あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part180
1 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :
2008/10/22(水) 00:52:09 ID:/Vyhf12K もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part179
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1224303146/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950 か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
おつ!
もし予約が無いなら、ソウルクレイドルのダネット召喚の一話投下してみてもいいかな?
前スレ、容量見ずに投下しちまってすんません
>>1 乙!
支援、さらに乙!!
12 :
お前の使い魔 :2008/10/22(水) 01:11:14 ID:zcvngz/8
特に問題無ければ、15分からダネット召喚投下させてもらいやす
「え…エルフ!?あああああんた誰っ!?」 「える…ふ?何ですかそれ?それよりもお前こそ誰ですか!!ここはどこですか!!」 それがわたしの呼び出した使い魔との最初の会話だった。 ここはハルケギニアのトリステイン魔法学校。 そこで行われていた、春の使い魔召喚の儀式で、わたしことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、奇妙な亜人の女を召喚してしまった。 エメラルドグリーンの髪の上には、小さな角が二本あり、瞳の色はワインレッド。 服装はお世辞にもお洒落と言える物ではなく、動物の皮か何かをなめしているような藍色の上下に、赤い紐やリボンのようなものでお情け程度にアクセントを付け、首に鐘のような物を下げているている。 何よりも目を引いたのは、エルフの証拠と言われている長い耳。その長い耳には金色の板の付いたピアスをしており、日の光を反射してキラキラと綺麗だ。 その長い耳ですっかり腰が引けてしまっていたのだが、彼女の最初の返答と、目線を下げたことで解消した。 何故なら、彼女の足は柔らかそうな毛が生えており、足の先は動物のような蹄だったからだ。 「亜人…?」 わたしがそう言うと、その亜人の女は少し頬を膨らませ、髪の色と同じエメラルドグリーンの輝きを持つ短刀をこちらに向けると 「セプー族ぐらい珍しくないでしょう!それよりも、ここはどこかと聞いているんです!そしてお前は誰ですか!私をさらって何を企んでいるのです!」 そう言って、今にも飛びかかりそうな勢いになる。 そんなわたし達を見て、教師であるミスタ・コルベールが割って入ろうとしたのだが、わたしが向けられた短刀を見て怯えた表情をすると、亜人の女は少し驚いた顔をし、短刀を向けるのをやめ、先ほどより落ち着いた声でわたしに話しかけた。 「お前からは嫌な感じがしません。だから答えてください。ここはどこで、お前は誰で、私は何でこんなとこにいるんですか?」 そんな様子を見てわたしは少し落ち着き、彼女の質問に答えた。 「ここはトリステイン魔法学校で、わたしはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。そしてあなたはわたしが召喚したの」 「とり…巣?るい…るい……ルイなんとか!!」 「だ…誰がルイナントカよ!!ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!!」 あまりにも失礼な名前の覚え方に、わたしが声を荒げるも、亜人の女は全く聞いている様子も無く、少し警戒の色を濃ゆくした瞳を向けながら強い口調で言葉を続けた。 「そんな事はどうでもいいのです!お前!!今、私を召喚したと言いましたか!?」 「そ…そうよ。あんたはわたしがサモン・サーヴァントで召喚したの。使い魔としてね。」 そのあまりの剣幕に、少したじろぎながら答えると、亜人の女はぐわしとわたしの肩を掴み、揺さぶりながら怒鳴り散らしだした。 「私をまた支配したのですかお前の中のお前っ!!ええい、黙っていてはわかりませんよ!!説明しなさい!!それとも首根っこへし折って欲しいんですか!?」 凄まじい勢いで、がっくんがっくん揺さぶられるわたし。 「ちょ、おちちちち、つつつつつい、てててててて」 「ええい!!何を言ってるかわかりません!!ほら!!説明はまだですか!!」 あ、何か川の向こう側で誰か手を振ってる気がする。あれ?あそこにいるのは肖像画で見たことのあるご先祖様? わたしがそんな危険な逃避行をしだした時、慌てた様子でミスタ・コルベールが横から入り、亜人の女を引き剥がしてくれた。危ない、もう少しで名前の後ろに(故)とかつくところだったわ。
紫煙くゆる
「落ち着いて下さいミス!落ち着いて!」 そう言って、どうにか押さえつけたミスタ・コルベールに、怒りの表情でまくしたてる亜人の女。 「何ですかこのハゲたおっさんは!!退くのです!!」 あ、時が止まった。 おお、ミスタ・コルベールが肩を震わせながらも耐えている。流石は教師。 「説明します!!説明しますからどうか落ち着いて!!」 そんな、ミスタ・コルベールの必死の説得により、どうにか落ち着いた亜人の女は、ぜえぜえと肩で息をしながらようやく話を聞く態度になった。 ちなみに、落ち着かせ間にも「ハゲ」や「おっさん」といったミスタ・コルベールの心をえぐる単語が何度も飛び出し、最後は少し涙目だったのだが、優しいわたしは心の奥に仕舞っておく事にした。 「つまり、あんたは別の大陸で、崩壊する世界を救うために『世界を喰らう者』とか、それを裏で操ってた奴を倒して、ようやく平和になった世界で暮らしていたところを呼び出されたと…そういう訳?」 「そうです。私達が首根っこへし折ってやったんです。そのお陰で今の世界は平和なのです。感謝しなさい。」 「へー、そうなんだー。すっごーい」 「そうです。凄いのです。わかったらホタポタをお腹一杯食べさせた後、私を元の場所に戻すのです。それで勘弁してやるのです。」 「そうねー、それが本当なら、わたしとんでもない方を召喚しちゃったってことだもんねー。わー、たいへーん。トリステインの一大事だわー」 「そうです!一大事なのです!その…トリ…なんとか?も大変なのです!」 「…って、信じられる訳がないでしょうがあああああっ!!!!!」 あれからこのセプー族とかいう種族の亜人(わたし達が亜人というと「セプー族です!」と何度も言いかえを強要する) の『ダネット』という女に、どうにかこちらの現状を説明し(何よりも、わたしが魔法で召喚したという点を説明するのに時間がかかった。支配って何?わたしの中のわたし?馬鹿だこいつ) 使い魔の契約を結ぶよう言ったところ、世界を救った私を家畜扱いかと騒ぎ出したので、話を聞いてみたところがコレである。 世界の命運をかけた戦い?世界を喰らう者とかいう巨大な三体の巨人?ホタポタ? もう訳がわからないを飛び越えて、どう見たって聞いたって頭がアレな奴である。 周りで聞いていた生徒も「目を合わせるな」といった雰囲気が出来上がり、最早失笑すら聞こえない。 最初は「ふぅむ」などと言いながら聞いていたミスタ・コルベールでさえ、遠い空を見ながら「空が青いなあ」などとのたまっている。 そんな中、わたしの魂の叫びを聞いたダネットは、額に青筋を立てながら反論してきた。 「お前はあの世界を喰らう者達を忘れたというのですか!?あの長く続いた地震を覚えてないとでもいうのですか!?世界の悲鳴を聞かなかったのですか!?」 そんな事を言われても、知らないものは知らないし、地震(地面が揺れる災害らしい)なんて生まれてこのかた聞いたことがない。 なので、呆れた顔でわたしが「知らないわよそんなもの」と答えると、今まで勢いよく喋り続けていたダネットは俯いた。 ようやく諦めたのだと思い、わたしはこの茶番を早く終わらせたい一心でダネットに話しかける。 「ホラ話は終わり?諦めたのなら使い魔の契約をさせなさい。もうこれ以上話してても無駄だろうし、わたしも疲れたからさっさと終わらせたいの」 すると、俯いたダネットがポツリと何かを呟いた。
支援
「……じゃ…です…」 「え?何ですって?聞こえないわよ」 少し苛立ちながらわたしがそう返すと、ダネットは俯いていた顔をバッと上げた。 ワインレッドの瞳に涙をいっぱいに溜めて。 「ホラじゃ…ないのです!!」 その余りの剣幕と瞳に、わたしは思わず少し後ずさったが、あんな話を信じろという方が無理である。 「ホラじゃないなら妄想よ!!ありもしない戦いやら、ありもしない敵!?バッカじゃないの!?そんな…ありもしない妄想、誰が信じるもんですか!!」 わたしのその言葉がトリガーとなり、ダネットは怒りの表情で何かを叫びながらわたしに飛びかかってきた。 ミスタ・コルベールの「危ない!ミス・ヴァリエール!!」という声が聞こえる。 しかし、わたしの身体は硬直し、まともに動かない。 わたしは、小さく悲鳴をあげ、身体を竦ませた。 だが、ダネット身体はわたしに触れる寸前で、横へと吹き飛び、小さな悲鳴をあげて動かなくなった。どうやら気絶したようだ。 ダネットが吹き飛んだ反対側を見てみると、同級生の青髪の少女『タバサ』が、長い杖を構えていた。 どうやら、ダネットが飛びかかるのを予測してウインド・ブレイクの呪文を詠唱していたらしい。 正直、助かった。 ダネットは刃物を持っていたし、あのまま飛びかかられていては、今頃、無事だったかどうかわからない。 そんな事を考え、わたしが肩をブルっと震わせると、タバサの隣で様子を見ていた赤髪の同級生のツェルプストーがこちらへ近づいてきた。 「…何よ?」 頬を膨らませてそう言ったわたしに、ツェルプストーはいつものように憎たらしい笑みをニヤリと浮かべると「怪我は無いみたいね。タバサに感謝しときなさいよ。ゼロのルイズ。」そう言って、気絶したダネットの元に歩いていった。 言われなくとも判っている。 誇り高きヴァリエールは、卑しいツェルプストーとは違って、感謝すべき所は感謝する。 そう考えたわたしは、タバサの方を見て、一言「一応、感謝しておくわ」とだけ言い、顔を背けた。 後ろでタバサの「別にいい」という声が聞こえた気もするが、そんなのはどうでもいい。 わたしは、気絶したダネットを念のために警戒し、近くで杖を構えるミスタ・コルベールと、その横で同じく杖を構えのるツェルプストーを押しのけると、気絶したままのダネットへ近づいた。 ミスタ・コルベールの「危険です!」という声が聞こえたが、無視したまま詠唱を始める。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
そして、ダネットの唇に自分の唇を合わせた。 それを見たミスタ・コルベールが、慌てた様子でわたしに言う。 「ミス・ヴァリエール!その亜人は危険です!それを使い魔になど…」 しかし、わたしは冷静にそれを返す。 「ですが、使い魔と契約しなければ、わたしは進級できないのではないでしょうか?ミスタ・コルベール」 それを聞いたミスタ・コルベールはぐっと唇を噛み「それは…そうなのですが…」と呟く。 「それに…もし、わたしが契約しなければ、ダネットはどうなります?貴族を襲った危険な亜人として、良くて監禁。悪ければ…処分。違いますか?」 それを聞いたミスタ・コルベールは、無言という肯定の意思を示す。 そんなわたしの様子を見ていたツェルプストーが、わたしに言った。 「でも、何で急にその亜人の事を庇うような真似をするの?貴女、その亜人に襲われそうになったばかりなのよ?」 言われなくてもわかってる。 今も膝が少しカクカクしていて、心臓はバクバク音を立てている。 だが、それでもわたしはダネットを守らなくてはいけない。なぜなら… 「でもね、ツェルプストー。それでもダネットはわたしが呼び出した使い魔なの。だから守る。わたしが言ってること、間違ってる?」 わたしがそう言うと、ツェルプストーは「へぇ…」と少し感心したように言い、あの憎たらしい笑みを浮かべて「まあ頑張んなさい」と言ってくるりと後ろを向き、タバサの方へ歩いていった。 そう、呼び出した者として、わたしはダネットを守らなくてはいけない。 そして何より、ダネットが見せたあの涙を浮かべた瞳。 あれは、嘘を言っている眼じゃなかった。 でも…だとしたら、あのホラ話が嘘じゃないとしたら……わたしは、世界を破滅させるような巨人を倒した英雄の一人を召喚したという事になる。 しかし、わたしはそんな考えを頭を振って打ち消す。 そして、今だ気絶したままのダネットを見ると、その左手が薄っすらと輝き、使い魔のルーンが刻まれようとしていた。 それが痛みを伴うのか、ダネットは少し身をよじると、閉じたままの瞳から一筋涙をこぼし「お父さん…お母さん…」と呟いたのだった。
以上で1話終了 つうか短いっすね。次はもうちょい長くして投下しますわ
なるほど、最初はギグ召喚かと思った訳だな
バカの割に頭が回るじゃないか、ダメット
>>19 乙!
で、元ネタはなんなのよ
22 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/22(水) 01:51:59 ID:OKjQCtyy
予約等なければ2:00くらいから投下したいです
>>21 ちゃんと書いてあるじゃないか。
>>22 寝る前に一度だけ支援。
もう限界…明日見る
24 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/22(水) 02:00:56 ID:OKjQCtyy
では、投下します 第七話 タバサが怪物に襲われた日の夜。 夕食を終えて部屋に戻ってきたルイズは、床で寝転がっている浅倉に、昼間の出来事について再び問いかけた。 夕食の時にタバサにも聞いてみたが、彼女は「謎の怪物に襲われた」としか答えてくれず、残る浅倉以外に詳細を知る者がいないのだ。 「ねえ、アサクラ。昼間、一体何があったの? ……いい加減教えなさいよ」 なるべく機嫌を損ねないように、穏やかな口調で浅倉に尋ねる。 例の怪物事件の後、浅倉が厨房へ戻る途中でそれは起きた。 ルイズが事件についてあまりにもしつこく食い下がったため、浅倉の怒りを買ったのである。 「大体あんたはなんでいっつも人の話を……うぐっ!!」 胸ぐらをぐいと掴み上げられ、壁に叩きつけられると、殺意のこもった目で睨まれた。 「調子に乗るのもいい加減にしろ。……それとも何か? 俺をイライラさせて、そんなに死にたいのか?」 「ご、ごめんなさい!!」 死を直感したルイズが必死に謝ると、乱暴に床へと投げ出されたのだった。 サモン・サーヴァントの一件以来感じることのなかった、恐怖の感情。 それが再び蘇り、ルイズはいつものように上手に出られないでいた。
支援
26 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/22(水) 02:03:09 ID:OKjQCtyy
「相変わらずしつこい奴だ。……まあいい。何が知りたい」 好きなだけ異世界で暴れ、好きなだけ厨房で食べた浅倉は、その満足感からルイズの質問を容認したのであった。 いきなり起き上がった浅倉に驚きつつ、ルイズは頭の中で聞きたいことを整理した。 「え、えーっと、まずは……」 昼間何があったのかを始めに、怪物のこと、鏡の中のこと、浅倉の持つ奇妙な道具と格好のこと…… 今まで疑問に思っていたことを一つずつ並べていき、それぞれに対して浅倉が答えていった。 「つまり、あのバケモノは鏡の中に存在していて人間を襲う、と。」 ルイズが続けて言う。 「で、同じく鏡の中と外を行き来できるのは、あの変な格好をした『仮面ライダー』だけなのね?」 「そんなところだ」 答えた浅倉は再び寝転がる。 「じゃあ、その『仮面ライダー』っていうのは、バケモノをやっつける人ってこと?」 ルイズが再び疑問をぶつけると、浅倉はルイズの方を向き、言い放つ。 「それは違うな」 笑みを浮かべながらの浅倉の返答に、ルイズは思わず食って掛かる。 「じゃあ、一体何のためにいるのよ」 浅倉は心底嬉しそうに、言った。 「殺し合うためさ」
27 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/22(水) 02:06:12 ID:OKjQCtyy
予想だにもしなかった回答に、ルイズは一瞬言葉を失う。 「……え? 嘘でしょ? そんな……」 「嘘じゃないさ。現に、何人かはこの手で始末してきたからな……」 浅倉は自分の手の平を見つめながら、不気味に笑っていた。 「そんな……! それじゃ、一体何のために殺し合うっていうのよ!」 ルイズが声を張り上げる。 浅倉は笑みを浮かべたまま振り向き、答えた 「願いを叶えるためだ」 浅倉は続けて言う。 「ライダー同士潰しあって、最後に勝ち残った者はどんな願いでも叶えることができる……。それが、戦う理由だ」 戦えるんなら何でもいいんだがな、と最後に一言つけ加え、浅倉は目を閉じた。 ルイズは俯き、再び言葉を失ったが、しばらくすると何かを思い出したように顔をあげ、言った。 「それじゃあ、アサクラ。あんたの望みは何なの?」 浅倉は目を閉じたまま、答える。 「俺か? 俺は……永遠にライダー同士の戦いが続くことさ。寝るぜ」 言い終わると同時に、浅倉は呆然としているルイズに背を向け、眠り始めたのだった。
小説だかだと王蛇ってサヴァイブ化できるんだよな
支援
30 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/22(水) 02:09:17 ID:OKjQCtyy
ルイズの部屋の扉の前で、タバサは目を見開いたまま、硬直していた。 (どんな願いでも叶えることができる……!!) 他人の命を奪わなければならないという非道な条件に見合った、実に魅力的な褒賞である。 しかし、あの使い魔の言うことはどこまでが真実なのだろうか……。 見た目は雑で性格も凶暴だが、知恵はある。 単純な部分のあるルイズなら、簡単に騙すぐらいはできるだろう。 騙す目的があれば、だが。 それに、いつも目に溜め込んでいる、狂気じみた光。 何より力を振るうことを楽しんでいるのだ。 必要とあらば、何かを犠牲にすることさえ厭わないだろう……。 (もっと、知りたい……) これからは今まで以上にルイズや浅倉と行動をともにし、あの男について知識を深めなければ。 もしかしたら、本当に私の願いを叶えることができるかもしれない。 そのためにも、結果的にとはいえ助けてくれた浅倉への「借り」は、近づくためのいい口実になるだろう。 お礼は、またその時でいい。 (それだけが理由ではないのだけれど……) 扉の前を後にし、自分の部屋へと元来た道を戻っていくタバサ。 その道中で、頑なに結んでいた口元がほんの少しだけ緩んだ。
31 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/22(水) 02:11:45 ID:OKjQCtyy
数日後。 『虚無の曜日』と呼ばれるその日は、学院での授業もないため、生徒たちはそれぞれ自由に休日を過ごしていた。 「あんたに剣を買ってあげるわ」 ルイズは横になっている浅倉に向けて言った。 浅倉によって、連日のように『決闘』という名のワンマンショーに付き合わされているギーシュ。 彼が日に日にやつれているのは、誰の目にも明らかなことであった。 それを見かねたモンモランシーが、ルイズにどうにかしてほしいと頼みこんだのである。 普通なら、もう決闘は止めるようにと言い、「使い魔は主人の言うことに絶対服従だ」と強引に一件落着…… といきたいところなのだが、相手はあの浅倉である。 言い聞かせて素直に従うような奴ではないし、下手をすればこちらの身が危ない。 ギーシュには悪いが、せめて対等に渡り合えるよう、浅倉に剣を与えようと決めたのである。 仮面ライダーとかいう奇妙な姿ではなく、普段の浅倉なら、少なくともギーシュが一方的にやられたりはしないだろう。 ルイズはそう考えたのだ。 浅倉も「そろそろ今のやり方には飽きてきたな」と、どうやら乗り気である。
32 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/22(水) 02:14:04 ID:OKjQCtyy
「それじゃ、早速行きましょう!」 そう言うと、ルイズは身支度を始める。 が。 「お前一人で行け。俺は寝る」 浅倉は横になったまま動こうとしない。 「な、なんてこと言うのよ! あんたの剣なのよ!?」 「知らんな。武器なら何だっていい……行くんならとっとと行け」 そう言うと、浅倉は横になったままルイズに背を向けると、眠り始めた。 もう何を言っても無駄だ……。 そう悟ったルイズは、身支度を終えると渋々馬小屋に向かって行ったのであった。 (ウフフ……これはまたとないチャンス!) ルイズが一人馬を走らせ、城下町の方へ向かうのを確認すると、キュルケはすかさずルイズの部屋に忍びこんだ。 目的はもちろん浅倉である。 「ハ〜イ、ダーリン! ちょっといいかしら?」 キュルケが扉を開くと同時に言った。 浅倉が横になったまま、振り向きもせずに答える。 「お前……確かキュルケ、とか呼ばれてたな」 「覚えてくれて嬉しいわ! もし暇だったら、私とお茶でもいかがかしら?」 浅倉は尚も動かずに答える。 「そんなものはどうでもいい。それより……」 「それより?」 キュルケが首を傾げる。
33 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/22(水) 02:16:46 ID:OKjQCtyy
「お前が持ってる、あの赤いトカゲ……。あれ、どうやったら食えるんだ?」 「……は?」 予想の斜め上を行くその質問に、キュルケは呆気にとられ、目をぱちくりさせている。 対する浅倉は、顔をキュルケの方へ向けるとさも普通といった表情で、彼女に期待の眼差しを送っていた。 (このボロ剣ならアサクラも……) 城下町から帰る途中、ルイズは馬を走らせながら思った。 町の武器屋に着くと、ルイズはなるべく弱そうな剣を探し、この錆びついた剣を手に取った。 実はこの剣、デルフリンガーという名のインテリジェンスソードらしい。 店でも持て余していたようで、叩き売りされていたのである。 しかし、例えインテリジェンスソードでも、この傷み具合なら実戦では役に立つまい、とルイズは買うことにしたのだった。 「なぁ、嬢ちゃん。俺の持ち主になるってのは、一体どんな奴よ?」 「それは会ってからのお楽しみよ」 カチカチと音をたてて喋る剣と淡白な会話をしながら、ルイズは一路学院へと戻るのであった。 後日、錆びた剣を携えた浅倉がガンダールヴの能力を遺憾無く発揮し、ギーシュのワルキューレたちを、彼の僅かに残ったプライドごと粉砕したのは言うまでもない。
支援
35 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/22(水) 02:18:00 ID:OKjQCtyy
以上です 夜遅くに支援ありがとうございました! では、お休みなさい
gj 続きを期待!!!
しかし死人が出ないのが以外だ どこぞの兄貴並みに殺しまくるかと思ったが 乙
ダネット召喚がきてるじゃないか ソウルクレイドルは裏主人公召喚があったけど止まってるんだよな しかしダネットかわいそす…
前スレで投下されたドラえもんの件なんだが… ブロンズゴーレムを鉄くずに変えるって、凄いよね。
銅なのに「鉄くず」だからか?
41 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 04:21:47 ID:RfGN35fJ
どうも、すんごく遅くなりましたが、毒の爪の使い魔第14話の残りが書けました。 こんな時間ですが、予定が無ければ投下したいのですが、宜しいでしょうか?
支援いたそう!
やっぱりメイジ的には
空気砲≒エアハンマー
と認識されるかな
>>41 どうぞどうぞ
44 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 04:32:21 ID:RfGN35fJ
では、投下行きます。 ――それから数時間後… 未だ何をするでもなく、青空を見上げていたジャンガは突然の事に何が起こったか解らず、怪訝な表情をした。 「ンだ?」 短く呟き慌てて身を起こしたジャンガは左目を擦る。 まるで真夏の陽炎の如く、左目に映る景色が揺らめきだしたのだ。 初めは妙な事を考えて精神的に疲れた所為だろうと思ったが、左目を幾ら擦っても視界の揺らめきは止まらない。 それどころか、ますます視界は歪んで行く…と思いきや、今度は歪みは徐々に収まりを見せていく。 そして、歪みが消えた時、左目は右目に映る光景とはまるで違う光景を映し出していた。 そこは大きな広場のような所だった。周囲は森に囲まれ、人家などは見当たらない。 遠くには屋根の吹き飛んだ小屋のような物が見えた。 だが、それより目が行ったのは、その小屋の前に立ち尽くした巨大な人型だった。 見間違うはずも無い…それは自分があの時、仕留め損ねたフーケの操るゴーレムだ。 と、屋根の吹き飛んだ小屋から竜巻が飛び、続いて火炎が飛ぶがゴーレムはそれらを意にも介さない。 すると、視界が急に動き出した。自分の意思とは別に動くそれはまるで別の誰かの視界であるかのような…。 (別の誰か?) 高くなったかと思うや一瞬だけ視界は下を向く。 その時、視界の端の方に見慣れた桃色の髪が見えた。 「オイ」 ジャンガはデルフリンガーに向かって声を掛けた。…が、デルフリンガーは返事を返さない。 「オイ」 もう一度言った。しかし、鞘から出てこようともしない。 「…オイッ!!」 三度目の怒鳴り声でようやくデルフリンガーは鞘から飛び出した。 「うわっと!?なんだい、相棒…俺を呼んでたのか?」 「テメェ以外に誰が居る?何で直ぐに出なかった?」 「いや……だって、さっきも相棒言ってたじゃねぇか…”話しかけるな”ってよ?」 「俺から呼んだ時は直ぐに出て来い…」 「解ったよ……それで?なんだい?」 「…左目が変だ。あの”自称ご主人様”の視界が見える…。これが何か、テメェは知ってるか?」 「ああ…なるほどね。多分だが、使い魔の能力の一つだろう。…その娘っ子に聞かなかったか? 『使い魔は主人の目となり耳となる能力を与えられる』ってよ? まぁ…大抵は使い魔の見てる光景が見えたりするんだがよ。どうやら相棒の場合は逆のようだな」 ジャンガは徐に袖を捲くり、左手の甲を見た。ルーンが輝いている。 使い魔の能力と言うのはあながち間違いではないようだ。 (能力ねェ…、人の視界まで好き勝手しやがって…クソッ) 心の中で毒づくジャンガにデルフリンガーは尋ねた。 「それで、一体何が見えるんだい?」 「…ゴーレムとやりあってる真っ最中だ」
45 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 04:36:19 ID:RfGN35fJ
覗き見る視界の中、ルイズの声も聞こえてくる。 ルーンを唱え、杖を振ると小さな爆発がゴーレムの肩で起きた…が、それだけだった。 ゴーレムの巨体はビクともしていない。と、ゴーレムがルイズの存在に気が付いたのか、ゆっくりと振り向く。 三十メイルの巨体に睨まれ(と言っても顔のような物が在るだけだが)、ルイズは怯えるかのように小さく声を上げた。 ゴーレムが地響きを立てながら歩を進める。我に返ったルイズは慌てて杖を構えなおす。 そこに小屋から飛び出したキュルケの声が聞こえてきた。 「ルイズ、貴方何しているのよ!?早く逃げなさいよ!」 ルイズが歯を噛み締める音が聞こえる。 「いやよ!!」 「何強がりを言っているのよ!?大体貴方、魔法なんて何一つまともに使えないじゃない! それなのに、そんな巨大なゴーレムに適うわけ――」 「っ!?……私は貴族よ!」 声を張り上げて叫ぶルイズに、キュルケも視界を共有しているジャンガも目を見開いた。 迫り来る巨大なゴーレムを前にし、それでもルイズは凛とした態度で言い放つ。 「魔法が使える者を貴族と呼ぶんじゃない、敵に後ろを見せない者を…逃げ出さない者を貴族と言うのよ! 私は敵に後ろを見せたり…逃げ出したりなんかしない!私は…」 そこで一旦言葉を切り、ゴーレムを睨みつける。 「私はゼロの…『悪夢』のルイズなんかじゃないんだからぁぁぁーーーーー!!!」 ゴーレムがその巨大な足を振り上げ、ルイズもまたルーンを唱えて杖を振る。 足が振り下ろされる前に、ゴーレムの胸の辺りで爆発が起きた。だが、やはり駄目だった。 僅かにゴーレムの身体を形作る土が零れ落ちただけだ。――そして、その巨大な足が振り下ろされた。 ルイズが目を瞑ったらしく、視界が真っ暗になった。 響き渡る轟音はゴーレムの足が地面に振り下ろされた物だろう。音が聞こえているという事はまだ死んではいまい。 とルイズが目を開けたらしく、視界に光が戻った。その目の前にはキュルケの顔があった。 彼女がルイズを助けたのだろう。 「邪魔をしないでよ、ツェルプストー!!」 だが、ルイズはキュルケに向かって怒鳴り散らす。――瞬間、視界が横を向いていた。 ゆっくりと前へと向き直ると、キュルケがルイズを睨んでいた。おそらくは彼女がルイズの事を引っ叩いたのだろう。 「ヴァリエール…貴方の言いたい事は良く解るわ。私だって貴族だから…。 だとしても、今のは余りに無謀だわ。いや、無謀と言うのも馬鹿馬鹿しいわね。 貴族らしい死というのもあるわよ…、けれど今のはどう考えても犬死よ。 勝てないような相手からは逃げたって恥じゃないわよ」 真剣なキュルケの表情にルイズの高ぶった感情も急激に冷やされていったようだ。 ルイズは俯き、やがて静かに口を開いた。 「だって……私、いつも貴方や皆にバカにされていたし…。召喚できた使い魔もあんな奴だし…、 姫様にも迷惑を掛けちゃったし…、あいつに『悪夢』だの『疫病神』など言われたし…、 …挙句には姫様を…あんな風に言われて…凄く悔しくて…」 視界が歪んでいく。だが、先ほどの物とは違う……これは”涙”による物だ。 「ルイズ…」 キュルケの言葉にルイズは顔を上げ、見つめた。キュルケの顔は止めどもなく流れる涙に揺らめいている。 「ここで逃げたら…また皆にバカにされるじゃない…。あいつにだって…また舐められるじゃない…。 もしかしたら…姫様をまた悪く言うかもしれない…。だから私…絶対に逃げたりしたくないの…」
46 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 04:39:19 ID:RfGN35fJ
――勿論、逃げる事は時には必要だと思うよ?自分にどうしようもない事なら尚更ね―― ――当然だな…―― ――でもね…私は、どうしようもなくても逃げたくない…引きたくないって事もあるの―― ――何だよ…?―― ――ん〜?…あんたが化物呼ばわりされた時…とか?―― ジャンガの脳裏を昔が過ぎる。――そして、激痛。 「ぐっ!?」 「ど、どうしたい相棒?」 突然呻き声を上げたジャンガに、デルフリンガーは声を掛ける。 ジャンガはそれに答えずに左手を押さえ、ため息を吐いた。 「…はァ〜…、クソが…。どうしてこうもあのガキは…俺を色々ムカつかせるんだろうな?」 広場では未だゴーレムとルイズ達の戦いが続いていた。 タバサはシルフィードに乗って空中からゴーレムを牽制し、キュルケと立ち直ったルイズもまた応戦する。 が、やはり状況はこちらに不利だ。このまま戦っていても勝ち目はあるまい。 キュルケは一時撤退を決意。ルイズも心底悔しそうにしながらも、キュルケに続いた。 タバサのシルフィードが地面に舞い降りる。 ようやく辿り着いたキュルケは背後で駆けて来るルイズに向かって叫ぶ。 「ルイズ!早く!」 「解っているわよ――きゃあっ!?」 突如、足を何かに掴まれた感触がし、ルイズは前のめりに地面に倒れた。 「痛つつ…な、何?」 慌てて視線を向ける。見れば、地面から生えた手が自分の足を掴んでいた。 ”アースハンド”…土を手に変えて対象を掴む土系統の魔法だ。これもフーケの仕業だろう。 ルイズは慌ててその手を外そうとするが、足をガッチリと掴んでおり簡単に外れそうもない。 と、自分の周りに影が落ちた。見上げれば、そこには今にも振り下ろさんとされているゴーレムの豪腕が在った。 「あ…」 そんな言葉がルイズの口から漏れた瞬間、豪腕が振り下ろされた。 キュルケの声が聞こえた気がしたが、それも直ぐにゴーレムの豪腕が叩き付けられた轟音に掻き消された。 キュルケとタバサは呆然とその光景を見ている他はなかった。 地面に倒れたルイズの姿がゴーレムの豪腕の下に消え去るのを見ているしかなかった。 唐突にキュルケが膝から地面に崩れ落ちた。 「ル、ルイズ…」 「……」 呆然と友人の名を呟くキュルケに対し、タバサは何も言わない。だが、その唇は強く噛み締められていた。 「…三人でかかれば、何とかなると思ったか〜?」 突然、横から聞こえた声にキュルケは顔を向ける。 そこにはこの場に居るはずのない、紫色の長身が立っていた。
支援
支援でござる
49 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 04:44:01 ID:RfGN35fJ
「貴方…何でここに――ルイズ!?」 長身=ジャンガの腕に抱かれたルイズを見て、キュルケは声を上げる。 その声にルイズも気が付いたようだ。 「え、キュルケ?…私、潰されたんじゃ……って、ジャンガ!?」 「よォ、クソガキ。どうだ…?『もう死ぬ』っていう感じはタップリ味わえたかよ?」 ニヤニヤ笑うジャンガにルイズは顔を背けた。 「…何よあんた?今更出て来て…、何の用よ?」 「キキキ、ご挨拶だなァ〜?俺はテメェの事を助けてやったんだゼ?もうちっと感謝してくれてもいいと思うがよ?」 「冗談じゃないわよ!いいから放して!」 暴れるルイズにジャンガは舌打ちをし、ルイズを抱き抱えている腕を放した。 ジャンガはそのままゴーレムの方へと進み出る。 「ちょっと…何するの?」 「キキキ、何かって?当然……この木偶人形を潰すんだよ」 「…何で?」 「キキキ、気まぐれさ…」 言い終わるや、ジャンガはゴーレム目掛けて駆け出した。 背中の鞘からデルフリンガーを抜き放つ。 「おう相棒、俺を使ってくれるのかい?相棒にはその爪があるから、俺の事は正直使ってもらえないかと――」 「お前…剣じゃ頑丈な方か?」 唐突な質問にデルフリンガーはポカンとする。 「あ?…ああ、まぁな。ちゃちなそこらの剣よりは頑丈だってのは保障するぜ」 「そうかい……なら、問題無ェな」 「へ?」 言葉の意味が解らないデルフリンガーを他所に、ジャンガはゴーレムの腕や身体を跳んで上っていく。 そして、ゴーレムの頭の上に立つと、そこから力一杯跳躍する。 ゴーレムを眼下に捕らえると、ジャンガはデルフリンガーを構えた。 「どうするんだ相棒?」 「…キキキ、テメェには鑿の代わりになってもらうゼ」 「あ?」 ジャンガは勢いをつけ、デルフリンガーをゴーレム目掛けて投げつける。 「お、おわぁぁぁぁぁぁーーーーー!!?」 突然の事に頭がついていかず、デルフリンガーは叫び声を上げながら、ゴーレム目掛けて飛んで行く。 ガギンッ! デルフリンガーの先端がゴーレムの左の手首の部分に突き刺さる。 「あ、相棒!?な、何を…って!?」 デルフリンガーが見上げた先では、ジャンガが彼を投げた反動を利用して高速で回転しているのが見えた。 そして、回転したままジャンガは突き刺さっているデルフリンガーへと突撃してくる。 「キキキキキ!オラァーーーーー!」 叫び声を上げながらジャンガは回転で勢いをつけた凄まじい蹴りを、デルフリンガーの柄の先端に放った。 衝撃が突き刺さったデルフリンガーの先端を通じて、ゴーレムの手首の中に直接叩き込まれる。 一瞬で罅割れが広がり、ゴーレムの左手は崩れ落ちた。 ジャンガは、土くれとなった左手とともに地面に落ちたデルフリンガーを拾い上げる。 一足飛びにその場を離れ、距離を取る。 「ほゥ?確かに頑丈だな、罅一つ無ェや…」 繁々と観察するジャンガにデルフリンガーは叫んだ。 「相棒!?今のはどう考えても滅茶苦茶だ!俺を杭かなんかの代わりにしてくれるなよ!?」 「ウルせェ…、使ってもらって嬉しいんじゃないのか?だったら文句を言うんじゃねェよ、ボロ刀!?」 「あぁぁぁぁぁ〜〜〜……相棒、使ってくれるのは嬉しいが、もっと優しくにだね!?」 「黙れ……騒いでる暇は無ェみたいだゼ?」 「はい?」 ジャンガの視線の先ではゴーレムが地面の土を吸い寄せ、破壊された左手を再生させていた。 その光景にデルフリンガーは納得した様子。 「ああ、ゴーレムは操っているメイジの精神力が尽きない限りはな、ああいう風に再生するぜ?」 「…知っているなら最初に言いやがれ」 「まァ…それはそうとどうするよ?」 「ハンッ、再生するなら片っ端から砕いてやるさ!」 言うが早いか、ジャンガは再び駆け出した。
50 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 04:49:32 ID:RfGN35fJ
ジャンガは相手の攻撃をかわしながらデルフリンガーを叩き込み、蹴りを放って砕いていく。 一方で分身を生み出し、無数のカッターを投げつけて切り刻む。 しかし、ゴーレムも傷つく度に土をかき集めて再生していく。 ゴーレムの方の攻撃は当然の如く、掠りもしなかったが。――そんな攻防が暫く続いた。 ゴーレムの豪腕が何個目かのクレーターを地面に作った。 その場から飛び退き、距離を取る。そして舌打。 「チッ、メンドくせェ…」 「なぁ、相棒……お願いだからもうやめてくれ?今さ”ミシッ”って音がしたんだよ”ミシッ”て…。いやマジで…。 これ以上やられたら冗談抜きで折れちまう…頼むからもうやめてくれ。いや本当…お願いだからさ…」 デルフリンガーのそんな悲痛な訴えなど完全に無視し、ジャンガは考えた。 今のまま続けていても一向に事は進展しない。大本を叩けばいいのだろうが、その大本の姿が何処にも見えない。 (やっぱりあの時仕留めとけば楽だったゼ……クソッ) 心の中で毒づき、ジャンガは忌々しげにゴーレムを睨みつけた。 「何よ…?大口叩いて全然じゃないの、あいつ!?」 ルイズはイライラしながらジャンガを睨んでいた。 あれだけ自分を馬鹿にしておきながら、あいつはゴーレムを倒せないでいるのだ。 だが、ルイズ達の魔法にビクともしてなかったのを再生されているとはいえ、破壊しているのだから、 やはり凄いと言わざるを得ないだろう。事実、ゴーレムに再生能力が無ければ、既に跡形も無いはずだ。 しかし、ルイズにはそんな事はどうでもよかった。とにかく、何が何でもゴーレムを倒し、フーケを捕まえなければならない。 …それが、姫様に迷惑を掛けてしまった自分に出来る、唯一の謝罪なのだから。 では、今どうすればいい?…悩むルイズはふと”あれ”の事を思い出し、キュルケに訊いた。 「キュルケ、”あれ”、”あれ”はどうしたの?」 「”あれ”…って何よ?」 「『破壊の箱』よ、見つかったの?」 「『破壊の箱』?…ええ、それだったらタバサが――」 それを聞くが早いか、ルイズは立ち上がるとタバサに駆け寄る。 「タバサ、『破壊の箱』を!」 ルイズの意図を察し、タバサは杖を振り、シルフィードの背鰭に乗せていた『破壊の箱』を手元に引き寄せる。 それを見たルイズは眉を顰める。見た目は赤い箱のようだが、蓋のようなものが無いのだ。 何処をどうすれば開ける事が出来るのか皆目見当が付かない。しかし、今の現状を打開できるのはこれ以外に無い。 「もう、どうすれば開くの!と言うよりも、これ本当に箱なの!?」 「ウルせェな…あのガキ――」 そう言って振り向いたジャンガは怒鳴りつけようとして――目を見開いた。 ルイズがイライラしながら弄っている物は赤い箱のような形をしている。 間違いなく、あれが『破壊の箱』だろうと直感し――同時に驚いた。 「あれは…」 だが、直ぐに口元に笑みを浮かべ、ルイズの所へ向かって走った。 駆け寄ってきたジャンガにルイズ達は顔を向ける。 「な、何よ?」 「キキキ、ありがてェ。これなら、楽勝じゃねェかよ!?」 言いながらルイズ達から『破壊の箱』を奪い取る。 彼女達の抗議の声が聞こえたが無視。『破壊の箱』を使用できる状態にする為、あれこれ操作をする。 安全装置を解除し、収まっていたグリップを引き出すと、箱の片方の断面がブラインドのように開き、発射口が露になる。 その一連の光景をルイズ達はただ、呆然と見ているしかなかった。 グリップを握り、肩に『破壊の箱』をかけ、発射口をゴーレムに向ける。 「キキキ、目に物見せてやるゼ」 笑いながら引き金に爪を掛け…… ――だから私…絶対に逃げたりしたくないの…―― ――どうしようもなくても逃げたくない…引きたくないって事もあるの―― ――脳裏を過ぎった桃色髪の二人の少女の顔に、引き金を引こうとした爪が止まった。
む、ここでフラッシュバックか!? 支援!
52 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 04:52:58 ID:RfGN35fJ
「チッ…」 舌打ちをする。引き金を引けばそれですむ…、だがそれを何故か出来ない…躊躇ってしまう。 徐に後ろのルイズを振り返る。唐突にこちらを見たジャンガにルイズは一瞬怯む。 「な、何よ?」 「……」 ジャンガは無言のまま、肩にかけていた『破壊の箱』を下ろすと、ルイズに向かって差し出した。 突然の事にルイズは怪訝な表情でジャンガを見る。と、ジャンガが口を開く。 「…テメェがやれ」 「え?」 言われた事が理解できず、間の抜けた声が口から漏れる。 「テメェ…『悪夢』じゃないんだろ?だったら、それを証明してみやがれ。それを撃ってな…」 「う、撃つ?」 「ああ、それはまァ…言ってみれば銃のデカイやつだ。…そう思え」 「銃!?これが!?」 ルイズは目を見開き、正に仰天といった表情で『破壊の箱』を見る。 「そこの引き金を引けば、その穴から弾が出る…、威力抜群なやつがな。そいつをあのゴーレムに撃ち込んでやれ」 「そ、そんなの…貴方がやればいいじゃない!?何で私に…」 「…いいからやれ」 そう言ったジャンガの顔にはいつもの嘲りの色は無い。 そんな彼の言葉にルイズは静かに頷いた。 「よし…、俺があいつに一発食らわせる。そうしたら、その『破壊の箱』をぶっ放せ。 ――あんな木偶位倒して見せろよな。『悪夢』や『疫病神』じゃないならよ〜?」 「当然よ!!!」 叫びルイズはジャンガが先程やっていたように『破壊の箱』を肩にかけ、グリップを握り、発射口をゴーレムに向ける。 「キキキ…上出来だ!」 叫び、ジャンガは駆け出した。 駆けながら例の三体の分身を生み出す。 目にも留まらぬ動きでゴーレムに駆け寄る。 一斉に爪を振り翳し、ゴーレムと擦れ違いざまに切り付ける。 無数の切り傷が胸に走り、ゴーレムは怯んだ。 その瞬間、ルイズは『破壊の箱』の引き金を引いた。 大きな音がし、白煙を引きながら四発の小型ミサイルが飛ぶ。 四発の小型ミサイルがゴーレムの身体に吸い込まれる。 直後、巻き起こった大爆発にゴーレムは粉々に砕け散った。
53 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 04:56:09 ID:RfGN35fJ
粉々になったゴーレムの破片が降り注ぎ、小山のように積みあがる。 そんな中、撃ったルイズはおろか…その様子を見守っていた、タバサとキュルケ(と、シルフィード)も驚きを隠せなかった。 「何よ……これ、銃なんて比べ物にならないじゃない…」 呆然としながら、思わず落としてしまった『破壊の箱』を見ながら呟く。 今の大爆発はトライアングル…いや、下手をすればスクウェアクラスの炎の魔法に匹敵、或いは凌駕するかもしれない。 それほどまでに、今の大爆発の威力は圧倒的だった。 呆然とするルイズ達の所にジャンガが歩いてきた。三人は一斉に彼を見る。 「キキキ、やりゃ出来るみたいだな……正直、以外だぜ」 「ふ、ふん!こ、これぐらい…と、当然でしょ!」 まだショックから立ち直れていないルイズだったが、ジャンガの言葉に胸を張り、精一杯の虚勢を張って答える。 と、ゴーレムの残骸である土の小山を見ていたタバサが口を開く。 「フーケはどこ?」 その言葉にルイズとキュルケは顔を見合わせ、ジャンガは帽子を押さえながら舌打ちをする。 その時、ルイズの傍らに落ちていた『破壊の箱』を誰かが拾い上げた。 辺りの偵察に出ていたミス・ロングビルだった。 「ふふ、ご苦労様」 ミス・ロングビルは微笑みながらそう言い、拾い上げた『破壊の箱』を見つめる。 「ミス・ロングビル…今まで何処に?」 ルイズの問いかけには答えずミス・ロングビルは、すっとその場から遠のくと、四人に『破壊の箱』を突きつけた。 「何を!?」 「動かないで!『破壊の箱』はピッタリあなた達を狙ってるわよ?」 「ミス・ロングビル…貴方は?」 キュルケの言葉にミス・ロングビルは『破壊の箱』を構えたまま、後ろで纏めていた髪を下ろし、眼鏡を外す。 その目付きが猛禽類を思わせる、鋭い物に代わった。 「さっきのゴーレムを操っていたのは私…、『土くれ』のフーケよ」 自らの正体を明かしたフーケに、ジャンガを覗いた三人は目を見開く。 フーケは『破壊の箱』を構えながら叫んだ。 「全員杖を遠くへ投げなさい!」 悔しそうに唇を噛み締めつつも、言われたとおりに三人は杖を放り投げる。 「使い魔の貴方は、その背負った剣と両手に付けた爪を外してもらおうかしら?」 「あ〜…そりゃ無理だな」 「どういう意味かしら?」 「剣はいいんだがよ…」 言いながらデルフリンガーを鞘ごと地面に下ろす。そして袖を捲くってみせた。 「爪は無理だな…。――どうだ?」 袖が捲くられて露になった右手。…それは奇妙な物ではあった。 指と思しき物が無く、代わりに爪が直接手から生えているのだ。爪が指の代わりに生えている種族など、ルイズ達は知らない。 もっとも、ルイズは彼を召喚して間もない頃に看護した時、シエスタと共に彼の手を見ているので驚きはしなかったが。 「この爪は俺の身体の一部なんでな…外す事なんか無理なんだよ、キキキ」 『破壊の箱』を突きつけられているにも拘らず、ジャンガは余裕の表情で笑う。 「変わった手を持ってるね?私のゴーレム相手にも引けをとらない強さを持ってるし…、まさに”化物”じゃないさ」 ――何だこれは!?―― ――まぁ…気色悪い―― ――やーい、やーい、ばけもの、ばけもの!―― ギリッ、奥歯を噛み締める音が響く。
うわっ… おマチさんそれ禁句 死亡フラグか? 支援
55 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 05:00:17 ID:RfGN35fJ
「まぁ、別にいいけどね」 「どうして!?」 ジャンガを鼻で笑うフーケにルイズが叫んだ。 「そうだね……ちゃんと説明してあげた方が、悩み無く楽に死ねるだろうしね」 そう言い、フーケは妖艶な笑みを浮かべる。 「この『破壊の箱』…盗んだはいいけど、使い方がまるで解らなかったからね。 魔法学院の誰かを連れてくれば、きっと旨い事使ってくれると思ったのさ。 まぁ、教師じゃなくて生徒だったのは予定外だったけどね…」 「それで…」 「私達の誰も知らなかった場合、どうするつもりだったの!?」 「その時はゴーレムで全員踏み潰して、代わりに誰かを連れてくるだけよ。 まぁ、そこの亜人の使い魔君がちゃんと教えてくれたからね、感謝してるわ」 「……」 ジャンガは答えない。 「ふん、まぁいいさ。じゃあ、短い間だったけれど楽しかったわ。向こうへ行っても元気でね…、さようなら」 そう言ってフーケは引き金を引いた。――何も起こらなかった。 慌ててフーケは再度引き金を引く。やはり何も起こらない。 「どうして!?」 「単発式の使い捨てだからな…」 俯いたジャンガの静かな声がフーケの耳に届く。その声にジャンガへと向き直る。 「単発式だって?」 「ああ…一発撃ったらそれでおしまいさ。キ、キキキ…」 最後の方の笑いにルイズは妙な感覚を覚えた。 (何、今の?) ジャンガは静かに言葉を続ける。 「それによ…同じ盗むんだったら――」 「くっ!」 フーケは『破壊の箱』を投げ捨て、杖を握ろうとする。 「こーゆー、役に立つ物を盗むんだったな!!!」 BANG!!! ”銃声”が響き、フーケの身体が宙を舞った。
56 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 05:03:21 ID:RfGN35fJ
背中から地面に倒れたフーケは、右肩から大量の血を流している。 「あ、が…」 突然の事に、フーケもルイズ達も呆然とするしかなかった。ルイズは徐にジャンガを見る。 笑みすら浮かべていないジャンガのその手には、紅い色の大型の”銃”のような物が握られていた。 ジャンガは未だ硝煙が立ち上る銃を下げ、フーケの方へと歩み寄る。 「ハン!盗人風情が粋がってるんじゃねェよ!大人しくしてりゃ、好き勝手言いやがってよ…あン!!?」 BANG! BANG!! BANG!!! 立て続けに三発…、左肩、右太股、左太股へと弾が撃ち込まれる。 「ああああああ!!!?」 激痛に悲鳴を上げるフーケ。その口を塞ぐ様にジャンガは足を振り下ろす。 「あぶっ!?」 「ウルせェよ……クソアマが。…不愉快な事を思い出させてくれやがって」 何時の間にか、ジャンガは四人に増えていた。それが示すのは―― 「テメェにも地獄見せてやるよ」 問答無用、情け容赦の無い袋叩きが開始され、三分と経たずにフーケはボロボロの半死半生の状態にされる。 血みどろになり、僅かに呼吸音が聞こえるだけのフーケを見下ろしながら、ジャンガは手にした銃を向ける。 「向こうへの道先案内、ご苦労さん……だがよ」 両目を見開き叫ぶ。 「地獄の果てには一人で行きなァァァァァーーーーー!!!」 ZBAAAAAAAAAAAAAN!!! 銃声が響き渡った。 「…何の真似だ、テメェ?」 ジャンガは目だけを動かし、腕にしがみ付くルイズを睨みつける。 銃から撃たれた弾丸は、フーケの眉間ではなく…彼女の頭の数サント横の地面に減り込んでいた。 撃たれる瞬間、ルイズがジャンガの腕にしがみ付き、無理矢理に銃口の向きを変えたのだ。 「こいつは盗人で、テメェの事も殺しかけたんだゼ?…何で庇うんだよ!?」 「私達は『破壊の箱』の奪還とフーケを捕まえる為に来たの!殺しに来たんじゃないわ!」 「ハンッ、奇麗事を言うんじゃねェよ!」 「フーケは学院に連れて帰るわ、解った?」 「……」 「……」 暫し、二人はお互いに睨み合った。 やがて、ジャンガは舌打ちをして銃を懐へとしまい、踵を返した。 「何処へ行くのよ?」 「…帰るに決まってるんだろうが?」 その言葉が終わると同時に、ジャンガの姿はその場から消え去った。 その後、ルイズ達は半死半生のフーケと『破壊の箱』と共に学院へと帰還した。 『破壊の箱』は再び宝物庫へと収まり、フーケもまた最低限の応急処置を施されて城の衛士に引き渡された。 三人には王宮からの褒美として、ルイズとキュルケには『シュヴァリエ』の爵位が送られる事となり、 既に『シュヴァリエ』の爵位を持っているタバサには精霊勲章が授与される事になった。
57 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 05:07:20 ID:RfGN35fJ
喜ぶ三人が出て行った後、学院長質を訪れた者があった。…ジャンガだ。 「ちィとばかり、テメェに聞きたい事があってな…」 「何だね?」 オスマン氏の目の前の机の上に、懐から取り出した例の紅い銃を置いた。 それを見てコルベールが驚きに目を見開く。 「そ、それは、『紅の巨銃』ではないか!?」 「ほゥ?そんな風に呼ばれてるのか…、まァいい。まず聞きたいのは、こいつとあの『破壊の箱』の事なんだがよ…」 ジャンガは『紅の巨銃』=大型のハンドライフルを指し示し、オスマン氏に聞く。 「まず言うが…俺はここの世界の出身じゃ無ェ。こことは違う、別の世界の住人だ。 そして、こいつと『破壊の箱』は俺の世界の武器だ」 「それは本当かね?」 「嘘吐いてどうするよ?大体、こんな物がこの世界に存在してるのかよ?」 オスマン氏やコルベールは暫し考え、首を横に振る。 「だろうが?俺はあのルイズ嬢ちゃんの『召喚』で呼ばれたんだよ」 「なるほどのう…」 「こいつやあの『破壊の箱』…『ミサイルポッド』って言うんだがよ、どこで手に入れたんだ?」 「…『破壊の箱』は、ある亜人の形見なんじゃ」 そう言ってオスマン氏は遠い目をした。 「もう…三十年ほど昔かの…、森を散策していた私はワイバーンに襲われた。 その窮地を救ってくれたのが、私の命の恩人である亜人だった。 彼は『破壊の箱』とは別の…筒のような物でワイバーンを簡単に吹き飛ばすと、バッタリと倒れたのじゃ。 その亜人は見慣れない格好をしており、更に酷い怪我を負っておった。私は彼を連れて帰り、手厚く看護したのだが…」 「くたばったか…」 オスマン氏は寂しげに頷く。 「結局、彼が何処から来たのか…どのような種族かは解らなかった。 私は彼がワイバーンを倒すのに使った筒のような物を彼と共に墓に埋め、残った『破壊の箱』を王宮に献上したのじゃ」 オスマン氏の話を聞きながらジャンガは考えた。 三十年前とすれば、まだボルクが今ほど治安が安定しておらず、あちこちでゲリラ活動や内戦などが頻発していた時期だ。 そして、あのミサイルポッドは三十年前辺りまで使われていた使い捨てタイプだ。…時期はあっている。 おそらく、ワイバーンを倒したのに使ったと言うのは、筒のような形状から察するにバズーカの類だろう。 「こいつはどうした?これもその亜人が持っていたとか言うのか?」 ハンドライフルをオスマン氏に見せて尋ねると、オスマン氏は首を振る。 「それは違う。それはあるメイジが召喚の実験中に偶然に召喚した物でな…」 「ほゥ?」 そう言えば…”あいつ”は”今使っているのは二丁めだ”とか言っていた。…なら、これも間違いない。 「で、最後だが…」 そう言って、ジャンガは袖を捲くる。露になった左手を差し出し手の甲のルーンを見せる。 「こいつだ。このルーン…知ってるか?」 「このルーンか…知っておるよ。ガンダールヴのルーンじゃ」 「ガンダールヴ?」 「伝説の使い魔、神の左手ガンダールヴ……ありとあらゆる武器を使いこなす事ができたそうじゃ」 「武器を?」 確か、最初に身体が軽くなった時、あの気障ガキを痛めつけた時、自分は武器など持っていなかった。 …ならば、このルーンは自分の毒の爪を”武器と認識している”のだろうか? だとすれば、何も持たなくてもルーンの力が働いたのは説明が付く。 「フン、なるほどねェ。…どうして、俺なんかがそんな大層な使い魔なんかになったんだ?」 「解らん…解らん事だらけじゃ」 オスマン氏はため息を吐いた。 ジャンガは詰まらなさそうに鼻を鳴らすと、ハンドライフルを懐にしまう。 「こいつは、俺の向こうでの知り合いの物だ。…俺が持っていても問題無ェよな?」 「…いいだろう」 「キキ…そうかい?必要な事も聞けたし、もう俺は行くゼ」 それで話はお終いとばかりに、ジャンガは部屋を出て行った。
58 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 05:10:45 ID:RfGN35fJ
――その夜… アルヴィーズの食堂の上の階にあるホールで、祝賀際が開かれた。 キュルケもタバサも着飾り、それぞれ楽しくパーティーを満喫しているようだ。 「まァ、俺には関係無ェがな」 「相棒も楽しんでくればいいのによ?」 「…今ここで圧し折られたいか?」 「ごめん、黙る。だから勘弁してくれ」 言いながらデルフリンガーは鞘の中に引っ込んだ。 ジャンガは鼻を鳴らし、シエスタが持ってきたワインをラッパ飲みする。 「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな〜〜〜り〜〜!」 呼び出しの衛士の到着を告げる声が響き、ルイズがホールへの階段を上ってきた。 姿を現したルイズにジャンガは思わず「ほゥ?」と言葉を洩らす。 桃色の髪をバレッタに纏め、肘まで隠れる白い手袋と胸元の開いた白いパーティードレスに身を包んでいるその姿は、 宝石のような輝きを持っており、そこらの女なんぞ相手にならないような美貌を放っている。 そんなルイズの美しさに見事にやられたのか、散々『ゼロのルイズ』などとからかっていた連中が、 次から次へとルイズにダンスの申し込みをしてきた。 「…くだらねェ」とその様子を見ていたジャンガは呆れながら呟く。 ルイズはダンスを申し込んできた男子生徒の誘いを尽く断り、ジャンガの所へとやって来た。 「何してるのよ、こんな所で?」 「あン?別に何をしてようがテメェには関係無ェだろうが…」 そう言って再びワインをラッパ飲みする。 一気に飲み干し、息を吐く。と、照明が少し落とされ、音楽が流れ始めた。 大勢の生徒のカップルが音楽に合わせてホールで踊り始める。 「おい、始まったゼ?行かねェのかよ?」 「相手がいないのよ…」 ルイズは両手を広げてみせる。 「テメェが断ったんじゃねェかよ……ん?」 見ればルイズは自分に向かって手を差し出している。…と言う事は、 「オイ、何の冗談だ?」 「…冗談でやる訳無いでしょ。…踊ってあげても良いって言ってるのよ」 「…とうとう壊れたか?」 「っ!……も、勿論、今日だけよ!今日だけの特別なんだから!」 そう言って、ルイズはドレスの裾を恭しく両手で持ち上げ、自分が決めたダンスパートナーに一礼する。 「私と一曲踊ってくださいませんか、ジェントルマン」 「……後悔すんなよ?」 ジャンガは左の爪を差し出す。ルイズはその爪を取り、ホールへと進んだ。 ルイズはジャンガの爪を軽く握り、向き合った。 「あんたは踊りなんてした事無いでしょうから、私に合わせ――」 「テメェが合わせろ」 「え?」 ルイズが驚く間も無く、ジャンガは右の腕をルイズの背中に回し、踊りだした。
59 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 05:13:23 ID:RfGN35fJ
その優雅さにルイズは驚きで頭がいっぱいだった。 「あ、あんた…こんな優雅な踊りが出来たの?」 「…まァな…」 「驚いた……ダンスなんて興味無さそうなのに」 「昔、ちょっとな…」 ――そこで、ステップを踏んで―― ――おい、俺は別に踊りなんざ―― ――うん…ジャンガ、やっぱり筋が良いよ。続ければ、プロのダンサーになれるかも…―― ――勘弁してくれ…。俺は踊りなんかには興味が無ェんだよ?―― ――いやだ〜。私が踊っていたいの〜♪―― ――ハァ〜…―― 「……」 ぼんやりと遠く見つめるジャンガにルイズは小さく呟いた。 「ありがとう」 「…ン?」 「今日はあんたのお陰で助かったわ……本当に感謝しているから」 「俺はテメェを助けようなんざ――」 「解ってる!…それでもよ」 ジャンガの言葉を遮って叫ぶルイズ。その様子にジャンガも口を閉じた。 暫く静かに踊っていると、ルイズの方から話を切り出した。 「ねぇ…聞いてもいい?」 「あン、何がだ?」 「…その、マフラーの事」 ルイズはバツが悪そうにマフラーの色が変わっている所を見る。 ジャンガは暫く黙っていたが、やがて口を開いた。 「別に何も無ェ…ただのお気に入りだってだけだ…」 「そう…」 ルイズは寂しそうに俯いた。 「でも、いつかお詫びで、あんたに何かしてあげるわ。…このダンスだけじゃなんにもならないし、 第一…あんたは別に踊れるだけってだけで、踊りそのものには興味無いでしょうし…」 「いや…」 「え?」 ルイズは顔を上げる。ジャンガがいつものニヤニヤ笑いを浮かべているのが見えた…が、何故か不快な感じはしない。 「偶にはこんなのも悪くは無ェかもな…キキキ」 「そう…」 ルイズははにかむ様な笑みを浮かべた。 そんな踊る主人と使い魔を見ながら、デルフリンガーは呟いた。 「いやいや、おでれーた。主人のダンスの相手を務める使い魔なんざ始めて見たんでおでれーたが…、 相棒のようなのがダンスを踊れるってのは、もっとおでれーた!こりゃおでれーた!」 そんなデルフリンガーのちゃちゃも音楽に混ざって聞こえず、主人と使い魔は踊り続けた。
60 :
毒の爪の使い魔 :2008/10/22(水) 05:17:07 ID:RfGN35fJ
以上で投下終了です。やたらと量が多くなりました今回。 ルイズとジャンガ、この二人の立ち回りや台詞にすんごく悩みました。 まぁ、なんとか形に出来てよかったです。 ジャンガがデルフを使ってゴーレムを砕くのは声優繋がりで、 某勇者王の初期のハンマーをイメージしました(デルフが釘、ジャンガの蹴りがハンマー)。 あと、今回フーケとの絡み部分はヒーローズのボルクでのイベントをイメージしてます。 では、今回も成分グラフを。 ジャンガの成分 欲望(50%): マフラー(10%): ジョーカー(10%): タバサ(10.5%): ルイズ(10%): 根性だけは認めてやる事にした。だが、まだガキに毛が生えた程度。 シエスタ(9.4%):懐かれて困る。だが、意外と最近は慣れてきた気が…。 ???(0.1%):まだまだヒミツ。 では、今回はこれで。アディオ〜ス♪
乙乙 次回も楽しみしてます
投下乙でした〜 ジャンガも少し丸くなってきたような…? ルイズだけでなくタバサとも縁を増やして欲しいとこですな
乙。 原作知らんけど面白いなぁ いつも過去回想シーンばっかり気になるw
乙。オリジナル設定が続くがファンとしても問題ないぜ。
遅ればせながら乙ー。 ジャンガ格好良いなぁw。 ルイズがドラゴンや怪獣を召喚するのはいくつかあったけどどれも爬虫類系だったよな?モンスターハンターのも含めて。 哺乳類系巨大生物を召喚したのって何かあったかな…ケイオスウォーマンモスみたいなヤツとか
>哺乳類系巨大生物 とらが一応哺乳類系かなあ? 白面も元がキツネだから哺乳類系で召喚されている(うしおととら、どろろ) 個人的には日活唯一の怪獣、ガッパが見たい(あれは鳥類?) ルイズが子ガッパを召喚して親ガッパが子供を取り返しに聖地からハルケギニアを強襲する話希望!
ギロンは哺乳類なのか爬虫類なのかそれ以外なのか あ、誰かマンモスマン召喚書かんかな アレ哺乳類だよな、多分
>>28 周りのモンスター巻き込んで、
ジェノサイダーがジェノサバイバーになってた。
>>68 ヴァジュラに目覚めてジェノサイバーになるよかマシだろ
・・・知ってる奴いるかな?
手塚作品ならレオ召喚が見たいが ハルケギニアには虎が生息しているのは判明したがライオンはどうなんだろ? アルビオン王家の紋章は果たして獅子が描かれているんだろうか? レオを召喚して不思議な喋る白ライオンと思うか 見たことが無い幻獣と思うか否や 召喚者は人造肉つながりで外伝のリュリュとか しかし人造肉ばかり肉食獣が食べた草食獣が増えすぎて…って子供心に思ったが ラストは聖地探検に行ったゲルマニア、ガリア探検隊が寒さで全滅 ただ一人生き残ったリュリュに自分を食べさせてエンド?
手塚作品・・・・・アトムはメンテが難儀(真空管とかエネルギーとか)だしメルモとか呼んでも意味無いし 「やけっぱちのマリア」のマリアも無意味 サンダーマスクとかマグマ大使一家とか・・・・・・・ やっぱ間黒男かな? 「B.J!おねがい!ちいねえさまを助けて!」 「報酬は・・・・こんなモンでどうだい?払うつもりはあるかい?」 「・・・・・・・・・・・・・・いいわ、上等よ。一生かけても払ってやる! 父さまや母さまに頼らず、このアタシがね!」 「ふっ いいだろう 特別サービスだ、大まけにまけてやるよ」 こんなカンジ?
>>71 「術式開始…!!」
「くっ!!脈が弱くなっている!!強心剤を……」
「…………何それ?」
「え?無いの?」
『ピーーーー』
「ちぃねえさまあああああっ!!!!」
新たな悲劇が生まれるな
ミカヤの人ドモンの人レナスの人クロードの人カービィの人ー! 最近見ないけど俺はいつまでも待ってるよー!
カ−ビィの人は夏休み限定なので、来年まで楽しみに待ちましょう。
マジッすか!?(゚Д゚;) ええい、待っててやろうではないか!Wiiカービィ発売に比べたら早かろう!……多分
哺乳類ならサンダとか、間違えてガイラを呼んだら悲惨だが。 ところで見た限りじゃ、けっこう進んだssでもジュリオとかロマリア組がはぶられてるのが多いんだが嫌われてるのか? 逆にジョゼフやイザベラ、ガリア組はかなり序盤でも登場率高いし。
代理投下参ります 宜しいですか 177 :ゼロの社長 13:2008/10/22(水) 12:43:53 ID:zts.id06 またもアクセス規制に巻き込まれたため、本スレに書き込めないです。 代理投下お願いします。
投下行きます ---- 上空3000メイル。 見下ろせば世界がとても小さくなるような高さのこの空中に2匹のドラゴンが舞っていた。 2匹とも背中にそれぞれの主を乗せ、目的地へと向かって風を切り飛んでいた。 普段ならば、シルフィードは無口な主人に対して楽しげな言葉を放つものだが、今日に限ってはやけに静かだった。 と、いうのも、主人であるタバサはいつもどおり黙々と本を読んでいるが、 隣にいる海馬瀬人もが沈黙を守っているため、なにやら口を開いてはいけないような気まずい空気が流れていた。 こうなると普段は気にならない周りの風も、妙に冷たく感じるから不思議である。 何か喋りだすきっかけを探そうと、うずうずしながら海馬とタバサに視線を移すも、その微妙な空気に口を開けずにいた。 「そっ、そうなのね!確か貴方はこの間ギーシュ様と決闘をした人なのね!」 「……」 無言の返答。取り付く島も無い。 だが、シルフィードは、この嫌な空気を脱するために、何とか次の言葉を繋げる。 「最初のドラゴンもかっこよかったけど、やっぱりその白いドラゴンは凄いのね! シルフィびっくりしたのね!きゅいきゅい!」 「……」 再び無言の返答。 沈黙に耐えられなくなったシルフィードは、大声でわめきだした。 「もーいやなの!シルフィこんなくらーい雰囲気嫌い!お姉さまもお姉さまよ! いつもの事だけどじーっと本ばっかり読んでないで、たまには自主的にお話に加わるべきなのね!きゅいきゅい!」 「五月蝿いぞ、お喋り竜。ドラゴンならドラゴンらしくもっと知的に寡黙に振舞ったらどうだ。 口が軽いと頭が悪く見えるぞ。」 口を開いたかと思えばこの調子である。 「お、お喋り竜じゃないのね!シルフィは風 韻 竜 ! ただのドラゴンと違って、高い知性と高度な魔法を使い、人間の言葉も喋れる古代種なのね!褒め称えるのね!大喝采なのね! そのシルフィを捕まえて頭が悪いとはなんと言う言い草なのね!」
支援ドラゴン
「そこは間違ってない。」 ボソッと的確に突っ込みを入れるタバサ。 「お姉さままでひどいのね!ぐれてやるのね!」 「そんなことよりもだ。」 自分の事をそんなこと呼ばわりされて、きゅいきゅい怒鳴っているシルフィードをよそに、海馬は続けた。 「吸血鬼退治といったが、そもそも吸血鬼とはどういうものだ? 俺は実際に目にしたことが無いから伝承程度しか知らん。 血を吸う人間の形をした化物で、太陽の光と十字架とニンニクに弱い…そんなところか。」 「吸血鬼も知らないような人間が、よくもシルフィを頭悪いとか言えたのね! 第一、吸血鬼には太陽の光以外の弱点なんか無いのね! ニンニクなんかで倒せるなら、わざわざお姉さまが出張るような事じゃないのね! ってお姉さま!?」 シルフィードは驚愕した。いや、それは海馬も一緒だった。 タバサがすっと立ち上がると、シルフィードの背中からジャンプしてブルーアイズの背中へと飛び移ったのだ。 そして、さっきまで読んでいた本を海馬へと差し出した。 「大まかな事はこれに載ってる。読んでおいて。」 そういうとタバサはまたジャンプしてシルフィードの背中に戻った。 そして、どこに隠し持っていたのか、別の本を取り出し読み始めた。 「危ないのねお姉さま!いきなりあんな事して落っこちでもしたらどうするのね!」 「……」 必死なシルフィードの言葉も右から左へ流し、タバサは本へと視点を固定した。 海馬は、受け取った本のタイトルを確認した。 コルベールから文字を習っておいたとはいえ、2日で他国…どころか他世界の の文字を読めるようになるのは、 幼少期からの英才教育による知能の高さゆえであろうか。 本のタイトルは、『ハルキゲニアの多種多様な吸血鬼について』 なるほど、今回の相手を知るのにこれほど間違いの無い本も無いだろう。
所変わってこちらはアルヴィーズの食堂。 海馬がタバサと共に空のかなたへと旅立ってからそんなに経っていないものの、 海馬に置いてけぼりにされてしまったルイズは、とりあえず食堂に来ていた。 海馬を追いかけようにも、目的地はわからない上に、たとえわかっても馬ではブルーアイズには追いつけないだろう。 途方にくれているルイズに、後ろから声がした。 「あら?ルイズ。今日はセトは一緒じゃないの?」 声の主は、赤く美しい髪をなびかせたキュルケであった。 「うるさいわねぇ…。今朝早くからブルーアイズに乗ってどっかにいっちゃったわよ。 全く…ご主人様をほっぽり出してどこにいったのやら。」 「なに?逃げられたの!?」 「違うわよ!!!ちょっと出かけてるだけよ!!」 ものすごい大声で怒鳴られたキュルケだが、もう慣れたのかどうということも無く、言葉を続けた。 「そういえば、タバサもどっか行っちゃったのよねぇ。あの子、気づいたらふらっとどっか行っちゃうし。 もしかして、セトといっしょにデートだったりして?」 「冗談。あのタバサとセトよ?どう考えたって一緒に出かける要素がないわ。」 「全くね。あの二人が会話してる図が想像できないわ。」 けらけらと笑いながら、キュルケはルイズの傍を離れた。 (…あれ?でもあの時『2匹』ドラゴンが飛んでたような…?もしかしてあれタバサの使い魔の風竜? まさか。さっきも言った通りタバサとセトが一緒なんてありえないわ) とりあえず何も解決していないが一通り納得がいった様で、手元にあった飲み物に口をつけるルイズ。 だが、その後も度々 「あれ?セトは一緒じゃないのかい?」 と、ギーシュが。 「あれ?海馬君とは一緒じゃないのかい?」 と、コルベールが。 「あの、瀬人さんは今日はご一緒じゃないのですか?」 と、シエスタが。 同じような事を繰り返しているうちに、ルイズの怒りは頂点に達していた。 「セト…私に何も言わず勝手にいなくなるなんて…帰って来たら絶対に許さないんだからー!!!」 オシリスのサンダーフォースのようなの怒りの雷が、帰ってきた海馬に降り注ぐのは、もはや確定のようだ。
ハルキゲニアでの『吸血鬼』とは、人間の血を吸う怪物、『妖魔』と分類される生命体である。 外見は人間と全く変わらず、牙も血を吸うとき以外は隠しておける。 その上魔法でも正体を暴くことはできず、その狡猾さとあいまって最悪の妖魔と称されるのであった。 人間よりも強い力と生命力を持ち、先住魔法をも扱う。 弱点は太陽の光のみと、厄介この上ない生き物である。 現実世界では、昔話など本や映画の中にしかいない伝説上の存在だが、このハルキゲニアには普通に存在する。 そして、今回その吸血鬼が存在する舞台となるのは、ガリア首都リュティスより南東に500リーグほどにある片田舎の村。 このサビエラ村に吸血鬼の被害者が出たのは、2ヶ月ほど前であった。 森の入口で死体となった12歳の少女をはじまりに、1週間おき程度に1人、犠牲者が増えていった。 現在の被害者は計9名。 いずれも全身から血を吸い取られ、その首筋には吸血鬼に襲われた証である牙の跡があったのだった。 そして、その中にはガリア正騎士も混ざっていた。 トライアングルメイジの火の使い手である彼もまた、タバサと同じように命を受け、吸血鬼退治へと向かい、 3日後その怨敵に血を吸われ枯れ枝のように喰い捨てられていた。 そして、今海馬たちが降り立っている森こそが、最初の被害者が出たという、サビエラ村より少し離れた森であった。 ハルキゲニアでの『吸血鬼』とは、人間の血を吸う怪物、『妖魔』と分類される生命体である。 外見は人間と全く変わらず、牙も血を吸うとき以外は隠しておける。 その上魔法でも正体を暴くことはできず、その狡猾さとあいまって最悪の妖魔と称されるのであった。 人間よりも強い力と生命力を持ち、先住魔法をも扱う。 弱点は太陽の光のみと、厄介この上ない生き物である。 現実世界では、昔話など本や映画の中にしかいない伝説上の存在だが、このハルキゲニアには普通に存在する。 そして、今回その吸血鬼が存在する舞台となるのは、ガリア首都リュティスより南東に500リーグほどにある片田舎の村。 このサビエラ村に吸血鬼の被害者が出たのは、2ヶ月ほど前であった。 森の入口で死体となった12歳の少女をはじまりに、1週間おき程度に1人、犠牲者が増えていった。 現在の被害者は計9名。 いずれも全身から血を吸い取られ、その首筋には吸血鬼に襲われた証である牙の跡があったのだった。 そして、その中にはガリア正騎士も混ざっていた。 トライアングルメイジの火の使い手である彼もまた、タバサと同じように命を受け、吸血鬼退治へと向かい、 3日後その怨敵に血を吸われ枯れ枝のように喰い捨てられていた。 そして、今海馬たちが降り立っている森こそが、最初の被害者が出たという、サビエラ村より少し離れた森であった。
「なるほど、吸血鬼の生態と事の顛末は理解した。で?どうやってあの村から吸血鬼を探し出すのだ?」 タバサはシルフィードの方へと向き直り、命令した。 「化けて」 首を左右に振りながら拒否するシルフィード。 「いやいや!」 「化けて」 「いやいや!」 何度か同じ問答が繰り返された後、しぶしぶシルフィードは呪文を口にした。 「むぅ〜…我を纏いし風よ。我の姿を変えよ。」 シルフィードの体を風が包み、青い渦が纏い、そして晴れたときには巨大な知るフィードの姿は消え、 替わりに20代くらいの青い髪の女がそこにいた。全裸で 「う〜〜〜〜やっぱりこの体嫌い!きゅいきゅい」 シルフィードは文句をいいながらも、準備運動に勤しんでいた。 子供のように走ったり飛んだり無邪気にそこらじゅうを動き回っていた。全裸で 「ほう…あれが風韻竜の魔法という奴か。がっ!何をする!」 走り回るシルフィードを興味深く眺めていた海馬の頭に、タバサの杖がヒットした。 「向こうを向いていて。」 言いたい事を察した海馬はシルフィードから視線を変え間逆を向いていた。 故に音声だけでお伝えします。
「なにこれ?」 「服」 「!?やだやだ、動きづらいから着たくない!きゅいきゅい!」 「人間は服を着る。」 「う〜…ごわごわするのね。」 「!?」 「お姉さま?どうかしたのね?」 「まちがえた。」 「きゅい?」 「しかたない。このままいく。」 とんとん、と海馬の肩を叩かれる。 「もういい。」 海馬が振り向くと、シルフィードは水色のローブを…ではなく、タバサと同じ魔法学院の制服を着ていた。 サイズが若干小さいのか、プリーツのついた白いシャツは、その大きい胸によって閉じれず、胸元が大きく開いている。 また、スカートの丈も若干短く激しく動けば、中身が見えてしまいそうである。 「で、その格好にどういう意味があると言うのだ?」 当初の予定では、タバサはシルフィードに「まさにメイジ!」といえるような格好をさせ、吸血鬼の油断を誘う作戦であった。 が、どこをどう間違ってしまったのか、もって来たのはサイズ違いの制服であった。 とりあえずタバサは当初の目的どおり、自分のマントをシルフィードに付け、杖をシルフィードに持たせてみた。 が、どうみてもちょっと発育のいい魔法学校の生徒にしか見えず、 騎士としてだますには若干無理があった。 タバサはマントと杖をシルフィードからマントと杖を戻すと、海馬をじっと見た。 海馬はその視線の意図を察し、その杖を奪い、マントを纏った。 「いいだろう。貴様の三文芝居に、俺の一役買ってやろう。」
終了です。 ゼロの社長 13:2008/10/22(水) 12:52:30 ID:zts.id06 13話完です。 何とか話が進んできた気がする。 なんか最近、書いてると社長が勝手に動いてくれる気がする。 代理投下よろしくお願いします。
カイバーマン?
相手の性能見れるこの社長なら芝居しなくても速攻吸血鬼発見できるんじゃね
そこは人としてつっこんじゃだめだろw
>>73 投下や他の話題で流れちまうこっちよりも、避難所の『全力でSS職人を応援するスレ』とかでした方が良いんんでない?
>>87 ちょっと前にタバサがどう表示されるかって話があったんだけど、
進化?だか強化だかで名前が変わるタイプのカードと同じで、
タバサがシャルロットと名乗るようになるとか、本名を社長が知ればシャルロットと表示されるんじゃね?
みたいな感じに落ち着いてたから、今回も正体を現す前は分からないんじゃね?
まぁ、作者さん以外が話してただけだったと思うから、違う設定が暖めてあるのかも知れんけどさ。
SSの内容には全く関係がないんだが、「意外」を「以外」と書いてる人がかなり多いような気がする。 …気にしてる俺が異端なのかな…。
>>91 良かったら、どの以外が意外であるべきなのか教えてくれ。
一つ前で使ったばかりだから、ちょっと不安になるw
>>91 多少気になるけど「は」を「わ」って書かれるよりは気にならないな
>>92 関係者以外立ち入り禁止、みたいな時は以外
予想が違ってた時とか思いもよらなかった時が意外
一応それは分かってるつもり。 違和感を感じたのが無かったから、具体的にどれが該当するのか聞きたかったのね。 確かに「は」と「わ」は気になる。
執筆中誤字のまま気が付かないことが稀によくあるらしい 以外、意外が代表例
単なる変換ミスじゃないのか? 誰が見たって混同するような漢字じゃないだろう
>>94 ああ、どの作品に間違いがあったかってことか。スマン勘違い
意外と以外でページ内検索してみるといいかも、結構出てくる
以外と意外は結構ベタな変換ミスなんだな。
>>97 こっちもちょっとよろしくない質問かと思ったので暈したのが悪かった。
だったら最初から聞くなって話だしな。
ちなみに
>>92 の時点でページ検索はしたんだけど、感想レスで一つあっただけだから聞いてみた。
とは言っても、見直すまではそのミスにも気づいてなかったんだけどさw
>>89 前々から聞こうかどうしようかと思ってたんだけど、俺の携帯からだと避難所行けないんだ……
ネタ投下とかもしてみたいと思ってるんだけど……どうすればいいのか教えてエロい人!
なんと、そんなことがあるのか。
ファイルシーク?とか使ってもダメっぽい?
>>99 おぉ、有った……
ページ検索しても気づかないとか我ながらダメ過ぎるなw
>>101 ハハハ、ですよねーやっぱり……orz
>>102 まずファイルシークってなんだろってレベルなモンで……
>>102 避難所は串規制してるみたいでファイルシーク通したら弾かれたよ@携帯閲覧者
あ、ファイルシーク通しての書き込みが弾かれたって書きたかった。 避難所閲覧だけなら問題ないんだ。
情報ありがとう、書き込み目的だからどっちにしろダメか。
>>103 避難所はダメだったけど、便利だから興味あったらググってみると良いよ。
皆さん色々ありがとう、自分でも色々調べてみます お騒がせしましたーノシ
>>19 の「お前の使い魔」を読んで気になったんだけど、ルイズがエルフを召喚したSSって
長編
『ゼロの使い魔―銀眼の戦士―』 「クレイモア」からイレーネ
『星界の使い魔』 「 星界の紋章」から ラフィール
『ゼロの天使』 「テイルズオブシンフォニア」から ミトス
『Bullet Servants』 「 Bullet Butlers」から リック・アロースミス
小ネタ
『ゼロを狩るモノたち』 「エルフを狩るモノたち」からセルシア
この5つで全部なの? あとはタバサが召喚した
『さあう"ぁんといろいろ』 「ウィザードリィ(コミック版)」 からリリス だけ?
このぐらいまで単純化できそうな気がする。 爆発召喚 キス契約 「ゼロ」の由来判明(教室で爆発) 使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦) デルフ購入 フーケ戦 舞踏会 最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち 爆発 平民プゲラ コルベール問答無用さっさと汁 キス契約 フライに唖然とする 説明はぁどこの田舎者? 何者であろうと今日からあんたは奴隷 二つの月にびっくり 洗濯シエスタと接触 キュロケフレイム顔見見せ みすぼらしい食事厨房でマルトー 教室で爆発片付け 昼食シエスタの手伝い香水イベント オスマンコルベール覗き見 ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w ルイズ寝取られの歴史を切々と語る 休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと この段階でフーケは絶対つかまらない 翌朝捜索隊保身に走る教師一同 教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ 小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない オスマンから褒章 舞踏会 終わり 途中飛ばすけど、 対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
今更だけど蒼の人おつです 更新のスピードに感動しています
社長の人GJ! タバサの制服を着たシルフィード、想像したら何かイメクラ嬢っぽくなった・・・。
>>107 他社はわからんが、ドコモなら携帯専ブラ「W2ch」で外部板登録すればいけるかもしれんよ?
>>112 そんなこと言うたら、キュルケなんぞ……、あれ? 背中の方が熱くなっt
携帯専ブラなんてものまであるのか。
>>98 僕は、魔方陣と魔法陣のほうが気になりますね。
これも結構よくある変換ミス……
>>95 いわんとすることは解るが、稀によくあってどうするよw
キュルケは娼h・・・(以降焼き尽くされ読む事ができない)
>>108 確かそのくらい。あと、イレーネは耳がとがってるだけでエルフとは違う。
というかそれ一通り読んだけれど知ってるキャラがイレーネとミトスしかいなかった・・・
ラフィールだってちがう
アバドン王発売記念にゴウトにゃんとライドウ召喚 されればいいな…… 仲魔は、二匹は切り札で、他はジャックフロストみたいな可愛い&調査専用で
ひっ、114と118が焼け氏んでる!
新造人間キャシャーン召喚
のつもりが間違ってキャシャリン召喚
>>120 忘れてた・・・
あと、リックとミトスはハーフエルフだったな。
いきなりですが、小ネタを投下しようと思います。 予約も無いようですし、かまいませんよね?
>123 鉄の悪魔を叩いて砕くやつにはデルいらんよな
支援
『風子、参上!』 トリステイン魔法学院恒例、二年生への進級試験を兼ねた使い魔召喚。それは神聖なる サモン・サーヴァントの儀式。 ハルケギニアのメイジなら必ず行い、運命に導かれた主従となるべき生物が召喚の門を 通ってやってくる儀式だ。それは、このトリステイン王国の魔法学院でも変わりはない。 ただ変わっていたのは、この儀式で最後に召喚を行っていたのは『ゼロ』の二つ名を持つ ルイズであった事。 ルイズは延々と召喚を失敗し続けた。何度も召喚魔法を唱えたが、使い魔となるべき生 物なんか現れない。ひたすら爆発が続くばかり。 既に召喚を終えて使い魔を従えた他の学生達がヤジを飛ばすのも飽き始めた頃、土煙の 中に影があった。 『どうやらお困りのご様子。ですが、この風子が来たからにはご安心を!』 その影は、人影だった。 ルイズは、目の前に召喚された存在が理解出来ない。 召喚の儀を取り仕切っていた教師コルベールは唖然呆然としてしまう。 それは、間違いなく人間。小柄なルイズと同じくらい小柄な少女。 長くて黒っぽい髪を揺らす、小さな三角帽を被った、ミニスカートの女の子。 使い魔はメイジが従える動物。人間は召喚されない。そんな記録は存在しない。 だが、間違いなく召喚されたのは、人間だったのだ。 『困った人を見過ごす事など出来ません。この風子、お姉ちゃんの結婚式に出てくれた人 達への恩返しのため、そして世のため人のためにやって参りました!』 周囲の生徒達は言葉を失った。 人間が召喚された事自体が異例なのだ。 しかも少女の格好は奇天烈の極みだ。木彫りの星形を右手に掲げ、白玉をてっぺんに付 けた緑と赤のストライプ模様な三角帽を被り、やたら上質そうなクリーム色の上着に紺色 のストッキングを履いている。長い髪を薄紫色の大きな可愛いリボンでまとめている。 聞いた事もない言語で、なにやら高らかに宣言しているのだ。 「見ろ、平民だ!しかも異国の女の子だぞ!」 「人間を召喚するなんて、さすがルイズ?」 「にしても、かなり良い服を着ているわ。メイジじゃなさそうだけど、ただの平民という わけでもなさそうね」 周囲の生徒達は、ある者はゼロのルイズが召喚を失敗したと囃し立てる。またある者は どこの国の女の子だろうと訝しむ。そしてまたある者は、これって使い魔を召喚した事に なるの?と首を捻った。 「ミ、ミスタ・コルベール!やり直しを、召喚のやり直しを要求します!」 しかしコルベールは、生徒の視線から気の毒そうに目をそらし、小声で答えた。 「それは出来ません、召喚の儀は神聖な儀式で、やり直しは―――」 「で、でも、人間が召喚されるなんて―――」
そんな周囲の人々のやりとりに、自分の世界に入って口上を叫んでいた風子はようやく 気が付いた。キョロキョロと周りの学生達、そして彼等の傍らに控える見た事もない動物 たちに。 『な、なんと!風子は外国に来てしまっていたのですね!?これは困りました。風子は高 校入学初日に事故で入院して以来、ずっと英語の授業を受けていないのです!これでは伝 説の競技、ヒトデヒートのルールを説明する事が出来ません』 そう言って、風子は必死に抗議するルイズと困り果てるコルベールの隣にトコトコと歩 み寄ってきた。 『というわけで、帰って良いですか?』 申し訳なさそうに、風子は二人へ申し出た。日本語で。 ルイズは、そんな少女をギロリと睨み付ける。 そして――― 「こ、これは使い魔の儀式なんだからね!だから、ノーカウントだからねッ!」 ぐわしっと風子の頭を左右から捕まえる。 『な!?何をするんですか!放してく』 ちゅっ ルイズは、風子の言葉を自分の唇で遮った。 風子の大きな目は更に大きく見開かれ、体が驚きのあまり硬直する。 周囲の男子生徒は、思いもかけぬ眼福に感激の歓声を上げてしまう。 ようやく我に返った風子が、服の右袖で唇を拭きながら思いっきり後ずさった。そして 突然ハルケギニア語を話し始めた。 「な、何と言う事をするんですか!いきなりこんな事をするなんて、あなたは悪人だった のですね!?…って、え!? 痛い、イタタタ!キャアッッ!!」 瞬間、風子は左手を押さえながら悲鳴を上げる。 自分の唇をハンカチで拭いていたルイズが冷たく言葉を投げかけた。 「使い魔のルーンが刻まれてるのよ。すぐ済むから安心なさい!まったく、なんで女の子 とキスなんか…」 そんな愚痴を言っている間に、風子の左手にルーン文字が浮き上がった。 「ふむ、珍しいルーンだな…」 と言ってコルベールはルーンのスケッチを取ろうと、左手を押さえてうずくまる風子に 近寄ろうとする。が、慌てて風子は二人から思いっきり跳びはねて、二人から距離を取っ た。 ちょっと転びそうになった風子は、二人をズビシッと指さす。 「なんて人達ですか!助けに来てあげた風子をいじめるなんて、信じられません!そんな 人達には、この風子のサイン入りヒトデはあげられません! さよならです!」 言うが早いか、風子は広場からトトトーと学院正門まで走っていく。そして門から外に 駆け出してしまった。 「あ!ちょっと待ちなさい!使い魔のクセに、勝手にどこへ…」 そう言ってルイズは慌てて風子と名乗った少女を追いかけて、学院の門を出た。 だが、そこには誰もいなかった。 ルイズは右を見る。 慌てて左も見る。 目をこらして遠くを見渡す。 だが、少女の姿は全く見えなかった。 ふと上を見ると、コルベールが宙に浮いていた。『フライ』で空から少女を捜している らしい。しばらくして、コルベールは地上のルイズへ向けて、すまなそうに首を横に振っ た。
魔法も使えないはずの女の子が、ついさっき学院の門をくぐったばかりのはずなのに、 完全に消えてしまった。何の痕跡も残さず、まるで最初からいなかったかのように。 「というわけで、坂上智代さん!」 風子は、夕暮れの桜並木を歩く生徒会長の前に立っていた。 「私をいじめた悪人を、懲らしめて下さい!」 「・・・はぃ?」 智代は困惑した。 この目の前の女の子は、いきなり何を言い出すんだろう。以前から町のあちこちで何度 も遭ってるけど、誰なのかどうしても思い出せない風子と名乗るこの子は誰なんだろう、 と。 助けを求めて後ろを振り返る。そこには一ノ瀬ことみ、藤林姉妹、古河渚といった彼女 の友人達、そして自称ライバルの春原陽平に、岡崎朋也などがいた。皆それぞれに、一体 全体この風子という子は何者で、なんでいきなりこんなことを頼みに来たのかと頭を捻っ ている。 「あ〜…その、ねぇ…風子さん、だっけ?」 「はい!」 ほとほと困った生徒会長の呼びかけに、元気よく当然のように風子が返事する。 「事情がよくわからないのだけど…いじめられたって、どう、いじめられたのか?」 「これです!」 風子が智代の眼前にズビシッと左手の甲を突き出す。そこには使い魔のルーンが描かれ ていた。 「こともあろうに、あの人達は私の左手に落書きをしたのです!許せません!是非あの人 達に天誅を下して下さい!」 なるほど彼女の左手には、なにやら字が書かれていた。 だからといって、なぜ智代が風子の仇を討つのだろうか。一同は混乱するばかりだ。 「確かに…我が校の生徒がいじめられたのなら、生徒会長として許しがたい事だが…一体 誰にやられたのだ?」 尋ねられた風子は、顎に手を当てて考え込む。 そして、ポンと手を打った。 「分かりません!」 全員、ズッコケた。 「よく考えたら、私は彼等の名前も聞いていませんでした!外国語で話していたので、尋 ねる事も出来ないのでした! なので、今から確認してきます!」 そう言って、風子はトテトテ〜…と桜並木の向こうに消えていった。 「一体、あの子は誰なのだ…?どこかで会った気がするんだが…」 生徒会長の疑問に、その場の誰も答える事は出来なかった。 「と、言うわけで、悪人め!正々堂々名乗りなさい!」 「誰が悪人よ、ていうか、どっから現れたのよー!」 寮塔、ルイズの部屋。 使い魔に逃げられ、椅子に座ってしょげかえっていたルイズが振り返ると、そこには腰 に手を当てて仁王立ちする風子がいた。 〜CLANNADより、伊吹風子を召喚〜
小ネタ終了 なかなかに面白そうなキャラではあるんですが、この子で長編は、ちょっと・・・ なので小ネタにしてみました
CLANNADなら姉妹作のNETANNADが見たいな
今手元に1巻無いんで確認できないんだが、召喚したのって学院の広場じゃなくて学院の外の草原じゃなかったか?
連作短編にしちゃえ とりあえず鼻からジュースを飲ませろルイズ
>>85 社長乙
でもハルキゲニアじゃなくてハルケギニアだよ
正直、何が何やらでどこが面白いのか全くわからん これはアレか、ナンセンスな行動を楽しむシュールなゲームなのか
20:50投下します。クロス作品は「スポーン」
支援
>>119 助言に感謝、イレーネは違うのか。
>>120 煤i・ω・;)
エルフを召喚するSS書きたいなぁ・・・。
エクセルサーガからエクセル 「なんだお前はー!」 「あんたこそなんなのよー!」 うぎゃー ぎったんばったん ぼこぼこ ぽかぽか どっしーん つかみ合いをしながらムキーと目を光らせたエクセルが ルイズの服をビリビリに破き それに負けじとルイズがエクセルを爆発で吹っ飛ばす どっかーん 「なんて凶暴な女かしら」 「ぜーはーぜーはー、なぜ爆発?うーん?」 突然の爆発に首をかしげながらウームと地面を足の先でつついてみるが何も反応が無いのを確認し 「って、お前は誰だー!名を名乗れー!」 「あんたを呼んだのは私よー、この駄犬ー」 (やばい、こいつはマジだ!) 「それでお尋ねしますが、ここはいったいどこでせうか?」 よく観察すると生徒が召還した化け物で周囲は非常にカオス 「あからさまにこっちを見ている熊がいるんですが」 ポタポタ よだれが垂れている 「しまった!ルイズを煽るのに夢中で使い魔の契約を結ぶのを忘れてしまったー!」 ガオー! 興奮した熊が時速六十キロぐらいでズドドドと襲い掛かる 「熊は山へ帰れ!このネイチャー!」 熊に張り倒されながらも二回転空中ひねりを決めつつどなる ガオオオオン その後、熊を倒し ついでに召還されていた使い魔どもをのした後 ルイズに吹っ飛ばされて保健室送りになったエクセル 包帯でぐるぐる巻きでミイラにしか見えないじょうたい 「ッハ!なんだ夢か・・・って、またお前かー!」 「べ、べつにあなたがおきるまでずっとまっていたんじゃないんだからねっ」 「なんだこの微妙なツンデレもどきはっ!それよりここはどこだ貴様」 「ここはトリステイン王国ですよ、セニョリータ」 「だまれ、こわっぱ」 「んん、あなたは使い魔の儀式で召還されたのですよ」 「???」 「ずっと死ぬまで馬車馬のように働かせるわ くふふ」 「くそっ、このブルジョワジーどもめ・・・世界征服の暁には全員粛清してやる」 説明を聞き、ルイズのあまりの豹変ぶりにデスノー・・・粛清リストにメモするエクセル 明日は近い
クロス作品「スポーン」 スラム地区ラットシティ──灰色の十字架、崩れたガーゴイルの像、汚物と放浪者達の匂い。ここははぐれ者達の聖地だ。 路地裏とは呼べぬ路地裏の一角──薄暗闇を纏い、スポーンは鈍色に光るマンホールを見下ろした。 路地に漂う腐臭がスポーンの鼻腔粘膜を愛撫した。前頭葉を強烈に刺激する臭気──横隔膜が引き攣る。 腐った魚のハラワタか淋病持ちの娼婦にも似た下卑た悪臭だ。スポーンは木箱を蹴っ飛ばした。 スポーンは地面に転がったチンピラの骸に視線を移した。 腐れ爛れた屍体の眼窩へもぐり、身をうねらせながら歓喜する無数の蛆虫共が口腔から這いずり出ては地面へとこぼれ落ちる。 このチンピラを縊り殺したのは一週間ほど前か。薄汚い小悪党にはお似合いの死に様だ。 筋肉組織が腐ったトマトのようにグズグズに溶け、全体が黒ずんでむくみ、膨張している。 あの細身のチンピラが今では立派な巨漢だ。腐ったガスで膨れた腹部はアフリカの飢えた脾疳小児さながらの酷さだ。 このまま腹に爪先をめり込ませれば、風船のように爆発するだろう。藍っぽく変色した皮がずり落ち、赤黒い筋肉組織が露出する。 屍体が分泌する緑黄色をしたラード状の腐汁を啜り、肥え太った汚らしいギンバエの羽音が、やまかしくスポーンの鼓膜を障った。 食物連鎖の風景だ。これこそが生命の営みだ。熱された臭気の波が押し寄せる。蝙蝠がキーキーと喚いた。 眼球が白濁したチンピラの死骸に群がり、ドブネズミがヒゲを震わせてうまそうに腐肉を食む。 汚らしい虫達はスポーンの一部であり糧だ。柔らかい熱風がスポーンの首筋を撫でる。 朽ちた王座に腰をおろし、蒼い上弦の月を見上げる。空中に張り巡らされた蜘蛛の糸──スポーンは手を伸ばした。 蜘蛛の糸を遮るように出現した鏡──スポーンの指先が触れてしまった。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * てらてら光る見事に禿げ上がった円天井の頭上──表面に浮かぶ水滴のような汗。熱い。 直射する太陽の熱がコルベールの頭皮を灼いた。不機嫌そうな生徒達の顔ぶれ。特に小太りの生徒は脱水症状を起こしかけていた。 ダラダラと汗をかく小太りの生徒──隣の生徒がしっかりしろと肩を貸してやる。 焦りにじっとりとルイズの背中が汗ばむ。生温い風が頬を打う。 青空に響き渡る重厚な爆音──周りに出来たクレーターが陥没した老婆の乳首のように無様だ。 「これで何回目だよ、いい加減にしろよゼロのルイズッ」 生徒の一人がルイズを嘲る。それに何人かの生徒達が同調し、囃し立てた。 「いくらやっても無駄だよ、だってゼロのルイズだしな」 「コルベール先生、時間の無駄ですからもう止めましょうよ。こんなゼロは放っておいて帰りましょう」 コルベールが喚く生徒達に手を上げて静止する。
「皆さん、少し静かにしてください。さあ、ミス・ヴァリエール続けなさい。いいですか、肩の力を抜くのですよ」 コルベールがルイズの緊張をほぐす様に笑ってみせる。ルイズは言われたとおりに身体の筋肉を弛緩させた。 しっかりと杖を持ち上げ、握り締めた。力を込めた指腹の皮膚が白む。もう一度力強く呪文を唱えた。 「宇宙の果てにいる美しく力強く神聖なる使い魔よッ私は心の底から求め訴えるわッ我が導きに応えなさいッッ!!」 再び爆発音が辺りを呑み込んだ。爆風のせいで外耳道がキンキンと痛む。 もうもうと立ち上る白煙がその場にいた生徒達の視界を眩ませた。 正面──ただひとり、ルイズだけが灰色の膜に映った人影を見た。 使い魔だ。自分の使い魔がやっと現れたのだ。煙が風に追いやられていく。蹲る人影がぬっと立ち上がった。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 空をたまげるばかりの太陽の輝きがスポーンを照らした。辛い眩暈を覚える。目の前には大勢の人間がいた。 一体ここはどこだ。さっきまで自分は路地裏にいたはずだ。スポーンは困惑し、うろたえた。 目の前。ピンクの髪の少女がスポーンの視界に飛び込んだ。歳の頃は十三、四。どこかのパンクくずれか。 スポーンの装甲服が何かを訴えるように蠢いた。目の前に広がる草原、瑞々しい露草の香り。 開きかけた少女の唇──無意識にスポーンは掌で塞いだ。掌が熱を孕む。少女──ルイズの瞳が驚愕に大きく見開かれる。 咽喉から押し出される少女のくぐもった悲鳴。スポーンは黙るように眼で合図を送った。少女が押し黙る。スポーンは掌を離した。 「……いったいここはどこだ。お前らは何者だ」 喉奥から発せられるしわがれた声の響きは少女に地獄の淵から這い出てきた悪鬼を彷彿とさせた。 少女の瞳に狼狽の色が広がるのをスポーンは見逃さなかった。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 「ゼロが召還に成功したぞッ」 「一体何だ、あれは?」 「あの亜人、言葉を喋ったぞ」 ざわめく生徒達を他所にコルベールは注意深く異形──スポーンを観察した。今までに見たこともない亜人だ。奇妙な姿をしている。 深紅に染まる巨大なマントが生き物のようにたなびく。二メイルを超える長身に肉体を包む異常に隆起したオーガ鬼の如き筋肉。 腰から覗く小さなしゃれこうべがこちらを睨みつける。手甲から突き出した鋭い鋲、白黒を基調としたマスク。 スポーンから発せられるぬめるような血の臭気がコルベールの鼻腔粘膜を突き刺した。戦人としての本能が何かを告げる。 異形のつり上がった眦の奥には生気はなく、ドロリとした緑の眼光が称えられているだけだ。ディティクト・マジックをかける。 途端にコルベールの背筋に悪寒が走った。禍々しくも異質で強大な魔力だ。底知れぬ邪悪な魔力──胃袋が収縮した。 沸騰した胃液が食道から逆流する。胃液を呑み込んだ。腋下に生酸っぱい汗がぐっちょりと滲む。
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>>141 じゃぁ元祖耳長エルフ発祥の作品であるロードスからとか
マーモで焼け死んだダークエルフの族長とか面白そうだなぁ
十中八九貴族に反発するであろうところがw
肺一杯に空気を吸い込み、腹の底からゆっくりと吐いてコルベールは無理に笑みを浮かべた。 (……万が一には生徒達だけでも逃がさないといけませんね) * * * * * * * * * * * * * * * * * * * シャープな眉を吊り上げ、驚きと怒りに潤んだ瞳をスポーンに放つルイズ。スポーンは無視した。 周りを眼で追い、エッグヘッドの男に視線を止める。この男が引率者か。スポーンはエッグヘッド──コルベールに声をかけた。 「おい、そこのお前。俺の言葉が聞こえているなら答えろ。ここはどこだ。お前らは誰だ」 スポーンがコルベールに相対し、ぎろりと睨む。 濁った薄暗い沼地のようなスポーンの緑眼──コルベールが多少強張ってはいるが穏やかな表情で答える。 「ここはトリステイン魔法学院ですよ。私は教師のコルベールと申します。他は生徒達です。ところで貴方のお名前は?」 「スポーンだ。トリステイン魔法学院とはなんだ。何故俺はここにいる?」 「ふむ、トリステイン魔法学院をご存じないとは。貴方はサモン・サーヴァントでここに呼ばれたのですよ」 「サモン・サーヴァントとはなんだ?」 聞きなれない単語ばかりが耳に飛び交う。オブジェのように身動きせず、スポーンがコルベールを俯瞰する。 スポーンはまさしくこの世界における一つのオブジェ(客体)だった。 途中でルイズが口を挟んだ。やや涙目でスポーンを見据える。 「無視しないでちょうだいッ、私があんたをここに呼んだのよッ、使い魔にするためにねッ!!」 さきほどのスポーンの行為に頭に血が上っていたルイズ。 堰を切ったようにスポーンに向かって悪口雑言の雨霰を浴びせかけた。見る見るうちにコルベールの相貌が蒼白く褪色していく。 これらのやりとりでスポーンにわかったのは使い魔とは奴隷のようなものだという事だ。奴隷──冗談じゃない。 わけのわからない格好をした奴らの手先になるなどまっぴらごめんだ。 尖った神経に追い討ちをかけるような、ぎゃあぎゃあ騒がしい 悪たれ口──苛立ちを覚えたスポーンはルイズの顎を右手で引っつかんで無理やり閉じさせた。 「うるさいぞ。少し黙っていろ。いいか、俺はお前ら奴隷商もどきのクラッカー(白ブタ)どもの奴隷になんぞ死んでもならないぞッ!」 叫ぶことも出来ず両腕をバタバタと振り上げるルイズを草原に転がし、スポーンはコルベールと相対した。 むしゃくしゃする。こいつ等は一体何様のつもりなんだ。スポーンは拳を握り締めた。 「何よッ、何よッ、亜人が貴族にこんな事をしてただで済むと思ってるのッ、それに奴隷商ってどういう意味よッ!」 ルイズが甲高い声を上げてスポーンに抗議した。小うるさいチビスケだ。鼓膜がキンキンと痛む。 「その言葉どおりだ。俺は薄汚い奴隷商人に用はない。さっさとラットシティに帰せ」
奴隷商人呼ばわりされ、他の貴族の生徒達が色めき立った。腕に覚えのある生徒達が杖を構える。 スポーンが生徒達を睥睨し、かかってこいとばかりに中指をおっ立てて挑発した。 慌ててコルベールがスポーンと生徒達を止まるように訴える。 「ラットシティなんて聞いたこともないわッ、サモン・サーヴァントも知らないようだし、あんたどこの田舎から来たのよッッ!」 「スラム街だよ、お嬢ちゃん。流れ者や浮浪者達が作った街さ」 「流れ者?浮浪者?ろくでもない場所ね。じゃああんたもその浮浪者なわけ?」 「いいや、俺はスポーン(地獄の申し子)だ」 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 蜘蛛の糸に触れようとした刹那、目の前に現れた鏡に呑み込まれた。帰る方法は不明。 挙句の果てには貴族とかほざく小娘に一方的に使い魔になれと迫られる始末だ。 やってられない。こんな馬鹿げた話があるか。ふざけるのもいい加減にしろ。 スポーン──アル・シモンズは黒人だ。 生前はネオナチ、KKKと言ったイカレたレイシストどもを相手にやりあったこともある。スポーンになった今でもそうだ。 使い魔という言葉はスポーンにとって嫌悪感を催させる以外の何者でもなかった。 そんな事は当の貴族達の知る所ではないだろう。彼らにしてみればごくごく当たり前の事だからだ。 悪気も悪意もないのだ。だからこそ嫌気がさす。だからこそ余計に始末に負えない。 こめかみに血がたぎる。スポーンはだんだん腹立たしくなってきた。 癇癪を起こしたスポーンが宝物庫に通じる壁目掛けて拳を唸らせる。キレのある鋭いストレートパンチだ。 重苦しい地鳴りが響く。同時に鎖が壁を打った。壁一面に激しい亀裂が無尽蔵に走る。 直径一メイルほどの風穴が開く。壁が崩れ始めた。スポーンがその場を後にする。いくらか落ち着いた。 口角を吊り上げ、スポーンは笑った。それに答えるようにスポーンの頭上で双月が黙々と淡く輝いていた。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ベッドの上で胎児のように丸まり、ルイズは嗚咽を漏らした。しゃがれた咽喉がひりつく。もうスポーンはいない。 これからどうすればいいのかルイズにはわからなかった。涙腺が震える。また、涙があふれ出す。痛切だ。心が痛む。 涙湖に溜まった大粒の白い涙がシーツを濡らした。静かに瞼を閉じる。泣きすぎたせいでルイズは疲れていた。 身体中の筋肉が撓む。少女の傍らに生じた影──スポーンはルイズの寝顔を見つめていた。 スポーンがルイズの額に手を伸ばす。くすんだ髪の毛の匂いが立ち上った。 「少しだけ、お前の記憶を覗かせて貰うぞ……」 ほんの数秒の時が流れる。 先ほどとは打って変わり、スポーンはどこか穏やかな眼つきでルイズの頭を撫でた。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 暗雲が空を遮り、天の雨桶をぶっ壊したような驟雨が降り注いだ。激しい大粒の雨。黒く厚い雲が陽射しを遮る。 人間にとっては憂鬱な朝だ。窓から離れ、スポーンがルイズを揺り起こす。 羽のように軽い骨格をした少女──級友からの罵りをひとりの身で耐えてきたルイズ。 孤独は人を腐らせる。押し付けられた孤独は人の心を蝕む。スポーンは孤独の痛みを知っていた。
支援
「おい、起きろ。ルイズ、朝だぞ。さっさと起きろ」 何度も肩を揺するが一向に起きる気配がない。掌を振り下ろす。 小ぶりなルイズの尻朶にスポーンの強烈な平手がヒット──激痛にルイズが瞼を見開き、絶叫する。 「やっと起きたか。まちくたびれたぞ」 「いいいぎぎぎィィ、痛いッ、痛いッッ、お母様のパドルより痛いッッ!」 ベッドのシーツをしわくちゃにしながら、ルイズが臀部を押さえてのた打ち回った。打たれた患部が熱を持ち、腫れ上がる。 「すまん、手加減はしたんだが」 「くぅぅ……も、もうちょっとマシな起こし方しなさいよッ、ってあんた出て行ったんじゃないの?」 「戻ってきたのさ」 尻房の痛みも忘れ、ルイズが驚きの視線をスポーンに向けた。 どこか嬉しそうな表情を浮かべたルイズ──己の選択が間違っていないことをスポーンは確信した。 「服を着替えさせて」 「いいか、ルイズはもう子供じゃないんだ。自分の服は自分で着るんだぞ」 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 雨足は止む事もなく、懇々と地面を打った。濡れ鼠になりながら、シエスタが忙しなく洗濯物を運ぶ。 叩きつけるように降る雨粒がシエスタの頭を叩いた。誰かに殴られているような気分になる。あまりいい気分ではない。 洗濯物を入れた籠を両手で持ち、建物までシエスタが急いだ。水分を含み、所々泥濘になった土──足元を掬われ、転ぶシエスタ。 しまった。そう思った時にはもう遅かった。籠が宙を舞う。その時、誰かが籠をキャッチした。 「大丈夫か、お嬢さん?」 人影がシエスタに手を差し伸べる。シエスタは差し出された手を掴み、ゆっくりと起き上がった。痛む膝小僧を摩り、礼を述べる。 「あ、あの、ありがとうございます」 これがスポーンとシエスタの最初の出会いだった。 第一話投下終了。クロス元はアメリカンコミックのヒーロー「スポーン」です。
乙。 最初はどうなるかと思ったけど疎外された者同士で共感したのね。 しかしあの姿に動じないのかシエスタw
いつのスポーンなんだ
乙です。 しかし、スポーンて言われるとゼノグラの○ミを思い出して噴出しそうになる。
風子召喚は、アニメ見てた俺にとっては情景が目に浮かぶようで、思わず笑ったんだけどな。 とりあえず作者さん乙でした。
GJ!! 昔アメコミクロスのスレに投下されていたスポーンssが大好きだった 別の人だと思うが、是非続いて欲しいぜ!
>>145 実は、すでにロードスからエルフのヒロインを召喚するSSを・・・(ボソボソ
乙 また随分ギーシュがかわいそうになるもの召喚したな
スポーンってマントが強いんだっけ?むしろマントがメイン?
スポーンの人乙です。 契約するのにマスク外す必要はあるんだろうかw 色々今後が気になりますw 予約がなければ21:45から16話投下したいと思います。
45分じゃないや55分から投下します。
お、支援支援
生前の優れた特殊部隊兵士としての戦闘能力 異常な腕力と頑丈さ ついでに魔力の消耗以外に致命傷を受けない 変幻自在の服状の寄生生物 身体を構成するネクロプラズマは様々な超常現象を起こし とりあえず死者の蘇生すら可能 でも中身がかなり心的外傷だらけなんであまりすごく感じない あと生物の腐敗とかうじむしとかみみずとかそういったのがパワーの源なんでいやだ
スポーンか ヴァイオレーターとか酷い名前のやついるよな
アルビオンの国王、ジェームズ一世の部屋も、ウェールズの部屋とさして変わらない。 間に合わせといった風情の、質素な有様だった。 老齢の為か床に横になっていたのだが、大使を迎えるとなると椅子に腰掛けてルイズ達を迎えた。 「……こ、こんなことが……お、おおおお……」 アンリエッタの書簡を読んだジェームズ一世の口から絶望と怨嗟の声が漏れる。 「ウェールズよ。ここに書かれていることは真実なのか? 朕は……朕は、このような真実など知りたくはなかった。知らなければ名誉を守り、死んでいくことに誇りを持てたというのに……!」 父王の嘆きに、ウェールズも唇を噛む。 「この書簡の字は、間違いなくアンリエッタのもの。今日までの経緯を考えれば、思い当たることはいくらでもございます。 また、それをアンリエッタに知らせた、大使もまた、あの名高きラ・ヴァリエール家の息女。信用してよいでしょう」 「これが……、これが真実だというのならば、明日迎える朕らの死は……」 ジェームズの言葉は途切れた。ウェールズも何も言えなかった。それを認めたくない。栄光ある敗北。それこそが真実、彼らの最後の砦だったのだ。 絶望を受け入れた末の諦観。そんな諦観さえ無意味と知らされて、また絶望させられる。これほどに残酷な仕打ちがあろうか。 知らせなければ彼らは心安らかでいられたのかと、ルイズは一抹の後悔すら感じ、それからそんな思考を振り払う。 自分のしていることは間違っていない。間違っていないはずだ。 嘘に塗り固められた貴族派……いや、クロムウェルが勝利の栄光を手にすることなど、許されるはずが無い。 「朕らに従ってついて来てくれた者達に、何と言えば良い!? あの勇敢なる者達は朕が逃げよと命じても決して逃げはすまい! 朕もまた、このような真実を知って尚、あの者達に命運を共にしてくれとは言えぬっ! 言えぬわっ!」 ジェームズは叫んだ。その叫びに、答えられる者は居なかった。 ジェームズがぜいぜいと息を切らし、耐え難い沈黙が部屋を満たす。やがて、消え入るような声で、ジェームズが言った。 「では、何とする……。亡命……せよと申すか……。この上で生き恥を晒せ、と……」 力なくうな垂れる。 自分は今更生き長らえるつもりは無い。だが、臣下に今の真実を知らせた上で脱出を促しても、自分が残れば皆運命を共にするだろう。 ジェームズ一世の脱出と、彼らの脱出は同義だった。 自分に残された三百余りの最後の忠臣達だ。犬死を強いることだけはできない。それだけは、絶対に。 長い長い沈黙の後で、顔を上げ、言った。 「彼らは……朕に、最後に残された臣下であり、アルビオン王国最後の民である。言わばアルビオン王国そのもの。国の命運と、朕の矜持如きを天秤にかけては―――是非もあるまいよ。大使殿」 「はっ」 急に呼ばれて、ルイズが畏まる。 「姫の申し出、承知した。明日の朝、我らは脱出しよう」 「陛、下……」 良かれと思って助けに来たのだ。 これで、王党派は助かる。 だというのに、ルイズの心は暗鬱だった。 真実が、こんなにも彼らを苦しめるなんて思ってもみなかったのだ。 これで、彼らは怯懦に駆られたと謗りを受けるのだろう。それは真実ではないし、クロムウェルを打倒すれば拭い去れることかもしれない。 けれど、勇気と誇りある王と皇太子に、そんな汚名を着せてしまう。そうなるような選択をさせてしまった。自分の行動が招いたことだ。それを、ルイズは理解した。 懸命に涙を堪えようとしているルイズを見て、ジェームズ一世は微笑みを浮かべる。 「そなたは良き娘であるな。大義であった」 ジェームズが言うと、ルイズは深々と頭を下げ、フロウウェンとワルドに付き添われて部屋を退出していった。 その姿を見送って、ウェールズはジェームズに告げた。 「……父上。大使殿と共に、サウスゴータの令嬢が見えております」 その言葉に、ジェームズ一世が目を丸くする。 「……今日は、なんという日なのだ」 「お耳に入れるべきかどうか、迷いましたが……」 「いや。良く知らせてくれた。それが真であれば、朕自ら出向くべきであろうな」
>>159 マスクの下の焼け爛れた顔を見たら卒倒しそう。
逆にそれを見て心から同情して涙したらフラグが立ちそうだけど。
「ルイズ。皇太子が先ほど言っていた、『アンドバリ』の指輪とはなんだい? ああ、勿論明かせないことなら話してくれなくても構わないが」 侍女に案内されて今日泊まる部屋へと向かう道すがら、ワルドはそれとなくルイズに尋ねた。 ルイズは弱々しい笑みを浮かべて、ワルドに答える。 「秘密ってわけじゃないわ。これから王様も皆に知らせるのだし。ラグドリアン湖の、水の精霊が守っていた秘宝よ。 先住の力で死者を蘇らせ、自分の意のままに操る力があるの。水の精霊は言っていたわ。それを、クロムウェルを名乗る人物が盗み出したって」 「……―――」 ワルドは言葉を失った。確かに、クロムウェルの手に奇妙な指輪を見た。自分はそれを知っている。 なんだと? 死者を蘇らせて操る指輪? それを……それを……クロムウェルは虚無の力だと言った。 あの糞坊主―――おれを謀りやがったのか―――! 怒りに眩暈すら覚えた。虚無が生命を司る力だと言うからこそ、自分はレコン・キスタに寝返ったのだ。 憤怒がまともに顔に出たが隠そうともしなかった。隠さずともクロムウェルの行動に怒るのは、ルイズ達にとって不可解ではないからだ。 だが、状況は深刻だった。 クロムウェルの偽りの虚無の力が知れ渡り、アルビオンの王はトリステインに亡命しようとしている。 自分にとって、どうするのが最善なのか。 アンリエッタが秘密を知る以上、いずれ各国の王と諸侯に知れ渡ることになろう。そうなれば挙国一致して立ち上がる。虚無の力を吹聴した以上、ロマリアすらも動く可能性があった。 レコン・キスタは遠からず内部から瓦解する。何故彼が、という不可解な裏切りが多すぎるのだ。 アンリエッタとルイズの言葉をジェームズ一世とウェールズが信じたのが、そのまま自分の予想の裏付けになっているではないか。王党派はニューカッスルを脱出し、疑惑の数々を語るだろう。火が付けば止められまい。 クロムウェルの権威は、汚れた『虚無』という看板だけで保たせることは不可能だ。 つまり、ルイズを手中に収めてレコン・キスタに着いても、問題は解決しない。 かといって、ルイズとフロウウェンが魔法衛士隊を疑っている以上、トリステインに帰る道もワルドには残されてはいなかった。 自分の隣を歩く、この二人が……いや、ルイズが味方についてくれれば、自分はトリステインに戻り、魔法衛士隊グリフォン隊隊長の肩書きを維持することができるが…… 肝心のルイズが自分との結婚に乗り気ではない。おまけに、自分がクロムウェルと通じていたことを察すれば、例え結婚した後でもルイズは自分を許しはすまい。分の悪すぎる賭けだった。 ではどうする? 殺すか? ルイズとフロウウェン、それから念の為にロングビルも始末してしまえば、自分に疑いの目が向くことは無くなる。 だが、それだけでは不完全だ。 (どうしてこんなことになった。俺は、どこで間違えた!? いいや! おれは自分自身に賭けて賽を投げただけだ! 間違ってなどいない!) もっとルイズが早く話してくれれば。いや、アンリエッタが任務の詳細を話してくれればこんなことには――― いやいや、待て待て。どうしてこうなったかを考える時ではないはずだ。これからどうするかだけを考えなければ。 ワルドは混乱する思考を纏めようと、唇を血が滲むほど噛み締めた。そして、ふと、足を止める。思いついた。 (……なんだ) あるではないか。こんなに良い手が。そうと決まれば話は早い。 「すまない。二人とも」 部屋の前まで案内された所で、ワルドが口を開いた。 「ワルド?」 「今の話を聞いたら、宴に出席する気分にはなれなくなってしまった。明日は脱出するだけとは言え、危険も予想される。 今の内から身体を休めて、精神力の回復を図らねば。でなくては、もしものことがあった時に悔やんでも悔やみきれないからね」 「わかったわ。おやすみなさい、ワルド」 「ああ」 ワルドが部屋に入ると、入れ替わるように、ウェールズがやって来た。 「ここにいたか。ワルド子爵は?」 「明日の脱出を万全に備える為に、今日はもう休むと」 「そうか。彼は仕事熱心だな。父上と僕は、亡命のことを宴の席で皆に伝えなければならない。混乱が起きるかも知れない。きみたちは宴席には出ない方が賢明だろう」 ウェールズが言うが、ルイズは首を横に振った。 「わたしは行きます。王党派の方々を、亡命させるのが、わたしの大使としての任務。まだ終わってはおりません」 ルイズの言葉に、ウェールズは苦笑した。 「それでは、時間まで部屋でくつろいでいてくれ」
ニューカッスル城の一室。 マチルダはウェールズの表情を思い出して鼻を鳴らした。 何を勘違いしているのか知らないが、自分にとってはとっくに決別した過去なのだ。 今こうしてニューカッスルにいても、古巣に戻ってきたとも感じない。 アルビオンを追われてから今まで、一人で生きてきた。それが誇らしく思えた。 椅子に腰掛けて懸想に耽っていると、突然扉がノックされた。 「どうぞ」 扉が開かれると、そこに立っていたのはジェームズ一世と、その後ろに控えるウェールズであった。 驚いて椅子から立ち上がろうとすると、ジェームズはそれを手で制する。 「そのままで良い。朕の方から会いに来たのだからな」 マチルダは無言で、その言葉には返答を返さなかった。確かにジェームズを敬う気持ちなど微塵も無い。形式だけの儀礼など意味があるまい。 「朕を、笑いに来たか。サウスゴータの娘よ」 「いいえ。陛下」 マチルダは首を横に振った。 「私が今日ここに来たのは、私の意志ではありません。乗っていた船が殿下に拿捕された為です。アルビオンに渡るつもりすらありませんでした。 ですから大使を助けるためにここに来たなどと思われては心外です。王党派にも貴族派にも与せず、スカボローに着き次第、帰るつもりでおりました」 酷く―――やつれたものだ。 マチルダがジェームズを見て、最初に思ったことはそれだった。 髪も白髪ばかりになり、痩せこけて、骨と皮が残るだけだ。腕など枯れ木のようではないか。 顔色も冴えず、呼吸もおかしい。何か病でも抱えているのだろうか。 誰も見ていなければゴーレムで踏み潰す? 馬鹿馬鹿しい話だ。こんな哀れな老人、その必要すら感じない。 「朕が憎かろうな」 「いいえ。確かに陛下を憎んだことはございましたが、それは過去のこと。今このように陛下のご訪問という光栄に預かろうと、何の感慨も湧き上がってきません。何一つ、です」 それは真実だった。強いて言うなら、昔の堂々たる印象があった為か拍子抜けした、というのが正直な感想だった。 だが、それだけだ。嘲笑うほど悪趣味にもなれない。憎悪するには遅すぎる。心は悲しいほどに硬直して無感動だ。 「私は……とっくに過去を捨てたのです。代わりに、生きる目的は見つけましたが」 「そうか。では、朕は行く」 ジェームズ一世は身を翻す。マチルダはそれをただ黙って見送った。 扉が閉じられると、マチルダは盛大に溜息をつき、粗末な寝台に寝転がって枕に顔を埋める。 「あいつらに会いたいな」 何故だか知らないが、ひどくティファニアや、子供達の顔が見たかった。 背後の扉が閉じられると、ジェームズは苦悶の表情を浮かべて胸を押さえる。ウェールズは、父王が倒れないようにその身体を支えた。 「ふ……ふふふ。情けの無いものだな。……サウスゴータは朕に見向きもしない、か」 脂汗を垂らしながら、自嘲気味の笑いを漏らす。 今日までの臣下の裏切りも、この零落も、大公とその一派にした仕打ちが招いた、不徳の致すところだと思っていた。 真実は違っていたとは言え、罪悪感に苛まれていたのも事実。そう認めてしまった以上、今更否定などできない。 だが、当人であるマチルダは過去のことだと言い、責めもしなければ恨み言も口にしなかった。いっそ、なじってくれてもよかったのだ。こんな……国を無くした、愚かな、王を。 心情を吐露するならば、モード大公達を救う道は無かったものかと後悔はしている。 だが、謝罪に意味はない。その言葉を口にする資格も無い。 決断を下したのは自分だからだ。自分の殺意がモード大公を殺し、自分の意思がマチルダから家名を、家族を、富を、住む家を、名誉を奪った。 必要だったからそうせねばならなかった。
だが、彼らに何一つ恨みは無い。苦しめたくてしたことでもない。 何故なら彼らは……己が愛した者を守ろうとしただけの優しい人達だったのだから。 ジェームズは情と国を天秤にかけ、国を選択した。今とて変わらない。国を選ぶから、汚名を受けても生きることを受け入れた。 そう。受け入れなければ、自分は王では無い。モード大公達にだけ犠牲を強いた、卑怯な嘘吐きに成り下がる。許されないことだ。それだけは。 それから……今日彼女に会えたという運命の巡り合わせ、始祖ブリミルの導きに感謝した。マチルダが生きる目的を見つけたと聞き、安堵を覚えたのだ。 ジェームズの天秤は常に国へと傾くが、天秤と関係ないところでなら、目に映る人々が、関わった人々が、幸せになれればいいに決まっている。良かったなどと、口にすることすら自分には許されてはいないが。 「行こう。王としての務めを果たさねばならぬ」 身体が落ち着くと、ジェームズは王の顔で立ち上がった。 「諸君」 城のホールに置かれた簡易の玉座に腰掛けていた、ジェームズ一世が立ち上がって口を開いた。 隣には皇太子ウェールズ、その隣に、トリステインからの大使であるルイズが並ぶ。 「宴を開こうというところで、このようなことを諸君ら告げるのは、朕としても心苦しい。だが、今から諸君に告げることを、心して聞いて欲しい」 ホールに居並ぶ忠臣達はどのような訓辞が始まるのかと、ジェームズ一世の一言をも聞き漏らすまい、一挙手一投足も見逃すまいと傾注した。 「諸君らの中には聞き及んでおる者もいよう。このアルビオン王国に、トリステイン王国から大使が参られた。トリステインに名高き、かの勇猛なるラ・ヴァリエール家の息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢じゃ」 王の口から紹介されて、ルイズは完璧な作法でアルビオンの貴族達に挨拶をしてみせた。 「トリステイン王家は、此度のアルビオンの動乱を起こした張本人、反乱軍レコン・キスタの首魁クロムウェルについて、大変重要な情報を朕の元にもたらしてくれた。即ち、クロムウェルはラグドリアン湖の水の精霊の秘宝、 『アンドバリ』の指輪を使い、死者を蘇らせ、その遺体をまるで人形のように操っていると!」 臣下達の間に、どよめきが広がった。 ジェームズ一世が続ける。 「朕がこの期に及んで醜い弁明を重ねている、と見ることもできよう。じゃが、トリステイン王家は義によって、レコン・キスタの次なる標的となることも恐れず、この、明日にも消える王の下に大使殿を遣わしてくれた。 大使殿も、危険を顧みず、このニューカッスルまで万難を退けやって来た。朕は、彼女を、トリステイン王家の言葉を信じようと思う」 「陛下! 陛下! それでは我等は……!」 ジェームズ一世は頷く。 「そうじゃ。名誉ある最後すら『アンドバリ』の指輪は……、卑劣なるクロムウェルは許してはくれまい」 ざわめきがどんどん大きくなる。悲憤によって顔を真っ赤にして拳を握り締める者。手で顔を覆って泣き崩れる貴婦人。反応は様々だったが、皆一様に驚きと衝撃を隠せない様子だった。 「じゃが、トリステイン王家はその上で救いの手を差し伸べてくれた。内憂を自らの手で払えず、トリステインを頼んで落ち延びる。それは確かに朕の不徳の致すところ。口さがない者は何たる腰抜けかと笑おう。 しかし朕は、汚名を受けることを承知で、生きよと命じる! 諸君らの如き、誠の忠節の徒が、死してなお、魂と肉体を汚され、涜神されるを見るは死を選ぶより耐え難い! どうか、どうか今しばらくこの惰弱なる王と共に生きては貰えぬか! 共にトリステインへ落ち延び、クロムウェルの虚飾と欺瞞を暴き、打倒する為に戦ってはくれぬか!」 ジェームズ一世が拳を握り締め叫んだ。叫んで、激しく咳き込む。ウェールズが慌ててその身体を支えた。 生き恥を晒してでも、耐え忍んで戦うか。それとも明日死んで、意に沿わずクロムウェルの木偶となるか。 どちらがマシかと問われれば、冷静に考えれば誰もが前者だと答える。文字通り、死んでも名誉は守れないどころか、更に裏切り者の汚名まで被ることになる。 だが、死して名誉を守る。そう決めていたところに突きつけられた選択肢なのだ。頭で解っていてもすぐに結論を出せる者はいないだろう。 だが、混乱の中にあっても、王の言葉に疑いを口にする者はいなかった。ここまで付き従った者達は、それだけ王家に忠誠を尽くしているというのもあるし、不可解な謀反に心当たりのある者も多いのだろう。 何より、目の前に出された一縷の希望に縋りたかったのだ。
生き残れる道ができたなどということが希望なのではない。 信じていた友が、生涯を添い遂げると誓った伴侶が、血を分けた肉親が、人が変わってしまったかのように自分の王に杖を向けた。それは決して彼の意思ではなく、なにかの間違いであったのだと信じたいのだ。 やがて一人の貴族が、大声で答える。 「陛下! 我らは陛下の命とあらば死をも恐れませぬ! 従って、共に戦おうと仰せられる陛下のご下命、どうして聞けぬなどと申す道理がありましょうや!」 その言葉に幾人かの貴族が頷く。 「言いたい輩には言わせておけば良いでしょう! 我らは死を恐れてニューカッスルを後にするのではありませぬ! 戦う為に打って出るのですから!」 「全くです! 戦いにも色々御座いますが、我らは負け戦続きで、耐え忍ぶことなど最早慣れっこになっておりますからな!」 誰かが杖を高く掲げた。隣の者がそれに従う。次々とそれに倣う。 気がつけば、杖を掲げるのはホールに居並ぶ者全員となっていた。 「アルビオン万歳!」 「陛下に栄光あれ!」 誰かがあげた声を皆が唱和する。繰り返し、繰り返し。杖を掲げて、アルビオンの貴族達は一心に老王を称える。 ホール中に轟く大歓声に、ジェームズ一世は目頭を熱くした。涙を手で拭い、杖を掲げる。 「諸君らの忠節、あいわかった! では、今宵はよく、食い、飲み、歌い、踊ろう! 明日を生きる為、明日の明日を生きる為の英気を養おうではないか! 我らは祖国に一時の別れを告げる! じゃが、我らは必ず、この白の国に戻ってこよう! 必ず! 必ずじゃ!」 「必ず!」 「必ず!」 盛り上がりは最高潮に達した。 ルイズは、大合唱を聞きながら、己の胸が熱くなるのを感じていた。 「僕は……亡命の話を聞かされた時から、トリステインに累が及んでしまうことを恐れていた」 隣に立つウェールズが自嘲気味の笑みを浮かべた。王党派の中にあって、最も亡命を望まなかったのは自分なのだ。そう気付いてしまったから。 「この通り、皆は混乱もしなかった。皆にこそ、教えられたよ」 「殿下……」 「いずれにしろ、クロムウェルは必ず次にトリステインを望む。こうなった以上、恥知らずと罵られようと、僕は全霊を賭けて奴と戦う」 その言葉は自分に言い聞かせているためのものだ。断固たる決意を秘めた眼差しであった。 ルイズは、この時にはアンリエッタとウェールズが恋仲であることを確信していた。 大切に思う人が自分の行動のせいで危険に晒される。 自分がヴァリエール家に迷惑をかけてしまうとしたら、どうだろう。家族から手を差し伸べられても、その手を取ることを躊躇するだろう。手を取ったとしても、自分を許せないに違いない。 それでもウェールズは自分達の申し出を受け入れてくれた。 「クロムウェルは……各国にとって共通の敵です。共に戦いましょう殿下」 「ありがとう。きみも是非、今夜の宴を楽しんでいってくれ。僕もそうする」 ウェールズは魅力的な笑顔を浮かべると、ルイズも宴に参加するように促す。 ルイズは少し無理をして微笑み、それから頷くとホールの人込みへと混ざっていった。 ホールが喧騒に包まれた。 彼らの心中は複雑だろうが、それでもルイズやフロウウェンの元にやって来て料理や酒を勧め、冗談を言ってくる。 自棄を起こしたかのように騒ぐ者、泣きながら酒や料理をかっ食らう者もいた。 ルイズの目には、何かを振り払うかのように無理やり明るく振舞っているように見える。彼らをトリステインに連れていけることが嬉しくもあり、汚名を着せてしまうことが悲しくもある。 自分はすべきことをした。それが成った。それだけのことだと自分に言い聞かせて、それ以上を考えたくなくて、ルイズも逃げるように杯を重ねていった。 そんな無茶な飲み方をするものだから、程無くしてルイズは顔を真っ赤にして潰れてしまった。 フロウウェンが目を回しているルイズを支えるが、部屋まで連れて行こうとしたところで、ホールから出たくない、と首を横に振った。 宴席を抜け出さずに見届けたからどうなるというものでもないのだが、ルイズなりに責任を感じているのだろう。 彼女の意を汲んだフロウウェンは、ホールの隅の椅子に座らせ、それから冷たい水を運んできた。 ルイズは受け取った水を口に含んで嚥下し、ぼんやりと宴を見詰めていた。
支援
支援
「気分でも悪くしてしまったかな?」 それを見留めたウェールズが、二人に近付いてきて、茹蛸のようになっているルイズを心配そうに見詰めた。 「少々飲み過ぎてしまったようですな」 フロウウェンが困ったような笑みを浮かべて答えた。 「ラ・ヴァリエール嬢の使い魔だね。ええと」 「ヒースクリフ・フロウウェンと申します。殿下」 「ああ、失礼。ミスタ・フロウウェン。しかし、人が使い魔とは珍しい。トリステインは変わった国だね」 「トリステインでも珍しいようですぞ。他の例も存じませぬ。私は外国人故に、詳しくはありませんが」 フロウウェンの言葉に、ウェールズは興味を抱いたらしい。 「ほう。一体どこの国から?」 「ロバ・アル・カリイエよりも……更に遠くの国ですな」 「それは興味深い。良ければ、どんな国か聞かせて貰えるかな」 「コーラルという……戦争に明け暮れていた国です。結果、国土を荒廃させてしまった」 フロウウェンは目を細め、言う。 ウェールズはフロウウェンがその国の政治か、或いは軍に携わっていたのではないかと、何とはなしに思った。 自国のあり方に批判的なことを口にしながら、フロウウェンの目に浮かんだ感情が、憎悪ではなかったからだ。 権力の側にいて、そしてそれを快く思っていない。そんな印象を受けた。 「それは……僕にとっても耳の痛い話だな」 「我らは望んで闘争を行ったのです。私もまた、病を憂いながら目の前のことに拘泥し、根治はできぬものといつしか諦観した。貴方方はそうではありますまい」 フロウウェンは手の届く範囲で、力の及ぶ範囲で、守れる限りの民衆を守った。そうしている内に、いつしか軍の英雄などと呼ばれていた。 けれど、戦争を生み出す元凶にまでは力が届かなかった。『それ』に立ち向かうことは立場を失うことだからだ。 剣一本で守れる命より、軍に身を置くことで守れる命の方が多いと理解し、諦観しているから、体制側から離れることはできなかった。 だから英雄などという偶像を、フロウウェンは誰より評価していない。 誰もが何時だって、茫漠とした不安や、鬱屈した不満、死の恐怖、生の苦しみから逃れたくて、祭り上げるものを探している。偶像に自己を投影し、憧れ、愛し、憎み、妬むことで、日々を忘れることができるから。 フロウウェンもリコも、そこに収まるのが丁度良かったから、英雄という偶像の役回りを押し付けられたに過ぎない。彼らが何を見て、何に苦悩しているかは関係無く、それに思いを馳せることもしない。 それ故に、身一つで理想を追うルイズが眩しく見えるのだ。 ウェールズ達とて同じだ。国に忠誠を誓い、それに裏切られたフロウウェンにとっては、民草の流す血を憂い、王家への忠誠に殉じようとしていた彼らには、羨望すら覚える。 「それは買い被りだ。僕らに、そんな理想を叶える力があるのなら、こんなことにはなってはいないからね」 「私と違い、まだ結果は出ておりますまい」 「異なことを。君も、生きている。であれば、まだ結果は出ていないということではないのかな?」 「私は一度は死んだ身です。殿下」 フロウウェンは、目を閉じて荒い呼気をついているルイズを抱えた。 「部屋で休ませてきます」 ウェールズは、ルイズを連れてホールを出て行く、その背を見送った。
以上で16話の投下を終了します。
オーガン「生きる事は戦いだ」 支援。
乙 ワルドの動向が気になる 考えてみれば奴もマザコンでロリコンで国を憂う余りに道を踏み外した可哀想な奴なんだよな……
>>162 死者の蘇生が可能ってことは、シャルルやワルド母を生き返らせることも可能なのか。
ワルドがあっさりレコン・キスタを見限る新展開?
>>136 つまり、鼻からプリンを食べて目から出す事の出来るライエルを召喚しろという事か(違
以前考えた事はあったんだけど、どうしても序盤のイベント、具体的にはコントラクト・サーヴァントやルイズの着替えなんかを乗り切れなくて諦めた
乙でした。 しかしワルド、追い詰められているから何をしでかすか全く分からないのが怖いですね。
スポーンの人乙。 シモンズって体臭とか臭わないのかな… スラム暮らしでボディは死体、と凄い臭いそうだけど。
>>176 そうそう。
教皇に関しては実は女である可能性すら0じゃないからな。扱いが難しすぎる。
>>173 乙、味方化するワルドの道もあり?期待。
>>177 うん、エルフの定義は違うけどね。
あっちのエルフは妖精の総称。旧正統派のエルフ。
ちなみに彼は栗の精……じゃなくて、風の精の一種のピスキー。
>>185 つまりギップルと同類ということですね、わかります
ニューカッスル城かファンタシースターやった者としては エアキャッスルを思い出す。
遅ればせながら、スポーンのかたGJでした! スポーンは初めてはまったアメコミなだけに嬉しい限り
エルフ召喚で、「白粉エルフ」とか、「付け耳エルフ」とか、 「軍師に匹敵する知謀の持ち主」が、話題に乗らないところに 知名度の差を感じた
ベルセルクの奴じゃなかったっけ?
栗
スイフリーならかなり何度か話題には上ったが 再現不可能って事で落ちついてる 一応小ネタに一瞬で終わるのがあった気がする
なぁに安田御大本人に書いて貰えばいい
見たとこ……投下しても大丈夫、かな? 他にいなければ参ります。 ふぁいああぁるぅ〜がぁん〜見えなぁいぃ明日ぅ撃ち抜ぅくまぁぐなむぅ〜 さて、やって参りました。アンアンの無理難題。 そしてここから!完全にテンプレより脱却して物語は一気に進み始めます! あー、今まで長かった……こっから先も今までと同じかそれ以上の長さありますけどね。 今回スパロボのBGMよりサブタイを持ってきていますが、曲そのものというよりは曲名で付けたサブタイです。曲自体はまだこの時点ではふさわしくない、重厚な曲です。 ワルドの抱くレコン・キスタの大儀、ルイズの掲げる貴族の大儀。それが交差することなく突き進み、タイムダイバーがそんな物を全てご破算にします。 というわけで(?)、今回の推奨BGMは8話でも推奨したアレです。途中から現れるので、お持ちの方は是非ともご準備を。
幼い頃、ルイズにはよく行く『秘密の場所』場所があった。 魔法に失敗して、周りの視線が耐えられなくなって、よく庭の池、ボートの上で泣いていた。 「泣いているのかい?ルイズ」 そこへ、声をかけられる。 「子爵様、いらしてたの?」 近くの領地を相続したばかりの、まだ少年といって差し支えない人物がいた。 恥ずかしい。ルイズはあわてて涙をぬぐって体裁を整えようとする。 どうにか感情を落ち着かせたところで、顔を上げ 「さぁ!己の運命を受け入れろ!」 そこに、見たこともない堕天使がいた。 ――誰!? 「断る!」 後ろからの聞き覚えのある声に、16才のルイズが振り返る。自分の使い魔が操るゴーレムがそこにいた。 ――クォヴレー!? 周囲の風景は既に変幻し、故郷の庭ではなく、どこともいつとも知れぬマーブル状の光が渦巻く空間に塗り替えられていた。 ――クォヴレー!何してるのよ!早く私を助けなさいよ! 必死にそう呼びかけるが、クォヴレーは全く反応を見せない。 「お前は、俺という存在を拒絶することは出来ないっ」 その手に片刃の光の剣を持つ堕天使が、ディス・アストラナガンに斬りかかる。 「ぐぅあっ!」 ディス・アストラナガンも手にした鎌で応戦するが、剣戟に対抗しきれず、翼の一部が切り飛ばされた。
――ウソ!? あの恐怖すら覚えたことのあるディス・アストラナガンと、ギーシュ相手に圧倒的な強さを見せつけたメイジ殺しであるクォヴレーが、押されている。 「俺たちは一つになるのだ……」 距離を取った上で、クォヴレーと堕天使が対峙する。 「そして数多の世界を彷徨えと言うのか?多くの物を失って!?」 堕天使に怒鳴り声をぶつけるクォヴレー。 ――こいつ、こんな声出すの? 初めて聞く。クォヴレーはいつも、自分の前では穏やかな顔ばかりしていた。 「ぉぉぉぉぉおおおおお!」 クォヴレーが怒号を放ちつつ、ディス・アストラナガンが駆ける。 斬撃、再度の斬撃。切り払い、切り払い、もう一度距離が開く。 「言ったはずだ……それが俺たちの運命なのだと……!」 宙返りをしながら、凌ぎきったディス・アストラナガンが持ち直す。 「くっ……!」 攻めあぐね、難儀しているらしい声を漏らす。 「あくまでもそれを拒むと言うのなら……」 堕天使の翼が大きく上に掲げられ、緑色の光の翼が展開する。 「っあ……!」 息を呑むクォヴレーの声がルイズにも聞こえた。 その翼は、純然たる光であるはずなのに、闇を駆逐する光であるはずなのに、何故こうも禍々しいのだろう。 「その呪われた機体を、抹消するまで!」 堕天使が両腕を掲げあげると、胸の辺りに十字を円で囲んだ光が現れた。 「ディス・レヴよ、その力を解放しろ!」 ディス・アストラナガンも翼を広げ、その胸の辺りを自らの腕でこじ開けた。 「テトラクテュス・グラマトン!」 漆黒の光が、収縮していく。 ――なに、これ、何なの!?これ!? あの光は、炎だとかそんな生やさしい物ではない。もっとおぞましい何かだ。 「さぁ、虚無に還れ。インフィニティ・シリンダー!」 堕天使の胸部の光は限界まで発光していた。 「アイン・ソフ・オウル!」 ディス・アストラナガンの胸部にたまっている漆黒も、解放の時を今か今かと待ちかまえていて 『デッド・エンド・シュート!』 二人の声が重なり、二種類の光が放たれ、ぶつかり合った。 ――ちょ、ちょっと!? ぶつかった箇所を軸として、空間が歪んでいく。
久保支援
アニメOGの本編wか。 支援
その歪みに、ルイズも、ディス・アストラナガンも、堕天使も巻き込まれてしまう。 「うわあああああああああ!?」 「ぐぁぁああああああああああ!」 「きゃああああああああああ!?」 自分の悲鳴で、ルイズは目を覚ました。 「っはぁ!はぁ!はぁ……」 時間は、7時前。クォヴレーは洗濯をしている頃合いだろう。 ともかく、無様なおき方を見せることにならず、良かったとルイズは胸をなで下ろした。 ……はて?そういえば何の夢を見ていたのだったか? (ワルド様と……クォヴレーも居た気がするんだけど……) あんな風に飛び起きたのだ。良い夢であった訳がない。忘れよう、とぶんぶんとルイズは首を振った。 その日、学院は粛々とした雰囲気に包まれていた。 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下の、おなぁーりぃーっ!」 護衛付きでユニコーン四頭引きの豪奢な馬車が学院の正門に現れ、赤絨毯の敷かれた通り道に沿って立った生徒・教師を含めた全トリステインのメイジがざっと杖を掲げる。ルイズもその中に混じっていた。 (よくこういった光景では剣が掲げられるモノだが……魔法が重要視されるこの土地ならではといったところか) そしてそのルイズの後ろ、使い魔として片膝を立ててじっとしているクォヴレーは、ちらと視線を横に向けてそう思った。 今日は、品評会にも出席していたアンリエッタ王女が行幸の途中で立ち寄ると言うことで、授業は全て中止。学院総出で王女を迎え入れていた。 大臣クラスか、やけに骨と皮ばかりの老人と共に王女が杖の間、絨毯の上を歩いていく。通り過ぎる時に、王女がルイズの方を気にしたのが判った。 そのまま絨毯の終着点で、学院長であるオスマンが歓迎の挨拶を述べ始める。 そこで、その視線に気づく。 「おい、相棒」 小声で背中のデルフリンガーが呼びかけてきた。 「判っている。左か?」 こちらも小声で返しながら、なるべく自身の視線だけを任意の方向に向ける。 「ああ、あの青い帽子を被った髭の生えてるメイジだ」 デルフリンガーの助言もあってすぐにその姿は見つかった。 確かに髭を生やしているが、若い。むしろ足りない威厳を髭で補おうとしているようにも見えた。 オスマンの口上が終わり、それに対するアンリエッタの礼も終えて本塔にアンリエッタが入って、簡易ながらも歓迎の式典が終わったところで、ようやくルイズの背後で跪いていたクォヴレーは立ち上がると、主に尋ねる。 「ルイズ、あの男は何者だ?」
>>194 いやいや、やはり中の人である水野良氏に(以下略
「え?誰?」 クォヴレーが指し示すより先に、その当の本人の方が近づいてきた。 「やあ、久しぶりだね、ルイズ。僕の小さなルイズ!」 「ワルド様!」 ルイズが驚いた声を上げて男を見上げた。 「娘ッ子の知り合いだったみてぇだな。んじゃさっきのは……」 「いや、あれは間違いなく俺たちを見ていた。視線が低すぎる。お前か、俺かは判らないがな」 口元を手で覆い、話していると悟られぬようデルフリンガーと言葉を交わす。 しばしワルドと呼ばれた男はルイズと話をしていた。どうやらアンリエッタの護衛として来たらしい。 周りの生徒達が興味深げに眺める中、近況報告などを終えると、クォヴレーの方に視線を移した。 「そして、君が噂のルイズの呼んだ使い魔だね?」 「噂?」 「ああ。品評会で強力な銃を見せつけた人間の使い魔が居ると、その筋には知れた話さ」 成る程、と頷く。あのあと、オスマンに呼び出されて自粛を頼まれた事もある。本当に結構な騒ぎだったようだ。 (だとすると、先程の視線は俺がルイズの使い魔だと見越しての興味か……?) 「僕の名はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。子爵を賜っている。よろしく頼むよ、使い魔くん」 「クォヴレー・ゴードンです。こちらこそよろしく」 「ルイズ、君はとても強い使い魔を従えたようだね?」 「あ、ありがとうございます、ワルド様。でも……その……私まだ、他の魔法は失敗ばかりで……」 「以前にも言っただろう?ルイズ、君にはちゃんと凄いメイジとしての力があるんだ。彼を呼んだことなど、その一端に過ぎない。そんなメイジが僕の婚約者だというのは、鼻が高いよ」 (婚約者?) 「こ、婚約者って……親が決めたことだわ!」 顔を真っ赤にしながら、ルイズが叫ぶ。周囲からはおお!と歓声が上がった。 (貴族の婦女子ならば居て当然か) ふむ、と頷く。 周りの歓声にハッと現状を思い出し、必死にルイズはワルドに言う。 「あ、あのワルド様。お話はまた後ほど……」 「ああ、済まない。ついつい懐かしくて話し込んでしまったね。僕も仕事があるのでね……この続きは、周りに雑音のないところで話そう」 そっとルイズにささやきかけると、手を振ってワルドは自身のグリフォンのところへ向かった。 クォヴレーは軽くそれを目で追い、主の方に視線を戻す。
だが、ルイズの方はぽーっとワルドを目で追いかけていて、動く様子がなかった。 主が婚約者の働く様を見ているのを邪魔する気もなかったので、しばらく放っておこうと視線を動かすと、タバサがじっとこちらを見ていた。建物の影に体半分隠しながら。 (つくづく何なんだあの少女は……) 名前を交換した後の夜から、間違いなく自分は彼女から避けられていたはずだ。 それがどういう訳か、一週間ほど前から逆に自分を監視するようになっていた。 ルイズの学友である彼女に手荒なまねをする訳にもいかないし、何度撒いてもいつの間にか自分を見ているので、厄介この上なかった。 「クォヴレー、いくわよ!」 いつの間にか正気に戻っていたらしいルイズに呼ばれて、クォヴレーはそれに従った。やっぱり、小柄な少女もついてきたが。 「はぁ〜、ルイズの婚約者も結構いい男ねぇ……ってタバサ、何してるの?」 「監視」 キュルケが建物の影に隠れながら移動している露骨に怪しい友人に尋ねると、そんな答えが返ってきた。 誰を監視しているのかと視線を辿ると、ルイズとその使い魔の後ろ姿があった。 「ははーん……タバサ、言っておくけど、ダーリンは私の物よ?」 今し方悪友の婚約者に色目を使っていた事を言った舌の根乾かぬうちに、キュルケがそう言う。 「そういう類じゃない」 きっぱりと、タバサは言った。 「出来れば、彼は視界に入れたくもない」 「あのねぇタバサ、そういう素直じゃない子はルイズ一人で十分よ」 勘違いしているキュルケは呆れたようにそう言ったが、口にした言葉は間違いなくタバサの本心であった。 なんでも幽霊を使うとか言うディス・アストラナガンを従えているクォヴレー。その周囲ではいつ幽霊が現れるのか、タバサにしてみれば判ったものではない。 そんな人物の監視など、出来ればやりたくなかったのだが、上からの命令である。大人しく従うしかなかった。 その日の夜。 ルイズが自主学習をしていて、クォヴレーはパイロットスーツに着替え、いつものように出ようかとしている時間。扉がノックされた。 「俺が出よう」 立ち上がっていたクォヴレーが先に部屋の扉へ向かい、ある程度気を張りつつ開く。 「誰だ?……その顔は……」 目の前に立っていた人物の、ローブの下に見える顔に一瞬驚いた隙に、そのローブの影は室内に入っていくと、左右の壁にディテクト・マジックをかけてから、ルイズの目の前でローブを頭から下ろした。
「……どこに監視の目があるか、判りませんからね」 「アンリエッタ様!」 「ああ!ルイズ、ようやく誰に憚ることなく会えました!」 つい昼間、盛大な迎えの式典をした王女がそこにいた。 「なぜ、一国の王女がこんな時間に一人で……」 驚いたままのクォヴレーが思わず尋ねる。 「こうでもしなければ、内密に会うことはかないませんからね」 自嘲気味に笑ってアンリエッタは言った。 「品評会の時も、ほとんど話は出来なかったから、こうして話せるのは久しぶりです」 にっこり微笑むアンリエッタの前で、ルイズは臣下の礼を執る。 「そんな……私如きにわざわざ会いに来て下さるだなんて、身に余る光栄です……ほら!あんたも昼間みたいにして!」 ルイズに言われるままに、昼間と同じく片膝を着くクォヴレー。 「ルイズ、そんな挨拶は止めて頂戴!私たちの仲でしょう?今はもう、誰の目も気にする必要はないわ!」 アンリエッタがそっとルイズの手を掴んで引き上げる。 「もったいないお言葉です、アンリエッタ様」 立ち上がったルイズとアンリエッタが抱擁を交わした。 片膝を着いたままのクォヴレーは立ち上がる切っ掛けを失い、結局しばらくその場で二人の話を聞く羽目となった。 そうして判ったのは、二人がどうやら幼なじみであったらしいということだ。公爵家ということは結構位が高い。成る程、そこに歳の近しい者が居るのならば王女の遊び相手として宛がわれるだろう。 楽しそうに思い出話に花を咲かせている二人だが、やがてふっとアンリエッタの表情が蔭る。 「あの頃は、毎日が楽しかったわ……なにも悩みなんかなくって」 「姫様?どうなさったんですか?」 心配そうにルイズがアンリエッタの顔を覗き込む。 「いえ、なんでもないわ。ごめんなさいね……いやだわ、自分が恥ずかしいわ。あなたに話せるようなことじゃないのに……わたくし……」 わざとらしい話運びだな、と変わらぬ体勢のままクォヴレーは思った。まぁ、ここまで露骨なら、誰でも気づく訳で。 「姫様、言って下さいませ。姫様がそのようなお顔をされては、私も悲しくなってしまいます」 と、ルイズに促されてようやくアンリエッタが話し始めた。 それはまず最初は昨今のハルケギニアの政情だった。 現在アルビオンで起きている反乱、聖地回復を謳う貴族同盟レコン・キスタ。 それが直にアルビオンの王党派を打倒し、そしてやがて他の国にも侵出を行うであろう事。 それに対抗するため、トリステインは隣国ゲルマニアとの同盟を結ぼうとしている事。
おっと失礼、支援
そのため、一月後にゲルマニアの皇帝とアンリエッタの婚姻が迫っている事。 (政略結婚か。王族も大変だな) 言ってみれば、アルマナ・ティクヴァーもそうだった。 彼女は王族ではない。しかしバルマーの高位の家柄で、ズフィルードの巫女として霊帝に捧げられようとしていた少女だ。似たようなものかも知れない。 故郷の世界にいる少女を懐かしむクォヴレーは余所に、話は本題に進んでいく。 何でも、以前アルビオンの皇太子であるウェールズ・テューダーにアンリエッタがあてた恋文があるのだそうで。 それが表沙汰になり批難されれば、婚姻もゲルマニアとの同盟も成り立たなくなるかも知れないと、アンリエッタは危惧していた。 「姫様、それではつまり、私にその手紙を回収してきて欲しい、と?」 「無理よ!無理よルイズ!私ったら、なんてことでしょう!混乱しているんだわ!考えてみれば、レコン・キスタと王党派が激しい争いを繰り広げているアルビオンに赴くなんて危険な事!頼める訳がありません!」 わざとらしい、というよりこれはこの状況に酔っていると見るべきだな。とこの場にあって冷静な一振りと一人の内、一人の方がそう思った。 (普通こんな言葉で動くには、一種の催眠的な手法が必要だが、つまり思い出話に興じたのも、ルイズの心境を自分の心情とリンクさせるためか。見た目よりしたたかな王女らしい) フッと二人に気づかれぬよう、面白そうに笑みを浮かべる。だが元より、既に二人の目にクォヴレーは映っておらず 「何をおっしゃられます!?例え地獄の釜の裡だろうと、竜のアギトの中だろうと!姫様の御為とあらば、何処なりと向かいますわ!姫様とトリステインの危機を、このヴァリエール公爵家のルイズ・フランソワーズが!見過ごす訳にはまいりません!」 力強くルイズが受諾の意を示した。 ようやくアンリエッタとの話が一段落付いたらしいと見て取り、立ち上がりながらクォヴレーが尋ねる。 「……行くのか?ルイズ」 「ええ、もちろんよ。アンリエッタ様からの命令よ?」 「口ぶりからすると明日からもう出るようだが、良いのか?明日も授業はあるだろう」 「優先順位を考えなさい。これはトリステインそのものの問題でもあるわ」 ルイズの言葉に、フムと腕を組みながら少し考えるような仕草の後、こくりと頷いた。 「……わかった。それほど急を要する事態だとしたら仕方がない。俺も全力でバックアップするとしよう。準備をする」 その答えに満足し、ルイズはアンリエッタに向き直る。 「済みません、ルイズ。あなたの日常にまで干渉してしまって……」 「いえ、良いのです。アンリエッタ様の為ですもの」 アンリエッタはスッと自身の指に填めた指輪を外し、ルイズの手に掴ませる。 「トリステイン王家に伝わる秘宝、水のルビーです。路銀の足しにでも、使ってください」 「アンリエッタ様、そこまでして頂け……」
「テトラクテュス・グラマトン」 ルイズは、最後まで言葉を続けられなかった。開いていた窓から突如強風が吹き渡ったのだ。その窓には、風をさも当然とばかりに受けている自身の使い魔。 「くく、クォヴレーっ!ああアンタななな何やってんのよっ!?」 「ルイズは」 くるりと振り向くクォヴレー。 「ルイズは王女からの任務で、遠くて危険な場所へ行かなくてはならないのだろう?それは判った。だが、学生である以上学業こそが本分だ。あまり、多くの時間を裂く訳にはいかない」 淡々と語りながら、デルフリンガーを手に取り背負う。 「だったら、こいつに乗っていく方が早く安全だ」 窓の外、夜闇の中なお暗い巨大なヒトガタが見えた。 「ま、そりゃそうだわな」 すっかり慣れたらしいデルフリンガーが同意を示す。 「行くぞ、ディス・アストラナガン」 「jq6ゆz;byw”ーッ!」 この世の物とも思えぬ凶悪な咆吼が響き渡る。 「の、乗る……?」 私が、あれに……? 「い、いいい、いいわよ!いらない!普通に馬で行けば良いじゃない!ていうか、勝手に呼ばないでって言ったでしょう!?」 「しかし、普通の行程で行くとしたら、ルイズ、そのアルビオンという国へはどれぐらいかかる?」 「え?えっと……」 以前家族で旅行した時は…… 「……行って帰ってくるので、二週間、かしら」 「やはり時間がかかりすぎる。先程王女もお前に迷惑をかけるのが心苦しいというようなことを言っていただろう。アストラナガンなら、どこへ行くのもすぐだ。彼女の心労を少しでも軽くする意味合いも兼ねて重要なことだ」 「いや、それは……」 半分儀礼的というか、労をねぎらう気持ちから出た言葉であって…… そこでハタと気づく。そういえば先程から王女が何も言ってこないがどうしたのかと振り向くと 「あ、アンリエッタ様ーっ!?」 気絶して倒れていた。 「どうしたんだ?」 「だ、だからアンタのアストラナガンは怖すぎるのよ!大体、何でいっつも叫ぶの!?」 「俺にも判らないが、こいつはたまに叫ぶようだ」 主に主人の近くに女がいる時とか。 「さぁルイズ、行くぞ」
ツンデレゴキブリメイドロボ支援
平然と誘うクォヴレー。 「ええええええ!?ででででもっ!アンリエッタ様をこのままには……」 必死で何とか理由を紡ぎ出す。 「お前のベッドに寝かせておけば問題はないだろう」 しれっと退路を潰す使い魔に、ルイズは軽く殺意を覚えた。 すたすたと近づいてきて、アンリエッタを抱え上げてベッドの上に寝かせると、また窓際に向かう。 「急ごう。出発が遅れれば、それだけ帰るのも遅くなってしまう」 そこで、何か言いよどむような顔になる。 「その……普段、お前は『ゼロのルイズ』とバカにされているだろう……ここで授業まで休んでしまうのは、あまり良いことではないと思う」 そこでようやく、ルイズは真っ正面から使い魔を見た。 この、少し申し訳なさそうにしている使い魔は、心底から自分の心配をしてくれているのだ。 「……わ、わかったわよ……」 ここで時間軸を少し戻す。 女子寮となっている水の塔へ消えたアンリエッタを見ていた一つの影があった。 ワルドである。 国境を越えた聖地奪回運動であるレコン・キスタに荷担している彼は、現在三つの目的を同時に果たすべく作戦行動をとっていた。 今はその第一段階。 アルビオン王家のウェールズ皇太子と親交の深かったアンリエッタに、二人の仲を疑われるような物が公表されれば、現在進められているゲルマニアとの同盟はご破算になってしまうと説き、彼女の親しい友人であるルイズをその奪還の任に当たらせるように進言していた。 ルイズの身を案じ、渋るアンリエッタに自身も護衛に付くことを述べつつ。 本来は、この任務を命じられるのを自分一人にする予定だった。 だが今日、訪れた学院で彼は珍しいものを目にする事となった。 ルイズの使い魔が人間の、それも平民であるらしいことは噂に聞いていたし、だからまさかとも思ってこれまで計画を延期もしてきた。 そして、その使い魔の手の甲に記されていたあのルーンは、間違いなくガンダールヴ。 であるならば、その主であるメイジのルイズは…… ゲルマニアとトリステインの同盟を阻害しうる文書、アルビオン皇太子ウェールズ・テューダーの暗殺。 これら二点に加えて、更にもう一点ワルドに目的が加えられた。 虚無の使い手であるルイズを、レコン・キスタ側に引き込むこと。 随分前とはいえ彼女と婚約を交わした自分ならば、十分に彼女を説得出来ると思っていたし、彼女がレコン・キスタの意義を理解してくれればそれだけで事は成ると思っていた。 ふむ、と満足げな笑みを浮かべ、そこで隠れていた塔の壁に尚深く身をすくめる。
ワルド涙目w支援
涙目ってレベルじゃねーぞ!www 支援
さるさん? 代行スレで待ってます
見張っていたルイズの部屋の窓に人影が現れたからだ。 それは使い魔の少年だった。 昼間はシャツの上にチョッキを着ていた筈だが、今は何やら銀色の服を着ているようだ。 (……おかしな寝間着を着るのだな、彼は) あんなデザインの服は見たことがなかった。 それに、一体何をしているのだろうか?窓から外を見ている訳ではない。目を瞑り、何か呟いているように見えた。何を言っているのかまでは聞こえないが。 少しでも声を聞き取ろうと少しずつ身を前に出した所で、異変が起きる。 「何っ!?」 庭全体に、最外郭を十角形とし、内側に小さい五角形をいくつも内包し続けていく陣が光る線で構成された。それも、色は血のような赤だ。 反射的に杖を抜き、構えるワルドの前で、陣から巨大な腕が現れた。次いで翼、もう片方の腕、頭と胴、やがて全身が。 それは…… 「悪魔……!?」 闇夜の中、陣の赤い光に照らされて浮かび上がる姿は悪魔そのものだった。 その異形が、吠える。 一歩二歩三歩と踏鞴を踏むように後退して尻餅をついた。悪魔に向けている杖が、腕の震えを如実に表している。 「な――なななな――!」 何だというのか?あれは? 全長20メイルはあろうかという大悪魔。それが何故にこのようなところに現れるのか? そこでふと気づいた。その悪魔は、ルイズの部屋の窓際にたった使い魔の少年を見ている。その少年も、それを平然と見上げている。まるでそれが当たり前のように。 「????」 事態が把握しきれない。あの悪魔は?あの使い魔の?いや、あの使い魔が、あの悪魔の? ワルドの見ている先で、一度部屋の中に戻った少年は今度はルイズを連れて再び窓際に現れると、彼女を抱き上げてその悪魔に開いた穴に入っていった。すぐにその穴も閉まる。 「な……」 訳が分からない。あの悪魔、あそこが口だったのか?それでルイズはあの使い魔と共に食べられたのか? 目の前で起きた光景を、全く理解出来ぬまま固まっているワルドを尻目に、悪魔は翼を広げると飛び去っていってしまった。
おまけ ガンゼロにおける機体 対メイジ戦の考察 ディス・アストラナガン イングラム・プリスケンの開発した機動兵器、アストラナガンが半壊状態だった際に、手近にいたヴァルクを取り込んでベルグバウへ変化。更にゼ・バルマリィ帝国宰相シヴァー・ゴッツォの策略によりディス・レヴを組み込まれた結果の機体。 装甲の自己修復機能、ディス・レヴとティプラー・シリンダーによるほぼ無尽蔵のエネルギーを持つ、スパロボ世界でも最強クラスの機体。 三次元的な力に還元されてしまっている通常の系統魔法は、広域バリアシステムであるディフレクト・シールドによって阻まれ、まともにダメージを与えられない。 加えてディス・レヴによって常に負の無限力を纏っている本機は呪的な防御性能も比較的高いため、虚無の『爆発』でも効果が薄い。ただ、それでもこの世界では魂の絶対量が不足しているため、ある程度力が落ちている方。 火力については言わずもがな、ディス・レヴの補助を受けたインフィニティ・シリンダーの時間逆行攻撃は、まともに防ぐ手立ては存在しない。アカシック・レコードに介入出来る力を持つかによって決まる。 ヤンデレ機動兵器の異名も取り、ベルグバウの頃から当時クォヴレーに最も親しかった女キャラ、ゼオラ・シュヴァイツァーがピンチに陥った際、いきなり動かなくなってみたり(直後ゼオラの恋人が出てくるため空気を読んだ説あり)、 クォヴレーが囚われた敵艦から脱出する際、人質とした巫女姫アルマナ・ティクヴァーとタンデムしていると執拗に狙ってきたりする(初登場のイベント)。 本作でもそれに乗っ取り、クォヴレーの側に女性キャラが居る状態で呼び出すと叫ぶようにしている。何を叫んでいるかについては、JIS規格キーボードを参照のこと。 本日はここまでです。 多方面に多大なるご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません。 以上が本文になりますー。
代行終了 お疲れ様でした
久保乙。ウェールズスルーでアルビオン到着最速記録更新なりそう。。
218 :
魔法陣ゼロ :2008/10/22(水) 23:59:04 ID:KNPMXbhL
>>186 そうすると、ギップルも広義のエルフ……ん?精霊と妖精の境界ってどこだ?
魔法陣ゼロ、第四話を10分ほど後に投下します。
乙 叫び声の秘密に吹いたw 最短クリアだとアン姫も無事手紙だけ回収されてある意味涙目w
ふしぎな踊りで支援
久保乙。 まぁ…あのヤンデレロボがあるとそうなるわなw グルグル支援
久保の人と代理の人乙 ワルド涙目なんてレベルじゃねぇwwwつーか何と言う厨設定wwwだがそれがいいwwwそして咆哮の秘密吹いたwww ウェールズらがどんな反応をするか楽しみ、次回も激しく期待してますw
「これがアンリエッタからの手紙だ」 『そう かんけいないね』 ニア『殺してでも うばいとる』 『ゆずってくれ たのむ!!』
久保様乙です! 魔法陣支援!
乙 ゴキトラ「また女連れ込んでー!!」
226 :
魔法陣ゼロ :2008/10/23(木) 00:10:42 ID:/sU6c6aK
4 朝 ニケの目覚めは最悪だった。 硬い床に直接寝ていたせいか、頭が痛い。いや、痛い理由はそれだけではない気がするが、よく覚えていない。 体にはブラウスやスカートがかかっている。起き上がると、頭から白い布が落ちてきた。 女物のパンツだ。しかし、ククリのかぼちゃパンツとは明らかに違う。自分自身のおかれている状況が理解できなかった。 横を見ると、豪華なベッドにククリと桃髪の女が寝ていた。 「そうか、どっか別の世界に召喚されたんだっけ……」 とりあえず、トイレに行きたい。だが、昨日は窓から入ってきたので、建物の構造は全く知らない。どうしよう? そうだ、あのルイズとかいう女なら、知ってるだろう。 ベッドに歩み寄り、ルイズをゆさぶった。 「おい、起きろよ」 「ん〜、なによ」 「トイレどこ?」 「階段をおりて、ひだり……」 ルイズはそう言うと、また寝てしまった。 そのあとは何度話しかけても、返事は『……』のままだった。 これ以上の情報は得られそうにない。部屋を出てトイレを探すことにした。 部屋の扉を開け、廊下に出る。螺旋階段を下りると、それらしき場所が見つかった。 中に入ると、確かにそこはトイレだった。 …… 「ふぅ、さっぱりした」 さっぱりしたのに何かが足りない、そんなことを考えつつ個室の扉を開けると、金髪縦ロールの女が目の前に立っていた。 女は一瞬硬直したあと、息を吸い込み、そして悲鳴をあげた。 耳が痛い。女は何か叫びながら、ブンブンと杖を振っている。
227 :
魔法陣ゼロ :2008/10/23(木) 00:12:05 ID:/sU6c6aK
〜〜〜 「ニケくん、おはよう……どうしたの、ずぶ濡れじゃない!」 洪水でトイレから押し流されたニケは、全身ビショビショのボロボロでルイズの部屋に帰って来た。 なお、ルイズの着替えは、ククリの手により既に終わっている。 「女子トイレとか、何も書いてなかったから兼用かと思ったのに……」 「ここは女子寮よ。男子トイレなんてあるわけないわ」 「だったら、それを初めに言ってくれよ!」 「そのぐらい考えなさい! そもそも、平民が貴族のトイレを使っていいわけないでしょ!」 「じゃあどこに行けばいいんだよ!」 「そんなこと知らないわよ! 衛兵にでも聞きなさい!」 そのとき、勢い良く扉が開いた。 長身で、やたらとグラマラスな女が部屋にずかずかと入ってきた。 「朝からうるさいわね! もっと貴族らしく優雅になさい、ゼロのルイズ」 「あんたみたいな下品な女に言われたくないわ、キュルケ!」 キュルケは、ニケとククリを見る。 「ところで、あなたの使い魔って、どれ?」 「こいつよ」 ルイズがニケを指差した。 「ぼっ、ぼくはニケです。使い魔の」 ニケの体から湯気が出ている。 「あっはっは! ホントに人間なのね! すごいじゃない! あたしはキュルケよ。ルイズの使い魔にされるなんて不幸ね、ニケ。 じゃあ、こっちの子は?」 「この子はククリ、同時に召喚されたの。 貴族だと思ってたから使い魔の契約はしてないけど、わたしの使用人にするのよ」 「ふーん。でも、どうせ使い魔にするならこうゆうのが良いわよね〜。フレイムー」 キュルケが使い魔を呼ぶと、巨大なトカゲのような生き物が部屋に入ってきた。 「おっほっほ! 見て? この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ? ブランドものよ。好事家に見せたら値段なんか付かないわよ? 素敵でしょ? あたしの属性にぴったり。まさに、この微熱のキュルケにふさわしい使い魔よ。 ま、あなたが召喚した平民も、ある意味ゼロのルイズの名にふさわしいかしら? とにかくフレイムは賢くて強くて、見た目もこの通りの迫力。最高よ!」 「そりゃ良かったわねぇ……」 「あら? フレイムの方を見つめちゃって、どうしたのかしら? ああ、あたしが命令しない限り襲ったりしないから、心配しなくていいわよ」 「いやね、そのブランド物のサラマンダーがどっか行っちゃったけど、本当に使い魔にできたのかしら? そのうちあんたに噛み付いたりするんじゃないか、心配で心配で夜もぐっすり眠れそうよ」 「え? あ、フレイム、ちょっと、どこに行くのよ! 戻ってきなさい!」
ぐるぐる支援
229 :
魔法陣ゼロ :2008/10/23(木) 00:13:10 ID:/sU6c6aK
フレイムはドシドシと廊下を歩いていた。背中にククリを乗せて。 キュルケはルイズの部屋から飛び出し、フレイムを追いかける。 「あはは、あったかーい!」 「こっちに戻りなさいって言ってるでしょ、フレイム!」 フレイムがUターンし、ククリとキュルケが対面した。 「この子、いい子だね!」 「何でいきなり懐いてるのよ……。 ククリちゃん、だっけ? 勝手にあたしの使い魔に乗らないでちょうだい」 「はーい」 ククリがフレイムから下りる。 キュルケはうなだれながら、フレイムを連れて自室に戻っていった。 ククリがルイズの部屋に戻ると、ルイズがニヤニヤしていた。 「フフフフッ! キュルケめ、いい気味よ! ククリ、よくやったわ! しばらくは、あいつをバカにするネタに困りそうにないわね」 「そ、そうなの……?」 「さあ、朝食に行くわよ。ニケも、ぼけっとしてないで付いてきなさい。 ああ、なんて清々しい朝なの!」 ルイズは軽い足取りで、ニケは惚けたように、ククリはムスッとした顔で、部屋を出た。 〜〜〜 「うお、すげえ!」 食堂の中は、まさに豪華そのものであった。 ニケ達は、モンスター退治の礼にと、城で食事をふるまわれたことが何度かあった。しかし、ここの料理も内装も調度品も、それに勝るとも劣らない美しさだ。 「ここは、アルヴィーズの食堂よ。生徒と教職員はここで食事をするの。 貴族である以上、このぐらいは当然だわ」 「アルヴィーズって、なに?」 「小人の名前よ。周りに像がたくさん並んでいるでしょう? あれがアルヴィー人形」 壁際には、魔法使いに兵士、お姫様に王子様と、小さな人形がたくさん並んでいた。 「わあ、かわいい!」 「夜中になると、一斉に踊りだすのよ」 「楽しそう、見てみたいな」 「毎晩やってるんだから、安心しなさい。 ところで、あんたたちの食事だけど、貴族の食事を食べさせるわけにはいかないわよ。よだれ垂らさないでちょうだい」 「え〜!? そんなぁ!」 「本当は、食堂に入るのもダメなんだから。厨房で平民用の食事でも貰いなさい」 「うう……」
230 :
魔法陣ゼロ :2008/10/23(木) 00:14:27 ID:/sU6c6aK
食堂の中では、メイド達が忙しそうに動き回っている。 ニケが、近くにいた黒髪のメイドに声をかけた。 「すいませーん」 「はい、何の御用でしょうか?」 「オレ達、食うものがないんだ。 なんか食べ物、くれないかな?」 「あら、あなたは、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう……」 「ああ、そうだよ。なんで知ってんの?」 「噂になってますわ。なんでも、召喚の魔法で平民と貴族を呼んでしまって、平民を使い魔にしたって。 残り物でよろしければ、ありますよ。厨房までいらしてください」 ニケの目が輝く。先ほどから目と鼻に入ってくる刺激で、そろそろ限界だった。 「ありがとう! オレはニケで、こっちはククリ。よろしくな」 「私はシエスタっていいます。 ……えっと、ククリ様も、残り物でよろしいのでしょうか?」 「うん、いいよ」 「でも貴族の方に、そんなものをお出しするわけには……」 「あたしは貴族じゃないの! なんでそう見えるのかな?」 「え? でも、そのローブと杖は……」 「なあ、早く厨房につれてってくれよ。もうペコペコだ」 「わ、わかりました」 シエスタの後を追い、二人は厨房に向かった。 〜〜〜 厨房の片隅に座るニケとククリの目の前に、シチューが2皿並んでいる。シエスタがスプーンを持ってきた。 そのうち一本を、ニケは目にもとまらぬ速さで奪い取り、そのまま手の動きを止めずシチューをすくい、口に運ぶ。 シチューの温かさが、ニケの口の中に広がる。 「これは……うめえ!」 「残り物と言っても、貴族の方々にお出しするものと基本的には同じものですから。食材も料理人も一流です。 凝った盛り付けはできませんし、肉や野菜が少し硬かったりはしますけれど」 「これで十分だよ、なあククリ?」 「うん、おいしい!」 「よかった。おかわりもありますから。ごゆっくり」 「おかわり!」 ニケの皿は、すでに空になっていた。 昨日のニケは、昼過ぎに戦闘で動き回った上に夕食を抜いていたのだ。 「はい、どうぞ。」 「ねえ、またここに来てもいい?」 「ええ。わたしたちが食べているもので良かったら、いつでもお出ししますから」 結局、ニケは4皿を平らげた。 その後、メイドを通じてルイズに呼ばれて、二人は教室に向かった。
>>215 「ご主人様の浮気者」と「また女連れ込んで」
・・・GJですねw
232 :
魔法陣ゼロ :2008/10/23(木) 00:15:42 ID:/sU6c6aK
〜〜〜 教室の中には、生徒達がいるだけではなく、彼らの使い魔も大量に蠢いていた。 一部の生徒が召喚した大型の使い魔は屋外にいるが、小型の使い魔は主人のそばに、比較的大きい使い魔は椅子の下や教室の後ろに待機している。 まだ教師は到着しておらず、生徒達はおしゃべりに興じていた。 ルイズ達が席に付くと、太った生徒が文句をつけてきた。 「おい、そこの平民。貴族の椅子に座るな!」 「これはわたしの使い魔よ。いいじゃない、席は空いてるんだから」 「なんだ、どっかで見たと思ったら、ゼロのルイズの使い魔かよ。 召喚できないからって、煙にまぎれて適当な平民を連れてきたんじゃないか? ご丁寧に、その主人役まで用意してさ!」 「違うわ! ちゃんと召喚したもの! たまたまこいつらが来ちゃっただけよ!」 「嘘つくな!」 「本当よ!」 「あっ、今朝の変態じゃない! ゼロのルイズの使い魔だったのね! あんたのせいで――」 「静かにしなさい! 授業を始めますよ」 いつのまにか、教師が教壇に立っていた。中年の女で、いかにも魔法使いな格好だ。 教師は赤土のシュヴルーズと名乗り、土系統の魔法について語り始めた。 ――授業開始から十分後。ニケとククリは、夢の中にいた。 「グーグー」 (ねえ、なにあのいびき?) (あれって、ゼロのルイズの使い魔じゃない? 下品ねえ) 「オッポレ……オッポレ!」 「ふんどし〜? いやよ、ケムケムちゃん」 意味不明な寝言に、生徒達からクスクスと笑いが漏れる。 「二人とも、起きなさい!」 「んあ?」 「静かにしてなさい! 何よオッポレって」 「ドンドンして、ビンビンして、スパスパッと」 「一発殴れば目が覚めるかしら?」 「ミス・ヴァリエール! おしゃべりをする暇があるのなら、あなたにやってもらいましょう」 教室がざわめく。 シュヴルーズと生徒たちが言い争う中、ククリは目が覚めたが、ニケは再び夢の世界に旅立った。 机の下に潜った生徒達を見て、とりあえずククリも机の下に潜る。 隣にいた金髪縦ロールの女子生徒に、理由を聞いた。 「ねえ、何でみんな隠れるの?」 「あんたもゼロのルイズの使い魔よね? ルイズがゼロだからよ」 「それって、どうゆう――」 ククリのセリフは、爆音に遮られた。
支援
234 :
魔法陣ゼロ :2008/10/23(木) 00:18:53 ID:/sU6c6aK
以上、第四話終了です。 毎度毎度の支援および感想レス、ありがとうございます。
まずは乙、そしてGJと申し上げたい
00:40から 空いているかな?
こっちも乙、文句なしにGJ あちこちにグルグルネタがちりばめられてて、読んでて原作を思い出します。 誰にも気づかれないさっぱり妖精でもハルケギニアまでは出張は無理か。
グルグル乙。 そしてドラ支援。
空いてるようだな。ありがとう 今まで投下に時間を食ってたが、今回こそはスピーディにいけると思う ただ、今回の話は俺の中ですごい思い入れのある回で、 そもそも俺はこの話を書くためにこのシリーズ始めたってくらいだし、 中身の方も一レスに一話分の内容を詰め込んだと言っても過言じゃないくらいだから、 みんな支援とか忘れてその分じっくりと読んで欲しい 前置き長くなったが、投下開始
支援
第四話 『おそるべき盗ぞく フーケ!』 「ドラえもーん!!」 そんなかけ声と共に、部屋で眠るドラえもんの元にルイズが駆け込んでくる。 「大変、大変よドラえもん! ちょっと、起きなさいよ! 大事件なのよ!」 ルイズはそう言ってドラえもんを揺り起こすが、目を覚ましたドラえもんは 目の前のルイズを見るなりテンションマックスでわめき出した。 「ルイズ! そのまえにぼくにひとこということはないのか!? このまえはきみのせいでこっぱみじんになったんだぞ! これがギャグ作品じゃなかったら、ぼくはしんでるところだ!」 しかしルイズもさる者、そこは華麗にスルーして、 「それどころじゃないのよ! あんた、ミス・ロングビルに通り抜けフープを貸したでしょ。 彼女がそれを使って宝物庫に侵入して、『破壊の杖』を盗っていったのを見た人がいるの! きっと、彼女が土くれのフーケだったんだわ!」 それだけ言うと、ルイズは「ああどうしましょう、どうしましょう」と部屋の中をせわしなく歩き回る。 その騒がしさに、ドラえもんは仕方なく起き上がった。 「そんなものほうっておけばいいじゃないか。だいたいなんだそんなことで。 せっかくのび太くんの夢を見ていたところだったのに……」 「だ・か・ら、それどころじゃないって言ってるでしょ! 知らなかったとはいえ、あんたが、わたしの使い魔であるあんたが泥棒の片棒を担いだのよ。 使い魔の不始末は主の不始末。 なんとかして、土くれのフーケから『破壊の杖』を取り返さなきゃ……」 ドラえもんは、何やら悲愴な決意を固めている様子のルイズを面倒くさそうに眺めると、 「しょうがないな。まったくきみはぼくがいないとなんにもできないんだから……」 ぶつぶつ言いながらポケットを探る。 「とりよせバッグ〜!」 そして出てきた女物のバッグに手を突っ込むと、 「ええと……、はかいのつえとかなんとか、出てこい」 ゴロン、とバッグから取り出されたロケットランチャーが無造作に床に転がった。 「え? これって…」 ぼうぜんとするルイズを尻目に、 「これでいいだろ。まったく、くだらないことでおこすなよ…」 ドラえもんはまた、夢の世界に旅立つのであった。 第四話 『おそるべき盗ぞく フーケ!』 完
投下終了 いや、そんなに石を投げないでくれ 反省してるんだ
いろいろ待てw 支援?
ちょwwwwwwwww 乙
????
わはははははっはっはははっはっはっははあ! GJ! 貴様、俺を笑い殺す気かぁ!
グルグル乙。 次回にwktk。 今夜はなんという投下ラッシュ タヌ…猫型ロボット支援
即効終了ww まあそうなっちゃうわなwww GJ!
ってもう終わってるやんwwww ドラえもんGJ!
こやつめ、ハハハ! 乙
小学○年生にのってた数ページの漫画の方の勢いのスピーディーさだな(w
GJ! だが……まさか、ルイズの自作自演とか、フーケの関係者とか疑われないよね?
なんというスピード解決 まさかアンアンの手紙も ゴクリ・・・
なんだろう…釣られたってわかってるのに、全然くやしくねぇや…。
くそ、「支援しろよ、絶対支援しろよ!」って振っといてこれかよ!w GJというしかねえじゃねえか!w
ドラえもんwwwww釣られたってのにwwww
通り抜けフープの方はどうなったんだろ? フーケが返してから逃げるとも思えんが・・・ が、笑わしてもらった GJ
あんたはいったいなんなんだ!そのさいげんりつの高さは!
ちっともおそるべきじゃねぇwwwwwwwww
つくづくドラえもんはチートだなw
おマチさん涙目すぐるwwww
>>242 夜中に笑わせるんじゃねえwww
ある意味前半の山場の対フーケ戦をたった一レスで終わらせるとかww
ってか戦ってさえいねえ
戦ったところでスモールライトがある時点で巨大ゴーレムなんて・・・
ふと思ったんだが、同じ方法を使えばアルビオンにいく必要もないんじゃないか?
大体予想は付いたけど、こうまでさらりと終わらせるかねw もはや「もっとおぞましい何か」レベルだなドラえもん
>>264 一応「こっちからの手紙を届ける」要素もあるんでいかなきゃいけないんじゃね?
流石に盗賊と王子様を同列に考えて、勝手に持ち物パクるのもダメだろうしw
どう考えても負ける要素が見当たらないからなぁ。>青ダヌキ 精霊指輪とかあれば、ダイレクトに精霊呼び出して使役できるし、エルフも真っ青だよなぁ。
ドラえもんならしかたないな!
269 :
虚無と金の卵 :2008/10/23(木) 01:55:33 ID:MFLYylX9
青ダヌキに戦慄を覚えつつ、予約なければ2:00に 虚無と金の卵(第1章6回目)を投下しようと思います。
これは走れメロスの小ネタを思い出すなw
271 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/23(木) 01:58:42 ID:MJ1+BugL
最終兵器どこでもドアがアップをはじめました。
ミス・ロングビルの顔――学長のセクハラに耐える美人秘書。 一般的に見て美人で清楚。学園という閉鎖的な空間においては、まさに男性教師陣の薔薇と言えた。 もう一つの顔――王立銀行の金庫/貴族屋敷の宝物庫/大商人の蔵/種類を問わず神出鬼没、 トリステイン中の金持ちを震え上がらせる謎の怪盗『土くれのフーケ』。 魔法学院本塔に垂直に立つ女性の姿を、二つの月の光が浮かび上がらせる。 「ふう……ここまで堅牢とはねぇ」 土系統のエキスパートであるフーケは、その自身の魔法を駆使して宝物庫にあたる場所の壁に垂直に立ち、 そして足の裏から伝わる感触で壁の厚さを図っていた。 舌打ちし、忌々しげに足元の宝物庫の壁を見つめる。 「あのコッパゲから話を引き出したは良いものの……いくら物理的な力に弱いったってね……。 こんな堅い壁、ちょっとやそっとじゃ手出しできないじゃないか」 フーケの狙い、それはこの宝物庫の中にある『破壊の杖』。 詳細は知らずとも、フーケ好みのマジックアイテムであった。 そして、謎の多い骨董品である。例え見掛け倒しの道具だったとしても、好事家には高く売れる一品には違いない。 フーケはオスマンの秘書に身をやつしてセクハラに耐えつつ、この宝物庫を開ける機会を虎視眈々と狙っていた。 「『固定化』以外の魔法はかかってないみたいだけど……これじゃあ私のゴーレムじゃ壊せそうにないわね」 フーケは悩む――か細い突破口を求めて。
* ウフコックの顔――元軍属の実験動物であり、マルドゥック市における09法案の執行者。 ウフコックの顔――変身能力と読心能力を持つ、ルイズの使い魔。 そしてもう一つ――学園に溢れる使い魔と、アルヴィース食堂の間を取り持つ、頼れる交渉人。 ”ちびちび、頼んだのね! ベアなのね! 食糧事情改善なのね!” ”……あー、シルフィードの要求は流していいから。頼んだぜ” ”ヴェルダンデはミミズ食ってきたから要らないってよ。自分が言えっての。あいつ主人が負けてスネてるんだぜ” 「うーむ……要らぬ軋轢を生んでしまったな」 ”なぁに、気にすんなよ。主人だってピンピンしてんだ。あいつもすぐ元気出すさ” トリステイン魔法学院の使い魔の朝は早い。 朝もやすら出ていない夜明け前。 大勢の使い魔の賑やかな応援を受け、ウフコックは学院の中庭からアルヴィーズ食堂の厨房へ繋がる裏口を開いた。 きぃ、と木の扉特有の音が鳴る。 使い魔たち以上に、厨房で働く人間の朝は早い。料理人や使用人達は既に朝食の準備で慌しく働いていた。 ウフコックは鼠らしからぬ鈍重な動きで扉の側の木机をよじ登って息を整える。 そして、遠慮がちに呼び鈴を鳴らした。 「ん? ……おお! 我らの<交渉人>が来たぞ!」 呼び鈴に気付いたマルトーが大声を張り上げた。 「忙しいところ邪魔してすまない」 「なに、お前さんがいると助かるぜ。エサが残されなくなってきたし、腹減らして暴れる使い魔もずいぶん減ったもんだ。 ……して、今日の注文は?」 「20匹ほどは、自前で飯は済ませているから要らないとのことだ。 シルフィードとフレイムは肉を多めにしてあげてほしいと言っていた。あとはだな……」 厨房で働く者がネズミを好意的に扱うなど、まず有り得ない。 ウフコックも召喚された当初は同様――使い魔といえど、厨房を荒らす泥棒が敷居を跨ぐことはできない。 一度など、箒を持ったメイドに追い回されたこともあった。 だがウフコックは、調理前の材料を齧り回るような野生動物とは一線を画す。 下手な平民や貴族よりも余程理性的であり、そして他の使い魔――どちらかといえば野生動物に近い部類とも会話することが出来る。 そして何より重要な点――この学院のメイドを庇い貴族と戦った鼠。 マルトーも一目置かざるをえず、今や対等の口を聞くまでになっている。 また助けられたメイドのシエスタも、ウフコックの正義感に痛く感激し、食堂のアルヴィーが並んでる一角にウフコック用の席と木皿、 昼寝用のベッドさえ作ってしまうほど可愛がっていた。ただ、目立つことこの上ないのでアルヴィーの横は勘弁してほしい、とウフコック自身頼み込み、 ウフコック専用席はしぶしぶ厨房の一角に移されている。 厨房で準備を働いていた当のシエスタも、ウフコックに気付きそそくさとやってきた。 「ウフコックさん、今日は何になさいます?」 「いや、そう気を遣わなくても良いんだ。十分に餌は貰っているし」 「……そうですか。でも何か要りようでしたら、いつでも言ってくださいね!」 「おお、我らが交渉人は何と慎ましいんだろう! シエスタ! こいつにアルビオンの古いのを出してやれ!」 「はい!」 「その……いや、ブルーチーズなんて特に駄目なんだが。頼む、普通ので良いんだ……」
このように、ウフコックは学園の様々な人間/使い魔に重宝された。 だが、その中には当然、良からぬ使用法を思いつく者も居る。 ある虚無の曜日の昼下がり、ルイズが一人で勉強や訓練をしている間、邪魔しないぬようヴェストリ広場にでも出かけるか――。 そうウフコックが考えて寮の廊下を歩いていたそのとき、フレイムが呼び止めた。 「おや、どうしたフレイム?」 ”よう。ご主人がお前に相談があるそうなんだが、来てもらえるか?” 「確か、フレイムの主人はキュルケだったな」 ウフコックは、ルイズがキュルケに対抗心を覚えていたのを漠然と思い出した。 まあ、話を聞く程度ならばどうということもあるまい――ウフコックはフレイムの申し出に首肯する。 「まあ、俺は構わないが」 「きゅる(助かる。部屋はこちらだ。乗っていけ)」 フレイムは自分の首に乗るよう、ウフコックを促す。 「あら、いらっしゃい。よく来てくれたわ! ウフコックはフレイムに乗れるのね、二人とも様になってるわよ」 金色のネズミがサラマンダーに騎乗する姿は、まるで動物を擬人化した絵本の如くである。 「……褒められてるのか?」 「きゅる(ま、ご主人はいつもこんな調子だぜ)」 ともあれ、喜ぶキュルケに水を指すほどでも無い。そして落ち着いて招かれた部屋を見回す。 部屋の主人のキュルケがベッドに座っているのはともかく、見慣れない女性のメイジが椅子に腰掛け、本を読んでいた。 「ああ、この子と話すのは初めて?」 「……タバサ。よろしく」 タバサと名乗る青髪の小柄な少女は、読みかけの本を閉じて簡素な挨拶を述べた。 「初めまして。俺はウフコック。ルイズに召喚された使い魔だ。 ここに招いてくれたのはキュルケだろうか? 君だろうか?」 キュルケとは大分性格のようだ。 良く言えば楽天家で前向き、悪く言えば享楽的なキュルケに比べ、禁欲的で純粋、そして悩みがちな空気が漂う。 まるで正反対な二人だが、二人のお互いを信頼する匂い――パートナーとでも言うべき関係だろうか、とウフコックは感じていた。 また、それと別に感じ取った匂い――キュルケからは何かを企む匂い/タバサからは、つき合わされている匂い。 「呼んだのはキュルケ。私も招かれた」 「そういうわけよ。来てくれてありがとね」 「ふむ……?」 「ま、そんな大した話じゃないわ。……ねぇ、二人とも」 キュルケは、手にした紙箱からカードの束を取り出した。 しゃらり、と滑らかな手つきでシャッフルしつつ一人と一匹に尋ねる。 「カードゲームって、好き?」
『サンク』――平民、貴族を問わず広く行われる、ごく一般的なカードゲーム。 トリステインや近隣の国のカジノにおける華とされるゲームの一つ。 4大属性、土水火風の4種のスーツ/スーツ毎に1から13までの番号が描かれたカードから5枚の手札を選び、 その組合せで勝負を決するゲームである。 キュルケがタバサ、ウフコックを誘ったゲームこそ、サンクであった。 「……ルールはさておき、単純に貴方の体じゃ難しいかしら?」 カード1枚の大きさ=ウフコックの体長とほぼ同じ程度。 「いや、カードをひっくり返す程度ならば問題は無い。それに、表面が下に隠れていても、手札くらいなら覚えておける。 しかし、クローズドポーカーのようなルールだな……」 「ん? なあにそれ?」 「ああ、召喚される前、周囲の人間がよくやっていたゲームだ。 似たようなカードを使ったゲームだから、ルールもすぐ理解できると思う」 「へぇ、それじゃあもしかしてウフコックは、東方から来たの?」 「東方? ……よくは知らないが、君達にとっては東方と言うのかもしれないな。 ただ、ハルケギニアとの正確な地理関係もわからないから何処とも言い難い。 恐らく、君らにはまったく知られていない地名だろうし」 「ふーん……? 随分遠いところから来たみたいなのね、貴方」 好奇心に満ちたキュルケの甘い囁き。 だが人間の男ならともかく、ウフコックは当たり前の如くネズミであり、惑わされることもない。 「そんなところかな」 「ま、いいわ。ゲームを始めましょう。今日はお金賭けるのは無しね。賭け金の代わりに玩具のコインで済ませるわ。良いかしら?」 キュルケの言葉を皮切りにゲームが開始された。 初回プレイ――ウフコックにルールを教えるための、チュートリアルを兼ねたゲーム。 敢えて手札を晒して手役の強さなどを解説しつつ、なだらかにゲームは進む。 ある程度の役を説明したところでチュートリアルは終了、本来のゲームの流れに突き進む。 ――結果的にはタバサの圧勝。 運勢に左右されてキュルケやウフコックが勝ちを拾うことはあったが、当然、巡る運勢だけでゲームを支配することはできない。 序盤戦の終了後、ウフコックが漏らした一言/概ねルールは理解した。 この手のゲームの初歩。ルールから導き出される確率を把握すること。 元々ウフコックは数字に明るい。 十分な知性を持って誕生した生体兵器であり、ウフコック自身が反転変身する道具には電算機器や記録媒体も含まれる。 ウフコックの反撃。タバサとの差を徐々に埋め始める。 タバサの余裕――そうこなくては面白くない。
「さて、ディーラーは交代ね。次はタバサ、よろしくね」 タバサは小さく頷く。 キュルケ以上に手馴れた手つきでシャッフル――ゲーム再開。 一進一退。時折、狙ったかのごときタイミングでチップを上乗せし、無謀な手役で挑んでくるウフコック。 タバサやキュルケの手札に同じ役があっても、カードのナンバーや属性などの僅差で大きな勝ちを拾う。 ――中盤戦も終わりに差し掛かった頃の、ウフコックの一言/概ねパターンが理解できた。 「なら、ここからが本番」 珍しくタバサが重い口を開く――お手並み拝見という余裕の姿勢を見せつつも、ウフコックがやり手であることを感じている。 サンクとは資金に応じた戦略を立て、緻密な戦略を立てる知略戦である。 だが単純な1ゲームだけに限れば、駆け引き、即ち心理戦の比重も小さくは無い。 「お手柔らかに頼む」 ただ、カードの擦れる音が響く。 キュルケ達の間に、普段の軽妙な掛け合いは無い――レイズ、フォールド、そして手札の役名だけを淡々と呟く。 中盤戦に入ってからのなだらかな変化。初回から終始、堅実なゲーム運びを見せていたタバサの手が乱れる。 いや、乱された、というべきであった。 僅差でのレイズ、フォールド――タバサの一歩も二歩も先も想定したウフコックの戦術。 タバサは気付く――ゲームを覚えたてのネズミに、赤子の如くあしらわれている。 タバサの知る良しも無いウフコックの嗅覚、それは心理戦を行う上で絶大な優位をもたらす。 完璧なイカサマでも無い限り、プレイヤーの心理を読み切った時点でウフコックの勝利は揺るがない。 タバサの表情こそ平静そのもの。だが混乱と、徐々に高まる戦意の匂いを隠せていない。 対してウフコック自身は何にも惑わされない。混乱に乗じて貪欲に機械的に、キュルケとタバサのチップを貪る。
支援
「……まるで、読み切られている」 ぽつり、とタバサが呟く。 堪えるタイミング、賭けに出るタイミング、全てがタバサの手の裏目を付くウフコックの判断。 タバサにしては珍しく、声色に苦々しい感情が灯っていた。 「タバサに苦い顔させるなんて流石ねー。見込んだ通りだわ」 ちなみに、キュルケはほぼ勝負から降りている。 ゲームの勝ち負け以前に、ウフコックとタバサを巻き込んだ時点で既に満足していたようだ。 「何故わかるの?」 「……さて。まあ人間観察、といったところだろうか。俺は人間と比べれば感覚が鋭い。 例え表情に出さなくとも、誰であれ視線、指先、チップを出すタイミングや並べ方、ふとした些細な瞬間に感情が外に現れる。 例えばタバサならば、特定のカードが揃った瞬間――たとえば、君は『風』のカードが集まるとき、 ほんの少しだけ『安心』を感じている」 「そう……。それじゃあ、私がまだまだ甘い、ということ……」 「上には上が居るものねー。でも十二分にタバサは勝負強いのよ? ウフコックが強すぎるのよ」 「……うーむ、鼠に生まれた俺自身の感覚が強さの理由だろう。だから、あまり自慢にできないんだ」 「……次は勝つ」 珍しく素の感情を表すタバサ。キュルケは頑張れ、と応援するかのようにタバサの頭を撫でる。 「まあ、ウフコックも、生まれ持った才能ならそれを活かすべきよ。タバサも次の機会に挑んで見なさいな。 ……さて、みんなゲームで親交を深めたことだし、次が本番ね」 にやり、とキュルケが微笑む。利益を嗅ぎつける人間の匂い――ウフコックは懐かしさすら感じた。 「ああ……その、もしかしてキュルケ……」 「私ね、良いカジノを知ってるのよ」 「他人の使い魔連れ込んで何教えてるのよっ!」 大声と共に、どかんと大きな音を立て、キュルケの部屋の扉が開いた。
279 :
虚無と金の卵 :2008/10/23(木) 02:16:18 ID:MFLYylX9
以上、投下終了。ありがとうございました。
乙です。可愛いネズミだ。
亀レスですが、久保の人乙です〜 アニメ冒頭の描写に思わずニヤけてしまった自分がいます;w 魔術・呪術的な側面の強いディス(特に動力源)ですが、実は結構攻撃手段、武器等は科学的だったりする インフィニティとアイン・ソフは、描写は違えど理論が一緒(高速回転する中性子星を使った時間逆光)の様で そう言った意味では、物質面(マテリアルサイド)が濃いアストラナガンと虚数面(アストラルサイド)の目立つディスは相反する同一存在なのかも コイツを取り込んだ=勝ったアウルゲルミルって;; ヤンデレ設定に思わず吹きましたww キーボードがそれに拍車を掛けたww 作者様、貴方天才ですよwwww
>>257 てゆうか破壊の杖(ロケットランチャー)なんぞより通り抜けフープの方がよっぽど大層なお宝なんじゃね?w
>>282 フーケにとっては超便利アイテムだなあw
サブタイトルの通りになるのは寧ろこれからじゃね?w
どらえもん最強すぎるだろ シュールw
>271 どこでもドアは地図データが入力されていないと使えないんだぜ!
いやはや、皆様素晴らしい。 随分お久しぶりな、へぼ書き手でございます。ハロウィンとライドウ新作が来るので冥土から甦って来ました。 期待している人は少ないでしょうが、続きを投下いたします。 だいぶ長らく脱線してるし、軌道修正しなくちゃなあ。
しからば、いざ。 《おれは常に否定する霊だ。それも当然のことで、 なぜなら一切の生じ来るものは、滅びるだけの値打ちがあるからな。 それならいっそ、生じてこない方がよいわけだ。 そこでお前たちが罪だとか破壊だとか、要するに悪と呼んでおるものは、すべておれの本来の領分なのだ》 (ゲーテ作『ファウスト』第一部・書斎より 悪魔メフィストの台詞) 地獄の底の楽園で、長身痩躯の老いた悪魔は優雅に挨拶した。 「おれは地獄の大公、その名も高い悪魔、メフィストフェレスだ。うっほん、諸君よろしく」 松下は、流石にちょっと驚いた顔をする。因縁深いヤモリビトと同じ顔でもあるし。 「ほほう、きみがかのメフィストか。 何度もきみを呼び出そうとしたものだが、どうもうまくいかなかったな。お初にお目にかかる」 「ゆ、有名な悪魔なの?」 「ああ、とてもな。ぼくの師匠ともいうべき大魔術師、ヨハン・ファウスト博士が召喚した悪魔だ。 博士は今から400年以上前、この悪魔の力で、現世に千年王国を築こうとした人物なのだよ」 「―――いやあ、そんなご大層な人物じゃあなかったがね。 灰色の現世に絶望して、とことんまで快楽と栄耀栄華を極めようとした俗物だったさ。 小娘を孕ませ殺人を犯し、皇帝を騙し土地を強奪するってな有様で、えらく苦労させられたものなぁ。 ま、それはいい。お前さんがたの事情は、おれのマゴット、地獄の蛆虫どもを使って聞き出してある。 自己紹介はこのぐらいでいいだろう……ところで」 そう言うと、つかつかとメフィストは硬直している佐藤の方へ歩み寄り、彼の頬の皮を掴んだ。 「!? な、なんです、いきなり?」 「ふん、このマスクぁ古代の魔法使い『ヤモリビト』のものだな。 そういや何千年か前にあのへんを散歩したとき、姿を見かけたっけ。 おい、おれの顔と紛らわしいから剥いでしまうぜ。いいだろ」 「は、はい。どうぞ、お願いします」 ベリッと佐藤の仮面は剥がされ、若い頃は美男だったのだろう、白髪の老人の素顔があらわにされた。 仮面はそのまま投げ捨てられ、空中で塵に帰る。 「……と、ともかく、ここで私の『虚無』の魔法を使えば現世に帰れるのね? ああ〜〜、随分長く感じたわ! 生きた心地がしなかったわ!」 ルイズはその場の緊張感をほぐそうと、笑いながら背伸びをした。
メフィストはフフン、と鼻で笑いながら、彼女の方へ振り返る。 「そういうわけなんだが、ちょいとおれにはヤボ用があってな」 「あによ。急いでいるから手短にお願いするわね」 「ああーと、お嬢さんはいいとして、そこのメシアのジャリ。松下一郎ぼっちゃんに話がある」 「またぁ? こいつの顔が広いのはいいけど、毎度私が話題の外に置かれるのも考えものだわ」 ルイズは渋い顔をして厭味を吐くが、松下は気にせず、悪魔の前に進み出た。 「なんだね? ぼくの理想に協力してくれるのなら歓迎するが……」 「そういうこっちゃねえよ。ものは相談だが……お前さん、ここに残ってくれねえか?」 「「??」」 悪魔は、近くに伸びている世界樹、善悪を知る木、の太い根に腰掛ける。 さらに、ぱちんと指を鳴らして空中から刻みタバコの入ったパイプを取り出し、火をつけて一服する。 「ふーーーっ……お前さんはなんちゅうか、危険すぎるってこった。 地球でも地獄でも、ハルケギニアとかいう並行世界でも、放っておけば大騒動を巻き起こす。 といってずっと天界に置いておきゃあ、天使どもでも唆すかも知れねえ。そんならいっそ、ここが相応しかろうってな。 おれぁ時々天界にも遊びに行くから、そんなお達しを預かってきたってわけよ」 「―――――神、からかね」 「そうなるね。いいじゃあねえか、ここは静かで平和だし自然は豊かだし、アダムになったつもりでさ。 面倒なら、そこに湧いている『忘却の水』を飲めばいい。 霊魂は記憶も力も失い、正常な子供に戻って、どこかの世界へちゃんと生まれ変われるだろう」 メフィストの意外な提案に、メシアを狂信するシエスタが噛み付いた。 「悪魔のいうことはウソばっかりですわ! 神様がメシアの妨害などなさいますか!」 「外野は黙ってろい!」 ぶん! とメフィストが杖を振ると、地面から木の根が伸びて彼女の口を塞ぎ、四肢を拘束してしまう。 何もしていないが、ついでに隣にいた佐藤も拘束された。 「……おれだって何万年、何十万年と生きているから、今までメシアも何人か見てきたぜ。 敵対したことも、手下というか使徒にされて戦ったこともあらぁ。 偽メシアなんか数え切れないぐれぇいたが、お前さんはたぶん本物の方だろ。 だがねぇぼっちゃん、この世界ってのは、そうそう好き勝手に変えちゃあいけない代物だよ。 富める者と貧しい者の運命、死と生の区別、星の動きから地球の回転、全て決められたように動いている。 その秩序をお前さんが乱そうと企んでいるので、あの大旦那がおれにちょっと注意せよと言われたのだ」 メフィストはギラリと目玉を光らせ、ヤクザのように松下を睨みつける。
悪魔の眼光を浴びても、松下は眉一つ動かさない。この程度の脅しに屈していては、メシアなど務まるものではない。 「ぼくが作り治めるべき地上天国とは、こんな箱庭のようなものではない。 こんなところでゆっくりはしておれんし、だいたい悪魔にそう言われて、おいそれと従うわけにもいかんのだが」 「そうだろうねぇ、悪魔ってのはあんまり信用がねえからな。……じゃあ、お嬢さんはどうかな?」 「ひっ」 ハラハラしながら離れて傍観していたルイズへ、急に立ち上がったメフィストがずいっと近寄った。 常人にとって、悪魔はドラゴンかエルフのように恐ろしい。 今更ながら怯えて後じさるルイズの肩を正面から捉まえ、悪魔は冷たく笑いながら猫なで声で語りかける。 「ま、ま、そう怯えないでさ。なぁお嬢さん、ミ・レイディ、麗わしのミス・ヴァリエール。 知ってのとおり、このいけ好かんジャリは超危険人物、フダ付きの悪童だ。 自由とか人権とか平等とか、社会主義とか共産主義とか、果ては神の啓示とかを頼まれもしねぇのに並べ立てて、 気に入らねぇ王侯貴族を断頭台に送り込もうというやつだ。 悪魔を率いて現世をぶっ壊し、新世界の神になる、とかほざく手合いだよ。 いつまでもこんなヤツを手もとに置いておけば、お嬢さんも取り返しのつかねぇことになるぜ」 「…………もうなっているわ、この通り、巻き添え食って死んでしまったもの」 「そいじゃアよく分かるだろ、こいつのせいで余計な死者は増え、戦乱と天災が世界を襲っているんだから。 ここで別れて大人しくさせておけば、お嬢さんの人生は平穏無事のバラ色だ。 な、お嬢さんをおじさんが生き返らせてあげるから、代わりに『使い魔』になってあげようか? おれはとっても役に立つよ、仰せのままになんでもするぜ。莫大な富、永遠の美貌、無敵の魔力が手に入るだろう。 求めよ、さらば与えられん、てな。その程度の欲望なら、神様も大目に見てくれるのさ」 「う…………ううう……」 メフィストはルイズの背中に手を回し、白く細い首筋に、はぁーっとヤニ臭い息を吐き掛ける。 賢明なる普段の彼女なら、こんな見え透いた詐欺師の誘惑に耳は貸さないのだろうが、なにしろ相手は強力な悪魔だ。 彼は耳から言霊を、手から『霊電磁気』を送り込み、催眠術をかけている! ルイズの顔がぼうっとなり、瞳から光が消え失せ、霊体が霞んで輪郭がぼやけてきた……。 搦め手から攻めてきたか。松下は占い杖を振り上げようとするが、すでに手足には木の根が絡み付いている! 「……くっ! ルイズ、悪魔に耳を貸すな! どうせデタラメだ!」 「うるせぇ、『悪魔くん』め!」 ずしん、と松下の背中が重くなり、膝がガクリと折れる。そのまま前のめりに倒れて地面にめり込む。 メフィストの魔法、『魔力・重力落とし』だ。いよいよ実力行使に出たようだ。
「とどのつまり大旦那はなぁ、おれとお前さんを勝負させて、勝った方を正義とするってこった。 お前さん、随分罪を犯してきたな? 侵略戦争に加担し、何万という兵隊を自分の都合で殺したな? 善悪を天秤にかけて計りゃあ、お前さんは『有罪』だ! 罪の重さをその身で受け止めやがれ!」 言うが早いか、ザワザワと木の葉が鳴り、上空から無数の木の実が降り注ぎ、巨大な人面の果実となって松下を押し潰す! 「逃げられはせんぞ」 「そうだ」 「あきらめろ」 「そうだ、そして認めるんだ」 「この世界を! 我等の存在を!!」 積み重なる果実の群れは、やかましく喚きながら腐汁を撒き散らし、次々と地面に根を下ろして松下を押さえつける。 佐藤とシエスタも拘束する木の根に呑み込まれ、うめき声をあげながら血のように赤い樹木に変身していく! 「へへへへっ、賢いようでもまだ子供だね。年季が違うよ、年季がさ。 おれにとっちゃあ、こんな餓鬼どもを誑かして始末するのは、赤子の手をひねるようなもんよ。 なぁ、お嬢さん、かぐわしく可愛らしいレモンちゃん!」 鼻の下を伸ばし、にやけた助平顔でメフィストはルイズに擦り寄った。 どうせ使われるなら美少女の方がマシだし、洗脳してしまえば逆に『使い魔』にできる。 面倒なお使いの手間賃は彼女の魂でいただくとしよう。潜在魔力もなかなか多そうだ。 むっふふふふ、と勝利を確信した笑いが思わず漏れてしまう。 ……だが、メフィストは彼女を見くびっている。 彼女は《虚無の担い手》であり、あの『烈風』カリンの末娘であり、 なにより誰あろう、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールなのだ。 突如、疾風のようにルイズの蹴りが、彼の股間にめり込んだ。 「ぐうっ!?!」 悪魔の手の力が緩んだ。ルイズは体を旋回させ、彼の肋骨に猛烈な肘鉄を打ち込む! 「あッ」 突然の攻撃に対応できず、ぐらりと倒れる悪魔から飛び退き、瞬時に杖を抜いて呪文を唱える。 「『錬金』ッ!!」 悪魔の蝶ネクタイに魔法がかけられるが、膨大な魔力を受け止めきれず、『錬金』は失敗して爆発を起こす! 「ぎゃふん」 哀れな悪魔は一声叫ぶや、その場できりきり舞いをしてぶっ倒れた。 ……読者の中には、たかが小娘の蹴り一つで、悪魔が肩から手を放したことを不思議に思われる人もいるであろう。 なるほど、普通の人間の蹴りなら命に別状はない。 しかし霊体とはいえ、ルイズの金的蹴りということになれば、問題は別である。 その強力な打撃は股間を紫色にし、これをまともに食らえば、心臓は一時停止しなければもたなくなるほどの苦痛なのだ。 続いて胸元にロケットに近い威力の肘鉄まで放たれたのである。 さらにストレスを溜め続けたルイズの『爆発』を首元の至近距離で受けたのだからたまらない。 普通の人間なら即死だが、悪魔メフィストは持病の腰痛を再発させ、気を失っただけだった……。
松下たちを襲っていた植物は、悪魔が倒れると同時に煙のように消え去った。 意識を取り戻したルイズは凛と瞳を輝かせ、憤然と鼻息を噴き出し、小さな胸を反らせて悪魔を踏みつける。 「こンのエロ犬、変態犬! たかが悪魔の分際で、人間様の邪魔をするんじゃないわよッ!!」 起き上がってきた松下も佐藤もシエスタも、驚きを隠せない表情だ。 「……いやあ、きみは時々すごいことをやらかすな。相手は悪魔だぜ」 「ふん、悪魔がなによ、神がなによ! 私が人間である限り、誰にも私の意志を阻むことは出来ないわ! それに、あんまり見くびらないで欲しいわね。契約のルーンは外れていても、私はあんたのご主人様なのよ」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 今まで彼女の小さな胸中を占めてきたのは、「他人に認められたい」という切実な思いだった。 魔法が使えないという一事だけが彼女の自信を失わせ、空虚な誇りを肥大させ、心を歪め縮めていたのだ。 だが伝説の《虚無の担い手》となった今、家族も級友も、女王陛下も枢機卿も、教皇聖下でも自分を認めてくれるだろう。 できそこないではない、落ちこぼれではないと。立派な貴族だ、始祖の末裔たる素晴らしいメイジだと。 それでは、次に何を目指せばいいのだろう? さらに何を求めればいいのだろう? 目指すは母様のような強く立派な魔法騎士か、カトレア姉様のような淑やかな貴婦人か。 いずれは結婚せねばならないのだろうが、今はその気も相手もない。ワルド子爵はあんなことになったし。 富か、愛か、地位や爵位か、さらなる名誉か。いやいや、なにか足りない。 ……そうだ、私はあの時、心の底から求め訴えたではないか。 ただただ自分の『使い魔』が欲しい、と。 しかし、メイジを知るには使い魔を見よというなら、自分の使い魔であるマツシタは何者なのだ。 この小さな子供はメシア、救世主であり、世界を征服して『千年王国』を築くと言っているではないか。 全人類の見果てぬ夢を、異能を尽くして、現実世界に実現させようと執念深く奮闘しているではないか。 地獄に落ちても這い上がり、悪魔を力づくで従えてまで。 ならば、ならば。それならば。 だん! と靴底を鳴らして松下に向き直り、ルイズは大声で叫ぶ。 「さあマツシタ、私の使い魔、さっさと私について来なさい! 共に天下を統一し、万人の求める理想郷ってやつを、現世に築き上げてやろうじゃないの! あんたも神も悪魔も世界も、このちっぽけな『虚無(ゼロ)』のルイズの器の中に呑み込んでやる!!」 おお、よぉく分かった。 この、ひたむきで生意気で、自己中心的で傍若無人で傲岸不遜なメシア様は、つまるところ私の鏡写しの姿なのだ。 ならば、このマツシタの狂おしい野望は、私の求め訴える願望でもある、ということではないか!!
不敵に顔を輝かせた、天下人の如きルイズの気迫。松下はあっけにとられたあと、腹の底から呵呵大笑した。 死を体験し冥途を辿り、知恵の樹の下で悪魔を倒すことで、彼女は精神的に成長し、変貌を遂げたわけか! 「ぷふっ、くくっ、はっははははは!! よくも言ったり! それぐらいの気概がなければ、ぼくの主人とは言えないな!! ははははは……」 手を拍ってひとしきり笑ったのち、松下は泡を吹いてのびている悪魔を見やる。 「じゃあ、今のうちにこいつを封印しておこうか。ルイズ、きみの持っている『水のルビー』を貸してくれ」 「? どうするの?」 指輪を手にした松下は、ルビーを悪魔にかざして空中に円を描く。 すると両者の間に虹色の光が生じ、悪魔は宝石の中に吸い込まれてしまった。 「……これでよし、と。 こいつを強制的に縛り付けるような魔道具があれば、ここから召喚して使役もできるナ」 「始祖の秘宝に悪魔を封じるとはね。こんなの身につけたら、また洗脳されたり、悪魔憑きになったりしない?」 「さっきのような強い意志を持っていれば大丈夫さ。我が主人、革命の同志、『虚無』のルイズ」 ぽい、と投げられた指輪を受け取って握り締め、ルイズは力強く肯いた。シエスタも佐藤もにっこりと笑う。 「さてマツシタ、これからの予定は?」 「うむ、まずはかねてからの計画通り、アルビオンを取る。国盗りだ。 ここでは三日ほどしか経っていなくても、現世では数週間は経過していよう。 トリステイン軍も千年王国軍もアルビオン軍主力も殲滅され、あの大陸はゲルマニアの掌中に落ちているはずだ。 そこで混乱に乗じてゲルマニア軍を一掃し、ぼくらの千年王国をアルビオンに打ち立てる。 ―――たぶん、我々を狙撃して殺した奴も、ゲルマニア軍の中にいるだろうがな」 ルイズがヒュウ! と口笛を鳴らす。 「今度は僅か数人で、十万近いゲルマニア軍を一掃するっていうの?」 「第七使徒マルトーらをアルビオンに潜ませてあるから、十数人かな。 それとサウスゴータ占領時に、いくらかの在野・反政府勢力を密かに手なずけておいた。 まぁ、勝算はあるさ」 「じゃ、トリステイン本土はどうなのかしらね。ガリアとゲルマニアに挟撃されているんでしょ?」 「ガリア方面には、第六使徒タバサを通じていろいろ根回しがしてある。 相手がゲルマニアだけなら、女王と枢機卿がしっかりしていれば外交努力でも防げるだろう」 こいつはまぁ、なんと手回しのいい奴だろうか。 まるで先々を見越していたようだ。いや、マツシタはきっと遥かな未来を、千年もの先を見越しているのだろうが。
そうこうするうち、明るかった空がスウッと暗くなってきた。 周囲を見れば、樹木は歪み捩れて石化し、草花は塵灰となって崩れていく。 地面はグラグラと揺れ動き、熔岩の固まったような素肌を剥き出し、亀裂があちこちに走り出す。 そこからは硫黄臭のする煙が噴出し、見る見る楽園を覆っていくではないか……! 「きゃあ!? な、何事でしょうメシア?」 「この悪魔メフィストが、幻術かなにかで楽園を作り出し、維持していたのかも知れんな。 やれやれ、地獄はやはり地獄らしくなっているわけだ。 随分と寄り道したが、収穫はあった。長居は無用だぞ、ルイズ」 「よし! 戻りましょう、アルビオンへ!!」 轟音とともに楽園が崩壊していく。 ルイズは世界樹に向き直ると、懐から『始祖の祈祷書』を取り出し、『水のルビー』を指にはめる。 それからパラパラと祈祷書をめくり、すみやかにトランス状態に入って、虚無の呪文を紡ぎ出す。 Quod est inferius est sicut id quod est superius, (下なるものは上なるもののごとく) et quod est superius est sicut id quod est inferius, (上なるものは下なるもののごとし) ad perpetranda miracula rei unius. (そは唯一なるものの奇跡の成就のためなり) 「虚無の魔法の、中級の中の上。 我等の前に未来を開け、《世界扉(ワールド・ドア)》!!」 呪文を唱えつつ、ひゅッひゅッと杖で前方の空間に魔法陣を描く。 そこへ重力が集まり時空が歪み、何層もの次元を虫食い穴のように穿って、虹色に光り輝く球状のゲートが出現した! 一同が急いでゲートに飛び込むと、たちまち眩い光に飲み込まれ、まっすぐに現世へと上昇していった……。 《求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、さらば見いださん。門をたたけ、さらば開かれん。 すべて求める者は得、尋ぬる者は見いだし、門をたたく者は開かるるなり》 (新約聖書『マタイによる福音書』第七章より) (つづく)
投下終了。おお、さっぱりした。 では、また。
よみふけってたら支援する間もなく終わってたw 乙でした。 そういえば、伝説ではファウストの従えてた悪魔は黒犬の姿をしていたというが――。
なんてぇレモンちゃんだ・・・乙でした!
なんて時間に投下しやがる乙
皆さん、大量に乙! THE GUN OF ZEROが来てたのも嬉しいですがドラの人、面白すぎw 大笑いしましたw しかし、そのうち、ルイズにポケット盗られるんじゃないか? 「使い魔の物はご主人様の物!」とかいうジャイアン的理由でw さて、後の期待はとうとう中身が出てきてしまったベルモンドの話だけど・・・・ 早くこないかな〜。
>ポケットとられる 次の話に出てくる道具が丸解りじゃん 「ど く さ い ス イ ッ チ」(テテテテン、チャ〜チャ〜チャ〜ン)
パナソニック乙 帰ったらギーシュはどうなってるんだろ・・・
ポリー・ハッターからポリーを召喚しないかな。 原作読んだこと無いけど。三次扱い?
悪魔くんお疲れw とうとう地獄から帰還ですか。 先に期待。
ストリートファイターキャラが召喚されたことってないのかね? リュウぐらいあっても良さそうなもんなのにググっても出てこない
ググっても出ないというのが召喚されていないという良い証拠じゃないか
乞食とか言われそう…… いっそのことダンを出せば、サイト以上の馬鹿をやってくれるのでは?
そうか 自分で書くしかないのか 文章書く練習しよ・・・
ファイルのおっさんリュウでお願いします
>>306 ギア指弾で大抵のものは吹き飛ばせるな。
リュウは月面から徒歩で地球に帰れるんだぞ 多分ハルケからでも適当に徒歩でさまよいながら何時の間にか帰ってる
>>305 ダンを召喚すれば………
学院生達「「「「がどーけーん」」」」
ダン「声が小さいぞー、我道拳っ」
こんな学院風景になるかもしれない。
タバサ「よゆ〜っす」
リュウって結構良いと思うんだよね 素手ならバカ強いけど、相手は魔法だし ホントにピンチになったら「殺意の波動」発動できるし デルフの出る幕無しだけど
ちょっとずらして格ゲーネタということなら…キング・オブ・ファイターズからアーデルハイドとか? 癇癪持ちな妹がいるからルイズの相手も軽くこなせて美形かつ強い。 あとはソウルキャリバーからアイヴィーとか。おマチさんやシュヴルーズ先生あたりと意気投合しそうだけど。 コッパゲに言い寄られたりとかな。
>>303 何度か案は出ているけど、
・地位とか権力とかに興味がない。
・別に誰かに頼らなくてもなんとかなる生活力がある。
・よくて無双、悪くて俺TUEEEEにしかならない。
等の理由でやめるのが多いみたい。
>>315 そうか・・・
確かにリュウなんて日本でもほとんど野生みたいなもんだしな
納得
ストリートファイターシリーズのキャラで生活力が無い… ZERO3のコーディーかっ!?<生活力が無いわけではない
>コーディ 敵の吐いたガムでさえ食う男か
吉崎観音の4コマで リュウにたべさせられた納豆は駄目だったが、 ケンが持ってきた納豆は旨かった。 リュウはいったい何を食わせたんだろう? という後ろでリュウがゴミ箱あさっているというのがあったな。
>314 草薙京とか 「いや・・・・・・・もう俺の卒業とかどうなるんだろ・・・・・ コルベールっつったっけ? アンタなんとかなんない?」 こうですかよく判りません で、ジョゼフの呼んだ生き物が「キョォォォォォォ!」
面白いSS描けるかどうか、にはパターンがあると思うんだ。やっぱり @強いキャラより弱いキャラの方が緊張感が出る A強さ以外の要素を持ってるとオリジナリティが出しやすい B召喚キャラ自身が何らかの目的を持って動いている方が話を進めやすい う〜ん ご立派様は@が入らないな きさくな女王はBが無かった気がする 別に全部の要素をもってないといけない事もないんだろうけど
@を満たさないのが多すぎると思うんだ
パターンもなにも面白いものは面白いし面白くないものは面白くないよ
作者の腕以外に面白いかどうかを決定する要因なんてないよ
@、A、Bを同時に満たす作品はないよ。
ああ、小鬼は1〜3を結構満たしてるな
なるほど・・・ ブラムドさんの例もあるし リュウの動機付けさえあればなんとかなりそうな気がしてきた ちょっくら書いてみる
利便性っつーか取り回しを考えないとテンプレの流れに載せられなくなる ちょっと前に巨大哺乳類がどうかって話が上がってたけど 飛べない上に大きすぎるとアルビオン編にいけない アルビオン行きの船に乗せられないとか よしんば乗せられたとしてもおろせないとかなるから オリジナルの流れにもってかないとならん ので難易度が跳ね上がると思うがどうよ でもご立派様とか結構でかいはずなのにやすやすとアルビオンいってたなw
ドラえもんはその最たるものだったなw 部屋から一歩も出ずに即手紙回収とかwww
マテw ドラが1レスwで片付けたのはフーケだw
333 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/23(木) 16:01:48 ID:2Jl0W/31
悪口で戦うWeb漫画あったけどその主人公召喚はどうかな?
>>332 手紙回収はアンアンにどこでもドア使わせて終わりだよな。
>>334 んにゃ、どこでもドアは地図データがないと使えないぜ
多分それをふまえて作者が一話でどこでもドアが使い物にならない描写をしてる
話を作りにくいキャラって ・元いた世界でやりたい事、目的がある人。 ・最愛の人がいる。その人以外はアウトオブ眼中 ・ズル賢いという意味ではない悪人、純粋悪 ・悪ではないが他人には従わない人 ぐらいかな
>>321 「弱いキャラの方が緊張感がでる」
でもそればっかだと原作とあまり変わらないからかえってつまらない。
弱くても相当個性の強いキャラじゃないと。
338 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/23(木) 16:26:35 ID:2Jl0W/31
週間ストーリーランドの不思議な物売りのお婆さん召喚 気になるフレーズで商品を出し、ルイズ達がマジックアイテムだと思い気になって買う 泣くか笑うか、生きるか死ぬかはキャラ次第 オリジナルグッズとかも有りで、 例、使えない杖 効果 杖を構えなくても魔法が使える 先住魔法扱いされるがそういう効果があるアイテムをお婆さんから買ったと言ってお婆さんを捕まえようとするが何故かつかまらない そういえばお婆さんは神出鬼没だったな
沈黙の戦艦のセガールコックさんなら@とAは満たしてるかもしれん。 マルトーと意気投合しそうなんだがなー 他にもレキシントンの潜入・奪還くらいできそうな・・・
だから駄目、だから無理、ってのをあえて逆手に取るって手法もあるがな。 最終的には全体の構成と文章による説得力があるかないかじゃないかな。
真正面からメイジと戦うには力不足って言ってもいいような気がそこはかとなくしてもいいんじゃないかな どうも弱いという気がしないが というかコックがおもっきり派手にバトってるssをどっかで見た記憶が……
あのコックさんなら電子レンジや圧力釜でガンダールヴが発動すると思うんだ・・・
最強のコックの場合、相手が魔法でも問題なく勝ってしまいそうな気がして仕方ない
見えるかのようにエアハンマーをよけて つきだしてきた鉄拵えの杖を払って相手に突き立てるんですね わk
マルトーさんと意気投合……いや、むしろマルトーさんこそが……!
>>320 血に狂っとるがなw
作者より頭の良いキャラとかは?
>>335 なんてこった……
ちなみに地図データってどうすりゃ良いのか分かる?
だね なにしろ素手の時が一番強いからな、ライバックは
>>349 人払いがされた学院長室で、一人の老人と一人のコックが相対していた。
緊迫した空気は、肌を切るような気配さえある。
老人が口を開く。
「君の力が必要になったのだ」
「私はただのコックですよ」
おどけたようにコックが言う。
しかし、決してその瞳は揺らいでいない。
「ミス・ヴァリエールとその使い魔がアルビオンへ向かった」
「コックの私には関係ありませんね」
うそぶくコックに、老人の瞳が揺らぐ。
だが次の瞬間、笑みを消したコックは再び口を開く。
「ですが、アルビオンにはいい塩があるって話です」
コックの凄絶な笑みに、老人はどこか感謝の色を浮かべる。
「K・C・ライバック!!」
「私の名前はマルトー、ただのコックですよ」
こうですか、わかりまs
>>350 ハルケギニアの測量技術じゃどこでもドアに使えるほどの精度は出せないだろ
ドラ自身が衛生でも打ち上げれば別だろうけど
四次元ポケットにそんなもんあったか?w
その頭の良さを作者の足りない頭でどう表現しろと?
どこでもドアなんてなくても 「石ころぼうし」とタケコプター&通り抜けフープで大抵の場所には行けると思う
>>353 名前忘れたが小型人工衛星打ち上げる道具ならあったはず
>>350 私見だけど、
メーカーが出している地図データーを入れないといけないんじゃないかな。
藤子F氏もそこら辺の細かいことは考えていなかっただろうけど。
>>352 やべえ、学院の食堂で喧嘩騒ぎなんて起こしたら包丁が眉間から生えたりしそうだ
>358 ドアに覚えさせながら動けばその動いた範囲のデータはインプットされてる
>>359 ・・・ギーシュヤバス
モットーの場合だとお得意の潜入・破壊工作か。
>>353 >>358 なるほど、色々あるんだな。
でもドラえもんの22世紀なら、そういう事態も想定して「どこでもドア用測量機」とかありそうだなw
>>352 これだからセガールはやめられないw
ワルドに刺されたウェールズも貫通してれば大丈夫なんだろうな。
セガールの場合はガンダールヴの効果で力加減が難しくなり、慣れるまでは逆に弱くなりそうだな。
今どら召喚やってるんだしネタつぶしになりそうだな、なんて思ったり
>>364 姉妹スレというかイチローのヤツでいなかったか?
>>366 おお、思い出してすごいすっきりした
どっかで出てた記憶はあったんだけど、思い出せなかったんだよな
>>345 じゃあ刑事さんではどんなものでガンダールヴ発動するのだろ
モップ?胡椒?柱時計?今日も事件だ
>>350 >作者より頭のいいキャラ
これは「周りを馬鹿にする」あるいは「頭良いっぽくする」で何とか出来ます。
たとえば「銀河英雄伝説」のヤン・ウェンリーは「的確に相手の急所を突く攻撃をした」
などといった曖昧な表現でうまく誤魔化しています
>地図データ
原作の作中ではデータをインストールする描写はありませんが「のび太の恐竜」で「使えない」と
結論を出してしまっています。
ひょっとしたらインストールする方法があるのかもしれませんが所詮お手伝いロボット。
「地球破壊爆弾」なんぞ持ってる、間違い無くロボット三原則なぞ知らんようなお手伝いロボですが
沈黙の戦艦はおもしろかったな・・・
ところで、
>>108 読んで思い出したんだがテイルズシリーズの歴代ラスボスの中でミトスが最弱って本当?
三つぐらいしかやったことないんでわからないんだが
>>363 >>350 ドラえもんは自家用衛星を持っていたはず。
また、一度言ったところはどこでもドアに記録される。(日本誕生を参照のこと)
ただ、見せれば、篭城している真っ最中だろうが、敵国だろうが、聖地だろうがどこでもいける
「オールマイティーパス」という道具がある。
最も手紙については、取り寄せバッグを使ったほうが早いだろうけど。
某先生ならハンガーでガンダ発動するわけか
「ワルキューレー!!!!」 叫びを上げたギーシュの目前に、七体のワルキューレが現れる。 「マルトーさん!?!?」 周囲で厭らしい笑みを浮かべるメイジたちは、悲鳴を上げるシエスタと対照的に過ぎる。 だがメイジたちは気付いていない、無礼な口をきいたコックの手が閃き、 その手から飛んだ包丁がワルキューレの頭に突き刺さっていることを。 そしてコックがギーシュに歩み寄る。 両手を不可解に揺らしながら、ワルキューレに焦点を合わせていない。 コックの焦点は、ギーシュに定まっていた。 「こういう、危ないものは、ちゃんと、扱わないと、いかんよ」 文節が区切られるたび、ワルキューレの関節があらぬ方向を向けられる。 コックの両手が魔法のように閃き、肘が曲がり、頭がもげ、 ちぎられた腕はコックの右手に捕まれている。 理解の範疇を超える光景に、メイジもメイドも問わず、 食堂にいる人間は沈黙するしかない。 残るワルキューレは二体。 ふっ、とコックが笑みを浮かべ、ギーシュはそれに反応しようとした。 気付けば、コックの手からワルキューレの腕が消えていた。 鈍いような鋭いような、重い音が響く。 音が消えるよりも早く、コックの姿は別のワルキューレの影に隠れていた。 今度はコックの右足が閃き、今度はワルキューレの膝下がちぎれ飛ぶ。 「案外もろいな」 だるま落としのように崩れるワルキューレの向こうから、 とぼけた台詞が聞こえた。 その言葉にギーシュが怒りをあらわにしようとした瞬間、 眼前にコックの顔があった。 「おいたはいかんよ」 笑みすら浮かべる余裕に、ギーシュは脂汗を吹き出していた。 だがコックはギーシュの手から杖を落とそうとはせず、 残った一体、最後のワルキューレに突き刺さった包丁を引き抜いて呟く。 「そろそろ研がないとな。シエスタ、砥石を出してくれ」 半壊にされたワルキューレの間を、散歩でもするかのように歩み去るコックに、 手出しできるものはなかった。 ……なにやってんだろう俺w
>>369 ミトスよりミクトラン様の方が弱いんじゃね?
普通に攻撃してたらいつの間にか倒せるレベル
マルトーかっけえ!!
いや、これはクロスでは……あれ、クロスなのか……? まあいいやかっこいいからGJw
コック半端ねえw
スマン 徹夜明けの頭に響く吹き替えコックボイスに指を任せていたらこんなことに 反省してます
いやぁ、さすがのコック。どこにいても冴えは変わりませんね。 さて、来週のこの時間はなんとコックが外国の宮廷で大暴れ。 滅びの運命を前にした王と若き王太子。その裏で蠢く謀略と裏切り。 それでは今日はこのあたりで。さよなら、さよなら、さよなら。
>>372 マルトーやべーw
だいはーどな刑事さんだと何かあるごとに「なんで俺がこんな目に・・・」とか「くそったれ〜」とか
「なんてこった!」とかわめいていそうだw
セガール…
>>378 淀川さん、懐かしい
ドラえもんの場合、あまりにも万能すぎて劇場版ではポケットや道具をなくしたり奪われたりといった展開が多いからな。
普通に使えたらタンマウォッチひとつで十分。
つかどこでもドアを使わなくても、境面世界(鉄人兵団参照)に入れば誰もいないから、
アルビオンだろうが聖地だろうがゆっくり行って現地で出口を作れば時間はかかるが簡単に行ける。
>>381 姉妹スレでやってるな、マンインザミラーw
昔、ゼロ魔本スレで父親が実はライバックという「シエスタ・佐々木・ライバック」ネタがあったなw 鉈一つ持って山に分け入って半刻、キャンプ地に戻ってきたシエスタの手には“何か”の肉が……。 そのお肉を使って、さっそく曽祖父直伝ののヨシェナヴェ作りに取り掛かるシエスタ。 「このポトフ美味しいわね。 これは何のお肉を使ってるの?」 「オーク鬼です」 「ブッ――!」 「冗談です。 本当は野うさぎですよ」 「じょ、冗談? 本当に冗談よね?」 「…………フフフ」
>>352 それだとルイズ関係ないなw
面白いけどさw
男臭いマルトー、凄くイィ! 外伝みたいな扱いで連載して欲しい・・・。
人を喰うモンスターはまずいって説があるけど。 肉が臭いみたいなんだが・・・・
ミスタが言ってたな。
どっかの原始人はティラノサウルスをうまそうに食ってたが……。
ふと思ったんだが、使い魔がドリトル先生なんてどうだろうか? コルベール「動物や幻獣と会話が出来るとは・・・コレもルーンの影響でしょうか?」 ドリトル「いや・・・生まれ付きですが。」
ぽっぺん先生とか。 異世界には慣れてるけど。
風呂上がったらコック人気でワロスw
日を置いて熟成した肉は美味い ↓ ティラノサウルスは腐肉食いだった ↓ 美味い物食ってる奴も美味い とした架空戦記作品があったりする 実際どうなのかは知らんがハイエナの肉はまずそうだな
ランボー・怒りのアルビオンとか・・・
腐肉喰いは野生では珍しくないらしい。 何せ採るのが楽だから。 というわけでライオンとかは腐肉探して歩き回っているらしい。 実のトコ、ハイエナの方が群れを構成する数が多いからよく狩りをするとか。
>>392 >美味い物食ってる奴も美味い
それだと共食いが1番のご馳走に……
サバンナで1番の盗人はライオンらしい。
1つの群れの個体数が多いから。
>>373 SFC版のダオスが弱いよ! 嵌めてると全く攻撃させずに倒せるよ!
19話後編、書きあがったので19:35ぐらいから投下します 進路クリア?
進路クリア!テイクオフ支援。
では投下始めます
「貴族派! ワルド、あなた! アルビオンの貴族派の仲間だったのね!」 ルイズは震えながら怒鳴った。ワルドは裏切り者だったのだ。 「トリステインの貴族であるあなたがどうして!?」 「『レコン・キスタ』はハルケギニアの将来を憂い、国境を越えて繋がった貴族の連盟さ。ハルケギニアは我々の手で一つになり、『聖地』を取り戻すのだ」 「昔のあなたはそんな風じゃなかったわ! 何があなたを変えたの!」 「月日と奇妙なめぐりあわせだ。それが君の知る僕を変えたのだろう……しかし、それを悔やんだ事はない」 そう言ってワルドは風の魔法『ウインドブレイク』をルイズ目掛けて放つ。静留がルイズを庇うように間に入ってデルフを掲げるが、勢いを全てを殺すことが出来ずにルイズもろとも床に転がる。 「残念だよ、ルイズ。素直に僕の申し出を受けていればよかったものを……言うことを聞かぬ小鳥は、首を捻るしか無いだろう?」 優雅に着地したワルドは酷薄な笑みを浮かべて床に倒れているルイズに歩み寄ろうとするが、その前にデルフを構えた静留が立ちふさがる。 「結局、可愛さ余って憎さ百倍いうことどすか……ずいぶんと勝手なお人やね」 「ああ、我ながら身勝手だと思う。だが、それのどこが悪い? 自己の為に人を欺き利用し、不要なものは切り捨てる……所詮、人間とはそんなものだ」 「そんな御託は別にどうでもええ。あんたがルイズ様の信頼を踏みにじった、それだけの話や……ただ、そのツケはきっちり払うてもらいますえ!」 静留はそう言い放つと、ワルドの懐に踏み込んで剣を横なぎに振るった。しかし、ワルドはひらりとかわし、杖を振るってさっきと同じ『ウインドブレイク』を静留に放った。 静留は横っ飛びして呪文をかわすが、風圧で舞い上がった堂内の埃を吸い込んで激しく咳き込む。 「どうしたね、ガンダールヴ? 渾身の一撃だったようだが、それでは僕を捕らえるには遅い。足掻くならもう少し僕を楽しませてくれよ」 ワルドが油断なく杖を構えた姿勢で静留に嘯く。その時、今まで黙ってデリフリンガーが口を開いた。 「調子に乗るなよ、若造! 手前ごときが、この俺様の使い手に勝てるとでも思ってんのか」 「無論、そのつもりだよ。確かに君は優れた武器もしらんが、残念ながら使うのは彼女だ。いくら相手がガンダールヴとはいえ、女に不覚など取るものか」 「へっ、その言葉そっくり手前にかえしてやるぜ! 姐さん、ちいとばっかり本気出すけどかまわねえよな?」 「何するか知らんけど、好きにするとええ」 「よっしゃ! 見てな若造っ、これが俺の本気だぜ!」 咳き込んで少しげんなりした静留から許可をもらったデルフリンガーが叫ぶ。それと同時にデルフリンガーの全体が白く輝き始める。 「くっ、小細工などさせるものか!」 三度ワルドは『ウインドブレイク』を放つ。とっさに静留は光りだしたデルフリンガーを構えた。 「無駄だ! 剣では全ては防げん!」 ワルドが叫ぶが、放たれた強風は静留に襲い掛かる前にデルフリンガーの刀身へと吸い込まれる。
そして、光が収まると、デルフリンガーはその身を白い柄と鋼色に輝く刃をもつ立派な剣へと変身させていた。 「……デルフはん?」 「へへっ、どうだい、おでれーたろ? これが俺様――『ガンダルーヴの左手』デルフリンガー様の本当の姿さ! 退屈すぎて自分で姿を変えちまったのを今まですっかり忘れてたぜ。姐さん、ちゃちな魔法は全部吸い込んでやるから、思う存分暴れてくれ!」 ワルドはデルフを興味深かげに見ると、自嘲するような笑みを浮かべた。 「なるほど、やはりただの剣ではないということか……ならば、こちらも本気をだそう。何故、風の魔法が最強なのか、その所以をその身で知るがいい!」 「姐さん、何の呪文かしらねえが奴の呪文を止めるんだ!」 静留はデルフの言葉を聞くやいなや斬りかかるが、ワルドは剣戟をかわしながら呪文を完成させる。 「ユビキタス・デル・ウィンデ……出よ、わが偏在!」 ワルドが叫ぶと同時にその姿が蜃気楼のようにぶれたかと思うと、ワルドが本体を含めた五人に分裂した。 「分身どすか……なかなか面白い手品やね」 「ただの分身ではない。風のユビキタス……風は偏在する。風の吹くところ、何処となく現れ、その一つ一つが意思と力を持って動く」 ワルド本人以外の分身が懐から白い仮面を取り出すと、顔につけた。それを見た静留は、怒りにすっとの目を細めてワルドを睨みつける。 「なるほど、桟橋で襲ってきたんは、あんただったんやね」 「いかにも。言っただろう、風は偏在すると!」 五人のワルドが一斉に静留に襲いかかる。さらに呪文を唱え、杖に青白い魔法の光を纏わせた。 「今度はこの杖自体が魔法の渦の中心だ。さっきのように剣で吸い込むことはできぬ!」 杖から空気が渦巻き、鋭い切っ先となって、静留に襲い掛かる。それを静留は跳ね除け、受け流す。だが、一度に五人が相手とあって、じりじりと堂内の隅へと追いやられていく。 「さすが伝説の使い魔、平民の、しかも女にしてはよくやるではないか。しかし、所詮はカビの生えた伝説ということか。風の偏在相手に防御一辺倒で手も足も出ないようではな!」 「そっちこそ、手数の割には一本も当てられんのはどうかと思いますけどな。女やと思うて舐めたらあきまへんえ!」 静留はそう叫んで、周囲にいた五人のワルドを力任せに跳ね除ける。次の瞬間、左手のルーンとデルフリンガーが光り輝いたかと思うと、静留の体が疾風のような速さで空中に跳躍し、ワルドの分身を三体切り伏せた。 「馬鹿な、一度に三体だと? 信じられん!」 残ったワルドの顔が驚きに歪む。 「その調子だぜ、姐さん! 『ガンダルーヴ』の強さは心の震えで決まる! 何でもいい、心を震わせてりゃ、そんな若造に負けやしねえ」 「へえ、そうなんどすか……ほんなら、ここは一気に勝負にでますえ」
静留はデルフに答えると、残る二人のワルド達に向かって斬り込んでいく。デルフを左手一本で軽々と振り回し、激しく繰り出される静留の攻撃に、今まで余裕の表情を崩すことのなかったワルドたちの顔にあせりの色が浮かぶ。 「ええい、この僕をこうも手こずらすとは……忌々しい!」 「う、う〜ん」 その時、静留たちから15メイルほど先で失神していたルイズが、目を覚ましたのか小さなうめき声を上げた。戦っていた静留の意識がルイズの方へと逸れる。だが、そんな僅かな隙をワルド達が見逃すはずもなく――。 「――隙ありっ!」 ここぞとばかりにワルドと分身が前方と右側面から静留に襲い掛かった。完全にふいを突かれた静留は、ワルドの杖でデルフを弾き飛ばされ、さらに右から分身の蹴りを受けて後方の壁面に背中から叩きつけられる。 「ぐっ……」 「姐さん!」 衝撃でふらふらになりながらも何とか立ち上がった静留を、すでに目の前に移動していたワルドが胸倉を掴かんで床に投げ倒す。 「無様だな、ガンダル−ヴ。君はいささか武芸の心得があったようだが、所詮は素人の生兵法に過ぎん。戦いの最中に主人に気を取られるようでは僕には勝てんよ」 そう言いながらワルドはうつぶせに倒れた静留の背中を踏みつけた。そして、分身と共に散々に蹴りつけた後、その胸元に杖の切っ先を向ける。 「君のおかげで久々に緊張感のある戦いが楽しめた。せめてもの手向けだ、一思いに楽にしてやろう」 「やめて――――っ!」 ワルドが静留の胸を貫こうと杖を振り上げた瞬間、堂内にルイズの叫びが響き、ワルドの分身が爆音と共に消滅した。 「どうしたね、ルイズ? 心配しなくても君もすぐに彼女の後を追わせてあげるよ。それとも僕に用事があるのかい?」 ワルドは杖を静留に向けたままの姿勢で、身を起こしたルイズに笑顔で尋ねる。 「貴方の目的は姫様の手紙と私自身のはずでしょ……ここでシズルを見逃してくれれば、なんでも貴方の言うとおりにするわ」 「ふむ、たかだか使い魔の命乞いのためにそこまでするのは理解できんが……それで君が僕と一緒に来てくれるなら、お安い御用だ。では、その証明としてまず姫殿下の手紙を渡してもらおうか」 「……分かったわ」 ルイズは悔しげに顔を歪めると、懐からアンリエッタの手紙を取り出してワルドに差し出した。 それを見たワルドは静留が動けないことを確認した上で、満面の笑みを浮かべてルイズへと近づいていく。 「ああ、ルイズ、君ならきっと考え直してくれると僕は信じていたよ。まったく、最初から素直に言うことを聞いていれば事を荒立てずにすんだものを……」 ワルドが手紙を受け取ろうと左手を伸ばす。その手が手紙に届く寸前、風を切るような鋭い音と共に紅い刃がかすめ、肘から先が切り落とされて床にごろりと転がった。
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支援
「ぐあああああああっ!」 切断された左腕を押さえ、ワルドが苦痛の叫びを上げる。それをあざ笑うような冷ややかな声がワルドの耳を打つ。 「――敵に止め刺さんと後ろを見せたらあきまへんえ」 「き、貴様……一体どうやって……」 ワルドが声の方に振り向くと、、そこにデルフを杖にして立ち上がり、右手に自らのエレメント『殉逢』を構えた静留の姿があった。 「うちを女だと思って甘くみたのが間違いどしたな、ワルドはん」 「おのれ、許さん! 許さんぞ、この女狐が――――っ!」 静留の言葉に逆上したワルドは右手で杖を振り上げ、静留に襲いかかった。静留は『殉逢』を刃の背が表になるように両手で構えると、左手のルーンを輝かせ、向かってくるワルドの腹部を目がけて思いっきり振り抜いた。 「がはっ……!」 『殉逢』の一撃を腹に喰らったワルドは弾き飛ばされ、そのまま天井付近のステンドグラスを突き破って遥か彼方へと消えていった。 「あんたには悪いけど、うちはもうこれ以上、大切なもんを失うのは嫌なんよ……」 『殉逢』を振りぬいた格好で荒い息をつきながら静留は誰ともなしにそう言うと、崩れ落ちるように倒れた。ついで『殉逢』が宙に解けるように消え失せる。 「――シズルっ!」 ルイズは静留に駆け寄って抱き起こすが、静留は目を覚まさない。ルイズは慌ててして呼吸と脈を確認する。呼吸は穏やかで脈も落ち着いていてルイズはほっとする。 だが、腕の中の静留は満身創痍で、服はあちこち破れて素肌が露出し、戦闘中に切ったのか額と唇から軽く出血していた。 「安心しな、娘っ子。姐さんは、ガンダルーヴの力を出し尽くして寝ちまっただけだ」 デルフがルイズを安心させるように声をかけると、続いて尋ねる。 「で、どうするよ? 外のざわめき具合からして王軍は負けちまったようだぜ? 急いで逃げねえとすぐに敵が押し寄せてくるぞ」 デルフの言う通り、怒号や爆発音はすでに城内部にまで迫っていた。ここに敵が来るのは時間の問題だろう。 「……そうね、敵が来たらとりあえず私たちをトリステインの大使として扱うよう交渉してみるわ」 そのルイズの答えにデルフが呆れた声を上げる。 「おいおい、お前みたいな小娘の言うことを相手が聞いてくれるとでも? それこそ疑われて酷い目にあうのがオチだ。戦場で女がどんな目にあうか知らねえのか?」 「それぐらい分ってるわよ! でも、こんな状態で一体どこにどうやって逃げればいいっていうのよ!」 ルイズが癇癪をおこしてデルフを怒鳴りつける。 その時、目の前の床がもっこり盛り上がったかと思うと、茶色の生き物が顔出した。その生き物は穴から這い出してルイズに近づくと、嬉しそうな鳴き声を上げる。
支援。
「……あんた、ギーシュの使い魔のヴェルダンテじゃないの」 ルイズが驚きに目を丸くしていると、続いて泥にまみれたギーシュがその穴から顔を出した。 「ああ、ヴェルダンテ! まったく君はどこまで穴を掘れば気が済むんだね! って……おや、そこにいるのはルイズじゃないか!」 ギーシュは静留を胸に抱えているルイズを見て驚きの声を上げるが、すぐに静留の状態に気づいて血相変えて穴から飛び出した。 「これは酷い! ルイズ、シズルさんの身に一体何が? ワルド卿がついていながらどうしてこんなことに」 「……そのワルドの仕業よ、彼は裏切り者だったの。幸い、シズルのおかげで手紙を奪われずにすんだわ」 「なんと、子爵が……それでシズルさんの容態は?」 「大丈夫、デルフが言うには、疲れて寝ているだけで命に別状はないそうよ……それよりどうやってここまで?」 「タバサのシルフィードよ」 ルイズの問いに、いつの間にかギーシュの横にいたキュルケが答える。 「キュルケ!」 「それでアルビオンについたはいいが、ニューカッスルになかなか近づけなくてね。どうしたものかと困っていたらヴェルダンテが急に穴を掘り始めた。その後をついてきたらここに出たというわけさ」 ルイズの指に光る『水のルビー』にふがふがと鼻を押しつけるヴェルダンテに、ギーシュはうんうんと頷く。 「なるほど『水のルビー』の臭いを追って、ここまで穴を掘ったのか。さすが僕の可愛いヴェルダンテだ」 恍惚の表情を浮かべてヴェルダンテを撫で回すギーシュを見て、ルイズとキュルケがうんざりとした表情を浮かべる。そこにデルフのいらいらとした怒鳴り声が響く。 「おい、お前ら! 悠長に話してんじゃねえ! 逃げねえと敵が来ちまうぞ!」 「では、僕がシズルさんを……ふべらっ!」 ルイズはギーシュに肘鉄を打ち込んで黙らせ、静留をキュルケに預けると倒れているウェールズに近づく。 しかし、すでに彼は事切れており、ルイズは目を閉じて軽く黙祷した。 「ねえ、ルイズ、まだなの?」 そんなキュルケの声を背にしながら、せめてアンリエッタに形見になるものを持ちかえろうと、ルイズはウェールズの指から『風のルビー』を抜き取ってポケットにしまいこんだ。 「さようなら、ウェールズ様……どうか始祖の御許から姫様を見守りください」 ルイズはそう言うと穴の場所へと戻った。ルイズが穴に入った瞬間、王軍を打ち破った貴族や兵士たちが礼拝堂に雪崩れ込んできた。 ヴェルダンテの掘った穴は大陸下部にある岩棚に繋がっていて、タバサとシルフィードがルイズたちを待っていた。タバサは静留に応急処置を施し、ルイズたちが乗り込むのを確認すると、岩棚からシルフィードを飛び立たせる。 シルフィードは緩やかに滑空して雲を抜けると、力強く翼を羽ばたかせ、トリステイン目指して降下を始めた。
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ルイズは眠る静留を落とさないようにしっかりと抱きしめ、遠ざかっていくアルビオン大陸を見上げた。 心地よい風が全身をなぶる中、短いアルビオンでの滞在の間の出来事が脳裏に浮かんでは消えていく。 裏切り者だったワルドのこと。 死んでしまった皇太子のこと……。 王軍に勝利を収めた貴族派『レコン・キスタ』のこと……。 どれも忘れたい悲しいことばかりだったが、たった一つだけうれしいと思えたことがあった。 ワルドを撃退した時に零れた静留の『大切なものを失うのは嫌』だという言葉……。 自惚れかも知れないが、その大切なものに自分も含まれていると感じた。それは静留にとってルイズの気持ちほど確かな想いではないだろう。 だが、今はそれだけで十分だ、とルイズは思った。 「まったく……好きになった責任、いつか取ってもらうわよ……」 ルイズは静留の顔を汚れを綺麗にふき取りながら呟く。そして、身を屈めるようにして顔を近づけると、静留の唇に自分の唇を重ねた。
410 :
ゼロHiME :2008/10/23(木) 19:55:06 ID:/GMjOvJk
以上で投下終了です。
>392 ヒトラーが過去にタイムスリップして原始生活に適応して俺Tueeee!になった仮想戦記?
>>389 本当にドリトル先生シリーズ読んだのか?
ポリネシアに教えてもらって初めて動物語を操れるようになったんだぞ。
虫語を解析するシーンもある。
本名、鳥取健一
ミスターで思い出したが、ハルケギニアの長島巨人軍もなかなかイケルと思うんだ。
エディ・マーフィー主演の映画版では生まれつきだったな ドリトル先生の動物トークは >ヒトラーが過去にタイムスリップして原始生活に適応して俺Tueeee!になった仮想戦記? あったら超読んでみてえ ちなみに「帝国海軍ガルダ島狩竜隊」という本
>エディ・マーフィー主演の映画版では生まれつきだったな 唐突に覚醒だ、生まれつきじゃない
こんばんわ。 予約が無い様なので投下したいのですがよろしいでしょうか?
支援
421 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/23(木) 20:42:32 ID:bn6GAtJu
>>413 ジョンブルじゃなくてアメリカンなDr.ドリトルなら生まれつき動物の言葉が
なぜかわかる人だな。
井伏鱒二訳の岩波少年少女文庫の奴は今読んでも面白いので魔改造された映
画版よりお勧めだ。
8話 近づいてきたシエスタ、才人、ウォレヌス、プッロを眼に止めたメイド達はすぐに洗濯を止め、何やらひそひそ話しをし始めた。 おそらくこの三人の異邦人についてだろう。彼女達の顔には好奇心と僅かばかりの恐れが見られた。 そのひそひそ話しもシエスタ達が眼前にやって来たらすぐに止み、彼女たちの視線は三人に注がれた。 シエスタはメイド達の前に立つと、大きな声で話し始めた。 「ねえ、みんな!この人達が昨日話したミス・ヴァリーエルに召喚された人達よ。紹介するわ!」 そう言って彼女は三人を指しながら紹介し始める。 「右からヒラガ・サイトさん、ティトゥス・プッロさん、そしてルキウス・ウォレヌスさんよ」 才人はペコリと頭を下げた。 「ど、どうも。はじめまして、皆さん。平賀才人です」 思えばこれだけ多くの女性から注視されたのはこれが生まれて初めてだろう。喜ばしい事だ。 まあ、使い魔なんてやるんだからこれ位の役得は無くちゃな、と才人は思った。 「俺はティトゥス・プッロ。よろしくな」 「……ルキウス・ウォレヌスだ」 プッロは朗らかな口調に自分を紹介したが、ウォレヌスは嫌々と言った様子でボソリと呟くだけだった。 それを見て才人はシエスタと会った時もウォレヌスは一言も喋らなかった事を思い出した。 どうやら洗濯場に来てからウォレヌスの機嫌は悪くなったようだ。 だが才人にはその理由を本人に聞く度胸と、何よりも暇が無かった。メイド達の質問責めが始まったからだ。 最初の質問はメイドの一人が三人を順々に見つめた後に始めた。 「あなた達の事を昨日シエスタが教えた時ははっきり言って半信半疑だったんだけど……本当だったのね。ねえあなた達、本当にそのローマとか言う遠い異国からやってきたの?」 「ああ、そうだよ。でも俺はローマじゃなくて日本って言う全く別の国から来たんだ。」 「ふ〜ん」 そして別のメイドが口を開いた。 「人間が召喚されるなんて聞いた事が無いんだけど、本当に使い魔にされちゃったの?あなた達」 「残念な事にな。まあ使い魔やる代わりに金は出させるって約束させはさせたんだが」 そのメイドはプッロの答えにひどく驚いた様子を見せた。 「貴族の方にそんな約束をさせたの!?一体どうやって?」 「学院長のジジイが俺たちの国の事をいろいろと知りたいそうでな、俺たちを引き止める為にあっちから言い出してきたんだよ」 「へ〜、そうなんだ……」 そしてこの二人を皮切りにメイド達は次から次へとに三人にむけて質問を浴びせ始めた。 彼女たちは中々好奇心が旺盛なようで、ローマや日本がどんな場所か、何をしていたら召喚されたのか、これから一体どうするのか、 元いた場所じゃ何をやっていたか、使い魔にされてしまって文句は無いのか、など様々な事を三人に尋ねた。 もっとも答えたのはプッロと才人だけでウォレヌスは押し黙ったままだったが。 ウォレヌスの態度からプッロもウォレヌスがどんどん不機嫌になっているのに感づいたのだが、才人と同じくメイド達の質問に答える為に何も出来なかった。 この問答は30分以上続き、メイド達はあらかた知りたい事を聞き終えたのか、シエスタのそろそろ止めないと迷惑になると言う言葉もありようやく三人は解放される。 そしてメイド達はそれぞれの洗濯だらいに戻っていった。
支援
「迷惑をかけてすみませんでした。ちょっとうんざりしたでしょう?まったく、みんな次の仕事があるって言うのに……これじゃ絶対に遅れちゃうわ」 シエスタは三人にそう申し訳なさそうに言ったが、プッロは特に気にしていない様子だ。 「いやぁ、別に構わんさ。質問の量にはちょっと驚いたがな」 才人もプッロと同じく彼女たちの質問の多さには驚いていた。少なくとも自分があれだけの質問を聞かれたのは生まれて初めての事だ。もっとも質問をしてきたのが若いメイドさん達だったので不快な気は全くしなかったのだが…… ハルケギニアのようなテレビもパソコンも無い世界では多分噂話は重要な娯楽の一つなのだろう。そして「突如現れた謎の異邦人たち」程格好の噂話は無い事は才人にも容易に解った。 彼女達の口から三人の事が(恐らく誇張されて)学院中に知れ渡るのはすぐの事だろう。 「じゃあ才人さん、洗濯を始めましょう。すみませんけど、もう6時頃ですから急ぎますよ。もうすぐ朝食の用意を手伝わなきゃいけないんです」 シエスタはそう言って洗濯だらいの前にしゃがみ込んだ。 「ああ、解った。よろしく頼むよ」 才人もシエスタにならい、洗濯籠を地面に置いてからシエスタの隣にしゃがんだ。 そして洗濯だらいに服を入れようとしたシエスタにプッロが声をかけた。 「あ〜シエスタちゃん、お前さん達が洗濯をしている間井戸を使っていいか?ちょっと顔を洗ってさっぱりしたいんだが……」 「ええ、いいですよ。井戸の使い方は解りますよね?」 「ああ、問題ない。じゃあすぐに戻ってくる。隊長、行きましょう」 プッロはそう言ってウォレヌスの腕を掴み、半ば無理やり彼を引っ張っていった。 井戸から桶をくみ上げたプッロは水を思い切り顔に浴びせ、しずくが彼の顔から滴り落ちた。 そして彼はそのままジャブジャブと顔を洗る。冷たい井戸水のお陰でプッロの頭からは眠気が吹っ飛んだ。 「さ、隊長もどうぞ。スッキリしますよ」 プッロが桶を差し出すと、ウォレヌスは何も言わずに受け取り、プッロと同じように残った水を顔に浴びせて顔を洗った。 実はプッロが井戸に来たのは顔を洗う為だけでない。二人だけなら人目を気にせず話せるだろうと言う魂胆があったからだ。 プッロはウォレヌスがなぜさっきから黙ったままのかを知りたかった。 ウォレヌスは元々無骨で口数も少ない男だったが、洗濯場についてからの彼の無愛想ぶりは彼の基準としても異常だ。 メイド達の質問には全く答えず、表情も石の様なままだった。ウォレヌスと10年の付き合いを持つプッロには彼がかなり不機嫌になっている事が簡単に解る。 このまま放っておいてなにか問題が起きる前に何とかしたほうが良い、とプッロは考えたのだ。 そして彼は深く息を吸い込んでからウォレヌスに話しかけた。 「まったく、どうしたんです?さっきから黙りこくってる上にメデューサに睨まれたみたいに無表情ときている。これじゃ俺まで気が滅入っちまいますよ。いったい何があったんですか?」 ウォレヌスはプッロをじっと見つめていたが、やがて口を開いた。 「……いいかプッロ、前にも言ったがな、奴隷に気軽に接するんじゃない。連中を付け上がらせる事になる。見ろ、現にあの奴隷娘は我々に対しまるで同格かの様に振舞っている」 ウォレヌスはうんざりしたように言い放った。 彼にとって奴隷とはあくまでも自由市民の所有物でしかない。奴隷を必要以上に寛大に扱うのは連中を増長させるだけと言うのがウォレヌスの持論だった。 だから彼は自分たちに対して何の畏怖も見せなかったシエスタが気に入らず、彼女の挨拶を無視した。 そして他のメイド達が何の遠慮も見せずに延々と質問を続けるのを見て彼はますます苛立った、と言うわけだ。
支援
だがプッロは呆れた様な様子で言い返した。 「別にいいでしょう、それ位」 プッロはウォレヌスほど市民と奴隷の違いに拘っているわけではない。無論同格と考えているわけでもないが。 プッロにウォレヌスは血相を変えて言い返そうとした。 「良くは無い!連中を付け上がらせればスパルタクスのように――」 だが彼が発言を終わらせられる前にプッロが割って入った。 「そもそもね、シエスタ達は奴隷じゃないんですよ」 ウォレヌスはプッロの言った事が理解出来ず、顔をしかめた。 「何ぃ?奴隷じゃない、だと?いったいどう言う事だ?あの娘は現にあそこで服を洗っているじゃないか!」 「実際に本人がそう言ってたんですよ。“メイド”とか言う家事やらなんやらをする仕事をやっているそうで、俺たちと同じ平民だと言ってました」 ウォレヌスは心の底から驚いた。自由市民が洗濯を仕事にするなど彼、と言うか普通のローマ人にはとても考えられない事だからだ。 奴隷を買えない貧乏人ならともかく、ある程度裕福な家庭ならば家事や料理は奴隷にやらせるのがローマでは当たり前になっている。 だから自由市民が雑用を仕事にするなどウォレヌスにとっては完全に常識の外だった。 彼がシエスタを奴隷だと思い込んでしまったのも無理は無い。 「……じゃあ何か、ここじゃ自由市民が奴隷のように雑用を仕事にするというのか?まったく……蛮人のやる事は理解できん」 いくら蛮人だとは言えここは色々とおかしすぎる。そう思いながらウォレヌスは呟いた。 「まあ蛮人云々はともかく、ここの連中が相当変わってるってのは間違いなさそうだ。まあ魔法使いがごろごろいる様な場所ですから変わってるのも当然でしょうけどね」 ウォレヌスは頭を抱え、自分達のおかれた状況を呪った。 プッロの言葉で改めて自分たちが全く未知の世界にいる事を実感してしまったのだ。 「クソ……一体何の因果で私達はこんな場所にいるんだ」 「そうですねぇ、ま、おおかたフォルチュナに小便をかけられたんでしょう。神々のやる事は死すべき運命の俺たちには理解出来ませんからね」 プッロは半分おどけた様な口調で言う。 「フォルチュナだと?フォルチュナどころか神々全部に小便をかけられた気分だ! 見ろ!共和国の栄えある第十三軍団の予備役長官及び首位百人隊長であるこの私が、気が付いたら全く見知らぬ異国で小生意気な蛮人の小娘の奴隷にされてるんだぞ!こんな馬鹿げた事があるか、クソったれめ! 大体なんなんだ貴様は?昨日あんなに喚いていた癖にやけにここに馴染んでるのはどう言う事だ?え?」 今日の朝からウォレヌスはプッロの態度が気に入らなかった。あのシエスタと言うメイドとやらともやけに仲良くしていたし、他のメイド達の質問責めにも進んで答えていた。 ウォレヌスにはなぜプッロが昨日あんなに使い魔になる事に抵抗し、荒れておきながら手のひらを返したかのように態度を変えたのかが理解出来ず、またそれが気に入らない。 これでは昨日とは立場が逆ではないか。ハルケギニアの自由市民が奴隷の仕事をすると言う奇怪な風習を目撃したショック、その奇怪な世界に孤立してしまった事への落胆、そしてプッロの半分おどけたような口調への苛立ちのために、ウォレヌスは声を荒げてしまった。 激昂したウォレヌスにプッロは諭す様に話しかけた。この二人、性格は違えど頭に血が上りやすいのは共通している。 だから付き合いの長い彼らは片方が感情を露わにした位で慌てふためく事はない。 「落ち着いて下さいよ。俺だって別にこの状況に納得したわけじゃない。でも少なくともここに長い間いなきゃいけないのはもう決まった事なんです。 ならギャアギャア言ったってどうしようもないんだから、可能な限り楽しまないといけないと考えてるだけです。それにここの連中がろくでなしだけじゃない事も解ったでしょう?シエスタを見なさいよ。」 プッロの言う事はもっともだ、と思いウォレヌスは素直に謝った。 文明人を自負するウォレヌスにとって感情だけで行動するのは恥じるべき事なのだ 「……ああ、確かにお前の言う通りだ。すまんな、改めて私達がどんな状況に置かれているかを考えたらつい荒れてしまったんだ」
プッロは特に気にした様子は見せなかった。 「まあ、次からは気をつけてください。ああ、そうだ。もうここから離れていいですか?顔は洗ったんだからもう用はないでしょ?」 「別に構わんが、どこへいくんだ?」 「どこって、あいつらの所にですよ。こんな所で突っ立ってても退屈なだけでしょう。それに朝飯が何時なのかシエスタに聞きたい。昨日の夜から何も食ってませんからね、腹が減ってるんですよ」 ひもじそうに腹をさすりながらプッロは答えた。 二人が才人達の所に戻った時には洗濯はある程度終わったようだった。 「へ〜、結構終わったようじゃないか」 プッロは才人に声をかけた。 「ええ、もう半分くらいはやりました」 「才人さん、洗濯は生まれて初めての割には結構お上手なんですよ。この分なら次からは自分だけでも出来るようになりますよ」 「そ、そうかな?」 才人は照れながら答えたが、内心では腕がとにかく疲れる以外はそれ程難しい事じゃないな、と才人は思った。 実際、才人は自分が思ったよりもずっとうまく洗濯のコツを飲み込んでいた。 「じゃあさっさと終わらせちまおう。次は下着か」 そう言って才人は洗濯籠の中からルイズの絹製のパンツを取り出した。 彼はそれを洗濯だらいの中に入れて洗い始めようとしたのだが、シエスタの声にそれが遮られた。 「あ、才人さん。気をつけて下さい。絹は揉み洗いしちゃ駄目――」 その時、ウォレヌスの叫び声が周りに響いた。 「絹だとぉ!」 突然の声に驚いた才人は思わず尻餅をついてしまった。 「ど、どうしたんですか、一体!?」 ウォレヌスはその問いには答えず、才人に近づくと洗濯の中のルイズの下着をむんずと掴むとそれをじっと見つめた。 大の男が真剣な表情で少女のパンツを見つめているのは才人にはとても不気味に思えたが、彼にそれを口にする勇気は無いのは言うまでも無い。 ウォレヌスだけでなくプッロも絹の下着に異常な反応をしめしていた。 彼はウォレヌスの隣に立つと 「た、隊長。その下着、本当に絹で出来てるんですか?」 と興奮した声で話しかけたのだ。 「ああ、間違いない。なんと豪勢な……」 ウォレヌスは信じられないとでも言わんばかりの様子で答えた。 才人は何故二人がパンツにこんな反応を起こしているのか全く理解できない。 二人揃って少女のパンツに欲情する様な変態には見えないし、そもそも二人はパンツではなくパンツが絹で出来てる事の方に驚いている。 混乱した才人を尻目に、シエスタは恐る恐るプッロ達に話しかけた。 「あの。プッロさん、ウォレヌスさん。絹の下着の何がそんなに凄いんですか……?」 「ちょ、ちょっと待ってくれ。そんな事を言うって事は、絹はここじゃありふれてる物なのか?つまり、ここで作られているのか?」 ウォレヌスは興奮を隠せない様子で、逆にシエスタに問い返す。シエスタが奴隷だと思っていたさっきまでならこんな風に彼女に話しかける事は有り得なかった。 だがウォレヌスは現金な物だがシエスタが奴隷ではないと知って態度を変えたのだ。 「え、ええ。そうですよ。確かに高価ではありますけど……」 「す、凄えな。こりゃ大発見ですよ、隊長!」 「ああ、まさか絹が下着に使える程ありふれているとは……」
支援
この二人がここまで絹に驚愕したのには当然理由がある。 絹は服の素材としてローマの上層階級に非常に人気があるのだが、ローマ人には絹の製法が完全に謎だった。 そのため入手するにはパルティア経由で中国、彼らの言うセリカから輸入するしかなかった。 その値は法外な物で、当然ウォレヌス達のような一般庶民にはとても手が出せない物である事は言うまでも無いし、ローマで最も裕福な金持ちでさえ絹製の下着など持ってはいなかっただろう。 そんな物が無造作に洗濯籠に置いていたのだからの二人がこれだけ仰天したかのも当たり前と言える。 シエスタはもう一度プッロに尋ねた。 「あの、絹ってひょっとしてローマじゃもの凄く高価な物なんですか?」 「高価なんてもんじゃない、同じ量の金と絹は同じ値で取引されてるくらいだ!絹で出来た下着なんて聞いた事もねえよ。あのクラッススでさえ持ってなかった筈だ」 「い、一体なんでそんなにするんですか?」 才人がプッロに聞いた。それまで二人の突然の大声に硬直していた才人だったが、好奇心の方が勝ったようだ。 「誰も作り方を知らないからだ。作る方法が無いから輸入しなきゃいけないんだが、それを持ってるパルティアの商人どもはいつもふざけた値をふっかけてきやがるんだよ。それでも金持ちは買うんだがな」 そこにウォレヌスが割って入った。 「もしかしてシエスタ、君は絹がどうやって作られるのか知ってるのか?知っているのなら教えてくれ。そう言えばサイト君、ニホンは確かセリカの近くにあるんだったな?君も知ってるんじゃないか?」 ウォレヌスは絹の製法について大きく興味を持っている。単なる好奇心と言うだけでなく、製法が解れば場合によっては莫大な利益を上げられるかもしれないからだ。 もしローマ人の商人が絹を直接製造出来ると知れば、その方法に莫大な値をつけるだろう事は想像に難くない。 別に彼は守銭奴と言うわけではないのだが、特に軍を除隊した後に家族を養う為なら金はいくらあっても困らないとは考えている。 「絹なら多分、蚕の繭から取る物だったと思うんですけど……」 「ええ、私も詳しい事は知りませんけどその筈です」 二人とも知ってはいるが大した事は知らない、そんな風に答えた。 「蚕?なんだそれは?」 「虫ですよ。蛾みたいな……」 ウォレヌスは腕を組んでふーむ、と唸った。 (虫……それは考えてなかったな。昔何かの木の葉から作られてると聞いたんだが) 今はこれ以上聞いても意味は無いだろう、とウォレヌスは思った。 二人とも詳しい事は知らなさそうだから、ここで根掘り葉掘り聞いても意味が無いだろう。 そう考えウォレヌスは二人に礼を言った。 「ありがとう。長年の謎が解けてすっきりした。洗濯の邪魔をして申し訳なかった」 ウォレヌスの次にはプッロが謝罪した。 「ああ、俺もだ。いきなり大声を出してすまなかったな、二人とも」 「い、いえ。別になんでもないですよ、こんな事」 「私だって目の前に金と同じ価値の物が転がっていたら同じ様な反応をしたと思います。気にしないで下さい」 そして才人はシエスタに絹類を洗う時の幾つかの注意点を受けながらも洗濯を続ける。 ウォレヌスとプッロは近くに座り、二人が終わるのを待っていた。 「ふ〜っ、終わった。ありがとうな、シエスタ」 そう言って才人は硬直した腕を伸ばした。 「どういたしまして、才人さん。これならもう私の助けは要らないんじゃないですか?」 「ああ、これならもう大丈夫だ。本当に助かったよ」 「いえ、困ってる時はお互い様ですから……」
しえん
その時、近くから女性の声が聞こえてきた。他のメイド達の一人だ。 「シエスター!時間よー!」 それを聞いたシエスタは立ち上がった。 「あら、もうこんな時間!すみません皆さん。もう次の仕事があるのでもう行かなきゃいけません」 「え?まだシエスタには洗濯物が残ってるんじゃなかった?俺のせいで仕事が終わらせられなかった、なんて事には……」 「心配しないで下さい。仲間達に私の残った分をやってくれる様に頼んでおきましたから。じゃあ皆さん、またお会いしましょう」 そう言ってシエスタは歩き去ろうとしたが、プッロが彼女を呼び止めた。 「おっ、そうだ、シエスタ。行く前に聞いときたかったんだが、朝飯は何時始まるんだ?昨日の夜から何も食ってないから結構腹が減ってるんだよ」 「朝食ですか?私達は早朝に食べるからもう終わらせていますけど、生徒の方たちは七時半からです。お腹が空いてるんでしたら一緒に来ますか?私の次の仕事は朝食のお手伝いなんですよ。朝食の中から何品か抜く位なら料理長も許して貰えると思いますけど……」 「本当か!?いやー、本当に運が良い――」 嬉しそうに返答したプッロだったが、残念ながらそうはいかなかった。 「残念だが断らせてもらおう」 このプッロと言う男、好きな物はと聞かれれば「女と食い物」と答える程に食べるのが好きなのだ。 だから当然と言うべきか、この見知らぬ異国の食べ物には大いに期待していた。 それが一時的にとは言えおあずけになったのだから、彼がこのウォレヌスの言葉にええっ?なんで!と残念そうに声を上げたのは至極当然だろう。 「いいか、今はもう朝の三時間目、才人君の言葉で言えば7時から30分程になった。今から厨房に行って朝食を取るんじゃ間に合わん。時間通りに起さなかったとあの娘がギャアギャア騒ぐのを見たいのか?あと少しの間我慢するんだ」 「……ちぇっ、解りましたよ」 プッロは名残惜しそうに言った。確かにあの娘がキャンキャンと騒ぐのを見るのは鬱陶しいだろう。 それに腹が減ったと言え数々の戦場で経験した飢えに比べれば後数十分我慢する位はなんでもない。 「じゃあまた会おう、シエスタちゃん」 シエスタは別れの言葉を言った後、その場から去った。 「じゃあ今からどうします?」 才人は二人に言った。 「周りをうろつく様な時間は無い。部屋に戻った方がいいだろう。多少早いがもう奴を起こしてもいいかもしれん」 「じゃあそうしましょう。またあのガキの生意気な面を見ると思うと気が滅入りますがね」 プッロはそう言って歩き出し、二人もそれに習った。
支援
以上です。また随分と時間がかかってしまい申し訳ありません。 何とか2週間に一回位のペースで書きたいのですが…… 8回目の投下でまだ2日目の朝と言う展開の遅さも何とかしたいところです。 描写を少なくしてさっさと先へ進ませる、と言うのもありでしょうか?
乙でした! マイペースでいいので、これからもお願いします
最強コックなら学園に打倒王家の貴族派グループが生徒を人質に立てこもり それを最強コックがルイズと事態解決に乗り出すみたいな小ネタのほうが良さそう タイトルは沈黙の
ハルケギニアと古代ローマのカルチャーギャップに翻弄される21世紀の日本人・平賀才人。 彼がストレスでぶっ倒れる日は近いか?
437 :
お前の使い魔 :2008/10/23(木) 21:20:10 ID:EYl+52Xg
予約が無いようなら、お前の使い魔の二話追加してもよろし?
438 :
お前の使い魔 :2008/10/23(木) 21:21:45 ID:EYl+52Xg
「投下」だろ・・・追加ってなんだorz
投下前から猿ったのか? 支援
あれから、気絶したダネットを医務室に運び、傷の手当をした後、わたしはすやすやと眠るダネットの横でその寝顔を見ていた。 横には神妙な顔でダネットの左手に浮かんだルーンをスケッチをしているミスタ・コルベールがいる。 本当は一人でダネットを見ておくつもりだったのだが、危険かもしれないというミスタ・コルベールの意見に押され、仕方なく同席という事になったのだ。 スケッチが終わったのか、手を休めたミスタ・コルベールが呟く。 「珍しいルーンですね…」 確かにダネットの手に浮かんだルーンは、わたしが図書館の本で見たどのルーンとも当てはまらないものだった。 だが、一生徒のわたしが知らないというのと、教師であるミスタ・コルベールが知らないというのでは大違いだ。 なのでわたしが少し首を傾げると、ミスタ・コルベールはダネットの左手を指差しながらこう言った。 「彼女に浮かんだ使い魔のルーンは、私が今まで見てきたどのルーンとも違います。そして、今まで使い魔召喚の儀で、彼女のような亜人を召喚したという記録はありません。これがどういう事かわかりますか?ミス・ヴァリエール」 その問いの意味をわたしは考え、一つの答えを出した。 「前例が無い…つまり、ダネットを召喚し、契約を行ったことで何が起きるかわからない…そういう事ですか?」 ミスタ・コルベールはその答えに頷き、こう言った。 「ミス・ヴァリエール。この件は学院長に相談してみようと思います。ですので、彼女が起きた後、しばらくは共に行動しないように…」 「できません」 ミスタ・コルベールの言葉を途中で遮り、わたしはハッキリと自分の意思を伝えた。 「ですがミス・ヴァリエール…」 なおも説得を試みようとするミスタ・コルベールの方をしっかりと見たわたしは、言葉を続ける。 「メイジと使い魔は一心同体。違いますか?」 反論の言葉を考えているのか、ミスタ・コルベールは「むぅ…」とうなった後、反論の言葉が無かったのか、諦めた様子でわたしを見て「何かあったら、すぐに知らせるようにして下さい」とだけ言った。 わたしは、短く「わかりました」とだけ答えダネットに向き直ると、今だすやすやと眠る横顔を見て、きゅっと唇をかみ締めた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 私は湖の上の小さな小船に乗っていた。 「なんですかここは?」 見覚えの無い、ゆらゆらと揺れる小船から湖の向こうの景色を眺めると、やはり見覚えの無いお城のような屋敷と綺麗な庭が見える。 「はて?これは一体」 首を傾げ、どうしてこんなところにいるのか考え込む。 五秒で頭からプスプスと煙が出るような感覚に襲われ「ま、まあ大丈夫です。うん。」と、取り合えず納得した時、小船の上にいる誰かの存在に気付いた。 それは、ほのかに桃色のような輝きを持つ金髪の少女。 その少女は泣いていた。 泣いている理由は私にはわからなかったけれど、そのまま少女を放置できないと思い、優しく少女の肩に触れ、ゆっくりと抱きしめる。 最初、突然触られた事に少女はビクリとしたが、私の手に安心したのか、その身体を預け、彼女の胸で嗚咽を漏らす。 そんな風に泣いている少女の髪を優しく撫でた後、私は出来るだけ優しく話しかけてみた。 「なぜ泣いているのですか?」 すると、ピクンと少女の肩は震え、嗚咽混じりの声で途切れ途切れに答えた。 「わたしは…ひっぐ…わたしは貴族なのに魔法が使えないの…」 私はその答えに首を傾げると、疑問を投げかけてみる。 「きぞくって何ですか?それ、ホタポタより美味しいんですか?」 その疑問に、少女は呆けた顔を上げ、私の方を見つめた。 む。何だか馬鹿にされているような気がします。 「あなた、貴族を知らないの?」 きぞく…き族?木?木族?水棲族みたいなものでしょうか? そんな事を考え、頭の中で木を纏う種族を想像してみるが、やはり自分の記憶にはそんな種族はいない。 でもまあ、自分が知らないだけで、そういう種族もいるのだろうと考え直し、精一杯の虚勢を張ってみる。 「し、知ってます!馬鹿にしないで下さい!私は馬鹿じゃないのです!知ってますよ?木族ですよね?こう…もしゃーっと木を生やしてる奴です!」 私がそうやって身振り手振りで頭から木が生えてる様子を表現すると、ぼけっとそれを聞いていた少女は突然笑い出した。 「な…なんですか!やっぱり私を馬鹿にしてますね!?こう見えても私は頭が良いのです!……まあ、人の名前を覚えるのは苦手ですけど…でも、最近は少しずつ覚えられるようになったのです!」 私がぷりぷり怒りながらそう言うと、少女は耐え切れなくなったのか、クスクスという笑いから、お腹を押さえて大笑いしだす。 それを見た私は、自分が知ったかぶりをしてしまったのがばれてしまったのだと思い、顔を真っ赤にしながら「ほんとは知っているのです!」と言ってみたが、それは少女の笑いを大きくすることしかできなかった。 「はー…笑ったわ」 少女はそう言って、悲しみではなく、楽しさから出た涙を袖で拭った。 「あれ?お前、でっかくなってませんか?」 いつの間にやら、小さな少女は成長し(それでもちっちゃかったが)意思の強そうな鳶色の瞳を私に向ける。 その少女は見覚えがあった。 確か、ここに来る直前に会った奴だ。 しかし、どうにも記憶がハッキリしない。 何だかやたら長い名前だったような気がする。 「お前は…確か……ルイなんとか!!」
>>421 白人の傲慢があちらこちらから滲み出てたりするけどな。
時代的に仕方がないと言ってしまえばそれまでなんだが。
「おお、その宝石には、血が付いている!」
英国人のあんたが言うなw
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「誰がルイナントカよ!!」 わたしが叫ぶと、隣に居たミスタ・コルベールがビクっとしてこちらを見た。 「み、ミス・ヴァリエール?」 額に汗を垂らしながらそう言ったミスタ・コルベールを「へ?」等と間抜けな声を出して見る。 段々と記憶がはっきりしだす。 どうやらわたしは、ダネットの様子を見ている内に、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。 何だか、やたら面白くて失敬な夢を見たきもするが、多分気のせいだろう。 わたしがそんな事を考えていると、ずっと目を覚まさなかったダネットが「ううん…」と言って、ゆっくりと目を開けた。 「ここは…」 どうやらダネットは寝ぼけているらしく、半分閉じている目でキョロキョロと周りを見渡す。 その目がわたしを見ると、ハッキリとした口調でわたしに話しかけてきた。 「ルイなんとか、お腹が空きました」 「ふぉれふぇふぁわふぁふぃふぉふふぁいふぁのふぇーひゃふふぉふぁふゅーふぉふぉふぃふゃんふぇ?」 「食べるか喋るかどっちかにしなさいよあんた」 目の前で、口いっぱいに食べ物を含んだダネットを叱りつつ、わたしは優雅にスープを口にした。 あれから、ダネットが目を覚ました後、メイドに食事を医務室に持ってこさせ、わたし達は少し早めの(とは言っても、外は徐々に薄暗くなり始める時間だったが)食事を始めていた。 ダネットは、始祖ブリミルに食前の感謝の祈りを捧げるわたしを珍しそうに見た後、それはもう凄い勢いで食事を始め、それを見て「マナーが悪い!」と叱りつけながら食事を取るわたし。 そんな光景を見て安心したのか、ミスタ・コルベールは今は席を外している。 先ほど、また叱られたダネットは少し顔を赤くすると、必死に口をもごもご動かし、口の中の食べ物を飲み込むと、もう一度わたしに話しかけた。 「それでは、私と使い魔の契約?とかいうのをしたのですね?」 その言葉を聞き、わたしはコクンと頷く。 それを見たダネットは、自分の左手を持ち上げ、複雑な刻まれた表情で使い魔のルーンを見つめた。 「あんたが気絶してた時に、勝手に契約しちゃった事は悪いと思ってる。でも、あの場ではああしないと…」 「私は殺されていたかもしれない?」 わたしの言葉を遮って発したダネットの言葉に少し表情を硬くし、わたしはまたコクンと一つ頷いた。 すると、ダネットはわたしに微笑みかけ、優しくこう言った。 「ありがとうございます」 まさか感謝されるとは思っていなかったわたしは「へ?」と言ってダネットを見る。 あれ程、契約を拒み続けたにもかかわらず、勝手に契約をしたとなれば、怒りの言葉の一つでも言い出すかもしれない。 そう考えて、反撃の言葉を用意していたのに。 そんなわたしを見て、ダネットは少し頬を膨らませ、こう言った。 「何ですか?私がお礼を言ったら変だとでも言うのですか?」
それを聞いたわたしが「まさか感謝されるなんて思ってなかったから」と答えると、ダネットは僅かに眉を上げ「まあ、勝手に使い魔にしたというのは納得いきませんが」と言った後、優しく微笑み、続けてこう言った。 「お前は、私を守ってくれた。だからお礼をした。当然の事です。」 それを聞いたわたしは、赤くなる顔を見られるのが恥ずかしかったので、プイと顔を背けた後、まくし立てるようにダネットに言う。 「あ、あんたがどう思おうが勝手だけど、これであんたはわたしの使い魔なんだからね!」 それを聞いたダネットは、自分の指を頬に当て、頭を傾げながら尋ねた。 「その使い魔なんですが、一体何をすればいいのですか?こんな風に一緒にご飯を食べていればいいのですか?」 「んな訳ないでしょうが!!」 それからわたしは、ダネットに使い魔というものを一つづつ話して聞かせる。 「まず、感覚の共有ね。あんたが見たものをわたしが見て、わたしが見たものをあんたが見る。」 「お前が見てるもの見えませんよ?」 「う…、わたしもじゃ、見えないから、あんたとじゃ駄目なのかも…じゃ、じゃあ次に、秘薬の材料集め!硫黄とか薬草とかを見つけて、それをわたしの所に持ってくるの!」 「いおう…?何ですかそれ?おいしいのですか?薬草って食べられる草とかでいいですか?」 「良くない!じゃあ雑用!!部屋の掃除とか洗濯とか!!」 「どれぐらい壊したり破いたりしていいですか?」 「いい訳ないでしょうがああああっ!!!!!!」 駄目だこいつ。ダメダメだ。ダメットだ。 でも、使い魔の役目はまだある。 とても大事な役目。それは。 「じゃあ最後……わたしを…わたしを守りなさい。」 そう言ってわたしは顔を伏せた。 拒絶の表情を浮かべるかもしれないダネットの顔を見るのが怖かったのだ。 確かに、ダネットは感謝の言葉を言ったにせよ、勝手に使い魔にされた事は納得していないと言った。 そんな相手を守る?守る訳が無い。 でも別にいい。どうせ今まで一人だったから。 使い魔は召喚でき、契約も出来た。だから進級は出来る。 馬鹿にされるかもしれないが、それも今まで通り。 だから大丈夫。わたしは大丈夫。 そう考えた私は、今にもこぼれそうな涙を堪えるため、きゅっと唇を咬んだ。 そんなわたしの耳に、ダネットの返事が聞こえる。 「そのつもりでしたし、別にいいですよ?」 その返事を聞いたわたしは、バッと顔を上げた。 そこに拒絶の表情は無く、あるのは優しい微笑み。 「お前は私を守ってくれました。だから私はお前を守ります。当然の事なのです。」 ダネットはそう言って、食事の続きを始めた。 それを聞いたわたしは、思わずこぼれてしまった涙を袖でごしごしと拭き、また赤くなってしまった顔を背けながら小さな声で「そう」とだけ返した。 それから、お互いにほぼ無言で食事を終えた。 そして、ふぅと息を付いたわたしは、どうしても言わなくてはいけない事を彼女に伝える為、彼女に話しかける。
>417 『時空戦艦「大和」 超第三帝国を殲滅せよ 1』 前シリーズ『時空戦艦「大和」 日本沈没を救え』で日本に負け タイムマシンで白亜紀に漂着したヒトラー一家 恐竜狩って喰ってるせいで六十代なのに強く雄々しく若々しくなったヒトラー
「あのね…えと、ダネット…」 初めて自分の名前を呼ばれたダネットは、目をぱちくりさせながらわたしを見つめた。 「あんたが言ってた、世界を救ったって話…」 それを聞いたダネットは、それまでの穏やかな表情を硬く変え、じっと言葉の続きを待つ。 「やっぱり…信じられない」 はっきりと伝える。 それを聞いたダネットは、少し悲しそうな表情をし、「そうですか…」とだけ言って俯く。 でも、わたしの言葉は続いた。 「だけど、もし…もしあんたの話が本当だとわかったら、わたしは心からあんたに謝ろうと思う。」 それを聞いて顔を上げたダネットに、最後の言葉を投げかけた。 「それじゃ…駄目かしら?」 医務室で食事を終えたわたし達は、食器をメイドに片付けさせた後、わたしの部屋へと向かった。 結局、ダネットは最後のわたしの言葉に返事をする事無く、今は無言でわたしの部屋の窓から夜空を見上げていた。 喋らないダネットにどんな言葉をかけていいかわからず、手持ち無沙汰なわたしは寝巻きへと着替える。 本当はダネットにやらせるつもりだったのだが、まあそれは明日からでもいいだろう。 そう考え、脱いだ衣服を適当にまとめていたわたしの耳に、夜空を見上げたままのダネットの言葉が聞こえた。 「月が二つあります」 「月が二つあるのは当然でしょ?何言ってるの?」 意味がわからず、そう答えてダネットの方を見ると、彼女は夜空を見上げたままこう返した。 「私が今までいた所には、月は一つしかありませんでした」 ますます持って意味がわからない。 月が一つ?土地によってそう見える所でもあるのだろうか? しかし、スヴェルの夜以外で月が一つに見えるなど聞いたことが無い。
「少なくとも、この辺じゃそんな場所聞いたことがないわ。」 それを聞いたダネットは「そう…ですか…」と答え、また空を見上げる。 「ま、まあ、わたしが今度、あんたがいた場所とか調べてあげるわよ。だから…元気だしなさい!」 わたしが顔を赤くしながら言った言葉を聞いたダネットは、きょとんとした顔でこちらを見た後、この部屋に来て最初の笑顔をようやく見せた。 ますます顔が赤くなるのを感じたわたしは、ばふっと毛布を被りながらダネットに言う。 「と、ともかく、今日はもう寝るわよ!ほら、あんたも寝なさい!」 それを聞いたダネットが呟く。 「私はどこで寝るんですか?」 しまった、全く考えていなかった。 一瞬、脳裏に床で寝せようかという考えがよぎるが、異性ならまだしも同性の、しかもそれなりに気に入ってしまった相手を床に寝せるのは気が引けてしまう。 しばらく思案した後、わたしは顔を毛布から出し、少しだけ身体をずらした後、そっぽを向きながら言った。 「きょ…今日はわたしのベッドで一緒に寝る事を許可するわ!あ…ありがたく思いなさいよね!」 こうして、わたしとダネットの一日は終わるのだった………で、済めば良かったのだが。 「お前!!もうちょっと横にいきなさい!!」 「ちょっと!!何でご主人様が使い魔より狭いスペースで寝なきゃいけないのよ!!」 「ご主人?誰がご主人だっていうんですか!」 「わたしよ!!」 「なっ…!!私はお前を守ってやるとは言いましたが、使い魔になったつもりはないのです!!」 「はあ!?ふざけんじゃないわよ!!つうかあんた!!お前お前って、いつになったら名前で呼ぶのよ!」 「お前はお前です!!お前の名前は長くて難しいのです!!」 「じゃあルイズ様って呼びなさいよ!!四文字よ!ほら!さっさと言いなさい!!」 「お前なんてルイなんとかで充分なのです!!」 「増えてんじゃないのよ!!六文字になってんじゃないのよ!!」 「ルイなんとかが嫌なら、お前です!!もう決めました!!お前ーお前ーお前ー!!」 「こ…この馬鹿亜人!!ダメ使い魔!!ダメット!!」 「セプー族です!!それに私はダネットです!!ダメじゃないのです!!」 「ダメットダメットダメットー!!!!」 「お前お前お前ー!!!!」 その怒鳴りあいは、夜遅くまで続いたのだった。
二話目終了
それと
>>21 で質問があった元ネタについて少し
ソウルクレイドル〜世界を喰らう者〜
PS2のSRPGです
ダネットはこのゲームの一応ヒロイン?みたいな位置
まあそんな感じですわ
やっぱダネット最大の特徴はダメなトコなんだな 俺としては隠しルートの謎の剣士(だっけか?)バージョンも見たい所だが 乙!
舞HIMEと鷲の人乙 お待ちしておりましたm(__)m 次回にwktk ダメット乙。 召喚されてもやっぱりダメットwww 次回にwktk
裏の封印エンドこそ真エンド。 異論は認める。
ダメットとシルフの遭遇が待ちどうしいw
matrixからネオ 「・・・ルイズ、信じられないかもしれないが黙って僕の言うことを聞いて欲しい」 「」 「この世界はマトリックス内に構築された仮想現実なんだ」 「!」 「この世界に紛れ込んだスミスを倒さなければ、人類は絶滅してしまう」 「私が魔法を使えないからってそんな与太話をするなんて、なんていう男かしら!」 怒ったルイズがネオを放り出す そしてあたりに人が居ないことを確かめると ふん!と力を溜め込み気合を開放すると空を飛ぶ 「思っていたとおり、情報量の少ないエリアだな」 片手を伸ばし、”アルビオン”大陸までひとっとび 人気の無い森で近隣の村へとぼとぼ歩いていると 道の両脇の茂みから数十人のエージェントスミスが現れた 「待っていたよ、アンダーソン君」 「ちょうどいい、探していた所だ」 クイクイと挑発するネオ そして見事スミスを倒したネオは 光につつまれマトリックスの深部へと消えていった おわり
>道の両脇の茂みから数十人のエージェントスミスが現れた シュールかつ唐突過ぎる
ネオがそのままルイズについていった場合 ワルド「アンダーソンくん、実に残念だよ」 銃に変化させた右腕でウェールズの胸を撃つ ジョン・ウー的演出でゆっくりと倒れるウェールズ バックに鳩が飛び立つ そしてゆっくり走り始めるネオ 少し遅れてネオ目掛けてロケットのように加速するスミス そしてドーン! 衝撃端を互いの手で受け止め その場で殴りあい、避けあい、まるでダンスを踊っているよう と思ったのはルイズ そして拉致があかないと思ったのか 飛びのき、椅子の上から跳躍するスミス それをいつのまにか両手に持ったデザートイーグルで迎え撃つスミス ががんががんがががが だが、ネオの無効化能力により弾は全て空中でばらばらと零れ落ちる 「いい加減にしなさいよね!」 どっかーん スミスの体の芯に着弾したルイズの魔法が大爆発を起こし 肉片 ミートスープがあたりに撒き散らされる 「いきなりワルドさまが変な禿げになるわ、頭が変になりそうYO!」 おわり
すいません投下よろしいでしょうか。 もしよろしければ55分から。ちょっと多くなったので、 恐縮ですが、支援していただけますでしょうか。
>>457 いっこうにかまわん!支援態勢に移る!!
紫煙
マーティン!マーティン!マーティン・セプティム!
16,それぞれの思惑 それから三人でひとしきり話あった後、 さて寝ようかとマーティンが言おうとした時だった。 玄関が騒がしくなったかと思うと、 傭兵が現れ、店を襲おうと弓を構えて撃ち始めたのだ。 「敵襲!?何が起こってるのよ!!」 矢が届く前にマーティンとワルドは机を盾にし、 寝ているキュルケと現状把握の出来ていないルイズを抱え込みつつ、 そこで傭兵達の攻撃を凌いだ。 「さて、どうしますか?ミスタ・ワルド」 迂闊だったか。やはり逃すべきではなかった。 とはいえ仕方ない、情報の対価という奴だ。 まさか街中で堂々と襲い掛かると思っていなかったマーティンは、 舌打ちをして応戦を始める。 手だけ机から出して範囲の広い氷の魔法を放つ。 タムリエルの氷魔法は冷気が球形に広がって飛び、 しばらくの間着弾点に留まる。 店内に踏み込まれない様にするには、 丁度良い魔法と言えるだろう。 放った魔法は、数分間玄関口全体を凍らせる物だった。 「こういった修羅場に慣れていらっしゃるようですね。とりあえず逃げるしかありませんが――」 感心した風にワルドは言おうとしたとき、 ごう、と風が吹いて、飛んできていた矢を弾いた。 二階で寝ていたタバサが異常を感じたらしい。 四人のいる机までやってくると、キュルケの頭を杖で軽く叩いた。 気持ち良さそうに寝ていたキュルケは、怒りをあらわにしながら目を覚ます。 「あいた!あにすんのよって、あら、タバサじゃない。寝た――」 ヒュンと矢が飛んできて壁に刺さる。それでキュルケは状況を理解した。 酒の酔いは即座に消えて、炎を杖先から出して応戦に加わる。 「酔い潰したと思ったけれど、案外強いのだね。ミス・ツェルプストー」 「キュルケって言ってくださいなマーティン。一度寝れば醒める体質ですの」 お互いに軽口を叩きつつ、相手を牽制する。否、しなければマズイ。 入られたら終わりだろう。傭兵の数は多かった。氷玉で玄関を凍結している今こそ、 敵の数を少しでも減らすために、手数を増やさないとならなかった。 「人海戦術とはいえ命は惜しいようです。そうそう入って来ないでしょう」 私達の精神力が切れたら、その時点でゆっくりと入って来るでしょうね。 ワルドはしっかり狙いをつけながら言った。 「となると、このままではどうしようも無い…か」 「こういった場合、約半数が目的地にたどり着けば成功になるでしょう。マーティンさん」 「帰りの勘定まで計算に入っていませんが?ミスタ・ワルド。それにこの二人は留学生で、どっちにせよここに置いていく訳にはいかない」 自身が言ったのは真っ当な事だが、しかしどうする。誰かがここに残らないといけない。 マーティンが、自分が残ろうと言おうとした時キュルケが艶やかに言った。
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「あら、心配していただけるのかしら?けれど大丈夫。貴方達の任務は知らないし、 元より刺激を求めて来たんですもの。この程度で根をあげていたら、 ご先祖様に笑われますわ。ルイズ、あんたがどんな事承ったのか知らないけど…貸し一つよ?」 最後は別の事を言いたかったのだが、ツェルプストーの血が許さなかった。 未だに何が何だか良く分かっていないルイズだが、それを聞いていつもの調子に戻る。 彼女の心がどう変わろうとも、赤髪の挑発には必ず乗ってしまうのだ。 「な、ななななにが貸し一つよ!絶対に返してあげないんだかんね!!」 「そうそう。あんたはそうでなくっちゃね。ほら、二人と一緒に行きなさいな。 ここはあたしとタバサがどうにかするわ。それでいいんでしょ。衛士隊長のワルドさん?」 「恩にきる。僕達は裏側から出るから君たちもどうにか頑張ってくれ」 あ、と数瞬経ってルイズはやっと発破をかけられたと理解したが、 感謝の言葉なんぞこいつに言いたくはなかった。 マトモに言えそうになかったからだ。しかし、 何か言わねば。そう思い口を開く。 「ああ、あんた。こんな所で死んだりしたらだ、だめなんだからね?貸しは返してあげないけど、その、ええと」 「はいはい。さっさと行きなさいな…これから先のが危険でしょうから、せいぜい気をつけるのよ?」 そう言ってルイズの頬にキスをする。ひぇ。とルイズが呻くが気にしない。 「幸運の女神のキスよ。後は上手くいきますようにと祈るだけってね。さ、早く行って」 ルイズはキュルケに頭を下げ、二人と共にタバサの風に守られながら通用口へと抜け出した 「誰もいないようです。桟橋へ向かいましょう」 ワルドが先頭に立ち、マーティンが殿を請け負う。 ルイズは、残してきた仇敵が心配だったが、 あれは殺しても勝手に生き返るだろうと、思い込む事にした。 「ああ言ったものの、どうしましょうか。ねぇタバサ」 ルイズが私に頭下げる所を見る日がこようとは。 そう言ってニヤケているキュルケだが、 現在の状況がマズイ事は分かっている。 だが、後悔なんて無い。あのヴァリエールに恩を売ったのだ。 これからはそれをネタに遊ぶ事が出来ると考えると、 キュルケは自然と笑みがこぼれてしまうのだ。 「厨房の油」 レビテーションで持ってきたらしい、床に落ちていたそれをタバサはキュルケに渡す。 「あら、良い感じじゃない。けどちょっと待ってね」 化粧直しに興じるキュルケを尻目に、タバサは魔法で応戦を続ける。 「あなたもしなさいな。この大一番で助演女優の雪風がすっぴんだなんてしまらないもの」 暇が無い。と応戦を続けるので、邪魔にならない様に、 キュルケはタバサに軽く化粧を施した。
「うんうん。これで良い感じね。さて、始めましょうか」 近場に落ちていた鍋に油を注ぎ、タバサの風で入り口まで吹き飛ばす。 「ショウタイムよ!」 鍋が甲高い落下音を放つと同時に、油に火が放たれる。 入り口から突撃を敢行しようとした傭兵達が燃える。 キュルケは色っぽく呪文を唱え、入り口付近の傭兵も炎に巻き込んだ。 ここぞとばかりにキュルケは立ち上がり、優雅に髪をかきあげた。 しかし矢は飛んでこない。 「変」 「何が?」 「まだ数はいた。なのに矢が飛んでこない」 たしかに、今の状況から考えて無防備なキュルケに矢を撃つのが普通のはず。 それを狙って余裕の表情で出てきて、更に追い討ちをかけようとしたのに。 そう残念がるキュルケだったが、入り口からの金属音を聞いてサッと机に戻った。 「ゴーレムかしら?」 「おそらく」 敵は傭兵メイジも雇っていたらしい。規則的な金属音が鳴る中、 はたして現れたのは鋼鉄でできた二メイル程のゴーレムと、 「ミス・ロングビル?」 学院で少し見知った学院長の秘書、ロングビルだった。 「あら?何故ここにお二人が。まぁ、構いませんわ。外のは今私のゴーレム達と遊んでいますから」 故郷のアルビオンに、 用があって戻らないといけなくなったらしい彼女は、 騒ぎを聞きつけてここに来たらしい。 傭兵達は十体程の鋼鉄のゴーレムに振り回され、 蹴散らされている。契約も何もあったものではない。 命あっての物種である彼らは、くもの子をちらす様に逃げ出して行った。 「援軍感謝しますわ。ミス・ロングビル」 「いえいえ、私は何も知りませんでしたから。ところで、 よろしければ何故ここにいるのか、教えていただけませんか?」 聞いてロングビルは焦った。予定と違う。何で衛士隊長がいる? やっぱりお姫様の頭は花畑だってのかい。顔に出さず思う。 「追いかける」 タバサは言った。外で口笛を吹くと彼女の使い魔がきゅいきゅい鳴きながら降下してきた。 「ニューカッスルの敵陣を突破するのは無理ですよ。一つの方法を除いて、ですが」 ロングビルは笑った。今まで見たことの無いその笑みは、 普段の彼女のイメージとギャップがあった。 「何を知っている?」 「とりあえず桟橋の近くに置いてある私の船へ急ぎましょう。お二人もそれに乗せますから」
良いお友達を持って幸せですね。ミス・ヴァリエールは。と言い、 あのガキも何だかんだで幸せ者じゃないかい。と思う。 表と裏を器用に使い分け、フーケと二人は竜に乗り桟橋の船へ向かった。 彼女達が竜に乗って桟橋に向かっている頃、 ルイズ一行は桟橋の階段にて、白い仮面の男と対峙していた。 マーティンはルイズの前に出て、デルフリンガーを構えずに手を掲げる。 淡い白光が彼の体を包む。主に物質の状態を変化させる『変性』系統の呪文の一つで、 体の周囲に透明の魔法防壁を作る「盾(防御)」を唱えたのだ。 「先住の魔法は便利ですね。そんな風に魔法が使えるなんて」 相手の出方を伺いながら、ルイズの盾になるようにワルドの隣にでた。 動く気配は今のところ無い。しかし、逃してくれるとも思えなかった。 男の出で立ちは暗くてよく見えなかったが、 ワルドと同じくらいだろうその体格はがっちりとしていた。 こいつが言われていた白仮面か、油断は出来ない。 マーティンはそう思いながらワルドの声に応じた。 「確かに、そうかもしれない。さて、どうしたものかな?デルフ」 喋る事が出来る程度に剣を鞘から出して、とりあえず聞いてみる。嬉しそうな声が返ってきた。 「おお、相棒久しぶりに喋ってくれたね。突撃だろここは」 無茶を言うなぁ、と口だけ笑わせていると相手が動いた。 魔法を使わせるために敢えて隙を作ったのだが、 既に呪文は唱えていたらしい。男の周辺から稲妻が伸びる。 「『ライトニング・クラウド』!」 それを聞き、マーティンは魔法を掛けなおすと同時に、 右腕の裾に隠し持っていたダガーを相手に投げつけた。 シロディールで、相手に直接的なダメージを与える魔法は四種類に分けられる。 完全魔法効果の減退、それから炎、氷、そして雷だ。 これらの魔法には、いくつもの対策魔法が考案されていて、 それらはメイジ同士の戦いでは、なくてはならない物になっている。 今回使うのは変性系統の「稲妻の盾」である。 「つうっ!」 完全に相殺する事は出来なかったが、腕に火傷を負った程度だ。 これならすぐに回復できる。 相手へ放ったダガーは、狙い通りに首元へ刺さった。 もがくこともせずに倒れて、そして…消えた。 「消えた…私は悪夢でも見ているのか?」 回復魔法を己にかけつつ、静寂を取り戻した階段でマーティンは呟いた。 今の様を見て彼が思い出したのは、夢世界の主ヴァーミルナが作り出した「堕落の杖」。 それが放つ光に当たれば、堕落と呼ばれる自身のコピーが作り出され、 オリジナルを襲うという、何ともおぞましい効果を持った杖である。 「違うわ、あれが『遍在』よ。敵に風のスクウェアクラスがいるって事ね…」
『風』系統の中でも殊更特殊な魔法のそれは、 使えるだけでも凄いとルイズは言う。 敵の本体が近くにいない事を祈りつつ、彼らは乗る船へと急いだ。 階段を駆け上った先の船が目当ての船だったらしい。 急ぎ船に乗り込むと、甲板で寝ていた船員が起きてワルドに突っかかる。 少々強引だったが、船長を呼び出した。 風石が足りないとわめく船長だったが、 ワルドが代わりになると言って場を収めた。 「出航だ!もやいを放て!帆を打て!」 船長が号令を発し、船員がぶつぶつ文句を言いながら、 命令を遂行しようとした時、一人の男が叫びながら走ってきた。 「まってくれぇぇぇぇ!!」 男はそのまま勢いで飛び乗ると甲板で息をぜいぜいと切らした。 船長はいぶかしんで、男に尋ねる。 「誰だ?あんた」 「何言ってるんだ船長!マリー・ガラント号で俺を運ぶと言う約束だったじゃないか! 変に町が慌しいからまさかと思って来てみればこれだ。ほら、コルヴァスだよ。 昨日予約した商人のコルヴァスだ」 あー、コルヴァス様でしたか。たしか積荷の食料と一緒にあっちに行く予定でしたね。 何故忘れていたのかすら思い出せなかったが、 この大きなカバンを持った男の話を聞いて確かに思い出した。 昨日確かにこの男はやって来て、軍用食料と一緒に運んでくれと依頼を受けたのだ。 明日出る最初の便はこの船で、彼は朝一番で行きたいと言うのが理由だった。 だが、何故今まで忘れていたのだろう。思考の海に入ろうとすると、 コルヴァスが話を始めた。 「そうだ。まさかまだ積んでいないなんて言わないよな?」 「ご心配なく。ちゃんと船の中で硫黄と――」 談話はワルドの放った風の魔法が終わらせた。 どちらとも当たってはいないが、船長の背筋を凍らせる。 無言でコルヴァスと名乗る男に閃光は近づいた。 先に口を開いたのはコルヴァスだった。 「な、何でございましょうか。貴族様」 「…いや、すまない。追っ手かと思ってね」 「あ、ああ。騒ぎの中心はあなた様がたですか。 ま、まぁ何事も無い事をノ…始祖に祈りましょう」 少なくても、王宮内の兵士でこんな顔の男は見たことがない。 なら大丈夫だろう。警戒を怠らなければ良い。 まさか盗賊如きに後れを取るなどありえない。 そして男から目を逸らし、完全に今思った事を何故か『忘れ』て、 何事も無かったかのように、ルイズ達の方へ戻って行った。 「野郎共!さっさと準備にとりかかれ!」 今度は邪魔が入ることも無く、船員は命令どおりに動い 「おお、凄いものだな。空を飛ぶとはこういう事なのか…」
もともと海の船にもあまり乗ったことの無い内陸出身のマーティンは、 ただ船に乗るだけでも興味深いらしい。辺りをキョロキョロ見回していた。 「気楽ね…さっき襲撃を受けたのよ?」 「なに、問題はないさ。それにこんな所から緊張していたら身が持たないよ」 その場で即座に切り替える方が効率も良い。そう言って笑う。 内心は別だが、それでルイズを困らせる訳にもいくまいと思って。 傷はすっかり治っていたし、確かに問題は無い。しかし今から山積みである。 ああ、姫さま。もし駄目でしたら骨くらいは拾ってくれると嬉しいです。 物騒な事を考えながら、ルイズはラ・ロシェールを後にした。 二人のお供と、今回の仕掛け人を連れて。 「相棒…何で俺使ってくれなかったの?」 「読み合いというかね。あの場では突撃よりも不意打ちを狙った方が大丈夫だろうと判断したんだ」 寂しそうな剣をなだめるマーティンであった。 「姐御!何が起こってるんですかい!?傭兵連中が俺達の――」 姐御と呼ばれたロングビルは、頭巾を被った男の叫び声を止めさせ、 後ろの二人を見せてから、とりあえずその呼び方はやめなと言った。 ロングビルに連れられた二人が見た船は、 置かれている場所と中の船員達の風貌からして、 どう考えても真っ当な商売に使われている船には見えなかった。 桟橋内でも特に汚らしいドックに置かれているその船。 その中でロングビルが動かしているのは、 さっき襲ってきた連中と同じくらい人相の悪い連中で、 その中の何人かは、賞金首になって「いた」連中なのをタバサは知っていた。 比較的小さく、造りから速度に重点を置いていると思われるそれは、 船体に何か青紫色で文様が施されている。どういう訳か砲口が一つとして無いが、 武装よりも、速度と積載量を取ったと解釈できないことはない。 そして、何の旗も掲げてはいなかった。 「空賊船?」 タバサが言った。さっき、彼女は私の船と言った。では彼女は一体何者か。 見極める必要がある。 「聞いて驚け!この船は何とあの――」 「だまっとこうか?このうすらとんかち!」 調子に乗りやすいらしい陽気な男が口を開く前に、 ロングビルの足が股間を蹴り上げる。 男は悶絶して倒れ、周りの連中の失笑を買っていた。 「流石は俺たち盗賊ギルドが誇るフーケの姐御だ!そんだけ良い胸してるのに、俺達より男らしいぜ!!」 「全くほめてないよそれ。とりあえず私が誰かは秘密なんだけどね?さっきので分かるだろ普通!」 ゴーレムの腕だけを壁から作り出して、頭巾を被った男をぶん殴った。 きゅうと気絶してしまったそいつを見て、また他の連中が笑う。 まったくこいつらはとフーケも笑って、その様を見ながらキュルケは困惑した。
鷲の人面白かったです。次回もスゲー楽しみです。当時のローマ時代の人間の奴隷に対する考え方がなんか恐ろしいですね。 本気で人間扱いされてないところとか。この後の決闘シーンとかフーケ騒動とかどうなることやら楽しみに待ってます。
「フーケ?だってあの時ミス・ロングビルは捕まって…」 「仲間と打ち合わせたのさ。何であの時私が学院長室にいなかったのか、不思議に思わなかったのかい?」 いやーあの風はやばかったね。 下手すりゃ皇帝陛下と一緒に粉々だったわ。 ロングビルをやめフーケに戻ったマチルダは、 清楚さの欠片も無い心からの笑いを顔に浮かべた。 キュルケは続けて質問する。 「皇帝?まぁそれは後で聞きますけど。なら、どうして一々宝物を返しに?」 「ギルドの規定を破ったからさ。まぁ仕方なかったんだよ。うん」 「姐御は鍵開け下手くそだもんなぁ。一晩一緒になってくれれば手取り足取り教えるぜー?」 復活したらしい男の股間を無言でもう一度蹴り上げる。あぅと言って倒れた男はぴくぴく痙攣しだした。 「ここらの男共はこんなのばっかりだから、何かされたら容赦なくやってくれてかまいやしないよ」 はぁ。とため息をつく彼女を少し同情しながら、 キュルケは先ほどの「皇帝」という事について聞き出そうとしたが、 それより先にタバサが口を開いた。 「二つ、質問がある。貴女達は何故アルビオンへ行く?どうして私達に正体を明かした?」 「一つは依頼さ。基本的に単独で盗みに入るのが盗賊ギルドの流儀だけれど、 たまに誰かに盗みを頼まれる事があるんだよ。全く、あの脳味噌花畑姫にとんでもない事を頼まれてね。 まぁ、それであのヴァリエールのお嬢さんと、マーティン皇帝陛下が関係してくるんだよ」 「皇帝って、マーティンは皇帝なの!?」 「おうよゲルマニアのお嬢さん!我らがマスターグレイ・フォックスの街と妻を救った大恩人! シロディールの英雄マーティン・セプティム皇帝陛下さ!こんな事に利用するのは、 いけない事なんだがなぁ。あの桃色髪のお嬢さんは『虚無』らしいし」 はい?ルイズがあの伝説の『虚無』?何であの子が? 頭巾の男の口から出た言葉にキュルケは戸惑いを隠せない。 そして、何度かのアタックの際にマーティンの口からシロディールの、 クヴァッチと言う街に住んでいた事までは聞き出せていた。 だからこそ、尚更この連中がその地名を知っている事を疑問に思った。 「バカ!まだ確定しちゃいないだろ!指輪と秘宝が揃って初めて魔法が使えるんだろうが!」 「お前達って、どうしてそんなに口が軽いんだい?教えてくれると嬉しいねぇ…?」 ひ、とさっきから殴られ蹴られの男達が声色の変えたフーケの声におののく。 いつの間にか鋼のゴーレムに取り囲まれ、二人は殴る蹴るの暴行を加えられた。 「まぁ、『虚無』の事は置いときな。二つ目はあんた達がそれなりに腕っこきだから。 見ての通りこの船は大砲が無い。ウチらのやり方はスマートさがモットーでね。 敵が雇った傭兵達を二人で凌いだあんたらに、ちょいと手伝って欲しいのさ。今回の依頼をね」
あんた達はお友達に会えるし、私達は仕事をこなせる。一石二鳥だろ? フーケの提案は確かにそうだが、しかし信頼すべきかどうか。 二人は判断に迷った。 「あー、なぁお嬢さん方。俺達の事信用できないってのは良く分かるぜ。 でもな?そっちの竜よりこっちのが安全だ。貴族派の軍船が哨戒するルートは、 この中じゃ俺しか知らないし、あんたらが腕利きっつっても、 アルビオン竜騎兵の小隊には敵わないだろ?俺達はお嬢さん方を利用するから、 お嬢さん方も俺達を利用する。そう考えれば良いじゃねぇか?なぁ」 奥の方からやって来た太っちょの男がそう言った。 キュルケは覚悟を決めてタバサを見た。コクリと二人は頷きあい、 キュルケが艶っぽく言った。 「なら、乗せていただけるかしら?盗賊の皆様方」 「お前らー!上物二人だ!!丁寧に扱わなけりゃ命はねぇぞ!!」 はなっからそれが目的だったらしい。太っちょの男は声高に叫んだ。 女だー!!と盗賊達は騒ぎ立てる。なるほど。本当にこんなのばっかりか。 とりあえず尻やら胸やらを触ろうとする連中に片っ端から焼きを入れ、 タバサに興味を示した輩にはすかさずそいつの股間を蹴り上げるキュルケだった。 「良い筋してんじゃないか。貴族様ってなぁ、もうちょいとすましているものかと思ったがね」 「おあいにく様。こうした連中はどこにでもいますから、慣れていますのよ」 男達の死屍累々の様を見て、違いないとフーケは笑う。 今度はキュルケがため息をついた。 さて、とフーケが雰囲気を変えて確認する。 盗賊達も立ち上がってそれに応えた。 「お前達、準備はいいね?船はニューカッスル付近で待機。 マスターの連絡で秘密のルートを通って城の中に突入。 その時には城の中で話はついてるはずだから、 そのままお目当ての品をいただくんだよ!」 おう!!と叫ぶ盗賊達。フーケは号令を発した。 「エマー・ダレロス号発進準備!さっさと行くよ。 ただでさえ予定が狂い気味なんだ。傭兵達といい、衛士隊長といい」 忌々しくはき捨てるフーケの前に、おずおずと初老の男が歩み寄った。 船長の帽子をかぶった男は、フーケに遠慮しがちに話しかける。 「な、なぁフーケ。この船一応ワシが船長なんだけど…」 「いいんだよこまかい事は。専門はあんたに任せるから大丈夫さ」 一番偉いのワシなのに。そう思いながらもフーケに逆らえない船長であった。 エマー・ダレロス。それが何かは誰も知らない。 ただ、今それはグレイ・フォックスが決めたこの船の名であるだけだ。 だからこそ誰にも忘れられないのだ。 投下終了。コルヴァスさんはちゃんと説明しますから。はい。 まぁ、女は強いということで。フェアーウェル。また次の投下まで。支援本当にありがとうございます。何かコテ見えてないけど付いてるでしょうか?
乙です おマチさんがシーマ様に見えた…
わーい、今夜は豊作だ!大好きなSSが2つも来た。ピッキング下手なおマチさん可愛いよー あと途中で割り込んですいません。
>>471-472 あなた様方がいてくれるからこそ、SSを書き続けられるのです。
毎回読んでくれて本当にありがとうございます。
>>大好きなSSが2つも来た それがどれなのか教えてくれれば…
>>474 IDからレスをたどって貰えればわかると思いますが、決して他の作品がつまらないとかそういや訳ではないのです。
ただ注目してる作品が2つもupされたんで浮かれてました、スイマセン。
このスレでは人修羅とライドウが召喚されてるのであらすじ風葛葉ライドウ対アバドン王記念。 もはや恒例のイベントと化している、アンリエッタ姫殿下の魔法学院視察イベントですが、その冒頭でルイズがワルドとの思い出を夢に見ます。 原作では主人公がその夢に登場することから、クロスオーバーしたキャラクターが何らかの意味深な態度を取るイベントとして実に都合の良いと言えるでしょう。 この場面で、ルイズが人修羅とライドウの戦いを見て、今まで温厚な姿しか見ていない人修羅の鬼気迫る迫力…それは丁度、葛葉ライドウ対アバドン王plusのパッケージのような姿を見るわけです。 ライドウの刀を人修羅が素手で受け止め、赤いマガツヒが流れる瞬間を見て、腰を抜かしてしまうルイズ。 ふと気が付けばその隣にはヒーホーとライホー君、のんきに観戦する二人に、なぜ二人が戦っているのかを聞こうとします。 途方もない力と力のぶつかりあいに、自分が立ち入る隙など無いはずですが、人修羅のためになんとか戦いを止めさせたい、なんとも美しい少女の願いです。 しかし、ライホー君によると、大学芋を二つに分けた時「そっちが大きい!」「いやそっちが大きい!」で喧嘩が始まったとか。 二人は仲良くルイズに吹き飛ばされて、夢から覚めましたとさ。
>>476 なんという小規模で大規模な醜い争いwwwww
>>475 聞いた人は、単純に
その二つの注目作品の名前が挙がれば
書いている人は喜ぶんだから、名前出してあげれば?
という意味で聞いてるんだと思うよ。
嫌いな作品を嫌いと公言する必要は無いけど
#どうしても言いたければ毒吐きで。
好きな作品は、好き、って言った方が作者さんは喜ぶよ。
ってこと
479 :
474 :2008/10/24(金) 00:07:31 ID:3MAjuoV2
>>478 確かにそう言う意味で書いた。言葉足らずですまん。
乙です! 空賊頭状態のおマチさんは実に良いものですね。 予約等なければ0:10頃から17話の投下を始めたいと思います。
まだ夜も明け切らぬ内に、ウェールズは部屋に飛び込んできた兵士によって起こされることになった。 その報告に耳を疑い、息せき切って港に駆けつけ、その惨状を目の当たりにする。 『イーグル』号、中破。『マリー・ガラント』号は既に消失。 積荷の火薬が、突然爆発したらしい。 全体から見れば航行不能なほどの損害ではないが、浮力を得るための風石が吹っ飛ばされたのだ。 『イーグル』号はというと、まだ港から、その船体を目にすることができた。 墜落していきそうなところを、何とか支えているのは、駆けつけたメイジ達が、一斉にレビテーションをかけているからだ。 しかし、艦の巨大な質量を支えるには至らない。イーグル号は緩やかに港から墜落していこうとしている場面であった。 「なんたることだ……!」 見張り数人が心臓を貫かれて殺されているのが見つかった。 クロムウェルの手の者が、城内に紛れ込んだということか。 死を受け入れる覚悟を決めた。そんな折、真実を知らされて絶望し、汚名を受けても生きると決めた瞬間に、また退路を断たれる。 どこまでクロムウェルは自分達を弄べば気が済むのだろう。 ウェールズは港の淵まで走って、レビテーションをかける輪の中に加わった。 そうして艦を支えて、ややもすると理解する。 時間をかけて暗闇に沈み落ちていく艦は、緩やかに落下速度を増しつつある。 断崖の上からかけるレビテーションでは、次第に効力の届かない距離へと遠ざかっていくのだ。力量に劣る者のレビテーションから射程外となり、残った者の受け持つ負担が加速度的に大きくなる。 「レビテーションの届かなくなった者は、二人一組になり、片方のメイジはレビテーションでパートナーを空中で支え、もう片方は艦を支えよ! 土メイジは急ぎ、『錬金』で艦を支える足場を作れ! 『錬金』が届かなくば、他のメイジに空中で支えてもらえ!」 ウェールズは大声で指示を飛ばした。 風石はまだ城内か艦内に残されているのだろうか? 修復と乗船はレコン・キスタの攻撃までに間に合うのか? 次の瞬間、支えていた糸が切れたように『イーグル』号が大きく揺れた。まずい、と思ったときにはウェールズのかけているレビテーションすら、用を成さなくなっていた。 『イーグル』号は、岸壁の側面にぶち当たり、轟音を撒き散らしながら暗黒の中へ消えていった。 これで、王立空軍艦隊の、その全てをウェールズは失ったことになる。 「くっ!」 ウェールズは思わず、地面を拳で叩いていた。 彼の指揮と対策は的確だったが、現場に辿り着いたタイミングが遅すぎた。もっとメイジの頭数さえいれば支え切れたのだろうが、人数が集まってきた時には、既に手遅れだったのだ。 「殿下!」 血相を変えて港に駆け込んできたのは、ルイズとフロウウェンだった。 「きみたち、か。ご覧の通りだ。我々は、艦を失った。退路は残されてはいない」 「な……」 ルイズは、港の黒々とした淵を覗き込む。『イーグル』号も、『マリー・ガラント』号も、どこにも見えなかった。 ウェールズは、港の片隅にいたワルドのグリフォンを指差し、言った。 「子爵のグリフォンで脱出するのが良かろう。四人ぐらいならその背に乗せ、滑空して陸地に辿り着くくらいは可能だろうからな」 ルイズは首を振って、立ち上がる。そして、言った。 「殿下。皆が脱出する方法はあります。急いで、港に皆を集めてください!」
港は人でごった返してした。王党派の主だった者達、兵士、それから民間人、女、子供、老人、傷病兵と言った非戦闘員達―――。 人垣の中心に、ルイズとフロウウェン、それからウェールズとジェームズ一世の姿があった。 「ミス・ヴァリエール。どうしようというのだ?」 ウェールズが怪訝そうな面持ちで訊ねてくる。 「ヒース」 フロウウェンがルイズに促され、一歩前に出る。 「殿下。この指輪は遥か東、ロバ・アル・カリイエに伝わる魔法の品にございます」 左手の指輪を見せながら、出立前にアンリエッタに語ったのと同じ言葉を、フロウウェンは口にした。 「……ただの、古ぼけた指輪にしか見えないが」 「百聞は一見に如かず。指輪の力をお見せしましょう」 フロウウェンは目を閉じて、左手を突き出す。そして何事か、呪文のようなものを呟いた。 光の粒子……フォトンがフロウウェンに向かって集中していく。 そう思った次の瞬間、フロウウェンの足下を囲うように光の輪が生まれた。 耳慣れない、低くうねるような音が聞こえてくる。 ウェールズも、ジェームズ一世も、呆気に取られてその光景を見やる。 「これは……なんだい?」 「双方向に行き来できる、サモン・サーヴァントのゲートのようなものです。殿下。そしてこのゲートは、トリステイン魔法学院の、わたしの部屋へと通じております」 ルイズは少し声のトーンを落とし、ウェールズ達だけに聞こえるような声で言った。 正確には、フロウウェンの文明のテクニック、『リューカー』である。自分の現在地と拠点を繋ぐテクニックだが、使い手が自分の本拠地と認識し、詳細なイメージを描ける場所にしか繋ぐことができない。この場合は、つまりルイズの部屋へ。 ラグオル地表から、衛星軌道上の星間移民船すらをも繋げる術だ。トリステインとアルビオン間を繋ぐ程度、容易いことだった。 「黙っていたことをお許し下さい。これでは『イーグル』号や『マリー・ガラント』号のようなものは運ぶことはできませんので、船で脱出を図るなら出番はないと思っておりました。 何より、ゲートは一つしか開くことができず、この大きさでは一度に二、三人しか通れませんので、避難に時間がかかってしまいます。もしこれに人々が殺到するようなことがあれば、怪我人も出ましょう」 「……だろうね」 ゲートの大きさを目にして、ウェールズは苦笑いを浮かべた。半径にして一メイルに満たない。 こんな状況で自分をからかうとも思えないが、ニューカッスルにいる人々全ての命運を、このちっぽけな光の輪に託すというのもゾッとしない話だ。否応の無い状況でなければ、方法を聞いていても船での脱出を選んだだろう。 「しかし、これで、本当にトリステインまで行けるのかい?」 「お疑いでしたら、わたしがゲートを潜り、何かこちらへ持ってきましょう」 「行き先は、君の部屋だったね」 ウェールズは一瞬黙考する。証拠の品は何でも良いのだが、ルイズの部屋にありそうな物が良いだろう。 「では……そうだな。枕を」 「はい」 ルイズは言うが早いが、光の輪に飛び込んだ。一瞬だけ閃光を残して、姿が掻き消えた。 「これは……」 本当に忽然と、ルイズはニューカッスル城の港から、いなくなってしまった。その光景にウェールズは色を失う。 「きみは、何者なんだ? どうしてこんな物を?」 ウェールズはフロウウェンに問うた。 「……詳しく話すと長くなりますが、私は異国の地から彼女に召喚されました。故郷には、こういった技術があるのです」 「それはコーラルという場所だね?」 「その通りです」 やや間を置いて、枕を抱えたルイズが輪の中から現れる。 「いかがでしょうか」 「……こんな短時間で何千リーグも離れた距離を移動したと……」 ウェールズは逡巡したが、 「試しに僕も往復させてもらおう。疑うわけではないが、自分で試さず、許可するわけにはいかない」 と、リューカーの中心に立った。 「どうすればいい?」 「思うだけで」 ウェールズが、言葉通りにすると先ほどと同じ、光を残して、ウェールズの姿が消えた。
sien
※すみません、コピペの順番間違えてました。
>>482 が3/7で、こちらが順番的には先になります。
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早くから就寝し、精神力の回復を図った。まだ暗い内から起き出して、風石に火薬を仕掛け、頃合を見て遍在に爆破させる。
潜入しての破壊工作や暗殺は風メイジの得意とする所だ。サイレントの魔法で物音を消すことができるのだから。
港には見張りもいたが、さほど多くも無く容易いことだった。遍在を港の中へ密かに送り込んでその目を盗み、必要とあらば遍在の顔を見せて油断させ、その命を奪った。
そして目論見通り、王党派は艦を失った。
これで、誰もニューカッスルから逃げることはできない。まず、王党派には、ここで全員死んでもらう。
指輪の能力の発覚はクロムウェルには知らせない。亡命を防ぐことで功績を立て、クロムウェルを油断させ、奴も殺す。
『アンドバリ』の指輪を奪い、トリステインに取って返す。アンリエッタも殺そう。マザリーニもだ。
指輪の力でアンリエッタとマザリーニを傀儡にすれば、明日からは自分がトリステインに号令を下す立場となる。ルイズは……言うことを聞かないなら殺し、遺体を回収すればいい。彼女を操るということは、本当の虚無の力を手元に置くということだから。
ワルドの口元が笑みを形作る。
あのクロムウェルの大物然とした取り澄ました顔が、どんな風に歪むのか。今から楽しみだ。自分を騙して良いように踊らせてくれた礼は、しっかりとしてやらねばならないだろう。
偽の虚無の力でハルキゲニアの統一と聖地の奪還とは。まったくご大層な錦の旗を掲げたものだ。
安心しろクロムウェル。後は自分が引き継いでやる。聖地は俺が、俺の目的の為に砂漠の悪魔どもの手から奪還してやるよ。
後は待つだけだ。すぐに脱出し、レコン・キスタと合流してもいい。
計画の最初の段階は上手くいった。
上手くいった、というのに―――
(奴らは、一体何を始める気だ?)
支援
何とも不思議な感覚であった。 暗闇の中を青白い光の粒が輪を形作り、その輪が連なって道を作っている。波に揺られるようにうねりに身を任せて、気がつくと見知らぬ部屋の、光の輪の中心に立っていた。 「これは皇太子殿下。よく参られた。歓迎致しますぞ」 声の方に目を向ければ、それはウェールズの見たことのある顔であった。 トリステイン魔法学院、学院長のオールド・オスマンだ。 「オールド・オスマン……そうか。ラ・ヴァリエール嬢はこの状況を予期して、手配していたというわけですね?」 「そういうことですな」 オスマンは白い髭を扱きながら頷いた。 「僕はすぐに戻らねばなりません。これから多くの者達がこちらに現れるでしょう。彼らの誘導と、保護をお願いしたい」 「承りましたぞ」 「感謝します」 ウェールズが戻ろうとすると、オスマンが呼び止める。 「何か?」 「姫殿下も学院に逗留なさって、殿下をお待ちしておりますぞ」 ウェールズは無言で頷くと、ルイズの部屋から掻き消えた。 「しかし、若い娘の部屋の匂いは……なんというかこう……良い。実に良いのう。モートソグニル」 オスマンは、ウェールズが聞いていれば尊敬を失いかねないセリフを、掌に乗せた使い魔に向かって投げかけるのだった。 脱出が始まった。ジェームズ一世の指示により、非戦闘員が優先的に避難することになった。兵士やメイジ達は人々が殺到しないよう二列に並ばせ、一度に列の先頭の二人ずつを、間を置きながら順番に脱出させていく。 王を信頼して着いてきた人々だけに彼らは粛々と兵士と貴族の指示に従って動いていた。 最初に、錬度の高い兵士を向こうに数人送っている。魔法学院で誘導を担当すると共に、避難民の転倒など、異常があれば合間を見計らい、向こうからこちらに渡ってきて報告するという手筈になっている。 「殿下。正午までには間に合いますか?」 「このペースなら大丈夫だろう」 一方で、たまったものではないのがワルドだった。折角危ない橋を渡って艦を沈めたというのに、またあの使い魔めが余計なことをして計画を台無しにしようとしている。 なんだというんだ。その『テレパイプ』の指輪とかいう、ふざけたマジックアイテムは。 フロウウェンを殺せば、あのゲートはなくなるのだろうか。指輪の力だとルイズに説明されたから、指輪を奪って破壊せねばならないのかもしれない。もし、それでもゲートが閉じなかったら? どちらにせよ、現状ではワルドは動けなかった。いきなり襲い掛かれば、あの使い魔を殺すことはできるかもしれない。だが、こんな状況下ではその後自分が他の者に殺されるだけだ。 まだだ。まだ待て。 ワルドは焦れる心を抑えつける。 ジェームズ一世は言っていたではないか、自分は最後に脱出する、と。 であれば恐らくウェールズもルイズも、性格上最後の最後まで残るだろう。そうなれば、あの使い魔もだ。 そしてその顔ぶれは、全員が全員、誰かに何かがあったとき、自分だけ逃げ出すような性格をしていない。 勝負は、その時だ。ウェールズかジェームズを仕留められれば、その死体を餌に、クロムウェルを一人にするチャンスが生まれる。まだ大丈夫だ。クロムウェルは、『アンドバリ』の指輪が発覚したことを、知る術が無いはずだから。 最大の障害は、やはりあの得体の知れないヒースクリフ・フロウウェンだ。ウェールズも確かに相当な使い手だが、同じ風メイジとして格の劣るウェールズは、その手の内も見当がつく。 だが、あの男。あの男だけは底が読めない。剣の腕。体術。頭の切れ。『ライトニング・クラウド』を反射したインテリジェンス・ソード。ゲートを作る指輪。全てが未知数だ。 だから最初に殺すのはあの使い魔だ。上手くすれば、それでゲートも消える。老いたジェームズ一世と、ゼロのルイズは自分にとって何の障害にもならない。 例え国中から追われる身の上になったとしても、『アンドバリ』の指輪さえ手に入れれば、為政者を裏から操ることで全てを帳消しにできる。ワルドはそう考えていた。一世一代の大博打であった。
「ルイズ」 フロウウェンが枕を抱えたままのルイズに言う。 「何?」 「今の内にマグを装着しておけ。この状況では艦を沈めた敵紛れていても動けんと思うが、念の為にな」 フロウウェンの肩にマグ……ヤクシャが取り付いた。 「解ったわ」 ルイズも荷物からマグ・ヴリトラを取り出す。色は違うが、形状がキュルケのマグと同じなのが玉に瑕だ。 精神力補強優先で育てるとこうなる。最低もう二段階形状が変わるらしいが、その時は桃色のマグと黄色のマグは同じ種にはならないそうだ。まあ、今は我慢しよう。 「それは、なんだね」 ワルドが少し疲れたような声で尋ねてくる。 「マグっていうの。メイジを補助する……そう、ガーゴイルのようなものよ」 「ガーゴイル、ね。もう、きみらが何を出そうが驚かんよ。僕は」 できれば、この辺で打ち止めにして欲しかったが。 「傷病兵の方々はあちらへ! 水メイジ達が治療してくださいますわ!」 アンリエッタの指示が引っ切り無しに飛ぶ。 トリステイン魔法学院の中庭は、アルビオンからの避難民で溢れかえっていた。 その一画。『錬金』で即席で拵えられた壇上に、アンリエッタの姿はあった。 勿論、彼女のすぐ側には魔法衛士隊が付き従い、彼女の護衛に当たっている。 始めに向こうからやってきたのは怪我人や病人、女、子供、老人と言った、非戦闘員ばかりだった。 学院の中庭は、さながら野戦病院のような様相を呈していた。しかし、物資は充分にある。アンリエッタとオスマンはこの事態を予想していたからだ。薬や食料、衣類、毛布を用意する時間もあったのである。 マザリーニはアルビオンからの避難民が突然学院に現れたことに目を白黒させてアンリエッタに詰め寄ったが、アンリエッタから『アンドバリ』の指輪の話を聞き、事情を飲み込むとすぐに王宮へと出立した。 既にアンリエッタはガリア、ロマリア、ゲルマニアの三国に使いを出している。緊急に会談が開かれるだろう。その準備をする必要がある。 もし、そんな指輪をクロムウェルが手に入れているなら。それを知らずに激突したなら。ゲルマニアとの連合でさえ勝利はおぼつかなかったかもしれない。 いや、間違いなくアルビオン王家の二の舞になる。どれほど善戦しようと神算鬼謀を尽くそうと、戦死者を全く失くすことは不可能だ。 戦場で貴族の死体を手に入れれば、それが貴族派の尖兵と化し、次の戦場での敗北の呼び水となる。相次ぐ重臣どもの寝返りは、王が人心を手放したからではなく、指輪の力によるものだ。 一時は、内憂を払えぬ王家、かのアルビオンも堕ちた物だと侮った目で見ていたが、ジェームズ一世は必要とあらば非情な決断も下せる強い王であったことを、マザリーニは思い出していた。 その一方で、姫殿下もなかなかやるものだ、とマザリーニは嬉しくなった。クロムウェルに直接揺さぶりをかけ、すぐにはトリステインに手出ししにくい状況を作ってくれている。 自分に相談もなく動いたのは頂けないし、まだまだ甘いが、及第点の仕事はきっちりとこなしてくれていた。 「そちらの子供は親とはぐれてしまったようです! 食堂に連れて行って上げて下さい!」 アンリエッタがこうやって避難民誘導の陣頭指揮を執っているのも、マザリーニの献策だ。 賽が振られてしまった以上は仕方がない。王党派は最大限利用するのが正解である。 アルビオン王党派を利用する手はマザリーニも少しは考えていたが、言うまでも無くリスクが高すぎる。そもそも亡命してくるとも思えなかったのだ。
しえん
だが現実に、アルビオン王家は亡命を受け入れた。指輪の話がそれだけ衝撃的だった、ということか。 そうなると、アンリエッタがアルビオン王家に対して好意的で、こういう場で積極的に動いてくれるのは実に都合が良い。 アルビオン王家とその臣民に恩を売れるというのもあるし、アンリエッタのイメージを損なわないままでカリスマ性を高め、それを国内外にアピールできる絶好の機会でもある。生の戦場に近い空気に触れさせることもできる。 亡国とはどんなものであるか、肌で感じさせることができる。 今はまだ種を撒いた段階に過ぎないが、それらは後で必ず芽を出すだろう。 「ふう……」 ようやく落ち着きが見え始めて、アンリエッタは一息ついた。 しばらく前から、ゲートから現れるのは兵士ばかりになった。彼らは秩序だって動いてくれるので手がかからなくて済む。誘導するトリステインの貴族も、その指揮をするアンリエッタにも負担が少なかった。 「姫殿下。貴族派は、正午にニューカッスル城へ攻撃を開始するとのことです」 トリステイン魔法衛士隊、マンティコア隊隊長のド・ゼッサールがやって来て耳打ちして行った。王党派から入手した情報だ。 「正午……」 アンリエッタは、空を見上げた。正午まではまだ時間がある。が、自分の親友も、愛しい人も、まだ、来ない。 「これなら攻撃が始まる前には、充分間に合うな」 ウェールズは状況を確認すると満足げに頷いた。残すところ、アルビオンの貴族が十数人。この連中の中には、王族の護衛である近衛も含まれている。ウェールズとジェームズ一世、それからルイズ、フロウウェン、ワルド、マチルダの四人だ。 「陛下。トリステインでお待ちしております」 「うむ」 貴族達はジェームズ一世と短く言葉を交わし、一人、また一人とリューカーを潜っていく。 近衛のメイジはジェームズやウェールズから離れることを渋ったが、ジェームズは自分は最後だと、頑として聞かない。根負けして、リューカーの光の向こうに消えていった。 「殿下」 涙ぐむパリー。その手を取って、ウェールズは笑う。 「今からそんな調子では困るな、パリー。これからが大変なんだぞ」 「……その通りですな。では、パリーめも向こうで殿下が来るのをお待ちしております」 やがて、最後の一人。ウェールズの侍従パリーもゲートの向こうに消えた。 ワルドの目が細まる。「その時」が近付いている。 「では、そなたらも」 ジェームズがルイズ達に促す。 最初にマチルダがおずおずと前に出て、ゲートの前に立った。 ―――まだだ。あの女も実力のあるメイジ。先にトリステインに行ってくれるなら、それでいい。 マチルダは目を閉じた。本当はこのまま城を抜け出してウエストウッド村に向かいたかったのだが、この状況下ではそうもいかない。 ウエストウッド村への帰郷は、また改めてということにしようと諦め、トリステインに向かって、マチルダは消えた。 「次は……」 ウェールズが視線を巡らせるが、ルイズは首を横に振った。 「わたしにも最後まで見届ける義務がございます。わたしの使い魔も、このゲートを維持せねばなりません」 「では、子爵」 「僕には、あのグリフォンがおります。あれにゲートを潜らせたら、僕の婚約者の部屋が壊れてしまうでしょう? 空から帰ることにしましょう」 港の隅で大人しく主人を待っているグリフォンを指差し、冗談めかしてワルドは答えた。 ウェールズは苦笑すると、頷いた。 「うむ。きみほどの男なら大丈夫だろうが、充分に気を付けてくれたまえ。では父上。共に参りましょう」 ウェールズがジェームズの手を取る。ワルドに背を向ける格好で。
ワルドは無造作に黒塗りの杖を引き抜き、口の中で小さく呪文を唱えると、それをルイズに向けた。 「え?」 ルイズが邪気のない目で見上げてくるので、ワルドは困ったように笑みを浮かべた。 滑稽なほど、自分を疑っていない顔だった。 次の瞬間、ルイズの身体が至近距離からの『エア・ハンマー』で吹っ飛ばされた。華奢な身体が数メイルも飛ばされ、鍾乳洞の壁にぶつかって、転がった。 「な……」 ウェールズが異常を察して振り返える。遅い。このタイミングならウェールズ達にも『エア・ハンマー』を食らわせて、その後でフロウウェンを迎え撃つことができる。 そう思った。 が、事態を目の当たりにしていたフロウウェンの逡巡は、一瞬だけ驚いたような表情を浮かべた、その刹那の間だけであった。 事情を伺うのは、斬り伏せた後からで充分だからだ。フロウウェンに迷いは無い。 気が付いた時には、ワルドは肩口から斬撃を叩き込まれた後だった。斬られた後で、ワルドはやっとそのことを認識した。わずか、急所を逸らしているが、 更に返す刀で杖を握っていた右手が断ち切られて宙を飛んでいた。 ―――なんだ? 今のは? 『女神の杵』亭で見せた初太刀など、まるで児戯だ。受け止めるつもりでいたのに、太刀筋を見ることすらできなかった。 抜刀、踏み込み、斬撃の全てが一挙動。且つ神域の速さを伴っていた。 ワルドの知る由もないことだが、フロウウェンの知己であるゾーク・ミヤマの流派に伝わる技法の発展形だ。 ミヤマ流のネフ・ミヤマという男に教えられたそれを、更にフロウウェンが長年かけて磨き、実戦に向くように改良を加えたものである。 「ルイズ!」 切り捨てたワルドを一顧だにせず、ルイズに向かってフロウウェンは駆け寄った。 「う……ヒース」 腕に抱えられ、苦悶の呻きをルイズが漏らす。 「待っていろ。今……」 レスタを使おうとしていた、手が止まる。 「ヒー……ス?」 ルイズが眉を寄せる。 フロウウェンの口から零れたのは、真っ赤な鮮血だった。生暖かい血が、一滴。ルイズの頬に撥ねる。 「相棒!?」 デルフリンガーが驚愕の声を上げ、ゆっくりとフロウウェンが崩れ落ちた。 その背中から、長大な氷の柱が生えていた。『ジャベリン』だ。 「い……やあああああああああああああ!!」 一瞬遅れて、ルイズの絶叫が港に響き渡った。血で汚れるのも構わず、半狂乱になってフロウウェンの身体を揺さぶり、名を呼ぶが、反応はなかった。 「いやはや。今の技は驚いたよ。最初にルイズを吹っ飛ばしたのは正解だったな」 鍾乳洞の暗がりから、鋼鉄の拵えの杖を突き出したままワルドが現れる。 まずはルイズを吹き飛ばす。こうすれば、不測の事態があってもジェームズとウェールズは逃げ出すまい。それからジェームズとウェールズを撃って戦闘力を奪い、その後でフロウウェンを迎え撃つつもりだった。 だが、弁明の機会も貰えず、反応の余地すらも無かった。容赦も呵責も無い斬撃で、遍在の一体は散らされてしまった。 その一撃を見たときには、まともに戦っても勝ち目が薄いことを悟った。斬撃を見切れなかったこともそうだが、得体の知れない隠し玉が多すぎる。 ならば卑怯との謗りを受けようと、ワルドは躊躇わない。ワルドにとって唯一無二の目的の前には、全ては些事だ。 そうだ。彼女を、最愛の人と再びまみえる為ならば、おれは喜んで悪魔にでも魂を売ろう。 「子爵……きみは……!」 背を向けていたせいで、まだ事態を把握し切れていなかったウェールズだったが、目の前で切られたはずのワルドが消え失せ、別のワルドがフロウウェンを背後からジャベリンで貫いたことで、ようやくその正体を察したらしい。 ウェールズが杖を構えるが、ワルドは余裕の笑みを浮かべた。背後にはジェームズもいる。巻き添えを恐れて、ウェールズは迂闊に動けはしない。 例え今からゲートに走ったところで、こちらの魔法がウェールズやジェームズを、背中から貫く方が早い。 「ん? ああ。僕はレコン・キスタの一員でしたよ。ま、沈み行く船に用は無いのですが」 事も無げにワルドが言う。
ごう、と突風が舞い起こり、ウェールズの右手を強かに打ち据える。手にしていた杖が飛ばされて地面に転がった。 「ぐっ!」 ウェールズが蹲る。ウェールズの手を撃ったのは背後から現れた、もう一人のワルドだった。そのワルドが、リューカーの前に立ち塞がるような位置を取る。 港の物陰から、本体と合わせて四人ものワルドが現れた。 「風の……ユビキタス……」 ジェームズが呻くように言った。 風のトライアングル・メイジとして、その呪文の恐ろしさを知っているウェールズは慄然とした。 さっき斬られた遍在も合わせて四体もの遍在を作り出しているということになる。目の前の男はどれほどの実力を持っているというのか。 「その通り。風は遍在する。勝ち目がないことはお分かりいただけたか。できれば、抵抗しないで頂けるとこちらとしても楽で良いのですが」 「たわけたことを……!」 「―――どうして?」 絶望に満ちた声に、ワルドがそちらを見やる。ルイズだった。幽鬼のように虚ろな目で、ワルドを呆然と見ていた。 「説明して、きみに理解してもらえるとも思えんな。僕は僕の目的の為に、虚無であるきみの協力と、レコン・キスタが必要だった。 だが、必ずしもそうでは無いと解ったから、こうしたまでだ。きみが僕と来るというなら拒む理由は無いが……まあ、きみのような高慢な女には、それを望むべくもあるまいな」 「きょ、む……」 それを他人事のように、ルイズが復唱する。 「……ラ・ヴァリエール嬢が虚無だと?」 「と、僕はそう思っているのですがね。さて。話にも飽きました。そろそろ―――」 そこまで言ったところで、ワルドの言葉が中断させられる。 剣を支えに、フロウウェンが立ち上がってきたからだ。 「相棒! じっとしてろ!」 「駄目! そんな傷で動いたら……!」 「ほう」 ワルドが驚きの声を上げた。 あれで死ななかったのか。しかも、立ち上がってくるとは。 「そういえばルーンの力があるのだったか。よかろう。立ち直る前に引導を渡してやる!」 ワルドは杖を構えるが、様子がおかしかった。何事かをぶつぶつと呟いている。 「ルーン……ルーン……か。……これは、枷だ。この……世界……は、D因子を……抑えるフォトンに満たされて、イる。だから、ルーンが、選別……シ、吸収……。 そうか……フォトンを取り込むのは……この、とき、に……主を、巻キ込まぬためノ……ふ、ふふ。出来スぎテいる……仕組まれテ……いるようニも……思エるな……」 「何だ? 何を言っている?」 ジャベリンが、肺でも傷付けた……のだろうか? その声が、時折人間のそれではない、奇妙な篭り方で聞こえる。 「この……状況でハ、全員を守ル……のは不可能だ。……ガ、手は残さレている……という、ことだ」 フロウウェンはデルフリンガーを地面に突き立てて、手放す。 「相棒……?」 フロウウェンは小さく笑う。 「お前は……お前だ。オレと共に行く必要は、無い。お前といタ時間は、なかナか、悪くなかった、ぞ」 そして、両腕を広げた。 ―――めきり、と軋むような音がした。
支援。
乙ー 偏在はほんまチートやでぇ
フロウウェンの人乙。 なんという生殺し 次回にwktkして全裸待機。
乙 言葉がたどたどしくなってくると怖くなるな
チート対スーパーチート、と言う感じだな 乙です
乙 ワルドオワタ?
>>491 お疲れ様です。次回は、"IDOLA" have the immortal featherを聴きながら読むことにしますわー
PSOで階層が深くなるたびにおかしくなっていった リコのメッセージを思い出すな…オソロシヤ 久しぶりにGCで御大の姿でも拝みに行くかな
社長のやりたいことって何だ? 弟との夢、カイバーランド建設以外に何かあったか? 最愛の人も木馬以外にいたか?
>>最愛の人 嫁じゃね?
>>502 キサラがいるね、故人だけど。
社長に今流行りのダムドや裁きの龍をぶつけたら怒るだろうな。なんせ青眼よりはるかに出しやすくて全体除去持ち、かなう要素がない。
クロスキャラじゃそういうのが出しにくいだろうけど、反対にゼロ魔キャラで出しにくいのは
ジュリオやアニエスなんかがあまり見かけないな。デルフはまだこいつらに比べりゃ恵まれてるほうだぞ。
あとモット伯はアニメオリキャラなのになんでか登場率が高い。
>>504 アニエスは割と良さそうだと思うんだがなぁ。
銃使いのメイジ殺しで活躍させ易い、掘り下げ甲斐のある経歴、しかも前髪パッツンだ。
ハードボイルド系なキャラ召喚して背中を預けさせれば、良い感じになる気がする。
ただコルベール活躍させると、どうしても居場所無いんだよね。
ジュリオはご主人様共々扱い辛い。もう少しキャラクターの背景がわかればなぁ……。
モット伯は非常に話を造りやすいと思うな。 召喚キャラの強さとか性格とか浮き彫りにさせるのには非常に話を組み立てやすい気がする。
モット伯を召喚…いやなんでもない
>>504 モット伯はマリコルヌと並んで読者のやりたいことを体現しているキャラだからじゃないですかね。
……後者は原作者か。
なぁ、ベア様をどうにかして出したいんだが、 あのお方の属性判明してないよな? あ、ベアトリス様ね。クルデンホルフの。
フロウウェンの人乙です しかしこれは…そろそろEDが近い展開? 次回は凄く楽しみですがまだ終わらないでー><
>>509 属性は帝国重装歩兵
インペリアルクロスでパリィするんですね
わかります
>>511 「よいかギーシュ。
我々はインペリアルクロスという陣形で戦う。
防御力の高いワルキューレが前衛、
両脇をワルキューレとワルキューレが固める。
お前はワルキューレの後ろに立つ。
お前のポジションが一番安全だ。
安心して戦え」
ベア様ちょうかっけーっす!
なんとなく音速丸召喚を書いてみようと思う・・・
515 :
双月の女神 :2008/10/24(金) 04:21:07 ID:80XewgrE
フロウウェン様、GJでございました! 執筆中の御挨拶に参りました。 15巻を購読し、見たのですがまたまた構想の練り直しが・・・(涙)。 今月は上げきることが出来なかったです。申し訳ございません。 必ず拙作を完結させますので、どうかお待ちください。 ではお詫び代わりに、拙作における人物紹介を出来上がっているものを 投下して締めくくらせていただきます。 ≪ミカヤ≫ ―――――異界より呼ばれ、『神の頭脳』を継いだ『女神』――――― プロフィール:かつて、異世界の大陸『テリウス』を救った救世の英雄の一人にして、元一国の女王。 故国を離れる時、ハルケギニアに使い魔として召喚され、以降、召喚者のルイズを妹のように大切にし、守る事を誓う。 伝説の使い魔である『ミョズニトニルン』のルーンを契約時に受け、あらゆる魔道具を使いこなす力を得る。 ≪ルイズ≫ ―――――伝説をその身に宿す「落ちこぼれ」――――― プロフィール:名門貴族ヴァリエール公爵家令嬢で、魔法の行使を一度も成功させられなかった『ゼロ』の二つ名を持つ ミカヤの召喚者。 召喚の儀の時に同期学生らからのからかいから守り、優しく接されたことからミカヤを姉のように慕う。 伝説の使い魔のルーンをミカヤに刻んだ、失われた系統「虚無」を持つ。 以上です。応援支援いただいている皆さん、今後も何とぞよろしくお願いします。 失礼をば。
せめてハルケギニアではフロウウェンに幸せになってもらいたかったな… 過酷な前世だったから
>>516 虚無なら…何とかしてくれると信じたい
姉妹スレの天気予報のように
ふと思ったが、ドラえもんは自分のポケットに入れば帰れるんじゃね?
>>519 ゼルギウスさん何やってるんですか
鎧に女神の加護がついた状態の漆黒の騎士を召喚したら、七万の軍勢でも楽勝だろうな…
ニニンがシノブ伝から音速丸と愉快な仲間たちを召喚です。 書いてみたんで投下してみても宜しいでしょうか? 自分で書いてみて面白いかどうかワカンナいですが。
さぁどうぞ!!
ニニンがゼロ伝・音速の使い魔 第一話 使い魔、現るの巻 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」 虚空が眩く輝きそこから虹が架かる。 『いやっほぅ!!天界からイタズラ天使が舞い降りたイメージで虹をすべってカワユク登場!! そう!!、ワシが!!、ワシが!!ワシが統領じゃーい!!』 黄色く丸っこい得体の知れない翼の生えた生き物が虹からすべり降りてきた。 「や、やった、成功したんだわ!」 「おい、ゼロのルイズが幻獣を呼んだぞ!」 「あの幻獣喋ってるぞ!」 「何なのあの幻獣、見たこと無いわ!」 「アルゥエ?ココはだぁれ?ワタシはどぉこ?」 手にペロペロキャンディを持ってキョロキョロする黄色い生物。 「アアア、アンタ、喋れるのね・・・名前はなんていうの?」 (やった、スゴいわ!喋られる幻獣なんて大当たりじゃない!?) 心の中で歓喜するルイズ。 「オッス、オラ甘くて苦いママレードボーイ音速丸ヨロシク!」 「・・・は?」 「おい、ソコの釘宮ボイ○!ココは一体ドコなんでぃ!アンタ、だぁれ?ももももしかして誘拐!? いやーヤメテパンツぬがさないでーっ!」 「ちょっ、何言ってんのよ!中の人なんて居ないわ!伏せ字の位置間違えてんじゃないわよ!誘拐じゃないわ! 使い魔として私が召喚したのよ!って何時の間にパンツ履いたのよ!?」 歓喜から一転不安になるルイズ。 「コントの途中ですまないがミス・ヴァリエール」 「コ、コントじゃありません!」 ルイズの抗議を無視して話を進めるコルベール 「時間が押してるんだ。早く契約をすませてしまいなさい。」 「ミスタ・コルベール、この使い魔ヘンです!イヤな予感がします!やり直させて下さい!」 「ダメだ、何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。好むと好まざるにかかわらずこの幻獣を使い魔にするしかない」 「おい、コッパゲ、ココは一体ドコなんでぃ!おまえら一体何なんでぃ!さてはオレ様に仕向けられた刺客だな!?」 「誰がツルッパゲかね!・・・まあいい、ココはトリスティン、そしてここはトリステイン魔法学院だよ キミはミス・ヴァリエールに使い魔として召喚されたんだ。呪文を唱え口付けを交す事で儀式は完成する。」 (あ、今このハゲ余計な事言わなかった!?) 「成る程、つまり吾が輩は世界の平和の為にやって来た総理大臣というわけだな!よし解った! おい、釘宮○イス!使い魔になってやるから早く契約をすませろ!」(むちゅー) 突如8頭身サイズになってチューのポーズをする音速丸。 「だから伏せ字の位地間違えんじゃないって言ってんでしょ! あ、あの・・・ミスタ・コルベール、ホントにコレとしなきゃいけないんですか・・・?」 うむ、例外は認められない」 「うぅぅ・・・ 『我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ』・・・」 「おらーっ、どうした、早くしねぇかー!」 「ちょ、キモイ!ミスタ・コルベール、やっぱりこんなのイヤです!」
「あれ?音速丸ー、ドコいったのー・・・きゃっ!?」 ピンクの服を着た女の子が音速丸が出て来た虹から滑り墜ちてきて案の定ルイズと衝突する。 むちゅっ。 「○※△◇ッ!?」 音速丸の顔面にルイズの顔が押し付けられる。 「ごふっ!?アヂィィィィィッ!?」 「落ちつきなさい、使い魔のルーンが刻まれてるだけだよ。じきに治まる。ところで・・・こちらのお嬢さんは知りあいかね?」 と虹から墜ちてきた少女を指して言うコルベール。 「あ、私、『忍』(しのぶ)って言います!!ニンジャ学校に通ってる見ならいニンジャなんです!!ヨロシク御願いします!!」 「ニンジャが何かは知らないが、元氣なお嬢さんだね」 「えーん忍ー、聞いてよーっ、唇うばわれたーっ、もうオヨメにいけないのーっ」 「なんだか知らないけど泣かないで音速丸。よしよし」 「な、泣きたいのはコッチよ!私、初めて・・・っ、いいこと?アンタは人間じゃないんだから今のはノーカンよ!ノーカン!」 顔面の痛みと情け無さで涙目のルイズ。 「あらまあ、こちらの方は雅(みやび)ちゃんと声も喋り方もそっくりですね〜」(なでなで) 「ちょ、何すんのよ頭撫でないで・・・ふにゃぁ」(ああ、ちょっとイイかも〜) 忍に撫でられてふにゃりとするルイズ 「おおすげぇ、ツンデレだ、流石魔法世界。」 「おい見ろよ人が飛んでるぞ」 「おまえら、愕く順番違うくねーか?」 突如ゾロゾロと顕れる黒装束の団体。 「な、何なのよアンタら!」 「あ、紹介しますね、ニンジャ学校でクラスメートのみなさんですよ〜」 「「「ヨロシクーっす」」」 「しかし、スゴい忍法ですね音速丸さん、あの空中に浮いた鏡みたいなのは何だったんですか」 と黒装束の1人。 「フフフ、聞いて驚くなよ・・・あれはな・・・」 「アレは?」 「二次元の壁を越える忍法だったんだよ!」 「「「な、なんだってー!?」」」 「す、スゴいじゃないですか音速丸さん!」 「エルフだ!エルフに逢える時がやっと来たんだ!」 「ネコミミメイド、ネコミミメイドはドコに居るんだ!?」 「ようし、こうなったらみんなで音速丸さんを胴上げだ!」 「「「ワーッショイ!、ワーッショイ!」」」 「素晴らしいです。忍は感動で涙が止まりません」忍が感動で涙をハラハラと流す。 「アハハハハ、ウフフフフフ」 「な、何なのよコイツらー!!!!」
以上、終了です。 2話移行書けるかな・・・。
もうちょい地の文を書いた方がいいな。 それ以外はシノブ伝の雰囲気が出てて面白かったよ。 何故こんな鮮明に奴らの姿が目に浮かぶのだろうか? ところで、緑色のナイスガイを召喚する猛者は、誰か居ないかね?
姿と声が伝わるわw 乙です
あーニンジャくん、エルフはいるがネコミミメイドはいないぞ、今のところw そして彼らは三次元→二次元なのか二次元→三次元なのかどっちなんだw
それともう少し量が多くてもいいと思う
>>504 見かけないのは出しにくいってより単純にそこまで話が進んでない作品が多いからじゃないかな
音速丸の人乙 次回にwktk
>>504 作者より気障なキャラは書け……いやなんでもない
>>531 ではサスペンス物は殺人者しか書けないという理屈にもなるね
>>526 チミは私にバッタ王子ネタを書けと言うのかね!?
冗談ですが。
ちなみに投下ネタは第三次アルファのトウマと迷った。
ゲノムのパクマンさん?
>>506 ただ、モット伯は登場率高い割にはろくなめにあってないがな。
生きてりゃいい方ってかんじだし。
単純に話がそこまで進んでない(進む前に執筆放棄する)のが多いのと、 そもそも原作を読んでな(以下記すことさえはばかられる
そこまで書くと100万字になるからです
と言う事はイチローのクロスSSを書いてる奴はメジャーリーガー!? 俺達の知らないメジャーリーグの知識の数々を考えると納得できるかもしれん。
>>526 ルイズが体術だけでも立派な貴族になれることを証明しようとするようなナイスガイじゃあるまいね
>>537 事情なんて一それぞれなのに、型にはめて一括りに語ればいいってもんじゃないぞ
biglobeに今月から乗り換えたら今日まで規制を食らった(´・ω・`) 亀レスだけど静留さんの人乙です。百合展開に期待
>>533 ほほー、トウマですか。中々にそちらも興味深い……
という訳で、どうも。久保の書き手です。
他にいらっしゃらないようでしたら、このまま参ります。
ふぁいああぁ〜るぅが〜ん〜めのぉ〜いぃろのぉかぁ〜こぉをくぅだっけぇ〜
話の上で、アンアンからの手紙を預かってない事に気づいたのは、久保達をニューカッスルに到着させてから。下手扱いたなぁ……
今回ディストラ姐さんのコクピット描写に結構悩まされましたが、アニメのOGを見る限り、かなりすっけすけの全天周型っぽいので、そうしました。久保やプリ助の他はすぐ背景だよ、コクピット。
というかアレ、外から見てもどこがコクピットなんだ?って感じですが。
「きゃあああぁぁぁぁ!?」 初めて乗ったアストラナガン。そこは足下いっぱいに学院の光が見えました(はぁと)。 おもいっくそ全天周型モニターのディス・アストラナガンは、しっかり足下にも外の風景が見えているので、モニター画面という概念すら持っていないルイズにとっては、そのまま落下するような錯覚に囚われていた。 「お、おおおおお、落ち!落ちるっ……!」 「おーい娘ッ子、大丈夫かぁ?」 「落ち着け、ルイズ」 四肢を四方に伸ばして不可視のコンソールを握っているクォヴレーが、必死に自分にしがみついてくるルイズに静かに告げる。 「おおおおお落ち着ける訳ないでしょぉぉぉっぉおおおお!」 半泣きになっているルイズが責め立ててくる。 「よく足の感触を確かめてみろ」 「あ……足?」 おそるおそる下を見る。 そこでふと気づく。自分の腕はしっかりとクォヴレーを掴んでいるが、足は不可視の床をしっかりと踏みしめている。 とんとんと足を踏み直す。 「何、これ……」 「簡単に言えば、透ける床だ。こういったものを動かす際に、視界は広いほど良いからな。足下に誰か人がいたとしても踏まずに済む」 「そ、そう……け、結構考えてるのね……」 引きつりながらも笑みを浮かべ、必死に余裕を見せようとする。それでも抱きついているクォヴレーを離そうとはしなかったため、露骨に失敗していたが。 「行き先はアルビオンだったな」 クンッと翼を翻し、トリステイン上空で西に向く。 「ええ、王党派はレコン・キスタに押されて、追い立てられて今はニューカッスル城に立てこもっているらしいわ」 悔しそうに唇を噛むルイズ。 「敗戦の末の後退か……戦場跡を追っていけばその城も見えてくるか。ところで、レコン・キスタという組織、聖地奪還を謳っていると言っていたが、聖地とは何だ?いや、どこだと問うべきか」 「私たちメイジの始祖であるブリミルがやってきて、そして最終的に目指した場所よ。ここからずっと東。今はエルフ達が邪魔をして、行けないんだけど……」 「東……ああ、砂漠の中に集落が一つあったな」 思い出すようにクォヴレーが呟く。 「あ、アンタ行ったことあるの!?」 「そりゃそうだろ。娘ッ子、今自分が何に乗ってるか、判ってんのかい?」 デルフリンガーの言葉にハッとし、 「――見えた。アルビオンだ」 「へ?」 クォヴレーの言葉に前を見ると、月明かりに照らされる浮遊大陸がルイズにも見えた。 「ウソ……ホントにもう着いちゃった」 「流石に暗いな……視界が悪い」 手元のコンソールを操作し、モニターの明度を上げつつ、アルビオン上空に到達。 上空一万メイル付近より広域でアルビオンの地表を捜査。発見したいくつかの戦場跡を線で結ぶように辿っていくと、アルビオンの端にまで続いていた。そちらへと飛ぶ。 「確認出来る最後の戦場は……あれか?いや……」 アルビオンの地表から300メイルほどの高さに降下しつつ、望遠して下を見る。 「こいつぁ陣地だな……戦勝祝いってとこか」 どんちゃん騒ぎの様子に、呆れ気味にデルフリンガーが呟く。 「どっち?王軍?それともレコン・キスタ?」 「……死体も片づいてない真新しい戦場跡があちら側にある。陣地を挟んで反対側の、こちら側にも比較的新しい戦場跡が見える。王軍が劣勢だという話が本当なら、こちらはレコン・キスタだろうな」 ディス・アストラナガンの目を遠くへ向けながら返す。 「こいつら……」 若干目尻をつり上げるルイズ。 一方のクォヴレーは、愛機の異変に眉を顰める。
「これは……」 ディス・レヴが反応している……? 「? どうかしたの?」 「いや……今は、いい」 首を振るクォヴレー。 「今は王女の任務が優先だろう」 「? そう」 不可解な答えではあったが、とりあえず任務の方を優先しているらしいと解り、頷く。 「こちらがレコン・キスタとやらの陣なのならばウェールズ皇太子が居るのは反対側か」 暗闇の中、浮遊大陸の端に立つ城が、確認出来た。他に王党軍が居るとおぼしき場所も見あたらない。 深夜の城に、翼を羽ばたかせつつディス・アストラナガンが降り立つ。 軽い地響きを産みながらの着地に、わらわらと人々が出てきた。 「ちょ、ちょっとどうすんのよ!?大事になってるじゃない!」 「ルイズ、少し名前を借りるぞ」 「え?」 返事は待たずに、外部音声のスイッチを入れる。 「俺の名は、クォヴレー・ゴードン。トリステイン魔法学院に在籍するルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔だ」 暗闇の中にクォヴレーの声が響く。 「俺の主が、トリステインの王女、アンリエッタ殿下より、この国の皇太子へ言づての密命を受けた。皇太子に主と会って貰いたい」 そこでカチリと外部スピーカーへの出力を切る。 本来なら言づてではなく密書の筈なのだが、当のアンリエッタが手紙を渡す前に気絶してしまったため、書状がなかった。 「外に出るぞ、ルイズ」 「ちょ、ちょっと……!」 ハッチが開くと、ディス・アストラナガンの掌がすぐそこまで来ていた。 ルイズはクォヴレーに抱えられながら掌に飛び移り、手が下ろされて地面へ、そこでクォヴレーからも下ろされる。 「ちょっと!どうするのよ、明らかに不審者に見られてるわよ……!?」 居心地悪そうにルイズは使い魔に小声で尋ねる。明らかにこの場の全員がこちらを注視していた。武器や杖を持つ者も居るなか、今現在何もしてこないのは、ひとえに後ろにいるディス・アストラナガンの威圧感故だろう。 「ひとまず注目は集めた。これだけやれば皇太子にも聞こえていただろう」 「……それで?」 「曲がりなりにも友好国の公爵の家柄を名乗ったのだから、下手に手荒なまねは出来まい。 そして俺たち自身が信じてもらえなくとも、きちんと物の考えられる人物が聞けば、トリステインの王女が手紙を返してもらいたいという理由は理解してもらえる。そうすれば件の手紙は燃やすなり何なり処分を下すだろう」 確かにアンリエッタは手紙を持って帰って欲しいと言っていたが、それだけでも用件は事足りる。それは判ったが…… 「もし、こんな状況で私たちが信じてもらえなかったらどうするのよ!?」 不安そうにルイズは尋ねる。 「最悪、使い魔として主人の身だけは守るつもりだ」 「まぁ、相棒なら問題なく守れるだろうなぁ」 「……そうだったわ」 後ろにいるのは悪魔王である。 ざわざわと遠巻きに囲む人の中から、若く精悍な顔立ちの少年が歩み出てきた。 「で、殿下!危険ですぞ!?あの悪魔!罠かも知れませぬ!」 「将軍、戦況は理解しているだろう。ここでわざわざこんな手の込んだ罠を連中がしてくるはずはないし、あの悪魔で直接城を破壊する方が手っ取り早い筈だ」 止めようとする初老の男性をかわして、ルイズ達に近づいてくる。 「殿下って、もしかして……」 近づいてくる青年がにこやかに答えた。 「いかにも。私がアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。そして君が、先程言っていたミス・ヴァリエールだね」 暗いながらも、近づいて来るに従ってその顔もよく見えてくる。金髪の整った顔立ちだ。 まさか、こんなにも早く当人が現れるとは! 「はい!ウェールズ様、お目通りが適い、光栄に存じます!」
制服のスカートの端を掴んで、ルイズが礼をする。クォヴレーもそれに倣って会釈した。 「トリステインの……アンリエッタの命と言っていたな。済まないが、それを証明する物は無いか?」 「証明、ですか?」 どうしようと頭をひねる。確かに最悪、先程クォヴレーの言っていた案でも問題ないのだが、信じて貰って、手紙をきちんとアンリエッタにまで届けられればそれに越したことはない。 「ルイズ、先程貰った指輪はどうだ。王家に伝わっていたと言っていたが」 クォヴレーに言われて自分の手を見る。余りにも急な展開に、指輪は着けられる暇もなく、ルイズの握りしめた手の中にあった。 「あ!?」 パッと開かれたルイズの手から、虹色の光が立ち上り、それがウェールズの指に填めていた指輪から出た光と繋がった。 「おお!それはまさに、トリステイン王家に伝わるという水のルビー!」 ウェールズの目が感動に彩られる。 「大した物だな。魔法というのは」 「俺からしてみりゃ、相棒のアストラナガンの方が凄いんだがね」 使い魔とその相方がルイズの後ろでのんびりとぼやく。 「皆の者、この者達はトリステインよりの大使殿だ!丁重に持て成せ!」 おお!と周りで見守っていた人たちからどよめきが上がった。 「いや、疑ってしまって申し訳ない。先程はああ言って見せたが、やはり私一人を狙っての暗殺の可能性も捨てきれなかった上に、アレを見てはね」 ウェールズは詫びを入れながらディス・アストラナガンを見上げて苦笑した。 ウェールズは降り立つところを見ていなかったとはいえ、何もなかったはずの城壁の裡に全長20メイルを越えるディス・アストラナガンが居れば、悪魔が現れたとしか思えないだろう。 「いえ、こちらこそ申し訳ありません。その、私の使い魔のゴーレムなんですけど、見た目が……その……」 「使い魔の?ゴーレム?あれがゴーレムなのかね?」 ウェールズは驚いて目を見開いた。 「言葉を話すゴーレムか。私は初めて見るよ」 「いえ、先程話していたのは私の使い魔なんです」 とルイズが手でクォヴレーを示す。 「使い魔?……その、彼は人間に見えるんだが」 「人間です。でも私の使い魔なんです……」 しゅーんと恥ずかしそうにルイズは身を縮めた。 「ああ、いや、済まない。あまり聞いたことがなかったのでね」 何故かルイズばかりが恥ずかしがり、クォヴレーが顔色一つ変えないという奇妙な状況が出来上がっていた。 (あんたのせいなんだから、少しは動揺も見せなさいよね!?) いつもの通りに泰然と構えるクォヴレーが小憎たらしい。 「ともかく、城内に案内しよう。さぁ、こちらへ」 ウェールズに先導され、二人は城の内部に入る。護衛らしきメイジが付く。 「本日の敗戦で、ついに我が方の戦闘員は500を割った。戦える者は300名ほどだろう」 城内の廊下には、負傷した兵やメイジが至るところにいた。それぞれ看護兵や水メイジによる治療を受けている。 「流石に今日再び来ることや、明日に再度の襲撃があるとは思えないが……この一週間で戦いは終わるだろう」 アルビオンの負けとは明言していないが、つまりはそういうことだ。ただし、後述するがこの予想は外れることとなる。 「だが、ただやられてやるつもりもない。最近は空族船に偽装した軍艦で敵の補給路への攻撃も行っている……今日も、これから出るつもりだったんだが、大使殿が来られたからな。中止だ」 穏やかに笑みを浮かべながら、行き着いた部屋の扉を開ける。 「応接室でなくて申し訳ないが、他の部屋はあいにく一杯でね。こちらで話すことになる」 そこは作戦室だった。
現在置かれているトリステインの状況、そして政略結婚の事実、それに伴う手紙の返還請求。 それらを話した後、流石にウェールズはショックを隠せないようだった。 「姫は、結婚するのか?あの愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……従妹は」 呆然と呟く皇太子に、申し訳なさそうにルイズは目を伏せる。消極的な肯定だ。 「……いや、仕方がない。我々の不甲斐なさが、トリステインを危機に陥らせ、結果としてアンリエッタも……」 首を振りながら、自分に言い聞かせるようにウェールズは呟いた。 「件の手紙だが、ここまで持ってきている。私の大切な宝物でね」 顔を上げて、努めて明るく振る舞おうとしているのがよくわかった。 「だが、こういう事情ならば仕方あるまい。燃やすよりも、彼女の思い出の品として、仕舞っておいて貰うことにしよう。少々待っていてくれ」 作戦室を出て行く姿を目で追い、ルイズはため息をついた。 「ウェールズ様もアンリエッタ様も……お労しい」 ソファに座っているルイズの斜め後方。クォヴレーは微妙な心境だった。 現在この国に迫っている危機。そんなものは実際クォヴレーにとってみれば一撃で済む事象だった。ここまで使い魔として肩入れしている以上、やはり心情的には味方をしてやりたいが、自分の力は些か強力すぎる。 ハルケギニアにはハルケギニアの道理があるのだから、部外者の自分が口を挟むのも躊躇われた。 まぁ、もしレコン・キスタの征服の行き着く先が、エルフとの血塗られた戦いであるとクォヴレーが知っていたのならば、容赦なく首脳部をデッド・エンド・シュートしていただろうが、生憎クォヴレーはルイズよりそこまでの説明を受けていなかった。 ただ……とクォヴレーの目が鋭くなる。 (先程のディス・レヴの反応……もう一度あの陣に行く必要が有りそうだな) 「ねぇ、クォヴレー!」 ルイズが振り返りながら見上げた。 「アストラナガン、まだ人が乗る余裕があるわよね?」 「あ、ああ。操作を考えれば窮屈だが、俺以外にコクピットに3人ほど乗るのは可能だし、座りは悪いだろうが、掌に乗せることも可能だ」 返事をしながら、ルイズの意図が読めたので後半を付け足す。 「それなら……!」 ルイズがぎゅっと小さく握り拳を作る。 (……この戦局にあって、今更脱出を計るとも思えんがな) 口には出さずにそう思っていると、作戦室の扉が開いた。 「待たせたね。これが、その手紙だ」 立ち上がってウェールズからそれを受け取りながら、ルイズは申し入れを行った。 「ウェールズ様。どうか、このまま我々と共にトリステインへ落ち延び下さい!アンリエッタ様もきっとそれを望んでおられるはずです!」 「ミス・ヴァリエール、申し出はありがたいが、それは出来ない相談だ。私には、この窮地にあって今まで共に付いてきてくれた臣民を、見捨てることは出来ない」 寂しそうに微笑みながら、ウェールズは首を振った。 「先程おっしゃったフネを使っては?」 「……足りないな。全員を乗せるには足りない。それでも最終的には非戦闘員の脱出に使うつもりだ」 「非戦闘員……」 王族であるウェールズはもちろん軍を指揮する立場にあり、戦闘員である。 「それにだ、ミス・ヴァリエール。何よりも、私が亡命する訳にはいかないのは、アンリエッタの為なのだよ」 「アンリエッタ様の……?」 「私がトリステインに逃げ込めば、アルビオンを制圧するであろうレコン・キスタにトリステインへ侵略する絶好の口実を与えることになる。 いや、口実がなくともいずれは彼らが侵攻すると考えているから、トリステインとゲルマニアが同盟を結ぶのだろう。それは私も同じ考えだ。だが、そこに私が居ては、尚のこと侵攻を促し、防戦の準備が整う間すら無くなってしまう。 アンリエッタの安全のためにも、私はここで戦い続けるしか無いのだよ」 「そんな……!」 ルイズは何か反論しようと声を上げたが、すぐに押し黙った。今の言葉に、反論する論拠が見つからなかった。だが、まだ出来ることはある! 「……ウェールズ様、今日明日に、再度の襲撃は無いという事でしたね」 「ああ、そうだ。だから大使殿もその隙に……」 「それでは今から、明日の夜明けまでの時間を、私に下さい!」 ルイズの突然の申し込みに、ウェールズは目をぱちくりさせた。
トリステイン魔法学院学院長は、頭を抱えていた。 すっかり夜のとばりが支配する時間、異形の声が学院中に響き渡った。 一体何が起きたのかと調べてみると、魔法衛士隊の隊長ワルド子爵からの証言で、あの使い魔のディス・アストラナガンが吠えた物であるらしいことが判明した。 (自重しろと言っておいたというのに……!) さらに訳の分からないことに、アンリエッタ王女が仮設された寝所におらず、なぜか件の使い魔の主、すなわちミス・ヴァリエールの部屋で寝ていて、部屋の主とその使い魔は居なくなっていた。 それについても、ワルド子爵よりの証言があった。現れた悪魔にルイズと使い魔が喰われ、そのまま悪魔が飛び去ったとのことで、おおよその見当は付いた。つまり、アレに乗ってどこかに出かけているらしい。 その実体がゴーレムであろうと何であろうと、外見は誰がどう見ても悪魔のディス・アストラナガン。あれが学院にあったとなっては、学院の存続そのものの危機である。 (ああ……どうすればいいんじゃ……) オスマンは別に権力や地位に固執する人間ではないが、学院の機構には重要性を見出している。教育の大切さを理解しているオスマンにとって、学院が無くなるのは重大な事態だった。 「オールド・オスマン!」 学院長室にコルベールが駆け込んできた。 「帰ってきました!」 「……明かりが消えているな。誰も居ないようだ」 水の塔、窓から一室を覗き込み、クォヴレーは呟く。 「信じられない……」 コクピットの中、行きよりも人数が増えていた。 「1時間、いや、30分も経たずに……ここは、本当に……」 「ええ、トリステインですわ、ウェールズ様」 惚けた表情のウェールズに、ルイズが自信たっぷりに頷いて見せた。 朝までの時間を差し出してくれたウェールズと共に、ディス・アストラナガンに乗り込み、最高速度でここまで帰ってきていた。行く時は到着先を探しながらだったが、帰りは目的地が判っている分更に早い。 「でも、アンリエッタ様はどこに行ったのかしら……」 「あれから1時間以上経っている。侍女が居なくなったのに気づいて、探し出したのかも知れない」 「お、相棒。知ってそうな連中が来たぜ」 デルフリンガーの言葉に振り向くと、未だに暗い闇の中、オスマン達がかけてくるのが見えた。いや、それだけではない。他にも学院の面々が何人も見える。生徒も混じっているようだ。 ディス・アストラナガンの掌を経由して、地面に降りるルイズとウェールズ。 「く、クォヴレー……儂はあれほど自重せよと……」 怒り心頭の様子だが、それでも圧倒的な力を持っているクォヴレーを怒らせないように自制し、頭ごなしに叱りつけはせず、呼びかけるオスマン。大した物である。 「すみません、学院長。急ぎの用事があったもので」 そんな心境は露知らず、コクピットで素直に頭を下げるクォヴレー。ついでにディス・アストラナガンの頭も下げさせる。 「学院長!姫様は、アンリエッタ様はどちらに!?」 「う、うむ、御寝所の方じゃが……」 「ありがとうございます!ウェールズ様、さあ!」 「ああ」 「お待ちなさい!ミス・ヴァリエール!今回の件はあなたの使い魔への監督不行きと……」 「すみません、ミスタ・コルベール。おしかりは後ほど受けますので!」 ウェールズを伴い、仮設された寝所の方へ向かうルイズ。その背へ呼びかける。 「ルイズ!約束通り……」 「ええ!これから自由時間!ただし、朝にはちゃんとウェールズ様をお送りするのよ!」 「了解だ。行くぞ、アストラナガン!」 再び愛機を立ち上がらせるクォヴレー。 「ま、待ちなさい!クォヴレーくん!」 「すみません、ミスタ・コルベール。生憎と俺の方はまだ急ぎの用事が残って居るんです。皇太子を王女の元に送り届ければ、ルイズの手が空きます。そちらから説明は受けて下さい」
トリステイン魔法学院学院長は、頭を抱えていた。 すっかり夜のとばりが支配する時間、異形の声が学院中に響き渡った。 一体何が起きたのかと調べてみると、魔法衛士隊の隊長ワルド子爵からの証言で、あの使い魔のディス・アストラナガンが吠えた物であるらしいことが判明した。 (自重しろと言っておいたというのに……!) さらに訳の分からないことに、アンリエッタ王女が仮設された寝所におらず、なぜか件の使い魔の主、すなわちミス・ヴァリエールの部屋で寝ていて、部屋の主とその使い魔は居なくなっていた。 それについても、ワルド子爵よりの証言があった。現れた悪魔にルイズと使い魔が喰われ、そのまま悪魔が飛び去ったとのことで、おおよその見当は付いた。つまり、アレに乗ってどこかに出かけているらしい。 その実体がゴーレムであろうと何であろうと、外見は誰がどう見ても悪魔のディス・アストラナガン。あれが学院にあったとなっては、学院の存続そのものの危機である。 (ああ……どうすればいいんじゃ……) オスマンは別に権力や地位に固執する人間ではないが、学院の機構には重要性を見出している。教育の大切さを理解しているオスマンにとって、学院が無くなるのは重大な事態だった。 「オールド・オスマン!」 学院長室にコルベールが駆け込んできた。 「帰ってきました!」 「……明かりが消えているな。誰も居ないようだ」 水の塔、窓から一室を覗き込み、クォヴレーは呟く。 「信じられない……」 コクピットの中、行きよりも人数が増えていた。 「1時間、いや、30分も経たずに……ここは、本当に……」 「ええ、トリステインですわ、ウェールズ様」 惚けた表情のウェールズに、ルイズが自信たっぷりに頷いて見せた。 朝までの時間を差し出してくれたウェールズと共に、ディス・アストラナガンに乗り込み、最高速度でここまで帰ってきていた。行く時は到着先を探しながらだったが、帰りは目的地が判っている分更に早い。 「でも、アンリエッタ様はどこに行ったのかしら……」 「あれから1時間以上経っている。侍女が居なくなったのに気づいて、探し出したのかも知れない」 「お、相棒。知ってそうな連中が来たぜ」 デルフリンガーの言葉に振り向くと、未だに暗い闇の中、オスマン達がかけてくるのが見えた。いや、それだけではない。他にも学院の面々が何人も見える。生徒も混じっているようだ。 ディス・アストラナガンの掌を経由して、地面に降りるルイズとウェールズ。 「く、クォヴレー……儂はあれほど自重せよと……」 怒り心頭の様子だが、それでも圧倒的な力を持っているクォヴレーを怒らせないように自制し、頭ごなしに叱りつけはせず、呼びかけるオスマン。大した物である。 「すみません、学院長。急ぎの用事があったもので」 そんな心境は露知らず、コクピットで素直に頭を下げるクォヴレー。ついでにディス・アストラナガンの頭も下げさせる。 「学院長!姫様は、アンリエッタ様はどちらに!?」 「う、うむ、御寝所の方じゃが……」 「ありがとうございます!ウェールズ様、さあ!」 「ああ」 「お待ちなさい!ミス・ヴァリエール!今回の件はあなたの使い魔への監督不行きと……」 「すみません、ミスタ・コルベール。おしかりは後ほど受けますので!」 ウェールズを伴い、仮設された寝所の方へ向かうルイズ。その背へ呼びかける。 「ルイズ!約束通り……」 「ええ!これから自由時間!ただし、朝にはちゃんとウェールズ様をお送りするのよ!」 「了解だ。行くぞ、アストラナガン!」 再び愛機を立ち上がらせるクォヴレー。 「ま、待ちなさい!クォヴレーくん!」 「すみません、ミスタ・コルベール。生憎と俺の方はまだ急ぎの用事が残って居るんです。皇太子を王女の元に送り届ければ、ルイズの手が空きます。そちらから説明は受けて下さい」
>>549 やべー、ミスった……
「こ、皇太子じゃと?まさか、今の若者は……」
オスマンのつぶやきを尻目にクォヴレーはアストラナガンを飛ばした。
「相棒よ、何をそんなに慌ててるんだ?」
「先程気になることがあった。それを確かめる」
たどり着いた先は、先程目印代わりに使ったレコン・キスタの陣だった。
そこで不意に、クォヴレーの目が鋭くなる。
「この感覚……やはり輪廻の輪を外れている、いや外されている魂があるな」
「輪廻、ってなんだ?」
「魂の通る道筋だ。寿命を終えた魂は、のちに、また別の生命に転成する」
レコン・キスタの陣は、先程と変わらずに戦勝の騒ぎが続いていた。
だがそこへ、上空から突然降って湧いた超巨大ゴーレムに場は騒然となった。
酔った足で逃げ出す者、武器を取ろうとする者、上司へと伝えようとする者……
そこでゴーレムから、レコン・キスタの陣全てに聞こえるほどの声が響き渡った。
『ディス・レヴ、フルドライブ!まつろわぬ霊達よ、今再び、正しき輪廻の輪の中に戻れ!』
と同時に、陣にいる人間の内いくらかよりぼぅっと光が抜けて、その光は巨大ゴーレムの中に吸い込まれていった。一方、光の抜けた方の人々は次々に倒れていった。
「おい、相棒……何なんだ?この光」
「人の魂だ」
「魂?そりゃ、つまり……こいつらを殺してるのか!?」
「違う。彼らは本来ならば死んでいる者達だ。それが、何かによって操られ、無理矢理に生かされている。アストラナガンに搭載されているディス・レヴは、それを正常な流れ、先程言った輪廻の中に戻す働きがある」
レコン・キスタ陣内を動き回るアストラナガン。
「歪みの元凶は……そこか」
野営のテントの中でも一際豪奢な作りをしているものを、支柱から引っ張り抜いて放る。
自分たちの頭の上を覆っていたものが取り払われ、テントの下にいた人々は慌てて空を見上げ、そこに悪魔を見て、先程から騒がしかった外の理由を知ったようだった。
「あいつか」
あわてて逃げ出そうとする人々の一人をむんずと掴み上げる。
「身につけているその指輪をこちらに渡して貰おう」
がたがたと震えながら、その司祭のような身なりの男は、アストラナガンのもう片方の手にその指輪を放った。
「確かに」
小さく頷き、男を地面に下ろすと、指輪を手の中で粉々に砕いた。
「これで良し」
一つ頷くと、アストラナガンの翼を開き、そのまま東の方へと飛ぶ。
「何だったんだ?今のは」
「輪廻の輪を歪めていた元凶だ。あの指輪の力が、正常な魂の流れを阻害していた。これでもうあんな事は起きないだろう」
興奮状態から覚めてきたのか、眠たい目をこすりつつ、寮に向かうルイズ。
いい加減疲労困憊だったが、精神的にはかなり充実していた。
御寝所の周りを固める侍女達を説得するのは骨だったが、宰相であるマザリーニが騒ぎに気づいて起きてきてくれたので、むしろすんなりとウェールズの事を信じてもらえた。指輪同士のあの光を見せたからだ。王室に近しい者には結構有名であるらしい。
その後部屋に入って、アンリエッタを起こし、ウェールズと対面させたところで、オスマン達が入り口付近に到着。
説明の必要ありと判断したアンリエッタ、ウェールズ両名の補足説明による側面援護を受けつつ、此度のアンリエッタから受けた任務、自身の使い魔の知られざる速度、そしてウェールズを連れてきた経緯などを話した。
宰相や学院長達は最初目を見開いて驚いたが、現実としてどう考えてもウェールズであろうこの若者が居ることで、受け入れざるを得なかった。
『ルイズ、ありがとうございます!手紙のことを話した時には、まさかこのような事になるだなんて、思ってもみませんでしたが……』
満面の笑みで深々と頭を下げるアンリエッタに恐縮しつつも、ルイズもまた、うれしさで溢れていた。
朝には戻らねばならないというウェールズとアンリエッタのため、二人をそっとしておこうと、それ以外の面々は御寝所から離れた。
ゴキトラ支援
教師連中はあまりの事態に、騒ぎを起こしたことについて叱るのも忘れて惚けていたので、これ幸いと素早く離れて、今に至る。 「ルイズ!」 つい今日の昼間――いや、もう昨日か。聞いた声が自分を呼び止めた。 「ワルド!」 「ああ、僕のルイズ!生きていたんだね!?」 近づいてきてぎゅっと抱きしめてくる婚約者。 「わわわわわワルド!?いいいい生きてるって何が!?」 半ば恐慌状態に陥り、わたわたと両手を動かしながら尋ねる。 「先程、夜の見回りをしていたら、君と君の使い魔が、悪魔に食べられてしまったように見えたんだ!だが、ああ!生きていてくれて良かった!」 きっと彼の企み的な意味で。 「あ、あの、ワルド、その悪魔って、多分私の使い魔のゴーレムだと思うんだけど……」 腕の中、申し訳なさそうにルイズは言う。 「……ゴーレム?あれが?」 腕を緩めて顔を見合わせながら尋ねる。 今日何度目のフレーズだろうか。確か起きた後説明している途中アンリエッタも言っていたが。 「ええ、アストラナガンって言って、人が中に入れるのよ」 「そう、なのか……いや、空を飛ぶゴーレムなんて見たことがなかったのでね、取り乱してしまったよ」 はははと恥ずかしげに後ろ頭を掻くワルドに、私も最初は吃驚したわ、とルイズも笑いかけた。 「……ところで、ルイズ、アンリエッタ様から重要な任務を受けたようだね」 「ええ、そうよ!だから、私とクォヴレーであのアストラナガンでひとっ飛びして、すぐに任務達成してきたんだから!」 自慢げに胸を張るルイズ。だが、ワルドは話の展開について行けない。 「……何だって?」 「それだけじゃないのよ!ウェールズ様も、一時だけ時間を下さって、今はアンリエッタ様と二人きりでいらっしゃるわ」 うっとりしたように目を瞑るルイズ。 「は、ハハハ……ルイズ、それではまるで、この学院に今、ウェールズ皇太子が来ているようじゃないか」 渇いた笑いをあげながら、引きつった顔でワルドが言う。 「だから、来てるのよ!……ウェールズ様は亡命なさらない。でも!二度とお二人が会えないなんて、悲しすぎるでしょう?」 少し切なそうな顔をするルイズ。 「る、ルイズ……婚約者をからかうのは良くないな。アルビオンのウェールズ皇太子が、こんな、何千リーグも離れた場所に来れる訳が無いじゃないか」 「あら、ウソじゃないわ。明日、枢機卿に聞いてみれば判るわよ」 にっこり微笑むルイズ。婚約者の顔が引きつっているのに気づきもしない。 「でも、流石にあっちこっち飛び回りすぎて、もう疲れちゃったわ。ワルド子爵、明日御出立の際に、またお会いしましょう」 優雅に一礼して、ルイズは寮の中に入っていった。 「まっ……」 混乱したワルドを一人残して。 朝焼けに染まりつつある空。 「使い魔さん、いえ、クォヴレー・ゴードン。今日のこと、感謝をしてもし足りません」 学院の一角、たたずむディス・アストラナガンの前。ウェールズを送る直前、アンリエッタがクォヴレーに深く頭を下げた。 「ひゅーっ、相棒はすげぇなあ。王族にここまで感謝されるだなんて」 デルフリンガーが感心したように呟く。 「此度のことで、ルイズには、シュヴァリエの称号を授与しようと思うのですが、残念ながら、貴族でないあなたは、賜ることが出来ません」 「そうですか」 特に気落ちした風でもなく、頷く。元より、世俗の地位に興味も執着もない、次元の旅人だ。 「ですが、もし何か、お困りのことがございましたら、遠慮無く申し入れて下さい。このトリステインの王女、アンリエッタが、助力は惜しみません」
支援
支援
・・・ラグドリアン湖はどーなるのか 支援
剣がバーンの体を貫き、バーンの剣が自分を貫いた相手を貫いたそのとき、二人は光に包まれて消えた。 「あんたはあたし召喚されたの。使い魔としてね。契約するからさっさとそこに座りなさい」 「なんだよそれは。一方的じゃないか! というかまたかよ、召喚って・・・」 「二人の女性に逃げられたのは君のせいだ。この無念は決闘で晴らすとしよう。表に出たまえ」 「一方的じゃないか!」 レコン・キスタに対して為すすべもなく蹂躙されるトリスタニア軍の有様を見て 「一方的じゃないか!」 虚無の魔法が発動し壊滅するレコン・キスタ軍を見て 「一方的じゃないか!」 どこかの無能に召喚されたバーンと剣で戦い、相打ちになった二人を包む光の渦。 「またかよ。一方的・・じゃ・ない・・か・・・」
お水の人涙目!?支援
ごめん 割り込んじゃった 一応、聖戦士ダンバインね
っつーかワルドってば忘れ去られてなかったのね、支援 ひょっとしてさるさん食らった?
レコン・キスタ壊滅どころか、おマチさんの見せ場も壊滅かww支援
避難所に8/8が来てる。
「ありがとうございます」 クォヴレーがにっこり微笑み返した。 「ウェールズ様……」 そこで、二人の男女が見つめ合い、やがて抱擁を交わした。 後ろで控えているマザリーニ枢機卿は、輿入り前の姫が何を……といい顔をしなかったが、止めるような無粋な真似はしなかった。 「アンリエッタ……私は最後まで、王族としての勤めを果たす。だから君も……」 「はい……この体……血の一滴までをトリステインのため、捧げます。ですが、私の心だけは、あなたに……」 小さく呟きあって、そっと再びその体は離れた。 「ミスタ・ゴードン、私の戦場へ、頼む」 ウェールズを乗せ、ディス・アストラナガンが大空へと飛び立った。 「……初めてみた時はとても恐ろしい悪魔かと思いましたけど、あれは、天使だったのですね……」 緑色のフレアを引きつつ、西の空へ消えていく悪魔王を、切ないながら何かを決意した目で追いつつ、アンリエッタは呟いた。 ……なお、気持ちよさそうに寝ていたからと気を使われたためにウェールズへの別れの挨拶が出来なかったルイズから、クォヴレーは後ほどしこたま怒られることとなる。 ニューカッスル城。 突然大使殿と共に飛んで行ってしまった皇太子に、不安で一杯だった城が、朝焼けを供とする皇太子の帰還に一気に活気を戻しつつあった。 「ありがとう、ミスタ・ゴードン。君の主にも私が礼を言っていたと、伝えてくれ。決戦を目前とした、夢のような一夜だった。そう、まさに夢のような……」 ウェールズもまた、深々と頭を下げ、そしてクォヴレーが背にする朝焼けのまぶしさに目を細めた。 「では、夢から覚めるに当たって、俺から一つ贈り物があります」 いたずらっぽく笑いながら、クォヴレーが言った。 「敵陣を偵察してみて下さい。俺からの贈り物です」 「贈り物……?」 「それでは……」 一礼して、ディス・アストラナガンに戻り、クォヴレーは日の昇る方向へ飛んでいく。 「……動くか……?」 「あん?相棒、何か言ったか?」 「今回俺はかなり派手に動いた。もし、俺の『敵』がこの大陸、砂漠よりも西の地にいるのなら何らかのリアクションがあるはずだ」 いや、あって貰わなくては困る。 「ははぁ……おでれーた。相棒は大人しく娘ッ子の命令に従ってるだけだと思ってたが……まさかそこまで考えてたたぁな」 「焦って尻尾を出してくれればいいんだがな」 すっと目を鋭くしながら、クォヴレーは呟いた。 どうにも投下のたびに何か起きてます……済みません。 ……書いてみるまですっかり失念していたんですが、この話、久保が一発の銃弾も撃ってませんね。ただディス・レヴ回しただけ。 この後のウェールズについての話は、今後ダイジェスト版を予定しております。 平行して久保の方も話が進むので、そちらの方を優先したいと思います。 それでは、本日はここで……
代理いきます
代理完了
あ、もう投下されてた 申し訳ない
566 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/24(金) 13:43:00 ID:uKCwZPUK
最強SSリンクに、直リンクされてる\(^o^)/オワタ
っく、タイミングが悪かったか
おおお、久保さん支援。 トウマの方も余力が在ったらやってみます!
>>539 いやいやいや、イチローのクロスSSを書けているのだから……
皇子送る時にアストラナガンが 動かなくなると思ってたwww
クォヴレーの人、乙でした! あ、でも指輪砕いちゃったなら、水の精霊どうするんだろう・・・ アストラナガンに乗りながら、精霊を「説得」か?w
なのはさん乙です!
久保乙です。 まさかディス・レウ゛動かして解決するとはw 次回にwktk
やっとまとめサイトに登録できた・・・ なんか右往左往してしまった・・・
久保乙ー。 クロさんセリフ無しで退場とか涙目www
ディス・レヴとかまじチート。 予約等なければ5分後に投下を始めたいと思うのですが、大丈夫でしょうか?
エルクゥ支援。
「有り得ぬな。何かの間違いだろう」 「おいおい。少しは考える素振りを見せたらどうだ?」 ガリア王国首都リュティスの郊外、王族の住まうヴェルサルテイル宮殿の一室で、男は金髪にその長い耳を揺らしながら、憮然と答えた。 「アーハンブラ、か。大方、その辺りの領主が先に手を出したのではないのか?」 「そんな骨のある奴をおれがあそこに置くとでも思うのか? 今の時代、エルフに手を出そうなどと考えるのは、神に狂った長靴どもだけだぞ」 「ふん……」 尖った耳に人ならぬ美貌を持つ男―――エルフ族に対しているのは、ガリア王族特有の蒼い髪を短く刈り込んだ、大柄の偉丈夫である。 「それに、証拠もある」 「何?」 その大男は、今しがた『エルフの住処である砂漠と接しているアーハンブラ城がエルフの軍勢に襲われている』との報告をもたらした伝令役の翼を持ったガーゴイルの手から、手の平大の球体を受け取った。 それを、座っている椅子の手元の台座にあるくぼみにはめ込むと、南向きの磨かれている壁に一筋の光が伸びる。 光は壁に向かって広がっていき、そこに映像を結んだ。 「馬鹿な……!?」 映し出されたのは、紛うことなき戦争の―――いや、虐殺の光景だった。 驚愕に目を見開いた彼と同じ、長い耳を持ったエルフ族達が、その手で、爪で、 メイジ、兵士、民間人の区別なく、人々を引き裂いている。 「おお。エルフというのはなかなかに野蛮なのだな。てっきり不可思議な先住魔法でも使っているかと思えば、これではまるで亜人か獣だ!」 「おのれ蛮人め! このようなもの、どうでっちあげた!」 「はて、これは面妖な。この『追憶の水晶球』はお前等のマジックアイテムだろうが。先住魔法の使えぬおれ達がどういじるというんだ?」 「くっ……!」 エルフの苦悶の表情が、その理屈の正しさを物語っていた。 『追憶の水晶球』。それは、その面に映った映像を記録し、映し出す事が出来る道具だった。風と水の精霊の強い加護を必要とするこのアイテムを、どう足掻いても人間風情が扱えるはずはないのだ。 しかし、それはつまり、目の前に映し出されているこの光景が真実であるという証左に他ならず。 エルフ族の男にとっては、到底認められる事ではなかった。 「そんなに疑うなら、暇をやるから自分の目で見てくるといい。ああ、ついでに、この映像が本当だったら、ちゃんと追い返しておいてくれよ?」 「……言われるまでもないっ! このような蛮行、ネフテスの名において許してはおかぬ!」 弾かれるように席を立ち、怒りを顔に滲ませながら、エルフ族の男は部屋を出て行った。 「ははは。エルフもあのような顔をするのだな。しかしまあ、こいつはまた……」 部屋に残された男は、それを片目で見送って、映像に視線を戻した。 壁面には、虐殺の映像が延々と流れている。エルフ達は嬉々とした表情で殺戮を楽しんでいるようだった。 「気色悪い事だなぁ」 何の感慨もないように呟いて、男は球体をくぼみから抜く。 映像がふっとかき消え、部屋に夜の闇が戻った。 「ふーむ。よし、ちょうどよい。おれの可愛い姪にも働いてもらうか。敵も味方も母の心を狂わせたにっくきエルフだ。さぞ奮迅の働きをしてくれる事だろう」 全ての所作が仮面のように平坦だった大男の、くっく、と肩を震わせるこの笑いにだけは、確かな何かが篭っていた。 「しかしひどいものだったな。殺すだけで喰ってはいないようだったが……さすがに人を喰っているところが映っていたら、おれも明日の食事に肉は勘弁だったな」 一人ごちながら、サイドテーブルに置かれていた血のように赤いワインを軽く傾ける。
「お前もそう思うか? 余の戦神(マルス)よ」 「……いや、ふつーにあの光景見てワイン飲めるあんたがすげぇよ。うぇっぷ」 そして誰にともなく中空に呼びかけると、椅子の後ろに突如、黒いローブ姿が現れ、呆れたような声を出した。 少年から青年に至る途中の、高さの残る男の声だった。 「無能王と蔑まれてはいても、一応は王だからな。王は騎士の長。斬ったはった程度でもよおしておるようでは務まらんだろう? さて、珍しくも白の国でしくじったと急報は届いておるが、詳しく報告を聞こうか、余のマルスよ?」 立ち上がって後ろを向いた男―――現ガリア王ジョゼフ一世は、大仰に腕を開き、自らの使い魔を薄笑いで見下ろした。 § 首都トリスタニアの中央通りはブルドンネ街の突き当たり、トリステインの王宮には、奇妙な騒がしさが蔓延していた。 ゲルマニアとの同盟の破綻と、アルビオン内戦の決着。 最大の危機が来ると同時に最大の危機が去ってしまい、対策会議を開きつつも、宮廷貴族達は対応を決めかねているのだった。 「―――以上が、今回の密命の詳細になります」 チン、と剣が鞘に収められる音がした。 公爵令嬢とインテリジェンスソードの報告を聞いていた王女は、手の上に返された『水のルビー』を見つめたまま、無言で目を見開いている。 「力及ばず、申し訳ありません。いかなる処罰をも受ける所存でございます」 「どうしてそんな事を言うの? 顔を上げてちょうだい、ルイズ・フランソワーズ。わたくしの一番大切なおともだち。あなたはわたくしの頼んだ以上の事をしてくれたのよ。レコン・キスタを倒してしまうなんて!」 ルイズの目が覚めた翌日の朝。 絢爛な王族家紋のついた馬車が魔法学院に横付けされて王宮に出頭したルイズは、アンリエッタにアルビオンでの始終―――先日、学院長室で話したものと同じ内容を話し終えていた。 「しかし、手紙は奪われ、ゲルマニアとの同盟は……」 「いいの。いいのです。レコン・キスタという脅威のなくなった今、もはやその必要もなくなったのですから」 言いながら、アンリエッタは俯いてしまう。ルイズは、その顔に滲んだ罪悪感に言葉を飲み込んだ。 わかっているのだ。レコン・キスタの事がなくなっても、あの手紙がどれほどこの国を窮地に陥らせるか。下手をすれば、面子を潰されたゲルマニアが攻め込んでくるかもしれないのだと。 実際は、彼女一人ではそんな結論には辿り着けなかった。ゲルマニア皇帝の抗議から休みなしで行われている対策会議が散々に紛糾した結果、何度も何度も宮廷貴族達に嫌味を言われる事で思い知らされていたのだった。 「謝らなければならないのはわたくしの方よ。わたくしの杖から出た錆を拭うために、あなたに大怪我を負わせ、メイジとして何よりも大切な使い魔を失わせてしまった……あなたとあの使い魔さんには、どれほど感謝してもしきれません」 座っていた椅子から落ち、膝を付いて両手で顔を覆い、涙を流し始めた。 「まさか、ワルド子爵が裏切り者だったなんて……裏切り者を護衛に選んでしまったわたくしのせいで、ウェールズ様のお命ばかりかあなたの命まで危険に晒し、挙句にあなたの使い魔は……ごめんなさい。本当にごめんなさい、ルイズ」 「い、いいのです。この命、姫さまのためにと誓いました。姫さまのお役に立てて本望です」 ルイズは、さめざめと泣くアンリエッタを静かに抱きしめる。 抱き止める少女の傍らに置かれた剣だけを観客に、王女の寝室には、しばらく嗚咽の声が響き渡った。 「……ありがとう。情けないところを見せてしまいましたね。使い魔を失ったあなたの方が、よほどつらいですのに」 「いいえ。心中お察しいたします」 「あなたは、本当にわたくしの一番のおともだちよ、ルイズ」 椅子に座りなおし、アンリエッタは微笑んだ。そう言ってくれる事自体は光栄の極みだったが、なぜか素直には喜べなかった。 「功には報いるところがなくてはいけません。しかし先日、『シュヴァリエ』の爵は軍属の者にしか与えられぬ事になってしまい、あなたに与える事が出来ないのです」 「そのお言葉だけで十分です」 「いいえ、そういうわけにはいかないわ。全てを明らかに出来るのならば、『シュヴァリエ』の称号などでは到底贖えぬほどの功績なのです。そうね、とりあえずは……」 アンリエッタは部屋中の棚を引っ掻き回し、出てきた宝石や金貨をそっくりとルイズの手に持たせた。 その中には、先ほどルイズから返された『水のルビー』までもが含まれていて、ルイズは飛び上がった。
「こ、こんなに……! いただけません!」 「いいの、持っていって。金銭などいくら積み上げてもあなたの働きには足りませんが、今のわたくしに出来る事は、本当にそれぐらいなのです」 「姫さま……」 「出来るならば、王女直属の女官として、与えられる限りの権限を与えたいのですが……」 アンリエッタの顔が曇り、絞られるように言葉を続けた。 「……あの手紙の事が公になって、宮廷内は揺れています。ともすれば、わたくしは放逐されるやもしれません。直属などとしていたら、あなたにも迷惑がかかってしまいますから」 「そんな……」 「わたくしは、まつりごとには不向きです。わたくしが流される事でゲルマニアの面目が立ち、戦争を避けられるというのであれば、それでいいのかもしれませんね……宮廷内のゴタゴタが、民にまで波及せぬかどうかだけが心配ですが」 その、どこか吹っ切れたような微笑みが、ルイズにはとても痛々しく感じられ……続く言葉への反論を、飲み込まざるを得なかった。 「ルイズの胸で泣かせてもらって、覚悟が決まりました。枢機卿には全てを話し、あなたの功績を出来るだけ取り立ててもらえるように尽力致しますわ。それが、無力なわたくしが最高のおともだちに出来る、最後の事でしょうから」 § 「ふふっ」 大層不満げに部屋を出て行った最高の友人の顔を思い出し、アンリエッタはクスリと忍び笑いを漏らした。 「いかがなされましたかな?」 「なんでもありませんわ、枢機卿」 隣を歩くマザリーニが怪訝そうに自分を見やるが、気にもならない。 ルイズが帰るなり間断を置かず、会議に戻るよう迎えに来たのだった。またあの嫌味の中に戻されるのかと思うと気が滅入るが、今までほど憂鬱にはならなかった。 破滅に酔っている、と言われればそうかもしれない。悲劇のヒロインぶっている、と言われればきっとそうだ。だが、自らに引導を渡す覚悟のためにそれを支えにする事を、悪いとも思わなかった。 彼を生き残らせてくれた友人の為ならば、不肖のこの身の一つや二つ、いくら捧げても惜しくはない。 「枢機卿、後で少しお話があるのですが……」 「伺いましょう、姫殿下。ですが、今はこちらに集中していただきたい」 「……摘み取られるのを待つだけの飾りの花に、何か出来るとお思いなの?」 「ご自分を卑下なさるのは、人事を尽くしてからになされませ。それに……先ほどまでとは少々事情が変わったのです」 「事情?」 「とにかく、中へ」 会議室のドアの前で、半歩先を歩いていたマザリーニが恭しく先を譲る。 怪訝に思いながらも、ドアに手をかけ、開けて―――そのまま、体が固まった。 「う……そ……」 目の前の光景を、信じられなかった。 豪奢な椅子にふんぞり返っている見慣れた宮廷貴族達の中に、見慣れぬ……そして、焦がれてやまぬ最愛の人の姿があったのだから。 「アルビオン王国特使、ウェールズ・テューダーと申します。お久しぶりにございます、アンリエッタ姫殿下」 §
エルクゥの人お待ちしておりました m(__)m支援
「姫さまが追放されるなんて……」 魔法学院へと帰る馬車の中で、ルイズは一人呟いていた。 「何とか出来ないのかしら……」 「無理だろうな。ありゃ、『覚悟』が決まっちまった眼だ。事が事じゃなけりゃ、いい眼をするようになった、なんて言えるところだがなぁ」 御者台に座るのは物言わぬガーゴイルで、その言葉に答えるような存在は一見見当たらなかったが、返答の声が響く。 その声の主は、その腕に持たれた―――彼女の使い魔の形見である剣だった。 「私はまた、何も出来ないのね……コーイチの時も、姫さまにも」 自分の命を差し出して庇わなければ、ウェールズを救えなかった。それによって手紙を奪われて瀕死の重傷を負い、自分の使い魔の死に際すら看取れなかった。 魔法が使えない貴族。その無力さを、ルイズは噛み締めていた。 同年代の少年少女に見下される悔しさ。親や姉達の期待に答えられない悲しさ。平民にすら同情される情けなさ……そしてこの無力感が、ルイズの心を打ちのめした。 「……人間、出来る事と出来ない事があらーよ」 「そうね。私は……魔法が出来ないのよね」 「娘っ子」 「いいの。泣き言かもしれないけど……まずはそれを認めないと、先に進めない気がするから」 虚飾を捨て去り、自分を見つめ、一歩一歩進んでいく。 それはとても苦しく、プライドを傷つけるものだ。普通に魔法が使えるメイジでも、出来る者など一握りだろう。『ゼロ』であればなおさら。 しかし、今のルイズにはそれが出来る。未知に触れ、無力を知り、こだわろうとしていたものの脆さを知った今なら。 「あのね、デルフ」 「なんだい」 「私ね、自分は、『サモン・サーヴァント』に特化したメイジじゃないかなって、そう思うの。他の魔法が使えない代わりに、すごく強い使い魔を―――そう、伝説の虚無の使い魔みたいなのでも、呼び出せるって」 どの系統の魔法も使えない自分。唯一成功したのは、召喚と契約の魔法。召喚されたのは、どの系統にも属さず、『ゼロ』である主人の身の丈とは比べ物にならないほど強力極まる『エルクゥ』などという謎の種族で、しかも虚無の使い魔『ガンダールヴ』らしいと。 与えられたそれらの材料から考え続けて、それが出された結論だった。 「学院に帰ったら、すぐに学院長に直訴して、次の使い魔を呼ぼうと思うわ。私の才能が、本当に『サモン・サーヴァント』にあるのだとしたら……その使い魔が、何とかしてくれるかもしれないから」 その瞳は、まっすぐに前を向いていた。他人に頼る弱い心からの言葉ではない、それこそが自分の力なのだと理解する頭脳の輝きだった。 「あなたは、許してくれる?」 デルフリンガーは答えなかった。 間違いだ、と否定するのはたやすい。自分は伝説の剣であり、彼女の魔法の真実を知っているのだから。 しかし、その輝きを……『虚無の担い手』ではない『ただのルイズ』が放つその眩しさを、『伝説』なんて野暮なもので濁らせてしまうのは惜しい……などと、そんな風に思ってしまったのだ。 「……薄情だって、思う?」 「……いんや。そんな事はねーよ」 デルフリンガーは、剣らしくない自分の思考に戸惑いつつ、そう答えるのが精一杯だった。 § アルビオン大使である皇太子の語る言葉に、会議場は騒然となっていた。 それは、アルビオン内乱の裏で蠢いていた謀略と真実。そしてその黒幕。 「その名は『アンドバリ』の指輪。ラグドリアン湖に住む水の精霊が守るという秘宝です。彼奴は―――ガリア王ジョゼフはそれを用い、同胞を先住の水の力によって操り、内乱を起こさせたのです。水の精霊と縁の深いトリステイン王家ならば、この真偽がわかりましょう」 上座に座るマリアンヌ太后とウェールズは、揺るぎないまま互いの瞳を見つめている。 その横に座るアンリエッタは、何度目かわからない騒がしさに包まれる広間を見渡して、まるで制御を失った舟の上にいるようだ、と思った。 川を流れる水が一粒とて同じところに留まらぬように、ただ流れるままに流されていくだけ。 先ほどまで自分を流し去ろうとしていた宮廷貴族達を翻弄するウェールズの姿は、現実感などというものを全て吹き飛ばしてしまうほどの衝撃だった。
「私と同じ使者をゲルマニアとロマリアにも送っています。闇に暗躍するガリアに対する包囲網として、これら四国による同盟を提案したく思います」 アルビオン大使がもたらしたその知らせは、あまりに荒唐無稽で、そしてあまりに恐ろしいものであった。 ―――結局、ウェールズを交えた喧々諾々の会議で決定されたのは、『明日もう一度話し合う』という事だけであった。 § 「……まさか、ウェールズ殿下御自らお越しなさるとは。このマザリーニ、少々肝が冷えましたぞ」 「はは、すまないね枢機卿。今まさにトリステインを揺るがしている元凶が来てしまって」 個人の客をもてなす為の応接間には、紅茶を片手にくつろいだ姿を見せる、ウェールズとマザリーニ、そしてマリアンヌ太后とアンリエッタの姿があった。 「わかっておられるのならば、これ以上この老骨の胃を痛めつけるような真似は慎んでいただければと」 「まだまだ卿は現役ですよ。これからもアンリエッタを支えていただかなくては」 「隠居出来る日は遠そうですな」 マザリーニが、あからさまに肩をすくめる。 「先ほどの話の通り、ご懸念であるゲルマニアとの関係も取り持つつもりではあるのですがね」 「わざわざこうして私達だけの席を設けるという事は、それ以上の労働をさせるおつもりなのでしょう?」 「はは、枢機卿にはかないません」 談笑を楽しんでいるかのように見えたウェールズの目が、鋭く細められる。 「トリステインには、レコン・キスタと通じていた背信の徒がおります。それをあぶり出していただきたい」 「―――っ!」 アンリエッタは、息が止まる瞬間というものを、初めて体験した。 「穏やかではありませんな。レコン・キスタというのは、不可思議な指輪の力によって操られていた集団という話でしたが?」 「全て、というわけではありません。操られていた者の多くは、影響力を多大に持つ有力貴族達です。領地を持たぬ下級貴族や従者、侍女、出入りの商人……そのような人々のほとんどは、指輪の効力を受けていませんでした」 考えてみれば当たり前の話である。先住の力故に断言は出来ないが、例え無尽蔵に使えたとしても、元々大貴族の命令に逆らえないそのような人々一人一人にまで術をかける必要がない。 「さすがに、間諜を担当していた者の近くの人間には、そのような平民にも術がかけられていましたが……幾人か、数日入れ替わっただけの侍女や偶然訪れた商人などは無事でした。そして、その者達の見聞きしたところによると……」 「我が国に、情報を売っていた売国奴がいると」 「はい。それも宮廷の中央深くに」 「ふぅむ」 マザリーニは唸った。マリアンヌは憂いを帯びた表情で眉を落とし、アンリエッタは俯いてしまっている。 「多量の金銭が動いていた事がわかっていますので、金の動きを調べればおおよその見当はつくかと思われます。捨て置けばガリアにも通じましょう。それは、誰にとっても都合が悪いのではないですか?」 「……わかり申した。そちらの件については手を打ちましょう」 「お願い致します」 マザリーニが頷くと、にっこり、とウェールズの顔から緊張が抜ける。 目的は果たしたのだろう。たわいもない事を話しながらも、紅茶のカップを傾ける回数が増え、飲み干したら退室するつもりであるのがわかる。 アンリエッタは、俯いていた顔をまっすぐに上げた。そう、あの話をするには、ちょうどいい。 「……一人、心当たりがあります」 「姫殿下?」 思わずウェールズやマザリーニが息を呑むほどに、その瞳には強い意志が込められていた。 「魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵。彼はレコン・キスタに与していて、ウェールズ様のお命を狙い……そして、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔によって討ち取られたと聞いています」 §
「暇ねぇ……」 「…………」 虚無の曜日を明日に控えたダエグの曜日。トリステイン魔法学院は午前中で授業が終わり、午後は社交の時間に当てられる。 そんな昼下がりの魔法学院はタバサの居室で、キュルケはぐでーっと艶やかに、部屋主のものであるはずのベッドで寝転がっていた。 枕元では、タバサがいつものように本を広げ、黙々とページをめくっている。 「ルイズは王宮に行っちゃってつまらないし、いい男は少なくてつまらないし、いい女はもっと少なくてつまらないし……やれやれよね」 タバサに向けているのか、ただの愚痴なのか……どちらにしても、タバサはキュルケの言葉に反応せず、視線を本に固定するままだった。 「何を読んでるの? ……『東方見聞録』? へえ、東方に関する文献なんだ?」 「っ!」 キュルケが表紙のタイトルだけを流し見て興味深げに中身を覗き込むのと、タバサが弾かれたように顔を上げて窓の外に目をやるのは、ほぼ同時だった。 「ど、どうしたのよ、タバサ。……フクロウ?」 「…………」 窓には、足に手紙が括りつけられたフクロウが一匹、とまっていた。 タバサは無言で窓を開け、手紙を取り外す。フクロウはその間、微動だにしなかった。 「……ガーゴイル、なの?」 生き物が体に触れられれば、どれほどの訓練を受けていても、多少なりとも身じろぎをする。 彫像のように動かぬそのフクロウは、魔法で作られた人形だった。 「……用事が出来た」 じっと見つめていた手紙を畳んでスカートのポケットに仕舞いこんだタバサが言うと、キュルケは上体を起こし、にんまりと笑った。 「ついていっちゃダメ?」 「……危険」 「ならなおさらよ。友達が危険な目にあってるのを、黙って見過ごせって言うの?」 「……すごく、危険」 どこか不安げな表情でじっと見つめてくるタバサに、キュルケはただ事ではないと思い直し、表情を引き締める。 「……そんな危険なところに、何故行かなければならなくなったの?」 「…………」 「教えて、とは言わないわ。でも……あなただけをそんなところに向かわせて、もしそのままいなくなってしまったとしたら……それは、とても悲しい事よ」 しばらくの間、二人の視線だけが交差する。 やがて折れたのは、タバサの方だった。ポケットから先ほどの手紙を取り出し、キュルケに渡す。 「読んでいいの?」 こくり、と頷かれたので、キュルケは遠慮なく手紙を広げ―――そして、目を剥いた。 「が、ガリアの王印? って、これは―――っ!」 そこには、トリステインの南に位置するハルケギニア一の大国、ガリア王国の正式な印章と共に、このような文章が書かれていた。 『北花壇騎士七号に告ぐ。アーハンブラ城にエルフの軍勢が攻め寄せた。速やかに急行し、これを撃退せよ。 北花壇騎士団長イザベラ・ド・ガリア ガリア王ジョゼフ一世』
以上です。支援ありがとうございました。お楽しんでいただければ幸い。
エルクゥの人乙!
エルクゥの人乙 ヨークがこっち来たせいで エルフがエルクゥに成り果てたか
エルクゥの人お疲れ様でするー 果たして無能王の「戦神」とはいったいなにものであるか? レコン・キスタの手に落ちた手紙はどのような混乱を世にもたらすのか? エルフ乱心の秘密はいったい? そして「ゼロのルイズ」の呼びかけに答えるのは一体何者? 待て!次回! ですね ワクワクしながら待たせて頂くのですよー
エルクゥの人GJ! 最新刊を読んだせいかサイトとジョゼフの心中シーンを想像してしまった・・・。
アッー
ゼロのエルクゥ。 強い使い魔を呼ぶ才能がって、 なんかルイズは使い魔を使い捨てにする覚悟完了したのかしら。
エルクゥの人乙です。 >私ね、自分は、『サモン・サーヴァント』に特化したメイジじゃないかなって、そう思うの。 ああ、その発想はなかったな。 確かに色々呼んでるからなぁ・・・強いのやら便利なのやらイロモノやら色々。 羨ましいかは別にして、凄い才能だよ。
エルクゥの人、乙! うーむ、エルフ達が飲み込まれちゃったみたいですね ビダーシャルはガリアにいたから大丈夫だったのかな? 次回以降ビダーシャルとタバサの共闘(?)が見れそうだけど、この2人でもヤバいかも? サイト、早めに助力してやらんとマズいかもよ 次回も楽しみにしております!
タイトルだけみて、ゼロのエルリック? と誤解した。 マイケル・ムアコックの方ね。
・・・、ゼロのマニトゥ。
あらま。エルクゥの人って完結してなかったんだ コーイチが帰っちゃったから、思わず完なのかと つか、ヨークが来たら、やばいよな あれにはエルクゥの魂がギッシリと…
>>598 良いなぁ。よびてぇなぁ。もちろん胸のルーンはネミッサですね?
と、何のマニトゥか分からないからソウルハッカーズネタを振ってみる。
ふたりぼっち伝説から骸骨 アルビオン ニューカッスル 地下 「ふっ、本当にあるとはね。この城に始祖のお宝・・・オルゴール、祈祷書、香炉か・・・微妙にしょっぱいわねぇ・・・」 「それにしても本当に立派な内装だわ」 切捨てごめーん! 骸骨男がフーケの後ろから切りかかる ザシュ 「ククク、始祖の秘宝に誘われてのこのこやってきたかこの愚か者めっ!」 刀を舐めながら 「あんなもんはうそっぱちよ!ここに来た人間はこの妖刀デルフリンガーいけにえになる運命なのだ!黙って斬らせろ!」 「キエーーーーーーーーーーーーーーーーーー」 「っきゃ」 微妙に少女っぽい悲鳴をあげこけるフーケ なぜかパンツが見えている 「うひゃひゃひゃひゃ」 なんとか間一髪で白刃どり うりゃー と気合で刀ごと倒す 「なんだたいしたことないじゃないか」 素で倒せると思ったが 何故か天井から逆さまに顔を出し、フーケの攻撃を防ぐ謎の骸骨二号 「ご無事ですか殿!」 ”殿” ”ウェールズ” しゅた 「そして引っ込むのか!」 そして ぞろぞろ出てくる骸骨量産型 おわり
異形胞子被弾!極光大破残!ハルマゲドン!メイジなんてカスも同然です。 しかもネミッサがいないと殺せません。 分霊もメイジがゴミのように強いです。明らかにチートです。本当に(ry
>>597 ルイズが「黒の剣」を呼ぶのですね
敵を倒していくうちにひとり、またひとりと愛する人の血をその剣に吸わせるルイズ。
海に投げ捨てても火山の火口に放り込んでも何時の間にか自分の手の中に戻ってくる「黒の剣」
そして最後には・・・・・・・・・・・・
怖っ!
>>604 ハルケギニア崩壊確定じゃねえか
いや、ルイズの中にネミッサがいればどうにかなるのか?
>>607 あの容姿にネミッサの性格……なんかフーケが嘆く様がありありと目に浮かぶなぁ……
ハッカーズのマニトゥです。 ネットが無いから被害は大きくならないだろうけど、ルイズがレッドマン級の精神力を持っているとは思えないから飲み込まれてカドクラ2号に。 めでたし、めでたし・・・。
めでたくないwwwww
神か・・・ マハヴィロはもう来たかな?
>>612 ん? あの装備魔法一枚につき攻撃力500アップするやつのこと?
ラッキー★チャンスのキチ 一応、福の神
神様召喚 ・・・・・・・ゆりえさま?はっぴぃセブン? アダム・アークライトのような”自称”「オレ様ってば神だぜぃ」なのは 含まれますか?
ボウリングが好きな爺さん
亀仙人とか面白そうだな。
618 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/24(金) 18:46:35 ID:IoarQ/7D
予約等なければ18:55くらいから投下したいです
>>613 マハーヴァイロ……懐かしいなぁ
小ネタにあったとおもう>ヴィローシャナ
支援支援しえーん しかしここのギーシュは「あの」朝倉と何度も戦って(戦わされて)生き残ってる 物凄い幸運なギーシュですな
624 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/24(金) 18:55:43 ID:IoarQ/7D
では、投下します 第八話 トリステイン魔法学院にある宝物庫。 その厳重に閉ざされた扉の前で、学院長の秘書ロングビルは立ち尽くしていた。 暗闇の中、壁に掛けられた松明が彼女のしかめた顔をぼんやりと照らし出している。 (錬金は無理、か……) ロングビル―またの名を『土くれ』のフーケ―は、心の中で呟いた。 この学院にあると言われる曰く付きの秘宝『破滅の箱』。 その所在と入手方法を探るため、ロングビルと名を偽りこの学院に潜入したのである。 学院長秘書としての雑務や、変態オスマンのセクハラの数々……。 それらに耐えてきた甲斐あって、ようやくその居場所を突き止めることができた。 しかし、そこから先が問題だった。 何重にも施された固定化の魔法は、いくら『土くれ』の錬金術をもってしても潜り抜けることは不可能だという。 強力な物理的衝撃を与えれば破壊することが可能らしいが、果たしてゴーレムの力で足りるだろうか……。 「ここは一か八か、試してみるしかなさそうね……」 誰に言うでもなくそう呟くと、扉に背を向けて歩き出したのだった。
しえん
626 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/24(金) 18:58:03 ID:IoarQ/7D
「お代わりなら沢山ありますから、遠慮なく言って下さいね!」 料理に夢中な浅倉の隣で、シエスタは微笑みながら言った。 腹を空かせた浅倉は、厨房にて生徒たちよりも一足早く昼食にありついていたのである。 浅倉がふと、料理を口に運んでいた手を止めると、半分ほどに減った料理を見つめたまま言った。 「お前、何で俺にここまでする」 「それは、浅倉さんが貴族に責められていた私を助けてくれたから……。そのお礼です」 顔を少し赤らめながら、シエスタが答えた。 エプロンを握る手に、思わず力が入る。 「……ふん。そうか」 浅倉はそう呟くと、止めていた手を再び動かし始めた。 「今日も世話になったな。じゃあな」 いくつかの料理を平らげた浅倉が、席を立つと同時に言った。 そのまま出口に向かって歩き出す。 「あの!」 「……なんだ」 背後から聞こえてきたシエスタの声に、浅倉は立ち止まり、後ろを振り向いた。 「何かあったら言って下さいね! 私、できることなら何でもしちゃいますからっ!」 「ほう……。覚えておくぜ」 そう言うと、浅倉は再び出口の方を振り向き、厨房を出ていった。
支援
何でもする=蛇の非常食ですね解ります 支援
629 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/24(金) 19:00:42 ID:IoarQ/7D
「あんた、こんなところで何してんの?」 地面に寝そべる浅倉に、ルイズは問いかけた。 「さあな」 「……ま、別にいいけど。それより、また聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」 浅倉は空を見つめたまま答えない。 それを肯定と勝手に解釈したルイズは、再び問いかけた。 「たまにひどい耳鳴りがするんだけど、何か知らない? 例えば、こないだのバケモノが出た時とか……」 「それは、モンスターが近くにいると鳴るものだ」 浅倉がルイズの方を向き、口を開いた。 「ライダーにしかわからないわけなんだが、もしかして、お前……」 ルイズがあわてて両手を振る。 「そ、そんなはずないじゃない! 第一、そんな力があったらバケモノなんかに驚いてなんかないわよ!」 それもそうだな、と浅倉は再び空を見上げた。 近くにいる怪物の感知と、鏡の中を見ることができる能力…… もしかして、これが感覚の共有なのかしら?とルイズは手を口に当てて考える。 それと同時に、もう一つの疑問が浮かんできた。
支援
631 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/24(金) 19:02:50 ID:IoarQ/7D
「あんた、変な蛇とか大きなサイとか喚んでたけど、あいつらに食べられたりしないの?」 ルイズがそう尋ねると、浅倉は上半身を起こして答えた。 「エサをやってればな」 「エサって?」 「命だ。他のモンスターのな。……人間のでもいい。試してみるか?」 不気味な笑みを浮かべながら、懐からルイズの手鏡を取り出す。 あんたが言うと、冗談に聞こえない。 そうルイズが言いかけた時、突如背後から地響きが聞こえてきた。 振り返ると、そこには土でできた巨大なゴーレムが立っていた。 その巨体の肩に、何者かを乗せている。 「なんだ、あれは……?」 さすがの浅倉も驚き、立ち上がる。 戸惑うルイズたちをよそに、ゴーレムは学院の、ちょうど宝物庫がある辺りの壁へと近づくと、その大きな拳を打ち付けた。 何度も繰り返し拳を振るうゴーレムであったが、壁にはヒビが入っただけで、本格的に破壊するまでには至っていない。 「お前、何をするつもりだ?」 眼中にない、と判断したルイズは、杖を抜くと、聞こえてくる浅倉の声を無視して呪文の詠唱を始めた。
支援
633 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/24(金) 19:04:50 ID:IoarQ/7D
巨大なゴーレムを使い、数々の秘宝を盗み出してきたという噂の盗賊、『土くれ』のフーケ。 目の前にいるのはその人に違いない。 (あいつを退治できれば、私だって! 私だって認められるはず……!!) そうした思いを胸に秘め、呪文の詠唱を完了させる。 そして、ゴーレムの肩の上にいる人物に杖を向け、叫んだ。 「ファイヤーボール!!」 その瞬間、大きな爆発音と共に、ゴーレムの拳が、打ち付けていた学院の壁ごと木端微塵に吹き飛んだ。 「これは一体……!?」 ゴーレムの力ではびくともしなかった宝物庫の壁が、容易く吹き飛ばされてしまった。 フーケはゴーレムの肩の上で唖然としていたが、状況を把握するとすぐに頭を切り替える。 再生したゴーレムの手の上に移動すると、爆発でできた穴から宝物庫に侵入し、目的の品を手に再びゴーレムの肩に飛び乗った。 辺りを見回し、ルイズと浅倉を見つけると、深々と被ったフードの下からこう言った。 「誰だか知らないが、礼を言うよ! これはついでだ!!」 言い終わると同時に、ゴーレムの拳がルイズたちに向けて勢いよく振り下ろされた。
しえん
支援
636 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/24(金) 19:06:09 ID:IoarQ/7D
迫りくる巨大な拳に、二人は咄嗟に身構えた。 当たるかと思われたその時、二人の後ろを何かが通り抜ける。 「シ、シルフィード!?」 次の瞬間、二人は風竜に掴まれ空を飛んでいた。 頭上から声がする。 「危ないところだったわねぇ、ホント」 「間に合った」 「その声は……タバサ!? それにキュルケも!!」 見上げると、赤い髪と青い髪の二つの顔が上からこちらを覗きこんでいた。 「助かったわ……」 ゴーレムが学院内から去っていくのを見届けた後、ルイズと浅倉は地面に下ろされた。 以前ルイズが買ってきた錆びた剣。 それが浅倉への贈り物だと知ったキュルケは、タバサに頼んでシルフィードに乗せてもらい、急遽武器屋に剣を買いに出掛けたのである。 その帰り、学院についた二人が目にしたのは、巨大なゴーレムに襲われているルイズの姿であった。 シルフィードを全速力で飛ばし、間一髪間に合ったというわけである。 「ともかく、学院長に報告に行きましょう」 キュルケに背負われている、いつかの武器屋で見かけた派手な大剣から目線を彼女に戻し、ルイズは頷いた。
637 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/24(金) 19:08:21 ID:IoarQ/7D
ルイズたちが学院内へと歩いていくその後ろで、浅倉は呆然と立ち尽くしていた。 さっきの盗賊が盗んでいった物。 破滅の箱だとか何とか言っていたが、間違いない。 あれはカードデッキだ。 (またライダーと戦えるのか……?) かつて味わった、超現実の戦い。 剣を振るうだけでイライラが消え、傷つけ合う度に快感を得ることができる……。 そう思い出すと、浅倉の体が喜びで震えた。 「クックックックッ……ッハハハハハハ!!!!」 狂気染みた笑い声をあげ、そのまま地面に仰向けに倒れ込む。 「誰だか知らんが、待っていろ……!!」 口元に笑みを湛えたまま、呟いた。 空を見上げているはずのその目には、間近に迫ったライダーとの戦い以外、何も映っていなかった。
638 :
狂蛇の使い魔 :2008/10/24(金) 19:10:27 ID:IoarQ/7D
以上です。支援ありがとうございました!
乙です
蛇の人乙 前もそうだったけど、さすがになんぼなんでも短いから、2回で1回分の分量で 投下してくれると読み応えがあるかなぁ
狂蛇の方、乙です。支援! 次回はついにおマチさんの死姦プレイですかw分かりましたww
狂蛇の人、乙です!
なまじライダーなんぞになったら、おマチさん命ねぇw
>>640 >2回で1回分
逆じゃね?
狂蛇の人乙
あと
>>600 はエスパー太郎なんて誰が覚えてるんだよw
王蛇の人乙です。 朝倉はマジで殺る男だからな… おマチさん逃げてー!超逃げてー! 次回にwktk
>>640 一々投下分量に対して噛み付かなくても良いと思うが?
GJ おマチさんのがゾルダでないことを切に願うw
すいません、第2話を書くに当たって、ちょっと一話が中途半端なとこで終わってるので、 追記を投下してもよろしいでしょうか?
良いと思う
>>645 噛み付くと受け取ったのなら失礼
ただの個人的希望だから
1話加筆いきまーす。 「キミ、気持ち悪い声を出さんでくれたまえ・・・ほう、キミ、珍しいルーンだね・・・ちょっとスケッチを取るから待っててくれたまえ」 「き、キレイに描いてね・・・」(ぽっ)と顔を赤らめつつセクシーポーズを取る音速丸。 「描きづらい、キミ、普通にしててくれんかね。さっきも言ったように時間が押してるんだよ・・・よし描けた。もう良いよ」 「さてと、コレで全員召喚の儀式は無事終わったようだね。じゃあ皆教室にもどるぞ」 するとルイズ以外の教師と生徒全員が空に浮かび学園の方へ飛んでいく。 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」 「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」 他の生徒達がルイズを嘲りながら飛び去っていく。 悔しがるルイズ。 「普段ツンツンしてる娘が悔しそうに涙を浮かべてる表情もなかなか良いですな」 「やっべぇ、ちょっとオレ『きゅん』と来ちゃったよ」 「おまえら結構マニアックだなー」 と例によって忍者達が本人の感情を逆撫でしかねないような感想を平気で述べる。 「う、ウルサイ!ウルサイ!ウルサイ!バカ!人の気も知らないで!私だって、私だって!・・・・」 涙が溢れそうになる。 「あ、音速丸さんが泣かした。」 「ヒドイや音速丸さんこんな可愛い子を泣かして!」 「見損ないましたよ音速丸さん!」 「オレのせいかよ!今のはテメェらがワルいだろうが!」 「ああ大変、雅・・・じゃなくてルイズちゃんが泣いて・・・はっそうだわ」 忍が風呂敷を取り出す。 「泣かないでルイズちゃん!私がルイズちゃんでも空が飛べるようにしてあげます!」 「えっホント?って何で私を紐で縛ってるのかしら?」 「えへへ、ホントはですね、この忍法は高いところから降りるための術なんですけど今回はコレを使いまーす」 「忍ちゃん、いつでも準備は出来てるよー」 と何処からともなく巨大な送風機を設置している忍者たち。 「ちょっと何その怪しげな物体はちょっと待って何するつもりなのよ!」 「サスケさーんお願いしまーす!」 「OK、それでは、『レディー、GO!!!』」 かけ声と共に突如送風機から突風が出る。 「『忍法ムササビの術』!!やーっ!」 「いぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 勢いよく空へ舞う忍と紐で吊されるルイズ 「よぅし!忍法ムササビの術大成功!」 ハイタッチをする忍者達。 「死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!死んじゃうぅぅぅぅぅぅ!?」 忍とルイズは突風で、浮遊する他の生徒を巻き込みつつ学園の方へとすっ飛んで行くのだった。
以上でした。
音速○乙!!
円高株安
ほぼ会話文だけだな。 原作知ってる人なら笑えなくもないけど、知らない人は置いてけぼりだな……
ふぅ。やっと続きを出せる。 まだプロットが完結してなかったりスパロボZやってたりレントンコンビニスレに道草食ってたりしてたが…。 とりあえず21:45分から投下予定。
朽ち果てた廃墟に作られた鉄扉がきぃきぃと軋みを上げて揺れていた。 そこは新しい集落を作ろうとした開拓村だった。田畑のない農民、一攫千金を夢見る若者が鋤鍬に大工道具を持って、 時の領主の政策に応じてはじめた小さな計画だった。 しかし、その場所はハルケギニアの深い森に生息するデミヒューマン『オーク鬼』のテリトリーに隣接していた。 開拓村の人々は出来上がり始めたばかりの自分達の居場所を守る為に武器を取った。また、領主も何度か討伐の手勢を派遣することもあった。 しかし森に潜むオークの数は多く、長引く討伐の中で領主もその地方への関心を無くすと、開拓民の願いも虚しく、村はオーク鬼によって蹂躙された。 そんな話も今は昔。既に開拓村だった場所は小さな寺院を中心にあばら家が点在する廃村となっている。 あばら家の一つからのっそりと大きな影が這い出てきた。不愉快を誘う体色の肌が 皮下の厚い脂肪と筋肉で揺れ、その上を粗末なボロ布を巻きつけたオーク鬼が数匹…。 彼らは――オーク鬼の生態は不明である。一説には、彼らは雄しかいないのだという…――ただ無闇に外へ出てきたわけではない。 豚によく似た鼻先は、先ほどからニンゲンの匂いをかぎつけていた。 フゴフゴと耳障りな音を立ててオーク鬼数匹が周囲を探索していると、ヒュン、と風を切った小石が鋭く飛んで、うち一匹のオーク鬼の頬に当たった。 「ぷごっ?!」 強かに小石があたり、オーク鬼は石の飛んできた方向を見た。そこには小さなニンゲンがなにやら紐のようなものを振り回している。 ニンゲンは振り回している紐をこちらに向けて振り下ろす。すると再び、鋭く飛んだ小石が顔に当たる。 「ぷごっ!ぴぎぃ!ぴぐぉぉぉぉ!」 単脳なオーク鬼は興奮して小さなニンゲンに向かって走り出した。周りの仲間もそれを見て一緒に走り出し、小さなニンゲンを追いかける。 追われる立場になった小さなニンゲンは、軽やかに走り始め、徐々に木々に囲まれた林へ逃げていく。 オーク鬼達は片手に巨大な棒を振り回し、聞くにおぞましい鳴き声を上げている。 追われる者は軽業師もかくやという身のこなしで木々をすり抜け、時折足を止めては先ほどのように紐を使って石を投げる。 それがオーク鬼達の興奮をさらに高め、オーク鬼達はニンゲンに連れられるままに林の奥へ入っていく。 数度目に立ち止まるニンゲン。その場所は周囲を木々に囲まれた林の中でも開けた場所だった。 興奮の頂点にあったオーク鬼達は、どすどすと足音を鳴らしてニンゲンに向かっていく。 しかし、後一歩でその棍棒がニンゲンに届くだろうという距離に踏み込んだ瞬間、彼らの視界からニンゲンが、消えた。 周囲が土壁に覆われ、さらに身体に痛みを感じる。 興奮のままに暴れるオーク鬼達は、上から降ってきた物に気付きもしない。 数伯の後、オーク鬼達は爆音と共に命を落とした……。 落とし穴を見下ろすギュスターヴの脇で、ギーシュの使い魔のジャイアントモール『ヴェルダンテ』がせっせと穴に土をかけている。 何とはなしにギュスターヴは、この巨大なモグラを撫でてみた。モグラらしい、硬い毛だ。 撫でられたヴェルダンテはモグモグと嬉しそうである。
そう、全ては廃墟に巣食うオーク鬼を退治するための罠である。 手順はこう。まず、人が隠れられるだけの茂みのある開けた場所に落とし穴を掘る。掘った穴のそこには先を斜めに切った棒を何本も立て、 上はそうと見られないように隠す。 後は、頭の悪いオーク鬼達をおびき寄せて穴に落す。最後に投げ込まれたのは、シエスタ特製の手投げ爆弾である。 爆発時の爆風と熱でオーク鬼に止めを刺したのである。 「それにしても、こんな簡単にオーク鬼を退治できるなんて…」 つぶやくギーシュはギュスターヴと同じく落とし穴を覗いていると、脇をキュルケに小突かれる。 「あてっ」 「何他人事のように言ってるのよ。林に潜んで落とし穴に掛かる直前のオークを見て勇んで突撃しようとしたくせに。 ギュスが止めなきゃせっかくの罠が台無しになるところだったじゃない」 「だ、だって戦いは先手必勝というじゃないか」 言い訳がましいギーシュにギュスターヴはちっちっ、と指を振る。 「それは違うぞギーシュ」 「何がだね」 「『先手必勝』というのは先手を取れれば必ず勝てる、という状況のことを言うんだ。先手が取れれば絶対に勝てる、という事じゃない」 「う…」 「まったく、トリステインの貴族はこれだから…」 そうしゃべっている内にヴェルダンテは掘られた穴に土をかけ終わり、もとの開けた空き地に戻った。 「ありがとうヴェルダンテ。戻っていいよ」 主人の声に満足したモグラはずももと地面に帰っていく。 「さて、シエスタ……シエスタ?」 キュルケが声をかけようとしたシエスタは――格好は例の、ディガースタイルである――、錘のついた紐をひゅんひゅんと回して、木の枝に止まっている鳥を見ている。 次の瞬間、シエスタはばっ、と紐を投げる。錘のついた紐は広がって飛び、鳥の身体に絡みつく。もがく鳥は羽ばたこうとするが叶わず地面に落ちた。 「これでお昼ご飯にできますね」 「すごいのね貴女。…正直こんなに役に立ってくれると思わなかったわ」 感心するキュルケにシエスタが手を振る。 「いえいえ、こんな事でよければお役立ててよかったです」 『来る僅かな手懸り』 数日前にキュルケが手に入れた宝の地図。その真贋を確かめようとキュルケはギーシュとタバサ、そしてギュスターヴを誘って探検に出かけたのだ。 本当はルイズも誘うつもりだったのだが、「私は今忙しいのよ!」と言われてやむなく断念した。 ギュスターヴの脳裏に付いていくと言った時のルイズの表情が離れない。 (ちゃんとお土産もって帰らないとな) そしていざ出発、という段になってギュスターヴはある提案を一同にした 「どうせならシエスタも連れて行こう」 「シエスタってあのメイドでしょう?足手まといよ」 キュルケの言葉にタバサとギーシュを頷いた 「そうとは限らないさ」 「そうかしら?」 そういうわけで四人が使用人の寮を尋ねようとしたところ、シエスタはちょうど寮の出入り口から姿を現した。その格好は皮のグローブやブーツに、ソフトレザーの重ねられたジャケット、そして大きな背嚢を背負ったディガーのようなあの格好だった。 「あ、ギュスターヴさん。それに皆様。どうかしましたか?」 「今から外出か?」 「お姫様の結婚式に合わせて使用人にも暇を出してもらってるんです。お土産を取りに行きながら故郷に帰ろうと思いまして」 「故郷ってどこ?」 「タルブですよ」 けろりと言うシエスタに、ギーシュは驚いた。 「馬でも丸2日以上掛かるじゃないか。そこを歩いて帰るって言うのかい」 「だって、駅馬車はお金が掛かりますし、歩いていけばお金も掛かりません。それに野宿もできれば宿代もいらないんですよ」 再びけろりと答えるシエスタ。なんと野宿前提での帰省のようであった。 「ところでシエスタ。ちょっとお願いがあるんだが…」 「はい?」
ギュスターヴが宝探しに出るので一緒に行かないかと言うと、シエスタは首を縦に振ってくれた。 「はい!是非同行させてください。こう見えて私は…」 「私は?」 「いろいろ出来ます!」 ずり、とギーシュがこける。 「い、色々って…」 「でも、料理とかも出来ますから、きっとお役に立って見せますよ。…その代わり、タルブに寄っていただけると嬉しいんですけど…」 「それくらいは大丈夫よね。ね、タバサ?」 これにはタバサも頷いた。多少、荷物があるかもしれないが、長い距離と飛ぶわけではないのだから。 こうしてギュスターヴの提案によって一行に加えられたシエスタは、果たしてキュルケやギーシュの想像以上の働きをしてくれた。 森の中を歩けばあっという間に獣道を見つけ、誰よりもやってくるモンスターや獣の気配に素早く反応する。 遺跡や廃墟に残されたトラップも解除して見せ、逆に何もないところにトラップをしかけ、モンスターを退治して見せる。 結果、当初の予定をはるかに上回る速さで宝の地図の場所を回る事ができた。先ほどの捨てられた寺院で、都合7件目の探索であった。 「…で、結局見つかったのはこれだけか」 焚き火を囲む一同の中でギュスターヴの嘆息が漏れる。七枚の地図が示す先を探索して手に入ったものは、古い銅貨が数枚、さび付いた聖具が数点、 そしてラベルが腐食して読めない謎の液体の入ったボトルが数本である。 「モンスターに追いかけられて、トラップに死に掛けて収穫がこれじゃ割に合わない事極まりない」 糾弾されているキュルケは何処吹く風と爪を磨いている。 「まぁ、もともとタダでもらったものだしね。収穫があっただけ良かったかもよ」 「かも知れないがねー…」 火にかけられている鍋からシエスタが腕に汁を注いでタバサに渡す 「出来ましたよ、ミス・タバサ。粗野な料理でお口にあうか判りませんけど…」 腕の汁を食べるタバサ。 鍋に掛けられているのは周囲で取れた野兎の肉だった。そこに食べられる野草とシエスタが持ち歩いている香辛料を使った簡単なもの。 尚、他にも野鳥の肉がが丁寧に捌かれた上で串刺しにされ焚き火に炙られている。 「おいしい」 「そうですか!ありがとうございます」 「それにしてもシエスタ。貴女って本当に何でもできるのね」 「そ、そんな!たまたまこういうのが趣味みたいなものでして…」 「ギュスターヴ、君が同行してもらうと言った時はどうしたものかと思ったけどね」 いい具合に焼けている串肉を齧りながらギーシュが言った。 「前にこの格好で出歩いていたのを知ってたからな」 「でもシエスタ。君のその背負ってる背嚢には一体何が入ってるんだい?」 体健やかな村娘の荷物とはいえ、シエスタの背嚢はかなり大きい。 請われたシエスタは背嚢を一行の前で拡げて見せた。 「えっと…まず、飲み水を入れた皮袋、雨粒を凌ぐ為のポンチョ、炊き付け用の練り炭、ロープ5メイル、ワイヤー15メイル、 火口箱、油瓶、香辛料、ナイフ、山刀、保存食料…」 「この箱はなんだい?」 傍に置かれた金属の箱を手に取るギーシュ。 「あっ!それは火薬が入ってるので注意してください」 「火薬?!」 びっくりしたギーシュは箱を落しかけるが、何とか両手に納めなおす。 「鉛の箱に火薬を突き固めて、上から薄い木の板に金属の珠をつめてあるんです。さっきみたいにオーク鬼とかが居そうな森で夜を過さなきゃいけない時は、 自分の周りに仕掛けてから寝るんです」 「け、結構物騒なものを持ち歩いてるんだね…」 「他にもありますよ。ええっと…こっちの、紙で包んだ棒状の火薬は先の紐に火をつけて使います。さっきの箱は出っ張りを引っ張ると 中の火打石が擦れて着火するようになってます。あと、鈴」 「鈴なんてどうやって使うの?」 「ワイヤーに結って眠る時に周りに張っておくんです。ワイヤーに何かが触れると音がしますからすぐに気付けるんですよ」 はぁ、と感心するキュルケ。つ、とシエスタの視界に空の腕が出される 「おかわり」 「あ、はい!ちょっと待ってください」 周りをささっと片付けてすぐさま取り掛かる辺りがメイドらしい。 「ともかく。結局のところ我々はこの古い地図に踊らされていたということさ」 はぁ、とキュルケとギーシュのため息が漏れる。 ギュスターヴとタバサは黙々として、タバサは腕をギュスターヴを串肉を食べていた。
火の始末をして荷物を片付けるシエスタを見る。 「…それじゃ約束どおり、彼女を送ってあげようじゃないか」 「そうね。結構手伝ってもらったし」 シルフィードが食事の余りに食いついているのをタバサが撫でている。 「早く食べて」 きゅいー、と鳴くシルフィード。 空になった鍋をシエスタが抱え、一同はシルフィードに乗って空に飛び上がった。 一人、徐々に翳っていく陽の入る部屋でルイズがベッドに寝そべり、白紙の祈祷書を広げている。 (……帰ってこなかったな。ギュスターヴ。……まったく、人の使い魔を連れ回すなんてどういうつもりなのかしら。そ、そりゃ、許可は出したわよ。 出したけどそこは遠慮とかそういうものが必要でしょ!これだからツェルプストーは…) 目は白紙の祈祷書を追っているが、心が別を向いていた。 ふと視界をずらす。机の上に置かれた『水のルビー』が目に入る。 (……姫殿下。やっぱり嫌なんだろうな。…でも、トリステインだけじゃアルビオンの貴族派に勝てないのよね。……人の上に立つ者には責任があるって、 前にギュスターヴが言ってたわ……) 以前なら深い同情だけで見ていたアンリエッタが、今は少し別の角度から見ることが出来そうな気がした。 (…私も責任を果たすわ。メイジとして、貴族として。……ひとまずは、任された巫女として仕事が出来るといいんだけど…) 再び白紙の祈祷書へ向く。 「…はぁ〜」 (さっぱり浮かばないわね…) えいっ、とルイズは起き上がって机に置いてある過去の祝詞を集めた冊子を広げてみる。 「えーっと……『水は流れる刻、火が邪を払い、土石の如く変わらぬ想いにて、木々が国へ広がりてこれを護るだろう。命湧き上がりて声になり、 民と大地と空を清める歌とせよ』……変なの。どうして火の魔法が災いを払ってくれるのかしらね。…ふーん。この祝詞は2000年も前のものなのね……」 ルイズは冊子を繰り、古い順に祝詞を読んでいく。 「…こうやって、読んでいくと不思議ね。時代が進んでいくと祝詞が段々単純になっていくみたいな…『命に流れる静かなる清水や。大地を借りて民草を包む石くれや。 食い広がりて抗うものを打ち倒す火炎や。普く有りて皆を護る旋風や。始祖より下りし四つの気を束ね、汝らはこれを抑え、国を治め行け』 ……へー、これがもう500年くらい前なんだぁ……」 そうやって耽溺している内に日がすっかり翳っている。 「……そろそろ夕食ね」 一人で部屋を空けるルイズは、静かに淋しいと思った。 (不思議…去年まで、いつも一人で行動してたのに) それがあの、闊達な使い魔が居ないせいだとよく分かっていた。
こんなところでコンビニスレの名前を見るとは 支援
時間は少し戻り、漸う午後の3時頃。 シルフィードは巡航速度、毎時約80から100リーグで高度約2000メイルを飛んでいた。 鳥瞰できる地平の森が開け、段々と人の気配を見せるものになっていた。 「見えました。あれがタルブです」 初めて乗る竜の背中で、がっしとシルフィードの背びれを掴んでいるシエスタが言う。 トリステイン南西部にあるタルブの村は、温和な領主に見守られた集落だ。 なだらかな盆地を切り拓いて作られ、斜面に濃い緑の縞模様が上空で観察できる。 タルブの特産は主に二つ。一つは水はけの良い斜面で栽培された葡萄で作られるワイン。 タルブ産のワインは7割が平民向け、3割が高給取りの商人や職人そしてそれらを含めた貴族の需要を当て込んで生産されている。 特に最上級のブランド『カナリアハート』は五代前の領主夫人が喉を病んだ時に献上され、後に麗らかな声を取り戻したという逸話によって 時には遠くガリアからも買い付けがくる。 もう一つ、隠れた特産がある。タルブの外れにある山より切り出される良質の石材である。その肌理細やかな石質から『ユニコーンの皮革』と言われ、 こちらもハルケギニアの寺院や宮殿などに供される。もっとも、こちらはワインほどの恩恵を村と領主に与えているわけではなかった。 村の中心から少し外れた場所にシエスタの生家はあった。キュルケやギーシュはてっきり、あの斜面に見えるような葡萄畑を持つ、 比較的裕福な農家の娘だろうと思っていた。 しかしシエスタの生家は確かに、並の農家よりも一段半ほど格の上がる家だった。石と土で作った壁、紙と所々にガラスが使われた窓、 屋根は腐食を防ぐ緋色の塗料に染められた板葺きだった。全体に横に広く、二階建てのように見えたが、出入り口の様子を見るに半地下状になっているらしく、 見た目よりも中は広いのかもしれない。 「ただいまー」 ノックして家へ入るシエスタを先頭にぞろぞろとギュスターヴ達は続いた。 瞬間、ギュスターヴ達はむせた。室内はむん、と植物の青臭い匂いを始めとしたさまざまな臭気が混ざって立ち込めている。 「ん…おかえり。『シエスタ』」 シエスタに答えた男性は秤の置かれた机の上で書き物をしていたが、振り向いてそう応えた。壮年も過ぎ、顔の皺と白髪交じりの頭に柔和な笑顔を湛えている。 「そちらの方達は?」 「学院でお世話になっている貴族様たちと…お友達です」 ギュスターヴは頭を下げた。恐らく父親だろう、目の前の男性とそれほど年の違わぬ者を友達と言ってくれることが、なんともこそばゆい。 「これはこれは。貴族のお嬢様若様方。このような辺鄙な場所へはるばるお越しいただいて、言葉もありません」 物腰柔らかな男性は腰を折って礼をする。 「よろしくてよ。シエスタは学院のメイドだけど、私達には親しい友人ですわ。ね?」 ギーシュとタバサが頷く。 「我が家の娘をそのように言っていただき、勿体無くございます。…申し遅れました。シエスタの父、『エド』と申します。むさ苦しいところではございますが、 どうかおくつろぎください」
聞くに、出入り口すぐの場所は父親の仕事場なのだそうだ。 「父は薬師なんです」 ほのかに甘い香りのする薬湯の入ったカップで顎を蒸しながらシエスタは答えた。 「彼はメイジではないのだろう?なんで薬なんか」 「薬と言っても、山野で取れる薬草とかを煎じて、体の悪い人に使うんです。魔法みたいに凄い事はできませんよ」 エド氏は手を振って答えた。 「例えばせき止めの飲み薬。眠れない時に心を落ち着けてくれるお香。農地を荒らす鼠を殺す為の殺鼠薬。それくらいしか出来ませんが、 メイジの方々の薬は高くつきますし、村の皆さんには喜んでもらっています」 ギーシュは感心していたが、キュルケは平然としていた。平民の伸張激しいゲルマニアでは魔法の使わない処方薬も出回っているのだ。 「…ところで、親子二人にしては家がやけに広いと思うのだけど…ご家族は?」 「母と兄弟達が居ますよ。今は多分山に居るんだと思います」 「「「山?」」」 「『ユニコーンの皮革』って知りません?あれの取れる山はうちの一家が管理してるんですよ」 「えぇーっ?!」 ギーシュが声を上げる。 「煩いわね。訪問先で」 「だ、だって『ユニコーンの皮革』と言えばものすごい高価な石材じゃないか!」 土メイジのギーシュから見れば石材の管理をしているというのは尊敬に値するのである。 「高価といっても、山の経営と領主様への納税でそんなに利益が上がるわけじゃないんですよ。一家で細々と維持していくのがやっとな位でして」 エド氏は困ったような顔でギーシュの熱い目に答えた。 「高価なのは私達の一族だけで切り出しているからです。タルブの近くの山で良質の石材が取れることを発見したのは私の母でした。 母は当時の領主様に掛け合って一定の納税を条件に石材の切り出しと山の管理を任されました。 人を雇ってたくさん切り出さないのは、山の環境を変えてしまうからです。母はそれを強く諌めました。あとを継いだ私もそれに習っているのです」 ギーシュは席を立つと、身を正してエド氏に向き直す 「エド氏。僕は土のメイジとして、是非ともその石材の産出現場を見てみたいですどうか許していただけませんか」 「…それは……」 明らかにエド氏の顔に困惑が浮かんでいる。 「どうか、このとおり」 ギーシュはテーブルに手を着いて頭を上げる。額がテーブルに着きそうなほど低い。 「…ギーシュ様、でしたね。どうか頭を上げてください。貴族の若様にそのようにされると、我々はどうしていいかわからなくなります。…『シエスタ』」 「はい」 「彼らを山に案内して差し上げなさい」 「はいっ!皆さん、済みませんが支度をしてきますのでそこで待っていてください」 シエスタはタタタっとかけて階段を上がっていった。 「ありがとうございます。エド氏、いえ、エド殿」 「とんでもございません。娘を友人と言ってくださる方々なら見せてもいいだろうと思ったまでですから」 何処までもエド氏の表情は柔らかい 「…皆は先に学院に帰ってもいいよ」 「どうしてよ?」 「さっきも聞いただろう?石材の切り出し場は彼らの一族が管理しているんだ。そういうところに貴族がぞろぞろと行くものじゃ、ないと思う」 エド氏は首を振る 「いいえ。私は娘の友人に見せるのですよ。決してあなた方が貴族だからとか、そういうつもりはございません。お好きにどうぞ」 かくしてエド氏は朗らかに笑った。
シエスタが着替えて戻ってくると、一同は外に出た。ギュスターヴは少し残って、留守番のエド氏に声をかける。 「…お気遣い感謝します」 こういうのは大人の役割である。 「いえいえ。…貴方は貴族ではないですね」 「はい。…彼らの学友の、召使のようなものです」 流石に使い魔である、というのは少し憚られた。 「いえ、そういう意味ではなく」 「は?」 「なんといいますか…貴方にはこの世に普くあるものが欠けているように思えます」 ギュスターヴの表情が硬くなる。 「かといって、貴方は今目の前に居る。不思議ですな」 以前、デルフにも同じような事を言われたことがある。それは恐らく、自分のアニマを佩びない体質について言っているのだろう。 しかし学院のメイジ達にもそのようなことは言われなかった。手元のデルフ以外で、ハルケギニアに生まれ育ったモノ達は、 ギュスターヴを何処にでも居る「ただの人間」としか思っていない。 今この目の前に居る人物を除いて。 「……私に欠けている、世に普くあるものとはなんですか」 無意識の内にギュスターヴの声が、少し硬いものを混じらせていた。 「…これは母が言っていたことでもありますが、世界には普く命の力が宿っています。例えそれが石であっても、火であっても。それが貴方にはない」 エド氏が語る母親の言葉、それはハルケギニアの精霊を指しているというより……サンダイルのアニマを指しているようだった。 「……貴方の母親とは、一体…」 「…私の母の墓も、山にあります。そこに書かれた物が、もし読めるのであればお話しましょう」 「ギュスターヴさーん、行かないんですかー?」 出入り口から聞こえるシエスタの元気な声が呼びかける。 振り返ってもう一度礼をして、ギュスターヴはその場を辞した。
投下終了。 オリジナルモブはうまく使わないと顰蹙買いますから注意が要ります。 因みにエドという名前にも意味はあるんですよ。理由は次回の後書きで…。
鋼の人乙です。 姫様追放ですか。
ぁえ?なんでそう読まれちゃったんだろう;;; >姫様追放
乙。 はるみさんともポリスノーツとも関係ないんですね>エド氏 エロゲだけど裏入学の松田修司はどうだろう? 「どんなことも」三日でマスターするラーニング能力の持ち主。 彼女や春日野さくらだったら一目見れば魔法さえ体得できそう。
>>667 ×彼女
○彼
性転換してどうすんだorz
669 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/10/24(金) 22:15:22 ID:OJ7hdqbQ
2000年前の祝詞がアニマそのものなのにびっくり タバサも訓練すれば烈風剣とか使えるのだろうか?
ゴメン sage忘れた
ラーニングといえば勇次郎と見せかけて魔獣KY
タバサには残像剣を身につけて欲しいな スクウェアに昇格して遍在+残像剣を是非
鋼の人乙でした 鋼……そしてエド…… つまり、鋼の錬金術師再アニメ化おめでとうということですね! (違います)
やっぱり祖母ちゃんはジニーかな? とにかく次回に期待
アニメ化したし、とある魔術の禁書目録から上条召喚したらどうなるだろう〜とか考えてたら、恐らく使い魔の契約が出来ない事に愕然とした
>>675 ガンダールヴは左手だからセーフ
というか召喚ゲート打ち消しそうだって作中で言われてるけど普通に召喚してる作品もあるし良いんじゃないかな
>>675 まとめwikiに載っているけど現在休載中です。
ちなみにデルフリンガーは即座に塵になりました。
いきなり規制解除されててびっくりした…… あ、予定がないなら25分頃に小ネタを投下してもよろしいでしょうか?
テンプレ熟読した上で元ネタ及び投下キャラを明らかにしてくれればお願いします
>>681 すみません、書き忘れてました。
ゲキレンジャーのロンです。
それでは投下いたします ルイズは虚無の使い手だ。 その虚無、是非ともわが力にしたい。 俺の目的の為にも、虚無の力は実に魅力的だ。 だが、あいつにはすでにガンダールヴがいる。 しかも予想どうり、人間の使い魔だった。 こいつは俺の目的にとって障害にしかならない。 出来る事なら葬ってしまいたいが、そこはやはりガンダールヴ、俺の力がどこまで通用するかわからない。 ガンダールヴの力量を測る必要がある。 すでに作戦の途中で泊まる事になる宿は決闘に最適な場所がある所を事前に選んでいる。 そこで少し挑発して決闘を申し込み、その力がいか程の物か確かめねばなるまい。 そう、そう思っていた。 あいつを一目見る前までは。 「あなたは確か、アンリエッタ様がおいでになられた際に警護にあたっていた方ですね。そうでしたか、まさかルイズ様のご婚約者でしたとは」 至極丁寧に、だがその目は全てを見通すかのように、そして自分以外の全てを見下しているかのように、唯々、邪悪だった。 「始めまして、ワルド様。私はルイズ様の使い魔をやらしていただいているロンと申します」 確認などする必要はない。 この時、マルチダを牢屋から逃がした時に、彼女が酷く怯えながら呟いた言葉の意味がはっきりとわかった。 『アイツは……いえ、アレは人間でも亜人でもなんでもない。アレは……悪魔よ』 こいつからは、人間性という物が全く感じられない。
「困りますねワルド様」 ゾクリと、俺の背筋に冷たい空気が走った。 ここにいるのは死体になったウェールズと、今から止めを刺すルイズと、そして俺の3人だけだったはずだ。 「私はまだルイズ様の使い魔でいたいのですよ」 扉も窓も開いていない。 だが、今確実に俺の後ろに、奴が……あの金色の悪魔が確かにいる。 「ロン!」 ルイズが俺の後ろにいる存在の名をはっきりと口にした時、俺はすでに走り出していた。 「きゃあ!」 そう、ルイズを人質に取るために。 「動くな! むやみに動けばルイズの命はないと思え!」 「ロン! 私の事はいいから早くこいつを倒…し……て…………」 余計な事をしゃべる前にスリープ・クラウドで眠らせて、再び奴に向き直ったが、奴は、慌てるでもなく、怒るでもなく、笑っていた。 「何が……何がおかしい!?」 「フフフ、いえ。ただかつて私を封印した奴らと同じような考えを持った人間に仕える事になるとは思っても見ませんでしたのでね、つい」 と、気が付いた時には俺の腕の中にいたはずのルイズは、すでに奴によって抱きかかえあげられていた。 見えなかったなんてレベルじゃない。 動いた事を感じ取る事すら出来なかった。 格が違いすぎる……
「ユビキタス・デル・ウィンデ……」 だが引くわけにはいかない! 最低限、ルイズを殺す事だけでも成し遂げねばなるまい。 ウェールズの手紙はレコン・キスタにとっても大きな武器になる。 俺の野望の為にも、レコン・キスタの勝利は絶対条件だ。 偏在の呪文が完成し、4体の俺の偏在が現れる。 結局、奴がどれほどの力を持っているのかは未知数のままだが、コレだけの魔法を一斉に食らえば、たとえそれがトロールだろうとオーグだろうと生きてはいられまい。 「ルイズを渡せ。さもなくば俺の魔法がお前の肉体を貫く事になるぞ」 十分脅しになるはずだった。 たとえガンダールヴといえども、杖も武器も持っていないではないか。 伝説によればガンダールヴはあらゆる武器を操ると言われている。 何を自分は怯えているんだ? 今までだって何度も死線を潜り抜けて来たではないか。 そうだ、たとえガンダールヴとはいえ、こんなメイジでもない生身の相手に―― 「ふむ、……あなたはルイズ様の障害物という余興として残しておこうと思っていたのですが、困りましたね」 その時、俺の中で何かが切れた。 気が付いた時には、俺はすでに魔法を放っていた。 ウィンド・ブレイクが、エア・ニードルが、エア・ハンマーが、エア・カッターが、ライトニング・クラウドが、4体の偏在と俺の全ての攻撃が、ルイズごと奴にを巻き込んで全て命中した。 これで生きていられるはずがない。
俺はウェールズの手紙を探しに行くために踵を返して教会から立ち去り―― 「やれやれ、私に楯突くとは。人間とは本当に愚かな生物ですね」 立ち去れなかった。 そんなはずはない、確かに全ての魔法は命中した。 これで生きていられる人間などいるはずがない! 俺は振り返ってその姿を確認した。 その時、 「あ……ああ……」 後悔した。 振り返るんじゃなかったと。 いや、それ以前に、こいつが現れた時点で逃げるべきだったんだと。 「どうしたんです? 私のことはあのフーケとかいう女から聞いているはずでしょう?」 その姿はさっきまでの奴とは違う。 体中のいたるところに存在する、ドラゴンを模した肉体の一部。 いや、それはもう肉体と呼んでいいのだろうか? まるで体の全てが金で出来ているかの様なその姿は、神々しく、美しく、そしてこの世の物とは思えぬほどに恐ろしかった。 「あああぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁああぁぁ……」 マルチダ、お前が言っていたのはこういう事だったのか。 「ふう、これではもう障害物にもなりませんね。仕方ありません」 人間性だとか、ガンダールヴだとか、そんなのは全く関係ない。 「あなたはもう用済みです」 こいつは本物の悪魔だったんだな。
アルビオンのあの撤退戦での私のやった事といえば、あの虚無に敵軍を止めるように命令しただけだ。 多くの味方兵が裏切り、ド・ポワチエ指令とハルデンベルグ侯爵が戦死され、その上あの7万の大群を足止めをする為には、作戦を練る時間も、足止めに必要な兵力もなかったのだ。 その虚無の使い手はまだ学園を卒業していない少女だった。 だが仕方がなかった。 少女一人の命で何万もの命が救われるのだから。 他に方法はなかった。 虚無の力はすでにこの目で確かめている。 敵軍を混乱させるには十分に可能な力だった。 それだけでも撤退の為の時間稼ぎにはなる。 だがまさか、7万の敵軍を全て殲滅してしまうとは思わなかった。 それほどの力があるなどと誰が想像できようか。 だが、ここで一つの矛盾が生まれる。 後に確認された事だが、あの時、虚無の少女は戦場にいなかったというのだ。 一つの戦艦が脱出する寸前にある男がやってきて「逃げ遅れた者がいる」と言って、気絶していた少女を乗せたというのだ。 その少女こそが虚無の使い手だったのだ。 すでに調べはついている。 では誰が? 7万もの兵を殲滅する事が出来るものなど、虚無を除いては考えられない。 だが一つ、可能性が残っている。 虚無の少女を連れてきた男の事だ。 その男は虚無の少女を戦艦に乗せた後、すぐに降りてしまったというのだ。
すぐに兵がどこへ行くのかと聞いたが、 「私にはまだやらなければならない事が残っていますので」 と、そう言い残して煙のように消えてしまったと言うのだ。 つまり、7万の兵を止めたのはその男だという事なのか? バカな。 そんな事ができる人間などこの世にいるはずがない。 出来るとすれば、あの恐ろしいエルフ達ぐらいだ。 ではエルフが敵軍を? それもありえない。 奴らが我々に力を貸すことなど、それこそ絶対に起こり得ない事だ。 結局、あの時に我々を救ったのが誰なのかは、わからず仕舞いのままだ。 余談だが、あの戦場の跡地には草木一本も残らなかったというが、謎の鱗の様なものが発見されたらしい。 それはドラゴンの物にしても大きく、金色に輝く美しい鱗だそうだ。 つまり、その大きな鱗持った謎の生き物が敵軍を全て虐殺したという事なのだろうか? ……下らない。 さきほどからありえない事ばかりを書いている。 いや、そもそも起こったこと事態がありえないのだ。 そうなってしまうのもいたしかたあるまい。 だが何にせよ、私程度では事の真相を確かめる事など、無理な話だ。 ウィンプフェンの手記より
支援
>>675 美琴と黒子が同時召喚されるってのはどうだろう。
大学教授レベルの頭脳ももってるから技術も発達させられるだろうし。
しえん
フーケの正体はマルチだ こうですかわかりません …いったいマルチダってだれだ?
一隻のフリード艦の上で二人の男が向かい合っている。 その周囲には幾つもの横倒しになったガーゴイルと、一人の女の死体が並んでいた。 「ふむ、まさかミューズがこうも簡単にやられるとはな。これは予想外だ」 と、ジョゼフが最初に口を開いた。 その口調はとても淡々としていて無感動だった。 「あっけないものですね。ミョズニトニルンというのもこの程度でしたか。 もう少し楽しませてくれると思ったのですが」 ロンは自ら殺めたシェフィールドの方を見向きもせずにそう言った。 「なるほどなるほど。いやはや恐ろしきはガンダールヴよ。 この俺の計画は全て貴様一人の為に今まで失敗してきたのだな。さてはアルビオンでの撤退戦でアルビオン軍を蹴散らしたのも、ヨルムンガンドを全て破壊した巨大なドラゴンの正体も貴様だな?」 ロンは「ほう」と、この世界に来て二度目の感嘆の声を漏らした。 一度目はあのルイズのエクスプロージョンを見たときだ。 ただの人間に過ぎない少女の持つあの圧倒的な力の存在に、ロンは久しく心を震わせたのだ。 そして今はこの男の洞察力に。 確かに、アルビオンで7万の軍勢を皆殺しにしたのも、ヨルムンガンドを全て破壊したのも、彼の力によるものだ。 だが、その力の存在はルイズにすら話していない。 ロンが秘密裏に行ったことだ。 単なる予想で自分の正体を見破ったのはこの男が初めてだった。 「さすがはガリア王殿。ハルケギニアを手に入れんとしようとするだけの事はありますね。 いかにも、あれが私の本来の姿、無限龍です」 「無限龍……そんな存在がガンダールヴだったとは思いもしなかったぞ」 ジョゼフはさも愉快そうに笑いながら続けた。 「だが無限龍よ、お前は一つ勘違いをしている。あの女王様と同じ様にな」 「ほう。勘違い、と言いますと?」 「俺は別にハルケギニアを手に入れたいんじゃない。ハルケギニアを滅ぼしたいのだよ」 その言葉に、ロンの表情が驚きに変わる。
支援す
>>675 もう上条さん、一方さん召還もある事だし、ここはジョースター卿のごとく逆に考えるんだ。
「あの作品のキャラが上条さん家のベランダにひっかかりました」スレを立てれば良いと考えるんだ。
ごめんわりこんじった。支援
フリード艦て何だ?
とりあえず雑談は後にしとけ。投下中だぞ。 支援
ヨルムンガ「ル」ド …はっ、ひょっとしてわざと?
699 :
代理投下 :2008/10/24(金) 23:46:04 ID:ZhhdS2Hk
「今……何と?」 「滅ぼしたい、と言ったのだよ。この世を地獄に変え、苦しみの果てに死に絶える人々の姿をこの目に焼き付ける為に此処まできたんだ。 そうやって俺は失った物を取り戻せる。それでも尚、何も変わらぬのなら今度はエルフ達を、その次はロバ・アル・カリイエを。 それでも尚、心が動かぬのなら、俺は世界の全てを滅ぼすだろう。そうしてやっと、俺は人並みの悲しみを、涙を、心を取り戻せる」 ロンは呆然と、だがジョゼフの真意に心から驚いていた。 「言っておくが、俺は本気だ。俺の目に再び涙が浮かぶまで、貴様も、ガリアも、全てを破壊しつくしても止まる事は出来ない」 そこまで聞いて、ロンの表情に変化が起きた。 「フフ…フッフッフッフ……」 それは、心の底からの歓喜。 「あぁぁぁぁぁはっはっはっは!! 素晴らしい! この世界であなたのような存在に出会えるとは思ってもみませんでしたよ。 マクも理央もあなたほど純粋ではなかった。だから私が背中を押さなければならなかった。 だがあなたは違う。絶望すら失われた中にこそ見出される黒い希望。 それを自ら手に入れるとは……素晴らしい、あなたは最高だ!!!」 ロンのその言葉に、ジョゼフは表情を緩め、 「そうか、お前は俺を理解できるのか。俺もお前のような奴に出会えるとは思ってなかったよ」 その姿がロンの視界から消えた。 虚無の魔法、「加速」の力だ。 「ならば死んでくれ」 その声はロンのすぐ後ろから聞こえた。
700 :
代理投下 :2008/10/24(金) 23:48:14 ID:ZhhdS2Hk
そのままジョゼフはロン背中から、心臓のある位置にナイフが深々と刺さした。 それと同時に、ロンの手もまた、ジョゼフの心臓を貫いていた。 「惜しい、本当に惜しい。こんなに素晴らしい逸材を殺さねばならないとは。 かつてマクの時に失敗して、それから理央という逸材を見つけるまでに四千年もの月日を費やしました。 恐らくこの世界であなたほどの逸材はもう現れる事はないでしょう。 せめてあと数千年早くこの世界に召喚されていれば、私は迷う事無くあなたと共に世界を滅ぼせたというのに」 すでに死体となったジョゼフに向かって、ロンは心の底から残念そうに語って、ジョゼフの死体をフリード艦の外へと打ち捨てた。 「でもまだ私はこの世界を楽しみ尽くしていないのですよ。長い封印から解き放たれたこの体も、ガンダールヴというこの境遇も。 暫くは導く側としてこの世界の成り行きを楽しみたいのでね。嗚呼、本当に残念でなりません」 ロンは自らの体に刺さったナイフを抜き取り、ゴミのように捨て去った。 たとえ毒を塗った刃であろうとも、この不死身の龍を滅ぼす事は出来ないのだ。 「さて、次はエルフとやらですか」 ロンはフリード艦から遥か東の地を見つめた。 「あなた方はどれほど私を楽しませれくれるのでしょうかね」 ロンは心の底から楽しそうに、そして邪悪に笑っていた。 コレで投下終了です。 見苦しい誤植、失礼しました。 あと、タイトルも書き忘れてた……orz タイトルは『使い魔の余興』です。 規制ラッシュの最中でムシャクシャしながら書いていたものでして、ちょっと色々雑だったりして、話も暗めです。 このようなSSに支援してして下さった方、代理してくれた方、そして読んでいただいた皆様、本当にありがとう御座いました。
投下乙でした。 フリード艦はフリゲート艦の事?
乙でした またとんでもない黒幕を呼んだものだ
投下乙でした〜
>>689 彼女達に頭脳があっても俺に知識が無いぜorz
>>694 立ててくれるなら考えてもいいw
ってかお前ニコ厨だろwww
>>675 別にwikiに投稿済みだったとしても遠慮なく好きに書けば良いと思うぞ。
オーフェンやらハヤテは複数投稿されてるし。
>>689 知識ったって数十年先の科学力がベースだろうし技術革新に役立つかね?
幾ら演算能力が高くったって設備から何から自作するのはまた別の技術が居ると思う
上条ですか…… 御使堕しの時や回復魔術をかけられた時のような、全身に効果が及ぶような魔術は右手に触れなくとも無効化されるから、契約のキスがどうなるか、という無粋な疑問はさておくべきですかね。
ロンの人乙です。 確かロンってどうやっても死なないから封印されたんだよな… つまりハルケギニア終了確定か…ガクガクブルブル
同じキャラ召喚でも、召喚先が違うとまた変わってくるね ルイズだけじゃなく、ジョゼフや教皇、乳革命やイザベラ様だっているのだ
かぁ〜ぜがぁよぉ〜んでぇるぅ〜いつかぁ〜聞ぃい〜たぁあのこぉえがぁ〜 どうも、久保の書き手です。 サブタイの通りまさか誰も予想していなかったであろうグリーンリバーライトの登場。 前回で前フリが終わって、ぼちぼち役者もそろえて行かなきゃなりませんからねー。 他に居ないようでしたらこのまま投下いたします。 マサキとサイバスターの設定は、SFC版魔装機神シュウ共闘邪神打倒エンディング後をベースに若干年を食わせて、αとヒーロー戦記を風味付けに混ぜ合わせてます。
風の魔装機神サイバスターとその操者であるマサキ・アンドー。 それがこの世界へ来たのは、今から半年ほど前のことであった。 生涯で二度目の召喚。 驚きはしたが、それでも冷静に対処は出来ていた。以前呼び出された時に、呼び出した側がきちんとこちらの意向も汲んでくれた者達だったから、というのもあるだろう。 だが、今回呼び出してきた者達は違った。 ひとまず話を聞こうと、機体を降りてみたところ、いきなり自分のことを平民と呼び、使い魔扱いし、服従を強いてきたのだ。 冗談ではない。 『シロ、上げろ!』 人を人とも思わぬ態度に怒り、コクピットに残してきた自身のファミリアに呼びかけ、その場を離脱。 竜やグリフォンがそれを追うが、風の魔装機神の名前はダテではない。あっという間に引き離してしまった。 しかし……困った。自分は完全な別世界に来てしまったらしい。空に月が二つもある。 サイバスターには、地上とラ・ギアスを行き来するための転移機能が付いているのだが、この世界ではそれも使えない。 どうするべきかと途方に暮れても、結局生きていくしかない訳で。 何か帰れるヒントになる物でもないかと、サイバスターでふらふら飛び回っていた。 いや、念のために言うと、マサキとしては別段ふらふらしているつもりはない。ただ、極度の方向音痴であるため、移動方向が一定せず、地図上で見ると、かなりあっちに行ったりこっちに行ったりしているように見えるのだ。 残してきた二人の妻や義妹のことを思うと、心苦しく、終生のライバルとも思えるシュウ・シラカワならば、自分のこの状況をどうにか出来るかとも思ったが、あの男の気まぐれに期待せねばならないのは、全くもって望み薄と言うことだ。 {ただ、あいつには貸しがあるからな……運がよけりゃ、動いてくれるか} かつて、第四次大戦を終えた後、邪神ヴォルクルス復活を画策したルオゾール。 かの邪神官との戦いに置いて、ヴォルクルスに操られてしまったシュウの戒めを解いたのは、マサキの言葉だった。 彼の性格からして、その事実をあっさり反故にするとも思えないのだが……。 だが、予想に反してマサキの前にいつまで経ってもネオ・グランゾンは現れず、サイバスターに積まれていた緊急用の食料も底をついた。 このどうしようもなくなったところで、飛んでいた砂漠の中に一つの集落が見えた。 呼び出されたばかりの頃を考えれば、まともな扱いは期待出来ないかもしれないと思うが、背に腹は代えられない。労働の代わりの食事をだめもとで頼んでみようと、その集落の近くにサイバスターを下ろし、集落に向かった。 そこにいたのは、エルフと呼ばれる種族だ。 現代日本に生まれたマサキである。フィクションや伝説上ではポピュラーな存在をよく知っていた。
無敵の方向音痴キターーーーーー!!支援
ラ・ギアスよりもファンタジーっぽいぜ、と思いながら話しかけようとしたところで、マサキを見たエルフが、突然跪いた。 『な、何だぁ!?』 『まさか、まさか、蛮族にこのような方がおられるとは!』 次々と他のエルフ達も現れ、やはり彼らもマサキの前に膝を折った。 彼らはマサキのことを風の精霊の使いと呼んだ。おそらく、サイバスターの操者であるマサキが、サイフィスの加護を受けていることと無関係では無いだろう。 呼び出された時の扱いなどどこ吹く風か。文字通り下にも置かぬ扱いで、きちんと布の引かれた部屋に通され、おそらく彼らにとって最上級の扱いであろう事がうかがい知れる恭しさだった。 翌日から次々と他の部族の長老を名乗るエルフ達が現れてはマサキに挨拶をしていった。 マサキが彼らにこの世界に来た経緯を語ると、蛮族共は一体何を考えているのか!と大いに憤慨した様子だった。そして、帰るための手段がないことを話すと、是非ともこの地に逗留して欲しいと、皆一様に頷いた。 いつか帰れる日が来るのかは判らないが、ともかく行く当てのないマサキにとってこの申し入れはありがたく、素直にそれを受けることとした。 そうなった以上、お客様ではいられないと、水仕事をするエルフの女性の手伝いをしようとしたが、精霊の使者様にそんなことをさせては私達が叱られます!と追い返され、すごすごと戻った。 手持ちぶさたなマサキの様子に、それでは、とその集落の長老がこう申し入れてきた。 『ここより遙か奥地に、シャイターンの門と呼ばれる場所があります。そこからは度々悪魔がはい出てきて災いをもたらそうとするのです』 今は精霊の力を借りて押さえようとしているが、どうにかマサキの力で根本的にその門を無くすことが出来ない物か。というのが彼らの申し入れだった。 もちろんマサキはただの人でしかない。だが、サイバスターならば何とかなるかもしれないと思い、エルフ達の先導の元、シャイターンの門とやらに向かった。 行った先にあったのは、大地に穿たれた大穴だった。 まずは小手調べとカロリック・ミサイルを撃ち込む。びくともしない。続けてハイ・ファミリア。変化無し。 明らかにエルフ達に残念そうな顔が広がっていくのが解り、マサキは苦い顔をした。 ここまでの扱いを受けて、何も出来なかったでは済まされまい。 自身のプラーナを極限まで高め、精霊憑依を瞬間的に引き起こす。要するに、『気合』×4。 『いっけぇぇぇぇぇ!アァァァァカシック・バスタァァァァ!』 サイバードに変形して突撃するプロセスのない、以前使っていたスタイルで火の鳥を穴に撃ち込む。 ――アカシック・バスターとは、目標のアカシック・レコードそのものに干渉する攻撃である。それを、精霊憑依を行った状態のサイバスターで行うのだから、並みの存在では逃れられない、圧倒的な消滅への誘いだ。
妻が二人? 結局捕まったのかと指差して笑いつつ、嫉妬しながら支援。
アカシック・バスターの直撃で見事、地獄門は消滅していた。 その後はさらにマサキへの扱いの良さは鰻登りとなっていく。そういった扱いに、少々マサキは辟易していたが。 それでも、そのままエルフの集落に逗留し続け、最初に訪れてから1ヶ月が経った頃。 虫型のロボットがエルフの集落に大量に侵攻してきた。 エルフの使う先住魔法によって何機かは破壊される物の、物量に勝る敵を阻みきれず、蹂躙されていく集落。 慌てて集落の中心部に置かれ、今では精霊の化身として参拝されたりしていたサイバスターに乗り込み、サイフラッシュで一掃した。だが、既に死者も含めかなりの被害が出ていた。 この事件での敵の動きに、マサキは嫌な物を感じていた。 敵は陸上から来る蜘蛛のようなロボットばかりだったのだが、その動きは、まるで一直線にサイバスターを目指しているかのようだった。途中のテント等は、皆ただ通る時に邪魔だから踏みつぶされただけのように見える。 エルフ達に聞いてみたが、こんな虫は今まで見たことがないと口にして、虫への呪詛を吐いていた。 ……この虫ロボット達は、自分を、サイバスターを標的にして来たのではないか、という疑念が、マサキの中に生まれた。 集落の長老に、その可能性を示唆し、これ以上迷惑はかけられないと、出て行く旨を示した。 最初こそ、この程度の被害は何でもない。今回は不覚をとったが、それならばより守りを強固にして、マサキを守り抜く。と言った長老だが、マサキが必死に危険性を説く内に、折れた。 それでも旅立つ際にはかなりの分量の食料と、そして各部族からの代表の見送りが現れて、エルフが常にマサキの味方であることを約束してくれた。 元々浪花節に弱いマサキはつい涙ぐんでしまったが、それを必死に悟られぬよう、エルフの集落を後にした。 それから数ヶ月間。マサキの疑念は的中し、エルフの集落を出たほとんど直後から、今度は空を飛ぶタイプも含めた虫型ロボット達に襲われ続けていた。 なるだけ人のいない所、居なさそうな所に向かって移動し続け、誰にも迷惑にならないように、たった一人、虫達と戦い続けていた。 そして現在。 困ったことが起きていた。 食料が尽きたのである。 「腹……へったな……」 もうじき絶食2日目か。顔もやつれているのが判る。 別に無駄食いしていた訳ではない。 時として魚を捕まえ、草原地帯を駆ける野生の哺乳動物をサイバスターの手で捕まえてそのまま絞め、エルフ達に教えて貰った加工方法で干し肉にし、せっせと切りつめていたのだ。これでも。
ただ、野草に関する知識は殆ど無かったため、僅かにタンポポの葉を水で洗ってかじるだけだったが。 それでも、やはり五ヶ月にも及ぶ放浪で、食料は尽きてしまった。 エルフの集落に戻れば、また食料を分けてもらえるかも知れないが、そこは生憎と天性の方向音痴。一体どこがエルフの集落だったのか、すっかり判らなくなってしまった。 しかも、どこで間違えたのか、今飛んでいる地上には所々畑らしい所や建物も見える人の住んでいるところだ。 つまり、野生動物を捕まえることが出来ない。 そういった建物に住む人に頼めば、一食ぐらい労働との引き替えで食べさせてもらえるかも知れないが、それで地上に降りている間に襲撃があれば被害は甚大だ。 「シュウの野郎……あの恩知らず……」 空きっ腹を抱えて呪詛を吐く。 「マサキ、止めにゃさいよ。シュウの悪口を言うの」 ファミリア(使い魔)である雌の黒猫、クロが窘めるように言う。 「判ってるよ、畜生!」 マサキとしても、シュウを頼るようなことはしたくないのだが、現状を根本的にどうにか出来そうな知り合いが、他にいなかった。 「マサキぃ〜、仮にも魔装機神操者が、餓死にゃんて最後だけはやめてくれよ〜?」 「ったり前だ!誰が好きこのんで餓死するかよ!」 やはりファミリアである雄の白猫のシロが、懇願するように言う言葉に全力で否定にかかる。そこへ 「精霊レーダーに反応!?」 「マサキ、来たにゃ!」 「くそ……!しつこいぞてめぇら!」 敵機の反応に、巡航形体のサイバードからサイバスターへ変形。機体を反転させ、虫型メカに向き直る。 「く……」 空腹故か、それだけでふらりと目眩がした。 体調不良がストレートに響いてきている。プラーナ量も減っているかも知れない。 「マサキ、無茶よ。そんにゃ身体で戦うにゃんて」 「そうそう。おいら達に任せときにゃって」 「く、すまねぇ。頼んだぜ!クロ、シロ!」 『判ったにゃん!』 コクピットにいた二匹のファミリアの姿はかき消え、サイバスターに搭載されている二機のハイ・ファミリアと同調し、大空へと舞う。 が、敵は雲霞の如く。二機のファミリアも頑張っているが、迎撃しきれずサイバスターへ突撃してくる虫もあった。 「カロリック・ミサイルッ!」 打ち出されるエネルギー弾をひらりとかわし、虫がサイバスターに組み付く。
「がああああ!」 「マサキッ!」 動きを封じられたサイバスターに、更に四方八方から虫が組み付いた。 そのまま高度を落としていくサイバスター。 「ちく、しょうっ……こんな、ところで……死んで、たまるかぁっ!」 コクピット内の一つのスイッチに手をかける。 「マサキ、ダメよ!」 何をしようとしているのかを察し、クロが制止の声をかけるが、間に合わない。 「いっけぇぇぇぇ!サイフラァァァッシュ!」 サイバスターを中心とした光が辺りに広がる。虫たちはその光により破壊され、中空にサイバスターは放り出される。 「へ、へへ……ざまみろ、ってんだ……」 空腹のため、ほとんど精神力が尽きていたところへ、サイフラッシュによるプラーナの大量消費。 「マサキ!」 そのままマサキは気絶してしまい、落下を始めるサイバスター。慌てて二機のファミリアが戻り操作系統を回復。かろうじて軟着陸に成功した。 「あ、まずい、にゃ……おいらも、眠くにゃって来た……」 が、ファミリアの二匹はこの世界の使い魔達とは違い、主であるマサキの無意識を切り取った、いわば分身。主であるマサキの体調により、二匹の能力も大きく制限される。 「だめ、よ……すぐ近くに建物が見える……ここじゃ、だめ……」 程なく、二匹とも倒れ込んでしまった。 「目が覚めたか」 気が付いて聞いた第一声は、聞き覚えのない男の声だった。 「食事だ。食べられるか?」 盆に乗ったオートミールのような皿を見せる銀髪の少年が、目の前にいた。自分よりも、若いか。 「あ、ああ……」 擦れたような声に自分でも驚いた。 「お前が、助けてくれたのか?」 「そうなる。近くに落着したのを見つけたんだが、放っておくと事情聴取のためにお前が王宮の連中に連れて行かれそうだったのでな。俺の友人だということにして、ここ、トリステイン魔法学院で看病をさせて貰った」 「お、おいおい。この国の王の顕現に逆らったのか?まぁ、事情聴取を受けないのはありがたいが……何だってそこまで」 「王室には知己がある。すんなり許可は下りたし、それに友人だというのは、あながち間違いじゃないからな」 コップに水を注ぎながらそう言うが、この少年に見覚えはなかった。 「……どこかで会ったか?」
「似たような身の上だと思っただけだ。この『魔法の世界』に来て、そんなになるまで苦労したんだろう」 「へっ、成る程な。その格好、お前も俺と同じクチか」 一口水を含みながら改めて少年の身体を見る。パイロットスーツらしきもので覆われていた。この世界ではとんとお目にかからない筈の代物だ。 「そっちも苦労したんじゃねーのか?」 スプーンでオートミールを掬いながら尋ねる。 「それなりにはな。召喚主が悪人でなくて良かった……お前の居た世界が測定出来たら、帰れるようにしよう」 「な、何!?帰れるのか!?ていうかお前、俺を帰せるのか!?」 口に運ぼうとしていたスプーンを下ろし、矢継ぎ早に尋ねる。 「ああ」 平然と肯定する。 「信じられねぇな……俺を呼び出した奴も俺を帰すことが出来ないって言った上にサイバスターの転移機能だってここじゃ機能しないってのに……」 「フッ、言うなれば、『俺のアストラナガンの力を持ってすれば造作もない』といったところだ」 ニヤリと口の端を持ち上げる。 「その言い方は止めてくれ……嫌な奴を思い出しちまう」 額に掌を当てながら呻くようにマサキは言う。 「冗談だ」 「というかお前、シュウの野郎を知ってるのか?」 「有名だからな。どんな世界に置いても、存在しているのならばシュウ・シラカワの名前を聞かないことはない」 さらりと、シュウをフルネームで呼んでみせる。 「どんな世界でも?……お前は……」 「俺の名はクォヴレー・ゴードン。いくつもの世界を旅している者だ」 「……成る程な」 深く、マサキが頷く。 「信じてくれるのか?かなり突拍子もない話だが」 些か驚きの表情でもってクォヴレーはマサキを見た。 「その格好で、シュウのことを知ってて、しかも俺を帰すことが出来るって言うんだぜ?むしろそっちの方が納得がいくってもんだ。それに、気が付いたら異世界ってのは、俺にとっちゃ今度ので二回目なんだ。その程度の事で今更驚きもしねーよ」 「確かにそうかもな」 かすかに口元に笑みを浮かべながら頷く。 「ところで、それなら俺のことも知ってるのか?」 「ああ。お前と、風の魔装機神サイバスターはいつも心強い味方だった」 「そりゃ、ありがたいな」 スプーンを置き、伸びた後ろ髪をさっと掻き上げ、マサキは結婚後対外的に名乗るようにしている名前で自己紹介した。
「んじゃ知ってるかもしれないが、確認も込めて名乗らせて貰うぜ。俺は風の魔装機神サイバスターの装者、ランドール・ザン・ゼノサキスだ。よろしくな、クォヴレー」 おまけ ガンゼロにおける機体 対メイジ戦の考察 その2 風の魔装機神 サイバスター 神聖ラングラン王国錬金学アカデミーが、予言に従って開発した16機の魔装機のうち、取り分けて強い力を持つ精霊と契約を交わした四機を、分類上魔装機神と呼ぶが、サイバスターはその中で最も最後にロールアウトした機体である。 制作者はウェンディ・ラスム・イクナート。 元々制作された世界が世界であるため、呪的な防御力については本作味方機三機中では間違いなく最上。サイバスターという名前も、名前を用いた害ある呪いを防ぐために用いられる仮の名前である。 ある程度の自己修復機能も持つが、ディス・アストラナガンのような化け物じみた回復力ではない。 特別バリアシステムなどは持ち合わせていないが、装甲は精神感応金属オリハルコニウム製であり堅牢。風の上級精霊サイフィスの加護を受けており、風の系統魔法では力を歪められてしまう。 武装はかなり強化されており、ファミリアはもちろんハイ・ファミリアに、ディスカッターもバニティ・リッパーにランクアップされている。 また、神殿での修行の成果か、乱舞の太刀も習得しており、現状、サイバスターとしては最大の火力を誇る。 今回はここまで……
>>718 味方機…三機だと…?
ともかく乙
マサキとクォヴレーが一緒に戦ったとかどういう状況なのか微妙に気になるんだぜ
黒髪で黒い機体だったり、オリキャラ史上一番不幸な女性をイジめたり、暑苦しい人と仲良くなったり、大極に踏み込んではいないんですね乙。 つーか、どう考えてもコイツだよなぁ、あの人…。
久保の人乙 グリリバ(笑)の登場におどれーた。って第二部フル改造済?
やはり重婚している訳ですねGJです しかしエルフとの確執が一気に解決しそうなw そういえば呼び出したのは誰だったんでしょうかね
久保の人乙です。 しかし味方三機か…あとスタンドアローンできるのは…アレだw 次回にwktk
容量やばいんで次スレ立ててみます。
早いなぁ まだ800いってないのに496kbか
まだ容量が残っていたのか…… いいだろう!今度はこっぱみじんにしてやる!! あのおちこぼれの魔法のように!!
描写からするとジョゼフに呼ばれたのかな?虚無に呼ばれたとしてだが。 残りがテファならおっぱいつながりでラミア&アンジュルグを呼んでくれるはず!
梅ようぜ
久保乙ー ルイズに召喚されてたとしてもマサキは納得せずに飛び出してたのかなぁ
○________ 埋め尽くせー |:|\\:::::||.:.||::::://| /イ |:l\\\||.:.|l///| ./// __ ィ ,. -――- 、 |:|:二二二二二二二 !// / / / \. |:l///||.:.|l\\\|/ / / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./ / / l l l lハ |:|//:::::||.:.||:::::\\l / ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / l从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄ | イ ヽ \__∠ -――く __ .Z¨¨\ N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\| / / | / ! ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ . \ / / \ / l . \\_____ivvvvvvvv| V. ( ( /Tえハフ{ V ‐一 '´ / __. -―=-` / / l l \! | / 入_.V/| >-ヘ \:::∨::∧ ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ / / / l. l __ |\ l/V _{_____/x| (_|::::__ノ }ィ介ーヘ / ,.-‐ ' ´ / ____  ̄ ̄フ ∧ l )-ヘ j ̄} /| /___/xx| _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___ { / `< / \| { V /`7. /___./xXハ ( |:::::::::::::::::ハ >' ____ 二二二二二二> / __ 〈 . \_ |/ /___l XX∧ __≧__::::::::/:∧/ `丶、 / { {____ハ } | ヽ /____|]]∧ __|__L.∠ ム' <`丶 、 `丶、 / \_____/ / | ', { |]]]>' __ ∧ l\ \ 丶、 ` 、 ∠ -――- ..____ノ / ノ } l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/ V' \ ヽ `丶\/ / / ∧ { \ | .|>' / // :/ :/ : ', l \ ヽ ,.-――┬ \ / 入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l :/ :l l \V ヽ \ ,. '´ `ー′ \ `< | { / | /〃 :|/ __V/ ̄| ̄ ̄{_ \_ ` < \ `' ┴ヘ { .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' | / ノ`y‐一' >、_/ / ̄ 7丶、_ 丶 \ ヽ /`ー「と_し^´ | | } ム-‐' / / \_/ / / ヘ \ ヽ _>-ヶ--∧_} ノ j /` 7 ̄ ̄ ̄{ (  ̄ ̄`ー‐^ーく_〉 .ト、_> ', / 人__/ .ィ {__ノ`ー' ヽ 人 \__ { } | V 人__/ / | /  ̄{ ̄ >‐ ァ-、 \ 〉ー} j { / ./ ∨ __  ̄ ̄ >-</ / ̄ ̄ 廴ノ ' <ヽ__ /し / < )__ \ _r‐く___/ / < ) \ {__ノ / Y__>一' / ___r―、_\ >' `ー' ,. ´ >.、 \__ノ { ∠二)―、 `ー‐┐ ∠ ∠_r‐--― <__ ∠ )__ \_ ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|> ∠)__r―――-― ..__{> ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>