あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part178
1 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part177
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1223577802/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
ロボットはよくわからないんだが、久保とかいう人の乗ってる物はそんなに
すごい代物なのか?
さすがにガンダムとかマジンガーZ並の物があの世界にきたら面白いとおもうが。
荒らしコピペに関する説明
このぐらいまで単純化できそうな気がする。
(中略)
対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
単なる荒らし文の一部抜粋
こんな物が役に立つと言う人間は常識が欠落しています
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり
さるさん規制への無頓着な書き手の多発に注意を呼びかける有意情報+α
荒らしが面白がってコピペに組み入れたためいまだにスルーされて役に立ってないだけで
ここだけは見る意味有り
【書き手の方々ヘ】
(中略)
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
他所(リリカルなのはクロスSSスレ)のテンプレ丸コピ
まさに盗作そのもの
盗作者が盗作禁止を訴えるというまさに狂人の所業である
一つ抜けてた
4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/17(日) 02:13:03 ID:9AxAAVZE
やる夫が小説家になるようです (以下略)
これも荒らしコピペの一部
荒らし本人以外に「役に立つ」人間など居ない
>>5 まぁ、それらを軽く凌駕する機体と言うか。
チート?うん。チートみたいな兵器。
自律行動可能なガンスレイブって武装あるし、
えげつないビーム砲っぽい何かを持ってるし、
必殺技は虚空のかなたへ敵を消し飛ばす様なありえない何かすごいの持ち。
あ、久保さんは銃の神様らしいけど近接武器で鎌とショットガン持ってるから、
オールレンジです。はい。
まぁ、サルファが行方不明になってるから、
あんまりあれの経緯は良く覚えてないけど、
とりあえずやばすぎる機体という認識で良いはず。
>>9 ありがとう。それがロボット対戦の主人公なんだよな・・・
それでゲームとして成り立つのかw
大丈夫だ、バルサン焚けば死ぬ。
>久保
別名ゴキトラナガン
HP回復、EN回復、全体バリアー、分身持ち。
バリア貫通の無限使用中距離白兵武器、全体攻撃、長射程武器一杯。
周回ボーナス無しでラスボスに単騎突撃しても勝てないことは無い程度の性能。
イデオンに比べりゃかわいいもんだ
イデオン召喚したらやっぱさいごは全滅しかないのだろうか
>13
如何に「俺達は…やることが全て遅かったのかも知れん…」ルート逝きを阻止するかだな。
非常に厳しいものがあるが
このスレで最初に投下するのも私だ……!
というわけで、他にいないようでしたらこのまま行きますね〜。
きょ、お〜にぃあ〜きた〜バ、ル、トルぅ〜
ディス・アストラナガンを知らない人のために
参考:
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm2729914 ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm2730232 ついにっ!最強にして最狂、そして最凶のヤンデレ機動兵器参上!
第3次スーパーロボット大戦αのサントラをお持ちの方は、是非とも今回のサブタイトルになっている曲を準備しておいてください。
俺のつたない文章でも臨場感たっぷりになるはずです。
因みに、前回ラストでほのめかしていた、セクハラ・オスマンとコッパゲの未知との遭遇話が無いのは仕様です。俺が話をすっぽかしてたとかいうんじゃありません。
ルイズ達の受ける衝撃のでかさを読み手の皆さんに新鮮に感じてもらうため、二人の描写は全カットとさせてもらいました。
「品評会?」
「そうよ。クォヴレー、アンタ何か芸が出来ない?」
破壊の杖の一件の翌日。
ルイズの問いかけに、クォヴレーはこれまでで一番困ったような表情をする。
「……悪いが俺は戦うために生まれたような存在だ。それなりに人並みの感性も持ち合わせていると思うが……芸の類をやったことはない」
「そうよねぇ……はぁ」
さてどうするか。無難に考えれば、得意だと言っていた銃を使った射的が最も安牌か。
「仕方ないわね。じゃあ、銃の準備でもしてて頂戴。的は私が手配するわ」
「? 射撃風景を見せるのか?別に芸ではないぞ」
「それでも、他の人にはそう簡単に出来ないわ。アンタ、上手いんでしょう?アンリエッタ様の前でやるには無骨すぎるけど、他に無いだろうし」
ルイズの言に、しばし考え込むような顔をしていたクォヴレーが顔を上げる。
「……他には出来ないことをやれば、それは芸になるのか?」
「そりゃそうよ」
「それなら一つ、心当たりがある。おそらくはこのハルケギニアの誰もが真似出来ないはずだ」
自信ありげな笑顔で語る。
「本当!?何をするの?」
「俺の半身、ディス・アストラナガンを呼び込む」
「でぃす……あすとらながん……?」
何でも、そのディス・アストラナガンとやらは、乗り物であるようだった。
曰く、様々な世界を駆けるためのものだそうで。
一度、そのディス・アストラナガンとやらを見せてみろと言ったところ
「……何で夜中なのよ」
暗闇の中、学院を離れて草原を往く二人。
「芸というモノは人を驚嘆させてこそなのだろう。ならば、あまり人目に付かないところで見せる方が良い。知れ渡っては効果が薄いからな」
「まぁ、そりゃそうだけど」
しかしここまで来る必要があるのだろうか。夜中なら、別に建物の影で見せれば済むことではないか。
そう尋ねたところ
「大きいのでな。ちょっと見ただけでも、明らかに異質なのがばれてしまう」
と答えが来た。
(どんだけ大きいのよ。というかそれ、品評会の会場に入るのかしら)
先を進むクォヴレーに付いていきながら、心中呟く。まぁ、それは抜きにしても興味はあった。
銃以外にも、何か自分の使い魔は胸を張れるモノがあるらしい。
「ここならばいいか……」
ぴたりと、クォヴレーが足を止める。
「ここって……」
召喚の儀が行われた場所であった。
「ん……?」
クォヴレーがくるりと振り返りながら、空を見上げる。
「どうしたの?」
倣って同じ所を見る。
「何かが来る」
険しい視線の先、月明かりにその姿が映し出される。
「あれは……ドラゴン?」
「竜?ってことは……」
「あら、待ちかまえられちゃってたみたいね」
地上からほんの数メイルの所にまで降りてきた竜の背で、口に手を当てながらキュルケがつぶやく。
「降り始めた時には既にこちらを向いていた。勘が良い」
着地した竜より、そういいながら青いショートヘアの少女が降りる。キュルケもそれに続く。
「何でアンタ達までここに来るのよ!」
「あーら、ダーリンと二人で夜のデートだなんて、この私が許すと思ってるの?」
「ででで、デートなんてしてないわ!単なる品評会の打ち合わせよ!」
「こんな夜中に、こっそり学園抜け出して?そんな出任せでこの私がごまかせると思っているのかしら?」
そんな手には引っかからないと鼻を鳴らすキュルケに、クォヴレーが首を振る。
「いや。ルイズのいうことは事実だ。余人に知られては当日興ざめすると思って、あまり人気のないところを選んだに過ぎない」
「あら……そうだったの?ごめんなさいね。そうよねぇ、考えてみればルイズがダーリンとデートにこぎ着けること自体土台無理な話だったわ」
それでもルイズを弄るのを忘れない辺り流石というか何というか。
ぎゃいぎゃい騒ぐ主人と隣人は放置し、竜とその主に近づくクォヴレー。
「初めまして……ではないが、まだ名前を交わしていなかったな。クォヴレー・ゴードンだ」
「私はタバサ。こっちはシルフィード」
「きゅい」
「よろしく頼む」
和やかムードで自己紹介を済ませた二人と一頭だった。
「とにかく!的はずれな疑いも晴れたんだから、アンタは帰りなさいよね!」
「別に良いじゃない、私とタバサぐらいなら。それに、私としてもダーリンが何をするのか興味はあるし……」
唇に指を当てつつ、にんまりと笑みを浮かべてクォヴレーを見る。
「まぁ……二人ぐらいなら別に良いだろう。ただ二人とも、品評会当日までは他言はしないでくれ」
もっちろんよぉ。約束する。不満げなルイズを余所に二者二様に頷く。
「……それで、これからアストラナガンを呼び込むが、三人とも、気をしっかり持ってくれ」
「はい?」
予想だにしない言葉に、つい聞き返してしまう。
「昨日は学院長とコルベール教諭の前で、アストラナガンを呼び込んだんだが、その時には二人とも腰を抜かしてしまって、あとが大変だった。……外見が恐ろしいらしい」
「ちょ、ちょっと!学院長達がもう見てるの!?」
「大丈夫だ。二人とも、進んでこのことを話そうとはしないだろう。自分たちが腰を抜かした話なんだからな。芸の新鮮さは失われない」
少々意地の悪い顔をしながら言うクォヴレー。
「そういう問題じゃ無いわよ!」
何故自分の使い魔の持つ力を、自分より先に他の人間が関知しているのか。それが凄まじく悔しい。
「何で私より先に二人が見てるのよ!」
「見せる機会が無かったのでな。聞かれもしなかった」
しれっとそう答える。
というか普通、使い魔に『あなたはどんな乗り物を持っているの?』と聞くメイジが居るはずが無いのだが。
「ちょっとルイズ」
つんつんとつつくキュルケ。
「ダーリン、何をするの?」
「分かんないけど……あすとらながんとかいう乗り物を呼び込むとかって」
「乗り物を呼ぶ?……タバサの竜みたいなものかしら?」
不思議そうな顔をする二人。タバサも興味深げに少年を見る。
「では三人とも、気を張っていろ」
クォヴレーが一歩進み出ながらそう言った。
これから一体何が始まるのかと固唾を呑んで見守る三人。
「テトラクテュス・グラマトン……」
クォヴレーのつぶやきと同時に、草原に結界が現れる。
最外郭を十角形が覆い、その内側に少し小さい五角形が、そのまた内側に少し小さい五角形が……と、どんどん五角形が内側に形成されていく、紅い、まるで血のように紅く輝く結界。
それが、直径20メイル余りの範囲で地面に描かれていた。
「な、何あれ!」
「何かの魔法?もしかして先住!?」
バタバタと結界から吹く風で三人のローブが揺れ始める。
「ディス・レヴ、フルドライブ!」
結界が一際輝く。
「ティプラー・シリンダー始動っ、来い。我が半身、アストラナガン!」
結界の中心部から、黒い、巨大な腕が現れた。
続けて翼、背中、頭部、もう片方の腕、やがて全身が。
黒を基調とし、金色に彩られたそれは、ヒトガタをしていた。だが、背に生えた翼が、それ以外の物を見る者に連想させる。
呆然とするルイズやキュルケの隣。反射的に戦闘の構えを取っていたタバサが、驚愕に目を見開きながら、呟く。
「悪魔……」
「b”d8d”yxjk40gmkーっ!」
それに反応するかのように、4人と一頭の前で異形が雄叫びを上げた。
「ひゃあああああああああああああああ!?」
「きゃあああああああああああああああ!?」
思わず揃って悲鳴を上げつつお互いに抱きついてずざざざと後ずさるルイズとキュルケ。
杖を構えたまま、戦闘態勢を解かないタバサもよく見ると若干震えている。
「これが……俺のアストラナガンだ」
巨大な悪魔を背景に、ゆっくりとクォヴレーが振り返る。
「どうだ、ルイズ。これは誰にも真似出来ないだろう」
その口元には得意げな笑みが浮かんでいたが、ルイズにはそれがまるで得物を前に舌なめずりをしている肉食獣のようにも感じられていた。
「そそそそそそそう!あああああああああ悪魔をををををよよよよよ呼ぶだなんて!すすっすす凄いのねっ!」
半泣きになりながらも必死に主人の体面を取り繕おうとするルイズ。
「フフフ……悪魔か。よくそう呼ばれる」
ニヤリと楽しそうに口の端を持ち上げるクォヴレー。
「あなたは……これを半身と呼んだ。それなら、あなたは悪魔?」
油断無く杖を構えたまま、タバサが尋ねる。その視線に敵意を感じ、笑みを修めると真面目に答える。
「いいや、違う。俺が『悪魔使い』、こいつが『悪魔王』と呼ばれることもあるが、そもそも俺たちはどちらも悪魔ではない」
「では、そのアストラナガンとは何?」
ディス・アストラナガンの真っ赤な目を睨み付けながらタバサが問う。
「そうだな……ハルケギニアの認識方法で、最も近いのはゴーレムだろう」
「これがゴーレム……?」
訝しげな表情で巨体を見上げながらも、徐々にタバサから殺気は薄れていく。
「もっとも、俺たちに最もなじみ深い分類は、戦闘用ロボットだがな」
「ろぼっと……?」
「語源としては労働という意味だ。人が負う労働の重荷を、肩代わりした機械をロボットといった。だが、やがて人はその機械仕掛けに武器を持たせ、戦場においての武器として使っていった。
以前俺が所属していた部隊には、こうした戦闘用ロボットが大量に配備されていた」
「こんなのが……大量に……?」
がくがくと震えながら呟くキュルケ。
「他のはもう少し、外見的に大人しいがな」
一部の機体は除かれるが。フェイスオープン状態のガイキングとか。
「機械が……ロボット?」
「そうだ。ハルケギニアにも時計があるだろう?その時計の機構をより複雑化し、巨大化させ、人の形を取り、人の動きを模する。それによって魔法が無くとも人は強大な力を手に入れた」
「……それはおかしい。これからは明らかに魔力を感じる」
ディテクト・マジックを使うまでもなく、もはやオーラとしてにじみ出ている。
「コイツが少々特殊な部類に属するだけだ。アストラナガンには負の無限力を糧とする機構も備わっているからな」
「負の無限力?」
「簡単に言うのなら、人の死後の怨念や悪霊だとかそういったモノだ」
「……幽霊?」
「そう言い換えて貰って構わない」
「…………」
先程、落ち着きを取り戻し、お互いに抱きしめ合っていることに気づいて気まずそうに離れたルイズとキュルケのうち、キュルケの後ろに入り込んで顔だけを覗かせる体勢になるタバサ。
「あら?どうしたの?タバサ」
質問は終わったと見て、主に向き直るクォヴレー。
「ルイズ、どうだろう。品評会でこれを……」
「出せるかあああああぁぁぁぁぁ!」
全力でツッコミに転じるルイズ。
「アンタねぇ!自分でも言ってたじゃない!学院長達が腰抜かしたって!私たちにも散々言い含めていたのに、こうしてタバサが脅えちゃうような代物よ!?」
自分たちも怖がって抱きしめ合っていた事実は記憶の因果地平の遙か彼方である。腕を放す時にルイズとキュルケのアイコンタクトのみで交わされた暗黙の了解だった。
「品評会の出席者を心臓麻痺で殺すつもり!?」
しかしまぁ、とキュルケも頬に手を当てる。
(学院長もよく腰を抜かす程度で済んだわね……さっきの叫び声、絶対寿命が縮んだわ)
実は学院長達の時には、叫び声を上げていないのだが。
「……つまり、ダメなのか」
「ダメもダメ!大ダメよー!アンタの出し物は射的!以上!議論の余地無し!良いわね!?」
「そうか……」
少しがっかりしたようにも見える。
「まぁ、ね。ダーリン、これは仕方ないわよ」
正直、キュルケとしても、今クォヴレーに近づきたくはない。それは必然的にディス・アストラナガンに近づくことにも繋がるから。
「わかった。それではルイズ、自由時間で出てくる。二時間後には戻る」
くるりと愛機に向かいながら、そう言い残す。
「え?……アンタ、今日も行くの?っていうか、それで?」
「ああ。折角呼び出したしな」
ひょいっとディス・アストラナガンの掌にのる。
「そういえばルイズ」
何かを思い出したようにこちらに向き直るクォヴレー。
「ここから西に、何か浮かんでいるか?」
「西?」
一瞬、何を言っているのかが判らない。
「浮遊大陸アルビオンがある。別名を白の国」
キュルケの後ろから、タバサが相変わらず顔だけを覗かせながら言う。
ああ、とルイズは納得するが、同時にふと思う。
(こいつ、何でそんなこと聞くのかしら)
「アルビオン?あれをアルビオンと言うのか?」
少し驚いたように目を見開くクォヴレー。
「アルビオンがどうかしたの?ダーリン」
「先程言った部隊にいた頃、一時期乗っていた戦艦と同じ名前だったのでな。少し懐かしく思った。ありがとう、タバサ」
教えてくれたことに礼を述べつつ、持ち上げられたディス・アストラナガンの掌より腹に開いた穴へと飛び移る。
「では、二人はまた明日。シルフィードも。ルイズは、あとでな」
「ええ。いってらっしゃ〜い」
ひらひらと手を振るキュルケ。何というか、我ながらおかしな事をしていると思うが、一応この場はこれで間違っていない。釈然としないが。
バクン、とディス・アストラナガンの腹に開いた穴が閉まり、バッと翼を広げながら立ち上がるディス・アストラナガン。
「ちょ、ちょっとまさか……!」
翼を羽ばたかせながら、一直線に夜の空に向かって飛び上がっていった。
「ウソぉ……?飛ぶの?あれ?」
翼が付いていはしたが、まさか本当にあの巨体で飛ぶとは思ってもいなかった。
「……フライでも、レビテーションでも、風石でも、普通に羽ばたくだけでもあの加速は異常。多分、あれが彼の言っていた機械の力」
既に緑色のフレアの残滓も見えなくなっている夜空を仰ぎ見ながら、タバサが呟く。
そういえば自分の使い魔はどうしたのかと振り向いてみると、
「きゅい〜」
何やら教会への参拝者がするように両手を合わせて、先程までディス・アストラナガンが居た辺りを拝んでいた。
シルフィードで学院へ戻り、ルイズもキュルケも、まるで夢現のような面持ちで帰ると、聞くより先にシルフィードから話しかけてきた。
「あれが、シルフィの言った生き物の死後を司る神様なのね。きゅいきゅい」
「神じゃない。彼はゴーレムといっていた」
「んーん、シルフィには判るのね。あれは神様。死んだあと誰でもお世話になる神様なのね」
どういう事だろうとタバサは首をひねる。自分の使い魔は神と呼び、その半身は単なるゴーレムだと言い、外見は全く悪魔そのもの。
だが人の死後、幽霊を糧とするという彼の言と、シルフィードの言葉は妙に符合する。
自分の級友が呼び込んだのは、実はとてつもない災厄の塊なのではないかと、タバサは顔を歪めた。
ひとまずはこれにて……飯喰ってきまーす。
乙
主人公機にしては禍々し過ぎるから仕方ない反応w
エルフやら教皇やらからは悪魔認定されるだろうねぇww
メガテン的には天使も神も悪魔の一種だから大丈夫さ!!
狂信者まで悪魔の一種になっちゃうんだけどね、CMPにしまえるしw
ところで「誰にも出来ない隠し芸」に
「一瞬で髪の色チェンジ、しかも戻す時も一瞬」は駄目だろうか。
あんな真似魔法を使わなければそれこそサイヤ人くらいしか出来ないぞw
乙です!
乙でしたー。
まあ、ディス・アストラナガンは悪魔絵師の手によるデザインですからね。誰が見ても悪魔なんでしょう……
26 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 11:05:47 ID:jckNfP3H
1z
このぐらいまで単純化できそうな気がする。
爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会
最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち
爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり
途中飛ばすけど、
対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
今回効いたみたいだから次スレ以降以下の文を
カウンター用に
>>2あたりに当面入れるって事でどうだろう?
本スレのテンプレは現在
>>1のみです
それ以後は完全なコピペ荒らし
荒らしコピペに関する説明
このぐらいまで単純化できそうな気がする。
(中略)
対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
単なる荒らし文の一部抜粋
こんな物が役に立つと言う人間は常識が欠落しています
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり
さるさん規制への無頓着な書き手の多発に注意を呼びかける有意情報+α
荒らしが面白がってコピペに組み入れたためいまだにスルーされて役に立ってないだけで
ここだけは見る意味有り
4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/17(日) 02:13:03 ID:9AxAAVZE
やる夫が小説家になるようです (以下略)
これも荒らしコピペの一部
荒らし本人以外に「役に立つ」人間など居ない
【書き手の方々ヘ】
(中略)
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
他所(リリカルなのはクロスSSスレ)のテンプレ丸コピ
まさに盗作そのもの
盗作者が盗作禁止を訴えるというまさに狂人の所業である
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html ・Jane Style(フリーソフト)
http://janestyle.s11.xrea.com/ ・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
前の作品投下終了から30分以上が目安です。
【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は応援スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。
【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
今頃コピペ荒らしか
ヘボいなぁ
荒らしコピペしか仕事がないニートの分際なのに遅せえぞpgr
テンプレじゃない、有志の注意文だ
コピペ荒らしが湧かない限り貼ることすら必要でない
だから区別がつかないからそこら辺をはっきりさせようと言うことだ。
荒れるからこれ以上このことについては避難所で頼む。
>だから区別がつかないからそこら辺をはっきりさせようと言うことだ。
だから冒頭で断言してるじゃないか
「本スレのテンプレは現在
>>1のみです」と
だったら、わざわざ転写する必要がない。
逃げ道を作ってるけど、ただの荒らしにすぎんよ
正直言って要らん。
・繰り返し偽テンプレを貼っている方へ
行為障害の可能性があります。
大至急精神科に問い合わせてください。
また猿が来やがった。
スル−だ
【NGWord:このぐらいまで単純化できそうな気がする】
とかで全部消えるから。
Part175立てたテンプレと荒らしの区別も出来ない馬鹿の所業を忘れたか?
荒らしに礼を言われると言うある意味最低の
>>1だったあの馬鹿を
そしてなし崩しに荒らしの存在に考え及ばせる事無く継続投稿強行した
軽率な書き手たちと馬鹿丸出しの
>>1乙レスした連中を
それらが「荒らしはスルー」と言う観点上最悪に近い行為だと言う事実には
目もくれないで話を聞く態度の見える相手となったら問答無用で拒否か?
初心者にスルー対象を教えるための臨機応変な情報開示は必要だ
やり方に関しては一考の余地は残ってるがな
頼むからみんなからウザがられていることに気づいてくれID:CEzDz2Y3
なんて、口が裂けても言えねえ……
wikiにあるのは大体読んだ。
エヴァの再帰モノもそうだがこういう一定の枠で色んな人が書くという
ジャンルがたまらなく好き。
何か他にもあったら教えて欲しい
>>45 「ゼロ使い魔」とか「SS」とかの単語でググれ。
これ以上はスレ違いだ。
秋と言えば運動会。
どの作品とのクロスか覚えてないがギーシュとルイズが決闘で
なぜか障害物競争で戦おうとするSSあったなww
戦う前に作者が力つきたみたいだがw
つーか前スレがまだ埋まってないのだが
>>47 たしか、かの伝説の奇作怪作「バハムート・ラグーン」とのクロスでした
個人的には最後にタバサと結ばれ、彼女を連れてラグーンに帰還するというのを期待していたのだが
50 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/14(火) 18:45:49 ID:jckNfP3H
サイトより……はやーいwww
ビュウよりサラマンダーの方がかわいそう。
久保乙です
召喚時の声が、久保では無くイングラムに脳内自動変換されたww
まぁ、初登場時からして禍々しさの塊でしたからなぁ
>>23 そして髪の色だけでなく声と性格も変わるとww
悪魔とアクマとAKUMA
人の畏怖するものって意味では、LOWもCHAOSも似通ったもの?
だれか恋姫†無双のキャラを召喚しないかな
LAW
ハルケギニアの暦
→1年は12の月と4の週(1週間8日)で構成される384日
新年の始まり(日本の元旦)から10日間は始祖ブリミルの降臨祭という休暇となる(戦争も休戦とする習わし)
0.虚無の曜日 (1巻p.165) 休暇である虚無の曜日の夜に「破壊の杖」盗難
1.ユルの曜日 (1巻p.141) フリッグの舞踏会は「破壊の杖」盗難の翌日
2.
3.
4.ラーグの曜日(8巻p.221)
5.
6.
7.ダエグの曜日(9巻p.169) 翌日は虚無の曜日
順番不明 マンの曜日(6巻p.150)
イングの曜日(7巻p.125)
1.ヤラの月 (7巻p.164)
2.ハガルの月 (8巻p.221)
3.
4.フェオの月 (5巻p.130)
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.ウィンの月 (6巻p.150)
順番不明 5? ウルの月 (5巻p.145, 12巻p.146)
6? ニューイの月 (3巻p.203) アンリエッタの結婚式
11? ケンの月 (6巻p.20) 夏休みが終わって二ヶ月
第一週 フレイヤの週
第二週 ヘイムダルの週 (5巻p.131)
第三週 エオローの週 (8巻p.20)
貨幣
→金貨 エキュー
銀貨 スゥ 100スゥ = 1エキュー
銅貨 ドニエ 10ドニエ = 1スゥ
新金貨 金貨の四分の三の価値 3/4エキュー(1新金貨で75スゥ)
デルフリンガー 新金貨100枚 = 75エキュー
官能小説 55スゥ
トリステインの生活費 1人1年120エキュー
シュヴァリエの年金 年500エキュー
ハルケギニアの衛星(月)
→大(青)小(赤)二つある。大きい方は地球の月の見た目で二倍ほどの大きさ。
小さい月の軌道は大きい月より内側にある。よって、小さい月の公転周期は大きい月よりも短い。
二つの月が重なる夜を「スヴェル」の月夜と呼ぶ(2巻p.119)。
サモン・サーヴァントの呪文
→原作(何度か失敗)
我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン!
我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!
→アニメ版(一発で成功)
宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ
神聖で美しく強力な使い魔よ
私は心より求め訴えるわ
我が導きに答えなさい!
コントラクト・サーヴァントの呪文
→我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
五つの力を司るペンタゴン
この者に祝福を与え、我の使い魔となせ
コントラクト・サーヴァントの洗脳効果
→現状(11巻&タバサの冒険2)では情報は足りず、荒れるばかりで話題にするだけ無駄っぽい。
スレ住人のスルー力に期待。
長さの単位
1サントは約1センチ(1巻p.39 / 2巻口絵人物紹介)
1メイル=約1m
1リーグ=約1km
一日目
昼 :召喚される
夜 :使い魔とハルケギニアに関して話して、洗濯するよう下着を押しつけられる
二日目
早朝 :シエスタに洗濯場を教えてもらう(アニメ版)
朝 :ルイズを起こして着替えをしてるところにキュルケがからかいに来る
朝食 :アルヴィーズの食堂で貧しい朝食
授業 :ルイズがシュヴルーズの授業で錬金失敗、後かたづけ、渾名をからかってメシ抜き
昼食 :シエスタから賄いを貰う代わりに配膳手伝い、ギーシュが恥を掻き口論に(小説版ではここでシエスタ初登場)
決闘 :ワルキューレにボコられる、諦めないでいるとギーシュが剣を寄越してガンダールヴ発動、ワルキューレ七体をなで切りにして勝利
※同時刻、コルベールがオスマンの執務室にルーンのことで報告に来てロングビルが追い出され、王宮に報告するしないの口論の後、ロングビルが戻ってきて決闘事件を報告、決闘を静観してルーンはガンダールヴのものと断定
※ここから三日間負傷が元でルイズの部屋で寝たきり
四日目
朝 :目覚める、シエスタに事情説明を受け、ルイズに礼を言うとベッドから追い出される
使い魔生活一週間
うち三日間はパンツのゴムの件でルイズからメシ抜き(正式な食事は厨房で貰っている)
十一日目(“使い魔としての生活”が四日目からはじまったとして)
朝食 :厨房で食事しているとフレイムが姿を見せる
授業 :夢の件でルイズに折檻される、フレイムの視線を感じる
※同時刻、ロングビルがコルベールから宝物庫についての情報を聞き出している
夜 :キュルケの誘惑があるがルイズに邪魔され断念、キュルケの男から襲われるかもと思って武器を欲しがるついでにルーンの力について相談、ルイズは武器には快諾してルーンについては推測と忠告をする
十二日目 虚無の休日
昼前 :キュルケが目を覚まして出かけるルイズ達を発見、タバサに追跡を頼む
三時間後:トリスティンの武器屋でデルフリンガーを買い求める、ルイズ達がでたあとキュルケがシュペー卿の剣を買い叩く
夜 :フーケが宝物庫の下見、ルイズ達が決闘に来て壁にヒビを入れる、フーケがゴーレムを使って「破壊の杖」を盗む
十三日目
朝 :フーケ対策会議が開かれてその場にいたルイズ達が証言をする、ロングビルがフーケの情報をもって来る、ルイズ達だけが捜索隊に志願
昼 :情報のあった小屋に到着、破壊の杖を取り戻す、ゴーレムに襲われ破壊の杖を使って倒す、ロングビルが正体を現すが捕まる、帰ってオスマンに褒められる
夜 :フリッグの舞踏会
23日目
夜:サイトがルイズに夜這いをかける。ワルドがフーケを脱獄させる
24日目
朝:(授業):ギトーの授業
昼:アンリエッタが学院に来る
夜:アンリエッタがルイズの部屋にお忍び。ルイズがアンリエッタの手紙を取ってくることになる
25日目
朝:ルイズ、サイト、ギーシュ、ワルドがラ・ロシェールに向け出発。キュルケがタバサに頼んでルイズ等を追跡開始
昼:フーケがラ・ロシェール金の酒樽停にて傭兵を雇う
夜:ルイズ一行、ラ・ロシェールに到着、直前に地上のサイトとギーシュは傭兵に襲われるがキュルケ達に助けられ無事に到着、ルイズ一行にキュルケとタバサが参加
26日目 スヴェルの夜
朝:ワルドの発案で女神の杵停中庭にてサイトとワルドが決闘
夜:ルイズ一行、フーケ・傭兵達・仮面の男(ワルド)に襲われる
キュルケ・タバサ・ギーシュを囮に残し、ルイズ達は船を買い取ってアルビオンへ出航
キュルケ達は傭兵を追い散らすが精神力切れ、フーケも同じく、キュルケとフーケが殴り合い
27日目 アルビオン−ラ・ロシェールの最接近日
朝:空賊船に捕まるが、すぐに王党派の船であることが発覚し、ウェールズ皇太子に出会う
夜:手紙を返して貰う。戦前パーティーに参加
※キュルケ達はこの間、シルフィードに乗りアルビオンへ向かっている
28日目
朝:ワルドとルイズの結婚式だが、ルイズが断りワルドは本性を現す。ウェールズが殺されワルドはサイトに敗れる
昼:(正午):貴族派の総攻撃開始。キュルケ達が助けに来て、シルフィードに乗ってアルビオンから離脱、キス(二巻はここまで)
昼:(日中):アンリエッタに報告を済ませて学院に帰還
※攻撃開始からすぐニューカッスル城は落ちた
29日目
昼:(授業):コルベールが内燃機関を披露
夜:フーケがロンディニウムの酒場でワルドと合流
30日目
昼:(日中):ワルドとフーケが戦跡を検分、クロムウェルがウェールズを生き返らせる
31日目
アンリエッタとアブレヒト三世の婚約が公式に発表される。式は一ヶ月後を予定
※
それを受けゲルマニア首都ヴィンドボナにてトリスティン−ゲルマニア軍事同盟締結
その翌日アルビオン新政府樹立公布
すぐにトリスティン・ゲルマニアに不可侵条約の締結を打診し、両国は協議の結果これを受ける
約32日目
朝:オスマン経由でルイズに『始祖の祈祷書』が渡される
夜:サイト、シエスタにお茶を貰い、一緒に風呂につかりながら四方山話
約38日目
昼:(昼食後):ルイズ、ヒトデ型セーターを編む。サイト、シエスタを押し倒して(但し、ものの弾み)ルイズに追い出される。
約41日目
昼:ギーシュがテント生活をしているサイトを発見して、一緒に飲んだくれる
夜:キュルケの発案で、サイト・ギーシュ・タバサ・シエスタとその使い魔一行で宝探しに出発する。
約51日目
昼:(昼食前):宝探しでガラクタを発見する。昼食を取って次の目的地をタルブの村に決定
昼:(昼食後):タルブの村で零戦を発見
夜:(夕方):学院から伝書フクロウが来る
約52日目
サイト達、学院に帰還。持って帰った零戦の運賃をコルベールに肩代わりして貰う。
約55日目
コルベールがガソリンの精製に成功し、エンジンが少しだけ動く
約57日目
昼:(日中):ラ・ロシェール上空にて、アルビオン艦隊がトリスティン艦隊を奇襲。アルビオンはトリスティン艦隊に対し宣戦を布告
迎撃に向かったと思われるタルブ領主アストン伯戦死
アンリエッタを筆頭に、トリスティンは開戦を決意
同盟に基づきゲルマニアに援軍を要請。回答は、「先陣の到着は三週間後」
約58日目
朝:学院に宣戦布告の報。サイトと、勝手について来たルイズはゼロ戦でタルブへ。
昼:(日中):サイトが零戦で竜騎士とワルドを蹴散らし、ルイズは虚無の魔法『爆発』を発動させ、アルビオン艦隊を焼き墜落させる
約60日目 ニューイの月一日
アンリエッタの結婚式予定日
タバサの冒険1・2
全てタバサの春の使い魔召喚の儀式より後(ルイズと同時かは不明)
全てタバサ二年次のスレイプニィルの舞踏会まで
第●日目、はその話の中だけの時間、●日目、となっているのは本編と同期しています
朝でも夜でもない時間は全て昼です
『翼竜人』
第一日目
昼:指令を受ける、翼竜人と交戦、
夜:ヨシュアの懇願
第二日目
昼:暴走ガーゴイル作戦
第五日目
昼:結婚式
『吸血鬼』
サイトとギーシュの決闘以後
第一日目
昼:命令を受ける、村について調査開始
夜:エルザ襲撃される、屍鬼人を倒す
第二日目
昼:村人が占い師の老婆を殺す
夜:吸血鬼を殺す
第三日目
早朝:村長に置き手紙を残し帰還
『暗殺者』
サイトとギーシュの決闘以後
第一日目
昼:影武者開始
夜:宿場で一泊、地下水襲撃一回目
第二日目
昼:グルノープル・アトワール伯邸到着
夜:地下水二回目
第三日目
昼:イザベラ裸踊り
『魔法人形』
八日目
昼:スニキニル入手、学校に放り出したオリヴァンいじめられる
九日目
昼:オリヴァン実力詐称の片棒を担ぐ
十日目
昼:引き続き詐称
十一日目
昼:オリヴァンの決闘、元北花壇騎士団団員と交戦
十二日目
昼:虚無の休日だがキュルケに請われルイズ達を追いかける
『ギャンブラー』
十三日目
夜:フリッグの舞踏会中に伝令、プチ・トロワでイザベラから指令
十四日目
昼:賭場でいかさまを暴く
『ミノタウロス』
不明(他の任務の帰り道で、この事件は北花壇騎士団としてのものではない)
第一日目
昼:依頼を受ける
第二日目
昼:人さらい一味を退治しラスカルと会話
第三日目
昼:ラスカルを退治
『シルフィードの一日』
サイトのテントがある、サイトが洗濯をしている
『極楽鳥』
火竜の繁殖時期
第一日目
昼:イザベラから依頼を受ける
第二日目
昼:火竜山脈に到着、リュリュと出会う
第三日目
昼:囮作戦失敗
第四日目
昼:ニセ焼肉作戦失敗
夜:リュリュにハッパをかける
〜シルフィードは火竜に化ける特訓、リュリュは代用肉錬金のために絶食中
第七日目
昼:ニセ焼肉作戦成功
『軍港』
アルビオン侵攻開始(夏休みから二月)から一週間後、ウィンの月の半ば
髪の毛を追跡するアルヴィーを持っている
第一日目
昼:到着、リュシーと接触
第二日目
昼:調査、リュシーを疑いカマをかける、『グロワール』号爆破
第三日目
昼:『シャルル・オルレアン』囮作戦決行
夜:爆破阻止、リュシー自殺
1月:ヤラ(降臨祭)
2月:ハガル
3月:ティール
4月:フェオ(入学式/使い魔召喚の義)
5月:ウル(フリッグの舞踏会)
6月:ニューイ(夏休み)
7月:アンスール(夏休み)
8月:ニイド(夏休み)
9月:ラド
10月:ケン
11月:ギューフ
12月:ウィン
第一週:フレイヤ
第二週:ヘイムダル
第三週:エオロー
第四週:ティワズ
曜日
1:虚無(休日)
2:ユル
3:エオー
4:マン
5:ラーグ
6:イング
7:オセル
8:ダエグ
2巻P172にてアルビオンとトリスタニアは同じくらいの面積とある。
4巻P134にてオランダとベルギーを合わせたくらいとある。
4巻P134にて、北東のゲルマニア、南東のガリアはトリスタニアの10倍ほどの面積とある。
南の海に面した半島「郡」に「かつてのゲルマニアのような」都市国家「郡」があり、
ロマリアはその一つと記述されている。
ハルケギニアは「大洋に突き出た緩やかに弧を描く巨大な半島」とある。
未開の地、エルフの治めるサハラとは別物のように記述されている。
よって、現行の地図はあまり正確では無いものと考えられる。
(今後設定が変更されるかもしれませんが)
国土面積が約72054平方キロである場合、
正方形の国土だと1辺が268キロ程度、
三角形など、いびつな形である事が当然推測される(地図上からも)ので
45度-90度-45度の三角形の場合、
底辺が532キロ、高さが268キロ程度になる。
中心に首都があると仮定した場合、国境までは最短直線で134キロ。
これは1日32キロ歩けると仮定すると直線街道で3.5日程度。
道のくねりなどを考慮した場合、1.5倍なら5日強、倍なら7日程度。
タバサの冒険 P26 よりリュティスからアルデラ地方まで、馬で二日、徒歩で五日、シルフィードなら二時間。
よって、馬は徒歩の2.5倍。1日の移動時間を8時間とした場合、
シルフィードは徒歩の20倍。1日10時間移動なら徒歩の25倍。
時速4キロ×8時間なら1日の歩行距離は32キロ。
シルフィードは時速80キロ。
時速6キロ×10時間なら1日の歩行距離は60キロ。
シルフィードは時速150キロ。
3巻P203にて、3日後、ニューイの月の1日にゲルマニア首府、
ヴィンドボナにて結婚式がおこなわれる予定なのに、
3巻P211にて、アンリエッタは本縫いが終わったばかりウェディング衣装で、
結婚式のための出発におおわらわの王宮に居る。
王族の移動は馬車で行うのが慣例のようなので、トリスタニア−ヴィンドボナ間は
馬車で3日以内の距離と考えられる。
トリスティン魔法学院はヴィンドボナからアンリエッタが帰る時に寄った点から、
トリスタニア−ヴィンドボナ間にあると思われる。
ラ・ロシェール
学院から港町ラ・ロシェールまでは早馬で2日、代え馬を使い走り続けて
早朝−深夜なので、1日8時間程度の移動を基本として馬で十数時間程度、
馬で2日程度との記述と矛盾しない。
よって歩いて5日程度と考えられる。
4巻P228にて、トリスティンから街道を南下→ラ・ロシェール方面
夜明けまでに追いつかないと間に合わないらしい。
2巻P168 夜中に出発した船にて
「アルビオンにはいつ着く?」
「明日の昼過ぎには、スカボローの港に到着しまさあ」
ルイズ 16歳 / 身長153 / B76( -8.0%)-62(C) / W53(-8.8%) / H75( -9.2%) / BW比1.43 / HW比1.42
シエスタ 17歳 / 身長162 / B83( -5.1%)-69(C) / W60(-2.5%) / H85( -2.8%) / BW比1.38 / HW比1.42
タバサ 15歳 / 身長142 / B68(-11.3%)-57(A) / W49(-9.2%) / H67(-12.6%) / BW比1.39 / HW比1.37
キュルケ 18歳 / 身長171 / B94( 1.8%)-72(F) / W63(-3.0%) / H95( 2.9%) / BW比1.49 / HW比1.51
モンモランシー 16歳 / 身長166 / B80(-10.8%)-68(B) / W58(-8.1%) / H79(-11.9%) / BW比1.38 / HW比1.36
アンリエッタ 17歳 / 身長158 / B84( -1.5%)-67(D) / W59(-1.7%) / H85( -0.4%) / BW比1.42 / HW比1.44
ルイズ 16歳 / 身長153 / B76-65(A) / 体重42.4 / BMI 18.0
シエスタ 17歳 / 身長162 / B83-68(C) / 体重51.8 / BMI 19.5
タバサ 15歳 / 身長142 / B68-62(AA) / 体重36.2 / BMI 17.9
キュルケ 18歳 / 身長171 / B94-69(G) / 体重62.1 / BMI 20.5
モンモランシー 16歳 / 身長166 / B80-72(A) / 体重48.8 / BMI 17.6
アンリエッタ 17歳 / 身長158 / B84-65(E) / 体重51.6 / BMI 20.2
計算するとルイズはB〜Cカップ。なのに何故胸が小さいと言われるのか?
それは要するに純粋な胸の体積が小さいから。つまり、UBが細いからです。
そこで、胸の体積とカップ数の比較をしてみました。
平均身長時の平均UBからカップ数ごとの体積を算出し、実測体積が近いものを割り出せば、実際にはどの程度のカップ数に相当するかがわかるはずです。
大雑把に胸を半球状としてふたつ合わせて楕円体になると考え、半径の組み合わせを3通り用意して計算していきます。
これらの計算結果は以下の通りです。()内は市販ブラのサイズを示しています。
ルイズ 16歳 / 身長153 / B76-62.5(B65) / 実測体積893 / 体積比A〜B相当
シエスタ 17歳 / 身長162 / B83-65.5(D65) / 実測体積1274 / 体積比C〜D相当
タバサ 15歳 / 身長142 / B68-58.9(A60) / 実測体積501 / 体積比AA〜A相当
キュルケ 18歳 / 身長171 / B94-70.3(G70) / 実測体積1959 / 体積比F〜G相当
モンモランシー 16歳 / 身長166 / B80-68.2(B70) / 実測体積903 / 体積比A〜B相当
アンリエッタ 17歳 / 身長158 / B84-65.3(E65) / 実測体積1348 / 体積比C〜D相当
ハルケギニアにはブラがないし、見た目的にも揉みごたえ的にも体積比で比べた方が正確です。現実でもUBが細いとカップが大きくても小さいですし。
体積の小さい順に並べると、タバサ、ルイズ、モンモン、シエスタ、アンアン、キュルケになります。これは作中描写通り。
体積比だけであえて「○○は×カップ」と呼ぶとすれば、タバサAA、ルイズB、モンモンB、シエスタC、アンアンD、キュルケG。
実測値とくびれ具合(UB―W―Hのライン)も鑑みれば、タバサAA、ルイズA、モンモンB、シエスタD、アンアンE、キュルケHと呼ぶのが妥当なとこだと思います。
ちなみにくびれ具合は寸胴な順に、タバサ、モンモン、ルイズ、シエスタ、アンアン、キュルケでした。
この労力を何かに使えば人生もっと実りあるモノになるだろうに。
今日は汽車の日ということで、FFYから魔列車を召喚。
ウェールズ皇太子、冥府の車窓から
「明日は、幽霊共和国に停まります」
>>66 結局他人書いたものをそのまま頂くしか能のない時点でもう・・・
偽テンプレ……きっと香しいほどにスイーツ脳の人間がやってるんですよ。……腐ってやがる、ってくらいに臭う奴が。
しかも遅いときている
まあ、腐ったものには触らずにおこうぜ
冷蔵庫で「じっくり腐らせて」から生ゴミに出そう出そうとしているうちに
いつしか冷蔵庫を掃除する機会を失って
気がついたら部屋全体に異臭が
いや、スイーツ脳の意味まちがってるような。
正しく「無能な働き者」だな。銃殺決定w
75 :
狂蛇の使い魔:2008/10/14(火) 20:40:39 ID:4Jh5mhPO
投下予約等なければ20:50くらいから投下します
狂蛇キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
お待ち申し上げておりますよ。
惨劇ですね?惨劇なんですね?支援用意!
78 :
狂蛇の使い魔:2008/10/14(火) 20:50:31 ID:4Jh5mhPO
では、投下します
79 :
狂蛇の使い魔:2008/10/14(火) 20:51:47 ID:4Jh5mhPO
第四話
目の前で一体何が起こったのか、ギーシュには理解できなかった。
マジックアイテムらしき箱を使い、奇妙な鎧を身に纏ったルイズの使い魔の平民。
不思議な形をした剣をどこからともなく呼び出すと、ワルキューレに向かって駆け出したのだ。
「でやあぁぁぁ!!」
そしてワルキューレが攻撃の体勢に入るよりも早く、順手に持ち変えた剣を上から振り降ろしてきた。
ワルキューレは青銅でできている。
たとえ相手が武器を持っていようと、並みの攻撃ではびくともしないはずだ。
攻撃を受け止め、その隙をついて攻撃を仕掛ければいい。
そう、僕はふんでいた。
しかし、やつが二度三度と剣を振るっただけで、その考えは脆くも崩れ去った。
やつの斬撃に、自慢の防御力が意味をなさないどころか、攻撃を受けた箇所にヒビが入り、ついには砕け始めた。
「ハァッ!」
トドメとばかりに下から放たれたその一撃で、ワルキューレの体が宙を舞い、僕の目の前に落ちてきた。
もはや戦える状態にない。
「ふん……もう終わりか? つまらんな」
剣で肩をトントンと叩きながら、『平民だったもの』が呟いた。
支援
81 :
狂蛇の使い魔:2008/10/14(火) 20:54:07 ID:4Jh5mhPO
「ま、まだだ! 勝負はこれからだ!」
正直、侮りすぎていた。
あのパワーとスピードでは、ワルキューレ一体だけだと相手にならないだろう。
(だが、複数ならば此方にも分がある!)
そう思うと、すぐに二体のワルキューレを出現させ、指示をだす。
「いけ!」
青銅の長剣で武装した二体が、同時に走り出す。
「ほう。もうしばらくは楽しめそうだな」
そう言って、手にした剣を放り投げる。
再び紫の杖を取り出すと、箱からカードを引き、杖に差し込んだ。
『SWING VENT』
杖から声がすると、鏡から赤色の鞭が飛び出し、先ほどの剣と同じように王蛇の手に収まる。
エビルウィップと呼ばれるこの鞭は、剣よりも広い攻撃範囲と、自在な動きで敵を翻弄する。
王蛇は鞭を地面に一振りすると、近づいてきた二体の人形に向けて、上下左右あらゆる方向に何度も振り抜いた。
その攻撃に、ワルキューレたちは思うように近づけず、ついには二体とも武器が弾き飛ばされてしまった。
今は二体とも両腕で守りを固めているが、体のあちこちに傷や破損が目立つ。
支援
83 :
狂蛇の使い魔:2008/10/14(火) 20:57:09 ID:4Jh5mhPO
頃合いを見計らって、王蛇はワルキューレたちに猛スピードで近づくと、その場で勢いよく回転し、右から回し蹴りを叩き込む。
蹴り飛ばされた一体がもう一体を巻き込み、観衆がいる方向へと飛んでいった。
見物人たちが悲鳴をあげてそれを避ける。
王蛇に傷一つつけることができぬまま、またしてもワルキューレたちはその機能を停止した。
(くそっ、こうなったら……!)
ギーシュは残る四体のワルキューレを呼び出し、突撃の指示を出す。
各々が剣や槍で武装されている。
「ほう……」
王蛇は手にした鞭を投げ捨て、紫の杖を取り出す。
箱からカードを引き、杖に差し込んだ。
『STRIKE VENT』
杖から声がし、鏡から鉄の盾のような物体が飛び出すと、王蛇の右腕に装着された。
メタルホーンと呼ばれるそれは、腕に着ける灰色の盾のような部分と、先端部分から伸びる黄色い角のような突起物でできている。
その形状から、攻撃と防御を両方ともこなすことのできる武器なのである。
突撃してきた四体のワルキューレに向かって、王蛇はメタルホーンを構えた。
ギーシュの命を心配しつつ支援。
ギーシュの冥福を祈りつつ(?)支援
86 :
狂蛇の使い魔:2008/10/14(火) 21:00:29 ID:4Jh5mhPO
王蛇は一体目と二体目の攻撃を避けると、残る二体の攻撃を両方とも盾の部分で受け止め、そのまま横になぎはらった。
二体のワルキューレが地面に転がる。
攻撃を避けられた一体が、再び攻撃を仕掛けた。
が、攻撃が届くよりも前に、王蛇によって上から振り降ろされた一撃を顔面にくらい、地面に叩きつけられる。
その顔には、縦に大きな亀裂が走っていた。
もう一体も王蛇に攻撃を仕掛けたが、盾の部分で攻撃を受け止められると、蹴りで武器を叩き落とされた。
そして、無防備になったその胴体に、王蛇はメタルホーンを勢いよく突き出す。
ワルキューレは咄嗟に避けようとしたが、間に合わず脇腹に攻撃をくらい、弾き飛ばされた。
脇腹の一部が砕け散る。
地面へ倒れたところに、王蛇はすかさず追撃を仕掛ける。
「ダァァッ!!」
メタルホーンの角がワルキューレの首元を砕き、首から上が吹き飛ばされた。
なぎはらわれ、地面に倒れていた二体が起き上がるのを見ると、王蛇は言った
「今日はなぜか調子がいい。……だが、そろそろ雑魚の相手も飽きてきたな」
支援
むぅ、さるさんか?
88 :
狂蛇の使い魔:2008/10/14(火) 21:04:39 ID:4Jh5mhPO
王蛇はメタルホーンを腕から外すと、そのまま地面に振り落とし、紫の杖を取り出す。
紫の箱から、それと同じ模様が描かれたカードを引くと、杖に差し込んだ。
『FINAL VENT』
杖から声がし、その直後手鏡から巨大な紫の蛇が現れた。
観客たちが悲鳴をあげる。
顔の周りに無数の鋭い刃を持つその大蛇―名をベノスネーカーという―は、シューという声をあげながら、王蛇の方に向かって地を這い進む。
王蛇はその場で構えると、後ろに向かって大きくバック宙をした。
そして、王蛇の背後にまで迫ったベノスネーカーが、口から毒液を吐き出す。
その勢いに乗り、王蛇が二体のワルキューレたちに向かって、両足を交互に上下させる、奇妙な形式の蹴りを放った。
「ウオオオォォ!!!」
(避けられない!!)
獲物を何度も噛み砕く、蛇の牙を彷彿とさせるその攻撃は、身構えるワルキューレたちをものともせずに蹴り砕いていき、そして――爆発した。
二体のワルキューレは木っ端微塵に吹き飛ぶ。
「そん……な……」
ギーシュが、崩れるようにして膝をつき、うつむく。
支援 これからの惨劇が楽しみだw
90 :
狂蛇の使い魔:2008/10/14(火) 21:06:17 ID:4Jh5mhPO
いくら奇妙な鎧を纏ったとはいえ、ワルキューレたちが平民を相手に、全く手も足も出なかった。
それどころか、戦いにすらなっていなかった。
あったのは、圧倒的な力による、破壊。
一方的な暴力のみだ。
「この感覚……! やっぱり戦いは最っ高だ……!!」
しばらく愕然としていると、王蛇がギーシュに近づいてきた。
「おい。……ギーシュとかいったか」
「ひぃっ!!」
殺される!と思ったギーシュであったが。
「時々、俺の相手をしろ。……モンスター以下だが、少しはイライラも収まる」
返ってきたのは、予想もできない言葉であった。
一方で、ルイズもまた、愕然としていた。
ただの乱暴者だと思っていた男が、何かとてつもない力を秘めていた。
しかも、この上なく強い。
(あんなのを使い魔にしちゃったのか、私……)
頼れる使い魔だったという喜びよりも、もしあいつが牙をむいたら、という恐怖が、ルイズの胸の中に広がっていく。
ルイズは思わず身震いした。
――これからどう接すればいいんだろう。
そんな疑問を抱えながら、ルイズは広場を立ち去った浅倉の後を追うのであった。
お供三匹ヴァージョンだったのか支援w
契約モンスターが三体ってことは、ご飯も三倍。
……トリステイン魔法学園には、人が夜な夜な消える怪談話があってですね。
93 :
狂蛇の使い魔:2008/10/14(火) 21:10:26 ID:4Jh5mhPO
以上です。
惨劇とか書いちゃいましたが、ギーシュを始め誰一人死なないような結果になってしまいました。期待させてしまって申し訳ないです
それでは、支援ありがとうございました!
あって良かったルーンの刷り込み
それでもイライラを抑える程度ってのがww
レコスタに寝返る事はなくても場をかき乱すんだろうなぁ、色々と
蛇の人乙
原作が原作なだけに、つい死人を期待しちゃったよ
いや寧ろガンガン殺しちゃってください
惨劇期待していたのになぁ とにかく乙!
狂蛇の人乙でした
ライダーは爆発すると証明してくれた浅倉さんだけにゴーレムや偏在も爆発するのかどうか期待
浅倉の人、乙です
しかし龍騎のライダーは変身中に周りの鏡を錬金されたらどうなるんだろう
モンスターとか武装を召喚できなくなったりしないだろうか
21時30分ごろから投下します。
>>98 ライダーのスーツが何で構成しているか分からないと無理なんじゃない?
キタァァ
USSR代表支援
実はヘルズベアは
では、久しぶりですが次から投下します。
その後、
>>103の姿を見たものは…あれ、こんな時間に誰d
第七話 ヘルズ・ベアー
その日の昼、コルベールはオールド・オスマンにベルモンドについての発見を報告するため学院長室を訪れていた。
そして報告する。現れたルーンは特別であり、古文書によるとそれが伝説のルーンであると。
「見てください、ベルモンド君のルーンはあのガンダールヴのものなのです!
素晴らしい、あんなに愛らしいだけでなく伝説の使い魔でもあるなんて!
このコルベール、この魔法学院で教師をしてきたかいがありました」
「まあ、少し落ち着きたまえ。それで間違いはないんじゃな」
「はい、ベルモンド君にいい加減なことを伝えるわけにはいきませんからね、
何度も確認しました」
それを聞いてオスマンは思案する。もし本当ならいったいどう扱うものやら。
そのときドアがノックされ、オスマンの秘書ミス・ロングビルがやってきた。
なんでも決闘をしようとしている生徒がいるらしい。そのうちの一人はギーシュ、
そしてもう一人は今話に上がっていたベルモンド。
それを聞くとコルベールは飛び上がりオスマンに向かってまくし立てた。
「お願いです、今すぐ眠りの鐘の使用を!
ああ、決闘などと、ベルモンド君が殺されてしまう!
躊躇している場合ではありませんぞ、早く眠りの鐘を。
いやそれでは生ぬるい、いっそギーシュ君には実力行使で」
「……さっき自分で言ったことを忘れたのかの?
伝説のガンダールヴじゃなかったのかの、あの使い魔は」
「だってクマちゃんなんですよ!!あんなかわいいクマちゃんが戦うなんて。
ああ、ベルモンド君……」
「いいから落ち着きなさい」
オスマンはロングビルを下がらせるとヒートアップするコルベールをなだめながら、
杖を振ると鏡に広場の様子を映し出した。
着ぐるみ支援
ベルモンドがヴェストリの広場に到着すると、そこにはすでに大勢の生徒がギャラリーとしてたむろしていた。
そしてその中心にいるギーシュがベルモンドを見ると口を開く。
「やあ、逃げ出さずによく来たね。ボロ屑になる覚悟はできているようだな。
じゃあ始めよう。諸君、けっと」
「さあ!ついにこのヴェストリの広場に両雄が揃いました。
いよいよ決闘が始まります!
立ちはだかるのはドットクラス、土のメイジ、
「青銅」のギーシュ・ド・グラモンーー!!
対するはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、
「かわいいクマちゃん(チャーミング・ベアー)」ベルモンドォー!」
「実況」の二つ名をもつ生徒が皆に渡る声を響かせる。
なお、彼の使い魔はすでに彼とは反対側に位置し、「実況」本人が見聞きできない位置をカバーすべく待機している。
「……まあいい、そういうことだ。始めさせてもらうよ」
口上を途中で邪魔をされて憮然としながらもギーシュは早速行動を開始する。
ギーシュが薔薇の花を振ると花びらが一枚宙に舞い、 甲冑を着た女戦士の形をした人形が現れる。
「先ほど言われたように僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」
ギーシュはこれを見てあのふざけたクマ公も震え上がるだろうと考えていた。
だが、ベルモンドの行動はそんな彼の想像を超えたものだった。
「わあーい、お人形さんだー。なーんだ、決闘なんて言うから何やるのかなって思ったけどお人形遊びしてくれるんだ。
遊ぼ、遊ぼ」
そう言って手を差し出してワルキューレに近づいていく。
「ふざけるな、行け!」
それを見てギーシュは怒りとともにワルキューレを突進させていく。
「うわっと」
さすがに無防備にそれを受けはせずベルモンドは突き出された拳をよけようと身をひねる。
その結果、
ガシャーーン!
「あーっと、ベルモンドとワルキューレ、もつれ合ってともに地面に倒れたてしまった!
が、単に倒れただけなのだろう、ベルモンドはすぐに起き上がる。
しかしワルキューレも起き上がろうとするがうまく立ち上がれずまた倒れてしまった。
「なんだ、どうしたんだ!?」
「おい、何やってんだよ!」
「お、おい、見ろよ、足のところを」
ギーシュやギャラリーが混乱する中一人の生徒が異常に気付く。
すかさずそれを「実況」が続ける。
「なんと!ワルキューレの足が歪んでしまっている!!
先ほどの転倒で変にひねってしまったのかーー!?」
「なんだよ、手抜きなんじゃないのか?」
「おいギーシュ、ろくにきちんとした錬金もできないのかよ!」
それを聞いた周りから馬鹿にした声が上がる。
「う、うるさい、これならどうだ!!」
ギーシュはそう言うと、立ち上がれないワルキューレをおいて、新たに二体ワルキューレを呼び出しベルモンドへと向かわせる。
「うわーい、今度は二人だー」
しかしベルモンドはまたしてもてってっと近づいてゆく。
そんなベルモンドにワルキューレが拳を突き出すが、それはむなしく宙を切った。
「おおっ、ベルモンド、巧みに二体の間をすり抜けたあっ!」
そして背後に回ったベルモンドは二体の腰にそれぞれ手を回すと、
「楽しーなー、楽しーなー」
スキップしながら二体と一緒にくるくると回り始めた。
「きゃー、かわいーー!」
そんな、クマと青銅の人形が戯れるようにしか見えない図に女生徒から黄色い声が上がる。
しかしギーシュにとっては馬鹿にされているようなものであり、離れようとワルキューレの足を動かす。
だが、それが地面を蹴ることはなかった。
「ああーーっ、いったいどこにそんな力があるのか、ベルモンドに抱えられたワルキューレが宙に浮いているーー」
なんと、ワルキューレは二体ともべとモンドに回されながら持ち上げられていた。
ワルキューレは腕を動かしベルモンドを振りほどこうとするが、
「おっと、いけない」
そのせいでバランスを崩したのか、ベルモンドが転んでしまい、
ドガアァッ!!
「あーーっと、体勢を崩したベルモンドから二体のワルキューレ、
投げっぱなしジャーマン気味に投げ飛ばされ頭から地面に叩きつけられたーー!!」
その二体のワルキューレは、金属製の体からくる体重を受けたことにより、頭部が完全にひしゃげてしまっていた。
無論、もう起き上れはしなかった。
「あれー?お人形さん、動かなくなっちゃったー」
そんな様子を見てベルモンドは残念そうな声を上げる。
「おい、見た目だけじゃなく作りにも凝れよ」
「真面目にやれよ、ギーシュ!」
再び男子生徒から囃し立てる声が起こる。
が、彼らとも黄色い声を上げる女生徒とも違う者たちもいた。
「珍しいわねえ、タバサがこんなのに興味を持つなんて、やっぱりあのクマちゃんがかわいい?」
「確かにかわいいけどそういうわけではない、でもあの使い魔には興味がある」
「なによ、もって回った言い回しねえ。
でもギーシュも情けないわねえ、あんな倒れただけでダメになるようなゴーレムしか出せないなんて」
「倒れただけ、そう見えた?」
「見えたもなにも実際そうじゃない。転んで足ひねったりクマごと倒れて頭打ったり」
キュルケが見たままの感想を述べる。しかしそれに対してタバサは、
「違う、最初はあのベルモンドが倒れるときにワルキューレの足をつかんで
しっかりとアンクルホールドに固めていた。
次の二体も投げ飛ばされるまで見事なジャーマンスープレックスのブリッジを描いている。
倒れた拍子にもつれたとか転んだ際に投げ出されたとかではない」
「えー、ちょっと待って。その前にアンクルホールドとか「実況」も言ってたけど
ジャーマンなんとかってなに?」
「プロレス技の一種」
プロレス、そういえばキュルケも聞いたことがあった。
確か平民の中で現在はやっている格闘のスポーツだったか。
でも、それは、
「プロレス、あれって見せもののショーなんじゃないの?そんな物の技が本当に効くの?」
だがタバサはすかさず反論する。
「確かに基本的には見せもの。でも技の威力は種類によっては本物。
むしろ本気で技をかけると危険だからこそ真剣勝負ではなく
筋書きに沿ったショーとして見せているという部分もある」
祖国ガリアでの立場上危険な任務にたびたび駆り出されるタバサは単純な魔法の知識、技術だけでなく
他の戦闘技術にももしもの対策のため一応の知識を持つようにしている。
それゆえプロレス技の危険性についても分かっていた。
「ええっと、じゃあワルキューレが壊れたのは
ギーシュの作りが悪いからでも打ち所が悪かったわけでもなくて
あのクマちゃんがそのプロレス技ってのを掛けたからって言うこと?」
「そう、あの使い魔は明らかな確信を持って技をかけている。
見た目通りのかわいいクマちゃんではない」
sien
「実況」www支援
じゃれついてパロスペシャル支援
ゲェーッ!知っているのか!タバサ! 支援
「くそっ、もうお遊びは終わりだ!」
そんな中、ギーシュはそう叫ぶと今度は今出せる限界である
4体のワルキューレを一度に呼び出した。
しかも今度は素手ではなくそれぞれ剣、槍、斧、ハンマーを手にしている。
「ボロ屑にしてやれっ!」
そう言うと一斉に突撃させていく。
四つの武器による一斉攻撃、先ほどのようなくぐれる様なスペースもなく、
今度こそベルモンドを捉えられると思われたそれもやはり宙を切った。
「なんだあーー!ベルモンドが消えたーー!?
い、いや違う、ボールだ、ワルキューレに交じって茶色いボールのようなものが見えるっ!
なんとベルモンド、自分の身をボール状に小さく丸めて一斉攻撃をかわしていたーー!」
「くうーん」
「くそっ!」
ギーシュも手を休めずさらに攻撃を繰り返していく。
だが、ベルモンドはボール状に丸まったままころころと転がり、
ぽんぽんと跳ねて迫りくる攻撃をかいくぐっていく。
「かわいー、クマちゃーん頑張ってー!」
そんな光景にまたしてもベルモンドへ黄色い声が上がり、
「ちゃんとやれよ下手くそー!」
ギーシュを囃すが上がる。
ギーシュはさらに激しく攻撃を行うが逆に冷静さを欠いた結果、
ガスガシャァァッ!!
ベルモンドを攻撃しようとしてかわされ、勢い余って後ろのワルキューレを攻撃してしまった。
プロレスに造詣の深いタバサwwwwwwwwwwwwwww
「これは痛い!斧を持ったワルキューレ、
他の三体の攻撃を受けてぐしゃぐしゃになってしまったーー!」
「なんだよ、ギーシュ、ばっかじゃねーの!」
「ぎゃはははは」
もはやギーシュへの声は嘲笑へと変わっていた。
ギーシュは唇を噛みしめ倒れたワルキューレを見つめる。
かろうじて人型を留めているだけのぼろぼろのワルキューレ、
これが逆にこちらの攻撃力を証明してもいたがどうしても当たらない。
もっと広く攻撃できるような方法があれば。
土の属性の魔法なら、石つぶてを飛ばすというものがあり、それなら条件を満たしている。
しかし、自分の得意とするのはワルキューレの錬金だ。
それを7体全部出し、しかも先ほど激しい攻撃を行ったため
かなり精神力を食ってしまっている。
この状態で、広範囲に十分な威力で石つぶてを飛ばせる自信はギーシュにはなかった。
くそっ、何か方法は。
その時ギーシュに閃きが舞い降りた。
飛ばすものならあるじゃないか。
「おい、こっちを見ろクマ公!!」
「くうーん?」
ギーシュは剣と槍をもつワルキューレに武器を捨てさせると、
先ほど同志討ちでボロボロになったワルキューレを両脇から抱えあげる。
「青銅の力を見せてやるっ!!」
そして、最後のハンマーを持ったワルキューレがハンマーを大きく振りかぶり、背後から叩きつけた。
ドガァッ!
すでにボロボロになっていたワルキューレはこの一撃でばらばらに砕け散り、
正面のベルモンドへと飛び散っていた。
ガスガスガスガスッ!!
「うわーー!」
らめー!オーバーボディ破れちゃらめー!支援
タバサ、なんというロビンやラーメンマン先生並みの分析力
多少時が戻るがそのころルイズとシエスタはまだ食堂にいた。
決闘に向かうと告げるベルモンドの、これまで見せたことのない迫力に気圧されてしまっていたのだ。
そして、出遅れてタイミングを逃すと一層足が重くなってゆく。
どうしよう、自分のせいで。
行ってどうなる、もうベルモンドはやられてしまっているのではないか。
いやな想像が頭に次々と浮かび、今向かえばそれを現実に
目の当たりにしてしまうのではないのかという恐怖が足を留めてしまっていた。
しかし、真の貴族は立派な行いをするから偉いんだ、
そのベルモンドの言葉がルイズを奮い立たせる。
そうだ、私もそれを目指していたじゃない。
魔法が使えなくても、貴族として立派であろうって。
こんなことをしている場合じゃない。
「行かなきゃ、ほら、あなたも行くわよ。
私たちのために戦ってくれてるベルもん簿をほおっておくつもり?」
「そ、そんなことしません、待っててくださいベルモンドさん」
そうしてシエスタにも声をかけ二人は広場へと向かった。
しかしそこで二人が見たものは、
キン肉マンのテンプレにゼロ魔キャラ入れ込んだだけじゃねえか
・・・・・・・・・・だがそれがいい
「実況」のメイジと使い魔についてくやしく 支援
全身穴だらけになって立ちすくむベルモンドだった。
「そ、そんな、ベルモンド……」
「い、いやーー!」
そんな二人に何があったかを教えるように「実況」からの声が上がる。
「なんと、ギーシュ!傷ついたワルキューレを打ちすえ、破片として飛散させたーー!
これはまさに、青銅の散弾だーーー!!
これは効いたか!?ベルモンド、微動だにしないー!」
「はははははっ!貴族であるこの僕にたてつくからこうなるんだ、この畜生め!」
そう、高笑いを上げるギーシュに対して、ルイズとシエスタ以外の女生徒からも非難の声が上がる。
「ひどい、なんてことするの!」
「死なないで、クマちゃん!」
一方キュルケ達は、
「あーらら、結局やられちゃってるじゃない。
ドットのギーシュにも負けるんじゃあ、
あのクマちゃんが強いなんてのはやっぱりタバサの思い過ごしだったわね」
「だと、いいのだけれど」
だが、タバサにはまだこれで終わりだとは思えなかった。
これまで死地をくぐった経験が告げている。
あのクマちゃんの中にはまだ何かがあると。
オーバーボディがボロボロ……!ここでやっぱ正体バレか! 支援
そんなタバサの内心を知る由もなくギーシュは続ける。
「所詮は低能なケダモノにすぎなかったようだね、
ああ、まさに「ゼロ」のルイズの使い魔にふさわしいよ」
「……!」
自分の口上に酔っていたギーシュは気がつかなかった。
このとき、ベルモンドの目に力がこもったことを。
「やめなさい、これ以上私の使い魔を侮辱することは許さないわ!」
そんな中、ルイズは自分の使い魔を救おうと声をかける。
「ああ、無能なご主人様のお出ましかい?
だが悪いね、これはこのクマ野郎も認めた決闘だ。
例え主人であっても口出しはできないよ。
そこでこのクマ公が布と綿のボロ屑になるところを見ていたまえ、
行け!とどめだワルキューレ!」
そう言ってハンマーを持ったワルキューレが一撃を加えようと前に出てハンマーを振りかぶる。
「やめてーー!」
ルイズの悲鳴が響き渡る。
支援クマちゃんが死んじゃうー
が、その時、
「グギャワアーン!」
突如ベルモンドが叫びをあげワルキューレに飛びかかった。
しかも足の筋肉は隆起し、着ぐるみの上からでも足の形がはっきり分かるほどに肥大していた。
バギャ!
そしれそのままワルキューレを蹴り飛ばす。
そのままワルキューレは10メイルは吹っ飛んで行った。
「ああーーっ!ベルモンド、突如生気が戻りワルキューレにドロップキックを叩き込んだー!!
なんという威力だ!青銅製のワルキューレがまるでおもちゃの人形であるかのように軽々しく吹っ飛んでいくー!!」
もちろんこれだけでは終わらなかった。
「グギャワアーン!」
ベルモンドは残る二体のワルキューレのもとへも向かっていく。
その二体は先ほどボロボロになったワルキューレを抱えるため武器を置いてしまっていたため、
拳での攻撃を繰り出すがあっさりかわされると一体が懐に潜り込まれる。
ガスッ!
そして腹部へのひざ蹴りを食らって片膝をついた所に、
ドガアアァッ!
その膝を踏み台にして飛び上がったベルモンドからの強烈な飛び膝蹴りが頭部に叩き込まれた。
「おおーっ、これはすごい、膝をつかせたところへ流れるようにシャイニングウィザード
(相手の膝などを踏み台に飛び膝蹴りを仕掛ける技)
が叩き込まれたー!!」
ガワが取れるwwwwwwwトラウマもんだぞwwwwwwwwww
これは先ほどのドロップキックと違い斜め上からの攻撃であったためそこまで吹っ飛びはしなかったが、
それでもワルキューレは2-3メイルは地面を転がって行った。
ゴスゥッ!
さらに残る一体へと襲いかかるとラリアットを叩き込む。
倒れたところにすかさず両足を取ってわきに抱えるとそのまま自分を軸に振り回した。
ミスミスミスミス……
そして勢いが付いてくると、何とそのまま上へと向かって投げ上げた。
「うわあーー!!これは信じられない!!
ラリアットで倒したワルキューレをジャイアントスイングにとらえたかと思うと、
なんと横ではなくて上に!投げ飛ばしたぁーーー!!!」
「う、うあわああぁー!」
次々と、もはやだれの目にもわかるような力でワルキューレを倒されたギーシュは恐慌状態になり、
自分を守らせようと先ほどシャイニングウィザードを受け倒れたワルキューレを立ち上がらせた。
ヤバい!オーバーボディの内側でウォーズマンスマイル入ってる! 支援
が、その瞬間ベルモンドが正面から組みついてベアー・ハッグで締め付ける。
「くそっ、振りほどけ、ワルキューレ!」
ギーシュはそう命令を与えるが、そのかいもなく、
ミシミシミシミシッ!!
「うわああぁぁー!!なんということだ!
ベルモンド、ベアー・ハッグで青銅製のワルキューレを腕だけでなくボディまでもへし折っていくーー!!!」
「ゴギャアアアアアァァァーーーーッ!」
一体どれだけのパワーが必要なのか、
投げ飛ばしたり蹴り飛ばしたりというように勢いをつけるわけでもなく密着状態から締め上げているだけで、
ワルキューレの体は軋み、歪み、ねじ曲がっていった。
「ね、ねえ、クマちゃんが元気だったのはいいけど、なんだか変じゃない?」
「う、うん。私も思う、何だか怖いような……」
そんな様子にベルモンドに黄色い声をあげていた女生徒たちも違和感を感じ始める。
が、そんなものは無視して、
「うおおーーっ、いくぜーー!」
そう、アグレッシブな声を上げると、ワルキューレをベアー・ハッグに捉えたまま、
「ゴギャア!」
上空へと飛びあがった。
さらにその上からは先ほど投げ飛ばされたワルキューレが頭を下に落下してくる。
そして、
「ロンリー・テディー・クラッシャーーー!!!」
ガッグゴオオォォンン!!!!
ああ、ガワが取れちゃう…… 支援
ちょwロンリーw
パンダだってあんなに可愛くても凶暴な動物なんだぞ支援
やべえええええ、ついに出るのか中身が!?支援
「あああぁーーっ!こ、これはなんという凄まじい大技!!
投げ上げられ落下してくるワルキューレとベアー・ハッグに捉えて上昇させたワルキューレの頭部同士を
空中で激突させたーー!!
これはもはや「かわいいクマちゃん(チャーミング・ベアー)」などではない、
これはまさしく、「地獄のクマ(ヘルズ・ベアー)」だあぁぁーーーっっ!!!」
そのまま、完全に破壊された二体のワルキューレはギーシュの手前に落下し、
先ほど投げっぱなしジャーマンで倒された二体に折り重なるように倒れた。
「ゴギャ」
そしてベルモンドもその後ろに降り立つと、
ドバドバドバ!
突如体から何かを放出した。
「うわっなんだ!?」
それは一部観客にまで降り注ぎ混乱を呼んだが、
タバサはそれと風で防ぐとキュルケと二人で飛んできたものを見つめた。
「青銅の破片」
「それにこっちの木片ってルイズが授業で吹っ飛ばした机とかの破片?
じゃあ、あのクマちゃんはルイズの起こした爆発で吹っ飛んだ破片も
ギーシュがハンマーで飛ばした青銅の散弾も体に通さなかったて言うこと!?」
「そうなる、恐るべき頑強な肉体」
この事実を前にタバサの声にも珍しく感情がこもる。
しかしそんな考察などしている余裕のない者がいた。
ギーシュである。
この間に、さきほどドロップキックで遠くへ吹っ飛んだワルキューレをようやく自分のもとへ戻すことはできていたが、
たかが一体ではこのクマを相手に何の役にも立たないことはもはや明らかだった。
そんな彼を睨みつけるベルモンド。
「ゆ、許してくれ、僕の負けだ!」
半ば無意識にギーシュはそう言っていた。
「ほんと?」
「あ、ああ。約束通りキチンと謝りもする」
「そう、じゃあみんなに謝りに行こう」
そう言うとベルモンドの目も穏やかになりギーシュのもとに近づいていく。
確かにこの降参にうそ偽りはなかった。ギーシュの理性はこの実力差に間違いなく敗北を認めていた。
しかし感情はそうではなかった。
ゼロのルイズの使い魔のクマ公ごときに負けを認めることを受け入れられずにいた。
そしてその想いが、折り重なって倒れる4体のワルキューレをベルモンドがまたごうとしたときにある閃きを与えたのだった。
らめぇ!ギーシュらめぇ!オーバーボディ剥いじゃらめぇ! 支援
支援ギーシュそれは死亡フラグだ
ドロップキックで吹っ飛んだのにまだ原形をとどめていたのか!
支援
「そ、そうだ、これだ!くらえクマ野郎!!」
そう言うや否やギーシュは残る精神力を振り絞り、ベルモンドの足元のワルキューレを足に絡みつく青銅の塊に変えた。
「ク、クゥーン」
ベルモンドは当然ふりほどこうとするものの、さすがにワルキューレ4体分の重さに完全に足は固定されてしまっていた。
「ははは、どうだクマ公!これが偉大なる魔法の力だ!
メイジであるこの僕にたてついた愚かしさを思い知るんだよぉっ」
ガスゥッ!
そう言うと最後に残ったワルキューレがベルモンドに正面からハンマーを叩きつけた。
「キュウーン」
しかもこれだけでは終わらず、
ガスッ!ガスッ!ガスッ!ガスゥッ!
何度も何度もハンマーを叩き込んでいく。
「あああー!これは残酷!足を固められたベルモンドに対して、
さきほどワルキューレを散弾に変えたハンマーの一撃が、直に! しかも何度も叩き込まれるーー!!」
その一撃一撃はベルモンドの着ぐるみを破り、綿と血しぶきを舞わせていく。
戦争男の微笑が見れるのか…支援
「クゥーンクゥーンクゥーン!」
これにはベルモンドも悲鳴を上げる。
「卑怯よー、ギーシュ!」
「やめてー!クマちゃんを殺さないでー!」
非難の声が上がるも、食堂の時のようにまたしてもそれらは逆にギーシュをヒートアップさせていく。
「うるさい!黙れ!こんなクマ野郎にさっきからキャーキャー言いやがって!
こんなボロ屑の畜生が何だって言うんだ。こんなやつ所詮は血にまみれた布と綿に過ぎないことを教えてやる!」
そう、普段は決して口にしないような言葉を吐くとさらにベルモンドを打ちすえる。
ガスッ!ガスッ!ガスッ!ガスッ!
「いやーー、もうやめてーーー!!」
その惨状にルイズはひときわ大きな声を上げる。
それすらも無視して打ち続けるギーシュにベルモンドの弱弱しい声が掛けられた。
「ね、ねえ、さっき自分の負けだって……みんなに謝るっていたのはウソだったの……?」
「はははっ、そんなの当たり前だろう。
どうしてこんな畜生ごときに約束など守らなければいけないんだい!」
「ど、どうしても謝ってくれない……?」
「まだ言うのかい?そんなの当たり前だろうがーー!」
そう言ってワルキューレはひときわ大きくハンマーを振りかぶる。
「………………そうか、もういい」
しかし、携帯でなければ1レスにもっとまとめられると思うですよ 支援
ギーシュ…死んだな
【自業自得】ああ、ギーシュ……追悼スレ22【因果応報】 支援
ザグ!
だが、次の瞬間、ベルモンドの胴体を突き破って回転する漆黒の何かが飛び出した。
そして、
ギュガガガガガガガ!
それはそのままワルキューレの胴体をえぐり飛ばすとギーシュの目の前に着地した。
そこには、左手の甲に4本の鋭い爪をもち、表情のない仮面をつけた、
鍛えこまれ抜いた肉体をもつ漆黒の戦士が降り立っていた。
この出来事を前に誰一人として声を上げられるものはいなかった。
ギャラリーも「実況」もシエスタもギーシュもルイズでさえも。
その静寂の中、
コーホーー
彼の呼吸音だけが広場に響いていた。
ゲェー!?ベルモンドの中から謎の超人が!?
乙
コーホー支援
ウォーズマンスマイルktkr 乙でしたー
イヤァーーーーっ!!
クマちゃんの中から残虐そうな怪人がーっ
とうとう出てしまったw乙wwwwww
中の人って血しぶき出るっけか?
まあどうであれ笑ってたらギーシュ死亡確定だな
乙
ゲェーッ!機械の超人!
ついに出てきちまったかwwww
ああ、ついに中の人がwww
これは乙せざるを得ない
ファイティングコンピューターがとうとう出てきたか
以上で投下は終了します。
プロレスはハルゲニアでも流行ってることにしてみました。
というわけでこの作品内では皆さん普通にプロレス用語を使ってもおかしくないということで。
ウォーズマンの人、おつかれですー。
んー、でももう少しコンパクトにされるとやはりよろしいのではと愚考。
でもこの後のルイズの対応が非常に気になりますね。
では予告。22:30から。
ギュス様支援
>プロレスはハルゲニアでも流行ってることにしてみました。
志村ー
ハルケギニアー
お!待ってました!
お姉さまとのトレンディ・ドラマに期待。
ミスロングビルっぽいAA見つけた
_,,,,__/;;ヽ
,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;丶;;;ヽ
/;;;;;;;;::::::;;;;;;;;;;;;;;;;ヽノ
i;;;;|. !|;;;;;;;;;;;',
i;;;;;|- ー- |;;;;;;|;;;;;|
|;;;r'7o、 r''て '|;;;;;r^ v
|;;弋_タ ̄ヽ、ニ|;;;;レ ノ
|;;;;;', '_ |;;;;;/、
|;;;;;|\ ` ' /|;;;;|| )
|;;;;;;|ノ >=--.|;;;|:|ヽ_
/|;;|;;i:':´ ∩: : :!;;|:|: : : `.''⌒ヽ
/: : :|;|:!:|: : :∪: : !:ノ: : : :/: : : : : :i
/: : : /: `: : : : : : :/: : : : :!: : : : : : :',
/: : : /: : : : : : : : : : : : : : :|: : : : : : : ',
./: : : :{: : : : : : : : : : : : : : : : !: : : : : : : ',
ヽ: : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : :i: : : : : : ;ノ
コーホーで死んだ
クマちゃんからの超進化っぷりに周りは絶対ついてけないwww
戦争さん乙
・・・なんか所々あぼーんしているレスが
では投下していきます。
昼下がりのトリステイン魔法学院。
ルイズは一人、風通しを良くした自室で机に齧りついていた。
「ん〜……う〜……ん〜……」
つらつらと便箋に書き連ねては、クシャリと丸めて捨てる。
床にはそんな具合に丸められた便箋があちこちに転がっていた。机には、開かれた詩集と『始祖の祈祷書』、そしてペンに綺麗な便箋が置かれている。
ルイズはギュスターヴ達が王都に出かけている間、部屋に残って祝詞を考えていたのだった。
座学では優良な成績を誇るルイズだったが、なにぶん、詩というのは感性の世界である。魔法という世の真理に触れられない、という潜在化のコンプレックスは、
自然ルイズにそれらへの食指の発達を阻害する一面があり、なかなか名文、美文が思いつきもしなかった。
しかも今回は王家の婚儀で使う詩である。色々と制約がつく。使ってはいけない語句、使わなければいけない語句、韻の踏み方、最低字数、最大字数、…と、
課題は山ほどある。
流石のルイズも参り始め、耳から煙が湧き上がりそうだった。
…そして不意に、ルイズの中で何かが切れる。
「あー、もう!部屋に篭っててもいい語句なんて思いつかないわ!…そうよ、外に出ましょう。外に出て新鮮な風と緑に触れればきっといい文句が浮かぶわ!」
確かモノの本にある有名な文豪は、日がな領地の緑に戯れて文章を作るというではないか!
…と、いささか逃避気味に結論を出したルイズ。祈祷書と便箋、そして携帯用のペン及びインク壷を持って部屋を出る。
学生寮の外、学院敷地内の広場の一つに出た。王家の婚儀が近い事もあってか、学院の授業は近頃半分ほどに減らされ、代わりに生徒や教師の一部は、
こういった時に家門が王国より架せられる仕事を持つ者もいるために、王宮に借り出されている。
しかしそれほど身に忙しい用事のない生徒達は、降って湧いたのどかな時間を思い思いに過していた。平時のタバサのように図書館に篭る者もいる。
広場に目を移せば、そこにも学院の生徒はいる。車座になっておしゃべりに耽る者。木陰で使い魔とともに午睡に興じる者。
広場の一角では、男子生徒二人が杖を抜いて対峙していた。決闘…ではない。
二人の間には線が引かれ、その間を鳥の羽で作った玩具が行きつ戻りつしている。向かい合う両者が浮遊【レビテイション】で羽を拾い合い、
お互いが線の向こう側に落そうと競争する。最近学生の間で逸り始めた遊びらしい…。
天気も良く、のどかな風が吹いて心地よい。肺一杯に空気を吸って気持ちを入れ替えたルイズだったが、残念ながらその場で名文の類は思いつかなかった。
そこで学院にいくつかある広場を練り歩いてみる。その内の一つ、目立たない壁際の木陰でケティとモンモランシーがなにやら
絡み合って寝転んでいたような気がするが、多分気のせいだろうと思う。
そんな具合で、最終的に足が向いた先は、このところよく通い始めたコルベール師の研究塔前だった。
『下準備の日々』
支援
「習慣って怖いわねー…」
とはいえ、仮にもコルベールは教師だ。何かしら助力を得られるかもしれない。そう思って塔の中を覗いたが、中は無人。
その代わり、塔の脇に建てられた大きな天幕から、定期的に火の粉が吹き上がっていた。
近寄ってみると、天幕の中に作られた溶鉱炉のそばで、コルベール師がえっちらおっちらと箱ふいごの取っ手を押し引きしている。
押すとそれに合せて、溶鉱炉の天井から火の粉が吹き出ていく。
「ふっ、ふっ、…おや、ミス・ヴァリエール。今日は、一体、何の、用ですかな?」
小刻みに息を切りながらコルベールはふいごを動かしている。
用と言う用があってきたわけではないルイズは、少し困った。
「いえ、ちょっと近くまできたものですから…」
といって、天幕の影に置かれたテーブルセットの一角に座る。
座ってルイズは暫く、コルベール師の動きに合せて動く溶鉱炉を眺めていた。ふいごの運動に合せて火を噴く溶鉱炉は、ふと、昔見た解剖学書に書かれていた
心臓の挿絵を想起させる。脈に合せて熱せられた空気を送る、鉄の心臓…。
「…ミスタ・コルベールは詩を作られたりはしますか?」
問われたコルベール。少し手を止めて答えた。
「詩ですか?…生憎と文学の素養は、持ちえませんでしてな…」
暗に自分が粗忽者であると言っているようで、コルベールは苦笑した。ルイズはそこまで表情を読めず、言葉の表面だけを受け取る。
「そうですか…」
ルイズが落胆しているようで、何か声をかけようとしたコルベールだが、溶鉱炉が冷め始めていると見て急いでふいごを動かし始める。
「そういえば、貴女は、王室の婚儀の、巫女役に、選ばれたのでしたな」
教師の中でもオスマンと繋がりの深いコルベールはそれを知らされていたのである。
「はい。家名の恥にならぬよう、大役を果たして見せます」
「そうですか、ふっ、私は助力、できませんが、オールド・オスマンに、やはり、聞かれると、よいでしょうな」
結局オスマンの手を借りた方が良いらしいと、今日の散策で結論付けられてしまったルイズであった。
そのまましばらく、コルベールの溶鉱炉を観察していたルイズ。ふと疑問が浮かんだ。
「ミスタ・コルベール。そもそもこの溶鉱炉って何のために作られたんですか?」
最もな話で、ルイズは溶鉱炉の落成を見たが、何のために作られたのかはさっぱり知らなかった。ただ、ギュスターヴが協力しているらしい、とだけは察知している。
「ん…そうですな。しばしお待ちを…」
ふいごを止め、そばの麻袋からスコップで石炭を掬って溶鉱炉の中へ投下し、コルベールはやっと体を止めた。
「ふぅ、やはり人力では限界がありますな。塔に風車をつけてそこから動力を得ますか…」
後退した額には玉の汗が浮かび、コルベールは懐のハンケチーフでそれを拭った。
「…さて。この溶鉱炉はですね、まず材料を用意する為のものなのですよ」
「材料?」
「ええ。この溶鉱炉で作った鋼材を使って、私はやりたい事があるのです」
ルイズには俄に理解しがたい志向だった。例えるなら、普通パンを焼く時に小麦粉を求めるが、この場合まず小麦を畑で作るところから始める、ということである。
「残念ながらトリステイン産の鋼材では用件を満たさないのです。ですから自分で作ることにしたのですよ」
「はぁ。…じゃあ、その鋼材でやりたいことってなんですか?…その、姉様は外道な研究と言っていましたが…」
「ははは、確かに、エレオノール君のような生粋の魔法研究者から見れば、私の研究は外道もいいところでしょうな。
…私はね、魔法に寄らない技術の開発をしているのですよ」
「魔法の力によらない…?」
時にこの教師は貴族らしからぬ、メイジらしからぬ事をいう。柔軟である。ルイズの知性が刺激されうることも多岐に渡る。
コルベールは続ける。「例えばメイジは浮遊【レビテイション】や飛翔【フライ】で空を飛ぶ事が出来ます。といっても、精々地上40メイルほどですが…。
しかし平民の、魔法の使えない人々にとっては、どうやっても空を飛ぶ事が出来ない」
「あたりまえじゃないですか」
「そこです。その『当たり前』というのは、魔法を使うことが前提だからですよ。技術の全てを魔法に傾注する事を私は良しとしません。
世の理の全てが魔法であるというのは、遺憾ながら貴族の持つ幻想であると私は思ってますぞ」
「はぁ」コルベールの思想を受け止めきれないルイズだった。
コルベールの思考、実に柔軟である。縛られぬ小貴族だからこそ、貴族の特権たる魔法にこだわらないのか。はたまた、うやむやに伏せられる半生に、何を見たのか…。
ともかくも、コルベールの思想はトリステインの、いや、ハルケギニア全域のメイジと貴族にとって危険極まりないものであろう。ルイズがそれを聞いても判然としないのは、やはり魔法の使えない『ゼロ』だからなのかもしれない。
「今の私の目標は『魔法を使わずに人を空に飛ばすこと』です。…といっても、現状の計画では一部に魔法を使わざるを得ないのですが、ゆくゆくは全て、非メイジの労働力で作成が可能なものを作り上げるつもりですぞ」
「本当にそのようなことが可能なんですか?」
「ははッ、ミス・ヴァリエールは鳥や蝶も魔法で飛んでいるとお思いですか?」
はっとするルイズ。以前、ギュスターヴにも似たようなこと言われたことがある…。
「まッ、夢物語の様でもありますし、普通のメイジからすれば異端の研究と謗られても仕方がありません」
とはいえ、コルベールの目には背徳に慄く素振りなど欠片もない。彼は夢見ているのだ。いつかメイジと非メイジが互いの技術を競い合い、社会がより円満に回転する未来を見たいと願うのである。
ルイズは思わず、そんなコルベールの一旦を垣間見たのだった。
さて、学院の散策を終えて部屋に帰ってきたルイズ。結局、詩の新しい一行が思い浮かぶことはなかった。
部屋の前に立つと、人の気配がする。そっとドアを開ける。
中では、いつもの場所にギュスターヴが座っている。以前は床にべた座りだったが、何処からか調達した丸椅子に腰掛け、まんじりとせず瞠目していた。しかし、ルイズが部屋に帰ってきたと見ると、目を開いて、朗らかに笑った。
「お帰り、ルイズ」
思わずルイズの頬も緩んだ。
「ただいまギュスターヴ。…お店の方はどうだったの」
「順調な滑り出しだったよ。…ちょっといざこざもあったが」
「?」
どこか話しにくそうにするギュスターヴである。
「まぁ俺のことはいい。ルイズは祝詞ってやつができたのか?」
「まだぜーんぜんよ…。どうしたものかしら」
「まだ時間はあるんだろう?ゆっくり考えればいいだろう」
「そうね。…ところで、ギュスターヴは…」
「生憎詩の才能はないぞ。そのあたりは全部友人に任せてたから」
「あらそう…」
ルイズの落胆は深い。
若い頃はケルヴィンに手紙の代筆を頼んだ事もあるギュスターヴだった…。
支援
夕刻の王都トリステインの王宮。通廊という通廊には魔法で設えられた尽きないランプが灯されていく。
通い詰める官僚たちは連日部屋に篭り、三国不可侵条約のすり合わせや、婚儀の準備などで大忙しである。
王女アンリエッタもまた、婚儀の為のドレス合せや何やらで引っ張り回されていた。
「ふぅ…」
やっと一日のお努めが終り、王宮の内部――王族一家の私空間である――に引っ込んだアンリエッタ。その目は自然と、指に嵌めた『風のルビー』に向かう。
「お疲れのようね、アン」
「お母様…」
振り向けばトリステイン女王、母マリアンヌが自分を見つめていた。政務らしい政務の殆どを自分を含めた他者に押し付け、一人自分は
私室で夫を思う寡婦として暮す母…。
「この婚儀でトリステインが救われるのだと思って頂戴」
どこか哀れむように娘を見るマリアンヌ。まるで他人事のように聞こえたアンリエッタの脳裏がささくれる。自然、口を出る言葉は針を含む。
「トリステインの何を守れると言うのですか。ゲルマニアから兵を借りたとしても、戦端が開けば結局、トリステインの民草の血は流れざるを得ません」
「ゲルマニアと繋がればアルビオンの愚か者とて安易に手は出せませんよ。それを察してアルビオン側から和平の打診があったじゃないですか」
「王家を蹂躙した連中の言葉など信用できるものですか」
座るアンリエッタの肩に手を置くマリアンヌ。ふっくらとした、穢れの無い手である。
「貴女がウェールズ殿下と親しくしていたのは判っていたわ」
「…!」
きゅっ、と手のひらを片手で握り締める。
「あの人が生きていれば王子を産んで貴女に幸せを与えることも出来たのでしょうけど、今となっては過去の事。忘れなさい」
…なんと無責任な。握り締める手に力が篭る。
「……全て貴女のせいだわ、お母様。貴女が王子を産まないから、貴女がもっとこの国を盛り立てないから、私は今……」
その先が言葉にならない。ならなくて俯き、殺すように泣いた。
「私は貴女が願うように、強く生きられるでしょうか…?」
か細く、つぶやくアンリエッタの言葉を、『風のルビー』は静かに聴いていた…。
夜も更けて月が天頂を昇りきる頃。神聖アルビオン共和国、ロサイスは一部を除いて夜の帳の中であった。
ロサイスはアルビオンの中でも古くから造船、特に軍艦の建造で名を残す都市である。
内乱終息後、ロサイスは消耗した空軍が注文した建造や改修、修理で活気づいていた。職人にとってお上の戦争よりも仕事が第一である。
そのようなロサイスのドックの中でも最も大きなものの一つに、『レキシントン』が停泊していた。
ニューカッスル攻防戦において船体が受けた損傷は、既に8割ほど修復を終え、現在は皇帝クロムウェル傘下の技術者集団考案による『新兵器』実装の為の
艤装に取り掛かっていた。
今朝方もクロムウェルがわざわざ視察に訪れ、『レキシントン』艦長、現在は艤装主任に就いているヘンリー・ボーウッドによる艦隊整備の進行状況の説明を受けていた。
「余の考案せし『火竜弾』はどれだけ載せられるかね、ボーウッド君。」
ボーウッドが答える。「現在の生産状況と弾薬庫の改装計画から、従来砲弾10に対して1から3の割合で積み込める計算になっています」
クロムウェルは眉をひそめる。くどいほどに顔を憂いで染めてボーウッドに語る。
「それは少ないぞボーウッド君。余と余の議会が企画した『親善訪問』では従来砲弾10に5は必要なのだよ」
「…恐れながら閣下。我がアルビオン艦隊の腕を以ってすれば、新兵器に頼らなくとも従来砲弾で事は達成できます」
ボーウッドはかねてより聞かされていた『親善訪問』の内容を思い出して顔をわずかに曇らせた。
「ならぬぞボーウッド君。計画通り、従来比5は搭載するように。…なに、場所が足らぬなら砲を下ろせばよい」
「……は」
所詮ボーウッドは軍人である。上が首を振るままに働くのみだった。
支援
さて、そのような一幕もあったロサイスには、駐留するアルビオン軍向けに建てられた兵舎がある。その中の一室から、男の呻き叫ぶ声が漏れ聞こえる…。
「うぅ…あぁ!ぐあぁぁぁっ!!」
男は明かりのない部屋でテーブルに置かれた瓶やグラスを腕で払い飛ばす。床に落ちて音を立てて砕け散るガラスの音が続く。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
椅子にもたれかかって男はうなだれていた。夏には少し早いはずなのに、上半身にはシャツの一枚も羽織っておらず、さらに身体は汗で濡れていた。
男は左腕をぎこちなく掲げては、それを掻き抱いたり、振り回したりしている…。
「随分荒れてるねぇ色男」
男…ワルドが振り向くと、部屋の扉が空けられてローブを纏う女が壁に寄りかかっていた。
フーケである。アルビオンの内乱が終わったと聞くと、ラ・ロシェールからアルビオンに渡り、レコン・キスタ内の符丁を使いつつこのロサイスまでやって来ていたのだった。
「失せろ盗賊。お前にもう用はない…」
濡れたグレーの髪が顔に張り付いているワルド。その髪の根元は…白くなっていた。
「私だって用はないよ。ただ、挨拶代わりに顔を出しに着ただけさ。…それにしても、どうだい?片輪の仲間入りを果たした気分は」
フーケの口角が悪意を満ちてつり上がっている。その目はワルドの新たな左腕を見ていた。
彼女の両脚もまた、ワルドの左手と同じく作られたもの……義足である。その芯材に魔法の杖と同じ技法が施されており、素手でも魔法を使うことが出来る代物である。
ただし、フーケは自らそれを欲したわけではなかった。監獄から脱出した時、既にその両足は血が滞り腐り始めていた。
ワルドはトリステイン内に潜伏する親レコンキスタ勢力に要請し、義足を与えたのだった。
その手術の折、ワルドはスクウェアメイジという技量を買われて、自らフーケの脚を切り落としたのだ。
「無くした腕が恋しいかい?眠る夜にふと、既にありもしない指先が痺れたりするだろう?」
例え腐り落ちると知っていても自分の身体の一部を棄て去るのは精神を病む。フーケは新たな両脚が生み出す『無手による魔法』と
メイジとして破格の『脚力』を手にしたが、反面、無くした脚の代わりである義足に尋常ならざる依存心を芽生えさせていた。
「…常に油鍋で煮込まれているかのようだ」
「ほぅ。そりゃあいい」
ケタケタとフーケが哂う。
その時、ワルドがバネ人形のように椅子から飛び上がり、フーケを銀の左腕で壁に叩き付けた。
「がうっ?!」
金属特有の冷たい質感の指先がフーケの首にめり込んでいる。
「お前のような薄汚れた盗賊と一緒にするな。お前の足はお前自身の責任で失ったものだろう。俺は違う。あのような、魔法も使えぬ使い魔如きにっ!
あの野蛮極まる剣にっ!…判るか?俺の気持ちが、俺の屈辱が、俺のこの煮えたぎる怒りがお前ごとき盗賊に判って堪るか!!」
「がっ…あ゛ぁっ…」
指先がフーケのしなやかな首を締め上げ続ける。フーケの口先から舌が零れ、潰される気管から笛のように空気が漏れている。
憤りのままにフーケを締め上げるワルドの左腕。その付け根の触手が不意に動いた。
「がぁぁぁぁぁ!!」
たちまちワルドは叫び声を上げて悶え狂う。意識の落ちる直前でフーケは解放された。
「かぁ!はぁ!はぁっ…はぁっ……ちっ、精々その立派な左腕で生きながらえるといいさ。裏切り者のグリフィン隊隊長さんよ」
捨て台詞を吐き捨て、フーケは逃げるように部屋を出て行った。
(チッ…何か金目の物があればせびってやろうと思ったんだけど、失敗だったね。…こんな形(ナリ)じゃ、あの娘に会いに行くのも、な…)
また、月明かりだけの暗い部屋で、ワルドは窓から見える月に向かって、その銀の左腕を掲げていた。
「ふふふ…はっはっはっ…クロムウェルから貰い受けたこの左腕で…俺は…世界を手に入れるのだ…はっはっはっはっは…!!」
その両目は双月を映し込み、炯炯と暗い炎を灯している…。
いみじくも、ワルドもフーケと同じく、身体の欠損によって心を壊し始めていた…。
支援
支援
投下終了。今回は前回出なかった人たちがほぼ同時刻にどうなっていたか、ってところですかね…。
ぁー、最近読んでる「紺碧の艦隊」の影響が各所に見られます。反省…。
ぇー、つきましては、付録といたしまして『鋼の使い魔』用王都の簡略ながら地図を作成しました。
極めて粗雑ですが大まかにわかってもらえたら嬉しいかなぁとおもいます。若干重たいですが、ペイントで書いたものなのであしからず…。
ttp://roofcity.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upload/src/up0082.bmp ファンタジー世界を描写する時に地形を念頭に置くと少し違った見方が出来ていいですね。王都というならやはり川が近くにあると考えました。
他にも地図めいたものはぽつぽつ作成していたり…。でも、プロットも未だ未完…。
鋼の人乙ですー。
って言うかすげぇ!地図とか!
そこまで考えてるのか!脱帽ッス……
たぁいむだぁいばぁあ〜おぉお〜れぇはぁ〜
そして一日に三度投下するのも私だ……!
先に誰かいらっしゃらなければ22:55頃より……
今回は幕間的な短めのお話です。
順調にテンプレをこなしている久保ですが、このままでは戦力が圧倒的すぎて
5万?7万?テトラクテュス・グラマトンしてやんよ
/ / 丿 :
//ミ /_,. -;=''" _,
// '-'"`" -‐ニ‐"___=__--_ __ _ __ ___ _____
/ノ |\ :/レ ____-__-__-__=_--_-__=__=_=_=____=__--
/ \ \_\_ / .,/′ ミ : = _-
/ \ ( ゚∀゚) ; i:::″ ;ミ 二 __=__--_ __ _ __ ____-__-__-__=
( ( ⊂ ◎⊃ )..!::^: 三____-__-__-__=_--_-__=__=_=_=____=__--
∨⌒\ / | | ⌒!::^: ミ) ≡ _ __ _ __ _
∨ し ⌒J i:: :: : ミ _-__-__-__=_--_-__=_=_=___
ヽ ヾ ) ) ヽ_ __ _ __ ___ _____-__-__-__=_--_-__
ヾ\\: \,. -;=''" _,.-;-
\ |\ :: |i''-'"`" -
丶 :: ,. -;=''"
するのが目に見えているので敵にも梃子入れしておきます。まぁ、前フリみたいなモンですね。
探索一日目。
宇宙をディス・アストラナガンで飛びながら、クォヴレーは先程から気になっていることがあった。
周りにあるのが若く、小さな星ばかりなのだ。
しかも、どれもこれも軽元素ばかりからなる種族Uの星。
ハルケギニアを含む大地を持つ惑星の親星たる恒星は、もちろんのこと種族Tだったが、それ以外に重金属を含有した恒星が見つからない。
そして、尚奇異なことに、それらの恒星には、一つとして惑星を持つものがなかった。
探索二日目。
その日の探索で、クォヴレーはあり得ないものにたどり着く。
世界の果て。
漆黒の宇宙の先。本来なら、常に膨張を続けていて観測不能であるはずのそこは、微動だにせぬダークマターの壁だった。
しかも何故、これがこんなにも近くに存在しているのか?
あの星を出てから、ほんの1光年しか移動していないのに。
探索五日目。
クォヴレーは青い顔をしていた。
ディス・アストラナガンの目前には、やはりダークマターで構成された壁。
光を反射しないその壁は、ハルケギニアから仰げる太陽を中心として、東西南北四方八方360度、ありとあらゆる方向に張られていた。
「まるで……箱庭だな」
その大きさ。僅か、半径1光年。
銀河一つすら内包出来ない箱庭だ。
そして、その箱庭で生きる者が居るのはあの惑星ただ一つ。
「箱庭で生かされるモルモットたちか……」
何故に見る星見る星、種族Uの星ばかりなのか。そして何故一つとして惑星を連れているものがないのか。それが判った気がした。
この恒星達は全て書き割りだ。
ハルケギニアの大地から見て、夜空が星で溢れているように見せかけるためだけに用意された舞台なのだ。種族Uの星ばかりなのは、おそらくただ単に箱庭制作者の手間を省くため。
そしてハルケギニアの科学力でいえば、書き割りの星にわざわざ惑星を付けておく必要はない。誰もそんなことに気づきはしないのだから。
この箱庭の主は一体誰なのか?そして何のためにこの箱庭を作ったのか?
情報が足りなさすぎる。
再度転移して帰還する中、クォヴレーは思いがけないものを視界に捕らえた。
「あれは……!?」
箱庭に浮かぶ即席の星々に惑星はなかったはずだが、その恒星はただ一つ惑星を従えていた。
ただ、それをクォヴレーは惑星と呼んだことは無かったが。
「自動攻撃衛星、ネビーイーム……」
ゼ・バルマリィ帝国バルマー本星防衛の切り札にして、侵攻作戦の駒の一つ。白き魔星。
要塞側のプロテクトにアクセス。――解放、進入。
コクピット後部のトランクからベレッタ90-Twoを取り出し、ネビーイーム内部機動兵器発着用のハッチに降り立つ。
ひとまず手近な端末にとりつき、情報を引き出す。
……これは侵攻作戦用のネビーイームであるらしい。バルマー本星の情報ではなく、銀河を航行するデータがインプットされていた。それも地球への。
続けてネビーイーム内生命反応を探査。
――自分以外に反応無し。
「生命反応ゼロ?」
思わず驚きの声も上げてしまう。
そんなはずはない。
防衛用のネビーイームでも、自分たちバルシェムのような人造生命は兵士として配備されているし、これが侵攻作戦用のネビーイームであるというのなら、なおさら侵攻を統括する役目のハイブリット・ヒューマンが一人はいるはずだ。
とりあえずネビーイーム内部の全防衛機構を外そうとして……外せなかった。
既に外されていたのだ。
尚のこと不信感を大きくしつつ、ディス・アストラナガンに戻りネビーイーム内部の探査を始める。
……兵器貯蔵施設、サンプルデータ収集用プラント『キブツ』、コールド・スリープ施設、中央制御室。全てもぬけの殻だった。
メギロート一体、見つからない。プラントでは機器の一つに至るまでもなくなっているし、何より、全ての制御系たるジュデッカも消えている。
「どうなっている……」
このネビーイームの戦力。ハルケギニアどころかあの惑星そのものを征服するのにも困らない質・量の筈だ。
交戦の跡が全く見られないということは、この世界に存在する誰かが、根こそぎその戦力を保有しているという事になる。
しかし、クォヴレーの確認する限り、バルマーの兵器をあの惑星周辺で未だ見かけたことはない。
単なる世界征服が目的ではないということか?
「いや、そもそも……」
慌てて首を振る。
何故ネビーイームがここにあるのかという根本的な疑問が解決出来ていない。
(この書き割りの世界に、コイツを持ち込んで何をするつもりか?)
現状では、箱庭の主が持ち込んだのかどうかさえ判らない。
そして、あるべき戦力がどこへ行ったのかも、掴めない。
ネビーイーム内には、何も残っていないとはいえ、未だに兵器製造プラントは生きていた。
今後利用させないため、自爆シークエンスを作動させ、クォヴレーは白き魔星を飛び立ち、
(ネビーイームを利用する者……その影を追うにも、鍵を握るのはやはりあの星か)
一路、ハルケギニアへと戻った。
ホントに短いですが、他の話に混ぜ込むのも難しかったので、こうさせて頂きました。
毒の爪、熊の爪ときたら次は鷹の爪か?
鋼の人乙
似た者親子だなw
久保の人投下お疲れです。
その昔夜華に投稿されていた「幼年期の終り」というSSを思い出します。(世界は書割だった、的なくだりが)
久保の人乙です。
なんか背後にどこぞのロリコンにやられたヘッポコ邪神の影が見えるなw
久保様乙です!
鋼の人乙
母親が王子を産んでればってセリフはまぁその通りだわな。
それが望めない今アンアンが隣国に身売りするのが国家にとっても民衆にとっても最良だ。
アンアンは王の器じゃないし。
よろしければ40分から拙作を投下させていただきます。
業火が唸りを上げ、その身を広げる。
龍の炎すら児戯と見まがうほどのその灼熱が、大地を覆い軍を囲んでいく。
――不味い。
怜悧なジョゼフの頭脳が警鐘を告げていた。
この怪炎は炎そのもの、すなわち無慈悲なその一撃はアムルタートとガリアの兵のみならず、その陣まで焼き払う。
近づかれればそれをふりほどくには打ち倒す他無い。
これを打ち倒し得るのはアムルタートの一部と、そして姪であるシャルロットを含めたメイジ、それも手練れのみ。
軍に率いられる有象無象では致命の一撃も遠いだろう。
更に、ジョゼフには見える。虚無である故か、それともグリシーナと共にいた時が長かったことが原因か、この炎は決して一体ではない、と。
姿定まらぬ炎故に一体と見えるが、ジョゼフの目には二体は存在すると見える。一体でさえあの脅威、それが倍となれば――。
そして、意識を向けるべきはそればかりではない。同時に存在する同数の大地の化身。
見るに大地の堅牢さをその身に宿したと思しき、怪炎と同種の怪物。その実力は未知数だ。
恐らくは数日の奇妙な体験があるからこそ兵士達も動揺は薄かろう。けれども、太刀打ちできるかどうか。
――だが、それを気にとめたところで何にもなるまい。
剣を構える者がいる。杖を構えるものがいる。あるいは盾を構え、あるいは槍を手に取り炎に岩に挑みかかる。
ジョゼフの叱責を恐れてか、それとも本能的にこれが敵だと悟ったか、いや、ジョゼフにとっては兵が果敢に挑むのであればどちらでも良い。
不意に、氷の槍が飛んだ。炎を貫かんとタバサの放った氷の矢。
目を細める。最適解を探し即座に動くその姿。敵を貫く氷の槍。どちらも弟を思い出させる。
ここにシャルルがいれば。恐らくジョゼフはシャルルに指揮を任せ逃げたグリシーナを叩くべく追撃しただろう。
グリシーナ。あの女怪。あれの存在を、これ以上許すわけにはいかない。あれの陰謀をこれ以上のさばらせるわけにはいかない。
シャルル、お前がいれば。
けれど、それは自ら潰えさせた可能性だ。
グリシーナの掌で踊らされたわけでもなく、他の何者かの意志によって決定したものでもなく。
ただ、己の決断によって成し遂げたことだ。
ならば、ジョゼフが今それを悩むことはない。いや、思い悩んでいてはいけない。
それは己の道、己の意志。それに慚愧を覚えるなど、そんなことはありえてはいけないのだ。
タバサの氷に貫かれた炎はわずかに動きを鈍らせたが、それまでだ。やはり一撃で消し去るのはやや難しい。
だが、難しいだけだ。確実に動きは鈍った。タバサの一撃でも、だ。――あるいはタバサだからこそだろうか。
視界の中、龍が飛んだ。青い鱗を持つ龍たちだ。翼の一打ちごとに氷の粒が舞う。氷を宿した龍か、ジョゼフは龍たちを見上げ、頷く。
恐らくタバサとあの龍たちが攻撃を加えれば、炎は僅かずつ消えていくだろう。そうすればグリシーナを追うことも容易となる。
氷の龍が顎門を開く。口腔にきらきらと輝くそれは恐らく極低温の大気だろう。
豪と音を立てて、吹雪が吹き荒れた。
「寒覇白冷轟。いかに炎のアルコーンといえども防ぐことは出来ん!」
青い龍の一体の、その背に立つハイゼンガーが声を張り上げた。
高らかと歌い上げるようなその言葉は、周囲の怒号を貫いてジョゼフの耳に届く。
言葉通り、この吹雪ならあるいは一撃で炎を霧散させることとて――否。
不意に、大地の巨怪が腕を伸ばした。あるいは人として見たときに腕と映るような岩塊を。
吹雪は炎に届かず、ことごとくそれに食い止められる。炎への攻撃を割り込み己で受けたのだ。馬鹿な。
いかな岩とは言え、氷龍の一撃を受け削られている、がそれは炎のアルコーンに比べれば恐らく微々たるものだ。
厄介な、とジョゼフは歯がみした。
同時に炎の触腕が四方に走った。ガリアもアムルタートも一切の区別なく、その炎が襲う。
薙ぎ払われ、焼き尽くされ、兵士達が倒れていく。その盾と仲間の挺身をもって生き残る兵もあるが――あまりにも無力だ。
時間をかけるわけにはいかん、とジョゼフは眉を寄せた。
視線を周囲に飛ばし、冥龍皇と名乗る龍の支配者、あのタバサより幼い少女にしか見えぬ姿を探す。
果たして、その姿はすぐに見つかった。石と変わりつつあるリムシュとか言った龍をかばい、炎をしっかと睨みつけている。
その目に宿る、殺気。
炎も岩怪も近づくことすらままならず、手を出しかねているようにさえ見える。
「冥龍皇!」
周囲に響く怒号や轟音にかき消されること無いように、ジョゼフは声を荒げた。
揺らめく何かをその身に宿して見える冥龍皇が、その言葉に合わせて視線を向ける。
鋭い。あるいは死そのものを表すか。
その眼光に射貫かれて一瞬、ジョゼフは死を感じた。
けれど冥龍皇イルルヤンカシュは即座にそれがジョゼフであると悟ってか、眼光を緩める。
「なんじゃ!」
「手を分けろ、冥龍皇! グリシーナの向かった先を探らせよ!」
戦場で、この怪物たちを相手にするのに配下を別のことに振り分けろ、と言う。
その言葉に、冥龍皇イルルヤンカシュはジョゼフを測るように目を細める。
「その言葉、なにゆえじゃ! なにかもくろみでもあると言うのか?」
イルルヤンカシュのもとへと足を進めて、ジョゼフはああと頷く。
「その通り。情報源は言えぬが――奴の目的はアポルオンを支配下に置くために死人を造ることだ」
「……なに?」
姉上を、と冥龍皇が呟いたのを、ジョゼフは聞かなかったことにした。
「今頃我らが来ないと踏んで悠々と殺戮を繰り広げているだろうな。だが、そうはいかぬ。そうだろう?」
ああ、とイルルヤンカシュが頷く。
「そうと知ってはこのような雑兵相手にしておる気にもならん! 者ども、総攻撃じゃ!」
総攻撃という単語をイルルヤンカシュが叫んだ瞬間に、アムルタートの軍は高らかに雄叫びを上げた。
さすがはアムルタートの女王というべきか、その言葉はある種の魔法に似ている。
己が号令を下したところで――と、自嘲しながらも、ジョゼフはイルルヤンカシュに声をかける。
「今の内に奴を追わねばならん。居所を誰かに探らさねば」
うむ、とイルルヤンカシュが答える。
ジョゼフは自軍の者を裂くわけにはいかぬと考える。
メイジでもなければ奴を探るような手は無かろうが、この現状でメイジを動かすわけにはいかないのだ。
対してイルルヤンカシュ率いるアムルタートならば、飛ぶことの出来るものは数多くある。
重要な戦力を削るということには、ならないだろう。
不意に蜥蜴のような顔の龍がイルルヤンカシュに向けて一歩詰めた。
「イルルヤンカシュ様。僭越ながらその任、この震龍将ラハブめに」
「ほう、ラハブか。しかしおぬしは……」
イルルヤンカシュがそのラハブを見つめ、僅か思案するように口を閉ざす。
「我が震龍軍は炎龍軍ほどの火力も氷龍軍ほどの技巧もありませんので。戦線から離脱しても問題はありません。それに――」
悩むイルルヤンカシュに決断を早めるためかラハブが言う。
そして、わずかに笑い――少なくとも、それに類する表情を浮かべてラハブが言う。
「わたくしは頭が回りますので」
目を閉ざし、悩むこと一秒、二秒。ぱちりと目を開き、イルルヤンカシュは頷く。
「良かろう、ラハブ。おぬしと配下の震龍軍へと命ずる! 一刻も早くグリシーナを探し出し、可能ならば打ち砕くのじゃ!」
ラハブは恭しく一礼。一列に付けられた兜飾りが揺れる。
振り返り、その配下の軍勢に向けて告げる。
「分かりましたねぇ! 我々はグリシーナを追います。上手くすればアポルオンと戦うことも無いでしょう。行きますよぉ!」
震龍軍の返答が、豪と風にも似て戦場を吹き荒れた。
「それではイルルヤンカシュ様ぁ! 我ら震龍軍とこのラハブの朗報をお待ちくださいませぇ!」
神速と言うほどでも無い。けれど迅速に彼らの軍は戦場を離脱し、空を彼方へと、アポルオンの消えた海岸の方へと向かっていく。
不意にそれを追ってか、炎の一体が火炎を伸ばし震龍軍を追撃する。
触れれば即堕とされるだろう、その業炎。
たった一振りであるはずなのに怒濤のごとき斧の一撃に、その炎はかき消された。
赤い龍将が飛び去る震龍軍を尻目ににやりと笑った。
「ワシがここを通すとでも思ったか、アルコーン」
炎龍将アジ・ダハーカがその唇を歪め、吠える。
同時にもう一つの首が氷龍将たるハイゼンガーに向かう。
「おい若造。ここはワシひとりでも十分だ。お前も行ったらどうだ?」
「馬鹿を言うな、アジ・ダハーカ。この状況をお前一人で改善するには時間がかかるだろう。それではグリシーナとの戦いに間に合わんぞ」
「むう、そいつァ困るな」
戦場だと言うのに、目の前に怪物が存在すると言うのに、炎龍将はまるで子供の遊び場にでもいるかのような余裕ぶりだ。
ひとまず冥龍皇に礼を言い、ジョゼフは自軍の指揮官の場所へと戻る。
ついでに、炎龍将へと声を掛けた。
「炎龍将殿、炎といえどもより強い炎の前には飲まれるものだ。油断なさらんことだな」
「何ィ? このワシがこのへなちょこの火どもに劣るだと?」
思った通り、ジョゼフの一言でアジ・ダハーカの形相が一変する。
内心で舌を出しながら、ジョゼフはいやと首を振った。
「別にそんなことは言っておらん。まあ、もしかするとそうなるかもしれぬなと、それだけの警句よ」
「面白いこと言うじゃねぇか、人間!」
ガハハ、と豪快に笑うアジ・ダハーカ。けれどその目は決して笑ってなどいない。
「よおし、ワシの強さを思い知らせてやらァ、人間! 腰抜かすなよ!」
その言葉とともに、豪と音を立てて戦斧が空気を薙いだ。
獅子奮迅の言葉に相応しく、アジ・ダハーカの巨体が炎へと挑み掛かる。
風を捲く一撃は確かに言葉に相応しい。その衝撃で炎が一瞬分断されさえしている。
小さくくすりと笑ったのをアジ・ダハーカに悟られぬようにその場を退き、近づく群臣に手を挙げる。
「よし、まずは炎と岩を分断せよ。炎の方が危険だ。まずは炎を消し、その後岩に手を出せ」
指示を受けた者たちの一部が頷き、それを伝えに走る。
「炎に対しては水と風のメイジたちに当たらせよ。岩は未知数だが、同じ土か、あるいは風か」
言い置いて、タバサを見上げる。
タバサは変わらず風竜の背に乗り氷の矢を放っている。
惜しむらくは、その攻撃のほぼすべてが岩に阻まれてしまっているところか。
大地の剛性を受け継いだか、岩の怪物はその肉体たる岩を自在に組み替えるわけではなく、人に似た姿で動かしている。
それに反して怪炎は変幻自在にして伸縮自由な炎の特性を継いだか、どう動くか読めぬうえにその一撃が遠くまで届く。
指示を出した通り、ジョゼフとしては炎の脅威を先に払ってしまいたい。
タバサにもそれは分かっているようだが――どうにも、難しいものだ。
如何にして切り抜けるか、己の軍勢を見てジョゼフは目を細めた。
火炎が踊る、瓦礫が舞う。
単一の炎に挑んだ時とは、訳が違う。
岩と炎の連携は想像以上に強力だ。
想像以上? そう考えてタバサは思わず自分の発想に笑ってしまう。
そんなもの、どんな物語にも無かったし、想像したことも無かったくせに。
ルーンを紡いで氷の矢を放つ。氷柱のようなそれは狙い違わず炎へと突き進み、そしてまた岩によって阻まれた。
小さく舌打ちをする。
シルフィードの翼が、今はタバサとシルフィードにあらゆる一撃を近づけていないが、それがいつまでも続くわけではない。
タバサの放つ氷は炎にこそ当たっていないが、大地の精には確実に僅かずつでも手傷を負わせている、はずだ。
――どちらが先に限界に達するか。そういうこと。
杖を握る手に力がこもる。あの土塊の、岩の塊をどうやって倒すか。
眼下ではジョゼフに指示を与えられたメイジ達が杖を手に自慢の魔法を紡ぎ上げ、アムルタートが総力を結集している。
だが、足を止める必要のあるメイジはどう考えても良い的でしかない。本来なら離れて距離を取ればいいのだろうが、周囲をすべて取り巻かれては――。
舌打ち、同時に氷を放つ。
大地の精の堅固な身体はタバサの渾身の一撃ですら、容易には貫くことができない。
――いや、本当にそうだろうか。
目を細め、鋭い視線が岩の巨怪を刺し貫く。
その表面にはヒビが走り、ともすれば砕けそうにも見える。だが、その身体に幾度強打を受けてもその表皮は崩れていない、ように見える。
目を凝らす。本当に、そうなのか。
詠唱を繰り返し、更に氷を生み出す。狙いは炎ではなく、岩塊。
或いはかばう際に何かしているのではないか、とそう思ったからだ。
狙いを定め、放つ。
大地の精はかばう時とは違う鈍重な動きで、その直撃を受けた。
効いた、と思った。
だが、岩の巨怪は相変わらず身体を僅かに揺らすばかりで、まだ倒れる気配は無い。
違う。
届いた、そのはずだった氷の矢が、触れる寸前に消えている。
思わずタバサは目を見開いた。
なるほど、効いていないのも当然だ。
直撃のはずのその一撃でさえ、触れる直前にかき消され、まともな威力ではない。
この巨怪の持つ特性か、それともあのグリシーナとか言う女が何かをしたのか。
一瞬脳裏にかすめた疑問を、タバサは打ち消した。
何故効いていないのかが分かれば、あとはそれを乗り越える手段を講じれば良い。
――いや、待て。確か見たはずだ。効かないはずの一撃で、確かに致命打を与えた存在を。
タバサの視線が戦場を踊る。探す先はアジ・ダハーカ。
炎の精を、その斧の一撃で吹き散らした龍将だ。
なにも、大地の精まで己の手で倒す必要は無い。大地の精が倒れると同時に炎の精に致命の氷を放てば、或いは。
「シルフィード。アジ・ダハーカのところへ」
きゅいとシルフィードの喉を鳴らす声が、タバサへの信頼の色で満ちる。
風を切る翼が、炎の一撃も振りかざされた岩塊の拳をも抜けて、戦斧を振るうアジ・ダハーカへと向かう。
羽撃きが届いたか、アジ・ダハーカの双頭の一つがタバサへと顔を向けた。
「なんだ、小せぇの」
問いかけながらも、アジ・ダハーカのもう一つの首と腕は戦斧を振るい岩を撃つ。
だが、その動きが全力かと問われると、違う。炎を切り捨てた時のような圧倒的な力は、見えない。
或いは、ジョゼフの言い方が不味かったか。
世界は書割だった といえば
「熱死戦線ビットウォーズ」 葛西 伸哉 富士見ファンタジア文庫
でしょ
炎をこそ真に討つべきと思い極め、その前座に過ぎない岩を甘く見てしまっているのかもしれない。
轟音立てて振り下ろされた岩を、アジ・ダハーカは戦斧で軽くあしらう。
その肉体に強大な力を秘めたアムルタートにとっては、恐らくはその程度鈍重なものなのだろう。
「ちィッ! 頑丈なだけでろくな面白味も無ェ!」
苛立たしげに唸るアジ・ダハーカに、タバサはこくりと頷く。
「今から完全に足を止める。そこに全力で打ち込んで」
その言葉と同時に、アジ・ダハーカの表情にいぶかしげなものが広がった。
「全力でなければ打ち抜けない。あなたの一撃も、多分、この表面が自ら砕けることで相殺されている」
なに? と炎龍将の視線が一つ大地の精に向けられる。
もう片方の頭がぐるぐると唸り、不満げな表情で頷いた。
「たしかにそうみてェだな」
「そう。だから私が、今から動きを止める。そこに全力の一撃を」
「……ちッ。確かにこいつらがいつまでものさばるのは面倒だ。――どうやら氷龍軍の連中ァ岩ころを一匹をぶちのめしてくれたようだしな」
言葉通り、氷龍軍の一団の連撃を受け続けていた大地の精が一体、その場に倒れようとしている。単純な数の差が、それを成し遂げたのか。
それでもまだこちらにも一体、残っているのだ。一刻も早く、それを考えればアジ・ダハーカ、シルフィード、そしてタバサの三人でそれをなさねばならない。
メイジ達は早くも炎に挑み掛かっている。隙はある。
「おい嬢ちゃん、足を止めるってんなら早くやりな。ワシは」
ぐう、と戦斧を振り上げる。その肉体に並々ならぬ怪力が閉じ込められているのが、タバサにすら分かった。
「――嬢ちゃんが良しと言や即座にこの岩ころをブチ砕いてやるよ」
こくりと頷いて、タバサはシルフィードに飛ぶようにと囁く。決して止まらず、岩の怪の周囲を巡るようにと。
ルーンを刻む。ひとつひとつ。これを使うのは初めてだ。水と、風。そのどちらもを併せて、ひとつひとつ確実に紡いでいく。
優雅に風を切るシルフィードの翼が、岩怪の周りを孤を描いて飛んでいく。飛び交う火炎も、襲い来る岩も、その翼を捕らえることはできない。
そして、円が描かれた。同時に、タバサの詠唱も終わりを告げる。
草木に霜が降りた。
空から白いものが舞い落ちた。
戦場にいた誰もが寒さを感じ、一瞬身を竦ませた。
そして。
大地が、凍てついた。
極寒の冷気が岩怪を大地に縫い付けていた。その身体へと無数の霜が降りていく。身動きはもはやとれまい。
タバサが、親善試合でミステルに使われた技、だった。
「なるほど、確かに」
戦斧が、真一文字に岩怪を切り裂いた。
「こりゃ、身動きもとれねぇな!」
同時に、岩怪はその存在を終えて大地へと還った。
更に、タバサはもはや無防備にその身を晒す炎へと視線を向ける。
後ろに隠れるための岩怪の巨体の無い今、炎の精はただタバサの氷の槍と、アジ・ダハーカの戦斧のどちらかを甘んじて受ける他は無い。
あるいはどちらもを、か。
ゆらりと揺れた二つの炎は、最早手無しと見てかその身を押し広げた。
その場を焼き付くさんと、赤い炎が青く染まる。
そして、そのひとつがジョゼフを襲う。触れれば肉どころか骨も残さない、灼熱が。
刹那、タバサの脳裏に囁く声がする――けれど、その内容を確と聞き取る前に、タバサの手が杖を向け、口が呪を紡いでいた。
そうして、炎は戦斧の衝撃と氷と、そして両軍の総攻撃を食らって消え失せた。
ジョゼフはただタバサを見て、「一段と――」と、呟いた。
投下終了です。
反応の無さは自信の未熟さと真摯に受け止めたいと思います。
>>194 というより元ネタ分からない人が多いんじゃないかな?
それはいいとして、GJ!
文才に満ち溢れたいい文章だった
これからの展開にも期待が持てるね
夜明けサンひさしぶり!
おかえりなさい!
良く戻ってきた!
そしてGJ!
今日は避難所といい、復帰祭り?
終わりよければ全て良し、この時間に懐かしい作品が投下された今日はとても良い日
年単位で待つことには慣れてるさ。
といいつつも、帰ってきてくれるとやはりうれしいですね。
ある日、部屋の掃除をするルイズ。一人では出来ないと判断。四人必要と思い、奴らを召喚する。
名前は『死鬼隊』
ルイズ『さぁ、私の部屋とこの学校を、貴方達の好きな様に片付けなさい』
ゴステロ『好きにやっちゃってもいいんだな〜』
ルイズ『えぇ、早くやんなさいよ』
ゴステロ『ぐへへ、おう、みんな聞いたかぁ〜。好きに殺っちまおうぜ。まずは、そこの女からだぁ』
ルイズ『や、・・・・・・
(これ以上は放送できませんので、終了させて頂きます)
ゴステロ『俺は人殺ろしと、いじめが大好きだ〜。ハッハッハ』
この調子でほかのとまってるのもどんどんきてくれないかなあ・・・。
個人的には「エデンの林檎」とか「ゼロの天使」とか吸血鬼のやつとか・・・
夜明けの使い魔乙
個人的にはラハブのせこさがクリティカルヒットw
内心何をたくらんでるのか分からんけど、とりあえず逃げてる姿がよく似合うぜw
ゼロと人形とか角女の人とか巨砲の人とか・・・・
後、他にも色々あるんだよ。
205 :
虚無と金の卵:2008/10/15(水) 00:06:37 ID:nPwVFMkz
予約無ければ、0:15より投下させていただきます。
しかし今日は力作多くて特攻するの怖い日だ…。
狂蛇美味ぇww
ゲーッ!熊の中の人出ちゃったww
イザベラ管理人さんとか、とある人の方も帰ってきてほしいな〜
お前ら避難所の応援スレでやれw
あっちの方が流れにくいから、作者さんに気づいてもらいやすいぞ
爆熱の人とエルクゥの人も…支援
ある日の学院長室における、年寄りの楽しい楽しいセクハラの時間/代価――ミス・ロングビルのビンタと蹴りの応酬。
痛がりつつも満足を覚えていた学院長オスマンの至福の時間は破られる。
コルベールの逸る足音が学院長室へと近づく。
オスマン達はその足音が聞こえた時点で、気の抜けた空気を早業で払拭させていた。
「オールド・オスマン! 大変です!」
「なんじゃね? 大変なことなどあるものかね」
コルベールの目に映るのは、机に向かい重々しく手を組むオスマン/粛々と書類を整理するミス・ロングビル。
そして乱暴に扉を開けたコルベールに対し、オスマンは重々しく頷いて促す。
「こ、これを見てください!」
「これは『始祖ブリミルの使い魔たち』ではないか。
まーたこのような古臭い文献など漁りおって。
そんな暇があるのなら、たるんだ貴族達から学費を徴収するうまい手をもっと考えるんじゃよ。
ミスタ……なんだっけ?」
「コルベールです! お忘れですか!」
「そうそう、そんな名前だったな。君はどうも早口でいかんよ。
で、コルベール君、この書物がどうかしたのかね?」
「これも見てください!」
「……これは……」
コルベールは、ウフコックの額に現れたルーンのスケッチを手渡す。
それを見たオスマンは、重々しく呟く。
「……小さすぎてよく見えんのじゃが」
「すみません。鼠の額に現れたルーンを、原寸大で写したもので……」
「猫の額どころではないのう。眼鏡、眼鏡……と。
あ、そうじゃ、ミス・ロングビル。資料室の整理をお願いして宜しいか?
召喚の儀式も終わって授業も本格化してきたからのう」
「ええ。畏まりました」
春の召喚の儀式以降、ルイズは相変わらず魔法が成功することは無かったが、めげることなく
勉強と実践に取り組んでいた。
つまるところ、ルイズ達は概ね平穏な日々を送っていた。
そして学生の身の彼ら、彼女らにとって、退屈とは敵であった。
「ウフコックはピスタチオ好きよね。鼠なのにチーズが嫌いだし」
「俺のいた国でも、鼠はチーズを齧る、というのがステレオタイプなイメージらしい。
食事やパーティの度に勧められて困ったものだ」
「ちゅう(良い生活してるもんじゃな、ウフコックも)」
放課後のヴェストリ広場、そこに備え付けられたテーブルの一角で、一人の少女と二匹の鼠が長閑な休憩を取っていた。
ルイズ、ウフコック、そして学院長の使い魔、ハツカネズミのモートソグニルである。
同じネズミどうし、そして同じ使い魔の二匹は、出会ってすぐに意気投合していた。
今では茶飲み友達といったところだろうか。
ルイズは、この世界に馴染みつつあるウフコックに安堵を覚えつつ紅茶を飲む。
何と平和に満ち溢れた放課後だろうか――そんな主人の満足げな匂いを感じ取り、
ウフコック自身も同じ満足感に浸っていた。
「ま、おかげで運動不足だ。きっと寮の廊下を走ったら息切れしてしまう」
「ちゅう(おいおい、2、30メイルくらいじゃねぇか。そんなんで獲物を捕れんのか?)」
「……自分自身、不甲斐ない気がする……。
そういえば、獲物を捕ったことは無いな。というより調理されていない食事を摂ったことが無いと思う。
調理器具なら用意できるんだが……」
「ん? モートソグニルに怒られてるの?
それじゃあ食堂の人にお願いして、一度くらい獲物を捕まえるのにチャレンジしてみたら?」
「ルイズ、勘弁してくれ……俺にはあまり鼠の本能は残っていないんだ。
それに獲物を捕ったとして、別に見たくはないだろう?」
「……それもそうよね」
「ちゅ(何抜かしてやがる。野生の魂を忘れちゃあいけねぇ。メスでも紹介してやろうか?)」
そんな気軽な会話を交わしていた頃、男子達の一団が、騒がしい空気を醸し出していた。
その中心に居るのは、フリル付きのシャツに薔薇を挿した金髪の少年。
少なくとも学生達の話題の中心になる程度には華がある。彼を囲むのは少数の女性も混ざっていた。
「なあギーシュ、お前今誰と付き合っているんだよ?」
「付き合う? 僕にそのような特定の女性は居ないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」
などと冷やかされつつ、気障な斬り返しで場を盛り上げている。
その会話の輪の中へ、あるメイドがそのギーシュと呼ばれた少年に近づき、何かを手渡そうとしていた。
――結論から言って、恋愛や性にあまり興味を持たないウフコックからしても、そこからの展開は酷かった。
ウフコックは何処か険悪な匂いだけを嗅ぎ取り、少年らの方へ首を向けた。
「あのう、こちらの香水を落とされましたよ」
「……これは僕のじゃない。君は何を言ってるんだね?」
一見してごく普通のやり取り。だが、明らかにギーシュからは焦慮の匂いが漂う。
「おお、その香水、モンモランシーが自分で調合したやつじゃないか。
それがギーシュから出てきたってことは……モンモランシーと付き合ってるのか!」
「違う。いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが……」
ギーシュの側に居た栗色の髪の少女は香水の瓶を見咎め、ほろほろと泣き始める。
そしてまた別の少女がギーシュの元につかつかとやってくる。その様子に気付いたルイズが、
「あ、モンモランシー」と言葉を漏らす。
「ギーシュさま……その香水が貴方のポケットから落ちたのが何よりの証拠ですわ。さようなら!」
「やっぱり、この一年生に手を出してたのね、うそつき!」
やってきたモンモランシーによって惜しげもなくギーシュのあたまにぶっかけられるワイン/
去って行く二人の少女/表情を崩さず芝居がかった仕草のギーシュ/哀れなほどに顔を青くするメイド。
ギーシュは表情を崩さず、だが肩を震わせつつメイドに問い詰めた。
「そこの君……。君の軽率な行動のおかげで、二人のレディが傷付いてしまったじゃないか?
どうしてくれる気だね?」
「も、も、申し訳ありませんっ」
メイドから感じるのは心からの恐怖。
理不尽に対して怒りを覚えることのできない、剥ぎ取ることの難しいほどに染み付いた何かの匂い。
この一連の出来事と匂いに黙っているウフコックではなかった。
ルイズも未だ知らないお喋り鼠の悪癖――感情の匂いを頼りに相手の心の隙を付くこと。
「ったく、ギーシュったら本当に仕方ないわね。
……って、ちょっとウフコック、どこ行く気よ!」
「待て。少なくとも彼女は、間違った行動は取っていない。
今出て行った二人を傷つけた人間が居るとしたら君しか居ないだろう」
「……誰だね?」
支援
ウフコックは、元居たテーブルから飛び降りて、ギーシュたちの居る場所へと近づいてメイドを庇った。
誰がどう見ても、無鉄砲極まりない行為である。ルイズはウフコックを止めようとしたが、
お喋りネズミの口を遮るには至らなかった。
「……む、姿を隠さないで現したらどうだ!?」
「……下だよ、下」
ギーシュは声の主を見つけられずきょろきょろと辺りを見回す。
ギーシュの取り巻きの一人がウフコックを指差し、やっと見つけられたようだ。
「ね、ネズミっ!?
……ふ、ふん、貴族に説教とは、身の程をしらないネズミも居たものだ。
第一、ネズミがうろちょろしてる場所で、よく君達は食事ができるものだね。
……おや、そういえばこのネズミはルイズが呼び出したのか。では、仕方無いな。
しかし魔法を使えなくとも、使い魔にマナーくらいは教えておいてほしいものだ」
平静な顔をしつつも、ギーシュは今の出来事に興奮しているらしい。
つい、ウフコックのみならずルイズを含めた何人かを愚弄する形になったが、当のギーシュは気付いていない。
「……へえぇー、言ってくれるじゃないのギーシュ……!」
流石にルイズも、ここまで愚弄されて黙っているほど人間はできていない。
「まあ、ルイズ、ここは俺に話させてくれ。
……俺がここに居ることで不快に思う人間がいれば謝ろう。
また、彼女が香水の瓶を拾ったことで傷付いた女性が居たら、彼女と共に謝ろう」
「わ、私謝りますっ!」
「……ふむ、なかなか素直じゃないか」
冷静に、場を纏めようとするウフコックの言葉に、ギーシュは溜飲を下げそうになった。
メイドもそれにならって頭を下げようとする。
しかしウフコックは冷静であった。
事態に流されて頭を下げるほど、面食らってもいなかった。
「……だが、俺が謝ったところで、あるいは君が俺を詰ったところで、
君から離れた二人の少女が癒されるわけではない。
得られるのは君の刹那的な充足感であって、君の疚しさの根元が消え去ることは無い」
まるで、患者の不摂生を詰りもせず淡々と説明する医者のように、ウフコックは言葉を並べる。
ギーシュどころか、ルイズを含めた周囲の人間は、ぽかんとした表情すら浮かべた。
「できることならばその疚しさを解消してやりたいと思うのだが……、
今この瞬間にできることではないし、まず第一に、自分の冒した行動を自覚してもらなければならない」
「つ、使い魔に説教される覚えは無い!
僕が、この無礼な使い魔を摘まみ出してやろう!」
逆上し顔を歪ませウフコックを指差すギーシュ。
そして思わず杖を振って青銅のワルキューレを出現させ、ウフコックに掴みかかる。
あまりの出来事に、メイドは悲鳴を上げた。
「きゃあっ!」
「ちょっと何するのよギーシュ! 喧嘩売る気!」
「ふん、君がネズミでなければ決闘を申し込んだかもしれないが、
そんな非道な真似は僕はしないさ。
ただ僕の衛生観念上、ネズミにはここからご退場願おうと思ってね」
「喧嘩売ってるのと同じよ!
……ギーシュ、そこからちょっとでもその不細工なゴーレムを動かしてごらんなさい。
あんたのにやけ面が跡形も無い爆心地になるわよ」
今にも飛び掛らんばかりに怒りに目を吊り上げるルイズ。
だが、当のウフコックはワルキューレに掴まれた程度で焦ることは無かった。
むしろ激情に身を任せ怒りを発散させるルイズを恐れた。
ギーシュも心底恐れた。
「…そ、その、ルイズ、俺は全くもって大丈夫だ。君が落ち着いてくれ。
それに、だ。俺にとっては、この程度の事態など危機とすらいえない」
ウフコックはギーシュを見もせずに言った。
鼠に虚仮にされている、という事態にギーシュは頭が付いていかず、単純な疑問を口にする。
「……なんだって?」
ウフコックはギーシュと向かい合う。鼠らしからぬ力強い眼で相手を見据える。
「決闘、と言ったな。
互いの了承したルールに乗っ取って雌雄を決する、というのならば望むところだ。
ギーシュ、君に決闘を申し込もう」
216 :
虚無と金の卵:2008/10/15(水) 00:29:15 ID:nPwVFMkz
以上、投下終了です。ありがとうございました。
ちなみに、モートソグニルの口調は捏造です。
気に入らない人は、ワイズ・キナードが勝手にアテレコしてると思いつつ
スルーして頂ければ幸いです。
乙ー
正論過ぎてどう言ったもんか分からないくらいの正論だw
戦闘でない決闘をするんですかな 乙です
楽しみにしてます
乙
ネズミつながりで、アメリカや千葉の某マウスを召喚したらどうなるか、少し考えてしまった
投下する勇気なんて無いけど
ルイズが黒服に連行されて終わりか
それらしきモノなら小ネタにある
四番目の使い魔って、そういうことだったのか?
ねずみ繋がりでゲゲゲの鬼太郎からねずみ男を…
役に立つどころか足引っ張りそうw
ちょいと失礼。
出落ち的な部分があるのでキャラ名は伏せるが、ここでもちょくちょく
出てくる超有名キャラで実験的にナンセンスギャグ長編を試みてみた
差し障りないようならその初回を投下させてもらいたいのだが
某マウスじゃないなら問題ないと思う
実験的長編というとなんか微妙な組み合わせだがまあ支援
227 :
実験的長編:2008/10/15(水) 01:12:43 ID:ZJ8ugtNp
――ルイズのサモン・サーヴァントの詠唱が終わり。
白煙とともにそこに現われたのは、見たこともないような異形だった。
人と比して、いや、世界中のいかなる生物と比べても、異様に大きい顔。
歩行が可能なのか疑いたくなるほど極端に短い足。身長ほどはありそうな胴回り。
そしてその重厚そうな体は、ほとんど全身、青い皮膚で覆われていた。
「kdネ&ぁずpEc4q”z$fミ−%!!」
そんな異形がほとんど半狂乱で叫びながら、グルグルとその場を回っているのだ。
恐怖を感じない方がどうかしている。
「る、ルイズ。な、なんなんだい? 君が喚び出したモノは……」
そこに居合わせた金髪の少年が、思わず、といったように問いかける。
だが、それは図らずもその場にいた全員の感想と同じだった。
しかし、その問いかけに答えられる者はいない。
その異形を喚び出した当のルイズでさえ、その正体は皆目見当もつかないのだ。
――ただ分かるのは、『それ』があまりにも『ちがう』ということだけ。
体のバランスや色だけを見ても、到底まともな生き物であるとは思えない。
それに加えて、顔の大きさに比べあまりに大きな目、横に大きく裂けた口が、
その奇態さをさらに強く印象づけている。
……知能はあるのだろうか。
突如周りの状況に気づいたかのようにそいつは動きを止め、用心深く周りを見渡し始めた。
「………………?」
状況を検分し終わると、その巨大な頭部をガコンと傾け、そいつは自分の腹に手を伸ばした。
よく見るとその生き物は、腹部に一部の有袋類が持つような袋を備えている。
皆の視線が集中する中、そいつはそこから、灰色がかり、
所々に斑点の浮き出すブヨブヨとした物体を取り出すと、
あろうことかそれを左右に裂けた巨大な口に放り込んだのだ。
そしてそのまま口を閉じて、ぐちゅ、ぐちゅと咀嚼する。
「う、うわ……」
それを見た見物人の一人が思わず口を押さえる。
……しかし、本当の異変はそこから始まった。
謎の物体を咀嚼したそいつは、今までの取り乱したようなわめき声ではなく、
きちんとした人間の言葉ではっきりとこう口にしたのだ。
「やあやあ。これはおはずかしいところをお見せしました。
こんにちわ。ぼくドラえもんです」
――と。
やべえ、微妙に危険な使い魔ktkrwww
CVは、CVはどっちなんだ!?支援
こんにゃく味噌味w
ドラえもんはみんなのぽかんとした顔を見て、首をかしげた。
「おかしいなあ。ねんのためにほんやくこんにゃくまで食べたのに……。
もしや言語中すうのこしょうかしら?」
それから一拍遅れ、ようやく事態を把握した見物人たちが騒ぎ出した。
「た、タヌキがしゃべった!」「いや! しゃべる青ビョウタンだ!」
それで呪縛が解けたかのようにみんな三々五々、好き勝手にしゃべり出し、
それを聞いたドラえもんがなぜか表情を変え、必死に怒りを抑えようと
している様子なのにも気づかない。
――しかし、この奇妙な動物の出現に一番動揺していたのはルイズだった。
この『春の使い魔召喚』の儀式は、今までコモンマジックも使えなかったルイズにとって、
大きなチャンスだった。
自分の力を示す上でも、これからの自分の系統を見定める上でも、
絶対に外せないイベントだったのだ。
だから、何度失敗しても諦めず、サモン・サーヴァントに挑んだ。
(ぜったい、すごい使い魔を呼び出してみんなを見返してやろうと思ったのに……)
それなのに、それなのに、ようやく呼び出せたのが、
「こんな、こんな青ダヌキだなんてぇえええ!!」
「ぼくはタヌキじゃなぁーい!!」
――キィーン…!
ルイズの悲鳴と、それにかぶせるように放たれたドラえもんの絶叫が
だだっ広い草原の端まで響き渡る。
あまりの大音量に、その場にいた全員が思わず耳を押さえた。
そして、
「ミス・ヴァリエール。色々と思うところはあるかもしれませんが、とにかく結果は結果です。
早くコントラクト・サーヴァントを済ませなさい」
事ここに至って、このまま放っておく訳にはいかないと考えたのだろう。
耳を押さえたまま、ハゲ頭の教師、コルベールがルイズを促した。
漫画版かw 支援
「……う」
その言葉に反論出来ず、ルイズがうめく。
妙ちくりんなタヌキとはいえ、一応使い魔を呼び出せたのは確かだ。
ありえないような物――例えば平民や異世界の怪物など――が出て来たというならともかく、
一応普通(?)の動物が出たのだから、ここは契約するのが筋なはずだ。
しかし、契約をするということは……。
「き、きき、貴族がタヌキとキス?
そ、それも、この名誉あるヴァリエール家の三女で、美少女のわたしが、
『美少女の』このわたしが、ここ、こんな、こんな野良ダヌキとキス?
いい、いいの? それっていいのかしら? 果たしてそんなことが許されていいの?」
ワナワナと、たぶん彼女以外には共感できない理由で震えるルイズ。
そう考えればモグラとキスをしたギーシュも相当の物だが、やはり女の子だからだろうか、
異様なテンパりを見せるルイズに、今まで黙って成り行きを見ていたキュルケが口を出した。
「考え方を変えてみなさいよルイズ。そのタヌキ、動物なのにきちんとしゃべってるのよ。
もしかしたら高位の幻獣なのかもしれないわ」
――実際、ここハルケデニアには幻獣と呼ばれる数々の不思議な生物がいる。
その中でも高位とされる生き物は高い知能を持つことが多く、例えば今は絶滅したとされている
韻竜と呼ばれるドラゴンは、言語感覚に優れ、人が使う物とは異なる魔法までをも操ったという。
そう考えれば言葉を話すこのタヌキも、何か優れた能力を持っていると考えるのが自然であり、
「幻獣? このヘンテコなタヌキが?」
そう言われると、ルイズのドラえもんを見る目も変わる。
もしかするとこのバランスが悪い頭の大きさも、それだけの脳味噌がつまってるからじゃないか、
などと好意的な解釈を考えてしまう。
それを見て含み笑いをしたキュルケは、とどめとばかりにさらに言葉を重ねる。
「ええ、それもたぶん、まだ誰も発見したことのない、ね。
もしそうならすごい名誉じゃない。そんな生き物を使い魔にするなんて、
きっとこの学院始まって以来の快挙だわ」
「め、名誉……」
冷静になって考えれば、先祖代々宿敵としていがみ合い続けてきたツェルプストーの言葉である。
何か裏があるかもしれないと思いそうな物だが、そこは普段からゼロだゼロだと
バカにされ続けてきたルイズである。
いかんせん名誉という言葉に弱かった。
「やる! わたし、やるわ! こいつを使い魔にする!」
キュルケにあっさり説得され、ルイズがドラえもんの前に立つ。
ちなみにその間ずっと、
「だから、ぼくはタヌキじゃなくて未来の世界のネコ型ロボットで…!」
と、ドラえもんが力説しているが、誰も聞いていない。
もちろんルイズもそんなことにはお構いなしで、
「あんた、感謝しなさいよね。貴族がタヌキにこんなこと、普通はめったにしないんだからねっ!」
そう言い捨ててから手に持った杖を振り、呪文を唱えて、
「ん……」
ルイズの唇が、ドラえもんの唇に重ねられる。
翻訳こんにゃく!?
マンガ版…だと…
支…援…
ボイルド召喚を書いてる俺だが全く筆が進まん
まかせたぞパートナーよ
(これで、いいわよね)
頃合を見て、ルイズが唇を離す。
「い、いきなりなにするんだきみは…!」
突然唇を奪われたドラえもんはバタバタと短い手足を振り回して怒っているが、
「いいからだまってなさい」
ルイズは全く取り合わない。
(これでしばらく待って、こいつの体にルーンが刻まれれば終わりね。
・…………………………………………………あれ?)
しかし、いくら待ってもドラえもんの体に変化はない。
「だいたいきみたちはこっちが自己しょうかいしているのに
名乗りもせずにかってなことばかり……」
ドラえもんはさらに暴れだすが、ルイズはそれどころではなかった。
「な、なんで? なんで使い魔のルーンが刻まれないの?
ちょっとあんた、どういうことよ!」
一世一代の蛮勇を振りかざしてタヌキにキスまでしたのに、ドラえもんにはまったく
使い魔のルーンが現われる徴候もないのだ。
逆ギレもはなはだしいが、ルイズは思わずドラえもんに詰め寄った。
「つかいま? ルーン?」
「あんた、ゲートをくぐってきたんでしょ。ゲートをくぐった生き物がどんな物であれ、
正しい方式に従ってキスをすれば、そいつが使い魔になるはずなのに……!」
ドラえもんはふうん、と言ってみた後で、
「つかいまとかルーンというのはよくわからないけど、たぶんそれはぼくが機械だからだね」
そう言ってあっさりと頷いてみせる。
「……機械?」
「そう、22世紀のひみつ道具でみんなの夢をかなえる未来のネコ型ロボット!
それがぼくなんだ」
たかが子守りロボットが、胸を張ってそう宣言するが、
「……ぜんっぜん、わからないわ」
ルイズにはもちろん通じない。
「ふうん。ここはまだ機械文明が発たつしていないみたいだな。
かんたんに言えば、動くカラクリ人形だよ」
「カラクリ人形?! つまり、魔法を使わないゴーレムみたいな物ってこと?
そんな!? 生き物じゃない相手の所にゲートが開くなんて話、聞いたこともないわ!」
「ぼくが知るかよ。そんなこと」
「……う」
突き放した言い方をされ、ついルイズはひるんでしまう。
(でも、こいつの言うことも一理あるかも)
落ち着いて考えると、いろいろと不思議なことがあるのに気づいた。
(しゃべるタヌキがいるなんて聞いたこともないし、こいつ、やっぱり幻獣って感じじゃない。
きっと、こいつは遠くから、たぶんこことは文化も言語も、もしかしたら使ってる
魔法だって違う、遠い国から来たんだわ)
まあルーンが刻めなくても不思議じゃないか支援
銀魂神楽が召還されたら?
そこまで考えて、どうせなら本人に話を聞けばいいのだと気づいた。
「そういえばあんた、一体どこから来たわけ?」
そうルイズが尋ねると、急にドラえもんは飛び上がった。
「そ、そうだっ! のび太くんにかしてた道具を返してっていったら、
ネズミがぼくを追いかけてきてるっていわれて……」
「……ネズミなんてどこにもいないけど?」
ドラえもんが現われた時も、周りにネズミの姿なんてなかった。
さては、とルイズは思いつく。
「あんた、もしかしてその『のび太』っていうのに騙されたんじゃない?」
「くうぅ、のび太のヤツぅ。あとでおぼえてろよ!!」
ドラえもんは肩を怒らせるが、ルイズとしてはその辺りの事情はどうでもよかった。
「で、ネズミがいるって言われてからどうしたの?」
「さあ。むがむちゅうだったからなにがなにやら。
ただ、とちゅうで光る門みたいなものをくぐったような…」
なぜネズミと言われると無我夢中になるのかルイズにはわからなかったが、
(猫型ロボットらしいから、ネズミを見るとわれを忘れておいかけちゃうのかも)
と、適当に納得し、とりあえずドラえもんの言葉にうなずいた。
「あぁ、その光る門がきっとサモン・サーヴァントのゲートね」
「サモン・サーヴァント? ゲート?」
「ええ。遠くから使い魔を呼び寄せるための門よ」
ルイズとしては親切に説明してやったつもりなのに、ドラえもんは首をかしげた。
「? つまり、どこでもドアみたいなものかな」
「どこでも……? なにそれ? 何系統の魔法?」
言葉の意味がわからず、ルイズは真剣に尋ねたのだが、それをこともあろうに、
「魔法? アハハ。きみはじつにバカだな」
笑った。魔界で大冒険したことも忘れ、ドラえもんはルイズの言葉を笑い飛ばしたのである。
「……なんですって?」
人一倍短気なルイズである。バカだと割と図星なことを言われ、思わずむっとする。
「どうりで話がつながらないと思ったよ。魔法なんて非科学的もの、あるわけないじゃないか。
見たところきみは子どもみたいだけど、そろそろ小学校くらいには行ってるだろ。
魔法なんて夢みたいなことばかりいっていないで、すこしはげんじつを見ろよ」
この世界の常識と、ついでにドラえもん自身の存在意義までぶち壊すようなことを言うドラえもんに、
ルイズの怒りは極限に達した。
魔法は本当にある!と言ってやりたいのだが、じゃあ見せてみろよ、と言われると困るので
強く出れないのだ。
「べ、べべつに、信じたくないなら信じなければいいわ。……でもね!
あんたがここに呼ばれたっていうのは本当よ。たぶん、ずっと、ずぅーっと遠くの国からね。
そんなところから召喚されて、普通の方法で元の世界に帰れるかしら!」
ルイズとしては、ちょっとした負け惜しみくらいのつもりだった。
しかしドラえもんは、
「な、なんだってーー!?」
驚きのあまりその場で一メートルくらい飛び上がって、すぐさま、
「どこでもドア〜!」
奇天烈な掛け声と共にお腹の袋からドラえもんの身長より大きなドアを取り出し、
その扉を開く。
しかし当然のことながら、開いた先はどこにもつながっておらず、
ただ一面の草原が広がっているだけで、
「ほ、ほんとうだ。帰れなくなってる」
だがそれを見たドラえもんはなぜかガックリとうなだれた。
モートソグニル逃げてー
支援
ハルケギニア破壊爆弾か支援
「な、なんてことをしてくれたんだ。これはたいへんなじたいだぞ…」
ドラえもんは衝撃のあまり、犯罪者チックな目つきで頭を抱えた。
「な、なに? どうしたっていうのよ…?」
そして、その完全に据わった目つきでルイズをにらみつける。
「いいか、よく聞けよ! ぼくがもとの場所にもどれなくなったらどうなるか!」
「ど、どうなるっていうのよ? ……まさか、世界が滅びる、とか言わないわよね」
あまりのドラえもんの剣幕に、さすがのルイズも少しだけびびる。
しかしドラえもんは、とんでもない、とばかりに身震いした。
「ああ、そんなことならどれだけよかったか……。
いいかい? ぼくがもとの場所にもどれないと…」
「も、戻れないと…?」
「のび太くんはジャイ子とけっこんすることになるんだぞ!!」
「…………………………は?」
目が点になるルイズに、ドラえもんはさらにたたみかける。
「それだけじゃない。大学入試にはらくだいするし、しゅうしょくはできない。
しかたなく自分で会社をはじめてみても、火事で丸焼けになってつぶれるんだ」
「な、なんかよくわからないけど、やけに具体的な未来ね…」
「そのときの借金が孫の孫の代になっても返せなくて……。
とにかく、年をとってしぬまで、ろくなめにあわないんだよ。
ああっ、かわいそうなのび太くん! ぼくがいなくなったばっかりに…!」
自分で口にしたことが相当ショックだったのか、ドラえもんはおいおいと泣き出した。
一方ルイズにはドラえもんが言っていることの意味はさっぱりわからなかったが、
とりあえず泣かれてもしょうがないので、なぐさめの言葉をかける。
「な、なに言ってるかわからないけど、あんたがいなくなればその『のび太』って子も、
きっと独り立ちするわよ。ちょうどいい機会じゃない」
しかし、それはドラえもんののび太への愛情に火を点けただけだった。
「あまい! のび太くんはぼくがいなくちゃおつかいにもひとりでいけないダメ人間なんだぞ!
かれがまたノラ犬においかけられて、ズボンのおしりをやぶかれていたら、
きみはいったいどうしてくれるんだ!」
「……そんなの知らないわよ」
一応相手の都合も聞かずに召喚してしまった負い目があるからマジメに話を聞いていたが、
やはりルイズは気の長い方ではない。だんだんとめんどうくさくなってきた。
――ていうかこいつ、ちょっと調子乗ってるわよね。使い魔のくせに、ご主人様ナメてんじゃない?
そう考えると何だか腹が立ってくる。
いやいやしかし、コントラクト・サーヴァントは失敗したではないか。
つまりこのタヌキは使い魔ではない訳で……。
(って、そうだわ! わたし、こいつにき、ききき、キスまでしてやったのに、
このタヌキってば、使い魔にならなかったのよね!
じゃ、じゃああのキスは無駄じゃない! 無駄キス…。そう、完全な無駄キスだわ!)
理不尽な事実に、一度は収まった苛立ちが、むくむくとルイズの中で大きくなってくる。
「き、きみのせいだぞ! わかってるのか!?」
だからドラえもんがキレ気味にルイズにつっかかってきた時、
ルイズは目の前の生意気な青ダヌキに『口撃』を開始することにした。
それは、ゼロゼロと呼ばれ蔑まれ続けてきたルイズが鍛え上げた唯一の武器だった。
支援
小学生のしずちゃんよりもまっ平らな胸を張り、傲然とドラえもんの前に立つ。
「で、その、あんた、ドラえもんとやら。とにかくあんた、ほんとに猫なの?」
「しっ、しっけいな…! ぼくのどこがネコらしくないって…」
「ぜんぶ」
あっさりと言われ、さすがのドラえもんも絶句する。
「青い猫なんて、トリステイン中、ううん、ハルケデニアを隅から隅まで探しても一匹もいないわよ」
「う、これは傷心の海の色というか、なみだでとそうが……。もとは黄色くて……」
「黄色い猫だっていないわよ」
「……………」
それはまさにその通りだったので、さすがのドラえもんも黙り込む。
「いいわ。百歩ゆずってそれはいいとしましょう。
青い猫だって、そうね、百万匹に一匹くらいならいるかもしれないもの。
でも、それ。それはどうなの? あんた、猫のくせになんで耳がないのよ」
「そ、それは……。ね、ねていたところをネズミにかじられて……」
――どっ。
ドラえもんがそう口にした途端、ルイズだけではなく、周りで見ていたギャラリーからも笑い声があがる。
「き、君ィ。同じうそをつくのでも、もう少しマジメなうそをつきたまえよ。
だいたい君はネコ型ロボットなんだろう? ネコがネズミにやられるなんてまるであべこべじゃないか」
特に大きな笑い声をあげた金髪の少年、ギーシュが堪え切れずにドラえもんにそんな言葉を投げかけた。
「ひ、ひとにはひとつくらい、どうしてもにがてなものが…」
なおも言い訳を続けようとするドラえもんを、
「理由なんてどうでもいいわ。とにかく耳はないわけよね」
ルイズが横からばっさりと切り捨てる。
「ないというか、なくなったというか…」
もともとあまり口のうまい方ではない。すでにドラえもんはしどろもどろだ。
そんなドラえもんに嗜虐の笑みを浮かべると、
「もう一度、聞くわ。あんたのどこが猫なの? 言ってみなさいよ」
「……う。そ、それは、ぼくにはこのとおり、りっぱなヒゲが…」
さっきまでの勢いはどこに行ったのか、おどおどと答えるドラえもん。
その姿が、ルイズの奥底に眠っていた『イケナイ』スイッチをオンにした。
「へぇ。……これがヒゲ?」
「い、いたい!」
ビイン、とルイズが無造作にヒゲを引っ張る。
「あんまり貧相だったから、ぜんっっっぜん、気づかなかったわ。
そこらの雑草拾って差しといた方がまだ見栄えがいいんじゃない?」
「ざ、ざっそう…」
あまりの言葉に絶句するドラえもんを、ルイズは優越感に浸りながら見下ろす。
自分に無駄キスまでさせた生意気な青ダヌキがはいつくばっているのが愉快でたまらない。
――ルイズ、小悪魔への目覚めであった。
「で、ほかには? もうおしまい?」
「あとは、しっぽ! そう、ぼくにはちゃんとしっぽがあって……」
そして、ルイズの迫力に押され、ヒゲの時の顛末も考えず
思わずそう口走ってしまったのがドラえもんの最大の失敗だった。
ワンナウツ始まってた……支援
あーあ、言っちゃった支援
その言葉を聞いたルイズはまさに水を得た魚。
ルイズは嬉々としてドラえもんの後ろに回りこんで、
「しっぽ! まさかあんたの言う『しっぽ』ってこの子供が使うオモチャみたいな、
小さなぼんぼんのついたこれのこと? こんな、ちょっと引いたら取れちゃいそうな…」
言いながらドラえもんのみょうちくりんなシッポをぐいっと引いた途端、
「あ、そこをひっぱったr……」
――コテン。
ドラえもんは急に黙り込み、その場に転がった。
だが、そんなことで同情するようなルイズではない。
「ふぅぅん。都合が悪くなったからって死んだフリ?
今さらそんなことしたってごまかされないだからね!」
そう言ってルイズはコチョコチョとドラえもんをくすぐり倒し、
それでも反応を見せないのでゴロンゴロンと好き勝手に転がしてみて、
そこまでしてもぴくりとも動かないので、ようやくこれが尋常な事態ではないと気づいた。。
「あ、あれ? 本当に動かないじゃない。ちょ、ちょっと?
どうしたのよ、ドラえもん。ねぇ、ドラえもん?」
それからも焦って色々とやってみるが、押しても揺すっても、
ドラえもんは全く動こうとしない。
まるで本当の人形でも動かしているようになすがままだ。
すると、それを見かねたのか、後ろからキュルケが近寄ってきた。
「ちょっとどきなさい、ルイズ」
「なによ。なんであんたが…」
「いいから。あんたに医術の心得なんてないでしょ。
あたしも得意じゃないけど、あんたよりは場慣れしてるわ」
そう言われて、ルイズはしぶしぶと場所を空ける。
「ふうん。これがルイズの、ね。ううん、妙なさわり心地ねぇ……」
「キュルケ! 遊んでないで、まじめに診なさいよ!」
ものめずらしげにドラえもんをペタペタといじりまわすキュルケに、
ルイズの叱咤が飛ぶ。
「はいはい。……えーと、どれどれ?」
様子を確かめるようにドラえもんの胸の辺りに顔を寄せ、
そこで急にキュルケの表情に驚きが混じる。
「まあ大変。ルイズ、この子、息してないわ」
「えぇっ!」
「オマケに、心臓も止まってる」
「うそっ…!」
ルイズはキュルケを押しのけ、ドラえもんに駆け寄る。
いくら憎たらしい相手であっても、殺すつもりなんてなかった。
「そんな、うそでしょ。だって、さっきまでは元気に動いてたのに……」
だが、現実は無情だった。
その体はすっかり冷たくなっていて、そこにはもう、生命の徴候はない。
「そんな、そんな……」
もしかすると、ほんの少し運命の歯車が違う風に回っていれば、
相棒にもなっていたかもしれない存在だったのに。
それを、こんな形で失うことになるなんて。
「あぁっ……」
目の前が真っ暗になってその場に膝をつく。
後ろからつぶやかれる「いやあのねルイズ。この子カラクリなんだから息してなくて当たり前…」
というキュルケの言葉ももう耳に入らない。
わきあがる後悔の念に押されるように、ルイズは叫んだ。
「ドラえもーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
『ドラえもん のび太のパラレル漂流記』 第一話 完
完wwwwwwww
乙でした
投下終了か?
ちょwww
歴代最強級の使い魔なのにいきなり死亡(機能停止だけど)で終了かよ!w
投下手間取って申し訳ない。これで一話全部
今回は初回なんで全然ナンセンスではないんだが、次回以降、
のび太不在のため八巻前半のルイズみたいにやけっぱちなドラえもんが
ひみつ道具の力で数々の事件を身も蓋もなく解決していく予定
このスレにこの作風が受け入れられるのなら、だが
乙乙w
その前にだ、のび太不在なのにタイトルにちゃっかり入ってるw
乙ー
ドラえもんをネタにするときの最大の問題は、ひみつ道具に関する知識格差だと思うw
こういうシュールなノリも楽しいと思うよ
期待して待っておく
少なくとも、自分は受け入れるよ・・・全力でな!
良かった、続くのねw
劇場版補正されたのび太さんとジャイアンの登場が楽しみだ
暴走するプロアクションリプレイってとこか
地球破壊爆弾はお約束だな
で、お風呂覗かれる役はどなたですかね?
初投下です。投下したいんだが、量が多いんで避難所に行ったんだけど、最後のレスが一時間半前
誰も居なくても、勝手に投下してよいの?
流石漫画版、台詞がキツイwwwwww
>>258 ここの書き込みの速さと量が異常なだけで
他のスレとか掲示板ではそんなモノですよ。
しかし、単純な戦闘タイプのキャラじゃない奴の召喚は話し作り難しいな‥‥
いや熱気バサラのことなんすけどね。
あい。んじゃいってきます。
>>262 虚無の力の源は精神力。
なればバサラさんの歌エネルギー大活躍ではないですか。
スイませェん、今誰もいませんよね?
投下します。
がたがたがたと音を立てて、馬車が進んでいく。
音の割には振動が少ないのは、貴族御用達の車体だからであろう。
その馬車に乗っているのは、人修羅とルイズ。
人修羅は魔法学院の制服と同じシャツとズボンを着用し、その上からジャケットを着ている。
傍らには杖の代わりにデルフリンガーが立てかけられており、すぐにでも引き抜けるようになっていた。
これで半ズボンなら英国に似てるかな? と考えていると、隣でうとうとしていたルイズが眠気に負け、こつんと人修羅の肩に頭を乗せてきた。
人修羅はその様子に微笑み、窓から外をちらりと見た。
ボルテクス界では見られなかった…いや、日本ですら見ることのできない、広大な草原や牧場が広がっている。
のどかな風景を見ながら、人修羅は今朝のことを思い出していた……
■■■
ヴァリエール家へと帰省する当日、前日のうちに手配していた馬車が、夜明け頃に魔法学院へとやってきた。
門前で待っていた人修羅は御者に挨拶すると、ルイズに馬車の到着を知らせ、ルイズと一緒に馬車へと乗り込む。
乗り込む前に人修羅は、車体を支えている板ばねを見て「へぇー」と感心の声を漏らした。
「何か感心するようなものでもあったの?」
馬車が走り出した後、向かい合わせで座ったルイズが、意外そうに聞いてきた。
人修羅はいろんなことを知っている、今まで聞いたことのない魔法の理論と、ハルケギニアと違う文化の話は、ルイズにとって大きな興味対象であった。
「ああ。板ばねがさ、車輪と車体の間に入っていたから、この世界にも乗り心地のいい乗り物があるんだと思って」
「板ばね? あなたの世界じゃ珍しいの?」
「珍しくは……ないな。トラックとかダンプって言うんだけど、荷物を運ぶための車には板ばねが使われてるって聞いたことがある。他にも空気を使ってるらしいけど」
「空気?まさか、風系統の魔法を使って乗り心地をよくしてるの?」
「魔法じゃないよ。でも原理は一緒かな、伸び縮みする筒に空気を入れて閉じこめると、ゴムみたいに伸び縮みする筒ができるんだ。それをばねの代わりに使うのさ」
「ふうん、レビテーションとは違うんだ…あ、でもそれって『エア・ハンマー』みたいな空気の固まりの上に乗っているのと一緒よね」
「まあ、そんな所かな。俺は専門家じゃないからよく分からないけど」
「ところでさ、この馬車って…借りるのに相当…お金かかるのか?」
「何でそんなこと聞くのよ」
「この前ブルドンネ街に行ったとき、こんな大きさの馬車は見かけなかったし」
「これはね、ブルーム・スタイルって言うの。平民が使うコーチ・スタイルと違って乗り心地もいいし、貴族ならこれぐらいの馬車は当然よ」
ルイズは腕を組んで自慢げに言い放った、が、すぐに手を解くと両手を大げさに広げて、首を横に振った。
「…本当はもう一回りか二回り大きい馬車を借りたかったけど、オールド・オスマンが『お忍びで帰省するんだから、必要最低限のものにしなさい』って言ったから……」
「お忍びねえ…この馬車でも、お忍びとはとても思えないんだけどなあ」
「そんなこと無いわよ、お姉様はいつも仰っていたわ、ヴァリエール家はどんな時でも、最低でも侍女を二人以上と、幌馬車をつけなさいって」
「……」
人修羅頭をぽりぽりと掻きつつ、ルイズの言葉から導き出される馬車一行を想像した。
四人、いや六人は乗れそうな馬車を四頭の馬が引き、その後ろには幌付きの馬車があり、中には着替えなどの荷物を詰めたバッグと、侍女が二人……
侍女役にはシエスタの姿を想像したが、これはご愛敬……
「なんて言うか、凄いなあ」
「当然でしょう。ヴァリエール家は王家の傍流でもあるのよ。トリステイン王女の危機を救った祖を持つの。馬車三台でも少ないぐらいよ」
「はあ。さいですか」
人修羅は思わず『まるでファンタジーだな!』と叫びそうになった。
…とまあ、そんな風に喋りながら馬車が進んでいったが、日が高くなってくるとルイズも眠いのか、時々目をしょぼしょぼとさせていた。
「大丈夫か?」
「…ん、ちょっと眠いかも」
「どうせ夕べはほとんど寝てないんだろ?今のうちに眠っておいたらどうだ、どうせ夕方近くならないと到着しないんだろう?」
「そうね、ちょっと眠るわ…ふわ」
ルイズは手で欠伸を隠しつつ、人修羅の隣へと席を移した。
「?」
「ゆ、揺れて椅子から落ちそうになったら、押さえるのが使い魔の仕事よ」
「なんだよその取って付けたような仕事は。別に良いけどさ」
「……つべこべ言わないの…ふわぁ……」
■■■
そして場面は冒頭に繋がる。
ルイズが人修羅の肩に体を預け、寝息を立て始めてから、一時間弱の時間が経った。
窓から外を見ると、野草の小さな花が咲き乱れる草原が見える、その中に点在する木々の影は、真下を向いている。
「昼か…なあデルフ、起きてるか?」
人修羅は、デルフリンガーの柄を顔と同じ高さに持ち上げると、が小声で呟いた。
『おーう。起きるも何も、剣は眠れねえよ』
「そりゃすまなかった」
かちゃかちゃと小さい音で鍔が鳴る、どうやらデルフなりに気を遣って、小声で喋っているらしい。
『第一、おめえも眠る必要は無いんだろ?』
「まあな。でもまあ、睡眠が無いと人間の生活を忘れちゃいそうでさ」
『そんなもんかねえ』
「そんなもんさ…ところで、ちょっと相談なんだが…」
『言ってみ』
人修羅はデルフリンガーを右手で掴み、柄を肩に乗せた。
「これからルイズさんの両親に会うかもしれない」
『まあ、そう思うのが当然だわな』
「デルフは、伝説の使い魔ガンダールヴの左手…だろう?この世界じゃちょっと知名度が高すぎるんじゃないか?」
『知名度は高ぇよ、でもブリミル由来のアイテムって呼ばれてるものはいくらでも在るんだ、それこそ与太話扱いだね』
「デルフみたいなインテリジェンスソードも、与太話扱いか」
『今は自我を持たされたガーゴイルもガリアで作られてるし、喋る奴も珍しくはないとか、武器屋の親父がよく悪態ついてやがった』
どこか懐かしそうに呟くデルフリンガー、それが6000年生きた剣の感性かと思うと、人修羅は少し人生の先輩に敬意を払おうかと思えてきた。
「なるほどね…。とりあえず、この『ガンダールヴ』と『デルフリンガー』は、オスマン先生から口止めされてる、って事で口裏を合わせておこう」
『おう、分かった。後で嬢ちゃんにも口裏を合わせておけよ』
「そうする」
■■■
がたごと、がたごとと馬車が進む。
今、丁度昼頃だろうか?と思いつつ外を見たところで、ゆっくりと馬車が静止する。
人修羅がルイズの肩を軽く揺すると、ルイズが目を覚ました。
「うぅん…なに?旅籠にでもついたの?」
「休憩じゃないかな?」
(……!)
(……)
ふと、外から何者かの声が聞こえてきた。
「ん…?」
目をこするルイズを横目に、人修羅が外の様子を見ようと扉に手を伸ばす。
だが、その手がドアノブを掴む前に扉が開かれ、眼鏡をかけた金髪のルイズ…といった感じの女性と顔を合わせる羽目になった。
ふと、ロングビルさんをちょっと厳しくしたような感じかな?と思ったが。
「どきなさい下郎」
ちょっとどころじゃ無かった。
「え、ええと、どちら様で」
「えっ、エレオノールお姉様ー!?」
「ちびルイズ!お供もつけずにこんな下郎を馬車に乗せて!何を考えているの!」
金髪の女性は喋りながら小声でレビテーションを操り、人修羅の体をぽいと馬車の外に放り投げた。
そのまま入れ替わるように馬車の中に乗り込み、ルイズの顔に手を伸ばす。
「いだい! やん! あう! ふにゃ! じゃ! ふぁいだっ!」
ルイズは頬をつねりあげられた。
プライドの高い、ちょっと高慢で負けず嫌いなルイズが、文句も言えずに頬をつねり上げられている。
その光景を見た人修羅は、引きつったような笑みを浮かべた。
「ハハ…マジかよ、ルイズさんを手玉に取ってる。上には上が居るんだなあ」
『嬢ちゃんの強化版って感じだなあ』
人修羅とデルフは、数十分にわたって続くエレオノールのお説教を外で聞いていた。
■■■
さて、それからしばらくして、人修羅はルイズ達とは別の馬車に乗り、ゆっくりと流れていくヴァリエール領の景色を眺めていた。
先ほどから、ルイズとエレオノールの乗る馬車から声が聞こえてくる。
『ちびルイズ。わたくしの話は、終わってなくってよ?』
『あびぃ〜〜〜、ずいばぜん〜〜〜、あでざばずいばぜん〜〜〜』
人修羅の耳は小さな声も聞き逃さない、ルイズが頬をつねられ、半泣きで謝っている声が聞こえてくると、その姿が容易に想像できる。
先頭の馬車は、エレオノールが乗ってきた馬車であり、今はルイズとエレオノールが乗っている。
二番目の馬車は、ルイズと人修羅が乗っていた馬車だが、今はエレオノールの従者と侍女が乗っている。
三番目の幌馬車には、エレオノールの従者と侍女が乗っていたが、今は人修羅一人と、デルフリンガーが一振りしかいない。
『相棒、ひとりぼっちで寂しそうだな』
ぼけーっとしている人修羅に、デルフリンガーが話しかける。
すると人修羅は、ちらりと御者の姿を見た。
馬を操る御者はゴーレムらしい、人間そっくりの姿をして、見事に馬を操っているが、一言も喋らない。
「寂しいとは思わなかったが…御者までゴーレムだと寂しい気がしてくるな」
『そうかい?』
「ああ。……経験あるんだよ、こういうの」
オレサマ、オマエ、シエン
人修羅帰還!支援!
支援、こんな時間になんてもんを投下してくれるんだ。
支援
サルサ?
それっきり、人修羅は何も語らなかった。
言いにくいことだと察したのか、デルフリンガーも聞き返そうとせず、沈黙を選んだ。
流れていく景色を見ながら、人修羅はボルテクス界で共に戦った幾人もの仲間を思い出した。
マネカタから鬼へと転生した仲魔、フトミミ。
彼は仲間を大切にする心を持っていた、そして人修羅の持つ孤独感にも気が付いていたのだろう、人修羅がどんなに強くなっても、変わらぬ態度で接してくれた。
もしボルテクス界にいたマネカタ達が、ゴーレムのように意志を持たない人形だったら、自分は心が壊れていたかもしれない。
彼らは人間的で、時には人修羅に無理難題を押しつけることもあったが、今思えばソレも楽しい、笑って許せる程度の物だった。
トウキョウがボルテクス界に変容する前の日本は、ゴーレムのような、都合の良い道具ばかりを発展させようとしていた気がする。
だからだろうか、人間味の無い力に憧れる社会は、いつかその無機質な力に人間が飲み込まれていく。
だからこそ平成の世の中に、アクマ求められたのだ……
■■■
魔法学院を出て、二日目の昼。
ラ・ヴァリエールの領地に到着した人修羅たちだったが、屋敷に到着するのは夜になると聞かされ、人修羅は馬車の中で一人冷や汗を流していた。
「日本じゃ考えられない規模だな」
そう呟いて、今までの行程を思い出す。
領地に入ってから屋敷につくのが半日後、これまで農地や森や山や川や草原やら牧場やらを目にしていた。
世界各地の列車に乗って、車窓から見える景色を堪能する番組があったが、それを馬車で再現したような感じだった。
ぼんやりとした想像しか出来ないが、まあ要するに、ルイズの実家は東京ドーム、いや東京ネズミーランドよりはるかに大きいらしい。
市町村で言えば、市ほどの広さだろうか、もしかしたら県ほどあるのかもしれない。
「大地主、ってレベルじゃないよなあ……」
ヴァリエール家は公爵家だと言っていたが、時代劇に出てくる藩主ぐらいの地位なのだろうか?
大貴族というものは恐ろしい、と人修羅は思った。
更に驚いたのが、魔法学院では決して見られないルイズの貴族っぷりである。
とある旅籠で小休止したルイズ&エレオノール一行だが、旅籠に馬車を止めたとたん、どどどどどどどどどどど!という足音が聞こえてきた。
それは、勢いよく旅籠から飛び出てきた村人達の足音だった、村人達は馬車から降りてきたルイズたちの前で帽子を取り、挨拶している。
「エレオノールさま! ルイズさま!」
と口々にわめき、ぺこぺこ頭を下げていた。
人修羅は呆れたような顔でそれを見ていたが、ルイズの従者役なのでじっと見ているわけにも行かない。
馬車から降りルイズ達に近寄ろうとしたが、人修羅もまた村人達に囲まれてぺこぺこと挨拶をされてしまった。
「俺は貴族じゃないんですけど……」
あんまりにも頭を下げられるので、人修羅は微妙に恐縮し、そう返事した。
「とはいっても、エレオノールさまかルイズさまの御家来さまにはかわるめえ。どっちにしろ、粗相があってはならね」
しかし農民達はそんなことを言って頷きあう。
魔法学院では考えられなかったが、ルイズの家来はかなりの立場として見られるらしい。
「背中の剣をお持ちしますだ」だの「長旅でお疲れでしょう」などと騒いで、人修羅の世話まで焼こうとするのだから、人修羅は愛想笑いしかできなかった。
エレオノールが口を開いた。
「ここで少し休むわ。父さまにわたしたちが到着したと知らせてちょうだい」
その一言で、ルイズ達に群がっていた中の一人が直立した。
魔法学院の生徒と、同年代に見える少年が馬にまたがって、走り去っていった。
その間に一行は旅籠の中に案内された、人修羅はどうしようかと悩んだが…とりあえず旅籠に入るのは止めておくことにした。
誰もいない馬車の中で、ごろんと寝ころぶ人修羅を見て、デルフリンガーが呟く。
『なあ相棒、嬢ちゃんの側にいてやらないで、いいのかい?』
「今俺が行っても邪魔になるだろう、姉妹水入らずで話したほうが良いさ」
『怖いんだろ?』
「否定はしない」
そんな話をしている間にも、ルイズが地雷でも踏んだのか、エレオノールの説教する声とルイズの泣きそうな声が聞こえてきた。
『あの二人、飽きねーなぁ』
「……行かなくて良かった」
■■■
夜もふけた頃、人修羅は何かに気づき、馬車の幌から顔を出し外を確認した。
前を行く馬車の脇から、丘の向こうが見えると、そこには大きなお城が見えている。
魔法学院どころか、トリステインの宮殿並に大きいそのお城へ、街道が続いているように見える。
「もしかして、あれ?」
高い城壁、深そうな堀、城壁の向こうに見えるいくつもの高い尖塔。
旅番組で見かけるお城そのものであった。
その瞬間大きなフクロウが、ばっさばっさとエレオノールの馬車へと飛び込んでいった。
耳を澄ますと、「おかえりなさいませ。エレオノールさま。ルイズさま」という誰かの声が聞こえてくる。
「まさか、あのフクロウの声か?デルフどう思う」
『どうって、喋るフクロウなんて珍しくねーだろ?』
「……そうだよな、よく考えたらお前喋る剣だもんな」
更に、耳を澄ます。
「トゥルーカス、母さまは?」
エレオノールの声だ、トゥルーカスというのはフクロウの名前だろう。
「奥さまは、晩餐の席で皆さまをお待ちでございます」
なんか腹が立つぐらい淀みなく答えているフクロウ。
「父さまと、ちぃ姉さまは?」
今度はルイズだ、どことなく不安そうな声に聞こえる。
「旦那さまも、奥様とご一緒にお待ちになっておられます、カトレア様もルイズ様のお帰りを今か今かと待ちわびておられますよ」
そうこうしているうちに、一行は城へと近づいていた、お堀の直前で静止すると、向こうに見える門と跳ね橋がゆっくりと動き始める。
よく見ると、門柱の両脇に控えた巨大な石像が、じゃらじゃらと音を立てて跳ね橋の鎖をおろしている。
身長20メイル近い門専用ゴーレムが跳ね橋を下ろす姿は、ボルテクス界で非常識なものを見慣れた人修羅でも驚く程壮観だ。
■■■
豪華絢爛!
と表現するしかない。
少ない語彙からは、すばらしいです!とか、高そうですね!とか、そんな言葉しか出てこない。
それほど城の中は凄かった。
壁を見ても床を見ても天井を見ても、調度品を見ても、メイドさんを見ても高級そうな城内は、人修羅を驚かせた。
いくつもの絵や美術品が飾られた部屋を何個も通り、ようやくダイニングルームへと到着すると、そこもまたとんでもない部屋だった。
人修羅はルイズの使い魔だという事で、晩餐会への同伴が許されたが、正直なところ逃げ出したい気持ちがあった。
ルイズの椅子の後ろで、護衛のように控えるだけなのだが、それでも30メイルはありそうなテーブルを見ると嫌でも緊張する。
そんな巨大なテーブルにルイズの一家五人分しか椅子が準備されていない、しかも周囲に20人ほどの使用人が並んでいる。
魔法学院で貴族の生活に多少は慣れた気もするが、そんなのは幻想だった。
テーブルマナーのテの字も分からない人修羅には、針のむしろのような空間。
もし、この場所で一緒に夕食を、と言われたら本気で逃げ出していたかもしれない。
上座に控えた公爵夫妻は、到着した娘たちと人修羅を見回した。
人修羅はその迫力に、思わず「親子だ…」なんて考えてしまった。
人修羅の力や知識のおかげで、ルイズの高慢さはだいぶ落ち着いていたが、それでも貴族らしい高飛車さはある。
それを手玉に取るエレオノールは、とんでもない高飛車オーラを放っていたが、ルイズの母はもっと凄い、この母にしてあの娘ありだ。
ルイズの父親は、母に比べると迫力こそ薄い気がしたが、それがかえって威厳を感じさせている。
二人とも歳は40程に見えるが、もしかしたら50ほどかもしれない、何せ16才のルイズに年の離れた姉が二人いるのだ、何というか若々しい夫妻だと思う。
ふと気が付くと、ルイズがやけに緊張していた。
そっと視線を動かすと、ルイズの母と人修羅の目が合った。
鋭い刃と、今まさに吹き出んとする火炎放射器の種火のような眼光が人修羅を射抜く。
生まれつきの才能と、英才教育と、戦いの中で磨かれた光だと思った。
(やっぱり顔にまで入れ墨のある男が使い魔じゃ、納得しないよねー)
そんなことを考えながら人修羅は、もう一人のルイズの姉を見た。
カトレアというその女性は、ルイズの桃色がかったブロンドにごく近い、どうやら母親ゆずりの髪質らしい。
「母さま、ただいま戻りました」
と、エレオノールが挨拶した。
すると公爵夫妻は静かに頷く、それを合図にして三姉妹がテーブルについた。
丁寧かつ上品に、給仕たちが前菜を運び……晩餐会が始まった。
後ろに控えていた人修羅は、ボルテクス界でカツアゲにあったのと同じぐらい息がつまりそうだと思った。
誰も喋らない、物音すらほとんど無い。
堅苦しいと思っていた魔法学院での食事がとても楽に感じられる、それぐらいこの空間は厳しい。
デザートと、紅茶が運ばれたのはそれから何時間後だろうか。
実際には一時間も経っていないが、五時間ぐらい経過したような気がする。
長い長い沈黙を破るようにして、ルイズが口を開いた。
「あ、あの……、お父様」
公爵は返事をしない、その代わり、公爵夫人がルイズに声をかけた。
「ルイズ。なぜ突然帰省などしたのですか」
ルイズはどこかビクビクしながら、使い魔を召喚したこと、使い魔が異国の魔法を使えること、使い魔が治癒のマジックアイテムを作成したこと……
それがカトレアの病を治す手だてにならないかと思ったこと、オールド・オスマンに相談し帰省の許可を得たことを話した。
支援
「つまり、先住魔法を使う亜人なの? いえ、そんなことより、貴女はサモン・サーヴァントを使うことが出来たわけね?」
エレオノールの問いかけに、ルイズは頷いた。
それを見たもう一人の姉、カトレアは優しそうな笑みを浮かべてルイズを見た。
「良かったわ、ルイズが魔法を使えて。使い魔さん、お名前を教えていただけないかしら」
「え? ああ、俺は人修羅といいます」
貴族相手とは思えないぶっきらぼうな態度に、周囲がヒヤッとした。
エレオノールに至っては不機嫌そうな表情を崩しもしない。
「人修羅さんは、ルイズを守ってくれているのね?」
「まあ一応」
人修羅が笑みを浮かべて答えたが、そこで公爵の横やりが入った。
「カトレア、話は後にしなさい」
すっ、と口を閉じるカトレアだが、相変わらず嬉しそうな笑みを浮かべたままだ、それを見たルイズの緊張もだいぶ解れている。
厳しい長女に優しい次女か…と思ったところで、公爵が人修羅を見据え、呟いた。
「人修羅と言ったな、ふむ。亜人が召喚されたなど、聞いたことが無いが…」
「お、お父様、人修羅は亜人じゃありません、人間ですわ。今は亜人ですけど……」
ルイズがおそるおそる訂正しようとするが、どこかぎこちない。
「人間?だとしたら余計にサモン・サーヴァントで呼び出された前例が無いではないか」
公爵がちらりとエレオノールに視線を移した。
「ええ、アカデミーの記録では、サモン・サーヴァントの研究で本や金属が召喚されたのみですわ」
「あ、あの、わたし、本当に、召喚に成功したの!だからっ」
ルイズは叫ぶように言葉を放った。
「落ち着きなさいルイズ、貴女が召喚したと言うのなら、疑うわけはありません。…貴女は、カトレアの治癒のため使い魔を連れて帰省した、そうですね?」
公爵夫人の言葉に、ルイズが小声で「はい」と答えると、婦人もまた満足そうに頷いた。
公爵は婦人からの目配せを受け、頷く。
そして人修羅とルイズを見つめると、重々しく口を開いた。
「ルイズ、オールド・オスマンが帰省の許可を出したのなら、使い魔には相応の実力があるのだろう。カトレアの診察を認めるが…エレオノール、立ち会いなさい」
「はい」
とりあえず、人修羅は使い魔として認められたらしい。
ルイズはほっとして胸をなで下ろした、が、そこでまたエレオノールが口を開いた。
「ところで……、先ほど言っていた、治癒のマジックアイテムだけど、どういった物なの?」
ルイズはぎょっとして、硬直した。
よく考えたらマジックアイテムがどんな物なのかは、よく知らないのだ。
「ひ、人修羅、答えなさい」
微妙に声が裏返りつつ、ルイズが呟く。
人修羅は公爵夫妻とルイズの姉たちに注目されて、微妙に緊張している、なんか高校の面接を思い出すようだ
「正確には、魔法学院の教師ミスタ・コルベールに協力を仰いだもので、私一人で作った物ではありません。
召喚されて間もない頃、俺…私の魔法が先住魔法だと言われたのですが、あいにく先住魔法や系統魔法といった分類があるのを知りませんでした」
人修羅は喋りながら、ズボンのポケットを探り、2サントほどの大きさがある、緑色の結晶体を取り出した。
「自分の魔法と、ハルケギニアの系統魔法の相違点を知る研究の一環として、マジックアイテムの作成を行っていました。これはその一つです」
壮年の執事が給仕が近寄って、人修羅の脇でお盆を差し出した、人修羅はその上に結晶体を置く。
執事は音もなくエレオノールに近寄り、その結晶体を見せた。
「ふぅん…これがそうなの。」
そう呟くとエレオノールは杖を取り出し、ディティクト・マジックで結晶体を調査しようとした。
魔法アカデミーの研究員たるエレオノールなら、マジックアイテムの構成などすぐに見破ってしまう。
しかし今回ばかりは、膨大な知識と経験をもってしても計り知れぬものがある、と知ることになってしまった。
たった2サント程の、小さな結晶体に、途方もない”力”がこもっている。
トリステインの王女アンリエッタが持つ杖には、水晶玉がはめ込まれており、そこに魔力を蓄積しておけるのは研究員が皆知るところであった。
エレオノールは、それに似た魔力の蓄積体や、風の力が込められた『風石』の研究をしたことがある。
この結晶はそのどれとも違う。
もし、この結晶に込められた魔力が治癒ではなく、火の魔法だとしたら…?
おそらくこの屋敷が跡形もなく吹き飛ぶぐらいの力が込められている…そう気づいて、エレオノールは珍しく慌てたような表情を見せた。
「……ッ!」
杖を人修羅に向け、ディティクト・マジックを行使する。
人修羅の周囲に光る粉のような物があらわれ、人修羅の体へと吸い込まれていった。
「あっ」「ちょっと待って」
ルイズと人修羅は制止しようとしたが、後の祭り。
エレオノールの顔色がみるみる青ざめ……ふっと意識を失い、椅子から転げ落ちた。
■■■
所変わってガリアの王宮グラン・トロワ。その離宮プチ・トロワでは。
「くすぐったいホー」
「ああ、ごめんね、でも柔らかくていい臭いで……なんて言うんだろうね、癒される、そうだ体じゃなくて心が癒される気がするよ」
ベッドの上で枕代わりになったヒーホーに、イザベラが顔をこすりつけていた。
夜になるとイザベラは人払いをする、イザベラとヒーホー二人きりの時間になると、イザベラはヒーホーに抱きついたり顔をこすりつけたりしている。
「ああ、かわいいねえ、もうホント幸せだよ……」
にくったらしい従姉妹のことや、自分に興味を示さない父王のことなど、どうでもよくなってくる。
ヒーホーから聞いた話では、もっと大きいヒーホーもいるらしい。
また、時々黒いガクセイボウ?という帽子を被ったモミアゲの目立つヒーホーも見かけられるとか。
「ねえヒーホー。お前を召喚できたことが、私にとって唯一、本当の魔法かもしれないよ…」
とろんとした目つきでそんなことを呟くイザベラ、ヒーホーは体をゆすってイザベラから離れると、ベッドの脇にちょこんと直立した。
「そんなことは無いホー、イザベラちゃんなら、いろーんな魔法が使えるホー」
「魔法ねえ……自慢じゃないけどさ、私はちょっと風を出して、ほんのちょっと傷を付けることしかできないのさ。
……ああ何か不思議だねえ、ヒーホーになら私、何だって言える気がする……」
「う〜ん、イザベラちゃんはすごく魔法の力が強いはずだホー……」
ヒーホーはちょっと腕を組んで、首をかしげる。
その仕草を見てイザベラがだらしなく頬を緩めた。
「そうだホ!他の魔法を試してみればいいホー」
「他の魔法?」
イザベラがきょとんとして、聞き返した。
「もうすぐスカアハが来てくれるホー、ボクからもお願いするから、イザベラちゃんも魔法を習ってみるといいホー」
イザベラは体を起こして、ベッドの上からヒーホーを見下ろした。
普段のイザベラを知るものなら考えられない、いわゆる女の子座りである。
「スカアハって誰だい?」
「まほーと戦いの先生ホね。生徒も沢山居るって聞いたホよ」
今度はイザベラが首をかしげた、魔法の先生とは、ヒーホーのような存在なのだろうか?
ヒーホーがヒーホーに魔法を教えている光景を想像して、またもやイザベラはにやにやと顔をほころばせた。
「…と、ところで、そいつは何ができるんだい?」
「う〜ん……毒消をしたり、竜巻を起こしたり、ヒーホーよりおっきな氷を作ったりするホね」
そう言われて、ヒーホーが作った氷と、かき氷を思い出した。
ヒーホーより一回りか二回り程度大きな氷を作るぐらいなら、メイジ全体で言えばたいしたことはない。
「ふぅん…まあいいか、機会があったら教えて貰うよ」
イザベラは子供をあやすように呟きつつ、ヒーホーを抱き寄せた。
「弟子にしてもらえるよう、ボクからもお願いしておくホね」
「はいはい」
二人はいつものようにベッドに入ると、杖を降りランプを消す。
イザベラは、ヒーホーを抱きしめている間だけ、王位争奪の争いによる不安を忘れることができる。
ここ数年得られることの無かった安眠を、イザベラは心の底から喜んでいた……。
ーーーーーーーー
今回はここまでです。
乙っしたー!
頭痛くなって来たので、起きたらありがたく読ませてもらいます
寝ようとした瞬間待ちわびていたアクマの人が来てどうしてくれるんだ乙!
最早厨レベルの強さを誇る人修羅なのに、マジックアイテム作成で評価されるという力の見せ方が良いですね〜
イザベラも可愛いよイザベラ。そしてさりげにもうすぐ発売日のライホーくん吹いたw
カトレアは果たして治るのか。次回も期待しています!
寝る前にいいもの見れたー
284 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/15(水) 06:16:50 ID:AInCsnju
乙っでぇ〜す♪
あああああ〜〜っ イザベラが可愛くなってるョ〜〜^^
癒〜さ〜〜れ〜〜〜る〜〜〜〜っっ!!
>>280 お疲れ様ですー。
って、スカアハ様ー!?まさか、スカディ様になったりしないよね?ね?
クランの番犬みたくゲイボルグ振り回すイザベラ様が見たいです。はい。
投下よろしいならこのままさせてもらいます。
14,閃光のジャン・ジャック
姫殿下からの依頼を受けた翌日はとても良い天気だった。
未だ朝もやが残る中、マーティンとルイズは馬に鞍をつけている。
内容があまり人に知られるべきでない事もあって、
皆が動き出す前に行こうという話になったのだ。
「ここから、アルビオンまでは遠いのかい?」
地理の事はタムリエルからどの辺かを探す辺りでだいたい覚えたが、
距離的にどの程度かまではそれほど調べていなかった。
内陸よりもどこかタムリエルと関係が無いかについて調べていたのだから、
ある種当然かもしれない。
「そうね。まずは港町のラ・ロシェールに早馬で二日、そこから船に乗って何日か掛かってあっちの港に着くから、
早ければ三、四日程で行けると思うわ」
希望的観測で語るルイズ。五日後には全て終わって帰路についていることを望んでいた。
考えてみれば、結構えげつない事を安請負したかもしれない。
後悔は無いが、しかしもし失敗したらどうしよう。
ああああ、私ったら姫さまを窮地に立たせるような真似をしているんじゃないかしら。
ルイズは決して考えずに行動するタイプではない。
目先の事で一時的に思考能力が無くなるだけなのだ。しかしそれは常習化してしまっている。
無二の友人。しかも自身が慕う姫殿下の頼みとあらばそうなっても仕方ないが、
癖としてはあまりよろしくない物である。
治したくてもなかなか治せないのは辛いものだ。
「ルイズ?どうかしたのかい」
一人妄執を頭の中で繰り広げ、どこかの斧を振り回す狂エルフの様に、
ブツブツ何かを言い始めたルイズにマーティンは声をかけた。
「え、いや、な、なんでもないのよ?む、むむむ武者震いよ!」
震えてすらいなかったが、まぁいいかと出発の準備を進めるマーティンだった。
緊張しているのだろう。そっとしておいた方が良い。
生暖かい目で見守られるルイズは、ああああと頭を抱えた。
よく姉達や親にされた目であった。
最近はツェルプストーにその目で見られる事が多い。
またやってしまった。そう後悔してさらにブツブツ言いながら、
出発の準備を始めるルイズだった。
「お二人とも、どこへ行かれるんですか?」
そんな今から戦場へ行くなど考えられない穏やかな雰囲気をぶち壊すかの様に、
二人の背後から声が聞こえた。驚いて振り向くと黒髪のシエスタがいた。
「あ、ああ。君だったのか、シエスタ。しかし、驚いたな。急に現れるなんて」
妄想でワンテンポ遅れているルイズに代わり、マーティンが言った。
シエスタは笑っている。
「気配を消して仕事をするのも使用人の仕事の内ですから。それより、こんな朝早くからどこへ行くんですか?」
「すまないが、言えないんだ」
正直に言う。シエスタはそうですか。と言って笑う。
彼女の手にはバスケットがあり、それをマーティンに渡した。
昼食に食べてくださいとサンドイッチ等が入っていた。
「もし遠出されるのでしたら、スヴェルの月が近いのでそれを考えて動いた方が良いですよ?」
「何日後なのかしら。シエスタ?」
含みを持って笑う彼女にルイズは聞いた。気配を消すのも仕事と言ってのけたのだ。
おそらく昨日の話を聞いていたのだろう。
だが、それを二人に言う訳でもなく助言を呈す彼女に、
ルイズは使用人としての職務を全うしようとする、職業人の誇りを見出した。
決して口に出すべきでない。しかし感謝しなければ。彼女はそう思い、
おそらく聞かれたがっている事であり、自分達にとっても重要な事を聞いた。
まさか彼女が姫さまから聞くよりも先にこの件に関して知っているなんて、
そんな事思ってすらいない。さらに言うなら間諜とかもありえないと思っていた。
マーティンと医務室で話をしていたこのメイドの事を覚えて、
その後ある程度親しげに話したりしていたのだ。つまり信頼している。
「ええ、今日を入れて三日後ですわミス・ヴァリエール。どうかお気をつけて…」
シエスタはそう言って頭を下げた。
「なら、このまま普通に行けば良い訳だね。ちょうど良いタイミングだ。これこそ始祖のご加護とか、そういうのかな?ルイズ」
幸先の良さに安心した風にマーティンは言った。
「問題はアルビオンに着いてからよ。それに何があるか分かった物じゃないわ。
早く行けるならそれに越した事ないわよ。さ、準備も出来たし早く行くわよ。じゃあね、シエスタ。」
御武運を、そういってまた礼をするシエスタを残して二人は学院を後にした。
「ああ、心配です。あの二人大丈夫でしょうか」
見送ってシエスタは小さな声で言った。
今回の仕事から担当を外されたので、ここで普通に仕事をしている事となっていた。
『お前は、今回の件で一悶着やらかすかもしれんからな。
確かに、王は非道だったと俺も思うが、しかしそれを殺すのは俺達の掟に反する。分かるな?』
痛い程分かっている。だが、確かにやらかしてしまうかもしれない。
暗殺のやり方は曽祖父から教わった。最後の手段としてだ。
罪の無い彼女らの親達を殺した王の話を聞き、つい、
懐のダガーに手をのばしたのがグレイ・フォックスにバレてしまった。
『お前は闇の兄弟達でなければ、モラグ・トングでもない。
技術の出自がそれらだったとしても、今は盗賊ギルドのメンバーだ。
掟破りは許されない。特に殺しは取り返しがつかんのだ』
優しく諭すように言う灰色頭巾のフォックスに、彼女は従うしかなかった。
「影よ、夜の女王ノクターナルよ。どうか困難に向かう二人をその闇で包み、彼らに災いもたらす者達から隠してくださいますよう…」
Shadow hide you.そう言ってシエスタは祈りを奉げた。
じっとその様子を眺めている赤い髪に気づかずに。
考えてやらないでもない。夜の女王は笑って言った。
影の声は誰にも聞こえてはいない。
同じように始祖へ祈りを奉げるアンリエッタにも。
そんなこんなで馬で走って一日過ぎ、二日目の昼過ぎ、
予定より早めにラ・ロシェールに着きつつある。
急ぎよ。と、泊まった宿駅でルイズが言うと、
ならばこいつを。と赤い馬を用意された。ありえない速さだった。
一体この馬は何なのかを聞くべきだっただろうか?
まぁ、速いから良いか。二人はそう思って馬を走らせる。
「おお、あれがラ・ロシェールか。あそこから空を飛ぶ船が出るのだね?」
当然ながら、マーティンがいたタムリエルには空に浮かぶ島など確認されてない。
北方地方スカイリムに住む、白い人間族ノルド達は、
自分達を天空から来たと自称する事もあるが、
それも伝説で語り継がれるだけの話。
酒の席での笑い話(彼らは酒飲みである事が多い)で言うくらいなものだ。
元いた世界、ニルンをくまなく探せば一つか二つあるかも知れないが、
今まで見たことのない空に浮かぶ島への期待で彼は一杯だった。
「ええ。船の予約に行かないと。夜までに来れて良かったわ」
無駄使いしていなくて良かった。そうルイズは思う。
金貨はまだそれなりに残っていたが、毎月来る仕送りが少し前に来たところだった。
両方を合わせればおそらく指輪を金に変えなくても問題はない。
姫さまからもらった物を金に変えるなんてバチ当たりな事をせずに済んで良かった――
そんな思考を遮るかの様に爆音が鳴り響く。火の秘薬が発したその音は、
戦の訓練を受けていない馬達を驚かせるには十分だった。
足を止めた馬へ向けて弓矢が、穏やかな風を裂いて飛んで来る。
「奇襲か!」
すんでの所で当たる前に馬から放り出され、
彼はルイズと共に逃げ出そうとする。
しかし、数が多い。タムリエルの『破壊』の火魔法で、
いくつかの矢を、こっちに当たる前に燃やしたが身を隠す所も無い。
まさかトリステイン内で襲われるとは思っていなかった。
シロディールに比べ衛兵なんぞが辺りを周っていなかったから、
ここらの治安は良い方だと思っていたのだ。
マーティンはそんな自身の甘い考えを呪った。
相手がどこから矢を射っているのか全く分からない。
ならば逃げるしかないが、しかしどこから来るか分からない以上、
どこへ逃げれば良いというのか。絶体絶命である。
弓矢が二人へ殺到する。ルイズの前にマーティンが立つ。
さて、どうしたものか。炎を手から出そうとした。
一度これらを燃やしてから、範囲の広い魔法で敵の位置を特定するか。
分からないなら全て倒せばいい。
問題は弓矢をその時まで食らわずに済むかどうかだ。
そんな時、一陣の風と凍てついた吹雪が矢を吹き飛ばし、炎が全てを燃やした。
「ハァイ!二人とも大丈夫?大丈夫ね。良かった良かった」
空を見上げれば、青い竜に乗る赤き髪のキュルケと青き髪で制服姿のタバサが、
そして、あの時初めて見たグリフォンと呼ばれる幻獣に乗る男がいた。
「わ、ワルドさま!?」
「久しぶりだね僕のルイズ。だが、話は後だ。まだやるべき事が残っている」
二匹の獣が空に舞う。主を乗せたそれらは、息を合わせて敵陣へと突っ切っていく。
今度は襲ってきた盗賊達が驚く番だった。
「危ない所を助けていただいて、どうもありがとう。ミス・ツェルプストーにミス・タバサ。それと、ミスタ・ワルド?」
先ほどルイズが言った名前でマーティンは言った。
賊は近くで転がっている。タバサとワルドの風でここまで運ばれたのだ。
賊達の戦う意思はもう無いようだ。空から来るメイジ三人を相手に勝てる平民など、
普通はいない。ワルド、と言われた男は笑って握手を求める。
「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長のジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドです。僕の婚約者がお世話になっているようで」
「マーティンです、マーティン・セプティム。姫殿下から伺っているとは思いますが。
タムリエルと言う国で司祭をしています。なるほど、婚約者でしたか」
マーティンの手を握るワルドは、喜色のある笑みを浮かべている。
キュルケは何故こいつにこんな良い男が?とした風で呆然となり、
タバサは誰にも分からない様にふぁぁと欠伸をしながら本を読む。眠かった。
ルイズは顔を真っ赤にした。
「姫殿下が学院の寝室から抜け出した後、どうも様子がおかしくなったので、
それとなく聞いてみると僕のルイズに任務を与えたと聞いたものですから!
その後僕とルイズの関係をお聞きになられると、僕に彼女と貴方を守れと命じられたのです」
「ワ、ワルドさま。それは親が決めた事で…」
顔を真っ赤にして、後ろの方は消え入りそうな声で言うルイズ。
それを無視するかの様に、彼はルイズを抱きかかえた。
「久しぶりだな!ルイズ!相変わらず軽いなきみは!まるで羽のようだ!」
ルイズは頬を染めてされるがままになっている。満更でもないようだ。
「ミスタ・ワルドがここにいる理由は分かったが、では君達は?」
お互い使い魔使いの荒い主人で大変なのね。俺使い魔違うけどな。
とでも話しているのだろう二匹をよそに、
マーティンはキュルケに聞いた。ルイズとワルドは放っておく。
人の恋路を邪魔する奴はというやつだ。
「昨日、たまたまあなた達とメイドが話していたのを聞いたのですわ。
スヴェルの月。何て言ったらアルビオンに行くと言っているような物だと、
行った事の無い私にも分かるもの。そんな訳で今まで着いて来たって訳ですわ。ミスタ・セプティム」
その子の説得が面倒でしたけれどね。そう言って彼女は艶やかに笑う。
そう言われたタバサは無表情で本を読み続ける。いや、読んだまま寝ているようだ。
「一日中飛びっぱなしでしたから。それに行く必要ないと言ってほっとけと聞かなかったのですわよ?
こんなおもしろそうな事を放っておけだなんて、ツェルプストーには無理な相談ですわ。
先に着いてルイズを驚かせようかと思いましたの。もちろん、あなた様方に気づかれない様にして。
それで空の上で後を追っている内に、後からあの素敵な殿方がやって来たと言う訳ですの」
どうにも好みからは少しはずれていますけれどね。と彼女はつけ加える。
格好の良い男だが、良く見れば何か嫌な感じがした。
彼女は日々の日常より、時たま来る刺激的な非日常を愛しているらしい。
そうだったか。マーティンは礼を言って後盗賊達の方へ行き、
賊の長らしき風貌の人間と向き合った。
「やぁ。私が言うのもなんだが、災難だったな」
「ははは、仕方ねぇわ。こんな日もあらぁね。ここで終わりってなぁ残念だが」
やってる事がやってる事だ。今更命乞いなんざできねぇわな。
平民で傭兵家業や盗賊やらをやっている彼らは、
平民が貴族に歯向かえばどうなるかは良く知っている。
命を狙われたのだ。自分達を殺すのは目に見えている。
「変な事を聞くが、私達以外が通ってもここで誰かを襲ったのかい?」
運が向いているらしい。こいつは話が分かる方のようだ。
賊の長はあえて知らない風に言った。
「ん?あーどうだろうな。何か忘れている様な気がするが、思い出せねぇなぁ」
へっへっへと笑う。ふむ、とマーティンは先ほど出掛けに、
ルイズから雑費としてもらったエキュー金貨をいくつか握らせる。
すると小さな声で話し始めた。
「頼まれたんだよ。白い仮面の貴族にな。あんた達が何するかは知らねぇ。
聞いちゃいけねぇ、俺達の事教えちゃいけねぇ、逃げちゃいけねぇ、代わりに金は言い値を払う。
そんな話だったって訳よ。ありがとうよ。んじゃ、あっちの人らにはよろしくな。
ああ、それとこっから先には、俺らみたいなのはいないと思うぜ?少なくても昨日はいなかった」
たまには始祖も良い仕事しやがる。そういって賊は笑った。
「彼らはただの物取りのようです。捨て置きましょうミスタ・ワルド」
盗賊達から離れ、マーティンはワルドへ言った。
「そうですか、分かりました。今日は休んで明日の朝一番の便でアルビオンへ渡りましょう」
ルイズを抱えたまま彼はにこやかに言う。彼女をグリフォンに乗せようとしたところで、
わ、わわわたしには馬がありますから。と言われたので彼は高速の赤い馬に乗せた。
「じゃ、出発ね?ほら、タバサ起きて。ラ・ロシェールへ行くわよ」
キュルケはぶんぶん揺らしてタバサを起こす。ぱちりと目を開け、青い竜に乗った彼女達は空に舞った。
「では、ラ・ロシェールで!」
グリフォンも飛ぶ。また二人となった。
「私達も行くとしよう、ルイズ」
「え、ええ。その、さっきの事なんだけど」
ん?と、まだ顔を赤くしているルイズをマーティンは見た。
「あ、あの時私の前に立ってくれた事。その、守ってくれて…」
マーティンは優しく笑った。
「使い魔は主人を守るものだ。前もそう聞いたが?それに大人は子どもを守るものだ」
「こ、子どもじゃないもん。16だから。立派なレディなんだからね!」
またマーティンは笑った。
「子どもくらいなものさ。大人になりたがるのはね」
大人は子どもになりたがる。そんな物だと彼は言う。
う〜とルイズは唸るが、どうしようもないので黙った。
そうして、二人もラ・ロシェールへ向かう。空に舞う二つの幻獣の後を追って。
投下終了。次回夜のラ・ロシェールです
ワルドと書くよりジャン・ジャックと書いた方が強さ四割り増しに見えるのは私だけでしょうか。
ジが二つもあるんですよ?きっとそっちの方が強いと思うんです。
赤い馬はあれです。東方より更に東にある三国で争っている所の名馬です。たまたま来たということで。
んじゃまた次の投下まで。フォージエンペラー
乙だ市民よ。
飛空艇は、モロウィンのクエストで少しだけ出てきた。
後はセカンド・エイジにデイゴンが帝国の空中戦艦を襲ったらしいから、
一般には、知られてないだけで存在はしている。
ちなみにデイゴンは天罰の金槌で殴られてオブリまで領地に引きこもる生活を送ることになった。
アクマの人来ないかな
アクマの人ぐっじょぶ!
今から次回が楽しみです!
あくまの人とマーティン乙
オブリの世界は矢が脳天に刺さっても何故か致命傷にならない不思議な世界なんだよな
>>295 しかも体に刺さった矢を回収して使えるしな・・・
問題点があって小ネタを投下できないかもしれないので、教えて欲しい。
1 ルイズが登場しない
2 タルブ戦が舞台だけど、理由により指揮官変更
3 使い魔じゃない
4 話しがやや長い
教えて欲しいここで投下OKなのか?避難所か?
>>297 それはそもそも、ゼロ魔である必要があるのか?
途中で気付いた・・・
さようなら
アンリエッタを主人公に持ってくると、結構キツイ・・・
プロットを組み直して、出なおしてくる
ルイズとその使い魔が主人公というゼロ魔の物語の大前提から変えるわけだしな。
しかしアン様にはどんな使い魔を召喚させたら面白いかな?
個人的には暗殺・諜報に長けたキャラがいれば心強いかと。例えば青い瞳の忍者とか。
>>303 イザベラが主人公でルイズがほとんど出てこない
長編SSもあるし投下するのはいいんじゃないですかね。
ゼロ魔の話なら。
>>304 問題点を解消出来たら、また問いたいと思う。現状ではキツイ
ぜろろ見てみた。
かなり出来いいな。削除を惜しむ声が出るのも分かる気がする。引き込まれたし続きが読みたい。
ルールさえ守ってくくれば言うことないよ。
そもそも
>>297の書き方だと、誰が主人公かさえ明記してくれりゃ問題がなかったような。
とりあえずアンアン期待。
>>305 作品が投下されたわけでもないのに
何が問題か作者じゃないのにわからないでしょう。
なんでもだめだめ言うのはよろしくないかと。
>>308 同感です
とりあえず投下して見られよ
面白ければ皆が支持するだろうし面白くなかったら問題点を指摘しつつフクロにするでしょう
アクマの人来てた、乙です。
あと、1週間ほど時間欲しい。書き直す
>>311 了解しました
期待してますから頑張ってくれさい
祭りの後だからか
普通の流れのはずなのに投下が少なく感じるとは…
社長の人、待ってるよー!頑張ってくれー
アンアンが主人公だとすると鳥の骨や銃士隊長も登場させないと。
筋書き次第ではどうとでもなるけど登場しない方がへん。
>>292 うあーバトルスパイアの件忘れてるとかどんな思考形態だったんだ私は。
飛空挺の件どうもです。また調べますね。
朝早くに読んで、突っ込みどころ探してくれて本当にありがとう。
出来る限りこういうことは、無くしていきますので今後ともよろしくお願いします。
ただ、ジャガーさんの件でデイゴンさん一枚噛んでませんでしたっけ?10年前の。
アンアン→喪黒福造
とか見たいな
アンアンの使い魔か・・・
成功例は某・ヤドカリかな?
>>316 客として選ばれたらソッコーで「ドーン!」されてしまうなw
ジョゼフはシャルルが生きていたら的な世界でも味合わされるんだろうかw
アンアンの使い魔に王女を召喚するという話がずっと前からあったような気がするけど
誰が良いかな
デビロット姫一行を召喚して悪の帝王学を教え込まれるとかw
まあ普通にストーリーを展開するなら、グラドリエルかクラレットとかかな。
知るか
避難所いけ
デビロット姫はむしろイザベラ様じゃね?
デコに親近感がわきそうだなw
アルトリア・ペンドラゴンこと、セイバー召喚とか
王女じゃなくて王だけど
漆黒の騎士を召喚するとか
327 :
零☆幽☆白書:2008/10/15(水) 18:14:05 ID:XqqRIYlo
この後、幽☆遊☆白書より浦飯幽助が召喚されるSS「零☆幽☆白書」 01話を
投下します。
ローマの休日から
そういえば幽助ってルイズよりも年下だっけ?支援
第一話の交通事故の後に召還なら絶賛する。
>>329 どの時点かにもよるけど、開始直後は中学生だったはず。
覚醒後だったらいいのに
>>325 残念!型月作品のキャラクターは別スレだ!
王女といえばやっぱヨヨかアリシアでしょう
っつーワケで支援
幽☆遊☆白書なら桑原くんでしょう。ルーンの力で能力アップ
次元刀使いこなして元の世界に帰る。
個人的には霊界探偵なりたての頃が良いな
霊界探偵七つ道具大活躍がみてえw
ユウレイ白書の方が語呂が良いような気がした支援
とある草原でなにやら騒がしい音が聞こえてきました。
「バアちゃんよ、しばらく戦ってねえうちに腕が鈍ってきたんじゃねえか。」
「幽助よ、お前もしばらく戦ってないから腕が落ちちゃったんじゃないかのう。」
そこには幽助と幻海が修行を始めていました。
「幽助よ、一休みするかのう。」
「そうだな、バアちゃん。」
休憩している2人の間に『光の鏡』が現れました。
「幽助、早く逃げるんじゃ!」
幻海の言葉も時すでに遅し、『光の鏡』は幽助を吸い込むかのように消えました。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!神聖で美しく!そして強力な使い魔よ!私は心より求め、
訴えるわ!我が導きに、応えなさい!」
杖を振り下ろすと爆音と共に光が炸裂した。
彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは昇級をかけた使い魔召喚の儀を行っていた。
が、さっきから起こるのは爆発という名の失敗ばかりだった。
そして煙の向こうに中学生ぐらいの人影が見えた。
「やった!召喚に成功した!」
ルイズの言葉に生徒達は驚きを隠せない。
「あのゼロのルイズが成功したなんて・・・・」
「明日は大雪が降るぜ!」
「いててて・・・・ここは何処だよ・・・・」
ルイズの召喚で呼ばれたのは、どうやらハルケギニアでは見かけない格好だった。
「あんた誰?」
ルイズの言葉に男は動揺した。
「それどころじゃねーよ!幻海のバアちゃんとの修行中に光が現れて
俺を吸い込んでいったんだよ!」
「あんた私の話聞いてるの。あんた誰って聞いてるのに答えないなんで最低よ。」
「あー分かった、答えりゃいいんだろ。俺は浦飯幽助。それよりここはどこだよ。」
「ここはハルケギニアのトリスティン魔法学校よ。」
ごめん、ゼロのレボリューション思い出した
まさかのババァ召還
もしかして今書いてる?
書きながら投稿は帰れ
そうでないなら落ち着いて投稿してくれ
「そうかここは異世界なんだな」
「そして、あんたは私の召喚魔法『サモン・サーヴァント』で呼ばれた使い魔よ。」
「要するにおまえが俺を呼んだってわけか。」
「それでは皆、席に戻りますよ。」
コルベールは生徒達に号令を出し、生徒は一斉に空を飛んだ。
「ルイズ!お前は歩いてこいよ。」
「あいつ『フライ』はおろか『レビテーション』も使えないんだぜ。その平民と一緒に過ごしてな!」
生徒のその一言で幽助が指からエネルギーみたいなのを発射し、生徒の一人を直撃した。
「誰が平民だって、俺は浦飯幽助だ!」
「幽助!今何したの。」
「ああ、これは霊丸といってな、霊力を指に溜めて発射するんだぜ。さてもう一発、誰に当てようかな〜」
その言葉に生徒達は逃げ出しました。
「幽助!あんたとなら最高のパートナーになれるわ!」
「そうか?照れるぜ。」
以上で零☆幽☆白書の01話を終わります。
これは素晴らしく理想郷
ルイズデレるのはえw
とりあえず、全部書き終わってから投下するのを薦める
ルイズの胸はしずちゃんよりも小さいのか
俺の勘違いかもしれんが、レボリューションの作者じゃね?
支援
と行きたいが正直ga
玄海に対する幽助の呼び方ってさ、婆さんじゃなかったっけ?
俺もレボ臭を感じる・・・
作者本人が避難所に書き込みをすれば分かる?
IPなり固定なんちゃらなりが分かっていれば
>>337 短いし、内容が薄いし
何より幽助の態度がありえん。
作者幽白知ってる??
生徒は幽助を平民だとナメてるなら、不意打ちで一人倒されただけだと
普通に反撃するんじゃないか?平民の癖に、とか言って
355 :
ぜろろ:2008/10/15(水) 19:13:59 ID:kC+g/0A6
失礼 誰も居ないようなら投下したいが
19:15より行きたいです
なんてタイミングだ
支援
ではいきます。以下本文
部屋へ入ってきたのは、先ほどの黒髪のメイド、シエスタだった。胸元に、何が入っているのやら、少し膨らんだ袋を抱えている。
失礼します、と声をかけ、少女がまず初めに見たものは、ずいぶんと奇妙な光景。
百鬼丸と呼ばれる、コルベールの連れてきた客人。そして、この学院の生徒である、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールという少女。実にとりとめも無い取り合わせだ。少なからず驚いた。
第十三夜 名を知る事
シエスタは、ルイズを知っている。『ゼロのルイズ』という言葉も、その由縁も知っている。彼女の起こす、原因不明の爆発は、常に騒動の種であった。
ルイズは平民に対し、それほど偉ぶった振る舞いをしない。といっても、飽くまで理不尽な振る舞いをしないと言う程度にとどまるのだが。
また、厳しく育てられた、と先に述べたが、その賜物か、配膳、用付けを頼んだ使用人には、必ず礼を言った。まだ、幾分幼さの残るその顔で、使用人の顔を見て、可愛らしい声で小さく「ありがと。」と言う。
この、たった一つの何気ない言葉が、彼女に接した使用人達には、実に衝撃的であった。
また、その可憐な容姿もあいまって、学院に働く使用人達の中ではそれなりに人気があったのだ。
そのルイズが、実に楽しそうに、声を上げて笑い転げている様子を、シエスタは初めて目にした。そして隣に居るのは、今日初めて見た、奇妙な来訪者、百鬼丸である。
こちらは笑い転げるルイズを、なにやら恨めしげな目で見ていた。
まるで仲の良い、姉弟みたい。
小さな姉と、大きな弟。
長身の百鬼丸と、小さなルイズを見てそんなことを考えてしまった。
しかし、目の前に居る少女の持つ雰囲気が、余りに普段とかけ離れていたため、思わずシエスタは、こう聞いてしまった。
「ミス・ヴァリエール?」
「なぁに」
と涙を指で拭いながら、ルイズは顔を向けた。
支援
支援。
幽白の気まずさを何とかしてくれ。
「あ、いえ、失礼しました。ミスタ・ヒャッキマルに用があったものですから、まさかミス・ヴァリエールまでいらっしゃるとは思わず、少し驚いてしまいました。」
丁寧に頭を下げる。
それを聞いてルイズが首を傾げた。ふと隣に立つ男に目を向けた。
「あんた、ヒャッキマルっていうの?珍しい名前ね?」
「そんなに珍しいか?いや、まぁ、そうなのかもな。」
百鬼丸も、この国に限らず、自分の名前は多少珍しいということに気付き始めた。よくよく考えて見れば、自分の国でも、あまり馴染みの無い名前の様な気がする。それと共に、聴きなれぬ言葉に、隣に立つ、彼にとっては物知りな少女に尋ねた。
「なぁ、『みすた』ってなんだ?」
「男の人につける敬称よ。男なら『ミスタ』。女なら『ミス』か『ミセス』。結婚してたら『ミセス』ね。だからあたしは『ミス』。」
へえ、とそこで百鬼丸もふと気が付いた。
「そういえば、お前、名前なんていうんだ?ばりええる、っていうのか?」
少し拙い感じで、ルイズの名を呼ぼうとした。
入り口で、ぴんと背を伸ばし佇む少女の事は完全に放っていた。もちろん二人に悪意は無い。忘れているだけだ。シエスタの方も別に不満げな様子ではない。
ただ、部屋に入ると目に入った、思いもかけぬ組み合わせの二人が、突然自己紹介を始めたというこの状況に対し、多少戸惑っているだけのようだ。
「『バ』じゃなくて、『ヴァ』よ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。」
流暢にそう言う。立て板に水が流れるとはこのことかと、すらすらと述べる少女に、百鬼丸は場違いな感想をもった。自分の名前でつっかえる人間なぞ、そうそういるものか。
「何だ、それ?全部名前なのか?えらく長いな。」
長い、と本当に驚いているようだ。だが、自己紹介した人間に対し、言うに事欠いて、それは無いだろう。
そもそも魔法使いって霊見えた?霊丸見えるとなると・・・
ルイズは不機嫌そうに返す。分かりやすく、腰に手を当て、口先を尖らせて百鬼丸を見据えた。
「もう、せっかく名乗ったのに、人の大事な名前に、何だとは何よ。あんたこそ変な名前の癖に。」
確かに少女の言うとおりだ。自分の名前も、育ての親、寿海が一生懸命に、願をかけて考えてくれた、たった一つの自分のものだ。しかし、変とは何事だ。いや、今のは、先に言った自分が悪いか。
「あぁ、すまん。そうだな。悪かったよ。えぇと、るいずふらんそわー…ええと、すまん。なんだったか。」
そう謝り、少女の名前を必死に覚えようと、諳んじるも、ただでさえ長い名前は、馴染みの無い百鬼丸にとっては、寿海に聞いた経文よりも難しい。
百鬼丸が謝罪をしたことに満足したルイズは、彼女の名前を必死に覚えようと、拙いながらも口に出す百鬼丸を見て、許すと微笑んだ。
「もう。いいわよ。ルイズでいいわ。でも、いつかちゃんと覚えてよね。」
そういって、長い、という百鬼丸の反応が少し気になり続けた。
「ところで、あんたも、ヒャッキマルの外に何か無いの?」
あたしは覚えられるわよ。そんな顔で聴いてきた。
ルイズ、魔法は使えないが、その分を取り返そうと、かなりの努力家でもある。実技、つまり実際に魔法を扱う事はともかくとして、座学に関しては、学年首位を誇っているほどだ。記憶力には自信が有る。
百鬼丸はすまんと軽く頭を下げ、答えた。
「いや、ただの『百鬼丸』だけだ。でもルイズ、変って言うなよ。」
少し困ったように言う。
確かに短い。変、と言ったことには彼も多少根に持っているのだろう。そう、彼にとっても、大事な名前なのだ。
「あははっ、そうね、ごめんなさい、ヒャッキマル。」
こちらも謝り、朗らかに笑う。
シエスタは、そんな二人のやり取りを少し羨ましそうに見つめながらも、自分が何故ここに居るのかを思い出して、この穏やかな時間に横槍を差すことに、申し訳なさを感じつつも、声をかけた。
よっし、支援だ
「あの、」
完全に蚊帳の外に置かれているが、用を済まさない事には、彼女もどうしようもない。
「あら、ごめんなさい。何か用事があったのよね。」
今までのやり取りを、見られていたという事を思い出し、ルイズは少し気恥ずかしくなった。
「シエスタ、でいいよな。すまんな。で、どうしたんだ?」
百鬼丸もどうやら同じようだ。恥ずかしそうにシエスタに先を促した。
へえ、あの娘、シエスタっていうんだ。
ルイズは少し、この異邦人の交友関係に驚いた。コルベール、教師の次に出てきた名前は女中のものだ。先の名前のやり取りや、しっかりと彼女の名を覚えている辺り、結構誠実なのだろう。ふと気が付いた。
ルイズはシエスタと呼ばれた女中の顔を覚えてはいたが、名前はたった今、初めて知った。興味が無かったのだ。なんて傲慢。貴族に見下される落ちこぼれの自分は、無意識ながらも、たかが平民と、更に彼女達を見下していたのではないのか。
忌むべきは、持たぬ己を見下す者のみではない。守るべき対象と考えてきた者達を、守る力すら持たぬ己が、何故見下すのか。守るべき者達に何故興味を持てぬのか、愛せぬのか。
だが、今それに気付くことが出来た。このヒャッキマルという男に、どうやら自分は助けられているばかりだ。苦しみを和らげてくれた。己の傲慢に気付かせてくれた。もっとも、事今回に関しては、百鬼丸は全くもって、意図していない。
これで魔法が使えるようになりでもすれば、ルイズは何も言うことは無いのだが、それは本当に己の問題である。他人に期待する方がどうかしているし、生まれてこの方解決の糸口一つ、見つけられない。
今日の出来事を経て、魔法に関しては、半ば諦めの気持ちも出来てしまっていた。また少し、暗い気持ちに囚われ、俯くと、頭を振って、今度は上を見た。部屋を照らす照明が、百鬼丸の滑稽な姿と、怒った顔を思い出させる。
いけない。こんなことでは駄目だ。今は少しでも彼とのやり取りを、共に楽しもう。彼の
滑稽な姿を笑おう。時々呆れられ、怒られ、謝って、そしてまた笑おう。そうだ、シエスタも一緒に。
そうすれば少しだけ、ほんの少しだけだが、それでも前へと、進める気がした。
話は百鬼丸とシエスタのやり取りに戻る。
「ミスタ・コルベールより、お召し物をお渡しする様に仰せつかりました。宜しければこちらの服にお着替えするようにと。長旅のようですので、大分汚れているように見受けれたものですから。」
そう言うと、手に抱えていた袋から、白いシャツと黒いズボン、黒い靴下。袋に隠れてよく見えなかったが、もう一つ、包みから、これまた黒く光る、革の靴を取り出した。
「宜しければ、今お召しの服の洗濯、修繕も致しますよ。」
にっこりと恥ずかしそうに加えた。彼女が手ずからするのであろうか。
顎に手をやり、考える素振りを見せる百鬼丸を尻目に、何故かルイズが先に答えた。
「へえ、いいじゃない。着てみましょうよ。ねぇ?」
百鬼丸はそこそこ背が高いし、見栄えもいい。それに、着替えた百鬼丸がどんな反応をするかを、何よりルイズは見たかった。
言われて見れば、確かに長旅で服はぼろぼろだ。時折洗うとはいえ、二年も同じものを着通しなのだ。塵も汚れも目立つし、そろそろ洗おうかと百鬼丸も考えていたところだった。
「そうだな、着てみよう。でもその前に体を拭きたい。シエスタ、何か持ってきてくれるか?」
はい、とシエスタは微笑んで、部屋を出ると、一緒に持ってきていたのだろう、桶と大きなタオルを一つ、部屋へ運び込んだ。年頃の少女の腕には些か荷が重そうだ。
桶からは緩やかに白い湯気が出ている。わざわざ沸かしてくれたのだろうことが見て取れた。
用意のいいことだ、と思いながらも、この部屋に居る二人の少女に、外に出るよう促す。百鬼丸としては自分の、継ぎ接ぎだらけの歪な体を見られたくは無かったのもあるが、男として、年頃の女の前で体を拭い、服を着るのもどうにも恥ずかしい。
彼もまた年頃だ。
少女達も、多少顔を赤らめながら出て行こうとする。と、ルイズがドアの手前で振り返って尋ねた。
支援
調支援
「ねぇ、着方、わかるの?」
「分からんが、まあ、大丈夫だろ。たかだか服だ。」
たかだかドア一つで四苦八苦していた人間が何を言うか、とも思ったが、年頃の少女が、裸の大の男を相手に服を着せるなんて、出来よう筈も無い。
心配しながらも、ドアを開けたときの百鬼丸の姿をあれこれ想像し、楽しそうに部屋を出た。
部屋を出た二人は、ドアの横に立つ。ルイズは後ろに手を組み、壁に背を預け、何かのリズムを取るように、時折背中で壁を弾いていた。手持ち無沙汰な様子だ。
シエスタは、前で手を組み、直立不動。女中が貴族の前で寛ぐ訳にも行かない。
突然
「ねぇ、シエスタ。」
そうルイズが声をかけると、シエスタは凄い勢いで首をルイズに向ける。
黒い艶やかな髪が、宙に舞った。
「え?」
「あら、ごめん。間違ってたかしら?」
「い、いえ、わわ、私、シエスタで合ってます!!」
口早に、大きな声でそう答えた。
いきなり名前を呼ばれたことで驚いたのだ。この学院で、使用人の名前をいちいち覚え、名前で呼ぶものなど、教師、生徒を含め、コルベールくらいのものだ。
「ふふ、ごめんね、驚かせちゃって。やっぱりあんまり名前で呼ばれないのね。」
「え?いえ、その…。」
やはり、貴族とは皆そういうものらしい。そんなことを考えたが、聞きたかったことは本当は違う。貴族の事はひとまず置いて、ルイズは尋ねた。
「ねぇ、シエスタ、ヒャッキマルのこと、どうして知ってるの?」
にっこりと笑い、目を合わせる。
シエスタはまだ、緊張した様子だ。所々詰まりながら、コルベールと百鬼丸の、対面していた様子を語った。その話によると、どうやら百鬼丸はコルベールの知己ではなく、今日初めて対面したようである。
「へぇ、そうだったんだ。ありがと。」
聞き終えた後、また、目を見てにっこりと笑う。
シエスタも少しそれを見て、緊張がほぐれたようだった。
シエスタも少しばかり、百鬼丸とルイズの関係が気になった。が尋ねることは出来ない。自分はしがない使用人だ。貴族にそんな、自分と関係ない事を詮索するなんて、恐れ多くて出来るものか。
少しの間、沈黙が流れ、それに耐えかねたかのように、ルイズがまた喋りだした。
「あいつね、面白いのよ。」
そう言うと、百鬼丸が、このドアの前で苦戦していた様をつぶさに語りだす。シエスタは、正直、面白くて仕方が無かったが、百鬼丸は客人だ。
それに、いくら優しくしてくれようと、貴族の前で声を上げて笑うなどと、出来るはずも無く、必死に声を殺して、肩を震わせていた。
そんな様子を、百鬼丸は部屋の中から感じ取り、嘆息していた。彼は気配に聡い。
やれやれ、と恥ずかしさを打ち消すように首をふる、がその顔は、優しく笑っている。
部屋の外、シエスタのその反応を見て、ルイズは、今度は自分しか知らないことを自慢するように、部屋に入ってからの百鬼丸の行動を語りだす。シエスタの方も、これには挫けそうになった。
あわや、もう駄目か、と思ったその時、部屋の中から声が聞こえた。
「どうぞ。」
さっきよりは自然だ。少し面白くない。そんなことを思いながら、ルイズは扉を開けた。シエスタは後ろに付いてきている。口元を無理に真一文字に結んでいるが、少し涙目だ。
足を踏み入れ、百鬼丸の姿を確認する。
「あんたねぇ…。」
溜息。
「たかだか服、じゃなかったの?」
ズボンは、はけている。形を見れば一目瞭然だから、これはまぁ、予想通りともいえる。股間のボタンも最初から掛かっていたのだろう、不埒なものは覗いていない。だが、シャツのボタン、閉じ方が分からなかったのだろうが、前をはだけたままだった。
支援
じと目で見られていることを感じ、ルイズの言葉に、ぐっ、と百鬼丸は唸った。
シエスタは、俯いて、ぷるぷると震えている。
それにしても、
とよく見てみると、なんだか少し、いや、かなり官能的だ。
白いシャツの隙間から、少し傷のあるが、逞しい胸元が露になっている。
後ろに縛られた長い黒髪と、黒いズボンとの対照が、一層シャツの白さと、そこから覗く、男らしい肌を、少女達に見せ付ける。
強烈に、男を意識させた。
今度はルイズが、むぅっ、と頬を染めながらも、百鬼丸を眺めていた。
隣で笑いを殺していたシエスタも、それに気付いたようで、先程までと違った理由で赤く染まった顔を上げている。顔は百鬼丸のほうを向いてはいるが、目はあらぬ方向を見つめていた。
また溜息をつくと、頬を染めたまま、百鬼丸に歩み寄り、少し背を伸ばしながらボタンを掛けてやる。
「もう、仕方ないんだから。」
「む、すまん。」
恥ずかしそうに謝り、百鬼丸は、ルイズがボタンを掛けやすいように、少し屈んでやった。
本当に仲の良い姉弟みたい。
小さいけども、しっかり者のお姉さんと、体は大きいけども、少し抜けた弟。
少し抜けた兄としっかり者の妹でもいいのかな。
シエスタはまた、羨ましそうに、だが微笑みながら、二人を見ていた。
以上、投稿終了です。
今回にて、百鬼丸異文化コミュニケーション編は終了です。
少しだれた気もしないでも無いですが、まぁ布石という事で。
ルイズの変化、ルイズと百鬼丸、ルイズとシエスタの関係が主題。
そろそろ百鬼丸君に暴れてもらいたいと思いつつも、なかなか進まない話でした。
支援サンクス
乙
百決まる乙
ギーシュとの決闘で剣抜いたら色んな意味で悲鳴が上がる気がする
乙ー。
さて異文化交流となれば、夢で相手の記憶を見ると言うイベントでルイズが何を見るのかも期待期待。
これは良いルイズ
続きを期待せざるを得ない
乙!
乙ー
手塚絵のルイズが想像できないが乙ー
うおぉ! ぜろろ来てた!
今しがた避難所見たらあの時より増えてて嬉しいな〜なんて思ってたら!
いきなり綺麗なルイズでかなりいい感じ。
シエスタとのほほえましい会話も見てて安心できるし。
心理面の描写も細かくていい。
百鬼丸は出来れば使い魔にならないまま進んで欲しいな……。
なにwwwこの温度差www
ぜろろ面白い。作者氏は投下を焦らずじっくり書いてほしいな。続き期待。
その言葉に俺等は逃げ出しました。
どうせ、これあれだろ?
1年後にもっかいこの文とか見て。
「あうぎゃおあー、」
になったりするんだろ?
悪い事言わないからもう投下するのやめなよ…。
幽白さん…。
自分の心を核でまっさらにしちゃっていいのかい?
ぜろろの方乙です!
次回も期待しています!
手塚絵のルイズって…
PS2版の百鬼丸が、ゼロ魔版の顔になってる方が頭に浮かぶんだけど、少数派?
んーどうなんだろ?
どろろを知ってる=手塚絵を知ってる=ゲームを買うってのがセオリーかな?
あの絵を知ってても原作知ってれば普通に手塚絵を想像しちゃったけど、それも俺だけかな?
ゼロロまとめで一気読みしたけど面白い!
次も期待
>>385 どっちが頭に残ってるかじゃないか?
手塚絵は妙に艶かしいから頭に残りやすい。
ゲームのはゲームので良い感じだと思うけどなぁ。
ともあれ、ぜろろ様お疲れ様です。
どういう展開になるか楽しみです。
これより、Persona0の代理投下を開始いたします
幽白がレボの作者かどうかは知らんが
とりあえず小説の書き方を勉強してから出直せ
「小説 書き方」とかでググればアホみたいに出てくる
参加したいって気持ちはわからんでもないが
今のままだとずっと総スカン食らってやる気がなくなるだけだ
もし参加することに意義があるとか馬鹿みたいなことを考えてるんなら即刻出て行け
「これでいいんだね?」
泣きながらギーシュは唇を離した。
その口の端から零れるのはサファイアのような蒼い輝きを湛えた液体だった。
誰が知ろう。
それが一瓶で立派な家が一軒建つほどの価格の、水の秘薬だと言うことに。
「いい、なんとか一命は取り留めた」
そう言って杖を掲げるタバサの額にはうっすらと脂汗が滲んでいる、慣れない〈治癒〉の魔法は、タバサから容赦なく精神力と体力を削り取っていた。
「しかし危険な状態には変わりがない、すぐに医務室に運ぶ必要がある」
「それじゃああたしが行ってくるわ!」
そう言ってキュルケが杖を一振りするとコルベールの体が浮かび上がった。
コルベールの体が地面から離れるか離れないかと言うその刹那、瞬きほどの時間に何かが変わった。
「何っ!?」
時が粘りついたような、世界が凍りついたような錯覚を覚えルイズたちは空を見上げた。
蒼い瘧火のような燐粉の舞う夜の学舎、そこから見上げた空はどこまでも遠く、暗く、そして深い。
その空には二つの月が冴え冴えと輝いている。
まるで影絵のように色を失った、白い白い二つの月が。
「おい君たち周りを見たまえ!」
ギーシュの言葉にあたりを見回したルイズ達が見たものは――棺桶。
コルベールや周囲を逃げ惑っていた生徒たち、平民や貴族問わずその場にいた人間が棺桶へと入れ替わっている。
奇妙な、あまりにも奇妙な事態だった。
だがそれに惑う時間はルイズたちには与えて貰えなかったのだ。
「あぢぃぃぃ、あぢぃぃぃぃぃ!」
真っ黒な炭の塊となった人型が、炎を纏わりつかせながら暴れ狂っている。
メンヌヴィルは生きていた。
その姿は例えるならまるで炎の魔人、何故生きているのかすら分からないほどの火傷を負いながらも、まだ彼は生きていた。
だがその命はすぐにでも燃え尽きようとしているのは傍目にも明らかで……
しかしいまにも死にそうなその姿にすさまじいほどのおぞ気を誘うのはなぜなのか?
「死にだぐない、もっど焼きだい、やぎだぎだい!」
ケロイドの手が追いすがる、ルイズたちは気圧されたように一歩後ずさる。
だが焼けた大地の上を炎の魔人に向かって歩みよる少女が一人。
名作のどろろを描くきっかけが当時大人気だった水木さんへの嫉妬だというあたり
手塚先生はやはりただ者じゃない
「そうか、焼きたいか」
蒼い髪を靡かせ、豪奢な青いドレスを翻し、氷のような凍てついた碧い瞳をしたその少女は、まるで夜の女王のごとく。
その左手には死者を繰る紫の指輪を嵌め、右手にはおもちゃ染みた形をした蒼い銃を構えている。
「だがこのままでは無理だな、お前は死ぬ」
くすくすと少女が笑う。
「あああ、ああぁぁぁ」
少女は――イザベラ・ド・ガリアは、その白魚のような指で黒く焼け焦げた男の顎を掴み。
「もしも生きたいなら、焼きたいなら唱えるがいい。この世界でならばそれが出来る!」
男の口腔に銃をこじ入れ、イザベラは叫んだ。
「ペルソナ!」
メンヌヴィルの背後に一瞬だけ炎の剣を持った巨人の像が浮かぶ、だがすぐにそれは溶けるようにメンヌヴィルの体へと戻り……
「ああああアアアAAAAAAAAAAAGGGGAAAAAA!」
「なにっ!? 何が起こっているの!?」
ぼこりぼこりとメンヌヴィルの体が沸騰するように別のものに変わっていく、その光景はかつて此処でない何処かで見たものと酷似していた。
すなわちテレビのなかの世界と。
「私の時と、同じ……?」
タバサの言葉を裏付けたのは彼女の隣をすり抜けた一匹の異形の姿。
黒い塊に仮面がついたようなその存在はこちら側の世界にはけして存在してはならない筈の存在だ。
「な、なんでシャドウが“こちら側”にいるんだい!?」
いずこからか湧きだしたシャドウたちはまるで吸い込まれるようにメンヌヴィルへと向かい、その体へと飛び込んでいく。
黒く黒く肥満していく体はまるでパンパンに毒を詰めた風船のよう、事実その印象に間違いはなかった。
「ペルソナ制御剤と影時間を使ってもこの程度か、ペルソナと言うものも案外大したものでもないな。まぁいいたとえ城塞<ルーク>が倒れても我が虚無とそして女王〈クイーン〉で……」
王手〈チェックメイト〉だ。
メンヌヴィルははじけ、イザベラの最後の言葉は闇の色をした閃光にかき消された。
なんか最近SS読むのも書くのも飽きてきた。冷めてきたんだろうか。
アニエスは走っていた。
さきほど奇妙な感覚が全身を貫いたかと思うと、急に隣に居たイザベラがいずこかへと消えたのだから。
しかも自分の部下や副官たちは棺桶へと変わり、スヴェルの夜のはずの外にはあるはずのない二つ目の月。
まるで趣味の悪い恐慌劇の登場人物になってしまったみたいだなと、アニエスは思いその感想を打ち消した。
もし脚本家が一流ならばともかく、二流だったならそう言うことを考えた者が真っ先に怪物の犠牲になるのだ。
たとえば今自分の目の前にいるような……
「なんだっ、こいつは!?」
何時の間に忍び寄っていたのか、アニエスのすぐ側には神話にある天使の羽と弓を持ち嘆くような表情の仮面をつけた小人が一匹佇んでいた。
慌てて剣を構えたアニエスだが、小人はアニエスになど気付かないとばかりとアニエスを追い越していずこかへと走って行く。
あまりにも奇怪な出来事にほっと息をついたアニエスは、気を緩めてしまった己を恥じた。
自分のすぐ背後には天秤と剣を持ち、全身を石で作られた二メイルほどの大きさのゴーレムが佇んでいたのだから。
「貴様!学院を襲撃した者たちの仲間か!」
ゴーレムに向けて、ひいては操っているであろうメイジに向かって裂帛の気合いを放つ。
だがゴーレムはその石仮面の顔に無表情を刻んだまま、アニエスの隣をすり抜けていた。
こと此処に至って、アニエスはようやくこの怪異が自分に害を及ぼそうとしているものでないことに気づく。
そしてゆっくりと観察してみれば、この化け物たちは皆自分を追い越してどこかへと向かっているのだと言うことにも気がついた。
「一体どこから、何処へ……」
ふと考えて自分のやってきた方向にある奇妙な物体に思い当たり、アニエスは僅かに逡巡して元来た道を引き返しだした。
道を戻るごとに増える仮面の怪物たちが、その推論を結論づける。
やがてアニエスはルイズの部屋、そこで輝きを放つ奇妙な箱の前までたどり着いた
「やはりこれなのか?」
また一匹魚のような怪物がその枠を超えて外へと這い出した、それを見ながらこれは一体なんなのか?とアニエスは考える。
先ほどは自分が望み続けた”仇”の正体を映し出し、今度はその枠からいくつもの怪物たちを吐きだす使い魔のルーンが刻まれた謎の箱。
「どちらにせよ、トリステインに害を為すのなら破壊するだけだ」
そうしてアニエスは剣を振りあげ……
「やめた方がいい、きっと後悔するぞ?」
テレビの中に現われたもう一人の自分の声に、思わず剣を取り落とした。
愛用の剣の替わりの替わり、急ごしらえの鉄の剣が木の床に落ちて濁った音を立てる。
その隣で、少年は未だ昏々と眠り続ける。
深い深い眠りの奥底で少年は見ていた、かつて自分と一人の情けない一人のメイジが決闘したあの場所で。
今、一匹の巨大な化け物に一人の貴族が震えながら立ち向かっているその様を。
――お、おお、女の子を矢面になんて立たせられないじゃないか!
そう言って七体のワルキューレを従え杖を構える勇敢なる友人を、手出しできない遠い出来事として夢に見ている。
高い高い塔の上、落ちてきそうな月に慄く獣の、瞳のなかの夢を見る。
「くっ、来るよ」
「AAAAAAGAAAAAAA!」
メンヌビィルは、かつてメンヌビィルだったモノは生物があげるとはとても思えぬ奇怪な叫び声をあげながら、ルイズたちに襲いかかってきた。
おぞましいその姿に一番近いものは、黙示録の神話に現れる地獄の王だろうか?
火傷でケロイド状に爛れた皮膚は飴のように長く伸び、血のような液体でテラテラと濡れ光る真紅のウロコを纏い白く燃え上がっている。
鉄杖を構えた腕は何故か此処だけ生前と変わらず、しかし下半身と上半身から一対ずつ蠢いている。
足は千切れるようにして喪われ、溶けて形を失ったその顔は付けていた仮面が同化して人と獣の二つの顎を持つ白い獅子の相好を作り出す。
「ニズヘグか、なる程世界の破滅にすら己の暴虐を貫いた彼の伝説は、確かに貴様に相応しい」
そうしてイザベラは、イザベラの姿をした何者かは声をあげて笑った。
「さぁ、いつまで寝ているガンダールウ、早くしないと貴様の大切な大切なご主人様が哀れな肉片に成り果てるぞ!」
そう叫ぶと、イザベラはばったりとその場に倒れた。
なにかに攻撃されたと言う感じではない、まるで操り人形の糸が切れたような動きだ。
もっともそんなことにルイズたちは気づく余裕などなかった。
「しつこい男は嫌われるわよ、マハラギオン!」
「決める、ブフダイン!」
炎の竜に向かって炎の竜巻とすべてを凍らせる氷の柱がほとぼしる、見事な連携だった。キュルケの炎が目を眩ませ、ウインディアイシクルの呪文を上乗せしたタバサの氷が必殺の一撃をして致死を狙う。
事実その一撃はメンヌヴィル、いやニズヘグのどてっぱらを抉り黒い炎の血を噴き出させた。
「やったわ! この調子で……」
もう一度魔法を唱えようとした途端、ニズヘグがその口から空に向かって炎を吐きだした。
冴え冴えとした月に挑むように噴き上がる溶岩のような炎の洪水、ともすれば幻想的にも見えるその炎はすぐに近くにあるものすべてを焼き滅ぼす炎の雨となった。
しかも一体どうやっているのか、炎はその熱さをそのままにまるで刃のように固まりとなって降り注いだのだ。
“凍える炎” 例えるならそんな言葉相応しい。
「危ないっ!」
逃げ場のない攻撃に一番早く反応したのはギーシュだった。
ワルキューレたちが二人の壁となって炎刃の雨を防ぐ屋根となる。
そしてその隙に地面に錬金を施し、即席の防空壕が完成した。
「早く!この中へ」
その言葉に一も二もなく全員が穴の中に飛び込む、もし炎の刃に掠りでもしようものならおぞましい結果になることはぐずぐずに沸騰しながらも炎を防ぎきった四体のワルキューレがはからずも証明してくれた。
だが一人だけギーシュの防空壕へ飛びこまなかった少女が一人。
「タバサ!?」
咄嗟にフライで飛び出した少女は暴虐の限りを尽くす竜に向けて炎の雨を掻い潜る。
その姿はまるで風車に挑むドンキホーテか、或いは――おとぎ話のイーヴァルディか。
「なんで……こんななかを飛び出していくなんて自殺行為じゃないか!」
そこまで言ってギーシュも気づく、タバサが何を思ってこの穴の中から飛び出していったのか。
「そっか救うつもりなんだ、タバサ」
ぎりと唇を噛みしめたルイズは自分も穴から飛び出した、タバサの向う先、暴れ狂う竜の足元で気を失ったタバサと同じ髪の色の娘を見ながら。
「そうだ、魔法を使える者を貴族と言うんじゃない」
忘れていた、紛いものであろうとも魔法が使えるようになったことに浮かれていて一番大切にしなければならないことを見ていなかった。
タバサはひょっとして敵になるかもしれないあの子を助けに行った。
たとえ敵かもしれなくても、あのまま放っておけば絶対死んでしまうに違いないから。
けど自分は助けに行こうという考えすら浮かばなかった。
「敵に後ろを見せない者を」
己の誇りを曲げない者を。
「貴族と言うのよ!」
杖を握りしめながらルイズは思ったのだ。
貴族として、この友人たちの隣に立って恥ずかしい行いは出来ないと。
“貴族”たらん。
その志だけは、偽ることは出来ないのだ。
――被り続けた仮面はやがて本当の顔になる。
もっともそれはルイズだけの話ではないのだけれども……
以上でございます。
随分と間が空き、最新刊の設定をどうするかでだいぶ苦しみましたがなんとか此処まで書きあげることができました。
次も間があくかもしれませんが、なんとか完結までは頑張りますのでよろしければ記憶の片隅にでも留め置いてくださいませ。
――――――――――――――――――――――――
代理投下、終了
>>393 ジャンルの問題?それとも原作の問題?
いったん距離を置くとか
そして支援
GJ!再開してくれてうれしいよ!ありがとう!
>>393 毒吐き……でもねぇなw
しばらく見るのやめたら?
わざわざ書き込むよりなんぼか有益だと思うが
ペルソナ乙です。
お待ちしておりましたm(__)m
次回にwktk
>>393 「どんな映画を観ても面白くないとしたら観る側の感性が鈍っているのだ。」
by山口貴由
ペルソナの人GJ!
今日はアクマの人の投下もあってメガテン好きには最高な一日!
ごめん。ちょっと聞きたいんだけど、投下したときに一つ抜けてて、修正を依頼したい場合はどうしたらいいの?
自分でWiki編集すれば良いんじゃないの?
なる。その後報告?
>>402 流石覚悟のススメの山口先生、シビれることを言うな
>>404 まとめwikiを自分で修正する方が、てっとりばやいよ。
ごめん。トップに描いてるね。筆者の修正の場合は報告いらんて
推敲とかしてないけどいいやってことで予約とか無いなら投下するよ!
ルイズが世界をとっぴんぱらりのぷぅ、その3編。
キュルケって損なポジションに居ていまいち目立たないなぁ勿体無い、と思ったから今日はキュルケ記念日。
戦闘描写してるとストーリーすすまねー。つーか戦闘描写難し過ぎてワロタ。
前編みたいなダイジェストがテンポ良くて好みなんですが、
オリジナル展開になるとそうするわけもいかないですし、難しいですなぁ。
推敲はしておくものかと。別に急ぐ必要はありません。
では支援
「じゃあ、行ってくるよ」
「……今からでも、考え直すつもりは無いの?」
「無いね。キュルケ、君だってわかってるだろう?
あの主従を同時に敵に回してしまっては、倒すのはまず無理。
どちらかを先に叩く必要があるんだ。なら、潰しやすい方からやるだけさ」
トリステイン王城前。ローブに身を隠した2人が、細々と言葉を交わす。
「……ギーシュ。あんたのこと、嫌いじゃなかったわよ」
「おいおい、これで永遠の別れってわけじゃないんだ。縁起でもないことは言わないでくれたまえ。
ああでも、これを渡しておこう。モンモランシーに、頼む」
ギーシュは懐を漁り、封筒を取り出した。表に書かれたあて先は、
『永遠の愛を誓って モンモランシーへ』。
「……ごめんよ。自分で渡しなさい」
「はは。いや、そう言わずに。頼むよ」
無理やり手紙を押し付けられてしまう。
軽薄そうな態度を装いながら、ギーシュの瞳は酷く真剣だった。
……ふと、元帥にまで上り詰める程に優秀な軍人であったという、ギーシュの父を思った。
獅子の息子は、やはり獅子だったか。
「じゃあね、キュルケ。僕も、君のことが好きだったよ」
背を向けながら手を振り、裏通用口の門番へ話しかけるギーシュ。
既に、ルイズの所へ辿り着くための話はつけていた。頷きと共に、門番はそのまま彼を通す。
ギーシュは、振り返らなかった。
「キュルケさん。どうですか?」
背後からかけられた声に振り返ると、同じようにローブ姿の3人。
「……行ったわ。打ち合わせ通り、15分後。突入するわよ」
415 :
MtL:2008/10/15(水) 21:44:41 ID:tJwan6V0
その次に予約を入れさせて貰いますー。
支援。
ここか避難所か忘れたけど、ちょっと前に最近は荒らしがどうとかで
本人の場合も報告が要るとかいうレスがあったけど違ったのか。
そして、15分後。
「こちらです!」
城内を案内する近衛兵と共に、4人は走る。
強気を装うキュルケの胸中は、不安で押し潰されそうだった。
――もし、そこの角を曲がった先に、ギーシュの屍が転がっていたら。
――もし、階段を上りきったそこで、ルイズと使い魔が笑っていたら。
不安を振り飛ばすように、キュルケは走る速度を上げる。
「あと、もう2つ階段を上がれば――がっ!」
一際広い廊下に辿り着いた、次の瞬間。
先頭を走っていた近衛兵が、奇妙な声と共に立ち止まった。
「伏せ!」
背中を走る悪寒と同時に、キュルケは体を床に投げ出す。
他の3人も、キュルケの言葉に即刻反応していた。
4人が床に転がったその上を、質量を持った猛烈な風が通過する。
風の鉄槌を受けた近衛兵が、背後へと吹き飛んでいった。
その胸には、幾つかの氷塊が突き刺さっている。もう息はあるまい。
「ちっ……!」
立ち上がって体勢を整えながら、キュルケは舌打ち。
廊下の中心に目を向ける。そこに、
「ここから先は、行かせない」
かつての親友が、立ちふさがっていた。
――ルイズが世界を征服するようです――
数人の近衛兵と共に、タバサが攻撃を開始した。
背の丈3メイル程の石ゴーレムが突撃し、更に雷と炎が渦を巻いてキュルケ達に襲い掛かる。
「サイト!」
キュルケの言葉と同時に、2本の剣を構えた少年が迎撃。
左手の大剣で魔法をまとめて吸収、右手の聖剣を振りかざして風の刃を叩きつける。
対するゴーレムは腕を広げて刃を受け止め、背後の主達を守った。
「シエスタ! 下がってなさい! ティファ! サイトの援護!
私はあいつをやる!」
戦闘に関する打ち合わせは、既に済ませていた。瞬時に役割分担が成される。
ティファニアは『虚無』を発動させるべく詠唱をはじめ、サイトはゴーレムの腕を潜り抜けて兵達へと迫る。
「舐めるな、ガキが――!」
近衛兵達も腰から杖剣を抜き、サイトを迎え撃つ。
国の中枢の防衛を任せられた精鋭たちである。
数人が連携すれば、その力、決してガンダールヴに劣るものではない。
「『ディスペル』!」
剣が打ち合わされる甲高い音が響くと同時に、ティファニアの魔法は完成していた。
ゴーレムの体を維持していた魔法が消滅し、瓦礫となって崩れていく。
「――――」
「――――」
ゴーレムが崩れる轟音、剣戟の音が響く中。
2人のメイジは、無言で向き合っていた。
言葉は要らない。
別れは既に、あの時に済ませてある。
ここに居るのは、かつての友などではなく――敵だ。
しえん
「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ウィンデ――」
「ウル・カーノ・ジエーラ――」
先にタバサの『ウェンディ・アイシクル』が完成。
数十の氷の矢が、キュルケに殺到する。
「邪魔!」
『ファイヤー・ウォール』で迎撃。
氷の矢は溶け、炎と水が音を立てて水蒸気を作る。
視界を遮る霧の向こうへ、キュルケは続けて『フレイム・ウェーブ』を放った。
炎3つを組み合わせた、トランアングルスペル。波打つ炎の奔流がなだれ込み、風を呼んで霧を払う。
しかしその先に、タバサの姿は無い。
「しまっ――!」
……確かにキュルケは優秀なメイジだ。あの年齢でトライアングルに達するなど、並みの才能と努力では達成出来ない。
決別から一年近く。魔法の腕も更に上がっているようだ。
が、しかし。それでも、自分には勝てないとタバサは思う。
戦いに必要なのは、魔法の腕などではない。
それを用いて、いかに殺すか――それこそが、戦闘の勝敗を分けるものに他ならない。
その技術においては、キュルケは自分に遠く及ばないと、タバサは確信していた。
「…………」
そもそも、タバサの戦闘スタイルは正面で魔法を打ち合うものではない。
その小さな体躯を逆に生かし、影から致命的な一撃を加える暗殺者のものである。
足音を『サイレント』で消し、風で移動を補助しての高速移動。
瞬時にキュルケの背後へと音も無く移動、腰のナイフを抜く。
狙うは肝臓。守るものも無い、人体における致命的急所の一つ。
――殺った。
「っ!」
しかしその確信は、驚愕と共に覆された。
有り得無い速度でタバサに反応するキュルケ。
視界の端にタバサを捉えるや、体を捻り――
「舐めるなっ!」
豪快な回し蹴りで、タバサを逆に吹き飛ばす!
「ぐっ!」
武器であった筈の軽い体は、劣勢になれば途端に致命的な弱点となる。
咄嗟に両腕でガードしたものの、衝撃は大きい。手からナイフがこぼれ、床に落ちた。
頭を混乱が支配する。決して反応できないタイミングと速度だった筈が、何故?
一瞬の迷い。そこを、キュルケは容赦無く突く。
神速の踏み込み。詰められた間合いに焦り、タバサは咄嗟に右腕の杖を突き出すが、かわされる。
その右腕を、キュルケは左手で掴む。捕まえた。
そのまま更に踏み込み。勢いと共に、右腕の肘をタバサの鳩尾に叩き込む。
「がっ!」
衝撃を逃がすことすら出来ず、息を漏らすタバサ。
暴風のごとき連撃はまだ終わらない。脇腹に左膝をぶちかまし、崩れかけるタバサの顔面にまた右の肘。
ここでようやくタバサの右腕を解放、空いた左で更に顔面を殴りつける。
床に崩れ落ちたタバサを右足で蹴り上げ、続けてバックステップ。右手の杖を構える。
キュルケが選んだ魔法は得意中の得意、『フレイム・ボール』。
巨大な炎の玉が瞬時に練り上げられ、床に這い蹲るタバサへと襲い掛かる。
――勝った。
立場を逆転した勝利の確信はしかし、またも覆された。
「『バギマ』……!」
死に物狂いで搾り出された風の刃が炎球を迎撃。爆発と共に相殺する。
言葉一つで成立する異世界の魔法が、本来不可能なタイミングでの反撃を可能にしたのだ。
「ちっ……」
爆煙に包まれながら、千載一遇の好機を逃したことに舌を打つキュルケ。
一方、タバサは荒い息を何とか整えつつ、必死で頭を巡らせていた。
――魔法の使用を許さない程の、超近接距離における戦闘術をキュルケは身につけていた。
確かに効果的だが――しかしそれだけならば、幾らでも対処の方法はある。
問題は、あの有り得無い速度だ。
風のメイジである自分を、炎のキュルケが速度で上回るなど、常識では考えられない。
補助の魔法を使っている様子も無いのに、一体どのようにして?
「く……」
煙が徐々に薄くなっていく。
タバサは軋む体に鞭打ち、立ち上がった。
体の状態を確認。――あばら骨を何本か、持っていかれたか。
しかし、この程度ならば問題無い。
「『ベホイミ』」
癒しの力が、体を包み込む。
体力を回復させることは出来ないが、傷を塞げれば十分だ。
やがて煙幕は晴れ、キュルケが再び姿を見せる。
「……ふぅん。あんたも、あの使い魔の力を手に入れたってわけ」
「……あなたも。随分と、変な力を身に付けた」
「はん。あんた程じゃないわ」
そう嘯くキュルケの右腕には――流星の装飾が施された、美しい腕輪が嵌められている。
「――さて。悪いけど、通してもらうわ」
「そうは、させない」
彼女――ルイズ達に報いるためにも、ここを通すわけにはいかない。
……確かに、彼女は邪悪だった。どうしようも無く悪だった。
だが。彼女達のおかげで、母は救われたのだ。
思い出す。母がこちらを見て、名前を呼んでくれた瞬間。
あの瞬間の喜びは、言葉に表せるようなものではない。
今まで、誰もその喜びを与えてはくれなかった。誰も、母を救ってはくれなかった。
悪こそが、母を救ってくれた。ならば、どんな悪だろうとも構いはしない。
――神など、糞でも喰らっていろ。
「『ピオリム』」
速度を上げる補助呪文を使用。
相手が自分よりも速いのならば、自分が更に速くなるまでのこと。
速さで勝れば、あのような近接格闘術など恐るるに足りない。
深呼吸。目の前の敵を、睨みつける。
「――――!」
「――――!」
双方の声にならない叫びが、戦闘再開の狼煙を上げた。
そうして。
舞台は、アルビオンの草原へと移る。
「…………」
サイト達一行は、言葉を失っていた。
深紫に染められた巨大な体躯。広げられる翼。
地を踏みしめる脚はそれだけで人体よりも太く、牙が並ぶ口からは呼吸と共に炎が漏れる。
怒りの咆哮と共に、周囲の空気が振動して肌を叩く。
――圧倒的な力が、そこに存在していた。
「竜……王……!」
ティファニアは震えと共に、この存在の名の由来を思い知る。
あの亜人の姿こそが、全力だと思っていた。
十分に勝算は存在すると、そう思っていた。
しかし――これでは。
「……まずい」
竜が首を掲げる。口腔から、抑えきれない炎の端が覗いていた。
4人は即座に陣形を組み、攻撃に備える。
サイトは2本の剣を掲げ、キュルケは詠唱を開始。
ティファニアは懐から、宝玉の取り付けられた杖を取り出した。
シエスタは何かを祈るように手を組み、俯いている。
「みなさん……凌いで!」
ティファニアの祈るような言葉と共に――業火が、パーティ目掛けて繰り出される。
相殺しようとロトの剣から繰り出された風の刃、キュルケの魔法『フレイム・ウェーブ』。
その2つを瞬時に飲み込み、凌駕して、炎は4人を襲う!
「あ……ああああああああああ!」
「くっ……!」
支援
ここまでルイズ出番なし支援
おっとっと!支援だ!
竜王私怨
429 :
ルイズ世界:2008/10/15(水) 21:59:27 ID:ZkXUcpWc
ごめん、さるさん。
避難所に行くので、どなたかお願いします。
――やがて。炎の奔流は途切れた。
草原は広範囲に渡って焼き尽くされ、火は更に広がり続けている。
その中心で、一行は何とか持ちこたえつつも……全滅寸前の状態にあった。
「けんじ……いしよ……!」
まともに声も出せないティファニアが何とか杖を掲げると、癒しの力がパーティを包む。
しかし、それを大人しく待つような敵ではない。
竜の巨大な腕が振り下ろされる。
その一撃は、例えるならば鉄槌。
巨大な質量で、容赦無く対象を叩き潰さんとする絶対の一撃。
人間では、決して生み出せない威力のものだ。
「おおおおおおおおおおお!」
殆ど癒えていない体の力を振り絞り、叫びと共にサイトが迎撃。左手のルーンが、輝く。
剣と巨腕が激突し、――サイトは、十数メイルを吹き飛ばされる。
そのまま、動かなくなった。
「く……」
キュルケは唇を噛み締める。
本来の予定ならば、近接戦闘ではこちらに分がある筈だった。
敵の魔法もサイトと自分が相殺することができ、仮に傷を受けてもティファニアが居れば問題は無い。
……その筈が……!
敵が再び頭を掲げる。また、あの炎が来る。
先ほどと違い、サイトが居ない。こちらはもう満身創痍。
湧き上がる絶望を必死で押し込めながら、キュルケは詠唱を始める。
――それでも。奴らに、屈するわけにはいかない。
煉獄のごとき炎が放たれる。魔法で迎え撃つが、呆気なく飲み込まれた。
視界を埋め尽くす劫火を前に、キュルケは覚悟を決め、目を閉じる。
全滅、か――。
「『フバーハ』!」
……肌を焼く熱は、確かに強力ではあったが――覚悟していたものとはほど遠かった。
疑問に、キュルケは目を開く。
まず目に入ってきたのは、自分の体を包み込む薄い光の膜だった。
決して瞳を刺すことの無い、穏やかな、暖かい光。
視界を移せば、ティファニアや倒れているサイトにもその光は宿っている。
そして――やはり光に身を包むシエスタが、微笑んでいた。
「すみません。不慣れなもので、詠唱に時間がかかりました。
ティファさん、回復を頼みます」
ティファニアが慌てて再び杖をかざす。
火傷は癒えていき、視界の端にサイトが起き上がるのが見えた。
「これで炎への耐性がつきました。回復を怠らなければ問題はありません。
あとはあの打撃対策ですが――『スカラ』」
「うぉ?」
こちらに駆け寄ってきたサイトが、驚きの声を上げる。
「なんか、力が……」
「キュルケさんにも、『スカラ』。……これで、打撃への耐性がつきます。
それでもあの攻撃は脅威ですが、何とか持ちこたえて下さい。ティファさん、援護を頼みます。
私はまた魔法の詠唱に入りますので、――2分。
2分間、私に時間を下さい」
――それは、まさしく。幾多の英雄譚に謳われる戦い、その再現だった。
圧倒的な力を持つ竜。
軽減できると言っても炎の威力は尚凄まじく、腕や尾から繰り出される一撃は必殺。
対する者達は、力の方向を逸らし受け流すのにすらも、全身全霊の力を振り絞る必要があった。
正面から相対すれば、即刻死が訪れる。それほどの戦力差。
また、癒しの力も万能ではなく、失われた体力を取り戻すことは出来ない。
時間の経過と共に、確実に追い込まれていく。
防御に専念してすらその有様、増してや打倒するなど――奇跡を幾度起こせば足りるのか。
しかし。
太古の英雄達はそれでも諦めず、全身から血を流しながらも、歯を食いしばって立ち上がり、
好機をただ待ち続け――そして、巨人や竜などの圧倒的強者を滅ぼしたのだ。
紫竜が再度、高く吼える。
そして、その口から青く凍てつく、力の波動を繰り出した。
「な……!」
「光が!」
その波動は、傷を与えることこそ無かったが――
一行にかけられた補助魔法、『フバーハ』と『スカラ』。その2つを打ち消していた。
まずい、と歯噛みする間も無く、キュルケは絶望そのものの光景を目にする。
竜が、またもあの炎を繰り出そうと構えていた。
必死に頭を巡らせる。今あれをまともに喰らえば、パーティは確実に全滅するだろう。
それだけは、何としても避けなければならない。
……ならば……!
「サイト! 先に叩くわよ!」
言葉と共に、竜へと全力で突進する。
振り下ろされる腕をかわし、振り回される尾の下を潜り抜け、竜にたどり着いた。
体の凹凸を足場に、1度、2度と跳躍を繰り返す。
最後に、一際強く肩をけりあげ――
「だ、あああああああああああああああああああああ!」
空中から、竜の横っ面を渾身の力で殴りつけ、
「おおおおおおおおおおっ!」
更に反対側から、サイトが両腕の剣、そして風の刃で3連撃を叩き込む!
「――――――!」
携帯から支援
轟音。
発射口を叩かれ、行き場を無くした炎が口腔内で爆発したのだ。
自らの炎で身を内部から焼かれ、一歩後退する竜。
まさに、絶好の好機。
いかなる奇跡か、まさしくその瞬間に詠唱を終えたシエスタが叫んだ。
「いきます! 離れて!」
着地と共に、サイトとキュルケが竜から飛び退く。
シエスタはそれを確認、練りに練りこんだその力を解放する――!
「『ギガ』――――」
それは、勇者のみが扱える最強の呪文。
空を引き裂き、天空からの一撃を叩き落す神の鉄鎚!
「――『デイン』――!」
幾条もの白い稲妻が、竜に殺到。
全身を、凄まじい威力で焼き尽くす!
その一撃、たとえ竜族の王であろうと耐えられるものではない――!
「――――!」
声にならない絶叫を上げる竜。
これを逃してはもう終わり、全力で畳み掛ける!
「『エクスプロージョン』!」
ティファニアの一撃。
不得意な魔法でありながら、それでもありったけの精神力を叩き込んだ大爆発が竜を包む。
「おおおおおおおおおっ!」
サイトの一撃。
防御用の大剣を捨て、聖剣を全力で頭部に叩き込む!
し、し、し、支援!
決戦支援!
「サイト、離れなさい! これで終わりよ。……『爆熱』――!」
そして、キュルケの一撃。
禿頭の師より授けられ、更に改良した彼女最強の禁呪。
空気中の水蒸気を錬金、空気と攪拌して点火。
凄まじい衝撃波と共に、数千度に達する超高熱の大爆発を引き起こす。
これだけでも既に十二分に強力だが、この魔法が特殊なのは、ここからだ。
まず、爆発の保持時間が長い。爆風が従来の魔法よりも長く維持されるため、
相手はその間焼かれ続け、爆風に晒され続けることとなる。
更に、第2段階。
周囲の酸素を急激に消費した結果発生するのが、急激な気圧の変化。
人間ならば内臓破裂を引き起こす程のものであり、その威力は至近距離においては凄まじいレベルに達する。
また、空気中の酸素バランスが崩れることにより、いくら呼吸しても酸素が取り込めないという状況を作り出し、
加えて酸素不足の状態で燃焼するため大量の一酸化炭素が発生、中毒を引き起こす。
……限定された空間内だけにこれらの効果を発生させるのは極めて困難であり、
また、余りに過ぎる破壊力のため、師より使用を禁じられた大魔法だ。
「どう、だ……!」
文字通り、全ての力を注ぎ込んだ連続攻撃。
体力も精神力も、徹底的に使い果たした。
これで、倒せないようならば――終わりだ。
竜はその全身を焼かれ、立ち尽くし――
轟音と共に、その身を地に横たえた。
「…………」
「…………」
「……やっ……たのか……?」
剣を杖に立ちながら、疑問の声を上げるサイト。
一行が顔を見合わせ、喜びを浮かべかけた瞬間、
支援
支援
「――『ベホマ』」
「…………え?」
絶望の、声が、響いた。
竜の全身を、癒しの力が包む。
呆然と見守る4人の前、竜の傷が次々と癒えていき――やがて竜は、再びその体を掲げた。
『なるほど、人としては中々だが――しかし、それまでだな』
脳裏に、嘲笑の声が響く。
ティファニアが膝から地に崩れ落ち、サイトが絶望に呻く。
「うそ、だろ……?」
『これが、人と我らの、決定的な力の差というものよ』
ククク、と笑う竜。
キュルケがよろめきながらも杖を構え、シエスタは再び魔法の詠唱を始める。
『無駄なことだ、かの者達の子よ。最早、貴様の仲間に戦意など――』
突然、りゅうおうは念話を打ち切る。
目の前のことなど些事でしかない、というように首を回し、遥か遠くの空を見つめ始めた。
『…………まさ、か…………!』
りゅうおうの視線の遥か先、ガリア王国ヴェルサルテイル宮殿。
……いや、元宮殿と言うべきか。
既に建造物はあらかた崩壊し、そこにあるのはただ瓦礫の山だった。
「は、ははははははははははははははは! 待っていた!
待っていたぞ、そなたのような存在を!」
その瓦礫の中。
宮殿を失った王は、しかし狂ったように笑い続ける。
巨大な『それ』を見上げながら、腕を広げ、踊るように回る。廻る。
「ははははははははははははは!
さぁ、壊してくれ! ……世界を! 全てをだ!」
踏み潰され絶命するその瞬間まで、王は嬉しくてたまらない、というように笑い続けていた。
『それ』は辺りを見回し、そして自身の力を解放する。
――その夜、ガリア王都リュティスは、氷の海に沈んだ。
それは全てを滅ぼすもの。
全ての命を生け贄とし、世界を絶望で覆い尽くさんとするもの。
……それは、かつてとある異世界を闇に封じ込めた、大魔王と呼ばれるもの。
ボスがべホマ使っちゃらめぇぇぇ!支援
せめて瞑想にしろよwwww支援ww
Q:『爆炎』もどき使ってるけど、キュルケって土属性扱えるの?
A:特訓しました。また彼女なりに改良(改悪?)しているため、
現実世界における燃料気化爆弾により近いものになっています。
まぁ竜って酸素とか要らないっぽいけど。
規制、本当に申し訳無い。以降、もう少し細分して投下するよう努めます。
ここまでの ぼうけんを ぼうけんのしょに きろくしますか? はい/いいえ
……って、終わってたw 乙!
代理、本当にありがとうございました。
助かりました。
これで竜王が人形だったら涙目じゃすまない
とか思ってたらベホマw更に真打ち登場ww残る虚無は破壊神でも呼ぶのかww
大魔王vs竜王か……勝った方が人類の敵になる。ハルケギニア\(^o^)/
教皇はシドーを呼ぶんですね!わかります。
449 :
MtL:2008/10/15(水) 22:24:31 ID:tJwan6V0
りゅうおうの人、投下お疲れ様でした。
良いところでの引きが憎いです!
さて、何も無ければ10分後に投下しますー。
寝る前に一回だけ支援
451 :
MtL:2008/10/15(水) 22:35:49 ID:tJwan6V0
マジシャン ザ ルイズ 3章 (46)破滅的な過ち
ルイズと教皇が去った後も、依然として場の空気はイザベラとアンリエッタによってその温度を高め続けていた。
話題は政治経済趣味嗜好、ありとあらゆるものに及び、そのことごとくで二人は反発し合う。
そして今――
ついに片方が、その臨界を迎えた。
「おおっと! 手が滑ったぁ!」
ぱしゃっ、という音。
イザベラが目の前にあった、ルイズが飲んでいたグラスを掴み取り、中に入っていた水を、アンリエッタの顔に浴びせかけた音である。
それはアンリエッタが「あなたの服のセンスはちょっと理解できません。青髪に青いドレスは無いと思いますわ」と言った直後のことであった。
一方、水をかけられた側は無言。
顔面に水をお見舞いして満足したのか、ニタニタと笑っているイザベラに対して、アンリエッタは表情も変えていない。
否、変わっていないのではない、それは人形もかくやという無表情。
刹那、迅雷の如き速度でアンリエッタの手が動いた。
「あっと、私も手が滑りましたわ」
抜き打ちのごとく迸った手に握られていたのは、トリステインの王権の象徴。
彼女の魔力の発動体である杖の先から、浴びせかけられた量をはるかに上回る水が吹き出して、イザベラの顔面に直撃した。
水の勢いが収まると、そこには濡れ鼠のようになったイザベラがいた。
「じ……」
誰かが制止するより早く――最も、この場に彼女を止めようとするものもいなかったのだが――イザベラが席を立ち上がった。
「上等だあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
戦いが、始まった。
月光と魔法の明かりに照らし出された、ガリアが誇る花壇庭園は、言葉が無い程に美しかった。
白、赤、紫、色とりどりの花々、月と星とを反射してきらめき揺らめいている池の水、そしてその間を一直線に伸びる、白灰色の石畳。
昔読んだおとぎ話の中に誤って迷い込んでしまったような、そんな不思議な感覚。
自然と人の調和。そこに広がっているのは一つの美の完成形。
幻想的とはこのような光景を言うのだろうと、ルイズはひとりごちた。
「流石はヴェルサルテイル宮殿。これほどの庭園、ハルケギニア中を探しても他にないでしょう」
ルイズの傍らに立つ青年がそう言った。
心ここに非ずという様子でルイズも彼の言葉に無言で頷く。
全く同感であった。
支援
453 :
MtL:2008/10/15(水) 22:38:32 ID:tJwan6V0
「例え誰かに見つかって、後で叱られることになるとしても、この光景が見られたのならそれで十分でしょう。そうは思いませんか?」
ぼうっとその光景を見入っていたルイズは、その言葉ではっと我に返った。
そう、ここは先ほどまでとは違う。秘密でも何でもない場所なのである。
もしもこのような場所にいることが誰かに見咎められでもしたら、言い訳のしようもない。
あるいは今自分が着ているメイド服から、教皇聖下に頼まれて庭の案内をしているメイドという方便も思いついたが、
トリステインのメイドが、ガリアの宮殿でロマリアの教皇を案内しているというのは、いくらなんでも無理がありすぎるとすぐに気づいた。
「美しいと、そう思いませんか。ミス・ヴァリエール」
「あ、え、っ、はい、そう思います!」
二度目の問いかけ。
考えに没頭して最初の問いかけを無視する形になってしまったことに気がついて、ルイズは顔を林檎のように真っ赤にした。
しかし、教皇はルイズの方を見るでもなく、じっと庭園を見つめながら続けた。
「この庭園は美しい。ここは、この世界の美を集めたような場所です。
この場所には生まれたばかりの風があり、清らかな水があり、生命力に溢れた土があります。きっと、秋が深まれば秋の顔を、冬になれば冬の顔を、春になれば春の顔を、我々に見せてくれるに違いありません。
けれど、それはただそこにあるから美しい訳ではありません。この場にある全てのものは、それぞれ懸命に生きているのです。
だからこそ、生きているからこそ、美しい。生きているということは、ただそれだけで、人を惹きつけてやまないのです」
何かを想い、どこか遠い目をして、語る青年。
いつからか、彼の口から出るものが、普段使いの柔らかなものから、真剣なそれへと変わっていることに、ルイズは気がついていた。
「ミス・ヴァリエール。私はこの世界を、このハルケギニアを、愛しています。ハルケギニアに生きる自然を、人を、生命を、愛しています。だから、私にはこの世界が土足で踏みにじられていく様を、黙ってみているようなことはできません。
ましてや、私に力があるのなら。世界を変える可能性が授けられているのなら、なおさらに」
ザッという音。
風が、吹いた。
夏も終わろうかという頃合い。
秋を予感させる、冷たい空気を乗せた風が、強くルイズ達に吹きつけた。
思わず目を瞑って、顔を押さえようとしたルイズの手を、暖かい誰かの手が取った。
同時、その誰かがルイズの前に立って、風を遮った。
それが誰かなど、一人しかない。
「ミス・ヴァリエール。この無力なわたくしに力をお貸しください」
ルイズは、最初何を言われたのか分からなかった。
『――聖下に、教会の代表者に、 何?』
思考がまとまらない。
だが、時は止まることなく流れる水のように、ルイズの理解を待ってはくれなかった。
「あなたが持つ、始祖の祈祷書を、この私にお貸し下さい」
瞬間、
夢が 醒める。
支援ー
455 :
MtL:2008/10/15(水) 22:41:43 ID:tJwan6V0
「……聖下、何をおっしゃっているのか、私には分かりません」
「隠さずとも良いのです。あなたが肌身離さず始祖の祈祷書を持っているのを私は知っています」
その通り。
確かにルイズは始祖の祈祷書を持っている。今も彼女が手にしている鞄の中にそれはある。
だが、だからといって……
「もしも私がそれを持っていたとしても、それをお貸ししなくてはいけない理由はありません。
始祖の祈祷書はトリステイン王家に伝わる大切な宝物。例え聖下であろうとも、それをみだりにお渡しする訳には参りません」
「もっともです。ですが、私がそれを欲する理由を聞けば、あなたも考えが変わるでしょう」
「理由?」
理由、思いもよらなかった。
そう、欲する以上理由があるはずである。
始祖の祈祷書は、ルイズに何を与えたか、そしてそれ以外の人間に対してはどうであったか。
そこまで思いつけば、あとは勝手に仮説に結びつく。
「まさか……」
「ええ、そのまさかです」
そして、青年は池に向かって膝をつくと、祈るようにして、低く呪文を呟き始めた。
その呪文は知らない。しかし、その調べには覚えがある。
ユル・イル・クォーケン・シル・マリ……。
長く詠唱が続く。
どれだけの時間が過ぎたであろうか。
ルイズには長く感じられたが、それでも時間にして五分ほどであろう。
呪文が完成し、教皇は杖を池へ向けて振り下ろした。
ルイズが見ている前で、月を映し出していた池の表面に波紋が広がっていく。
一瞬、それが光ったかと思うと、次の瞬間、そこには天空にある月ではない、他の何かが映し出されていた。
映し出されたのは見知らぬどこか、ルイズの知らぬ土地が映し出されている。
見えたのは高い、高い……それこそ天まで届いているような、銀の塔。
しかもそれがいくつもいくつも、地上から空を追うように突き出していた。
再び波紋。
それまで映っていたものが途端にかき消えて、元の月の姿だけが、後に残った。
「今のは……」
「分かって貰えましたか? 私もあなたと同じ、虚無の担い手であるということが」
認めない訳には、いかなかった。
風系統の遠見によく似た呪文。しかし、ルイズは今の呪文に、一つの心当たりがあった。
それは始祖の祈祷書の中で見た、一つの呪文。
それに、先ほどの呪文が決して系統呪文などではないことを、ルイズは詠唱の旋律で確信していた。
支援
457 :
MtL:2008/10/15(水) 22:45:17 ID:tJwan6V0
流石にこの段に至り、ルイズもとぼけることを観念した。
「……分かりました。確かに今の呪文は虚無の系統、聖下は虚無の担い手で、そして私も虚無の担い手であることを認めます」
それに、同じ虚無の担い手を相手にこれ以上、秘密に固執する必要性を感じなかった。
「けれど聖下。既に虚無の呪文を使われる聖下が、何故今更始祖の祈祷書を欲するのですか?」
当然の疑問であり、当たり前の帰結。
ルイズには彼が虚無の魔法の使い手だと分かっても、彼が虚無の魔法の記された祈祷書を欲する訳が分からなかった。
「秘宝≠ヘ、四の担い手≠選びません。我らはそういう意味では兄弟なのです」
「つまり、ええと……聖下は始祖の祈祷書を使って、新しい虚無の魔法を習得しようというのですか?」
「その通りです」
彼の回答に、ルイズにはどうにもしっくりこないものを感じた。
「あの……お言葉ですが、聖下も虚無の魔法が使えるのなら、どこかでこの本と同じものをご覧になったのでしょうが……それをまた見れば良いのではないでしょうか?」
その問いかけに、教皇は首を振った。
「いいえ。まずあなたの知識をいくつか訂正しなくてはなりませんね。我々に力を与える始祖の秘宝≠ヘ、何も本だけではありません。オルゴールであったり、香炉であったりとその形は様々です。
次に、あなたの指に二つ嵌っているルビーですが、それは鍵となります。秘宝∞ルビー≠ヘ揃って初めて我々に道を指し示すのです。
わたくしの……ロマリアの秘宝≠ニルビー≠ヘ、以前に背教者の手で持ち去られ、それ以来行方不明になっておりました。その後、数奇な運命を経て、火のルビーがわたくしの手に戻りましたが、未だ秘宝≠ヘ行方知れずのままなのです」
「つまり……聖下が新しい呪文を身につけるためには、この祈祷書が必要だとおっしゃるのですね」
ルイズは内心の動揺を抑えながら、その言葉を紡ぎ出した。
自分の手元にある風・水のルビー、ワルドの手元にある土のルビー。
行方不明だった最後の火のルビー。
どこにあるとも知られなかったそれが教皇の手にあるなど、ルイズは思いもしなかった。
「その通りです。あなたの助けになるために……わたくしは新たな力を手に入れなくてはなりません」
教皇はそう言うと、左手でルイズの方を柔らかく掴んだ。
「ミス・ヴァリエール……いいえ、ミス・ルイズ。あなたが背負う重荷を、このわたくしにも背負わせて下さい。世界のために、あなたのために」
そして彼は肩に置いた手を滑らせて、その頬を撫でた。
思わぬ動作にびくんと驚きを示すルイズをよそに、教皇はその美しい顔を、触れあうほどにルイズの顔に近づけた。
「せ、聖下、何を……」
「ミス・ルイズ。わたくしの目を見て下さい。わたくしの目をのぞき込んで、その奥底を見て、判断して下さい。あなたにとってわたくしが信用に足る人物であるかを」
突然の行動にルイズは頬を染める。
それでも、教皇は真剣なまなざしでルイズを見ていた。
「わっ、わかりました! 聖下を信用いたしますっ! だから、どうか、もう少しお離れ下さい……」
尻つぼみになりながらそのように言うことしか、ルイズにはできなかった。
あるいは、この時にルイズが教皇を拒絶し、押しのけていたならまた違った未来があったかもしれなかった。
だが、これまで陰謀という陰謀から遠ざけられてきたルイズが、教皇ヴィットーリオからその真意をかぎ取ることができなかったことを、誰にも責められようはずも無い。
そういう意味では、過保護に育てたルイズの父ミシェルの、表から裏から庇護していたウルザの、ワルドの、その行為が裏目に出た瞬間だった。
支援
459 :
MtL:2008/10/15(水) 22:48:18 ID:tJwan6V0
ルイズが逃げるようにその場を立ち去ってから、教皇は庭園の一角に据えてあったベンチに腰掛けて、自分の杖に灯した弱々しい灯りを、始祖の祈祷書を読みふけっていた。
みすぼらしい丁重の一冊の古書。ぼろぼろになった冊子をただ閉じているだけの本。
その中身が始祖ブリミル本人によって書かれたものであることを、教皇は感動と共に実感していた。
虚無の魔法は、使用者にあわせて呪文が開陳される。
彼がページをめくると、いくつかのページが輝きそこの文字が現れた。
それこそが、今の彼に与えられるべき呪文。
そうして三〇分ほども読みふけった頃だろうか。
彼は目的の呪文が書かれたページを見つけた。
「あった……」
彼が指をとめたページ。
そこには中級の中の上のページに書かれていた、一つの呪文があった。
教皇は立ち上がり、呪文を唱え始めた。
静かな庭園に、朗々とした詠唱が響く。
ユル・イル・ナウシズ・ゲーボ・シル・マリ……
それが、何を意味するとも知らず。
ハガス・エオルー・ペオース……。
教皇は、ただ美しく、調べを奏で続ける。
そして、世界は――
場を辞したルイズであったが、すぐ戻る気にもなれず、不用心なことは分かっていたが少しの時間ならとぶらぶらと中庭を散策した後、部屋へと戻ることにした。
そうして戻ってみると部屋は、
戦場と化していた。
「このっ! このっ! このっ!」
「きゅいきゅい! 楽しいのねっ!」
「くそっ、枕だ! くそっ! シャルロット、新しい枕を寄こせぇっ!」
扉の前で呆然と立ち尽くすルイズ。
その前で繰り広げられる光景は、
1.両手で白い枕を掴んで、イザベラにバシバシと叩き付けているアンリエッタ。
2.両手に一つづつ枕を掴んで、アンリエッタと一緒に枕で嬉しそうにイザベラを叩いている、青髪の娘。
3.ベッドまで追い詰められて、文字通り二人から袋叩きにあっているイザベラ。
大惨事!?支援
支援
462 :
MtL:2008/10/15(水) 22:52:22 ID:tJwan6V0
ルイズは軽い立ちくらみを感じて、手近にあったテーブルに手をついた。
元々部屋の中心付近にあったそのテーブルには、避難してきたらしいキュルケとタバサが席に着いていた。
足下には無数の枕が落ちている。
「一体、何がどうなってるのよ……?」
「あらルイズ、ハンサムさんとの逢瀬はもう良いの?」
「逢瀬って……そんなことより、一体どうしてこんなことになっているのよっ! 部屋も滅茶苦茶じゃないっ!」
ルイズはちらりとアンリエッタ達をみやった。
アンリエッタは近くに落ちている枕を掴もうともがいているイザベラを、執拗にぼすぼすと叩いていた。
アレには見覚えがある。確かよく小さい頃にやられたような……
「問題無い」
横合いから、ぽつりと声。
ルイズがそちらを見ると、タバサが本に目を落としたまま、足下に転がっていた枕の一つをむんずと掴んで、三人がいる方に投げつけようとしているところだった。
そのまま砲弾のような勢いで投げつけられる枕。
直後にイザベラらしき声で『ほぎゃっ!』と聞こえたが、タバサは気にしてもいないのか、ただページをめくるだけ。
「ちょっとタバサっ! あんたも止めなくて良いの!? ここはあなたの部屋なんでしょう? それに、あなたこんなところで本なんて読んでいたら……」
ルイズの頭を、意地悪な女王に脅されて、弱みを握られて仕方なく従っているタバサという構図がちらりと横切った。
と、そこで更に横やり。
「あー、それなら大丈夫みたいよ。この子、なんだかんだ、好きで付き合ってるみたいだから、あの女王サマとね」
まるでルイズの考えを読んだように、キュルケが言った。
「そうなの? でも、あの女王はあなたの父上と、母上の……」
「……仲直りした」
「仲直り? でも……」
「その子、それ以上は答えないわよ。自分達にわだかまりは無い、その一点張り。そもそも、私はタバサがガリアの王族だったなんてつい最近知ったんだけど、一体どんな事情でトリステインに居たわけ? あんたはその辺の事情知ってるみたいだけど?」
「それは……」
横目でタバサの顔を伺うルイズ。彼女は別に頓着しないという様子で、視線を降ろしたままだった。
「つまりね……」
ルイズが掻い摘んでタバサの事情を話し始めると、キュルケも興味を引かれたのか身を乗り出した。
そうして、ペルスランから聞いた話をざっと語り終えた頃になると、キュルケは難しそうに額に皺を刻んでいた。
「なるほど、そういう事情だったのね……。そういうことだと、確かに仲直りしたと聞いても、にわかには信じがたいわね」
と、そこで
「色々あった」
再び枕を砲弾のように打ち出しながら、タバサが言った。
その声を聞いて、キュルケはじっとタバサを見た。
そしてそれから大げさに溜息をつくと、優しい声色でルイズに言った。
「まあ、この子がこう言うのなら、本当に色々あったんでしょうよ。ある意味ではあたしや、勿論あんたなんかよりもしっかりした子だから、心配はいらないと思うわ」
「そう……かしら?」
「そうよ。それじゃっ」
言葉の最中で、席を立つキュルケ。
そんなキュルケの突然の動作に驚いて、ルイズは顔を上げて彼女を見た。
キュルケはルイズを見下ろして、にやりと笑って先を続けた。
「私も参加してこようかしらね」
「ちょ、ちょっとキュルケ! 参加って、アレに? 正気?」
「ええ、正気よ。だってほら……、わりと面白そうじゃない」
言われて、ルイズもそちらの方を見やる。
確かに、そこで枕を振り回す三者はそれぞれに、どこか楽しそうに見えた。
463 :
MtL:2008/10/15(水) 22:56:20 ID:tJwan6V0
ルイズに背中を見せて、枕を片手に歩いていくキュルケ。
「……うん。それじゃ、私も」
言って、足下の枕を掴んでその後に続こうとルイズが立ち上がったその時、
――――――世界がひるんだ。
同時刻。
トリステインの片田舎、昼間でも薄暗い森の中。
近くにある人里はタルブという名の小さな村だけで、後は森と平原と山があるだけの、そんな僻地。
そこにフードを目深に被った女がいた。
「本当に大丈夫なの? それにこんな大金……」
彼女の前に立っていた、帽子を被ったブロンド女性が言った。
「大丈夫さ。今回の仕事はバックが大物で、その分実入りも大きい、ただそれだけのことさ」
「でも……」
「そんなに心配しなくたって、上手くやるよ。お前は何も心配しなくて良いんだ」
そう言って、女はフードを降ろして、ブロンドの少女を抱きしめた。
「大丈夫……大丈夫だよ……」
優しげに呟いて少女の頭を撫でたのは、女盗賊フーケであった。
「本当に? 本当に大丈夫なのね?」
「ああそうさ。危ないことなんて何一つ無いよ」
「そう……分かったわ」
フーケの言葉を信じて、安心したように少女は呟いて、その体を彼女から話した。
「あのね。マチルダ姉さんの為に、クッキーを焼いたの、今持ってくるからちょっと待ってて」
そう言って少女はその身を翻し、仮の住み処と定めた、うち捨てられた森の『元廃屋』へと走っていった。
フーケが息をつき、近くの木の幹へと背中を預けて暫く待っていると、少女が小走りに戻ってきた。
「お待たせっ!」
軽く息をはずませた少女が手を差し出すと、その上にはハンカチの包みが一つ。
「ああ、ありがとう。悪いね、ありがたく受け取るよ」
フーケがそれを受け取ろうと、
瞬間
駆け抜ける
突然の、衝撃。
ズクンと、腹に響くよう何かが、フーケの体を襲った。
「なっ……、なんだい、これは……」
正体不明の感覚に、さしものフーケも戦慄を隠せない。
そして、彼女の目の前で、少女の手から、包みがこぼれ落ちた。
しえん
465 :
MtL:2008/10/15(水) 23:00:06 ID:tJwan6V0
「? どうし……っ!?」
フーケの前で、少女は頭を抱えて小刻みに震えていた。
両手で頭をつかんで、何かに怯えるように、必死の形相で。
その震えが、次第に、大きく、迫る何かをに、恐怖するように。、
「いや、……いや、いや、いやいやいやいやいやいやいやああああああああああああああ!!」
そして、
――――――世界がおののいた。
同時刻
ゲルマニア、ウィンドボナ上空。
浮遊大陸アルビオン、その中枢部。
「それでは閣下、ご武運を」
玉座に深く腰を下ろしたワルドに深々と礼をして、男はその場を辞した。
対するワルドは頬杖を突いて片目をつぶり、一見して思考に没頭しているようであった。
そんな彼に語りかける、虚空からの声一つ。
「本当にあのような男に任せるというのか?」
続いて暗黒の空間に、一人の人間が染み出すようにして現れた。
頑健な肉体、特徴的な眼帯、巌のような顔つき。
歴戦の傭兵、メンヌヴィルである。
「あのような男に総大将がつとまるとは思えん」
ドンと鈍重そうなメイス型の杖を床に降ろす。
「竜殿もそうは思わぬか?」
竜――ここにいない者への問いかけ。
しかし、どこからかそれに対して返事があった。
「興味がわかぬ。我にとってはどうでも良いことだ。」
姿はない。知性と獰猛性を秘めた声だけが、ただ響くのみ。
それを聞いたワルドは、開けていた片目を一度閉じ、それから両目を開いて体を起こした。
「竜殿の言うとおりだ、メンヌヴィル。既に人間同士の殺し合いなど、今となっては必要であるだけで、さして重要ではない。私のやるべきことは、最大の邪魔者であるあの老人を排除すること。
その為には、煩わしい手間は極力省きたいというのが本音だ。そう言う意味では、アレは大いに役に立ってくれる」
「……ふん。お前の頭の中はいつもあの娘とあの老人のことで一杯なのだったな」
「そういう君の頭の中は、火と破壊だけしかつまっていないではないか」
「はっ。違いない」
メンヌヴィルが頬をつり上げて笑った。
支援
え、何が起こった!? 支援
468 :
MtL:2008/10/15(水) 23:04:25 ID:tJwan6V0
「!」
それまで特に気を払っていた様子もなかったワルドの顔が、突然悪鬼のような形相に変わった。
そしてやおら立ち上がると、獰猛な犬が獲物の匂いを探るようにして周囲をぐるりぐるりと見回しはじめた。
「む……」
片腕であるメンヌヴィルでさえ彼の狂態に戦いていることも気にとめず、ワルドはある一つの方角を見つめると、地の底から立ち上る悪霊の呻きのような一声を漏らした。
「馬鹿めっ」
そして、
――――――世界がたじろいだ。
同時刻
ロマリアの東方、数百リーグの位置。
暗闇の中で、ウルザは三人の人影といた。
「つまり、あなたは我々に協力を求めるというのですか?」
金管楽器の音色を思わせる、透き通った女性の声。体をすっぽりと覆う貫頭衣を纏った女性が言った。
「そうだ」
「自らが悪魔と同じ存在であると分かっていながら、我々におこがましくも協力を求めるとは。ますます度し難い」
しゃがれた老人の声。
同じく貫頭衣であるが、腰を折って手で杖を突いている老人が言った。
「それは感情的な問題だ。現実の問題を前に正しい姿勢とは言い難い」
「あなたは我々エルフ以上に合理的なものの考えをしているようだね、ウルザ」
落ち着いた調子の、聡明そうな青年の声。
前の二人とは違って、三人目の青年はその素顔をさらけ出していた。
金髪をした美しい顔立ちの青年。だが最大の特徴はそんなところにはない、特筆すべきは、その尖った耳。
「そう。これは君たちエルフにも関わる問題のはずだ」
ウルザの前に立つ三人の男女。彼らはこの地に住まうエルフの代表者達であった。
「しかし、それでもあなたの意見に従うことはできない」
青年が言葉を句切り、その後を最初に喋った女が続けた。
「我々は確かに人に比べれば合理的な考えを重要視する種族です。しかし、それでも感情がないわけでありません。私も、我々も、あなたの考えには賛同できない」
そして、最後は老人が締めくくった。
「去るが良い。我々は戦いなどという野蛮な行いは望まない。もしも我々の元に害が及べば戦いを拒否することも無かろう。だが、お前の甘言に惑わされて自ら戦いに赴くなど、あり得ぬことだ」
「……しかし、」
「言葉は覆らぬ。去れ、異邦の悪魔よ」
聞く耳を持たずといった様子の老人を前にして、ウルザはじっと何かを考えるようにしてたたずんだ。
それから、言葉も無く三人の賢者達にその背を向ける。
そうして三歩四歩歩いてから、彼は足を止めて、それを告げた。
「これでも本当に意見は変わらないかな?」
そして、
――――――世界は恐怖した。
その時、彼の気配に、世界の全てが総毛立った。
469 :
MtL:2008/10/15(水) 23:07:08 ID:tJwan6V0
以上で投下終了です。
ご支援ありがとうございました!
次回で最終決戦前最後となります。
これでやっとパズルのピースを表に出し切った感じです。
ではではー
投下お疲れ様でした
GJでした!
正直何が起きたのかよく分かっていませんが、それでもwkwkしている自分がいます
……ひょっとして、アン様vsイザベラ様の戦いが世界を恐怖させているのか
MtLの人、乙!
毎度ながらゾクゾクさせてくれる。
お疲れ様です!
これは次回がきになる!
474 :
魔法陣ゼロ:2008/10/15(水) 23:27:24 ID:YA5oE4yi
MtLの人、乙です。
「『ザム』――――」
「――『デイン』――!」
魔法陣ゼロ、第三話を23:30から投下します
ボスがべホマを使うなんて、、
なんという無理ゲ、っていうかターン制のドラクエなら
間違えなく糞ゲー
「オレの、じいさんの名前だー!!」
「骨まで燃えろ!!」
支援
477 :
魔法陣ゼロ:2008/10/15(水) 23:30:26 ID:YA5oE4yi
3 異世界
ルイズの部屋。
テーブルをはさんで、ルイズとククリが座っている。
ルイズはククリに聞きたい事が色々とあったので、授業はサボることにした。
「あんたは、貴族じゃないけど変な魔法が使える、でもサモンサーヴァントは知らない。
エルフや吸血鬼じゃなさそうだし、一体何者なの? 親が元貴族ってこと?」
「ママもパパも貴族じゃないよ。ミグミグ族っていう、グルグルの魔法が使える民族なの。」
「さっきから言ってる、そのグルグルって何なのよ。そんな魔法は聞いた事ないし、先住魔法?」
「先住魔法ってなぁに?」
「そんなことも知らないの?先住魔法は、エルフや精霊などが使う魔法で、」
その後小一時間ほど、ルイズによる先住魔法およびコモンマジック、さらに四系統の魔法に関する講義が行われた。
「契約の儀式では、『サモン・サーヴァント』で使い魔を召喚して、『コントラクト・サーヴァント』で契約を――」
「ふーん、そんな魔法があるんだ」
「水の魔法は秘薬を併用することで――」
「……こっくりこっくり」
「土の魔法による錬金は――」
「……zzz」
「わかった?」
「え? は、はい」
「それで、何の話だっけ?
えっと……そう、グルグル。
グルグルって結局何なのよ?」
「グルグルは、闇の魔法の――あれ? 闇の魔法じゃないんだっけ?」
「いや、わたしに聞かれても」
「わかんなくなっちゃった。とにかく、よく『変な魔法』って言われるよ」
「ふーん……って、それじゃ何も分からないじゃない!」
ルイズは呆れている。情報が増えていない。
478 :
魔法陣ゼロ:2008/10/15(水) 23:31:49 ID:YA5oE4yi
「じゃあ、質問を変えるわ。グルグルは魔法陣でどうとか言ってたけど、ちゃんと説明しなさい」
「グルグルを使う時は、まず魔法陣を描くの。
ふつうは杖で地面に描くんだけど、レベルが上がるとどこにでも描けるようになるわ。指で空中に描いたりとか。
それから魔法陣を杖でトンってやると、いろんなものが出てきたり、魔法陣の中が変化したりするのよ」
「さっきの飛ぶやつの他にもあるわけ?」
「うん。さっきのは『ヨンヨン』っていうの。
他にも、おっきな火が出てくる『とかげのしっぽ』とか、いろいろあるよ。
でも、魔法によって描く魔法陣が決まってて、間違えると変なものが出てくるの」
「変なものって、ヨンヨンもかなり変だけど?」
「そうかしら? すっごくヘンなもの」
「あれが変じゃないって言うあんたがすっごくヘンって言うなんて、よっぽどの物なのね」
ルイズは呆れつつも、ククリの話に惹かれていた。ちょっと楽しそうだ。
「わたしにもできるかしら?」
「ムリよ。グルグルは、ミグミグ族の子どもしかできないの。
ミグミグ族はちょっとしかいなくって、今グルグルを使えるのはククリだけ」
「そう……。まあ、いいわ。わたしが使いたいのは……」
ルイズの口が止まる。
泳いだ目が、ニケを捉えた。
「そ、そしたら、次はあなた達のこと。あいつとは知り合い?」
「うん。ククリは、ニケくんと二人で旅をしててね、」
ククリが、ニケとの旅の思い出の一部を語る。
多少の美化を交えながら。
「ジミナ村でね、ニケくんがククリを――」
「そこの出身なのね」
「剣がビローンと――」
「ビローン?」
「溶岩の海の中で、火をつかんで、目から光線を出して、みつあみが超のびて――」
「えっと?」
「なべやき姫とアヒルマンが――」
「……」
479 :
魔法陣ゼロ:2008/10/15(水) 23:32:56 ID:YA5oE4yi
〜〜〜
最初は旅の思い出だったのが、いつのまにか、のろけ話に突入していた。
ルイズはぐったりしている。どこまで本当なのか判別できなかった。
「……と、とにかく、ずいぶんあちこち歩いたのね。(ニケの活躍の話になると急にウソ臭くなるのは気のせい?)
でも、ジミナ村に、コーダイ国に、コパール――聞いたことない地名ばっかり。もしかして、ロバ・アル・カリイエの地名なのかしら?
メイジじゃなくても貴族どころか王族にもなれる国なんて、想像できないわ」
ルイズは魔法の実技に関しては壊滅的だが、座学には自信があった。
もちろんハルケギニアの地理にも詳しいつもりだったが、都市どころか国名さえも、全く聞き覚えが無いものばかりだった。
ククリがいた場所を探そうと、逆にハルケギニアの地図をルイズが描き説明する。だが、ククリが知っている地名が存在するはずもない。
「ぜんぶの大陸を通ったつもりだったんだけど、まだ知らない大陸があったのね。ここがハルキゲニア大陸? ロバ借りある家ってのも聞いたことないよ。
そうだ、ニケくんを起こさなきゃ! ククリは世間知らずだから、ニケくんなら知ってるかも」
ククリがニケを揺さぶり、起こす。
目を覚ましたあと、ククリを見て若干挙動不審になったニケに、ルイズの魔法で遠く離れた場所に召喚されてしまったことを話した。
「契約は成功したんだから、あんたは私の使い魔よ。視覚の共有は……できないみたいだけど、秘薬を取ってきたり、わたしの身を守ったりはしてもらうわよ。
この子の話だと、あんた結構強いみたいね。そうは見えないけど」
「やだよ、そんなの。オレは旅を続けたいんだ」
「そうよ、ニケくんとククリは旅を続けるって決めたの!」
「儀式は絶対なの、拒否はできないわよ。それに、もし使い魔がいなくなったりしたらわたしが留年しちゃうじゃない。
左手にルーンがあるでしょう? それが契約の証よ。
さっき言ったことができないなら、少なくとも雑用ぐらいはしなさい」
「ルーンってこれか? でもなあ……」
ククリとの旅の楽しさを知ったニケには、ルイズの元で定住するなど考えられなかった。
「やっぱり使い魔なんかにはなれないよ。なあ、オレ達を元のところに返す魔法ってないのか?」
「ないわ。『サモン・サーヴァント』は呼び出すだけ。使い魔を元に戻す呪文なんて存在しないのよ」
「マジかよ! じゃあ、せめてこの契約を解除してくれよ」
「それも無理よ。……まあ、方法がないわけじゃないけど」
「どうやるんだ?」
「使い魔が死ねば契約が解除されるわ。わたしも新しい使い魔を召喚できる」
「……とりあえず、ギップルを呼ぼうぜ。あいつなら帰り道が分かるかもしれない」
「そうね。ギップルちゃーん、出てきてーっ!」
……返事がない。
「肝心な時に役に立たないヤツだな。じゃあ――」
ニケは窓を開けて身をのりだし、大きく息を吸う。
そして、すでに暗くなった空を見上げて、思いっきり叫んだ。
「知らないことだらけの扉が開き、たちまちに吸い込まれた。
鏡をくぐれば戸惑いだらけ、帰り道も消えてしまった。
まだ見ぬ大地に胸がざわめく。見えない予感が膨らんでいく。
キスに込められた不思議な気持ちを、オレはあの二つの月に捧げる!」
480 :
魔法陣ゼロ:2008/10/15(水) 23:34:19 ID:YA5oE4yi
……
…………
481 :
魔法陣ゼロ:2008/10/15(水) 23:35:22 ID:YA5oE4yi
…………
…………へんじがない。
482 :
魔法陣ゼロ:2008/10/15(水) 23:36:34 ID:YA5oE4yi
「何よそれ? クサい台詞ね」
「あれ? これだけやって出てこないなんて、おっかしいなあ」
「ちょっと待ってニケくん、二つの月って?」
「え? ――あれ!?」
ニケは再び顔を空に向ける。ククリも窓に駆け寄り、空を見上げた。
見たこともない、赤と青の月が輝いていた。
「月が二つある……?」
「そんな、まさか――!?」
「あんた達、何言ってんの?月が二つあるのは当たり前でしょ?」
ニケとククリは気付いてしまった。ここは単に遠い大陸なだけではない、異世界だと。
「ルイズさん。あたしたち、ちがう世界に来ちゃったみたい。前は黄色い月が一つだったの」
「え? ちがう世界?」
「これだけやったのに、あのギップルが出てこないんだから、間違いない」
「ニケくん、どうしよう? 帰り方も分からないし」
「うーん……とりあえず、使い魔ってやつになっておくしかないんじゃないか?
旅に出るにも、行くあてがないし」
「別の世界から来たってのは信じられないけど、とにかく使い魔になるのは認めたのね?」
「言っておくけど、一生こんなところにいるつもりはないぜ?
帰り方が分かったら帰るからな」
「そんなの無いって言ってるでしょ! とにかく、今日は疲れたからもう寝るわ」
ルイズはそう言うと、服を脱ぎだした。
「お、おぉ!」
「見ちゃダメ〜っ!」
突然の出来事に目を見開くニケの後頭部に、杖による会心の一撃が入った。
ルイズはニケに向かって脱いだ服を投げ、ネグリジェを着る。
「朝になったら起こしなさい……それと顔を洗う水の用意も……
ククリ、あんたはベッドに入ってもいいわよ……」
そう言いながらベッドに入ったルイズは、すぐに寝息をたてた。ククリはルイズに従い、ベッドの空いた場所に入る。
(もし「お姉ちゃん」がいたら、こんな感じなのかな?)
483 :
魔法陣ゼロ:2008/10/15(水) 23:37:42 ID:YA5oE4yi
〜〜〜
そのころ、ククリたちが行方不明になったとの知らせを受けて、闇魔法結社は大騒ぎになっていた。
天界や魔界にも彼らの気配は無く、ギリが復活しククリ達を襲ったのではないかという憶測も、真実味を帯びていた。
新たな魔王が、それもギリよりも強力な魔王が誕生したのだろうと考え、悲嘆に暮れる者もいた。
しかしそんな中で、ギップルは彼らの生存を確信していた。
総裁の部屋にギップルが出現し、報告する。
「さ、さきほど、勇者さんが何かクサイことを言ったような気がしましたっ! 発言内容は分かりませんが、間違い無く勇者さんです。
単に遠いだけではなく、どうやら別の次元というか、違う世界というか、そんな感覚でした」
「でかしたぞギップル! では、プードル3号の勇者探知器を使うのじゃ!
おぬしの能力と組み合わせれば、勇者とククリ様の居場所が分かるかもしれん!」
総裁の命により、プードル3号にギップルを接続するための改造が始まった。少し前までは諸事情により指示しかできなかったが、今回は総裁も積極的に手を出している。
その夜、闇魔法結社の明かりが消えることはなかった。
484 :
魔法陣ゼロ:2008/10/15(水) 23:39:11 ID:YA5oE4yi
以上、第三話終了です。
乙!
流石ギップル、時空の壁もなんのそのだな。
公式でオヤジも復活したことだし、続き大いに期待しています。
乙&GJ、ギップル凄げぇw
>>475 ボスが全回復というとメタルマックス2のテッド様の「まんたーんドリンク!」だな、あれには絶望した…
でも装備とアイテム次第で楽に倒せたりもするのが面白い。
魔方陣の人、乙であります。
しかし、これって絶対こいつらがゼロ魔世界に来るフラグだよなぁ……
ってことは、あのおやじも来るのかも……いや、絶対来るな……
そうなるとルイズがキタキタおやじの踊りに『感染』する可能性が……
逃げてーーーーーーーー!! ルイズ逃げてーーーーーーーーーーーー!!!
勇者『ああああ』の『はずかしの拳』があれば、万事解決!
ところで、一話あたりの長さってどれくらいが適切なんでしょうか?
気分で区切ってたら、一話あたりの進行が遅い気がしたので。6話まで書いたところで、やっとギーシュ戦前の昼食まで行けた。
このぐらいで問題ない、ですかね?規制されると面倒だし。
オヤジは既にテファに呼ばれてしまっているという悪い予感が……w
>>486 たしかに、デッド・ブロイラーはシャレにならなかったな(滝汗)
よく、モヒカン・スラッガーでポチが集中的に狙われてものだ・・・
492 :
虚無と金の卵:2008/10/16(木) 00:02:52 ID:gaNfMpu2
乙!
ギップルの予感は時空を超える。
そしてテファにトラウマ与える気かw
予約無ければ0:10くらいに「虚無と金の卵」投下させて頂きます。
投下とあらば支援せざるを得んな!
支援
ギーシュが決闘を持ち掛けられた頃、学院室ではコルベールとオスマンが、顔を付き合わせるように話し込んでいた。
「……始祖ブリミルの使い魔『ミョズニトニルン』に行き着いた、というわけじゃね?」
オスマン学院長は、コルベールが描いた、ウフコックの額に現れたルーン文字のスケッチをじっと見つめた。
「そうです! あのネズミの額に刻まれたルーンは、伝説の使い魔『ミョズニトニルン』に
刻まれていたものとまったく同じであります!」
「で、君の結論は?」
「あのネズミは、ミョズニトニルンです! これが大事でなくてなんなんですか!」
「ふむ、確かに、ルーンが同じじゃ。ルーンが同じということは、かのネズミが
『ミョズニトニルン』になった、ということになるんじゃろうな」
「どうしましょう」
「しかし、それだけで、そう決め付けるのは早計かもしれん」
「それもそうですな」
オスマン氏は、悩ましげにコツコツと机を叩く。
悩ましげな沈黙の中、ドアが控えめにノックされた。
「誰じゃ?」
扉の向こうから、ミス・ロングビルの声が聞こえた。
「私です、オールド・オスマン」
「なんじゃ?」
「ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がいるそうです。大騒ぎになっています」
「まったく、暇を持て余した貴族ほど性質の悪い生き物はおらんわい。
で、誰が暴れておるんだね?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」
「あの、グラモンとこのバカ息子か。おおかた女の子の取り合いじゃろう。相手は誰じゃ?」
「……それが、メイジではありません。ミス・ヴァリエールの使い魔の……鼠が決闘を持ちかけたそうです」
オスマンとコルベールは目を見合わせた。
「教師たちは、決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可を求めています」
オスマンの目が一瞬、鋭く光る。
「アホか。たかが子供の喧嘩を止めるのに秘法を使ってどうするんじゃ。放っておきなさい」
「わかりました」
「というかネズミ相手に決闘……本当にアホじゃな」
ミス・ロングビルが去る足音を確認してから、コルベールは尋ねた。
「オールド・オスマン」
「うむ」
オスマンは杖を振るった。大鏡に、ヴェストリ広場の様子が映し出される――。
仕切り直し/男女の痴話喧嘩から、貴族と紳士の決闘へ。
「先ほど見せた通り、青銅のワルキューレを操るのが僕、青銅のギーシュだ。
先ほどは一体だけ出したが、そんなのは僕の魔法の片鱗に過ぎない。謝るならば今のうちだ。
……というか、どうか謝ってくれないだろうか」
香水の瓶から始まった騒動から時間が経ち、流石にギーシュも落ち着いてきたらしい。
鼠相手の決闘という状況に自己嫌悪を抱いていた。
「加勢はありよねー?」
「そうよ! ネズミと決闘だなんて本気でやるつもり!?」
キュルケとルイズは、ウフコックを慮って助け舟を出した。
流石に人対ネズミともなれば誰しも判官贔屓になるようで、ギーシュを非難する空気が出来上がりつつある。
「いや駄目だ」「うむ、その通りだ。加勢を認めよう……って、え?」
ギーシュの言葉を待つまでも無い、ウフコックの鋭い拒否。
その言葉に、ギーシュも、集まってきた聴衆も驚いた。
むしろ困ったのはギーシュであった。
加勢相手にやられたならば、1対2で負けたということで、さほど名誉に傷は付かない。勝ってしまえばなお良い。
そもそも、ネズミ相手に本気で決闘/勝利――導き出される結論。不名誉以前に、とてつもなく大人気ない。
大体、勝つにしても、ネズミ相手の手加減がひたすら難しい。
痴話喧嘩から発展して使い魔を殺すなど、当然の如くギーシュは勘弁してほしいと思っていた。
「な、なぁ、君、ウフコックといったか……その、無理せずとも良いんだぞ?
決闘なんて、ルールなどあって無いようなものだ。怪我をすれば自分の責任、さらに言えば死に損だ。
だから代理人を立てたり、介添人が加勢したりするのはよくあることだ。僕の方は全然構わないから、頼むよ」
「相手を気遣う前に、自分の心配をすべきだ。俺もそうしてきた。そうして自分と仲間のために敵と戦ってきた」
ごくり、とギーシュは息を呑んだ。
そして小さな鼠に圧倒されているのでは、という疑念をギーシュは頭から振り払う。
「何を勝手に話を進めてるのよ! 第一、どうやって戦う気よ! いくら『変化』が使えるからって……、
戦えるかどうかってのは別問題じゃない!」
「その通りだ。
ならば戦うための『変化』をすれば良いだけだ。それに……」
ウフコックはギーシュに向き合う。
「ギーシュ、君には悪いのだが、俺にはこの決闘が必要なんだ。どうか手合わせ願えないだろうか」
ウフコックの何のてらいも無い言葉に、ギーシュは言葉を返せない。
ウフコックのその意思、その有り方を知る由もなかった。
「では始めようか」
「……しかたあるまい、恨むなよ?」
冷やりとする沈黙が場を包む。
互いに撃鉄を起こす行為――ギーシュが杖を振るう/ウフコックの反転変身。
等身大の青銅のワルキューレの出現/広場の土に差し込むように立った、堅牢な砲台の出現。
ワルキューレが単槍を構える/鋼鉄の脚の上の砲筒が狙いを付ける。
決闘相手に引鉄を引くように激突――するはずであった。
「……え?」
穏やかなヴェストリ広場に似合わぬ鋼の音が響く。
聴衆からは酷く混乱した匂い。ギーシュからは目の前の現実を拒否する匂い。
ルイズとキュルケは、事態が深刻になる前に割って入るつもりで杖を構えていた。だが、何かがズレている。
誰もが、事態の発展=ウフコックの危機、と思い込んでいた。
「ちょ、ちょっと、ウフコック! 何なのよそれっ!」
「さて、では覚悟は良いか」
「いや待て待て! そ、それは無いだろう!」
ギーシュの言葉は、この場にいる聴衆のほとんどの心の声を代弁したと言っても過言ではない。
この世界にも大砲はある。
基本的には、城や船に備え付けられるような大型のものだ。
それよりは小ぶりだが、その威力はメイジでも決して侮れない。
ドットメイジの作った青銅のゴーレムが、果たしてその火力に耐えられるか。
ギーシュの焦燥――防御のためにワルキューレをさらに呼び出す。6体を自分の前方に集め、初撃を防ぐ。
「そう出るだろうとは思っていた」
ぱしゅっ、と気の抜けたような音を立てつつ、黒い球のようなものがギーシュとワルキューレの上に届く。
彼らの戦いを見守ってみた者、そして当の二人はそれを見上げ、そして黒い球は四散した。
ウフコックが変身したのは暴徒鎮圧用の大型ネットランチャー。
広範囲に、青銅の槍ではまず切れそうも無い合金製の網が広がり、狙ったものを確実に捕獲。
網の中でもがけばもがくほど網は絡まり、ギーシュとワルキューレの身動きを封じていく。
結局、最初の一発を放つまでの数秒で片が付いたも同然であった。
ひたすらもがくギーシュ――ワルキューレ以外に攻撃手段を持たぬドットメイジに、脱出する手段など当然無い。
ギーシュが網の下で落ち着くまで十二分に待ち、ウフコックは尋ねた。
「さて、今から実弾で狙っても良いのだが。負けを認めるか?」
「……何がどうなってるかさっぱりわからんが……。多分、僕の負けだ」
「――その、オールド・オスマン」
「ううむ」
「色々と言いたいことはありますが、なんですかあの決闘は」
「……コメントは控えよう、コルベール君」
妙に重く、こそばゆい沈黙がオスマンとコルベールを包んだ。
「……おほん。しかし、あのネズミが砲台に化けましたが、『変化』とは違う魔法でしょうな……」
「そうじゃな。
『砲台』が『網』を放った……つまり、『変化』し、そして『分離』したということじゃ。
しかも、土や石を変化させたわけではないから錬金とも違う。
まるで……別の世界から物を召喚したかのようじゃわい」
「そしてあのような道具は見たこともありません!
ミョズニトニルンは、あらゆる知識を溜め込み、ブリミルに助言をしたと言い伝えられています。
……私も研究者の端くれ、一目見ただけでわかります。あの砲は我々の及びも付かない複雑な仕組みでしょう。
きっと、ミョズニトニルンの知識の賜物に違いありません!
早速王室に報告して指示を仰がなくては!」
逸るコルベールだが、オスマンは重い表情を崩さなかった。
「いや、あれと似た道具は見たことがある」
「何ですって!?」
「……『破壊の杖』じゃよ。あの砲台の脚が無ければ、作りが何処となく似ておる」
「おお、そう言えば確かに……!」
「……しかしわからんのう。
そもそも、あのような金毛のネズミなど、見たことも聞いたこともないわい」
「そうですな…ルーンこそわかっても、それを付与されたネズミが何者か、見当も付きません。
図書館の如何なる文献、図鑑を当たっても無しのつぶてでした……」
「しかも、その謎めいたネズミを召喚したのは、ミス・ヴァリエール。
その、なんだ、座学は熱心なようじゃが、優秀なメイジとは言えぬ成績じゃし……。
ともかく」
咳払いし、オスマンは溜息混じりに言った。
「王室のボンクラどもに知らせては、またぞろ戦でも引き起こすじゃろう。
アカデミーに知られたら生きたまま固定化されるか、解剖される運命じゃわい。
……この件は儂が預かる。
何とも謎が多すぎるわい。他言無用、軽挙は厳に慎むようにな」
「は、はい! かしこまりました!」
オスマンは杖を握ると窓際へと向かった。
遠い歴史の彼方へ、思いを馳せる。
「しかし、伝説の使い魔『ミョズニトニルン』か……一体どんな姿をしておったんじゃろうな」
「あらゆる知識を溜め込み、始祖ブリミルに助言をしたとのことですから……」
「ふむ」
「とりあえず頭と口はあったんでしょうな」
ウフコックはルイズと共に自室に戻ると、自分用のベッドにごろりとひっくり返った。
仰向けに寝転がって四肢を投げ出す、とても野生動物とは見えない寝相を見せる。
――ギーシュの件は、自分の介入で混乱をさらに悪化させたのではないか。
決闘の後、ウフコックはそんな悩みをルイズに零していた。
「はぁ、もう少しスマートに解決できれば良かったんだが……」
「良いじゃない、ギーシュには良い薬よ。五体満足なんだし、こちらが文句言われる筋合いなんてないわよ」
ちなみに、意気消沈したギーシュの介抱は、ギーシュを取り巻いてた男子連中が買って出た。
当事者が教師陣に捕まれば面倒ごとになるのは誰しも理解しており、場を収集するのは容易かった。
ルイズとウフコックに出来ることは早々に退散するだけであり、いち早く寮の自室に逃げ込んでいた。
「でも……。何よあの隠し玉?」
「……俺は自分の居た研究所で、色んな道具への変身を覚えこまされたんだ。
今日変身したのも、その一つだ。
ああいった大砲や銃の類は……もしかして、とても珍しいのか?」
「うーん……少なくとも、あんな精巧なものは無いわ。貴方の世界だと、あんな道具が普通にあるの?」
「ああ。種類も数もたくさんある。
――もっと言えば、君らの魔法並の威力の銃ならあるだろう」
「……はぁ、貴方の世界って、やっぱり想像を超えてるわ」
「やはりそうか……あの姿は、見せるべきではなかったかもしれないな」
「ま、過ぎたことは仕方ないわ。。知りたがりや、首を突っ込みたがる人はどこでも居るだろうけど……。
まあ、少なくとも主人としては好きにさせたりはしないから」
「ありがとう、ルイズ……」
そう言ったままウフコックは、手を胸の上で組み、呆然と中空を見上げていた。
緊張からの開放、戦いの疲労――未だ動悸が治まらないのをウフコックは感じた。
今日の出来事が目まぐるしく思い出され、目が冴えて一向に睡魔が訪れない。
その過敏になった神経に気付いたのだろう。
労わるような、面白がるような、子悪魔的なルイズの声。
「ねぇ、ウフコック。貴方、本当は怖かったんでしょ?」
「……」
「別に馬鹿にしやしないわよ」
ルイズはおいで、と手を差し出した。
ウフコックは気だるげなまま、むくりと起き上がり、ルイズの小さな手の上に載る。
ルイズはウフコックを片手に乗せ、そっとその小さな背中を撫でる。
その感触――郷愁すら感じる手の平の温もり――に、ウフコックは身を委ねた。
やがて、ぽつり、とウフコックは話し始めた。
「……その、俺は、一人で戦ったのは今日が初めてだったんだ」
「本当?」
「ああ。俺自身が道具であり、武器だったから、誰かの手に握られて戦うことが常だった。
言うなれば、俺は君らの言うところの杖や剣であって、その用途は使用者次第だった。
使用者は自分がこれと決めた人だったが……決めたあとは、全て任せていたようなものだ」
「相棒が居たって話?」
「……ああ。だが、それではいけないと気付いたんだ。
俺は……街で仕事に就いたときに、弱者の楯になると決めた。
だから俺は、使い手を選ぶだけではなく、使い手の使い道について納得しなければならない。
あるいは逆に、道具である俺自身が使い手を助け、導くことだって、今後あるかもしれない」
「……そう」
「それで今回は、踏ん切りを付ける、良いチャンスに思えた。
一人で闘いを挑んだり、誰かを先導したりする第一歩として。
勿論、あのメイドが虐げられそうだったことや、俺や君が侮辱されたことが何よりの動機だが。
だが結局、便乗したことに他ならない。……正直なところ、ギーシュにはとても悪いことをしたと思っている」
ルイズに体重を預けつつ、ふう、とウフコックは溜息をつく。
「ま、大丈夫よ。ギーシュは大の付く馬鹿だけど、そんなネチネチしてないし立ち直りも早いからね。
……でも」
背を撫でる手の平が少し硬くなり、ウフコックは身構える。
「一人で戦うとか、そんな悲壮なこと考える前に、一言くらい相談してくれたって良いんじゃないの?」
「う……」
ルイズはジト目でウフコックを見つめつつ、ウフコックの額を指で軽く突っつく。
ウフコックは呻きつつ甘んじて受ける。
「そりゃま、相談できないときだってあるかもしれないけど、一人で何でもかんでも、できるわけじゃないでしょう?」
「……全く持って、その通りだ」
「それに、貴方を頼りにする人も居れば、貴方を心配する人だって居るんだから。
迷惑をかけるのを怖がってたら独りになっちゃうわよ。
……それとも何よ、貴方のご主人サマは相談も憚られるほど頼りないワケ?」
「……す、すまなかった」
「ま、でも今日は、貴方の勇気に免じて許してあげるわ」
「……ルイズ?」
そしてルイズは手にのせたウフコックに顔を近づけ、ちゅ、と、その小さな額に口付けを与えた。
契約ではなく、信頼の証として。
501 :
虚無と金の卵:2008/10/16(木) 00:26:22 ID:gaNfMpu2
投下終了。ありがとうございました。
次は時間を空けて、来週末くらいに投下予定です。
>>236 相棒、期待に沿える出来だと嬉しいんだぜ。
ちなみに一度フリントでプロット考えたけど無理だった。
鼠乙
これはウフコックの成長物語でもあるのかー
金の卵の人乙でした
決闘シーンは読んでて唖然としてしまった。
そして、なんときれいなルイズw
ネズミ乙です。
ミョズなのか。てっきりガンダで使い手がパワーアップするのかと。
>>501 カトル・カールのメンバーはまともな台詞がないからほぼオリキャラ化しそうなのが難点・・・。
まだ畜産業者どもの方がなんとかなるのかねー。
ベリアルやハーゴンはベホマ使ってたよな?
乙でした。
ウフコック可愛いよウフコック。
そういやロックマンシリーズはロックマンゼロしか召喚されてないのね。
あの酒とピアノがやけに似合う男(レプリロイド)を誰か召喚しないものか…
ネズミ乙です
遅レスですが前回の
>あんたのにやけ面が跡形も無い爆心地になるわよ
この表現が妙にツボにはまりましたw
>>505 DQは知らぬが、カオスエンジェルズのラスボス「モンスター」は体力が減るとEXHEALの呪文(体力がたくさん回復する呪文とは賢者ハーンの言葉である)使う。
まあ、二枚刃の剣を装備して、バブリースライムの能力で分裂し、ハーピーの能力で2回攻撃をすれば、一撃で死ぬから割とどうでもいいのだが。
フリント召喚は・・
カトルカールだと唯一可能なとこかww
カトルカールって女の子だったら萌えキャラだよな……
そう思っていた時期が、俺にもありました
ホーニーはおにゃのこだったよな?
>>505 そんなのかわいいほうだ。
やっと倒したと思ったら、事前に呼ばれていた悪魔神官にザオリクでミルドラースを蘇生されたときには愕然としたぞ。
つか下級モンスターが大魔王を生き返らせるってなんだよ!
名前が残ったまんまだった\(^o^)/
Janeのバカ。
>>506 ロックマンXシリーズからシグマウイルスを召喚。
レプリロイドがいないので終わり。
ガーゴイルでどうにかなるだろうか。
6のデスタムーア最終形態で頭を潰して勝ったと思ったら、戦闘終わらなくて、残った右手にザオリクかけられた事は有る。頭が無くても平気な辺り魔王は凄いな
でもモンスターズのデスタムーア第二形態はザキ有効。即死するラスボス
>>505 ベホマしてくんのってシドーじゃなかったっけ?
そういや竜王って、Vで出てくる竜の女王の子孫って噂あるよな。公式には如何だか知らないけど。
でも、そうだとすると竜王って属性的には光に属すんだろうか?
つ『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』
まぁ、世の中には
・事前準備の時点でミスると、最初の一撃で全員殺す。
・最初っから、一回のみHP全快魔法を使うことが決まってる。
・手順ミスると何度殺そうが、取り巻きが無限に復活させる。
なんてボスもいたりするし。
某アバタールチューナーの隠しボスとか某ペルソナ3のエレベーターガールとかですねわかります
いやまじであいつらはひどいw。
とりあえずドラクエだとファミコン版DQ2のシドーが最悪。
ローレシアの王子しかダメージ与えられないし炎一発で後の二人死ぬしベホマ使うし。
ローレシアも通常攻撃2発で死ぬからムーンブルクの回復魔法は必須。
でもHPは250しかないので最大までレベル上げれば割と何とかなる。
スパロボの「ど根性」使ってくるボスキャラとか、フラグ立てないと1回倒した後
復活してくるボスキャラもうざいよね。
万能鼠乙。……また、支援が間に合わなかったか。
というか破壊の杖に足があるのか。もしや犠脳(ry
>>523 Rでのあやまちさん家の家族愛も中々に厄介。
タクティクスオウガよりデニム召喚
デニムじゃなくてデネブだったら、お供のかぼちゃが増えるのに比例して学院の男子生徒が減っていく事態ががが
TOも火、水、地、風の属性分類があるけど、
だいたいが神や精霊の力借りて魔法行使するからどちらかというと先住魔法に近いか。
ガンバの冒険から白イタチ「ノロイ」を召喚
・・・オスマンピーンチ。
実際あれほど絶望感とカリスマのあるボスキャラは少ない。
>>530 たしかに、ごく自然にノロイ『様』と呼んでしまうw
あとはダイノガイスト様とかだなw
でもルイズから見ると、ただのイタチw
俺がトラウマになりかけた悪役といえば、ヤマトよ永遠にの聖総統スカルダートだな、あの皮をはいで本性を現すシーンはきついわ
>531
ハート様にジャギ様を忘れてもらっては困るな
>>531 シーマさまにハマーンさま、あとラクスさまかな、敬称を付けずにはいられないのは
ラクスさま呼んでしまったら・・・・・・・・やっぱラクスさまの名がブリミルを超えてしまうんだろうなぁ
>>534 わたしがはっきりきっぱりトラウマになったのはやっぱアリシアとヨyうわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp;@:「
デニムだとワルドやジュリオに説得されて裏切りそう。
もしくは我とか信念とかを通してお尋ね者に・・・。
いや、デニムだとお姉さんが次元の壁を愛の力で超えてくる
そして愛のあまりにデニムを殺そうとする
>>536 嫁補正がないラクスなんてただの電波女じゃ(ズキューン!!)
ふと、ビッグデュオ・インフェルノ召喚というのが浮かんだ。
……やっぱり、YE GUILTY で取り込まれるか
>540
むしろシュバルツバルトを召喚してタルブでビッグデュオ発掘、コッパゲと一緒にくるくる回っているのが…
教皇が召喚した「語る事さえはばかられる使い魔」ラクス・クライン(おまけのキラ付き)
「あなたの歌声でハルケギニアを一つにしたいのです、力を貸してくださいますね。
なに、あなたの歌声に従わない輩なんか問答無用で殲滅おっけー」
「わかりましたわ 世を一つにするとはなんとすばらしい理想です」
「ラクスの言う事を聞かないなんて許せないじゃないか」
ハルケギニア全てを覆い尽くさんとするラクス達に立ち向かうのはガンダールヴとなったシン・アスカ。
「どうでもいいがなんでアンタらが手貸してくれるんだ?」
「我が主の命よ。歌なんかで世界から争いがなくなったらつまらないんですって」
「我等の多くもあの蛮族の歌に惑わされ自ら思考を止めてしまった。
自分で考える事をしようとしないなど蛮族にもおとるわ」
「よし、行くぞ!」
あれ、けっこうちゃんとしたSSになるな
気のせいかもしれんが
>>541 シュバルツ召喚・・・・・・・・・
謎覆面「ルイズ、なっちゃあいない!お前はまったくなっちゃあいないぞ!」
ルイズ「お姉さま?」
こうですか?わかりません
>>543 サンライズのシュバルツ違いです。
本当にありがとうございました。
アイアンコングの人だな>シュバルツ
どうしてだろう。シュバルツ召喚といわれて、タイガージョー(リベルクロスは全年齢)を思い出してしまったのは。
……タイガージョーの技の伝授法は、実際に受けて覚えろ、と言うものだったしなあ。
カトキ氏(うじ)を召喚。
みんなFIX!される。ギーシュとジョゼフが大喜び。
伝説巨神を召喚!
虚無は無限力だったんだよ!!
エクスプロージョンのかわりにスーパーノヴァ
>546
流石にタイガージョーは女子供に手はあげないだろ。
そういや主人公の妹の声優がくぎゅだったな。それにしても全年齢版は声優が豪華すぎる。
スネークとオタコン、セイバー、なのはの中の人もいるし。その他にも著名な声優ばっかで元がエロゲとは思えん。
552 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 14:57:40 ID:FTEGISYM
そういえばキングダムハーツのソラが召喚されたSSがあったと思うんだけど知らないかなぁ?
テファがビッグボス召喚
近所の森で子ども達とほのぼのサバイバル
>>545 少佐で呼ぶか大佐で呼ぶかそれが大きな問題だ。
え? 大差ないって?w
大佐だけに大差ないってか?つまんねーよ!!11
≫538
ヤンデレの元祖ってデニム姉(名前忘れた)なんだろうか?
俺の知る限りTOの電波姉カチュアと学校であった怖い話の魔王こと岩下明美が最古だな。
>>548 ビーストウォーズのキャラって結構当たりだよな。
つーか、トランフォーマーが当たりなのか。
ヤンデレ……ダブルキャストは?
とか思ってたら、主人公の探偵に近づく女を片っ端から殺しまくる幼女が出てくるレゲーがあった記憶が……何年前だ?
>>559 ダブルキャストはヤンデレというか題名の通りじゃまいか。
ジェノサイド編のBADENDで一瞬映る顔にはガクブルしたな…
ヤンデレと聞くと六条御息所を思い出すのは俺だけだろうか。
>>562 部長見捨てちゃ駄目だよなw
あの緊迫感の中でドアノブが照れてる?の選択肢には爆笑した。
ヤンデレの最古ねえ…
イザナミノミコトとか?
帝の求婚に心引かれながら月に帰っていくかぐや姫はヤンデレじゃないけどツンデレかもしれない
S県月宮
ノエインの人遅いな・・・
まさか居なくなった?
俺のヤンデレ初体験は山岸由花子
今から十五年ぐらい前だったかな・・・
ジャンプ読み始めた頃でそれまで
活発か御淑やかな女の子しか出てこないアニメしか知らなかったから
凄 ま じ い 衝 撃 だ っ た
しかしあの時代からヤンデレというジャンルを確立してたと考えると荒木スゲーな
吸血鬼だしな、人生経験が違うんだろう
ヤンデレと言えば山田風太郎「妖異金瓶梅」の潘金蓮だな
作中彼女が発露する狂気の全てが、一人の男に対する愛情のためってのは鮮烈だった
ヤンデレキャラなんて昔から大勢いると思うんだけどな。
レ・ファニュの吸血鬼カーミラのカーミラも(百合)ヤンデレといえなくもない。
主人公である令嬢の命を吸いつつ、その傍らでは熱烈な愛を囁いている。
令嬢の頬を舐め回しつつ「あなたはわたしのものよ。きっとわたしのものにしてよ。
わたしとあなたはいつまでも一つのものよ」と囁くシーンがある。
「一番最初に○○したのは」って、言い出すと大体神話に落ち着くよね
もしくは韓国
神話のヤンデレと言えばアナトは外せない
ヘラ様はヤンデレカワイイ
小ネタを一個投下してもいいですか?
召喚キャラは最後の落ちで
召喚できなそうというか召喚しても話しにならなそうなヤンデレばかり名が挙がっているようだ。
予約などもなさそうなので、投下させていただきます
奇妙な男だった。
全身が銀色の男だった。
イザベラの、自らが召喚した使い魔に対する率直な感想はそれだった。
男というのは正しくないかもしれぬ。
何故かといえばイザベラはその男を最初に見た時、人とは思えなかったからだ。
ある意味でそれはあっている。
何しろ、男は『人間』ではなかったのだから。
人の形を模しただけの命なきもの。ゴーレムかガーゴイルの一種だと、イザベラは判断した。
でも、それは誤りだった。
男は、れっきとした生物だったのだ。
広い意味では、人間ではないが、人ではあった。
その背丈や、異様に細い手足からして、屈強というには程遠かった。ラインどころかドットクラスの土メイジの作るゴーレムにさえ秒殺されそうな外見だった。
が、それも誤りだった。
男は、恐ろしく強かったのだ。
奇妙な格闘技を習得しており、トライアングルのメイジさえ問題にしなかった。
何よりも、いかなるメイジにも、たとえ伝説の虚無さえ使えぬであろう恐るべき技を持っていたのだ。
イザベラは使い魔を自分の第一の家来とし、シュヴァリエの称号を与えた。
実際それに見合うどころか、それ以上の実力の持ち主であった。
そのきっかけは、イザベラが暗殺されかけた事件にある。
気まぐれから遠出の旅行をしていたイザベラは、数人のメイジに急襲された。
「簒奪者め、天誅!!」
そんなことを口走っていたことから、おそらくオルレアン派の生き残りであったのだろう。
日頃から人望のないイザベラは、あっという間に侍従たちに置いて行かれ、殺されかけた。
しかし、そこを救ったのが使い魔である。
メイジの魔法など苦にもせず、瞬く間に暗殺者たちを消し去ってしまった。
殺したのでも、捕らえたのでもなく、文字通り消し去ったのだ。
このことから、イザベラはすっかり使い魔に心酔してしまい、使い魔もそれに応える活躍ぶりを見せた。
ある時は吸血鬼退治、ある時は翼人との交渉、ある時は怪物ミノタウロスを片づけてしまった。
人間安心すると余裕が出るものらしく、プチ・トロワではほとんどぼ暴君だったイザベラは、段々と丸くなり、侍従たちも安心して仕事ができるようになっていった。
しかし、時代のうねりは大きくなり、イザベラたちを飲みこもうとしていた!
イザベラの父、ガリア国王ジョゼフの暴走により、ガリアは戦火にさらされ、それに伴ってオルレアン派が蜂起した。
濁流のように動く時流の中、ジョゼフが命を落とし、イザベラの住むプチ・トロワも敵兵に囲まれてしまった。
だが、イザベラを捕らえんとプチ・トロワを襲った者は、誰一人として帰ることはできなかった。
そう! イザベラの使い魔に消されたのである。
事態を察知し、ことが大きくなる前にイザベラを捕らえようと、オルレアン公の遺児シャルロットに忠誠を誓う騎士・カステルモールは数人の仲間と共にプチ・トロワに向かった。
しかし、彼は自分の選択を永遠に悔やむことになる。
「カステルモール!! この、蝙蝠野郎、さんざんあたしにおべっか使って、今度はシャルロットに忠義づらかい!?」
イザベラは罵声をもってカステルモールたちを迎えた。
「黙れ、無能姫! 全てはシャルロットさまのため、仮面をかぶっていたにすぎぬ!」
カステルモールはわなわなと震えるイザベラをせせら笑った。
そこへ、イザベラの使い魔が主人を守るように進み出てきた。
その珍妙な姿に、騎士たちは思わずあっけにとられる。
「お前らにも言い分はあるだろうが、私は騎士の位を受けた者としてイザベラ姫を守る義務がある。早々に立ち去るなら誰も犠牲にならずにすむぞ」
カステルモールは、それに杖で答えようとしたが、呪文を唱え、杖を振る前に、使い魔の両手が利き腕と口を封じ込めていた。
「お前らメイジの弱点はすでに研究済みだ。百人こようが千人こようが私の敵ではない」
使い魔は瞳のない目でニヤッと笑うと、ちょうどスリッパか何かのような形状の自分の胴体へ、カステルモールを押し込んだ。
そして自分の体についている突起をぐいと押す。
とたんに使い魔の胴体の中を水が流れ、そればかりかカステルモールを吸い込んでしまった。
いや、流し込んでしまった。
その光景に、騎士たちは絶句するばかりだった。
「あははははははは! いいよ、ベンキマン! そいつらみんな流しちまいな!」
「了解した」
ベンキマンはニャリと笑い、脅える騎士たちに近づいていった……。
*キン肉マンより、ベンキマンを召喚
>>577 ヘラ様はツンデレだろw
主にヘラクレスに対しての
>>579 でもまともに会話できるヤンデレってどうなのよw
召還されて状況把握したとたん愛する人がいる世界に戻せと
ルイズの首を絞めるようなのがヤンデレだろw
マスターベンキマンwww
>>581 銀色っていうからシルバーサーファーだと思ったじゃないかwww
二日でもう500越えか・・・
このスレすげえな・・・・・
なんというベンキを……
俺はペプシマンかと思ってた
>>569 山岸由花子はプッツンデレって言ったほうがしっくりくる
俺的にだけど
代理投下参りますが宜しいですか?
当方に支援の用意あり
参ります
=====
「ふん…みすぼらしい格好だな、ルイズ。なぜそんな格好をしている。」
「みみみみ…みすぼらしい…。だ、誰のせいだと思ってんのー!!!」
これでもかというくらいの大声で怒鳴りつけてくるルイズ。
流石の海馬もこれには気圧されたようだ。
ふん!と腕を組み原因を告げるルイズ。
「どっかの誰かさんが呼び出した巨大竜の攻撃のおかげで、周りを囲んでいた生徒及びいっしょにいたミス・ロングビルが
爆風で吹っ飛ばされたのよ!
私やシエスタ、ミス・ロングビルはまだ良い方よ!大怪我ってほどの子はいないけど、今医務室は大混雑よ!大流行よ!大集合よ!」
ぜー…ぜー…と肩で息をしながら叫ぶルイズ。
それにミス・ロングビルが言葉を繋いだ。
「結果、怪我人多数。医務室の在庫では薬が足りず、現在町へと使いを出しています。
今ここにはありませんが、苦情が、ミスタ・海馬およびその主人であるミス・ヴァリエールと、学校側へと多数寄せられています。
学院長室の机の上にはその苦情文と薬を手配するための請求書。および、ヴェストリの広場修復のための請求書。
その他、本来今のうちに片付けなければならかった書類もろもろ含めて乗っかっています。
オールド・オスマン。これを今日中に片付けなければならないのに、貴方はどっかへといなくなる。
どうするんですか!?まったく!」
ロングビルもルイズに負けない声量で、オスマンに説明した。
だが、海馬とオスマンはといえば
「ふん、先に決闘などと言い出したのはあのボンクラだ。
俺に非など一切無い!よってそんな苦情など無効だ!」
と、海馬は一切聞く耳を持つ気が無く
「あれ…わしなんでこんなところにおるんじゃろー??ほほー」
などと、オスマンはボケた振りで逃げ切ろうとしていた。
だが、そうは問屋が卸さない。
ミス・ロングビルはオスマンの耳を引っ張り
「都合が悪くなるとボケた振りしないでください!さっさと書類片付けるんですからさっさと来てください!」
「痛っ!痛たっ!年寄りを虐待する気か?」
「知りません!さっさと来なさい!」
と、強制的に学院長室という名の死刑執行室へと連行していった。
「さて…部屋に戻るわよ。話はそこで聞くわ。」
むっとした顔でルイズは言った。
だが海馬は
「悪いが、これからコルベールと少し話がある。話は帰った後で…」
と、言いかけたところで強引に腕をとられ強引に部屋まで引きずられた。
「いいから!あんたは私の使い魔でしょう!さっさとこっちに来る!」
「ぬおっ!なにをする!?」
本当はさっきのロングビルのように耳をつかんでやりたかったが届かなかった。
一体あの小さい体のどこにこんな力が隠れているのだか。
そうして引きずられていく二人を、コルベールはただ見守るしかなかった。
バタン!
せっかく治ったばかりの扉だというのに、早速壊れるんじゃないかというような強い力で扉は閉められた。
ルイズはベッドに腰掛け、口を開いた。
「とりあえずはお疲れ様。まぁ、あんたが負けるとは思ってなかったけど。」
「当然だ。あのぐらいの相手なら造作も無い。」
ふふん、鼻を鳴らす海馬。
その対応にむっとするルイズ。
「で・も!少しは回りのことを考えなさい。あの真っ白なドラゴンのブレスのおかげで、被害甚大なんだから!」
ブルーアイズのブレスは、周囲に抉った地面の破片を飛ばし、爆風の勢いをプラスしたその土は、一部の生徒に怪我を負わせた。
もっとも、ドラゴンが現れた時点で、危険を感じていれば…さっさと逃げておけばそんな被害を受ける事も無かったのだが。
支援
「ブルーアイズ・ホワイトドラゴンだ。」
「え?」
「俺のデッキの中で、俺がもっとも信頼する、白く美しく、史上最強のドラゴン。
それが、ブルーアイズ・ホワイトドラゴンだ。
名前くらいは覚えておけ。」
「へぇー…ちょっと見せ―――」
「だめだ。レアカードに傷がつく。」
あれだけ勢いよく引き抜いたり、バシッと音が出るくらいに叩きつけるようにデュエルディスクに入れたりしているのに傷とか…
などとはつっこんではいけない。
「……まぁ、いいわ。それで?先生達とは何を話していたの?」
「じじいの昔話だ。どうやらこの世界には、俺以外の俺の世界の住人が流れ着いた事があるらしい。」
「……?どういうこと?」
「30年前、じじいを助けた奴は、俺と同じデュエルディスクを持っていて、モンスターを召喚して助けたらしい。
そのデッキとデュエルディスクが、この宝物庫にしまわれていた。」
淡々と話す海馬に対し、聞いているルイズはとても驚いていた。
「ええっ!?じゃあ、それをつかえば、誰でもセトみたいにモンスターを召喚できるの?」
ルイズは、デュエルディスクを装着し、ブルーアイズホワイトドラゴンを召還して、
その上に乗っかり『なぎはらえー!』と叫んでで敵を一掃する自分を妄想した。
が、その妄想は即無効化される。
「いや。どうやらデュエルディスクによる召喚には相性と言うものがあるようだ。
結果、そのデュエルディスクとデッキはコルベールが預かる事になった。」
「え、コルベール先生に…?」
「不服か?」
んー…と納得のいかない顔をするルイズ。
「なんて言うか…微妙な人選と言うか…。ん?と言う事は、デュエルディスクがらみのテストなんかは、
コルベール先生のところでやるの?」
「そうだな。一人より二人の例があったほうが、より正確にルールがつかめる。
…と言っても、直接デュエルするわけではないがな。
この世界でそんなことをしたら間違ってどちらかが死ぬ可能性だってある。」
「…その可能性を考えてた上で、ギーシュとの決闘を受けたの?」
「当然だ。あの時は向こうからわざわざ実験台になりに来てくれたのでな。
奴が死んでも、向こうが勝手に吹っかけてきた事だと言い切れる。
まぁ、思ったほど芳しい成果は無かったがな。」
と、言いつつも、ギーシュに降参を持ちかけた辺り、無益な殺生は望んでいないんだろうな、などとルイズは内心思った。
「さしあたっては、これからデッキの説明なども踏まえてコルベールの部屋に行こうと思っていたのだが。」
「その前に、そろそろ夕食の時間よ。コルベール先生も食堂に来ているでしょうから、まずはそこからよ。」
そして、その日の夜。
コルベールと海馬のデュエル研究会に気づいたら混ぜられていたルイズは、朝まで徹夜となり、
早朝の時点での睡魔の襲撃に耐え切れず授業を欠席する事となった。
====
以上です。
短い上に誤爆すると言うミスで、失礼しました。
12話の頃には本スレに書き込めるといいなぁ…
代理投下終わり
社長の人、アクセス規制に巻き込まれたそうだ
社長乙
>でもルイズから見ると、ただのイタチw
ノロイの体長は通常のイタチの2倍か3倍ある(1〜2m)
すでに猛獣のレベル
でかいイタチの恐怖を描いた小説に「スレドニー・バシュタール」というのもある
>>595 作者だけでなくミス・ヴァリエールもお疲れ様でした。
でも使い魔の能力を把握しておけば後々指示を出しやすいから役立つと思うよ。
海馬社長は知らんけど現実世界の社長ってのはやたらパワフルでエネルギッシュな人が多いからなぁ。
睡眠1日3時間でずーっと仕事している人とか。
あー、戦争で200人以上迫撃砲で殺傷して3日後に生き返った社長とかね。
>>600 舩坂弘軍曹は社長以前に異能生存体であり、人間ではありません。
この人の遺伝子サンプルを取っておかなかった事が悔やまれます。
戦争は英雄という名の化け物をリアルで産み出すな。
またルーデルとヘイヘの話か
ベンキマンのひと、GJでした!
タイトル、はばかりのある……「はばかり」=トイレか……
読み終わってやっと気がついた。
社長の人も乙でした。これから読みます(リロードしたら投下されてたんで)。
605 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 20:44:38 ID:/ZaE8uag
>>530 >>531 >>533 >>598 確かに、ノロイが本気になったら人間でも殺されるだろうな。常人ではもちろん、多少武術を
かじっていても、あっという間に喉を食い破られて終わりだろう。
頭もいいし、コントラクト・サーヴァントの結果、人語をしゃべるようになったとしても驚かん。
なお、アニメの絵から見て、(ガンバがドブネズミだとすると)体長は80cmから1mくらいだと思う。
白の国アルビオンを汚した奴らは皆殺しですね
竜王ってまだ形態残しているんじゃないか?真 竜王という姿が。
「私は後一回変身を残している。」とか
ガンバはカピバラだったんだよ!!
ブルーアイズであれならアルティメットは・・・
マスターオブドラゴンナイト・・・はないか
コッパゲが発明を続けたらサイバーエンドとか出せるようになりそう
はいはい、どうせ俺の嫁である4人のかわいい霊使いはでてきませんね、分かります。
>>610 四人もいたら重婚だろ一人に絞れよ
俺は火霊使いな
このまま行くと、社長が見つけるであろうタルブの遺品――遊戯王の別シリーズのも含めると、何が出てくるのかが非常に気になる。
>>612 社長専用ブルーアイズジェット機というものがあってだな……
>>612 個人的にはブルーアイズ・シャイニングドラゴンの登場を願う
イタチよりオコジョ
キシャー
まさかの邪悪なる鎖
ほうかご百物語からイタチさん召喚、魔法学院が妖怪の住処に…
社長はブルーアイズ柄のパンツとか
ブルーアイズ携帯&ストラップとかブルーアイズ筆箱とか持ってそうだよなw
超遅レスなんだが久保の人、書き割り世界とは言え、半径一光年って狭くね?
太陽系から一番近いケンタウリでさえ4光年あるなら
作りものの恒星でもかなり狭い中に数多く設置しないと夜空満開の星空は埋められないかと?
ぎゅうずめ状態だと重力の影響で軌道が乱れそうだし、そこらへんどうなんだろ?
原作に夜空の描写無さそうなんだけど
>>615 しあわせソウのオコジョさんの番長編から呼ぼうぜ
冒険者たちからなら原作の方のノロイはどうかな。
つつかれまくって瀕死の重体になってるところから召喚できる。
モートソグニル大ピンチなのは変わりないだろうけどな
ここであえてシンクロドラゴンとか言ってみる
海馬が使いそうなチューナーといえは炎竜か、ガード・オブ・フレムベルかな。
>>610 ダルクはどうした?
ちなみに俺はエリアね。
風の聖痕から八神 和麻
「ああ?なんで俺様がお前のようなちんちくりんの奴隷にならねばならんのだ」
「う、うるさーい」
「まぁ雇うというのなら一日金貨一枚が最低ラインだな」
「な、なによそんなお金払えるわけないじゃない!」
「なら交渉決裂だな、こちらは一向にかまわん」
逃亡
そうっすか としか言いようがない
金貨1枚/日なら余裕で払えるだろ……。
エキュー金貨1500枚でそこそこの家屋敷が買えるじゃなかったかしら?
いっこうにかまわんッッッ!!
>>625 風の精霊王との契約がハルケギニアでも有効かどうかが展開の分かれ目ですね。
有効なら元の世界に自力で戻れちゃいそうな感じ。
と言うか精霊を行使するってモロに先住魔法?
そういえば中の人が山本弘なエルフさんはどうだろう?
誇り高そうだからこじれそうだけど。
>>624 王者の鼓動、今ここに烈を成す!天地鳴動の力を見るがいい!シンクロ召喚!我が魂、レッド・デーモンズ・ドラゴン!
とか言い出しても違和感を感じない
初期サイトの給料ってどんくらいなの?
時給80yenx24h=1920yen 3食ワラベット付
資産持ちニートの俺より悲惨じゃね?w
>>633 ルイズのファーストキスがプライスレス^^
ノロイがルイズの使い魔になった場合のことを、真面目に考えてみよう。アニメ版原作版どちらでもいいから、
一応ガンバ達との戦い終盤に召還されたという形で。
一対一ならともかく、多数の人間を敵に回したら勝てないことは解っているし、帰るあても無いから、少なく
とも最初の内は、おとなしくルイズに従うだろう。しかし、いつまで従うかは甚だ疑問だな。もしヴィンダールヴ
だったら、周囲の動物すべてを手なずけて色々画策するだろうし。
悪知恵が働くから、参謀としては役立つだろう。前述の通りヴィンダールヴなら、戦闘にも大いに役立つだろう。
しかし実際問題として、いつ何をしでかすかわかったもんじゃないな。ルイズ達を欺いて利用するくらい、ノロイに
とっては朝飯前だろうし。
あるいは、獣である自分が人間達を影から支配するということに、喜びを見出すかもしれん。
>>630 サイトの死体からデルフリンガーを奪って切りかかるタイプのエルフですね。分かります。
>>619 ゲフっ……
素で桁ミスってた……!
そうだよ!俺たちの銀河系も直径10万光年なんだよ!
まともに宇宙を見せかけようとしたら半径1万光年ぐらいは必要だよ!
ぐはぁ……どうしよ……なおそっかなぁ……
>>634 セックスできないので知れてる
やりたい盛りの10代いったい溜まったらどこで処理してるんだろうな
>>537 ヴァイスの場合だと、
アンアン、操られてるウェールズ(死体)の申し出を拒否→黙れッ、ルイズ。俺を馬鹿にしやがって。
アンアン、申し出を受け入れるif展開→本気かッ? 本気で言っているのかッ!!
>>638 そりゃあ……ルイズに隠れてシとるんだろうよ
夢精なんてばれた日にゃ半殺しだろうなw
処女だから部屋に精臭あってもわからんだろうけど
>>585 俺もそう思った
しかし超人だけあって通常戦闘も凄いな
>>643 原作の残虐超人の描写を見ると、人を紙のように引きちぎっているからな。
進路空いているようでしたら投下させていただきます。よろしいでしょうか
>>645 タイトルと作品名、召喚される者の名前を明らかにされたし。
>>646 ダブルクロス ゼロ、DX2ndから高崎隼人召喚です。
あー……半年ぶりくらいかなぁ……
では投下失礼します。
苦しい。熱い。痛い。怖い。恐ろしい。
牢獄の中で、フーケは涙をぼろぼろと流していた。痛い。痛い痛い痛い痛い。何故このような事になってしまったのか、フーケはただ只管に涙を流し、怨嗟の声を漏らしていた。
最早ない右腕が悲鳴をあげている。
何故、今、私の右腕はないのか。体中がそれを訴えかける。
本来あるはずのものがないというのは、人が想像する以上に喪失感を思わせる。
片腕がないためにバランスが取れず、慣れるまでまともに立つ事も歩く事も難しい。更に今まで右腕で行っていた行動を取る事が出来ないというのは、とんでもないストレスとなる。
故に、フーケは地面に転がったまま、すでに失った右腕を押さえて涙を流す。
畜生と呟いたところで、その声を聞くのは自分しかいない。本来ならその怨嗟の声を向けるべき対象は、この場にはいないのだ。
あの後の顛末がどうなったのか、詳しくは知らない。だが尋問された際に聞いた話によれば、ルイズは無事だし、他のメイジは勲章を貰ったのだという。
使い魔であるハヤトに関する話がないのは、人であるという規格外、更に使い魔という身分から、何かを与えるわけにはいかない、という理由があるのだろう。
「違う……あいつは、人間じゃない」
歯を食いしばり、フーケは呻いた。
人間ではない。そうだ、あれが人間であるはずがない。それは勿論、ルイズにも適応される。
あの瞬間にフーケの感じていた違和感は、そう、そうだ。そうなのだ。
あの場に”私以外の人間などいなかったのだ”。
ただの人間である自分が、あの状況において生き残れたというのが奇蹟に近い。右腕を無くしたとはいえ、生き残れたことを幸運に思わなければならない。
だからフーケはルイズを恨んではいなかった。ハヤトを恨んでも、いなかった。いないはずだと、フーケは思う。
因果応報という言葉がある。それが適応されたのだ、と、フーケは只管に理解する。
誰かの命を奪った事などない、などと、奇麗事をぬかすつもりはない。だからこそ、この右腕は代償だとも思える。
かといって、腕を代償にこの世界から足抜けを出来たなどというわけはない。生き残れただけでも、僥倖だ。
「ああ、くそう、畜生……っ」
だからといって、この身のうちに焚ける炎が消えるわけはない。
恨みはない。だが、憎しみはある。よくもやってくれたなと、思うな、などとは不可能だ。
復讐してやる、と思うことはある。だが、自分は人間なのだ。どうすればいいのだと、フーケは思う。
そう思いながら、何日かが経過していた。
水のメイジによって傷は塞がっていても、痛みまでが消えるわけではない。何度もやってくる痛みと悔しさに意識を飛ばしながら、フーケはやっと確固たる自意識を持った。
息が、荒い。
今は一体何時なのか、何日経過したというのか、それすらもわからない。
鉄格子のむこうへと視界を向ければ、暗い中に月光が二つ輝いている。夜、か。そういえば何処か肌寒くも感じる。それ以上に、失くした右腕が熱を持っている。
そんな事にも気づかないほどに消耗していたのか、と、苦笑いすら浮かぶ。
「ふ……」
笑いながらも、フーケは一つの決意をした。
今、このまま自分がここにいても、恐らくは死刑をされるか、それとも獄中に縛られたままだろう。
それで何を守れるのだろうか。フーケの守りたい、否――マチルダの守りたいもののために、今ここから逃げ出さなければならない。
ただ自分だけの力でそれをなせるとは思わない。杖もないのだ。魔法を使えない自分が、何を出来るというのか。
一つだけ。
一つだけ、フーケが打てる手がある。
右腕がないので、しっかと拘束されているわけではない。所詮メイジなど杖を奪えば、というのは事実だ。杖がなければメイジとて平民と変わらない。
フーケは左腕を動かし、自分の秘所にそっと手を当てた。
持ち物はほぼ奪われた。隠した杖も、何もない。フーケは本当に体の中に杖を持っていなかった。しかし――ここまで調べたわけじゃないだろうと、フーケは笑い、秘所に這わせた指を動かした。
「…………んっ」
熱く、息が漏れた。そのままフーケは左腕を動かし秘所に指を突っ込んだ。痛みが強いが、しかし今それが必要なのだ。
ギリギリと指を奥へと入れていく。目的の物はすぐに見つかった。指先に硬い感触が返ってくる。
笑みを浮かべ、彼女は器用に指先でそれを摘み、ゆっくりと取り出した。
「ふぅ」
未だに熱の残る吐息を漏らしながらも、フーケは左手に持ったそれを見る。
微妙に湿ったそれは、小瓶だ。中には液体が入っている。フーケにとっては恐ろしいとも思える、一つの秘薬。
悪魔の秘薬。
ルイズへと多少与えた後に、彼女との戦いがあった。その後、フーケはただ悲鳴をあげて気絶するしかなかったが、盗賊としての本能がそれだけで終わるのを否定した。
左手に握った悪魔の秘薬の入った小瓶を、そっと隠しこんだのだ。何処に、と問われれば――それは野暮というものだろう。
ここから逃げ出すには、メイジでは足りない。――杖がないのだから。
ルイズやハヤトとまた戦うには、メイジでは足りない。――人ではないのだから。
マチルダの守るべきものを守るためには、メイジでは足りない。――――すでにメイジたる人間では、捕らえられてしまうのだから。
故に、迷う事なく小瓶の蓋を開けたフーケは壮絶に笑った。
「待ってなよ…………ティファニア」
それが正しい事かはわからない。だが、その瞬間フーケは覚悟を決め、小瓶の中身を口の中に下した。
ただ、一途にフーケは思う。
ティファニアと呟いた、彼女のために――
・ ・
仮面の男が地下へと降り立った。
彼の思惑の中には、今地下牢に捕らえられているメイジの力が必要であった。故に、彼は力を借りるために、そして彼女を縛るために地下牢へと来たのだ。
鍵の束がジャラジャラと鳴る。仮面の男にとっては、人知れずこの場にやってくる事などとは造作のないことだ。
逃げ出したという報は流石に知れてしまうだろうが、逃げる直前までの情報が漏れなければそれでいい。
そう思いながら仮面の男は、とある牢の前に立ち、――阿呆のように口をあけた。
「は?」
思わず大きな声を漏らしてしまった仮面の男は、急ぎ口元を手を押さえて周囲を見回した。
人はいない。声でこの場にいることはばれなかっただろうと、仮面の男は息を吐く。
それにしても、と気を取り直し、仮面の男は牢の中を見た。
本来ならばこの場には土くれのフーケと呼ばれるメイジがいるはずだった。
だというのにその牢獄の中には、誰一人として姿がない。牢を間違えたかとも思ったが、鍵の束を確認してもそれはない。
「……しかしこれは、どういうことだ」
呻く。
牢の中に人はない。ただ月光が大きく牢の中を照らしていた。――鉄格子ごしではない。円形にあいた巨大な穴を、ただ残して。
その異常ともいえる光景を前に、予定が変わっちまったと頭を両手で抱える仮面の男が蹲っていた。その光景は恐ろしくシュールともいえた。
ダブルクロス ゼロ 17
「は? ハヤト、あんた何言ってんの?」
ルイズは思わず眉を顰めた。彼女の後ろに立つコルベールも、ルイズほど露骨ではないが眉間に多少皺が寄る。
更にその場には何故かハヤト含め三人以外にも人影があった。ギーシュ、そしてキュルケ、更に興味なさそうに本を読むタバサだ。
支援!
ずっと待ってましたよー!
なんと、おかえりなさい支援
タバサ以外の人物は完全に何言ってんのこいつ、みたいな表情になっている。それもそうだろう、彼女達の前、教壇の上に立つハヤトの言葉を、彼女達は理解できないのだ。
ため息をつきながらも、面倒くさそうにハヤトは言った。
「だから、レネゲイドウィルスっていうのは、眼に見えないくらい小さい生き物で……」
「そんなのいるわけないじゃない」
「ふむ。ハヤト、君は友人だ、故に言わせて貰うが――ちょっと頭が可笑しいんじゃないか?」
「ダーリン、ありえないわよ流石に」
「うーむ、流石に納得がいかないのですが」
「…………」
そんなこと言われても、というのがハヤトの心境だ。しかしここはファンタジーの世界。科学が発展していないのならば、そういった生命体の存在も認識してないのではなかろうか。彼女達の言い分からすれば「見えないものが居るはずがない」といった感じである。
ハヤトとしてもわからないでもない。ただのウィルス=微生命体が重力まで操作するのは実際どうなのよ言いたい気持ちもある。しかし事実として確立されてるのだから、ハヤトは何もいえない。と、いうよりも。
「……ルイズやコルベール先生はともかく、なんでギーシュ、キュルケ……しかもタバサまでいるんだよ」
呆れたように呟くハヤトの言葉にはルイズも同意を示した。
今ハヤトがやっているのはれねげいどうぃるす、というよくわからない力に関する講義である。ルイズが得たその力を説明するために人のいない教室で教壇に立っている。
コルベール先生は学園側で事情を知っている協力者なので当然。オールド・オスマンもどうやら知っているらしい。自分の知らないところでそのような繋がりがあったことにちょっとした怒りも覚えるがそれはそれだ。
しかしキュルケ、タバサ、そして何でか満面の笑みを浮かべているギーシュは無関係のはずである。
「そ、そーよ! 何で三人がいるのよ!」
「あら、別にいいじゃないのよ。ダーリンの話興味あるし、ね?」
「……」
「いや忘れ物をしたら面白そうな話をしてたみたいなので、つい」
キュルケの言葉に首肯するタバサ。ギーシュはなんというかどうでもいいような理由でここにいるようだ。
ルイズとしては気が気ではない。自分が手に入れた異能、魔法とは違う力、それの秘密や使い方を話すというのに、そこに魔法を使える人間がいるのだから無理もない。
これで彼女達までその異能を使いこなしたのならば、ルイズはどうすればいいというのだろうか。
あの時、空を飛んだときに感じた浮遊感が一瞬にして凍る。それは嫌だ。だってこれは私の力だ、私とハヤトだけが持っている力だ。メイジとしての力を持ってない私達が使える力なのだ。それが――
「……まぁ、別にいいか」
「よくないわよ!!」
ハヤトの言った言葉に思わず反論をする。してから、ふと思う。そう、よくないはずだ。
ルイズはハヤトが異世界から来た、という言葉を信じている。しかし、彼女らはどうだ? コルベール先生はまだいい、協力者だ。だが、彼女達は何も知らないのだ。ハヤトが異世界から来た事も、そして使う力の特殊性も。
だというのにそんな話をしたところで、何を理解できるというのだろう。それどころかハヤトを異常者だと言うかもしれない。
本当は、三人がそんな事を言う人間ではないということはわかっている、わかっているが、それで納得しろと言われてもルイズには出来なかった。
しかしそんなルイズにハヤトは両腰に手を当てて、あのなぁとため息をついた。
「そら、吹聴するのはよくない。けど、理解者も必要なんだ。第一、なぁルイズよ。こいつらが言いふらすような面々に見えるかよ」
そういわれてルイズの頭に血が上らないわけがない。
――あんたのためを思って言ったのに!!
最初からそういうつもりがあったわけではない、が、怒りのあまりルイズの顔は真っ赤になった。しかし反論する言葉も見つからず、うー、うー、と唸ってから勢いよくイスに座りなおす。
キュルケは面白いものを見るように、タバサはいつもの無関心で、ギーシュは少しおろおろとしている。ハヤトに関しては、しょうがないな、と苦笑いだ。まるでいつもの癇癪だな、と笑うような彼の仕草に、ルイズは泣きたくなった。
その感情を必死に押し殺し、前を見る。視界に映ったハヤトは一つ息をついていた。
「んじゃもうちょっと噛み砕くか。えーっと、俺のこの力……これはオーヴァードって呼ばれる存在の持つ力なんだ」
「おーばーど?」
微妙に発音の違う言葉に楽しそうに笑いながら、ハヤトは頷く。
世界が違っていれば意味も通らない。会話は通じているが、ハヤトの知る専門用語の意味がわからないときはただの音としてしか聞こえない。
それはハヤトにとっても同じだろう。こちらの専門用語を出してみれば、やはりハヤトには音としてしか聞こえないはずだ。
故に発音が少し違ってしまうのもしょうがない。事実、ルイズだってハヤトがハルケギニアの専門用語を言うときの発音の違いに笑ってしまった事もある。
ルイズは楽しそうに笑うハヤトを咎める気にはならなかった。が、ちょっぴり頬を膨らませてしまうのはしょうがないことだろう。
さておいて、とハヤトの説明は続く。
「オーヴァードはレネゲイドウィルスに感染し、それが発症した存在だ」
「感染って……病気なの?」
「あー……まぁ病気みたいなもんだ。んで、このレネゲイドウィルスはさっき言った小さい生命体なんだが……んー、まぁ置いておこうか」
ここまでハヤトが言うのならば、少なくとも冗談の類ではないのだろう。納得するとまではいかないがルイズたちは頷き、先を促した。
ハヤトもそれを受けて言葉を続ける。
「このレネゲイドウィルスが、俺たちの力だ。例えば炎を起こしたり、氷を操ったり、電気を放ったり、動きを早くしたり、凄い怪力になったり……とまぁ、こんな具合にいくつも種類があるんだ」
「小さな生物、だっけ? それがそんな事をしてるのかい?」
そうだ、と言って。
「どうしてそんな力を持っているのか、とかは全然わからないんだけどな」
「まるで魔法ね」
キュルケが言う。確かに魔法のような力だと、ルイズも思う。しかしルイズは知っているのだ、これは魔法という存在とは完全に別枠にある力なのだと。その一端を彼女は握っているし、そしてハヤトが使ってるのを目の当たりにしたことがある。
ハヤトはキュルケの言葉に同意を示し、その通りだと腕を組んだ。
「まぁ魔法ほど幅広いわけじゃない。一人のオーヴァードが何でも出来るわけじゃないからな。色々と能力に限りがある」
「成る程、区分けも魔法と似ているが、別物というわけだね?」
「その通りだ。ちなみに俺の力は――」
といってハヤトは適当な小石を取り出した。ルイズ達に見せてから、それをグッと握りこむ。何をするのか、と皆が首を傾げると同時、ハヤトは握った拳に力を込めた。
ぐにゅり、と。拳の端から何かがあふれ出た。それが何なのか、と理解する前にあふれ出た何かは急速に形を整える。
一秒と掛からぬ間に現れたそれは、どうやら剣のようだった。しかし見覚えのない形をしている。まるでハヤトの持つデルフリンガーを更に細く、鋭利にしたような剣だった。
まるで簡単に折れてしまいそうなその剣は、小石から作られたというのに刀身をぎらりと輝かせ、寒気がするほどの殺意を滲ませている。
それを見てギーシュ、そしてキュルケががたがたと椅子を揺らして立ち上がった。タバサは本から目を離し、それを見ている。
「な……っ!?」
「今のは”錬金”――!? いや、違う。魔力が感じなかった……っ」
「そう。これが俺の力。物質を司る”モルフェウス”と呼ばれる能力の一旦だ」
そういってハヤトは作り上げた剣をぽいと投げ捨てる。地面に落ちたそれは、数秒の間もおかずにサラサラと砂へ姿を変えていく。まるで最初から何もなかったかのように、だ。
ギーシュが驚いているのは土のメイジとしては当然だろう。しかしキュルケとタバサの反応は、メイジで、彼の力を知らなかったとしても少々異常だった。
弾かれたようにハヤトの作った剣を見つめ、そして砂になっていくのを見ている。タバサは本から目を離しそれを追っていた。その反応はまるで何処かで同じような事を見てきたようだった。
しかし、先日ハヤトから直接見せてもらったルイズなら兎も角、彼女達がそれを知ってるはずはない。どういうことかしら、とルイズは疑問に思ったが、さして深く考える事でもないかとその疑問を頭の片隅に追いやった。
そう思う間にもハヤトの言葉は続く。
「一口にモルフェウスって言っても色々と種類がある。例えば俺はこうして物質変換とかが得意だが、身体を砂にしたりする事が出来ない」
「そ、そんな事まで出来るのかい?」
「出来る。そうして姿を消す事も出来るし、あとは黄金なんかも作れたっけな」
「黄金!? まるでスクウェアクラスの魔法だね、それは」
「とはいえ、それを作ったところで俺には利点も何もないんだがな……」
精々、ちょっとした小金持ちになる程度だよ。と笑ってハヤトは手をヒラヒラと振った。
「さっきも言ったがオーヴァードにはいくつも種類がある。分類を、シンドロームといって分けている。更にその中で自分が扱う事の出来る能力をエフェクトと呼ぶ……って感じだな」
「成る程……だからハヤト、君はメイジでもないのに、あんなにも強いんだね」
ギーシュの納得した、というニュアンスを含んだ言葉に、ハヤトは照れたように頬をかいた。
「でもでも、ねぇだーりん? だーりんって平民よね?」
と、そこにキュルケが首を傾げながら問いかける。
「平民がそんな力を持ってたらメイジは黙ってないわよ。それに、力を持った平民だってそう。――どうしてダーリンはそんな力を持ってるのかしら」
来た――。と、ルイズは背筋を凍らせた。
確かに今ハヤトが説明したような力を持っている平民がいたら、間違いなくメイジに対して何らかのアクションを起こすはずだ。メイジがその能力を持っていたら、恐ろしく強力な力を持っているはずだ。
しかしルイズたちはそんな話を聞いた事もない。貴族というのは独自の情報ネットワークを持っている。その中に、何か引っかかるような事件はない。
となれば、ハヤトは何故そんな力を持っているのか。
どうしよう、とルイズは思った。
ハヤトはきっと困っている。キュルケの質問と同時に顔を下げてしまったルイズには彼の表情が見えないが、いつもルイズがわがままを言ったときのような、眉間に皺を寄せた、ちょっと困ったような表情を浮かべているはずだ。
表情自体は「参ったな」とも言いたげなものの癖に、ハヤトは内面に苦悶を溜め込むのだ。
どうしよう、とルイズは思った。
ハヤトが、自分の使い魔が困っているのだ。ならば、助けるのが主の義務ではないだろうか?
そう思い、ルイズは口を開いた、否、開こうとした。それよりも早く、ハヤトは言った。
「――俺はな、この世界の人間じゃないんだ」
655 :
DX0:2008/10/17(金) 00:52:13 ID:8L7+MoG6
というわけでお久しぶりです、すみません。筆がのらず、中々先に進まないでもやもやしていました。
とりあえず多少は載せられる形になったと思うので、前半部分だけでも投下。後半もなるべく早く投下したいと思います。
気づけば半年以上も放置……何かほんとすみません
フーケさんオーヴァード化かー
愛の力は恐ろしい
うp乙です。
マチルダさんがついにやってくれた!
どのシンドロームになったのかが気になりますねー
バロールの魔眼か、サラマンダーの《極大消滅波》か
次の投下を心待ちにしています
>637
別にそのままで良いんじゃない?最初は俺も狭すぎじゃね?って
思ったけど小さい恒星とかがいっぱいって事にすれば。
後は1光年から10光年にするくらいで。
1光年じゃ新星1個で全滅なんじゃ?
フーケさんがエロい事はいい事だ乙
まあウィルスとか言ってるけど本当にウィルスなのかも分からんしなーw
TOから召喚か…
ルイズのサモンサーウ゛ァントのゲートがカオスゲートに直結してドルガルア召喚
話し聞かずに禁呪うちまくるBadEndしか思いうかばない\(^o^)/
>>1光年
一光年先に太陽と同じくらいの大きさの恒星があると仮定して、ざっと計算してみた。
結果だけいうと、夜空に月より明るい星が輝くことになるな。
多分、太陽の位置によっては、昼間でもくっきりはっきり見える筈。
ダブルクロスさん乙です。
フーケさん、野暮だと思うが何処に隠していたか避難所で語り合おうか。
664 :
662:2008/10/17(金) 01:56:56 ID:RoP3DO8e
あ、違う。
さすがに月より明るいってことはないか。
金星と同じか、少し暗い程度だ。
TOから召喚か…
ハボリムさん召喚
対7万戦終了後…
そこには無数の石像が残されていた
箱庭……つまりハルケって某四兄弟の一人が持ってた絵巻の中の地球なんだねっ
そのうち雷の眷属とやりあうのに使われて終了のお知らせか
>TOから召喚
天然ヴィンダールヴのガンプならフレイム活躍の機会を作ってくれるはず!
「フレイムッ! 仇はとるぞッ!おまえの哀れみを、このオレにッ!」
……あれ?
ぜろろおもしろいなー。
ルイズが可愛すぎる。
>>625 和麻ならうかつにゲートに突っ込まないとは思うが…。
むしろくぐる前にゲートに向かって攻撃→風の刃がゲートを通って……惨劇、とか。
うまく(?)召喚されても風術が使えるなら、ゲート跡を空間ごと切断して元の世界に帰れそうだしな。
原作でも空間切断→移動はやってたし。
帰れないにしても、賃金要求よりは即攻撃→ルイズたち全滅コースだと思う。
まあ、奴は原作で既に俺TUEEEEアンチ主人公の条件を満たしてるからな。
デアボリカからアズライト召喚。
どう考えても、避難所行きです。
書き割り宇宙と言えば、天体とか全部「そこに有るように見える」だけで、実は宇宙は地球の周り1AUも無い、というSSがあったな。
火星くらいから先は全部、まだ作ってる途中っての。
>672
GS美神のSSじゃないかな。文珠を持っている横島なら不慮の事故にも耐えられるとか言って宇宙に飛ぶ奴。
削除されてしまいましたけどNTの巣ドラクロスみたいに、ルイズが自分の使い魔(予定)に反抗された上に、自身が討伐隊に加わるSSって何処かに無いかな?
>>673 プレデターがそんな感じだった
反抗どころじゃないが
>>673 NTの巣ドラが首ったけのことなら
NTからは削除されてないよ
>>675 削除されてるよ。削除された時点でログ記事に入ってた奴は残ってるけど。
「削除された」っつーか「作者が自主的に削除した」な
なん…だと…?
えー、あれメチャ面白かったのに・・・
これといい、グランマといい、良作に粘着してごねる脳内設定キチガイが湧いたせいで消えてしまった作品がなんと多いことか
作者さん達、キ印に負けないで・・・
(´・ω・`)
TOからで当りなのはカノプーとウォーレンだと思う。カノは面倒見良いしウォーレンは見た目も能力もまんまメイジだから。
やばそうなのがニバスやM字ハゲ(マルティム?)手綱を取れそうな人が一人も居ない。
初期ルイズにとっての真の当たりは、従順で強く立派で美しい幻獣系だろう
とにかく、人間系でも非生物系でなければ普通に嬉しがったと思うな
第一希望としてはドラゴンやグリフォンなどの、ハルケでは上位に位置する幻獣だったが、
流石にいきなりでそれは無理だと心の何処かでは自覚していただろうが
使い魔を召喚することで自分に全く魔法の才能がないのを否定できれば、たとえ
犬だろうが猫だろうがこれでもかってぐらい可愛がっただろう
しかし召喚に成功してゼロの自分にも魔法が使えることを証明したのはいいが、
相変わらず魔法の腕前は端々とせず、日に日に鬱憤が溜まって使い魔に当たりそう
ゼロを否定してくれたただの動物の使い魔は、普通のペットと違って特別な存在で
あるのは間違いないが、感覚の共有もできなければ秘薬も何も見つけられない
日がな一日、動物としての自然体で過ごしていれば、ルイズのあの性格からして
可愛さ余って憎さ百倍になりそうだ
ハルケのドラゴンは『飛行』だが、TOのドラゴンは『鈍歩』だからな……。
TO外伝の奴なら空を飛べるのも居るぜ
誰もいない……
投下するなら今の内……
11:50ぐらいから……
どっこい俺がいる。支援。
ゼロの氷竜 六話
窓から入り込む光に、一人の少女が目を覚ます。
燃えるような赤毛と紅玉のような瞳を持つ少女は、名前をキュルケという。
正式には、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
魔法学院が存在するトリステインの隣国、ゲルマニアからの留学生だ。
あくびをかみ殺しながら起き上がったキュルケは、傍らでこちらを見上げている自らの使
い魔へと挨拶する。
「おはよう、フレイム」
火竜山脈に生息するというその火トカゲは、喉を鳴らしてうめき声のような挨拶を返した。
ベッドの上で猫のようにのびをしたキュルケは、窓から青空を眺めて着替え始める。
その豊かな胸は、隣室のルイズと比較すれば、まさに大人と子供のようだ。
寮の部屋が隣り合っていることと同じく、彼女たちの実家も隣り合っている。
トリステインとゲルマニアという二国の国境線を挟んで尚、隣り合っていると表現してよ
いのであれば。
生活圏内が近いこと、そしてそれを分かつものが国境であること、二つの条件が重なった
場合、両者の関係が良好であることは極々稀だ。
国の境目とは、戦の痕跡に他ならない。
侵略する側と侵略される側に分かれ、時に立場を入れ替える。
幾人もの死者を出し、その亡骸を踏み越えた結果が国の境目だ。
だが、今現在トリステインとゲルマニアの関係は険悪なものではない。
それはゲルマニアの留学生を、トリステインが受け入れていることからも明白だ。
無論、交流があるとはいえ他国は他国。
水面下での綱引きをしていないわけがないし、長年矛を交えた間柄がそう簡単に怨讐を乗
り越えられるはずもない。
過去を忘れられるものもいれば、忘れられぬものもいる。
しかしキュルケはそのどちらでもない。
何故ならキュルケが生まれてから今まで、トリステインとゲルマニアは表立っての争いを
起こしたことがないからだ。
ただし、キュルケとルイズの関係が良好なものであるかといえば、二人の関係は険悪であ
ると断言できる。
少なくとも、表面上のやり取りを見ている限りは。
一部の例外を除いて、貴族とメイジが同意であるこの世界で、公爵家という非常に立場の
強い貴族の家柄に生まれながら、一切の魔法を使うことの出来ないルイズ。
その劣等感を、耳障りの良い言い方をするのであれば、非常に効率的に刺激するキュルケ。
一年もの間その関係が継続している二者を指して、仲の良い二人、と表現する人間はいな
いだろう。
ルイズに関していえば、表面的な対応とその心情は合致している。
だがキュルケに関していえば、表面的な対応とその心情は同一の方向性ではなかった。
人間が生活する場と限定した場合、ある情報が伝わる速度は他のあらゆる情報よりも速く
伝播する。
醜聞だ。
その醜聞の主役が、他者に知られたくないと思うことであればあるほど、それが広まる速
度は上がる。
キュルケがトリステイン魔法学院の入学の際、初めてルイズを見たとき、キュルケはルイ
ズの噂を知っていた。
それはもちろん醜聞であったが、キュルケは自らその類の噂話を集めていたわけではない。
元々、同時期に入学した生徒の大半が知っていた話だ。
噂だけで人を判断する愚かさを、キュルケは知っていた。
だからこそ、ルイズには多少の興味を持っていた。
噂では人となりは理解できない。
同学年生の初顔合わせ、自己紹介の中でルイズは魔法を使えないことを公表した。
メイジ以外の人間でも貴族になれるゲルマニアと違い、貴族絶対主義といえるトリステイ
ンの大貴族出身者が、そのトリステインの地で自らがメイジではないことを宣言する。
室内がざわつく中で、ルイズはさらに言う。
だが、自分はいずれ魔法を使えるようになる。
そのための努力は惜しまない、と。
キュルケはそこにルイズの強い誇りを見出した。
教室中から注がれる視線にも、全く表情を変えずに端座している。
そのとき唯一視線を動かしたのは、キュルケが隣り合う国の隣り合う地からきた留学生だ
と言ったときだけだった。
それからしばらくの間、キュルケとルイズの間で言葉や視線が交わされることはない。
ルイズは宣言の通り、努力を惜しまなかった。
入学してから三ヶ月ほどは、魔法理論をはじめとする座学のみの授業が続く。
ルイズはそこで驚くほどの優秀さを見せ、入学時の宣言で少し斜に構えていた同級生たち
を驚かせる。
そのままの優秀さが発揮されていれば、ルイズはゼロと呼ばれることはなかっただろう。
しかし四ヶ月目に入り、授業に実技が加わったときから、ルイズの転落は始まる。
杖を構え、ルーンを唱え、杖を振る。
魔法を使うための一連の動作に加わる結果は、ルイズだけ常に変わらない。
レビテーションでも、ロックでも、フライでも、コモンといわれるもっとも単純な魔法。
メイジとして生まれついていれば使えないはずのない魔法。
その全てにおいて、ルイズは爆発という結果しか得られなかった。
実技が開始されて二週間ほど経った後、ルイズにゼロの二つ名が冠せられるようになる。
誰ともなく囁かれるゼロという単語に、流石のルイズも肩を落とすようになった。
だが隣室にすむキュルケは、ルイズの努力を知っている。
キュルケよりも先に明かりが消されることはなく、ともすればキュルケが起きたときから
本をめくる音が聞こえた。
夜中にどこかへ出かけるという友人のタバサも、明け方に机へ向かうルイズの姿を何度も
見かけたと言っていた。
ゼロという言葉は、ルイズの輝きを奪おうとしている。
一月前に比べ、わずかに落ちたルイズの肩。
キュルケの口が、艶然と持ち上げられた。
……微熱が、火をつけてあげる。
「ルイズ」
と、不躾にファーストネームを呼ぶ。
「何かしら、ミス・ツェルプストー」
礼儀正しく、だがわずかの棘を含んで、返事があった。
「先日発表された成績の順位では一位だったわね。おめでとう、ルイズ」
「ありがとう、ミス・ツェルプストー」
礼を口にしてはいるが、その表情は硬いままだ。
「でもあれには実技が含まれていないわね。ルイズ」
ルイズの肩が、わずかに動いた。
キュルケが視線をわずかに変える。
それは見下ろす角度。
見上げるルイズの眉根に、皺が刻まれる。
「何が言いたいのかしら、ミス・ツェルプストー」
「いいえ、別に何でもないわ。ルイズ」
ことさらに名前を呼ぶ。
ルイズはキュルケの真似をしているだけだ。
だがキュルケは意図を持ってそれをしている。
「ただ、またゼロなのかしらと思っただけよ。ルイズ」
キュルケの視線の先、ルイズの瞳に火がともされた。
それは怒りの炎。
「わざわざ他人の心配をするなんて、随分と余裕があるのね。ミス・ツェルプストー」
「仕方ないでしょう。ルイズ。だって私の魔法は爆発しないもの」
炎が、燃え上がる。
しかしルイズの口元が笑みを形作る。
「毎晩のように盛っているぐらい余裕ですものね。ミス・ツェルプストー」
思わぬ角度からの反撃に、キュルケがはたとまばたきをした。
それでもその余裕は崩れない。
「まぁあなたにはその相手もいないしね。ルイズ」
その一言に、ルイズの炎は頬へと燃え移った。
「関係ないでしょう! この色ぼけ女!!」
まず誉めて、そして貶して、突き落とし、その様をあざ笑う。
ある種基本的とも言える挑発の手法だ。
ことさらに名前を強調するのも効果的で、ルイズは見事にキュルケの術中にはまった。
罵り合い、というには片方の表情が余裕に過ぎるが、その応酬は教師が教室へ入るまで続
く。
授業が始まり、ルイズはキュルケへ憎々しげな視線を送りながらも、授業へと集中する。
もう、肩は落ちていない。
その様子を見ながら、キュルケはどこか暖かい視線を送っていた。
不意に、隣の席から小さく短い言葉が投げつけられる。
「心配性」
空色の髪を持つ少女、キュルケが唯一同格の友人とするタバサの言葉に、キュルケは微笑
みを返す。
タバサもまた、わずかに、ほんのわずかに口の端を持ち上げた。
ルイズとキュルケの喧嘩が日常になり、ルイズがキュルケをミス・ツェルプストーと呼ば
なくなって数ヶ月後、使い魔召喚の儀式が行われる。
開始早々、風竜を呼び出した友人に触発され、気合いを込めて杖を振るう。
召喚の鏡から出てきたのは、微熱に相応しいサラマンダーだった。
風竜に比べれば流石に格は下がるが、キュルケを満足させるには十分だ。
契約の口づけを済ませ、フレイムと名付けたあと、キュルケの視線はルイズを探そうとす
る。
とはいえ、あえて探すと言うほどのこともない。
いつもの音がする方向へ、目を向ければいいだけのことだ。
だが、キュルケは視線の先で何が起こっているか認識した瞬間、強制的に思考を停止させ
られる。
その光景が、あまりにも衝撃的だったからだ。
ルイズが爆発の影響を考えて距離をとっていたため、鏡から突き出た足の全景を確認する
のに全く苦労はなかった。
にもかかわらず、足から体全体の大きさを想像することもできない。
ルイズの様子を観察することも、タバサと目を合わせることもできない。
そして鏡が割れた後にあらわになる巨躯、契約の前に言葉を話すことで韻竜と判明したこ
と、キュルケはそれぞれにげんのうで強かに打たれたような衝撃を受けた。
当然のことではある。
韻竜はすでに絶滅したと一部で伝えられ、何よりもあれほど巨大な竜は見たことも聞いた
こともない。
それを、あのルイズが召喚した。
その衝撃は軽い物ではない。
だが一方で、ルイズの努力に見合っただけの使い魔ではないのか、という奇妙な得心も存
在した。
……ルイズは私の祝福を素直に受けてくれるだろうか。
ひな鳥の旅立ちを見送るような寂寥を感じ、キュルケはどう声をかけようかと考えていた。
心のどこかで叶わぬ夢と知りながら、キュルケは巨大な韻竜との契約を済ませたルイズへ
と歩み出そうとする。
「ミスタ・コルベール!!」
その歩みを止めたのはオールド・オスマン。
そして祝福をさせなかったのはミスタ・コルベールだった。
「みなさん、それでは学院へ戻ります。使い魔とはぐれないように気をつけてください」
ルイズへと近づくオールド・オスマンを眺め、キュルケは漠然とした不安を感じつつも、
フレイムを抱き学院へと飛び去る。
学院へ戻り、夕食を取り、それでもなおルイズは寮へは戻らない。
同時刻、黒髪のメイドがしていたように、キュルケもまたルイズを心配していた。
しかし主を心配するフレイムの様子に、キュルケは憂いを消し去る。
そう、契約はすでになされていたのだ。
それらを独り言のようにフレイムに聞かせ、キュルケは服を着替えてベッドにその身を横
たえる。
ルイズへの祝福の言葉を考えながら。
隣り合った二つの扉が、ほぼ同時に開いた。
まず扉から出てきたのは、二人の少女。
キュルケはルイズの姿を見つけて微笑み、ルイズはキュルケの顔を見るならその表情をゆ
がめる。
二人が顔を合わせるたびに繰り返す、儀式のようなものだ。
だがルイズは気付かない。
キュルケの微笑みが普段と違うことに。
その笑顔の裏にあるのは純粋な好意だ。
もしキュルケが素直に今までのことを謝罪するような性格であれば、二人はその場で友人
になることができただろう。
実際の結果はそこまで幸せな結末にはならなかったが。
口火を切ったのはキュルケだった。
「おはよう、ルイズ」
「……おはよう、キュルケ」
「昨日はすごい使い魔を呼び出したのね。ブラムドって言ったっけ?」
そこまでキュルケが口に出した瞬間、ルイズの部屋から銀髪の女性が姿を見せる。
予期せぬ人物に、キュルケの言葉が止められる。
ルイズに視線を投げるも、紹介しようという気配は見られなかった。
であれば、挨拶をするのが貴族の礼儀だ。
「初めまして、私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプ
ストー。親しい者はキュルケと呼びますわ。よろしければミス、お名前を教えてください
ますか?」
挨拶をしながら、キュルケの視線は頭の先から下方へと動いていく。
……銀の髪。こんな髪の人は見たことがない。
……青い瞳。どこかで見かけたような気もする。
……身に付けているローブは見たことがある。でも着ていたのはこの人じゃない。
……胸は、勝ったわね。
わずかに微笑んだキュルケに、銀髪の女性が挨拶を返す。
「丁寧な挨拶いたみいる。ここの貴族たちは随分と長い名前を持つ者なのだな。我が名は
ブラムド。まだ親しいとは言えんが、我はお前をキュルケと呼ぼう」
「こんな女に挨拶することはないわ」
ブラムドの挨拶に続くように、ルイズが吐き捨てるように呟く。
しかし、その言葉に反応したのはキュルケではなかった。
「ルイズ、礼には礼を以て返すのが当然ではないか」
「そ、それはそうかもしれないけど……」
そんなブラムドとルイズのやりとりを、キュルケは聞いていなかった。
「……ブラムド? 昨日の?」
思わず指差しながらいうキュルケに、ルイズは小さくため息をつきながら口を開く。
「朝食の時に、オールド・オスマンが説明してくれるわ」
そう言い捨て、ルイズは食堂へと向かう。
「ま、待ちなさいよ」
言いながら急いで追いかけようとしたキュルケに、ルイズがその背後を指差しながら言っ
た。
「使い魔が遅れてるわよ」
ルイズの言葉に振り向いたキュルケは、ゆっくりと歩み寄るフレイムの姿を確かめる。
大分背の高さが違う二人のメイジだったが、流石に四つ足で歩くフレイムとは比べものに
ならない。
ルイズを追いかけるためにフレイムを抱きかかえようとしたキュルケだったが、狭い寮内
でフライを使うわけにもいかず、食堂へと向かうルイズとブラムドの後ろ姿を見送る他は
なかった。
以上。
支援感謝。
登録は自前でやるます。
あまりの展開の遅さに呆れられてないか不安。
次はもうちょっと早めに。
ブラムドの人乙!!
‥‥しかし、キュルケいい娘だなぁ。
ルイズは本当にいい友達(本人は顔真っ赤にして否定しそうだが)持ってるよな。
ああっ、支援できなかった・・・orz
氷竜の人、投下 乙であります。
次回も楽しみに待っております。がんばってくださいませ〜
投下乙。
展開の遅さは気にならない。丁寧に進めていく以上それは仕方ないことだし。
というか支援できなんだ……
氷竜の人、次回を楽しみにしています。
698 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 14:26:05 ID:15HUFfc0
理想郷のゼロの使い魔お薦めSSって、全部クロスSSしかないんでやんの
クロスSSのお薦めって書いておけよwwwm9。゚(゚^Д^゚)゚。プギャーッハハハハヒャヒャヒャヒャ
>>698 他にも幾つかあるよ
それはともかく、他HPの話をここでするものではない
貴方にここを無意味に混乱させる目的が無いのであれば、の話だが
どう見ても荒らしだろ。触れるな
自分の功績でもないのに威張るんだよなぁ、あの手の奴
ミゴールまだか……カルドDSが出たしこのまま廃人となって投げ出すんじゃなかろうか。
あそこのスレ消費速度は半端じゃないからなぁ。
703 :
零☆幽☆白書 :2008/10/17(金) 18:09:12 ID:o91jFuSH
零☆幽☆白書01話を書き直します
俺もミゴール待ってる
原作知らなくても面白く読めるSSはいい
・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
>>706 そのスルーの魔法を使えない人が多いから困る
wikiには登録されんし
自分で登録強行しても削除処分
スレでは無視か叩き以外の評価無し
荒らしとしてしか見る気は毛頭無い
これがお前へのこのスレの大多数意見だ
どんなコミュニティでもTPOは守れないとね
幽々白書SSはまだルール破ってないし別にいいんじゃないの。
>そのスルーの魔法を使えない人が多いから困る
スルーが容認や応援に見える認識障害者には逆効果だ
スルーに先立って明確な拒絶の意思表示を成立させる必要はある
他所で盗作行為までスルーで流そうとしてスレ存亡の危機にまで発展した事例もあるからな
それが成立してるのにいつまでも尻馬に乗った
便乗で叩いて無駄に荒らすなってのはあるがな
だって、もうなんかね。
幽白さん原作読んでる気しないもの…。
原作読んでたらもう少しマシな…。いや、なんでもないです。
仮に2ch初心者なら半年ROMれっていうか、書き溜めしながら空気の読み方をしれって思う
初心者じゃないなら……まあルールをやぶらんようがんばれ
>>703 このままつづけても評価されることはない
悪いことはいわないから小説の書き方と
スレの空気の読み方を勉強してから出直せ
だが、ただ参加してるって事実だけほしいなら今すぐ出てけ
読子・リードマンを召喚
始祖の祈祷書が読めないからルイズに読んでと頼み込む
ダブルキャストでヤンデレといえば、
二村
とある草原で何やら騒がしい音が聞こえてきました。
「婆さんよ、しばらく戦ってねえうちに腕がなまっちまんたんじゃねえか。」
「幽助よ、お前もしばらく戦ってないから腕が落ちちゃったんじゃないかのう。」
そこには幽助と幻海が修行を始めていました。
「幽助よ。一休みするかのう。しばらくしたら続きをやるぞ。」
「そうだな、婆さん。」
休憩している2人の間に『光の鏡』が現れました。
「幽助!早く逃げるんじゃ!」
「そんなことは分かってるよ!だけどこの鏡俺を追うかのようにしつこいんだよ。」
幽助が全力で走ったのもつかの間、『光の鏡』は幽助を吸い込むかのように消えました。
「幽助ーーーーーーーーーーっ!」
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!神聖で美しく!そして強力な使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ!我が導きに、応えなさい!」
彼女、ルイズ・フランソーワズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、昇級をかけた使い魔召喚の儀式を行っていた。
しかし、さっきから巻き起こるのはお得意の爆発という名の失敗だった。
何度この失敗を重ねてきたことか、数えきることができないはどであった。
周りの生徒達も彼女の失敗には飽きてきたのか、自分の使い魔を可愛がっている。
すると、今までの爆発よりも更に大きい爆発は起きた。
周囲には黒煙が立ちこめ、何も見えない。周りの生徒達は咳き込みながらもルイズの文句を言っている。しかし周りの声もルイズには聞こえていない。
「げほっ、げほっ・・・使い魔はどうなったの・・」
煙を払い除け、爆風の中心に近づいてみる。すると、中学生位の男子が倒れていた。
ただ、男子の格好はハルケギニアでは見かけない服装であった。
「いてててて、ここはどこだよ。確か婆さんと修行してて、突然鏡みたいなのが出てきて、俺は吸い込まれちまったんだっけ、」
ルイズは男子に近づいた。
「あんた誰?」
「俺か?俺は浦飯幽助だぜ。それよりもここはどこだか説明してくれ!」
幽助の一言にルイズは答えた
「ここはハルケギニアのトリスティン魔法学校よ!なんで私の呼び出した使い魔がこれなのよ!」
ルイズの呼び出した使い魔に生徒達はこう言いました。
「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民呼び出してどうすんだよ!」
「しかも変な格好してるし、さすが『ゼロ』のルイズだ!」
ルイズは顔を真っ赤にして
「ちょっと間違えただけよ!ミスタ・コルベール!召喚をもう一回やり直させてください!」
大きな杖を持っている禿頭の中年男に向かって叫んだ。しかし男は首を振った。
「ダメです。一度召喚した使い魔は変えられません。」
ルイズがコルベールと言い合っている時、幽助は怒りをあらわにしながらこう言った。
「さっきから俺を無視すんじゃねーよ!使い魔ってなんだ!俺がここに来たのとなんか関係があるのか!」
怒りの幽助にルイズはこう答えた
「使い魔ってのは、『サモン・サーヴァント』という召喚魔法で使い魔を呼ぶの!
それであんた、なんか特技とかあんの。」
すると幽助は自慢げに答えた
「俺は霊丸という指に霊力を溜めて発射する技を使えるんだぜ、試しにそこの岩に発射するぜ!」
幽助が霊丸を岩に向けて発射すると、その岩は木端微塵に砕けました。その光景にルイズと生徒達は、
「ルイズの使い魔がこんなすごい奴だったとは・・・・」
「幽助!あんたこそ私の使い魔よ!」
「あのな、俺はお前の使い魔とかにはなんねーよ!ここに勝手に呼び出しておいてよ!」
その言葉にルイズは怒りを抑えられずに鞭で幽助を叩きました。
「このバカ助ーーーーーーーー!おとなしく私の使い魔になんなさいっ!」
投下しやがった
719 :
零☆幽☆白書 :2008/10/17(金) 18:59:17 ID:o91jFuSH
以上で零☆幽☆白書の第01話を投下を終了します。
HAHAHAHAHA
>>719 いい加減にしろよお前。
書いたの見せたいんだったらてめえのブログでやれ。
この空気の中投下した度胸をもっと別のことに生かすべき
あきらかにアウェイのこの空気で普通に投下するのって、
荒し目的じゃなくて素でやってるなら不自然すぎる。
自分へのレスにはほとんど反応しないし。
脳障害or荒らしor小学生
JOJOスレの方にも酷いのが沸いてた
最近大変だなあ
Z武・邪気眼の同類と認定
それで終わりだろ
ある意味尊敬に値する。
見習いたくはないが。
現状有名どころのRPGからは大体呼び出されてるんだな。
Wiz DQ FF 女神転生 テイルズ
聖剣LOMからとかどうだろう
キャラ立ってるのが結構いたと思うんだが
よく考えると
ワルドの自作自演とはいえ妨害を受けて
任務を失敗したら・・・
責任は公的にはワルドが負うんじゃね?
ルイズは姫様からのお願いでアルビオンまで行った事になるが
ワルドの場合は完全に仕事だから・・・
「(やべえ、三つの任務のうち三つとも失敗したじゃん)此度の失敗は平に私の責任でございます」
「もういいわワルド、あなた平隊員に降格」
「なんだとこのクソアマァああああああああああああああああああああ、貴様のようなパープリンが王の責務を果たさないから本当の貴族がトリステインから消えたんだろうがああああああああああああああ」
逆上し襲い掛かったワルドが魔法を連射し
宮殿に立てこもったのに合わせてレコンキスタの工作員がトリステインを乗っ取り
というのはどうだろうか
聖剣LOMなら、むしろコミック版の連中の方がキャラ立ってて使いやすいかと。
何しろ主人公、能力に反比例する馬鹿だったし。
>>729 ……ごめん、ネタ潰れた……くじけないもんっ
>>729 そこに颯爽と現れるは謎の婦人。
レコン・キスタ兵の一人が一度戦場で見た『烈風』カリンだと恐れ…
次回沈黙シリーズ最新作「沈黙の王宮」どうぞご期待下さい。
遍在で差をつけようとするワルドの倍の数の遍在を出して
涙目のまま退場してしまう感じか。
Ifスレ向きだなー
>>730 フィギュアはともかく、テレビがないのは辛いんじゃないか?w
>>729 そもそもワルドって姫様に依頼受けてたんだっけ?
SSとごっちゃになってて本編でどうだったか思い出せん
でももし依頼受けててもあくまで私的なレベルだから降格までいくかなぁ?
まぁ逆に私的だからこそ降格どころかクビ切られてもおかしくなさげだがw
クビになったらなったで仮面の男としてレコンキスタいけばいいだけだからな
ワルドレベルの使い手なら扱いに困るってこともねぇべ
タルブにあるのはキスティスのフィギュアか
個人的にはレディパールとか瑠璃が好きなんだが
珠魅編最高
>>736 フィギュアを発掘するために聖地を先われスプーンで掘るのかw
>728
ドラグーン姉弟で頼む。
ラルクのお姉ちゃん大好きっぷりは異常。そしてヴァディス様とシエラお姉さまはお美しい。
しかしティアマット、てめーは駄目だ。
739 :
狂蛇の使い魔:2008/10/17(金) 19:42:40 ID:GqT9RCia
投下予約等なければ19:50頃から投下します
>>729 まーワルド帰ってこないってオチがあるし
そういや空賊に化けたウェールズ殺してしまって逃げ帰って嘘の報告って小ネタ書いてたよ俺
支援ー
744 :
狂蛇の使い魔:2008/10/17(金) 19:51:34 ID:GqT9RCia
では、投下します
第五話
浅倉が広場を後にした、ちょうどその頃。
本塔最上階の学院長室では、魔法によって映し出された広場の光景に、二人の人物が見入っていた。
「オスマン殿、やはり彼は……」
「……概ね間違いはないじゃろう。」
一人は、サモン・サーヴァントの際にルイズたちの監督をしていた、禿げた頭が特徴のコルベールという男。
もう一人、コルベールにオスマンと呼ばれたその人物は、白い髪に白い口髭の年老いた男。
彼こそが、この学院の学院長である。
そんな二人が、なぜこんなことをしているのか。
それは、ギーシュと浅倉が決闘を始める少し前。
コルベールが慌てて学院長室に入ってきたのが始まりである。
コルベールが手にしていたのは、珍しい形のルーンが描かれた一枚のスケッチ。
サモン・サーヴァントの際に騒動を起こした、ルイズの使い魔の平民のものであるという。
コルベールはそれを、伝説の『ガンダールヴ』のものと一致した、と言った。
「なるほど……。じゃが、たまたま似た形のルーンが現れただけかもしれんぞ?」
「しかし、オスマン殿……」
コルベールが言いかけた時、部屋のドアがノックされた。
745 :
狂蛇の使い魔:2008/10/17(金) 19:54:12 ID:GqT9RCia
「失礼します、オールド・オスマン」
入ってきたのは、オスマンの秘書であるミス・ロングビルであった。
「なんじゃね?」
「ヴェストリの広場にて、生徒が決闘をしているようです。」
オスマンが呆れた顔をして、やれやれと呟く。
「して、誰が決闘をしておるんじゃ?」
「一人は、我が校の生徒、ギーシュ・ド・グラモン。もう一人は……」
「もう一人は?」
「ミス・ヴァリエールの喚んだ、平民です」
その言葉に、オスマンとコルベールは顔を見合わせる。
「噂をすれば、ですな。」
「全くじゃ。……丁度いい。様子を見てみるかの。」
そう言うとオスマンは魔法を唱え、広場を映し出した四角い画面を眼前に出現させた。
「駆けつけた教師たちが、『眠りの鐘』使用の許可を要求しておりますが……」
尋ねてきたロングビルに、オスマンは映像を見たまま、振り返らずに答えた。
「平民相手なら使わずとも十分じゃろ。そう伝えといてくれ」
「……分かりました」
失礼します、と一礼すると、ロングビルは映像に夢中な二人を残し、部屋を出ていったのだった。
そして、現在に至る。
しえん
747 :
狂蛇の使い魔:2008/10/17(金) 19:57:08 ID:GqT9RCia
決闘の結果は圧倒的なものであった。
様々な武器を自在に操り、瞬く間に敵を蹴散らして退けた、あの平民。
これなら、彼が『ガンダールヴ』だというのも頷ける。
(それにしても……)
窓際に移動し、オスマンは考える
あの平民が持っていた、紫色の奇妙な箱。
色や描かれた模様は違えども、この学院に存在する『破滅の箱』と形状が酷似している。
つい最近手に入れた、手にした者は呪われるという秘宝……
彼なら、何か知っているかもしれない。
(あとで尋ねてみる必要がありそうじゃのう……)
「ところでオスマン殿。この事を王室に報告しないのですか?」
オスマンの思考が一段落した時、コルベールが思い出したように尋ねた。
「なに、あんなやつらにわざわざ報告せんでいい。そんなことをしたら、彼の身が心配じゃ」
「それもそうですな」
コルベールはそう応えると、そろそろ授業がありますので、と言い部屋を出ていった。
(最近は奇妙な出来事が多いのう……)
そう考えながら、オスマンは白髭を撫でながら、窓の外に広がる空を見上げた。
晴れ渡った青空の中に、幾ばくかの薄雲が漂っていた。
748 :
狂蛇の使い魔:2008/10/17(金) 20:00:11 ID:GqT9RCia
その日の夜。
「ねえ、昼間のあの変な格好、何? あ。あと、あのでっかい蛇! 教えなさいよ!」
ルイズは自室で浅倉を質問攻めにしていた。
「うるさい奴だ。俺はもう寝る」
そう言うと、浅倉は部屋の隅で寝転がった。
両手を頭にあて、すぐに目を閉じる。
「ち、ちょっと待ってよ! せめてあんたの名前くらい教えなさい! それぐらいならいいでしょ!?」
「浅倉だ」
目を開けずに、浅倉は答えた。
「アサクラ? アサクラね。それと……」
「じゃあな」
「あああ待って! 最後に一つだけ!」
浅倉が目を開け、ルイズを睨む。
「しつこい奴だ。そんなに俺をイライラさせたいのか?」
その形相に、ルイズは思わずひっ、と声をあげた。
「ほ、本当に最後よ! ……あんた、私のことどう思ってる?」
真剣な目付きでルイズが問う。
浅倉はしばらく天井を見て考えると、目だけをルイズの方に向け、答えた。
「この生活は悪くない」
「え? それってどういう……」
ルイズが言い終える前に、浅倉は再び目を閉じた。
749 :
狂蛇の使い魔:2008/10/17(金) 20:03:32 ID:GqT9RCia
(結局、よく分からなかったわ……)
満足のいく答えを得られなかったルイズは、両手で頬杖をつき、ふぅ、とため息を吐いた。
もう一度、寝ている浅倉を見る。
「でも、私と一緒にいるのは嫌じゃないみたいだし……大丈夫、かな」
そう自分を納得させるように呟くと、ルイズは浅倉から視線をずらし、窓の方へと目をやった。
雲に覆われた二つの月が、その隙間から弱々しい光を放っていた。
所変わって、部屋の片隅に大きな置き鏡がある、学院のとある一室。
その鏡の中に広がる虚像の世界に、銀色の鏡のような空間が出現していた。
それは少しずつ大きくなっていき、しばらくすると、人型の白い物体を四つばかり吐き出した。
吐き出すと同時に、謎の空間は跡形もなく消滅した。
二メイルほどもあるその四つの物体は、しばらくすると不気味な呻き声をあげながら、ふらふらと立ち上がった。
鈍重な動きで顔を動かし辺りを見回すと、おぼつかない足取りでどこかへと去っていく。
後には、何事もなかったかのように部屋の様子を映し出す、その大きな置き鏡があるのみであった。
アドベント
支 援
751 :
狂蛇の使い魔:2008/10/17(金) 20:08:06 ID:GqT9RCia
以上です。
次回はミラーモンスター絡みのお話の予定です
支援ありがとうございました!
蛇の人乙
ていうか、やたら短くね?何があった?
この浅倉は丸いな
もしイライラしっぱなしの浅倉だったら・・・
ともかく乙
754 :
狂蛇の使い魔:2008/10/17(金) 20:21:19 ID:GqT9RCia
>>752 本当はもう1、2レス分あったのですが、展開的に微妙なので次回に回しました。
その分次回は若干長めになってます。申し訳ない。
>>717 これで幽白詳しくないのが露呈したか?
特技でいきなりレイガン撃つわけないだろ。どんなオレキャラだよ?
短いし、文章力無いし、つまんないし。
もう来ないでくれ。
蛇の人 乙。
それでは次を予約させていただきます
757 :
無惨の宴舞台裏・後編 5〜12日:2008/10/17(金) 21:29:54 ID:6Ogzrceu
五日目。
竜の胴体と同時進行で各部パーツを作り始めた。バランスを重視しながらもあえてアンバ
ランスな部品を作ることで全体の印象をより強くする。
「翼は大きく、とことん大きくだ」
「図鑑の竜より大きくていいのか?」
「リアリティよりインパクトを重視する。そうだな……数も増やすか。四対八枚にしよう。
見た瞬間『なんだこれ!?』とビビって大人でも小便もらすようなのがいい」
「オッケー、任せとけ」
「といってもリアリティを軽んじるわけじゃないからね。その辺履き違えたら承知しないよ」
凝れば凝るほど作業は増える。一度細工されてしまえば、使い魔はその細工を再現するこ
とができた。それをなるだけ有効活用し、びっしりと全身を覆う鱗などは使い魔に任せ、だ
が目立つ部分はやはり自分で仕上げ、そうなれば目立たない部分も色々と調整したくなり、
一人と一匹の共同作業に終わりは見えず、夜はふけてゆく。
六日目。
基本的に五日目と同じやり方を踏襲していたが、合理化できる部分は極力合理化した。食
事は中庭に持ち込み、使い魔の食事から孵化までも中庭で行わせ、簡易寝具を持ち込んで就
寝も中庭で済ませ、大ダライに湯を張って湯浴みも中庭でする。
湯浴み以外の手伝いは全て使い魔達にやらせた。
「風呂の手伝いもさせろよ! 俺同性だよ!? 卵だって産んじゃうんだよ!? 女同士じ
ゃん、何も意識したりすることないって! 裸のつき合い、ええ実に素晴らしいことじゃな
いですか!」
などとのたまっていたが、「こいつにだけは絶対裸体を見せたりすまい」と決心した王女
の意思とスカートは金剛石よりも固く、カーテンで覆い隠して覗く余地を与えなかったため、
かえって想像をふくらませた使い魔の鼻息が荒くなったりもしたが作業は滞りなく進行した。
夜は松明に火をともし、体力の限界がくるまで竜の素体と格闘する。ここをこうしよう、
そこはああしようなどと考え、ちょっとした思いつきなども残らずメモをとらせ、体がバラ
バラの竜が少しずつ完成に近づいていった。
七日目。
中庭に集積されたゴミの臭気はプチ・トロワ全体に漂い、ただでさえ評判の悪い王女の評
判をさらに貶めていたが、本人も使い魔もまるで気にしていなかった。
中庭にこもり何をしているのか。この臭いはいったい何なのか。どうも使い魔が城下から
ゴミを運んでいるらしい。それをどうしているのか。どうせろくなことではあるまい。
このような噂も引きこもった王女の耳に届くことはなく、大まかな形作りは終盤に差し掛
かり、いよいよ仕上げに入ろうとしていた。
八日目。
「色はどうする? 図鑑のまんまでいいのか?」
「なるだけゴージャスな色にしたいねぇ……よし、燦然と光る黄金色でいこう」
「ゴールドドラゴンか! かっこいいな」
「表面にはちょっと傷を走らせて、きらびやかなだけじゃなく汚れもつける。さっき作った
ばっかりですってんじゃダメだ。数百年の時間が感じられなきゃならない。物語を込めろ」
イザベラ自身は気づいていなかったが、彼女はこの創作活動を楽しんでいた。魔法の習得
に関しては、常に自分の前を年下の従姉妹が歩いていた。魔法の腕前だけではない。学科や
運動も勝っていたことはなく、努力に努力を重ねても追い越すことができないと悟ってから
は努力そのものをやめ、差は広がる一方になり、荒み、人心までもが従姉妹に傾いていき、
腹いせに従姉妹をいじめ、だがそれでも心は晴れず、一層荒れた。
そんな彼女にとっては初めての体験ともいえる実のなる努力だった。学べば学んだだけ身
についた。少しずつ完成していく巨大な竜を眺めると誇らしくなった。
イザベラはより早く、だがけして雑にならない速度で製作を進めた。
九日目。
パーツごとの仕上げは佳境に入っていた。
「舌と鱗は違う。眼球と角も違うし歯も爪もみな違う。質感の再現性がまだ足りないんだよ」
「とは言ってもなぁ。俺、竜見たことないし。図鑑だけじゃ質感まで分からないよ」
「だったら蛇でも亀でもトカゲでも分かるもので代用して再現しな。問題がある箇所は適宜
わたしが指導する」
岩石でも噛み砕いてしまいそうなズラリと並んだ牙。人間ごときは触れただけで引き裂い
てしまう鋭い爪。銃弾どころか砲弾まで跳ね返す強固な鱗に、気の弱い者なら睨み殺してし
まうであろうぎょろりとした大きな目玉。あとはこれらを組み立てるだけだ。
十日目。
完成が近づくにつれ、見えにくかった問題が顕在化しはじめる。
「飛べないってのはどういうことだい」
「これだけの大きさだぜ? いくら翼が大きくても無理があるって」
「飛来する流星を捕まえたことがあるなんて吹いていたのはどこのどいつだったっけ」
「そりゃ嘘じゃないよ。全身筋肉みたいなもんだから跳ぶことはできる。それこそ流星捕ま
えるスピードだって出せるさ。でもバッサバッサと羽ばたくのは無理だ」
実地でなければ分からないこともある。
各種パーツを白布でくるんで荷馬車に積み込み、郊外の丘に遠征した。数日ぶりに顔を見
せるイザベラは宮殿で働く者達を驚かせていたようだが、そんなことにかかずらっている暇
はなかった。馬に鞭を打って丘まで急ぎ、いそいそと封を開けてパーツを取り出し、竜にな
るよう組み立てる。組み立てた竜を丘の上から走らせ、勢いよく地を蹴り上げ……ズシンと
着地した。そもそも竜が航空力学を無視して飛ぶのは魔法の力によるものが大きい。使い魔
が模した竜――それも並の竜より二周りは大きい――が飛べるわけはなかった。
しかし飛べない竜はただの大トカゲでしかない。無理を通してでも飛ばす必要がある。
レビテーションは論外だ。対象があまりにも大き過ぎる。
フネの風石を流用するか。イザベラの力量では扱うのが難しい。というか不可能だ。
火薬を爆発させその勢いで……きっと粉々に砕け散る。
イザベラは考える。考えれば何かしら見つかるはず。何かないかと可能性を探してまわる。
飛ぶためにはどうするか。飛ぶものといえば竜の他に鳥、蝙蝠、ムササビ、蝶、蜂、トン
ボ、蝿や蚊、ワイバーン、グリフォン、マンティコア、フネ、風船……風船?
「風船か……でも浮かぶだけじゃダメだ」
ふわふわ浮かぶだけでは迫力を損なう。だが体重を減らす手段としてはありかもしれない。
「お前、羽ばたくのは無理だと言ったね。じゃあ滑空は?」
「それでも重すぎるよ」
「中身をくり抜けば?」
「それは……どうなるだろ。試してみないとちょっと分からないな」
「だったら試してみればいい。並の竜じゃないんだ、肉を減らしても死にやしない」
中身を取り出すため、竜を横に寝かせて腹を縦に引き切った。字面からは猟奇的な雰囲気
を感じるが、やっていることは粘土細工に近い。
「うう……なんか手術みたいで嫌だ……」
「どうせ痛みなんぞ感じないくせに。黙って切られてな」
取り出す量が少なければ飛べないが、取り出す量が多すぎては形が崩れてしまう。慎重に
出し入れし、腹だけでなく胸や首、軽量化できる中身は全て削ぎ落とす。その度滑空を試み
るがなかなか上手くいかない。肉眼では見えない微小な通気孔を鱗に配し、制御の助けとす
る。脚部を太くし、翼の形を変え、肉質をいじり、全体の形を整え空気抵抗を減らし、助走
や呼吸法にいたるまで試行錯誤を繰り返し、日が落ちてきたところで三十八度目のフライト。
「よおおおし……いけぇっ!」
「おおよっ!」
首にかじりついたイザベラの号令に従い、使い魔が丘を駆け下り、大地を蹴った。
風を切ったというほどの爽快感はなかった。
「おお……」
不意の突風になんとか乗り上げたというのが実情に近い。
「おおおおお……」
吹きつける向かい風がイザベラの髪をなぶり、巨大な翼に浮力を生み出す。
「おおおおおおお……!」
「すげえ! すげえぞ!」
空が、近い。一番星が頭上で瞬き、雲はもっと近い場所に流れている。風は強いが気持ち
よく、空気は冷たく肌を刺す。主と使い魔は本人以外に意味の分からない歓声をあげた。
イザベラは竜の太い首をしっかと抱いて身を乗り出した。城下の灯りが点々と目に入る。
「よし、このまま宮殿に戻って竜に跨り凱旋としゃれこむか。行けるね?」
「な、なんとか頑張ってみる。風の掴み方が分かってきた……ような気がする」
生兵法は怪我のもとという言葉がある。あやふやな感覚で理解したつもりになっているい
る時が一番危ない。
風が主翼を突き上げた。吹き飛ばされないようイザベラは首にしがみつき、そのため直接
胸の感触を味わって使い魔はにやついたが、いつまでもにやにやしている余裕など無い。バ
ランスを崩し、右に旋回しながら草原の上に不時着するのが精一杯だ。
衝撃が丈の長い草をなぎ払い、間を置かず圧倒的な質量が押し潰し、薄闇の中でもうもうと
土煙があがり、イザベラを大いに咳き込ませた。使い魔の方は咳き込むどころではなく、下
手に搭乗者を気遣ったため自分のことをおろそかにし、口の大部分をブレーキ代わりに土山
の中へ突っ込んでようやく停止した。
その滑稽な体勢が笑いを誘った。失敗を怒鳴りつけてやろうとしたイザベラも例外ではな
く、使い魔の無様な姿に腹を抱えた。土山からなんとか顔を引きずり出し、情け無い表情で
こちらを向いた使い魔も不意にぷっと吹き出した。
「イザベラ、その顔。泥がかかって誰か分からなくなってるぞ」
「よりによってお前に言われたかないね。自分の顔を鏡で見てごらん」
お互いの顔を指差して一しきり笑ってから、使い魔は主を背に乗せて丘へのぼった。一度
飛べたからには二度三度飛べるはず。今度こそ絶対に宮殿……いや、せめてリュティスまで
竜の背に乗っていく。イザベラはそう宣言し、巨大な竜は唯々諾々と従った。
「これで満足してちゃわたしの使い魔になる資格はないからね。さあもういっぺん丘の上だ。
二度目の失敗は許さないから覚悟して飛べ」
「プレッシャーかけるなよ。俺、そういうのに弱いんだって」
八度試みた結果、リュティスの街外れが最長到達点となった。宣言通りにいったかどうか
はなんとも微妙なところだったが、イザベラは大変に満足し、家路を急ごうとしたところで
馬車を置いてきたことを思い出し、再び使い魔に跨って徒歩で馬車をとりに戻った。それで
も王女の機嫌は良いままで、使い魔の下品な冗談にも軽口を返し、月下にあって月よりも闇
に映える黄金色の鱗を愛おしげに撫でた。
――――――――――――――――
sage損ない大変失礼しました。ギコナビ使ってなぜこんなことに
ドッキリ当日。
まさかこんなことになるとは思ってもいなかった。
人形娘の風竜はもちろん、老成した竜でさえ子供扱いするイザベラの使い魔が呆然と見上
げていた。一歩踏み出すごとに地が揺れ、臓腑が震え、歯の根が合わず、許しを請うためそ
の場に平伏せんとする我が身を必死で抑えた。
腕を振るえば雲まで届き、足を下ろせば砦が崩れ、魔法を使えば山が吹き飛ぶ。頭から足の
裏までおよそ一リーグはあろう巨大なシャルロットがイザベラを目指して歩いていた。その
表情から読み取れるものは何もなかったが、イザベラの方には攻撃される心当たりが山とある。
現に今もドッキリで引っ掛け、笑いものにしてやろうと待ち構えていた。
「もうダメだ。あんなバカでかい相手にドッキリなんて不可能だ」
振り絞るような使い魔の弱音。
「このままじゃ俺達殺されちゃうよ。イザベラ、早く謝ってくれ」
「……」
声が出ない。
「お願いだ。イザベラ。あんなのに踏み潰されたら俺だって殺される」
「嫌だ……」
唇から入り、口の中、舌の向こう、喉の奥、声帯や気道を抜け、肺を通り越し、まだその
先にある何かがイザベラに言わせている。
「嫌だ……そんなの嫌だ……あんなに……あんなに頑張ったのに……!」
跳ね起きた。
「ちっ……またか。使い回しのオチとはいただけないね」
口調こそ皮肉っぽいが、やはり息は荒い。鼓動は跳ねている。頬は上気して赤くなり、額
には玉の汗が浮かんでいた。窓の外は未だ月が高く、カーテンを貫いた月光が薄く室内を照
らしている。枕元の水差しに手を伸ばしかけ、その手を途中で止め、止めた手を顔へ向け、
両目を覆ってふっと息をついた。
「どうしたイザベラ、また怖い夢見たのか」
「お前は黙って横になってな。これから寝直すのに枕がなきゃ困るだろ」
両手両脚を投げ出して大の字で寝転がり、数秒ほど天井を見つめてから、赤ん坊のように
丸まった。汗が引き、鼓動が平静を取り戻す。
悪夢は悪夢だが、恐慌をきたすようなことはなかった。どちらかといえば落ち着いていた。
落ち着くというより落ち込んでいたのかもしれない。なぜこのような夢を見るのか、薄々で
はあるが心当たりがあり、そのことがイザベラを落ち込ませる。丸くなりながらも目は瞑ら
ずに真っ直ぐ壁を見た。親指の爪を糸切り歯で噛みつけた。考えれば考えるほど腹が立った。
違和感は感じていた。数日を費やして巨大な竜を作り上げ、それを飛ばすことまで成功さ
せた。気分は高揚して、幼い全能感にひたっていた。だが、そんな中でも喉の奥にささった
魚の小骨にも似た、拭いきれない違和感があった。
イザベラは考えた。考えれば答えは出るだろうと思い、事実答えらしきものを見つけるこ
とはできた。その答えはイザベラが見たくなかった答えだった。箱に入れてから鍵をかけ、
見ないふりでここまできたものだった。
これからドッキリを仕掛けようという相手は竜を使い魔にしている。幼生ではあるが、紛
れもない本物の竜だ。火竜の棲む山へ出向いたこともあるし、仕事で他に竜を目にする機会
があったかもしれない。
イザベラは何回か遠目に見たことがあるきりだ。あとは図鑑をひらいて眺めたことと、空
想するくらいがせいぜいだった。
本物の竜に慣れ親しんだ人間を、竜に触れたこともない人間が、偽者の竜を使って騙そう
とする。机上で戦術を学んだ青二才が歴戦の名将を相手に戦を挑むのと何が違うだろう。両
者とも同じ未来が待ち受けている。
羊水に包まれた胎児と同じ姿勢をとりながらイザベラはさらに深く考えた。自分で見たく
ない、認めたくないという理由から、心の奥底に埋めてしまった物事をほじくり返す精神的
活動は自傷行為にも等しかったが、やめることもできずに深く深く考えた。
違和感があるのなら、そこで立ち止まって問題を洗い出すこともできた。計画の無謀に気
づき、無理の無いやり方へ軟着陸することもできたはずだ。だがイザベラはしなかった。
竜という生き物への淡い憧憬は否定できない。風竜に乗って去りゆく背中を見る時、必ず
と言っていいほど憎々しい感情を覚えた。使い魔を召喚する時も、まず竜を呼び出してやり
たいと願った。背に跨って空を飛び、下界を見下ろせばどれだけ気持ちがよいだろうと思い、
実際にそれはとても素晴らしい体験だった。
だからこそ計画の穴を見ないふりで見過ごし、推し進めようとした。穴はあるかもしれな
い。でも大丈夫。しょせん相手は人形娘。イザベラ様の敵じゃない。
――何がしょせんだ。
人形娘、ガーゴイル、七号といった数々の蔑称を考案、臣下にもそう呼ぶよう強制し、自
分より一段低い存在として貶めようとした。本当に低い存在ならわざわざ貶める必要は無い。
才能の有無を誰より意識していたのはイザベラ自身だ。
人形娘程度なら偽の竜でも騙される。しょせんはガーゴイル、人間様にはかなわない。七
号が王女に逆らうなんて許されない。わたしは勝者であいつは敗者。
最初は自分を慰めるための方便に過ぎなかった。イザベラの努力は報われず、走ってもシ
ャルロットに追いつけず、あがけばあがくだけ惨めになる。現実から目を背けてしまいたか
った。いつの間にかそのための言い訳が自己欺瞞に化け、勘違いしているという自覚もない
まま何も考えずにここまできた。イザベラとシャルロットの二人を知る人間で、イザベラの
方が優れていると本気で考えている人間がどれだけいるだろう。きっと一人もいない。イザ
ベラだってそんなことは思っていない。
事実から目を逸らし、自己欺瞞に引きづられ、計画を失敗させるギリギリのところまでき
た。竜に見えない竜で脅しをかけようとする裸の王女様はさぞかし滑稽な道化となることだ
ろう。オルレアン派の連中が陰で叫ぶ快哉がここまで聞こえてくるようだ。
皆が笑っている。皆に笑われている。無能王の無能な娘が偉ぶっていると指を指されてい
る。本来そこに座るべきはお前なんかじゃないと囁かれている。おべんちゃらや追従を真に
受け、道化を演じている馬鹿な娘を笑いものにしている。誰もかばってはくれない。味方は
いない。愛する人もいない。好きになってもくれない。一人ぼっち。
敗北感と無力感が全てを黒一色に覆いつくし、疲労困憊しているのに眠気は失せ、イザベ
ラは身を横たえながらも、まんじりともせずに一夜を明かした。
十一日目。
朝も早くからイザベラの部屋は喧騒に満ちている。
「どうしたんだよイザベラ。目が真っ赤じゃないか。子供用目薬のコマーシャルでもそこま
では赤かないぞ」
「入れるのか。ドラゴンケースに入れるのか」
「寝てないのかひょっとして」
「もうすぐ本番だってのに寝なきゃダメだろ」
「遠足の前日は楽しみで眠れなくなるタイプだ」
「おでこぺちぺち」
枕を筆頭に、細々とした使い魔達が物陰からあわられて、口々に主を心配していたが、当
のイザベラは生返事を繰り返し、心ここにあらずの態で使い魔達の狂騒を眺めていた。最低
限の食事を口にし、必要がなければ寝台の上からおりようとさえせず、傍目には無気力な様
子で一日を終えた。
使い魔は終始心配し、そのあまり主に絡みついたり、頭まで駆け上がって額を叩く者まで
いたが、それでもイザベラは動かず、昨日までの振る舞いを知っている侍従たちもいったい
何事かとひそひそ噂し、プチ・トロワ全体がどこか落ち着かない浮ついた空気に染まり、一
日が暮れていった。
十二日目。
勢いよくカーテンを開ける音から一日が始まった。
「よしっ!」
気合の一声とともに自らの両頬を小気味よくひっぱたき、様子の違った主を見上げる使い
魔に向き直り、イザベラはにやりと笑いかけた。
「おはよう。まずまずの朝だな」
「おはよう……っておい。元気になったか! 元気になったのかイザベラ!」
「元々元気さ。お前らの間抜けっぷり眺めて呆けるのが馬鹿らしくなっただけだ」
「おおー!」
「すごいすごい!」
「わーいわーい」
わらわらと湧き出てきた使い魔が、袖に足にとまとわりつくが、イザベラは慌てない。力
を込めて右方向へ一回転し、遠心力で小さな乱暴者達を吹き飛ばした。
「はい、静かに!」
ぴたりと静まる。
「竜はどこにやった?」
「バラして中庭に隠してある。いつでも組み立てられる状態だ」
「よし。潰して作りかえる」
「ああそうか潰して作りかえ……え? ええええええ!?」
途端にまたうるさくなった。
「なんだよそれ!」
「あの苦労を忘れたのか!」
「あんな格好良く仕上がったのに!」
「もったいない! もったいない!」
「そうだそうだ! もったいないお化けが出てくるぞ!」
「静かに!」
再び縮こまる使い魔の群れ。その中で一番大きい枕がおずおずと進み出た。
「だって……竜がいなくちゃドッキリはできないだろ。イザベラ、あきらめたのか?」
「誰があきらめるか。あきらめてたまるか。これは退却じゃない。転進だ」
その表情は諦めるという動詞からはるかに縁遠く、主の心変わりに動転していた使い魔も
口をつぐまないではいられない。
「ところで。お前ら、この世で何が一番怖い?」
「何がって……そうだなあ。やっぱり……うーん……人間かな。石投げられたりするし」
「そうかい。同感だね」
ふん、と大きく鼻を鳴らして部屋を出ていき、それに困惑した使い魔達が続く。
「なあホントにいいのかよ。相手はあの七号だぜ。竜無しじゃ無理ゲーだよ」
「無理じゃない。勝算があってのことだから案ずるな。それと」
後ろへついてくる使い魔達にイザベラの顔をうかがい知ることはできなかったが、もし見
えていればこう言っていただろう。「ああ、やっぱり俺って幸せものだ」と。
「わたし達の相手は七号でもなけりゃ人形でもガーゴイルでもない。シャルロットだ。この
うすらクソ忌々しい名前、よおく覚えておきな」
NGシーン
八日目。
「色はどうする? 図鑑のまんまでいいのか?」
「なるだけゴージャスな色にしたいねぇ……よし、燦然と光る黄金色でいこう」
「おお、ゴールドドラゴンか! かっこいいな」
「表面には杖を構えてビシッとポーズを決めたわたしを大きく描く! まずは図案を考えな
いとね。そこに物語を込めてあるようなのがいい」
「いかした構図にしてやろうぜ。イザベラならきっとかっこいいって」
そして二日後の夜、リュティスの裏町。
「なんだありゃあ!? バカでっかい……竜!?」
「野生のはぐれ竜か!? あんなもんに襲われたらひとたまりもねえぞ!」
「待て……よく見ると背中に誰か乗ってる。ひょっとして城の人間じゃねえのか」
「そういえば最近イザベラ様がえらい使い魔呼んじまったとか」
「それがあれってわけか。すげぇな、あんな色の竜、聞いたこともねえ」
「あれ、金でできてるわけじゃねえだろうな……ん? 背に何かあるな。痣……じゃねえ」
「絵だな、ありゃ。青い髪で、杖を持った女メイジ……イザベラ様か、ありゃ」
「えらく美化してあるが、たぶんイザベラ様だろ」
「使い魔の体に自分の絵を描かせたのか……」
「……」
「……」
「……何か間違ってるだろ」
「間違ってるよな……」
「間違ってるっていうか……痛いな」
「痛いな。痛い竜……痛竜か。あんな立派な竜が……かわいそうに……」
――――――――――――――――――――――――――――――――
イザベラの描かれた痛車があったらうp希望
次回で終わりなのにこんなこと言ってていいのか分かりませんが、とりあえず以上です
sage損ない、重ね重ね失礼いたしました
GJ
投下お疲れ様です。
次回も期待してます。
毎回おでこペチペチするやつに笑ってしまう。お疲れ様、次回楽しみにしてます。
幽白のやつを、ギャグ漫画日和り風に脳内イメージつくると結構イケるw
なんとなく幽遊白書から蔵馬を召喚すれば、カトレアもタバサ母も治療してもらえそうだなと思った。
穏やかそうに見えて、扱い間違えたら即ルイズ死亡なキャラだけど。
王蛇の人乙です。
あの朝倉が…恐るべしルーンの力w
新しいカードデッキ?が何かを含めて次回にwktk。
痛竜ってw
やってる奴がすでにいるかよw
ジュラシックパークからティラノサウルス召還とかないのか
771 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 22:30:25 ID:HX1h9I4H
王蛇の人乙
王蛇で思い出したけどシャンゼリオンのほう再開しないかな・・・
『世紀末リーダー伝たけし』からアナルたけしを召喚
「ウ○コだ!ゼロのルイズがウ○コを召喚したぞ!」
「み、ミスタ・コルベール・・・ひょっとして?」
「・・・・・・・・・残酷な事を言いますが・・・契約しなさい」
「いやー!」
カードデッキ自身を召喚して
仮面ライダーゼロ
とか言うルイズ狂化系の話はまだですか?
テッカマンに変身するのならあったな
どなたか鬼平を召喚してください
屈強なパンツ一丁のスパルタ戦士300人全員がガンダールブだったら対5万だろうと7万だろうと勝てるかな?
強化系ならルイズが召喚した謎の宇宙線によって
全身炎に包まれた空飛ぶ火炎メイジとなったキュルケ
自ら全身青銅の鎧に包まれたゴーレムとなったギーシュ
透明化してますます暗殺者向きになったタバサ(不可視のマントと変わらん)
全身爆弾人間になったルイズ…悪魔の実と変わらんか…
一人にキスをしようと近づいた時点で首を刎ねられそう
全身炎に包まれた空飛ぶ火炎メイジとなったキュルケ(夜も燃えっぱなしでムードもへったくれも無い、つーか相手に触れられない)
自ら全身青銅の鎧に包まれたゴーレムとなったギーシュ(しかし、重くて動けない)
勝手に突っ込みを追加した
>>778 もうデビルマンからデーモン召喚して合体したことにしようぜ
キュルケ「フレーム・オンッ!!」
ギーシュ「鉄拳制裁タイムだ」
本家本元のファンタスティックフォーを召喚したほうが早くないか?
むむ、もう450KB超えているよ。
明日は土曜日だ。昼前には次スレに行きそうだな。
>空飛ぶ火炎メイジキュルケ
飛んでる時はすっぱだ…
スマン、映画版見てないから分からん
昔のアニメ版だと24時間燃えっぱなしだったような…
>>781 デーモンの召還ですね
ついでに赤い眼の竜も呼ぼう
カイバーマンで遍在ごっこしようぜ!
>>786 海馬デッキなら、今なら竜の鏡があるな。
もっとも墓地に落としてダムド喚ぶほうが有益だとかは言わないほうがいいな。
>>787 カイバーマンなら攻撃力500以下だから増殖が使えるな。
出た瞬間に嫁呼んで墓地行きじゃないの?
サイトのパワーアップ値がそのまま適応されるなら
普通でサイト100人分くらい強いスパルタ兵一人がガンダ効果で更に百倍くらい強くなるので
まあ手におえなくなる
>>788 死者蘇生→地獄の暴走召喚→全部リリースして青眼の白龍3枚→強靱無敵最強
ですね。わかります
>>792 >死者蘇生→地獄の暴走召喚→全部リリースして青眼の白龍3枚→強靱無敵最強
→融合解除→ずっと俺のターン
ですね分かります
ここの社長のデッキってどうなってるんだろうなぁ…
過去に使ったことのあるものだけなんだろうか、現状のカードを追加した強化版だろうか
>>780 アイアンマン公開中だし。
これからはアベンジャーっすよ!
えーと、チームメンバー、今どうなってるんだっけ?
>>795 それは鬼兵だろ
火付け盗賊改め方じゃね
>>778 サイトがガンダールヴの力でサーフボードを操ってギャラクタスに
特攻するSSは妄想したことがある。
>>655 本当に今更で恐縮だが、DX0の人乙。連載再開を待ちわびていたので嬉しい限りです。
フーケさんもオーヴァード化かぁ……最新ルールではモルフェウスに《血の従者》っぽいエフェクトが実装されたらしいし、シンドロームの片方はそれかなあ? と妄想
そして、隼人カミングアウト早ッ!? …だけど、ウィルスの説明に対する皆の反応からすると( ゚Д゚)ハァ? としか思われなさそうで…(´・ω・)
話は全然変わるけど、アニメ版モンスターファームのゲンキが召喚されました、っつーのはどうだろう?
ガッツを使えること以外はバランス崩壊させるような要素一切ないし、似たような召喚経験があるから割とこっちにも馴染めると思うんだけど…
アニメのモンスターファームは最終回を見逃しちゃったんだけど、
たしか何も解決せず終わるんだっけ?
仲間がみんな死んで主人公が元の世界に戻ると昔調べたらでて
軽いめまいがした覚えがあるけど。
>>799 案ずるより産むが易しという言葉があってだな
何が言いたいかってとグダグダ言ってる暇があるならさっさと書いて投下しろってこった
待ってるぜ
>>800 続編があったような無かったような
タルブの村に眠ってるのはヘンガーと見た
シエスタの祖父がサイボーグじいちゃんGでシエスタも正体はサイボーグメイド・シSタ
ってネタを思いついた
ジュマンジが召喚されました
>800
ラスボス倒して、死んだ仲間は生まれ変わって生まれたての子の能力値になったような。
鋼の錬金術師からグリードが召還されました
ってどうだろうか?
あのスレって相当荒れてたけど結局どうなったの?
NARUTOから自来也召喚
オスマンの恩人に四代目 転移忍術用のクナイを残して旅立つ
シエスタの祖父が初代 タルブに隠れ里 遺品に火竜の口寄せ契約書
まで考えたが俺には無理だ
じゃあ何で書き込むの?
流れ切って悪いが、今だれも投下してないよな
特に問題ないようなら、ドラえもんをマテリアルとした実験的ギャグ長編、
『ドラえもん のび太のパラレル漂流記』第二話を
これから投下させてもらうぞ
支援させてもらう
待ってた
第二話 『ゼロのルイズとドラエモン』
「はあぁ……」
と、ルイズは重いため息をついた。
そのため息の原因は、彼女の使い魔……いや、コントラクト・サーヴァントはしていないので
使い魔とは言えないかもしれないが、とにかく彼女が喚び出したモノに原因があった。
見たこともない外見をして、さらに言葉まで話していたので、最初は高位の幻獣を引き当てたか、
と喜びもしたのだ。
――しかし、実際には大外れだった。
全くもって、使えない。というかもう、使えない以前に言うことを聞かないのだ。
この世界のことはよく知らないだろうと思って、
とりあえず簡単に出来そうな掃除や洗濯を命じると、
「そうじにせんたく? じぶんでやれよ。
こんな子どものうちからひとをたよってばかりだと、しょう来ろくな大人にならないぞ」
と逆に説教をしてくる始末。
それならば、と、
「あんた、未来の秘密道具とやらが使えるんでしょ。
だったらせめて洗濯する道具を出しなさいよ!」
と言ってみれば、
「せんたく板とたらい〜」
とか何とかほざいて、それをルイズに押し付けてきた。
「……で、これは何?」
こめかみの血管がピューピュー言いそうになるのを必死で抑えてルイズが聞いてやると、
「なにって見たらわかるだろ。せんたく板とたらいだよ」
悪びれもせずに答えてくる。
「へぇー。それはとても興味ぶかい情報ね。……それで? これでどうやって洗濯するの?」
「ルイズ。きみはほんとうにばかだな。じぶんの手でこすってあらうにきまってるだろ」
「ふぅうん……」
そこでルイズはにこっ、とびっきりの笑顔を見せて、
「ふざっけんじゃないわよこのイカレタヌキィイイイ!!!」
「ぼくはタヌキじゃなぁーい!!」
――結局、つかみ合いのケンカになった。
あったまテッカテーカ支援
「しっかしほんと、どうしたもんかしらね」
しっぽを引っ張って動かなくさせたドラえもんの顔に足を乗せ、ルイズは首をひねった。
使い魔一匹満足に従えられないなんて、このヴァリエール家のルイズ、一生の名折れである。
いや、それでなくてもとにかく、こんな妙ちくりんな顔したタヌキにバカにされるのは
貴族として人として一個の生き物として、どうにもがまんならないのであった。
「それに、ようやく呼び出した使い魔がこんなのだなんて、わたしまたみんなの笑いものに……」
そこでルイズはハッと気づいた。
「しまった! こんなことしてる場合じゃないわ! もう朝食の時間すぎてるじゃない!」
足の下にいるドラえもんを再起動させ、その頬を容赦なくバンバン叩く。
「こらあんた! ドラえもん! 起きなさい、食堂に行くわよ!」
それでぼんやりと目を覚ましたドラえもんだが、
「いいよぼくは。のび太くんのことを思うとかわいそうでかわいそうで、
ごはんなんてのどをとおらないよ」
そう言って本格的に二度寝に入ろうとする。
「あんたが良くてもわたしが困るの! 朝食の後はすぐに授業に行くんだし、
最初の授業に使い魔がいないとわたしの立場が悪くなるでしょうが!」
言いながらヒゲをぎゅうぅ、と引っ張ってやると、ようやく根負けしたのか、
ドラえもんがのっそりと体を起こした。
「めんどくさいなあ。そこまでいうならすこしだけつきあってやるよ」
などと言いながら、扉の方へ向かう。
ルイズは、
(またこいつはこんな生意気な口を……)
と思ったが、また機嫌を損ねられでもしたらそれこそ面倒なので、なんとか堪えた。
ご主人様もなかなか楽ではないのである。
二人が廊下に出ると、近くの部屋のドアの一つが、ちょうど開くところだった。
そしてそこから顔をのぞかせた生き物を見て、
「ぎゃー! ネズミー!!」
ドラえもんがすっとんきょうな叫び声をあげる。
「あいたっ!」
突然足を止めたドラえもんにルイズがぶつかって、
「で、でっかいネズミ、ネズミネズミネズミー!」
さらにドラえもんの狂乱は続く。
「ちょ、ちょっとあんた、どこに入って…!」
ドラえもんが錯乱して、ルイズのスカートの中に隠れようとしたのだ。
これにはルイズ、さすがに焦る。
「ちょ、やめなさ…! これは高貴な、きゃぁ!
もう、とにかく離れなさいよ! しっぽ引っ張るわよ!」
必死に引きはがそうとするが、半狂乱になったドラえもんの力は存外に強く、
すぐには振り払えない。
しかしそこで、
「ネズミだなんて失礼ね。この子はサラマンダー。火トカゲよ」
ドラえもんが見た生き物と同じ部屋から出てきた赤髪の少女が、
笑いながらドラえもんの勘違いを指摘する。
それでようやく、ドラえもんの暴走は止まった。
どうやったら見間違えるんだろうか
支援
128馬力のドラえもんから見ればネズミも火トカゲも下等動物という認識に違いない
冗談はおいといて支援
ネズミとフレイムを見間違えるのはどうかと思う
支援
支援
支援
まさか地球破壊爆弾を
ゴクリ・・・
「キュルケ! そのサラマンダーもしかしてあなたの…?」
しかし、聞こえてきたその声に、今度は仇敵の姿を認めたルイズが叫び声をあげる。
「ええ。フレイムって言うの。サラマンダー、それもまず間違いなく、火竜山脈の火トカゲね。
うふふ。この子ってば火の系統の使い魔の中でもかなりのものなんじゃないかしら」
動揺するルイズに、ふふん、とルイズとは月と銭亀くらいにサイズの違う胸を張るキュルケ。
そんな中、ようやくドラえもんがわれに返って、
「なんだ、トカゲか。おどかすなよ」
おそるおそるフレイムに近づいていく。
「うんうん。よく見るとなかなかかわいいじゃないか。
ネズミなんかとまちがえてわるかった。
そうだ。ほらおいで。ぼくがおいしいおだんごをあげよう」
ドラえもんはそう言ってフレイムをあやしながら、ポケットから桃の絵が描かれた袋を出して
フレイムに食べさせようとしている。
「あら、あんまり変な物を食べさせないでよね。くせにするから」
一方キュルケは一応制止しているが、その態度はおざなりで、本気で困っているようには見えない。
そんなほほえましく見えなくもない自分の使い魔と仇敵の様子を苦々しく見つめながら、ルイズがほえる。
「こらドラえもん! ツェルプストーの使い魔なんかに物をあげるんじゃないわ!
で、キュルケ、何の用?! 何も用事がないなら、さっさとどっかに行ってくれる?」
しかし、使い魔の差か、胸の差か、ルイズのとけとげしい態度にも、キュルケは余裕の表情を崩さない。
「あら、そんなにつれないこと言わないでよルイズ。あたしとあんたの仲じゃないの」
笑いを含んだ声でキュルケが言って、
「なにがあたしとあんたの仲よ! 先祖代々から続く仇敵でしょ、あたしたちは!」
ルイズが憤慨する。
まったくいつもの光景であった。
しかし、いつもと違うところがひとつ。
「にしても、これがルイズの使い魔、ねぇ…」
それはサラマンダーに団子を与えながら、よしよしと目を細めているロボットの姿。
キュルケはゆかいそうにそれを眺めている。
ルイズはその視線に侮辱されたと感じて、
「なに見てんのよ! あたしが喚び出した使い魔に文句でもあるわけ?!」
そうキュルケに食ってかかる。
しかしその言葉に、キュルケはさらに嘲りの色を深くして、
「だって、ゼロ――魔法の成功率ゼロパーセントのあんたが召喚した使い魔よ。
やっぱりもう一度じっくり見ておきたいじゃない?」
なんてことを言ってくる。
一瞬ぐっと詰まったルイズだったが、
「ぜ、ゼロじゃないわよ! サモン・サーヴァントは成功させたでしょ!」
出てきたのはこんな役立たずだけど、と心の中だけでつぶやきながら、強気な台詞を吐く。
「あら、そうね」
意外にもキュルケは納得したようにうなずいて、しかし、
「でもだいじょうぶよ、まだ残ってるじゃない」
すぐに悪だくみを思いついたかのようににやりと顔をゆがめ、
「ほら、ゼロのルイズ」
ルイズの絶壁を指差して、そう口にした。
「な、なななななななな…!」
あまりのことに、ルイズはとっさに言葉が出ない。
「それじゃ、失礼。……ほらフレイム。何してるの、置いていくわよ」
使い魔のサラマンダーと共に、悠然と歩き去っていってしまった。
いきなりきび団子食わせるなwww 支援
和む
団子の効果を思うと和めねぇよw
ともあれ支援
支援
キュルケの姿が見えなくなってから、あふれる悔しさを飲み込んで、
ルイズはしわがれたような声を出す。
「ほら、ドラえもん。そんなとこでぼうっとしてないで、さっさと行くわよ」
しかし、返事がない。
「……ドラえもん?」
いぶかしげにドラえもんの顔を覗き込むと、
「あんなこといわれて、きみはくやしくないのか!
みかえしてやろうとはおもわないのか!」
なぜか怒り狂っていた。
急にドラえもんが怒り出した理由はよくわからないが、苛立つ気持ちはルイズも一緒だった。
しかし、
「わたしだって見返してやりたいわよ!
……でも、やっぱり魔法は使えないし、せっかくのチャンスだった使い魔召喚の儀式でも、
出てきたのはあんたみたいなおかしなタヌ…ネコだったし」
いじけた顔でルイズは言う。
その言葉に何か感じるものがあったのか、ドラえもんは自分がバカにされたにも関わらず、
菩薩のような丸顔で同情の言葉を口にする。
「それはきのどくだったなあ」
ガツン!
言われた瞬間、ルイズは思わずドラえもんを殴りつけていた。
「な、なにをするっ!」
当然再び怒り狂うドラえもん。
「いや、その……」
詰め寄られ、ルイズは口ごもる。
ルイズにも何か理由があった訳ではなく、ドラえもんの顔を見た瞬間、
つい衝動的にやってしまったのだった。
「ご、ごめんなさい。なんかあんたの顔見たら、無性に殴りたくなって…」
めったに謝らないルイズだが、ここはさすがに自分の非を認めた。
「そんないいわけがあるか!」
ただ、ドラえもんが怒るのはまあもっともだ。
(だってあんたの顔があんまりにもむかついたんだもん)
とはいくらルイズでも口に出来ないし、言ってもまた怒られるに決まっていた。
「それにしても、急に怒り出してどうしたのよ。
今までわたしのことなんてどうでもいい、って感じだったのに」
だからとりあえず、ルイズは全力で話を逸らすことにした。
すると、ドラえもんは急にしゅんとなって、
「ごめんよ。きみのそのどうにもたんじゅんでだまされやすそうなところとか、
なにをやってもだめなところとか、ついのび太くんを思いだしてしまって…」
(……こいつ、一度絞め殺してやろうかしら?)
ルイズは一瞬本気でそんなことを思って、すぐにそんな場合でないことを思い出す。
「まずいわ。今のでまた時間を取っちゃった。すぐに朝ごはん。それから授業よ!」
きび団子による洗脳入りましたーw
>>単純で
>>騙され易くて
>>何をやってもダメ
そっくりだ!
ゼロのルイズとのび太はそっくりだ………ッッッ!!!!
支援
まてまて、のび太には綾取りと射撃という誰にも負けない特技があるが
ルイズは本当に何にもないぞ
ルイズは編み物得意なんだっけ
益々のび太に……
終わり?それとも書きながら投稿?
>>830 乗馬もあるし、ルイズは勉強できるじゃないか
のび太とwwwなんと言う新しい着眼点wwww
支援
何を言う! あの娘は勉強はできるし乗馬もできるんだぞ!支援
>>836 最強の平民だよな!!金持ちだし!!支援
支援
ルイズの将来が不安になってきた支援
前も投下に手間取ってたな 無理ならとっとと代理スレに 支援
ルイズはそう言って歩き出すが、すぐにドラえもんがついてこないことに気づいた。
振り返ると、まだ扉の近くで立ち止まっている。
「ルイズ。いや、ルイズちゃん。いやいや、ルイズさん。
ぼくはここでるすばんしているから、きにしないでいってきなよ」
気味の悪い笑顔でそんなことを言ってルイズを送り出そうとするが、
「ダメよ。わたしだって不本意だけど、とにかく使い魔を連れてかなくちゃまたバカにされるの。
ていうかあんた、さっきまではわたしがのび太とかいうのに似てるとか言って、
すごくやる気だったじゃない!」
ルイズはそう言って促すが、ドラえもんは一向に動こうとしない。
あいかわらずの気持ちの悪い態度で何か言い始めた。
「いや、なんでもこの学えんにはつかいまがおおくいるそうじゃないか。
そんな中、ぼくがいくとおびえさせてしまうんじゃないかと…」
「そんな訳ないでしょ。あんたを怖がるのなんて、せいぜい小鳥とかネズミとか…ん?」
ネズミ、と口にした途端ドラえもんがびくんと反応して、ルイズは勘付いた。
「あんたまさか、学校の使い魔にネズミがいるかもしれないって思って、それで嫌がってるの?」
「ま、まままさかそんな! ぼくはネコ型ロボットだぞ! ネズミなんて……」
「はいはい。じゃ、行きましょうね」
ルイズは嫌がるドラえもんの手を引いて、問答無用で進んでいく。
(ああ、なんでこんなことになっちゃったんだろう…)
張り切って廊下を進んでいくルイズの背中を見ながら、ドラえもんはため息をつく。
(なんだかのび太くんのきもちがわかるきがするよ。学校って、じつにいやなところだなあ)
しかし、それがドラえもんにひらめきをもたらした。
(そうだ。こういうときはのび太くんのまねをして……)
「い、いたい!」
いきなりを大声を出したかと思うと、突然ドラえもんがうずくまっておなかを押さえる。
「イテ、イテテテテテ! きゅうにおなかがいたくなってきた。
はやくトイレにいかないと、イテ、イテテテテ!」
あからさまに怪しいドラえもんの態度に、さすがのルイズも不審な目をする。
「トイレならあっちだけど、あんたまさか仮病を使って…」
しかし、ルイズが何も言い終わらない内に、
「えへへ。ではすぐもどりますので」
急に元気になったドラえもんが不気味ににやけながら駆けていき、
「あ、ちょっと?! そろそろ時間がないんだから、勝手に……ああもう!」
ルイズの制止も聞かずに廊下の角を曲がって、
「オマタセ シマシタ」
なぜかたったの数秒で戻って来た。
>>831 趣味が編み物なだけで下手だったような覚えが。
「なによ。やけに早かったわね」
今度はどんな駄々をこねるつもりかとルイズはうろんな目つきで身構えるが、
「イヤ ボクハ ドラエモン ダヨ?」
「そんなことわかってるわよ。変なやつね」
おかしな返事が返ってきて、調子を崩された。
「ジャア キョウシツヘ イコウ」
しかしドラエモンは、そんなことお構いなしな様子で先に立って廊下を歩き始める。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 教室はそっちじゃないから。ああ、もう!
行きたくないって言ったり急に行く気になったり、なんなのよあんたは!」
どんどんと先を行くドラエモンを追いかけるように、ルイズもその後を早足で歩いていく。
……やがて。
視界からルイズたちの姿が消えたのを確認すると、曲がり角からドラえもんが顔を出した。
「しめしめ。すっかりニセモノにだまされたみたいだな。
……さて、へやにもどってひるねでもするか」
そうしてドラえもんは来た道を戻り、部屋へと帰っていくのだった。
――その後、教室ではルイズが錬金に失敗して爆発を起こしたりしたそうだが、
それはドラえもんには全く関係のないお話である。
第二話『ゼロのルイズとドラエモン』 完
偽者だー!? 支援
うん、ヒトデセーター一丁出来上がり、だな
>>842 惚れ薬を飲んでサイトに惚れてた時に上げたセーターは出来の酷さにサイト
は呆れていたな
しかしドラえもんは容赦ねえなww 乙です
これで終了
投下直前に見直しすると、普通はひっかからない表現とかも
すごく直したくなるんだよな
でも逆に色々いじったせいで
>>822の最後の行みたいな間違いも増えたり
次はさっさと投下出来るよう気をつけるよ
>>847 見直しは投下中じゃなくて投下前か投下後にwikiの方で直接やった方がいいと思う
何はともあれ乙でした、ドラえもんの黒さがたまらんわ
投下乙!ドラえもんのマンガ版の黒さは異常
乙ー
じっくり待ってるぜ
F先生の本領は短編集にある
ミノタウロスの皿とかUSDマンとか
短編集は確かに黒いwwF先生の真骨頂だなあれはwww
子どもの時に読んだので、自分のクローンと戦う話しが怖くてないた覚えがある。
F先生の短編はマジに怖いぞ
崩壊した世界で未来に希望を繋ぐため、共食いをする話とか
>>854 カンビュセスの籤な。
気になったのでぐぐってみたら、どうやら遠足だったかの帰りに見たようだ。
今思い出しても寒気が止まらないぜ。
中遠距離の射撃に近中距離の殺鳥と、のび太って結構優秀だよな。
>>855 バスが崖から落ちて、生き残った生徒たちが
のび太は銃の腕前は一流以上だけど「やさしさ」があるせいで敵の命を奪うことは出来ないのが欠点
そこら辺を含めて考えると殺傷力はルイズの方が上と言わざるを得ない
なにせ平民の命は貴族より安いと信じて疑わない価値観の環境で育ったから
>>859 とか言いつつ、コックピット以外を攻撃して戦闘不能にすることで相手を無力化し、止めは友軍機に刺させるんですね。
>>859 違うだろ。お前原作読んでる?
“平民は貴族より身分が低いから死んでも構わない”なんて主義じゃないぞルイズは。
862 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 03:08:34 ID:iL5VFuDt
ティファニアが山本一番星を召喚
このキャラ知ってる奴いるのかな〜
とりあえずまとめ見ておこう。
ぱっと思いつくようなのは既に喚ばれているモノだ。
と思ったら無かった。
妄想戦士ヤマモトは既に喚ばれていたようなネタがあったはずだが、
まとめにはなかったかな?
ちょこちょこネタになってるから誤解してたんじゃね?
ググって見たらそれなりの数の過去スレがヒットしたから
と思ったんだが、なんか俺もssが投下されてた気がしたので調べなおしてみた
とりあえず96スレの序盤に渡辺が召喚されてるな
ヤキソバンはないな
あげ玉ボンバー!
871 :
870:2008/10/18(土) 06:52:52 ID:SI7hRl8I
ルイズは勉強家っていうか熱心に取り組んでて、運動能力は高いしな。
努力しないのびたとは全然違うぜ。
>>867 マイケル富岡よりデーブ・スペクターの方が気になるぜ。
のび太は頑張る気がない
でも、その気になったら凄いんだぞ
具体的にはアニメ版→映画版くらいに凄い
ドラえもんが故障して動かなくなったら自分で修理すると決心し、
天才科学者と呼ばれるまでになるほど凄い
・・・という夢を見た
ああ、すごい感動のエピソードだ
……という夢を見た
>>874 そして、副作用で12歳で成長が止まってしまう不老不死の薬を開発するんですね、わかります。
羅将神ミヅキ 召喚書いた人長編で挑んでくれないかな
ドラえもん
児童向け漫画としての漢字使い再現してて無駄に笑えて腹が痛い
アホな事忠実に再現するな余w
ドラえもんの人、乙でした!
アニメのドラえもんは漫画版と比べるともの凄く言葉が優しいなw
>>859 お前何処の二次SS読んでんだよ。
せめて原作を一冊だけでも読め、考えが変わると思う。
ドラえもんの人乙でした。次回もwktkしてお待ちしております。
>>831 まて、のび太が得意なのは射撃とあやとりだぞ
魔界大冒険は黒歴史にしてほしかったな
なんせ石ころ帽子が本編よりはるかに弱体化してるし
883 :
882:2008/10/18(土) 09:44:55 ID:d85Y5uie
誤爆スマソ
ダブルクロスの人乙
>>669 和麻連れて来て話を成立させるには綾乃を召喚した方が良いような気がする。
て言うか綾乃を召喚ゲートに蹴り落として自分は自力で転移して来そう。
しかし綾乃には炎雷覇あるし、デルフどころか右手の槍の存在価値も希薄になりそうな罠。
>>885 DXクロスだとやっぱりミョズはプランナーなんだろうかw
“理論上存在する最善手”を知っていてもおかしくないから
チェスの相手としてはジョゼフ大歓喜なんだがw
>>886 綾乃はルイズに召還させてカズマはテファのが動きやすそうではある……が、テファの貞操の危機だ
>>887 プランナーは戦場だろうが未来だろうが平安だろうが存在するからな
ハルケギニアにいても何も問題はないw
VPのレザードはどうだろう
それまで紳士的だったけどギーシュとの決闘イベントでワルキューレ見てブチ切れとか
>>886 オレは、煉が召喚されルイズと契約→しばらく後で和麻が空間を切断して助けに来る→煉の境遇を知り契約を断つためにルイズを…→魔法学院壊滅
まで幻視した。
和麻来るタイミングかルイズの対応次第で、即ルイズを斬りそうだからな、和麻。
綾乃が一緒に来ればある程度は止めそうだけど、綾乃もキレやすいからな〜。
>しかし綾乃には炎雷覇あるし、デルフどころか右手の槍の存在価値も希薄になりそうな罠。
というか和麻は元より、原作のどのタイミングから呼ばれるかにもよるけど、綾乃も煉も武器なくても強いしなw
普通の貴族(魔法使い)は元より、下準備が必要なエルフも瞬殺かもしれんww
>>890 書き方が上手ければ大体面白くなる
書き方が下手ならば大体つまらなくなる
書きもしなければそれ以前の問題になる
つまりはそういうことだ
>>877 おお、同士よ。短編連作でもいいよねぇ。
>>874 某エロ漫画家が描いたアレのことですね、わかります。
>>874 のび太は、本当に必要な時は頑張れるこだよ。
映画版が特別ってわけじゃないよ。
……とコミック6巻のさよならドラえもんで涙した男が語ってみる
>>894 でもあれは最近の障学館に毒されたアニメドラよりよっぽど泣ける。
ちょっと思ったのだが、どこでもドアが使えなくても、四次元ポケットが使えるなら、ポケットに入ればのび太の部屋のスペアポケットに出られるのでは?
原作エロゲの場合は避難所が無難?
900 :
662:2008/10/18(土) 13:25:49 ID:ryuSAT8y
>>899 SS中に濡れ場や際どいシーンがあるかどうか。
原作が18禁でも、そういう場面がないなら、わざわざ避難所行く理由もないと思うけどね。
>>900の名前欄は、見なかった事にしてくれると幸い……。
>900
d
カスタム隷奴Fの主人公で今書いてたものだから。
調教とか無いから安心してくれ。
エロゲーといえばパトベセルやメイ剣もだけど、これらのssが投下されたときは何も問題は起きなかったが?
主人公が鬼畜なら今は荒れるな
>>902 そこまでガチのエロゲだと避難所の方が無難じゃないかな。
私見だけど、エロゲ元ネタでもエロなきゃOKってのは
コンシュマーへ移植されたゲームへの妥協点のような気がするし。
これに当てはまらないけど問題なかった奴は短編小ネタだったし。
つ−か、質問してくる時点でここの空気が分かってないてことだと思うんだ
。
痕とかあったし、あんまり気にしなくてもいいと思うけどね。
SS中の描写次第なんじゃないかなぁ、結局。
まあ、こういう意見がある以上、避難所が無難なのかも。
ナノは同性愛の素晴らしさを広める為(やや違う)に、
世界各国から王女・王妃をひっさらってくる中々愉快な人物と認識してるので、楽しみにしてますよ、と。
奥森かずいを召喚したら……
想像できない貧弱なmyのうみそ
ナノたんは女性唯一の鬼畜デレ。
頑張ってくれ。
あとおしっこは最強ですね、はい。
ナノはどうやったかはわからんが、一国の王妃や王女を簡単にさらってくるよな。
そして人妻好きでもあるがゼロ魔には人妻があまりあないな…
ナノ様は世界征服できる力と永遠の愛を貫く意志を持つアホの子
パソゲーキャラ召還ならあやかしびとのかっこいいオタ、もとい兄貴、
ウラジミール召還とか見てみたいな
キャラ的にルイズとも相性良いし
問題はルイズ以上にタバサと相性、よくて更にゲームもネットもアニメも無い世界で兄貴がやっていけるかと言うことだな
ナノたんかわいいよナノたん。
アホの子なのが余計に。
さて、みんなそろそろkissスレに戻ってデバックを再開しようか……
あー、新作出てたっけ・・・
Fまで解析やっていたが、今は・・・
何だこの流れ
一瞬スレ間違えたかとおもた
投下来ないな・・・
夜に期待か?
>>897 どうなんだろうね。
どこでもドアがつながってない世界でも
四次元ポケットどうしはつながっているのだろうか。
それ以前にドラミあたりが救出に来そうなんだが。
>>907 ここの暗黙のルールを知りたい奴も居るんだ。
我慢してくれ。
パトベセルやメイド剣まであったんか
も、もう、そろそろなぎ払ってもいいの?
とらハ2もあった。
イザベラ管理人の続きが読みたい……
なぎ払っては、いけないわ
ルイズのちっちゃいマンコの中に還りたい。
ナノと聞くとナノセイバー思い出す
ナノセイバーか懐かしいな
>>926 懐かしいな。何かペンライトみたいなの持ってたウェンツ。
バーチャル三部作か…懐かしいなァ。漏れはジーンダイバー派だったが。
ところで童話から喚ばれたケースってあったっけ?
最近知った事だがどうも童話というと赤いゲフンゲフンからしか思いつかないな。
まがい物のゴーレムをみてブチキレるレザードさんか。
キ○ガイを○チガイらしく書くのって、結構骨が折れるぜ。
応援と支援は任せろ。
子安ボイスか・・・
ルイズ「・・・使い魔来い」
修造「声が小さいよ!もっと大きい声で!」
ルイズ「・・・使い魔来い」
修造「ぜんっぜん気持ち伝わってこない!もう1回!」
ルイズ「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ!
神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!
私は心より求め、うったえるわ!
我が導きに答えなさい!!」
修造「はい今来た!今俺が召喚されたよ!」
シュールw
テニスラケット=デルフ
テニスボール=槍
だな
>>934 以前、イチロー召喚もあったが…
これもまた「語る事すら憚れる」使い魔だなぁ
>>939 ギーシュとかいつの間にか決闘から特訓に変わってるんだろうなw
「俺も考えてた」
「書こうと思ってる」
は、書かない奴の言い訳でしかない。
流行ネタは仕方が無いところがあると思うけどなw
もしかしたら何十キロバイトも書きためてるかもしれないじゃないか。
うむ、確かに先走ったことを言った。謝罪する。
>>941 じゃあ端っから書く気も無いのにグダグダ言ってるのはどうなの?
>>934は「松岡修造のガイドライン」のコピペだろうか。
>>945 考えてた、とか、ネタが被った、とか、いかにも書いてるようなことを言っていたらアウト。
そうでなければただの雑談、悪いことじゃない。
ネタが被ろうが、面白ければそれでよい。
同じ素材でを作ったとしても、作り手が違えば味は違うものだ。
>>947 いや、書いてりゃ問題ないだろ
書いてもいないのに書いてるようなこと言ってりゃアウトだろうけど
俺は、書いてるぞ。
できれば、ダジャレを募集したいくらい辛いけど…
それはそれとして、修造はこのスレに投下するのはアウトだよな?
いや、何か「あの作品」に該当する物があるんならいいんだが
……ふと、この前立ち読みした某打撃女医の漫画になんかいたのを思い出し、結構何とかなるのかなーと遠い目
このスレがだめなら避難所でもいいじゃない
期待して待ってるぜ
>>956 いや、避難所でもアウトだろ?
やるんだったら基本的にイチローと同じくVIPにスレ立てする必要があると思うんだが
ロザリオとバンパイヤから青野月音(入学前)から召喚
妖怪の学園ではなく魔法学園で非日常を過ごす羽目に
○________
なぎはらえー |:|\\:::::||.:.||::::://| /イ
|:l\\\||.:.|l///| .///
__ ィ ,. -――- 、 |:|:二二二二二二二 !// /
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./ / / l l l lハ |:|//:::::||.:.||:::::\\l /
ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / l从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄ | イ
ヽ \__∠ -――く __ .Z¨¨\ N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\| / / | / !
ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ . \ / / \ / l
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