あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part177
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part175 (実質176)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1222955025/l50 まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
以上、テンプレ終わり。
乙です!
4 :
ゼロの社長 08:2008/10/10(金) 03:50:32 ID:X4vS6W+f
スレ立て乙です!
スレ立て乙!
スレ立て乙
とにかく乙と言わないと気がすまない!
ここからテンプレ追加
このぐらいまで単純化できそうな気がする。
爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会
最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち
爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり
途中飛ばすけど、
対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html ・Jane Style(フリーソフト)
http://janestyle.s11.xrea.com/ ・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
前の作品投下終了から30分以上が目安です。
【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は応援スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。
【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
そんな偽テンプレに拘るくらいならそれでSSの一本くらい書いてからほざいてよ
出来ないからコピペしまくって自分に酔ってる、なんて言わないからさ
で、
>>1乙
>>10 テンプレ展開でもおもしろいのあるけど
さすがに飽きてきたな
オンラインゲームとのクロスは難しいなよなぁ
PSOのフロウウェンはどんなキャラなのか作中でよく語られているからまだしも、
あまり語られていないNPCは下手すれば名前を借りただけのオリキャラになりかねないし
いっそゲームからプレイヤーキャラクターを召喚
ルイズの意のままに動きルイズが命令しなければ微動だにしない使い魔
ゲーム中に明確に描写されてない限りは話さない食事しない眠らない使い魔
ゲーム中(略)どんなに時間たっても見た目の変わらない使い魔
PLが寝AFKしたらいろんな意味で周りがパニックになるな
プロトタイプガイバーがそんな感じだったねー
>前スレ893
火の剣は炎を盗むって格好いい演出で現れたけど、
地の剣は鎖で繋がれた犬以外の何者でもなかったな。
そういや、あのニケは魔法剣使えるのかな?
たしか精霊の力を借りてとかなんとかって設定だったと思うが、ハルケギニアの精霊でもオッケーなんだろうか?
偽テンプレ■ねばいいのに
ラクドリアン湖では水の王が出てくるに違いない。
25 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 13:41:17 ID:fnFgOAtW
1z武!
ここはいっそルイズが神様召喚してしまうとか
いや志村健じゃなくて・・・・・・・・強力の神とかギャラクタスとか「初めに立ちし者」とか
うえきの法則の神とか?
MtLのウルザは、神の一種だな。
同じプレインズウォーカーのフレアリーズとかは神様としてあがめられてるし。
魔神ガー…いや、なんでもない
知力体力残虐技巧の四神を召喚するんですねわかります
同性から言い寄られモテまくる天然ジゴロ体質の百合娘が召喚されたら避難所かな
といってもあんまり思い浮かばんけど
>>30 >同性から言い寄られモテまくる天然ジゴロ体質の百合娘
キタさん思いついたけど、あの娘はユリじゃないや。
女の子にモテまくってるけど、レズビアンじゃない……はず。
ヤジさんの方は「エリートサラリーマンっぽい人」が好き……難儀な娘じゃ。
すみません、今もっとも旬な「木彫り娘な神様」を忘れてました
得意技は廻し蹴り
>>30 同姓から言い寄られまくる天然ジゴロ体質の百合娘
百合ではありませんが「大臓もて王サーガ」の笛路紋ですね
>>26 チェーンソーでヌッ殺される神様しか浮かんでこないんだがw
>>26 >「初めに立ちし者」
あいつがガンダになったら最悪じゃねーか
ブロンブルの一撃でアルビオン以外壊滅するぞ
『エンジェル・フォイゾン』からアザりんを出せと。
>>26 ギーシュが「目だ。耳だ。鼻!」になるのか……
最近強い人ばっかりだから、
たまにはサイトレベルの
学生キャラの召還モノが読みたい。
サイトレベルっていったらギャルゲー主人公全般か
俺はある程度強くて個性的なキャラでないと面白くないと感じるんだが。
この辺は好みの問題だけどね。
なら一堂零召喚
ギャルゲー主人公召喚の場合はギャルゲーヒロインもルイズ以外に召喚された方が面白いな。
それともルイズが複数召喚するとか。
とらは1の相川真一郎はどう?
痴漢を余裕ぶっこいて倒せる程度の空手の使い手。
俺はポップや横島みたいな女好きで明るいギャグキャラだけどやる時はやるってキャラが良いな
嫉妬するルイズも可愛いしな
ギャルゲに限らず恋愛モノの主人公を召喚するのは難しいんじゃない?
ヒロインが元の世界にいるなら使い魔やらずに何としてでも帰りたがるし
ヒロインも呼ばれたら優先順位が
ヒロイン>>(越えられない愛の壁)>>ルイズ
だからサイト並に使い魔やるとは思えない
>>46 エルクゥは実際に帰っちまったしな。
まあ、それも展開のひとつじゃないか? それを踏まえて面白く話を作れるかという問題だけで。
アカイイトの千羽烏月さんなんかは丁度良さそうな気が。
対鬼(人外)を想定した剣術の使い手だからサイトと比べるとハイスペック過ぎるか…
しかし黒ブレザーに黒髪ロングのストレート+日本刀とかツボなんです
ガンダムXのガロード君召喚。DX付きで。
……考えてみればガンダム系から召喚されてるのって少ないなあ。キラ君ぐらい?
弱い使い魔なら、自分の身長の半分の高さから落ちても死ぬ冒険家を
長期的な視点では先生はかなりの猛者だぞ
>>49 姉妹スレがあるぜよ
あっちでもガロードの話題大人気
てかキラ召喚なんてあったっけ?
倉成ホクトとか。
>>52様
マジですか!? すみませんが姉妹スレの名前教えてくださいお願いします!
ちなみにキラの件ですけど、見た覚えがあるってだけでよく分かりません。すみません……
>>54 キラ、アスラン共に小ネタとしてある。
まとめサイトからリンクがある
>>54 そのまんま、ガンダムキャラがルイズに召還されました
たしか旧シャア板あたり
投下されてるネタは少ないけど、トレーズ様とかシーマ様とかお気に入り
どっちかのシャア板にガンダムキャラをルイズが召喚するっていうスレなかったか?
>>56様
ありがとうございます! 早速行って来ます!
ガンダムはスレ落ちてるぞ。
>>46 主人公ではなく名脇役ではどうだろう。
タイガージョーとか。
ガロード&テファ、ニケ&ククリ 以上にやばいカップル召喚って誰らだろう?
@すでにその種の関係
Aルイズと同居
B一日もがまんできない
うーん、大人の関係ってことなら……ゼノギアスのフェイとエリィ?
>>62 その2人は人前でイチャイチャはしないだろ。
ジャックとジュネ
なんかもう色々と超越した関係のようで。
とりあえずキュルケは中毒死、タバサはジュネを殺そうとして返り討ちになりそうだけど。
>>61 レントンとエウレカってどうだろう?
Zでもガロードに似てるって言われたし
しかしエウレカと聞いて鈴木猛を思い出す俺ってどうなんだ
ほら…ハレグウでいるじゃないか…あのやばいカップル。
>>61 吸血セン鬼(古い携帯なので変換できない)ヴェドゴニアの伊藤惣太、モーラエンドか
白柳エンドあたりでカップルで召喚されて
待遇改善の交渉の一環でおっぱじめようとしたりとかオススメ
ルイズはほぼ確実に折れると思う
>>66 えうれかりんりんぽんぽこなー
だっけ?
そっちのエウレカは普通に当たりな気がする
エスカレイヤー組は?
やらなきゃ戦えないし
幻想水滸伝よりビクトール召喚。
いや、星辰剣とデル公の喋る剣コンビ見たいだけだがw
>>67 あの昼間から屋外で合体してるカップルか…
>67
いちゃついているどころか、コマにモザイクの塊が出てくるあのカップルか……
グランディアのジャスティンとフィーナ。
プレイ中ずっとニヤニヤしてた記憶がある。
月音とモカ 影でルイズが・・・
ん?ロザパイと変わらない?
あー変わんないなあ……ルイズイキロww
呼んだらヤバいカップルかぁ・・・・・・・
やっぱヨヨとバルバレオス?
人目も状況も立場もわきまえずいちゃついて周囲の雰囲気悪化の一途
少し前の怪異いかさま博覧亭召喚で考えてみたが…どうやっても触手プレイに…orz
おマチさんはいいが野郎二人は…ォェ
終わクロの佐山と新庄
あの二人なら人前でも余裕で…とか思ったが他の奴らも大概バカップルだったな
>61
神無月の巫女の千歌音と姫子
美しさ的な意味で。あと姫子の為ならば地球を滅ぼすとか。
マルコメがTOLOVEるのララ召喚
バハラグならエンディング後のビュウとヨヨだろ。
始終気まずい雰囲気w
カップルではないか。
バハラグはアルビオン戦で戦竜隊の本領発揮とかが面白そうだな。
いっそバハムートごと召喚?
ビュウだけならまとめにあるな
奇をてらったためか更新が止まってるけど
84 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 19:11:23 ID:SoyKTrnp
ルイズが地獄少女『閻魔あい』を召喚。しかし、召喚ではなく、ルイズに怨みを持つ者の犯行。
ルイズ『な、何これ、いったいなんなのよ。』
(名前は忘れたが)イケメン男『それはな、お前がいけないんだよ。ツンデレすぎたんだよ』
きくり『ツンデレ、ツンデレ・・・・・』
閻魔あい『私も地獄少女ではなくて、魔法少女。どう似合うきくり』
きくり『30点だね』
イケメン男『さぁ、お嬢』
>49
つーか長編の中でスレの最古参の部類にあるじゃねーかガンダム系
> 呼んだらヤバいカップル
TOSラタトスクのマルタとその相方
名前は忘れた
>>75 ルイズがストーカー気質の雪女になってしまうぞ
あの世で詫び続ける人と王女様もなかなか
>>86 釘宮×2でエミルの取り合いか。
……耳が痛くなりそうだな。
ハレグゥからチェットとアディ
濃いな・・・避難所に吸い込まれそうだ
この際ダマばあさんでも呼ぶか
マリザーニ枢機卿って白髪だったけ
ARMSの主人公とかどう?
まりざーには知らんがマザリーニは帽子かぶってるから禿だとおもってた
>>91 小ネタでワルドとオスマンが偉いことになっただろww
>>92 何がどう?なのかが分からないけど、既に作品はあるよ。
ARMSなら最強傭兵夫婦だろ。
沈黙のオジオンさまを呼ぼうぜ。
偉大な魔法使いだけど滅多に魔法使わない素敵なおじいさんだ。
それなんてオスマン?
>>96 ギーシュの件では空気を読み決闘を回避して
フーケの件では破壊の爪をビームサーベルにして
ワルドの件ではライトニング・クラウドを殺気で先読みして避けるのか
リーマンだけでこれなのに嫁さんも追加とか凄いな
100 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 20:50:21 ID:armCQg/G
ソウルイーターの死神様とか面白いんじゃないだろうか
オスマンと話合いそう
ごめん下げ忘れた
>>97 てっきり大阪弁を操る無敵のハリウッドスターかと思ったぜ
キレルくんを召喚
駄目だ、勝手に召喚されたことにキレてルイズをぶん殴る姿しか想像できん
一見すると微妙だし神でも死の神だからやっぱり微妙だけど、戦闘力とか考えると当たりだよな。
ソウルイーターだったら
知り合いが死ぬたびに命を吸ってルイズの魔法がドット→ライン・・・とパワーアップしていくという・・・
106 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 20:57:17 ID:mlJZME4g
デス・ザ・キッドの方がよくないか
ひたすら扱いにくいが。
>>99 空間跳躍からのオールレンジ攻撃で足止めされて、極太ビームで
焼き払われるぐらいは余裕で回避しそうだから困る
eo民規制がやっと解除されたお(´・ω・`)21:00からLFOはじまるよ〜
カフェテラスでの一件から数日の間は殆んど何事も無く時間が流れていった。
ミーはたまに泣き言を言いながらだが与えられた仕事をこなすようになったし、
シエスタと懇意になっているお陰かルイズから指示されていない仕事も自分から進んでやるようになった。
夜になって空に浮かぶ二つの月を見る度に、望郷の念が心に去来し目に涙を湛えてしまうが、優しくしてくれる人は沢山いた。
シエスタは洗濯の仕方を始め、掃除や貴族の人達に対する振る舞い方を教えてくれたし、
マルトーさんや厨房の人達はいつもにこやかにミーを招き入れ、暖かい食事とたわいも無いが楽しい会話を振る舞ってくれる。
隣の部屋にいるキュルケは、仕事がキツくてしょんぼりしている時などに、慰めてくれたり抱き締めてくれたりしてくれる。
おまけに出るべき所は出ているし引っ込むべき所は引っ込んでいる。暖かみもある為か宛ら姉か母親の中にいる様な心地がする。
そしてあの騒ぎ以来ギーシュはとっておきたまえと言ってこっそり菓子の入った包みを渡したり、青銅で出来た小さな玩具をあげたりしている。
因みに何処でそれらの様子を見られたのか定かではないが、ギーシュと同級生のマリコルヌはギーシュがモンモランシーに自室で尋問の末お仕置きを受けるのを密かに見たとの事。
ともあれ、様々な人のお陰でハルケギニアという異世界に来て五日目が終わる頃にはミーは少しはゆっくりした気分になれた。
しかし……自分の主人、ルイズは相変わらずだ。
事が一つ済むと十まで命令し、決められた時間内に終わってないと済んでなかった事の分だけ叱られる。
時間があった際にキュルケの元に引っ込んでいると、ルイズは物凄い形相で二人をひっ剥がし声を震わせてキュルケに怒鳴るだけ怒鳴った後ミーを部屋まで引き摺り戻す。
貰ってちょこちょこ食べていたお菓子等も、見つかった時にルイズはむすっとして不味そうに頬張った後それを砕いて外にいる白鳩に撒いてやった。
無論、それらの最後には必ず鞭のお仕置きが待っていた。
そもそもミーはルイズと初めて会った時から今まで、ルイズの笑った顔という物を一度たりとも見たことがない。
何時も透明感のある冷めた表情か怒った顔しか自分に向けてこない。
ご主人様はどうしたら笑ってくれるのだろう?そう思いながらミーは眠りについた。
この数日ルイズは苛々し通しだった。
今日に至っては昼餐前に我慢出来ない程お腹が痛くなったので医務室に駆け込んで水薬を貰ったぐらいだ。
それもこれも使い魔召喚の儀の時に、今自分の隣にいる使い魔がのこのこ召喚されたせいだ。ドラコンとかグリフォンなんてのは贅沢な望みだとしても、せめて鷲か梟の方がまだマシな気がする。
母親が風系統のメイジである事から尚更希望的観測はあったというものだ。
あの日以来自分の顔からは怒りの感情以外すっかり流れ出てしまったんじゃないかと思う時が度々ある。
本当は優しくしたい、幼いから親代わりになってあげたいという意識が粉微塵も無い訳でもない。
しかしどうにも平民の非力な子供を召喚したという事実が同級生に会った時に起きる嘲笑や授業中の実技失敗時に思い起こされる事、そして山より高い矜持の為か少しも素直になれずにいた。
またルイズには姉が二人居り、年が近い姉からは実家にいる間よくしてもらっていた。
だがそのルイズは年下の者に対してどう上手く接すれば良いのかが分からない。
だからこそシエスタやキュルケ、最近ではギーシュまでもがミーの姉や兄の様な役割をかって出て、尚且つ綺麗にそつ無くそれをこなしている事に反発していた。
しかも当のミーがそれに甘んじているので、ルイズは余計に自分の無力さを内心で密かに嗟嘆する。
私はシエスタみたいに平民がしなきゃいけない事を何一つ教えてあげられないし、
キュルケみたいに豊かな体躯でないから抱いてやっても年上の者が持つ温かみはないだろうし、
ギーシュみたいに魔法を使って何かを造り上げたり生み出したりなんか出来ない。
更には回避したものの、彼に対してはこの間の決闘騒ぎの時、感情的になって家の名前まで出すという失態を犯してしまっている。
考えれば考える程惨めになってきた。
それから暫くベッドの中でルイズは横になってぼんやりしていたが、不意に明日は虚無の曜日だという事を思い出す。
今日も今日とてキュルケと口論してしまったルイズは去り際にこう言われた。
『明日は虚無の曜日だから一日ぐらいあの子を休ませなさいな。なんなら私があの子を城下町まで連れて行ってあげましょうか?』
悔しいが前者は正論だし後者はされたら嫌だ。
ミーの心を少しでも自分に引き寄せるならば、明日は一日中自分の手で彼女を幸せな気分にしなくてはならない。
それが上手く出来るかどうか分からないが、とにかくやってみるより他は無いのだ。
自分の財布の中身と相談しつつ、ルイズは眠りにつくのだった。
Louise&Little Familiar's Order「Brilliant and surprising deals in the market's auction」
翌朝ルイズが目を覚ますと、既に陽は山の稜線から大分高い所にあった。
横を見るとここ数日の疲れが溜まっていたのか、ミーは未だに軽い寝息をたてていた。
いつもなら寝過ごしているのを叩き起こすところだが、駄目に出来ない計画があるので今日の所はぐっと我慢する。
その内にルイズは下着を着け、制服に袖を通す。ミーが目を覚ましたのは丁度マントを羽織っていた時だった。
慌てて跳ね起き寝坊した事を詫びようとしたが、その言葉は途中で遮られる。
「今日は手伝わなくていいわ。それにせっかく虚無の曜日なのにあんたを働かせたら悪いもの。
き、今日は街まで、つ、連れてってあげるから、か、感謝しなさいよね……ほら、行くわよ。」
ルイズはそう言って部屋を出る。置いていかれないようにミーがその後をとことことついて行った。
自分に言い寄ってくる何人もの異性の相手をする事は大変か?と訊かれたら少なくともキュルケは笑うだろう。
とにかく昨日の夜は時間を有効に使いつつ、五人の男の子の御相手をしなければならなかったので仮眠はとったがまだ少々疲れていた。
しかし彼女にとっては鬱陶しい事に、無粋な太陽はいい加減に起きんかい!と言わんばかりに部屋の中を照らし出す。
仕方が無いので衝立を窓の近くに立てようかと気怠い雰囲気を漂わせつつ窓の側に行くと、学院の門から一頭の馬が外へ駆けていくのが見えた。
乗っているのは桃色の髪をした女の子。誰なのかは言わずもがなである。
眠気は一気に吹き飛んだ。キュルケは軽く化粧を済まし衣服を整えて隣にあるルイズの部屋をノックしてみる。
しかし応答は無い。鍵もかかっていた。そこで『アン・ロック』の呪文を使って解錠し中に入ってみる。
案の定中には誰もいなかった。
戸を閉め、キュルケはタバサの部屋に向かった。
扉に手をかけて押してみるが、やはりここも鍵がかかっているらしく開かない。
またもこれを『アン・ロック』で開けてみると、タバサは部屋の隅で何やら恐ろしく難しい本を読んでいる最中だった。
キュルケはタバサに話しかけるが全く反応が無い。そこで本を取りあげてみたがこれでも反応しない。
仕方が無いので肩を掴んでガクガクさせたところ、やっと音を遮る魔法『サイレント』を切って話を聞く姿勢をとってくれた。
しかしタバサはこういう場合一筋縄ではいかない。何事においてもきちんと理由を説明してくれなければ腰を上げないのである。
一分一秒も惜しいのでキュルケは捲し立てる様に言った。
「今日は虚無の曜日だし素敵な本を読むには最高の時間だと私も思うわ。でもタバサ、あのヴァリエールが使い魔を連れて馬で街まで行ったのよ!
私不安なのよ!たくさん人がいて色々止めてくれるここならまだしも、二人っきりで何処かに行くなんて!何か起きかねないわ!何か起きてからじゃ遅いのよ!
それに今から行くんじゃあなたの使い魔じゃないと追いつかないの!お願い助けて!」
するとタバサはこくりと頷き、窓から自分の使い魔である風竜の幼生、シルフィードを口笛で呼び出した。
青い鱗は陽光の照り返しを受けてきらきらと輝き、はためく翼は見る者全てに力強さを与えているようでもある。
タバサとキュルケは窓からシルフィードに乗って街の方へ向かおうとしたが、間の悪い事にある者によってすぐ下から呼び止められた。
「おーい、二人共!ルイズの使い魔を見なかったかね?探しているんだが見当たらないんだ!」
はたしてそれはギーシュであった。キュルケは考える。彼を乗せて行っても支障は無いだろうかと。
まあ、今のところミーと懇意にしているのは貴族の内じゃ自分と彼ぐらいなものだ。
この間の騒ぎの際にも彼女の待遇について色々と話していたのでルイズに会い次第そこそこ良いブレーキ役にはなるだろう。
「あと一人ぐらい乗せられる?タバサ?」
「訳は無い。」
タバサはそう答えてシルフィードを地面に向かって降下するよう指示した。
その様子を見ながら当のギーシュは首を捻って質問した。
「ん?あの子はルイズと一緒にどこかへ行ったのかい?っていうか僕がこれに乗っても良いのかい?」
「乗っていい。」
タバサは短くそう答える。それを聞いたギーシュは二人の後ろに腰をかけた。
役者は揃ったので、シルフィードは翼を振り始める。
「馬一頭。食べちゃだめ。」
タバサがそう告げると、シルフィードは短く鳴いて勢い良く学院の外に飛び出した。
トリステインの城下町、ブルドンネ街の大通りをミーはルイズに手を引かれながら歩いていた。
両端には白石で出来ているこぢんまりとした商店が軒を連ね、様々な物を陳列している。
多種類の草の葉と根、色とりどりで形も大きさもバラバラな石、瓶詰めにされた小動物の肝や目玉に角等があるかと思えば、
新鮮な野菜や果物、凝った装飾が施された家具に、堆く積まれた書物等が置いてあったりもする。
そしてそれらを取り囲むように多くの老若男女が長い石畳の上を歩いている。
ミーにとっては生まれて初めて見る物ばかりなので、もっとじっくり見ていたかったがルイズが早足で歩くので止まる間も無かった。
他人とぶつかりそうになりながら、ミーはやっとのことで質問をする。
「ご主人様。どこに行くんですか?」
「中央広場よ。ここに来るまで今日はただの虚無の曜日じゃないのをすっかり忘れていたわ。
毎年この時期に東方やサハラから色々な物を持って来た商人が開催する大きな競り市があるの。
大抵は取るに足らないつまらない物ばかりだけど、たまに貴族も欲しがるような掘り出し物があるから無視出来ないのよ。
買う物は他にもあるけれど少しくらいなら持ち合わせの余裕があるから、欲しい物があったら競り落としてあげる。」
分からない言葉が半分近くを占めていたが、取り敢えず何か欲しい物を買ってくれるというのでミーは嬉しく感じる。
今まできちんと使い魔としての仕事をやってきた甲斐があるというものである。
暫く雑踏の中を進んでいると円形の開けた場所、中央広場が急に現れた。
その中心には少し高く作られた木製の競り市用即席舞台があった。
その上では商品を乗せるテーブルがあり、横では気取った服装をした男が大声で競り市開始前の口上を述べていた。
支援
支援する
「さあさあ、紳士淑女の皆さん!見物するだけの人も寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!
東方で怪物達の猛攻に立ち向かい、サハラでエルフ達との修羅場と死線を潜りまくってきた商人がこのトリステインにやって来た!
彼等がもたらす物はそこらの店に並ぶ様な物とは一癖も二癖も違う。正に!掘り出し物!いやいや、お宝がゴロゴロ!
一生お目にかかる事が無い様な物もあること間違いなしだ!
倹約に努める方々も今日だけは解禁日ですぞ!雨の様にエキュー金貨やスゥ銀貨を我等の元に降らして下さいませ!
さて、盛り上がって来たところで先ずはこの商品から行きましょう!」
ルイズとミーは人だかりの真ん中辺りに場所を取る。
しかしそれだけではミーには何も見えないので、ルイズは思い切って肩車をしてやる事にする。
意外に重いので一瞬ちょっとふらついてしまうが、慣れればどうという事はなかった。
丁度その時、テーブルに一つ目の品物が置かれた。石造りで穴が開いている事から某かの楽器の様である。
司会の男がまたも大声を出して商品の紹介をする。
「商品番号一番。石造りの笛!
趣向も造りもハルケギニアの技術とは一線を画している!音は勿論はっきりしているし、音色も素晴らしい!
おまけに持ち運びにも便利ときた!
さあこの不思議な笛、十エキューから開始だ!始め!」
競り開始の合図と共にあちこちから値をつり上げる声が出される。
ルイズはミーの意見を聞いてみた。
「ミー、あれは欲しい?欲しくない?」
「えーと……欲しくないです。」
「そう。欲しい物が出てきたら言うのよ。」
その後も競りは続き、テーブルの上には奇妙な生物を描いた壁画、てっぺんに水晶の塊が付いた杖、美しいガラス製の記章等が上がった。
中でも人間の頭ぐらいはありそうな大きい紫石英が出てきた時はルイズの方が夢中になったが、
残念なことにそれは別の貴族が千エキュー払って自分の物にしていった。
商品の数はどんどん少なくなり、客もそれと共に減っていく。
そして遂に最後の商品となった。
「さあ、お待たせ致しました!今年の競り最後の商品にしてハイライト!
お子様のプレゼントに困っている方はいらっしゃいますかぁ?可愛いペットの登場でーす!」
その声と共にテーブルに乗せられたのは子熊の入った小さな檻だった。
しかし子熊にしては小さすぎるというのがルイズの第一印象だった。
実家ですぐ上の姉、カトレアが飼っている子熊でも倍くらいはあるものである。
そもそもあれは本当に熊なのかしらと訝しんでいると、頭の上からミーの絶叫が聞こえてきた。
「ご主人様!ミー、あれが欲しいっ!あれが欲しいですっ!」
「分かったわ。取り敢えず私が告げる値段以上に高くならない事を祈りましょ。」
叫ぶからには余程欲しいのだろう。ルイズは財布をギュッと握りしめた。
始まりの値段は最初の品物と同じ十エキュー。それから次第に五エキューずつ値段が上がっていく。
ルイズにとっての問題は百五十エキューを越えるかどうかである。越えれば手出しは出来ない。
ところが値段上昇の打ち止めは意外に早くやって来た。
ルイズと同じくらいの年の少女が八十五エキューの値をつけると、値をつり上げようとする者はいなくなったのである。
「他にいらっしゃいませんか?金髪のお嬢さんが八十五エキューです!もう一声、どなたかいらっしゃいませんか?
いらっしゃらないのならカウントいきます。八十五一回……八十五二回……」
その時、ルイズはすっと手を伸ばし値を告げた。
「九十!」
「はい、九十!有り難うございます!九十五はいませんか?」「百!百よ!」
「はい、百!有り難うございます!百五はいませんか?」
いちいち五エキューずつではいつまで経っても埒が開かない。焦れたルイズは安全圏まで十ずつ一人で上げ始める。
「百十、百二十、百三十、百四十……百五十!!」
「はい、百五十!有り難うございます!さあ、貴族のお嬢さんが百五十をつけましたよ!他に誰かいらっしゃいませんか?
いらっしゃらないのなら子熊はお嬢さん!貴女の物です!それではカウントいきます!
百五十一回……百五十二回……」
ここで誰かの一声があれば目論見はパーになる。緊張しながらもルイズは祈る。
それは頭の上にいるミーも同じだった。
そして一瞬静かになった後、
「百五十三回!おめでとうございます!子熊はお嬢さんの物となりました!
では、前の方へどうぞ!」
「やったあっ!!」
ルイズはミーを地面に下ろした後で手を取り合って喜ぶ。それから二人は晴れ晴れとした気分で舞台上に昇った。
ミーは目を輝かせる程夢中になって檻の中の子熊を見つめる。
子熊の方は始めかなり怯えていたが、次第にミーの近くに体をよせていった。
その様子をほっとした顔で見ていたルイズに、今回競りにかけられた品々を持って来たと思われる行商人が話しかけてきた。見たところ、年は二十代の後半くらい。
背は高くひょろりとしていたが、この競り市に実のある物を持って来るために東方やサハラへ行ったという話は満更嘘ではないらしく、体つきはとてもがっしりしている。
顔も精悍ななりをしており傷も幾つかあったが、逆にそれが格好の良さを引き立てていた。
そしてマントを羽織っていて杖を懐に携帯している事から彼は貴族である事が分かる。
貴族でありながら行商人をやっているだなんて物好きな人もいるものだとルイズは思った。
「お嬢さん。競り落とせて嬉しいとこ悪いんだけど、あの子熊には用心した方が良いぞ……」
「へっ?どうして?」
「あいつはな恐ろしい程知恵が回りやがる。力もそれなりにあるから、とてもじゃねぇけどあんなガキんちょには手懐けられやしないぜ。」
言われてミーの方を見たルイズは首を傾げた。
たった今、係員により檻から出されてミーにじゃれついている子熊はとてもそうには見えない。
するとルイズはミーの右手の甲にある異変が起きているのを認めた。
なんと右手の甲にあるルーンが輝いているのである。
どういう事なのか不思議に思っていると、その光景を見た行商人は、目が飛び出んばかりに見開かせ口をパクパクとさせた。
そんなに驚く事なのだろうかとルイズは思ったが、その理由は行商人から直に語られた。
「こ、こりゃあ、たまげた!お嬢さん!俺と一緒こっちにに来てくれ!」
「ええっ?どうしてよ?」
「訳は後で話す!いいから来るんだ!」
訳も分からぬままルイズはミーを連れて行商人と共に壇の裏に行った。
息も整ったところで行商人は真剣な顔つきでルイズに話しかける。
「いんやぁ、たまげた!あんた、その子に刻まれているのはヴィンダールブのルーンだぞ。」
「ヴィンダールブ?」
「そうだ。聞いたことは無いのかい?伝説の使い魔の印さ。“神の右手 ヴィンダールブ 心優しき神の笛 あらゆる獣を操りて 導きし我を運ぶは地海空”とな。
いやぁ、俺も伝説が書かれてる本は今までたんと読んだが、生ける伝説にあったのは初めてだよ!」
伝説の使い魔?こんな平民の子供が?この行商人はこっちを担ごうとしているのではないか?
ルーンだって今は光を失い元の通りになっている。
行商人はルイズの感情など露知らず勿体をつけて話し出した。
「しかしな、お嬢さん。この子の事を考えるのなら、あまりこのルーンの事は公にしない方が良い。
君の使い魔が王政府や軍の戦争道具になるか、アカデミーで実験材料としてずんばらりになってもいいというなら話は別だがね。
強い力ってのは人を幸せにもするがその逆を引き起こす事もままあるからな。
おっ、そうだ。忘れるところだった。」
そう言って彼は荷物袋をごそごそと漁り、薄手の長剣を一本取り出した。
ただ見かけはボロボロで刀身には錆が浮いており、お世辞にも名刀とは言えない代物だ。使えるかどうかも怪しい。
だが行商人はニコニコしてルイズにそれを差し出して言った。
「こいつは旅の途中で拾ったんだが、なかなかに良い話し相手になってくれたんだ。
生ける伝説を見せてくれた礼だ。特別にタダでこれをやるよ!」
「ねえ、これ何?こんなのタダで貰っても嬉しくないんだけど。」
「そいつはインテリジェンスソードのデルフリンガーってんだ。今は鞘に収めているから喋りはしねえが必要な時に抜いてみな。
きっとお嬢さんの役に立つと思うぜ。」
ルイズとミーは行商人と別れ、再び大通りを歩き始める。
ミーはルイズの隣を子熊の手を握りながら上機嫌に歩いている。
だが当のルイズの頭の中では先程行商人に言われた事がぐるぐる回っていた。
本当にこの子は伝説の使い魔なのだろうか?
それが本当だと仮定すれば、何故こんな少女がそんな大それた役を引き当てたのだろうか?
更に言えば魔法の才能なんて無いと思っていた自分が、いつからそんな使い魔を使役するに値する存在になったのか。
謎が謎を呼ぶこの状況で謎一つを解こうにも、まともな論証が何一つ無いのでどうにも仕様が無い。
まあ今あれこれ悩むよりは資料の充実している学院に戻ってから考え直した方が得策というものである。
先生方が何か知っているという可能性も否定出来ない。
そんな事を思っているとミーが「お腹が空いた」と言ったので近くにある喫茶店に足を運んでみる。
しかし……喫茶店には思わぬ先客がいた。
「ハーイ、ルイズ。こんな所で会うなんて奇遇ね。こっちに来なさいよ。」
「…………」
「や、ルイズ。最初に言っておくけど僕にとって用があるのは使い魔の彼女だからね。君にはこの間の事があるからね。さ、使い魔君、こっちにおいでー。」
神、いや空気が死んだ。
そう思っているのはルイズだけかもしれなかったが、とにかく空気は死んだのだ。
しかも彼女にとってよく見知った三人によって。
ルイズの心の中にあった幸福感も何もかもが一斉にガラガラと音を立てて崩れていく。
せっかくの虚無の曜日なのに。
ルイズは俯き加減に三人とは違うテーブルに座る。
直ぐ後で給仕の持って来たお茶は、何時も学院で飲んでいる物とは違いほんの少ししょっぱい味がした。
投下終了します。
今回は映画を全作見ると分かるネタをちょっと入れてみました。
では手短でしたが、また今度お会い致しましょう。
------代理ここまで-----------------------------
今度とは1時間後の事だがな(´・ω・`)
118 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 21:20:54 ID:SoyKTrnp
>>103殿。こんなのはどうですか。
@レイズナーのゴステロさん。
A奇面組の豪くんか、にひるださん。
BGガンダムのバーサーカーモードの女ファイター
Cクラウザー様。
LFOの人gj、代理の人も乙
>>105 幻想水滸伝のソウルイーターか?
それなら多分、カトレアは死ぬな
へっそ曲がりんちょ 曲がりんちょ
>>106 キッドに限らず、死武専の人達はその設定上100%ルイズを始めとしたメイジ達との
敵対が目に見えてるからなぁ。
彼等の場合、確実にメイジを魔女と同一視するのが目に見えてるし。
むしろしない方がおかしいくらい。
それ以前に、少なくともいきなり現れた鏡に飛び込む奴はいないだろうな。
精々がブラック☆スターくらいか、そんな迂闊な事やりそうなのは。
ギャルゲ系だとスクールデイズの桂言葉召喚のが中々に興味深い終わり方でしたね。
>>46 主人公召喚はまずいけど、いぶし銀的な立ち位置の応援系、悪友系なら案外良い線いけるかも?
ただ、再召喚イベント組み込むとキャラによっては互いの尊重がし難い恐れもありますが
私がパッと浮かんだのは
神無月の巫女:大神ソウマ
はぴねす!:渡良瀬準
いずれも本編終了後なら、ルイズとサイトばりに絆を築けそうな印象
>>80 千歌音はかおんが身長165でバスト100オーバーらしいので…姫子とくっついた後だとルイズ的に敵かも
予約がなければ14話を21:55から投下したいと思います。
待ってました支援
ギャルゲなら今度こそ漆黒の体を持つ社長召還を希望する
キュルケらが傭兵達を相手にしている頃、ルイズ達は桟橋へとひた走っていた。
マチルダは離脱の機会を窺っていたが、そのタイミングが掴めない。
申告通りに精神力が空になっているわけではないのだが、先ほどの『錬金』でそれなりに消耗したのも確かだからだ。
傭兵の別働隊にでも出くわせば骨を折りそうだ。魔法衛士隊とフロウウェンに護衛されている方がかなり安全である。
ワルドの人となりは知らないが、フロウウェンの方は少なくとも仲間を見捨てるような性格をしてはいない。
このまま桟橋まで付き合って、搭乗のどさくさに紛れて姿を消すのが良いかも知れない。
長い昇り階段へとワルドが駆け込む。この階段を昇り切れば巨大な樹が見えるだろう。それが桟橋である。
「これは……大したものだな……」
フロウウェンが桟橋を見て、感嘆の声を上げた。
山ほどもある巨大な樹木をそのまま利用しているのである。下からでは見上げても頂点がわからず、一際太い枝にぶら下がるように飛行船が待機している。
名こそ桟橋と言っているが、これは空港のターミナルのようなものなのだろう。
「桟橋を見るのは初めてなのかい?」
「少なくとも、こんな樹は見るのは初めてだな」
フロウウェンの答えに、少しだけマチルダが満足する。
いつも冷静な男だけに、もう少し慌てふためいたり、驚いたりするところが見たかったのである。
「何であなたが得意げな顔をするのよ」
「別に?」
ルイズが不審そうな顔でマチルダを見やるが、マチルダはとぼけて見せた。
木の根元をくり抜いて作られたホールは不気味なほど静まり返っていた。夜ということもあって、人がいないのだろう。
「諸君。こっちだ」
ワルドは幹に打ち付けられた鉄のプレートに書かれた文字を確認して、桟橋の階段を昇っていった。
フロウウェンは、プレートに『スカボロー行き』の文字が躍っているのを認めると、後へと続く。
木で作られた階段は体重をかけるとしなる。足場が心もとない。手すりの強度もそれほど強くない。ここで戦うなら、『フライ』や『レビテーション』が使えなければ分が悪いだろう。
踊り場に差し掛かったところで、後ろから追いすがる足音に気付いた。
フロウウェンが声を上げ、注意を促す。
「来るぞ!」
言うなり、フロウウェンは躊躇なく自分の後ろの足場をデルフリンガーで切り払った。
傭兵が相手ならこれで足止めできるし、メイジならば『フライ』や『レビテーション』を使う必要に駆られる。足止めにはならないが、宙にいる間は攻撃に移れない。ワルドと二人がかりであればそれを撃墜するのに苦は無いだろう。
後ろから来るのが追いついたタバサ達なら何の問題もない。こちらからは彼女達が『フライ』を使うのを邪魔したりしないのだから。
走ってきたのは、白い仮面を被った男だった。黒塗りの杖を手にしている。十中八九、敵方のメイジだ。
出方を伺うべくデルフリンガーを構えるが、男は既に呪文の詠唱を半ばまで終えていた。
白仮面はフロウウェンの対処の意図するところも、追いつけるタイミングも把握しているのだ。最良且つ最大の反撃を初手で繰り出すのは、造作もないことだった。
「なんだ……?」
落とされた足場の手前で足を止めると同時に呪文が完成する。白仮面の手にした杖が振るわれると、周囲の温度が急速に下がって冷気が肌を刺した。白い仮面の男の頭上へ向かって風が吹き、薄い靄が生まれる。
「『ライトニング・クラウド』だ! 構えろ!」
デルフリンガーが怒鳴るように声を上げる。その声の調子から、フロウウェンの背筋を冷たい予感が走った。
「低気圧か!」
呪文の名前と眼前で起こる現象から、術の正体を直感的に看破する。その瞬間、空気が震えた。
フロウウェンが両の手を男に向かって突き出すのと、白仮面の周囲の空間から電撃の閃光が走るのが殆ど同時―――!
「ぐあああっ!」
「ぐうっ!」
苦悶の声はフロウウェンと白仮面の、両者の口から漏れた。
「なんだ、今のは……!?」
デルフリンガーを支えにフロウウェンは膝を付く。電撃が来ると看破したときには、ギゾンデを撃つ体勢に入っていた。
両手を突き出したのは金属であるデルフリンガーを敵の使う術の避雷針代わりにする為のもの。ギゾンデは身体を走る電撃を制御、誘導して経路を作り、そっくりそのまま跳ね返してやる為のものだ。
最良のタイミングでこれを行えたなら先制のカウンターで敵の術の出足を止められるか、敵の術にギゾンデの威力を上乗せして一方的に勝つことができる。最悪でも相打ちが取れる……はずだった。
今のは、結論から言えばただの相打ちだ。初動が遅れたこともあって、痛み分けの結果に終わった。不可解なのはそこではない。
ギゾンデで放たれた雷撃は指向性を持って、術者が目標と認識した対象に次々と通電していく。対象以外は感電させるのを避けるのだ。自然現象で発する雷とは性質を異にする。
だというのに、左手から放たれた電撃は、まずデルフリンガーの刀身に吸い込まれ、それから白仮面に向かったのだ。しかも、大きく威力を減衰させていた。
案の定威力が不十分だったのか。白仮面は頭を振って立ち上がると、すぐに復帰してきた。術自体の威力も向こうの方が上であるのか、フロウウェンの方が被った被害が大きい。
無くなった足場とフロウウェンの頭上を一足飛びに越え、マチルダの眼前に迫る。
「く!」
マチルダが杖を構えるより早く、白仮面の手刀がマチルダの首筋に叩き込まれる。そのままマチルダは倒れ伏して、気を失った。
白仮面は気絶したマチルダに止めを刺そうと杖を振り上げるが、立ち上がったフロウウェンが斬り込んでくるのを視界の端に認めると、剣の間合いの外へ飛び退り、そのまま走ってルイズを抱え上げた。
「きゃあ!」
ルイズを抱えたまま跳躍する。階下まで一気に飛び降りて連れ去るつもりなのだろう。
一切逡巡もせず、フロウウェンも跳んだ。
次の刹那、ワルドの『エア・ハンマー』が宙にいた白仮面を捉えた。ルイズの手を離して、階段の手すりに捕まって落下を回避する。
フロウウェンが壁を蹴って下方向へ加速し、落下していくルイズに追いつく。彼女を腕に抱えると、言った。
「掴まっていろ」
「え?」
ルイズがフロウウェンの言葉を理解するより早く、彼女を包み込むように抱きかかえ、自分の背に向けて手をかざす。次の瞬間、フロウウェンの背中側の空間が爆ぜ、二人は吹き飛ばされた。
「きゃあああ!」
悲鳴を上げながら、ルイズは理解した。至近距離を指定して爆発のテクニック、ラフォイエを使ったのだ。
爆風に乗って、フロウウェンとルイズは階段へと復帰した。
「怪我は無いな?」
「え、ええ」
呆気に取られてルイズは首をかくかくと縦に振った。攻撃用の術を空中の制動に使うなんて無茶苦茶だ。
フロウウェンは自分のことを、テクニックユーザーとしては最下級で、攻撃用のテクニックも大した威力は無い、などと言っていた。だから割り切ってできることなのだろう。
「さて」
再び階段でフロウウェンは白仮面を見上げるように対峙した。その距離5メイルほど。一瞬で斬り込むことの可能な距離だ。しかも、上にはワルドが控えている。
「今度は挟み撃ちだな」
白仮面が自棄になって杖を掲げるが、遅きに失していた。
最初に動いたのはワルドだ。『エア・ハンマー』が白仮面の背を直撃し、一瞬遅れてフロウウェンの手にしたデルフリンガーが左の大腿部を薙ぐ。白仮面は鮮血を撒き散らしながら階下に落下していった。
ワルドの『レビテーション』で二人は階段の踊り場まで戻される。
「ヒース……大丈夫……!?」
ルイズが蒼白な顔で問う。デルフリンガーを握っていた右腕が、肘の辺りまで服ごと焼け焦げていた。自身のラフォイエによる爆風を受け止めた背中のダメージも気になる。
「……大した威力だな。あの魔法は」
戦いが終わったのでルーンも機能を停止している。従って、再生も止まってしまうということだ。
「さっきの呪文は『ライトニング・クラウド』。風系統の強力な呪文だぜ。あいつ、相当な使い手のようだな」
「まあ……あの傷なら暫くは追ってはこれまいが」
階下を見下ろしてフロウウェンは言う。白仮面の姿はもうそこにはないが、風の使い手なら『治癒』の呪文は不得手だろう。
「しかし、腕だけで済んでよかったな。本来なら、命を奪うほどの呪文だぞ。どうも、この剣が呪文を反射したように見えたが……」
なるほど。傍目から見たワルドにはそのように見えたらしい。推測できることはいくつかあるが、フロウウェンもデルフリンガーも、アカデミーに情報が渡りかねない相手に解説や種明かしをするつもりはなかった。
「おりゃあ、そんなことしてねえけどな」
「インテリジェンスソードか。珍しいな。よく分からんが、金属ではないのか?」
「知らん。忘れた」
「奴が感電したのは……大方、術の制御に失敗でもしたのだろうよ」
フロウウェンの言葉に、ワルドは眉を顰めた。
「失敗だって……?」
そんなはずはない。『遍在』にしろ『ライトニング・クラウド』にしろ、自分の術の制御は完璧だったはずだ。
疑問符がワルドの頭を埋めるが、食い下がって不審に思われても困る。それ以上は追究できずに、ワルドは考え込むしかできなかった。
「まあ、それは良いとして……さっきの爆発は?」
そうだった。もう一つ訊ねておくべきことがある。
あれで二人は落下の軌道を変えたのだった。
「あれは―――」
「あ、あれは、わたしの爆発よ」
ルイズが割って入って、自分の失敗魔法だと主張する。
「君のか? 暫く見ない内に随分と強烈になったな。しかも、思い切ったことをする」
「そ、そうなのよ。ごめんなさい。ヒース」
「気にするな」
ルイズは曖昧に笑って、それにフロウウェンが合わせる。
デルフリンガーを鞘に収め、気絶したまま倒れているマチルダを腕に抱えた。
名を呼んで軽く肩を揺さぶるが、マチルダは目覚めなかった。フロウウェンは小さく溜息を吐く。
マチルダはアルビオンに渡りたがらないだろうが、意識が戻らなければここに置いていくわけにもいかない。新手が来ないとも限らないからだ。
怪我をしているフロウウェンにさせるようなことではないと、ルイズが慌てて駆け寄る。ルイズの体格でマチルダを支えるのは骨が折れるので、結局怪我をしていないワルドが二人に代わってマチルダを抱えた。
船員達は渋ったのだが、ワルドの交渉であっさりと船は出港する運びとなった。明日の昼頃にはアルビオンの港町、スカボローに着くとのことだ。
「ヒース。傷は大丈夫?」
ルイズがフロウウェンに話しかけると、フロウウェンは小さく笑う。
「この通りだ。心配はいらん」
そう言ってかざした右腕は、服こそ焦げていたが傷一つない。
「あ……レスタね?」
テクニックの取り回しの良さにルイズは感心する。こうやってその場で秘薬も無しに傷を治せるから、ああいう無茶な作戦を躊躇いなく実行できるのだろうか。
「傷が治っているのを子爵に見咎められたら、ルーンのお陰、とでも答えておけば良かろう」
「……なんか、騙しているみたいで気が引けるわ」
「半分は事実だ」
そんな話をしていると、二人の所にワルドがやってくる。
「船長の話では、ニューカッスル付近に陣を配置した王軍は、攻囲されて苦戦中のようだ」
その言葉に、ルイズがはっとした顔になって訊ねる。
「ウェールズ皇太子は?」
「わからん。討ち取られたという報も、捕らえられたという報も入っていないから、生きてはいるようだが」
「どうせ、港町は全て反乱軍の統治下なんでしょう?」
「そうだね」
「どうやって、王党派と連絡を取ればいいのかしら?」
「陣中突破しかあるまいな。スカボローから、ニューカッスルまでは馬で一日だ」
フロウウェンは腕を組む。ギーシュと、その使い魔のヴェルダンデがいればそんな心配は無用だったのではないだろうか。地下を通ることで、安全に王党派に接触できたはずだ。とすると、組分けの人選を誤ったかもしれない。
「まあ、反乱軍も公然とトリステインの貴族に手出しはすまいよ。何かしてくるとしたら、夜陰に乗じてだろう。隙を見て包囲線を突破し、ニューカッスルの陣へ向かう」
「敵はこちらの特徴を知っている。トリステイン貴族であることを喧伝して歩くのは不味いな。港に着く前に偽装してやれば良い」
ルイズとワルドの話に耳を傾けていたフロウウェンが言った。
「どうやって?」
「ミス・ロングビルが目覚め次第『錬金』してもらう。兜を被り、鎧を纏って剣を吊るして歩けば傭兵にしか見られまいよ。
正規兵がいるのであれば、一目につかない所で似たような装備に『錬金』し直せば、騒ぎを起こすことなく安全に連中の装備を手に入れられる。
そうすれば陣中を横切るのも容易くなるだろう」
「なるほどね。それで行こうか」
ワルドが頷いた。
「そういえば、あなたのグリフォンはどうしたの?」
ルイズが訊ねると、ワルドは微笑んで口笛を吹く。下からグリフォンの羽音が聞こえてきた。そのまま甲板に着陸する。
船員達が驚嘆の声を上げていたが、ワルドが手を振ってグリフォンに害意がないことを知らせると、ちらちらとグリフォンを眺めながら仕事に戻っていく。
「あのグリフォンで直接向かうわけには行かないのか?」
「竜なら行けるでしょうけど、グリフォンはそんなに長い距離を飛べないわ」
「竜、か……」
タバサがいれば頃合を見て船から離脱し、直接ニューカッスル城へ向かえたわけだ。やはり……人選というか手勢を分散させたのが痛い。だが、この場にいない人間を当てにできるはずも無い。全ては現場の判断の結果だった。
「ん。いつの間に手当てをしたんだい?」
ワルドがフロウウェンの手を見て、言う。
「使い魔のルーンの効果でな。傷の治りが早い」
「ほう。便利なものだな」
ワルドは顎に手をやって感心したように小さく頷く。
「それより子爵。あのメイジ。何者だと思う?」
「さあ? 見当もつかないね」
突然、白仮面に話題が移った。ワルドはとぼけてみせる。
「オレは、あれがトリステインの貴族では無いかと思う」
それは核心に迫る言葉だった。内心の動揺を隠して、ワルドは問う。
「何故?」
「仮面で顔を隠していたからだ」
フロウウェンの返答に、ワルドは言葉を失った。
「こちらにいる誰かに、正体を知られては困る。正体を知られる可能性がある。だから顔を隠す必要があった……とオレは見ている」
その通りだ。素顔を見られれば、『遍在』であることが解ってしまう。
「そして、その裏切り者は、魔法衛士隊である可能性が高い」
「馬鹿な!」
今度こそ、ワルドは思わず立ち上がっていた。
どこまで把握しているのだ。この男は。ただ単にカマをかけているのか?
いや、自分は現時点では疑われるようなミスはしていないはずだ。
引っ掛けでは無いなら、推論だけでそこまで辿り着いたというのか?
「ワ、ワルド?」
ルイズが不安げな面持ちで見上げてきたので、ワルドは頭を振ると腰を落ち着け、言う。
「は、栄えある魔法衛士隊に、そんな不心得者がいるはずがない! 一体なんの根拠があってそんなことを」
動揺を誤魔化す為に、魔法衛士隊の矜持を傷つけられた、と言わんばかりのポーズを作ってみせる。
「いや、落ち着いてくれワルド子爵。気持ちは分かるが、あくまでオレの推論だ。可能性の話でしかない」
「よかろう。何故そう思ったのか聞かせてもらおうじゃないか」
どかっと腰を落ち着けて、ワルドはフロウウェンに向き合った。
「あの傭兵どもの待ち伏せにしろ、宿を包囲する手配にしろ、情報が漏れているのは確実だ。金でしか動かない末端の傭兵連中が、こちらの特徴を正確に掴んで攻めてきた。ここまではいいかな?」
「ああ」
「だが、アルビオンへの使いとして姫殿下の密命が下ったのは前日の夜のこと。内容を知っているのはオレと、ルイズとギーシュだけだ。子爵も何をしにアルビオンに行くのか聞かされているのかな?」
「姫殿下の命とあらば、理由など訊ねるのは不遜というものだ。僕の任務は君らと、君らの持つ密書の護ること。それさえ知っていれば充分だからね」
ワルドは首を横に振った。実際の所、任務の内容にも察しはついているのだが、それを口にするわけにもいかない。
「要するに、情報が漏れる経路は非常に限られている。だが、王女の動きを察知できる者の中に、その内容に察しがつく裏切り者がいればその限りではない」
ワルドは、フロウウェンの推論を苦虫を噛み潰したような顔で聞いていた。
「君の仲間達は? 彼女らは……外国人だろう?」
「ガリアもゲルマニアも、アルビオン貴族派は共通の敵だ。それに学院にスパイを紛れ込ませる意味はあまりなかろう。オレとしては、あの三人は信用できると思っている」
「ミス・ロングビルも?」
ルイズが問う。疑わしいというならロングビルこと、フーケが一番信用が置けない。
「ミス・ロングビルもだ。騙しているなら媚薬騒動の時にそう白状しているだろうよ」
「あ……それもそうね」
先日のしおらしくなった彼女を思い出して、ルイズは唸った。洗いざらい正直に口走りそうで苦労していたのだ。間者であれば、精霊が反乱軍の首魁の名前を出した時に勝手に自白していただろう。
「媚薬?」
「この件とは直接の関係はないが、学生の悪戯で一騒動あってな。それが彼女を信じる根拠に足る、ということだ」
「だから、魔法衛士隊、か」
「あの白仮面。使う呪文の強力さといい、身のこなしといい、相当訓練されているようだったからな」
「ライトニング・クラウドを使うっていうことは……風のメイジよね」
ルイズが言う。
あの場でフロウウェンを殺すつもりで放った術だ。結果論だが、あれを見せたのは仇になってしまった。
「魔法学院に姫殿下が逗留している間、その動きを察知できた人物。風メイジで、実戦経験が豊富である人物。
オレ達の中の誰かに、或いは雇った傭兵にも顔を見られては不味い人物。敵が複数いるという可能性もあるな。まあ、最悪の状況は想定しておくものだ」
「それで、魔法衛士隊……か」
なるほど。理詰めでそこまで行きついたわけだ。
確かに、そんな実力を持ち、都合良く情報を得られる人間が、そうそういるわけがない。「最悪を想定する」というなら、魔法衛士隊を疑う理由も充分に納得できる。
しかし……それをわざわざ自分に言うということは、『遍在』を知らないのだろうか? それとも知っていて、自分もその条件に当てはまると、カマをかけてきたのか?
どちらにせよ、後でアンリエッタかマザリーニ辺りに報告されれば、自分などは真っ先に疑われる立場となるわけだ。懐具合を調べられれば、貴族派と通じていたことも簡単に発覚してしまうだろう。トリステインに戻る必要はないから致命的ではないが。
だが、この男は危険だ。腕が立つばかりでなく、頭も切れる。確実に任務の障害になる。
これからの行動は細心の注意を払わねばなるまい。それから……隙を見て殺す。必ずだ。
殺意を胸に秘めて、ワルドは明るい笑みを浮かべた。
「分かった。姫殿下には任務が終わり次第、僕から報告しておこう。魔法衛士隊に裏切り者がいるとなると、士気にも関わってくるからね」
「そうだな」
ワルドの提案に、フロウウェンはあっさり引き下がった。
少なくとも自分を疑ってはいない、ということか。この男の場合、腹芸の可能性もあるから油断はならないが。
明るい光と船員達の足音で、マチルダは目を覚ました。
最初に目に飛び込んできたのは青い空だった。
状況が正確に把握できずに周囲を見渡すと、ルイズが横に眠っていた。
「うっわ……船に乗せられてるじゃないか」
閉じ込められているわけではないから、貴族派に捕まったというわけではないらしい。だが、アルビオン行きは確定している。
あの場に残していってくれた方が良かったとも言えずに、マチルダは溜息をついて、せめてもの意趣返しとばかりに件の人物を睨む。
フロウウェンはとっくに目を覚ましていて、舷側に立って空の向こうを見ていた。
デルフリンガーを携えて、朝日と風を受けるその姿は愚痴をこぼすことを忘れるほど絵になっている。
「アルビオンが見えたぞー!」
見張りの声が響くと、ルイズが寝惚け眼を擦りながら起き上がってきた。
表情に変化のなかったフロウウェンの目が少しだけ大きく開かれる。
「驚いた?」
それを目ざとく見つけたルイズが言う。
「……素晴らしい」
視線を外さず、フロウウェンは呟くように答えた。
遮るものもない空を行くアルビオンは美しかった。と同時に、圧倒されるほどの威容を誇る。
白の国の名の由来通り下半分を雲海が覆い、まるで雲が大陸を運んでいるようだ。白い靄が切り立った岸壁を覆っている。
山頂に雪を被る山々が大陸上部に広がり、アルビオンから空へと注ぐ川は朝日を受けて煌きながら巨大な虹をかける。
何せ、浮遊する大陸である。星間移民船パイオニア1よりも巨大な質量の物体だ。それは魔法によるものか、自然の手によるものかは判らないが、ともかく事実として空を浮遊しているのだ。
宇宙開拓時代に生まれついたフロウウェンですら見たことの無い光景であった。
「右舷上方の雲中より、船が接近してきます!」
その時、鐘楼の上から、見張りが声を上げた。
三人が、そちらを見やると、なるほど。船が接近してくるのが見える。
船体から大砲がずらりと突き出ているのを認め、ルイズが眉を顰める。
「いやだわ……貴族派の軍船かしら」
「……では、旗を掲げていないのはどういうわけだ?」
「それじゃ空賊じゃないの!」
マチルダが声を上げるとルイズの顔色が青くなった。
「く、空賊ですって!?」
向こうの船の方が足が速い。こちらにあっという間に追いつき、並んだかと思うと即座に大砲をぶっ放してきた。
最初に撃ってきた大砲は命中しなかった。向こうが敢えて命中させなかった、という方が正しい。
船が裏帆を打って停船すると、向こうの船に屈強な身体つきの男達が顔を覗かせた。ルイズは怯えたようにフロウウェンの後ろに隠れる。
「心配はいらん。もしもの時の手は残してある」
フロウウェンが言う。
「そ、そうだけど。あれは本当の本当に最後の手段じゃない」
「まあ、な」
「何の話?」
マチルダが尋ねると、フロウウェンが答えた。
「最悪の状況になった時に逃げ出す算段だ」
「逃げ出すって……」
どこに? ここは空の上ではないか。というか、これが最悪の状況でなくて、なんだというのだ。
空賊船の舷側に、ずらりと弓に、フリント・ロック銃といった飛び道具を手にした男達が並ぶ。
あの大砲も弾を込められて、いつでも撃てるように準備をしているのだろう。
鉤付きロープが投げられて、蛮刀や斧を手にした数十人の男がこちらに渡ってくる。
「どうにからならないの?」
せめてもの願いを込めてルイズが訊ねるが、フロウウェンは首を横に振った。
何せ敵の人数が多すぎる上に地の利がない。ルイズを護りながら戦わなければならないというのは無理だし、例えできたとしても向こうは旗色が悪くなれば躊躇なくこちらの船を沈めるだろう。
「今は、無理だ」
「そのようだ。参ったね」
何時の間にかワルドが戻ってきていた。ワルドは船長と話をしに行っていたはずだ。
「子爵。魔法は使えるのかな?」
「生憎風石に注ぎ込んで空っぽだよ。使えてもこの状況じゃ抵抗はできないし、すぐに杖も取り上げられてしまうだろうけどね」
甲板にいたグリフォンが驚いて喚くが、青白い雲が生まれてグリフォンの頭部を包み込む。どうっと甲板に倒れてグリフォンは寝入ってしまった。
「おまけにメイジもいるらしい」
ワルドは肩を竦めた。
「今の魔法は?」
「スリープ・クラウド。風のトライアングル・スペルだよ」
「風のトライアングル……厄介だな」
この空を行く船の上で、少なくともタバサと同等の魔法が使える相手とやり合うというのは、ゾッとしない話だ。
「船長はどこでえ」
黒髪に無精髭、眼帯という容貌の、賊の頭らしき男が辺りを見回しながら言う。
「わたしだ」
船長が手を上げた。精一杯の虚勢を張っているが、膝が震えている。
「船の名前と、積荷は?」
曲刀の腹でぴたぴたと顔を叩きながら空賊の頭が問う。
「トリステインの『マリー・ガラント』号。積荷は硫黄だ」
硫黄と聞いて、空賊の連中が一斉におおーという溜息を漏らす。
「船ごと全部買った。料金はてめえらの命だ」
船長の帽子を奪って被ると、にやっと笑う。それから、ルイズとワルドを目に留める。
「おやおや。貴族の客まで乗せてるのか」
そう言って目の前までやってきて、ルイズと、それからマチルダを見やり、目を大きく見開いた。
「お前―――」
マチルダは無言でそっぽを向いた。空賊なんぞに知り合いはいないが、アルビオンで自分の顔を知っている者がいたとしてもおかしくはないからだ。
「……こりゃ別嬪だな。なあ、お前。俺の船で皿洗いをやらねえか」
「触らないで下さい」
「はっ。お高くとまりやがる」
マチルダの返答に肩を震わせて笑う。
「てめえら。こいつらも運びな。身代金がたんまり貰えるだろうぜ!」
頭はそう言い残し、踵を返して戻っていった。
マリー・ガラント号の船員達は、自分達の船の曳航を手伝わされているらしい。ルイズ達は船倉に閉じ込められた。荷物も一見して武器と判るもの以外は手をつけられなかった。
アンリエッタの密書もマグも、そのまま手元に残されたし、予備として持ち歩いているセイバーの発振機もフロウウェンの手元にある。
杖と剣を取り上げて扉に鍵をかけてしまえば抵抗できないと思っているのだろう。勿論フロウウェンとルイズは杖が無くても攻撃の手段があるし、体術だけでもワルドはかなりの腕前だ。
ともかく、扉をぶち破って反攻に出るとしても、それはワルドが魔法を使えるだけの精神力が戻ってからのことだ。
トリステインとアルビオンの交易路を通る船を狙う空賊船ならば、スカボローの近くに拠点を持っているに違いない。だから、それほど焦る必要は無い。
フロウウェンが壁にもたれて今後の目算を立てていると、扉が開いて痩せぎすの男が入ってきて一行に告げる。
「お前ら。お頭がお呼びだ」
以上で14話目の投下終了です。
>>122 クロナなら魔女への敵対心はないからおkじゃね?
キッドよりも扱いづらいが
>>117 投下乙です
行商人、伝説のルーンを知ってるとは只者じゃねぇなw
今回だけはキュルケやギーシュが邪魔、変にルイズを煽りゃなきゃいいんだが……
あと小熊ってまさかリングマ?
>>117 作者&代理乙
だんだんとルイズのトゲトゲ感が抜けてきてるね
最初の方の読んでて胃がジクジクする感じも地味に好きだったけどw
>>133 おマチさん‥
バレたのかバレてないのかバレたよな多分乙!
もっと毒舌のキャラを召喚してほしいわ。
スタオ3のアルベルとか禁書の垣根帝督とか‥いやこいつは違うか。
毒舌……というと戦場ヶ原ひたぎが思い浮かぶな。
ホチキスは果たして武器として認識されるのだろうか?
>>138 「メルヴィ&カシム」のメルヴィ師匠とか
「レオン東遊記」のバシレイデスさんとかが浮かんだ
ラグナロクは毒舌にはいるんだろうか
>>140 メルヴィは女性には年齢容姿の差別無く優しいからギーシュとか、マルコメとかが言われるのかな?
「俺の考えたすごい設定」をひけらかすより作者に乙を言う方が先でしょうが。
エトナさまは毒舌っスよ!
あら、こんなところにプリニーさんが・・・
えいっ! かにみそー!
やきぶたー!
凶華様は毒舌というか呼吸の様に悪態を吐くというか
>>117 乙であります
それでは、22:55よりLFOの代理投下に入ります(´・ω・`)LFOはじまるよ〜
どこに代理依頼来てるんだろ?みあたらないが
ゼロの社長見てて思ったんだが、社長がオベリスクを呼べるかどうかでチート具合がかなり変るよな
究極嫁でも大概チートではあるが
続き早すぎワロス支援w
>>149 メールで直接受け取っています
何スレか前に、スレでやり取りしてますよー
--------代理開始--------------------------------------------------
沈みゆく夕日を背に、ルイズとミーを乗せた馬は学院へと走っていく。
その上、高度二百メイルぐらいの所をキュルケ達の乗ったシルフィードが飛んでいた。
ただ行きの時とは違い、シルフィードの両手には大量の重そうな荷物が抱えられている。
それらは全て主にギーシュがミーの為に洋裁店や製靴店、そして家具店等を往き来した結果であった。
頭の後ろに手を組み、色々終わって一安心とばかりにギーシュは呑気に呟く。
「あ〜、今日は実に楽しい一日だったな。そうは思わないかね君達?」
しかし返答は返って来ない。
タバサは相変わらず小さめの本に夢中だし、キュルケはのんびりした雰囲気だったが時々下のルイズ達に目をやっているだけ。
さっきからそんな調子だった。
そんな中キュルケは思っていた。
自分達が来なくてもルイズ達二人の休日は上手くいったかもしれない。
だとすれば、そんな気は毛頭無かったにせよ自分達は完全に横から余計なちゃちゃを入れた事になる。
まあ、ちゃちゃを入れさせてしまうような行動を常日頃からとっているルイズにも問題はあるのだが。
ただ、今日という日が使い魔であるミーと良好な関係を持とうと決心し行動した日として、
重要なターニングポイントになる筈だったのなら、自分達は余計なお節介をしたも同然だ。
彼女はただ眼下を走る一頭の馬を見つめるしかないのだ。
今日キュルケ達と会ってからというもの、ルイズは不機嫌な顔をしたまま破顔することは一度も無かった。
当て事は向こうから外れるとは誰かが言った有名な台詞だし、彼女自身も今まで経験が無かった訳では無い。
だがこんな日にまで起きなくてもいいだろうと、ルイズは溜め息一つ吐いて空を仰いだ。
ミーはと言えば、街にいる間中ずっと子熊と一緒にいた。
聞くと子熊はただの子熊ではなく、彼女の世界でヒメグマと呼ばれているポケモンの一種という事らしい。
ポケモンというのが何なのかルイズにはよく分からなかったが、とにかくミーの世界では馴染み深い生き物である事は理解した。
またポケモン同士を闘わせる事によって、技を覚えたり経験値という物を貰ってレベルをあげる事が起きるらしい。
かいつまんで言うならば強くなるという事だが、ミーはレベルが上がって進化すると姿形が変わってしまうからヤダと言った。
ミーが無力な存在である以上、ルイズとしてはヒメグマに訓練をさせて強くさせたいが、ミーの機嫌を損ねるわけにもいかないので黙っておく事にした。
気になる事はもう一つある。
行商人が言っていたヴィンダールブの件である。
ミーが本当に伝説の使い魔ヴィンダールブなら自分はとんでもない当たりを引いた事になる。
実際、行商人でさえ手懐けるのが難しいとされている動物をあっさり手懐けさせた。
今だって馬の手綱を握らせたら、乗馬が得意な自分と同じくらいかそれ以上に馬を御するかもしれない。
大体あらゆる獣を手懐け望む所へ主を導くなど夢の様な話ではないか。
しかし、話は深く考えれば考える程馬鹿らしくなってくる。
ヴィンダールブがいたのは今の時代から六千年以上も前の話。
しかも主はハルケギニア大陸で広くそして篤く信仰されているブリミル教の始祖ブリミル・ヴァルトリなのだ。
かたやミーはどこからどう見ても平民の子供だし、
主である自分は魔法を使う度に爆発を起こして友人から「ゼロのルイズ」と嘲られる毎日を送っていたのだ。
一朝一夕で伝説の使い魔とその主などという大それた存在なんかになれる訳がない。
それにミーはまだ子供だ。ヴィンダールブの力をはっきり発揮させるのに大人になるまで待てというのか?幾ら何でも遅すぎる。
「疲れてるのね……あんな根も葉も無い話をコロッと信じかけるなんて。どうかしてるのかしら、あたし。」
そんなルイズのモノローグに耳を傾ける者は一人としていない。
空に吸い込まれるは馬が走る音しかない夕暮れ時であった。
Louise&Little Familiar's Order「Principal's question」
学院に着いてすぐにルイズは、街で買ってきた荷物を部屋に運び入れる作業にとりかかる。
キュルケは手伝いましょうか?と訊いてきたが、ミーの手前ルイズはそれをやんわりと断った。
だが浮遊、飛行系の魔法が一切使えないルイズにとって仕事は思っていたより重労働となった。
しかも始めて暫くもしない内に、ルイズは廊下でコルベール氏によって呼び止められた。
聞くと、大事な話があるので今すぐ学院長室に来て欲しいとの事。
寮塔の廊下に放っておくわけにもいかないので、ミーに無理しない範囲で部屋に荷物を運んでおくように言いつけた。
今日は今の今に至るまで一度も怒られてはいない。出掛けに行く事も出来たしプレゼントも貰った。
こんなに良い日を台無しにする訳にはいかないと思ったミーはせっせと荷物を部屋まで運び始める。
その時犯した最大のミスは……何処かに繋いでもいないペットから目を離した事だった。
ルイズはコルベール氏の跡を追う様に学院長室に足を運ぶ。
「学院長、失礼します。」
そう言ってコルベール氏が扉を開けると、部屋の中ではオスマン氏が水煙草を吹かしながら、とある書物の一ページを見つめていた。
何処かに行ったのであろうか、秘書であるミス・ロングビルの姿は室内には見えない。
「オールド・オスマン。ミス・ヴァリエールをお連れ致しました。」
「うむ。御苦労であった。」
それからコルベール氏は戸口の所まで行き、廊下に誰もいない事を確認した後でそっと鍵をかける。
次いでオスマン氏が杖を軽く振って「ディティクトマジック」を使う。
部屋のどこにも覗き穴や盗み聞きが出来る様な物が無い事を確認した彼は、杖を側に置きルイズに話しかけた。
「ミス・ヴァリエール。夜分にここへ招いてすまんの。
さてと、これから話す事はくれぐれも内密にしてほしい。良いかな?
実は君の使い魔の事についてなんじゃが……」
「学院長先生。その事についてなんですが……」
ルイズの開口にオスマン氏は目を光らせるが、すぐにいつもの様な雰囲気に戻った。
「そうかそうか、もうすでに気付いておったのか。いやぁ君は実に聡い生徒じゃ。
そうじゃ。君が考えている通り、君の使い魔の右手に刻まれているルーンは伝説の使い魔の一人、ヴィンダールブに刻まれておったルーンと同じじゃった。
見つけたのはコルベール先生じゃがの。
まあ始めに言うておくが、それを戦好きな王室連中なぞには伝えはせんから安心するがよい。
わしらはこの数日長いこと討議をしたよ。事実を君に伝えるべきかどうかをな。
じゃがわしらは君を信用することにした。君がそろそろ気付くだろう、軽々しく公言しないだろうと考えてな。
君からこの件に関して何かしら質問はあるかな?」
ルイズはその時オスマン氏の話す話の内容が、昼間の行商人の話とほぼ一致していた事に驚いていた。
ただ仮にも魔法学院の教師という事を考えれば当然とも言えたが。
気を取り直してルイズは質問をしてみる。
「はい。学院長先生の話に因ればヴィンダールブとその主が現代に甦ったという事ですよね?
それが事実だとすれば、何故私の使い魔がヴィンダールブとなったのでしょうか?」
「ほっほ。そこまで考えておったとは。やはり君は賢明じゃな。
真に残念じゃがその答えはわしらの力をもってしても未だに謎のままじゃ。
これまでにもあれこれと考えた物も全て推測の域を出ないか、それでなければ荒唐無稽も良いところの代物ばかりでな。
少しも力になれんですまんの。ただ、わしなりに調べて解った事があったら真っ先に報告することを約束しよう。」
「有り難う御座います。学院長先生。」
ルイズはそう言って恭しく一礼をする。
オスマン氏は何事も無かったかの様に再び水煙草を吹かし始めた。
「はぁ。ミス・ロングビルのいない合間に吸えるだけ吸っておくとするか。
時にミス・ヴァリエール、君の使い魔は今何処にいるのかね?」
「あ、はい。今は寮塔で仕事をしている筈ですが何か?」
「いやぁ、その仕事は使い魔の実力できちんと済ませられる範囲内の仕事か気になってしもうての。」
言い終わると同時に視線が若干厳しいものになるオスマン氏にルイズはドキリとした。
コルベール氏も何の話なのか興味があるらしくちらとこちらを見やる。
ルイズの顔からは急速に気持ちの余裕が消え失せていった。
オスマン氏は表情を変える事無く続ける。
「ミス・ヴァリエールよ、学院長という役職の存在はただここに座ったまま執務をしているだけで良いというわけにはいかないのじゃ。
時にはこの部屋から出て教え子達と交わり合い、学業や生活における悩み事を聞いて解決策を与え導いてやるのも学院長の仕事の一つじゃ。
その過程において耳にする事には当然、君と君の使い魔に関しての事も多少なりとはあるものじゃ。
わしがもう何を言わんとしているかは……君のことじゃ。分かるじゃろう?」
「はい……」
「使い魔は主を支え一生を共にする。
ある時は恭順な従者として、またある時は唯一無二の友として……これは古からの伝統じゃ。
君の場合、古今東西人間の、それも平民を使い魔にした例が無いために何もかもが手探りの状態になるのは否めない。
しかしじゃ、平民は必ず何処かの領地に属するものでもある。
そこから無理矢理連れて来るわけじゃ。
使い魔召喚の儀においてミスタ・コルベールは気にしておらんかったそうじゃが、領主が異国の貴族なら事によると国際問題に発展しかねん。
じゃが如何せん君の使い魔はそれをどうこう説明出来る年齢には達しておらん。
それよりも故郷を思って枕を濡らす時がある方がもっと直接的に訴えるものがあるじゃろうの。
繰り返すようじゃが君が召喚した平民は未だ幼い。
親元から使い魔として引き離した以上、君が親の代わりとなって養育をしていかなければならん。
わしも嘗て幼き姪の世話をやった事があるからの。苦労も分かるというものじゃ。
よいか。親の愛に飢える童子が求めるは鞭ではない。何物をも犠牲にしても構わないと感じさせる程の無償の愛情じゃ。
……問おう。君は使い魔に対して無償の愛情を注いで接しているかね?」
ルイズは少し俯き、口を真一文字に結んでおし黙った。
ここで何の躊躇いも無く「はい」と言えたらどれだけ気が楽になるか知れない。
しかし恐らくオスマン氏は全てを知っていることだろう。今、隠しだてをしたところで何の意味も無い。
ルイズの頭の中では学院へ入ってからの一年間が、今までの自分の人生の中で思い出す限り最も惨めな一年間が走馬灯の様に思い出されていた。
今でも友達と呼べる同級生なぞ一人もいない。
最初はキュルケ、次にギーシュ、そして最後は学院長。
まるで下に海を臨む断崖絶壁に、たった一人で立たされている様な心境。
いつの間に強く下唇を噛んでいたのか、血が細く一筋唇から流れ出る。
その時、学院長室の扉が短く四回叩かれた。
「私です、オールド・オスマン。ロングビルです。入って宜しいでしょうか?」
「ん?ああ別に構わんが、どうかしたのかね?」
オスマン氏の問いかけに、ミス・ロングビルは鍵を開けて扉を開き中に入る形で応対する。
いつに無く慌てた調子でミス・ロングビルは
「先程食堂で騒ぎが起きまして……どの生徒の使い魔かは分からないのですが、子熊が一匹食堂に入り込んだようです……」
子熊という言葉にルイズは胃にバケツ一杯の氷水を流し込まれた様な感覚に陥った。
しかもミス・ロングビルの報告はまだ続く。
「生徒職員に用意されていた夕食の料理や飲み物を尽く食い散らかしまして……
見つかるや否や手が付けられない程暴れだしまして……
テーブル掛けを剥がす、皿を投げる。
あまりの惨状に生徒という生徒が憤慨していて、子熊を殺しかねないという大変危険な状態に……」
オベリスク出すよりは青眼の光龍やクリティウスの牙の方がましではなかろうか
もう十分だ。そう思ったルイズは底冷えのする様な声で学院長に向かって言った。
「学院長先生。」
「何かね、ミス・ヴァリエール?」
「この一件は私の責任です。その子熊は今日私の使い魔に買い与えた物です。使い魔の不始末は私の不始末です。
ですから……この件は私が責任を持って何とかします。」
そう言ってルイズはオスマン氏に御辞儀をすると、脱兎の如く階下へ降りて行った。
コルベール氏は少しの間呆気に取られていたが、
やがて直ぐに気を取り直しオスマン氏に質問をする。
「オールド・オスマン、良かったのですか?質問の答も聞かずにミス・ヴァリエールを行かせて……」
「ミスタ・コルベール。あの様子ならあの子の答えは一も二も無く『いいえ』じゃったろう。
今回の一件であの子がどう振る舞うか、それが今後の大事な要となる。
失敗すればそこまでじゃ。」
オスマン氏は再び水煙草を吹かし始める。
だがその視線は相変わらず厳しい物であった。
投下終了します。
嗚呼ヒメグマってアニメのせいでワルって感じしかしない……
個人的には好きなんですが、今回はアニメの個体とは別だけれどもアニメの性格に準拠という事にしました。
では、また。
------------代理ここまで-------------------------------
支援じゃないけど
>>155thx(´・ω・`)おサルさん恐いお
>>133 フロウウェンの人乙です
爺ちゃんにかかればワルドもまだまだ若者……つっても元々ツメの甘い奴ですがw
裏切りを知った時ヒースがどういう行動を取るのか楽しみです
そしてLFOと代理の人乙
オスマンが指導者として輝いているなんて初めてみたかもw
やっぱ学生の不始末は大人がガツンと言ってやらにゃ駄目ですよね〜
>>156 うわ。1時間後投下のレス見逃してて
間に割り込むような形で投下しちゃってた。ごめんなさい。
そして乙です。しかし、ルイズも苦労性だなぁw
>>156 少しづつ悪い方向にタイミングずれてルイズ涙目乙w
次回のルイズが見ものだな
>>150 いや、社長最悪のチートカードは混沌帝龍&原作効果版死のデッキ破壊ウイルスだ!
乙
お疲れ様です。
ツンデレなんて理解者が居ないと脆いですからね。
それにプライドの高い完璧主義なので付き合える人なんてサイト並みのMかお人好ししかいないんですよ。
ルイズ以外のツンデレのSS見たら似たようなのありますよ。
妹系などの己の庇護を必要とするようなか弱いキャラだったらルイズはツンデレしなさそうだ
ここぞとばかりに張り切るお姉さん?ぶっちゃいそう
使い魔は、メイジに相応しい者が召喚されると言う。
……ルイズが召喚するのは「割れ鍋に綴じ蓋」なドMのサイトだけではなく、彼女同様ドSの「手乗りタイガー」もありかもしれない。
社長が一番最初に召喚されて直後にレイバー・ペイン使っていたら
その後に召喚した生徒が次々に弱っていくという展開になるのだろうか
召喚されたキャラがルイズ以上のツンデレだった場合…
立場食われちゃってるや…
>>163 そのか弱いキャラが召喚して使い魔にするから話がややこしくなる。
使い魔はメイジの格の証明、魔法が使えないコンプレックス、他者にどう愛情を表現していいかわからない
貴族としての歪んだ誇り、平民への蔑視、動物キャラなら成功だったけど自分だけ平民を召喚してしまった苛立ち
色々要素があるから一概に言えない。
ツンデレのきつい性格はアニメではキツイ展開は緩和されるが小説だとそこが売りだからな・・・・
作者のどんでん返しを期待してます。
前スレのDQ8の主人公で想像してみたけど王族や貴族と相性よさそうだな
孤児から近衛兵にまで出世してるんだから普通に考えれば礼儀も学も備えてるだろうし
我の強い仲間からなんだかんだでリーダー扱いされてるわけだし
169 :
花紫:2008/10/11(土) 00:05:18 ID:TwCfSfjT
魔人緒方星四郎シリーズの緒方星四郎を呼び出したらのifストーリーを考えました。
0時10分から投稿しようと思ってるんですが、大丈夫ですかね?
まずsageろ。話はそれからだ。
魔人緒方星四郎シリーズは好きだけど、避難所逝け。
あとsageろ、分からないなら半年ROMれ。
172 :
花紫:2008/10/11(土) 00:10:53 ID:TwCfSfjT
こうですかね?
避難所逝ってきます。
いってらっしゃい
>>168 問題なのは、二点。
呪い的側面もあるルーンが果たして刻まれるのかってのと、あいつ多分ミーティア姫一筋って事だな。
ルイズ下手したらまともに相手にされんぞ。
>>174 それ以上に問題なのは、DQ8は漫画化も小説化もされてないため主人公の性格が作者のオリジナルになる事じゃないか?
>>174 むしろ世間知らずっぽい姫って共通部分からアン様とフラグ立てようぜ
しかしよく考えると滅んだも同然の国の姿が変わった王と王女なのに
それに付き従ったんだから大した忠誠心だな
DQ8の主人公はエンディングでは近衛隊長まで出世したし、
なんのかんのの言っても王様と姫様からも頼りにされてるんだよな
つーか4人で騎兵1個師団壊滅可能と言わしめるほどの戦闘力の持ち主が
素直に使い魔になんかなるものかな?
それを言うなら召喚されたそれぞれの作品の英雄の皆様はどうなる。
話続かなくなっちゃうぞww
ゲーム内の出来事から性格想像するなら
トロデが反対するのにヤンガス助けるからお人よし
ごろつきとの乱闘に加わらないところから好戦的ではない
でもマルチェロとは普通に戦うから人に剣を向けられないわけではない
仲間の後押しこそあったが花嫁泥棒したりけっこう大胆
>>176 おっさんには拾われた恩もあるし馬姫とは幼馴染みみたいだからな。
案外ゲーム開始前から端から見たらバカップルだったとか
まぁここでやるには確かにオリキャラ化しそうだな。
喋らせなきゃいいんだが難しい
>>174 むしろ思い人がいるから相手にされないってことで悶々するルイズとヒロインズだろ
永遠のアセリアのユーフォリアなんかどうだろうか?
永遠から聖なるかなの間くらいで、ユーフォリアのみ召還で
ユート、アセリアは自力で行こうとするけど門の影響でしばらくしないとこれないとか
>>177 >4人で騎兵1個師団壊滅可能
原作ゲームでこんな描写どこかにあったっけ?
いやしかし、スゲーなw
ゲームみたいな敵全体(グループ)攻撃可だったら、
1個師団と言わずもっといけそうなのが実に怖いがw
184 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 00:54:12 ID:0efG49P8
俺も書こうかな・・・
COD4って需要ある?
>>182 ……ちと待て、設定的に「なるかな」本編より強いぞ>ユーフィ
エイトの主人公よりはトーポを召喚。チーズ食わして大活躍。
187 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:02:16 ID:yya8xKCG
7分後に投下します。
テーマは<未来人と現代人の技術者が出合ったら>
「小悪党おまちさん」と「コルベール覇道ルート」の二本です。
8主人公ってマホトーンがある時点でメイジ殺し確定だな
そもそも本人も幅広い呪文の使い手だし
ベホマズンとかチートじゃないか
189 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:11:31 ID:yya8xKCG
トリステイン魔法学院の宝物庫にはコルベールのガラクタから
強力なマジックアイテムまで古今東西のあらゆる貴重品が納められている。
分厚い鉄扉の管理はスクウェアメイジたる学長のオールド・オスマンが管理し、
強力なメイジによる<固定化>がかけられ鉄壁の防御を誇る。
腰まで掛かるウェーブの入った長い緑の髪と、フレームなしの眼鏡を付けた
気の強そうな女性が目録の確認をしている。オスマンの秘書、ロングビルだ。
「さぁさ、皆様、教材を選んだら出てって下さいな」
先日ルイズの魔法で吹き飛ばされ、二度と彼女に魔法を唱えさせまいと誓った
『赤土』のシェヴルーズが「レビテーション」で硫黄を運び、
陰気で高慢な『疾風』ギトーが力を見せ付けているのか必要以上に高度な魔法、
<偏在>で分身をつくり四人になって運ぶ。
また生徒を実験台にするつもりだろう、平民びいきの変者『炎蛇』のコルベールが
自分の造ったガラクタを台車で運ぶ。
「ミス・ロングビルはでませんの?」
教師達は思い思いの品を手に取り運び出す。
杖を手にしたまま出てこないロングビルにシェヴルーズが気がついた。
「ええ、私は宝物庫の目録を作ろうと思いますの。
せっかく宝物庫に来ましたので、ついでにやっておきますわ」
「今日は定期整理の日でしたね」
面倒な夜の見回りをしない彼女は、真面目なロングビルに感心した。
190 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:12:57 ID:yya8xKCG
ロングビルは教師達がいないか再度確認してから宝物庫の扉を閉めた。
ランタンで部屋を照らす。雑多な品に紛れて秘法や財宝が無造作に置いてある。
「困ったね。スクウェアクラスの<固定化>に分厚い壁、簡単に壊せそうにないじゃないか」
棚の上にある金属製の鞄を引き寄せ大事そうに触る。
「こいつが学院秘蔵の破壊の杖、ねえ」
出来損ないの竜、ワイバーンさえ一撃で倒す曰く付きの武器である。
闇で売れば良い値になるだろう。
鞄にはいくつかのバラバラになった金属製の部品が灰色のスポンジに包まれ入っていた。
金属製の円筒やレンズの入った筒、金属の卵、どれも部品は黒く鈍い輝きを放っている。
「どうやって組み立てるかだけど、さっぱりだわ」
部品の所々に掘り込んである紋様を見る。
「たぶん文字だとおもうけど・・・読めもしないし、使い方もわからない、か」
「出所もわからないとはねぇ」
王家や職人のものだったら使い方が判らなくても骨董品として売れると考えていたのだが。
「やればなんとかなると思ってたんだけど、甘かったかね」
転がっていたガラクタを蹴飛ばした。
「メイジが集まる場所だからいいものがあるはずだったんだけどねぇ」
自嘲の笑いを浮かべた。
トリステイン魔法学院は貴族達のメイジ育成の場である。
平民は魔法を使えず、貴族たるメイジのみが使える。メイジは貴族の象徴だ。
魔法の力は絶対だ、<錬金>で生活必需品を精製し、土の魔法で橋を造り、
戦場では一人のメイジが他を圧倒する。
主要な生活用品の殆どはメイジの手が入っていて、建設も土のメイジ達が関わる、
広場で決闘に負けたグラモン家の子供、<青銅>のギーシュ、
彼はメイジの中では最低ランク、ドットランクのメイジだった。
その彼が造りだすゴーレム達でさえ、平民の精鋭部隊一個小隊の戦力に匹敵する。
最高ランクのスクウェア級のメイジと平民の差など、考えるのも馬鹿らしい。
メイジの未来、国の次代を担う貴族達が集まる名門校、それがトリステイン魔法学院だ。
生徒には国の重鎮たるヴァリエール家の三女や、グラモン元帥の三男、
ゲルマニアのツェルプストー家など、政治家や財界人に名立たる顔ぶれだ。
それらを守る学院側の防御も硬い。
トライアングル、スクウェアメイジが多数在籍し、並みの軍事施設よりも強固。
施設そのものも多数設置された見張り台や強固な壁など、要塞並みの防衛設備だ。
軍で活躍した「炎蛇」のコルベールや風のスクウェア「疾風」ギトー
各地の名立たるメイジ達が講師を務めていて難攻不落。
その学院の保管庫なのだから、それなりの物が収められている。
・・・・・そうなのだと彼女も思っていた。
191 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:14:20 ID:yya8xKCG
「くたびれ儲けかもねぇ・・・」
オスマンのセクハラに耐え、秘書として潜入してしばらく経つ。
厳重に守られた宝物庫には秘宝財宝が眠っているのだと思い、蓋を開けてみれば驚きだ。
宝物庫の中は物置と化していた、あるのはガラクタばかりである。
ガラクタは異界の品物らしいが、使い方を知らないロングビルにはゴミも同じだ。
特にルイズの使い魔の女が召還されてからというもの、
コルベールが閃きを得たようで日に日にガラクタが増えてゆく。
前にまとめてゴミを捨てようとことがあるが、泣きつかれて止めた。
大の大人が鼻水まで垂らして泣かないで欲しい。
機械の性能を聞いたら二時間ほど監禁されて懇切丁寧に延々と聞かされ続けた。
二度と聞くまいと心に誓う。
トリステインの教員達は弛み過ぎている。
教員たちの夜の見回りも殆どなく、宝物庫の管理もずさんだった。
一つぐらい盗んでも、しらを通せばごまかせそうなぐらい酷かった。
むしろ、アタシが来てから良くなったぐらいだ。
整理整頓を完璧にやってしまってから、しまったと頭を抱えた。
これでは盗めないではないか。
余りに宝物庫が酷くて勢いで整頓してしまった。
カッとなってやった。今は後悔している。
頭の中でオスマンが余裕綽々で笑っているのが見えた。
エロジジイに上手く使われている気がする。
辞めようにも相場よりかなり高めの給料と、部屋付き、豪華な貴族向け三食休暇付き、
非肉体労働と、セクハラを除けば待遇も悪くないので、辞められずに
盗みの先延ばしを今日まで続けていた。
ああ、忌々しい。
192 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:15:08 ID:yya8xKCG
新しく買ったパーカッション式のリボルバーに慣れる為、安全装置を外して準備する、
姿勢を変えても妨げなく一挙動で射撃準備が整うことを丹念に確認した。
満足するまで触った後、ハルケギニアでは薬莢や規格品の概念がないから
弾薬をどうやって補給しようかとリボルバーを眺めながら考えていると、
コルベールが通りかかった。
「そそそ、それは!」
10m向こうから興奮した面持ちで走ってくる。
「どうしたの?コルベール」
「手に持っているのは銃かね?」
「そうよ。パーカッション式のね」
フリーダが事も無げに応じる。
コルベールの眼がきらきら輝く。研究者の瞳だ。
「研究室で調べさせてくれるかね?」
「いいけど、あなた講義があるじゃない」
彼女は放課後、タバサの講義があるまで暇だ。反面、夜は図書館に籠もり切りになる。
コルベールは昼間、講義で教えなければならないので、二人はちょうどすれ違いになるのだ。
「授業は自習だ。じっくりと話しを聞こうか」
久しぶりに恋人に会った上気した顔で話す。
視線は最初からずっと銃に釘付けになっている。
きびすを返すと、コルベールが教室へ全力で走っていった。
余りに勢いよく走るので、廊下の生徒達はなにごとかと驚いていた。
「恋は盲目。…相手は銃。報われない恋ね」
193 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:15:55 ID:yya8xKCG
ジャン・コルベール、「炎蛇」の二つ名を持ち、重度のメカフェチにして
オスマン曰く「彼以上に女好き」、異世界の技術に惹かれる「賢者」で「変者」。
異世界に理解がある学長オスマンの計らいで研究室を校内に持ち、
自らの財産を切り売りしながら学院の宝物庫に異世界の品を集めている。
宝物庫には彼の作品が所狭しと詰め込まれていて、
ロングビルに<物置>と酷評させた元凶である。
今回のコルベールの「彼女」はフリーダが持っていた拳銃であった。
研究室には秘薬が入ったビーカーや試験管、計測器が並べられ、
壁には設計図とメモが貼り付けられ魔法使いの研究室より、近代的な科学者のものに近い。
「なるほど、シリンダーに直接雷管を詰め撃鉄で着火する。火打石より確実で賢い方法だ」
「弾が複数入っているシリンダーで交換を行い、シリンダー内で燃やすため悪天候に強い」
メモをとりつつ、コルベールはフリーダが解体した銃を触る。
「珍しいものなの?」
「もちろんだ。ハルケゲニアでは此処まで高度な銃は存在しない。異界の品だよ」
熱心に部品を紙に写す彼の横でフリーダは複雑な表情をしている。
聴く所によると、ハルケゲニアではフリントロック式の銃が最新だそうだ。
彼女の世界ではパーカッションは枯れた技術で、レーザーライフルやリニアガンが主流だ。
少数だが信頼性の高さから金属薬莢式の銃を使用している国もある。
骨董品でさえかなりの衝撃なのだから、彼女の手首にあるリニアガンを見せたらと
誘惑に駆られた。
だが見せない。強すぎる力は不幸を引き寄せてしまうから。
「この銃は我々の技術を凌駕している。量産できれば平民と貴族の間に革命が起こるよ」
「そうかしら?」
トリステインは周辺国のゲルマニア、アルビオンに比べメイジの力が強い国だ。
トリステイン自体の国力低下と、長い歴史は捩れを産み育て歪みは大きくなっている、
近年はアルビオンを中心として<レコンキスタ>が<<貴族からの開放>>
を掲げ紛争が続いている。土壌は十分にあった。
それでも、革命は起こらない。たとえ起こったとしても失敗するとフリーダは考えている。
メイジとは労働者であり生産者であり資本家だ。
杖一つで金属を精製し、一体のゴーレムで数十人分の肉体労働をこなす。
彼等は生活基盤に深く関わり彼等なしでは成り立たない。
平民には運営のノウハウも、資産も、技術もない。
貴族無しでは一週間ライフラインを保つことすら不可能だろう。
彼等は上前を跳ねるだけの存在ではないのだ。
裕福な生活をしているのは一握りの正しい意味での貴族だけで、
「名門の次男三男は下街の工場などで働いている。僕はそんなのにはなりたくない」
だからトリステインで学ぶのだとギーシュがグチを言っていた。
無論、平民達にも彼等並かそれ以上に裕福なものも居る。
ギーシュはトリステインの貴族、軍の重鎮、グラモン元帥の三男だ。
出征のため見栄を張って大量の出費をしていてあまり財はない。
元帥の子供である上流階級の中で上位に当たる、庶民の生活とはかけ離れた
彼でさえ、貴族が厳しいと知っている。
貴族も平民も苦しい、見えて来るのは貴族と平民の対立はコルベールの考える
傲慢な貴族と、虐げられる平民、単純な構図では説明できない姿。
あるのは、増えすぎた下級貴族が旧来の貴族に反発し、利権を奪い合う。
メイジのメイジ達によるメイジのための戦争。
今も昔も戦場の主役はメイジ達だ。
平民達は貴族達の態のいい道具にされているに過ぎない。
現実はコルベールの考える更に下をいっていた。
194 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:16:44 ID:yya8xKCG
「衝撃だけで火を付ける発想はなかった。弾丸は一発撃つごとに薬室を空けるものだと」
「薬室ごと入れ替えるなんて考えもしなかったよ。密閉式の薬室は飛距離も威力も上げる」
銃弾が連発できるようになることで、平民は確かにメイジに匹敵する火力を得るだろう。
一発目を呪文で防いでいる間に二発目が息の根を止める。弾の威力はベテランメイジ並だ。
飛距離が伸び精度があがることで、魔法並みの射程を得られるだろう。
銃の射程外からひたすら嬲られ、無力さに打ちひしがれるのもなくなるだろう。
銃は誰にでも使える。魔法が使える使えないに関わらず。
女子供でも横暴なメイジに怯えなくても良くなるかもしれない。
「引き金を引くたびにシリンダーが回転するんだね。魚に似た弾丸の形も合理的だ」
コルベールは興奮している。
この異界からの銃は、武器の歴史の集大成だ。
トリステインは他の国より100年先に立てる。
「いずれ大砲も銃の技術を引き継ぎ同じになるだろう」
技術は磨かれ応用され、国を豊かに、自分の周りの人へ笑いを与える。
自身とトリステインの人々と平民が共に幸せを得る。
「最高の技術だ。最高すぎて私は恐ろしいよ」
長年、私のしてきた研究は間違いではなかったのだと思った。
「君の世界にはもっと素晴らしい技術があるんだろうね」
「どうして。思ったの?」
フリーダの声は冷たい。
どうしてだろう?コルベールは彼女の手を取って踊りだしたい気分だった。
「君はパーカッション式と言ったね。名前が付くからには
君の世界で武器体系が完成している。違うかね?」
「……………」
彼女は黙っている。
それでもティンと来た。彼の推測は当たりだと確信した。
彼女は異界からの客だ。それも、ハルケギニアを凌駕する技術を持った。
100年先を進んだといっても、技術は模倣されるのが常だ。
しかし、彼女は異界の人間だ。
異界の品を解読するのと教えてもらうのとでは当然、理解の速度は違う。
彼女の世界の技術、制度の一端でも判れば底知れない恩恵を受けられる。
トリステインは常に時代の先を走るだろう。
それを彼女の周囲は気付いていない。知っているのは彼だけだ。
都合の良い完璧な状態過ぎて恐ろしい。
「出っ張りは滑り止めかい?もしかしたら金属製で重いのにも意味があるのかもね」
「………聴きたい?」
彼女が口を開いた。
195 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:17:43 ID:yya8xKCG
一つの武器で世界が変わる。
いかにも技術者の考えそうなことだとフリーダは思った。
画期的な武器があっても、造るのはメイジである。
銃は誰にでも使える、もちろんメイジにもだ。
貧乏人と金持ちが居た場合、最初に金持ちへ武器が行き渡る。
平民達が武器を手に入れるには、安く大量に作らねばならない、<画期的な新技術>で
産業革命が起きるだろう。音頭を取るのは貴族達だ。
平民達の<自由の武器>で彼らは儲ける。
メイジ用の銃も出てくる。<メイジが銃で戦う時代>が来る。
結果、何も変わらない。
理想を追い求めるほど理想から遠のく。
武器が必要になる分、かえって生活は貧しくなるかもしれない。
のちに彼らは過去を振り返る
「昔は良かったんですがねぇ。不景気で」
と場末の武器屋で客に愚痴るのだろう。
コルベールは即答した。
「もちろんだ」
「条件があるわ」
フリーダはコルベールの考えが理解できた。
「ミスタ・コルベール。あなたが異界のものに執着する理由は?」
だから動機が知りたかった。
コルベールは天才だ。
人より抜き出ているものがあるからには、忘れてきたものもあるはずだった。
「異界の素晴らしい技術を知りたいからでは、駄目かな」
「あなたが執着しているのは、武器への興味よ」
ハルケギニアでまだ技術的に存在しえないスナイパーライフルを一目で見抜き、
フリーダが持つリニアガンを拳銃と警戒し、パーカッション式拳銃に感動し、
最新式のフリントロック式と性能比較までした。
はじめて見る銃の性能を数時間で看破したのは執着の成せる業だ。
「私が、軍人だった頃平民達が銃を使って来てね。敵の武器は知らないといけないよ」
<普通の人>はありふれた理由で此処まで捻じれない。
「嘘。あなたの執着は異常よ」
「・・・・・・・・・・・・」
コルベールは少し躊躇ったあと下を向いてぼそぼそと話した。
「………任務でとある村を焼いた。平民達の村だ…彼等は武器を取り出して、
ささやかな抵抗をしたよ」
「殲滅…虐殺は実に容易かった。持たざるものとの差だ」
コルベールは杖を触る。
196 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:18:29 ID:yya8xKCG
「女子供を残らず抹消した。火に包まれる村で少女を見つけたんだ。
私はその子を殺せなかった」
「それから私は杖を捨てた。杖は人に向けられるものでなくなった」
「………腐ったのね」
フリーダが冷ややかに斬った。瞳の奥に困惑を湛える。
彼女にも似た経験があったから。
人間は、変質する。熱湯に入れた卵がゆで卵になるように、
人間は絶えず周りから影響を受け、二度と元の形には戻らない。
冷血な軍人だった彼が、一晩で変わってしまうのもありえた。
「私は持たざる者に牙を持たせる」
「身勝手な押し付けよ。それでもいいの?」
理想では何も変えられない。彼は<正しいこと>を決断した。
それなのに、どうしてこんなに寒いのだろう。
「焼かれた彼等への義務……………贖罪だ」
コルベールは弱々しく首を振った。
197 :
ゼロと工作員:2008/10/11(土) 01:19:36 ID:yya8xKCG
投下終了。
これの元ネタの『天になき星々の群れ「フリーダの世界」』は今じゃ入手困難。
書き始めてしばらくして気付いたのですが、再販さえされてないのでどマイナー作品。
途中でやめるのも嫌なので完結させるまで続けます。薬莢がない世界で銃を活躍させるに
パーカッションかなと。フリーダが買ったのは異世界から召還された骨董品。
本来の価値が知らない店主から買った。高級、貴族用の一般流通に乗らない品。
不自然に技術が進んだものは「魔法」『異世界のコピー』で説明しようと思います。
異世界設定便利。
工作員の人乙
>>185 あーそういやそうか、ならユーフィ召還するにしても
永遠の終わりからしばらくくらいじゃないといかんよなぁ
なるかなの後だと記憶ないから、ユートとアセリアが
出にくいというか、親子の会話やりにくいよなぁ
乙でした。
最近本棚整理してたらフリーダ出てきたわ。何年ぶりかに読み返してみたけど、あの徹底的に冷たい世界観は好きだなー
>>174 ミーティア姫というと何処ぞのPCゲームに出てくる幼女第三皇女しか出てこないw
避難所覚悟でプロット考えたが途中で破綻したのは良い思い出。
工作員の人乙です
>>183 トロデ王のコメントでそんなのがあるちょっと調べてみたら正確には
今のお前達は騎兵一個師団にも劣らぬほど強い! アスカンタくらいなら楽に征服できるぞ!
だった
勇者王召喚! 足りない部分を勇気で補うルイズ!
で小ネタでもと思ったけど、内容は思い浮かばなかったぜ。
>>202 サイトが乳に鼻の下を伸ばしている時に
ルイズ「胸なんてただの目安よ!足りない分は勇気で補えば良いのよ!」
こうですね?判ります!
wikiの管理人はいらっしゃらんかな?
すげぇ勢いでwikiに直接投稿してるアホの子がいるんだが
ミーの人来てたのか!
いやあ、あれは読むたびにルイズの一挙一動に殺意が沸いたり胸が悪くなったりしてたけど、いつかルイズが“気付かずにはいられない”と言うことが分かってたから今まで読んでいました。
ルイズが徐々に心を開く所が見たかったんで、その兆が見えてきて嬉しい。
若干雲行きがあやしいけど、キュルケやギーシュなら反発するだろうけどオスマンにまで指摘されかたら流石に大丈夫でしょう。
慈愛に満ちたルイズが見れる日を心待ちにしています。
>>204 直接投稿だったのか、あれ。
読んでみたけどしかし、勿体無い。文章Lvも高いし、なにより面白い。
もし投稿者が見てるなら、改めてここに投下して続けてほしいな。
ただ、どろろが居ないんだから後期のアニメタイトルから取って『ルイズと百鬼丸』にしたらいいんじゃないかな?
所で、どろろって例えるなら日本舞台のベルセルクだよな。どろろの方が圧倒的に先だけど。
あ、連投すみません。
>>204 うわーほんまや、避難所にでも書いとけば、かなり評価できたのに・・・手塚作品なんてレアだぞ
あー、たぶんwikiしか見てないんだろうなぁ……。
今読んだがかなりLvは高い。
>>ぜろろ
個人的にはもうちょっと一話の長さを長めにして欲しいとは思う
あとやっぱりwikiに張る前にこっちに投下して欲しいかな
うん。普通に読みたいが、ルールはルールだから、
投下はこっちか避難所にしてもらわんとあかんな
よっぽど量が多くてスレに張ってたら顰蹙買いそうって時だけだよな直接投稿
>>211 直接投稿なんて外道な行い認められてないだろ