
「あの気、封印が不完全だったのよ。だから抜け出して手当たり次第殺して犯して取り込んで、さっさと逃げようと思ったんだけどね。
残念な事にど派手に侵食を始めちゃったから気付かれちゃって、船の艦長さんの指示が的確だったのね乗員皆逃げちゃったのよ。
だから私もトンズラしようとしたんだけど、残っていたクライド・ハラオウンに見つかっちゃってね。私の存在を知った途端、止めに入ろうとするから、胸をグサッとね。
まったく、あいつのおかげで逃げ遅れから良い迷惑よ・・・・・ああ、あとあいつ、死ぬ寸前『リンディ、クロノ、すまない』とか呟いて」
話の途中でブレイズキャノンが闇の書の闇に直撃する。どんな相手であれ、警告無しの射撃は許されざる行為。
だが、今のクロノにはそんな規則を守る余裕など無かった。
「お前が・・・・お前が・・・父さんを!!!」
叫びながらクロノは攻撃を続ける。だが、所詮映像を撃っているだけで画像を乱れさせる位しか効果は無い。
咄嗟にアルフが後ろから羽交い絞めにして止めるが、それでもクロノは彼女から逃れるかのように暴れだす。
「離せ!!離してくれアルフ!!!こいつだけは!!こいつだけは!!!」
「落ち着け!!映像に向かってぶっ放してもどうにもなんないだろ!!」
その言葉で頭が急速に冷える。大声で悪態をついた後、暴れるのを止め意識をはっきりさせるために大きく頭を振る。だが、
「なんで怒るかな?どうせ私が殺んなくても、アルカンシェルで蒸発したんだし、同じ事じゃないの?」
自分は悪くないと、クロノをニヤつきながら見つめるその表情に、再び殺意が沸いてくる。
「・・・・貴様の目的は何だ・・・・・まさか、無駄口を叩くために現われたのではないだろ・・・・」
「何を今更、徹底的な破壊と殺戮よ。まぁ、止める事は出来るわよ。何時もの様にアルカンシェルを放てばいいんだから。
だけど、この海鳴市と、ここにいる八神はやて達も一緒に蒸発だけどね」
「そんな・・・止めてください!!!!お願いです」
ここでなのはは初めて口を開いた。
彼女が感じたのはクロノの様な怒りではなかった。今まで経験した事の無い恐怖。
此処からでもわかる。彼女からは恐ろしいほどの狂気を感じる。平然と人殺しをやったと笑いながら自慢し、
今も尚、自分達や海鳴市にいる人達、自分の大切な人達を飲みこもうとしている。
だが、彼女は喋る事が出来る、言葉が通じる。
楽観的とは自分でも痛いほど理解している。だが、それでも話さずにはいられなかった。
当然、なのは以外のメンバーは無駄な事だと直ぐに感じた。笑い飛ばしてなのはを馬鹿にするに決まっていると・・・だが、
「うん、いいわよ」
即答する闇の書の闇。誰もが、尋ねたなのはさえ、考えもしなかった即決の回答に言葉を詰まらせる。
この場にいるなのは達は勿論の事、アースラのリンディ達、本局のグレアム達も言葉を失い、互いの顔を見合わせる。
「けど、高町なのは、あんたの体を頂戴」
次に放ったこの言葉は、困惑する彼女達を突き動かすには十分だった。
「私は此処から出たい。だけど体が無い、だからアンタの体が欲しい。それだけよ。
ああ、でも安心して。八神はやて達は返すし、こいつらにも手出しはしない。この次元世界『地球』にも手出しはしないわ・・・お得でしょ?」
「ふざけるな!!!」
「ああそうさ!!話し合いにもならないね!!!」
当然乗れる話ではない。さすがに今回はアルフもクロノを拘束しようとはしなかった。
約束を守る以前の問題である。なのはを犠牲にすると言う時点で話合いの余地などない。
「で・・・でも・・・・」
そんな中、『自分が犠牲になればみんなが助かる』そんな思いから、なのは自信は提案を受け入れようと考えていた。
だが、普段聞いた事のないクロノとアルフの罵声に縮こまってしまう。その時、
「なのは・・・・・バカな事をかんがえちゃいけない」
依然自分に回復魔法を施してくれているユーノが、声を押し殺しながら呟いた。
純粋に怒りを表したその表情、そんな彼の表情をなのはは始めてみた。いや、その怒りはあの闇の書の闇にだけではなく、
『自分が犠牲になればみんなが助かる』と考えていた自分にも向けられていた。
「なのはの性格は分かっているつもりだよ。自分が犠牲になろうと考えてたんだよね?でも、それはやっちゃいけない事だ。
それに、闇の書の闇は『地球には手出しはしない』と言っていたけど、他の次元世界はどうなると思う?
いや、それ以前に君に乗り移った事を知っている僕達を、このままにするはずが無いさ」
回復の心地よさに浸りながらも、自分の考えの浅はかさに腹が立つ。
あの時、自分は皆を救えるのなら体を差し出してしまおうと考えていた、その結果を考えずに。
自分勝手な自己犠牲、それが齎す結果を全く考えてはいなかった。俯き唇をかみ締め、心の中で自分自身を罵る。
「あらあら、本人があんな様子じゃ交渉は決裂ね・・・・・じゃあどうするの?
この現状を打破するには諸共アルカンシェルで吹き飛ばすしかない。まぁ、根源である私を倒せば、丸く収まるけど、
あなた達が此処に来る事は出来ないし、この死にぞこないと無能な主じゃどうしようもない・・・・ほら、残った選択肢は一つだけ」
「いや・・・・違う!!」
突如聞こえた声に、闇の書の闇は咄嗟に右横へとステップ。その直後、彼女が立っていた所に巨大な魔力刃が振り下ろされた。
黄金色の巨大な魔力刃、暗闇に囲まれているこの空間ではとても目立つその刃を持つ人物は、
ゆっくりと魔力刃『バルディッシュ・ザンバーフォーム』を闇の書の闇に突きつける。
「アルカンシェルは撃たせない・・・なのはに手出しはさせない・・・・・私が、貴方を倒します!!」
漆黒のマントを棚引かせ、決意を新たにした瞳で、まっすぐ倒すべき相手を見つめる。
その凛々しく、堂々とした姿は、絶望感に支配されていたなのは達に希望を与えてくれる。
アルフは嬉しさのあまり目に涙を滲ませ、なのはとはやては声を揃えて彼女の名を呼ぶ
「「フェイトちゃん!!!」」
支援
・?????
「・・・・いい天気だ・・・・・」
先ほどと全く変わらない雲ひとつ無い晴天、遮る物がないため、燦々と太陽の光が大地を温かく照らす。
その恩恵をナイトガンダムは草原に仰向けに横になることで、遠慮なく授かっていた。
あの後、キャノン達に連れられ、王座の間へと向かったナイトガンダム。
そこでレビル王やフラウ姫などから感謝の言葉、労いの言葉を約3時間に渡って貰い、
その後、間を空けずに城の中央ホールで宴が始まった。
「(皆の気持ちも分かる。これでモンスターの脅威にさらされる事もないのだから。
だが、騒ぐ事は嫌いではないが・・・・・これではさすがに疲れる)」
今回の宴の中心人物でもあるナイトガンダムは、正に引っ張りダコであった。
酔ったレビル王とキャノンに絡まれ、フラウ姫を始めとした女性達にはダンスを誘われるなど、
対応するだけでも、並みの戦闘を行ったとき以上に疲れたのを嫌でも感じた。
そのため、申し訳ないとは思いながらも『剣の鍛錬をする』と嘘をつき、隙を見て逃げ出した結果、今へと至る。
「まぁ、パーティー慣れしていないから疲れただけなのかもしれない。アリサだったら上手く・・・・アリサ?」
自然と口から出た名前、旅をした仲間や出会った人達にはそんな名前を持つ人はいない。だがなぜか心当たりがある。
誰なのか?人間なのかMS族なのか?男なのか女なのか、何時で出会ったのか?
上半身を起し考え込む。思い出そうとするが、中々思い出せない。むしろ思い出そうとすると突然の脱力感に襲われる。
まるで自分に『アリサ』の事を思い出さない様にするかのように。
「・・・・だめだ・・・・集中できない・・・・・・」
脱力感が思考を鈍らせ、答えに行き着くことが出来ない。仕方ないので、今回は諦めまた考える事で自己解決をする。
一度背伸びをした後、再び草原に体を預けた。
焦る必要は無いと思う。ラクロアには平和が訪れた、考える時間はいくらでもある。
いや、それ以前に思い出せないという事は、それ程印象が無かった相手なのかもしれない。
「思いだす必要もないか・・・っ!?」
瞳を開いたまま、仰向けに寝転がる。温かい風の心地よさに身を任せながらも、
太陽の眩しさを抑えるため、手を太陽に向かって伸ばし、光を遮る。
その時、初めて気が付いた、篭手の装着部分に何かが挟まっている事に。
「なんだ?・・・・糸?」
細長い糸の様な物。再び体を起しながら摘み取り、目の前に翳しながらマジマジと見据える。
「糸・・・いや、髪の毛?だが、紫色の髪の毛など・・・・・・」
『ガンダムさん』
否、自分は知っている。この紫色の髪の毛を持つ少女を。大人しく、優しく、他者を労わる心を持った少女の名を。
「す・・・ずか・・・・すずか!!」
先ほどまで支配していた脱力感が一気に吹き飛ぶ。同時に思い出す。『アリサ』という名前の持ち主を、
勝気で、皆を引っ張り、明るさと元気を与える少女の事を。
「アリサ・・・・すずか・・・・そうだ・・・・・私は戦っていた筈。何故ラクロアに・・いや、違う!!」
自分はサタンガンダムとの戦いで地球へと飛ばされ、拾われた月村家で居候をしていた。
そしてアリサ、なのは達と出会い、守護騎士達と戦い、そして先ほどまで闇の書と戦っていた。
なぜこのような場所にいるのかは分からない。だが、この場所が偽者であり、
忘れていた記憶が本物であることは間違いない。この紫色の髪の毛がその証拠。
「これは・・・幻か!?なら、打ち消す!!」
盾を拾い上げ、剣を抜き取る。そして逆手に持ち、地面に深々と突刺した。
その感触は土を刺すのではなく、束ねたガラスを刺すような感触、改めて此処が偽者の世界と実感させる。
「幻よ消えろ!!ファンネル!!」
雷撃魔法『ファンネル』を地面に向かって放つ。放たれた雷撃が刺された剣を媒体として地面へと吸い込まれる。
その直後、地面や空、周りの景色にガラスの様なヒビが入り、ナイトガンダムを囲っていた幻は、粉々に砕け散った。
こんばんわです。投下終了です。
読んでくださった皆様、ありがとうございました。
編集、いつもありがとうございます。
職人の皆様GJです。
SDX最高です。
次は何時になるのやら・・・・orz
GJ!
やっぱ騎士ガンダムはカッコいいわあ。
地球軍えげつね・・・しかし悪役としては合格。
久々にデカいのがしかもダブルで!人はこれをktkrと言う!
>R-TYPE氏
毎度の事ですがGJ!流石は『ぼくらのトラウマゲーム』に名を連ねる作品とのクロス!
読んでる最中にずっと『アンインストール』流してました!
>高天氏
ファンネルとはまた懐かしい魔法を出してきましたね!貴重なA’sとのクロスにこれからも期待させてもらいます!
余談ですが、騎士ガンダムもリアル化して無双に出(ry)
GJ!!
まさかのなのは神速w
フェイトの立場がwwwww
でもなのはカッコヨス
やっぱり上手いな高天氏は
GJでした
なのはが神速使うとは・・・すばらしい
今回出番少なかったですがこっからは騎士ガンダムタイムですね?
>>131 闇も幻も切り裂いてガンダム!!
そろそろ終わりが近付いて来ましたね。
なのは、さすが血統というか、神速使うとは・・・
フェイト、まさか、あの場面で登場するとは・・・
集まれる仲間たち、最終決戦!!
もし、StrikerSまで行く計画がありますのなら「騎士ガンダム物語:光の騎士」をクロスオーバーさせて欲しいですなぁ。
戦闘機人に殺されるところ、騎士アレックスに助かれるクイントさん。
アルガス騎士団とスバルたちの出会い。
そして、聖王のゆりかごに立ち向かうスペリオルドラゴン!!
R-TYPE氏GJでした!
予約がないなら投下よろしいでしょうか?
支援
注意事項
ではいきます
注意
・ クロス元はアニメ版ZOIDS(無印)です
・ トンデモ捏造設定ありです
時空管理局本局。
その医療ブロックへと向かう廊下を一人の少年が必死になって走っていた。
擦れ違う人々が驚いた様子で少年を振り返るが、本人は全く気が付いていないようだ。
少年の名前はユーノ・スクライア。
幼くして無限書庫の司書長に就任した新鋭である。
だが今の彼を包んでいるのは、才気溢れる溌剌さではなく、深い負の感情を内包したどこまでも暗い雰囲気である。
“任務中になのはが攻撃を受けた。重体だ”
そう淡々と連絡を寄越してきたのは、出会ってから2年の付き合いになるクロノ・ハラオウンである。
最初、ユーノは自分の耳がおかしくなったのかと思った。
今回なのは達が任務に向かった場所は、自分が調査した上で何の害も無いだろうという判断を下した遺跡だった筈なのだ。
まかり間違っても攻撃を受けるような場所ではない。
しかし、通信画面に映っているクロノの顔はどこまでも無表情であり、友人のそんな態度を見せられては、今耳にした言葉が事実であると認めざるを得なかった。
(僕のせいだ!僕がなのはに魔法を教えてしまったから!僕がなのはと出会ってしまったから!)
後悔で息苦しくなりそうになりながら走った。
体中の力が抜け落ちそうになるのを何とか抑えながら走った。
胃の中に氷の塊があるように錯覚しながら走った。
目の前が涙で霞みながら走った。
頭がガンガンと痛んだがお構いなしに走った。
そして辿り着いた。
集中治療室の前。
そこに集まった知人達―――高町家、ハラオウン家、八神家の面々―――は、暗く沈んだ表情を浮かべていた。
恐らく自分も似た様なものだろう。
「ユーノ・・・」
こちらに気付いたフェイトが声を掛けてくる。
返事をしようとするが、ここまで全力疾走してきたので上手く答えられない。
呼吸を整えようとするが、動揺しているせいか逆に咳き込んでしまった。
「なっ、なのは・・・っは?」
ようやく出せた問いに、しかしながら答える者は誰も居なかった。
唯、“使用中”のランプが点灯した扉を見遣るだけである。
それを見た瞬間足が言うことをきかなくなり、床に座り込んでしまった。
立っていられるような状態でもなかったのだが。
「おい、ユーノ。そんな所に蹲ってないでこっちにきたらどうだ?」
「クロノ・・・」
そう言われ、のろのろと立ち上がりクロノの傍へ歩いていくと、力なく尋ねた。
「何があったんだ?あの遺跡にそこまで危険はなかった筈だ」
「・・・見たこともない質量兵器の襲撃を受けた」
「質量兵器?でもあの遺跡は・・・」
「分かってる。外部からの介入の線が高い。忙しいと思うが、事後調査に付き合ってもらうぞ」
「ああ、勿論さ」
「それと、自分を責めるな」
「・・・」
「今回の事は、誰が悪いわけでもないんだ。抱える必要の無い責任は、お前を苦しめるだけだぞ」
「それは・・・」
ユーノが反論しようとした時だった。
待合室の扉が開けられ、3つの影が差す。
1つはリンディのもの、そしてもう2つは・・・。
「レイヴン、シャドー・・・」
今まで項垂れていたヴィータがその姿を見て呟く。
しかし名前を呼ばれた当人は返事をすることなく、愕然とした表情を浮かべてユーノを凝視している。
視線に気付いたユーノは、居心地悪そうに問いかけた。
「あの・・・何か?」
「・・・いや、何でもない」
レイヴンはそう答えると、悄然とした様子のヴィータに向き直った。
「彼女の容態は?」
「分かんねえ。手術が始まってから結構経つんだけどよ、まだ終わらねえんだ」
「そうか」
「お前こそ、もういいのか?重要参考人だろ?」
「尋問は8割方終わったそうだ。ここに来たのは・・・手当てした身としては気になるからな。まあ、監視付きだが」
肩を竦めてリンディを示すレイヴン。
と、その時だった。
手術室の電灯が消え、手術を行っていた医師がドアを開けて出てくる。
その医師とは、唯一この場に姿を見せていなかったシャマルであった。
「手術は成功です。なのはさんは一命を取り止めました。しかし、現状での魔法の使用及び、自力での歩行は困難であると言わざるを得ません。リハビリを行っても、治るかどうか・・・」
重々しく告げられた内容に凍りつく一同。
そんな痛いほどの沈黙を破ったのは、ユーノだった。
「僕の・・・僕のせいだ。僕がなのはに魔法を教えてしまったから・・・」
そういって崩れ落ちるユーノ。
目から止めどなく涙が零れるが、それを拭えるほどの気力は今のユーノにはなかった。
そんなユーノをクロノは叱咤する。
「よせ、ユーノ。そんな事を言うもんじゃない。それに誰に責任があるかといえば、それは彼女の不調に気付かなかった僕だ」
「でも、なのはは僕と出会わなければ、こんな怪我をすることはなかった。僕と出会わなければ、普通に笑って暮らせていた筈なんだ・・・」
「いい加減にしろ、ユーノ。なのはがいたお陰で、フェイトとはやては、今こうやって生きていられる。その結果まで否定する気か?」
それを聞いたユーノは黙り込んだが、納得した様子は見られなかった。
クロノもこれ以上言うことはないのか、口をつぐんだままだ。
こうしてなのはが生還したことを喜ぶこともなく、待合室は再び重苦しい雰囲気に包まれ始めていた。
「ユーノとかいったか?あいつは誰なんだ?」
今までのやり取りを横目で見ていたレイヴンは、ヴィータに小声で話しかけた。
なのはが生きている事を聞いてホッとしていたのか、それとも後遺症の事にショックを受けていたのか、ヴィータはすぐには答えられなかった。
「おい、ヴィータ?」
「ん?ああ、すまねえ。何だ?」
「だから、あのユーノって男。何者なんだ?」
「ユーノか。あいつは、なのはの魔法に出会うきっかけになった奴さ。いい奴だよ。
そういや、なのはの魔法の先生もやってたな。攻撃はからきしだけど防御は硬いの一言につきるぜ。
まあ、責任感じるのは分かるけど、今回のは・・・」
「待て。今、何て言った?」
「?なのはの魔法の先生だったって・・・」
「違う、その後だ」
「防御が硬いってとこか?それが一体どうしたってんだ?」
「あいつは今、何歳だ?」
「?確かなのはとタメだから11歳の筈・・・」
「11歳・・・」
それを聞いたレイヴンは深刻な表情を浮かべた。
ヴィータは、目の前の男が始めて見せる真剣な表情を訝しげに見つめた。
この男はなのはが、怪我したときもこれ程深刻な表情を浮かべていただろうか?
「最後に一つ。あいつは孤児なんじゃないか?」
「あ、ああ。そうだけどよ。ユーノに何かあんのか?聞きたいことがあんなら、本人に直接・・・」
「・・・いや、こっちの問題だ。気にしないでくれ」
そう言うとレイヴンは待合室の隅に移動すると腕を組んで何か、考え事を始めたのだった。
待ってたぜ!
支援
Another View (Raven)
一目みた瞬間から、まさかとは思っていた。
あまりにも似通っていたのだ。
見た目だけではない、雰囲気もだ。
だが、それだけなら、唯の思い過ごしだと切り捨てることも出来た。
しかし、先程ヴィータから聞いた情報が確かなら、偶然で片付ける事は出来ない。
硬い防御力、11歳、孤児、そしてユーノという名前。
これらの要素を鑑みるに、ほぼ間違いないだろう。
第一、自分自身の直感が告げているではないか。
(間違いなくあいつは、11年前に行方不明になった、バンとフィーネの息子
ユーノ・フライハイトだ)
Another View End
ぶっとびすぎで不覚にもワロタ
だがそれがいい
支援
以上です。
ご支援ありがとうごいます。
トンでもウルトラ捏造設定出しました。
皆さんの反応が怖くてビビリまくってます(なら書くなよ)。
もともと、この話を書く際に降りてきた電波というのが、
ユーノとフィーネって似てねえ?(遺跡発掘的な意味で)
ってなものだったので・・・。
動き回るゾイドが見たいんじゃーという方々、もうしばらくお待ち下さい。
捏造設定上等!!
寧ろ上山道朗先生画のレイヴンとユーノ妄想しちまったGJ!!
ジェノとライガーがメチャクチャ動きまくる時を待ってるぜ!!
GJ!
11年!?レイヴンおっさんか!?おっさんなのか!?
普通に無印後期のジェノ乗ってたころ思い浮かべてたぜ!
まさかのユーノがバンとフィーネの息子設定にフイタww
いいぞ、もっとやれwww
GJです!
まさかユーノがフィーネの子供だったとは……!
古代ゾイド人の血を引いたユーノならライガーでも乗りこなせそうな気がw
ゾイドの登場を楽しみにしています。
さて、予約がないようでしたら、今回も短めですがクウガクロスの方を
10分後くらいから投下開始しようと思います。
それでは投下開始します
//////////////
とある並行世界に於いて、人々から「未確認事件」と呼ばれる事件が存在した。
その全容は、平成12年1月―――初めて姿を現した未確認生命体が、1年という長い期間中、
何らかの法則に沿って人々を殺害する「殺人ゲーム」を行い、結果その全てが警視庁と
「未確認生命体第4号」の協力により撃退された、というものである。
最後に確認された未確認――未確認生命体第0号も、警察側によって公式に、
4号との交戦後に失踪と発表されたが、実際に二度と姿を現す事は無かったために、
人々はこれを実質的な未確認事件の終結と判断した。
物語の主人公となるのは、元々この世界の住人であった、一人の青年。
彼は戦士クウガとして未確認と戦い、人類に再び笑顔と平和を取り戻した。
そんな彼が飛ばされた世界もまた、一部を除いて大半の人々が平和な人生を享受して来た世界。
平和なこの世界で、戦士である彼が果たしてどんな道を辿る事になるのか。
それはまだ、誰も知らない事である。
◆
平成16年――4月。
桜が美しく咲き誇る季節。新たな年度の始まりに、人々は皆希望に満ち溢れた表情をしていた。
今まで小学3年生であった子供たちも、昨日から小学4年生。
新たな学級へと進学した子供たちは、皆元気な足取りで学校を目指していた。
さて、その中の一人――ここに、今日から初めて学校生活を送ろうとしている一人の少女が居た。
これまで彼女は少々特殊な人生を送ってきた為に、学校という物に通っていなかったのである。
その理由の一つが、「足が動かない」という身体的な障害であったのだが、それも克服。
去年の冬からこの春まで、毎日一生懸命にリハビリに勤しんだ結果だ。
と言っても、まだ不安な事には変わりない。故に彼女の“騎士”であるシャマルが同行しているのだが。
「はやてちゃん、足の方は大丈夫ですか?」
「うん、私はもう大丈夫やシャマル。学校着いたらなのはちゃんらかておるんやし、そんなに心配してくれやんでもええのに……」
「そういう訳には行きません! まだ歩けるようになったばっかり何ですから、気をつけないと……!」
「もう、心配症やねんから……でも、ありがとうな」
はやては力説するシャマルの表情に、小さく微笑み返した。
心配性な騎士だが、嬉しくないと言えば嘘になる。
自分には今、こうして家族が居る。家族が居て、平和に学校にも通える。
はやてにとってそれは、幸せ以外の何物でも無かった。
ほんの一年ほど前の自分には、こんな生活はとても考えられなかっただろう。
それだけにはやては、家族が居て、友達が居る。そんな平和な日常がいつまでも続けばいいなと、心から願っていた。
そんな思いを胸に、にこにこと微笑んでいたはやてはふと、歩道から見える海へと視線を向けた。
それは街の海岸沿いに設置された公園。はやてが現在歩いていた場所は小高い丘になっており、
ここからなら良く海が見えるのである。しかし、はやてがその注意を引かれたのは、見慣れた海ではなく。
それは、はやてから直線で20メートル程先の砂浜に停車された、一台の黒いバイク。
それから、その傍らに横たわった一人の青年である。
春にも関わらず、青年が着込んだコートはまるで、真冬に着るようなものであった。
暑苦しいというイメージさえ感じさせるほどのその外観に、はやては一瞬ホームレスかと思った。
が、ホームレスがあんなバイクを持っているとも思えない。
そんな事を考えていると、はやての視線に気づいたシャマルが口を開いた。
「はやてちゃん、ああいう人はあんまり見ない方がいいですよ?」
「そ、そうやな……関わったらアカンことも世の中にはあるもんな」
はやてはそう言うと、青年から視線を外して、学校への道を急いだ。
きっと彼は色々と訳ありで―――例えば女房と喧嘩してしまい、勢い余って家出してしまったとか。
そういう、他人には触れてはいけない事情があるのだろうと解釈し、放っておくことにした。
EPISODE.01 転移
男が目を覚ました時、そこは既に雪山の中では無くなっていた。
周囲を見渡すも、見えるのは真っ白の砂と、青い海のみ。
照り付ける太陽も、既に1月の真冬のものでは無くなっていた。
「……あっれぇ〜。何処だここ?」
男は――五代は、頭を掻きむしりながら、上半身を起こした。
まだ寝ていたいという願望もあるが、いつまでもこんな所で寝ている訳にも行かない。
まずは全身に纏わりついた白い砂をぱっぱと叩き落とし、ポケットから携帯電話を取り出した。
平成12年、人々の間で一般的に使用されていた、「J-Phone」と呼ばれる機種だ。
五代は白黒の携帯画面へと視線を移し、現在の時刻を確認する。
――2001年1月31日 午前3時15分。
それが、携帯電話が差していた正確な時間である。
それを見た五代は、「あれ?」と一言。小首を傾げる。
五代の周囲は今も明るい。天にはさんさんと太陽が輝いており、これが午前0時などとは考えられない。
怪訝な表情を浮かべながら、そもそも自分は何をしていた? と思考を巡らす。
まず五代は、1月30日――つい先ほど、0号を倒すために長野県の九朗ヶ岳山中へと踏み込んで行った筈だ。
その時点での時刻は恐らく午後7時過ぎくらいであった筈。
となれば、この携帯電話の画面を信じるのであれば、あの戦いからまだ7時間ちょっとしか経過していない事になるのだ。
次に五代が不審に思ったのは、自分の身体についてだ。
自分は0号との決選で、あれだけ激しく殴り合った。それこそ、一撃で死んでしまいそうな程強力なパンチを、
何発も何発も、この身に受けたのだ。それなのに五代の身体は、すでに回復が始まっていた。
全身の痛みが完全に引いたという訳ではないが、動くことには全く支障はない。
これももしかしたら、凄まじき戦士になった事による恩恵なのだろうか。
「……っと、そうだ! ベルトはどうなったんだろう……!」
そう思い、五代は腹部に両手を翳し、その意識を集中させる。クウガに変身する時は、いつだってこうしていた。
未確認を倒すために、変身する。その為に腹部に意識を集中することで、ベルトが顕現する筈。
だが―――何度試みても、ベルトは現れない。
どんなに集中しても、クウガへと変身する為のベルトがその姿を現す事は無かった。
「やっぱり駄目か……あの時の戦いで、壊れちゃったもんな」
五代の記憶に未だ新しい、0号との壮絶な殴り合い。
その際に、0号が振るった拳の一発が、自分の腹部へと綺麗に入った。
その結果元々亀裂が入っていたアークルは破壊され、自分は強制的に変身を解除されたのだ。
と言っても、自分だけが破壊される訳ではない。0号がクウガのベルトを破壊したように、
クウガもまた0号のベルトを破壊した。それ故にお互いに変身状態が維持できなくなり、最後は
人間態のままでの殴り合いとなったのだろう。
結論として、自分はクウガへの変身能力を失った。
と言ってももうこの世界が平和になったのであれば、それは必要のない力なのだが。
だが、もし0号を倒し切れていないのなら―――それは最悪の事態だ。
それだけは無いように祈りながら、信頼が置ける刑事――一条へと連絡を入れようと、
携帯電話のボタンを押す。が―――
「あれ? 圏外だ」
携帯の電波マークの代わりに表示された圏外の二文字は、五代を落胆させる。
なんでこんな時に圏外になるのかと不満に思いながらも、五代は携帯をポケットへとしまった。
とりあえず、こうしていても埒が明かない。暫く考えた五代は、傍らに停められていたビートチェイサーへと歩み寄った。
このバイクも何故ここにあるのかは謎のままだが、まぁ考えても無駄なのだろうと判断した五代は、BTCSのエンジンを入れた。
科警研が独自の技術力で開発した自慢のエンジン「プレスト」は、いつも通りにエンジンを吹かせる。
BTCSはいつも通りだ、と。ほんの少しだけ安心しながら、五代はヘルメットを被った。
そして、ビートチェイサーに跨った五代は、力強くアクセルを握りしめた。
◆
とりあえず公道に上がり、BTCSを暫く走らせたところで五代は、一つの疑問を抱いた。
それは非常に今更な疑問ではあるが、まずここは何処なのかという事。
冒険をすると言っても、ここが何処なのかわからなければ目的地にも辿りつけない。
「困ったなぁ……」
五代は、相も変わらず呑気な表情を浮かべながら、取りあえず道路標識を探してバイクを走らせる事に。
道路標識さえ見付けることが出来れば、何とか東京に戻ることが出来るだろう。
先ほどポケットを探った時に気付いたのだが、自分は現在何かのお釣りで受け取ったであろう500円玉1枚しか持ち合わせていない。
勿論、0号との戦いに他の荷物も余計だと判断した為に、最初から持ってこなかったのだが、
それでは流石に困る。500円で生活しろというのも無理な話だからだ。
故に一度東京に戻って、自分が住んでいたポレポレに挨拶がてら顔出ししなければならない。
取りあえず、冒険するにしても何にしても財布は絶対に必要な必需品なのだ。
財布の奪還を目的の一つとして頭に叩きこみながら、次に五代は未だ圏外の携帯について考える。
どういう訳か、いつ確認しても、相変わらず圏外のまま。一条とも桜子とも連絡が取れない。
連絡が取れなければ、0号や未確認の情報も得られない。
と、そこで五代は閃いた。
――そうだ、新聞を見れば0号の事がわかるかも知れない!
うんうん、と。心の中で大きく頷いた五代は、ここからすぐ近くに建っていたコンビニへとバイクを走らせた。
五代が見つけたコンビニは、五代自身も良く知った7と11が名前に使われたコンビニ。
BTCSを停車させると、五代はコンビニへと歩を進めた。目指すは新聞コーナー。
目的はすぐに見つかり、五代はそれに手を伸ばす。が―――
「あれ? 知らない新聞ばっかりだ……」
五代にとって、そこに売っている新聞はどれも知らないものばかり。
普段聞きなれた新聞が、ここには存在しないのである。それに不審感を覚えながらも、
五代は適当にそこにあった新聞の一つ――「海鳴新聞」と書かれた物を手に取り、
ついでに小さなビンに入った炭酸飲料を一つ、合わせて260円分の品を購入した。
五代雄介、現時点での残金――240円。
さて、それはさておき。五代は早速コンビニを出ると、炭酸飲料を口に含みながら、購入したばかりの新聞を広げた。
まずは未確認に関する資料を――と思ったのだが、海鳴新聞にはそんなものは一切記されてはいなかった。
最近の新聞で未確認に関する記事を載せていない新聞など、五代は見たことも無い。
それ故にこの平和な新聞に少しばかり驚きながらも、それはそれでこの街は平和なんだなと判断。
平和なのはいい事だと、五代は小さな微笑みを浮かべる。が、そう安心しかけたのも一瞬で。
――平成16(2004)年4月8日
五代がこの一文を見つけるのに、それ程の時間は必要としなかった。
刹那、五代は口に含んでいた液体を噴き出しそうになる感覚をなんとか堪え、それを飲み込む。
小さく咳き込みながらも、新聞の日付からは目を離さない。
そして次の瞬間には、五代はこう絶叫していた。
「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?
何これ……! 俺、もしかして未来に来ちゃった!?」
そんなバカな、と思いたくなる気持ちを堪えて、五代は周囲を見渡す。
良く見れば、白い制服を着た小学生たちが、既に下校を始めている最中にも見える。
もしもこの新聞に書かれている日付が正しいものなら、子供たちはまだ始業式か学校が始まったばかりなのだろう。
そう考えれば辻褄は合うが、それでも俄かには信じられない。
取りあえず五代は、慌ててコンビニに舞い戻ると、レジの壁に掛けられた時計を確認する。
時刻は現在、10時半を回ったところ。つまり現在は――
平成16年4月8日、午前10時30分。
と、言う事になる。
「えぇぇぇぇぇぇぇ……っ!?」
あり得ない、幾らなんでも時間を超えるなんてありえ無さ過ぎる。
確かにクウガは計り知れない能力を持った戦士であり、アマダムもまだ解析されていない謎が沢山あるのだろう。
だけど、幾らなんでも時間を超えるなんて、非常識過ぎる。例えクウガの力だとしても、それは完全に五代の想像を超えていた。
しかし、いつまでも現実から目を背けている訳にもいくまい。
五代は何とか平静を装い、近くを通りかかった小学生に話しかけてみることにした。
「あ……ちょっと君、聞きたい事があるんだけど……」
「ふぇ? 何ですか?」
五代に話しかけられた少女は、茶髪のツインテールを揺らしながら、きょとんとした表情で答えた。
出来るだけ普通を装うと、いつも通りの表情を保とうと努力する。
「いや……変な事聞くかもだけど、今日って何年の何日?」
「え……今日は2004年の4月8日ですけど……」
「そ、そっか。そうだよね。うん、ありがと!」
五代はそれだけ言うと、少女に笑顔で親指を突き立てた。
対する少女も、何が何だかわからないままに親指を立て返す。
とりあえずこれで確信した。自分は恐らく、未来へとタイムスリップしてしまったのだろう。
そして、この未来で未確認のニュースが新聞にすら書かれていないという事は、恐らく未確認事件はあの九朗ヶ岳での決戦で滅んだのだろう。
未来に飛んでしまった事に混乱すると同時に、五代は少しだけワクワクし始めていた。
五代からすれば、これもまた一つの冒険という事に変わりはないのだ。
それは果てなき冒険魂を内に秘めた五代だからこその思考なのかも知れないが。
五代は再びBTCSに跨り、ポケットに手を突っ込む。中に入った小銭を指で転がすと、五代は少し辛そうな表情を浮かべた。
現在の所持品はビートチェイサー、ヘルメット、新聞、240円。以上である。
駄目だ。このままでは今夜の食事の時点で自分は危ない。
「……よし! とりあえず東京に戻ろう!」
これが五代の決めた、最初の目的地で会った。
第一話はこれにて投下終了です。
さて、注意点として。
・なのは側の世界と五代の居た世界は未確認以外はほとんど同じの並行世界。
・なのは側の世界は2004年。五代側の世界は2001年。
とりあえずこういう時差ボケが起こっている事になります。
なのは側を2004年に設定したのは、アギト及び555の世界観を2003年として、
その1年後……つまり正義の系譜の時代である2004年にしたかったからです。
当初の予定ではクウガ世界のクウガとアギト世界のクウガは別物という設定を
利用して、なのは側をアギトの世界観で行こうと思っていた訳ですが、色々な
都合で未確認は五代側だけにさせていただきました。
といっても、最初からクウガ以外のライダーを出すつもりはありませんでしたが……。
>>114 指揮所が機能してない状況で、現状把握を正しく行い。
病院を脱出→レリックの保管場所→バイドや地球軍と接触せずに
レリック設置→クワットロの監獄へ
三人を活躍させたかったのは分かりますが、
無理に活躍させるのはやめて欲しかったです。
大体、突入要員をカバーする人員が配置されてるはずですから、
強行突破してきたなら突入要員もクワットロの確保を取り止め
交戦してなければおかしいですよ。
クワットロ確保後は地球軍もワラワラ集まって来るでしょうし
スイマセン。
>>142〜
>>146のssってリリカルゾイド氏の作品でいいですか?
保管庫入れようにも作者様の名前が違ったので・・・・
リリカルゾイドしかないだろう常識的に考えて
今までのリリカルゾイド氏の作品をちゃんと読めばわかる
164 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/28(日) 11:20:05 ID:ENeFmkjK
R-TYPE氏へ
(川゚Д゚)Σ<レTYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYy!!!
クロノ提督(・・・・・・だったっけ?)の嫁がorz
ってか結局、エリオとギンガの対決後なかったっすね;^^
>>159 GJ!!です。
変身ができないのはヤバイと感じましたが敵がいないなら、
彼にとってはあっても無くてもいいものだってのを忘れていたw
>>159 GJ
敵がいないならあれかな?
五代はこの時代で時効の事件を趣味で捜査するのかな?
そういや、おみやさんも石の森先生の作品だったな
169 :
一尉:2008/12/28(日) 16:18:57 ID:V5nNEjwm
時空越えでしまったな。
>>52 嬉しい気持ちはありますが。
あらかじめのお話をこれっぽっちも聞いていない訳で。
喜べない。
嫌がるどころか二つ返事でOKします。でも事前に一言断って下さい。って話です。
チャットには最近顔出してませんが、そこで連絡取れなくとも保管庫にアドレス載ってる訳ですし。
>>170 申し訳ございません。
自分の認識が甘く、軽率過ぎました。
以後、こういうことは慎みます。
本当に、申し訳ございませんでした。
>>171 次から気を付ければ良いと思うよ
あんまり引きずってスレの空気悪くなるのは勘弁だしね
>>171 以後こういうことが無いのは当然として
今回の事後承諾にはどう申し開きをするんでしょう
削除するのか、修正するのか
失敗は失敗でいいけど、それをしっかり相手に伝えないと考えなしなのは変わりませんよ
>>171 余り気に病まないで、次をがんばってな。
運営スレで「三次創作は作者の許可を取ってから」と確定したのに
DOD氏自身から、まだ許しの言葉も出てないのに
それなのに「気にするな」とか「続き書いて」とか、おかしいと思うんだが
というか、これまでの処分を鑑みるに、少なく見ても該当話の修正か削除は必須だと思うんだが
少なく見ても、な
読むだけのつもりでいる奴は気楽なもんさ
ともかくあんまり答えがないと運営沙汰になるので早急に応答願います
大事になってしまい、申し訳ございません。
現在、×DOD氏に、謝罪のメールを送らせていただきました。
そのメール内で、削除するべきか修正するか、拙作への対処について、×DOD氏のご意見を伺っています。
この一件で一番ご迷惑をおかけしたのはやはり×DOD氏だと思うので、氏のご意見に従うのが筋かと思ったのですが。
運営規約に抵触しているのでしたら、悠長に待っておらずに、即座に対処するべきでしょうか。
とりあえず、まとめ内の自分の作品は、一旦削除しておこうと思います。
再掲載するか、そのまま削除するかは、×DOD氏からの御返事と、スレの皆さんのご意見を待って決めようと思います。
本当に、お騒がせして申し訳ございません。
定期的に起こるのな。
たびたび申し訳ございません。
ページの削除が、メンバーにログインしていないとできない、ということを先ほど知りました。
とりあえず、まとめWiki更新報告・依頼スレに、削除の依頼をお願いしてきました。
「削除する」と言い切ってしまいましたが、少し時間がかかりそうです。
申し訳ございません。
昨日12月29日21時頃にメールを拝見致しまして、本日0時55分頃に2通目のメールをいただきました。
返信が遅れてしまったこと、並びにこちらの事情によりチャットという簡易な連絡手段を使えなか
ったことを、深くお詫び申し上げます。御容赦ください。
みっどちる大王様に、メールの返信をいたしました。
所謂盗作に当たるもの(字面は悪いですが……)ではありませんので、削除及びそれに準ずる処置
を求める心算はありません。
また、事後とはいえ迅速かつ誠意のこもったレスおよびご連絡を頂きましたので、修正等を要請す
ることは致しません。
今回私があのようなレスを致しましたのは、拙作関連の語句使用への不快感が理由では断じてなく、
掲載より前にご連絡を頂いていないという、ただその一点に拠るものですので……。
詳しくはメールにてご連絡致しましたが、この場をお借りして申し上げます。
みっどちる大王様。拙作を応援してくださり、またそのキャラクターを楽しんでいただきまして、
本当にありがとうございます。今後とも楽しんでいただきましたら、これ以上の幸福はありません。
またクロススレにおきましては、私のレスで進行を滞らせてしまい、また他の作者様たちの投下を止
めてしまって、本当に申し訳ありませんでした。心よりお詫び申し上げます。すみませんでした。
こうやって定期的に止まってるのを見ると煽り耐性の低そうなスレだと思うんだが、
いざってときはなんだかんだで乗り切ってるんだよな。不思議だ。
やるときはやる、なんじゃね
だってあんまりワガママを言うとトリプルブレイカーとかブラスター3+スターライトブラスターが飛んできそうで怖いから
187 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:27:17 ID:K450rjsj
処分が甘いな
この馴れ合いスレは
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188 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:28:26 ID:K450rjsj
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189 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:29:38 ID:K450rjsj
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冬だねえ
191 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:30:36 ID:K450rjsj
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192 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:31:43 ID:K450rjsj
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こういう荒らしを見ると、年末なんだなあとほのぼのする。
194 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:36:50 ID:K450rjsj
>>190 冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨
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195 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:38:25 ID:K450rjsj
>>190 冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨冬だね厨
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196 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:40:24 ID:K450rjsj
>>193 それはまた来てもいいと解釈できますね?
盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作
盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作
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197 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:42:02 ID:K450rjsj
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結局大王氏は撤退するみたいだな
199 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/29(月) 13:43:10 ID:K450rjsj
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もう飽きたから荒らしは帰れ。中学生じゃないんだから。
基地外が沸いてるな。
冬休みだからか
冬休み・・・
いい響きだ
底辺リーマンの俺は今日も会社から携帯でカキコだ
来年は俺もそうなるのか…
荒らし対策に関する提案を避難所の運営議論スレにして起きました。
夏も冬も似たようなものですね。
207 :
一尉:2008/12/29(月) 15:53:16 ID:JpSSMn0k
したかしに春も秋にも似ているじゃねえええか。
季節の変わり目とかに出るのかな。
>288
変わり目やないやん真っ只中やん
荒らしの為に苦労するのはもう嫌だ
安価ミスったorz
288じゃなくて
>>208だった
避難所はともかくとしてスルー出来ないのも結構多いんだよなぁこのスレ
荒らしに見事に食らい付いて中学生だのキチガイだの煽り始めてどうするよ
>>206みたいなことだけしてスルーすりゃ良かった…スマソ
とりあえず削除依頼だしときな
これは余裕でアク禁レベル
容量荒らしは2ちゃんのサーバーそのものに被害が出るからな
予約がないようでしたら、クウガクロスの2話を投下しようと思いますが、よろしいでしょうか?
とりあえず、10分後から投下開始と予約しておきます。
支援
それでは投下開始します
//////////////////
時は未来――2004年。
現在の所持金は僅か240円。
持ち者はバイクとヘルメット、今日の日付の新聞のみ。
これが五代雄介を取り巻く現在の状況である。
そして極めつけは、五代が現在いるこの場所。
――海鳴市
「……ってどこだっけ?」
現在地、不明。
暫くバイクを走らせた五代は、ようやくこの場所の地名を記した看板を見つける事が出来た。
が、しかし。
五代にとって海鳴市などという地名は聞いたこともない。
まず東京ではないのは間違いないとして、何処かに海鳴という名前の街があったかと思考する。
されど、それはやはり冒険家として様々な土地を渡り歩いてきた五代にすら聞き覚えのない地名であった。
しかし五代は、現在の状況をそれほどの危機だとは考えていない。
普通の人からすれば、これこそ最大のピンチなのではとも思えるような状況でも、
五代はいつだって乗り越えてきた。それはやはり冒険家として鍛えられた魂あっての物なのだろう。
そんな五代がまず選んだ道は、なんとかして東京へと戻ること。
そして、自分が住んでいたポレポレへと戻り、再び冒険の準備を整えること。
確かにここが未来――3年後の世界だという事は意外ではあるが、多分自分にはどうしようもない。
それならば、この未来を冒険することが今の自分に出来る最善の行動だと判断したのだ。
「それじゃあ、まずはここが何処なのか……そこから調べないと」
取りあえず、五代は大きな国道を探すことにした。
恐らく国道を道なりに進めば、何処かで大きな高速道路にぶつかるか、
県境を現す標識、もしくは何らかの位置を示す物と巡り合える筈だからだ。
そう考えた五代は、海鳴市の公道の上、バイクを疾走させるのであった。
EPISODE.02 捕獲
同日、次元空間航行艦船アースラ、作戦会議室―――05:42 p.m.
時空管理局が保有する巡航L級戦艦。なのは達が時空管理局と出会うきっかけにもなった船である。
ここに現在集合しているのは、艦長であるリンディ・ハラオウンに呼び出された
高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、アルフ、それからクロノ・ハラオウン以下アースラスタッフの一員だ。
それぞれが自分に用意された椅子に腰掛け、リンディが話を始めるのを待機している。
本日、学校はまだ始まったばかりという事で、なのはもフェイトも早めに帰宅することが出来たのであるが、
帰宅してからややあって、休む間もなく再びリンディによって収集されたのである。
ここに八神はやて及びヴォルケンリッターが来ていないのは、恐らくリンディが気を利かせたからなのだろう。
まだ学校が始まったばかりということもあって、色々な準備や、何よりも家族皆で過ごせる時間を尊重させてあげたい、と。
それに何より、今回の任務にそれほどの戦力は必要ないと判断されたのだろう。
といっても、恐らく後からこれをはやてが聞けば、「何で私らだけ呼んでくれへんかったん!?」等と騒ぎ出すのだろうが。
さて、一同が揃ったところで、リンディが軽く咳払いをした。
「えー……学校が始まったばかりなのに、何だか悪いわね?」
「いえ、気にしないでください」
「私達は望んでこうしてる訳ですから」
ばつが悪そうに言うリンディに、フェイトとなのはが揃って微笑む。
リンディはそれに安心しながらも、二人の優しさに少しばかり嬉しくなる。
「それじゃあ、今回の任務を簡単に説明するわね。エイミィ」
「はい、取りあえず……これを見てください」
と、リンディの言葉に応えるように、エイミィがスクリーンに一枚の画像を映し出した。
なのは達はそれを食い入るように見つめるが、映し出された画像はピントが合っていないのかぼやけてよく見えない。
何となく、空に浮かんだ黒い影のように見えはしたが。
「これは、今朝この第97管理外世界で撮影されたものです」
「私達の世界で……?」
「ええ、なのはさんにはこれが何に見えるかしら?」
問われたなのはは、うーんと唸りながら、画像を見つめる。
画像がぼけていて「黒い影」程度にしか見えないのに、何に見えるのかと聞かれても困るに決まっている。
エイミィがスクリーンに映し出された写真をスライドさせ、次の画像に切り替える。
今度の画像もまた、先ほどと余り変わらない黒い影にしか見えないが―――
「うーん、ツノがある……?」
「そう。二対の巨大な角を持った、未確認飛行体です」
「今朝ほんの小さな次元震があって……コレがこの世界に紛れ込んだみたいなの」
なのはが答えたのは、何かツノがある黒い影。現状ではそれ以上に言いようがない。
リンディとエイミィは、それをこの世界に今朝紛れ込んだばかりの未確認飛行体と説明する。
「それは、ロストロギアなんですか?」
「……現状では何とも言えませんが、恐らくは」
フェイトの質問に、リンディが答える。
次にスクリーンに映し出されたのは、なのは達が住む国――日本列島の簡単なマップだ。
マップに映し出された赤い線は、中心あたりから始まり、だんだんと東京方面に向かいながら移動している。
現在は、位置で言う所の、神奈川県付近で点滅しているが。
「今朝確認された未確認飛行体は、長野県中央アルプスで確認され、
ゆっくりと移動を開始しました。この進路からして、恐らく目的地は東京方面だと思われます」
「それで……今はどの辺りを移動してるんですか?」
「30分程前に、遠見市で確認されたのが最も新しい情報です」
エイミィの報告を聞いたフェイトが、その顔色を強張らせる。
遠見市と言えば、ほんの1年前までは自分が仮の住まいとして生活していた場所。
海鳴市の隣町であり、それはつまり自分達の街に接近しているということになる。
いつの間にかなのはも真剣な表情に変わっており、集められた一同もこの作戦の目的を理解し始めていた。
「もう解ってると思うけど……今回の任務は、この未確認飛行体の捕獲です。
武装局員が海鳴市の一部に結界を張り、アルフさんがそれの補助を担当。
なのはさんとフェイトさんが未確認飛行体を牽制し、クロノが捕獲する。
作戦の説明は以上です。 質問は?」
一気に作戦の全容を説明するリンディ。最後に「質問は?」と一言付け加えるが、一同は特に聞き返すことも無かった。
なのはもフェイトもここまでの説明で作戦の内容は理解出来たし、ついでに言うとあまり時間がないという事も理解出来た。
要はもうすぐ海鳴に侵入しつつある未確認飛行体が、海鳴に入った瞬間に結界を展開。それを捕獲しなければならない、という事だ。
作戦自体は非常に単純。これまで数々の事件を解決してきたなのはにとって、この程度の事件なら何の問題もないと思えた。
リンディも一同の表情に安心しながら、言葉を続ける。
「それじゃあ、早速ですけど、もう時間があまりないわ。
未確認飛行体が海鳴市を出る前に、作戦を開始します!」
リンディの掛け声に、なのは達は大きな声で「はい!」と返事を返した。
◆
海鳴市上空―――06:27p.m.
夕方6時ともなると、4月の空は既に薄暗い。もうすぐで日も完全に沈み切るだろう。
そんな夕方の空の下、なのはとフェイトはバリアジャケットに身を包み、各々のデバイスを構えていた。
その表情は緊張に強張っており――といっても、それは当然なのだろう。
相手は戦闘能力も何もかもが謎に包まれた未確認飛行体なのだから。
そんな時、なのはら二人の目の前に空間モニターが展開された。
相手は今回の作戦を共に行うこととなったクロノだ。
「なのは、フェイト……もうすぐ未確認飛行体が作戦エリア内に侵入する。準備はいいか?」
「うん、私はいつでも大丈夫だよ」
「うん……私も、なのはと一緒なら怖いものは無いよ」
なのはがフェイトをちらりと見ると、フェイトは少し照れたように顔を背けた。
そんなフェイトに、「頑張ろうね」と、明るい微笑みを向けるなのは。
フェイトは嬉しそうにうん、と頷くと、力強くバルディッシュを握り締めた。
なのはと一緒の任務で、なのはに頑張ろうねと言われたからには、もう百人力である。
「来たよ、フェイトちゃん!」
「うん……行くよ!」
と、そうこうしている内に、気付けばなのは達の視界に真っ黒の未確認飛行体が入っていた。
速度は恐らく、普通の車と同じくらいか、それ以上。結構な速度である。
上空にいた数名の武装局員が結界魔法を発動し、アルフがそれを強化する形で補助する。
なのはが足もとに桜色の魔法陣を展開し、フェイトが未確認飛行体に向かって飛び出す。
「いいか、なのは。結界はそれほど広範囲に展開できる訳じゃない。出来るだけ迅速に仕留めるんだ」
「りょーかいっ! 私に任せてクロノくん!」
言うが早いか、なのはが構えたレイジングハート本体から三枚の魔力で出来た翼が飛び出した。
同時にレイジングハートの切っ先にも、桜色の魔法陣がいくつか展開される。
「一応聞くけどクロノくん、結界の防御力は完璧なんだよね?」
「あ、ああ……その筈だけど……なのは、まさか……」
「それじゃあ安心! 一撃で仕留めるから、そっちは任せるよ!」
「ちょ、ちょっと待てなのは! 目的は捕獲であって撃墜じゃな――」
「わかってるよ! だから安心してクロノくん!」
クロノの言葉を聞いているのか聞いていないのかは定かではないが、なのははとにかく止まるつもりはないらしい。
「ディバインバスター」のチャージに入ったなのはは、飛び回る未確認飛行体に照準を定める。
逃がすつもりはない。一撃で行動不能に追いやってしまえば、こちらの勝ちだ。
クロノにとってはそれは不安でたまらないのだろうが。
あ〜アレか。支援
「なのは、私が牽制して動きを封じるから、その隙を狙って!」
「わかったよフェイトちゃん。フェイトちゃんもすぐに離脱してね!」
なのはの自身に満ち溢れた表情に、フェイトは安心したように微笑み、うん、と一言頷いた。
同時に、フェイトが漆黒のマントを靡かせて、未確認飛行体に突撃する。
ハーケンフォームに変形したバルディッシュは、金色の魔力光を噴出しながら、唸りを上げる。
どうやらフェイトもフェイトで、手加減をするつもりはないらしい。
「はぁぁぁぁぁっ!」
勢いよく、正面からフェイトは未確認飛行体へと斬りかかる。
何処かクワガタ虫にも似た形をしたそれは、前方に突き出た大きな角でバルディッシュの魔力刃を受け止める。
飛び散る火花に、二つが傷付け合う甲高い金属音が響く。
しかしフェイトも怯む事はない。すぐにバルディッシュを未確認の角から引き抜くと、上空に飛び上がった。
未確認はフェイトに構わず前方へと進み続ける。その姿はまさに、羽根を羽ばたかせるクワガタムシの如く。
その刹那、フェイトはクワガタムシの背中に、輝きを放つ緑の宝石が埋め込まれていたのを見逃さなかった。
「そこがコアか……!」
言うが早いか、フェイトはバルディッシュを振り上げて、再びクワガタムシの背中へと並んだ。
この程度の速度なら余裕で追いつける。寧ろ速度に関してはこのクワガタよりもフェイトの方が圧倒的に上だ。
フェイトは、バルディッシュの魔力刃の切っ先を、勢いよくクワガタムシの背中に輝く緑の宝石へと叩きつけた。
「――――――ッ!!」
「よし……効いてるっ!」
刹那、緑の宝石は火花を散らし、クワガタムシがふらりとよろめいた。
同時に聞き取る事が不可能な言語を洩らすが、フェイトはそれを気にしない。
どうやら背中への攻撃が弱点らしい。フェイトはよろめいたクワガタムシの背中に、再び魔力刃の一撃を叩き込む。
今度は高度を下げて、クワガタムシはフラフラと下降していく。
と、そうこうしていると、フェイトの頭の中になのはの声が流れ込んでくる。
「フェイトちゃん! ディバインバスター、発射するよ!」
「うん、わかったよなのは!」
見ればなのはのレイジングハートは既に切っ先に桜色の魔力を目一杯に溜めこんでいた。
あれを爆発させて、このクワガタを打ち抜くのだろう。
フェイトはすぐにクワガタから離れ、なのはの元へと飛んで行く。
「ディバイィィィィィィィィィン……―――」
同時に、なのはがゆっくりと口を開いた。
対するクワガタムシも、何とか高度を取り戻し、ゆっくりとではあるが元の高さへと戻っていく。
なのはとの距離もだんだん縮まっていくが、問題はない。
なのは的には撃ち落としてしまえば一緒だ。
「バスタァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
そしてなのはは、レイジングハートは溜めこまれた魔力を、一気にクワガタムシ目掛けて解き放った。
それは周囲の者全員にも聞こえるほどの轟音を放ちながら、クワガタを撃ち落とそうと加速していく。
瞬間、漆黒のクワガタムシはなのはが放った桜色の光に飲み込まれた。
支援
◆
フェイトの目の前で、なのはが砲撃を放っている。
あのクワガタムシは見事になのはのディバインバスターに飲み込まれ―――否。
何か様子がおかしい。なのはの表情が、強張ったまま変わらない。
なのははただ真剣な面持ちで、ディバインバスターを照射し続けている。
刹那―――
『押し切られます』
「うそ……っ!?」
「そんな……!?」
レイジングハートの警告音が響いたかと思うと、なのはの目の前――
ディバインバスターの魔力照射部から、漆黒のクワガタムシが飛び出してきたのだ。
つまりあのクワガタムシは、ディバインバスターの光の中を、構うこと無く前進していたという事になる。
驚く暇も与えられないままに、なのはとフェイトの二人は咄嗟に左右へと飛びのき、クワガタムシとの激突を避ける。
「そんな……ディバインバスターの直撃で無傷!?」
『ドンマイです、マスター。次、行きましょう』
と、驚くなのはをよそにレイジングハートは第二射の発射を要請する。
だが、そうしている間にクワガタムシは既になのは達を置き去りに遥か後方へと進んでいた。
どうやらあのクワガタムシになのは達を襲うつもりはないようだが――それでも、アレを倒さない事には任務成功とは言えない。
故になのはは諦めない。なのはのプライドが、このまま諦めることを許さないのだ。
再びレイジングハートを構え、カートリッジをロードさせる。
「なのは、今からチャージしてちゃあの未確認飛行体が結界を出るまでに間に合わないぞ!」
「安心して、クロノくん。今度は結界、持たないかもしれないけど……絶対撃墜するから!」
「ちょ……だからそれじゃ困るんだよ!」
「大丈夫だよ、クロノ。今度は私もいるから」
と、クロノは焦って抗議するが、今度はフェイトが答える。こうなったなのはとフェイトはもう止まらない。
なのはに至っては一撃目を防がれた事による悔しさか、今度は心なしか目付きも変わっているように見えた。
次は先ほど以上に魔力を集束させる。相手の防御力が想像以上であるなら、自分はそれ以上の魔力をぶつけるまで。
ただのディバインバスターで無理なら、特別版ディバインバスターEXで。それで無理なら、もっと凄い魔法で。
フェイトもなのはと並んで、足元に黄色の魔法陣を展開させ―――魔法のチャージに入る。
「私のプラズマスマッシャーとなのはのディバインバスターで、あの未確認飛行体を撃墜します!」
「いや、だから目的は撃墜じゃなくほか―――」
「行くよ、フェイトちゃん!」
最早クロノの言葉に聞く耳など持たない。
二人とも、意地でもあのクワガタムシを撃墜して持ち帰るつもりだ。
そんな事を言っている間にも、二人の眼前にチャージされた黄色と桜色の魔力光は増幅していき―――
◆
黒いクワガタムシが、凄まじいパワーで結界を内側から圧迫する。
二対の角が結界の壁にぶち当たるが、それでもクワガタムシは無視して突き進もうとしているのだ。
アルフは結界を保つため、必死で補助魔法を掛け続けるが―――
しかし、それももう時間の問題だ。あと少しでこの結界は絶対に崩壊する。
何故なら。
「全力全壊!」
「疾風迅雷!」
なのはとフェイト。二人が叫んだと同時に、二色の閃光はクワガタムシ目掛けて奔っていた。
結界を破壊しようとただひたすらに力押しするクワガタムシの背後から二色の閃光が迫り、
クワガタムシごと結界を撃ち貫こうとしているのだ。
クロノは最早呆れた表情でそれを見るしか出来ず、アルフはアルフで必死の形相。
とにかく耐えようと、補助魔法を掛ける腕に力を込める。
が、そんな努力も虚しく――
「駄目だ……あたし一人じゃ、結界を保てな――ッ」
と、アルフが歯を食いしばるように言葉を紡ぐが、それは最後まで間に合わず。
同時に、二色の魔力光は結界を貫き、遥か彼方の空へと吸い込まれていく。
結界が破壊される寸前、結界全体に亀裂が入ったために、アルフが言うまでもなくクロノはもう諦めていたのだが。
そうして、二人の魔法により放たれた光の照射が止んだとき―――そこにあのクワガタムシの姿はなかった。
そんななのはの眼前に現れた空間モニターに映るエイミィの表情は、苦笑い。
『未確認飛行体、ロストしました』
「あれ……撃墜しちゃった?」
「逃げられたんだよ!」
二人の会話に割り込んで、クロノが大声で怒鳴った。
結果として、二人の魔法はあのクワガタムシを加速させる結果となったのだ。
何かの装甲のような物を身に纏った頑丈な体は、魔法では傷を付けられないということなのだろうか。
光に押され、そのまま遥か彼方へと飛んで行ったクワガタムシは、既にアースラ側からの追尾を振り切っていたという。
それが今回の結果。つまり、作戦は失敗だ。
そんな結果に、なのはとフェイトは大きく肩を落としていた。
支援
◆
平成13年4月―――科学警察研究所。
ようやく平和になった世界。勿論そんな平和な世の中に未確認生命体などが現れる筈もない。
――にも関わらず、科学警察研究所……通称「科警研」の科学者である、榎田ひかりは職場へと呼びだされていた。
大切な一人息子である冴との貴重な親子の時間を削ってまで来たのだ。それはやはりつまらない理由である訳もなく。
榎田は、眼鏡の奥の鋭い眼光で、白衣の男を見据え、言った。
「で、ゴウラムが消えたってどういうこと?」
「そのまんまの意味です……ここに保管されていたゴウラムが、突然消えたんですよ」
「ちょっと待って意味がわからない。 消えるって何? 監視カメラは!?」
呆れた口調の榎田に、白衣の男もまた困ったようにパソコンのキーボードを操作した。
男が操作することで、パソコンの画面に小さなスクリーンが映し出された。
そこに映っているのは、「ゴウラム」と呼ばれる戦士クウガの力強い味方。それを保管していた一室だ。
カメラに映し出されたゴウラムは、最初は何の動きも見せなかった。が、やがてその羽根を開くと、ゆっくりと浮かび上がり――
背中に埋め込まれた翠の霊石――アマダムが、力強く光を放ち始めた。
その光はどんどん強さを増して行く。やがて一瞬ではあるが、カメラに映った全ての映像が緑の光によって遮断された。
カメラに何も映らなくなるほどという事は、それこそよっぽど強力な光を放っていたのだろう。
ややあって、カメラがその視界を取り戻した時―――
「ゴウラムが消えてる……」
「はい……そういう訳です。何が何だか……」
ゴウラムは、その姿を消していた。
榎田はその肩を大きく落としながらも、パソコンの画面をじっと見つめている。
こればっかりは対処のしようもなかった、というかまさか未確認との戦いが終わって
三ヶ月も経過してからゴウラムがその姿を消すとは誰も思わなかっただろう。
もしも戦士クウガが「聖なる泉」を枯らした際には、ゴウラムは砂になる。という説は聞いた事はあったが、
流石に消えるというのは予想外だ。
榎田は腕を組んで、思考する。
五代雄介とBTCSが姿を消したという報告は警視庁から連絡されていたが、もしかしたらゴウラムも何らかの関係があるのだろうか?
しかし、未確認との戦いも終わった今、何故彼らが消えるのかがわからない。もしかすると、まだ何かするべき事があるから?
だがそれならば何処かでクウガかゴウラムの目撃情報が出る筈である。
「……何にしても、今はどうしようもないわね」
考えても今は推測の域を出ない。榎田は、大きくため息を落とした。
消えてしまった者をどうこう言っても仕方がない。
とりあえず今自分に出来る事と言えば、ゴウラムが消えた事に関する報告資料をまとめる事くらいしかない。
また帰るのが遅くなってしまう事に、我が子への罪悪感を感じながらも、榎田はポケットから携帯電話を取り出した。
仕事で帰りが遅くなる場合は、冴が待つ自宅へと「かえれないコール」を掛けることにする。というのが、榎田親子の約束なのである。
第二話、投下完了です。
もうなのは達が戦ったアレが何なのかは解ると思いますが……。
とりあえず多分、このフェイトはなのはが好きなんでしょうね。
もうなのはラブって言う感じ。
とりあえず今回の話は、このあとのそこそこ重要なフラグになります。
乙
五代さん東京に着いたらどうするんだろうか
あ、3時20分頃から小ネタ投下していいですか?
230 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/30(火) 03:11:00 ID:7NPwpmvP
GJ!!
クウガは大好きなので活躍するのを待ってます!
時間になりましたので投下します
「…ふぅ」
レジアス・ゲイズ中将は今日もお疲れだった。
地上の少ない人員の遣り繰り、廃棄都市区画の治安維持、
そろそろ年齢的にやばい娘の結婚について、etc...
頭を悩ますことが多すぎるのである。
ちなみに娘は今日は家にいない。
なんでも学生時代の同窓会なんだとか。
あわよくば学生時代の恋人とヨリを戻すなりなんなりして
早く親を安心させてほしいものである。
まあそんなわけで本日は家に一人。
子供なら「夜更かししても誰にも怒られないぜヒャッホーイ」と喜んだかも知れないが、
この歳になるとそれなりに広いこの家に独りというのは少し寂しい。
しかし目下の問題はそこではない。
「腹が空いた…」
そう、夕食である。
普段は地上本部の食堂だし、料理なんてめったに家に帰れないため作り方はうろ覚えだし、
正直腹が減ってそんなことする気力なんて無いのである。
そんな時、新聞の折込広告が目に止まった。
ピッツァマンという名の宅配ピザの広告。
「ピザか…」
いいかもしれない。少し時間はかかるが自分で作って変な味の物を食べるよりはマシだろう。
そう思い、早速ピザを注文した。
「遅い…」
なんだこの遅さは。
ふざけてるのか。
30分以上かかるとかどういうピザ屋だ。
実になっとらん。地上本部の総力を挙げて取り潰してやろうか。
ピンポーン
「っ、やっと来たか。」
そう言いつつ、インターホンへ向かう。
「はい、ゲイズです」
『ピッツァマンでーす。ピザお持ちしましたー』
「はい、今ドアを開けますので」
一刻も早くピザを食べ、この空腹を何とかしたい。
そう思いながら玄関に向かい、ドアをに手を掛け―――
『あ、ドア開ける前に「ピッツァマーン♪」って言って貰えますか』
止められた。
「……何故だ」
『30リリカル引きになるんですよ』
ちなみにリリカルとはミッドチルダの通貨単位である。
レジアスは幾秒か懊悩し、そして結局
「………ピッツァマーン♪」
言った。
その途端、ドアが開けられた。
「そんなに30リリカルが欲しいのか」
「…貴様が言えと言ったんだろう」
「まあね♪」
「というか第一なんでこんなに時間かかってるんだ?どこにあるのだ貴様の店は」
「ここから300mほどですねー」
「じゃなんでこんなにかかっとるんだ」
「ほら、学校の近くに住んでる子ほどよく遅刻するでしょ。まあ、いわゆる油断ですよ」
「仮にも宅配ピザ屋だろう貴様。ピザが冷めたらどうする気だ」
「ははは。えーっと3870リリカルになります」
………………は?
「…すまんが、もう一度言ってくれるかね」
「3870リリカルになります」
「何でそんなに高いのだ」
「いや、キャンペーン中だから」
キャンペーン中?キャンペーンだったら普通高くなるんじゃなくて安くなるのが常識という物ではないのか?
「まあ、高いキャンペーンってのもギリギリ無い話じゃないですからね
でもね、いまこれ付いて来るんですよ、これ」
「何だその段ボールは?景品か何かか?」
「これはですね、あのね」
「テレビ局開局キットです」
「は?」
「あのね、これがあればね、誰でも今すぐテレビ局開局できんの」
段ボールを叩きながら店員がそれについての説明を始める。
ぶっちゃけどうでもいい。早くピザを食べたい。腹が減った。
「嘘だろう」
第一こんな段ボール箱一個に入るだけの設備でテレビ局を開設出来る訳がない。
「あ、納得してないねあんた」
「するわけないだろう。………もしやこれが着いてくるからそんなに高いのではあるまいな」
「…ハァ、あんたも珍しい人だねえ。景品に文句つけるの?
キャラメルのおまけにさあ、マリアージュの人形付いてたってさあ、何だこれってアンタ言わねえだろうがよ!」
「言うわあ!」
というか何だマリアージュって。新手の芸能人か何かか。
「やんのかあ!やらないよ俺は!
いいから貰っといてよこれ。ね」
「いや、いいって言ってるだろう」
「ターダだから。どうもありがとー!」
「タダじゃなくて3270リリ…」
言い終わらない内にバタン、とドアが閉められた。
「さっきの奴はなんだ、まったく…」
後で絶対返しに行ってやる。
そう決めながらも、空腹で死にそうなのでまずレジアスはピザを食べることにした。
しかし、彼は知らない。
そのテレビ局開局キットが、彼をある陰謀 ―ゲーム― へと巻き込んでいく事を。
なんかピザが食べたくなってきた支援
「戦闘機人ナンバー2、ドゥーエ。あなたに治安維持法違反の容疑で逮捕状が出ています」
「署までご同行願います」
「……私達戦闘機人はね、甲羅の無い亀にはならないのよ!」
「暗躍は生涯に一回位でいいけどバブルは二回あってもいい…そう思わないかい?」
「…そのバブルとテレビ局と何の関係があるのだ、スカリエッティ」
「つまり……Lyrical`s HIGHだよ。レジアス・ゲイズ」
「Lyrical`s HIGH……」
「いよいよ地上波からお別れかあ。これからはBSの時代やな」
「いや、地デジの時代だと思うのだが」
「まあ、それはさておいて衛星打ち上げロケットの準備は万端や。
燃料の灯油もバッチリ満タンやで!レジアス中将!」
「灯油!?液体酸素と液体水素ではないのか!?」
「…ようやく追い詰めた、ジェイル・スカリエッティ。
治安維持法その他諸々の違反で、逮捕します」
「わしはレジアス・ゲイズであの変態化学者ではない!
お前の隣に居る男が本当のスカリエッティだ!」
「騙されてはいけない、ハラオウン執務官。…その恰幅のいい男が本当のスカリエッティだ」
「ご無事ですか、中将。…実はこの部屋には外に通じる穴があるのです」
「そこのポスターの裏だろう?だがCの字状になってて反対側の壁に繋がってるだけだったぞ」
「穴に入る前にちくわの神様にお願いしなかったでしょう?だからですよ。
お願いすればちゃんと外に繋がります」
「二度とたけわと言うな。…ちくわと言え」
「もうたけわって言いません」
「ねえ、本当のメガネは心の中にある……そう思わないかい?」
「合言葉は、HELP ME」
「ピスタチオの豆で作ったピスタチオコーヒーです。飲みますか?」
『わしは聖王を人質にとったぞゴラァ!無事に帰して欲しかったら、身代金300万リリカルを払わんかゴラァ!』
「…牛丼屋でも、始めるか」
このゲームは、視聴率80%を取るまで終わらない。
Lyrical`s HIGH、いつかにつづく。
投下終わり
元ネタは九年ぐらい前の深夜バラエティ「TV's HIGH」
このスレに知ってる人が居るか疑問。居たら少し怖い
出演者が無駄に豪華でした
元ネタだとレジアスの役回りは日本人なら誰でも知ってる某国民的アイドルのあの人
スカリエッティはもう亡くなられた元都知事の方です
あ、通貨単位は思いつきです。レートは大体1リリカル=1円
実家に帰ってDVD漁ってたら何故か出てきたのでその場のノリと勢いで書いた
色々と後悔している
だからスルリとサペスンスが足りんのだよ!
っでGJ
(゚∀゚)アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ
【年末は荒らし厨の季節】
GJ!なんかもうわけわかんねぇwww
241 :
一尉:2008/12/30(火) 14:42:53 ID:dmkv4+la
そうだね未だわからないよ。
どうもこんばんわです皆様
22時20分より、一発ネタを投下しようと思うのですがよろしいでしょうか?
ドーン!と来い!!
しえん
一発ネタより連載の続きを書けコラ
「……どーしよっか? コレ」
それはとある休日の朝。
彼女、八神はやては困ったように頭を抱えた。
助けを求めるように周りを見回すも、彼女に付き従う守護騎士達もまた、心底困った様子でため息をつくばかり。
そんな折、いつものメンバーが彼女らの根城へと訪れる。
「うーっす。銀さんがやってきたよーっと」
そう、いつものお騒がせ三人組、万事屋銀ちゃんである。
勝手知ったるはやての家に、新八と神楽、そして定春を引き連れてずかずかと上がりこむ。
玄関を跨ぎ、短い廊下を通り抜け、そしてリビングの扉を開いた銀時達を出迎えたのは……。
「おはよーございますなのです! ぎんときどの!」
『……誰!?』
……随分と頭身の縮んだシグナムにそっくりの、可愛らしい幼女であった。
なの魂 〜番外にも程がある編 男は基本的にギャップに弱い〜
「つーか、何コレ?」
と尋ねるは銀時。
困惑しきった様子で声を漏らす彼の膝の上には、幸せそうな顔でシュークリームを頬張るシグナムそっくりの幼女。
テーブルを挟んで銀時の向かいに座るはやては、深い深いため息をつきながら、
「何っていうか……シグナムや」
「見りゃ分かるよ。姐さんのそっくりさんだろ? 肝心の本人はどこ行ったんだよ」
「いや、そうやのーて……」
「あー……もしかしてアレか? 隠し子? なんだよ、普段は興味なさそうな顔しやがって。
やるこたァしっかりヤってんじゃねーか」
「いや、だから……」
「……マジ?」
「マジや。残念ながら」
頭を抱えてため息をつくはやての様子を見る限り、どうやら彼女が言っているのは嘘ではないようだ。
にわかには信じがたい様子で、銀時は膝の上に鎮座する小さなシグナムを見下ろす。
鼻の先にクリームをつけた彼女は、どこか満足した様子で大きなカップを両手に抱え、牛乳をゴクゴクと飲んでいる真っ最中であった。
「……どーいう理屈だよオイ。ロストロギアの暴走か? それとも源外のじじいが変な道具でも作ったか?」
尋ねる銀時だが、しかしはやては首を縦には振らない。
「ロストなんとかっていうのは、よー分からんけど……シャマルが言うには、なんや闇の書にちょこっとバグがあって、
その影響やないんかって話やけど……」
「ちょっとどころじゃねーよ。万札はたいて購入して、期待に胸と股間膨らませてプレイしてみたら、
CGが差分含めて十四枚しか入って無かったってレベルのバグだよ」
「銀ちゃん。それバグやなくて仕様やから」
「ごらんの有様だよ!」
それなりに切迫した状況だというのに、どこかほのぼのとした光景。
他愛もない会話を続ける銀時の腕に、不意に何かに引っ張られるような感覚が走る。
「ん?」
特に意識することも無く、銀時は自分の腕を見下ろす。
真っ先に目に入ったのは、キラキラと輝く大きな瞳。
子供のように無垢な笑顔を向ける、シグナムであった。
「ぎんときどの、ぎんときどの! これからけんのけいこをするのです」
「ああそう……頑張ってらっしゃいねー」
ヒラヒラと手を振り、銀時はテーブルの上に肘をついて大きくため息を漏らす。
その行動が面白くなかったのだろう。
シグナムはぷくっと頬を膨らませたかと思うと、ぴょんと彼の膝から飛び降り、そして彼の腕を力一杯に引く。
「いっしょにけいこするのです! "ぶしどうとはしぬこととみつけたり"なのです!
あるじにはしんぱんをおねがいするのです!」
グイグイと銀時の腕を引きながらそんなことを言うシグナムなのだが、その力は身体相応。
銀時を椅子から動かすには、全くと言っていいほど力が足りなかった。
呆れた様子で銀時ははやての顔を見る。
「……どーするよ?」
「んー……好きなようにさせたげたほうが、ええんとちゃうかな? だって……」
そこまで言ったところで異変が起こる。
銀時の腕を掴んでいたシグナムの不機嫌さが最高潮に達したのだろう。
彼女は目を潤ませながら膨れっ面を見せて、
「……したがわないと、こうなのです!」
ぽんっ、と。
何かが爆発するような音が聞こえた。
同時に立ち上る黒い煙。
ゆっくりと、銀時は自分の腕に視線を向ける。
勝利を掴めと轟き叫ばんばかりに真っ赤に燃える自分の右腕がそこにあった。
「あづァづァづァァァァァァ!!」
「中身まで子供になっとるから、結構情け容赦ないよ?」
「先に言えェェェェェ!!」
台所で流水に腕を晒しながら、情けない声を上げる銀時なのであった。
「……なーんでこーなるの?」
ぶっきらぼうに木刀を構え、心底不本意な様子で銀時は零す。
ここは八神家に存在する小さな小さな庭。
庭に面する家の窓には、どこか疲れた様子の夜天の騎士達と万事屋の助手達。
そして銀時と相対するは……。
「せ、せーせーどーどーと、しょーぶなのです! ……とと」
身の丈に合わない大剣――レヴァンティンを構えるシグナムであった。
どうやら小さくなったのは彼女自身のみであり、デバイスのサイズはそのままのようだ。
相対的に大きくなった愛剣を構え、しかしその重量に耐え切れないのか、シグナムはヨタヨタと千鳥足を踏む。
あっちへヨロヨロ、こっちへオタオタ。
「……ふあっ!?」
何度目かになる8の字運動の後、ついにシグナムはコケた。
それはもう盛大にすっころんだ。
レヴァンティンを放り出し、"びたーん!"という擬音が似合いそうなくらい、勢い良く芝生に向かって接吻をかまし、
そのままピクリとも動かなくなる。
そして、主の手を離れた魔剣はというと。
ヒュンヒュンと風切り音を鳴らしながら、澄み切った大空に活き活きと飛び上がり。
ドスッ、と。
銀時の眼前、鼻先から数ミリのところを掠め、地面に深々と刺さった。
居た堪れない沈黙。
重い空気。
陽気なスズメ達の合唱が、どこか腹立たしく聞こえてくる。
「……俺、もう帰っていいかな?」
血の気の引いた顔でガクガクと膝を震わせながら、銀時は割りと真剣にはやてに願い出るのであった。
「……何ゆえこうなるのだ……?」
暖かな陽の光を目一杯に受けながら、盾の守護獣ザフィーラはそう零す。
蒼き狼の姿となった彼と共に歩むのは、万事屋店長坂田銀時、夜天の王八神はやて。
そして……。
「しょうぶなのです! なぐりこみなのです! かんばんはいただきなのですー!」
ザフィーラの背にまたがり、元気一杯に小さな竹光を振り回すシグナムであった。
小さなナイトの奔放な振る舞いに、ほとほと呆れた様子でザフィーラは一人ため息を漏らす。
「将がこれでは、周りに示しがつかんぞ。まったく……」
「元に戻るまでの辛抱や。今、シャマルが元に戻る方法探してくれとるみたいやし……」
「……つーかよォ……」
はやての車椅子を押していた銀時が、ポツリと呟いて足を止める。
どこか焦燥した様子で目の前を見つめる銀時に倣い、ザフィーラとはやても、彼が視線を向ける方を見やる。
――"真選組屯所"
そこに立てかけられた看板には、達筆な字でそう書かれていた。
「なんでこんなトコに来なきゃならんわけ?」
「いや、その……シグナムがどーしても来たいって言うから……」
「ダメなものはダメだって言ってやるのも、かーちゃんの仕事だぞ」
「だってー……」
むすっ、と頬を膨らませ、はやては守護獣に騎乗するシグナムを見る。
純な笑顔、溢れんばかりの無邪気さ。
普段の彼女とは全くの真逆、新感覚純真魔法少女シグナムちゃんがそこにいた。
「……あんな可愛い子におねだりされて、断れるわけないやんかー!」
パタパタと手を振って、自分には非が無いということを必死にアピールする。
銀時は呆れたように息を吐きながら額に手を置き、
「そーかい。……まァ気持ちは分からねーでもねーけどよ。俺もお前におねだりされたら、断れる自信無ェし」
「……ふぇ?」
「俺だって命は惜しいからな」
「……さ、さらっと失礼なこと言うなー!」
頭上に掲げた両手をブンブン振り、「ちょっとだけ期待してしもたやんかー!」と銀時の手を引っ叩くべく、
はやては車椅子の上で、懸命に身をよじらせる。
だがとっくの昔に車椅子から手を離し、安全圏まで退避した銀時に決死の攻撃が届くはずも無く。
はやては顔を薄い朱に染めて頬を膨らます。
その時だ。
突然屯所の方から、若い男の声が聞こえてきた。
「おーい、危ないですぜー」
聞き覚えのあるその声に、その場に居た四人は一斉に、開け放たれた屯所の門へ目を向ける。
ヒュンヒュンと鳴る風切り音。
それが屯所の奥から急速にこちらへ接近し。
ドスッ、と。
ザフィーラの額に、高速回転する竹刀が突き刺さった。
まるで噴水のように額から血を吹き流し、ザフィーラはその場に力無くくず折れる。
「ああ! ザフィーラがやられた!」
「メディック! メディーック!」
「はわわ! お、おちつくのです! まだあわてるようなじかんじゃないのです!」
「ぐふっ……あ、主……。私の遺体は、どうかルーベンスの絵が見える教会へ……ガクッ」
『僕もう疲れちゃったよヨーゼフゥゥゥ!』
もはや阿鼻叫喚としか形容のしようが無い光景。
このカオスティック空間を修復することが出来る人物は果たしてこの世に存在しうるのだろうか?
「いやーすいやせん。手元が狂っちまって」
……いた。
そんな呑気な言葉を吐きながら屯所から現れたのは、亜麻色の髪の若年剣士。
そう、真選組のドS王子こと、沖田総悟であった。
彼はどこか意外そうな表情で荒れ狂う夜天の戦士達を見やり、
「こんなトコで何やってんですかぃ。旦那にお嬢に……」
「……あ。おはよーございますなのです! おきたどの!」
「……誰ですかぃ? このちんまいの」
大の字になって寝そべるザフィーラの上で、元気一杯に己の存在をアピールするシグナムを指差してそう零すのであった。
「なんじゃこりゃァァァ!!」
と、男の大爆笑が響いたのは真選組屯所のとある一室。
彼、土方十四郎は、自分の膝をバシバシ叩いて盛大に笑い声を上げる。
そんな彼の向かいには、行儀良く正座をして目を爛々と輝かせる小さなシグナム。
規則正しく視線を左右に行ったり来たりさせる彼女の目の前では、大きな棒付きキャンディーが振り子のように揺られていた。
まるでペットを手懐けるように甘い餌を無垢なる少女の前に晒すのは、やはりというかなんというか、沖田であった。
「むー……そんなに笑わんでもええんとちゃいます? こっちは真剣に困ってんのに……」
「くく……いや、悪ィ悪ィ。しかし傑作だなこりゃ」
必死に笑いを堪えつつ、膨れっ面でこちらを睨んでくるはやてに土方は平謝り。
そして再びシグナムへ視線を向ける。
いい加減シグナムを弄るのも飽きたのか、沖田が彼女の目の前にキャンディーを差し出し「ほれ、あーんってしてみ」などと
している真っ最中であった。
シグナムは目を輝かせ、言われるがままにあーんと口を大きく開けてキャンディーにかじりつこうとする。
だが、聞こえてきたのはキャンディーをかじる音ではなく、歯と歯がぶつかり合う音。
涙目で抗議の視線を向けるシグナムの目の前で、沖田はしたり顔でキャンディーを咥える。
「……もー! 沖田さんっ! あんまりシグナムんこといじめんといてくれる?」
むくれた様子で精一杯凄んでみるはやてだが、沖田は飄々とした様子で肩を竦ませながら、
「すいやせん。いじめ甲斐のありそうなツラしてたもんで」
「んなこたァいいからなんとかしやがれ、チンピラども。何のために税金払ってやってると思ってんだ」
様子を窺っていた銀時は、随分と不機嫌な様子でそう言い放つ。
土方は疎ましそうに舌打ちをして、懐から取り出したタバコに火をつける。
「できるわけねーだろ、万事屋じゃあるめーし。俺達の管轄外だ。
治してーなら病院か魔法関係の研究所にでも行きやがれ」
「そりゃねーんじゃねーの? せっかくおもしれーもん見せてやったんだから、ちったァ頭捻りやがれ」
「テメーの連れを見世物に使うような輩に貸す頭はねーよ」
「ンだとテメ」
「ンだとコラ」
いつもの如く激しい火花を散らす土方と銀時。
どうにかそれを宥めようとはやてが仲介に入り、
「……う〜!」
と、どこか泣き出しそうな幼女の呻き声に、三人は思わず声のした方を向く。
短い両手をグルグルと振り回し、しかし沖田に頭を押さえつけられているため、一切の反撃が出来ないシグナムの姿がそこにあった。
「……まだやってはったんですか……」
「威厳もへったくれもねーな、オイ」
「オイ総悟、ガキ相手に大人げねーぞ。いい加減やめてやれ」
呆れた様子で口々に口走る。
その中でも、特に土方の発言が気に入らなかったのだろう。
鼻の先を赤くし、瞳を潤ませたシグナムがキッと土方を睨みつけた。
「わたしはこどもじゃないのです! りっぱなれでぃであり、きしなのです!」
「だったらまずはその舌足らずな口調をやめろ」
ビシッ、と指差し容赦の無いツッコミ。
あくまでも自分を子供扱いする土方に、シグナムは心底ご立腹のご様子。
ついには肩を震わせながら、愛剣レヴァンティンを起動させ、
「だったら、じつりょくでみとめさせてやるのです! けんをぬくのです、ひじかたどの!」
ヨタヨタと、覚束ない足取りでデバイスを構える。
しかし土方はシグナムの言葉に応えようとせず、どこか面倒くさそうに頭を掻くだけ。
そんな彼の姿に業を煮やしたのか、シグナムは声高に叫ぶ。
「こないのならこっちからゆくのです! ればんていん、かーとりっじろーど!」
宣言と同時、レヴァンティンの内部機構が唸りを上げる。
カートリッジシステム起動。装填された弾丸から、内包された魔力がレヴァンティンへ注がれる。
赤熱する刀身。描かれる魔法陣。そして……。
「……あうっ!」
レヴァンティンから排出された空薬莢が、シグナムのおでこを直撃した。
あまりの痛さに彼女の精神の均衡が乱されたのか、燃え上がる刀身は鳴りを潜め、描かれていた魔法陣は
掻き消えるようにその姿を消す。
どこか居た堪れない空気の中、シグナムはおでこを押さえて鼻をすすりながら、
「め、めにもとまらぬざんげき……さすがひじかたどのなのです……!」
「いや、何もしてないからね。完全に自業自得だったからね、今の」
「ですが、これでかったきになるのははやいのです!」
呆れた様子で呟く土方を華麗に無視し、シグナムは再び魔剣を握る。
いや、それは既に剣ではなかった。
猛禽類を思わせる鋭利なシルエット。
純白に彩られた、美しくしなやかな輪郭。
そう、それは弓。
全てを撃ち貫く白銀の強弓。
――レヴァンティン・ボーゲンフォルム。
死怨!
支援
「かけよ、はやぶさ!」
生成される魔力の矢。
叫び、それを弦にかける。
だが……。
「……ふんぐぐぐ!」
唸る。唸る。これでもかと言わんばかりにシグナムは唸り続ける。
しかし、矢は一向に動こうとしない。
硬く張られた魔力の弦は、ピクリとも動こうとしない。
弓というものはああ見えて、意外と弦を引くのに力が要るものである。
それは魔法の弓でも例外ではないらしい。
身体相応、つまりはやてとどっこいどっこいかそれ以下の腕力しかない今のシグナムでは、最強の弓を引くには
全くもって力が足りなかったのだ。
というか、この短い腕で戦闘用の弓を引ききれというのがそもそも無茶である。
だがしかし、そこは腐っても鯛ならぬ、小さくなっても守護騎士。
身体強化の魔法を併用して、強引に弓を引く。
張られた弦が僅かに歪み、同時に弓もほんの少しだけしなる。
小さな騎士は目を瞑り歯を食いしばって、懸命に弓を引き絞る。
その様子に一抹の不安を覚えたのか、シグナムを取り巻く者達はあとずさりながら部屋を出ようとし……。
「おうトシ、聞いたぞ。なんかシグナムさんがエラいことになってるんだってな?」
「……近藤さん。今入ってきたら危ないですぜ」
「……あっ」
ドスッ、と。
偶然部屋に入ってきた近藤の額に、それはそれは見事に矢が突き刺さったのだ。
穴の開いた水道管のように額から血を噴出しながら、近藤はその場にバタリと倒れる。
「予感はしてたけどね! 嫌な予感はしてたけどね!!」
「近藤さん! しっかりしてくだせぇ!」
土方と沖田は血相変えて近藤の傍へ駆け寄る。
近藤は瞳に大粒の涙を溜め、空ろな目で二人を見やりながら、
「ト、トシ……Dドライブのお宝映像、全部消しといて……ガクッ」
「どんな遺言んんんんん!!?」
パニックに陥る真選組幹部達を見やりながら、シグナムはただオロオロとするだけなのであった。
罪状:過失傷害。
実刑:一週間屯所への出入り禁止。
そして結局何の打開策も考え付かぬまま時間は流れ、今はもう夕方。
銀時達が仕事を終えて、自分の家へと帰っていく時間と相成ってしまった。
「ごめんな銀ちゃん。なんか、いっぱい迷惑かけたみたいで……」
銀時達を見送るため、玄関までやってきたはやてはしょぼくれた様子で顔を俯ける。
そのあまりの落ち込みようは、見ているこっちが居た堪れなくなってくるほどだ。
銀時はどこかバツが悪そうに頭を掻き、しばらく逡巡の様を見せた後、そっとはやての頭に手を置いた。
「別に迷惑なんかじゃねーよ。ガキの相手なら、お前となのはで嫌ってほど慣れてるからな」
子供扱いされたのが気に食わなかったのか、はやては頬を膨らませて銀時を見上げようとする。
だが、それも一瞬のこと。
ポフポフと銀時に頭を撫でられ、はやてはくすぐったそうに目をつぶって身動ぎをする。
慣れている、と自負するだけのことはある。
銀時が手を放した頃には、はやての不機嫌など空の彼方へ吹っ飛んでいってしまったらしく、はにかんだ笑顔で、
しかしどこか名残惜しそうにはやては小さく手を振った。
「ほな、また明日な? 銀ちゃん」
「おう。明日にゃ姐さんが元通りなることを願っとくよ」
「絶対、遅刻せんといてな?」
「わーってるよ。そんなに信用ないかね? 俺ァ」
「絶対に絶対やよ?」
「……なんかそこまで言われると腹立つな。明日昼過ぎに来てやろーかな」
「う〜……銀ちゃん、やっぱりいぢわるやぁ……」
せっかく直った機嫌を再び曇らせ、はやては頬を膨らませる。
小さな天使を弄り倒すのを充分に満喫した銀時は、ヘラヘラと悪ガキのように笑いながら、
一足先に家の外へ出た新八達の元へ向かおうと、玄関の扉に手をかけ……。
「……ん?」
着物の裾を引かれるような感覚を覚え、その動きを止めた。
どことなくデジャヴを感じつつ、銀時は視線を下のほうへ向ける。
案の定、そこにいたのは小さなシグナムであった。
彼女は何処か期待の念を孕んだ瞳で、銀時をじぃっと見つめている。
「ぎんときどの、ぎんときどの。きょうはうちにとまっていくのです」
「……はァ?」
突拍子も無いシグナムの提案に、銀時はおろかはやても目をまん丸にするばかり。
素っ頓狂な表情で二人は小さな騎士を見つめ、そしてはやてははっとした様子で慌ててシグナムを咎める。
「も〜、シグナム? あんまり銀ちゃん困らせたらアカンよ?」
するとどうだろうか。
普段のシグナムならまずもって見せないであろう不服そうな表情を、彼女は惜しげもなくはやてに向けるのだ。
初めて見るシグナムからの反発の目に、はやてはただ驚くばかり。
あっけに取られるはやてを尻目に、シグナムはグイグイと銀時の着物の裾を引き、家の中へと誘おうとする。
「あるじもいつもいっているのです。ぎんときどのがいないとさびしいっていってるのです」
「シ……シグナム〜!!」
内緒の独り言をあっさりと当人の目の前でバラされてしまい、はやては顔を真っ赤にして慌てる。
しかしシグナムはというと、きっと悪気など全く無かったのだろう、どこか楽しそうに銀時を引っ張り続けていた。
かしましく騒ぎ立てる幼女二人を前に、銀時は心底呆れた様子でため息をつき、そして黙考。
しばし腕を組んで考え込んだ後、彼はもったいぶるように、
「……あーあー、分かった分かった。そんじゃま、お言葉に甘えさせてもらうかねェ」
「……ふぇ?」
予想だにしなかった銀時の快諾に、はやては思わず呆けた顔を見せる。
あまりにもからかい甲斐のある顔だったのだろう。
そんなはやてのおでこに人差し指を押し当てながら、銀時は意地の悪い笑みを浮かべる。
「オイオイ、そんなに俺と一つ屋根の下が嫌か? そこまで露骨に嫌がられると、結構ショックなんだけどな」
もちろん、はやては銀時の来泊を厭うようなことはしない。
それどころか、むしろはやてにとっては嬉しい誤算であった。
はやてはブンブンと首を横に振り、しかし当惑した様子で銀時に問いかける。
「い、嫌ってわけやないよ! でも……ホ、ホンマにええのん? 銀ちゃん、色々用事あるんとちゃうの……?」
「あいにく、こちとら暇を持て余してるんでね。それによォ……」
苦笑しながら視線を下へ向け、はやても釣られるように銀時の足元を見やる。
その視界に広がるのは、にぱーっと嬉しそうに笑みを零すシグナムの姿。
「みんなでおとまりかいなのです!」
「……今朝みてーなことされちゃァ、たまんねーからな」
急かすように腕を引くシグナムにされるがまま、まんざらでもない様子で銀時はそう言葉を漏らすのであった。
「おもしろそうなてれびがやってるのです! みんなでごはんたべながらみるのです!」
そして日もとっぷり暮れて、今は夜。
街を走る車のエンジン音と僅かな衣擦れの音が響く中、小さく二人の少女の声が浮かんだ。
「ぎんときどの、ぎんときどの。まだおきているでありますか?」
「銀ちゃん銀ちゃん、先に寝てへんやんな?」
音源は部屋の中央、布団の中。
どこか不安を孕んだその声の主は、小さなシグナムとはやてであった。
二人は布団の真ん中で尊大に寝転ぶ男に、寄り添うようにうごめく。
「はいはい起きてますよ。お前らこそ勝手に先に寝るんじゃねーぞ」
二人に囲まれ、眠そうにそんな言葉を吐くのは銀時。
何故彼が美少女二人に囲まれて眠るというなんとも羨ましい状況になっているのかというと、
原因は夕食時に見ていたテレビ番組である。
一体どのような番組が放映されていたのかといえば、まあ有体に言って、心霊番組である。
全国の心霊スポットを行脚して、写真を撮って、そして映っていた胡散臭い"霊"とやらを専門家に除霊してもらう……という
極々ありふれた内容の番組だ。
しかしこの番組、幼い二人にはなかなか刺激が強かったようで、放送が終わった途端、はやてとシグナムははやての自室の隅っこで
肩を寄せ合いながらブルブルと震えだしてしまったのだ。
お風呂に入るときも一緒。トイレに行くときも一緒。そして就寝時間となって……。
「いわれなくてもわかっているのです」
「銀ちゃんこそ、先に寝たりせぇへんとってな?」
怖くて怖くて仕方ない二人は、こうして銀時が眠る布団の中へと潜り込んできてしまったのである。
しかし、ここで誤算があった。
二人はまだ知らないが、実は銀時もたいがい怖がりなのである。
外見強がってはいるものの、実のところ、内心でははやて達並に怯えまくっている銀時なのであった。
つまり……。
「うっせ。なんでお前らが寝るのを待たにゃならねェんだよ。俺ァ先に寝るぞ。だから俺より先に寝るなよ?」
この男、まったくアテにできない。
布団を目深に被って就寝の準備をする銀時に対し、はやてとシグナムは非難轟々。
「い〜や〜や〜! 私が先に寝んの〜! 銀ちゃんは後から〜!」
「あるじをこまらせるようなことは、だんじてゆるさないのです! ばつとして、あけがたまでおきているのです!」
「だまらっしゃい! とにかく寝る! 俺は寝るぞ!」
「いやや〜! 銀ちゃんが先〜!」
「お前が先だ!」
「銀ちゃん!」
「お前!」
『だァァァ! うるせェェェ!!』
突如として聞こえてくる怒鳴り声。
ビクリと肩を震わせて、三人は一斉に声のした方を見る。
怒れるチャイニーズ娘と鉄槌の騎士が、そこにいた。
「三人ともうっさい!」
「静かに寝てろヨ!!」
『……はい』
居心地悪そうに三人は頷き、しかしなおも小声で口論を続けるのであった。
「銀ちゃん……ぎ〜んちゃ〜ん……」
翌日、はやてにゆさゆさと身体を揺さぶられながら銀時は目覚めた。
寝ぼけ眼をこすりながら大きなあくびを漏らし、銀時は気だるそうに身体を起こす。
「……ンだよ。まだ七時にもなってねーじゃねーか……」
そう言って隣を見ると、そこにいたのは、目を半開きにしてうつらうつらとするはやて。
目脂もとらず、髪の毛はボサボサ。少しサイズの大きなパジャマはシワだらけになり、肩も少し肌蹴ている。
まさに今起きてきたばかりのような出で立ちだった。
「私も、もーちょっと寝ときたかってんけど〜……あふぅ……なんや、変な物音がして……」
「物音?」
「うん〜……ほんで、起きてみたらいつの間にかシグナムがおらんようになってて……」
支援する!! チビシグナム支援!
そう言って心配そうにはやては視線を落とす。
彼女の視線を追ってみると、なるほど、確かに昨日までそこにあったはずのシグナムの姿が、忽然と消え去っていた。
辺りを見回してみるが、しかしシグナムの姿は何処にも見当たらない。
一体何処に行ったのだろうか?
銀時が頭を捻っていると、彼の肩に何かがもたれかかってきた。
それと同時に大きなあくび。
「あふぅ……」
「……とりあえず顔洗って来い。せっかくの美人が台無しだぞ」
「う〜……褒めても、なんもでぇへんよぉ〜……ふぁ……」
惜しげもなくあくびを連発するはやてを抱え、銀時もまた大きくあくびを零しながら、洗面所へと向かうのだった。
「はい、口ゆすいでー」
「あ゛ー……ぷぺっ」
と、銀時に抱えられたままはやてがうがいをしている真っ最中。
唐突に玄関が開く音が聞こえてきたのは、その時だ。
鳴りえないはずの音に不信感を抱き、二人は背後へと首を回し……そして、驚愕に目を見開く。
「あ……起きていらしたのですか、お二人とも」
ポニーテールに結わえた長い桃色の髪。
しなやかな肢体に豊満なバスト。
どこか気品すら漂わせる、丁寧な物腰。
おそらく、日課のジョギングを済ませてきたのだろう。
真っ白なタオルで汗を拭いそこ佇むのは、紛れも無く"普段通りの"シグナムであった。
「シ、シグナム!?」
驚いた様子ではやてが上擦った声を上げると、シグナムは控えめに微笑みながら、
「あまりにも仲睦まじく眠っていたので、そっとしておいたのですが……起こしたほうがよろしかったですか?」
「……いや……ていうか、姐さん、確か昨日……」
困惑した様子で尋ねる銀時に、シグナムは何処かバツが悪そうにこめかみの辺りを掻く。
「え、ええ……実は、その……お恥ずかしい話ですが、先日の朝からの記憶が無いのです……。
今朝起きた時も、銀時殿が隣に居て驚きましたよ」
言っている本人も何処か当惑した様子だが、先日の騒動を知っている身としては、彼女以上に疑問を抱きたくなる。
どういうことだとはやてと顔を見合わせるが、しかし答えなど返ってくるはずも無い。
二人揃って頭を捻っていると、突如として二階から声が渡り響く。
「……はやてちゃん! はやてちゃんっ!」
「……なんだ?」
どことなく間延びした、聞き覚えの無い声。
不審に思ったシグナムは階段の方へ目をやり、そしてはやてと銀時は揃って額から脂汗を流す。
まさか? もしかして? いやいやそんなはずは無い。
脳裏に浮かぶ疑念を必死に否定し、しかし二人の願いは……。
なんというか……。
……無駄に、終わってしまったようだ。
「へぷっ!」
明らかに身の丈にあっていない、ブカブカのパジャマ。
ぽややんとした舌足らずな口調。
軽いウェーブのかかったブロンドの髪。
今にも泣き出しそうな、幼い顔。
「……だから……」
額に拳を押し付ける銀時とはやての前で、シグナムは半ば放心状態で目を点にする。
「うぅ〜……はやてちゃん、おなかすいたですの〜……」
凄まじい音と共に、階段から転がり落ちてきたのは……。
『……だからどーいう理屈ゥゥゥゥゥ!!?』
随分と頭身の縮んだシャマルにそっくりの、それはそれは可愛らしい幼女であった。
終われ。
以上で投下終了です。
なんかチャットでちびキャラの話で盛り上がってたら、いつの間にか書いてました。
投げっぱなしジャーマン。続きなんて(゚ε゚)キニシナイ!!
GJ!
チビっ子かわええwこれがヴィータだったら赤ん坊ですね
差分CGの降りは心当たりがあるなぁ
なの魂氏GJ!
ょぅレ゛ょ化シグナムに萌えさせて頂きましてありがとうございます。あと
>「ちょっとどころじゃねーよ。万札はたいて購入して、期待に胸と股間膨らませてプレイしてみたら、
CGが差分含めて十四枚しか入って無かったってレベルのバグだよ」
アナタもやったんですか・・・・・・あの今年度最凶グラビディブラスト級のソフトを・・・・・・
パッチが出る気配も無い上売りたくても店が買い取り拒否かますシロモノを・・・・・・
これ以上はスレチなんでこの辺で。次回も楽しみにしてますよ!
あんた……なんちゅうもんを見せてくれるんや……。
いやぁ、相変わらず氏はいい仕事しますね、ええGJですとも!
幼女シグナムわろたw想像に難くないw
G J で し た ! !
あぁもう!!
このシグナムもらっていk(紫電一閃
萌え死ぬ……
あなたはとことん私のツボをおしてくる
ディエチの巫女服とか!今回の幼女シグナムとか!
今後も期待してますよ!!!
269 :
魔術士オーフェンStrikers:2008/12/31(水) 00:06:19 ID:vaksS7ZP
お久しぶりです。
もし投下の予約等が無ければ24時20分から
魔術士オーフェンStrikers第十話を投下したいのですがよろしいでしょうか?
>>なの魂氏
いい年でした(乙的な意味で)
魔法少女アイ惨でマヨ吹きました。
そしてチビシグをいじめる沖田でどこぞやの小さい物大好きファミレスアルバイトを思い出しました。
え〜と、時間になりましたので投下を始めさせていただきます。
てか、sage忘れてた…。
ダミアン・ルーウは考える。
背後に走り去る足音を聞きながら、天を仰いで思考にふける。
いつの間にかレリックの入ったケースも無くなっていたが―――恐らくはキリランシェロが持ち去ったのだろう―――それも今やどうでも良い事だった。
鋼の後継、奴に関しても同様だ。必要な情報を引き出した時点であの男は役割を終えている。何をしようが知った事ではない。
(――――必要な情報、か…)
その皮肉に思わず失笑する。いや、実際笑い話にもならない…。
キリランシェロが語った顛末はおよそ自分が運び進めるつもりでいた脚本とは大きく異なるものだった。
領主様との盟約に背いたディープ・ドラゴンの長。
貴族連盟の勅命を無視した王都の魔人プルートー率いる<十三使途>の聖域への独断進行。
我々を裏切り、更に聖域すら出し抜こうとしていたユイスの暗躍と、その目的。
聞いただけで頭が痛くなりそうな自体の連続ではあった。およそイレギュラーだらけだ。
…だが真に自分を落胆させたのはそんな事ではなかった。
第二世界図塔。聖域において魔王召喚機とも呼ばれる装置。
大陸に破滅をもたらす女神を殺す事が出来る唯一の存在、神殺しの魔王スウェーデン・ボリーを召喚するための装置。第二世界図塔の力で魔王を召喚し、その魔王に女神を殺させる。
それが我々最接近領の、いや正確には自分と領主様の計画であった。
―――リスクの大きい計画である事は否定しない。だがそれでもこれがもっとも現実的な手段であるとダミアンは今なお確信していた。
少なくとも聖域だけを残して大陸全土を捨て去ろうとしていた聖域のドラゴン種族らよりは…。それを―――
(何だそれは。そんな事に何の意味がある…)
苦虫を噛み潰すような心持ちで呟く。あの黒魔術士は確かに言った。
『第二世界図塔から得た魔王の力でアイルマンカー結界から大陸を解き放った』と。
と、唐突に轟音が轟いた。天を仰いでいた視線を音源の方へと向けると奥でわずかに魔術の光が見える。言わずもがな、彼が走り去った方向だ。
そちらを感情の篭らない瞳で見つめる。本来精神のみの存在である自分には眼球どころか視覚すら必要としないのだが―――。
余分な遺産。抜けきらない人間でいた頃の感覚に今度こそ苦笑を漏らしながら白魔術士は一人ごちる。
(…確かに女神が大陸を危険視していたのは自身の力でも突破出来ないアイルマンカー結界があったがゆえだ)
瞑目し、祈るような心地で静かに認める。
そうだ、結界の穴から外の世界を見てきた自分は知っている。結界が外れてしまえばキエサルヒマ大陸はただのちっぽけな小陸に過ぎない。
少なくとも結界外の世界全土と比較すれば狭小と言わざるを得ないだろう。
結界を脅威に思うからこそ女神は攻めてくる。ならばその結果そのものを消してしまえばいい。
短絡的とも言える極論だが…。理解できないわけでもない。
――――だが…。
「だが、それは滅びを受け入れるのと同義だ…。虚無主義だ!」
唐突に湧いた憤怒と共に吐き捨てる。あの黒魔術士は理解していたのだろうか…。結界の破壊とは、それすなわち大陸の未来を女神に委ねるという行為だ。
仮にこの先、万が一にも女神の気まぐれか何かで結界を失った大陸が破滅を免れ続ける。そんな奇跡が在ると…?
答えはいともあっさりと導き出せた。あの大陸に住まう者ならば誰でもこの答えに辿り着くはずだ。
「在り得ない。祈るべき神のいないこの世界でそんな奇跡は絶対に起こらない…」
絶望しかないのだから起こり得る筈もない。
誰にともなく確信する。キエサルヒマは滅びる。それこそ、女神のほんの気まぐれで…。
「――――――フッ、ハハハ…」
笑いが漏れる。肉体を捨て去り、精神のみの存在となって幾年月。大陸の存続のみを目的に生きてきた数十年はここに無為となった。
憤慨するべきなのかもしれない。号泣しても許される事なのかもしれない。だがどういうわけなのか、湧いてくる感情はどこまでも空虚だった。
暗闇の中、意味も無く止まらない哄笑とは裏腹に心が急速に乾いていくのが分かる。
ああ、そうか――――
狂ったように笑い転げながら、裏腹に冷めた胸の内で悟る。この感情の正体を…。長く、自分自身に問い続けていたモノの答えを…。
彼はこの時ついに、ようやく――――絶望するに足る理由を見つけたのだ。
魔術士オーフェンStrikers 第十話
「ウオアアアアアアアアア!!!」
ほぼ半壊した列車内、絶叫…いや、もはや咆哮と呼ぶに相応しい雄叫びを挙げながら赤髪の少女、ノーヴェが駆ける。
ある一点、自分と相対する黒服の男目掛けて。
(この野郎この野郎この野郎!!ぜってぇ許さねぇ…不意打ちなんて汚ねえ真似かましやがって!!)
紅蓮に染まった思考で毒づきながら、頭のどこか冷静な部分―――彼女の戦士としての部分が数秒前の光景をフラッシュバックさせる。
振り返った直後の、まるでタイミングを計ったかのように背後から扉越しに放たれた砲撃魔法。
自分のISが無ければ、そして直前に紡がれた呪文を聞いていなければ反応すらできずに列車の遥か後方まで吹き飛ばされていただろう。
(…チィッ)
完全には避け切れなかったのか、その頬には生々しい火傷の痕がくっきりと刻まれている。
チリチリと痛むそれはあの光熱破が物理設定での攻撃である事を克明に告げていた。
非殺傷設定じゃないのか?管理局員のクセに…?
解せない。が、彼女はその疑問を瞬時に打ち消した。今はそんな事はどうでもいい。幸いあの手の魔導師の仕留め方は心得ている。
相手は砲撃魔導師だ。接近戦にさえ持ち込んでしまえばあんな魔法怖くない。距離はあと三歩の所まで詰まっていた。
(バカが!こんな距離になるまでボケッと突っ立てんじゃねぇよ!)
半身の姿勢で短剣形のデバイスを構えたまま微動だにしない男を睨み据える。砲撃など許されない距離。完全に彼女の間合いだ。
「くたばれッ!!」
裂迫の叫びと共に鋼鉄の右足を振り上げる。瞬激の回し蹴り。常人離れした体のバネにより繰り出されたソレは凶悪な威力と速度でもって男の頭蓋を粉砕しにかかる。
当たれば文句無く必死の一蹴。だがその鋼の蹴撃が彼の頭部を抉ろうとする刹那、男が動きを見せる。
迫り来る旋風に対し微塵の躊躇いも見せず滑らせるように一歩踏み込み、あっさりと蹴りの軌道の内側へ張り付く。
ノーヴェの顔色に少なからぬ驚愕が浮かぶ。この場面で距離をとらず逆に懐に踏み込んでくる砲撃タイプの『魔導師』など彼女のノウハウには存在しなかった。
そんなこちらの様子など意に帰さず、男は距離を潰され威力の死んだ蹴りを肘を振り上げて受け止める。
「――――ッ」
更に男は腕に力を込め、こちらの右足を弾き返すとごく自然な動作で懐へと潜り込み無防備なわき腹に右拳を軽く触れさせる。
「ッの野郎!!」
容易く間合いへの侵入を許したのがプライドに触ったのか、苛立たしげな声を上げながらノーヴェが男を引き剥がそうと再び足を振り上げる、が―――。
「―――フッ!」
それよりもわずかに速く、短い息吹と共に男の足元から爆発するような鋭い踏み込み音が響き渡る。
ノーヴェは知る由もなかっただろう。そんな技術があるという事すらひょっとしたら、彼女は知らなかったかもしれない。
支援
これこそが彼の師、チャイルドマン・パウダーフィールドの秘奥にしてオーフェン自身の切り札の一つでもある密着状態から放つカウンター、すなわち「寸打」である。
相手のミリ単位の挙動から打撃タイミングを導き出すこの打法のパターンは二種類。
拳から身を引こうと後ろに下がればその勢いを利用し、そのまま相手を後方へと吹き飛ばす。シグナムとの模擬戦で使用したのがコレだ。
そして、もし逆に相手が踏み込んで来たのなら―――
メキリ…と岩か何かを鈍器で砕くような音が響く。異音の発生源は男の拳、いや彼の拳が深々と突き刺さっているノーヴェの腹部から―――。
「……カ…ハァッ……」
肺から空気を搾り出し、振り上げかけた彼女の右足が力を失い地に落ちる。
他者から初めて受ける容赦のない打撃。それは彼女のこれまでの人生最大の衝撃となってその体を貫いた。
ついさっきまで羽のようだった手足が鉛のように重い。腹部を襲う鈍痛に声も出せない。呼吸を司る器官は与えられた衝撃にその活動を放棄させられている。
彼女にとって、それら全てが未知の感覚だった。
尋常ではない痛みに前のめりに崩れ落ちるのと同時に抗いがたい―――しかし心地良さとはほど遠い類の睡魔が襲ってくる。
(フザ、けんな……、何だ…っよ、これ…何で、アタシが―――)
意識が混濁する。ある種恍惚すら感じながら闇へと落ちてゆく最中―――
「悪いな…。武器持って襲い掛かって来る相手にゃあ誰だろうが手加減しない事にしてるんだ」
「…ッ……て、…め……」
若干の居心地悪さを匂わせるその言葉にカッと、酸素負債で堕ちかけていた意識がわずかに白熱する。
依然体は動かぬまま。だから地に伏したまま眼球だけをギリギリと動かしその男を視界に収める。
男も自分を見下ろしていた。横たわる自分に向けて油断無くその斜視に近い眼差しを向けている。
(――――――ッ――)
その顔を、その姿を、決して忘れまいと脳裏に刻み付ける。
必ず倒すと心に誓いを立てる。自分のプライドを傷つけた男、初めて完全な敗北を喫した相手へと憎悪の視線を送りながら、
―――やがて彼女は意識を宙へと手放した。
「―――――よし、ここはもう大丈夫だな?」
完全に気を失い地面に横たわる少女をエリオがバインドで編まれた手錠で拘束し終えるのを待つと、オーフェンは足を扉―――はもう無い。彼が吹き飛ばしてしまった―――の方へと向けた。
「え?」
背後でエリオが疑問の声を上げる。
「どこへ行くんですか?」
意味が分からないというようなエリオ―――キャロもか―――の方へわずかに振り返りながら、
「リィンが列車を止めに向かったはずなのに停止する気配がまるで無い。何かあったんだ。ひょっとしたらその女とは別に襲撃者がいるのかもしれない」
「じゃあボク達も」
「いや、お前らはここに残ってくれ」
こちらに走り拠ろうとするエリオを手で制しながら言う。
「でも…」
「違うんだ。万が一彼女が目を覚ました時、見張ってる奴が居ないと逃げられる可能性がある。いい加減なのは達も追いついてくる頃だろうからそう心配はいらないと思うが…」
視線をエリオとキャロから赤髪の少女へと転じる。
―――ダミアンはこの少女の事を知っているような口ぶりだった。
我知らず拳を固める。ただしエリオ達には気取られない角度で。
一刻も早くこの場に駆けつけるために一も二もなく飛び出して来てしまったため結局ダミアン自身からはろくな情報が引き出せなかった。
「…彼女には聞きたい事がある。油断して逃がすような真似は出来ればしたくない」
その言葉に―――
「えっと…聞きたい事ってひょっとしてダミアンって人の事ですか?」
その言葉に対する反応は予想外の方向から発せられた。
「キャロ…?」
エリオが驚いたようにチームメイトの方を向く。オーフェンも彼に習って首を回して彼女の方へ視線を向けた。
「…何故、奴の事を?」
思ったよりも硬い声で話しかけてしまった事に若干焦りながらフォローを入れる。
「いや、確かにその通りなんだけどな。奴とは…まぁ、色々あって――彼女がダミアンの事を知っているんなら情報が欲しいんだ」
「…………………」
するとキャロはスカートの裾をモジモジとさせながら何かを迷うような仕草を見せる。
「ん、どうした?」
「そ、その…」
だがそれでも促してやると彼女は存外素直に話し始めた。チラチラとこちらの様子を窺うように…
「つまらない、事なんですけど…結界の中から出てきてから、ていうか、あの…ダミアンさんって人に会ってから、なんとなくオーフェンさんの雰囲気が変わったような気がして…。
その、前よりちょっと、怖い感じっていうか―――ご、ゴメンなさい!怖いって言っても別にその、お、おかしな意味じゃなくって」
言葉の途中で失言を感じたのかキャロが顔を真っ赤に染めて捲くし立てる。わずかに涙目になりながら慌てているその様は同情を引くが、なんとなく愛嬌を感じるようでもあった。
わたわたと手を振り回しながら言い訳――だかなんだかよく分からないもの――をしゃべり続けるキャロを励ますようにフリードが彼女の周りを鳴きながら旋回する。
「う〜ん…」
オーフェンは考え込むように腕を組むとそちらから一旦目を離し、
「俺って怖いかぁ?」
自分を指差しながらキャロの隣にいるエリオに話を振った。
「はい」
少年が考える間も見せず一切の迷い無く頷いてくるのを見てオーフェンは自分の頬が引きつるのを感じた。
「……言い切りやがったな」
「え?えっと、すいません…。あまりにも考える余地がない質問だったので――痛っ!何でぶつんですか!?」
とりあえず彼の頭をベシン!と引っぱたいてやってからオーフェンは一つガスを抜くつもりで大きく息を吐くと未だに何やらしゃべり続けているキャロの頭を帽子の上からポフポフと叩いてやる。
「あぅぅ……」
狼狽するキャロにオーフェンはわずかに苦笑しながら、
「雰囲気、てのは自分じゃ分からんが…そうだな。余裕がなくなってるのは確かかもな…。怖がらせちまったんなら謝る」
「す、すいません…」
頭に手を置かれたままシュン、とうな垂れるキャロに再び微苦笑を漏らす。
「とにかくここを乗り切ったらダミアンの事もちゃんと話す。だから今はとにかく―――」
刹那、悪寒を感じてオーフェンは腰の鞘からフェンリルを抜き放ちその場で背後に向けて横薙ぎに一閃させた。
ギィンッ!―――と、鈍い金属音と共にフェンリルを握っている手に軽い衝撃が伝わる。
(何だ!?)
弛緩しかけていた神経を瞬時に張り詰め直す。それと同時、自分を襲ったモノの正体を確かめるヒマもなく、闇の中から自分がたった今出てきて、
そして向かおうとしていた方向―――すなわち重要貨物車両の方から無数の気配が飛来してくる。
オーフェンは迎え撃つように両手を掲げ、叫んだ。
「我は紡ぐ光輪の鎧っ!」
呪文に呼応するように無数の光の輪で編まれたような防御壁が自分と、後ろの2人を守るように展開される。
それに一拍遅れて連続した金属音が防御壁を叩く。勢いを失って次々と地に落ちるそれをオーフェンの瞳が捉える。
小振りなナイフ。それは持つ部分が異常に小さい、刃の部分が尖端から小さな扇状に広がっている奇妙なナイフだった。スローイングダガーの一種なのだろうが…。
(ともかく、他にも敵がいるって読みは当たってたワケだ…)
次撃が来ないのを確認して、オーフェンは防御壁を解いた。と、その瞬間を狙っていたとでも言うように再び暗闇から何かが飛び出してくる。
が、今度はナイフの類ではなかった。
弾かれたような速度、地を這うような動きで何かが―――いや、誰かがこちらに駆け込んでくる。
手振りで後ろの二人に離れてろと告げるとオーフェン自身も構えをとる。
(魔術は…無理だな。もし狙いが外れて向こうの通路を壊しでもしたらここで立ち往生するハメになる。素手でねじ伏せるしかないか)
決して短くない距離を凄まじい速さで疾駆する相手を見据えながら胸中で一人ごちる。敵の技量は定かではないが、あの赤髪の少女と同等程度の使い手ならば不可能ではないはずだった。
と、距離が近づいたためか相手の姿が鮮明になる。矮躯の少女…いや、というよりもむしろ―――
(ガキ!?)
その姿はエリオ達とそれほど背丈も違わないであろう子供だった。
「シッ」
こちらのわずかな動揺を見て取ったのか、速度は緩めぬままにかすかな息吹と共に少女の腕が鞭のようにしなる。
その手には先ほど投げつけられたものと同じ型のナイフ。
「ッ、チィ―――!」
近距離から真っ直ぐこちらの眉間に向けて放たれたそれを滑らせるように体を沈めてかわす。
頭部をわずかに掠っていく刃物の感触に舌打ちしながら中腰の姿勢のままオーフェンは少女に向けて一歩踏み込むとそのまま拳を突き出した。
真正面から突進してくる少女に対するカウンターでの一撃。避けられるようなタイミングじゃない。
「―――――」
だが少女は顔色一つ変えず、ナイフを持っていた手とは違うもう一方の手をわずかに閃かせる。
支援する!
「ッ…!」
その意味を理解するよりも早く体の方が勝手に動いた。拳は突き出さずに両腕を交差させて顔面を守る。
敵を目の前に視界を塞ぐような真似は避けたかったが他にどうしようもなかった。
遅れて左腕に焼けるような痛撃が走る。だがオーフェンはそれに構わず両腕を解いた。
予想通りというかべきか、少女の姿はオーフェンの視界の中には無かった。
(…………………)
腕に刺さったナイフを引き抜き、痛みに舌打ちしながら背後を振り返る。そこに果たして、少女はいた。
ただその距離がまたかなり離れている。車両の中央にいる自分達からもっとも遠い位置、つまりはこの車両の最端に少女は存在していた。
長くウェーブのかかった銀髪に―――今気が付いたが―――左目に眼帯をしている。
よくよく観察してみれば風変わりな格好の少女だった。
彼女はその小さな肩にあの赤髪の少女を担いでいた。担いだまま、こちらに向けて厳しい視線を送り続けている。
「――――通信が一向に通じないのでまさかとは思ったが…。駆けつけて来て正解だったな」
「お前は……」
こちらの腕の傷を心配してか駆け寄って来ようとするエリオとキャロを手で制し、魔術で傷を塞ぎながら少女に話しかける。
「お前達は仲間なのか?」
「………ならば、どうだと言うんだ?」
ジリジリと後ろに退がりなら―――どのみち行き止まりだがそうせずにはいられないものなのだろう―――憮然とした表情で少女が答える。
「ダミアンもか?」
「なに…?」
それは予想外の質問だったのか少女の眉が不思議そうに上がる。
「貴様、なぜダミアン殿の事を………」
警戒の色を濃くする少女に向けて再び口を開こうとしたその時、ふいに気配を覚えてオーフェンは天を仰いだ。
「ッ!?チィ、やはり時間をかけすぎたか!」
こちらに習ってか、同じように上を見上げた少女が焦燥の声を漏らすのが聞こえた。
その刹那、突如現れた桜色のバインドが意思のあるロープのように銀髪の少女の上半身に絡みつき、その体を拘束してしまった。
「くっ!?」
自由を奪われ苦悶の声を上げる少女の事は一旦無視する事にしてオーフェンは天井に開いた穴から降ってくる二人の女性に声をかける。
「なのは…フェイトもか」
「すいません、遅くなりました!ちょっと数が多くて手間どっちゃって…」
申し訳なさそうに頭を下げるなのはに手を振って答える。フェイトの方にはエリオとキャロが駆け寄っていた。
近寄ってきたエリオが若干の手傷を負っている事に気付いてオロオロと狼狽する彼女を見ながらオーフェンは隣に降りてきたなのはに問いかける。
「ヴィータはどうしたんだ?」
「あ、はい。ヴィータちゃんには列車の制御室の方に向かってもらいました。リィンがティアナ達のフォローに向かったってシャーリーから念話で聞いたので」
それを聞いてオーフェンは不安そうに顔を曇らせる。
「大丈夫なのか?アイツで…」
制御室なるものがどのようなものかは定かではないが、どのようなものだとしてもこれだけの重量物を自動で動かす代物が単純な造りをしているとはオーフェンには思えなかった。
そんなこちらの懸念に気付いたのか、それとも単に気付かれるほど顔に出ていたのか(恐らく後者のように思える)なのはが苦笑いしながら言ってくる。
「心配いりませんよ。操縦の手順はロングアーチの子達が指示してくれますから。それより―――」
そう前置くとなのはは表情を引き締め、背後に振り返る。彼女の視線を追うとそこには拘束されたまま佇む銀髪の少女の姿があった。
今は抵抗もせずおとなしくその場に座り込んでいる。
「彼女は、一体?」
彼女の質問に肩を竦めて答える。
「俺が聞きたいくらいだよ…。俺が少し前にライトニングスから分断させられたのは聞いてるか?」
「はい、ロングアーチから報告がありました。術式も魔力反応すら見せずに転移させられた、って話でしたけど」
ちょっと信じられませんけど…と付け加えるなのはに頷きながら、
「その辺の事は戻ってから全員の前で話すよ。ともかくダミアン――俺を転移させた奴の事だが――の話じゃあの女達は俺とダミアンに話をさせるため、
いや、他の奴に話を邪魔させないために来たみたいな口ぶりだった」
「……何でですか?」
「さぁそこまでは、な。だがダミアンと彼女らが協力関係にあるのは間違いなさそうだ―――」
「あ、えっとそっちの事じゃなくて…」
「うん?」
手を振ってこちらの言葉を遮ってくるなのは。
「その、ダミアン…さん?は何でそんな事までしてオーフェンさんとお話したかったんですか?」
「――――――」
それは、ある意味核心を突いたセリフではあった。ダミアンの目的が自分との接触であった事は間違いない。
理由もハッキリしている。ただそれをそのままなのは達に言うのはどうにも憚られた。
(世界を滅ぼす女神を殺せる魔王を召喚する事が出来たのか出来なかったのか聞きにきたんだ、なんてな。
事情を知らない奴が聞いたら気が狂ったと思われても仕方ないだろ、実際…)
「オーフェンさん?」
「ん、あ、ああ。悪い、ちょっと考え事を―――」
話の途中で急に黙り込んでしまったこちらを不審に思ったのか首を傾げるなのはに慌てて答える。
と、直後―――――。
「あああーーーーーーーーーーーーー!!!」
車内全体をビリビリと振動させるほどの甲高い大音声が轟いた。
「な、何だ!?」
あまりの声量に思わず耳を塞ぎながら振り返る。
そこには反対側の入り口―――かなり遠い―――でビシィ!とその小さな指をこちらに突きつけたまま大きく口を開いているリィンと、その後ろで息を喘がせているスバルとティアナの姿があった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「――――――――――――」
モノレールの遥か上空、精神の王たる彼はただ眼下を見下ろしていた。
物理に作用されないその体は打撃のような激しい強風の中悠然と佇んでいる。
本来何も映さない瞳―――今はどこか濁ったモノを感じさせるその瞳を、手で覆えるほどの小ささになった列車に向け―――
ただ…ただ…機を待ちながら…。
魔術士オーフェンStrikers 第十話 終
以上で投下を終了します。支援してくださった方ありがとうございました。
>>282 本音スレには行かなくていいのか?
向こうに待ってる人いるぞwww
年が変わる前に続き読めてよかった、GJ!
公式ですっかり魔王扱いされてるんだよなw
おっと、感想忘れてたよ
スマンかった。
>>282 すごく面白かった。
文章力上がった。
化けたよアンタ。
自演じゃないですよ。
以上で投下終了です。
支援感謝&お目汚し失礼しました。というか投下間隔空けすぎだろ自分。前回の投下は一体何ヶ月前だったっけ…。
まぁ全ては自分の遅筆と執筆時間取れない忙しさのせいなんですが…。
一応ラストまでの展開は全部頭の中で組み立ててあるので途中で投げ出す事だけはないと思います。
あとかな〜り前に拍手コメでオーフェン続編の報を教えてくれた方、本当に遅ればせながらですが感謝の謝辞をありがとうさせてください。
あれが無かったらきっと永遠に気付かなかったと思います。ファン失格ですいません。
上に投下終了宣言あるけど向こうにあったので一応貼り貼り
こんばんは。
一話パートBが書きあがりました。
ぶっちゃけパートAより長いので、6〜7レス投下したら5〜7分の休みを入れ、さるを防ぎたいと思います。
勿論支援をいただければ幸いです。
戦闘パートは書いたことがあまり無いので苦手ですが、投下して大丈夫ですか?
支援
リリカルガウザー
一話「闇の騎士、魔法の国へ」パートB
ホテル・アグスタ六階の高級ルームの一室。
この部屋では、五十代くらいの白髪の女性が、自分の指にはめられた数多くの指輪を見ていた。
それぞれの指輪には大きなダイヤモンド、サファイア、エメラルド等の高価な宝石が付けられている。
「う〜ん…美しいわ…」
この女性は大手化粧品会社の女社長で、なによりも宝石が大好きだった。
会社での会議の途中でも自分の指にはめた宝石たちに見惚れ、会議を有耶無耶にしてしまったことも数多くあった。
だが、彼女にとってそんなものはどうでも良かった。
むしろ自分たちが愛する宝石をずっと見ていられるのならば、例え自分の会社が無くなる事になっても構わないとさえ思っていた。
「でも、そろそろお腹空いたわね…」
とはいえ宝石への愛着だけで腹が膨れるわけも無く、流石に空腹は感じ、室内に設置された時計を見てみる。
時計の針は12時半を示していた
「ホテルマンさん遅いわねぇ…どうしたのかしら?」
ホテル・アグスタは、食事の準備が整った場合、ホテルマンが決められた時間に呼びに来る事になっている。
昼食の場合ホテルマンが来るのは12時のはずなのだが、もう30分も遅れている。
女性は「まぁ、良いか。何か都合が悪いのかもしれないし」と思い、食堂に向かおうとすると、インターホンが鳴った。
「あ、はい!今開けます!」
女性はそう言い、ドアの方に歩いた。
そして「一応遅れたんだから少し注意でもしようかしら?」と思いながらチェーンを外し、ドアノブを回してドアを開いた。
だが、扉の向こうにいたのはホテルマンではなかった。
「!?、きゃあああああああああ!?」
ドアの向こうにいたのは、金属バットに似た姿を持つ異形のモンスターであった。
モンスターは女性の首を左手で掴み、ゆっくりと持ち上げた。
「だ…誰か…」
「ふっふっふ、貰うぞ、貴様のラーム!」
モンスターがそう叫んで口から息を吸うような動作をすると、女性の口から輝く黄色の光が放出され、モンスターの口に吸い込まれていった。
やがて光が女性の口から出なくなると、女性は生気を失ってガクリと頭を下げ、残った肉体は消滅した。
この黄色い輝きがラーム、人間が持つ生体エネルギーの一種である。
このラームがダークザイドの食料であり、生きる為の生命力でもあるのだ。
そして女性のラームを吸ったモンスター・闇生物バドールはスーツを着用した少し体型が太めのホテルマンに変身し、唇を手の甲で拭った。
「はっはっは、金持ちの人間が持つラームは最高だ。腹が満たされる。はっはっはっは!」
ホテルマンに変身したバドールは君の悪い笑い声を上げながら、女性が居た部屋の玄関から去っていった。
:
黒岩はシャッハ、セインの案内で、行方不明事件の現場であるホテルアグスタまで来ていた。
本当は速やかに捜査を行い、ダークザイドと思われる人物と接触することが目的であった。
本当にそれだけが目的であったのだが…
「うわ〜♪綺麗なドレス…こんなドレス、着てみたかったんだぁ〜」
「セイン!遊びじゃないんですよ!」
「だって、シャッハだってドレス着てんじゃん。」
「こ…これは、場所に相応な服装をしようと思ったから来ているまでです!こんな豪華な場所に、修道服では失礼です!」
セインは水色の、シャッハは赤みがかかった桃色のドレスを身に付け、黒岩の後を歩いていた。
せめて黙っていてくれればまだ許せるものの、お互い口喧嘩をしながら付いてくるのだから溜まったものではない。
他の利用客たちの自分達を見つめる嘲笑と侮蔑の視線がとても痛かった。
「大体何その胸を強調したドレス?ペチャパイのクセに見栄張らないでよ!」
「セインこそ、そういうことは人の胸に文句を言う事ができるほど胸を大きくしてから言って欲しいですね!」
「何よ!この貧乳シスター!」
「言いましたね!お子様!」
「おい!煩いぞ!」
視線に耐え切れなくなった黒岩は後ろを振り向き、大声で二人に注意した。
二人は喧嘩を止め、同じタイミングで黒岩の方を向く。
黒岩はこの息の合い方を是非日常生活で実践して欲しいと心で思った。
「だってこの貧乳シスターが…」
「まだ言いますかこのお子様が〜!」
シャッハは両手でセインの頬を掴み横に引き伸ばした。
「ひ、ひひゃいでひょふぉのふぃんひゅうすぃすだ〜!(い、痛いでしょこの貧乳シスター〜!)」
セインもシャッハの両頬を掴み、横に伸ばした。
「やひぃまひだねふぉのふぉふぉはま!(やりましたねこのお子様!)」
注意をしても未だに喧嘩を続ける二人を見て、黒岩はここまでくると感心するとさえ思った。
本当に何処までも涼村暁と速水克彦の凸凹コンビにも匹敵する凸凹シスターコンビである。
だが感じるのは不快感だけではなかった。
この二人のやり取りを見ていると、心のどこかに賑やかさ、楽しさのような感覚を得ることが出来たからだ。
エリもこのようにどこか楽しげな眼差しで暁と速水のやり取りを見つめていたのだろうか?
そう思うと、また自分が未練がましい男だと思ってしまうが、愛した人と同じ体験をすることが出来てと思って嬉しくなる。
そして少し経つと、シャッハとセインの腹の虫が音を出した。
「う…」
「あれ…?」
二人は赤面し、自分たちの腹を手で押さえた。
黒岩も調度腹が空いたと思って時計を見ると、もう1時になっていた。
三人とも昼食はまだのため、食事をするには丁度良い。
「全く、喧嘩のし過ぎだからそうなるんだ。飯を奢ってやる。付いて来い。」
「うん!」
「あ…はい…」
三人は足並みをそろえ、ホテル内に設置された洋食専門レストランに向かった。
:
洋食レストランはかなり込んでいたが、丁度席がひとつ空いていたため、待ち時間無しで座ることが出来た。
そこでセインはサーロインステーキとオレンジジュースを、シャッハはオムライスとコーヒーを、黒岩はスパゲティナポリタンとワインを注文し、食事をした。
「う〜ん!やっぱ高級ホテルのステーキは美味しい!黒岩さん!ありがとね〜♪」
「すみません黒岩さん、わざわざ奢って貰ってしまって…」
セインとシャッハは礼を言うが、今の黒岩の耳には入っていなかった。
なぜなら黒岩は、今自分が一口食べたスパゲッティナポリタンに腹を立てていたからだ。
黒岩は近くに居るウェイトレスを見つけ、スパゲッティの皿を持ち上げると「ウェイトレス!」と声を上げて呼んだ。
すぐにウェイトレスが駆け寄ってくると、黒岩はスパゲッティの皿をウェイトレスに突き出した。
「このスパゲティナポリタンは失敗だ。作り直してもらおうか。」
ウェイトレスが「は?」と首をかしげると、黒岩は目の色を変え、得意の薀蓄を披露した。
「知らないのか?パスタという物は柔らかく、かつ歯応えがある料理でなくてはならない。
これでは柔らかすぎて歯応えが無く、後味が悪くなってしまう。
今すぐ作り直せ。」
「申し訳ありません!」
ウェイトレスは黒岩に謝罪すると、パスタの皿を持ち、厨房の方へと歩いていった。
「ちょ、ちょっと黒岩さん!」
シャッハは慌てて黒岩の耳元に唇を近づけ、焦りながら囁いた。
「これはクレームじゃないですか!良いんですかこんなことして!?」
「フン、間違った料理を行ったこの店に非がある。それに高級レストランとはいえ、料理とは他人に喜んで食べて貰うもの。
不満だと客が言ったなら、客の指摘どおりに料理を作り直して出す。
文句を言わず客の指摘を聞き、満足してもらえる料理を出す店と料理人こそが一流の店と料理人なんだ。
お前達は知らないのか?」
黒岩は作法や礼儀、そして様々な知識を持った紳士的な人間ではあったが、料理やコーヒーの入れ方については煩かった。
地球では秘書であるユリカに自分の好みのコーヒーの味を徹底的に教え込み、食事に行ったレストランのロールキャベツやトマトスープにクレームを付け、作り直させた事がある
黒岩もこういう部分については暁ほどではないものの、傲慢な人間であった。
「お待たせいたしました。」
七分ほど経つと、先程のウェイトレスが作り直したスパゲティナポリタンを持ってきた。
黒岩より先に料理を食べ終えていたシャッハとセインは、彼がパスタを食べ終わるのを待った。
だが黒岩は待っている彼女達などお構いなしと言わんばかりに、パスタをゆっくりと食べた。
「ねえ!早く食べてよ!」
こういうゆっくりと言った状況が苦手なセインは、貧乏ゆすりをしながら黒岩に不満をぶつけた。
だが黒岩はそんなセインの不満を聞くと、セインに目線を向けて語り始めた。
「知らないのか?料理はゆっくりと、味を噛み締めるようにして食べなければならない。それは…」
「ああもう分かった!分かったからお好きな速度で食べてください!」
セインは苦手な薀蓄を聞き流すために、耳を塞ぎながら引き下がった。
セインは黒岩が薀蓄を語り始めるとすぐに流そうとする。
堅いことより楽しいことが好きなセインにとって、黒岩の薀蓄は耳障りなことこの上ないのだろう。
セインの隣に座っていたシャッハはそんなセインを見てふっと噴出してしまうのであった。
:
食事をし終えた三人は、三手に分かれて犯人と思われる人物を探した。
セインが一階を、シャッハが二階を、黒岩が三階を、時間をかけてくまなく捜索した。
だがそれらしき人物は見つからず、三人は一旦合流地点にしていた一回のエントランスに集まった。
「ダメ…全然いないよ。」
「こっちもです。」
「俺の方もだ。やはり犯人の特徴が無いからには、探しようがないな。」
「ホテルの職員の方々に、質問してみましょうか?」
「そうだな。それが良い。」
三人は話し合いの結果、アグスタに居るホテルの従業員たちへの聞き込み調査の開始を決め、設置されているエレベーターの方に向かおうとした。
その時だった。
「…ガウザー!お前ガウザーじゃないか!お前も転移に失敗したのか!?」
「ん?」
「ふぇ?」
「誰ですか?」
階段の方から一人のホテルマンが現れ、黒岩の傍に駆け寄ってきたのだ。
「お…お前は!?」
「久しぶりだな!ガウザー!」
ホテルマンは黒岩の両肩に手を置き、喜びを露にした。
この男、闇生物バドールは、黒岩省吾・暗黒騎士ガウザーの知り合いであった。
バドールは闇次元界から地球にダークザイド達が移住する際、次元移動に失敗して消息を絶ったが、このミッドチルダに流れ着いていたのだ。
それ以来この世界で暮らしていたバドールは、様々な高級ホテルを転々とし、多くの富豪達のラームを吸ってきた。
しかし、今までは極力目立たないよう行動してきたが、このホテル・アグスタに訪れる客達は皆有数の大富豪ばかりだった。
なので節操が無くなってあまりにも多くの人間達のラームを吸いすぎてしまい、大きな事件となってしまったのだ
「黒岩さんの知り合いですか?」
「でもなんでミッドに居るのよ?黒岩さんは地球人でしょ?」
黒岩の両脇に居たセインとシャッハは、黒岩にミッドチルダ人の知り合いが居るということに首を傾げた。
「違う、人違いだ」と黒岩は否定しようとしたが、バドールが擬態したホテルマンは黒岩の両肩から手を離し、シャッハとセインを交互に見た。
「これがアンタの新しい獲物か…しかし一気に二人もモノにしちまうなんて、アンタもやるな!」
「違う!この二人はそんなものではない!」
黒岩・ガウザーが好むラームは、自分に惚れた女のラームだった。
黒岩は何人もの女性を口説き落とし、ラームを吸い取ってきた。
その中で唯一ラームを吸えず、本心から愛してしまった女性が、対ダークザイド対策組織「SAIDOC」の女性隊員・南エリであった。
自分が今まで知らなかった「だるまさんがころんだ」を教えてくれたときの彼女の笑顔は、今でも脳裏に焼きついている。
「違うのか…じゃあ…!」
ホテルマンは、いきなり黒岩を突き飛ばし、シャッハとセインの首を掴んだ。
「うわ!?」
「ぐっ…!」
「シャッハ!セイン!くっ…バドール!貴様!」
「俺がこの女達を食ってやる!金持ちとは言え年寄りばかりのラームで、食中りしそうだったんだ!ヒャッハッハッハ!!」
ホテルマンは不気味な笑い声を上げ、金属バットをモチーフとした不気味な怪人に姿を変えた。
「う…うわああああ!?」
「モンスター!?なら、コイツが…犯人…てやあぁぁあ!!」
シャッハは足を振り上げ、バドールを蹴る。
そしてバドールが怯んだ隙にセインと共にバドールから離れた。
支援!
「ぐぅ…貴様ぁ!」
怒ったバドールは右手を金属バット型の棘付き棍棒に変化させ、シャッハに向けて襲い掛かった。
そしてシャッハはペンダントのような物を取り出すと、胸元に構えた。
「逆巻け!ヴィンデルシャフト!!」
シャッハがそう唱えると同時に、シャッハが着ていたドレスが青緑色の戦闘服に変わり、両手には二刀一対のトンファーが握られていた。
この青緑色の戦闘服こそ、ミッドチルダの魔導師の中で「騎士」と呼ばれる者たちが身につける騎士甲冑であり、両手の「ヴィンデルシャフト」というトンファーが武器である「デバイス」であった。
「何!?貴様魔導師か!?おのれぇ!」
「せやっ!」
シャッハは二刀のトンファーでバドールの棍棒を受け止めると、棍棒をトンファーで挟んだままバドールと共にエントランスの自動ドアから出て行った。
室内では十分な戦闘を行うことが出来ないからである。
黒岩とセインもバドールとシャッハを追い、自動ドアから出て行った。
:
バドールとシャッハの戦闘フィールドはホテル付近にあった森の中に移動した。
シャッハがここまでバドールを誘導したのは、ここならどんなに大きな戦闘をしても被害は大きくなく、屋外のために全力で戦うことが出来るからだ。
「女ぁ…貴様ぁ!!」
「ここなら思い切り戦える!覚悟!」
シャッハはバドールを棍棒ごと突き飛ばすと、光となって周囲を飛び回った。
シャッハが得意とするのは素早さを生かした高速戦闘である。
彼女はバドールが追いつけないほどの速さで木々の間を潜り、バドールに攻撃を繰り返していく。
バドールは闇雲に棍棒を振り回すが、AAAランクの騎士である彼女の動きに追いつくはずも無く、一方的な攻撃を受け続けた。
「このアマぁ…このバドール様に…!」
「今だ!」
シャッハはバドールの体力の限界を察し、光の姿から元の細身の女性の姿へと変わり、バドールに飛び掛りながらトンファーを振り上げた。
「疾風一じ…」
そして止めの一撃をその身に決めようとした瞬間、バドールが頭部を彼女に向けた。
「何!?」
「何てな!!」
バドールの頭部が口のような穴を開き、そこから緑色の粘着質な球体型の液体が発射され、シャッハの体中に浴びせられた。
液体を浴びせられたシャッハはそのまま地面に落下し、うつ伏せになって動けなくなった。
「体が…痺れる…」
シャッハは力を振り絞り、立とうとしてみるが、痺れに苦しめられ、指一つ動かすことが出来なかった。
「ヒャッハッハッハ!俺の特性痺れエキスだ!どうだ?凄い効果だろ?おい!」
バドールは口調を荒げ、シャッハの脇腹を蹴り上げて仰向けの姿勢に強引に変えた。
「がは!」
「よくもバドール様に恥じかかせてくれたなこのクソアマ!」
バドールはシャッハの腹部に何発もストンピングキックを打ち込んで行き、それが終わると棍棒でシャッハの細い体を何度も殴りつけた。
シャッハが痛みに声を上げ、騎士甲冑がボロボロになり、細い肌の一部が露になる。
激しい痛みにシャッハは止めを懇願するが、バドールは拷問のような一方的な暴力を続けた。
シャッハはこの痛みと苦しみに恐怖を覚え、痺れを堪えて顔を逸らした。
だがバドールに髪を掴まれて顔を元の位置に戻されてしまった。
シャッハの顔は恐怖に歪み、目尻には涙が光っていた。
「うあああああああああ!!あ…あああああああああああ!!」
「ヒャーーーーーハッハッハッハッハ!!ヒャーーーハッハッハッハッハ!!」
シャッハが苦しみの悲鳴をあげ、バドールは残忍な笑い声を上げてそれを楽しむ。
そんな絶体絶命の危機のその時、バドールに向けて一枚の名刺が飛んできた。
名刺は物凄い速さで宙を泳ぎ、バドールの長い額に突き刺さった。
「ぐあ!?」
驚愕したバドールはシャッハから数メートル下がり、額から名刺を引き抜いた。
「クソ…誰だ!?」
バドールが名刺を見ると、それには「黒岩省吾」という名前と黒岩相談所の住所、電話番号が記されていた。
そしてバドールとシャッハが名刺が飛んできた方向を向くと、そこにはバドールに向けて指を指す黒岩省吾の姿があった。
「く…黒…岩…さ…」
「ガ、ガウザー!?」
「知っているか!?世界で初めて名刺が発祥したのは、後漢時代の中国だ!士大夫階級の人々が姓名が書いた紙の札を門前に置いた箱に入れ、
取次ぎを頼んでいた習慣が、やがて全世界に広まり、今の名刺交換と言う手段になったという!」
「だから何だ!?」
バドールは黒岩が突然語った演説に困惑し、声を荒げて突っ込みを入れた。
そしてセインが少し遅れて到着し、黒岩の隣に並んだ。
「もう黒岩さん!そんなに速く走らなくても…!?、シャッハ!?」
セインは傷付いたシャッハの姿を見つけ、目を大きく開いた。
そしてシャッハの傍に駆け寄り、彼女を抱き起こす。
「シャッハ!ねぇ!大丈夫!?」
「セ…セイン…だ…い…じょう…ぶ…」
シャッハは既に満身創痍で、話すのもやっとの状態だった。
セインは涙を流しながら傷付いたシャッハを抱きしめ、その光景を見た黒岩は眉間の皺を深め、二人の前に移動した。
「ば…馬鹿な!?暗黒騎士ガウザーともあろう者が、人間を庇うのか!?」
「暗黒…?」
「騎士…?」
「暗黒騎士」
その邪悪な感じがする異名で呼ばれた黒岩の後姿を、セインとシャッハはゆっくりと見上げた。
そして黒岩は、二人の目を少しだけ気にするように横顔を二人に向けると、右手を頭上に構え、再び前を向いた。
「ブラックアウトッ!」
黒岩は頭上に構えた右手をまるで仮面を付けるような仕草で眼前に下ろした。
すると黒岩の顔が刃の装飾が付いた異形の顔へと変化し、四肢と胴の筋肉が盛り上がって体表が異色に染まっていく。
やがて黒岩は頭部に兜を被り、甲冑を身につけた武者のような姿を持ち、背中に一振りの日本刀に似た剣を背負った青い戦士へと変身を遂げた。
これが「ブラックアウト」。
黒岩省吾がダークパワーにより、「暗黒騎士ガウザー」へと変身する現象である。
「う…嘘…」
「く…黒岩…さん…が…」
黒岩の真の姿を見たセインとシャッハの表情は、一気に驚愕と恐怖の表情に彩られた。
だが彼女達を攻めることは出来ない。
人間は信頼していた人間の思わぬ悪の一面を目にしたとき、驚愕や恐怖、絶望を隠すことは出来ない。
彼女達は人間の心理に従った行動を取ったまでなのだ。
ガウザーは彼女達に自分の姿を晒してしまった事に僅かな後悔を感じていた。
少しの間とはいえ、セインやシャッハ、そしてシャッハの上司であるカリムや彼女の弟ヴェロッサ、セインの姉や妹たちと聖王教会で過ごし、新たな黒岩相談所で働いた日々は疲れもしたが楽しかった。
暁にあって自分には無かったものを感じることが出来た。
だからダークザイドの騎士であった時には感じることが出来なかった親しい人間に自分の本性をさらけ出すという行為が、歩み始めたばかりの「黒岩省吾」としての人生の否定、
そして親しい人間の信頼の喪失に繋がると感じたので、彼は後悔を感じたのだ。
だが、今はそんな後悔よりも二人を助けたいという気持ちの方が遥かに強かった。
彼女達二人はエリ意外に始めて本心から助けたい人間であったから、後悔と同時にガウザーとしての力を使い、バドールと戦うという決心が付いたのだ。
戦う覚悟を決めたガウザーは背中に背負った鞘から剣を抜刀し、切っ先をバドールに向けた。
「どこかのグータラな探偵と違って、俺は一宿一飯の恩義は返す主義なんでな。仕事を紹介してくれたこいつらには、借りを返さなきゃならないんだ。」
「訳の分からんことを!知り合いとは言え裏切りは許さん!死ね!」
ダークザイドの社会は上にいる者達を落とし、自らを高い地位に押し上げようとする下克上に似た社会観を持っている。
現にガウザーも幹部である片桐一樹=闇将軍ザンダーや神官モードス、博士ヴィンスーを出し抜き、自らが幹部の地位に就こうとしていたし、
花柳祐司=闇貴族デスターや日向誠=闇魔人アイスラーも、高い地位を手に入れるために自分やザンダーより先にシャンゼリオンを倒そうとしていた。
自分優先の考えを持つダークザイドに他を思いやる気持ちや、義理と人情など存在しないのだ。
なのでバドールに今のガウザーの心情を理解することができないのは当たり前なのだ。
バドールは、ガウザーを単なる裏切り者としてみなし、棍棒を振り回しながらガウザーに突進した。
対するガウザーは剣を構え、バドールに立ち向かっていく。
二人の距離のが傍まで縮まると、ガウザーの剣とバドールの棍棒がぶつかり合い、火花を散らした。
得物が大きい分バドールの方が優勢に見えたが、ガウザーはバドールの棍棒をいとも簡単に刃で受け流し、がら空きになった腹部に裏拳を打った。
そしてバドールが怯んだ隙に剣を即座に持ち直し、三回の剣戟でバドールを斬りつけた。
「ぐああ!?おのれ裏切り者!」
「その程度かバドール!?」
いくら旧知の仲と入っても、バドールは一般クラスの闇生物、ガウザーは幹部クラスの腕前を持った戦士だ。
おまけにバドールが人のラームを吸うことしかしなかった間、ガウザーはシャンゼリオンと激闘を続け、高い能力をさらに伸ばしていた。
勝負は圧倒的にガウザーの方に分がある。
この差は埋められないと感じたバドールは、棍棒の切っ先を地面に座りながらシャッハを介抱しているセインに向けた。
「なっ…!?バドール!!」
「腕で勝てないなら、お前の恩人とやらを殺して戦意を喪失させてからお前を倒してやる!」
バドールの棍棒に付いた棘はミサイルとなり、セインとシャッハの方に飛んでいく。
「は!?…くぅ!!」
気付いたセインはシャッハを庇うように抱きしめ、瞳を硬く閉じて死を覚悟した。
「セイン!」
ガウザーは地面を蹴ってジャンプし、空中で一回転してセインの前に着地する。
そしてミサイルに向けて剣を一閃一閃素早く、そして的確に振って行き、襲い繰るミサイルをすべて切り裂いた。
切断されたミサイルは全てセインとシャッハの遥か後ろまで飛んで行き、地面に激突して爆発した。
「あ…」
「黒岩…さん…」
セインとシャッハはガウザーの行動が分からなかった。
さっきまで自分達二人は、恐怖を含んだ目でガウザーを見たはずだ。
ガウザーが今まで自分たちを騙していたのかもしれないと心の中で密かに疑いもした。
そんな自分達を、ガウザーは体を張って守った。
ガウザー=黒岩ほどの男なら、真の姿を晒したときに自分たちが一瞬でも恐怖と疑惑の目で見たことが分かったはずだ。
なんでそんな侮蔑と恐怖の眼差しで彼を見た自分達を助けたのか、彼女達には分からなかった。
「…大丈夫か?」
ガウザーは二人の方を振り返り、二人を気遣った。
二人はまだ状況が飲み込めていなかったが、首を縦に振って大丈夫だという意思表示をした。
ガウザーは安心したように「そうか」と一言だけ言うと、再び前を向いて剣を構えた。
そしてバドールに向けて一直線に走っていった。
「貴様も痺れろ!」
バドールは再び頭部をガウザーに向け、緑色の球体型液体を連射する。
ガウザーは剣で液体を一つ一つ斬り払いながらバドールに接近し、頭部の発射口を剣で横薙ぎに切り裂いた。
「ぐぎゃあああ!?」
バドールは激痛に雄叫びを上げた。
その隙を突き、ガウザーがバドールの腹部に剣を付き立てる。
そしてガウザーは剣を引き抜き、バドールに背を向けると、剣を鞘に収めた。
「ぐっ…これで勝ったと思うなガウザー…俺がお前に倒されたことは、このミッド中のダークザイドの間に知れ渡る!
お前はこれから、数多くの名声を狙うダークザイドの標的になるのだ!
ヒャーハッハッハッハッハ…グフぅ!」
バドールは捨て台詞を残すと、地面に力なく倒れ、爆発した。
バドールを倒したガウザーは、黒岩の姿に戻り、セインとシャッハの方を向いた。
二人はまだ困惑した表情で黒岩を見ていた。
黒岩は無言で二人に背を向けると、その場から去って行った。
∴
翌日、黒岩は事務所の所長用デスクに座り、頬杖を付いてニュースを見ていた。
珍しく今日は仕事が無かった。
だが、気力が沸かない今はその方が気が楽だった。
黒岩はもうセインとシャッハ、そして聖王教会の人々は自分の元を訪れてくれないと思った。
自分の本性であるダークザイドとしての姿を見せてしまった今、彼女達は自分を恐れ、二度と近づこうとはしないだろう。
寂しさはあったが、地球で悪事を行ってきた自分が生き延びてしまったことへの代償と考えれば、安い罰だと思った。
だが、希望は全て潰えたわけではなかった。
自分はダークザイドを倒し、彼らの上にももう就けなくなった今、皇帝として復活することは出来なくなったが、代わりに「黒岩省吾」として生きていくことが出来るようになった。
これからは聖王教会の人々から与えてもらったこの仕事を行いながら、自分に降りかかる火の粉を振り払って生きていくことを決めた黒岩は、いつまでも沈んで入られないと思い、
テレビを消してネクタイを締め直した。
すると、間が良くインターホンが響いた。
黒岩が「どうぞ」と言うと、ドアが開き、ドアの向こうにいた人物二人が入ってきた。
そして黒岩はその二人を見ると、驚いて椅子から立ち上がった。
「こんにちは。」
「ちょり〜す!」
なぜならその二人が、昨日自分の真の姿を見たセインとシャッハだったからである。
シャッハはまだ怪我が感知していないのか、杖を突いて歩いていた。
「お前達…何故…?」
黒岩は二度と二人が自分の前に現れることは無いだろうと考えていた。
自分が異形の姿に変身した瞬間を直視していたのだ。
普通なら二度とそんな化物と関わりたくなどならないはずだ。
だがセインとシャッハは昨日何も見なかったかのように、いつも通りの調子で黒岩の元にやってきた。
黒岩は二人が何故そんないつもの調子でここに着たのか理解が出来なかった。
だから何故ここに来たのか二人に聞いたのだが…
「何故って、いつもの様子見だよ。ねぇ?」
「はい、様子見です。」
二人は何の疑念も恐怖も持たない純粋な瞳でそう答えた。
「違う!お前達は俺の真の姿を見たはずだ!なのに何故ここに来たんだ!?俺が恐くは無いのか!?」
「…皆で色々考えたんだけどさ、やっぱり黒岩さんは黒岩さんだよ。」
「な…に…?」
ますます分からなかった。
「皆」というのは聖王教会本部に住んでいる人々のことだろう。
その「皆」で色々考えたのであるなら、余計に怪しい存在に近づこうとはしないはずだ。
しかし黒岩がそう混乱している間も、セインの話は続く。
「そりゃ確かに最初は恐かったけど、黒岩さんは体を張って私とシスターシャッハを守ってくれた。
後から考えて分かったんだけど、それって黒岩さんが私達のこと友達だって認めてくれてて、助けたいって思ったから、助けてくれたんだよね。
そんな良い人の傍を、皆と違うからって理由で逃げて行っちゃったら、黒岩さんのこと傷つけちゃうよ。
ね?シスターシャッハ!」
「はい、その通りです。それに黒岩さんが助けてくれなかったら、確実に私は死んでいました。」
黒岩は呆れた。
そんな単純な理由で怪物に近づいてきたこともだが、何より自分を良い奴と勘違いしているところに呆れた。
自分があんな化物と知り合いだった時点で、自分も以前は悪魔のような残忍な性格をしており、もしかしたら聖王教会を乗っ取るために近づき、皆を騙しているかもしれないと普通は疑うだろう。
そんな心を隠しているかもしれない相手に近づくなど、自分なら絶対にしない。
だが、不思議と悪い気分はしなかった。
黒岩は地球で人間の強さ、愛の甘さと儚さを学んだが、こういった感情を持ったのは初めてだった。
これが暁と速水が持っていた「友情」と言う感情なのかと考えてみると、自分がまた新たな物を得たと感じることが出来て、人間に近づけたような感じがする。
「ねぇ黒岩さん、私達、これからもここに来ちゃ駄目かな?」
「あの怪物の情報も欲しいですし、やはり仕事の様子が気になるので。」
「…好きにしろ。」
黒岩はもう人間のラームを吸うことを禁じたため、残り少ない命なら残された時間で人間を学んでみようと思った。
暁が守り、エリが愛した人間と言う生き物。
今まで様々な人間の汚い部分を見てきたが、これからは人間の綺麗な部分にも目を向け、新たな人間についての知識を学んで地獄に行こうと、黒岩はこの時決心した。
投下終わりです。
今回はダークザイドの残忍性をあらわすために少し趣味の悪いテイストにしてしまいました。(ダークザイドのギャグ風味が好きな方すいません)
あとシャッハの性格壊しすぎですかね?
次回は新黒岩相談所設立前の零話を書こうと思っています。
流石に他のナンバーズやカリム達との交流も描きたいので。
しまった…文章が抜けてる部分があった…
もう寝なきゃいけないので明日直しときます。
予約がないようでしたら今年最後の投下――クウガクロスの第三話を投下したいと思います。
とりあえず8時から投下開始と予約しておきますね。
それでは投下開始します
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同日、海鳴市内オフィス街―――06:48 p.m.
「――で、つまりそのクワガタには逃げられてもうたん?」
「うん……悔しいけど、まさかなのはの砲撃が効かないなんて……」
作戦失敗から数分後、フェイトとなのはは既にバリアジャケットを解除し、アスファルトへと降りていた。
二人が浮かない表情で、現在の状況を説明する相手は、同じ年頃の、関西弁の少女。
それから、それに付き従う金髪の女性――八神はやてと、その騎士シャマルだ。
「でも、なのはちゃん達が無事で良かったわ。
買い物帰りに歩いてたら、突然ここで結界が張られて、本当に何事かと思ったわ」
「にゃはは……心配掛けちゃって、ごめんね」
現状はシャマルが説明したとおり。
どうやら八神はやてとシャマルの二人は、夕飯の食材を揃える為にスーパーへと買い物に出かけていたらしい。
買い物自体はすぐに済ませたのだが、スーパーからの帰宅途中、シャマルがこの近くで何者かの結界を察知したという。
一応はやても魔法の関係者である以上、それを見過ごすわけにも行かず、様子見がてらここに立ち寄ったのだという。
ちなみにはやてはシャマル以上に元気にダッシュしていたらしい。
足の調子は順調だ。
「でもそんなんやったら、変に気遣わずに私らも呼んでくれたら良かったのに……」
「うーん……だってまさか、あのクワガタムシがあんなに堅いなんて思わなかったから」
「うん……それに、凄く強引だったね。なのはの砲撃の中で無理やり進んだり、結界を力づくで突破しようとしたり」
なのはに続いて、フェイトが真剣な表情で語る。
特にフェイトは、なのはの砲撃の威力を痛いほど良く知っている。
それ故に、まさかあの未確認飛行体が無傷で済むとは思わなかったのだろう。
一方ではやてはというと、身をもってなのはの砲撃を受けたことがある訳ではない為に、
フェイトほど切実になのはの恐ろしさを知っている訳ではない。が、なのはの砲撃魔法が自分と並ぶほどに強力だという事は良く知っていた。
それ故に未確認飛行体の防御力の高さが異常なほど高いのだろうという事は想像に難くは無かった。
そんな事を一同が考えていると、なのは達の背後にゆっくりとクロノが着地した。
「どうやらあの未確認飛行体、何かの装甲に包まれてるみたいだったけど……
もしかしたら魔法じゃダメージは与えられない素材なのかも知れないな」
「え、えぇぇぇぇ……!? そんなの、どうやって相手にすればいいの!?」
「……それはまだ解らないけど。それよりなのは、フェイト……
君たちはあの未確認飛行体に一度でも攻撃されたかい?」
クロノの質問に、なのはとフェイトは顔を見合わせる。
そういえば忘れていたが、あの飛行体は自分達に一切の攻撃を加えてはこなかった。
あれはあくまで任務であって、自分達はあの飛行体に敵意があって攻撃を仕掛けていた訳ではない。
とは言え、それを考えると一方的な攻撃、という点にだけは少しだけ罪悪感を感じない事もない。
なのはとフェイトの二人は、クロノの質問に首を振ってこたえた。
「そうか。じゃあ多分、あれは現時点では誰かに危害を加えるつもりはないんだろう」
「それよりも、どちらかというと……何処かに向かおうとしていた?」
「まぁ……その可能性はあり得ない話じゃないな」
フェイトの言葉に答えながら、クロノは目の前に空間モニターを展開させた。
モニターに映った相手は、アースラでオペレーターとして勤めているエイミィだ。
クロノはエイミィに、引き続き未確認飛行体の進路を付き止めるように依頼。
エイミィは快くそれを了解し、通信を切断。恐らく捕捉にそれ程の時間はかからないだろうとのこと。
では飛行体を補足した後の事も含めて、これからどうしようかと、クロノが思考を巡らせようとするが。
「まぁでも、ここまで話を聞いたからには私らも参加せぇへん訳には行かへんなぁ」
「そうですね、私達になんの活躍の場も設けられないまま作戦失敗なんて……流石にね」
クロノに考える隙を与えず、買い物袋片手に意気込むはやて。シャマルもまた、微笑みを浮かべている。
どうやらこの二人的には、日常生活に支障が出ないようにと気を遣って貰った事には感謝したいが、
それでも自分たちだけが作戦行動に収集されなかった事に関しては少々不満らしい。
なのはとフェイトは、こうなったらもう仕方ないとばかりに、はやてと笑みを交わす。
今度こそ、あのクワガタを捕まえる。一同はそう、固く心に誓ったのであった。
EPISODE.03 邂逅
平成13年1月30日―――平成16年4月8日
その日から五代雄介の、時空を超えた冒険が始まった。
三年間という短くも長い時間を飛び越え、さらには並行世界の壁すらも飛び越えて。
0号との決戦後、五代が目を覚ました時。そこは既に五代の知っている時代ではなかった。
しかしそれは、五代が生活していた世界と限り無く似た特徴を持った世界。
それ故に五代は、その事実にはまだ気付いてはいない。
ただ一つ、五代が現時点までに気付いたのは、時間を超えたということだけ。
まさか並行世界の壁までも超えてしまったとは、思いもよらなかっただろう。
同日、東京都文京区某所、ポレポレ前―――07:34 p.m.
使い慣れた駐車場に、五代はビートチェイサーを停車させ、ヘルメットを外す。
本日昼ごろ、国道沿いに進み続けた五代は、ようやく自分が居た海鳴市という街の所在地を把握した。
海があり、都会に近く、周囲の人間が使う言語は方言では無く標準語。
それらのヒントから、恐らくは関東地方の海沿いの県なのではと考えていた。
結果、五代の推理は間違っては居なかった。どうやらこの街は神奈川県に存在する街の一つらしかった。
一つ引っかかるのは、五代の記憶の中、神奈川県内に「海鳴市」などという名前の街は存在しなかった筈であるが―――
しかし実際にこの街は存在していた。それは、この世界が五代が生活していた世界とは
別の世界だという事を裏付ける決定的な証拠となるのだが、今の五代はまだその考えには至ってはいない。
故に、自分が今までこの街に来ることが無かったために、すっかり忘れていた街なのだろうと判断した。
海鳴市についてはそれ以上考えても仕方がないと判断した五代は、それ以上の思考を止め、真っ直ぐに東京へと向かうことに。
少なくとも東京に入ってからは、何ら不自然な事も無く、全てが五代の見知った道であった。
それ故に迷う事もなく、真っ直ぐに自宅であるポレポレへと向い、現在に至る。
五代は見慣れた喫茶店のドアを開けると、顔からゆっくりと店内へと進入していく。
いつも通りならばここにはおやっさんが居て、アルバイトの朝日奈奈々が居るはずであるが―――
「いらっしゃいませー」
「……あれ?」
五代を迎えたのは、見知らぬ女性。
予想外の歓迎の仕方に、五代はその動きを止めた。
店内にいるのは、エプロンを掛けて、客に料理を出していた女性と、キッチンで料理を作る若い男性が一人。
しかしそれはおやっさんでもなければ、アルバイトの奈々でもない。
こんな人達とは会った事もなければ、勿論知る筈もなく。
「あの〜……おやっさんは……?」
「はい?」
店内へと進み、恐る恐る訪ねた五代に、キッチンの中にいた男が答えた。
「いや、おやっさん〜……は今留守ですかね? 飾玉三郎って人は……」
「いやぁ〜……そんな人は知りませんけど……人違いじゃないですか?」
「あ、あれぇ〜……そんな筈ないですよ! ここってポレポレ……ですよね?」
「いえ、違いますよ」
言われた途端、五代は店から飛び出していた。
すぐに看板の前まで行き、店の名前を確認。そこに書かれていた名前は
「レストランAGITΩ……?」
五代は何処だよと思いながらも、自分の目を疑った。
ここには確かにポレポレと書いていた筈なのに、見れば「レストランAGITΩ」と書かれたその店は、
まだ出来たばかりの看板のようだった。
そういえばキッチンにいた、店主らしき若い男もまだまだ初々しい感じがしたような気がしない事もない。
五代はもう一度店内に入ると、店主らしき青年に話しかけた。
「あの〜……ここって出来たばっかりのレストランなんですか?」
「ええ、まぁそうですね。今年出来たばっかりですよ!」
「あ〜……ちなみにここが出来る前はポレポレって店でしたよね?」
「いや……ここは確か空き家だったと思いますけど」
「う〜ん、そうですか……ありがとうございます」
五代はそれだけ言うと、「おかしいなぁ」などと呟きながら、店の入口に戻っていった。
所持金もない状態で、もうこれ以上ここに居るのも気まずい。そう思い、ドアに手を掛けた。
丁度その時である。立ち去ろうとした五代に、店主が声を掛けた。
「あれ? 何も食べていかないんですか?」
「あ〜……すいません、俺今240円しかないんですよ〜」
「そ、そうですか……それは失礼しました」
気まずそうに言う五代に、店主もまた苦笑いを浮かべていた。
店側も商売である。240円しか持ってない男に料理を御馳走してあげるほど、景気は良くないのだろう。
五代は苦笑いを浮かべたまま、店主に向かって親指を立て、店を後にした。
最後に店主も自分と同じように親指を立てて見せてくれたのが、精神的にせめてもの救いとなった。
◆
「おっかしいなぁ〜……おやっさん、どっか移転したのかなぁ」
ぼやきながら、五代はビートチェイサーに跨った。
ふと、ポレポレ――ではなく、見知らぬレストランに視線を向ける。
ここは確かにおやっさんが経営する喫茶店の筈だったのに、どういうことだろうかと思考を巡らす。
おやっさんが店を閉じるとも思えないが、あの店主が言っていた「元は空き家」という表現も気になる。
それはつまり、ポレポレはとっくに無くなっており、空き家となったこの家を、あの店主が買ったということだろうか?
五代は考えるが、答えは出ない。
それというのも、実際にはこの世界にはポレポレという店は存在していないというのが真相なのだが。
五代はまだ気付いてはいないが、並行世界という性質上、ほとんど同じとはいえ、違う箇所は所々存在する。
例えば、一つ目が未確認生命体の有無。二つ目がこの店についてなのだが、探せばもっと他にも違う箇所は存在するのかも知れない。
だがしかし、現在の五代にはそんな答えなどどうでもいい。
五代からすれば、自宅が丸ごとなくなったのだ。
何の情報もないこの時代で、携帯電話は使用不能。所持金は僅か240円。自宅無し。
これをピンチと言わずして何と言うか。
流石にこんな状況下に陥ったことはなく、0号との決戦前から何も食べていない五代の空腹もピークに達しようとしていた。
と、そんな時だ。五代の耳に、何処かで聞いたことがある言語が入ってきた。
支援
「ん……? この声は……」
五代はゆっくりと、顔を頭上へと向けた。
その声は、五代がクウガとして戦う際、いつも力を貸してくれていた者の声。
それはまさに、クウガにとっては救世主とも呼べる存在。
そして、今の五代にとっても、それは救世主となろうとしていた。
「おぉ〜! ゴウラム〜っ!」
五代の上空で止まった漆黒の身体を持った巨大なクワガタムシ。
五代の表情はたちまち笑顔となり、嬉しそうにその名を呼ぶ。
突如頭上に現れたクワガタムシ。その本来の名前は、「ゴウラム」。
それは、古代のリント族が生み出したアマダムが、クウガの意志に応えて変化した姿。
リント族の間では神聖な生物とされていたクワガタムシの姿を模して、クウガが乗る馬の鎧として共に闘った、心強い仲間。
もちろん、ゴウラムは現代のクウガ――五代にとっても大切な仲間である。
「あ、あれ……ゴウラム?」
と、そんなゴウラムの様子が可笑しい事に、五代は気付いた。
いつも通り、ビートチェイサーの頭上でゴウラムはバラバラになり、ゆっくりと降下。
そのままビートチェイサーの鎧となるように装着され、ビートチェイサーは「ビートゴウラム」へと変形を遂げた。
解り易く言うと、ビートゴウラムはビートチェイサー2000とゴウラムの変型合体マシン、ということになる。
変形して合体して―――ここまではいつも通りなのだが、何と言うか……ゴウラムに元気がない気がした。
見ればビートゴウラムに跨った五代の背後で、翠の霊石がゆっくりと点滅していた。
まるでここまでの道中、何かトラブルにでも巻き込まれたかのように、ゴウラムは疲弊し切っていたのである。
「ゴウラム〜……お前どうしたんだ〜? こんなに疲れ切って……」
五代が心配そうにゴウラムの頭部――戦士クウガのマークが施されたヘッド部分をなでる。
ゴウラムは何らかの言語を話しながら、バイクで言うライト部にあたる赤い目をちかちかと点滅させた。
恐らくゴウラムは「疲れました」的な事を五代に伝えたかったのだろう。
それはゴウラムにとっては予想外である、“人間からの襲撃”を受けたからなのであるが。
それを知らない五代は優しくゴウラムをなでる。同じアマダムを持つ五代に触れられる事で、ゴウラムもまた活性化するのだ。
と、その時―――
「あの〜……ちょっといいですか?」
「へ?」
五代に話しかける、一人の少女が居た。
顔を上げる五代。目に入ったのは、小学生くらいの茶髪の女の子。
少女は、ショートカットの髪の毛に、赤と黄色のヘアピンを付けていた。
その背後から、若い金髪の女性と、小学生くらいのツインテールの女の子が二人、歩いてくる。
「私たち、その未確認飛行体を追いかけてきたんですが……」
「へ? 未確認飛行体って……ゴウラムの事ですか?」
「ごうらむ……? えー……っと、何だかわからないけど、それは貴方の物ってことでいいんでしょうか?」
五代に話しかける金髪の女性の背後から、茶髪のツインテールを揺らしながら一人の少女が現れる。
そしてツインテールの少女は、核心に迫る質問を五代へと投げかけた。
対する五代は、暫し悩むような素振りを見せたあと。
「ん〜……まぁ、そんなところかな。君たちはゴウラムを追いかけてきたの?」
「はい。ずっと……海鳴市から、ここまで」
「あぁ〜、海鳴市から……結構遠いよね、海鳴市……ってあれ?」
ふと、五代の脳裏に本日昼ごろの記憶が蘇る。
五代の頭の中でフラッシュバックされるのは、海鳴市のコンビニで、新聞を買った後。
自分はあの後、何をした。確か近くを歩いていた小学生の女の子に、今は何年かと聞いて―――
そうだ。自分は今日、一度この茶髪のツインテールの少女に会っている。
一瞬だが、間違いなくこの少女の顔には見覚えがあった。
それを思い出した五代は、少女を小さく指さし、言った。
「あっ! 君、今日海鳴市にいた子だ!」
「え……? あ、あぁー……そういう貴方は、今日私に今は何年かって聞いてきた人!!」
少女は――高町なのはもまた、同じように五代に人差し指を立てた。
人に人差し指を立ててはいけないとは教わってはいたが、咄嗟の事に反射的に指が出てしまうのは仕方がない。
周囲を取り巻く少女たちは、「知りあい?」などと呟きながら、きょとんとした表情で五代となのはを見比べる。
これが、彼らのファーストコンタクトであった。
◆
薄暗い部屋の真ん中に、巨大な黒い石が備え付けられていた。
石にはあらゆる方面から延びたコードが繋がれており、ここが何らかの研究所なのであろう事が窺える。
部屋の中心に聳えるは巨大な石。そしてその奥には―――小さな少女が入れられたカプセルが一つ。
女は、しばらくカプセルの中の少女を眺めた後、長い黒髪を揺らしながら、漆黒の石の前に立った。
そのまま、そっと石に指を触れる。
「フフ……これさえあれば……―――は私のモノ」
小さく囁くように、聞きとれない位の声で、女は言った。
石に触れる指に嵌められているのは、奇妙な形をした指輪。
まるで愛おしい物を撫でるかのように、指輪が嵌められた女の指は石を這う。
「あとは……ベルトの破片を全て集めれば……」
そう言った女は、不健康そうな笑みを浮かべていた。
ククク、と。不気味な笑い声が、部屋の中響き渡る。
まるで自分の野望が完成へと近づく事に喜んでいるように。
第三話投下終了です。
今回の注意点をいくつか。
・クウガという作品の設定というか雰囲気上、海鳴は神奈川県の一部という設定にさせて頂きました。
・レストランAGITΩは、あくまでゲスト出演程度。
今後のストーリーにこれ以上関わる事も無ければ、店主ももう出てくる事はないです。多分
・この並行世界には、ポレポレは存在していません。これから他にも相違点が現れるかも?
とまぁ、こんな処です。
ようやくなのは達と五代、出会いました。
今回は色々と進展はありましたが、話としてはまだそんなに盛り上がってませんね……。
さて、これが今年最後の投下になりますが、来年からもクウガクロスはこまめに更新していくというか
マスカレードやブレードの方もちょくちょく進むと思いますので、どうか皆様2009年もよろしくお願いいたします。
GJ!
そういや、アギトとクウガは共通した世界観の話なんだったw
何やら不穏な奴(誰とは言わない)も出てきて、いよいよ本格的に物語が動き出すのか? 次回に期待です
>>なの魂
アイ惨wwwwwそっとしておいてくださいwwwww
311 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/31(水) 10:51:46 ID:ZzdBM5MA
ディケィドは平行世界を移動する能力を持っている
キヴァ城竜で753達が時間移動
電王は二次元に
兜はHCU
龍騎は異世界で戦うし
昭和勢は繋がっていて「その時不思議な事が...」
なのはは時空管理局だからクロスしやすい作品ですよね
ディケィドでは平行世界の未確認生命体四号がでますから
海鳴にはもう一人のライダー達がいるとか
>286さん お手数お掛けして申し訳ありません。ありがとうございました。
マスカレード氏、お疲れ様でした!
なんか妖しい女が。や、ヤンデレ?
仮面ライダーは昭和ライダーぐらいしか詳しくないのですが、毎度楽しく読ませていただいてます!
次回も待ってますよ!
さて、12時50分から今年最後のミッドチルダUCATの続きを投下してもよろしいでしょうか!?
25KBなので、支援をお願いします!
314 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/31(水) 12:31:15 ID:/yO12mgL
>>312 結局本音スレには行かないんですね。
なかった事にしてやり過ごすおつもりですか、そうですか。
誰もいない投下するならイマノウチー
その言葉はどこまでも鮮明に室内に響き渡った。
一人の少女が告げた言葉が、一人の英雄の眉に皺を寄せた。
「ほう? 共同捜査、か。常ならばそちらで情報を掌握し、こちらに指示を出すだけの“共同捜査”とは違うのかね?」
落ち着いた言葉。
けれど、内容は辛辣。
レジアス・ゲイズは表情を変えない、罵倒しているわけでもなく、辛辣にしているわけでもなく、淡々と事実を告げる。
それが逆に恐ろしかった。
それが逆に罵倒されるよりも辛かった。
管理局に勤めて十年。もう十年も経っているけれど、八神 はやては師でもあるゲンヤ・ナカジマから教わったことぐらいでしか海と陸の軋轢を理解していない。
海での戦い、海での時間、海での年月。
レアスキルを取得し、望んだものでは無いとはいえ法外とさえ言えるSSランク魔導師のはやてが陸に属することなどなかった。
一時の滞在などで陸の実情を分かりきることなど不可能に近く、この地上に派遣されることは機動六課を創り上げるまでなかった。
故の不安。経験が無い、語る資格があるのか? という不安がある。
だけど、それでもはやては表情を変えずにただ前に進むために言葉を告げた。
「違います。陸と海が共に手を取り合い、共に真相に歩み寄り、全てを露にするための共同捜査です」
そこまで告げて、はやては手に持っていたトランクケースを開いた。
強固なケースにいれられていた数枚の書類、それを手に持ち、静かに歩み寄りながら前に出てきたオーリスに渡した。
「――これは?」
「こちらの方で作成したこれ以後の捜査活動における必要だと思われる情報などのリストです。恐れ入りながら自分の権限を持って本局からの共同捜査の許可及び必要な情報共有の許可は降りております」
はやてはあえて標準語で告げた。
本来ならば単なる一部隊の部隊長の権限如きで、地上本部との連結行動である共同捜査など許可が降りるわけが無い。
だがしかし、はやてはあえて己の持つコネクションを持ってその不可能を可能にして見せた。
これは危険な賭けだった。
これで下手でもうって捜査が失敗に終わり、はやてが本局の面子を潰すような結果を残せば懲戒は免れないだろう。
共同捜査という形にすれば地上本部の責も本局が担うことになる。逆もまた当然なのだが、それは本局としては想定外の事態だろう。
何故に海と地上での共同捜査が開かれにくいか。
それは簡単に言えば二つの要因がある。
一つとしては本局即ち海としては地上部隊自体が下部組織だという認識。
第97管理外世界における極東の日本機構、そこにおける警視庁と所轄の警察の関係に似ているだろう。
二つ目としてはそれらの認識によって海と陸の間による不仲が上げられる。
共に時空管理局という組織に所属していても仲違いし、縄張り意識を持って協力を拒むのだ。
一口に下らないと切り捨てられれば楽なのだが、現実はそこまで容易くない。
始まりは些細なことだったとしても、積み重ねられた年月は深く、根深く、冷たいものとなる。
ただの一人の努力で改善できるのならば当に世界は平和なのだろう。
そして、今回のはやての行動は劇薬にも近いものだった。
たった一人の二等陸佐が起こした行動。
それに地上本部すなわちミッドチルダUCATの首魁といっても過言ではない男はオーリスから書類を受け取り、目を走らせると。
「ふむ。中々に画期的な行動だな、八神はやて二等陸佐」
「恐れ入ります」
威圧感すらも感じる発言だった。
その身に重ねてきた年月の違いか、それとも指揮するものとしての重圧の差か、レジアスの言葉一つ一つがはやてに重く圧し掛かる。
ギィっと椅子が響かせる重みの悲鳴すらも、それは彼が行うだろう行動の前兆にしか思えなかった。
そして、レジアスはゆっくりと顎の髭を撫でると。
「よかろう。許可をする」
そう告げた。
一瞬心臓が止まったかと思えるような言葉。
はやてが目を見開いたのを見て、再度レジアスは告げた。
「許可をするといった。八神 はやて二等陸佐。必要な部隊と閲覧情報の権限パスは――オーリス、お前に編成を任せる」
「ハッ!」
オーリスが頭を下げて、承諾の意を取った。
「ありがとうございます」
はやてが安堵の息を吐きながら、礼を告げると。
レジアスは今までの頑固な岩のような表情を緩ませて、薄く微笑みながら告げる。
「なに。この程度ならば造作も無い。わしたちの宿願であり義務は地上の平和を護り、それを脅かすものを叩き潰すことだ。そのためならば悪魔の手さえも借りる覚悟さえある。それと比べれば主らのような美少女の手を取るなど何の抵抗があるか」
といって、レジアスは軽く息を吐いて机に置いておいたコーヒーを啜った。
その姿に、はやては思った。
(ああ、この間は変態やったけど、この人普段は真面目なんやねぇ)
と、安心していた。
だがしかし、この程度で終わるのならば横に立つオーリスが胃薬を常備する必要は無いのだ。
レジアスがふと思い出したように告げる。
「む? そういえば、八神二等陸佐。一つ訊ねたいことがあるのだが」
「? な、なんでしょうか?」
「先日そちらの隊舎が半壊したらしいが、復旧までの間はどこで隊員たちを待機させるつもりかね?」
「あ、それなら一応考えがありまして。そっちの申請書類に内容は書いてあるんですが」
予測外の言葉にうっかりと地の言葉遣いで出た。
しかし、レジアスは気にした様子もなく書類を捲る。
そして、見ながらうーむと唸って告げる。
「……なるほど、こういう手段を取るか。それなら確かに効率はいいだろうが……」
ぬぬぬと眉間に皺を寄せるレジアス。
あ、さすがに問題なんか、とはやてが息を飲んだ瞬間だった。
支援
「しかし、困ったな。一応そちらから申請があるかと思って、仮の隊舎設備を準備しておいたのだが」
「へ?」
まさか準備などしてもらっているとは思ってもいなかった。
はやてが間の抜けた声を漏らすと、レジアスは目を向けた。
「なにかね? その態度は」
「い、いえ。まさかそのような配慮をしてもらえるとは思ってもみませんでしたので」
「何を言っている。これは義務であり、当然の事だ。我々ミッドチルダUCATは地上の平和と保安を保つことだ、それには地上に隊舎をおいている君たち、機動六課諸君も例外ではない。守護し、共存し、助け合う。それが同じ組織であり、同じ世界に生きるものの役目だ」
素敵な言葉だった。
「れ、レジアス中将」
かっこええなぁ、とはやてが一瞬考えてしまうぐらいにさらりと告げられた言葉にときめいた。
あれぐらいさらりといい台詞吐いてみたいわぁ、と彼女が考えているとも知れずにレジアスはぽちっと机の上のコンソールを叩くと。
「ちなみにこんな建物だが、どうかね?」
ブゥンと空間にモニターが現れて、一つの白い建物が映り出す。
どこからかカメラを開いているのか、地上本部の施設近くにある建築物。
それは白いプレハブ小屋だった。
そして、その周りには――沢山の笑顔を浮かべた人々が焼肉を焼いていた。
『ミッドチルダUCATライブ打ち上げ&来たれ美少女!! 機動六課の皆様大歓迎!!』
というのぼりと共に沢山の陸士たちがわーといいながら、飾り付けをしていたり、ダルマの片目を墨で塗っていたり、なによりも施設の前で鉄板で肉と野菜を焼いていた。
カメラと同時に集音マイクでも設置されているのか、声が聞こえる。
『俺の鉄板料理は世界一ぃいい! あーあたたたたたたっ!!』
『すげえ!? 肉が、野菜が、空を舞ってやがる』
肉を焼いているコック帽陸士の手元が見えない。
斬光のように両手に持ったヘラが閃き、乱舞を繰り出し、ジャカジャカと野菜を、肉を舞わせて、さらには投入されたヤキソバなどをものの見事に掻き混ぜていく。
じゅうじゅうと赤く焼けた鉄板でありながら、それは丁度いいぐらいにしかこげずに、熱を通していくのだ。
その後ろでは。
『いくぞ!』
『こい!』
同じように包丁を両手に構えるエプロン装備の陸士が、野菜を両手に持ったパートナー達に頷く。
そして、同時にキャベツが、ニンジンが、タマネギが、肉が、放り投げられて。
『おりゃあああ!!!』
跳んだ。
高々とエプロン陸士が舞い上がり、ほわー!! と奇声を上げて回転。
煌めく一閃と共に野菜が切り刻まれて、皮を剥かれて、バケツを抱えた陸士にナイスキャッチ。
ぴょいーんぴょいーんと地面に降りてはジャンプし、野菜を刻みながら、時折空中で『隠しブローック!』と何かを砕いていた。
『にくー! にくー!』
『はむはむ! はむはむ!!! はははむ! この気持ち! まさしく愛だ!! はむー!』
『俺の肉だー!!』
『私の肉よー!!』
鉄板の隅では箸と箸、フォークとナイフを金属音と共に激突させながら肉を喰らっている男女の陸士がいたり、ビールを片手に恋人らしき女性に抱きついた大柄な男が廻し蹴りと共にぶっ飛んだり。
ビールを飲んで真っ赤な顔の黒い髪に一房の金髪を持った女性の色気に悶えている少年が背後から飛んできた跳び蹴りで鉄板に頭をぶつけて、次の瞬間。
『やけー!? 焼けたー! なにするんですか!? 僕の真っ赤なハートよりも真っ赤な鉄板で僕の顔が焼けましたよ!!』
と悲鳴を上げていたりする。
『あ、お兄ちゃん! 私の歌どうだったかな?』
『凄かったに決まってるだろ? お前の歌が綺麗なのは俺が一番よく知っているさ』
と、どこぞで見たことのある青年が、見覚えの薄い少女と一緒に焼肉を食っていたりするが多分幻影だ。
そう思わないとやっていられなかった。
『美っ少女、美っ少女、ランランラ〜ン♪』
『今日も元気だ、萌え盛る♪』
『俺たちUCAT、魔法少女が大好きさ〜♪』
などと歌いながら、プレハブ小屋にペンキなどを塗っている陸士たちの姿が沢山いたけど、多分青春の過ちや。
キャンプファイヤー式に松明を持って、輪になって『魔王様、魔王様、リリカルマジカル〜』とかなにやら怪しげな言葉を呟いて踊っているが多分気のせいだ。
他にも他にもetc.etc.……
「と、局員たちは君たちを待ちかねているのだが……どうしたのかね? うなだれて」
ORZ と言わんばかりにはやては突っ伏していた。
その後ろで「主、どうしたのですか? どこか体調でも優れないのでしょうか?」 と言っている大切な家族の言葉がどこか遠いものに聞こえていた。
すくっと頑張って起き上がると。
「――謹んでお断りさせていただきます」
はやてはどこか乾いた笑みでそう告げた。
『ええ〜!!?!?!』
と、モニター画面に瞬時に飛びつき、顔をめり込ませた無数の陸士たちの顔をはやては見なかった。見向きもしなかった。
「む。そうかね。ならば、仕方あるまい」
と、モニター画面を切る。
うきぃー! という声が最後に聞こえていたような気がしたが、誰もが無視した。
こうして、機動六課とミッドチルダUCATの共同戦線は確約された。
そして。
時空管理局本局、そこにはやては来ていた。
地上本部からその足で流れるように、或いは逃げるようにやってきた。
シグナムに幾つかの手続きと連絡事項を伝えて、今頃は六課のなのはたちに連絡は伝わっているだろう。
真面目な雰囲気を漂う本局の空気を吸い、心が癒されていくを感じながらはやてはガラスにも似た窓の向こうに移る一隻の白い船を見下ろしていた。
「――はやて」
その時だった。
足音と聞き覚えのある声に振り返る。
そこには一人の男がいた。
女と見間違うばかりの深い緑の長髪を靡かせて、白いスーツを身に纏った男。優しく蕩けるような甘いマスク、長身の上に隙一つ無い規則正しく背筋を伸ばした姿勢。
このような場所でなければどこかの貴族か、それともホストか。
彼の名をはやては知っていた。
ヴェロッサ・アコース。時空管理局本局に属する査察官。
そして、はやての友人でもある青年提督の親友である人物。
「待たせたかな?」
彼がそう告げると、はやてはううんと首を横に振って。
「別にそう待ったわけでもないで、ロッサ。少し遅刻やけどな」
待ち合わせ時刻からは五分ほど遅れている。
しっかりとした身だしなみとは裏腹に勤務態度にサボリや遅刻などが時々混ざるのがロッサだった。
幾ら説教をしても直らないのが彼らしい。
「で、はやて。用件だけど、アースラの改修作業はほぼ終わった。手はずも一応三提督や義姉さんの権限を使って押し通したよ」
「悪いな〜、ロッサ。こんなこと頼んでもうて」
「別に構わないさ。後ろ盾を使って押し通しているようなもんだけど、きっと必要なものだと僕も信じてるよ」
そこまで告げると、ヴェロッサは静かにはやての横を歩いて、その透明な壁の向こうに見える一隻の船を眺めた。
次元航行艦アースラ。
はやてにとって色々と馴染み深い船だったが、耐久年数の限界が近く、老朽艦として解体されるはずだった。
しかし、それをはやては使う。
「ごめんな、アースラ。ゆっくりと休ませたいのは山々なんやけど、もう少し頑張ってもらうわ」
窓にその細い指を立てて、はやてはどこか謝るように告げた。
必要な力がある。
必要な翼があった。
そして、はやては息を吐きながら目を見開いて――違和感に気付いた。
「ロッサ」
「なんだい?」
「あれ、なに?」
そう告げた指先には、アースラの艦首が映っている。
其処にはなにやらぶっとくて、グルグルで、螺旋で、凶悪で、鋼で、どでかい武装が接続されようとしていた。
あえて言おう、それは――ドリルであると。
「……」
サッとヴェロッサは顔を背けた。
その肩をガシッとはやてが掴む。
「ね、ねえ、あれなんやの? ねぇ……」
声が震えていた。
嫌な予感がバリバリにした。
「……大変言いにくいことなんだがね」
「うん」
「アースラを借り受けようとしたんだが、とある提督からの進言で条件が付いたんだ」
「じょ、条件?」
「そう。老朽艦で、廃棄処分を待っているだけとはいえ、単なる一個部隊に貸し与えるには次元航行船は大きすぎる。だから、条件を付けると言われたんだ」
「どんなの? あのドリルだけなら私涙を飲んで我慢するで?」
プルプルと小動物のように震えながら、はやては健気に告げる。
だが、現実は非情で残酷で喜劇を好んだ。
「一つ目はアースラには幾つかの試作品装備の試験艦にすること」
「し、試作品?」
「そう。現在正常運用している次元航行船に装着させるよりも、比較的失っても問題の無い艦に装備させてデータをフィードバックさせたいっていう意見があってね。あ、とはいっても武装じゃなくて、艦船機能の追加装備らしいよ」
「……ど、ドリル以外になんかあるんか」
それだけで倒れたかった。
パタッとよろめいて、ビクンビクンして、何もかも忘れて布団に入りたい気分だった。
けれど、ヴェロッサは最後に。
「そして、本局というかその追加条件の最後に――彼らを監査役として乗せる事だって」
そう告げた瞬間、足音が聞こえた。
「え?」
はやてが振り向く。
そこには五人の男女がいた。
一人は青年。黒いサングラスを付けた、黒い衣装を纏った青年。黒い髪に、その顔に浮かぶだろう冷静な黒い瞳をサングラスの奥に押し隠した熟練の戦士を思わせる静かな気配。
一人は青年。女と見間違うような茶髪のポニーテール、女性のように細い手足、柔らかい笑みを浮かべ、私服らしい姿はどこもおかしくない。ただしその顔に仮面を着けていなければ。
一人は初老。赤いサングラスを付けた初老の男。両手に白い手袋、どこか貴族を思わせるような豪奢なコートは軍服のようであり、威厳を漂わせた老獪。
一人は女性。もう一人も女性。頭部にはネコ耳、尻尾も生えている彼女たちは美しい雌猫。人間ではない、使い魔。妖艶とさえ言える顔つきに妖しい笑みを浮かべて、それぞれ違う髪型だけが判別の要素。そして――何故か体操服にブルマ。
あえて言おう。
(頭の)おかしい連中だった。
<<支援を開始する。よぅUCAT、生き残るぞ!>>
「――!?!」
ふらっと、はやてが倒れる。
その背をヴェロッサが支えた。
「はやて! しっかりするんだ!!」
「ろ、ロッサ? 私、夢を見てるんやね、ここは本局なのに変態がおるなんておかしいわぁ。多分目が覚めればまた明日から真面目でぎこちなくて疲れる日々が。ああ、あと地上本部が壊滅したから私たちが頑張らないと、予言が実現してしまうんや」
「現実を直視するんだ!!」
ペシペシとはやての頬を叩くヴェロッサ。
そこに黒いサングラスを付けた青年が歩み寄り。
「ヴェロッサ、後は僕が引き受けよう。彼女はこれから頑張ってもらないといけないのだからね」
「……く、クロ――」
「違うぞ?」
はやてを受け取り、むにーとその頬を引っ張りながら青年は告げる。
「僕のことは“ハーヴェイ”と呼んで欲しい。クロノ・ハラオウンという人物とは何も関係無い」
ハーヴェイと名乗った青年は薄く微笑む。
「ちなみに、僕はマスク・ザ・フェレットで」
仮面を付けた青年は何の臆面もなく告げる。
「私は提督と呼んでくれたまえ」
初老の男は立派な髭を撫でながら楽しげに告げる。
「私はぬこ1号! 技の1号!」
「じゃあ、私ぬこ2号で! 力の2号!」
ブルマネコ耳二人はノリノリだった。
そして、ハーヴェイははやてを背負いながら、静かに告げる。
「さて、行こうか諸君」
ザッと足音が鳴り響いた。
歩く、歩く、歩く。
変わった奇妙な集団が歩く。
アースラに向けて、一つの戦舟に向けて、戦いの幕が開くのだ。
死怨!
お前らまでもかw
支援
「戦いが始まるぞ」
言葉が告げられる。
「待ちかねた闘争だ」
言葉が輪唱する。
廊下を歩く、怪訝な目つきが向けられる、だがそれがどうした。
晒し者の聖人の如き視線、だがそれがどうした。
生贄の処女のような哀れみの目が、だが、それがどうした。
戦舟の前に佇む。
一人の青年が言葉を紡ぐ。
「諸君、準備は出来たか!!」
その時、アースラの改修をしていた局員たちが一斉に振り向いた。
声が上がる。
手が上がる。
格納庫のドックの中で一人の青年の言葉が鳴り響く。
「諸君、祈りは済ませたか。諸君、思い残すことは無いか。諸君、朝から今までやり忘れたことは無いか!」
帰って来たのは沈黙。
肯定の沈黙。
「宜しい」
ハーヴェイは笑う。
「ならば、向かおうか。待ちかねていた時だ、船も喜びを上げている!」
ダンッと足音が鳴り響く。
瞬間、アースラを包むドック内に音が反響した。
それはまるで咆哮であり、或いは号泣の声かもしれない。
何故に泣き叫ぶ?
それは喜びだ。歓喜の涙だ。
「さあ出撃だ。心打ち震えるような出撃だ!
船出の時は来た!
空に輝く星々を見つけて方角を定めるように、我々は次元の星々を眺めて道を見つけ出そう。
空から流れる風を帯びて前に進むように、我々はこの世に満ちる奇跡を魔法に変えて旅立とう。
夢は見たか。
夢を見よう。
ただし楽しい夢だ。悪夢は許さない。
これから始まるのは修正の効かない過去ではない。
今進む未来だ。
現在を積み重ねて突き進む未来だ。
こんなはずじゃなかったと誰にも言わせない未来のためだ!」
吼える。
震える。
心の赴くままに。
艦長としての威厳が心を震わせる。
「さあ諸君、コレで万事後悔はないのならば声を上げろ!!」
『おう!!』
しえんしえん〜
咆哮が上がる。
ただの船を整備するだけのスタッフが誇りを胸に抱く。
その様相に提督は嬉しそうに告げた。
「立派になったな、少年」
「いえ、まだ未熟です。言葉を重ねなければ想いは伝わないのですから」
「そうか、修練したまえ」
そんな会話を終わらせて、一人を背負った五人がアースラに乗り込む。
「う〜ん、う〜ん……わ、私が部隊長やでぇ」
という寝言があったような気がしたが、聞いた者は誰もいなかった。
そして。
そして、そして、そして。
「……UCATと機動六課が手を組んだか」
一人の狂人は齎された情報にクスクスと笑い声を上げていた。
静かな場所だ。
嬉しい場所だ。
壊れた場所だ。
狂える場所だ。
一人の愚者であり賢人は楽しげに笑う。
「喜ばしいじゃないか、嬉しいじゃないか、壊れたいほどに、狂えるほどに笑いが止まらない」
彼は嗤う。
笑みを浮かべながら、一人の女を抱いていた。
美しい女だった。彼への愛を変わらずに抱く造り出された命だった。
「ドクター……何故嗤うのですか?」
戦闘機人が長女、始まりの数字を持つ女は交わりながら尋ねる。
ふくよかな肉感、細く編みこまれた鉄線のような鍛え上げられた胸板に丸い乳房を押し付けながら、喘ぐように声が漏れる。
彼女の全身に流れる珠のような汗も、迸る旋律の如き声も、全ては創造主のための供物だった。
「妹たちはあれほどまでに負けてしまったのに……」
ただ一人彼に体を許された女性は、己が姉妹たちの敗北に嘆きを発す。
「心配はいらないさ」
狂える賢人はその手で機械の身体を持つ女に愛を囁く。
「彼女たちの敗北は価値がある。全て計算以内、悲しいが――まったくもって支障が無い」
それが事実だった。
彼に気にする要素はなかった。
徹底的に心情を排除すれば彼の計画に問題はなかったのだ。
悲鳴じみた強制を上げる己が作品を、壊れない程度にあやしながら彼は濡れた手で己の頬を撫でる。
「必要なファクターは揃った。古き傀儡の如き王の一体も、それの纏う鎧であり墓場も手に入れた」
嗤う。
嗤う。
楽しいからこそ嗤う。
「賢く生きてもしょうがない、ならば愚かしく嗤うだけさ」
その黄金の瞳はどこまでも濁って、壊れて、泣き叫ぶ女の痴態を見ながら冷めていた。
世界への革新などどうでもいい。
まだ見ぬ探求と悦楽こそが目的。
目的無き目的を果たすために、愚かな賢人は最後の駒を進めていく。
歴史の革新は間も無く。
悪と悪役と正義の舞踏会はベルを鳴らして、演奏を奏で始めた。
おまけ
今回のナンバーズ
1.劇的! ナンバーズ
一人の少女がいた。
数ヶ月前に逮捕された少女は囚われていた……筈である。
「え、えっと……こうすればいいのかな?」
後ろ髪だけを長く伸ばしたポニーテールが特徴な少女。
彼女は扇情的なポーズを取っていた。
その身に纏った白いドレス。祈りを篭めて、願いを溢れさせたかのような純白のドレス。
それは世間一般的にはこう呼ばれる格好だった。
新婦、と。
ウェディングドレスを纏った少女は手を伸ばし、しゃがみこむような姿勢を取る。
どことは言わないがむきゅっという音がした。
「次はこうですよね?」
煌めく光の乱舞を浴びながら、ディエチはドレスのスカートを指で摘むと、少しだけ膝を曲げた、可愛らしいポーズを取った。
パシャパシャとシャッター音が鳴り響く。
そして、そのままターン。
ヒラリと白いドレスが風を孕み、ふわりと踊るように彼女を美しく描き出す。
「どう、かな?」
手に持ったブーケの香りを嗅ぐようなポーズ。
後ろの背中部分が露出しており、それは息を飲むほどに色気と清純さが混合した矛盾した美しさだった。
「えっと……え? 次はそうするんですか?」
ディエチが息を飲んだ。
顔が蒸気したように赤く染まり、少しだけ後ろ手でモジモジした後に。
「す、少しだけだからね」
するりと絹ずれの音がした。
パシャシャシャとシャッター音が鳴り響く。
今この瞬間の彼女を捉え、写すための音が鳴り響いた。
「……こらー! ディエチー! そんなはしたない子に姉は育てた記憶は無いぞー!!」
その時、抗議するような声が響いたが。
「動いたらメーね!!」
「あ、痛! やめて、絵筆投げるのはやめて!」
「うわー、ピエール先生の絵筆投げだー!!」
「ミリ単位での微動ですら怒る先生だ! チンクちゃん、命が惜しければ動かないほうがいいぞ〜」
などという賑やかな撮影会でした。まる。
――月刊ナンバーズ(自費出版、ミッドチルダUCAT内限定販売) 新表紙はウェディングドレスディエチ。
今月号から四コマなんば〜ず(著作ピエール陸士)に、チンクが登場したとかしなかったとか。
2.陸士は見た! 愛憎渦巻く姉妹同士の争い。事件は恋愛のもつれ!? 嗚呼、悲劇。守銭奴陸士はフラグブレイカーだったのか。それともフラグメイカーだったのか。ミッドチルダUCAT、特車陸士首ちょんぱ斬殺事件(希望的予定)
その時、二人の姉妹は対峙していた。(巻き添え一人)
「……で? どういうっスか?」
ゴゴゴゴといわんばかりの迫力で睨みつけているのは一人の少女。
その名前はウェンディという。
彼女はワンピースを身に付けた姿で、バシンと手に持った一枚の紙を囲んだちゃぶ台に叩きつける。
「どういうことって、な、なんだよ?」
その迫力に怯える少女が一人。
ノーヴェという名前の少女は手に持った紙をおずおずと差し出し、返事を返す。
怪我による治療と検査を負えたばかりで身に付けているのは検査服だった。
目の前で相対している少女と同じく赤い髪、数ヶ月前に共にいたときとはまったく正反対の状態だった。
「おわー、怖い、怖い。火花散ってるなぁ」
そして、その間で肩を狭くしているのはひとっぷろ浴びたばかりなのにどこか寒い思いをしている浴衣姿のセインだった。
目立たないように手に持ったカードをちゃぶ台の上に重ねる。
「……なんか変なことやられてないっスよね? あ、8で流しっス」
手に持ったカードを置いて、ざっと場を流す。
「変なことってなんだよ!? あ、3だな」
「……胸揉まれたとか。お尻触られたとか。或いは押し倒したとか。うい、4っス」
「ノーヴェ。大人の階段をステップで登っていったんだなぁ。私、6で」
「ちょっとまて最後のはこっちからの行動になってるじゃねえか! あとしてねえよ! で、7。ダイヤで縛りっと」
スパスパとカードがちゃぶ台の上に重ねられていく。
ウェンディとノーヴェとセインは絶賛大富豪中だった。
紫煙
「……っていうか、別にあたしはあんな奴なんてなんでもねえよ」
ごにょごにょと顔を染むけてノーヴェが発言するが。
「あー、ツンデレの見本みたいな行動っスね。あたしは素直デレ狙いでいくつもりスから、言えない台詞っスねぇ」
「病気だなぁ。医者でも、草津の湯でも治せない例のアレだ。ところで、現在重症状態のウェンディさんから見てどうですかね?」
「まだ軽傷ですが、じわりじわりと来てるっスねぇ。ああ、数ヶ月前のあたしを見ているような気分っス」
顔を合わせて二人の姉妹が囁いた。
しかも聞こえるような小声で。
「うるせぇえええ!! ていうか、あたしのいない間にお前ら何があったんだよ!? それに、ウェンディ! お前なんで、あんな奴にフライングボード貸してるんだよ!?」
ちゃぶ台がひっくり返しながら、ノーヴェが叫びを上げる。
それにウェンディは。
「……きゃ。っス」
と、赤くなった頬を手で隠して、顔を逸らした。
「おぉおい!? 何があった!? ねえ、あたしが見ない間に一体何があった!?」
修羅場のような、そうじゃないような、姉妹雑談がありましたとさ。
3.セッテさんお着替えも〜ど
「……」
治療を受けたセッテは留置場で首を捻っていた。
六畳一間の牢獄、畳の敷かれた和室接待な一室で彼女は床に並べた三つの衣服を眺めている。
一つ目はバニースーツ。
二つ目は浴衣。
三つ目は体操服スパッツモード。
「どれを着ればいいのでしょうか?」
そう首を捻る彼女は着替えるべくほぼ裸のまま正座していた。
どれでもいいよと、言われてはいるが彼女には自身の考えが薄い。
他の姉妹から意見を求めようにも全員席を外している。
もっとも重症を負ったトーレに到っては現在厳重警固で病院に移送されたままである。
故に自分だけで選ばないといけないのだが。
<<支援する。一杯奢ってもらうかな>>
「これに何の意味があるのでしょうか?」
バニースーツのウサミミを手に取る。
とりあえず着け方として教わったままに頭に付ける。
ふさふさ、うさうさ、と揺らしてみるが。
「……何の防護的な意味も、戦略的価値も無いようですね」
とりあえず次の服を選ぶ。
一番今まで見に付けていた衣服に感覚が近いのは体操服だった。
とりあえずスパッツを穿いて見る。
「……ちょっときついです」
伸縮性はあるのだが、セッテのお尻の大きさには合わなかったようだ。
ぴっちりとしてお尻がきつかった。
というわけで、体操服は諦める。
「これが一番効率的のようですね」
といって、浴衣を羽織る。
軽く上に羽織って、帯を締めた。
「よし、これで問題ありません」
そういってセッテは着替えを終わらせた。
さて、体力を回復させるために少し眠ることにしょう。
姿勢的に楽なので、少し丸くなるように体を倒し、目を瞑った。
「クゥ……」
数十分後、食事を運びに来た監守陸士が鼻血を噴き出して倒れたことを彼女は知らない。
そして、その倒れた監守陸士は後日輸血をしながらこう語っている。
「……あ、ありのままに事態を説明するぜ。俺は食事を運びに来たと思ったらウサミミをつけて、生乳を浴衣で隠し、スパッツをはいたお尻を剥き出しにした少女が無防備に寝こけていたんだ。
バニーガールとか、湯上り浴衣美少女なんてちゃちなものじゃねえ。俺は奇跡的な萌えの光景を目撃した!」
と。
年納めの支援!
投下完了!!
これにて今年の投下は終了です!
ちょっとエロスがありますがまあお約束でw
来年もよろしくお願いします。
ありがとうございましたー!
GJでした
クロノまで………しかもハーヴェイを名乗るなんて、なのちゃんが泣いてしまいます
ある意味本編以上に楽しみにしてるバイク陸士周囲も気になります。この陸士の名前が出ることはないのでしょうね
GJ!
しかしセッテがwww 凄い事にwww
GJ
お前らやっぱり協力してたのかwwww
三人娘はもうなんか強く生きてくださいとしか言えません
あとレジアスは戦力が充実してればこういう人だったんだなあと、そう思いました
<<こちらゴーストアイ、貴官に通信が入っているぞ。こちらで中継する>>
GJでした!
あぁ、とうとう本局の方にまで変態化が進んでいるとは……はやて、強く生きてくれ。
ドリル装備のアースラと聞いて轟天号を思い出したのは私だけですかね? 今ならゴジラ
ともやり合えそうですw
次回、ついに最終決戦が始まる!?
<<以上だ……待て、アンノウンが急速接近中。オメガ11か! 奴は1440に投下予約をしたい
らしいが、今更何を――何、メビウス1をUCATに送ってみた? 三次創作、夢境学園氏の許可
は頂いている!? くそ、各機、可能なら支援してやってくれ>>
変態祭りだ、支援!!!
≪変態とダンスだぜ!≫
≪いや、それはまったくかっこよくないぞ≫
時間なので投下します。変態、違う、天使とダンスだぜ!
どんな境遇に生まれようと、そこ先の人生は己の判断、選択の積み重ねである。
それを、運命や宿命などと言うのは果たしていかがなものか――。
逆を言えば、あの時誰かの選択が違っていれば、目の前にある未来はまた違ったものになる。
これは、過去に行われたその選択が何らかの原因で違っていた場合の話。
「ここか……」
迎えに来たジープから降りて、メビウス1は目の前にそびえ立つ巨大な建造物を見上げた。
ミッドチルダUCAT本部。それがこの建造物の正式名称であり、彼にとって新しい職場となる場所であった。
六課存続のためやむを得ずここに来た訳だが、気に病んでいても仕方ない。ここで自分のやるべきことをやろう。
よし、と彼は顔を叩き、出迎えに現れた陸士に向かって敬礼する。
「機動六課から命令により出向しに来た、メビウス1だ。よろしく頼む」
とは言え、不安は付きまとう。
異邦人、質量兵器のパイロット、海寄りの機動六課の人間、自分に対する様々な黒い感情が、ミッドチルダUCATの中には渦巻いているはずである。
ところが、である。出迎えた陸士のその後の行動は、それら全てを完膚なきにまで破壊するものだった。
「ようこそリボン付き。早速だがサインしてくれ、俺エースコンバットのファンなんだ!」
メビウス1がミッドチルダUCATに来たようです 前編
1.
さて、ミッドチルダUCATにやって来たメビウス1であったが、ここでの日々は驚きの連続であった。
まず人間。陸士たちは魔力適正が低いと聞いていたのだが、低いなら低いなりに装備を改善して能力を高めているのである。
――否、それよりも重大なものがあった。
「リボン付きの旦那ー、ピクシーが落とせないよ。何回やっても何回やっても。QAAM使ってもECM防御システムじゃ意味がない」
「リボン付きー、挟まっちまった」
「実は俺、基地に恋人がいるんですよ。戻ったらプロポーズしようと。花束も買ってあったりして……うわ、なんだお前らアッーーー!!」
安直な死亡フラグを立てて、周りの同僚に連れて行かれる陸士に手を振って見送るメビウス1。ここでこんな安直なフラグは許されないのである、
何しろ、陸士たちときたら仕事を放置して毎日ゲーム、漫画、フィギュアである。メビウス1が来たことでエースコンバットブームも再燃しているらしく、廊下に出れば攻略法
を聞かれる、部屋に入れば代わってくれと頼まれる、挙句の果てには目の前で「俺の修行の成果を見てくれ。イジェークト!」と派手に射出座席で脱出し、結果天井に頭を強く
打ち、しかし鼻血を垂らすだけで「どうだった、俺のイジェクトは!?」と割と真剣な表情で聞いてくる猛者までいた。
「うむ、よかったぞ。お前こそまさにオメガ11、キングオブベイルアウターだ」
「ま、マジか! オメガ11イジェークト!」
適当にしょっちゅうイジェクトしてる元の世界での同僚の名を出して褒めてやると、また嬉しいのか勢い余ってイジェクトする。その度に天井に激突するのだから、ミッドチルダ
UCATの建造物修理費が少し気になるところである。
最初のうちは見ていて面白かったが、さすがにずっとこんな調子なので戦闘機運用について話すついでに、ミッドチルダUCAT総司令官のレジアスに一つ質問をしてみた。
「中将、ここは変態が多いのか? 真面目な奴をあまり見ないんだが」
こんな調子で本当にミッドを守れるのか、と言う意味を含めての質問だったが、レジアスは大して考えた様子もなく、先ほどから熱心に端末に何か打ち込みながら(あとで聞いたら
亡くなった妻との甘く切ない長編官能小説らしい。非公開)彼はこう言った。
「変態ではない、変態と言う名の紳士なのだ」
だからなんだと言うのだ。
とりあえずメビウス1は六課に送る報告書を書く傍ら(きっとアホか!と叩き返されることは確実である)、なんだか最近背筋にひどい寒気を感じるような気がした。
誰かが嫉妬のような、憎悪のような、とにかくあまりよくない目で俺を見ている――。
しえーん
メビウス1、生きて帰れるのか!?(精神的な意味で)
2.
その日、メビウス1は新たな愛機F-2を駆り、空にいた。酸素マスクとヘルメットで覆われた顔に浮かべる表情は、割と真剣だったりする。
とりあえず練成中の戦闘機隊の技量を確認するため、ミッドチルダUCATでも精鋭の集まりとされる首都航空隊と演習を行うのが本日の予定だった。
「アヴァランチ、一一時方向から来る敵編隊を潰せ。ウィンドホバーは二時方向のを、スカイキッドは援護。俺は正面のを叩く。ゴーストアイ、電子戦支援を頼む」
「アヴァランチ、了解だ。腕の見せ所だな」
「ウィンドホバー、了解した」
「スカイキッド了解、忙しくなりそうだ」
「こちらゴーストアイ、電子戦支援を開始する」
矢継ぎ早に指示を送るが、戦闘機隊の面子は素早く反応してくれた。陸士たちはあんなのだが、パイロットの彼らは仕事に関してはまともだった。
――ただし、あくまでも"仕事に関しては"である。
「アヴァランチ交戦! 邪魔だ、エターナルフォースブリザード!」
「こちらウィンドホバー……っく!? また疼き出しやがった、沈まれ俺の邪気眼!」
「スカイキッドは敵と交戦中――この、ふざけるな、フェイトそんは俺の嫁だぁああああ!」
言動にいろいろと問題があった。一応断っておくが、彼らの出身作品であるエースコンバット6では普通にまともで頼りになる味方なので、誤解しないで欲しい。
しかしスカイキッド、いったい何があったのだろう。大方同じフェイト派と遭遇でもしたのだろうが。
やれやれ、と呆れたようにメビウス1は首を振り、ゴーストアイの開始した電子戦支援の下、敵役を担っている首都航空隊の陸士たちと対峙する。
「こちらゴーストアイ、敵の探知魔法を妨害中。今なら発見されにくい、不意打ちが出来るぞ」
「サンキュー、ゴーストアイ」
「べ、別にお前のためにやっている訳ではない、勘違いするなよ」
こいつもどっかおかしいんだよなぁと胸の片隅で呟きながら、メビウス1は探知魔法を無効化されてこちらに気付く様子のない陸士たちをレーダーロックオン。
「メビウス1、フォックス3」
ヘッドホンに、ロックオンしたことを知らせる電子音が鳴り響く。迷わず、メビウス1はミサイルの発射スイッチを押した。
F-2の主翼下から放たれるのは、四発のAAM-4中距離空対空ミサイル。主翼から切り離されたそれらは一瞬沈み込み、魔力推進のロケットモーターを点火させ、各々が捕らえた目標
に向かって突き進んでいく。
弾着まで五秒、四秒、三秒と彼は胸のうちでカウントする。その数字がゼロとなった時、放たれた四発のAAM-4は目標、陸士たちに直撃する。
演習用のため殺傷能力はないが、派手な爆風に晒される陸士たちは――何事もなかったように、周囲に漂う爆風の煙をうっとうしそうに薙ぎ払った。
「何……!?」
いかなる手品を使ったかは知らないが、どうやら無傷らしい。ひとまずメビウス1は操縦桿を引いてF-2を上昇させ、ちょうど真上にあった雲に隠れることにする。
「ゴーストアイ、今のは何だ? そっちで分析できないか?」
「こちらゴーストアイ、よく聞こえないぞ」
「……このくそったれ」
「何だと!? メビウス1、今なんと言った!?」
「聞こえてるじゃねぇかこのEDF本部め」
うるさいうるさいうるさーい、お前なんか落ちちゃえばいいんだーと渋い男の声が通信機から聞こえるが、不快感たっぷりだったのでメビウス1は通信回線を切った。
これが釘○ボイスだったらまだよかっただろうに――などと考えてしまう辺り、徐々に彼も感染しているのかもしれないが。
さて、どうする――メビウス1は雲の中で思考を回転させる。いつまでも隠れている訳には行かないが、ミサイルが通用しないとなると戦術そのものを変えねばなるまい。
「――っ!」
ひとまず雲を突き抜け、メビウス1は魔力弾のオレンジ色の弾丸が側面から飛び込んでくるのに気付き、着弾前にラダーペダルを踏み込み、操縦桿を捻る。
主翼を翻し、高度をぐっと下げるF-2のすぐ傍を、魔力弾は飛び去っていく。回避に成功したメビウス1は素早く機体を立て直し、周囲に視線を巡らせる。
――どこだ。くそ、人間サイズだから見つけにくい……いた。
戦闘機に比べればはるかに小さな陸士たちを見つけ、彼は有利なポジションに立つべく愛機を機動させた。
天まで届けと翼がしなる。圧し掛かってくるGは苦しく、吐き気すら生み出す。だが、それらを帳消しにするものがある。
すなわち――戦闘の緊張感、高揚感。麻薬にも似た甘い刺激を持つそれらは、メビウス1に力をもたらす。
音速突破。大気を引き裂きながら、彼のF-2は陸士たちに向かって突撃を敢行する。
再び魔力弾が飛び込んでくるが、操縦桿を不定期に左右に倒し、メビウス1はF-2をロールさせることで魔力弾を回避し、陸士たちとの距離を縮めていく。
「捉えた……!」
ピアニストのように指を手早くウエポン・システムの上で踊らせ、機関砲を選択。陸士たちに向かって、彼は迷うことなく機関砲の引き金を引く。
毎分六千発の二〇ミリ弾の雨が、F-2の主翼の付け根、機関砲から放たれる。無論これも訓練用のため殺傷能力はないが、今回は当ててしまえばそれでいい。
今度こそ、陸士たちは弾丸の雨に弄ばれ、撃墜判定を食らう――だが、全員仕留められるかと思いきや、一人が弾丸を弾き飛ばす。
「上手くいくと思ったかよ、リボン付き! 妹を返せぇ!」
「は、はぁ!? 何のことだよ、っと!?」
ただ一人生き残った陸士――首都航空隊のエース、ティーダ・ランスターが吼える。同時に、どこかで見たことのある銃型デバイスを構え、メビウス1に向ける。
反射的にメビウス1はエンジン・スロットルレバーを叩き込み、アフターバーナー点火。F-2は猛然と加速し、ティーダの銃口から逃れようとする。
「2nd-Gの概念を追加……さぁ落としてやる。そしてティアナを返してもらうぞ、リボン付きぃぃぃいいい!」
「ティ、ティアナ!? ランスターがなんだ、どうしたんだよウォオオオイ、人の話聞けぇえええ!!」
概念は力になる。力を手に入れた重度の、救いようのないまでのシスコンは、暴走する。
ティーダの周囲に浮かぶスフィア、そして彼の持つ銃型デバイスの銃口に閃光が走った。
途端に、青空を駆け抜けていくのは無数のオレンジ色の魔力弾。それらが一斉に、己の意思を持ったかのように、メビウス1のF-2に急接近。
操縦桿、ラダーペダル、エンジン・スロットルレバー、操縦に使用するあらゆる部分をメビウス1は乱暴に、しかし回避に適切な分だけ動かしまくる。
上昇、降下、旋回、加速、減速。F-2はむちゃくちゃに青空を駆け回り、ティーダの放った魔力弾を避け続ける――だが、おかしい。一度避け切ったはずの魔力弾が、方向転換
してまたこちらに向かってくる。メビウス1はこの手の魔力弾を見たことがなかった。
彼は知る由もなかったが、ティーダの放った魔力弾はミッドチルダの魔法とは違う、2nd-Gの概念による補正がかかっていた。
繰り返すが、概念は力になる。すなわち、この魔力弾は"必殺滅殺虐殺命中粉砕弾"なのである!
実は先ほど陸士たちがミサイル攻撃を弾き返したのも、「僕は死にましぇ〜ん!」と言う新型バリアジャケットを纏っていたからなのである。ただし、試作品なので効果は一回
だけだが。
駄目だこの兄貴早くなんとかしないとw 支援
「んな無茶苦茶な……」
色々と自分の中で常識がひっくり返されて、ついでにいい加減逃げるのに疲れたメビウス1は、計器に手を伸ばす。突然大人しくなったF-2に、ティーダの魔力弾は急接近する。
――じゃあ、こんなのはどうだい?
タイミングを見計らい、メビウス1は計器にあった多種多様なスイッチのうち、一つを押す。同時に、操縦桿を左斜め前に引いて、F-2を旋回させた。
ガコンッと機体が揺れて、F-2は胴体下に抱えていたドロップタンク――分かりやすく言えば、燃料増加タンクを切り離す。
切り離されたドロップタンクは、それまでF-2の一部だったもの。魔力弾たちは旋回して遠くなっていくF-2よりも、手近にあるドロップタンクに食いついた。
次の瞬間、青空に響き渡るのは衝撃と爆音。ドロップタンク内に残っていた燃料が、魔力弾に貫かれたことで引火、爆発を起こしたのだ。
これで、戻ったらしばらくオフィス勤務だなとメビウス1は思考の片隅で考えた。ドロップタンク一つとは言え、貴重な予算のうち。それを捨ててしまったのだから、色々と処理
しないといけない書類があるのだ。
――空中に広がった爆風は、予想以上に大きかった。F-2を目指して飛んでいたティーダの魔力弾を飲み込んだそれは、メビウス1を逃がすための隠れ蓑としても働いた。
「な、避けられた――っ」
「よし、今度はこっちの……あ、何?」
ティーダが驚愕と焦りが入り混じった表情を浮かべ、その間にF-2は一気に急旋回。
回避に成功したメビウス1は、機首をティーダに向けていた。機関砲で、このどうしようもない変態をめためたにするつもりだった。
ところが、ここに来て待ったをかける人物がいた。
「あー、あー。聞こえるか、演習中の全部隊?」
「レジアス中将!?」
総司令官、レジアス直々の通信。いったい何事だと言うのか。皆が固唾を呑んで、彼の次の言葉を待つ。
「……頼むから静かにしてくれ。わしが小説書くのに集中できんじゃないか」
「はいはいヘッドホンでもしてろ。と言う訳で落ちろ変態め」
「ぐ、ぐぁあああーっ!?」
案の定通信を切って、メビウス1は機関砲をティーダに全弾撃ち込んだ。
めでたしめでたし。
後で聞いた話だが、このティーダとか言うのはティアナの実の兄だったらしい。
行方不明になっていたのだが先日復帰し、これから最愛の妹に会いに行こうとした時にこの演習に借り出されて、気が立っていた。
もっと言うなら、彼は六課に事前に探りを入れていた。そして、聞いてしまったのである。
「え、ティアですか? 最近こっちに来たパイロットの人が気になってるみたいですよ。なんかもう、ホの字?」
楽しそうに話してくれた青い髪の陸戦魔導師の少女の証言。これを聞いてティーダが黙っていられようか。
妄想が妄想を呼び、いつの間にか会ったこともないのにメビウス1の人格が彼の中で形成されていく。
きっと情け容赦無用、冷酷非道だが口は弁護士、心は詐欺師な男に違いない。ティアナはきっと騙されてしまったんだ。
もしかしたらもう行くところまで行ってしまって――駄目だ、お兄ちゃんはそんなこと許しません!
かくして、彼はメビウス1が参加していると言う今回の演習に参加していたのである。
「――空で負けたからといって地上では負けん、待てぇえええリボン付きぃいいいい!」
「またお前か! いい加減来るな!」
しかし誤解は解けた訳ではなく、しばらくメビウス1はティーダに追われる日々が続いた。
「んな無茶苦茶な……」
色々と自分の中で常識がひっくり返されて、ついでにいい加減逃げるのに疲れたメビウス1は、計器に手を伸ばす。突然大人しくなったF-2に、ティーダの魔力弾は急接近する。
――じゃあ、こんなのはどうだい?
タイミングを見計らい、メビウス1は計器にあった多種多様なスイッチのうち、一つを押す。同時に、操縦桿を左斜め前に引いて、F-2を旋回させた。
ガコンッと機体が揺れて、F-2は胴体下に抱えていたドロップタンク――分かりやすく言えば、燃料増加タンクを切り離す。
切り離されたドロップタンクは、それまでF-2の一部だったもの。魔力弾たちは旋回して遠くなっていくF-2よりも、手近にあるドロップタンクに食いついた。
次の瞬間、青空に響き渡るのは衝撃と爆音。ドロップタンク内に残っていた燃料が、魔力弾に貫かれたことで引火、爆発を起こしたのだ。
これで、戻ったらしばらくオフィス勤務だなとメビウス1は思考の片隅で考えた。ドロップタンク一つとは言え、貴重な予算のうち。それを捨ててしまったのだから、色々と処理
しないといけない書類があるのだ。
――空中に広がった爆風は、予想以上に大きかった。F-2を目指して飛んでいたティーダの魔力弾を飲み込んだそれは、メビウス1を逃がすための隠れ蓑としても働いた。
「な、避けられた――っ」
「よし、今度はこっちの……あ、何?」
ティーダが驚愕と焦りが入り混じった表情を浮かべ、その間にF-2は一気に急旋回。
回避に成功したメビウス1は、機首をティーダに向けていた。機関砲で、このどうしようもない変態をめためたにするつもりだった。
ところが、ここに来て待ったをかける人物がいた。
「あー、あー。聞こえるか、演習中の全部隊?」
「レジアス中将!?」
総司令官、レジアス直々の通信。いったい何事だと言うのか。皆が固唾を呑んで、彼の次の言葉を待つ。
「……頼むから静かにしてくれ。わしが小説書くのに集中できんじゃないか」
「はいはいヘッドホンでもしてろ。と言う訳で落ちろ変態め」
「ぐ、ぐぁあああーっ!?」
案の定通信を切って、メビウス1は機関砲をティーダに全弾撃ち込んだ。
めでたしめでたし。
後で聞いた話だが、このティーダとか言うのはティアナの実の兄だったらしい。
行方不明になっていたのだが先日復帰し、これから最愛の妹に会いに行こうとした時にこの演習に借り出されて、気が立っていた。
もっと言うなら、彼は六課に事前に探りを入れていた。そして、聞いてしまったのである。
「え、ティアですか? 最近こっちに来たパイロットの人が気になってるみたいですよ。なんかもう、ホの字?」
楽しそうに話してくれた青い髪の陸戦魔導師の少女の証言。これを聞いてティーダが黙っていられようか。
妄想が妄想を呼び、いつの間にか会ったこともないのにメビウス1の人格が彼の中で形成されていく。
きっと情け容赦無用、冷酷非道だが口は弁護士、心は詐欺師な男に違いない。ティアナはきっと騙されてしまったんだ。
もしかしたらもう行くところまで行ってしまって――駄目だ、お兄ちゃんはそんなこと許しません!
かくして、彼はメビウス1が参加していると言う今回の演習に参加していたのである。
「――空で負けたからといって地上では負けん、待てぇえええリボン付きぃいいいい!」
「またお前か! いい加減来るな!」
しかし誤解は解けた訳ではなく、しばらくメビウス1はティーダに追われる日々が続いた。
あ、しまった。間違えて同じもの二つ投下してしまった。すいませんorz
3.
胸が苦しい。呼吸すらもはや苦痛だった。両腕に圧し掛かる、九七管理外世界の八九式小銃を模した魔力式アサルトライフルの重量は、容赦なくメビウス1の体力を奪う。
膝が悲鳴を上げている。腕が苦痛を訴えている。身体がもう嫌だと嘆いている。
しかし――間違いなく、今走るのを止まれば彼は阿鼻叫喚の地獄絵図に放り込まれてしまう。
UCAT本部の中を駆け回っていたメビウス1はふと振り返る。そこに、奴らはいた。
「待てぇえええい、このリボン付きめぇ!」
「よくも俺のなのはさんをぉおおおお!」
「ころしてでもうばいとる」
ドドドドッと屋内であるはずなのに、壮絶な砂埃を上げて追いかけてくる変態陸士ども。UCAT内に存在する「魔王様を信奉する会」のメンバーたちだ。
何故に彼らが追いかけてくるのか。理由は単純明快、メビウス1が本編でなのはにフラグ立ててるから。
もっと言うなら避難所の方で大変なことをしてしまったから。まぁあれはIFルートだから本編ではないんだけど。
「ええい、くそ」
自衛のために持ち出したアサルトライフルを構えて、メビウス1は追いかけてくる変態たちに発砲。軽く、されど頼もしいアサルトライフルの反動が肩に響く。
先頭を行く陸士たちが、銃弾をもろに受けてひっくり返る。殺傷設定のそれが眉間に直撃のはずなのに、鼻血で済む辺り、こいつらやっぱおかしいと改めて認識する。
ところが、倒れた陸士を助けようともせず、後続部隊が地面に転がる彼らを踏みつける形でメビウス1に特攻して来た。まさに戦友の屍(死んではいないが)を踏み越えてくる。
「な、お前ら仲間を」
「我らの目的はただ一つ!」
「なのはさんの奪回!」
「そのためならこの命、惜しくはない!」
駄目だこりゃ、とメビウス1は撃退を諦め、射撃体勢を解いて再び走り出す。ついでに懐から手榴弾をいくつか取り出し、全てピンを抜いて後方にばら撒く。
空中に放り出された手榴弾はと言うと――起爆するまでのわずか数秒の間に、先頭を行く陸士が背中に抱えていたバットでカキーン!と打ち返されていた。
どこか遠い場所で「鳥羽イチロォォォォ!!」と聞こえたような気がするが、きっと気のせいだ。
ともかくも背番号51や55の人も真っ青な勢いで打ち返された手榴弾は窓を突き破り、外の駐車場に落下、爆発。巻き起こった衝撃と爆風、破片は容赦なく停めてあった陸士たちの
痛車を殴り、斬りつけ、粉砕玉砕大喝采。
「ぬああああああああ、お、お、俺のマイカァァァァ!」
「も、燃えてる、まだローンが一年残ってるのに……」
「ひしゃげた、僕の夜明けなカー、ひしゃげた、燃えた、あは、あはははは……」
何名かの陸士は悲鳴を上げ、号泣し、この世の終わりを迎えたかのように虚ろな眼で笑っていた。神よ、願わくば彼らにご慈悲を。変態はお断りとかそう言わずに。
まぁ、それはともかくとして、陸士たちは追撃の手を緩めない。メビウス1は逃げる足の速度を緩めることなく、思考をフル回転。
どうする、アサルトライフルでは止まりそうにない。ショットガンのようなストッピングパワーに優れた銃でもあるならともかく、今のこいつらはきっと熊より手ごわい。
廊下の突き当たりを右に曲がり、そこでメビウス1はしまった、と表情を歪めた。行き止まりであった。
「っく」
振り返ると、そこには眼を充血させ、荒い呼吸でじりじりと迫ってくる陸士たち。各々、手に縄やら網やら持っているので捕獲するつもりなのだろう。
「へ、へっへっへ、追い詰めたぜ――」
「観念しろ、リボン付き……」
ハァハァと気色の悪い呼吸のまま、これまた気色悪い笑みを浮かべる陸士たちが、メビウス1には何だかかつては人間だった、異形の者に見えた。
とりあえず、彼の出身作品は「ACE COMBAT04」のはずである。間違ってもSIRENではない。だと言うのに目の前の陸士たちときたら、もはや屍人である。
腕が恐怖で震えるが、メビウス1は勇気を振り絞り、アサルトライフルを構えた。捕まったら何されるやら、分かったもんじゃないし。
陸士たちはメビウス1に降伏の意思がないのを悟り、一斉に飛びかからんとする――まさにその瞬間、見慣れない影が彼らの間に割り込んだ。
「眼を閉じて!」
見慣れない影は、ロングの青色をした髪をなびかせながら、そう言った。言われるがまま、メビウス1は眼を閉じる。
直後、瞼の向こうで何か巨大な光が巻き起こったのが分かった。知識でしか知らないが、きっと閃光手榴弾だろうと彼は思った。
一瞬だったが、強烈な閃光手榴弾の光は、さながら邪悪なる変態を浄化する太陽の光の如く、陸士たちの眼を潰した。
「うわああああ!」
「眼が、眼がぁああああ!」
「な、何も見えない。暗いよ狭いよ寒いよ怖いよ」
ごろごろと地面をのたうち回る陸士たち。だが中には寸前で閃光手榴弾に気付き、眼を閉じて戦闘続行可能な者がいた。
「っく――まだだ、たかがメインカメラをやられただけっ!?」
されど、容赦無し。助けてくれたロングの髪の少女は、まだ生き残っている陸士をその手のリボルバーナックルで殴り飛ばす。
――スバルと同じ装備? まさか彼女は。
ひょっとしたらと思って、メビウス1は彼女に声をかけようとした――だが、背後に立つ邪悪な存在感に阻まれた。
「ふ、ふふふ……ところがぎっちょんゲハァ!?」
振り返ると、髪の毛を逆立てて恐ろしい形相をした陸士がいた。いったいいつの間に回りこんだのか。
しかしそれも一瞬のこと。側面から赤い曳光弾が多数飛んできて、陸士の顔を、腹を、足を、容赦なくぶん殴る。
訳が分からずメビウス1が呆然としていると、窓の向こうから手を振る人影が見えた。その手にはMP5を模したサブマシンガン。おそらくは彼が助けてくれたのだ。
「こっちです、早く!」
生き残っていた変態陸士の掃討を終えたのか、リボルバーナックルの少女がメビウス1の手を引く。安全地帯にでも誘導してくれるのだろう。
とりあえず足元で依然として眼を押さえて苦しむ陸士を踏みつけながら、メビウス1は少女の後をついて行った。
助けてくれたのは、UCAT内ではおそらくもっともマトモな部類に入るであろう、ギンガ・ナカジマだった。同じく、サブマシンガンでメビウス1を援護したのは陸士B部隊所属の
ベルツ2尉。
彼らがメビウス1を助けた理由は、ただ一つ。
「これ以上変態が増えては困ります。ましてや、やっとマトモな人がやってきたのに」
「俺たちは秘密裏にUCATをマトモにしようと活動しているレジスタンスなんだ」
同じ組織内でレジスタンスとはこれいかに。とりあえず「何故そんなことを?」とメビウス1が尋ねると、二人は突然涙を浮かべて答えてくれた。
「毎日毎日勝手にフィギュア作られて……こないだなんか睡眠薬で寝かされて寝顔のビデオ撮られて。もっと言うなら最近落とし穴によく落とされそうになったり」
「ソープもジャクソンも、みんなあいつらにやられた……変態化してしまったんだ。あのままじゃCOD4のクロスに出せん」
「……苦労してるんだな、あんたらも」
頷くメビウス1。根が真面目な彼女と彼からしてみれば、UCATほど駄目な組織はあるまい。
――しかし、彼らは知らなかった。自分自身が助けたこのISAFのエースも、徐々に感染が始まっていることに!
「――どうでもいいけど、サイドポニーとツインテールとロング、どれが一番美しいかな。俺はどれも好きで判断が下せない」
「……2尉、もしかして彼」
「しまった、もはや手遅れか」
投下終了です。いや、最近のUCATブームに触発されてつい勢い余って(ぇ
後編はまた来年投下の予定です。三次の許可をくれた夢境氏には感謝とこの言葉を。Tes.!
それでは皆さんよいお年をー。
駄目だこいつら本当に始末しないと(ぉぃ)
TOL氏GJでしたww
なんていうか、メビウス1が手遅れになってきているww
適応したら駄目だww 将来のライバルたる黄色の13が再戦時に泣いちゃうぞ!
というか、本編とは違ってこのメビウス1が派遣されたのは戦技指導以前にリボン付きだったからとしか思えんw
こりゃああれだね THE OPERATION LYRICALで地上本部壊滅でカッコよく散ったレジアスですが、死にそうにねえな(明らかに必要が無い)
黄色の13が教育しているはずのナンバーズも何人この変態たちの毒牙に落ちるんだ!?w
にげてー!
スカ博士とナンバーズ逃げてー!!
最強パシリ二人まで変態になっているから隙がゼロだぞー!
サイドポニーとツインテールはわかるけどロングは誰なんだろ……それはともかくメビウス1まで汚染されたのか、黄色13は彼にあったときなにを思うのだろう
もはや終わクロじゃなくてUCATがジャンルになってるw
レジスタンスには原川もいるんだろうなー
ロングはフェイトさんじゃないか?
357 :
一尉:2008/12/31(水) 16:46:14 ID:HK0Y6k+c
OK支援
TOL氏GJです!!
えっと18:00位に第七話投下させてもらいます。
40行前後の6レスぐらいになると思います。
では行きます
高町なのは撃墜事件、機動隊壊滅事件から三年の月日が流れた……
事件後、管理局の信用はがた落ちとなっており、
本局・地上本部は大衆の信用を得る為、独自のイベントを行っていった。
その結果、本局・地上本部は徐々にだが信用を得始めていた。
…だがそれに比例して両者の溝は三年で更に深まっていた……
リリカルプロファイル
第七話 決意
此処はミッドチルダの首都クラナガンにあるマンション、そこで一人の男が調べ物をしていた。
男の名はティーダ・ランスター、首都航空隊の一等空尉である。
彼が調べている物は最近起こった変死事件である。
その事件とは路地裏で起きており、被害者の血液が体に残っていないというのが特徴である。
管理局は魔法生物もしくはカルト的宗教の類ではないかという見方をしていた。
…此処クラナガンでは事件が多発しており、先日も犯人が立てこもり、
その際狙撃手が人質に誤射、被害を被ると言う事件が起きたばかりである。
結果的に逮捕はしたが、犯人は犯行時の記憶が無く魔法による記憶障害もしくは操られていたと言う見方をとっていた。
話は戻り、体内の血液が抜かれるなど過去の事件でもあり得ない事で、民衆は不安を募らせていた。
「…こんな時、アリューゼとメルティーナが居たらな……」
かつての同期で親友でもあり、他の同期からは天才と評価されていた二人、
その後エリート集団である機動隊に入隊、同期からは期待の星として持ち上げられていた。
だが壊滅事件後二人は地上本部から身を引き、それぞれの道を歩いているという。
「いや……なに言ってんだろうな」
機動隊が無くなった今、ミッドを護るのは自分達だと…そう自分に言い聞かせモニターを見つめる。
今月に入って被害は四人に上り、被害者は老若男女を問わず目撃者もいない為、捜査は難航していた。
ティーダは顎に手を当て四人の被害者の現場写真に写っている野次馬をじっくり見つめていると、ある共通点を見つける。
野次馬の中には眼鏡の青年が映っており、場所・時間・服装は違えど青年は必ず現場に写り込んでいた。
彼は事件と関わりがあるのではないか…今度見かけたら任意同行をかけてみるか…
そう考えていると自室の扉から光が漏れ出す、ティーダはそれに気づき振り向くと、そこには肩まで伸びたオレンジ色の髪の少女が佇んで居た。
「兄さんまだ起きてたの?」
「お前こそ…まだ起きてたのか」
一言交わすと少女は部屋に入って行きモニターを見つめる。
「まだ仕事していたんだ」
「まぁな……そんな事よりどうしたんだ?部屋に入ってきて」
「…………やな夢を見て」
少女の夢とは、ティーダが自分の前から居なくなるという内容だった。
するとティーダは少女の頭に手をやり、優しく撫でた。
「心配するな俺は何処にも行かない、約束する」
「本当?」
「俺が今まで約束を破ったことあったか?」
少女は思い返していた、誕生日の時もクリスマスの時も兄は決して約束を破らなかった。
それらを思い出すと少女は首を大きく左右に振り、それを見たティーダは大きく頷く、すると少女は左の小指を突き出した。
「じゃあ指切り!」
「分かったよ……」
ティーダもまた左の小指を突き出し少女の小指を絡めると二人で歌い出す。
『ゆ〜び切〜りげんまん、う〜そ付〜いた〜らは〜りせ〜んぼ〜んの〜ます、指切った!』
歌い終わると指を放し、少女は安心した様子で笑顔のまま部屋を出ていく。
「それじゃおやすみ兄さん」
「あぁ、おやすみティアナ」
扉を閉め足音が遠のいで行く、それを確認したティーダは時計を確認し、
パソコンの電源を消すとベッドに向かい眠りについた…
一方此処はゆりかご内、スカリエッティの前には地図が映し出していた。
地図には赤い×点が表示されており、それに触れると今回の変死事件の現場が映し出される。
今回の事件の発端は、彼等が起こした事故が引き金である。
彼等はクラナガンから離れた土地にある、研究施設で不死者の強化実験を行っていた。
実験体の名はライフスティーラーと呼ばれる不死者で、相手の血を吸い自分の力に変える特徴を持つ。
そして実験とは、不死者のリンカーコアに魔力を注入させ強化を計るものなのだが、
魔法注入中に不死者が暴走、暴走した不死者は首都クラナガンに逃げ込んでしまいこの様な事件を起こしてしまったのだった。
スカリエッティは内心焦っていた、折角最高評議会との連絡を絶ち、
暗躍をしていたというのに、このような形で表に出てしまった事を。
このまま不死者が暴れ続け管理局にでも捕縛されてしまったら、破滅は免れなかった。
「う〜ん……困ったね」
「ただいま戻りましたよ」
「お帰りレザード……首尾はどうだい?」
「……少し気になったことがありました」
現場に赴き詮索してみると、ある共通点を見つけたという。
それは犯行現場である路地裏の近くにはマンホールがあり、
今回逃げ出した不死者は、恐らく下水道を使って移動していると考えた。
その為下水道の地図と犯行現場を記した地図を合わせれば、恐らく次の犯行現場を見つけられるというのがレザードの推論であった。
それを聞いたスカリエッティは、早速下水道の地図と照らし合わせ、次の犯行現場の予想を行い始めた…
次の日ティーダは隊長から許可を得て、路地裏の片隅に潜んでいた。
夜ティーダが眠りに付こうした時、現場写真にマンホールが必ず映っていたことを思い出し、
直ぐ様下水道の地図を照らし合わせると、この路地裏を発見したのだった。
……路地裏に来てから十時間が経過したが未だ変化無く、辺りは暗くなり始めていた。
すると奥のマンホール蓋が開き始め姿を出す。
その姿は、頭・肩・手足が白く体は紫で、口は細く鋭く伸び後頭部の方は二つに割れ伸びていた。
そして手足は鋭く、手においては地面に付きそうなほど長かった。
ティーダは目を疑った、目の前に現れたのは魔法生物と言えばあまりに異形で化け物と言った方が正しいと感じていた。
だが、目の前の現実を受け止めようと心に念じティーダはデバイスを起動させる。
「動くな!!」
銃型インテリジェントデバイスD・Eを突きつけるティーダ、だが相手は臆することなくティーダに向かって襲いかかってきた。
「問答無用か…D・E!カートリッジロード!!」
ティーダが叫ぶと機械音と共に薬莢が一つ排出されると
ティーダの足音に円陣が現れ更に周りにはオレンジの魔力弾が四つ現れる。
「クロスファイアシュート!!」
そう叫ぶと四つの魔力弾は的確に化け物の両肩と腿にヒットし化け物を吹き飛ばす。
だが化け物はゆっくり起きあがると飛び跳ね、左手をビルに突き刺し、両足でビルを蹴り、右手を突き出し向かってくる。
化け物の突きが当たるギリギリの所でバックステップするティーダ、
そしてティーダが居た場所は地面を突き刺した化け物の姿があった。
「D・Eダブルモード」
そう言うと、人差し指をトリガーに引っ掛け回転させると左手に同様の銃が現れる。
ティーダは右手に持った銃で三発化け物の体に撃ち込み吹き飛ばすと、
更に左の銃から薬莢が一つ飛び出しクロスファイアで追い撃ちをかける。
「流石に此処まで撃てば気絶する―――」
だが化け物はやはりゆっくりと起き上がりティーダを睨み付ける。
…強化魔法でも掛かって居るのだろうか、だったらストラグルバインドで縛り上げてみるか…
そうティーダは考えていた瞬間、上空から五本の光の槍が化け物に突き刺さり、
化け物は奇声を上げながら光の粒子となって消え去った。
「やれやれ姿を見せたかった思ったら…まさか目撃者が居たとは……」
そう言いながら上空から一人の男が降りてくる、その男はティーダが怪しがっていた眼鏡の青年だった。
やはりこの事件と関わりがある…そう踏んだティーダはデバイスを青年に向ける。
「貴様は何者だ」
「今から死ぬ者に名乗る名はありませんよ」
そう告げると右手を伸ばしファイアランスを唱える。
ティーダに向かって二つの炎の矢が襲い掛かるが右の銃からの魔力弾で撃墜、更に左の銃で追撃するが青年は上空に逃げる、
すると両銃から薬莢が一つずつ排出すると八つのクロスファイアが浮かび上がり青年に襲い掛かる。
青年は縦横無尽に動き周り三発は障害物や壁などに当て逃れるが、
残りの五発はしつこく追いかけてくる、青年は埒があかないと思い振り向くと右手をかざす。
「プリズミックミサイル」
青年は唱えると右手から五つの光線が現れ、残りのクロスファイアを撃墜、更に青年はティーダに目を向けると指を鳴らす。
「バーンストーム」
次の瞬間ティーダの足元が爆発し炎に包まれる。
炎が消えるとそこにはティーダの姿がなかった。
一撃で吹っ飛んだか…そう考えていた瞬間、上空からティーダが青年に向かって降りてくる。
「D・E!モードU!!」
すると銃口から魔力の刃が伸びるとクロスさせ切りかかる、ダガーモードと呼ばれるバリア・フィールド貫通能力を持つ銃剣である。
だが青年はガードレインフォースで防ぐと両者の間に火花が散る。
「D・E!カートリッジロード!!」
両銃から薬莢が一つずつ飛び出すと、更に魔力刃が強化され、青年のシールドを砕く。
次の瞬間ダガーモードを解除し青年に銃口を向け撃ち出す。
青年はなす統べなく撃たれ吹っ飛ぶが、一回転してから地面に降り立つ。
そしてティーダは無くなったカートリッジバレルを捨て、新しく交換すると一つずつロードさせ地上に降りると、
ダブルモードのD・Eの銃口の周りにクロスファイアを展開させ、クロスファイアは銃口を軸に回転し始めた。
「クロスファイア…スパイラルシュート!!」
ティーダが叫ぶと回転が乗った右のクロスファイアが螺旋を描きながら青年に襲い掛かる、青年はシールド展開クロスファイアを受け止めるが、
ティーダは追い討ちに左のクロスファイアを撃ち出し青年を足止めにする。
青年の足が揺らぐと勝機とばかりに左を通常に構え、右は水平に構えると薬莢が二つずつ計四つ排出される。
そして銃口の前に円陣が現れるとティーダは叫んぶ。
「ファントムブレイザー!!!」
次の瞬間オレンジ色の収束砲が青年に襲いかかる、だが青年はシールドで攻撃に耐えていた。
するとティーダは更にカートリッジをロードし威力を高める、すると強力な魔力の奔流が青年を呑み込んだ。
「はぁ……はぁ………やっ…たか……」
体を丸め肩で息をし、足下には空のカートリッジバレルが排出されていた。
ティーダは呼吸を整え胸を張るように起きあがる、すると赤い鎖のバインドと青い鎖のバインドがティーダを縛り付ける。
すると目の前に五亡星が浮かび上がり青年が現れる。
「流石に今のは危なかったでした…予め移送方陣を用意しておいてよかった」
強化したファントムブレイザーが届く瞬間に移送方陣で回避し二つのバインドで拘束したと青年は話す。
ティーダはバインドを解こうと抗うが力が入らず不思議な感覚を覚えていた。
「無駄ですよ、そのバインドは特別製ですから」
赤いバインドをレデュースパワー、青いバインドをレデュースガードと呼ぶらしく、
レデュースパワーは力を押さえる効果があり、レデュースガードは防御力を下げる効果があるという。
どうりで力が入らないわけだ…そう思いながらティーダは青年を睨み付ける。
「……まぁアナタの実力は認めてあげましょう…故人は褒めて二度殺すのがスジらしいですから」
そう告げ不敵な笑みを浮かべながら手をかざす青年。
(ティアナとの約束……破っちまったな…………)
ティーダはティアナとの約束を思い出しつつ永遠の眠りについた……
その後ティーダとの連絡が途絶えた為、ティーダが向かったと思われる現場に急行、
現場には無惨な姿で倒れているティーダを発見する。
遺体の損傷は激しく両足は爆発物で吹き飛ばされた形跡があり、体全体には激しい裂傷が見られていた。
管理局は複数の魔導師による犯行と考え捜査、
暫くしてカルト集団ゴーラ教の信者が自首し犯行を自供し、事件は一応に解決した……
日は変わり此処は葬儀場、その中ではティーダ・ランスターの告別式がしめやかに行われていた。
そして花を手向ける参列者の中に喪服姿のアリューゼの姿があった。
遺影を見つめ深く祈り、花を手向け親族に目を向けると一人の少女のみが、ぽつんと座っていた。
少女の目は真っ赤に充血し泣き跡が残っており、泣きじゃくった印象を受けた。
アリューゼは親族である少女に声をかけ、同じ目線までしゃがむ。
「確か名はティアナだったな」
「…兄さんのお友達ですか?」
「まぁな……」
するとティアナは深く頭を下げ感謝の意を述べる。
アリューゼは照れ臭そうに頬を指で掻いていたその時、
後ろの方で信じられない言葉がアリューゼの耳に入る。
「単独行動による殉職…しかも犯人は自首したと聞く…」
「犬死にだな…情けない事だ…」
「そんな事はどうでもいい…むしろこれからの事だ」
「そうだな…折角、地上本部の信用を取り戻し始めた折りだというのに」
「本局は最近、中々の実績を積み上げ始めているらしいしな」
「それに比べて…全く役立たずめが……」
辺りに飛び交う非難の声は、ティアナの耳に入るほどの大きさで話していた。
死者を弔う場での暴言にアリューゼは怒りを覚え立ち上がろうとすると、ティアナはアリューゼの手を握り首を左右に振る。
「何故だ…奴らはティーダの事を―――」
「それでもお願いします…今は兄さんを静かに送らせて下さい……」
その健気な言葉に何も返せなかったアリューゼであった。
告別式も終わりこの場にはアリューゼとティアナの二人しか残っていなかった。
ティアナはジッとティーダの遺影を見つめていた。
そして決心したかのように堅く拳を絞める。
「私…兄さんの夢を引き継ぐ!!」
兄さんの夢それは執務官になる事、そしてそれを兄さんの技術で私が叶える、それが自分の夢であり手向けと考えた。
幼くても芯をしっかり持ったティアナの瞳には迷いが無く、むしろ決意の色を宿していた。
アリューゼは三年前の自分と同じ決意の色を宿した瞳を見ると、ティアナの頭に手を当て撫でる。
「………そうか、強くなれよティアナ」
その言葉に大きく頷くティアナであった……
以上です。今回はティーダをピックアップな回でした。
ちょっとした補足を
ティーダのデバイスD・Eのモデルはデザートイーグルでカートリッジバレル式の四装填、ダブルモードで八装填ってな感じです。
コンバットパイソンと悩みましたが、リボルバーに銃剣ってどうなの?ってな訳でこっちにしました。
それとシスコン兄の後暗くて申し訳ない、内容も年末なのに暗くて申し訳ないです。
それではよいお年を。
今年もあと僅かになりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
おかげさまで、コミケも無事終了し、同人誌も完売できました。
このスレにやってきてからの数ヵ月が、私にとってこの一年で一番
充実していた時期だったと思います。
それもこれも、このスレの皆様方のおかげです。
では、ここで投下予約。
来年、1月1日に「ロックマンゼロ-逆襲の救世主-」の第一話を投下します。
前作、ロックマンゼロ-赤き閃光-の完全なる続編にして、オリジナル話と
なります。
投下時間はまだ決めていませんが、よろしくお願いします。
というわけで、今年もあと僅かですが、皆様よいお年をお迎え下さい〜。
こ、このタイミングでだと…!?支援するしかなかろう!!
ダメだ…今日抜けた文章入れてウィキに保管しようと思ったけどできそうにない…
かわりにゼロ氏を支援
そういえば元日に投下するって言ってたな
楽しみにしてます
あけおめー
そしてゼロ氏支援
あけおめ&ことよろ。
ゼロ氏支援だぜ
あけおめです。
ついに来ました、ロックマンゼロ−逆襲の救世主−!
のっけから良い年になりそうです。
同人誌、委託販売しないかと期待しつつ支援。
PS.反目のスバルR2もこっそり期待中ですw
>>366 悪いが空気を読まずに発言させてもらう。
なあゼロ氏?投下時間決めてないってのはちょっとマナー違反じゃね?
今日投下しようとしてる職人さん達がいる可能性考えてないわけじゃないでしょ?
自分は気にせず他の方は投下してくださいとか一言書くべきだと思うんだ。
>>373 時間については、今日投下するというのを昨年の内に伝えたかっただけで、
他の職人さんには日にちのみの予約を入れることをチャットにてお伝えして
あります。勿論、投下なさる際は気にせずというのも。
さて、アニソン三昧も終わってしまいましたが、人がまだいらっしゃるなら、
24時50分頃に投下しましょうか。5人ぐらいはいますかね。
改めて時間付きの投下予約を。
・・・・・・あーすみませんゼロ氏。事前に通達してたんですか。
何と言うかカッとなって申し訳ありません。
支援します。
>>375 いえ、チャットで伝えていたので大丈夫だと思い、ここに記述することを
失念しておりました。不快な思いをさせてこちらも申し訳なかったです。
さて、時間になりましたのでボチボチ投下していきます!
支援
月の光も、星の輝きも、すべてが消え失せてしまったかのような夜。漆黒と
いうほどの闇ではないが、薄暗いと表現するには明るさが足りない。それでも
夜目が利くものであれば、十分に辺りを見渡すことが出来るだろう。
奇妙な夜だった。街はひっそりと静まり返り、いやに蒸し暑い空気が漂って
いる。そんな街の片隅、およそ人気など存在しないような場所に、一人の騎士
が立っていた。名をシグナムといい、魔導師八神はやてが誇る、忠実なる守護
騎士だった。
「まさか、貴様が犯人だったとはな……」
呟きは、自然と口からこぼれ、意外なことに驚きを感じさせないものだった。
まったく予期していなかった可能性と結果、目の前にある現実は想像の翼が羽
ばたくには、あまりにも遠すぎる極地にあった。
それなのに、シグナムはこうした事実を、真実を簡単に受け入れることがで
きた。彼女にとって、これは予想の範囲内だったとでもいうのだろうか?
「貴様とは一度、戦ってみたかった」
言葉を投げかけるシグナムに対し、言葉を投げかけられた相手は無言を貫い
ていた。無視されているわけではない、この相手は元から無口だった。夜とい
う名の黒が支配する空間において、シグナムの眼前に立つ相手、機械的な甲冑
を身に纏う男は、異彩ともいうべき赤色を放っている。以前よりも強烈な濃さ
をイメージさせる赤き戦士は、ゆっくりと構えを取った。その手には、光り輝
く剣が握られている。
「装甲を変えたか……しかし、如何なる姿になったところで」
敵ではない、とでも言いたげにシグナムは自身の魔力を解放させた。かつて
見たときと、眼前の敵は容姿に差異がみられた。肩部と胸部を中心とした装甲
強化、脚部もそうであるが、全体的に重厚な印象を与えてくる。軽装備で身軽
さと素早さを見せつけていたときとは、異なるものだった。恐らく、戦いにお
ける激しい損傷を修復した際に、防御面を強化したのだろう。
シグナムは魔剣と呼ばれるデバイス、レヴァンティンを引き抜いた。烈光の
剣が相手だろうと、その光ごと敵を断ち切ってやろうという威圧感が溢れ出て
いた。
「何故、とは聞かない。理由など、貴様を倒した後にじっくりと聞けばいいだ
けだ」
戦意は躍動感となって、シグナムの気分を高揚させていく。ふと、一人の友
人の姿が思い浮かぶも、それを静かに振り払った。彼女にとっては辛いことか
もしれないが、だからといって見逃せるわけもない。
「全力で、行かせてもらう」
相手は答えず、ただ光り輝く剣の先端を、シグナムに突き付けた。
両者は、ほぼ同時に動いた。
光剣と魔剣がぶつかり合い、エネルギーと魔力の波動が周囲を振動させる。
そして――
第一話「連続魔導師襲撃事件」
支援
ミッドチルダ首都クラナガン。ありとあらゆる次元世界を統べる最強の組織、
時空管理局誕生の地であるこの都市は、昨年にかけて起こったジェイル・スカ
リエッティのテロ活動の被害を受け、甚大な損傷を負った。首都上空を巨大な
艦船が飛行し、機動兵器軍団が街を破壊していく様は、恐怖と驚異の象徴とし
て、市民の胸に深く刻まれた。そしてそれは、復興を遂げた今となっても、変
わることはない。
伝説の戦船『聖王のゆりかご』、スカリエッティが復活させた史上最強の質
量兵器。世界を幾度にも渡って滅ぼしたこのゆりかごに対し、時空管理局は無
力であった。首都防衛長官レジアス・ゲイズ中将の暗殺と、それによる混乱。
地上部隊は壊滅の危機に晒され、クラナガンは絶体絶命の窮地に立たされた。
あのとき、もしスカリエッティが首都に対する全面攻勢を行っていたら?
ゆりかごの砲撃、ガジェットと呼ばれた機動兵器の砲火を集中させていれば、
クラナガンという名の都市は地図から消えていただろうとは、後世の学者たち
が指摘するとおりである。
結果としてクラナガンは壊滅こそしたが、消滅はしなかった。聖王のゆりか
ごは内部へと突入した管理局の魔導師によって破壊され、地上部隊も亡きレジ
アス中将から指揮権を引き継いだ人物の活躍で体勢を立て直し、全滅を免れた。
首謀者であるスカリエッティは、協力者の一人と共に行方をくらませ、彼の部
下であった戦闘機人、ナンバーズの姉妹たちは一人が逃亡、三人が死亡したが、
残り九人については管理局によって身柄を拘束される事態となった。管理局は
スカリエッティに対して辛くも勝利をつかみ取ったのである。
「彼らが守ったのは、クラナガンの街だけではない。彼らは時空管理局という
組織の存亡も守った。メンツや面目も含め、管理局の存在は首都といっても一
都市でしかないクラナガンとは比較にならない」
時空管理局本局のラルゴ・キール栄誉元帥はこのように発言し、市民や地上
関係者からの顰蹙を買った。地上部隊の多くは地上を守るために戦ったのであ
って、誰一人として管理局の今後などは考えてはいなかった。にもかかわらず、
管理局のためによく頑張ったなどといわれては誰もが当惑するだろう。
まあ、兎にも角にも戦いは終わり、再生と復興の日々に突入した。クラナガ
ンの市街地が三〇パーセントに渡って完全崩壊した事実を目の当たりにした時
空管理局最高評議会は、速やかなる再建計画の立案を命じ、早急に執り行うよ
うに言明した。もっともな命令であり、それ以外にはないと思われたことから
誰も異論を挟まなかったが、これによってスカリエッティの捜索に遅れが生じ
たことは否めない。地上部隊には一欠片の余力も残されていなかったら仕方が
ないといえるが、本局は違ったのだ。今回の戦闘において次元航行艦隊は壊滅
的な被害を受けたわけでもなく、そもそも地上部隊とは戦力の規模が違う。一
部隊程度はスカリエッティの捜索に回しても良かったのではないか、というの
は後日の意見である。
そして八ヵ月後、新たな事件が首都クラナガンで巻き起こっていた。
連続魔導師襲撃事件である。
あけおめことよろ新年初支援!
古代遺物管理部機動六課の総隊長、八神はやて一等陸佐はその日、不機嫌だ
った。といっても、なにかに不満があったわけではない。例えば今朝の朝食、
ライ麦パンにフライドエッグ、レタスと胡瓜のサラダに、プレーンヨーグルト
といったおよそ個性的とは言い難いメニューであったが、それに文句を付けた
いわけでもない。例えパンが妙に不味かったり、フライドエッグの黄身が半熟
でなかったり、プレーンヨーグルトに砂糖が付いてこなかったり、そんなこと
にいちいち不平不満を漏らすほど、八神はやてという女性の器量は狭くない。
さすがに朝食の段階で食堂がコーヒーを切らしており、朝っぱらから野菜ジュ
ースを飲む羽目になったときはなんとも微妙な表情をしたが、それでもはやて
は黙っていた。はやてを不機嫌にさせる理由は、他にあった。
「どのチャンネルを見ても、連続魔導師襲撃事件のニュースばかり。アナウン
サーは口を開けば管理局批判! まったく、世の中はどうなってるんだか」
ラウンジにある比較的大きなTVのリモコンを操作しながら、はやては不機
嫌そうな声を出している。
八神はやて一等陸佐。前回の事件後、はやては一階級の昇進を果たしている。
レジアス中将の後を引き継ぎ、潰走寸前だった地上部隊をまとめあげ、奮戦を
続けたことが評価されたためだ。また、聖王のゆりかごを破壊したのも、はや
てが総隊長を務める機動六課の魔導師たちであり、それを考慮すればはやては
二重の功績を打ち立てたことになる。
「まあ、レジアス・ゲイズ元帥のおこぼれとでも思って、受け取っておくか」
はやては昇進の知らせを受けたとき、そのように呟いたという。公式記録で
戦死扱いとなったレジアス中将は、死後二階級特進して元帥号を送られた。生
前、ありとあらゆる理由をつけては先延ばしにされ、見送られてきたレジアス
の昇進が、なんら問題なく行われたのだ。元帥ともなれば地位も権限も比類な
いものだが、死者には関係がない。巨大な権力も死んでしまえば無力と化すわ
けだから、管理局の気前も良くなるというものである。
レジアスや、はやてに限ったことではないが、管理局はあの時期、昇進や勲
章の大盤振る舞いを行っていた。英雄や勇者を大量生産して、目の前の現実か
ら市民の目を背けさせようとしたのであるが、そんなものは無駄でしかなかっ
た。勲章を受け取った隊員にしたところで、傷つき、倒れていった多くの仲間
のことを考えると、勲章の名誉など、形を整えた金属の塊程度にしか見えない
のだから。
「そうして管理局が馬鹿なことをやっていた結果がこれ、か」
画面に映っている映像は、昨今クラナガンの街を騒がせている連続魔導師襲
撃事件についてのニュース速報だった。どうやら、また被害者が出たらしい。
事の発端は、果たしていつからだったのか? 丁度一ヵ月ほど前、クラナガン
の復興活動も半年以上が過ぎ、大都市としての見栄えや機能を取り戻しつつあ
った首都において、一つの事件が発生した。深夜、巡回中だったと思われる管
理局の魔導師が、何者かに襲われたのだ。ここまでならよくある、よくあると
断言するのもどうかと思うが、単なる通り魔事件で済んだかも知れない。ゆり
かご攻防戦以来、クラナガンを守りきることの出来なかった管理局に対する市
民の不満はくすぶり続けている。それがなにかの拍子に破裂して、怒りの矛先
を突き立てる者がいたとしても、別段不思議なことではないのだ。であるかし
て、管理局側もそうした不穏分子の発生には気を配っていたが、事件は起こっ
てしまった。
犯人は誰か? 時期が時期だけに、管理局に恨み辛みを重ねている奴など五
万といるだろう。情報操作も、印象操作も大した成果は成さなかった。襲撃を
受けた魔導師は死んでしまったが、死体の状況を見れば、それがプロフェッシ
ョナルか素人か、どちらによる犯行か判断できるはずだ。安易な考えと共に死
体検分へと望んだ局員は……思わず息を呑んだ。
「なんだ、これは」
それは、魔導師や騎士の犯行とすら思うことの出来ないほどの損壊だった。
身体はズタズタに斬り裂かれ、いや、焼き切られたかのような傷口。
「傷口と呼べるのか? こんなものが」
人を殺すための傷とは、明らかに違う。殺人でも殺戮でもない、まして虐殺
でもなく……破壊だ、人を物のように、なんの躊躇いもなく破壊衝動のままに
壊したのだ。そうとしか、考えられない。
殺害ではなく、破壊。魔導師が破壊されたという事実に対し、管理局は動揺
せざるを得なかった。高出力の大型魔力刃で斬り裂いたかのような一撃で即死
した、という検死結果が出されても、さして捜査は進まなかった。そんな物を
凶器に出来るのは、ミッドチルダといえど限られているのだから。
そうして管理局が操作に手間取っている内に、次の事件が起きた。今度の被
害者は二人で、魔導師のペアだった。一人が四肢を切断され、もう一人が胸部
を魔力砲のようなもので貫かれていた。人気のない場所で深夜に行われる、破
壊のショータイム。被害にあった者は必ず死ぬ、残虐なる光景。増え続ける被
害者と犯人像すら見えてこない奇怪な状況。クラナガンの街が、再び恐怖に包
まれようとしていた。
『今回被害にあった騎士も、管理局の陸士隊に所属する局員でした』
TV画面の中で、しかめ面をしながら原稿を読み続けるアナウンサー。
『管理局に対するテロ活動なのでしょうか? とすれば、動機はやはり八ヵ月
前の事件に関する―』
はやてはアナウンサーに負けないぐらいの表情をしながら、TVの消音ボタ
ンを押した。不快な声は、これで聞こえなくなった。
「なんも知らんと、好き放題に言ってくれるな」
コーヒーはないので野菜ジュースを飲むはやてだが、一口飲む度に表情の不
機嫌度が増していく。嫌なら飲まなければいいのにと、ハッキリはやてに言う
ことが出来る存在は、今この場にいない。
「まったく、私たちはこれからどうするのか……なぁ?」
はやては比較的近くのソファに座る同僚に声を掛けた。ある程度の距離があ
っても、よく通るのがはやての声である。普通にしていて、聞こえないわけが
ない。
声を掛けられた相手は、無言だった。はやてのことを無視しているわけでは
ない、恐らく、耳に入っていないのだろう。無言で、手元にある煎茶に角砂糖
を放り込んでいる。彼女の養母が同じ方法で茶を飲む習慣を持っていたのをは
やては知っていたが、まさか彼女にもそれが感染したのだろうか?
「つっても、いい加減入れすぎのような」
はやてが見た段階から数えて、既に七粒もの角砂糖が煎茶に投入されている。
見ていなかったときから数えても、十粒は入っているのではないか? はやては
ため息を付くと、無言、無表情で湯飲みを見つめる同僚の下に歩み寄り、確実
に二桁に突入したであろう角砂糖を摘む右手を、そっとつかみ取った。
「っ!? ……て、なんだはやてか。なにか用?」
またか、とはやては心の中でげんなりしていた。この光景に既視感を感じる
のは、一体何度目か。だが実際これは既視感などではなく、毎日のように繰り
返されている、はやての日常である。はやては呆然と自分を見つめ返す同僚、
フェイト・T・ハラオウンの、つかんでいた右手から手を離した。
「今の話、聞いとった?」
確認するだけ無駄と判りつつ、はやてはフェイトに問いかけた。
「ごめん、なんだっけ」
端から聞いてなかったが、はやてがなにかを言っていたような感じだけは耳
に残っているのだろう。フェイトは思い出そうとしているのか、それとも単に
一息つくためか、手に持つ湯飲みを口に運んだ。
「あ、それは、飲まない方が」
自然すぎる動作だったので、注意を諭すのにはやては半歩ほど遅れた。そし
て、フェイトがその忠告に怪訝そうな顔をするのと、湯飲みの中身を口に含む
のはほぼ同時だった。流し込もうとした中身を吹き出すのには、半秒もかから
なかったが。
「なに、これ」
げほげほと咽せながら、酷すぎる味と化してしまった煎茶、飲み物と呼びが
たい代物となった液体を凝視する。いつもの通り、フェイトの行動は無意識に
よって行われたようだ。
「フェイトちゃんなぁ、これで何度目や?」
怒りや呆れなどの感情を通り越した、ウンザリしているとしか言いようのな
い口調。フェイトはばつが悪そうに顔を背けた。一度や二度の出来事であれば、
フェイトがうっかりしていたで済んだだろう。三度や四度なら、なにか悩みが
あるのだろうかと心配されたに違いない。
だがしかし、数ヵ月間も似たような失敗を繰り返されては、はやてとしても
掛ける言葉が見当たらないのだ。そう、フェイトはここ数ヵ月間、ずっとこの
調子なのである。
「部屋に、戻るね」
おぼつかない足取りで、フラフラと歩き出すフェイト。止める必要はなく、
止める理由もない。はやてはソファに身を沈めると、再び大きなため息を吐き
出した。
「まったく、フェイトちゃんは」
前述の通り、フェイトはここ数ヵ月もの間、今のようなことを繰り返してい
る。無為にして無気力、無下にして無意味。以前の彼女からは想像も付かない、
行動力の停滞。それがもう、数ヵ月も続いているのだ。原因は、理由はなにか?
それがわかれば、あるいはこの奇妙な状態も改善、回復されるのではないか?
はやてを含め、フェイトを心配する幾人もの仲間が彼女を元気づけようとし
て、物の見事に失敗していた。というのも、フェイトがこんな状態になってい
る理由、それは判っているのである。
今からおよそ八ヵ月ほど前、ゆりかご攻防戦から幾日かが過ぎた後、ミッド
チルダから二人の人物が姿を消した。一人はフェイトの親友にして、はやてに
とっても心強い仲間であった高町はなのは。魔導師として、管理局のエース・
オブ・エースの異名を持っていた彼女であるが、八ヵ月前に一人の養女を連れ
て、故郷へと帰ってしまった。名目は戦傷による療養であるが、事実上の引退
であるとは誰もが断定するところである。
次に、この事実を知るのは管理局でも限られた者だけだが、スカリエッティ
が八ヵ月前に起こした一連の事件、テロ、そのすべてに関わっていた戦士の存
在。フェイトにとっては英雄であり、はやてにとっては……明言は避けるが、
とにかく凄い存在だったとだけ思っておこう。
支援
その赤き戦士を、フェイトは親友と同じ、いや、それ以上に信頼していた。
この世界において、なんの武名も勇名も持たない男。だがフェイトにとって、
彼は最強の戦士であり、たった一人の英雄だった。
しかし、英雄は英雄が元いた世界へと、帰って行った。
フェイトは、親友とそれに匹敵する存在、両者を同時に失ってしまったのだ。
それは彼女の心身に予想以上のショックと衝撃を与え、本人も気付かぬうちに、
身体を支配していった。フェイトとて八ヵ月前、二人がそれぞれの世界に帰還
した当初は、律動的で行動的に活動をしていた。なのはともう一人、その二人
に笑われないようにと、彼女なりの最善を常に尽くしていた。
だが、その決意も一ヵ月が過ぎ、二ヵ月も経つ頃にはほころびが生じ始めて
いた。ガジェットの残党を掃滅し、ゆりかごの破片を回収し、様々な仕事に順
次し、それをすべて片づけてしまうと、一転してフェイトはすることがなくな
った。クラナガンではガレキの撤去作業が始まり、本格的な復興、再建計画が
動き出している。そうなれば必要となってくる人材はフェイトのような武装隊
員ではなく、テクノクラートをはじめとした技術者たちだ。彼らの知識と技術
力が、クラナガンを元の大都市として、あるいはそれ以上にしていくのだろう。
仕事がある内はフェイトもそれに精励していればよかったが、それがなくな
ると、彼女は途端に暇を持て余しはじめた。先ほどのように呆然としながら茶
を飲んだり、大して興味があるわけでもない書物を読んだり、自室で映画など
を鑑賞していた。フェイトとて別に無趣味ではないと思うのだが、時間の使い
方を忘れてしまったかのか、過ぎゆく時間を浪費し続けていた。とはいえ、フ
ェイトは独り身ではない。結婚どころか今だに恋も経験したことのない娘だが、
家族はいる。それは被保護者の少年、少女ことで、エリオ・モンディアルとキ
ャロ・ル・ルシエの二人である。
二人とも幼少時にフェイトが引き取り保護者となったのだが、両者が知己と
なってからまだ一年にも満たない。そこには色々と込み入ったい事情があるの
であるが、今は省こう。とにかく折角家族がいるのだから、たまの一家団らん
でも楽しめばいいではないか。同じく家族を持つはやてはそれとなくフェイト
を諭し、フェイトもはじめは乗り気だったのだが、これも失敗した。
当のエリオとキャロが、フェイトに微妙な距離を取っていたのだ。前者と後
者では全く理由は異なるのだが、これはなにもフェイトのことを嫌いになった
とか、そういったわけではない。エリオは八ヵ月前の戦いで負った傷から完全
に回復し、戦線にも復帰できることとなった。これには誰もが喜び、中でも保
護者であるフェイトが一番喜んだ。けれどエリオは、そんなフェイトに対して
距離を置くようになった。憧憬の対象が、いつまでもそうであるとは限らない。
フェイトに対するエリオの感情は、単なる憧憬を超えつつあった。それを理解
したからこそ、エリオは自制の意味も込めて、愛する人との距離を置いたのだ。
それが、叶わぬ想いと知っていたから。
一方で、エリオの複雑な心境に比べて、キャロは違う悩みを抱えていた。エ
リオが意図的にフェイトと距離を取っているのに対し、キャロは単純に忙しい
のだ。六課の隊舎が立て直されたころから、キャロは図書室に籠って勉強をす
ることが多くなった。毎日、毎日、たくさんの書物をテーブルに広げながら、
片っぱしから読み込んでいる。食事と自然現象以外では外に出ないことも多か
った。どうして急に読書や勉学に目覚めたのかはわからないが、キャロは図書
室で一人になることを好んでいた。
家族の内、フェイト以外がこれでは団らんも交流もなかなか望めないもので
ある。エリオと違ってキャロはフェイトと過ごす時間もあることはあるが、そ
れほど多いというわけじゃない。とはいえ、まさか子供相手に「保護者である
フェイトが寂しそうにしているから、もっと構ってあげなさい」などと言える
ものだろうか? まあ、昨今はそのような家庭も少なくないと聞くが、普通は
逆だろう。
「せめて、なのはちゃんだけでも帰って来てくれればな……」
これは希望というよりは願望か。はやては自分もまた気落ちしたフェイトの
雰囲気に飲まれているのではないかと、首を振って振り払おうとする。フェイ
トの気持ちや状況に理解は示せるが、はやてにはどうしてやることもできない。
自力で立ち直ってもらわないと困るのだ。
高町なのはとは彼女が故郷に帰って以降、連絡を取っていない。それはフェ
イトも同じことで、たまにフェイトの養母が近況を報告する頼りを送ってくる
が、そこに詳しいことはあまり書かれていない。どうも、なのはのほうで会う
ことを避けているらしいのだ。
はやては別になのはがこのまま引退しても、それはそれで構わないと思って
いる。なのははまだ四半世紀も生きていないが、積み重ねてきた戦いの日々を
思えば、隠棲を望むのも無理はないはずだ。養女と共に実家の菓子屋でも継い
でくれれば、あるいはそれが彼女の幸せになるのではないか? はやてとして
は元気でさえいてくれれば、友人として十分なのだ。
「けど、フェイトちゃんにはやっぱりなのはちゃんが必要、か」
今はそれぞれの理由でフェイトに距離を置くエリオとキャロも、後数年もす
れば思春期を迎え、やがては彼女の元を巣立っていく。そうすれば、フェイト
は完全に一人になってしまうのではないか?
「見合いでも勧めたろうかな」
容姿に全く問題がないのにも関わらず、フェイトには男っ気が少ない。あの
歳で浮いた話の一つも存在せず、恋愛に縁のない生活を送っている。恋人の一
人もいないという点に関しては、はやてだって人のことは言えないはずだが、
彼女の場合は家族の監視の目が厳しく、恋だの愛だの言ってられないのだ。
しかし、見合いを勧めるというのはある意味で名案かもしれない。はやてや
なのはと違って、広報に積極的でないフェイトは管理局でも地味な立場に甘ん
じているが、見劣りするわけでもなく、むしろ身体付きに関しては、もちろん
いつか追い抜いてやるつもりであるが、自分の方が劣っているのだ。
はやてに対して、いくつか見合いを勧める声はこれまでもあったし、これか
らもあるだろう。話が来ても守護騎士が握りつぶしてしまうので、はやても見
合いの経験はないのだが、自分に来る分をフェイトに回すのも、ありなのでは
ないだろうか? フェイトだって恋人と恋愛ごっこでもしていれば、少しは気
がまぎれるかもしれない。意外に良い発想のように思われたが、これは結局実
行に移されなかった。手元に丁度いい話がなかったのもあるが、探すより先に、
一つの事件が起こったからである。
「主はやて、ここにいらっしゃいましたか」
フェイトのことで悩むはやての前に、守護騎士のシグナムが現れた。
「ん、シグナムか」
気のない返事をするはやて。シグナムはテーブルに置いてある湯のみ、先ほ
どまでフェイトが角砂糖をぶち込み続けていたそれを見て、なにがあったか悟
ったらしい。
「また、ですか」
「そういうこと」
シグナムは、はやてと違ってフェイトに対する呆れや諦めは少ない。むしろ、
怒りと不甲斐なさを感じているようで、度々訓練に誘っては喝を入れてやろう
と試みた。しかし、その気がないフェイトは断り続け、痺れを切らしたシグナ
ムは不意打ち同然で襲いかかろうとしたのだが、それを察知したはやてとヴィ
ータが全力で止めたという経緯があった。
「テスタロッサの件は、また後日に話し合うとして……例の件ですが」
「やっぱ、その話か」
例の件とは、管理局が地上の各部隊に対して行っている、戦闘要員の招集に
関してである。昨今、ミッドチルダ首都クラナガンを騒がせている連続魔導師
襲撃事件、いよいよ二桁を超える被害者を出してしまった事態に、最高評議会
が重い腰を上げた。地上本部に厳命し、なんとしても犯人を上げるように指示
したのだ。簡単に言ってくれる、と思わないでもないが、命令自体は不当でも
なんでもないから、地上本部は全力を挙げるしかなかった。招集もその一環で
あり、八ヵ月前の戦闘で戦力のほとんど失った地上本部は、各部隊に対して戦
闘要員を一名から二名、連続魔導師襲撃事件担当として派遣するように求めて
きたのだ。いわば、各部隊から人員を募り、急場しのぎの捜査チームを編成し
ようというのである。はやてはそんな混戦部隊の設立には反対であったが、他
に妙案があるわけでもない。仕方がないと割り切りながら、六課からも戦闘要
員を一人派遣する準備に移った。
そうして選ばれたのが、シグナムである。数いる隊員の中からシグナムが選
ばれた理由は色々ある。まず、総隊長であるはやてが自ら出向くわけにはいか
ず、かといって若手隊員たちの中から選ぶわけにもいかなかった。実力に不安
や問題がある、というわけではないのだが、ある程度の実力を持った魔導師や
騎士でないと、六課が非協力的であると疑われ、反感を買うだろう。
では、他の隊長、例えばフェイトはどうだろうか? 特に仕事もなく暇を持て
余しているというのなら最適ではないか。はやては一度ならずそう考えないで
もなかったが、断念せざるを得なかった。というのも、フェイトは連続魔導師
襲撃事件の容疑者として名前が挙がったことがあるのだ。襲撃事件の犯人は、
いずれも凶器に高出力の魔力刃のようなものを使用しているという。人体を破
壊するほどの魔力刃を生成し、自在に揮うことの出来る魔導師や騎士は限られ
ている。そして、フェイトはその限られた内の一人だった。
アリバイが立証され、結局フェイトに犯行は不可能ということで容疑も晴れ
たのだが、そんな経緯があるものだからフェイトを戦闘要員として派遣するに
は無理があった。そこではやては、二人いる隊長の中から選ぶことにして、ラ
ンクにしてSランク、実力、勇名共に申し分ないシグナムを候補としたのだ。
シグナムほどの騎士であれば地上本部も不満はないだろうし、万が一犯人と遭
遇しても、遅れを取るようなことはないだろう。
「すまんなぁ、面倒なこと頼んでしまって」
「いえ、これも仕事ですから。それに……テスタロッサがあの様子では」
経緯だけが、必ずしも理由ではないということか。
はやては、面白くもなさそうな顔で野菜ジュースを飲み込むと、シグナムへ
と向き直った。
「シグナムにこんな心配しても無駄やけど、気いつけてな?」
誰に物を言ってるんだと言われそうだが、どうもはやては嫌な予感がぬぐえ
なかった。周囲が、妙な蒸し暑さに包まれていた。汗をかくほどではないが、
だからといって暑くはないと言い切れず、ラウンジの空調が利いていないのか
と疑ってしまうほどだ。
後にして思えば、これは予兆だったのかも知れない。
そして、はやてはそれを予感していたのかも知れない。
だが、事が起こった後なら、どうとでも言えることだ。
容量大丈夫ですかね?支援
翌日、シグナムは機動六課を発ち、地上本部へと出向していった。はやては
見送りに出たが、なんと言葉を掛けていいのか適当な語句が見当たらず、軽く
挨拶をするだけに済ませた。これで六課はまた一人戦力が減ったことになるが、
だからといって目の前の任務を疎かには出来ない。新隊舎も完成し、いよいよ
ジェイル・スカリエッティの捜索を再開させるのだ。六課としてはおよそ八ヵ
月ぶりの活動再開であるが、また一から地道に始めていかねばならないだろう。
隊長として、はやてもフェイトも若き隊員達をリードして行かなくてはならな
い。はやては、
「まあ、なんとかなるかな」
と言って、なんとも適当な決意を露わにした。
そんなはやての決意に水を差したのは、一つの凶報であった。
地上本部へと出向したシグナムは、それなりの期待を受けていた。隊長格で
ないとはいえ、実力は隊長格、しかも並の部隊長では通用しないほどの強さを
誇っていた。騎士としての武名も、人としての人格も、誰に恥じることもない
一流の女性。自己評価は正確であり、常に研ぎ澄まされている神経は、彼女が
持つ魔剣のように煌めいている。いずれにしても、シグナムは自他共に認める
優れた騎士であり、だからこそはやては彼女を選んだのだが。
シグナムが出向してから三日後、ふいに彼女からの連絡が途絶えた。はやて
との取り決めで、定期的に連絡をするようにと予め命じてあったのだ。それが、
突如として途絶えた。不安を感じたはやては、地上本部に直接の問い合わせを
行ったが、応対した局員は作戦行動中であることを理由とし、規則と権限、義
務という防壁を崩そうとしなかった。時間の無駄を悟ったはやては別の手段を
考えたが、そうそう思いつくものでもない。悶々とした気分を夜まで引きずる
こととなり、それが爆発しかけたとき、知らせが入った。地上本部が、日中と
態度を一八〇度変えて、連絡を寄こしてきたのだ。
はやての、一番聞きたくなかった事実を伝えるために。
「シグナムが……やられた!?」
自信と自負を両手に抱え、周囲の期待と羨望を背負っていたシグナムは、そ
れを見事に裏切った。実力は申し分なかった、天才的な武勇も誇っていた。
だが、相手が悪すぎた。
連続魔導師襲撃事件の主犯と戦ったシグナムは、魔剣レヴァンティンごとそ
の身体を叩き斬られ、瀕死の状態で発見された。
支援
新年おめでとう!
マシンガンスイープ(214+攻攻)で支援する!
はやてがフェイトと共に聖王病院に駆けつけたとき、シグナムの手術は終了
していた。
「自動修復機能を持つ守護騎士でなければ、間違いなく命はなかったでしょう
な」
執刀医は苦笑しながら、シグナムが一命を取り留め、僅かながら意識を回復
させたことを教えてくれた。安堵するはやてを横目で見つつ、フェイトはシグ
ナムと話が出来るかとだけ尋ねた。無為、無気力、無責任の三拍子が揃ってい
たはずのフェイトが、凶報を聞くなり姿と態度を一変させた。狼狽するはやて
を叱咤して搬送された病院を確かめ、自動運転の地上車を呼んで、はやてと共
に乗り込んだのだ。平時に暇を持て余していたフェイトであるが、難局に発つ
と別人のように才覚を発揮する。
――どうせなら、いつもそのままでいてくれればと、はやては思わないでもな
かったが。
シグナムの病室は、集中治療室ではなかった。医師の言うように、生命の危
機に瀕した身体を、自動修復機能がフル稼動して修復させたのだろう。重傷に
は変わりなかったが重体ではなく、なんとか会話することも可能だった。
「お恥ずかしい姿を……お見せします」
ベッドに横たわるシグナムの姿は、痛ましかった。一命は取り留めたといっ
ても、危険が完全に去ったわけでもない。剣を折られ、鎧を砕かれ、騎士とし
てのシグナムは完膚無きまでに敗北をしたのだ。主に合わせる顔がないと言わ
んばかりに、シグナムは顔を背けた。
「なにいっとる、命が助かっただけでも儲けもんや」
励ますはやてに、シグナムは見せかけだけの笑みを返そうとする。そして、
その時はじめて、部屋の隅で自分たちを見守るフェイトの存在に気付いた。
「テスタロッサ……? どうして」
そのシグナムの言葉に、はやては違和感を憶えた。どうして、なんというつ
もりだったのだろうか。どうしてここに、というのなら判る。無気力な日々を
過ごしていたフェイトが、顔つきも新たに病室にいることに驚いたのだろうか?
しかし、シグナムの口調、表情は、むしろ病院まで出向いてきたフェイトを、
非難しているかのようだった。
「シグナム、あまり時間がない。単刀直入に聞くが……犯人の顔は見たか?」
はやての問いかけを、シグナムは予測していたはずだ。そして、問いに対す
る答えも用意していた。なのに、それを発することに躊躇いを憶えている。彼
女の視線は一点、フェイトだけを見つめていた。先ほどまでと変わり、まるで
フェイトに同情するかのような、悲しげな視線。フェイトが、怪訝そうな顔を
する。
「私は、確かに連続魔導師襲撃事件の犯人と戦い……この通り、敗北しました」
「それは、誰や?」
フェイトから、シグナムは視線を外した。そして、意を決したのか、彼女が
知りうるすべてを、自分を倒し、数多くの魔導師や騎士を殺した犯人の名を、
「間違いない……あいつは、あの男は」
叫んだ。
「――ゼロだ!」
つづく
支援
支援
第一話です。
はじまりました、続編です。
前作から数えて2ヵ月、新年一発目の投下投下という栄誉を頂きました。
クロスキャラが一切登場しない……わけでもないけど、登場しないという
話で始めさせて貰いましたが、いかがでしたでしょうか?
昨年は同人誌発売等色々とやらせていただきましたが、前作と、そして昨年の
活動に負けないほど、いえ、絶対に勝てるだけの作品に仕上げたいと思ってお
ります。
それでは、感想等ありましたら、お願いします!
そして! 今年もよろしく!
追伸:保管庫への保管は自分で行います。
GJ!
や、しかし最初から怒濤の展開がw
まさにロクゼロクロス新シリーズの、最初の1話に相応しい話でした!
GJ!
ZXにおいて遺跡でモデルOの元となったレプリロイドと遭遇するけど
大爆発を起こして全損したはずなのに、どうやって復活したのやら?
まあ、死亡フラグが生存フラグにしかならないワイリー博士の最高傑作だから仕方がないか?
>>396 ゼロ氏、新年早々最新作をありがとう。GJでした!
のっけから暴走気味のオメガそん。果たして彼は誰の手でどうやって復活したのか?
というか3脳生きてたんかい!てっきりドゥーエが原作通り殺したと思ってたのに。
また新たな戦いの火種がそこかしこに。次回が楽しみです。
投下乙!
そういやロクゼロの最高評議会って健在だったっけ。
中に一人ぐらいワイリーが混じってたりせんだろうなw
GJ!!
このゼロは偽者なのでしょうね。ゲームは未プレイですが軽く調べた感じとタイトルから予想は付きますね
次は帰ったゼロ側の話かな?楽しみに待ってます
GJ!
ある意味本物が出現?
ロクゼロの歴史上では三回目の復活
戦いは続くよ、どこまでも
そろそろ、ゼロに引退させないと(X8的な意味合いで
>>398 ぶっちゃけて言えばファンサー(ry
理由付けるなら背景で研究所跡の映像がチラついてるので
ふしぎないしのパワーでサイバー空間に引き込まれたんじゃないかな
要するにゼロ3のファントムと同じ
GJです・・・ロックマン氏♪
っで新年からなんですが前スレで予告兼プロローグを投下しました”なのは×
映画ブラックレイン”の第1章がなんとか出来ましたので投下したいのですが、
今は他に予約されてる方とかは居られますか?
なにぶん昨夜に投下するつもりが挫折してしまいまして(苦笑)
加えて新年一発目の今夜はというと何気に重鎮が来られてたのを見てビビって
います。^^;
容量の残りがヤバいから投下は次スレにするべき。
それはそうとゼロ氏GJ!
続編頑張れ。頑張るんだ。
投下するほど容量ないけど、ゼロ氏への感想で埋めようぜ!
台詞だらけのリンダキューブネタ予告ができたので
投下していいですかねー2レスか3レスぐらいで終わると思うので
>>405 了解です。
では日を改めて明日にでも投下します。
それに中って・・・もう一度、最初のプロローグから投下した方が良いで
しょうか?
>>406 だから、475kも越えたし次スレだと……
建てたいが建てられん。
まあ、夜が明ければ誰か建てるか。
スレ立て乙
それじゃ埋めるかー
411 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/01(木) 12:22:45 ID:4IvPRTFK
:/ /
./ / 丿 :
// /_,. -;=''" _,
// '-'"`" -‐ニ‐"___=__---
:/レ ____-__-_ /`''-w´ヽ ,√"´\ /`''-w´ヽ ,√"´\ O /`''-w´ヽ ,
.,/′ /⌒ヽ : ̄ ̄0 ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄oヾ  ̄ ̄ ̄`゛ ̄ ̄ ̄/ ̄○ ̄ ̄ ヾ  ̄ ̄`゛ ̄ ̄ ̄/ ̄
; i:::″⊂二(^ω^ )二二二⊃; __○...........o.......〈..............................〉..............................0..〈................................〉...。...........
.!::^: 丶、 | _ _................/...............................\............................./................................\......................./.........
.!::^: ブーン ヽノ ) _ _ ,/´O ゚ ○ ゙`'i、 ,/´ o O ゙`'i、 ,/´ 0
i:: :: : ヽ くヽ _-__ o ヾ _ , O / ヾ _ ○/ ヾ _ ,
ヽ ヾ ヽ`JJ 三__ ̄ ̄ ̄`ヽ、_,/ ̄ ̄ヾ_/ ̄ ̄ ヾ '' ゚̄  ̄ ̄`ヽ/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヾ ''  ̄
ヾ\\: \,. -;=''" _,.-;-\ \ ̄ノ
. \ |\ :: |i''-'"`" -_ヾ______\_ソ′‘ ・. ’、
( ─丶 :: ,. -;=''"─ヾへメフ ̄ ̄ >>  ̄ ̄/フ二ニフ ; ゜+°′。.・”;
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埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め
次スレでやれといわれたがその次スレで埋めがてら前スレでやれといわれたのでこっちに投下。
仮トリップもつけたし問題はないはず。内容の無様さ以外。
クロス先はLinda^3(リンダキューブアゲイン)です
− ひとつの惑星が死んだ。
直径200kmの隕石が、地上の動物を完全に抹殺したのだ −
[ 遥か遠き星の彼方より ノア 魔法の星に着たり
ノア 死神に魅入られし星の 百と二十と一の つがいを運び
人の手により 魔法の星に放ちたれり
運ばれし動物は 星の生態を塗り替えたり
星の者 乗員と結託し 獣の牙で動物を集めたり
…って、とこか ]
「……これが一昨日あたりに追加された予言なんだけど――」
「なぁ、最後の一行――」
「物理の牙…の所ですか?流石目の付け所が違い――」
「いや、だから最後の――」
「聞こえません。」
「聞こえてるやないか!だから最後のアレは何やー!?」
「私だって知りませんよ!?むしろ知りたい!?」
通信モニター越しに"謎の予言"について騒ぐ女性二名
「巨大な船が突如転移して来ました!すぐに来てもらえますか!?ってか来い!?」
「おーい、言葉遣い言葉遣い」
そこに届く通信 異世界より迷いし箱舟
「ブタ、サイ、ライオン……同じ名前なのに姿は違うのね……キモチワルッ」
「夢に出てきそうで凄くいや過ぎる」
「ドラゴンも……いるんだ……」
船内に収容されたさまざまな"動物のつがい"
「誰だあんたら!?箱舟の中で何してる!?」
「貴方達は!?」
「俺は箱舟の乗員だ!」
船と一体のものとなりし"乗員"
「動物愛護団体が動物を開放しろと押しかけてきてます!」
「どっから動物がいるってもれたんや!?」
「動物が解き放たれました!散らばって逃げて行きます!」
人の手により解き放たれた動物
「下水道でクラゲっぽい何かががたくさん浮かんでるって情報が」
「山の方を歩いていたら木に襲われたって情報が」
「街でネコが大量に……」「ブタ可愛いよブタ……」「空飛ぶウナギ…」
「……ジーンさん、何でこんな速度で増えるんです?」
「10世代ぐらい余裕で効く成長促進ホルモンを投与したからね」
「何でそんなこと?」
「もともとは巨大な機械で数を調整してたんだが
. 一つがいしか居ないもんだから手っ取り早い方法で増やそうと、ね」
各地で爆発的に増える動物たち
「この狼の夫婦、貴方達にとても懐いているのね」
「ああ、とても頼りになるパートナーさ。あんた達にはイルカやワシを預けるよ」
「ザフィーラもいっその事猟犬になってみるか?……いや、そんな顔をされても……」
頼りになる猟犬(?)たち
「なのはさんが動物の爆発に巻き込まれたーっ!」
「えぇぇぇー!?」
「魔法で攻撃すると爆発するみたいだナ……動物を捕まえて武具に加工しよう」
強制魔法封印指定 頼りになるのは"獣の牙"
「コウモリ杖……」
「ゴキブリランス……」
「ペリカンサック……」
「飛び道具無いからってノミパチンコってなによノミパチンコって!」
「私はドラゴンソードを譲ってもらったぞ?賭けで」
そのわりに支給されるはどこか頼りない武器
「私としては若い子供の肉がいいんですがねぇ」「ククク……」
「味を確かめたいだけに腹も減ってないのに動物を殺す……それが人間って動物だよ」
「鳴けっアンジェラッ!」「ザフィーラちゃんの性格は綺麗サッパリ粉砕しましたよ」
「"ペリカン"って動物はきれいな体のやつの前にしか現れないらしいぜ」
呼んでもないのに集まる"その手"のエキスパート達
「もうすぐ、生まれるかもしれないわね」
「名前、もう決めてるんですか?」
「ふふっ、"マリア"って決めてるの」
そして生まれる新しい命
「ふふっ……ケンやリンダもいなくて困ってるようだナ」
「あなたは……スカr」
「私は"伝説のハンター"!動物のことなら何でも聞いてくれたまへっ」
……
奇妙な動物たちを相手に魔法少女たちが地べたを這いずり回る!
魔法世界ものなのに王道の魔法は使えないってどーいうこった。
― なのは キューブ アゲイン −
Nanoha Cube Again
「アリだー酸だー!糞を投げろー!」「ザフィーラちゃんは物覚えが悪いですねぇ」「ミミズバーガーうめぇ」
「罰はニワトリごっこで」「変身した!?」「動物の夜襲だっ!」「ワタシハMCアリス」「栄養満点満腹バナナ」
「触手だー!?」「クジラでっけぇー!?」「超振動ブラストォ!」「……ビンビンA?」「なみなのサイン下さい」
「死体は捜すより作るほうが簡単なのサ」「ゲヒョヒョヒョヒョヒョ」「愛するものが死ぬと、みんな泣くのね」
「シャマルの料理を平然と胃に収めてる…だと…?」「幻の幻獣が!?」「バトルジャンキーが出たぞー!」
「カマ掘って先制よ!」「アウチ!アウチ!」「情報?あげないよ記者だもの」「ふっ……せいぜいがんばれよ」
「子供は親の思いを裏切るものなのかもね、フェイトさん」「愛する二人はいつも一緒!あなた達もそうだといいね!」
「あなた達に逢えて、本当によかった」
「あなた達のせいで生態系が狂ったんですけど」
こんなノリでよければたぶん増水確立35%位ではじまります
自分で書いててなんじゃこりゃ、ノリと勢いでやるとろくでもねーな!
……新年早々すいませんでした
黒い雨氏GF!
もはやカオスすぎて何がナニやら分かりません!
急いで元ネタをチェックしようと思いまふ。
>>417 黒い雨氏はまだ投下してないと思うのですが
・・・・・・今トリップ確認しました。
黒い雨氏、勘違い申し訳ありませんでした。先刻といい何やってんだ自分・・・・・・
Linda^3クロスの方、改めましてGJでした!
197 :通常の名無しさんの3倍:2009/01/02(金) 21:33:03 ID:???
∧l二|ヘ
(・ω・ ) おいらをどこかのスレに送るんよ
./ ̄ ̄ ̄ハ お別れの時にはお土産を持たせるんよ
| 福 | |
| 袋 | |,,,....
 ̄ ̄ ̄ ̄
現在の所持品: 帽子 老眼鏡 爪楊枝 ホッチキス ランドセル X箱360 アッガイ ドリル ツンデレ美少女
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人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
从 iヽ_)// ∠ 再 開 !!!!
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/ / :/\_ .::| ,)リ.} 工ニイ | , -‐- 、
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三ニ, /: . く:.::!.: : : :.:}: | /┤ /: .: .: .: .: . |、 \ (_ .二ィ K`ヽ、__
.=ニ--┐ ノ: .: .: .:\. :. ノ: j /.ノ ̄ : .: .: .: .: .: .: .: .: .:ト、: \ : .: .ヽ. . . , イ 、__)
: .: .し': .: .: .: .: .: .`ー´`ー-.ノ ,': .: . : .: .: .: .\\__,ノ\  ̄: . し'ヒ>、_)
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i.: ::{ 斗-ハ: : :}十ト:i :}: :}: :}
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v|八:代り ソ辷リ }/: :i /
Y:ヘ _ } : /′
Yヽ. ヽノ /: /ヘ
ヽi{`>- イ´/W}<
/⌒ヽ /i>く´ }ヘ\}
{=x ノー ': ,/{/こ)'ヽ/ : l: : :`>: 、.._
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ノ ヽノノ: : : : >:|/ || /: :`<: : : : : : :/: : : :}
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こ二二二二二二二二二二二二二二二二二二}> 、} : : : : : {
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_,. -―- . ヽヘ ノ}
_, - '´ \} レ'ノ
ヽー- -‐‐ '´ -‐¬ 、
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! l| i :l l. ト,;:==、いノ!ノ {t心Y /イ l
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! l', ::い:、l ヽソ ,  ̄/l:l:|.!|:i:! ′
ヽ!ヽ :ヽトヘ ´ __ l:l:|:!|::;' /
` \ヽ::ヘ、 ヽ′ ,川::リ//
l.`::l::l::`iー-,. ..__//イ!//'′
| l::l::!:;v'^´ 〉-―'/イく,、
! トv′_,/:::::::::::::::/::冫、_
V.イ「 l::::::::::;.-'´ / /: : >、
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l: :|:/ ト, r1 、 |: :l::/: : : : : : : :|
|/:l′i'/ ノ'′ヽ !: /: :i : : : : : : l
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_,..ゝ' _ `ヽ-、
;' ミ (゚:ノ .o.ヾj_
ゝ-=彡' - `ナミ、
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` 、  ̄l ', ゙´ ! l
` ー---',. } ノ ノ
ゝ.、._.ノー-‐'丶゙__)
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