新スレ乙です
新スレが立ったならっ…!! …立ったならっ!!
オレもまた
>>1乙だぁ――っ!!!
フィンガーフレア乙!
>>1 乙!
そういえば、フィンガーフレアボムってゼロ使的にはスクウェアスペル以上として扱われるんだろうか?
ペンタゴンくらいで。
禁呪だけど強力呪文の同時使用なだけだからスクウェアクラスで可能でないか?
使うと後が大変だけど。
だがカッタートルネードを五個賭けしてるようなものと考えたら……
寿命が縮むのも納得してもらるな
あれは本来1度に1つしかでないものを無理矢理5つだしてるようなものなんだろうしな
まあよっぽどのことが無い限りフィンガーフレアボムズは使わんほうがいいだろ
ダイ大の世界では魔法の威力は術者の力量が反映されるし、メラ系はそれの影響がたぶん一番大きい
大魔王のFFB'sとか、どんなことになるんだろうな
五つ首の不死鳥にでもなるのか?
10 :
ゼロの影:2008/11/25(火) 21:24:10 ID:M1JKBrcP
21:30頃に、二話目を投下します。
支援準備をさせていただきます
12 :
ゼロの影:2008/11/25(火) 21:30:11 ID:M1JKBrcP
二 戦う理由 前編
――ワルド。
――立派なメイジになって僕が母を守るんだ!
――ワルド様!
――力が欲しい。
翌日、ルイズはワルドとの結婚式を進めていた。ウェールズが見守り、神父の前でルイズとワルドが並んでいる。
ミストバーンは壁際に影のごとく立っている。結婚式に興味など持たず出席もしないと思い込んでいただけに予想外だった。
神父の言葉を聞き流しながら本当にワルドと結婚していいのか、行動を共にしてきた使い魔を思い浮かべながらルイズは自分に問いかけていた。
彼を支えているのは主の存在。どれほどの強敵が相手でも、主がいる限り彼の心が折れることはない。何度でも立ち上がるだろう。
果たして自分の中でワルドはそれほど大きな存在だろうか。心の拠り所となっているだろうか。
(違うわ。でも――)
強固な絆で結ばれた、互いに支え合う存在になりたい。
今はまだ力が足りないが、対等に向き合えるようになりたい。
本当はもっと偉大なメイジになってから結婚するつもりだったが、アンリエッタへの想いを抱いたまま戦場へ赴くウェールズに対するはなむけになればと承諾した。
婚約者を想い出の中の憧れではなく、現実の相手として見るようになったことは事実なのだから。
「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名においてこのものを敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか」
「誓います」
ワルドが重々しく頷いて杖を握った左手を胸の前に置いた。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。汝は始祖ブリミルの名においてこのものを敬い、愛し、夫とすることを誓いますか」
「……誓います」
結婚と言っても形式的なもので、ルイズはこれまでと同じように学院での生活を送ることとなる。
実質的に妻として行動するのは、もっと実力をつけて対等の立場になってから――そういう条件での結婚だ。
ミストバーンに力を認めさせることも含まれている。
ワルドが持つ役割は“共にツッコむ”だけであり、対処を任せきりにするつもりなどない。
(使い魔とメイジは一心同体なんだから、わたしが認めさせないと)
それでもワルドの顔には幸せそうなオーラが溢れている。
今の彼ならば奇跡を容易く起こせそうな勢いだ。それこそ、花でも摘むように。
13 :
ゼロの影:2008/11/25(火) 21:31:28 ID:M1JKBrcP
ウェールズは二人を祝福するような晴れやかな笑みを浮かべた。
「では、お別れだ。最後に君達に会えてよかった」
ルイズに、ワルドに、ミストバーンに順々に視線を移す。
「殿下……本当によろしいのですか!? 姫様に――」
なおも言い募ろうとするのをワルドが止める。
ほんのわずかに表情がゆがんでいる。死を覚悟し、戦場に向かう決意を固めていても想いを殺しきれなかったらしい。
「一目会いたかったが叶わぬようだ。命を落とした後に会いに行くとしよう。……アンリエッタを頼む」
信頼のこめられた言葉にルイズとワルドは頷いたが、ミストバーンだけは違った。
「断る」
ウェールズとワルドは目を丸くし、ルイズは簡潔な拒絶に絶句した。
思っても口に出さなければ良かったのに、と心の中で嘆く彼女の耳にわずかに温度のこもった声が届く。
「本当に大切なものならば……自らの手で守れ」
何千年もの間そうやって主を守り抜いてきた自負がある。ウェールズはすぐに死ぬため不可能だと知っていながら彼はそう言った。
ウェールズはしばし言葉を失っていたが、やがて朗らかに笑いだした。
「残念だ。もっと早く君のような相手と出会っていれば、どんな困難も恐るべきものではなくなっただろうに」
「殿下、こいつ……彼は」
大魔王の部下で何のためらいもなく大勢の人間を殺した血も涙もない冷徹非情な男だと言いかけて飲みこむ。今この場で言うべきではない気がした。
「主のために戦うというのだろう? できることならば共に戦ってみたかったが」
ミストバーンが実力を測った時にウェールズも強さを察したらしい。ルイズは何か言うよう肘でつついたが、もう口を開く気はないようだ。
「もし、もう一度守る機会が与えられたならば――」
続きを口にせず、三人にもう一度別れを告げてウェールズは礼拝堂を出ていった。
皇太子を見送るワルドにミストバーンは鋭い視線を向けている。
彼は昨夜交わされた会話を思い起こしていた。
大切な話があると言ってミストバーンを引きとめたワルドはいきなり本題に入った。
「僕はレコン・キスタの一員だ」
レコン・キスタとは聖地奪回の理想を掲げハルケギニアの統一を目指す貴族の連盟だ。ウェールズが現在戦っている相手である。
ワルドがそれに与しているということは即ち、トリステインへの裏切りを意味する。
ルイズならば動揺しただろうが、ミストバーンは淡々と告げた。
「ウェールズの命を狙うならば――」
キラリと爪が光り、触れるものを凍りつかせる恐ろしい空気が放たれる。
ワルドは思わず唾を呑んだが、首を横に振った。
「違う。僕はレコン・キスタのために行動するつもりはない」
14 :
ゼロの影:2008/11/25(火) 21:32:56 ID:M1JKBrcP
遠い眼差しで語り始める。
「僕は昔から力が欲しかった。ある大切な女性のために。そしてルイズと再会して……僕は彼女の中に太陽を……最も大切だと思う人と同じものを見たんだ」
ミストバーンはどこまでも冷淡な視線を向ける。彼は、抽象的で曖昧な言葉より明確な理由を聞きたいのだ。
それを悟ったのだろう、ワルドも頷く。自分の過去や事情を細部まで話す気はないようだ。
「僕は力が欲しい。彼女を守るためにね。だから、君の側につく。君を従える大魔王は偉大なメイジなのだろう?」
「そうだ。だが、力を欲して属した組織を何故――」
単に強い力の持ち主についていこうと考えただけならば、ミストバーンにとっては嫌悪の対象にしかならない。
「トリステインを裏切っていてはルイズが傷つくだろう? 悲しい顔はさせたくないのだよ」
芝居がかった仕草で手を広げてみせる。口調も、浮かべる微笑も、他の者が聞けばキザだと思うかもしれない。
彼は、大切な者への想いからレコン・キスタに与することを決めた。
ミストバーンの側につくのも同じ理由だ。
彼は理解できないと言いたげに目を瞬かせた。
「たった一人のためにか?」
ワルドの表情が変わった。
心の奥を隠すような薄い笑みが消え、眼光が怒りに燃え上がる。
「君にはいないのかい? 絶対に守り抜くと心に誓う相手が。他のあらゆるものに優先する存在が」
言った後で自分の深刻な表情に気づき、咳払いをしてワルドは語り始めた。
「まあ、その、一緒にいるだけで幸せになれたり、笑顔を見ているだけで心が癒されたり……それが理由さ」
語るワルドの頬が紅潮し、鼻息が徐々に荒くなっていく。
己の過去を語る時は飄々とした笑みを浮かべていたが、話題によっては熱くなるらしい。
「彼女の清らかな微笑が己に向けられる至福の瞬間を考えてみたまえ。膝枕の様子を思い浮かべるとそれだけでもう……まるで聖母だ」
盛大に惚気られたミストバーンは、ワルドが何を言っているのかほとんど理解できない。
要するに、ルイズこそが最も優先すべき大切な相手なのだろう――そう結論付けて納得した。
ワルドの昔話に興味は無いためそれ以上訊く気はない。
ワルドは喋るうちにいっそう興奮してきたらしく、彼の両手を握って叫んだ。
「ありがとう! 君のおかげで僕の女神との距離が近づいたのだ。そう考えると君は天使と言えるな。……少々暴れん坊だが」
すっかり頭に血が上っているワルドに冷ややかな声が響く。
「バーン様は寛大なお方……力持つ者は受け入れるだろう。だが、私は裏切り者は信用せぬ」
「僕は愛するルイズのために戦うことを誓う。見ていてくれたまえ」
こうしてワルドはルイズ達の側につくことを宣言し、ミストバーンから監視されることとなった。
15 :
ゼロの影:2008/11/25(火) 21:34:33 ID:M1JKBrcP
そんなことなど知らないルイズは目に涙をためて叫んだ。口にする言葉は昨晩と同じ。
「ウェールズ様を助けて!」
主の指示を仰ごうとしたが声は聞こえない。
部下の判断に任せるつもりなのか、それとも今こちらの様子を観察していないのか。
かすかな違和感を覚えながら鋼の声で答える。その声はかすかにひび割れていた。
「バーン様は――」
ルイズはぼふぼふと衣を両手で殴り、噴火寸前の火山のような目で睨んだ。
「あんた自身はどうなのよ!? あんたが行かないならわたしが――!」
彼女にも自分一人が行ったところでどうしようもないことはわかっている。
しかし、アンリエッタの心を想い、ウェールズの命を救いたい一心ですっかり冷静さを失っている。
ワルドが目を見開いて慌てて止めると、ルイズは彼にしがみついた。
「お願い、ウェールズ様を――!」
ミストバーンがもっと弱ければ亡命するよう協力してほしいとしか思わなかっただろう。
だが、彼とワルドがいれば逆転も可能ではないか。
救いたい意思と状況を打開するだけの力がありながら戦わないのは理解できない。
任務は終わったというのにすぐに立ち去ろうとしないのが何よりの答えだ。
「泣くのはおやめ。僕のルイズ」
ワルドがそう囁いて頬に流れる涙を拭うが、ルイズはミストバーンを睨みつけたままだ。
沈黙する相手に彼女の怒りがとうとう頂点に達した。可憐だが気迫のこもった声が城内に響き渡る。
「笑わせんじゃないわ……! 何が強者には敬意を払う、よ。とんだ嘘っぱちじゃない」
ピクリと鋼の指が動いた。
「あ、ひょっとして怖いの? だったら謝るわ、無茶言って。そうよね、いくらあんたでも無理よね。通じる攻撃があって殺されちゃうかもしれないし」
空気が音を立てて凍っていく中、とどめとばかりに弾丸のような言葉が炸裂する。
「大魔王の信頼する部下は尊敬する戦士の勇姿も見ずに逃げ出した臆病者って言いふらしてやるんだから! 大切なご主人様の顔に泥を塗ることになるわね!?」
押して駄目なら爆破しろと言わんばかりだ。凛々しい横顔を見たワルドが眩しそうに目を細める。
魔界の主従は挑発されたら後には退けない性格だとルイズは睨んでいた。
己の力に自信を持ち、誇りを守ろうとする貴族と似ているのだから。
口を封じようにも彼の主はルイズに協力するよう命令したのだ。勝手なことをしては“お叱りを受ける”だろう。
あくまで挑発はきっかけの一つに過ぎない。結局は彼の意思次第だ。
危険な賭けだが、何もせずにいては後悔するに決まっている。
誇りにかけて、彼の心を確かめたかった。
16 :
ゼロの影:2008/11/25(火) 21:35:25 ID:M1JKBrcP
彼は選択を迫られていた。
戦うか、戦わないか。
心に従うか、従わないか。
やがてミストバーンは口を開いた。
「……ワルド」
名を呼ばれたワルドが杖に軽く触れる。
彼は言った。
愛するルイズのために戦うと。悲しむ顔は見たくないと。
「その覚悟、今こそ示してみよ」
「任せてくれ」
ワルドは不敵な笑みを浮かべ、頷いた。
ウェールズは全身に傷を負いながら戦い続けていた。
味方と離れ離れになった彼は孤立無援。敵がメイジではないとはいえ数が違いすぎる。
疲労が徐々に蓄積され、傷が少しずつ増えていく。
ウェールズは想い人の名を呟き前を見据えた。名も無き雑兵に討たれ首をとられるとしても、最期まで誇り高くあろうと。
彼の瞳に一斉に突き出される無数の武器が映る。
だが、それらが身体に届くことはなかった。
目の前に飛び込んできた白い影が全て受け止めたのだから。
両腕を顔の前で交差させ、数えきれぬ刃を受けながらその姿が揺らぐことはない。
突然の闖入者に周囲の兵達は凍りつき、目を見開いた。
「ミストバーン?」
ウェールズは信じられないと言うように囁いた。
その足元から蜘蛛の巣を思わせる漆黒の網が広がっている。我に返って襲いかかる兵士達に掌を向け、拳を握りこむ。
「闘魔滅砕陣!」
空間をも捻じ曲げるような技で瞬時に多数の敵の動きを止めたミストバーン。
その傍らにマントを翻して立つのは長身の貴族。
杖を振ると落雷が捕らわれた兵士達を打ちのめし、瞬時に命を奪った。
「子爵……!」
彼らの後ろ姿を見てウェールズはかけようとした言葉を呑みこんだ。
――言葉はいらない。
三人は地を蹴り、戦いへと身を投じた。
17 :
ゼロの影:2008/11/25(火) 21:36:23 ID:M1JKBrcP
以上です。
ルイズが結婚しましたが形式的です。
本格的にイチャつかれても困るので。切実に。
レコン・キスタ所属については「憂国の志士」路線で葛藤や改心や離反を描くはずだったのに、書き直す内にいつの間にか「ルイズかわいいよルイズ」なノリになっていました。
暴れん坊な天使とか言ってますが、後で見せ場がある予定です。
トイレで唸っている間に投下終了してたorz
乙でした〜
頑張れ、ロリコン紳士ワルド!
乙です
このワルドは「ルイズかわいいよルイズ」な勢いで光の闘気に目覚めても許せるw
ゼロ魔の魔法は複数同時使用ってできないのでは…
それともメドローアみたいな異種同時は不可で同種複数のFFB'sは可能てことでいいのか?
光の闘気に目覚める=ミストバーンとの対決フラグだから、もし目覚めたら戦力増強が必要かも
烈風殿連れてきてガチバトルしてる隙に光の闘気全力で叩きこめば勝てるかな
投下乙であります、本格的にイチャつく=学園や戦争を産休なのでアウトなんですね、わかります
ワルドが良い感じに吹っ切れてるなー 「ルイズかわいいよルイズ」で裏切るかw
一人の大切な人のためにってのは、ミストには信じられる要素として大儀よりむしろ良い説得条件だったよーなw
>>19 ウィンディ・アイシクルみたいに複数氷の矢or槍を作り出す魔法はあるので
低位の魔法の効果を複数同時発動されるよーに見える魔法も存在したり作り出せるかも?
ただ、基本は無いだろーなー ゼロ魔の魔法は詠唱→発動なので同時に複数詠唱ってのは人体の構造上無理だろーし
同時詠唱は無理だが、レビテーションかフライで浮いたまま新たに魔法を詠唱するという超高等技術が存在するらしい
一度詠唱してしまえば効果が持続する系の魔法なら、持続中に新たな魔法を唱える事も理論上不可能ではないが
そのためには最低でもスクウェアレベルの実力と優れた技術が必要って感じなのでは
遍在使えるメイジだったら、遍在がどこかに隠れながらレビテーションを使って
本体を飛行させるという擬似同時詠唱ができなくもなさそう
その辺は棄てプリみたく意識容量の関係ってことにしとけば?
持続型は意識して魔法を発生し続ける必要があるけど、並列思考の訓練とかでフライ時での魔法戦闘が可能になるとか
正道・ロリコンワルド。ロリコンなのに何この清らかさ!?
ミストバーンが大魔王への忠誠を貫くように、ワルドもロリコン紳士としての信念を抱き始めたからではないでしょうか?
「ルイズの笑顔を守る事がすべてに優先する」とかすごく漢な顔で言うロリドと申したか?
こらこら、体型はともかく、ルイズ相手ならロリコンとまで言うことはなかろうに。
>>28 知能はともかく精神年齢が幼稚園児レベル以下……
ルイズはちみっ子ですよ
少年のようなスレンダーな体型ですね。
33 :
ゼロの影:2008/11/28(金) 21:51:50 ID:zwV69sFa
22:00から投下予定です。
おう、支援です。
35 :
ゼロの影:2008/11/28(金) 22:00:32 ID:zwV69sFa
三 戦う理由 後編
圧倒的な勝利を確信していた反乱軍の兵士達は混乱に陥っていた。
それもそのはず、彼らの――ハルケギニアの常識が通じない相手が参戦していたからである。
時折鋭く光る不気味な眼。闇の凝集したような異様な姿。身にまとった衣も金属に包まれた手も恐ろしさを増幅させている。
何よりも考えられないのはその生命力。どれほど刃で切り裂かれようと、刺されようと、全く痛みなど感じないように戦い続ける。疲労すら存在しないようだ。
たまにメイジの魔法が撃ち込まれるが、手で無造作に払いのけられるか増幅して打ち返されるかのどちらかだった。
また、不死身の体に頼りきっているわけではない。素早さや膂力も相当なものであり、軽やかな動きとともに銀光が翻り、次々に敵を刺し貫いていく。
両手の爪は彼の意のままに動き、ある時は獲物を締め上げ粉砕し、ある時は剣を形成し切り裂いた。
迫る刃を手刀でへし折った彼にウェールズが不思議そうに問いかけた。
「何故君は戦う?」
彼は本来戦う必要などないはず。強大な力は主のために振るわれるのだとウェールズも察している。
「最後の勇姿を見届けるためだ」
そっけない答えにウェールズは苦笑した。
(ならば、戦わずに安全な場所から見物だけしてもいいのでは?)
そう言っても答えは返ってこないとわかりきっているため黙っていた。
今度はワルドに視線を向ける。
「ルイズの涙を止めるためさ」
爽やかな笑みと共に答えられたウェールズはますます苦笑を深めた。
たった一人の女性の頼みで戦場に飛び込むワルドの笑顔が、とても眩しいものに思えたからだ。
彼らは杖を光らせ剣のごとく突く。
『閃光』の二つ名を持つワルドの動きは素早く、“ルイズのために戦う”という一念によって跳ね上がった魔法力は常識を超えている。
スクウェアクラスのメイジの使用する魔法がさらに力を増せば、常人に立ち向かう術など無い。
今の彼とまともに戦うことのできるメイジはハルケギニアの中でも限られているだろう。
ミストバーンが手の双剣を構え、それを上回る速度で敵のただ中に斬りこんでいく。
剣舞にあわせて血飛沫が舞い、衣の裾が翻った。存在そのものが武器だと思わせる姿だった。
一閃のたびに兵達が崩れ落ちていく。
周囲の兵達は満身創痍のウェールズを狙うが、暗黒闘気の網に捕らえられ体を捻じ曲げられた。
掌を差し出し滅砕陣を展開した彼を援護するようにウェールズの魔法が飛ぶ。獲物の首を折った滅砕陣が消えたところにワルドが走りこみ、隣に立って杖を振るう。
風のトライアングルメイジであるウェールズと、スクウェアメイジであるワルドの魔法が合わさり、巻き起こされた巨大な竜巻が敵を次々に飲み込んでいく。
詠唱の隙もミストバーンが全てカバーしている。会って間もなく、共闘するのが初めてとは思えないほど彼らの連携は息が合っていた。
36 :
ゼロの影:2008/11/28(金) 22:02:54 ID:zwV69sFa
信じられないようにミストバーンはポツリと呟いた。
「初めてだ。誰かと共に戦うのは……」
そう語る彼の表情はわからなかったが、不愉快さを感じてはいないようだ。
認め合った者と肩を並べて、あるいは背中合わせで戦うのは初めての経験だ。
ほんの一瞬、感慨にふけりそうになった時ウェールズの苦しげな呻き声が聞こえた。
一瞬の隙をついた敵の刃がウェールズの胸を切り裂いたのだ。その一撃だけならば致命傷ではないが、先ほどからの負傷や疲労もある。
蒼い顔のウェールズがよろめくのを、彼は見た。
このままでは助からないと知ったワルドの顔がくもる。
ミストバーン一人ならいくらでも戦い続けることができる。それこそ、敵を全滅させることも可能だろう。
だが、ウェールズが倒れれば意味は無い。
人間の生命力を考えるともう長くはもたない。
ウェールズはよく戦った。勇敢な戦いぶりを見ることが出来た。肩を並べて戦うことも。
ならば、あとは命の灯が消えるのを見届けるだけだ。
それで全ては終わる。
ルイズは二人だけに戦わせるわけにはいかないと主張したが、ワルドが「君は切り札だから温存する必要がある」と宥めたため礼拝堂で待機している。
ミストバーンの呪文で彼女と合流し、アルビオンを後にすればいい。
だがその時、彼の中でルイズの叫びが弾けた。
『ウェールズ様を助けて!』
ルーンが強く輝き、彼の姿がウェールズの傍らから消えた。
姿を現したミストバーンを見てルイズの顔がゆがんだ。彼一人現れたということは、ウェールズは死んだと告げているようなものだ。
だが、胸のルーンを輝かせながらいきなりルイズを力強い手で抱えた彼は杖を指差して目をカッと光らせた。
(もしかして、威力の高い爆発を起こせってこと?)
根拠の無い勘だが、何故かそんな気がした。
何が何だかわからないまま詠唱を始める彼女とともに一瞬で戦場に戻った彼はウェールズの上空へと飛び、ワルドの姿がウェールズの傍にないことを見た。
(先に逃げたのか?)
もう戦う必要は無いと判断し、離脱したのだろうか。
ミストバーンは思考を中断し、かなりの高さからルイズの体を放り出した。瞬時に倒れかけたウェールズの元へ移動し、抱えてルイズに目で合図する。
落下しながらも詠唱を終えた彼女の起こした爆発は、ウェールズの立っていた地面を盛大に吹き飛ばした。
もうもうと上がった土煙が兵士達の視界を奪い、混乱を助長する。
反乱軍の兵士達が目撃したのは、“突然再び現れた不気味な敵が勇敢に戦った皇太子ごと跡形も無く吹き飛ばされた”光景だった。
ルイズは見る見るうちに迫る地面を見て青ざめたが、グリフォンに乗ったワルドが煙の中に突っ込み、優しく抱きかかえて離脱した。
まるでこうなることを予想していたかのように、無駄のない優雅な動きだった。
思わず安堵に表情を緩めた彼女が見上げると、帽子を直しつつ空を眺めてうそぶく。
「空が素敵な雨を降らせてくれたようだね」
「ワルド様……」
他に言うことはないのかと思ったが、口には出さなかった。
37 :
ゼロの影:2008/11/28(金) 22:05:00 ID:zwV69sFa
トリステインに戻る間、ルイズは夢の世界を彷徨っていた。
彼女の意識は誰かの中に入り込み、同じものを見て同じことを感じている。
闇に閉ざされた世界の淵から生まれた身体は、暗黒闘気から成り立っていた。
戦場に渦巻くどす黒い思念の、体を失ってでも戦おうとする習性がやがて他者を乗っ取り操ることを可能にさせた。
人間でもない、魔族でもない――強いて言うならば魔物に近いが――同じ能力を持つ者はいない特殊な体。
自分は傷つかず一方的に相手を攻撃できる能力。
滅びからは最も遠い生命。
しかし、誇る気にはなれなかった。
力こそ正義という則の支配する魔界において、自分の力を持たぬ者は蔑みの対象にしかならないのだから。
その反動で鍛え強くなる者への羨望と敬意を抱くようになった“それ”は、やがて終生仕えるべき主に出会うことになる。
能力を認め必要としてくれた者との出会いから数千年――影は戦い続けてきた。
ある時、彼の前に一人の男とその使い魔が現れた。
大魔王の前でも全く恐れを見せぬ態度に感心し、それから数百年の間共に過ごしてきた。
忠誠心篤い影と飄々とした男は正反対だった。
数十年に一度しか口を開かぬと言われるほど口数の少ない影と饒舌な男――彼らは自他ともに認める友人だった。
異なる世界に召喚されたため会うことは叶わなくなったが、きっといつものように軽妙な口調で喋り、笑っていることだろう。
ルイズはハッとして息を呑んだ。
先ほどとは光景が変わっている。
彼女はいつの間にか意識から抜け出していた。
金色の炎に焼かれ、自分の召喚した相手が倒れ伏した。声を上げず、動くことも無い体を炎がじわじわと蝕んでいく。
静かに生命が削ぎ落される光景に彼女は立ち尽くした。
止めようとした瞬間、世界に凄まじい閃光が炸裂した。
眼が眩んだ彼女には光が弾けた後の景色を見ることはできない。
やがて、遠くから声が聞こえた。
「私は一人だ」
目覚めた後も、その呟きだけは心に留まっていた。
静かに流れた声はひたすら重く、孤独の影が滲んでいた。
38 :
ゼロの影:2008/11/28(金) 22:07:07 ID:zwV69sFa
学院の自室に戻ったルイズは傷だらけのウェールズの姿に息を呑んだが、賢者の石を取ってくるよう言われたため慌てて駆け出した。
瞼を閉ざした彼の顔は白く、今にも生命の火が消えてしまいそうだ。水の秘薬や賢者の石でも助からないだろう。
だが、まだ手はある。ミストバーンだけにしか使えない手段が。
その掌に黒い輝きが集い、ウェールズの身体に染み込んでいく。
ワルドはその光景を凝視している。彼の知らぬ力の一端を垣間見たのだ。
賢者の石を持って戻ってきたルイズが目撃したのは、ウェールズの身体を棺に入れるミストバーンの姿だった。
助からなかったのかと肩を落とすルイズに鉄の声が届く。
「命はつないだが、しばらく眠る必要がある」
死んだのを蘇らせたわけではなく、死へ向かうのを彼の力――生命の一部とも言える――暗黒闘気で食い止めている状態だ。
それを聞いて顔を輝かせたルイズは感動のあまり絞め殺しそうな勢いで抱きついた。彼はスライムに顔面に体当たりされたような顔をしている。
一方ワルドは羨ましいと言いたげな顔で見つめている。
(ルイズの抱擁ならば、背骨が折れるくらい激しくても歓迎するのに……)
などと考えていると知らない彼女は身を離して微笑んだ。
ふと彼女は、ミストバーンが何故ウェールズを助けたのか疑問に思った。彼自身も己の行動に戸惑っているようだ。
懇願に心を動かされたとは思えない。
(いまさら慈愛に目覚めました、なんて絶対ありえない)
大魔王の部下にするためかとも考えたが、歩んできた人生を考えればウェールズは承諾しないだろう。彼もそれはわかっているはずだ。
思い返せば、ウェールズを救出する直前ルーンが輝いていた。
使い魔を従順にさせる効果があるらしいが、今まで働いていなかった分が溜まりに溜まって放出されたのだろうか。
召喚してからの呼びかけの中で最も強く望んだことを叶えようと。
だがそれは彼の意志に反している。彼はウェールズの覚悟を尊重しようとしていた。生きていてほしいと思っていたにせよ、最期を見届けたら去るつもりだったはず。
ルイズは背筋が寒くなるのを感じた。
――彼が彼でなくなる時が来るかもしれない。
(……まさか、ね)
今回は召喚されてからの蓄積と彼の願望が結び付いて効果が発揮されたのだろう。だが、強固な意志を持つ彼がこれ以上干渉を許すとは思えない。
(ウェールズ様に生きていてほしいって強く願ってたんだわ、きっと。今回はともかく、もうわたしの言うことなんてきかないだろうし。……それはそれで腹立つわね)
頭を振ってしつこくまとわりつく不吉な予感を追い出そうと努める。今はただ喜びに浸っていたかった。
「ありがとう。きっとウェールズ様も――」
どこから棺を用意したかも訊かずアンリエッタに知らせようとしたが、ワルドに止められた。
「目が覚めるかどうかまだわからない。下手に希望を持たせる真似は慎むべきだ」
「そう、ね」
39 :
ゼロの影:2008/11/28(金) 22:10:19 ID:zwV69sFa
ルイズは棺を心配そうに見やり、続いてミストバーンに視線を向けた。
どれほど破れようとすぐに修復するはずの白い衣が燻り、背から煙が立ち上っている。
「わたしの魔法で……?」
普通の魔法は効かないのに彼女の爆発だけは効果があったようだ。
(え、わたし死ぬの?)
そのまま連れ出さずわざわざ爆発を起こさせたのは、ウェールズに敵前逃亡したという汚名を着せないためだろう。
いくら慌てていたとはいえその気になれば範囲や規模を変えられたはず。せっかく練習してきたのだからもっと上手く調節すべきだった。
ワルドがルイズを守ろうと足を踏み出しかけたが、殺すつもりはないようだ。
緊張の反動で彼女は泣き笑いしながら床にへたりこんで息を吐き出しかけ、使い魔を攻撃してしまった事実に気づき愕然とした。
慌てて賢者の石を振りかざしても無駄だと氷の声が返ってくる。悔しさを噛みしめた彼女の耳に飛び込んできたのは予想外の言葉だった。
「見事だ……ルイズ」
彼の意思を読み取って急な指示に従い、いきなり高所から放り出されても凄まじい威力の爆発を起こし、ウェールズ救出の力になったことを褒めているのだろう。
初めて名を呼ばれた彼女の顔がくしゃりと歪む。
「バカ……! 褒めるところズレてんじゃない? 嬉しくないわよ……!」
震える肩をそっと抱くワルドをミストバーンが観察する。
ワルドは危険に身を投じた。ルイズのために戦うという言葉に嘘は無いようだ。
結果的に組織を裏切ることになっても、自分なりの信念を持って高みを目指すならば、敬意を払うに値する。
しばらく彼は黙っていたが、やがて疑問に思っていたことを問うた。
彼が突然姿を消した後、何の指示も与えられなかったワルドはグリフォンを呼んで空中に待機していた。
まるで彼がウェールズ救出のために動くことを予想していたかのように。
そして、落下したルイズを見事に受け止めた。
どうやって彼の行動を読んだのか。
ワルドの答えは単純だった。
「何故かそんな気がしたんだ。君のおかげでちょっとした王子様気分が味わえたよ、はっはっは」
それ以上訊いても無駄だとわかっているため沈黙するしかない。
ミストバーンは二人を見て、これから先真に尊敬することになるか否か思考を巡らせていた。
40 :
ゼロの影:2008/11/28(金) 22:13:42 ID:zwV69sFa
それからルイズ達は任務の結果を報告しに王宮に向かった。
その際、ウェールズが生きているという事実を隠すことに決まった。
「やっぱり姫様にだけは話した方がいいんじゃないかしら」
とルイズは何度か言ったが拒絶された。二人ともウェールズの意志に任せるつもりらしい。
アンリエッタに謁見したルイズは事の次第を説明した。
手紙を取り戻したと知っても彼女の顔は暗い。
ウェールズは深く傷つき倒れた。今手の届かない場所にいる。その知らせが彼女の心を責め苛んでいる。
ルイズが何か言おうとすると、沈黙を守っていたミストバーンが重々しく告げた。
「ウェールズは勇敢に戦った」
ワルドも頷いて同意を示す。
そう聞いても寂しげな表情は晴れない。自分よりも名誉の方が大切だったのかと思ってしまう。
ハルケギニアの王家が弱敵ではないと示すためだと頭でわかっていても、心が追いつかない。
物憂げな彼女を大魔王の部下が慮るはずも無く、何かを思い出したように顔を上げて淡々と呟く。
「そう言えば、お前の名を呟いていた」
ミストバーンにはそれが何を意味するのか理解できない。人間の愛情や絆からは離れている存在なのだから無理もない。
重要なことをいきなり告げた傍らの男をワルドが凝視し、考えてから言葉を紡ぎ出す。
「殿下。皇太子にとって殿下は特別な御方……深く傷ついてもなお、想っていたのです」
王女の顔が泣きそうに歪んだが、かろうじてこらえる。
やはり理解できない彼は、わかっていること――信じていることのみ告げた。
「私の知るウェールズは勇敢な戦士だ。……これからも」
ワルドも頷き言葉を続ける。
「そのお心に応えてくださいませ。殿下」
アンリエッタはルイズから返された水のルビーに触れながら、覚悟をにじませた目で、
「ならば、私も勇敢に生きようと思います」
と告げた。
そして、ウェールズのつけていた風のルビーを指にはめ、水のルビーはルイズに手渡した。
41 :
ゼロの影:2008/11/28(金) 22:14:52 ID:zwV69sFa
以上です。
ワルドには「ルイズかわいいよルイズ」を貫き通してもらいます。
全体的にメインストーリーと似た流れですが、時間軸が原作に近くなっており、次の話から展開が変わってきます。
乙です
ワルド一人加わったくらいでは大局は変わらず、ですか
それともこれから彼が変えていくのか?続き楽しみにしています
wikiの編集についてはこちらに書いたらいいのかな?
ページ名を間違えてしまってゼロの影〜The Other Story〜-21aのaの部分の削除をお願いしたいのですが
>>43 こちらでいいと思いますが、邪魔なようでしたら避難所に修正依頼スレを建てます
21のa部分をページ名変更しておきました
>ワルドには「ルイズかわいいよルイズ」を貫き通してもらいます。
すばらしい
wikiに登録してくださる方、ありがとうございます。
とてもとても助かっております。
試みるたびにわからなくて挫折する私はミストバーンに顔面踏まれてきます。
47 :
ゼロの影:2008/12/01(月) 21:55:58 ID:LUEnmmvi
22:00頃に四話目を投下します。
48 :
ゼロの影:2008/12/01(月) 22:00:24 ID:LUEnmmvi
四 奇跡の草原
学院に戻ったルイズはオスマンから呼び出され、『始祖の祈祷書』を渡された。
王女とゲルマニア皇帝の結婚式の巫女に選ばれたため詔を考えなければならない。
意気込んだもののすぐさま挫折した彼女は使い魔に助けを求めかけて即座にやめた。どう考えても祝福の言葉など持っているとは思えない。
うー、あー、と妙な声を上げながら床やベッドを転げ回る彼女の奇行にも一切関せず読書に耽っている。その傍らには数冊の書物が置いてあり、扱っている内容はバラバラだ。
今読んでいるのは始祖ブリミルについての本らしい。
約六千年前に活躍したハルケギニアで神の如く崇拝される偉大なメイジであり、その生涯や魔法は謎に包まれている。
魔界の魔法と始祖が操ったとされるものには似た部分があるため興味をそそられるところだが、書物は伝説の偉人として扱っており、どこまで確実かわからない。
何しろ彼の魔法で天地までもが鳴動したというのだ。神格化され大げさに伝わっている部分もあるだろう。
天空を思わせる模様が刻まれた表紙の本を閉じ、新たな一冊を手に取る彼を見てルイズの血管は切れそうになった。
(ななな何よわたしがこんなに苦労してるってのに自分は優雅に読書なんていい身分じゃない。そんなに大魔王さまのお役に立ちたいってわけ!?)
と憤ってみたところで真面目に肯定されるに決まっている。
ますます釈然としないものを感じたルイズはささやかな抵抗を試みた。彼を連れて中庭に出た後、質問攻めを始めたのである。
青空の下に連れ出して少しでも開放的な気分にさせ、情報を聞き出そうというのだ。
まずは返事する確率の高い戦闘に関する質問――特に呪文について尋ねた。
こちらが知識を提供するだけでは不公平だ。前々から彼の世界のことも知りたいと思っていた。
すると、ほとんど喋らない彼の代わりに大魔王が質問に答えた。
一般的な火球呪文や氷系呪文といったものから天候を操る呪文まで様々なものを説明され、ルイズの目が輝く。
ミストバーンへの質問の大半は沈黙に撃墜されたが、答えが返ってきたのは大魔王の偉大さについての質問だった。
「バーン様をお守りするのが、私の使命なのだ!」
という高らかな宣言にはじまり、数千年の間仕えてきたと誇らしげに語られたルイズは妙な疲労を覚えた。
ワルドは愛情を向けてくれるが、召喚した使い魔ではない。
普段傍にいる相手が全く心を許さないと面白くない。
気を取り直して情報を探るべく質問を続け、ずっと気になっていたことをぶつける。
「あんたがいた世界――魔界って太陽が無いんでしょ? どうして?」
答えたのはやはり大魔王だった。
かつて世界は一つであり、人間と魔族と竜族が血で血を洗う戦いを繰り広げていた。
延々と続く争い憂いた神々は世界を分け、別々に住まわせることにした。脆弱な人間は地上に。強靭な体を持つ魔族と竜族は魔界に。
魔界にはあらゆる生物の源である太陽がなく、荒れ果てた大地が広がっているだけである。
ならば魔界は真っ暗なのかと尋ねると否定された。
数千年前に作られた人工の太陽が光源となり魔界を照らしているが、昼間でもかすかな光しかなく生命を育むほどの暖かさは無いのだという。
地上で見るものと同じ太陽を作り出すことはできず、彼らは太陽を手に入れようとしている。
49 :
ゼロの影:2008/12/01(月) 22:01:37 ID:LUEnmmvi
ルイズは話を聞いてうーん、と考え込んだ。
馬の遠乗りで丘に登り気持ちのいい風を感じることも、光を浴びながら美味しいお弁当を食べることもない世界。
花々の無数の色彩や木々の緑、空の青も雲の白もない世界。
頭で理解しても実感は湧かない。
もし魔界に太陽があって地上と同じ豊かな地であれば、大魔王は何を望むだろうか。
試しに尋ねてみると「花見酒というのもいいかもしれんな」と笑いながら言われたが、どこまで本気かわからない。
話に熱中していたルイズは声の大きさに気を遣うことを忘れていた。
そのため、メイドの一人――シエスタが聞き耳を立てていたことに気づかなかった。
謎が多いミストバーンについての情報は生徒だけでなく使用人も欲しがっている。
彼女は舞踏会の時に聞いた会話を厨房の料理人や仲間に知らせたが、一笑に付された。「見た目からして闇っぽいのに太陽を求める奴に従うわけないだろ」というのである。
嘘じゃないと言い張っても聞き入れられなかったシエスタは意気込んでさらなる情報を集めようとしていた。
そして――
「きゃああっ!?」
気配を感じたミストバーンの爪に危うく刺されかけた。皮膚一枚を隔てたところで奇麗に止まっているのは見事としか言いようがない。
「すごい、加減がずいぶん上手くなったのね。レベルアップしたんじゃない?」
使い魔の影響を受けて感覚が麻痺してきたようだ。
「……私が?」
彼は意外そうに己を指差した。褒められて反応に困っているらしい。
間違った方向に心温まる会話を繰り広げる二人にシエスタがおずおずと詫びる。
「あ、あの、本当に申し訳ありませんでした! 太陽についてお話ししているのを聴いてしまいました……」
盗み聞きされたと知ってルイズは渋い表情になったが、そもそもこんな場所で大声で喋っていたのが悪い。
シエスタが再び丁寧に謝罪し、お詫びの気持ちとして故郷に行くことを提案した。
「すごくきれいな夕焼けの見える草原があるんですよ。おいしいシチューも」
その草原はあまりの美しさから『奇跡の草原』と呼ばれたこともあるらしい。
ルイズは迷ったが、素晴らしい光景を見ればインスピレーションが湧いて詔の文面が思い浮かぶかもしれない。
ミストバーンも主の目の保養になればと承諾し、ワルドも加えてシエスタの故郷――タルブの村に行くことに決めた。
50 :
ゼロの影:2008/12/01(月) 22:03:22 ID:LUEnmmvi
だが、出発しようとしたその時、彼らの前に現れた人物がいた。
ずずっと地面から黒い首が生え、パチリとウィンクしてみせたのだ。
姿を現した人物は黒い衣に全身を包み、仮面を被っている。帽子にある輝くラインの数は不吉な十三だ。奇術師のような格好だが、手には鋭く光る鎌が握られている。
不気味な男にワルドとルイズが杖を向けたが、相手は敵意が無いことを示すように手を振ってみせた。
珍しいことに、ミストバーンがわずかに弾んだ口調で相手を呼ぶ。
「……キル!」
「久しぶりだねミスト。元気にしてる?」
「お前もハルケギニアにいたとは……!」
ルイズは事態についていけず口をあんぐりと開けている。
友好的な雰囲気が漂うなか、ワルドは警戒に満ちた目で尋ねた。
「何者だ」
キルと呼ばれた男は向き直り、深々と一礼した。
「初めまして。ボクはキルバーン。死神とも呼ばれているんだ。ミストの親友だよ」
ルイズがミストバーンの方を見ると、肯定するように頷いてみせた。
「嘘、あんた友達いたの?」
失礼な台詞も意に介さず、二人は喜んでいるようだ。
(こういうのを感動の再会って言うのかしら?)
そんなことをぼんやり考えるルイズの前で会話が進んでいる。もっとも、口を動かすのはほとんどキルバーンの方だったが。
「キミがいなくなってしばらくしたらボクも召喚されたんだ。そこでバカンス気分で楽しんでたってわけ。バーン様に協力する義理はあっても義務はないからね」
キルバーンを召喚した人物はルイズと違って放任主義のようだ。
「戻れるかどうかもわからんのに気楽だな」
呆れたような声にキルバーンは目を瞬かせ、クスクス笑った。
「ボクはキミとは違うんだ。キミはバーン様のおそばにいられなくてストレスたまってるだろうけど、こっちはエンジョイしてるよ。ねえピロロ?」
キルバーンがそう言うとどこからともなく一つ目の小人が姿を現し、ぴょこんと肩に乗った。
ルイズが目を丸くして声を上げる。
「可愛い!」
「ピロロっていうんだ。よろしくね」
魔法使いの格好をしたつぶらな瞳の小人はキルバーンの使い魔であるらしい。明らかに怪しく物騒な得物を持つキルバーンと違い、実に心和む姿だ。
ワルドは心を動かされた様子も無く警戒を解かぬまま客人を見つめている。
51 :
ゼロの影:2008/12/01(月) 22:05:51 ID:LUEnmmvi
「キル、魔界に戻る手がかりは見つかったか?」
キルバーンはやや大げさに肩をすくめてみせた。
「……さあ? 真面目なんだからミストは。ま、異世界で一人っきりじゃないってわかったわけだ……嬉しいかい?」
返事は沈黙だったが、眼の光が普段より明るく輝いているため喜んでいるようだ。
友人と言うのは嘘ではないのだろう。
敵に対して一切容赦のない彼だが、相手によっては人間のような感情を見せることもあるらしい。
「それより、これからお出かけするように見えるけど?」
タルブの村に夕焼けを見に行くと告げられ、ピロロもすっかり乗り気になったようだ。
「行きたいなあ。お願い、キルバーン」
「わかったよピロロ。観光しようじゃないか」
ルイズは心底嫌そうな顔をした。
白と黒で対になっている、バーンの名を冠する二人は目立ちすぎる。村人たちもさぞかし反応に困るだろう。
だが、承諾しなければ大変なことになる予感がしたため渋々頷いた。
ワルドはルイズよりもいっそう渋い表情になっている。愛する少女との甘美なる一時を邪魔されそうな予感がするためだ。
シエスタは不審人物に疑いの目を向けたが、ミストバーンの友人だと告げられると「ああ、道理で」と納得して頷いていた。
類は友を呼ぶのですね、と呟く彼女にルイズは複雑な心境だった。
さらに、形式的とはいえ二人が夫婦と知らされたキルバーンから
「あまり褒められた趣味じゃないねェ」
と呟かれたためいっそう心が沈んだ。
変な人物から遠まわしに趣味が悪いと言われるのは相当堪える。
(明らかに怪しい奴に言われたくないわよ……)
心の中で力無く呟いたルイズは、肺の奥底から溜息を絞り出した。
52 :
ゼロの影:2008/12/01(月) 22:08:14 ID:LUEnmmvi
実際の夕焼けを目にしたルイズは言葉を失い、ただ見とれていた。
常に飄々としているキルバーンも感嘆したように口笛を吹く。
草原は燃える炎の色に染まり、沈みゆく太陽は普段見るものの何倍も美しかった。
その輝きは暖かく優しく照らすだけではなく、弱い者を容赦なく焼き尽くすようにも見えた。
奇跡の名に恥じぬ凄絶な光景を大魔王も気に入ったようだ。
さらに、反対側の山から昇る朝日も別の美しさがあるのだと言う。
「この光景こそが宝物だって思うわ」
食事を告げに来たシエスタがしみじみとしたルイズの言葉に嬉しそうに頷く。
いつものように沈黙しているミストバーンは主と地上に来た時のことを思い出していた。
『何千年後になるかはわからぬが……あの太陽は魔界を照らすために昇る』
偉大なる主は手で太陽を掴み取る仕草をしながらそう語った。
さらに思考は過去をたどり、主との出会いまでさかのぼる。
『お前は余に仕える天命をもって生まれてきた』
全てはそこから始まった。
どれほど永い時を生きても、何があっても、その言葉を忘れることはないだろう。
彼らは夕陽を見る間、確かに同じ思いを共有していた。
ただ、キルバーンだけはそこまで心を打たれた様子は無く、草原をあちこち歩き回っていた。
興奮も冷めやらぬままシエスタの家で名物のシチューを食べたルイズは目を輝かせながら舌鼓を打った。素朴ながらも貴族のぜいたくな舌を満足させるほどの味らしい。
ワルドは喜ぶ彼女を実に幸せそうな顔で眺めているが、キルバーンがいなければいいのにと思っている。
案内してくれたシエスタや二人の仲を邪魔する真似はしないミストバーンは仕方ないが、キルバーンは明らかに異分子である。
ワルドの内心も知らず、シエスタが恐る恐る二人にも食事を薦めた。
あっさり断られた彼女が落ち込んでいると、なんと大魔王その人が語りかけてきた。
「数千年生きればいくら贅を尽くした食事でも飽きもする……そのような料理を味わってみたいものだ」
たちまちシエスタの顔が明るく輝いた。
「じゃあ作り方教えますね! 実際に作る所を見た方がいいですよね……ミストバーンさんも一緒に作りませんか?」
ルイズとワルドがシチューを噴き出しそうになり、かろうじてこらえる。ルイズは慌てて飲みこんで必死の形相でシエスタを止めた。
「何言ってんの!? こいつが料理なんてドラゴンが裁縫する方がまだマシだわ!」
ワルドも激しく頷いて心から同意を示した。
彼は暴言にも動じず主からの指示を待っている。
「作り方だけ教えればよい……と言いたいところだがあえてお前に作らせるのも面白いかもしれんな」
(よっぽど退屈してるのかしら)
腹心の部下がやり遂げると信じているのか、奮闘する様を見て楽しもうと思っているのか――ルイズにはどうも後者に思えてならなかった。
「じゃ、決まりですね。最高の一品を作りましょう!」
「たまには逆らいなさいよ……」
その忠誠心の十分の一でいいから自分に向けてほしいと思いながら、ルイズはテーブルに突っ伏した。
53 :
ゼロの影:2008/12/01(月) 22:10:23 ID:LUEnmmvi
一方、キルバーンは真剣な光を目に浮かべ、親友に顔を近づけた。
「ねえミスト、キミに訊きたいことがあるんだ。とっても重要なことだから、よく考えて答えてほしい」
重々しい口調にシエスタが唾を呑み、ミストバーンが目を光らせる。
キルバーンは真面目そのものの声で尋ねた。
「どんな柄のエプロンを着るつもりだい?」
「そんなの着るわけないでしょおおおっ!?」
即座に叫んだのはルイズ、こらえきれずシチューを噴き出したのはワルド、興味津々の顔をしているのはシエスタだ。
胸に手を当てて発言する。
「わたくしのものでよろしければ――」
「何を言ってるんだ!」
立ち直ったワルドが勢いよくテーブルを叩いた。食器が跳ね、真剣な語調にルイズが息を呑む。
「彼がエプロンを着たって嬉しくとも何ともない! ここは僕の可愛いルイズが着るべきだろうどう考えても!」
「ワルド様……」
早まったことをしたかもしれない。ルイズは頭痛を覚えこめかみをおさえた。
一同から注目されたミストバーンは、考え込んでから逆に質問した。
「エプロンとは何だ。私にも装備できるのか?」
防具の一種か何かだと思っているらしい。
試しに想像してみたルイズは身震いした。
記すことも憚られる。
「何も知らないんだねェ……。悪魔の目玉で魔界中に映像流して適当な情報バラ撒いても面白いかも? ククッ」
ほくそ笑んだキルバーンにルイズの忍耐力は限界に達し、
「あんたたち今すぐ魔界に帰りなさい! 帰ってくださいお願いだから!!」
と絶叫した。
54 :
ゼロの影:2008/12/01(月) 22:11:49 ID:LUEnmmvi
以上です。
エプロン姿を見たいような見たくないような……フレイザードよりは似合いそうですが。
そして、殺伐としがちな『ゼロの影』に、救世主のキルバーンが登場。
その分バーン様には自重していただいております。でないとバランスが……。
キルバーン側の召喚者や事情については描かないつもりです。ジョゼフや教皇だとものすごくドロドロしたものになりそうなので。
複雑な事情や悲しい過去や改心の可能性がある敵より、なぜかドSな敵の方が書きやすい気がします。
更新乙であります
ちょっ!w なんかハートフルなんだか殺伐してしてるのか分からない展開がw
頼りのワルドも別方面に逝っちゃってるし、ルイズマジがんがれw
そして、たしかにエプロン=防具は鉄の前掛け的にドラクエでは防具カモ?
>複雑な事情や悲しい過去や改心の可能性がある敵より、なぜかドSな敵の方が書きやすい気がします。
いや、ジョゼフや教皇がキル召喚した話の方が、りっぱな腐れ外道や似非紳士、地球皇帝を爆誕させられそうなんですが。
前作のミストとルイズに萌えてると、むしろ邪魔だよワルドー!…とか思ってたら凄いヒト来ちゃった。
天然ミストにおちょくるキル、つっこむルイズっていいトリオだなぁw
ミストバーンって萌えキャラだったのか?
ミスト見てると湧き上がる不思議な感情の正体って、まさか……。
変だな
いや、元々ミストって萌え要素はあると思ってはいた。
けど、ここまで見事に文章に表してみせた人は始めてみたよ。
性別なんかなくて綺麗な顔→女の子でもよくね?と変換してみれば分かる。
ミストバーンはド真ん中萌えキャラだと!
個人的にはあの霧の姿と闇の衣姿でこその萌えキャラだとおもうが。
>>44 遅くなりましたが修正ありがとうございました
今のところ邪魔というレス等は無いようなので編集についてはこちらで書き込みたいと思います
ゴメちゃんにがぼふっとぶつかられて目を丸くするところとか
「たわけ」と怒られてビクッと怯えるところとか
「ええっ!?」と驚くところとか
……うーむ、可愛いと言えなくもないようだ
いやなんか、普通にジョゼフがキル召喚して好きにさせてるのかと思ってた(w`
64 :
ゼロの影:2008/12/04(木) 20:30:27 ID:ksCQkILB
五話目を20:35頃に投下します。
>>63 おっしゃる通り、当初「ジョゼフがキルバーンを召喚したものの放置。自由に行動することになる」場面を書こうとしたのですが、挫折しました……。
65 :
ゼロの影:2008/12/04(木) 20:35:08 ID:ksCQkILB
五 もう一つの太陽
タルブの村に滞在する間、ワルドはミストバーンに手合わせを申し込んだ。
暗黒闘気を使わず爪の剣のみで相手をしたが、それでも強い。
魔法無しでも十分な実力を持つワルドが圧される様を見て、ルイズはただただ口を開けていた。
杖を剣のように閃かせ幾度も突き出すが、鈍い色に煌めく爪にことごとく防がれる。
魔法を使わず戦うことで身体能力や動きの鋭さを増すつもりだったが、手合わせの最中でさえ背筋が寒くなる。
もっとも、のんびり観戦していたキルバーンによると「本気を出してはいない」らしい。
「闇の衣脱いで全力で戦うのを何回か見たことあるけど、ホントに強いんだよ。それこそバーン様より上じゃないかってくらい。……すごいよねえ?」
ルイズが目を丸くして詳しく訊こうとしたが、ミストバーンから殺気が叩きつけられたため断念した。
訓練の合間にワルドがミストバーンの力について尋ねると、彼は己の振るう技や能力についての説明を行った。もちろん、素顔や本体について口にすることは一切なかったが。
「君の力であり、体でもあるものは暗黒闘気なのだね?」
こくりと頷かれ、ふむふむと納得して会話を進める。無口な彼との意思の疎通に慣れつつあるようだ。
「己の力に自信を持っていたが……慢心していたようだ。上には上がいるんだな」
「だが、着実に強くなっている」
溜息を吐いたワルドは淡々と告げられた言葉にゆで卵を丸ごと飲み込んだような顔をした。褒められて嬉しい気持ちが半分、人を素直に評価するとは予想外だという思いが半分。
しばらく観察するように見つめていたが、いつも通り表情はわからない。
だが、嘘をつくような性格ではないと思い直してようやく顔が輝いた。
意気込んで杖を構え直し、高らかに宣言する。
「もう一度お願いするよ!」
早速再挑戦し、杖と剣のぶつかり合う音が幾度も響く。
鍛錬に熱心なワルドや根気強く付き合うミストバーンに対し、キルバーンは眺めているだけだ。ルイズが参加しないのか聞くと、笑いながら否定された。
「一生懸命修行して真面目に戦う……そんなのつまらないと思わないかい?」
そう言い放ったキルバーンは興味を失くしたのかどこかへ行ってしまった。
ワルドは自分に限らず努力する者達全体を否定されてムッとしたようだ。
高みを目指す者に敬意を表するミストバーンとは正反対である。
ルイズはこめかみを押さえて深い深い溜息を吐いた。
「けっこうドライなのね。まあ、大魔王の部下が友情全開ってのも不気味だけど……」
爽やかな汗を流すワルドを見たルイズは、気分転換をしようと“詠唱しながら行動する”コツを尋ねた。
詠唱の間自分で動くことができればいざという時便利だと思ったのだ。
しかし、練習したがなかなか上手くいかない。
「詠唱とともに杖を振るう――軍人の基本中の基本の動作さ。もっとも、そんな状況に追い込まれぬよう、僕が阻止してみせるがね」
目の前で鍛錬に励みながら言われては頷くしかなかった。
66 :
ゼロの影:2008/12/04(木) 20:37:15 ID:ksCQkILB
学院に戻ったルイズ達にもたらされたのはアルビオンの宣戦布告の報――ワルドからの情報で知った――だった。
ミストバーンは聞いた瞬間に戦うことを決意した。命じられずとも主の気持ちはわかる。
人間が何人殺されようとどうでもいいが、奇跡の――この言葉は気に入らないが――草原の見せた光景を壊されぬために行くつもりだった。
彼の無言の視線に対し、ルイズは頷いた。
「わたしも行くわ」
使い魔が一片の躊躇も無く戦おうとしているのに逃げるわけにはいかない。
彼は黙ったまま意気込むルイズを眺めている。どことなく疑わしげな視線にムッとした彼女は口を尖らせた。
「何よ。……わたしにだって守るべきものがあるのよ」
認めさせるという意地以上に、民の血が流れるのを防ぐのが貴族の大切な役目だ。危急の際に彼らを守るからこそ君臨を許される。
肝心な時に戦わなければ意味が無い。
「どうせ村そのものはどうでもいいって思ってるでしょ? だったらわたしが戦わなくちゃ」
彼は敵の中に切り込んで暴れるだろう。その際村人達が大勢殺されていようが何の関心も向けないに違いない。
だからこそ自分が少しでも被害を抑えるつもりだった。
戦場で戦い抜くことができるのか不安は大きいが、安全な場所で戦わずにいるのは嫌だった。
もちろんワルドも共に行くと決めている。すでに風竜の背に乗っており、戦闘準備は万端だ。
キルバーンは「興味湧かないからパス」ということだったが、ミストバーンとワルドがいれば十分すぎるほど心強い。
タルブの村に到着し、ルイズはワルドとともに風竜に乗り、ミストバーンは一人でアルビオン軍の相手をすることになった。
火をかけられた村や森を見てワルドが苦い声で呟く。
「地獄のような光景だな」
いらえは低く、地を這うようだった。
「真の地獄を見せてやる」
氷よりも冷たい声にルイズとワルドの顔から一気に血の気が引いた。殺気が全身から吹き上げている。
「お、落ち着きたまえとりあえず!」
魔界で屍を積み上げてきた男が、主の気に入った光景を踏みにじられてどんな行動に出るか――考えたくもない。
ワルドが必死で呼びかけたが、そんなものを聞くような相手ではない。
それこそ、大魔王本人でない限り制止は無駄だろう。
もう戦争は終わったと思い込んでいる軍勢の前に、天使のように静かに白い影が舞い降りた。
67 :
ゼロの影:2008/12/04(木) 20:39:09 ID:ksCQkILB
二人は単身戦う彼の姿を上空から眺めていた。ワルドは乾いた笑いをもらし、ルイズは顔をひきつらせて吐き気と戦っている。
「とんでもないものを召喚したね、君は」
「心の底から同意するわ。うえ……」
青い顔のルイズの背中をワルドがさすり、敵の竜騎兵と遭遇した時は『エア・スピアー』で兵を叩き落とす。
二人は当初一緒に戦おうとしたが、ミストバーンは当然のごとく一人で行ってしまった。
ウェールズの時が例外だっただけで、普段は単独で戦うのだろう。
ルイズが思い返してみたところ、彼が誰かについて語る場合大半が主で、あとはキルバーンくらいのものだ。
今まで敬意を抱いた相手はいるのだろうが、語ることは無い。
ルイズは背に冷たいものが走るのを感じた。
数千年の間、心を許せる相手が存在しないに等しいという事実は想像しがたいものだった。
“ゼロのルイズ”と呼ばれていたが、絶対的な孤独を味わったかと問われれば否定できる。
それに、今はワルドがいる。
だが、彼にはいるだろうか。隣り合う存在が。
召喚してからしばらく共に過ごしてきたが、後ろ姿を見てばかりだ。
(あの怪しい奴が来てよかったかも)
対等な立場で接する者がいれば精神的な支えとなるだろう。
問題は、ミストバーンが暴れるのを止めるどころか嬉々として協力しそうな相手だということだった。
彼の仲間だというなら相当強いのだろう。
おまけに、性格は“紳士的”“武人”という言葉からは程遠い。
しかも、ミストバーンが抱く強者への敬意も感じられない。
(あう、胃が痛……!)
顔をしかめたルイズの持つ『始祖の祈祷書』を見て、ワルドは始祖についての伝承の一部を語った。
『神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。
神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。
神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。
そして最後にもう一人……。記すことさえ憚られる……』
68 :
ゼロの影:2008/12/04(木) 20:40:30 ID:ksCQkILB
「最後の一人は胸にルーンが刻まれていたらしい。彼のルーンも胸にある。特別な力を持っているのかもしれないね」
それを聞いたルイズは疲れた表情になった。
ただでさえ強いのに、これ以上特別な力とやらを発揮されては大変なことになる。
少しでも近づけるだろうか。
認められるのか――そう思いながら祈祷書を開き、白紙をめくり続ける。
すると、今までと違い途中で文字が浮かび上がっている。ワルドの声も耳に入らない。
書いてあるのは、四つの系統と零――虚無の系統について。
選ばれし読み手が指輪をはめることで読むことができるとも書いてある。
さらに、初歩の初歩の初歩の魔法として『爆発』が挙げてある。これは自分が虚無の系統だということではないか。
まだ信じられないが、試してみる価値はある。
早く戦争を終わらせなければならないのだから。
「お願い、できるだけあの巨大な戦艦に近づいて」
「わかった」
ルイズの言葉に何かを感じたのか、ワルドは風竜を上昇させた。
――エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ
体の中から何かが生まれ、回転するような感覚。
――オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド
生まれて初めて自分の系統を唱えるのだと確信が体に染み込んでいく。
――ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ
いつしかレキシントン号を見下すまでに高度が上がっている。
――ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル…
呪文が完成した瞬間、ルイズは己の魔法の威力と性質を理解した。
自分の魔法は全てを巻きこむ。
だが、選択もできる。
殺すか、殺さないか。
破壊すべきは何か。
彼女は選び、杖を振り下ろした。眼下に広がる艦隊に向けて。
69 :
ゼロの影:2008/12/04(木) 20:42:13 ID:ksCQkILB
夕暮れの草原をもう一つの太陽が照らした。
巨大な光の球が膨れ上がり艦隊を包みこむ。目を焼くような閃光が弾け、天空を駆け抜け焼き尽くす様はまるで不死鳥のようだった。
「素晴らしい……!」
大魔王はグラスを片手に呟いた。彼の眼には炎上した艦隊が地面に墜落していく光景が映っている。
彼の象徴が不死鳥とされるのはメラゾーマが圧倒的な威力と独自の形態を併せ持ち、その姿が優雅な不死鳥となるためだ。
術者の魔力によって魔法の威力は大きく左右されるが、大魔王のそれがあまりにも桁違いであることから生じる現象だった。
「その力、ぜひ余の物にしたくなったぞ」
身体的な強さはそれほどでもないが、一撃で大艦隊を叩き落とすような真似ができるのは魔界でもほんの一部だろう。
これをきっかけとして爆発だけでなく他の魔法をも使えるようになるならば、可能性は未知数だ。
大魔王は楽しげに低く笑い続けた。
ミストバーンも全てを照らす光に意識を向けていたが、ルイズ達に合流し、彼を召喚した少女を眺めた。
『虚無』について聞かされ、授業の時にルイズだけが違うと感じた理由が今になってわかった。
精神力を糧として魔法を発動させるのは同じだが、蓄積や変換の過程が大きく異なっているのだ。
今回の凄まじい威力の爆発は、生きてきた中でため込まれた莫大な怒りを解き放った結果起こった。
ミストバーンは憎悪を増幅させる感覚を教えたが、それは『虚無』の使い手である彼女と相性の良い技術だった。
ルイズは授業を元に、自分で暗い感情を呼び覚まし力に変換するコツを掴みつつある。会得できれば今回のような規模の『虚無』を高い頻度で放つことも可能だろう。
以前から努力する姿勢や逃げない意地を認めていた。
今、強大な力を見せた彼女は真の強者――認めるに値する相手だ。
“ゼロ”から“切り札”へと昇格した存在。
彼には決してできないこと――高みへ上ることができる者。
ワルドも彼女の起こした『奇跡』に目を奪われていた。
「さすがだ……さすが僕の勝利の女神……!」
幼い頃から彼女の中に感じていたものは間違っていなかった。
彼女こそが伝説の『虚無』の使い手で、予想を遥かに上回る偉大な力を発揮したのだ。
だが、感動に震える心の片隅で冷静な声が上がった。
先ほどルイズに語ったように、ガンダールヴなど『虚無』の使い手の使い魔はそれぞれ特別な力を持っていたとされる。
しかし、ミストバーンを見てもそれらしき能力は感じられない。
恐ろしい強さを誇るが、召喚される前からあった元々の力だ。
ルーンに何らかの効果が無いか訊いてみたこともあったが、特に無いとの答えだった。
強いて挙げればフーケを捕らえる時に力の流れが見えたこと、授業の時二人をつないで共鳴に近い現象を起こしたことくらいだ。
(本当に、それだけなのか?)
さらに次の段階があるのではないか。
(二人の間に何かがあるとすれば、それは一体――)
その力が発揮された時、世界の運命をも左右し、歴史を変えるのではないか。
ワルドは興奮を抑えきれず身を震わせた。
70 :
ゼロの影:2008/12/04(木) 20:44:00 ID:ksCQkILB
一方、ルイズは自分の手を見つめて顔を曇らせている。ずっとゼロだと言われ続けてきたのに突然巨大な力が現れたため戸惑っている。
『虚無』がどれほどの重みを持っているか、他者から狙われるか。そういったことに疎いルイズにも薄々想像が付く。
不安に苛まれる彼女は震える身体を抱きしめて呟いた。
「こんな力持ってるってバレたら殺されるかも……」
力強く否定したのはワルドだ。
「そんなことはさせない。僕が君を守る」
ルイズは頬を赤く染めて、嬉しそうに頷いた。
帰途に就いたミストバーンにふと主の声が届いた。
『ところで、帰る手段については何か見つかったか?』
急いているわけではなく単なる確認だがミストバーンは恐縮そうに震えた。
申し訳なさに打ちひしがれながら特に手がかりがないことを告げると大魔王はふむ、と呟いて何やら考え込んでいた。
「何か……?」
『……いや』
主の反応にミストバーンは方針変更の必要性を感じた。今まで役に立ちそうなものと同等に探してきたが、帰還に関する情報収集を最優先にした方がいいようだ。
『虚無』を使うルイズが呼び出したのならば元の世界に帰るのも『虚無』が関わってくるのではないだろうか。
ミストバーンは『虚無』について探ることを己に言い聞かせ、ルイズを見つめた。
ほんの少し距離を縮めた気がした彼らを待っていたのは、目を覚ましたウェールズだった。
71 :
ゼロの影:2008/12/04(木) 20:44:48 ID:ksCQkILB
以上です。
ミストはそろそろ歯ァ食いしばれ。
正直、萌えとは何なのかいまだによくわかりません。
先生……あなたにとって…萌えは何ですか?
ミスト「…主様と…合体したい…。(憑依的な意味で」
と聞いて萌えミストはどこですかと探しにきますた
>72
マンキンの憑依合体と見せかけて、アクエリオンとか?
考えるな、感じるんだ。
確かに萌えって説明しづらいわ
ただ確かなのはこのミストバーンには萌えるってことだ
人いないねー
アイテム関係で、まだ魔弾銃は出てないけど本編で壊れてしまったから無理か?
ダイの大冒険で破壊の杖と言ったら、光魔の杖とブラックロッド?
ルイズというか虚無なら結構使いこなせるのかな、槍術は別として
しかし原作よろしく大砲が鎮座されてたりしてw
バダック印のか
・・・暴発せんだろうな
ルイズにはぜひともブラックロッドを、鞭に変形可能、ということにして使っていただきたい
バダックの作ったモノならバルジ島で使ったみたいな爆弾を「魔法の玉」の名で置いておくか。
あの爆弾にフーケのゴーレムを粉砕するような威力があるかどうかが問題ではあるが…
いや、ここは黒の核をだ
82 :
ゼロの影:2008/12/21(日) 07:36:31 ID:ywkibfGF
7:45頃に六話目を投下します。
83 :
ゼロの影:2008/12/21(日) 07:42:48 ID:ywkibfGF
六 絶望への序曲
棺を開けて椅子に腰かけていたウェールズは二人を見ると立ち上がり、両手を広げた。
その髪はかつて陽光のようだったが、今はやや陰りを帯びている。目も青空ではなく曇天を思わせる色だ。
それでも、生きている姿を見るだけでルイズは胸がいっぱいになった。眼に美しい涙が盛り上がり、頬を伝う。
「ありがとう。どれほど感謝しても足りない」
ウェールズは今にもアンリエッタに知らせようとする彼女を押しとどめ、穏やかに微笑み、少し席を外すよう頼んだ。
命の恩人にゆっくりお礼を言いたいのだろうと思ったルイズは出ていった。
ミストバーンは冷静にウェールズを観察している。
生命をつなぐ暗黒闘気がなじんでいないのか傷が癒えきっておらず、死へ向かうのをかろうじて食い止めている不安定な状態のままだ。精神にも影響を及ぼしている。
死から蘇らせたわけではないため偽りの生命とは言えないが、異質なものが体内に存在することに本人も気づいたらしい。
掌を眺める眼は疑惑と嫌悪、恐怖――それらの芽が覗いている。
「何故生かした」
温和な笑みは拭い去られ、感謝と言うには冷ややかなものが視線に混じっている。命を救われたというのに表情は険しい。
答えないのは彼自身も理解しきれていなかったからだ。
彼にはウェールズを救う気はなかった。共に戦ったのも近くで華々しく散るのを見届けるため。譲れぬもののために戦い死んでいく覚悟を汚すつもりはなかった。
だが――生かしてしまった。
尊敬する者に生き延びてほしい気持ちはあったが、それ以上に大きかったのは自分でも理解できない衝動だった。
それに流されたとはいえ結局は自らの行動なのだから、生じたものも責任も己に返ってくる。
そう思っている彼はあの時ルーンが輝いていたことに気づいていない。
あの時ウェールズはアルビオンの王族として死ぬはずだった。しかし、部下は全員討ち死にしたというのに彼はこうして生き長らえている。
眠っている間、ルイズ達が勝手に生存を明らかにしなかったことだけは感謝している。
目覚めた時には全てが終わっていた。
レコン・キスタと戦うという選択肢もあったがその気はない。愛する者の治める国に争いの火種を持ちこみたくないためだ。
もし選ぶとしても――時間が必要だった。
ハルケギニアの者達は彼が死んだと思っている。
ある意味それは正しいのだろう。
ここにいるのはウェールズであってウェールズでない。
84 :
ゼロの影:2008/12/21(日) 07:44:23 ID:ywkibfGF
覚悟を尊重しようとしたミストバーンに悪意がないことは彼も知っている。
それでも素直に受け入れるには、生き直すには、彼の背負うものは重すぎた。
高潔な人格がいっそう彼を苦しめている。
命を救ったことに感謝すべきだと思っていても、やり場のない感情をぶつける相手は一人しかいない。
王族としての死に場所を奪われ、皇太子としての自分を否定されたような気がした。
覚悟を理解していたはずの相手から生かされ、裏切られたような心境だ。
手をかざし、呟く。
「“これ”は、何だ?」
闇の力を体内に注がれたことに動揺せずにはいられない。
単に『水』系統の魔法で治療されたならば抵抗は無かっただろうが、未知の力でかろうじて命が保たれているのは受け入れがたい状況だ。
自分から進んで受け入れたのではなく、いつの間にか入り込んだ力によって心と体の均衡が崩される――そんな予感がする。
己が身に降りかかることで初めて、相手が越えられぬ淵の向こうにいる存在だと思い知らされた。
「正義の光の力ならば受け入れたか?」
「……そうかもしれぬ」
断定を避けた言葉とは反対に、表情がはっきりと答えを物語っていた。
――滅びから遠い忌まわしい体の持ち主に、痛みや苦しみを感じながら死んでいく者の気持ちなどわかるはずがない、と。
ウェールズの苦しみを悟ったミストバーンは反論せず、ある感情のこもった眼差しを受け止めている。
それはあらゆる時代、あらゆる場所で戦いの火種となるもの。意思持つ者が必ず抱き、永遠に持ち続けるもの。
その感情の名を憎悪と言う。
今のウェールズを支えているものは、ミストバーンへの憎しみだ。
結果的に彼が彼として死ぬ機会を奪った者は、氷の声で告げた。
「怒れ。憎め」
言葉に応じるようにウェールズの眼に暗い輝きが宿る。
宴や礼拝堂での会話が、戦場での共闘が嘘のような空気が二人の間に立ちこめている。
短い間とはいえ共に歩んだ道は完全に隔たっていた。
この先交わることがあるのか、わからない。
やがてウェールズは視線を外し、疲れたように呟いた。
しばらく一人にさせてくれと。
その場を去ったミストバーンは、室内に残ったウェールズの目がいっそう暗くなったことも、妙な気配がしたことも、気付かないままだった。
85 :
ゼロの影:2008/12/21(日) 07:46:29 ID:ywkibfGF
戻ってきた時にはウェールズは再び深い深い眠りに落ちていた。
今は棺の中で憔悴しきった表情を浮かべている。
ミストバーンは何も言わず赤く燃える太陽を眺めていた。
尊敬し、認めあった者との距離は今や遠く隔たっていた。
何のために共に戦ったのか。自らの行動が正しかったのか。意味があったのか。
何もわからない。
命を救った相手からの馴染み深い感情――憎悪も彼は静かに受け止めていた。
疎まれ嫌悪されることには慣れている。魔界では、主を除き周囲は全て敵と言ってもよかったのだから。
数千数万の他者の憎悪より主一人の失望の方がよほど耐えがたい。
主以外の者との関わりは、しょせんうたかたの夢。
彼はただ拳を握り締めた。
報告するために思念を飛ばし、主を呼ぶ。今までと同じように。
しかし、反応は無い。
声が届かない。気配も感じない。
(バーン様……!)
アルビオンで戦いに赴く直前に反応がなかったことを疑うべきだった。主の性格からして観戦しないはずがない。部下に一言ぐらい指示を与えるはずだ。
おそらくあの時、一時的につながりが消えていた。いつからかはわからないが少しずつ弱まっていたのだろう。
復活するかもしれず、主も結び直すよう手を打っているはずだが、連絡がとれないままの可能性もある。
タルブの村から帰る前に主は帰る手段は見つかったのか訊いてきた。それはこうなる事態を予測してのことか、それとも魔界で何らかの動きがあったのか。
否定の言葉の前にあった一瞬の間が気にかかる。長く仕えてきた経験が、問題が生じたことを告げていた。
己の叡智と力に絶大な自信を持つ大魔王が部下に軽々しく相談をもちかけるはずもない。大抵の事態ならば簡単に解決できるだろうし、そこまで差し迫ってはいないようだった。
だが、万一のことがあれば悔やんでも悔やみきれない。
今まで主の存在があったため異世界でも動揺することなく行動できていた。
もし魔界に戻れなければ、戻ったとしても主がいなければ、ハルケギニアでの行動が――否、今まで仕えてきた数千年が無意味になる。
彼は主との連絡が取れなくなったことを淡々とルイズに告げた。
86 :
ゼロの影:2008/12/21(日) 07:49:37 ID:ywkibfGF
何か異変があればすぐ知らせるよう言われていたルイズは、早速ワルドに事情を説明した。
二人は顔を見合わせて溜息を吐いた。暗雲が立ち込めてきたことを認めないわけにはいかない。
魔界で異変が生じたらしく、確認のため帰りたいと思っている。最近は探すのも役立つ道具や魔法ではなく、『虚無』や異世界についてが大半だ。
今は主の言葉が効いているのか大人しくしている。つながりが消える直前の様子がそこまで緊迫したものではなかったのも大きい。
だが、日を追うごとに焦りと苛立ちがほんの少しずつ募っていくのが分かる。
もしそれが最悪の形で爆発したら学院――いや、トリステインで止められる者などいないだろう。
理由も無く殺しはしないだろうが、暴力によって異世界についての情報や帰る手段を探させるかもしれない。
誇り高い貴族が屈するはずもなく、戦いが始まればどれほどの血が流れるか未知数だ。
助力を約束したワルドに感謝したものの、そう簡単に見つかるとは思えない。
(気晴らしになるものがあれば――)
そう考えたルイズはほっと胸をなでおろした。
彼の友人、キルバーンが訪ねてきたのである。ミストバーンは当初混乱し、焦りも覚えたが、友の来訪でいくらか気分が楽になったようだった。
「ミスト、ボクの笛の音を聞くかい?」
死神は鎌を手に笑いかけた。彼の得物は死神の笛と言い、音を奏でることができる。頷いた彼は優雅な調べに聴き惚れているようだ。
楽観的な態度を崩さぬ饒舌なキルバーンと、忠誠心篤く生真面目で寡黙なミストバーン。
彼らは対極の性格だというのに、妙に気が合っている。
正直なところ信用できないが、少しでも精神的な負担が減るのなら歓迎すべきだ。
キルバーンは帰還に執着しているわけではなく、「まだこっちで過ごしたいんだけどなァ」などと呟き、ピロロも同意している。
正反対の二人を見ていると、ルイズはあるものを連想してしまう。
(お互い『鏡』みたいな感じがするわ。何でかしら?)
首を傾げたが、二人がトランプに興じる姿に抱いた疑問も吹き飛んだ。
「はい、またボクの勝ちっと」
仲の良い友人とカードで遊ぶという、実に心温まる和やかな微笑ましい光景のはずだが――。
「不吉な予感しかしないのはどうして……?」
当然、答えは返ってこなかった。
ワルドも忙しい合間を縫って帰還に関する情報を探っている。
また、彼が訪れたときなどに手合わせを申し込む。彼の気晴らしになればという思いと、少しでも強くなりたいという意志の表れだ。
“爆発的な勢いの驚異的な成長”とまでは言えないかもしれないが、体力、膂力や身のこなし、杖捌きや動きを捉える目など総合的な強さが上昇している。
ワルドいわく「もう少しで次の段階に進める気がする」らしい。さらに風の最強たるゆえん云々について語っていたが、ルイズはあまり身を入れて聞いていなかった。
高みを目指すワルドの意気込みをかっているのか、ミストバーンも鍛練には集中して付き合っている。
体を動かすことでいくらか気も紛れるようだ。
87 :
ゼロの影:2008/12/21(日) 07:51:40 ID:ywkibfGF
さらなる可能性を見せたのは、土くれのフーケだった。
フーケの脱獄を知った時、ルイズは真っ先に使い魔を問い詰めた。
魔法衛士隊の者達をはじめ、皆、名門ヴァリエール家の令嬢ルイズやその使い魔を疑いはしない。
ルイズには捕らえた盗賊――それも一度は命を落としかけた――をわざわざ逃す理由など無く、主の意思を無視して使い魔が勝手な行動を取るなど想像できるはずもない。
逃走後に出された声明から様々な憶測が飛び交ったものの、おそらくスクウェアクラスの優れたメイジが固定化のかけられた鉄格子も壁もまとめて破壊したのだと言われている。
だがルイズにはわかる。彼がその気になればどんな強固な牢獄だろうと簡単に砕けることを。
疑念が肯定され、ルイズは頭を抱えた。
金銭を渡し、ハルケギニアの品――たとえば水の秘薬など――や情報を入手させているのだと言う。
名門中の名門ヴァリエール家の令嬢の使い魔が盗賊とつながっているとバレたらどんなことになるか、考えたくもない。
もちろん必死に止めたがきくような性格ではないため、取引について知らせることなどを条件に許可し、直接関わらずにいた。
だが、今こそ彼女の力が必要だと思ったルイズ達はフーケとの面会を取り付けたのである。
事情を聴いたフーケは腕を組んで息を吐き出した。ルイズもそれに負けじと肺の奥底から絞り出すような溜息を吐く。
「帰りたい気持ちを軽くすることができればいいんだけど」
そうすれば今まで通りの生活を送るだろう。元の世界の友人もいるため暴走の時期をかなり遅らせることができるはずだ。
「……あるよ、方法」
「えっ!?」
フーケは複雑な表情で笑った。
「気が進まないけど、あんたの使い魔に殺されかけたのをよりによってあんたに救われたからね」
殺すつもりで攻撃していたのだから命を奪われても文句は言えなかったのに、その相手から救われた。
ミストバーンのせいで捕まったと思ったら脱獄でき、結果残ったのはかなりの額の報酬である。悪くない取引は今後とも続けたいところだ。
そもそも彼が暴れ出せば盗賊稼業どころではなくなる。その時が来てからでは手遅れだ。
フーケに案内されてルイズとミストバーン、おまけにキルバーンがやってきたのはアルビオンにあるウエストウッド村だった。
そこに住む少女が記憶に関する魔法を操ると知ってルイズは最初ためらった。踏み込んではならぬ領域を汚すことになりはしないかと恐れたのである。
だが、キルバーンの方が乗り気で強く勧めたため、ミストバーンもあっさり了承した。
もっとも、帰りたい想いを軽くすると説明するのではなく、おそらくは『虚無』であること、特殊な系統ゆえに帰還について掴めるかもしれないことを理由に挙げた。
ルイズの目には、友人の心労を減らすためではなく好奇心を満たすことを優先しているように映ったが、結局押し通され言い出せなくなってしまった。
88 :
ゼロの影:2008/12/21(日) 07:53:51 ID:ywkibfGF
森の中に建てられた素朴な家々。その中の一軒に入ったルイズは硬直した。
彼女が見たものは、妖精という言葉が相応しい神々しいまでの美少女だった。
草色のワンピースが清楚さを演出し、素朴な格好も美しさを損ねるのではなく親しみやすい雰囲気を与えていた。
(そんなことより!!)
ルイズは心の中で絶叫した。その視線は少女――ティファニアの胸らしき位置に釘付けである。
こんな胸があってたまるものか。こんなものが許されるはずがない。
思わず自分の胸があるはずの部分に手を当てたルイズはわなわなと震え出した。
「ああああれ何よ、ありえないわあんなもの。冒涜だわ、冒涜よ」
隣のミストバーンを見ると彼も固まっている。が、その理由は全く別のところにあった。口から驚愕の言葉が転がり落ちる。
「く……黒の核晶!?」
「何か知らないけどたぶん違うと思うわよそれ」
ルイズの疑問にキルバーンはわざわざ親切に説明した。
「黒の核晶っていうのは魔界でも有名な爆弾だよ。大きさにもよるけど、国を簡単に滅ぼせる力を持っているんだ」
どこからともなく現れた使い魔のピロロが、怯えたようにひゃあっと叫んで身を震わせた。
「とんでもない威力じゃない……!」
ルイズもぞっとした顔で囁いた。
「そうだね。そんな恐ろしいものには近寄りたくないよねェ」
キルバーンはうんうんと頷いて同意を示し、ティファニアを眺めた。友人の壮絶な誤解を解く気は無いらしい。
彼女はフーケの姿に嬉しそうに顔をほころばせた。
「『虚無』について知りたがってたよね、あんた。見るだろ?」
彼が頷くと、あらかじめ事情を知らされていたティファニアが詠唱を始めた。
――ナウシド・イサ・エイワーズ
室内の空気が歪んでいくが、一片の害意も感じられないため彼は黙って聴いていた。
ティファニアには純粋な善意があった。ただ彼の苦痛を少し取り除こうとしているだけ。フーケはともかく、ルイズもキルバーンも似たようなもの――のはずだった。
――ハガラズ・ユル・ベオグ
ふとティファニアの視線が困惑したように彷徨った。ルイズに一瞬だけ向いた目はこのまま続けていいのか尋ねている気がした。
『虚無』をかけられている最中の彼は半ば意識を手放しかけているようだ。
(どうしよう?)
ここで止めるべきではないか。心に踏み込むことになるがいいのか。
89 :
ゼロの影:2008/12/21(日) 07:55:36 ID:ywkibfGF
『バーン様の大望の花が――』
主に絶対の忠誠を誓う姿が蘇る。
ルイズがためらっているとキルバーンが笑いながら頷いた。
「試しにやっちゃって」
ティファニアに不可視の力が集まっていく。
――ニード・イス・アルジーズ
まるでどこか遠い世界に身体が運ばれていくような感覚が彼を襲う。
全身が少しずつ分解され力が抜け落ちていくような気がしたが、移動に似た感覚を見極めようと精神を集中させる。
立っている地面が崩れていくように体が揺れた。
――ベルカナ・マン・ラグー……
警告が心の片隅で響き、止めるべきだと声がした。だが、ルーンが輝いて手を動かすのが遅れたところで光が弾ける。
(――様……!)
空気の歪みが消えると同時にティファニアが崩れ落ちた。
フーケが慌てて抱き起こすと寝息が聞こえてきた。消耗しきって眠ってしまったようだ。
「おかしいね。今までこんなことなかったのに」
首をかしげるフーケの言葉を聞き流しつつ彼を観察するが、特に目立った反応は無い。どうやら成功したようだ。
大きく息を吐き出したルイズは心の重荷がとれたように笑い、フーケとティファニアに礼を述べてトリステインに帰っていった。
自室に戻ったルイズは己の使い魔をしげしげと眺めた。
『忘却』をかけられた後、ルイズやキルバーンが何を言おうと彼は全く喋らない。
恐る恐る腫れ物に触るように尋ねる。
「そ、その……帰りたい?」
反応は無い。帰る理由が思い当たらないというように。
安堵しかけたルイズは凍りついた。
(まさか……)
彼が帰りたがっていたのは、主のためだけだ。
数千年にわたって仕えてきたと語る彼の誇らしげな様子をよく覚えている。
帰る理由がわからないということは、つまり――。
「おやおや。こりゃ大変だ」
キルバーンが呑気に呟いた。
彼の心には穴が開いてしまった。
大きな大きな、埋めることのできない虚無の穴が。
ここにいるのは“ミストバーン”ではない。“ミスト”とさえ呼べないかもしれない。
戦う意味も、闘志も、生きる理由も、信念も、何もかも――全てを失った抜け殻、“ゼロの影”がそこに立っていた。
90 :
ゼロの影:2008/12/21(日) 07:56:36 ID:ywkibfGF
以上です。
ミストバーンにとっては辛い展開が続きますが、いつものことです。
キルバーンの基本コンセプトは「お前が言うな」で。
残酷さを表現しきれるか不安もありますが、「死神の残酷さは魔界一ィィィ!」を目指して頑張ります。
乙です。ウェールズも「さまようよろい」の親戚状態になったらそりゃ嫌でしょうね、
死んだら死んだで操られるし不憫なお方だ
キルバーンにとってはミストバーンが抜け殻になってる方が都合が良かったりするんでしょうか
キルバーンとミストバーンのコンビだとほのぼのしてるのか殺伐としてるのかよくわからないな
超魔生物ハドラーとミストバーンの二人が召喚されたらどうなるんだろう?
会話とか見てみたいと思ったけど、物語の進行を考えると…
ハドラー様もミストも戻りたがるだろうから、一時休戦するんじゃないかな。
ハドラー様は、アバンの使徒と戦ったり、大魔王に舐めるなと言ったり
ミストは、ご主人様の元に一刻も早く戻りたいという一心。
スレ的に考えるとミストはルイズなんだろうな。
でもって爆炎とか言っちゃうハドラー様はキュルケ。
そして空飛ぶ竜が必要なタバサには、理知的な親父が召喚されるんだろうな。
ハドラーとミストバーンか。
バランとの決戦前ならすごく仲いいんだけどねあの二人。
95 :
ゼロの影:2008/12/24(水) 21:57:01 ID:NoFhq0AE
クリスマスなんてなんだい!ということで七話目を22:00頃に投下します。
96 :
ゼロの影:2008/12/24(水) 22:00:22 ID:NoFhq0AE
七 ゼロ
ルイズは今までとは比べ物にならぬほど悩んでいた。
フーケ達にすぐに事情を知らせ、聞いた話と合わせて考えた彼女は以下のような結論を出した。
ティファニアの魔法『忘却』は、記憶の鎖を切り離し、つなぎ直すようなものである。
帰還への執着を和らげようとしたが、主の存在によって深くつながっているため一部だけ切り離すことができず、丸ごと抜き取る形で効果が発揮されたらしい。
直後にティファニアが意識を失ってしまったのも無理はない。数千年分の記憶を操作するなど初めての経験であり、消耗が激しくいまだに体調が回復していないとのことだ。
心の大半を占める記憶の鎖が切り離され闇に沈んだ結果、残りの欠片はバラバラでほとんどつながっていない。
つまり、今の彼は心が砕け散った状態にある。
最も大切なものを奪われ、自身を支えてきた柱を折られた彼は抜け殻になっている。
以前の沈黙は感情を窺わせたが、それもない。何の意思も持たぬ人形――それも壊れかけのものを連想させる。
もっと言うことを聞いてほしいと思っていたが、こんな姿を見たくはなかった。
今の彼を動かしているものは残った心の欠片も含まれているのか、ルーンの働きだけか。それさえわからない。
予想していた形とは違うが、彼が彼でなくなるかもしれないという予感が的中してしまった。
夕日を浴びて佇む彼は砕けたはずの心が痛んでいるように見えた。目をそむけたくなる姿だった。
彼は間違いなく苦しんでいる。何を失ったのかもわからないまま絶望している。
心を痛めるルイズやワルドと違い、キルバーンだけは気楽な態度だ。
「こんなことしたら怒るかな?」などと言いつつ首飾りの部分に可愛らしい真っ赤なリボンを結びつけたりしている。
友人の心が砕けたことについて心配しているようには見えない。
ルイズが抗議すると笑いながら答えた。
「だってミストだよ? バーン様のことを忘れたままなんてあり得ないよ。そのうち心を取り戻すって。百年か、二百年か、もっとかかるかもしれないけど」
のんびり呟くキルバーンをルイズが睨みつける。
「今のミストの心は魔界そっくりだろうねえ。暗闇に閉ざされた――地獄のような世界さ」
ルイズがますます眼に力を込めると手をひらひらと振ってみせた。
「ちょっと退屈だけど元々無口だし……。キミたち人間の方が何とかできるんじゃないの? 愛とか勇気とか絆の力でさ」
(こいつの口から言われると鳥肌立つわ)
救われるはずの楽観的な言葉も、この時ばかりは腹が立った。
97 :
ゼロの影:2008/12/24(水) 22:02:47 ID:NoFhq0AE
一方、眠りから覚めたウェールズはいくら話しかけても反応すらしない彼に困惑して首をひねった。
記憶を闇に沈められた結果心が砕けたと告げると、顔に浮かんだのは憂慮ではなくまぎれもない怒り――それもひどく暗いもの――だった。
ルイズが意外そうに見つめるとすぐに消えてしまったものの、見間違いではない。視線を避けるように部屋の中を歩き回る。
「心当たりはないかい? 彼の記憶や心を取り戻すための何かに」
もちろんある。彼の主だ。だが、今大魔王からの声は届かなくなっている。
最大の望みが潰えた今、道しるべは無い。
ただ単に主のことを語って聞かせても心には届かないだろう。
そこで、キルバーンがタルブの村まで行くことを提案した。
ルイズは草を踏みしめ、風を吸いこんだ。
タルブの村近くの草原に立った彼女らは夕焼けを待っていた。
壮絶なまでの美しさを誇る草原ならば彼の心をも蘇らせるのではないか。名を冠する通り“奇跡”が起きるのではないか。
ゆっくりと太陽が沈みゆく中、ルイズとワルド――休暇届を出して共に訪れたのだ――は待った。ウェールズは感情を押し殺した目でミストバーンを見つめている。
草原が血のような赤に染まる。視界いっぱいに炎に焼き尽くされたような景色が広がる。
ルイズは期待に満ちた眼差しで彼を眺め、悲しげに笑った。
何の反応も無い。
「そう……よね」
奇跡が簡単に起これば誰も苦労しない。
彼自身奇跡を全く信じていないのだ。苦しい時だけ頼みにするつもりもないだろう。
『見事だ……ルイズ』
今までずっと“ゼロのルイズ”と呼ばれてきた。彼が、彼こそが、初めて“ルイズ”と呼んでくれたのに。
認められ、救われた。今まで戦ってくれた。それに自分は応えることができたか。
――否。何もない。何もしていない。
何のために召喚したのか。自分が召喚しなければ良かったのではないか。
一度疑い出すと止まらない。
肩を抱くワルドの手の温もりさえ疎ましく思えた。
どれほど時間が経ったのかわからない。
キルバーンは友人の心が戻らないことを確信し、手を取って歩き出した。
「こっちだよ、こっち」
人形のような動きでふらふらと歩く彼を連れて歩く。目的の場所まで来てから距離をとって指をパチリと鳴らすと、どこからともなく現れたトランプのカードがはらりと地面に落ちた。
「殺しの罠(キル・トラップ)、発動」
98 :
ゼロの影:2008/12/24(水) 22:05:17 ID:NoFhq0AE
言葉とともに十字架が草原から生え、手足に茨が絡みついた。金色の炎が立ち上り、磔にされた体を焼く。
さらに、ルイズ達の足元にもトランプのカードのような模様が現れた。帯のようなものが生え、彼らを捕らえようとする。
ワルドが反射的にルイズを抱いて、地を蹴ってかろうじて逃れた。動きを封じるためのもので殺傷能力は無いようだ。
杖を抜いて詠唱したが、金色の炎は風の魔法では消えない。時折金の中に銀色が混じり燃え上がる。
「キャハハハハ! 燃えちゃえ燃えちゃえ!」
キルバーンの肩に乗った使い魔がケタケタと笑う。可愛らしい外見や無邪気な声に反して喋る内容は残酷だ。
ルイズが呆けた表情で呟いた。
「あんた何やって――」
「何って……お仕事だよ」
死神の仕事――すなわち命を奪うこと。
「あいつの友達じゃ、なかったの?」
かすれ、ひび割れた声に肩をすくめてみせる。
「残念だけど仕方ないよ。ボクは敵対する陣営から送り込まれたんだもの」
彼の名はそのまま背負った任務を表している。
キルバーン――大魔王バーンを殺す使命を帯びた死神。
隙あらば命を刈り取ろうとする危険な存在を、大魔王はそれもまた一興と笑いながら受け入れた。
ミストバーンも彼の役目を知っている。その上で友として付き合ってきた。
彼が現れた時に言った「協力する義理はあっても義務はない」という言葉は、主の命令で協力していただけという意味だった。
「ボクの本当の主――冥竜王ヴェルザー様は命じられた。ミストが抜け殻になっている間に、確実に始末しろってね」
大魔王と連絡をとれず闘志をも完全に失っているのなら、絶好の機会だ。
ミストバーンこそが大魔王の誇る最高の忠臣であり、強大な力を持っている。彼を仕留めれば大魔王の力は大きく削がれる。
そうなれば魔界の勢力図を一気に書き換えることも十分可能だ。配下の竜たちも強力な冥竜王の陣営と比べると、大魔王は他に目立った部下がいない。
大魔王の絶対の忠誠を誓う彼がいるのといないのとでは暗殺成功の可能性も全く異なる。
力を解放すれば大魔王より強い彼は、敵対する勢力にとっては邪魔者にしかならない。
「あのお方は欲深いんだ。……人間みたいに」
ヴェルザーは将来ハルケギニアへの侵出を狙うかもしれない。もし彼が魔界に戻れないままでも、存在そのものが障害になる。
「うっかり封印が解けないように呪いのアイテムつけといたから、真の力は発揮できないよ」
死神の指差した先――首飾りに結ばれていたリボンが不気味な光を放っている。
ルイズが見ていると消えてしまったが、光がまとわりついたままだ。どれくらいの間効果が発揮されるのか分からないが、しばらく解けることはないはずだ。
99 :
ゼロの影:2008/12/24(水) 22:07:25 ID:NoFhq0AE
この地で葬ることを選んだのはキルバーンなりの思いやりだろう。
ミストバーンがハルケギニアで最も心を震わせた地で、彼を知る者達の目の前で、美しい炎を用いて葬る。
他の相手ならばすでに場を去っているだろうが、死を確かめるまでは動かないつもりらしい。
以前夕焼けを見た時に草原をうろついていたのは、罠を仕掛けるため。
ただの罠ではなく術者の意思で発動するため、アルビオン侵攻の際に戦った時は反応しなかった。
もっとも、当時は友に使用することになるとは予想していなかったが。
「これでもかなり迷ったんだよ? ゴージャスに逝かせてあげるか、ムードたっぷりに逝かせてあげるか。何しろ最高の友達だからね」
鎌の先端で焼かれる友人を指し示す彼の口調は、美しい景色を見ているようにうっとりとしている。
炎はおそらく闘気に近いエネルギーからできているのだろう。火あぶりにされている状態だが、苦痛の声一つ上げない。
「ごらんよ。あのニセモノの炎、自信作なんだ。あの色を出すのに苦労してね〜」
無音のまま生命力が少しずつ削ぎ落される残酷な光景にルイズは顔色を失っている。先ほどの動きを封じる罠は観客席を設けるつもりだったのだろう。
「ずっと狙ってたの? こんなやり方で殺すのを!」
非難の声にキルバーンはクスクスと笑った。
「あれぇ? 敵(ボク)に何を求めるのさ。それに、キミもどこかで望んでたんじゃないのかな? こうなることを」
ルイズの顔が強張り、拳に力がこもった。
死神の言葉が鎌のように彼女の心を抉り、切り裂いたのだ。
こうするしかなかった、わざとではないという心の声をもう一人の自分がすぐさま否定する。
本当にこれしか手段が無かったのか。
どこかでこうなることを望んではいなかったか。
トリステインのためという名目で自分のためという想いを隠してはいなかったか。
苦痛を取り除くと言いながら、都合の悪いものも一緒に消えることを望んではいなかったか。
常に大魔王の安否を気遣っているであろう彼を見るたびに、黒く煮えた思いが湧き上がるのを止められなかった。
大魔王に絶対の忠誠を尽くすのに自分には心を許さない彼に、強大な力を持ちながら自分のために振るおうとはしない彼に、苛立ち嫉妬していた。
大魔王を心から敬う態度を見るたびに心の奥底に少しずつ黒い澱がたまっていった。
憎悪と呼ぶほど激しいものではなかったにせよ、全く無かったと言えば嘘になるだろう。
それに、なぜ彼に帰還への思いの一部を消すと言わなかったのか。キルバーンに押し切られた形になったが、説明しようと思えばできたはずだ。
答えは簡単だ。
説得する手間を惜しんだからではない。彼の怒りを買うのが怖かったからだ。
さらに、キルバーンがティファニアに続行を命じた時、確かに安堵した。「自分の責任は無くなる」という思いがなかったとは言い切れない。
100 :
ゼロの影:2008/12/24(水) 22:09:06 ID:NoFhq0AE
(あの時逃げたんだわ。わたしは)
ルイズは認めた。
自分の弱さを。
そして――死神に杖を向けた。
通常の魔法で消せないのなら、術者を倒すのが最も確実な方法だろう。
今まで彼が戦ってきた。
今度は自分が戦う番だ。
体が震えていることを彼女もわかっている。
これから戦おうとする相手は、フーケのような人情を残している敵ではない。
正真正銘の死神。絶望を与え、生命を奪う者。
正々堂々勝負するどころか、相手を罠に嵌めて喜ぶ性根の持ち主なのだ。残酷さだけで言えば間違いなくミストバーンより上だろう。
怖くないと言えば嘘になる。じわじわとなぶられた挙句、殺されるかもしれないのだ。
だが、退くわけにはいかない。
敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのだから。
「わたくしと一曲踊っていただけませんこと。ジェントルマン」
震えながらも杖を向ける少女に、死神はわずかに目を丸くして優雅に一礼した。
「……喜んで」
キルバーンがトランプのカードを虚空から取り出し、一枚を指で軽く弾いた。それを狙ったルイズが爆発を起こし、カードがバラバラに吹き飛んだ。
爆風を縫うようにして次々にカードが飛ぶが、爆破されていく。威力ではなく速度を重視した、弾くだけの爆発だ。
だが健闘を嘲笑うかのように複数のカードが彼女へと襲い掛かる。急所を狙ったのではなく、適度に傷を与えいたぶるための攻撃。
強靭な身体の持ち主とは言えない彼女は歯を食いしばり、苦痛を覚悟した。
しかし、突風がカードを巻き上げ吹き飛ばした。
「ワルド……!」
ルイズは顔を輝かせ、キルバーンは玩具を取り上げられたように不機嫌そうに舌打ちした。
「やっとそう呼んでくれたね、ミ・レィディ」
ワルドが微笑みながら彼女の傍らに立っている。
「言ったろう? 僕が君を守ると。あんな卑怯者ごとき敵ではないさ」
「……ええ、ワルド!」
101 :
ゼロの影:2008/12/24(水) 22:11:36 ID:NoFhq0AE
キルバーンは面白いと言いたげに二人をまじまじと眺め、プッと噴き出した。
「お〜怖い怖い。……キミが踊る相手はボクじゃないようだ、お嬢ちゃん」
ルイズは背中に何かが触れたのがわかった。
感触からすると、杖の先端だ。
それを握っているのは――ウェールズ。
いつしかその髪は黒く染まり、目は暗く濁っている。
裏切りが信じられず、凍りついたルイズに明るく楽しそうな声が降り注いだ。
「暗黒闘気に引きずられてミストを憎んでたから、ちょっとつついてあげたよ」
「何故……! 命を救われたのに」
ワルドの問いにウェールズは何も答えない。
ワルドはキルバーンを警戒していたからこそ、異変に気付けなかった。
滅びし王家の生き残りなのだから、何の変化も無い方が不自然だ。安易な慰めの言葉などかけられない。
そう思っていたため、暗い空気を纏っていても踏み込めなかった。
「殿下に、何を、したの?」
「知りたい? う〜ん……ヒ・ミ・ツ」
明るく笑うキルバーンとは対照的に、ウェールズは別人のように荒んだ目をしてルイズに杖を突きつけている。
(これでは、動けぬ……!)
人質ではない。「動くな」と告げてもいない。
キルバーンにはルイズを生かしておく理由は無いのだ。些細なことで容易く生命を奪うだろう。
死神は楽しくてたまらないと言いたげに肩を震わせた。
「殿下はおっしゃいましたよね? “彼が憎い”と」
ルイズの願いに反して、ウェールズはかすかに、しかし確かに頷いた。
彼が一人にしてくれと頼み、ミストバーンが部屋から出て行った後、キルバーンが室内に現れた。
生命をつなぐために注ぎ込まれた暗黒闘気が心を蝕んでいると知った死神は、不安定な精神を闇の淵へと突き落とした。
「災難だよねぇ、助けた相手から恨まれるんだもの。そのうち諸悪の根源みたいな扱いされるかもね?」
気の毒だと言いたげに溜息を吐いたキルバーンはウェールズに告げた。
「いいよ、殺っちゃっても」
ルイズは死神を睨みつけた。
ミストバーンも邪魔者の命など紙切れ程度にしか思っていないとルイズにもわかっている。
だが、こうも思う。目の前の男に比べれば人情家だと。
102 :
ゼロの影:2008/12/24(水) 22:12:29 ID:NoFhq0AE
死を覚悟した彼女だが、予測した痛みは訪れない。
突き付けられた杖は小刻みに震え、ウェールズの顔は苦痛をこらえるようにゆがんでいる。
「……できない!」
何かに抵抗するように杖が下がった瞬間ワルドが動きかけたが、キルバーンも同時に動いていた。
素早く移動した彼らの位置が変わり、ウェールズとルイズ、ワルドとキルバーンが向かい合う。
「おや、早速改心したのかな? 人形のハズなのに自分の意思があるみたいだ」
「卑怯だぞ、裏切り者ぉっ!」
小さな拳を振り上げて抗議するピロロを二人は睨みつけた。
「殿下はわたしが!」
ウェールズは完全に闇に染まったわけではない。心を取り戻せるかもしれない。
止めようとしたワルドは、彼女の燃えるような眼を見て何も言えなくなってしまった。
危険だが、ここは信頼して任せなければならない。
そう悟った彼はキルバーンに向かって高らかに告げた。
「一対一ならばかえって好都合というもの。このジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドが君に決闘を申し込む!」
103 :
ゼロの影:2008/12/24(水) 22:16:44 ID:NoFhq0AE
以上です。
次回、ワルドタイムが?
罠はダイヤ・ナインの闘気版のようなものです。
裸になっても困るので服は燃えない特殊効果つきです。
呪いのアイテムは封印解除を防ぐためのもので、他に思い浮かびませんでした……。
もしサンタクロースからプレゼントがもらえるなら、鬼岩城が中身ごとほしいです。
乙です
キルさん迷ったのは逝かせ方なんですねw
ワルドタイムも楽しみですが、ウェールイズが楽しみです。
暗黒闘気を抑えてパワーアップしたり、聖母と思われたりするんでしょうか。
後者があった場合は、アンアンが暗黒闘気に!?
私は稲田先生を完治させるお薬が欲しいです。
とっくの昔にファントムレイザー配置済みなんじゃあ、とか思うのは野暮かw
実際ピロロがいれば補充できるから今撃ちたい放題なんだよね
罠は偏在を囮にして潰していけばいいんじゃね?
「大魔王が最初から本気を出してればダイ達は全滅した」「こっそり黒のコアを作動させれば邪魔者は消えた」というのと同じで、行動としては正しくても物語が成立しなくなる恐れが…
ファントムレイザー無制限配置は強力すぎる
風のスクウェアであるロリド様に掛かれば、不可視の罠なんて屁みたいなもんでさあ!
>>92-94 ハドラーではなく昇格ヒムとセットで召喚されて「ルイズ達やヒムを徐々に認めるようになり、ヒムも寄生虫ヤローという侮辱を反省し、見直す」という電波を受信しましたが、
暴れようとするのを力ずくで止められ、光の闘気でフルボッコにされるミストが気の毒
ヒムへの態度が軟化するといっても、よくて十数パーセントくらい?
なことから想像を膨らませるのを断念しました。
ミストや魔王軍召喚を書くお方が現れることをこっそり期待しています。
ミスト、ヒムたんとくれば、竜はラーハルトですね。
カウンターのミスト、効果が無いようだのヒムたん、なんも見えねぇのラーハルト
これ、敵陣営はどうするんだろう……
なにそのじゃんけんトリオ
112 :
ゼロの影:2008/12/29(月) 08:11:06 ID:mHUwGzO+
八話目を8:20頃に投下します。
113 :
ゼロの影:2008/12/29(月) 08:19:47 ID:mHUwGzO+
八 訣別の時 前編〜閃光のように〜
決闘を申し込まれた死神は虚をつかれてしばらく言葉を失っていたが、愉快そうに笑い出した。
「あのねえ、ボクは見ての通り誰かを罠に嵌めるのが大好きなんだよ? まともに闘うわけないじゃない」
「そうそう」
ピロロも頷いて同意を示したが、風の刃が飛んできたため慌てて身をかわした。回避するのが遅ければ直撃していた。脅しというより正確に急所を狙った攻撃だ。
「何するんだよぉっ!?」
涙目になりながら抗議するピロロへワルドは冷然と言い放つ。
「邪魔だ」
先ほどの言動を考えると小人とはいえ油断はできない。キルバーンの使い魔なのだから何を隠しているかわからない。妙な動きを見せれば容赦なく殺すつもりだった。
「ピロロ、下がってて。可愛いキミが殺されちゃあ大変だ。大人げないんだから子爵どのは」
憤然と呟いたキルバーンはくるくると鎌を回し始めた。甲高い風切り音がワルドの鼓膜を震わせる。
ピロロは不満そうに頬を膨らませたが、これ以上戦いの場にとどまっていればワルドが何のためらいもなく殺そうとするだろう。
「あっかんべー」と舌を出してからフッと姿を消してしまった。安全な場所から観察して楽しむつもりかもしれない。
元々キルバーンはワルドたちを殺す気が薄かった。親友抹殺が最優先であり、そちらに気を取られていたと言っていい。
先ほどの罠もしばらくの間足止めするためで、結束して向かってくることができないようウェールズを駒として使っただけだ。
しかし、戦いを挑まれ使い魔を攻撃された以上見過ごすわけにもいかない。
鎌を回転させながらワルドの表情が変わるのを楽しんでいる。
「これは……ッ!」
彼の鎌――死神の笛には穴がいくつも開いている。そのため、鎌を振るうたびに空気の流れが笛を伝わり、人間の耳にはほとんど聞き取れない高周波の音を出す。
戦っている相手は聴覚から視覚を狂わされ、最後に全身の感覚をも奪われる。
まさに死神に相応しい技だ。
現在ワルドにそれほど興味を抱いていないため、手早く仕留めようとしている。
「それじゃあサヨナラ、子爵どの」
上機嫌で鎌を振り下ろしたキルバーンは息を呑んだ。
杖で止められただけではなく、反撃され、正確に仮面のみ切り裂かれたためだ。
114 :
ゼロの影:2008/12/29(月) 08:21:31 ID:mHUwGzO+
地面にゴトリと仮面が落ちた。キルバーンは手で顔を隠し、混乱している。
「ただの人間に効かないハズがないのに、何故……!?」
「風や空気を知るのは得意なんだ」
風系統魔法のエキスパートであるワルドは空気の流れを操り、死神の笛を無効化したのだ。
「風のスクウェアメイジを甘く見るなよ?」
ワルドは追撃しようとはせず、キルバーンが新たな仮面をつけるのを待っている。
「どうしたのかね? 君の大好きな罠を使ってくれてもかまわんよ」
彼は以前キルバーンが「一生懸命修行し真面目に戦う」ことをつまらないと言い放ったことを覚えている。
だからこそ、努力し積み上げた力を突きつけようとしている。
屈辱にキルバーンの目がギラリと光り――懐から新たな仮面を取り出して装着した。怒りの表情が刻まれており、彼の胸中をそのまま表している。
鎌を捨て、虚空から剣を取り出して抜き放つ。
「……決闘を受けよう。正々堂々勝負だ」
ワルドの決意を知って、あえて正面から力でねじ伏せるつもりらしい。
彼が頷くとキルバーンは突進し、雷のごとき速度で剣を振り下ろした。
羽が生えたようにワルドはひらりと跳躍し、軽く回避した。着地するやいなや地を蹴って杖を突き出す。
速い。
肩を切り裂かれ、キルバーンの目が驚愕に見開かれた。
以前見た手合わせの時より強くなっている。
内心を見抜いたかのようにワルドは薄い笑みを口元に浮かべ、宣言した。
「我が二つ名は『閃光』。覚えておきたまえ、死神君」
「……最高に腹立つなァ、キミは!」
両者の得物がぶつかり合い、火花を散らした。
115 :
ゼロの影:2008/12/29(月) 08:24:18 ID:mHUwGzO+
彼はその頃、暗闇の中を彷徨っていた。
周囲に広がるのは彼の生まれた世界によく似ている。
黒雲に覆われた空や、色彩に乏しい荒廃した大地。煮えたぎるマグマの海。
生命を感じさせぬ陰鬱な世界が、さらなる闇に閉ざされていく。
空にある人工の太陽が徐々に光を失っているためだ。生命をはぐくむほどの暖かさは持たないとはいえ、世界を照らしていたものが消えてゆく。
それだけではなく、深淵から何かが蠢くのが見えた。
だが、今の彼にとっては世界の異変などどうでもよかった。
全身が闇と苦痛に包まれ、飲み込まれ、深く深く沈んでいく。
どれほどの間降下していたのか分からない。
いつの間にか彼の前には二つの道が延びていた。
片方を選び進んでいくと、世界が輝いた。雲間から差し込める陽光が広大な丘を照らす。まるで祝福するかのように。
天から降り注ぐ光に包まれた丘に近づくと、頂にいくつかの人影があった。金髪の青年が倒れた誰かに力を分け与えている。
その代償として生命をつなぎとめる糸が切れ、死に向かいながらも表情は穏やかだった。晴れやかな微笑を浮かべていた。
青年は最後に大切なものを守りきり、誇りを抱いて息絶えた。
さらに進んでいくと黒雲が完全に消滅した。澄み切った青空が果てしなく広がり、金色の日光が眩しいほどに輝いている。
その下で戦っているのは一人の魔族と一匹の竜だ。
白銀の髪に白い衣――あちこちが血に染まっている――を身に纏う魔族と黒く巨大な体躯の竜は、それぞれの種族の頂点に立つ力の持ち主だ。
歴史に刻まれ、伝説として語られるであろう戦いが繰り広げられている。
満身創痍で、限られた力の全てを使って相手を倒そうとしながらも魔族の顔はどこか楽しげだった。
まるで己が負けることは無いと信じているかのように。
その理由は単純だ。
空を見上げた男の口元に微かな笑みが浮かび、声なき言葉が紡がれる。
――太陽が、天高く輝いている。
やがて死闘を制した彼は宮殿の一室で、夕日に照らされ紅く染まった世界を飽くことなく眺めていた。
全てが動き出す。世界の在り方が変わる。
そう確信した表情だ。
満ち足りた、嬉しそうな横顔を見た彼の内にも何故か喜びが湧き上がる。全身を苛む痛みが和らぐのを感じる。
顔を真赤にした少女が誰かに言葉と枕をぶつけた光景を最後に、彼はもう一つの道に立っていた。
闇の中をしばらく進んでいくと凄まじい閃光が弾け、彼を吹き飛ばした。
それがきっかけとなって意識が浮上する。
周囲には無数の結晶が光を放ちながら漂っている。それらが映しているのは過去――彼の記憶だ。
だが、彼を包む闇は暗く、深い。それらとともに抜け出すことは叶わない。
――今は、まだ。
116 :
ゼロの影:2008/12/29(月) 08:27:01 ID:mHUwGzO+
『閃光』と死神――両者の実力は拮抗しておりなかなか決着がつかなかった。
罠を使わずともキルバーンは強い。
だが、危険の中に身を投じ強さを得たワルドと、常に罠を仕掛けてまともな勝負をせずにいたキルバーンとではここぞという時の一撃に差が出る。
元々実力の高いワルドだが、最近は特に鍛錬に力を入れていたため総合的な強さが向上していた。ミストバーンとの手合わせの成果が発揮されている。
己が劣勢だと悟ったキルバーンはいったん距離を取った。
それを追ったワルドの肩がスパリと裂け、鮮血が飛び散った。
「何ッ!?」
「言ったハズだよ、まともに闘うわけがないと。こっそり見えない刃を仕掛けてたのさ」
キルバーンは頭上のラインを指し示した。十三本の線が全て暗くなっている。
ライン一つにつき一本の刃が仕込まれており、戦いの最中に抜き出して配置していたのだ。その場所は彼にしかわからない。
攻勢に転じたキルバーンが剣を振るう。
ワルドは動いて避け、杖で受け流し、剣を止める。が、その都度体が切り裂かれる。
「見えざる刀身による罠……ファントムレイザー。不可視の刃の檻の中で死んでいきたまえ」
勝利を確信し、ククッと笑った死神は次の瞬間眼を見開いた。
ワルドは臆さず反撃を仕掛けたのだ。
「正気かい?」
無謀な特攻を嘲笑いながら切り結ぶ彼は違和感を覚えていた。
切り裂かれたのは最初の数回だけで、反撃に転じてからは傷を負っていない。動きもやみくもに突っ込んでくるものではなく、刃が見えているかのようだ。
(位置を把握して――?)
内心の疑問を見抜いたように、ワルドが杖を立てて呟く。
「言ったはずだ、風のスクウェアメイジを甘く見るなと。風が全てを教えてくれるのだよ」
空気の流れから刃の檻を見抜き、位置に応じて攻撃を仕掛けている。
戦いの中で、風によって得た情報を防御や回避、そして攻撃に活かす。
それこそが、手合わせを重ねるうちに彼が見出した“次の段階”だった。
空気を網のように編む技術はミストバーンの闘魔滅砕陣を参考にしている。共に闘った時見た技は、心に深く刻まれていた。
117 :
ゼロの影:2008/12/29(月) 08:28:54 ID:mHUwGzO+
やがて風を纏った杖がキルバーンの左腕を切り飛ばした。
キルバーンの右手からサーベルが落下し、乾いた音を立てて地面に転がった。
宙に舞った腕を掴み、距離をとる。
「まさか“これ”を使うことになるなんてね」
腕を失ったのに痛みを感じている様子は無い。
ワルドが目を細め、詠唱を開始する。投げ上げられた腕が回転し、巨大な火球を形成したためだ。
「ボクの血は魔界のマグマと同じ成分。ひとたび炎がつけば灼熱地獄に等しい劫火を生むのさ」
ワルドが詠唱を続けるのを見て首を振る。
「キミ一人じゃどうにもならないよ。食らいたまえ……バーニングクリメイション!」
手が振り下ろされ、火球がワルドに飛来した。
敵が炎で焼かれる様を思い浮かべ哄笑を響かせたキルバーンだが、笑い声がピタリと止まった。
火球は巻き起こった烈風に逸らされ、かき消されたのだ。
炎の向こうに見える影は五つ。
全て同じ姿だ。
五人のワルドが立っている。
「お教えしよう。これが風の最強たる所以――遍在(ユビキタス)だッ!」
遍在――それぞれ意思と力を持つ存在を作り出す、風のスクウェアスペル。
ミストバーンとの手合わせによって身体能力など魔法以外の強さを引き上げたことで、今まで力を温存することができた。
最初から遍在を使わなかったのは、相手を同じ勝負の場に立たせるため。その方が結果的に決着を早めることができると判断したためだ。
キルバーンのような相手に主導権を握られては勝ち目が薄いとわかっている。
五人がいっせいに襲いかかるが、地面から炎が立ち上り降り注いだため回避する。
まだ草原に仕掛けられた罠は残っている。
キルバーンが剣を拾い上げ、両者は再び激突した。
118 :
ゼロの影:2008/12/29(月) 08:31:29 ID:mHUwGzO+
ルイズと向かい合ったウェールズは、震える手で杖を構えようとしていた。
少女が恐れず距離を詰めるのを見て、恐怖さえ浮かべながら叫ぶ。
「来るな! 来てはいけない!」
今、彼は攻撃しようとするのを必死に抑え込んでいる状態だ。これ以上近づけば害を及ぼしてしまうだろう。
少女から離れようとするが、体が思うように動かない。
ルイズがさらに足を踏み出すと、荒れ狂う暗黒闘気の波が細い体を吹き飛ばし、地面に叩きつけた。
「ラ・ヴァリエール嬢!」
まるで自分が傷つけられたような悲痛な叫びが、少女の鼓膜を震わせる。
震えながら身を起こしたルイズが咳きこんだ。血のにじんだ唇からかすれた声が紡ぎ出された。
「ごめんなさい。わたしが助けてって言ったせいで……苦しんでらしたことに気づきもしないで……!」
顔を上げたルイズの眼から、ぽろぽろと真珠のような涙が零れ落ちた。
ウェールズの生命を救ったのも、その結果憎まれたのも、ミストバーンだ。
だが、ルーンによって彼を従わせたのはルイズだ。
力持つ者に懇願し、生じたものの重さを受け止めようとしなかった。強者に助けを求めたはいいが、後のことなど考えていなかった。
二人の道が隔たったのは、彼女が原因でもあるというのに。
立ち上がった彼女を暗黒闘気の弾丸が襲い、再度吹き飛ばした。額が切れて血が滴り落ちる。
「うああ……っ!」
珊瑚のような唇から血がこぼれるのを見て、ウェールズは瞼を閉ざし、呻いた。
「僕を殺してくれ。このままでは――」
暗い波に抗しきれなくなり、自分が自分でなくなってしまうだろう。
アンリエッタの友人であるルイズや信頼する部下のワルドを殺すくらいならば、いっそ彼らの手で生命を断たれた方がいい。
「できません! できませんわ、そんなこと!」
ルイズがおののきながら叫ぶと、ウェールズは穏やかで温かい笑みを浮かべた。
「自分を信じるんだ。大丈夫、君ならできる」
『虚無』ならば生命をつなぎとめる暗黒闘気を全て消去し、『解呪』することができるだろう。
119 :
ゼロの影:2008/12/29(月) 08:33:14 ID:mHUwGzO+
ルイズが震える手で始祖の祈祷書をめくると、訴えるように文字が眩しく光り輝いている。
アンリエッタの憂いを帯びた顔、結婚式の際のウェールズの晴れやかな笑顔が浮かび、消えていく。
『我が主も、私も、強者には敬意を払う。私はお前の名を忘れはしないだろう……永遠に』
『守るべきもののために全力で戦う――それは君も同じだろう? ならば、君もまた尊敬に値する』
二人の会話など思い出のかけらが浮上し、彼女の胸を締めつける。
「僕の……最後の頼みだ」
震えながら立ち上がった少女が両手で顔を覆う。
「殿下、お許しを……お許しください……!」
彼女は詠唱を始めると同時にウェールズの元へ走り出した。彼は暗い衝動を無理矢理抑え込み、受け入れるかのように両手を広げた。
ルイズの脳裏にワルドの言葉が蘇る。
『詠唱しながら杖を振るう――軍人の基本中の基本さ』
こんな形で活かすことになるとは思わなかった。
詠唱とともに行動することを以前試した時は上手くできなかった。
だが、余計な想いを捨てたためか身体が反射的に動いてくれた。試したことを体が覚えていたのかもしれない。
ウェールズの胸に勢いよく飛び込み、手を握る。
彼女は詠唱を終えて魔法を発動させた。
120 :
ゼロの影:2008/12/29(月) 08:34:17 ID:mHUwGzO+
以上です。
キルバーンの罠の中で一番好きなのはファントムレイザーです。
もっと罠を見たかった……。
見えないけど存在するからなあ。>ファントムレイザー
風メイジはともかく、原作アバン戦の場合は種明かししなけりゃ勝ってたんじゃないかと思うよ。>ファントムレイザー
種をばらして、それでも対抗できずに屈辱にゆがませて勝利したかったんじゃまいか
負けても本体は死なないと、性格を読みきった上での遊びなんだろーな、ピエロ的に
キルバーンの「ファントムレイザー!」から「復讐完了…!」までの流れには震えた
だから最期にびっくり……というかガッカリした
遅れたが影の人乙です、ワルドかっこいいよワルド
風のスクウェアの特性を生かした戦い面白かったです
126 :
ゼロの影:2009/01/01(木) 08:54:11 ID:DuulvA6c
あけましておめでとうございます。
昨年ゼロの影を読んでくださった方、感想を書いてくださった方、登録してくださった方……御礼申し上げます。
完結までもう少しですのでお付き合いいただけると嬉しいです。
9:00頃に九話目を投下させていただきます。
127 :
ゼロの影:2009/01/01(木) 09:00:32 ID:DuulvA6c
九 訣別の時 後編〜暗黒の力〜
ウェールズの視界が光に包まれ、さあっと色が塗り替えられていく。
これがあの世に行くということなのか――そう考えた彼に、遠いところからにじむように声が響いてくる。
『お許しください、殿下。そのお言葉には従えませんわ』
ウェールズは戸惑ったように周囲を見回した。
彼が今立っているのはトリステインの王宮――それもアンリエッタのいる謁見室だ。幻覚ではなく直接入り込んでいるような感覚が伝わってくる。
状況が把握できないためそのまま物陰に隠れ、様子を窺う。
ふと拳の中の硬い感触に気づいて手を開くと、水のルビーが握られていた。
かつてアンリエッタが、そしてルイズが指にはめていたもの。先ほど危険を冒して飛び込んだのは指輪に触れさせるためだったのだろう。
『この魔法は記録(リコード)。対象物に込められた強い記憶を引き出します』
過去の光景の中へと入り込んだらしい。
ルイズ、ワルド、ミストバーンがアンリエッタに任務の報告を終えると可憐な花のような彼女の顔が暗く沈んだ。
それを見たウェールズの心がズキリと痛む。
『ウェールズは勇敢に戦った』
そう告げるミストバーンの姿に俯くしかない。本心から放たれた偽りのない言葉が、胸を深く刺し貫いたのだ。
自分は憎んでいるのに、敵となったはずなのに、おそらく彼は今でも変わらぬ敬意を抱いている。その想いは、剥き出しの殺意や憎悪をぶつける時と同様、どこまでも純粋だ。
言葉を失ったウェールズに真っ直ぐな声が届く。まるで彼の進む道を指し示し、照らし出すように。
『私の知るウェールズは勇敢な戦士だ。……これからも』
今の自分は、彼の言葉に応えているだろうか。
勇敢に生きているだろうか。
太陽に顔を向けて、真っ直ぐに立っているだろうか。
ワルドも頷いて真摯な口調で告げる。
『そのお心に応えてくださいませ。殿下』
アンリエッタは二人の言葉を聞いて瞳に輝きを宿し、誇り高く顔を上げた。
『ならば、私も勇敢に生きようと思います』
異質な力に引きずられ歩みを止めている彼と違って、彼女は歩き出そうとしている。
アンリエッタは信じている。
ウェールズが勇敢に戦う男であると。
ミストバーンも。ワルドやルイズも。
(僕は……僕は……ッ!)
自分を信じていないのは、自分だけだった。
内憂を払えず一人だけ生き延びた苦悩ゆえに、自分を信じられなくなっていた。
国を守りきることはできなかったが、それでもまだ守るべきものが――譲れぬものが残っている。
あけおめ支援
129 :
ゼロの影:2009/01/01(木) 09:02:47 ID:DuulvA6c
気づくと彼は闇に包まれていた。その色は、彼の中に存在し、侵食する力を思わせる。
だが、もう恐怖も嫌悪も感じなかった。
彼はそこにある闇をただ静かに見つめ――手を広げて足を踏み出した。
すると、今まで荒れ狂う海のようだった力が収まっていくのを感じた。
暗闇がスッと消えていくと、草原に立っていた。目の前に立つルイズが歓喜に満ちた表情を浮かべている。
ウェールズの髪は金の輝きを取り戻し、目も晴れている。
「……ありがとう」
倒れそうな体を叱咤して水のルビーを返した彼は微笑んだ。
二人はミストバーンを捕らえる罠に目を向けた。
柱はすでに崩れ、彼は金と銀の炎の中に倒れている。ピクリとも動かず、生きているのか死んでいるのかわからない。
風や水の魔法を叩き込んでも効果は無く、他の魔法で救出しようとしても無駄だ。ミストバーンの特殊な体を焼くことができるのなら、闘気に近い性質なのだろう。
ルイズの『解呪』を解き放っては中心にいる彼をも滅ぼしてしまう。範囲を狭めることで炎の勢いをある程度弱めることはできたが、消すには至らない。
「このままじゃ……!」
不死身に近い体とはいえ、もう限界だろう。
唇を噛んだルイズを見てウェールズは瞼を閉ざした。
決意したように目を開けて、足を踏み出す。
「僕が行こう」
全身から黒い霧のようなものが立ち上っている。暗黒闘気をその身にまとわせ、炎を突破するつもりだ。
ルイズが首を振って止めた。
いくら闘気を集中させて相殺しようと無事で済むはずがない。命を落とす可能性もある。
これ以上暗黒闘気を使えば、先ほどのように闇に飲み込まれるかもしれない。そうなった場合、再び元に戻れる保証は無いのだ。
今度こそ、自分が自分でなくなってしまうかもしれない。
必死で止める彼女に、ウェールズは澄み切った青空を思わせる笑みを浮かべた。
「それでも守るべきものがある。……そうだろう?」
その言葉は、ルイズではない誰かに言っている。
もし己を見失い、戻れなくなった場合は自分で命を絶つつもりだ。
「今通じるのは暗黒闘気だけだ。闇の力であろうと、誰かのためになるのなら使いこなしてみせるさ。……そのぐらいしないと格好がつかないからね」
いたずらっぽくウィンクしたウェールズは炎の中に足を踏み入れた。
130 :
ゼロの影:2009/01/01(木) 09:04:20 ID:DuulvA6c
凄まじい熱と苦痛にウェールズの端正な顔がゆがんだ。
肌が炎に焙られ、頬や手に惨い火傷が広がっていく。焼かれ続ける足が今にも動かなくなりそうだ。
歯を食いしばり、苦痛の呻きをかみ殺して語りかける。
(君の味わっている痛みは……こんなものではないだろう?)
崩れ落ちそうになるのをこらえ、一歩、また一歩と進んでいく。
己から切り離せぬ忌避する力を他者のために使えることが、ほんの少し嬉しかった。
「待たせたね。今度は、僕が君を助ける」
倒れ伏すミストバーンの傍らまで来たウェールズが、笑みを浮かべて告げた。
その髪は二色の炎によって銀色に見えた。
しゃがんで体を抱え、引き返す。激痛に意識が引き千切られそうになるのをこらえながら。
ようやく炎の輪の外に出たウェールズは膝をつき、そのまま倒れこんだ。
「ウェールズ様!」
少女の叫びを聞き、かろうじて意識をつなぎとめたウェールズは切れ切れの声で尋ねた。視界が明滅し、自分で確かめることができない。
「彼、は?」
ルイズが体をゆすって呼びかけるが反応は無い。
「ミストバーン!」
叫びながらルイズは暗い思いにとらわれていた。
救出したところで、今の彼には戦う理由がないのだ。記憶を取り戻したとしても限界まで痛めつけられた状態だ。
立ち上がることなどできはしない。
「君は僕を生かしたではないか。戦い続けろと言うように……。ならば君も戦うべきだろう!」
ウェールズの声が虚しく暗闇に吸い込まれていった。
ことよろ支援
132 :
ゼロの影:2009/01/01(木) 09:07:04 ID:DuulvA6c
その頃、ワルドは遍在を倒されながらもキルバーンを追い詰めていた。
全身に傷を負いながらも敵の動きを上回っている。実質的には勝利を手にしていると言っていい。
ついに胴体を深々と切り裂いたとき、彼はルイズの悲愴な叫びを聞いて一瞬注意を向けた。
(初めて、彼の名を――)
愛する少女の血を吐くような声にワルドの胸が痛んだ。
致命傷を与えた手応えがあったとはいえ、決して油断したわけではなかった。相手の正体が謎に包まれており、死ににくい体の持ち主であることから十分警戒していた。
だが、隙とも呼べぬわずかな空白を死神は見逃さなかった。
キルバーンは剣を繰り出しワルドの腹部を刺し貫いた。
口から鮮血がこぼれ、体がぐらりとかしぐ。
「ぐああ……ッ!」
ワルドが膝をつくのをルイズは絶望とともに見た。
さらに動きを封じるために大腿も貫き、刃を乱暴に引き抜き、切り裂く。
腹部と脚を赤く染めながら倒れた敵の姿にキルバーンは耳障りな笑い声をあげた。
腕を蹴って杖を弾き飛ばし、手に剣を突き立て、地に縫いとめる。
その後キルバーンはウェールズに視線を向けて首をかしげた。
「あれれ? 殿下、ミストを憎んでたはずですよね?」
「……憎かったさ」
ウェールズは身を起こしながら呟いた。
どんなに高潔な人格者であっても恐れや怒りを――暗い感情を抱かぬ人間はない。
死に場所を奪われることで、“王家としての自分”が奪われたと思い込んだ。
異質な力で生かされることで、“人間としての自分”までも奪われるのではないかと疑い、それが根を広げ芽吹いてこうなった。
自分の心の弱さが招いた事態だということをウェールズは知っている。
彼は満身創痍ながらも顔を上げ、壮絶な眼光で死神をねめつける。
「だが、心は怒りや憎しみばかりではないと知っているはずだ。彼の友ならば」
魂から絞り出された言葉にキルバーンは肩をすくめただけだった。
133 :
ゼロの影:2009/01/01(木) 09:08:50 ID:DuulvA6c
ワルドが血を吐きながら、切れ切れに言葉を発した。
「魔界とやらに帰っても、彼の主を殺せるとは、思えんな……!」
挑発に対しキルバーンは傷口を踏みつけた。激痛にワルドが歯を食いしばる。
「実は、戻る方法も無いわけじゃないんだ。魔界の異変にバーン様が意識を向けている間にヴェルザー様は行動を開始した。その隙を――」
「無理よ。こいつがいるもの」
遮ったのはルイズだった。
鳶色の瞳を爛々と燃えたたせ、不敵な笑みを浮かべている。地に膝をつき、口の端から血を滴らせながら。
彼女は体をかがめ、倒れ伏すミストバーンに語りかけた。
「ミストバーン。訊きたいことがあるわ。とっても単純なことよ」
顔を近づけて囁く。
「大魔王を守るのは誰の仕事?」
沈黙が流れてから、もう一度尋ねる。
「わたしたちの役目じゃ、ないわよねえ?」
伝説の『虚無』の使い手ルイズも、メイジの中で有数の実力の持ち主であるワルドも、大魔王を守るという使命には似つかわしくない。
『バーン様をお守りするのが、私の使命なのだ!』
かつてそう言った彼の姿がルイズの心に刻まれているのだから。
「何やってんのよあんたは! 大事なものは自分の手で守れって言ったのは、あんたじゃない!」
ワルドも苛立ったように叫ぶ。
「その程度で折れる信念ならば遥か昔に捨ててしまえばよかったのだ! ……あの時の言葉、そのまま返すぞ。“その覚悟、今こそ示してみよ”!」
キルバーンは彼らの言葉を吟味するように顎に手を当てて考え込んだが、剣を手に歩き出した。
「似た者夫婦だねェ、キミ達。そんなアツアツのお二人にとびっきりのプレゼントをあげよう」
ルイズに歩み寄る。
「新婚旅行(ハネムーン)なんてどうだい? ……あの世へのね」
ワルドが息を呑み、倒れたまま腕を伸ばすのを心地よさそうに見つめて死神は笑った。
愛する者を目の前で奪われた男の嘆きをじっくり鑑賞するつもりだ。その後でもちろんワルドも殺す。
ルイズは杖を握りしめて顔を上げた。最期まで心は屈さぬように。
剣を振り降ろそうとしたキルバーンの動きが止まった。
山の稜線から太陽が姿を現したためだ。美しい朝日が世界を照らそうとしている。
やや焦ったようにミストバーンを見下ろすが、動かないままだ。
「気づいてないのか。……可哀想に」
息を吐き、最後の望みが絶たれた少女を眺めクスリと笑う。
134 :
ゼロの影:2009/01/01(木) 09:10:55 ID:DuulvA6c
予想に反し彼は自我らしきものを取り戻していた。闇に沈んだ無数の記憶の断片は浮上の時を待っている。
ワルド達の言葉も聞こえてはいた。
だが、意識は霧のようにぼんやりとしていて実体を持たず、呪縛を断ち切ることはできなかった。
きっかけがあれば失われた記憶が一気に溢れ出すはずだが、『何か』が足りない。
友人の姿に気の毒だと言いたげな溜息を一つ吐いて死神は呟いた。
「“地獄のような世界”は変わらないってコトなのかなァ……」
『今のミストの心は魔界そっくりだろうねえ。暗闇に閉ざされた――地獄のような世界さ』
死神はかつて、心を砕かれた彼の精神状態を魔界に喩えた。
今回も友人の心をそう表現しただけで、同情めいた響きさえにじんでいた。あくまでミストバーンについて語っているだけなのだから。
「太陽があっても無くても、大して違いはないのかもね」
――その時、彼の中で何かが切れた。
否定の叫びが膨れ上がり、弾ける。
(バーン、様――!)
彼は思い出した。
全てを焼き尽くす炎のごとき魔族を。
魔界に太陽をもたらすと決意し、数千年の間太陽を求め焦がれてきた王を。
「そろそろ帰らなくちゃいけないんだよね。暗殺しに行かなきゃならないし」
死神は知らない。
単に友人の心について語ったにすぎない先ほどの言葉は、当人には主の大望への挑戦と映ったことを。
主の危機を知らせたことで一度点いた火に油が注がれ、激しく燃え上がったことを。
他の者が主を殺すと言ったところで鼻で笑いながら踏み潰すだけだろうが、友の力は誰よりもよく知っている。
支援
136 :
ゼロの影:2009/01/01(木) 09:12:12 ID:DuulvA6c
キルバーンはルイズの首をはねようと剣を振り下ろしたが、止められた。
鋼の指が刃を挟んでいる。
わずかにひねっただけであっけなく刀身が折れた。
ルイズの目が見開かれた。ウェールズが声も無く唇を震わせ、ワルドが苦笑する。
片手で剣を止めた彼は身を起こし、残った刀身を握り潰しながらゆらりと立ち上がった。
キルバーンは飛び退って距離を取り、友人をまじまじと眺めている。
「……ウッソォ? 何で復活するのさ。正義の使者じゃあるまいし、奇跡なんてわけのわからないものが起こるはずないのに」
「奇跡が起こらずとも彼は立ち上がる……それだけの話だろう」
呆れたように呟くキルバーンにワルドがにやりと笑ってみせる。
一方、彼の至近距離にいるルイズとウェールズは蒼い顔になっている。
全身から立ち上る殺気を間近で浴びているのだから無理も無い。氷の手で心臓をわしづかみにされたような感覚に襲われ、動けない。
凄まじい眼光が死神を射抜く。
(……キル)
この日が来るとずっと前からわかっていた。
敵対する陣営に属する者同士、最後に残るものは戦いしかない。
たとえ親友であろうと、主に害なすのなら告げる言葉はただ一つ。
今までも、これからも。
友の次の台詞を予想したキルバーンがクスクスと笑い、手を差し伸べた。
果たして、同じ言葉がミストバーンから告げられた。
「死ね」
137 :
ゼロの影:2009/01/01(木) 09:13:24 ID:DuulvA6c
以上です。次は最終話前編になります。
やっと復活して、久しぶりに喋った言葉がそれかよおっ!
二人の友情が大好きなのに、何故こんな展開に……。
次回、冷酷vs残酷。
ドSっぷりがハジける予定です。
影の方、乙でしたー!
新年早々すばらしいSSを読ませていただきました!
>>「死ね」
>>やっと復活して、久しぶりに喋った言葉がそれかよおっ!
>>二人の友情が大好きなのに、何故こんな展開に……。
いやー、この二人ならこれで当然でしょう。
次回作楽しみにしています!
この話に限らず、なぜかミストが幸せになる結末を想像するのが難しい…
原作での最期が、突然豹変して小物化したように見えるからかな?
正体というより最期に少しガッカリした
>>139 あの最期は完璧に作者のミスだと思ってる…
それはまあ、あれだ。
いつもしてるグラサン取ったら只の人、みたいなもんだ。
ダイ大スレで出た
ヒュンケル「命を救われ数々のことを教えられた礼は戦士としての行動で示したい! それはさずかったものすべてをぶつけ、お前をたおすことだ!」
ミストバーン「よかろう。ならばわたしもすべてをもっておまえにこたえ、今度こそ確実に葬ってやろう!」
みたいな流れで戦って、
命と引き換えもしくは戦士生命を犠牲にして倒すんだったら燃えたかもしれないと思った
戦いの順序とか体返還の後の展開を変えなきゃならないけど
最後の最後でオリハルコンのごとく株が下がったのが残念で…
獣王の人や爆炎の人の続きが読みたいです…
ここのまとめの他にダイ大のクロスオーバーSSってある?
「あの作品の〜」のまとめにある3つは読んだんだが、どれも更新が止まってて……orz
「まったいら!」のポップ召喚おすすめ
「ダイ クロスSS」でぐぐってみたら、ゼロ魔クロスもたまに見つかるみたいだけど、
特別面白いっていうのは無いかな。
もちろん完結してないし。
あ、「まったいら!」のポップ召喚は俺も面白いと思う。
完結してないのは同じだけどな……
一瞬、ルイズの胸の事かと思った。>まったいら
>>144、
>>146、ありがとう
「最強化計画!」に「ん?」ってなったけど読んでみたら面白かった
でも更新がry
完結(の見込みがある)SSって少ないのか……
ダイ大クロスSS、他には無いみたいだな。
ダイ自体、結構古いしな。心のバイブルになった世代は結構いるがw
150 :
ゼロの影:2009/01/05(月) 08:01:09 ID:AgF5yLmN
8:10頃に最終話前編投下します。
151 :
ゼロの影:2009/01/05(月) 08:10:21 ID:AgF5yLmN
最終話 一(ひとり)前編〜永遠に幸あれ〜
烈風が巻き起こり、草を千切った。
銀色に鈍く輝く爪と鎌がぶつかり合い、甲高い音を響かせる。白と黒の服を着た男が交差し、攻撃を繰り出すたびに光が走った。
「よく動けるねえ。不死身なのかい?」
感心したような死神の台詞にミストバーンは沈黙で答えた。代わりにルイズが胸の内で毒づく。
(あんたに言われたくないわよ)
ルイズはふらつきながらワルドの杖を拾い、近づいた。
「大丈夫? ワルド」
「その言葉だけで……十分さ」
軽口を叩いてみせるが顔色は蒼白だ。
ワルドの腹部と足の傷は深いが、ルイズが水の秘薬を所持していたためそれを使った。ミストバーンがフーケとの取引で入手し、彼に比べれば遥かに脆弱なルイズに一部を渡していたのだ。
ウェールズとワルドが力を合わせて『水』系統の魔法を唱えると応急処置程度の効果は得られた。二人とも『風』の系統を得意とするため最低限しか癒されなかったが、贅沢は言えない。
ルイズは『記録』や『解呪』を使用して消耗している。暗黒闘気を撃ち込まれ地面に叩きつけられたため、体がまともに動かない。
ウェールズは暗黒闘気を克服して不安定な状態から脱したものの、罠の炎を突破したせいで体力がほとんど残されていない。
特に足の火傷が酷く、炎は闘気に近い性質があるため治療できない。
ワルドは腹部の傷がある程度ふさがったばかりで、足もしばらく動くことができないほど傷つけられている。
今まで遍在だけでなく様々な風の魔法を使ったのだ。もう力はほとんど残されておらず、全身の切り傷や火傷も癒えきっていない。
誰も満足に戦えない。
その場から動けない状態では魔法を当てることは難しく、連発するほどの力は残されていない。
見ていることしかできない三人にはわかった。
ミストバーンも限界だということが。
闘魔傀儡掌も闘魔滅砕陣も使用せず、爪の剣のみで戦っている。友人だからといって手加減するような性格ではないというのに。
動きのキレも攻撃の速度も隻腕かつ消耗しているキルバーンと同程度。万全と言うには程遠い。
ずっと罠の炎によって生命を削られ続けていた。本来まともに動くこともできぬはずだ。
封印を解除しようとしても、呪いの効果がまだ残っている。
キルバーンは挑発するように笑みを漏らした。
「魔界の情勢は一刻を争うんだ。ホラ、早くボクを仕留めないと」
ひらりと舞うように攻撃を回避し、後退する。
「一つ忠告しておくよ、怒りっぽかったらマズイって。こんな風に――」
「だめ!」
距離を詰める彼を見て悪寒に襲われたルイズが悲鳴を上げた。
罠が作動し、飛来した無数の光の槍が全身に突き刺さった。衝撃によって人形のように体がはねる。
「かは……あ……」
地に膝をつく乾いた音が響いた。
152 :
ゼロの影:2009/01/05(月) 08:13:50 ID:AgF5yLmN
ルイズは顔をそむけたくなる衝動を必死にこらえた。膝をついた彼は立ち上がろうとするが、体が動かないようだ。
倒れることだけはこらえているのも、一度倒れれば起き上がるだけの力は残されていないため。
罠があるとわかっている相手をも引きずり込む誘導こそ、死神の真骨頂。
キルバーンはもったいぶって指を立てて振ってみせる。
「なるからさ。側近は主より冷静(クール)じゃないと。……ね?」
「やったあ、蜂の巣だっ! キャハハッ!」
風に乗ってどこからともなく子供のはしゃぐ声が聞こえてくる。一つ目の小人、ピロロのものだ。遠い場所から観戦しているのだろう。
この場にいない使い魔をたしなめてキルバーンは得物を構え直した。
ワルドが必死の形相で、動けぬ体で立ち上がろうとする。それを押しとどめたのはルイズだ。
「このままでは、彼は――!」
血を吐くような声に対して、彼女の声も震えている。
「大丈夫じゃないけど大丈夫よ。あいつがひれ伏す相手は、一人だけだから」
目を血走らせ、唇に血がこびりつき、青ざめ泥まみれになった顔で語るルイズにワルドは言葉を呑み込んだ。
多少戦いに慣れたと言っても実戦経験豊富とは言いがたい。このような非道な敵と戦ったのは初めてだ。
悔しさと怒りが混ざった表情は、張り詰めた糸が切れる寸前だと告げている。
「ゴメンね蜂の巣にしちゃって。今楽にしてあげるから――」
「キル」
滅びの淵へと近づいているとは思えぬ声が響いた。
白い衣のあちこちが破れ、そこからしゅうしゅうと黒い霧が立ち上り、消えていく。眼光鋭い彼の放つ殺気に、空気が痛いほどに震える。
友からの言葉と攻撃で冷静さを取り戻したのか、声は静かだった。
「蜂の巣にするとは……こういうことだ」
次の瞬間キルバーンは目を見開いた。わずかに体が揺れる。
「――え?」
自分の体を見下ろした死神の口から間の抜けた声が漏れた。
銀光が流れたと思った時には、全身に鋼の爪が突き立てられていた。両手の指全てが胴体を貫通している。
“仕掛けてはめる”ことを得意とする死神とは違う、数千年の間戦い続けてきた者の極限まで集中した攻撃。
それを見切るのは不可能に近い。
爪を引き抜いて戻しながらもミストバーンの動きが止まることは無い。
この程度では死なないということを、よく知っている。
地を蹴って接近し、手刀を繰り出し胸を刺し貫く。そのまま指を動かして心臓と思しき箇所に触れ、掌に暗黒闘気を集中させた。
思い描くは、自身の最強の技。
全ての力と感情を乗せた、最後の一撃。
「闘魔最終掌」
掌から黒い波動――限界まで圧縮された暗黒闘気を迸らせる。
153 :
ゼロの影:2009/01/05(月) 08:16:38 ID:AgF5yLmN
鈍い音が響き、体が大きく震えた。鎌が手からポロリと落ちて地面に転がったが、度重なる激突のためか刃が砕けてしまった。
「ガハ……ッ! 酷いことするなァ、キミは……っ!」
一息に心臓を握り潰された死神の口から驚愕に満ちた声が絞り出され、首ががくりと垂れる。
心臓を瞬時に完全に破壊される――生物ならばすぐに息絶えるはずだ。
それでも死神は切れ切れに言葉を紡いだ。これだけは訊いておかねばならないというように。
「ねえ、ミスト……ボクは、キミの友達だったかい?」
かすれた声に、ミストバーンは小さく、だが確かに頷いた。
先ほどまで燃えるようだった目の光が弱くなっている。
これで全ては終わった――はずだった。
数百年の付き合いの友を、自らの手で殺す。
ミストバーンの心境を考えたルイズ達は沈んだ気分になったが、言葉を失った。
キルバーンは顔を上げると手から逃れるように二、三歩後退したのだ。
胸に大きな穴が開いた状態で、隻腕で拍手するような仕草をしてみせる。
心臓を完全に破壊されたはずなのに生きている。
死ぬ寸前に見えたのは演技だったのだろう、ぎこちないとはいえ急所を攻撃されたとは思えない動きだ。
「さっすがミスト。もう少しで壊されちゃうところだったよ」
パチリと指を鳴らすと黒い蔓――ルイズ達を狙ったものと似ている――が伸びて彼の全身に巻きついた。
動きを封じ、凄まじい力で締め上げていく。
「く、う……!」
「これで最後の罠さ。キミに相応しい罠を捧げられなくなったのが残念だ」
ギシギシという音が響く。普通の体ならば骨を砕かれているだろう。
だが、拘束するだけならばいずれ脱出してしまう。罠を使い果たしたという言葉に嘘は感じられず、得物も失ったというのに焦りは見られない。
死神は観客に対するように、大げさに手を広げた。
「とっておきの秘密を教えてあげる。キミに隠し事をしたままじゃ心が痛むからね」
ぽっかり空いた穴を隠すように手で胸を押さえ、俯いてみせる。
「実は、ボクは機械でできた人形なんだ。本体が声色を使って使い魔を演じていたのさ」
戒めを解こうとするミストバーンの動きがピタリと止まった。
信じがたいが、不死身に近い生命力はそう考えないと説明がつかない。本体というのは一つ目の小人――ピロロのことだろう。
「本体は大した力を持たず、人形を使って戦うんだ。“バーン様より強い”キミはそういうの嫌がりそうだけどねェ」
ミストバーンは凍りついたように動きを止めたまま目の前の死神を見つめている。
154 :
ゼロの影:2009/01/05(月) 08:19:19 ID:AgF5yLmN
ルイズ達の表情が不満だったのか、死神は大仰に溜息をついて肩をすくめた。
「そんな顔しなくてもいいじゃないの。自分は一切傷つかず思い通りに動かせて、一方的に敵をいたぶれる……理想的だと考える人間もいるんじゃないかな?」
フフッと笑う死神――人形に、ルイズは顔をしかめた。最低の発想だと言うように。
彼女たちが今どんな表情をしているのか、ミストバーンには見ずともわかる。
本体のピロロはこの場にいない。気配を探るが掴めない。
観客の驚愕を直接観察したかったのだろうが、万一の事態を警戒して今回は別の場所から見るだけにとどめているようだ。
ルイズはともかく、ワルドに居場所が知られようものならば即座に殺されるかもしれない。
これまでのキルバーンの様子を考えると、本体が近くにいない時も動いていた。
遠隔操作できるのか。
それとも、普段は自律的に行動できるのか。
どこまでが人形の行動で、どこからが本体の意思なのか、わからない。
「我々の仲は……偽りだったのか?」
(そんな……!)
疲れたような声にルイズは反射的に首を横に振った。
演技だとは思えなかった、友情は本物だった――そう言いたいが、キルバーンに会って間もないルイズは口にできない。
唯一答える資格を持つキルバーンは、肯定も否定もせずただ笑っただけだった。
「ウフフッ、ビックリした? 信じられないって顔してるね。……証拠を見せるよ」
指が頭部の側面を押すと、仮面が落下した。
露になった面を見てミストバーンが息を呑む。
機械仕掛けの顔の中央には、異物が埋め込まれていた。
「黒の核晶……!」
ルイズの顔色が変わる。その単語はウエストウッド村で聞いたことがある。
黒の核晶――国をも簡単に滅ぼせる凄まじい威力の爆弾。
それが爆発すれば、自分たちだけでなくタルブの村も完全に消し飛んでしまう。
慌てて始祖の祈祷書をめくり、浮かび上がった文字を反射的に唱え始めるが、作動を阻止したり爆発を防いだりする魔法など存在しない。
ワルドやウェールズも形勢を逆転させるすべなど思い浮かばない。
ミストバーンは蔓のようなものに拘束され、動きを封じられている。手にも絡みつかれ爪を伸ばすこともできない。
そこまで強固な物質ではないが、このままでは内側からは千切れない。
それでも負けん気の強いルイズは詠唱を続ける。
(だからって、諦めるもんですかぁっ!)
全ての力を出し尽くし、誇りをかけた貴族らしい戦いの末に敗れるのではなく、このような形で終わるなど耐えがたい。
キルバーンはミストバーン以外の者を軽視しており、特にルイズは甘く見られている。先日『虚無』に目覚めたばかりで、使いこなしているとは言えないためだ。
一方的に嘲笑されたままでは終われない。
だが、このままでは力が足りない。
キルバーンも彼女の儚い抵抗を叩き潰そうとはしなかった。何らかの『虚無』を使っても、消耗した今の状態では効果を発揮できないと知っている。
155 :
ゼロの影:2009/01/05(月) 08:22:12 ID:AgF5yLmN
焦りに染まる一同の表情を見て、笑い声が響いた。機械の顔まで笑っているように見えるほど、嬉しそうな。
「タイミングよく助けに来てくれる誰かもいないし、ピンチになったからいきなり覚醒ってのもないだろうし……“実は生きてました”なんてのもこの距離じゃねえ」
今ここで正体を明かしたのは全部吹き飛ばすからだろう。
ミストバーンの視線に意識を向けたためか、笑みを含んだ声が静かなものに変わった。
「もう一度訊くよ。ボクは、キミの友達だったかい?」
無邪気な質問への返事は無い。
親友だと思っていた者が顔を近づけ覗き込むのをミストバーンは凝視している。
いつもの口調なのに、目の前にあるのは人形の貌。
今喋っているのは本体なのか。人形なのか。それさえもわからない。
「最後にキミが喉から手が出るほど欲しがっていた帰還のヒントをあげよう。キミが考えた通り、ルイズが鍵を握るんだ」
でたらめを言っているのではないとわかる口調だ。相手に打つ手が無いと確信してから、真実を告げている。
いくら特殊な体を持つ彼といえども、弱り切った状態で至近距離からまともに爆発を食らえば滅びるだろう。
万一爆発から生き延びても、この場にいる人間は全員死ぬ。
全てが失われる。
やっと掴んだと思った手がかりも。
彼が心を震わせた光景も。
彼が認め、彼を知る者達も。
改めて手がかりを探し魔界に戻ることができたとしても、手遅れならば今まで仕えてきた数千年が無意味になる。
生きる理由を与えた相手を守りきれなかったという想いを抱えたまま、不滅の体を引きずって彷徨い続けることになる。
これから先、永遠に。
彼を待つ運命は、ゼロか一のどちらかだ。
『実は、戻る方法も無いわけじゃないんだ』
と、先ほども言っていた。
帰還の情報について欲していなかった態度を考えると、ミストバーンに再会する前から知っていた。
時期が来ればそのうち話したのかもしれないが、こんな事態になってしまったため機会は無くなった。
他にも情報――ルイズ以外の『虚無』の使い手など――を得ているのだろうが、その中から一部のみ与えたのだ。
何も言わないまま爆発させずにわざわざ知らせたのは、反応を見たかったからだろう。
「予備の人形(ボク)が魔界にあるから、それを使えば……キミはバーン様にお仕えできなくなっちゃうねえ?」
鎌を突き立てられたかのように、ミストバーンがビクリと身体を震わせた。
「バーンさまの、お役に――」
言葉は意識して吐き出されたものではなかったのだろう。力が欠けている。
大魔王以外に彼を必要とする者はいない。
そして、肝心な時に相手の役に立てなければ道具にすらなれない。一部の魔族はそういうもののことを“ただのゴミ”と言う。
156 :
ゼロの影:2009/01/05(月) 08:24:49 ID:AgF5yLmN
「本当に、腐った性根の持ち主だな……!」
ワルドが吐き捨てるとキルバーンは照れたように頭をかいた。
「え〜っ? それほどでも〜」
倒れたまま会話を聞くウェールズがぞっとして呟いた。
(なんて、楽しそうなんだ)
まるで心が芽生えたかのようだ。
気楽な口調は生真面目な友人をからかっているだけとしか思えない。いつもと同じように雑談しているだけだと錯覚させる。
生き生きとしている様子は機械仕掛けの人形とは思えず、手品師が張り切って最後のマジックを披露する姿によく似ていた。
「キル……お前にとって私は――」
「決まってるじゃない。……誇りだよ」
傷を抉られたような声に対し、答える方は自信に満ちている。
憎悪を向けられたのならば受け止めることができる。
嘲りの言葉の一つでも吐かれれば、それをきっかけに力に換えてぶつけられるだろう。
だが、友情は偽りだったと思わせる面と、嘘の感じられない言葉が合わさることで彼に残された力を奪っていく。
これも罠なのか、真実なのか、わからない。
ただ一つ確実なのは――
「バーン様はキミをどうお思いになるかなァ。想像してごらんよ」
ある時は顔を隠し、ある時は素顔を見せながら放たれる見えざる刃(ファントムレイザー)が的確に心を切り裂いていくことだ。
回避は不可能。防御も無効。
希望を摘み取り憎悪までも刈り取る、死神の鎌。
長年付き合いのある相手だからこそ繰り出せる不可視の刃の檻が、彼の闘志を削り封じてゆく。
死神は知っている。
親友の強さを。
ただ攻撃しただけでは闘志を奪えないことも。怒りによって力を増すことも。源を絶たない限り逆転の可能性は消えないことも。
ほんの一瞬、ミストバーンの眼には死神の足元から伸びる影がまったく別のものに映った。
――自分の真の姿に。
どれほど強い体を手に入れようと、戦いに勝利しようと、決して逃げられない己の亡霊(ファントム)に。
157 :
ゼロの影:2009/01/05(月) 08:27:55 ID:AgF5yLmN
(僕は、これほど弱かったのか!?)
ワルドが血がにじむほど強く唇をかみ締める。
大切な存在が希望を捨てずにいるのに、力になれない。
鍛錬に協力し、さらなる高みを見せてくれた相手が苦しんでいるというのに、何もできない。
(国を守りきれず……自分を救った相手も守れないのかッ!?)
ウェールズが歯を食いしばり、拳を砕けんばかりに固く握り締める。
ミストバーンが彼の生命をつなぎ、ルイズの助けがあったからこそ闇の淵から戻ってくることができた。
それなのに、彼らから救われた生命だけでなく、彼らまでも喪おうとしている。
最も強い彼が力を失っていく姿が、他の人間にまで無力さをかみ締めさせることとなる。
負けられない理由がある。
守るべき存在(もの)がある。
誇りや信念がある。
それでも勝てないというのか。
今彼らが共有する感情を表すならば、ただの一語で事足りる。
勇気や闘志を振り絞るほど、より深く心を浸していくもの。
全てを投げ出してしまいたくなる、暗闇に閉ざされたような感覚。
人はそれを“絶望”と呼ぶ。
「そろそろ終わりにしよう。キミがこれ以上苦しまないように」
慈愛に満ちた呟きとともに黒の核晶が光った。
力を受けて作動したのだ。残された時間はせいぜい十数秒だろう。
このような結末では、“主のために全力を尽くし、誇りをかけて戦い、敗れた”と言うことすら許されない。
ミストバーンは戒めを振りほどこうとするが、何かを掴もうとするように腕を伸ばした姿勢のまま、動けない。
体が震えているのは力を振り絞っているためか、それとも――。
その様を見たキルバーンは素顔を手で隠し、極上の美酒を味わうような声で告げた。
「なかなかいい表情するじゃあないか、キミも」
それを聞いた瞬間、ルイズの中で何かが切れた。
死神はルイズ達の表情を鑑賞して高らかに笑う。
「アハハッ! そうそう、その顔! さよなら、みなさん」
キルバーンは仮面をつけて親友に向き直った。
「さよならミスト。……ボクのお友達」
付け足した口調が優しいものだっただけに、いっそう残酷だった。
――声が消えた数秒後、閃光が弾けた。
158 :
ゼロの影:2009/01/05(月) 08:29:06 ID:AgF5yLmN
以上です。
それにしてもこのキルバーン、ノリノリである。
サブタイトルの「永遠(とわ)に幸あれ」という言葉は、あるキャラクターが喋る予定でした。
一つ関係を描くために他の関係を一方的に落とすことにならぬよう、心がけるつもりです。
影の人乙でした!
そっ、そこで切りますか〜!後編楽しみにしてます。
>一つ関係を描くために他の関係を一方的に落とす
原作者がやっちまった
「ヒュンケル&アバンを引き立てるため、ミストが不自然な人格変化」ですな…
今ミストがどんな気持ちか知りたい…
なぜかうしおととらのあるシーンを連想しました。
「キルは…ずっと演じていたのか…?」
「一緒に闘ったのも…」
「息の合った連係攻撃だったよね」
「夜、語りあったのも…」
「ジョークを言ってキミを笑わせたっけ」
「みーんな人形のやったこと……本物の友情じゃないよねえ…ミスト!」
こんな感じで。
やっぱりキルバーンを召喚した人がどうなったか気になるな、大抵は碌な目にあってないだろうけど。
ジョゼフに召喚されてたら仕事としてタバサと一戦交えたりしてるかな、
教皇だったら聖職者という時点でアウトかなw
キルバーンだけでも厄介なのにジョゼフや教皇と組まれたら正直勝てる気がしない…
ミストバーンが記憶を失わない状態で、最初からルイズ・ウェールズ・ワルドと一緒に戦うとしても厳しいかも
バーン様と連絡途絶えてなければ闇の衣脱いで何とかなりそうだけど
ありがとう
竜魔人化したり、ワルドや反乱軍をフルボッコにして殺したり、ダイがかなりハジケてるな……
なんか、ルイズ以下女性キャラがやたらとダイの言動に鼻血吹いてるなw
少年漫画の主人公に戦闘系が多いように、ショタ属性の場合は周りが変態なのがデフォなんだな。
ダイってさ、大当たりってレベルじゃないよな
「ダイの大冒険のキャラたちがハルケギニアで大暴れするようです」なだけの話にならなければいいんだけど…
>>169 もうなってるんじゃね?
ショタショタとうざくて気持ち悪いし、ルイズ以下改変しすぎだろ。
これはそれ以前の問題だがな……
どう見ても二部後ろのセリフに既視感を感じてならないんだが。
コーホー
ルイズたちもそうだけど、何といってもダイの性格や行動にかなり違和感が…
「あの作品の〜」のまとめにあるようなマイルド?なダイ召喚が読んでみたいな
ジャンルというか、求めてる方向性が別物なんだから縁持たなければおk
174 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 07:44:54 ID:y/Fk50Om
最終話後編、7:50頃に投下します。
175 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 07:50:53 ID:y/Fk50Om
最終話 一(ひとり)後編〜ゼロと一〜
力無くへたりこんだ少女が呆けたような表情で呟いた。
「た……助かった、の?」
ワルドも草原に腰を下ろし、ウェールズは倒れている。
「あれ見た後だとあいつが天使に思えるわ。……冷酷で暴力的だけど」
「奇遇だねルイズ。僕も同じことを思ったところさ」
乾いた笑いと引きつった表情をかわしたあと、よくも切り抜けることができたものだと冷や汗をかきながら二人は何が起こったかを思い返した。
別れの挨拶の直後、ルイズは諦めずに杖を振り下ろした。
あのままでは発動すらしないはずだったが、キルバーンの言葉は彼女の怒りに火を点けたのだ。
感情の波があっという間にうねり、高まり、渦巻いて『虚無』の力に変換される。
だが、効果が十分に発揮されなかった。
何しろ、慌てるあまり自分でもどんな魔法を唱えたのかわかっていないのだから。
「何あれ?」
彼女が間の抜けた声で呟いたのも無理はない。
人形の後方に水晶のように光る鏡が現れ、ここではない別の光景を映し出している。鏡は大きさを増し、人形の頭部よりやや大きい程度まで膨れ上がり止まった。
規模が小さく、そのままではどうしようもない。
考えるより先に、閃光の名に違わぬ速さでワルドは詠唱とともに素早く杖を振るった。
風の刃が飛来するが、位置の関係上人形に直接叩き込むことはできない。
(戒めを完全に切断する威力も無い。だが――!)
彼を信じるしかない。
彼は死神には無いものを持っているのだから。
蔓の一部が切り裂かれ、無理やり引きちぎったミストバーンが爪を伸ばし形成した剣で首をはねた。
もはや力など残されていなかったが、主のために戦い続けてきた数千年の経験が――彼の体を動かした。
接近し、油断した状態で、機械のように正確かつ容赦の無い斬撃を回避することはできない。
神速で首を切り離してのけたミストバーンだが、それ以上動く前に限界を迎え、自由になった片腕が力無く垂れた。
宙に舞った頭を吹き飛ばしたのは、ウェールズの生み出した空気の槌だった。
鏡のような扉の中へ頭部が吸い込まれる。
数秒とかからぬ一連の行動に遅滞は無く、あらかじめ打ち合わせていても不可能なほど息の合った動きだった。
扉の向こうに一つ目の小人がちらりと見えた直後に、扉は消えてしまった。
確認はできないが、おそらく“向こう”で黒の核晶は爆発したはずだ。
自分が仕込んだ爆弾の爆発に巻き込まれたのだ。密かに作動させていれば、またはルイズを甘く見ずに詠唱を阻止しておけば、違った結末を迎えただろう。
命を落としたか生き延びたかわからないが、今は確かめようという気にはなれない。
176 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 07:54:01 ID:y/Fk50Om
彼女は背を向けて立っているミストバーンを見て口を開きかけたが、虚しく言葉を飲み込むしかなかった。
敵の陣営に属するとはいえ、気の合う友人だと思っていた相手が機械でできた人形だったのだ。
そして、数百年続いた友情があのような終わり方をした。
こんな時どんな言葉をかければいいかわからない。
告げられた言葉の残酷さより、友情が偽りかもしれないという思いの方が彼を打ちのめしているように見えた。
罠の拘束から脱した彼は、頭部の無い人形を見下ろし胸の内で問いかけていた。
奇妙な友情は、真の姿と同様に不確かで儚いものだったのか。
敵同士でも通じ合うものがあったと思ったのはただの幻想――そうであってほしいという願望に過ぎなかったのか。
何も分からない。
答える相手はもういない。
認め合い、主の下で共に闘った相手との友情は終わった。終焉を予想していたとはいえ、このような形で幕引きを迎えるとは思っていなかった。
対極の性格だというのに奇妙なほど気が合ったのは、無意識のうちに同じものを感じたためではないか。
彼が普通の魔族ならば、相手が人形だったと知ってもそこまで衝撃は受けなかっただろう。
何が本物で何が偽りか、彼にはわからなくなっていた。
他に本物だと思っているものも、そう思い込んでいるだけで偽物ではないか。
そもそも、偽りでないものなどあったのか。
「私も偽りだったというだけのこと……」
これこそが、相応しい結末と言えるかもしれない。
自分のもの――本物ではない身体。
本物ではない力。
それに似つかわしい、“人形遣い”と人形の間の友情。
何もかもが偽物。
対等な相手など最初から存在しなかった。
騙されたなどと詰る気もその資格も彼には無い。秘密を抱き正体を隠していたのはどちらも同じだ。
人形の力で戦うやり方を非難する権利も持たない。
主を殺そうとしたのは許せないが、それを除けば憎しみも心の中に見当たらない。
容赦ない攻撃は戦闘において当然のこと。告げられた言葉の残酷さも、ああいう性格だとよく知っている――はずだった。
死神は、最後まで死神らしく振舞った。
あの状況下で武人らしい行動をとったり、友愛に満ちた感動的な言葉を吐いたりする姿を想像する方が難しい。
幻に打ちのめされることまではキルバーンも意図していなかっただろう。
胸に開いた虚無の穴にあらゆる感情が吸い込まれてしまったような、無限に砂漠が広がるような、空虚な想いが彼を支配している。
177 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 07:56:21 ID:y/Fk50Om
彼は幾千年も前から元々一人だった。
一人で大魔王を守り抜いてきた。
仕えてきた数千年こそが彼にとっての誇りだ。
そして、彼にとって主は絶対的な存在であり、対等の立場にはなり得ない。
立ち尽くす彼は淡々と呟いた。
「私は一人だ」
どことなく笑っているような口調だった。
当たり前のことを突き付けられただけだ。
主以外との他者との関わりなど所詮うたかたの夢に過ぎないと知っている。これからも主のために戦い続けるだけだとわかっている。
偽りでしかない存在は、永遠に本物を手にすることは無い。
この手で何かを掴むことはできない。
これが長い年月の果てにたどり着いた真実だとすると、あまりにも虚しい。
ルイズは反論しようとして口を閉ざした。
二人の友情の一部しか知らない彼女が、ただの間違いだったと過去を切り捨てるような真似はできなかった。
また、友情は確かに存在していた、一人ではないと主張したところで口先だけの否定にしかならず、意味を持たない。
(認めないわよ、そんなの)
そう思うものの言葉が出てこない。ワルドも考えこみ、黙りこくっている。
重い空気の中ウェールズが立ち上がり、よろめきながら歩いて彼の前に立った。
意を決したように顔を上げ、息を吸って吐き出す。
「命の恩人にあのような態度を取ってしまった非礼……今さら許してくれなどとは言えぬ。すまない……!」
全て暗黒闘気やキルバーンのせいだと片づけられればよかった。
だが、黒い感情を増幅させ、弾けさせたとはいえ奥底にあったのは紛れもなくウェールズ自身の思いだ。
尊敬すると言いながら、同時に越えられぬ淵を感じていた。
その証拠に、内に流れる力がミストバーンの体と同質のものだと知った時、嫌悪し、恐怖した。
自分もあんな風になるのではないか。
忌まわしい体へと変貌するのではないか。
魂を認めたはずだったが、完全に受け入れたわけではなかった。
己の狭量さを認めたくなくて、国を守れなかった苦悩とともに全てを憎悪に向けてしまった。
ルイズ達に杖を向けたのは羨望があったためだ。
叶わぬ想いを抱いたまま勝ち目のない戦に赴いた、滅びた国の王族である自分。
それに対し、互いに手を取り合って光の中を歩んでいく者達。わけのわからない力で生かされ、自己が侵食され失われる予感に脅かされることの無い彼ら。
二人を祝福した気持ちに偽りはないが、それだけではないこともまた事実。
もっと早く心の闇と向き合っていれば、死神の罠に抗しえたかもしれない。ミストバーンが苦しむこともなかった。
ウェールズは己の弱さを認める言葉を吐き出した。
「僕は君を――憎んでいたんだ!」
178 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 07:59:00 ID:y/Fk50Om
しばらく沈黙が漂ってから返された言葉は、ただ静かだった。
「知っている」
負の思念から生まれた彼には馴染み深い感情なのだから、とっくにわかっていた。
いまだに距離が遠く隔たっていることを感じたウェールズは唇を噛んだ。
ミストバーンは、ウェールズがいまだに憎しみしか抱いていないと考えている。記憶を失っている間の戦いをはっきりとは知らないようだ。
自分の蒔いた種とはいえ、戦いを経て何も変わっていないのだと思うと、虚しさがウェールズの心を支配していく。
否定しようにも、言葉が渦巻き、口にできない。
ルイズも同じ想いを味わっていた。
彼が一人だと肯定しては、召喚した意味がゼロだと認めることになる。
(何か……何かできないの? 何か……!)
ワルドがミストバーンを挑発するように声をかけた。
「元の世界に戻るのだろう?」
かすかに頷いただけで返事は無い。
「先ほど死神もルイズが鍵を握ると言っていた。もしかすると本体は一足先に魔界に帰っていたのでは――あの扉は魔界につながっていたのではないかね」
扉の向こうにピロロがいたというだけでは、ハルケギニアの別の場所かもしれない。
だが、あえて希望を示すことで彼の活力を呼び覚まそうとしたのだ。
「魔界に……」
ぼんやりとした口調は気力の火が消える寸前だと知らせている。
体力は徐々に回復しているが、意志の力はかえって減退しているようだ。
記憶を奪われ抵抗できない状態で散々痛めつけられ、瀕死にまで追い込まれた。
感情を爆発させ、意識を取り戻した直後に気の合う友人との殺し合いに突入した。
力を振り絞って勝利したと思いきや、友の正体が人形だったと知らされ衝撃を受け、訣別の時を迎えた。
己を奮い立たせて戦った反動で張りつめた糸が切れかけているのだろう。憎悪すら湧かない状態なのだ。
彼も扉の先が魔界である可能性は考えた。
だが、ルイズの精神力はゼロに近い。
小規模な爆発ならともかく、異世界に通じる十分な大きさの扉を作り出すにはかなりの力が必要となる。溜めるには時間がかかる。
こればかりは彼の力でもどうすることもできず、待つしかない。
記憶を取り戻すことができただけでも十分な収穫と言うべきで、ここはひとまず引き上げればいい。
彼も、ルイズも、ワルドやウェールズも疲れきっている。休まなければならないのは皆同じだ。
だが、ルイズは諦めきれなかった。
ここで退いては後悔する気が――壊れた何かがもう二度と戻らない気がした。
共に闘った今しかないと、心のどこかで声がする。
ウェールズの言葉を信じてルイズは立ち上がった。
179 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 08:00:30 ID:y/Fk50Om
「……ミストバーン」
振りむいた彼の胸元のルーンが鈍く光った。存在を主張するように。
「ボロボロのあんたにこんなこと言うのも気が引けるけど……あんたの力、わたしに頂戴」
「君の力はもう尽きたはずだ。それに、『虚無』は負担も大きくなるんだぞ」
心配するワルドに対しルイズは首を振った。
「一刻を争うんでしょ?」
ミストバーンは、疲れ果てているのに行動しようとする少女を眺めている。全く理解できないというように。
「無茶するのがあんただけの特権だと思ってんの? おめでたいわね」
ルイズは鼻を鳴らし、答えを促すように睨みつけた。
彼は決断を迫られていた。
一旦学院に引き上げ、体勢を立て直すか。
それともこの場で困難に挑戦するか。
冷静に利を考えるならば前者だが、キルバーンの台詞や心を砕かれた間に見た光景を考えると、一刻も早く主の元へ馳せ参じなければならない。
切れかけた糸にすがってでも進むしかない。
限界まで消耗し、疲れ果てても、どうしても譲れぬものがあるのだから。
ルイズがあえて後者を選ぶというのなら、答えは一つだ。
「力が欲しければ――」
目に見えぬものを差し出すように、手をスッと伸ばす。彼に残された最後の希望へと。
「くれてやる」
ルイズはにやりと笑い、腕を組んだ。
つかつかと歩み寄り、冷たい手を掴んでぎゅっと握る。
「その言葉、待ってたわ」
彼女が杖を掲げるのを合図としたように胸のルーンが輝き、授業の時のように二人をつないだ。
彼の体から力が抜け落ちる代わりに、ルイズの中に『虚無』の力の源が流れ込んでいく。
彼女は『始祖の祈祷書』を開き、ページをめくった。その手が途中で止まりかけたが、再び動かして詠唱を開始した。
――ユル・イル・ナウシズ・ゲーボ・シル・マリ
からっぽだったルイズの中に入った力はうねり、高まり、『虚無』へ変換されていく。
――ハガス・エオルー・ペオース
だが、足りない。
ミストバーンの方は先ほどまで消滅寸前だったのだ。いくらか体力を取り戻したとはいえ、このままでは消耗するばかりで失敗してしまう。
それを見ていたウェールズは首を振った。何もできないままなど耐えがたい。
彼に対する敬意が本物ならば、今ここで見せる時ではないのか。
「どうか……彼らの力に!」
祈るように手を伸ばすと、ルーンから伸びた光が指先につながった。体の内に流れる力がルーンを介して二人に送り込まれていく。
その光景を見たワルドは、ミストバーンがルイズに召喚された理由を悟りつつあった。
ミストバーンの体は暗黒闘気でできている。
どす黒い思念から成り立つ彼の体がルーンによってルイズに流れ込むことで、怒りなどを糧とする『虚無』のエネルギー源となる。
もしミストバーンが万全の状態で、ルイズが力を溜めて挑めば。
共鳴を利用し、互いに力を増幅し合うことができれば。
召喚者と被召喚者の関係に無いウェールズが力を注げた仕組みを解き明かし、次の段階へ進めることができれば。
想像を絶する効果を発揮するだろう。
それこそ、歴史をも変えるほどの。
180 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 08:03:58 ID:y/Fk50Om
大気の震えが膨れ上がり、弾けると、異なる世界をつなぐ扉が形成されていた。
その向こうに見えるのは暗黒の地――魔界。
彼は夢の世界を歩むような足取りで進んでいく。立っているのもやっとの状態だとわかるほど力が無い。
「ちょっと! 待ちなさいよ!」
扉に踏み込もうとしていた動きが止まる。
「何か言うことあるんじゃないの?」
「……さらばだ。ルイズ」
全く顔を動かさないまま機械的に言い放たれ、ルイズが凍りついた。激しい憎悪や殺意を向けられた時よりも、淡々と呟かれた一言の方が遥かに深く心を抉っていった。
彼女の中で急激に何かが湧き上がる。力が抜けそうになる足を必死で動かし、闇の衣を掴む。
その頬には涙が流れていた。期待していた言葉ではなく、一方的に別れの挨拶を告げられたことが引き金になったようだ。
「どこ行くのよ」
「再び……戦場へ」
主の元へ。
今さら何を、と言いたげな声にルイズはぶんぶんと首を横に振った。
「何が偽りよ? わたしはずっとニセモノに認められようとしてたわけ? じゃあわたしは道化ってことになるじゃない……横っ面ひっぱたくわよ!? 爆発(エクスプロージョン)で!」
たたみかけるように言葉をぶつけ、肩を震わせる。ワルドは途中まで頷いていたが、勢いのまま吐かれた暴言にぎょっとして目を見開いた。
使い魔に影響を受けたのだろう。貴族の令嬢とは思えない発言だ。
息を呑んだが反応は無い。
(……重症だ)
感情が麻痺しているのだろう。痛手からまだ回復していないようだ。
ワルドは苦い表情になるのをこらえきれなかった。単に強敵と戦ったところでここまで精神的に疲弊することはないはずだ。
(僕には不可能だ、あんな表情をさせるのは。……そもそも、他にできる相手がいるのか?)
いるとしても限られているだろう。
キルバーンだからこそ出来た。相手がミストバーンでも――否、ミストバーンだからこそ死神としての流儀に従ったのではないか。
考え込みそうになったワルドの意識をルイズの声が現実に引き戻した。
「一人ですってぇ……? 勝手に自己完結してんじゃないわよ、ばかっ!」
涙だけでなく鼻水も盛大に流しながら、顔をぐしゃぐしゃにして叫ぶ。
衣にしがみつくようにして泣き出した彼女にワルドが慌ててハンカチを差し出した。だが、彼女は見向きもせずに熱い涙をこぼし続ける。
何故泣くのかわからない彼に、ルイズが肩を震わせながら言葉を紡ぐ。涙やその他を白い衣に落下させながら。
181 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 08:06:45 ID:y/Fk50Om
「友達を喪ったら、泣くものよ。でも、あんたは泣けないでしょ?」
影は涙を流さない。
正体を知ってもなお、友達だとルイズは言った。
そう言うしかなかった。
道が隔たり真実が明らかになったからといって、それまでの過程全てが否定されるわけではない。
もし彼女がミストバーンに杖を向けることになったとしても、何もかも打ち消すことはないだろう。
大魔王のために利用するつもりだったとはいえ、与えられたものがある。
安易に相手との関係を否定すれば、今までの自分をも否定することにつながってしまう。
「それに、あんたみたいな変な奴のために泣く人間なんていないに決まってるわ。だったら、わたしがあんたの代わりに泣くわよ! そして――」
しゃくり上げて言葉が途切れたルイズの髪を優しく撫でて、ワルドが呟いた。
「僕のルイズを派手に泣かせるとはけしからん男だな、君は」
幼子にするように桃色の頭をぽんぽんと叩き、目を鷹のように細め睨みつける。その中には今まで見たことのない激怒が燃えていた。
全身に傷を負い血まみれの壮絶な姿で、刺すような視線を向ける。
「君のために戦った者達の想いを踏みにじっておきながら、強者への敬意だと? 笑わせるなよ」
「何……!?」
記憶を取り戻すまでの戦いの様子をほとんど知らない彼は、ワルドの言葉が理解できず鋭い視線を向ける。
怒りに触発され、心の働きを取り戻しつつあるようだ。
「誰が理由も無く死神に挑むものか。その身を焼かれる覚悟で炎の中に踏み込むものか。確かに君は強いが、今ここに立っているのは自分一人の力だと言うつもりか? ……自惚れるな!」
キルバーンはルイズ達が戦おうとしなければ手出しはしなかった。無力感に打ちひしがれるのを見物し、ミストバーンの死を確認すればそのまま立ち去っただろう。
だが、ルイズは罠を止めるために戦いを選び、ワルドは彼女を守るため杖を向けた。
ルイズが危険を承知でウェールズの心を戻そうとしたのも、アンリエッタだけでなくミストバーンとの間の敬意を想ったからだ。
ウェールズもそれに応え、自身の闇を克服して炎の中に足を踏み入れた。
罠の中の彼を放っておけば、見殺しにすれば、それだけで片付いた。自らの手を汚すことなく憎い相手は滅んだ。
打つ手がなかった、仕方なかったと後で言い訳すればいい。
だが、それをよしとせず、炎の中に歩み入った理由は。戻れなくなる可能性を承知の上で、危険に身を投じたのは――。
先ほど憎悪を明らかにしたのも全てを受け止めるため。
ミストバーンが怒りとともに刃を振りかざしても、避けるつもりはなかった。首をはねられることも厭わなかったに違いない。
ルイズが感情を抑えこんだ震える声で告げる。ウェールズの火傷は彼を救出したためだと。
死神との戦闘によって負ったとばかり思っていた彼はわずかに目を見開いた。
散々焼かれただけに炎の苦痛がどれほど激しいものか知っている。
だからこそ、生命力の劣る人間が憎んだ相手のために命をかけて行動するなど信じがたい。
ウェールズが怒りを込めて静かに問う。
「君は、僕が負債を返済するような義務感で動いたと思っているのか?」
命を救われてしまった借りを仕方なく返すだけ。単に戦力として利用するためだと。
「……冗談ではない」
呟く彼の表情は高貴さと威厳に満ちていた。
「この私、アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーの認める相手を侮辱する者は――たとえ君でも許さんぞ」
以前とは違う、自分や相手の抱える闇を知った上での言葉だ。
その眼光は険しく、魂を貫き通さんばかりだ。対等の立場にいる者として相手を見つめている。
誰であろうと偽りなどとは言わせない――そんな気迫に満ちている。
182 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 08:08:40 ID:y/Fk50Om
ルイズが顔を上げ、涙に濡れた目で睨んだ。
「あんたはバカよ。大バカよ! わたしも行くのに先走っちゃって」
「ルイズ!?」
「え?」
ワルドが目を見開いて叫んだ。
ミストバーンも虚をつかれ目を丸くした。
ただの人間が――それも肉体の脆弱な少女が、弱肉強食の則の支配する魔界に行くなど自殺行為だ。
ワルドが何か言おうとするより先に、照れたように微笑む。
「ねえワルド、新婚旅行の行き先は魔界でいいかしら?」
共に行くことが前提だと知ったワルドの顔に理解と納得、歓喜が浮かび上がる。彼は実に紳士的に一礼した。
「もちろんさルイズ。休暇届も出していたからちょうどいい」
さらに、ウェールズが悪戯を思いついたように笑いながら手を広げた。
「異文化交流や異国視察は後の戦いに役立つだろう。二人の邪魔などという野暮なことをするつもりはないゆえ、同行させてくれまいか」
ルイズとワルドは歓迎するように頷いた。異文化や異国どころではなく異種族かつ異世界なのだが、指摘することはない。
「血迷ったか! 危険が待ち受けているというのに……っ! お前たちにはバーン様のために戦う理由は無いだろう!」
「危険そのもののあんたに言われたくないわよ。大魔王のために戦う気なんてさらさらないわ」
「ならば何のために……!?」
「あんたの――あんたの作った手料理が食べたいもの。あんたを召喚した意味がゼロじゃないって証明したいだけ」
恥ずかしいことを言っていると彼女は自覚していない。
ルイズを守るようにすぐ傍に立ち、ワルドが告げる。
「言ったはずだ。大切な者を守るために力が欲しいと。魔界に君臨する大魔王の力――この目で見なければ気が済まない」
黒の核晶爆破直前に味わった無力感は心に深く刻み込まれている。
もっと強くなりたい。信念を抱くならばそれを貫き通すための力が必要だ。
あの時感じた衝動が、彼を駆り立てる。
一同の中では最も常識的なウェールズも同意するように頷いている。
「憎悪しか抱いていないと思われたままでは納得いかぬ。このまま立ち去るなど貴族にあるまじき行為だ」
ミストバーンへの態度を命がけで救出することによって償ったとしても、ルイズを傷つけたという負い目が残っている。
何より、彼女に心を救われた恩義を感じている。
そのため力になろうとしているのだ。
ハルケギニアに戻ってきた時、彼が本当に出発することとなる。
183 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 08:11:54 ID:y/Fk50Om
呆然とする彼の口から言葉が転がり落ちた。
「魔界を甘く見て――」
「そっちこそハルケギニアなめんじゃないわよ。あんたが不死身なら……わたしだって不死身なんだからっ!」
勢いよく叫んだルイズに彼はすっかり動転している。
「な……何故そうなる……!?」
フーケと戦った時、人間が脆弱であることを肯定したというのに。
そこでワルドが胸を張り、白い歯を輝かせながら微笑んだ。
「一人では弱くとも、誰かと共に在ることで強くなれる。……ということで、僕は君の微笑さえあればいくらでも不死身さ! ミ・レィディ」
「ひとまず落ち着きたまえ。子爵」
鼻息荒く目を輝かせながら宣言したワルドにウェールズが苦笑した。
(うう……っ!)
長年の間沈黙を命じられてきた彼が、弾丸のような勢いで言葉を叩きつけてくる相手に口で勝てるはずがない。
予期も理解もできぬ言動を繰り出す三人に彼は何と言えばいいのか分からなかったが、ルイズがビシッと指を突きつける。
「早くしないと扉が消えるわよ。……ダメって言うなら別にいいわ。今のあんたなら――この通り!」
「あっ?」
細い腕で、思いきり押す。
体勢をわずかに崩した彼をウェールズとワルドが絶妙の連係で扉の中へ突き飛ばした。
吸い込まれた彼を追って、彼女はためらいなく飛び込んだ。衣の袖を引っ張り、手を掴む。
「あんたはさっき“一人”って言ったけど、メイジは召喚した相手と一心同体なのよ」
信じられないというように目を瞬かせた彼に眼をギラリと光らせて言い放つ。
「知らなかったの? わたしからは逃げられない……!」
彼が一人で行こうとするならば、追いかけるだけだ。自分の存在を認めさせるために、何度でも。
残った二人も頷きあって同時に飛び込む。光が弾け、思わず瞼を閉ざした。
硬い感触に襲われたため目を開くと、彩りに乏しい荒涼とした大地が広がっていた。
黒雲に閉ざされた空、煮えたぎるマグマが不毛の世界だということを実感させる。
「後悔しても知らんぞ……」
呆れたような力の無い呟きにウェールズが不敵な笑みを浮かべた。
「しないさ」
ワルドがルイズの服についた埃を払い、すぐそばに立つ。
「さて、まずは大魔王の居城に行かねばな」
傷が塞がり表情にも生気が満ちている。扉をくぐる際に精神力や体力がわずかに回復したのかもしれない。
ルイズが笑い、ミストバーンの隣に立った。
「わたし、ずっと“ゼロ”って呼ばれてきたのよね。……近いと思わない?」
ゼロのルイズと一人のミストバーン。
ゼロと一。
隣り合う存在。
彼女は自分の道を進んでいくつもりだ。
今はまだ力が足りないが、いつか肩を並べることができるように。
184 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 08:13:04 ID:y/Fk50Om
「今のわたしが“ゼロ”じゃないなら……あんたも“一”じゃなくなるかもしれないわね?」
彼はふと疑問に思った。
もし自分の正体を知ったとしたら、ルイズ達は――そして、キルバーンは嘲るだろうか、と。
彼にとってのキルバーンは仮面をかぶった陽気な死神であり、ピロロではない。
友情が本物だったのか結論はまだ出ないが、いつか答えが分かる日が来るのだろうか。
先ほどのルイズの言葉が蘇る。
『あんたを召喚した意味がゼロじゃないって証明したいだけ』
おそらく、答えはこれから見つけるしかない。
彼の内心を見透かしたかのように、ルイズから言葉が届いた。
「そういえば……前思ったわ。あんたたちは、お互いに鏡みたいなものなんじゃないかって」
反対かつよく似ている――対称的な存在。
今までの、そしておそらくこれからも彼の在り方を映し出すもの。キルバーンの方も同じかもしれない。
だとすれば、倒して全てが消えるわけではない。
対極の立場でも共感を覚えたならば、相手の像を残したまま進んでいくことになる。
鏡像(ゼロ)と自身(一)。
互いにゼロであると同時に一でもある、とても近い存在。
全てを受け入れたわけではないが、知った以上は向き合うだけだ。
行動しようとせず、何も知らないまま過ごすことも――認めたくないものから目をそむけ、遠ざけることも――主が嫌う行為だろうから。
胸の中で主の名を呼ぶ。
すると、それに応える声が聞こえた。
『ちょうどよいところに戻ってきた。つい先ほど面白いことが起こったばかりだ』
その声をルイズ達も聞き、一斉に彼に視線を向けた。
(ああ――)
力が湧き上がるのを感じる。消えかけていた炎がたちまち激しく燃え上がる。
『早速働いてもらうぞ。お前の力が必要なのだ……ミストバーンよ』
目が輝き、全身から放たれる空気が変わる。力に満ちたそれへと。
「仰せのままに。バーン様」
黒い霧の下、久しぶりにわずかに笑みを浮かべた彼にルイズも微笑んだ。
「“べほま”かけられたような顔しちゃって。やっぱり不死身――」
「大魔王様のお言葉はすべてに優先する……!」
湧き立つ闘志が痛みを忘れさせる。
戦いしか知らぬ存在ならば、心が折れぬ限り戦うだけだ。何度でも、何度でも、主のために。
185 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 08:16:08 ID:y/Fk50Om
彼らの様子を見たウェールズが苦笑し、杖を抜く。
「そこまでにしておきたまえ。ここは歓談するのに相応しい場所ではないようだ」
風の刃が飛び、敵を切り裂く。ミストバーンも爪を伸ばし剣を作る。
いつの間にか周囲には見たこともない魔物の集団が現れていた。倒さなければ大魔王の居城へは戻れない。
魔物たちを睥睨し、ワルドがひげをなでた。傍らに立つミストバーンに呼びかけるように言葉を紡ぐ。
「まったく……可愛いルイズや君と一緒にいると、楽しくてたまらないな! どんな敵にも立ち向かう勇気が湧くのだから!」
ルイズを守るための戦いがさらに厳しいものになると知っていながら、彼は高らかに笑った。
昔、大切な家族を喪い一人だと絶望した。だが、ルイズによって孤独(ゼロ)の影は払われ、前に進めるようになった。
ウェールズも一度は自分を見失いゼロになったが、己を取り戻し一人の人間として再生を果たした。
ゼロから一へ。
彼らを見てルイズは世界扉の呪文を詠唱した時の様子を思い返した。
『始祖の祈祷書』のページをめくった時にほんのわずかな間、別のページが光り、書いてあった呪文の “天候”という部分だけが見えた。
暗くよどんだ魔界の空を見上げる。
この黒雲をも晴らすことができるのだろうか。
そんなことは不可能としか思えないが――。
(こいつとわたしなら――)
大魔王の腹心の部下と、伝説の『虚無』の使い手ならば。
『閃光』の二つ名を持つ風のスクウェアクラスのメイジに、アルビオン王国皇太子もいるのだ。
杖を構え、叫ぶ。桃色の髪が風になびいて逆立った。
「さあ、行くわよっ!」
ルイズが“ゼロ”ではないと証明できたのか。
ミストバーンは“一”ではないと感じることができたのか。
彼らが魔界でどんな光景を見、どんな影響を与えたのか。
召喚した少女。
彼女を愛する男。
後に男からレコン・キスタの情報を入手し、戦いに身を捧げた青年。
そして、魔界を照らす太陽が答えを知っている――。
ゼロの影〜The Other Story〜
『ゼロと一の物語』
完
186 :
ゼロの影:2009/01/12(月) 08:18:10 ID:y/Fk50Om
以上です。
『ゼロの影』に登場する人物は慰めたり励ましたりするより、煽ったり挑発したりする方が得意なようです。
魔界でイチャつかれても困るので、新婚旅行と言ってもベタベタはしません。
もう少し希望あふれる結末(特にミストバーン)にしたかったのですが、この話の中ではこれが精一杯でした。
もしかすると、キャッキャウフフをほんの少し含んでいなくもないアホなノリの番外編を投下するかもしれません。
ワルドが変態紳士というより紳士な変態になりそうですが。
今までお読みくださりありがとうございました。
影の人お疲れさまでした!
ルイズがマァムやヒュンケルやバーン様が乗り移ったかのような言動してるのが
とにかく燃えました!
ほんとルイズとミスト、虚無とかゼロとかベクトルが似てるな〜
運命の出会いとはこのことか。
数パターンの話を全部見てきましたが、どれもGJ!
宮殿に戻ると、そこには元気に手を振るキルバーン(予備)の姿が!
だと嫌だな
ミストバーンと違って、バーン様は毎回おいしいところを持っていくお方だ
> 宮殿に戻ると、そこには元気に手を振るキルバーン(予備)の姿が!
キル「もう暗殺なんてしないよ」
>死神は、最後まで死神らしく振舞った。
原作でミストバーンが「らしい」最期だったらなあ
ゴメちゃん、小物臭のしないミストの最期が見たいです…
キルバーンは種明かしせずにこっそり黒の核晶を爆発させてりゃよかったのに…といつも思う。
絶望的な状況でどうしょうも無い無力感の中で使うのが良いじゃまいか
実際、自殺してこういって命令だから、趣味に走らないとやってらせれないだろーし
ルイズが燃え担当だとすると、萌えの欠片も見当たらないな
まあミストバーン召喚で求めるのは間違ってるか
>「知らなかったの? わたしからは逃げられない……!」
ルイズのこのセリフはゾクゾクするね。
番外編、期待しています。
ゼロ魔と比べるとメインキャラが強いダイ大とのクロスオーバーの場合、Tueee・蹂躙と思う境界線ってどこにあるんだろう?
個人差があるだろうけど何となく気になった
単なる引き立て役になっていないか、そのキャラらしさが出ているかが重要なのかな
196 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/17(土) 20:21:13 ID:C9PdQdgb
>>192 キルバーンって本体魔界って噂がある
ピロロは人形が壊れた時のための補佐って話も
>195
キャラクター性無視して対人戦闘全力でやらせるとかそういうの最悪最低
198 :
ゼロの影:2009/01/18(日) 08:43:28 ID:z7vbeaeb
8:50頃アホなノリの番外編を投下します。
支援!
200 :
ゼロの影:2009/01/18(日) 08:50:56 ID:z7vbeaeb
番外編〜我が胸で泣け〜
ことの発端はミストバーンが原因でルイズが盛大に泣き出したことから始まる。
白い衣を掴み涙と鼻水を全力で垂れ流す彼女の姿にワルドは非常に心を痛め、ウェールズは途方に暮れていた。
ミストバーンは風の音のように泣き声を聞き流しているように見えるが、よく観察するとわずかに困った様子を見せている。
魔宮の廊下に人間の少女の慟哭が響くなど本来ありえない。
通りすがりの魔族達はそろって興味をそそられたように立ち止まる。
冷酷な男と可憐な少女という珍しい組み合わせ――それも前者は立ち尽くし、後者は涙しているのだ――に皆思わずにやにや笑いかけ、慌てて立ち去っていく。
泣き止まない彼女に、どこにそれほどの水分があるのか探るような視線を向けると、しゃくりあげながら答えた。
「あんたの分まで流してんの!」
「鼻水もか?」
素朴な疑問にルイズは眼をきっと吊り上げて叫んだ。
「……ええそうよ!」
ますます衣を握る手に力を込め、激しく泣きじゃくる彼女を当人は扱いかねている。
これが敵ならば声どころか生命活動をもすぐさま止めるのだが、強大な力を持つ一方で自分にすがりついて泣く少女など初めてなのだ。
主はルイズに協力するよう命じており、ひ弱な相手にあまり手荒な真似はできない。
「あんたなんかぷるぷるのスライムになっちゃえばいいのよ!」
常ならば感情のままに言葉を吐き出す彼女をなだめ、止めるのはワルドやウェールズの役目だ。
だが、今回は原因がミストバーンにあるため本人に任せるつもりのようだ。
対処を求めるようにちらりと目を向けた彼に、ワルドが冷厳たる口調で宣告する。
「君が泣き止ませたまえ」
続いてウェールズを見るが、やはり首を横に振る。弁護するつもりは無いらしい。
「言っておくが、手刀で気絶させたり闘魔傀儡掌で無理に口を閉ざすのは認めん」
先手を打たれ、彼は動かしかけた手を止めた。
「どうすればよいのだ……?」
「幾千幾万の敵に立ち向かう力を持ちながら、そんなことも知らぬのか。“大魔王の腹心の部下”の名が泣くぞ」
そう言われると後には引けない。
ウェールズは「“大魔王の腹心の部下”だからこそ知らないのでは?」と思ったが、黙っていた。励ますように拳を上げてみせる。
己のプライドを傷つけられたミストバーンは冷静に記憶をたどった。
ハルケギニアから立ち去ろうとした時、ルイズはやはり泣き出した。
確か、ワルドの対応は――。
201 :
ゼロの影:2009/01/18(日) 08:54:27 ID:z7vbeaeb
「あんたなんか――え?」
弾丸のような勢いで放たれていた言葉が途切れた。
銀色に鈍く煌めく手が、桃色の髪をそっと撫でたためだ。まるで壊れやすいガラス細工に触れるように慎重に、ゆっくりと。
ぎこちない手つきに、見守っていた二人は応援したい心持になった。
「な、何、何よ」
まだ涙も言葉も止まっていないが、先ほどまでの勢いは無い。
(頑張れ! もう少しだ!)
ようやく人間らしい心が芽生えようとしているのかもしれない。
だとすれば、歴史に残る記念すべき第一歩だ。
今目の前で、奇跡が起ころうとしている。
心温まる光景に表情を緩めかけた二人は、次の瞬間凍りついた。
片手を頭に乗せたまま、ミストバーンはもう片方の手を少女の口の中に素早く突っ込んだのである。
「へあ?」
ルイズの目が丸くなり、涙と言葉が完全に止まった。
固まった空気の中、泣き止ませることに成功した彼は二人に視線を向け、どうやら己の行動が間違っていたらしいと気づいてかすかに首をかしげた。
暗黒闘気を使ってはいないし、実力行使で意識を刈り取る真似もしていない。効率的かつ穏やかに黙らせることができた。
それなのに、二人は口をぽかんと開けている。
「もが! もがが!」
ルイズの抗議の声に、止まっていた時が動き出した。
息が止まるほど深く突っ込まれたわけでも口内を怪我するほど乱暴だったわけでもない。むしろ、普段の態度から考えれば優しいとさえ言える。
それでも不快なことに変わりないため手を動かして抜こうとする。
少女の助けを求める目にウェールズは我に帰り、言葉を探しながら呼びかけた。
「あー、その……仲間の――それも女性の口に手を入れるのは礼を失した行為だ。敬意を払うに値する相手にすべきではない」
何故自分がこんなことを説明しなければならないのか、そもそも答えはこれで合っているのか疑問に思いながらウェールズが告げると、彼は手を抜き出した。
(期待した僕が間違っていた)
咳きこむルイズにウェールズが慌てて駆け寄り、背中をさすったり空気中の水分を集めてうがいをさせたりする。
少し落ち着いたルイズは涙目になりながら顔を上げ、睨みつけた。
「……同じ目に遭わせてやりたいわ」
白く美しい手を上げて呟いた彼女はワルドに顔を向けた。
真っ先に抗議するはずの彼が何故黙っているのか。
自分の夫の姿を見たルイズは息を呑んだ。
ワルドは身を震わせている。その目に燃えているのは――漆黒の激怒。
202 :
ゼロの影:2009/01/18(日) 08:58:46 ID:z7vbeaeb
「ルイズ。君の細く華奢な指ではいけないよ。代わりに僕の杖を彼の口に突っ込む」
声は歯の隙間から絞り出されるようだった。軋むような呻きとともに杖を構える。
「そこから『エア・ニードル』と『エア・スピアー』、『エア・ハンマー』に『ウィンド・ブレイク』を叩きこむ。もちろん『ライトニング・クラウド』もだ。かまわないね?」
淡々と呟く彼の姿に、一気に頭が冷えたルイズがしがみつくようにして止める。
今の彼ならば、たとえ大魔王バーンだろうと封印を解除したミストバーンだろうと『烈風』カリンだろうと単身挑むに違いない。
一人でヘクサゴン・スペルを唱えかねない勢いだ。
「ワルド落ち着いて! あいつちゃんと加減してたわ! たぶん消毒されてるから汚くもないはずよ! お願いやめてッ!!」
「悪意があったわけではない! こちらの価値観を全て当てはめるのは無理な話だろう!」
ウェールズも必死に制止するが、ワルドの怒りは収まらない。
「許せるものか! それで済むならば竜の騎士は存在せん! ……あの世でルイズに詫び続けろミストバーンッ!!」
憎しみに染まった絶叫とともに襲いかかったワルド――遍在達も出現している――をミストバーンも迎え撃つ。
鍛錬の成果を確認するため暗黒闘気の技は使わないつもりらしい。
ルイズは戦闘の途中から状況についていけず放心状態になり、ウェールズは彼女を庇っていた。
その目には共感が浮かんでいる。
お互い苦労するね、と言いたげな。
宮殿のあちこちが破壊された後で暴走がおさまり、ミストバーンはワルドに不思議そうに尋ねた。
お前ならば先ほどはどうするのか、と。
するとワルドはよくぞ訊いてくれたと言わんばかりに胸を張り、涙を流しているルイズに歩み寄った。
「刮目せよ」
重々しく呟いてから優しく桃色の髪に触れ、少女の体をふわりと抱きしめる。最後に彼は唇を重ねた。
三種の行動をほぼ同時に連続して行う動作はごく自然で隙が無い。
それを受けた少女は涙や言葉の威力を殺され、何が起こったのかも分からずに行動不能に陥ってしまう。
三つの動作を一瞬で行うワルドの編み出した秘奥義――恐るべき技だ。
「あ……あれを身につけねばならぬのか?」
傍らに立っているウェールズが引きつった顔と疲れた声で答える。
「いや。君はそのままでいい。ありのままの君がいいんだ」
あんな技を会得されても困る、憎悪を剥き出しにして本気で殺しに来る方がいくらか気が楽だ――内心の呟きを押し殺したウェールズはルイズを見た。
彼女は何をされたのか理解できないようにしばらく呆然としていたが、やがて顔を真っ赤にして床に倒れこんだ。
「ひ、ひひひ、人前で、キ、キ、キスキス」
頭を抱え、そのままのたうち回る。
実感が湧かないとはいえ夫婦なのだから覚悟はしていたつもりだったが、まさかミストバーンやウェールズの見ている前でされるとは思っていなかった。
203 :
ゼロの影:2009/01/18(日) 09:00:26 ID:z7vbeaeb
恥ずかしさのあまり見悶えして床を転げ回る彼女とは対照的に、ワルドは爽やかな笑みを浮かべている。
「恥ずかしがる必要はないさ、ルイズ。僕たちは夫婦なのだよ? これから幸せな家庭を築くんだ。そうそう、家の規模だが――」
ワルドは目を輝かせて理想の未来について滔々と語り始めた。
今まで言葉をかけるだけで特に何も出来なかったのだが、思わぬ好機が巡ってきて接吻できた。そのため理性の箍が見事に弾け飛んだらしい。
「子供は……そうだな。まず君のように可愛い娘が絶対欲しい!」
ルイズが足をばたつかせ、絞め殺される寸前のような叫び声を上げた。
彼女の願いもむなしくワルドは幸せ家族計画を延々と語り続ける。
ちなみに、ワルドは後に羞恥のあまり死にそうになった彼女から散々な言われようをされることになる。
いわく、“歩く煩悩”、“風系統のくせに空気読めない”などなど。
とどめに「閃光のようにさっさと燃え尽きちゃえばいいのに」と呟かれ大ダメージを受けることとなったらしい。
防衛本能に従い適当に聞き流していたウェールズは、ミストバーンの呟きによって現実に引き戻された。
「どのような兵士が誕生するのか……」
「兵士?」
彼の言うとおり、貴族の子弟なのだから闘う術を身につけるだろう。
だが、言い方に引っ掛かるものを覚えたため訊き返すと、よくわかっていないような声で答えが返ってきた。
「子供は禁呪法のようなもので生み出すのだろう?」
「……は?」
ウェールズは魔界に来て得た知識を掘り起こし、探り出した。
禁呪法とは物質に意思と人の形を与える禁断の呪法である。生み出された生命体は術者の精神が反映されるため、子供と言えなくも無いのだが――。
(どうしてそんな……。誰かから誤った知識を吹き込まれたのか?)
数千年生きているわりに妙に純真なところがあるため、適当な情報をそのまま信じてしまったのかもしれない。
「違うのか。禁呪法とよく似ていると聞いたのだが」
頭痛をこらえ、溜息とともに答える。
「君は勘違いしているよ」
「む……。ならば教えてくれ」
ウェールズはまじまじと相手の顔を眺めた。
冗談を言っているわけではないようだ。
書物で見たり魔族から聞いたりした経験があるはずだが、ズレた知識の上に情報が重ねられ、正しい方向からわずかにそれてしまったのだろう。
あるいは、知識が正しくても実感を伴っていないのかもしれない。
これほど無邪気で答えにくい質問をされたのは初めてだ。
上手い答えはないかと頭を回転させ、知識を総動員する。
204 :
ゼロの影:2009/01/18(日) 09:02:11 ID:z7vbeaeb
「マ、マザードラゴンが運んでくるのでは?」
「それは竜の騎士に限ると聞いている。……どうした。顔が赤いぞ」
指摘されたウェールズは顔を逸らして視線から逃れようとした。
(竜の騎士について知っていながら……戦いに関する知識だからだろうか?)
その予想は当たっていた。
竜の騎士は確実に主の敵となり得る存在であり、いずれ戦うことになるはずの相手――神々の造りし最強の戦闘生物だ。
だからこそ、情報を収集し正しく理解するよう努めていた。
返答に窮したウェールズは助けを求めるようにルイズを見るが、ワルドの言葉によってツッコむどころではない状況だ。
いっそのことレコン・キスタの軍勢に一人で突撃した方がマシだと思いながらウェールズは考えた。
そして、答えた。
「君の主に訊きたまえ。僕には説明できない」
素直に頷いたミストバーンの顔を見ないようにしながら、ウェールズは深い深い溜息を吐いた。
そのままワルドとルイズのやりとりをぼんやり見つめていたウェールズに再び声がかけられた。
「ウェールズ」
「……何だい?」
まだ何かあるのか。
ついそう思ってしまった彼を責めるのは酷というものだろう。
嫌な予感を噛みしめながら先を促すと、どこまでも真面目かつまっすぐに尋ねられた。
「“レモンちゃん”とは何だ?」
ウェールズが改めてワルドの言葉に意識を向けると、先ほどからルイズに向かって何度もそう言っているようだ。
痛恨の一撃をくらい続けている彼女は顔を赤く染めながら床に頭をガンガンぶつけている。
ウェールズは、今度は正直に答えた。
「わからない。後で僕も訊いてみるよ、君の主に」
ワルドに訊くのは憚られる。ルイズに訊くのも気の毒だ。ならば博識な第三者に尋ねてみるのがいいと判断したのだ。
――二人の質問に大魔王が何と答えたのか、知る者は数少ない。
205 :
ゼロの影:2009/01/18(日) 09:05:17 ID:z7vbeaeb
おまけ
一時は落ち着いた魔界の情勢
――宮殿にて起こる騒動
「魔界のほれ薬は長く効く。そのままでは一生解けんぞ」
「そんなのイヤーッ!」
――初めての手料理
「ど……どうだ……?」
「とても美味しいよ。君の主も喜ぶと思う」
「確かに美味しいけど! 間違ってるわこんなの!」
「泣くのはおやめ、僕のルイズ。君の手料理ならばもっと嬉しいんだが」
――忠告
「いいかい、最大限の敬愛と忠誠心を示すには“主”ではなく“ご主人様”と呼ばなければならないんだ。この書物にもそう書いてある」
「わ、私は今までなんという失態を……ッ!」
「そんな呼び方しなくても十分伝わってるから! ああもう何でわたしがフォローしなくちゃなんないのっ!?」
――忠勤
「給料をもらっていないのかい!?」
「?」
しかし不穏な影が忍び寄る
――疑惑
「強くなれない? 君が?」
――告白
「僕は『レコン・キスタ』の一員――アルビオンを滅ぼした組織に属していた」
――ウェールズの決意
「この力の使い方を教えてほしい」
――正義の光
「光の闘気!?」
――破られる力
「闘魔傀儡掌……!」
「その程度の技が通じるとでも?」
――世界扉(ワールド・ドア)
「乗り込むことも可能、というわけだな」
「でも……!」
206 :
ゼロの影:2009/01/18(日) 09:07:26 ID:z7vbeaeb
やがて訪れる闘いの時
――解放
「それが君の……?」
――陥穽
(お前の言葉は正しかった)
――ワルドの覚悟
「前にも言った。僕が守ると!」
――対…
「お前は……!」
――覇気
「久しいな。この感覚は」
(なんて楽しそうなの)
――戦う者
「生まれ持った姿や力に葛藤し、這い上がろうとする者を……虫ケラとは呼ばぬ。譲れぬもののために立ち上がり戦う者を……虫ケラとは呼ばぬ!」
――利用
「フッ……ハハッ……! そうだ……お前は私の道具だ。武器だ」
「そう、か」
――竜と魔が相見える時
「大魔王ともあろう者が、何たるザマだ」
「宴に遅れて到着したお前に言われるとは……。道にでも迷ったか?」
――共闘〜影と……〜
「大魔王様のお言葉は――」
「すべてに優先する、でしょ?」
――もう一つの共闘〜竜魔……〜
「「焼き尽くすのみ!!」」
――ルイズの決断
「あんたのせいよ!」
――太陽を我が胸に
「極大天候呪文(ラナルータ)」
――“最高の表情”
「私は……必要とされなくなってしまった……」
(……泣いているのか?)
「やれ」
「……嫌よ」
一からゼロへ。
Lv.0へ。
そして、真の一人へ。
『天 魔 鳴 動』
207 :
ゼロの影:2009/01/18(日) 09:11:26 ID:z7vbeaeb
以上です。
一番の常識人はウェールズで確定したようです。
ミストバーンはラブコメに向いてないんじゃないかと今更ながら思いました。
モテるミストバーンなんて、きれいなザボエラ以上に想像できません。
おまけは思い浮かんだ台詞・場面を予告風に並べたものです。
彼らのその後を想像していただければ幸いです。
自分でも考えてみましたが、
○こちらに投下させていただくには不適切と思われる内容であること
○バランスが偏らないような状況や敵を考えなければならないこと
○「完結させられる」と言える段階ではないこと
などから、ひとまず終わりとさせていただきます。
今までおつきあいくださりありがとうございました!
異文化コミュニケーション…って感じだなミスト
ルイズが燃えを担っている代わりにミストが萌えを引き受けているのですね、いちいち天然な発言がたまらんです
ダイの大冒険の中でもトップクラスに強くて、死ねと命令するくらい冷酷なミストバーンが…
もしヒュンケルやハドラーが目撃したらどんなリアクションするのか
スレに投下できないのなら、自分のサイトかどこかで公開するのはどうでしょう?
>>164 リンク先を確認してきたけど、これは酷いな……。
ダイが俺Tueeeeするだけならば、偶にはそんな話があってもいいよなと擁護する余地があるけど、
地の文や会話までそっくりそのまま「ベイダー卿が〜」の丸パクリという酷い有様でした。
そのくせ作者は「学校が忙しいので不定期更新です」と自分がさも創作活動をしているかのごとき言動。
お前のやっているのは8割方コピペで、自分で考えた文章のほうが圧倒的に少ないだろーがよ……。
読者は読者でパクリと指摘されれば「原作ベースなんだから仕方がない」とか信じられない開き直りっぷり。
そのベースになっている部分が原作になくてベイダー卿にだけある意味を少し考えた方がいいと思うわ。
いや、どーでもいいから。
何日前の話だよ。
他のキャラ、特に悪役だったらまだわかるけどよりによってダイで俺Tueeeしなくても…
キャラ改変と改悪の違いがよくわからない
バーンがいきなり「力では何も解決しない」と言いだしてハルケギニアの人々に優しくしたり
ダイがホイホイ竜魔人化して人間相手にガンガンドルオーラぶちかまして殺したらそりゃアウトなんだろうけど
ネトオチ板じゃないからそういう話は控えて貰いたい
両作品にとって納得できる理由さえちゃんと書かれていればバーン様がいきなり優しくなっても自分は許せるw
本来交わらない世界同士が交わってありえない天界が起きるのもクロスの醍醐味ってもんだろうし
バーン様が関わっている話で「天界」となると、誤変換なのか分からなくなるなw
幻の第二部だか第三部だっけ?
俺Tueeeじゃないダイやポップ召喚なんてあり得るのか?と思ってしまった
強いキャラがいるからTueeeeじゃないんだぞ
キャラクター性とか完全に無視して兎に角強さを誇示して暴れさせて無茶するからそう言われるだけ
>>218 > 後のコンビニでの安価版コミックスでのインタビューによるとバーンを倒した後も作品が続いていた場合、
> 5年後の世界で竜騎将として新生竜騎衆(ラーハルト、クロコダイン、新キャラクター)を率いて魔界で戦いを繰り広げる予定であったという。
これが大二部だろうから、この後に大三部の天界編があるのかな。
あの先におっさんの時代が来る予定だったのか…
「俺の大好きな○○がハルケギニアで最強化!」ってのがあまりにも露骨で、性格無視して暴れるのは嫌だな
ダイとかポップだと特に
そういうのじゃなくて王道なダイ召喚が読んでみたい
ひねりの効かない正当派ヒーローって結局は元作品からして最強キャラだから、
TUEEEの法則自体は免れないんだよな。
大事なのはそれを嫌みにさせない話運びって事だな。
そりゃただ強いだけで特別にTUEEEとか変な言葉使う必要も無い何千年も前から繰り返されてるただの王道
本来変な言葉使う必要なくても、区別されずに使われちゃうのが今の世の中。
ケチの付け方だけは延々と発展し続けるからな。
ダイの「こんなものが正義であってたまるかっ!」というセリフと涙が重いんだよな…
「おまえを倒してこの地上を去る」とか「さよなら…大魔王バーン」とか
悪い奴ぶちのめして終わり、で片づけないのがダイの魅力だと思う
ポップが召喚されたらダイやマトリフの例があるから慎重に立ち回りそうだ
ギーシュとの決闘でいきなり魔法全開でフルボッコなんてこともしないだろうし
>>227 成長後だと不用意に鏡に入る事じたいしそーにないからなー
逆に成長前のお調子者時代(登場したてダイに会う前)ならわりとあっさり入りそうだったりするがw
何故か、二次創作のポップって別人になってるか、(精神的に)全然成長してないのばっかりなんですよね
凄い勢いで成長したキャラだから、数年先がどうなってるか想像が分かれるんだろうね
二次創作のポップってU−1化してるポップしか見た事ねーわ
破邪の洞窟制覇してありとあらゆる呪文マスターして戦士系並に接近戦強くて
なんかとんでもねー使い魔がいてやたら可愛い人外キャラにモテモテでハーレム形成してるような
それなんて火水?
>>230 そしてなんか人類に絶望してたりするんですね、わかります
>>230 途中からYOKOSHIMAが入ってないか?
マァムヘイトもあれば完璧だな。
なんか魔界に国を建てて
ひたすら人間ヘイトなやつを読んだ覚えがあるが
ポップが別人になるのが多いのは、共感しやすい分書き手が悪い意味で自己投影して
「ポップ(自分)は天才で高く評価されててカッコよくてモテモテでとにかくすごいんだぜー!」ってなるからかな?
ポップに限らず好きなキャラを活躍させたいってのは当たり前のことだけど、やりすぎると何かなあ…
やはり主人公にすべきは鍛冶屋のジャンク
あの人も王族嫌いだろ、多分
マルトーのオッサンみたいな感じで
流石にマルトーさんレベルまでは行かないと思うけど
ジャンクって凄い名前だよな、しかも鍛冶屋だ
むしろ影で文句言っているだけのマルトーよりも
気に入らない大臣ぶん殴ったジャンクの方が嫌ってるだろう。
ところで鍛冶屋なんて力がないとできないだろう仕事に就いてる奴に
殴られた大臣はその後、普通の生活はできているんだろうか……?
ファンタジー世界の大臣なんていざとなれば自分も前線に出張る人たちなんだから
丈夫にできてるんじゃね?
権威をかさに着るやつが嫌いなだけで、権力者が嫌いというわけじゃなさそうだったがな。
少なくとも、一時は応急にいた以上、権力というものの重要性やら意味は理解していると思うぞ。
でも結局ルイズがアウトじゃね?
少なくとも一巻のルイズやコルベールが。
>>243 一巻ルイズの状況
・貴族と言うのに魔法が使えないと言うコンプレックス
・大貴族で国内上位王族、宰相に続いて3指に入る事実上の貴族の頂点家系の三女、なのに学友に馬鹿にされ続ける
・召還に失敗したら留年、むしろ事実上は永遠に1年か自主退学が確実
こんだけ追い詰められた状況で、人間なんつー例が無いものを召還した上に
使い魔なら当然主を敬うものなのに反抗的=一般的な使い魔以下な状況だと
むしろ、ルイズの態度は穏当な気がすると思われ、一巻のサイトの態度はあんまりと言えばあんまりだし
アホな主人公にアホの子のヒロインでバランスとってた流れだから
どっちもどっちの印象になってて軽いけど、それこそ両者の状況持ち出したら
後で仲良くなれたのが不思議な程度には不穏当だと思うが。
ダイならわりとあっさり状況を受け入れそうだ
>>246 初期ダイだと、サイトとどっこいのアホの子だから
割と良い感じのバランスにはなりそーだよね
ほとんど原作と流れが変わりそーにないのが問題だがw
皆様、あけましておめでとうございます(マテ
大変遅くなってしまいましたが虚無と獣王16話を23:30頃から投下します
虚無と獣王
16 フーケと獣王
小屋へと向かうルイズたちを視界の隅に納めつつ、キュルケは周囲を警戒していた。
「わたしはあちらの警戒に入ります」
ミス・ロングビルがそう言って小屋を挟んで反対側の森の方へ向かうのを見送り、近くで所在なさげにしている男子どもに指示を送る。
「四人ともボーッとしてないで周りに異常がないか見張ってなさいよ? あと単独行動はしない事」
ギーシュは肩をすくめて答える。
「まあ僕たちはどう頑張ってもドットだしね。無理はしないさ」
へえ、とキュルケは少しギーシュを見直すことにした。
これまでは『勇ましく戦場に突っ込んで行って真っ先に死ぬタイプ』と思っていたが、なかなかどうして自分の実力を客観視出来ているではないか(上から目線)。
「そもそも僕たちはピクニックに来ているんだ。天気もいいしこの辺りを散策するのも一興だと思わないか、同級生の諸君?」
話を振られた少年たちは、それぞれの顔を見合わせて答えた。
「そうだね。散策の途中でうっかり怪しげな人物を見つけてしまわないよう気をつけなきゃな、ギムリ」
「ああ、そんなのを見つけたら小心者の僕は驚きのあまり空に向かって火の魔法を唱えてしまいそうだ。マリコルヌはどう思う?」
「それじゃまるで狼煙を上げて怪しい人物の場所を教えているみたいじゃないか。ピクニックらしいとは言えないね」
おお、と感心したキュルケは4人に尋ねる。
「で? こんな作戦を考えたのは誰?」
「ボクが」「ボクです」「ボクに決まってるじゃないかね」
ギムリ、マリコルヌ、ギーシュが同時に手を挙げた。
その横で深々とため息をつくレイナールに、キュルケは同情の視線を向ける。
「色々大変そうねぇ」
「最近なんで自分がこんな事をって考える事が多くなった気はする……」
肩を落とすレイナールにギーシュが何か言おうとした瞬間、突然地面が揺れた。
「何!?」
咄嗟に周囲を見渡すキュルケたちの前で、小屋の反対側から巨大な土製ゴーレムがその姿を形作りつつあった。
「で、でででででて出た────ッ!?」
素っ頓狂な声を上げるギーシュを尻目に、キュルケは小屋の中に居る使い魔に警告を送る。
タバサとクロコダインは大丈夫だろうが、問題はルイズだ。
(あの娘も変なところでプライド高いし、下手に特攻なんてしないといいんだけど)
足引っ張ったりするんじゃないわよー、などと考えつつ彼女は素早く杖を抜き、フレイム・ボールの呪文を唱え始める。
自分の攻撃が通用しない事は昨夜の遭遇時に分かっていたが、この魔法はゴーレムを倒すためのものではない。
一旦こちら側に注意を向ける事で、小屋にいる偵察組が動きやすい様にする一手だ。
「アシストなんて柄じゃないけどッ」
キュルケの杖から炎の塊が生まれ、一直線にゴーレムへと向かう。
防御しようとするゴーレムの腕をかいくぐり、一度下へ走ったフレイム・ボールはキュルケの意に従い急激に跳ね上がってアッパー気味に土の巨人の頭部へ命中した。
豪快に炸裂はしたものの相手は生物では無い。人間で言えば顎に当たる部分が削れていたが、それもすぐに元通りになっていくのが見えた。
だが注意を引く事は出来た様で、ゴーレムは小屋を跨いでキュルケ達のいる方へ歩き始める。
小屋からクロコダインが臨戦態勢で出てくるのを確認し、キュルケは森へと走り出した。
男子4名はとうに広場と森の境目まで到達しており、こちらを手招きしている。
逃げ足の速さに感心するべきか、ちょっとは手伝えと憤るべきか、キュルケは場違いな悩みに襲われた。
あのデカブツはオレが相手をする。ルイズとタバサはそのまま森まで走れ」
クロコダインが背後の2人を見ないままそう言うが、返ってきたのは反論だった。
「そんな! 敵を前にして逃げろっていうの!?」
ルイズは魔法を爆発という形でしか発動させる事が出来ない。しかし、それ故に『貴族』としての矜持という物を大切にする。
問題はそれを大切にしすぎて視野が狭窄し、無謀な行動を取りやすくなるという点にあった。
自分の主が抗議の声を上げるのを聞いて、クロコダインはゴーレムから目を離さずまま苦笑を洩らす。
「なあルイズよ。オレたちは学院長からどんな任務を受けたか覚えているか? それはゴーレムを倒せという内容だったか?」
ルイズは己の使い魔からの質問に、自分が熱くなり過ぎていたのを自覚した。
「……そうね、確かにゴーレムを倒すという任務では無かったわ」
土くれのフーケを捕え、盗まれた秘宝を取り戻す。それが自分たちが志願した捜索隊の目的である。
目の前に現れた巨人を倒してもフーケに逃げられてしまっては意味がないのだった。
では、今するべきことは何か。
おそらくは森の中でゴーレムを操りながらこちらを窺っている怪盗を見つけ出す事だ。
ルイズはそれで納得したのだが、今度はタバサが違う角度から反論した。
「1人では危険。援護くらいはできる」
タバサは学院でも有数のトライアングルメイジであり、またシュバリエとして幾つかの任務をこなし死線をくぐっている。
故にゴーレムの力を甘く見ず、協力して対処した方がいいと考えていた。
「そ、そうよ! いくらクロコダインが強くてもあんな大きいの1人で相手するなんて!」
一旦は納得した筈のルイズまでタバサの意見に同意する。
「なに、足止めをするだけだ。幸い動きが機敏というわけでもなさそうだしな」
敢えて気楽な口調で返すクロコダインに、少女達は不安げな視線を送る。2人ともクロコダインの『全力』を見た事が無いのだから心配するのは無理もない話なのだが。
「さあ、議論している暇はないぞ。オレが心配なら早くフーケを探し出してくれ」
ここでクロコダインは振り向き、ニヤリと笑って言った。
「うかうかしているとギーシュやキュルケに先を越されるぞ」
確かに外で見張りをしていた彼らは既に森の中へと向かっている。
タバサはともかく、ルイズはツェルプストー家の者に先を越される訳にはいかなかった。以前と比べればキュルケへの印象は良くなっているが、それとこれとは話は別だ。
そしてギーシュに先を越されるのはルイズだけではなくタバサにとっても問題であった。それはもう、理屈ではなく感情的に。
ましてマリコルヌなどに出し抜かれた場合にはショックで立ち直れなくなる。
2人は顔を見合せて頷きあうと、森へと駈け出した。その後ろをフレイムがついていく。殿を守っているのだ。
同時にクロコダインはゴーレムへと向かっていく。その左手に刻まれたルーンが淡く光を放っているのに、誰もまだ気づいていなかった。
森の中に隠れつつ広場の様子を窺うにはどこが最も適しているだろうか。
レイナールはそんな事を考えつつ周囲を見渡した。
昨夜の様にフーケがゴーレムの上に乗っていないのは既に確認してある。
森の奥深くに入ってしまえば見つかる危険は少なくなるだろうが、同時に広場の様子が判らず即応性には欠けるだろう。
かといってあまり近くにいれば見つかる可能性が高くなる。仮にも怪盗と呼ばれる人間がそんな危険を冒すとは考えにくい。
ちらりと広場の方を窺うと、ゴーレムに真っ向勝負を挑んでいるように見えるクロコダインの姿があった。
(急がないと)
同時に2つの魔法が使えない以上、ゴーレムを操っている限りフーケはこちらに攻撃できない筈だ。
逆に言えば、自分達が安全にフーケを捜索できるのは怪盗がゴーレムを操っている間に限られるのである。
自分がただのドットメイジに過ぎない事を充分に自覚しているレイナールは、それだけに無理をしようとは考えていなかった。
ただ、先程自分たちとは反対側の森へ駈け込んでいったルイズが真っ先にフーケ捜索隊に名乗り出た時は驚いたし、正直出遅れたとも思う。
つまらないプライドだとは思うが貴族として、それ以前に男としてそのまま見ているだけという訳にはいかなかった。
それは多分、ピクニックと称してついてきた仲間たち全員に言える事だろうとレイナールは思っている。
その仲間たちは木の根っこに足を取られて転んだり、咲いていた野薔薇を見て美しいと呟いたり、手当たり次第にディテクト・マジックをかけようとしてキュルケにツッコまれたりしていたが。
本日何度目かわからないため息の後、レイナールは考える。メイジとしての実力が足りない以上、使うべきなのは頭脳。仲間が微妙に当てにならないならばなおさらだ。
(もしぼくが土くれのフーケなら、どこに隠れる? ゴーレムを使いながら追手から姿を隠すには──)
生い茂る名も知らぬ草花、倒木とその下から顔を出す若芽、真っ直ぐに天に向かって延びる木々。
下から上へ視線をずらしていきながら、レイナールはある可能性に気がついた。
「ツェルプストー、ちょっといいか?」
キュルケを小声で呼んだ理由はたまたま近くにいたからである。決して他の3人が頼りなかったわけではない。
心中でそんな言い訳をしつつレイナールは自分の考えを彼女に告げた。
「ひょっとしたら、フーケは木の上に身を隠しているのかもしれない」
一瞬の間を置いてキュルケが答える。
「──あり得るわね。向こうもあたしたちが捜してるのは把握してるでしょうし」
「問題はどうやってその場所を特定するか、なんだ。自分で言っておいてなんだけど、ただ木の上というだけじゃ見つけようがない」
なんといってもここは森の中である。身を隠せそうな大木は数え切れないほどあった。
「タバサたちと合流しましょう。あのコの風竜は目がいいの」
「いや、そりゃ視力はいいだろうけどここは草原じゃないんだ。いくら空から見たって」
困惑気味に否定するレイナールの口に人差し指を当てて、キュルケは嫣然と微笑んだ。
「もちろん、考えがあるのよ」
レイナールの予想通り、フーケは大木の枝に身を潜めていた。
(全く忌々しいねっ、何だいあの使い魔は!)
彼女が当初考えていた作戦では、ゴーレムを何人かの学生に攻撃させた上でわざと崩壊させ、構成していた土で相手の足を埋めて『錬金』し拘束するというものだった。
ところが学生たちはあっという間に森に逃げ込んでしまい、ろくに近づいてこない。
一旦は後を追いかけようとしたのだがこちらは30メイルもの巨体である。森の中を動き回るにはとことん向いていなかった。おまけに残った鰐頭の獣人がゴーレムの足止めに入ってしまう。
ではこの使い魔を無力化しようと試みたのだが、それは甘い考えだった。
何せこの使い魔、手にした斧でゴーレムの足を斬り倒し始めたのである。それはもう凄い勢いで。
巨体を支える為に意識して太くしていた筈なのに、まるで意に介していない様子で足が『吹き飛んで』いく。
流石に転倒こそさせなかったものの、バランスを崩した回数は片手の指では足らない。こちらから攻撃する暇などなく、足の再生と立位の維持で手一杯の状況だ。
(なめんじゃないよっ)
幾度目かの攻撃の後、フーケは故意にゴーレムのバランスを崩した。
下敷きになるのを回避するためクロコダインが距離を取るのを見計らい、そのまま四つん這いにさせて四肢を鉄製に『錬金』する。
これで攻撃力と防御力を同時に上げ、しかも立っているより安定して攻撃する事が可能となった。
唸りを上げて鉄の拳が連続してクロコダインに襲いかかる。
「ぬうっ」
攻撃パターンが変化したせいか、これまではある程度の余裕を持ってかわしていたクロコダインがほぼ紙一重の回避を取った。
地面に拳が突き刺さり、1メイルはある大穴を残す。更にそのまま横薙ぎに腕が払われるが、これをクロコダインは斧を使って受け止めた。
しかし完全には威力を殺せず、じりじりと押されていく形となる。
(よし、これならイケる!)
トライアングルの土メイジとしてのプライドからか、この時フーケはゴーレムでクロコダインを倒すという考えに固執してしまっていた。
当初の予定の様に『錬金』による拘束という作戦を取っていれば、あるいはこの後の展開は違うものになっていたかもしれない。
フーケにとって不運だったのは、相手にしたのがあらゆる意味で規格外の使い魔だったという一点にあると言えるだろう。
「唸れ! 爆音!」
クロコダインの声が広場に響く。直後、大きな炸裂音と共に宙に舞うゴーレムの左腕を見て、フーケは言葉を失った。
(まさか、先住魔法の使い手だってのかい!)
実際には違うのだが、そんな事はフーケにとって何の慰めにもならなかった。
衝撃で上半身をのけぞらせるゴーレムの左腰に、クロコダインは大戦斧を下から掬い上げるように叩き込む。
「唸れ! 疾風!」
『錬金』されていたのは肘・膝から下の部分で、それ以外は当然土のままである。
零距離から放たれた真空呪文は、あろう事か左腰から右肩に抜ける形でゴーレムを逆袈裟に斬り飛ばしていた。
茫然となるフーケの前で2つに分かれたゴーレムが音を立てて地に落ち、そのまま形を失って土に帰る。
魔法を維持する為の集中力が途切れてしまった所為だ。そして新たにこのサイズのゴーレムを作る精神力は、彼女には残されていなかった。
更に、未だ驚愕から未だ覚めぬフーケに対し、予想外の災厄が突風という形で襲い掛かろうとしていた。
支援
蒼い鱗に覆われた竜が、高速で森の上──木に接触しそうな位の低空だ──を飛び回り始める。その背には『雪風』のタバサと『風上』のマリコルヌを乗せていた。
竜が通り過ぎる度に木々は大きく枝をしならせ、更にタバサが威力をある程度落とす替わりに効果範囲を広くした『エア・ハンマー』を放つ。
マリコルヌはその後ろでタバサと自分が振り落とされない為の風の結界を張っていた。
今、この森は季節外れの嵐が襲来したかの様な状態にある。
勿論これは木の上に潜伏していると思われるフーケを燻り出す為の作戦である。
キュルケが案を出し、ルイズとレイナールが修正し、足りない部分をタバサが補ったものだ。因みに名前の出てこない残りの3人はただ頷いているだけだった。
もっとも当初キュルケが考えた案ではシルフィードに乗るのは自分とタバサで、エア・ハンマーではなく火の魔法をぶっ放すという豪快極まりないものであった。
当然の事ながらキュルケ以外のメンバー全員から駄目出しされたのだが。
大規模火災を起こす気かとか森にいるボクらも焼け死ぬとか言われたキュルケは「冗談よ、じょーだん」と返したが、どう見ても本気だったと後にギーシュは語っている。
全くこれだからツェルプストーは、と代わりにルイズが名乗りを上げたが、これも他全員の反対にあった。
フーケを爆殺するつもりかとか流れ失敗魔法がこちらに来る確率95%とか言われたルイズは「そんな事になる訳ないでしょ!」と抗議したが、皆は華麗にスルーしている。
結局風竜には主であるタバサと、ドットとはいえ風のメイジであるマリコルヌが乗る事になった。
普段無表情なタバサが微妙に嫌そうな顔をしたのをキュルケとルイズは見逃さなかったが、時間も押していたので心の中で謝るに留めておいた。
タバサが幾度目かのエア・ハンマーを放った時、シルフィードが注意を促すように大きく「きゅい!」と鳴く。
見れば彼女たちが通り過ぎた後で、一際大きな木の中ほどから何かが落ちていくのが見える。
素早く遠見の魔法を使ったタバサの瞳に、黒いフードから零れおちる緑の長髪が映りこんだ。
ちなみにマリコルヌは見えそうで見えないタバサのスカートの捲れ具合に意識を集中させており、当然の事ながら落ちていく人影など映る訳もなかった。
いきなりの突風に、フーケは足を滑らせる。
「このっ!」
咄嗟に浮遊の呪文を唱える事が出来たのは僥倖だった。落下中に枝に引っ掛けた所為で顔を隠していた外套は一部が裂けてしまい、用を為さなくなっていたが。
それでも大きな怪我がなかったのは運が良かったとフーケは考える。20メイルを落下して擦り傷程度ですんだのだから。
「え? ミス・ロングビル?」
ふと声がする方を見ると、戸惑いの表情を浮かべるルイズとキュルケの姿があった。その足元にはサラマンダーがいる。
そしてフーケと彼女たちの間に、黒い30サント程の筒があった。
「あ」「あ!」「あー!」
3人が同時に声を上げる。
それはまぎれもなく落下する際に懐から落っこちたと思われる学院の秘宝、『神隠しの杖』であった。
フーケは運が良いなどと思ったさっきの自分を呪う。せめて顔さえ隠れていれば誤魔化し様もあったものを、これでは私がフーケですと自己紹介しているようなものだ。
故に、彼女は決断する。
残り少ない精神力で土製の壁を作る。自分とルイズ達の間にではなく、ルイズとキュルケを分断するような形で。
「ルイズっ!?」
「離れて、キュルケ!」
壁の向こうからの声に従い、キュルケはバックステップで距離を取った。ルイズが失敗魔法で壁を壊すつもりだと判断したのだ。
ほどなく、爆発音と共に土壁があっさりと崩れさる。
朦々たる土煙の向こうにキュルケが見たものは、ロングビルに羽交い絞めにされ、首元にナイフを突き付けられたルイズの姿だった。
「……なんのつもりかしら、ミス・ロングビル」
低い声で尋ねるキュルケに、ロングビルは冷笑を返す。
「そうですね、質問に答えて欲しければまず杖を捨ててもらおうかしら?」
「ダメよキュルケ!」
思わず叫ぶルイズに、ロングビルはナイフをちらつかせた。
「ちょっと静かにしてくれないかい?」
その言葉に沈黙するルイズだったが、彼女は何故かキュルケではなく先ほどまでロングビルがいた方角を見ていた。
(なに?)
ここで2人から視線を外すのは拙い。キュルケは傍らの使い魔と視線を同調させ、ルイズの視線の先を見た。
そこにある物を確認し、同時に彼女の意図を把握したキュルケは大きくため息を吐く。
「ヴァリエール、1個貸しよ?」
愛用の杖を指先でくるくると廻し、相手の視線を引きつけてわざと勢いよく上に放り投げる。
反射的に相手が上を見るのと同時に、キュルケはフレイムを全速力で走らせた。
ロングビルが回収し損ねた『神隠しの杖』の元へと。
「ちっ!」
あっという間に秘宝へと辿り着き、守るように口先からちろちろと火を出すサラマンダーを見てロングビルが舌打ちする。
「あらあら、どうされたのかしら? ところで杖を捨てたのですけど先程の質問に早く答えて欲しいものね、ミス・ロングビル」
そこへ失敗魔法の爆音を聞きつけたギーシュたちと、ゴーレムを倒した後に広場で合流したクロコダイン、タバサ、マリコルヌが現れ、全員が目を疑った。
「おっと! それ以上近づくんじゃないよ、公爵家令嬢が大切ならね!」
鋭い口調のロングビルに一同は思わず足を止める。
「実はミス・ロングビルが土くれのフーケだった、という事みたいよ」
「端的な説明をどうも、ミス・ツェルプストー。さあ、彼女を見習って杖と武器を捨てて貰おうかしらね?」
つ、とフーケの持つナイフが人質の頬をなぞった。傷こそ付いていないが、ルイズの表情が明らかに強張る。
秘宝はこちらの手にあるものの、人質をとられてしまった以上表立っては逆らえない。
メイジたちは杖をフーケの方へ投げる。ギーシュなどはせめてもの抵抗か全く逆方向に投げ捨てていたが。
クロコダインも大戦斧を地面に突き立てながら尋ねた。
「一体何のつもりだ、これは」
「そうね、一応は知っていた方が納得がいくかしら」
そんな問いにフーケは妖艶な笑みを浮かべて答える。
「その『神隠しの杖』を盗み出したのはいいんだけど、生憎と使い方がサッパリ分からなくてね。魔力を通しても動きやしない」
女子生徒3人は思わず顔を見合わせた。どうやら行きの馬車の中で話していた冗談が当たっていたらしい。
「最初は使い方を知ってるだろうセクハラジジイか誰かを誘い出そうとしたんだけど、まさか遠足気分の学生なんかが釣れるなんて思いもしなかったんでね。ちょっとシナリオを変えたのさ」
侮辱されたと感じたギーシュ、ギムリが思わず飛び出そうとするが、2人を制止したのはクロコダインだった。
「最後まで言わせてやれ」
「気の利いた使い魔だね。まああんたたちの命を獲ろうとは思ってないよ。まあオールド・オスマンには
『フーケに学生が捕らえられた。開放してほしくば秘宝の扱い方を教えろと言っている』
とか話せばいいだろうから、その間この森に居てくれればそれで済むのさ」
言うだけ言って、フーケは彼らの足を『錬金』で拘束しようとする。
だが、それはクロコダインの一言によって阻止された。
「学院に行っても無駄だぞ。オスマン老は使い方を知ってはいなかったからな」
「……なんだって?」
「オスマン老は秘宝の使い方を知らない、と言った」
問われた使い魔は律儀に答え、更に続ける。
「ここへくる前、ルイズたちが着替えている間にオレはどんな宝物が盗まれたのかを学院長に確認した。その宝はオスマン老の恩人の遺品で、使用方法は皆目見当もつかん、と言っていたぞ」
フーケが小さく舌打ちするのがルイズの耳に入る。
「……じゃあ何かい。今までしてきた事は全部無駄だったってわけかい」
冥府の底から響く様な低音で呻くフーケに、クロコダインはあっさりと言い放つ。
「そうでもないぞ。オスマン老は知らなくとも、オレは使い方を知っているからな」
一瞬の間を置いて、フーケのみならずその場の全員の目が点になった。
「ちょ、ちょっと待って! なんで貴方が『神隠しの杖』の扱い方なんて知ってるのよ!?」
首元に短剣を突きつけられているのも忘れた様子でルイズが叫ぶ。
ついさっきまでは人質になってしまった自分を責めたり、如何にこの窮地を脱出するか知恵を絞っていたのだが、もうそんな事は明後日の方角へすっ飛んでしまっていた。
「なに、以前同じものを使っていた事があってな。もっとも、オレたちは『魔法の筒』と呼んでいたが」
「ハッタリじゃないだろうね」
険しい目つきで問い質すフーケに、クロコダインは肩をすくめる。
「主の身の安全がかかっているのに嘘は言わん。ルイズを開放してくれるならこの場で使ってみてもいいが?」
フーケは少しの間考える素振りを見せて、慎重に言った。
「その前にこのお宝がどんなモノなのかを説明しな。どんな効果があるのか分からなきゃおっかなくて使えやしないからね」
「確かにな。……簡単に言うと、この筒にはサイズに関係なく一体のモンスターを封じ込める効果がある。キィワードを言うことで出し入れが可能だ」
「……成程ね、それで『神隠しの杖』か。で、どうやって使うんだい?」
「筒を対象に向けて『イルイル』と唱えればいい」
フーケは再び笑みを浮かべて質問を打ち切った。
「それだけ聞けば充分だね。さあ、その筒をさっさとよこしな」
「ヴァリエールの解放が先だ!」
そう叫んだのはクロコダインではなくレイナールだった。
「クロコダイン、いくらルイズが人質になってるからってちょっと喋りすぎよ?」
「同感。駆け引きが必要」
キュルケとタバサが口々にそう言うのを聞いて、思わずルイズはツッコみを入れる。
「確かに駆け引きは重要だけど、わたしの安全は考慮に入れてないの?」
「尊い犠牲だったわ」
わざとらしく泣きまねをしてみせるキュルケにキレそうになるルイズだが、緊張感が根こそぎ減っていくような会話をフーケは嫌ったようだった。
「あんまりふざけた事を言ってると、うっかり手が滑るわよ」
「滑った時がお前の最期だがな」
ナイフを軽く動かしてみせるフーケに、クロコダインが釘を刺した。
確かにルイズが人質として使えなくなれば、クロコダインたちは遠慮なくフーケを捕えようとするだろう。
自慢の巨大ゴーレムを実にあっさり風味に倒してみせた怪物相手に争うなど、愚の骨頂というものである。
フーケは魔法で地面を操りルイズの足首までを埋め、『錬金』で拘束するとそのまま数メイル後ろに下がった。
これで彼我との距離は10数メイル。
ゴーレム戦で見せた魔法は威力が強すぎてルイズを巻き込むだろうし、接近しようとしても自分が再び彼女を人質に取る方が早いという位置取りだった。
完全に解放とまではいかないが取り敢えずルイズから離れたという事で納得したのか、クロコダインはフレイムが咥えていた秘宝を受け取りフーケへと投げる。
危なげなくキャッチしたフーケは、そのまま筒をクロコダインへと向けた。
「試させて貰うよ! 『イルイル』!!」
モンスターを封じ込める事が出来ると聞いた時から、フーケはこうするつもりであった。
残った生徒たちと使い魔は予定通り拘束しておけばいい。強いて言えば図体のでかい風竜がネックであったが、それでも何とかなる位の精神力は残っている。
先ずは最も戦闘力の高いあの獣人を無力化する事こそが最優先だとフーケは本能的に察知していた。
しかし。
そんなフーケの目論見を嘲笑う様に『魔法の筒』は何の反応も示さなかった。
「! 『イルイル』! 『イルイル』!!」
何度叫んでも、何の反応も起こさない事にフーケは焦り、そして迷う。秘宝を持って逃げるか、もう一度人質を取るか。
次の瞬間、3つの出来事が同時に起きた。
フーケに向けて、誰もいない筈の背後から強烈な殺気が襲いかかった。
裏の世界で生きていたフーケをして「動いたら死ぬ」と思わせるような強烈なプレッシャー。
まるで巨大な蛇に呑み込まれる寸前の小動物の様に、彼女は動きを封じられた。
10数メイルの距離を一気に0にする勢いで、クロコダインはルイズの横をすり抜けフーケに突進した。
戦斧の柄先を片手で持ち、刃が届くギリギリの距離からの一閃。
グレイトアックスは狙いを過たず、フーケの持つ杖を両断した。
杖を捨てた筈のギーシュが、これまでにない集中力で呪文を唱えた。
隠し持っていた造花の薔薇から飛ぶ一枚の花弁。
フーケの背後に出現した青銅のゴーレムが、彼女を羽交い絞めにした。
「怪我はないか、ルイズ」
フーケが無力化されたのを確認し、クロコダインは心配そうな声で主に呼びかけた。
「わたしは大丈夫。それより……」
人質になり、不本意とはいえ味方を危険に晒した事を謝ろうと思ったルイズだったが、それを今ここで言うのは躊躇われた。
ささやかな矜持と羞恥心が、皆の前で謝るのを妨害する。
それでも迷惑を掛けた事に変わりはなく、なんとか勇気を出して謝罪を口にしようとするルイズだったが、その言葉は自分の使い魔によって阻止された。
「怖い思いをさせてすまなかった。主の身を守ると言っておいてこの有様では、使い魔失格だな」
まさか自分が謝られるとは思ってもいなかったルイズは、思いきりどもりながら反論する。
「な、ななな、なに言ってるのよ! クククロコダインはちゃんと守ってくれたじゃない! ゴーレムだって貴方が倒したんでしょ!?」
顔を真っ赤にして言いつのるルイズに、思わずクロコダインは笑みを漏らす。
「オレの主は、本当にいい娘だな」
さらに顔を赤くするルイズを見て、他の者達は「あー、あっついあっつい。春なのに」「誰かー、強めの酒持ってきてー」「元帥! ここに乙女がいます元帥!」などと呟いていた。
以上で投下終了です。
少し長くなったので殺気の正体とかギーシュの杖捨てたんと違うんかとかは次回判明の予定。
支援ありがとうございました。
当初の戦闘プロットとはかなり違う展開になりました。
自分が戦闘シーン書くの苦手な事が良く分かりましたよ…
おおっ、復活歓呼支援!
と、思ったら終わっていた。orz
今日はちょっと眠いので明日の楽しみにしてニヤニヤしつつ寝る事にします。
GJ! おかえりなさい!
しかし呪文を唱えてもおっさんが入らなかったということは、まだ中に何か入ってるんだろうな。はたして……。
獣王さん投下乙です!! 待っていた! 待っていたよ!
殺気の正体とか筒の中身が何なのか気になるなあ。
ギーシュも最後に活躍があってよかったw
次回も楽しみにしてます。
読んでて思ったけど、この頃からレイナールあたりが頑張ってるSSは珍しいね。
てか、レイナールって属性なんだっけ?
262 :
影の人:2009/01/25(日) 05:56:05 ID:SO21c4ch
獣王の人おかえりなさい!
魔法の筒の中に一体何が……続きが楽しみです。
お尋ねしたいのですが、もしどこか別の場所で『ゼロと一の物語』の続き(もしくは番外編)を公開する場合、まとめに載せていただいた話はどのように扱うのがベストなのでしょう?
修正して全話載せ直すべきなのか、あらすじだけで説明するのが良いのか……。
続きだったら避難所使うって手もあると思うんだが、このスレでは違うのかな?
獣王の人待ってました、やっぱりおっさんは大当たりだよなー
レイナールもだがフレイムががんばってるのも貴重かもしれん、おっさんの特性からしてこれからもいろんな使い魔が活躍するのかな
「こんなものが…こんなものがダイ大のクロスオーバーであってたまるかっ!」なSSにならなければ…
いいなあ、獣王w
なんか「クロコと少年メイジ団」みたいな雰囲気で、
おっさんの一人舞台にならずにキャラが生き生きしてる。
獣王待っていました。
やっぱ成長を描いてこそダイ大ですね。
まとめに載ってる話を別のところに掲載するのは許されるのか?
書いた人本人だったらいいのかな
ダイ大とクロスするのはゼロ魔が主流なんだろうか
世界観とかクロスさせやすい印象があるけど
逆、もともとゼロ魔のクロス先としてのダイ大のスレだ。
ごめん、言い方が悪かった
クロス先って意味じゃなくて組み合わせって言いたかったんだ
なら主流っていうか、ゼロ魔クロスの間口が広すぎるだけで
ダイ大のクロスが独立したジャンルになれるだけの量がないだけのお話。
むしろ、ダイ大のSS自体稀少(BL系除く)なんだぜ?
そうか…
ダイ大のSS自体少なくて、その中でゼロ魔との組み合わせが多いってことか
他にもあったら見たかったけど
おっさんが主人公のネギまクロスはあったけどな、今はもうないサイトだが。
魔法界編にでも行かないと、ダイ大のキャラ馴染まないだろ
「レモンちゃん」なんて口走っても違和感無いダイ大のキャラっているのかな
ヒュンケルに惚れてる三賢者の一人は、ポップあたりに乗せられて口走りそう
>>275 マトリフ師匠なら、自分のことを「レモンちゃん」と言わなければ外れない装備品を作ってくれそうだw
やりかねないので困る
誤解したミストが口にしてルイズがヒいたりバーン様が黙らせたりする場面がまざまざと浮かびます。
影の中の者です。
まとめに載せていただいた話を別の場所で公開するのは大丈夫なのでしょうか?
ストーリーがわかりにくいので載せたいと思ったのですが、駄目なようでしたら続きだけにします……。
>>279 作者本人が出す分にはまったく問題ないかと
もしよろしければその続きとかはあとでこちらに"も"投下してほしいですが……
問題なんてどこにもナス
>>280 こっちだとスレ違いになるから他で公開するんでないの?
これについても影の人なら誰も文句は言わないというか、喜んで支援するくらいの勢いだと思うんだけど、
いきなりそういうのを投下する人が出てきたりしたら不味いもんなあ……
避難所投下でまとめに載せるというのは?本家ではそういう作品もあるし
お答えありがとうございます。
今までの話とともに別の場所に載せようと思います。
続きは「自分で敵を考えねばならない=どうしてもオリジナルの要素が出てくる」話になります。
バランスを崩さぬようできるだけ気をつけますが、不快に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
避難所投下というご意見も頂きましたが、不安ですので別の場所での公開にさせていただきます。
ご意見ありがとうございました。
各キャラのレモンちゃんに関する反応を予想
レオナ「『レモンちゃんって何?』って…ダイ君にはまだ早いわよ」
マァム「ねえポップ、メロンちゃんって何のこと?」
メルル「レ、レモンちゃん…ですか?」
アルビナス「ハドラー様、レモンちゃんとは一体…?」
エイミ(レモンちゃん!! レモンちゃん!!! レモンちゃん!!!!)
…あれ?
敵キャラ召喚でも何とかなるなら、ダイやポップ召喚ならやっていけるんじゃね?
と思って話を考えてみたが、甘い考えだったと思い知らされた
普通に進めようとするとテンプレすぎたり名前と設定だけ借りた別人みたいになってしまったり
考え方の順序が逆だ。
このキャラが召喚されたら、こんな物語が展開していきそうだって発想が先にないと。
ゼロ魔って原作がすげー綱渡りのシーンが多いので
テンプレ通りでないと大幅に未来が変わって大変になるんだよな
そして、主人公が強すぎたり真っ当な性格だと
弱すぎたり空気を読まないサイトと別行動をとってしまいすぐに未来が変わるト
ギーシュ戦
問題
・サイトみたいに馬鹿な挑発しなければそもそも発生すらしない
変更
・ギーシュと知り合えないのでアルビオン脱出フラグ潰れる
・関連してモンモンのフラグも潰れるので、ほれ薬フラグが潰れて精霊の世界水没活動と指輪の存在を気がつけない
・学園内でメイジと戦える××と言う評価が得られない
・多くのメイジと友人関係になれるかが疑問
テンプレ行動ってキャラによっては起こすのに違和感ありまくりなのに
発生させないと、変更点を修正して補完するイベントや流れを作るだけで大変になると言うジレンマ
その擂り合わせが醍醐味でしょ
テンプレ通りの展開にしたいというのなら、チウとかよさそう。
良い奴で熱血漢だけど空回りしやすくて落ち込みやすいところとか
だねー
そして、チウは確かに面白そうだな
ルイズ的にも巨大な鼠で言葉を話す未発見の新種なんて大喜びししそうだ
……ガンダールヴのルーンとデルフが腕の長さ的に考えて無駄になりそーなのも戦力バランスとりやすそうだw
それでも獣王の笛さえあれば……、獣王の笛さえあればチウだって七万に勝てる
ズタズタヌンチャク+ガンダールヴで隊員を増やしまくりですよ!
皆オリ展開は好かんのかね?
俺はキャラの描写さえ原作に忠実ならどんどんやって欲しいんだが
俺も上手くできてればオリ展開の方が好み。
書き手的に想像力が追いつかないからって理由除けばテンプレに固執する理由もないし。
>>292 オリ展開は大好きなんだけど、原作のトリステンの状況が絶望的すぎて
プロット考えてる間に頭がショートするw
・フーケ戦ないとアルビオンに行けなんて無茶な依頼をいくらアンアンでもしない?
・アルビオンにいかないとワルドの裏切りで手紙が致命的な事になる
・アルビオンに行ってもタバサ・ギーシュ・キュルケと友好関係が無いと詰む
・対アルビオン戦に参戦して虚無打たないとトリステン終了
・ほれ薬イベント行かないとアンアンさらわれてトリステン終了、ついでに世界水没
なんつーか、デットエンド多すぎだろゼロ魔の初期状況
取りあえず自然な人物の動きでその結果物語が変化する分には問題ない。
こうしなきゃいけない筈、こうでなきゃ詰む、なんてのは考えなくてもいいよ。
さもきゃな不味くなる直接の因の方に変化してもらえばいいさ。
自分が原作に沿った解決法しか判らないから回答がそれのみで詰むと言い切るのは愚の骨頂と言うかな
>>295 国家規模の危機がわらわらあるので変えにくいんだよですよ
直接原因を変えてしまうと後々の流れどころか初期条件まで変わってしまうので余計難しく……
作中でキャラの動きでずれるのは仕方ないとしてもプロットくらいは矛盾なく作りたいなーと
>>296 いや、タバサ、ギーシュ、キュルケ抜きのアルビオン編ってマジ死ねないですか?
自前の飛行戦力無し、地中戦力による救援無し、任務に成功しても飛行能力調達しないと帰還不可
唯一それを何とか出来そうなワルドは裏切り者の敵って言うイジメのよーな状況
>>297 主人公が才人で進むならそうだろうけどここはダイ大のクロススレだよ?
いくらでも抜け道はあるでしょ。
最低でもおっさんクラスの強さがあれば
アルビオンの全戦力を相手にしても勝てるからな
>>297 召喚されるキャラによるね、その辺りは。
飛行能力持ちなら大丈夫。
何にせよ職人が増えるのは大歓迎なので是非とも頑張ってほしいと思う次第。
>>299 いや、おっさんでも無理だろ、と思ったがおっさんなら(周囲鼓舞して)なんとかしてしまいそーだよね
これも人望と言うか信仰なんだろーか?
>>300 つたないが頑張ってみる、プロット段階で躓いてるから見通したったらダケド
チウって、プロット段階で暴走するのなんでだろ……偽勇者でも呼んだほが楽だったかも……?
>>301 ゼロ魔世界でダイキャラにまともにダメージを与えることが可能な攻撃が
ほとんどないほど強さに差があるぞ。
ダイとか上位陣は国くらいなら一撃で消滅レベル
>>302 うん、そーだね、その強さで物語をつくる自信ないのでそーいったキャラは使うの無理だけど
こー書いてみると影の人とかハドラーの人とかおっさんの人とかよー書けてるなーと改めて尊敬するわ
ミストバーンは強さのわりに苦労してるイメージが…何でだろ
殺る気全開のミストバーンが見たいと思ったけど、BAD END一直線になりそうだ
>>302 >ダイとか上位陣は国くらいなら一撃で消滅レベル
実際、原作でバランがやってるしな……
呼んじゃいけない筆頭・竜騎将閣下
いきなり奴隷扱いぶち切れ
クズの人間どもめ!!→アルキードルート
奴隷ではなく人生のパートナーな上に
なりたがってる相手の前にしか鏡が出ないのを忘れてる人が多い気がする
>>308 初代ガンダの女性は「召喚されたから仕方なく」使い魔をやってた訳で、なりたがってた訳ではないと思うが。
と言うかブリミルが「人生のパートナー」とか深く考えて魔法組んでたとは思えん。
>305
逆に言えばあのクラスじゃないと流石にそこまでは無理って事だ
>>305 そんなやつの必殺技を喰らっても即死しないお方のタフネスさって一体・・・
>>306 妻帯する前なら大丈夫。
>>308 奴隷だろ。なりたがってる相手の前じゃなくて、ふさわしい相手の前だし。
意思に関係なく、好奇心で潜ってしまうと後戻りできない、一種の罠。
>>312 とりあえず、外伝の使い魔になってる連中の感想を呼んでみるると良いよ
フレイムとかサラマンダーの誇りも無いほどだらけきってるから
>>312 いやだから、あんな使い魔の待遇悪いのはルイズだけだってw
・魔法を今まで成功した事なし
・はじめて成功した召還と契約をした使い魔は人間な上に使い魔の自覚無し
・わけのわからない(ゼロ魔世界の住人にとって)妄言まで吐く
・使い魔をやめられた場合や使い魔で無いと認定された場合、召還失敗のように
留年=事実上の退学=貴族失格=人生終了になる
まー原作ルイズはなんであそこまで前向きなんだろってくらい追い詰められてるからな
火薬庫で火遊びしてるサイトにあの待遇で済ませたのはむしろ良い方な気もひしひしと
……なりふり構わないなら違法でも惚れ薬なり精神操作系の魔法でどーにかするよな
あそこまで酷い歌まで歌われたら
人間扱いしないとして、動物懐かせるにしろ従わせるにしろ逆効果しかないだろ、あれじゃ。
追い詰められてるからとか理由にしたら、最初から喧嘩腰で八つ当たり気味に接して使い魔に
そっぽ向かれた駄メイジにしかならんよ、周りの視線的には。
そりゃまー 他の普通のメイジからしたら人生のパートナー
平気でモグラと頬擦りしたり、女性でも蛙に嫌悪感わかないとか
可愛がって当然な認識だからなw
普通じゃない状況のルイズはとことんダメメイジだろう
>>311 でもキャラによっては、ガンダールヴ効果で結構なパワーアップしてくれそうw
ポップが「それはメラだ」とか言い出したりとかw
それにしても、我らがマトリフ師匠って話にすら上がらないよなあ……
故郷に未練は無い、老い先短い、あまり強い呪文(メドローアとか)を使うと血を吐く、セクハラ道十段と魅力的なのにね
オスマンと組んでダブルセクハラ爺やって、ミス・ロングビルマジ泣きって小ネタならいつだかあった気がする。
ダイやポップは十分すぎるくらい強いから真正面から蹴散らすんじゃなくて別の方向で行ってほしいな
ギーシュとの決闘にしても、ダイの純真さとドライさに自分の大人げなさを悟ったり、
ポップがモシャスで(女の子に?)化けて別の意味で「すげー!」ってなったり
ポップなんかはむしろタバサ辺りと組ませると良いかもしれんね
外伝の方の敵キャラなら目一杯活躍もさせられそうだし
>312
ギガブレイクとかだからだろ
別にドルオーラ食らったわけじゃない
別におっさんが国消し飛ばせる攻撃に耐えれるわけじゃないぞ
別に別にはそこまで便利な単語じゃないし
いきなりそんなどうでもいいことに食いついてどうしたんだ
別にどうでもいいことじゃないか
別に
ポップ召喚でアルビオンまでは無双だけどビダーシャル戦でメドローア効かないとか
メドローア反射されたら泣ける
反射には弱いからすべからくあそこらへんの仕込みがあるのには反射されるだろーな
もっとも、対人でメドローアなんて過剰火力もいいところなのでゼロ魔世界じゃ撃つ意味無いが
ああでも、反射装甲の騎士人形が戦車砲の純粋威力で撃ち抜けるから、
考えてみたら絶対でもないんだよな
メドローア!→反射→マホカンタ→反射→マホカンタ 以下ループ
ルイズ「いつまでやってんのよ!」
ポップ「相手に言ってくれ!」
こんな感じになったりしてw
反射ってさ、一定以上のパワーならぶち破れるんでないの?
あと反射出来るのって前だけ?それとも東西南北中央反射?
>>330 ぶち破られるがなんとなくメドローアは反射されてなんぼという気がするんだw
反射角度は術者の任意なんじゃないか?
大抵の場合相手に返すのが効果的と言うだけで。
>>330 メドローアの特性として反射されやすいってのがあると思うんだ
なにしろ、メラゾーマを跳ね返すと割れるよーな鏡でやすやすと反射される
いや、あのお方のメラゾーマが強すぎるって気はしないでもないがw
氷の嵐を巻き起こすよーな魔法をあっさり反射してるので
おそらくは反射は全周囲でどの方向からきても反射と思われる
じゃないと、酸素奪って窒息死とか周囲の水を操って誘導弾とか
竜巻やら水竜巻を作れるメイジ相手に優位になんて立てないだろーし
ヴェルザーかボリクスを召喚できればルイズ喜ぶかな?
一応ハルケ区分では韻竜だし
でも二人の能力がよく分からんから、SS書きづらいなぁ
反射は契約でレベルが存在するっぽいから実は反射につぎ込んでる契約次第ではドルオーラやカラミティウォール反射しても不思議じゃないチート物だぜ
とりあえずヨルムンガンドのはかなり低いレベルっぽい
あとマホカンタは反射の反射は無いんじゃね?
ルイズは非人間型ならスライムでも喜ぶんでない?
非人間型でも懐かない使い魔は喜ばないケド
いや、ルイズの価値観的に平民でさえなければ何でもおkだろ
爆発と一緒で、本来起こりえない=皆と同じ事が出来ない=失敗の図式があるから
外見さえそれっぽければ、最初懐かなくてもまともにコミュニケーションしようと努力するはず
仮に蚊とんぼだったりしても、さめざめと泣くことはあってもいきなり潰したりはせんだろう
確かに言われてみれば蚊トンボだったら困った顔しつつ
爆発で死ななくて良かったと心底安堵しそーだナ
懐かなくても使い魔に認められるのもメイジの度量!
とか張り切りそうだ……もともと召還の成功率は絶望的だったからソレでも大きな前進だしw
蚊トンボは蚊トンボでもドラゴンフライとかだったら狂喜しそーだしw
>>337 英語でドラゴンフライといったら、ただのトンボのことなんだぜ…
召喚されるキャラで書きやすいキャラとか(逆に書きにくいキャラも)いるのかな
最終的には書く人次第だとは思うけど
「ダイ」の人間側のキャラは、ルイズの努力を認めてくれそうなのが多いから比較的話を軌道にのせやすいんじゃないかな
バーン様レベルまでいけば「それもまた一興」で付き合うかもしれん
それにしても、書く人がいなくなってしまうんだろうか…
>>341 ところがぎっちょん! まだいるぜぇ!
10:05位から投下予定です。
虚無と獣王
17 淑女と獣王
唯一杖を持っていたギーシュによって拘束されたフーケは、憎々しげにクロコダインを睨みつけた。
「よくもまあ嘘を吐いてくれたもんだね! 何が『主の安全がかかってるのに嘘は言わん』だい!」
「心外だな。オレは嘘など吐いてはいないぞ」
全く怯む様子もなく言葉を返すクロコダインに、フーケはさらに言い募る。
「じゃあ何であんたはあの筒の中に封じ込められなかったのさ!?」
「ちゃんと言った筈だぞ。『筒には一体のモンスターを封じ込める効果がある』と。逆に言えば『一体しか封じられない』訳だ」
その言葉の意味に気付いたのはルイズだった。
「つまり、その『魔法の筒』の中にはもう何かが入ってるって事、よね?」
クロコダインは笑みを浮かべルイズに向き直る。
「そう言う事だ。そして中のモンスターを外に出す時の合言葉は『イルイル』じゃない」
「じゃあなんでそれを教えない!?」
「言おうとしたんだが、『そこまで聞けば充分』と言われてしまったのでな」
笑みを苦笑に変えるクロコダインに、フーケはぐうの音も出なかった。
「そもそもオスマン老はこの筒に『神隠しの杖』などという名前を付けているんだ。その意味をもう少し考えるべきだったな」
「……?」
首を捻る一同だったが、今度はキュルケが一番に気がついた。
「ああ! オールド・オスマンはこの杖の効果を知ってるのね!? だから『神隠しの杖』なんて名前を付けたんだわ!」
「いや、でも学院長はこの筒の使い方は知らないんじゃなかったか?」
ギムリのそんな疑問に答えたのはレイナールである。
「──使用方法が判らないのと効果を知っているのは話が別だよ。多分、学院長は誰かが使っているのを目撃したんじゃないかな」
「その筒はオスマン老の恩人の遺品。確かそう言っていた筈」
レイナールの説をタバサが無表情に補足した。
「まあそう言う事だ。嘘は吐いていないだろう?」
クロコダインはそう言って肩をすくめてみせた。
それにしても、とタバサは思う。
これまでのクロコダインの印象は「強い戦士」というものだったが、これからは「意外と切れ者」と付け加えなければならないと。
実際会話の流れに助けられた部分もあるのだろうが、本当に肝心な情報は一切フーケには伝わっていなかったのである。
さっきまでの補足話も落ち着いているからこそ推測できる物で、あの緊迫した状況下でそんな事が考えられる筈もない。
(興味深い)
この謎の多い使い魔を観察する必要がある。そんな事を考えながら、タバサはいつものポーカーフェイスを貫いていた。
「さて、こちらからも質問がある」
今度は逆にクロコダインがフーケに問うた。
「宝物庫から盗み出された物は2つ。『伝説の剣』は一体どこに隠した?」
魔法の筒を回収した事ですっかり安心していたルイズたちは、「あ、そー言えば」という顔を隠そうともしなかった。
「……ああ! すっかり忘れてたわ」
盗んだフーケからしてこの有様である。
「いや、あのインテリジェンス・ソードあんまり煩いもんだから、腹いせに小屋の近くに埋め込んだのよ」
鬼の所業であった。
「小屋の近くって……」「ひょっとしてゴーレムの材料になってないか……?」
フーケが作ったのは30メイルもの大きさのゴーレムである。当然の事ながら作るには大量の土が必要となる。
しばらくの間を置いて、フーケは心配げな顔の一同に告げた。
「さっきの攻撃で壊れてない事を祈るわ」
これっぽっちも心のこもっていない口調のフーケを尻目に、慌ててレイナールが広場へと赴きゴーレムだった土の山に向けてディテクト・マジックをかける。
反応のあった個所をクロコダインが掘ったところ、案の定と言うべきか鞘に入ったままの大振りの剣が見つかった。
剣を抜くとオスマンに聞いた通りの錆びついた刀身が現れる。
「……かれこれ6000年ばかり剣をやってきたけど、こんなひどい目みるのはじめて……」
いきなり愚痴る剣に、なんとコメントしようか思わず考え込むクロコダインだったが、結局いい言葉は思いつかずそのまま鞘へと納めることにした。
「……あれ? ちょっと待てオメ使い」
剣は何か言い掛けたようだったが鞘に収めると黙り込んだ為、まあいいかと思ったと後にクロコダインは語っている。
投げ捨てた杖を回収し、フーケをスリープ・クラウドで眠らせた上で一同は学院へと戻った。
フーケは衛兵に引き渡され、ルイズたちはその足で宝物庫へと向かう。
「うむ、確かに『神隠しの杖』と『伝説の剣』じゃ」
捜索に出てからの出来事を聞き終えた後、オールド・オスマンは真剣な眼で取り返された秘宝を確認した。
使命を果たし安堵のため息をつくルイズだったが、その耳にオスマンの独語が飛び込んでくる。
「それにしてもまさかミス・ロングビルが『土くれ』だったとはの……」
「そういえば、どうしてフーケは学院長の秘書という重要な役職に就けたんですか? 確か学院に勤める者は身分証明と誰かの紹介状が無いと駄目でしたよね?」
そんな疑問を投げ込んだのはレイナールである。
確かに国内の貴族の子弟を預かる以上、学院に勤めようとする者には教師からメイドに至るまで上記の2つが必要となる。
例えばシエスタの場合、タルブ村長からの身分証明と、結婚を機にメイドをやめる事になったタルブ出身の娘からの紹介状があって、初めて学院付きのメイドとなる事が出来た訳だ。
レイナールには宮廷に親戚がいるので、おそらくはそのあたりからこれらの事情を知っていたのだろう。
「うむ、それには深い訳があっての」
オールド・オスマンは重々しい口調で、とある酒場にてフーケをナンパしたあげく特例で秘書へと任命したという事実を披露し、結果として学生たちに白い目で見られたのだった。
「え? ちょっと何その汚物を見るような視線! だって尻とか触っても文句言わないんじゃぞ!? こりゃ私に惚れとるとか普通思うじゃろーが!」
ルイズ、キュルケ、タバサの3人ははっきりと「死ねばいいのに」という顔になり、男子生徒の中の幾人かは「流石は学院長だ」と感心しきりの様子だ。
そして微妙に自分に対する尊敬の念とかが危うくなったのを感じたオスマンは、すかさず話題を変える事にした。
フーケの件で登城する際、捜索に出た生徒全員にシュヴァリエの申請をするつもりがあることを伝えたのである。
「ホントですか!」
キュルケやギーシュたちは歓声を上げた。
シュヴァリエは武勲を挙げた貴族に与えられるもので、軍人ならばいざ知らずそれ以外の、ましてや学生が簡単に得られるものではない。彼らが喜ぶのは当然だと言えるだろう。
だが、そんな中で表情の優れない者がいる事にオールド・オスマンは気付いていた。
タバサはいつもの様に無表情だが、これは既にシュヴァリエであるからだ。勿論彼女には違う勲章を申請する予定である。
問題は、ルイズが浮かない顔をしている事にあった。
「どうしたのかね、ミス・ヴァリエール」
オスマンの問いに、ルイズは硬い声で答える。
「学院長、わたしは申請のメンバーから外して貰えないでしょうか」
皆が一様に驚きの表情を見せる中、オスマンは優しく問い直した。
「何故、と聞いてもいいかね?」
「わたしはフーケの捕獲に関しなにも貢献できませんでした。それだけならばまだしも、不注意から人質となり同行した者たちを危険に晒しています」
故にシュヴァリエにはなれないと、この生真面目な少女は答える。
「おバカねえ、ルイズ」
ふいに後ろからキュルケがルイズの頭の上にのしかかった。
ボリュームのある双丘がやんわりと形を変え、オスマンを始めとする男衆が生唾を飲み込む。
変なところで潔癖症よねこのコ、と思いつつ胸の下で「誰がおバカか!」と暴れる同級生にキュルケは言った。
「いい? そもそもあたしたちはフーケの捜索になんか行くつもりはなかったのよ? どこかの誰かが立候補しなければ、ね。そのあんたが辞退したらこっちの立場が無いじゃないの」
ギーシュたちがうんうんと頷く。目は2つの桃りんごに吸い寄せられていたけれども。
「まあ確かに人質にはなってたけど、その分クロコダインが大活躍してたんだから問題なしって事で」
「それはクロコダインの手柄でしょ! だったらクロコダインをシュバリエにして貰わなきゃ駄目じゃない!」
あくまで自分にはシュヴァリエたる資格はないと言い張るルイズに、オスマンは好感を持った。
「主と使い魔は一心同体と言うしの、使い魔の武勲は即ち主の武勲じゃろうて」
苦笑と共に言った台詞を、今まで沈黙を守っていたクロコダインが引き継いだ。
「オレには地位も勲章も必要の無いものだからな、ルイズが貰っておいてくれ。そもそもオレがそんなものを貰えるなら、シルフィードやフレイムにも渡さなければならなくなるぞ?」
当の使い間にそんな事を言われてしまっては返す言葉もない。確かに使い魔(つまりは人間以外の者)に騎士叙勲をするというのもおかしな話ではあった。
まあ、ルイズも他の学生たちもいつの間にかクロコダインが人間であるような感覚を持っていたので、本人に言われるまで特に違和感は抱いていなかったのだが。
「しかしミス・ヴァリエールの言い分にも一理はある。使い魔殿には私から何か贈ろうと思うが、何か希望はあるかね? 嫁さんとか言われると困るがの」
クロコダインは太い笑みと共に答えた。
「では、後で美味い酒でも持ってきてもらおうか」
「秘蔵の銘酒を届けさせよう」
オスマンも、また笑顔で答えた。
「おや、まだこちらにいたのですか」
控えめなノックの後、姿を現したのは教師コルベールであった。
「今夜はフリッグの舞踏会ですぞ。女性陣は早く支度をした方が」
「あ──────ッ!」
コルベールが言い終える前にルイズとキュルケが悲鳴じみた声を上げる。
「ちょっと待って待ってあれって今日だった!?」
「うわすっかりバッチリ忘れてたわ今何時ー!」
慌てふためく2人を前に、女性陣の中に入っている筈のタバサの反応は実に薄いものだった。
彼女にとって髪型やドレス、アクセサリーはさほど重要なものではなく、ちゃんとした服装を着て遅刻する事無く腹一杯ご馳走を食べられればそれでいいのだから当然であるとは言える。
「まずいよ早く、早く急いで準備しないと間に合わない!」
代わりに、という訳ではないのだろうがギーシュの方が余程慌てふためいていた。言い回しすらおかしくなっている。
「私からの話は以上じゃ。今夜は楽しむといい」
その言葉を聞いて退出しようとする一同に、オスマンは再び声を掛けた。
「あー、スマンがミス・ヴァリエールと使い魔殿には少し残って貰えんかの。なに、時間は取らせん」
微妙にえー、という顔をするルイズだったが、
「ちょうど良かった。オレも幾つか聞きたい事がある」
とクロコダインが答えた為、その場に残る事となった。
「さて、先ずそちらの聞きたい事とは何かの?」
「『神隠しの杖』に関しての事だ。あれは昔オレが使っていた『魔法の筒』と同じモノだが、どうしてここにあるのかが知りたい」
クロコダインの問いに、ふむとオスマンは考え込む素振りを見せた。
「昔同じモノを、という事はミス・ヴァリエールに召喚される以前という意味ですか!?」
オスマンの後ろに控えていたコルベールが口を挟む。宝物庫に残っている人間はクロコダインが異なる世界から来ている事を知っている者達でもあった。
「アレは私の命の恩人が遺したモノというのは既に言ってあったの」
頷くクロコダインに、オスマンは語り始めた。
20年ほど前、採集の為に森の奥深くへ入った時、翼長20メイルはあるワイバーンに襲われた事。
杖を飛ばされ、あわやという時に突然男が現れ、持っていた筒をワイバーンに向けると次の瞬間怪物の姿が消えてしまっていた事。
男は現れた時には既に重傷を負っており、急いで学院へ連れて行き介抱したがその甲斐もなく亡くなってしまった事。
男が持っていた刃の欠けた槍は墓標代わりにし、筒は『神隠しの杖』と名付け宝物庫へ保管した事。
一通り話し終えたオスマンは、クロコダインを見上げて言った。
「あの男も一風変わった容姿をしていたからの、ひょっとしたらお主と同じ世界から来たのかもしれん」
「変わった容姿というと、人間ではなかったのですか?」
一緒に話を聞いていたルイズが疑問の声を上げる。
「いや、基本的に人間と同じ体なんじゃがの、肌の色が紫がかっておってなぁ」
オスマンは昔を思い出ししているのか、どこか遠い眼をしていた。
「耳も人より大きかった。いや、エルフの様に尖っているのではなく、こう、幅が広いという感じで」
語るより見せた方が早い、とばかりにオスマンは懐から銅貨を取り出し小さなゴーレムに作り変えた。
そのゴーレムを見たクロコダインは驚きを隠せなかった。
「ラーハルト!?」
「知ってるの?」
主の問いに答える事も出来ず、クロコダインはゴーレムを凝視する。
だが、よく見るとかつての仲間とは少々容姿が異なっていた。
ともすれば細身に見えるラーハルトに比べ体つきはがっしりしており、顔もどことなく厳つい感じがする。
最初は自分と同じようにラーハルトも召喚されたのかと思ったが、考えてみれば謎の男がオスマンを助けたのは20年も前の話であるし、自分が覚えている限り、かの槍騎士は魔法の筒を装備してはいなかった。
だが、身体的特徴からこの男が魔族(もしくはその血を引くモノ)であることは確かだ。
「いや、仲間に似ていたんでな。なんにせよこの男はおそらく、オレと同じ世界にいたのだとは思う」
魔族の説明をすると長くなる為、クロコダインはそう言うに留めた。
「この人もクロコダインみたいに誰かに召喚されたんですか?」
ルイズの質問にオスマンは首を振った。
「それは私にも判らなかった。近くには誰もおらなんだし、彼もうわごとで「帰りたい」としか言ってはくれなんだしの」
「そうですか……」
クロコダインを元いた世界に帰すと誓ったルイズだったが、その手がかりは全く掴めていない。
オスマンの命の恩人がこの世界に流れ着いた理由が判れば何かのヒントになるかと思ったが、そう上手くはいかないようだった。
「しかしあの男とお主が同郷とは思わなかった。これも何かの縁じゃ、その筒は使い魔殿が持っていてくれ」
オスマンはそう言ってこの話を切り上げた。
「ではそちらの用件を聞こうか」
クロコダインの言葉にオスマンとコルベールは表情を改めた。
「お聞きしたいのは貴方の左手に刻まれたルーンの事です」
「ミス・ヴァリエールの使い魔になった後で、何か身体的な変化などはなかったかの?」
2人の問いにルイズは怪訝な顔をした。
コントラクト・サーヴァントの影響で使い魔は知能が上がり、犬や猫などの人間の身近にいる動物は人語を話すようになる事はよく知られている。
今更そんな事を2人が確認するとは思えない。
一方、クロコダインには何か思い当たる節があるようだった。
「ギーシュたちと体を動かしている時も感じていたんだが、今日はっきりと自覚した事がある。あのゴーレムとの戦いで体が普段よりも明らかに軽くなっていた。戦闘補助呪文を掛けられた訳でもないのにな」
「ほう」
「それに武器の使い方とでもいうのかな、これまで思いつきもしなかった扱い方が自然と流れ込んできた」
2人の教師は顔を見合わせた。
「学院長もコルベール先生も、一体何を気にしてるんですか」
状況が掴めないルイズが声を上げると、コルベールは意を決したように答えた。
「彼に刻まれたルーンが珍しいものだったのでね、調べた所それと同一のモノが過去にある事が判ったんだ」
一旦言葉を切って、コルベールは静かに言った。
「彼はガンダールヴだ」
「ガンダールヴ?」
怪訝そうな顔をするクロコダインとは逆に、ルイズはその名に聞き覚えがあった。
そう、学院に入学して初めてのトリステイン史の授業において、始祖の功績を学んだ時にその名を聞いたのだ。
神の左手。あらゆる武器を使いこなし始祖を守り抜いた伝説の使い魔。左手に大剣、右手に長槍を持つ天下無双の神の盾。
ルイズはこう見えて、歴代の学院生の中でも座学だけならトップクラスの秀才である。普通の生徒なら聞き流していたかもしれない事をしっかり覚えていた。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
ルイズは慌てて問い質した。
「なななんで神の盾のルーンがクロコダインに刻まれちゃったんですか!」
「落ち着きたまえ、まだ確定したわけじゃない」
コルベールはそう言ったが、先程のクロコダインの言葉が説得力を打ち消していた。
契約の効果で武器の上手な使い方が流れ込んだり、戦闘能力が突然上がったりする話など聞いた事もない。
そしてこれらは、ガンダールヴになったからと仮定するとひどく納得のいく効果なのであった。
「ふむ、少し試してみるとしようかの」
オスマンはそう言って、傍らの『伝説の剣』を手に取った。
「これは以前ある武器商から譲り受けたものでな、なんでも6000年前に作られたと言われておる」
「この剣が、ですか? 誰がそんな事言ってるんです」
それこそ始祖が生きていた頃に作られたなどという話を、ルイズは信じる気にはなれなかった。
「剣本人がそう言っておるのさ」
オスマンは150メイル余りの長剣を苦労して引き抜いた。その途端、鎬の金具を震わせながら『伝説の剣』が喋り始める。
「幾ら強そうで『使い手』だからって話してる最中に鞘に入れるなよっててめ、俺をこんなトコに押し込めやがったジジイじゃねぇか!」
わめく剣と対面したルイズは、フーケが地面の中に埋め込んだ時の気分を完全に理解した。
一方オスマンは剣に冷静なツッコみを入れる。
「自分で『伝説だぜ俺』とか言うとったじゃないか。確かに大層な魔法が掛かっておるようじゃしの」
当然の事ながらディテクト・マジックを掛けた上での発言である。
「俺は剣だっつの、斬ってなんぼの商売なのに倉庫に入れっぱなしたぁどういう了見だよ!」
憤る剣をさらりと無視してオスマンはクロコダインに話しかけた。
「どうじゃな、こいつを持っても上手な使い方とかは流こんでくるかの」
ルイズの背程もある大剣だがクロコダインが持つとやや小振りに見えてしまう。本来なら両手持ちの筈だが、彼の場合片手でも微妙に持ちにくそうだった。
「──ああ、オレは剣は得手じゃないが、どう振れば効果的かが判る」
目を閉じ、体内の気を高めながらルーンの効果を確認するクロコダインに剣が語りかける。
「おお! おめ、やっぱ『使い手』か! いやあ、人間以外の相棒なんて……あれ? 前にもあったような」
「ねえボロ剣、さっきから気になっていたんだけど、その『使い手』って一体何なのよ」
剣の言っている事が今一つ判らない面々を代表してのルイズの問いに剣は声を荒げた。
「誰がボロ剣だ! 俺にはデルフリンガーって立派な名前があらあ! 大体最近の奴は『使い手』の事も知らねぇのか、いいか『使い手』ってのは……なんだったっけ」
ルイズは静かな表情で言った。
「学院長。こいつ埋めて下さい」
「いや、そう短絡的にものを考えてはいかんぞ。まあどうせ賭けチェスのカタに武器屋の親父からせしめたモンじゃし、別に埋めても惜しくはないがの」
教育者らしい口調でオスマンが答える。その内容は酷いものだったが。
「ひでえだろその扱いは。なあ、俺を使ってくれねぇか相棒、色々役に立つぜ?」
クロコダインは黙って壁に立て掛けてある愛用の大戦斧を見つめた。
「い、いや待って、あれも確かに業物なんだろうが、ホラ! 狭い所だと使いにくいだろ? その点俺なら」
クロコダインは黙って腰に下げたギーシュ謹製の手斧を軽く叩いた。
「い、いや、まあ待ってくれよ、言っちゃなんだがそれ青銅製だろ? あんま武器としちゃ」
オスマンとコルベールがすかさず『固定化』の魔法をかける。火のトライアングルと土のスクエアの魔法は、ブロンズの斧を必要以上に固くした。
「なあ、これイジメ? 俺、泣いていい?」
結局、クロコダインは取り敢えず話し相手として剣改めデルフリンガーを預かる事にし、主から「お人よしが過ぎる」という評価を得ることになった。
話が終了し、退出する2人を見送ってからオスマンとコルベールは深々とため息をついた。
「流石にミス・ヴァリエールも気付かなかったようですな」
「いくら何でもそれは無理じゃ、そもそもこちらとて信より疑の方が多いからの」
実は一年前、ルイズが新入生としてやってくる時にオスマンは彼女の父親であるヴァリエール公爵から秘密裡に依頼されたことがある。
『もし出来ることならば、娘が魔法を失敗する理由を調べて欲しい。但し調べている事をルイズには知らせる必要はなく、また娘を特別扱いにする必要もない』
それから現在まで、オスマンは密かにルイズの言動に目を配っていた。
魔法成功率0%。
系統魔法を唱えれば呪文も魔力の込め方も正しいのに何故か爆発を引き起こす。
しかしその爆発は、火の魔法のエキスパートであるコルベールが再現できないものでもあった。
爆発という現象を引き起こすには少なくとも「火」と「土」のスペルを掛け合わせる必要があるにも関わらず、ルイズはドットスペルでトライアングル相当の威力を叩き出す事がしばしば見られたのだ。
何故こんな事が起きるのか。
ともすれば魔法偏重主義と揶揄されるトリステインにおいて、魔法学院の教師となるにはそれ相応の知識と技術が必須となる。
そのエリートたちが、ルイズの失敗魔法について説明も再現も出来ないのだ。
全く持って非常識と言わざるを得ない。
ヴァリエール公爵が悩み、オールド・オスマンが頭を抱えたのも無理は無いと言えるだろう。
だが、ここに来て事態が変わった。あの使い魔が『始祖の左腕』ガンダールヴだとしたら、その主人の系統は?
オスマンもコルベールもそれを思いついた時はまさかと思い、しかしその可能性を否定する事は出来なかった。
「で、どうされるおつもりですか?」
コルベールの問いに、オスマンは首を振って答えた。
「どうもこうも、現状を維持するしかなかろう。元々確証がある訳じゃなし、うっかり王宮になど知られたらエライ事になるわ」
ただでさえ隣国では内乱が勃発している不穏な時期に、そんな事を報告しても碌な事になるまいと呟く。
「まあヴァリエール公爵には私からそれとなく伝えておこう。どうせフーケの件で城までいかねばならんからの」
実に嫌そうな顔をするオスマンに、コルベールは同情を禁じ得ない様子だった。
オスマンの王宮嫌いは今に始まった事ではない。
「彼女らの前では言えなんだが、君もよくやってくれたな。ヴォルテール君」
「コルベールです。どう間違えたらそうなりますか」
「冗談じゃ、マジになるでない。まあ舞踏会まで間がある。少し休みたまえ」
そう言ってオスマンは、自分の『頼み事』を無事果たしてくれた男を労うように肩を叩いた。
『フリッグの舞踏会』は本来、新入生を歓迎するという意味合いを持っている。
これまで多かれ少なかれ従者に世話をして貰っていた貴族の子女が全寮制の学校に来るのだから、当然新入生たちは緊張している。少しでもリラックスさせる為の舞踏会という訳だ。
また魔法学院は、貴族が貴族らしく振る舞う事が出来る為の学習の場でもある。
要は卒業後、王宮主催のパーティーに招かれた際などに恥をかいたりしないように学院側が配慮し、こうした機会を作る事で場慣れさせておく授業の一環でもあった。
だが今年は、例年とはいささか事情が異なっていた。
通常主役を求めない筈のこの会に、特別に紹介された者たちがいる。
「土くれのフーケ」が学院に盗みに入ったのは既に学生たちの間にも知れ渡っていたが、その怪盗を捕らえた者たちとして7名の学生が学院長の口から発表されたのだ。
そして今、その7名のうちの一人が多くの者に囲まれながら得意げに独演会を開いている。
「そこで僕はワルキューレを作ってゴーレムに立ち向かったのさ。
確かに敵は強大だったけれど、このギーシュ・ド・グラモンの勇気と誇りはそんな簡単に折れるモノではないと言うことをかの怪盗に教示しなければならなかったからね!」
その様子を少し離れた場所で眺めているのはギーシュらと一緒に紹介されたレイナールである。
彼の周りには上級生やクラスメイトなどが集まり、口々にギーシュの言ってる事が正しいのか確認していた。
「で、あれはどうだ」
「立ち向かっていったのはヴァリエールの使い魔、クロコダインだけですよ。おかげで僕たちはその間フーケを捜す事に専念できたんです」
上級生のベリッソンにそう答えると、相手は微妙な表情になった。
先日の食堂での一喝がまだ堪えているらしい。そういえばあの時ツェルプストーの盾に成り下がっていたなこの人、と要らない事を思い出した。
「じゃあ杖を投げ捨てる振りして油断させ、フーケを捕らえたって言うのもウソなの?」
「いや、それは本当だよ。フーケの捜索中に野薔薇を手折っていたから、杖を捨てろと言われた時、代わりにそれを投げていたんだ」
隣のクラスの女生徒の質問に補足を入れつつ答える。
その間にも独演会は続いており、丁度フーケを燻りだす算段を立てる所に差し掛かっていた。
「この僕の発案で、風竜を使って怪盗を見つけ出すことにしたのさ。そもそも木の上に隠れているのは容易く想像できる事だったしね!」
それは初耳だなあ、とレイナールは完全に部外者のノリである。
実はギーシュの独演会は、これで5回目となる。
彼の名誉の為に言っておくと、最初からこんな調子だった訳ではない。ちゃんと自分のした事と仲間のした事の区別はつけていた。
しかし、ギーシュの近くに集まる女生徒が増え、そして彼女らの賛辞が増え、更に薦められるワインの量が増えるに従って話が大きくなっていったのである。
因みに去年は壁の花であったマリコルヌとギムリも今日ばかりはモテまくっており、有頂天になっているのが手に取るように判った。
『春……! 季節も春だけど人生の春……!!』
心の声がここまで聞こえてきそうな勢いである。
勿論レイナールにもダンスの相手には困らない状態だったが、小休憩を取っていたらいつの間にか質疑応答と解説の時間になってしまっていただけの話だ。
なんだかなあと思いつつ、レイナールはワインを飲みほした。
一方、本当の捜索隊である女子3人はどうなっていたか。
キュルケは何時もの様に取り巻きが門前市を為す状態である。
真紅の髪に燃えるような赤いドレスの彼女は、今日の主役という事を差し引いても充分に華やかであった。
タバサは黒のパーティードレスに身を包み料理とタイマン勝負をしている。
子供の様な体型と無口な性分から彼女は男子に余り人気が無く、極一部の特殊な趣味を持つ者もいたが彼らは総じて話しかける勇気を持っていなかったので、誰にも邪魔される事無くハシバミ草を食べまくっていた。
そしてルイズは、近寄って来る男たちをうんざりしながら捌いている。
白のドレスにピーチブロンドの髪が映え、立ち振る舞いも上品の一言に尽きる淑女に驚いた男子生徒が今日の武勲との相乗効果もあり殺到したのだが、ルイズは失礼にならないようにしながらも頑なにダンスの誘いに応じはしなかった。
大体昨日まで『ゼロ』だなんだと馬鹿にしていた連中に褒められても嬉しくない。大貴族の意地で超特大の猫を被っているので周囲には全く気づかれてはいないのだが。
少年たちの賛辞の声に応じながら、その瞳はここにいる訳もない誰かを探しているようにも見えた。
「こんな所に居たのですか」
同時刻、ヴェストリの広場。
その片隅に使い魔たちが集まっている。輪の中心にいるクロコダインに、やって来たコルベールが話し掛ける。
「そちらこそ宴はどうしたんだ? 教師が場を離れてはいかんだろう」
そう言って笑うクロコダインの前にはたくさんの料理があった。
先程忙しい仕事の合間を縫ってシエスタらが持ってきてくれたのだ。マルトーからの指示だというそれらは貴族に出す料理と同じものだった。
シルフィードは大きな肉の塊を至福の表情で飲み込んでおり、フレイムも尾をパタパタと振って喜んでいる。尻尾には火が灯っているので迂闊には近寄れない状態だ。
その他のジャイアント・モールやフクロウ、カエルやスキュラらもそれぞれ自分の好物に手を出していた。
「ああいう華やかな場所はどうにも苦手でして」
苦笑と共にコルベールは『浮遊』の呪文で運んできた3つのガラス瓶を差し出す。篝火にルビーの様な赤がうっすらと透けた。
「学院長に頼まれましてな、約束の美味い酒だそうですぞ」
それはオスマンがまだ若い頃に樽ごと手に入れた銘酒を瓶に移し替えて今日まで保管していたという、文字通り秘蔵の一品だった。
「それはまた随分と早く約束を守ってくれたものだ。後で礼を言わなければな」
クロコダインは遠慮なく瓶を受け取り、傍に置く。
「そうだ、コルベールにもまだ礼を言っていなかったな。ありがとう、昼間は助かった」
コルベールは目を丸くした。
「一体、何の事です?」
「フーケにルイズが捕まった時、背後から『気』を放って動きを止めてくれただろう? ありがとう。アレのお陰でルイズは怪我をせずに済んだ」
クロコダインが頭を下げると、コルベールは慌てて言い繕う。
「いや、何か勘違いをされていませんか? 私はずっと学園におりましたが」
「そういう事にしておきたいのなら、確かにそうなんだろう。じゃあここからはオレの想像だ」
一旦言葉を切って、クロコダインは続ける。
「そもそもオスマン老が捜索隊を募った時から不思議に思っていた。何故お前が名乗り出ないのかと、な」
コルベールは黙して語らない。
「オレがルイズに召喚されたあの日、お前はルイズや他の生徒を庇うような位置に立っていた。仮に攻撃を試みても直ぐに阻止されただろうな。それに普段の体捌きを見ていても、何らかの心得があるのは一目瞭然だったよ」
日頃の鍛錬を怠っていない証拠だなと付け加え、手近にあった肉をシルフィードに向かって投げる。器用に首をくねらせて風竜は空中でキャッチした。
「それにオスマン老も、素人に近い生徒たちを何の考えもなしに危険な任務を押し付けるとは考えにくい。腕の立つ教師に自分の使い魔をつけて一部始終を見守り、いざという時にはフォローできる体制を整えていたとしてもおかしくは無いだろう」
話を聞きながらコルベールは無表情を保っていたが、内心では密かに舌を巻いていた。
確かにオスマンは自らの使い魔・モートソグニルを彼に託し、感覚同調で一部始終を観察している。更に宝物庫に保管されていた『眠りの鐘』を、学院長特権でコルベールに貸し出してもいたのだから。
「さっきも言ったが、これはあくまでオレの想像に過ぎん。証拠などない話だしな。ただ、礼を言っておきたかったのさ。オレの主を助けてくれた礼を」
2度も礼を言われたコルベールからは無表情という名の仮面が剥がれ、ひどく複雑そうな顔になっている。
自分は罪から逃げた卑怯者だという考えがこれまで彼の脳裏から離れた事は無く、また今回の事もただ生徒たちが心配なのは確かだったが、クロコダインとルイズの力を把握するという目的もあった。
少なくとも、礼を言われるような立場ではない。
「……私はただの臆病者に過ぎません。それより、礼を言わなければならないのはむしろこちらでしょう」
だからコルベールは、心からの感謝を込めてクロコダインに頭を下げた。
「ありがとう。私の生徒たちを守ってくれて」
352 :
代理:2009/02/07(土) 10:59:09 ID:Z1zpnClB
すいません、さるさん食らいました。代理をお願います。
しばらく話した後、コルベールはホールへと戻っていった。
流石に長時間席を離れているのは難しいらしい。
その姿を見送ってコップ(人間が持てばジョッキサイズ)に手酌でワインを注ごうとした時、再び誰かがこちらにやってくる気配がした。
「ああ、もう! 捜しちゃったじゃない!」
憤懣やるかたないといった顔で現れたのはルイズである。
あちこち見て回ったのか少し息を切らしていたが、それでもパールホワイトのドレスに身を包んだ少女は美しく、双月の光に照らされたその姿は幻想的ですらあった。
「いったいどうしたんだ? 主役が不在ではいくらなんでもまずいだろう」
「相棒の言う通りだ。早く戻った方がいいぜ、娘っ子」
軽口を飛ばすデルフリンガーをキッと睨みつけて黙らせ、ルイズはクロコダインに向き直る。
「私の事はどうでもいいの! それより何でクロコダインはこんなところにいるのよ」
クロコダインは笑って答えた。
「なんでもなにも、オレのような怪物が人間に混じって宴に出る訳にもいかんだろう?」
「そんな事、ない!」
ルイズは、そんな使い魔の言葉を真っ向から否定した。
「そんな事ないわよ! 私が主役だっていうならクロコダインだって充分主役の資格があるわ! 大体なんなのよ怪物って!」
顔を真っ赤にして、手を振り回し、優雅さも気品もかなぐり捨てたかのように、ルイズは懸命に言い募る。
「そりゃ確かに貴方は人間じゃないわ。立場としては私の使い魔だし、舞踏会に出るのはおかしいかもしれない。だけど……」
ぎゅっと拳を握り、俯いたままで、瞳に溢れる何かを堪えながら、ルイズは必死になって訴える。
「だからって、自分の事を怪物だなんて言わないで……」
ルイズは無性に悲しかった。何故かは分からないが、笑っている筈のクロコダインが、彼女にはひどく悲しいものに思えたのだ。
一方クロコダインは、泣き出す一歩手前といった風情の主を前に、心の底から困っていた。
数え切れぬ程の戦いを経て、星の数程の死地を掻い潜り、人間の素晴らしさに目覚めた彼であったが、こんな時どうすればいいのか全く見当がつかない。
コルベールがいた時は何かと茶々を入れてきたデルフリンガーもこの時ばかりは押し黙っている。
そんな2人の元へ、場違いな位に明るい声の救世主が襲来した。
「もー、ダメじゃないクロコダイン、幾ら小さくてもレディを泣かすのは犯罪よ?」
当然というべきか、ほんのりと頬を赤くしたキュルケがその声の主だった。
その後ろでこくこくと頷いているのはタバサだ。手にはハシバミ草の入った特大のボウルを抱えており、きゅいきゅいと鳴く風竜に食べさせようとして全力で拒否されていた。
「うむ、全くだ。女性を泣かせるなんて言語道断、始祖が許してもこの僕が許さないね!」
「敢えてツッコむぞ、お前が言うな!」
「流石に二股をかける男は言う事が違うね、月の無い夜には気をつけろよ」
「つまり自分自身が許せないという訳か、大変よく分かったとも」
更に、泥酔寸前でふらふらしている割に口は達者なギーシュと、それを支えつつ割と千鳥足気味のマルコリヌとギムリ、それなりに飲んでいるのに酔いを表に出していないレイナールが続けて登場するに至って、デルフリンガーは思わず吹き出していた。
「これで主役が全員舞踏会を抜け出した訳か! おでれーたねどうも!」
「あ、ああ、あんたたちねぇ……」
先程のしおらしさはどこへやら、俯いているのは変わらないがルイズが今身に纏っているのは目に見えぬ怒りのオーラである。
「なななななんだって揃いも揃ってここにいるのよーっ!」
爆発するルイズに皆はしれっと答えた。
「んー、あんたが抜け出すのを偶然見ちゃってさー、てっきり逢い引きでもしに行くのかと」
「食後の運動」
「愛しい僕の使い魔に会いに来たのさ。ほーらドバドバミミズだよー」
「酔ってやがる。飲み過ぎたんだ」
「え? これ素じゃないのか」
「ごめん。不作法だとは思ったけど、こんな酔っぱらいを放っておく訳にはいかなかったんだ」
至極勝手な言い草を聞いて、わなわなと震えるルイズとは対照的に、実に楽しそうな声で笑ったのがクロコダインである。
憎まれ口を叩いていても、仲間を心配してここまできたのだと分かったのだ。大切なパーティーを中座してまで。
元の仲間たちもそうだった。立場も、年齢も、住む場所も、世界すら違えど、人は人を思いやる心を持っている。
クロコダインはあらためて思う。
やはり、人間というのは素晴らしいと。
353 :
代理:2009/02/07(土) 10:59:46 ID:Z1zpnClB
結局、ルイズたちは舞踏会には戻らなかった。
彼らはマルトー特製の料理に舌鼓を打って使い魔一同を密かに嘆かせ、オスマン秘蔵のワインに心地よく酔って呂律が廻らなくなり、昼間の武勇伝に花を咲かせる。
やがて痛飲したキュルケをタバサが部屋まで連行し、完全に沈没したギーシュたちをレイナールがおざなりなレビテーションで半ば引きずりながら退場していった。
使い魔たちもそれぞれねぐらに帰って行く。
残っているのはクロコダインとデルフリンガー、そして半分寝ている状態のルイズだけになった。
「いいころー、これからー、じぶんのことー、かいぶつらなんれー、いっちゃらめー」
酒に弱いくせにしこたま飲んだせいか、完全に舌が回っていない。舞踏会での淑女っぷりはどこへやら、である。
「それからー、あるじろるかいまはー、いっしんろーたいなんらからー、いっしょにいるころー」
「なあ相棒、なんて言ってるかわかるか?」
「多分『主と使い魔は一心同体だから一緒にいろ』じゃないか?」
「ああ、言われてみれば」
クロコダインは酔っているように見えず、デルフリンガーはそもそも酔える訳がないので会話は一応成り立っていた。
「しかし何だね、それいい酒なんだろ? あんなに大勢で飲んでも良かったんか相棒。俺には分らんけど」
どうせ俺には飲めないしね、と鎬を鳴らして剣が喋る。3本あった大瓶のうち、2本が空になっていた。
「楽しく飲めればそれが一番さ。酒の良し悪しは、まあ二の次だ」
クロコダインは笑ってクラゲの様な状態のルイズを抱え上げた。
「美味い酒が飲めるのはいい事さ、それが仲間たちと一緒なら尚更な。さあ、そろそろ戻るぞルイズ」
「えー、やらー、もっろくろこらいんといるのー」
抵抗するのは口だけで、それも本気ではないのは誰の目にも明らかだ。それが獣人とインテリデンス・ソードであったとしても。
「いや、それにしてもてーしたもんだ!」
寮へ向かって歩き出すクロコダインを見送りながら、デルフリンガーは機嫌良さそうに笑った。
「主人にここまで懐かれる使い魔なんて、初めて見たぜ!」
354 :
代理:2009/02/07(土) 11:00:04 ID:Z1zpnClB
以上で投下終了です
今回の話について
・オスマンの恩人はラーハルトではないです。今後出てくる予定もありません。
・レイナールを贔屓し過ぎた気がします。もう少しダメ人間な所を出さないと。
・ルイズが原作13巻相当までデレ進行してますが無害……か?
次は幕間の予定。ポメラ便利だよポメラ。
そして上げてた・・・申し訳ない
獣王はついに乗騎を手に入れたのか?!
毎回乙です!
うおお、獣王の人GJ!
おっさんかっこいいよおっさん
ルイズ可愛いよルイズ
デルフ悲惨だよデルフw
次回に超wktkして正座待機。
獣王の人、代理さん、乙でした!
とうとう原作1巻のエピソードが全部終わったか〜 GJです!
この先デルフは戦いで使ってもらえるかな。
ポメラで次回の執筆も頑張って下さいw
(ちょっと気になった所)
>>348 >オスマンは150メイル余りの長剣を
これはたぶん150サントの間違いですねw
1.50メイルでもおk
>主人に懐かれる使い魔
まさに、まさに言い得て妙w
いやあ、第一巻までの内容だけでこれだけ充実してるSSも珍しい。
外の陽気もいいのも相まって、読み終えた後の気分が非常にいい。獣王の人乙でした!!
乙です
おっさんが万能すぎる…
現在連載されてるのは獣王の人のみか
もう他の人の続きは読めないのかな
そう言う弱音は1年くらいたってから言うものかと
召還されましたスレ系列は投下スピードが変なので感覚狂ってるけど
数ヶ月に1本のSSでも他のスレだと珍しく無いし(コレはコレで感覚が狂ってる)
そうか、更新の早さへの感覚がおかしくなってたようだ
職人さんたちの消息が知りたいって思ったけど、もっとじっくり待つべきだよな
贅沢なこと言ってしまった
獣王の人GJです。
流石は勇者パーティ最年長っ!(たぶん)
おっさんのお父さんオーラはハルキゲニアを駆け巡るでぇ〜!!
一巻までで、内容が詰まってて非常に面白かったっす。
次は二巻かぁ、ワルドがどうなんのかな。
こういう『見守る』ポジションの使い魔が出てくると、時々きれいなワルドが誕生したりするしな。
楽しみに待ってますです。
あと、レイナールはもう普通に苦労する突っ込みポジションでいいと思う。
竜の騎士のライデインにも耐えるおっさんの前には、ライトニングクラウドもどうということはないぜ。
ギガブレイクの間違いでは?
巨大な帆船を持ち上げる程の魔力のあるワルドのライトニングクラウドって
威力は洒落にならないくらい高いはずなんだけど
おっさん相手だと、痛手を負わせる……ってあたりが限界と思えるのが贔屓目だろーか?
下手すると気合or息で弾かれる感じでw
初期ダイのポップと協力してヒュンケルに落としたライディンくらいの威力はありそーなんだけどなー?
いやライデイン。
ギガブレイク2回喰らって、手刀で腹に風穴開けられた後、ライデインも喰らったろ。
でもこれでヒュンケルを上空に飛ばす余力が残ってるおっさんは凄い。
いや、気合で弾かれる、は無いでしょうwww
それはバランさんとか覚醒ハドラーとかバーン様とか、そういう別格オーラ漂いまくる人にのみ許された所業だ。
おっさんはキッチリ敵の攻撃を食らって、大ダメージ受けて、それでも根性で立ち続ける人なのです。
なんかプロレスラーのようだ。 プロレスは敵の技から逃げちゃいけねえ。
個人的には、おっさんがゼロ魔世界でチートにならずに済むギリのラインの戦力かなぁ、という気がする。
これ以上の、バーンパレスでバリバリやってた連中だと、7万人相手にあっさり勝つだろうし。
あと、その身にまとったお父んオーラと獣王という属性で、戦力以外でも見せ場が作りやすそうだしなぁ。
おっさん以外だと、アバン先生とかか。
でもあの人王様になってんだから呼んだらまずいわな。
サイト
未覚醒デルフで受けて腕に大火傷
普通なら即死
おっさん
まともに受けてもちょっと焦げる程度
それよりも体重で階段が抜けないか心配
ワルドさんには是非獣王痛恨撃を直撃させてあげて欲しい
>>365 ワルドはあくまで足りない風石の補助をしただけで個人の魔法パワーで船一隻は無理なんじゃ無いかな
野郎どもと使い魔達にも見せ場のあるSSは貴重なのでこのまま頑張ってほしいです。
見せ場があるのはおっさんが人格者だってのが大きい気がする
他のキャラだとコミュニケーションとることから始めなきゃならないから
陸戦騎とか元魔王とか大魔王の部下とか実力は高いが気苦労も絶えないと思う
>368
ちょっと違う
おっさんの売りは防御力ってより体力・HPだぜ
ちょっとじゃなくてしっかり焦げてるけど平気なんだよ
この先のゼロ魔の展開は人間同士の戦争へと巻き込まれていくわけだが、人間好きのおっさんとしては辛いところかもな
だが一昔前は、人間相手に一軍率いて戦争やってたんだよなあ。
このスレのおっさん人気は異常w
ダイ召喚を書きたいと思ったけど、人間同士の戦争に巻き込まれる形になって難しいんだよな
下手に戦わせると別人になってしまいそうで…
人物を変えるわけにはいかないのだら、派手に話を変えてしまえる構成力が求められる。
ダイやポップだとまともにやると病んだりしそうだけど、うまく切り抜けたら話が激変しそう
でもレオナ姫なら結構原作そのままの展開になりそう
個人的には激変した話のほうが新鮮味があってすきなのだがね
ハルケギニアで大暴れ!とかじゃないダイ召喚があれば参考に読みたいんだけどな
ダイらしさ、純真さを表現しようと思うと混乱してくる
気兼ねなく倒せるモンスターが敵になってくれないからな
少年漫画とラブコメの殻をかぶった戦記物の違いだろーな
ダイの世界だと人類が万物の霊長なんかでは無いので人間同士が争ってる暇ないけど
同じく万物の霊長では無い状況で、でも外敵はいないので仲良く人間同士の殺し合いが出来るゼロ魔世界では
立場とか主張が全然ちがうからなー
人間同士が争うなんて! とか価値観押し付けを実力行使でやってると単なる最低物だし
逆に人間相手に戦闘余裕です! だとダイやらの勇者側の人間はキャラ崩壊しすぎる
そして、自分の手を汚すのを嫌って戦争に加担しないと、みごとになーんも出来ないと言う
>>365 終盤の攻撃力の威力的にワルドさんの攻撃では
おっさんにかすり傷すら怪しい
おっさんを倒すにはワルドさんが超魔化するしかないとおもう
テファ辺りに召喚してもらって外の世界を見て来る→人助けしつつ諸国漫遊みたいのなら
単なるダイTUEEEEにはなりにくい希ガス。でもそれだと避難所の範疇か…
>>384 ワルドの攻撃がかすり傷すら怪しい=最強の風のスクウェアでもかすり傷のあやしい=ゼロ魔世界で傷を負う事は無い
そんくらいの強さに設定すると、物語つくりにくくない?
へっぽこ高校生でも覚醒すればスクウェア圧倒できるチートルーンの存在で
強さ自体は重要なファクターじゃないから、話の都合に応じるがよいさ
>>383 ゼロ魔は「かっぱえびせん」だと思ってるので、戦記物なんて言われるともの凄い違和感がw
>>386 チートである虚無や相手の体内を攻撃(爆炎とかタバサの冒険でのラルカスへのあれ)とかが
あるから大丈夫だろ
かっぱえびせんは良い得て妙ですねw
ゼロ魔で起きてる出来事だけ拾ってくと非常にシビアだよー
ザクザク人が死んでボコボコ悲劇が量産されてドコドコ逆境に負いこまれる
まーサイト付近ではチートじみた補正のおかげでラブコメやってる余裕があるんだがw
力の強さというより振るい方が大事なんだろな
一方的じゃないダイ召喚を書いてみたいし読みたいけど、やっぱ難しいのか…
ダイ召喚は俺も書こうと思ってたまに執筆もしているが、
文才の無さとモチベーション低下と書き直し続きで一向に進まないぜ!
勇者の仕事は戦争に参加することじゃなくて戦争の根源をピンポイントで叩くことだと思うな。
おっさんが一声吠えれば、馬とか龍とか狂乱状態になって戦争どころじゃなくなるんじゃないかしら。
そのど真ん中を突っ切って本陣を粉砕するおっさん。
カコイイ、カコイイよおっさん!
>>392 おっさんの場合はそれで問題ないからなー
問題があるのは、正義の側の人達だし(おっさんが悪ってわけでもないが清濁あわせのめる器量あるし)
戦争に善悪は無いつーのがダイの勇者陣営とのかみ合わせの悪さカト
敵の人間の首領を殺して終わり、ってーのは戦争でやってしまうと戦争の原因だけが火種になって残ると言う結果になるうえに
相手側からみたら間違いなく悪とみられてしまうと言うジレンマ
んな行動を取れるだけの渋さはやっぱりおっさんくらい人生経験ないと重みが出なさそう
>>394 その辺を飲み込んで行動できそうなのは、おっさん、アバン先生、あとはヒュンケルとかくらいですか。
マトリフ師匠やブロキーナ師範も出来るんだろうけど、あの人たちは人間同士の戦争に積極的に参加したりはせんだろうな。
ヒュンケルとかも、一歩間違えるとジョセフと法王を単独で殺して、咎は自分が背負えばいい、とか自己完結しそうですけど。
ダイとかポップを呼ぶと戦闘力的に無双過ぎるから、その辺の人間対人間の戦いに対する心の成長、とかで話を作ってく必要があるんだろうな。
凄い難しそうです。解釈間違えると誰コイツ、な状態になるだろうし。
>>394 でも、単騎で七万止めたりすると敵将から英雄と讃えられたりするレトロな世界だから。
コソーリ暗殺じゃなくって、武勲っぽい雰囲気作れば問題なか。
別に殺さなくても、とんでもない呪文やら技やら見せて立ちふさがれば、戦いは終わるだろうしなぁ。
獣王激烈掌で、カッタートルネード並みの竜巻を二つ同時に操って見せて、敵軍の動きをためた後に、
多少の攻撃は無視しつつ指揮官のところまで歩いて行って、決闘を申し込むとか。
撃退すればいいだけだしな。
正義無き力は無力、力無き正義もまた無力。
ダイ達は力は有り余ってるから、何に正義を見いだすかだな。
人間同士の争いにそんなものが有ればの話だが。
敵とはいえ力で蹴散らしまくるだけだったら大魔王と同じになってしまうからなー
ダイ召喚は二話だけのやつ以外無いのかな
竜魔人化やドルオーラで暴れ回るのは除くとして
おっさんはあの魔世界だと規格外だからなぁ。
クロコダインは戦った。そして勝った。
で終わりそうだw
アンアンが召喚してたらどうなる?
>401
それは無いだろ
他の作品とのクロスじゃおっさんどころかダイとかよりも強い奴だって呼ばれて作品として成り立ってたりもするんだぞ
その辺はあくまでも作者の力量問題でしかない
>>400 ダイ召喚に何を求めてるんだ?竜魔人化やドルオーラは外せないだろう。
人間同士の戦争を直視した時、ダイはどう思うか見物だな。それぞれに正義や主張がある。おそらく今迄の価値観は崩れるだろうねぇ。
結果、親父みたいに人間を否定する方向に突っ走るか、我関せず見てみぬふりをするか、どこかの陣営に正義を見いだしくみするか、非現実な理想をとなえ空回りするか…
ガンダールヴの役割はあくまで盾だからな、盾に竜魔人化は少なくともゼロ魔世界じゃオーバースペックすぎる
大局を決めるのは虚無であって、自分は最強の盾としてルイズを守ることに徹する、くらいの割り切りもラスト辺りのダイならできると思う
盾に徹するならブロックかシグマが呼ばれたら良さそう。
ダイの竜魔人化は自分の存在を捨てるかもしれないぎりぎりの選択で、地上の平和のために絶対倒さなきゃならない大魔王が相手だったから…
竜魔人化やドルオーラを絶対使うなとは言わないけど、たいした理由も覚悟もなく使って暴れさせるだけなら要らないと思う
俺TUEEEが嫌だから要らないってのは読み手の我が儘だよ。
なんか焦点の擦れ違いを感じる
>>407 俺TUEEEが嫌だから要らないっては誰も言ってないよ
俺TUEEEで蹂躙して物語にもなってないようなのが要らないって言ってるだけで
実際、このスレではゼロ魔世界だと俺TUEEEとしか言いようがないほとの強さを誇るキャラたちが
普通に面白い物語としてあるし……みるたびに作者さんたち上手く調理してあってスゲーと思う
そうだね失礼した。
まぁ上に書いた理由で正直ダイを書くのは難しいと思う。
紋章出なくなって原作に近い展開のダイ召喚ならあったけど、
能力全開となるとかえって厳しいだろうな
まあ人格や行動でキャラの魅せ方考えてく所を、
まず戦闘力の大小に重きを置いて頭捻ってもいい発想は出ないだろうな。
ここは元々そう言う奴が多いスレだから……
いっそ戦闘イベントをすべて排除してしまってはどうかとか適当なことを言ってみる
華麗なスルーはそれはそれで魅力。相応の技巧が要求されるが。
>>414 そういう変化球はダイじゃなくて他のキャラもいいと思う。
やっぱりダイ召喚なら正攻法なのを読みたいな。
>>412 戦闘力の大小が重要っていうより、ダイらしい性格や行動と強大な力をきちんと絡めて表現するのは難しそうだと思ったんだ
うまく説明できないけど…
ダイの召喚された時期とか持ってる力によって、内容や書きやすさがかなり変わりそうなイメージがある
ダイらしい性格と行動だと、ゼロ魔世界だとひじょーにきっついからなー
1巻のフーケ戦だけなら良いんだけど、戦争イベントが絡みはじめと
個人戦力が初期ダイでも最終型ダイでも別の意味で辛い、おもに精神的な意味で
騎士団の1つの隊のトップで爵位持ちの国で屈指のメイジが裏切ってます! とか
貴族の中でも上位の者さえ裏切ってます! とか
隣の国では貴族が反乱おこして王族を駆逐してそろそろトリステンに攻めてきそうなので
姫を餌に隣国に同盟を結ばないと滅ぼされそうです! とかマジでゼロま世界は地獄だ
ダイは心が折れそうになったときにポップのおかげで助かったけど、ルイズだとツンデレが邪魔して最悪の結果引き寄せかねないのが怖い、ダイの年齢考えると反抗期やら厨二病とか育て方に気をつけないといけないし
某所であったような人類に絶望して魔王化したりするやつとかしんどいわ
>>419 ゼロ魔世界だと魔王化ありえるね。先ず貴族平民の差別に納得しないだろうし主義主張やエゴで戦争だしな。
人間同士でもショックを受けるだろうが他の種(エルフ)にも争いを仕掛けようとしてるし。
竜の騎士の本来の使命に基づいて“こんな奴らいらん”となるのもあり得るわな。
因みに某所の作品のタイトルは??
バランやらハドラーやらバーン様相手に散々人を信じようとか言っておいて
自分が迫害されたら手のひらを返して人類滅亡に邁進するダイとかネタにしか思えないけどなー
最終話でバーン様に人間に迫害されてもいい、姿を消して生きてくとか言った啖呵は何だったのかと……
これで、やっぱり人間を信じよう! になるなら良いんだろーけど
魔王化して不自然で無い流れも、最低限バラン以上の酷い目にあわないと違和感あるし
酷い目にあって魔王化したとして元に戻すためにどうやって説得するのかとか
ゼロ魔とダイ世界の実力差的に、来た見た勝ったにならない組み立てとか、読める物語にするには難易度高いだろうなー
個人的には、後期ダイなら守りたい者が居ない異世界に来たなら隠者になって
守りたい者が出来たならソレを守るためだけに力を使いそう
自分がどんだけバケモノかの自覚と人間が自分をどう見るかは理解済みだし
>>420 ダイは貴族とか王族の否定はしないんでない?
それに見合った義務と労働してる知人がいっぱい居るんだし
ゼロ魔世界で貴族を廃したら人類が他種族負けてに衰退するくらい理解する頭はあると思われる
メイジが居ないとオーク鬼の群れさえ退治出来るかびみょーな世界なんだし
同じ終盤のダイでも紋章が出せるか出せないかで行動がかなり変わりそうだ
何故か知らんけどダイとかポップはオリジナル呪文身につけてやたらと強くなったり魔王化したり、別人になる話が多い気がする
魔王化ねえ・・・・
実は召喚されたのは子供時代のバランでした、なら納得できるかも。
ドラクエ世界の王侯貴族ってちゃんと仕事してるもんな。
あんまり理不尽なことしないし。
流れの商人とか勇者とかが普通に会って話ができる存在だし。
ハルキゲニアでは考えられない大らかさだよな
ガードの堅いエジンベアですら、中に入ればそれなりに会話してくれる。
それは勇者が特別なだけのよーな気もするw
まあ、ガチで人類の生存圏が城とか街のごく一部な世界で
理不尽な真似してる余裕があるかって話だと思うがw
IVのトルネコシナリオとかでも普通に入れるし
X以降は別に勇者です、って旅してないしね
ドラクエ世界の王侯貴族がちゃんと仕事してるのは貴族じゃ無くても魔法が使えるからだろうな
本当にダメな王、ダメな貴族に対しては平民が力を結集して立ち向かえそうだし
>>429 魔法がなくてもドラゴン相手にガチで殴り勝てるよーになる世界と比べてもどーかと思われ
あと、平民が集結してもダメな王やら貴族相手にはどーにもならないと思うよ
ドラクエVやらWやらで魔物に乗っ取られた国で平民は何も出来なくてプレイヤーが何とかしないといけなかったんだし
町長くらいだったら、ドラクエV的に考えて牢屋にぶち込めるんだがw
>>421 最初期のルイズやギーシュや学園の貴族小僧達には反感を持つと思う。この頃は“平民のくせに〜”というセリフにもある様に選民意識や侮蔑が目立つからね。むしろ従順になってる方がおかしい。
ゼロ魔キャラでテファニア辺りはバランよか酷い目にあってる。ダイがこういったのを見ちゃうと魔王化とかまではいかないまでも嫌気は差すんじゃないかな。
フローラ、レオナ、アンリエッタ、女王として有能なのは誰だろう。
>>431 テファは個人だけ見ると悲惨の一言だが
王族側から見ると、ダイ世界で王族が魔族の女を愛妾にして
さらに子供まで作って囲ってました!
つーくらい、国の基幹を揺るがす大事件だからなー
「よし、漢としてよくやった、無罪」とか王様がのたまってたら
十数年早く貴族の反乱が起きて国が滅んでそーだと思うのは気のせいかね?w
ラーハルトやらダイやらが共感するよーな境遇なのは確かではあるんだがw
>>432 アンアンは時期と誰から見るかによって無能と超有能の落差が激しそうだな
絶望的な戦力差で国が滅びる一歩手前の状況から自ら前線に立ち士気を鼓舞し
奇跡の光で敵を打ち破ったのちにアルビオンに攻め入り、レコンキスタを打倒し
聖女の加護のもと狂王をロマリアと共に打ち倒したとか、国力と状況を考えれば
信じられない戦果をのこしてる、ほとんどがルイズやサイトのおかげや他の虚無使いのが
その状況を引き起こした結果でしかないがw
読者視点で見ると愛で王族の義務を放棄したり悪用してるダメ女王
ただし、最近恋もルイズとサイトのおかげで吹っ切って持ち直した
くらいかねー?
ゲームとして簡略化されたシステム部分を混ぜたら駄目だろ
別にダイの世界で庶民が城にずかずか上がりこみまくったりしてないぞ
>>431 むしろテファ=ロザリー的にデスピエロ化w
>>433 それは国家の事情であり為政者の論理だがダイが素直に納得するだろうか?逆にどっかの提督みたいに個人を守るのが国家だろ!ってなるかもね。
ダイ世界では魔族は侵略者だが、ゼロ魔では逆に人間の方が一方的にエルフを敵視してて、その差の分人間が身勝手に見えるわな。
>>437 エルフ側は人間を敵視はしてないが、敵視する価値も無く軽視とか蛮族風情としかみてないよーな気がする
生粋のエルフが1人しか出てないから、彼の印象だけだけどねー
あと、個人を守るために国がどーなっても良いってのは
ダイは言わないと思うけどなー
根本的に異なる者同士は、個人レベルではその垣根を乗り越えられるけど
国家レベルだとどーにもならんてのは理解してるだろーし
で、ないとデルムリン島にモンスターが押し込められてるのは不当だ!
人間の街中でモンスターが出歩けるようにしろ!
とか言い出さないといけなくなるw
>>436 ちょっとマテ、デスピサロじゃなくてキルバーン化するのかYO!
>>437 別にデルムリン島のモンスター達はそこに追放されてきた訳じゃないでしょ?
寧ろ追放されたのはバーン達魔界の魔族だが彼らは自らの権利を主張する手段に侵略という方法を選んだからなぁ・・・
あと、個人の為に国がどうなってもいいって極端な事は言ってないよ。ただね、国の体面という理由で何の罪もないティファ親子への仕打ちに対し、ダイがその場に居合わせたら静観してる訳ないと思うのよ。
あんまり難しい話になるとSS書く人がいなくなっちまいそうで不安になる
いざ戦乱となると魔王軍側のキャラの方が動かしやすいのかな、いろいろ悩まなくてすみそうだし
シンプルな話
行動パターンは、悪代官と正義のお侍さんでおk。
少年誌と一緒にするなよ。
……まあ待て、その発言は色々と致命的だ。元ネタ的に。
ダイなら身分とか種族とか超えて友情を築きそう
以前紹介されたものの他にダイ召喚ってありますか?
「あの作品の〜」のまとめにあるのは更新が止まってるので…
ダイはやっぱり難しいよなぁ。
戦闘から目を離すなら、やっぱりおいしいのはチウとかかな。
国家のしがらみとかそういうのに関わらない、というより理解できなそうだし。
ティファに召喚され、ティファ宅周辺で着々と獣王遊撃隊ハルキゲニア支隊の隊員をゲットしていくチウ(ティファ含む)
対7万人の時には、獣王遊撃隊、及び義によって参上した各地の幻獣たち、って感じで大部隊になるわけですよ。
本スレでアバン先生きたな。これ続き読みたかったんだよねー
ダイを書くのが難しいのは、考え方とか戦う姿勢とか敵への態度とかバランスがとれてる主人公だからなんだろうな
そこらへんが偏ると「誰?」ってなりそうだし
話題に上がったような深いところまで突っ込んでないやつならあるけど
本スレ見てきた、アバン先生人気あるなw直撃世代が多いのかな
あとは爆炎の人が帰ってきてくれたらなぁ
本スレのダイやポップの人も帰ってこないかな
戦争とか裏切りとかシビアな世界だから、アバンやダイみたいな主人公側は折り合いつけるのが大変そうだな
クレしんとか軽いノリなら書き方も違うだろうけど
本スレのポップはルーンを自力解除&コッパゲに移植。作者が何したいのかよく分からないし奇をてらい過ぎて収拾つけられなくなった感じ。
本スレのポップはこっ禿げがマジ良い漢すぎて
ポップ要らない子になると言うひじょーに珍しい例だったよなw
迷走して制御不能だったんだろーけど、ルイズと二人の続きは気になるんだよなー
年の差関係なく良い感じの関係になってたし
コッパゲに使い魔のルーンを移したのがそもそもの間違いだったな。
俺もあのコッパゲ主人公物、結構好きだっんだがなぁ。
ただ、ああいうの迷走って言うのか? 序盤の段階でポップ活躍しないからって
最後までなしとかあり得ないし、あの流れなら裏方の大魔道士と表のスパーコッパゲールで
ダブルヒーロー物になると予測してたから、出番回ってくる前に停止しちゃったのが惜しい。
・長い人生経験
・特殊部隊の隊長を務めるほどの戦闘能力
・20年の研鑽による火の戦闘以外の用法を追求した知識量
・1年ではあるもののルイズとの生徒と教師の信頼関係
・メイジと使い魔の関係を熟知してるからこそのルイズへの敬意
・ガタールヴのルーンによる身体能力の強化
あるいみで、ぱーふぇくと過ぎるからなー ハゲ以外
そして、容姿なんか見慣れれば気にならないだろーし
キュルケはいい買い物したな。
買っても装備しないとうわなにを
キュルケに買い取られたのはトリステンの最大の損失とかそのうち言われそうだなw
キュルケにはゲルマニア? なにそれ? ってくらい忠誠心が無いのが救いだがw
とはいえ、生徒のためだからって召喚された方の都合無視して一生ものの契約させちゃうのはなぁ…
逆に、あの場で契約させないと
・召喚に応じた者を召喚側が一方的に破棄
・当然使い魔で無い者を養う義務も無い(義理とか心情はある)ので遠距離から呼んだ相手が路頭に迷う
・何度も召喚を試みて失敗してるヴァリエール家の長女に召喚退学させるか再召喚のため呼んだ平民を殺すか2択を突きつけなくてはならない
と、言うひじょーにアレな事になるからベストではないけどベターと思われ
なにしろ、動物でさえ同意してくぐる門にまさか人間が同意もせずにくぐったなんて思わないだろーしw
いや、何も考えてないだろあのシーンではw
失敗しかしない生徒が普通の結果と違っても成功したから良かったね。…選り好みとかしてんじゃないの!
あったとしても、このぐらいだろう。
コッパゲ主人公のポップ召喚、展開が気になるんだけどな
ひたすら最強化!じゃなくてもめ事を避けようとする姿勢とかポップらしいし
漢なハドラーも見たい…
影の人はもうこのスレじゃ書かないのかな
儀式の監督がコルベールじゃなければ最初の数回失敗で召喚打ち切り退学コースもあったわけだな
後日一人で試してみて成功した、とか言っても平民連れてきましたじゃあ信用されないだろうし
ルーンが確認されるから、そこはクリアできるだろう。
召喚してないその辺の生き物にルーン刻むの可能かが言及されてないが
何度失敗したかは分からないけど、少なくとも「神聖な儀式」に野次を飛ばす生徒を
コッ禿げが野次とばされても仕方ないと認識する程度には失敗してたんだろうなー
数回程度の失敗だったら流石にあの野次は無いだろーし
それでも生徒の虐めを黙認するのはどうなんだろう。しかも公爵の令嬢だし
おっと、ヤマグチ御大の悪口はそこまでだ!
>>467 野次くらいなら干渉しないんでない?
権力なり教師なりが権限使って黙らせたら、逆に無視されるなりもっと酷い事になりそーだし
一度も魔法を成功させた事の無いメイジを生徒全員が偏見無しに受け入れて当然!
って、モラルが存在する教育機関なんぞ現代でも存在しねーと思うがどうだろ?
学校ににとってはキュルケが男漁りして周囲の女子生徒からハブられるのと同レベルの認識なんでない?
赤土の人みたいに、気にはかけてるんですよね、一応……みだりに話すなといわれてるのか
教師でも勤勉なのは知ってても「ゼロ」の理由が広まってないようだが
>>459 ゲルマニアの貴族自体国の成り立ち上あんま皇帝に対して忠誠心とか無いみたいだしな
だからこそトリステインとかロマリアの貴族から言わせれば野蛮と思われるんだろうが
1巻のコッパゲの態度は何か冷たい感じだったがな
後の方の巻のとは別人と思ったが良さそうなぐらい
性格や設定を練り直したりキャラが成長したりで巻が進むとかなり印象変わるな
ギーシュとかハドラーとか
そういやミストが最期に別人みたいになってたのは何でだろ?
ハドラーと同格の悪役だと思ってたら一気に小物臭く…
能力の他に、性格も憑いてる肉体依存(影響される)って脳内妄想した
絶対優位の時は落ち着いてて大物臭いけど、実際の所はその優位性の上に胡坐かいてるだけの小者ってのも王道的パターンよ
>>472 クロムウェル閣下やワルドの当初の描写→衰退消滅(作者的用済み処置)に比べれば十分立派さ…
武人っぽい性格じゃないのに強い相手を尊敬する理由に納得したから正体に不満はないんだ、外見はともかくとして
マァム憑依もあるし
ただ忠誠とか敬意とかハドラーとのやり取りとか何だったの?って思う最期だったのが…
脳内補完じゃ限界があるからミストバーンとか魔王軍好きな人がそれなりに格好のついた最期を書いてくれないかな…
改心しないからジョゼフやハドラーみたいな綺麗な終わり方は無理だろうけど
ミスト”バーン”は大物だったけど、体返した後はただのミストなので…まああんなもんだろう。
マァムの体を持ち逃げした方がお得だったな。
あれだバーン様憑依時はその名を汚さないように振舞っていたんだよ
つまり体返した後が精神的にも素のミスト
精神は肉体に左右されるから分離後は素なんだよ
>>479 じゃあマァムに取り憑いたままでいたらいつの間にか慈愛に満ちた言動のミストになっているんですね、わかります。
おっさんに取り憑いていたらどうなってたんだろう…
>>480 いつの間にか女口調に。やさしさに満ち満ちてるから苦しむ間を与えることなく瞬殺にかかります
細かいことを気にせずに粉砕してくるんじゃね?
マァムのままだったら、バーン様への気使いが当社比2倍位になりそーなと妄想
ポップの成長は作者的に最も狙ってたものらしいけど、ハドラーがあんなに格好良くなったのも当初の狙い通りだったのかな?
全体通して見ると、大物として登場→過去の栄光やら色んな肩書きやらで重くなってだんだん小物っぽく→全てを失い、虚飾を捨てて覚醒、と割と綺麗な流れな気もするけど。
というか、さっきWikiで見たけど、連載当初って「ポップを殺せ」って意見が多かったのね。
作者殿、よく抵抗してくれた。
そこで流されてポップが死んでたら、個人的にダイの大冒険の魅力は半減してたと思う。
そういえばヒュンケルとかマァムの体だと寿命的に
長い間使えないようなと考えたことあったんだが
バーン様に凍れる時の秘法をかけてもらう予定だったのかな?
ひと段落したらまたミストバーン状態になって体の保存するのではないかと
その間だけもてば良いから無茶しても良いんだよな、気に入って使い続けても面白そうだが
ルイズにとり憑いたらツンデレなミストができあがるわけですね
まだ素のミストは召喚されてなかったなー
原作と違うミストの最期はSSで読んだことがあるな
体に影響受けるからバーンの体返したら即小物化ってわけでもない気がする
マァム憑依前の会話の時はあんまり人格が変わった感じはしなかったし、忠誠心や敬意の理由もわかったし…
「選ばれるとわかってた」とか「理想の中で死ぬ」とか盛り上がる要素もあるはずなのに印象がよくないのは
光の師弟のかませっぽいのと、魂に光の闘気をため込むというトンデモ体質が炸裂して死んだからだと思う
ミスト本体召喚だと
バーン様と出会う前→従順な代わりにバーン様を知らないミストを想像しづらい
体内で消滅後→手段を選ばず元の世界に戻ろうとするため危険、主の死を知った時の反応
という問題が難しそうですね……。
後者だと、必死に戻ろうとする姿勢を薄笑いしながら観察するジョゼフ、きっちり利用する教皇、精神的に追い詰められていくミスト
で暗くてドロドロした救いの無い展開になりそうです。
ルイズに入ったら、限界まで虚無パワーを引き出してくれるんだろうか……
やっぱ秘宝とか無いと無理かな
しかしシャドーさんだけじゃなくて他の人も考えてあげようよwwwwwザボエラさんとか
マホリク?マトリク?ほらポップの師匠とかいいんじゃないかな
当座は爆発魔法のパワーを限界まで引き出すんではないだろうか?
流石に秘宝が無いとスペルが分からないから虚無系統の魔法は基本的には無理だとは思う
世界観までクロスさせるなら、長く生きてるミストが虚無魔法のスペルを知ってる可能性も合わせて捏造できそうだけど
普通に身体能力が(負荷かかるけど)上がってるルイズ、しかも恐らくは自分にガンダールヴのルーン付きって時点で
虚無魔法は最初は無いほうがパワーバランスはとれそうだけどw
ゼロ魔原作の場合、パワーバランスを性能で取らないで、
キャラの頭の悪さで取るという力業で対応してるんだぜ。
>>492 具体的にはどのあたりが頭の悪さ?
むしろ、ゼロ魔は戦略的な情況の悪さを新兵器やら伝説の力やらの
戦術レベルのチートでひっくり返す話のよーな気がするんだが
武器持たないと凡人なのに、護身用のナイフ一本持たずにデルフ置き忘れたり、
荒事になる可能性高いのに、何の準備もしないで武器抜けなくて窮地に陥るガンダルーヴとか
精神力消費してるの指摘されてるのに、報告しないで戦争に組み込まれる虚無の担い手とか
アンドバリの指輪でクロムウェルの種が割れたのに、まったく知識利用しないのもなんだな。
てか、あれは上に報告したんだっけ? まあ、そんな感じで自ら状況悪化させて話の山を作る手法だ。
ノボルちゃんをいじめるなよ
>>494 ……それの何処がパワーバランスを取ってると? むしろ崩れてるじゃねーですかw
最初の2つはごく普通のオタ青年が、いきなり自分の特性を完全に理解して武器常備しだしたら
明らかに異常だと思うがどーだろ? 失敗してからはそれなりに持つようになったが……
所詮抜けてると定評のあるサイトだからなー
精神力消耗は、不発の実例も無しに精神力無くて使えません! とか言って
タルブで奇跡の光を見た軍人相手に効果あったのかねー?
でも、そのIFは実際の状況で変えてみると面白そうだね、無いとわかってたら志気が下がりまくるだろーし
いやノボルちゃんは凄いんだぞ?
敢えて練り込まないことで、定期的な生産を可能にして、先に伏線っぽいものをばらまいて
話を思い付いた先にあるものだけ回収して、用済み分はあっさり切り捨てる手法とか
商業的に割り切った生産の姿勢には感心させられる。効率よくライトな娯楽を安定してお客様へお届けします、みたいな。
>>496 どっちも序盤をとっくに過ぎた頃の話だから。それは通用しないw
ガンダー普通に使わせると素でチートだから、故意に崩さないとバランス取れないんだろ。
だからこそその悉くをツッこんでくれそうなアバン先生召喚とかしてみたくなるんだろうなw
レモンちゃんにだれかつっこみと歯止めを…
>>497 アンアンに頼まれて皿洗いしつつ情報収集してる時と
竜騎士達相手に仲間と一緒に大喧嘩の時だっけ?
皿洗いがデルフ持ってやるわけにも、いかないと思われ
もっと手ごろな武器を持てと確かに思うが
デルフ以外って現代兵器くらいしかサイトは使わないんだよなー
使い始めるとデルフ要らない子になるからだと思うけどw
やっぱ自分の力知った後は普段から携帯性のいい手頃な武器持ってるべきだろ。
主にルイズの折檻から逃げる時とか用に。
>>501 ギーシュに適当な剣でも作って貰えばいいわけだしな
無駄使いしてると、動力源の心のふるえが目減りしそーな気がしないでもないw
まあ、ダイのキャラだと基本的にガンダールヴの力なんてオーバーキルだから
仮に目減りしたとして、まるで問題なさそーな気もするけどw
ルーン多様すると重度の筋肉痛が待ってるのも地味に痛い
現代っ子がそういうのかなり嫌がるのは想像しやすい
あと彼はドMだからルイズから逃げきってはいけないとか無意識にルール作ってそう
サイトだからガンダ補正でちょうどいいのであって、ダイキャラは戦闘力はもともと十分持ってるからそれにガンダなんて過剰もいいとこだ
戦闘以外を補うようなルーンの方が能力のバランスとしてはいいと思う
>>506 ルーンを変えてしまうと、根本から変えないといけないからなー
ルイズが司ってるのが攻撃系の虚無だら神の盾が刻まれるのだろーから
他のルーンにするとルイズの爆発からまず練り直しにならないかね?
他の3人にガンダ持ちの使い魔なんて居ても無駄だし
一般人のサイトだからルーンの恩恵に与れるわけで
ダイ達みたいに全力全開サイトを片手であしらえる位強いと
ルーンの身体能力上昇の限界値突破しちゃってデルフみたいに
いらない子状態になるってのはどうだろうか?
ちょっと書き方不味かった。
素の状態で上昇限界突破してるから、ルーン意味なしってことね。
だが待って欲しい、ダイ達はまだレベル上限にもパラ上限にも達してないんだ……
紋章発動すればルーンの意味がなくなるかもしれんが、むしろ手加減するためにガンダを使うというのはいけるかも?
とりあえず双竜紋は潰せるし額に移すのも基本嫌がりそうな気もする、なら序盤はガンダが主で切り札に右の紋章でなんとかするパターンになりそう
何でブースト効果っぽいガンダが特定ステに縛る効果みたいに捻じ曲げられてるんだ?
手加減するなら、なんも使わなければ良いだけだろーからな
それでも最終話後のダイだと素手で岩……下手すると鉄程度も楽に砕きそうなんだがw
……あれ? もしかして、強度的に耐えられる武器を手に入れるまでガンダールヴのルーンが無意味化か?
有っても無くてもオーバーキルなのに変わらないから誰も困らないだろうけど
>512
むしろ従来ならドラゴニックオーラ使わない限りは武器が壊れなかったのに、ガンダ効果でオーラ使わなくても壊れるのか
その発想は無かった
そっか、ダイの剣がないんだから、ダイが全力出せる武器はないんだな。
デルフでも流石に無理だろうし。
まあ、素手でも7万人相手に圧勝するだろうけど。
いや、精神的に完敗するんでね?
7万人中の数万は共に戦ってたトリステンの軍人達で
そんなのの命を奪わないといけないなんて、ダイにとっては悪夢すぎる
正規のアルビオン軍人はともかくあやられてるトリステン軍は逃げる事もしないだろーし
敗走する味方を襲わせないために殺して止めるとかしたら、色々と壊れそうだ
>>512 ガンダのルーンは武器の扱い方が解るんだぞ、
相手を殺傷しないような使い方が解るのはダイみたいな常に全力で戦ってきたのには重宝されるだろ
アバンからも大技は学べたけど小手先の剣技はろくに学べなかったし原作の経過時間的に普通の戦い方をしるだけで相当手加減しやすくなるぞ
>>516 原作終了後なら「竜の騎士」の戦闘経験をコンバート済みだから、小技も使えるでしょ。
……竜の騎士の戦闘経験で小技?
竜の騎士が呼ばれるような切羽詰った世界の危機で
そんな小技を学習する事が出来た竜の騎士って存在するのだろーか?
>>516 いや、身体能力の向上だけで手加減の仕方は範囲外じゃないねかね?
ガンダが技術的なものもフォローしてるなら、基礎を習ったあとのサイトが強くなった理由がなくなるし
幼いころは自分の意思で紋章をコントロールすることはできないらしいし、
ちゃんとした師匠について戦闘技術を習った人も多いはず。
バランだって、ダイをさして「良い師、よい戦に恵まれたな」と言っているんだし、師匠がいた人もいるでしょ。
竜の騎士の子供時代って何処で何してるんですかねー?
個人的にはマザードラゴンが生んで育てて大人になったら継承記憶で戦うよーな気かしてるんだが
>516
武器の使い方と武器を使う時に強く振る弱く振るは全く別の話しだろう……
その手の技が判るならサイトはアニエスの特訓を受ける必要が無かったんだぞ
>>520 成人するまでは、「基本的」に自分の意思でコントロールできない、という言葉から察するに、
コントロールできた人も、少数ではあれいたのでは?
それこそ、「良き師、良き戦」に恵まれれば。
このあたりは、解釈次第だけどな。
>>515 ラリホーマでも連打しとけばいいんじゃないか?
面倒くさいからドルオーラで地面をえぐっちゃうとか
>>481 「ミスト有情破顔拳!」
「せめて痛みを知らず安らかに死になさい…」
ですね、わかります
吹いたw
ミストマァムがポップに襲いかかるssがどっかにあったな…
>>510 ワルド戦で見たいなそれ。
最初はガンダと通常武器で戦って、ワルドが切り札として偏在発動すると、紋章発動で偏在消し飛ばす…みたいな
偏在相手でわざわざ紋章発動する程か、といわれると困るがw
>>527 初期のアバンに師事する前のダイだったら盛り上がるだろうな
最終話後のダイだとただの蹂躙モノになってオーバーキルすぎるがw
最終話後のダイやポップを召喚したからといって即蹂躙にはならないと思う
以前紹介されてたダイ召喚とかポップ召喚(コッパゲが主人公じゃないやつ)が「ハルケギニアで最強化!」だったってだけで…
ダイもだけど、ポップも書くの難しそうだな
>527
だからそれガンダ効果を捏造し過ぎてて最悪だろ
>>529 即蹂躙にはならんかもしれないが、紋章無し、カンダールヴ無しの状態でも
原作で竜の群れを倒したとか言われるチートなカリンさんクラスには甘く見ても強い訳で
そんなのが、原作ワルド戦な情況でガンダのルーン使うわ紋章発動するわってやって
ワルドを蹂躙しない程度に描写するって難易度が高すぎないかね?
ワルドの実力を北の勇者(偏在で数水増し可能)程度に過大評価したとしてもちょーっと戦いになってる絵が思い浮かばない
新しい舞台に行ったらLv1に戻ってるもんだよ
赤毛の勇者乙
テンプレ的原作の流れに違和感をなくすなら
紋章なし、竜の騎士の戦闘記憶抹消、戦闘記憶1LVにレベルダウン
竜の騎士ではなく人間に変化、さらに武器防具無し
って、状態のダイになればパワーバランスは取れそうではあるなw
過剰な力は平和な時を過ごすには邪魔でしょうってマザードラゴンあたりが取り去ったあたりのつじつまあわせで
強さから考えると召喚タイミングは竜の騎士発覚直前くらいがいいのかな、ただし原作真っ最中だと状況が切羽詰まってるからとても悠長に使い魔なんかやってくれそうにないんだよなぁ
ダイ大本編が始まる前のダイを呼べばおk
事態が切羽詰って無いのだとアバンの弟子になるしばらく前に召喚されて
TVの一期終了時点の月食で(ルイズと一緒に?)帰還
3ヵ月の決戦後に帰還とかかね?
そーとーな長編になりそうだがw
強さを披露することにこだわって性格無視して一方的に暴れさせるのが駄目なのであって
そのキャラらしさが出ていれば持ってる力が大きくてもいいと思うんだけどな
戦闘が話の全てじゃないだろうし
「らしさ」を出すためにも強すぎない方がやりやすいってのはもちろんわかるけど
難易度が高すぎるってだけかと
その手には大陸1個くらい楽に破壊出来る力があって
その上で人からバケモノと言われたら隠れ住むと断言してるダイが
フーケ戦までならともかく、アルビオン編以降でどー違和感無く動くかが難しいし
原因も分からないままにその力を振るって少数を救うために多数を殺すのも違うし
力を振るうのを嫌がって知り合った者を見捨てるのも何か違う気がするし、と
こんばんは。
ルイズBESTをヘビーローテしつつ18:50頃から投下します。
まったく関係ありませんが、ジャケ絵のルイズは何故あんなサイケな格好をしていますか。
虚無と獣王
18 幕間 『手紙』
ルイズには2人の姉がいる。
上の姉、エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール。
王立魔法研究所に籍を置く彼女はルイズにとって頭の上がらない人物の1人であり、正直な所苦手意識が先に立つ人物でもあった。
エレオノールは優れた土系統のメイジで魔法学院在籍時は座学・実技共にトップの座を譲らなかった才媛だが、ヴァリエールの家系の例に洩れず性格がキツい。
魔法がどうしても失敗してしまうルイズにとって、幼い頃から指導して貰っていたこの姉に逆らうのは困難であった。
下の姉、カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ。
彼女は生来病弱な体質だったがその性格は穏和で、ルイズにとって数少ない理解者の1人であり実際のところ心から敬愛していた。
カトレアは生まれてからずっとヴァリエールの敷地の外に出た事は無く、当然の事ながら魔法学院にも入学してはいない。
故にルイズは、この姉の為に定期的に手紙を書いていた。
手紙を読む事で、少しでも元気になってくれればいいと思ったからだ。
1年生の時、学院はルイズにとって居心地の良い場所ではなかったが、それがどうしたと言わんばかりに手紙には楽しい事を書いて送った。
2年生になってから、学院はルイズにとって居心地の悪くない場所になった。使い魔召喚の儀式から怪盗フーケの捕縛までは半月も立っていないが、その間には色んな事があり、ルイズの評価も変わっていく。
特にフーケの一件以降、魔法が成功しないという事実は変わりないのに学院生徒の中で彼女は『なかなかやる』という意見が増えつつあった。
教師も怯んだ捜索隊に真っ先に立候補した事、そしてシュヴァリエの申請を辞退した事が他の捜索隊メンバーから漏れたのがその一因だ。
貴族として生まれ育った彼らに『貴族としての在り方』を考えさせるきっかけとなった、と後にある教師が手記に記している。
そんな事もあり、ルイズは手紙に書く出来事には苦労しなくなった。
『フリッグの舞踏会』の翌日、二日酔いの頭を抱えながらも、ペンを走らせるルイズの顔には笑みが浮かんでいる。
使い魔の召喚が上手く行ったのは既に報告済みで、今書いているのは対フーケ戦の事だ。自分よりも使い魔の活躍の方を多く書いているのはご愛嬌といったところか。
宝物庫でオスマンやコルベールに言われた事までを余すところなく書き上げ、ルイズは満足げに伸びをした。
この手紙が家族や一部の学院関係者にどんな影響を与える事になるか、彼女はまだ知らない。
ルイズからの手紙が届いた日、カトレアが体調を崩して床に伏したと聞いたヴァリエール侯爵の妻カリーヌは娘の部屋へと赴いた。
規律や規則を重んじ自分にも他者にも厳しい彼女であったが、それは決して理不尽なものではなく、畏れられてはいても恨まれはしていない。
そして厳しさの裏には確かな愛情が存在している事は、娘を心配して足を速める彼女を見れば明らかだった。
使用人を下がらせ、小さなノックの後ゆっくりとドアを開けると部屋の中にいた動物たちが一斉にこちらを見る。
「母様」
ベッドの上で半身を起こしたカトレアがおっとりと微笑んだ。
「寝ていなくても大丈夫なのですか」
動物たちを避けながら歩み寄るカリーヌに、笑みを浮かべたままカトレアは言う。
「ごめんなさい。体調は悪くないのです」
カリーヌは怪訝な顔をした。意味もなくこんな事を言う娘ではない。しかし、自分の体調を偽ってまで母親を部屋へ呼ぶ理由が判らない。
そんな思いを知ってか知らずか、カトレアは手に持っていた一通の手紙を差し出した。
「これは……ルイズの字ですね」
カリーヌが末娘の手紙を最後に見たのは10ヶ月ほど前になる。
入学当初、家族全員にそれぞれ一通ずつ手紙を出していたルイズに『手紙は無用。その分勉学に励みなさい』と返事を出したのはカリーヌであった。
夫は何か言いたげな顔だったが、何も言わなかったので問題はないと判断した。あったとしても聞くつもりはないが。
結果としてカトレアだけがルイズの手紙を読む事となった訳だが、流石にこれをやめろと言うつもりはなかった。
ルイズは随分カトレアに懐いていたし、カトレアも外に出る事が出来ないだけにルイズの手紙を楽しみにしていたのは承知していたからだ。
さておき、中を読むよう促された彼女は分厚い封筒を手に取る。
短編小説ほどもある便箋を読み進めていくカリーヌだったが内容が進むにつれ表情は引き締まり、終盤においては背に冷たい汗がつたっていた。
そうして最後まで読み終えたところで、彼女は長い長い溜息をつく。
実際の所、かつて魔法衛視隊の長を務めていた者として、国内随一の大貴族の一員として、そして1人の母親として、末娘に対して言わなければならない事が山の様にあった。
誇りと名誉を重んじるのは良いが、トライアングルクラスのメイジを敵に回すなど無謀の極みである。余り心配を掛けさせないで欲しいものだ。
近いうちに、使い魔と共に帰省させましょう。
固く誓ったところでこちらの様子を窺っていたカトレアに気付く。ふと、カリーヌは自分より先にこの手紙を読み終えたこの娘の感想が聞きたくなった。
問われたカトレアはころころと笑って答える。
「わくわくしましたわ、まるで冒険小説を読んでいるみたいで」
そういう問題ではない、とカリーヌは思ったが、同時にこの娘らしい、とも思った。
外の世界を知らないせいか大人しい印象を持たれがちなカトレアだが、洞察力は非常に高く他人が口にしていない事をあっさりと見抜いてしまうところがある。
今の発言にしても、もちろん思ったのは本当なのだろうが、手紙を読んだ事で気苦労の増えた母の気持ちを和らげるつもりもあったのではないだろうか。
「ひょっとしたら、あの子が一番母様に似ているのかもしれませんね」
カリーヌは即座に考えを改めた。やはりただの天然かもしれないと。
しかし公爵夫人も若い頃は『規律に従わない者は始祖でもシメる』とまで言わしめた豪の者であった。
竜の群れを纏めて薙ぎ倒すわ、反乱を1人で制圧するわと大暴れする度に周りの人間は心配しまくっていたのだから、カトレアの指摘はあながち間違いでもない。
ちなみに『始祖でもシメる』発言の主は当時の国王であり、それを聞いた側近たちは揃って頷いたという。
しえん
始祖って、ハルケギニアじゃ神様……まるで両儀式……
支援。
トリステイン王国の首都、トリスタニア。
その片隅に一軒の定食屋がある。異国訛りの強い男が主人で、愛相はないが出す料理はすこぶる美味く価格も安いのでそれなりに繁盛している。
利用客は当然平民たちだが、酔っ払って暴れたりする事は無い。以前、酔漢同士のケンカが刃傷沙汰になりかけた時、件の亭主があっという間にその2人を叩きのめしたのだ。
その時の亭主は素晴らしく容赦がなかったので居合わせた客は震えあがり、以来この店で深酔いする者はいなくなった。
暫くの間あそこの親父は傭兵上がりだ等という噂がまことしやかに流れたが、それでも不思議な事に客足が途切れる事は無かった。
この都に店を出して30年程が過ぎ、最近では孫も生まれたが味も愛相が無いのも変わらない。なんにせよタニアっ子たちに受け入れられ、常連のいる店なのである。
だがその常連たちの中に、平民ではなく大貴族や国の重鎮が紛れ込んでいる事は知られていない。
カトレア宛ての手紙が届いた日の夕刻。
年の頃は40から50代と思われる、がっしりとした体格の男が件の店に入った。気軽に挨拶する顔見知りに手を振って答え、奥まった席へ歩を進める。
そこには既に先客がいた。こちらも似たような年の、やや白くなった金髪に口髭の持ち主だ。
「なんだ、遅かったじゃないか」
「ぬかせ、さっさと楽隠居決めやがったてめぇと違ってこっちはまだ現役だぞ。そうそう早く来れるかってんだ」
伝法な口調で憎まれ口を叩きながら、しかしその眼は笑っていた。
実はこの2人、歴とした貴族である。
後から店に来たのはグラモン伯爵。先祖代々武門の出であり、当主である彼も元帥号を持つトリステインを代表する武人だ。
先に待っていたのはヴァリエール公爵。その始祖は王の血を引いており、冷静な戦略眼と威厳をもつ国内随一の大貴族だ。
少なくともこんな平民向けの定食屋にいるような身分の持ち主ではない。
ないのだが、彼らはまだ若い時分からこの店を愛用していた。当然正体は伏せたままである。
流石に若い頃の様に通いつめてはいないが、城に上がっている時はなんとか時間を捻り出してここで舌鼓を打つのが彼らの密かな楽しみなのであった。
「なんでえ、『鳥』はまだ来てねえのかい」
グラモン伯爵がべらんめえ口調なのは演技ではない。美女相手には歯が浮くような美辞麗句を並べ、王族には完璧な礼節をもって接する男だが、気心の知れた相手にはいつもこんな調子だ。
「あいつは今ゲルマニアだ、『嬢』と一緒にな。というかそれ位は把握していろよ」
ヴァリエール公爵は、伯爵に比べればまだ砕けていない語り口である。もっとも、普段の彼を知る人間が聞けば驚くに違いない口調ではあるのだが。
「ああそうか。じゃあ『鳥』の奴、とうとう本腰を入れてきやがった訳だな」
「そういう事だ。『隣』も時間の問題らしいしな。『掃除』をするタイミングとしては悪くないだろう」
豆と臓物の煮込みとワインを注文しながら2人が話しているのは、この国を支えているといっても過言ではない事実上の宰相とその政策についてである。
マザリーニ枢機卿。
ロマリア出身である彼はトリステイン王が崩御して以降、次期教皇と目されていながらもこの国を離れず常に政治の舞台に居続けた。
その為トリステイン乗っ取りを企んでいるなどという噂が流れ、実際民衆にも貴族にも嫌われている。
とくにヴァリエール公爵との仲は最悪で、公は枢機卿の事を『鳥の骨』と呼んで憚らないのは国内だけでなく他国にも知れ渡っていた。
そうなるように、公爵と枢機卿の2人が率先して流言飛語を撒いたのである。
トリステイン生まれではない宰相と王位継承権を持つ大貴族の仲が良いなど百害あって一利なし、いらぬ勘繰りを受ける位ならいっそ険悪な方がまし、というのが彼らの考えだった。
その実、裏では昔からこの店で一緒に飲み食いし、若い頃にははしごした先で馬鹿騒ぎを起こしていたのだから世話は無い。
その『鳥』は、現在隣国との軍事同盟締結の為奔走していた。更にその裏で宮廷内の膿を?き出す為の策を巡らし始めてもいる。
「まあここまで来て固い話をしても仕方ない。もっと楽しい話題があるんだが」
「どうせ女房のノロケか娘の自慢だろうがよ、てめぇの楽しい話とやらは」
付き合いの長い伯爵はうんざりとした表情を浮かべる。毎回この手の話を聞かされて、毎回同意を強要されて、しかも毎回長話になるのが常なのだった。
ホントにお前トリステインを代表する大貴族なのかよ、と思った回数はこの店にいる常連たちの指全てを使ってもまだ足りない。
もっとも、その彼にしても忙しく料理を運んでいる下働きの娘の尻を撫でようとして反撃を受ける姿はとても一国の元帥には見えなかったが。
「不愉快だな。一体いつ私がノロケや自慢をしたというのだ。ただ事実を述べているだけだぞ」
「それを世間一般じゃノロケとか自慢ってんだ」
いつもの会話をいつものように繰り広げながらワインを飲む。
「まあ何と言われようと今日は末娘の話をするんだがな」
普段は大貴族としての威厳に満ち溢れているその顔が、今は娘を自慢したくて仕方がない父親のそれになっていた。
「ああ、そういやうちの倅たちと一緒に『土くれ』をとっ捕まえたみてえだな。先生からシュヴァリエ申請が来てたぜ」
「何故お前が私より先に言うんだ! あと『私のルイズが』お前の息子たちと一緒に捕らえたんだ、順番を間違えるんじゃない」
伯爵のうんざり顔がよりひどくなった。心の底からどうでもいいと思っているのだが、口に出すと面倒くさい事になるのであえて言わない。
口にしたのは別の事である。
「まあシュヴァリエにはなれねえけどな」
「どういう事だっ!」
凄まじく不機嫌そうに怒鳴るヴァリエール公爵に、グラモン伯爵は呆れたように説明した。
「こないだシュヴァリエ授与の条件変わっただろ、従軍経験必須って」
そういえば、と公爵は若干冷静さを取り戻し、しかしその提案をしたのが誰かを思い出してまた不機嫌になる。
「全く必要もない事を無駄に提案したものじゃないか、あの『鳥』めが。これだからロマリアの人間は駄目だと言うのだ」
「お前も『このままでは貴族や軍人たちからの要らぬ嫉妬を煽る事になる。不穏な時期だし、あいつにしてはいい提案だ』とか言ってたじゃねぇかよ」
伯爵の鋭いツッコミを公爵はあっさりとスルーした。これもまたいつもの事である。
「功績を立てた者に褒章を与えるのは当然だろう。学生の身分でありながら一人前のメイジが何度も出し抜かれた怪盗を見事に捕らえたのだ、騎士叙勲して何が悪い」
そのメンツの中に娘がいなかったら絶対ンな事言わなかっただろてめえ、と喉までそんな台詞が出掛かる伯爵であったが、なんとかモツの煮込みと共に飲み込んだ。
「とりあえずお前の口から褒めてやればいいだろ、シュヴァリエは無理だが精霊勲章は出るだろうしな」
そんな提案を公爵は一蹴する。
「いや、褒める訳にはいかん。実力もないのに無謀な作戦に立候補するなど以ての外だぞ、追随してくれる者がいなければどんな事になっていたか! 公爵家の一員としての自覚が足りんわ」
力説するヴァリエール公爵であったが、伯爵の「本音は?」との問いにたちまち相好を崩して答えた。
「流石は私とカリーヌの子だ! 貴族たる者、敵に背を見せるなど言語道断! よくやったとしか言いようがあるまい」
「てめえはその辺り本気で素直じゃねえよなあ……。厳しく躾けたいのは分かるが、褒めて伸ばすってやり方だってあるだろうによ」
「順位は低いと言えど、仮にも王位継承権を持って生まれて来た身にそんな甘い事でどうする。これでも妻からは『厳しさが足りない』と言われている位だ」
グラモン伯爵は若干蒼ざめながら言った。
「あの女房の納得のいく『厳しさ』ってのは、あんま想像したくねえなあ……」
「それは常々私も思ってる所だ」
ヴァリエール公爵の顔も、また蒼ざめていた。
「あの」ブリミルと本当に会ってたらシメてて違和感ないな、横のエルフと共同作業で 支援
「まあなんだ、娘ばっかりなのも大変だな。うちはその点助かってるがよ」
グラモン伯爵の子供は4人全員が男児である。
「馬鹿言うな、この世に娘くらい可愛い物は他に無いぞ? そんな真理を見つけられないお前に哀れさすら覚える今日この頃だ」
公爵の言葉を伯爵はあっさりスルーしたが、そんな彼らの元へ見当違いな同意を示す者がやってきた。
「そうじゃよなあ、いいよなあ娘! 若くて綺麗で尻とか撫でても怒らなければなお良し!」
現れたのはすっかり白くなった長髪と白髯の持ち主である。テーブルの2人はそんな闖入者に対し親しげに声を掛けた。
「娘の意味が違います。あと私の娘たちをそんな目で見たらトリスタニア中を引きずりまわした上で首を晒すのでそのおつもりで」
「よう先生、久し振りだなあ! ほんと相変わらずだけど年と役職考えてちょっとは自重しろよ?」
トリステイン魔法学院の学院長にしてかつての教え子たちにこの店を教えた張本人、オールド・オスマンはあからさまに傷ついた表情を見せた。
「最近は若い者だけじゃなくこんな親父たちまで老人を敬おうとせんのう……。まったく教育に携わる連中は何を教えておるのか」
齢100とも300とも言われる碩学が体をクネらせながら自分の事はサハラまで吹っ飛ばすような愚痴を零す光景は名状しがたいモノがある、と親父呼ばわりされた2人は思う。
まあそれでも一応は恩師であり、今は子供が世話になっている身でもあるので賢明にコメントは避け、オスマンの分の酒と料理を追加注文するに留めた。
「しかし珍しいな先生、こっちに来るなんて。最近は『魅惑の妖精亭』に入り浸りだって噂なのに」
ニヤニヤと笑う伯爵に、学院長はしかめっ面をしてみせる。
「否定はせんが、誰じゃそんなウワサ流しとるのは」
「倅からの手紙にそう書いてあったぜ。そもそも否定しないのかよ聖職者」
「教師である前に男じゃしなあ、別に否定する事もなかろ。大体お前だって行ったことあるじゃろあの店」
ニヤけた顔でかつての師弟が軽口を飛ばしあう様は、まさにそこらの酔っ払いのオヤジたちそのものであった。
一応は国の重職についているこの2人を放置しておくのはトリステインにとって害ではないのか、と公爵は思いつつ軌道を修正する事にする。
「それで、私達に何か用があるのではないのですか? 偶然この店ではち合わせた、という訳でもないでしょうに」
やっぱジェシカたんの胸サイコーとか、いや胸よりも尻とフトモモじゃろジェシカたんは、などと盛り上がるエロ師弟は公爵を半目で見つめた。
「これだから女房の尻に敷かれているヤツは駄目だ」「そういえば昔からこの手の会話に水を差すのが得意じゃったのう」
公爵は答えず、視線のみで早く本題に入れと促した。当然視線には色んなモノが込めてある。
具体的に言うと、一番比率が高いのが殺気。
オスマンは視線に押されたのか、真面目な顔をして懐から一通の封書を取り出しヴァリエール公爵に差し出した。
「城で会えたらこいつを渡そうと思ったんじゃが入れ違いになったようでの、どうせここだろうとアタリをつけただけじゃ」
「うおなんだ愛の告白か!? ついにそっちの道に走ったかよ先生! こっち来んな!!」
大袈裟にのけぞる伯爵を一瞥し、しかしオスマンはツッコミを入れる事は無かった。
「そうじゃな、人に見られると恥ずかしいから誰もいない所で読んでくれんか。読み終わったら確実に処分してくれると助かるのう」
公爵は怪訝な顔で封書を受取る。
オールド・オスマンは普段の言動こそアレだが伊達に長生きしている訳ではない。直接話さず手紙にする時点で機密性の高い情報が書いてあるとみたが、その内容までは流石に想像の外だ。
「書いてある内容も基本的に他言無用じゃ、話すのならば公爵家当主として信頼できる人物だけにしておきたまえ」
ここまで念を押されては、慎重の上に慎重を重ねなければならない。下手をすれば国家を左右するような事が記されていると公爵は判断した。
「それはまた随分熱烈な告白ですな。心して読むとしましょう」
ヴァリエール公爵が封書をしまいこむのを確認し、オスマンはシリアス顔をひっこめ笑みを浮かべた。
「これで少し肩の荷が降りたわい。さあ、固い話はここまでにしてあとは心置きなく乳と尻とフトモモの話を……」
そう言いかけた彼の顔が、しかしいきなり蒼くなった。それを見てグラモン伯爵が訝しげにツッコミを入れる。
「どうしたよ先生、付き合ってる女に3股がバレたみたいな顔になってるぜ」
ピシャリ、と片手で顔を覆いつつ、オスマンは呻き声を上げた。
「いや……一番口止めが必要な当事者に事の重要性を伝えるのすっかり忘れとったー……」
「ダメだろそれ」「あれだけ私に念を押しておきながら何をしてるんです」
その後。間髪入れずの駄目出しに落ち込むオスマンを慰めるのに、ボトル2本が必要だった。
それでもまだダウナー傾向の恩師を引きずるようにしてグラモン伯爵は『魅惑の妖精亭』へと足を向け、一方のヴァリエール公爵は自領へ戻る予定を早める事にする。
ただでさえ策謀の蠢くこの土地でこんな手紙を読む気にはなれない。
幸い王都での所要は概ね済ませていたので、移動手段を馬車から竜籠へと変更すべく公は城へと戻るのだった。
翌朝、慣れ親しんだ屋敷へ戻った公爵を待っていたのはルイズからの手紙を携えた妻であった。
「……召喚した使い魔のルーンが『神の盾』のものと一致しただと!?」
末娘が無事に使い魔召喚の儀式を成功させたのは知っていたが、どんなモノを召喚したか把握してはいなかった。
ルイズからの手紙によれば、その使い魔は身の丈3メイルの鰐頭の亜人で人語を解する武人であるという。
使い魔なのに武人というところが既に常識外なのだが、手紙の内容を纏めると更に常識からかけ離れていった。
その性格は豪胆でありながら気配りにも長け、貴族・平民・使い魔を問わず周囲からの人望は厚く、大きな戦斧を巧みに使いこなす近接戦闘の達人で、なおかつ30メイルの土ゴーレムを倒す実力を持ち、おまけに伝説の使い魔のルーンを持っていると言うのである。
非常識にも程がある、と思わざるを得ない。
よく『メイジの実力を知りたくばその使い魔を見よ』などと言うが、スクエアメイジでもこんな使い魔は召喚できないだろう。
娘にとってこの上ない『当たり』の使い魔ではあるが、魔法が碌に使えない彼女が召喚できる様な存在でも無い。
では何故、ルイズはこのクロコダインと名乗る戦士を召喚する事が出来たのであろうか。
疑問の回答は、オールド・オスマンからの手紙の中に記されていた。
虚無の担い手。
6000年もの間、使う者が無かったとされる伝説の系統こそがルイズの属性であると。
ルイズの入学時に依頼された『魔法が失敗する理由の解明』、あくまで仮説であり現時点では実証も不可能としながらも、しかしオールド・オスマンはある程度の確信を持ってその答えを導き出していた。
ルイズの『失敗魔法』が再現できない点、公爵家が始祖の血に連なっている事実、余りに『異質』な使い魔を召喚した事、その使い魔が語ったルーンの効果。
確かに状況証拠は揃っている。
しかしオスマンは、そしてヴァリエール公爵とその妻カリーヌはとても喜ぶ気にはなれなかった。
大きすぎる力は時として不幸を呼ぶ。その事を彼らは知っていたのだ。
幸いと言うべきか、ルイズは自分が虚無の担い手であるとは気付いていない様だった。こんな手紙を送ってきている事からもそれは判る。
オスマンが口止めを忘れたという人物もルイズの事とみて間違いないだろう。
問題はこの後どんな方針を取るかである。
公としては今すぐにでも娘を屋敷に呼び戻しずっと外に出さないようにしたい気分であった。
先王が生きている頃ならまだしも、現在のトリステインにおいて虚無の存在を明かすのは火薬庫にフレイム・ボールを投げ込むのとなんら変わりない事だと彼は判断している。
妻とも話し合った結果、近いうちに使い魔込みで帰省させた上で直に事の重要性を教え込むという事とあいなった。
今頃はオスマンから口止めをされているだろうが念には念を、という訳だ。
後は件の使い魔を検分する為に王立魔法研究所から長女エレオノールを呼び寄せておく必要もある。研究で忙しいだろうがそこは何とかしてもらおう。
カトレアにはルイズへの返信に『久し振りに顔が見たいので折を見て帰省して』との一文を入れてもらい、公爵からは都合がつき次第ルイズを家に呼び戻せるようオスマンに段取りを付ける。
大枠であるが方針が決定した後に、ヴァリエール公爵は傍らの妻に1つ提案した。
「諸々の問題はさておくとして、ルイズの魔法が成功したのは喜ばしい事だ。ここは盛大にパーティーでも開いて」
「そんな場合ではないでしょう」
まさに一刀両断である。
エア・カッターより鋭い切り口に精神的にのたうち回りそうになる公爵に、烈風の二つ名を持つ妻は微かな笑みを浮かべて言った。
「どんな立派な祝宴よりも、あの子に必要なのは貴方からの賞賛の言葉です」
勿論わたくしも褒めるべきところは褒めます、と言うカリーヌを公爵は半ば呆然と見つめた。
長い付き合いだがこんな甘い事を彼女が言ったのは片手で足りる数しかない。明日は槍でも降ってくるのではなかろうか。
まるで街中で韻竜にでも出くわしたような顔の夫に、ただし、と妻は付け加える。
「叱るべきところは叱ります」
ヴァリエール公爵は、ああやっぱりいつものカリーヌだと安堵しながら、叱られる立場となった娘の無事を神と始祖にこっそり祈るのだった。
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。
次回はまた幕間、クロコダインVSワイバーンの予定。
あくまで予定です。
ちなみに今回の話を書く前の目標は「ルイズを始めとしたヴァリエール家の女性の魅力を書く」でした。
……なんで公爵だの元帥だのの出番が多くなってますか。
まあそんな感じでジャンプの嘘予告程度に取っておいて下され。
GJ!!
本当に素晴らしい御両親ですねの巻
投下乙です
真面目な会話しつつ、その後に話すのは尻ですかw
投下乙です!
ここで大人たちの裏での動きを描写するというのは面白いですね。
これがこの先どういう展開に繋がるのか。
次回も楽しみにしてます。
>>551 すごいGJ! 親父達も魅力溢れてますw
原作だと下手すると背景化しかねないキャラ達が「生きて」感じられるのが素晴らしい。
使い魔や男子等もですが、脇を固めるキャラ達がうまく書かれていると話に奥行きが出ますね。
VSワイバーンか、わざわざ筒から出すってことは移動手段かな?嘘予告だろうが期待しておりますよ
手紙で書き出してるだけでも常識外なのに加えて自前でウィンダールヴっぽいこともできますとか言ったらますます警戒されるな
オヤジたちいいキャラしてるなぁ。
本当に、物語の中の世界に確固とした奥行きを感じます。
次は、ワイバーン戦ですか。
まあおっさんじゃあ馬には乗れないし、毎回長距離移動の度にシルフィード借り出すわけにもいかんしね。
ドラゴン系モンスターは超龍軍団所属で、百獣魔団じゃなかったからおっさんの獣王オーラも通じないんでしょうか。
まあ、だったらなんでシルフィはおっさんを王様認定してるんだ、て話になりますけど。
次回、楽しみにしてます。
投下乙です。
若いころのおっさん’sの姿が目に浮かびます。
『始祖でもシメる』って、確かにあの烈風カリンならやりそうですが。
次回も楽しみにしています。
獣王遊撃隊にはバピラスがいたはずだが、同じ翼竜系でワイバーンも仲間にできるんじゃね?
ヴァリエールの家族がおっさんを見てどう思うかマヂ楽しみだ
獣王の人乙。
なんかおっさんたちの会話のテンポが川上稔っぽいな。
おっさんの続きが読みてぇ
ガンダールヴのルーンてダイ世界特有の武器にどこまで対応できるかな
使い手を選ぶ武器や特定個人向けに完全カスタマイズされた武器や魔力通さないと威力が発揮できない武器でも使えるようになるんだろか
後者は魔道具としてみればミョズニトニルンでも使えそうかな?
異世界の戦車で後方からの情報補正も無いなかでチートじみた精密砲撃やら
風でもおこされればすぐ墜落しそーなゼロ戦で竜をザクザク狩れる変態ルーンだからなー
割とどんな武器でも使えて違和感は無いんじゃない?
ダイの剣みたいに意思を持ってるのは流石に無理そーな気もするが
現実世界ではなく、ガンダールヴの槍の召喚先としてダイ世界と繋がってるなら
ダイ世界の武器は基本的に全部使えると思う、そのために召喚したんだろうし
……逆に使えないなら召喚されたりしないよね
おっさんのグレイトアックスは正に武器と魔道具の境界線上な代物だと思うけど。
どたまとんかちを120%使いこなせれば…
ズタズタぬんちゃくが……
伝説のルーンだから、最適の持ち主とはならなくても妥協くらいはしてくれるかもしれんぞ<ダイの剣
どたまとんかちはチウとの相性はズタズタヌンチャクよりよほどいいと思うんだ
>>569 問題は、使わせてくれる許可はくれても
抜かれる状況がはたして有るかだろーな
フーケのゴーレムが玩具に見えるサイズで
大砲の弾食らってもらくらく弾くアレでよーやく許可が出るくらいなので
はたしてゼロ魔世界でそんな危機があるかがw
あれはダイが使う場合の話だから、ルーンの持ち主の力量に合わせるならもっと早くに抜けてもいいと思う
使わせてやる許可は与えよう……っ!
だが…っ!いつ…どこで抜くか……
その選択はこちらが決める……っ!
なんて利根川みたいなことをダイの剣が言うわけですね。
仕方ないから鞘のまま戦って、それでもそれなりに戦えてしまうわけですね
おそらくあの鞘だけでも丈夫だよな、かなり非常識に
もうダイの剣が使い魔ってことでいい気がしてきた
ルイズにルーン付けて剣と意志疎通できるの、そしてデルフ涙目
>>574 デルフリンガー=ダイの剣でいいじゃないか。
6000年の時差があるのか、ゼロ魔世界とダイ世界w
ダイの剣×デルフリンガー
ダイの剣って口きかないけどインテリジェンス・ソードなんだな、そういえば。
もし喋ったら、
>>572じゃないけどもんの凄い偉そうなこと言いそう。
「こんな輩相手に私の手を煩わせるな、自力で切りぬけろ」(対ヒム戦)とか、
「この相手に貴様一人では無理だ。私を使え」(対覚醒ハドラー戦・一回目)とか。
そもそも、行動自体は
>>572そのものだし。
デルフとはウマが合わなそうだなぁ。
まかり間違って女性人格だったりすると、
>>577もあり得るかも。委員長と不良少年的な感じで。
生後数か月だからまだ喋れないだけだよ
1000年くらい経てば人型になれるよ
常に維持できれば立派な仙人だよ
はやく人間になりたぁ〜い
影の中の者です。
真ミストバーン召喚を読み返して違和感を覚えるようになり、大幅な修正(ほぼ書き直し)が必要ではないかと思いました。
改善すべき点を掴みきれておらず、書き直すかどうか決めかねていますので、「旧 ゼロの影」だけでも削除していただくことはできますか?
お手数おかけして申し訳ありません。
状況によっては抜かせてくれないダイの剣に比べると鎧の魔剣とかは人がよさそうに思える。
デルフって鍔の部分で喋ってるんだよな、あの部分がインテリジェンスアイテムの翻訳装置みたいなものだったら
あれをダイの剣とかにくっつけたら喋れるように、とかならないかねえ
魔甲拳になりたい
マァムの下半身をガードするわ
118 名前:名無しさん :2009/03/12(木) 01:54:47 ID:yvHl6DMc0
代理といいますか報告を・・・
旧ゼロの影を見れなくしましたが、2chは規制中でした
どなたかこれを見ましたら本スレに報告していただければ幸いです。
避難所にありましたので代理しておきます
旧ゼロの影を削除していただきありがとうございました。
ゼロの影の違和感の原因や見直すべき点など、よく考えてみます。
ようやく規制解けたから一応リアルタイムの時に思ったこと。
改訂前に削除しちゃうのって、改訂版の執筆自体がモチベーション続かなくなって
フェードしちゃうパターンが凄く多いんでちょっと心配です。まあ、今更ですけど。
変更点がいくつか浮かんだものの明確にしきれておらず、中途半端な状態で始めるわけにはいかないので、改訂するかどうか決めかねています。
現在闇の衣の方など他の話を書いているため、もし書くとしても先のことになると思います。
旧は途中までしかなく宙ぶらりんで、どちらにしても公開していては駄目だと思い削除していただいたのですが……わかりにくい説明で申し訳ありません。
補足乙です
思うに影の人はミストを美化しすぎじゃないかな。
バーンに対する狂信的といってもいい強烈な忠義心。
ハドラー等に見る肉体の持つ強さ、自己の意志と修練で更なる進化をとげる姿、そういったモノへの強い憧れ。
そのあたりは影の人に限らず他の人間もミストの人物像として同じ様な解釈を持つと思う。
けどね、影の人のミストって何だか綺麗なんだよね。
氏の作品上では共通してウェールズが持ち上げられているけどレコンキスタに負けてる時点で→弱い→バーンの役にたたない→価値無しってのがミストの思考じゃないかな。
実際のミストはバーン以外は道具にしか見てないよ、多分。師弟関係にあったヒュンケルですら予備のボディとしか見てなかった。
そのへんはザボエラとあんまり変わらん。
結局は借り物の強さ。凍れる肉体のネタあかしが済んだ途端、急に小物化そして敢えない消滅。
その後はバーンの感傷にすら登場無し。その原作者の扱いが全てじゃないかな。
ヒュンケルは最初から予備のボディとして鍛えたんじゃなかったっけか……
ハドラーは、最終的にはバーン様を『優先した』だけで何も思ってないってことは無いだろうし、
さすがにバーン様以外は道具にしか見てないってのは乱暴じゃないかな。
キルとも妙な友情だかなんかがあったっけ……? これはうろ覚え+二次創作と混ざっちゃってるかもしれないw
俺も
>>591と同感。
590はなんか二次的なイメージに影響されてる気がする。
キルとの関係はそれで合ってるよ。
なるほど……美化しすぎた部分があったかもしれません。
「きれいなミスト」にしてしまっていたのかorz
確かに、ウェールズ関係の過程の描写や説得力が不足していました。敬意を抱くならばある程度時間や段階が必要ですよね。
まずは闇の衣の方から、話(特にアルビオン以降)を考え直さねばならないようです。
>>590 「きれいなミスト」っていうのはちょっと感じたかな
でも
>>591 の言う事も最もかなと思う
ヒュンケルをどう見てたかはそういう考えもあったよ、位じゃないかと思う
ぶっちゃけ数百年生きる魔族に仕えるってことから言えば100年も持たない体にそこまで期待するのかと思うし、
何よりミストにとっては『バーン様が気に入ってたのに裏切った弟子』なんだから良い印象なんかないんじゃね?
>>591の言うこともまぁ分かるんだが、ミストはね肉体返還の前と後でイメージが変わるんだよね。
で、俺は後の方の素のミストに重きを置いてるわけ。
これは個人的な希望だが影の人がバーン様を書いたら面白いのができるんじゃないかと。
なんつうか、ミストに限らず、終末のダイ大は性格・人格の崩壊が酷かったからなぁ…。
ダイやマァムも堕ちたが、バーン様の変化にはマジ泣きそうになった(一番好きだったから)。
それでも一番酷かったのは、聖域から一気に下種まで下落したアバンだなぁ。
確かに終盤に向うにつれて追い詰められていくバーン様のキャラ変貌は少し悲しかった。
個人的に、歴代ラスボス陣の中で永久殿堂入りする人だったしなぁ。
最後まで、「それはメラゾーマではない、メラだ」なオーラを維持してほしかった。
まぁ大物感ってのは余裕で産まれたりもするもんだからな
アバン先生ってそんな酷かったっけ?
いや別に。
ミストが小物化せずに最期がかっこよければ、きれいなミストでも違和感は少なかったかも
この流れは氷炎将軍の出番だな!
氷炎将軍を呼ぶ声がしたので、小ネタを投下します。
『白炎と氷炎』
「何だ、これは……!?」
白髪の男が鉄のような面に驚愕を浮かべていた。額の真中から左眼、そして頬を覆う火傷の痕も引きつっている。
鍛え抜かれた身体から剣士であるように思われるが、無骨な鉄の杖を下げている。
彼の名はメンヌヴィル。『白炎』の二つ名を持ち、恐れられるメイジの傭兵だ。焼き殺した人間の数を計ることはできず、老若男女問わず平等に焼き尽くす冷酷な男である。
彼は使い魔召喚の儀式を行っていた。
生涯の相棒となる存在を欲していたわけではない。
傭兵稼業をしながら “憧れの人物”に会おうと考えていたがなかなか実現せず、人を焼く合間の退屈しのぎに試してみただけだ。
単なる暇つぶしのつもりだったが、現れたのは予想外の存在だった。
彼の前に立つのは異形の者。
岩石で構成された身体の右半分は氷で、左半分は炎で包まれていた。“それ”は己の存在を信じられぬように掌や身体を眺めている。
光を失ったメンヌヴィルは炎を使う特性ゆえに敏感に温度を察知することができる。眼が見える者と同様、否、それ以上に状況を知ることが可能だ。
灼熱と極寒の身体が核となる岩石の魔力でつなぎとめられており、炎の手は触れるだけで敵を焼き、氷の手は掴むだけで凍てつかせる。
「面白い……!」
身を震わせながらメンヌヴィルは舌で唇を湿した。
多くの人間や異種族を焼いてきた彼だが、こんな温度を持つ者は初めてだ。
常人ならば恐れ逃げ出すような相手に興奮を隠しきれぬ面持ちで近寄り、じっくりと心ゆくまで観察する。
召喚された者は混乱しながら自分の体を見つめていた。
かつて魔王軍の切り込み隊長――氷炎将軍フレイザードとして戦ってきた彼は、勇者の必殺技を食らい、元同僚から顔面を踏みにじられて消滅したはずだった。
それなのに、融かされたはずの氷の半身も、吹き飛んだはずの炎の半身も、完全に元通りになっている。
当初、全知全能たる大魔王が復活させたのかと思ったが、それらしい気配は全く感じられない。
ならば、興味も露に、舐めるような視線で眺め回している男の仕業なのか。
目の前の男からは同類のにおいがする。
それもそうだろう、両者とも単に炎のように粗暴なわけではないのだ。残虐かつ狡猾。氷のような冷酷さを備えている。
フレイザードはすぐさま攻撃に移ることはしなかった。
相手がただの人間――おそらくは魔法使い――だと察して甘く見たのも一瞬のことで、気を引き締める。
物腰や放たれる空気から相手が実力者だと悟ったことも原因の一つだ。
それに加え、油断や慢心が何を招いたか今の彼ならば嫌と言うほどわかる。無様な結果を繰り返すわけにはいかない。過信を捨てなければ栄光は掴めない。
目の前の男が同じような立場の者ならば、相手を利用して上に行くことも可能だろう。
いきなり暴れだすより、早く効率的に栄光を手にできるならばそちらを選ぶべきだ。
そう結論づけたフレイザードは情報を集めるべく言葉を発しかけたが、それを遮ったのはメンヌヴィルの狂ったような笑声だった。
「はははははッ!」
「てめえっ!」
フレイザードは素早く手を動かし、氷の身体を狙った炎を吸収した。
メンヌヴィルの顔は歓喜にゆがみ、狂気が全身から迸っている。
呼び出した相手をいきなり滅ぼそうとするなど正気の沙汰とは思えない行動だ。格好の獲物を前にしてすっかり冷静さを失っている。
「面白い、面白いぞ! 双極の合わさったお前を焼けばどんな心地がするだろう!? 早く味わわせてくれ!」
そう言われて大人しく従うような彼ではない。
両眼に炎が燃え上がる。
「その程度の炎でオレを焼こうってのか? ちゃんちゃらおかしいぜ!」
手を突き出すと大きな炎球が放出されメンヌヴィルに迫るが、彼が発した炎で燃え上がり、手前で燃え尽きる。
「お前の炎は火遊びではないな! うはははは!」
己に匹敵する炎の使い手に会えたことが嬉しくてたまらないと言いたげだ。
炎を操るすべに長けた者同士が激突した。
その後、二人は邪魔が入ったため戦いを中断する羽目になった。
それどころか、結果的に両者は手を組むこととなったのである。
残虐、冷酷と称される点は共通しているが、人間を焼く過程に愉しみを見出すメンヌヴィルと戦闘ではなく勝利という結果を求めるフレイザードでは重視する物が異なっている。
“獲物”に関してどのような取り決めを交わしたか知る者はいない。会話の内容は神のみぞ知ることである。
ただ一つ確実なのは、どちらも敵は男女の区別なく燃やし尽くすことだけだ。
フレイザードは今いる世界の情報を得て、自分に再びチャンスが与えられたことを知って狂喜した。
彼の望む物は単純だ。
どれほど年月を積もうと得られないほどの手柄。
仲間の羨望の眼差し。
勝利の快感。
栄光。
人格の歴史となるもの。
戦いでしか存在を証明できないことを哀れむ者がいれば、彼は鼻で笑うことだろう。同情がいくら積み重なったところで心を満たすことはかなわないのだから。
「この世界でのし上がるのも悪かねえが……」
それより元の世界に戻りたいという気持ちがある。手柄を立てて手っ取り早く認められるには魔王軍という組織が最も適しているためだ。
大魔王という超越的な存在から認められれば最高の裏付けになるだろう。
また、彼の内では復讐したいという渇望が燃えている。
標的はもちろん、勇者ダイとその仲間。地上に戻り、真っ先に血祭りに上げるべきは彼らだ。
そして――。
フレイザードの表情に凶暴さがみなぎった。不快げに顔がゆがみ、眼がギラギラと光る。
蘇るのは忌まわしい記憶。
『たっ……頼む。もう一度チャンスを……ミストバ――』
勇者に敗れ、それでもなお諦めず勝利を望んだ彼の言葉を無視し、命の火を消し去った。
今ならばわかる。ミストバーンは敵の実力を測るため利用したのだと。勇者一行のように仲間だ何だと主張するつもりは毛頭ないが、捨て石として扱われたのは腹が立つ。
とどめに虫ケラのように顔を踏みつぶされたのだ。
左眼を掌で覆い、陰惨な笑みを浮かべる。ゆっくりと握りしめられた拳が固い音を立てた。
「たっぷり礼をしてやらなくちゃな?」
あの時味わった屈辱は忘れない。
揺るぎなき栄光を、絶対的な強さを手にした暁には――。
「てめえの頭、雑巾代わりにしてやるぜ」
復讐の念を煮えたぎらせながら彼はクックッと笑みをこぼした。
「そのためには力が必要だな」
惨めな敗北と死が彼の精神から驕りを取り除き、強さを求める情熱を吹き込んでいた。
今はまだレベルが低い。
だが、経験を積み、成長(レベルアップ)すれば。熱を読み取る男と組み、“温度”を極めれば。
とてつもない力が手に入るという、確信に近い予感がある。
――この腕で勝利を。新たな栄光を。
彼は肩を震わせ、高らかに笑い出した。
「ククッ……ハーッハッハッハッ!」
笑い声はいつまでも響いていた。
以上です。
ミストバーンの話を考えていたはずが、いつの間にか、前から書いてみたかったコンビを書いていました。
前向きな悪役が大好きですので、魅力的に描けるようになりたいです。
メドローアを習得すれば凍れる時間の秘法も破れるかもしれない、フレイザードがメドローアを使いこなす可能性とその姿は、などと想像すると胸がときめきます。
真ミストバーンvsレベルアップフレイザードのガチバトルを見てみたい気もします。
「きれいなミスト」からの脱却って難しいですね……。
(;´Д`)ハァハァした
まあ、自然ならともかく無理して脱却しなくてもいいと思うわ
アッパー系な出会ってしまいました、と。
ハルキゲニアが炎の海に包まれそうだな。
フレイザードは、最初から最後まで読者におもねることなく、どこまでも悪役を貫き通した素晴らしい悪役だったと思います。
「俺は戦うのが好きなんじゃねえ、勝つのが好きなんだよっ!」は本当に名言ですよね。
私の中では個人的に、
敵役の理想型:バーン様
仇役の理想型:ハドラー(特に超魔以降)
悪役の理想型:フレイザード
憎まれ役の理想型:ザボエラ
となっております。
私の場合は
理想のラスボス:バーン様
忠誠(側近)キャラ:ミストバーン
ライバル:鼻水捨てて中間管理職から脱却したハドラー
憎まれ役:頷ける発言も多いフレイザード、ザボエラ
外道:輝くドSキルバーン
です。
ダイの大冒険の敵キャラはほぼ全員魅力的かつ個性的ですね。
三枚目役でマキシマムも入れてあげてください
お久しぶりです。
10:50頃から投下予定です。
虚無と獣王
19 幕間 『武具』
午後最後の授業が教師の親族に不幸があったとかで中止になった。
夕食まではまだ時間がある。生徒たちは1人で、または仲の良い者と共に思い思いの場所へ散っていく。
そのうちの1人、ギーシュ・ド・グラモンは一旦寮へ戻り動きやすい服に着替えると厩舎へ向かった。
道中すれ違う女生徒たちの歓声に笑顔で答える。フーケ捕縛以降、捜索隊メンバーの評価は非常に高くなっており、以前食堂で騒ぎを起こした時に比べれば正に雲泥の差であった。
「あら、どこに行くの?」
食堂近くのテラスから、そんな彼に声を掛けたのは同級生のモンモランシーだ。
ギーシュの二股が発覚した後に一応仲直りはしたのだが、今回の一件で彼の株が急上昇した結果として他の女子からの人気が再び高まった為、彼女としては気が気でない。
もっとも当のギーシュは浮かれるばかりで、そんなモンモランシーの気持ちには全く気が付いていないのだが。
「ああ、いつもより早いけどクロコダインのところにね」
「抜け駆けで訓練かしら?」
冗談めかして笑うモンモランシーに、ギーシュもまた笑って答えた。
「いい考えだね。僕があと5人もいればそうしてもいいかな」
それでも勝負にならないだろうなあ、とは敢えて口にせずに続ける。
「ちょっと彼の武器に興味があってね、見せて貰おうかと」
モンモランシーは首を傾げた。元来メイジたちは剣や槍などを平民の持つものだと軽視する傾向にある。ギーシュは武門の生まれという事もあって武器にもある程度の有効性を認めてはいたが、それ程関心も抱いてなかった筈だ。
そんな疑問を口にすると、ギーシュは少し真面目な顔になる。
「ここのところワルキューレの強化について考えてるんだ、そこで彼の武器が何かの参考にならないかと思って」
初めてクロコダインと訓練した時に言われた事を、ギーシュは忘れてはいなかった。
意匠に拘っていた部分を武器や体型に割り振る。
必要と思われる機能を強化したワルキューレのバリエーションを模索中のギーシュはフーケ戦においてその成果を発揮していた。
彼女を拘束したワルキューレは、ノーマルのそれに比べると鎧は簡略化されており顔ものっぺらぼうに近く、武器も持たせていない。
その代わり通常の倍近くの速さで練成が可能となった。スピード勝負のあの場面においては最適の判断だったと言えるだろう。
図らずも有効性が実戦で証明できたので、次のステップとして武器の種類を増やすつもりなのだが、いかんせんこれまで興味が無かった分野だ。
先ずは色んな武器を観察してそれを模倣しようというのが当面の目標であった。
「ふぅん、結構考えてるのね」
いたく感心するモンモランシーにギーシュは鼻高々である。もともとおだてには弱い性質だ。
故に一緒に行ってもいいかという彼女の提案に一も二もなく同意した。当然の事ながら他の女子との接触を防ぐというモンモランシーの目的など知る由もない。
そんな2人が厩舎へ辿り着くと、ルイズとクロコダインがなにやら難しい顔で考え込んでいた。
「どうしたんだい、そんな顔をして……おや、それは『伝説の剣』じゃないか?」
クロコダインの手には一本の錆びついた剣が握られており、ギーシュは先の戦いで、モンモランシーは宝物庫の見学の時間にそれを見た記憶があった。
「おう、丁度良かった。今お前の話をしていたところでな」
「あまり期待しない方がいいわよ、クロコダイン。てゆーかアンタがさっさと思い出しなさいよボロ剣!」
「だから俺っちの名はデルフリンガーって言ってるじゃねぇか娘っ子!」
ギーシュは1人と1本の口論には敢えて触れず、クロコダインに尋ねる。
「僕の話をしていたとは光栄だね、でも丁度良かったという事は何か用があったのかな」
「おう、確か土の魔法が得手だっただろう? 少しこの剣について聞きたい事があってな。まあオレが語るより触って貰った方が早いか」
クロコダインはルイズに付き合って授業に参加している事が多い。系統魔法の種類とそれぞれ得意とする分野くらいは把握していた。
土のメイジならば金属の種類や土壌の特性などに優れた分析力を発揮する。以前フーケのドームに閉じ込められた時も、ギーシュは鉄製である事とその厚みをすぐに言い当てていた。
武器を見たかったギーシュにとっては渡りに船の依頼である。まだ口論を続けている剣の刀身に触れて意識を集中させた。
「え? なんだこれ!?」
奇妙な声を上げて、ギーシュは一旦離した手を再びデルフリンガーに当てた。今度は柄から切っ先に向けてゆっくりと撫でる。
「なに? おかしなところでもあるの?」
微妙にルイズを警戒していたモンモランシーだったが、興味が湧いたのかギーシュの顔を覗き込む。その眼の前に彼の白い手が突き出された。
「ああ、おかしいね。確かに錆びている筈なのに、触れた指には全く錆が付かないんだから」
「あ!」
気が付いたモンモランシーは注意深くギーシュの指を見るが、赤茶色の錆びはどこにも付着していない。
「ちなみに濡れた布で擦っても全然錆びは取れなかったわ」
更にルイズが傍らの桶に掛かっていた白い布を指して補足した。ギーシュは一礼すると難しい顔のまま分析の結果を話す。
「材質は多分鉄だと思うんだけど……ちょっとはっきりしないな。『固定化』に類似した魔法が掛かっているのか、いや、土系の魔法じゃないのか?」
『固定化』が掛けてあるなら刀身は錆びない。錆びた剣をわざわざ『固定化』するメイジはいない。
だが現にこの剣は錆びついていて、その錆びは何故か取る事が出来ないのだった。
「ごめん、僕じゃ正直お手上げだよ。詳しく解析するなら少なくともトライアングル以上の土メイジが必要だと思う」
デルフリンガーを厩舎の壁に立て掛けて降参のポーズを取るギーシュに、あれ、という表情でモンモランシーが疑問を口にする。
「その剣って確かオールド・オスマンの私有物よね? だったら学院長に聞けばいいんじゃないの?」
土のスクエアなんだからすぐ判るでしょ、と言う彼女にルイズは溜息をつきながら答えた。
「賭けチェスで武器商人から巻き上げただけで、碌に見もしないで宝物庫に突っ込んだそうよ。うるさくてかなわんって」
「ダメじゃない」「ダメだなあ」
容赦なく学院の最高責任者に駄目だしをする2人。
オスマンの行動はある意味で生徒たちの自立性を高めていると言えなくもないが、仮にそうだとしても褒められたものではない。
「いや、すまんなあ相棒。どうしてこんな事になってんのか、喉まで出掛かってるんだけどよ」
自称6000年前に作られたとかく忘れっぽいインテリジェンス・ソードの言い分に、その場にいた生徒全員から「どこに喉が!」とツッコミが入った。
考えるな感じろなどと言うインテリジェンス・ソードを無視しつつ、武器を見せて欲しいというギーシュの訴えを快諾したクロコダインは愛用の大戦斧を手渡そうとした。
「いや持てないから! 見せてくれるだけでいいから!」
クロコダインの身長程もある戦斧である。鍛えていない者には持つのも困難な代物だ。
「随分凝ったデザインなのね、美術品としても通用しそうだわ」
近くで見るのは初めてのモンモランシーが感心したように呟いた。
中央に嵌められた宝玉から渦を巻くようにして斧頭から穂先、そして反対側のピック(というよりは小型の斧)へと流れるデザインは確かに洗練された美しさがある。
「さる名工の逸品でな」
珍しく自慢げに語るクロコダインに、ギーシュは観察を続けながら言った。
「これは単純に斧として使うだけじゃなくて、槍みたいに突いたりも出来るんだね。色んな武器を併せているみたいだ」
斬る、突く、叩き潰す、引っ掛ける。ちょっと考えただけでこれだけの使い道がある。熟練者が扱えば多大な戦果を発揮する事だろう。
(でも、今の僕には難しいな)
ギーシュは若干の悔しさを滲ませつつも、そう結論づけた。
ある程度の自律行動が可能なガーゴイルならまだしも、術者の制御が必要なゴーレムには単純な武器を持たせた方が効率的だと判断したのである。
(まあ今は無理でも、そのうち使いこなせるようになるだろうしね)
基本的に楽天家なギーシュは必要以上に落ち込む事は無く、あっさりと気分を切り替えた。この辺りは一度悩み始めるとどんどん悪い方へ考え込んでしまうルイズとは対照的だと言えるだろう。
(ワルキューレに持たせるなら、柄はそのままで片刃の斧にしよう。いや、素直に槍にするのもアリかな)
そんな事を考えつつ、ギーシュはデルフリンガーの時と同様グレイトアックスに意識を集中させる。
「うええ? なんだこれ!?」
そして本日二度目の奇妙な声を上げる羽目になった。
「なによ突然!」
「ちょっと、大丈夫?」
2人の少女が声を上げるが、ギーシュはまるで気付かない様子でクロコダインに話しかける。
「えーと、見た事もない様な金属を使っている上に真ん中の宝玉から得体の知れない力を感じるこの斧はマジックアイテムか何かでしょうか」
何故か敬語での質問であった。
ルイズとモンモランシーは一瞬自分の耳を疑い、当の使い魔はそういえば話してなかったかと呟いてその能力を端的に説明する。
曰く、何で出来ているか詳しくは知らないがすこぶる頑丈。
曰く、命とも言える魔玉の効果で3種類の魔法を使う事が出来る。要キーワード。
端的にも程がある説明だが、これは己の素性を明かさぬ様に学院長から頼まれているが故の苦肉の策である。
ともあれ聞き終えた3人は互いの顔を見合わせる事になった。眼に映るその顔が呆然としているのを確認し、今の説明が聞き間違いなどでは無い事を実感する。
「どうかしたのか?」
不思議そうな顔をするクロコダインに、半ば呆れたようにギーシュは言った。
「どうかもなにも立派なマジックアイテムじゃないか! びっくりするよ普通」
貴族である彼らにとってマジックアイテム自体はさほど珍しいものでは無い。
杖を振るだけで消灯するランプや電流が流れる拘束具などは身近に存在すると言っても過言ではないだろう。そんな物騒な拘束具が身近にある環境についての是非は取り敢えず置くモノとするが。
しかしこれらの品は1個につき1つの効果しか無いのが普通である。複数の効果を発揮するアイテムは非常に少なく、おいそれと手に入る様な代物では無かった。
隣にいたモンモランシーもギーシュと同様の感想を抱いたらしく何度も頷き、ルイズはと言えば複雑な心境のまま叫び声を上げる。
「すすす凄い武器じゃない流石私の使い魔ねって言うかなんでもっと早く言わないのよでも秘密にしておいた方がああもう私だけに教えなさいよ!」
自分の使い魔を自慢したいのとそういう事は自分が一番に知っておきたかった事とオスマンからガンダールヴのルーンについて口止めされたので秘密のままの方が注目を集めないのではという思いと独占欲が全てダダ漏れで、
傍から聞いていると支離滅裂なのだがクロコダインには伝わったらしく苦笑と共に頭を撫でられた。
しえーん
「スマン。だが何回か使っていたからな、気付いているものかと」
「え? ウソ!」「覚えがないけど、いつ使っていたんだい?」
ルイズたちがそんな疑問を口にするのは、実は不思議な事では無い。
クロコダインが最初にグレイトアックスに秘められた魔法を発動させたのはフーケが宝物庫を襲った後、鉄製のドームに閉じ込められた時だった。
彼は爆裂系呪文を使う前に耳を塞げと注意していたが、そのうちの何人かはご丁寧に目まで瞑っていたのである。
目を開けていた生徒もいたが、いかんせん照明はキュルケの作った小さな火の玉が3つだけであり、また混乱から抜けきっていなかった為ドームを破壊したのはクロコダインの技だと勘違いしてしまった。
二回目の使用はフーケ捜索時のゴーレム戦である。
しかしこの時ルイズたちは全力でフーケの隠れている場所を見つけ出そうとしていて、クロコダインの戦いをじっくり眺めている余裕などどこにもなかった。
故にゴーレムの鉄腕を吹っ飛ばした爆裂系魔法も、上半身を両断した真空系魔法も目にする事は出来ずにいたのである。
ルイズたちとしては、成程あの時確かに大きな音がしていたなあとか、あの唸れ何とかって言ってたのは気合じゃなくて合言葉だったのねとか色々と思い当たる所はあるのだが、そんなもんあの状況下で気付く訳がないとも思ってしまうのは、まあ無理もない事だった。
「それにしてもフーケはとんでもない相手を敵に回したんだなあ、今だから言えることだけど」
感慨深げに漏らすギーシュにルイズが同意する。
「まあねえ、ただでさえ強いのにそんな凄い武器を持ってるなんて普通思わないもの」
ひたすら感嘆するルイズたちに、クロコダインは少し困惑していた。
確かにグレイトアックスは優れた武器ではあるが、そこまで感心される様な物なのか判断し難いのである。
何せ彼の仲間たちの武器は、電撃以外の魔法を全て防ぐ鎧に変化可能な剣や槍だったり、巨大な移動城砦をも一刀両断にするオリハルコン製の剣だったりと、性能的に突き抜け過ぎていてどうにも自分の武器とは比較が困難だった。
ましてやこの世界でのマジックアイテムの価値についてなど、召喚されて一月も経っていない彼に分かる筈も無い。
そんな訳でクロコダインは主たちに大戦斧の価値がどれ位の物なのか尋ねてみる事にした。
「はっきり言って宝物庫に保管されててもおかしくないわ。もしくはアカデミーで研究対象」
「こういう武器を集めている好事家なら、郊外のちょっとした城が買える位の金額を出しても不思議じゃないわね」
「軍の関係者なら親を質に入れてでも欲しがると思うよ。僕の父親が知ったら『質に入れるから譲ってくれ!』とか言いそうだ。……多分質入れされるのは僕なんだろうけど」
ルイズ、モンモランシー、ギーシュの順に見解を述べた後、彼女たちは口を揃えて結論を出した。
「少なくともそこの『自称伝説の剣』よりは遥かに価値がある!」と。
「うわ聞き捨てならねぇーっ!」
抗議の声を上げたのは、当然の事ながらデルフリンガーだった。
「確かにその斧が凄えのは認めるけどよ、俺っちだって負けてねえよ!」
これまでにない勢いで鎬を鳴らして喰ってかかる剣に、同等の勢いでルイズが反撃する。
「あんたのどこが負けてないってのよ具体的に言ってみなさいこのボロ剣!」
「ボロ剣じゃねえデルフリンガーだって言ってんだろ娘っ子!」
「こんな錆びの浮いた剣なんかボロ剣で充分よただ喋れるだけじゃ珍しくも無いんだから悔しかったら芸の1つも見せてみなさいってのよ!」
1人と1本の言い争いをそろそろ止めようかと考えるクロコダインと、そんな剣と同レベルなのはどうなのかしらと生暖かく見守るモンモランシー、売り言葉に買い言葉とはこういう事かと変な所で感心するギーシュ。
エキサイトする一方のルイズとは対照的な彼らであったが、それも長くは続かなかった。
「おお上等だやってやろうじゃねえか見てろよこんちくしょーっ!」
そんな叫び声と同時に、突如としてデルフリンガーが白く輝き始めたのだ。
ただでさえ『よく分からない』とお墨付きの出たマジックアイテムである。興奮した揚句暴発する可能性もない訳では無い。
クロコダインはすぐさま剣とルイズの間に立ちはだかり、どんな事があっても主を守る態勢を取った。
少し遅れてギーシュが武骨な楯(というよりは板)を持ったワルキューレを2体作り出し、モンモランシーと自分の前に配置する。
「きゃ!」「え!? なに?」
事態についてこれない女子2名の短い悲鳴を背にデルフリンガーを睨むクロコダインだったが、見ているうちにある事に気がついた。
錆びついていた筈の刀身が、ついさっき生み出されたかの様な美しさを取り戻していたのだ。
「おおっ! 思い出したぜ、これが俺の本当の姿って奴だ、よーく拝んどけよ娘っ子!」
そんな大見得を切るデルフリンガーの姿は、確かに言うだけあって見る者を圧倒する様な凄味があった。
警戒を解いたクロコダインは有頂天状態の剣を手に取り、自分の姿を映し出す程に磨き抜かれた刀身を見つめて感心する。
「成程、こうして見ると見事な業物だな」
「いやー、俺を扱うにゃあ詰まらん奴が多すぎてよ、あんまり詰まらねえから錆びた姿になってたの、すっかり忘れてたぜ」
先程の疑問が解けたので、ギーシュはさっぱりとした気持ちで忘れっぽいにも程があるだろうと内心でツッコミを入れた。
先程の疑問が解けたので、モンモランシーは爽快感を覚えつつギーシュにプレゼント予定の新作香水のモチーフは何にしようかと考え始めた。
そして、ルイズは先程の疑問が解けたのに満足し、なおかつ剣が一芸を見せたのに微妙な反発を感じ、しかしそんな態度は貴族としてどうかと反省し、けれどそんな反省を表に出すのはどうにも恥ずかしいので、ふと疑問に思った事をそのまま口にしてみた。
「ねえ、それって何か戦う時に役に立つの?」
その場に居合わせたモンモランシーの使い魔、蛙のロビンは後にフレイムやシルフィードらにこう語っている。
あの質問は身も蓋も情けも容赦もありませんでした、と。
このまま独演会を開きそうな勢いだったデルフリンガーは、痛恨の一撃を喰らった後のスライムよりも静かになった。
さっきまで騒がしかった分、実に気まずい。
ここはひとつフォローした方がいいだろうかと、ルイズは珍しく殊勝な事を考えた。
最初に思いついたのは『マジックアイテムである事を偽装するにはいいかもね』というものだったが、それが戦場で役立つかと言えば答えは否であるし、第一肝心の機能を忘れていてはどうしようもない。
ルイズは更に次の案を考えたが結局何も思いつかなかったので、あっさりとフォローを断念して言った。
「もう! 結局使えないんじゃないの!」
土の中で話を聞いていたギーシュの使い魔、ジャイアント・モールのヴェルダンデは後にフレイムやシルフィードにこう語っている。
あれはまさしく人の姿をした<悪魔>だった。でなければあんなとどめの言葉は出てこないだろう、と。
ストレート過ぎる意見に深く落ち込むデルフリンガーを救ったのはクロコダインだった。
いいよもう役立たずだよどうせよう、等と呟き続ける剣を手に取りひとつ確認する。
「なあ、また刀身を錆びさせたりする事は出来るのか?」
「……ああ、そりゃやり方思い出したから簡単だけど……?」
そうか、と頷いて盾装備のワルキューレを視界の隅に入れつつ、次にクロコダインが話しかけたのはこの場にいる唯一の男子生徒だった。
「ギーシュ、少し協力してくれ」
「え? ああ、何をするんだい」
グレイトアックスに合わせて青銅の斧のデザインを変更しようか、などと考えていたギーシュは突然話を振られたので驚きながらもそう答える。
「試してみたい事があってな。まあ、要は試し斬りだ」
そう言ってクロコダインは笑ってみせた。
盾を構えたワルキューレの姿を、デルフリンガーの刃が映し出している。
彼を右手に握ったクロコダインは足幅を広くして、無造作に青銅の人形を横薙ぎにしてみせた。
鋭い金属音と共に、ワルキューレはその盾ごと両断される。
おおお、と感心するギャラリー。そしてその切れ味に「うおスゲえな俺! 久し振りだぞこんなに切れ味がいいの!」と自分で驚くデルフリンガー。
そんな彼らを後目にクロコダインは剣に一風変わった注文をつけた。
「またさっきの様に錆びを浮かせてみてくれるか」
「え? またかよ? まあいいけど」
再び錆に覆われる刀身を確認し、クロコダインは一体目と同じスタンス、同じ力加減で二体目のワルキューレを斬りつける。
今度は鈍い金属音がして、くの字に折れ曲がった盾と共にワルキューレは5メイル余り後ろへ吹っ飛ばされた。
「成程な、やはり姿が変われば切れ味も変化するのか」
ある程度この結果を予想していたらしい使い魔に、ルイズは疑問を口に乗せる。
「よく斬れた方が便利なんじゃないの?」
「時と場合によるという事だな。手加減したいのによく斬れてしまっては困るだろう?」
その言葉を聞いたギーシュは、地面に転がった2体のワルキューレを眺めて思った。
斬殺から撲殺に変更するのは果たして手加減と言えるのかなあ、と。
尤もそれを口にしたらルイズに爆殺されそうな気がしたので思うだけに留めたが。
「これはこれで立派な能力だ。砥ぐ必要も無くなったし、道具は衛兵に返しておこうか」
よく見れば桶の傍には砥石が置かれている。元々武器の手入れをするつもりだったのが、デルフリンガーの錆びが取れないので悩んでいたのだろう。
そのデルフリンガーは思わぬ所で褒められて、しかし手加減前提で使われるのは想定外だったらしく何やら複雑そうではあった。
「手加減って……何か戦う予定でもあるんですか?」
ルイズやギーシュ程には親しくないモンモランシーが戸惑いがちに尋ねると、クロコダインは腰に下げた『魔法の筒』を軽く叩いて答えた。
「明日にでもこの中のワイバーンとやらを開放しようと思ってな。ひょっとしたら戦いになるかも知れん」
そろそろ日の落ちそうな学院の一角に、驚きの声が3つ上がった。
以上で投下終了です。
やっぱりVSワイバーンまで到達しませんでした。ある意味予定通りです。
次こそはワイバーンたんの登場です。
その次はアルビオンでちゃんと子爵が登場する予定です。
支援と前回の感想ありがとうございました。
乙であります
並のワイバーンなら戦いにならずに平伏しそうだけどどうなるやら
乙でした。
筒の中のワイバーンを開放したら、逃げ出すより先に『獣王の笛』を吹くのだろうか。
乙です。
デルフ、有用性を疑われる、の巻。
まあ魔法吸収も見せてないしね。見せ場が来るとしたらやっぱりアルビオン編で、ですか。
おっちゃんがデルフ持ってるところを想像すると、デルフが異様に細くて小さい剣に見えそうだな。
ワイバーン編、楽しみにしてます。
投下乙です。
デルフリンガーもちゃんと使ってもらえそうでよかったなw
ワイバーン編がどうなるか、戦ったりするのか、それ以外の展開になるのか、楽しみにしてます。
普通の冒険者は予備の武器としてダガーを持ってるもんだ。
クロコダインのサイズならデルフリンガーがかえってちょうどいいかもな
侍が小柄を持つように、騎士がスティレットを持つように
ですね、わかります
627 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 14:07:59 ID:UL7eSb64
クロコダインがデルフ持つと
でかい鉈を持つような感じかな。
ダイにおけるパプニカのナイフみたいなものですね、初期はメインウェポンでしたけど
デルフが電撃吸えると知ったら、おっさん的にはデルフの評価が急上昇しそうだ
鎧の魔装 唯一の弱点を克服できるのか。すげえな
ダイがデルフ使うのを見てみたいな
ダイの剣と二刀流とかできるだろうか
>>630 デルフの全長は約150センチ、おそらくダイの身長よりも大きいため2刀流はムリかもしれん。
そういやパプニカのナイフは勿論の事、ダイの剣もそれほど長くはないんだよなあ。
ダイの剣をヒュンケル辺りが持ったら、ショートソードぐらいの印象になるんじゃないか?
16巻読んで思ったんだけど、
デルフにも一応魔力吸収できる限度があるんだよね。
ダイの世界の魔法ではどの程度耐えられるんだろう?
極大クラスはアウトかな?
一般の魔法使いの呪文なら、極大でも耐えられるだろう。
カイザーフェニックスは無理だと思う。
ポップの極大は微妙かな?
バーン様の攻撃(カイザーフェニックスやらカラミティウォールやら)は無理だろうなぁ。
ハドラーやマトリフ師匠クラスの極大魔法も厳しいんじゃないかと思う。
ドゥードゥー(だっけ? あの新キャラ)の魔力よりマトリフ師匠の魔力の方が下、というのは嫌だなぁ、という個人的感情ですが。
メドローアは、マホカンタで跳ね返せるところを見ると、魔力そのものに干渉して跳ね返したり吸収したり、ならできるんだろうか。
最強系スレだとたしか超魔ハドラーの極大呪文は一キロ以上の爆発と同程度の威力だったな
たぶんこのあたりだとデルフは即死する
いや流石に最強スレとかローカルな物は参考の欠片にもならんし持ち込むな
あとデルフが吸収仕切れなかったのは単純にあのブレイドタイプだったからの可能性もあるし、本当に駄目になったかどうかも不明な段階だからいろいろ断定するのも危険
しかし、カイザーフェニックスに関しては、吸収されたら納得できんぞ。
>>637 何回か失敗して、ラストにやってのけるならありじゃない?
マホステで消せるのなら何とかなりそうではある
ダイには無い呪文だけど
シャハルの鏡の時みたいに、吸収はできるけどデルフが砕け散るとか
ダイ「デルフぅぅっ!」
デルフ「へっ、こんな見かけ倒しの鳥なんかより……メラの方がよっぽど、強かったぜ……!」
ポップ(見えた……! カイザーフェニックスを破る方法が!)
ポップ「おまえのくれたチャンス……無駄にはしねえ!」
バーン「フン、笑わせる」
という感じでしょうか。
なぜかメラよりカイザーフェニックスの方が吸収しやすそうなイメージが……。
シャハルの鏡は1.反射しやすい魔法としにくい魔法がある
2.二つの魔法を同時に反射できない のどちらかのように見える
シヴァのマヒャド→余裕で反射
ポップのメドローアにみせかけたベギラマ→余裕
メドローア→「反射させてもらう」から余裕と推測
バーン様のメラゾーマ&ポップのイオラ→反射したが鏡も破壊される だったから
デルフの場合は状況だけ見れば過負荷か許容量を超えたかよくわからんけど、ブレイドの魔法だったからはないんじゃないかな?
16巻の描写では、敵がブレイドを振り上げた瞬間に地面に突き刺して吸収していて触ってもいない
すまない。ノヴァだった…
シヴァって誰だよOTL
全部吸いきってしまおうとすると壊れるなら、半分くらい吸うんなら大丈夫なんじゃね?
そんな選択できんのか?
ガウリイ=ガブリエフ(小説版)クラスの腕前が有れば可能では。
出る府自体に半分吸い取るとかそういう機能なくね?
どっかにそんな描写あったっけか?
海破斬の応用で、魔法を叩ききることは可能なんだろうか?
≫648
基本、アバン流刀殺法なら大抵の魔法に対抗可能だと思う。
大地斬:ゴーレムはじめ実体を持つ「土」系統に有効。
海波斬:非実体型の攻撃魔法全般に有効(除く「虚無」)。
空裂斬:「風」の偏在に有効(「造られた命」を感知)。
…こうして見るとアバン流って「メイジ殺し養成流派」と言っても過言ではないんじゃ…。
>>631 もとの材料が冠だからなぁ
大剣を作るほどのオリハルコンは無かったってのもあるかも
>>649 そりゃ、かなりの割合で魔法が使えるヤツがいるからな>モンスター
>>650 ダイの剣だから、ダイが振り回しやすいサイズになっただけじゃないのかな。
でも、個人的には冠から剣を作り出せたのも不思議だったw
あれじゃ材料が足りなくない? 素人だから詳しいことは分からないけどさ。
>>652 スプリガン方式でオリハルコン合金製なんだよ、きっと
ブレイドみたいな魔法だから短い時間に一気に吸い込む必要があってその際の魔力の分量もしくは密度が非常に大きかったから駄目って可能性もあるんだよな
だからあのブレイドだったから駄目は充分ありえるし、今までいなしてきた魔法がブレイド以下って事も断言できない
655 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 19:14:29 ID:cKRgOyMo
ヒム、アバン、クロコダイン、ヒュンケル、ノヴァの闘気剣、闘気弾、闘気拳の威力はどの位なんですか?
まず闘気ってのがよー分からんですけどね。生命エネルギー、だっけ?
ゼロ魔世界では立派な先住魔法だろうなぁ。
おっちゃんの獣王会心撃は、トルネードカッターくらいだと勝手に思ってる。
フレイザードの立てたでっかい塔(名前忘れた)に風穴開けたり、二つ使ってオリハルコン捻じ切れるくらいだから、結構強いと思うんだよ。
戦いに関してはダイ世界>>ハルキゲニアだからねえ。
ボラホーンあたりでハルキゲニアなら騎士団をやすやすと全滅
させそうな感じだ。
ポップ、ヒュンケル、マァムあたりでほぼ無敵状態。
ダイ、バーンあたりだと、ブリミルが泣いて命乞いするだろう。
どうやって制限かけるか難しいとこだな。
>>657 戦車とか大砲が一応実用化されているしな。
ただ、あれが革新的な精鋭戦力である以上、普通の軍隊の戦力はそこまで違わないのでは?
上位陣は確実にダイ世界の方が上だが。
戦闘のインフレがダイの大冒険
恋愛のインフレがゼロの使い魔
ダイとかポップだとよっぽど気をつけて書かないとただのTueeeになりそう
ハルケギニアの人々を蹂躙するダイやら、クールさを忘れたようにいきなり圧倒的な力を見せつけるポップやら、性格改造されたキャラが印象に残ってる
そういうのはゼロ魔のキャラは驚き役かマンセー要員だし…
ノヴァなら丁度良いかな
雑魚と言われるほどではないが、ダイ一行と比べると見劣りする
見せ場を作るとデルフには二、三回は折れそうな危機があるが
ノーザン・グラン・ブレードと命の剣の件で
この場合過去に訪れていたのは村に定住したキャラは
父親かダイかそれとも鍛治の師匠か
なんか途中からループしてるな
つええ話しを同じような主張で繰り返す人がいるのか
ハルケギニアとダイ世界では、惑星ベジータと地球くらい重力が違うんだよ!
……これでも無双になっちゃうかな?
>>661 ノヴァって結構強くね?
時期によっちゃ刀鍛冶もいけるぜ!
刀鍛冶のノヴァってダイ本編終了後でほとんど描写されてないから、説得力持たせるには結構な腕が要求されそうだなぁ。
ロン・ベルク印の魔法武器って使い方知ってれば平民でも使えそうだから、ハルキゲニアに革命が起こせそうだけど。
そもそもどういう理屈で成り立ってる武器なのか、なんて説明ひとつも無かった気がするし。
おっさんの斧のシーンを見る限り、宝玉に魔法をこめている+その宝玉はそれなりにレアなんじゃないかと。
むしろ、メラゾーマとかあのクラスの大魔法に普通に耐えられる服や鎧の方が価値が高いと思う。
オリハルコン以上の硬度と耐魔防御を併せ持つ
最強の「ぬののふく」ですね(下半身)。
>663
並行する異世界含めた世界の上澄み中の上澄みの神の手すら入ってる頂点精鋭連中と、
そう言ったレベルは抜きな&その辺が良く判ってない上で、更に所謂一般人に近い連中多目の物をまともに比較する時点で駄目だろう
しかも片方は漫画的演出部分を鵜呑みに、片方は文章表現(アニメになってるのは序盤もいいとこ&やはり世界の末端部分)で受け手次第でイメージが結構変わる物を適当にした状態で比較
ひどくなるとただゼロ魔蹂躙したい奴が沸くからあんま考えないほうがいいだろ
無益すぎるし作者各々に解釈任せておくだけで良いと思うぞ
>664
凄い道具が入った場合、それだけが理由になって革命なんて絶対起こらないぞ
ただでさえ有力な貴族連中が平民より有効に行使できてしまうからな、特にゼロ魔の魔法&使い魔はシステムとして簡易化する必要のあるゲームベースなのと違って小説ベースだから応用性とか他の道具との親和性が凄い高いから
強力な道具が誰の手にも渡るようになったから革命が起こったのはあくまでも、誰しも基本能力が均一で超能力なんて存在しない皆同じ人間の現実だからだよ
武器職人見習いモードのノヴァだったら、一番デルフのことを評価してくれそうだよなあスゲースゲー言われてデルフ大喜び。
常に分解されて研究対象にされる危険と隣り合わせではあるが
そういえば、グレイトアックスも勝手に復元したり、
手元に戻ってきたりするのかな?
描写がないから分からんが、可能性はあるから話の中に出す場合そこまで違和感はないだろうな
しかし鎧の魔剣の再生力は異常
ライデインで粉々になったはずなのに数日で傷一つなく復活とか
ロンベルクがあの材料とかで作った鎧の○○シリーズとかグレイトアックスは基本的に同じじゃないのかね
そんな事言ってなかったっけ
獣王の人のはついにワルドさんがでるのか
ところでワルドさんは本編で10巻くらい登場していないような気がするけど
今何をやっているのだろうか
16巻で灰色卿とか呼ばれてた謎の貴族がいたけど、もしかしたらそいつかもしれん
もしくは原作者にも忘れ去られてるとかw
風を極めると存在が空気になります、とか言われてたなぁ。
というか、ワルドさんは本当に美味しいキャラだと思うんですけどね。
初めてガンダールブに土を付けた、作中トップクラスの実力者でライバルキャラ。
才人としては許せない相手だろうけど、単純に悪党でもない独自の正義感を持っている貴族。
フーケさんともフラグが立ってたし、偏在なんていう色々仕込みやすそうな特技もあるし。
作者の立場なら、かなり使い道の多い旨味のあるキャラなんじゃないかなぁ。
なんで切っちゃったんだろ、ヤマグチせんせ。
偏在が便利すぎるんじゃねーの?
デウスエクスマキナなことになりかねん気がするが
たぶんラスボスに使われるんだろう
単にスペックだけじゃなく、相手の戦力を測った上で、勝てる状況を作って戦うやつだからな
仲間にすればヒュンケルポジション、敵のままライバルならハドラーポジション辺り。
どっちも凄い格好いいと思うんだがな。
あ、才人より格好いいポジションの男キャラが出たら駄目なのか、もしかして。
どちらにせよ、アバン先生がいないからなあ……
かっこいいワルドが見たいです
>>680 ダイ系では見た事無いなぁ
ご立派様のワルドはカッコイイ?んだが・・・
カッコいいワルドがいたとしても、ロリコン紳士として、という但し書きがつくと思う
JOJOスレの仮面のルイズに出てくるワルドは、かなりマトモなキャラだった気が
ダイの大冒険的には
・大勢の前で告白
・超魔化
・ノヴァみたいに特効
・おっさんみたいに自分の命を捨てて盾になる
のどれかをするしかないな
王勢の前で告白って……ポップか。
そうやって並べられると、死亡フラグ一覧にしか見えんなぁ。実際に死んだのはハドラー様だけだけど。
というか、ポップって特攻も身を盾にするのも、自爆すらも経験済みなんだよな。
それだけ死亡フラグ乗り越えたんだから、そりゃ人気も出るか。
ワルドがスクウェアに覚醒したのはロリコンを告白したから…とかだったらかっこよくないかw
「僕は同年代が好きなわけではないんだ……かなり年上か年下が好きなんだよぉぉっ!」
ワルドはバーン様と話が合いそうですね。少女相手に「自分の物になれ」と言ってこっぴどくフられるところなど。
しかし、ボス伽羅としての威厳では差が有りすぎるような気が
「それは僕のフライだよ」
※実はブリミルの騎士だったサイト父の亡骸をでっかい竜巻で葬った後にワルドが発した衝撃の一言
「知らないのか? YES!ロリータ、NO!タッチ」
※実はロリコンだったのにルイズにいたずらしなかったことを信じてもらえなかったワルドが発した衝撃の一言
>>689 「それは僕のフライだよ」
アジか白身魚の揚げ物をつまみ食いされそうなのかと思ってしまった
以前ダイ小ネタを投下した者ですが、またダイ小ネタを一つ投下させていただきたい
22:00位から投下しますー
時間になったので投下します
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし使い魔を召喚せよ」
土煙の中へと杖が振り下ろされると同時に爆発が起こった。
爆発で巻き上がる土煙の中から出てきた生徒の姿を確認して頭の天辺が禿げ上がった男は何度目かわからぬ安堵の息を吐き出した。
その風采が上がらない男が、薄い頭髪が更に抜け落ちる事になりそうなこの仕事を命じられたのは能力を認められて…でもあったが、何より彼自身の評判のせいだった。
教師を務める傍ら男は夢を追っていた。
夢を叶えるために長年研究を続け、その内に男は元々几帳面だった性格を更に正確さを求める性質に変えた。
だが、同僚の教師達からはその『客観的な事実を求める』性質は、『些細な事にもうるさい気の小さな男』としか捉えられなかった。
そこへ研究のために先祖代々の財産を全て売り払ったという事実が合わさって、男は変人扱いを受けていた。
売る物がなくなって平民のカツラ用に髪の毛まで売り払った変人なのだと陰口も叩かれるようになり、
教同僚はおろか生徒からすらも軽んじられるようになり、
面倒な仕事は彼に回す、というのが男が教鞭をとるトリスティン魔法学院のここ何年かで定着した慣習だった。
「コルベール先生、コントラクト・サーヴァントに成功しました」
そんな男の下に、たった今土煙の中から出てきた女生徒がやってくる。
長い髪を縦に巻いた少女は彼の前にやってくると、嬉しそうにカエルを掲げて契約の印である『使い魔のルーン』を見せた。
彼は、貴族の子女が通う長い歴史を誇る由緒正しい魔法学校で教鞭をとるジャン・コルベールは精神的な疲労を慌てて隠し、生徒に祝いの言葉を述べた。
女生徒は礼を言ってマントを翻すと、先に契約を終えてモグラに抱きついている金髪の男子生徒の下へと飛んでいった。
微笑ましさを感じて笑顔でそれを見送るコルベールの笑顔を新たに起きた爆発と巻き上がった土煙が吹き飛ばす。
眉根を寄せて、コルベールは先ほどから爆発を何度も起こしている桃色がかった髪の女生徒へと目を向けた。
制服であるマント。その下はある程度自由が許されているが、殆どの生徒がそうであるようにその女生徒も学院で指定された白いブラウスとグレーのプリーツスカートを着ている。
が、制服は何度か爆発に晒されてぼろ布になりつつあった。
貴族の子女がなんともはしたないとコルベールは胸中で嘆いた。
王都トリスタニアからは馬で二時間ほどの位置に作られたこのトリスティン学院では生徒が二年に上がると使い魔を召喚し、契約する儀式を行っている。
今日はその儀式を行う日であった。
通年この儀式は面倒ではあるが、手をかければ終わる仕事だった。
だが今年は、彼の太陽の光を受けて光輝く頭を悩ませる者がい…また爆発が起こった。
この広大なハルケギニア大陸では魔法が発達している。
魔法を使える者は貴族として敬われ、多くの人々は平民として暮らしている…のだが、極々稀に目の前で泣きそうな顔で召喚の魔法を唱える女生徒のような者が現れる。
由緒正しい貴族の中に、魔法が使えない者が生まれるのだ。
魔法が使えない貴族など貴族ではないという認識がある為、家名を汚すだけの無能者をこの学院に入れることも学院が入学を許すこともない。
だが彼女は運が良いと言うべきか悪かったと言うべきか、昨年この学院に入学を果たした。
彼女の実家、ヴァリエール公爵家はこの国でも最も古い家柄の一つに数えられる大貴族であり、順位は低いが王位継承権すら持っている。
娘可愛さで入学させたのか周りが勝手に配慮して許可を与えてしまったのか経緯は知らなかったが、コルベールは表情には出さずにため息をついた。
(これは、私もいよいよ首かも知れんな)
メイジの実力を知るには使い魔を見ろ、と言う言葉がある。
一年で魔法を使えるよう教育を施すことが出来ず、使い魔を召喚させられなかったとなれば公爵家は黙っていないかもしれない。
皆が契約を終えるまで何度でも…回数をこなせば奇跡的にどうにかなるのではと、一番最初からやらせて見たが浅はかな考えだったようである。
諦めはじめたコルベールの視線の先で、彼女は十五回目になる召喚の呪文を唱えようとしていた。
今度は今までになく大きな爆発が起きたがもうコルベールは何の反応も見せなかった。
短時間に何度も何度も爆発を見せられてしまったせいで、もうすっかり慣れてしまったのだ。
最初は風を起こして土煙を吹き飛ばしたりしていたが、コルベールは杖を持ち振り上げた手を止めた。
後何度やることになるかわからないのに一々魔法を使っていてはコルベール自身の魔力を使い切ってしまうかもしれない。
それに、どうせもう少しすれば風に吹かれて消えてしまうだろうと、そう思ったのだ。
生徒の方もそんなコルベールの態度に不満を表す所か同情するような眼差しを向けた。
もしいればの話だが、自分の子供でもおかしくないような年齢の生徒達に向けられる眼差しにコルベールは気恥ずかしげに咳払いを一つして、意図的に後に回していた生徒を呼んだ。
「では次は…ミス・タバサ」
生徒の輪から離れ、本を読んでいた小柄な少女が自分の背よりも長い杖を立ち上がった。
『タバサ』という名は、ハルケギニアでは人名として奇妙な部類に入る。
事実偽名であり、隣国ガリアからの留学生である彼女の詳しい素性はコルベールも知らされていない。
だが、15歳になるはずだが4つも5つも下に見える小柄な少女の髪と目は青…コルベールの記憶が確かなら、青い髪と目はガリア王族の証だ。
6千年もの歴史を持つ国家であるが故にガリアでは稀にこの髪色を持った子供が生まれるとも聞いていたし、もう一つの特徴である涼やかな美貌は眼鏡に隠れて確認できないのでこれだけで王族という事は出来ない。
だが、それらとタバサが入学してから一年の間にコルベールが気付いた幾つかの行動は、コルベールが警戒するのには十分な材料であることに間違いなかった。
その為コルベールは何かあれば国際問題になりかねないと、ミス・ヴァリエールと重ならないように後の方に回していたのだが、その甲斐なくタバサは無言で煙の向こう側へと消えていった。
「我が名は………、五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし使い魔を召喚せよ」
二人の声が重なった。
祈りを込めて晴れていく土煙を見つめるコルベール…今度は、爆発は起きない。
「おおっ!」
思わずコルベールは喝采を挙げた。
ついにサモン・サーヴァントに成功したのでは!?とコルベールは今度は喜びで笑みを浮かべた。
晴れていく煙の中から、全長は6メイルはありそうな美しい青色の鱗を持ったドラゴンの姿が見える。
恐らくはミス・タバサの使い魔となるべく召喚されたものだろう。翼や頭部の形から、コルベールは高い機動力を持つ風竜だとわかった。
竜は、使い魔召喚の儀式の記憶を辿っても最上級の生物の一つである。
コルベールはそれを引き当てたミス・タバサのメイジとしての才覚に感嘆しながら、きょろきょろと目を左右にやり同時に呼び出されたはずのもう一匹を探す。
未だ立ち上る土煙に隠れてミス・ヴァリエールが召喚した生物は見えない…まぁ、なにを呼んだにしろ成功しただけで素晴らしいとコルベールは安堵した。
そう考える間に、恐らくはコントラクト・サーヴァントの魔法が成功したのだろう。風竜が頭を垂れる。
サモン・サーヴァントで呼び出した使い魔にキスをすることで契約を行うこの呪文が成功すると、召喚された生き物の体に使い魔のルーンが刻まれ特別な能力が与えられる。
サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァント。
二つを終えて使い魔召喚の儀式は完了となるのだが…はて、とコルベールは首を捻った。
トリスティンでは、契約のキスは使い魔となる生き物の唇にするものだがミス・タバサは今行っただろうか?
他の場所に行って契約が完了した例はコルベールは知らないが隣国ガリアではそんな方法があるのだろうか?
このトリスティンと同じく、始祖ブリミルの子孫を王として戴く大国だが…
土煙を抜けて―嫌な予感に禿げ上がった頭皮を無意識に引っかくコルベールの前へとミス・タバサが歩いてくる。
だが、その後ろを風竜はついて来ていなかった。
代わりに…タバサの魔法で宙に浮かべられた少年の姿が見えた。
意識はないらしく、その瞼は閉じられている。
タバサとほぼ同じ位の背丈の子供の体手には使い魔のルーンが刻まれていた。
既に契約を終えていた生徒達の間にどよめきがあがる。
タバサの属性は風だ。しかも、優秀なメイジでもある。
だからこそ風竜が現れた時即座にコルベールはタバサが召喚したのだろうなと考えたのだ。
使い魔のルーンが刻まれた少年は、殆ど全裸に近い状態でコルベール達の目にはどう見ても人間にしか見えなかった。
風の属性になど全く関係ないだろう。
(まさか『取り違え』が起こったのかッ!?)
青ざめたコルベールは、タバサの元へと駆け出した。
『取り違え』は前記した『メイジの実力を知るには使い魔を見ろ』という言葉があるせいで生まれた忌むべき行為だ。
やり方はこうだ。
まず同じ属性の貴族を集めて纏めて『サモン・サーヴァント』を使わせ、使い魔となる生物を呼び出させる。
次に力が…序列が上の貴族から使い魔との契約を行う。
これによって上位にある貴族が優秀な使い魔を手に入れ、下の者はどれだけ優秀であろうと余りものの使い魔を選ばせるのだ。
実生活で強力な魔法を使う機会など早々無いため、うまくやれば優秀な使い魔を得た貴族は実力以上の評価を得る事が出来る。
神聖な行為として、魔法学院など誰の目にも明らかな公正な場で行われるようにしてからはおおっぴらに行われる事はなくなったが、古くは王族の中にも家臣に呼び出させた使い魔と契約をした疑いのある者がいるという。
それが今、起きてしまったのか!?
もし…もし、ルイズが風竜と契約をしていたら大問題となる。
ヴァリエール公爵家の末娘が、隣国でありこのトリスティン王国の何倍もの国力を持つ大国ガリア貴族から使い魔を掠め取ったなどとガリアが知れば…
あるいは、ヴァリエール公爵家の末娘の使い魔をガリア貴族が奪ったと知れれば…
青褪めたコルベールはタバサから話を聞くために声をかけようとする。
だがその感情の窺えない碧眼の中……吹きすさぶ冷たい雪風に気付き、息を呑んだ。
少女は浮遊の魔法で宙に浮かせた少年をコルベールに差し出した。
少年の手に刻まれているルーンが目に入る。
使い魔と主人たるメイジは一心同体。
使い魔として呼び出された生物を元の場所に返す魔法はコルベールの知る限りでは存在しない。
メイジもどんな生き物を呼び出したとしても、新しい使い魔を呼び出すことは出来ない。
再び別の生き物を呼び出すには、使い魔が死ぬしかないのだ。
今ならまだ、まだ! この少年を殺して再召喚させれば…!
コルベールの頭が危険な考えに染まろうとするのを制するように、タバサは抑揚の無い声で言った。
「この子が私の使い魔。ヴァリエールはまだ契約を行っていない」
震える手で杖を持ち上げようとしたコルベールの手が、力を失い下へと落ちる。
使い魔だと言うタバサの顔を見れば、(たとえ少女が表情を殆ど表に出さないとしても)彼女がこの契約をなかったことにするつもりなど更々ないことくらいはコルベールにもわかった。
コルベールは、少なくとも彼に与えられた権限においては、連れてきた少年を使い魔と認めるほかなかった。
こうなっては残された風竜とミス・ヴァリエールも契約させるしかないのか?
コルベールの頭から残り少ない頭髪が、何本か風に吹かれて消えていった。
*
無二の親友、タバサと同じくトリスティン王国の隣国ゲルマニアからの留学生、キュルケが空を飛んでくるのが見えた。
タバサは呼びかけてくるキュルケに背を向けて、自分の部屋へと逃げるように戻っていった。
無口で幼児体型の自分とは正反対の体型、性格の彼女がこの判断にどんな反応を示すかわからなかったが、まだタバサ自身心の整理が付いていなかった。
タバサの本名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン。
ガリア王国の王族で、謀殺された王弟オルレアン公の娘だった。
父シャルルを殺した現王ジョゼフ一世によって母親もまた毒で心を狂わされた。
「タバサ」と言う名は、母がまだ心を狂わされる前にシャルロットにくれた人形の名前。
心を狂わされた母が人形を『シャルロット』と思い込んでしまい、タバサは自分の名を『タバサ』と名乗り…
優しかった父を殺し、母を毒で狂わせた叔父を殺す為に、叔父の命令に従いながら魔法の腕を磨いてきた。
だが…タバサはある日気付いてしまった。
このまま魔法の腕を磨いても父の仇を討つことは叶わないことに。
大国ガリアの王である叔父を討つなど容易になし得ることではない。
それが分からぬほどタバサは愚かではなかった。むしろそれを承知で、牙を研ぎ続けてきた。
その為真正面から戦うことを避け、相手の隙に乗じて一瞬で勝負を決める暗殺者のような戦い方をタバサは得意としているし、自らの手で達成することを決めていた為に人の手を借りたりはしなかった。
人を募ろうと思えば、恐らくかなりの戦力を集めることは出来るだろう。
例えば無能王とあだ名される叔父を排除し、自分を王位に付かせようとする『シャルル派』がいる。
だがタバサは彼らの協力の申し出を断っていた。いや応えようとしていなかった。
ただ復讐の念に凝り固まった自分に王位を継ぐ資格はないし、能力的にも、王たる資質は自分にはない。
自分の手でという気持ちがあり、最悪で命を賭してでも叔父を暗殺出来ればそれでよいとさえ考えている自分にはと考えていたが。
何より、彼らを復讐に巻き込み捨て駒とすることなどタバサにはできなかった。
目的の為に彼らを利用しきれる程冷酷にはなれなかったし、見た目と同様に幼い自分に心を閉ざした少女には彼らの気持ちや彼らに対する責任を背負う強さがなかった。
そんなタバサの考えが甘いことを突きつけられたのは、実家に残された父の遺品の中から数冊の本を発見した時だった。
父の輝かしい記録に混じって、叔父の記録が記されていた。敵を知る為にとタバサはその記録に軽い気持ちで目を通した。
無能と呼ばれ偏見を持ってしか語られない叔父の優秀さをタバサはその時初めて知った。
父シャルルと打ち合ったチェスの記録は全て名勝負であった。
タバサが思いも寄らぬ手を二人は打ち合っていた。
議事録や、父が書き残した日記に残る叔父の言動は才覚に溢れていた。
一見無謀に思えることや突拍子もない発言も後の出来事を踏まえて考えれば、合理的で学問においても(幼年期の記録しか見つけることができなかったが)目を見張るほどの理解力を示していた。
そうした記録から作り出される叔父の姿は、魔法に関して無能であることなど何の好材料にもならないほどの天才の姿だった。
更に、その天才は使い魔として東方の女性を召喚したということが書き記されていた。
これにガリア王としての権力をつけた男を暗殺することなど、それこそ伝説の始祖でなければできないのではないか?
メイジ一人では、例えそれが父シャルルや、トリスティンのメイジの中でも歴代最強と言われるメイジ『カリン』であろうとも…返り討ちにあってしまうだろう。
だがタバサはそれでも父の愛した祖国や祖国の人々を利用して復讐を成し遂げる覚悟は出来なかった。
かといって、復讐の炎は消えるどころかタバサの中でますます燃え盛っていた。
どうすれば復讐を遂げることができるのか?
一心同体たる使い魔の召喚は、思い悩むタバサを落胆させるものだった。
おもしれー!支援
タバサが召喚したのは風竜…使い魔としては最上に近い生物だった。
この時契約を行っていれば、後に更に希少な風韻竜であることもわかるのだが、どちらにせよタバサには物足りない生き物に過ぎなかった。
彼女が求めているのは、彼女の想像の上を行く存在。
容易く自分を掌の上で弄ぶことが出来る叔父ジョゼフの鬼謀の上を行く為の手段だった。
落胆していたタバサは、土煙の中その手段を見つけてしまったのだ。
自室に逃げ込み、詰問しようとする親友を拒絶するタバサの瞳は陰り、燃える水のように黒く光るそれにはベッドに下ろされた勇者ダイだけが映っていた。
親友が自分の名を呼ぶ声を無視するタバサの耳には、ドクンッ、とあの瞬間から鳴り続けている心臓の音だけが聞こえていた。
ドクンッ。
そう、彼を一目見た瞬間に。これから犯す罪の重さに体が悲鳴を挙げるかのように心臓が大きく鳴りだしたのだ。
他人の使い魔として召喚された者を横取りするなど許される行為ではない。
その上自分の想像通りの人物ならこの少年は複数に手を貸すような存在ではなく、故郷に帰りたがるだろう。
だが、それらを考慮して尚…目の前に現れた少年は喉から手が出るほど欲しかった。
ドクンッ。
本能的に何か察知したのか風竜が思わず頭を垂れた――それを見て自分の想像は間違っていないのだという実感が湧き上がり、タバサの背中を後押しした。
その時考えていたのは『もうルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとコントラクト・サーヴァントは行ったの?』だった。
(いいえ、まだだった。だから私が)
ドクンッ。一見人間の少年にしか見えない生物は、胸の内で復讐に燃えるタバサには途方もなく魅力的だった。
タバサは自分が召喚した竜、使い魔を奪われ風竜と契約しているであろうルイズや、使い魔にするこの少年。
父祖や学院の関係者や…思いつく限りの相手に心の中で謝罪し、罪の重さを感じながら…唇を、少年のそれに重ねた。
ズキュゥゥンッ。
全裸に近い少年の体に刻まれたルーンを見つめながらタバサは無意識に唇に触れ、まだ喜ぶのは早いと唇を噛み締める。
まだ確証もないのだ。
だがもし、自分の直感が正しかったなら使い魔としたこの少年を利用する。
タバサの父が所蔵していた異世界の書物『ダイの大冒険』に記されていた勇者。大魔王バーンを倒した化け物を。
確かめたなら、後は――少年の純粋さを犠牲にしたとしても、何年かけてでも、洗脳を施し叔父ジョゼフを殺せばいい。
父に読み聞かせてもらった通りの、自分でも読み返したあの通りの強さなら…例えガリアの全軍を相手にしても目的は果たせるだろう。
微かに暗い笑みを浮かべる少女に見つめられながら勇者はまだ穏やかな表情のまま眠りについていた。
なるほどー、なぁるほどぉ〜支援
以上。投下しました
どうすればダイやバーン様がどこまでも俺TUeeeeでなければならないかなと思ったらこうなっていた
バーン様でもいいけど、バーン様だと全く葛藤がないのでダイに
ルーンの効果を知ってて常に一緒にいて一先ず信頼を得ようとする腹黒タバサと、持ち前の純粋さで浄化できるかというry
乙!面白かったです!
シルフィが頭を下げた理由、タバサがダイを必要とした理由に唸らされました。
そしてダイについて知っていた理由には吹き出しましたw
ちょ、契約のキスの擬音がJOJOwwwww
タバサ「お前と契約したのはヴァリエールではないッ!この私だッ!!」
泥で口を漱ぐダイw
マニアックだなぁ……
スマン、誤爆した
……どこが誤爆?
身体が大きいからってこの扱いの酷さは……
クロコダインさんは業界最高峰のやられ役で、彼のやられっぷりを見る為に足を運ぶお客さんもいる程です。
サイヤ人だったらセル並みになってるレベル
さすがはおっさんだ、これでも後遺症もなく生きてるぜ。
痛めつけられるおっさんはエロかわいい
おっさん大人気\(^_^)/
/\(^o^)/\ ←バランに両腕を折られたおっさん
>>692 投下乙。
ダイにとっては大魔王との戦いよりもある意味過酷で気の毒な展開だが、ルイズとしては当たりを引いたということで良かったのか?
シルフィードとルイズの相性は微妙そうだが…とりあえず韻竜ってことはアッサリばれそうだw
おっちゃんは元々、
『初めて登場した敵の幹部』『初めて仲間になった敵の幹部』『非人間型』『頑丈なパワー系、武器は斧』『必殺技は遠距離系』『過去の因縁とか特になし』
と、活躍できないフラグを満載してた人なんだよ。
それでもバーンパレス突入辺りまでは前線戦力だったし、勇者パーティの一員であることは間違いない。
そこにおっちゃんの偉大さがあるのですよ。
つまり、おっちゃんをヤムチャとか言う奴は修正してやるから前に出ろ。
ヤムチャだって随分長い間前線戦力だぞ
作品が無茶苦茶長くなって比率的に減っただけで
ヤムチャが戦力だったのは、占いババまで。
透明人間のスケさん倒したところだな。
後は、天津飯に負け、ピッコロ戦では治療中。
次の天下一では神に負け。
サイヤ人編で伝説に残る負け方。
人造人間編唯一の功績はゴクウを家に連れ帰ったこと。
ブウでは空気。
コミック10巻くらいまでだ。全42巻で。
前半1/4くらいだね。
>>716 おっさんが凄いのは同意するが、ヤムチャも宇宙全体から見てエリート戦士に分類されるギニュー特戦隊連中と渡り合えるくらいに強くなってるというのに、馬鹿にするお前も修正してやるから前に出ろ。
ギニュー御一行がエリートとか終盤のインフレ見てると到底正直信じられんw
終盤インフレしてたのなんか10人以下だぞ
結局ヤムチャは、インフレ能力を持っていながら常に主戦力の一歩下にいたのが問題なのでは?
クロコダインも最終決戦で『瞳』にされた以上はレベル的には劣っていたかもしれないが、それは相手が大魔王バーンだったからであり、最上位の敵と渡り合えるレベルを保持している事実は変わらないと思う。
おっさんは好きだけど過大評価されてる気がする
おっさんの立場は最大限好意的に解釈してやらないと悲惨すぎるべ
かませでやられで雷電要員・・・
このスレの人たちは割とおっさん大好きなので、め一杯贔屓されてます。
でも「虚無と獣王」は結構な妥当な線の戦闘力だと思うけど。
作品世界的に、ダイの大冒険の方が戦闘力青天井だったからなぁ。
作品による戦力の違いの話になれば、それこそヤムチャだっておっさんどころかヒュンケル辺りまでなら普通に勝てると思うし。
ドラゴンボールのレート其の侭持ってきたら下手すりゃヤムチャ一人でバーン様と戦えてしまう
まぁ過剰評価は勝手たけど、他と比較してそれを卑下してってのは無しだな
このスレっておっさんと他のキャラで扱い違うよな
人気あるのはわかるが…
他のスレよりも語りやすい雰囲気でもあるのかね?
召喚されてる面子を見ると魔王軍も人気あるようだけどな
たまにはザボエラのことも・・・
>>729 でも、使いづらいよな。
ザボエラが善い奴だったりかっこよかったりすると、良さが消えてしまうし。
ミョズニトニルンとしては格がちょっと足りないかな。
中ボスくらいが一番映えるから、クロスさせるの難しいんじゃね?
下手すると、息子さんのほうがザボエラよりは使いやすかったりするからなー
人間にまぎれてたり研究者だったり、成果を命にをかけてサボエラに渡したり
ヤムチャだって惑星ぐらい余裕で砕けるレベルだからなぁ。
並大抵のキャラでは勝てないだろう。
>>729 ザボエラは数少ない下衆外道を行使できるキャラ。結構好きなんだけど
これは出来ないだろ…ってことも平気でやってくれそうだから、実は動かしやすいんではないだろうかとにらんでいる
>>733 ザボエラの本領は、最後に絶対破れることだと思うんだよね
卑怯に悪逆非道に主人公サイドを追い詰め、
一遍の好意も抱かれずに敗れ去る。
だから、王道劇の敵役としては最高なんだけど、
ミョズのルーン持ちとして相応しいかといえば違う気もするのよね
要するに、ワルドの立ち位置とかぶるんだよね。
そして、原作でもワルドは要らない子。
後はわかるな?
>>734 短編みたいな作品だったらいいかもしれんな
確かにアレは絶対に倒されなきゃいけない。しかも無様に。それが外道の花道ってやつだろう
>>735 原作ワルドの立場……ああ、確かにこの状況なら裏切ったのも分かるわ
ってトリステンの上層部の腐りっぷりの説明役?
(最新巻のサイトを暗殺依頼→あ、資金足りなかったの間抜けコンポ発生貴族s)
こー 優秀にしてしまうとサイトの活躍の余地が無いとは言え、暢気すぎだろ貴族のみなさん
>>736 確かに、短編・中編くらいが映えるんだろうね
長編だと、ただの悪役というよりもキャラを掘り下げたくなるだろうし、
ザボエラは真性の悪役かつ下衆である所が良いのだから、何かを付け足すのはちょっと。
掘り下げても糞しか出ないキャラと虚無キャラが合うかというと、
あんまり相性が良くない気もする
8:20頃からフレイザード召喚小ネタの続きを投下します。
『白炎と氷炎〜四極の炎〜』
白銀の髪の青年が壊滅した軍団を見渡していた。
彼は普段は珍しい造りの衣と黒い霧に身を包み、顔を隠している。だが、今日は閉ざされた双眸と整った面を露にしている。
彼の名はミストバーン。
大魔王バーンから全幅の信頼を置かれる側近だ。
主からの命令で敵の拠点まで赴き、封印を解いて滅ぼしたのである。
彼は突然地を蹴った。
一瞬前まで彼が立っていた空間を炎が走り、勢いよく燃え上がった。続いて氷嵐が巻き起こるが青年を凍てつかせることは敵わない。
彼は攻撃を放った相手を見て淡々と名を呟いた。
「フレイザード……メンヌヴィル」
姿を現したのは右半身が氷、左半身が炎で包まれた岩石からなる存在と、顔に大きな傷跡のあるたくましい体躯の男だった。
両者とも炎のように凶暴なだけではなく、氷のような冷酷さをも備えている。
フレイザードの眼の奥に燃えるのは隠しきれない敵意と殺意。傍らの男、メンヌヴィルは好奇心を覗かせている。
彼は滅びたはずのフレイザードを召喚し、共に行動してきた。戦闘を重ね、経験を積み、力を手に入れたフレイザードが元の世界に戻ることになった時、ついてきたのである。
戻れないかもしれないのに異世界を訪れた理由はなかなか探し人に遭えず心震える獲物が不足していたためだ。さらに強い炎を手にするためでもある。
地上に来てもこれまでのように気の合う相手――フレイザードの方はそう思っていないが――と行動することになった。
ただの人間が魔王軍に受け入れられるかという問題はあっさり解決した。高らかに笑いながら人間を焼き殺す姿を見て、魔物達は恐怖とともに納得したのである。
「氷炎将軍は恩義を忘れかねているようですな。魔影参謀どの?」
丁重な態度がかえって皮肉を感じさせる。
かつて魔王軍の切り込み隊長――氷炎将軍として戦ってきたフレイザードは、勇者の必殺技を食らい、ミストバーンから顔面を踏みにじられて消滅したはずだった。
召喚されたことによって復活できたのは僥倖と言うほかない。
術者からの魔力の供給なしに異世界で行動できたのは、召喚の過程によって一個の生命体に近い存在となったためかもしれないが、確証はない。
人格の歴史となるものを渇望している点は同じだ。
レベルアップを繰り返して帰還した彼は、勇者一行との戦いの中で魔王軍の戦力を担う重要な存在と認められるようになった。
だが、満足には程遠い。
再び生命を与えられてもフレイザードが望む物は変わらない。
どれほど年月を積もうと得られないほどの手柄や羨望の眼差し。勝利の快感、栄光。
新たに加わったものももちろんある。
油断や慢心が無様な敗北を招いたため、過信を捨てた。惨めな死が彼の精神から驕りを取り除き、強さを求める情熱を吹き込んだ。
メンヌヴィルが“恩義”と表現したのはそういった意味もこめている。
そして、フレイザードが攻撃を仕かけた理由は他にもある。
大魔王に最も近い者を打ち負かせばさらなる地位を手にすることができるが、それが最大の理由ではない。
『たっ……頼む。もう一度チャンスを……ミストバ――』
ミストバーンはダイの実力を測るため利用した。
勇者に敗れ、それでもなお諦めず勝利を望んだ彼の言葉を無視し、簡単に命を奪った。
虫ケラのように顔を踏みつぶされた屈辱を忘れることはできない。
揺るぎなき栄光を、絶対的な強さを手にした暁には必ず復讐すると誓った。
今こそ誓いを果たす時だ。
「眩しく燃え尽きて死ねよ。閃光のようにな」
フレイザードが宣言し、メンヌヴィルも杖を構える。
使い魔の念願を叶えてやりたいという温情などではなく、焼き応えのありそうな相手を火葬する絶好の機会を逃すわけにはいかないという理由で協力している。
二人の巻き起こす炎や吹雪が青年に迫るが、いずれも傷つけることはかなわない。世の理を超越した存在であるかのように。
距離を詰められれば一方的になってしまうため、距離をとって通じない攻撃を繰り返すしかない。
挑む気力も根こそぎ奪われるような相手だがフレイザードは諦めない。
「何故徒労に終わる攻撃を繰り返す?」
不思議そうな表情で吐き出された問いに対する答えは単純だ。
「オレは勝つのが好きなんだよッ!」
幾度目かわからぬ無意味な攻撃をミストバーンは避けようともしなかった。
それを見たフレイザードがほくそ笑む。
普段の状態も闘気技を除くほとんどの攻撃が通じないため、本気で回避や防御に集中することは少ない。闘気技さえも無効とする姿ならばその場に突っ立っているだけでいいのだ。
下手に暗黒闘気を用いて戦われるよりも、こちらの方が隙が大きいため戦いやすい。
無敵の身体という自信――過信、油断がもたらすものをフレイザードはよく知っている。
火炎や風雪は効かない。
だが、彼には切り札がある。
レベルアップの果てに到達した最強の呪文が。
ミストバーンの表情がわずかに動いた。
フレイザードの両手に魔力が集まった。同時に別々の力を宿し、手を合わせる。合成された力は光の弓矢を形成した。
「メドローア!」
巨大な白色の矢が真っ直ぐ飛来するのを回避する。避けられた極太の光線は、青年の背後にそびえたつ砦をごっそりと抉り完全に消し飛ばした。
火炎呪文と氷系呪文を組み合わせて放つ、極大消滅呪文。文字通りあらゆるものを消し尽くす最強の魔法。灼熱と極寒を併せ持つ身体を持つフレイザードだからこそ習得できた。
だが、力を高めて合成し、狙いを定めて放つまでに時間がかかるのが難点だ。動作が派手な分見切ることも容易く、警戒している相手に放っても避けられてしまう。
しかし、突如煙が立ち込めた。
メンヌヴィルが『錬金』の応用で煙幕を作り出したのだ。
目くらましと併用してメドローアを当てるつもりだと悟ったミストバーンが身構える。
煙を貫くようにして巨大な光の矢が現れたが、予想していたため身をひねって回避する。
煙の中から脱出したミストバーンは敵に襲いかかろうとしたが、フレイザードの姿がないことに気づいた。
視界の端を光線が走り、腕を妙な手ごたえが襲う。メンヌヴィルに鉄拳を叩きこむ寸前で動きが止まった。
死角から放たれた極細の矢が右腕を貫き、半ばまでちぎったためだ。
「な……!?」
生じた隙を縫うように飛んだ細い矢が大腿を貫き、無敵のはずの身体をよろめかせた。
矢の数は全部で五本。
振り返るようにして地に倒れこんだミストバーンの眼に映ったのは、五指をピンと伸ばし構えたフレイザードの姿だった。
最初に目立つようにメドローアを披露したのは、規模が自在に調節できることを悟らせぬため。
先ほど巨大な矢を放ったのはメンヌヴィルで、メドローアに見せかけただけの炎だった。煙幕は直接当てることを狙うのではなく、フレイザードの行動を隠すためのもの。
ミストバーンならばフレイザードの発するエネルギーを見ることができる。だが、限界まで気配を殺し、偽りの呪文に注意を向けさせ、その隙を狙った。
炎を操るすべに長けた者同士の連携で成功させたのだ。
最大規模のメドローアをいきなり直撃させるつもりなどなかった。屈辱を晴らしていない内に消滅させては意味がない。
反撃しようにも貫かれた手足の傷はふさがらず、動きが鈍ってしまう。無理に動かせばちぎれかねない。魔族の持つ再生能力が極端に低下している。
呪法による結界を張ったのだろう。それをなしたのはフレイザードか、それとも別の相手か。
「言ったろ? 勝つのが好きだって」
残虐さを満面に浮かべ、フレイザードが歩み寄る。立ちあがったミストバーンの頭を掴み、乱暴に地面に叩きつけた。
彼は閉ざされていた目を開き、焦慮と苛立ちを浮かべている。
メンヌヴィルが愉快そうに呟く。
「身体を覆っていた不可思議な膜も消えたようだな」
彼を無敵たらしめていた秘法が解かれ、ただの炎や氷も通じるようになってしまった。
復讐の悦びに顔をゆがめたフレイザードが足を上げた。
「顔踏まれたっけな。こんな風に!」
勢いよく左眼目がけて振りおろし、体重をかけてぐりぐりと踏みにじる。炎の足に踏まれた面から肉の焼けるにおいと煙が立ち上った。
「クカカカカッ! ザマあねえなミストバーン!」
哄笑するフレイザードとは対照的に、メンヌヴィルは興味深げに対象を観察していた。
手足を貫かれ肉体の一部を消されたにも関わらず、見えたのは驚愕だけで苦痛の色はなかった。顔面を焼かれても悲鳴一つ上げずに歯を食いしばっているだけだ。
痛みをこらえようとする様子ではない。暴力や死の予感に脅かされているわけでもないらしい。恐怖が見えるが、その対象はフレイザードではないようだ。
極上のにおいをかぎながら獲物をじっくり眺めるメンヌヴィルの耳にかすれた声が響いた。
「……る」
「あァ?」
フレイザードが訝しげに聞き返すと、恐怖に染まった声が返された。
「……様に――される……!」
言い終えない内に鈍い音が響いた。
視認できない速度で振るわれた手刀がフレイザードの足首を瞬時に切断したのだ。岩石が身体に戻るより早く立ち上がり、ろくに動かぬはずの手足を使って攻撃する。
かろうじて回避したフレイザードも無茶な行動に驚いている。
反対にメンヌヴィルの顔は興奮に上気し、明るく輝いた。
「……面白い」
ただ綺麗な顔をしているというだけではここまで好奇心はそそられなかった。
顔半分――それも目を焼かれているのに、まったく痛みを感じないような振る舞い。
あの状況から反撃する闘志。
こんな相手は初めてだ。
「どれほど焼けば、その顔をゆがめることができるのだろう……? 知りたいな。ああ、知りたい」
興奮を抑えかねて身を震わせる彼の内で、不気味な炎が徐々に燃え上がっていく。
「焼きたい。血の一滴残らず蒸発させ……肉の一片残さず焦がしたい……!」
危険な存在を忘れたかのように殴りかかる彼の右腕をフレイザードが掴んだ。もう片方の手で呪文を叩きこもうとするより早く、ミストバーンが振り払おうと力を込める。
仕事前の支援
何かがちぎれる音がした。
「あっ」
軽くなった右腕を見たミストバーンの表情が石像のように固まった。あるはずのものがない。
否、フレイザードの手に残っている。
ちぎれかけている腕を掴まれ、渾身の力で拘束から逃れようとしたのだから“こう”なるのも無理はない。
青年が何もない空間を見、身を震わせ絶叫した。
「貴様のせいだぁぁっ!」
「そりゃてめえの――」
「うおおああーっ!!」
理不尽な言葉にフレイザードが反論するより早く、拳が顔面に叩き込まれた。凄まじい力に吹き飛ばされ、叩きつけられたところに蹴りが放たれる。
鈍い音とともに顔面が踏まれ、踏みつぶそうと力が加えられた。地を舐めろと言わんばかりに幾度も足が振り下ろされる。
メドローアを食らったことによって狂いかけていた精神の歯車が、完全に吹き飛んだようだ。
そこへメンヌヴィルの炎球が放たれたが、彼は左手を伸ばし握りつぶした。
わずかに圧力が弱まった隙に体勢を立て直したフレイザードが高威力の呪文を放つべく意識を集中させる。
「メ・ラ・ゾー・マ! フィンガー・フレア・ボムズ!」
もはや秘法は解けたのだから精密な調整を必要とするメドローアを使う必要はない。氷や炎で十分だ。
迫りくる炎をミストバーンが掌撃で弾き返す。
メンヌヴィルはいっそう興奮して攻撃しかけたが――突如虚空に向かって炎の帯を飛ばした。
が、巨大な火柱が轟音とともに立ち上り、彼の魔法をかき消してしまった。
現れたのは、大魔王。
部下たちの姿を見て表情を険しくしている。
メンヌヴィルの所業に気づいたフレイザードが目を剥いて怒鳴った。
「いきなり何やってんだてめえ!?」
大魔王を敵に回すような真似をするとは予想だにしなかった。ここで大魔王を敵にしては今までの苦労が水の泡である。栄光どころか命の火を消されてしまう。
すっかり興奮しきっているメンヌヴィルに理屈は通じない。今まで大魔王と直接会ったことはなく、顔を合わせて初めてわかったのだ。
「感じるぞ……隊長殿を超えるやもしれぬ炎を! くはははははッ!」
狂笑を迸らせる男を見てフレイザードはあっけにとられている。
彼の誤算はメンヌヴィルの性格を把握しきれていなかったことだ。技術や力量は滑らかな連携を可能とするほど理解しているが、過程を愉しむ狂気を掴みきれていなかった。
ミストバーンを見て感情が極限まで昂っていたところに大魔王が登場し、理性にとどめをさしたと言える。
一方、大魔王はどこまでも静かに腹心の部下に告げた。
「罰を与えねばなるまい」
ミストバーンの顔からさっと血の気が引いた。恐怖に塗り替えられた表情を隠せぬまま、彼は拳を構えた。
離れた場所――それぞれの自室で戦いを見ている者たちの反応は異なっていた。
魔軍司令は胃の痛みが悪化するのを感じ、唸りながら頭を抱えた。
出世と保身を望んでいる者は忌々しげに床を蹴った。
「ミストバーンめが窮地に陥ったところで恩を売りつけてやろうと思ったのに……使えん奴じゃ」
他の魔族とは対照的に死神はクスクス笑い、その使い魔は口を尖らせて抗議する。
「手出ししないの? つまんないよぉ」
「フフッ、もう少しだけ見物していようよ。あんなに怯えた表情(カオ)、めったに見られるものじゃあないからね。……エクセレントだ」
健闘を祈るかのように死神が笛を構え、優雅なる調べを奏でた。
それぞれの思惑を乗せて炎は燃え続ける――。
以上です。
ザ……ザボエラが書きたくてたまらなかったなんてことはないんだからねっ!
格好いい悪役もそうでない悪役も魅力を書けるようになりたいものです。
炎が得意と言えばあの御方は外せません。
この後考えられる展開としては
○カイザーフェニックスに恍惚となるメンヌヴィル
○恋人いない歴数千年の真ミストバーンに惚れ薬をプレゼントしようとしてビンタされるザボエラ
○バーン様のハイパーお仕置きタイム
……どれも嫌ですね。
隊長殿への思い余って大魔王にまで手を出すとかメンヌヴィルさん隊長殿どんだけ美化してんだよw
ずっと会えなかったから思い出補正があるのかも
そういやミストバーンは大魔王から処罰されることを恐れてるけど、どんなことをされるんだろ?
鞭でぶつとかだと効果ないし、光の闘気は使えないだろうし
>>749 1つ2つの苦言とか、残念な奴だ的な視線を向けられるだけでミスト的には厳罰になりそーな気がしないでもない
ザボエラの中に入らされる
最悪だ・・・・
>>751 お前、どんな悪魔的思考回路の持ち主ならそんな拷問思いつくんだよ!?
>>749 >>750の言うように「お前には失望した」とかの言葉攻めが一番堪えるかもねw
ミストの忠誠心的に考えて。
ヒュンケルでもハドラーでもスライムでもなくミストザボエラ……そ、その発想はなかったorz
かなり見てみたいです。
かなり屈辱的な罰だな。
751の発想力に感心したw
「では罰として……ザボエラの中に入れ」とか言い出す大魔王様。
ガビーンッ!と無茶苦茶ショックを受けて項垂れるミスト。
本気で同情してミストを慰めだす軍団長たち(フレイザードが「元気出せって」とか言う)
隅っこの方でいじけているザボエラと、プククッと吹き出すのを必死で堪えてるキルバーン。
なんか、すっごくコミカルな魔王軍が思い浮かんだんですが。
まあ、大魔王に処罰される前に自殺しそうな勢いだけどな
あんなのでも若い頃は頑張ったんだろうなぁ
バーン「ザボエラの中に入れ(性的な意味で)」
ミストバーンが他者に入るとき、その人物の人格は壊れるのだから
ザボエラの中に入ることは別に罰に感じないと思う。
人格を除けばザボエラは強大な魔力と強力な呪文を持つ魔法使いなんだから。
罰と感じるのは、スライムとか弱いモンスターに入れさせられることだと思う。
(それと解雇か)
相手をのっとった場合って肉体的な能力だけで、魔法とかの技術系の能力は使えないんじゃないかな。
そうでなければバーンの魔法も使えたわけだし。
>>763 ほとんどの魔力を老バーンに持ってかれてるから
単純に殴った方が強いってだけじゃないか?
ザボエラ……こ、これ以上の拷問……
ギーシュが口に咥えている薔薇?
モートソグニルに乗り移らせて、オスマンの使い魔やらせるとか
“魂を消さないまま”ザボエラの中にいろ、というのが一番の罰になる気が。
軽蔑していた相手から見下され、フレイザードから「男前になってよかったなァ、ヒャハハハハ!」と大笑いされ、ハドラーや他の軍団長からは哀れんだ目で見られ……。
ミストスライムならルイズが喜びそうです。
蜂の巣にされる心配はなく、偉そうな態度も外見で帳消し。
つつかれたり撫でまわされたりゼリーと間違われかじられたりしそうです。
やわらかミストw
言動そのままでやわらかミスト……魔法少女もののマスコット?(後半にスライム→元の肉体でパワーアップフラグ立てつつ)
あれ、なんか羽が付いてて金色のスライムとか居たような……
やわらかミスト、略して『やミちゃん』
あれ、(以下略
魔王軍の幹部で最強の男だということを誰も信じそうにないですね。
攻撃手段が体当たりとかみつきくらいしか無く(口から暗黒闘気吐いて目くらまし、などはありなのか)戦闘ではほぼ無力。
初めてまともに成功した証のミストを守ろうと奮闘するルイズ。
最強から最弱への転身を嘆きつつ、全力で可愛がられる境遇に戸惑うミスト。
……ミストスライム召喚を読んでみたいです。
オリジナルな設定はそこそこになー。
ザボエラは虚無の使い魔としては微妙でも、ダイキャラの強さのバランスとりには使えそうな気がしないでもない。
魔界の魔物入り魔法の玉とか超魔生物実験体とかいっこでもハルケギニアに入れてみればダイキャラでもわりと梃子摺るとは思うんだがな
ダイのキャラ相手にはある程度割り切ってる人以外には
ただの人間を相手の方が梃子摺るような気がするんだがどうだろ?
人間相手に殺す覚悟って出来てる人少ないし、手加減して殺さないようにするほうが
超魔生物を倒すより難しい気がするのだがどーだろ?
人間を相手にする難しさとかがないだけ、かえって話は進めやすいのでは
バランス崩すくらい強い主人公をピンチにさせるために敵を呼ぶのは、下手すりゃクロス先大戦inハルケギニアになるかも
ゼロ魔のキャラにも活躍や見せ場があればいいだろうけど
少女漫画的なドロドロ展開なのか
今気づいたが誤爆してるすますん
ルイズとダイがキャッキャウフフな展開が読みたいです。ルイズが空回りしてるだけになりそうですがそれもまた良しです
ダイのキャッキャウフフって言われると、モンスターとじゃれてる図しか思い浮かばないw
ガンダ:へろへろ
ミョズ:まぞっほ
ヴィンダ:ずるぼん
記はば:でろりん
ハルケギニアは今日も平和である
書きにくいってことが何回か出てるけど、ダイ召喚の長編読んでみたいな
最近ダイ召喚で完結した奴を見たことがあるけど、どこにあったかな
パー速のショタのやつ?
よく血が噴出してたな
確か終盤の方で両世界を巻き込んでダイ世界の魔族か何かと戦争してたな
ダイとルイズで敵の親玉を倒したあと、ルイズがダイ世界に来て終わったと思う
それってダイが紋章の力なくしたやつ?
>>787 多分それだと思う。最後の方で力を取り戻してた
>>788 それなら「ゼロの勇者」って話だと思う。
それで合ってた、ありがとう
同じ原作後ダイ召喚だけど全然違うな…
やっぱり書き手さん次第で変わるね、そういうのいろいろ見たいからこのスレ覗いてるわけなんだが。
ダイってここまで極端に解釈のわかれるキャラだっけ?
794 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/19(日) 01:40:41 ID:J5/jcVYl
ハドラーは ヘクサゴンメイジ OR オクタゴンメイジ?
いいえおたまじゃくしです
>>793 解釈の違いじゃない、単に作者の廚二病の投影率の問題
厨二病の投影率か…
一番ひどいのはポップだろうな
そもそも二次創作キャラ自体が作者を投影しないわけにはいかないから、
中二病云々以前に別キャラ化するのは避けれないと思うんだがな、
それを出来るだけ避けるのが作者の腕だとは思うが、
極端な人が見たらどれだけ原作沿いのつもりでも「なにこのオリキャラ」になるし。
当然逆もしかり。
しかし、ポップもダイもデフォルトでかなりの中二病キャラなんだから、
これ以上妄想を押し付けないでもよかりそうなもんなのにねぇ
初期登場時点で
ダイ:おちこぼれの魔法使い見習い(本人は勇者を目指す)でモンスターと意思疎通可能、さらに危機で発動する秘密の力あり
ポップ:勇者の弟子で若くしてメラゾーマまで習得した魔法使い
確かに元から設定は厨二だからな、最終回付近になるともう(人間の近くから去る宣言までするほど)手がつけられないしw
そこを上手く調理してる原作のバランス壊して自己投影でグダグダにするのが大抵の二次創作だよな
たまに上手い人が居て凄いと思うけど、難易度がはたから見てても高そうなんだよね
最初期ポップってメラゾーマ使えたっけ?
いかん記憶がとんでるな・・・年か・・・
いちばん始めに、ガーゴイルに対して使った呪文がメラゾーマだな。
クロスオーバーに限らず、キャラがバランスよく書かれていてあんまり別人な感じのしないダイ大の二次創作ってあるのかな
探しても最強物が多いというか…
ダイやポップの廚二は偽善を青臭い若さで貫くもんだが
二次は大抵人類に絶望(笑)とかしてなぜかそれに賛同するキャラやヘイトされる元仲間とかしか話にでてこなかったりするな
ポップだとなぜか精霊侍らせてたりするし
人類に絶望して、精霊、魔族が使い魔なり協力者になってるのが何故か基本で
さらに破邪の迷宮をアバン先生より深い階層まで潜ってたりが最低ポップの基本かなー?
見てて痛いとか言うより、ハシカみたいなもので若いうちにはかかるよねー と生暖かく見ることにしてる
個人的にはそんな、よい物はよい、微妙な物は微妙なんていう当たり前の話より、
ちょっと探しても引っかかるのはBL系ばっかという寒い環境の方が重大だ。
ときどきお前らの中二の定義をきいてみたくなるときがあるんだが
王道と中二を混ぜんなよww
そういうポップはなすでにポップではない。POPPUなのだよ
>>807 基本的にその二つは似たようなもんじゃない?
最初になんか挫折(笑)や絶望(笑)してから順風満帆なのが厨二で
常に苦難に満ちてるのが王道
強いて言うなら同じ場所を歩くにも、きちんと下準備して道を敷いて歩むのが王道、
場所さえ同じならそれでいいと勘違いして何もしないで突き進むのが厨二。
正直、順調なら厨二・苦労してれば王道って発想は
厨二病特有の「これさえしてればカッコイイ」と思ってる貧困性と同一の物だと思う
(2行目までと3行目からの内容が反してるような気がするのは、気のせいだろうか?)
2行目までを難所に道を切り拓く苦労みたいな思い違いしてるからじゃね?
そもそも、ダイ大のキャラが中二属性にあふれているように、中二成分のないお話なんぞつまらんからな。
後は、それに納得のいく設定や描写を補完できるかどうか。
読者を問答無用で納得させるような文章をかける人が書けば、それは王道と言える。
まぁ、ギャグの場合はセンスさえよければ、細かいところは投げっぱなしでもよいのだが。
見ていて熱くなるのが王道
見ていてイタクなるのが廚二
もしくは
後から読み返したくなるのが王道
後で読み返してのたうち回るのが廚二
ダイの行方とか異種族との関係とか悲観的で暗い話ばかりでちょっと引っかかるなあ
そのへん解決した話が読みたいけど、健全なやつ自体が少ないし
人間なんて冷てーもんよ、喉元過ぎればあっさり手の平返しやがる byスケベジジイ
中二は痛いとかじゃなくてその世代がやたらと好むものだぞ
>>805 なぜかポップが素手でおっさんをかるく倒せるようになったアレか
いやな
ここの外の何か叩くのはそれこそ悪い意味での厨二っつーか
そういえばやたらポップが強くてやけに悪役っぽい目つきの上
原作者に近いタッチで書かれた顔の挿絵が添えられた二次創作が載ってたサイト昔見た事有ったな
821 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/20(月) 18:59:33 ID:KudMrXn0
ハドラーは ヘクサゴン OR オクタゴン レベルですか?
安易に人類に絶望されると大魔王への台詞とかダイの決断がぶち壊しに…
オリジナル主人公の隠れ蓑みたいに使われるのは嫌だな
実際にダイが迫害されたらどんなふうに行動するんだろう?
二次創作とかだと「ダイのために血塗られた道だろうと進んでみせる!」なノリが多くてポップの人間観がわからなくなってくる
むしろ自分だったらこんな展開が良いってのはないのか?
>>822 島に引きこもって、「なかったこと扱い」じゃね?
とりあえず、世界中の国のトップとはコネがあるから、絶海の孤島に引きこもれば外界との干渉を断つのは可能だと思われ。
元々、竜の騎士は歴史の裏側で日陰者
テランの老王のように知る人ぞ知る存在
勇者として表舞台に出て来てるのが異常事態なんだから、デルムリン島で隠棲するのが本来の姿じゃないのか?
程度の差こそあれ、マトリフが洞窟でひきこもってたのが、ここで言われてるいわゆるその後のダイの姿っぽいんだな
師匠はもともとの能力は申し分ないしいい具合のハンデも設定されてるしで、いろんな意味で当たりだな、セクハラに目をつぶればw
オスマンと一緒にダブルセクハラされてフーケ涙目の短編が妙にエロかったw
マトリフに関してはセクハラしすぎて追い出されたというのが真相な気がする
アバンを迫害してるやつとか居なかったしな
勇者アバンは魔王ハドラーを倒したとしても、まだ人間に理解できる強さだったからでは? 戦後は『勇者の家庭教師』として後進を育てるだけで、権力に関わらずに生きていましたし。
しかしそれだと、ダイの人知を超えた強さと、パプニカの王女と懇意にしている事実は……迫害の要因になりうるかもしれない?
……ダイに並ぶ強さを持つ『人間』であるところのポップはどんな扱いになるんだろう。
アバンは世渡りうまそうだし
学者の家柄って事だから
それなりの貴族なんだろう。
家名も立派だしな
>>830 ポップは師匠がどう扱われたか知っているから、たとえサミット出席の王様たちに求められても
あえて表舞台で政治にちょっかい出そうとは思わないんじゃないかな。
ダイを探すっていうやりたいこともあるし。
世界の政治を良くすることは正統な王族であるレオナや王位についたアバンを中心に進めてもらって、
自分達は必要に応じて力を貸す程度というあたりに落ち着きそう。
どこの国にも属さず、どこか目立たない所に家(洞窟とか塔かもしれない)を作って、
そこを拠点としてダイを探し続けながら、アバンやレオナや他の王たちに請われて(こっそり)手助けをする、
という感じなんじゃないだろうか。
>>832 ポップはそんな感じだろうけど、ダイが見つかった後とかはそのうちマァムなりメルルなりとくっついて、どっかの村で普通の生活して余生を過ごす気がする。
ロカとレイラは魔王ハドラーを倒したパーティーのメンバーなのに普通に村で余生を過ごしてたみたいだし、
ポップがそうなっても不思議はないかな。
アバンやレオナならたぶんうまくやってくれると思うからそう悪い世界にはならないだろうし、
世界が平和なら思う存分隠遁していられるw
各国の王族が味方でアバン先生まで追加してんだから風評を自由自在に操って排斥なんか出来ないように仕向けられないかな…
パプニカは一度滅んだ後年寄りの重臣とか出てこないから風通し凄く良さそうだし、案外パプニカはダイが暮らしやすい国になってくれるはず
パプニカがダイにとって暮らしやすい国になろうと
ダイとレオナとの結婚は、国内外の反対が噴出しそうですが
あれだけ巨大な軍事力に竜の血、更には世界救った勇者とかどこの国でも取り込みに走ると思うけどね
勇者を迫害ってネタはよくあるけど
政敵に取り込まれる可能性を考えると味方に付けた方が得だよな
迫害系のネタは国(世界)が一つしかない前提の場合にしか通用しないからな
一つの国でも無理じゃね?
下克上狙うやついたらその時点でアウト
その下克上を狙う一人として勇者が扱われて迫害されたりするんだろう
たった10年ちょっと前にその父親を迫害した結果消滅した国があるのに表立って迫害出来るのかな?
総出でも殺せない、追い詰めて暴走されたら国が滅びる(アルキード)、追放しても恨み持って戻ってきたら国消滅フラグ(カール)とリスクが大きすぎると思うんだが
ハドラー先生まだ?
自分の隣に不死身な上核のボタン持ったやつ暮らしてるとこ想像すればわかるだろ
迫害するとか無理
あれだよ、藤子・F・不二夫の小池さんのスーパーマン
また、懐かしいネタをwww
バランもさ、開き直って、自分は天の竜の化身で、姫を娶らせればアルキードの守護神になってやる
とでもうそぶいてればよかったんだよ。
人と交わって生きる覚悟が無かったことが、バランの最大の過失だよな。
世渡りなんて知らない心はピュアなボーイだったんだな
ダイの能力を知ったからには、迫害するなんて恐ろしくてとてもできない。
バランの能力のことを知ってればアルキード国王だって
迫害はできなかった。
バランも力を見せて、とてもかなわないと思わせればよかったのに、
いきなりキレるとか最悪。
体は大人、心は子供、竜の騎士バラン!
だけどバランがそこまで世情に通じてるとは思えんしな。
後からこうしてれば悲劇を回避できたってのは、結果を知ってるから言えることだしなあ。
もともと竜の騎士って必ず人間の味方というわけでもないんだよな、人間に傾いているという今のケースが稀なワケで。
だからそれをまた人の手から離そうとするのは可能性としては低いと思う
数代先にはDQ2みたいに勇者の子孫が王家になって…みたいなことになってたりしてなw
そういえばハルケギニアもそんな感じだな
国内は権力者(貴族)が権力の座から追われる事を恐れ
国外は侵略される事を恐れるってことですね。
表面的というか社会的な扱いはすばらしく充実してても、
ほぼすべての人から常に腫れ物に触るよーな扱いをされ続けるってのもある意味迫害の気もする。
バランに関してはまず避妊をちゃんとするべきだった
リードしたのは間違いなくソアラ
当時のバランはダイ並にそっち方面無知に違いない。
一年戦争後のアムロ・レイみたいなもん
バランがベンガーナ育ちの
多少世間を知ってる都会っ子なら
悲惨なことにはならなかった・・かも
>>857 地下にダイの剣が隠してあるくらい言って下さい!
何をする気だ、ダイ!・・・ダイだと!?
こんな感じか?
>>850 激しく同意
駆け落ち先がテランだったりしたら、多分、ダイの大冒険は始まる前に終わっていただろうな。
バランが鍛え上げたディーノとの親子竜でDQ5的な話になってたかも。
見果てぬifだとわかってはいるがね。
仮にそうなっていたらバーンとミスト以外は魔王軍で勝てるやついないだろうな
見果てぬあの夢、今でも心に抱き続けてる
現在のジャンプでも
「いやぁ、ちょっとどうよ?」
てなるくらいに最初っから最強チート極まる展開だなぁ。
そこから話を面白くするのは、逆に難しい気がする。
立ちふさがる壁とか作れなそうだし。
>>863 そーなると、『バランへの復讐に燃える冥竜王ヴェルザー』とか出してみるしかないんじゃないかな
圧倒的な支持と実力を兼ね備えた部外者がいると、政治的にはすごく難しいんじゃね?
取るに足らない弱小国家がいきなりトップクラスの軍事力を持ったら、いろいろと外交的にもやばいし。
そもそも、一国の姫の亡命を受けたら、外交関係は崩壊するわけで。
俺は読みたいが、ジャンプ向きの展開とは言えんな。
>>865 王位継承権を捨てて駆け落ちした皇太子さまがリアルでいらっしゃいまして
あの王様なら、匿っているテランに攻め込むんじゃないかな……
そして戦争中にソアラが殺され、バランが怒りを爆発させたのに巻き込まれる形でテランが滅亡w
>>866 ごめん、何の話かわからなかったorz
ジャンプまんがか何か? ゼロ魔の国のどこか?
リアルでと書いてるじゃねえか
>>866 現実の欧州だと、王族はすべて親戚同士だしなぁ。
ダイ世界の王族の系図がどんな感じなのかは知らんが、一概に同じようには語れないような。
>>867 まぁ一人娘の王女と人外疑惑のある旅人が結婚する前からギシアンした上
駆け落ちなんてされたら追いかけるよな
>>871 紋章なしでもアバン先生クラスは確実だし、疑惑上がるまでは王公認だったんじゃないか?
追いかけるのはいいけど、疑惑調査しないで殺そうとするのはアレだよな
アルキードじゃあ竜の騎士は魔物扱いで伝承があったって描写じゃあないし
最初から疑惑だったんじゃね?
人間と思えないぐらいつえーらしい→魔族だ!みたいな単純すぎる感じで
というかハドラーが暴れ回ってアバンに倒された少し後だからな。
バランは魔物かもしれないって過度に恐れたのも、その影響だって原作でチラッと書かれてたしな。
つまりハドラーが暴れるのが遅ければ、
ヴェルザーと戦ってボロボロの所でソフィアに介抱される→恋に落ちて結婚→ディーノ(ダイ)誕生→ちょっと揉めるかもしれないけどあそこまで酷くはならなかった→ここら辺でハドラーが暴れてくれればバランがハドラーぶちのめす→勇者だ、結婚を認めよう→ハッピーエンド
後日のバーン戦も、バランが直々に鍛えたディーノとのタッグ。
アバンだって出てくるだろうし結構有利に戦える可能性が・・・
つまりハドラーが全部悪い!
間違えたorz
ハドラーをバトラー、ザボエラをカポエラに
>>872 今コミックを持ってないから確認できませんが確か
・バランが王女と良い仲になったのを嫉んだ家臣が王様に魔物疑惑を吹込んだ。
・王様がバランを国外追放(王都処払い?)処分したら、王女が家出した。
・家出時点でダイを身籠っていた。
でよかったんでしたっけ?
>>867,872
何か似たような話を見たことあるなあと思ったら、↓これ(『大公妃ビアンカ・カペッロの回想録』)だった。
ttp://www.ne.jp/asahi/chronicles/map/ainonenndaiki.htm ヴェネツィア共和国の貴族の娘が敵対国であったフィレンツェの青年と密通し、ついには駆け落ち。
上のリンク先には書いていないけど、当時ビアンカの腹の中には子どもがいたとも言われている。
身内貴族の醜聞に激怒したヴェネツィア元老院はビアンカの貴族位を剥奪した上、青年の首に莫大な
懸賞金を掛け、暗殺者まで差し向けたとか何とか。 まあ、その後の展開は全く違う訳ですがねw
>>879 容量が480kBを超えたようなので次スレをお願いできますでしょうか
881 :
879:2009/04/26(日) 17:44:19 ID:tfsJzRzO
ではチャレンジしてみます
883 :
882:2009/04/26(日) 18:17:33 ID:LTrqPRYI
乙です。
>>878 違う
・バランと王女の間にダイ誕生
・バランに魔族疑惑。処刑決定。ダイ流刑に。
・バランの処刑の際、飛び込んだ王女がバランをかばって死亡。
・国の恥め、とかいった王様にバラン激怒。
・王国滅亡
>>885 おいおい、話がかみ合ってないぞ。
>>878はダイを身ごもったタイミングについて言っているんであって、
ダイが生まれた後の流れについては触れていない。
__|
ヽ ̄ ̄ ̄ ̄~゙゙'''‐、 |ヽ、 \. 十匸 ウ
|~7 ヽ、 ヽ!. i、 .i、 i'⌒/ ノ|`ロjヌ
.ト┴'─‐-ゝ i l i l.<  ̄
ヽ レ' } i > ─|─
`‐、_ ,... ノ ./ ,ノ\_ メ
[ 二ニ=,> ,.イ ,i ( ヽイフ .∠._
-=ニ.._,.∠/ .∠| A /ヽ. \ i  ̄ 7 ヽ 、l/
\ ,-、∠!ヽ// ,, |/,. -=、ヘ、. ヽ i / 冫 月
ヽ ゞi ! i゙!(`ba ‐''´ 6f9j,! レヽ `‐、-=!.  ̄`7 ヨ
Y r´ |‐-‐}  ̄ー  ̄ ̄ _.ノ_\ ヽ..ノ 〈 ヽ ;‐十`
‐ ノ ヽヽ! ! ̄ ヽ /厂 { iヽ、 / 冫灰乂,
ヽ、__.ノ、.__.ヽ、ヽ.__.ノ // ヽ、._! <
゙`ト.`‐、..イ_/ | | ヽ \ ロ 口 l
|.! ヽY | |ゝ ヽ > 儿
|.! ヾヽ] [ 〃/ | | \i /
!.! ゝ(◎)彡 | | } \ ‐┴‐
ヾ=、、 || 、.._ //i_-=ソ > _乂._ カ
L!| !!、`''‐- | | !.ノ /
/ヽ` !‐- 、...__!_!.ン \ |! |! |! |!
/l // // _,!‐´ > ・ ・ ・ ・
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ノ : : レ':レ''´__人_人_人_人_人__
ト、 ト、 ヽ /: : : : :/i: : : :) (
ヽ\ l \, |V: : : : : /ノ,ィ : ) お 痛 は バ (
\ヽ\_!. 7:|:/: : ://:ノ: : :) も い ず ク (
\\ `'y: レ: /: :_ ://ノ ) し 目 れ チ (
\ \∨: |:/: ://: : :/: :) れ み た っ (
ヽ\ ゙| : レ: /:/: : :, <:::!: /) ぇ る ら て (
、\_ヽ, | : |リ//: :/ Y: : : ) ん か. の (
\'ヽ、\゙!: :V: : / !ノ:_) だ ら .は (
\、 ::i‐-、_: : :! 。ノ//) よ な (
‐=\,_ \ 。メ--‐''´/:::/ : :) !! : (
\ `''' `ー''゙ ト、: ル'::::/ : /:) (
=ニ`ー、__<ヽ!V::::`::::::::|: :/: :⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
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ダイの大冒険
フレイザード(1歳)
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