あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part185
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part184
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1225974588/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
見事にして完璧ななテンプレです。
乙です。
>>1乙
以降のテンプレは荒らし
スレ立てに乙!
1乙。1の他にテンプレなし。
そしてブラスレイターの人、乙。
どこか退廃的なとこが良いなぁ。
アニメ未見だけど見たくなった。
ブラスレイターと言えばチャンプ。
と思ったら凌駕の方だった。
前々スレ辺りで話題になった、ダブルクロスやデモンパラサイトと似たタイプなんだよね。
紆余曲折でカトレアがブラスレイターかデモニアックになるかなあ?
ブラスレイターは名作だよ。
とにかくアクションが物凄過ぎるんで、初見者は絶対に驚く事間違い無し。
シナリオの完成度も高いし、キャラクターの魅力も素晴らしい。
……あまりにも主人公が地味過ぎて、ヘルマンやゲルトの方が印象深いのが少し難だが。
>>10 ダブルクロスより、デモンパのほうだと思う。
設定的な意味で。
初めはゲルトが主人公だと信じていたのにw
まあ、これからの展開に期待。
>>1乙
>>9 「素材は良かったけど調理の仕方を間違えた」って感じの内容(物語中盤以降は特に)なので、
イメージ壊したくないなら見ない方がいいかと
>>9 初代仮面ライダーよろしく悲劇のダークヒーローなジャンルかな、
個人的には良作だが、色んな意味で人を選ぶ作品だと思うよ。
脚本が虚淵玄(ニトロ作品等を知らない人は失礼)だから、
この上ないバッドエンディングを演出してくれるんだろうなぁと思ってたら、
最後の最後で脚本が違う人で、個人的に凄くガッカリしたなぁ。
ゲルトオオオオオオオオオ!
ザーギンをジョゼフが召喚してたりしたら凄いことになりそう。
死後デモニアックになるウェールズとか。
このぐらいまで単純化できそうな気がする。
爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会
最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち
爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり
途中飛ばすけど、
対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
空いてるのかな。29話が出来たよ。
…ぁー、突っ込みどころが沢山ありそうで怖いっ(いつもの事かもしれない
とりあえず0:45から
いきなりNG……。
また例の気違い野郎が湧いたのか?
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html ・Jane Style(フリーソフト)
http://janestyle.s11.xrea.com/ ・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
前の作品投下終了から30分以上が目安です。
【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は応援スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。
【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
ついついサガフロ2アルティマニア買ってしまったギュス様支援
マジシャン ザ ルイズは安定して面白いから嬉しい
鋼の人にも期待している
カードの効果が分からずネットで検索してる奴は俺だけじゃないはず。
物言わぬ静かな基地外が一番怖いですぅ。
ジャン・コルベールがこのトリステイン魔法学院に勤め、教職の傍らさまざまな研究を始めて、もう20年になる。
彼は本来、優秀な火のトライアングルメイジであるが、研究の課題は必ずしもただ火の属性だけに限った話ではない。
…例えば、今からさる10年前。
彼は土メイジが土壌を改良する時に作る錬金肥料『白色土』から酸の一種を抽出することに成功した。
次に、この酸と水メイジが薬品製造の過程で廃棄する別の酸を一定の濃度で混合し、繊維を細かく砕いた綿を投下した後、丹念に攪拌、洗浄する。
すると極めて燃焼しやすい物質が残る事を発見した。
コルベールはこの燃焼しやすい物質を『綿精』と名付けたものの、発見当初この物質の有益な利用法を思いつくことが出来ず、長い間帳面に記録したまま放置していた。
変化が起きたのはそれから数年後、今より4年ほど前である。
その頃コルベールは鳥や蝶を採集して標本を作っていた。足りない研究資金を調達する為にしばしば、標本を作って好事家を相手に売っていたのである。
その日も近くの森で捕まえた蝶を大事に持ち帰った時のこと。
自室の研究塔では当時の三年生であった男子生徒ラテーケ・ド・カールが待っていた。
「おや、ミスタ・カール。どうかしましたか」
「ミスタ・コルベールに課題だったレポートを見ていただきたくてずっと待っていたんです」
ラテーケ少年は言うと紙束をコルベールへずいっと手渡した。
「おおこれは。それでは随分と待たせてしまったみたいですね」
そのままコルベールは研究塔の中にラテーケを招き入れレポートを読む間待っているように頼んだ。
ラテーケのレポートは火の魔法を使う時の火炎形成別の威力などの実験を纏めた、割とありふれたものだったが、丁寧な筆致で書かれており、
教師として満足する出来だった。
「ミスタ・カール。貴方のレポートはとても素晴らしいですよ。何より読みやすい」
「ありがとうございます」
コルベールの声色からよい成績をもらえることが感じられてラテーケは嬉しく思ったのだが、鼻腔をくすぐる臭気に顔が固くなってしまう。
「しかしミスタ・コルベール…なんと言いますか…」
「なんですかな?」
実は二人がこうしている間も、コルベールが標本用に捕まえておいた鳥達がせわしなく鳴き続け、さらに研究塔内は標本を作る時に使う薬剤の匂いが取れず、
慣れないものには非常に辛い。
「標本をよくお作りになるようで…」
濁すようにラテーケは言ったが、鼻が慣れてしまったコルベールは気付かない。
「ええ。まぁ、副業のようなものです」
コルベールは籠の中で鳴き続ける鳥に黄色い粉末を振り掛けた。鳥は掛けられた粉に気付かず暫く鳴き続けたが、徐々に大人しくなりついに首を縮めて
こっくりこっくりと居眠りを始めた。次に彼は脇の棚から木枠に入った数羽の蝶の標本を取り出してラテーケ少年に見せる。
「最近ではこれが良い出来ですな。南東側の湿地で採れたものです」
木枠の中に鋲で留められた蝶は、ロマリア綿のような美しい羽をピンと伸ばして張り付いていた。
「綺麗なものですね…」
「残念ながらもう暫くで手離してしまうのですがね」
「そうなんですか。…それにしても不思議ですね。どうして鳥や蝶は空を飛べるんでしょう?魔法を使っているようには見えないですし」
ふむ、とコルベールは標本に見入っている生徒の疑問に、俄な興味を抱いた。
「そうですなァ……希少な種類の蝶や鳥の中には、先住魔法を使っている、などということを言う書物もありますぞ」
「でも、こうやって捕まえられる鳥が魔法で飛んでいるようにも見えないですよ」
ラテーケ少年が指差す籠の鳥は首を羽に埋めて奇妙な鼾を立てて眠っている。
「魔法じゃなくて、この翼に何か秘密があったりするんでしょうかね…」
「翼に…ですか……」
「よく分からないですけどね。…じゃ、僕はこれで失礼します」
ラテーケ少年を見送ったコルベールはその数日後、その何気ないやり取りから一つのテーマを見出して走り始めたのである。
『触れ合う歴史の糸二つ』
タルブで一泊して翌日。ギュスターヴ達はそれぞれが見繕ったタルブのワインを片手にシルフィードで学院へ帰還した。
女子生徒寮前の空き地にシルフィードが降下する。時刻は正午を少し過ぎた頃、である。
…本来ならもう少し早い帰還が出来たのであるが、朝一でギュスターヴがタルブの鍛冶屋を尋ねて居なくなっていたために合流と出発が遅れたのである。
「それじゃあ、僕は部屋に戻るよ」
手を振ってギーシュは場を離れて男子寮へと帰っていった。
…翌日、彼はケティとモンモランシーによって黄色い太陽を拝む事になるのだが、それはまた別の話である。
ルイズの部屋に戻ったギュスターヴは、FBを部屋に置かれた自分の荷物の中に加えた。
部屋にはルイズが居なかった。ただ、机の周りには開かれたままの本や、書きかけの便箋が何枚も広げられたままになっている。
「お嬢ちゃんいねーな」
「授業か、昼食だろう…。俺もマルトーに顔出しておかないとな」
ギュスターヴも腹が減っていたのだ。とりあえず荷物を置いたまま、部屋を後にした。
学院の地下厨房で相変わらずの繁忙を切り盛りしていたマルトーだが、ギュスターヴの顔を見ると相変わらず人懐っこい笑い顔を見せて駆け寄ってくる。
「おーギュス!お嬢ちゃん達の引率は終わったのかよ」
「引率はないだろう?第一俺は教師じゃない。…シエスタを借りてしまって悪かったな」
「なーに、そろそろ休みが取れる頃だったしな。気にすんな」
「…そうか。土産と言っては何だが、タルブのワインを持ってきたんだ。飲んでくれ」
「おお!気が効くじゃねぇか」
「飲みすぎるなよ」
男二人の笑いあう声が厨房に響く。
「っとと、そうだ忘れるところだったぜ。ギュス、お前さんに手紙が届いてるぞ」
肉の切れ端と野菜屑をパンに挟んだだけの代物――とはいっても、肉はトロトロになっていてかなり美味い――に手を伸ばしていたギュスターヴへ、マルトーが
青い封筒を寄越した。
受け取ったギュスターヴは裏面を見る。黒い蝋に三つ葉の印が押されていた。
実はこれ、『百貨店』を任せているジェシカからの手紙である。街から少し離れている学院では世間の情報が届きにくい。
そこでギュスターヴはジェシカに『王都で何か変わった情報があったらすぐに手紙で教えてほしい』と頼んでおいたのである。
因みに青い封筒は『緊急ではない情報』、赤い封筒が『緊急の情報』という具合。
さて、食事を取りながらギュスターヴは開封すると、中から三枚の便箋が出てくる。
中身は概ね、以下の様な内容であった。
『最近、出入りの業者の話だと、トリスタニアの西の平野に奇妙な集団が野営しているらしい。その集団は並みの馬車など比べ物にならないくらい大きな馬に、
これまたとても大きな馬車を繋げて平野に留まっているのだという。野営している集団から何人かが王都までやってきて大口の買い物をしていくのを他の商人からの
証言で聞いた。詳しく聞くと、その集団は毛皮飾りと銀色のバッチを付けていて、しかも武装もしているらしい。ただ、王都の外から行き来する人から聞くに、
野盗の類ではないと思う。宮仕えの人にも聞いてみたが、王宮はこの件に関して何も関知していないみたい』
「都のはずれの武装集団キャンプか…」
はぐはぐと飯を食べながら手紙を読んでいく。
他にも細々とした報告が併せてあった。店を畳んだ商人、新しく入った商人について。備品を管理する為に小さな倉庫を借りた件について。等々。
少し気にはなったが、アルビオンの件で王政府はかなり敏感になっている筈。王都の近くで武装集団が屯しているのを放っておくとすれば、
武装集団が政府の手の者であるか、でなければよっぽど政府が無能か。
さすがに後者はないだろうとギュスターヴは判断した。
(…あのマザリーニ殿がいて都の直近に敵対国の潜伏部隊が居たら気付かないはずもなかろう)
平民用食堂で腹を満たしたギュスターヴは腹ごなしがてら、ルイズの捜索をするために廊下を歩いていた。
食堂には居ない様子だったので、どこかの教室か広場かにいるんじゃないかと辺りをつける。
と、懐に仕舞っていた『あるもの』の感触を確認していた時。
ドォン!と、明らかな爆発音が何処からか聞こえてきた。
「?!」
音にギュスターヴは一瞬身を硬くして、音のした方向を見る。
「ルイズがまた何かした…のかな」
「かもしれねーな」
音の方向へ歩き出し、途中で使用人の何人かに聞きながらその場所にたどり着いた。
爆発があったのはコルベール研究塔の前だった。研究塔前では溶鉱炉を囲っていた天幕が取り払われ、少し離れた別の位置にまた新たな天幕が作られていた。
さらにその天幕の手前には、木枠と鉄棒が組み合わされた建物の出来損ないのような奇妙な構築物が配されている。
「なんだろーね?これはよ」
「さぁな…でもルイズがやったわけじゃなさそうだな」
しげしげと謎の構築物を眺めていると、天幕からコルベールが出てきてこちらを見て近寄ってきた。
「これはミスタ・ギュス。私の発明を見に来てくれたのですかな」
「発明?」
あまり聞き慣れない単語にギュスターヴが首を傾げる。
それを半ば無視したコルベールは一度天幕に戻ると、太さが15サント、長さが1メイルほどの金属の筒を持ってきた。
「これぞコルベール特製『飛び立つ蛇君』ですぞ!」
「飛び立つ蛇?」
ギュスターヴの反応をまた無視して、コルベールは木枠と鉄棒の構築物に『飛び立つ蛇君』を天上に向かって据え付けた。
「この『飛び立つ蛇君』は、貴方の教えてくれた鋼材法による鉄管に、調合率を変えた火薬と私が以前発見した『綿精』という物質を封入しています」
「はぁ」
据え付けた『飛び立つ蛇君』の具合を見てから、コルベールは木枠の影に移動する。
「ミスタ。そこに立つと大変危険ですぞ」
「は?」
「いいですからこちらへ」
わけもわからずギュスターヴはコルベールと同じ、木枠と鉄棒で作られた影に入り込んだ。
「此処にあるハンマーを叩けば、『飛び立つ蛇君』の底部にある火打石を打ち、蛇君の中に封入されている火薬が爆発、蛇君は天上へ向かって飛び立ってゆくのです」
「ほぉ」
「では発射10秒前…9…8…7…」
一人テンションの高いコルベールとは別に、ギュスターヴは据えられた『飛び立つ蛇君』を興味深そうに見ていた。
「4…3…2…1…発射!」
言うと同時にコルベールがハンマーを打ち下ろす。ハンマーは下にある鉄のバーを打ち、それが梃子の原理によって発射台に置かれた
『飛び立つ蛇君』の底にある火打石を押し込んだ。
次の瞬間。
ドォォン!
ギュスターヴの目の前を橙色の光と爆音が駆け抜ける。
目を瞑ってそれをやり過ごしたギュスターヴが目を空けた時、目の前には『飛び立つ蛇君』は既になかった。
「ご覧あれミスタ!空を飛ぶ『飛び立つ蛇君』を!」
指差すコルベールの先には、煙と火を噴きながら空中を飛んでいる『飛び立つ蛇君』があった。
「本日二回目の実験は現在成功中ですな」
「二回目?」
「今回の実験は試験的なものでして…一回目は無事飛ぶ事が出来るかと見る実験、二回目はどの程度の距離を飛ぶ事が出来るか、ですぞ」
見ると発射台の脇からロープが『飛び立つ蛇君』に括りつけられているらしく、先が空に向かって伸びている。
「ふむ…垂直発射で約1500メイル…、目標値を下回ってしまった」
コルベールが手の紙束へ羽ペンを舐めて何かを書き加えている。
「コルベール師…。この実験はどういった目的でやっているので?」
興奮気味のコルベールはギュスターヴの質問へ胸を張って答えた。
「これは空を飛ぶための壮大な計画の一部分なのです」
天幕の中には大きな机、その脇の縦1メイル横3メイルはあるボードには大きな紙に三方向から書かれた設計図らしき図形が記されていた。
それは樽の様に板木を箍で締め合わせた半円錐形の物体に、銀杏の葉のような形の翼がくっついている。
「『飛び立つ蛇君』に使った原理を使い、人を空に飛ばす。それが私の研究です。すでに設計は完了しておりまして、
あとは推進方法と強度重量の問題を解決するのみなのです」
机とボードの反対側にはボードに書かれている半円錐形の物体が既に作りかけて置かれていた。
「…こちらの魔法は空を飛ぶものがあると聞いてますが」
「勿論です。しかし私の目的は魔法を用いずに空を飛ぶ事なのですよ、ミスタ」
にっ、とコルベールが笑う。
「これが成功すれば、人はまさしく鳥のように空を飛べるでしょう。それはただ魔法を道具のように使って空を行くのとは違う…」
「鳥のように…」
ギュスターヴの脳裏を幼き日、母親に叱咤された言葉を過ぎる。。
「私でも飛べますかね」
「…飛べますとも。…もっとも、完成にはまだ少し掛かるでしょうが…」
天幕の外からぎぃぎぃと木の軋む音がする。自作の溶鉱炉が風車で稼動しているのだ。
「…ところで、コルベール師はルイズを見かけませんでしたでしょうか?」
「ミス・ヴァリエールでしたら、恐らく図書館ではないかと」
ギュスターヴはコルベールに礼し、その場を後にした。
…その後も一日、コルベール研究塔前では数度の爆発音が続き、オスマンから注意を貰う破目になる。
図書館棟の奥深く。ルイズは詩や散文を集めた棚が集まる一角に足を運んでいた。
そこは普段多くの学生が利用する階から、さらに一度階段で降りたところにあり、ランプで部屋は明るくされてはいるものの、あまり人が入らないせいか、
部屋全体が埃っぽい気がした。
ルイズは未だ祝詞に一文もそれらしいものが出来あがらないため、参考になりそうなものを探してここまでやってきたのであった。
「……寒いわね。ここ…」
人気もなく、石壁に囲まれた部屋は外気を逃れてひんやりとしている。
カンテラを片手にルイズは本棚の一つに止まり、適当に本を一冊抜き出して広げてみる。
「んー…掠れててよく読めないわね……『ツヴァイク美人教授傑作選・鼠の王様は見た、わたしが町長ですの真実』……なんなんだろ、これ…」
どうも見てはいけないものを見てしまったような気がしたルイズは静かに本を棚に戻した。
また少し歩く。足元の埃が僅かに波打ってルイズの靴に絡み付いては離れていく。
「これはどうかしら…ぇーと『極大三部作・1−怪傑ロビン対アルカイザー、アビスリーグの逆襲』……ぁーもう!こういうのじゃなくてもっとこう、
自然な詩を集めたようなものはないのかしら」
結局、摘み食いするように古い本棚から何冊か本を抜いてみたものの、劣化して読めなかったり、読めてもしょうもない笑い話しか修めてなかったりで、
埃に塗れて図書館を後にしたルイズだった。
32 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 00:51:11 ID:7185A/30
しえ
支援
とぼとぼと自分の部屋に帰ってくると、ギュスターヴの持ち物を置いてある場所に、見慣れない二つの袋が置かれていた。
よく見ると部屋全体も出かける前より何となく、片付いている気がする。
「ギュスターヴの奴、帰ってたんだ…」
埃塗れのマントを取り替え、置かれた袋をしげしげと見る。
「何入ってるのかしら…み、みみみ、みっちゃおうかなぁ〜…べ、べつに、使い魔の持ち物は、主人の持ち物ってことで、も、問題はない、はずよ、うん、きっとそう!」
傍から見るとかなり挙動不審なルイズは恐る恐る、だがとてもわくわくしながら一つの袋を開けた。
中には二つに折れた大きな剣が入っていた。
「なにこれ、ガラクタ…?」
期待が裏切られて冷めた声が出る。ためしに取り出してみると半分に折れているはずなのに片手で持ち上がらないほど重い。
落胆を手元に残して袋へと戻した。
続けてもう一つの袋を開けてみる。中には、漆喰で作ったような真っ白くて大きな剣が入っていた。
「また剣…ギュスターヴってどれだけ剣が好きなのよ」
無造作に剣を左手で抜き取ってみる。剣は見た目ほど重くなく、むしろ軽かった。
「ん…この剣、どっかで見たことがあるような…ないような…」
剣は金属ではなく、石か何かで出来ているらしい。刃の部分は甘く、手で触れても問題がなかった。
「……まぁ、いいわ。ギュスターヴったら、ご主人様を置いて遊びに行ったと思ったら、こんながらくたばっかり持って帰ってくるなんて、後で文句言ってやるわ」
勝手に中身を見て文句を言えるものかは疑問が残るものの、ぶつぶつ言いながらルイズは白い石剣を袋に戻そうとして、
床に落ちた袋を拾う為に剣を左手から『水のルビー』を填めた右手に持ち替える。
「熱っ!?」
その瞬間右手が焼け石を素手で拾ったような熱さを感じ、剣を落としてしまった。
「な、何?…今の」
おっかなびっくり剣を拾い上げる。今度はなんともなく、剣を袋に入れてもとの位置に戻した。
「び、びっくりした……なんだったのかしら…」
荷物を荒らした事の後ろめたい気持ちが合わさってかなりどきどきしてくる。
「ふ…ふんだ!ご、ご主人様を置いて遊びに行ってるような、中年使い魔は一体何処に行ってるのかしら?か、帰ってきたらお仕置きね!
ま、ままま、まずはあのおしゃべりな剣を取り上げてやるわ!そ、それに寝床に使わせていたマットも没収よ!
あとそれから、鞭でやたらめったら高い頭を百叩きにして、それから、それから…」
傍目から見て『いや、絶対に無理だろ』という危険な妄想を始めたルイズは、静かに扉を開けて部屋に戻ってきたギュスターヴにまったく気付かなかった。
「ふふふ、これで諦めていたメイジとしての威厳が手に入るわ…」
「何が手に入るんだ?」
「はぁう!?」
まったく無防備だったルイズは背後からの声に素っ頓狂な声で飛び上がる。振り向いてギュスターヴの顔色が平素の通りであるのを見て聞かれなかった事を安堵した。
「な、何よ。帰ってきたのなら黙って入らず声くらいかけなさい」
「いや、悪い。…で、手に入るってなんだ?」
「な、ななな、なんでもないわよ!い、今まで何処に行ってたのよ」
「帰ってきても部屋に居なかったから歩き回ってたんだよ。土産を渡そうと思って」
「お土産?」
言ってギュスターヴが懐から取り出したのは、磨き上げられた漆黒のペンダントだった。
宝石を使ったものではないようだが、精巧なカットがされていて、手渡されると見た目よりも重たい、と感じた。
ルイズはしげしげと渡されたペンダントを眺める。
「気に入ってくれるといいんだが…」
「…ま、まぁいいわ。使い魔の、主人への忠誠の証と思ってもらってあげる」
理屈を捏ねつつも、ルイズは嬉しそうに首に巻く。
「…でも、これ何で出来てるの?宝石じゃ、ないみたいだけど…」
「鋼で出来ている。…只の鋼じゃないぞ?よく鍛えないと細工物にはできないんだ」
「ふぅん…」
鋼で作ったアクセサリーなど聞いたことが無いルイズは珍しそうにペンダントを見ていた。
タルブを離れる前、村の鍛冶屋を尋ね自身の『鋼のお守り』を鍛え直したものだ。僅かな時間しかなかったがギュスターヴ熟練の鍛冶技術によって、それは宝石のような耀きさえ持っていた。
「…本当は魔除けの一種なんだけどな」
「そう……」
陽に翳すと彫刻された文様がきらきらと反射する。
「ギュスターヴ」
「うん…?」
振り向いたルイズは自分より背の高いギュスターヴを見上げた。
「………ありがと」
「喜んでもらえたようで何より」
「ち、違うもん。お、贈り物をされた時は、しゃ、礼の一言くらいないと、いけないだけだもん」
「そうか」
「ほ、本当よ?!べ、別に私は、う、嬉しくなんかないんだから!」
ころころ顔色を変えてまくし立てるルイズを笑いながらいなすギュスターヴだった。
sien
投下終了。
サブタイトルは今度の展開的には多少の含みがあります。サガフロンティア2は歴史を二方向から綴るものですから、その辺は多分に意識しますよ。
先日どうにか予定上の展開までプロットが組みあがりましたので、あとは微調整しつつ書くだけになります。
アルティマニア買った方がいるようですが、私はそれよりスクウェア公式設定資料集が欲しいです…(販売価格3500円、現在希少の為倍値で取引されている)
>怪傑ロビン対アルカイザー、アビスリーグの逆襲
見てぇー!
鋼の人激乙!
前スレ見てきた。MtLやべぇなー。MoMaと死体の花とか、マジたまらない。
ウルザ「ソリティアタイムはっじまっるよー!」
>>37 サガフロ2ファンなら設定資料集は欲しいよなー
全キャラのアルマニ以上に詳しい情報も載ってる上、公式絵のナルセスさんとタイラーさんも見れたりする
後、今見てきたんだが密林だったら中古で7400円で売ってた
41 :
虚無と金の卵:2008/11/11(火) 01:46:01 ID:2JOob2Fz
予約無ければ「虚無と金の卵」、2時より投下いたします。
今回は短く4レス分だけ。
半熟卵大支援
ガリア王都、リュティス。
そこに、ハルケギニア有数の宮殿の一つ、ガリア王家のヴェルサルテイル宮殿が存在する。
そして宮殿中心部、グラン・トロワの一室に、二人の男が向かい合っている。
一人は瀟洒な椅子にゆったりと寛いでいる――王者の風格。
一人はひどく堅い調子で屹立する――忠誠を見せんとして身動ぎもしない。
椅子で寛ぐ男、ガリア国王陛下ジョゼフ。青髪の美丈夫。たくわえられた立派な髭。がっしりとした闘士のような体つき。
匂い立つような男ぶり/国民からは無能王、簒奪者と罵られる男。
そして、ジョゼフはもう一人の男に何事かを報告させていた。
その男の眼球はせわしなく動く。だが努めて、不興や誤解を与えぬよう、朗々と羊皮紙を読み上げていく。
酷く緊張した男の有様とは対照的に、ジョゼフは欠伸混じりに聞いていた。
「以上が、私めの知るすべてにございます」
羊皮紙の束を読み上げ終わり、男は顔を上げた。
聖職服に身を包んだ、三十代だろうと思われるこの男、アルビオンのオリヴァー・クロムウェル。
一介の司教に過ぎず、ガリア王室や政治等とは全く無縁の人物。
この男の長所を上げるとするならば、野心。記憶力。そして保身のための頭が回ること。
だが王の目を引くほど魔法の達者ではない。また、高度な政治的存在などでもない――少なくとも今までは。
「よくぞ調べ上げた。クロムウェル。褒美は……ふむ、そなたが頭に被るものが、その司教帽というのは寂しすぎるよなぁ。
もっとも余の王冠は渡せぬが、まあこれより少し劣るもので良ければ用意してやろう」
「ここ、こ、光栄の極みにございます!」
クロムウェルは引きつった声を出しつつも、至福の表情を浮かべる。
「これが成功した暁には国を預かる身となるのだ。つまりは余と同等。もっと堂々としていたまえ」
何の感慨も無さそうにジョゼフは興奮する相手を宥め、その相手のオリヴァーはあからさまな程に恐縮する。
「私などジョゼフ様の王器の前には塵芥にございます。同等などと、なんと恐れ多い!」
「ふむ。ま、謙虚とは美徳でもある。それさえ守れば、余のように無能王などと蔑まれることもあるまい」
自嘲などではなく、ジョゼフは心から面白そうに笑った。
「で、ですが……首尾よく行けば良いものの、私の身など風前の灯火にございます。
ジョゼフ陛下の御考えを、どうか私めにご披露頂けないでしょうか?」
「余の考えだと? なに、心配せずとも貴様の頭は望み通りだとも。それにグラン・トロワならば狼藉者も入り込めまい。
それとも、余と、余の騎士達が信用ならんか?」
「い、いいえ、滅相もございません! な、何卒お許しを……!」
「なに、構わぬ。……駒は揃いつつある。結果など後からついて来る。もう少し過程を楽しむことだな」
本来ならば、頭に被るものよりも、頭が体と繋がっていることの方が遥かに大事だ。
だが、目の前の男に逆らえばどちらも失われる――恐怖を表に出さぬよう、クロムウェルは引きつった笑みを浮かべる。
今更後には退けないことなど、オリヴァー自身、痛いほど理解していた。
総てを失うか、総てを得るか――だからこそ、突き進むしかない。
ジョゼフ王の闇を垣間見たオリヴァーの恐怖は深い。
だが野心を燃え上がらせ、クロムウェルはその恐怖に拮抗する――安寧とは程遠い軌道を感じながら。
第二章 追憶と邂逅
チェルノボーグ監獄――トリステイン城下町の外れに存在する、国中で最も堅牢とされる監獄。
そこに、土くれのフーケは収容されていた。
フーケの牢の、鉄格子越しの窓は遥か遠い。10メイルは離れ、二つの月の光もほんの微かにしか届かない。
暗闇の中、供え付きの粗末なベッドで、フーケは眠りもせず、ただ横たわっている。
「女一人捕まえるのに、こんな物々しいところにぶちこむとは、恐れ入ったよ」
牢を囲む屈強な獄吏どもも、収容者に悪態すら叩かず、ガーゴイルの如き鉄面皮で見回るのみ。
破られぬことを誇りとするかのように、無駄口など一切聞こえてこない。
「しかしあのネズミと小娘……一体どうやって私の行動を知ったんだ……。
誰にも知られちゃいなかったはずなのに」
金色の鼠と、奇妙な爆発の魔法を操る小娘。ルイズとウフコックをフーケは思い出す。
その一人と一匹のために、破壊の杖を盗むことは叶わなかった。
盗みを決行した際に偶然拾った宝石など、金目の物を無意識に靴や服の隠しポケットに忍ばせて盗んではいたが、
結局、それらは服や靴ごと没収された。運良く獄吏どもに見つかっていなかったとしても、手を離れたことには違いない。
ともかく、秘書を装って入念に仕掛けた仕事すべてが台無し。あの小娘どもめ、と内心毒づく。
だが、結局自分は完璧に敗北したのだ。
それに今更毒づこうが呪おうが、今となってはすべて詮無いことを、フーケは知っていた。
ただ迫り来る裁判を待つだけの日々。実際はその日々すらも確たるものでは無いフーケの未来。
理想――突然二枚目の名門貴族が現れ、裁判で弁護してくれて無罪放免。
現実――縛り首。幸運が見込めれば島流し。
悲観――拷問された挙句の口封じ。
フーケは何事かを想像し、ぞくり、と体を震わす。
「……くそっ、面白くも無い。あんたもそう思うだろう?」
闇に向かってフーケは声をかけた。
「……気付いたか。流石は『土くれ』」
暗闇が揺らめく。答えが返ってくる。
予想通り男の声。たが意外と若い声だとフーケは思う。
気付けば、既に気配が近くまで来ていた。暗闇が距離感を惑わせているが、少なくとも普通に声の届く位置に男が居る。
痺れるような恐怖をフーケは感じる――悪態など死を目前にした自棄でしかない。
それは相手に伝わっているだろうか。
土のトライアングルのメイジであり、盗人として巷を騒がせたフーケは、壁や床の軋みにはひどく敏い。
だが男は、声が届く程の距離に至るまで、フーケに気付かせなかった。
闇の中とはいえ相手の気配の絶ち方は一流――理想でも現実でもなく悲観が当たった。
メイジならばトライアングル以上だろう。あるいは平民であるが故に技を練り上げた暗殺者かもしれない――どちらにせよ最悪。
「なら、面白いことをしないか?」
面白がるような声。嬲る気か、このフーケ様を。
噛み付くか。諦めるか。痛みの少ない後者にしておけと心の闇が囁く――却下。
「あんたは、身動きのとれない女じゃないと相手にできないのかい? とんだ臆病者だね。わたしは紳士以外はお断りさ」
肩をすくめるような気配がフーケに伝わる。だが、怒りの気配は伝わってこない。
ほんの僅かな沈黙が、途方も無く長い。
「……ああ、勘違いしてるなら訂正するけど、あんたに恨みがあって来たわけじゃあないし、
どこぞの金持ちに雇われて口封じに来たわけでもない」
「だったらせめて、女性の部屋に入るときくらいはノックくらいするんだね」
「……それもそうだな。忘れてた」
虚脱するほどの安堵――相手は割と馬鹿だ。
そして素朴な疑問をフーケは感じる。
「あんた、一体何者だい」
「……ここで話しても良いけど、大分長くなっちまう。立ち話は外でしたいな、マチルダさん」
「なんだって?」
捨てたはずの自分の名前。それを知る者は限りなく少ないはずであった。
少なくとも牢破りなど危ない橋を渡る人間の中には、決して存在しないはずである。
「アルビオンのウェールズ。俺は、その男から奪いたいものがある」
「……命かい?」
恨みを利用して殺し屋に仕立てるつもりか。そうフーケは訝しむ。
それなら所詮使い捨ての手駒だ。警戒に警戒を重ねなければ、今以上の最悪が待っているに過ぎない。
だが、相手の男はそれを否定した。
「いや、違う。もう一度、怪盗らしい仕事をしてみないか?」
「……盗みで間違いないんだろうね?」
「そうだ」
「私が必要? 縄についた私が?」
「そう。お前の知識と能力が要る」
男は頷く。少なくとも、見る限りでは嘘の色は無い。
フーケはようやくの安堵の溜息をつく。
「……最近は、ことごとく勘が外れるよ。盗人にゃ何より大事なんだけどね」
「どんな風に?」
「盗めると思ったものが盗めずに捕まっちまう。逆に、死ぬと思ったら、どうやらそんなこともなさそうだ」
もいっちょ支援
自嘲気味にフーケは笑う。
「来るか」
「そうするわ。……覚悟したつもりだけど、やっぱり死ぬのは嫌だからね」
「無駄死になんて、するもんじゃないさ」
男はフーケの肯定を受け取り、牢に近づく。
暗闇に馴れたフーケの目に、男の姿が移る。闇に紛れるためか黒いローブを目深に羽織っている。顔はまだよく見えない。
そして男の右手が滑らかに動く。愛撫のような滑らかな手つき。
金属の擦れる微かな響きがフーケの耳に届く。
気付けば固定化されたはずの錠前が真っ二つになり、既に男の手はローブの裾に納まっている。
詠唱はしていない。恐らく剣――暗闇とはいえ、抜剣を悟らせないほどの早業。
「開けたぞ。お前の服と荷物は取り戻しておいた。……立てるか?」
「今更、紳士ぶるのかい? 似合っちゃいないよ」
「……無駄口は外に出てからだ」
フーケは男の手にした物――服、証拠として押収された盗品、そして愛用の杖――を受け取りつつ、
やや怒りの素振りを見せる男の顔を、間近でよく見る。
やはり若い。そしてこの国では珍しく黒髪黒目だ。
「待った。その前に大事なことを聞くよ。それを聞かない限りは外に出ない」
「……何だ?」
「あんたの名前は?」
「……あだ名や通り名なら幾つかあるけど……まあ良いさ」
男はやや迷う素振りを見せた。だが、フーケの真剣な目つきを見て頷き、名乗る。
「サイトだ。ヒラガ・サイト」
「サイト、ね。……マチルダはもう捨てた名前さ。私のことはフーケと呼びな」
耳慣れない異国の響き。
フーケはその名を心に刻み、チェルノボーグ監獄の暗闇を踏み出す。
フーケは思う。至福の中で闇に叩き落され、だが底に落ちたと思った瞬間に手が差し伸べられる。
この手が悪魔でも構うまい――フーケは、男に手を握られ、やや衰弱した体を助け起こされる。
少なくとも博愛を口にする宗教家より、利用価値を求める正直な悪党の方が、遥かに好ましかった。
先の見えぬ暗黒。見知らぬ男の手。
妄想にも似た希望を抱いて、フーケは駆けた。
49 :
虚無と金の卵:2008/11/11(火) 02:12:32 ID:2JOob2Fz
以上で投下完了、ありがとうございました。
そしてMtLの人、ブラスレイターの人、鋼の人、乙っす。
さて、クロムウェル支援、フーケ支援な金の卵です。
今回は第二章のプロローグ扱いなので、ちと短めでした。
ていうかウフコック出てねぇ。
乙
なんだか珍しい雰囲気のサイトに期待
遅くなったけどジョセフの人乙&GJ!
状況からしてこのジョセフは凌駕後のジョセフなのだろうか
それとも寝たきり中の出来事?
ヘルマンとゲルトとかもinしてるのか気になるぜw
続き期待してます!
<<18さん
ではツベルフみたいな組織はやはりロマニアですかw
ブラスは最後まで燃えたので期待大ッス。
しかし、ブラスと絡めると貴族と平民の関係がより一層卑しく思えますな。
ルイズの我が侭はお決まりですが、ジョゼフと係わることで少しでも成長することを期待します。
・・・っていうか、ガルムとエレアの登場はなしですか〜(泣
ところで前スレのエルフェンリートの話はまだwikiに載ってないのか?
気が付いた人間がやるもんだ、簡単なもんだし
ルイズが召喚したのは二刀流を使う獣人だった
彼はギーシュと決闘をし、その実戦慣れした剣技で勝利した
勝利した、確かに勝利したんだが、彼はズタボロのボロボロの裸王状態だった
それでも彼はルイズの敵に立ち向かう
「こんな奴ルイズ姉者が出るまでもない、このオボロが相手だ!」
彼に対峙するのは、ガリア王ジョゼフが召喚した使い魔
「きえな、このヤムチャさまにぶっとばされないうちに」
そしてロマリア教皇は世界扉を開き、伝説の使い魔を次々と異世界から召喚する
「俺は琉球空手の大竹だ」(押忍!空手部)
「この富樫と虎丸に任せんか〜い!」(魁!男塾)
「ナイトキッズの中里だ」(頭文字D)
「俺はガンギブソン」(特警ジャンパーソン)
「私はあやねよ!」(ながされて藍蘭島)
「今泉刑事です」(古畑任三郎)
「天光寺だ」(コータローまかりとおる)
「弟の良三です」(美味しんぼ)
ルイズ「なんなのよ〜〜!この負け犬かませ犬は〜〜〜!!!」
「あの…『ゼロの使い魔』のワルドって者ですが…」
最後フイタwww
かませ牛ことアルデバランさんは〜?
なにその中途半端すぎる使い魔たちwww
チョイスの幅がひろいな
スーパー噛ませ犬大戦かいな(´=ω=)
62 :
LFO作者:2008/11/11(火) 12:44:06 ID:ivR18SS8
どうも作者です。
数日前の件を除き、このところ投下が滞っているのは、代理投下を委託させて頂いている方が規制を喰らった為でございます。
ここ一月何の音沙汰も無く待っている方にはご心配をおかけします。
相手の方には「規制が解除されてからでいいので……」と打診しているので、次は恐らく各作品数回分になるかと。
では、また近い内にお会いしましょう。
>>58 牛さんは本編ではアレだけど、スピンオフ作品では活躍してるからな
天光寺は本気になったらコータローがマジで
生命の危機覚悟するほどの相手なんだが・・・・・・ヤムチャと同じだな
天光寺はヤムチャ的なかませ扱いされた事はなかったような気が
>>66 かませ扱いはされた事は無いけどおちょくり相手ではありましたね
作者いわく「二人が本気で戦ったら作品が終わってしまうので決着をつけさせてやれない」
あとかませ犬に何か足りないなぁ、と思ってたらアレだ、テリーマンがいないんだ
ペンタゴンとブラックホールマン
ウルフマンとか、ウォーズマンとか
てか、テリーマンはかませじゃないと思うが
次鋒、レオパルドンいきます!
ビッグボディにカナディアンマン&スペシャルマンもかませ犬の見本、
まさにかませ犬になるために生まれてきたようなキャラだったな
2世じゃ一度万太郎と戦ったら、全て噛ませ枠行きです
出オチかませ犬
大きな爆発音。またもや失敗かと周囲の溜息の中、ルイズは未だ散らぬ煙の中に目を凝らす。
手応えが違った。今度こそ、今度こそ!!
彼女の得た感覚は決して勘違いではなかった。煙の中に、うっすら影が見える。何かが確かにそこにいた。
突如大きな風が吹き、視界を明確にした。影の正体が明らかになった。
「いや……。嘘……」
言葉が口を出た。しかし喜びの声ではない。何度も臨んだ召喚、そして成功した。
本来ならもう少し明るい、達成感に満ちた喜びの声が出ていたはずだ。
そこにいたのは、犬。
犬だろうか?確かに体は犬である。だが顔が人間のものだった。黒髪、さえない顔をしている。
だがそれ以上に、おぞましい。
きょろきょろと辺りを見回す。
「俺は犬マン」
言葉を発した。ルイズの肩がびくりと揺れる。
声は確かに目の前の犬?から発せられた。人の顔を持つのだ。有り得る。
だが、まさに犬のように、へっへっへ、と舌を出し、息をしている。
舌を戻し口を閉じた。また何か言葉を発しようとしていた。
「かむぞ!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!いやっ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!」
あまりの悲痛さに、周囲でその声を聞いていたものたちの心に、彼女の声が痛いほど直に響いてくる。
辺りに響くのは少女の血の様な叫び声と、犬?の呼吸音のみだった。
へっへっへっへっへっへ
風間やんわり「食べれません」より「犬マンを召喚」
かませ犬です。
「かむぞ!!」
シャドウハーツ2のアナスタシアを召喚
王女だけど魔法使えるし、いざとなったらナイトメアでかなり強いかも
どうも、久保の書き手です。
たぁいむだぁ〜いばぁあ〜はぁあ〜るぅかぁ〜失ぁわぁれたぁ〜めぇえ〜もりぃ〜
まぁ〜といつぅくぅきのぉお〜まぁでぇのぉ〜やっすぅらぎぃ〜
スパロボといえば、同時並行するルート分岐もその魅力の一つな訳でして。一方で倒した敵が敗走中に、また別の味方部隊と遭遇したり。いくつものイベントが、合流後に色んな意味を持ってきたり。
それでは、他にいらっしゃらないようでしたら参ります。
貴族達へ出す朝食が終わり、後かたづけのゴミ出しをしているクォヴレーとリュウセイ。
「そういえば……今日はシエスタを見ていないな」
「ん?ああ、そういやそうだな。何かあったのかね?」
「呼びましたか?」
ゴミ箱を運んでいる二人に、声がかけられた。
「おうシエスタ、おはよ……って何だその格好」
「おはようシエスタ。……重装備だな」
聞き知った声に振り返り、二人で怪訝な顔をした。
「あ、はい。今日から休暇をいただいて里帰りするんです」
「そっか、住み込みで働いてるんだもんな」
「しかし、その荷物……家は遠いのか?」
「いえ。せいぜい歩いて五日ぐらいですよ」
「歩いて五日ぁ!?ていうか歩くのか!?」
素っ頓狂な声を上げるリュウセイ。
文明社会の申し子的なリュウセイにしてみれば、それだけの距離を歩き続けること自体が信じられない。
「そりゃそうよ。馬を借りるとお金がかかっちゃうでしょう?」
「だからってなぁ、女の子一人だけでこっちじゃ夜盗なんかもいるんだろ?危険じゃねぇのか?」
「五日ぐらいは全然平気よ」
リュウセイ共々驚いていたクォヴレーだが、少し考え込んだあと、不意に提案した。
「……シエスタ、リュウセイに送ってもらえばどうだ」
「え?リュウセイさんに?」
「ああ、これでもこいつは軍人だ。護衛にもなる。リュウセイも、構わないな?」
クォヴレーがリュウセイの方を向く。
「そりゃ俺は平気だけど……目の届くとこに居た方が良いって言ったのはクォヴレーの方だぜ?」
後半は小声で困惑気味に尋ねるリュウセイに、そっと顔を近づけて耳打ちする。
「確かにそういったが、奴の居所が掴めていない現状、このままでは手詰まりだ。こちらから何らかのアクションを起こすことでユーゼスの反応を誘発させたい」
「……よーするに、囮って事ね」
合点がいったのか不敵な目つきになるリュウセイ。
「送ってる途中に襲撃があるのなら、彼女は何としても守り通して欲しい。本来なら何の関係もない立場だからな。頼めるか?」
「了解了解、そういうことなら任しといてくれ。しっかりシエスタを送ってくるぜ」
「あの、折角ですけど、結構です」
「あら……」
シエスタの言葉にがっくりとうなだれるリュウセイ。
「だって、私は前々から休暇を申請してましたけど、入ったばっかりのリュウセイさんが急に何日も休んだりしたら、クビになっちゃいますよ」
「平気だって、そんなに長くはかからないからな。俺のR−1で送ればすぐに着くさ」
「あーるわんって、あのゴーレムのこと?そりゃあ、私が歩くよりは速いかも知れないけど……」
「あ、その目、信用してねぇな?」
「シエスタ、リュウセイの言っていることは本当だ。行って帰ってくるので、精々1時間だろう。それに、少々仕事に遅れても俺の方からマルトーに口添えさせて貰う」
「そうなんですか?クォヴレーさんがそう言うのなら……」
「何だよこの扱いの差は……」
しゃがんでふてくされ気味のリュウセイだった。
昨日のこともあり、衛兵の詰め所で剣の指導をしていたマサキは、爆音と共に飛び去っていったR−WINGに目を丸くして、慌ててクォヴレーの所にやってきた。30分ぐらい迷った末に偶然教室を見つけたに過ぎなかったが。
授業中でありルイズの側にいたクォヴレーが、マサキの手招きに応じて教室を抜け出し事情を説明する。
「……成る程な。なら、ユーゼスって奴が動くことを前提にこっちも機体に乗って準備していた方がいいか?」
「即応体制ぐらいを心掛けてくれていればいい。本気でR−1を落とし、なおかつ生きてリュウセイを手に入れようとするなら相当な戦力を投入しなければならないからな。
それだけの戦力が動けばリュウセイも気づきやすいし、こちらに戻ってくるだけの余裕も出来るだろう」
ミノフスキー粒子がある訳でもない。レーダーは有効だ。
「わかった。なら、俺はサイバスターの調子をみとくぜ。いざって時に調子が悪いんじゃ話にならないからな」
了承の意で首を振る。
1時間ぐらい迷って一度詰め所前に戻り衛兵達に今後の練習方法などを教えたあと、やっぱり30分は迷ってサイバスターのもとにたどり着いた。たどり着けたのもファミリアを出したからである。
そこへ、だ。
「きゅういぃ〜!」
鳴き声を上げながら一頭の竜が飛んで来た。
シルフィードは、3日前からサイバスターには気づいていた。
風の精霊が常にあたりを飛び回っているとても不思議なゴーレム。
是非ともそのゴーレムに乗って落ちてきたという人物にも会ってみたかったのだが、落ちてきた一日目は学院の医務室にすぐさま入れられてしまって、会うことが出来なかった。
二日目はずっとサイバスターの近くで待っていたのだが、健康ポーションで復活したマサキがサイバスターに戻ってくるより先におねむになってしまい、会う前に巣に帰って眠ってしまったのだ。
昨日は彼女の主が故国に戻るための足になっていたので、サイバスターの近くで待っていることが出来なかった。
そして今日。
学院に戻る途中、そろそろ着陸態勢に入るかというところで、シルフィードはサイバスターの近くに一度ちらとだけ見た人影を認めたのだ。
長い間待ちかねていた人物の姿に、居てもたっても居られない。
背中に乗る主の言葉も聞こえぬふりで一気に急降下。慌てて飛び降りた主の事もひとまずは棚上げでお目当ての人影に近づいた。
「きゅいきゅい!」
「にゃ、にゃんにゃんだこの竜!」
「お、おいこら!じゃれつくなってんだ!」
べろんべろんと急に現れた青い竜に嘗め回されるマサキ。必死に剥がそうとするが、絶対的に筋肉量で劣っている。
「凄いのね!凄いのね!人間なのに、こんな人も居るだなんて!」
「あら?喋るのね、この竜」
「こっちじゃ珍しいって聞いたんだけどにゃあ?喋るファミリアは」
どうも害意はないらしいと解り、すぐに暢気に見上げるシロとクロ。
「お前等落ち着いてねぇで、こいつ離すのに手ぇかしやがれ!」
必死に抵抗を試みるが、竜には全く堪えていないようで。舐めてすりすりして何か知らないがずっと誉めている。
「だぁって、オイラ達猫だし、体格的にどう考えても無理だしにゃあ?」
「そうよねぇ。別に食べられそうになってるんでもにゃいし、気が済むまで好きにさせてあげたら?」
「ああ、クソ!頼りがいのねぇ奴らだな!」
既に顔中を唾液でべとべとにされながら悪態を付く。助け主は、思わぬ所から現れた。
「きゅいっ!?」
いきなりぽかりと頭を叩かれ、竜が呻く。
「お、お姉さま!」
「喋っちゃいけないっていう約束」
「こ、この人は別なのね!この人は風の精霊様に……」
再度打撃音。
「約束」
「きゅい〜……」
うつむく竜。
「ふぅ……助かったぜ。こいつはお前の使い魔なのか?こっちじゃ珍しいんだろう?喋る奴は」
よだれだらけの顔をぬぐいながらマサキが尋ねた。
「喋れることは誰にも内緒。……出来ればあなたにも黙っていて欲しい」
「何でだ?ばれちゃ拙いのかよ」
「別に問題にゃいと思うけどにゃ。オイラ達だって珍しがられはしたけど、別に標本にされそうにはにゃらにゃかったし」
「この子は別。本当に標本にされかねない」
「マジかよ。物騒な話だな」
眉を顰めてマサキは呟く。
「シルフィードは韻竜。喋れたりするのはその証。既に絶滅したと思われてる種で、それが知れたら何をされるか判らない」
「成る程な……この世界の使い魔の扱いの低さについては俺も知ってる。確かにそうなりかねねぇな。そういう事なら判った。だまっとくぜ」
深刻な顔になり、頷き返す。
「お前も、今みたいに簡単に喋るんじゃねぇぞ?」
冗談めかして韻竜にも声をかける。
「シルフィードは誰にでも声をかけるような尻軽女じゃないのね!失礼しちゃう!」
「尻軽……女って、お前意味判って言ってんのかよ?」
唖然としながらツッコミを入れるが、聞いていないらしく一気にまくし立てる。
「この人は風の精霊様に祝福を受けてる人なのね!この人が居るだけで、シルフィもどきどきわくわくしてきちゃうのね!」
「黙る」
「きゅい!」
鼻息荒い竜に再度の一撃を浴びせる。
「精霊って……お前もそういうクチかよ」
「も?」
「アテもなく彷徨ってる時によ、やけに俺に親切にしてくれた奴らが居るんだよ。そいつらも、風の精霊がどうたらこうたら言ってたんでな。こう……こっちでも、エルフって言うのか?長くて尖った耳の」
「エルフに、会ってきた?」
「ああ。歓迎してくれるのは嬉しいんだけどよ、敬うような態度だけは勘弁して欲しかったな」
疲れたとでも言いたげな口調で頭を掻く。
「敬う……」
「ま、あいつ等のおかげで3日前まで生き延びて、おまけに帰る方法まで見つかったんだ。あそこでの一ヶ月がなけりゃとっくにのたれ死んでたかも知れねえからな。礼も言いてえんだが……」
「マサキは極度の方向音痴だからにゃ〜」
「おかげであの人達がどこにいたのかも判らにゃくにゃってるのよね」
「うるせー。悪かったな!」
ファミリア二匹にやけっぱちのように怒鳴りつける。
「東……」
「は?」
「エルフが居るのは、ここから東の土地」
「そ、そうか。助かるぜ」
今度行ってみるかと一人ごちる。
「エルフは、あなたの言うことを何でも聞く?」
「何でもって訳じゃねえよ。ただ、まぁ頼めばある程度の物は用立ててくれたな。食い物とか地図とか」
地図に関しては何の役にも立たなかったが。
……もしこの場にいれば、キュルケが韻竜の主の異変に気づいただろう。ほんの少しだが呼吸が荒く、体が震えている。
じっと、マサキは瞳を見つめ上げられる。
「な、何だよ」
「私の名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン」
「きゅい?」
主が、急に本名を名乗ったことに違和感を覚えるシルフィード。
「おう、俺の名前はランドール・ザン・ゼノサキスだ。よろしくな、シャルロット」
「ランドール……!」
抑揚のない声はそのまま、いきなり大声を張り上げて杖も捨てマサキの前に片膝を付く。
「な、何だよいきなり」
「どうか、どうか私に力をお貸し下さい……!」
それまでの淡々とした雰囲気と違い、どこか焦燥感すら感じられる瞳で見上げられ、とまどうマサキ。
「わ、判ったから、とりあえず立ってくれ。それじゃ話づれえ」
言われるとおりに立ち上がり、シャルロットは自身の本当の出自、父の死、母の受けた毒のことまでを一気に喋った。
「……話は分かった。けど、俺にどうしろってんだ?まさかその、王位を簒奪したって言うお前の叔父と戦えって言うんじゃないだろうな?」
「復讐は、自分で果たす。でも、それでは母様の心が戻らない」
「……そうか、お袋さんを狂わせた毒は、エルフ製だっつったな。なら、エルフなら」
こくりと頷く。
「治せる薬を作れる、と思う」
「つまり、俺に仲介役を頼みたいって訳か……けど、何だって自分で頼まねえんだ?あいつら、別に話が通じない訳でも無さそうだったけどよ」
「エルフと人間の仲は、基本的に険悪。まともに相手をしてくれはしない。あなたが精霊に祝福されているという話が本当なら、あなただけが例外。どうか協力して欲しい。どんな形ででも対価は払う」
「別に見返りは良いけどよ、そういうことなら仲介役、引き受けてやるぜ。いつ出発する?」
「出来るなら、今すぐにでも」
急だとは思ったが、意欲に燃える瞳をしているシャルロットには、マサキは何も言えなかった。
母を救いたいと思っている子に、誰が敵うか。それこそ、子を助けたい母ならばそれに匹敵するかも知れないが。
それに、リュウセイもここを離れたという。敵の反応を見るために自分も派手に動いてみるべきかも知れない。
「よし、俺がクォヴレーに声をかけたらすぐに出ようぜ」
また迷いそうになったところを、今度はファミリアが既に出ていたおかげでロス無くたどり着けた。
プレイヤールート選択
>クォヴレー達はどうしてる?
マサキとタバサが気になる
リュウセイとシエスタはどうなった?
なんちゃって、今回はここまで。
……いや、分岐っていったってちゃんと全部書きますよ?
避難所に帰ってくれよ
つまんねーし不愉快なだけ
久保の人乙です
久保の人。本スレでは遠慮願いたいな。
乙。
襲撃に構えろって言った途端に離れ離れにwww
良いだろ別に。
チンコ小さいやつだな。
総員、全力支援!
>>80-81 つ興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
久保の人乙でした
馬鹿の戯れ言は無視して頑張ってください
支援しようとしたら終わってた・・・・・・
馬鹿とか阿呆とかへんめころいほっほとかな連中のことはお気になされず
書きたい物をお書きください
オイラ的には
>マサキとタバサが気になる
ですね
GJ、選択肢は>マサキとタバサが気になる
というかエルフが気になる。
選択は>マサキとタバサが気になるでw
久保の人、酷くネガティブな評価があるけど十二分に読める作品だと思ふ
読んで感情が動くのは評価と一緒、気にせず頑張ってください〜。
毒吐きの人はどうしようも無いとして、一応は召喚者で主人あるテファがあんな状態なのにリュウセイは…
そういえば契約はしてなかったんだっけ?
悪ぶって喜ぶバカはほっとけ
所詮チキンだ
擁護したいのは分かるけど、火に油注ぐような物言いはやめとけ。
提督はそれで炎上しただろ。
男は度胸!ヘイトものでも、なんでもためしに読んでみてみろ
王蛇のフリーダムっぷりに対抗できそうなキャラを考えたけどゴステロぐらいしか思いつかなかったぜ
でもゴステロ案外普通にルイズに従いそうなんだよなぁ。
あの人が暴れてる原因はエイジに身体滅茶苦茶にされたのとジュリアに振られてまともな人間扱いしてもらえなかったからで、
なんか普通に接すれば暴れたりせずにそれなりに大人しくしてそうなんだよなぁ
流れをぶちぎって男の娘なタバサってどう思う?
昨日はルイズで聞いたから今日はタバサでww
>>58 牛の人は
・手加減したvs主人公戦
・いきなり能力100分の1でも結構渡り合えた海将軍戦
・どう考えてもほかの黄金もみんな死ぬニオベ戦
だから仕方がないんだよ
>>96 キラ&ラクスがいるぜ!
・・・・・・・でもひょっとしてスレちがい?
久保の人乙。
ニア タバサの縞パンが気になる
別な意味で仲の良いともだち・・・。
タバサを、事故死ではなく腹上死させようとするイザベラ
熱したバイブ尻穴に突っ込んだり、尿道に熱した針金を入れたりと、夢が広がりますなぁ
久保の人乙
更新してなかったから気付かなかったぜ
5時から2chやってたのに何で早く言ってくれないんだ
久保の人乙
毎日チェックしてるよ、がんばって
自由……某風の契約者はアサクラ以上に自由過ぎるし
世紀末の雲の人は普通に放浪の旅に出そうだし
レイオットは初期だと死にたがりだし
自由な人って扱い辛そうだな、本当に
>>97 男の娘とか言ってる気持ち悪い奴らは消えて欲しいと思う
>>78 君はなんでまだここに投下してるの?
避難所にしなさい
次やったら運営に報告するわマジで
久保様乙です!
何の根拠も無くただ駄目出しする人なんか無視して頑張ってください。応援してます!
そもそもスバロボ物ってことで端から読んでないオレはひょっとして勝ち組
自分が理解できないものに直ぐにレッテル貼りつけて見下そうとするのもどうかと思うんだけど、そこら辺どうだろう
>>109 頼むから勘弁してくれ。別に俺はアンタの意見がどうこうって訳じゃないんだ。
他の作家さんとか、スレ覗いてる奴の事も考えろ。
毒を吐きたいなら毒スレにいけばいいじゃないか。
むやみに雰囲気を悪くしないでくれ。頼むから。
良作には良作の…駄作には駄作の楽しみ方がある
…それがSSというものだ
みんな素数を数えて落ち着くんだ!
なんか変な流れだ…久保の人乙です
使い魔の炎9話、予約ないなら20時15分から投下します
支援だ!!
>>113 いや内容みりゃスレチなのまるわかりだろ
これがここに投下が許されるなら避難所の意味ないじゃん
つか今まで避難所に追い立てられた奴らはどう思ってるだろうなw
男は黙ってNG設定!でいいじゃないか
雰囲気というかマナー違反だろ
ルイズがレイプされて殺されるようなSSでも面白ければ認めるのか?
>>117 特攻したがったり特攻を自慢した奴ならいたぞ
ゲーテじゃないが、そいつらって他人を褒めると自分の価値が下がるとでも思ってるとか?
>>119 面白いならな
その内容で、ある程度の住人が面白いと感じるとは思えないが
え〜と…とりあえず、頭から冷水でも被って、頭冷やして落ち着いて、支援体制に入りましょうよ
もうやめよう。
支援だ
久保の人がどうとか以前に、ID:nBYjQ9kfはもう少し大人になれ
面白いならおk
そして支援
グリフォンにワルドとルイズ、2匹の馬にはそれぞれ烈火とギーシュがまたがっている。
アルビオンに向かう道中、烈火はワルドとルイズの一挙手一投足から目が離せなかった。
あー! なんなんだこのキザ野郎は!!
姫とあんなにベタベタしやがって!
烈火は遺伝子レベルで自分と正反対な騎士(ナイト)タイプの人間が嫌いなのだった。
「なあ、きみ」
憤怒の形相を浮かべる烈火に、ギーシュが話しかける。
「なんだよ」
「子爵に嫉妬しているのかい?」
ニヤニヤした顔でギーシュは問いかける。
「んなわけねえだろ。」
烈火はギーシュを睨みつけ、ブスッとした口調で言った。
「ただ、俺じゃなくてあいつが姫を守ってると思うと、なんか無性にムカつくだけだ」
ギーシュは呆れたように肩をすくめた。
「それを嫉妬というんだよ」
学院を出発してからかなりの時間が経過しても、ルイズを乗せているにもかかわらず、軽々とグリフォンを駆るワルド。
馬に乗ったことはまだ数えるほどしかないが、常軌を逸した体力で何とかついていく烈火。
やがて、二人の怪物にギーシュが後れをとり始めた。
「ま…待ってくれ」
息も絶え絶えなギーシュが言う。
「自分でついてくるって言ったんだろうが…」
毒づく余裕は残っていたが、烈火も疲れは隠せない。
烈火の少し前方、ワルドのグリフォンの上では、ルイズが心配そうな顔をしていた。
「ちょっとペースが速くない? 烈火と…特にギーシュがへばってるわ」
「港町までは止まらずにいきたいんだ…限界がきたら、ふたりは置いていけばいいだろう?」
ワルドが冷静な顔で答える。
支援の炎
支援
その言葉に、ルイズは眉を吊り上げた。
「そういうわけにはいかないわ」
「なぜだい」
ルイズは困ったように言った。
「だって…仲間じゃない。 それに、使い魔を置いていくなんて貴族のすることじゃないわ」
「やけにあの二人の肩を持つね。 どちらかが君の恋人なのかい?」
ワルドは笑いながら言った。
「こ、恋人なんかじゃないわ」
ルイズは頬を染めながらワルドから目をそらした。
すると、馬にしがみつきながら必死にグリフォンを追う烈火の顔が目に入り、さらにルイズが赤くなる。
ふん、そんなに必死になるならもっと頑張って追いつきなさいよね。
意地を張りながらも、本当は烈火に早く追いついてとほしいと思うルイズだった。
港町に着いた、と言われた烈火は目を丸くした。
「港なんてどこにもねえじゃねえか」
見回す限り、岩で造られた建物が並んでいる。
烈火の言葉に、ギーシュは呆れたように言った。
「きみはアルビオンを知らないのか?」
「知らねえ」
烈火がサラッと言うと、ギーシュが呆れたような表情を浮かべた。
「まさか!」
「まさか、って言われても…こんなとこに来たの初めてだし」
烈火がそう言ったそのとき。
崖から幾本もの松明が烈火たちめがけて飛んできた。
「な、なんだ!?」
火に怯えた馬がわななき、ギーシュは馬から放り出された。
烈火も馬から投げ出されたが、空中で身を翻して着地する。
「奇襲だ!」
ギーシュが再び叫ぶのと同時に、無数の矢が降り注ぐ。
烈火はデルフリンガーを引き抜いた。 左手のルーンが輝く。
ギーシュと自分に向かって飛んでくる矢を、烈火は剣を振るう風圧で弾き飛ばす。
「姫!」
そして、ルイズを守ろうと彼女に駆け寄ろうとした。
しかし、ルイズに向かってきた矢は烈火が触れるまでもなく小型の竜巻に巻き込まれてバラバラになった。
見ると、グリフォンにまたがったワルドが杖を掲げている。
紫炎
「大丈夫かい、ルイズ?」
「え、ええ…」
烈火は思わず舌打ちをしてしまった。
ルイズが助かったのはいいが、守ったのが自分じゃないのが気に食わない。
わがままなのはわかっていたが、烈火はいらだちを隠せなかった。
「相棒、寂しかったぜ…鞘に入れっぱなしはひでえや」
久々に鞘から解放されたデルフリンガーが悲しそうに呟く。
「ああ、わるかったな…出番だぜ。あいつら、全員引きずりおろすぞ」
烈火はデルフリンガーをしっかり握りなおし、崖の上にいる男たちに突っ込もうとした。
しかしそのとき、突如出現した竜巻が盗賊たちを派手に吹き飛ばした。
「おや、風の呪文じゃないか」
ワルドが呟く。 彼は杖を振っていなかった。
盗賊たちの頭上に、風竜が出現した。
ルイズは聞き覚えのある羽音を聞いて、思わず叫んだ。
「シルフィード!!」
「ってことは…」
ルイズ、烈火、ギーシュの三人は目を凝らした。
風竜の上、赤毛の少女がこっちにウインクをよこしている。 その前に座る小柄な少女は、大きな杖を無表情に振っていた。
「キュルケ、タバサ!!」風竜が地上に降りると、キュルケが地面に飛び降りてきた。
「おまたせ」
キュルケが髪をかきあげながら言う。
「待ってないわよ、ツェルプストー!
どうしてこんなとこに!? これはお忍びの任務なのよ!?」
キュルケは優雅に答えた。
「朝がた、馬にまたがってるあんたたちが部屋から見えたのよ。
お忍び? そんなの私の情熱には関係ないわ…ねえレッーあら、そちらの殿方も素敵ね。
あなた、情熱はご存知?」
キュルケが寄りかかってくるのを、ワルドは冷静に押し止めた。
「婚約者が誤解するといけないのでね」
ルイズのほうを見ながらワルドは言った。
その言葉にキュルケは少し驚いた。
「あなたの婚約者なの?」
キュルケの問いかけにワルドはしっかり頷いたが、ルイズはもじもじして答えなかった。
そこに、男たちに尋問していたギーシュが帰ってきた。
「子爵、やつらはただの物取りだ、と言っております」
ギーシュの言葉を聞いたワルドは少し考えて答えた。
「ふむ…ならば捨て置こう。
とにかく、今日はラ・ロシェールに一泊する。朝一番の便でアルビオンに渡ろう」
虚空支援
翌日、烈火はラ・ロシェールの宿の一室で目をさました。
隣でまだグースカ寝ているギーシュを見て、烈火はため息をついた。
昨夜は相部屋になったルイズとワルドが気になってほとんど寝られなかった。
起き上がり、ベッドに座り込む。
まだまだ体の疲れがとれていないのを感じたが、眠る気にはなれなかった。
…どうすっかな?
烈火が考えたとき、ドアがノックされた。
烈火がゆったりと立ち上がってドアを開けると、背の高い精悍な男ーワルド子爵が立っていた。
「おはよう、使い魔くん」
突然の訪問の一言目がそれかよ、と烈火は少しムッとした。
「何か用か? 今日は船は出ないんだろ?」
烈火がぶっきらぼうに言い放ったが、ワルドはかまわずにっこりと笑みを浮かべた。
「君は伝説の使い魔、『ガンダールヴ』なんだろう?」
「…なんでそれを?」
烈火は当然の疑問を口にしたが、なぜかワルドは誤魔化すように言った。
「いや、あれだ。僕は歴史と兵に興味があってね。 フーケを尋問したときに、君に興味を抱き、王立図書館で君を調べた。
その結果が『ガンダールヴ』というわけだよ」
烈火はさして興味もなさそうに相槌をうつ。
「はあ…で、それがどうしたんだ?」
「あの『土くれ』を捕まえた腕がどのぐらいのものか、知りたいんだ。
ちょっと手合わせを願いたい」
ワルドが自らの杖に手を伸ばしながら言うのを聞いて、烈火はため息をついた。
「手合わせ…決闘か。 ここのやつらは本当にみんな決闘が好きだな」
烈火が皮肉るように言った。
「僕が相手じゃ不服かい?
それに、戦えばわかるかもしれないぞ」
ワルドは少し間をあけ、言った。
「どちらが彼女を守るにふさわしいのか」
挑発的なワルドの言葉に烈火の目が鋭くなる。
「おもしれえ」
「手加減はしねえ」
烈火は吐き捨てるように言った。
「もちろんだ。 全力で来い」
対するワルドは余裕の表情を浮かべ、泰然自若といった様子だった。
ふたりは、今はただの物置場と化した練兵場で距離をとって向かい合っていた。
烈火はデルフリンガーを引き抜くと、目にも止まらぬ早さでワルドに切り込んだ。
しかし、ワルドは軽々と烈火の斬激をかわす。
ワルドのスピードは、ガンダールヴの力を発揮した烈火にもまったくひけをとっていなかった。
「なかなかやるな」
烈火の攻撃をかわしながら、ワルドは冷静に言った。
コイツ…強い!
少し斬り結んだだけで、ギーシュなんかとはレベルが違うのを感じる。
烈火は内心焦りながらも、暴風のようにデルフリンガーを振り回した。
「しかし、所詮は素人。我々魔法衛士隊は戦いのプロだ」
ワルドは烈火の斬撃をかわし、杖の一撃を烈火の背中にたたき込んだ。 激痛が走る。
「がっ…」
思わず烈火は膝をつく。
「それでは、本物のメイジには勝てない…つまり、君ではルイズを守れない」
ワルドは烈火に言い聞かせるように言った。
「ぐ…、この野郎ーっ!!」
烈火はたまらず炎をだした。
「むっ!?」
とっさにワルドは身を翻したが、魔法衛視隊のマントの一部が灰になった。
「ほう。これが君の炎か」
烈火は炎に包まれた右腕とデルフリンガーを握った左腕をがむしゃらに振り回した。
しかし、ワルドは風のようにヒラリと攻撃をかわす。
「しかしその程度の炎では、風に吹き返されて君自身を焦がすぞ!」
ワルドが呪文を唱えると、突風によって炎が烈火に跳ね返された。
「くっ…!!」
烈火はたまらず防御態勢をとり自らの炎を受け流す。
しかし、ワルドは炎を跳ね返すと同時に一気に烈火に接近し、杖で烈火の右手をうった。
「ぐああああぁぁぁ!!」
思わず右手をおさえる。
「相手の隙をつく。基本中の基本だ」
烈火は痛みに悶えてながら、何とかワルドから距離をとろうとる。
「デル・イル・ソル・ラ・ヴィンデ…」
その隙に、ワルドは次の呪文を唱えた。
「相棒、いけねえ! 魔法がくるぜ!」
デルフが叫ぶも、すでに遅い。
烈火の体は、見えない空気の塊に横殴りに吹っ飛ばされた。"エア・ハンマー"だ。
「うあぁっ!!」
痛みのあまり、デルフリンガーを取り落としてしまう。
樽や箱が並べてあるに突っ込む烈火。 頭から血が流れているのを感じた。
何とか膝立ちになり、転がっているデルフリンガーに手を伸ばそうする。
しかし、烈火がデルフリンガーの柄をつかむより一歩手前、ワルドの足がそれを踏みつけ、とどめとばかりに蹴り跳ばした。
ワルドは冷ややかに烈火を見下ろした。
「…わかっただろう。 君では、ルイズを守れない」
「…っ」
ワルドの言葉が、烈火の心を抉る。
「君が姫だなんだと言ってルイズに付きまとうのは、エゴに過ぎないんだ」
「…違う」
烈火は弱々しく反論した。
「まだわからないのか? 君はただの使い魔だ。
それ以上を求めるのは、ルイズにとって迷惑でしかないんだよ」
冷ややかな目が烈火を貫く。
「君自身が、よく考えるんだね」
優雅にマントを翻し、ワルドはを後にした。
『…仕方ねえよ、相棒。相手は"スクウェア"クラスのメイジだ。
お前さんが決闘したという小僧や、意志すらないゴーレムとはレベルが違うよ。
そんなことより、アイツ蹴っ飛ばすことはねえよなー。こちとら一応伝説の…あ、おいコラ』
喋り続けるデルフリンガーを、烈火は無理矢理鞘におさめた。
ひとつの決意を胸に秘めて。
しえん
そのころ、ルイズは部屋のベッドの上、ひとり考え込んでいた。
昨日の夜、ワルドに聞いた話のことである。
あの烈火が伝説の使い魔"ガンダールヴ"であり、その主人であるルイズは伝説の魔法系統"虚無"の使い手である。
…信じられなかった。
確かに、烈火の能力はただの平民とは思えないほどに高い。
握った武器を何でも使いこなし身体能力は向上、おまけに炎まで自由に操る始末。
正直、ゼロと呼ばれる自分とは釣り合いがとれていないほど強力な使い魔だ。
それでも、あいつが伝説の使い魔だとは思えない。
自分はワルドにからかわれているのだろうか。
そして、そのワルドとの結婚。
…ルイズ、任務が終わったら僕と結婚しよう。
昨日、事実上のプロポーズを受けた。
嬉しいはずだった。 ワルドは、子供のころから憧れていた人だった。
けれど、何故か素直に喜べない。
考えても浮かぶのは、自分の忍であり使い魔の烈火のことばかり。
もう、なんでコイツがでてくんのよ…!
任務のこと、自分のこと、ワルドのこと、烈火のこと…
ルイズの頭の中は様々な問題で混乱していた。
投下終了&支援サンクス。
今後もよろしくお願いします
乙でした〜!
乙。
この烈火は一の炎とかのアレを覚えずに新種の炎でも編み出すのかなぁ
提督の終わりがこのスレの終わりだったな
後は過疎るだけ
>>143 釣り針のつもりか純粋に馬鹿なのかどっち?
避難所といわず消えて無くなってほしいね
沢山読んだがこれほどの糞ヘイトSSはお目にかかったことない
これに比べたら某所で叩かれまくったドラゴンの奴が可愛く見えるわ
きつめの口調で批判してる人は、それに負けないくらいの作品を書ける自信があるからこそ、批判してるんだろうな
批判してる方の書く作品を読んでみたい
何か書いてくれないかな
今日は介護の日だから、ちぃねえさまの助けになる使い魔を考えませんか?
ヤマトの森雪や銀英のヒルダみたいに介護経験のあるキャラってどんな人がいるかな
>>145 君はきっと凄い作品が書けるに違いない
かつてのスレイヤーズ&キャラ対談付きとか
>>147 フランケンふらんのふらんさんなんかどうでしょうか。
>介護
看護婦系かメイド系かで方向が違くなりそう
これはあれかね
提督を批判していたのが久保に移ったのかね?
まあ、何にせよ作者様の才能に嫉妬してる社会の塵には決まっているが
>>148 凄い作品かどうかは知らないが、少なくとも住人を怒らせるようなSSは書かないぞ
怒らせる前に呆れられるもんな!
>>153 煽りに来た癖にマジレスしてんじゃねぇよ
>>149 150 152
なるほど、だったらハヤテのごとくのマリアさんとかもいいかもしれませんね
聖マッスルってもう召喚されたっけ?
>>152 根本改善させちゃうよ、あの人はwww
アミバだと大変な事態に陥るな。
ん?間違えたかな……
マリアさんは色んな意味であぶないですね
いっそのことウィリアムと一緒にエマさんとかどうでしょう
姉妹スレだと波紋使いと料理人が治してるか
どっちも使い魔じゃなかったような気もするが
>>147 純粋に医術でっていうのは難しいだろうね、描写的に
そういう意味では最近ではアクマの人に期待している
そして紙袋の人帰ってきてくれ・・・
,,. -─‐ ''"´ ̄ `ヽ
,. ‐'´ \
/ ,リ
/ ,.ゝ
! // 〈
| /⌒>yヽ fr'"'、 }
| , ' ´ ('´ `ー'´ l ノ
│ / ` レ' 今日、食堂でエマ中尉の髪型の話題で盛り上がった。
| (._ | 全員一致で亀頭をイメージしていたらしい。
| / -─- 、._ __,..ヘ! 隅の方で味噌汁を啜っていた
| r‐、 { ーヮニニ`ー' 〈ゥニ'‐.| ジャマイカンも吹き出していた。
ヽ | ,ゝ| ! ヽ、 | 食堂を出ると、エマが顔を真っ赤にして
} ヽ(、Ll r:ン' l 青筋立ててこちらを睨み付けていた。
{ ! { { /`ーi _,. -─‐ァ l  ̄ ̄`! 勃起したソレをイメージしてしまい
,ゝト、ヽ{ { `ー-- ' ,' | 吹き出しそうなのを必死に堪えていたのだが、
i( ヽミ`ヽ ヽ、 ー l 横でカクリコンが腹を抱えて大笑いしていた。
. | `'''┴-- 、.._ `''‐、 ,!、 亅 強烈なプレッシャーを感じた俺は、
| _____ ̄ ̄~ヽ` ー-r-‐ヘ ヽ く´ すぐさまその場から逃げ出した。
. ! |=<>=<>=| ト、-、r=ニ⌒ヽ.) ヽ 後ろの方で、カクリコンの
_,r=ゝ、  ̄ ̄ ̄ | ヽ. \ `ヽ } / 「前髪は抜かないでくれぇ」 という断末魔が聞こえた。
`ヽ ー-----‐‐┴、 } ヽ レ',ノ./`ー- この日以来、誰もエマの髪型の話をする者は居なくなった。
ちぃねえ様・・・
ただいまアニメ絶賛放送中のテイルズオブジアビスから
六神将・薔薇のディスト様
及び
ジェイド・カーティスとか
病の原因くらいはつかめるだろうな
その後は知らん(すみません・・・)
レプリカを組み合わせればストーリーが作れそうな気が
ヴァンの出番?
イシャはどこだ(ねじ式)
>>151 作者様の才能に嫉妬ってマジで言ってるのか?
炉端の石ころは無視できても、犬の糞は不愉快で無視できんだろ?
ちゃんと犬の糞でも、酔っ払いのゲロでも許容してくれる避難所があるんだから
そっちでして、メインを汚すなといってるだけだろ、どうしてそれがわからないんだ?
>>161 だったらむしろエマのご主人様だった先生とかは?
とりあえず毒吐き行けば?
ここで毒吐くなよ。
>>170 エマ=シーン召喚とな。
スマンスレ違いだ。
173 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 22:09:16 ID:1K3Ej13/
まぁ、落ち着けよ
批判は言い方次第でただの毒になっちゃうから、毒にしたいなら毒吐き行けよ
あとはテンプレにある通りに
>>166 ジェイド呼んだらルイズのストレスが…
逆にルイズが寝込みそうな
>>157 まだだと思う
まっする日本なら正月仮面・グリコーゲンX・酢堂玉金とともに来たが
ドクターバルカスを呼んでちぃねえ様をゾアノイドに調製してもらえば健康になるぞ。
>>ID:So3BA/bF
>>ID:/bkl7vi8
もう別の話題に移ってるってのに、ネチネチネチネチしつこすぎ
超兄貴から…
ごめん何呼んでも濃い展開になりそうw
>>178 キースを呼ぶよりマシだと思…
…そう言えばキースを読んだルイズは既に射たな
>>179
漫画版のイダテンの兄貴を呼んだら召喚されてもないのにアドンとサムソンが付いて来るのが見えた
ちい姉様を治せる人か…メフィスト?
>179
うみにんなら大丈夫だろう
しかしよく見ると歯が生えてたりでキモい
誰か蜂召喚しろよ
ヘイトしても問題ないぜ!
何しろ
死 ぬ が よ い
ふと思ったがシューティングゲームの戦闘機だけ召喚はアリだろうか?
ソルバルウとかビッグバイパーとかR=9とか
するのはいいが話が進みそうにないぞ
戦闘機自体にAIかなんかがあればなんとかなるんでないの?
自律行動できる戦闘機なら話も進むよ。
デュグラディグドゥとか。
怒首領蜂のアタッチメントドール召喚でええんちゃう?
>>175 某医大教授を召喚したら、ちぃねえさまがサイボーグにされてしまうな
そこでオパオパ召喚とかならどうだろう
>>189 例えあったとしても図体とか過剰過ぎる火力とかの問題で話に絡め辛いと言う
問題点がある。
頭脳戦艦ガル召喚
武器を使い魔にした場合、「触った人間(誰でも、またはルイズのみ)にガンダ補正がかかる」とかいう設定にしてしまえば、話を進められそう
ダライアスから魚共呼んだのがあったな。
しかしナイトウォッチ呼ぶ
ソルビアンカ号なら使い魔になりそう
>>197 ユニットガイバーをガンダールヴで召喚ですね。
小ネタで考えてたんだけど書くことなく忘れてた。
メンテナンスとかどうなるんだろ、と思ったけど
シューティングゲームの戦闘機は一発被弾したらほぼ即爆発だから大丈夫か
当たらなければどうということはないよね
普通当たらなくても整備は必要だろう、と思ったけど
固定化かければ問題ないか
そういやオリキャラ召喚のスレはないけど何で??
最近よく現実→ゼロの使い魔ってSS某サイトで見るんだけど
ここじゃそういうねないね
需要がないから?
そう言えば召喚されるキャラって「既に原作で完成されているキャラ」ばっかりで、
召喚されてから(特に精神的に)成長or学習・パワーアップって………現在進行形ではそれこそ烈火くらいだろうか?
まあ、原作のゼロ魔に足りないものをこっちで補完してるようなものだから、当然と言えば当然だが。
>>205 スレタイをよく見ていただきたいものです。
>>197 ゲキリュウケンが浮かんだ。
リュウケンドーは魔法がらみなので意外と合うかもしれない。
>>181 いや、むしろアドンとサムソンを召還だ。
こいつらなら7万の軍隊相手に無傷で勝てそうだ。
シューティングゲームならデススマイルズのキャラなら相性良さそうな予感
性能的にゼロ魔キャラより少し強いくらいだと思うし。
……場合によっては回避率異常で魔界大帝ぶっ殺せる強さだけど
ワセリンと鉄アレイを装備して召還を行うと・・・
>>211 ラングリッサーからの召喚なのか超兄貴からの召喚なのか。
ラングリッサーならもう混沌の王か光の女神を召喚してもいい気がしてきた。
>>197 既存の作品だと、封仙娘々から殷雷・静嵐の召還のやつがそれに近いな
でもあの作品では持ち主にガンダ補正は働いてるのかどうかは不明っぽいけど
人工知能付き戦闘機ならすでに召喚されているぞ
>>205 べつのスレにもしもがあるぞ
>>212 ラングリッサーを覚えてくれていることに感動した
源平討魔伝の平景清の召喚が見てみたい・・・
駄目だ。三種の神器や源頼朝含む軍団が表せん
>>200 むしろそれでまともに話を作れるなら見てみたいわ
たまに見かけるが固定化掛ければ整備いらないって考え方はおかしい。
>>208 テファの使い魔はおっさんで破壊の杖がマグナ轟龍銃とか妄想してしまった
>>217 飛んでいるナイトウォッチは無理でも、「冥王」なら話を作れるかもしれない。
フルパワーのナイトウォッチならちょっと動いただけでハルケギニアが滅亡するな。
ゼロ魔でイケそうなSTGキャラor機体か・・・
メンテフリーかメンテ設備ごとか・・・
パイロットはサイトがセットであれば召喚でガンダ補正で飛ばせる。
ヘイトが問題になるなら思い切ってダイモンズからヘイトを召喚
>>221 流石に精密な動作もできないと、そもそも宇宙船が壊れてしまう
実際目にも留まらぬ速さで突っ込んできても、月を壊さずに目標だけ破壊したからな
俺はてっきり2番目にダスクウォッチが呼ばれて3番目にファイナルウォッチが呼ばれるのかと
シューティングならツインビーとか
メンテナンス?
ベルでも喰わせとけ
ツインビーを抱きしめてるルイズの絵が浮かんでちょっと幸せ
>>186 ツインビーなら何の問題もないな
>>157 蓬莱クロスを書いてるんだが……何故かジョゼフが裸人教に入信してしまったので書き直し中orz
>>223 むしろベッケル博士を召喚してルイズやタバサがゼスモス使いに!
オパオパを呼ぶならどのオパオパを呼ぶのか問題だな。
ジリオンから呼ぶと戦闘能力皆無だしw
>>227のツインビー並みに和むのは確かだけど。
空を飛ぶ使い魔
パンツじゃないから恥ずかしくないもん
疲れているのかな
ルイズの場合は「(相手が)貴族じゃ無いから恥ずかしくないもん」
だな
233 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/11(火) 23:39:14 ID:M1Bc+2zz
名護さん呼ぼうぜ
パンツといえば虫姫さま&キンイロ
パンツと言えば、よろしく頼むよパンツおじさん
>235
出たな偽者め
>>232 > ルイズの場合は
「パンツじゃないから(ゴム切られたからずり落ちた)恥ずかしくないもん!」
じゃない?
>>205 現実→ゼロの使い魔っていう表現、というか現実→憑依(だっけ?)
とかいうジャンル(?)をこのスレで稀に見かけるが、一体どういう意味なん?
このスレでの投下はご法度みたいだけど。
ところで、部屋の角から沸いてくる“あの猟犬”に目を付けられたサイトを召喚する
ってのを考えてるんだが、完成したとしてやっぱ避難所が無難だよな? 予測される展開的に。
>>233 753を物語の前半から呼び出すか後半から呼び出すかで展開が大きく変わるな
ギャグ漫画日和より聖徳太子召喚
太子「床で食べろって…お前冠位十二階の何位だよ…。こんな食事我慢強いゴーレム吉田さんでもご立腹もんだよ…。」
某ストライダー「貴様らにそんな使い魔は必要無い」
>>240 ダメだ……w
例えガンダールヴだろうと太子の強いところが想像出来んwww
ちなみに漫画版の印象で凡人臭さが強いサムソンとアドンだが
あいつら実際の設定では年令一兆歳とか胸囲が100メートルとかいう怪物だぞ
アドンとサムソンと言われると、青鯨超重装猛進撃滅騎士団を思い出してしまう
>>237 温めてたネタやられたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
>>241 Thank you!
チラッと読んでみたが……なんか凄いな(色んな意味で)。
要するにドリーム小説とかと同じかな? ちょっと違う?
あ、サイトを召喚ってか、後から追っかけてくるティンダロスの猟犬がメインだからクロスになるかなーって。
まだ構想まとまってないからなんとも言いがたいけど、なんとも名伏しがたい展開になる率が高いから。
>>241 別の作品が絡んでるのなら向こうでは敬遠される。
あくまであっちはそう言った作品同士のクロスオーバー抜きでのIFを妄想するスレだから。
>>243 なんで蓬莱話をするといつもΩネタが出るんだ?
>>242 ……だってイザベラも入信したら避難所行きになるし
ちなみにおマチさんは御妖盗
>>247 俺は素で「あれ、あいつらこんな化け物だっけ?」とか考えたぜw
ベルセルクゼロの更新をいつまでも待ち続けます。
ライダーならぜひヒビキさん召喚してほしいな
ちなみに病院のカレーを確かにいつも食べていた俺だが、以前このスレで別の人がレスつけてるの見たから、最低二人はΩ者がいるぞ。
>>254 一号と二号が召喚されて、任務に失敗して瀕死の重傷を負ったタバサがV3として
おっさん二人がかりでタバサを改造するって、犯罪にしか見えんなあ。
>>258 ん、書きあがるまでに検討しとくわ、ありがとね。
問題なければ00:40から投下しようと思います
第4話への多くのレス、多謝であります。
波動拳支援!
電刃支援
灼熱支援拳!
灼熱支援
>>257 確かに犯罪だな
性能を把握させるためにマンツーマンでの特訓で勘違いされて余所余所しくされる本郷とか簡単に想像出来るな
あと波動支援
「な?眠りの鐘などいらんかったじゃろ?」
魔法学院学院長室にいた二人の男は自分たちの身長ほどもある鏡の前に立っていた。
鏡には先ほどまで決闘が行われていたヴェストリの広場が映っている。
”遠見の鏡”
遥か遠い場所までをも映し出すことのできるマジックアイテムである。
「だいたい、子供のケンカなんぞに宝物庫の品を使おうという発想がそもそも嘆かわしいわい」
「面目次第もありません」
頭をかく頭髪の少々寂しい男。
男はコルベールだった。
そしてもう一人はこの学院の最高権力者、学院長であるオールド・オスマン。
「で、彼の左手にあるルーンは確かに”ガンダールヴ”のものなんじゃな?」
自身の使い魔であるハツカネズミのモートソグニルにナッツを与えながらコルベールに問う。
「はい。間違いありません。図書館の資料で確認しました。あれは間違いなく始祖ブリミルの使い魔であった”ガンダールヴ”のルーンです」
「あらゆる武器を使いこなす伝説の使い魔・・・か・・・その割には彼は素手だったようにみえるがのう」
長く伸ばした真っ白な顎鬚をしごきながらコルベールに語りかける。
「学院の生徒を相手する程度なら武器など必要なかったのではないかと。
きっと武器を持ったらそれどころではなく強くなるのではないでしょうか」
「なるほどのう・・・あれより強くのう・・・。ところで、素手の彼に勝てると思うかね?」
「正直言って、自信はありません。特に最後に一瞬だけ見せたあの力。
鏡越しでも解りました。あの禍々しい殺気は只事ではありません。
それに、間近で見たワケではないので確信はありませんが、あれが全力だったとも思えません。
あからさまに手加減していたようには見受けられませんが、
それでも全体的にかなり力をセーブしながら戦っていたような印象は受けます。
もし彼が本当に力をセーブしていたのだとしたら、本気を出されたら私じゃ手に負えないでしょう」
コルベールが率直な感想を告げる。
「なるほどのう。かつて”炎蛇”と恐れられた君がそこまで評価するんじゃ。相当な使い手なんじゃろうのう」
コルベールの顔に陰が落ちる。
「・・・昔の話です・・・では、早速王宮に報告しなければ・・・」
「それには及ばんよ」
コルベールを制するオスマン。
「しかし、ガンダールヴの出現などという、これほどの一大事、報告しないわけには・・・」
「まだ彼がガンダールヴであるという確たる証拠はないじゃろ。
それに、もし彼が本当にガンダールヴだったとしたら、
王宮のアホどもは間違いなく彼を戦争の道具にするに決まっとるわい。君なら分かるじゃろ」
やれやれと肩をすくめるオスマン。
「確かに・・・そうかも知れませんね。あんな地獄を再び作ってはいけない・・・」
鎮痛な面持ちで同意するコルベール。
「さて、そろそろ授業の時間じゃろ?君も教室へ行きたまえ」
空気を変えるように、オスマンが告げた。
真空竜巻支援
ルイズに連れられて入った教室は、アルヴィーズの食堂ほどではないが、それでも十分に大きな部屋だった。
すり鉢状になっており、一番低い場所に向かって椅子と机が並んでいる。
大半の椅子には既に生徒が座っており、ルイズとリュウが教室に入るなり、一斉に二人に視線が集まる。
「あれがゼロのルイズに召喚された平民だろ?」
「平民のクセに青銅のギーシュに勝ったらしいぜ」
「ああ、僕は決闘を見たぜ。ありゃあ、とんでもないヤツだ」
「そうかな?ギーシュが不甲斐ないだけなんじゃないのかい?彼、ドットだし」
口々に好き勝手言う生徒たち。
それらを全て無視して教室内を進む。
いつもは侮蔑の眼差しを受けながら教室を進むルイズだが、今日に限っては自分よりも使い魔の方が注目を浴びている。
ルイズは適当に空いている席を見つけてさっさと座った。
「俺はどこにいればいい?」
教室の机に生徒以外が座るのは流石にまずかろうとルイズに問うリュウ。
「本当は使い魔は足元か教室の後ろにいることになってるんだけど、アンタ人間だし隣に座ってていいわよ」
使い魔なんだから床に座ってなさいと言いたいところだったが、今朝の二の舞は二度と御免なので素直に隣に座らせる。
なんか、もうご主人様と使い魔の関係にはなれそうもないなぁ・・・などと半ば諦めることにした。
波動拳支援
「ゼロのルイズ!魔法が使えないからって平民の物乞いを連れてきて使い魔にするなんて面白過ぎることするなよ!」
数メイルほど離れた席に座っていた小太りの少年から一際大きな野次が飛ぶ。
彼は決闘の現場にいなかったので、リュウの恐ろしいほどの強さを知らない。
仮に見たところで、理解できるかどうかは怪しかったが。
「違うわ!本当に召喚したのよ!黙ってなさいよ!”風邪っぴき”のマリコルヌ!!」
ルイズも負けじと言い返す。
自分のことなら言われ慣れているが(それでも言い返す)、リュウのことを馬鹿にされると我慢がならない。
「僕は”風邪っぴき”なんかじゃない!!”風上”のマリコルヌだ!!」
などとやっているうちに教師と思しき中年女性が教室に入ってきた。
「静かにしなさい」
パンパンと手を叩きながら生徒に注意を促す。
「ミス・シュヴルーズ!ヴァリエールが僕のことを”風邪っぴき”だなんて言うんです!!」
マリコルヌが教師に抗議の声をあげる。
ルイズが「言い出したのはそっちでしょ」と反論しようとしたところ、隣に座っているリュウに諌められた。
「授業が始まるんだろう?言いたいヤツには言わせておけばいい」
「でも!」
「相手に合わせて自分まで貶めることはない」
リュウに諭されておとなしく黙るルイズ。
しかし握り締めた両手はプルプルと怒りに震えている。
「くだらない言葉で貶め合うよりも、魔法の実力で見せ付けてやればいい。それだけのことだ」
ルイズが魔法を使えないことを知らないリュウは怒りを収めてやろうと思い言葉をかけてやったが、
それはルイズを一際傷つける言葉に他ならなかった。
握り締められていた手からは力が抜けた。
溢れそうになる悔し涙をリュウに見られぬよう、そっぽを向く。
リュウはルイズが怒りを堪える為に顔を逸らしたのだろうと解釈した。
ちなみにその頃、延々とルイズの悪口をまくしたてていたマリコルヌは
「友達を悪く言うものではありません。少し反省してなさい」
というシュヴルーズの言葉と共に錬金された赤土の粘土によって口を塞がれ、モガモガ言っていた。
昇竜拳支援
鎖骨支援
足刀支援
「私はこの授業が一番楽しみなんです。なんといっても、皆さんの召喚した使い魔を見ることができますから」
満面の笑みを浮かべて教室内を見回す。
「まぁ、サラマンダーに風竜までいるなんて、今年は優秀ですね。素晴らしいですわ皆さん。」
シュヴルーズの目がリュウで留まる。
「あら、あなたはミス・ヴァリエールの使い魔ですね。これは珍しい」
別に馬鹿にした風でもなく、単に学術的に珍しいものを見た感想を述べただけだったが、
今のルイズにはそう解釈できるだけの余裕がない。
馬鹿にされたとしか思えずに、またフルフルと握り締めた手を震わせる。
「では、授業を始めますよ。魔法には四大系統が・・・」
授業の内容はリュウにはイマイチ解らなかったが、火や水、風、土というように系統別になっているらしいことは理解できた。
そして、どうやら使い魔というのはそのメイジの系統に付随したものが呼びだされるらしい。
例えば、キュルケなら火のサラマンダーといったように。
では、自分を呼び出したルイズは何の系統なのだろう。
ケンなら間違いなく”火”の系統だろうし、雷は風の系統らしいので、アマゾンで出会ったブランカならきっと”風”だ。
しかし、自分には特にそういったものはない。
無理矢理当てはめるとしたら恐らく”殺意の波動”になるなのだろうが、これは聞いた四大系統というものとは明らかに別種のものだ。
授業が終わったらルイズに聞いてみよう。
あれこれ考えている間にも授業は進む。
「・・・では誰か、この小石を何かの金属に錬金してみてください。
そうですね・・・ミス・ヴァリエール。貴女にやってもらいましょう」
ルイズが当てられた瞬間、教室内がざわついた。
「い・・・いや・・・それはちょっと・・・」
「ミス・シュヴルーズ!それはやめた方が・・・」
方々から声が上がる。
事情を知らないシュヴルーズはそれがイジメのようなものだろうと解釈した。
「皆さん、魔法学院は学び舎です。皆が等しく魔法を研鑽するべき場所なのですよ。
そのような発言は認められません。ミス・ヴァリエール、大丈夫ですね?」
「はいっ!」
元気良く答え、教室の前まで進み出る。
リュウは言った。『実力でみせつけてやればいい』と。
今までは失敗してきたが、今回は成功するかもしれない。
だって、サモン・サーバント<召喚>もコンストラクト・サーバント<契約>も成功したではないか。
きっと今回も成功する・・・
自分に言い聞かせ、錬金の呪文を唱えながら杖を振り上げる。
と同時にシュヴルーズとリュウ以外の全員が机の下に避難した。
「ゴメンね〜。成功を祈ってはいるけど、やっぱり怪我したくないし」
キュルケもそう呟くと、他の生徒同様そそくさと机の下に避難した。
私怨
ルイズが呪文を完成させ、杖を振り下ろす。
と同時に起こる大爆発。
リュウの目の前に高速で机や椅子の破片、割れた花瓶などが飛んできた。
それらの全てをことごとくかわす。
爆心地にいたシュヴルーズは教室の壁に叩きつけられて失神している。
奇跡的に大怪我はしていないようだ。
一方、同じく爆心地にいたルイズはボロボロになりながらも、たいした怪我もなく口からケホッと煙を吐いている。
「ちょっと失敗したようね・・・」
「どこがちょっと失敗なんだよ!!!」
周りから一斉にツッコミが入った。
背負い支援
ルイズは黙々と自分が破壊した教室を片付けていた。
意識を取り戻したシュヴルーズは「失敗を責めるつもりはありませんが、とりあえず教室は片付けてください」
と言い残して医務室に担ぎ込まれた。
こんな状態で授業などできようはずもなく、皆は少し早いが昼食をとるためにアルヴィーズの食堂に移動したが、
大半の生徒は教室を出て行くときにルイズを睨み付けていった。
教室に残っているのは後片付けをしているルイズとリュウのみ。
リュウが大きな机や椅子を並べていき、ルイズはそれを綺麗に拭いていく。
長い沈黙の時が流れる。
リュウは何も言ってこない。ただ、黙って教室の後片付けを手伝ってくれている。
リュウはわたしが魔法を使えないと知って呆れてしまっただろうか。
わたしは、リュウにも愛想をつかされて、またひとりぼっちになるのだろうか。
リュウになんと言えばいいのか分からずに黙っていると、リュウの方が口を開いた。
「一度でだめなら、何度でも試す それを繰り返せばいい」
静かに優しく、しかし力強く言うリュウ。
それを聞いて、ルイズはポツリポツリと話始めた。
「わたしね、魔法が使えないの。だから『ゼロのルイズ』。魔法がゼロのルイズなのよ」
黙って話を聞くリュウ。
「小さい頃から、一度も成功したことがないわ。いいえ、一度だけ成功したことがあるわね。あなたを召喚したときよ。
でも、その1回きり・・・」
「勉強は・・・たぶんみんなよりはしてると思うわ。魔法を使えるようになりたいから、それこそ昼も夜もなくね。
おかげで実技以外はこれでも優秀なのよ。」
ルイズの目から大粒の涙が零れ落ちる。
「でもね、どうしても魔法が使えないの。
どんなに簡単な魔法でも使おうとすると、さっきみたいに爆発するのよ。もう何百回、何千回爆発したかも分からないわ」
床に落ちた涙が滲んでいく。
「せっかく貴方はそんなに強いのに・・・ご主人様のわたしがゼロなんじゃね
・・・ゴメンね・・・リュウ・・・わたしなんかに呼び出されちゃって・・・」
堪えられず、嗚咽を漏らし始めるルイズ。
ついに言ってしまった。自分がゼロであることを。
これでリュウは自分の元から去っていくだろう。
これほど強力な使い魔の主人がこれではそれも仕方ない・・・
それまで黙って聞いていたリュウが、口を開いた。
ルイズは今から死刑宣告を告げらるような気持ちでリュウの言葉を待つ。
真・昇竜支援
どすこい支援
「俺は闘うことしかできない。だから上手く言うことはできないが・・・
本当の敗北というものは勝負に負けることじゃあない。
前に進むことを止めてしまったとき。自分を誤魔化し、諦め、裏切ってしまったときが敗北なんだと、俺は思う」
静かに続けるリュウ。
「それに、1回きりでも成功したのなら、次の1回を目指せばいい。それだけのことだ」
不思議そうな目でリュウを見つめるルイズ。
「目指すものがある・・・それが大切なことだ 」
そこでリュウは言葉を区切った。
「リュウはわたしを軽蔑したりしないの?わたしの元から去らないの?わたし、魔法が使えないのよ?」
覚悟していた別離宣言という名の死刑宣告が出てこないので、思わずたずねる。
「ルイズが前に進むのを止めたとき、俺は君の元を去る。
だが、俺は君の使い魔なんだろう?だったら、ひっぱたいてでも前に進ませるさ」
笑顔で答えるリュウ。
「・・・使い魔がご主人様をひっぱたくなんて・・・許さないんだから」
まだ涙は溢れていたが、ようやくルイズの顔にも笑みが戻った。
それからまた教室の片付けを再開する。
「リュウは本当に強いのね」
「打ち破れぬ壁はない・・・鍛えつづけた歳月が教えてくれただけだ」
授業は散々だったが、この片付けの時間は悪くなかった。
そう思うルイズだった。
初代スト2のタイガーアッパーカットがアンポンタンに聞こえる支援
以上で投下終了です
今回は後半、ゲームのリュウのセリフが3つほど入っております。
それにしてもなんてカッコイイ勝ちセリフを言うんだこの人は・・・
ちなみに何気に原作読み直してたら、ジェシカってば黒髪じゃないですか。
ってことで、そのうちまとめのゼロと波動第二話のシエスタの発言を修正しときます。
284 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 01:01:23 ID:sq42JIum
小PP小K→強P
俺は初代ストUのサガットの技は
タイガーショット→アイグー
タイガーアッパーカット→アイグーアッパーカー
だったな
スクリューパイル支援
乙昇竜拳
乙!
波動の人乙!
リュウカッケーよ!
乙!
相変わらずリュウカッケーw
作中で負ける話作っても”しょーりゅーけん”と叫びながら目をキラリと光らせる
そんなリュウをふと想像した
漢だよ、リュウ(GJ!)
デルフに出番があるか心配です。
カプコンの格ゲーでデルフが似合いそうなヤツって誰だろう?
ドノヴァンかハヤトか?
スパイダーマンとお喋りで決まりですよ
ジン・サオトメなら似合いそうだ
はっ・・・ビシャモン(ヴァンパイア)とか
ジン・サオトメよりはガウェイン・マードックだろう
名前忘れたがジャス学のラスボス
ソドムと飛竜
正確には格ゲーにも出た非各ゲー出身だが
ハガー市長だと剣より鉄パイプだよな・・・鉄パイプってガンダールヴ反応するんかな?w
シルバーサムライ(by X-MEN)に決まっているじゃないか。
ところでこのスレと避難所のラインってどこらへんまで?
かのこんレベルのエロさならおっけーなの?
ウォーザードのレオとかどうよ?
素で大剣装備してるキャラクターだから違和感なしじゃね?
>>300 つまり、謎の日系人カルロス宮本の出番だな!
STGか。
少女兵器の人、帰ってこーい!
>>302 アニメ版なら見た事あるけど自分が書くんだったら避難所かなぁ・・・
主観だけど。
>>302 原作レベル
つまりヒロイン二人が裸でクリームプレイまでは可
>>307 書き方にもよるだろうけど、それはダメだろう……
全年齢板だからパンチラも駄目ざます
そういえば、キュルケがヒロインのストーリーは見たことがないな。
性格の問題か?
キュルケはルイズたちと比べて性格面の破綻というか心の闇が乏しいから、かえって動かしづらいという印象が
キュルケは他のキャラと違って、特に乗り越えなければならない壁や人生の影がないし、人格的にもほぼ完成されてるからな。
原作でも成長の描写は学院襲撃のコルベールの奮闘くらいだし。
タバサやイザベラはそれがはっきりあるから多用されてるんだな。
>>310 ノリダー海でエキストラが溺れるんですね。
>>298 忌野雹(いまわの・ひょう)。
恭介の兄であり伐のいとこ。実は亡父の洗脳で操られており、ある意味被害者とも言える存在。
燃えろ!ジャスティス学園では塩沢兼人氏の急逝により彼の死亡も決まったらしい。
ラノベなのでヒロインは未婚の若くて可愛い女の子でなければいけません
キュルケは人妻若奥様昼も夜もすんごい絶倫ですのでヒロインにすると避難所行きです
>>313 うしとらの秋葉流ポジションですね
わかりま……す?
藤田ライクな「いい笑顔」を浮かべるキュルケか……
怖ぇぇなぁw
>>312 冴羽りょうやコブラやルパンみたいな女好きキャラとならいけるんじゃないか?
まあどれもアクが強すぎるんだけどな
>311
DODのカイムとアンヘル召喚ぐらいだな
>>308 それで駄目だったらゼロ魔そのものがアウトじゃね?
(るるる)位のエロさならいいんじゃね?
あれ結局子孫残せたのかよくわからん。
エロいのは詳しく描写せずにオチとして書き添えるだけでいいんじゃないかなあ
詳しく描写したいのならエロ専門の場所でやればいいのよ!
まとめでは欠番にする覚悟でな!
漫画での基準だと、性器の直接描写とそれを顕す言葉がでてこなかったらオケーと聞いたことがあるけどね。
少年漫画や少女漫画では。
少年漫画でどんだけエロい描写が許されるかについては、キラリティーとか読むとわかりよい…。
>>312 よく覚えていないけど、
アトリシエーズのエリー喚びだしたのがそんな感じじゃなかったっけ。
キミ達ご立派な使い魔を忘れていないかい?
あのレベルがあるんだww
ある程度は許容範囲だろwww
>>316 いやいや、全裸にマフラー・ヘルメット・ブーツ装備でバイクに乗って登場だろ。
泣きながら「キュルケ!!」と叫ぶタバサが目に浮かぶようだ。
>>316 感動させる前の思いっ切り怖がらせるような笑顔?
FPSキャラで書こうとしてるけど、中々難しい。
フリーマンは全くもって喋らないし、Portalのsheも喋らないし、というかみんな喋んねぇよ!
キュルケメインなら“微熱”の使い魔とか一応あるが…続きが見たい
キュルケの使い魔×サイト(ルイズの使い魔)
っての他にも見たいネタだが…
一応地球出身でサイトと同世代の”炎”属性の女子高生キャラとか
10分後投下OK?
しえん
ルイズと別れたダ・サイダーは、目的も無く歩き回っていた。
(俺様の本能が告げている…ここは、異世界なのだと……)
ダ・サイダーは、肩のパットを叩きメタコを起こす。
「ダーリン?…どうしたジャン」
「メタコ……ここが、異世界だとしたら…」
いつになく、弱気なダ・サイダー。
「ダーリンが居れば、異世界でも関係無いジャン」
「真面目に答えてくれ…俺様は…脱出できると思うか?」
メタコもアドバイザーメカだ。ダ・サイダーにアドバイスを送る。
「ここが異世界と仮定するジャン…今すぐ脱出というのは無理ジャン。
それに異世界なんて珍しい事じゃないジャン。しっかりするジャン、ダーリン」
「異世界が珍しくない?……メタコ、どういう事だ」
もはや、ダ・サイダーの思考回路は停止し、メタコに頼るのみ。
「守護騎士も異世界に収納してあるジャン。それに、ラムネスも異世界に居るジャン」
メタコに言われて気がつく。
「こんな事を忘れるなんて…どうかしていたな………メタコ!飯食いに行くぞ!道案内頼むぞ!」
「わかったジャン!」
いつもの調子を取り戻し、ダ・サイダーは食堂に向かった。
一方ルイズはというと、食事もせずダ・サイダーの事を考えていた。
(アイツ…宝とか何とか言っていた…そんなの聞いた事無い…アイツは何者なの?)
ルイズにとってダ・サイダーは、ただのバカではなく正体不明の人物と認識されていた。
(この学院に詳しいみたいだから…メイジ?…でも…アイツは貴族には見えない…コックとか?)
などなど、ルイズは様々な可能性を見出すが……どれもしっくりこない。
「ここで考えていてもしょうがない。直接聞こう!」
ルイズの瞳に炎が灯る。『決意』という炎が………
ダ・サイダーはというと………食堂でご飯を食べていた。
本来この食堂は、平民は入れないような場所なのだが…この男には関係無かった。
この男が勇ましく、目の前にある料理を食べていると…男と女の声が聞こえてきた。
その声に反応したのか、メインの肉を取ろうとした手が止まった。
「オイ!メイド!君がぶつかったから、この薔薇の様に美しい僕の服が汚れてしまったではないか!」
「申し訳ありません。申し訳ありません。」
言い争っているのは、ギーシュと朝ダ・サイダーが口説こうとしたメイドのシエスタの2人。
「謝ってすむと思っているのか?…このギーシュ様を汚した罪は万死に値する!!!」
「申し訳ありません…どうか…どうかお許しください…」
「光栄に思え…この僕が…じきじきに手を下してやる。公開処刑だ!!!」
完全に怒りに身を任せているギーシュ、そして絶望するシエスタ。
この場にいる者はギーシュを止める事を諦めた……その時、一本のナイフがギーシュの顔を掠めた。
「何だ!?誰だ!!」
「フフフ…今のお前は『薔薇』とは思えんな…さしずめ『食虫植物』か…」
「この声…『ゼロ』いやルイズの使い魔か…良い度胸しているではないか!」
ダ・サイダーが2人の前に姿を現わす。
「貴様の薄汚い牙を女性に向けるのならば、この俺様が相手をしてやる!」
「彼女をかばい、公開処刑を受けるのだな…良いだろう…ヴェストリの広場だ。来い!」
ギーシュは意気揚々と向かっていった。
「メタコ…行くぞ!」
「あ、あなた殺されちゃう。やっぱり私が…」
シエスタの頭を軽く2回叩く。
「フ……困っている女性を助けなくて何が『勇者』だ…安心してな」
ダ・サイダーの目付きが変わった…勇者『サイダー』の血を継ぐ者、勇者『ダ・サイダー』へと……
こちらは、『学院長室』と呼ばれる部屋にて………
中では、1人の老人が読書をしていたのだが、コルベールの来訪により読書を中断させられていた。
「彼は始祖ブリミルの使い魔『ミョズニトニルン』かもしれないんです!ルーンが同じなのです!」
「で…なにか問題でもあると?」
「大ありです!彼はあらゆるマジックアイテムを使いこなすのですよ?
それに『神の頭脳』と呼ばれているのですよ?これが大事じゃなくてなんなのですか!」
一人興奮するコルベールに対し、のんびりとしている老人。
「ミスタ・コルベール、君の結論はどうなんじゃ?」
「それは………」
コルベールが黙り込む。その時、眼鏡をかけた緑色の髪をした美しい女性が、かけ込んで来た。
「た…大変です!ヴェストリの広場で、公開処刑とか何とか騒いでいます!」
「誰がそんなバカな事を?」
「ギーシュ・ド・グラモンです。」
老人は呆れたように言う。
「ふぅ…で相手は誰だね?」
「ミス・ヴァリエールのあの使い魔です」
コルベールが話しに割ってはいる。
「ここは『眠りの鐘』を使うべきでは?」
「放っておきなさい」
老人の判断にコルベールと女性は驚く。
「ミス・ロングビル、水のメイジを集めておきなさい。今すぐにじゃ」
「はい」
ミス・ロングビルが去っていった。
「ミスタ・コルベール、気になりませんか?」
「ええ…まあ」
老人が杖を振ると、壁にかかった大きな鏡に、ヴェストリ広場の様子が映し出された。
ダ・サイダーによって救い出されたメイドのシエスタは、ある人物を探していた。
(私のせいで…私の…止めてもらうよう、お願いしないと…あの方に)
シエスタが探しているのは、ダ・サイダーの主ルイズを探していた。
ルイズは教室にいた。
「どこ行っちゃたのよ!フラフラして…アイツは!」
その声を聞いたシエスタがルイズのもとに行き、事情を説明した。
「アンタ…それ本当なの!」
「はい…ミス・ヴァリエールだけなのです。お願い致します。どうか…どうか…」
このシエスタ良く見れば、瞳に涙を浮かべている。
「わかったから、後は私に任せて…ヴェストリの広場ね…あのバカ…」
こうして、ルイズもヴェストリの広場に向かった。
ルイズの炎は、決意から怒りに変わった。
ヴェストリの広場にて………
「諸君!始めるぞ!」
ギーシュが薔薇を掲げ周りを盛り上げる。
「ギーシュが決闘するぞ!相手はルイズの平民だ!」
こんな歓声にギーシュが反論する。
「決闘ではない!処刑だ!」
ダ・サイダーとギーシュが睨み合う。
「使い魔…覚悟はいいな?」
「美少女に牙を向ける者に負ける気はしない」
「そうジャン、そうジャン。お前なんか薔薇じゃなくて、飴でもしゃぶって、寝てろジャン」
不敵な笑みを浮かべるギーシュ。
「さてと、では始めるか」
「メタコ…サーベルを出せ!」
ギーシュは薔薇の花を振り、花びらが一枚宙に舞った……。
甲冑を着た女戦士の形をした、人形となる。
ダ・サイダーはサーベルを構え、警戒する。
「何だ?人…じゃない…ロボットか?…メタコ…状況判断…頼むぞ」
「わかったジャン」
「僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」
ワルキューレがダ・サイダーに襲いかかる。だが、華麗に攻撃をかわし一度、距離をとる。
「ダーリン…コイツ…弱いジャン」
「メタコ…今更何を言う…アイツが弱いのでは無い。この俺様が強すぎるのだ」
そして、ダ・サイダーがサーベルを片手にワルキューレに突っ込む。
ワルキューレは、ダ・サイダーに対しパンチを放つも空を切り、懐に潜り込まれた。
「もらった―――!!!」
右肩から斜め下に切り払う斬撃。だが、激しい金属音を立て、サーベルは右肩で止まった。
「な…切れないだと…」
「フフフ……無駄だよ。これで、終わりだ―――!!!」
ギーシュの声とほぼ同時にワルキューレの左ストレートを放つ。
「あ……」
ダ・サイダーは顔面に左ストレートを受け後方に吹っ飛び、そのまま動かなくなった。
「フ…あっけない物だな…」
ほとんどの者が、全て終わったと思ていた。
だが……キュルケとタバサそしてメタコはまだ、終わってはいないと確信していた。
キュルケとタバサは、ダ・サイダーから発せられる闘志を感じ。
メタコは、ダ・サイダーの真の強さを知っているため『ハルバード』を準備していた。
以上今回はこれで、投下終了です。
乙
あれ、ダ・サイダーの剣って日本刀じゃなかったか
小説によると、ソードになってる
>>329 ダメだな。火星に代わって折檻したり、ハイヒールでお仕置きしてくれる人くらいしか思いつかん
>>329 某神凪綾乃とか…?
獅堂光…は中学生か。
>>341 >某神凪綾乃
もれなくセットで風精霊王との契約者がついてきそうな。
タバサに召喚されるんでなく、自力で綾乃を追ってハルケギニアに転移して来そうな所がまたなんとも。
>>323 先生、昨今の少女漫画はどう見てもセクロス全開です
>>329 杉乃浦春海呼んだらハルケギニアが崩壊しちまうぜ
>328
加重コンパニオンキューブで
>325
避難所限定のネタを引っ張り出してきてお前は脳みそがマヌケなのか
>>329 炎の使い手の技はほとんどの作品で似たようなもんだからな(基本的に攻撃系で火を使う。当たり前だが)
召喚されたら、メイジ扱いされるか不気味な先住魔法の使い手扱いされるか…
>>345 もう少しオブラードに包んだ物言い覚えませんか?
正しい意見でも乱暴な言葉使いでは人の心には届きませんよ
ご立派は頻繁に名前が出てくるから最近きた人とかは
避難所の作品と知らないのが多いんじゃないの。
キュルケにヒトカゲ召喚させようぜ!
ほとんどの属性に対応可能ということでレインボーマンはどうか?
破壊のゴーレムとしてレインボーセブンが
ジョゼフが召喚した氏ね氏ね団によるニセエキュー札ばらまき作戦でハルケギニアが超インフレ大不況に
>>349 ルイズがなんだったかのポケモン喚んだ奴で
キュルケが喚んでいたぞ。
変なサラマンダーとして認識していたけど。
ギーシュをかなり酷い扱いしてフェードアウト(死)させるのはありだろうか
理由はつけるし、その過程も書くつもりはあるんだが……
ヘイトヘイトと騒がれるのならフォローを入れるつもりだ
現在書き溜めている最中。とりあずフーケまで書けたら投下していくつもり
>>352 読んでみない事には何とも言えんのです
まずは投下してみるがよろしかろ
面白ければ賞賛を惜しまないし面白くなければテッテ的に罵倒します
>>352 理由があるからと言ってあまり、ゼロ魔のキャラを酷に扱うのは良くない
(過去の経験より)
>>352 ジョジョスレで普通に外道だったギーシュがプロシュート兄貴に
超老化⇒首の骨をごきゃりコンボ喰らって死亡というのがあったな
>>352 その「かなり酷い扱い」とやらの程度にもよる。
面影も無いほどキャラを崩壊させて(極悪人化、異常なまでの小悪党化、小物化など)からとか、
精神的に追い詰めまくって発狂させるor廃人にさせてからトドメとして死なせるとか、
およそ君が考え付くあらゆる激痛や苦痛などを凄惨な描写と共に書くとか、
そういう話を書くつもりならばヘイトだの蹂躙されても仕方あるまい。
ちなみに私はギーシュがけっこう好き。避難所にセリフ抜粋を投下してしまうほどに。
>>355 ありゃ基本的に何の罪も無い一般人を殺すと思ったときにはもう実行してるんだ!
とか言って殺すような人が殺してるから、あんまり外道だとかどうだとかは関係ない気がする
>>353-354 ですよねー
>>355 あの作品は大好きだ。かっこいいぜ生ハム兄貴
>>356 >精神的に追い詰めまくって発狂させる
これに近いかな。俗に言う「死んだらどうする!」をやらせるつもりだったのです。ロープで
酷い目に合わされるも、彼の精神力と恋人の存在で持ち直す、というパターンに変える事にしますわ
たくさんの意見、とても参考になりました。ありがとうございました
>>311 「ここは、神の国か……」でお馴染みのゲームのどれかはそんな感じだったような
ジョゼフとエルフの話している内容がチンプンカンプンで、なぜか鮫の話を振る使い魔が見えた!
>>361 神の国が言いたかったんです、すいません。
ついでに
>>362はアンカ忘れてました、
>>350宛です、すいません。
>>352>>359 こんな私に言われてもアレでしょうけど、不安ならとりあえず避難所に投下して反応を窺ってみるってのはどうでしょうか?
それで本スレに投下しても問題が無さそうであれば、本スレに投下し直すと。
姉妹スレのフーゴなみにキレてもいいと思う
オヤシロ様レベルにキレてもいい
>>359 >俗に言う「死んだらどうする!」をやらせるつもりだったのです。
ギーシュが横島忠夫化するんですね、わかります
提督のギの字はフェードアウトしていったな。
>>367 決闘イベントすっ飛ばされた珍しいケースだったからな
その後はマの字といっしょに最後はあれだもん
あれはその後が気になる
>>368 元々アンリエッタに過剰に心酔しているキャラだからああなるんだろうな
常識的かつ忠義や信仰に懐疑的だったらかえっておかしいし
まぁあのラストで出てこなかった人達は世界の変化に埋もれるしかなかろうな
>>369 自分はウェールズとワルドがどうなったのか気になる
ワルドは自ら命を絶つこともできるが、ウェールズはアルビオンの事もあるから死ぬこともできないし
広げた風呂敷を必要な分だけたたんだ、って感じの終わりだったからなぁ。
話の着地点を決めるって難しい…。
提督のないこのスレに何の意味があるのだろうか
毒吐きへ逝け
予約がないようでしたら30分より小ネタ投下します。
ナムコ往年のシュールゲー『メトロクロス』より、傷だらけのランナーを召喚です。
若者への配慮、一切無しでいきます。
提督は連載してた時に基地外アンチが粘着してたから、早めに終わらせよう、てのもあったのかなあ。
薔薇乙女みたいに外伝として後日談を書いて欲しいな。
正直、元ネタがさっぱり分からないが支援。
「宇宙の果てのどこかにいる 私の下僕よ
神聖で美しく そして強力な使い魔よ
私は心より訴えるわ! 我が導きに応えなさい!」
ルイズの出鱈目な詠唱が響き渡る。
ゼロのルイズがどんな使い魔を召還するのか、居合わせた一同の注目が集まる。
しばしの沈黙。痺れを切らした学友の一人が、罵声を浴びせようとした…… その時!
ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃん ちゃちゃー ちゃちゃちゃん!
という、妙にレトロなBGMが、天空より響いてきた。
「なんだ! この郷愁を誘うメロディは?」
「見ろ! ルイズの前に真っ赤なゲートが!」
鳴り止まないポップなメロディ、未だかつて見た事がない深紅のゲート。
ルイズは一体、何を召還しようとしているのか。
固唾を飲んで、一同がゲートを見守る。
「この色は 何の兆候…… ぐはッ!」
引率役のコルベールが不用意に近づいた瞬間、それは起こった。
突如、ゲートの色が赤から青へと変わり、ヘルメットをかぶったツナギ姿のアゴ男が一名、
コルベールの禿頭を足蹴にしながら登場したのだ。
「へ 平民ですって! ……って ちょっと待ちなさいよッ!?」
男はルイズの言葉も聞きもしない。
まるで、何かに取り憑かれたかのように、ギャラリー目掛けて突進する。
「誰かッ 誰かそいつを止めて!」
ルイズの叫びで我に返った生徒が数名、慌てて杖を構える。
未だ修行中の身とは言え、彼等は皆、有望なメイジの卵である。
走る事しか能の無いアゴ男など、簡単に打倒せる筈だった。
だが、キュルケの放った火の玉は、男の流れるような横移動にあっさりとかわされた。
タバサの横薙ぎのエア・ハンマーも、男の見事なジャンプで飛び越えられる。
そしてギーシュ自慢の七体の戦乙女は、男の爆走の前に、空き缶のように弾き跳ばされた。
「くッ……! アンタ 止まりなさいよ!」
ここで使い魔に逃げられてはたまらない。
あいつを捕まえ、無事に契約を結ばなければ、ルイズは留年なのだ。
馬を取りに行く時間はないが、幸い彼女は徒競争には自信があった。
「待ちなさいってばアァァァー!」
呆然とする一同を置き去りにして、二人は校門の外へと飛び出して行った。
・
・
・
二人が走る。
街道を駆け抜け、草原を乗り越え、道なき道を突き進む。
男の尋常ならざるスタミナにルイズが驚愕する。
既に全身は汗だくで、薄桃色の髪は大きく乱れ、
上等なマントもスカートも、泥まみれで大きく破れているが、そんな事を気に留めている余裕は無い。
「くっ…… 何なのよ アイツ……」
やがてルイズは、奇妙な異変に気付いた。
走りにくい湿地帯に入ったと言うのに、男のスピードがぐんぐん加速しているのだ。
と言うか、遠目には足を動かしていないようにすら見える。
「あっ!?」
ルイズが思わず叫ぶ。
男はいつの間にか、偶然落ちていたスケボーに乗って湿原を疾走していた。
「卑怯よッ!」
怒鳴りつつも、ルイズはやはりたまたま落ちていたスケボーを目ざとく見つけ、颯爽と飛び乗った。
スケボーに乗るなど初めての体験だったが、なにせ、男を捕まえられねば留年である。
おっかなびっくりの及び腰ながら、物凄いスピードを出して追走する。
荒野を爆走し、狭い森林地帯を突き抜け、巨大なゴーレムの股下を間一髪ですり抜けながら、
やがて、二人は港町ラ・ロシェールへと到達した。
町中に入り、流石にスケボーを乗り捨てこそしたものの
男の腱脚は一向に衰える気配を見せない。
酔っ払った傭兵崩れが乱闘騒ぎを起こす中、飛び交う酒瓶をかわし、椅子を飛び越え港へ進む。
ここで国外に逃亡されては、ルイズは一巻の終わりである。
荒くれどもに揉みくちゃにされ、安ワインを頭からひっかぶりながらも、執拗に男を追いかける。
「なっ!」
港内に突入した途端、ルイズは再び驚愕した。
どれだけ鬱憤が溜まっていたのか、階段の最上部から、飲んだくれどもが大量のドラム缶を投げつけてくるのだ。
流石のアゴ男もこればかりはどうしようもなく、派手にズッこけたりペシャンコにされたりしながら、一歩一歩昇り続けていた。
ルイズも思わず躊躇う。
ルイズはあの男のような頑健な体は持ち合わせていない。
ドラム缶が直撃すれば、生身の肉体ではひとたまりもないだろう。
だが、ここは男に追いつく最大のチャンスでもある。
どうせ男を逃せば、ルイズにはロクな未来が無いのだ。
ルイズは覚悟を決めると、転がってくるドラム缶を気合いで見切りながら、階段をかけ始めた。
・
・
・
運命の女神は、ルイズに味方したかに思われた。
港では、船が既に出港した直後だったのだ。
これで男に逃げ場は無い、ルイズが胸を撫で下ろしたが、そこに大きな落とし穴があった。
あろうことか、先の船のクルーが、積み荷であるジャンプ台を置き忘れていたのだ!
男のサングラスがキラリと光る。
迷いの無い動きでジャンプ台を踏みしめると、勢いよく30メイルほど前方に跳びはね、
クルクルと回転した後、見事、甲板の上へと着地した。
「なッ! アイツ…… 人間なの……?」
だが、ルイズも躊躇ってはいられない。
くどいようだが、男を取り逃せばルイズは留年なのだ。
ヴァリエールの家名に泥を塗るくらいなら、この場で墜死した方がマシであった。
「どりゃあああああああああああああああ!!」
凄まじい絶叫を上げながら、ルイズが飛ぶ。
フォームもへったくれもない勢いだけのジャンプであったが、十年に一度の上昇風にも助けられ、
かろうじて、船の欄干へとしがみついた。
「やっ やったわ…… お母様 ちい姉さま……」
喜びの声を洩らしながら船内に転がり込んだルイズに、船員たちの歓声が浴びせられる。
言い知れぬ達成感がルイズの全身を駆け巡る。
気が付いた時、彼女は周りの祝福に、全身を使ったガッツポーズで応えていた。
見れば件のアゴ男も、前宙したりマッスルポーズを披露したりして周囲にアピ−ルしている。
溢れんばかりの感動に、船上に居合わせた人々がひとつになっていた。
「――じゃないわよッ! アンタ 一体何者な……」
ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃん ちゃちゃー ちゃちゃちゃん!
ようやく我に返ったルイズのツッコミを遮り、悪夢のようなメロディが再び響き渡る。
第二ラウンドの始まりだ!
突如現れた空賊の戦艦が、船上に容赦ない砲撃を浴びせてくる。
船内がパニックに陥る中、男が再び甲板を駆ける。
華麗なステップで飛び交う砲弾を交わし、例によってたまたま落ちていたジャンプ台に飛び乗ると
その素晴らしい跳躍で、見事、敵船へと乗り移った。
「クソッ やって…… やってやろうじゃないのッ!」
もはやルイズもヤケクソである。
逃げ惑う人々を蹴散らしながら、ジャンプ台を踏みしめ風となる。
たちまち展開される空中での激しいチェイス。
迫りくるレコン・キスタの大艦隊を次から次へと乗り換えながら、
やがて二人は、アルビオンの地へと到達していた。
・
・
・
一体、何が男を駆り立てるのか?
白き国へと到達しても、男の逃走心は一向に冷める気配を見せない。
ニューカッスルで失敬した怪しいドリンクを一息で飲み干すと、
立ち塞がる謎の遍在軍団を蹴散らし、韋駄天の如き速さで荒野へと消えた。
もっとも、ルイズも既に、単なる貴族の令嬢ではない。
男同様、ニューカッスルで拝借した胡散臭いドリンクを一気に呷ると、
ようやく立ち上がろうとしていた遍在軍団を再び踏みつけ、虚無魔法の如き加速で荒野へ消えた。
「誰か…… 誰かッ! そいつを止めてェ!」
ルイズの悲痛な叫びは、遂に天に通じた。
たまたまアルビオンを旅行中だった学院長の使い魔、モートソグニルが、ルイズの声を耳にしたのだ。
主人の教え子を救うため、勇敢な鼠が大地を駆ける。
無人の野を行く男の胸元目掛けて飛び込むと、その全身を、ちゅうちゅうと駆け回り始めたのだ。
さしもの傷だらけのランナーも、鼠だけは苦手だったか、
その動きが、傍目にも分るほど緩慢なものへと変わっていった。
「もらったあアァァァァッ!」
千載一遇の隙を付き、ルイズが裂帛の気合いを込めたタックルを浴びせる。
これには男もひとたまりもない。
二人はもんどりうって倒れこみ、そのままゴロゴロと揉み合いながら、
やがて、たまたまジャイアントモールがねぐらにしていた大穴へと落下した。
「くっ もうこれ以上 足掻くんじゃないわよォ!」
尚も走り出そうと必死で暴れる男の、その特徴ある大顎をがっしりと掴むと
ルイズは口早に詠唱を唱え、ズキュウゥゥンとばかりに唇を奪った。
直後、稲妻のようなファースト・キスの衝撃が二人を襲う!
これは比喩ではない。
キスと同時に発生した謎エネルギーが、二人の体を貫いたのだ。
たちまち全身黒コゲとなり、黒煙を吐きながら呆然とする二人と一匹。
「…………」
「…………」
ちゃっ ちゃー ちゃー ちゃー
「なんでよ!」
悲しげなメロディが響く中、ルイズのツッコミがアルビオンの空へと消えた。
ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃん ちゃ ちゃちゃん! ちゃー……
【 GAME OVER 】
積み荷の『ジャンプ台』って・・・。
支援!
以上で投下終了です。
熱心なナムコファン以外には意味不明のないようですが
ゲーム本編の方も大体こんな感じです。
同じころ、ロマリアでは教皇の呼び出した使い魔が
信徒達の制止を振り切り、長い盗塁の旅に出ていましたが、それはまた別のお話……
投下乙
ホントに若い人置いてけぼりだなw
次はマッピーでお願いします
ぐっじょぶ!
レトロな画面が脳裏に浮かび上がってきましたよ
私はクレイジークライマーかチェルノブをキボンヌ
>>383 懐かしいwwww
友達と一緒にやりまくった記憶が蘇ったwww
GJ!!
今更に、ガリア王が『ジョゼフ』である事に気付いた。
近未来のドイツでジョセフに一刀両断されてくるorz
もしかして前に走れメロスの小ネタを書いた人?
>>389 別人です。
ランナーつながりでネタの方向性が思い切り被ってしまいましたが……
投下乙です
元ネタはさっぱり解らなかったが、ツッコミどころ満載(いい意味で)面白かったです。
チェルノブはカルノフの兄弟だからチェルノブイリ原発事故とは全く関係ないのですよ。
と、言い訳してみるデコ
>>352 スパロボの原作キャラ蹂躙モノでせえ
ここだと許容されてるんだからおkだろ
チェルノブは何気に欝なストーリーだよな
最近のコントラならゼロ魔世界でも無茶苦茶な活躍してくれそうな気もする。
昔は大人しかったんだがなー
ゼロ魔の世界にはミサイルが無いから移動手段が制限されるのが難点か
メトロクロスGJ。
っていうか、何を思ってこんな題材見出したんだw
メトロクロスGJ!
レトロなゲームの雰囲気が出ています。
あと、ジャンプ台は凄い。
ゼロの氏賀Y太・・・・書いてしまった・・・・・・ごめんなさいごめんなさい
>>398 だから漫画家よんでどうするつもりだ、お前は。
前から定期的に湧いてるけど。
ワッハマンからワッハマンを召喚
喋らないから無理か
これを誤爆したァ '`,、'`,、('∀`) '`,、'`,、
別に書いて個人で楽しむ分には問題ないんじゃね?
「あの作品」に該当する何かがないなら、このスレに投下したらダメだけど
漫画家ならコミックスゾーンの漫画家呼べば良いんじゃね?
ちょっと前のスレで召喚されたキャラを頭脳派や肉体派、ルイズとの絆派、万能派に
大別した人がいたけど、今までの話を見た感じでは圧倒的に肉体派が多いね。
やっぱり書きやすいのか?
もう炎尾燃召喚すりゃあいいよ
基本、ルイズの召喚したキャラがガンダールヴになるから肉体派にした方が書きやすいかと。
あれ?リュウの人の話はガンダールヴ使ってたっけ?
頭脳派キャラならキン肉マンスーパー・フェニックスがいるのに誰も書いてない不思議
頭脳派は書きにくい
対して筋肉型や絆型はなんぼか楽だよ
あいつのはどう考えても知性じゃないしなあ
金にあかせて大掛かりな嫌がらせ仕掛けてるだけだし
いぬかみは頭脳派寄りのストーリーに成ってきてるよな
>406
キン肉マンスーパー・フェニックスが頭脳派なら
熊の爪のアレだって頭脳派だぞ。
なんたってファイティングコンピュータだから。
ユダ様は本当に頭の良いお方
>>403 だって頭脳派のやつだと
フーケのお粗末な計画とか小屋に行く前に看破しそうだし
露骨に怪しいワルドも途中で正体見極めちゃいそうだし
物語になんねえ・・・
一番厄介なのは頭脳派のヤツで話し書くってことは
その頭脳派キャラより頭よくなきゃいけないわけで
頭脳派にはあるまじきお粗末な戦闘や推理をしようもんなら
ここで突っ込まれてウボアー
ベル様は頭脳派だよね。
その頭脳を、ルイズを追いつめる方向に使ってるけど。
肉体派も下手すると単なるギーシュ、フーケ、ワルドをぶっ飛ばすだけの作品になってしまうから、それなりの技量は必要だ。
ギーシュかフーケを倒した時点で止まってしまった作品の多いこと
>>410 人にはとても扱いきれない計算式を使うもんな。さすがコンピュータ
シロ姉も肉体派だよな
>>412 シーザーを語るのにシーザーである必要はない
肉体派を語るのに肉体派である必要もない
人殺しを語るのに人殺しである必要もない
そういやサイトは人殺してるよね
>>412 提督で分かったように頭脳派でも話は作れるんだよ
要はやる気だ、やる気
GSの横島だって本来は頭脳派なんだよ。煩悩さえなければ
何事も挑戦だってことだろ
>>418 まあ出来ないとは言わないけど難しいって事だ言いたいことは
>>417 そういうことじゃないだろう……。
頭脳派のキャラを書くならそれなりの理屈をこねくりまわす必要があるだろうに。
姉妹スレのジョジョキャラたちは頭脳をそれなりに使ってるぞ
すべからくジョジョ的になるが
ジョジョ的な頭脳って、何か嫌だなw
>>420 すると、世の中の創作物に天才キャラが腐るほどあるけど、あれは作者が天才なのか
って事になるのかな
落ちつけ、
恋愛経験は無くてもアニメ版のクラナドのシナリオは描けるらしいのでみんな頑張れ。
頭脳派サイトも良いかも知れん。性格が性悪気味な。
>>420 すまん。言葉が足らんかった。
肉体派を語る文章を書く
頭脳派を語る文章を書く
単純に言葉の上では同じように聞こえるけど、難しさで言えば違うんじゃないかって言いたかったの。
まあ「彼はとても頭が良い」程度で済ませるなら別だけども。
(イチローがルイズによって召喚されたようです)の作者はもしかして・・・
理屈や推理の部分は描写しなければいいんだよ!
「(略)を使って(略)すれば、この時間差は無視できる! だからこのアリバイは無意味だよ!
そしてこの(略)なトリックを実行できるのは(略)だから、君だけだよ!
つまり、犯人は君だ!」
みたいに。
こーやるとギャグにしかならんが。
ところで「ゼロの使い魔」って、妄想以外に頭使うような話だったっけか?
>>344 それ箱。友達だけどぶっちゃけ箱。ポータル銃ないと使いようがねーよ!
頭脳派ってのは物事の論理がある程度理解できてれば問題ないと思う
理屈を知ってるのではなく理を知ってる、て表現すれば良いのか
各シーンで正論を言える人材ってとこか?
それに加えて自分の専門分野に関する知識
昨日書いたアビスのジェイドじゃないが・・・
他のキャラより少し上から世の中を見ているキャラになれば十分頭脳派のはず
>露骨に怪しいワルドも途中で正体見極めちゃいそうだし
肉体派にも普通に見極められることが多い気がする
某アニキキャラの台詞なんだが、
「遅いことなら誰でも出来る、20年かければバカでも傑作小説が書ける」
そんな感じでストーリー内で一瞬で作戦を練る事が出来る天才が書けるからといって、
現実に時間かけてそのネタを一つ一つ頭を捻って作る作者も天才というワケじゃないんじゃね?
正論なんて、まともな人間だったらいくらでも吐くことぐらいは出来るんじゃないの?
>>434 クーガーか
確かあの兄貴も召喚されてたな
フーケもそうだけどワルドの正体が分かっても、それをルイズ達に信じさせるのが不可能に近いと思う。
知性派キャラと一口に言っても、戦術or戦略家、政治家、ペテン師、探偵……えーと他に何かあったか?
とにかく色々タイプがあるから、知略を尽くすタイプが人を見る目があったり話術に長けてるとも限らないと思うのだが。
じゃあひとつ逆に考えて、頭の回転の足りないキャラ・・・つまりバカを召喚させてみてはどうだろう?
というか、脳味噌あるならワルドの正体分かってても誰にも言おうとしないだろ。何かしら罠とか仕掛ける筈。
>>440 薔薇乙女がそんな感じだったし、結構そういうのはあるよね、きっと。
ドラえもんの出来杉君ならきっと何とかしてくれる。
今週も魔砲の人は来ないのだろうか……。
出来杉君は無垢だからなぁ、分からんよ
>>435 アビスの話になっちまうが
世界と人々の未来を詠む預言、それに頼り切った世界に対して
「そちらのほうが楽な生き方なのでしょう」
と平気で言い切るくらいは必要
正論を知ってるんじゃなくて、人の感情を論理で考える人物と言えばいいか
ついでに、ワルドとフーケのことだけど
頭がいい奴ほど言い逃れできない機会まで待つだろうな
もちろん、下準備は万全でね
>>442 アイツは完璧すぎるから大長編に参加させてもらえない、という説があったな。
頭脳派をうたうなら理路整然と、何の疑問の余地も無くワルドの正体を
暴いて見せるくらいの事はしないと駄目なんじゃないのか?
MtLのウルザとか
ああいう謀略家や陰謀家だと、事態を掌握しつつ利用するために時に気づかないふりをしたりするよな
もしくは、誰にも不自然に思われないように抹殺して「計算通り」
そういやキラって召喚されてたっけ?
450 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 22:38:46 ID:WQwlHoXS
>>443 出来上がるまで暖かく待ちましょう。
作者様、くれぐれもご自愛を。
急に寒くなりましたが、お体に気をつけて下さい。
新魔界大冒険でハブられたんだよなー出来杉……
>>447 証拠集められないだろ。いくらバリバリ怪しくても、それは無理に近い。
それに暴いたところで、スクウェアクラスの実力を持つ魔法使いが攻撃してきたら元も子も無いだろ。
>>445 無神論者ならそれもいくらでも言えると言っちゃだめですか
偏在を使ったアリバイ作りとかもあるしなあ。
仮に召喚されたキャラがデジカメとかボイスレコーダーを持ってたとしても、密談の現場に居合わせるってのも変だし、風のメイジに気付かれないように尾行しなきゃならないし。
「何かコイツ信用できないな」とか「何か企んでそうだな」くらいならけっこうあるんだけどね。
偏在の魔法の存在を知らないと無理だよね、まず。
ありゃ、探偵役が絶対知ることのできない前提条件という推理物としては
完全なルール違反だから。
あそこまで便利な分身魔法って他のファンタジー世界でも無いから、
分からないだろうし。
何でも信じちゃうような純粋なのと狡猾(?)なキャラ同時召還とか……
透とクーなんか無力・純粋と気分屋、狡猾な側面有り、力有りまくりでバランス良さそうなんだけど
原作の独特な間がオレには再現できない
あ、狡猾さならオーナーのが上か?
全次元感知だとかそんなやつだせばいいんじゃね
>>455 偏在の存在を知る機会は2巻冒頭でギトー先生が提供してくれるんだがな。
…そう言えばタバサもスクウェアになれば偏在を使えるんだよね、忘れてたけど。
ルルーシュなら、おマチさんもワルドもギアスで味方では?
>>458 ん?遍在は風×4だから水の混じってるタバサは無理なんでないの?
タバサは水1+風3?だっけ
風オンリーのスクウェアだけだって認識してたんだけど……
その理屈だとマリコルヌは錬金ができないことになるぞ?
偏在のコストが3風と考えるとMTGプレイヤー的にはすっきりする
フェイス・チェンジは風と水で、カッター・トルネードは……風×4っぽいけど正確には分からんな。
ちと軽率な発言だったか、申し訳ない。
別に「水のドット」でも、風、火、土のスペルも使えるだろう。
タバサは「風と水が得意な」スクゥエアだ。
風×4のスペルが使えない道理は無い。
水×4のスペルも使えるだろう。
風×3+水や風×2+水×2のスペルはもっと簡単に使えるかもね。
>>465 ドットが1マナ圏、スクウェアが4マナ圏ってことか
>>459 もし偏在にギアスを使うと効かないのだろうか・・・・
>>465 風4つじゃね?
>>467 その意見だとギーシュがスクゥエアになったら偏在するぞwww
多分というより個人的な意見だが、他系統のスペルはスクゥエアでも2つほどしか打てないんじゃないのか?
まぁ後は他の板の住人に任せよう。
>>465 風3で飛行トークン4つ出せるとか強すぎだろ
>>469 >その意見だとギーシュがスクゥエアになったら偏在するぞwww
いや、タバサは「風と水が得意」だから、その得意な属性ならスクゥエアスペルも使えるだろ、ってこと。
多分、土×4とか火×4とかは無理なんじゃないかな。
>まぁ後は他の板の住人に任せよう。
そだね。
この辺にしときますか。
まあ偏在と一口にいっても行動半径やら数やら質に差が出るだろうし、
純風のスクエアに及びはしない程度の偏在なら風かじった程度のスクエアでもできるんじゃね
塩で縮む偏在とか熱で蒸発する偏在とか水に溶ける偏在とかだなきっと
ギーシュなら土の遍在で知らない相手にはったり利かせるくらいはできそうだが。
戦闘したら2秒でばれるだろうけど。
系統を足せる数が4つなのがスクエアなんだよね
風風風風とか風風水水とか
まあありがちに風と土は足せないとかあるんじゃね
きっとノボルならタバサが偏在使ってサイトと3Pしてくれるに違いない
>>476 遍在は感覚共有しているんだろうか
だとしたら
>>470 ギーシュなんてドットでワルキューレトークン7個だぜ?
>>477 リアルタイムで感覚の共有をしてたら偏在をフル活用して戦ったワルドは何度も死の激痛を・・・
>また自身の系統とは異なる系統の魔法を使用することも可能であるが、
自身の系統以外の魔法を単独で使用した場合は効果も低レベルになってしまう(複合魔法を使う際は、必ず自身の系統をメインにして使用する)。
wikiより
>>479 そんな激痛に耐え続けていたなんて
やっぱりワルドさんすげー!
>>478 あるいはもしかしたらトークンじゃなくてワルキューレカウンターかもしれん。
火+水+土+風=マダンテ的な何か
>>478 1/1のトークン7つと4/4のトークン4つだとどっちがいいだろうか
>>484 4/4のトークン4つに殴られたら死ぬだろ……
フーケのゴーレムは9/9のトークン一体ってとこか。
>>486 5/5がいいところじゃねえか?
サルディアの巨像ほどの性能があるとは思えん
4/4の再生もちでおk
フーケのゴーレムは再生持ちだぜ
くっそ遅かったwww
アボロスも9/9だぞ(・x・)
もう誰か切札勝舞でも召喚しろよ
竜ヶ崎刃だろ常考
今は異世界界トータルだろ
海馬にギャザをやってもらおう
アンリエッタ「私の水のトライアングルと」
ウェールズ「ボクの風のトライアングルを合わせてペンタゴン」
熊の爪の人「そして回転を加えることにより6×6の36レベル魔法だ!」
アン&ウェ「ゲゲェ!?」
すまん。
今は青島雪緒だろJK
>今は異世界界トータルだろ
異世界タートルに見えたわい
てなことでミュータントタートルズを召喚
話が思いつかない
完
ファイティングコンピューター吹いた
御免。ヘキサゴンだった・・・
ヘンな翼の生えた超人がアタマの中に居たみたい・・・
すべて4つずつ足せるヘキサデカゴンだけど面倒なのでただのドットと自称
504 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/13(木) 01:28:26 ID:9XW9aLX7
白鳳さまktkr
>>499 ルイズが召喚したのは、ミュータント・タートルズだった
ルイズ「あんたら、よくわかんないのよね、設定も、何が面白いのかも」
キュルケ「TVKとかMXでよく中途半端な時間にやってるわよ、見ないけど」
タバサ「…古来アメコミにうまいもの無し…」
ギーシュ「まぁまぁ、ビーストウォーズとかパワーパフとか面白いじゃないか!」
モンモランシー「結局、思いっきり日本に媚びて、それでやっと中の下なのよね」
コルベール「と、いうわけだ、悪いが帰ってもらえないかな?」
まさに外道!
月月火水木金金
その日ワタシは嫁のルイズに飯を抜かれました。
その晩、空腹に耐えかねた私は愛人シエスタのいる厨房へと足を運んだのです!
下働き用の賄いを奪うために。
今夜は投下無し……か。
残念、働こう。
そう言った
>>512がブラウザを閉じた三十秒後に投下が始まったのでした
…だとちょっと楽しい。
そんな自分もこれから出かけるのさー…。
タートルズは元々物凄いバイオレンス作家がマンガ描いてた忍者物のパロディなのよねー
児童向けがたまたまウケたんであんなあり様だけど
元来は殺人上等なギャングVSニンジャの話
サブタイトルも「ボディカウント(死者数)」とかキレまくってる
>>475風と土を足したら砂嵐とかできるんじゃないか?
テファとフロウェンのハ−トフルスト−リ−はもう少し先かのう
待ち遠しい・・・
ウサギの黒騎士みたいなもんか。
>>515 オリジナルスクウェアスペル「神砂嵐」
砂関係ないけど……
す〜な〜の〜あ〜ら〜し〜に〜か〜く〜さ〜れ〜た〜♪
アメコミの女キャラって総じてムチムチ巨乳だよな
まあそこがいいんだが
連中の間でルイズやタバサが自分は16歳だって主張しても誰も信じちゃくれまい
つか濃ゆい…日本の萌えキャラに慣れた身ではちょっとね
やはりアメリカ人もアメコミの女性キャラで「○○○は俺の嫁」とか言っているのだろうか
>>504 一瞬MACに見えた。
体当たり以外勝つ手段ない。
>>521 知り合いのドイツ人はルイズは俺の嫁って言ってたよ
>>507 失礼な
ゾンビーズはグロ面白かったぞ
シルバーサーファーを脳天丸かじりするハルクとかギャラクタスを生のまま
踊り食いするアイアンマンとかアッシュの脳みそ食って「チキン味だね」とホザく
ハワード・ザ・ダックとか状況を理解できず助けを求めてすがり付いてくる
幼い兄弟を抱きしめてすっげイイ笑顔するキャップ(あの世界ではカーネル)とか
>>520 ちなみにアメコミの世界では「筋肉の量=戦闘力」なのでアンドロイドでもムキムキ
怪力小娘に萌える日本人とは根本的に違うようだ
>>521 アメリカ人にも……日本アニメに萌えるオタクは……いる。
>>521 >>アメコミの女性キャラで「○○○は俺の嫁」とか
書き込んでるのは日本人だと思うんだが、どこぞで「シュマゴラスは俺の嫁」というのを見たことが…(w
アメコミの女性キャラで萌えられるのはごく一握りの賢者のみ
>>527 シュマゴラスは「相手が一番恐ろしいと感じる姿」で現れる
つまりDr.ストレンジはタコが怖いというわけだ、実に欧米人
その御仁は一体どんな姿に見えたのだろうね
>530
なんて確信をついた一言なんだ。
サイトにはルイズに見えるんだろうな……意表を突いてスカロンさんとか?
>>529 欧米人だなあ。
日本人の前にそんな姿で出てこようものなら・・・
>>532 「たこ焼…」(じゅるり)
という事ですね、よくわかります
とりあえず、まんじゅうとお茶の姿があるのは確実だなw
にんじん様が見えたりして
マリア様が見てる
マリ○様が見てる
>>536 まったく関係ないが、その昔目に映る全ての食べ物がにんじんに見えるというホラー漫画を思い出した。
>>528 うろ覚えだけど、スポーン投下時にこのスレで紹介された作品のキャラならそうでも無いんじゃないかな。
「NINJA HIGHSCHOOL」のキャラなんかなんかロコツにるーみっくのパクリだったから
作者いわく
「日本のマンガがアメリカに入ってくる事なんか無いと思ってたからバレた時は驚いた」
そういやアメリカってヒーローコミック以外漫画はないんだっけか?
>>543 「シンプソンズ」みたいなご家庭ほのぼのモノもあるし
二人組の高校生が日常生活を送るといったジャンルのマンガもありますよ
何がすごいってそういった作品のキャラもヒーロー物と同一の世界で暮らしてるんですよね
ヒーロー達が主人公のバイトするハンバーガーショップに食事しにきたり
一家の男の子がバスケット大会出場に張り切ってたらヒーローとヴィランとの戦いで会場が破壊されてしまったので
(当然ヒーローの作品ではその町で戦うというエピソードがある)中止になるとか
アメコミって著作権が作者ではなく作者が所属している会社にあるからそういう無茶が出来ると聞いたことがあるな。
シェアード・ワールド的というかなんというか。
>>543 レア中のレアなケースだけど、何の変哲も無いおっさんが知り合いの漫画家に頼んで、
自身の何の変哲も無い日常を漫画化して貰ってたりもするみたいよ。
同僚や知り合いも普通に出しているんだけど、怒られるどころかもっと出してくれと言われるそうです。
それと漫画化したことでおっさんへのファンも出来て、結婚まで出来たそうです。
>>544 シンプソンズはほのぼのなのか?ほのぼのなのか?
スプリングフィールドがハルケギニアに現れました。とか
>ほのぼの系アメコミ
他にも「ベティ・ブープ」や「アニー」なんかがあるでよ
そういえば「ピーナッツ」は主人公が召喚されてるな
再開してくれんもんだろか
アメコミの二次創作は版権的な意味で怖い
そういえば昔あるHPで士郎がサーヴァントとしてヨーダを
呼んでしまうというSSが問題になったと聞く
ダースベイダー召喚するSSとかあったな
アメコミなら、ローグ召喚で
ファーストキスで虚無を奪われてエライ事に
>>551 というかそれがこのスレの大本のご先祖だろ
ゾンビ屋れい子からなら何人か召喚してもよさそうな気がする
>>554 レイコがルイズの首から下乗っ取れば巨乳になるかもなあの体でも
ふと、Y氏の隣人のザビエルを召喚する、というのが思い浮かんだ。
怪しげなアイテムを渡してルイズがどんどん堕落していく、みたいな。
>>557 「ほーっほっほっほ、アナタのココロのスキマお埋めします」
こうですね、よくわかります
>>558 実は人を幸せにするのが仕事の弟がいるんだよね。
プリズムアークのハヤウェイLV99でプリズム全コンプなんて召喚したらチート
だろうな
やる夫ってガチャピン並みにいろいろやってるなあ……とおもってYARUOがルイズに(ry
を妄想してみたが、銀英伝の提督やら家康やら柳生石舟斎やら反映したらチートすぎるかw
ゼロの波動読んでたら
ワルド戦でいざ闘おうとしたら、瞬獄殺でワルド倒されて烈風のカリン登場とか妄想した。
とりあえず亜人扱いですね>やる夫
まあここはオプーナでも反映させるしかないな
下手に絵を書いて頂いちゃうと、ご立派な使い魔になりかねないよな
カービィのように素直で可愛くて頼れる使い魔…メタナイト卿とかいいんじゃないか?
世界一格好いい一頭身だぜ
某スレの影響でメタナイト卿は変態のイメージしかない
レキシントンに拡散2調合撃ちするとして何発あてれば落ちるかねぇ・・・
メタナイトはゲームかアニメかでキャラかわるなあ
逆襲モードでハルバード持ち出してハルケギニア統一しようとかしだしたり……
スマブラだとローンが何年も残ってるハルバードが大破してたな
>>564 それ以前にそいつは文句無しの三次創作だからなぁ。
>>571 祖龍よりは簡単に墜ちそうだ。
弱点部位(ブリッジ、動力部)なんかを狙えば。
とりあえず落としたら剥ぎ取りしないとな
達人のドクロとか
貫通弾を使えば誘爆ねらえるかもしれん。
ところで散弾ハメでワルドを追い詰めたんだが、レビテーションで逃げる所を
打ち上げ樽爆弾で撃墜したら顔を真っ赤にしてぶちきれててワロタ
そろそろ、エデンの続きが読みたいぜ
ワの字から剥ぎ取れるのはペンダントとヒゲくらいかな?
>>578 なんつっか某エヴァ小説を思い浮かべてまったぜ
ゼロ魔、夜明け前に続いて銀英伝勢までとはどこかのスレの影響なのか…
つか月の王女召喚は無理か…
>>577 変な場所で倒したら剥ぎ取り出来なくなるぞ
>>579 またペンダントかよ!ヒゲでねーよヽ(`Д´)ノ
丸々24時間投下がないなんて…
>>562 閃光のハヤウェイ。
最期はテロリストとして捕らえられて銃殺。
そろそろピッケルと虫網持ってアルビオンでの採集クエストに戻ろうな。
>>584 ルイズは新聞で銃殺されたことを知るのですね、わかります
風来のシレンよりシレン召喚
何故か学校がダンジョン化してアイテムが落ちている。
罠の部屋が恐ろしすぎるw
フレデリック・フォーサイスの作品の主人公誰か一人でも引っ張ってくれば面白そうな気が
草薙素子とか、召喚しても中々活躍できなさそうだよな。機械だし。
中村聡と言えばリス対立
おマチさんだろうがワだろうが固めてしまえ
リス対立といえばテオドールだが
てか中村聡はDMなのかMtGなのかどっちになるんだ?
そしてレキシントンといえばレディレックスが浮かぶ
>>588 モンスターハウスより店のほうが怖い
店主を怒らせた日には…
極道一直線から鬼島組長を…
呼んだところでしょーもないアイテムでしょーもない事になる
そんなしょーもない話にしかならない事に気づいた。
テファがちん毛を召喚したり、マルコメがもちもち体だったりするんですね。げげんちょ。
BOiNGから座丸を召喚してルイズがボインに
>>591 デルフを買う時にやらかしたら面白そう
しかし市街地だから難しいな……
うまくすればシュペー卿の剣を高値で転売できるけど
>>595 ダンジョンを呼び出せば…
最果ての道とか、でも呼び出してダンジョンに入ったらスクウェアとか関係無くなるなww
>>592 ヤクザなら「仁義なき戦い」から、ゲッペラーが主食でスピンオフ作品が漫画にある人とか
国籍法の改正案が既に閣議決定されていて、11月14日(金)の衆議院法務委員会での審議を経て、
このまま行けば11月末までの今国会で成立してしまう見通し
問題点を産業で言うと↓
「こいつ俺の子供です」→アメリカ人でも中国人でもみんなDNA鑑定なしで日本国籍もらえる。
もちろん選挙権も月20万の生活保護ももらえる。
でも将来的に社会保障費が払えなくなるからアイスランドみたいに国が破産\(^o^)/オワター
俺たちに出来る対応策は、
1.法務委員や保守系の議員・マスコミなどにFAXやメールで改正案への反対を訴える
(参照:
>>3-4、
http://www19.atwiki.jp/kokuseki/pages/14.html)
2.mixi、ブログ、各種掲示板やコミュニティ、チラシ「うっかり」作戦などを最大限利用し、
家族や友人などへの口コミも使って、出来るだけ多くの人にこの改正案のことを周知する
タイムリミットは11月14日(金)で、とにかくもう残り時間が少ないんだ
この国の将来を守るため、後悔しないために、皆も出来る限り力を貸して欲しい
本当にお願いします
ダンジョンならチョコボの紫水晶でなんとかなるな。
>>590 今はディメンション・ゼロっていうゲームがあってだな……
それはそれとして、大量のリスにもっこもこにされるおマチちゃんとかワルドとかかわゆす。
どうも。自主締め切りを絶賛破り中の鋼の使い魔です。
今回は幕間5をお届けしたいと思います。次の展開まで作品世界的に時間が多少空くので即興で作ったものですが、
幕間らしく(サイドストーリーらしく)仕上げてきましたので、どうか容赦ください。
とりあえず0:20分からと予告
支援
『ジェシカの華麗なる一日』
トリステイン王国王都トリスタニアはブリトンネ街の一角に誕生したニュースポット『百貨店』。
半地下一階の上に三階の建物が乗った四階建て建造物は、中に常時六種程度の商業店舗が店を構えている。
この施設の発案及び出資者ギュスターヴは『ある事情』により毎日この施設に居る事ができないため、平時にあってはある人物が責任を持って管理を引き受けている。
その者の名はジェシカ。彼女はチクトンネ街一の宿場『魅惑の妖精』亭オーナー、スカロン氏の愛娘である。
ほんの数月前まで、宿でひらひらと世の男達を手玉にしていた彼女には現在、『ギュスターヴ百貨店 代理代表取締』なる仰々しい肩書きが付いている。
彼女の手弱い両肩には百貨店で働く数十の人々と、訪れる何百という客人への責任がのしかかっているのだ。
では、そんな巷の人ジェシカ嬢の、ある一日を追ってみよう。
トリスタニア午前5時、ジェシカは起床する。シャツ一枚を羽織ってオーブンの置かれた台所にやってくると、一足早く顔を出した朝日が窓から差し込んでいるのが見える。
…彼女は今も変わらず、『魅惑の妖精』亭に隣接した実家で父スカロンとの二人暮らしである。以前と変わったのは、昼間一緒にいなくなったことくらいである。
朝はさくさくとライパンをオーブンの上で軽く焼き、水割りワインと屑野菜のスープで済ませる。
朝食を作るのはもっぱらジェシカの役目だ。父に任せると5回に1回は食べられないものが出来上がってしまう。
スープを温め直していると、のろり父が起きてテーブルに着く。愛用するどぎついピンクのネグリジェ姿である。
ジェシカも慣れた手つきでパンとスープをテーブルに並べていく。
「さーさ、ちゃっちゃと食べちゃってね。…と言っても、もう作り置きのスープ無くなっちゃったし、また作り直さないとなぁ…」
こんこん、と自分の皿へ鍋底を浚って自分の分のスープを注いでテーブルに置いた。
「賄いの子にお願いするわよ。その分お駄賃弾んであげればいいし」
「ぇー、昼間にちょっと戻ってさっさっと作っちゃうから大丈夫だよ」
「駄ー目ーよっ。ちゃんと自分の仕事に専念しなさい。やっと軌道に乗ってきたんでしょ」
「んーそうか…、うん。分かった…ごめん」
「気にしなくていいのよあんたは。…それよりそろそろ時間じゃないの?」
「あっ!そうだった!」
『百貨店』の開場は朝の6時。門扉の鍵は勿論ジェシカが管理している。彼女が開けない限り店の中へ誰も入ることが出来ないのだ。
大急ぎで朝食をかき込み、部屋に戻って着替える。茜染めのローブに麻の腰巻を締め、店を任された時に自費で買った象牙彫りのナイフを挿す。
片手にはジャラジャラと鳴る鍵束を引っ掛けた。
「それじゃ行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。…ったく、何時までも子供っぽいところが抜けなくて困っちゃうわねぇ」
ミントの煮出し汁をカップで啜りながらスカロンは娘の成長を案じるのだった。
朝6時。『百貨店』の門扉が開けられて、中に店を構えている商人達が続々と入ってくる。
入ってくると言っても表の大扉はまだ閉まったままだ。裏の出入り口が開けられ、そこから商人達は出入りする。
8時になって表の大扉が開けられる。錠前と閂を外してうんと外に向かって開くと、良い具合に向かい側の建物の真上に太陽がやって来るので、ジェシカは
扉を開けたと同時にたっぷりと陽の光を浴びる事ができるのだ。
「う〜ん、今日も良い天気」
『魅惑の妖精』亭で働いていた時と一番違うのはやはり、こうして太陽をたっぷりと拝めることだ。
これだけは特にこの仕事を引き受けてよかったなぁ〜とジェシカは思っている。
9時を回る頃になると人の往来もブリトンネ街に増してくる。そろそろお客さんが入ってくる頃だ。
と同時に、雇い入れている従業員もぼちぼち顔を見せに来る。従業員とは、中に入れている商店ではなく『百貨店』自体が雇い入れている人たちで、
入っている店を畳んでもらう時の引越しを手伝わせたり、掃除や宣伝、新しい店の誘致など、トリスタニア経済圏の情報収集を担わせている。
従業員が集まったところで、ジェシカが事務所で号令をかけた。
「はいはいはいっと。今日もしっかり働いてもらうから、頑張ってね。えーとまずスミスさん所に来ている配達の手伝い、トマスさんが使ってたお店跡の掃除と、備品の保守。
昼からは張り紙の通り、これはっ!という露天商について調べたり粉掛ける班と、各タウンの廃品売りからの聞き込み。汚い格好だからって鼻白んじゃあだめだよ?
私はオーナーからお店を大きくしていくことを約束したんだから。面白い話があればそこからもっと儲けがでるかもしれないでしょ。
そうしたら皆にももっとお給金払って上げられるから、頑張ってね♪」
最後に色をつけて発破を掛けると、「おー♪」と従業員各員から返事が上がる。この辺りの人の使い方は父親の背中から学んだものである。
さて、そのような具合で午前の開業が回り始めると、ジェシカは事務所の机に付く。取り出したのは一枚の板だ。
ゲルマニアで発明された『スワンパン』という計算に使う道具である。貴族階級になるとかなり伝統的な計算方法があったりなかったりするそうだが、
ジェシカはもっぱらこの流入品の器具を使って数字計算をする。
そして帳面に付けたさまざまな数字とのにらみ合いが始まる。ギルドへの上納金や税金の計算、金庫に入ってくる各お店からの揚げ銭、従業員へのお給金に、
百貨店店舗の修繕等の費用、近日借りた倉庫の賃貸料等々、丁寧しっかり計算してやらないといけないことが沢山あるのだ。
…世間の注目が集まっているとはいえ、ジェシカの仕事内容は以前と比べればずっと地味なものだ。それでもジェシカは満足している。
(こうやって数字とにらめっこすると、お父さんの店で働いていた時よりずっと大きなことをしているっていう実感があるなぁ…)
トリステインの平民にとって将来の展望というのはあまり開けているわけではない。都市生活者は農地に縛り付けられない分、より生活に不安定な面を残さざるを得ない。
もっと野望豊かに、ジェシカは今日もデスクワークをこなす。
昼食を執り、従業員の配置変えや、階上の店舗で客の入り具合を見る。入っているお店の主人との会話は大事な仕事だ。
商売環境を整えつつ、きっちり売り上げは出してもらわないといけない。
時刻は14時頃。ジェシカは業務の傍ら、ギルドから借り受けた本と書き込みが沢山入った帳面を広げる。
実はこれ、ギルドが記録している農作物の各年毎の収穫量や平均販売価格などを網羅した書物で、毎年の景気の変動をジェシカは独学で勉強しているのである。
帳面にはそれまで纏めた色々な数字や情報が書き込まれていた。
「んっんー…去年の小麦の収穫高と売り値の指標がこれで、早売りの麦の値段がこれで…」
カリカリと帳面に新しい数字が入っていく。
…ジェシカの読みでは近い内にゲルマニアとの通商がかなり優遇されるだろうという見方があり、新たな商売のチャンスに備えた研究でもあったりする。
暫くそうして帳面と本を行ったり来たりしていると、外周りをしていた従業員の一人が帰ってきた。
「ジェシカさん、ただいま帰りました」
「あ、おっかえりーハーリー君」
ハーリーは従業員の中で一番の年少である。彼は今日、ブリトンネ街で倉庫の多い区域を周ってきたのである。
「ジェシカさん、この前言ってた武装集団の話、聞いてきましたよ」
「ん。どうだったの」
ええっと、とハーリー少年は腰に下げている袋から端切れ紙を纏めて綴じただけの帳面を見ながら話し始めた。
「集団のキャンプまで荷運びをした人の話だと、キャンプに居る人の数が大体200人位。特大の重種馬が6頭に、それぞれに合せたような馬車が6台、
キャンプを囲むように置いてあったそうです」
「ふんふん」
と、聞きながらジェシカも帳面の端にペンを滑らせている。
「商品の決済は証文で切ってくれたそうです。サインにはマザリーニと書いてあったそうで」
「え〜?なんでそこで鳥の骨がでてくるのさ?っていうかその証文ちゃんと通ったの?」
「はい。枢機卿宛に送ったらちゃんと料金が届いたそうです」
「そうっか…、うん。ありがと」
話を聞き終わると、ジェシカは手元にある綴り紙の一枚を切ってハーリー少年に渡した。
「はい、これ持って家で一杯やってってね」
「ぁ、ありがとうございます…」
ジェシカが渡したのは『魅惑の妖精』亭のワンショットフリー券である。ジェシカは時折、この券を出入りの商人や従業員、さらには店舗で買い物する常連客などに
配っている。勿論父親の諒解済である。
受け取ったハーリー少年は握らされた券の額面とジェシカの顔を見比べつつ、そわそわと落ち着きが無い。
「ぁ、あの。あんまりああいうお店行った事がなくて…」
「そう?大丈夫大丈夫。一杯飲んでちょっとお話するくらいだからさ。ほら、今日はもう上がっていいから行ってきなよ」
「え、えぇ?!で、でもまだ心の準備が」
「なに腰引けたこと言ってんの。ほら、男は度胸なんでもやってみるものって大道芸人のエイブさんも言ってたじゃない」
ほらほら、と嗾けるジェシカに押されてハーリー少年は少し早い晩酌へと出かけていくのだった。
「さて…」
人気の無くなった事務所でジェシカは机から便箋と封筒を取り出す。学院に居るギュスターヴ宛てのの手紙である。
青い封筒に宛名を書き、便箋には追加報告として武装集団キャンプの話と、今考えている新しいビジネスについての構想を書いた。
封蝋をして三つ葉の印で閉じ、懐にそっと隠した。
手紙は翌日、学院へ荷を運んでいる業者に託されて運ばれる。手紙が届くのは大体一日半後だ。
夕方の6時になると、表の大扉が閉められる。閂と鍵をえっちらおっちら掛けて、今日の売り上げ具合を聞きに各店舗を回る。
店舗の主人達が店の掃除や準備を終わらせると、ジェシカと今後の先行きで相談をすることも多い。
「ジェシカさん。そろそろ新しい商品の開拓をしようかと思ってます」
今日の夕方そう言って来たのは三階に店を構えていた工芸品を売っている主人だ。
「ん。じゃあお店畳んじゃうの?」
日誌に手を付けつつジェシカは応対した。
「はい。そこで暫くの間色々と預かっていて欲しいのですが…」
「んーそうか。えっとね、今借りてる倉庫にまだ空きがあって、月にこれこれ掛かるから…」
と、倉庫の賃貸費の一部を主人に提示する。
「まぁ大体三ヶ月くらいは保管しててあげるから、それまでには一回帰ってきてね」
「はい。では、今日はこれで」
「はいはい、お疲れ様〜」
ひらひらと手を振ってジェシカは見送った。
時刻は夜8時。最後に百貨店の中をカンテラ一つ持ってジェシカが見回る。
窓の鍵の閉め忘れや落し物が無いか等を見て、最後に事務所の掃除をしてから帰宅となる。
「ただいま〜…っていってもまだお店か」
『魅惑の妖精』亭が閉まるまでは父親は家に戻ってこない。だから概ね、夕食は一人で食べる。
最初のうちはお店まで行って食べてたりしたのだが、元気に働いている嘗ての仕事仲間たちを見ているとなんとも居た堪れない気分になってしまうため、
最近はあまり顔を出さなくなった。
台所に置かれた鍋の蓋を開けてみると、波々と入ったスープからいい匂いがした。
「ん〜。いい仕事してるなぁ」
夕食は暖め直したスープにハムを軽く炙って付け合せる。
スープをすすりながら、ジェシカは家のオーブンが随分煤けているのが気になった。
(結構ガタが来ているし新しいのに買い換えたいなぁ…。蒸し釜が付いている奴がいいな。あれがあると硬くなったパンも美味しく食べられるし)
スープに浮かんだ野菜を掬いながらそんな考えもよぎる。
(ぅー…でも新しいオーブンって幾らするかなぁ…40エキューくらい?貯金いくらあったっけ…)
と、そんな悩みを浮かべていると、置くから父親が帰ってきた。仕事着も脱いで上からタオル一枚を首にかけている。
「ただいまぁ〜。ん〜やっぱりジェシカが居なくなると事務仕事は自分でやんなきゃいけないし、ジェシカ目当てのお客さんの足が遠のくし、困っちゃうわねぇ」
クネクネと身体を解しながらスカロンも自分の食事を取る。
「ぁ、夕方あんたのところの坊やが来てたわよん。サービスにサラダ出してお喋りしてあげたらなんか真っ青になっちゃって可愛かったわぁ〜」
「アハハハ、あんまりからかっちゃだめだよ?ま、私が居なくなって減ったお客さんが戻ってくるくらいには色々とやっておくからさ」
父とのわずかな団欒だが、大事な時間である。
…母を亡くしてから男手一つで自分を育てた父に、少しばかりは恩を返したいのがジェシカの想いだ。
さし当たっては、任されたお店を立派に切り盛りしてトリステイン一の商家になってみせる。
そう常々心に決めるジェシカであった。
投下終了。脳内BGMは情熱大陸で(ぇ
サガフロンティア2は表裏に分かれる大河ドラマみたいなところがあるのでわき道も書かないとなぁ、という観念に駆られるのです。
決定上のプロットではジェシカの登場はあと一回くらいなんですけどね…。
鋼の人乙
鋼の人乙!
なんやギュスの剣が出て来てから変な妄想がちらつくんで書いとく。
デルフとギュス剣二刀流
↓
デルフの前の持ち主が某ワカツの剣士
↓
乱れ雪月花!
正直すまんかった。
おつ
自殺したヒットラーが召喚されるってのはどうだろうと思ってしまった。
ナチスドイツ自慢のオカルトパワーでフーケもワルドも敵じゃないぜ!みたいな。
あの人はただの画家だろ
召喚したのはすっかりやつれて老けた爺さんで、黙って仕事をこなし、暇な時は絵を描いてると。
「任せなさいって、あんたの夢は――」
「そうか、ああ――安心した」
って言って息絶える老人と、第三帝国を作り上げるルイズの心の交流を描いたセンチメンタルストーリーですね、わかります。
>>609 二刀流なら、二刀烈風剣だろう
一人乱れ雪月花するなら、ハイジャンプ・ムーンサルト・バックダッシュが要るか?
シエスタには「アディおじさん」と言われて親しまれると。
ちょっと書いて別のところに投稿してくる
あのままだと戦争無くても過労死したって予想出てるしな
やったことを擁護するつもりは無いが責任と期待に殺された人の代表みたいなもんだ
しがらみから解放されたらもう絵を描いたり以外残って無いだろ
鋼の人、気っ風の良い美人女将になりそうなジェシカにブラボーを叫びたいです。
ついでに、予約も無さそうなので投下したいと思います。
「まあ、それでは人修羅さんは異国から来られたの?ハルケギニアの地図にない国だなんて、とても遠いところからいらしたのね」
「遠いですよ。そりゃもういろんな意味で遠いです」
ヴァリエール公爵のの屋敷で、人修羅はカトレアの部屋に呼ばれ、他愛もない話をしていた。
噂でしか聞いたことのない東方の話ということで、カトレアの質問が続く。
二人を見守っているのが、カトレアの部屋に集まった大蛇や犬や猫や小型のバグベアーやら……とにかく沢山の動物達。
彼らはカトレアのお友達らしい、馬車で領内を移動する時は、馬車の中にお友達も沢山乗り込むのだとか、その様はまるで移動動物園だろうか。
それにしても、蛇の上にカエルが乗っていたり、ワシやフクロウがネズミを背に乗せて飛んでいる。
「お前ら動物の本能はどうした」と言いたかったが言っても意味がないので笑うことにした。
「トリステインとゲルマニアでも様式が違うのに、もっと遠いところから召喚されたのでしょう?生活にも混乱があったでしょう、大変でしたわね」
「いやあそこら辺はルイズさんが良くしてくれますし、オスマン先生も気遣ってくれましたんで、不便ではないです」
「あらあら、それじゃあルイズにもずいぶん気に入られたのね」
「そうなんですかね?」
ははは、と人修羅が笑う。
カトレアという人物は、髪の毛の色や顔立ちこそルイズに似ているが、胸が……じゃなくて物腰や態度がまるで違う。
子供の頃から体が弱く、家族に守られていたせいか、刺々しいところや貴族の気負いが感じられない。
会話しているだけでも癒される気がした。
ふと、もう一人の姉、エレオノールの姿を思い出す。
きっと彼女は、病弱な妹や、魔法が使えない妹の前に立ち続けていたのだろう、貴族にしか解らない重責や、妹を庇うために、ずっと機を悩ましていたのに違いない。
そんな事を考えていると、扉の向こうから”ドタドタドタドタ”と足音が聞こえてきた。
気のせいか「お姉様待って!」とか「カトレアが毒牙に!」などと聞こえてくる。
ドン!とぶち破らんばかりの勢いで扉が開かれる。
「こ、こ、この悪魔め!ルイズばかりでなくカトレアを毒牙にぃッ!!」
「お姉様ー!違うんです、違うんですってば!」
そこに居たのは、ものすっごい形相で人修羅に杖を向けるエレオノールと、その足にしがみついて引きずられてきたルイズの二人だった。
「まあ姉様ったら、そんなに慌てなくても人修羅さんは逃げませんよ」
「カトレアッ!だまされちゃダメよ、私は見たのよ!そいつは何か良く解らないけど変な黒い影を沢山連れてる怪しい危なそうな奴よ!」
「エレオノールお姉様、それはオールド・オスマンも確認して」
「だまらっしゃい!ええい、成敗してやるわーーッ!」
「お姉様ってば〜!」
昨晩の厳粛な食事風景が夢だったのかと思わせるほど、エレオノールは取り乱していた。
「あらあら、にぎやかで楽しいわね」
そう言って微笑むカトレアは、姉妹の仲で一番大物なのかもしれない。
◆◆◆
ルイズの必死の説得により、一応の落ち着きを取り戻したエレオノールだが、相変わらず人修羅に厳しい視線を向けていた。
ベッドに腰掛けるカトレア、その直ぐ手前に立つ人修羅、更に人修羅の脇で心配そうにカトレアを見つめるルイズ。
そしてそれらを睨んでいるのが、エレオノールである。
「話を聞かずにディティクトマジックを使った私にも非はあります。精霊を従えているという事で納得しましょう。ですが…もしルイズに、カトレアに害を与えたら、絶対に許しませんよ…?」
そう言いつつも、手には昨日人修羅から預かった治癒魔法の結晶体を握っている。
研究する気はマンマンのようだ。
人修羅は思わず苦笑いを浮かべた、隣ではルイズも苦笑いで人修羅を見ていた。
「ええと、ミス・エレオノール。オールド・オスマンは、系統の違う治癒の力がカトレアさんの治療に役立つのではないかと期待して、帰省許可を出したんです」
「ええ、それはルイズからも聞いたわ」
「ですが治癒を約束できる訳じゃないんです。決して害は与えませんが、何の成果も得られなくとも、怒らないでくださいよ」
「それも理解しているわ。とにかく貴方がどんな魔法を使うのか解らないと意味がないの。そうね……とりあえず、カトレアのペットに魔法を」
エレオノールが、部屋の隅でこちらを見ている数匹の動物を指さす、するとカトレアはハッキリとした声で異を唱えた。
「お姉様、ここにいる皆は、お友達ですわ」
「……カトレアのお友達で試しなさい」
お友達と言い直したが、人修羅の魔法を試させることに躊躇いはないようで。聞いている方は思わず冷や汗を流した。
「いいんですか?」
「ルイズの使い魔をしてくれる貴方が、悪い人のはずがありませんわ」
にっこりと微笑むカトレア、それに合わせて猫や犬や鳥やウサギが合唱のように鳴いた。
ぽりぽりと後頭部をかきつつ、人修羅が動物たちに目を向け、小声で呟く。
「…『アナライズ』」
すると人修羅の視界に、もう一つの視界が重なった。
動物たちの持つ個別の生命力や特技が、時にはそのまま、時には比喩的なイメージで頭の中に浮かんでくる。
「あのバグベアーはコロって名前で、水や氷に強そうですね。あと精神力が強くて『眠りの霧』にはかかりにくそうですね」
「こっちの小鳥は、まだ名付けられてないのか…あ、怪我をしていたんですか?ちょっと生命力の器がハッキリしているけど身が少ない…全快時より1/10程体力が減ってますね」
「一番大きい蛇さんは、鱗に隠れて見えないけど、かなり怪我が多いかな…あれ?意外と寒さに強い。なるほどミズチの眷属なのか…この子に嘗められると怪我の治りが早くなりそうですね」
ボルテクス界では敵の弱点を分析する時しか使わなかったが、こうして使ってみると意外なことまで解る。
病気の原因が解るかは微妙だが、集中して何度も行えば、かなり細かいところまで解析できそうだった。
一通りの解析が終わると、カトレアは嬉しそうに微笑んだ。
「凄いわ。まだ教えてないことまで解ってしまうのね。ねえエレオノール姉様。私は人修羅さんに診察して頂きたいと思うわ。だから人修羅さんに怖い顔をしないであげて」
「……解ったわよ」
エレオノールは、ちょっと拗ねたように唇をとがらせて呟いた。
◆◆◆
支援!
支援
「………………」
人修羅は『アナライズ』による診察の途中、ルイズとエレオノールに協力を願った。
二人の体と比べて、カトレアの体にどのような違いがあるか、またそれによってどんな影響があるのかを具体的に知るためであった。
しかし「胸を比べる気か」と誤解したエレオノールとルイズに睨まれ、冷や汗を流す羽目になる。
ボルテクス界では、敵の弱点を知るために用いていた『アナライズ』だが、意外にも病気の診察にも効果的らしい。
そもそも『アナライズ』を使わずとも、自分と仲魔の状態異常は理解できていたのだから、『アナライズ』を併用すれば人体の診断も難しくない。
人修羅は直接カトレアの背中に手を当てて、そこから感じられる微細な違和感を探った。
三十分ほど経過したところで人修羅による診察が終わる。
「まず確認したいことがあるんですけど…カトレアさんは、体のあちこちに水の淀み…つまり病が起きるんですよね?」
人修羅はこぢんまりとしたテーブルを挟み、エレオノールと向かい合って座っていた。
「ええ。そのたびに水系統のメイジに頼んで、治癒を施させているわ」
「つい最近、下腹部のあたりが弱まりませんでした?なんかつい最近治療を受けたような機がするんですけど…」
人修羅が自分の体の部位を指で示しながら、カトレアの体から違和感を感じた箇所を伝えた。
「他には?」
エレオノールは人修羅を試すような言い方をする。
その隣からルイズの熱い視線。
まるで「恥かかせんじゃないわよ!」と聞こえてきそうな程の気迫がこもっている。
人修羅は二人の妖気を身に受けつつ、カトレアの状態をエレオノール達と比較して説明した。
それにしてもエレオノールの視線は厳しい、妹を思うあまりなのか、それとも学者肌なのか、食い入るように、殺気が混じってるんじゃないかと錯覚するほどの視線を向けてくる。
人修羅も医学に詳しいわけではない。
人間の生命そのものと言えるマガツヒを食らい、魔力を行使して魔法を行使し、生命力を燃やして様々な種類の技を操ってきた。
生前には医者や鍼灸師だったという思念体から習ったり、崩れ落ちた本屋で拾った『よくわかる家庭の医学』やら『奇病・難病スペシャル』を読んで得た、いわば付け焼き刃の知識しかない。
一通り説明し終える頃にはと、人修羅のおでこに緊張の汗が浮かんでいた。
「つまりカトレアの体は窒息寸前の状態だと言いたいのね?」
説明を受けたエレオノールが、腕を組んだまま呟いた。
「はい。お二人と比べると、カトレアさんの呼吸動作には差違が無いんですが、一回の呼吸で得られる活力が少し低いんです」
人修羅が肺の輪郭をなぞるように、虚空で手を動かす。
それを見てエレオノールは、あごに手を当てて俯き、うぅんと唸った。
「続けますね。人間の血液中には呼吸で得た酸素を運ぶ”赤血球”ってのがあるんですけど、それを作り出す骨の内側が、ルイズさんと比べて流れが速いんです。何と言うか、未成熟なまま血が流れていく感じで…」
「それはつまり、カトレアは血がその役割を果たしきっていない…という事かしら」
「ええ。これは血の病というか、血を作り出す器官の病、そんな風に感じました」
エレオノールは無言で、また考え込んでしまった。
今度はエレオノールに代わり、カトレアと人修羅を見守っていたルイズが口を開く。
「ねえ人修羅、貴方の魔法で治せないの?」
「うーん…俺の知っている魔法は怪我を治すのには抜群なんだけど、この手の病気にどれぐらい効果があるか怪しいんだよな……たとえばさ、そこにティーカップがあるだろ」
人修羅がティーカップを指さす。
「人間の残存生命が紅茶だとする。怪我や疲労でどんどん消費され、0になると人間は死んでしまう。俺の魔法は器に紅茶をつぎ足すようなものなんだ」
ルイズがティーカップをちらりと見て、頷く。
「けれども人間の生命力には、個人差がある。それが器の大きさだ、カトレアさんの場合器がルイズさんより小さい、継ぎ足しても容量を超えると零れてしまう」
心底待ってました、支援!!
カトレアの生命を入れた器は、ルイズの半分以下にしか感じられなかった。
それを正直に言って不安を募らせてはいけないと思い、人修羅は慎重に言葉を選んだ。
「そうなの……」
ルイズが残念そうに肩を落とす、と今度はエレオノールが口を開く。
「それは、カトレアの体は、私たちより弱くできている、しかもその状態が正常だと言いたいの?」
あまりにも直球な発言に驚き、人修羅は口ごもった。
「人修羅さん、貴方の思うように言ってくださいな、私に遠慮はいりません」
人修羅のとまどいを察したカトレアが呟く。
「……じゃあ、言わせて貰います。カトレアさんの体が弱いのは、自然なことなんですです。
だから水系統の『治癒』だけでは根治にならない。
エレオノールさんと、ルイズさんの間で毛の色が違うように、人間は両親から少しずつ特徴を貰って生まれてきます。
祖父母や曾祖父母、もっと前の人たちから少しずつ受け継いでいます。
カトレアさんの場合は、偶然、血を作る力が弱いという特徴を受け継いでしまったのかもしれないです。
根治を目指すには『治癒』ではなく『強化』の考え方も必要だと思います」
エレオノールは人修羅の言いたことが解ったのか、静かに口を開いた。
「カトレアの体は、『弱い状態が正常』だと言いたいのね?それなら『治癒』だけでは原因解明ができなかった理由として一応の説明が付くわ」
隣では、ルイズが膝の上で両拳を握りしめ、俯いていた。
「ねえ人修羅…貴方の魔法で、カトレア姉様を治すことはできないの?」
「俺の魔法じゃ無理だ。でも、手段が無いわけじゃない。俺が使っていたアイテムの中に、『ソーマ』という霊薬がある。
『アミターパ』『アムリタ』『無量寿光』『甘露』『生命』『エリクサー』って別称でも呼ばれるんだけど、それなら遺伝病だろうが先天性のものだろうがお構いなしだ」
はっ、とエレオノールが顔を上げた。
「貴方の国では、その薬で血の病が治る前例があるの?」
相変わらず厳しい目を向けるエレオノールに、人修羅は執念と呼べる物を感じた。
「そこら辺は大丈夫、人間が用いれば、先天的な病や欠損も治してしまう究極の薬だからな。仲魔達のお墨付きだよ」
強力な敵と戦いで幾度となく命を落としかけた人修羅だが、その危機をソーマによって救われていた。
アクマにとってのソーマは『最良の薬』とされているが、人間にとっては『不老不死の妙薬』だという。
もし入手できれば、ならばカトレアの体にも効果があるのではないだろうか。
「でも、人修羅は元の世界に帰れないんでしょう?」
ルイズがそう呟いて、カトレアを見た。
カトレアは相変わらずにこにこと笑顔を浮かべているが、いつの間にか膝の上に猫を乗せていた。
「…ソーマが無ければ根治は難しい。だから、別の方法で治癒を続ける」
「その方法とは?」
エレオノールが身を乗り出した。
「昨日、エレオノールさんに渡した、あの結晶です」
支援
◆◆◆
エレオノールは呼び鈴で侍女を呼び、結晶をカトレアの部屋に持ってくるよう言いつけた。
すぐさま、赤く塗られた木箱が運ばれてくる。
ちょっと大きめの重箱に見えるそれは、内側が絹製のクッションになっており、傷の付きやすいものを保管するのに使われているようだった。
人修羅は、昨晩のことを思い出してまたもや微妙な気持ちになる。
自分の感覚では、ズボンのポケットに無造作に放り込んでも良い物だと思っていたが、ハルケギニアのメイジから見れば非情に重要なアイテムになりうるらしい。
「この結晶をどう使うというのかしら」
純白の、これまた絹製の手袋を着けて、結晶を摘むエレオノール。
「適当に枠を付けて、ネックレスにすれば大丈夫です」
「これをネックレスにするの…まあ、大きさは問題無さそうだけど、どういった原理でこれがカトレアの治癒に役立つのかしら」
「それはオールド・オスマンと、ミスタ・コルベールの協力を得て作成したんですが、一度傷を付けると少しずつ魔力が溶け出してしまうんです」
「溶け出す?」
「ええ、結晶に込めた治癒の力が少しずつ溶けて、身につけている人へと生命力を補充し続けるはずです」
「…そうか、これは風石と同じように、消費することでその力が一定の範囲に拡散するのね?」
「その認識で良いと思います」
「もう一つ聞くわ、安定性はどの程度?これにはかなりの力が込められているみたいだけど」
「魔法学院の外壁に叩きつけても壊れないので、かなり安定していると思いますよ」
その時外壁を貫通したことまでは喋らない事にした。
エレオノールは結晶を箱にしまうと、席を立って人修羅に向き直った。
「解りました。貴方の診察にはある程度の体系付けがなされているようです。また着眼点もアカデミーの研究内容に通じる物がありますわ。
我々の研究では証明されぬ部分があるので、その点は仮説と判断させて頂きますが、それでも治癒術としてはかなりのレベルにあると認識しました。貴方の考案を受け付けましょう」
そう言って、エレオノールは微笑みを浮かべた。
厳しそうな目つきは相変わらずだが、ほんの少し嬉しそうな口元が、新たな発見と考察による満足感を表している気がする。
ルイズもそうだ、先ほどとは違い、目を輝かせている……
年が離れてても姉妹なんだなあ、目元なんか本当にそっくりだ。
「そう言って頂けるとありがたいです。一応魔法でカトレアさんの体力を回復しておこうと思うんですけど、どうしましょう」
そんな人修羅の言葉に三人が賛成した。
「ええ、是非お願いするわ」
「お願いしますね、人修羅さん」
「人修羅、お願い」
「んじゃあ早速……『ディア』!」
人修羅の手から放たれた光がカトレアを包む、緑色に光るそれはカトレアの体に浸透し、疲労を取り除き、傷を再生させ、活力を与えた。
「あっ…」
水系統の治癒とは違う、体の芯から活力がわき出すような感覚に驚き、カトレアは思わず声を上げた。
「カトレア?大丈夫?」
心配したエレオノールは『ディティクト・マジック』を使いカトレアの体を調べた。
水の系統を得意としている訳ではないが、それでもカトレアの治癒のため必死に鍛錬し、ある程度は検査できる。
「ううん……なんか、体が熱くなるみたい。どう言ったらいいのかしら……体の内側から暖まるような気がするわ」
そう言ってカトレアが笑顔を見せた、エレオノールはカトレアの体に生命力が満ちていると分かり、杖を下げる。
「大丈夫みたいね」
「ええ。でも不思議ね、水系統の治癒と違って、体が軽くなったような気がするわ」
「それじゃ、しばらく様子を見ましょう」
エレオノールの言葉で、この場はお開きとなった。
人修羅さんktkr
支援
キタキタキタキターー!待ってたぜ!
支援!
◆◆◆
診察の後、人修羅は侍女に先導されゲストルームへと通された。
テーブルの上には、デルフリンガーが寝かされ、そのほかの私物は机の側にまとめられている。
昨日はルイズの使い魔ということで、平民の従者が泊まる部屋に案内されたのだが、この部屋はどう見ても貴族向けの一級品の部屋だ。
人修羅は適当な椅子に座ると、顔を天井に向け、口を開けた。
「あ゛〜〜〜〜」
『おおう、どうしたんだそんな声出して』
「デルフよ聞いてくれ、最初は『解析』だけをするつもりだったんだ。オールド・オスマンとの話でもそうだった。
でも実際にはどうよ、夕べは賓客という寄り使い魔扱いで、この部屋よりもっと小さかったろ?
それが診察を始めたらエレオノールさんは根掘り葉掘り聞いてくるし…って当たり前だよな、妹の命がかかってるんだし、俺って自分で言うのも何だけど怪しいし。
とにかくアナライズを何度も何度も使って今までロクに見てこなかった部分まで注視したよ、どうせなら仲魔を召喚して診察して貰おうかと思ったけど今の俺は召喚できないだろ!?
もう俺の知識だって限界はあるしさあある意味アクマと会話するより緊張するっての!
それはともかくさあ、俺はちょっとショックなんだ」
『何が?』
「死者蘇生の魔法を持っていても、先天性の病気を根治できない」
『相棒よ、それは高望みしすぎだぜ』
「やっぱりそう思う?」
『たりめーよ、何でもかんでも出来たら、ブリミルみたいに引っ張りだこだぜ。そしたら助けを求めて人が集まってくる、んで、その中にゃ相棒の力を利用する奴が出てくるぜ絶対に』
人修羅は椅子に座り直し、テーブル中央に置かれたデルフリンガーを手前に引き寄せた。
「なんだ、力を利用されるとか、そんな話がデルフから聞けるとは思わなかった」
『それがさあ、ちょっと思い出したんだよなあ、ブリミルを慕ってた弟子が居るんだけどよ、そのうち一人がこれがまたいけすかない奴で……』
デルフの話に興味を引かれ、人修羅がへぇと呟いたところで、コンコンとノックの音が響いた。
「ミスタ・人修羅。ヴァリエール公爵が、間もなくこちらにお見えになるそうです」
侍女はそう告げると、すぐに扉を閉じた。
『んじゃ俺黙ってるから』
「おい、デルフ!」
人修羅は慌てて服装をチェックし、デルフリンガーを壁に立てかけ、失礼がないよう心がけた。
数分後、白髪交じりの金髪を丁寧に整えたヴァリエール公爵がゲストルームへと姿見せる。
「ミスタ・人修羅。君には感謝しても足りない、ヴァリエール家に古くから仕えている水系統のメイジが、カトレアの体調を見て驚いていたよ、とても健康だとね」
「あ、ありがとうございます」
ゲストの元に足を運ぶ、つまり、ヴァリエール公爵は人修羅を賓客扱いしているのだろう、それに気づいたせいか人修羅の緊張もピークに達していた。
「しかし、それほどの力を持ちながら、君はルイズに仕えている、それが不思議でならん」
「そうですか?」
「ルイズに聞いたが、君はサモン・サーヴァントで呼び出されたそうではないか。召喚される前の生活に不満があったらしいが…」
「まあ、そんなところです」
「そうか。ではルイズの使い魔を続けてくれると考えても、良いのかな」
「たぶん、ルイズさんの寿命が尽きるまで、僕は生きていられると思います。それまでは……」
混沌王支援!
ヴァリエール公爵はうんうんとうなずき、満足そうに自分のあごを撫でた。
「ところで、君の国にはトリステインとは違う学問が発達しているそうだな、ルイズが言うには、ブシドーだとか、カガクだとか」
何か嫌な予感がして、人修羅の背中に冷や汗が流れた。
「は、はい」
「こう言ってルイズを励ましてくれたそうではないか、『失敗を経験した者を登用すべし』」
「ああ『葉隠』の一説ですね、そういえばそんな話したな」
「うむ。それだ、それを聞いたとき私は君を、ひいては君の国の文化性に驚かされたよ。
魔法の優劣にこだわり、貴族として最も肝心な治世を忘れた者にも聞かせてやりたい。
君の国の、サムライという…ハルケギニアで言えは聖堂騎士に近いのだろうかな、戒律を尊ぶ戦士だとか。
そういった話を聞いてみたい。ルイズに接している君が持つ文化性というか、ハルケギニア外に体系づけられた文化にも学ぶことがあるやもしれん」
「は、はあ、じゃあ何から話しましょうか……」
人修羅は冷や汗をだらだらと流しながら、顔を引きつらせぬよう気合いを入れた。
過剰な期待はしないでくれ!
俺は一般人なんだ!
俺は聞きかじりの知識しか無いんだーーーー!
…と叫びたくても叫べない。
人修羅の長い長い一日は始まったばかりである。
◆◆◆
公爵の質問攻めで、人修羅が精神的に疲れはじめたころ。
ルイズはカトレアの部屋で、二人きりで話をしていた。
二人並んでベッドに座り、ルイズがカトレアの髪の毛をすいている。
「ちい姉さま、体の調子は悪くない?」
「大丈夫よルイズ、貴方は心配性ね」
「人修羅、怖くなかった?」
「怖いはずないじゃない、貴方が召喚したんでしょう?」
ルイズは、後ろからカトレアに抱きつき、髪の毛に顔をうずめた。
「ごめんなさい…私、何もしてない、人修羅に魔法を教えて貰って、今度はカトレア姉様まで見て貰っちゃった…」
嗚咽が聞こえてくる。
カトレアはルイズの手を取って、優しく自分の手で包み込んだ。
「ルイズ、貴方の努力を知っているわ。私のためにどれだけ貴方が悲しんだか、私はいくら感謝しても足りないと思ってるの」
「で、でも、私まだ、魔法もほとんど仕えなくて、人修羅にばかり、使わせて」
「貴方がそうやって悩むのは、貴方が優しいからよ。その優しさを人修羅さんにも向けてあげなさい、あの人は貴方を必要としているの。だから召喚に応じたって、私に言ってくれたわ」
「…………」
「少しだけ、素直になってあげなさい、ね?」
◆◆◆ ◆◆◆
数時間前。
ガリアの北花壇騎士団を統率する、イザベラの私室。
「うぅ〜ん……」
「ヒホー」
豪華な店外付きのベッドで寝ているイザベラは、額に汗を浮かべてうなされていた。
「うう…」
腹を枕代わりにされたヒーホーは、イザベラ程度の重さなど気にならないのか、寝息を立てて熟睡しているようだった。
「ヒホー」
さて、イザベラがうなされている理由は………
「何だこれはーーーっ!?」
霧深い森林の中で、イザベラはナイトドレスのまま両拳を握りしめ、雄叫びを上げた。
「ヒホ! イザベラちゃんも来たホー?」
「ああっ、ヒーホー!こ、ここは、何だいこれは!」
イザベラは、ぴょこぴょこと足音を立てるヒーホーを見つけ、飛び込むように抱きついた。
「おかしいホね、呼ばれたのはヒーホーだけのはずだホ」
「呼ばれた?呼ばれたってどういう事だい、ここは何なんだ?」
「ここはピクシーの住んでる泉の森だホね。この近くにスカアハの影の国があるホー」
「ピクシー?それって、妖精のことかい?影の国?いったい何なのさ、これは」
ヒーホーに抱きついたまま、きょろきょろと辺りを見回す。
霧の濃さはすさまじく、1メイル離れた樹木すら少し霞んで見えるほど、今ヒーホーから離れたら二度と会えない気がして、イザベラはよりいっそう強く抱きしめた。
「あら、ヒーホーったらこっちに来ちゃったの?」
ふと頭上から声がした、イザベラが顔を上げると、そこには蝶が…いや、蝶のような羽の生えた、小人が飛んでいた。
「なっ、ななななな、何!?」
「モー・ショボーだホ!久しぶりホねー」
ヒーホーが手を振って挨拶をすると、モー・ショボーと呼ばれた子人が二人の前に着地した。
「スカアハに呼ばれてるんだホね、影の城に行きたいんだホー。どうにかならないホ?」
ちょこん、と首をかしげるヒーホー。もちろんイザベラは抱きついたまま。
「それは知ってるけど……でも、その子はスカアハに呼ばれてないんでしょ? 私が影の城に案内しちゃまずいわよ」
「うーん、でもイザベラちゃんを一人で置いていくのは不安だホー」
「おおお置いて行くって!?やめてくれよ!あああ、あたしはこんなところで死にたくないよ!」
取り乱すイザベラを見て、モー・ショボーがくすりと笑った。
「大丈夫!ここで死んでも魂はピクシーになるだけよ。お友達が増えたら私も嬉しいんだけどなあ」
「ひー!」
イザベラは怖がってしまい、ヒーホーの体に顔を押しつけた。
モー・ショボーはイザベラの怖がる様子を見て、クスクスと笑っていたが、ざわりと森の気配が変わったのを感じ取り表情を変えた。
「あっ……」
「ヒホっ」
ヒーホーとモー・ショボーが、二人同時に同じ方向を向いた。
「ねえ人間さん!凄い事よ、貴方はこの世界に入る許可がないけれど、ヒーホーをお世話してくれたから、特別にスカアハが姿を見せてくれるって!」
「ヒーホー、助かったホー。イザベラちゃんもう安心だホ。泣きやむといいホー」
イザベラがヒーホーの体から顔を離す、微妙に目と鼻頭を赤く貼らして、ぐずっ、と鼻を鳴らした。
「本当に大丈夫なのかい、それにスカアハっていったい何なんだい」
「とっても強い女神様だホー」
風呂上り就寝直前支援
ヒーホーの言葉が、不自然なまでに森に響く。
するとあたりを立ちこめていた霧がみるみるうちに晴れていき、周囲に立ち並ぶ木々がはっきりと見えるようになった。
そこでふと気づく、木々の隙間からは、木漏れ日一つ無い。
それどころか太陽らしきものが無いのに、あたりは昼間のように明るい。
自分が置かれている環境が、あまりにも不可思議なものだと気づいたイザベラは、ガバッと顔を上げて辺りを見回した。
いつの間にか、周囲の木々が見あたらなかった。
森の中に作られた直径30メイルほどの広場、その中心で、イザベラとヒーホーが立ちつくしていた。
ゆらりと、前方の景色が歪む。
歪みは景色をレンズのように押し広げていき、その中心から一人の女性が現れた。
黒色のマントと帽子を纏い、宙に浮かんだ状態で座している、神秘的と言うよりは破滅的な気配のする女性だった。
「あ………」
死ぬ。
イザベラは直感的にそう思った、自分は死ぬ、いやもう死んでいるのかもしれない、いやむしろ自分は死ななくてはいけない。
そう思わせるだけの圧倒的な、死の気配が漂っていたのだ。
「ヒーホー!スカアハ、元気だったホー?」
「貴方こそ元気そうで何より…この少女にずいぶんと気に入られたようですね」
「そうだホー、イザベラちゃんは優しいホー」
「ところでヒーホー、貴方の居る世界のことですが…」
立ちつくしているイザベラをよそに、ヒーホーとスカアハの話が進められる。
「その世界は既に受胎しています。受胎したまま肥大化した世界…まれにあるのです」
「貴方以外のアクマを、そちらの世界に送ることは出来ません、世界が許容量を超えて崩壊してしまうかもしれないのです」
「その世界に人修羅がいるはず、どうにかして人修羅に会うのです、彼もアクマを召喚できず難儀していると思いますから」
「アイテムは幾つか貴方に渡しておきます、役立ててください」
等々…
「解ったホ!ちゃんと人修羅に会って伝えるホー」
「お願いしますよ」
ヒーホーが右手を挙げて、大丈夫だと宣言した。
と、そこでヒーホーは、すぐ横で固まったままのイザベラに気が付いた。
きたーーー!!
支援
イザベラ終了、支援
支援
「スカアハ!イザベラちゃんは魔法を上手になりたいんだホ! イザベラちゃんもお願いするといいホね!きっと強くなれるホ!」
ヒーホーがイザベラの袖を引っ張るが、反応がない。
それを見たスカアハは右手を胸の高さまで上げて、パチンと指を鳴らした。
「あっ」
意識を取り戻したイザベラは、自分がまだ生きていることに違和感を感じた。
自分はもう死んだはずでは無かったのか?では今目の前にいる人は何だ?
「落ち着きなさい。イザベラ。貴方はヒーホーをそちらの世界に誘い、不可能に近い召喚を無理のない形で実現してくれたのです。
貴方が召喚してくれなければ、我々もどれほど時間をかけたことでしょうか。それほどこの世界は遠く、そして世界は脆いのですから」
「は、はい」
イザベラは徐々に落ち着きを取り戻し、スカアハの言葉を租借して、必死に理解しようとする。
「その礼として……貴方に力を授けましょう。影の国に入る資格までは授けられませんが、この力を使って、いつか影の国にたどり着けることを期待していますよ」
スカアハはマントの内側、闇色の空間から一本の棒を取り出す、それは樫の木を削って作られた、長さ2メイルほどの杖であった。
無骨で飾りのないそれに、スカアハは指先で何かの文字を書いていく。
「え、力って、あ……」
イザベラの夢は、そこで終わった。
「………あぁぁぁぁああああああ!!???」
「ヒホッ!?」
叫び声を上げながら、がばっ、と跳ね起きたイザベラ。
枕代わりのヒーホーが急な衝撃に驚いて、体を揺らした。
「あ、イザベラちゃん、おはよーだホ」
「ああ……ヒーホー、ごめんね驚かせて、なんか嫌な夢を見た気がするよ」
「夢だホ?」
聞き返すヒーホーを抱き寄せて、イザベラが話を続ける。
「ああそうさ、霧深い森の中で変な奴が現れて…変な棒をあたしに渡したんだ」
「それ、夢じゃないホ!」
そう言ってヒーホーがベッドの片隅を指さす。
「え?」
ヒーホーが指さした先には、夢の中で渡された、長さ2メイルほどの杖が寝かされていた。
ーーーーーーーーーーーー
今回はここまでです。
乙!乙!乙っ!乙っ!乙ぅっ!乙うぅっ!
乙!
元一般学生に、王侯貴族の相手はキツイでしょうね。
あと、ヒーホー君かわいいなぁ。
GJでした!!
ヒーホーとイザベラのやり取りが最高です、次回も楽しみです。
>>639乙であります!
くぅぅぅぅ〜続きがとても気になってしまう…この焦らし上手め!ww
乙です
次回も楽しみにしてます
乙ー
起きてた甲斐があったってもんだぜ
女神転生はやった事も無いんだけど普通に面白く読めるわ
乙っす
あああ、続きが気になる!
ああもう!面白過ぎる!
続きが気になって気になって仕方なかった!夜だというのに叫んでしまったよ!
俺、ジャックフロストの台詞は氷上恭子の声で脳内再生されるんだ
アクマ乙です。イザベラとヒーホーの掛け合いがほのぼのすぎて好きです♪
俺もジャックフロストの腹に頬擦りしたい。
そして、毒の爪の使い魔の第16話後半部分、ようやくまとまりました。
予定などが無ければ2:10から投下します。
支援
日付変わったらいきなり投下の嵐ww
支援
では、投下開始します。
出発から二日…
その後は何事も無く、ゆるゆると使い魔の空の旅と、ジャンガ以外の使い魔の主人の馬車の旅は続いた。
途中、ラグドリアン湖の近くを通りかかった。
水は引いているようではあったが、直ぐに元通りとはいかないようだ。
おそらくは増水にかけたのと同じ時間、二年をかけて戻していくのだろう。
ジャンガはそんなラグドリアン湖を見下ろしながら、フンッと軽く鼻を鳴らし、寝転んだ。
「ついたのね。早く起きるのね、きゅい!」
「ン?」
ジャンガはシルフィードの声に身体を起こすと、シルフィードから身体を乗り出し、見下ろす。
眼下には、立派なつくりの大名邸が見え、その入り口の前で馬車は停まっていた。
馬車からタバサとキュルケが降り、真っ白な髪に真っ白な髭を蓄えた一人の老僕が出迎えている。
ジャンガは三人が屋敷に入るのを見計らってシルフィードから飛び降りた。
地面に降りるや、ジャンガは直ぐに屋敷の中へと潜り込んだ。
外見から想像していた通り、邸内も隅々まで手入れが行き届いており、とても綺麗であった。
だが、静か過ぎる。注意しなければ靴音が響き渡るくらいの静寂だ。
モット伯の屋敷は人の声や靴音の他、様々な生活を感じさせる音が響き渡っていたが、
こっちは静寂に包まれ、まるで自分以外は誰も居ないかのような錯覚を起こしそうである。
(こんなに広い屋敷で、まるっきり人が居ないってのはどういう事だ?)
ジャンガは屋敷の様子に首を捻ったが、気にしない事にし、タバサ達を探す。
何度目かの角を曲がった時、先の方で扉が開いた。素早くジャンガは身を隠す。
出てきたのはタバサだった。扉を静かに閉めると、そのまま道の奥へと消えていく。
何処へ行く気だ?と、後を追おうとしたが、タバサが消えた方と反対側から別の気配がしたのを感じた。
素早く飛び上がり、天井へと張り付く。気配は先程の老僕だった。
老僕は紅茶の入ったティーカップのを持っており、タバサが出てきた扉を開け、中へと入っていった。
ジャンガは床に降り立つと、扉の前に移動し、音を立てぬように扉を少しだけ開け、中を覗き見る。
中ではキュルケと先程の老僕が話しをしているのが見えた。
「このオルレアン家の執事を務めておりまするペルスランと申します」
老僕=ペルスランはキュルケに恭しく礼をした。
キュルケも自分の名を告げる。
「私はゲルマニアのフォン・ツェルプストー、お世話になるわ」
「シャルロットお嬢様がお友達をお連れなされるなど思いもよりませんでした」
シャルロット…その名前にキュルケは尋ねた。
「シャルロットがあの娘の本名なのね?」
「は?」
ペルスランはキュルケの言葉に、一瞬唖然とした表情を浮かべた。
扉の外でジャンガは、なるほどと頷いていた。
(シャルロット……それがあいつの本名か…)
視線を戻すとキュルケからペルスランは何事かを聞いているようだった。
653 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 02:10:19 ID:A2WRqgaF
乙です。 ゲイボルグ欲しいです
確かに世界の距離はあるだろう
でも、ルイ・サイファーなら来てくれる
あの結構お茶目で気さくな魔王様ならシレッと現れてくれる
支援する
「そうですか……お嬢様は学院で『タバサ』と名乗っておいでなのですか…」
「どうして偽名を使って留学してきたの?あの子、何も話さないのよ」
「留学はお嬢様の伯父である国王の仰せです」
キュルケは驚きの表情を浮かべる。
「伯父?やっぱり…あの子は王族だったのね」
「シャルロット様のお父上…今は亡きオルレアン公は現国王の弟ぎみでした」
その話にキュルケは悲しそうに顔を伏せる。
「そうだったの…、お父様はお亡くなりに…」
キュルケの言葉にペルスランはせつなげな溜息を漏らした。
「…殺されたのです」
「え?」
顔を上げるキュルケ。
「お嬢様が心許す方なら構いますまい。ツェルプストー様を信用してお話ししましょう」
ペルスランは深く一礼し、語りだした。
「オルレアン公は王家の次男でありながら長男のジョゼフ様よりも魔法の才に秀で、何より人望と才能に溢れた方でした。
五年前…、先王が崩御された時に、どちらが王の座に相応しいか、という事で宮廷が真っ二つに分かれてしまったのです。
そんな醜い争いの中…オルレアン公は謀殺されました。狩猟会の最中に胸を下賎な毒矢で射抜かれて…。
しかも、ご不幸はそれに止まりませんでした」
ペルスランは胸をつまらせるような声で続ける。
「ジョゼフ様を王位につけた連中は将来の禍根を断とうと、今度はお嬢様を狙いました…。
ある晩の事…お嬢様と奥様は晩餐会に招かれました。そこでお嬢様はある貴族から飲み物を手渡されたのです。
しかし、それには心を狂わせる水魔法の毒が仕組まれておりました。
奥様はそれを知り、お嬢様の手からその飲み物を奪うと自ら口にされました。
…事は公になり、その貴族は断罪されました。奥様は自らを犠牲にしてお嬢様を庇ったのです。
以来…奥様は心を病んだままです、お嬢様の事もお嬢様と解りません…。
そして、奥様が心を病んだ日から、快活で明るかったシャルロット様は別人のようにおなりになりました。
…まるで、言葉と表情を自ら封印されてしまわれたような。しかし、それも無理からぬ事…。
父が殺され、更に目の前で母が狂えば、誰でもそのようになってしまうでしょう…」
話を盗み聞きしていたジャンガは鼻を鳴らす。
(殆ど喋らず無表情な人形のような言動…、親の事を馬鹿にした事であいつがあんなに怒った事…、
そして復讐を考えている事…、なるほどなァ…こう言うわけか)
ジャンガは思い返した。
――学院の最初の授業で、爆発から退避するべく教室を離れたタバサとの初めての接触。
人形のような無表情、必要な事意外は口にせず…人と関わろうとしない言動。
――召喚されて間もない頃にあった、ヴェストリの広場での決闘。
親を侮辱された事に対する、命乞いをする相手に容赦の無い魔法を繰り出すほどの殺気に近い怒り。
そして…その一見無表情な碧眼の奥に浮かぶ憎しみと復讐の感情。
それらの理由がこれでハッキリした。
ペルスランの話は続く。
「奥様の事があって、表立ってお嬢様を亡き者にしようという輩はいなくなりました。
その代わり…王家はお嬢様の魔法の力が強い事を理由に、困難な…生還不可能と言われる任務を
言いつけるようになったのです。ですが、お嬢様はこの理不尽な命令を全て完遂させました。
ご自分と奥様の身を守る為に…命がけで」
キュルケは言葉を失い、ただ呆然と老僕の話に耳を傾けるだけだった。
「…あの子がトリステインに留学した訳は?」
「思惑通りに行かぬ王家は本来なら領地を下賜されてしかるべき功績にもかかわらず、
シュヴァリエの称号のみを与え、厄介払いの如く…外国へと留学させたのです」
そこでペルスランは一旦言葉を切った。
「お嬢様は『タバサ』と名乗っておられる。そうおっしゃいましたね?」
「ええ」
「『タバサ』とはお嬢様が奥様にプレゼントされた人形に付けた名前なのです。
お忙しい身の上の奥様が、お嬢様が寂しがられないようにと…手ずからお選びになった人形でした。
お嬢様は、それはとても喜ばれまして…『タバサ』の名を付けて、妹の様に可愛がられておりました。
その人形は…今現在、奥様の手の中。心を病まれた奥様はその人形をお嬢様と思い込んでおられるのです」
そこまで話を聞いたジャンガは、扉を閉めるとタバサが消えた方へと向かった。
支援
屋敷の一番奥の扉の前に立つや、中から女性の叫び声が聞こえてきた。
「王家の回し者め!私とシャルロットを亡き者にする気!?」
ジャンガは扉を慎重に開き、中を覗き込む。
大きく、殺風景な部屋だった。手前のベッドと奥の窓際に置かれたテーブルと椅子以外は何も無い。
その椅子には痩身の女性が座っていた。髪は伸ばし放題で、やつれた顔は実際よりも二十は年老いて見える。
その腕には人形が抱かれていた。…おそらく例の人形だろう。
その女性=母の前でタバサは跪き、頭を垂れていた。
母は怯えた子供のように人形を強く抱きしめ、目を爛々と光らせて実の娘を睨み付ける。
「おそろしや…、この子がいずれ王位を狙うなどと…、誰が申したのでありましょうか?
私達はただ静かに暮らしたいだけなのです…」
そこまで言うと、母はテーブルの上のスプーンを掴み、タバサに投げつけた。
タバサはそれを避けようとしない。スプーンが頭に当たり、床へと落ちる。
「この子は…シャルロットは私の大事な娘です…」
そう言って母は抱きしめた人形=『タバサ』に頬擦りをする。愛しい娘にするように、何度も何度も繰り返す。
今までも何度も何度も繰り返したのだろう…、『タバサ』の頬は擦り切れ、中の綿がはみ出していた。
タバサは頭を垂れたまま口を開く。
「貴方の夫を殺し、貴方をこのようにした者どもの首を、いずれここに並べに戻ってまいります。
その日まで、貴方が娘に与えた人形が仇どもを欺けるようお祈りください」
タバサは静かに立ち上がり、母を見ながら寂しげな笑みを浮かべた。
「また会いに参ります…母さま」
「”母さま”ねェ〜?……キキキ、笑っちまうぜ」
唐突に聞こえてきた声に反射的に振り返る。
いつの間に入ってきたのか……扉の前に立つ人影にタバサの表情が僅かに強張った。
「ジャンガ…」
「最初に面合わせた時もそうやって俺の名前を呼んだっけな…?キキキ、懐かしいゼ」
ニヤニヤ笑いを顔に張り付かせたままジャンガはタバサを見据える。
「どうしてここに?」
「キキキ、なァに…お前が親友と何処かへお出かけのようだからな。ちょいとあの竜の背中を間借りしたのさ」
「何者!?王家の新たな回し者!?」
タバサの後ろで母が恐怖に駆られて騒ぐ。
それにジャンガは射抜くような視線を飛ばす。
「あ…、う…」
途端、母は静かになる。恐怖に震え、助けを求めるように…、すがり付くように…、『タバサ』を抱きしめる。
「……」
母を庇う様に、一歩前に出たタバサの身体から冷たいオーラのような物が滲み出る。
”今すぐ出て行け”…そんな意味が込められているようだ。
そのプレッシャーにも動じず、鼻で笑うジャンガ。
「おいおい…そんなに怖い顔するなよ?ちょっとした挨拶で来ただけなのによォ〜」
「……」
「そう邪険にする事も無ェじゃねェか……なァ、シャルロット?」
自分の本名を呼ばれ、タバサの顔に動揺の色が浮かぶ。
「どうして?」
「さっきな…、お前の親友の雌牛と迎えのジジイが話をしてるのをちょいと盗み聞きしただけさ。
――名前以外にも色々聞いたがよ、…苦労してるみたいだなァ〜?」
「……」
タバサは答えない。
「あの高慢ちきな小娘の命令にホイホイ従っているのも母ちゃんを守る為か…、健気だねェ〜。
――そして、その一方で復讐の機会を窺っていると…」
話を続けながら、静かに一歩、一歩、歩み寄る。
「たった一人で復讐を成し遂げようと、任務をこなしながら魔法の腕を日々磨くか…、ご苦労な事だゼ。
…まァ、無理だろうけどな」
ジャンガのその言葉にタバサの眉が、ピクリと動く。
「何故、そう思うの?」
「キキキ。さて…どうしてだと思う?」
「言って」
「いいじゃねェかよ…そんな事はよ?」
ジャンガは顔から笑みを消す。
「――人形がご主人の母親に抱かれる事なんざ、無いんだからよ?」
ジャンガの言葉にタバサは僅かに怪訝な表情を浮かべる。
「どういう意味?」
「言ったまでの意味さ…。テメェは『タバサ』なんだろ?テメェの後ろにいる奴の娘は『シャルロット』なんだからよ」
「母さまは今、心を病んでいるから、私の人形を私と思っている。だから――」
「だから?親に自分を認めてもらえないから、元に戻るまで人形でいる事を選んだのか?
ハンッ!だったら、テメェは『タバサ』だ!ただの人形だ!テメェでそれを選んだからにはな!そして……」
そこで、ジャンガは母を爪で指し示す。
「そいつが握っている人形が『シャルロット』だ!」
ジャンガはタバサに視線を向ける。
「解ったか?そいつはもう娘を抱いているんだ。人形の…『タバサ』のテメェが入り込む余地は無ェんだよ。
テメェはただ…テメェのご主人、『シャルロット』の怒りと憎しみを晴らそうとする人形なんだよ」
タバサの表情が曇る。
「違う…」
タバサがようやく搾り出した言葉を聞き、ジャンガは「はァ?」と眉間に皺を寄せる。
「何が違うんだ?本来の『シャルロット』は明朗快活な少女だったと聞いたゼ。…なのに、テメェはどうだ?
人形みたいに無表情、必要な事以外は話さないし…人付き合いもしない、それで…いつも一人でいる。
まるで別人じゃねェか…?明朗快活って言葉が、暗い人間を指し示すんでもなければな。
だから、テメェは『タバサ』なんだよ。『シャルロット』じゃねェんだよ!何にも違わねェんだよ!!」
「違う!」
珍しくタバサが叫んだ。
しかし、ジャンガは止まらない。
「あの爺が言ってたゼ!『シャルロット』の母ちゃんは娘を庇って自ら毒を飲んだってな!
身を挺して娘を庇ったんだ、泣かせるじゃねェか!!娘を愛してる証拠だ!なのに……」
そこで言葉を切り、ジャンガは爪をタバサに突き付ける。
「テメェは…その母ちゃんの行動を無駄にしやがった!復讐なんて”バカらしいほどに無駄な”事を考えた為にな!」
「バカらしい…?」
タバサは唇を噛み締める。自分と母がどれほどの苦しみを味わったか知りもしないで、こいつは何を言うんだ?
そんなタバサを見てジャンガは目を見開き、嘲笑う。
「キーッ!キキキキーーーッ!!傑作だゼ…傑作!これほどまでに親の愛情を踏み躙った奴は始めて見るゼ!
……いや、二人目か?まァ、いいけどよ!…にしても、本当に良かったよな?」
「何が…?」
「テメェの親が狂っていてよ!?今のテメェを見ないでもらえて良かったじゃねェか。
母ちゃん狂わせてくれた貴族には、礼の一つでも言ってやったほうがいいんじゃねェか?
キーーーッ!キキキキキーーーッ!!!」
――もう限界だった……
――気が付けば、タバサは『ウィンディ・アイシクル』をジャンガ目掛けて放っていた。
シエン
以上で投下終了です。
タバサと名乗る=人形である事を選んだ、これはいつかネタにしようと考えていました。
今回形に出来て良かったです。
では、また次回。アディオース!
664 :
くろありー:2008/11/14(金) 02:33:58 ID:DvPVsDqt
毒の爪さんお疲れ様です
そしてものすんごいお久しぶりです。
職場が変わったり、civ4にはまったり、箱○買ったりいろいろあって長いこと書いてませんでした。
でもってラロシェールまでの道のりがどうにも納得のいくものが書けなかったりして、こんなに間が開いてしまいました
覚えていてくださる方がいれば有り難いのですが、忘れられててもまた細々と書き始めたので投下しようと思います。
先述の通りラロシェールまでの道のりが全然筆が乗らないので、キンクリそして回想というちょっと邪道な書き方をさせていただきました。
しかも今回は回想部分まで行かないような分量の少なさ。
ただ、少しずつでも投下しないとどうにも投下が延び延びになりそうで……
まぁ、いいわけはこれぐらいにして投下してよろしいでしょうか?
毒爪氏乙
人間図星を指されるのが一番怒れるといいますね。
黒蟻さんお待ちしていました。
こんな時間じゃ人はいないかな?
投下します
ルイズは膝を抱えて泣いていた。
ヴァリエール家の庭にある池に小船を浮かべ、その上で。
どうにも陰気な雰囲気の漂うこの場所に好んで近づくものは少なく、それ故、専らルイズが一人で泣くための場所となっていた。
今回はどうして泣いているんだろう?
そう考えてルイズは気づいた。これは夢だ。
膝を抱えて泣いているルイズ。ルイズはそれを俯瞰して見ていた。
これが夢でないというのなら、膝を抱えて泣いているように見えるルイズは実は既に死んでいて、肉体を抜け出し魂となって己を見ているのかもしれない。
(案外、そうかもしれない)
ルイズは思った。
俯瞰してみるこの感じ。空気に溶けているかのようなこの感覚。
これは『本』を読む感覚に似ている。
自分の『本』があるというのなら、自分はもう死んでいるのだろう。しかしその『本』を読む自分は誰なのか。
(ああ…)
死んだ己の『本』を読む。それは・・・。
彼女はあの時、今のルイズとは比にならない混乱と当惑を感じただろう。
ただ呑気に過去を夢に見ているだけの自分と、彼女の身に起こったことを同列に並べるべきではない。
これは夢だ。ならば早く夢から覚めてしまおう。
とはいえ、夢から覚めるにはどうしたものか。
そんなことを考えるルイズの視界に、一つの影が映った。
そんなことを考えていない小舟の上のルイズもその影に気づく。
ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。ルイズの婚約者。
小舟の上で泣く自分と、それを迎えに来た優しい婚約者。
この夢は自分が思っていたよりもずっと過去の出来事だったらしい。
これは確か……自分が一桁の年齢の時の出来事ではなかったか?
そう思って見ていると、小舟の上のルイズがいつの間にか随分と縮んでいた。この夢を見始めた時には、小舟の上で泣くルイズは魔法学院の制服に身を包み、今現在のルイズと変わらない姿であったのに。
成る程、まさしくこれは夢だ。
よく見ればワルドも立派な髭を蓄えた現在の姿と、当時の青年とも少年ともいえるような年頃の姿を行き来している。
夢の不条理さを夢の中で感じながらルイズは彼らのやりとりを眺める。
夢の中の不条理故か、彼らの言葉は確かに耳に届いているはずなのにルイズには聞こえなかった。世界は沈黙で満ちていた。
幾つかの言葉のやりとり。その後、ワルドが小舟の上のルイズに向けて手をさしのべようと一歩踏み出した。
ワルドがルイズに手をさしのべようと一歩踏み出したとき、ルイズの心の中に悲しみと怒りが綯い交ぜになったような名状しがたいものが溢れてきた。
ワルドと幼いルイズのやりとりはまるで聞こえてこないのに、ワルドの足の下からは一匹の小さな蟻が潰れるぐしゃりという音、耳を澄ませても聞こえるはずのない音が大きく響いた。
――ルイズは夢から覚めた。
深夜になんという投下ラッシュ・・・
支援
「おはようございます」
まだ覚醒しきらぬルイズに声がかけられる。
ルイズはぼんやりとしたまま身を起こし、顔を声のする方へと向けた。
「アンタ誰? 此処はどこ?」
声の主はルイズの知らない顔だった。
ニヤニヤとした笑みを浮かべた青年。いや、その顔だけを見れば少年と言うべきかもしれない。童顔。しかし、高いというより長い言いたくなるようなひょろりとした長身と、その手に持つやたらと武骨な鉄杖が少年と言うには不似合いだ。
ただ、ニヤニヤと笑っているがそこからは下品さを感じさせるものはなく、どちらかと言えば爽やかさすら感じさせるものがある。つまりはいかにも好青年と言った表情だった。
そこそこにもてそうな、貴族の子女の間より平民の娘たちの間でこそもてそうなタイプだなと、ルイズはぼんやりと思った。
「そこは『私は誰? 此処はどこ?』でしょう。勿論『私はどこ? 此処は誰?』でもOKですよ。こういうときはオーソドックスにいきましょう。オーソドックスを楽しめないと人生の半分を損しますよ」
男が言う。
見た目ほどはもてないだろうな、とルイズは評価を改める。言わなくてもいいことを言わずにはいられないタイプだと見える。
「おっと、いらんことを言う男だと思ってますね? いやはや申し訳ない」
その科白こそいらぬことだとルイズは思うが、声には出さない。こういうお喋りな手合いにいちいち反応するのは無駄であるし、どうにも眠気が抜けない。ぼんやりとした倦怠に包まれている。
「ではそろそろあなたのような可憐きわまりない御令嬢に名を名乗る栄誉に預からせていただくとしましょう。僕の名前はグレアム。それ以上でもそれ以下でもありません。
僕があなたと同じ年の頃の時にはそれ以上だかそれ以下だったのですが、まぁ、家名を失ってしまいましてね。今はただのグレアムです。
元は子爵家に生まれましたが、今は気楽な傭兵稼業です。通り名は『泥濘』。そう名乗るとよく土メイジと間違われますが、僕は水系統です。水のトライアングル。
自分で言うのも何ですがそこそこに腕は立つ方ですよ。傭兵ですからね、実戦においてなら頭でっかちなスクエアよりはいけると自負してます。
もう一つ自分で言うのも何ですがといったことですが、あまり傭兵らしくないと言われるのが密かな自慢です。
この稼業は、元貴族でも2、3年もやってればいかにも傭兵と言った風情になってしまうのですけれどね。がさつと言うか粗雑というか……。
まぁ、傭兵らしさに染まってはいないからといって、貴族らしいのかと言えばまた別の話なのでしょうが。
傭兵とはいえ荒っぽいことばかりして生きていけるわけでもないので傭兵仲間の間ではそこそこ重宝されています。今のボスにもそのあたりを買われたところがありますからね。
だからこそ……」
男、グレアムは身振り手振りを交えながら一方的にまくし立てる。
しかしそれは控えめに叩かれたドアの音によって中断された。
グレアムは少し残念そうにしながら「どうぞ」とドアのむこうに応える。
支援
おかえりなさい支援
ドアを開けて入ってきたのは一人の大男だった。グレアムとは違い縦だけでなく横にも大きい。大きいという言葉も似合わない。有り体に言えばごつかった。
ルイズは一瞬岩でできたゴーレムが入ってきたのかと思ったほどだ。体だけでなく、顔立ちまでもが岩のようだ。
その岩のような男はグレアムに一瞥をくれると、ルイズに向けて恭しく一礼をし、
「おはようございます。ミス・ヴァリエール」
やはり岩のような声、しかしその物腰はごつごつとした岩ではなく、何か磨かれた岩のような声で言った。
ルイズが磨かれた岩にたとえられるような声がこの世に存在していることに驚いていると、その間に岩男はてきぱきとルイズのベッドの隣に置かれた小さなテーブルへ食事を並べていく。
最後にグラスにワインを注ぐとボトルをテーブルに置き、
「冷めないうちにどうぞ」
と、一言だけ添えて岩男は入ってきた扉から出て行った。
スープから漂ってくる香りがルイズの鼻を刺激する。それはまたルイズのぼんやりとした意識を刺激する。
ぼんやりとした意識の中から疑問が急速にふくれあがる。此処はどこなのか。このグレアムという男は誰なのか。先ほどの岩男は何者か。そもそも何で見知らぬベッドで寝ているのか。
ルイズがその疑問を口にしようとする前に、グレアムがまた喋り始めた。
「今のは僕の同業、つまり傭兵で、今は僕と同じ任務についている仲間です。名前はクラウス。通り名は『鉄波』。
水のメイジに間違われることはないみたいですね。土のラインです。たしか産はゲルマニアの方だといってましたね。性格はあまりあちらの方とは思えない真面目そのものといったところですが。
見た目に似合わず細かいところまでよく気の回る男です。魔法の方も細かい細工物を作ったりというのも得意ですし、とはいえ見た目通りの大味な魔法も得意です。
実戦においてはラインとは思えぬほど気を吐く男ですが、普段は少し無口なところをのぞけばつきあいやすい男です。
愛称は『テッパッパー』これは僕がつけたのですがいまいち流行りません。本人が気に入ってないみたいで、あの強面で否定すると、皆遠慮してしまうみたいですね。僕はいいと思うのですが、『テッパッパー』。
そうそう、あなたのつけているその腕輪。それも彼の作ったものです」
「腕輪?」
ルイズはグレアムの言葉に首を傾げ、そして己の腕を見る。
「なっ! 何よこれ!?」
ルイズは思わず声を上げる。
己の左手首に巻かれた鉄の輪。そしてそこから鎖が伸びベッドのポールへと繋がれている。
「なんなのよ!? これは!?」
ルイズはグレアムを睨みつけもう一度言った。
「その質問には勿論お答えいたしますが、その前に一つ警告をしておきます。くれぐれも蟻は出されぬよう。その場合には手加減は一切するなと言われております。あなたごと『面』で蟻を一度にたたきつぶすように言われております」
そう言ってルイズへと鉄杖をむけるグレアム。その口元は笑っているが、目からは冷たいものしか感じ取れなくなっている。
ルイズは言われるまで蟻を出すことなど忘れていた。グレアムの言葉でそれを思い出したが、しかし彼の目が安易に蟻を出すことを許さなかった。
グレアムの目はルイズの黒蟻をしっかりと驚異と認識した上で、出した瞬間に対応してみせると物語っていた。
微塵の油断もないが、自信に溢れている目。
ルイズはゴクリとつばを飲み込む。
「ご理解頂き有り難うございます」
グレアムは慇懃に言う。
「うちのボスから、あなたの蟻についてはよく伺っております。恐ろしい力だと思いますよ。一手でも対処を間違えるとスクエアだろうと不覚をとるでしょう。
杖を取り上げても無意味だというのがまた恐ろしい。こうして鎖に繋いでいても一瞬たりとも気を抜けないわけですからね」
そう言いながらもグレアムの目が優しいものへと変わっていく。とはいえ警戒は解いていないだろう。
「できればあなたには温和しくしていて頂きたいのですよ。ボスからも丁重に扱うように言われてますし、僕個人の好みからしてもあなたのような可憐な女性を手荒に扱うのは避けたいところです。
ただ、その腕輪だけはご容赦願いたい。あなたがうちのボスと敵する限りは外せません。
ボスはあなたを高く評価していますし、僕個人の好みとしてもあなたを敵にまわしたくありません。テッパッパーの奴なんかもきっと同意見でしょう」
そこまで言うとグレアムは言葉を切る。そしてルイズの様子をうかがう。
支援
支援です
ルイズの瞳には敵意と言うよりも当惑に満ちていた。
ルイズは、今、自分が囚われの身であることは理解していたが、そこに至る経緯が思い出せないでいたのだ。
「ではあなたの疑問にお答えいたしましょう。その腕輪はあなたを拘束するためにテッパッパーが作りました。鍵穴はありません。錬金で砂にでもしないと外せません。杖を取り上げられている以上あなたにはどうしようもありません。
また、蟻を使って僕たちを脅しつけても、結局誰かが至近距離で魔法を使わなければそれを外せません。つまりあなたが自由になるには至近距離で他者に魔法を使わせる必要があり、蟻で脅しつけたような場合、素直に錬金を使う者などいないと考えて頂きたい。
ちなみにその腕輪になにやらウサギをもしたキャラクターが刻まれているでしょう。それもテッパッパーの奴がやりました。奴なりの配慮です。女の子の手首に露骨に手錠じみたものをつけるのはいかがなものかと。あいつは女子供には結構甘いんです」
ルイズが腕輪を注視すると、そこには二足歩行するウサギの絵が刻まれていた。なにか、あの館長代行のシャツに縫い付けられたアップリケに似ているなと思った。
「……これが配慮というのなら、私をなめているか女というものをなめているかのどちらかね」
「それには僕も同意ですが、奴はこれで大まじめなんですよ。一度、5歳ぐらいのお嬢ちゃんにそんな感じの陶器の人形を作ってやったら喜んでいたとかいって、それ以来、年齢身分関係なく女はそれで喜ぶと思ってやがるんです。
あとであいつが来たら存分に馬鹿にしてやってかまいませんよ。
……それから、此処がどこかと言うことですが、ラ・ロシェール上空1500メイル、北に10リーグ程ずれたあたりですね」
「フネ」
「はい、フネです。僕の本職は船乗りではないので船についての詳しい質問はご遠慮ください。しても無駄です。テッパッパーも、フランシスもフネについてはまるで無知です。
あぁ、フランシスというのはもう一人の同僚です。彼女は今は睡眠中ですので後で紹介しますね。この3人であなたの身の回りの世話と、まぁ、監視をしています。あ、ご安心くださいね。
あなたが寝ていた間は勿論、これからも着替えの手伝いなどはフランシスがやりますから。一応僕たちは紳士を気取ってますんで」
グレアムはそう言うとにこりと笑う。
ルイズはそんなグレアムの言葉の一部に引っかかる。
「『寝ていた間』?」
「あぁ、言っていませんでしたね。あなたは、えーっと、13日ですね。まる13日間魔法で眠らされていました」
グレアムの言葉にルイズは驚愕する。
「13日間!?」
「はい。その間、フランシスが毎日お召し物は取り替えていましたし、栄養も僕の魔法で与えていましたので特に問題はないでしょう。着替えのたびにフランシスの奴があなたのことを人形みたいでかわいいって言ってましたよ。
僕も手伝おうと申し出たのですが、断固として役得を譲ってはくれませんでした」
グレアムが軽口を叩くが、ルイズはそれを無視して頭を抱える。
「13日間? 13日前? え?」
「ルイズさん?」
「ねぇ、そもそもあんたの言うボスって誰なの」
グレアムが怪訝な顔をする。そして何かわかったようなわからないような顔になる。
「そうですね。13日間も眠らされていたわけだし、記憶が混濁していても当然でしたね。僕としたことが失念してました。それでルイズさん。どこまで覚えています? どこから記憶がありません?」
ルイズは懸命に頭を捻って記憶を絞り出そうとする。
「姫様に……頼まれて…ギーシュ……アルビオンへ……ワルドが現れて……ワルド……それから……」
ルイズがうんうんと唸る。
「まぁ、時間はまだあります。ゆっくりと思い出せばいいですよ……」
グレアムの言葉が遠くに聞こえる。
私は何かとんでもないことを忘れている。
思い出さなくては。
アンリエッタにアルビオン行きの密命を仰せつかって、ギーシュと行くことになって……。
そしてワルドが現れた。
長らく会っていなかった婚約者。
魔法衛士隊グリフォン隊隊長。
それから。
それから……。
黒蟻まってたよ
676 :
くろありー:2008/11/14(金) 02:47:48 ID:DvPVsDqt
本日はここまでです
支援有り難うございますー
短くてもうしわけない。
しかも前回のハナシを覚えていてくださる方からもなんじゃこりゃな内容で。
次回の投下からは、時系列的にも前回の続きの部分を投下しようと思います。
ではまたこれからもよろしくです
くろの人乙です
ノシ
>>677 黒蟻の人キテタ---!!!
待ってたかいがあったぜ
続き楽しみにしています
皆々様方、乙です〜
女神V>>読めば読むほど心の荒んでいない主人公
普通アレだけの世界なら、壊れかねなくても不思議はないんですが;
仲魔・・・・偉大ですね
女神の与えた杖=ここは敢えてブリューナクで
なんという投下ラッシュ・・・皆様乙です
>アクマの人
ライドウでついさっきスカアハを作り出して
ライホーくんと一緒に戦っている自分にはツボ過ぎる展開でしたw
アメコミの話で盛り上がってたみたいで乗り遅れた俺涙目w
アメコミだったらルイズ側はともかく、ジョゼフ側にバッドマンのジョーカーを召喚させたいな、
ダークナイトのおかげで最近知名度もそこそこあるし、
あいつほどのモノホンの狂人だったらハルケギニアすさまじいことになりそうだ。
火石ひとつで絶対半径十リーグの騒ぎどころじゃないこと間違いなくしでかすだろうし
好きなSSが四つまとめて来てて夜中に小躍りしちゃったよ
黒蟻さんの復活祝いも含めて皆さん乙乙
つうかアクマの人!!あんたのせいでライドウのマニクロ同梱買っちゃったよ!!
マニクロ目当てだったのに、ライドウも面白いよチクショウ!!自分のSSの続き書くより優先しちゃってるよ!!
続きのプロセスを首を長くして希望するセオリーだコンニャロー!!
683 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 03:37:41 ID:Y7axpWUB
なんという投下ラッシュ…皆さん乙です
というわけで、自分も3:45くらいから投下します
昨日とうってかわって投下ラッシュ!
みなさん乙であります!
人修羅、相変わらずヒーホー&イザベラが可愛いw
『杖』を手にしたイザベラがどう動くか楽しみ
ジャンガ、相変わらずの悪態ぶり
ある意味タバサには通じるとこがあるからここまで悪態をつくのかもしれませんね
心を暴かれたタバサVSジャンガ再び!? 次回が楽しみ
くろあり、何か新展開!?
ちょっと話が思い出せないのでもう一度読み直してきます!
うおっ!? 狂蛇さんも来るとな!?
支援だ!
686 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 03:46:08 ID:Y7axpWUB
では、投下します。
第十三話
「失礼します、ミス・ヴァリエール。お食事をお持ちしました」
右手で扉を叩き、シエスタは部屋の中にいるであろうルイズに向かって扉越しに話しかけた。
左手に持ったトレイの上には、今日の夕食に出されている料理がいくつか乗せられている。
シエスタは扉の前で返事を待っていたが、いっこうに返事が返ってこない。
仕方がないので、入りますね、と一言断りを入れた後、目の前の扉を開いて部屋の中へと入っていった。
部屋の中は薄暗く、窓から射し込む月明かりだけが室内を照らしている。
その部屋のベッドの上で、ルイズは両膝を抱え、夜空に光る二つの月を見つめていた。
シエスタが入ってきても反応せず、ただひたすらに双月を眺め続けている。
ベッドのすぐ脇にある机の上には、シエスタが昼に持ってきた料理がほとんど手つかずのまま残されていた。
「……ここに置いておきますね」
そう言うと、シエスタは左手に持った新しい料理を机の上に置いていき、代わりに冷えた料理をトレイの上に乗せ始めた……。
687 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 03:47:50 ID:Y7axpWUB
浅倉との一件以来、自室に籠りっきりで授業や食事に一切顔を出そうとしないルイズ。
見かねたキュルケが再び励ましに行こうとするのを、タバサがしばらくそっとしておくようにと説得。
納得のいかないキュルケであったが、代わりにシエスタに様子を見てもらおうという条件で、渋々引き下がったのだった。
それから、既に三日が経つ。
この日は、学院を訪れたアンリエッタ王女を歓迎する晩餐会が行われていた。
「……もう限界だわ。やっぱり、ルイズは私たちがなんとかしないと」
キュルケが、料理を口に運んでいた手を置いて言った。
隣にいたタバサも、おかわりとして給仕から受け取った皿を持ったまま、呟く。
「明日、一緒に会いにいく」
「……今からじゃないの?」
キュルケの問いに、タバサは手に持った大好物のはしばみ草のサラダを見つめながら答える。
「まだ食べ終わってない。それに……」
「おい」
タバサの話を遮るようにして、後ろから聞こえてきた声。
二人が振り返ると、そこには彼女たちの悩みを作った張本人、浅倉が立っていた。
「……彼と約束があるから」
キュルケの方を向き、普段と変わらない静かな声でタバサが言った。
688 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 03:49:07 ID:Y7axpWUB
「いつまで食ってるつもりだ?」
そう言いながら、浅倉はタバサの元へと近づいていくと、彼女の手にあるサラダの乗った皿を奪い取った。
そしてあっという間に平らげると、平然と彼女の目の前に皿を戻す。
「ここだと人が多いな……。そうだ、今すぐあの役立たずの部屋に来い。もう待つのには飽きた」
それだけ言うと、浅倉はつかつかと食堂の出口に向かって歩き出した。
空になった皿を見つめていたタバサだったが、しばらくすると立ち上がり、浅倉の後を追って出口へ向かう。
「き、気をつけてね、タバサ」
「……ありがとう」
その背中から静かな怒りを感じながら、キュルケはタバサを見送ったのだった。
一方、キュルケのいるテーブルの向かい側では、ギーシュが彼女たちの会話に聞き耳を立てていた。
毎日の浅倉による虐待から解放された彼は、以前のような元気な姿に戻っていた。
(ルイズの使い魔から、いきなり用なしだなんて言われたと思ったら……どうやらルイズが大変らしいな)
困っている女性がいれば、助けずにはいられないのが彼の性分である。
ギーシュは目の前の料理を急いで食べ終えると、一目散にルイズの部屋へと向かった。
支援!
690 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 03:51:19 ID:Y7axpWUB
ルイズがベッドの上で項垂れていると、突然部屋の扉が開かれた。
闇に包まれていた部屋の中に、廊下からオレンジ色の光が射し込まれる。
こんな開け方をするのはやっぱり……浅倉だ。
入るや否や、部屋に置かれた鏡に向かって迷わず進んでいく浅倉。
扉を閉め、彼の後ろをタバサがついていく。
いつもと変わらぬ堅い表情でルイズの方を向き、しばらく見つめた後、再び浅倉の後を追った。
ルイズは、そんな二人の姿を沈んだ表情でぼんやりと眺めていた。
あの一件以来、ルイズをさも存在しないかのように扱う浅倉。
彼の態度を見るにつれ、ルイズが浅倉に抱いていた恐怖心も次第に薄れていき、いつの間にか虚しさに変わってしまっていた。
浅倉を見る度にびくびくしていた自分が馬鹿馬鹿しくなり、今では彼を見ても何にも感じなくなった。
「変身!」
「変身」
いつものようにガラスの割れるような音がし、浅倉とタバサの体がそれぞれ紫と銀の鎧が包まれる。
タイガは無言で、王蛇は手を払い首をひねりながら、二人は鏡へと足を踏み出した。
二人が鏡の中に消えたのと、部屋の扉が叩かれたのはほぼ同時であった。
691 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 03:53:31 ID:Y7axpWUB
始めに長く二回、次に短く三回叩かれた扉の音に、ぼんやりしていたルイズの頭が急に現実に引き戻される。
(まさか……)
ルイズはベッドから飛び降りると、急いで扉を開ける。
開けた先にいたのは、黒頭巾に身を包んだ少女であった。
少女はするりと部屋の中に入り込むと、杖を取りだし何らかの呪文を唱え始めた。
扉を閉めたルイズは、その姿を呆然と見つめている。
「ふぅ」
やがて一段落ついたのか、少女が杖を下ろすとルイズの方を振り返り、被っていた頭巾を後ろに下ろした。
現れたのは、紫髪の少女の顔。
「お久しぶりですね。ルイズ……ルイズ・フランソワーズ」
ルイズの親友であり、トリステインの王女、アンリエッタその人であった。
「姫……様……?」
「話の前に、まずは明かりが必要ですね。暗くてあなたの顔がよく見えませんわ」
そう言うと、アンリエッタは再び杖を振り、部屋に明かりを灯した。
「姫様、なぜこのような所へ……?」
ルイズの問いかけに、アンリエッタはルイズの方を向き直し、答えた。
「ルイズ。あなたと話したいことは山ほどありますが……そうですね。まずはここに来た理由からお話しましょう……」
692 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 03:56:49 ID:Y7axpWUB
ミラーワールド内のトリステイン学院。
現実世界同様夜の闇に包まれた学院のとある広場で、王蛇とタイガが刃を交えていた。
ルイズのデッキを譲り受けてから、今日までに数回浅倉と手合わせをしてきたタバサ。
ミラーワールドには杖を持ち込めないため魔法は使えないが、この不思議な鎧によって身体能力が向上しているため、この世界での戦いには支障はない。
さらに、現実世界でも効果が適用されることが分かり、杖が使えない状況でも十二分に戦えるという絶大なアドバンテージを得た。
あとは、浅倉に付き合うことで戦い方に慣れるだけなのだが……
「ウオオオオ!!」
「っ……!!」
振り下ろされた蛇の剣を、タイガは斧の刃を使って受け流す。
その勢いを利用し、斧の刃の反対側にある持ち手の先を王蛇の胸に突き出す。
「うおっ!?」
相手に隙を作ると、今度は斧を右に素早く払う。
火花を散らしながら吹き飛ぶ王蛇。
……どうやら大分慣れることができたようだ。
地面を転がり、仰向けに倒れる王蛇。
すかさず追撃しようと、タイガは走り出そうとする。
『ADVENT』
王蛇の方から聞こえてきた音声と共に、タイガの後ろから鋼鉄のサイが現れる。
タイガは咄嗟に横に転がり、すんでのところでその突撃を回避する。
その間に王蛇は立ち上がり、仮面の下で笑みを浮かべる。
「ハッ……! やっぱり戦いはこうでないとなぁっ!!」
そう言いながら、王蛇はタイガ目掛けて駆け出した。
タバサ、デッキを使いこなしてるのか…
支援!
694 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 04:00:29 ID:Y7axpWUB
「そう、なのですか……」
アンリエッタがゲルマニア皇帝と結婚することを知り、ルイズは哀れむような表情を見せた。
「……理由は聞かないのですね」
往々にして理不尽さを痛感しているルイズには、この結婚が望まれないものであることぐらいすぐに分かる。
しかし、彼女もルイズと同様にどうにもできずにいるのだ。
彼女の口からそれを聞き出すようなことは、ルイズには到底できるはずがなかった。
「……ありがとう、ルイズ。それで、ここに来た理由だけど……」
哀愁を漂わせていたアンリエッタの表情が、真剣なものに変わる。
「結婚に際して、あなたに頼みたいことがあります」
「頼み……ですか?」
アンリエッタは頷くと、その詳細を語り始めた。
革命軍レコン・キスタによるアルビオン侵攻。
それにより不穏な空気が広がる世界情勢に対して、トリステインとゲルマニアが軍事同盟の締結を決意。
しかし、それがご破算になりかねないような重要な手紙が、戦争の真っ只中にあるアルビオンに存在するのだという。
「ルイズ、あなたにはこの手紙の確保をお願いしたいのです。国の存亡を賭けた大切な任務で、あなたにしか……」
そう言ったところで、部屋の扉が勢いよく開かれた。
695 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 04:02:49 ID:Y7axpWUB
「やはりそういうことか」
驚いた二人が扉の方を向くと、そこには薔薇に似せた杖を持ったギーシュが立っていた。
「! ギーシュ? なんでここに……?」
「ルイズの様子がおかしいと聞きつけて、盗み聞……じゃなかった、様子をうかがってみれば……」
ちらり、とギーシュがルイズを見る。
「思った通り、乙女のピンチだったようだ! ……そうですね? アンリエッタ王女様」
困惑するアンリエッタを前に、ギーシュは平然と言ってのけた。
「あの、どちら様で……」
そうアンリエッタが言いかけた時、今度は部屋の奥の方からどさりという物音が聞こえてきた。
何事かと三人が振り向くと、そこにはいつの間にか、息を切らしたタバサと浅倉が倒れていた。
「お前と戦うのは面白いな……。全身ゾクゾクさせられる……!!」
浅倉がタバサに向けて、笑いながら言った。
「タバサに……ルイズの使い魔のアサクラじゃないか!? 一体どこから……」
ギーシュが驚いたような声をあげる。
アンリエッタは何が起きたのか理解できずにただただ唖然としていた。
そんな中、ルイズはアンリエッタが言った依頼の内容に対して、自分なんかが、と再び暗い表情を見せるのであった。
696 :
狂蛇の使い魔:2008/11/14(金) 04:05:12 ID:Y7axpWUB
以上です
支援ありがとうございました!
697 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 04:07:30 ID:oRGSHIG9
投稿乙です。
で、流れは完全無視だが…
竜†零の続き来ないかなぁ…
作者さん見てたら是非続きを!
とても楽しみにしてるファンがここに一人居るのですよ〜。
狂蛇の人、乙です!
うーん、ルイズ重症ですね〜
こりゃ任務に着いていっても足手まとい確定ですね
というか今のルイズの状況を知らないとはいっても、こんなときに『お願い』をしにくるアン様って…
タバサの仮面ライダータイガは実力的にもビジュアル的にも合ってますよね
斧もタバサが元から持ってる杖って感じだし、「クリスタルブレイク」もタバサの魔法のイメージに合いそうな気がします
次回も楽しみにしております!
狂蛇の人投下乙でした。
そして黒蟻の人おかえりなさい。ずっと待ってました。
個人的には連載中のものでは一番好きな作品だったので帰ってきてくれて非常にうれしい。
投下に間が開いても気にせず自分のペースで続けていってください。
うおー! 好きな作品がドカドカ投下されとる!
俺も頑張って筆を走らせよう
黒蟻まってたぜー!
ゆっくりでもいいから書き続けてくれると嬉しいな!
なッ、なんじゃこりゃー!
一夜にこんなにもの作品がッ!
怒涛の投下ラッシュ。皆様乙です!
おおっ、黒アリがっ!?
今日は良い日になりそうだぜ!
昨日投下少なかったせいか?
皆さんおつであります。
後れ馳せながら人修羅の人乙!
カオスヒーローの人来ないかな?
久々のくろあり、待ってました!
黒蟻の人とアクマがこんにちわの人が戻ってきた!
イェア!
それはそれとして、
誰もいない……?
投下するなら今の内……
13:20ぐらいから……
なんという投下の嵐っ…!支援せざるを得ない
仕事中ゆえ、支援はできぬが先に支援&乙
SIEN
ゼロの氷竜 十一話
郷愁に染まるロングビルの横顔へ、ブラムドが問いを口にした。
「妹を、ここへ呼ぶわけにはいかぬのか?」
「……体が、弱いものですから。……つきましたわ」
ブラムドの疑問にロングビルはわずかなためらいを見せたが、話はそこで途切れてしまう。
本や紙束を抱えたロングビルが器用にノックをし、名乗る。
「ロングビルです。戻りました」
「うむ、入りたまえ」
重苦しい声で許可が下り、ロングビルは扉を開き、左足で一歩を踏み出し、右足を蹴り上
げた。
足の先から飛んだ何かはきれいな放物線を描き、扉の先にいたオスマンの右手へ収まる。
「お見事です」
ロングビルの冷たい声が部屋に響き、部屋の主であるはずのオスマンはどこかおびえたよ
う視線をそらす。
「ご、ご苦労じゃった。資料は見つかったかね?」
オスマンは右手に収まる使い魔をねぎらいつつ、目的が達せられなかったことを残念がる。
……本を抱えていれば足下は見えぬと思ったのじゃがのぅ……。
無論蹴り上げた拍子に持ち上げられた服の裾からも、その奥を見通すことは出来なかった。
その様子を目の端にとらえながら、ロングビルは自らの机へ資料を置く。
「ええ、滞りなく。あとお客様をお連れしました」
その言葉に、オスマンの視線は扉へと注がれる。
「おお、これはブラムド殿。ようこそいらっしゃいました」
恭しく礼をするオスマンに、ロングビルは目を見張る。
今までトリステインの使者などがきても、自分から礼をすることなどはなかったからだ。
それでも学院長という立場にい続けられるオスマンが、これほど敬意を表すとは……。
昨晩観察したところではどういった立場の人間か、どういった力を持つ人間かわからなか
ったが、ロングビルはブラムドへ強い興味を抱き始めていた。
「邪魔をする」
そういいながら部屋へ踏み入れたブラムドだったが、ロングビルの行動とオスマンの態度
の意味がわからず、釈然としない表情を浮かべる。
色欲に縁のない身では、理解のしようもなかったが。
ひとまずロングビルへ歩み寄り、預かっていた本や紙束をロングビルが置いたそれらの隣
へと下ろす。
「ありがとうございました」
「なに、案内の礼だ。気にすることはない」
そのやりとりに、今度はオスマンが興味を引かれる。
「ブラムド殿、いつミス・ロングビルと?」
「つい先刻だ。当人はどこかへ行ってしまったが、コルベールに紹介されてな」
「左様でしたか。いや、近いうちに紹介しようと思っていたのです。何しろ今ブラムド殿
が着ていらっしゃる服はミス・ロングビルのものですので」
その言葉に、ロングビルは改めてブラムドの服を確かめる。
「似ている、とは思っていたのですが」
「ブラムド殿に合う服の持ち主はミス・ロングビルしか思い当たらなかったのでな」
「そうですか。詳しい説明がなかったので、何に使うのかと思っていたのですが」
そういったロングビルの凍るような視線は、オスマンへと向けられていた。
「変なことに使うわけではないといったじゃろう?」
「ええ、一応真実だったようで安心しました」
「この服の礼は改めてしよう」
そうロングビルへ言うと、ブラムドはオスマンへと向き直る。
「訪ねたいことがあるのだが」
ブラムドの表情に引きずられるように、オスマンもまた表情を真剣なものへと変える。
ブラムドはロングビルへ視線を送り、それに気付いたロングビルはオスマンを見る。
うなずくオスマンに、ロングビルは頭を下げながら静かに扉の外へと出て行った。
わずかな時間の後で口を開こうとするオスマンを、ブラムドが手で制する。
一歩二歩と近づく胸元に視線を集中させていたオスマンだったが、ブラムドの一言でゆる
んでいた表情を引き締めた。
「杖を貸してもらおう。予備のものでもかまわぬ」
『透視(シースルー)』
魔法の効果で物体を透視する視線の先に、ブラムドは気配を殺して聞き耳を立てる、一人
の女の姿を確認していた。
『転移』
魔法の発動と共に、ブラムドの体は視線の先、扉の向こうへと移動していた。
部屋を後にして遠ざかる足音を演出し、わずかな静寂の後、ロングビルは自らを包み込む
違和感に気付いた。
部屋を出たとき、付近に人の気配や、この場へ近づく足音がないことは確認している。
だが今、自らの背後には気配を消した何者かが確かに存在する。
心臓が跳ね上がるような衝撃を受けながら尚、ロングビルは気配を消したままだ。
背後の気配は、肉食獣が獲物の隙をうかがうように観察している。
その予感が、その不安が、ロングビルを微動だにさせず、その背に冷たい汗を流させる。
ブラムドもまた気配を殺し、その手に掴んだロングビルの命をどうするか考えていた。
殺すことは簡単だが、ルイズへ危害が及ばないのであれば、その理由はない。
首筋に何かが触れた瞬間、ロングビルは大きく一度体を震わせる。
『虚言感知』を唱えながら、ブラムドがささやく。
「我が問いに答えよ。どこかの手のものか?」
ついさっき聞いた声を忘れるわけもない。
ロングビルは背後の何者かがブラムドであると知った。
問いの答えに頭を働かせる。
……即座に殺さなかったのはまだ理由がないからか?
……であれば間諜の類としての利用価値を認識させていた方が生き残る可能性は高いか?
その発想がブラムドに誘導されたものだと、ロングビルは気付かない。
「確かに、私はガリアのものです」
明らかな虚偽を認識し、ブラムドはほくそ笑む。
ロングビルの首筋に当てられた手に、力がこもる。
「二度は見逃さぬ。お前は盗人だな?」
嘘を即座に見抜かれ、ロングビルの心と体が緊張に震える。
恐怖がロングビルの心を縛り、虚偽を口にすることができなくなる。
それこそがブラムドの目論見だった。
「はい」
手のひらから伝わる恐怖と、口から放たれる真実に、ブラムドは矢継ぎ早に問う。
「狙いは?」
「まだ明確には決めていません」
決めていないという言葉で、ブラムドは自らの予想通り、ロングビルが組織に属した盗賊
ではないことを知る。
「盗みの際に人を傷つけるつもりは?」
「……ありません」
……嘘ではないが……。
「……邪魔をすれば容赦はせぬということだな」
「……はい」
わずかな沈黙が、恐怖で引き延ばされる。
死の不安に体を震わせるロングビルの背中に、ブラムドの声が降り注ぐ。
「二つ、約束してもらおう」
ブラムドはロングビルを振り向かせ、視線を合わせる。
「学院に住まうものに傷をつけぬこと」
青い瞳に浮かぶのは静謐。
だがそれは底なしの青さだ。
計り知れない深さを持つ海に、ロングビルは飲み込まれそうな恐怖を覚える。
「二本足の鼠、という言葉を聞いたとき、すぐに秘書としての仕事に戻ってもらおう」
「ぬ、盗みは?」
「我には関わりのないことだ」
ロングビルが気を緩めかけた瞬間、ブラムドの瞳が爛々と輝く。
「なれど、もし約束を違えたなら……」
それは逆らえば殺されるという、単純で、生物としての恐怖をもっとも喚起する光だ。
「お前という存在は、塵のようにこの世界から消えることになる」
人ではなく、獣でもなく、正体の計り知れない、途轍もなく恐ろしい何か。
息を飲んだロングビルは声も出せず、壊れた人形のようにただうなずくだけだ。
ブラムドの手から解き放たれたロングビルは、震える足に苦労しながら歩き去る。
「見逃して、いただけたのですな」
微笑むオスマンのその言葉に、ブラムドもまた微笑みながら返事をする。
「やはりお前もあれが盗人であるとわかっておったのだな?」
その予感が、ブラムドがロングビルを見逃した一助となっていた。
鏡に映したかのように人の悪い笑みを浮かべる二人は、日が昇る前にそうしたように、傍
らの長椅子へ腰掛けた。
「おそらく、今この国を騒がせている土くれのフーケ、その正体が彼女でしょう」
「あえて懐にその土くれを招いた理由は?」
オスマンの瞳が、わずかに彼方を見やる。
「町の酒場で会った折り、彼女は笑顔を浮かべておりましたが、その瞳の奥が恐ろしく荒
んでいるように見えましたのでな」
だがその気遣うような言葉と裏腹に、ロングビルがオスマンを見る目は冷え切っていた。
疑問に眉根をしかめるブラムドに、オスマンが声をかける。
「いかがなさいましたか?」
「お前の考えの割に、ロングビルがお前を見る目は随分鋭かったが?」
「いや、儂はつい調子に乗ってしまうところがありましてな……」
色欲というものがない竜には、そんなものかと漠然と理解する以上のことはできない。
つい考え込みそうになる様子のブラムドを見かね、オスマンは本題をうながす。
「して、訪ねたいこととは?」
その言葉に、ブラムドははたと気付く。
「おお、そうであった。ルイズのことなのだが、先刻練金とやらで意志を爆発させてな」
「なるほど。それはまだ続いておりましたか……」
……まだ、か。
「コルベールもいったが、我を召喚したことで爆発がなくなると考えておったのか?」
「左様です。何しろミス・ヴァリエールの爆発は、全く前例のないことですので」
どこか真剣さを欠くような教師たちの言葉に、ブラムドは違和感を覚える。
「原因を探ることはせなんだのか?」
「杖にもルーンにも問題はありませんし、どの系統魔法やコモンでさえも結果が変わりま
せぬ」
ルイズ自身の言葉や、教室でキュルケをのぞく全ての生徒が机を盾にしたことから、爆発
が一度や二度でないことはわかっていた。
だがコルベールであればともかく、このオスマンにも原因がわからないというのは尋常な
ことではないだろう。
「オスマン、練金を見せてもらえるか?」
「構いませんが……」
不思議そうな顔をしながら、オスマンは机から紙をとって丸め、それに練金をかける。
『魔力感知』でそのマナの流れをつぶさに観察したブラムドは、先ほど確認したルイズの
練金との違いを知る。
オスマンのマナが小石だとすれば、ルイズのそれは砂のようだ。
さらに、注ぎ込まれるマナの量が全く違う。
どこか得心したようなブラムドの様子に、オスマンは強い興味を引かれていた。
それに気付いたブラムドは、笑みを浮かべて口を開く。
「手がかりでもつかめれば、と思っていたのだがな」
「ということは、原因がつかめたと?」
先走るオスマンに、ブラムドは首を横に振る。
「そう易々とはいかぬ。何しろ我は東方のメイジだからな」
うそぶくブラムドに、オスマンは性急さを恥じる。
「儂らでは彼女の力にはなれませなんだ。どうか、助けてやってください」
「承知した」
頭を下げたオスマンに、笑顔で答えたブラムドは、借りていた杖の存在を思い出す。
右手でロングビルの首を掴むため、左手に持ち替えていたそれに目をやると同時に、鈍く
輝くルーンが視界に入る。
左手を差し出し、オスマンへと問いかける
「このルーンを、知っておるか?」
その言葉にオスマンはルーンを確かめながら、眉間にしわを寄せる。
「見覚えは、ありませぬな。調べておきましょう」
「頼む。あとこの杖なのだが、しばらく借りていても良いか?」
オスマンはルーンを書き写しながら、杖の件を快諾した。
ところと時が変わり、とある教室の中を奇妙な沈黙が満たしていた。
感情を紛らわせるためか、二人の少女は精力的に掃除をこなしていた。
だが、しばらくすればその熱も冷める。
そうなれば教室内に響くのは、ほうきが床を掃く音だけ。
ルイズの立場としては自分の失敗の尻ぬぐいを頼んでいる状態で、礼の言葉を口にするな
り話しかけるなりし、この妙に重い空気を払拭する役目があった。
その気持ちはあったが、気恥ずかしさが先に立って口火を切ることができない。
そんなルイズの様子を尻目に、きっかけを作ったのはキュルケだった。
「それにしても」
つぶやく、というには大きな声に、二人の少女の視線が差し向けられる。
「ルイズはすごい使い魔を呼び出したものね」
それは婉曲な賞賛の声。
しかしそれに続く言葉は、それ以上ないほどに直截的な言葉だった。
「おめでとう、ミス・ヴァリエール」
挑発的だったこれまでと違う率直な言葉、そして今までと違う呼び方は、それまでの行動
が励ましであったと露見してしまった開き直りとも取れる。
一方で、二人の関係に変化をもたらすための糸口でもあっただろう。
「あ、ありがとう」
顔も首も、湯気が出そうなほどに赤く染めたルイズが答えたとき、意地っ張りな二人の少
女は共に友誼を感じていたのかもしれない。
けれどもその友情はまだ、ルイズがちいねえさまと呼ぶ優しい姉との関係や、学院での唯
一の友であるシエスタとの関係のようにはならなかった。
「でも、使い魔に頼るだけでは貴族とはいえないわね」
刹那のうちに、空気が張り詰める。
キュルケは自らの言葉に賭けた。
それはルイズの誇りを信じていたからだ。
だから絶対に強大な使い魔に頼るだけのつもりなどない、と確信を持っている。
ただ同時に確かめておかなければならない。
目の前の少女が、高貴さを泥にまみれさせるのかを。
タバサもまた同じことを考えていた。
だからルイズへ視線を投げ、あえて何も口にしない。
ルイズの肌が朱色から白皙へと冷めていく。
その瞳に火が入る。
だがそれは怒気に支配されたものではない。
その瞳を見た瞬間、二人の少女は自身の心配が杞憂に過ぎなかったことを知った。
「確かに、その通りだわ」
彼女の誇りは宝石のような輝きを保ち続けている。
「私はブラムドに見合うだけのメイジにならなければならない」
挫折の末の諦観など、燃え盛る鳶色の瞳は見ることもないだろう。
「ブラムドの主として、そしてラ・ヴァリエール公爵家の娘として、相応しいメイジに」
その言葉と決意に、二人の少女は安堵し、同時に感嘆を禁じえない。
水は容易に低きへ流れさる。
ブラムドの力は、その主を堕落させるだけの強い魅力を秘めている。
誰が好き好んで果ての見えない苦難を望むだろう。
さらにそれは、半年以上繰り返してきた悪戦苦闘に他ならない。
しかしルイズは一瞬の迷いもなく、艱難辛苦を選んだ。
「ならなければならない、ではないわね。絶対に、なってみせるわ」
キュルケはそれでこそ、と思う。
それで終わってさえいれば、彼女は幸せだったかもしれない。
ところが微熱の気性はそれを許さなかった。
「でも今までみたいに、山を登るのに穴を掘るような真似をしては駄目よ?」
タバサの心のある部分が、もぞりとうごめいた。
普段であれば口を出すことはなかっただろう。
だがつい昨晩、ブラムドに見事なほどやり込められたタバサには、沈黙を続けることなど
出来ようはずもない。
ルイズの顔が紅潮し、その口から怒声が響くよりも前に、タバサの声が放たれていた。
「キュルケはルイズを心配していた」
機先を制されたルイズは、声の主に目をやる。
ブラムドが教室を離れて以降初めて冷静さを取り戻したルイズは、彼女の名前を思い出す。
……隣国ガリアからの留学生。
……使い魔召喚の儀式で、ブラムドをのぞけば一番の当たり、風竜を召喚した少女。
……風のトライアングルメイジ、確か二つ名は雪風。
「タバサ!?」
……そう、名前はタバサ。
振り向いたキュルケの驚愕の表情は、タバサの頬を緩めさせるためにはわずかに足りなか
った。
表情を浮かべないままにタバサが続ける。
「時々、あんなに睡眠時間を削って倒れたりしないかしら、と私に言っていた」
普段口を開くことがめったにないタバサの言葉、そしてその内容に、キュルケは声も出せ
ないほどの衝撃を受けていた。
ルイズもまた、キュルケがそれほど自分を心配していたことを知り、怒声を放つどころか
紅潮の質を変えて口をつぐむ。
「ついこの間も、スティックスがルイズをさらし者にしたのを見て、火の実技でこっそり
彼の魔法を暴走させていた」
キュルケはルイズに勝るとも劣らず顔を紅潮させるが、片意地を張っているのかタバサの
口を封じようとはしない。
ルイズはスティックスの行動を思い出して立腹したが、彼の額についた火傷の理由を知っ
て少し溜飲を下げた。
タバサの暴露する内容は、キュルケが今までルイズにしてきた挑発を取り返すように、頑
なな二人の心を閉ざす大きな氷を少しずつ溶かしていく。
ただし、その結果は副次的なものに過ぎない。
言い方を変えれば、今タバサがキュルケの行動言動を暴露し、二人の表情を楽しんでいる
のはそのわだかまりを解消する為ではなく、憂さ晴らしとない交ぜになった娯楽である。
常日頃表情や感情を押し殺しているタバサが、嗜虐的な一面を生まれて始めてあらわにし
た瞬間だった。
何よりの証左として、後日キュルケとルイズからこの件に関して礼を言われたとき、タバ
サは表情を変えないながらも非常に恐縮することになる。
しかしタバサは今この瞬間、キュルケの弱みをつく矛を収めるつもりはない。
「あと……」
タバサがさらに言葉を継ごうとしたそのとき、キュルケの忍耐が限界を迎えた。
「そのぐらいにしないとあとでひどいわよ?」
キュルケの右手がタバサの口元を塞ぐ。
声音は確かに強いものではあったが、褐色の肌の上からもわかるほど顔や首を紅潮させて
いては、その説得力は弱くなる。
口元を塞ぐその手を取り去ろうとするタバサの瞳に、キュルケは強い共感を覚えていた。
目元に表情はないし、押さえている口元も特に緩んでいるようには感じられない。
だがキュルケはタバサの瞳の奥に、嗜虐的な光が浮かんでいるのを見た。
それは、同属ゆえに共有する感覚であったかもしれない。
だからこそ、キュルケの心に不安が鎌首をもたげる。
力ずくでなければ止めようがないのではないか、という不安が。
その不安を敏感に捉えたのか、とうとうタバサの目元口元がわずかに緩んだ。
愉悦混じりの笑みを浮かべたタバサに、キュルケが戦慄を覚えた瞬間、いつの間にか近付
いていたルイズがうつむきながら二人を抱く。
二人の視線がうつむいたルイズの頭に集中し、わずかな静寂が訪れる。
「……ありがとう、キュルケ。ありがとう、タバサ……」
ミス・ツェルプストーではなくキュルケと、そしてタバサと呼んだその声には、感謝と歓
喜が溢れていた。
タバサの笑みから毒気が抜け、それに気付いたキュルケが手を離す。
二本の手が、ルイズの背中にそっと置かれる。
ルイズがブラムドを召喚した翌日、一人の少女に、二人の友人が増えた。
確かな変化の兆しが、見え始めていた。
以上です。
支援感謝!
風邪ひいてたから思ったより時間食ったです。
次はもう少し早めにできるといいなぁ。
投下乙ですよ、相変わらず面白い……。いつもながら期待してます
心待ちにしているSSトップクラスの投下が何個も来てうれしい
すげー、仕事に逝ってる間にこんなに投下ラッシュが…
楽しみにしていたアクマの人と黒蟻の人が帰ってきてくれて嬉しいぜ!
それと超遅レスだが
>>555 まさか解るヤツがいるとは思わんかったw。
あの漫画は個人的にもっとも怖いホラー漫画の一つだと思ってる。
タイトル忘れたがな!(w
>>610 月からマシーネン・フーラーを呼び出すのですね。
そしてテファが快男児を呼び出す。
ルイズがキテレツを召喚してしまう話を考えてみようとしたが、
コッパゲが狂喜する様子しか思い浮かばない。
作者の皆様乙です。
氷竜の方、乙!
っつーか、今回みたく『虚言感知』を使えばワルドの正体一発バレではw
しかし毒爪と狂蛇は彼らのサドっぷりが読んでてキツイな
まあある意味ではルイズ達に試練を与えているんだから(当の使い魔達は只の気まぐれで弄んでいるだけだろうけど)
これを乗り切れば成長できる……はず
>>720 キテレツも十分チートだしなw
勝てる奴が思いつかないw
>>721 『虚言感知』の欠点は『虚言感知』を使った魔法使いが嘘をついていないと証明できないこと。
ワルドならブラムド個人でどうにでもできるだろうから問題ないだろうけど、ルイズが騙されるのは防げるだろうか?
>>723 キテレツはハンダゴテなどの道具や材料が存在してないと
「ドラえもんなしののび太」レベル
他人への気遣いなんかも出来ないし
>>725 キテレツ大百科って元はと言えば江戸時代の奇天烈斎が書き残したもんだろう?
だったら江戸時代の工具と材料があれば再現できるんでね。
もちろんキテレツ本人がそれらに熟達すれば、て話だが。
奇天烈斎様もその様な道具を使われたのであろうか?
あるいは道具を作るところからはじめるのでは?
>>725 いや道具がなくても
国語とか文系科目はダメだけど
理系科目はデキスギかそれ以上に得意だから
のび太より全然マシだろ
>>726 >>727 キテレツと奇天列斎様が同格であれば、ですがね
まあコルベールのフォローがあればなんとかなるかな?
しかし奇天列斎ってば銅線といったあの時代の日本で入手できない材料とかどうしてたんだろう
>>729 もしキテレツの話やるなら
実験の失敗でハルケニアから魔法使い呼んじゃって
銅線とか錬金してもらったってネタが使えるな
流れをぶった切って申し訳ないんですが、
現在進行形で進行しているSSと同じキャラを扱ったSSを避難所に投下する、って駄目ですかね?
比較されると思うけど…大丈夫なのか?
>>731 避難所でなくともここで普通に投下していいんでない?
グレンラガンのカミナとかオーフェンみたいにダブって
投下されてるキャラいるんだし
>>731 そういう規正する規則はなかったと思うから
ここでも非難所でもどうぞ
>>725 ハンダゴテ自体は非常に単純なもので自作出来る
・・・と思ったが電力がないか
いや、それくらい自前で用意するか
>>731 タイトルで区別できるだろうし本スレ投下でいいと思う
あとは比較されても折れない心とかが必要かもとは思うがw
ついでにぶつけられる方の人が気になるなら聞いてみて
自分の道を進むなら好きに投下すればよいかと
>>731 いいんでない?ここの元になったジョジョの方には結構あるし。
許せるッ!!!
>>732-734、
>>736-738 アドバイスありがとうございます。
正直、先に連載されている方に触発されて、という面もありますし、この質問をしている時点で内心バクバクいってるのですが、
ここは本スレに投下してみようかと思います。
何分初めての投下ですので、色々とご迷惑をおかけする事もあるかと思いますが、その際には叱責やアドバイスなどをいただければ幸いです。
…では18:45から投下で、よろしいでしょうか?
元ネタは?
元ネタ…
>>740 スーパーヒーロー作戦より、ユーゼス・ゴッツォです。
…ふふふ、ほら、かぶっているでしょう、…ハハハハハ。
とりあえず支援する。
支援
竜や亜人や魔人の類に知り合いがいないので
彼らの思考や感性について きっと人間のソレとは違うんだろうな。
等と思いながら 投下乙です。
いずことも知れぬ、造られた空間…。
その空間を造り出した者と、そしてその彼が招いた者たちの戦いは熾烈を極めていた。
取り込んだ光の巨人の力は、同じ光の巨人たちの捨て身の行動によって相殺され、その大部分を失ってしまっている。
そして彼の前に立ちはだかる者たち。
機械でありながら人の心を持った兄弟、
兄と師との死別を乗り越え、最愛の女性と共に戦うキング・オブ・ハート、
任務という枷を振り払い、自らの意思で戦うことを選んだ少年たち、
一体どこから紛れ込んだのか、因果律を操るこの自分ですら全容を把握しきれないイレギュラーである日本一の男、
赤と青、そしてかつての友である白銀の宇宙刑事、
一歩でも間違えば諸刃の剣となりえる禁断の人型機動兵器に搭乗し、かの東方不敗をして『持てる力を全て引き出した時、その眼前に敵は存在せん』と言わしめたサイコドライバー、
そして最後にもう一人、
「貴様が…貴様さえいなければ…!!」
「ようやく俺の存在を認めたか! 俺は貴様の複製でもなければ、影でもない!!」
「私に何かあれば、貴様もただでは済まんぞ!!」
「この身が共に消えようとも、俺は…俺は一人の人間として、地球人としてお前を倒す!
忘れるな、俺の名前はイングラム・プリスケンだ!」
自らの最も優れた手駒として造り出した筈の彼自身の複製でありながら、超人機の魂と共に、愚かにも創造主たる自分に楯突いた者。
………否、愚かなのは、果たしてどちらであったか?
「デン・ジ・エンド!!」
「石破っ! 天驚けぇええええええええんっ!!」
「ズバットアターーック!!」
「ギャバンダイナミック!!」
銀色の身体が傷付いていく。
神をも超えた存在―――超神形態である筈の自分が、追い詰められている。
「…トロニウムエンジン、オーバードライブ!」
「ウラヌス・システム、強制発動!」
「みんな…すまない!」
「う…うおおおおおっ!! 行くぞ!!天上天下っっ!!」
「撃て! リュウセイ!!」
「一撃必殺砲ぉぉぉぉっ!!!」
放つ方の砲身がねじ曲がる程のエネルギーが叩きつけられる。
崩壊していく超神の身体。
光の巨人―――ウルトラマンの力を得て、DG細胞によって構成され、時の流れや因果律をも操るそれが、打ち破られる。
支援
「ぐ……ぅ、ぬぅう……」
残されたのは元々の自分の身体のみ。
更に、本来を顔を失った為に与えられた偽りの素顔―――イングラム・プリスケンと同じ顔を隠す仮面も砕けてしまった。
「…フ、フフ…私も、ユーゼス・ゴッツォの影…40年前のユーゼスの邪念に縛られた偽りの存在に過ぎないのかも知れん…」
自嘲の笑みが漏れる。…そして、何のためにここまでして力を求めていたのだったかを思い出す。
銀河連邦政府の科学アカデミーの科学者だった自分が、未開の辺境と呼ばれ、危険と判断された地球圏へとやって来たのは、
「思い出したよ…ギャバン。私もお前と同じく…あの美しい星…あの青く美しい地球を、愛していたのだ…。
だからこそ…自ら志願して地球へ来たのだ、お前と一緒に…」
あの美しい惑星に惹かれた。
最初は、ただそれだけだった。
しかしそこで人間を超える存在であるウルトラマンを知り、自分自身もまた愚かな人間であることを嫌悪した。だが、
「イングラム…お前が言う通り、この世界に超絶的な力は不要だ。何故なら、そんなものがなくても…人々は生きている。そして、世界は存在し続けている…。
この宇宙に神など不要なのだ。だからこそ…ウルトラマン達は…人に近い存在であり続ける…。
彼らもまた、我々と同じ存在…銀河の同胞なのだ」
「…そうだ。特別な力は使い方を誤れば…必ず不幸を生む。所詮、この宇宙に生きる者はみな弱い存在なのだ。そして…己の心の弱さに屈した者は、悪に染まる…。
誰もが自分の心の弱さに打ち勝つことが出来れば…戦いはなくなり、力ある存在もこの宇宙には必要なくなる。
それが単なる理想であっても…甘い考えであっても…俺はそれを信じたい…」
「フフ…私は、お前に自分が失ってしまったものを…与えたのかも知れんな。
そして私はお前に…自分自身に負けた…40年前と同じく…。
今の私にはわかる…お前は…お前は私の良心だったのかも知れん…」
「………」
自分自身との戦い。それにユーゼス・ゴッツォは負けたのだ。そしてその歪んだ野望もまた、彼自身の鏡像によって阻まれた。
「本当のユーゼス・ゴッツォはどちらの方だったのか…今となっては…もう…どうでもいい。
お前は…イングラム・プリスケンという…一人の地球人だ」
「………」
「私は…お前が…うらやましい。地球人に受け入れられた…お前がな…」
「ユーゼス…」
存在が消えていく。
…自分が消えることで、間もなく自分が創造したこの空間、そしてクロスゲート・パラダイム・システムによって造り出された『異なる時間と空間が混在した世界』も消えるだろう。
そして、イングラム・プリスケンも。
だがこの世界の存在は無駄ではない筈だ。
それぞれの世界に、必ず何らかの結果を生み出しているだろう。
(ともあれ、消える私には関係のないことか…)
やがてユーゼス・ゴッツォの意識は消え、因果地平の彼方へと―――――
さるさんか?
(…む?)
何も無い。
光も闇も混沌も、本当に何も無い空間。
そこに意識だけが存在している。
(私は……消えたのではなかったのか? いや、しかし…)
よくよく考えれば、自分は因果律の鎖を超えることは出来なかったが、それに迫ることは出来た。
ならば、ここが本当に『因果地平の彼方』だとしたら、このような場所に自分の意識が流れ着いても不思議ではない。
(……しかし完全な『無』というのも味気の無いものだな……)
ユーゼスがそのように考えていると、
<………ふむ、『私』か>
(何?)
唐突に自分以外の存在の思考が干渉してきた。
ユーゼスは瞬時にその存在の正体を悟る。
(…並行世界の『私』―――ユーゼス・ゴッツォだな)
<理解が早いな。さすがは『私』なだけはある>
(似たような存在と接触したことがあるだけだ)
かつてユーゼスはクロスゲート・パラダイム・システムを完成させるために、次元を超え、並行宇宙を超え、自分と因果律で結ばれた者―――ラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォと接触した経験がある。
確かその時の会話は、
(…あの時の『別の宇宙に存在する者の存在を確立することになる』とは…お前のことか)
<そうだ。お前が因果律への干渉に成功したことで、並行世界の同一存在であるこの私もまた、因果律への干渉が可能になった。
そういう意味では、お前は私の『産みの親』と言えるのかも知れないが…>
(…そんな話をするために私に干渉したわけではあるまい?)
ユーゼス・ゴッツォ同士の会話は続いていく。
<無論だ。…お前の持っている有用なデータを私に提供してもらう>
(いいだろう。ならば一応、お前の持っているデータも渡してもらうぞ)
<…『一応』か。『私』にしては随分と謙虚なものだな?>
(……私はバード星人のユーゼス・ゴッツォだ。バルマー人であるお前と相違点があるのは当然と言える)
時空間のゲートを検出する方法を解明することに行き詰っていた時、並行世界より自分を与えに来たラオデキヤ。
因果律のある程度の操作が可能になった時点で、あの時に自分に接触してきた存在、およびそれが属する世界について調べた事があるため、そこにいる『自分以外のユーゼス・ゴッツォ』についても知識はあった。
<確かにな。私はゼ・バルマリィ帝国の在り方と真の霊帝ケイサル・エフェスの存在に絶望したことが因果律の操作を目指したきっかけだったが…>
(私は光の巨人の存在を目にし、人を超えた存在に憧れたことがきっかけだった)
<それ以外にも相違点を挙げればキリが無い>
(しかし我々がユーゼス・ゴッツォであることは確かだ)
<…お前とは色々と話をしてみたくもあるが、私も多忙な身でね。色々と動かねばならない>
(分かっている。では互いの情報を交換するとしよう)
―――互いの記憶、価値観、倫理観、感情などの全てが交錯する。
それ自体は一瞬で終了した。
そして、
<ウルトラマン、そしてデビルガンダムか…。…クロスゲート・パラダイム・システムの理論も私とは食い違いがあるな>
(…ラプラスコンピューターの存在は興味深いが…。…システムの大部分をサイコドライバーに依存している感があるぞ)
<だがそれによってより効率よく因果律へ干渉が出来る。
ではこの情報は有効に活用させてもらうが…。…お前はこれからどうする? 私と同化するか?>
(やめておこう。先程も言ったが、私とお前ではメンタリティに食い違いが多々ある。
おそらくお前が存在の主導権を握るのだろうが、私という異物を取り込むことで存在に不安定さが生じる危険性が高い)
<…確かにな。そんな不安要素を自分から抱え込む気はない>
(私はしばらくここに留まるつもりだ。…何かの拍子に抜け出すこともあるかも知れないがな…)
<そうか。…ではさらばだ、地球を愛したユーゼス・ゴッツォ>
(とりあえず『健闘を祈る』と言っておこう、貪欲なるユーゼス・ゴッツォ)
<フ……>
自分以外の自分との邂逅が終了する。
有意義な時間であったが、さてこれ以降、何をすればよいものか。
(…暇潰しと情報収集も兼ねて、並行世界の情報でも集めてみるか)
そして世界を覗き見る作業を開始する。
とりあえずは自分の世界と似たような世界を見てみるが、
(……意外に多いものだな)
帝王ダイダス、ゾヴォーク、ゼ・バルマリィ帝国、アンセスター、ガンエデン、霊帝ケイサル・エフェス、アインスト、シャドウミラー、デュミナス、ルイーナ、フューリー、知の記録者、修羅、AI1、アル・イー・クイス、ダークブレイン…。
とにかく自分の手の届く範囲の世界には、やたらと驚異的な存在が多いらしい。
例外としてラ・ギアスの軍勢やヴォルクルス、惑星エルピスという世界における『アポロン』とやらも存在するらしいが。
…比較的新しく誕生した世界ではジ・エーデルという存在も現れたようだが、これはどうも愉快犯に近いようだ。
また、それらを呼び水や軸、あるいは核として多種多様な時空間から強大な力を持つ存在が引き寄せられているが、これがまた把握するのも一苦労なほど多い。
これらの行動や世界に与える影響などは見ていて飽きないものだが、何より興味深いのはこれだけの存在がいて地球の征服、ないし世界の破滅に成功するパターンがほとんど無い、という点である(中には成功しているものもあるが)。
自分と自分が作った組織であるバディムやネオバディム―――それに対するイングラムとガイアセイバーズのようなものが、どうしても立ち塞がるのである。
(やはり抑止力―――いや、歪んだ世界に対しての修正力のようなものが働いているのだな)
とは言え自分には、再び因果律を支配して……などという気は起きない。
彼の戦いは、既に彼自身の敗北という結果によって終わっている。
どの世界で誰が戦って、誰が敗れようが―――それこそ先程の『ユーゼス・ゴッツォ』が敗れようが、大して心も動かない。
モチベーションもほとんど上がらない。
言うなれば燃え尽きてしまったのである。
(………このまま消えるのも悪くはないか)
あの世界でやれる事は、全てやり尽くしたつもりだ。今更、未練はない。
いっその事、このまま本当に―――
『――――――――――我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ!!』
(何!?)
消えてしまおうか、と思った矢先に、何者かの声が聞こえた。
(これは…!? ぬぅ、私という存在が引き寄せられる―――いや、どこかへと引きずり出されようとしているのか!? この因果地平の彼方から!?)
強制的に『自分』が引っ張られる感覚。
…おそらく、よほど強力な存在が自分を必要としているに違いない。
(しかし私を必要とするだと? 一体、何が目的で…)
かつて因果律を操る……神の領域まであと一歩という地点まで迫った自分。そのような存在を呼び出すとは、それこそ神か悪魔かという領域に手が届くモノであるかもしれない。
(…さんざん他者を利用してきた私が今度は利用される立場となる、か。これも因果と言うのだろうな…)
…どうせ消えるはずだった存在である。それならば神なり悪魔なりの姿を見るのも悪くはない―――と、ユーゼス・ゴッツォは呼ばれるままに自分を呼ぶ存在とやらを確認するべく、そのゲートをくぐったのだった。
ユーゼスとユーゼスの会話にはゾクゾクくるぜ!支援
以上です。
…比較されることは覚悟の上ですが、男は度胸ってことでやってみることにします。
ちなみにユーゼス同士の会話とか、『他の世界』の情報を収集させたのは、召喚された先で『似たような存在』を発見した時の対処法をあらかじめ仕込んでおくことが目的です。
とりあえず当面の目標は、最低でも一巻の内容が終わるくらいまでは続けるって所ですかね。
それでは、支援ありがとうございました。
次も期待しちゃうのですよ
頑張ってくれさい
比較されないと思う。
相手は、スパロボ。
こっちは、スーパーヒーローだから似て異なる存在。
全くの別人だよ。
スパヒロのユーゼスは意外にいい奴だっけ?続きに期待!
うおおおおお!!!なんかワクワクしてきた!
スパヒロユーゼスがどんな存在相手にどんな活躍を見せてくれるか期待が膨らむ
スーパーヒーロー作戦を知らないと凄いカオスに見える。
キング・オブ・ハートとかウルトラマンとか何事かと思った。
762 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/14(金) 19:30:30 ID:n4sc2yj6
原作蹂躙2号機、入りましたー
正に最初からクライマックスだぜ!
サイズを無視して多数の作品が出演しているからなぁ、スパヒロ。
まあ、それはスパロボでも言える事だけど、ギャバンとウルトラマンが共闘とか字面だけ見るとすげぇカオス。
仮面ライダーとウルトラマンが競演して、挙句に仮面ライダーがウルトラマンと同サイズに巨大化する作品が存在するから何も問題はない。
ラスボスの人、結構なお点前でした〜。
微妙にほっとなネタなのがちょいと心配。
このユーゼスは完全に未知数だなぁ
頭はいいが、別段すごい力を持っていたわけじゃないし
しかしスパヒロはやったことないからよく分からんが…。
マジでギャバンとウルトラマンが共闘しているの? サイズ差がスゲーことになりそう。
大きさの概念があるっぽいのに普通に共闘している
まあギャバンとかは巨大化した怪人を一撃で倒してるから実力的には問題ないんだが
まぁグレイトバトルと似たようなもんだな
>一体どこから紛れ込んだのか、因果律を操るこの自分ですら全容を把握しきれないイレギュラーである日本一の男
おいw
全くその通りでは有るんだが。
乙です。
あのゲームに「サイズ補正」の文字はないからなw
バ〇タン星人と対等に戦えるキカイダーetc…ってどういう事だよwww
まあ、ウルトラマン達も人間サイズにはなれるから問題ないかと
>>772 > バ〇タン星人と対等に戦えるキカイダーetc…ってどういう事だよwww
最高ですよね!
>>772 たしか作中でガンダムファイターが出てきた時にそこら辺のネタが出てたはず。
むしろこんなのまで召喚できるルイズの厨性能に吹かざるを得ない。
このスレで一番ぶっ飛んでるのって間違いなくルイズだと思うんだw
>>775 東方先生が登場したシーンのレインだねw 生身でデスアーミーを倒したのに、ギャバンやキカイダーが同じようなことやるのを見て来たせいか、いつものような驚きが無い、てなことを言ってたw
まさかまさかの綺麗なユーゼスww
と言うか、自分はスパロボをまともにプレイし始めたのが一次αからなんで、
本気でクロニクルと言うか、歴代スパロボを完全網羅した設定資料集が欲しいと
感じる今日この頃
誰かー、教えてーT T
と言う訳で、色々と期待します。頑張!
ブレンパワードからジョナサン召喚
…ギーシュ戦で「死ねよやーッ」が見たかっただけです…
あっはっはっはっは!
やべー、超やべー。
どう見ても俺のより『いい話』だ……いや、自分からあえて真逆の方向に突き進んでるのが俺なんですけど。
ともあれバード星人のユーゼス、頑張って下さい。その、俺のせいでスパロボ系はかなり風当たりが強いと思うので尚のこと。
俺は俺で、ユーゼス・ゴッツォと共に絶望の宴を繰り広げたいと思います。
>>776 そりゃハルケギニア6000年の歴史の中でも始祖を入れても5人までしか居ない虚無の使い手だしな
1200年に一人の逸材と言っても過言ではない
でもルイズ達の代で同時に4人も使い手が出るくらいだし実は6000年の間に頻繁に虚無の使い手が生まれては
ゼロだ無能だとバカにされた生涯を送ってたのかも知れぬ
原作終了記念であずみ召喚とか見たいな。
実は過去に地球に来ていたハルケギニア人とのハーフというオチで
シエスタは千代蔵の子孫あたりで
黒い考え方として、王家の汚点として幼少期に¨事故死¨してもらったとか
>>781 ヴィダーシャルがそんなこと言ってたぞ。
「これまでの間にも何度か四の四=虚無の使い手が揃いそうになったことがある」ってな。
だから表に出なかっただけで存在はしてたし、覚醒してた奴もそれなりにいたんだろう。
>>783 ああ、そりゃ有り得るな。なんか納得できるわ。
>>781 作中で何度か虚無の四の四が揃いそうになったと書かれている
あと最新刊の台詞から考えて虚無の担い手が死んだらその王家で生きている人間か次に生まれてくる奴に虚無の素質が発現するらしいから
>>786 最新刊まだ読んでないんだけども。
生きている人間に発言した場合は突然系統魔法使えなくなったりするんかね?
イザベラ様……
未来で各王家や傍系の歴史を学者が調べて、保身の為に謀略や暗殺などで虚無の系統を
消し去ろうとしていたと、殊更に闇の部分を暴き立てて王家を批判する材料にするわけだな。
その騒動の裏には聖地奪還を夢見る聖エイジス五十世の姿が……
>>虚無の担い手が死んだらその王家で生きている人間
その設定だと、ハルケギニアには常に虚無の使い手が四人いる事になる
なら虚無について、もっと各国に知られていていいはずだ
恐らく次に生まれてくるヤツに虚無の資質が授けられるのだろう
ハーフエルフのテファや傍流のルイズに発現してることから考えて
別に直系じゃなくてもいいんだよな。
王家の血が混じってる没落貴族や平民あたりに発現して、
気づかないまま一生を終えるとかいうこともあったかもしれないな。
どうだろ?
単にまだ他にも適格者がいる、と取れる程度だったと思うけど。
ちなみにイザベラ様は作中で一回だけ風の魔法を使ったことがある。
侍女の小指を切っただけだけどな。
だから彼女が虚無だとしたら、こっから先の展開がちょっと楽しみだ。
虚無の才能の発言と通常の系統魔法との関係が明かされるかもしれん。
そのへん、今書いてる奴にもちょっと関わってくるからw
今度の虚無はもっとうまくやってくれるでしょう
ZAPZAP
イザベラは魔法の才能がないみたいな感じだから、虚無に目覚めても可笑しくなはない
既に登場済キャラで虚無の補欠候補者…
ガリア…イザベラ
トリスタニア…カトレア
アルビオン、ロマリア…該当者なし
かな?
ちい姉様の場合、本来は虚無候補者だたが、覚醒事故かなにかで系統魔法の方に目覚めてまった故に身体に重い障害が残ったというオチも考えられるが…
>>793 勿論ですブリミル様。聖地奪還は虚無の義務です。
スレ違い雑談自重
>>768 こういう書き込みを見てると世代の差を感じるな…
昔はウルトラマンとメタルダーが相撲取ってた事もあるのに……
虚無の継承者は、チベット仏教の高僧みたいな感じなんでないかね。
つまり継承者が死んだ後に生まれた血統持ちの中からランダムに発現する。
ブリミルとフォルサテの血筋は6000年の間に拡散しているだろうから、
候補者だけなら毎年10000人くらいはいそうだな。
以前、寝取られたヴァリエールの血を通じて「ツェルプストーも虚無候補」
なんて話題も出てたしw
虚無の使い手があまりに拡散しすぎて発見出来ない、というのはありそうだな
ブリミルが虚無候補の条件についてろくに話してなかったからどいつが候補なのかさっぱりわからなくなっているという可能性もある
王族、またはその係累に優先して発現するよう仕掛けがしてある可能性は無いだろうか。
ルイズとジョゼフは仕方ないとして、他の家で系統魔法が全く使えないメイジが生まれたとしたら――他者に知られる前に『処置』しているとかじゃないだろうな?
804 :
虚無と金の卵:2008/11/14(金) 23:43:09 ID:hj06ZGON
予約無ければ、23時50分より投下致します。
そしてパラノイアネタのってくれてありがとう。
屋敷の中庭の池に浮かぶ、一艘の小船の上――六歳の頃の自分だけの領地。
小船遊びなどは、家族の中で自分しかしていなかった。
ルイズは誰にも見咎められることなく、ただゆらゆらと船に揺られている。
ルイズの幼少時代――姉や両親に叱られ、小船の上で隠れていたときのこと。
母の魔法の特訓や叱りの言葉が、途方も無く怖かった。
小姓や召使の哀れみの目が、痛くてたまらなかった。
とても怖くて、怖くて、誰にも見つからない小船に逃げ込んで体を丸くしていた。
この場所に気付いて探し出してくれる人は、いつも優しく、そして頼もしい人だったのだから。
「泣いているのかい、ルイズ」
ルイズは、声の主を見た。
つばの広い立派な羽帽子。精悍ながら優しさに満ちた表情の貴族。
子爵様だ、とすぐにルイズは気付く。
最近、近所の領地を相続した貴族であり、父が自分の許婚にしようとしている男の人。
憧れの眼差しで、ルイズはその彼を見つめた。
泣いて丸くなっていたことを必死に隠し、気丈に振舞う。
「あら、子爵様。いらしていたのね」
「ああ。泣くのはおやめ。僕の小さなルイズ……」
ルイズには大きすぎる手の平が、優しく頭を撫でる。
「さあ、その足で立つんだ……。もう、僕が手を引いてあげることはないのだから」
「子爵様……? どうしてそんなことを言うの?」
いつもならば、ルイズの手を取り、優しく父や母に取り成してくれるはずであった。
だが子爵は、いつもの優しい表情と異なり、大人びた翳りが覆っている。
ルイズは、ああ、これは悪夢だ、と思っている冷めた自分に気付く。
何故なら、自分は今、領地の池などに居るはずもなく、こんなに小さいはずもない。
気付けば涙は止んでいた。自分が泣いていたことすら、忘れかかっていた。
「どうしたの、子爵さま。そんな悲しそうなお顔をするなんて」
「……君にお別れを告げに来た」
「……そんな! どうして!?」
気付けば、辺りは暗闇だった。前へ進むこともできず、今何処に居るかもわからない。
自分を離れ、何処か更なる闇へと吸い込まれていく子爵をルイズは見送る。
追いかけようとするが、小船はまるでぬかるみに囚われた様に決して動かない。
ルイズはもがき、それでも進まないとわかると声を挙げて叫んだ。
「待って!」
「僕も、君も、やがては大人になる」
「どうしてそんな話をするの!」
「……僕は道を違えてしまった。決して、後を追ってはいけない」
そして別れの言葉と共に、夢にも終わりが来る。
「……子爵様!」
ばさり、とルイズは布団を上げて飛び起きる。
荒い息をつく。汗が肌に張り付いて気持ち悪い。
真夜中も良いところの時間――ルイズは辺りを見回す。
そこはトリステイン魔法学院の女子寮の自分の部屋で、実家の屋敷であるはずもない。
そして自分は幼い子供ではなく、魔法学院に通う16歳の学生である、といった至極当然のことを思い出す。
「ひどい夢ね……恥ずかしい」
子供の頃の夢を見たのは、ルイズにとって久しぶりであった。
溜息をつき、側の上に置かれたウフコックのベッドに視線を移す。
ウフコックは鼠の姿のまま、暢気に健やかに眠っている。
今の気分をウフコックに悟られたくはなかった。
昔の許婚の人の夢、というだけでも言い訳に困るのだ――ましてや、離れ離れになって涙目になるなど。
ルイズはしばらく悶々としていたが、ウフコックの安穏とした寝息を聞いている内に平静を取り戻す。
結局は、遥か遠い昔のことた。
許婚といっても、家同士が親睦を深めるため、父親達が何気なく交わした口約束に過ぎない。
ルイズ自身も、それを鵜呑みにして白馬の王子を待つような歳でもない。
だが、確かに6歳の自分は、彼に憧れていたのだ。
「……はあ……。ま、所詮は夢だけどね。
でも、何で今さら、子爵様の夢なんか……」
ルイズは複雑な思いを抱きつつ、窓越しに夜空を見上げる。
子供の頃に見たときと何の変わりもなく、煌々と二つの月が輝いている。
フーケを捕縛してしばらくの間、ルイズ達は畏敬の眼差しで見られていた。
だが当然の如く人の興味は移ろう。
一月も過ぎた頃には噂に上ることもなく、以前と変わらない安穏とした学生生活を送っていた。
変わったことがあるとすれば、ルイズがよくキュルケ、タバサと共に行動することが多くなった程度のもの。
元々キュルケはルイズに突っ掛かることも、あるいはその逆も多かった。だが以前のような刺々しさはお互いに薄らいでいた。
また、タバサは今までルイズと接することは無かったが、フーケの一件があって以来、仄かな恩義を感じているらしい。
ルイズが授業中に苦心しているときは手助けに入ることが増えた。
――というより、他の生徒からルイズへあからさまな嘲笑が入ったときなど、彼らを威圧し黙らせるようになった。
あるときルイズはその理由をタバサに尋ねたが、返ってきたのは「礼は返したい」という端的な言葉のみ。
その解釈――フーケを捕まえようとしていたのにスキルニルに騙されてしまい、その間に事件を解決したルイズに
恩を返さねば面目が立たない――ってことくらい気付きなさいよ、とキュルケが偉そうにルイズに講釈した。
それがタバサなりの照れだと気付くのに時間がかかったが、それでもルイズは、タバサの実直な性格にはすぐに気付いた。
また、タバサはウフコックへ対抗心を抱いているらしく、度々サンクやサイコロ博打を挑んでいた――勝率は2割くらいよ、
と誰かが嘯く。
「あーあ、せっかくのガリア旅行がおじゃん。ホントつまらないわね」
キュルケは悩ましげに溜息をつく。
先日のフーケの一件が起きる直前、キュルケはルイズに魔法勝負で勝利していた。
戦利品=ウフコックと伴ってカジノで豪遊する権利。
――だが目当てのカジノは国の捜査が入ったらしく、今やもぬけの殻。
そして捜査を恐れた青天井の違法カジノは、鳴りを潜めて開店休業中の状態。
国の認可を受けているカジノもあらぬ疑いをさけるためか、休業しがちな状態であった。
いかん、子爵様が(成長した)ルイズに絶望したかに見えた 支援
「……ディーラーのイカサマが暴露されて閉店してた」
タバサが顔も上げずに呟く。ウフコックだけがタバサの微妙な心の機微に気付いたが、敢えて黙っていた。
「あーあ、穴場だったのになぁ」
「ま、私は構わないけどね」
と、ルイズがやや安堵したような言葉を漏らした。
「ヴァリエール、人生には娯楽が必要よ?」
つまんないわね、と言葉を重ね、キュルケはやる気をなくしたように椅子の背もたれに体を預ける。
授業では風のギドーが“偏在”の呪文を使ったのと、コルベールが怪しげな機械を使ったのが印象的だった程度で、
ルイズ達はごく普通の座学を受けるだけの日々を送っていた。
「第一、私らが暇なのは学生だからよ? この次期に卒業してたらどうなってたか危ないんだから」
「アルビオン?」 タバサが会話に混ざる。
「そうよ。今は政情が不安定なんだから」
「『レコンキスタ』ねぇ……。革命だ何だ、って騒ぐのはちょっと性に合わないわ」 と、キュルケが興味なさげに呟く。
「火の本質は“情熱”と“破壊”じゃなかったの?」
「情熱が全然足りてないわね。革命って息巻いてるけど、我が身可愛さにこそこそしてる連中ばかりじゃないの」
「ま、それもそうだけど……」
「なあ、レコンキスタとは何なのだ?」
「ウフコックは知らないのね。レコンキスタっていうのはねぇ……」
レコンキスタ。
ハルケギニア統一と聖地奪還を目指すアルビオンの貴族派閥――実際はアルビオンの権威の簒奪を目的に、
王党派と内戦を繰り広げるばかりで、もはや内乱の象徴に過ぎない。
他国もその飛び火を恐れるだけで、その理念に魅力を感じる者は酔狂な部類と言えた。
だが、この人が、と思うほどの有力貴族が揃い、意外なほどにレコンキスタには人、資金、武器が潤沢に集まっている。
またもう一つのレコンキスタの長所。
王権に不満を持ち、裏で協力する貴族は各国に散ばっていると噂されている。そして、その全貌は常に秘匿されていた。
故にレコンキスタはアルビオン王家と拮抗するほどの勢力を保ち、一進一退の状況といえた。
そして、もしアルビオン王家が倒されるようなことばあれば、隣国のトリステインもその脅威に晒されることが
目に見えている――と、こうした内容を、かいつまんでルイズはウフコックに説明していた。
「高い理想を掲げても利益や利権が絡んで歪み、争っている。難しいものだな」
ウフコックの悩ましげな言葉に、キュルケが補足する。
「っていより、本当に聖地を目指したいなんて思ってる連中なんてそうそう居ないわよ」
「そうなのか? 君らにとって聖地とは何としても奪還したい場所と聞いているんだが……。
もっとも俺はブリミル教徒ではないから実感がわからないし、異国の土地を奪うというのは
理解に苦しむところなんだが……」
「ま、ウフコックにとって見ればそうよね。
……敬虔な人に聞かれた困るから口に出して言うべきでもないんだけど」
ルイズは声を潜めてウフコックに答えた。
「たしかに『エルフから聖地を奪還せよ』っていう教えがあるわ。まあ実現できるのなら、ブリミル教徒としてすべきだと思う。
……でも、聖地奪還のための聖戦を本当に必要としてる人なんて、そうそう居ないわ」
支援
あれ?番号飛んでる? 支援
ウフコック支援
「むしろ聖戦が発動されるたびに湯水の如く金と命を使って、それでもサハラのエルフに勝てないんだから、
そんなの勘弁してほしいっていうのが一般的な感想ね」 と、キュルケが付け加える。
「ふむ……そういうことか。確かに、凄惨で痛ましい闘争に付き合わされるというのは避けたいものだ……」
などと、国際情勢について語っていたが、こんな堅い話で年頃の女性3人が盛り上がるはずもない。
虚無の曜日に王都にでも遊びに行きましょう、などとキュルケが提案し、タバサ、ルイズも乗ってきた。
コルベールが教室に飛び込んできたのは、丁度そのときあった。
仰々しい正装にあからさまなカツラをつけて揺らしつつ、教室の壇上に駆けていく。
生徒の失笑を買いつつも気にせずコルベールは大声を張り上げた。
「本日はトリステイン魔法学院にとって、まことによき日であります!
恐れ多くも、先の陛下の忘れ形見、アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアのご訪問からのお帰りに、
この魔法学院に行幸されます!」
突然の報告に、教室がざわめいた。
「姫殿下に粗相があってはいけません。今より全力を挙げて歓迎式典を執り行うこととなりました。
よって、本日予定されている授業はすべて中止。生徒諸君は正装して門の前に整列すること。
諸君が立派な貴族に成長したことをお見せする絶好の機会ですぞ! 御覚えがよくなるよう、杖をしっかり磨いておくこと。
よいですな!」
教室中が緊張と沸き立つような空気に包まれる。
ウフコックは、ルイズのマントを引っ張ってたずねた。
「ルイズ、そんなに凄いことなのか?」
「そうよ! アンリエッタ姫殿下……この国を背負って立つ人が、来るんですもの!」
だが、ルイズの感じていた喜びは、皆と違っていた。
栄誉に預かることに目の色を変えているのではない、より別種の、大きな喜びを感じていた。
アルビオン魔法学院を目指す壮麗な馬車の一群。
その馬車が進む街道には大勢の人が詰めかけ、多くの歓声を送っている。
見送られる馬車に飾られた金・銀・プラチナのレリーフ――トリステイン王家を示す紋章。
ゲルマリアへの行幸から帰途に着く途中の、アンリエッタ姫殿下の一行であった。
その馬車の一つ。外の歓声とは裏腹に、中では陰鬱な空気が空気が立ち込めていた。
年若い少女と、四十過ぎの痩せぎすの男が、眉間に皺を寄せて話している――どちらも共に、トリステインの国政に深く関る者。
馬車ならば密談にも都合が良い。
護衛隊も外であり、もし音を拾おうとする間者が居ても、馬の駆ける音、車輪の軋みが話し声を掻き消してくれる。
「ゲルマニアの王族にも、例の物と同じ物が配られたようですな。証拠が次々と上がっているようです」
痩せぎすの男――この国の実質的な最高権力者、マザリーニ枢機卿が目の前のアンリエッタに語る。
四十過ぎのはずではあるが、帽子から覗く髪は全て白髪で、肌にはずいぶん皺も多い。
もし初見ならば、間違いなく十は年上に見られたことだろう。
前陛下、つまりアンリエッタの父が倒れ、政治を一身に背負ったが故の結果だった。
そして今も疲労の篭もった、しゃがれた声で目の前の少女に話しかけた。
支援
「ゲルマニアの持っているものと、我らのもっているもの、どちらも全く同じ内容でありましたな」
「では、やはり本物というのですか……?」
麗しいドレスに身を包んだ可憐な少女――トリステインの姫殿下、アンリエッタ。
今の彼女の表情は疲労に満ち、そして哀れなほど青ざめていた――外の歓声など何も聞こえぬかのように。
「まだわからぬところはあります。事実と比して欠けている部分や、あるいは囮として上がっているものも、
あるかもしれません。ですが、信憑性が大きく上がったことには違いありません」
「そんな……では彼らが、レコンキスタというのですか……」
苦りきった表情を隠しもせず、マザリーニは言い放つ。
「認めざるを得ませんな。銃士隊や密偵を放ちましたが、それらしき証拠も上がりつつあります。
ワルド子爵を始め、魔法衛士隊の数人が、レコンキスタです」
「ああ……まさか、こんなことがあるなんて……」
「彼らの名が書き綴られたレコンキスタの構成員の名簿……我々はそれを手に入れたということです」
マザリーニの深い溜息――統治者の懊悩。
「認めざるをえないのですね……」
「ですが、出所は未だ信用なりません。誰が、どのような意図で各国にこれを配ったのか、全くの不明です。
レコンキスタに離反者が出たのか、それとも全く別の出所か、あるいは罠か。見極める必要があります」
「それは確かにそうです……ですが今は何より、国内のレコンキスタの対応を取らねば」
「その通りです。ワルド子爵を筆頭に、レコンキスタの構成員には既に追っ手を放ちました」
深々と、アンリエッタもマザリーニ続いて溜息を付く。
「そうですか……わが国からレコンキスタの人間が出たことは、遺憾に堪えません。ですが、これでアルビオンの方も……」
アルビオン、と自分で発言し、アンリエッタの頭に一つのことが浮かび上がる。
声を漏らしそうになるほど臓腑に冷たいものが走る。
だがアンリエッタは理性でもってそれを抑える――目の前のマザリーニに気付かれても危うい。
「王党派も活気付くでしょう。逆に、レコンキスタの足並みが乱れることは確実です。
調査を進めれば、レコンキスタの資金源や間接的な協力者を締め上げ、トリステインに飛び火することも防げるでしょう。
……姫?」
「え、ああ、そうですわね……」
「今からが正念場というものです。決して付け入る隙を見せてはなりませんぞ?」
「ええ、大丈夫ですとも……」
かすれるような声になったのを自覚しつつ、アンリエッタは答えた。
マザリーニは、アンリエッタの様子は旅の疲労と名簿の衝撃によるものと思ったようだ。
少なくともワルド子爵は、アンリエッタの厚い信頼を受けた、腹心に近い存在であったのだから。
アンリエッタが恐らく始めて味わう裏切りの味――その衝撃はどれだけだろうかとマザリーニは思う。
「……ふむ、長旅でお疲れのようですな。トリステイン魔法学院への訪問は取りやめに致しますか?
できれば王宮の貴族に悟られぬよう、何事も無かったかのように振舞っておきたかったのですが。
……体調が優れないならば無理にとは申しません」
「い、いえ。是非向かいたいですわ。王宮に戻る前に、秘密裏に事を進めましょう。
……それに、まだ政治の色に染まっていないメイジの卵を見れば、心も癒されるというものです」
「それもそうですな……」
外の歓声が空々しく聞こえるほどに、アンリエッタの表情は苦悩に翳っていた。
雅やかな馬車は、懊悩と陰謀の重みに揺られている。
うお、レコン・キスタのメンバー表がこの時点で明らかってのはすげぇ!?
サイトとかフリントとかの仕業か!乙であります!
816 :
虚無と金の卵:2008/11/15(土) 00:04:05 ID:F3JJav+v
投下完了、支援ありがとうございました。
そしてすみません、タイトル一部間違えました。
投稿順序は間違えてないです、ハイ。
しかしやっとマザリーニとアンアン出せたぜ。
>>807 ちょw
ウフコックの人乙!
いやあ、好きなのがざくざくでホクホクですな!
鼠乙
「ストレイト・ジャケット」のレイオットとカペルテータが召喚される話が出来ました。
1時投下予定です。
短いですが支援お願いいたします。
支援!
フリント・・・、ジルオールを思い出す。
PSP版発売が待ち遠しい。
――― 序章
目の前で振り下ろされるゴーレムの拳。
――ああ、死ぬんだわ。
わたしはひどく冷静にそれを見つめた。
周囲がゆっくりと動く。
手にした『破壊の剣』はまったく反応すらせず、このままだとわたしと一緒に潰されることとなるだろう。
走馬灯のように今までの日々が思い出される。
故郷……父さま、母さま、姉さま、ちいねえさま。厳しくも芯のところは暖かった場所。けど、かけられた期待は絶望へと変わらず、諦観にも似た諦めが蔓延する辛い日々。
学院……キュルケ、オスマン、コルベール。成し遂げると決意と希望を抱き入った場所。だが、決意はヤスリで削るように磨り減り、希望がその灯火と共に消えるまで時間はかからなかった。
ああ――自分は最後まで、魔法が使えず、貴族になれなかった。
そして最後に思い出すは――わたしが召喚した使い魔の2人。
覇気とやる気という言葉をどこかに置き忘れたどこまでも腹の立つ男と、感情を表さない言葉少ない赤い少女。
結局わたしは、正しいご主人様にもなることができなったのだ。
(ごめん……なさい)
何に対してかわからない謝罪。
拳が眼前まで迫る中、わたしの頬から一筋の涙が伝った。
「――イクジスト!」
轟音は後から来た。
わたしの傍を通過した暴力は、容赦なく加減なく目の前を蹂躙し爆砕した。
「きゃあっ!?」
わたしはその爆風に地面を転がるように吹き飛ぶ。
「いつつ……」
そして痛みに唸るわたしの前に、ズシャリと鉄の足が踏み出された。
見上げた先にあったのは黒い影。いや、それは甲冑だった。
だが全身を覆うそれは騎士が着る甲冑に似ているが、どこか洗練された印象と剥き出しの無骨さが目立つ。
そしてその手に持つものが異様だった。騎士ならランスやメイジなら杖を持っているものだが、それは違った。
見様によってはランスにも見えなくはないが、それにしては物々しすぎた。細かいパーツやギミックなどが施されたそれは、物を斬る突くなどできないだろう。
杖にしてもそんな装飾は不要だ。そもそも金属でできていると思われるそれは、重すぎて使い物にならない。
だが、わかる。それは暴力を。圧倒的な暴力を扱うための”武器”であると
甲冑はそれを軽々と肩に担ぐとゴーレムを見上げた。
そして、まるで街中で偶然出会った知人に話しかけるように声をかけた。
「よう。俺も仲間に入れてくれよ」
冗談にしては無難ではあろうが、30メイルもあるゴーレムを目の前にしてはあまりにも個性的(ユニーク)すぎるものであったが。
甲冑から聞こえてきた声に、わたしは驚きが隠せなかった。
「仲間外れはよくないぜ。俺は寂しがり屋なんでな」
わたしは、目の前の甲冑に呼びかける。
「――レイ……オット?」
甲冑――レイオットは軽く手を上げ。
初めて声を交わした時と、寸分たがわず飄々と声で言った。
「悪いな。ちいとばっかしおめかしに時間がかかっちまってな」
――1章「マヨイのジュウニン」
その日、ルイズが召喚したものは奇怪な箱であった。
もうもうと土煙が立ち上る中、それは静かに鎮座している。
「な、なにこれ?」
ルイズはもちろんコルベール、キュルケ、タバサ、周囲の生徒も含めて。ここにいる全ての人間が目の前の非現実にあっけに取られていた。
猫や犬なら判る、確立は低くても幻獣もありえなくはない、皆無に近いだろうが亜人……果てはエルフもまだ納得できる、そして絶対絶対ないであろうが……人間が現れることもこのさい許容しよう。
そう、この世界にいる生物ならば彼女は大いに混乱しながらも納得できたであろう。それが『サモン・サーヴァント』の原則なのだから。
だが目の前にある物はなんだ?
高さ4メイル、横5メイル、奥行き4メイルほどの長方形。その色を見ると鋼だろうか? 前方の一部にはガラスのような物が貼り付けられ内部が少し見える。そして下部の前と後ろ、そして反対側にも取り付けられた円形は車輪? もしそうだとすると――
ルイズが行き着く答えを出す前に、最も彼女に絡む肥満体が騒ぎ立てた。
「馬車だ! ゼロのルイズが馬車を召喚したっ!」
そう、それは馬を繋ぐ部分や従者を乗せる場所はないが、見方によっては馬車に見える。
その声に周囲はザワザワと騒ぎ出すと、一斉に嘲笑と侮蔑の声に染まった。
「やっぱりゼロだ! 一瞬でも成功したのかと思っちまったぜ!」
見下し。
「ははははは! なんだよ傑作だな! こんなやつは他にはいないぞ!」
嘲り。
「所詮、家柄だけの存在ですわね。もう諦めて帰ったら? あら、使い魔がいなければ留年でしたっけ?」
嘲笑。
「ゼロは何やってもゼロなんだよ! ははははは!」
侮蔑。
「…………」
数々の心無い言葉を投げかける人々の中、ルイズはただ唇をかみ締め俯くだけ。彼女にはそれ以外にすることができなかった。
剥き出しの心には千の言葉を尽くしても表せられない努力と覚悟を背負い、無防備な背中には抉り掻き出すような雑罵が圧し掛かる。
いつもなら睨み返すだろう、普段なら言い返すだろう。だが、今は……無情なる、残酷悲惨たる現実を突きつけられた今は……彼女の心は抗う術を持たない。
そんな彼女に追い討ちをかけるように、先ほどから最も彼女を罵倒する脂肪の塊――マリコルヌが声を高らかに言った。
「ほら! さっさと契約しろよ! その馬車とよ!」
ビクリと、ルイズの背中が震えた。
周囲もそれに同調して、口々にそれを促す。
ルイズが助けを求めるように教師のコルベールを見ると、彼はこの情況をどうしようかと困惑するばかりで動こうとはしない。
ふと視界に入った赤髪の少女は、まるで興味がないと言う様に。周囲の罵倒には参加しないが、庇おうともしてない。
つまりは、ここには味方なんて居はしないのだ。
「はやーくっ! はやーくっ!」
またしても、マリコルヌの言葉で、周囲の罵倒が促すものへと変わる。
『はやーくっ! はやーくっ! はやーくっ! はやーくっ!』
ここでようやく、コルベールが生徒たちを止めようとするがいかんせん対応が遅すぎた。
伝播したある種の“熱”はほとんどの生徒に移り、今更教師が止めたぐらいでは止まりはしない。
「…………」
今までないほど、彼女は強く杖を握り締める。力を入れすぎて爪が掌に食い込むが、そんなことは些細なことであった。
彼らはわかっている、物に『コントラクト・サーヴァント』なんてできるはずがないと。だが、彼らは根本的なところを判っていなかった。
なぜ物を『サモン・サーヴァント』で呼べたのかを。
衆人の声が響く草原の只中。
ガシュ、シィィ――
その音は周囲の声の大きさに比べれば些細な物であっただろう。だが、それは確実に響き、みなを黙らせた。
俯いていたルイズは突然声が止んだことを不審思った。突然、しかもまるで計ったかのように罵倒がなくなったのだ。
それが気になり、俯けていた顔を上げた時。馬車の後部、壁の一部がつり橋のように降りてきていた。
「な、なに?」
そしてそこに。
赤い――赤い人があった。
体はすっぽりと黒っぽい外套が覆い、肌の露出はほとんどなく、距離もあり肩に切りそろえられた髪で、その表情はわからない。それだけならどこにも赤と称するものは一切ないが。
その髪。
ゲルマニア国民の炎と称されるような赤ではなく。血の、そう鮮血のような透き通った赤。ゲルマニアの赤髪を燃えるようだと表現するのなら、それは切り裂くような赤と言えよう。
少なからず息を呑む中。その人物は周囲を軽く見通すように首を巡らせ。
一歩、足を踏み出した。
「…………」
一歩、また一歩と進む。
その間、みなは呪縛にでもかかったように動かない。
そして地面へと降りた時、シャラリと髪が揺れる。髪の隙間から覗いたその横顔は少女であった。
硬直していたルイズはハッとし、正気を取り戻した。
そう、自分はなにをしなければならないのかを。
「ちょ、ちょっとあなた!」
ルイズは地面へ降りた少女に向かい声をかける。
「…………」
だが少女は、ルイズを一瞥した後、急ぎもせずに馬車の前方へと歩いていく。
無視されたような形になったルイズは、当然の如く怒ると少女のほうへと駆け出し、その横に並ぶ。
「なに無視してるのよ!」
「…………」
少女は無反応。それが余計、ルイズの神経を逆撫でした。
「ちょっと!」
そして少女の肩に手をかけて振り向かせる。
「…………」
「――っ!」
ルイズは息を呑んだ。
支援
支援せざるをえない
しえん
そこには紅い目が4つ……いや、2つは目であるが残り2つは違った。目の上に、ちょうど眉がある辺りに丸い球体が2つ埋め込まれている。
だが、そんなことは些細なことだった。
その2つの瞳、なにも感情を有しない無機質な瞳がルイズの瞳を捉えた。
まるで仮面のような顔。だが表情以上にその瞳がなによりルイズの言葉を飲み込む。
「あ……」
肩から手を離すと、少女は何事もなかったかのように歩き出す。
呆然と見つめる視線の先で、少女は馬車に近寄り、扉らしき場所を叩く。
「レイオット……」
叩く。
「レイオット……」
叩く。
「…………」
叩いても一向に変化はなく、少女は叩くのをやめた。そこで再度声をかけようか悩むルイズの傍、少女は一旦扉から離れると、馬車の側面を漁りやたら大きなシャベルを取り出してくる。
「え? ちょ、ちょっとっ」
うろたえるルイズを目に留めず、少女は扉の前に戻ると。大きくそれを振りかぶる。
「な、なにをするのっ!?」
そして見事な軌道を描くシャベルでその扉を殴打した。
――ごわんっ。
まさに鉄に鉄を叩き付けた暴音が響く。思わず耳を押さえるルイズ。
少女は至近から聞いたはずなのに、平然としてシャベルを置いた。
そして暫しの沈黙。
すると……
「あー……いたた――」
そんな声と共に、扉が開いた。
「カペル……前にも似たようなことがなかったか?」
眠っていたのかどこか覇気のない立ち回り、そのまま着ていたのだろうクタクタになったコートを纏い、背は高くよく見れば顔もそれなりに整ってはいるが、体全体から発する胡散臭気な雰囲気のせいでダラシナイで留まってしまう。
その男はサングラスを指で押し上げながら、目の前の少女へと話しかける。
「大体、それは……どこで覚えてきたんだ?」
「お隣のシェリングさんが。これならどんな寝ぼすけも一発……だと」
男は頭痛を抑えるかのように頭に手をやる。
「あー……カペルテータ君。できればその方法は遠慮してくれるとわたくしとしては、ありがたいんだけど」
男の言葉に少女は無言で頷いたあと。
「わかりました。急を要する事態以外ではできるだけ控えます」
「いや……できれば今後はやめてほしいんだが――」
ぼやくきながら頭を掻いた時。
「――あんたたち!」
先ほどからルイズは大層我慢していた。自分でも長いとは思わない堪忍袋をひたすらに抑え。会話に入り込む余地を探していたのだが、一向にこちらに目を向ける気配はない。そしてとうとう彼女の忍耐は限界に来たのである。
(そう、よりによってなんで無視されたり、睨まれたり、また無視されたりしたのに我慢することがあるのよ!)
「あんた、さっきからわたしのことを無視して暢気に会話して何様のつもりよ!」
腕を組み、胸を張って目の前の男へと言い放つ。見たところ杖もマントもないことから平民だとは想像がつく。
ルイズに2人の視線が集まる。
声をかけられ胡乱な目つきで見下ろす男――レイオットと呼ばれていたか――はルイズを指差すと。
「カペル……こちらはどちらさんで?」
横の少女へと問いかける。
カペルと呼ばれた少女は、ルイズを見たまま。
「わかりません」
「…………」
その答えにレイオットは本格的に頭痛がした。
(たしか……リゴレット通りで弾薬や日用品を買い足して、その後ジャックのところでモールドを受け取った後……帰り道で突然光に……)
グルリと周囲を見渡す。
拡がる平原、目の前にはなにか喚いている桃色の髪の少女、離れた場所には同じような子供集団、そしてさらに離れた場所には城のようなものが見える。どこまでも拡がる青い空が冗談みたいに清々しい。
どう考えてもさきほどまいた場所とはあまりにもかけ離れている。
「ちょっと! なに無視してるのよ! 聞こえているんでしょ!」
そして最後に、きゃんきゃんと子犬のように騒ぐ少女を見て。
「やれやれ……やっかいなことに巻き込まれたみたいだな」
レイオットは空を仰いだ。
今回はこれで終わりです。
現在は、モールドの資料とか、魔法の拘束端子数とかチマチマ調べています。
早く書けるようがんばります。支援してくれた方々ありがとうございます。
まさかストレイトジャケットが来るとは思わなんだ!
期待してるぜ!
どうでもいい話。
ハルケギニアは呪素で汚染されてるのだろうか?
モールドなしでも魔族になる心配薄くね?
とか思ってみた。レイオットがどう思うかは別として。
設定的にはストジャの世界の住人は全て呪素に汚染されていて、たとえレイオットが他の世界にいっても溜まった呪素は変わらない。
ということを考えています。
まあその方がいいでしょうね。原作での制限を取っ払うと別物になる可能性もありますし。
ともかく、次回を期待して応援します。
俺ぜろろとフロウウェンの人が来たら結婚するんだ・・・・
元ネタはストレイト・ジャケットですか。
榊作品は短編は何度かありましたが、連載は初めてなので期待大です!
次回も期待しています。
……しかし、ハルケギニアでイエルネフェルト事変に相当する事件が起これば、
原作以上に社会そのものが凄い事になるでしょうねwっつーか、そうなってくれ
ないかと思ってしまうオレw
ラブコメ世界に一陣の風が・・・・
ストジャ乙です!
個人的に大好きな作品なので、かなり期待ww
>>832 >>833 魔法を発動する際に、虚数側面(アストラルサイド)から物理側面(マテリアルサイド)に干渉、
その代替として呪素が発生、だったと思うのでゼロ魔世界での発動方法によると個人的見解
先天(遺伝?)的に継承された蓄積呪素があるので、魔法発動すると魔族化するんですけど・・・・
レイオットが魔法発動した場合に、呪素が発生するのか
or、ゼロ魔世界の人間全てが到達者だったら・・・・
ヤベェ、どんなメイジも超人に思えてきたww
超人と言えば、熊の爪には頑張ってほしいな
本編では戦争男が散々場を引っ掻き回した上で敗北っていう悲しい事になっちまったから……
>>681 ジョーカーいいね!
ルイズ側に召喚して、ゼロ呼ばわりとかで鬱憤の溜まってるルイズを引き込むのも見てみたいなぁ
一昨日、昨日と投下ラッシュが続いていますね。
盛況なようで何より&皆様乙です。
もう少し書き溜めてから、とも思ったのですが、
話の区切りが良いような気がするので
予約等なければ19話を3:10から投下したいと思います。
戦争の人はベアークロー無いほうが強いって設定華麗に忘れられてて泣けてくる。
支援いたそう!
六人と一匹を抱えているシルフィードは今ひとつ本来の速度を出すことができなかった。
だが、レコン・キスタは、オルガ・フロウとの交戦に手一杯だった。
ウェールズとジェームズ一世の脱出も知る由がなかったし、察知できたとしても、その場合は追撃部隊を最優先でオルガ・フロウが叩く。結局はシルフィードを追うことなど叶わなかっただろう。
一行は敵に追い立てられることも無くアルビオンを離脱し、夕方頃にはトリステイン魔法学院の近くまで無事帰ってくることができたのである。
その間キュルケ達はデルフリンガーから『女神の杵』亭で別れた後の経緯の説明を受けていた。ルイズから話を聞こうにも、アルビオンを脱出してからこっち、殆ど放心状態だったからだ。
「先住で、人間に姿を変えられる者もいる」
フロウウェンの変身について話が及ぶと、タバサはそう口にした。事実として、彼女の使い魔であるシルフィードがそうなのだ。
「じゃあ、あれがおじさまの本来の姿だって言うの?」
「わからない」
タバサは首を横に振った。あれが本来の姿なのか、それとも一時的に姿を変えられるのか。テクニックの類ではないとも言い切れないが、少なくともルイズもデルフリンガーも、あれを知らなかったようだ。
シルフィードが肩越しに振り返ってタバサを見やる。
主の話に、シルフィードは補足を入れたかったが、口にヴェルダンデを咥えたままで何も喋れないのがもどかしい。最も、何も咥えていなくても、タバサは皆の前でのシルフィードの発言を許してはくれなかっただろうが。
シルフィードがあれに感じたのは、本能的な恐怖だ。それを後押しするように、精霊達があれは忌むべきものだと教えてくれた。
「デルフリンガー。マグは何か知らないの?」
マグはフロウウェンの文明の防具であるが、独自の意思と知性を持っている。そしてデルフリンガーはマグとの意思疎通が可能であった。それを思い出して、キュルケが問う。
「マグは、あれは自分達とは似てるが違うって言ってるな。俺もあれを見てから、なんか引っかかるものはあるんだが、一向に思い出せねえ。まあ……何だ。思い出せたらすぐ知らせる」
困ったような声でデルフリンガーが答える。
「おじさまに関しては、現時点じゃ、情報が少なすぎるわね」
キュルケが肩を竦めた。
「ワルド子爵について。情報の漏れ方からして、白い仮面のメイジは遍在」
タバサが言うと、ウェールズが頷いて、その推論に同意する。
「恐らくはそうだろうな。だが、レコン・キスタとは袂を分かつような口振りだった。だとするなら、何故ラ・ヴァリエール嬢や僕に襲い掛かったのだろうな」
「クロムウェルは虚無の力を持つと、噂が流れたことがあろう」
それまで話を黙って聞いていたジェームズ一世が静かに口を開いた。
「それが『アンドバリ』の指輪を根拠にしたものだとしたら、虚無に魅せられて従う者もおろう。じゃが、秘密さえ知ってしまえば子爵にとってレコン・キスタは不要。
大方、手柄を立てて信頼を得て、クロムウェルの寝首をかこうと思ったのではあるまいか」
一同はなるほどと頷いた。確かに、それならばワルドの行動にはつじつまが合う。
そうすると、ルイズに求婚していたのは、虚無の力を欲するが故の行動ということになる。
やっぱりろくでもない男だった、とキュルケは溜息をついてルイズの方を横目で見やるが、彼女はワルドの話が出ても無反応で押し黙ったままであった。
やがて、草原の向こうにトリステイン魔法学院が見えてくる。すると、学院からもこちらの姿を確認したのか、学院上空を舞っていたマンティコアが編隊を成し、シルフィードに向かって飛んでくる。
「私はトリステイン王国魔法衛士隊マンティコア隊隊長、ド・ゼッサールである。貴公らは何者か!」
マンティコアの背に跨る、髭面の男の誰何の声が飛んだ。
「こちらにおわすのはアルビオン王国国王ジェームズ一世陛下であらせられる。私はアルビオン王国皇太子ウェールズ・テューダー。至急、アンリエッタ王女陛下に取り次ぎを願いたい」
「へ、陛下と、皇太子殿下にあらせられる!? こ、これは知らぬこととは言えとんだご無礼を……!」
隊長は二人の顔を認めると、蒼白になって帽子を脱いだ。
「このような状況では詮方ないことだ」
ウェールズは笑う。ド・ゼッサールはその言葉に胸を撫で下ろした。
マンティコア隊が一行の周囲を飛んで守りを固め、ド・ゼッサールは一足先にジェームズ一世到着の報をアンリエッタに知らせる為、魔法学院へと飛んだ。
一行はマンティコア隊に中庭へと誘導される。シルフィードが着地し、ウェールズとジェームズがその背から降り立つと、アルビオンの貴族達が歓声を上げて二人に詰め寄った。
「陛下! 殿下! ご無事でしたか!」
「突然ゲートが閉じてしまったので、何が起きたのかと心配しておりもうした!」
「あいや、各々方。心配をかけた。これこの通り、朕らは健在であるぞ」
ジェームズ一世が言うと、一同は笑い合った。
「アンリエッタ姫殿下と、オールド・オスマンがお待ちしております。こちらへ」
「うむ。では参ろうか」
ド・ゼッサールが、一行を本塔へと案内すべく先導する。アルビオン王党派が口々に謝意を述べて一行を見送った。
後になって聞いたことだが、突然ゲートが消えたのでかなりの混乱があったらしい。アンリエッタとオスマンが宥めたので一先ずは落ち着いたが、二人の身に何かがあれば、アンリエッタはかなりまずい立場になっていただろう。
そんな経緯もあって、アルビオン貴族達は国王と皇太子の身を案じていた。その反動故か、二人が顔を見せた時の王党派の喜びようといったら凄まじいものがあったのである。
学院長室にルイズらが通されると、そこにはアンリエッタとオスマンが待っていた。
アンリエッタはウェールズとジェームズに微笑みかけたが、一行の中に血と泥で汚れたルイズを認めると、血相を変えてルイズに駆け寄り、彼女を抱き締めた。
「よ、汚れます。姫さま」
「汚れがなんだというのです。ルイズ。ああルイズ。よく無事に帰ってきてくださいました」
「姫さま……」
アンリエッタのねぎらいの言葉に、ルイズの頬を涙が伝う。
「怪我をしているのですね。ルイズ」
ルイズはあちこちを擦り剥いていたが、アンリエッタが治癒の魔法でそれを塞いでくれた。
「勿体のうございます。姫さま……。どうか、わたしなどのことより、陛下と皇太子殿下を」
「ルイズ……」
アンリエッタはルイズと数瞬の間見詰め合っていたが、彼女から離れると公人の顔に戻り、ジェームズとウェールズに向き直って恭しく挨拶をした。
「陛下。ウェールズさま。遠路、よく参られました。トリステイン王国はアルビオン王家を心より歓迎致しますわ」
「此度の姫の御厚意、誠に痛み入る。朕と、朕の臣民らに代わり、心より御礼申し上げる」
それから、アンリエッタは二言三言、ジェームズと言葉を交わすと、キュルケ達に言う。
「あなた達も、よくルイズを助けてくださいました」
「勿体無いお言葉にございます」
「ワルド子爵と、ルイズの使い魔が見えないようですが?」
一行を見渡して、アンリエッタは尋ねる。
「子爵は……貴族派の手の者でした」
「そんな……魔法衛士隊にまで裏切り者が……?」
その言葉に、アンリエッタは衝撃の色を隠せない。
ルイズの婚約者ですら裏切りを働くとは、最早誰を信じればいいのかすらわからない。
「やはり……『アンドバリ』の指輪の力ですか?」
「いいえ。ワルド子爵は自分の意思で動いていたようです。わたしの使い魔は……」
ルイズは俯いて言い淀む。
「フロウウェン殿は、朕らを逃がす為に囮となってアルビオン艦隊の足止めに向かった」
ルイズの言葉を、ジェームズが引き継いだ。アンリエッタはルイズとジェームズの顔を交互に見て、蒼白になった。
「そ、それでは彼は……!?」
「アルビオンに残られた。かの者がいなければ、朕らは生きてトリステインの土を踏むことも無かったであろう」
「そんな……。一体何があったというのです!?」
アンリエッタの言葉を受けて、キュルケがデルフリンガーから聞いていた顛末を語る。
傭兵の襲撃。ラ・ロシェールからの脱出。空賊に偽装したウェールズと出会ったこと。亡命を決めた矢先の艦の消失。ワルドの裏切り。フロウウェンの変容。アルビオンからの脱出。
傍らで涙を堪えながら話を聞いているルイズの姿が、アンリエッタの目に痛ましかった。ルイズの心はどれほど傷つけられたであろうか。
ワルドを同行させさえしなければという後悔と自責の念に駆られ、アンリエッタは目を伏せた。
しかし、ルイズが自分から志願しなければ、恐らくアンリエッタはワルド単独で密使を送ることになっていたはずだ。
その場合、王党派の亡命も無かっただろうし、手紙は奪われ、『アンドバリ』の指輪の情報を掴んだことが、ただ漏れてしまうだけという最悪の結果に終わっていたはずだった。そういう意味では、アンリエッタに運があったのだと言える。
オスマンが口を開いた。
「姫。ミス・ヴァリエールは長旅で疲れておる様子。詳しい話は後日伺うとして、今日のところは休ませてやるのがよろしいでしょう」
その提案にアンリエッタは頷き、一行は学院長室から退出した。
退出した途端、全て終わったという実感が押し寄せてきて、ルイズの身体から力がどっと抜けていった。
ルイズは俯いて、嘆息した。改めて自分の身体を見れば、酷い有様だった。
『エア・ハンマー』で弾き飛ばされ、鍾乳洞を転がった時に付いた泥。それからフロウウェンの血。それらで衣服は勿論、髪も、顔も、手も、足も汚れていた。
ブラウスについた血の痕を見ながら呆然としているルイズに、キュルケは首を横に振る。それから、彼女の腕を取った。
「何よ、ツェルプストー……」
いつもなら自分が触れようものなら烈火の如く怒り狂うであろうルイズだが、振り払おうともしない。相当重傷だ。
「まずはお風呂よね。長旅で汗でべた付いて、気持ち悪いったらないわ。着替え持ったらみんなで大浴場行くわよ。じゃあ、またね、ギーシュ」
「ん? あ、ああ。また」
キュルケはそのまま有無を言わさず、ルイズを引っ張っていく。タバサもそれに着いていった。
「……女の子同士の友情、か」
ギーシュは三人の後ろ姿を羨望の眼差しで見送りながら、溜息をついた。
ルイズとはそれほど親しかったわけではないが、最近何故か行動を共にする機会が多かった。
あの勝気なルイズが、あんなに落ち込むのを見るのは、初めてだった。
「やっぱり……誰であれ女の子の悲しむ顔は、見たくないな」
モンモランシーや姫殿下が、笑顔でいてもらう為に。自分には何ができるのだろう。
生きて帰ってこれた喜びも束の間のものだ。 自分は兄達と違って魔法の才能に乏しい。
だが、もう少しできることはあるはずだ。
生徒達が平時に利用する時間とはズレていたので、大浴場はキュルケ達の貸切であった。正確には、大浴場の掃除に来ていたシエスタがいた。
「ど、どうしたんですかっ! ミス・ヴァリエール!?」
乾いた血と泥と涙と汗の痕で、ルイズは普段の毅然とした姿が想像できないほどボロボロだった。思わず詰め寄って、シエスタは事情を尋ねていた。
「あなた。名前は?」
隣にいたキュルケが問う。
「シエスタ、です」
「もしかしてヴァリエールと親しいの?」
「いえ、その。ヒースクリフさんとよく話をしているもので」
「そう。おじさまと……」
キュルケは目を閉じると、アルビオンに行ったことと、やむなくフロウウェンが敵の目を引き付ける為に囮として残ったことを、掻い摘んでシエスタに説明した。シエスタはその言葉に衝撃を受けたらしい。
「じゃ、じゃあヒースクリフさんは!?」
「わからないわ」
青い顔で問うシエスタに、キュルケは首を横に振った。
「あたしは、無事だって信じてるけどね。ねえ、シエスタ」
「……なん……でしょうか」
「あなたも一緒にどう?」
キュルケは大浴場の湯船を指差して言う。
「え?」
いきなり何を言い出すのだろう、ミス・ツェルプストーは。自分にも一緒に入れ、ということだろうか。
だが、貴族の風呂に平民が入ることは許されてはいないはずだ。
シエスタが戸惑っていると、キュルケは声を潜めて、シエスタに言った。
「ヴァリエールがあんなだし、ちょっと頼めないかしら。あたしとヴァリエールは不倶戴天の敵だし、ね」
不倶戴天の敵などと言いながら、彼女はルイズのことを気にかけているのだ。それが解ったから、シエスタは頷いた。
シエスタはタオルを身体に巻くと、ルイズを座らせ髪を濯ぎ、次いで泥と渇いた血と汗を、桶に汲んだ湯で丁寧に洗い流していく。その間も、心ここに在らずといった調子で、ルイズはされるがままであった。
華奢な身体だった。白蝋のような肌理細やかな肌はシエスタから見ても羨ましいくらいだが、暗く沈んだ表情と合間って、余計に弱々しく見える。
シエスタはルイズが学院でどんな立場であったかを、見て知っている。それでも、こんなにルイズが小さく見えたことは無い。
いつも胸を張って歩いて、気難しい拗ねたような顔をして、小さな身体でも精一杯自分を大きく見せている少女だった。
それでもフロウウェンが来てからは、肩肘を張るようなところが少なくなって、自然に振舞うようになってきたと思う。そんな少女に、始祖ブリミルはどうしてまた大事な人を取り上げてしまうような運命を課すのだろう。
ブリミル教の司祭あたりならこれも試練などと言いそうなものだが、ブリミルはメイジ達の崇める存在であるし、シエスタは殊更信心深いというわけでもない。ただ、ルイズが気の毒で、フロウウェンの身が心配だった。
ルイズの身体を一通り洗うと、その手を引いて湯船に導くと、縁に背を預けさせた。
「…………」
キュルケに連れられるまま大浴場に来たが、自分はどうしてこんなところにいるのだろう、何をしているのだろうと、ルイズは自問する。取りとめの無い思考が頭を埋め尽くす。
疲労と湯船の心地よさで鈍った思考では、考えは少しも纏らなかった。ただ、フロウウェンのことだけが、片時も頭を離れない。
フロウウェンはどうなったのだろう。こちらの合図に気付いて、ちゃんと逃げてくれただろうか。
(どうして、あの時わたしは―――)
皆、ルイズの側にいたが、あまり多くの言葉は発しなかった。大丈夫だと安請け合いなどできないし、慰めを口にすればフロウウェンが帰ってこないことを認めてしまうことになる。
側にいてやることぐらいしか自分達にできることはない。けれどそれは、今は気付かなくても支えになってくれるものだと、タバサもキュルケも、シエスタも知っていた。
戦闘の時間はわずかだったが、レコン・キスタの被った損害は計り知れなかった。陸軍は兵器も軍馬も使い物にならず、負傷者を見れば怪我をしていない人員を数えた方が早いという惨状だ。
では空軍はといえば、あの短時間の戦闘の間に多数の艦が航続能力を失くし、竜騎兵も多数が撃墜され、相当な被害を受けた。
だというのに、死者の数は全軍が受けた損害の割にはさほどでもない。その内訳の殆どは陸軍では仲間に踏み潰された結果だとか、空軍の場合、同士討ちの流れ弾や竜が撃墜されて逃げ遅れたというものであった。
水の秘薬はあっという間に足りなくなり、傷病兵の治療もままならない状況だ。多数の傭兵達が脱走していることも手伝って、士気もどんどん下がっている。
戦闘から二日を経過した今でもレコン・キスタは軍の立て直しができていなかった。貴族派は無人のニューカッスルを遠巻きに陣から囲んだまま、未だ恐怖と混乱から立ち直れず、あの城に近付くことができずにいるのだ。
神聖なる王権に杖を向けた報いなのではないかという噂が広がっていた。王党派の降将や貴族議会の過半数、有力なアルビオン貴族が戦闘中に突然死したことにもそれに拍車を掛けている。
実際のところは、『アンドバリ』の指輪の制御を断たれてしまったからだ。全軍で同時に起こったことである為に目撃者は数え切れず、今更指輪の力を再度行使して大っぴらに生き返らせるわけにもいかなかった。
クロムウェルが死者を蘇らせる『虚無』を用いることができるというのは、公になっていることではないからだ。
公にしてロマリアに目を付けられてしまえば、虚無を標榜した以上は力を見せろと審問されるだろう。精査されれば指輪の力がバレてしまう可能性がある。
また、『アンドバリ』の指輪自体が伝承やら御伽話の類として伝わっていて、クロムウェルの能力に思い当たる者がいないとも言い切れない。
だから、神秘性を高めることで自分のカリスマを高める手段として指輪を利用してはいたが、クロムウェルは一部の者にしかその力を見せていなかったのである。
それも、裏目に働いていた。
虚無の力が真実であってもなくても、制御が解けてしまったことで、クロムウェルの復活の魔法は完全では無いということを、その「一部の者達」に知らしめてしまう結果になった。
王権に歯向かった報いなどという噂が広まっていれば尚のこと。虚無の加護はクロムウェルになどないという結論に達してしまう。
そういった背景もあって、クロムウェルはゆっくりと確実に求心力を失いつつあった。
それでも戦さに勝てれば良いはずなのだが、ほぼ全軍を示威の為にニューカッスルに結集させていたのが致命的だった。例え、他国と結ばないトリステイン軍単独と戦っても、大敗は火を見るより明らかなのだ。
問題は「既に見えている負け戦」を、どう少ない被害で切り抜けるかという段階なのだが、これをそつなくこなせる者は古今名将と呼ばれるだろう。勿論クロムウェルに、そんな手腕は無い。
傭兵が我先に逃げ出している状況だ。レコン・キスタの現状は遅からずトリステインに伝わる。こちらから講和などと言い出せば弱っていると告白するに等しい。
クロムウェル自身もその現状を把握していた。だができることはと言えば、トリステインの貴族らが日和見で、こちらに攻めてこないことを祈るだけだ。
ガリアの援軍は期待できない。傀儡に過ぎない自分がこれほどの失態を犯せば、陰謀の漏洩を恐れてシェフィールドがそのまま刺客になることだって有り得る。故に信頼には足らないが、他に縋るものもないので邪険にもできない。
トリステインとアルビオンの立場は、たった数日で逆転していた。
「どうすればいい。どうすればいいのだ……」
焦燥し切った顔で天幕の中を右往左往するクロムウェル。シェフィールドはそれを冷やかな眼差しで見やる。自問自答するような調子ではあったが、その実自分にアイデアを求めているのが解ったからだ。
『アンドバリ』の指輪をクロムウェルに知らせたのはガリア王ジョゼフと、その使い魔のシェフィールドであったが、それは始祖と虚無を貶めてやろうという目的があったからこそだ。
クロムウェルがシェフィールドをどう思っているかは知らないが、無様に怯えて指輪の制御を手放してしまうような男を助ける義務など彼女にはない。
何より既にジョゼフの興味の対象は、あの黒い巨人に移っている。これからの流れを見届け、レコン・キスタがどうなるかに目算がついたら、シェフィールドは巨人の調査に向かうことになるだろう。
伝令の兵がクロムウェルの天幕に駆けつけてきて、報告した。
「申し上げます! ニューカッスルに遣わした使者の報告によりますと、ニューカッスル城は無人とのこと!」
「無人……?」
クロムウェルは眉を顰めた。巨人がニューカッスルを護るように現れ、王党派は行方知れず。何とも、不気味な話だ。
あの巨人さえ現れていなければ、恐れをなして逃げ出したのだと笑うこともできただろうに。
それから数刻後、ようやくレコン・キスタはニューカッスル城に足を踏み入れるに至る。
そして、ウェールズの部屋から発見されたアンリエッタの書状は、これ以上無いほどクロムウェルの肝胆を寒からしめたのであった。
自分の名を呼ぶ声と、ドアをノックする音。
ルイズは目を覚ました。
部屋は薄暗かった。空は厚い雲に覆われて、静かに雨が降っている。
「っ……」
首に手をやってルイズは眉をしかめる。
寝起きの気分は最悪だった。首が痛む。枕が無かったからだ。
ワルドにエア・ハンマーで撃たれた時に手放して、そのままニューカッスル城の港に置いてきてしまったらしい。
覚醒しきらない意識のままベッドを這い出して、機械的に扉を開ける。と、そこにシエスタが立っていた。
「……シエスタ……」
ぼうっとした表情で、ルイズが言う。
「はい。お昼になっても姿がお見えにならないので、その……」
キュルケからはそれとなくルイズを見ていて欲しいと頼まれている。シエスタ自身も同じ気持ちでいた。
「そう……。もう、お昼、なんだ」
気の無い返事を返すルイズを、シエスタは心配そうな目で見やった。
ルイズは緩慢な動作で部屋の中に戻って着替え始めた。
シエスタがそれを手伝おうとすると、ルイズは首を振って止める。
「いいの。一人でできるから」
「も、申し訳ありません。ミス・ヴァリエール」
かえって迷惑だったか、とシエスタが俯く。そんなシエスタを見て、ルイズは申し訳ないような、居た堪れない気分になった。だから視線を逸らして、ぶっきらぼうに言った。
「別に……邪魔っていうわけじゃないわ。ヒースとの約束だからそうしてるだけ。だから……そうだ。わたし昼食に行って来るから、部屋の掃除をしておいて貰えると嬉しいんだけど」
「掃除、ですか?」
「わたしの部屋、少し人の出入りが激しかったから」
王党派の避難経路に使われたということもあり、床が汚れていた。誘導にあたったアルビオン兵の手際が見事だったせいか、部屋の中のものが荒らされた形跡はないが。
「わかりました」
シエスタはにこりと微笑んで頷く。
ルイズはシエスタの笑顔を背中に受けながら見送られ、アルヴィーズの食堂に向かった。
食堂に一歩立ち入るなり、自分に視線が集まるのがわかる。
最賓の客であるジェームズ一世と、皇太子ウェールズ、王族の親類縁者は学院に逗留しているがアルビオンから亡命してきた人々は、土メイジを総動員して学院の隣に作らせた仮設の建物で過ごしている。
見慣れぬ人々が別の建物に隔離されたということもあり、学院にはどこか緊迫した空気が流れてはいたが、表向きは平穏を取り戻していた。
ただ―――ルイズがアルビオン貴族の出現に何か関係しているのではと噂が広がっていたのだ。
王党派が批難を始めたのは生徒達が朝食の為に食堂に向かってからだったので、ルイズの部屋から避難民が溢れてくる光景を目撃した者はいない。
だがそれでも、女子寮からアルビオンの貴族が出てきたことまでは隠せていない。
さらに魔法衛士隊のワルドと共に彼女が学院を出て行く姿を何人かの生徒が見ていた。
歳相応の好奇心と想像力もあって、それとアルビオン貴族を結び付ける者がいたのである。
アルヴィーズの食堂でも昼食をとるために現れたルイズらは注目の的であった。
だが、キュルケはあけっぴろげに見えてその実口が堅く、タバサに聞いてみても暖簾に腕押し。お調子者のギーシュですら、欠席中のことを聞くと歯切れが悪くなるのだ。
消去法で残ったルイズはというと、現れてみれば目に見えて暗い表情であった。
皆は彼女の纏った雰囲気に尻込みして何も聞けずにいたが、自分の顔を伺っている者が多いことはルイズにも解る。余り気分の良いものではなかった。
味もよく解らない、つまらない食事を終えて自室に戻ると、床の掃除はもう終わっていて、シエスタがベッドを整えているところだった。
戻ってきたルイズの顔を認めると、シエスタが少し申し訳なさそうな顔で言ってきた。
「ミス・ヴァリエール。あの、ベッドの中から封筒を見つけたんですが」
「封筒……?」
ルイズの反応で、シエスタは封筒の存在を、彼女が知らなかったことを悟った。
「あ。もちろん、中は見てませんよ? くしゃくしゃになっちゃうといけないと思って、机の上に置いてあります」
見れば、その言葉通り机の上に封筒が一通、置いてある。封筒には一言、「ルイズへ」と記されていた。
「……―――!」
呆けたような面持ちであったルイズは、それを認めた瞬間、大きく目を見開いて封筒に飛びついた。
慌ててそれを開いて、中に入っていた手紙を広げる。左から、右へと視線が動いて、文字を追う。
『ルイズへ。
もし、この手紙を見付けた時、オレの身に何もなく、日々が平穏であるなら、ここから先は読まずに、この手紙を見つけたことも忘れて欲しい。
そうでない時。つまり、オレがお前の前から姿を消して、帰ってこないような場合だけこの手紙を読んで欲しいのだ。そう思ってこれを認めている。
ところで、しっかりと読める文章になっているだろうか。なにぶん、こちらの文字は覚えたばかりだから、きちんとオレの意図が伝わっているかは不安が残る。実はこの手紙も、何度か書き直しているものなんだ。
―――と、話が逸れたな。
もし、オレが自分の意思でお前の前から姿を消す時が来るなら、それはオレがオレで無くなった時だろう。
こう言っても何のことか解らないだろうから、最初からオレのことや、ラグオルを取り巻く状況を説明しておく必要があるだろうな』
―――間違いない。これは、フロウウェンが自分に宛てた手紙だ。
逸る心を抑えて、手紙を読み進める。そこには、想像を絶することが記されていた。
パイオニア計画とラグオルの真実の姿。フロウウェンの立場。理想と現実の間で揺らぐ苦悩。
ラグオル地下の巨大遺跡。古代宇宙船内部の亜生命体。その討伐部隊の指揮を取ったこと。
生還の代償に受けたD因子の傷。悪夢のようなオスト博士の実験。政府の裏切り。爆発と覚醒。そして、リコ・タイレル。
まるで、物語を読んでいるようでもあり、悪夢の中に迷い込んだようでもある。
そこまで読んだ頃には、フロウウェンが何故自分の前から姿を消さねばならなかったか、ルイズも察しがつくようになっていた。ルイズの考えを裏付けるように、文面は続く。
『この星では奴からの精神への干渉を感じない。あの傷もない。だから一時は逃れられたのかとも思った。
だが、ラグドリアン湖の水の精霊がオレのことを連なる者、と言ったことを覚えているだろうか。
水の精霊は、オレの身は人の血肉を持ちながら自分達に近い物であり、しかし違う何かだという意味で『自分達に連なる者』だと言った。そして、水の精霊の知りえない不確定の要素が二つあるとも言った。
これについて、オレはこう推測する。生体AIオル=ガのコアとD因子のことではないのかと。
もしもまだ、オレの体内にD因子が存在しているのであれば、お前の近くにいるわけにはいかない。
侵食が始まらないのは、ここには本体である存在がいないからなのかも知れん。再びあの化物の姿となったとしても、奴からの干渉さえ無ければ、或いは自我を保てるのかも知れん。
だが、例えそうであっても、D因子の存在を野放しにするわけにはいかないと思っている。
これが、お前の前から姿を消さなければならない理由の全てだ』
やがて、くしゃりと、ルイズの表情が歪んで、その両目から涙がぽろぽろと零れた。それでも歯を食いしばって、手紙を読み進める。最後まで読むことが、自分の責務だと言わんばかりに。
『そうはならないことを祈っている。
オレは、ハルケギニアに召喚されたことも、ここで過ごす日々も、悪くは無いと感じている。ここは居心地が良い。だからこそ惑うのだ。ここにいて良いものかどうか。
オレがお前の前から消えた場合は……オレのことを身勝手な人間だと罵ってくれても構わない。
だが、力は無くとも意思を支えに戦うお前の姿は尊いものだ。
祖国にも理想にも裏切られたオレではあるが、お前だけには剣を捧げる価値はあると思えた。だからどうか、その心を忘れないでいて欲しい。
願わくば、ルイズの道行きに幸多からんことを』
最後に記された、ヒースクリフ・フロウウェンの署名までを読み終え、やがてぽつりと、ルイズが言った。
「……ったの」
「え?」
ルイズは嗚咽を漏らし、途切れ途切れに言う。
「ヒースが、怖かった……。わたし、助けてもらったのに……怖がったから、行っちゃったのかなって……。
わたしが、いけなかったのかなって……ヒースは、わたしのこと……こんなに、考えて、くれてた、のに……!」
手紙を握り締めてルイズは涙を零す。
シエスタはルイズの肩を抱いた。
ルイズが驚いたような表情で見上げると、シエスタは真っ直ぐその目を見詰め首を横に振った。
支援
ストジャが来るとは意外だ
榊作品なら棄てプリが見たいな
短編ではあったけど
「ミス・ヴァリエール……わたしは良く事情を存じませんけど……そうじゃないと思うんです」
シエスタには事情は分からない。けれど、ルイズが怖がったからいなくなったというのは、違うと思う。シエスタの目にはいつだってフロウウェンは穏やかで優しい人に見えた。
子供の頃、シエスタはタルブの近くの森で、野犬に襲われたことがある。窮地を救ってくれたのは父親だった。
野犬も怖かったが、山刀を振り回して野犬を撃退した父の形相も恐ろしくて。助かったというのに混乱して泣き出してしまったことがある。
そして、それを後悔した。
「大事な人を守りたいから、必死になるんです。それはきっと優しい姿にはなれないけれど」
フロウウェンはきっと、ルイズを笑って許してくれるだろう。悪いことをされたとも感じないに決まっている。
けれど、ルイズが後悔しているのはそういうことではない。
シエスタには解っていた。大事な人を怖がってしまった、自分が許せないのだ。
ルイズの目にまた新しい涙が溢れてきた。
シエスタの胸に顔を埋めて、ルイズはごめんなさい、ごめんなさいと謝りながら泣きじゃくる。
怖がるのも仕方ないと弁護することはできよう。だが自分が許せないというのは、他者にはどうすることもできない。
自分の場合は、後で母親に泣きついて、それから父親に謝った。
せめて―――誰かに心情を吐露することで、少しでも楽になれるなら。
シエスタはただルイズの小さな肩を抱き締めて、柔らかな桃色の髪を撫で続けた。
以上で19話の投下を終了します。
次回は書き溜めるのでちょっと遅くなるかも知れません。
フロウウェンの人、乙!
ウェールズはともかくジェームズまで生存は珍しいですね
乙!
時間がかかっても待ってるぜ
どうやらついに結婚するときが来たようだな・・・
あばよ・・・ダチ公・・・
>833
フロウウェンの人乙!
そしてストジャの人も乙!
期待してる作品だけに頑張って貰いたい。
弾丸や拘束端子はどうするかとか、ストジャ世界とゼロ魔世界の魔法の兼ね合いとか。
いろいろ難しいところは山積みだけど、あえて逃げずに立ち向かえば味が出ると思いますので頑張ってください。
>852
俺のHDDのなかには榊作品クロスの大量の書きかけが眠ってるんだぜ?
・「魔鳥」が召喚され、いかにトリステイン魔法学院最強の座を手に入れるに至ったかと言うほのぼのバトル短編「魔法学院血風録」。
・「泥人」が召喚され、襲い来るヨルムンからルイズを守るためハルケに召喚された同型機が大量に集まって来て、一機ずつ壊れていくけどルイズのために……と言う短編「虚無に願いを」
・ルイズに「レナード・カンヴァス」が召喚され、コルベール先生との話を軸に進める「炎の償い/仮面の贖罪」
・壊れかけた「竜機神」が召喚され、壊れ果てても尚世界を守ろうとする彼女と、それを癒そうとするルイズの姿を描いた「二人のルイズ」の本編>2話目を書いている途中に某作品とコンセプトと展開が被ることに気づき召喚シーンだけ書いて没
と、まぁ大量にあるのですが全部書きかけで止まってるのですね。
連載してるのが終わったら、短編一個くらいは完成させたいとは思ってますが……
ここ数日、朝起きるとSSが大量に更新されている日が続いている。読むのが大変なくらいだ。
これが『嬉しい悲鳴』って奴か。
>>799 仮面ライダーやナイトガンダムが、ニューガンダムやウルトラマンとドッチボールだってしてたんだぜ……
R.O.D The TVから紙姉妹
「ちょっとあんたらいい加減働きなさいよ!」
「図書館の本を全部読み終わるまでは働きたくないのよ」
「むー」
「うるさい、さっさと送還魔法を手に入れろ、バーカ」
「ムキィ!おまえらでてけ!」
>>857 はやく結婚を申し込んでくるんだ!
誰に申し込むかは知らんがw書き込みがマジならフロウウェンのひとGJ過ぎるなw
>>860 ガンダムとゴジラとウルトラマンとライダーがサッカーやってたな
スパロボも元々はコンパチヒーローズとかいう作品の発生の一つで
大元はみんな「SDヒーロー総決戦」からの発生なんだよな
今の20代はロボットだけが出てくるスパロボより
ライダー・ガンダム・ウルトラマン・その他が相撲したりドッジボールしたりしてるほうが馴染み深いよな
……20代?
流石にもう20代後半じゃないとコンパチヒーローシリーズは触れたこと無いんじゃないか?
そんな自分は27。ドッジボールでウルトラマングレートが出てきたことに狂喜乱舞した口です。
22の弟と昔バトル大相撲とかバトルドッチやってたんだけどなあ
わかりやすく言うとスーファミ世代
信じられるかい、νガンダムがマワシを締めたりしてたんだぜ…。
バトルサッカーやりまくったなぁ。2はなんか微妙だった
つまり各ラノベキャラが一堂に会してドッジボールやサッカーや相撲をするゲームが欲しいのですね、わかります
すいませーん。投下良いですか。良ければ12時55分から
言われた事は改善しようと思います。
ばいあず〜らばいあず〜ら
支援
24,烈風
ワルドがのんきに笑っている間、カリーヌ・デジレと現マンティコア隊の訓練は熾烈さを増していた。
一人、また一人と風にあおられ、マンティコアと共に空高く吹き飛ばされる。
「どうしたというのか!それで終わりか?」
烈風の風は止む気配が全くない。先ほど吹き飛ばされた現隊長、
ド・ゼッサールが勇敢にも突撃した。瞬間、彼は風に舞う。
今回の終了条件は、カリーヌに一撃でも攻撃を浴びせること。
「遅い!」
また200メイル上空まで吹き飛ばされる。ちゃんと死なないように、
カリーヌは地面に当たる瞬間、彼を魔法で少し浮かせてから落とす。
「…きょ、教官殿。も、もう動けません」
マンティコアと共に倒れている誰かが悲痛そうに訴えた。まだ新人の様である。
「甘えるな!王家に危機が迫っていても、その様な事を言えると思っているのか!!」
泣く子も黙る王宮衛士隊。グリフォン隊の様な華やかさは無いが、
マンティコア隊は規律だった連携による多重攻撃が売りである。
全て見切られ、全員がマンティコアごと吹き飛ばされるなんて。
烈風の伝説は本当だったのか。新人はそう思い、
また風に吹き飛ばされて気絶した。
伝説。それは語られていく内に微妙に変わっていき、
尾ひれ背びれが付いて、最終的にまるで違う話になるのが常である。
もちろん、彼女は王宮勤めであるから公式な記録が残ってはいる。
たった一人で火竜山脈のドラゴンを鎮圧したとか、
エスターシュの反乱を正規軍が来る前に鎮圧したとかがそれだ。
しかし、それらは一般平民からしてみたら酒の肴に話す、
ちょっとした笑い話である。
いくら貴族といえども流石にそれは誇大過ぎる。
宣伝の為に王家が作ったお話だろう。というのが彼らの言い分だ。
実際には尾ひれどころか、皮がはがれ身が落ち、
骨だけでスイスイ泳ぐ伝説であるとも知らず。
実は武芸にも秀でていて、1個中隊から魔法を使うという話があるが、
非メイジの2個中隊までなら魔法を使わなくてもどうにかなるらしい。
弓矢や鉄砲、そして大砲の弾を剣で弾いたり切ったりしながら、
突撃して兵士をなぎ倒していく様を、武器屋の親父は見たそうだ。
何故彼が引き分けに持っていけたか?
埋もれてしまった伝説は、いつか明らかになるだろう。
火竜鎮圧の際、たった一人で向かったと言うが、
珍味である極楽鳥の卵を一度食べてみたかったから、
休暇の折りに行ってみただけである。
勿論、鎧なんて装備しないラフなスタイルで。
季節がたまたま火竜の繁殖期であった為、
そこら辺の火竜が暴れて死なないように、
ドットスペルで気絶させながら極楽鳥の巣まで行った。
途中、季節の関係上ガイドを雇えなかった為に迷ってしまったが、
なんとか卵を取って宿泊している町に帰ってみると、
何故か付近の町や村の人々に感謝された。
王宮に戻ってみれば、王直々に竜殺しの二つ名に改名させられそうになった。
しかし彼女は今の二つ名が気に入っていたので、
「いえ、今の烈風で十二分にございます」
と訳の分からぬまま前王にキッパリと言い、
それでこそ貴族の鑑よ!と言わしめさせたのだ。
ちなみに、時期が悪かったのか卵はあまり美味しくなかったそうな。
王宮は、ガリアに恩を売ったことにする為、
この件を火竜鎮圧の任により、火竜山脈に向かわせた事にしたのだ。
ガリアからしてみれば、示威行為である為どうにかしたかったものの、
火竜達が人里に寄りつかなくなった事と、
たった一人で火竜山脈を制覇した烈風に恐れを抱き、
ただ感謝する他なかったという。
トリステイン王は、その気になればハルケギニア全土を手にする事も出来ただろうが、
持ちすぎる事による弊害を良く理解していた。
それ故、彼女を使って上手い具合に外交を進めて、
トリステインを今の地位に置いたのである。
ただ一言「最近、『烈風』がな…」と言えば、大抵他国は条件をのむものだった。
娘はアルビオンの皇太子とでも結婚させるつもりだったのだ。
結ばれるだろう二国間の同盟を、破砕出来るほど強大な戦力を投入する戦争は滅多にない。
聖戦でもあれば別だが、いくらロマリアでも王家にそんな事はしないだろう。
そう考えて、あまりアンリエッタには政治について学ばせなかった。
ガリアによると、烈風一人を沈黙させる為に、
10年分の国家予算を軍事費にする必要がある。
という結果が出たこともあるらしい。嘘か誠かは分からないが、
それほどのメイジであることだけは間違いない話である。
カリーヌ本人からしてみれば王家に忠誠を誓っているのだから、
それらを誇らしげに思っていた。彼女は戦えなくなるまでマンティコア隊にいようと思い、
尚更日々鍛錬に励んだという。
そんな彼女が何故結婚したのか?現ヴァリエール公爵の、
熱烈すぎるアプローチに仕方なく折れたからだ。
立とうとする者が、いや、息をするので精一杯なマンティコア隊を見て、
カリーヌは訓練の終わりを言い渡した。父上の訓練はもっと凄かったけれど、
死なれると困りますからね。そんな事を思いながら、
自分の使い魔と共に訓練場を去ろうとした時だった。
誰かの悲鳴がかすかに聞こえた。マンティコアと共にそこへ急ぎ駆けつける。
衛士隊の宿舎、グリフォン隊の隊長室の窓下。
グリフォンに乗ったワルドが、気絶したアンリエッタ姫殿下を連れて、
どこかに飛び去ろうとしていた。
最近wikiが重すぎ
何故だ。ワルドは自身の計画を確認して実行に移した。
瞬間的な当て身による気絶。姫殿下は女官の死体に気付く前に倒れた。
か細く悲鳴をもらされたが、こんな声を聞かれるはずがない。
退散するか。と杖を手放したアンリエッタを抱えて、
外に待たせてあるグリフォンに乗って飛ぼうとした時、
「何をしているか!ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド!!」
振り向けば烈風がいた。怒りに燃える彼女と、
共に修羅場をくぐり抜けたのだろう、使い魔のマンティコアが吠える。
グリフォンは恐れおののいた。ワルドはどうにか耐えようともがいた。
「は、ハハハ…」
そういえば、最近マンティコア隊の訓練の後が凄まじい事になっていたな。
この人ならそれくらいするだろうな。ああ、始祖は私に死ねというのか。
伝説を前にどう立ち向かうか。今、ワルドは崖っぷちにいた。
「これがリコールか。いや、初めて見たよ」
タムリエル中央、シロディールより外に出た事が無かったマーティンは、
東部地域のモロウウインドで、実際に行われているという転移魔法を初めて体験した。
転移とはどのような物かをある程度理解できたが、
しかしそう簡単に使える様になったりはしない。
ちゃんと魔法構成を教えてもらわなければ習得なんて出来ないし、
転移の魔法はとても複雑で、『神秘』系統の熟練者でなければ使えないのだ。
この系統はかなり謎が多い。これに属する魔法は、
訳が分からないからこれにしておこう。といった風に置かれた物もある系統で、
未だに魔法の結果が何故そうなるのか、あまり分かっていないのだ。
そして根気強く新魔法の実験をしても、瞬間的に結果内容が変わる事すらある。
最近、いくつかの魔法が別系統へと移行した事からもその複雑さが分かるだろう。
そんな理由で、神秘はほとんどのメイジが研究を嫌がる魔術系統であり、
現在の政策と文化的な理由から魔法への理解が浅いシロディール地方では、
それらについての専門的な学習が出来ない。
その為、モロウウインドではアイテムに付呪されるくらいよく使われる、
マークとリコール(Mark and Recall)の使用が一般には未だ禁止となっている。
機密と治安はもちろんのこと、市民が納得する安全性の実証が無い限り、
帝国議会はシロディールでの使用を認めるつもりはない、と表向きには表明している。
別の場所に姿を現したときに、果たしてちゃんとした状態で現れるのか。
それが帝国議会と魔術師ギルドの論争の焦点となっている
確たる証拠の提示を求める帝国議会側と、統計的にモロウウインドで保証を得ているから大丈夫。
とする魔術師ギルド側。帝国は最初から採用する気が無いため、まだまだこの論争は続くだろう。
『神秘論』という本に神秘系統について詳しく書いてあったけれど、
さて、どんな内容だったかな。メイジとして、
良く使われる神秘系統の魔法以外はほとんど覚えていないし、
それの研究なんてマーティンは一切やった事がなかった。
「ええ。私が使える訳ではありませんが、ノクターナルの付呪の効果を発動させるくらいなら、問題なく扱えます」
フォックスは跪いて答え、それにならい他の乗組員達も跪く。
タムリエルに住み、一般的な読み書きを行える知能を持つ種族なら、
誰でもスクロール(巻物)に書かれた魔法や、アイテムに付呪された魔法を使うことが出来る。
それを使える程の魔法力が無くても、品物に込められた魔法力が肩代わりしてくれるのだ。
「い、いや、まぁとりあえず立ってくれるかい?」
やはり慣れない。皇帝としてより、一般市民として過ごした時間の方が、
遙かに長いマーティンは跪かれたりした事などほとんどないのだ。
緊急事態だったあの時はともかくとして、
今みたいな時にやられるとどうにもむず痒くて仕方がない。
「ははっ!」
曇王の神殿を思い出す。ブレイズとの温度差の違いで苦労したな。
やっぱり私なんかが皇帝になってはだめだ。と思いながら背筋をピンと張って立つ、
グレイ・フォックスとその一同を見た。何故かルイズまでしている。
後の方に彼女たちが見えた。無事で良かったと思いながらマーティンは言った。
「ルイズ。君までしなくていいから。というより皆さん。普通に立ってくださって構いませんから」
空気的にやるべきかと思って。と真顔でルイズは言った。
他の連中もいつものだらけた雰囲気に戻る。
グレイ・フォックスが号令を発して、彼らは荷物を運び始めた。
彼が一礼をして去った後、マーティンの後から声が聞こえた。
『有名人はつらいな。竜の子よ』
いつの間にか起きたらしいノクターナルが言った。
どうにも、マーティンはデイドラ達の間でも名が知れているらしい。
デイドラ王子の一神、メエルーンズ・デイゴンを撃退したのだから当たり前だろうか。
「ええ、全くです…ところで、その、プリンス・ノクターナル?」
あなたがここにいると言うことは、ここはあなたの領域ですか?
そうマーティンは聞いてみる。ノクターナルは首を横に振った。
『否。ここはエセリウスとオブリビオンの狭間。いつ出来たのか、どこの誰が創ったのか我は知らぬ』
「そのような世界があるのですか?」
『我が知る限りではこの地のみ。されど、殆どのデイドラは自身の力ではこの地に来ることすら叶わぬ』
竜神アカトシュがタムリエルに施した物よりは弱いが、
それに似た制約がここにもあるらしい。
『故に、ここで己の力によって来ることが出来るデイドラは、
シシスが生み出した純正な存在のみ。
その上で、この地での信仰か、何らかの影響を持っておらねば入る事が許されぬ。
この地の誰かに呼び出されるのであれば別であろうがな。
我は頭巾を奪いし者が信仰を集める事によって、この地にいる事を許されている。
入ってしまえばある程度好きに出来る。まこと不可思議な制約よ』
どこかで灰色頭巾の男がため息をついた。テファに服を渡さなければ良かったと何度後悔したのだろうか。
『されどこの地は面妖なり。この地の定命の者達を殺せば、
「マラキャス」が造ったメイスの如く、我らは力を無くし、
オブリビオンの最下層にまで送られてしまうのだ。
それ故、ここにデイドラの主が現れる事は滅多に無い』
「あの時、思いっきり殺ろうとしていなかったかい?」
影の中に、イザベラを入れようとしたのをフーケは思い出して言った。
『我が領域に飲み込んでからな。それならばおそらく問題は無かろう。
不可思議なのはこの地の制約。我こそが法である我が領域内ならばあの程度、どうという事はない』
「んじゃ、何であんな事言ったのさ」
『決まっているであろう。格好良いからだ』
やっぱりこいつぶん殴りたい。そう思いながら頭を抱えるフーケを余所に、
そろりと、ルイズはノクターナルに向かって手を上げた。
『何用か?竜の子を使役する者よ』
「えーと…色々教えて欲しいのですけれど…その、ノクターナル様?」
全くルイズはついて行けない。プリンス、女じゃない。
ていうより誰よシシスって。マラキャスって何。それのメイス?
純正って事はそれ以外もいるのかしら?ていうより、狭間ってなに。
それじゃ私たちってなによ一体。いえ、それよりこんなのが本当に王族なのかしら?
置いてけぼりをされている彼女からすれば、至極当然な考えであった。
「まず、何故王子なのでしょうか」
『我らの性など、定命の者達からすれば特に意味はないのであろう。
常闇の父より生まれし我らは、皆かの方の子。
故にシシスを王として考え、我らを王子とする定命の者の呼び名よ。
実のところは、王子と呼ぶべきでない者も、
同じように扱われているのだ。嘆かわしいことにな』
それがさっき言ってた純正とは違う存在なのかしら。ルイズは質問を続けた。
「ええと、そのシシスとは一体?」
『我や多くのデイドラを創りし存在。常闇の父とも言われるお方。アヌイ=エルの対となりし混沌その物。
定命の者には、蛇の形をして無秩序を示す何かとしても知られているな』
シシスってデイドラ…なの?ていうより何なのアヌイ=エルって。
ルイズは、聞けば聞くほど墓穴を掘っているような気分になった。
「アヌイ=エルとは、アヌの事でしょうか?プリンス・ノクターナル」
マーティンからしても、色々と発見があるらしかった。
そういえば、デイドラの王と話す機会なんて滅多にないとか言ってたわね。
ルイズはそう思いながら、ノクターナルの口が開くのを待った。
『お前達やいくらかのデイドラはそう呼ぶ。だが、我はアヌイ=エルと呼んでいる』
マーティン曰く、アヌは最初に存在した二神の内の一神らしい。
詳しくは後で話すと言った。
「そしてパドメイはシシス、か…」
いや、何なのパドメイって。ルイズは少々怒りながらマーティンに言った。
さっきから話がごちゃごちゃし過ぎているのだ。少しずつ解説して欲しいものである。
「私たちからしてみれば世界が生まれる前に、アヌと争ったと言われる存在さ。
デイドラの生みの親だけど、デイドラではないと言われている存在なんだ。後で昔から伝わる伝記を教えるよ。
それが正しい物ではないのだけれど、知っておかないと何がなんだか分からないんだ」
彼はルイズに自国の神話を教えてはいない。そもそも賢い彼女に教えたらどうなるか。
神話だからつじつまが合わないのだが、それをそういうものだと理解してくれるか疑問だった。
こっちの創造神話は知らないが、タムリエルのそれは色々と解釈し難い部分が多い。
マーティンは神学者ではない。一介のメイジから、色々あって街の司祭になった人物である。
その為、神々については一般人よりも詳しいが、神々の生まれはそこまで詳しくはない。
メイジだった若い頃はそんなことより力を求めていたし、
それを恥じて九大神教団に入信した後は、一般的に知られる神話を近所の子供達に教えたり、
教会にやって来る人々に説法を説いたりして過ごしていた。
神の力を恐れ、踏み込んで学ぶ事をやめたのである。
そんな訳で自分がいたシロディールの事や、友と行った数々の洞穴や遺跡についての事、
それとこっちの魔法について食事時や寝る前等に彼女と話して過ごしていた。
「ほんっとうにややこしいのね」
頭を抱えてルイズは言った。ハルケギニアの神話に慣れ親しんできた彼女は、
全く違う世界の全く違う神話について言われても、頭の中での整理がつかない。
むしろ今まで聞いてきた物と混じって余計に頭がこんがらがってしまう。
そもそも、神話が全て真実だとは思っていない。ルイズは別段何も無ければ頭の良い子である。
神の存在に関する疑問は当然持っていた。魔法の恩恵が無いのだから尚更である。
だが、ここに生き証人らしき存在がいる。少なくともマーティンはそれだと言っている。
ならばさっきからの話は真実なわけで。神話なのに全部本当って…と頭を抱え込みねじらせながらルイズは考え込む。
「ああ、神話だからね。本当かどうかすら分からないよ。
デイドラやエイドラがいる以上、それに似た事があったのは間違い無いのだけれどね」
マーティンはそう言ってデイドラについて、
解釈の仕方で分かりやすくするために嘘を言ってすまなかった。
と悩むルイズに謝った。
後で話すのは『子供向けアヌの伝記』
神々の関係性を考える時に、最も分かりやすい物語である。
その内容が、本当かどうかを別にして考える必要性を除けばだが。
古い伝説を語る定命の種族はいない。もう昔過ぎて、皆死んでしまったからだ。
タムリエルに点在する、墓場の幽霊達に聞くのも悪い選択では無いが、
先史以前の神話期等の話は期待できないだろう。
そんなに長く留まっているのは稀で、特に世界が生まれる以前の話というのは、
定命の存在自体がいなかったのだ。
語ってくれるだろうエイドラにせよデイドラにせよ、
その内容は主観が多分に入る上に、アカトシュの造った障壁によって、
どちらとも生半可な技術では呼び出すことが出来ない。
帝国はエイドラである九大神を国教としているが、
デイドラを信仰している帝国領の国も多数ある。
どちらが真実かは、確かめようがないのだ。
ハルケギニアが生まれるよりも昔の事だから、
語る事が出来る存在達も多くを忘れているだろう。
出番が欲しそうにカタカタと鳴っている剣の様に。
グレイ・フォックスの号令の下、盗賊達は順調に荷物を運んでいる。
頭の中で今の話を整理しようとするルイズだったが、
どうにも上手くいかない。当たり前な話だが、
上手く整理させる材料が少なすぎるのだ。マーティンはノクターナルと話を続けている。
帰る事が出来るかどうかについて聞いているらしい。
邪魔するのも悪いわよね。そう彼女は考えて、
後でマーティンから伝記とやらを教えてもらってからと思い直し、
タルブの村を見回してみる。見知った二人が船の近くで寝そべっている風竜に乗っていた。
そういえば、さっきもこの竜が物を運んでいたわね。
そんな事を思いながら難しい話はひとまず置いて、船を降り竜の方に向かう。
疲れて眠っているらしい竜の上から声が聞こえた。
「あら、生きてたの?」
そう言ってキュルケは笑う。タバサはルイズからしてみればいつも通りの表情に見える。
何も言わず、彼女はキュルケに抱きしめられていた。ルイズは竜を上ってキュルケへ近づき、
ふん、と意地悪そうに笑った。
「おあいにく様。そう簡単にヴァリエールの女は死なないのよ」
「へぇ。悪運強いのね」
優しい笑みを浮かべられながら、ルイズは頭を撫でられた。悪い気はしない。
「これから依頼成功の宴をするんですって。アルビオンの王子様とかもいるから、あんたも参加しなさいな」
「へ?今、何て」
少し間を空けてルイズは聞き返す。口をあんぐり開け、いかにも驚いているといった表情で。
「知らないの?この人達が来た理由って、それらしいわよ。お姫様に頼まれたんですって」
姫さま…と、ルイズは思った。私には何も言いませんでしたよね。
アンリエッタの事を思い、信用されていなかったのねと悲しくなるルイズであった。
「ノクターナル様。お話が」
『何用か?我の頭巾を奪いし者よ』
一通り運び終えたグレイ・フォックスは、ノクターナルに話しかけた。
話の終わったマーティンはルイズの方へと歩いて行った。
おそらく、ルイズに伝記を教えにいくのだろう。
「最後の一つを忘れておられます」
『本当に、返すのだろうな?』
彼女が返して欲しがっているのは灰色頭巾。
シエスタの祈りよりも、打算的にノクターナルは動いていたのだ。
神様といっても祈れば動く訳ではない。デイドラ王子というのは、
それ相応の報酬か、必要に迫られたしたくもない雑務か、
楽しい暇つぶしにならないと動きはしないのだ。
「ええ、必ず返しますとも」
グレイ・フォックスは笑って言った。手にはいつから持っていたのだろうか。
変わったピックを携えている。ノクターナルはローブのポケットを漁り始めた。
『いつとった』
「さて、何の事でしょうか?」
『話が違うぞ!我を謀るというのなら…』
いくらお前と言えども、と言おうとして邪魔が入った。
いつのまにかそこにいた、麗しき影の君である。
「落ち着いて下さい。ノクターナル様」
営業用の黒いローブとフードに身を包んだ彼女は、穏やかにそう言った。
運ばれてきた王家の二人を見て、ただならぬ雰囲気を感じ取り、
急ぎ彼女は船へと行ったのだ。ちなみに、誰にもバレてはいない。
美麗ながら気配を消す才能がある。夜の女王に影認定を受けるのは、
伊達ではないといったところか。
『我が影よ!この者は契約を違えたのだぞ?他のデイドラにそれをすれば魂を抜き取られても文句は言えぬ』
荒々しいままに言うノクターナルを、ティファニアは優しく受け流す。
この姿で行う王都での様々な活動は、彼女を熟達の弁舌家に仕立て上げた。
いつもの姿ではほぼ発揮できないのが残念な点である。
「麗しき我らが守護者である夜の女王ノクターナル様。あなたはとても優しく慈愛に満ちていらっしゃいます」
ぐ、とノクターナルは黒一色のテファを見た。案外、ほめられるのに弱いらしい。
「ですから、定命の存在のちょっとした『悪戯』を笑ってお許しになられます」
『し、しかしだな我が影よ。これには領域を持つデイドラの面子というものが…』
ノクターナルは後の方を口ごもりながら言った。テファが優勢の様だ。
グレイ・フォックスはそこに割って入った。
「偉大なるデイドラ王子ノクターナル。確かに私は返すと言いましたが、
何を返すかまでは言っておりませぬ。ですから、この『不壊のピック』(Skeleton key)
をあなた様に返したとしても、契約の不履行とはなりませぬが…」
そこまで聞いて、ようやくノクターナルははめられた事に気が付いた。
『…やはりお前は口が上手いな。我の頭巾を奪いし者よ』
「お褒めいただきまことにありがたく思います」
「さぁ、ノクターナル様。最後の一仕事が終われば宴ですから頑張って下さい!」
ため息をついて、ノクターナルは影に消えた。それを見て、ふぅ。とティファニアは息を吐いた。
そして冷たい目で灰色頭巾の男を見る。怒りの視線をフォックスに投げかけつつ口を開いた。
「あの方を騙すのはあまり良い事とは思えません。コルヴァスさん」
「とはいえ、お姫様の要求がそれだからな。仕方ないだろう?テファ」
連れて来たら出来る限り早く会わせて下さい。そうアンリエッタは涙ながらに叫んだ。
その気迫は間違いなく王家のそれであった。もっと違う所で発揮してくれれば言う事はないのだが。
「それでも、私たちを守ってくださる方を騙すのは良くない事です」
「ああ、そうだな。だが、この頭巾を取って俺が誰かを分かるのは君だけだ。そうだろ?」
おそらくはルーンの効果なのだろう。彼女だけは彼を「コルヴァス・アンブラノクス」として、
常に認識できる。
「なくなればどうなるか。分かるか?妻や友人、その他多くの顔なじみに声をかけて無視される気持ち」
「それはそうですけど、ちゃんと頼んで誰も傷つかずに済む方法もあったはずです」
テファの強い口調に、コルヴァスは押され気味に言った。
「まぁ、それはそうなんだが。アレを動かすとなるとな…」
それを聞いてティファニアがかっと口を開く。元々正義感が強い方なのか、
ローブを纏った彼女は義賊的な美徳は許しても、不義を許す気は一切無い。
「アレって何ですかアレって。崇拝すべきお方だって言ったのはあなたですよ?
だいたいコルヴァスさん。スキルニルは別にしても最近お金の使い方が荒っぽいです。
皆に配る分まで使ったりしていませんよね?それに…」
お説教とも言えるテファのお話は、彼女に気付いた盗賊達が、
自分たちの戦果を報告に来てからようやく終わった。
間違いなくそこに佇む灰色の変な頭巾をかぶった親父より慕われている。
やっぱり、盗賊ギルドの長は彼女なのかもしれない。
俺、何で怒られたんだろう。ちゃんと運んで来たってのに。
若かりし頃の妻を思い出す。手癖が悪いことをよく諫められたな。
はぁ、とため息を付く。今日はヤケだ。飲むぞ。たくさん飲むぞ。
影の君の後をトボトボ歩くグレイ・フォックスの背中は、
一仕事を終えたにしては哀愁が漂いすぎていた。
その頃、アンリエッタ。
「は、離しなさい!もう足掻いてもどうにもならない事は分かっているのでしょう!?」
気絶から覚め、彼女はグリフォンから逃げようと必死である。
ワルドは、落ちた時を考えて高度を上げる事も出来ず、微速前進で進むしかなかった。
「嫌だ!今離したら僕が終わる!終わってしまう!!」
ワルドはワルドで、そんな姫殿下を降ろすまいと必死である。
至近距離からの烈風とその使い魔の咆哮があるのだ。
必死にならない人間はいない。
変則的な動きでグリフォンを翻弄するマンティコアが一体。
それに乗る人も一人。魔法はまだ使われない。
強力過ぎる為に、どう狙っても姫殿下を巻き込んでしまうからだ。
「今ならまだ間にあう!早々に姫殿下を離し、投降せよ!!」
嘘だ。絶対嘘だ。その目は離したと同時にスクウェアスペルを叩き込む気の目だ。
彼女の「しつけ」なら見たことがある。ずっと昔ルイズを訪ねた時に見た。
何で子供を空高く吹き飛ばす必要があるんだ!
あれでもまだ加減していると公爵は言っていた。本気なら確実に消される。間違いなく。
だが、どうする。ええいままよ!とワルドはグリフォンを加速させて高度を上げ、
アンリエッタを投げ飛ばし、出来うる限りの最高速度で逃げ去った。
種族的に、マンティコアよりグリフォンの方が速いはずである。
それに賭けてワルドは逃げ出した。
「姫殿下!」
ワルドを追いかけたかったが、姫殿下の命が最優先である為、
空から落ちるアンリエッタへと急いだ。当然、彼に魔法を放ってから。
先に遍在でも仕掛けておけば良かったのだが、
刺激して自暴自棄になられるともっと危険だと判断したのだ。
レビテーションの魔法をかけ、ゆっくりと落ちるアンリエッタを掴もうと近づき、
後少しで手が触れるというところだった。
カリーヌは、突然現れた影にアンリエッタが飲み込まれるのを見た。
そして影が消えると、そこには何も残っていなかった。
ワルドは奇跡的に魔法から逃れられたらしい。もう視界から消えていた。
自身の腕が鈍った事をカリーヌは痛感しつつ、後からやってきた衛兵達に状況を説明し始めた。
投下終了。
強い強い言うけどどれくらい強いのかよく分かりませんから、
人間内最強にしました。神話関連は話半分で聞いて下さい。
また何かあったら言って下さい。それでは次の投下まで。支援助かります。
支援
お疲れ様ですシチズン。
影狐さんカワイソスw
作者様方乙です。
さてこのスレ1000行くだろうか?
888 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 14:12:46 ID:nKYDPyM5
乙です♪
で、23話はどちらに??
最近wikiが重いのだが、分割したり軽量化したりできないのだろうか
>>888 すいませんやらかしました。23話です。
>>887 たぶんいくと思う。
まあ残りがSSで埋まるか、雑談で埋まるかにも寄るだろうけど……
リアルバウトハイスクールから南雲慶一郎
「よし決闘だ!」
「やれやれ」
「よし、諸君!Kファイトじゃ!」
セコンドのルイズが南雲に食ってかかる
「いくらなんでも勝てっこないでしょ、さっさと負けを認めて許しをこいなさい」
「ふん、受けた側に方法を選ぶ権利があるんだろう?」
”第666回Kファイト”
「勝負方法はこれだ」
バ バ ン
「料理勝負だ!」
「貴族が料理なんかするわけないだろう!これはフェアじゃないぞ!」
「そうだそうだ」
「魔法が使えないのだから、違うジャンルで勝敗を決するというのはアリじゃないでしょうか」
料理人なら「将太の寿司」から大年寺三郎太を召喚
電車に轢かれてもその日のうちに意識を回復する大年寺さんならバトルもこなせるだろうし
アンアンのお使いミッション、アルビオンへ行け巻
ワルド「僕とルイズはグリフォン、君たちは馬だ。付いて来れないなら置いていくからせいぜい頑張って付いてきたまえよ?」
大年寺「馬など不要!俺にはこの二本の足が有る!」
・
・
・
ルイズ「ワルド、このグリフォンもう息も絶え絶えで可哀想だからちょっとペース落としてあげたら?」
ワルド「まるで追いつけない・・・バケモノかあの男は」
初期の山岡を召喚して、まさかのVSマルトー!
谷仮面から谷召喚
「君のおかげで二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
「うるさい! オレなんか島さんに会えないんだぞ! どうしてくれるんだ!?」
>>892 大丈夫。奴なら魔法ナシでも十分チートw
てかアートマンに覚醒した南雲にフルボッコにされるワルドを幻視したw
バトルの出来る料理人か…ジャンとかキリコとか五行とか蟇目辺り?
いっそのこと妖神グルメからあの人でも…
戦艦の厨房で働く、あのコックを忘れたらあかんよ?
AKITOか!?AKITOかと聞いてる!?
>>897 あの漫画に出てくる料理人は腕のいい奴ほど性格がイカれているw
>898
彼にコントラクト・サーヴァントをしてはいけない
当然のように避けられ、回り込まれて首の骨を折られてルイズは死ぬだろう
彼に魔法を唱えてはいけない
距離に係わらず避けられることは必死であり、近距離であれば杖を奪われ、遠距離であればウィンディアイシクルを投げ返されタバサは死ぬだろう
彼に刃物を向けてはいけない
かわされ腕の間接部を砕かれながら、投げ飛ばされワルキューレは壊れるだろう
また、剣を奪われ術者の命を危険にさらすことになるだろう
彼を罵ってはいけない
言葉ではなく、暴力による報復がルイズを襲うだろう
彼に薬物や精霊の呪縛は無力である
エルフの秘薬を用いても、彼は効いた振りをしてビダーシャルを殺しにかかるだろう
アンドバリの指輪は謎のお茶により無力化されるだろう
彼にサモン・サーヴァントは無力である
召喚される前に回避、罠として用いても必ず感知され召喚はできないだろう
>>893 たしか料理漫画なのに真冬の海を泳いだ後普通に闘気を使用して体を乾かすとか
とんでもないことをやっていたな
>>897 ミステリーノベルの世界から私立探偵スペンサー
料理達人で詩を愛するタフガイ、ルイズのようなガキとの交流を描いた作品もあり
古典の世界から「宝島」の酔いどれコック、ルイズに宝の地図を託すが、後に敵として立ちふさがる
他にもドラマから渡鬼の幸楽の面々、バラエティから金満福とか
ワンピースのサンジなら、美女の頼みにあっさり陥落して下僕使い魔になってくれそうだ
焼きたてジャぱんから・・・
「このジャぱん55号を食ってみるんじゃよー」
「フモフモ・・・これは!」
(かりっとして香ばしい、しかし中はふわっとしている・・・)
「な、なんですってぇえええええ」
(ルイズはリアクションがいまいちなんじゃよー)
コックなら足癖の悪いエロコックを忘れないで下さい。
まあ、どんなコックキャラが来ようともマルトーさんを大塚ボイスのあの方にすれば暴走しないだろう!
・・・沈黙のあの方なら!!
中華一番ならレオンとかいいかも
ただオリジナル展開間違いナシw
焼きたてジャぱんから・・・
「このはしばみ草を使った新しいパンを作って貰いたい」
「うげー、とても苦くて癖があるんじゃよー」
「はしばみ草をパンに使ったら、とてもじゃないけど苦くて食べられないと思うわ!」
「まず、苦さをごまかす為に砂糖を使ってみた」
「・・・ニガ甘くて、なんだか口の中が気持ち悪いわ」
「じゃあこのパン生地に練りこんだのを食べてみてくれ」
「・・・やっぱり苦くておいしくないわ・・・」
(うーん・・・どうするかー)
「そんなパンよりクックベリーパイを作ってよ」
「!それだ!ありがとうじゃよールイズー」
はしばみ草を使った ジャぱん1024号完成なのじゃよー
>>908 もはやどの辺が日本のパンなんだww
どうでもいいが、ジャぱんって、臨死体験とか歴史改変とかできるぐらいだから、
パンだけで全ての問題を解決できる気がしないでもない。
>>909 パンで温暖化解決とかな
……あのラストは無いわ
マリコルヌ
「こ、このカビの生えたパンを食べきったら、進級させてくれるんですね」
フガフガフガ
「きゃー、本当に食ってるー」
ギトー「し、仕方あるまい(まさか本当に食べるとは)、それ以外は不合格!」
パンを食べただけでジョゼフとシャルルの問題が解決するんですね分かります。
闘うエロコックさんなら女性に優しいしそこそこ強いから当り
あいつの強さそこそこってレベルじゃねーぞ
ゴーレムだって蹴り一発で吹っ飛ぶだろ
闘うエロコックさんなら女性に優しいしそこそこ強いから当りなんだろうけど
仲間のとこに戻りそうなんだよな
後、デルフとガンダのルーンが全く使われなくて涙目確定。
エロコックは戦闘では武器どころか手自体を碌に使わないし。
つーか、犬猿の仲である三刀流の人とか思い出したりするだろうから
剣なんか頑として使おうとしない気がする。
それから食事でうっかりお残しでもしようものならきっと大変な事に。
インテリジェンス包丁とかになればいいんじゃない?
つまり貴族の坊っちゃんのみフルボッコされるんですねわかります。
そして全員と決闘か…ヤベェ読みたいww
ギーシュ「リンゴソースの 甘ズッパさと、 子羊の肉汁が のどを通るタビに 幸せを感じるッ!
こんな味が この世に あったとはァーーーーーーッ 幸せだァーーーーッ
幸せのくり返しだよぉぉぉぉぉ〜〜〜〜っ
ンまぁーーーいっ」
ワンピースみたいにデカい食材ならデルフの出番はあるかもな。
なんか、シエスタに八つ当たりした時点でギーシュは死亡フラグだなw
それスレ違い
>>920 おまえがゼロの使い魔を読んでないことは分かった
>>920 > なんか、シエスタに八つ当たりした時点でギーシュは死亡フラグだなw
ワルキューレごとムートンショットで吹っ飛ぶギーシュを幻視したw
モナコカップみたいに過去に戻ったジョゼフがシャルルをころころするのを止めてハッピーエンド
まあ、エロコック最大の問題点は仮にフーケとの戦いになった場合負けが
確定していると言う事だな。
死んでも女を蹴らない奴だし。
お宝が一発逆転が狙えて、尚且つルイズ達が使えるような代物でなければ
そこで話が終わってしまう。
ギーシュにケンカ売り付けたのはサイトで
しかもちょっと嫌味言っただけで思いっきり突っかかったのもサイトの方
シエスタは居合せただけで全く関係無い
ぶっちゃけギーシュもそんなにシエスタ追い詰めてないし、適当に切り上げて「さあこれでお開き」というところで蒸し返して面倒事にしたのがサイト
>>925 > お宝が一発逆転が狙えて、尚且つルイズ達が使えるような代物でなければ
> そこで話が終わってしまう。
そこでラッスーの出番ですよ。
そもそも原作じゃあの時点でギーシュとシエスタには何の接点も無いのに何を言ってるんだこいつらは
召喚の詠唱にアニメの世界観無視した滅茶苦茶な方(宇宙という概念がある)ばっかり使われてるこのスレで
原作をまともに読んでる書き手がどれだけいるかも分からないのに
読み手が原作を読んでいるわけがないじゃあないか
元からゼロ魔が好きだった少数派と、このスレの影響で真面目にゼロ魔を買って読んだ少数派だけが
正しいゼロ魔を理解している
そう、ルイズはツンデレでもキチガイでもなく才人すらも凌駕するただのド変態だとかそういった事を
で、でも、マリコルヌなら、マリコルヌならやってくれる
つーかさ、勘違いしてるけど、ここアニキャラ板だよ?
原作は読むべきだろうけど、読まないからと言って卑下するのはどうかと思うぞ
>>932 あのさ、そもそもこのスレってジョジョの影響受けて立った漫画サロン発祥だよ?
だから参考にするなら漫画版……あれ?
過去は過去、今が大事なのさ
マテリアルパズルよりミカゼ召喚
とはいえアニメを参考にしてギーシュがスクエア以上の精霊魔法を軽々使うのなんて見たくないぜ
うおl、なんか久しぶりに1000行くの見る気がするな
何スレぶりだ?
おまえらアウディを忘れてんじゃねえ!
職人気質でどんな魔法使いも叩き伏せてくれるぜ!
生粋のコックではないが、ブレスオブファイア2のタペタ王子なら剣も魔法も使える亜人で性格も紳士的!
そして出される料理はミミズやハエをふんだんに使ったカエルによるカエルのためのカエルの料理!
さて誰を先頭に立たせて食べさせてリバースさせるか……
カエルつながりでモンモンが召喚して、ギーシュが代わりに食べる展開になるとか?
鬼畜料理人なら鉄鍋のジャンの五行道士を忘れてもらっちゃ困るぜ
ジャンとの泥仕合は料理漫画史に残る勝負だろ
スポンサーの愛犬を鍋にして審査員に食わせたり
主人公がドリアン料理を作ったら
ドリアンと合わせるのが禁じ手の酒を
審査員に振舞って殺しかけたり素敵過ぎ
まあこの漫画主人公もマジックマッシュルームのスープ作ったり
昆虫と蛆虫の生肉料理作ったり鳩の血のデザートとか狂っているんだが
なんか電波受信したぜ!
残虐超人時代のラーメンマン先生!これで決まりだ!
ギーシュ、ラーメンにして食おうぜ!
ラーメンはアニメだけだけどな
漫画だと真っ二つだったよな
真っ二つだと残酷だからってラーメンになったんだよな
……ラーメンの方が残酷だと思う俺はおかしいのだろうか?
いや そのりくつは ただしい
××料理人の称号を持っているアーチェはどうだ?
もれなく『その後、彼らの行方を知る者は誰もいなかった……』ってナレーションが流れるけどなー。
ド低脳と言う表現はよくない! → クサレ脳みそにしよう!(゚∀゚)
みたいなもんか
949 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 21:00:32 ID:pBq4xBkA
エルリックが呼ばれたら?と考えたけどアリオッチとストームブリンガーしか印象に残ってないw
じゃあ1巻から読むか!と思ったらとっくの昔に全巻売っ払ってたorz
愛がなかったんだなとしみじみとね
ブロッケンマンがこねられていくのはキモかった
あんなカトレアさんより虚弱なエルフをどうしようと
>>930の指摘で確認してみたが、1巻は召喚された後から
始まってるから、サモンの詠唱が載ってないんだな。
7万の後、サイトの生存確認のために詠唱するのが原作初登場。
名乗りの後に、
「五つの力を司るペンタゴン。
我の運命(さだめ)に従いし使い魔を召喚せよ」だ。
ルイズがど変態なのは確認するまでもないw
「トイレで教育」が理解範囲なんだぜw
むう950なので立ててきます
ああああああもう!!プロットでは一行なのに、それを文にできない/(^0^)\
空からいい書き方が降りてこないかしらと願って、ひたすら音楽を聞く作業がまた始まるぜ
ダメだったのでどなたかスレ立てお願いします
>>954 気持ちはそれなりに分かるが、とりあえず使おうと思ってるフレーズを書いてみるとか、そのプロットを更に分解してみるとかするといいと思うぜ。
それでもダメなら、一旦書く事を忘れて全然別の事をやってみるといいんだぜ。
>>957 だねぇ
ちょっくら気分転換に原作読み返すとするよ
ありがとう
959 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 21:24:51 ID:FYi1FxUu
見たいな
960 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 21:25:50 ID:VhCpDE8B
すでに話題が終わってる気がしないでもないが
料理の得意な格闘家といったらサイ・サイシーがいるな
既に師匠たちは呼ばれてたりするようだが
やばい、sage忘れた
ここまで南雲慶一郎なし
話題の始まりが慶一郎じゃないか
>>963 トリステイン魔法学院に『上無し』を標榜する色里を作るいくさ人の話ですね。
ラーメンマンは…得意というのとは違うか。
ブラックジャックのパクリみたいな料理人、何ていったっけ。
南雲慶一郎はすぐに姿くらませてソルバニアで怪獣と戦ってるから動かし難いよ。
料理人と聞いて、最近1、2巻同時発売された「トリコ」から小松召喚。
・・・いかん、小松じゃあまりに普通だ。
wikiの影響で8巻まで買って5日で必死に読破した自分がいる。
FFを二話書いた後直ぐ一巻から読み始めちゃったけど、多分セーフな筈だっ・・・・・!
ゼロ使読んだ後普通の小説読むと、偉く長く感じる。改行多い所為なのか、ラノベって結構内容薄いよね。
その分気軽に読めるから、若い人に受けてるんだろうけど。
トリコを呼び出せばいいような
フリードやシルフィが食われてしまう。
ベルダンデは土臭そうだが脂が乗ってて旨そう。
「本の下半分がメモ用紙として使えます」なんてのもあったね。
ちょっと遅くなったけど
>>897 彼はぶっ飛んだ料理でぶっ飛んだ問題を解決するキャラの中でもかなり古株だよなw
富手夫が召喚され、マルトーと料理で対決?
「てめぇ、俺の料理がまずいだと!?」
「ふん、あんたは素材から素材の味しか引き出せてない。……シエスタさっき言った食材を今すぐ持って来い」
「ええっ!? 本当にあんなものを?」
「ああ、料理の神が真の料理を見せてやる」
そして出来上がる究極のイカモノ料理。
唖然とするルイズ、むさぼるマリコルヌetc…
愕然としたマルトーは、富手夫の弟子に。
終りのクロニクルもそんな気軽さで読めるんだろうか
>>977 漫画でもドラゴンボールみたいに気楽に読めるのと
攻殻機動隊みたいに文字がびっしりで読むの大変なのがある
とまあ、そんな感じで考えてる。
>>977 あれは気軽に読める代物じゃないな……
最終巻の厚さは人を絶命させる事が出来そうだし。
本で撲殺。クラースを思い出した。
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>>970 GS美神でラノベ作家に昭和初期の文豪の悪霊が憑く話があって、その話でラノベ作家が文豪に「漢字は少なく、改行はこまめに!そうしないと読者がついてこないのよ!」と言い放ったのを思い出した。
埋め尽くす前に1000!
うめ
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1000を目指せ
てす
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て、ててす
埋め
うめ
新スレででも言われてるが、
ただ今wikiが利用出来ないみたいだな。
明日のAM07:00までかかる見込埋め
マルコリヌ生き埋め
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1000なら魔法使いコココちゃん召喚
うめ
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