あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part173

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part172
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1221988176/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!


     _       ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,     本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし     ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ      本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |     ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l      ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
              ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。


.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:37:21 ID:o/Uq40U9
>>1 乙ですー
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:38:42 ID:1pyOaS/k
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:39:22 ID:5klvEKy5
>>1おつー
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:42:45 ID:y84NlSzX
以下、偽テンプレは無視で。>>1乙。
6ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:45:58 ID:T1SIiCpb
あ、どうも。改行、それなりにマシになったかと思います。投下構いませんでしょうか?
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:48:24 ID:5klvEKy5
こいこい!
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:48:48 ID:G87lidTl
>>1
9ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:49:16 ID:T1SIiCpb
イエス、マム!投下しますね。
4,貴族の四男

「トリステインは平和じゃのぉ。ミス・ロングビルよ」
「ええ、そうですわね。オールド・オスマン」

学院長はおもむろに「うむ、うむ」と呟き、座っている机の引き出しから水ギセルを取り出す。
ロングビルと呼ばれた理知的な顔の女性は、何も言わずに自分の仕事を続ける。
まぁ、いいか。老い先短いのだから、と健康管理するのが面倒になったのと、
何とも言えない愛嬌のあるじいさんが、スネて仕事をサボタージュするのが嫌だったからだ。

「平和が一番じゃ。アルビオンで続く戦が早く終わってくれるといいのじゃがなぁ…」

白の国アルビオン。
空に浮かぶその島は、貴族派と呼ばれる、現在テューダー王家に反抗する者達で構成された組織によって、
甚大な被害を被っていた。クロムウェルと言う名の司祭を中心としたその組織は、
現在、アルビオンのほとんどを占領し、王家の命運はもうそろそろ終わりである。というのが、
非貴族のアルビオン情報通達の噂だった。
王家に忠実な貴族や、それに近しい人々は、そんな情報を信じられないし、信じたくなかったのだ。
故に、未だトリステインでは、あまり軍も動いていない。ある種の平和ボケと言えるが、
優秀な指導者であった王が亡くなり、その妻である王妃は政治に参加せず、娘はそういった事に疎かった。
遺憾ながら、王族をちゃんと支えようとする忠臣が、この国にはほとんどいないようだった。

アルビオンの件を聞き、内心、ざまぁみろ。そうロングビルは思う。彼女は今の王家に恨みがあった。
死んでくれて清々しい気分になる。とすら思っていた。すこしして思考を戻し、作業に戻る。
ふと、学院長が立った。
「どうかしましたか?オールド・オスマン」

 ウォッホンと大げさに咳をする。またか、このスケベジジイは。今日は3度目だ、くそ。
冗談交じりで言った一言を本気にしやがって、全く、ああ、もう。
ロングビルはそう思いながら何も考えず作業に戻る。
それを言った日は酒が入っていた、ちょっとしたヤケ酒だった。仕事前に少し煽ったのだ。
セクハラをどうにか止めさせるのが面倒だったのだ。言った後に後悔した。

「今の5倍のお給料払ってくれたならば、いくらでも触らせてさしあげますよ!」

 ああ、くそ。本当に払いやがったこのエロジジイ。結構な数の後悔をしている。
何も着ていない状態で、そう言わなくて本当に良かったとロングビルは思う。

「君はやはり美しいのう、ロングビル君」
「ええ、そりゃぁどうも…」

ねっとりと胸と尻を触る。民間療法だかなんだか知らないが、最近確実に胸が大きくなった。
妹ほどでないのは間違いないが、しかし、実際の所そこらの女より確実に体積が大きい。
肩こりがひどくなるのは勘弁して欲しいことだった。彼女は男を引っかけて遊ぶなど、
そんな趣味はなかった。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:49:47 ID:G87lidTl
>>6
支援するシチズン
11ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:50:03 ID:T1SIiCpb
「大変ですぞ、オールド・オスマ…貴様ぁぁぁぁぁ!」

突然入ってきたコルベールは、密かに狙っていたロングビルに非道な行いをするオスマンに飛びかかった。
炎蛇と呼ばれた男の実力は、紛れもない本物である。彼が何かを言う前にオスマンの口を魔法で封じる。
着衣を乱したロングビルが絶妙のタイミングでオスマンの股間を蹴り上げ、
悶絶するオスマンにコルベールはボディブローを放った。身体が宙に浮くほどの一撃だった。
しかし未だロングビルは怒りが収まっていない。床からゴーレムの手が出てきたかと思うと、
そのままオスマンを潰した。

「おいたわしや、ミス・ロングビル。かの妖魔めが貴方にどれほどの心の傷を負わせた事か。
どうかお忘れ下さい。今までの事は悪しき夢だったのです」

彼もまた、トリステイン貴族の特徴である大げさな芝居をする事ができた。
ただ、するべき人が今までいなかっただけである。

「ええ、ありがとうございます。ミスタ・コルベール。悪夢は終わりました。
これからようやく――あら、どうかなさいましたか学院長?」

手を取り合い、見つめ合う二人。悪くない雰囲気であったが、ゴーレムの腕から抜け出した学院長がじぃ、と見ていた。

なんじゃい、なんじゃい。ワシ悪いことしてないもん。これ契約の内じゃもん。
ちょっと泣きが入っている。もう300年は生きた人間にはとうてい見えなかった。
よしよしと、ロングビルはオスマンの頭を撫でる。何というか、こう、愛嬌のある老人に対して、
常に怒りを抱えられるほど、彼女は暴虐では無かった。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:50:34 ID:o0BqKWCK
支援
13ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:50:49 ID:T1SIiCpb
「ふむ。で、どうしたのかね?コルベール君よ」

とりあえず、どう燃やせば誰にもバレないだろうか。
先ほどの争いの跡は消え、ちゃんと椅子に座って体裁を取り繕ったオスマンから事情を聞いた後、
彼はそんな物騒な事を考えた。死ねばいいのに。そう頭によぎる。

「ええ、これをごらん下さい」

努めて冷静に言って、マーティンのルーンのスケッチと、先ほど図書館で見つけた本を、
彼に見せた。

「ミス・ロングビル。席をはずしてくれんか?」
「5倍のお給金だけでは、私の傷は癒せませんよ?オールド・オスマン」

むぅ、とオスマンはうなる。まぁ、いいかと、他言無用を条件に、同室を許可した。
14ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:51:35 ID:T1SIiCpb
気絶したルイズとシュヴルーズが医務室へ搬送された後、
マーティンは黙々と爆発した教室の片づけと掃除をしていた。
まぁ、仕方がないか、一心同体なのだから。と思いながら。
魔法でスキャンプを召喚して手伝わせた。
小さな人型であるこのデイドラは、頭が悪く体臭もひどいが、一般的な人間よりは筋力がある。
デイドラの世界は厳しく、強くないと生きて行きにくいのだ。
簡単な炎の破壊魔法も使えるが、今使われたら困るので、
決して使わないようにとマーティンは念押しした。

マーティンは窓ガラスを運び、スキャンプは壊れた机を外に出し、新しい机を運んでくる。
煤だらけの教室と机を、一人と一匹で磨き、昼前には作業は終わっていた。
スキャンプに感謝の意を示し、解放してやる。さて、ルイズはどこに送られたのかと探そうとすると、
腹の虫が鳴った。空を見れば太陽が昼時であることを示している。
飯を食う前にルイズを探すか、飯を食ってからルイズを探すか。
ふむ、困ったとマーティンは一人悩む。そもそもまだ道を覚えていない。
友がよくやっていたように当てもなく歩いてしまった。ここはどこだろうか。

文字が読めぬ為誰かに聞かねばならないが、今日初めて学院を歩くのだから、見知った者などいない。
はてさて、頼みの綱であるご主人様は気絶している。困ったなぁ。
と歩いていると、たどり着いたのは、ヴェストリの広場であった。
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:52:22 ID:o0BqKWCK
支援
16ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:52:24 ID:T1SIiCpb
そこには一人の少年がいた。あまり趣味のよろしいとは言えないシャツと、金髪の巻き髪のメイジは、
うぅ、と、うずくまって泣いていた。ここは普段あまり人が来ないようだ。他に誰もいない。

「どうかしたのか青年よ。どこか痛むのか?」

ごく普通に近づいて話しかける。
何かまずい自体なら声を上げて人を呼ばなければなるまい。
ついでに医務室に行くならついて行けばルイズに会えるだろう。
そこら辺も計算に入っていた。

「ほ、ほっといてくれ、君には関係の無いことだ」
「そうはいかん。もしどこか具合が悪いならこんな所でうずくまっているより、
医務室へ行くべきだ。」

そこはかとなく正論だが、しかし彼、ギーシュ・ド・グラモンにとってはどうでもいいことである。
彼は先ほど歩いているときポケットから紫色の液体が入った小瓶が落ちた。
モンモランシーからもらった香水の小瓶である。
それを拾ったのがモンモランシーであったなら、

「もう、落としたりなんかしたらダメでしょ、ギーシュ」

なんて笑って言ってくれたんだろうが、しかし現実は非情である。
最もそれを持っていると知られたくなかった相手、ケティが何の気無しに拾ってしまったのだ。
モンモランシーは小銭稼ぎに自分の香水を他人に売っていた。ケティもそれを何度か見たのだろう。
即座にギーシュの頬に平手を放つと、泣きながら走っていった。
ああ、可憐なる花よ。どうか許して欲しい。そう心の中で思っていると、背後から修羅の気配がした。
モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェールド・モンモランシと言う名の鬼であった。
17ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:53:14 ID:T1SIiCpb
「なるほどな。その、心情お察しするよ。グラモン君」

うう、と未ださめざめと嘆くギーシュから事情を聞いて、どうにも助けてやるべきかどうか。
その判断を決めかねていた。完全に自業自得である。むしろそれで済んで良かったと思うべきだ。
マーティンはそう考えるが、しかしこいつはまたやりかねないか。として、
再発防止の為にも火遊びの怖さを教えるべきかとマーティンは思った。

「私の昔の話をしようか」

そう彼は切り出した。遠く向こうをみている目だった。

「私はあるデイドラと呼ばれる異世界の住人達、さっきみたあのクランフィアというのもそれなんだがな。
それを統べる王の一人、サングインというのを信仰していた。君らブリミル教からしてみれば異教だから
異端だろうか?」

彼が先ほどルイズに呼ばれた異国のメイジと分かると、背筋をただしてギーシュは座り、
いえ、貴方は異国のメイジですから。と言って後、異世界なぞあるのですかとギーシュは聞いた。

「こっちからしてみれば割と普通だ。海に船で出ると稀にその異世界に迷い込む事もある。
そうして帰ってこなかった連中も結構多いな」

タムリエルの近海は怖いのですねとギーシュは言った。

「まぁ、そこに入るのは、そうついてない連中だけだがね。話を戻そう。そのデイドラと言うのは、
まぁ、私たちからしてみたら、何を考えているのか分からない連中でね。彼らは死なないし、
いつでも私たちの世界で、何か面白いことをしようと企んでいる。面白い、と言っても
彼らにとっての、だから私たちにとってはまずいことかもしれないのだ」

ではどうやって倒すのですか?とギーシュは問い、何故そのような物を信仰していたのか聞いた。

「彼らは肉体が滅びると彼らの領地、異世界のオブリビオンに逃げる。
そこで復活するにはしばらく時間がかかるからその間にオブリビオンとこっちに空いた穴をふさげばいい。
信仰していた理由か、今の君と似たような物だよ。若気の至りだった…」

遠くを見る彼にギーシュは言葉をかけられなかった。

「若いときは誰でもそうだが、力と名声こそが神になる。
16人いるデイドラ王の中で私がサングインを選んだ理由は、
彼が快楽を司るデイドラの王だったからだ。
ああ、説明しよう。デイドラの王達は各々人間に関係する何らかの事象と関わっているんだ。
そしてデイドラは人間と関係を持つことで力を増大させることが出来る。
だから、彼らは信者を大切に扱う。まぁ、彼らにとっての大切な扱い方なのだが」

悪くはなかったんだろうな、比較的には。そうマーティンは呟いた。バカ騒ぎの毎日を思い出す。
ギーシュはなんにもいえず、黙っている。
18ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:54:05 ID:T1SIiCpb
「快楽、君もそういった行動を取ったと言うことは、まぁ、その、
男として色々したかったからだろう?それが悪いこととは言わないが、
時としてそれは死に繋がるかもしれない」

ギーシュはどきりとした、どういう事ですかと問う。

「私と同じようにサングインを信仰していた者の話だ。
彼とは比較的話していたが、女癖が非情に悪かった。
毎日のようにとっかえひっかえを繰り返してね。
彼は人に受ける話をとてもおもしろおかしく話すことが出来た。
もともとの話はそうおもしろくないものでも、彼がはなすとおもしろくなった。
それにここらでは『水』の系統の魔法に属するのかな?それに当たる幻惑
という魔法の使い手で、人の意志を魔法でコントロールできた。
とても力のある使い手だった。ここらじゃスクウェアという位に位置すると思う」

『水』の系統は主に治療手段として用いられるが、まさかそんな風に使うなんて。
あまり授業を熱心に聞かないギーシュには少々モンモランシーが怖くなった。

「さて、ついに彼と遊んでいた女性達が、彼をどうにかしようと団結した。
彼は焦ったよ。何せいくらスクウェアとはいえ、彼と関係を結んだ女性も、
なかなかの強者揃いだったんだ。その分とても美しい方々だったが。
困りに困った彼は我らが神サングインに頼ったよ。助けてくれとね。
さて、かの神は何と言ったと思うかね?」

助けてくれるのでしょう?何せ神様なのですから。ギーシュはそう祈るように言った。

「この呪文を授ける。と、サングインは彼に呪文を教えた。さて、果たしてその呪文を彼女たちに使えば、
何故か己の着ていた服が全て消え、彼女たちは普段見せないような凶暴な顔つきになった。
特殊なデイドラの魔法が掛けられたんだ。抵抗はしたのだろうが、やがて魔法力、ここでは精神力だったかね?それは消える。
可哀想に、彼の死に様はとても無惨だったよ。よろしければ説明しても良いが――?」
19ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:54:52 ID:T1SIiCpb
いえ、結構!しかし何故そのような非道い仕打ちを?そうギーシュは彼に聞かなければならなかった。
今後の自分の身の振り方の為に。

「サングインは全ての快楽に繋がる物に関係を持つ。普段は酒好きのバカ騒ぎが好きな恰幅の良い男だ。
悪魔の顔をしているそいつは、時折遊びで人を殺す。快楽殺人という奴だ。実際、かの魔法にかけられた
女性達は、ひどく恍惚とした顔で、彼の死肉を漁っていたよ。それを見て、楽しいと笑うのだ。
サングインというデイドラ王は」

背筋から凍った。ただそれだけの為に殺すのか。デイドラというのは何と恐ろしいのだろう。
ギーシュは怖くて仕方がなかった。

「さて、君はサングインの信奉者でもなければ、彼のようにとっかえひっかえ遊んでいたわけでもない。
キス以上していなかったのはまぁ、結果から見て幸いだろう。今から誠心誠意心を込めて謝れば、
どうにか彼女らとの仲も、以前程ではないにせよ、マシになるかもしれない。
しかし、ここで反省せずに突き進めば、別にサングインでなくても嫉妬深い女性が、
君を背後から刃物で刺す事だろう。快楽の代価という奴だ。
それでも良いならこのまま進むと良い。本来私は九大神という神々の司祭だから、
そういうのを正さなくてはいけないが、君にその気がなければ、
ハッキリ言って無理だ。特にこういう色恋沙汰は」

ギーシュは丁寧に頭を下げる。ありがとうございましたと言って、
急いで二人の元へ走っていった。
これで二度と起こすまい。本当は彼が全員の女性と平等に『遊んだ』のを見て、
サングインはそーらもっとやれもっとやれと楽しんでいただけだが、
これくらいの方が良い薬となる。マーティンはギーシュの走って行った方を向いて、
そういえば、医務室と食堂の場所を聞くのを忘れていたのを思い出した。

「ああ、ミスタ・セプティム。こんな所に。医務室はこちらです。
そろそろミス・ヴァリエールもお目覚めになる事でしょう。」
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:55:19 ID:o0BqKWCK
支援
21ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:55:38 ID:T1SIiCpb
見知らぬ使用人に声を掛けられた。平凡な顔つきの男である。
何でも異国のメイジが呼ばれたとして、使用人達の間で
噂になっているらしい。案内された後、医務室に入ると、
そこには桃色髪の愛らしいご主人様が眠っていた。

「お食事はこちらまで持ってきましょう。グッデイ!」

どこかで聞いた事がある結びの語を言うと、彼は去っていった。
さて、食事が来るまではしばらくここにいるとしよう。
マーティンは気づいていなかった。彼が扉を閉めた時に「影のご加護を」と囁いたことを。
22ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 02:56:26 ID:T1SIiCpb
投下終了です。今回大分と文体変えたと思うんですが、見やすくなったでしょうか?
元々字が書くのが下手なせいか文章構成がキレイで無くても読めるのはありがたいことですが、
しかし人に伝えるときはひどくダメな事に感じます。

フーケさんにフラグを立てるため、バストアップしてもらいました。ごめんね。マチルダ姐さん。
後、オスマンはやりすぎだっただろうか。気分害した人がいたらごめんなさい。
この見知らぬ男って、誰でしょうね?どうしてなかなか、ヘタレではない本気モードになっているようですよ?
ああ、何かシエスタ出せません。フラグクラッシャッタ?いや、出さないと色々とまずいな…

修飾が多く見辛いとの意見が多かったので、また専門用語書き直していきます。
これくらいの量なら大丈夫でしょうか?

ストーリーの展開で切られるのは、仕方無いと思うんです。人にはその人の善し悪しがあって、
悪イズや狂イズしか好まない人もいるし、その逆もいるかと思います。全部好きなのが一番良いのかもしれませんが
それはなかなか難しい。だけれども文章よみずらい。と言われて切られると、
どうにも悲しくなるんです。自分はハルケギニアもタムリエルも大好きです。だからこそこの二つを合わせました。
ちょっと本来の設定と食い違って解釈してる部分はあると思うけど、それでも二つとも好きなんですよ。
だから人に読まれる文章作りたい。と思うんです。何か語ってすいません。
いずれラプチャーとか甲賀デスシャドーとかもやりたいんですけどもまずこれを終わらせてからプロット練ります。

ストーリーはTESらしく欝成分があったとしても最後はオブリビオン的なハッピーにしていきたいと思います。
ただ、その欝でタバサが原作比5割増しで不幸になる気がします。タバサファンの人すいません。
代わりに何か今の所もやっとしてるテファさんを少しどうにかするかもしれません。あ、けど新刊買わないと…
んでは、お付き合いありがとうございました。では次回の投下まで、シャドーハイチュー

すいません。何か寝ぼけてるのか変なスレ毎の区切り方してます。見づらかったらごめんなさい。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 03:01:13 ID:o0BqKWCK
>>22
乙。文体変わったね。読みやすくなったし、元々独特の味があって好きよ。
まぁでも、周囲のことはあんまり気にし過ぎず、やりたいようにやればいいと思うお。

しかし筆早いな。すげー('A`)
見習いたいものです、はい。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 03:01:20 ID:yJ6wH0ht
支援せねばっ!
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 03:04:10 ID:603WX3YG
>>しかし筆早いな。すげー('A`)
>>見習いたいものです、はい。
俺もだorz
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 03:06:46 ID:G87lidTl
お疲れ様ですシチズン。

シャドウハイチュウですか。
暢気な世界にも暗雲が立ちこめてきましたな。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 03:08:04 ID:T1SIiCpb
>>23
>>25
その代わりに今日3食ほぼ食べてないです。寝ようとしたらイメージが浮かんできて書け、書けと血が騒いでしまうのです。
確実に何かにとりつかれてました。おそらくこれからはペース落ちます。いえ、落とします。健康のために
28使い魔は高笑う:2008/09/24(水) 03:31:44 ID:bnZMdXhU
35分ぐらいから短編投下しようかと思います。
昼間の話題に触発されました。
29使い魔は高笑う1/7:2008/09/24(水) 03:35:42 ID:bnZMdXhU
 春恒例の使い魔召喚の儀式。
 進級試験を兼ねて、サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントを行う。メイジにとっては生涯苦楽を共にする友を喚ぶ、神聖な儀式である。
 そんな風に改めて書くと大仰なものに感じるが、実際はそれほど大掛かりなものではない。
 召喚される使い魔となる動物達はそれぞれが個性的で、メイジの性格や性質、実力が反映されたものがやってくる。
召喚される生物は魔法学院の生徒達にとっては興味の対象であり、見ていて飽きのこない……そう。どちらかというと楽しみにしている者の多いイベントなのである。
 ただ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールにとっては少し事情が違った。
 魔法の成功率ほとんどゼロ、という不名誉な事実が二つ名の由来となっている彼女にとっては、崖っぷちに立たされた気分だ。何せ、失敗すれば後がない。
「さて。これで全員終わったのかな?」
 トリステイン魔法学院で教鞭を執るコルベールが、周囲を見渡しながら言う。
「いえ。ミス・ヴァリエールがまだです」
 誰かが言うと、ルイズに視線が集まった。
 ついにこの時が来た……と、ルイズの顔から血の気が失せていく。
 何せ、この召喚の儀式。順番は特に決まっておらず、勢い任せの者は真っ先に召喚に望むし、実力に自信のあるものは頃合いを見て大物狙いで場を盛り上げたりする。
 決まっているのは一人一人順番に、ということだけ。召喚されるものが当たりでも外れでも話のタネになるし、色んな生物を見れるとあって皆、級友の召喚する使い魔にも興味津々なのであった。
 それはゼロであるルイズも例外ではない。
火のメイジであるキュルケはサラマンダーを召喚したし、水メイジのモンモランシーはカエルだった。風メイジのタバサは風竜という今日一番の大物を召喚している。
 系統すら分からないルイズが、どんな使い魔を召喚するのか。或いは召喚できずに留年するのか。
好奇心旺盛な貴族の子弟達の、ある意味では今日一番の注目の的になっているのであった。
「では、ミス・ヴァリエール」
「は、はいっ!」
 名を呼ばれたルイズが、青褪めた顔色で一歩前に出た。
 地面がぐらぐらと揺れているような錯覚を覚える。
 深呼吸をして気を落ち着かせると杖を高く掲げ、再び大きく息をつく。それから彼女は朗々とした、良く通る声で呪文を唱えた。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! 五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし“使い魔”を召喚せよ!」
 勢い良く杖を振り下ろせば、そこには光り輝くゲートが―――現れなかった。
 派手な爆発音が草原に響き渡る。一瞬遅れて、爆笑の渦が巻き起こった。
 ルイズの小さな肩が怒りと恥辱によってぶるぶると小さく震える。
 叫び出したい気分だったが、そこは皆の手前堪える。どうせムキになっても他の生徒に笑われるだけなのだから。
「ミス・ヴァリエール。まだまだ時間はある。落ち着いてサモン・サーヴァントを続けたまえ」
 コルベールが言う。ぴたり、とルイズの震えが止まった。
 ありがたいことに一回で留年決定というわけではないらしい。こうなればもうヤケだ。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールッ!」
 怒りを叩きつけるように呪文を唱える。杖を振り下ろせばまた爆発。爆笑の声が一際大きくなる。それをそっくり焼き直すかのように、幾度かルイズは失敗を繰り返した。
(どうしてよーっ!? みんな同じ呪文で成功してるのにどうしてわたしだけーっ! どこかにはいるでしょ!? わたしの使い魔になるっていう生き物ぐらい!
 その辺を飛んでる鳥も、あの辺歩いてる虫も、わたしの使い魔なんかになりたくないってわけ!? じょじょじょ上等だわっ!! 意地でも喚んでやる! わたしにはどうしても使い魔が必要なのよ!!)
 再度呪文を唱えて杖を振り下ろした。と―――。
「―-―やったっ!」
 今までの爆発とは違う。白く輝くゲートが、確かに生まれるのをルイズは見た。
 次の瞬間。
 暗く冷たい“何か”が、ゲートから噴き出した。目の前にいたルイズは、悲鳴をあげる暇も無くそれに飲み込まれた。
 意識が、暗転する。
30使い魔は高笑う2/7:2008/09/24(水) 03:36:43 ID:bnZMdXhU
 
 ―――泣き声が聞こえる。
 これは、赤子の声、だろうか。それに混ざる、女のすすり泣くような声。
 何を、そんなに泣いているのだろう。
 不意に、視界が開けた。
 潮の臭いがする。白く煙る海。ルイズが立っていたのは、どこかの海岸だった。
(ここは、どこ?)
 自分はトリステイン魔法学院の近くの草原で、サモン・サーヴァントを行っていたはずだ。
 コルベールは? 野次を飛ばしていたキュルケは? 笑い転げていた生徒達はどこにいったのだろう?
 ルイズは周囲を見渡して、少し離れた波打ち際に人影を見つけた。
 そこに立つのは、酷く粗末な、布切れのような衣服を纏った痩せた男女だ。
 男は痛ましそうな面持ちで、女の肩を抱いている。女は嗚咽を漏らし、女の手に抱えられた赤子もまた、火が点いたように泣き続けていた。
 多分夫婦だ、とルイズは直感的に思った。でも何だって、こんなにも悲しんでいるのだろう。
「あの」
 ルイズが声をかけるが、二人はこちらに向き直ろうともしない。
「仕方が無いんだ」
「許しておくれ」
 女は別れを惜しむかのように一際強く我が子を抱き締めると、揺り篭のような小船に、ちっぽけなその身体を横たえさせる。
「なっ、何をしているの!?」
 女のしようとしていることを察して、血相を変えたルイズが走り寄る。それでも二人はこちらに顔を向けない。
「ちょっと! 貴女!」
 女の肩を掴もうと、ルイズは手を伸ばした。
「えっ!?」
 その手応えに、ルイズは愕然とする。いや。正確には、全く手応えがなかったのだ。
 ルイズの手が、身体が、女の身体をすり抜けてしまう。こんなに近くにいるのに、男も女も自分が見えていないし、言葉も届いていないようだ。
「どうなってるの……」
 自分の掌を見ながら、ルイズが呆然と呟く。
「許しておくれ―――」
「あ……!」
 引いて行く波に向かって、女が小船を押し出す。赤子を乗せた小船は、まるで木切れのように海面に浮かんだ。
「何てことするのよ! あんた達!」
 ルイズは小船を捕まえようと、海へ走る。引き寄せようと手を伸ばすが、やはり彼女の手は船体に触れることすら出来なかった。
「こ、これ―――」
 ふと、気付く。足が少しも濡れていない。自分は海面の上に立っている。
 そうこうしている内にも、赤子は泣き声を上げながら沖へと流されていく。
 見送る男女と、小船を見比べて……ルイズは唇を噛むと、小船の方へと走った。やがて、潮煙に紛れて、二人の姿も陸地も、霞んで見えなくなった。
31使い魔は高笑う3/7:2008/09/24(水) 03:38:18 ID:bnZMdXhU
 
 じりじりと時間だけが無為に過ぎていく。
 ―――見ていることしかできない自分が歯痒い。
「領主は……何をしているのよ……!」
 そうだ。領主だ。領主さえしっかりしていれば、こんなことは起きずにすんだかも知れないのに。
 民を飢えさせたのがそもそもいけないのだ。貴族がしっかりしていればこんな事にはならない!
 ルイズは気炎を吐くが、憤ってみても事態は好転しない。
 辺りはどんどん暗くなってくるし、それに寒い。
 もし少しでも海が荒れて小船が波を被れば、赤子は溺れてしまうだろう。
このままでいても赤子はいずれ飢えと渇きで衰弱死してしまう。……いや。凍えて死ぬのが先か。
 そうなる前に、誰かが見つけてくれるか、どこかの陸地に無事流れ着いてくれればいいのだが。いずれにせよ、赤子が助かる確率は限りなく低いだろう。
 赤子の傍らにしゃがみ込むしか、することがなかった。陸地が見えないし、何せ歩いてもいないのに、自分も小船と一緒に流されているのだ。
海の上に立っているからだろうか、とルイズは何とはなしに思う。
 やがて完全に陽が沈む。四方は見渡す限りの黒が広がっていた。
 足元に広がるのはどこまでも深く、真っ暗な海。空は星も見えない。蝕まれるような夜の闇。どうしようもない暗黒。
「怖い……」
 自分がどうしてこんな所にいるのか、ルイズには分からない。不安と恐怖に押し潰されそうだった。
 それは傍らの赤子とて同じだろう。
 いや。赤子は、きっと、自分よりも怖いに違いあるまい。ルイズは赤子が近くにいる事を感じられるが、赤子はルイズがいることを知らないのだから。
「ずっと、側にいてあげるからね」
 傍らの赤子に向かって笑いかける。見えてはいないだろうし、言葉も届かないと分かっていても、ルイズ自身も不安と恐怖を抱えて、そうせざるを得なかったのだ。
触れられないと分かっていても、頭を撫でてやる。頬を撫でてやる。寒くないように身体に手をおいてやる。
 泣き疲れて寝入ってしまったのだろうか。赤子の泣き声は暫く前に止んでいる。呼吸はしているからまだ生きているのは確かだ。
「この子……弱ってきてる……」
 涙が零れそうだった。あの夫婦も許せなかった。
 どんな事情があったのかは、ルイズには分からない。多分、口減らしというものだろう。
 海に流したのは、自分の手で殺すことができず、せめてどこかの誰かに拾われて欲しいという最後の親心だったのだろうか。
 でもそんなのはあまりにも勝手だ。
 こんな風に一人きりで誰にも見られず、誰にも知られずに消えていくような捨てられ方は、残酷すぎる。
 自分がこの赤子だったら、きっと許せない。必要としてくれないなら、何故生んだのだろう。
 考えてみれば、自分は幸せだと思う。着る物にも食う物にも困ったことは無い。父も、母も、二人の姉も、自分を思ってくれている。
メイジとしての将来を考えて、魔法学院に通わせてくれて。
 魔法が使えずに失望させっぱなしだけれど、見守っていてくれる。
 カリーヌとエレオノールは確かに自分に厳しいけれど、それは将来を心配してくれているからだ。どうでもいいと思っているなら無関心だろうから。
 だから少しでも期待に答えたい。それで、学院でゼロだと馬鹿にされることぐらいが何だというのだ。そう思えば、耐えることができる。
 でも、この子は……親にまで見捨てられたら、どうしたらいいのだろう。
 自分が、この子に触れられれば。ヴァリエールに連れて帰って、父を説得して。それから可愛がってあげる。絶対そうする。絶対。絶対だ。
「うっ……くっ」
 悲しくなってしまって、ルイズの口から嗚咽が漏れた。暫くの間、膝を抱えてルイズは泣いた。
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 03:38:48 ID:0lOOusF3
読んでないがしえんしよう。
33使い魔は高笑う4/7:2008/09/24(水) 03:39:04 ID:bnZMdXhU
 
「……何?」
 ルイズはふと、顔を上げる。異様な気配を感じた。
 そして見た。
 闇夜に浮かぶ、巨大な一つ目。
 そうとしか形容する方法が無い。
「あ……」
 言葉も出ない。逃げることもできない。
 肌が粟立つ。吐き気がこみ上げる。刺さるような寒気を覚える。
 間近にいるだけで押し潰されそうな存在の大きさを感じる。
 それは掛け値なしの邪悪だ。
 夜の闇より黒く、海よりも暗い深淵を湛え、死よりももっと恐ろしいものだった。
 しかし、“それ”ですら自分を見ることができないのか。ルイズは歯牙にもかけず。赤子をじっと凝視している。
「だ、だめ!」
 不吉な予感を感じて、覆い隠すように赤子を庇う。
 “それ”が問う。
 生きたいか、と。
 まだ生きていたいか。死が恐ろしいか。自分を必要としなかった世界が許せぬか。
 ならば憎め。呪え。殺せ。奪え。
 誓い、捧げよ。思うだけでいい。
 我と共に在る限り、汝に永久を約束しよう。
 ……それは、コントラクト・サーヴァントにも似ていた。
 つまり……これは、契約の儀式だ。
 ―――悪魔だ、とルイズは思った。誰だって、こんな死に方はしたくないに決まっている。
 善も悪も赤子にはない。ただ愛されたいだけ。生きていたいだけだ。
 そんなちっぽけでささやかなものが、泣いているのに。苦しんでいるのに。それにこんな取り引きを持ちかけるのか。こいつは。
「やめて!」
 杖を抜き放ち、呪文を唱える。その後どうなるかなんて頭には既に無かった。
 杖を振るう。何度も、何度も、何度も何度も何度も。
「この子はわたしが連れて行く! わたしが必要としてる! だからやめて! やめて!」
 虚空に爆発が起こるが、効いていないのか。それともやはり、ルイズがそこに存在していることすら気付かれないのか。
 ぞくり、と悪寒が走る。泣き出しそうな表情で、ルイズは振り返った。
 どうしようもない憎悪を赤子から感じた。
 ああ―――赤子は捧げてしまった。自分に唯一つだけ残された自らの肉体を捧げることで誓いを立ててしまった。
 あの悪魔は、こんな赤子と契約して、何をさせるつもりなのだろう。
「そ、んな……そんなのって、ないよ……」
 ルイズは力なく項垂れる。いつしか闇は晴れて、月明かりが覗いていた。空に浮かぶ月は、一つしかない。
 それから数日後。ルイズはこの夜がスヴェルの夜ではなかったことを知ることとなる。
34使い魔は高笑う5/7:2008/09/24(水) 03:39:58 ID:bnZMdXhU

 赤子は……自らの肉体をアレの物だと誓い、捧げることで生き延びた。
 そして、生きたまま貧しい村に漂着する。
 名前を与えられたが、誰からも忌み嫌われ、誰にも愛されない子だった。
 だから静かに燃えるような、深い深い憎悪を抱える。それは世界への憎悪。
 誰かが誰かが一人でもこの子を必要としてあげれば、この子も救われたかもしれないのにと、ルイズは思う。
 漂着した地は……そう。この月が一つしかない世界における、聖地のようなものだ。魔力に溢れた特別な土地。
 その、土地から染み出す魔力を無尽蔵に吸い上げて、あの子は育つ。世界に憎しみをばら撒く為に。自分を必要としてくれた悪魔との誓いを護る為に。
 拾われて、十三年後。村の人間は一夜にして死に絶えた。あの悪魔が魂を捧げろというからそうした。
 少しも悲しくはなかった。彼らに拾われずとも、自分には死が訪れないことを知っていたから。だから義理はない。
彼らが憎んだから愛さない。石を投げられ、侮蔑の言葉を投げられた。だから許さない。
 ルイズは必死に止めようとする。その言葉も、ずっと届くことはなかった。
 大人となってもすることは変わらない。あらゆる土地の、あらゆる人々に、あらゆる災厄を撒き散らすのが生きる目的。
 世界を憎悪するから、世界もまたそれを憎悪した。沢山の者達が殺しに来た。だからまた殺す。
 そうやって数百年を生きて、殺戮に飽きれば眠り、また起きて同じことを繰り返す。やがて時と共に肉体は朽ちたが、契約に縛られた精神は滅びなかった。
他の者の肉体を奪い取り、また多くの人々を呪い殺す。
 けれど、どんなお伽話の最後だって、悪竜は人間に退治されるのが決まりだ。
 あの悪魔をこの世に顕現させて、世界を終わらせようとした。二つの宝玉と、四つの魂の力を借りて。
 やがて……最後の最後。長い長い戦いの果てに、一人の若い剣士……侍に悪魔との因果ごと断ち切られた。
 魔界に落ちる。暗黒に閉ざされる。
 未来永劫、ただ一人で。それが宿命だ。
 それは彼女の最初の原風景と同じ光景。天も地もなく、ただ一人で暗黒に閉ざされた世界に漂うだけ。その真の闇こそが、最も彼女の恐れることだとルイズは知っていた。
 一人で死んでいくのが嫌だから、ただ生きたいと赤子は願ったのだ。
 世界で唯一、悪魔が必要としてくれるから、彼女は悪魔の為に生きた。悪魔は父であり、母であり、友であり、恋人であり、師であり、従僕であり、神ですらあった。
 悪魔が世界を憎むから、彼女だってそうせざるを得なかった。
 それ以外の生き方を知らなかった。見放されたら一人で死んでいくしかないのだから。
 人として許されない。どうにもならない罪業を山のように積もらせて、誰からも憎まれ、誰をも憎み。彼女は他にどうすれば良かったのだろう。
 終わりが近付いているのが分かる。やがて、ルイズの意識もこの暗黒の世界を離れるだろう。
 どれくらいの間、彼女を見て続けてきたのか分からない。時間の感覚はいつからか曖昧だった。数百年がほんの数秒のようにも感じられ、刹那が百年にも感じられた。
 けれど、最初から今まで、ルイズは彼女と、ずっと一緒にいたのだ。
 最後に、何度発しても届かなかった言葉を、ルイズは彼女に投げかける。
 わたし……わたしは、あなたが嫌いじゃなかった。あなたと話をできたら、こんな生き方をさせなかった。見ているだけで、何もできなかったけれど。
もし許されるなら、今からでもわたしと生きてはくれないだろうか。
 ねえ。
35使い魔は高笑う6/7:2008/09/24(水) 03:40:55 ID:bnZMdXhU
「……エール? ミス・ヴァリエール? 聞こえていますか?」
「え……?」
 名前を呼ばれて振り返る。閉ざされた暗黒の世界はどこにも無かった。周りにいるのはルイズの見知った顔。コルベール。それからキュルケを始めとする、魔法学院の生徒達。
 実に……ルイズにとっては、数百年ぶりに見た顔だった。
 ルイズがきょとんとしていると、コルベールが笑みを浮かべて言う。
「やりましたね! 平民を召喚したというのは古今聞いたことがありませんが、それでも成功は成功です。さあ、彼女にコントラクト・サーヴァントを」
 コルベールに言われて、視線を戻す。
 そして、そこに見た、
 長い、艶やかな黒髪を知っている。
 冷たい切れ長の目を知っている。
 背筋が凍るほど美しい、その顔を知っている。
 異界の巫女が纏う、白と赤の衣服を知っている。
 ルイズの手から杖が落ちた。
 知らず、彼女の胸に飛び込んで、ルイズはわんわんと大声で泣いていた。
 今なら触れることができる。声が届く。
「……お前は……?」
 自分にしがみ付いて泣く少女。
 何だというのだろう。煩わしい。
 下衆に触れられるなど彼女のプライドが許さない。引き裂くのは容易いことだ。
 だが、爪を伸ばした所で、手が止まった。
 それが、どうしてもできない。
 私はこの娘を知っている? どこで見た? どこにいた?
 私、私は……。
 彼女は無言で、優しくルイズの桃色の髪をかき抱いていた。
 その行動に彼女自身が当惑する。引き裂くつもりでいたのに。
 この娘を見た記憶はない。だというのに、何故? この娘を腕に抱くだけで安堵を覚えるというのは、どういうわけだろう?
 あの方との因果は、あの時より断ち切られたままだ。今もその力を感じられない。
 自分があの方と繋がる因果があったように、この娘とも何かの因果で繋がれているということか。
 最後の戦いに敗れ、自分は魔界の深奥に叩き落されたはずだ。
 二度と這い上がることの叶わぬ闇の底の底。
 幾百、幾千年そこにいたのか。或いは文字通り、瞬く間の一瞬のことだったのか。
 ともあれ、磨耗していく自分の精神が壊れて終わるより先に、闇の世界に終わりが来た。
 自分を求める声が聞こえた。そして、目の前に光り輝く扉があった。
「娘」
 白い陶磁のような指先が、ルイズの顎に触れて、その顔を自分へと向けさせる。
 そこに涙でぐしゃぐしゃになった可愛らしい顔があった。
 堪らなく愛おしい娘。どうしようもなく愚かしい娘。全てを賭けて護ってやりたいと思う。粉々に壊してやりたくもある。
 歪んだ感情に、口元が歪む。久しく感じなかった胸の高鳴りを覚える。
「私を呼んだのはお前よな?」
 鳶色の瞳の少女が頷く。
「ミス・ヴァリエール」
 振り返ると、普段の柔和な顔からは想像もできないほど険しい表情を浮かべたコルベールが、杖を握り締めていた。
「その女性からすぐ離れなさい」
「コ、コルベール先生……?」
 コルベールは女に向かって『ディティクト・マジック』を使ったのだ。
 そして、後悔した。
 覗き込んでいいような深淵ではなかった。心底から恐ろしい、とコルベールは思った。
 目の前の女。アレは見た目通りのモノではない。
 数え切れないほどの人間を殺してきた、正真正銘の化物だ。亡者の群れを従えて、人を食らう悪鬼だ。
 世界を憎み、災厄をばら撒く。いいや。彼女自身が災厄なのだ。
 とてもではないが、使い魔などに甘んじてくれるような相手ではない。
 使い魔になってくれと伝えただけで、ルイズを殺すだろう。それからここに集まった生徒達もその手に掛ける。
 それから世界を壊す為にありとあらゆることをする。
 だが、これに勝てるのか?
 自問するも、コルベールの答えは出ている。勝てなくても戦うしかない。
 そうすれば、幾人かはここから逃げ出せる。オールド・オスマンを筆頭に、このことが誰かには伝わる。
「……ほう。私と戦うつもりかえ? ンキキッ」
 にまあっと女が笑う。
 例えようもなく美しいが、どうしようもなく邪悪だった。毒蛇に微笑みかけられたような気分だ。
 声も鈴を転がすように涼やかで、人の心を溶かすような魔性を秘めている。それがまた、恐ろしい。
36使い魔は高笑う7/7:2008/09/24(水) 03:41:42 ID:bnZMdXhU
 生徒達はまだ誰一人女の正体に気付いていない。
 そうと知らずに猛獣と枕を共にしているようなものだ。
「下がっておれ」
 女は言うと、ルイズを自分の後ろに置いて、コルベールと相対した。
 それ自体、コルベールにとっては意外な行動だった。だが、これは僥倖だ。ルイズを巻き込まずに戦いやすくはなった。
 コルベールが呪文を唱えようとしたその時だ。
「ダメ!」
「な……!」
 コルベールが目を丸くする。ルイズが女の腕に縋りついたからだ。
「離さぬか! 邪魔をするでない!」
 女が声を荒げるが、ルイズは離れようとしなかった。
 コルベールは困惑した。
 女は不快をその顔に露わにしながら、ルイズに何もしようとしない。
 これは、どういうことだ。
 召喚したルイズだけは特別だということだろうか?
「やめて! お願い! ここで戦ったら、また同じになる……!」
「同じだと? 何をわけのわからぬことを言っておるッ」
「お願い、ミヅキ!」
 ルイズが悲痛な叫びを上げると、女……ミヅキはゆっくりと手を下ろした。
 暫く不思議そうな目でルイズを見詰めていたが、ため息をついた。
「私はおまえを知らぬ。だが、おまえは私を知っておるな?」
 ルイズが頷く。
「何者か知っていて、それで尚、私を必要だと言ったのだな?」
 ルイズが再度首を縦に振る。
 ミヅキは少しの間考え込んでいたようだが、やがて不機嫌そうな顔を浮かべると、言った。
「申せ」
「え?」
「何か私に用向きがあって呼んだのであろう? 申せ。聞いてやる」
 この申し出は、ルイズにとっても意外だった。
 前は……調伏しようやってきた美州姫の精神を、力づくで屈服させて、肉体を乗っ取り、その従者達は血祭りに上げてしまったはずだ。
「あ……そ、その。ここはトリステイン魔法学院。私達は使い魔召喚の儀式をしていたの」
「使い魔……とりすていん……? 術師どもの集まりか。ここは。すると、私を使い魔とする為にここに呼び出した、ということか」
 ルイズは素直に頷いた。一方で見ているコルベールは気が気では無い。
「でも、そのつもりはもうないの。わたしは、あなたと一緒にいられるだけでいいと思った」
「なにゆえじゃ?」
「だって……」
 ルイズは言い淀む。赤子の時のあなたにそう誓ったからだと言って、信じてくれるとも思えない。信じてもらえてもプライドの高いミヅキは気分を害するだろう。
 ルイズが口篭っていると、ミヅキは小さく首を横に振った。
「……まあ、よい。人の子が魔道に魅せられることもあろう。その話、承諾してやってもよい」
「ええっ!?」
「何じゃ? 嬉しくはないのか?」
「う、嬉しくないわけじゃないけど……使い魔なのよ? 使い魔なんかでいいの?」
 メイジとして、美州姫にすら遠く及ばない。こんなゼロのわたしが? 彼女を使い魔に?
「長く生きれば飽いて戯れの一つや二つもするわ。その類の術は、大方はどちらかの命が尽きるまでなどという契りであろう」
「そ、そうよ」
「よかろう。では、私の気が変わる前に、すませてしまうがいい」
 ルイズは慌てて自分の杖を拾いに行く。それから小走りで戻ってきて、呪文を唱えた。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
 呪文を完成させ、杖を振るう。ミヅキは拍子抜けしたと言わんばかりの退屈そうな表情だった。
「終わりか?」
「いえ……その、少ししゃがんでもらえるかしら」
 ミヅキが少し腰を落とすと、ルイズはミヅキに唇を重ねた。
 血の味がする。分かっていたことだ。羅将神ミヅキを使い魔とするということは、彼女の罪業も背負うということ。
 それでも良かった。やっと、彼女に会えたのだから。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 03:42:13 ID:0lOOusF3
しえん
38使い魔は高笑う:2008/09/24(水) 03:42:29 ID:bnZMdXhU
以上で投下終了です。
真侍魂より羅将神ミヅキを召喚。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 03:45:56 ID:0lOOusF3
乙でした。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 04:20:09 ID:q8VIT6b6
これで短編は惜しい
是非長編で持っていってもらいたいものだ
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 04:38:33 ID:qL/1HXLX
ミヅキの人、乙

オン・ダキニ・サハハラキャテイ・ソワカ!
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 06:17:40 ID:VuBoQAB/
ミヅキの人乙であります!
しかし、きれいだねぇこのルイズ
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 07:52:02 ID:t9pJI0ay
>>42
精神年齢数百歳ともなれば流石に
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 07:52:39 ID:t9pJI0ay
おっとすまん
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 08:08:04 ID:g6vPoJWA
おおぅ、ミヅキさまktkr
うん、自分も長編で読んでみたいです。
「引き裂いてくれるっ!」とか「ラキ、ラキ、ラキキキキキ…」とか格好良かったなぁ…。
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 08:35:59 ID:iDM5/zio
原作元ネタ知らないけど、すごく…惹き込まれました……。
こういう母性を感じさせるルイズはええのう、ええのう。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 08:38:42 ID:dWkPD0he
>>22
朝早くから乙です
ギーシュ成長したかな
しかし決闘しなくてよかったw
破壊のマスタークラスのマーティンに勝てるわけないし
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 10:19:29 ID:Wemb4s6+
羅将神乙!
サムスピの武器破壊技ってメイジの杖を破壊するのかな。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 10:29:37 ID:g6vPoJWA
そして何処からともなく黒子が代わりの杖を持ってくる
まあ、持ってくるまでに結構時間が掛かるからそれまでに殺られるだろうけど。

マジレスするなら普通に惨殺必殺技の方を使いそうですけどね、ミヅキさまなら。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 10:31:55 ID:TFLD6KsN
ミヅキも実は哀しい過去があるからねぇ。その過去を知った時、闇に背を向けず、彼女のような悲劇を一つでもなくすように務めてもらいたい。

もしも、奴らの手によって、年に千人の命が奪われるとしたら……
その中の百人でいい。いや、五十人でも、十人でも……ひとりでもいい。たとえ、ひとりが守りきれなかったときがあったとしても、それでもいい。
守り続けろ。投げ出すな。次のひとりを守るために戦え。奴らを倒すことなんか、二の次にしていい。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 10:35:38 ID:gifNQFrb
アルビオンやロマリアに狂死郎召喚だと白化と引き換えに夫婦そろって死亡フラグだよなぁ。
それはともかく今後に期待。
52ゼロの女帝:2008/09/24(水) 11:40:35 ID:uEDrTv8T
開いてまっか?
よろしけりゃ45分頃から投下しちゃいまっせ
53ゼロの女帝:2008/09/24(水) 11:45:30 ID:uEDrTv8T
へばまいるのですよん


第二十三話


「さて」
とシルフィードの背中でサイトは後ろのタバサに語りかける。
「今回の任務はどんなんだ?まあなんとなく分かるけど」
「王宮に反乱を宣言した土のメイジの捕縛」
「それってひょっとして」
「肯定。
 『パペットマスター』の異名を持つ土のスクェアメイジ、名をワィル。
 ゴーレムやガーゴイル製造に長けていてそれらの売買で巨大な富を得ている」
「こないだ同じ罪状で俺らが成敗したばかりじゃないか!
 ・・・・・・・・ひょっとしてわざと反乱させてるのか」
「肯定。
 彼は反乱を起こそうとも討伐軍の兵士を決して殺さない。
 故に兵の鍛錬に最適だし私達が彼のガーゴイルを倒すことで彼は精進し、更なる強力なガーゴイルを作成する。
 それはガリアにとって有益」
「ンなこったろうと思ったよ。
 前回わざわざ殺すなっつって指示あったのが変だと思ってたからな」
「捕縛してもそのガーゴイルの技術や機能を提供する事で無罪放免はおろか国から
 様々な特権と資金を受けている。
 多分、彼の才能がそれなりに尽き、かつ技術を王宮勤務の土メイジが十分吸収した所で
 過去の罪状をもって捕縛し、人脈と資産を全て没収する」
「えげつねェな     あれがワィルの城・・・・・・かよ」
一目見て全身の力が抜けていくサイト。
「よくきたな、すっとこどっこい凸凹コンビ!
 今回こそはキサマらを倒しガリアを!否ハルケギニアを征服してくれる!
 キサマらの想像もつかない恐ろしい仕掛けにまみれたこの城に入ってくるがいい!」
「あー・・・・・・ひょっとして『うまくジャンプしないと下の槍に貫かれる穴』とか
 炎かなんかで燃えてる床の上で消える足場とかンな罠か」
「うぐっ」
「で、魔力仕込んであって『ファイアーボール』とか『ウィンドカッター』とか放ってくるガーゴイルが六体ほど待ち構えてて
 ソイツら全部倒さないとアンタの所にたどり着けないとか」
「うぐぐぐぐっ」
「あー、どこの阿呆も似たようなのがいて、似たようなコト考えるんだな」
頭をボリボリと掻いていたサイトがふと見ると、タバサとシルフィードがキラキラした目で自分を見ているのに気づく。
「サイトってばスゴいのねー」
「城の外観だけという限られた状況であそこまで情報を見抜くとは。
 しかもガーゴイルの数や性能まで」
「似たような事考えた挙句実行に移した阿呆を知ってるからな」
まさかゲームの敵役とはいえない。
「しかし、だとするとアレか。
 シルフィードがラッ○ュかビ○トでジョゼフのクソ親父がラ○ト博士かよ。
 ・・・・・・・・・いくらなんでもイザベラがロー○ちゃんってのは受け入れ難いぞ」
「はやく任務を達成して学園に戻る。
 学園でまたセトが何かしでかしてるかもしれない」
「それが楽しみなんだろ」
「肯定」
「まあいいさ。
 確かにいない所で面白い騒ぎ起こされてたらたまらねぇからな。
 パスワードもセーブもないけど再挑戦は可能だからな!行くぜ!」
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 11:49:41 ID:V8Ivm0d4
支援
55ゼロの女帝:2008/09/24(水) 11:50:51 ID:uEDrTv8T



「で、アンタはご主人様放って置いてタバサと三日三晩イチャついてたってワケね」
「あのなぁ」
「ゲルマニアにもDrワィルの名は聞こえてるわよ。
 外見にオリジナリティあり過ぎるけど性能は太鼓判だって。
 ただ性能に比べれば値段は安いけど定期的にウィル自身ないし彼の助手とでも言うべきガーゴイルによる
 メンテが必要なんで結果的に割高になるって陛下がボヤいてたとか」
「ウチの父様もよ。
 でもそれだけの出費にかなう作品だって言ってた」


「で、瀬戸さまは今回何をしようとしてるんだ?」
「さあ。昨日の夜『ちょっと思いついたんだけどさぁ』と言ってたわ。
 今調理場に居るみたいよ。
 ダーリン何か心当たり無い?」
「カンベンしてくれ」

などと食堂でダベっている一同の前に姿を見せた瀬戸。
シエスタを従え、二人してなにやら大きな荷物を背負っている。
「突然だけどバレンタインディよ!」
「カンベンしてくれ」
頭を抱えたサイトを無視してセトは背の荷物を降ろす。
「アタシの故郷にはね、バレンタインディという風習があるの。
 起源とかいうと長くなるから省略するけど、つまりは女の子が意中の殿方にお菓子を送るお祭りね。
 基本的にこの(と背から下ろした風呂敷包みからなにやら取り出す)チョコレートなんだけど
 クッキーでもいいわ」
「それに身分とか関係ありますか」
「身分なんざ持ち出すのは野暮ってモンよ、シエスタちゃん。
 それどころか『彼女が居る』かどうかすら関係無いわ!
 ルールはただ二つだけ!
 『女の子から意中の男に送る』と『貰った男は一ヵ月後にプレゼント返しをせねばならない』だけ!」
「瀬戸さま、止めたほうがいいと思いますよ」
「おや、なんでだい」
「ギーシュ、お前にゃ分からんだろうがな、これはある種の男にとってすっげ過酷な試練なんだよ」
「GMコマンドカスタム」とか「二月ないし三月十四日限定ステルス男」の異名を誇ったヒラガサイトは語る。
「ぶっちゃけ女の子に人気あるかないかを露骨に本人のみならず周囲にも知らしめるイベントなんだ」
ああそういえばサイトはセトと同郷なんだ、と皆が思う中彼の演説は続く。
「言っちゃナンだがその『ある種の男』が気の毒だろうが! マリコルヌとかマリコルヌとか、あと特にマリコルヌとか」
「なんでボク限定で気の毒なんだよ!」
「ああ、確かにマリコルヌには気の毒だね」
「だからなんでボクだけ!」
「お前だって他人事じゃねぇぞ。
 こないだまたフタマタ騒ぎ起こしたそうじゃないか。
 モンモランシーがアレでお前に愛想尽かしてたらどうする?
 彼女が他の男にチョコ渡す様を見せ付けられてお前正気でいられるのか」
「はっはっは、そんなことある訳無いじゃないか。
 ねえモンモランシー」
ギーシュの問いかけに視線をそらすモンモランシー。
「ど、どうしたんだい、何故僕の方を見てくれないんだぁ!」


「まあそんなだからやっぱりやめない、セト?
 いくらなんでも気の毒だわ、マリコルヌとかギーシュとか」
「そうね、マリコルヌちゃんとかギーシュちゃんとか可哀想よね」
「だからなんでボクばっかり!」
「ボクは気の毒なんかじゃない!」
「やめる必要は無いと思います!」
「どうしたのよシエスタ」
56ゼロの女帝:2008/09/24(水) 11:53:01 ID:uEDrTv8T
「ただの平民がメイジの方が使役する使い魔に告白してもかまわないとこのイベント!
 止めるなんて勿体無いです!
 夕べから徹夜でやらされたセトさんのお手伝いが無駄になるのもヤですし。
 キュルケさまやタバサさまもそう思われますよね!」
「まあ情熱のお祭りって事でアタシは賛成よ」
「わたしは別に」
「メイジのお方が他のメイジのお方が使役するメイジに贈り物しても構わないんですよ!
 別に愛の告白とかじゃなくて日頃手助けして貰ってるお礼に、という口実で渡しても一向に構わないんですし」
「構うわよ!っていうかタバサ!アンタやっぱり!」
「誤解。
 しかし日頃のお礼と言うなら」
「やっぱりぃぃぃぃぃぃ!」

しかし後日、このイベントはきっちり開催されハルケギニア全域へと広まっていったという。
後世、このイベントはコレをもたらした人物の名にちなんで「セト・バレンタインディ」と呼ばれるようになったとか。
57ゼロの女帝:2008/09/24(水) 11:54:44 ID:uEDrTv8T
はい、本日はここまでです
ちなみにサイト君のあだ名「GMコマンドカスタム」(特徴の無いのが特徴)とか
「二月ないし三月十四日限定ステルス男」というのは私の学生時代のあだ名などではありませんので
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 11:58:31 ID:pnwLUtgp
>>57
聞いてねぇよ
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:00:05 ID:TFLD6KsN
>>57
特徴がないのが特徴なのはジムカスタム。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:09:01 ID:5KWoSu6Y
ジムコマンドとジムカスタムは別々やん
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:27:03 ID:JPM0Brs+
ジムカスタムなめんなよ。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:30:57 ID:T1SIiCpb
話ぶったぎってすまん。タルブにある何かって、
クロス元の世界にある物に変えた方がいいよな?

良い感じのネタが一つ見つかったんだがSF仕様になってしまうんだ。
まだ詳しく調べてないから細かくは分からないが。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:33:41 ID:g6vPoJWA
GMカスタムは好きです。
でも、GMクゥエルの方がも〜っと好きです。

というか「エアーマンを倒せない」状態に陥らなかったなぁ。
まあ、タバサとシルフィードとチートサイトだから心配は要らないか。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:40:44 ID:bWGTcWSK
>>62
佐々木さん+ゼロ戦そのままだとどうしてもつじつまがあわなくなるってんならいいんじゃないか?
ちなみにオスマンの恩人+破壊の杖もよく変更される。
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:40:57 ID:gifNQFrb
GMクゥエルってアレ対人武装してるぞw
魔法で防御できるとはいえ、生身の人間に機関銃ブチ込む気かよ
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:43:33 ID:uEDrTv8T
>>62
別に元のままでもいいしいっそ「竜の衣」自体を無視しても構わないと思うんだな
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:46:01 ID:T1SIiCpb
>>64
そうか。ありがとう。いや、いわゆるハルケギニアにおける再現不可能な
「チート文明」が2つあって、一つは魔法使い、もう一つは科学と科学魔法最強な
所なんだけど、どっちとも耳長の一派なんだよね…

佐々木さんを先にそちらに送ってからこちらに来させるか、それとも
いっその事ハクオロさんとこみたく耳長だけど偽って住まわせるか考えててさ。

参考になった。ありがとう。
恩人と杖は既に変更してあるから大丈夫。それじゃまたー
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:46:32 ID:pTkG1TMw
破壊の杖はやったけど、竜の衣無視って作品もあるしな
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:47:40 ID:T1SIiCpb
>>66
その手があったか!
しかし、それだとちょびっとつまんないからもすこし考えてみるよ。
ありがとう。
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:50:37 ID:4ansjjSb
>>68
あれが物語上必要になるケースって主に乗り物関連かな?
いや、そこを足掛かりにロボット物入れられる余地はどこまであるかなぁ、と
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:53:16 ID:T1SIiCpb
>>70
ザブングル系列が限界じゃないか?
もし、タルブにメンテ可能な補給艦毎召喚されても、
それはそれで隠し通すの難しいお。
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:56:16 ID:QloaLKI0
むしろ壊れかけのロボットをタルブに置いて
アルビオン艦隊との決戦でのみ使おうと思ってる俺もいる
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:08:59 ID:h+aWblIh
アニメ版ドッコイダーのコスモス荘のように、地上部分は平凡なアパートが地下は宇宙戦艦――タルブがかつてはマクロス級と呼ばれたものの成れの果てだった――とか?
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:09:37 ID:7WLF4iwk
>72
具体的には何を置くんですか?
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:10:29 ID:Zkwg0pPx
ABCのメカに分離してBメカの座席が死亡フラグな(ry
正直虚無属性と聞いて最初にアレを連想した俺。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:13:37 ID:n9ff0NwE
>>73
マンガ版だと変形ロボだな
それはそれとして、マクロス級なら『聖地はこんな近くにあったんだ!』ってなっちゃうぞw
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:18:31 ID:zlRH2nvU
ハロinサイコハロ(Gジェネ)とかは色んな意味で語り継がれそうだな
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:20:49 ID:QloaLKI0
>>74
……ZNガイスト

プロット練り上げる事すらままならねえorz
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:21:39 ID:Zkwg0pPx
ギリアムはそのままの姿で生きてても俺は驚かないぜw
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:21:54 ID:uEDrTv8T
地上がニートと巨乳と電波娘と隻腕隻眼の四人が住む孤児院で
地下にアレが隠してあるとか
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:26:14 ID:6ZYNpwC7
>>78
一瞬 MGガイストかとオモタ。
マスター・グレードじゃないよぅ。モスト・デンジャラスだよぅ。
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:26:51 ID:bWGTcWSK
むしろハルケギニアそのものが一つの巨大な戦艦だったという……
元ネタが思い出せん
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:28:45 ID:JhuR93qq
むしろタルブの住人が異星からの移民で、地下には移動要塞と三体合体型の機動兵器が…
シエスタの声優は大山のぶ代で
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:34:51 ID:03+5qAP7
ギリアムならOG設定を使ってシャドウミラーの世界から
ゲシュペンストが転移してきたという設定にすれば特に問題はないんじゃなかろうか。

ただそれをやるとどうやってもZNガイストは出せないんだが、シャドウミラーなら誰でも出せるぞ。
85竜の羽衣の正体:2008/09/24(水) 13:35:52 ID:TFLD6KsN
・ラストシューティング後の全壊寸前状態のガンダム
・両腕と両脚がない百式
・ギアナ高地に残されたシャイニングガンダム(コクピットハッチに大穴)
・動かなくなった武者ガンダムMK-II
・大破してクズ鉄同然のスコープドッグ
・酷使が祟って動かないラビドリードッグ
・火葬後の朽ち果てたダグラム
・首がもげた状態のペガス
・バトルモード状態で破壊されたオートバジン
・潮風にさらされて錆びたサイドバッシャー

えーとえーとそれから……。
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:41:29 ID:Zkwg0pPx
大破したνガンダム(CCA)
が抜けて(ry
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:41:47 ID:pTkG1TMw
イデオン
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:42:30 ID:c/2T69CC
タルブに上陸用舟艇(スコタコ付き)とか考えたなぁ
スコタコ一個中隊が予備部品と弾薬付きで上陸用舟艇の中で放置
零戦も機体自体に固定化を掛けたのに機銃や弾薬が劣化していなかったから、中の
スコタコやPR溶液も劣化していないということにして
しかしタルブに行くまでが面倒になったので凍結してるけど
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:47:16 ID:ZX75fK1e
>>78
何故かだれも突っ込まないが、総統の機体はXNガイストだぞ
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:51:06 ID:wc8/dFfA
大陸が宇宙船なんて設定にしたら虚無るw
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:51:54 ID:NbVwkcrE
>>85
ゼロなだけに
フル出力のツインバスターライフルの連射で自壊したエンドレスワルツ版ウイングゼロ
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:51:55 ID:QloaLKI0
>>84
いや、俺はヒロ戦から直接呼ぼうと思ってるんだぜ?
もちろんゲシュペンストはパワードスーツだ!
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:53:09 ID:QloaLKI0
>>89
……素で間違えた俺は首釣ってきます
λ.........
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 13:58:18 ID:ZX75fK1e
>>92
そうか、あの時の彼かw
あの時も書いた気がするが、期待させてもらうよw
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 14:11:10 ID:7PYIlT4G
ギリちゃん大好きすぎるので期待して待ってるぜ!
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 14:29:19 ID:5Yuu91Vo
>>82>>90
虚無戦記クロスは確実に虚無りそうだな
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 14:51:14 ID:0efYdqBN
「この世界は実験室のフラスコなんだ…そして実験は…失敗したんだ!」

ヒーロー戦記のセリフより。
なんかこのスレを端的に表しているような気がしないでもないな…。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 14:54:12 ID:+izX0zat
今フラスコ何本有るだろうな?

というかフラスコと言うよりももはや
インフィニティ(無限の)・シリンダー(試験管)って感じか。
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 14:54:46 ID:NbVwkcrE
>>97
それも私の仕業だ
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 15:10:38 ID:Zkwg0pPx
ユーゼス自重。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 15:11:06 ID:ZnZ7CplG
このスレが失敗なら次のスレ以降はどこかで成功があるって事だよな。
それってすげー事だよな。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 15:12:56 ID:J/uSaPoh
>>96
なんか違う(もっとしっくりくる)のがあるのか?
俺はメガゾーンだと思ったんだが……(オッサン自重)。
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 17:09:49 ID:4CmEoKbg
>>90
なんか、「アイ・シティ」思い出した。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 18:14:06 ID:cdUGACkG
メガゾーンが駄目ならラーゼフォンですね
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 18:22:53 ID:4ansjjSb
>>101
そしてそれはやってやってやりまくって初めて得られるものですな
失敗を責めるだけで何もしないでは何も出来ませんもの
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 18:29:23 ID:4ansjjSb
>>102
ビューティフルドリーマーの夢魔が作った世界とか・・・
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 18:32:22 ID:ggMksBqo
親宇宙から子宇宙・孫宇宙がポコポコ生まれている様子を思い浮かべた
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 18:36:16 ID:59ArQoNf
銀銃の石のようなものによる無限ループの世界とか
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:03:09 ID:TFLD6KsN
TORGのインフィニバース……誰も知らないか。
110ナイトメイジ:2008/09/24(水) 19:13:14 ID:C8Qcaub7
20分から投下させてください
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:15:56 ID:Sc5Znheo
TRPGネタが出た直後に現れるとはw 支援
112>>2:2008/09/24(水) 19:21:13 ID:UhyLhJqS
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
  http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html
・Jane Style(フリーソフト)
  http://janestyle.s11.xrea.com/
・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
 前の作品投下終了から30分以上が目安です。

【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は応援スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。

【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
 議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
 皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
 著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
 いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
 追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
113>>2:2008/09/24(水) 19:21:42 ID:UhyLhJqS
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
 ※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
  最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大

1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり

4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/17(日) 02:13:03 ID:9AxAAVZE
やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-244.html

完結:やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-245.html

やる夫が「売れっ子」ラノベ作家を目指すそうです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-284.html

やる夫が同人小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-371.html
114>>2:2008/09/24(水) 19:22:11 ID:UhyLhJqS
このぐらいまで単純化できそうな気がする。

爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会

最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち

爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり

途中飛ばすけど、

 対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:23:15 ID:pj0Hu2qA
やや、荒らしに負けぬように支援せねばなるまい!
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:25:17 ID:l68gihsa
>>73
普通のアパート――実は矢荷成荘にするとか?

あと、乗り物関連だけど、普通にゼロ戦をそのまま使用できるクロス元ってあるかな。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:27:02 ID:EtDTfaEg
削除依頼すでにされてるのにまだやるのか
本当アク禁くらうぞ?

支援!
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:28:13 ID:tpNLw9SY
>>114
この一言まで単純化できるだろ

ツンデレ
119ナイトメイジ:2008/09/24(水) 19:31:02 ID:C8Qcaub7
ワルドの妻、そう名乗ったルイズがどこかに閉じ込められることもなく案内されたのはワルドと婚姻を誓い、そしてウェールズが殺されたあの礼拝堂だった。
城は見るも無惨に破壊され、略奪にあっていたが、ここにはそのような静かなものである。
喧噪からわずかに離れた場所には見知らぬ男の他にルイズの見知った顔が3つあった。
一人はワルド。再会したときと同じ優しい笑みを浮かべルイズを迎えている。
二人目はロングビル──いやフーケと言った方がいいだろうか──。口を引き結び、ルイズを睨みつける。
そして三人目。フーケがここにいる理由がどうでも良くなるくらいにルイズが気にかけている人、アンリエッタだ。
「ああ、ルイズ。あなたも捕らわれてしまったのですね」
「いえ……私は」
言いよどんだ言葉の後をワルドが続けた。
「ルイズは私の妻として自分からここに戻ってきたのですよ」
「えっ!」
わずかに後ずさるアンリエッタは驚愕を浮かべ、直後にその美しい顔を怒りに変貌させる。
「ルイズ、あなたまで!」
振り上げられたアンリエッタの手がルイズの左頬を打つ。
ルイズはなにも言わず、アンリエッタの前に自分の右頬を差し出した。
さらに怒りを強くしたアンリエッタは再び手を振り上げるが、それはワルドの鍛えられた腕につかまれ振り下ろせなかった。
「落ち着いてください。アンリエッタ・ド・トリステイン王女」
アンリエッタがルイズの知らない男に刺すような視線をたたきつけるが、男は笑顔を崩さない。
「あなたは?」
「申し遅れました。余はレコン・キスタ総司令官、オリヴァー・クロムウェルと申します。以後お見知りおきを。こちらはマチルダ・サウスゴータ。そして、そちらは……紹介の必要はありませんな」
ルイズは王家に反旗を翻すレコン・キスタの総司令官とは、良く言えば猛々しい男、悪く言えば粗野な男をイメージしていたのだがクロムウェルはそういうところは全くない。
むしろ、柔和で理知的に見える。
少し意外に思うが、唇を引き結んでそれを表に出さないようにした。
とにかくボロを出したら取り返しがつかないほど失敗するからだ。
ウェールズ王子が装ってた海賊とはわけが違う。
ここでは自分だけが頼りだ。
姫様はすっかり落ち着きをなくしているし、ベルもいまいち当てにならない上にここにいない。
「さて、王女。この場に貴方と貴方のご友人の……ミス・ワルドとお呼びした方がよろしいかな。そのお二方を招待したのはほかでもありません」
ミス・ワルド。
今のルイズの立場を言うならそれがもっとも適当だろう。
仮にもルイズはワルドの妻としてここに来たのだから。
仮にも……
「貴方は裏切ったと言っていましたが、ミス・ワルドの判断が正しいことを証明する物をお見せしたいがためです。そして、友人となってもらいたい物ですな」
「正しい?証明?馬鹿なことを言わないでください。王家に反旗を翻し、そのことごとくを殺害する。そして、その仲間や友人となる。そのことにいかなる正当性もありません!」
「いえ、あるのですよ。これ以上ないほどに明らかなものが」
クロムウェルはまるで舞台に立つ俳優のように身にまとうローブをばさりと音を立てて広げた。


ルイズ達を連れて礼拝堂のすぐ側に立ったクロムウェルは、しばらく瓦礫を見下ろした後、ワルドに命じた。
「ワルドくん。すまないが、この瓦礫の下からウェールズ王子の遺骸を出してくれないか。ああ、そうそう、くれぐれも丁重に頼むよ。あまり傷をつけないようにね」
ワルドは頷き、杖を振る。
それにより生まれた竜巻は巧みに操られ瓦礫を徐々に取り除いていった。
「ワルド君の仕事も少し時間がかかりそうなので、ここにおられる方々に余から説明させていただこう」
クロムウェルの口調は手慣れたものでよどみながない。
聖職者の装いに偽ることなく説教で慣れているのだろう。
「ここにいる誰もが知っていることとは思うが魔法には火、水、風、土の四系統がある。そして、それに加えもう一つの系統が存在する。そう、始祖が零番目の系統……虚無だ」
ルイズはそれを黙って聞いていた。
言いたいことはあったけど、今は緊張していると誤解して欲しいと祈りながら口をつぐんでおいた。


フーケ、ことマチルダは口の中で小さくつぶやいた。
「虚無?」
彼女はこの言葉を真顔で口にする二人目の人間に出会ったことになる。
一人目はベール・ゼファー。
ルイズがここにいるのなら間違いなく近くにいるあの得体の知れない少女。
120ナイトメイジ:2008/09/24(水) 19:32:06 ID:C8Qcaub7
「余はその力を始祖ブリミルより授かったのですよ。それこそが貴族議会も認めた余が現存する王家を倒し、このハルケギニアの皇帝となる正当なる理由なのです」
「そんな嘘にだまされると思っているのですか?」
アンリエッタの言うとおり、ルイズもそう思った。
「虚無などただの伝説です!」
「もちろん聡明なるアンリエッタ王女ならそう言われるのも当然です。言葉のみで信じて良いようなものではありませんからな。だからこそ王女には虚無の力をその目で見ていただきたいのです。おっと、そろそろワルド君の作業も終わったようですな」
気づけば竜巻の起こす風音も瓦礫が飛ぶ音も消えていた。
既に礼拝堂の残骸も跡形もなく吹き飛ばされ、あとにはルイズが最期を看取ったウェールズ王子の遺骸が姿を見せていた。
多少埃を被り、青白くなっているのはしかたがない。彼は既に死んでいるのだ。
だが幸いにもそれ以上傷ついている様子はない。
ルイズはアンリエッタをちらりと見た。
再びあのときの、ウェールズの死の悲しみが襲ってきたのだろう。
彼女は小さい嗚咽を漏らしていた。
「アンリエッタ王女。聞けば貴方はウェールズ王子と共に生きたかったそうですな?その望み、かなえてみたいとは思いませんか?」
泣いていたアンリエッタの顔はたちまちに元の怒りを取り戻す。
それはさながら熱した鉄鍋に落とした冷水のようでもあった。
「嬲るのですか?もはやそれも叶わぬ夢でしょう。ウェールズ様はそこのワルドに、レコン・キスタに殺されたのですよ!できるはずがありません」
「できるのですよ」
にこりと笑うクロムウェルが静かに杖を手にする。
「この虚無の力で。お見せいたしましょう」
クロムウェルが小さく呪文を唱える。
それはここにいる誰も聞いたことがない呪文だった。
ルイズも聞いたことがない。
いつか使えことを願って書物で様々な呪文を学んでいたが、そのいずれもクロムウェルの呪文と似ていない。
考えているうちにも詠唱は続き、呪文は完成した。
その後、魔法により引き起こされた事象に驚愕を覚えたなかったのは呪文を唱えたクロムウェルただ一人だった。
目に見えるほどの速度でウェールズの顔に血の気が戻り、さらに目を開いて体を起こしたのだ。
「おはよう、皇太子」
クロムウェルの呼びかけにウェールズが答える。
「久しぶりだね。大司教」
だが、それはとてもではないが仇敵たるレコン・キスタの総司令官に対してとは思えないものだった。
「失礼ながら、今では皇帝なのだ」
「そうだった。これは失礼した閣下」
さらにルイズに、そしてアンリエッタに驚愕が波のように連続して襲う。
こともあろうに彼は跪き臣下の礼までとったのだ。
「ところで親愛なる皇太子。君に親愛の証として引き合わせたい人がいるのだが」
「それは……誰かな?」
「ははっ。もうわかっているだろう。そこにいるアンリエッタ王女だ」
立ち上がりアンリエッタに歩み寄るウェールズをルイズはただ黙ってみていた。
すでに自分の真の目的を周りに悟らせないためにそうしているのではない。
信じられない光景に驚きのあまり声も出ず、動けもしないのだ。
「ウェールズ……様?」
それはアンリエッタも同様だった。
目の前の男は紛れもなくウェールズ。
だが死者が息を吹き返し、再び語りかけてくる奇跡、そして何のためらいもなく怨敵の臣下となるその姿。
それらが疑問となりアンリエッタの言葉となっていた。
「他の誰に見えるんだい?」
「本当なのですか?」
「君も見たとおりだ。閣下の虚無の力でこうして蘇った。再び会えて嬉しいよ」
ウェールズの笑顔は彼と最期に会ったときのまま。
それなのにアンリエッタは自分の依って立つべき場所を失い、事実足はふらつき力を失う。
そして支えを失った人形のように倒れ行く。目の中に入る青空もまるで夢のよう。
それに手を差し伸べ、彼女を支えたのはルイズだった。
「クロムウェル閣下。姫様はお疲れです。少し、休ませていただけないでしょうか」
「おお、これは気づかなかった。ミス・サウスゴータ。アンリエッタ王女をたのんだよ」
「いえ、姫様のことは私にお任せください」
「なるほど……では、ミス・ワルドに任せるとしよう」
ルイズはアンリエッタの体を支え、脱力した体をどうにか立たせた。
二人を案内するミス・サウスゴータと呼ばれるフーケが先を歩く。
ルイズはそれを追い、アンリエッタもまた、それこそ操り人形のようにふらふらとルイズに手を引かれるままに歩き始めた。
121ナイトメイジ:2008/09/24(水) 19:33:10 ID:C8Qcaub7
同じ頃
ルイズ達がいた礼拝堂とは離れた場所でのことである。
傭兵達は分け前にあずかろうと城のあちこちで略奪を働いていた。
城の装飾品があればそれを引きはがし、死者からは鎧や武器を奪い取る。
その傭兵もまた、このためにニューカッスル城にいた。
「あら、こんなところで何をしているの?」
声をかけられても振り向く気にはなれない。
今は人間よりお宝だ。
早く探し、確保しなければ他の奴らに取られてしまう。
「見りゃわかるだろ。金目の物を探しているのさ」
「でも、このあたりには何もないでしょ」
「しかたねえだろ。ちきしょう、本当に何にもありゃしねえ」
既にこの辺りはあらかた漁られた後だ。
傭兵は遅れてしまった自分を嘆き、そして苛立つ。
「それより南の方へ行ったらどう?あっちにはアルビオン王家の宝物庫がどこかに隠されているんですって。誰も見つけてみたいだけど」
「なに!本当か?そりゃ」
「ええ」
こうなればじっとしてはいられない。
他の奴らに取られる前に行かなければまた取りっぱぐれてしまう。
何せ今回の戦は略奪が許されている代わりに給料が少しばかり安いのだ。
その傭兵は脇目もふらず、自分に宝物庫のことを教えた声が誰かを見もせずに走り去った。
「ああいうのにはこの手が一番ね」
嘆息と共に傭兵の背中を少女が見送っていた。
「カミーユじゃなくも、ね。こっちはこのくらいでいいでしょう」
その少女、すなわちベール・ゼファーは傭兵が視界から消えるのを見届けると、自らもまた姿を消した。


ルイズとアンリエッタを客室に案内したフーケは急ぎ部屋を出た。
後は任せて欲しいというルイズの言葉も会ったが、早く1人になりたかったのだ。
「人を蘇らせた?あれが虚無?だったら……あの、ベール・ゼファーの魔法も?」
虚無により人を蘇らせる。
普通なら笑い飛ばすことだ。
目の前で見せつけられてもそれが虚無かどうか疑問を感じることだ。
だがフーケは虚無の魔法と呼ばれる物で人を蘇らせる様を2度も見たのだ。
しかもそのうち一回では自分自身が蘇ったのだ。
「それに、あのウェールズの変わりよう……あれも虚無?人の心を操る?変える?だったら、だったら今のあたしはなんなんだい?」
それが彼女の心をかき乱す。
底のない不安がフーケの体を冷やしていた。


火薬と砲撃、そしてゴーレムにより崩れ落ちたニューカッスル城ではあるが、すべてが瓦礫と化したわけではない。
未だ形を残している一部がアンリエッタに客室としてあてがわれ、ルイズもそこにいた。
「姫様……」
壁際の椅子に座り、天井を眺めるアンリエッタにルイズが声をかけた。
このままではアンリエッタがガラスのように砕けてしまうような気がしていた。
「ルイズ……もう私のところにいなくてもいいのよ。好きなところへ、ワルドのところにでも行きなさい。私にはもうなにもわからない。ウェールズ様はどうなられたのでしょう。なぜ、あんなふうにお変わりに。それに貴方も……」
「姫様、私がここに来た目的は変わっていません」
「裏切り者と共に行くためでしょう?私もそうした方がいいのかしら。そうすれば……」
「違います!」
ルイズは声を荒げてしまう。
ベルにワルドの妻としてここに来ると決めたときにアンリエッタにこう思われるのは確実だと言われ、ルイズもそれは覚悟していた。
だけどアンリエッタのこの無気力さは我慢できなかった。
「私は姫様を助け出すためにここに来たのです」
「ルイズ……」
「この城から出ましょう。トリステインに帰りましょう」
「……」
アンリエッタの目にわずかな光が戻る。
しかしそれもすぐに消えてしまった。
「姫様!!」
もうアンリエッタをここに置いておくことはできない。
122ナイトメイジ:2008/09/24(水) 19:35:49 ID:C8Qcaub7
ルイズはアンリエッタの手を取り、部屋を出るべく扉に足を向ける。
扉を開こうとノブに手を伸ばしたが、その前に部屋の外から開かれた。
開いた扉の向こうから現れたのはレコン・キスタの皇帝クロムウェルと、ひどく冷たい雰囲気をまとった知らない女性だった。
「失礼するよ」
返事も聞かずに2人は部屋に入ってくる。
後ずさるルイズに会わせてアンリエッタもまた後ずさり、元の椅子に座ってしまった。
「ほほう、アンリエッタ王女はまだお疲れのようだ。では、少しお助けしよう」
いいながらクロムウェルは杖を振る。
礼拝堂の時とは違い指輪が光り始め、それはアンリエッタの前に突き出される。
アンリエッタは指輪を瞬きもせずに凝視した。
それからすぐにだ。
アンリエッタは椅子から立ち上がり、クロムウェルに臣下の礼を取ったのだ。
「クロムウェル様。ありがとうございます。迷いが晴れました」
「いや、どういう事はない。これからは私の友人となってくれたらいい」
「喜んで」
「ついてはトリステインはレコン・キスタに下ってもらいたいのだが」
「もちろんですわ。閣下」
ルイズは2人の会話を遮り大声を上げる。
このまま2人に続けさせていいわけがない。
何かとんでもないことが起こりかけている。
いや、既に起こっている。
「あなた姫様に何をしたの?」
「見ての通りだよ。友人になってもらったのだよ」
「嘘!こんなに変わっているのよ、そんなのヘンよ」
何が起こったかルイズは考える。
アンリエッタの変化、そしてウェールズの変化。
その二つを会わせ、一つの結論を出した。
「まさか虚無の魔法?虚無の魔法は人の心も変えるの?」
「その通り。が……その様子だと君も本当はワルドくんの妻になるためにここに来たわけではないようだね。いや、当たり前か」
「くっ」
──ばれていた?
それどころじゃないのかもしれない。
──最初からわかっていて?
だが、それなら納得もできる。
この力があればルイズが真にレコン・キスタに恭順していようがしていまいが関係ないのだから。
「これでワルド君の働きに十分に報えそうだ」
「何をするの?」
「もちろん君もアンリエッタ王女のようになってもらうのだ」
クロムウェルの詠唱に会わせ指輪が再び輝きを増す。
その光はルイズの目から入り、体に染み渡り、心に手を伸ばした。
それがわかっていてもルイズは光から目を離せない。
光がルイズの心を飲み込むまで。
だからルイズは最期に残った心でたった一言だけ叫んだ。
「助けて、ベル!!」
「呼んだ?」
ルイズのポケットの中で悪魔の蝿が少しだけ動いていた。



==================================
今回はここまでです




123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:35:55 ID:Sc5Znheo
ルイズが壊れたのか心配 支援
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:42:58 ID:Sc5Znheo
ふ、終わった直後の支援はことのほか恥ずかしいものよな……


現状完全にレコンキスタが勝ちモードだけど、こっから逆転できるか?
そして明らかにイベントが前倒しだし、ヘクサゴンスペルの出番はなしかしら?
とりあえず、明らかに諸悪の根源のはずなのに、ヒーローみたいな登場したベル様に期待
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:46:04 ID:l68gihsa
失礼、116です。
支援せず雑談してしまいすみませんでした。
そして作品の感想ですが、最後の場面、ルイズの状態が心配ですね。
次回に期待しています。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 20:05:22 ID:oHQEWTUU
ベル様の人乙

これは良いヴォーティカル系フラグ。クロムウェル卿のご冥福を・・・
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 20:23:46 ID:g6vPoJWA
ベルさまぽんこつだからここでもなんかやらかしちゃうんじゃないかと
思ってしまった自分は毒されすぎですかね?(w
ともあれ乙ですー。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 20:56:54 ID:plkYyJ8U
>>127

あれ?俺いつの間に書き込んだ?
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:05:52 ID:wNyaHKUT
>127-128
                                          +
             ,.ッ―v―ッ===tz_ ―- ..              ゚
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      /: : ,イ: : ,¬j/―匕 {l: : : :.:fト、 \ ヽ: :\      ̄`Y´ ̄
      ムイ.从 ノ .≠===八: : : :リ__`ー.)) )人 ),     |
      {X |人 {  :'  :'     \ ノ`气ミ(ノ乂: :) ハ   / ゚
     ( j八: :ヽ廴:'  :'          '(  |/'  j}  + ゚
     )X: :\: : :.\:'     厂 ̄〕    ゙(.r┘    x  +
    Y⌒ : :ノ : : :ノ    {   /    从       ゚
    乂 : :(: : : :.(_     、_,ノ    ,イヽハ     x 
    ,イ≧≦>、 : :) _         , イ乂 :ノリ
 _/: :/: :ハ: :ヽ メノ>、 " r-‐<ノハノ ≧≦       なんでSSスレでまでぽんこつ扱いされてるのよーっ!!
  ̄`=ミz__rヘ_ノ\ \_」_) Yツ⌒フ/ ハヽ:\
    ≦厂 ̄气≧.  \__X,人、 厶 / rヘ: :ヽ〉
    {{ {    } }}       ≫≪ {{ハ、 `=='⌒^´
   ゞゞ _ ノ ノ       ≫≪ゞ=ヘ、
    ≫==≪  _,二ニ=彡ヘ、 _\
       彡グ ̄    ノ   \   ̄ ̄ ̄ ¨ ¬ …

それはそうと投下乙です。
ベル様が次に何をやらかすのかが楽しみだ。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:12:53 ID:0PLcRtW7
まあ、ベル様ですし……。
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:14:12 ID:G87lidTl
そういえば「ぽんこつ」のさらに元のネタは
「そーれにゃうーん」なの?

・・・・そっちから持ってこれるキャラはいないか。
132ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 21:18:10 ID:T1SIiCpb
すいません。筆遅くなると言ったのに、何故かできてます。
妖精族か何かが私にとりついているのかもしれません。

まぁ、それはさておき、投下できますかー?
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:19:12 ID:G87lidTl
待っていましたシチズン
134ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 21:20:08 ID:T1SIiCpb
ゲームの盛大なネタバレが前半部分に入ります。ご注意下さい。
5、ドラゴンファイアを知る

ルイズは眠っている。気絶から本格的な眠りに入ったルイズは、
シュヴルーズが目覚めた後も、眠り続けていた。
今日の朝からどうにも、ルイズは夢を司るデイドラ王、ヴァーミルナに気に入られたらしい。
老婆の姿で、ヴァーミルナは杖を持ち、何を見せるか己の姿を変えながら考える。
眠ってしまった後は、どのような生物だろうと彼女の元へ行かねばならぬ。
そこは、いわゆる夢の世界という奴であり、そこに行かずに済むには眠らない以外方法がない。
人は眠りながらにして、常に異世界、オブリビオンへと足を踏み入れているのだ。
だが、殆どの者は入ったことすら忘れ、時たまに悪夢を見た!という衝撃だけを覚え、目覚める。

彼女は悪夢こそがその本領だが、しかしたまには変わった夢を見せるようだ。
これなんかが良かろう、とルイズに夢を導く――


物々しい鎧を着た赤黒い肌の男が言う。ゲルマニア人らしい風貌のそいつは、
見たことも無い盾とやはり見たことのない片手剣を携えていた。

「陛下、オカート総書記官殿がお待ちです。帝都にお着きになられたことが、お耳に入ったようで」

赤と紺を基調にし、銀糸や金糸をふんだんに使っているだろうローブを着こなし、
赤い大きな宝石のついたアミュレットを付けた男に、丁寧な言葉遣いで話す。
どうやら、このゲルマニア人はいかにも高貴そうな、この男の配下らしかった。
しかし、同名とは。オカートという名前はよくあるのだろうか?とルイズは思った。

「よかろう。決着を付けるとしよう」

はっとする。この声は聞き覚えがある。しかし、どこでだ?
ルイズはええと、ええと、と考えているが、
どうしても記憶にもやがかかって、思い出せない。
夢の中での行動なぞ、大抵そんな物だが、
その原因はヴァーミルナが、とりあえず考えずにそのままに見ろ。
と、言っているからだろう。物事を考えながら見ると、
どうにも、主観というものは変わってしまうのだ。

そうこうしている内に、彼らは大きな塔の中へ入っていく。
ゲルマニア人の戦士と、高貴そうな男。
そして、はて?確かに「誰か」がいるのは間違いないが、
それが何かルイズには認識が出来なかった。
ただ、見えている。しかしそれが何か分からない。
薄気味悪い感覚を、可愛らしい少女のヴァーミルナに、
笑われているとも知らず、ルイズはおっかなびっくり、彼らの後をついて行く。

白銀の塔と呼ばれるそれは、タムリエル帝国の、
中央に位置する、シロディール地方の政治の中心部である。
その摩天楼、というべき高さのそれは、古代エルフである、
アイレイドの失われた旧文明を利用した物だ。
ロストテクノロジーなので、当然、作れ。
と言われても今の彼らには、新しく、同じような物は出来ないだろう。

塔に入ったルイズは、その重厚な造りに驚く。
今まで入った建物の中で、おそらく一番立派だと思えた。
真ん中のホールへの扉が開いている。
外から見ると大きな円卓状のテーブルを囲むように、
たくさんの椅子が並んでいる、会議場なのだろう。
そこに、一人のローブを着た誰かが立っていた。
ルイズがそこへ入ると、認識できない「誰か」が、
赤いローブを着た…エルフ!?何、耳の長いあれが
オカートというの?
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:20:14 ID:9kylD1Xw
>>131
別に声ネタってわけでもないしな
……いや、一応声ネタって言ってもいいのか?

>>132
聖なる妖精さんは危険物だよ支援
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:20:37 ID:plkYyJ8U
伝勇伝からライナ召喚…って駄目だルイズじゃ奴は扱えないw
137ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 21:20:58 ID:T1SIiCpb
ルイズの思考は混乱する。しかし誰も気に止めないまま
オカートは「誰か」に話しかける。

「待っていたぞ。既に元老院全員で、マーティン様の皇帝への即位について、討議は終えてある」

ハァ?ルイズは声を上げるが、誰も気にもしない。
夢の中での追体験なのだ、当たり前だろう、と老婆姿でヴァーミルナは笑う。
もっとも、彼女の姿は最初からルイズには見えていないが。
マーティンが皇帝?あんなので、皇帝ってできるのかしら?
というより司祭から地方領主に無理矢理ならされるんじゃ。
ルイズは、食い違いにますます混乱している。
皇帝として相応しい、服と装飾品を着こなすマーティンの前に、
オカートが跪く。マーティンがルイズにやったのと同じ様に。

「マーティン・セプティムよ、元老員を代表し汝の皇帝への即位を認めます。戴冠の儀は出来る限り早い日取りで――」

「オカート総書記官殿!オカート総書記官殿!」

厳かな空気は一人の乱入者によって阻まれる。
先ほどのゲルマニア人とは違う鎧を着ている男が、叫びながら走る。
こちらの方がポピュラーらしい。彼が連れてきた、
何人かの兵士も、同じような鎧を着ていた。

何が起こったというのか。ルイズは急ぎやってきた彼の話を聞こうと、
柱の影からオカートと彼らを見ていた。

「総書記官殿!街が襲撃されています!オブリビオンの門が開き、城壁の内側にデイドラが!衛兵達もやられています!」

悲痛そうに訴える。オブリビオンの門?異世界への門が開いたというのか?
そう言えばマーティンは以前その世界を見たことがあると言っていた。
まさか――

「勇気を出せ、新しい皇帝陛下が導いて下さる」

オカートは元気づけるようにそう言った。少し、兵士の感情は癒されたらしい。
オカートがマーティンの方へ振り向く。

「陛下、ご命令を!衛兵隊を宮殿まで下げましょうか?」

しかし、マーティンは強く否定する。やたらと格好が良い。これがあのマーティンか?

「いいや、宮殿に追い込まれたら打つ手が無くなってしまう。直ちに最高神の神殿へと向かわねば」

神殿に行って、何をすると言うのだろう?ドラゴンファイアについて、
何も知らない彼女は、 そう思うのも無理はない。
138ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 21:21:44 ID:T1SIiCpb
不意に辺り全てが闇となり、『誰か』が言った。老婆ではない。少女でもない。と、いうより、
一時的に彼女の領域から離れたらしい。ルイズには、分からないことだが。

一つの話を聞いて欲しい。人間が、人間としての自由を手に入れるために戦った話を。
139ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 21:22:35 ID:T1SIiCpb
タムリエルのある世界、ニルン。
そして、そのニルンを含めた、全てを包むムンダス界と、
異世界オブリビオンは、はっきり言って昔、地続きと言っていいくらいに、
境界が曖昧だった。神話の時代の話だが、実際の事である。
深淵の暁紀(またはただ、暁紀)と呼ばれるその時期は、様々なデイドラがニルンを歩き、
デイドラ王達が、直接に信者達と触れあっていた。

しかし、その時代、タムリエルの中央、シロディール地方では、
超魔法文明を持つアイレイドが、人間を奴隷として利用していた時代でもある。

彼らは、生まれながらに持つ豊富な魔法力を用いて、
大量のデイドラや死霊(異世界から呼び出したか、人間を使ったのか、または、どちらともかもしれない)
を兵隊として使役し、人間を楽しく虐殺し、奴隷とした。
確かに、誰でも魔法を使える世界である。
しかし、考えて欲しい。恐ろしい護衛付きで、虚無の系統をマスターした連中に、
それ以外の系統魔法のドット・ラインクラスのメイジ単体が敵うだろうか?
彼らにデイドラを合わせた戦力と、普通の人間の差とは、だいたいそれぐらいの物である。
だから、彼らほどの力を持っていない人間はそれに従うしかなかったのだ。

ある時、アレッシア族(アイレイドから都市を取り返して、後はシロディール族とも)
と言われていた、今はインペリアルと呼ばれる、人間族の祖である女性の一人が、
ニルンから遠く離れた異世界、エセリウスに住まう神の一人、「時の竜神」
アカトシュに助けを求めた。マーティンのとても古いご先祖様である彼女は、
今日、人々を救った救世主である、聖アレッシアとして知られている。
アカトシュは、エセリウスに住まう、デイドラと違って死ぬ可能性がある神々、
「エイドラ」を統べる善き神であり、彼はその願いに答えた。
死ぬかもしれない彼らが、一人の人間の願いに答えることはとても稀である。
やはり己の命が大事なのは命を持つ存在の宿命なのだろう。

アカトシュは、もだえ苦しむ人間を哀れみ、自らの心臓から、
かけがえのない血を絞り出すと、その血でアレッシアを祝福した。
そして、アレッシアの家系が竜の血族に誠実であるかぎり、
アカトシュはオブリビオンの門を閉じ、彼らの敵であるアイレイドの手には、
デイドラと死霊の軍隊が渡らないようにする、という契約を交わしたのだ。

これの証として、アカトシュはアレッシアとその子孫に、
「王者のアミュレット」という赤い宝石と、
「帝都の永遠なるドラゴンファイア」を授けた。
この赤く大きな宝石は、とても特殊な魂石と呼ばれる物で、
その内に生きた生命の魂を内包させる事ができるのである。
聖アレッシアの死後、彼女の魂はこれに入り、八個の宝石で、
縁取りのされているアミュレットは、真中の赤き魂石、
「レッド・ダイアモンド」と共に九つの神を表し、後の、現在より少し前の、
第三記の帝国皇帝の家名であるセプティム家の象徴となった。
そして現在最高神殿にて安置されているドラゴンファイアの燭台について、
アカトシュはこう言った。と聖アレッシアの試練には記されている。

「おまえとその子孫が王者のアミュレットを身につけるかぎり、
この永遠なる炎、ドラゴンファイアは燃え続けるだろう。
われらの誠実さをあらゆる人と神に示すために。
ドラゴンファイアが燃え続けるかぎり、
おまえとその子孫に対してわが心臓の血がオブリビオンの門をきつく閉ざすと誓おうぞ」
140ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 21:23:22 ID:T1SIiCpb
アイレイドは、元々粗野で野蛮だった。と伝えられている。壊滅後、
彼らは殆どが、タムリエルの南にある、サマーセット諸島に住まうハイエルフに合流するか、
タムリエルのほぼ全域に流れ、今では、ワイルドエルフとして知られる種となった。
ワイルドエルフは、現代文明を疎み、世間の目を避けて、古き法を守ることを選ぶ種族である。
その為、今となっては、アイレイドがどのような存在だったのか殆ど知ることができない。
しかし、彼らは少なくとも同族への仲間意識より、同族をどう殺して成り上がるか。
それを考えるのが好きだったようだ。

アレッシアが、アカトシュに願いを言ったとしても、アイレイド自体に堅牢な絆があれば、
はっきり言ってどうしようもない事だっただろう。デイドラ達を使役できなくなったとはいえ、
莫大な力を、彼らは持っていたからである。消費した魔法力を、即座に回復できる、
天空から来た、というウェルキンド石。魔法の効果がなくなった武具を即座に、
元の強力な魔法具として復活させる、やはり天空からの恵みだと言うヴァーラ石。
淡き魔法力の光を放つその石は、一度の魔法力消費が多いアイレイドの使う呪文にとって、
欠かせない品だったのは間違いない。未だ大量に残るアイレイドの遺跡の中に、
それらは時折見受けられるが、何と、彼らはそれらを明かりとして使っていた。
何らかの量産方法を発見したと思われている。そのことについて、近年、
ある学者が文字通り『草の根分けても』探した結果、ある論文が発表されたらしい。
いずれ、どこかのメイジがそれを話す機会があるかも知れない。

さて、そんな物を持つ連中が人間族を本気で襲えばどうなるか、
誰だって分かるだろう。滅亡していないだけ人間は運が良かったのだ。

しかし、彼らは協力よりも服従させるか、暴虐な虐殺によって起こる血の滴りが好きだったらしい。
アイレイド達が同族争いを起こしている中、聖アレッシアは反逆を開始した。
自分たちと、その子孫のために。マーティンがハルケギニアに来る約4250年前
人間による時代、竜に認められし血族が、支配者となる、帝国第一紀の始まりであった。
141ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 21:24:13 ID:T1SIiCpb
シロディールより北方にある、スカイリムという地に住む、ノルド、という頑強な人間族とも手を組み、
アイレイド達を追いつめ、やがて彼らは壊滅した。同族争いで力を使いすぎた節があった。
彼らは歩兵をデイドラに頼り切っていたため、屈強な戦士はいなかったとされる。
デイドラ王の一人と契約し、不死の命を手に入れた、羽を失いしウマリルのような例外も、多数あるのは間違いない。
また、エルフ族の特徴として、子供は20歳を越えていないと一切作れず、生涯において、
4人以上出来ることがほぼない。1000年の寿命を持つ彼らの繁殖力は、とても乏しい物だった。

アイレイドと闘い英雄となった人々は多い。その中で有名なのは、光り輝く『左手』で敵を討つ、
ペリナル・ホワイトスレイクだろう。彼についてはペリナルの歌、という本の事を、マーティンにでも聞くと良い。
暁から第一記にかけての社会情勢などもある程度分かるはずだ、彼が知っていればだが――



時間が巻き戻り早送りされる。ルイズは、ドラゴンファイアと、神殿の重要性について何となく理解していた。

「仰せの通りに!衛兵!隊列を組んで陛下をお守りしろ。目指すのは最高神の神殿だ!」

オカートが叫ぶと同時に異形の国の魔人が二人、唸りを上げて、外から入ってくる。
二人のドレモラの内、一人の前には「誰か」が立ちふさがり、もう一人はオカートに切り掛かった。
オカートは、背中に掛けていた長杖を、軽く回しながら片手で持ち、雷鳴を放つ。
風の系統魔法である「ライトニング・クラウド」によく似たそれを、
しかし、完全な無詠唱で放ち、同時に、ほんの少し呟き、杖を持たぬ左手から、人を飲み込む大きさの炎球を、
手負いの怪人に放った。瞬間の出来事である。ルイズが、何が起こったかを認識する前に、二人は敵を倒していた。
何と熟練した戦士達だろうか。その勇ましい、命を掛けて進む彼ら、その後ろ姿を見ながら、
彼らの後をついて行こうとする、ルイズの前に突然老婆が現れた。お別れの時間だという老婆の言葉に、
またもわけがわからなくなるルイズ。パンと老婆が手を叩くと、たまに見る医務室の天井が見えた。
142ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/24(水) 21:25:00 ID:T1SIiCpb
投下完了です。

この改行の評判がよろしいので、何もなければこれで行こうと思います。
ただ、過剰な修飾は未だやらかしてしまいます。こう、上手い言い回しを考えるのですが、
なかなかフレーズが響きません。残念です。
また何かあったらおっしゃって下さい。お願いします。
ただ、どうすればいいかも書いてくれると嬉しいです。

それと、クロス影響がないキャラクターの変化についてのツッコミは、できれば、無しの方向で。
そこまで言われると、ちょいと疾風のお兄さんが活躍させられないのです。

感想は一つ。アカトシュってこんなに格好良かったんですね。心臓えぐるとか凄すぎです。真似できません。
オブリビオンの根幹に関わることの一部をバラしました。しかしこれ知っていないと、これからのプロット上、
どうしてもハァ?になってしまいます。また、これらはいつでも本屋さんで購入できる物から情報をいただいている。
というより、ほぼそのままなのですが、まぁ、そういうわけで、投下した最初の方以外は、
見ても見なくてもゲーム上問題ない節でもあります。

ゲームやっている方は、これ見て、本当にそうなのか?とか思いながらどの本を利用したか探してみるのも
おもしろいかもしれません。以前も言ったように、ある程度都合の良いように脚色しています。
そのままぶつけたらおそらくクロスできませんからね。

本を読んでいると強化外骨格なる訳を見つけました。ちょいと調べます。

「ペ」リナルでしたっけ、「ベ」リナルでしたっけ。画面つぶれていて見えないんです。
ブラウン官なのです。未だに。彼が左手を光らしていたなんて、誰が信じたことでしょうか。
発見して驚いています。はい。

おかしい。確か今回バカ一外しつつセオリーで行こう。の名の下に、武器購入まで行こうとしていたのですが、
急にヴァーミルナがやらかしました。彼女は2,3分で世界の様相そのものがおどろおどろしく変わる、
悪夢の様な世界の持ち主ですが、どうやら今回はそれを見せなかったようです。
きっと怖がらせるのが好きなのでしょう。あのパンプキンキングみたいです。

では、また次の投下まで。ハッピーハンティング、マイシスターアンドマイブラザー
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:25:22 ID:plkYyJ8U
失礼しました。支援
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:29:05 ID:9YhZNwQ8
>>92
そもそもギリアムは永遠に多元世界を彷徨うことを運命づけられてる不老不死の
存在だから、いつどのタイミングの彼だろうが、過去に何があろうがあまり問題はない。
ヒロ戦の彼も、旧第4次の彼も、αの彼も、OGの彼も同じ存在なのだから。
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:30:06 ID:DBqZPGUd
シャドウハイチュー
乙である
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:35:21 ID:G87lidTl
お疲れ様ですシチズン

ダンジョン巡りをしながらだらだらプレー中していますので楽しみにしています。

>>145
       _______ 
     /  .|  |  .\
    /____|  |__ \
  /  _      __  \
  |  / (●)|_|(●) \  | スタァァーップ!!!
  |  |    .(__人__)   | |
  |  |     |::::::|    | |
  .\|     l;;;;;;l    | /
   /     `ー´    \
 /              ヽ


いや、Shadow hide youは不味いでしょw
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:36:56 ID:09CaXNWg
まだ前埋まってないのにどうも新スレ伸びてると思ったら

512kか・・・

148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:41:48 ID:E2L6kggE
>>142
途中から説明調になりすぎている。
もちろん原作未経験者がほとんどだろうから、
ある程度の解説も織り交ぜる必要もあるが、
一気に長々とそれをされても逆に読む気が萎えてしまうぞ。
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:50:02 ID:G87lidTl
>>148
読んでいる我々だけなくルイズにもそれ相応の知識を得たってことを
表現しているんだと思う。

あと知らない人も結構いるだろし、調べろってのも大変だよ。
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:01:19 ID:za6pJp4p
ハルケギニアの暦
→1年は12の月と4の週(1週間8日)で構成される384日
 新年の始まり(日本の元旦)から10日間は始祖ブリミルの降臨祭という休暇となる(戦争も休戦とする習わし)

 0.虚無の曜日 (1巻p.165) 休暇である虚無の曜日の夜に「破壊の杖」盗難
 1.ユルの曜日 (1巻p.141) フリッグの舞踏会は「破壊の杖」盗難の翌日
 2.
 3.
 4.ラーグの曜日(8巻p.221)
 5.
 6.
 7.ダエグの曜日(9巻p.169) 翌日は虚無の曜日
 順番不明 マンの曜日(6巻p.150)
      イングの曜日(7巻p.125)

 1.ヤラの月  (7巻p.164)
 2.ハガルの月 (8巻p.221)
 3.
 4.フェオの月 (5巻p.130)
 5.
 6.
 7.
 8.
 9.
 10.
 11.
 12.ウィンの月 (6巻p.150)
 順番不明  5? ウルの月   (5巻p.145, 12巻p.146)
       6? ニューイの月 (3巻p.203) アンリエッタの結婚式
      11? ケンの月   (6巻p.20) 夏休みが終わって二ヶ月

第一週 フレイヤの週
第二週 ヘイムダルの週 (5巻p.131)
第三週 エオローの週 (8巻p.20)
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:01:47 ID:za6pJp4p
貨幣
→金貨 エキュー
 銀貨 スゥ  100スゥ = 1エキュー
 銅貨 ドニエ 10ドニエ = 1スゥ
 新金貨    金貨の四分の三の価値 3/4エキュー(1新金貨で75スゥ)

 デルフリンガー    新金貨100枚 = 75エキュー
 官能小説       55スゥ
 トリステインの生活費 1人1年120エキュー
 シュヴァリエの年金  年500エキュー

ハルケギニアの衛星(月)
→大(青)小(赤)二つある。大きい方は地球の月の見た目で二倍ほどの大きさ。
 小さい月の軌道は大きい月より内側にある。よって、小さい月の公転周期は大きい月よりも短い。
 二つの月が重なる夜を「スヴェル」の月夜と呼ぶ(2巻p.119)。

サモン・サーヴァントの呪文
→原作(何度か失敗)
 我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン!
 我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!
→アニメ版(一発で成功)
 宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ
 神聖で美しく強力な使い魔よ
 私は心より求め訴えるわ
 我が導きに答えなさい!

コントラクト・サーヴァントの呪文
→我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
 五つの力を司るペンタゴン
 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ

コントラクト・サーヴァントの洗脳効果
→現状(11巻&タバサの冒険2)では情報は足りず、荒れるばかりで話題にするだけ無駄っぽい。
 スレ住人のスルー力に期待。

長さの単位

1サントは約1センチ(1巻p.39 / 2巻口絵人物紹介)
1メイル=約1m
1リーグ=約1km
152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:02:21 ID:T1SIiCpb
>>149
お兄さん(またはお姉さん
ちょっと落ち着いて。

解説を交えつつもう少し分かりやすく読み応えのあるようにしてくれ、
と彼は言ってるんですよ。おそらくですけども
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:02:30 ID:za6pJp4p
 一日目
昼   :召喚される
夜   :使い魔とハルケギニアに関して話して、洗濯するよう下着を押しつけられる

 二日目
早朝  :シエスタに洗濯場を教えてもらう(アニメ版)
朝   :ルイズを起こして着替えをしてるところにキュルケがからかいに来る
朝食  :アルヴィーズの食堂で貧しい朝食
授業  :ルイズがシュヴルーズの授業で錬金失敗、後かたづけ、渾名をからかってメシ抜き
昼食  :シエスタから賄いを貰う代わりに配膳手伝い、ギーシュが恥を掻き口論に(小説版ではここでシエスタ初登場)
決闘  :ワルキューレにボコられる、諦めないでいるとギーシュが剣を寄越してガンダールヴ発動、ワルキューレ七体をなで切りにして勝利
 ※同時刻、コルベールがオスマンの執務室にルーンのことで報告に来てロングビルが追い出され、王宮に報告するしないの口論の後、ロングビルが戻ってきて決闘事件を報告、決闘を静観してルーンはガンダールヴのものと断定
 ※ここから三日間負傷が元でルイズの部屋で寝たきり

 四日目
朝   :目覚める、シエスタに事情説明を受け、ルイズに礼を言うとベッドから追い出される

 使い魔生活一週間
うち三日間はパンツのゴムの件でルイズからメシ抜き(正式な食事は厨房で貰っている)

 十一日目(“使い魔としての生活”が四日目からはじまったとして)
朝食  :厨房で食事しているとフレイムが姿を見せる
授業  :夢の件でルイズに折檻される、フレイムの視線を感じる
 ※同時刻、ロングビルがコルベールから宝物庫についての情報を聞き出している
夜   :キュルケの誘惑があるがルイズに邪魔され断念、キュルケの男から襲われるかもと思って武器を欲しがるついでにルーンの力について相談、ルイズは武器には快諾してルーンについては推測と忠告をする

 十二日目 虚無の休日
昼前  :キュルケが目を覚まして出かけるルイズ達を発見、タバサに追跡を頼む
三時間後:トリスティンの武器屋でデルフリンガーを買い求める、ルイズ達がでたあとキュルケがシュペー卿の剣を買い叩く
夜   :フーケが宝物庫の下見、ルイズ達が決闘に来て壁にヒビを入れる、フーケがゴーレムを使って「破壊の杖」を盗む
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:03:25 ID:za6pJp4p
 十三日目
朝   :フーケ対策会議が開かれてその場にいたルイズ達が証言をする、ロングビルがフーケの情報をもって来る、ルイズ達だけが捜索隊に志願
昼   :情報のあった小屋に到着、破壊の杖を取り戻す、ゴーレムに襲われ破壊の杖を使って倒す、ロングビルが正体を現すが捕まる、帰ってオスマンに褒められる
夜   :フリッグの舞踏会

23日目
夜:サイトがルイズに夜這いをかける。ワルドがフーケを脱獄させる

24日目
朝:(授業):ギトーの授業
昼:アンリエッタが学院に来る
夜:アンリエッタがルイズの部屋にお忍び。ルイズがアンリエッタの手紙を取ってくることになる

25日目
朝:ルイズ、サイト、ギーシュ、ワルドがラ・ロシェールに向け出発。キュルケがタバサに頼んでルイズ等を追跡開始
昼:フーケがラ・ロシェール金の酒樽停にて傭兵を雇う
夜:ルイズ一行、ラ・ロシェールに到着、直前に地上のサイトとギーシュは傭兵に襲われるがキュルケ達に助けられ無事に到着、ルイズ一行にキュルケとタバサが参加

26日目 スヴェルの夜
朝:ワルドの発案で女神の杵停中庭にてサイトとワルドが決闘
夜:ルイズ一行、フーケ・傭兵達・仮面の男(ワルド)に襲われる
  キュルケ・タバサ・ギーシュを囮に残し、ルイズ達は船を買い取ってアルビオンへ出航
  キュルケ達は傭兵を追い散らすが精神力切れ、フーケも同じく、キュルケとフーケが殴り合い

27日目 アルビオン−ラ・ロシェールの最接近日
朝:空賊船に捕まるが、すぐに王党派の船であることが発覚し、ウェールズ皇太子に出会う
夜:手紙を返して貰う。戦前パーティーに参加

※キュルケ達はこの間、シルフィードに乗りアルビオンへ向かっている

28日目
朝:ワルドとルイズの結婚式だが、ルイズが断りワルドは本性を現す。ウェールズが殺されワルドはサイトに敗れる
昼:(正午):貴族派の総攻撃開始。キュルケ達が助けに来て、シルフィードに乗ってアルビオンから離脱、キス(二巻はここまで)
昼:(日中):アンリエッタに報告を済ませて学院に帰還

※攻撃開始からすぐニューカッスル城は落ちた
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:04:37 ID:eSZQfx+h
918 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/09/24(水) 21:27:10 ID:pnwLUtgp
500なら、ちょっと停滞してる自作をまた再開する。 
避難所でコメントあって嬉しかったしねー 


誰だこれ
156名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:04:58 ID:za6pJp4p
29日目
昼:(授業):コルベールが内燃機関を披露
夜:フーケがロンディニウムの酒場でワルドと合流

30日目
昼:(日中):ワルドとフーケが戦跡を検分、クロムウェルがウェールズを生き返らせる

31日目
 アンリエッタとアブレヒト三世の婚約が公式に発表される。式は一ヶ月後を予定


 それを受けゲルマニア首都ヴィンドボナにてトリスティン−ゲルマニア軍事同盟締結
 その翌日アルビオン新政府樹立公布
 すぐにトリスティン・ゲルマニアに不可侵条約の締結を打診し、両国は協議の結果これを受ける

約32日目
朝:オスマン経由でルイズに『始祖の祈祷書』が渡される
夜:サイト、シエスタにお茶を貰い、一緒に風呂につかりながら四方山話

約38日目
昼:(昼食後):ルイズ、ヒトデ型セーターを編む。サイト、シエスタを押し倒して(但し、ものの弾み)ルイズに追い出される。

約41日目
昼:ギーシュがテント生活をしているサイトを発見して、一緒に飲んだくれる
夜:キュルケの発案で、サイト・ギーシュ・タバサ・シエスタとその使い魔一行で宝探しに出発する。

約51日目
昼:(昼食前):宝探しでガラクタを発見する。昼食を取って次の目的地をタルブの村に決定
昼:(昼食後):タルブの村で零戦を発見
夜:(夕方):学院から伝書フクロウが来る

約52日目
サイト達、学院に帰還。持って帰った零戦の運賃をコルベールに肩代わりして貰う。

約55日目
 コルベールがガソリンの精製に成功し、エンジンが少しだけ動く

約57日目
昼:(日中):ラ・ロシェール上空にて、アルビオン艦隊がトリスティン艦隊を奇襲。アルビオンはトリスティン艦隊に対し宣戦を布告
 迎撃に向かったと思われるタルブ領主アストン伯戦死
 アンリエッタを筆頭に、トリスティンは開戦を決意
 同盟に基づきゲルマニアに援軍を要請。回答は、「先陣の到着は三週間後」

約58日目
朝:学院に宣戦布告の報。サイトと、勝手について来たルイズはゼロ戦でタルブへ。
昼:(日中):サイトが零戦で竜騎士とワルドを蹴散らし、ルイズは虚無の魔法『爆発』を発動させ、アルビオン艦隊を焼き墜落させる

約60日目 ニューイの月一日
 アンリエッタの結婚式予定日
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:05:28 ID:4ansjjSb
何故今になってコピペ荒らしが?
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:05:49 ID:za6pJp4p
 タバサの冒険1・2
全てタバサの春の使い魔召喚の儀式より後(ルイズと同時かは不明)
全てタバサ二年次のスレイプニィルの舞踏会まで
第●日目、はその話の中だけの時間、●日目、となっているのは本編と同期しています
朝でも夜でもない時間は全て昼です

『翼竜人』
第一日目
 昼:指令を受ける、翼竜人と交戦、
 夜:ヨシュアの懇願
第二日目
 昼:暴走ガーゴイル作戦
第五日目
 昼:結婚式

『吸血鬼』
 サイトとギーシュの決闘以後
第一日目
 昼:命令を受ける、村について調査開始
 夜:エルザ襲撃される、屍鬼人を倒す
第二日目
 昼:村人が占い師の老婆を殺す
 夜:吸血鬼を殺す
第三日目
 早朝:村長に置き手紙を残し帰還

『暗殺者』
 サイトとギーシュの決闘以後
第一日目
 昼:影武者開始
 夜:宿場で一泊、地下水襲撃一回目
第二日目
 昼:グルノープル・アトワール伯邸到着
 夜:地下水二回目
第三日目
 昼:イザベラ裸踊り

『魔法人形』
八日目
 昼:スニキニル入手、学校に放り出したオリヴァンいじめられる
九日目
 昼:オリヴァン実力詐称の片棒を担ぐ
十日目
 昼:引き続き詐称
十一日目
 昼:オリヴァンの決闘、元北花壇騎士団団員と交戦
十二日目
 昼:虚無の休日だがキュルケに請われルイズ達を追いかける
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:05:51 ID:ggMksBqo
暑さ寒さも彼岸まで
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:06:17 ID:x5/r6+C4
試しでいいから、まじで本スレを、避難所に立てないか。読む方はあぼんでいいが
作者の人が逃げちまったら、意味なくなるぞ
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:06:59 ID:za6pJp4p
『ギャンブラー』
十三日目
 夜:フリッグの舞踏会中に伝令、プチ・トロワでイザベラから指令
十四日目
 昼:賭場でいかさまを暴く

『ミノタウロス』
 不明(他の任務の帰り道で、この事件は北花壇騎士団としてのものではない)
第一日目
 昼:依頼を受ける
第二日目
 昼:人さらい一味を退治しラスカルと会話
第三日目
 昼:ラスカルを退治
 
『シルフィードの一日』
 サイトのテントがある、サイトが洗濯をしている

『極楽鳥』
 火竜の繁殖時期
第一日目
 昼:イザベラから依頼を受ける
第二日目
 昼:火竜山脈に到着、リュリュと出会う
第三日目
 昼:囮作戦失敗
第四日目
 昼:ニセ焼肉作戦失敗
 夜:リュリュにハッパをかける
〜シルフィードは火竜に化ける特訓、リュリュは代用肉錬金のために絶食中
第七日目
 昼:ニセ焼肉作戦成功

『軍港』
 アルビオン侵攻開始(夏休みから二月)から一週間後、ウィンの月の半ば
 髪の毛を追跡するアルヴィーを持っている
第一日目
 昼:到着、リュシーと接触
第二日目
 昼:調査、リュシーを疑いカマをかける、『グロワール』号爆破
第三日目
 昼:『シャルル・オルレアン』囮作戦決行
 夜:爆破阻止、リュシー自殺
162名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:08:21 ID:za6pJp4p
1月:ヤラ(降臨祭)
2月:ハガル
3月:ティール
4月:フェオ(入学式/使い魔召喚の義)
5月:ウル(フリッグの舞踏会)
6月:ニューイ(夏休み)
7月:アンスール(夏休み)
8月:ニイド(夏休み)
9月:ラド
10月:ケン
11月:ギューフ
12月:ウィン

第一週:フレイヤ
第二週:ヘイムダル
第三週:エオロー
第四週:ティワズ

曜日
1:虚無(休日)
2:ユル
3:エオー
4:マン
5:ラーグ
6:イング
7:オセル
8:ダエグ
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:09:21 ID:QM5gmFDq
ラブやんからカズフサ召喚
ルイズ「着替えるから外に出てって」

どうやらカズフサからヤバイ気配を感じ取ったようです
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:09:47 ID:za6pJp4p
2巻P172にてアルビオンとトリスタニアは同じくらいの面積とある。
4巻P134にてオランダとベルギーを合わせたくらいとある。
4巻P134にて、北東のゲルマニア、南東のガリアはトリスタニアの10倍ほどの面積とある。
南の海に面した半島「郡」に「かつてのゲルマニアのような」都市国家「郡」があり、
ロマリアはその一つと記述されている。
ハルケギニアは「大洋に突き出た緩やかに弧を描く巨大な半島」とある。
未開の地、エルフの治めるサハラとは別物のように記述されている。
よって、現行の地図はあまり正確では無いものと考えられる。
(今後設定が変更されるかもしれませんが)

国土面積が約72054平方キロである場合、
正方形の国土だと1辺が268キロ程度、
三角形など、いびつな形である事が当然推測される(地図上からも)ので
45度-90度-45度の三角形の場合、
底辺が532キロ、高さが268キロ程度になる。
中心に首都があると仮定した場合、国境までは最短直線で134キロ。
これは1日32キロ歩けると仮定すると直線街道で3.5日程度。
道のくねりなどを考慮した場合、1.5倍なら5日強、倍なら7日程度。

タバサの冒険 P26 よりリュティスからアルデラ地方まで、馬で二日、徒歩で五日、シルフィードなら二時間。
よって、馬は徒歩の2.5倍。1日の移動時間を8時間とした場合、
シルフィードは徒歩の20倍。1日10時間移動なら徒歩の25倍。

時速4キロ×8時間なら1日の歩行距離は32キロ。
シルフィードは時速80キロ。
時速6キロ×10時間なら1日の歩行距離は60キロ。
シルフィードは時速150キロ。

3巻P203にて、3日後、ニューイの月の1日にゲルマニア首府、
ヴィンドボナにて結婚式がおこなわれる予定なのに、
3巻P211にて、アンリエッタは本縫いが終わったばかりウェディング衣装で、
結婚式のための出発におおわらわの王宮に居る。
王族の移動は馬車で行うのが慣例のようなので、トリスタニア−ヴィンドボナ間は
馬車で3日以内の距離と考えられる。

トリスティン魔法学院はヴィンドボナからアンリエッタが帰る時に寄った点から、
トリスタニア−ヴィンドボナ間にあると思われる。

ラ・ロシェール
学院から港町ラ・ロシェールまでは早馬で2日、代え馬を使い走り続けて
早朝−深夜なので、1日8時間程度の移動を基本として馬で十数時間程度、
馬で2日程度との記述と矛盾しない。
よって歩いて5日程度と考えられる。
4巻P228にて、トリスティンから街道を南下→ラ・ロシェール方面
夜明けまでに追いつかないと間に合わないらしい。


2巻P168 夜中に出発した船にて
「アルビオンにはいつ着く?」
「明日の昼過ぎには、スカボローの港に到着しまさあ」
165名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:10:35 ID:kDrWTFbK
>>160
本気でそう思うならまず運営議論に書き込んでくると良いよ
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:11:51 ID:G87lidTl
わざわざ避難所まで来る人間の方が少ないと思うぞ。

小まめに通報してくとか、相手にしないとか、
荒らし対策の基本をやっていくしかないよ。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:12:22 ID:bkQL8mpf
このデータの列挙は新手の荒らしなのだろうか。
168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:13:43 ID:4ansjjSb
>>166
寧ろタイミング的についマッチポンプを疑ってしまう
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:13:53 ID:ggMksBqo
NG指定であぼーんしてるが、まあこの手のキチガイに反応しても喜ぶだけだろう
スルースルー
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:15:12 ID:DhOUd7hm
>>163
それいいね
小説の世界なら理想の少女に出会えるはずとラブホール開いてみたら、本当にハルゲキニアに出ちゃった、みたいな?
ただカズフサはどう考えてもタバサ派。
171166:2008/09/24(水) 22:15:48 ID:G87lidTl
>>166>>160宛なんで
>>165氏宛じゃありません。
すいません
172名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:16:24 ID:DhOUd7hm
ルイズ     16歳 / 身長153 / B76( -8.0%)-62(C) / W53(-8.8%) / H75( -9.2%) / BW比1.43 / HW比1.42
シエスタ    17歳 / 身長162 / B83( -5.1%)-69(C) / W60(-2.5%) / H85( -2.8%) / BW比1.38 / HW比1.42
タバサ     15歳 / 身長142 / B68(-11.3%)-57(A) / W49(-9.2%) / H67(-12.6%) / BW比1.39 / HW比1.37
キュルケ    18歳 / 身長171 / B94( 1.8%)-72(F) / W63(-3.0%) / H95( 2.9%) / BW比1.49 / HW比1.51
モンモランシー 16歳 / 身長166 / B80(-10.8%)-68(B) / W58(-8.1%) / H79(-11.9%) / BW比1.38 / HW比1.36
アンリエッタ  17歳 / 身長158 / B84( -1.5%)-67(D) / W59(-1.7%) / H85( -0.4%) / BW比1.42 / HW比1.44


ルイズ      16歳 / 身長153 / B76-65(A)  / 体重42.4 / BMI 18.0
シエスタ     17歳 / 身長162 / B83-68(C)  / 体重51.8 / BMI 19.5
タバサ      15歳 / 身長142 / B68-62(AA) / 体重36.2 / BMI 17.9
キュルケ     18歳 / 身長171 / B94-69(G)  / 体重62.1 / BMI 20.5
モンモランシー 16歳 / 身長166 / B80-72(A) / 体重48.8 / BMI 17.6
アンリエッタ   17歳 / 身長158 / B84-65(E) / 体重51.6 / BMI 20.2


計算するとルイズはB〜Cカップ。なのに何故胸が小さいと言われるのか?
それは要するに純粋な胸の体積が小さいから。つまり、UBが細いからです。
そこで、胸の体積とカップ数の比較をしてみました。
平均身長時の平均UBからカップ数ごとの体積を算出し、実測体積が近いものを割り出せば、実際にはどの程度のカップ数に相当するかがわかるはずです。
大雑把に胸を半球状としてふたつ合わせて楕円体になると考え、半径の組み合わせを3通り用意して計算していきます。

これらの計算結果は以下の通りです。()内は市販ブラのサイズを示しています。

ルイズ      16歳 / 身長153 / B76-62.5(B65) / 実測体積893  / 体積比A〜B相当
シエスタ     17歳 / 身長162 / B83-65.5(D65) / 実測体積1274 / 体積比C〜D相当
タバサ      15歳 / 身長142 / B68-58.9(A60) / 実測体積501  / 体積比AA〜A相当
キュルケ     18歳 / 身長171 / B94-70.3(G70) / 実測体積1959 / 体積比F〜G相当
モンモランシー 16歳 / 身長166 / B80-68.2(B70) / 実測体積903  / 体積比A〜B相当
アンリエッタ   17歳 / 身長158 / B84-65.3(E65) / 実測体積1348 / 体積比C〜D相当

ハルケギニアにはブラがないし、見た目的にも揉みごたえ的にも体積比で比べた方が正確です。現実でもUBが細いとカップが大きくても小さいですし。
体積の小さい順に並べると、タバサ、ルイズ、モンモン、シエスタ、アンアン、キュルケになります。これは作中描写通り。
体積比だけであえて「○○は×カップ」と呼ぶとすれば、タバサAA、ルイズB、モンモンB、シエスタC、アンアンD、キュルケG。
実測値とくびれ具合(UB―W―Hのライン)も鑑みれば、タバサAA、ルイズA、モンモンB、シエスタD、アンアンE、キュルケHと呼ぶのが妥当なとこだと思います。

ちなみにくびれ具合は寸胴な順に、タバサ、モンモン、ルイズ、シエスタ、アンアン、キュルケでした。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:17:14 ID:TmnT9HwJ
>>170
問題はタバサに毛が生えているかどうかだ。
案外ルイズも生えてないもん!とかな気もするが・・・・。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:19:25 ID:tuVFeIq4
カズフサを召喚するならやっぱり自慰の最中がいいと思うんだ
原作1話的に考えて
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:23:25 ID:ggMksBqo
そんなんやったら避難所へ行かんかいw
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:25:38 ID:4ansjjSb
>>172
避難所でどうぞ
177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:26:38 ID:EvmCGJXz
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:27:41 ID:QM5gmFDq
>>173
タバサ「モッサモサ・・・」
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:30:13 ID:SmjdBB8I
>>167
避難所にある設定考察スレの内容を貼ってる馬鹿がいるのよ。
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 22:30:18 ID:bkQL8mpf
エアギアとのクロスで、別の意味でゼロ認定されたルイズがいたっけ……
181モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:01:19 ID:uMY6hSJb
どうも以前小ネタで枕返しを投下させて頂いたものです。
このスレで丑の刻参られたせいかいろいろと最近アレでナニなもので続きをひっさげて帰ってました。

予約なければ2315頃から投下よろしいでしょうか?
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:03:03 ID:G87lidTl
>>181
五徳かぶって待ってます。
183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:08:33 ID:eB5X9QCi
うお、楽しみだ。今のうちにまとめで旧作読んでくる。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:09:06 ID:iDM5/zio
>>172
この流れで長文コピペとか頭沸いているとしか……('A`)
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:09:24 ID:FJwWy1w3
奇々怪々っぽく待ってます 支援
186名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:09:56 ID:+7eYVGiq
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
支援でござりますれば!
187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:13:37 ID:6UrcMu7L
貴女が蜘蛛だったのですね――支援。
188モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:14:32 ID:uMY6hSJb
※この小ネタはいろいろとキャラが違ったり、設定が食い違っていたり、一五巻を投げっぱなしジャーマンですのでそのあたりに嫌悪感を催す方はまわれ右をお願いいたします。
 それでも良い方は気合いでダ○ターンカムヒア!
 微妙に前作と話が繋がってたり繋がってなかったりします、前作のモノノ怪『枕返し』をお読みいただくとより一層カムヒア! するかもしれません。


 それでは――今夜も吐息残すだけカイッ!


 前回のあらすじ

 狂王ジョゼフの失踪によってにわかに動き出すオルレアン公派、もはや担ぐべき主を失った彼らはシャルルの娘であるシャルロットを担いで内乱を起こそうとする。
 それを嫌ったタバサは友人たちと共に母を連れ出そうと深夜こっそりと実家を訪れるが……
 
 

189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:15:15 ID:+7eYVGiq
蜘蛛のマシンで今日も飛ぶのさ支援
190モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:15:29 ID:uMY6hSJb

 愛と憎悪は表裏一体とよく云われる。
 “思い”と言う形の対極にあるのではない、ほんのすぐ側で隣り合う双子の兄弟なのだと。
 ならば憎悪の反対はなんだと問われれば、帰ってくる言葉は“無関心”
 憎しと思うことと愛しと思うことは同じく一つのことに執心していると云うこと。
 ならばその裏側にあるのは“どうとも思わない”と云うことなのだと。
 成程、的を射た内容だ。
 ではそうなると分からないことが一つ。
 愛と憎悪が隣り合わせの兄弟だとしたら、その狭間には一体何があるのでしょうね?

 そうそう兄弟と言えば、あの二人も……



 モノノ怪――絡新婦


 さぁさぁお立会い、人形劇が始まるよ!
 そこ行くご婦人も鼻水垂らしたがきんちょも、乞食も骨拾いもみなみな気軽によっといで。
 なんたって御足はただ、無料、ゼロの大盤振る舞い!
 暇な奴は見ないと損をするぜ!
 此度の演劇は女郎蜘蛛、出来そこないと馬鹿にされた一人のメイジが呼び出した薬売りと狂ったご婦人のお話だ。
 狂気と凶気の入り混じるおぞましき怪奇談、オルレアンの屋敷に這い寄るモノノ怪の物語!
 おっとバラしちまった、そうさこの話はまんざら嘘って訳でもない。
 ちょうど一昔前のきな臭かった時代に、この国で実際あった話なのさ。
 なに? モノノ怪なんざいる訳がないだと?
 そんなことはない、モノノ怪はいるさ。人の心が闇で淀んだときその奥底から湧きあがってきやがるのさ。
 だからこれはモノノ怪の話、馬鹿共が何も考えずに革命だ革命だ叫んでいた時代のガリアに血の雨が降ったあの時代の。
 くだらない愛憎劇の形と真と理の姿なのさ。
 さて、そろそろ始めようか。

 むかし、むかしあるところに……


191モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:17:31 ID:uMY6hSJb
 絡新婦――序の幕


 ぴちゃりと水音がした。
 続いて首筋に感じる冷たい感触。
 部屋のなかなのに何故? 雨漏りでもしているの?
 そう考えて天井を見上げたルイズは引き攣るように身を強張らせた。
「ひっ!?」
 そこには死体が引っ掛かっている。
「なによこれは!?」
 いくつも、いくつも、いくつも。
 数は十か二十か、それとも星の数ほどか。
 元の形を留めぬ肉の群れ達は、まるで一枚の影絵のよう。
 部屋の中央から八方に伸びるその形は、蜘蛛。
 ふらふらとその八本の足を震わせる女郎蜘蛛。
「これは難儀な……」
 風に震えるいくつもの死体がその体の血をまき散らし、瓦礫だらけの地面に落ちた滴がしゃしゃしゃしゃと笑い声のような音をかき鳴らす。
 憂いに満ちた声でその薬売りは言った。
「あんた――なんでこんなところに!?」
「あなたは確かルイズが召喚したエルフじゃない、なんでこんなところに居るの!」
 ひゅんと音を立てて薬売りは傘を振った。
「エルフと言うのは正しくありませんね」
 傘ははらりといくつもの札にばらけ散り、張り付いていた血をを足元に吹き飛ばした。
「私はただの薬売りですよ」
「そ、その薬売りがなんでこんなところに来るのよ!」
「それがですね、心を狂わすエルフの毒薬の解毒薬のご所望があるとのことで」
 薬売りの言葉に真っ先に食らいついたのはキュルケだった。
「本当!?」
 親友の顔に笑顔を取り戻すことが出来るかもしれない、その可能性はキュルケは飛びついたのだ。
「ええ、効くかどうかはわかりませんがね」
 そうして薬売りは背中の行李から徳利型の瓶に入った紅玉色の薬を取り出した。
「此処に、こうして」
「買うわ!」
 そう言って瓶を掴もうとしたキュルケの手は空を切り、薬売りはルイズ達に背中を見せる。
「なによ! 此処まで来て焦らすつもり?」
「いえ、そうではなく」
 その時オルレランの屋敷に響き渡ったのは、血を吐くような悲痛な叫び声。
「どうやら、手遅れだったようで」



 パンパン 

 さぁてここいらで一息休憩だ、そこのずっと小便を我慢してた坊主、そうお前だお前。
 今のうちに行って来い、何も言わずにふらっといなくなったりなどせんさ。
 とりあえずここいらで登場人物の紹介といこうか、まずはこっちの桃色の毛をした絶対に嫁さんにはしたくない感じの人形が『ルイズ』
 次にこっちの牛みたいな乳をした人形が『キュルケ』
 そしてその横の蒼い髪の人形がこの物語の主役、『シャルロット』だ。
 こいつはえらく不遇な生い立ちをしていてな、彼の有名な『無能王』によって跡目争いで父を殺され、挙句母までエルフの毒薬で狂わされ。
 『タバサ』と言う偽名を名乗って母を助けるための人形になろうとしてきた、哀れな娘だ。
 そんな人形娘に襲いかかるのは果たしてどのような凶事であろうか?
 さぁさぁ二幕がはじまるぞ、近くばよって目にも見よ! 遠くあるならば耳に聴け! 

 その館にて猛り狂う怪異の形と理と真。
 その幕開けから幕引きまでをな!


 
192名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:18:09 ID:6UrcMu7L
オルレオン公家で化粧をしない女だ!支援。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:20:05 ID:+7eYVGiq
支援
194モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:20:11 ID:uMY6hSJb
 絡新婦――二の幕


 もしこの場に詩人がいればその部屋の様子をきっとこう評したに違いない。
 積み重なる死体と死体と死体がまるで地獄のゴミ捨て場のようだ、と。
 血に濡れた寝台の上にうず高く積まれた数知れぬ死体はこの屋敷を襲った傭兵たちのものだ。
 簡単な依頼、詰まらない割に入りのいい仕事。
 そう思ってラグドリアン湖のほとりを大挙してやってきた彼らは無残な姿を晒すことになった。
 
 ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃ、ぐっちゃぐっちゃ

 おそらく戦場で死んだ方がまだ赦しがある。
 少なくとも人として死ぬことが出来ただろうから。
 かつて一人の狂わされた女が人形と共に横たわっていたその寝台の上には、無数の死体とそこから捏ねあげられた肉団子と共に、一匹のモノノ怪が佇んでいる。

「あ、ああ……」

 ぐちゃぐちゃを不快な音を立てて肉団子を貪り食っているのは巨大な一匹の蜘蛛だ。
 いや食べているのではない、八本の足を器用に動かしながら一度咀嚼した肉を捏ねまわしぐちゃぐちゃの小さな肉団子にしてから、その手の一本に持った人形の口へと押し当てている。
 勿論人形は人肉団子など食べられない、だが脆くなり破けた人形は口に当たる部分がその体内に肉片を飲み込んでいく。
 肉を詰め込まれパンパンに膨れ上がった人形が足から腹から肉をはみ出させた姿は、グロテスク以外の何者でもない。

「ひっ!?」

 やってきたキュルケ鋭い悲鳴、それが気を引いたのかゆっくりと蜘蛛はその八つの眼を二人へと向けた。

「キュルケ!」
「シャルロットォォォォォ」

 我に帰ったタバサがキュルケの手を引いて走り出すのと、蜘蛛が金切り声の雄叫びを上げるのは同時だった。
 蜘蛛は優しく人形を肉の布団に横たえるとその体を大きく伸ばし、壁に八本の足を這わせて走り出した。
 その蜘蛛の背中には一人の女の顔が張り付いている。


 逃げている途中でタバサはそのことに気がついた。

「母さま!」

 フライの魔法を解き、その化け物に走りだそうとする。
 そんな親友をキュルケは必至で押さえつける。

「馬鹿っ、死にたいの!」

 力ずくで抑えつけても尚元来た道を戻ろうとするタバサにキュルケの心は焦る。
 まだ距離があると言ってもモノノ怪の動きは極めて素早い、見るのもを惑わすような動きで這い寄る蜘蛛は二人を目指す。

「母さまっ!母さまっ!」
「シャルロットォォォ、殺ス、シャルロットを傷つける者、殺ズ、殺ズゥゥ!」
 
 狂ったように吠えるその顔が唐突に爆発した。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:20:58 ID:+7eYVGiq
もぐもぐごっくん支援
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:21:23 ID:eB5X9QCi
支援。
197モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:21:58 ID:uMY6hSJb

「キュルケ!タバサ!」
「こちらへ!お早く!」

 壁に掛けられたシャルルの彫像画をペルスランが破ると、その下から現れたのは堅牢な鋼の扉。
 それに手を掛け開けようとしたペルスランは焦った顔で叫び声を上げる。

「錆びついている……くそっ、開け、開け!」

 力任せに扉を引くペルスランの右腕に差し出される手。
 それは先ほどから黙って状況を傍観していた薬売りのものだった。

「いっせーの、でいきましょう」
「はっ、はい! それでは」

 ルイズも混じり鋼の扉に手を掛ける。

「いっ」
「せー」

 「の」をルイズが言おうとした瞬間、重い音を立てて扉は開いた。
 三人で引っ張っていたのとは逆の方向へと向かって。

「五月蠅いな、おちおち寝られやしない」

 そう言って現れたのは痩身蒼髪の見目麗しい美青年。
 破り捨てられた肖像画と同じ姿の、全く年老いた様子のない、若きガリアの王子がそこに居た。

「シャルル、さ……ま?」
「やぁペルスランか、久しいね」

 そう言ってシャルルは笑うと、その後方に視線を移した。

「どうやらとんでもないことになっているらしいね、とりあえず入るといい」

 そしてシャルルは驚く一同を全員を迎え入れ、地下室に響くその麗しい声で。

「ようこそ我が宮殿へ、なんにもないところだがなんとかお茶くらいは出せるだろう」

 その言葉と同時に扉は閉まりすべては全き闇へと包まれた。
 隣にいるものが誰かすらわからない、完全なる闇。
 扉の向こうからはすさまじい力で扉を叩く音が何度も響いていた。
 だが薬売りによって結界が施された扉は幾度打ち抜かれようともびくともしない。
 ――ただ徒労な音だけがラグドリアンの畔に木霊する。


198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:23:16 ID:+7eYVGiq
支援
199モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:24:27 ID:uMY6hSJb

「ぼくはね、人形さ」

 そのシャルルの姿をしたものはそう名乗った。

「スキルニル、本当に便利な代物だよね。血を与えた相手の能力をそっくりそのまま写し取り再現する」

 シャルル以外の者たちは何も言えず。
 ただ陽気のシャルルの声だけが響く地下室を、さらに地下へと向かって降りて行く。

「もっとも最初に与えられた役割以上のことは“やろう”と考えられないのが欠点かな?」
「最初に与えられた役割?」
「そうさ、それがぼくの存在意義そのものだ」

 そうしてシャルルはタバサを抱きしめた。

「シャルロット――ぼくの愛しい娘、君を守ること」
「父さま……」

 感動の親子の抱擁、それに水を差す声が一つ。

「何故、今頃になって?」

 それは言われてみれば疑問に思って当然の疑問であった。
 妻が毒を飲まされ、娘が死地へと赴かされても、何故平然と屋敷の地下で一人のチェスに高じていたのか?

「ぼくは、ぼくの本体はやっぱり兄さんを信じていたんだろうね」

 嘆く声は一見すると悲しそうでいて、しかし人形らしく全く感情が籠ってはいない。

「ぼくが居なくてもきっとガリアを素晴らしい国にしてくれる、愛しい人たちを守ってくれる――だからもともとこのぼくはその兄さんに万が一のことがあった時動きだすように作られたんだ」

 そしてシャルルはくつくつと笑った。
 全部手遅れだと、兄の脆さに気付けず保険として用意した自分の起動条件を定めた己の愚かさを。
 人形は嗤い、そして薬売りに向き直った。

「さて次は君の番だ、あの怪物は一体何なんだい?」
「あれは――モノノ怪」

 薬売りは闇の奥からシャルルに向かって告げる、その声はどこか険があった。
 もっともそれもいつものことだ。
 この異様な風体をした人物が何を考えているかなど、そうそう周囲の人間に推し量れるものではない。

「モノノ怪を為すは人の因果と縁、モノノ怪は――斬らねばならぬ」
「斬らねばって、あなたあれが倒せるの!?」

 薬売りは背負った行李から一本の剣を取り出した、柄に赤い鬼の顔が彫りこまれたその剣は見た限り特別な魔法がかかっているようには見えない。

「これは退魔の剣、モノノ怪の形と真と理、その三つにあればこの剣でモノノ怪を斬ることができるでしょう」
「真と理?」
「ええ、真とは事のありさま、理とは心のありさま。それがなければ――剣は抜けない」
 
 故に

「絡新婦の真と理お聞かせ願いたく」
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:24:56 ID:+7eYVGiq
支援
201モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:25:42 ID:uMY6hSJb



 おう、がきんちょ驚いてるな驚いてるな。
 此処がこの人形劇の一番の勘所だからまぁ当然か。
 殺された筈のオルレラン公が語るモノノ怪の正体と驚くべき真実。
 死を前にした母の想いが人形に宿り、あの怪異を生み出したのだろうと。
 だが何故シャルルのスキルニルはそんなことを知っている?
 気になるだろう? 気になるよな?
 だったら最後まで聞いていけ、この惨たらしくも切ない人形達の劇の結末を!
 

 
 ――絡新婦 三の幕


「成程、確かにそれならば辻褄は合う」
「タバサを守りたい、守らなくちゃそんな思いがあんな形で噴出したってこと?」
「そうとしか思えないね、もし本当にあの化け物が――ぼくの愛する人の心を因果にして現れたのならば」

 悲しそうに言うシャルルを薬売りは睨みながら、退魔の剣をずいと差し出した。

「まだ、足りない」
「足りない?」
「なんだ、何を隠し……」

 ものすごい爆音と共に地下室に陽光が射した
 そこからゆっくりと差し込まれたのは蜘蛛の足、いくつも差し込まれたそれがゆっくりと入口を押し広げゆっくりと中へと身を滑り込ませる。

「来たわっ!」

 シャァァァァアアアアア!
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:25:54 ID:+7eYVGiq
支援
203モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:26:09 ID:uMY6hSJb
吠え猛るその顔先に巨大な氷柱が叩きつけられた。
 氷柱は蜘蛛の体に突き刺さると急速に成長し、地下室の入口ごとオルレランの屋敷の天井をまで貫く氷の針毬となった。

「行こう、これでしばらくは追ってこれないだろうから」

 杖を構えたシャルルはこともなげにそう言った。
 そのシャルルを薬売りは厳しい目つきで睨んでいる。

「ところでどうしたんです?」

 めきりと氷が軋みをあげる。

「その額は」

 陽光に照らされたシャルルの顔。
 その額には六つの光が灯っていた、紛れもなく蜘蛛のものだと分かる蒼い光の複眼が。
 シャルルは驚いたように自分の額を抑え、そして……
 蜘蛛がシャルルの体を捉えたのは次の瞬間のことだった。

「父さま!」

 他の人間が止める間もなく蜘蛛はシャルルに食らいつき地の底に引きずり込もうとする。
 キュルケが、次いでタバサが怯えるように杖を構える。

「離しなさいこの化け物!」
「父さまを、返せ!」

 炎の弾丸と巨大な氷の槍が女郎蜘蛛へと突き刺さる、体を蝕む痛みに女郎蜘蛛はその腹にある顔を歪め、悲痛な叫び声をあげた。
 いくら父を救うためと言えど母の顔をしたものを傷つけることは辛いのかタバサは悲痛な表情を見せる。
 
 その瞬間を薬売りは確かに見た。
 シャルルの顔が嬉しそうな笑顔に歪むのを。

「まさか、モノノ怪の真は……」

 女郎蜘蛛の血の飛沫が飛ぶ、その泡沫に薬売りは一つの祈りを見た。




「くだらん」

 周囲には数限りない人形の群れ、可愛らしいぬいぐるみから、鉄で出来たような材質のもの、護謨のような質感の存在も見受けられる。
 人形相手の人形劇、これまで読みに読み切った流れで未来を演じてきたがここまで予想通りに運ぶと本当に下らないと言うよりない。
 だがおかげで暇は潰れた。

「そろそろ幕を引きにいこうか、出番が終わった役者がいつまでも舞台に立ち続けるのは些か見苦しいからな」

 そうしてジョゼフは椅子の上から重い腰を上げた。


204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:26:52 ID:6UrcMu7L
それが絡新婦の理なのですから――支援
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:26:58 ID:+7eYVGiq
支援
206モノノ怪『土蜘蛛』:2008/09/24(水) 23:27:35 ID:uMY6hSJb
 土蜘蛛 大詰め


「ふはは、ふははははは!」

 シャルルは笑っている、その杖の先からいくつもの氷槍を打ち放ち、まるで昆虫採集の虫のように壁に縫いとめられた蜘蛛を串刺しにしながら。
 楽しげに楽しげに笑っている。
 その姿を見る者たちは一様に顔を蒼くし、その惨劇を見守っている。

「父、さま?」
「なんだい? シャルロット」

 あたりは闇、故に優しく微笑んでいるであろうその貌は誰にも見えない。
 見えないと言うことは“存在”しないのと同じこと。
 それはまるで幽霊か、或いは……

「そこまでにしておけよ、偽物よ」

 闇の奥から朗々と朗々と、響き渡る声。

「シャルルの顔でこれ以上好き勝手するのは、さすがに許せんぞ?」

 魔法のカンテラを右手に持ち、歪んだ王冠を面倒そうに腰に吊るし、赤いマントを翻し地の底から向かってくるその男はジョゼフ。
 無能とうたわれる、ガリアを統べる一人の悲しき王だった。

「馬鹿な、何故お前が此処に!?」

 何故彼がこんな場所にいるのか? その理由は薬売りが知っていた。

「随分と遅かったではないですか」
「無茶を言うな、隠遁先のアルビオンから竜籠を飛ばしに飛ばして挙句虚無の呪文の“加速”まで使ってきた助っ人になんと言う言い草だ」

 そう言ってからジョゼフは大笑した。

「もっとも顔を出す機会を逸したせいで、出番まで随分と暇つぶしをすることになってしまったがな」
「まったくあなたは悪ふざけが過ぎる」
「それが俺だ――仕方あるまい。さて偽物よ、お前の正体見せて貰おうか」

 そう言ってジョゼフは右手のカンテラを突き出した、闇の中に照らし出された真白い顔、端正なその後頭部からは長い長い角が伸びていた。
 ――否、それは足。
207モノノ怪『土蜘蛛』:2008/09/24(水) 23:28:40 ID:uMY6hSJb

 シャァァァァアアア

 にやりと笑ったシャルルを威嚇するように蜘蛛が吠える、その叫びは風となり、シャルルの纏ったマントをはためかせた。
 光に照らし出されたそこにあったのは――顔。

「母、さま……?」
 
 それは確かにシャルロットの母親の、オルレアン夫人の顔であった。
 もっとも実の子であるタバサまでが一瞬とは言え母と断じきれなかったのは、その憎悪に醜く歪んだ醜悪な表情が原因だった。
 ところどころからははみ出した蜘蛛の足や髪、そして破れた身体から覗く女の顔。
 ずるりと隙間から顔を突き出した彼女は歪んだ顔でタバサを睨みつけ、その八本の腕を伸ばした。

「死ねっ!」

 タバサの首に黒と黄色の毒々しい腕が首に纏わりつき、力の限りに少女の命を奪わんと締め付ける。
 愛した母の裏切り、その事が信じられず、起こった状況に全く理解が追い付かず、タバサは祈るように。

「母、さ…ま……」

 手を、伸ばす。

「父さ、ま……」

 視界の端には蜘蛛、氷で串刺しにされたそのもう一匹の蜘蛛が吠えた。
 ――シャァァァルロットォォォォ

 巨大な蜘蛛の背中、母の顔をした背中が二つに割れる。めきりと肉を引き裂き紫色の体液をまき散らしながら、蜘蛛の胎内よりソレは生まれた。

「ルーを返せ」

 開口一番ソレが言ったのはその言葉。
 紫の血で汚れた人形はその身の丈ほどもある剣を右手に持ち、黒いボタンで出来た二つの眼でまっすぐにタバサを見つめていた。
 その人形の名前もまた『タバサ』
 一人の母親が、一人の娘へと贈った、一つの祈りが込められた人の形をした想いの形。
 人形は一足飛びにタバサへと駆け寄ると、その首に絡みついた蜘蛛の足と両断した。
 痛みに叫び声を上げる女郎蜘蛛へ向かって、人形は言った。

「あの娘はお前の妻なのか?悪い竜はイーヴァルディに問いかけます」

 パンパンに肉を詰め込んだ人形の手足が伸びる、子供が大人になる姿を早回しで見るかのように、タバサと名付けられた人形は一体の屈強な剣士へと姿を変えていた。
 あたかも、自身が語る“イーヴァルディの勇者”の主人公のように。
 呆然と薬売りはつぶやいた。

「これは、土蜘蛛――なのか?」

 それがもう一匹のモノノ怪の形、この屋敷を襲った怪異の形だった。

「違う」

 人形は、いや土蜘蛛は薬売りに一つのロケットを手渡した。
 受け取った薬売りはそのロケットを開く、職人の手によって細やかな細工が施されたそのロケットの奥には、三人の家族が仲睦まじく笑いあうと言う構図の肖像画がはまっていた。
 だがその肖像画からはシャルルが抱き上げている幼いシャルロットの顔が、爪らしき傷によって偏執的なまでの執拗さで削り取られている。
 おぞましさを誘う異様な光景。

「これは……」
「女郎蜘蛛の、理」
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:29:07 ID:+7eYVGiq
支援
209モノノ怪『土蜘蛛』:2008/09/24(水) 23:30:58 ID:uMY6hSJb

 かちん

 微かだが、確かに。薬売りはその言葉を聞いた。

「なんの関係もない。ただ、立ち寄った村で、パンを食べさせてくれただけだ」

 そう言って再びイーヴァルディの勇者の一節を高々と読み上げると、土蜘蛛は女郎蜘蛛へと向かっていく。

「これが理なら、真は……」
「エルフの薬か」

 かちん

 ジョゼフの言葉に答えたのは退魔の剣。
 それがジョゼフの推察が正しいことを告げていた。

「あれは、人の心の有様を裏返す薬だった」
「愛を憎悪に、憎悪を愛に、心の有様はそっくりとひっくり返す毒」
「そうだ俺は、シャルルから家族からの想いを奪ってやろうと……」

「それでぼくは命を賭けるんだ!」

 高々と告げる言葉は風車に挑むドン・キホーテの如く。
 まるで与えられた劇の台本をなぞるように土蜘蛛は地を蹴った。
 女郎蜘蛛はそれを迎えるように五本になってしまった毛だらけの腕を広げる。
「愛してる、愛してるわシャルル!」
 そう言いながら体液を零す女郎蜘蛛に向かって土蜘蛛も突進し、その身体を串刺しにされながらも蜘蛛の顔へと剣を突き立てた。
 その剣の煌めきに、薬売りは一瞬忘我する。
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:34:09 ID:eB5X9QCi
さらに支援。
211モノノ怪『絡新婦』(代理):2008/09/24(水) 23:39:22 ID:+7eYVGiq
 束の間の白昼夢、そこで出会ったのは若い一組の蒼い髪の夫婦だった。
 二人はラグドリアン湖を望む小高い丘の上で、草の絨毯に腰を下ろし、穏やかな午後の時間を楽しんでいた。
『もうあなたったら、私のお腹に夢中なんだから』
『しょうがないさ、子供が可愛くない親なんていないんだもの』
『まるで子供みたい、名前はもう決めてあるのよね?』
『ああ、男の子だったらタバサ、女の子だったらシャルロットにしようと思う』
『そう、じゃあ片方の名前をこのお人形に貰っていいかしら?』
『それはいいけど、何故?』
『だって守ってくれそうでしょう? 大切な私たちの子供を』
『そうだね、あーあほんと早く生まれて来ないかな、可愛い可愛いぼくらのあかちゃん』
『ふふ、けれど妬けちゃうわね。我が子ながらあなたにそれほどまで愛されているなんて』

『もし自分の子じゃなかったら、嫉妬で縊り殺しちゃうかもしれないわね』

「これ、は……」
 一瞬で場面は変わり、暗く狭い暗黒の空間のなか一人の青年が薬売りの前に立っている。
『これが、土蜘蛛の真』
 必要なんだろう? そう言って青年は薬売りの右手の剣を指差した。
『斬ってくれ、彼女と一緒に』
 疲れ果てた声に薬売りはゆっくりと瞼を閉じ、そして見開いた。
「承知!」
 薬売りは退魔の剣の柄に手をかけ、
「ならば解き!」
 引き、
「放つ!」
 抜いた!

 ――とぉぉきぃぃはなぁぁぁぁぁあああああつ
212モノノ怪『絡新婦』(代理):2008/09/24(水) 23:40:10 ID:+7eYVGiq
 絡新婦――大詰め


「これじゃない、これでもない」
 ジョゼフは片っぱしからオルレアンの屋敷をひっくり返していた。
「これも違う――お、これか?」
 さんざん散らかした末に寝台の下に奇妙な鍵穴を発見、ロケットからこぼれ出た鍵を差し込んで回すとかちりと音を立てて鍵ははずれた。
 出てきたのは一冊の日記帳だ。
「ええとなになに、愛しいシャルロット……」



 愛しいシャルロット、もしあなたがこれを読んでいると云うことはもう母はこの世にはいないでしょう。
 それが自殺か、あなたの手によってかはわかりませんが、しかしせめて母として最後の矜持してあなたに罪の意識を残したくありません。
 ですからこの言葉を残しておきます。
 すべてのことの始まり、と言っていいかは分かりませんが元凶とでも言うべきものがいるとするならば――それはおそらく私でしょう。
 貴女が私の体に宿ったとき私は喜ぶと同時に思ったのです。
 ――あの人の愛が私以外に注がれるなど我慢できない。
 勿論くだらない嫉妬です、ですがそのおぞましい感情は日に日に私のなかで大きくなっていきました。
 少しでも気を許せば“母”ではなく”女”として行動してしまいそうになるほどに。
 だからせめてあの人とあなたの前でだけは、必至で良き母たろうと己の心を押し殺してきました。
 汚い心は夜な夜な地下室に押し込めて、あなたの姿をしたスキルニルをバラバラにすることでなんとか心の平衡を保っていたのです。
 それが崩れたのはあの毒を呷った日から。
 狂った憎悪はずっとあなたに与えてあげたかった愛情に、欠片ほどあった親愛はいたずらな悪意に。
 人の心を裏返すの毒の力を借りて初めて、私はあなたの母となることが出来たのですが。
 ですが時間がありません、もしこの薬の効果が切れれば私はきっとあなたにひどいことをしてしまいます。
 狂気に満ちた愛と憎悪の捌け口にしてしまいます。
 そんなことは耐えられません、だから――私は毒を呷ります。
 地下室に隠してあったあなたを狂わすための蜘蛛の毒、愚かな女が用意してしまった過ちをこの肉体で償いましょう。
 ああ、あの毒を飲んで初めてわかりました。
 母は確かにあなたを嫉妬し憎悪していましたが、それと同じくらい愛してもいたのです。
 ――だって毒によって狂っている今ですら、貴女が泣きじゃくる姿を想像すると楽しくてしょうがないのですから。
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:40:50 ID:eB5X9QCi
ここで支援の一手。
214モノノ怪『絡新婦』(代理):2008/09/24(水) 23:40:59 ID:+7eYVGiq
 最後のページを読み終えたタバサはゆっくりとその日記帳を閉じた。

「彼女がこれほどの闇を抱えていたとはな……」

 沈鬱にジョゼフは言った。

「まったくあいつも罪な男だ」

 そう言ってジョゼフは空を見上げた、今頃天国でにゃんにゃんやっているのだろうか? そう考えると無性に腹が立つ。

「そう思わないか? シャルロット――シャルロット?」
「嘘、こんなのは嘘、嘘、うそ、うそうそうそうそうそうそ」
「おい、シャルロット!?」

 机の上に置いてあった天秤がゆっくりと傾いて行く、これは不味い兆候だとジョゼフは思ったが、しかしどうすればいいか全く分からない。

「うそうそう――痛っ!?」

 その言葉が止まったのは二匹の蜘蛛ががりりとタバサの手を咬んだから。
 タバサが見つめる前で二匹の蜘蛛は揃って天井裏へと消えていった。

「全く、夫婦喧嘩は犬も食わないと言うのに」
「犬は食わなくてもシルフィなら食べるのね、どんと来いなのねきゅい!」

 そのはるか頭上で溜息をつく薬売りが、一人。
 見下ろせば溢れたラグドリアンの湖が形作る巨大な一匹の蜘蛛。
 それがもそりと体を揺らし、オルレアンの屋敷に手を伸ばした。

「全く、面倒くさい」

 その肩には二匹の蜘蛛が身を寄せ合って座っている。
 仲睦まじく、まるで本当の風のように



 モノノ怪『絡新婦』  了
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:47:03 ID:6UrcMu7L
この世に不思議なものはない――乙でした。
216モノノ怪『絡新婦』:2008/09/24(水) 23:47:13 ID:uMY6hSJb
以上でございます。

長編書かずに何をやっているだぁー! と言うお叱りも最もでございますがつい……
一五巻は一通り眼を通しましたが、な、なんだってーry とネタバレになるのであえてスルーさせて頂きました。
とりあえずシャルルとタバサママンが途中からほとんどオリキャラになってて凹んでおります。
こんな作品でも楽しんでいただけたのなら恐悦至極、投下してから気づいたいくつかおかしいところは後日修正させていただきます。
それでは、良い夜を。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:49:20 ID:+7eYVGiq
改めて乙でござりましたー!
218名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/24(水) 23:53:23 ID:LUWXnV2Z
乙でありました!
読んでるうちに巷説百物語の柳女を思いだしました
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:53:48 ID:eB5X9QCi
貴方のおかげで良い夜になりましたぁー!

次回作も期待しております。
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 23:54:54 ID:42NXgVFY
ござりましたー!

もう一度読んできますね。別に理解力が低いからじゃないよ?
良い作品だったから、ぼくはもう一度読むんだ!
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 00:03:28 ID:jAMlQcn4
お疲れ様です。
いい話でした。
ただタバサが可哀想・・・・でもクロス元が元だけに仕方ないですよね。
出来たらルイズやキュルケの場合も書いてください。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 00:39:06 ID:5aBEPDQv
影の薄いワルドやカトレアもひとつよろしくお願いします。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 01:22:41 ID:CNiAUJdn
そういえば最新巻にもワルドは出ていないの?
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 01:26:45 ID:Dk5OYYDr
仮面をつけた謎の騎士がサイトに決闘を挑んでくるよ!
しかも風のスクウェア
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 01:29:23 ID:8bDgm05r
まーた安易な
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 01:36:45 ID:XQMTRjgu
SSの内容が18禁な展開ってどれくらいがラインなのかな?
菊地秀行レベルはアウト?
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 01:53:28 ID:X5k4/GJy
>>226
原作、同レーベル準拠

かのこんレベルまでOK!?
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 01:54:01 ID:YDCJCV21
パンツがちらりと見えただけでもアウト
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 01:58:43 ID:b7+JGIsx
つまりパンツじゃなければいい。こういうわけだ。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 02:13:10 ID:dW6lOQrs
パンツじゃないから恥ずかしく無いもん!
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 02:35:34 ID:RKnO+Zev
ゲルトさんがルイズに目を付けたようです。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 02:37:42 ID:MgDqh6xq
(ツンデレ妹…アリだな)
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 02:42:10 ID:DlrAngAw
ゲルトさんマジ自重

ゼロ戦がストライカーユニットになるのか?
234ゼロの独立愚連隊:2008/09/25(木) 05:34:36 ID:4A2g+Oi9
おはようございます。
久方ぶりでアレなので誰もいないうちに投下を。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 05:35:03 ID:5J6rtmgc
みーてーるーよー
236ゼロの独立愚連隊 1:2008/09/25(木) 05:35:58 ID:4A2g+Oi9
 タンッ
 タンッ
 厨房への馬車用搬入口を兼ねた空き地にボウガンの弦が弾ける音が響いて
いる。
 先ほどギーシュが完成させた最初のボウガン、その使い方をサモンジから
教わったタバサは、早速その試し撃ちをしているところだ。その音を聞きな
がら、もう一つボウガンを作っているギーシュがぽつりとこぼした。 
「さっき、退学届けを出してきたよ」
 そこで言葉を切り、錬金を唱えてばねの板厚を少し増やしてはその弾力を
確かめる。続けて、サモンジの注文でボウガンの後部に銃床を造る。
「なんだろうね、昨日の朝には『こんな仕打ちに負けるものか』って思って
いたんだけど……ははは、情けない限りだよ。家に知られれば勘当物だし、
家にも帰れない……ありきたりだけど、メイジくずれの傭兵にでもなるつも
りだよ」
 言いながら造った銃床を肩に当ててボウガンを構えて具合を確かめる。
「ああなるほど。こうやってしっかり構えられるようにするのか……それじ
ゃあ一応完成だ。全く、これでお別れだからといって平民相手にタダで武器
を錬金してあげるなんて破格のことだと自覚してくれよ? さあ調整するか
ら具合を確かめてくれ」
「ああ、うん」
 ギーシュの手からできたばかりのボウガンを受け取り、早速何度か構えて
見た後に弦の具合を確かめる。ギーシュもサモンジも、お互い特に会話らし
い会話も無く淡々と作業が進む。周囲にはタバサの試し撃ちの音だけが響き
続ける。
 ひとしきりボウガンの調子を見たサモンジが、ギーシュへ口を開く。
「ギーシュ君。私がこっちに来る前、ルイズちゃんの使い魔になる前に傭兵
やってたのは話したよね? ついでに言うと、私はその前は大学に居たんだ」
 引き金を引いてボウガンの弦を弾ける様子を確認する。できればもう少し
反発のあるバネで弦を作りたいな、などと片隅で思いながらいつもの世間話
と同じ調子でギーシュに言う。
「その大学ってよその国でも知られる結構な有名どころでね。だから、そこ
からドロップアウトするのはいろいろ言われるもんだよ。私も何人か見たか
らね」
「……そうかい」
「だからギーシュ君のことも応援するよ」
 へっ、とギーシュが頓狂な声を上げる。今のギーシュにまともな対応をし
てくれそうな相手と思ってサモンジに愚痴を溢していたのだが、正直に言え
ば自分の恥を晒す代わりに慰めや叱咤を貰いたかった、というのがギーシュ
の本音だった。
 いや、普通に考えれば今のは「どうして?」とか「なんだって?!」とか
言うところだろう。それをあっさり「応援するよ」などと受け入れるという
のは、ギーシュも完全に予想していなかった対応だ。サモンジがどんな顔で
今の言葉を言ったのか、そう思ってサモンジの顔を窺うギーシュだが、サモ
ンジは普段とあまり変わらないのんびりとした表情でボウガンに顔を戻して
いた。いつの間にか試し撃ちをやめて戻ってきたタバサが、横から興味深そ
うにサモンジのボウガンに取り付けられている銃床と照星を見ている。
 今の言葉の真意が分らずただサモンジの方を見つめながら悩むギーシュだ
ったが、その視線に気づいたサモンジが振り向きにっと笑う。
「はっはっは。どうせ世の中なるようにはなるし、なるようにしかならない
ものさ。だったら悩んで縮こまるよりも、これでいいんだって開き直ったら
どうだい?」
 からからと笑いながらギーシュの肩をバンと叩くサモンジ。立ち上がり、
その頭にぽんぽんと手を当てながら語りかける。
237ゼロの独立愚連隊 2:2008/09/25(木) 05:36:42 ID:4A2g+Oi9
「ギーシュ君も周囲に冷たくされる中で勉強するよりも、一度環境を変えた
方がいいと思ったんだろ? だったらいいじゃないか。この学院を卒業した
っていう肩書きを捨てることができるほどの決意なんだ、馬鹿にしたりはし
ないさ」
 呆然とする。ギーシュの意識としては、周囲の冷たい視線と言葉、そして
友人と恋人に裏切られたということを理由に学院を辞めるというのは弱さ故
の末路だと思っていた。
 しかし、サモンジはそれはそれでいいと言う。「学院から逃げ出した」と
思っているギーシュ、しかしサモンジは「学院を捨てる決断をした」と言っ
ているのだ。
 顔を上げると、自分を見つめるサモンジとタバサと目が合う。いつもの緩
い笑みを浮かべたサモンジと、無表情のタバサ。
「あなたがそうすると決めた、それならばあなたには理由のある行動」
 それだけ言うと、タバサは自分の分のボウガンを持ってそのまま学院の中
へ戻って行く。その言葉の意味を考えながら、ギーシュはサモンジへ視線を
移す。
「サモンジ君、君は……」
「ああ分ってるよ、貴族の人からしたら詭弁臭いってね。学校生活が辛くて
逃げ出した言い訳、負け惜しみと思われるだろうさ。でもまあ、いいじゃな
いか。さっきも言ったとおり、私は君の決心を馬鹿にしないし応援するよ。
頑張りなよ」
 その言葉でギーシュの覚悟が、本当に決まった。
「……ああ。言われるまでもないことさ」
 ふっ、と笑う。そのまま背を向けてギーシュはサモンジの前から立ち去った。

 そして午後の授業から教師の取る出欠の確認に、ギーシュ・ド・グラモンの
名前が消えた。


「……って訳でね。まあギーシュ君とはそれでお別れだからいろいろ話し込ん
じゃって遅れたんだ。ははは、ごめんごめん」
「そう……いいわ、そういうことなら別に責めるつもりはないわ。……学院、
やめちゃったのね」
 午後の授業。ルイズの席の横で小声で言い訳をするサモンジにルイズもまた
小声で返す。担任のシュヴルーズは一瞬ルイズらの方へ視線を向けるが、以前
ルイズの爆発で吹き飛ばされたことのあるシュヴルーズは見なかったことにし
て授業を続ける。
 ちなみに、サモンジはタバサのことは伏せてギーシュとだけ会っていたと言
い訳をしていた。タバサと会ったことに触れると、少々タバサのプライバシー
に関わる話に波及する恐れがある。流石にそこを漏らすのはまずかろうという
のはサモンジにも解っていた。
「ではこの実演を、隣の列、は空席ですのでその隣の………………あ、えっと、
まあいいでしょう。これは実演するまでもありませんよね、ええそうですとも。
では次の……」
238ゼロの独立愚連隊 3:2008/09/25(木) 05:38:06 ID:4A2g+Oi9
 淡々と授業は続いている。一人少なくなった教室、しかしそのことは今日の
夕食に話題を一つ提供するだけで忘れられていくだろう。授業の要点をノート
にまとめながらも、頭の片隅に小さな寂寥を感じていた。周囲からのいじめに
耐えられず学院を去ったギーシュのように、以前の自分も学院を去っていたら
どうなっていただろうかという疑問がふと頭に浮かんだ。

 魔法の使えないメイジ。
 爆発を続けほこりにまみれた自分の姿。
 全く成長せずに学院から戻ったルイズへの使用人の噂話。
 以前と変わらず厳しくも優しい父。
 相変わらず厳しい母。
 迂闊な言葉に貴族としての自覚がないと叱られ、熱心に領地のことを学ばされる。
 しかし魔法については一切触れられない。
 ルイズがいるときだけ、魔法のことが話題から避けられる。

「!?」
 浮かぶ暗い想像を強く目を瞑ることで追い出す。はっと覚醒するルイズの意
識と視線が、授業の片づけをしているシュヴルーズの姿を捉える。いつの間に
か授業を聞くのも忘れ、ありえたかもしれない暗い別の未来の想像に没頭して
いたようだ。
 もう一度きつく目を閉じて先ほどまでの想像を打ち消す。もう二度とあんな
妄想はしない、私には別の未来があると信じ――
「おーい。ルイズちゃん、もうみんな席を立ってるよ。次の授業は別の教室な
んだろ? 早く行かなくて大丈夫かい?」
 教室内を扉の方からルイズの席へ歩いてくるサモンジ。その声に周囲の生徒
がサモンジとルイズに一瞬視線を向け、すぐにそらしていく。その様を見なが
らルイズはふっ、と息を吐きながら立ち上がる。そうだ、この周囲の反応がこ
の間の破壊の杖奪還、そしてフーケ討伐という手柄の証なのだ。私にはあんな
未来が訪れることはない、ルイズはそう自分に言い聞かせる。
「ええそうね。行くわよサモンジ」


 そうして破壊の杖の一件からの日々が日常に埋もれていく中、トリステイン
の城下町にあるチェルノボーグの監獄の中でぼんやりと最後の仕事のことを思
っていた。
239ゼロの独立愚連隊 4:2008/09/25(木) 05:39:06 ID:4A2g+Oi9
 学生のメイジと平民、そう思って油断していた。元傭兵の平民、そのことを
後ほんの少しでいいから警戒していれば、と思ったこともあるがそれはいささ
か望みすぎだろう。あの男が持っていた「双眼鏡」という道具のことや、粗の
あるフーケの目撃情報の報告、強引に馬車に戻るといってはぐれた振りをする
といった不自然な行動の積み重ねが、既に最後の仕事を失敗に向かわせていた
のだ。
 結局それもこれも、オスマンやコルベールが勿体ぶっていた破壊の杖が実は
ただの大型銃だったというのがそもそもの原因だ。あれがもう少し素直に使い
方の解り易いマジックアイテムならば……
 と、後悔に満ちた物思いにふけっていたフーケの耳に耳慣れない足音が聞こ
えてきた。ベッドに身を起こして様子を窺うフーケの前、鉄格子の向こう側に
怪しい黒マントと白い仮面の男が姿を現す。
「土くれ、いやマチルダ・オブ・サウスゴーダ。ここから出る気はないか」
「なんだって? あんたなんだってそんな名前を、いやそれよりも一体あんた
は何者だい」
 その問いかけに男はすぐには答えず、ポケットから鍵を取り出してそれをフ
ーケ、いやマチルダに示しながら反対の手で杖を取り出す。驚愕と焦りを顔に
浮かべて警戒するマチルダに、男は仮面の下に微かに笑みの気配を見せながら
問いかける。
「聞きたいか?聞けば後戻りはできないぞ。もっとも、私がここに姿を見せた
時点で我らの同志となるか、一切他言できないようになってもらうしかないの
だがな」
 男の言葉に、マチルダの脳裏に一瞬唯一残った家族と呼べる少女の姿が浮か
ぶ。やがて、マチルダはふぅ、と観念したかのようにため息をつくと警戒を解
いた。その様子を見た男は満足そうに頷くと、鍵を錠前に差込み扉を開く。
「ようこそレコン・キスタへ。同志マチルダ。」
240ゼロの独立愚連隊:2008/09/25(木) 05:40:12 ID:4A2g+Oi9
以上で投下終了です。
とりあえず定番どおりアルビオンで締める予定です。
では。
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 06:33:35 ID:dW6lOQrs
投下乙。かわいそうなギーシュ……
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 08:58:00 ID:u5jkMdHZ
愚連隊の方、久しぶりの投下乙です!
ギーシュ、漢になって帰ってこいよ!
せっかくなんだから自分の分のボウガン作ればいいのに・・・
タバサがボウガン使うと強いかも
非力でも扱えるしね
243異世界使い魔學院紀 :2008/09/25(木) 09:11:08 ID:bxeX7Vmb
H.A.N.Tを起動します -Welcome to H.A.N.T-
SS第四話、装填完了 投下態勢へ移行します
投下予定時刻 9:20 Good luck!
244異世界使い魔學院紀 :2008/09/25(木) 09:20:31 ID:bxeX7Vmb
Scene.3

ヴェストリの広場にて甲太郎とギーシュがにらみ合う、
そんな中ルイズは甲太郎の無気力さにあてられたのか、止めることがバカバカしくなってしまい、
ギャラリーの中からそれを見守っていた。
「疲れた…あいつの口癖がうつっちゃったわ…危なくなったらとめればいっか…」
ルイズが小さく呟くと。いつの間にか隣にいたキュルケが話しかけてくる。
「あらルイズ、使い魔をメイジと戦わせるなんてどうしちゃったのよ?」
「別に…? もう説明するのもだるくなってきたわ…」
「そ…そう? どうしちゃったのよあなた…、まぁいっか、ね、タバサ、あなたどっちが勝つと思う?」
キュルケはそう言いながら隣で本を読む小柄な少女、タバサに話しかける
「ギーシュが勝つ」
タバサは短くそう言うと本に目を戻した。どっからどうみてもやる気というか気力というか、そう言うものが欠如している平民が
メイジに勝つなどやはりありえないと映ったのだろう。
「あら、やっぱり? ま、平民が勝てるわけないものね、危なくなったら私も止めに入って上げるわ、ルイズ?」
「そう…そんじゃそうして…」
使い魔の影響を完全に受けたのか無気力そうにルイズは手をひらひらをふると視線を甲太郎へ戻した。

「…始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』に行き着いた、という訳じゃな?」
学院長室にて、コルベールの説明を受けたオスマンは、例のルーンが書かれた紙と文献を交互に眺める。
「そうです! あの青年の左手に刻まれたルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』に刻まれたモノと全く同じであります!」
「で、君の結論は?」
「あの青年はガンダールヴです! オールド・オスマン!」
唾を飛ばして力説するコルベールに同調せず、オスマン学院長は腕を組み、思慮深げに息を吐いた。
「確かに、ルーンが同じじゃ。ルーンが同じという事は、只の平民だったその青年は、『ガンダールヴ』になった……。
と、いう事になるんじゃろうな」
「どうしましょう」
「始祖ブリミルの記録を疑う訳ではないが……。如何にルーンが同じだといえど、
そう決め付けるのはちと、早計に過ぎはせんかね?」
「それも…そうですな」
教師二人の会話が途切れたその時、足音に続きドアがノックされる。
「誰じゃ?」
扉越しに、先程退室した秘書官の声が届く。
「私です。オールド・オスマン」
「なんじゃ?」
「ヴェストリの広場にて、生徒による決闘が行われ、大きな騒ぎになっています。
止めに入った教師もいましたが、生徒達に邪魔されて、止められずにいます」
澱み無い報告を聞き、オスマン学院長はうんざり顔で頭を振る。
「……全く。暇を持て余した貴族程、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるのだね?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」
「ああ、グラモンとこのバカ息子か。親父も色の道では剛の者じゃったが、息子も輪を掛けて女好きと来た。
大方、女の子の取り合いじゃろうて。相手は誰じゃ?」
「……それが、メイジではありません。ミス・ヴァリエールの使い魔の青年です」
想像外、しかも先程迄話し込んでいた人物の名が出た事に、両者は期せずして困惑と驚きの表情を互いの顔に見出だす。
「教師達は、決闘を止める為に『眠りの鐘』の使用許可を求めておりますが」
それを聞いたオスマン学院長は、片方の眉を跳ね上げると憮然たる声を出す。
「アホか。たかが喧嘩一つ止めるのに、秘宝を持ち出す者がおるかね。放っておきなさい。
…まあ、結果如何によっては、当事者への処分も考えるがのう」
「わかりました」
秘書官の足音と気配が去ったのを確かめ、コルベールはオスマンに向き直る。
「オールド・オスマン」
「うむ」
頷くが早いが、杖が振られる。
壁に掛けられた大鏡が輝きを放つと、そこにヴェストリ広場の現況が映し出された。
245異世界使い魔學院紀 :2008/09/25(木) 09:21:42 ID:bxeX7Vmb
「僕はメイジだ、魔法で戦う、よもや文句はあるまいね!? いや! 言わせないぞ!」
「わかったようるせぇな…」
「どこまでも口の減らない平民だっ…!!
僕の二つ名は『青銅』! 青銅のギーシュだ! 従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手する!」
ギーシュがそう叫びながら薔薇の杖を振る、すると花びらが七枚、宙に舞ったと思うと……。
甲冑を着た女戦士の形をした、七体の人形となった。
身長は人間と同じ位だが、硬い金属製のようだ。その手には剣やら槍やらを持っている。
「おおっ! ギーシュがいきなり本気だ!」
「そりゃ…あそこまで恥かかされりゃあな…」
周囲から声が上がる、それと同時に七体のワルキューレが甲太郎に向かいじりじりと距離を詰めてきた。
「へぇ…」
甲太郎はそう呟くと、気だるそうにアロマを吸った。
「くっ…行けっ! ワルキューレ!!」
ギーシュがワルキューレに号令を出し甲太郎へけしかける、
甲太郎は迫るワルキューレなど眼中にないといわんばかりに、ゆらりゆらりとギーシュへと近づいて行く。
だが、その姿は眠たくて仕方がない人間がうとうととしているようにしか見えなかった。
その自分を小馬鹿にしたような態度にギーシュはワルキューレに無策に歩いて近づいてくる平民に一斉に襲い掛かるように指示を与える。
合計で七体ものゴーレムが一斉に甲太郎へと殺到し―――そして全ての攻撃があっさりと避けられた。
「―――え?」
ギーシュが間の抜けた声を出した。だがそれはその場を見た人間の素直な感想だった。誰一人として今、目の前で起こったことを理解できなかった。
誰が見ても避けられるとは思えなかった七体ものゴーレムの攻撃が、甲太郎がふらっと動いただけで全て宙を切り派手に転倒する。
ギーシュへと近づいていく甲太郎に攻撃をしかけるワルキューレたち。だが甲太郎はふらふらと動くだけでそれを全て回避してしまう。
目の前の男を平民だと侮る気持ちは跡形もなくなった。代わりに恐怖が芽生える。
「何でだよ! 何でワルキューレの攻撃が当たらないんだっ!」
必死でワルキューレに命令を下すギーシュ。だが攻撃を当てることはおろか、足を止めることすらできない。気がつけば甲太郎はもう間近に迫っていた。
「なっ―」
ギーシュが驚きのあまり目をつむり身をすくませる、それと同時に右手から杖がの感覚がなくなった。
恐る恐る目をあけると気だるそうに杖を持った甲太郎の姿があった。
「気は済んだか? んじゃ、これで終わりな…ふぁ〜あ、だりぃ…」
甲太郎はそれだけ言うとポイとギーシュへ杖を投げ返し、広場を後にすべく振り返り歩き始める。
「僕の負けだ…」
しばらく呆然としていたギーシュだったが負けを認めると、周りからは歓声が起こる。
この場から出て行こうとする甲太郎にギーシュは言う。
「待ってくれ! 君は一体何者なんだ!?」
「…皆守甲太郎、学生だ…」
その質問に甲太郎は歩みを止めようとせず、後ろ手をひらひらと振りながらそれだけ応え、広場から去っていた。

オスマンとコルベールは、『遠見の鏡』で一部始終を見終えると、顔を見合わせた
「勝ってしまいましたな…」
「うむ…彼の動き、見えたかね?」
「彼はふらふらしているように見えて全ての攻撃を紙一重で回避していました、おそらくあれは全て見切っていたと考えられます…」
「しかし戦闘能力まではわからんかったのぉ…伝説によれば『ガンダールヴ』はあらゆる武器を使いこなしたとあるが…」
「一応ギーシュは一番レベルの低い『ドット』メイジですが、それでもただの平民に後れをとるとは思えません。
やはり彼は『ガンダールヴ』なのではないでしょうか? 早速王宮に報告して、指示を仰がない事には……」
「それには及ばん」
『ガンダールヴ』の発見に興奮し、想定されるその強さについて語るコルベールをオスマン氏は嗜めるように押さえる。
王宮の者達に渡せば戦を引き起こしかね無いとも語る。
「ははあ。学院長の深謀には恐れ入ります」
「この件はわしが預かる。他言は無用じゃ。ミスタ・コルベール」
「は、はい! かしこまりました!」
「しかし…やる気ないというか…無気力な男じゃのぉ…」
「えぇ…実のところ『ガンダールヴ』なのか少々不安になってきました…」
そう言うと、二人は『ガンダールヴ』がどんなものだったのかと話し始めた。
246異世界使い魔學院紀 :2008/09/25(木) 09:23:44 ID:bxeX7Vmb
広場からのんびりと食堂へ向かう甲太郎をルイズが追いかける、
「ちょっ! ちょっと! あんた大丈夫なの!? っていうかどうやってギーシュに勝ったの!?」
「うるせぇ女だ…、偶然だよ偶然、運が良かっただけさ…」
「もうっ! 真面目に答えなさいよ!!」
騒ぎ立てるルイズに取り合おうともせず食堂へ向かおうとする甲太郎にシエスタが駆け寄ってきた。
「あっ、あのっ! 大丈夫ですか? コータローさん! 貴族の方と決闘をしたと聞きましたので…」
「あァ、なんともねぇよ、それより腹減っちまった、なんか用意してくれると助かるんだが…」
「はっ、はい! すぐに用意します!」
それだけ言うとシエスタは厨房へと駆けていく、その様子を見送ったルイズが口を開いた。
「ずいぶんあのメイドと仲がいいようね?」
「今朝知り合っただけさ、つかお前、俺の交友関係まで口を出す気か?」
呆れた表情の甲太郎にルイズは顔を真っ赤にして反論する。
「そっ! そんなんじゃないわよ!」
「たく、少しは信用しろっつーんだよ…、んじゃぁな、お前は授業あるんだろ? 俺は飯くって昼寝でもするわ…」
そう言うと甲太郎は厨房の中へと入っていった。

「マルトーもなかなか料理の腕が立つじゃねぇか…こりゃ数週間後が楽しみだ…」
厨房で再会したマルトーの猛烈な歓迎を受け、大量のまかない料理をふるまわれた皆守は
そのまかないとはいえ豪華な料理をたいらげ、ルイズの部屋がある寮へ戻りながら満足げに呟く。
その帰り道、廊下を歩いていると、キュルケの部屋の扉が、がちゃりと開き、中からフレイムが出てきた。
フレイムは甲太郎の存在に気がつくと、ちょこちょことかわいらしく近づいてくる。
「…なんだ?」
甲太郎が気だるそうに呟くと、フレイムが甲太郎の袖をちょいちょいと銜え始めた。
「おいっ…、汚れるだろうがっ…つか燃えるだろうが…」
そんな甲太郎の抗議も聞かずフレイムはぐいぐいと袖を引っ張ってきた。
「んだよ…なんか用でもあんのか…?」
その呟きを肯定するようにフレイムはきゅるきゅると鳴くと、部屋の中へと入って行く。
「…入ってこい…ってか?」
甲太郎はそう呟くとキュルケの部屋のドアの前で立ち止まった。
そこは光が差し込まない真っ暗な部屋であった。サラマンダーが発する火が、周りをぼんやりと明るく光らせている。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 09:24:02 ID:HEqd6/8t
支援
248異世界使い魔學院紀 :2008/09/25(木) 09:24:23 ID:bxeX7Vmb
常人では何も見えないであろうその部屋の内部を甲太郎はその常人離れした視力で内部の様子を探った。
ベッドにはほぼなにも身につけていないであろう恰好のキュルケが艶めかしく座っている。
どうやらこっちが入ってくるのを待っているようだった。
「(…入ったら絶対ロクな目に合わない)」
即座にそう理解した甲太郎はキュルケの部屋に入る…と見せかけてドアをバタンと閉めた。
「めんどくさい目に会うのはごめんだ…」
そう言いながらアロマに火をつけると、ルイズが自室から顔を出した。
「あら? 戻ってきたのね、ていうか、用が済んだのならさっさと戻ってきなさいよ」
「あァ、言われなくてもそうするつもりだ」
そう言いながら甲太郎が部屋へと戻ろうとした時、後ろから勢いよくドアが空きキュルケが飛び出してきた
「ちょっとダーリン! 無視するなんてあんまりだわ!」
「キュルケッ!!」
「あん? だれがダーリンだ、気持ち悪い、悪いが人違いだ」
突如飛び出してきたキュルケにルイズと甲太郎は眉間にしわを寄せる、それに構わずキュルケは続けた。
「違うのよコータロー! 恋をしたのよ! あなたに!」
「ちょっと! 勝手に人の使い魔に手を出さないでよ!」
「…一人でやってくれ、じゃあな」
すがりつくキュルケをにべもなく一蹴すると甲太郎はさっさと部屋へと入ってしまった。
「残念ねキュルケ、コータローはあんたなんかに興味ないって!」
それに釣られるようにルイズも部屋の中へと引っ込んでいった。
その場に取り残されたキュルケはしばらく呆然としていたが、突如笑い始める。
「ふっ…ふふっ…ここまでコケにされるなんてね…ますます燃えてきたわ! かならずあなたを振り向かせるわよ…コータロー!」


To be continued...

特記事項
キュルケ:情熱的です
タバサ:ドライです
ギーシュ:女好きです
コルベール:発想が豊かです
オスマン:セクハラです
249異世界使い魔學院紀 :2008/09/25(木) 09:24:55 ID:bxeX7Vmb
投下終了を確認 執筆態勢へ移行します
少々短く駆け足気味で申し訳ない、
元ネタがマイナー故、毎回投下に不安を感じておりますが
ジュヴナイラーの精神でがんばります。
ではまた次回に、ゲット・トレジャー!
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 09:26:59 ID:qCtpXCNB
【愛】
俺は理解しているから安心してくれ
251名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 09:29:25 ID:5xo55KER
乙でしたー。
それにしてもこのやる気の無さ……良いですよねぇ。
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 09:51:16 ID:cap5pEJ/
投下乙です

もうやめて!甲太郎のやる気はゼロよ!

…それでも勝っちゃう甲太郎は強いw
実戦経験のあるタバサでも甲太郎が勝つとは考えてなかったようですね
こりゃタバサが甲太郎に強さの秘密を聞き出そうとするかもしれないけど、相手にされないだろうな〜
今回のキュルケみたいにw
まぁ、タバサの事情を知れば協力するかもしれないけど(ダルそうに)

特記事項のオスマンのセクハラに吹いたw
253名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 10:38:25 ID:XyUGhfSQ
やる気のないように見えてあの回避こそが甲太郎の能力なんだよなw
254ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/25(木) 10:58:21 ID:OBjhg/d+
書けました。空いているなら11時くらいに投下します。
255ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/25(木) 11:00:02 ID:OBjhg/d+
6 伝説か見知らぬ者か

ああ、おはよう。そう椅子に座っているマーティンは言った。
先ほどの夢とは全く違う、気楽そうな姿である。
隣に座る黒髪のメイドと、楽しく談話していたらしい。

「彼女――シエスタ嬢がご飯を持ってきてくれたよ。食べられるかい?」

ただのシエスタで良いですよ。そういって笑う。
なかなか綺麗だった。からかい混じりで試してみようと、ルイズは口を開いた。

「ええ、大丈夫ですわ。マーティン陛下。ところで、ドラゴンファイアは灯せましたの?」

またもや時が止まる。ちなみに、ナイフも、ロードローラーも、
タンクローリーも周りには無い。

コホン、とマーティンは咳をした。シエスタ、と呼ばれたメイドは、へ、と口を開け、呆然としている。

「私の父である皇帝、ユリエル7世は、夢で未来を見る力があったと聞くが、君は過去を見る力があるらしい」

重々しい雰囲気で語るそれは、先ほど見た、豪華なローブを羽織っていた、皇帝のそれであった。

「おばあさんが見せたのだと思います。エルフのオカート総書記官と「誰か」が、塔に入ってきたドレモラを打ち倒す所で、時間切れと」

ヴァーミルナか。マーティンはそう口にする。夢を司るデイドラ王は、色々な夢を見せるからな。
そう言って、マーティンはふむ、と話についていけず、震えるシエスタの方を見た。

「え、えとその、わ、私、あ、あの…」

皇帝、と言う単語が引っかかっているのだろう。
おそらく、無礼を働いたのだと、彼女は思っているに違いない。
マーティンがゆっくりと口を開く。

「とりあえず、落ち着いて欲しい、シエスタ嬢。確かに、私は身分を偽ったが、司祭だったのは本当だし、
皇帝といっても、その作法なぞ全く知らないんだ。その、それを覚えるより、先にやることが大量にあってね」

にぃ、とマーティンが気楽な雰囲気に戻って笑う。ほっとして、シエスタは笑った。

「は、はい。その、何か失礼な事言ってすいませんでした、えーと、後、その」

「そう固くならなくていい。先ほどのようにマーティンさんと呼んでくれ」

あはは、とメイドが笑う。何故だろうか、平民が笑う事は良いことなはずだが、
どうにも気にくわない。ルイズは、とりあえず両手を振り上げて、二人をこちらに注目させる。
256ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/25(木) 11:00:50 ID:OBjhg/d+
「お腹が減りましたの。陛下。食べさせて頂けますか?」

使い魔でしょ?と暗に言っている。ふふん、とどこかでルイズが笑っているのを感じながら、
マーティンは笑った。

「ああ、いいとも。だが、その、陛下と言うのはやめて欲しい。後言葉遣いも戻してくれないか?どうにもむず痒くて仕方がない」

皇帝なんだから陛下でしょうに。ルイズは笑って言う。

「というより、良いのですか?ここにいて。貴方様がやんごとなき身分であるのは理解できましたが、
そこからここに来て良い等とは、誰も思っていませんでしょうに」

敢えてそのままにして、ルイズは言った。
自分で呼んだ事を、棚に上げつつもそう聞いてみる。はっきり言って、
自分は、相当まずい事をしでかした。そうルイズは思っていた。
その事についてだが、そう前置きを置いて、マーティンはルイズにその後を簡単に伝え始めた。

「ドラゴンファイアを灯そうと、最高神の神殿に向かったが、全ては遅かった。
破壊の権化にして、悪しき4人のデイドラ王の一人、メイルーンズ・デイゴンが、
神殿の前に降臨していた。ドラゴンファイアは、オブリビオンとムンダス界の間に、
明確な境界線を敷く。しかし、一度入り込んだデイドラを、元の世界に戻す力はない」

悪しき4人のデイドラ王?それは何かとルイズは尋ねる。

「いわゆる定命の存在に対し、ある程度、それらを考慮して接する3人の『良きデイドラ王』と
全く考慮しない4人の『悪しきデイドラ王』、それとそれらを気分で変える残り9人のデイドラ王がいるんだ。
これには、司る事象は関係していないよ。例えば、裏切りと策略を司る『ボエシア』、
というデイドラ王がいるが、彼はダークエルフ、まぁまぁ、そんな顔はしないでくれ。
オカートが、エルフ族だったのを黙っていたのもあやまるよ」

いくらそっちの世界についてとやかく言うべきではない。と言っても、
宗教から忌み嫌っている者への、恐怖から来る敵意は、そうそう落とせない。
ルイズは、ごめんなさい。と言って話を続けて欲しいと頼んだ。

「ああ。で、彼はダークエルフの文化が発展するのに、とても貢献していたんだ。
それで、デイゴンは昔から、タムリエルに度々攻めてきては、様々な物を破壊するんだが、
その時々に現れる、いわゆる英雄や、人間に味方する何らかの神に敗れているんだ。
こちらからしてみれば、頼むから、来ないでくれと思うのだけれども、天災の様なものだと誰かがいって言たよ」

では、どうやってそのデイゴンをオブリビオンへ?当然な疑問をルイズは口にした。
シエスタはおとぎ話のような話を、ふんふんと聞いている。

「これは、一つの賭けだった。しかし、その時それ以外には何も思いつかなかった。
私が身につけていた王者のアミュレットは、聖アレッシアの魂が入った、魂石であり、
それと同時に、アカトシュの血によって生まれた物だ。
それと私の血を混じらせ、私の身体を寄り代にし、現世にアカトシュを召喚した。
おそらく、アカトシュを奉る神殿だったからこそ出来たのだろう。
しかし、まぁ、何というかだ、竜になるというのは、なかなか凄いものだった」
257ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/25(木) 11:01:38 ID:OBjhg/d+
己の身体が消えていき、気が付けば身の丈30メイルの赤く燃えるワイバーンになっていたのだという。
眼前のデイゴンを睨み、オブリビオンに叩き返して後、疲れ果てた身体は、石となったとマーティンは言う。

「そして私は魂だけとなり、遠くからニルンの地を眺めていたのだが、気が付けばあそこにいたと言うわけだ。
これで、どうして最初、君を見たとき、エセリウスの神々の使いと勘違いしたか分かったかい?」

「ええ、分かりましたわ。分かりましたとも。一言いいかしら?」

ああ、どうぞ。とマーティンは言う。ルイズは笑った。

「無理です。信じられません」

マーティンは笑う。そりゃあそうだろうとも、と言って。いくらルイズといえど、今の話は神話が過ぎる。
特に、この男は前歴がある。それが場の混乱をむやみに呼び起こす為の物では無いと分かっているが、
しかし、今の話は荒唐無稽と言うか、何というか、信じられない。そんな事を口にしながら、
ルイズは、ドラゴンになって空を飛ぶのは気分がいいのだろうな。何て事も考えていた。

「凄い話です。皇帝で、しかも韻竜だったなんて」

シエスタは、マーティンの事を、もう、このハルケギニアでは絶滅したという喋る竜の化身だと、勘違いしていた。
いや、そうじゃなくて、とマーティンは笑って説明した後、ややあって、彼女は納得したようだ。

「しかし、ここが何処の世界かと言うのが一番問題なんだ。もし、ニルンの地で、今や伝説となっている大陸、
『アトモラ』か『ヨクーダ』ならば、歩いて帰ることも出来るのだが」

魔法の形態というのは、便宜上種類分けがされているだけであり、時代によって多少の変化がある。と、
彼はメイジギルドで習っていた。杖を使わなければ、使えぬ地、というのもおそらくあるのだろう。
それが一体何の系統なのかは、ある程度自分の知識で照らし合わせないと理解が難しいが。

「悪いけど、知らないわよそんな所。ブリミルの伝説にも載ってないし」

元の調子に何となく戻して、ルイズは言った。6000年前、エルフと戦って勝利したと言うこの地の伝説は、
聖アレッシアが、古代エルフ族アイレイドを倒した伝説に良く似ていた。
伝説とは地方によって変わって伝えられたりもするのではないか?と思ったが、
どうも当てがはずれたらしい。

「とすれば、やはり、まだ知られぬニルンの地か、それとも知られぬオブリビオンの世界か…」

「だからー、オブリビオンって、そんな怖い所にしないでよ。ここを」

いや、しかしだね。マーティンがそう言ってルイズに説明をする。シエスタは、
そんな二人を見て、ああ、そういえば仕事があるのでした。と言い、
分かった、と言って話を続ける二人に、頭を下げて席を立った。
258ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/25(木) 11:02:25 ID:OBjhg/d+
「どうだった?皇帝陛下は」

シエスタの前にいる灰色の頭巾をかぶった男が、シエスタに背中を向けたまま言う。シエスタはふふーんと笑った。

「おもしろい方でしたよ。マスターが言った通り、タムリエルを平和にしてから、こっちに来たと言っていました。
それとここを、ニルンの地か、オブリビオンのどちらかだろうと、当たりをつけていました」

そうか、そうか。やはりその二つになるよな。と灰色頭巾は言った。

「けれど、よく分かりましたね、彼が皇帝だって。それに全て終わらせてからこっちに来たと。
マスターが『こっち』に来たのは2年前で、面識なんてないのでしょう?」

「まぁ、面識は無くても、情報はあった。それにお父上様によく似ているからな。
そして彼は、生まれ故郷と妻を助けてくれた。帝都のオカートが出兵すらしていない状況で、
そんな事する奴が、途中で消えてしまうわけはないだろうさ」

それに俺も、全部しくじって、そんな時に呼ばれたからな。と言って後、
さて、と灰色頭巾は振り向き、シエスタを見た。

「『土くれ』はどうしてる?」

「マチルダさんですか?ああ、宝物庫を狙っているようですよ。と、いうよりそこ以外、ここにめぼしい物置いていませんからね」

「ならさっさと、夜に鍵でも開ければよかろうに。あんな鍵すら開けられないとは、それで幹部なのだから、ああ、困ったものだ」

タムリエルじゃコソ泥だ、あいつなんか。とため息を吐く。まぁまぁとシエスタが宥めた。

「でも、凄いじゃないですか。どんな時でも大胆不敵で、ギルドの皆は慕っているし、妹さんだって凄く親しまれていますよ」

「格好だけ一人前なのだ。よけい面倒くさい。どんな時も気づかれずに入り、気づかれずに去るのがマスターシーフだ。
気づかれて、物壊して逃げるようなら3流なんだよ。ああはなるなよ、お前は。それと彼女の事だが、
そりゃあ平民からしてみれば『杖持ち』も『長耳』もそう変わらんだろうさ。むしろ優しくするだけあの娘の方がマシかもしれん。
まぁ、長耳なのを知っているのは、ギルドの連中だけだが」

高慢ちきなよく知る者より、ミステリアスで優しくて色々スゴイ、良く知らぬ者の方が、よほどマシと言うことだろう。
実際権威を盾に威張る貴族も、そう少なくはない。どこも変わらんな。そう灰色頭巾は思った。

「では、本当に仕事に戻らないと。マスター」

「ああ。しばらく、彼の様子とあのバカの様子を見ていてくれ。悟られるなよ?影の導きがあらんことを」

頭巾を取る。シエスタは一瞬はて、という顔をしたが、その男が「影のご加護を」と口にすると、
ああ、はいはい。それでは。と見知らぬ男に礼をして去った。
259ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/25(木) 11:03:17 ID:OBjhg/d+
所は変わり、学院長室で、形勢逆転とばかりに威張るオスマンと、
縮こまるコルベール、そして、聞きたいことは粗方聞き終わったロングビルの三人がいた。

「なるほどのぅ、ガンダールブ、か。さっき来た報告によると、異国のメイジなんじゃったか?
それに気づかず契約させるとか、なかなか楽しい事しでかしてくれたの、え?」

先ほど、爆発によって二人が倒れた時に、マーティンが回復呪文で彼女らを治していたのを、
騒ぎに駆けつけた、ギトー教諭が見ていた。とりあえず、彼はマーティンに感謝すると共に、
その事を学院長に、報告してきた。

「い、いえ。その、彼は司祭で――」

「文化によって色々違うかもしれん、何故それに気付かんかったんじゃ。おろかもんが。
確かに呼び出され、契約によるルーンが出た以上、彼が呼ばれたのは間違いないがの。
後でねじ込まれたらやっかいじゃぞー?何せ先住魔法の使い手なんじゃろ?」

さっきの一撃の事を、それなりに根に持っているようだった。

「まぁまぁ、オールド・オスマン。その辺で」

ロングビルがそう言って、仕方ないのぅと、オスマンは言った。
ああ、ダメだ、燃やしたくなってきた。とコルベールは思う。

「今のところ仲良くやっとるんじゃろ?ヴァリエールの娘とは。もしかしたらあの娘も何らかの魔法が使えるようになるかもしれん」

魔法の才のみ無い彼女だが、努力家として、それなりに教師には好評だった。
コルベールは頷く。

「快く応じてくれましたからね。ミスタ・セプティムは」

はて、その名前、どこかで聞き覚えがあると、残りの二人は思った。
260ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/25(木) 11:04:04 ID:OBjhg/d+
投下終了です。
段々とオリジナルの要素を加える事が、可能になって参りました。
けれどセオリー通りでセオリー崩しの名の下に頑張っていきます。

影の導きが〜と影のご加護〜は前者がシャドウハイチューで、後者がブレスオブシャドーです。
ブレスというのはまぁ神の吐息、と言いますか、キリスト系の「God bless you」
から来ていると思います。

すいません、主人公は巻物取れなかったみたいです。必ずしも主人公が行ったかどうかは、別問題ですが。
どうやらこのシエスタ、結構な高性能のようです。

ようやく、お買い物ができそうです。

では、次の投下まで ラナウェーィ
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 11:33:53 ID:t6HGmZkF
オブリの人、乙
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 11:53:33 ID:9hm7krj1
乙でした。
シエスタが裏がありそうでわくわく。
装飾過多と言いますが、私はこの独特の文体、好きですよ。
あと、ブレスは吐息(breath)ではなく祝福(bless)かと、ってちゃんとblessって書いてますやん。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 11:59:09 ID:OBjhg/d+
>>262
いやぁ、高校時代、神の吐息から転じて祝福となったとか何とか、
英語教師が言っていた物ですから。あんまり英語くわしくないんです。はい
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 12:19:57 ID:iRFAslO7
オブリの人お疲れ様です。
毎回楽しく読ませてもらってます。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 13:18:58 ID:qkxJXepw
オブリの人へ、読みやすくなった!ありがとう!楽しいよ!
実を言うと盗賊ギルドは、やったことないんだバグが怖くてね。出来たとしても透明人間プrオホンオホン
つまりレス着けたくなるほど楽しいってことさ!
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 13:30:06 ID:gllUt3fd
>>263
唯一神が人間を泥から作った際に、最後に息を吹き込んで命を与えたってやつだな
267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 13:32:05 ID:OBjhg/d+
また何かお気づきのことがあれば言って下さい。
>>265
盗賊ギルドは序盤にするのがオススメなのですよ。
エルダースクロールが何か分かりますしね。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 13:39:07 ID:YDCJCV21
愚地克巳を召喚
(´;ω;`)ウッ…
板垣は克巳に酷いことをしたよね
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 13:49:22 ID:fs042eqc
>>268
右腕壊れたぐらい、どうという事はない!
さぁ、次は左腕で壊れるほど「当てないマッハ突き」だッッ!!!
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 14:00:30 ID:YDCJCV21
>>269
もう止めて
克巳のライフはゼロよ
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 14:16:52 ID:+Vh8Aqkm
海に投げ込まれた輝くトラペゾヘドロンをルイズが召喚
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 15:14:38 ID:gqJyVkaF
やっぱりピクルの口の中に召喚ゲートが?
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 15:24:46 ID:lR89IBMy
ってことは烈老子の右足だけ召喚されてたりするのか
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 15:38:47 ID:tJtuXeHg
オブリの人乙。
デイドラの王を詳しく説明してたから、
てっきりSIクリア後の主人公が来ると思ってたが…

続けてください。(二重の意味で
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 16:04:20 ID:OBjhg/d+
ハルケギニアの英語表記って、まんまHARUKEGINIAでいいんだろうか?
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 16:06:59 ID:c2aO8jvP
それは英語じゃなくてローマ字書きじゃねえか……
Halkeginiaだ
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 16:08:06 ID:OBjhg/d+
>>276
ありがとう。最初タイトルこれにしようかどうか本気で悩んでたんだ。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 16:21:33 ID:b7+JGIsx
もちろん主人公はKURAUDOで頼むぜ
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 16:35:42 ID:ukz3U1j8
MAHALITO
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 17:30:19 ID:ezTEnOdy
DORAGONときいて
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 17:32:18 ID:bxeX7Vmb
>>278
Kuraudo<死ぬよ
Ruizu<えっ!?
Kuraudo<この構成じゃ死ぬ
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 17:32:28 ID:OBjhg/d+
ごめんなさい。何かよくわからないけれど、ごめんなさい。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 17:33:59 ID:yFvRDYjU
KURAUDO? ああ、煉獄の修羅ですね。敵を引き裂き喰らうアートマ持ちですね
284名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/25(木) 17:47:01 ID:3LZhjsyu
小ネタが一個できたけど、15巻のネタバレがちょっと入ってるし今はまだまずいかなあ
285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 17:51:52 ID:L23pDFSE
ラノベ板だとネタバレは本来の発売日の24時となっているから、明日以降でもいいんじゃない?
286名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 17:56:36 ID:ukz3U1j8
文庫J は23日だろ。25日発売はアライブコミックスだ。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 18:00:51 ID:2qozqGPZ
キングボンビー召還

「グェッヘッヘ!ルイズ社長! 虚無の魔法が使えるようになったらしいな! だが、ボンビラス星では要らぬのだ! サイコロ10個の合計の目の月数だけ魔法を使えなくしてやろう!!」
ルイズ「やーめーてー」
288名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 18:42:04 ID:ONSb4eJu
キングボンビー、確か小ネタでやってきてた
289名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 18:57:14 ID:GjBit/NK
>>284
新刊のネタバレは一週間は待つのが礼儀
290名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 19:47:18 ID:lR89IBMy
>>287
さすがキングボンビーさまwwww
どうやるのか分からないけど、敵に擦り付けたら最強だなw
291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 19:52:21 ID:quJoY8CL
>>287
ボンビー召喚は既に小ネタで無かったか?
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 19:57:26 ID:4gg9VlkA
>>290
擦り付けたい相手にキスして擦り付けるんだよ、きっと。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:01:50 ID:5J6rtmgc
そういやサイトって最初の時ってパソいじってる高校生だろ?
つまり肉はあまりあまりな訳ジャン?
でもアニSが鍛える量って半端無い訳ジャン?
それ以降のサイトも訓練してるしどれだけムキムキなんでしょうね。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:03:05 ID:S81OQFpy
>>283
メリーベルのボスが呼ばれた場合コッパゲは女性の尻を眺めてスケッチする可能性があるわけですねわかります。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:05:20 ID:ukz3U1j8
>>293
カズフサみたいな感じだろ。
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:07:33 ID:otPx7kbn
>>294
センセイ喰われちゃう!
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:08:13 ID:4gg9VlkA
>>295
乳首が物凄い勢いで万有引力の法則に逆らって仁王立ちしてるんだな。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:08:59 ID:DlrAngAw
アニエスさんはガチガチに腹筋が割れているとおもふ
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:09:23 ID:lR89IBMy
>>293
二行目までって訓練後のムキムキ具合と何か関係あるの?
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:09:38 ID:ZdBNIMvD
>>293
高校生なんだから、もとから普通に引き締まった体してると思うよ。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:14:17 ID:YDCJCV21
>>300
中学までに何をやっていたかによるだろ
302名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:17:03 ID:S81OQFpy
>>300
つマリコルヌ(同年代)

「こんなこともあろうかと鍛えに鍛えたこの体!」と脱ぎだし明らかに服に収まらない超兄貴みたいな肉体を見せつけるサイトってのは魔改造が過ぎるだろうか。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:23:43 ID:lR89IBMy
>>300
高校時代にピザとかガリとか居なかったの?
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:24:48 ID:E7Gl8uKS
>>302
怪しげな水の秘薬を飲んでマッチョ体型に変貌するサイトですね

オクレ兄さん!
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:40:23 ID:mcw8+Qwi
スポーツ校ならみんないいガタイしててもおかしくはないな
相撲部以外は
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:41:31 ID:5J6rtmgc
ちなみに高校時代ってのは一番筋肉が微妙な時期になると思うんだ(スポーツ校例外。
中学時代に部活やってるならそれなりにだけど。
高校時代は基本動かないんだよな、部活以外。
でも部活してるって言ってる文も見当たらず、パソコンを打ってたなら。
腹筋に微妙に筋が入ってる位にはぷよぷよだったはず。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:41:46 ID:S81OQFpy
>>304
すごいよルイズさん!
……いや何でもない。
あ、でも謎の輪っかを外した後のルイズは見てみたいかもしれん
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:53:33 ID:BHnmpQJB
ジョゼフが才人召喚
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 20:58:35 ID:lR89IBMy
その場合、サイトのルーンは何になるんだろう?

>>305
相撲部だってガタイはいいですよ、ガタイは
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:00:33 ID:q8YUuWWX
>>302
ふと思った。
超兄貴が召還されたらどうなるんだろう?
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:00:39 ID:mbHO8TeI
>>308
ゼロの英雄とか結構あったな。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:06:24 ID:YDCJCV21
>>309
高校相撲でも脂肪の下にはかなりの筋肉が隠されてるぞ
313名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:10:00 ID:Yl2amzJE
>>308
たしかエルクゥのサイトは、ジョゼフに召喚されたんだっけ。
あの サイトはギャグテイストだったが、サイトが本気ミョズの知性派だったり、ウィンでシルフィードとやたら仲良かったりしたら・・・
ちょい改変しすぎカナ?
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:16:44 ID:lR89IBMy
>>312
でないと動けませんよね。
これはプロになっちゃいますけど、2mまでなら100mのゴールドメダリストクラスなんでしたっけ?
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:17:57 ID:lR89IBMy
>>313
読みたいです。
パソコンをうまいこと活用したら面白くなりませんかね?
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:21:11 ID:LD7yE54s
高校時代に相撲で県2位の奴と仲良かったが凄かったぞ?
巨漢のくせに100メートル13秒台、サッカー、野球なんでもござれ
相撲部を侮ってはいけないよ
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:21:19 ID:NIm+Zr6c
阿部さんがモット伯に召還されたようです。

       ↓↓↓

シエスタ「マルトーさんが・・・マルトーさんがモット伯に連れ去られました。」
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:22:02 ID:Z29J16NY
プロの相撲だと一度余分な脂肪を落としてから筋肉をつけてもう一度太るらしい
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:24:06 ID:oue0apcE
>>309
あーもしかして、関取のガタイは脂肪で占められてると思ったとか?
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:27:01 ID:Z29J16NY
>>319
さすがにそれはないだろww
321名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:28:33 ID:E7Gl8uKS
>>307
チャームポイント(輪っか)を外したマサルさんは髪が伸びる
ルイズの場合は・・・胸か?胸が大きくなるんか?
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:30:53 ID:lR89IBMy
>>319
>>305が相撲部だけ外したことから、脂肪が付いている=ガタイが良いとは言わないと思っていると考えたので
脂肪があってもガタイが良いと言うというつもりで>>309を書きました。
お相撲さんの脂肪率が、一般的に肥満と言われる数値を下回っているのは知っています。
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:31:23 ID:L2Z6uLjB
>>321
逆だ、逆
チャームポイントを外すとみょうにさっぱりとする
324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:32:54 ID:tJtuXeHg
>>323
髪がストレートになって
垂れ目か線目になるとかか
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:33:20 ID:lR89IBMy
>>321
付けると伸びるんじゃありませんでしたっけ?
326名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:33:45 ID:Dk5OYYDr
要するにエドモンド本田を召喚すればいいのか?
327名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:36:46 ID:OBjhg/d+
>>326
彼ってどんな性格だっけか。
豪快なのは覚えているが。
328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:36:48 ID:lR89IBMy
お菓子でハルケギニアを席巻するスイーツ親方を
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:39:17 ID:mcw8+Qwi
日本一、すなわち世界一でごわす
うわっはっはっは

豪快で大雑把で目立ちたがりで大バカ野郎です
悪い奴じゃないけど
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:40:50 ID:E7Gl8uKS
>>323,325
あ、逆だったかスマン
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:41:33 ID:lR89IBMy
銭湯で戦うのは世話になった主人への恩返し
隈取りは、日本文化を知ってもらおうという本田自身のアイディア
サイドビジネスでちゃんこ料理店を経営。店は大繁盛のようで、世界的に進出している
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:42:46 ID:S81OQFpy
>>327
氷の下から現れて人の魂喰らってごっつぁんですとかいう人
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:44:38 ID:R+ugg+Au
>380
できますよ。でも、チートをOFFにしていると出来ないみたいですが。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:45:41 ID:R+ugg+Au
失礼。誤爆した。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:55:14 ID:54ofvX3s
力士なら大磨仁を召喚してもらいたい
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 21:58:48 ID:bxeX7Vmb
播磨灘…
337MtL:2008/09/25(木) 22:02:26 ID:hfXCE9YK
予約が無いようでしたら、10時15分から投下しますー
338名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:03:06 ID:lR89IBMy
戦闘竜の決めセリフを
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:03:21 ID:Dk5OYYDr
相撲なら「うっちゃれ五所瓦」なんてのもあるな
読んだことないけど
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:03:50 ID:Moha0Wbg
>>339
あれは傑作
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:03:58 ID:54ofvX3s
相撲BEAUTIFULの本山田太郎でもいいけど…
それはそうと、事前支援開始
342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:04:04 ID:ONSb4eJu
ああ、あの鉄をも曲げる石頭の
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:08:06 ID:25ZKPUrn
保管庫見たがSF系のキャラが呼ばれるSS少ない気がする。
用語解説やガジェットが増えるため難しいだからだろうか。
下手にマイナーな作品を選ぶと解説が増えて困るとSS書きながら思ってる。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:13:38 ID:lR89IBMy
GO!GO!ガジェットとか?
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:14:16 ID:mcw8+Qwi
ウラジミール・ガジェット博士だな
346MtL:2008/09/25(木) 22:15:27 ID:hfXCE9YK
マジシャン ザ ルイズ 3章 (44)壮麗な宮殿

「まあルイズ! 無事に到着できたのですね!」
まず、部屋へと案内されたルイズを歓待したのは、そんな声だった。
「女王陛下につきましてはご機嫌麗しく……」
「ああ、そんなにわたくしに気を回さないで下さい。わたくしたちはお友達ではありませんか」
そう言ってルイズを出迎えたのは、彼女が最も尊敬している人物にして、トリステインの女王、アンリエッタその人であった。
席を立って駆け寄ってくるアンリエッタが身に纏っているは、白地にうっすらとベージュ色が彩りを添える、花開く百合を連想させる上品なドレス。
対してルイズの格好は、髪を後ろでアップに結び、光沢ある生地を使っているものの抑えて控えめな色調の、赤いドレス。
そんな二人が並んで話す姿は、高名な画家が描いた、一枚の絵のようであった。

「いえ、女王陛下、そうはおっしゃっても……」
「あなたの席はこちらですよ。わたくしの席の隣に用意させましたの」
さあさあと、女王の白魚のような指に手引かれて、席へと案内されるルイズ。
そんな彼女を見つめるのは、無数の瞳。
気がついたルイズは、ちらりと視線の主達の方を見た。

そこでは期待する目、疑う目、値踏みする目、ただ観察する目、様々な心中を映した視線が、ただ一点ルイズへと注がれていたのだった。
既に四角く配置された会議場の机の一辺には、アンリエッタを中心としてトリステインの国章を身につけた男達が陣取って座っている。
その数は六人。
学者風の老人、立派な軍杖を腰から下げた将軍らしき男、目をギラギラさせた鷲鼻の男、片目だけでルイズを見ながら顔は下へ落としている白眉禿頭の男、背筋がしゃんと伸びた位の高そうな騎士らしき男。
着席している人間は多種多様。その中にはルイズも何度か目にしているアンリエッタの側近、マザリーニ枢機卿の姿もあった。
また一方、別の一辺。
ルイズ達から見て右辺に位置する席には、トリステイン勢とは対照的に少数の人間が座っている。
それはキュルケとその二人の部下達の三人で構成される、ゲルマニアの代表出席者達である。
彼らはそもそも本来、国の命運を左右するこの会議に出席する権限や地位を持っていない。
しかしそれでも、彼らがその席に座っているのは、他に適切なゲルマニアの関係者がいなかったためである。
何せ、この集まりは呼びかけが行われてから実際に開かれるまで、一週間とかけずに開催された会議である。
例え諸国へ亡命していた貴族がいたとしても、この短時間で彼らの意見をまとめ上げる器量と影響力を持った人物は皆無であったろうし、何より皇帝が行方不明の現在、ゲルマニアの代表者を見つけ出す時間もなかったのだ。
そういったことや会議の混乱を避けるためという名目もあって、ゲルマニア国外におり議会から委任された権限を持つキュルケが、年若いながらこの場に出席しているのである。

ルイズが席に座って暫く、アンリエッタが畏まり固まっているルイズに世間話を一つ二つ振った頃合い。
会議室にある二つの扉の一つが、音もなく開け放たれた。
そしてそこから、先ほどのルイズとアンリエッタの時とはまた違う、別の華やかさが現れた。
目映いばかりの美貌を振りまき、さわやかな微笑みを浮かべて入ってきたのは、教皇聖エイジス三十二世。
そしてその後ろで、彼に付き添うように歩いて来たのは、教皇と同じく白い聖衣を纏った、顔にいくつもの皺を刻んだ歳経た二人の枢機卿だった。

集まった人間達の視線が、今度は教皇達へと向けられる。
しかし教皇はそんなことは気にしないとばかりに、入ってきたときと変わらぬ涼やかさで、ルイズ達の右辺に用意された自分の席へと歩を進めた。
そして、連れ添う枢機卿達が席の前についたのを確認すると、教皇はアンリエッタへと、体の向きを変えた。
これを受けて、アンリエッタを含めたトリステイン家臣団も申し合わせたように席を立った。
一瞬遅れかけたルイズも、慌てて席を立つ。
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:17:00 ID:lR89IBMy
支援
348MtL:2008/09/25(木) 22:18:39 ID:hfXCE9YK
「お初にお目にかかります女王陛下。即位式の折りには出席適わず、大変申し訳ございませんでした」
「こちらこそお初にお目にかかります、教皇聖下。その節は天運がわたくしに味方しなかったか、わたくしの徳が足りなかった故のこと。そのようなことをおっしゃられてはわたくしが困ってしまいます」
言って二人は、同時に礼をとった。
宗教庁の代表者たる教皇とトリステインの代表者たる女王の、最初の挨拶。
そこから二人は慣例と定型句、謙遜と牽制、それに少々の本音と打算を含ませながら、一言二言、言葉を交わし、同時に着席した。

教皇達ロマリアの一団が席に着いたことで、それまでルイズに話しかけていたアンリエッタも口を閉ざすことになり、緊張を含んだ沈黙が場を包み込んだ。
しかし、それも長くは続かない。
喧噪を引き連れて、新たな出席者達の気配が近づいてきたからだ。

『よーし分かった。つまりアレは、お前の使い魔ってことなんだな? ははん! 主人が主人なら使い魔も使い魔だ! 何のしつけもなっちゃいないっ! この私が直々にしつけ直してやろうかい? えぇ?』
話し声、いや、誰かが誰かに一方的に言葉をぶつけているような、そんな声。
それは、初めは小さく、後の方はその場の全員がはっきりと聞き取れる位の音量で
扉の内側で緊張の圧力が高まる中、声の主が扉の前にたどり着いた。

そして、両開きの扉が勢いよく開け放たれた時、既に起立していた女王と教皇、その配下達の視線の先には、野性的な笑みを浮かべた女性が一人、立っていた。

長い青髪に真蒼のドレス。
その姿はアンリエッタが白百合と表現するなら正に好対照、妹であるタバサに送ったそれと同じ、青い薔薇と形容するのが相応しい姿。
着飾ったドレスは幾重にも、幾重にも花弁のようなレースを重ねた、プリンセスラインのシルエット。
そしてそれを着ているのは、自分自身こそが棘であると、誰にも憚らず主張しているかのような、意志の強そうな、はっきりと言えば酷く悪い目つきの少女。
彼女こそは、この会議の主催者、ガリアの女王イザベラ一世であった。

現れたイザベラに、最初に話しかけたのはアンリエッタだった。

「同じ祖を頂きし、はらからたるガリアの女王イザベラ一世、お初にお目にかかります」
「始祖の加護深き兄弟たるトリステインの、聖約を授かりし女王アンリエッタ、この出会いを感謝いたします」

まずは二人の女王が、互いに一言、優雅に互いに一礼。
それはハルケギニアの歴史を紐解いても珍しい同時代、同世代で誕生した珍しい女王同士のやりとりであった。
ゆっくりと、礼を終えて佇まいを直したアンリエッタの顔は、どこか強ばったような堅さを残した厳しい面持ち。
一方イザベラは何かをおもしろがっているような、そんな不遜さを瞳に宿して、手に持った羽根飾りのついた、これまた青い扇子で口元を隠している。
そうしてたっぷり十秒ほどもお互い見つめ合った後、イザベラは続いて教皇へと向きを直した。

「正しき教えを守る守護者の長にして、我らの家を束ねる教皇聖エイジス三十二世。神が導き会わせたる、この出会いに感謝を」
「護法者にして正しく道を歩む、鮮烈なる青たる女王イザベラ。この出会いが始祖の祝福を受けた輝かしいものであることを、私は確信しております」
一礼。
しかし、今度はうってかわってイザベラがさもつまらなそうに教皇を眺め、教皇の方が笑顔を絶やさずに目の前のイザベラを見ていた。


349名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:19:19 ID:lR89IBMy
支援
350名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:21:54 ID:25ZKPUrn
航空支援
351MtL:2008/09/25(木) 22:22:09 ID:hfXCE9YK
「……ふん。余計なおべんちゃらや宮廷儀礼はこの辺で切り上げて、さっさと本題に入ろうじゃないか。あたしもそこの女王陛下も、初めての外交行事ってやつで、緊張してるんだ。さっさと初めてさっさと終わらせるよ」
勢いよくどっかと座り込んで、間も置かずにそう切り出す女王イザベラ。
そんな放埒すぎる発言に、参加者達があっけにとられる。
その中にはイザベラと共に入ってきて、まだ腰を落としきっていなかったガリアの大臣二人も含まれていた。
「へ、陛下……」
彼女の暴言に、気の弱そうな小さい顔をした痩せすぎの大臣が窘めたが、イザベラは頬杖をつきながら彼の方を見ると、ぶっきらぼうな口調で続けて言った。
「後はお前達の話し合いだろう。さっさとやれ、しっかりな」


諸国会議、投げやりにそう名付けられたこの会議こそは、ハルケギニアの行く末を決める重要な話し合いの場なのである。
ガリア王国の王都リュテュス、その中心部に座するヴェルサルテイル宮殿のグラントロワで急遽開かれることとなったこの会議には、現在のハルケギニアにおいて大きな力を持つ国家の重鎮達が集められている。
彼らはイザベラの発言を皮切りに、未来を探るべく会議を始めたのだった。



果たして、会議はイザベラが言った通りに進められた。
会議に要したのは時間にして三時間と少し。
その間、別段会議が難航したということも無く、むしろスムーズ過ぎるくらいスムーズに進んだと言えた。

アンリエッタも、イザベラも、教皇も、勿論ルイズも、会議が始まってからは特に積極的に発言するような場面は巡ってこなかった。
会議では各国の代表として出席したそれぞれの国の専門家達によって、お互いに示し合わせ、申し合わせたような筋道に沿った話し合いで、きわめてスムーズに進められた。
彼らは皆、外交の、軍事の、経済のエキスパート達である。
互いに手の内は知れている。たまに意見が対立することがあったとしても、それは腹の探り合いの上でのことであって、実際のところの結論といえば、当事者達にとっては分かりきったことなのである。
この会議に出席した時点で、既に勝負は九割方が決していると言っても良い。
そして、付け加えるなら、この会議の最大の目的であった『アルビオンの打倒』『周辺国による協力体制』については、トリステインが主導の元で条約が結ばれるということが、ほんの十分もしないうちに取り決められてしまっていた。
では、残りの三時間近くの時間が何に費やされたかといえば、それは『戦後の処理』についてである。
特に、戦後アルビオンとゲルマニアの統治をどうするのか、会議の残り時間の焦点は、そこに終始した。
トリステイン・ガリア・教皇庁(ロマリア)は、勝ち取った領土についてどうするかを、ひたすらに話し合った。
勝てるかどうかも分からない戦いが控えているというのに、勝った後のことを話し合うということの馬鹿馬鹿しさに、ルイズは思わず呆れてしまったのだが、これも政治と割り切ることにして、とりあえず神妙に頷いて会議の時間を何事も無く過ごした。
そんな中にあってアンリエッタは終始にこにこと笑っており、イザベラは頬杖を突いた姿勢で船を漕いでいた。
唯一教皇聖エイジス三十二世だけは時折思い出したように発言したが、ほとんどの場面では、彼もやはりただ頷いているだけであった。
そして、切り取られるパイの側であるキュルケ達ゲルマニア勢に至っては、最初の条約締結の段で一言喋ったのみで、そのあとはずっと沈黙している始末。


そんなルイズが想像していた以上に退屈を味わうことになった会議が閉じられたのは、日が傾いて夕の刻に入った頃であった。
しかも、後に待っていたのは一挙一頭足まで注目され続ける晩餐会。
結局その日、ルイズにとって気が休まる時間というのは、随分と後になるまでやってはこなかったのだった。


「ふうぅぅ……」
ルイズは深く、長く、息を吐いた。

三時間にも及ぶ不毛な会議、そしてその後に催された贅の限りが尽くされた晩餐会。
それら窮屈な時間が終わって、ルイズはアンリエッタにと用意された、離宮の賓客室にその身を置いていた。
女王陛下の部屋に入るなど恐れ多いと辞退しようとしたルイズを、アンリエッタが強引に部屋に連れ込んだのである。

352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:22:47 ID:54ofvX3s
支援
353名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:24:46 ID:lR89IBMy
支援
354MtL:2008/09/25(木) 22:25:18 ID:hfXCE9YK
部屋に入ってからしばらくの間、虚空を見ながらぼーっとしていたルイズに、鈴の音のような透き通った声がかけられた。
「うふふ。慣れぬお勤めにお疲れのようね、ルイズ」
「あ、いえ、その、……はい。陛下……」
「安心してちょうだい。わたくしも別段得意というわけでは無いのですよ」
言って苦笑するアンリエッタ。

二人は今、ウェザーライトUでルイズとキュルケがそうしていたように、テーブルを挟んで椅子に座っていた。
そろそろ夜の闇も濃い、この時間は寝る前の小休止といったところである。

「いえ、やはり女王陛下はお強いです。わたくしにはあのような場はとてもとても……」
そう言ってうつむき加減に首を振ったルイズの顔には、確かに疲労が浮かんでいる。
いくら公爵家の娘として育てられたルイズといえど、これほどまでに緊張感を持続させなくてはならない場に、長く居続けたことはなかったのである。
それは、かわいい愛娘をそんなところには連れて行かないようにしていた、父ミシェルの配慮があったのだが、そのことに彼女が気づくのは随分と後になってからである。

ふと、ルイズはアンリエッタの顔色を窺うようにして顔を上げた。
その目に映った女王は、凛としており。それほど疲れているようには見えなかった。
その視線に気がついたアンリエッタが、にっこりと笑う。
「頼りないかも知れませんが、わたくしだってこれでも女王です。王という仕事には体力が欠かせませんからね」
言って笑うアンリエッタからは、彼女が以前に見せたような弱さや迷い、狂おしいほどの苦しみや悲しみを、読み取ることはできなかった。
むしろ今の彼女からルイズが感じたのは、日の当たる草原を思わせる、穏やかな、陽だまりの匂い。

そんな女王の姿に、ルイズは思わず見惚れてしまった。
「陛下……」
ルイズが思わず言葉を漏らす。
意味のない、ただ漏れたと表現するしかない言葉。
しかしアンリエッタは、その言葉になんらかの意味を見いだしたのか、ルイズの目をまっすぐに見つめて語り始めた。
「ルイズ、わたくしはね……。別にウェールズ様のことを忘れたわけではないのよ。でも、かといって逃げているわけでもない。
 自分の弱さや、押しつぶされそうな悲しみを背負って、それでもわたくしは胸を張って生きていこうと、そう思うことにしたのです。
 そう思えるようになったのは、あなたのおかげよ、ルイズ。あのとき、あなたがわたくしを叱ってくれたから、わたくしはまた立ち上がることができたのです」
あのとき――それは、自分がアンリエッタの頬を叩いた、あのときのことか。
ルイズはそのときのことを思い返して机の上に置いていた手を、きゅっと強く握りしめた。
けれど、その手を白い手袋を穿いたアンリエッタの手が包み込んだ。
「ルイズ。わたくしはあなたに感謝しています。そして、その感謝を生涯忘れることはないでしょう。
 あなたのおかげでわたくしは、悩みながら、苦しみながら、自分の弱さを認めて、全てをありのままに受け止めて、しっかりと立って行こうと、そう思えるようになったのです」

包容力と芯の強さを兼ね備えた、しなやかな決意。
アンリエッタの中にそれを見たルイズの口から、声がこぼれた。
「ひ、姫さま……ご立派に……本当にご立派に……」
思わず、昔の呼び方がついて出た。
そしてルイズの頬から、滴が、一つ、二つ、ぽろりぽろりと玉となって落ちていく。
「まあルイズ、泣かないで。泣いてはなりませんよ。わたくしに強くあれと言ってくれたあなたが、泣き虫ルイズのままだなんて、とてもおかしいことですもの」

355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:26:09 ID:lR89IBMy
支援
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:27:22 ID:kZ/nY7JF
>>312
というか、高校で相撲を続けてる時点でかなり本気だからな。
357MtL:2008/09/25(木) 22:28:31 ID:hfXCE9YK
アンリエッタが真っ白なハンカチを差し出して頬を拭いてくれる。
しかし、それでもルイズの瞳からは、堰を切ったように涙が止めどなくあふれ出た。

ルイズには嬉しかった。
こんな自分でも、人の役に立てたことが、ただ純粋に嬉しかった。
誰かのためになる、それがこんなにも嬉しいことだとは、ルイズは知らなかった。
「姫さま……姫さまっ……」


泣き止まぬルイズをアンリエッタが優しく介抱して暫く、部屋に小さく、カコン、という音が響き渡った。

「……?」
怪訝に思ったアンリエッタが部屋の中をぐるっと見回すと、ちょうど部屋の真ん中にあった暖炉から、小さな人影が出てくるところだった。

「最近の妖精さんは、暖炉から出てくるのが流行なのですか? ええと、あなたは確か……ルイズのご学友の……」
煉瓦造りの大きな暖炉の中にあった隠し通路、そこからその身を現したのは、青髪短髪に眼鏡をかけて、大きな杖を持った小柄な少女であった。

「!?」
アンリエッタの言葉に驚いたルイズが、慌ててその身を離した。
「た、たた、タバサ……ッ!?、なんであんたがここに!?」
ルイズは涙混じりの上ずった声をあげと、自前のハンカチを取り出して目元を隠す。
タバサはその一部始終を黙って見終えてから、静かに口を開いた。
「……出直す?」
「! そ、そんな必要ったら無いわよ。ま、まったく無いわっ。それより! 今この部屋はトリステイン王国の女王陛下のお部屋なのよ! そんな忍び込むようなことしたら、大変なことになっちゃうわよっ!?」
動揺と混乱のために、必要なステップを一つ二つ蹴飛ばしてルイズが言う。
しかし、タバサはその言葉にも動じるところなく、平然とアンリエッタの前まですたすた歩いてくると、すっと体を沈め、その場に洗練された動作で傅いて見せた。
きょとんとする二人の前で、いや、より正確にはアンリエッタの前で、タバサは両手を差し出すと、そこには何かが置かれていた。
思わず何事かと覗き込む二人。

そして、先に気づいたのはやはりアンリエッタ。
彼女は雪のように白く美しいタバサの手のひらに乗せられていたもの見て、鋭く息を飲んだ。
続いてルイズも思わずあっと声を上げかける。

そこにあったのは一通の書簡。
しかしながら二人が驚いたのは書簡の存在にではなく、その書簡を封印している蝋に押された印を見てのことである。
押されていたのは組み合わされた二本の杖、つまりはガリア王国の王のみが使うことを許された王印だったのである。
即ち、それが指し示すところ、それは――

アンリエッタは横を向き、片手で額を覆って、しばし自分の考えをまとめると、意を決したようにタバサに問いかけた。
「……この押印を許される者はこのハルケギニアにおいてただ一人。それを偽ることはどこの国法に照らし合わせても重罪となります。その上で……念の為に聞きます。この書状は……誰からのものですか?」
声を震わせるアンリエッタの言葉に、タバサはうつむいたままにその名を告げた。
「ガリア王国女王、イザベラ一世より、トリステイン王国女王アンリエッタへ」

「……あなたは一体、誰ですか?」
その言葉に、タバサは顔を上げて答えた。

                  オルレアン公爵家当主、シャルロット・エレーヌ・オルレアン。女王の……妹。
                           ――タバサからアンリエッタへ
358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:30:33 ID:ukz3U1j8
かわいがり
359名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:30:43 ID:54ofvX3s
乙!
なぜに煙突から?サンタ・タバサか?
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:30:52 ID:lR89IBMy
支援
361MtL:2008/09/25(木) 22:32:56 ID:hfXCE9YK
以上で投下終了です。
結局二週間も開けてしまって申し訳ありません。

先週は長野に温泉に行ってきました。
温泉宿でぼーっとするって、至福の時間です。


前回投下時に言うのを忘れていたのですが、wikiで誤字脱字の修正をして下さった方、ありがとうございました。
今後は減らすよう努力します。本当にありがとうございました!
362未来の大魔女候補2人 第7話 ◆kjjFwxYIok :2008/09/25(木) 22:45:34 ID:i6eR2XTD
第7話が書き上がったのでいつもより早めの時間ですが、22:55から投下しようと思います。

あー、頭痛い。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:48:23 ID:mcw8+Qwi
ナロンエース
MIUスポーツドリンク(人肌)
にがり
これ全部混ぜて飲んで寝ろ
大体治るぞ頭痛
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 22:51:08 ID:DAovWlKj
>>361
GJ!です。
ゲルマニアはまな板の上の鯉っすね。
 
 今日も今日とて彼は朝っぱらから全力疾走していた。
 理由は言わずもがな、遅刻である。
 息を切らせながら朝露に濡れる中庭を掛け抜け、食堂の裏の勝手口を目指す。
 彼の名前は平賀サイト、二ヶ月前に雇われた調理場の雑用係である。
 二ヶ月前は貧弱な坊やだったが、今では宿舎から調理場まで走ってもあまり息切れしない程度には逞しくなっていた。
 乱れた息を整えながら、手櫛で髪を整える。
 そして勝手口を引き開けて、オズオズと謝りながら戸をくぐる。

「やだぁ、失敗失敗。遅刻しちゃった♪ んもぉ、みんな起こしてよねっ」
「ドゥアラ―ッ!」
「ジャビット!?」

 調理場に入ると同時、裂帛の気合がサイトを打つ。
 そして、積み上げられた木箱を巻き込んでもんどりを打ったところで、サイトは自分が殴り飛ばされた事に気が付いた。
 痛む頬を庇いながら顔を上げると、そこには鉄拳の持ち主が仁王立ちでサイトを睥睨していた。

「こっの、クルピラ野郎がっ! 雑用係のくせして、お寝坊さんで遅刻とは良い度胸だな!
 チャーミングに入って来たって、誤魔化せやしないぜ!?」

 語気を荒げて矢継ぎ早に説教を飛ばしてくるその人物は、学院の厨房を預かるマルトーその人である。筋肉を昂ぶらせ、全身に鬼気を纏うその姿は、トロル鬼もかくやという風体であった。
 尋常ならざるマルトーの様子にサイトはアタフタとうろたえ、何とか矛を収めてもらうよう必死に訴えかける。

「いや、ちょっと待って下さいよぉ。遅刻の理由も聞かずに即体罰!? これは悲しい事です!」
「遅刻の理由? どうせエロい夢とか見てたんだろ!?」

 しかしマルトーは、取りつく島もなくつんけんと答える。

「エロい夢!? とんでもない!
 言わせてもらいますけどね、しつこく求婚してくるマルトーさんを、抓ったり棒で突っついたりで散々な夢だったんですよ!?」

 サイトは驚愕の声をあげて、今朝見た悪夢を身振り手振りを交えてありのままに語る。
 いかにその憶測が、言いがかりに過ぎないと言う事を声高に主張するのだが、サイトに向けられる眼は限りなく冷たい。
 マルトーは、汚物を見るかのような眼でサイトを見てからスタッフを見渡し、青筋を浮かべた顔のまま告げる。

「え〜、この人かなり頭がアッパッパーなので、新しい雑用係を雇いたいと思います。
 誰か意見のある人は手を挙げてからドウゾ」

 突然の解雇通告にうろたえ、マルトーに追い縋る。抱きつかれるマルトーは、いかにも鬱陶しそうに顔を顰める。

「えーっ! 俺、アッパッパーじゃないっすよ! だからソレだけは勘弁して下さい!
 詳しく説明しますから、誰か紙とペンを!」

 無様に追い縋って喚くサイトを見て、誰ともなしに呟きが漏れる。

「……やっぱ、アッパッパーだ」

 それは、いつもの朝の風景であった。



 ※『サザンがサイト伝』始まりません。


 
            未来の大魔女候補2人 〜Judy & Louise〜

               第7話『休日前の魔女2人』




「あ゛う〜」

 神経質そうな教師が教鞭を執る講義室の一角に、少女が机に突っ伏して呻いていた。
 少女はペールピンクの髪と、黒いマントで覆われた小柄な体をだらしなく机に預けている。

「何やってんのよヴァリエール、あの先生に見つかったら面倒くさいわよ?」

 少女の斜め後ろ。キュルケが身を乗り出してルイズの顔を覗きこみながら、教壇に立つ教師を指差して注意をしてくる。
 ルイズは顔を顰めて、キュルケを横目で一瞥してから毅然と姿勢を正す。
 が、しかし……

「ううぅ…… か、体が軋む……」

 無理に姿勢を正したせいか体の節々が悲鳴を上げ、再びルイズは机に突っ伏す羽目になった。

「なに? 貴女、筋肉痛なの? みっともないわねぇ」

 背中を縮こまらせるルイズに、隣に座るモンモランシーが呆れたような声を掛けてくる。
 モンモランシーは、口元とソバカスの浮いた頬を僅かに歪ませて苦笑いを浮かべており、その後頭部では大きな赤いリボンが揺れている。
 ルイズは苛立たしげに2人を睨みつけてから、プイと顔を背けた。

「ふんっ!」
「なによ、その態度!? 失礼しちゃうわ!」

 その態度が気に障ったのか、モンモランシーはいきり立ち、憤慨の声をあげる。
 だがしかし、ルイズはだんまりを決め込み、モンモランシーの顔を見ようとさえしない。
 暫くモンモランシーは文句を言っていたが、やがて諦めたのか忌々しげに一睨みをしてからそっぽを向く。

「はんっ! もういいわよ!」

 並んで座る少女が互いにそっぽを向く様を見て、キュルケはニヤニヤと薄笑いを浮かべる。
 ルイズは何となく、キュルケがどんな表情をしているか予想は付いていたが、あえて無視した。なぜなら、僅かな動作においても筋肉痛が襲い掛かってくるからである。
 日ごろの運動不足が祟ったなどという問題ではない。
 それというのも、昨日の教室爆破のペナルティの所為である。
 密閉空間で発生した爆発のお陰で、いたる所が大なり小なり破壊された講義室を修復するのは、ルイズ1人ではどだい不可能な話であった。
 よって、ルイズに命じられた作業は、破壊された物の撤去及び、備品の補充。そして、室内の清掃であった。
 それであっても、半日がかりの重労働である。
 講義室とゴミ捨て場を何度も往復し、備品倉庫から重たい机や替えのガラスを運び出す。
 全ての作業が終わった頃には陽は暮れなずみ、ルイズは埃と汗に塗れていた。
 そして、今日の筋肉痛というわけである。

『ちょっと失敗した程度であの罰はないわ! 大体、片付けなんて、使用人か業者に頼むのが筋じゃないの?
 生徒1人に押し付けるなんて、教育システムの重大な欠陥を感じるわ!』

 ルイズは心の中で愚痴をこぼす。
 延々と繰り返される不満ごとは、張り上げられた声で中断された。
 若い男の声がルイズの耳朶を打つ。
 
「諸君! 『風』の事をよく知っているかね?
 『風』を知らずして系統魔法を語ることはしてはならない。
 『風』の力は強大だ!
 大地でさえ『風』の力によって削られ、その姿を変える。
 どんなに巨大な炎でさえ、『風』の前ではロウソクの火に過ぎない!
 また……」

 教壇の上に立ち、講義という名の演説を行っているのは、自称スクウェアメイジの『疾風』のギトーである。
 その内容は『風』系統魔法の他系統魔法に対する優位性、とどのつまり『風サイキョー』という事だった。
 ルイズはその高慢で不遜極まりない理論に辟易する。
 それは教室にいる皆も同じであり、ウンザリとした表情を隠し切れてはいない。何故ならば、講義の度に同じ事を繰り返し聞かされているからだ。
 下手に止めようにも教師と生徒では実力の違いは明らかであり、ギトーの『風』の餌食になるだけだ。結局、耐える以外の選択肢はない。
 しかし、それでも慣れとは恐ろしいものであり、既にルイズは右から左へと聞き流す事など造作もない境地を会得していた。
 不意に背中をつつかれ、ルイズは胡乱気な表情で振り返る。

「ねえねえ、なんでポセイドンが縮んでる訳? 教えなさいよ?」
「あっ、それは私も気になるわ」

 ルイズと同じく教師ギトーの『風』TSUEEE談義を無視したキュルケが机の上に乗ったポセイドンを指差して、興味丸出しの表情で訊ねてくる。
 さらに、モンモランシーもそれまでの態度を豹変させ、目を大きくして話に割り込んでくる。
 いずれ聞かれる事だろうと思っていたので、ルイズは溜息を吐いてから、しょうがないといった体で話し始める。

「仕様です」
「「はぁ?」」

 2人は声を揃えて、意味が分からないといった顔を浮かべている。
 ルイズは慌てて言い直す。

「えー、そうじゃなくて。そういう特徴というか、えと……
 そう! 体の大きさをある程度変えられる幻獣なのよ!」
「そうなの!? それは凄いわね! 流石、東方の幻獣ね!」
「そ、そう……」

 モンモランシーは目を輝かせる。
 予想外の食い付きの良さにルイズは圧倒され、機械的に相槌を打つ。
 不意にポセイドンの隣にいたロビンが、モンモランシーの頭に飛び乗った。
 モンモランシーは恍惚とした表情を消し、少し慌てた声でロビンに弁明する。

「や、やだ。違うのよロビン。一番は貴方よ。ええそう……」

 なんだか浮気を誤魔化している様だ。その光景を見て、胡乱気にそう考えるルイズの背中が後ろに引き寄せられる。
 素早く振り向くと、間近にキュルケの顔があり、周りに聞こえない声量で囁き掛けてくる。

「ねえ、ポセイドンが縮んだのって、ファミリアの特性?」
「……うん」

 ルイズは問いの意図が読み取れず、素直に頷く。
 すると、キュルケは吐息が掛かる程に顔を近づけ、キツイ瞳でルイズを射抜く。

「だったら、もっと上手く誤魔化しなさいよ。
 モンモランシーだったから良かったけど、他の人なら絶対にボロが出てるわよ」
「誤魔化せんだから良いじゃない!」

 ルイズも額をぶつけるほどにキュルケに詰め寄り、ヒソヒソ声で噛みつく。
「アンタはそれで良いかもしれないけど、もしばれたら如何なるかしらね?
 ジュディは好奇の目に晒される破目になるわね」
「それは駄目だわ」
「そうならない様に上手くやりなさいって言ってるのよ。おわかり?」
「……そうよね、私がシッカリしないと」

 ルイズは自分に言い聞かせるように繰り返す。

「……やっぱり、仲が良い」

 キュルケの隣に座り、一連のやり取りを横目で眺めていたタバサがポツリと呟いた。



 ◆◇◆



 太陽が天頂を過ぎた頃、白い雲が浮かぶ空に1つの影があった。
 その影は鳥よりも早く飛翔し、縦横無尽に飛び回っている。
 春の柔らかな陽射に照らされるその姿は、空と同じ蒼穹の鱗を持つドラゴンだ。
 巨大な皮膜の翼に鋭い鉤爪。長大な尻尾に尖った牙。そのどれもが恐るべき武器となり得る代物である。
 しかし、その瞳に宿るのは理性の輝き。跳ねる様に飛ぶその姿は稚気に溢れ、暴力と破壊の権化とは程遠い存在であった。

「お〜肉を喰べましょう〜 きゅい、きゅい♪」

 その巨体でとんぼ返りを打って、楽しげに歌う。
 上空には強風が吹き荒れているが、竜はそれを物ともせず、時に逆らい、時にその身を委ねて奔放に舞い踊る。

「今日も良い天気なのね、きゅい!」

 突如、蒼い竜以外は存在しない大空に元気の良い少女の声が響いた。

「明日も明後日もこんな天気が続けばいいのね。
 特に明日はお姉さまとお出かけだから、絶対に晴れてほしいのね。きゅいきゅい。
 ここなら誰も居ないから喋り放題。きゅい」

 驚くべきことに、その声は竜の口から漏れ出でていた。
 竜は陽気な声で続ける。 

「今日のご飯も美味しかったのね。
 お肉が食べたいと思ってたら本当に出て来たのね。あの黒頭、馬鹿そうだけど良い奴なのね。きゅい!」

 昼ご飯に食べた肉塊の味を思い出し、舌なめずりをする。
 ひとしきり騒いだ後、再びとんぼ返りを打つと、鋭く旋回をして複雑な軌跡を描く。
 それはおおよそ、他の飛行生物には真似のできない芸当であった。
 ふと、背面飛行をする竜の視界の隅に何かが映る。

「きゅい?」

 体を回転させて水平飛行に戻し、遥か下方に目を凝らす。

「きゅい。お仲間なのね」

 そこに居たのは赤い竜であった。その赤い竜は、蒼い竜よりも随分と小さく1/5程度しかない。
 竜は嬉しそうに一声嘶くと、赤い竜を目指して急降下を始める。
 ほんの一瞬で赤い竜の元までたどり着くと、先住言語で呼びかけた。先住言語とは、古代の幻獣が用いていた言語であり、使い魔間の会話は、通常これを以って行われる。

「きゅい。きゅいきゅい? きゅーい、きゅい!」
「?」
 
 しかし、赤い竜は首を傾げるばかりである。

「きゅい! きゅいきゅい、きゅい!」
「??」

 なおも懸命に呼び掛けるが、芳しい反応は得られない。
 しかし、諦めずに再び話しかけようとした瞬間、赤い竜が口を開いた。

「ごめんなさい。こっちの言葉は分からないの」
「きゅいっ!?」

 返ってきたのは、小さな女の子の声であった。
 それに青い竜は顎が外れんばかりに驚き、赤い竜を強引にひっ掴み一気に上昇すると噛みつかんばかりにがなり立てる。

「ダメなのね! あんな低い所で喋ったら、誰かに聞かれるのね! お仕置きされるのね!」
「どうして?」

 必死に説教をするが、赤い竜は分かっていないらしく、不思議そうな瞳で蒼い竜を見詰めるのみである。
 その態度に青い竜は苛立ちを隠せず、さらに捲し立てる。

「どうしたもこうしたもないのね! 普通、竜は喋らないのね!」
「でも、アナタも喋ってるじゃない?」
「上げ足とるんじゃないのね。このチビ助!
 シルフィは韻竜だから喋って当たり前なのね! きゅい! きゅい!」
「韻竜ってなあに?」
「自分の種族の事も知らないなんて、とんだマヌケなのね! オマエいったい幾つなのね!?」
「んーと、2歳……かな?」

 赤い竜は小首を傾げ、自信なさげに答える。 

「……シルフィの1/100じゃしょうがないのね。
 このシルフィードおねえさまが、オマエに常識を教えてやるのね!
 心して聞くがよいのね! きゅいきゅいきゅい!」
「うん、ありがとう」

 シルフィードと名乗った蒼い竜は、尊大に胸を逸らして赤い竜に言い放つ。

「まずは、お前の名前を教えるのね。きゅい!」
「この子はイアぺトス。ヨロシクネ」

 赤い竜はそう名乗ると、シルフィードに顎を擦りつける。
 そうすると、シルフィードはますます気を良くして大空を翔るのであった。
 


 ◆◇◆


 昼下がりの魔法学園の中庭、火の塔へと続く道をジュディとルイズは歩いていた。
 ジュディは昨日の言いつけ通り、コルベールの研究室を目指しているのである。
 ならば何故、ルイズが同行しているかというと、それは昼食後の会話に起因する。
 当初ルイズは、午後はお茶でもしてのんびりと過ごすつもりであった。
 そしてどうせならとジュディを誘ったのだが、用事があるとやんわりと断られてしまったため、道案内をかってでたのであった。
 幸い今日はダエグの曜日であり、午後の授業はない。
 均等に刈り取られ、青々とした柔らかい芝生を踏みしめながら歩を進める。
 中庭には幾人かの生徒が屯しており、使い魔の姿も見える。
 穏やかな雑談で包まれた中庭を抜け、火の塔の正面に立つ。

「あそこがミスタ・コルベールの研究室よ」

 そう言ってルイズは、塔の日陰になっている建物を指で指し示す。
 その建物は、年代を感じさせる汚れが染み付いたレンガ造り研究室であった。
 窓にはすりガラスがはまっており、中を窺う事は出来ない。

「しょっちゅう爆発や異臭騒ぎを起してる学院の名所よ。出来る事なら、余り近づきたくない所ね。本当に行くの?」
「約束したから、ちゃんと行かなくちゃ」
「まあ、それもそうよね……」

 ルイズはそれ以上止めることはせず、2人は研究室の入口に立つ。
 『コルベールの研究室』と書かれたプレートには、気難しい顔を浮かべてデフォルメされたヘビのイラストが書かれている。
 ジュディは、そのプレートのかかった扉を背伸びをしてノックする。
 小気味よいノック音が響くと、部屋の中からドタバタとした足音が聞こえてきた。
 扉に設えられている覗き窓のカーテンが僅かにずらされ、誰かの眼がルイズを映す。

「誰ですか?」
「ジュディです。コルベール先生に会いに来ました」
「ん? ああ、昨日の……
ちょっと待っててね」

 中の人物はジュディに視線を移す。
 ガチャガチャと鍵を外す音が響き、扉が開くと薄暗い室内から少年が現れた。ハルケギニアでは珍しい黒髪黒眼だ。
 ルイズは訝しげな顔を浮かべるが、ジュディは少年に嬉しげに話しかける。

「あっ、サイト君だ。何してるの?」
「ん? 昼飯持ってきたら、助手の真似事してくれって先生に頼まれてさ。
 まあ、なにするのか知らないけど……」
「助手ぅ? 魔法の実験に平民が役に立つの?」

 ルイズは疑わしそうにサイトをジロジロと見る。
 締りのない顔は見るからに、少々頭が足りない様に思え、これでは助手など務まる筈がない。と、ルイズは思う。
 サイトはチラリとルイズを一瞥してから、わざと聞こえるような声でジュディに耳打ちをする。

「何なのこのツンツンした人。俺はジュディちゃんだけって聞いてたんだけど、関係あるのこの人?」
「関係ない訳ないでしょ! 失礼なやつね!」

 ルイズは怒りを露わにするが、サイトはニヤニヤと、薄笑いを浮かべてさらに続ける。

「え〜? お貴族様に失礼な態度なんかとるわけないっすよ。特に『ゼロ』のヴァリエール様には、ね?」
「……躾が必要なようね?」
「2人とも喧嘩は駄目だよ。早く中に入ろ?」
「うっ…… しょうがないわね。でも、次に言ったらわかってるわね?」
371名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:04:12 ID:lR89IBMy
支援
 サイトは薄笑いを堪えて、入口の脇に寄る。

「おっと、そうだった。先生は中にいるよ」

 サイトはそう言うやいなや、おもむろに渾身の力で扉を支えるふりをしながら叫ぶ。

「さあ! 俺に扉を支える力が残っている間に早く通り抜けるんだ!」
「おじゃましまーす」
「……アホらし」

 2人が中に入ると、サイトは扉を閉めて後をついてくる。
 すえた薬品の臭いがする室内を進んで行くと、背を向けて用途の知れない様々な機器を弄るコルベールが居た。
 所狭しと資料や実験機器が置かれているその光景は、コルベールの性格を良く反映している。
 コルベールは3人に気が付くと、振り向き、ぱっと顔を明るくする。

「おお、来てくれたようだね! 待っていたよ!」

 頭頂部と、白い歯を光らせながら、コルベールは両腕を大きく広げて歓迎する。
 ルイズとジュディはそれぞれ挨拶をしてから、目の前にある機器に注目する。
 そこには、円柱型のモノ、球を半分に切った形をしているモノ等が置かれており、その中で一際目立つのは、2段重ねの机のような形状の装置であった。
 その装置には、賽の目状の模様の描かれたロール紙が2つセットされており、可動式の針のようなペンが左右に動き、波線を描いている。
 その奇妙な装置を見て、ジュディとルイズは用途の程が知れずに首を傾げ、サイトは眼を剥いて驚きを露わにする。
 コルベールは3人の反応を見て楽しげに笑う。それは、悪戯が成功した子供のような屈託のない笑顔であった。

「どうだね、どうだね? 素晴らしいと思わないかね? さあ! 早く始めようか!?」

 それを遮るように、サイトは片手を軽く挙げてコルベールに質問する。

「あのー 先生? それで俺は何をすればいいんですか? 何にも聞かされてないんスけど?」
「おお! そうだったね。ではまず、実験の概要を説明しようか!」

 ソワソワと忙しなく体を揺すりながら、コルベールは説明を始める。
 なんとなく3人は、説明が長くなる予感がした。

「そうだね…… 先ずは、私なりに調べた術具の調査結果を伝えねばなるまい。
 結果からいえば、なにも分からなかった。
 デティクトマジックを駆使して調べてみたのだが、やはり我らの系統魔法とは当て嵌まらない魔法体系の産物だという事が良く分かりました。
 こちらのマジックアイテムと比較してみても、感じられる魔力の質というか術理が根本から異なるのです。
 それは、つまり……」
「あの、いいですか先生?」
「? 何だね?」

 話の腰を折られたコルベールは、別段気にも止めずにルイズに視線を送る。

「一気にそんな事を言われても、理解が追い付かないんじゃないでしょうか?」
「ふむ……」

 コルベールはルイズから視線を外し、ジュディとサイトに向ける。
 するとルイズの言うとおり、キョトンとした4つの眼がコルベールを見ている。 

「ならば、実験の手順を説明しましょうか。
 ジュディさんが術具を使う。それをこれらの装置と、私自身のデティクトマジックを用いて観測する。
 以上です。シンプルでしょう?」
「はあ…… その装置で何が出来るんですか?」

 ルイズは、一見ガラクタにしか見えない装置を指差して訊ねる。
 コルベールは、その質問を待っていたとばかりに目を光らせて、嬉々とした表情で装置の一つを手に取った。

「気になるでしょう! 気にならないわけがないでしょう! ならば、説明せねばなりなせぬな!」
 
 眼に狂気にも似た光を宿すコルベールを見て、ルイズは自らの失言に気が付いた。
 しかし、時はすでに遅く、ルイズの鼻先には装置の一つが突き付けられ、コルベールがにじり寄ってくる。不気味にメガネが光っている。

「さあ! 手に取って良くご覧なさい!
 これらの装置は、用途の異なるデティクトマジックを発信するマジックアイテムなのです。
 それぞれが、火、水、土、風の魔法を細密に感知し、分析するのです!」

 ルイズは突き付けられた装置を手にとって、まじまじと観察する。
 その装置は、半球状の入れ物の外側に、色んな物がごてごてと取り付けられた様な形をしている。
 なるほど、見てくれは不格好だが、一応はマジックアイテムらしい。
 コルベールは満足気に頷いてから、ベルト、手袋、靴、そしてサポーターのような形状をした装置を手にとって、詳しい説明を始める。

「それを頭に被り、左右に付いている紐を顎の下で縛って固定するのです。
 あと、これらの装置を身に付けて魔法を使えば、術者の魔力の流れを観測できるという仕組みなのです。
 スッゲーでしょ!? 私は自分の才能が恐ろしい! スンゲー!」

 コルベールは両手を何度も振り上げて力説するが、サイトとルイズはゲンナリとした顔をして溜息をつく。
 しかし、コルベールは気が付きもせず、次に円柱状の装置を指差す。その装置は、同じものが4つある。

「さらに、この装置は囲んだ範囲で魔法が使われたなら、それを感知し、分析するという優れものです! すごいぞー!」

 再び腕を振り上げて咆哮を響かせる。
 ルイズは、勘弁してほしそうな顔をしているが、コルベールの説明はまだまだ続く。
 未だに紙を自動的に送り出し、可動式のペンが波線を描いている2段重ねの机型装置の傍らに立つ。
 その装置には、1段毎にペンは4つづつ備えられており、それぞれ色が異なる。
 赤、青、黄、緑のインクが充填されたペンが、自動的に送り出されるロール紙に異なる軌跡を描き出している。

「そして、これらの装置で得られた観測結果は、この装置に送られ、この紙に記録されるのです!
 どうです!? さあ、惜しみない賞賛を浴びせるがよいですぞ! 遠慮せずに、さあさあ!」

 コルベールに促され、3人は疎らに拍手をする。
 そんな拍手でもコルベールは満足らしく、ふんぞり返って気を良くする。
 コルベールはひとしきり高笑いをした後、ごちゃごちゃとした実験机から発掘した水光晶輪をジュディに手渡す。机には先日、ジュディが預けた4つの術具も置かれている。

「この実験中、この水光晶輪と各術具は、ジュディさんにお返ししておきます。
 それでは、ここでは狭すぎますから草原に移動しましょうか。
 サイト君、それらの装置を持ってついて来て下さい」
「……これを、全部、ですか?」
「そうです」
「俺一人で?」
「そのために助手を頼んだのです」
 サイトは目を点にしてコルベールに問いかける。
 流石に1人で運ぶのは、物理的に困難な量であるのだが、返ってくるのは非情な答えであった。
 サイトは愕然とした面持ちで装置一式を見つめる。

「がんばってね、サイト君」
「ぷっ…… 遅れずについてきなさいよ?」

 2人は労いの言葉を掛けるだけで、手伝ってくれそうにはない。ルイズはともかく、ジュディは手伝ってくれるかもといった憶測は、呆気なく裏切られた。
 サイトは1つ小さくため息をついてから、円柱型の装置を一本持ち上げる。

「ああ、そうそう。すぐにでも始めたいので、一括で運んでくださいね」

 コルベールはそう言い残して、研究室から出て行く。
 ルイズとジュディもその後を追いかけて出て行き、研究室にはサイト1人が取り残される事となった。

「俺って不幸……」

 ポツリと漏れた呟きが、研究室に虚しく響いた。



 ・
 ・
 ・



今回の成長。

 ルイズは、鋼の意志がL2に成長しました。
 ジュディは、イアぺトスがL2に成長しました。魔道板を読み解き『デテクトアニマル』を習得しました。


 第7話 -了-
375未来の大魔女候補2人 第7話 ◆kjjFwxYIok :2008/09/25(木) 23:09:46 ID:i6eR2XTD
 第7話投下完了。
 なんか今回の場面のアイデアは全然出ないのに、後々のアイデアばかりが出て来て困った困った。
 それにしても、今回ジュディの影が薄いな……
 さて、モチベーションを落とさずに次の話に取りかかるか。
 なんかサイトってヒロユキに似てるなー。
 見比べるとそうでもないんだけど、自分の中のイメージがそんな感じ。その所為で、ヒロユキがパーカー着ている様な気がしてきた。

 次回はデルフ登場(たぶん)
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:19:21 ID:I0QkMJCG
コッパゲ先生の発明が何気に本気ですごい気がする……
GJです

はてさて魔法の解析は上手くいくのか
というかサイトは落とさずに持っていけるのか
さらにこの話にデルフの存在価値はあるのか
色々気になる次回楽しみにしています


……冒頭のネタがシノブ伝だと気づかなかったのが結構ショックだ……
377名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:24:16 ID:ND+yY+Sv
ヒロユキっていうとブルマくんか。
確かに変態的なところが才人に似てるような気がしないでもない。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:24:44 ID:aSEuOqRA
何か全員異様にテンション高いな
379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:33:03 ID:tkib3NP7
ヒロユキといえば2chの管理人or東鳩の主人公だろ
380名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:38:20 ID:vK+q/nqa
むしろヒロユキン、いやなんでもない。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:43:38 ID:YDCJCV21
ヒロユキでどうして最強のペンギンが出てこない
382名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:45:37 ID:B05u3f5Y
魔女さん乙
「この子はイアぺトス。ヨロシクネ」
ここ間違いじゃないかな?
383名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:54:56 ID:i6eR2XTD
>>382
さーせん。そこは意図的にそうしてるので、間違いではありません。
384名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/25(木) 23:57:06 ID:I0QkMJCG
ポセイドンはしゃべれてないからな
で、現状イアペトスはジュディのファミリアだと

と、アンサガの設定よくしらんから適当に予測するしかない俺w
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 00:01:44 ID:MqRsXcjE
>>383
なるほど、そうとも考えましたけど一応ね
次回も楽しみにしてますよ キラッ☆
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 00:02:10 ID:i6eR2XTD
>>384
そう言う細かい所は設定されてないので、都合の良い勝手な解釈してます。
小説版を見てみると、ジュディを心配そうに見てたりしますから、犬猫程度の知能はあるのかもしれませんけどね。
387シャイニング・マジック:2008/09/26(金) 00:13:05 ID:faB/cByt
10分後に第2話を投下します。
進路クリアですか?
388シャイニング・マジック 第2話(1/7):2008/09/26(金) 00:22:07 ID:faB/cByt
『破壊のランプ、確かに領収いたしました。 土くれのフーケ』

トリステイン魔法学院では蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。
なにせ、宝物庫に納められた『破壊のランプ』が盗まれたのである。
それもゴーレムで壁を壊すような大胆な方法で。
教師達は、口々に好き勝手なことを喚いて、責任の押し付け合いをしている。
そんな中、ミス・ロングビルが「近くの森の廃屋にフーケがいるかもしれない」という情報を持ってきた。

「では、捜索隊を結成する、我と思うものは杖を上げよ!」

オスマンの宣言に呼応するかのように、一つの手が上がった。
その指に一枚のチケットを挟んで掲げている。
周囲の教師達の目が、その『手』を上げた人物に注がれた。
『ヒカル』、つい最近ミス・ヴァリエールが召喚の儀式で呼び出した人物だ。
「あ、やっぱり、『杖』じゃないとまずいですか?
 けれど、僕にとっては、このマジチケットとグリップフォンが『杖』のようなものですから」
他の教師達の視線が集中しているのを見たヒカルは、笑いながらグリップフォンを取り出し、改めて手を上げた。
それを見た教師達は、小声でざわつき始めた。…が、他に『杖』を上げるものはいない。

「ヒカル先…」
ルイズは思わず、チケットを掲げた人物を呼びそうになりあわてて口をつぐんだ。
なにしろ、ここには学院中の教師が集まっている。
そんなところで、彼を『先生』なんて呼ぶわけには行かない。
「わ、わたしも行きます!」
そういって、ルイズは『杖』を掲げる。
「ヒカル…は、わたしがサモン・サーヴァントで召喚しました。
 契約が上手くいったかはわかりませんが、形式上はわたしの使い魔のはずです。
 ならば、わたしには彼を守る義務があります。
 ヒカルは系統魔法のことを、よく知りません…それに、相手は『土くれのフーケ』です。
 ヒカルが冥獣を倒したと言っても、名うての盗賊相手に魔法も知らないで戦うなんて無茶で…
 …えと、とにかく、わたしも行きますっ!!」

ルイズが『杖』を掲げたのを見て、教師達のざわつきがいっそう広がる。
しばらくして、さらに一人の人物が『杖』を掲げた。

「コルベール君!行ってくれるかね」
「まぁ、生徒と、その使い魔だけを危険に晒すわけにもいきますまい…」
「よし、決まりだ。討伐隊はこの3名!それにミス・ロングビルが案内役を勤めてくれるそうじゃ」
オールド・オスマンがそう宣言し、周囲から拍手が起きる。

「では、コルベール先生、急いで出発しましょう」
ヒカルが指を鳴らすと、空から1枚のカーペットが降りてきて、一堂の前に浮かんだ。
「うーん、4人も乗るんじゃ、ちょっと狭いかな…」
もう一度指を鳴らして呪文を唱えると、カーペットは見る見る大きくなり、4畳半ほどの広さになる。
ヒカルはいそいそと『空とぶカーペット』に乗ると、振り返った。
教師・生徒含めて全員の目が点になっている。

「あれ、どうしたんですか皆さん?急いでいかないと逃げられてしまいますよ」


389シャイニング・マジック 第2話(2/7):2008/09/26(金) 00:22:50 ID:faB/cByt
「まったく、ヒカル君には驚かされてばかりだよ。こんな魔道具(マジックアイテム)まで持っているとは」
空飛ぶ『スカーペット』の上で、コルベールはヒカルに話しかけた。
「スカーペットには意思がありますから、『道具』と言っていいかどうかは微妙ですけど…」
「え、これ?生きてるの!」
ルイズは真下のカーペットを指差して声を上げた。
すると、カーペットがゆらゆらと揺れる。
「ああ、ごめんごめん。ルイズやコルベール先生は君を悪く言ったつもりじゃないんだ。」
ヒカルはカーペットの端を撫でながら語りかけた。
「ハルケギニアにも、意思を持ってたり、喋ったりする剣があるじゃないか、
 彼らにも意思はあり、好みも、個性もある。腹を立てる事もある。そういうのと同じだよ」
言われてみれば、ハルケギニアにおいても意志を持つ武器はそう珍しいものではない。
気に入らない使い手だと、意識を乗っ取る武器まであるくらいだ。
とはいえ、この状態でカーペットを怒らせて振り落とされたりしたら洒落にもならない。
ルイズはピタリと黙り込んでしまった。

「自我まで持った『空飛ぶじゅうたん』とは…。
 こんなものまであるとは、本当にマジトピアの魔法は我々より数段進んでいるようだね」
そんなルイズの様子もなんのその、コルベールは興奮気味で足元のスカーペットを撫でている。
「僕に言わせれば、ハルケギニアの系統魔法の方が驚きですよ」
「どういうことかね」
「マジトピアの魔法は、基本的に自然にある『エレメントの力』を引き出して使います。
 僕の場合は『輝く太陽のエレメント』の力を借りて、魔法力を引き出しています。
 ですが、この世界の系統魔法は、本人の中にある魔法力だけで、あれだけの術を使えるなんて…」
「それほど驚くことなのかね」
「マジトピアを作った、伝説の『五色の魔法使い』は『強い勇気を魔法に変える』と謳われています。
 確かに、強い想いが魔法を生み出すことや、強い魔法力に変ることはあります。
 ですが、この世界の系統魔法は、エレメントも用いず、自らの魔法力だけで呪文をつむぐのに特化している
 僕の目から見ても、そういう意味でかなり洗練されています」
「そ、そうなのか…まぁ、系統魔法も使い手の意志や感情で1ランク上の魔法を発動させたりすることがある。
 そういうのも『勇気が魔法に変わる』と言えるのかもしれないな。」
「そんな例があるのですか!」
「それに、我々は使えないが、ハルケギニアにも自然の力を用いる『先住魔法』というものが…」

「あのー、そろそろ近くなってきましたので、もっと低く飛ばれたほうがいいかと…」
魔法談義に熱くなっているコルベールとヒカルに、ミス・ロングビルがおずおずと話しかける。
目的の森が見えてきた。このまま飛んでいたら、相手に見つかるかもしれない。
ヒカルはスカーペットを降下させ、森の手前で止めた。

「ここから先は歩いていきましょう。」
4畳半もあるようなカーペットで森の小道を行くのは難しいし、どうやっても目立つ。
一同はマジカーペットを降りて、徒歩で森に入ることにした。
「それじゃ、ありがとう。また、帰りも頼むよ」
ヒカルがスカーペットを撫でると、それは元の大きさに戻って空へ舞い上がった。


390シャイニング・マジック 第2話(3/7):2008/09/26(金) 00:23:30 ID:faB/cByt
一行は深い森に入っていった。鬱蒼と茂った森の奥はは昼間でも薄暗い。
「ヒカル先生…。どうして、この探索に加わる気になったの?」
森を通る道を歩きながらルイズが小声で話しかけた。
「とりあえず『破壊のランプ』に興味があった…っていうのが、ひとつ目の理由だね」
「そうなの?」
「なんとなく、僕の知っている奴が近くにいそうな気がしたから、
 この間、オスマン校長と話をしたときにに色々と教えてもらったんだ。
 この世界に『冥獣』が姿をあらわすようになって、約2年…。
 『破壊のランプ』は、彼が2年前にガリアを旅した時に手に入れたものだそうだ。
 なんでも、正体不明の怪物に襲われたところを、そのランプで撃退したとか」
「最初に『冥獣』が現れたのはガリアかもしれないってこと?」
「まだ、材料が少なすぎて推測にすらなってないけどね」
ヒカルは笑いながら話を続けた。
「もうひとつの理由は、あの学院に僕がお世話になっていること。
 コルベール先生もオスマン校長も、色々とよくしてくれるけど、僕はやっぱり来訪者だ。
 信用してもらうためには、それなりの行動を示さないとね」
「でも!『土くれのフーケ』は、巨大なゴーレムを使うのよ。危険だわ」
「『ゴーレム』って…、まさか伝説の『冥機ゴーレム』のことかい!?」
「なにそれ?」
「古より伝わるインフェルシアの伝説にある『機械の冥獣・ゴーレム』
 強い魔力を持つ魂を贄に動き始め、いくつもの国を滅ぼすまで止まることはないという、伝説の冥獣だ」
「さすがに…そこまでじゃないけど、噂じゃフーケの使うゴーレムは30メイルもあるって言うわ!」
「ミス・ヴァリエール、声が大きい」
声を上げたルイズをコルベールが制する。
ルイズははっと周囲を見回した。…静かな森は、時たま聞こえる鳥の声だけがその静寂を際立たせている。
ルイズは口を手で押さえたまま頭を下げると、だまって歩き始めた。

しばらく歩くと開けた場所に出た。かなり広い。およそ魔法学院の中庭の数倍はあるだろうか。奥の方に確かに廃屋があった。元はきこり小屋だったのだろうか。朽ち果てた炭焼き用の釜と、壁板が外れた物置が隣に並んでいる。
5人は小屋の中から見えないように、森の茂みに身を隠したまま廃屋を見つけた。
「私の聞いた情報によると、フーケはあの中にいるようです。」
ミス・ロングビルが廃屋を指差していった。


フーケはあの中にいるのだろうか?
とにかく、中の様子を伺わないことにははじまらない。
一番適任だろうということで、ヒカルが炭焼き小屋に向かって歩いていく。
窓から中を覗いてみるが、誰もいない。隠れられそうな場所もない。
茂みに隠れていた他の3人を呼ぶと、恐る恐る近づいてきた。

コルベールは、魔法で扉に罠が仕掛けられていないことを確かめるとドアを開けて中に入る。
それに、ヒカルも続く。
ルイズは見張りをすると言って外に残った。
ミス・ロングビルは辺りを偵察してきますといって森の中に消えた。
小屋の中に入った2人は、チェストの中に『破壊のランプ』が残されているのを発見する。
「これは…やっぱり『マジランプ』だ」
ヒカルがそのランプを手に取ろうとした瞬間、部屋の外からルイズの悲鳴が聞こえた!

悲鳴を聞いた一堂が、ドアの方を振り返ったとき…
ばこぉーん。と、いい音を立てて小屋の屋根が吹き飛んだ!!
屋根がなくなったおかげで、空がよく見えた。そして青空をバックに巨大なフーケのゴーレムの姿が見えた。
外にいるルイズのほうに向かっている。


391シャイニング・マジック 第2話(4/7):2008/09/26(金) 00:24:22 ID:faB/cByt
「ゴー・ゴル・ルルド!」
懐からグリップフォンを取り出すと、呪文を唱えてチケットを改札する。
静かな森に汽笛が鳴り響き、天空より巨大な金色の蒸気機関車が現れた。
その機関車は、ものすごいスピードで天を駆け降り、ルイズに迫ったゴーレムに横から衝突した。
大地が衝撃で揺れ動き、耳が潰れるかのような轟音が響きわたり、土でできたゴーレムが横倒しになった。
土埃が舞い散る中、頭を抱えてうずくまったルイズの前に金色の蒸気機関車が停車した。
「な、なな、なによ?これ…」

『魔法特急トラベリオン・エクスプレス』
天空聖者サンジェルことヒカルが所有している魔法の蒸気機関車である。
全高は10メイルはあるだろうか?4両編成の金色と青で彩られた機関車がルイズの目の前にある。
呆然としながらも、何とか立ち上がったルイズの前に、ヒカルとコルベ−ルが走ってきた。
「怪我はないかい?ルイズ」
「な、なんとか…それより、これ…なに…?」
「説明は後だ。早くトラベリオンに乗って!」
乗る?…ルイズが聞き返そうとしている間に、ヒカルはさっさと先頭の車両に入っていった。
乗り物なの?…とルイズは改めて機関車を眺めた瞬間、彼女の視線に、立ち上がるゴーレムが映った。
疑問は後だ…と、ルイズは頭を抱えて、ヒカルの入った入口からトラベリオンに乗り込む。
ルイズとコルベールが乗り込んだのを確認したヒカルは、運転席で呪文を唱える!

「魔法変形!ゴー・ゴー・ゴルディーロ」
その言葉を合図に、4両の車両がバラバラになり、人の形へと組みかわっていく。
フーケのゴーレムよりも、更に一回りは大きい鉄の魔神が蒸気を上げる。
「連結完了!魔法鉄神トラベリオン!!」


「ええええぇっ!!ななななによこれ?どうなってんの!!」
「こ、これはすごい!いや、『すごい』なんて言葉では言い表せない!さっきの空飛ぶカーペットどころじゃない
 これが『マジトピア』の魔法技術か!こんなことができるなど、この目で見ても信じられんよっ!!」
フーケのゴーレムを見下ろす形になったトラベリオンの運転席の後ろで、ルイズとコルベールが驚きの声を上げた。
コルベールなど、感極まってそこらじゅうにあるものを撫で回したり手に取ったりしている。

「ふたりとも、悪いけど驚いていないで、その『魔法の石炭・マジコーク』をこっちの窯(かま)にくべてくれないかな」
ヒカルの指した先には、赤黒い『魔法の石炭』がうず高く積まれており、スコップが無造作に突き刺さっている。
その横にはマジメタル製の扉に隔てられた『窯』があり、いかにも熱そうな炎が上がっている。
ルイズが窯の炎を見ていると、コルベールが『魔法の石炭』をひとつ手に取った。
硬い結晶はほんのりと温かく、持っているだけでも強力な魔力を感じる。
「これは…『火石』じゃないかっ!」
「火石?」
「『風石』は風の魔力の結晶だ。火の魔力の結晶が『火石』だ」
「そんなのがあるんですか?」
「『火石』は地下の奥深くにある。とても我々が掘り出せるような代物じゃないから、めったに見ることもできない。
 『風石』のように、簡単に手に入るわけではないから研究する者もいないが、私は一度だけ見たことがある。
 その時見たのは小指の先程度のものだったが…、こんな大きな火石、どれだけの魔力が篭っているか…」
「ふたりとも!急いでっ!!」

ヒカルの声で我に返ったふたりは、スコップを手に取り『魔法の石炭』をすくい上げた。
スコップを窯の前に持っていくと、自動で扉が開き、窯の熱気が伝わってくる。
ルイズとコルベールが『魔法の石炭』をくべると、魔法鉄神トラベリオンの目に光が点り、汽笛が鳴る!

392シャイニング・マジック 第2話(5/7):2008/09/26(金) 00:25:01 ID:faB/cByt
フーケのゴーレムは、もう目の前にまで迫っていた。
トラベリオンは、ゆっくりと、しかし力強くゴーレムに組み付く。
土で出来たゴーレムは、それほど動きが素早いわけではない。
攻撃をかけようとした所を、トラベリオンに機先を制されてバランスを崩してしまいパンチが空を切る。
金色の鉄神がバランスを崩したゴーレムの側面を巨大な腕で払うと、ゴーレムはそのまま地面に横倒しになった。

「トドメだっ!デストラクション・ファイヤー!!」
ヒカルが声と共にレバーを押し込むと、トラベリオンの胸の部分ヘッドトレインの頭が開き、中から噴射口が現れた。
目を覆わんばかりの眩い炎があがり、ゴーレムを包み込む!!
次の瞬間、ゴーレムは炎の中でどんどん小さくなり、トラベリオンの胸に吸い込まれる。
目を丸くしながら石炭をくべるルイズとコルベールが、窯の中に一瞬ゴーレムのシルエットが見えたと思った刹那、
窯の扉が閉まりひときわ大きな炎が窯の中を駆け巡る!

「チェックメイトっ!!」


戦いは終わり、トラベリオン・エクスプレスは天空へと走り去った。
ルイズは、呆然とトラベリオンが消えた空を見上げている。
「ヒ、ヒカル先生…こんなものまで持ってたなんて…」
「ヒカル君っ!!凄い!私は興奮しっぱなしだよっ!!
 来る時に君はああいったが、やはり『マジトピア』の魔法文化は我々のものとは比べ物にならないよ!
 あの『トラベリオン』をみたら、私の信念は正しいものだと、改めて確信することができたよ!」
コルベールはヒカルに詰め寄り、熱っぽくまくしたてた。
「し…信念…ですか?」
「そうだ!トリステインの貴族は魔法をただの道具…我々が何も思わず使っている箒のような物だと思っている。
 だが、魔法は使い方次第、術者次第で顔色を変える。
 したがってハルケギニアの伝統にとらわれず、色々な使い方を試すべきだ!」
「あ…は、な、なるほど…ですが、コルベール先生、まずは落ち着いてください。我々は『土くれのフーケ』を…」

そうだ、ゴーレムを呼び出した当人、『土くれのフーケ』はどこに?…それに、ミス・ロングビルは?
ルイズがハッと気がついた瞬間、3人は自分の足が動かなくなっているのに気づいた。
いつの間にか、足元の地面が異常に盛り上がり足に絡まっている。

393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 00:25:29 ID:DxRpohxL
まさかの2話支援
394シャイニング・マジック 第2話(6/7):2008/09/26(金) 00:25:39 ID:faB/cByt
「さて、そのまま土に埋もれて死にたくなかったら、全員『杖』を投げ捨ててもらいましょうか。
 それと、あなたは、その『グリップフォン』だったっけ、それも捨てなさい。」
彼女達の背後から声がした。聞き覚えのある声、ミス・ロングビルがそこにいた。
ルイズたちは仕方なく杖を投げ捨てた。これでメイジは呪文を使うことができないのだ。

「ミス・ロングビル…まさか…?」
「そう、わたしが『土くれのフーケ』。さっきのあれは凄かったわね。私のゴーレムが相手にもならないなんて。
 …でも、こうなると、あなたたちも手も足もでないでしょう?」
フーケは、先ほど小屋に残してきた『破壊のランプ』を手に持っている。
「どうして!?」ルイズがそう怒鳴るとフーケは
「そうね、説明してあげる。私ね、この『破壊のランプ』を盗んだはいいけど、使い方がわからないの。
 火をつけても明かりは点らない。魔法をかけてもうんともすんとも言わないんだもの。困ってたわ。
 持っていても、使い方がわからないんじゃ宝の持ち腐れじゃない。そうでしょ?
 そこで、魔法学院の者に教えてもらおうと思って一芝居売ったってわけ。」
ルイズがフーケをキッと睨みつけるが、彼女はそしらぬ顔で視線をヒカルに向けた。
「そこの色男さん?このランプについて、何か知ってそうだったわね?教えてくれない」
「いいだろう」
「ヒカル先生!」
声を上げるルイズをヒカルは制止して話し始めた。
「それは、マジトピアに伝わる、伝説の『マジランプ』だ。使い方は、まず後ろの取っ手を下に押し下げる。」
フーケが言うとおりにすると、前側に銃口が突き出し、一丁の拳銃が出来上がった。
「それが『マジランプバスター』だ。あとは、横のダイヤルをこすって魔力を込めて引金を引くだけだ。」
「なるほど。思ったより簡単だったわね。それじゃ、この銃の威力、あなたたちで試してあげる!」

「おかげで助かったわ、色男さん。それにコルベール先生にも一応お礼を言っておくわね。
 あなたのおかげで、宝物庫の弱点がわかったんですもの!
 それじゃ、なかなか楽しかったわよ…さよなら!」

ルイズは目をつぶった。
コルベールも目をつぶった。
ヒカルだけは笑顔を崩さない。
フーケがマジランプをこすった瞬間…


大きな爆発が起き、あたり一面が煙に包まれた!!
「けふっけふっ、な、なにこれ!」
フーケは真っ黒になり、髪がチリチリになって煙を吸い込み咳き込んでいる。

すると、煙が一箇所に集まりはじめた。
「いきなりなんてことするニャーっ!!」
集まった煙は、人の形になった…いや、猫の顔をして、マントをつけた何者かが煙から現れたのだ。
「お前かっ…って、旦那じゃニャいの!」
フーケを問い詰めようとした『猫顔の何者か』は、彼女の後ろにいる人物を見て飛び上がった。
「スモーキー、その女は泥棒だ。捕まえてくれ!」


395シャイニング・マジック 第2話(7/7):2008/09/26(金) 00:26:18 ID:faB/cByt
スモーキーがフーケを拘束した後、彼が拾ってきた『杖』でコルベールがフーケの呪文を解いた。

「…で、ヒカル先生、こいつ何者?」
「『こいつ』とはニャンだ!このチビ女っ!!だいたい旦那は『ヒカル』なんて名前じゃ…」
「いいんだスモーキー。こっちの世界では『ヒカル』ってことになってる。
 それより、きちんと紹介しておこう。マジトピアの魔法猫見習いの『スモーキー』だ」
「『見習い』は余計だニャ!」
「今日はもう驚いてばかりだよ…。よろしくスモーキー君、きみのおかげで助かったよ」
コルベールが触れんばかりに顔を近づけて握手を求める。
スモーキーは足元のランプごと後ずさりながら、顔を背けて、そのまま煙になってランプに入ってしまった。

「とりあえずは一件落着…でいいのかな?
 ところでスモーキー、なんでトリステイン魔法学院の宝物庫にいたんだい?」
ランプに入ってしまったスモーキーを取り上げて、ヒカルが質問した。
すると、ランプの中央からスモーキーが頭を出して話し始める。


「旦那がライジェルを結界に封じ込めたことは覚えてるかニャ」
「うん、もちろん覚えてるよ。」
「その後、ライジェルのミイラは不思議な鏡に吸い込まれたニャ」
「スモーキーはそれを追って、その鏡に飛び込んだ…そこまではわかる」
ヒカルは真剣な眼差しでスモーキーの話を聞いている。
「それって、サモン・サーヴァントの…」
話に割り込もうとするルイズをコルベールが止めた。
「気がついたら、森の中にいたニャ…
 しばらく森の中を歩いて、人里近くまで出ていったんニャ
 そしたら、『冥獣』に襲われてるじいさんがいたんだニャ
 そのじいさんに、強い魔法力を持ってたからマジランプバスターを使わせて…」
「それがオスマン校長だね」
「かなり無理して撃ったから、おいらも怪我したんニャけど、そのじいさんが治るまでここにいていいって」
「それで、宝物庫の片隅で休んでたってことか…なるほど」

「まさか、旦那までこっちの世界に来るなんて…どうやってあの結界を抜けたんニャ?」
「そこにいるルイズに呼び出してもらった。どうも、あの鏡は『使い魔』を呼び出すためのものらしいよ」
「へ?旦那が?あのチビ女の…そんな馬鹿ニャ!!」
「うっさい、チビ言うな!!」

「まあ、それはいいとして…問題はライジェルだ。
 スモーキーが同じ呪文でこの世界に来ているということは、ライジェルもその近くにいた可能性が高い」
「ガリアにいるってこと?」
「今でもガリアにいるかどうかはわからないけれど、
 2年前にガリアにいた、誰かの『使い魔』になっているんだろうね」


396シャイニング・マジック 第2話(おまけ):2008/09/26(金) 00:27:08 ID:faB/cByt
【おまけ】


スモー「今日の呪文は『ゴー・ゴー・ゴルディーロ』!
     魔法特急トラベリオン・エクスプレスが魔法鉄神トラベリオンに変形するニャ」
ヒカル「必殺技は『スチームバズーカ』と『デストラクションファイヤー』だ!」
コルベ「いやー、しかしこれは素晴らしい。私の作った『ゆかいなヘビ君』などとはレベルが違う!
     あれの構造はどうなっているのかね。あの『火石』を溶かす窯の構造は?
     1個当たりの稼働時間はどれくらいかね。もしあれが『風石』でも同じようなものが出来るなら…
     ちょちょ、ヒカル君、もう一度あれを呼んでみてくれないか?詳しい構造を調べたい。
     なにも分解しようと言うわけじゃない、外から見られる部分だけでもチェックさせてくれ!
     頼むよ!少しだけでもいいから!!」
ヒカル「ちょ、ちょっと、コルベール先生…おちついて!」




今回の投下はここまでです。
本当は前のにちあさに投下する予定だったんですが、「風石があるなら火石もあるだろ」と入れたのが15巻にヒットしちゃいまして、ネタバレ規制のため今日まで待ちましたw
15巻の通りなら、石炭車1両分の火石を積んでるトラベリオンが爆発したりしたらとんでもないことになりそうですが…
ちなみにデルフはスモーキーとキャラが被るので今回も出番無しですw
397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 00:54:27 ID:2g9X2Sjv
5がとんでるような
398THE GUN OF ZERO(0/7):2008/09/26(金) 01:08:13 ID:sIGXclVD
シャイニングの人、乙でした!


くらぁやぁみぃーのふちー

どうも。執筆中、戦闘シーン以外は串田ダイバーエンドレスでかけてます。

>>99
先に盛大にオチを言われた気がしたが、そんなことなかったぜ!

前回の冒頭で『必殺技:テトラクテュス・グラマトン』とか書いてますけど、意味的に考えると、あれはディス・レヴの出力を一定以上上げる際に使われる言霊のような物だと俺は解釈してるので、
タイムダイバーとしての力を久保が解放する際にはこの物語中しょっちゅう使われる便利呪文みたいに扱っています。
実際、ディバイン・ウォーズではこの上ない便利呪文でしたが。

という訳で、特になければ10分頃から投下したいとお思います。
399THE GUN OF ZERO(1/7):2008/09/26(金) 01:10:41 ID:sIGXclVD
 ぱちり、と目が開きもぞもぞとクォヴレーはスーツに内蔵された腕時計を見る。昨日の内にこの世界のこの地域に合わせておいた時計は6時前を指している。
「そろそろ起きておくべきか」
 寝ていた床から起きあがりつつ、昨日の午後、この部屋の主と交わしたやりとりを思い出す。
『それじゃあ明日の朝、それ洗っておいて頂戴』
 やはり今の内に洗っておかねばなるまい。
 毛布を畳んで隅に置くと、駕籠を持ち、ルイズを起こさぬようそっと部屋を出た。
 一歩、歩みを進めようとしたところで、ふと気づいた。
 洗濯の場所を教えて貰っていない。
 いや、というかだ。
(この世界の文明レベル的に考えて……洗濯機など有るはずがないな)
 ということは手洗いという奴か?
 以前立ち寄った、お髭のガンダムが居る世界。川の水で洗い物をしていた女性達を思い出す。
 自分にそんな技能はない。
 だが、身辺の雑用も使い魔の仕事の内だと言うのならば、これも成さねばなるまい。
 どうしたものかとしばし思案した後、クォヴレーは通路の前後をくるりと見る。
 そうして人影がないのを確認すると、小さくこう呟いた。
「テトラクテュス・グラマトン」
 目前に八角形を最外郭とし、内側へ行くに従って小さな五角形を内包する陣がまるで血のような赤で描かれた。
「行くぞ。ディス・アストラナガン」
 何かに向かってそう呼びかけながら、クォヴレーは一歩足を踏み出して陣に入ると、まるで穴に落ちるかのようにそのまま消えてしまった。
 後に残った陣も、程なくして消失。
 この世界から、綺麗さっぱりクォヴレー・ゴードンは消え去ってしまった。
400THE GUN OF ZERO(2/7):2008/09/26(金) 01:11:30 ID:sIGXclVD
 小一時間後。
 先程クォヴレーの目の前に現れた陣が、今度はトリステイン魔法学院の、誰もいない庭の一角で形成された。
 すぐさま洗濯物駕籠を持ったクォヴレーが陣から、まるでそこに穴があるかのように跳んで現れた。
「……しまった。時間は良いが、出てくる場所を間違えたか」
 些か慌てて辺りを見回す。
 確か昨日案内されたとおぼしき塔を見つけ、そちらに駆け込む。
 さて、彼女の部屋はどこだったかと思案しながら塔に入ると、入り口の所で出てきた人物とぶつかってしまった。
「きゃ!?」
「あ……と、済まない。大丈夫か?」
 駕籠を下ろして、倒れた少女の手を掴んで助け起こす。見ると、彼女の側にも駕籠があった。中身は空だが。
「へ、平気ですっ」
 ぱんぱんと埃を払って駕籠を持ち直す。たしか、こういう格好は女性の使用人が着るメイド服とか言うんだったかと思い出す。
「あの……もしかして、ミス・ヴァリエールの?」
 まじまじとクォヴレーの顔を見つめる。
「ヴァリエール?ああ、ルイズか。確かに俺は、ルイズの使い魔だ」
 一瞬間があって、それがルイズの名字であったことを思い出す。
「やっぱり!噂になってるんですよ。ミス・ヴァリエールが、銀髪の平民を使い魔に呼び出したって!」
 そこで、少女はクォヴレーも駕籠を持っていて、その駕籠には衣類が入っているのに気づいた。
「あ、もしかしてお洗濯ですか?」
「いや、洗濯はもう終わっている」
「え?……ホントだ。石鹸の匂い……でも、渇いてますよね?もしかして、夜の内に干してたんですか?……けどそれだと夜露が……」
 うむむと少女は首をひねった。
「その……特殊な方法を使った。やり方を話すことは出来ないが」
 言える訳がなかった。言っても信じるどころか、この少女は理解も出来ないだろうが。まさか、『異世界に行ってコインランドリーを使ってきました』などと、言える訳がなかった……!
「特殊な方法、ですか?そんなのもあるんですね」
 興味深げに駕籠を覗き込んでくる少女に、クォヴレーは少し居たたまれなさを感じた。
「ところで……ルイズがどこの部屋だったかを知っているか?まだあまりここになれていないので、忘れてしまった」
 少々強引にだが話を逸らすと、少女は気を悪くした様子もなくルイズの部屋を教えてくれた。
「ありがとう。助かった」
「あの、お名前を聞いてもいいですか?私は、シエスタっていいます」
 礼を述べて立ち去ろうとしたところで、呼び止められた。
「俺の名は、クォヴレー・ゴードン。クォヴレーでいい」
「はい。よろしくお願いしますね?クォヴレーさん!」
 黒髪黒目の少女、シエスタはにっこり笑うと丁寧にお辞儀をした。
 シエスタの助言もあって、どうにか7時までには間に合って部屋にたどりついた。
 洗濯物駕籠を下ろし、腕時計を確認すると、7時ジャスト。
 ふぅと安堵のため息を漏らしつつ、ベッドに近づきぺちぺちとルイズの頬を軽く叩く。
「ルイズ、ルイズ。朝だ。起きてくれ」
「う、ううん……きゃあぁ!?アンタ誰よ!?」
 毛布をはね除け、後ずさるルイズ。
401THE GUN OF ZERO(3/7):2008/09/26(金) 01:12:54 ID:sIGXclVD
「……忘れたのか?」
「あ……そ、そうだったわね。私が呼んだんだった……」
 結構本気で哀しそうな顔をするクォヴレーに、罪の意識を駆り立てられる。
「コホン……ちゃんと、時間通りに起こしてくれるだなんて感心ね」
 咳払いを一つして取り繕おうと必死だが、傍目から見ればどう見ても失敗している。
 が、側にいる男はそもそも他人のメンツにはあまりこだわるタイプではなかったので、それを否定も肯定もせず、ただ言葉を正面から受け止めた。
「言われて、俺も請け負ったからな。これも使い魔の仕事なのだろう」
 再び、クォヴレーの手による着替えを済ませると、部屋の扉へ向かう。
「付いてきなさい。これから朝食なの」
「わかった」
 ルイズに付き従って、部屋を出ると、調度隣の部屋からも一人の少女が出てきた。
「あら、おはようヴァリエール。今日は珍しく早いのね?」
 その赤毛の少女から声がかかると、ルイズの纏う雰囲気が一気に刺々しくなったのを感じた。
「あ〜らツェルプストー。珍しいだなんてそんなことないわ」
「何言ってるの。寝坊常習犯のくせに」
 しれっとルイズの強がりを打ち砕くツェルプストーとやら。しかし、元よりルイズの言には感心が薄いらしく、必死に弁明するルイズは無視してクォヴレーの方を向いてきた。
「ふーん、あなたホントに人間を使い魔にしたのね」
「ああ。ルイズの使い魔の、クォヴレー・ゴードンだ」
「クォヴレー、ね。私は、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。よろしくお願いするわ」
「こちらこそよろしく頼む」
 にこやかにクォヴレーが答える。
「ふーん?」
 しげしげと上から下まで舐めるように視線を向けてくるキュルケ。
「何だ?」
「顔もだけど、体つきも……結構いい男じゃない」
 にんまりとクォヴレーを見る。
「? ああ、ありがとう」
 何が言いたいのかは判らなかったが、とりあえず自分が誉められたのは理解出来たので礼を言うクォヴレー。
 と、反射的にスウェーバックをかける。先程までクォヴレーの居たところをルイズの手にした鞭が通り過ぎていた。
「いきなり何をする」
「何で避けるのよ!?」
「普通避けると思うが……」
 淡々と返すクォヴレー。
「なにツェルプストーなんかに色目使ってるのよ!?」
「色目?何がだ?」
 しつこく振られる鞭をかわし続けながら、さっぱりわからないという顔で尋ね返す。
「ツェルプストーに誉められたからって、鼻の下伸ばさないでよね!?」
「誉められたから礼を述べただけなんだが……とりあえず、あまり振り回すな。危ないぞ」
 スッとごく自然に踏みこんだクォヴレーの左手が、鞭を持ったルイズの右手を押さえ込んでいた。
「自分に当たったらどうする」
「よ、余計なお世話よ!」
 あらまぁとその様子を見ていたキュルケは唇に指を当てた。
 この男、全部を判っていてルイズをおちょくっているのか、
(あるいはなーんにも判ってないのか……表情からすると後者っぽいわね)
402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:13:50 ID:bg9Pnt4I
テトラクテュス・グラマトンって二回繰り返すとなんでも望むものに変身できる気がしてくるよね支援
403THE GUN OF ZERO(4/7):2008/09/26(金) 01:14:37 ID:sIGXclVD
 自分に誉められた時も、ルイズに責められた時も、どこか理解出来ていない雰囲気が感じられた。
 見た目ではルイズよりも年上。つまり、実年齢上のルイズとは同じくらいに見えるこの少年は、精神年齢、少なくとも異性関係についてはずっと幼いのだろうと、キュルケは判断した。
 とりあえず、主目的であるルイズ弄りをもう少し続けようと、キュルケは自身の使い魔を呼び込んだ。
「そうそう、私も昨日召喚に成功したのよ」
 ようやくクォヴレーから解放されたルイズの目に、キュルケの後ろから現れた炎が映った。
「これって、火トカゲ?」
「そう、サラマンダーよ。この尻尾の立派な火をご覧なさい!火山近くの種に違いないわ!」
 自信満々、ルイズと違って『有る』胸張って大いばり。
「名前はフレイム。よろしくね?」
 くっ、と一人歯ぎしりするルイズの横で、しゃがみ込んだクォヴレーがしげしげとフレイムを見つめる。
「あら、どうかした?クォヴレー?」
「こいつは……器用なんだろうな」
 声をかけたキュルケは見ずに、フレイムから視線を外さないクォヴレー。
「どうして?」
「俺には、こいつが洗濯をしたりキュルケの着替えを手伝っている様が想像出来ない」
「はぁ?」
 何だってフレイムがそんなことまですると思うのかと尋ねようとすると、クォヴレーの横でルイズが物凄く焦っていた。
「ああああアンタっ!何言ってるのよ!?」
「? 身の回りの雑事も、使い魔の仕事なのだろう?」
 この受け答えと、先程の発言から二人の間でおおよそ何があったのか察したキュルケは、かなり冷たい視線をルイズに向けた。
「ルイズ……あなた使い魔にそんなことまでさせてるの……?」
404THE GUN OF ZERO(5/7):2008/09/26(金) 01:15:38 ID:sIGXclVD
 自分に誉められた時も、ルイズに責められた時も、どこか理解出来ていない雰囲気が感じられた。
 見た目ではルイズよりも年上。つまり、実年齢上のルイズとは同じくらいに見えるこの少年は、精神年齢、少なくとも異性関係についてはずっと幼いのだろうと、キュルケは判断した。
 とりあえず、主目的であるルイズ弄りをもう少し続けようと、キュルケは自身の使い魔を呼び込んだ。
「そうそう、私も昨日召喚に成功したのよ」
 ようやくクォヴレーから解放されたルイズの目に、キュルケの後ろから現れた炎が映った。
「これって、火トカゲ?」
「そう、サラマンダーよ。この尻尾の立派な火をご覧なさい!火山近くの種に違いないわ!」
 自信満々、ルイズと違って『有る』胸張って大いばり。
「名前はフレイム。よろしくね?」
 くっ、と一人歯ぎしりするルイズの横で、しゃがみ込んだクォヴレーがしげしげとフレイムを見つめる。
「あら、どうかした?クォヴレー?」
「こいつは……器用なんだろうな」
 声をかけたキュルケは見ずに、フレイムから視線を外さないクォヴレー。
「どうして?」
「俺には、こいつが洗濯をしたりキュルケの着替えを手伝っている様が想像出来ない」
「はぁ?」
 何だってフレイムがそんなことまですると思うのかと尋ねようとすると、クォヴレーの横でルイズが物凄く焦っていた。
「ああああアンタっ!何言ってるのよ!?」
「? 身の回りの雑事も、使い魔の仕事なのだろう?」
 この受け答えと、先程の発言から二人の間でおおよそ何があったのか察したキュルケは、かなり冷たい視線をルイズに向けた。
「ルイズ……あなた使い魔にそんなことまでさせてるの……?」
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:16:40 ID:bg9Pnt4I
支援
406THE GUN OF ZERO(5/7):2008/09/26(金) 01:16:51 ID:sIGXclVD
申し訳ない。ミスりました。

「ちちちちち違うわよっ!?」
「? 俺はちゃんとやっているだろう?ルイズ」
「あああああアンタは黙ってなさい!」
 ヒュンと飛ぶ鞭を、やはり軽くかわすクォヴレー。
「いくら使い魔とはいえ……昨日今日会った異性に着替えを手伝わせて、よくそれで普段人のこと色狂いだの何だの言えるわね?」
 もはや侮蔑の視線にまで落ちている。
「アンタだって、会って間もない男連れ込んでるじゃないの!?」
「あら、それはその男性を愛しているからよ?たとえ一時の情熱とは言えね。でも、あなたは別に好きでも何でもない異性に裸を見られて平気な訳?」
 完全に封殺されるルイズ。
「着替えは使い魔の仕事ではないのか?」
「使い魔っていうより使用人の、それも同性の仕事ね」
「やはりそうか。おかしいとは思っていたんだが……」
 もはや完全に晒し者のルイズ。
「おかしいと思ったのにやってたの?」
「俺はルイズに仕える立場だからな。基本的に命令には従う」
 キュルケの問いかけに、相変わらずピクリとも表情を動かさずに答える。
「ふーん、素直な使い魔で良かったじゃない。ルイズ」
 それだけ言い残すと、じゃあねと手を振りながらキュルケは去っていった。
 キュルケの後ろ姿をしばらく見送り、そこでクォヴレーはルイズに視線を戻した。
「……どうした?食事に行くのではなかったのか?」
「アンタなんか……アンタなんか朝食抜きよ!この馬鹿犬ぅ〜っ!」
407THE GUN OF ZERO(6/7):2008/09/26(金) 01:17:51 ID:sIGXclVD
 何だかよく分からないが、犬と呼ばれた。
 アルヴィーの食堂と呼ばれる場所の外で、近くにあった木陰に身を横たえながらクォヴレーは思索にふける。
 何でも、食堂は基本的に貴族が食事をするところなので平民は入れないそうだ。
(加えて俺は使い魔で、主人であるルイズからは犬扱い。つまりは、こいつらと変わりないということか)
 同じく食堂の外で待たされている使い魔らしき生物たちを見る。
 カエルにフクロウ、先程見たサラマンダーのフレイムや竜も見受けられた。
 人間扱いされていないことに、反発感を覚えないクォヴレーでもないが、元々クォヴレーは人間扱いされない人造生体のバルシェム・シリーズである。
 それを経て、自己を人間として確立しているから、今更自分を人間扱いしない人物が現れたからといって、一々相手にするつもりもなかった。有り体に言って、スルーである。
 それに、なんだかんだ言って彼女は自分を人としてみているのだろうと、クォヴレーには察せられた。
 先程のやりとりを思い出してみると、要するに、彼女は男性であるクォヴレーに着替えを手伝わせていることが周りの人間にばれて恥ずかしかったのだと理解出来る。
 自分のことを、本当に動物と何ら変わりない使い魔だと思っているのなら、平然と受け流すことも出来ただろう。
 知られて恥ずかしいことならば、端からやらねばいいのに。とクォヴレーが思ってしまうのは、上に立つ者として下の者に上下関係を教え込ませようとする、主従的思考が理解出来ていない為である。
 実際それをやるにしても、有効であるのは下の者が『屈辱的な扱いを受けている』と思うことによって初めて成り立つ類の行為である。淡々と作業と割り切ってこなすクォヴレーには何の痛痒も与えておらず、従って完全にルイズの空回りであった。
「きゅい」
 奇妙な声が聞こえて、上半身を起こす。
 すぐ目の前に、先程見た竜が来ていた。
「……何だ?」
「きゅ〜」
 じっと見ていると、竜が恭しく頭を下げた。
「おかしな奴だな」
 少し笑いかけながら、下がった頭をなでてやる。先程、メイドが用意した餌を食べ終えた他の使い魔達が思い思いに過ごす中、この竜だけがクォヴレーに近づいていた。
「きゅいきゅい」
 すっと、先程まで食べていた肉の切れっ端が差し出された。
「俺にくれるのか?」
「きゅい!」
 自分が食事を摂っていないことに気づいていたのだろうか。
「悪いが、焼いていない肉は俺の舌に合わないのでな。気持ちだけ貰っておく。それはお前で食べろ」
「きゅ〜」
 見るからに気落ちした様子に申し訳なく思い、竜の頭をなでてやる。
 こちら側に来てから食事を一切摂っていないクォヴレーだが、それによる不都合などは何も無い。元より、タイムダイバーとなった時点で因果律から外れ、ディス・レヴとティプラー・シリンダーによって身体の調子は常に万全に整えられている。
 当然だ。次元を超えて旅をするタイムダイバーの特性上、趣いた先で必ずしも食料が手にはいるとは限らないのだ。食糧不足で次元の調停者が行き倒れたのでは話にならない。
 実際、ここ三つばかりの世界は皆不毛の世界で、食べ物どころか水すら口にしていない状態がクォヴレーの主観時間にして半年近く続いていた。
 今のクォヴレーにとって、食べ物は嗜好品の類と言える。
408名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:17:59 ID:bg9Pnt4I
支援
409THE GUN OF ZERO(7/7):2008/09/26(金) 01:19:06 ID:sIGXclVD
「クォヴレー!授業に行くわ。着いてきなさい!」
 朝食が終わったのだろう。桃色の髪を風に揺らしながら、彼の主が呼んでいた。
「また会おう」
 小さくそれだけ呟きながら立ち上がり、ルイズの方へ向かうクォヴレー。
(ほら、これをあげるわ)
(……朝食は抜きではなかったのか?)
(か、考えてみたら、あなたここに来て何も口にしてないじゃない。倒れられても困るし……。そ、そう!使い魔虐待して居るだなんてあらぬ噂を立てられても困るのよ!)
(食事を抜くのは立派に虐待に当たると思うんだが)
(だ、だからこうしてちゃんとパンを持ってきてあげたんじゃない!いい?これは躾なのよ!アンタが主人たる私を蔑ろにしないようにするためのね!)
(そうか)
(ふん、感謝しなさいよね?それは私たち貴族向けの上等な柔らかいパンで、平民のアンタが本来食べられる物じゃないんだから!)
(ではありがたくいただくとしよう)
 優れた聴覚で二人の会話を聞いていた竜――韻竜シルフィードは、使い魔の少年がちゃんと食事を取れたことに胸をなで下ろした。
 そこへ、彼女の主も食事を終えてやってくる。
「何を話してた?」
「きゅい!?や、約束通り、シルフィードは人とはなんにも話してないのね!」
 小声で尋ねると同じく小声で慌てて弁明する韻竜に、ぺしとツッコミの掌を当てるタバサ。
「彼の方。シルフィードに何を話していた?」
「きゅい。お食事の話してただけなのね。あの子、何も食べてなかったから、シルフィードのお肉分けてあげたんだけど、生肉は嫌いだそうなのね」
 これの良さが判らないなんて可哀相なのね。と続けるシルフィードに、タバサは目を丸くした。
 この韻竜。召喚者の自分に似たのか、結構食い意地が張っている。それが、空腹らしい少年を見かけたからと言ってあっさり食べ物を分けようとするとは。
「彼は……何者?」
 タバサの問いに、目をつむるとまるで祈るように空を見上げながらシルフィードは言う。
「あの子は使者なのね。生き物の死後を司る神様の、使者なのね」
「神の……使者」
 口の中でそれを反芻しつつ、本塔の入り口に消えていった背中を目線で追った。

投下中の不手際、申し訳ありません。
410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:24:03 ID:bg9Pnt4I
乙でーす
食事が嗜好品ってのは羨ましいっすねー
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:30:29 ID:77BFT0Ay
乙です。
クォヴレーの出るこの作品、いつも楽しみにしてます〜。
ギーシュとの決闘シーンが楽しみで仕方がないです。

生身で闘うのか?ディス・アストラナガンを呼び出すのか?

後者ならギーシュ死亡フラグですなw

ところで「THE GUN OF ZERO」ですけど、まとめサイトに登録されてないですよね?
どうしたんでしょ?
412名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:41:25 ID:70VHzOak
投下乙
登録しに行きたいが…やり方がわからん
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:50:07 ID:yUv5NXrC
投下乙です!
楽しみにしてるので頑張ってください!
414名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:52:16 ID:f704DQqt
Q:あの作品がまとめに無いんですけど……。
A:気付いた人が積極的にやりましょう。
415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:52:26 ID:kIekdd6T

なんか描写見る限りだとスゲー大層な代物らしいな
元は知らないが悪魔絵師がロボ描いたってのだけ覚えてる
(ロボのほうだけど)悪魔絵師が関わってるってだけで世界破滅させたり救ったりの常連さんに思えてくる不思議。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 01:52:33 ID:iiBcYDwH
>>404
>>406
キュルケの発言がおかしくないか
たかが平民になぜそこまで肩を持つ?
貴族にとって平民って人じゃないんだろ確かこの世界の常識じゃ
417名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:04:59 ID:uCYBMYo+
いい男>平民
むしろいい顔、いやチン……
418名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:16:50 ID:9rPsSdCL
>>416
平民がゴミ扱いなのはトリスティンのお国柄であって
キュルケの実家があるゲルマニアでは能力があれば平民も普通に取り立てられてた

……はず。うろ覚えだが
419名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:22:14 ID:iiBcYDwH
>>418
だとしてもそれはキュルケの考えの問題であって
他国の他人の所有物に文句言う筋合いはないと思うが
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:24:42 ID:5tvNbkZW
>>416
例え平民だとしても異性に裸見せたりしてる時点で
常識を疑われるだろJK…
421名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:25:18 ID:MEXR2Vo5
>>419
ルイズをからかうのはキュルケのライフワークだぞ?
422名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:26:40 ID:r+IynT8c
平民を人として思ってないわけじゃないぞ?ただ大抵の貴族は下の存在に見てるだけで
ルイズ→初期サイトは使い魔だから種族人間だけど人として見て無かっただけだ
423名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:27:35 ID:Apsb42OW
キュルケって好みのタイプなら平民だろうが年上のハゲだろうが大丈夫だしな。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:30:40 ID:9rPsSdCL
>>419
とりあえずロシアあたりのでかい街にでも行って
全裸になり美少女フィギュアを持ったまま街中をダッシュだ

ひょっとしたら脳を心配してくれるやさしい人が現れるかもしれんぞ
425名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:33:00 ID:iiBcYDwH
>>420
人でないものにどうやって羞恥心を起こせというのかw

>>421
からかいではなく心底あきれてるように読めるんだが

>>422
サイトに冷淡な初期のハゲなw
426名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:35:31 ID:bHdN6Bmx
>>388
これの1話って、いつ投下されたの?
スレずっと見てた筈なのにこれ知らないんだが。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:37:30 ID:r+IynT8c
>>425
神聖な儀式で呼ばれたんだから仕方が無い
そして珍しい使い魔のルーンに心奪われて心配なんてことをすっぱり忘れたんだよきっと
428名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:39:52 ID:iiBcYDwH
>>424
そのような考えを思いつくあなたが心配です
心療内科に行かれては
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:49:10 ID:2S3ckUji
>>428
君の言っていることはそういうことだぞ?
相手が平民=人間以下なら恥ずかしくないから裸で街を歩いたって平気だぜ!って言っているのと同じこと

キュルケが文句を言っているようには読めないし、慎みの問題だろ
430名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:57:50 ID:kbHu7NEq
フレイムって顔見せと逢い引きの手伝いでサヨナラがおおいよな
その後が気になる
431名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 02:58:47 ID:9rPsSdCL
>>428
いや、ただの冗談だし……
釣りだと思うが真面目に話そうか?

要するにおまいさんは
ルイズが使い魔ってかついこないだ会ったばかりの成年男子に裸体をさらし
下着まで着替えを手伝わせるのは貴族的に当たり前で
他人が文句言うなんて筋違いどころか貴族を侮辱している!
って言いたいのか?

やーいムッツリスケベってからかった程度で
青筋たててブチ切れるような話じゃないと思うがな
432名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:04:20 ID:r+IynT8c
>>430
それは原作に言ってやれ
3巻のオーク鬼戦以降出番がシルフィードの一日ぐらいしか……
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:07:24 ID:shQFxVsx
メイドに着替えを手伝わせるのは貴族として当然らしいから
羞恥心の感覚がずれてるのかも?
それに召喚当初のルイズにとってサイトは使い魔でしかないから、
犬とか猫と同じ感覚なのかも
ペットの前で裸になっても平気だぜ!
434名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:09:56 ID:K/YqtCUf
>>430
知らなかったのか、フレイムにはカメレオンみたいな擬態機能があるんだぜ
実はサイトやルイズの傍にいつもいるけど気付けないだけだよ
435名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:10:19 ID:kbHu7NEq
あれだろ425は白豪主義並みの差別意識がゼロ魔世界の貴族に蔓延してる見なしているんだろ
436名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:12:42 ID:HTTES52p
久しぶりにいつもの流れっぽいけど、
避難所の考察スレに行くようにしような。

しかし貴族になんか恨みでもあるなって奴が今時の日本にいるのかねぇ。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:14:22 ID:kbHu7NEq
フレイムが活躍するSSって一本しかしらん
しかも更新は長らくとまっとるorz
438名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:17:12 ID:Qoh7BvBU
三蔵法師が人参果食わなかったようなもんだろ?
動物扱いとはいえ、見た目人間男と同じなら羞恥心持てってキュルケが言っても不思議じゃないさ。
逆に下働きの人間に肌をさらすことくらい何ともないっていうのも貴族らしい考えなんだろう。
439名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:18:44 ID:kbHu7NEq
政治家に対して不満を持っているとか
議員の三分の一が世襲だっけ?
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:30:26 ID:Odvo6UYN
三蔵法師ねえ
どうでもいいが「西遊記」の原作は、人畜は絶対殺生しちゃダメだけど妖怪なら別にいいよ、みたいな感じで殺しまくり
ある妖王とお姫様の間に生まれた子供たちを、孫悟空が天から投げ落としてぶっ殺したりもしてる
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 03:43:50 ID:9rPsSdCL
案外実家では母親や姉二人やルイズ本人が普通に若い平民の男をはべらせてて
日常的に着替え手伝わせたり汚れた下着洗わせたり犬と呼んで虐待してたりしたのかもしれん

ルイズ的には普段からこんな生活してるからおかしいとも思わんが
外国人のキュルケにしてみればどう見てもHENTAIです本当にありがとうございましたという
文化の違いが産み出した悲しきすれ違いだったんだよきっと
442名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 04:11:43 ID:ZLXv6GZY
>>440
というか西遊記ってそもそも、複数の人間が書いてるから矛盾が多いだろ。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 05:25:08 ID:tSc09ovD
ルイズが反応炉が破壊され少し時間が経過したハイヴ(fromマブラヴ)を召喚。
エネルギー供給が切れた状態のためBETAの活動が鈍っていること、そして、BETAの絶対数も
制限されていることを前提として、ハイヴ内に残存していたBETAとの死闘が始まる……。
兵士級と闘士級をメインにそれ以上のクラスはボス扱いにすれば何とかバランスが取れるかな?
444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 06:02:36 ID:MI9A39DO
クォヴレーの人乙

コインランドリーで洗濯する姿想像して一気にイメージが庶民臭くw
445名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 06:42:14 ID:B1ohV2+v
亀だけど、アロマってガンダ補正ついたらめっちゃ強そうだよなw
ノーマルで銃弾避ける反射神経と身体能力持ち
デルフを持てば文字通り無敵の盾かもしれんw

魔法による飽和攻撃は基本回避、避けきれないものはデルフで吸収
あれ?イージス艦じゃね?
446名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 06:51:31 ID:Tz3n+VpP
亀だが。

>貴族にとって平民って人じゃないんだろ確かこの世界の常識じゃ 。

例えば、だが黒人が奴隷だった時、白人全員がそれを常識と考えていたのだろうか。
反対派もいたはず。

つまりそういうこと。
447名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 07:55:39 ID:cue4msb+
>>437どれ?
448名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 08:20:21 ID:TP01OTKZ
>>415

まぁ、大体そんな感じw
てゆーかイデオンとガオガイガーの次位のチート具合ww
449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 08:38:24 ID:jNN4vSBv
>>409
半年間飲まず食わずってカワイソスwww
450名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 08:48:41 ID:jNN4vSBv
>>444
ディストラがただのタクシー代わりwww
451名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 08:49:44 ID:k9jHWWAV
ガリアは魔法技術が発達していて、
アルビオンは空に浮かんでて、
ゲルマニアは平民でも金があれば貴族になれて、
ロマリアはブリミル教の総本山。

…トリステインの特色って何だろうか。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 08:54:39 ID:tSc09ovD
暢気で気位が高い?
453名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 08:57:19 ID:JsqMhzUU
エロい女王

この一言に尽き申す
454名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 09:06:13 ID:wiWNk5AR
ディストラがタク代わりとかww
まさに某スレのご近所タイムダイバー
奴ならいつの間にかルイズに召喚されてても全く違和感ねぇww
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 09:18:23 ID:+Ml6FQVR
>>453
女王がもう少し自重するという事をおぼえてくれれば…とは思うが、
家臣に人材乏しいしなあ
456名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 09:28:45 ID:SnNqBOwT
現実に照らし合わせると、F・シュイダーという学者さんがこんな事を書いている。
「ドイツは帝権を
 イタリアは教権を
 フランスは学芸を」

つまりゲルマニアには皇帝が居て、ロマリアには教皇が居て、
そんでトリステインでは学芸が……学芸が……orz
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 09:33:07 ID:tZ4cnY0q
「歴史と伝統だけに縋ってる没落貴族」
ってイメージなんだがトリステイン。
458名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 09:48:16 ID:WxXwJ4d1
ゼロ魔世界の産業は、その根幹部分に魔法が大きく関わっているので、メイジの社会的地位が保証されるのは当然の事。
そしてトリステインが国力が劣る分優秀なメイジを数多く輩出し、それで補おうとするのも当然。

メイジを数多く輩出しても差が埋まらないのに、それ以外の物を模索しようとしないのがトリステインクオリティ?
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 09:50:45 ID:l1OopNXp
久保乙。
コインランドリーで女物の下着を洗濯する久保……変態だー!
460名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 10:00:37 ID:kIekdd6T
>>459
ダメにしちゃいけないからきっと洗い方も調べたんだろうな
朝も早くから下着片手にロボにのりコインランドリーに駆け込む成人男性……
よくよく考えたらずいぶん酷い事になってるな
461名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 10:01:53 ID:JsqMhzUU
>458
メイジではなく平民の労働力でも代替可能になる汎用技術が生まれると結果的に
効率の上では大量の労働力が投入可能な平民にメイジが駆逐されるから、平民で
代替可能な技術が生まれにくいんじゃないかな。レコンキスタの貴族たちと違って
その他の貴族って保守的っぽいし。自分たちの立場を脅かすような革新的な技術は
保守勢力からの圧力で普及しにくそうだ。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 10:31:28 ID:jDiTlhO2
>456
残念、フランスはガリアだ。
トリステインってTriとつくからなんとなく低地諸国だと思ってる俺。
つまり……道路?(HoI2厨自重)
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 10:42:20 ID:mVrNXXiu
>>461
それをネタに次のSS書くかな
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 10:58:21 ID:bg9Pnt4I
>>450
むしろディストラで洗濯もできそうじゃね?
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:08:18 ID:UDBvNn6X
未来的コインランドリーはちゃんと女性下着も洗えるように計算してあるんだよ、角度とか

しかしいつルイズが嫉妬したディストラさんにキレられるかと思うとある意味ギーシュよか心配だ
ディストラさんはご主人さまに女が近づくと勝手に停止したり
ご主人さまがいなくなると暴走したりするからな
ネタじゃなくガチで
466名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:12:43 ID:sIGXclVD
>>454
いや、ホントに『あの』久保を召喚してエロメイドとか青ワカメ背後霊とかも出そうかな、とか一度思ったんですけどね。
それだと三次創作になってしまう上に完全にギャグに走りすぎて今の自分の力量じゃ扱いきれないと思ったんで止めときました。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:14:50 ID:tsSOlPgY
クォヴレーとユートじゃ、どっちが強いの?
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:34:22 ID:n/jVLqvX
>464
野戦病院で、ホワイトドールを洗濯機代わりにしたあの光景の再現か。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:35:07 ID:bg9Pnt4I
ドラゴンの久保が最強。
踊りとか、顔とか。

>>465
なんか擬人化でもされてそうだな。
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:37:31 ID:bg9Pnt4I
>>468
もっと大掛かりに、背景に宇宙とか魔方陣的なものとか展開しつつ
久保の背後に似たような人が出てきて大仰なセリフを言いつつ手洗い!
471名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:41:57 ID:U5AVSKLT
>>470
…んで、その結果はボールドのCMみたいな状態になると
472名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:42:14 ID:+XetAeuI
>>453
>>455
 バカ女王
 この一言に尽き申す


 15巻のネタバレ、そろそろするけど…アンアン、本当にダメだな。ダメダメだな
「ガリア王をハルケギニアに君臨する大王とする代わりにエルフと縁を切れ」
 本気で言ってるから凄い
 ジョゼフが単に地獄の戦乱が見たいだけだったなんて読めない、この点を抜いても酷すぎ

 ジョゼフに「ゲルマニア皇帝が了承しない」と突っ込まれて、アンアンは
「田舎者がトリステインとガリアの同盟に意を挟めるわけがない」
 と答えてるが、挟むに決まってるだろが。各国諸侯もガリア王と教皇のどっちがましか考え込む
 全く根回しをしていないという点でアウト。

 ハルケギニアの各王に君臨する大王、アンアン一人が頭を下げてもしょうがないから実権がない
 その地位に正当性も大義名分も何もない
 つまりハルケギニア大王という地位に実体は無い。机上の空論、砂上の楼閣、看板だけ 

 この交渉のためにガリアに単身乗り込むのも賭じゃなくて自殺。アンアンは
「マリアンヌとマザリーニが国にいるから大丈夫」 
 つってるが、一人しかいない後継者が死んだら断絶決定。アンアンほどのカリスマもない
 トリステインは大混乱、占領下にあるアルビオンも諸侯が独立の好機と見て叛旗を翻す

 もしアンアンの見立て通り、ジョゼフが単なる野心家だとするなら、この機を逃したりしない
 アンアン殺して、まとまった対抗勢力が無くなって、大喜び


 アンアンって、ノボルが生み出した最高のキャラだな
 事態を無駄に悪化させるトラブルメーカーとして最高だ
 おかげで話が面白くなってしまう
473名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:49:03 ID:tsSOlPgY
まぁ、おちつけ。
まだこのスレでする話題じゃない。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:54:20 ID:u9Yy/dUG
>>463
ゲルマニア辺りで楽しく一騒動起こりそうな話だね。
考えてみれば、あそこも生粋の貴族と成り上がりで、
格、というか何か違うのだろうなぁ、元平民は、
所詮なれても下級の「中隊長や、微税官」3巻p134
までしかなれないのかも…
475名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:54:56 ID:bg9Pnt4I
>>471
スゲー、パーフェクトだな。
入浴剤かなんかのCMで、4人家族の長男であろう子供がガンバスターが腕を組んでるようなポーズをしてるのを思い浮かべてたけど、そっちの方が面白いな!
476名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 11:55:41 ID:n/jVLqvX
こう言ってはなんだが、アンリエッタは暗君への道一直線だな……マザリーニのような忠臣が居るからこそトリステインがもっているようなものだし。
メイジだからこそ重用される世界における、始祖の血統の力を見せ付けられている気分だ。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:02:10 ID:bg9Pnt4I
アンアンがこなったのって、本人の資質もあるんだろうけどやっぱ教育がイマイチだったのかな?
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:03:37 ID:YSnQUgyP
>>472,476
なにを言う!
アンアンは、あの乳だけでトリステインの何倍も価値が在るぞw
まぁ、ティファニアちゃんの乳には、ハルケギニア以上の価値が在るけどなww
479名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:04:13 ID:n/jVLqvX
ちょっと想像してみよう。
外見は……今のままで良いか。で、凛として気品があり、頭の回転がよく常識をわきまえ、政治と経済に精通し、女王として君臨する非の打ち所の全く無い、パーフェクトジオングのようなアンリエッタ。
拒否反応が出そうだ。
480名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:09:50 ID:jDiTlhO2
>477
イマイチというか、本来は王位につける予定がなかったんじゃないかな……と。
多分、平和だったら傍流から婿取って(ウェールズ? またまた御冗談を)
その人物を王位につける予定だったんじゃないかな……と。
原作も謎なのが、「アンリエッタがゲルマニアに嫁いで、その後トリステインの王位どうすんの?」
なんだけど。傍流で王位継承権持ってる人間がいてもおかしくなさそうなんだけど、
何故か話にも上らない……。

>479
上に戴くにはそういう人物の方がいいけど、もうアンリエッタじゃないな、それ(苦笑
481名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:09:56 ID:bg9Pnt4I
>>479
なんだか、虚無が居なくても何とかなりそうですね。

ジオングで言えば足に相当する飾りの部分って何だろうか?
外見の美しさは武器の1つだろうしなぁ……、乳か!
女性たちのやっかみを集める飛び道具だし、野郎は顔だけでも釣れるだろう。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:12:28 ID:bg9Pnt4I
>>480
おぉ、なるほど!
それはそれで旦那様が苦労しそうだけど、本当にどうしようもない親馬鹿だったんだろうなw

王位は、ゲルマニアが長男でトリステインが次男ですw
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:17:27 ID:6thFaQPJ
どことはいわないがとある某国を見れば分かるとおり
ある程度歴史というか業務こなす流れが出来てれば国の運営なぞ
目の前に死んだはずの恋人が現れて駆け落ちしようなんて絶対ありえないシチュエーションを
信じるなんて余程のアレだ、ってなイベント起きない限り普通に進んでいくものです
少なくとも国を傾かせるような贅沢はしてないから

それが平和にして平穏な時代ならば、という但し書きがつくけど
484名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:18:10 ID:N7aEj4+o
>>480
王位をかけて6人の運命の王女がトーナメント戦を繰り広げる
さらに祈祷書にはメイジの運命が記述されておりそのページを燃やすと・・・
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:25:51 ID:bg9Pnt4I
>>484
死んだウェールズの姿になるメイジンとか出てくるのか
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:30:19 ID:dR3hwbMT
>>485
メイジ閻魔様の命令で、地獄を抜け出したウェールズを連れ戻しに来る
メイジハンターとかが敵チームにいるわけだな。
487名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:31:38 ID:Apsb42OW
>>472
教皇に並んで作中屈指の策謀型キャラであるジョゼフとマザリーニが、
その手腕を絶賛してるんだからアンリエッタの行動はノボル神的にあれでベター。

大体、アンリエッタがもしガリアで殺されても
親戚筋のヴァリエールは王家の血引いてるし
リアル中世だって親戚筋から迎え入れて家を存続とかよくあること。

エルフとの戦争止めてハルキゲニアの全体の荒廃を防ぐ為なら
あらゆる手段を使うってのがアンアンのあの時の命題で、
トリステイン一国の問題じゃ済まないって覚悟だったんだろ。
あの場は丸く治めてからジョゼフを暗殺する気満々だったんだし。
国境越えてハルキゲニア全ての民に滅私奉公しようとしてるわけで、
ゾンビウェールズについて行こうとした時よりは確実に成長してる。
ジョゼフもアンアンも言ってるけど「同じ地獄ならマシな方を選ぶのが政治」で、
全部理想的に犠牲も対価も払わず、丸く治めて解決なんてありえないってことなんだろ。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:32:32 ID:bg9Pnt4I
ってことは、死んだメイジンは玉を集めれば復活できるのか。
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 12:40:24 ID:UDBvNn6X
まあアンリエッタはウェールズ以外と結婚する気ないだろうから
トリステインの王家直系の血が絶えるのはほぼ確定なんだがな

性的な意味でトリステイン王家最後の希望がサイトだったりする
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:03:30 ID:BfxsbsEW
どうであれ、敵前逃亡する某国の二世首相たちよりはましな訳で
491名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:07:50 ID:6thFaQPJ
>>489
トリステインのみならずアルビオン王家血筋の点でも
最後の希望はサイトと思われ
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:14:27 ID:HbBtlnfS
>>487
問題は「血をちょっとだけ引いてるだけの親戚で良いなら、いくらでもいる」ということだ
目に浮かぶぞ。我も我もと勝手に王家の血筋を名乗る貴族達が群雄割拠しだすのが

つーか、最初からアンアンがベッドでジョゼフを暗殺する気でした、と言った方が正しい気がする
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:17:56 ID:ZFEF5cCV
>492
もし王家が絶えたとするとトリステインはヴァリエール家、ガリアはタバサのオルレアン家が最有力候補。ただ、エルフの血を引く以上大公の娘とはいえティファニアは難しいかと。
やはりアルビオンは戦乱の種になるのか。
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:24:47 ID:7Z6OgenE
既にルイズは王位継承権持ってるし、タバサは王位を襲うことを教皇の名で宣言済み。
問題なのはやはりアルビオンか。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:27:08 ID:TpUdFly8
三人ともサイトが嫁さんにしてしまえば……
496名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:29:31 ID:7Z6OgenE
>>495
そしてサイトがハルケギニア大王に。

アルビオンは天領に。
497名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:32:35 ID:iZFwlGkj
>>492
それは「まだマシな地獄」だろ
せいぜいトリステイン一国がなくなるだけなんだから

つーかネタバレはまだ早いし、クロス関係ないゼロ魔オンリーの話題出したいならせめてこっち池
設定・考察スレその9
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1217771847/l50
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:32:49 ID:TpUdFly8
風の全てが彼の歌で星の全てが彼の夢ですね
499名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:37:14 ID:C/6PNAY+
ハルケの国の王様はその名も卑猥な平賀才人〜。
ハメハメハってのも卑猥だな。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:39:11 ID:jDiTlhO2
とゆーか、15巻読んでないんだがマジで「ハルケギニア大王」なワケ?
なんというか、センスないなぁ……。
こっちでの「皇帝」に該当する地位がないから、しょうがないのかもしれないけど。
501名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:40:59 ID:TpUdFly8
魔法使いたちの上に立つんだから、やっぱ大魔導士ですよね。

>>499
平賀才人という名前自体は卑猥じゃないだろ……
卑猥じゃないよね?
502名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:43:14 ID:iZFwlGkj
>>501
実はハルケギニアの言語では卑猥極まりないのを翻訳機能でごまかしてる可能性もある
逆に、100年後くらいではプレイボーイの事を俗にサイト大王と言ってる可能性もある
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:46:11 ID:C/6PNAY+
>>501
うん、ごめん。名前自体は卑猥じゃないっす。
きっと「サイト」っていうのがハルケギニアじゃスケコマシって意味になっちゃったんだよ、後世。

・・・・・・と苦しい言い訳をしてみる。
504名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:47:30 ID:jDiTlhO2
>502
どかねぇ。今時在原業平とか言わんし、ドン・ファンも古いしな。
ああでも、光源氏はいまだに言うか……。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:49:22 ID:ZFEF5cCV
>500
『ハルケギニア大王』というのが、才人の貧弱な語彙による翻訳(意訳)の結果という可能性もあるな。
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:56:01 ID:TpUdFly8
>>502-503
なるほど、カカとかカツオみたいなもんか
後の世で代名詞になっちゃうのかw
507名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 13:59:25 ID:+DyN666A
>>461
それの描写が小ネタの「おじいさんの古時計」と「BUSINESS FAMILIAR YAMAZAKI」にある
508名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:00:56 ID:shQFxVsx
皇帝が使えない場所で王の上だとっ……


大王以外にあったか?
509名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:04:10 ID:MEXR2Vo5
覇王でいいじゃん
510名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:07:46 ID:Erzlu1ou
超合衆国とかよりはマシ
511名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:11:49 ID:yFEnAtZk
帝王とかは?
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:13:29 ID:fL5WBGxm
ここはやはり大帝を推したい。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:14:56 ID:HbBtlnfS
ジョゼフの世紀末覇王伝説か


つか、ルイズの第二王位継承権って、どういう扱いされてるんだろう
密室で内輪だけでやってたようなモノだから、一般人は誰も知らないのかも
密使を送って「私にもしもの事があったら、あなたが次の女王」と伝えりゃよかったのに

まぁどっちにしても、
アルビオンは独立運動始めるだろう
ゲルマニアは従わないだろう。教会にもガリアにもつかず中立か無視ってとこか
ロマリアと教会は大王即位なんて認めないこと間違いなし
「大王の地位」なんて寝言だってことはジョゼフもよーく分かってる


いかにもアンアンらしい策だ
『無能な働き者』を地で行ってる
514名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:15:11 ID:0ycjKtAo
大魔王とか
メタスラ的な意味で
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:24:51 ID:TpUdFly8
王の上だから上王で
516名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:28:53 ID:LJ6rFjq3
天より位を授かりし王ということで天皇
隣国いわく日王
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:33:55 ID:tV+iovEM
>>513
作中では俺らが知らんだけで、どうにか成立するルールがあの世界にはあったんだろう。
まあアンアンにしてみたら、ガリアとやりあって返す刀でエルフ相手に聖地奪還目論むロマリアと組んでいるという現状が既に耐え難いんだろうな…。
ガリアとエルフ相手に自分ところの虚無(ルイズ)をすり潰されるくらいなら、いっそ――

まあ解釈次第といえばそれまでだが…続きは考察スレでやろうな。
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 14:39:58 ID:bHdN6Bmx
天津日嗣皇命
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:06:06 ID:v8FxK4/8
剣桃太郎
「本物のアホ王国かここは」
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:26:04 ID:Tz3n+VpP
アンリエッタは余りに平和に目が向きすぎるって点が
平和無防備条例に何も考えず署名してる馬鹿と同じ

だけどアン様は学じゃなくて脳が無いだけ。
勉強はできなくても色々と物知りな奴又は1部に突出した奴。
勉強できても世間も何も知らない奴。
アン様は後者。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:34:56 ID:5dT93YCO
つまりアンリエッタの意見が嫌だと言う人は「聖戦が正しい」という思考なのか?

なら日本から出てってくれ、テロリズム思想に目覚める前に。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:34:57 ID:lN1yMgV/
まあアンアンは理(利)ではなく感情によって動いているわけだから仕方ない
良くも悪くもね
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:36:31 ID:MEXR2Vo5
で、なんでお前らそのアンアンに賛同した鳥の骨と文句の付け様が無いと褒めたジョゼフは叩かないの?
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:37:26 ID:v8FxK4/8
主人公をヒロイックに活躍させる為には主人公側組織のトップが無能じゃないといけない。トップの無能さ故に生じた戦略的ミスを主人公がヒロイックにひっくり返すからこそドラマも生まれる。
それに職業選択の自由(アハハン♪)なんて概念自体ないだろうからね。そのあたりはジョゼフも同じか?

ウルトラ第5の使い魔氏は無能じゃないアンリエッタを描いているのが素晴らしい。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:43:58 ID:YxfZSfIY
>>523
解釈その1
 マザリーニ「おお、素晴らしい!やっと頭を使うようになったか」
 ジョゼフ「ふーん、あのバカ娘が少しはましになったな。ここは褒めておいてやるか」

介錯その2
 マザリーニ「長い事考え抜いて、この程度…もうダメだ。こいつ始末してルイズを担ぎ上げよう」
 ジョゼフ「逆の意味で素晴らしい!皮肉にも気付かないとはアホも極まれり」

会釈その3
 マザリーニ&ジョゼフ「どーでもええわ、こいつ。テキトーにおだて上げておくか」
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:49:11 ID:QkmgYQi4
お前らのアンアン嫌いはよくわかったから他所でやれ
反吐が出る
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:51:24 ID:YxfZSfIY
>>521
 もっとマシな手はあるさね。例えば

孔明みたく、ロマリア&教会vsガリアvsトリステイン・ゲルマニア・アルビオン連合で三すくみ。動けなくする
英国国教会みたく、ロマリア教会から独立した宗教組織を新設する
さいとう・たかおみたく、ヴィットーリオを暗殺する

 その中の一つとして、確かにジョゼフをハルケギニアの大王にする、というのも考え得る
 ただしこれはアンアンが一人で言っても無駄。事前の根回しが絶対に必要
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 16:59:48 ID:Tz3n+VpP
でもお前等。

ジョゼフに顎つかまれてる絵とか
艦隊が燃え尽きて驚いてるアン様とかすごく可愛かったよな。
特に後者はまじで可愛すぎ。

でもジョゼフってあの交渉以上に思い浮かぶ条件は無いって言って正解。
とも言ってるんだから、今回のアン様は100点じゃねーの?
529名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:04:49 ID:LJ6rFjq3
>>523
マザリーニは結局補佐でしかねーのです
部下に任せる、というのではなく女王として全権を握って、しかも自分で判断して
行動する以上「神の一手先を読む」くらいの判断が要求されるのは当然でしょう
しかも狂気に犯されているのがはっきりしているジョゼフに国と国民の全てを委ねる、という判断なのですから。
ジョゼフと直接言葉を交わしていないマザリーニはジョゼフを「まともな人間の器」内で判断して賛成してしまったのではないでしょか
なによりアンリエッタが攻撃されているのは他国の権利すらあっさりジョゼフに渡そうとしてるからでは
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:05:35 ID:y8SUw77u
さすがに読者の神の視点でキャラ批判はどうかと思うぞ。
いや、俺もけっこうやってるが。
あの状況ではアンアンの手はよかったとは思うがジョゼフの方が上手だった。
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:07:38 ID:JeJGiLSB
ここはサイトの代わりに別作品のキャラを召喚した時のifを語るスレのはずだが、
何時からアンリエッタアンチスレになったんだ?
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:08:07 ID:UN5h+haf
イザベラ様の今後の扱いがとても気になる。
533名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:08:58 ID:lN1yMgV/
>>527
三竦み→いくらアンアンにカリスマがあるとは言えロマリアはハルケの宗教の要、それに盾突いたとなれば離反者続々
andガリアは大半の貴族に離反されたがエルフと繋がっており戦力は強大→トリステイン涙目→元の木阿弥へ

新宗教組織→ロマリアがあるから誰も見向きもしない

教皇暗殺→アンアン&トリステイン聖敵認定→アンアン超涙目

ぶっちゃけアンアンが取った策が一番かも
やはり根回しが足らないけど
534名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:09:43 ID:u9Yy/dUG
>>532
どうしよう。プロット組んでるのに、今更変えるなんてできないよぅ
もう、突き進んでいいよね?
535名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:10:29 ID:Vuz5MATB
物語の中の人物を叩いてどうするよ
キモイぜお前ら
そういうのはスレ違いだからキャラ専用スレで仲間同士存分に語り合って来い
536名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:12:26 ID:lN1yMgV/
>>534
問題ない
537名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:12:50 ID:y8SUw77u
>>534
突き進んでいいよ。
問題は面白いか面白くないかだ。
538名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:13:39 ID:Tz3n+VpP
>>529
女王なら有能という判断は間違いだな。
しかもジョゼフは国内外無能王と言われてた訳だ。
狂気に犯されたって考えるよりも、何も考えてないんだなー…。
程度でしょうな。

アンリがやった事は
まぁ他国に一度権利を渡しても、どうせまた修復できる域だからでしょう。
昔の元(モンゴル)なんて中国の周辺まで支配はたまた日本にまで…ってなったけど
最終的に国が疲弊して元に戻った。
でも聖戦って大規模な戦いで国全体の若者が死んで国庫が空になるとまで来ると。
悪循環な訳だ。
539名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:13:50 ID:I4J9F0zB
>>534
変えられないなら突き進むしかないさ
だけど急いだ方がいいかもしれないぜ
次巻でさらにすごい設定が明かされることも……
540名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:13:57 ID:mVrNXXiu
逆に考えるんだ。アンアンが無能、ルイズが無謀だからこそ面白いんだと。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:14:27 ID:q1LxLZqQ
>>535
え?
気に入らないゼロ魔のキャラを叩くスレでしょここ?
どう見てもそうにしか見えないんだけど
542名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:18:09 ID:4DelLN3f
あとガリアの虚無の存在とかも視野にいれてたのかもなー。
始祖の力、虚無の力をガリアが有していて、虚無同士の戦いとなったらロマリアの権威にも何がしかの影響は出ると踏んだか。
アンアンとしては狂信者よりも権力志向の人間の方が扱いよいと思ったんだろうか。
前提が間違えてた訳だが。

そしてあとは考察スレでの領分だ。巣に帰ろう、みんな。
543名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:21:36 ID:QkmgYQi4
スレタイも読めないチンカスばっかりなのな
お前らのオナニー評論なんて見せつけられても不快なだけなんだよ死ね
544名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:23:52 ID:tsSOlPgY
みんな、話を聞かない子
545名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:24:10 ID:u9Yy/dUG
>>539
うはぁ、やばい。まだ武器すら買いに行ってないのに。
早く完成させないと。助言サンクス!
546名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:25:29 ID:Apsb42OW
完結してない作品だしSSの設定は最新刊まで忠実である必要はないよなー。
つまり全く語られて無い聖地とかの設定ではっちゃけるなら今がチャンス。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:25:35 ID:LJ6rFjq3
>>532
多分イザベラが次の「ミョズニトニルンを従える虚無」なのでしょう
目覚めるかは不明ですが
548名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:26:28 ID:Cvqsh0c9
根回しが足りないというが、国を攻めてチェックメイト寸前で
降伏して処刑されるかそれともそのまま亡ぼされるか、
という状態だったわけだろ?

秘密兵器があったからにせよ、破格の申し出だけに
普通は乗るだろう。時間の無さを補えるよ。


ジョゼフとマザリーニから太鼓判を捺してもらったのまで否定してたら
人生どう生きてるのかも疑問だわ。
549名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:28:55 ID:I4J9F0zB
>>545
「デルフを買いに行く」じゃなくて「武器を買いに行く」な辺りに無駄に不安が……
うん、気のせいってことにしておこう♪
550名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:30:09 ID:u9Yy/dUG
>>549
あーいえ、デルフですよ?武器だからデルフですよ。そりゃ
無駄話消えます、どうにか今日中に投下できるかと、では。
551名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:32:45 ID:LJ6rFjq3
>>550
お待ちしてまーっす
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:40:00 ID:JsqMhzUU
無能、怯懦、虚偽、杜撰、どれひとつをとっても戦場では命取りになるような
のを纏めて無謀でくくったような物語なんですねゼロ魔は
553名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:40:29 ID:iD0mctA5
>>315
遅レスですまんが
パソコンの活用ってどんなのがあるのかねぇ。
PCは元々ミサイルの弾道計算かなんかのために作られたと聞いたことあるけど、ノートパソコンでどこまで出来るのか・・・
PCはHP閲覧とネトゲと日記書くくらいしか活用してない俺にはサッパリだ。

そういやワールドドア開いてる時はネットに繋がるんだっけ?
何か事件がある毎にVIPにスレ立てて、サイトとVIPPERのやり取りを書くとか・・・

やばい、ちょっと読んでみたくなったぞ!
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:48:53 ID:kXh/Ywe0
>>553
VIPでやれ
555名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:49:41 ID:yLVJQdCY
>>553
確かに面白そうではあるが、VIPでやれ
556名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 17:50:26 ID:eO5O7Jrn
やる夫でも召喚しとけ
557名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:02:07 ID:iD0mctA5
>>554-556
まぁタダの冗談だよ。
俺VIPなんてアクセスしたことないし。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:03:09 ID:tw8CMXzj
>>553
ミサイルの弾道計算に作られたのは、PCじゃなくてコンピュータね。
ちなみに、その頃のコンピュータは教室より大きいくせに、現代の電卓以下の性能だったそうな。
559名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:04:10 ID:9G6hyuZ5
>>553
ありとあらゆる事が出来る

Wikiを閲覧するだけで農業・工業・医学・etcが桁外れに進歩する
PCモニターの表示内容を読めるのはサイトだけなので、全知識をサイトが独占する
知識と技術を独占する支配者となれる
560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:06:25 ID:LJ6rFjq3
>>553
VIPはともかく「小さな国の救世主」というラノベはそんな内容だ
面白いので一読をお勧めしてみよう
561名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:06:53 ID:Odvo6UYN
IFスレなんてものもありましてね
562名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:09:41 ID:N7aEj4+o
アンアンよりもジョゼフのほうが王位争奪トーナメントが合うなう
ジョゼフソルジャーの正体は
563名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:14:43 ID:OI3mqPga
死に別れたと思っていた兄弟の最期の会話を想像すると涙が出るぜ
564名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:16:42 ID:LJ6rFjq3
>>562
すると「あの世界の物理法則全てを理解する」ミート君役はミョズニトニルンか
それとタバサか
565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:21:28 ID:OI3mqPga
>>564
バラバラになったシェフィの体を集める、ってシャレにならんなw
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:25:32 ID:Tz3n+VpP
俺もお前が王様だと思う…そうだ、お前が王様になれ そして俺が大臣になるな?それでいいよな?
ガリアをもっといい国にしよう… 俺等なら出来る…。

もしこうなっていたら、この兄弟…良い国統治してただろうな…。
567名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:28:43 ID:BdC8ED5d
正直「僕はこんなに汚いのに何この聖人君子、てか同情すんなよ僕超惨めじゃん→ぬっころす!」
になりそうな予感がしまくるんだが
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:28:57 ID:LP0+rSyV
観客席のイザベラが、このトーナメントが終わったら今度はその王位をかけて試合をしようと空気を読まない発言をするんですね。
わかります。
569名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:29:16 ID:OI3mqPga
ちょこちょこ小ネタにあるな、その設定
あまりに幸せな光景に悲しくなる感じだ
570名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:54:38 ID:+Ml6FQVR
「貴族なのに魔法が使えない」というのが「勉強ができない」とか「運動音痴」とかいうレベルじゃないほどに軽侮の対象になってるようだからなあ
性根歪まずに育ったらそれこそ奇跡だわ
571名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:55:30 ID:qCLgrgWc
もういいからハルキゲニア一撃死できるような使い魔でも召喚しね?

とりあえずデススター召喚すればロシュ限界突破できるよね
572名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:58:39 ID:LJ6rFjq3
>>571
ブルース・バナー召喚
シルバーサーファーやギャラクタスを「食った」後ならなおハルケギニア滅亡
「食った」後ならピーター・パーカーでも滅ぶな
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 18:59:39 ID:U5AVSKLT
>>571
ハルケギニアがガスジャイアントの上に浮かぶ外殻型人工天体でなければな(´・ω・`)
574名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 19:07:25 ID:Odvo6UYN
>>571
ゼロのルイズが巨大隕石を召喚して人類滅亡
ttp://www35.atwiki.jp/anozero/pages/3712.html
575名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 19:12:47 ID:0K6ba7uH
ドラえもん召喚
 ↓
地球破壊爆弾
576名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 19:45:50 ID:dR3hwbMT
地球に侵攻する寸前のパーフェクト超人軍団を召喚
577名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 19:53:47 ID:BExxrzxU
黒王のレプリカの宮本小十郎を召喚すれば。
578名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 19:54:35 ID:a7/+Eq84
この綺麗な空気を吹っ飛ばしてやる! っということで小ネタ投下していいかい?
頭に浮かんだのをそのままタイプしたようなのだけど

召還した物はプロアクションリプレイ
579名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 19:56:00 ID:a7/+Eq84
時間を書き忘れた。8時からでお願いします
580名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:01:41 ID:hiCO36qJ
期待してみる
581名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:01:54 ID:a7/+Eq84
ルイズが召喚したのはよく分からない薄い箱だった。両手で掴むとしっくり来る程度のサイズで、ツルツルしているのにガラスのような硬度は無い不思議な感触。
コルベールが言うには天地が吹っ飛ぶほどの魔力が込められているらしく、呆然として契約してしまった後でオスマンまで一緒になって調べていた。
まあとにかく凄い使い魔だということで、相変わらず魔法は使えずともゼロだのなんだのとは言われなくなったのだが、学校のメイジ全員をかき集めても使い方が判らないというのだけが問題だ。
研究だ何だと理由をつけて取り上げられてしまっていたが、召喚の儀式から2回の虚無の曜日を挟み、今さっき渋いか顔をしたコルベールが部屋に持ってきてくれた。

「ミス・ヴァリエール。ともかく凄い使い魔なのだから、大切にしなさい……」

と言っていたが、ならいきなり取り上げる事は無いんじゃないかなと思うルイズである。ともかくまずは自室の机に座って、台形に近い形の使い魔をじっくりと見つめた。
左側に十字の突起があり、右側には○と×のかかれた丸い突起がついている。色は全体的に蒼いが、突起の間には白い長方形が描かれており、そこが最もツルツルしていて不思議な感じだ。
厚みは2セントほどで、裏側と思われる方にはプロアクションリプレイなる文字が書かれていた。ミスタ・コルベールはそんな事を言っていなかったけれど、見落としたのだろうか?
文字の下には使い魔のルーンがしっかりと刻まれており、やはりこの不思議な箱が使い魔なのだと再認識する。

「ほえっ?!」

振ったりひっくり返したりしていたら、ピコーンという耳慣れない音が響く。うっかり落とすところだったが、なんとか持ち直して表を向けた。
長方形の部分が光を発しており「ホンセイヒンハ ヤマグチノボルシ ノ セイシキナ ショウヒンデハ アリマセン」という文字が浮かんでいる。はっきり言って意味不明だ。
分からないのでとりあえず×のボタンを押してみると、長方形の部分がめまぐるしく色を変え始めた。



                     -ゼロの超インチキな使い魔-



みたことも無いほど色鮮やかな何かのマークが浮かんだと思ったら、再び画面に文字が現れた。ルイズは興奮に肩を震わせながら見つめる。
長方形の中の左のほうに、上から順に「マホウ」「スキル」「ステータス」「アイテム」等と並ぶ。十字の突起で上下を選べるようだ。
出来るだけ刺激を与えないように箱をそっと机の上に置き、細心の注意を払いながら最も興味のあった「マホウ」を選択して○を押した。再び画面に光が踊る。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
「カゼLV-- ツチLV-- ミズLV-- ヒLV-- キョムLV00 セイレイLV--」
「カイゾウ シタイ コウモクヲ エランデ クダサイ」

現れたのはそんな文章だった。まだよく分からないが、キョムLV00というのがルイズの目を引く。他のは--なのにこれだけ数字だ。
まさか自分が虚無の訳がないが、勝手に自分の名前が書かれていることを考えると、もしかして魔法の才能を見られるマジックアイテムなのかとルイズは思った。
十字を動かしてキョムLV00を選択し、○を押すと再び画面が切り替わる。
582名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:03:06 ID:a7/+Eq84

「キョムLV■■」
「ジュウジキー ノ ジョウゲ デ センタクシテ クダサイ」
「ケッテイ○ トリケシ×」

ゼロという数字が非常に気に食わなかったので、とりあえず限界まで上げて○を押してみた。確認の文字が出たが当然○だ。

「……?! な、なによこれっ!」

頭の中を無数の呪文が駆け巡っていく。エクスプロージョン、イリュージョン、ワールドドア、ディスペル……。
同時に世界がクリアになったかのように広くなり、体の中の魔力とその扱い方が息をするみたいに分かった。まさか、そんなわけが……。

「い、イリュージョン!」

一番安全そうだった呪文を唱えながら杖を振ると、机の上に手の平サイズのちぃ姉さまが現れた。これはヤバイ。マジでヤバイ。
使い魔を見ると先ほどの文字に切り替わっていたが、キョムLV00がキョムLV99に変わっている。もしかして虚無極めちゃったとか?
鼻息を荒くして片っ端から選択し、同じように表示されていた魔法全てを限界まで上げた。温度も空気の流れも敏感に感じるようになったきがする。ついでにフヨフヨしてるセイレイまで見えた。

「錬金! 偏在!」

魔法は当然のように成功。今までの努力は何だったのかと小一時間ほど文句を言いたくなり、金の山を前に偏在で20人に増えた自分同士であれこれと言い合う。
瞬時にして全ての魔法をマスターしてしまったルイズは、更なる物を求めて使い魔を手に取った。



「私は生まれ変わった! 無敵として! 最強として! おお、世界はこんなにも素晴らしい!」

あれからステータスの部分も弄り、魔力やら回復率やら体力やらも限界まで上げた。力とか素早さは筋肉ムキムキになったら嫌なのでちょっとにしておいた。
胸のサイズも変えられたが……。部屋が胸でひどい事になったので保留にした。あんなにいらないよ、というわけで相変わらずのツルペタ。
でもいつでも巨乳になれると思えば、重いものを常にぶら下げているより余程よい。もう一晩中走っても疲れないけどね。

試しに自分の部屋が金で埋まるほど錬金してみたけれど、どんなに魔法を使っても殆ど魔力を使わないし、使っても瞬きをすれば直っているので使い放題だ。杖を持っているフラグとやらを立てたら素手でもよくなった。
出会った人間全てに抱えるほどの金貨と水の秘薬を押し付けながら食堂に行き、1本で家を買えるほど高価なワインを増産して厨房に持っていく。もう目の前はバラ色過ぎた。
廊下に蒔いて歩いた金を取り合う生徒を肴に、豪華な料理と最高のワインに舌鼓をうつ。たまに流れ弾が飛んでくるけれど、カウンターを使っているのでルイズだけは平穏。
ワイングラスを傾けながらデザートを待っていると、タバサという生徒が心を直す薬とやらの話をしてきた。機嫌は最高潮なのでシャワーで使えるほどプレゼントする。この幸せを皆で!
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:04:45 ID:a7/+Eq84




……その日から本当に色々な事があった。
例えばワールドドアで実家に日帰りして、ちぃ姉さまを水の秘薬を沸かしたお風呂とマジックアイテムを駆使して治したのが次の日。
ハヴィランド宮殿にワールドドアで直接行って、周囲を取り囲んでいたレコン・キスタを40人の偏在と100体の巨大鋼鉄ゴーレムで完膚なきまでに叩き潰したのが一週間後。
アンリエッタとウェールズ皇太子との結婚パーティーが1ヵ月後。
タバサの要望でガリアに突撃して、シャルルを生き返らせた後で泣き崩れるジョゼフを蹴り飛ばし、タバサが女王になったのが2ヵ月後。
始祖ブリミルの再来だとか言われて、ロマリア教皇になれだのなんだのと信仰され始めたのが、たしか半年後。
頼まれたので四つの四とやらを増産して四百の四(ルイズに全ての使い魔のルーンフラグを立てた)にして卒倒されたのだけはよく覚えている。


ちなみに現在、200台のタイガー戦車(ガンダールヴにした兵士が操縦)と共に聖地を目指している真っ最中だ。
でも砂漠は暑くて嫌だったので、MAP属性を変更して草原に変えた。だって土ぼこりで煙いんだもん。皆も喜んでるしこのぐらいはOKよね?
先行で飛んでいった50機のゼロ戦部隊(同上)はもうついている頃かな。ワールドドアでいけるフラグは立ててあるんだけど、やっぱり折角だから最初ぐらい自分の足で行かないと。

「おお! 見えてきましたぞー!」

髪の毛をふさふさにしてあげたコルベールの声が戦車の中から響いた。一緒に装甲の上に座っている皆も興奮した声を上げる。
ガンダールヴなシエスタ、ミョズニトニルンにしてヴィンダールヴなタバサも楽しそうだ。キュルケはゼロ戦に乗って先に行ったはず。
ワルドは母親を生き返らせると極度のマザコンが発祥してしまい、赤ちゃんルックで「ママ、ママ」とすがり付いていたので連れてこなかった。あの光景は実に忘れたい。

「とうとう来ましたね! 何があるんでしょうか!」

「ふふん。それを確かめるのよっ!」

地平線の向こうに影が見える。はたして聖地には何があるのかしら?




以上。ノリと勢いのみでしたヒャッハー!
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:10:09 ID:BdC8ED5d

これは酷いチーター
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:10:35 ID:hiCO36qJ
PS版プロアクションリプレイとPSコントローラーか?

これはこれでおkだな 乙でした〜
586名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:16:55 ID:0K6ba7uH
>584
戦車はタイガーだけどね
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:26:14 ID:nCSn0Juz
ここまで来るとすがすがしいなw
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:27:42 ID:N7q3yGnb
これはひどいチートww

>>元々データが存在しないものは増やせない
589名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:35:57 ID:b9hK67ar
>>583
リセットオチかバグオチが待ってると思ってたんだが残念www
590名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:37:21 ID:YSOz0OlY
45分から小ネタ投下します。
「のんきくん」よりのんきくん召喚で。
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:39:35 ID:qCLgrgWc
最早カオスという域ですらないwwwww
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:42:43 ID:Q18yzFLj
>>583
GJ、面白かったw
ところで遍在一つ く れ な い か
593名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:45:13 ID:VSGzeTEq
テラチートwwww
これだけ突き抜けているともはや清々しい!
594のんきな使い魔@:2008/09/26(金) 20:45:23 ID:YSOz0OlY
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ 神聖で美しく強力な使い魔よ
 私は心より求め訴えるわ 我が導きに答えなさい!」

BOGOOOOOOOON!

ルイズの必死の思いを込めた詠唱は、実に漫画チックな爆発の前に掻き消された。

「バッカヤロー 殺す気か!?」
「いい加減にしろ ゼロのルイズ!」

立ち込める黒煙の中、周囲の罵倒が徐々に拡大していく。
屈辱に身を震わせるルイズ……と、その時、

「あり〜? もしかして、また迷子かな」

爆発の中心から響いてきた謎の声に、不意に喧騒が止む。
やがて、煙が晴れた先に、銀色のゲートが姿を見せた。

「使い魔のゲート」
「サモン・サーヴァントは成功していたのね」

「やった! スゴイ スゴイわ!
 言葉がしゃべれる使い魔なんて、もしかして韻獣! それとも亜人!」

「韻獣だって?」「あの、ゼロのルイズが……」

呆然とする周囲をよそに、子供のように跳ねまわるルイズ。
――が、肝心の使い魔は、声こそ聞こえるものの、いつまで経っても出てこない。

「まいったなあ、全然出られないぞ。
 仕方ない、お昼にするか」

「ル、ルイズの使い魔が!?」「ゲートの中で弁当広げ始めたぞ!」

「コ、コラ〜! 馬鹿やってないでとっとと出てきなさいよ!」

「ムニャ、もう食べられないよ……」

「寝るなァー!!」



「ミスタ・コルベール、どうなさるの? アレ……」

「……まぁ、召喚自体は成功しているみたいですし、出てくるまで待ちますか」



595のんきな使い魔A:2008/09/26(金) 20:46:57 ID:YSOz0OlY
―― 一週間後、

「……」
「ねぇ、お姉さん、ここは学校?」

ルイズの眼前には、野球帽を逆にかぶり、Nの文字がプリントされたトレーナーを着た、半ズボン姿の少年がいた。

「ゼロのルイズが平民を召還したぞ」「一週間も待たせてそれかよ!」

「ミッ、ミスタ・コルベールッ! やり直しを……」

「いいですよ。明日の授業開始まで間に合わなければ、問答無用で留年ですが?」

「……」

ルイズは大きくため息をつくと、改めてランドセルを背負った少年と向かい合った。

「アンタ、名前は何て言うの?」
「ん? ぼくはのんきだよ」
「それは知ってるわ。で、名前は?」
「だからのんきだよ」
「それは知ってるってば!私が聞いてるのは」
「だからのんきなんだって」
「知ってるって言ってるでしょ!」

―― 一時間後、

「……五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」

チュッ

「ル、ルイズさん! 何を……」

突然のファーストキスに慌てる少年。
やがて、その左手が、まばゆい輝きを放ち始めた。

「うわっ! ボクの左手が」
「おお、少年の左手に契約のルーンが!」

パァアアァァ

「……全然、刻まれないわね」
「光ってる、だけ」

「まあ、契約自体は成功しているみたいですし、
 ルーンが浮かび上がった時点で、正式に合格としましょう」

「そ、そんな……」

「まあまあ、人生は長いよルイズさん、そう落ち込まないで」

「アンタが言うんじゃないわよ!」


――かくして、ゼロのルイズと、のんきな少年の生活が始まった。




596のんきな使い魔B:2008/09/26(金) 20:47:53 ID:YSOz0OlY
――夏。

「あらヴァリエール、三か月もどこ行ってたの?」

「……のんちゃんの為に、護身用の武器を買いに行ってたのよ」

「しゃべる剣が売ってるなんて、やっぱりここは凄い国だね」

「コッチもおでれーたさ、帰り道を間違えてアルビオンに行っちまうほどの
 方向オンチな虚無なんて、初めて見たぜ」

「ウ、ウルサい! アレは絶対、のんちゃんのせいよ!」

「ウェールズさん、おみやげ沢山くれたね」

「……で、その後、間違って実家に帰っちまうしよぉ」

「だから、絶対絶対、のんちゃんのせいだってば!」

「カトレアさんの作ったケーキ、おいしかったね」



「結局アンタら、どうやって帰ってきたの?」

「……聖地を目指すつもりで旅をしていたら、道に迷って学院に到着していたわ」



597のんきな使い魔C:2008/09/26(金) 20:48:49 ID:YSOz0OlY
――秋。

「大変です! オールド・オスマン」

「なんだねコルベール君、騒々しい」

「じ、実は、のんきくんのルーンが一向に刻まれない事を疑問に思い
 あれ以来、図書室で文献を当たっていたのですが……」

「フム、それで?」

「そうしたら、本棚の奥から…… いかがわしい本がこんなに!」

「……キミ、半年以上もかけて、そんな物を探していたのかね?」

「え! あ、あれ? 興味ありませんか?
 どれもこれも、百年以上前の貴重な資料ばかりですよ?
 もちろん、私もやましい気持ちなんてありませんが、これは風俗史を研究する上で……」

「ミスタ・コルベールッ!!」

「ハ、 ハイッ!」

「そのエロ本は、ワシのコレクションじゃ!」

ドピューッ




「まったく、この学院の教師達ときたら……」

「ま、読書の秋、だな」

「ルイズさん、そんな事よりボク、もうお腹ペコペコだよ」

「ハハハ、相棒は食欲の秋ってとこか」

「……いや、そんなオチはいらないわ」



598のんきな使い魔D:2008/09/26(金) 20:50:27 ID:YSOz0OlY
――冬。

「……フム、すると学院の秘宝【破壊の杖】は、怪盗フーケに奪われてしまったというわけじゃな?」

「のんきくん、この犯行文を見つけた時の事を覚えているかい?」

「もちろんだよ! 学院に来た最初の夜の事だからね」

ドドドド

「……て、事は、もう九か月以上も前?」

「とっくに逃げてるわね。フーケ」

「どうやら破壊の杖は、諦めるしかなさそうじゃの。
 各自、これを反省として、防犯対策を心がけるように。以上じゃ」

「あら、そういえば学院長、ミス・ロングビルは?」

「ロング……ビル……? 居たっけ? そんな職員」



−その頃、学院から馬車でい時間ほどの距離にある、とある森では……。

「ぶえっくしょんっ!
 うう……、この時期にほったて小屋暮らしは堪えるねぇ
 犯行から九か月、いい加減、探しにこないかしら……」





――そして、季節は巡り、再び春。

「見ろ! のんきくんの左手に使い魔のルーンが!」

「おお、これは珍しい形のルーンだ! メモしておこう」

「やったわ! 召喚より一年、遂に契約に成功したわ!」

「よく頑張ったのう。ミス・ヴァリエール」

「学院長!」

「異例続きじゃった、春の使い魔召喚の儀式も、これにて無事終了じゃ
 諸君達は全員合格、明日からは一人もかけることなく二年に進級じゃ!」

「おめでとう、ルイズさん!」

「あなたなら出来ると思っていたわ。ヴァリエール!」

「ようし! みんな、ルイズを胴上げだ!」

「ありがとう…… ありがとう、みんな!」

(やったわ、お父様、お母様。
 召喚から一年もかかってしまったけど、留年することなく、無事に進級することが出来ました。
 これもみんな、身近でささえてくれた友人たち、先生たちのおかげ……
 ありがとうのんきくん、ありがとうみんな……!)
599のんきな使い魔E:2008/09/26(金) 20:52:00 ID:YSOz0OlY




―― 一方その頃、ガリア。

「チェックメイト!」

「わわっ! ま、待った!」

「ハハ、いくら考えても無駄だな。これで697回目の待っただよ? パパさん」

「ううっ、負けた…… さすがジョゼフさん」

「あら、三か月で決着なんて、随分早かったのね」

「やあママさん、前回は駒の動かし方を教えながらやったから、半年かかったんだよ」

「ところでママ、おやつは」

「ええ、パパとジョゼフさんの大好物のケーキが……」

「「やった!」」

「出来てないわ」


ドドドド


「そんな、どうして?」「三か月も前から準備していたのに……」

「ええ、三か月かけて、ケーキの作り方を読破したわ」

「……」

「それじゃあ、今から材料を買ってくるから、仲良くお留守番しててね」



「……まだ時間がかかりそうだな、迷子にならねばいいが」

「もう一局、指しますか」
600名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:52:57 ID:iXXHAZ9i
留年…支援
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:53:10 ID:/VrfA6M4
ちょwwなんという「のんき」ww 支援!
602のんきな使い魔:2008/09/26(金) 20:53:31 ID:YSOz0OlY
以上、投下終了です。
のんきくんと言うかのんき時空召喚ですが
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:54:06 ID:Nm/owjuL
な、なんという「のんき」
604ゲーッ!熊の爪の使い魔:2008/09/26(金) 20:57:37 ID:T/bWVerg
15分ぐらいから投下します。
605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 20:59:42 ID:8uKKP9jZ
いっそチートでレオパルドかエイブラムスか90式&AH-64DとUH-60くらいにしてしまえw
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:11:24 ID:Nm/owjuL
くしゃみするフーケ可愛いよ、フーケ。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:12:41 ID:VSGzeTEq
探しにくるまでずっと待ってる律儀なおマチさんに萌えた!>のんきくん
608ゲーッ!熊の爪の使い魔:2008/09/26(金) 21:15:51 ID:T/bWVerg
では次から投下を開始します。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:16:24 ID:/VrfA6M4
来たな、ウォry……じゃなくて、熊の爪の人。
支援汁!
610ゲーッ!熊の爪の使い魔1/5:2008/09/26(金) 21:16:54 ID:T/bWVerg
第五話 人気者のクマ

さて、使い魔を召喚しての初めての朝、ルイズは不機嫌だった。
ベルモンドに抱きついているのに気がついて恥ずかしさの余り洗濯するよう言って追い出したのは、
いつも自分が起きる時間よりもずっと早かった。
おまけに頭に一度血が上ってしまったせいか目が冴えてしまい二度寝する気にもなれない。
ベッドに入ってもいないのにそのまま寝まきでいるのも何だったので結局自分で着替えた。
やはりあいつは床で眠らせるべきだったのだ。
そうすればこっちも朝飛び起きることはなかったしもっとちょうどいい時間にあいつに起こしてもらえて着替えもやらせておけたのに。
しかし自分のしもべである使い魔に抱きついて眠るなど何事だ。これでは主人としての威厳がないではないか。
そもそもあいつが悪いのだ。あんな、かわいくて、抱き心地がよくて、あったかくて、

ああ、昨日はほんとよく眠れたなあ……

「ってちがーーう!!」
ずれていた思考からはっと我に返り大声でどなりルイズは再びベルモンドへの文句を考え出す。
だが結局はクマちゃんのかわいさに心を奪われ、その後またどなる。
このサイクルはベルモンドが洗濯を終え戻ってくるまで続いた。
独り芝居をしていたこともありおなかも減ったということで早速ルイズはベルモンドをつれて食堂へと向かおうと部屋を出た。
そこで、またしても不機嫌な顔になった。

「あら、おはようルイズ」
「…おはよう。キュルケ」
朝早くから不愉快な顔を見たからだ。
「いつになくかわいらしいじゃないあなた」
「どういう意味よ?」
「だってそうじゃない、こっちが噂の使い魔のクマちゃんなんでしょ。こんな大きいクマちゃんを引き連れてると小さくておこちゃまなあなたがより引き立って一層子供らしく可愛く見えるわ。ほんとピッタリの使い魔を召喚したのね」
「う、うるさい!」
 そんな声を無視してキュルケは、今度はベルモンドのほうを見やる。
611ゲーッ!熊の爪の使い魔2/5:2008/09/26(金) 21:18:30 ID:T/bWVerg
「でも改めて見るとほんとかわいいクマちゃんよねえ」
「おはよう、ボクベルモンドだよ」
「あら、きちんとしてるのね、主人とは大違いだわ。ルイズ、あんたにはもったいないんじゃないの?」
「なによ!うらやましがってもあげないんだからね!」
ルイズは先祖代々のいろいろなもの、特に男、を取られてきた因縁からとっさに声を上げた。
だが、キュルケはそんなルイズの危惧をあっさり否定した。
「別にうらやんでるわけじゃないわよ。別にかわいいのも嫌いじゃないけどあたしが真に求めているのは情熱。
あなたの様なお子様みたいにかわいいものにキャーキャー言うような安っぽい女じゃないの。
じゃあ、あたしの使い魔も紹介してあげる。まさに情熱にふさわしい使い魔よ。おいで、フレイム」
そう言ってキュルケは自分の召喚したサラマンダーを披露する。
そうして始まる自慢、それに対する文句。二人がぎゃあぎゃあ言っている中、
「遊ぼ、遊ぼ」
われ関せずとベルモンドは手をフレイムに差し出し話していた。
「はあ、はあ、もういいわ、行くわよベルモンドって何してんのよ、あんた!」
「何ってトカゲ君と遊んでるんだよ?ルイズも一緒に遊ぶ?」
言い合う二人が落ち着いた時にはベルモンドとフレイムはお手をしたりしてじゃれあっていた。
「するわけないでしょ!あんたもキュルケなんかの使い魔と遊ぶのなんかやめなさい!あんたもキュルケみたいに頭空っぽになるわよ!」
当然ルイズは怒鳴ってやめさせる。もともとベルモンドは賢そうにみえないと思ったのは内緒だ。
火トカゲと遊ぶクマちゃんの図というのもかわいいと思ったのはもっと内緒だ。
そんなこんなでルイズたちは食堂へ向かったのだった。
612ゲーッ!熊の爪の使い魔3/5:2008/09/26(金) 21:20:16 ID:T/bWVerg
食堂ではルイズはもっと散々だった。
食堂に入るなり女子たちにベルモンドがキャーキャー言われ、やかましかったし、
今度こそ主人としての威厳を出そうと質素な食事を出したら女子たちに鬼畜外道を見るような目をむけられたり、
(正直これまでゼロと蔑まれてきたのが軽いくらいの強烈さだった)
挙句ちゃんとした食事を出そうとしたら
「僕は食事しなくても大丈夫だよ」
と言われてそもそもこんなことしなければよかったと後悔していた。
その後、ルイズの食事中ベルモンドは外に散歩に来ていた。
そこに飛来する一つの影があった。そしてそれはベルモンドの前に降り立った。
「きゅいきゅい」
それは大きい竜だった。
「わあ、おっきなドラゴンだ、すごーい」
「きゅいきゅい」
竜はベルモンドに顔を摺り寄せてくる。
「遊ぼ、遊ぼ」
そしてベルモンドも手を差し出して応える。
「きゅいー」
このまま二頭はしばらくの時間を戯れて過ごしたのだった。

その後一旦戻ったのち、
「ねえルイズ、おっきな竜さんとお友達になったよ」
「勝手に知らない使い魔と遊ぶんじゃない!」

「きゅいきゅい、おねえさま、とってもかわいいクマちゃんと遊んだのね!とっても楽しかったのね!」
「静かにして、出ないとお昼抜き」

それからルイズはベルモンドと一緒に授業へと向かった。
そこで待っていたのは、正反対の二つの反応だった。
「おい、なんだよルイズ、その使い魔は。そこらのやつに着ぐるみでも着せてきたのか?」
「キャー、かわいー!クマちゃんこっち向いてー!」
ルイズを馬鹿にするもの、ベルモンドに熱を上げるもの。
そんな中、ギーシュはそれまで話していたモンモランシーが自分そっちのけでクマに夢中になり出したことにショックを受けていた。
その後、教師のシュヴルーズによって強制的に黙らされたことでようやく授業が始まった。
そして系統やランクについての話が進み生徒たちがそれを聴く中、ベルモンドは、
「遊ぼ、遊ぼ」
他の使い魔の動物たちにちょっかいを掛けていた。
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:20:24 ID:dR3hwbMT
ゲーッ!支援!!
614名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:22:32 ID:/VrfA6M4
クマかわいいよ、クマ……支援!
615ゲーッ!熊の爪の使い魔4/5:2008/09/26(金) 21:23:05 ID:T/bWVerg
「ちょっとやめなさい、静かにできないの」
さすがに声をかけ咎めるルイズだったが、
「ミス・ヴァリエール、今は授業中ですよ。そんなかわいいクマちゃ…ゴホンゴホン、使い魔とおしゃべりしていい時間じゃありません」
それをシュヴルーズに見咎められ、そのまま錬金の魔法の実演を行わされることになったのだった。
それを聞いた瞬間生徒たちに恐慌が走った。
必死に止める生徒達。だが、シュヴルーズはそれを無視して強行させる。
生徒は遠ざかりルイズの近くにはシュヴルーズと、
「わーい、魔法?近くで見せて、見せて」
いつの間にか他の使い魔と戯れるのを止めていたベルモンドだけだった。
そしてルイズが呪文を唱えた瞬間爆発が起きた。
「ああーっっ!ルイズが錬金を失敗!いつも通りの爆発を起こしたー!
爆煙でよく見えないが彼女たちは無事なのかー!?」
出番だとばかりに「実況」の二つ名をもつ生徒が声を上げる。
「あ、あれ?なんともなってない。それになんだかあったかいものに包まれているみたいな」
だが、そんな心配をよそにルイズとシュヴルーズは無事だった。煙が晴れることで生徒たちにもその様子が見えてくる。
「ベ、ベルモンドだー!ベルモンドが二人を抱えてかばっているー!まさに使い魔の鏡だーー!」
二人を腕で抱え、背中が穴があいたりして少しばかりボロボロになったベルモンドを。
そんな様子にルイズも気付く。
「あ、あんた大丈夫なの?」
しかしそんなルイズの様子をよそにベルモンドは、
「くうーん」
と鳴くだけだった。
次の瞬間教室は生徒たちの声に包まれる。いつものように失敗して爆発を起こしたルイズを責める声、そして身を呈して二人をかばったベルモンドへの歓声や怪我を心配する声だった。
シュヴルーズも、
「な、なんてお利口で立派で勇敢なクマちゃんなんでしょう……」
とベルモンドに熱い視線を送っていたのだった。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:26:32 ID:akEwPOQf
やめてー!オーバーボディ裂けないでー! 支援
617ゲーッ!熊の爪の使い魔5/5:2008/09/26(金) 21:27:12 ID:T/bWVerg
結局騒ぎが落ち着いた後、爆発の片づけを罰としてルイズとベルモンドが行うことになった。
シュヴルーズはベルモンドも働くことになることが不満な様子だったが使い魔と主人の関係を考えしぶしぶ指示を下していた。
そうして二人で片付けをする中、ルイズは口を開き、話し始めた。
自分をいつもこのように魔法に失敗して爆発を起こすこと。
そのため成功率ゼロということでゼロのルイズと呼ばれるようになったこと。
これまで必死に勉強してきたこと。
それでもどうにもならなかったこと。
さらに話を進め、笑わば笑えと自虐的になってきたルイズに対して、珍しく静かに話を聞いていたベルモンドが口を開いた。
「魔法のことはよくわからないけどルイズは今まで頑張ってきたんだよね、ならこれからも頑張っていくべきじゃないかな」
「そんな知った風な口を利かないで!今までずっとやってきて、でもだめだったのよ!それをそんなに軽々しく!」
「じゃあ、なんでルイズはこれまで頑張ってきたの?ずっと成果が出なかったのに。
ルイズ、君も分かってるんじゃない、それでも今の自分を変えていくのに自分に出来ることはもっと勉強してもっと頑張ることだって。
そうやって前に進もうとすることだって。
だから今まで結果が出ていなくてもずっと頑張ってきたんでしょ。
だったらこれからもがんばっていこうよ」
「そんなの」
奇麗事だ、とは言えなかった。ベルモンドの言葉にはなぜだか強い説得力があった。
ステカセのかませにされ、牛のかませにされ、体内をリングにされ、真っ先にマスクを狩られ、象にはウギャアされ、
それでも進み続けて20年余り、ルイズの人生よりも長い年月を経てようやく扱いも良くなり人気投票も一位になった経験からくる説得力が。
結局ルイズは続きは口にできず、代わりにもっと前に言うべきセリフを口にした。
「あの、さっきはかばってくれてありがとう。背中もそんな穴が空いちゃって」
「気にしないで、ルイズ。さっきも言ったけど僕は平気だよ、鍛えてるからね。そんなことより怪我がなくてよかった」
そんな風に答えるのを聞いてルイズは、可愛らしいからとか愛玩的な意味ではなく初めて、
ベルモンドを召喚できてよかったと感じていた。
618名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:27:43 ID:dR3hwbMT
戦争男は好きです。でもゾウさんはもーっと好きです支援
619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:29:32 ID:akEwPOQf
くまちゃーん!ずっとそのままでいてくださーい!
乙でありますー!
620ゲーッ!熊の爪の使い魔:2008/09/26(金) 21:30:45 ID:T/bWVerg
以上で投下を終了します。
ところで中の人って実際には食事ってしてましたっけ?
スクラップ三太夫みると酒は飲むみたいですが?
621名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:33:07 ID:VSGzeTEq
>ステカセのかませにされ、牛のかませにされ、体内をリングにされ、真っ先にマスクを狩られ、象にはウギャアされ、
>それでも進み続けて20年余り、ルイズの人生よりも長い年月を経てようやく扱いも良くなり人気投票も一位になった経験からくる説得力が。
目から変な汁が…べ、べつに泣いてなんかいないんだからねっ!
622名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:39:42 ID:b9hK67ar
感動的な話なのに何故か笑えてしまうw
623名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:39:46 ID:akEwPOQf
>>620
いちおー、ロビンマスクに拾われたときは食べ物をかっぱらってたような
まあ、実はガソリンが必要だった、でいーんじゃないかと。
ゆでだし。
624名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:41:43 ID:52kFGs3w
>621
架空の人物とは思えないくらいリアルな下積み生活だよな
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:41:59 ID:dR3hwbMT
アレだ。成長期には必要、成人したら特に必要なくて、体力や傷の回復を早めたい時に
摂取するでいいんじゃないか?
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:47:12 ID:VSGzeTEq
マスクの下は筋肉とよく分からない機械が剥き出しになってるけど、何処に髭が生えてるんだろうな。
やっぱギーシュ戦でベアークローがにょきっと飛び出すんだろうか。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:54:47 ID:humevGUO
ひげも伸びるらしいしな
628名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:55:48 ID:aZV+Nrc/
29周年記念の単行本?ではウォーズマンの誕生秘話とかやってような。
629名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:56:20 ID:WKpLV+wp
>>583
>髪の毛をふさふさにしてあげたコルベール
感動した
630名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:58:27 ID:8uKKP9jZ
>>629
まさに悩み無用だなw
631名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 21:58:32 ID:xP2V+nQG
プロアクってww
タバサが優遇されすぎててワロタ
632零魔娘娘追宝録の者:2008/09/26(金) 22:05:33 ID:UkMkfk1g
ものすごーくお久しぶりです。零魔娘娘追宝録の者でございます。
某所の支援のおかげもあり、なんとか続きを書き出すことに成功しました。
道が空いているようであれば、12話を投下させていただきたい。
633名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:07:23 ID:uAe1PhzT
作中固有名詞・名称を勘違いしてるのがまた一人か
セントなんて単位ゼロ魔世界にゃねえよ
634名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:12:32 ID:8DGpChuo
戦争マン乙
中身が見たかったり見たくなかったりww
635名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:13:47 ID:BfxsbsEW
おぉーっ!静嵐刀復活!?
636零魔娘娘追宝録12 1/8:2008/09/26(金) 22:14:07 ID:UkMkfk1g
予約も無いみたいなので投下させていただきますね。
-----------------------------
     『道具の業』


 それはルイズと静嵐がアルビオンに向けて出発したその日の夜のことだった。

                  *

 炎の夢を見ていた。燃え盛る炎の夢だ。
 木々が燃える、草が燃える。家が燃える、街が燃える。――そして人が燃える。
 男が燃える。老人が燃える。女が燃える。子供が燃える。
 皆一様に、皆平等に燃えていく。
 あたりには肉の焼ける生臭い匂いが立ち込める。炭化した腕、そしてそれすら灰に変えようとする炎。
 まさに煉獄と呼ぶに相応しい。
 そしてその地獄の炎に火をつけたのは……自分だ!

「っ!」
 そして男は跳ね起きるようにして目を覚ます。
 あまりの息苦しさに呼吸は乱れ、肩で息をするように酸素を求める。
 彼の体中は汗にまみれている。まるで今まで火の中に居たように。
 いや、彼はその夢の中でたしかに炎の中にいたのだ。自らの手で作り出した煉獄の炎の中に。
 だが問題はそれがただの夢ではないということ。
 それは男が過去に経験した事実そのままの夢。ありのまま過去の記憶の再現だったのだ。
 彼は多くの人間を、多くの罪無き人間をその手で焼き殺したのだ。

 かつて彼はある国のとある実験部隊に所属していた。
 実験部隊。その名が示すように、戦場における魔法効果を利用した戦技研究を主目的とした部隊であった。
 それだけであればどこの国にでもあるだろう、文字通りただの実験部隊でしかない。
 しかしその研究部隊での『研究方法』は、異常であった。
 魔法を用いた戦技研究。その部隊ではそれを研究するのに、もっとも確実ま実験方法をとっていた。
 即ち――実戦において『生きた人間』を相手に直接試すことだ。

 水に混ぜた毒をいかにして早く敵陣地に広めさせるか。
 土に埋めた罠でいかにして多くの敵を足止めさせるか。
 風を操った嵐へいかにして広大な破壊効果を持たせるか。
 ――火を用いた焼討ちでいかにして多くの人間を殺すか。

 そんな、凄惨極まりない実験が生身の人間を相手に幾度も繰り返された。
 戦争の効率化のために人体実験を行うなど、たとえ相手が反乱貴族や盗賊団であっても人道に悖る行為であることは明白だ。
 それ故、彼の所属していた部隊の内実は極秘とされ、その結果がもたらした諸所の責任や追及は不問とされた。

 もし彼の犯した罪の多くを公に裁くこととなれば、多くの貴族が(それもこの国で要職についているものたちばかりが!)その罪を問われることとなる。
 それは多くの混乱と、これ以上の惨劇を生む結果にもつながりかねない。
 人は一度手にした甘い果実――地位や財産を容易く捨てることはできない。
 それがたとえ非道の手段によってもたらされたものだとしても。
 奇しくもその『罪』が彼の身を守ることとなったのだ。
 誰も彼を裁くことができない、裁くことは無い。

 そしてそれが逆に――彼を苦しめている。

 あれから既に二十年以上の時が流れてしまった。
 昼間は平凡な一人の教師として奉職し、研究に明け暮れる。
 無為といえば無為ではあるが、それでも穏やかな日々であることは間違いない。
 折に触れては彼の心中をよぎる思い。それは、

『あの日の出来事など忘れてしまいたい』

 ということ。
637名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:14:33 ID:HTTES52p
>>633
単純に間違えただけっぽいから
そこまでキツイ言い方センでもイイと思うが。

金銭単位じゃなくて長さの単位のサントをセントってやっちゃっただけだし。
638名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:14:45 ID:BfxsbsEW
支援!支援!
639零魔娘娘追宝録12 2/8:2008/09/26(金) 22:15:00 ID:UkMkfk1g
 それはあまりにも無責任な思いではあるが。彼と同じ境遇に立ち、そう願わない人間がいるだろうか?
 しかし人は、彼は過去の出来事を都合よく忘れられるほど便利にはできていない。
 罰せられないを罪を罰せられるとすれば、それは自身の罪悪感によってのみだ。
 形を与えられない罰は延々と彼を苛んでいく。
 だから今でも彼はこうして、毎日のように悪夢にうなされては目を覚ます。

「後悔、か。……おこがましい話だ。私にはそんな権利など無いと言うのに」
 内なる苦悩を吐き出すようにして呟く。その声は暗く、重い。

 眠気と、それ以上の気だるさに重くなる体を引きずりながら彼は屋外に出る。
 学院中庭の、夜の風は冷たく。火照った体は程よく冷されていく。
 だがそれでも、彼の内側に燻る罪の炎を消すことは適わない。
 何者も、己が内なる炎は消すことができないのだ。
 そしてまた彼は思い出す。あの日の、愚かさの極みにあった自分の姿を。

                  *

『辺境の村でロマリアから伝わった厄介な伝染病が確認された。他の地域に移る前に全て焼き払え』
 最初に下された命令はそれだけ。単純な話だった。
 彼はその命令に何の疑問も抱かなかった。
 辺境の村とはどんなところか? 伝染病とはどんなものなのか? 全て焼き払う必要などあるのか?
 そんなことは何一つ浮かばず、ただどうすれば効率的かつ速やかに任務を実行できるか。
 それだけを考えていた。
 しかしいざ任務に就いたとき、状況は一変した。

 ――その時彼は彼は戸惑っていた。
 どうにも村人の様子がおかしい。
 彼らが村の家々に火をつけ始めると多くの村人は逃げ惑い、
 時には投石や狩猟用の弓で反撃してくるものまでもいた。
 どう見ても伝染病に侵された村人の様子ではない。ただの、どこにでもいる普通の人間の反応だ。
 それ故に彼は混乱した。自分は何の任務をしているのか? それすらわからなくなった。
 ただただ目に付くもの全てを焼き払うことだけに集中し、自分の行いを省みることなどできなかった。

 心を麻痺させたまま、ただ機械的に任務をこなす。
 家の戸を開け、中を確認し、火をつける。
 中を確認するのはこの村に伝染病を持ち込んだ人物――ある女を捜すためだ。
 いくらこの村を焼き払っても、その女が生きていれば同じこと。その女は念入りに『焼く』必要がある。
 そう命じられていたのだ。

 ようやく一軒の古い民家の中に、それらしき女の姿を見出した。
 古びた小村に似つかわしくない、どこか高貴な雰囲気を持った美しい女だ。
 そこいらの村人(彼がつい先ほどまで焼き殺してきた村人)と同じような服装であるにも関わらず、
 その女の持つ独特の空気は際立っていた。
 だが、そんなことよりも見過ごせない事実があった。

 ――女はメイジだったのだ。しかも既に杖を抜き、呪文を唱え始めている。
 その姿を見た瞬間、迷いや戸惑いは全て吹き飛んだ。
 そしてよく訓練された彼の腕と口はほぼ無意識に杖を振るい呪文を唱えていた。
 女の魔法と彼の魔法が発動したのはほぼ同時だった。
 しまった、と思うでもなしに思う。遅かった、と。
 相打ち。自分の炎は彼女を焼くだろうが、彼女の魔法もまた自分を殺すだろう。
 メイジとメイジの戦いとはそういうものだ。
 お互いが致命傷の武器を握り合い、一瞬の駆け引きで命を奪い合う。
 それこそが唯一の掟。彼がその身に、あるいは敵の躯に刻み込んできた法則だ。

 飛んでくるのは氷の槍か、風の刃か、土の塊か、あるいは炎の玉だろうか?
 思わず目をつぶってしまったのが悔やまれた。
 彼もまた、そこいらにいる若僧と同じように。死を恐れるということを恥じていたからだ。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:15:23 ID:mVrNXXiu
ウィザーズクライマーからラズロック・アルトホーン召還とか面白そうだ。
教官となって魔法の才能ゼロのルイズを一から育て上げる。
原作の設定とあいまって自然に話しができそう。
問題は原作エロゲ。エロ抜きにすればここでできるかな?
641名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:15:35 ID:Nm/owjuL
復活っ、零魔娘娘追宝録復活!
642零魔娘娘追宝録12 3/8:2008/09/26(金) 22:16:39 ID:UkMkfk1g
 しかし、いかなる威力の魔法も彼を襲うことはなかった。
 いつまでたっても何の痛みも苦しみも彼には届かない。
 恐る恐る目を開けてみて――彼は驚く。

 たしかに自分の放った炎は女を焼いていた。
 全身を火達磨にされながら蠢くその姿に、彼女の死は免れ得ないものであることはわかった。
 問題は、彼女の唱えた魔法だ。
 彼女の魔法は『水』。それも何の変哲もない、文字通りただの『水』を生み出す魔法だ。
 しかもそれは、彼女自身を燃やす炎を消す為ではない。
 彼女の傍ら――一組の粗末な布団にかけられていた。
 布団の中からは小さな目がこちらを覗いている。

 もはや考えるまでも無い、女は最初から抵抗をする気などなかったのだ。
 燃え盛る炎から、殺戮者である自分からこの幼子を救うために杖を振るったのだ。
 それを理解した時、彼は愕然とした。
 何か、自分の信じてきたものが、やってきたことが全て崩れていくのを感じた。

 そして気がついたときにはもう彼は逃げ出していた。
 生き残りの幼子を背負い、ひたすらに炎の中から逃げ去ろうとしていた。
 途中、彼を咎めようとしたのか一人の男――彼の部下だったものが杖を振るってきたが、それすら打ち倒し必死で走った。
 その背中に、自分が燃やしてきた炎よりも、はるかに暖かな幼子の体温を感じながら。

                  *
 
(あの日私がもう少し賢明であれたなら……あの『女』と『子供』は……)
 彼の心が過去に囚われたその時。
 ――轟音が唸る。

「!」
 ごおん、と風が唸る音と何かが地面にぶつかる音が聞こえ、彼の前にもうもうと土煙が立つ。
 どうやら何か大きな物体が彼の前の地面に激突したようだった。
「こ、これは?」
 彼は戸惑いの声を上げるが、それに答えるものは――
「……煙たい。龍華め、もう少し静かに下りられるように作れなかったの?」
 土煙の中から響く静かな声。

 夜の風に圧されるようにして薄まっていく土煙の中に、何者かの影が見える。
 影は二つ。
 細い、なめらかな曲線の影。おそらくは女性のものだろう。
 そしてそれに寄り添うような形の小さな影。これは子供のものだ。

         ドクン、と男の――ジャン・コルベールの心臓が我知らず早鐘を打つ。
         自分の前に立つ女と子供。あの日と、二十年前と同じ光景が目の前に広がっている。

 女はゆっくりとした動作であたりを見回す。
「……私達を呼んだのはあなた?」
 呼んだ、とはどういうことであろうか。コルベールには女の言葉の意味がわからない。

 見ず知らずの存在がいきなり目の前に現れるという現象。
 それは使い魔召喚の魔法にもよく似ているが、もちろんコルベールはそんな魔法を使っていない。
 あの轟音と土煙を見る限りでは、この女たちは何処かより飛来したものとしか思えない。
 だが何のために? どうやって?
「き、君達は一体何者だ?」
 女はクスリ、と冷たい笑みを漏らしながら、無知なる男を嘲るように言う。

「……私達は――宝貝よ」
643零魔娘娘追宝録12 4/8:2008/09/26(金) 22:17:39 ID:UkMkfk1g

                  *

 トリステインの空、シルフィードに乗った静嵐は言う。
「お姫様、落ち込んでいたね」
「無理もないわ。あんなことがあったんじゃ」
 顔を伏せて言うルイズの声は暗い。
 つい先ほどまで顔を合わせていたトリステイン王女、アンリエッタの顔を思い出しているのだ。

 アルビオン王国を舞台にした一連の騒動。
 アンリエッタから依頼された手紙の捜索、空賊との遭遇、ワルドとの戦い、――そしてウェールズの死。
 それらの顛末を報告するために、アルビオンから帰ってきたその足でトリスタニアに出向いたルイズたち。
 報告を受け取ったアンリエッタは、手紙がたしかに回収できたことに安堵し、
 そしてウェールズの死を酷く悲しんだ。

「ずっと恋焦がれていた方が、自分の放った密使によって殺されたんだもの……」
 ウェールズの死の真相を聞いた時のアンリエッタの驚きと落胆は並大抵のものではなかった。
(やはり亡命を薦めていたのね……)
 ルイズはアンリエッタがウェールズに渡した手紙の内容を詳しく知らない。
 しかし二人の様子を見れば、嫌でもそれが『男女の間柄』に属するものであることはわかった。
 今だアンリエッタのような、身を焦がすような恋をしたこともないルイズには、
 彼女を気持ちを完全理解することは難しい。ましてそれが、悲恋の結果であればなおさらだ。

 ルイズ自身もまた、幼い時に憧れていた婚約者――そして王子ウェールズを殺害した下手人、
『閃光』のワルド子爵と死闘を繰り広げた末、完全に喧嘩別れの形になってしまったものの。
 そのことはルイズにとってあまりショックな出来事ではない。
 もちろん人間関係の終わりとしては残念ではあるが、なるべくしてなってしまったという感慨しか沸いてこない。
 並々ならぬワルドの態度から、あれが蛮行ではあっても軽挙妄動の類ではないとわかったからだ。
 彼には彼の理屈があり、それを認めることはできないが否定することも出来なかったのだ。

 いずれにせよルイズには、アンリエッタの心を癒す言葉など吐くことはできなかった。
 せめてもの慰めにと、ウェールズの形見である宝物『風のルビー』を手渡したくらいだ。
 それはトリステイン王国の一臣民として、そして何よりアンリエッタの友人としては歯痒さの極みであった。

 己の不甲斐なさに唇をかみ締めるルイズの横顔を見て、キュルケは気まずそうに言う。
「よく知らないけど、なんだかややこしいことになってたみたいね」
 もともとはキュルケには何の関係も無い任務であったから、彼女は事件の背後関係などは何も知らされていない。
 ただアルビオンの地において、ウェールズ王子の死という驚きの結果を目の当たりにしただけである。

「ええ。それがもう、聞くも涙語るも涙の物語がありまして。聞きたいですか?」
 キュルケの言葉に、静嵐は相変わらずの平坦な声で言う。
 静嵐とてウェールズの死に立ち会った一人(一本とも言うべきか)ではあるが、
 武器の宝貝である静嵐にはそうした精神的衝撃に対する動揺は無い。
 そんなこと(と言っては非情であるかもしれないが)には動じないように彼は作られている。
 動揺は戦いにおいて油断や隙を生むからである。武器の宝貝にはそんな甘さは求められない。
 とはいえ、これは静嵐の自身の精神が特別鈍感に出来ていたせいでもあるのだが。

 呑気な静嵐の言葉に少し気を紛れさせられたものの、キュルケは首を振る。
「いい。聞かないでおくわ。一応私も、王子様の死を看取った者の一人だし、あまり詮索するのもね……。
野暮な行為はこの『微熱』のキュルケさんの趣味じゃないわ」
「はぁ、さいですか」
 王子の背景には、当事者以外には興味深いものがあるであろうことは間違いない。
 ただ、死人のそれを詮索することは彼女のプライドにが許さないのだろう。
644名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:17:42 ID:Nm/owjuL
狂喜乱舞しつつ支援
645名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:18:10 ID:8DGpChuo
支援支援!!
646零魔娘娘追宝録12 5/8:2008/09/26(金) 22:18:44 ID:UkMkfk1g
 しかし、と。沈みかけた場の空気を切り替えようとキュルケは言う。
「パオペイ? ねえ……。『魔封の札』といい、何か不思議なマジックアイテムが出回っているとは知ってたけど、
ホントになんでもありなのね」
 キュルケが意外そうに言うのも無理は無いだろう。

 今のところ、宝貝の存在は一部のものにしか知られていない。
 それというのもパオペイのほとんどはこの世界に元からある既存のマジックアイテムと
 その在り方には大差が無く(無論、性能については一線を画しているが)。
 知らぬものにはそれが異界からもたらされた『パオペイ』であるのか、
 ただのマジックアイテムであるのかの判別はつかないだろう。
 それが宝貝の存在が世に知られることのない原因の一端となっている。
 キュルケにしても、何やら便利なマジックアイテムがあるとは知っていたが、
 それが宝貝などとというものであることは知りもしなかった。

「凄いのからどうでもいいのまでピンからキリまであるみたいだけど。
面白そうなものなら一つぐらい欲しいわよね。私のところにもやってこないかしら?」
 異界に由来する尋常ならざる力を持った道具。キュルケでなくとも興味を持つのは当然といえた。
「……やめときなさいよ。あんたが思ってるほど『いい』もんじゃないわよコレ」
 しかしそのキュルケの言葉に嫌そうな顔をするのはルイズだ。
 宝貝の関わるいくつかの騒動を経験し、自身もまた『静嵐刀』という名のすこぶる扱いづらい宝貝の所有者であるからこその言葉と言えた。 

「何か引っかかる言い方されているみたいだけど気のせいですかね。
……まぁ、宝貝には道具の業というものがあって。普通は自分を必要とする使用者の許に現れるものですから。
用も無しに所有者のところへやってくる宝貝なんてのがいたら、そんなのよっぽどの変わり者の宝貝ですよ」
「……」
 静嵐の言葉に、ルイズとキュルケは顔を見合わせて絶句する。
 そういう自分も、普通とは違う方法で所有者のもとへ辿りついたことを完全に棚にあげている。
 つまり静嵐自身『よっぽど変わり者の宝貝』と宣言しているようなものであるが、
 彼はまったくそれに気づいていなかった。

「……とにかく。ただ欲しいって思ってるだけじゃダメってこと?」
 別段キュルケは、どんな宝貝が欲しいということはない。
 なんでもない、どれでもいい、とにかく自分だけの宝貝というやつを手にとってみたいだけだ。
「キュルケが何かすごく困ってることがあって、それでその問題ごとの解決に役立つ宝貝があれば、
それが手に入るかもしれませんが。何かあります? 困りごととか」
 静嵐の問いにキュルケはきっぱりと答える。
「無いわね」
 人生が順調すぎる女、それがこのキュルケだろう。
 問題ごととは無縁、宝貝に頼らなければならないことなど何一つ無いのだ。


 静嵐を含む彼ら欠陥宝貝がばら撒かれた経緯については、ルイズたちも詳しくは知らない。知っているのは
『静嵐たちを作った龍華仙人の弟子が何かとてつもない失敗をやらかし、静嵐たちを封印していた箱を壊してしまった』
 ということくらいである。
 他人の、しかも未熟な者の失敗につけ込んで逃げ出すのは卑怯といえば卑怯であるかもしれないが、
 彼らとて自身の欠陥に納得がいっているわけではない。
 言葉で「コレコレこういう欠陥があるんですよ」と言われても、
 本人(人ではないが)がそれを納得できるかはまた別問題というわけだ。
 それは何も宝貝に限ったことではない。人間も同じだろう。
 ルイズなど、いまだに自分の『何もなし』=『ゼロ』という二つ名を受け容れられずにいるくらいだ。 
 自分の欠陥を受け容れられない宝貝たちは、自分を不用品と見なした主を見限り、
 自分たちを求め使いこなしてくれる主を探して異界へと落ちていったのだ。
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:18:49 ID:BfxsbsEW
10ヵ月ぶりぐらいか?お帰りなさい
648零魔娘娘追宝録12 6/8:2008/09/26(金) 22:20:10 ID:UkMkfk1g

「王子様の話や学院長さんの話を鑑みるに、『こちらの世界』に宝貝が落ちてきたた時期は大きくずれているようですし。
もし何か願い事あれば、今まさにこの場所へ現れても不思議は無いんですがね」
「変ね? ……あなた達って同時に逃げ出してるんでしょう? なのに時期がずれているっておかしくないかしら?」
「さて、なんでだろ? 考えられるとしたら『こちらの世界』に引っかかって落ちた時に時間がずれてしまったか」

 そもそも、静嵐たちが逃げ出すはずだったのは
『こちらの世界』――つまり、今ルイズたちが暮らしている世界ではない。
 彼らが『人間界』と呼ぶ、仙人が仙人になる以前に暮らしていた場所だ。
 そこは仙人にとってはかけがないの故郷であり、そして絶対不可侵の場所であるらしく。
 そこに逃げ込んでしまえばたとえどんなに力を持った仙人であれどおいそれと手を出すことはできないというわけである。
 しかし何が起きたか。静嵐をはじめとするいくつかの宝貝たちは『人間界』に落ちることなく、
『こちらの世界』――ハルケギニアに落ちてきてしまったのだ。
 この状況をわかりやすくイメージをするならば、
『二階の窓から自分の家の庭にゴミを投げたら、何故か隣の家の庭先に落ちてしまった』
 というところだろう。

 一応。全ての宝貝がこちらに来ているわけがないだろう、というのが静嵐の見解となっている。
 たしかに、ルイズもそれには納得できる。
 もし七百を超える摩訶不思議なマジックアイテムが文字通り降って沸いたならば、
 いくらなんでも大騒ぎになってるはずだ。
 今の現状を見るに、一部の人間たちだけが宝貝を持っているとみて間違いないだろう。

 静嵐の言葉の通り、宝貝を入手するタイミング時間差があるようではあるが、
 それを差し引いても全ての宝貝がこの世界に溢れているとは考えにくい。
 しかしその時間差の意味とは?

 静嵐は言葉を続け、
「それでなきゃ――」
 こともなげに言う。


「時間に干渉できる機能を持った宝貝の所有者が意図的にそうしたか」


「!」
 それまでぼんやりと、聞くとも無しにルイズたちの話を聞いていたタバサが急に顔色を変える。

                  *

 タバサは猛烈な勢いで思考する。
 いくつかの宝貝を手にした『あの男』。奴を打倒するために自分もまた強力な宝貝を捜し求めている。
 そして先だってのアルビオンでの騒動で、それなりに強力なある宝貝を入手することに成功した。
 しかし、それが何者かの手のひらの上で踊らされているようなことであればどうか?
 自分がこうして宝貝を集めていることは全て『誰か』の計算の上であったならば?
 そしてその『誰か』が『あの男』であったとしたら!
 恐ろしい想像に、タバサが顔を青くしたその次の瞬間。

                  *

「ま、そんなことはないでしょうけどね。やる意味なんてないだろうし」
 静嵐はあっさりとそれを否定した。
 思考の勢いに躓くように、ガクリとタバサがバランスを崩す。
649零魔娘娘追宝録12 7/8:2008/09/26(金) 22:21:10 ID:UkMkfk1g
「……っ」
 シルフィードの背中の上に蹲り、怒りに肩を震わせる。
 どうしてこのパオペイ男は自分のペースをこうも狂わせるんだ?
 ただの馬鹿やただの無能であればいい。そんなものどうとでも扱いようがある。
 問題なのは、この静嵐はそれに他人を巻き込む性質の男だということだ!
 これが悪気のある行為であれば、完全にそれを黙殺する自信はある。
 しかしこの男の言動に悪意は全く無い。それ故にいつもいつも不意の『思考の一撃』を食らってしまう。
 まったくもってやりにくいことこの上無い!
 もしこいつが、あの『将軍』の宝貝に勝ちうる鍵でさえなければ関わり合いになどならないのに……!
 そんな万感の思いを込め、愛用の長杖の先を静嵐の脳天へと見舞う。
 杖を握る手首のひねりをよく効かせた一撃は静嵐の頭に『ゴツゴツ』と快音を響かせる。

「痛い痛い。痛いよタバサ。何をそんなに怒ってるの?」
 小柄な少女がわずかな羞恥を見せながら年上の男を小突き回す。
 見ようによっては微笑ましい一幕に見えるかも知れないが、
 聞こえてくる殴打の音は間違っても『ポカポカ』などという可愛らしい音ではない。
 無論、静嵐とて武器の宝貝。小柄な少女の攻撃など何発受けたところでどうということもない。
 痛みを感じこそすれ、避ける必要などないのだ。それがまた腹立たしいことこの上ない。
 とはいえ、こんな扱いを受けて何もしようとしない武器の宝貝もまた静嵐くらいのものであるが。

「タバサ。こいつの話をまともに聞いてると馬鹿を見るわよ」
 彼女の様子からおおよその事情は察したのだろう。気の毒そうにルイズは言う。
「あらルイズ。そういう自分は『コレ』を使いこなせてるって言えるのかしら?」
 面白がるように言うキュルケに、ルイズは肩をすくめる。

「もう慣れたわ。要はね、使い方の問題なの。
――たしかにね、このバカ剣は武器のパオペイよ。
そりゃあ戦闘時の戦術判断とか戦略的思考ってものをすることができるわ。
でも駄目なのよ。こいつにそんなことを期待しちゃ駄目。
こいつの考えるに任せてしまうから勘違いだのボケ倒しだのに振り回されるのよ。
こいつに任せるじゃなくて、ちゃんと自分でモノを考えてある程度の指針をってものを出す。
そしてこいつにそれを実行させる。それだけ、それ以外にはナシ!
そうすればこの、ちょっと尋常じゃないくらいのボンクラでもそれなりの役に立つってものよ」

 自分の使い魔を指しての言葉にしてはあまりの言い方であるが、誰もそれに異を唱えようとはしない。
 キュルケもタバサも、ルイズの言葉が全面的に正しいとわかっているからだ。
 むしろキュルケなど、この使い魔でよくぞあのワルド子爵と渡り合えたものだと感心するほどである。
「ルイズってばずいぶんご立派なこと。さすがご主人様と言ったところかしら? それに比べて――」
 ボンクラ使い魔の『使い道』をなんとか見出しつつあるルイズ。そして今まさに振り回されているタバサはというと。

 タバサは相変わらず無表情の中に怒りを滲ませながら、杖の先で静嵐を小突き続けている。
 先ほどまで聞こえていた『ゴツゴツ』は『ガツガツ』に変わっていて、さらに『ゲスゲス』になろうとしている。
 されるがままの静嵐は悲鳴を上げるのみだ。
「ああ、痛い痛い痛い!」
「……あんまり相性はよろしくないようね、あなた達は」

 このタバサがこれほどまで他人に苛立ちをぶつけるのは珍しい、とキュルケは思う。
 気に入らない人間が居たならば完全に無視を決め込むのが彼女のいつものやり方だからだ。
 しかしこの静嵐に対しては、苛立ちを隠そうともしないで素直にそれを表現している。
 もっとも、それは『親愛』とはまた少し違う気安さに依るものであるようだが。
650名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:22:09 ID:8DGpChuo
害獣アンアン支援
651零魔娘娘追宝録12 8/8:2008/09/26(金) 22:22:25 ID:UkMkfk1g
「タバサ、その辺にしておいてあげなさいな。でないとセイランもっと馬鹿になっちゃうわよ? 
……今でも十分にアレだけど」
 さすがに気の毒になったか、失礼な言葉を吐きながらキュルケはタバサを止めようとする。
 しかしタバサは聞く耳持たないとばかりに、杖を振るい続けながら言う。
「一周すれば逆に良くなるかもしれない」
「そうか、そういう手もあるわね」
 ポンと手を打ってルイズが追従する。
 冗談ならばいいが、ルイズの言葉の響きには『本音』が混ざってなかったか! と静嵐は戦慄する。
 主すらアテにできない状況に、静嵐はたまらず叫ぶ。

「勘弁してくださいって! ――ギーシュ! 君も黙ってないで少しは止めておくれよ!」
 助けを求めたのはもう一人、さっきから一言も言葉を発せず、会話に参加していなかった少年だ。
 彼は文字通りの最後尾、シルフィードの尾の付け根あたりに跨っていた。
「…………」
 静嵐に呼ばれてもギーシュは黙ったまま、先ほどからそうしているようにぼうっと空を眺めている。
 アルビオンのある方向だ。

「ギーシュ! 聞いてるのかい?」
「――え? ああ、なんだい? 少し考え事をしていて話を聞いていなかったんだ」
 強い声で呼ぶと、ようやく我に返ったのかギーシュは返事をする。
 それでもまだどこか上の空の様子で、今まで自分たちがなんだかんだと騒いでいたのはまるで耳に入っていなかったらしい。

 静嵐は、やれやれと肩をすくめて言った。
「まったくもう。呑気な人だね君は」
 その聞き捨てならない台詞にルイズとキュルケが叫ぶ。

「「あんたが言うな!」」
 おまけ、とばかりにタバサは無言で杖を振り下ろす。『ゴン』と快音がまた一つ空に響く。
 少なくとも今はまだ、トリステインは平和だった。

                  *

 しかし珍しい、とルイズは思う。
 トリステインに帰ってきたときは、あのギーシュが大人しく竜に乗っているとは思わなかったのだ。
 てっきり、自分達が姫と話したことについて根掘り葉掘り――
 それも自分のことを言わなかったか、とかそんな下らないことを聞いてくるかとも思ったが。
(こうして真面目にしてりゃ少しはマシなのにね)
 だがどんなに真面目な表情をしていてもギーシュはギーシュ。ルイズにとってさほど興味を引かれる存在ではない。
 死線をともに潜り抜けたことでそれなり以上の親近感はあるかもしれないが、別段仲良くなりたい相手でもなかった。
(ま、ギーシュだって考え事くらいするわよね)
 ただそう思うだけであった。

                  *

 ギーシュは一人空を見上げ、そしてポツリとつぶやく。
「パオペイか……よし!」
 それは、彼の中で何か新しい決意が固まった瞬間だった。
652名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:22:29 ID:Nm/owjuL
さらに支援
653零魔娘娘追宝録12 9/8:2008/09/26(金) 22:23:46 ID:UkMkfk1g
というわけで(ものすごく)お久しぶり。零魔娘娘追宝録の者でございます。

さて今回第三部『虚無を操るいじっぱり』編。ゼロの使い魔原作三巻あたりになりますね。
あまりにも間が空いてしまったので自分の文体が思い出せぬ病が発症しておりますが故。
見苦しいところも多々御座いますでしょうがなんとか生温かい目でご覧ください。

第三部に入りまして、そろそろ封仙側からの『要素』も大目になってくると思います。
具体的には、前半部分で少し出てましたが、静嵐以外にも人型をとる宝貝がいくつか登場します。
キャラが増えるのでいろいろと話の展開が上手くできるか心配も多いですが、
なるべくゼロ魔キャラと宝貝との絡みを重要視していきたいです。

今後はとりあえず、どんくらいの時間をかけるかはわからないけれど
少なくとも第三部分は書き上げたいと思っています。なんとかがんばろう。うん。

てなところでまた次回。10月には……だしたいかなぁ。

*自分で書いておいてなんだが、「タイミング時間差」ってなんだ? なぜこんな怪単語を用いたんだ自分は。
654名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:24:48 ID:BfxsbsEW
12は第二章嵐を招くメイジたちの続き?それとも新章?
655名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:26:55 ID:BfxsbsEW
リロードするんだった
第三部なのね でもWikiだと「章」で出てるけど、これからは「部」?
656零魔娘娘追宝録の者:2008/09/26(金) 22:30:51 ID:UkMkfk1g
ありゃ。『章』になってましたか。何も考えずに『部』にしちゃってました。
『章』でも『部』でも、どっちでも特に意味は無いんですが。『章』に統一させていただきます。
ご指摘ありがとうございますorz
657名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:30:58 ID:Nm/owjuL
大帝万歳!!


長編は本当に修羅の道だぜ。
私も半年以上放置してたの続き書かなきゃ。
プロットはある。結構細かく書いてあるんだ。
それを文章にするのが難しい……。
外野が、プロットぐらい書けとか、書く気はあるのに書き逃げとか言われるとね。

いや、それはともかく再開おめ。
658ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 22:35:57 ID:u9Yy/dUG
難産だったがようやく書けました。
11時くらいに投下予約しますねー
659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:40:35 ID:kJ56dmzl
グリーティンツグ シチズン

待ってました!!
660名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:43:12 ID:a7/+Eq84
シャドウハイチュー
661名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:43:30 ID:HTTES52p
       _____
      /   ___ \
     ノ  /:::::::::::::::::\ \
    ノ  ノ:::::::::::::::::::::: レ  ゝ  シャドウハイチュウ
    ノ  ノ::::::::::::::::(●)::::|  ノ
   ノ /   (_人_)   レ \
  / ノ      `ー´     \  \
  \ \            / /
  /                 \
662名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:50:37 ID:eprJIJ7u
零魔の人おかえり
タバサかわええ
663名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:51:20 ID:pHuRxUOw
スターップ!このGJ野郎のSS書きめッ!!貴様に選べるのは
投下するか、投下するか、投下するかのどれかだ!好きなのを選べ!!
664ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 22:52:34 ID:u9Yy/dUG
だぁぁぁ、投下する前に改行規正はいりやがりました。
すいません。手直ししますので、ちょっとトイレとか、
飲み物ノン出て下さい。

それと、事前予約って、あんな感じでよかったのでしょうか?
665名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:53:55 ID:kJ56dmzl
>>664
okok、急かしたりしないからゆっくりどうぞ
666名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 22:59:22 ID:/VrfA6M4
>>664
推敲の方も手間暇掛けたほうがいいですから、焦らずじっくりやって下さい。
その間、ドリップコーヒーでも入れてますんで。
667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:01:38 ID:pHuRxUOw
ゆっくりしたまえ市民
668ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:02:32 ID:u9Yy/dUG
皆さん、ありがとう。今度こそ、投下します。

個人的解釈のデイドラ崇拝説が入ってしまいました。しかしコレ入れないと
灰頭巾が生きている理由が思い浮かばなかったのです。
ちょこちょことそこから設定の手直しはしまして、どんでんに使えるようにしましたが、詳しくは後書きで。

ノクターナルの「影」

昼食を取り、午後の授業に出席して後、夕食を取って、自室に戻ったマーティンとルイズ。
寝るには時間があり、また聞きたいことが、マーティンにはあった。

「なぁ、ご主人様」

「その呼び方は、やめてくれるとありがたいわね。今更だけど、恐れ多いわ」

ルイズと呼んで、と彼女は言った。
未だに彼が死後に、こちらに来たことは、信じていないが、
皇帝であることは、間違いないと、心の中に確信があった。
彼が帰るとき、私は一体どうなるのだろうか、と少し怖かった。

「ああ、ならルイズ。君の魔法について、話したい事がある」

ちょっとおいで、と言って、マーティンはマジカ(魔法力)があれば、
どんな素人でもできる魔法を、いくつかルイズに教えた。

「ちょっとやってみてくれ。出来れば、この世界の系統魔法が、私にも使える可能性が出てくる」

右手を上げ、先ほど教わった短い呪文を唱える。しかし、何も起きない。
別の呪文でも同様だった。

「ふむ、なるほど、なるほど…とりあえず、もしよろしければ、呪文を教えてくれるかい?ルイズ」

こちらのみ使えるかも知れないとマーティンは言った。
ええ、と言って、簡単な呪文と杖をマーティンに渡す。
しかし、錬金の呪文は発動しなかった。

「互換性は完全に無い、か。残念だな」

人数データ、取ってないから確実ではないが、と杖を返しながらマーティンは言う。
彼はやはり、研究者メイジであった。
669ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:03:25 ID:u9Yy/dUG
「仕方ないわ。やはり体系から違うのかしら?」

そうかもしれないな。とマーティンは言って、はっと気付く。

「所で、ルイズ。私が失敗したとき、『何も起きなかった』んだが、普通はそうなのかい?」

「ええ。普通は」

あうう、とした表情でルイズは佇む。ゼロの汚名は受けるが、認識としてはやはり「メイジ」になりたい訳で。
そうなると「ゼロ」の汚名、かぶるけど、本当は、当然言われたくないわけで。
そこら辺は、微妙なお年頃の少女の見せる悩みというか、そういった類の物だ。
気を抜けばすぐに弱い元の自分に戻りそうになる。奮い立たせねば!と思うルイズであった。

「ふむ。なら、君は『虚無』とか言う奴じゃないのか?あの伝説の」

ハイ?たまに言う冗談はなかなか楽しいマーティンだが、こればかりは笑えない。
何を根拠に、とちょっとムっとして答える。何かバカにされた気がするのだ。

「いや、消去法だよ。四つの系統全てが使えない。しかし、君らで言うところの精神力はある。
そしてあの威力。あれだけの規模と範囲の破壊魔法は、私たちでもそうそう使えないよ。
とすれば、それを失敗で出せるのだから、成功したらもっとおっかない威力になるはずだ。
となると、『虚無』くらいしかないんじゃないかな、と思ってね」

アカデミックな考え方である。せめてちぃ姉様が、こういった考え方を備えていれば、
ルイズの苦労は大分と軽減できただろうに。

「え、ええと、考えてみれば、そうね。私が、その、『虚無』だったとした場合、
コモン・マジックが成功しないのは分かるわ。けど、何故系統魔法まで、爆発するのかしら?」

少し顔を赤くしてルイズは言う。考えてみれば、あれを失敗としてとらえない人など初めて見た。

「魔法の相関図があったね?あのペンタゴンの。どうも私は、あれが間違っているのでは、と思うんだ」

つまり、と紙の上に羽ペンを走らせる。綺麗に描かれた正四角形の真ん中に一点が入る。

「これで、各々の角から中央に『虚無』が入った。
この魔法は四つ全ての力を使うことが出来ると共に、
虚無の系統も使役できる、しかし、
その肝心の虚無の魔法が使えなくては、
系統魔法への線は入らない。これでどうだろうか。
この説は、何で皆が最高4つのスロットまでしか、
魔法を合わせられないかも、証明出来ると思うんだが。
つまり、虚無の使い手のみ、正規の方法で5つのスロットが得られる、
と考えられるんだ。この『虚無』からの線は一方通行。
系統側からは『虚無』には行けない。伝説の威力を誇る虚無の魔法は、
おそらくそれ以外より莫大な精神力を使うだろうからね。
逆に言えば、『虚無』に目覚めて後は、全ての呪文が使える、
と考えられるかも知れない。そうすると、系統魔法は虚無の格下、
という設定だと考えられる。伝説によると『虚無』は奇跡の技だった。
それならおそらく、虚無のメイジには、下級の系統魔法のコントロールが、
力をとてもセーブしないと、扱えないので、『虚無』が使えないと爆発する、
と考えるのが自然だと思うが、どうだろうか」
670ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:04:14 ID:u9Yy/dUG
即興で考えた割には、良い線いっていると思うぞ?確認できないからどうしようもないが。
そう言ってマーティンは笑って机から離れる。紙の上には正四角形に×印が入り、その中央に大きく点を入れて、
何かが読めない文字で書かれていた。おそらく、『虚無』と書かれているのだろう。

「字、違うのね、しかし、面白いこと考えつくわね、マーティンって」

それ下手しなくてもブリミル教への冒涜だから、考えつかないわよ普通。
そうルイズは言った。

「冒涜か。神への冒涜で魔法の研究を止めさせる訳か…」

うーむ、とマーティンは何か引っかかった。
もしかして、ブリミル教は、それを狙っているんじゃないか。
と邪推したくさえなる。黒魔術と称される事もある、
死霊術でならばともかく、何もしない神を守るために、
普通に考えただけで、真理の探究を邪魔されるのは、
彼としてはとても嫌なことだった。

事実、タムリエルにある教団の一つは、真実の代わりの嘘を、真実として教えていた。
それを、マーティンが知るよしはないが。

「そうそう。まぁ、私の系統が何にせよ、もうしばらくは爆発しか使えないって認識でいいのかしらね?」

「そうだな。とても強い力をもつ『虚無』だったとした場合、君たちが魔法を使う際に、
キーとして使うその杖のように、別のアイテムが必要かもしれないな」

おそらく、古くからこの国々にある物がキーだろう。マーティンはあくびをしながら言った。
掃除、説法、世界説明、異国間での簡単な魔法実験に、虚無の理論作成と、
司祭や、メイジの仕事に雑用までこなしたマーティンは心地よく疲れていた。

「今日はよく働いたよ。うん。大月神と小月神が綺麗だな。では、おやすみ。ルイズ」

そう言って、高級な毛布をベッドから頂戴して床に寝る。あ、ルイズは何も言えぬまま、渡すしかなかった。

「皇帝なのよねぇ、これで。まぁ、あんなとこから、呼ばれたんじゃ、仕方ないのかもしれないけど、
ていうか、今の月の呼び方、何?もう、なんていうか、ねぇ?」

誰かが、他にいるわけでもないが、そう言っておかねば気が済まないルイズであったが、
監視していたシエスタにとっては、気付かれていた!?とひどく驚く事であった。
671ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:05:02 ID:u9Yy/dUG
マーティンにとって、その後の数日間は、とてものんびりした休暇となった。
ルイズに、文字を教えてもらい、メイジだからと、図書館にて、簡単な本と格闘する。
実践で覚えるのが、老齢には分かりやすかろう。という判断だった。
紙とペンを持って、書きながら単語と文の意味を咀嚼する。
イーヴァルディの勇者、と言う本だった。いつの間にか、隣に女の子が座っている。
うん?とマーティンは彼女を見る。

「教えて欲しい」

あなたの使う魔法を。と言われたので、なるほど、勉強熱心な学生だな。
異国の魔法に興味を示すとは、なかなか将来有望そうだ。と、
彼が考える理由と、全く違う方向から知りたがっている彼女に、
ルイズと同じように簡単な自己回復の魔法を教えてみる。
しかし、それ以外のタムリエル式魔法も、やはり少女は使うことができなかった。

「まぁ、そう気を落とす物じゃあ、ないぞ。この世界が何なのかは、
私にも分からない。本来、私は幽霊になっていなければおかしいのだからな」

ビク、と震える。うん、怖いのかい?とマーティンは尋ねると、コク、と頷いた。

「幽霊とは、即ち先祖の霊だ。確かに、それをおもしろおかしく
書いたり、おどろおどろしく書いた物語はあるだろう。
しかし、彼らはいつでも我々を見守っている。
変に怖がったりしてはいけない。
精神体である彼らは、人々の思念にとても敏感だ。
怖がっていては、本当に怖い亡霊になるかも知れないし、
共にいることに感謝をすれば、それらは精霊となり、
自分を思う人々に、手を貸すかも知れない」

人が精霊になるとはどういう事か?
タバサは聞いた。

なるさ、なるとも。私の世界では、死して後、
神の国エセリウスか、またはオブリビオンの中の、
ああ、オブリビオンとは――」

簡単に説明をする。ほうほう、とおもしろい物語でも聞くかのように、
タバサは納得した。エセリウスと呼ばれる神と精霊の世界と、定命の者が
住まう、このムンダス世界の間にあるのか。そういう考え方も、あるのか。と。
672ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:05:55 ID:u9Yy/dUG
ここがそうかはよく分からないので、多少分かりやすくなるよう、
仮説めいた事をマーティンは話している。

「うん、飲み込みが早いな。で、そのオブリビオンの中に、
月影の国と、呼ばれる所があって、そのどちらかに行くだろう、
といわれている。実際はよく分かっていないし、
その月影の国を領地として持っているアズラ。
このお方はデイドラ王で、それは――」

まるで、物語か何かだ。と思いながらタバサは聞く。

「アズラは最も優しいデイドラ王としても知られている。
種族によってはエセリウスに住まう、エイドラ、として
認識している種もいるくらいだ。ああ、エイドラと言うのはね――」

死ぬ神と死なない神。か、目的を果たすまでは決して死ねぬ少女は、
不死になってみたい、と少し思った。

「デイドラ王は、比較的、定命の者と話をしたりするのだが、
彼女は、殊更「見守る神」としても有名だ。
決して自分からは表沙汰に出ない。しかし、影響は与える。
だから彼女は普段、何をやっているかは、とても難しい謎かけとして、
知りたい者に、彼女から与えられる。だから、本当のところ魂は、
どちらに行くか、分からないんだ。人によって、月影の国とも、エセリウスとも言う」

ちなみに、私はエセリウスの神を信じているから、エセリウス派だ。と言った。
何故そんな力を持っているのに、何もしないのか?とタバサは聞く

「何もしない。ではないよ。定命の者の可能性を信じているんだ。
敢えて突き放して、より強くしようとする。
そして成功者にも失敗者にも、死後は多大な慈悲を与える。
そう言う存在だと、私は聞いたことがある」

だからデイドラの王の中で、最も強い力を持っているのではないか、
とする学説もある。とマーティンは言った。

既に、悲しき運命に翻弄される少女は、突き放された瞬間から、
実はアズラに見守られている。
今のマーティンの説明に、彼女はある程度気を良くしたらしい。
月影の国で、シャルルや『誰か』と共に、お喋りをしながら、ふんふん、と、
『近くて遠い』ハルケギニアの世界を、他の死した信奉者達と見ていた。

「さて、話を戻そう。このエイドラと言うのは、我々の言葉で、
『祖先』と言う意味がある。その名の通り、神格化して、
エセリウスに住まう神になった、古の最強の武帝、ティンバー。
神となってからはタロスとして知られる彼だが、
それも信仰によって、生まれ変わった。と言うべきなのだろう。
偉大なる業績を残した英傑達は、精霊や神になると言われている。
かのアイレイドの王を倒し続けた、輝く『左手』を持つ、
ペリナル・ホワイトスレイクも、一種の精霊として、
エセリウスに住んでいるらしい。ああ、アイレイドとは――」
673ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:06:42 ID:u9Yy/dUG
どこでもエルフは敵なのか。そうタバサは思った。

「ありがとう」

色々と教えてくれた。そのお礼として、間違っている文法を指摘する。
ああ、そうだったか。どうもすまないね。とマーティンは、礼をした。

「病気、治せる?」

タバサはいつものごとく簡潔に言った。

「吸血病とか、人狼病とか、コープラスみたいな、特殊な物ならともかく、
普通に暮らしていれば、掛かってしまう病気。そういうのは、おそらく、
ここの物でも治せると思う。誰か病気に掛かっている人でも?」

言ってみただけ。とタバサは言う。聞いた病気の名前は一つとして知らないが、
彼では母様の病気は治せない。それが得意な方では無い、という確信があった。

そんなこんなで、時たま来る、気まぐれな情熱的アプローチを、大人のテクニックで避けたり、
改心したらしいギーシュが、どう謝ったかは知らないが、今度は二人に同時に迫られて、
どうしようと嬉しそうに聞いてきたので、二人が良いと言うなら、両方と付き合っても
いいのではないか?と、どうでも良さそうに助言して、何だか上手く行っているようで、
良かった、良かった。と生暖かい目で見て、過ごしたりする。そんな風にして、虚無の曜日の前の晩、
ルイズとマーティンは、彼の服とか何かを色々買いに行くためにも、早々に休むこととなった。
674ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:07:32 ID:u9Yy/dUG
少し戻って、虚無の曜日の前の朝、
どうも「幹部」と呼ばれるマチルダ、またの名を「土くれ」と呼ばれていたが、彼女は、
未だ宝物庫に足を踏み入れてはいないらしい。見知らぬ使用人が宝物庫の扉の前に立つ。
解錠用ピック、それの残骸らしき金属片が、地面にいくつもあった。
昨日の夜、ここで開けようと頑張ったのだろう。

「頼むから、後始末くらいしろよ…」

はぁ、とため息を付く。何でこの鍵でここまで壊せるのだろうか?真剣に悩む。
試しに一つのピックで開けてみる。20秒もしない内に鍵は開いた。
誰も来ない内に再び閉める。マチルダは、解錠作業があり得ないほど苦手らしい。

俺が開けては、奴の為にならんからな。ギルドの資金繰りは、シロディールの時では、
ありえないくらい潤っているしな。何かここらの鍵、凄く粗末だし。
白でも、ここでも、王宮忍び込んで、あそこまで緊張感無いって、どういうことなんだろうな。
ああ、帝都の王宮も、これくらいガードがザルだったらなぁ。
それにフーケも、いい加減ピックの一つくらい、使えないとな。

と自分に言い聞かせる。残骸を持って去り行く彼の背中は、とても悲しげだった。
おかしいなぁ、ここに来た頃は、あれの性格からもうちょっと
頼れると、いや、確かに頼れることは頼れるが。

ふいに、気配を殺した足音がなる。普通の人間には聞くことができない、
あの、足音である。それは、同業者の足音であり、また、敵対者の足音でもある。
どちらにせよ、アイツは絶対にできない、洗練されたやり口だ。
男は、頭巾をかぶった。後には、メイドがいた。

「あ、マスター。やはりここにおられましたか」

休憩中ですから、と言ってシエスタは笑った。

「なぁ、シエスタよ、これ、開けられるか?」

ピックを渡し、やらせてみる。30秒ほどで、見事に開いた。
このやり口、絶対ウチのやり方だよなぁ。教える前から何故できていた?
教えてもあいつには出来ていないのに。あいつは魔法があるからか。

「簡単ですね。中まで入ったことはありませんけど、あまり良い物の話は聞きませんね。
トゲのバラの長杖と、オスマン学院長の家宝なんかが、あるとか、ないとか」

シエスタは、丁寧に扉に鍵をかけ直す。流石は、タルブ支部長だった。こいつを幹部にしようか。
真剣に考える。

「他にも、色々あるんじゃあないのか?」

「さぁ、ガラクタが多いってお話ですからね。マチルダさんも、何に固執してらっしゃるのでしょうか?」

おそらく、お前の言った二品だろうなぁ。そう灰色頭巾は言った。
ため息吐くと、幸せ逃げますよ、マスター。そう言って、心から励ますシエスタであった。
675ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:08:19 ID:u9Yy/dUG
所変わり、トリステイン首都、トリスタニア。
この街にはチュレンヌ、というケチ「だった」微税官がいる。
この男、金に汚く、その上、権威を盾にして、税金を不当に取ろうとする、
小悪党であった。それ故、大抵の平民からは嫌われていた。
しかし、最近何故か、妙に変わった。と彼の関係者は言う。
いつもなら後に、何人かの配下を引き連れて、不当に税の徴収に来るが、
最近は、一人で、かつ、気さくに、店主に話しかけるという。
もちろん、ちゃんと税は徴収するが、不払いにしなければならない事情を、
証明できるのならば、正式な書状でもって、数ヶ月の間、免除する。
と、今までの彼からすれば、ありえない事までし始めたのだ。
それを、虚偽で申請すれば、どうなるか、分かったことではないが。

はて、と皆が首をかしげるが、そちらの方が断然良いため、
誰も何も文句は無い。『魅惑の妖精亭』では、今のところ、
虚無の日の前の夜以外、毎晩のように現れ、大量のチップを渡し、
かつ、貴族らしい紳士的な態度で接する様になり、
最低から、一気に最高のお客として、売り子達に大人気である。
また、その時にいた客に一杯奢るため、客にも大人気となった。

さて、彼はどこから金を取っているのだろうか?
大方、今のお上から取っているんじゃないですかい?
と妖精亭で、酔っぱらったバカがチュレンヌに言った。
刹那、空気はあり得ぬ程凍る。当たり前である。
いくら気さくな貴族といえども、そんなことを言えば、
不敬如きではすまない。しかし、チュレンヌはこう返して、場を収めた。

「影の君のお陰だとも。平民君。麗しき、我らが『ミス・ノクターナル』だ。
この事は絶対に言ってはならぬぞ?皆、分かっているとは思うが」

ああ、あの。店の中にいた皆はそう言って、帽子を被った者は、それを取り、
胸に手を当て、「影の導きがあらん事を」と言った。彼女は皆に愛されていた。
676ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:09:09 ID:u9Yy/dUG
首都のはずれの方には、粗末な建物が建ち並ぶ貧民街がある。
富める者がいれば、また貧しき者がいるのは、世の理である。特に、
隣国ゲルマニアの影響もあり、国力が、年々乏しくなるトリステインでは、
力のある平民は、皆ゲルマニアへ逃げていく。
最後に残るのは、誇りと貴族だけだろうさ。と民草に笑われる始末だ。

そんな折り、貧民街にて、最近、黒いフードで顔をすっぽり覆い、
黒いローブを着た女性が、現れたと言う。何でも、絶世の美貌を持つ女性と聞いた。
故にチュレンヌは、即座にそれを、本当にそうかどうか調べるために、
他にも、それが本当に絶世なのか調べたい、貴族の同輩や、配下と一緒に、
貧民街へ赴いた。管轄区域では無かったから、探し当てるまで面倒だったが。

そこには、確かにいた。黒のフードとローブを被り、のほほんと、
物乞いと話している女性が。何故だろうか、黒で統一されているというのに、
かのアンリエッタ姫に勝る程の『何か』が溢れているように感じる。
それは、魅力だとか、可愛らしい、とか、そういうのでは無くて、
もっと、こう、根元的に、人として崇拝したくなる。
主に、ローブの下から激しく自己主張する二つの存在に。
顔は見えないが、チュレンヌ以下全員は、
頭ではなく、心で理解した。あれは絶世の美女だ、
そしておそらく、話す仕草から、やんごとなき身分だったに違いない。と。

貴方は、そのような下賤な者と、話すべき方ではございません。と、
チュレンヌがいち早く駆けつけ、物乞いを追い立てた。後の者もそれに続こうとしたとき、
黒の女性は、チュレンヌの頬を引っぱたいた。

「彼らを、愚かな者と笑うのですか?」

フードの中に、キラリと光る目が見えた。美しい。しかし、確かな怒気をはらんでいる。

「い、いえ、その」

たじろいでしまう。自分よりおそらくは一回りか二回りは年齢が下であろうこの女性に。
ああ、そう言えば、昔、まだ王が生きていらっしゃった時、この感覚に陥ったことを覚えている。
あの、王が持っていた独特の気風というか、そういうのに良く似ている。

「では、何だと言うのです」

「ノクターナル様!その人様方は、貴族様ですよ!おれの事なんて、どうでもようがす!逆らっちゃぁいけねぇ!」

追い立てられそうになった物乞いが叫ぶ。一般的な意見だ。平民は、
貴族に逆らえばどうなるかなど、誰もが知っている。
やんごとなき身分だったとしても、今は貧民街に住んでいる。
彼女が連れられて何をされるかなど、想像に難くない。

「いいえ、逆らいます。生まれが上だの、下だので、さも自分は、何か凄いのだと言うような、方々の言葉なんて、従う気にはなれません」

貴族と言うくらいなら、彼に家一軒くらいあげなさい。と言う。物乞いは卒倒しそうになった。

彼女は、灰色頭巾に様々な事を教わった。良い貴族の事、悪い貴族の事、守るべき、貧しい物乞い達の事。
盗賊として、働くのはいけない事だと思っていた。彼は、もちろん、それはいけない事だが、
しかし、そうしなければ、生きていけない人間達がいて、そういう人の為に俺は働くのだ。と言う。
灰色頭巾の物言いに、少し、憧れた。しかし、自分にはそのようなスキルが無い。
全く手伝えない事が、嫌だった。
677ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:09:58 ID:u9Yy/dUG
「なら、ちょいと、名前を変えてくれないか?」

盗賊ギルドにはなくてはならない存在が、俺以外に一人、いや、人じゃないな、あれは。
そう言って、黒のフードとローブをどこからともなく取り出す。

「ノクターナル。まぁ、人前に出るときはそれを着て、ちょいと、石像代わりに拝まれたり、
お使い行ってくれると、嬉しいんだが?」

長耳でも、それなら分からないだろう?それと、俺の命の為にも、な。そう言って、彼は笑った。

この姿になっていると、まるで普段と違うようになる。
彼女は分かっていないが、仮装とは、時に自分の仮面(ペルソナ)を分かりやすく作る存在である。
今、黒いフードとローブを被った彼女は、世間知らずのハーフエルフではない。
影の女王、デイドラ王ノクターナルの偶像なのだ。そして、灰色頭巾が言っていた、
理想の体現をしようと頑張る存在なのだ。即ち、弱者を守り、強者に屈しない、
という力強い意志をもつ者である。多少、黒の上下に、魅了の魔法効果が掛かっているのは否めないが。
ちなみに、本来のノクターナルの領分は、そこではない。

彼女の物言いに、チュレンヌは、忘れていた何かを思い出した。
トリステインでは、基本的に成り上がりはいない。皆、由緒正しき貴族である。
若い頃は、希望と熱意に溢れたが、しかし、やがて汚い事を知り、己も堕落したのである。
その方が楽なのだ。貴族の誇りがどーの、意地がどーのなど、権威に尻尾を振って、ご機嫌取りを、
すればいい。そして、バカな平民共から、金を巻き上げるのが、最高じゃないか。と考えるようになった。
今の殆どの貴族はそれであった。例えその貴族が、アレであったとしても、王がいた時代は、もう少し締まっていた。
しかし、今、目の前にいるこの女性は何だ。物乞いが言うように逆らわないのが一番楽だと言うのに。
凛として、私たちの事を突っぱねる。チュレンヌは、今まで忘れていた、本来あるはずの、
貴族の恥を思い出していた。

「申し訳ありません。麗しき黒の君よ。どうにも、我々は、忘れては為らぬ事を、忘れていたようです」

「いえ、考えてみれば私も、貴方様達を、怒る事が出来る者ではございません」

先ほどはつい、すいませんでした。と謝る彼女は、何と、
最近噂の、盗賊ギルドの関係者だと言う。何故このような方が犯罪を企てる組織に入るのか?
チュレンヌが聞くと、彼女は笑った。チュレンヌ達には、まぶしい笑顔だった。
678名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:11:25 ID:UkMkfk1g
支援
679名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:11:44 ID:HTTES52p
デルフはTESに当てはめると
高レベルの魔砲吸収をエンチャントされたAkaviri Dai-Katanaか。
えらい強力だな。

支援
680名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:14:08 ID:YFSl1Qia
規制にかかったのかな?支援
マーティンはあまり剣は得意じゃなかった気がする
681679:2008/09/26(金) 23:21:42 ID:HTTES52p
間違えた
×魔砲
×魔法

ATOK育て間違えた・・・・

出てくるであろうアーティファクトが何か楽しみ。
Daedric Scourge(対デイドラ用最終兵器)が宝物庫にあったら悪い冗談だな。

支援
682名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:23:00 ID:uAe1PhzT
>×魔砲
>×魔法
どっちが正しいんだよ
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:23:03 ID:+PXgsvJm
規制もらったぽいね支援
684名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:23:38 ID:pHuRxUOw
>>679
なのはさんの天敵ですね支援
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:28:20 ID:HTTES52p
代理行きます

30 :ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:11:47 ID:1qKN1Byg
さるさん代理ねがいます。
「正しく生きようとしても、その生まれにより、悪しき生き方しか出来ぬ人がいます。
そうした人々やそれに襲われる人々を、一人でも少なくする為に、なるだけ、
危害を出さずに、裕福な方から盗むのです。いけない、事でしょうか?」

私も、そうした考えを聞いて、あの方に救われました。と笑う。
彼女を見て、チュレンヌ達は、彼女の前に跪いた。
どうかしたのですか。と彼女は怪訝な顔つきだった。

「何か、手伝えることは、ないでしょうか、麗しき黒の君」

ダメでしょう。今の話を聞いたからには、私を連れて行くべきでは。と言っている。

「いいえ、貴方を連れて行くのなら、我々も同罪でしょう。そういう者達を知っていて、
見過ごして来ましたから」

さっきの物乞いが、へっへっへ、と笑っていた。皆ノクターナル様の前じゃ、ああなっちまう。
あの人は魔女だ。それも極上の優しい魔女様だ。そう思いながら。

「ほう、流石だな」

チュレンヌ達の背後から声がする。灰色頭巾を被った男だった。

「コル…いえ、お帰りなさい。グレイ・フォックス」

こいつか!あの宮殿の宝物庫から数々の財宝を盗んだという男は!
どこかの土くれのように証拠を残さず、いつの間にやら宝を盗む、凄腕の盗賊――
いつ盗まれたかも分からない、その手口、誰が呼んだか、グレイ・フォックス。
噂は噂を呼び、瞬く間に灰色頭巾の狐は伝説となった。

「貴族様。もし、貴方様達にお手伝いできる事があるとすれば、こういう事などいかがでしょう?」

彼が言うには、へまをして捕まった連中を、金を払うから出して欲しいと言うのと、
指名手配をやらかした連中の、もみ消しをして欲しいという。もちろんあなた方への保証もきっちり行いますと言って。
無理をすれば、出来ぬことでは無かった。彼女の行いに、少しでも役立てれば、と彼らはそれを引き受け、
毎週虚無の曜日の前の晩、彼女がチュレンヌ宅を訪れ、チュレンヌや、他の面子と話をする事となった。
彼らが変わったのは、それからの事である。

彼の地は真、面妖なり。我の頭巾を奪いし者も、上手くやりおおせた。
汝らよ、我が力を欲するなら、我が影の名を口にせよ。それで良し。闇に生きよ。我が影と共にあれ――
どこかの暗がりにいる、夜の女王がそう言った。言っている内容の割に、笑っているのは、
何だかんだで、有名になるのが嬉しいからだろうか?デイドラ王の中でも、
特に何を考えているかが分からない、彼女の笑っている理由なぞ、
誰にも理解できるはずがない。

ノクターナルを怒らせるな。『色のない色』に包まれ、
彼女の、白く、黒い影、その中に、消えていきたくないのであれば…
687名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:28:34 ID:pHuRxUOw
>>681
すでにマーティンのトラウマ抉るアーティファクトが収められてる
投下終了です。
色々と専門用語の説明が続きますが、ちゃんと説明できているでしょうか、不安で仕方ありません。
公式を必死に、覚えさせようとしていた、恩師の皆さんは、こういう気持ちだったのでしょうか?
分からなかったら、いつでも避難所の元ネタ質問スレで書いて下さい。ベセスタのスタッフでないので、
憶測は混じりますが、ちゃんと説明しますので。

大月神と小月神と言う呼び方ですが、どうやらこっちの方がタムリエルでは一般的みたいです。
もう一つもありますけども、どっちが正しいのでしょうね。ハルケ的には後者かもしれません。

コープラス(Corprus)は、生きながらにして体も頭も腐っていくゾンビ病みたいな物です。
しかもこの病気では死ねません。また、治療法がほぼ無い、という最悪の病気であります。
オブリビオンには出ません。ご安心を。

どうしましょう。新刊どころか12巻から先が生活圏内に売られていません。
遠出してソフマップ行くべきでしょうか。ですよね。

シエスタとおマチさんの差=生粋のある「組織」の生まれに認められた才能と、
貴族、を途中から単独で盗賊の差、くらいで、はい。
誰が来たか、はそれに関係する事にします。ええ。それにします。
暗熱いシエスタも、たまにはいいかもしれません。

タバサ、始まります。彼女が、最も神様達に翻弄されると思われます。
次点でルイズでしょうか?存在が、常にチートであるこの神様達を、
段々とハルケギニアに入れていくと思います。大きく動くのは、水精霊から、お待ち下さい。
主に、この方々は敵にも、味方にもなったり、ならなかったり、
どっちにもならず、皆を、大いに、振り回してくれる事でしょう。

ただ、いわゆる、デウス・エクス・マキナ的ともいう、神が介入し、
それ以外の人は何もせず、勝手にこちら側の勝利によって終結。は、嫌です。敵側の勝利はそれでいいんだけども。
あくまで、人が勝利を掴みとってこそ意義があるんです。頑張った聖アレッシアさんの様に。
それに、だって、ここに予言の書はありませんから。手助けは大量にしますけどね、武器あげたり。
また、タムリエル大勝利!も嫌です。ここハルケギニアだもん。ハルケギニア大勝利!ならともかく。
そういうわけで、そういうのは、全てやり尽くした後の人間へ、『敬意』を示す為の助太刀一回と、
自身で納得できる、たった一つのやり方でしか予定しておりません。
また、極力、常に全てを知っている上に、キャラクター掴めないハルメアス・モラ様は出せません。
ファンの人すいません。
別の方が代理投下してくださったのでやめます。

>>682
下の魔法が正しいです。
すいません
さて、このスレに永くいらっしゃる皆々様方には、かの「ミス・ノクターナル」が、
ゼロ魔原作の誰であるかなど、すぐに分かる事でしょう。変えすぎましたでしょうか?ごめんなさい。

一応その内、地の文で語るのですが、
「納得いかねぇ!」なゲーム経験者さんが絶対にいらっしゃる、と思うので、これ書いた経緯を。
何故デイドラ王がこれを許すのか、という事について、ゲーム原作から得られた情報から設定を作りました。
ネタバレもあるので、それは調べて下さい。すいません。

尚、これは灰色頭巾が考えた事で、
本当にハルケギニアの法則が『コレ』なのかは今のところ「不明」という事にして下さい。
もしかしたら、夜の女王自らご説明して下さるかも知れません。オブリの設定が、
いくつかの本で食い違っている様な物です。わかりにくくて本当にすいません。

まず、基本的にデイドラ王も、エイドラの神も、偶像崇拝許可しています。分かりやすいからでしょう。
そこを頭に入れてから、どうか下を見て下さい。

@初代灰頭巾は、何故そう名乗り始めた?(盗賊ギルド最終クエスト)
Aノクターナルの神像クエの内容を簡単に言えば?(神像クエスト ノクターナル)
Bデイドラ王はどのような定命の者に対し、比較的温厚かつ、守護をすると思われるか?
また、その逆は?(書籍、信仰と神々、影を盗む等)
Cデイドラ王は、基本的に何らかの障壁で阻まれていない限り、
その気になれば、信者の仲介なく通常的に、異世界間の移動が可能。つまり、今のタムリエル以外ならいつでも殺りに行ける。
(メインラストのデイゴン降臨〈暁教徒いなかったよねあそこ〉、モロウエンディングのアズラ様)

それと作者的見地から見たハルケギニアから考えると、
Dハルケギニアではノクターナル様が知られていない。だから神として崇めろとかいっても無理。
(しかし神ではなく人だったら?それもとても綺麗で、神聖な気配のする、ちゃんと触れられる女性だったら?)
Eまた、ギルド(というより灰頭巾)は信仰したいのではなく、
『守護』が欲しい。故に石像など宗教的建築物によって起こる危険は避けたい。
Fギルドのマスコットキャラクターが欲しい
の7点を考えつきましたのです。

ブリミル教が国教であるこの世界で、新興宗教がどのような扱いを受けるかは、
皆さんだってよく知っていると思われます。ギルドの運営とかできませんよ。

また、偶像とはすなわちアイドルであります。オブリビオンへ入る事の出来ない信者が、代わりに偶像の石に祈ろうが、
ハルケの盗賊が、代わりに可愛らしいおにゃの娘に祈ろうが、結果的にノクターナルの存在を信じる事によって、
彼女の力が増幅する、と言うことでお願いします。シャーマン的存在だと思って頂ければ幸いです。巫女さんです。
彼女は定命の者として「ノクターナル」を演じている。と解釈して下さい。
その為、ノクターナル様は、彼女だけは何があっても死守すると思います。何となくですが。

アズラ様とメリディアはマズイと思いますが、ノクターナルはどうだろ。という微妙なラインです。はい。
やっぱだめでしょうか?でもそれだとテファの耳がなくなっちまうしなぁ。

今回長すぎてすいません。それでは、
また次回の投下まで、シャドウハイドユー。あ、ノクターナル様。色の無い色を見せるのはやめて下さい…
691名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:33:52 ID:HTTES52p
       _______  
     /   | k |  \  
    /    | t |    \
    |     | k |.     |
    |  (●)| r |(●)  |  シャドウハイチュウ
    |    / (_人_)\   |
    |    |  `ー´   |  ..|
    |    |       |  ..|
   ノ_/       \_ヽ
 /               \

お疲れ様でした

ID:58sPs6+b殿、スレの皆様ぐだぐだ申し訳ありません
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:34:47 ID:Nm/owjuL
作者の方、代理の方、乙です。
693名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:39:34 ID:pHuRxUOw
乙だ市民よ。アズラ様は優しいがある意味一番マズイ。
あと、個人的には聳え立つクソことMalacathが出て欲しい
694ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/26(金) 23:41:40 ID:u9Yy/dUG
解けたでしょうか?
さるさん代理の皆さん。どうもありがとうございました。

皆さん何者でしょうか、しかし、経験者が考えることは、
同じなのかも知れませんね。
695名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:45:31 ID:Tb3jzwwR
オブリの人お疲れ様です。
このペースでこれだけ濃い話を書かれるとは恐ろしい方ですね。
新作はもちろん読みたいですが無理しすぎて潰れたりしないで下さい。
696名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:47:58 ID:u9Yy/dUG
>>695
書きたくて書きたくて仕方ないのです。ごめんなさい。
頭の中でまだ出てないたくさんの方々が、だせーだせーと、
言っております。とりあえず、皆さんのご期待に添えるよう頑張ります。
また何かあったらいつでも言って下さい。では。
697名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/26(金) 23:50:08 ID:X9gj8vVj
そして見かけ次第、豪速で登録する俺
698名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 00:45:23 ID:ndMrrwwb
あんまり急いで書いてると後々
「しまった!あそこはああしておけばよかった!」と激しく後悔することもあるから注意だ
ぶっちゃけそんなことが何度か
699名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 02:03:17 ID:B10mH4hU
ゆっくりしすぎれば忘れ去られるけどね.
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 06:32:14 ID:U9zd6QcB
   _,,....,,_ 
-''"::::::::::::::::\
ヽ::::::::::::::::::::::::::::\
 |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ     __   _____   ______
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__    ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7   'r ´          ヽ、ン、
::::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7 ,'==─-      -─==', i
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ レリイi rr=-,   r=;ァ  .| .|、i .||
 `!  !/レi' rr=-,   r=;ァ レ'i ノ   !Y!  ̄    ̄   「 !ノ i |
 ,'  ノ   !   ̄     ̄  i .レ'     L.',.   -=-    L」 ノ| .|
  (  ,ハ     -=-   人!       | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /
 ,.ヘ,)、  )>,、 _____,.イ ハ      レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
701デュッデュワ〜ピンク髪:2008/09/27(土) 07:45:57 ID:w3XOehGP
はれぶたの第2話を55分に投下してよろしいでしょうか?

あぁ、前回のはもうログの彼方に忘れ去られてるだろうなぁ
702デュッデュワ〜ピンク髪(1/5):2008/09/27(土) 07:55:50 ID:w3XOehGP
第2話 夢がいっぱい胸いっぱい

 私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。こう見えてもガリ勉だ。ピンク髪ナメんな。

 さて、使い魔の「ぶた」の能力でギーシュとの決闘で勝ったはいいが、色々と根深い問題を孕んでいた。

 まず、私が四大魔法を使ったという事実は皆から綺麗に無視された。いや、ぶたの能力で起きた物だし普段はちーとも
使えもこねくりもしないが、そんなに私が魔法使えるのが嫌か、嫌なのかこの野郎ども。

 ただ「ゼロ」の二つ名では呼ばれなくなった。替わりに付いた二つ名は「悪魔」「男の敵」「男殺し」。ふざけんなぁ。
私がそこら辺を歩く度に男たちが怯えて波のようにマジ引いてるんですけど。

 だが気になるのはそこじゃない。いやすみません気になります。切実に。先行っていいですか?

 問題の2つ目は、あの決闘で「ぶた」が怪しさ大爆発の能力を起こした事を、私以外の誰もが全くちっとも認識していないという事だ。

 これについてはもう一つ掘り起こすべき事象がある。実は周囲の風景が少しずつ変わって来ているのだ。が、それに誰も気が付いていない。
 判りやすいところで言えば、食堂に飾ってあるアルヴィーだろう。これは早い話が夜踊る魔法の人形だ。これは私の知る限り妖精を模っていた筈である。
間違ってもパンツ一丁のアフロ野郎である筈はない。あれが夜に大挙して踊るんですぜ?こんなキモい変化にすら皆気付かないのだ。

 つまり、あの「ぶた」は洗脳も出来るかもしれないという推測が立ってしまう。おっとろしい話だ。たぶん世界を変えられる。というか征服出来る。超ズルに。
だが自分は何故か平気だ。ご主人様だから?いやもしかして自分でも自覚がないところがあるのか?
 こんな危ない能力を持つ存在は果たしてこいつだけなのか?もしかして昔誰かが同じ能力を使っていたのだろうか?例えば始祖ブリミル…。
 いやいや、危うく異端くさい発想に行き着くところだった。冷や汗が滝のようだ。

 ま、うちの使い魔は可愛いからいいか。


 そういやアフロといえば、決闘で黒焦げのアフロになったギーシュは、そのままアフロのままでいた。そんなに気に入ったかアフロ。
何故かネクタイまで着けるようになった。成人したら赤いジャケットを着るつもりだという。何の影響だ。
 しかも信じられない事に、そのアレなスタイルでモンモランシーとよりを戻してマジな仲になったらしい。
モンモランシーといえば髪型が縦ロールという無茶な人だ。というかドリル。
 アフロとドリル。アフロとドリル。…何か思い起こしそうで喉まで出掛かってるだのが、なかなか出てこない。二人の子供がアフロで牛の角のマッチョな…。
 それはそうとある時、モンモランシーがギーシュにこう囁いたのを聞いた。

「今夜、私の部屋で」

 そしてギーシュは男になった。

703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 07:57:14 ID:Smpssb7d
携帯から支援
704デュッデュワ〜ピンク髪(2/5):2008/09/27(土) 07:57:50 ID:w3XOehGP
 いや「そしてギーシュは男になった。」の前の描写を埋めようと努力はしたのだよ。具体的には覗きという濡れ衣の観察を。
 しかし我がライバル、キュルケ・ミドルネーム呼んでやるかめんどくせぇ・ツェルプストーにイイ笑顔で止められたのだ。曰く、
「よしなさいヴァリエール。昔から言うでしょ。人の恋路を邪魔する奴は、馬に掘られて死んじまえって」
「意味はさっぱりきっぱり判らないけど、最低限これだけは言えるわ。あんたが言うな」
 家系はヴァリエール家の人間を寝取りまくり、本人は学院で男漁りまくりの奴が言うか。心の棚は双月まで積み重なってるのか?
 そういやギーシュには手を出していないんだね。彼はイイ男の基準に達していないのか。
 ともかく、先の格言が意味が判らないなりに何か猟奇的くさいので、一応諦める事にした。ところで掘るって何をどこに?

 そのツェルプストーは最近、杖の先にぶたの頭の人形をくっつけていた。ぶたが気に入っているらしい。だが杖の仕込みは私が先にやっているのだ。
真似をするな。うちの使い魔を横取りする気とはふてぇ奴だ。

 そしてうちのラブリィな使い魔の「ぶた」はどうしているか?
 毎日、食って踊って抱き枕になっての毎日だ。この前見た時には他の使い魔達も一緒に踊っていた。
巨大な風竜すらきゅいきゅい言いながら踊る様は壮観の一言に尽きる。
 あと抱き枕と言いますか、これはもう、ちい姉さまに匹敵する柔らかさ暖かさですよ。貴様にはやらんぞツェルプストー。お前は自分とこのサラマンダー抱いて
物理的に燃えてろ。

 ただ問題が一つあった。使い魔は普通心とか声とか目とか色々通じ合っちゃったりするものだが、何故か通じない。これは困る。
 という訳で、何か通訳出来そうなアイテムをという事で、虚無の蚤の市で安く売られてきたインテリジェンスソードを買い与えてみた。早い話喋る剣だ。
自称「デルフリンガー」だそうな。色々判ると売り込んでるから動物の通訳くらい出来るだろう。出来ないならコルベール先生に売るよ?

 しかしてあっさり通じた。そしてぶたは自分の名前が「はれぶた」だと名乗った。ただ通じたといっても、予想も付かない方法だった。
刀身に文字が浮かんできたのだ。ハルケギニア語で。便利だ。
「俺っちにそんな機能はねぇえええ!それに俺はプラカードじゃねぇえええええ!!」
 プラカードが喋るな。

 そんなはれぶたがプラカード、もといデルフリンガーで普段何をしているかというと、乗り物にしていた。
 自分の何倍もある剣を当たり前のように軽々と持ち上げる時点で妙におかしい話だったのだが、そんな事もどうでもよくなる扱い方だった。
 かいつまんで言うと、柄頭を前にして刃を地面に着けたデルやんに乗って馬の如く紐で支えて突き進んでいるのだ。地面斬りながら。
「い〜やーやーめーて〜!と〜めーて〜!俺のナニが削れちゃうぅん!」
 あー聞こえません聞こえません。

 だがある日、そのデルやんに乗ったはれぶたが一人のメイドの前で気取っていた。メイドは黒髪ボブカッターのシエスタだった。確か仕事熱心でええ娘だ。
 で、はれぶたはナニをしているかといえば、片手というか片前足でこう、くぃっと。要するにナンパだ。
 おいはれぶたさんや。何でメイドですか。ご主人差し置いてメイドか。あれか、シエスタのデカ胸ですかそうなんですか。何かシエスタもまんざらでもないし。
そりゃ私は貧乳だ。貧乳よりデカ胸なのか。胸が全てか。これはもう胸がでかくなる伝説のチチカカ湖か。チチカカ湖で泳ぐしかないのか。そんな湖ないけど。
どうしても思考が胸から離れなくなってしまった私は止められない。いやいやいや、ここはご主人らしく優しく諭しに行こう。具体的には私を誘いなさいと。

705デュッデュワ〜ピンク髪(3/5):2008/09/27(土) 07:59:02 ID:w3XOehGP
「エア・ハンマー」

 はれぶたが弾き飛ばされた。壁に激突して大回転している。風の魔法だ。何しやがりますかー!?
 下手人はタバサだった。学院の貧乳ランキング堂々第1位(グラモン家調査)のガリアっ娘だ。まさかあんたもシエスタの胸に嫉妬か。
チチカカ湖か。チチカカ湖行きか。
 いやここは悲しい貧乳同士、一緒に手を組もう。そしてチチカカ湖に行こう。私の脳内ではタバサと貧乳同盟を立ち上げていた。

「そろそろ食べさせて欲しい。殺さないから、せめてバラ肉だけでも」
 同盟解消。というか死ぬ死ぬ絶対死ぬ。マジやめて。私は必死でタバサを羽交い絞めにした。彼女、目が光ってて口からヨダレ垂らしてます。
 肝心のはれぶたはめり込んだ壁から抜け出して、鼻をぎりぎり回していた。壁にはぶた鼻の跡がくっきりと。
 つまり鼻が壁にくっついて鼻がぎりぎり回転してたのね。そして逆回転して戻している。もうどんな物理現象が起きても驚かないぞ。


 そんな謎にまみれておちゃらけてちょっと命の危険がありながら日常は過ぎていく。しかしろくでもないイベントは起きる時には起きる。具体的には盗賊とか。


 えぇそりゃビックリですよ。夜中にでけぇゴーレムが宝物庫のある外壁を猛烈な速さで殴ってるんですから。「おたたたたたたたたた!」と。
 やかましいわ!と突っ込もうと思ったら、先にツェルプストーに突っ込まれた。ただし私に向けて。
「あなたが毎晩やってる自主トレだって爆音まみれで充分うるさいのよ。そしてあのゴーレムが狙ってるあの辺はあなたが爆発で削り取ったところよ」
 ごめん。実はあの辺モロに爆発魔法8連撃多重クリティカルクラッシュが掛かってクレーターが出来ていました。
固定化という、物を頑丈にするプロセスが建材に掛かっていたのだ。しかし豪快に壊してしまっていた。私の失敗魔法って凄いんだろうけど、これはない。
 しかもここの先生たちは怠け者揃いだから放置されてきたのよね。

 そういう事で一応罪悪感があるので、私は盗賊を捕らえる事にした。はれぶたとツェルプストーとタバサが手伝ってくれる。在り難い事です。

 恐らくこいつは、最近話題の「土くれのフーケ」だろう。貴族しか狙わないという、平民に妙に人気の盗賊だ。義賊とも言う。
…あたしら貴族やん。ガチターゲットですやん。

 ゴーレムがこっち見た。ついでに肩の上にいる人物もこっち見た。フーケだね。あれ殺る気だね。きっと殺る気だよきっと。ゴーレムでぷちっと。

 だが私は恐れない。私には怒涛の妄想力と妄想を実現する超ズルパゥワーがあるのだ。
「カッモヲォン!はっれぶた〜!」
「ぶいゆ〜!」
 はれぶたが私の頭を吸った。

 ぶー!

 はれぶたが大回転!(光量50%オフ) ついでに胸でルーンも光ってやがります。

706デュッデュワ〜ピンク髪(4/5):2008/09/27(土) 08:02:05 ID:w3XOehGP
 ぶたモグラだ!土といえばモグラでしょう。そのぶたモグラの大群が地面から飛び出して群れまくって蛇のようになってます。無限に飛び出してくるぞ。
 私はその蛇の頭に仁王立ちして、腕を組んでフーケを睨んでいた。隣には肉体労働担当としてぶた騎士を侍らせてみました。
ぶたモグラの蛇であっという間にゴーレムより高いポジションを取って周囲を廻った。
ツェルプストーとタバサもそれぞれぶたモグラの群れに乗って周回している。

 さてどうやってぶっ倒してあげよう。とあれこれ考えている間に、ツェルプストーはゴーレムの足元をち~まち~ま火球で削っていた。現実主義者め。
 しかし敵もさる者、ゴーレムは削られた端から再生していく。土ですもんね。タバサが上空から氷の矢を放っても同じ事だった。
 つまり再生させる隙を与えないほど一発で吹っ飛ばしてかつ術者も吹っ飛ばしてしまえってこった。

 上空に待機しつつ、ぶた騎士に剣を取らせる。得物は皆様のアイドル、デルやんだ。
「やっと俺っち本来の活躍だぜ!」
 全長222メイルになってるけどね!語呂合わせでぶーぶーぶー。それは剣と呼ぶにはあまりにもデカ過ぎた。デルやん満足してるからいいや。
 後ろに構えた時点で、切っ先が男子寮、具体的にはマリコルヌの部屋辺りを削っちゃってる気がするが、それくらい大したこたない。

 その巨体にも拘らず、軽々と構えて一気に振り下ろした。すごくあっさりさくっとな。

 ゴーレムは跡形もなく粉々に散った。が、勢いは止まらない。強烈な衝撃が地面を削り飛ばしながら一直線に飛んでいく。遂に城壁まで吹っ飛ばしてしまった。
 同時にフーケが物凄い勢いで回転しながらズタボロになって巻き込まれていく。わーい人が生ゴミのようだ。死なない法則発動中でよかったね。
 
 アイムウィン!ざまみろこの犯罪者!

 さてボロ雑巾、もとい土くれのフーケの素顔を拝むとしよう。

 女性でした。うつぶせに倒れて尻を上げてます。もうどうにでもしてポーズで気絶していた。
「黒」
 フーケの背後に廻ったタバサが言いたいことは判らんでもないが、色々とよしなさい。
 フーケをひっくり返してみたらあらビックリ、オスマン院長の秘書やってるミス・ロングヒルじゃないですか。おいおい身内の犯行かよ!

 「何か色々訳ありのようね」
とはツェルプストーの弁。訳なしの泥棒なんているのかって気がしないでもないが、ともかく何でミス・ロングビルなのか知りたい。野次馬根性さ。
 ここでもう一度はれぶたに活躍して頂こう。私が今抱き抱えている。貴様にこの抱き心地は勿体無いぞツェルプストー。
「はいかっちん」
 ミス・ロングヒルの頭にはれぶたの鼻を押し当てて、吸ってもらった。

 ミス・ロングヒルの心の中が映された。はれぶたにはこんな事も出来るんだぁ。

 本名はマチルダ・オブ・サウスゴータで、アルビオンのモード大公に仕える貴族の娘。大公の嫁はんがエルフで娘がハーフエルフの巨乳。マチルダと仲良し。
しかしエルフ絡みでジェームズ一世大激怒、そして大虐殺の超大失態、かくしてマチルダさんは没落、巨乳を匿って養うために盗賊家業へ。
そして学院の宝物庫を狙って秘書に成りすましてレッツ潜入。

 と、ロングヒル、いやミス・マチルダさんの聞くも涙語るも涙の波乱万丈の半生をダイジェストでお送りしました。プライバシーもへったくれもない。

707デュッデュワ〜ピンク髪(5/5):2008/09/27(土) 08:03:46 ID:w3XOehGP
 マチルダさんが気が付いた。状況を見て観念している様子だが、こっちを睨んでいる。でも私らは今どうこうしようって気はない。
 ツェルプストーが代表して尋ねてくれる。そういやうちらの面子じゃ彼女が年長者だ。

「お目覚めのようね、マチルダ・オブ・サウスゴータ」
「…何故その名を!?」
「今はいいじゃない」
「良くないわよ!」
 これじゃ私らがまるで悪役だ。色々すっとぼけるしかないか。

「前置きは置きましょう。盗賊やめない?」
「置き過ぎよ!ていうか私ぁこれで食ってんだよ。心優しい貴族様に掛けてもらう情けなんて欲しかないさ」
 何とあのおしとやか〜なロングビルさんがべらんめぇに。今カックイイと思っちゃった。
「まぁまぁ、とにかく私たちはあなたを王宮に突き出す気はないから。今までどおりミス・ロングビルでいて欲しいのよ」
「…ナニが目的?」
「今あなたに去られたら、学院から貴重な20代女性が激減してしまうのよ〜」
「はぁ!?」
 ここは貴族・平民合わせても、何でかってくらい異様に20代の女性が少ない。というか下手するとロングビルさん以外いたっけ?状態だ。
「バランスの問題なのよ〜」
 ロングビルさんにとって全然説得力がない上に完全にこっち側の都合では無理があるか。
 無理でも今度は私の都合で個人的な核心を突く事にする。

「えーとロングビルさん、お願いがあります」
 タバサも並んでロングビルさんを見据える。どうやら私と心が一つのようだ。
「あなたの妹分にティファニアさんっていますよね?」
「そこまで知ってんのかい…」

「「乳の秘密を教えて!」」

 私とタバサはハモった。かなり真剣に。貧乳同盟ここにあり。
 だってあのハーフエルフは巨乳ですよ寧ろ爆乳。うまやらしーやん!
「あぁ!?あんたらマジで何言ってんだ」
「えぇ、マジで真剣です切実な問題です。ナニ食ったらあそこまで行けるんですか」
 これで駄目ならチチカカ湖行きだ。だからないんですけどねそんな地名。

 その後ロングビルさんはオールオッケー大笑い。呆れたとも言う。
 結局、ここまでコケて正体まで知られた以上、もう危険で不安定な盗賊稼業を続けられないとの事で、当面は秘書でいてくれる事になった。
さりとて秘書の収入だけでは妹分への仕送りは目減りする。それは困った。私達が恩を売って色々聞き出すためにも。

 という事でオールド・オスマンに掛け合って給料3倍増しにしてもらうよう私ら3人は怒鳴り込んで、いやいや交渉しに行った。

 しかし施設を破壊しまくった件でしこたま叱られた。そう簡単に大人にゃ勝てません。現実は非情だ。


 次回

寝不足アンリエッタがアンアンアン
寝不足アンリエッタがアンアンアン

708デュッデュワ〜ピンク髪:2008/09/27(土) 08:07:17 ID:w3XOehGP
はい投下終了

メタ的に、はれぶたの世界ははれぶたが存在したからああなったのかとかそんな感じが

おマチさんにはこれから活躍してもらうために無理矢理こっち側に残ってもらいました
で、アルビオン行きご一行様の髪の色が赤青黄緑桃と、うん
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 08:15:12 ID:J0WFt1ss
支援
710名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 09:11:04 ID:IXuyKt4l
アフロで赤ジャケってナベシンじゃねえかw
711名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 09:23:50 ID:VkJ46mOD
ぶたのひと乙ー
しかも金髪アフロだぜ。ちょっと見たこと無いな、フィクションでも。
712名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 09:34:38 ID:YpvVs8nV
はれぶたの人GJ
タバサ食い意地張りすぎwww生きろはれぶたwww
次回にwktk
713名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 12:00:07 ID:Izx+R05X
だ・・・第一話はいずこ!目処も立てずにログから発掘など無茶すぐる・・・!
714名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 12:20:14 ID:aYop+YeU
ちくしょう
アニメのはれぶたはぶたが光るシーンしか覚えてねェ
あの音楽とエフェクトは忘れられんが…
715名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 12:58:50 ID:8zW5YP9T
>>714
とんでぶーりんが出てくる俺よりマシだ
……TSUTAYAにはれぶたビデオあるか?
716名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 13:12:04 ID:3Isw8Evm
>>713
まとめ参照
717名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 14:26:35 ID:mWj/NLMb
>金髪アフロだぜ。ちょっと見たこと無いな、フィクションでも。
つ「ボボボーボ・ボーボボ」
718名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 16:11:14 ID:+HicbyLN
豚というとはれぶたよりぶーりんより
「あしたのジョー」の脱走シーンが浮かぶオイラはどうすれバインダー
719名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 16:21:53 ID:le7jysJc
>>718
「あしたのルイズ」でいいじゃない。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 16:28:27 ID:gwYtT/1y
豚と言われると紅の(ry を連想する。
721名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 16:30:33 ID:l+6bzo/D
>>720
ポルコ・ロッソがエゾリア海の上空を飛んでいると、
急に鏡の中に吸い込まれて−−

コルベールと組んで飛行機作ったりするぐらいか。

タルブに置かれているのは戦友の乗っていた飛行機で決まりだな。
722名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 17:02:29 ID:YiVRmiv4
スゲー読みたいw
723名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 17:25:38 ID:Jx92P/GO
あるね、小ネタに
724名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 17:45:09 ID:l+6bzo/D
>>723
おお、面白かったよ。紹介ありがとう。
725名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 17:54:58 ID:ZNie/7a5
>>694
もう辛抱たまらなくてGOTY買ってしまった

・・・とりあえずマーティンのトコに押しかけてきます
726名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 18:04:05 ID:j18+1BE1
>金髪アフロ
宇宙の騎士テッカマン(初代)のアンドロー梅田(CV:山田康雄)がいるぞ。
727ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア :2008/09/27(土) 18:06:01 ID:l+6bzo/D
>>725
ありがとう…ありがとう…私のお友達…
とまぁ、どこぞのイカレたかぎ爪の真似はさておき、
今改行作業中ですので、10分後に投下します。
728ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/27(土) 18:11:02 ID:l+6bzo/D
8.悩みの種は喋る剣

わいわい、がやがや。トリステインの城下町を二人は歩いている。
二人とも、馬に乗るのは慣れていたので、何処かの誰かのように、
腰を痛めたりはしなかった。

適当な服屋に入って、衣装を買う。ルイズは、お金はある。
と言って、いかにも彼に皇帝とした服を買おうとしたが、
いやいや、頼むから待っておくれ。とマーティンが止めた。

「司祭で通っているのだから、それらしい服装の方が良いだろう?」

と言うマーティンに、しぶしぶそれらしい、控えめなローブを何着か買った。
んー、とルイズはうなる。せっかく来たのだからマーティンが好きそうな、
「何か」を買うべきだろう。しかし、何が好みだろうか。

「ダガーナイフとか、ダメだろうか?」

あなた、メイジなのにそんな物を使うの?と尋ねるルイズに、マーティンは言う。

「価値観の違いだよ。価値観の。忘れたかい?それに、案外手慣れた物でね。
物によってはミノタウロスも倒せる。かもしれないな」

「またそんな事言ってー」

ルイズは本気にしない。いざとなったら彼がどれほど強いかを、まだ見ていないからだ。

「しかし、精神力か、それが切れた時の防衛手段は必要だ。ただ、倒されるくらいなら一矢報いるくらいが、ちょうど良いとは思わないか?」

正論であった。それに、まだお金は残っている。なら、武器屋に行きましょう。
そうルイズは言って、雑踏の中に入り込んだ。
729ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/27(土) 18:11:48 ID:l+6bzo/D
「あーあー、やってらんねーな」

「とりあえず、落ち着けや、なぁデルフ」

そう言って笑う男は、どこにでもいそうな武器屋の亭主だった。ちなみに、話相手は剣である。

「ったくよぅ、何で俺を使うのがメイジなんだー?ありえねーぜ、おい」

彼の店もまた、影に味方している。つまり、そう言うことだった。

「しっかしながら、お前、伝説のガンダールブの『左手』だったのか。
俺の若い頃、お前のお陰で色々世話になった。今更だが、ありがとうよ。良い夢、見させてもらったぜ」

「へ、よせやい。今更んなこと言ったって、何も始まらねーよ」

店主は傭兵だった。もう戦うことが出来なくなった後、
首都に一軒の武器屋を構えて、商いを始めたのだ。
デルフリンガーとは、互いに命を支え合った相棒である。
研究目的で、3000エキューで買おうとするメイジにも、帰っていただいた。
そんな仲だった。

「何か涙出てきやがった。くそぅ」

「おいおい、ばらしたらだめだろそこは。お、そろそろ来るみたいだぞ?じゃ、前言ったとおりにな」

そう言って剣は黙る。ああ、と商人は涙をぬぐい、努めて明るく振る舞う。
客が来た。こちらが何かいう前に、そっちの男が言った。
730ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/27(土) 18:12:36 ID:l+6bzo/D
「すいません。ダガーナイフ下さい」

「へいへ…」

間違いなくこいつだ。昨日来たあの『やり手』の手紙には、桃色髪の貴族娘同伴。と書かれていた。

「旦那様、大きな剣とか、ご入り用では――」

「置く場所もないしね。それに、すぐ取り出せるように、常に身につけておきたい」

それにああいうのは高い。と笑って言う。

「では、あー、こういうのは、いかがでしょうかね?」

さっと鉄のダガーを取り出す。どうしようか、筋書きが全く違う。
デルフを見る。何とかしてくれ、と剣は言いたそうだった。

「ふむ、悪くはない。もう少し見せてもらってもいいかな?」

「いえね、お客さん。もしかして貴族様か何かで?」

この姿でよく分かるね、とマーティンは言う。
ルイズはあまり分からないので、店の中を歩いていた。

「まぁ、この国でもメイジらしいから、おそらく私もそうなるのだろう。それが何か?」

「ええ、いえね。そんな異国のメイジ様なら、喋る剣とか、いかがかと思って」

そう振るのか?――背に腹は代えられねぇ。違うか?
結構な間に培ってきた友情は、言葉を交わずとも話す事が出来るようになっていた。

「喋る剣!?本当にあるのかい?しかし、高そうだな」

「はん、誰がてめーみてぇな野郎に使われてやるもんか」

いいぞ!デルフ――へへっ、あたぼうよ。
もうこの剣は、この商人の物にしておけばいいのではないか、というぐらい馴染んでいた。

「おお、本当に喋る。意志のある剣なんて聞いた事はあったが、しかし、ふむ…あ、すまない。これはいくらかな?」

「100エキューで結構でさ。いつもいつも、そうやって客に無駄口叩きやがるもんですから、客足が遠のいていけねぇ」
731ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/27(土) 18:13:25 ID:l+6bzo/D
勿論、値段なんて付けられないが、今後、彼にとって必要となるのだろう。
ちゃんと見送らなければ。そう商人は思い、破格の値段を付けた。
マーティンが手に取る。剣が、何度も練習してきたあのセリフを言う。

「おでれーた。見損なってた。てめ『使い手』か」

うん?と男は手に取った剣を見る。さび付いていたが、どうも、普通のサビではなさそうだった。

「『使い手』とは…?それに、君の名前は何かね、剣君。私は、マーティン・セプティム」

「何だったっけなぁ。なんせ、長い時間生きてるんで忘れっぽいのよ。おれの名はデルフリンガー。よろしくな、相棒」

ルイズ、これを買ってもいいかい?と、その男は言った。金は貴族のお嬢さんが握っているようだ。
どこかで見たことあるような。そう商人は思った。

「さびてるじゃない。たしかに、あなたのところじゃ、しゃべるの珍しいかも知れないけど、もっと綺麗なの買いましょうよ」

俺たちの努力無駄にするんですかい?と、すこし商人と剣は悲しくなった。

「いや、いや、ルイズ。その意見は的はずれだ。しゃべる剣が普通なはずないじゃないか。
珍しい。どういう構造なのか調べてみたい…ダメかい?」

なんでこう、皇帝なのにねだり方が上手いのだろうか。
そう思いながら、ルイズはいくつかの鉄のダガーと共に、そのさびた剣を買ったのであった。
732ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/27(土) 18:14:13 ID:l+6bzo/D
「毎度ありー」

デルフの鞘を渡し、扉から出て行く二人を見続ける。二人が出て行くと共に涙が、溢れる。

初めて会った時、珍しいからと買ったあの日。そういえば、俺も奴を100エキューで買った。
あの日売ってくれたじいさんも、俺みたいなのだったのか。それからあれで戦場を周り、
そして、認めてサビを取ってくれた。野心のままにゲルマニアへ赴き、
トリステインとの国境沿いで、烈風と死合いしたあの最高の一戦は今でも忘れられん!
ついには、あの、まさか女とは思っていなかったが、それと引き分け、最高のメイジ殺しとして名を馳せた。
傭兵としての最高期は過ぎ、やがて、歳を取り、デルフを振るえなくなって泣きそうになった傭兵晩年期。
そして、隠居してここに武器屋を構え、あれとたわいなく、くっちゃべっていた――
誰もいないのだ。泣いていいじゃないか。と表に店じまいと出して、一人、カウンターで泣く。

「行かれたのですね」

いつの間にか、影の君がそばに立っていた。

「おお、ミス・ノクターナル。ええ、行きやがりました。あいつ、俺の手を離れて…」

肩を優しく叩き、麗しき君は店主をぎゅっと抱きしめる。

「どうぞ。私はただの影ですから。ここには誰もいらっしゃいません」

大きな声で、泣いた。よしよし、と影の影は頭を撫でる。
まるで、全て包み込む暖かな風のように。
こうして伝説は受け継がれる。人から人へ。新しい、時代の風に乗って!


鼻歌でも歌いそうな気分で、色々と質問をデルフにぶつけるマーティン。

「いや、だからさ相棒。6000年生きてても覚えてない事は言えないって」

「覚えていない、か。何かショックでも与えれば思い出すかも知れないな」

ショック?物騒な事をいう新しい相棒はちょっと怖い。そんな感想を思いながら、
敢えてどのようなショックが入るかは、聞かなかった。怖かった。うん。
そんな事はつゆとも知らずに、マーティン達は学院へと帰るのであった。
733ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/27(土) 18:15:12 ID:l+6bzo/D
「シャル。シャルどこー?」

可愛らしい声で、大きな廊下を走りながら、青い髪の女の子が言う。
にぱーっとした顔で、件の「シャル」は近くの扉から出てきた。

「あそぼ。おねーちゃんとあそぼ」

その特徴的な青い髪を持つ、ガリア王家の麗しき姫君達、といってもまだ幼く、
可愛らしい子供、と言うべき二人。

「お二人とも!お勉強の時間は終わっていませんぞ!」

執事のペルスランが言った。おねーちゃんは舌を出す。

「ばーかばーか。ぺるすらんのばーか」

「馬鹿で結構!全くまたどこかの使用人からその様な事を…イザベラ様、貴方は――」

「バーカバーカ」

「シャル」まで言い出した。ああ、もう。と思いながら二人を諫めるペルスランであった。

珍しく、虚無の曜日に、友人が何もねじ込みに来なかった。
いつの間にか、本を読みつつタバサは眠っていたらしい。学術書は眠くなる。
昔の夢を見ていた。楽しかった夢。いつからだろうか、彼女が私を嫌いになったのは。
何故かは知っている。魔法だ。私は使えて、彼女は使えなかった。
それだけだった。でも、皆にとってはそれだけじゃなかった。
そう言えば、何をしているのだろう。とタバサは思う。
学院に入ってからという物、全く呼び出されていないのだ。
元気だといいのだけれど――また会って物投げられるのは嫌だな。と思い、
口直しにイーヴァルディの勇者を読み始めた。
734ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/27(土) 18:16:10 ID:l+6bzo/D
土くれのフーケ、と呼ばれている盗賊がいる。
ちょっと前まで盗賊業界では人気者だった彼女だが、最近、どうも落ち目である。
強力すぎる。というより、ありえぬ神業を持った男が現れたからだ。
その名は、グレイ・フォックス。勘違いしないで欲しいが、決して痛みを欲したりはしない。

フーケと違い、名前も、派手な大立ち回りもしない。むしろ、それを良しとしない。
にも関わらず、いつの間にか誰も彼もが口にする。彼の名を。
物乞いを使えよ、お前は。とフーケに彼は言って笑った。自分の腕を自慢する、名前残しは2流だ。
物壊して逃げるなら3流だ。いつの間にか物を取って、誰かに噂を流させて、初めて1流。と言って。

「あんな事いわれちゃあ、やっちまってはダメなんだろうがねぇ」

どうしても、扉が開かない。アンロックの魔法は使えないし、ピックは前に全て壊した。
ちなみに20個。難易度は簡単なはずである。いい加減オスマンのセクハラがウザイし、
潮時だと思ったのだ。と、いう訳で、土のメイジの本文を発揮しようと塔の壁を歩き、
固定化が弱くなっているところを探す。魔法なんて人が掛ける物だ。
ある程度の均一化は図れるが、それは完璧ではない。ほころびはある。
コツッと、他とは違う感覚を足の裏に感じる。にぃと笑う。

「ようやく、おでましかい。ほころびさんよ」

位置を記憶。杖を握り、ゴーレムを創りあげる。

「さーて、さて、ほんじゃま、始めますかね!」

飛び退き、一撃の下にほころびを叩かせる。思った通り、穴が開いた。
さて、さて、あの二品はどこですかねー。と穴に潜ると、はて、何か様子がおかしい。
何か先に物取りに入られた所に入ってしまった、ヌケサクと言うか。そんな感じだった。

「遅かったな」

妹が召喚した男の声を聞く。あれ?おかしいなー、
今、こいつはトリスタニアにいたのではなかったか、と思う。

「あまりに、アレ過ぎる。お前は。監視は気付かないは、後片付けはしないは。本当に盗賊やる気――あるのか?」

えげつない言いようだった。というか監視って何。誰かいたのかい、そんなの?

「ああ、もういい。とりあえずめぼしい物は全て盗ませてもらった。後はお前が欲しがってる二品くらいだろ?」
735ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/27(土) 18:17:00 ID:l+6bzo/D
おお、流石はギルドマスター。話が分かる。と、一々ガラス内に展示されているお目当ての品を取った。
さて、行くぞ。とマスターがフーケのゴーレムに乗り込もうとしたとき、
たまたま、帰ってきたルイズ達の攻撃を受けた。別段どうと言うことはないが、
下手に動くと下の桃色髪が死にかねない。マーティンはとりあえず距離を置くために、
ルイズをゴーレムから引き離そうとしている。

「どうすんのさ、マスター?」

「こうする」

右手を掲げる。どこからともなくグリフォンが現れ、二人の前に止まる。
乗れ!と格好良く言うグレイ・フォックスの後に座り、グリフォンは空へと舞う。

「さて、ギルドマスターから、お前に任務を授けたいと思う。やるよな?拒否権ないからな。今のお前には」

ようやくあたしを認めたね!さーどんな事でも聞こうじゃないか!
グリフォンの後で、そう活気づく。フォックスは切れた。

「その二つ。お前が盗んだことがバレないように返して来い!!!この愚か者が!」

出来ないからって物壊す癖やめろ!と怒っている。あうぅ、と妹には見せない仕草でさめざめと泣く、
ロングビルこと土くれのフーケ、またの名を、マチルダ・オブ・サウスゴータであった。
736ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/27(土) 18:17:48 ID:l+6bzo/D
投下終了
皆さん分かっていると思いますけど、
ルイズお金持ってない理由は水の秘薬代ですからね。
だから、今のルイズはお金持ちなのです。どれくらいか?
買ってまだ、500エキューはあるんじゃないでしょうか。
何も起きてない時のルイズは間違いなく倹約家だろ?
とか設定スレで言われていたのを借りました。
あそこの奴、借りてもいいですよね?

こういう商人さんみたく、終わった後の物語って好きなのです。聞くのも書くのも。
だって、カッコイイじゃないですか。野心を求めてゲルマニア行って、伝説作って、
最後は古巣で落ち着いて。新しい伝説の始まりを見て、
それからしばらくしてノンビリとあっちへ逝く。
これらの間、何があったのだろう。何故帰ってきたのだろう。って思いませんか?
ちなみに、このおっさん(おそらく50〜60)は戦士系のスキルマスターな為、
結構、訓練士としての腕もあります。影の君(この言い方気に入りました)
はデイドラ王と同じように神出鬼没です。ただ、シエスタがおそらく一番それだと思います…

味方に高性能が増えています。敵に何体かチート系投入しても良いですよね?その方が楽しいですし。
ああ、それと「君を愛す」と「愛の夏」で「朝7時」を連想できる人に。
あの「黒い終わり」のテーマに沿った様な戦闘を今どう書こうか悩んでいます。
ただ、その為前プロットより更にタバサが…いや、まぁ詳細は白の国で。

土の属性の力を発揮したのに、怒られたおマチ姐さんかわいそうです。
比べる人が悪いんです。狐はこう言っていますが、姐さんの事は頼りにしていますよ?
どんな時にも弱気にならない。前向きに生きようとする黄金な精神の保持者ですから。
どこぞのお使いのみさせやがる灰色狐とは大違いなのですよ。
いや、あれも頑張ったけどさ。ちなみに、何故それを返すのかはフーケへの戒め以外にも、
ちゃんと灰色は考えています。さぁ、謎の一つは何でしょうね?

では、また次回の投下まで、バイアズーラバイアズーラ
737名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 18:24:12 ID:v0+ZeCWV
シャドウハイチュー
738名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 18:28:26 ID:X0Oi2QXI
武器屋の親父にとんでもない裏設定がついてるーwww
739名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 18:42:22 ID:BvfbU4t8
俺が元ネタを知らないからなんだろうけど
どうしても容姿がフランク・イェーガーになります
740名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 18:42:45 ID:Qpo8CW9F
武器屋の親父の設定いいなあ
741名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 18:46:54 ID:hKGosrXE
マーティンをキズつけるとかグレイフォックスは絶対に許さないだろうし
フーケピンチだなw
742名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 18:56:40 ID:oY+IFyQP
おまちさん、プロからダメ出しw
743名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 18:59:35 ID:qb+fX1DK
>>739
おや、いつの間に書き込んだのだろうか
744名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 19:08:01 ID:l+6bzo/D
>>738>>740
オブリビオンには、こんな風な伝説の武器と
それを使った英雄の話がたくさん出るのです。
それが果たして吸血鬼に好まれるような邪悪な剣か、
はたまた、どんな英雄にも平等に接する喰らい召されいとかいわれる剣か。
もしくは、全くつかえないドワーフ製の麻痺ハンマーか。

ですが、この設定の元も、設定スレからだったと思います。
ありがとうございました。設定スレの皆様。
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 19:41:22 ID:C34+S2WL
熊の爪さんの例もあることだし、ここらで美来斗利偉・拉麺男を召喚




イザベラ様が
746名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 19:44:33 ID:r2uIbEN8
デビロット様をイザベラ様が召喚というネタがあってもよさそうなんだがな。
747名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 19:51:38 ID:C34+S2WL
>デビロット様をイザベラ様が召喚
それなら、アイマスの伊織もセットにしてあげてください
748名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 20:21:51 ID:va+OYuJo
乙だシチズン。フーケはひょっとしてAmuseiポジなんだろうか?
このできない子ぶりが被ってしまうんだが。
749名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 20:50:03 ID:4ZARHzAS
熊の爪さんのおかげで漫喫で筋肉マン二世全部読んじまったw
熊フォームのまんまで相当先まで行ける気がするなw
750ゼロと工作員:2008/09/27(土) 21:29:32 ID:Wrq+VNik
21:35分から投下します
前までは設定考案スレの大まかなあらすじと録画したものを参考にして書いてました。
SSは面白いと思いますが、その設定を使おうと思ったこともありません。
ほぼアニメを資料にしていたと考えていただければ幸いです。
これからは原作重視にしていこうと思います。
アニメは呪文を唱えるのに詠唱が必須だったのが、原作ではルーンを刻むだけだったのが衝撃的でした。
751名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:35:36 ID:Wrq+VNik
昼のラッシュで忙しい食堂の台所。
トントンと規則正しく野菜を刻む音、フライパンとお玉がぶつかり、肉が焼ける音、
野菜をザルに入れ水を流す、葉を手で千切る、沸騰したやかんが音を立てる、
スープがぐつぐつと煮える、料理をトレーに載せて運ぶ足音がリズムを刻む。

フリーダはルイズと共に片づけを終わらせ、食堂へ来ていた。
彼女とは再び分かれ、賄い飯を食べ、そこでシエスタと出会い談笑している。
今日の天気に街の流行、魔法や外国のこと。
どれもたわいのない話だが、フリーダにはどんな話しも新鮮だった。
       ・
       ・
       ・
「貴族に頭を下げなくていい国から来たんですね。いいなぁ。ゲルマニアですか?」
シエスタが大皿からサラダを小皿に移しながら訊ねる。
「ゲルマニア?」
「平民でも才覚があれば貴族になれる国ですよ。マルトーさんも
お金を貯めたらこの国を出たいって言ってました。知らないんですか?」
フリーダは軽く顎に手を当てる。
「………遠いとこから来たから」
無難な答えを返す。違う世界から来たといっても異常者扱いされるか厄介事に巻き込まれるだろうから。

「フリーダさんは異国から呼ばれた方なんですよね。違う文化があって困ったりはしてませんか」
「ええ。目覚めたら下僕扱いだもの。驚いたわ」
「あはは。大変ですね」
コーンポタージュを口に運ぶ。
フリーダさんはこちらから話しかけないと、全くしゃべらない。
話し好きなシエスタには聞き役になってくれるいい相手だった。

「召還されて、トリステインをどう思いましたか?」
「穏やかで、いいところね。豊かで安全な国よ」
フリーダさんが優雅に紅茶を飲んでいる。
銀髪に近いさらさらとしたプラチナブロンドが綺麗だ。
態度や物腰に気品を感じる。いいところのお嬢様なのだろうか、少し憧れる。

「この国が過疎だなんて残念ですよ。お金のある人はゲルマニア、
打倒貴族の若い男の人たちはアルビオンのレコンキスタ、
魔法の才能がある人はガリアにみんな行っちゃうんです」
フリーダは飲むのを止め考える。あの過疎が酷かった星はどうなっているのだろうかと。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:36:20 ID:Wrq+VNik
「確かにトリステインは、今は安全で、飢えずに生活できるわね」
溜め息をつき、眼鏡をなおす。

シエスタの話しではトリステインは過疎だとか。
トリステインでは少数のメイジ達による支配が長年続いていて、
魔法を使える彼等は<<錬金>>を使った金属生産や加工、<<水の魔法>>を使った医療、
ゴーレムや,<<風の魔法>>使った輸送など、あらゆる分野に進出し巨万の富を得ている。
魔法の力は絶対で、ほとんどの金は一握りの彼等に使われている。
平民が物を作ってもメイジ達の生産力や労働力の差は絶望的で、芽があっても摘み取られてしまう。
平民が国に工場や機械の援助をしてもらおうとしても、政治は貴族のものであり、
たとえ援助がもらえても貴族の工場で下働きがせいぜいで、手元に金が残らない。
技術があっても、自らの優位が揺らぐのを恐れたメイジは平民を潰す。
頼みの綱の外交も、女王が即位しないせいで機能しない。
政権は傀儡で、マザリーニ(彼女は鳥の骨と苦々しげに呼んだ)が好き勝手やっている。
「こんな国では夢が見られない」と国外脱出する貴族や平民が多いのだとシエスタが言っていた。

世も末ね。
フリーダは明るい世界の暗い一面を見つけられて安心する。

「フリーダさんの故郷も、ここと似てますか?」
「いいえ。こんなとこなら、よかったけど」
頬杖を付き、スプーンをくるくる回す。

異世界だから誰も知らないと油断があったのかもしれない。
フリーダは感情を吐露していた。
「私の故郷…エリオでは50年以上も内戦が続いているわ」
「平和な国を見ると、少し…違和感を感じるの」

「大変なんですね」
フリーダさんは謎めいていて知的で洗練された素敵な人だ。
だからもっと良く知って近づきたいと感じた。

「私の故郷はトリステインの田舎、タルブ村なんですよ」
「ワインが名物で、静かでいい村です。私の家もワイン農家なんですよ」
「………そう、帰る場所を大事にしなさい」
斜陽の国だが、彼女は家があり職がある。逃げるのも出来ない。
それでもフリーダは少し羨ましかった。試験管から産まれた彼女には帰る場所がなかったから。

「このあとどうするの?」
「貴族のみなさんにデザートをお配りするんです」
「私が手伝ってもいいかしら」
シエスタはメイド服を正すと自然な笑みで返す。
「大歓迎ですよ」
753名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:38:06 ID:Wrq+VNik
フリーダはシエスタと貴族の食堂へ来ていた。
窓にはステンドグラス、2階までぶち抜いた高い天井に、巨大なシャンデリア、
ワックスで磨き上げられた黒く光る床。
席には教員席とそれぞれ色が違うマントを着た生徒達が座るテーブルが3つあって、
どれも100人近くが座っている。
テーブルには一杯になった空の皿、フライドチキンや鮭のムニエル、ポタージュスープなど
多くの食べかけの料理が並んでいた。
昼食を食べ終わった生徒達の横では、給仕たちがワゴンを押す役とデザートを配る役の
二人一組になり、上座からケーキを置いている。
デザートが乗った大きなワゴンをフリーダが押し、シエスタはケーキが乗った皿を置く。

食堂では男子生徒達が集まり自慢話をしていた。
中央に立つのは金髪巻き毛で薔薇を持った白い肌の男子生徒。
青瞳の端正な容姿に、シャギーの入った前髪、胸元が開いた白くノリがきいたシャツ、
真っ白な歯、ズボンも他の生徒達とは違い体にフィットするものを履いていて、
見た目も喋りも気障な印象を受ける。
誰を落とした、好きな子は誰だ、世界が違っても人の色恋に対する興味は変わらない。
その生徒は大げさに身振り手振りを交えて話し、話しに熱中しているのかポケットから
小瓶が転げ落ちたのにも気付かなかった。

フリーダが拾い上げ、
「落としたわよ。あなた」
人の群れの向こうにいる生徒に判るよう小瓶を掲げる。
「いや…これは僕のじゃない。君が貰っておきたまえ」
それを見た生徒達は一斉に騒ぎ出す。
「これはモンモランシーの香水だぞ!」
「ギーシュ、やっぱりモンモランシーと付き合っている噂は本当…」
「おいおい、この香水瓶が僕のものとは」


がたんと椅子が倒れる音の後、二人の女生徒が走り寄り。
「ギーシュの「「うそつき!」」」
左右からの平手打ち。
「待ってくれケティ」「待ってくれモンモランシー」
二人は走り去り、ギーシュの頬には紅葉が残る。
「二股かよギーシュ!」
「天罰だぜ。ギーシュ!」
笑いに湧くギャラリーの中、ギーシュは顔をしかめている。
「君が気を遣わないから、二人のレディの名誉が傷ついたんだ。どうしてくれるんだね?」
フリーダはちょっとした趣向を思いつく。
「…申し訳ありませんギーシュ様。私と付き合っていたのに浮気をするあなたが悪いんですわ」
口元に冷笑を浮かべながら、か弱そうな乙女を演じる。
額から脂汗を流し目に見えてうろたえるギーシュ。
「ぼ、僕はこんな女知らないぞ」
「あら?覚えていらっしゃらなくても仕方ないですわ。
ギーシュ様は華麗な女性遍歴をお持ちですもの。私もその一人」
余裕の笑みを湛え、ギャラリーに礼をする。
盛り上がるギャラリーと取り巻き達。
「3股かよ!盛り上がってきた!」
「ギーシュ!ギーシュ!ギーシュ!ギーシュ!」
熱烈なシュプレヒコールが始まる。
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:39:37 ID:Wrq+VNik
「…お前、ルイズの使い魔の平民じゃないか?」
怒りすぎてかえって冷静になったギーシュが気付き、勢いづく。
「平民如きに僕が惚れるわけないだろう!しかもゼロの使い魔なんかに!」
「私がベッドから目覚めたとき、熱烈に口説いてくれたのは誰だったのかしら。
それに、私が使い魔だとついさっきの授業で知ったのよね?」
もちろん。ベッドで口説いた云々は嘘だ。だが彼は信用がなかった。
既に野次馬の目はベッドに向いている。
「手が速ええ…」
「会って2日でベッドかよ…ギーシュなら…ありだな」
「破廉恥ですわ」
野次馬はひそひそ話し、顔を赤らめる者、メモを取る者、三者三様である。
収集がつかなくなったギーシュは無理やり話題を終わらせた。
「嘘か本当か決闘ではっきりさせようじゃないかっ!ヴェストリの広場で待っている!」

「ちょっと!あんた何考えてるのよ?!」
人波を掻き分けて来たルイズが噛み付く。
「メイジに平民が喧嘩売って勝てると思ってるの?今からでも遅くないから謝ってきなさい!」
「平民は貴族に逆らったら死刑…なのかしら」
ありそうなことだと考える。
奴隷がある国は人の命は安い。
「メイジは魔法が使える。平民は魔法が使えない。そしてメイジは躊躇せずに魔法を使うわ。
例え相手が平民でもね」
「………心配してくれて、ありがとう」
まっすぐな感情にフリーダはぎこちなく笑った。


学園の中央塔最上階、執務室の机で、
「ふふんふふんふん〜ふ〜ふ〜ふふ〜ふんふん♪」
オスマンが鼻歌を歌いながら女物のパンツを伸び縮みさせている。

「…オスマン校長、とうとう…そこまで」
剥げ頭のコルベールが部屋へ入ってきて固まる。
「ちょちょちょ、調査じゃょ。ヴァリエールの使い魔の持ちものじゃ」
「…その割りに楽しんでましたね」
眼が冷たいぞ。コルベール君。

机の上にはボロボロになった制服と下着、長方形の箱が置いてある。
フリーダが意識を失いながら重傷で召還された際、
血で汚れ焼け焦げ穴が開いた服を取り替える必要があった。
箱はその際、失敬した。
フリーダとの使い魔交渉の時に所持品全てを返すように言われ
一度返したが、既に服がボロボロで使えなくなっていた。
ゴミとして処分してくれと頼まれたものをとっておいたのである。
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:40:21 ID:lUdmWfwP
とりあえず、名前欄にタイトル入れようぜ 支援
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:41:04 ID:Wrq+VNik
「何か判ったかね?ミスタ・コルベール?」
コルベールが鼻の頭を掻く。
人払いの合図だ。
「・・・・・・・・・・」
オスマンは無言でディティクトマジックを掛け盗聴の危険がないか調べ、
部屋にサイレンスをかけて二重に盗聴対策を行い、杖を振って窓を閉め、
ドアにロックを使い魔法で鍵を掛ける。
「続けたまえ」
「はい。フリーダ・ゲーベルの右手のルーン。あれはガンダールヴです」
「ふむ」
オスマンの肩に乗るモーニングソルトが忙しなく動く。

「フリーダ・ゲーベルという女はこの国の人間ではありません。
服の記事に印刷されていた文字は未知の言語で、服も下着も全て未知の物質です。
彼女が持っていた銃らしきもの、下着の生地でさえも、
我々の技術力では部品の一つさえ、同じものを造るのは不可能です。
また、それがどのような原理で動いているかさえ判らないでしょう。
更に恐るべきことに、これらは全て魔法で造られてはいません。平民の手に依るものです」
コルベールは俯いて続ける。

「彼女が我々の校の女生徒達に似た制服、持っていた武器、ミス・ヴァリエールを捕らえた手際、
当たり前である魔法をしらないこと、『この星』と言っていたことから考えて、私の推測ですが」

「ミス・ヴァリエールはトリステインの国力、技術力を遙かに超える平民の国から、
工作員又は暗殺者を召還しました。おそらく、違う星からです。
制服は変装、傷を負っていたのは任務中だったのでしょう」
「これを見てください」
机に置いてある箱を開けると一丁の銃が出て来る。
インテリスコープが付いた旧式の7.5ミリ口径火薬式狙撃銃。
英雄イヴァン・ジュジャとサイモン・ラヴァルを暗殺した銃である。

火薬式であるが故にコルベールとオスマンには技術力の高さと
それが現代の銃の延長線にあるものだと理解できた。


重い沈黙
「・・・・・」
「・・・・・」
757名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:42:01 ID:lUdmWfwP
あと、ガンダールヴは左手だよ! 支援
758名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:42:03 ID:Wrq+VNik
「ヴァリエールはなんてものを召還してくれたのじゃ!」
「わ、わたしも判っていれば契約させるなどどど」
コルベールはオスマンに襟を力いっぱい掴まれ首がガクガクと揺すられる。
彼の少ない毛髪が更に少なくなってゆく。
オスマンは机にぐったりと突っ伏した。

「さて、どうすればいいかのう」
「判っていると思いますが<<不幸な事故>>は不可です」
口封じは出来ないと釘を刺された。
「落ちこぼれだったミス・ヴァリエールが初めて成功させた魔法じゃぞ。最初で最後の魔法かもしれん。
たとえ殺してもう一度サモンサーバントさせたところで、もう一度魔法が成功する保証はない。
ワシの首が跳ぶわ」
「アカデミーに身柄を渡すのも殺すのと同じ事じゃし。
奴等なら生きたまま解体するのもやりかねん」
「それに話しが荒唐無稽過ぎて信じてもらえないかものう」
教育者としてのプライドもあるし。胃に穴が開くわい。

「もしも、工作員であると仮定するならどうなるのかのう」
「本国の命令を受けているとすれば、この国の調査か重要人物の暗殺か。
どちらにしてもロクなことないですね」
困った、困ったのう。

そうじゃ。
「知らなかったことにするのが一番か」
「分かりました」
困ったときのことなかれ主義じゃ。

「それとミス・フリーダと話がしたい」
「手配しておきます」
ガンダールヴと謎の超大国からの工作員。
本当、ミス・ヴァリエールは頭を痛くさせるのう。
まったくです。今夜は飲みましょう。
オスマンとコルベールは二人して胃薬を飲むのであった

一方、ロックが掛けられたままのドアの前で立ち往生している秘書のロングビルは
「あんのクソジジイ!またロックとサイレンスかけたままで忘れてやがる!」
悪態をついているのであった。
759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:43:01 ID:Wrq+VNik
あの女子には甘いギーシュが逆ギレして浮気相手に喧嘩を売った、更に相手は平民だ。
ゴシップと決闘の噂は瞬く間に広がり、
「風」と「火」の塔の間にあるヴェストリ広場には食堂中の生徒達が集まり、不穏な空気に蝕まれていた。
ギーシュ側に付く男子達、フリーダ側に付くケティ、モンモランシーが率いる女子グループが対立している。
「付き合った子の顔を忘れるなんて」
「一度寝てポイですって」
「女の子を殴るなんて最低よ」
「三股以上かけてたりして」
「平民の子…かわいそうに」


ギーシュは広場の中央に立っていた。
「改めて名乗らせていただこう。僕は『青銅』のギーシュ・ド…」
名乗りを無視し、フリーダはナプキンで包んだ胡椒を包んだ袋をギーシュの顔に向かって投げつける。
「…ラモン」
むせた拍子に、杖を持つ手元が乱れる。
「獲物を前に舌なめずりなんて、ずいぶん余裕ね」
ギーシュが杖で空に描きかけていたルーンは失敗し、
地面から立ち上がりかけている戦乙女の姿をしたゴーレムが消滅した。

胡椒で涙が止まらなくなった目と鼻を押さえている間に、袖口と胸元を取り、
足を後ろから払って頭から地面へ叩き付ける。
「ひ、卑怯だぞ!」
仰向けに倒されたギーシュは立ち上がろうともがく。
フリーダに向けた杖は蹴り飛ばされていた。
「…丸腰の相手に武器を向けて言える言葉じゃないわ」
脇腹を蹴り手を踏みつけながら続ける。
「大方、私を嬲ろうと思って、強力な魔法を準備しておこうと思ってたんでしょ」
「安全装置を掛けたまま、敵の前で弾込めをして余裕ぶるあなたが悪いわ」

昨日コルベールに見せてもらった魔法が役に立った。
魔法は杖を使い図形を刻むことで発動する。強力な魔法ほど刻む時間が長くなる。
ギーシュは話しながら小刻みに手に持った薔薇の造花を動かしていた。
武器を向けて話しをする奴は五流だ。
彼女は武器を持った相手に手加減をするつもりはなかった。

「私も、こんなものを使うとは思わなかったわ」
制服のポケットから食堂から拝借してきた銀食器のナイフを取り出し、喉へ突きつけ、馬乗りになる。
フリーダの手の甲にある文字が輝く。

ギーシュの目が恐怖で開かれた。
「あなたを処刑するの。理由は決闘での敗北。いいわね」

喉を絞められ呻き声を上げる。顔面は蒼白で喉はカラカラに渇いていた。
「怖い?この距離なら、一瞬で喉を裂けるわ。ねえ怖い?」

徐々に喉を締め上げる力を強め、ナイフを持った手でザクザクと耳横の地面を掘る。
「ひっ…」
極度の緊張からギーシュの首ががっくりと落ちる。

瞬間、周囲の生徒全てが杖を向けた。
「はじめまして。メイジらしい歓迎で、嬉しいわ」

殺意の十字砲火を浴びながら、フリーダは満足な吐息を漏らした。
暗闇は濃密で、静かで、笑い声の聞こえないここがフリーダの場所だと落ち着けた。


静まり返った広場の片隅にキュルケと青髪の小さな少女が居る。
「平民なのに大したものね。あっという間に終わっちゃったわ。ねえタバサはどう思う?」
「急所を正確に狙ってる。ナイフを振るうのに躊躇いがない。…たぶん、私と同じ」
760名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:44:03 ID:Wrq+VNik
投下終了。六話でした。
761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:44:55 ID:SIKvrKCV
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:47:00 ID:Wrq+VNik
あ、鳥付けるの忘れてた。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:49:21 ID:0ZdcqBQb
支援いたす!
764名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 22:42:50 ID:C34+S2WL
工作員のかた乙です!
いい感じでピリピリしてまいりました
765名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 23:22:49 ID:N6P9Flle
乙です
こういうの見てもフリーダを「我らの剣」とか呼べるんだろうかマルトーさん
そんないいものじゃないよ彼女
766名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 23:39:21 ID:aYop+YeU
もしもゼロのルイズがえの素のかつら屋さんを召喚したら…
767名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 23:42:39 ID:m1KujgaK
工作員ってガンスリンガー・ガールみたいなもん?
768名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 23:49:21 ID:C34+S2WL
そろそろ次スレの時期かな?
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 23:52:16 ID:3x+1+glo
もう480kBか
今スレもたくさん作品が投下されたってことだな
善き哉善き哉
770名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 00:01:39 ID:MWXngdiL
480Kだからもう立てた方がいいかな。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 00:02:20 ID:aAUYdz7Q
いいんではないでしょうか?
772名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 00:04:05 ID:lG5k80iJ
じゃあ、立ててみるね
ダメだったら他の方よろしく
773名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 00:06:13 ID:lG5k80iJ
次スレ立てました

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part174
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1222527877/l50
774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 00:10:21 ID:wMMskbFB
スレ立てから一週間たらずで埋まるんだからスゲーよな…。
だけど、もう新スレに変なのが沸いている(泣
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 00:15:18 ID:/ttKkb8Y
>>773
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 00:32:08 ID:aGL8jlpb
772さん、乙です。
予約無かったら次スレでSS投下します。
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 02:41:28 ID:1eTGIw5u
>767
惑星エリオの反政府ゲリラが戦費を稼ぐ為に
暗殺者を養成し犯罪組織にレンタルしてる
フリーダはレンタルされた暗殺者


未来の世界なので教育は脳に記憶領域(チップ)を埋め込み
知識や経験をチップ経由でインストールするのが一般的だが
フリーダはその技術を利用して「偽人格」を埋め込み
別人になり切って標的に接近 暗殺するのが仕事
27人の人格と技術と殺人技能を受け継いだのがフリーダ
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 02:50:24 ID:ym4d1F2F
電王ネタのSSを読み直し、突発的に思い浮かんだんですが

『神の左手ガンダールヴ』 
勇猛果敢な神の盾。
左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。……キンタロス

『神の右手がヴィンダールヴ』 
心優しき神の笛。
あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。……リュウタロス

『神の頭脳はミョズニトニルン』 
知恵のかたまり神の本。
あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。……ウラタロス

そして最後にもう一人。記すことさえはばかれる(ほどのバカ)……モモタロス

んで『「四つの四」(担い手、使い魔、ルビー、秘宝)が揃った時「始祖の虚無」が復活する』……クライマックスフォーム


勝手な妄想です。スミマセン(汗

779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 03:05:09 ID:M3e6md7y
モモタロス気の毒だろww
780名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 04:46:41 ID:9iKMvctg
召喚の儀式によって自身と同じ魔法の使えない貴族を召喚したルイズ。しかしその貴族によってルイズは新たな力を手に入れたのだった。

「破岩掌!」
どかーん
「ギーシュのゴーレムが一撃で!」

「やったわルルー!」
「オーッホッホッホ!チンチクリンのくせにやるじゃないルイズ!」

その後ルイズとその使い魔は後の世に究極女王様として語り継がれたのでした。

前スレにシェゾ召喚の小ネタがあったけどこっちは共通点なんかもあって意外といけるかもしれん。ダレカタノム
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 07:16:36 ID:6bV5nqaa
むしろ、モモタロスとブリミルにナニがあったのかが気になるわけだがw
782名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 08:50:36 ID:s0T7qpTl
だから。ナニがあったんだろう。
ナニが。
783名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 09:36:13 ID:u3SBH1lu
>>780
最近の作品じゃすっかり忘れられてるけど、ルルーって元は召還師っぽい描写なんだよね。
ミノタも付き従ってるんじゃなく、呼び出してたし。
784名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 10:17:04 ID:WVPg1Ns+
呼ぶならドラコだろうオレの嫁的に考えて……
785名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 10:26:52 ID:6DZ/B/Pv
>783
設定変更、という一言でルルーは一切の魔法が使えない事が『公式設定』になりましたからね……シェゾのキャラとかも。
息の長いシリーズにはよくある事です。
786名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 11:08:46 ID:aIprjp5T
500kb結構遠いな 
500kbなら原作&OVA設定デビルマンから不動明召喚、レディ、ジャックとは無関係な方向で
…ふぅ、安心して書き込めるわw
787名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 11:28:38 ID:ikysLFfV
>>766
聴衆「ぎえーっ 気持ちわりいーっ!」
ハゲ「とれません!」
788名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 12:56:20 ID:+LgVSRbQ
>>750
工作員さーん、原作でも魔法を使うときは呪文唱えるよー。
ルーン刻むのは使い魔契約したときだけだよー。
789名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 14:02:20 ID:tMv0sccg
アニメの詠唱はでたらめな上に威力が段違いだからなー
「土の精霊よ!」とか言ってヨルムンガントをおおうほどの土をかぶせるとか
威力はスクウェアクラスで詠唱は先住魔法というチートっぷり
アニメのギーシュは強いなw
790名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 14:07:49 ID:HQCH0FQE
アニメの後半のクソッぷりはいつも通りで安心した。
やはりゼロ魔は前半のイチャイチャだけで良いwww

どうせ4期やるのも確定してんだろうなwww
791名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 14:17:09 ID:zlBgFKq+
そんなことよりもいちいち「ファイアー・ボール!」とか「ライトニング・クラウド!」とか言わせるのはどうなんだろう
原作だとルーンを唱えきったら発動するもんで、魔法名を言って発動させたことはないと思うんだが
792名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 14:22:05 ID:gP3vfDK/
アニメ演出なら普通だろう
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 14:25:29 ID:EXEStQ3D
アニメでは地の文で「ファイアー・ボールを詠唱した」とか「ライトニング・クラウドの呪文を唱えた」とか書けないからじゃね?
794名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 14:36:32 ID:nvOEvUPm
もしもサイトが歴代ドラクエの幼女化(裏ボス含む)になつかれた状態で集団召喚されたら
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 14:41:58 ID:8OEkrUuU
呪文一つ一つに専用のルーンなあ……そんな荻原や冨樫みたいなことする必要も趣味もなさそうだしなぁ。
メインの虚無ですら全詠唱あるのはエクスプロージョンと忘却だけで、世界扉とか加速とか記録とかは描写ないし。
TRPGにでもなれば全部に設定つくかもしれんがw
796名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 14:42:07 ID:reVEjkpW
>>794
それはどう見ても三次創作だし、ここでは余り受け入れられないのは確実。
つーかそれ以前にsageてくれ。
797名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 14:45:48 ID:gP3vfDK/
>>795
呪文一つ一つに専用のルーンって何処に書いてあったっけ
798名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 15:07:42 ID:JeJ5gs4y
まだあと14kbもあるではないか
ちゃっちゃと埋めろ
799名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 15:16:51 ID:S+qHrJAW
アニメでワルキューレがヨルムンガントに突っ込む時に飛んでいるわけだが
ギーシュはゴーレムを操りつつ一体一体にフライをかける事が出来るくらいレベルアップしていたのか
これはもうスクウェアってレベルじゃないぞ
800名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 15:18:04 ID:+vQjMSad
あれは飛んでるんじゃなくてジャンプしてるんだよ
801名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 15:21:12 ID:cfBHBaD7
ttp://wiki.livedoor.jp/saitohiraga/d/%cb%e2%cb%a1%b0%ec%cd%f7
一部のスペルならここに書いてあるけど
全部じゃあないな
802名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 15:49:04 ID:VpphXBwe
ラロシェールでの対フーケゴーレム戦でもワルキューレ飛んでたというか浮いてたような…
803名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 16:09:49 ID:HQCH0FQE
あのワルキューレは
トライアングルで良いと思うwww
804名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 16:21:13 ID:lXjpDrIl
ギーシュって実は既にスクウェアくらいまで行ってるんじゃねーの?
805名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 16:27:53 ID:FM1S5ZrL
ドットはドットでも大きな点なんだよ
806名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 16:31:13 ID:Rp9KNvsN
アニメは精霊使ってるんだぞ
既に先住
807名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 17:06:50 ID:Rac/t9Ww
本当はペンタゴンクラスの実力だけど、面倒なのでドットと申告してるんですね、わかります。
というか、今日初めて知ったけどアニメ版ギーシュ、でたらめに強いな……。
808名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 17:20:23 ID:HQCH0FQE
あのギーシュなら抱かれても良い
809名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 17:22:06 ID:AcmrKyNg
イキロのギアスがかかってますので
810名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 17:33:11 ID:CFZ5Pdvj
よく『死人』が生き返って使い魔になってますけど――R2終了後のルルーシュを召喚したなら……どうなるだろう?
以前のルルーシュが、ってのはまとめで見つけましたが。
811名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 17:48:17 ID:reVEjkpW
>>810
あの死に様じゃ、なぁ……。
場面の状況的に召喚のゲートが割り込む隙がないから殆ど無理だろうな。
812名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 17:59:44 ID:xWWWkgPf
どんだけ早くネタバレしてんだよ
813名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 18:17:51 ID:24TCLr8u
いや、さすがに放送終わったのにネタバレとか言うのはどうかと
気が早いにもほどがあるのは確かだがw
814名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 18:32:17 ID:B4uNLf7w
ルルが落っこちる途中でゲートが開いて吸い込まれたら、
周りにいた連中はみんなぽかーんとするんだろうなとは思った。
815名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 18:37:57 ID:PhzbKMnl
剣が心臓貫通してるのに治療できる水魔法ってどんだけすごいんだよw
いや、ルルがCCのコードを引き継いで不老不死になってると言うんだったらいけるけどな

最後の最後まで「実は生きてました」となると思ってたんだけどな
816名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 19:01:13 ID:eEe9zI1K
>>815
召喚したのがテファなら指輪で治したでOK。
あれ、心臓とまっててもいけるしな
817名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 19:21:11 ID:4ifwoFge
>>816

Σ( ̄□ ̄;)!!
その手があったか…
818名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 21:18:55 ID:Gy2897h/
もうオレンジ呼ぼうぜオレンジ
819名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 21:45:17 ID:bh6GjbSe
>>780
ルルーは大金持ちだが貴族ではない。
ルイズは多分アルルの立場だと思うのだが…
820名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 21:52:56 ID:ZlD8w2rd
埋め

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part174
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1222527877/l50
821名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:12:47 ID:Tj1LauNE
他に召還されてないものって言ったら・・・・


吉永さん家のガーゴイルからガーゴイルとか?


822名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:13:23 ID:JAIVordl
ガーゴイルは召還されてる
823名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:18:53 ID:Tj1LauNE
そうだったかwww


でも、もう大体召還されつくした感じは出てるな

824名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:21:49 ID:UE8k9eUk
500kだった、某お医者先生召喚
「た…大変だ! 誰か 誰か助けて」
ギーシュの切羽詰った叫び声が教室内に響き渡る
「シュヴルーズ先生の粘土がマリコルヌの喉に詰まって
どうしても取れないんだ」

みたいな感じで
825名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:22:31 ID:JeJ5gs4y
アニメだろうとラノベだろうと漫画だろうと小説だろうと、
映画だろうと戯曲だろうと昔話だろうと落語だろうと、
世の中に「作品」が存在する限り、ルイズに召喚される可能性のあるキャラは尽きることがない
826名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:23:27 ID:+vQjMSad
ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの兄弟姉妹を空き部屋の衣装ダンス経由で召喚
元の世界と行ったり来たりになるかな
827名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:27:06 ID:XoxwTM5s
500Kだったら黒人28号召喚
828名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:28:20 ID:Tj1LauNE
500kなら最終作手前のハリー召還
829名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:28:27 ID:FM1S5ZrL
15巻読んで009召喚と思ったのは俺だけじゃないはず。
830名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:39:00 ID:sedhNAhx
召喚されても動かしにくい、ルイズの使い魔にならない(あるいは従わない)キャラってどんなのだろう?
831名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:40:18 ID:p5uH8b6/
500kなら課題放り投げて続き書く
832名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:42:33 ID:vWMevfZC
俺は、とらは3のアレとかGS美神のソレとか気象精霊記のナニとかを連想したな>加速
833名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:44:33 ID:cfBHBaD7
世界は一巡する!
834名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 22:54:42 ID:8Vg63KEV
>>833
え〜っと・・・ルイズが時を越えて、ブリミルに虚無を授けるんですね?

スレ違な上に、訳ワカメになりそうw
835名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/28(日) 23:44:47 ID:ZH4RqRfN
>>818
巨大なオレンジ畑を作るのですね
836名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 00:08:18 ID:c7B3gYpn
容量限界がもどかしい!
837名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 00:10:22 ID:Ee5bmmwd
500なら俺の飼い猫のチビが召還される
838ゼロ魔:2008/09/29(月) 00:34:08 ID:TQaRZQXn
>>822
なら、ナディアからガーゴイル召喚
839名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 00:36:05 ID:7NRu4Ao4
ゼロの妖精
http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/2470.html
ACECOMBAT ZEROの使い魔
http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/2739.html
の人たちをインスパイアして投下
といってもつぎはぎだらけのMADみたいになってますし
まだプロローグだけですが…
エースコンバットZERO×ゼロの使い魔
840名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 00:38:06 ID:7NRu4Ao4
sage忘れ
841名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 00:39:37 ID:7NRu4Ao4
よ、容量か…この星に残ったのは俺だけ…?
842名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 00:40:21 ID:z5Mv4YQy
新スレへ投下してくれい

ガーゴイル・・・
500なら「ノートルダムの鐘」からカジモド召喚・・・いや、あれディズニーだからやばいか
843名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/29(月) 01:01:03 ID:fo5g7L6X
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844名無しさん@お腹いっぱい。
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