あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part172

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part171
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1221661618/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!


     _       ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,     本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし     ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ      本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |     ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l      ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
              ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。


.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:11:25 ID:cw+isZBN
>>1乙ー。
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:12:14 ID:zWcHhuPW
>>1乙です〜。
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:12:15 ID:Gw5Lkdqt
乙!
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:12:29 ID:pyhmCfI7
ゼロの氏賀Y太  
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:12:48 ID:kuoPbNdG
>>1乙!>>1の他にテンプレなし!
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:12:56 ID:q9p1WzDu
>>1
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:14:09 ID:wqo/55NE
>>1乙!
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:15:37 ID:mQeACE2x
>1乙
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:16:19 ID:qtrSfGdq
スレを立てた>>1が相手なら、覇王翔吼乙を使わざるを得ない!

AA略
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:18:11 ID:GhlzJslE
>>1乙ゥゥゥゥゥッ!

12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:31:12 ID:+NzzO4qH
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
  http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html
・Jane Style(フリーソフト)
  http://janestyle.s11.xrea.com/
・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
 前の作品投下終了から30分以上が目安です。

【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は応援スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。

【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
 議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
 皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
 著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
 いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
 追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:32:11 ID:+NzzO4qH
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
 ※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
  最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大

1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり

4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/17(日) 02:13:03 ID:9AxAAVZE
やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-244.html

完結:やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-245.html

やる夫が「売れっ子」ラノベ作家を目指すそうです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-284.html

やる夫が同人小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-371.html
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:33:20 ID:+NzzO4qH
このぐらいまで単純化できそうな気がする。

爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会

最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち

爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり

途中飛ばすけど、

 対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:34:43 ID:+NzzO4qH
ルイズが血色悪いおっさんにオッパイとマ○コいじられてまんざらでもない画像ドゾー
http://cgi.2chan.net/u/src/1221591197338.png
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:35:19 ID:+NzzO4qH
《神はまた言われた。
 「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ果樹とを地の上に生えさせよ」。
 そのようになった。…神は見て、良しとされた。夕となり、また朝となった。第三日である》
  (『植物の創造』:旧約聖書『創世記』第一章より)


地獄の深淵をフネで飛び越え、松下一行は反逆地獄の中心……『悪魔大王』へと向かっている。


「ルイズさん、起きてください。到着しましたよ」
「ん…………ああ、おはようサトウ……ミスタ・サトウ。案外早かったわね」
地獄に落ちて三日目、と言っていいのか。ルイズは佐藤に揺り起こされて目を覚ました。
寝起きには少々ショッキングな容貌の佐藤だが、言動は紳士的と言ってよい。育ちはそれなりに良いのだろう。
異形の『案内人』は、ここまで松下と喋り続けていたようだ。

窓の外を見ると、黒くごつごつした岩肌が見える。フネの後方にはオロロン、オロロンという異様な風音が響いている。
悪魔大王とやらが口や鼻から噴き出している、霊魂の吹雪の放つ音なのだろうか。

「お蔭で、精神力もだいぶ回復したわ。……で、ここはどこなの」
「悪魔大王の頭上、ですね。現世へ帰還するための座標は頭頂部ですので、もう少しです。
 ただ、私はここらでお別れとなりますが……」
松下は疲れた様子もなく、占い杖を手にして座席から立ち上がった。
「話し相手としては面白かったよ。もうぼくらがここに来ることはないと思うが、達者でな」
「みなさまも、どうぞ息災で……ささ、出口はこちらです。降りられましたら、そのまま真っ直ぐお進みください」

タラップを降りて上陸すると、確かに足元は赤黒く固まった熔岩のような、不毛の地だ。
しかし、ずっと向こうの小高い丘には、なにやら鬱蒼と樹木が生い茂っているではないか?
「ねえ案内人、あれは…………あれ、いないじゃない」
ルイズは振り向いて再び案内人を呼ぼうとしたが、彼らはすでにフネごとどこかへ消えていた。
「化かされたような感じだが、冥土ではあまり後ろを振り向かない方がいいぞ、ルイズ。
 仕方ないな、真っ直ぐ進んでいくほかあるまい」

松下、ルイズ、シエスタ、佐藤は気を引き締め、力強く現世への道を踏み出した。
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:36:02 ID:+NzzO4qH
投下終了、支援感謝。

松下一郎は出会ったことのない、悪魔メフィスト登場です。
ハルケギニア人の宇宙観がよくわからないので、四大元素説からアリストテレスの宇宙論を援用してみました。
原作でこのへんの話が違った感じで出てきたら……まあ、そのときはそのときで。
トマトが一般的な食材になったのはわりと新しいそうですがね。

さて、ルネサンス、大航海時代、宗教改革及び宗教戦争と来て、17世紀には『科学革命』が起こります。
近世と近代の狭間に生きたニュートンは、わりとマッドサイエンティストっぽい人だったようですなぁ。
ちなみに彼が林檎の落ちるのを見たという1666年頃は、ロンドンでペストが大流行したあと大火災が街を焼き尽くし、
トルコでユダヤ人のメシアが即位するという、なんとも黙示録的な時期でした。ほぼ300年あとに松下が死んでますな。

では、また。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:36:27 ID:+NzzO4qH
天を貫かんが如く、天高くそびえ立つ高層ビル、海馬コーポレーション本社ビル
突風が吹きすさぶこのビルの屋上で、対峙する二人の決闘者(デュエリスト)がいた。


「僕のターン!手札より、レッドガジェットを召喚!レッドガジェットの効果により、
手札にイエローがジェットを加える!」

歯車から手足が生えた機械の戦士が対峙する決闘者の一人、武藤遊戯の前に召還
される。
今はいない、彼自身であり最大のライバルであるもうひとりの自分 『アテム』と
戦った時に、ともに闘った3色の歯車の戦士の一人、レッドガジェット。

「さらに、僕はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

ガジェットの後ろに、2枚の伏せカードが現れる。
そして、遊戯に対峙するのは、このビルの主であり現在世界で屈指のデュエリストとなった、
海馬瀬人であった。

「俺のターン!ドロー!手札より、魔法カード大嵐を発動する!」

ソリッドビジョンにより現れた大きな竜巻が、遊戯の場の伏せカード2枚を破壊していく。
破壊されたカードは、聖なるバリア−ミラーフォース−、そして、起動砦ストロングホールド。

「しまった!!」
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:40:08 ID:GhlzJslE
えっと…投下なら名乗って下さい。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:43:13 ID:mOSqSGjg
>>19
上のは只の荒らしだ。
っつーかどれだけヒマなんだよID:+NzzO4qH は。
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:48:10 ID:r+fqghhw
3次禁止もテンプレ載せた方が良いのかね
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 18:51:07 ID:my8IFanT
だんだん質が悪くなってきた・・・。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:14:12 ID:TwJ7wjdE
オスマンコルベール覗き見

ここにときめきを感じた。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:16:04 ID:2uR+1lpz
キチガイは病院に監禁すべきだな。迷惑を被る人数が多すぎる。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:29:56 ID:F8YKMnlF
氏賀氏賀うるせえキチガイ。死ねばいいよ。
26子守唄:2008/09/21(日) 19:35:39 ID:KJmI3cDB
空いてるようなので最終話+蛇足、投下します。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:35:55 ID:6cO9f+XD
>1乙
28白き使い魔への子守唄 1/7:2008/09/21(日) 19:36:35 ID:KJmI3cDB
かつて、私はお父様の望みをかなえようとした。
――我ヲ滅セヨ。
うん、いいよ。私はお父様の願いをかなえる。
でも、私の力ではお父様を滅ぼす事はできなかった。
だから眠らせた。深い地の底に。お父様の願いをかなえられないまま……。


   最終話 白き使い魔への子守唄


「再ビ我ト契約シ、自ラ契約ヲ断チ切リ、終止符ヲ打テ。
 ウタワレルモノ、ルイズ……」
そう言うとハクオロは、ルイズを乗せてない方の手を自身の胸に当てて続けた。
「魔法トハ精神力……汝ガ不本意ナガラモ十六年間溜メ続ケタソレヲ、
 今マデノヨウナ小出シデハナク、スベテヲ解放シ……其処ニ契約ガ加ワレバ……」
他にどうしようもない事が、使い魔のルーンから得られる感情や情報で解ってしまうから、
ルイズはうなずくしかなかった。
ハクオロが平穏を望んでも、分身が消える訳ではない。
そしてウィツァルネミテアの本能が、必ず禍を呼ぶ。
だから。
「……ええ。結ぶわ、その契約!」

高らかにルイズは答え、高らかにハクオロは応じた。

「今、ココニ契約ハ成立シタ」
「汝、虚無ノ魔法ヲ行使シ」
「我ヲ滅セヨ!」
「我ヲ滅セヨ!!」
「我ヲ滅セヨ!!!」

楔は――大神(オンカミ)に逆らった時、その五体を引き裂く。
しかし契約の内容は、大神(オンカミ)ウィツァルネミテアを滅する事。
ゆえにルイズは滅さねばならない。
再び黒く染まってしまう前に、己の白き使い魔を。

ルイズは自身に宿った契約の力を感じ取り、その威力を理解した。
虚無の魔法を最大の力で行使すれば、いかに神とはいえ……。

――お父様を眠らせて上げて――

「ええ、ムツミ。あなた達、親子の願い……確かに聞き届けたわ」
白き巨人となったハクオロの手の上で、ルイズは杖をかざす。
29白き使い魔への子守唄 2/7:2008/09/21(日) 19:37:31 ID:KJmI3cDB
ハクオロの、もう一人の娘、ムツミ。
もっとも色濃くウィツァルネミテアの力を受け継いだマルタ。
その危険性から肉体を分解、破棄処分されたロストナンバー。
しかし脳だけの存在となりながら、テレパシーによってアイスマンに語りかけ、
名を授かり、親子の情を深めていった哀れな娘。
アイスマンが他のマルタ達と逃亡した時も、ムツミだけは連れ出せなかった。

しばらくして、アイスマンは地下へと連れ戻された。
アイスマンはミコトを殺された怒りと憎しみから、
ウィツァルネミテアとして覚醒し暴虐の限りを尽くした。
しかし人類を滅しようとしながらも、自分を止めてくれと彼は願った。
止める事ができぬなら、我を滅せよと。

その願いに答えたのがムツミだった。
ムツミは超能力を使い衛星兵器に意識を介入させ、
人類が暮らしていた地下施設ごとウィツァルネミテアを焼き尽くした。

しかしウィツァルネミテアは滅びなかった。

やむを得ずウィツァルネミテアを封印し眠らせたムツミは、
翼を持つ種族オンカミヤリューの始祖となって、その血と魂を残した。

本来白い翼を持つオンカミヤリューの中に生まれる、黒い翼のもの。
それは始祖の生まれ変わりであり、
ムツミが持つ数多の人格が表面化しているにすぎない。
そして必要とあれば、ムツミとしての人格を覚醒させ、現世に再臨する。

それがムツミという娘だった。
ルイズとムツミは声がとてもよく似ていると、ハクオロは思い出していた。

ムツミと同じ声で、ルイズが虚無の詠唱を始める――。
30名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/21(日) 19:38:16 ID:Ml6FNo11
支援
31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:38:21 ID:89eL9Jgm
あ、くぎゅかw

支援支援
32白き使い魔への子守唄 3/7:2008/09/21(日) 19:38:21 ID:KJmI3cDB
「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ」

虚無の詠唱は、虚無の使い魔にとってかけがえのないもの。

「オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド」

それは赤ん坊が母親の子守唄(ユカウラ)を聴き安堵するのにも似ている

「ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ」

だからこの詠唱は、ルイズとハクオロの別れを告げるこの魔法は。

「ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル」

白き使い魔への子守唄――。

「エクスプロージョン」


白き閃光がハクオロを、そしてルイズを包む。
タルブの村の真ん中に、天空にまで届く光の柱が立つ。

虚無の光。
原子に直接働きかける虚無の魔法は、衛星兵器でさえ滅せなかったものを滅していった。

虚無の使い魔、記すことさえはばかられるもの。
神の元凶、ウィツァルネミテアを永久に眠らせるための輝き。

うたわれるもの、ルイズの起こす奇跡。


ルーンが教えてくれる。
ハクオロに痛みはない。
母に抱かれる赤子のように、優しいぬくもりに包まれている。

何もかもが白く染まる世界の中、ルイズは目を開いた。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:38:24 ID:6cO9f+XD
支援
34白き使い魔への子守唄 4/7:2008/09/21(日) 19:39:13 ID:KJmI3cDB
「ハクオロ……」
そこには異国の衣装に白い仮面の、人間の姿のハクオロがいた。
彼は優しい笑みを浮かべて、とても嬉しそうだ。
「伝説の虚無の力に目覚めたんだ……もう誰にも"ゼロ"などとは呼ばれないな」

ううん、とルイズは首を横に振る。
目頭が熱くなって、視界が歪み、服の袖でそっと拭う。
「そんな事……ない。私はやっぱり"ゼロ"のままよ。
 だって、だって自分の使い魔一人、満足に護れない。ハクオロを救えなかった」

いいや、とハクオロは首を横に振る。
さみしげだが、大地を包み込むような慈悲に満ちた表情だ。
「目を覚まし禍を大地に振りまくか、あるいは禍を孕んだまま永久に眠り続けるか。
 それしか選択肢の無かった私が、ようやく人としての最期を迎えられる」

「……ハクオロ…………!」
ルイズはハクオロの胸に飛び込むと、涙で濡れた顔を押しつけた。
「本当なら、大封印の中で眠り続けていられたはずのハクオロを、
 私が……召喚なんかしたせいで……目覚めさせてしまったせいで……」
「いいんだ。我を滅せよという願い、ようやくかなった。
 これでもう、二度とこの世に禍(わざわい)を振りまく事なく……。
 永久(とこしえ)に……眠れる……だから……」
「また、逢えるわよね?」
「ああ。もし……生まれ変われるのなら……。
 ミコトと再びめぐり逢えたように……。
 デルフと、シエスタを連れて……ルイズ、また君と……。
 刻を越えて……再び……」
二人の姿が白い世界に溶けていく。
しかし互いに、進むべき場所は違っていた。
これが、二人が交わす、最後の言葉。

「おやすみ……ルイズ……」
「……おやすみ、ハクオロ」

虚無の白光が消えると、そこに白い巨人の姿はなく、
ルイズは一人でタルブの村にに立っていた。
胸に穴が空いてしまったようなさみしい気持ちと、小さな希望のぬくもり。
きっとまた逢える日が来る。
その時、ルイズはルイズではなく、ハクオロはハクオロではないかもしれない。
けれどいつか、魂がめぐり逢う日を、二人は信じていた。
35白き使い魔への子守唄 5/7:2008/09/21(日) 19:40:57 ID:KJmI3cDB
こうして、うたわれるものと白き使い魔の物語は終焉を迎えた。
ハクオロの姿が消えてすぐ、アルビオン兵は投降し捕虜となった。
謎の巨人を倒した虚無の後光のおかげかもしれない。
けれど戦争までは終わらなかった。

タルブの村は戦争が終わるまで復興の目処が立たない。
シエスタのお父さんはすっかり塞ぎ込んでしまっている。
魔法学院でも、メイド達がシエスタの死を悼んでいて、ルイズも隠れて泣いた。

土くれのフーケは逃げ延びたようだが、ルイズに復讐する気はなかった。
だが戦場で出会った時、どうなるかは解らない。
殺したくはないが、償いはさせたかった。

ウェールズ皇太子は今度こそ護るための戦いをするとアンリエッタに誓い、
トリステイン王国に留まり平和のために尽くした。

タバサは――母親を連れてゲルマニアに亡命。
ツェルプストー家に面倒を見てもらっているらしい。
けれどいずれ、真の平穏を手に入れるため、ガリアと戦う覚悟がある様子。
ハクオロだけでなくルイズにも恩義を感じているらしく、
ルイズを助けにトリステインへ戻ってくる事もあった。

トリステイン王国の、いや、ハルケギニア平和は遠い。

タルブの村で壊滅的な打撃を受けながらも本国に多大な軍隊を残すアルビオン。
レコン・キスタを裏から操るガリアの影。
聖地を目指すためすべてを利用しようとするロマリア。
それぞれの国の思惑が交差していく中、歴史の表舞台へと現れる四人の虚無と四人の使い魔。

元凶たるものがいなくとも、人は争う。
己の欲のため、大切なものを護るため。様々な理由で。

左手にルーンを刻んだ少年が、小さな村を護るために青き光沢のアヴ・カムゥを駆る。
右手にルーンを刻んだ青年が、聖地を奪回すべく白毛をなびかせる猛虎に騎乗する。
額にルーンを刻んだ美女が、主命に従い両腕にはめられた腕輪の白光珠と黒闇珠をきらめかせる。

そんな中、ルイズは使い魔を自ら滅した悲しみに屈せず、強く生きている。
虚無の担い手として相応しい行動を取ろうと、一生懸命に考え、
ハクオロが望まなかった戦争という悲劇を止めようとしても、やはり戦争に身を投じるしかなく、
傷つきながらも、ハクオロがくれた強さと優しさを今も胸に抱きしめて。

虚無の担い手という肩書きではなく、
ルイズという名前こそが戦いの終えた未来に伝わり"うたわれるもの"となる日まで。


   白き使い魔への子守唄――完
36白き使い魔への子守唄――蛇足 6/7:2008/09/21(日) 19:41:50 ID:KJmI3cDB
時は折り重なり、数多の試練を越え、さらなる試練を越えるために――。


二度と使うまいと思っていたその魔法を、使わざるえない状況に追い込まれてしまった。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……」
その魔法がもたらした出会いと別れは、今もルイズの心に深々と刻まれている。
「五つの力を司るペンタゴン!」
再び禍を呼び出してしまうかもしれない危険はあった。しかし。
「我の運命に従いし」
そうならないという確信があった。
「"使い魔"を召喚せよ!」

呼ばれている。
必要とされている。
お父様の遺志を感じる。

だから、彼女は、そっと別れを告げた。
――さようなら、もう一人の私。
「えっ……!?」
銀髪黒翼の少女は、確かにもう一人の自分の声を聞いて、
その気配がこの世界から消え去るのを感じた。


今一度、唄おう。
虚無ではない彼女自身の名が歴史に刻まれ、うたわれるその日まで。

始祖の遺志を正しく継ぎ聖地を真の敵から奪回するために。
こちらの世界のすべての元凶に決着をつけるために。

――後に【黒き使い魔との夢想歌】と呼ばれる伝説が生まれる。
伝説を操り英雄としてうたわれるものと、黒翼の使い魔の物語。
それを伝える文献は数多く残されている。
その中の一冊に【白き使い魔への子守唄】という一節が在った。
それはうたわれるものが歴史の表舞台に立つ前の短い物語だという。

【白き使い魔への子守唄】は娘へと伝えられたという。
しかしいくら調べてもヴァリエール家にそのようなものは残されていない。
37白き使い魔への子守唄――蛇足 7/7:2008/09/21(日) 19:42:56 ID:KJmI3cDB
とある時代、とある場所。
双月の輝き、星々がまたたく、黒き大空の見える窓の一室で。


「この本を受け取って」
「……これは……?」
「私達の成した事は歴史に記されるでしょうけど、
 貴女のお父様との出来事はあまり知られてないし、吹聴する気もない。
 けれど伝えたい人達がいる。
 だから、この本は娘の貴女が持って行って」
「……そうする」
「……これで、私の役目はおしまい。
 ねえ、あなたの故郷の子守唄、聴かせてくれない?
 昔、聴かせてもらった事があるの。お願い」
「うまく歌えるか解らない。それでもいいのなら」
「それでもいい。ありがとう、ムツミ」


 ――静かに訪れる 色なき世界


振り返れば、いなくなってしまった人々が微笑んでいる。
いつか自分も其処へゆくのだろう。
その刻こそ彼女が契約を終え、門を開き故郷へと還り唄を伝えるものとなる。
永久の別れではない。

いつかめぐり会うために。


     すべての時を止め 眠りにつく――


「おやすみなさい、ルイズ」

38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:42:56 ID:TwJ7wjdE
お疲れ様

さぁ、次のSSを書くんだ。
君が"うたわれるもの"となる日まで。
39子守唄:2008/09/21(日) 19:44:08 ID:KJmI3cDB
投下終了、連載終了。

うたわれ本編の美しいエンディングに横槍入れて召喚したんだから、
うたわれ本編よりいい終わり方をしたら駄目だろうと、ウィツ様完全殺害を決意。
ハクオロさんがいなくなった先はトンデモオリジナル展開にしかないので幕引き。
というか「白き使い魔(ハクオロさん)への子守唄(契約強化エクスプロージョン!死ねぇ!)」を完遂したから、
例えその先の構想が半端にあろうとも、ここで終わらずいつ終わるのかという。

実は虚無四人使い魔四人そろって聖地に行って化石を発見し虚無=聖地ウィツというルーツを知り、
「それが虚無を操る者の宿命なら!」
「出たわねウィツァルネミテア!」※聖地ウィツは金王、白金王、黒王のどれか。
というゼロ魔世界の設定を根底から覆しつつ、某アークのパロENDという没案あり。
虚無=聖地ウィツという没設定よりも、虚無だけに虚無りたかったという思考が先にあった。
虚無るほどではないが結局最後の最後に放り投げてるから困る。

黒き使い魔、ガンダールヴのヒエン専用アヴ・カムゥ、ヴィンダールヴのムティカパは蛇足。
ミョズが持ってるのは光属性闇属性の腕輪。ゲーム中に登場しない妄想アイテム。
必要ないけど趣味で入れた。虚無るよりタチが悪い。
後書きまでgdgd。では虚無ってきます、さよーならー。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:45:27 ID:Vtkjc6uh
支援?
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:45:36 ID:89eL9Jgm
虚無りすぎワロタ

いや、もう大好き、
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:46:06 ID:VAxkQ7H0
乙でしたー
今までハクロオとかハオクロとか間違えてスマンw

次回作wktk
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:48:32 ID:/XH+18XD
ハクオロ
ハオクロ
ノラクロ
オフクロ
ユニクロ

いったいどれが正解なんだ
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:52:28 ID:7ckhyae/
>>43
ユニクロ
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:58:52 ID:Vtkjc6uh
白皇の人乙でした!



召喚に応じて頂きありがとうございました
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:59:56 ID:Q16cfaKw
>うたわれ本編の美しいエンディングに横槍入れて召喚したんだから、
>うたわれ本編よりいい終わり方をしたら駄目だろうと、ウィツ様完全殺害を決意。
ひでぇ。
47伝説のメイジと伝説の使い魔 ◆VOYDsokLyw :2008/09/21(日) 20:07:10 ID:loRXwhyH
予約がないみたいなので、第三話を投下しようと思います

時間は20:15頃です
第三話 使い魔の朝

春の朝は、どうしてこうも、心地がいいのだろうか。
滑らかでふんわりと被さる毛布の感触は、最高級のドレスを纏うように、肌を優しく包んでいる。
部屋の温度と毛布の暖かさのマッチ加減は最高である。体の芯から来る気持ち良さ。まるで憧れの騎士に抱かれているようではないか。
ああ、春眠こそ神が人に与えた祝福。
以上、暁を覚えないルイズの詩である。
ルイズが気分良く朝のまどろみを満喫していると、誰かが腕を掴んできた。しかもかなり強く。
ルイズはリラックスムードに水を差された気分になる。朝の恵みを邪魔するのはどこの誰だ?ルイズは体を傾け抗議しようとしたら、ものすごい振動が全身に襲い掛かる。
最初は地震と思ったが、そんな生易しいものじゃない。表わすなら、直下で大爆発でも起きたような衝撃。
ベッドが軋んで豪快な音を立てる。脳と内臓が体の中を跳ね回る。呼吸することも困難になっていた。このままではやばい方向で意識を失いかねない。
ルイズは、生物の根源たる危機回避本能を全開にして、思いっきり叫んだ。
「や、や、やめな、やめろ……やめろって言ってるでしょー!!」
隣室の住人を一発で叩き起こすほどの大音響が部屋内外に響き渡る。
全身全霊をかけた甲斐があったのか、体の内という内をシェイクする衝撃は収まる。
同時に、左腕を痛いほど掴んでいた、ごつい手の感触もなくなった。状況から推測するに、朝っぱらから貴族の機嫌を損ねる真似をしたのはこいつである。
貴族に非礼を働くことがどれだけ罪深いか教えてやる、と見上げた先にいたのは男。上半身は裸。
ベッドで眠る少女。裸の男。つまりこれは、所謂、アレなシチュエーションか?
恥ずかしさと女の防衛本能がルイズの頭までを完熟トマトのように真っ赤の染める。
「ひ、へ、い、いいい、いやぁあああああああああああああああああああああああ!」

春の日差しが心地よく降り注ぐ中、学院生徒は、可愛い女の子の悲鳴という、ある意味羨ましい目覚ましで起床することになった。
「ああああ、あんた誰?わ、わわ、わ、私に何しようっていうの!」
「ブロリー、です。朝ですよ」
名前を聞いて初めて、ルイズはこの男が昨日召喚した使い魔だと思い出す。
「ぶ、ブロリー。使い魔なんだから主より先に起きてくれてたのはいいけど、何よ!あの起こし方。乱暴すぎてびっくりしたじゃない!」
ルイズがブロリーに使い魔及び貴族の従者の責務とは何たるかを説いたのは就寝直前の話だ。
洗濯、掃除などの日々の雑用から、朝と夜に主の身支度を整える下僕としての役目を教鞭したと記憶している。
使い魔としては、主の目となり耳となること、入手困難な秘薬を見つけること、そして、最も重要である主の守護を命じたのだ。
その中に、主よりも早く起床し、主を眠りから覚ますこと、と確かにルイズは言っていた。
しかし、自分をシェーカーのように扱え、など天にも地にも始祖ブリミルにも誓ったことはない。
「いい、ブロリー。私を起こす時はもっと優しく紳士的にしないとご飯抜きだからね」
「ゴハン……」
召喚してからずっと変化の乏しいブロリーの瞳が、途方もないほど遠くを見るように、虚ろになる。
「私の言ってることわかる?つまり、何も食べさせないって言ってるのよ」
感情を表に出さないタイプ、と思っていたブロリーの表情がまた変わる。今度はこの世の終わりを宣告されたような顔をしている。
ルイズは謎が多い記憶喪失の使い魔ブロリーの弱点を一つ発見。どうも、こいつは食いしん坊らしい。それのかなりの。
ブロリーは性格に反して相当筋肉質だ。だから、ほかの人より多くのエネルギーが必要なのだろう、とルイズは勝手に想像した。
召喚翌日に効果のある罰則候補ができたのは好材料。相手の弱みを握れば、主人として手綱を握るのが容易だからである。
「ま、いいわ。私は寛大だからね。最初のミスくらい許してあげるわ。それより朝の支度よ。昨日言ったこと覚えてるわよね」
「はい」
珍しくいろいろな色を見せたブロリーの表情は、もう元の陰のある心の中を覗けない、元の無表情に戻っていた。
ブロリーは昨日教えたとおりにクローゼットから下着を、椅子からは制服を持ってきた。
記憶に障害があるブロリー。ちゃんと命令どおりにできるか、という不安はもちろんあった。どうやらそれも杞憂に終わってくれるらしい。
ルイズは下着を身に着け、ブロリーに合図を出して制服を着せる作業に入らせる。
「ちょっと、ボタンを掛け間違えてるわよ。しっかりしなさいよ」
「すみません」
全てを安心して任せられるレベルにはまだ遠いらしい。経緯がアレなのでルイズは大目に見ているが。
着替えも終わり、貴族の、メイジの証であるマントを羽織ったルイズは、朝食に向かうため、部屋の扉を開けた。
50名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/21(日) 20:14:52 ID:Ml6FNo11
支援
地上に熱をもたらす太陽の光を浴び、炎のように燃え上がる真紅の髪を掻き分ける。
そこらの男と肩を並べる長身。常に余裕と自信を失わない眼。学院の視線を一手に集める美貌。褐色の肌は己に活力を与え、伸びる四肢は男を妖しく惑わす。
ぴっちりと胸に張り付くブラウスをはだければ、男は皆彼女の奴隷。
出身は、長きに渡りトリステインの貴族と争った歴史を持つ、勇猛盛んで知られるゲルマニアの国。
女の名はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
社交の場ならば男の恋心を燃え上がらせ、戦場ならば敵も味方も焼き尽くす、トリステイン魔法学院でも屈指の炎の使い手だ。
キュルケは化粧をばっちり整え、今日は誰を虜にしようか、とターゲットを定めながら扉に手をかける。そこで、キュルケは動きを止めた。
彼女には何をする前にやらなければならないことがあるのだ。隣で寝起きする、家自体が犬猿の中であるヴァリエール家の三女、ルイズにささやかな復讐をするために。
朝っぱらから大絶叫とは、ヴァリエール家に常識の文字はないらしい。
キュルケは誰でも一発で起きる大音響で耳がキンキンしている。
おまけに、跳ね起きた衝撃と壁が壊れそうなほどの絶叫第二派のおかけで、彼女の使い魔、サラマンダーのフレイムがパニックになって大暴れ。
さすがは私の使い魔、惚れ惚れする力ね。なだめるためには私の部屋を飾る調度品をいくつか灰にしなきゃいけなかったわ……、とキュルケは不気味な笑みを浮かべる。
キュルケにとって、ヴァリエール家の人間に振り回されるなど屈辱以外の何物でもない。借りは必ず返せ、とキュルケに流れる血が訴える。
隣室のドアが開く音がする。ここが機会とばかりにキュルケはゆっくりと手に力を込める。
薄暗い部屋の中に廊下から眩しいほどの光が入り込む。扉をあけた隙間から、キュルケはルイズの背中を捕らえる。
さて、なんてからかってやろうか、と言葉を選んでいたキュルケの視界に恰幅のいい男の裸身が現れる。
上半身に服を身に着けず、足腰をどこかの民族衣装で包んでいる平民の男。昨日ルイズが召喚した使い魔だ。
これは使える、とキュルケはルイズを笑いものにする計画をパズルのように組み立てる。
準備完了。キュルケはいやみたっぷりな笑みでルイズの前に躍り出た。
「あら、おはよう。ルイズ」
こっちを見たルイズは最も会いたくない仇敵に遭遇したように顔をしかめた。わかりやすい性格である。
同じ表情を内に隠すキュルケとは雲泥の差がある。もちろん、体つきも、女としての魅力も、キュルケが圧倒している。
「おはよう。キュルケ」
「おはよう。爆音を響かせるしか能がないようね、ルイズ。素敵な目覚めをありがとう」
ルイズの顔が真っ赤に変わる。トマトみたいで少しかわいい。
キュルケはそこで間を置く。しかし、期待に反してルイズから何の反論も来なかった。先制パンチは相当効いてるみたい。
キュルケは獲物を捕らえた狩人の瞳をルイズに向ける。チャンスは逃さない。このままラッシュでノックアウトだ。
「人の迷惑になるのは魔法だけにしてね、ゼロのルイズ」
「う、うっさいわね」
ノーガードで打ち放題、なんて見込みは楽観しすぎか。と言っても、ルイズのガードなど高が知れている。
「こちらのお兄さんがあなたの使い魔?」
キュルケは、秘宝でも紹介するような丁寧な仕草で、かつ、相手を最大限馬鹿にした口調で、聞いてみた。
「そうよ」
ルイズからそっけない返事が返る。面白いほどにわかりやすい性格。平民の使い魔なんて、誰だって願い下げだしね。
「ダメよ〜、そんな態度。見なさいよ、この平民の体格。相当なものよ。すっごく強そうだと思わない」
「うっさいわね」
ボキャブラの少なさも結構なこと。ルイズはクモの巣にかかった哀れな蝶々。後は牙を立てて美味しく頂くだけ。
「あら、ゼロのルイズは使い魔がお気に召さないようね。もしかしたら、あなたはこういうのがいいのかしら?来なさい、フレイム」
キュルケは、マントの端をつまみ、仰々しく頭を下げる。自慢の騎士を紹介する姫のように。
本日の主演の登場である。灼熱の地、火竜山脈に住まう強力な幻獣にして「微熱」のキュルケを象徴する存在、サラマンダーのフレイムが重厚な体躯を揺らしルイズの前に現れる。
ルイズは、フレイムを見たらすぐにそっぽを向いて、悔しそうな顔を隠している。
ルイズのしかめ面を拝めないのはとても残念。でも、ルイズは背中で雄弁に今の感情を語っているので、気にすることではない。
キュルケがルイズの反応を楽しんでいたら、急に視界が遮られた。何だと思い見上げると、そこにいるのはルイズの使い魔。不思議そうな顔でフレイムを眺めている。
「あなた、火トカゲを見るのは初めて?」
人の言葉が耳に入っていないのか、男はまったく無反応。陰のある表情からはほとんど感情が読み取れない。
なんだ、と不快感を覚えていると、男の瞳がわずかに見開いた。フレイムと目が合ったのだろか。
キュルケは、男のことをつまらなくて変な男、と評す。
何だか気分を削がれたと感じたキュルケは、もういい、とばかりにこの場を後にしようとフレイムに向き直る。まさか、次に瞳が見開くのが自分、とはさすがのキュルケも予測できなかった。
フレイムが激高している。
眉間にしわが寄る険しい表情。己の敵と判断した相手のみに向けられる双眸。今にも飛び掛らんと、地に足を吸いつけている。口から漏れる炎と唸り声は獰猛な野性の本能が溢れるさまだ。
フレイムが警戒している、それも最大級に。その相手は誰か?ヴァリエールの使い魔……
「ちょっ、ちょっと。あんたの使い魔、何か危ないわよ」
ルイズの間の抜けた声でキュルケは我に返る。
もう一度フレイムを見ると、すぐにでも襲い掛かりそうなほどのオーラが出ている。今暴れたら、押えつける労力は先ほどの比でないことは明白だ。
「ルイズ、もうそろそろ朝食の時間じゃない。早く行かないと遅れるわよ」
普段のキュルケでは考えられないほど声が硬い。彼女も、フレイムの異様な雰囲気に飲まれていた。
「あ、あっそう。それじゃ、行くわよ。着いて来なさいブロリー」
そう言って、ルイズとその使い魔はこの場を後にする。
徐々に小さくなってゆく、ルイズの使い魔の背中。キュルケはそれに突き刺すような視線を向ける。
「遅刻」
腕を組んで警戒心をあらわにしているキュルケの耳に、場違いなほど感情の見えない静かな声が入り込む。
キュルケは、誰であるかをわざわざ目で確認する、など愚かなことはしない。今では学院一の親友となったタバサが、空気のように、キュルケの真横に立っている。
「あ、た、タバサ。いたのね。おはよう」
今日のキュルケはらしくない。声が震えるなど、普段では絶対に考えられないことだ。
常に優位を保ってきたルイズに、ここまで心を乱されるとは思ってもみなかった。
この借りは必ず返さねばならない。しかし、それは後回しだ。やろうと思えばいつでもできるし。
それよりも気になるのが、ルイズの使い魔のことだ。フレイムほどの幻獣をああも殺気立てた事実は無視していいものではない。
キュルケは男の正体を推理してみる。
見慣れぬ衣装。鍛え抜かれがっちりとした体。幻獣の警戒心を煽る何か。そう簡単に回答は得られそうにない。これは自分より知識がある者の協力が必要だ。
キュルケは知っている。物知りで、こういったことに興味を持ちそうな少女を。
「遅刻」
「タバサ。あんたに相談したいことがあるんだけど」
いつ何時も本から目を放さない少女、そして学院でキュルケと互角の実力を持つ優秀なメイジである雪風のタバサは、何、とばかりに首を傾げた。
人間、死にそうな顔した男が隣にいては飯がまずくなる。ついでに気分も悪くなる。
食事を楯にしたらあの落ち込みようだ。食い意地が張るだろうとは思っていた。しかし、貴族でない者がテーブルの料理に手を付けていいわけがない。
ここは常識的に考えて、使い魔としての食事を与えるのが道理。私は間違ったことはしていないのだ。
だから、その顔はやめてくれ。悪いことしたんじゃないか、と思うから。罪の意識って結構つらいんだぞ。お願いだから無表情に戻れ、ブロリー。

ブロリーは死にそうである。何でこんなに苦しいのか本人にもわからない。わかる事と言えば、目の前の貧相な食事が原因であるくらい。
小さな肉のかけらが浮いたスープと硬そうなパンが二切れ……
少なすぎると、自分をここに呼び出したという少女、ルイズに抗議を試みた。帰ってきたのは、テーブルの食事は貴族のものだからダメ。
貴族とか、平民とかわからない。でも、ダメと言われたら諦めるしかない。
それでも、腹は減る。自分は記憶がない。だから、以前どの位食べていたかわからない。この分だと、相当な大食感なのだろうか。
ルイズは祈りを捧げると、目の前の直時に手を伸ばし始めた。ブロリーにはひどく羨ましい光景。
無意識に、ブロリーの口から涎が垂れる。腹が減って仕方がない。腹の虫が、飯をよこせ、とがなり立てる。
空腹で死にそうだ。本当に死ぬかもしれない。ブロリーの意識が徐々に闇に飲まれていく。
ああもうだめだ、と意識を失いかけた時、ブロリーの鼻腔にご飯の匂いが入ってきた。
最初は、この食堂から漂ってきたと思えたが、どうも違う気がする。意識を集中して、もう一度匂いの軌跡を辿る。
食いしん坊万歳的なすさまじい集中力。数刻もしない内にブロリーは匂いの元を発見した。
食堂の奥、人が出入りしている扉の向こうからここに辿り着いている。
犬も真っ青な恐ろしい嗅覚、というより怨念に近い執念の賜物である。
ブロリーは、夢遊病患者のように、扉の方面へ四肢を導く。

ここは学院の食を一手に引き受ける厨房の中。朝、昼、夜には、貴族への食事の準備で、戦場と化す。
朝の時間帯は眠気を打ち払う熱気に包まれるこの場の空気が、今、固まっている。
「あの……どうされたのですか?」
厨房のアイドル的存在、黒髪とそばかすを持つ可愛らしい女の子、メイドのシエスタは困り果てた顔でそう聞いた。
状況を説明してくれる人は誰もいない。皆が皆、固定化でもされたようにピクリとも動かない。
注意してみればわかることがある。それは、厨房の人間全員がシエスタを見ていないことだ。
じゃあ何を見ているのかというと、シエスタの背後に立つ獣を見ているのである。
姿形は間違いなく人間。しかし、それは飢えに飢えた獰猛な肉食獣と変わらぬ殺気を放っている。
誰が見ても危険な存在。故に、誰もが指一本曲げることができない。
男が、一歩前に出た。気配を感じたシエスタが後ろに振り返る。化け物につけられた事実を今さら知って、シエスタは驚愕する。目じりに涙を浮かべながら。
男が前傾姿勢をとる。殺る気だ!厨房内に緊張感が一瞬にして伝染する。
「た……助けて!」
誰かが耐え切れないように叫ぶ。もう、手遅れ。男はさらに姿勢を低くし……そのまま木の葉みたいに倒れこんだ。
「はぁ?」
間抜けな声が食堂内の空気を解していく。
「はっはっは!すまんな若いの。動けないほど空腹だったとはな。あんまり怖いんで野獣かと勘違いしちまったぜ」
この厨房をまとめるコック長のマルトーは、両手を広げて大笑いしながら、そう言った。
ブロリーは、取り憑かれたように、木製の机に所狭しと並ぶ料理を口に運んでいる。
「いい食いっぷりだな、おい!お前確か貴族に召喚された使い魔だってな。本当に人間とは驚いたぜ。しかし、お前の主人は酷い奴だな。こんなになるまで飯を与えねえとは」
厨房の隅から隅まで響くマルトーの野太い声などどこ吹く風、ブロリーには目の前の食材しか見えていないようだ。
「食いっ気がありすぎて聞いてねえか。お前のような奴は好きだぜ。こっちも作り甲斐があるってもんだからな。じゃんじゃん食ってくれよ!」
秒単位で皿から消えていく料理。この時、誰かが気づけばあんなことにはならなかっただろう。
でも、誰も疑問に思わなかった。あいつどれだけ食うのだろうか、とは。

料理人にとって、作った料理をうまそうに頬張ってくれる客は嬉しい存在だろう。残さず食べてくれとさらに嬉しい。
ブロリーのように豪快に皿を平らげる客は手放しで喜んでいいはずである。なのに、ニコニコする人間は誰もいない。
変わりに、唖然とした顔、青ざめた顔があるのは如何にしてか。
世の中には限度という言葉がある。人間、これを超えられると不快にしかならない。
ブロリーの胃袋は、限度なんて言葉を宇宙の彼方に消し飛ばすほど、すさまじいものなのだ。
『胃袋革命』(Stomach revolution)である。
でかい、でかすぎる。いや、底なしだこれは。こいつは腹の底に異世界へのワープゾーンでも抱えているに違いない。まさか、瞬間消化器官でも搭載しているのか。
でなきゃこの量はありえない。もう体積以上なんてレベルじゃない。化け物がここにいる。
これは、あれだ。神の力を得た始祖ブリミルに逆らう悪魔だ。間違いない。神がこの姿を見たら天罰が下るだろう。
いや、確実に下る。下して欲しい。お願いだから下してください、飯抜きはいやです……

ただ今、ブロリーの姿を、正面以外から、捉えることはできない。四方を巨大な壁が囲んでいるからだ。
何かと言うと、残りカスで汚れたバベルの塔が鎮座している。全て男の頭より高く聳える雄大な白き巨塔。
これを数分足らずで築いたんだから驚きだ。それだけ食べてもペースが一向に落ちないのは恐怖に値する。
このままだと食料庫が空になる。貴族の分は別に管理しているのでそっちは安全だ。危険なのは厨房で働く職人と貴族に奉公するメイドの分。
危機を察知し、止めに入った者も当然いた。無理に止めたのがいけなかった。彼は睨まれ魂を抜かれたように気絶してしまった。
ああ、哀れマイカル=カリック。誰よりもチェスが強かった。お前の作る前菜は見事だったよ。あれほどメインディッシュを生かせる料理は見たことがない。
放たれた猛獣を止めることはできない。人間の弱さを噛み締めながら、厨房の職人たちはうなだれる。
もう何皿目になるのか、数えるのも面倒だ、ブロリーはぺろりと平らげる。そして、食器を置いた。
歓喜の待ちに待った瞬間が到来したのだ。トリステイン魔法学院厨房はこの辛く苦しい戦いを耐え切った。神が、始祖ブリミルが彼らに祝福を授けたのだ。
厨房は、自由でも勝ち取ったかのように、開放感で満ち溢れていく。まだ彼らの分は残っている。ひもじい思いをしなくて済む。
「これ、おかわり。後、これも欲しい」
信じた者に裏切られる。栄光から転落へ。おいでませ世界洞窟・空洞紀行。本日の料理は虚無でございます。
厨房を突き破らんほどの悲鳴が学院全体に響き渡った。

「ブロリー、食堂抜け出してどこ言ってたの?」
「優しい人に助けてもらいました」
「はぁ、意味わかんない。ま、いいか。授業が始まるからこっち来なさい」
55伝説のメイジと伝説の使い魔 ◆VOYDsokLyw :2008/09/21(日) 20:20:19 ID:loRXwhyH
投下終了です

食事中の方、見苦しい描写をしてしまい申し訳ありません
悪いのは木曜6時放送のアニメの再放送です

戦闘民族サイヤ人恐るべし
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 20:24:26 ID:7qOztCV+
>>43
クロモリ
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 20:29:29 ID:GhlzJslE
ブロリーの人乙
記憶を取り戻す事があったらハルケギニア終了のお知らせだなw
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 20:33:31 ID:/XH+18XD
素のブロリーの防御力ってどんなもんなんだろ
超サイヤ人状態だと悟空たちの攻撃に傷一つすらなかったけど
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 20:37:51 ID:qWG2y4no
>>58
ワルキューレの攻撃ぐらいなら蚊に刺されたぐらいにも感じないだろうなw
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 20:38:27 ID:N3c94G65
子守唄の人乙です
しかし完全殺害エンドっすか…?
私はまたいウィツ様だけ殺害抹消
晴れて自由の身になったアイスマンが元のトゥスクルに戻ってうたわれのエンディングに続いていく流れかと…
61大使い魔17:2008/09/21(日) 20:54:01 ID:Zha3wx6A
投下予約。

今回の注意事項です
・アトミック魔女
・きゅいきゅいくっ付く。HRもあるよ!
・電波ED

では、55分頃に投下しまっす。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 20:54:55 ID:ALEHGcOu
大支援
63大使い魔17:2008/09/21(日) 20:56:13 ID:Zha3wx6A
アーマーゾォォォォォン!!

タバサに聞け 俺の名は
アマゾンライダーここにあり〜

来るなら来てみろ シェフィルード
やるぞ 今こそ 命がけ

体が変わる緑色
正義の怒りの極彩色

イルククゥよお前のためならば
アマゾンライダーここにあり〜


第十四話「祝福されし男」

ヴェストリの広場。
ワンエイトが、キュルケに話しかけていた。
「キュルケちゃん、どうだった?」
「……ワンセブンは、超生産能力とロボターのおかげで、一晩じっとしていれば装甲とグラビトン以外は完全に直るけど。ルイズは……重傷よ。目が死んでいたわ」
「お姫様が、王宮の連中を抑え切れていればこんなことには……」
「ワンエイト!」
「だってそうじゃないか!」
口ゲンカに発展しそうな空気を換えるため、魔天郎が空気を読まずに割って入った。
「二人とも、止めたまえ。過ぎたことで言い合って何になる?」
「マテンローの小父様……」
「魔天郎さん……」
「今は、座して待つんだ」
64大使い魔17:2008/09/21(日) 20:57:06 ID:Zha3wx6A
女子寮近くの広場。
要塞ワンセブンが待機していた。
内部では、ロボターの作業を見学しつつ、コルベールが手伝っていた。
「これは酷いことになっていますな」
「冷蔵庫とかは奇跡的に無傷だったけど……。やっぱり装甲とグラビトンの方はボクたちだけじゃ完全な修理は無理みたい」
「アカデミーの面々でも修理できるかどうか……」
「たとえ出来るとしても、ワンセブンが首を縦に振るかどうか。……うわ、妙に静かだと思っていたら、言語機能までイカレてる」
「なんと……」
「こっちは……。よかった、自力で修復中だよ」

ルイズの部屋。
廃人状態のルイズを、シエスタが甲斐甲斐しく世話していた。
「ミス・ヴァリエール……」
虚ろな目でワンセブンの名を連呼したり、いきなり舌を噛み切ろうとするルイズに、シエスタは悪戦苦闘していた。
気のせいか、ルイズがワンセブンの名を連呼するたびに、シエスタは室内の空気が重くなっていくように感じた。
「ワンセブンワンセブンワンセブンワンセブン……」
「ワンセブンさんならきっと大丈夫です。ロボターくんがいますから」
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 20:58:41 ID:6cO9f+XD
しえん
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 20:58:46 ID:ALEHGcOu
勢いをつけて支援
67大使い魔17:2008/09/21(日) 20:58:48 ID:Zha3wx6A
ガリアのある施設。
ハスラーとジョゼフが、ルーン文字が印刷された紙をまじまじと見ていた。
「アレから一ヶ月弱でようやく判明したのか」
「まあ、ここでロボットを生産する合間にやっていたからな」
この数週間、ハスラーは施設にこもり、ロボットの生産に腐心していたためルーンの判別が遅れに遅れたのだ。
「……フム、思ったとおり、ワンセブンとやらも俺のミューズ同様、虚無の使い魔のようだな」
「良く分かったな、王様」
軽く驚くハスラーに対して、ジョゼフは何故か勝ち誇るかのような顔をしていた。
本質は子供同然であることの、表れなのであろうか?
「ミューズと契約した際、虚無の使い魔のルーンが記されている本で調べたからな。このルーン、『神の笛』のものだな」
「神の笛……。あらゆる幻獣を思いのままに操るというアレか?」
「そうだ。しかし、俺に言わせれば、ワンセブンは『神の笛』では無く、『神』そのものとしか思えんがな」
「どういうことだ? 王様」
ハスラーの疑問に、ジョゼフは満面の笑みで答える。
いつものような狂気は見られず、まるで子供のような快活な笑みであった
「陸海空、果ては宇宙でも自在に動き回り、その気になれば世界を焼き尽くせるだけの力を有し、ましてやあらゆる物を造り、それの応用で自分を修復する。神と言わずして何と言う?」
「……神、ねえ」
「そう、神だよ、ハスラーさん。さしずめ、鉄の最高神(ゼウス)と言ったところか」

そこに、イザベラの使い魔、ハグルマンがやって来た。
イザベラの命令で、この施設に来たのである。
突如来訪した娘の使い魔に、ジョゼフは少しだけ面食らった。
「キング・ジョゼフ、主からの伝言だ。「シャルル派の動きが怪しいから、そろそろ戻ってきてくれ」、だそうだ」
「あれにはお前だけでなくデルザー軍団もいる。彼らに任せてもいいのではないか?」
「主はあのような性格だが、もし奴らに始末させたら余計騒動が大きくなると分かっている。所詮、弟殺しを後悔する様な軟弱者には子の心は分からないか」
ハグルマンの言い草が癪に障ったのか、ジョゼフは眉をひそめる。
そこに、物陰で待機していたシェフィールドが近づいてきた。
ハグルマンの言い草に瞬時に激昂したらしく、憤怒の表情と共に額のルーンが光っていた。
「貴様、陛下を愚弄したな!」
「正直な感想を言って何が悪い?」
「死にたいようだな」
この一言と共に、ルーンの部分が金属板状に変化。
次にシェフィールドの顔の皮膚が歪に盛り上がり、変色&変質して機械の部品になっていく。
そこにいるのは、顔だけが機械の部品の塊と化したシェフィルードであった。
ハスラーによる強化改造も兼ねた減量手術の末に、体重を2割弱にまで軽量化させた神の頭脳、シェフィールド。
本名、「アトミック魔女」!!
対峙するハグルマンとアトミック魔女
「俺を倒したければ、唯一俺より優れたロボットを、世界最高のロボットであるKを呼んで来い!」
「自惚れるな、歯車案山子如きが!」
しかし、いざ激突というところで、ジョゼフが二人の間に割って入った。
「やめんか。この建物を瓦礫の山にする気か?」
この一言で、ハグルマンとアトミック魔女はしぶしぶ戦闘態勢を解いた。
68大使い魔17:2008/09/21(日) 20:59:32 ID:Zha3wx6A
次の日、再び学院の女子寮近くの広場。
装甲とグラビトン以外の修復が終わったワンセブンは、ロボターとシエスタの手引きで、まだ寝たままのルイズを掌に乗せていた。
「むにゃ……? ワンセブン」
目を覚ましたルイズは、精神的なダメージのせいか、やつれていた。
「大丈夫、なの?」
イエス。
ワンセブンはいつもの声ではなく、効果音のような声を出した。
「ひょっとして、喋れなくなったの!?」
イエス。
「また、喋れるようになるの?」
イエス。
「ごめんなさい……私があの時……」
ワンセブンはルイズが言おうとした事を、空いた方の指をルイズの口に近づけることで遮った。
「謝る必要はないっていうの?」
イエス。
「でも……」
「ルイズちゃん」
そこに、ワンエイトが現れた。
朝靄のせいか、ルイズの目には、ワンエイトの姿が少し曇って見える。
「ワンエイト……」
「ルイズちゃんが自分自身を責めれば、一番辛い思いをするのは他ならぬ兄さんだ。だから、もう自分を責めないで」
「……」
ルイズは無言で頷いた。
そして、ワンセブンはルイズを部屋に戻して、要塞形態に変形した。

一方、タルブ村の草原。
草原には、ジロー、一文字、イチロー、茂がいた。
「……お姫様も怒っただろうな」
「……王宮では既に頭から血を流して倒れたやつが出始めている。死人が出なければいいが」
イチローとジローは、昨日のアカデミーによるワンセブン捕縛未遂事件に関して話していた。
あの一件で、ワンセブン接収を強行したアカデミーと、それを後押しした高等法院に対してアンリエッタが激怒。
既に、アカデミーの職員と高等法院のメンバーの両方に負傷者が出ていた。
なお、ジローたちがこの草原に集まっているのは、イチローと茂が持参してきた次元跳躍装置に、第二陣が来るとの連絡が入ったからである。
「誰が来るんだ?」
「……すぐに通信が切れたからな。聞く暇がなかった」
一文字と茂が草原を見渡す中、風の流れが微妙に変わった。
そして異常な風の動きは激しくなり、閃光が走るのと同時に止んだ。
代わりに、いかにも使い込まれたことが分かる「てんとう虫」と珍妙な改造を施された「フェアレディZ」が残された。
69大使い魔17:2008/09/21(日) 21:00:31 ID:Zha3wx6A
再び学院の、女子寮近くの広場。
フレイムとシルフィードを始めとするほかの使い魔たちが、要塞ワンセブンを心配そうに見ている。
そしてルイズがシエスタに連れられて来たのと同時に、ワンセブンは戦闘形態へと変形した。
「ワンセブン……」
「ルイズちゃん」
「本当に、謝る必要はないの? 貴方をボロボロにしたのよ。殺しかけたのよ」
「私が勝手にあの女を庇っただけだ。君に落ち度はない」
まだ亀裂が所々残っているワンセブンのボディを見ながらルイズは表情を曇らせる。
そこに、シエスタが不意にルイズの両肩に手を置いた。
「ミス・ヴァリエール、ワンセブンさんが謝らなくていいって言っているのですから、それでいいじゃないですか」
「……そうね」
ようやくルイズが納得したせいか、ワンセブンは妙に安心した。
と、そこに、タルブ村に現れた2台を引き連れ、ジローたちがやって来た。
驚くルイズは、ジローに問いかけた。
「殿下。どうしたのですか?」
「いや、ワンセブンとワンエイトに会わせてくれって頼まれてな」
ジローがそう言った直後、てんとう虫の後部座席のドアが開き、二人の中年男性が出てきた。
ワンセブンとワンエイトはキョトンとしていたが、中年二人は、嬉しさのあまり声を張り上げた。
「ワンセブン、生きとったかー!」
「ワンエイトー!」
姿は大きく変わっていたが、二人はその声に聞き覚えがあった。
岩山鉄五郎と、矢崎勇である。
「ガンテツなのか!?」
「勇、勇ー!」
大喜びする四人。
ルイズとシエスタはそれを呆然と見ていた。

「そうか、二人とも何で生きとったのかまでは分からんかったか」
「ああ」
ワンセブンは、手短に応えた。
ブレインに特攻し、核爆発でブレインを完全破壊した直後、気がついたら無傷の状態でハルケギニアにいた。
ワンエイトは爆発した直後、いきなり視界が真っ白になり、気がついたら砂漠にポツンと立っていた。
その際、聖地を占拠する「ガイマン」なるエルフの集団に襲われたが、自力で蹴散らした直後に偶然偵察に来ていたロマリアの密偵に助けられ、ロマリア本国に運ばれたのである。
教皇の勧めに従い、しばらくの間眠っていたら、いつの間にかレコン・キスタに強奪され、「協力してくれたらワンセブン捜索を手伝う」と騙された。
ワンエイトは、最も気になることを勇に聞いてみた
「勇、三郎やレッドマフラーのみんなは、元気か?」
「みんな元気だ。三郎なんか今は都知事だぞ」
「そっか……」
それを聞いて、ワンエイトは安堵した
そしてワンセブンに勇は尋ねた。
「ワンセブン、三郎に会いたくないか?」
禁断の質問である。
ワンセブンから召喚される前の出来事を聞いていたルイズは、一気に固まった。
「会いたい。だが、元の世界に戻るわけにはいかない」
「……ルイズがいるから、か?」
「そうだ」
それを聞いて、心なしかルイズは安心していた。
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:00:40 ID:xjtkUB2T
sien
71大使い魔17:2008/09/21(日) 21:01:52 ID:Zha3wx6A
学院長室。
ジローと、来客の内の一人が、オスマンと面会していた。
そのうちの一人は、スーツを着こなしてはいる。
しかし、その顔は明らかに人外と分かるものであった。
彼らがガンテツたちと共にこの世界に来た理由を聞き、何となくオスマンは納得した。
「なるほど。殿下を探しにこの世界まで来たのか」
「はい。しかし、ワンセブンが召喚される前のこの世界に来ていたとは」
来客の一人は不思議そうにそう述べる。
それに対し、ジローはこう言った。
「ワンセブンが召喚された後のこの世界にたどり着くとは限らない、ということだ」
「ケイ殿、殿下の言う通りじゃよ」
元ロボット刑事、現ロボット警視総監K(ケイ)はとりあえず納得することにした。

使い魔たちの溜まり場。
ルイズがワンセブンを連れて女子寮に戻ったため、シルフィードたちもここに戻ってきた。
タルブ村の決戦以降、ハヤブサオーはシエスタに同行し、学院に住み着いている。
ワンセブンのお墨付きのせいか、学院の使い魔たちとも簡単に打ち解けていた。
そして、来客の最後の二人、服部半平と黒樹洋を加えてみんなで和気藹々としていた。
“マサカ俺ト話セル奴ガ他ニモイタトハナ”
「我輩の方こそビックリしましたぞ。関東大震災で行方不明になったはずのあなたがこの世界にいたとは」
“アレカラ数十年、スッカリコノ世界ニ馴染ンデシマッタヨ。”
「住めば都、というやつでしょうな。ジローさんとまた会えただけでなく、あなたと顔を合わせることが出来た。我輩、祝杯を上げたい気分ですぞ」
一応忍者であるせいか、ハンペンはハヤブサオーだけでなく、他の使い魔たちとも普通に会話していた。
「ハンペンさんって凄いな。動物たちと簡単に会話できるなんて」
「いやあ、我輩はこの子達が「使い魔」だから会話できるだけに過ぎませんぞ」
「そんなものかな……」
しきりに首をかしげるヒロシだが、すぐにそれどころではなくなった。
シルフィードが急に倒れたと思ったら、いきなり人間の姿になったのである。
「きゅいい……。この姿になってないと、気分が悪すぎて動けないのね……」
無論、慌てたのはハンペンたちである。
大慌てでハンペンがシエスタを呼びに行った直後、ヒロシはシルフィードの異変の原因に気付いた。
ヒロシは微妙に膨らんだシルフィードの腹に手をあてた。

タバサの部屋。
何処に連れて行けばいいのか分からず、ハンペンとヒロシはシエスタから飼い主が誰かを聞き、人間バージョンのきゅいきゅいをタバサの部屋に運んだのである。
室内には、ベッドで横になっているシルフィード、ハンペンにヒロシにタバサにシエスタだけでなく、騒ぎを聞きつけ同行したキュルケもいた。
不意に、キュルケが大声を出す。
「はあ? 妊娠してる!?」
ヒロシが、シルフィードが妊娠していることを告げた直後、ハンペンとシエスタは腰を抜かし、タバサは絶句。
キュルケは前述の通り思わず叫んだ。
ヒロシは首を縦に振り、説明した。
「お腹の膨れ具合から見て……、召喚される前には既に妊娠していたと思う」
「この子、全然話してくれなかった」
「たぶん、何らかの理由で自分が妊娠したことや、赤ちゃんの父親のことを忘れてたんだ」
コントラクト・サーヴァントでルーンが刻まれた痛みが原因であることに、タバサたちが気付くのはもう少し後である。
ようやく抜けた腰が元通りになったハンペンが、首を捻り始めた。
「しかし不思議ですな。竜は確か卵生のはず。オマケにつわりがひど過ぎやしませんか?」
「言えてるわね。てか、韻竜ってこんなものなの?」
キュルケのこの一言に、ベッドで横になっているシルフィードが、やっとの思いで口を開いた。
「違うのね……。シルフィ、こうなった原因に心当たりがあるのねー。お腹の赤ちゃん、混血なのねー……」
シルフィードの爆弾発言に、全員がまた凍りついた。
心なしか、部屋の気温が5度ほど下がった気がするシエスタであった。
72名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:02:57 ID:xjtkUB2T
sien
73大使い魔17:2008/09/21(日) 21:03:03 ID:Zha3wx6A
その頃、女子寮近くの広場。
ハヤブサオーやフレイムたちがパニックになったのを聞きつけ確かめに行ったガンテツが、大慌てで戻ってきた。
何事があったのか気になったルイズたちは、戻ってきたガンテツの報告を聞いて絶句する。
数秒後にルイズが開口した。
「あの竜が倒れた!?」
「ああ。急に倒れて人間の姿になってな。ハンペンさんも洋君もパニックになってたぞ」
昨日、ショットガン片手に追い掛け回したのは何処へ置いたのか、ルイズはシルフィードのことが心配になった。
一方、ワンセブンは何故か違う方角を見ている。
それに気付いたワンエイトは、その理由をすぐに悟った。
野性的なバイクに乗った野生児が、誰かの名前を叫びながらこちらに近づいていたのである。
「イルククゥー、どこだー!!?」

再びタバサの部屋。
広場の方が妙に騒がしくなったことに気付いたタバサが、何事かと気になって窓を開けた。
「イルククゥー!」
野生児の絶叫が、タバサたちの耳にも入った。
この絶叫を聞いたシルフィードは気合で起き上がり、叫び返した。
「アマゾーン! ここにいるのねー!! きゅいきゅい〜!!」
直後、野生児、山本大介ことアマゾンが壁を登り窓から室内に入り込んだ。
「イルククゥ……、その腹、どうした!?」
ほのかに膨らんでいるシルフィードのお腹を見たアマゾンは、思わず問いただした。
「アマゾンの赤ちゃんがいるのね。る〜るる〜♪」
アマゾンに再会できた嬉しさからか、すっかり元気を取り戻したアホ竜がそこにいた。
それを聞いて嬉しくなったアマゾンは、シルフィードに抱きつこうとしたが……。
74大使い魔17:2008/09/21(日) 21:03:46 ID:Zha3wx6A
「ウインド・ブレイク!!」
女子寮近くの広場に、タバサの咆哮が響き渡った直後、暴風と共にアマゾンが窓から吹き飛ばされる光景を、ルイズたちは目に焼き付けてしまった。
「何事かしら?」
「何となく、分かるような、分からないような……」
シルフィードの怒号と、キュルケ、シエスタ、ハンペン、ヒロシの悲鳴が聞こえる中、ルイズの疑問にワンセブンは言葉を濁した。


「エ、エク、エクスプロージョーンッ!!」

いつも側にいて! 私のすぐ側 ずっと私を いつも いつも 愛してちょうだい♪
私に任せて 邪魔者なんて 全部根こそぎ 手当たり次第皆殺しよ♪

Touch Me! 突付いて欲しい その指で
Please Kiss! あなたにそうよ、もう一度したいの 

スキよ それは当然 キライ そんな訳ナイ
ないないない 破局なんて

だから「スキよ」そう言えるの Non Non Non どっかへ行ったら
私 壊れちゃうからね!

だって、あなたを誰より愛しているの
愛の基本よ オンナにしてね☆(ヘイ!)

ちゃんと分かってね! 私の気持ちを 敵が接近 誰よ? 誰よ? 泥棒猫は?
誤解しないでね 狂っていないわ 二人の愛は そうよ最強 絶対無敵よ!

Touch Me! 突付かれちゃうと とろけるの
Please Kiss! あなたの唇、どんな味がするかな?

スキよ それは当然 キライ そんな訳ナイ あるあるある 特別なキモチ

だから「スキよ」そう言えるの Non Non Non もしも死んだら
私、後を追うからね!

そ〜よ、あなたが誰より大切だから
愛のマナーよ 優しくしてね☆(ヘイ!)

Touch Me! 突付いて欲しい その指で
Please Kiss! 辛い時は……その両手で包んで

スキよ それは当然 キライ そんな訳ナイ ないないない 破局なんて

だから「スキよ」そう言えるの Non Non Non どっかへ行ったら
私 壊れちゃうからね!

スキよ それは当然 キライ そんな訳ナイ
あるあるある 特別なキモチ

だから「スキよ」そう言えるの Non Non Non もしも死んだら
私、後を追うからね!

そ〜よ、離れ離れは耐えられないの
愛の宿命よ♪ 子作りしましょ☆(ヘイ!)

「私、赤ちゃんが欲しいの、……ワンセブンの☆」
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:04:06 ID:xjtkUB2T
sienn
76大使い魔17:2008/09/21(日) 21:05:36 ID:Zha3wx6A
投下終了。
アマゾンが決闘するとこまで書こうと思ったけど、次回に持ち越し。
ちなみにアトミック魔女の元体重は300kg.です。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:13:58 ID:Ct3qUO/r
乙です。

>ちなみにアトミック魔女の元体重は300kgです。
2割弱でも60kgか…
人間の女性としては普通だが、萌えの範囲からは逸脱したなw
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:14:38 ID:6cO9f+XD
17の人乙
選りによっておとんが大自然のアレですかい
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:26:35 ID:xgx2TGuh
タバサはきゅいのおねえさまだから
タバサはおばさn


早かったな俺の死も
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:52:32 ID:6ztp8Qbj
大使い魔って言うタイトル見てたらなんか
大魔法峠のぷにえ召喚とか妄想してしまった
分家のバレッタなみにやばい気がした
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:53:47 ID:N3c94G65
産まれて来た子は一代雑種だから子孫は残せないな
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:53:56 ID:+E720UpH
>>79
Tスレ住人乙
83画像化されたことのない使い魔:2008/09/21(日) 21:54:16 ID:5KEW7Vo9
1レスのネタ

ルイズはサモンサーバントをとなえた
ルイズはとてつもなくおそろしいものをよびだしてしまった。
サイトはにげだした

タバサはきぜつした

ギーシュはにげだした

フーケはにげだした

ワルドはにげだした

7まんはにげだした

ビダーシャルはにげだした

スカロンはなかまになりたそうにこちらをみている

ちぃねえさまはにげだした

ルイズはおいかけた

そしてだれもいなくなった

以上、ドラゴンクエストでパルプンテを使ったときにくる『とてつもなくおそろしいもの』を召喚
ほかパターンあったらお好きにどうぞ
あとブロリーの人 乙 練金で飯作らないと足りないな
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 22:00:08 ID:GhlzJslE
>>83

何故スカロンwwwスゲー気になるwww
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 22:11:17 ID:XMuANWFl
呼ばれたのは 某 貂蝉 とか・・・

しかし、しっかりサイトがいるところがw
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 22:17:05 ID:ALEHGcOu
スカロンの仲魔なのか、あれは・・・それは実におそろしいが
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 22:29:57 ID:UjWVo/6W
恋姫†無双のキャラがルイズに召喚されました
というレスが立ててあった
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:05:46 ID:UNg5jXXU
>そしてだれもいなくなった

待て、タバサがw
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:21:53 ID:xNifW9tK
>>87
レスじゃなくてスレですね
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:28:08 ID:4h8l00Ui
anichara:アニキャラ総合[レス削除]
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku/1210154237/64
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:33:46 ID:667AXqfW
>>14
ついでに15巻までまとめてくれんかなあ
いまさら原作読むの面倒だし
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:41:16 ID:G9r4Crw6
原作に敬意を払えないやつが二次創作などかたはらいたいわ
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:45:31 ID:xNifW9tK
今日はアニメが最終回だから見るんだぞ
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:50:41 ID:xIN3Np8h
「さあう"ぁんといろいろ」の人まだかな。
楽しみに待ってますよ。
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:51:07 ID:XwirOdJt
>>91
ツネ
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:51:42 ID:667AXqfW
>>92
いやぶっちゃけ原作って2度も読み直すほどのものか?
アニメでさえ釘が出てなかったら1期の3話まで見れなかったぞw
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:54:27 ID:667AXqfW
>>94
あれ元ネタ知らん人多そうだからキャラ特性つかむ前に読むの投げ出す人多そう
複数召喚ってよほど自信ないと無理だわ
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:54:34 ID:yzOCE0nD
>>96
そんなレベルの思い入れの奴がSSなんて書けるのか?
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 23:59:43 ID:nKSLmVXJ
まあ、普通に読む分には何度でも読めるんだけど
資料として見る場合、どの巻のどのへんに目的の記述があったか
覚えてないと探すのが結構大変だよね、小説って
100さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:14:32 ID:sqODvRtq
>>94
すまん、疲れて今まで寝てたw

ッてことで予約がなければ投下。

101さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:17:07 ID:sqODvRtq
どうにかルイズに自分はロリコンでないと納得させた後、ワルドは居たたまれなくなったのか任務の続きと称して姿を消した。

「なーんか、見張られてるみたいで落ち着かないわねぇ」
「ずっと覗き見されてたと思うとぞっとしませんね」

キュルケのぼやきにショウが相槌を打つ。

「それじゃ、例の翻訳の続きをやっちゃいましょ。そんなに長くいられるわけでもないんだし、時間が惜しいわ」

言い出したルイズに視線が集中した。

「な、何よ?」
「いや・・・いいのか? 気分が乗らないのに無理にやる事はないんだぞ?」

むっ、とルイズが唇を尖らせる。

「大丈夫よ。リリスやタバサが疲れてるって言うなら休むけど」
「問題ない」
「ルイズがやる気になってるならこっちとしては望むところよ」
「しょうがないな、付き合うか」

笑み――中には苦笑も混じっているが――を浮かべつつ腰を浮かす四人に対し、それを笑って見送るものも存在する。

「頑張ってねー」
「魔法が使えない俺には応援しか出来ないからさぁ」
「そうそう、俺たちゃ三人で仲良くおしゃべりでもしてるんだね」

あら、と漏らしてリリスがヤンの手の中のデルフに気付く。

「何だデルフ、いたの?」
「いたよっ!?」

ちょっぴりショックなデルフリンガーはともかく、キュルケはまるっきり手伝う気はないようであった。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:17:38 ID:WmI5No1c
ワルド哀れ支援
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:18:15 ID:yEPE6nos
原作に敬意を払ってないSSね…
避難所の雑談スレで褒められてるのにもあるねぇ。
クロス先に微塵も敬意を払ってないのがなんとなく感じ取れるSSが。更新止まってるけど
104さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:18:57 ID:sqODvRtq
「ちょっと、ヤンとデルフは役に立たないからいいとして、キュルケ。あんたは手伝いなさいよ、一応トライアングルでしょ!」
「ひでぇよ娘ッ子!」
「そりゃそうだけど、そんなにはっきり言わなくたって・・・」

傷ついている一人と一振りはスルーして、キュルケが無意味に艶やかな笑みを浮かべた。

「残念、私実践派なの。テキストが完成したら写させてもらうわ」
「キュルケは頭はいいけど座学は余り得意じゃない。いてもらってもペースは余り変わらないと思う」
「むー」
「そういうことね」

下手をすれば侮辱とも取れるタバサの発言に、けらけら笑うキュルケ。
ルイズはまだ不服そうだったが、ショウに肩を叩かれて不承不承に客間のほうへ移っていった。
場に二人だけが残った所で、キュルケがヤンに囁く。

「ね、ダーリン。久々に二人っきりなんだし、歩かない?」
「う、うん? そうだね。シエスタが教えてくれたけど、花で一杯の綺麗な草原があるんだって。そこにいかないか」
「・・・なによぅ、いつの間にあの娘に手を出してたの?」

拗ねたような上目遣いで、キュルケがヤンを見やる。

「いや、その、そんなんじゃなくて、どこかでそんな話をしてたってだけだよ!」

面白いように動転するヤンに、キュルケは心の中だけで苦笑した。
それはまぁ、ヤンは流されやすくはあるが、どう考えても自分から他の女に手を出すような甲斐性はない。
おまけにこんな見え見えの引っかけを容易く真に受けて泡を食うなど、何ともうぶな事である。
まぁキュルケとしてはその辺りが新鮮で好もしいのだが。

二人が手に手を取って、微妙にほほえましいデートに出かけた後、デルフリンガーはテーブルに無造作に放置されていた。
さすがにデルフリンガーも、あそこで自分も連れて行けというほどには空気が読めないわけではない。
だが一人でぽつんと放置されると、やっぱり寂しい物は寂しいのであった。
あの武器屋にはしょぼくれた親父がいたが、今はそれすらいない。

「あー、誰か話し相手になってくれねぇかなぁ。デルフ、寂しいと死んじゃうんだよ。伝説の剣たるこの俺さまを寂しがらせるなんて、相棒達は重罪人だね! 本当、ハルケギニアの大損失だよ!」

ひとりごちてみる。
もちろん、どこからも返事はない。
窓の外には爽やかな初夏の風が吹き、時折小鳥のさえずりと牛の鳴き声が聞こえている。
溜息(?)をついてデルフは口を閉ざす。
一人で喋るのは果てしなく空しかった。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:21:13 ID:WmI5No1c
デルフの真の力さえあれば! 支援
106さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:22:03 ID:sqODvRtq
しばし後。
がやがやと甲高い喧騒がデルフの耳に飛び込んできた。
言葉遣いと声の高さからすると、変声期前の男の子のようである。

「ただいまー」
「「「「おじゃましまーす」」」

意外と礼儀正しく挨拶して玄関から入ってきたのは、はたして七歳から十二歳と思われる男の子ばかり十人ほどであった。
その中にはシエスタの弟たちのうち年少の二人も混じっている。
彼らはきょろきょろとあたりを見回し、デルフを見つけた。

「あれー、剣だけだぜ?」
「っかしーなー、剣士の兄ちゃんが赤毛の貴族様と残ってたんだけど」
「なんだよ、折角話聞かせて貰おうと思ってきたのに」

どうやらこの子達は、昨日ヤンが語ったラグドリアン湖の冒険譚を聞かせて貰おうと思って集まってきたらしい。

「なぁ、ヤンさんたちどこに言ったか知らないか?」
「何やってんだよジェローム。剣に話し掛けたって返事するわきゃねーだろ」
「ばっかだなぁ。これはえーと、イッテルゴゼンサマ・・だっけ。とにかく喋る剣なんだよ!」
「何言ってんだよ、剣が喋るわけ」
「このデルフリンガーさまに用かね、ガキんちょども。ちなみにヤンとキュルケは手に手を取って逢引中なんだな」

次の瞬間、子供たちから上がったどよめきは凄まじい物だった。
シエスタの母親とショウが揃って様子を見に顔を出した位である。

「すげー、喋る剣だぜ!?」
「な? 本当だったろ!?」
「すげーよ、これって悪い貴族からリュシアンとジェロームのねーちゃんを助けてくれた剣士様の持ち物なんだよな?」
「えー、魔法の剣なんだろ? だったら貴族様のじゃないの?」
「バーカ、貴族様が剣なんか持つかよ」
「そりゃそーか」

さすがに触りはしないが、取り囲んで好きな事を言っている。

「ったく、ガキンちょは遠慮がないんだね、これが。で、この俺様デルフリンガーに何用よ?」

おおおおおっ、と再びどよめきと歓声が起こった。
デルフにしてみれば喋るだけでこれほど驚嘆されるのは新鮮どころか、ちょっとした感動ものであった。
折角数百年ぶりに目覚めてみたのに話し相手もいないこの状況ではなおさらである。
一方、食堂の入口脇ではシエスタの母親が苦笑するショウを前に恐縮していた。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:23:10 ID:WmI5No1c
やったね!デルフ(非陶器の悪魔)は子供たちの人気者!支援
108さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:24:12 ID:sqODvRtq
「あの、あなた様の剣を、よろしいんですか?」
「構いませんよ、どうせ今はあいつも暇だし。むしろ話し相手になってもらって感謝してるくらいです。
 ただ、錆びてるとはいえ危ないから触ったり抜いたりしないように言って下さい」
「はい、分かりました・・・あんたたち! お許しが出たからお話はしてもいいけど、それは貴族様の持ち物なんだから触ったりするんじゃないよ!」

歓声が上がった。
無邪気にはしゃぐ様子に、自然とショウの口元にも笑みがこぼれる。
ルイズたちが見たら驚くだろう優しい笑みで子供達に頷き、ショウはそのまま奥に戻っていった。
子供たちはショウから冒険譚を聞きたがったが、シエスタの母親に一喝されたので諦めてデルフの元に戻る。
群がる子供たちを代表して、シエスタの弟が質問する。

「なー、デルフー。お前ってすげーの?」
「口の利き方を知らないお子様だな。もちろんすげーに決まってるじゃねーか」
「じゃーなんで錆びてるんだよう」
「知らね。幾ら落そうとしても落ちねんだから、まぁ仕方がないだろ」

微妙に白けた雰囲気が漂った。それはそうだ、幾ら魔法の剣といっても錆だらけでは威厳に欠ける事おびただしい。
ついでに言うと、子供は熱狂するのも早いが、冷めるのも早い。

「ひょっとして中まで全部さびてるんじゃねーのか?」
「このクソガキ! 何てこといいやがる! 俺様はガンダールヴの左手、デルフリンガーさまだぜ!?」
「ガンダールヴってなんだよ?」
「えーと・・・・忘れた」

子供たちからブーイングが巻き起こる。

「なんだよ、それじゃ本当に喋れるだけのただの錆び剣じゃないか!」
「馬鹿野郎、剣を外見で判断するんじゃねぇ! 俺はこう見えてもスゲえんだぞ!」
「だからどう凄いんだよ」

もはや冷め切った疑いの眼差しだけを向けてくる子供等に、デルフリンガーは己の名誉を守るべく必死でアピールを繰り返す。

「えーと・・・そう、そうだ。俺は6000年は生きてるんだぜ! なんせ元々ガンダールヴの愛刀だった俺をインテリジェンスソードにしたのはブリミルその人だからな!
 あいつが俺の前の相棒を嫁さんごと異世界から呼び出して、ガンダールヴにしたんだ!」

しん、と場が静まり返った。
どうだまいったか、とデルフが胸を張る。
が、子供たちの反応は彼の望むようなものではなかった。

「嘘吐き!」
「え、えぇぇぇぇっ!?」

驚く暇もあらばこそ、子供達による厳しい糾弾がデルフに雨あられと浴びせ掛けられる。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:25:38 ID:WmI5No1c
事実を語っているのに信じられないこのジレンマ!w
……ワルドの人血相変えて話を聞きに来そう。……立ち直ってれば 支援
110さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:26:22 ID:sqODvRtq
「こんな錆び剣が、始祖様の作ったもんなわけねーじゃねーか!」
「ウソつくならもっとマシなウソつけよ!」
「始祖様の名前を軽軽しく口にしちゃいけないんだぞ!」
「お前が貴族様の持ち物じゃなければ鍛冶屋のパオリさんの炉で溶かしてもらうところだぞ!」
「ちょ、ちょっと! ホントだ! ホントなんだって! 俺の前の相棒と現相棒に誓ってもいい、本当なんだ、信じてくれ!」
「行こうぜ。こんな嘘吐き剣もう相手にしてやるもんか!」
「ちぇっ、ヤンの兄ちゃんが居ればもっと冒険の話をしてもらえたのになー」
「リュシアン達はいいなー、昨日話してもらったんだろ?」
「喋った時は驚いたけど、こんな錆び剣なんて見かけどおりのガラクタに決まってらぁ」

口々に失望と怒りを吐きだし、少年たちは去っていく。
ナイーブな心を傷つけられた一振りの剣を残して。

「違うよう・・・本当なんだよう・・・ウソじゃねぇってばよぉ・・・」

しくしくしくと鬱陶しく泣くその言葉に耳を傾けるものはもういない。
いや、ただ一人だけ居た。
姿を隠して翻訳作業を行うルイズたちを観察していたワルド、正確に言えばその遍在である。
ショウがルイズの手元を覗き込んだり、二人の顔が接近したり手が触れ合ったりするたびに、憎しみの炎を滾らせていたのだが、その彼の耳に、デルフリンガーの「ガンダールヴの左手」というフレーズが飛び込んできたのである。
しばしルイズのことも忘れ、無言で考え込むワルド。
やがて顔を上げた彼の顔中に、人を不快にさせるような笑みがべったりと張り付いていた。



「それじゃ、お世話になりましたわ」
「いえいえ、あなた方は娘の恩人です。またいつでも遊びにいらして下さい」
「ねーちゃーん!」
「今度は夏に帰ってくるから、おとうさんとおかあさんの言う事を聞いて、いい子にしてるのよ」
「「「「「「「はーい!」」」」」」」

翌日、一行はタルブの村を発った。
時ならぬ里帰りをシエスタは存分に満喫したようで、その表情は晴れ晴れとした物だった。
シエスタの曽祖母リィナの呪文書を発見・解読できたリリス達もその表情に曇りは無い。
呪文書の解読には参加しなかった物の、ヤンとキュルケは久々に二人きりの時間を作れて、ヤンはタルブのワインも存分に楽しんで、概ね満足な旅であったようだ。
二日目の午後には男の子たちの襲撃を受け、慣れない調子で夕方までの間ずっとこれまでの冒険譚を開陳させられる羽目になったが、それはそれで満更でもなかったようである。
ちなみにデルフはあれ以来シクシク泣いて鬱陶しいので鞘に収めて布でグルグル巻きにされた挙句、馬の鞍に突っ込まれていた。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:27:57 ID:WmI5No1c
ってか、初代ガンダはスカルダか!? 支援
112さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:28:45 ID:sqODvRtq
だがただ一人、ショウだけは翻訳作業の折に時折思いつめたような顔をしていたのをルイズとタバサ、リリス達に目撃されている。
三人とも気を使って口にはしなかったが、意外に鋭いキュルケあたりは気付きながら黙っていたかもしれない。
恐らく、いや間違いなく原因はケイヒと名乗ったあの女侍。
明らかにショウを越える実力を誇る、鳳龍の剣術の使い手。
はっきりとショウに対する殺意を口にした以上、また彼女は現れるだろう。
それを思えば、ルイズ達も安穏とはしていられないのもまた確かだった。
とは言え四六時中それを思い煩っている事も出来ない。どちらにせよ、有効な対抗手段は無いも同じなのである。
何せ相手は転移(マロール)の呪文でテレポートすることができる。
いつどこで襲ってくるか分からないと言う事であるし、同時に最強の攻撃呪文である爆炎(ティルトウェイト)を修得している可能性も高いと言う事、つまり数を頼みにするやり方は難しいと言う事だ。
囲んでも爆炎の呪文一つで全員丸焼きになってしまったのでは意味がない。
ショウ達の世界の集団攻撃呪文は、術者やその仲間を傷つけないように発動と同時に術者の周囲に結界を張るようになっている。
つまりケイヒは四方を取り囲まれても、自分を中心に爆炎を発動させてそれら全員を同時に攻撃することが出来ると言う事だ。
レベルドレインと引き換えに巨大な力を発揮する呪文『大変異(マハマン)』、せめて『変異(ハマン)』が自分に使えればとリリスは思うのだが、大変異は魔術師系7レベル、それより効果の弱い変異も魔術師系6レベルに属する高位呪文である。
呪文の覚えが遅い司教(ビショップ)であるリリスにそうそう手が届く物ではなかった。

「ともかく、あれが出てきたら私が呪文を封じた上で集中攻撃をかけるしかないわね。
 鳳龍の剣術だってタイムラグなしに連発できるわけじゃないんだし」
「・・・まぁ、それはそうですが」
「何を気にしてるのよ。私たち全員でかかればどうにかなるって」
「だから頭をなでないで下さいよ」

ケイヒがいかに恐るべき敵か分かっていて、なおこういうセリフが吐けるのもキュルケのしたたかな所である。
ショウもそれがわかっているから、今はキュルケに黙って頭を撫でられていた。
もっとも、キュルケがこういう事をすると本人以外に激発するのがここにひとり。

「ちょっとキュルケ! あんた人の使い魔に何してるのよ! リリスも! ショウも振り払いなさいよ!」
「あら? やきもち?」

間違いなく狙ってやっているな、とショウやヤンですらわかる笑みである。

「むぐっ!?」

そのままキュルケがショウを抱き寄せてその頭を自分の胸に埋め。
しばらくして爆発音と悲鳴が昼下がりの街道を揺らした。

(何故だルイズ! なんでそんな使い魔なんかのことをいちいち構う!?)

そしてワルドも、ルイズ達から見えないどこかでハンカチを噛んでいたのは言うまでもない。
彼はこの日以降もルイズ達がキュルケにちょっかいを出されるたびに嫉妬の炎に悶え苦しみ、宿で翻訳の続きをするたびに歯軋りをして悔しがり、ショウとルイズが隣の席で食事をするたびに血の涙を流す事になるのであった。


113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:30:09 ID:WmI5No1c
ワルド、もう落ち着いてデルフをおだてる作業に行くべきだw 支援
114さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:32:07 ID:sqODvRtq
数日後のトリステイン魔法学院。
またもや姿を現した仮面の男に、フーケはうんざりを通り越してもはや無感動になってしまった目を向けた。
なにせこの数日という物、この覆面の男は用もないのに現れては怒鳴り散らして帰っていくものだから(全くひまな事だ)、フーケの我慢もいい加減限界に来ている。
しかも授業中で人気のないときならともかく、食休みや授業の合間、或いは就寝前を狙ったかのように現れるので余計に神経を使う。
結果として加速度的にフーケのストレスは上昇していた。

「今日はまだ3回目だね。なんかいい事でもあったのかい」

それでも軽口を叩くフーケを――軽口の一つもなければやってられない精神状態に追い込んだのはこいつなのだから、それくらいは許されるだろう――仮面の男は無言で眺めやった。

「なんだ、だんまりかい?」
「今夜、実行だ」

短く、要件のみを告げる。
しばしフーケも沈黙を保った後。

「そぉうかい」

にまり、と満面の笑みを浮かべた。

「・・・・?」

仮面の男が怪訝そうにその顔を見やるが、フーケの顔に浮かんだ笑みはますます深くなる。

「とにかく、今夜決行だ。抜かるなよ」
「わかってる、わかってるともさ」

にたにた笑うフーケを内心無気味に思いながら、仮面の男は去った。
彼には、自分のここ数日の行動が多大なストレスをフーケに与えたという認識は全く無い。

そして深夜。
トリステイン魔法学院に時ならぬ大音響が響き渡った。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラー!」

巨大なゴーレムが本塔の裏手、宝物庫のあたりを両の拳で乱打する。

「ブレイクブレイクゥ!」

通常ゴーレムは大きければ大きいほど動きが鈍くなる物だが、怒りが魔力を増幅したか、30mのサイズでは通常ありえないようなスピードであった。人間と比べても遜色ない。
無論、拳は鋼鉄に錬金済みだ。

「家を壊すぞ橋を壊すぞ宝物庫壊すぞー!」

宝物庫の分厚い石壁が、拳が当たるたびに大きく抉られ、石材が削れていく。
あの口の軽いハゲから、宝物庫の壁は固定化以外の防御は施されていないと聞き出しておいたのは正解だった。
こんなにも容易く穴が空くのなら、あの疫病神が来る前にさっさと盗んでトンズラこくんだった、とわずかに苦い思いが胸をよぎるが、気を取り直して目前の破壊作業に集中する。
その途端、ゴーレムの腕がぽっかりと空いた空洞を突き抜けてゴーレム本体がわずかにバランスを崩した。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:32:23 ID:WmI5No1c
あれ?ケイヒはひょっとして核撃斬も使える可能性もある? 支援
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:32:27 ID:Nq4q904j
ワルドがかわいい……?いやそれは単なる醜い嫉妬だった支援w
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:34:03 ID:WmI5No1c
ブレイク工業自重w支援
118さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:34:32 ID:sqODvRtq
「なんだ、もう空いちまったのかい・・・物足りないねぇ。いっそこの本塔丸ごと潰してやろうか」

まるっきり冗談に聞こえない、物騒な口調で物騒なことを呟きながら、フーケはゴーレムの腕を軽やかに伝い、宝物庫の中に下りたった。
この日のために数ヶ月を費やしたというのに、感慨めいた物が欠片も浮かんでこないのは腹に溜まった怒りのせいだろうか。
それでも何度も確かめたお宝の位置を素早く確認し、危なげない足取りですたすたと歩み寄る。
「それ」は記憶のとおりの位置にあって、小さな『破壊の剣』と記されたプレートの下で鞘に収まったまま安置されていた。

「ふん・・・『破壊の剣』なんてご大層な名前の割に、ちゃちい代物だこと」

フーケの言葉どおり、『破壊の剣』はごく慎ましやかな外見の剣であった。柄にも鞘にも装飾の一つもなく、そこらへんの武器屋にでも置いてありそうである。
ただ、抜いてみた刃にはフーケが今まで見たことも無いような凄みがあった。

「まぁいいさ、魔法の品なのは確かなんだし、何かとんでもない魔法がかかってるんだろう」

自分を納得させるように呟くと、フーケは『破壊の剣』を左手に持ち、軽やかにゴーレムの拳に飛び乗る。

「おっと、忘れてた」

振り向いたフーケが杖を振ると、壁に燐光を発する魔法の文字が浮かび上がった。

"破壊の剣、確かに領収いたしました。土くれのフーケ"



119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:36:09 ID:mXf6YOqr
…何でだろう…、スレ読んでたらグレンラガンのロージェノムが召喚される風景が浮かんだ…
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:37:21 ID:7Wi/Hnrb
マチルダブレイク工業自重
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:37:31 ID:WmI5No1c
エクスカリバーかはたまた、オーディンソードか 支援
122さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:37:31 ID:sqODvRtq
翌日、トリステイン魔法学院は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。
コルベールは青い顔をしながら立ち尽くし、シュヴルーズは自分の当番の日でなかったことを神と始祖ブリミルにこっそり感謝していた。
昨夜当直の当番であったギトーは衛兵達に門を守るようにいいつけ、自分は逃亡するゴーレムを「フライ」で追ったのだが、ゴーレムは途中で土の塊に戻ってしまい、結局手がかりを見つけることは出来なかった。
そして一夜明けた今、学院の全教員は宝物庫でオールド・オスマンが来るのを待っているのだが、そこはギトーによる時ならぬ独演会、あるいは早口言葉演芸会の会場になっていた。

「この世の理は即ち速さだと思わないかね諸君物事を速く成し遂げればその分時間が有効に使える遅い事なら誰でも出来る二十年かければバカでも傑作論文をものせる有能なのは月一回より週一回週一回よりも一日一回つまり速さこそ有能が文化の基本法則!
そしてそれと同じ事が戦闘にも当てはまる速く相手を見つけたほうが有利速く呪文を唱え始めたほうが有利呪文を唱える時間が速いほど有利発動が速い魔法が有利速く届くほうが有利速ければ相手の攻撃も当たらないいやそもそも魔法を打てない!
その速さの中でも特に重要なのは呪文の詠唱速度だ何故って呪文そのものの長さやエアハンマーファイアボールウィンディアイシクルゴーレムの拳そうした物の速度はどうやっても変えようが無いしかし呪文詠唱の速度であればどの系統であろうとも高速化しうる
そう言うなれば素早い詠唱つまり早口こそ実戦における最も重要な能力アビリティオブコンバットポテンシャル私は常々思っているのですよ軍務が貴族の尊い義務であるならば魔法学院においても軍事教練を課すべきでその最も重要な項目は早口言葉だと!
話は変わりますが全く残念ですな噂のフーケを取り逃がしてしまったとはもしフーケが逃げ隠れせずに私の目の前に現れたならばわが風を以ってゴーレムごと切り刻み吹き飛ばしてやりましたものをいや全く口惜しい恐らく彼奴めはそれを知って逃げたに相違ない
あのゴーレムは30メイル程もありました確かに土のメイジとしては噂通りの高位の術者しかしそれですら我が風の前には児戯に等しい何故なら戦闘における唯一絶対の要素は速さ速さ速さ速さ速さ一に速さ二に速さ三四も速さ五も速さ即ち速さ以外の要素などゴミだ!
土の系統にはゴーレムがあるから風の呪文では削りきれないだろうってそれはあさはかというものだ大は小を兼ねるのか速さは質量に勝てないのかいやいやそんなことはない速さを一点に集中させて突破すればどんな分厚い塊であろうと砕け散るっ!
そして決定的な差として風の系統の魔法に存在して土のメイジが操るゴーレムにない物があるゴーレムに足りないものそれはァ情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてェなによりもォーーーーーッ!

 速 さ が 足 り な い ッ ッ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:38:02 ID:WmI5No1c
クーガー兄貴自重w 支援
124さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:40:08 ID:sqODvRtq
元はといえば、実力こそ高いながら陰気で無気力といってもいい、風の系統の優位性を声高に唱えるだけの教師だったギトーであった。
それが、春の使い魔召喚が終った少し後にいきなり「私は風の真髄を、否、速さの真髄を見たァァァァッ!」と叫びだし、以降ずっとこのような状態である。
「向こう側の世界を見た」のだとまことしやかに囁かれてはいたが、実際のところどうなのかは誰も知らない。
ただ変人が別のベクトルの変人になったと言う点では教師と生徒を含め概ね意見が一致していた。好感度が上がったかどうかは微妙な所であろう。
それはともかく周囲の教師は彼の長広舌を止めようにも止められず、半ば諦めてそれを聞き流していた。
正確に言えばギトーの演説がまったく途切れないために口を挟むタイミングが見つからないのだ。正直いつどこで息継ぎをしているのかさっぱりわからない。

「私はかつて軍人になって戦いを経験してから気付いたことがある確かに文化も忠誠も貴族の誇りも素晴らしいしかし人間は本来争う生き物なのだよ故に戦いは避けられぬならば戦いにおいて最強の系統である風こそ四系統の中でも最高最強の系統!
私はこう思っているんだよ愛はすばらしいものだと愛する対象への献身心の支え心と心の触れ合いそれらがみな人生の経験になり得難い自分の一部として昇華する!しかし愛の目的を遂げるまでの時間は正直面倒だ前の男などさっさと忘れろと思う聞いてるかね諸君
いいかね人の出会いは先手必勝だどんな魅力的な女性でも出会いが遅ければほかの男と仲良くなっている可能性もあるなら出会った瞬間に自分が相手に興味があることを即座に伝えたほうがいい速さは力なのだ
興味をもった女性には近付く好きな女性には好きと言う相手に自分を知ってもらう事から人間関係は成立するのだ時にそれが寂しい結果を招くこともあるとしてもだそうとも先に告白したのに返事を保留されていつの間にか他の男とくっついていたなどありえない
そしてこうも思うのだよ男子たるもの旅を人生を歩むならその隣に女性がいるべきだと二人だけの空間物理的に近づく距離美しく流れる愛の調べ体だけでなく二人の心の距離まで縮まっていくナイスな二人道中だが他人にやられるととてもムカツク!
しかし自分でやる分にはまったく最高だ早く目的地に行きたいでもずっとこうしていたいこの甘美なる矛盾簡単には答えは出てこないしかしそれにうもれていたいと思う自分がいるのもまた事実!ウヒョーッ!ファンタスティーーーーック!!
いいか私はこうも考えているのだ人間は自由だと無理な命令や願いには拒否権を発動することができる嫌なことは嫌だと言い切る悩んでいる時間は無駄以外の何ものでもない即決即納即効即急即時即座即答!それが残りの時間を有意義に使うことに繋がる
加えて拒否権が無いのは他人に運命を左右されていると言う事他人に運命を左右されるとは意志を譲ったということで意志なきものは文化なし文化なくして人間はなし人間なくして私でないのは当たり前故に人間は自由であるべきであり私もまた自由であるべきだ
いい加減真面目に読んでいる読者も少ないとは思うがそれでも私は語り続ける何故ならば風こそはドラマチーック!エスセティーック!ファンタスティーック!ラーンディーングー!な系統でありそれゆえに全てを凌駕するつまり」
「サイレンス」

突然沈黙が落ち、ついでざわめきと拍手がそれにとって代わった。
部屋に入ってきたオールド・オスマンが杖をつい、と動かしてギトーと周囲の音の伝達を断ったのである。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:41:22 ID:WmI5No1c
……ケイヒの疾風斬でも見たのか? 支援
126さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:43:13 ID:sqODvRtq
「まずはギトーくん、昨夜起こった事を報告してくれたまえ」

返事が無いのをいぶかしみ、自分がかけた呪文を解除していなかったことに気付くと、オスマンは再び僅かに杖を動かした。

「おお感謝します、オールド・サンコン。これでようやくご報告ができるというもの」
「なに、礼はいらんぞ。後わしゃオスマンじゃ」
「それではご報告いたします、オールド・サンコン」

オスマンのツッコミを華麗にスルーし、ギトーが報告を始める。
内容は先ほどギトーが得々と語っていたものと概ね変わらないが、そもそも先ほどのあれをまじめに聞いていたものなどいなかったので問題ない。
一通り報告し終わったところで、このような場では珍しくコルベールが口を開いた。

「何故衛兵たちを門に残したのですか、ミスタ・ギトー?」
「陽動である可能性を考えたからだよ、ミスタ・コッパゲール」
「なるほど。それと私はコルベールです」
「それに、平民の衛兵では30メイルのゴーレムを相手に何も出来まい、ミスタ・コッパゲール」
「コルベールですってば」

まぁ確かに、と大方の教師が頷くのをよそに別の教師が口を開く。

「ミスタ・ギトー。あなたはゴーレムを追いかけたと言った。だが、途中で土の塊に戻ってしまったと言う事はゴーレムこそ陽動だったのではありませんか? だとしたらこれは責任問題ですぞ」
「誓って言うが、あのとき宝物庫の周辺には動くものは全くいなかったのだ。対してゴーレムの肩には黒いローブ姿の影が乗っていた。
勿論これが陽動である可能性は考えたが、ゴーレムも馬が全力で走る以上の速度で移動しており、そのまま逃亡しようとしていた可能性は低くは無かった。
 どちらかを選ばなければならないなら、門を衛兵達に警備させていたのだからゴーレムのほうを優先するのは誤った判断とはいえまい、ミスタ・ピグモン」
「マルモンだ!」

マルモンの難詰は退けた物の、他の教師からもぽつぽつとギトーの責任を問う声が上がり始めた。このような盗難事件で自分も巻き込まれてはかなわない、という集団心理である。

「ふむ、おぬしらの言葉にも一理ある。だが30メイルのゴーレムを操る、最低でもトライアングルの土のメイジに正面から挑んで阻止できた、と断言できるものはこの中に何人おるかの?」

が、オスマンの柔かくも毅然とした一言で彼らは皆黙り込んでしまった。
いるのならば挙手を、と求められて手を挙げたのがギトーだけだったのはともかく、他にギトーの責任を追及する声はもう上がらなかった。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:43:35 ID:WmI5No1c
全部読んだよギトーせンせいw 支援
128さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:46:31 ID:sqODvRtq
「さて、これが現実じゃ。責任があるとするなら、我々全員じゃ。この中の誰もが――もちろん私を含めてじゃが――まさかこの魔法学院が賊に襲われるなど、夢にも思っていなかった。
 何せ、ここにいるのは、ほとんどがメイジじゃからな。誰が好き好んで、虎穴に入るのかっちゅうわけじゃ。しかし、それは聞違いじゃった」

オスマンの杖が、壁に空いた大穴を指す。

「このとおり、賊は大胆にも忍び込み『破壊の剣』を奪っていきおった。つまり我々は油断していたのじゃ。責任があるとするなら、我ら全員にあるといわねばなるまい」

教師達が唇を噛む。
オスマンが視線を隣のコルベールに移した。

「コルベール君、宝物庫の被害は調べてくれたかの?」
「大雑把に調べただけですが、少なくともめぼしい物は無くなっておりません。断言は出来ませんがやはり被害は『破壊の剣』のみかと」
「ふむう」

と、オスマンが考え込むような顔になってヒゲをしごく。
それが大抵ろくでもないことを考えているか、何かをごまかす時の癖だと知っているコルベールなどは露骨に嫌な表情をしていたが、この時のそれはまるきり無意識の動作であった。

「ご苦労じゃったの、コルベール君。ミス・ロングビルがいればこのような事を君に頼む必要も無かったのじゃが・・・」
「あ、いえ。そう言えばミス・ロングビルはどこに? 朝から姿が見えませんが」
「それなんじゃよ・・・まぁそれはいい。さて、皆の衆。幸いにも盗まれたのは剣一振り、しかも王室から預かった宝物や学院の所有物ではなく私の個人的な持ち物じゃ。
 今回の件は将来の警備や我々に対する戒めとするにしても、私の個人的な問題として片付ける事もできるじゃろう。諸君はいつも通り授業に戻ってくれ。ああ、ミセス・シュヴルーズ」
「は、はい!?」

ほっとしたのも束の間、いきなり名前を呼ばれて動転している中年女性に、オスマンは宥めるように柔かく語りかける。

「あーいやいや、そう緊張せずとも良い。確か貴女は今日は午前中授業がなかったの。この大穴を、外見だけでいいから錬金で直して置いてくれるかの?」
「は、はい、わかりました、オールド・オスマン」
「頼みましたぞ」

ほっほっほ、と笑ってオスマンは教師達に解散を告げる。
そして自身はコルベールを伴い、学院長室に戻った。
執務机についたオスマンの表情が滅多に見られないそれ――つまり、真剣な物へと変わる。

「さて、ミスタ・コルベール」
「はっ」

思わず、かつての軍隊時代に戻ったかのように背筋を正すコルベール。
いい加減でちゃらんぽらんで女にだらしないセクハラ爺であっても、オールド・オスマンがあらゆる魔術師から等しく――或いは不承不承の――尊敬を受けているのにはそれなりの理由があるのだ。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:48:13 ID:WmI5No1c
さすがにロングビルは疑われそうだなぁ 支援
130さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:49:54 ID:sqODvRtq
「虚無の使い魔についてはどこまで調べが進んだかね」
「ミス・ヴェリエールとミス・ツェルプストーの使い魔が、虚無の使い魔ガンダールヴであることはほぼ確実と思われます。彼らは武器を持つとルーンが光り、身体能力が増強されます。これは古書にあった記述と一致します。
 ミス・タバサのエルフの使い魔は額にルーンがありました。観察する余裕がありませんでしたので確認は出来ませんが、虚無の使い魔ミョズニトニルンである事はほぼ確実と思われます」
「確か始祖の使い魔は全部で四体おったのじゃの」
「はい。あらゆる武器を用いるガンダールヴ、あらゆる動物を操るヴィンダールヴ、あらゆるマジックアイテムを操るミョズニトニルン、そして存在だけが確認される謎の一体です」
「ふむ、ふむ。ひょっとして始祖の使い魔は全て人間であったのかな」
「エルフだったのかもしれませんがそれは分かりませんね」

しばしオスマンは口を閉じた。コルベールもそれにならい、学院長室に沈黙が下りる。
時計の長針が二回ほど時を刻んだころ、オスマンが口を開いた。

「ワシも色々とコネを使って王室の書庫やあちこちの貴族の秘蔵の文献を覗いて見たんじゃよ」

無言でコルベールが続きを促す。

「『虚無』とは、本来王家に伝えられるべき力だったようじゃの。始祖は己の三人の子と弟子に一つずつ、計四つの虚無を与えた。それを継ぐのが現在のガリア、アルビオン、ロマリア、そしてここトリステインの王家なのじゃ。
 じゃが、いつの頃からか虚無の知識は失われた。どうもこれは貴族とロマリアがかかわっておるらしいの」
「王家に伝わる力ですか。そうか、ヴァリエール公爵家は元々トリステイン王家から王女が降嫁して出来た家でした!」
「その通りじゃ、コルベール君。つまり王家の血を受け継ぐミス・ヴァリエールは虚無の系統の魔術師であるという可能性が高い。それならば彼女が通常の系統魔法を一切使えない事にも説明がつくというものじゃ」
「しかし、ミス・ヴァリエールはともかく他の二人は? ミス・ツェルプストーもミス・タバサもトライアングルですし、王家とはまるで関係ないはずですが・・・」

ちかりとオスマンの目が光った。

「コルベール君、君は馬鹿かね」
「は?」

この、頭は切れるがどこかうっかりしたところのある部下に冷たい視線を浴びせつつ、オスマンは説明を始めた。

「ミス・タバサはどこの出身だか知っとるかね」
「はあ、確かガリアから来たと・・・髪が青いのはガリアの貴族によく見られる特徴ですし」
「いいかね、ハルケギニアで青い髪といったら本来はガリアの王族のみが持つ特徴なのじゃよ。ガリアの貴族に見られるのは王族の降嫁や臣籍降下で血が広まった結果に過ぎん。
 そして、青い色が鮮やかであればあるほどそれは王家の直系に近い証拠なのじゃ。ミス・タバサの髪がそうであるようにの」

ぽかん、と口をあけるコルベール。

「で、では・・・しかし、家名すら分からないのでは・・・」
「だからおぬしは馬鹿じゃと言うておる。隠すからには隠すだけの理由があると言う事じゃろうが」
「は、はぁ」
「まぁこの先は軽軽しくは言える事ではないが、ともかく彼女が王家の血を引いていることは間違いないじゃろう」
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:51:06 ID:WmI5No1c
やべー、オスマンが怪しすぎるwww 支援
132さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:52:56 ID:sqODvRtq
唸るコルベールであったが、ふと気付いたように話題を転じた。

「ところでオールド・オスマン。ミス・ツェルプストーのほうはどうなのでしょう?
 こう言っては何ですが、新興国であるゲルマニアに王家の血が伝えられているとは思えませんが・・・確かトリステインやガリアの王族が輿入れしたことも無いはずですし」
「そちらはわからん。が、何せ先祖代々のああ言う家じゃ。どこかの王女をさらって駆け落ちするようなつわものが過去にいたとしても、驚くには当たらんの」
「確かに」

今度は苦笑して首肯するコルベールである。

「まぁ異性であれば王女でも酒場女でも分け隔てなく扱うのは、ある意味あの一族の美徳かもしれませんね」

彼としては珍しいユーモア感覚の発露であったが、学院長は真剣で冷徹な表情のまま、またちかりと目を光らせた。

「コルベール君」
「は?」
「我がトリステイン魔法学院に下品な男は必要ないぞ」
「気、気をつけます」
「まぁそれは冗談じゃが」

一転して悪戯っぽくウィンクするオスマンに、コルベールの全身からどっと力が抜けた。この学院長はこれだから付き合いづらいのだ。
というか、それを言うならいの一番に粛清されるのは学院長本人ではなかろうか、と真剣に考えるコルベールである。
そんな彼の内心も完全に分かっていて遊んでいるのだろうオスマンは、悪戯っぽいそれからまたも表情を変え、深く溜息をついた。
そう言えば盗まれたのは学院長の個人的な持ち物だったと今更ながらにコルベールは思い出す。

「ところでまた話は変わるが」
「はい」
「ミス・ヴァリエールたちが帰ってくるのはいつ頃だったかね?」

コルベールが少し考えるような表情になった。

「タルブを発ったという手紙が一昨日の昼頃にフクロウで届きました。片道三日ですし、恐らく今日のうちには帰ってくるのではないかと」
「そうか、帰ってきたらわしの所へよこしてくれ。ちと彼らに話がある」
「わかりました」

頷くとオスマンは退出するように促した。
コルベールが一礼して授業に向かい、オスマンは窓際に立ってまだ帰ってこない生徒たちを見つけようとするかの様に遠くの草原に目をやる。

「どうも様々な事がいっぺんに動き出しておるようじゃのう。若い頃ならともかく、この老体には些かきついわい」
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:53:48 ID:WmI5No1c
支援
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:53:50 ID:LSZKhQKc
破壊の剣は村正かな支援
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:54:51 ID:WmI5No1c
デルフが村正、破壊の剣の最大候補はやっぱ、ハースニール? 支援
136さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 00:55:40 ID:sqODvRtq
ちと短いですがこれにてひとまず終了。
正直、今回ほど字数制限を恨めしく思ったことはありませんでした。
字数制限さえなければ、ギトーの演説を全部改行なしで行けたのに・・・・っ(ぉ

1時になって予約がなければ続き行きます。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 00:59:39 ID:WmI5No1c
とまれ乙! デルフの正体も材料がそろってきたし、フーケのはっちゃけぶりと凄いギトーせンせいも面白いぜ!
支援体制は整ってる!
138さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:00:41 ID:sqODvRtq
では1時になったので続きを。

結局ルイズ達が帰って来たのは午後の最初の授業が終わった頃だった。
職員室に報告にいったルイズ達は、たまたまその時限に授業がなかったコルベールによってそのまま学院長室に連れて行かれた。

「おお、お帰りミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプストー、ミス・タバサ、ショウ君とヤン君、リリス君も。それでタルブの村で収穫はあったかね」

中に入るなり好々爺の笑みで出迎えられ、ルイズ達は戸惑ったように顔を見合わせる。
やがて恐る恐る、と言った感じでルイズが口を開いた。

「あの、オールド・オスマン。それは一体どう言う・・・」
「何、特に深い意味はないぞ。わざわざ出向いただけの事はあったかなと聞いただけじゃ。例えば一般には知られていない系統の呪文とかの」
「えっ!? え、ええまぁそれなりには」
「そうか、それはよかったの」

と、ルイズの動揺など気に止めていないかのように頷いた後、オスマンが笑みを消した。

「さて、諸君等は帰って来たばかりだが、昨夜何があったかは聞いておるかね・・・ふむ、その様子では知らんようじゃの。
 かいつまんで説明すると、昨夜トリステイン魔法学院に賊が、知っとるかも知らんが『土くれのフーケ』が侵入し、宝物庫の壁に穴を空けて秘宝『破壊の剣』を盗んで行きよった」
「破壊の剣って・・・宝物庫を見学したときに見ましたけど、あの秘宝なんて言う割にショボいあれですか?」

身も蓋もないキュルケの表現に、苦笑しつつオスマンが頷く。
一方肩をすくめてそれに異を唱えたのはルイズだった。

「馬鹿ねキュルケ、そんな大層な名前がついているんだから何か凄い魔力が秘められているに決まっているじゃないの」
「あら、世の中見掛け倒しや名前倒れって事もあるわよ」
「例えばあなたの胸みたいな?」
「私の胸には愛情と情熱がたっぷり詰まってるのよ。毎晩ダーリンがもみ心地を確かめてくれてるんだからぁ」

そう言って誇示するかのように胸を突き出し、自分の手でそれをもみしだくキュルケ。
ダイナミックに形を変える双丘にヤンとリリスとルイズ、ついでにコルベールが頬を染め、ショウが礼儀正しく視線を外す。
そしてオスマンの目は鋭く輝き、そのゴムマリのような変形ぶりを一瞬たりとも見逃すまいとキュルケの胸元を貫いていた。
タバサとショウとコルベールの冷たい視線にさらされているのに気付き、咳払いして真面目な表情を作り上げたが、勿論後の祭である。
幸いにしてこの方面では今更失墜するほどの威厳もないのだが。
冷たい視線を向けたまま、ショウが話を元に戻す。
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:01:21 ID:WmI5No1c
支援するぜ
140さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:03:09 ID:sqODvRtq
「・・・で? わざわざ俺達を呼びつけたのはその破壊の剣とやらとどう言う関係があるんです?」
「いや、まったく関係ない。単なる世間話と言う奴じゃ」

しれっというオスマンに冷たい視線や呆れた視線が突き刺さったが、もとよりその程度でどうにかなるほど彼の面の皮は薄くない。

「わしが聞きたいのはじゃな、おぬしらが持ち帰った呪文書。それを残した夫婦が一体何者であったかなんじゃよ」

静かな衝撃が走りぬけた。
ルイズ達は無言で視線を交わしあい、コルベールはその言葉が引き起こした効果に戸惑ったように彼らの顔を見比べている。
オスマンは何も言わず、ただルイズ達が口を開くのを待っていた。
やがて頷き合って互いの意思を確認すると、リリスが一同を代表して口を開いた。

「学院長のご推察どおり、彼らは私たちの世界から来た人たちでした。武具も、呪文書に記されていた呪文も私たちの世界のものです・・・どうして分かったのか、よろしければ教えていただけませんか」
「何、簡単な事じゃ。わしゃ彼らと面識があったんじゃよ」

再びさざなみのように走った驚きが静まったのを見計らい、オスマンが再び口を開く。

「リィナ殿が魔法を使うところも見せてもらったからの。彼女は水魔法だと言っておったが、そうでない事は一目見れば分かる。
 ただ、このハルケギニアで下手に系統魔法以外の魔法を使ったらどうなるか・・・わかるじゃろ?」

リリス達が僅かに目を見張ったのを見て取り、オスマンが頷く。

「そう、下手をすればブリミルの教えに背く存在として異端審問行きじゃ。実際リィナ殿も一度は背教者呼ばわりされて危ない所じゃったんじゃ」
「それがどうやって助かったんですか?」

リリスの質問にぱちり、とウィンクしてオスマンが答える。

「簡単じゃよ。『リィナ殿の魔法は特殊ではあるが水魔法である』と教会の連中に言っただけじゃ」
「・・・それだけで?」
「なに、わしゃこう見えても魔法に関してはトリステイン一の権威じゃでな。そのわしが系統魔法だと言いはれば、連中にそれをひっくり返すことはできん」

ほっほっほ、と好々爺の笑みを浮かべるオスマンに対して、再び呆れたような――ただ、今度は好意的な――視線が突き刺さった。

「悪党ですわねぇ」
「褒め言葉と受け取っておこうかの、ミス・ツェルプストー」

艶やかな笑みを浮かべたキュルケの賛辞に、変わらぬ好々爺の表情で返すオスマン。全くもって狸爺いと呼ぶに相応しい。
ノックとほぼ同時に、息せき切ってミス・ロングビルが部屋に入ってきたのはそんな時だった。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:03:21 ID:zuA3orAZ
オスマン自重しろよww
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:05:11 ID:WmI5No1c
手ぐすね引いてる所に飛び込んできた蝶々 支援
143さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:06:34 ID:sqODvRtq
「オールド・オスマン、只今戻りました」
「ミス・ロングビル? 今までどこにいたのかね」
「遅れまして申し訳ありません。朝起きましたら土くれのフーケが魔法学院に侵入したことを知りまして、今まで調査をしておりました」
「おお、さすがじゃのう」
「それで、結果は?!」

鷹揚に頷くオスマンとは対照的に、息せき切ってコルベールが続きを促す。
ただその時、刹那オスマンの目に走った雷光に気付いたものがいたかどうか。

「はい、アジトらしき場所でフーケと金髪の女剣士が・・・」
「「「「「何ーっ!?」」」」」

この場にいていいものかどうか思案していたルイズ達が、タバサを除き一斉に叫んだ。
余りの反応に、ロングビルが驚いて口をつぐむ。
唯一冷静さを失わないタバサが、オスマンに向き直った。

「ひょっとしたら私たちに関係のある話かもしれない。傍聴の権利を要求する」
「ふむ。ま、いいじゃろう。ミス・ロングビル。続きを」
「は、はい」

彼女が語ったところによれば、フーケのアジトではないかと推察される廃屋で、フーケらしき黒いローブの人影と、大剣を背負った金髪の女剣士がなにやら会話しているのを見たものがいたのだという。

「細身で軽く湾曲した、変わった剣だったそうです・・そう、丁度彼が背中に背負っているような」

と、ロングビルはショウを指した。
ショウ達が互いに視線を交わす。

「知っておるのかね、その女剣士を」

オスマンの問いに、僅かに逡巡した後ショウが頷いた。

「随分と危険な相手のようじゃな」
「正直勝てる自信はありません。しかしこのまま見てみぬふり、という訳には・・・」
「いかないんでしょうね、やっぱり」
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:07:22 ID:LSZKhQKc
しえん
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:07:43 ID:z/exKeZa
いや、ウィズで「破壊の剣」っていったらネメシスのあれだろ。
ドクロに刺さってるやつ。最初は呪われてるけど。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:07:52 ID:2dxzMjBf
しえn
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:07:54 ID:WmI5No1c
バレてるな 支援
148さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:08:41 ID:sqODvRtq
リリスが深い深い溜息をつく。
それに激烈に反応したのはルイズだった。

「駄目よ!」

回りが呆気に取られるのも構わず、ルイズが言葉を続ける。

「あちらのほうが圧倒的に強いんでしょう? この前だって私の目の前で死にかけたじゃない! そんなの絶対に駄目よ!」
「しかしな、ルイズ・・・」
「駄目ったら駄目!」

取り付く島も無いとはまさにこのことだった。
かといって、ショウとしてもロングビルの言うことが本当であるなら放って置く訳には行かない。
複雑な表情をしていたリリスが、渋々という感じで妥協案を出す。

「んー、今回はその『破壊の剣』さえ取り戻せば戦う必要はないでしょ?
 破壊の剣を見つけたら取り戻してそのまま逃げる。見つからないままケイヒに会っちゃったらその場合も逃げる。これでどう?」
「・・・・」

ルイズは決めかねているのか、口をつぐんでリリスとショウの顔を交互に見ている。
ショウのほうもだんまりだが、積極的に反対する意思はないようだった。
やがてルイズが口を開き、控えめに反論する。

「でも、あの女剣士相手に逃げられるとは限らないでしょう? その時はどうするの?」
「大丈夫よ、万が一の時は私の呪文で皆で逃げ出せるから」
「・・・本当?」
「ケイヒが使った呪文に似たやつを私も使えるのよ。だから、逃げる分には大丈夫なの」

と言いつつも、内心リリスはそれを使わないことを心底願っていた。
なぜならその呪文、『帰還(ロクトフェイト)』は、パーティの仲間全員を窮地から救う代わりに、それ以外の物は何も救わないからである。例えば、身につけていた装備とか、金銭とか、服とか服とか服とか服とか服とか。
あんな呪文を使うくらいなら死んだほうがマシ、とまではさすがに言わないが、それでも可能な限り使いたくないというのはうら若き乙女の心理としては当然であろう。


149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:09:08 ID:CYsC+48f
支援
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:09:25 ID:WmI5No1c
……そうか!オスマンの狙いは実はこれか!支援
151さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:11:38 ID:sqODvRtq
一方ミス・ロングビルこと土くれのフーケはあまりの食いつきの良さに内心驚いていた。
まさに入れ食い状態・・・川に釣り針を垂らすなり、魚が食いついてきたと言ったところだ。
あの仮面の男の計画の、一番難しい部分がどうやってルイズ達を追っ手にさせるか、という点だとフーケは思っていた。
学院の秘宝が盗まれたのに、幾ら腕が立つとはいえ、何で教師や軍ではなく生徒が取り返しに行かなければならないのだと、普通は思うだろう。
そもそも奴の立てた計画自体が適当もいいところなのだ。

(お前は『破壊の剣』を盗んだ後姿を消し、ルイズ達が帰ってくるのと時を同じくして学院に戻り、『調べてきた』フーケの情報を彼らの前でオールド・オスマンに伝えるのだ。
 そうすればルイズ達は追っ手としてフーケを追跡するだろうから、お前は案内人として彼女らを森の中の廃屋におびき寄せろ。
 そして案内人のふりをしてルイズ達の中に紛れたままゴーレムを出して適当に戦い、負けたふりをして"錬金"で作った『破壊の剣』の偽物を後に残していけ。それでお前の仕事は完了だ)

ちょっと考えただけでも穴だらけの計画で、正直ここまで順調に行っているのが信じられないほどである。
フーケが学院から逃亡している状態で、学院内部の人間が消えたらどう思われるのか。
案内するように言われた廃屋は馬で4時間の場所にあり、そんなそう近くもない場所の聞き込みをピンポイントに、逃げた痕跡が残っているわけでもないのに一日二日で出来るものなのかどうか。
そこは何とか誤魔化すとしても、ルイズ達が午前中に帰ってきて、それに合わせてこんな話をしたら「馬で4時間もかかる場所で聞き込みをして、どうやってこの時間に戻って来れるんだ」と突っ込みが入ること請け合いである。
なにやら盛り上がっているルイズ達を横目で見つつ、こっそり溜息をつく。正直こんな穴だらけの計画、まともにやってられない。
ショウ達を誘い出すためにケイヒの事を匂わせるのも、タルブの事件を見たワルドが思いつきで出したアイデアだったというのは知らないほうが幸せであろう。
もっとも彼女自身余り人の事は言えない。
『破壊の剣』を奪うために潜入するも目論見が外れ、ズルズル三ヶ月も秘書をやっているのがいい証拠だ。元より行き当たりばったりというか、細かい事を考えない傾向のある彼女なのである。
計画の穴に気付いたのも彼女が綿密で入念な計算づくの行動を愛するからではなく、それを立案した仮面の男が嫌いだからそのあら探しをしていた結果に過ぎない、というのは本人の気付かない事実であった。

閑話休題。

フーケとしてはルイズ達と戦うのは正直気が進まなかったが、妹の名前を出されて重ねて脅迫されては是非もない。
殺さなくてもいいというのがせめてもの救いではあったが、それを言ったらそもそも勝てる自信がなかった。
仮面の男は必要があったら逃げるのを手伝ってやると言っていたが、フーケもそれを信用するほどにはお人よしではない。

(ありゃ絶対何か企んでるね)

というか、ゴーレムだけ戦わせればいいと言うから不承不承でもやる気になったのであって、正面から自分も戦うという話になっていたら即座にばっくれて逃げていたところだ。
ポイゾンジャイアント四体とモット伯の手下二人を纏めて血煙と肉片にしてしまったショウのあの技、あんな物を向けられたらいくらゴーレムに乗っていようとひとたまりもない。
大体ゴーレムを操っている事だって、どこからばれないとも限らないのだ。

(さて、どうなることやらね)

半ばやけっぱちなその呟きに、当然ながら答えはどこからも返って来なかった。


152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:12:15 ID:CYsC+48f
支援
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:13:05 ID:WmI5No1c
フーケ、マジ哀れ…… 支援
154さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:13:50 ID:sqODvRtq
一方、リリスの妥協案はどうにかルイズを承伏させたようであった。

「まぁ、そう言った手前私も付いていかないといけないでしょうね」
「私も付いていくわよ! ショウはいつも無茶するんだから!」
「お前に言われたくはないなぁ・・・」

苦笑しつつ、ショウもルイズの同行に反対する意思は無さそうだった。
キュルケが横目でタバサを見下ろしつつ尋ねる。

「で、リリスが行くって事は貴女もついていくのよね?」
「当然」
「なら、私も行くわ」

当然のように言い切るキュルケを、僅かに目を細くして注視する。

「貴女には関係のないこと。危険なのに付いてくる必要はない」
「やぁねぇ、心配だからに決まってるじゃないの」

特に誰が、とは言わなかったが、タバサにはそれで十分伝わったようであった。

「・・・ありがとう」
「んじゃま、結局全員で行くわけですね」

笑みを浮かべてヤンが一同を見回した。
キュルケが驚いたような表情を作る。

「あら、ダーリンも来るの?」
「ちょっ、キュルケさん、ひどくありませんかそれ!?」

ごめんごめん、と笑いながら肩を叩くキュルケ。
唇を尖らせて拗ねるヤン。
笑っているルイズとショウとリリス、表情は変わらないながら柔かい雰囲気を纏うタバサ。
そんな六人の様子を見て、オスマンはかすかに笑った。

「そうか。では、頼むとしようか」
「オールド・オスマン! わたしは反対です! 生徒たちをそんな危険にさらすわけには!」
「彼らがやる気になっとるのだからしょうがあるまい。それに、事実上この学院で一番腕が立つのは彼らではないかね?」

コルベールは口をつぐんだ。
オスマンの言葉は間違いなく事実であったし、「それともおぬしが行ってくれるか?」という言外の問いかけが言葉以上に雄弁にコルベールの反論を封じた。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:13:53 ID:HE2wUFzZ
そのものズバリはかいのけんって外伝4にあったな。
156名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:15:48 ID:WmI5No1c
パトラッシュ、刻が見えるよ…… 支援
157さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:16:23 ID:sqODvRtq
「今回は大丈夫ですよ、コルベール先生。危なかったらすぐに逃げてきますし」
「そうですよ、心配しないで下さい」

笑みを投げかけてくるリリスとヤンを複雑な表情で見返すコルベール。

「おぬしが戦えぬのは承知の上じゃよ。と、なれば彼らに頼むしかあるまいて」

これはコルベールだけに聞こえるようにそっと囁くと、オスマンは居住まいを正した。
今までとは別人のような、威厳のある声がその喉から流れ出す。

「それでは諸君。魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」
「「「杖にかけて!」」」

ルイズ、キュルケ、タバサが唱和する。ショウは剣を掲げもって鍔を鳴らし、ヤンとリリスも真面目な表情で頷く。

「と、言いたいところじゃが、実の所盗まれたのはわしの個人的な持ち物でのう。魔法学院として依頼する訳にはいかんのじゃよ」

が、続くオスマンの一言によってその雰囲気はどっちらけた。

「じゃからまあ、これは魔法学院ではなく、わし個人からの依頼と言う事になる。魔法学院が盗賊に入られて、しかもそれを自力で解決できなかったとなると、宮廷に介入されかねんでの」
「大人の都合という奴ですわね」
「政治というのはそういうもんじゃて」

キュルケの皮肉にオスマンは肩をすくめた。
タバサの目が一瞬鋭く光る。

「それは、私たちがそれなりの報酬を期待していいという事と理解する」
「まぁ、それは当然じゃの。わしのポケットマネーから出すのは少々痛いが・・・」
「お金はいらない」
「ほっ?」

タバサが報酬を要求した事と、それが金銭以外の何かであったことに興味をそそられた表情でオスマンがタバサの顔を覗き込むが、彼女はロングビルにちらりと視線を向けた。

「ああ、そうじゃの。ミス・ロングビル。馬車を用意してくれたまえ。それと彼女らの手助けを頼むぞ」
「元よりそのつもりですわ」

一礼し、ロングビルが退出する。
扉の閉まる音を聞き、オスマンがタバサに視線を戻した。
その目には強い興味の色がある。ルイズ達もキュルケは面白そうに、リリスは興味をそそられたようにタバサに視線を向けている。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:18:07 ID:WmI5No1c
悪だくみの匂い 支援
159さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:19:04 ID:sqODvRtq
「で、一体君は何を要求するつもりかね、ミス・タバサ」
「二つある。一つは、教師のみが閲覧を許される『フェニアのライブラリー』への入室許可」
「ふむ。今ひとつは?」

それに答える前に、タバサは杖を掲げて呪文を唱えた。
アレンジされた「サイレンス」の魔法が学院長室と外部の音の伝達を遮断する。
そして改めて口を開いた。

「ショウ達に関する知識を」

オスマンの眉が、器用に片方だけ持ち上げられた。コルベールの表情が僅かに動く。

「続けたまえ」
「何故私たちは普通の使い魔ではなく人間を召喚したのか、何故彼らは異世界から来たのか、何故彼らの体には珍しいルーンが刻まれているのか、何故ショウ達は武器を握ると身体能力が上昇するのか」
「ちょっと、タバサ、そこまで・・・」
「問題ない。学院長とコルベール先生は既にその程度は知っている・・・私が知りたいのはその先をどれだけ知っているか」

オスマンとコルベールがちらり、と視線を交わした。

「ふむ、何故そう思うのかね、ミス・タバサ」
「何故もなにも、単にコルベール先生がスパイには向いていないだけ」
「だ、そうじゃよ、ミスタ・コルベール」

面白そうな視線を向けるオスマンに対し、コルベールは僅かに動揺を顔に出していた。

「な、何のことかさっぱりですね、ミス・タバサ」

冷たい視線を飛ばした後、タバサが続ける。

「おかしいと思ったのはラグドリアン湖から帰って来たとき。本来なら無断外出・外泊したことを咎めてその理由を聞き出すべきなのに、コルベール先生はむしろ何が起きたかを詳細に話させようとしていた」

コルベールは無言のままである。

「そう思って考えてみると、コルベール先生がこちらを伺っていた事が何回かあったし、それ以降も何度か見られていた事に気がついた。
 これはショウにも確認を取ってある」
「確かに。俺やヤンさんのルーンに興味があるんだとばかり思っていたが・・・」

ショウの言葉に頷くと、タバサは言葉を続けた。

「加えて図書館での様子。先生が使っていたのは『フェニアのライブラリー』だったから中の様子はわからなかったけど、本を持ち出すとき、その題名からみるに殆どは始祖か使い魔に関係する文献だった。
 と、なれば答えは一つしかない」

コルベールが大きく息を突き、両手を上げた。降参のサインである。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:20:24 ID:CYsC+48f
支援
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:22:18 ID:WmI5No1c
情報収集は基本です 支援
162さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:22:21 ID:sqODvRtq
「見張られていたことに気付かなかったかね、コルベール君」
「不覚でした」
「誰かを見張っている人間は、自分が見張られているとは中々考えないもの」
「真実じゃの」

重々しく、オスマンが頷いた。

「さすがタバサ、切れるわね」

キュルケの賛辞にタバサは杖を持っていないほうの手の人差し指を立て、ぴこぴこと動かして答える。

「なに、簡単な事件だったよキュルケ君」
「・・・あなた時々変になるわね」

そういうキュルケは、タバサが幼少の頃『イーヴァルディの勇者』の次くらいに『名探偵エルロック・ショルメス』シリーズに傾倒していた事を知らない。
それはさておき、改めて視線がオスマンとコルベールに集中した。
互いに視線を交わした後、オスマンが口を開く。

「それではわしから話そうかの。これから話すことはコルベール君以外の人間は知らん。勿論君たちも他言無用じゃ」

各々が頷いたのを確認すると、オスマンは先を続けた。

「まず、ショウ君とヤン君は『ガンダールヴ』と呼ばれる特殊な使い魔じゃ。知られている限りでこの使い魔を従えていたのはハルケギニア史上ただ一人――始祖ブリミルのみ」

ざわめきが起きたが、オスマンが言葉を続けたのでそれもすぐに静まる。

「左手に刻まれたルーン、武器を持つと強化される身体能力、それらは過去の文献と一致しておる。リリス君。君もマジックアイテムに触ったときに何か違和感を感じた事はなかったかね?」
「そう言えば・・・マジックアイテムについてだけ鑑定の能力が恐ろしく高まってたわ。見ただけでも大雑把には分かるくらい。
 魔法のかかっていない普通の剣は変わらなかったのに」
「それが始祖の使い魔のもう一体、『ミョズニトニルン』の能力じゃよ。あらゆるマジックアイテムを使いこなし、その知恵で始祖を助けたそうじゃ。
 始祖には他にも二種類、計四種類の使い魔がいたと伝説に伝えられておる」

きらり、とタバサの眼鏡が光る。

「つまり始祖と同じ種類の使い魔を従える私たち三人は始祖と同じ系統――『虚無』の使い手と言う事になる」
「え」
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:22:37 ID:CYsC+48f
支援
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:23:44 ID:WmI5No1c
ロック・ワームズでなくてよかった支援
165さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:25:21 ID:sqODvRtq
目を丸くするルイズをよそに、オスマンはことさら余裕を作ってその見事な白ヒゲをしごく。

「まぁまぁ、そう結論を急ぐ物ではないぞ、ミス・タバサ。確かに彼ら三人は伝説の使い魔ではあるが、だからといって君たちが虚無の使い手だなどと言う事は飛躍が過ぎる」
「そうですとも。虚無の系統の魔法でも使えれば別ですが、使い魔だけで判断するのは早計です」
「根拠はある」

ほう、とオスマンがヒゲをしごく手を止めてタバサを見る。
コルベールも内心の焦りを覆い隠して彼女の言葉に注意を向けた。

「ひとつには始祖が6000年前別の世界からこの世界にやってきたと言う事。ガンダールヴやミョズニトニルンが元々他の世界の存在ならば、異世界からリリス達が呼ばれた事にも納得はいく」
「それは仮説の域を出てはおらん話じゃの」

タバサの推理をばっさりと切り捨てるオスマン。タバサは淡々と言葉を続ける。

「ふたつめ。私もリリスも、ルイズが魔法を使えないのがずっと不思議だった。考えてみれば、魔法を使えない人間はいても、魔法をすべて爆発にしてしまう魔術師など聞いたことがない。
が、これはルイズが虚無の系統の魔術師で、かつ私やキュルケのように他の系統に才能を持たないと考えれば説明がつく。
スクウェアでも火の系統しか使えない魔術師がいるように、虚無の系統しか使えない魔術師がルイズなのだと」
「それも仮説じゃの。他には?」
「そして最後にもっとも確実な証拠として・・・コルベール先生は嘘をつくときに鼻の穴が膨らむ」
「嘘はいかんぞ、ミス・タバサ」

苦笑しながらオスマンが言ったのは、コルベールが思わず自分の鼻に手を当てた後だった。

「勿論嘘・・・でも、マヌケは見つかった」

一言もないコルベール。
ルイズやキュルケが改めて賛嘆の眼差しをタバサに送っている。

「愚か者め、生徒に手玉に取られてどうするか」

苦笑の度合いを深くしながら、オスマンがコルベールを叱責する。
コルベールとしては度重なる失態にただ恥じ入るしかない。

「私が欲しいのは真実だけ・・・そして、真実は常に一つ!」

タバサがぴっ、とオスマンに指を突きつける。
リリスとキュルケが「やっぱり楽しんでるんだ」と思ったかどうかは定かではない。
ふうっ、とオスマンが深く息をついた。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:26:57 ID:LSZKhQKc
それにしてもこのタバサのりのりである支援
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:27:21 ID:WmI5No1c
江戸川コナン=工藤新一  タバサ=シャルロット 支援
168さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:28:36 ID:sqODvRtq
「まぁ、隠そうとしたのは悪かったが、悪意ではない事は理解しておくれ。例え名前だけでも『虚無』にはそれだけの力がある」

こくり、とタバサが頷く。

「改めて念を押すがこれからの話は他言無用。君たちの間で話をする時も気をつけて欲しい。ミス・タバサはその辺については理解しているようじゃがの」

ごくり、とルイズがつばを飲み込んだ。
ひょっとしたら自分は本当にゼロではなくなるのかもしれない。そう思うとさすがに平静ではいられなかった。

「さて、確かにおぬしらが、特にミス・ヴェリエールが『虚無』の系統である可能性は低くないとわしは思っておる。じゃが今のところそれが未確認の仮説であるのも確かじゃ。
 虚無でなくても始祖の使い魔を召喚できるのかもしれないし、ミス・ヴェリエールの爆発も虚無とは全く関係のないものかも知れぬ。その点は各自念頭に置いておいてくれ」

そう前置きしてオスマンは語り始めた。
虚無が始祖によって各王家に授けられた物である事、ヴァリエール公爵家はトリステイン王家の傍流の血を引いている故にルイズは虚無の系統となったのではないかと言う事。
恐らくタバサとキュルケも王家の血を引いているために虚無の使い魔を召喚出来たのではないかと言う事。

「なるほどねぇ・・・」
「そう言えば青い髪って言うのはガリアの王家か、王家の血を引く貴族だけが持つものだったわね」
「へー、そうなの、タバサ?」

ルイズが得心したように頷き、キュルケの問いかけにこくり、とタバサが頷く。

「それよりもゲルマニア人のキュルケに、いずれかの王家の血が流れているほうが不思議」
「自慢じゃないけどウチはなり上がりの国だしねぇ。まぁ、ご先祖様の一人がどこかのお姫様か王子様とでも駆け落ちしたんじゃないの?」
「わかっちゃいたけどあんたの所も相当に節操ないわね」
「あら、恋こそ人生全てを懸けるに値する情熱よ? ツェルプストーはそれを誰より良く知っているだけ」

キュルケとルイズがじゃれあうのをよそに、考え込んでいたタバサが口を開く。

「一つ、思いついたことがある。これが正しければツェルプストーに王家の血が流れている理由の説明がつく」
「な、何よタバサ?」
「ヒントは使い魔の種類。ガリア王家の血を引く私と、トリステイン王家の血を引くルイズで使い魔の種類が違う。そしてキュルケとルイズの使い魔の種類が同じ。
 ならば、キュルケはルイズと同じ血を引いていると考えるのが自然」
「ふむ、筋は通っていますね。それで?」

と、これはコルベール。いつの間に立ち直ったのか、今は熱心にタバサの話を聞いていた。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:29:14 ID:CYsC+48f
支援
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:29:48 ID:zuA3orAZ
それにしてもこのタバサノリノリであるw
おマチさんの計画(まあ、ワルドのだけど)も早々とバレているな、これは
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:31:01 ID:WmI5No1c
バレてるだろうけど、脅迫されてるのも知ってそうだなぁ
 
親戚説は新しい喃 支援
172さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:31:08 ID:sqODvRtq
「つまり、ツェルプストーはトリステイン王家の・・・もっと言えばヴァリエール公爵家の血筋である可能性が高い」
「ちょ、ちょっとタバサ!?」
「いきなり何を言い出すのよ!?」

とんでもない事を言いだしたタバサに、キュルケとルイズが詰め寄る。が、タバサは微塵も動じない。

「ツェルプストーの人間がヴァリエールの人間の恋人や婚約者を何度も奪ったのは有名。その中にヴァリエールの子供を宿した女性がいたとしたら全てに説明がつく。
 具体的にはルイズの曽祖父の妻がキュルケの曽祖父に寝取られたときに既に彼の子供を宿していた可能性が高い。だとしたら、キュルケとルイズはまたいとこにあたる」
「おお、なるほど。それなら辻褄が合いますな!」

コルベールは興奮したように眼鏡と頭頂部を光らせている。
が、それ以外の人間は表情の読めないタバサと飄々とした表情を崩さないオールド・オスマンを除いて絶句していた。
それはそうだ。数百年に渡り不倶戴天の仇敵同士だった家が実は血を分けた親戚でしたなどと、誰が思うだろうか?
特に当事者である二人の少女はショックが大きかったらしい。呆けたように、ただ互いを見つめていた。

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「あ、あの、キュルケさん?」

ヤンの言葉に、二人の体がビクっと震える。
次の瞬間、示し合わせたように二人は馬鹿笑いを始めた。

「あはははははは!」
「はははははは!」
「馬鹿言ってるんじゃないわよ、私とキュルケが親戚だなんてそんな」
「そうよ、あるわけないじゃない、ねぇ!」
「でも蓋然性から言えば」
「「ありえないっ!」」

ぴったり息を合わせてタバサの発言を封じるルイズとキュルケ。
そのまま二人揃ってずい、とタバサに迫る。

「いい、タバサ! 今日からそれは禁則事項よ!」
「それはどちらかというとルイズじゃなくて私のセリフ」
「誰のセリフだろうと関係ないわ! とにかく禁止! 誰かに話すのも口に出すのも禁止!」
「・・・分かった」

後のことになるが、結局、当人同士の間でこの話が蒸し返されることは無かった。だが本人達は意識していなかったにせよ、その日からキュルケとルイズの間が少し遠慮の無い物になったのは確かなようだった。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:31:52 ID:CYsC+48f
支援
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:32:12 ID:LSZKhQKc
胸の大きさと血筋は関係ない支援
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:32:29 ID:WmI5No1c
タバサの体格でみくるんるん…… エイケン? 支援
176さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:34:16 ID:sqODvRtq
オスマンはちらりとタバサに目をやった。いつもどおりの無表情な顔がそこにある。
ひょっとしたらこの少女は自分の血筋を詮索される事を嫌って、この爆弾を落したのだろうか?
だとしたらさすがにあの『無能王』の姪というところかな、とオスマンが考えたところでタバサがこちらに視線を向ける。

「話がそれたが、続きを」
「ふむ」

と、オスマンがヒゲをしごいた所でタバサは扉がノックされた事を感じた。サイレンスを解除すると同時に、扉が開いてロングビルが顔を出す。

「オールド・オスマン。馬車の用意が整いました」
「では話はとりあえずここまでにしておこう。報酬を先払いしすぎた気もするし、残りは閲覧許可証ともども仕事を終えてからじゃな」

ほっほっほ、と笑うオスマン。

「・・・わかった」
「それではよろしく頼むぞ。ありゃわしの恩人から預かった物での。金目当てに売り飛ばされるワケにはいかんのじゃよ」

タバサが頷いたのが合図であったかのように、ルイズ達は扉に向かう。

「馬車が用意してあります。こちらへ」

オスマンの言葉に頷いて、ロングビルが先導して歩き始めた。

「みなさん気をつけて下さい。何かあったらすぐに戻るのですよ。どんな宝物でもあなた方の命には代えられないのですから」
「わかってますよ。俺だって死にたくないですからね」
「大丈夫よ、ミスタ。ケイヒさえ出てこなければどうにでもなるわ」

コルベールの真摯な訴えにヤンが笑顔で答え、キュルケは投げキッスを返す。
彼らの姿が扉の向こうに消えると、コルベールは崩れるようにソファに座り込んだ。

「・・・学院長。生徒を死地に送り出してそれをただ見送る、私は臆病者でしょうか」
「さあの。誰が何を言おうと、それは結局おぬしが決めることであって、わしが決めることではないよ」

両手で顔を覆うコルベール。オスマンは突き放すように答えると、水キセルに煙草の葉を押し込み、火をつけた。


177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:34:46 ID:CYsC+48f
支援
178さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:38:41 ID:sqODvRtq
ひとまずここで区切り。

2時を過ぎて予約がなければまた投下します。支援ありがとうございました。

なおエルロック・ショルメス(Herlock Sholmes)はシャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)をアナグラムしてフランス語読みしたものです。
モーリス・ルブランがルパンシリーズにホームズを無断で登場させた時にコナン・ドイルに非難され(そりゃそうだ)、名前だけ変えたのがエルロック・ショルメスと言う訳ですね。
鈴木土下座衛門やエデ・イーのリッチー君みたいなもんですな(たとえが古いな)。

後自重するオスマンはオスマンじゃない。

>>150
その発想はなかった!

179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:43:57 ID:CYsC+48f
リアルタイムは久しぶりだなぁ、グッジョブ! にしても、ロリドもおマチさんもへっぽこだぁ、
後、考えてみればルイズとキュルケが血縁関係ってのは、考えてみれば普通に有りそうだ。
180異世界使い魔學院紀 :2008/09/22(月) 01:46:05 ID:X8GN+ifv
投下しようとおもってましたが、
区切ってしまうのも悪いのでまたの機会にいたします
というわけで支援に
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 01:53:54 ID:Wrgie9s9
>>180
あなたの作品楽しみにしてました。
残念ですけど期待しつつお待ちしています。
182さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:56:44 ID:sqODvRtq
使い魔學院紀のひとすいません。
それではちょっと早めですが投稿させていただきます。
終るのは3時半くらいかなぁ。


緊張感とは裏腹に、馬車での移動は退屈な物だった。
いつ襲われてもいいようにとの用心から、馬車といっても座席のない、荷馬車の類である。
その御者台に妙齢の女性、荷台に貴族風の少女が三人、甲冑を着込んだ男二人と鎖かたびらを身につけた女一人というのは実に目立った。
トリスタニアの大通りを通ろうものなら芸人と間違われていたかもしれない。
なお、リリスの身につけている鎖かたびらはシエスタの祖母、リィナの物である。軽く薄くまるで革鎧のようで、司教の貧弱な体力でもその動きを阻害しない。さすがに伝説の武具というべきであった。
一緒に持ち帰った杖は癒しの力を持っていたが、リリスを拒んだ(力量が不足なのだろう)ので、左手にトリスタニアで買った小盾を付けるに留めている。
それでも何かの役に立つかと思い、持ってくるだけは持って来ているのがリリスのベテランとしての用心であろう。
一方、ヤンはシエスタの曽祖父テツの武具にやはり認められないでいる。もっともリリスと違って既に質のいい装備を揃えている彼であるから、それほど困った顔はしていなかった。
腕を上げて使いこなせるようになればいい、などと気楽に考えており、装備自体もキュルケの部屋に置いてきていた。
閑話休題。
うららかな馬車の旅に、真っ先に緊張感の糸が切れたのはやはりキュルケであった。

「まるで『荷車の騎士』よね。ねぇ、馬でぱーっと行った方が良かったんじゃないの?」
「馬で飛ばすと体力を消耗するでしょ? 私とかヤンとか、余り慣れてないのだっているし」
「退屈ねぇ。ちゃちゃっとゴーレムが出てきて事件が解決しないかしら」
「ケイヒが出てくるかもしれないって事忘れるんじゃないわよ。下手すれば、馬車ごと全滅させられるんだから」

緊張感のないキュルケの独り言をルイズがたしなめようとするが、反応したのは本人ではなくロングビルのほうだった。

「みなさん手だれと聞いておりますが、そのケイヒというのはそんなに凄い魔法使いなのですか?」
「魔法というか。まぁそんなものかしらね。スクウェアメイジが子供に見える位の術を放ってくるから、とにかく正面から戦わないのが一番よ」
「リリスさんの先住魔法と比べても、ですか?」
「・・・まあね」

間が空いたのは、先住魔法という単語を咄嗟に思い出せなかったせいである。
そう言えばそう言うことになっていたのだなと、久しぶりに思い出したリリスであった。

「ところでミス・ロングビルの系統とランクは?」
「土のラインですわ」
「だったら万が一遭遇した場合は囮のゴーレムでも作って逃げて欲しい。私たちも逃げる。仮にあなたがスクウェアだったとしても、正直どうにもならない」
「わ、わかりました」

ロングビルの脳裏に、かつてモット伯の屋敷の地下で見た光景が甦る。・・・こいつらで到底敵わないって、どう言う化け物だ?
冷や汗が、じんわりとロングビルの脇の下を濡らした。
183さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 01:59:29 ID:sqODvRtq
「そう言えばミス・ロングビルは学院にいらしてまだ三、四ヶ月ほどでしたっけ。その前は何をされてたんです?」
「ちょっとキュルケ、失礼よ」
「構いませんよ、ミス・ヴァリエール。隠すような物でもありません。
 そうですね、ゴーレムを作って荷運びの日雇いをしたり、酒場で働いたり。男だったら傭兵にでもなっていたかもしれませんわね。
 そんな事をしている内に酒場にいらしたオールド・オスマンに雇っていただいたのですわ」
「それは・・・大変でしたね」
「まあ、家名を失うとはそういう事です。それでも、いろいろやらないと食べていけませんから」
「あ・・」

どことなく優しい表情になったロングビルを見て、ルイズの口から、小さな呟きが漏れる。

「あの。何か?」

何かまずい事でも言ったかと内心ぎくりとしながら、戸惑った風を装ってロングビルが尋ねるが、ルイズの答えはどうにも要領を得なかった。

「あ、あの、ですね。その」
「なによルイズ、顔赤くしちゃってさ」
「黙ってらっしゃいキュルケ」
「どうせお母さんのおっぱいでも思い出してたんでしょ」
「お、お母様じゃないわよっ!」
「じゃあお姉さん?」

ぐっ、とルイズが詰まる。
こういう所では、やはりルイズはまだまだキュルケには勝てない。
にやにやしながらキュルケがルイズのほっぺたをつつく。

「ほれ、白状なさい。ミス・ロングビルが誰に似てるって?」

全員の視線が集中する中、真っ赤になったルイズがぽつぽつと語り始める。

「あの・・・その、ですね。今の優しげなミス・ロングビルの表情が、私の姉に似ていた物で・・・病弱なんですけど私には凄く優しくしてくれて・・・だからその、ミス・ロングビルがちい姉さまみたいだなって」

ロングビルの頬がかすかに朱に染まった。
照れているのであろう、振り向いていた顔を前に向けなおし、そのまま無言で手綱を取っている。
一方にやにや笑いをさらに深いものにしながら、キュルケがルイズの頬を人差し指でむにむにとこねくり回した。

「ふぅ〜ん。で、ミス・ロングビルと似てたからルイズちゃんは大好きなお姉ちゃんを思い出しちゃったわけだ?」
「うるさいわね、いいでしょ、そんなの! ちょっと、ショウもにやにや笑ってるんじゃないわよ!」
「別に笑ってないが?」
「嘘! 今だって笑ってるじゃないの! リリスも! ヤンも! タバサ・・・は、まぁいつもどおりだけど」
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:00:54 ID:CYsC+48f
支援
185さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:03:30 ID:sqODvRtq
キュルケの指を払いながら真っ赤になったルイズが吼える。それでも一同の顔に浮かんだ温かい眼差しと微笑みは消えることがなかった。
正直ルイズとしては今のように可愛いものを見る目で見られるより、指差して馬鹿にしてくれたほうが余程気が楽なのであるが。
そしてそれらに背を向けたままのロングビルは動揺をまだ収め切れていなかった。
なぜならさっきルイズが指摘した「優しい表情」の時に彼女が考えていたのは、血の繋がらない妹であるティファニアの事だったからだ。
図らずも、ルイズの言葉はフーケの心中を正確に看破したことになる。
そして先ほどのルイズの表情と言葉に、一瞬フーケは妹を重ねてしまっていた。

(馬鹿だね、あたしにとっちゃこいつらは赤の他人に過ぎないってのに)

自重し自戒しつつも、彼女はその重なった面影を簡単に振り払う事はできなかった。
そうした内心の葛藤を気取られぬよう努力しつつ、話題を変える。

「そう言えば、盗まれた破壊の剣というのはどういうものですの? オールド・オスマンが名前だけは時折口にしてらっしゃいましたが」
「さぁ、私たちもよくは知らないのよ。キュルケはショボいなんて言ってたけど」
「だって本当にそうなんだもの。魔力がかかってるのは確かだけどね」
「でもそのような名前がついているからには強力な力を持っているのでしょう。それが私たちに使われたら大変なのではありませんか?」
「だとしたら学院長もそれを私たちに教えるんじゃないかしら。教えなかったって事は、多分そんな力はないか、学院長も知らないんじゃない?」

その一言はロングビル、正確にはフーケをがっくりと落ち込ませた。
荷台に背を向けていて、表情を読み取られる事のないのが幸いではあったが、もし本当にそうだとしたら骨折り損のくたびれもうけではないか。
だが、荷台に背を向けていたが故に、彼女は後ろのショウがこのとき怪訝な顔をしたことには気付かなかったのである。
そして、タバサの目が光った事にも。

「学院長は恩人からの預かり物と言っていた。だとすれば金銭的には全く価値のない物であることもありうる」
「ああ、有り得ますね。再会を期してとか、何らかの記念品とか」
「それだったら、尚更取り返してあげないといけないな」

タバサの言葉にショウが返し、ヤンの純朴そうな声がそれにかぶさる。
様々な思惑を載せ、馬車は道を進んでいった。


186名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:04:10 ID:CYsC+48f
支援
187さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:06:29 ID:sqODvRtq
幸い目的地の少し手前まで何事もなく馬車は進んだ。
深い、鬱蒼とした森の中である。道が判別できなくなったあたりでロングビルが馬車を止めた。

「ここからは歩いていきましょう」

頷く一同の顔に――キュルケでさえも――緊張感がみなぎる。ここから先は敵の庭だ。注意してしすぎることはない。
人がようやく一人通れるほどの、踏み固められた小道が森の奥に続いている。
ショウを先頭、ヤンを最後尾にして一行は森の中を進んでいった。

「この先にその小屋があるはずです。昔は木こりが使っていましたが、今は放置されているとか」

ロングビルの説明にショウとタバサがちらり、と視線を交わした。
道をそのまま進むと、やがて森の中の開けた場所に出た。広さは魔法学院の中庭くらいであろうか。
その中央にはロングビルの情報どおり、廃屋があった。
木こり小屋であったという話のとおり、壊れかけの炭焼き釜と物置が横に並んで立っている。
小屋から見えないよう、一行は茂みに潜んで様子を伺った。

「ショウ、ここから中の様子はわかる?」
「ああ、少なくとも人はいないようだ」

目を閉じて集中し、ショウが小屋の中の"気"を探る。
その感覚を信じる限り、中には人はいないようであった。
もっとも気配を消せる盗賊や忍者と言ったクラスの、それもマスターレベルかそれを超えるような人間がいた場合はその限りではないのだが・・・。
ロングビルが口を開いた。

「では、どうします? 人がいないなら尚更中を調べなければ」
「そうね、万が一にでも『破壊の剣』を置いてあるかもしれないし」

キュルケが頷く。
短い話し合いの結果、ショウが行く事になった。
重い板金鎧を着ているとは言え、それでもこの中で一番運動能力が高いのは彼である。
窓の無い方角から、素早い動きで、可能な限り音を殺しつつ接近する。
小屋の壁に背を預けた彼はしばし瞑目し(気を読んだのであろう)、そこからゆっくりと窓の側に移動する。
そっと覗き込み、しばらくして彼は頭の上で両手で○印を作った。
あらかじめ決めておいた「安全」の合図である。
残りの6人が近づくとタバサが一歩前に出て、「ディテクト・マジック」を唱えた。

「魔法の罠は無い」

ショウとヤンが頷き合うと、二人はゆっくりと扉の前に移動する。
後ろの五人が所定の位置についたのを確かめた次の瞬間、ショウとヤンは体当たりで扉を破り、中に入って素早く散開した。
後ろの五人は呪文の詠唱を終え、何があっても支援が出来るように待ち構えている。
が、小屋の中にはやはり何もいなかった。
突入したショウとヤンを出迎えたのは、巻き上がったほこりだけだった。
188さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:10:54 ID:sqODvRtq
一行は手分けして屋内を探すことにした。
と言っても探す場所がそうあるわけではないし、どの道何も見つからないだろうとは思っていたのだが・・・

「ミス・ロングビル! それ、『破壊の剣』ですか!?」

期待は見事に裏切られた。
ミス・ロングビルがチェストから取り出したのは、まぎれもない、キュルケの記憶にあるとおりの『破壊の剣』であった。
ショウとタバサの目がちかりと光る。ルイズはその様子を怪訝に思ったが、キュルケやロングビルはそれに気付いた様子を見せない。

「嘘!? それって・・・」

一方、リリスは息を飲んでロングビルの手の中の『破壊の剣』を見つめている。

「あら、ミス・リリス。これがなんであるかご存知なんですか?」
「え、ええ。まさかこんな所にそれが・・。でもこれなら確かに『破壊の剣』なんて言われているのもある意味納得がいくと言うか」
「ミス・ロングビル」

ショウが何か言おうとした瞬間、ロングビルが機先を制する。

「見付かったからには外に出ませんか。ここは埃っぽくてかないませんわ」
「さんせー」

キュルケが同意したのを受け、すたすたとロングビルは外に歩み出る。
ショウが僅かに口元を歪め、タバサは小声で呪文を唱えつつ、その後を追った。
外に出ると、広場の中心でロングビルが笑みを浮かべていた。
手には『破壊の剣』。

「それではミス・ロングビル。学院までは俺達が運んでいきますので『破壊の剣』を渡して下さい」
「あら、私がお預かりしますわ。皆さんはいざと言うときに戦って頂かなくてはなりませんもの」

さりげないロングビルの反論に、ショウがほぞを噛んだ。
今、彼女は、ショウやヤンと微妙な距離を保っている。
それがホウライの剣術で言う『一足一刀の間合い』、つまり一歩で踏み込んで斬れる距離の僅かに外である事に気付き、ショウは少なからぬ驚きを覚えた。
同時に、やはり只者ではなかったと自身の認識が正しかった事を確認する。
この距離の外にいると言う事は、二歩目を踏むか、"気"を飛ばす為のごく僅かなタイムラグが必要になると言う事。
つまり、魔術師であるロングビルが剣士であるショウと互角に戦うための最低限の距離であり、それを正確に見定める力量があると言う事になる。
いまやはっきりと、ショウとタバサとロングビルの間には静かな緊張が走っていた。
189さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:15:51 ID:sqODvRtq
「え、え? どういうこと?」

ルイズやキュルケはきょろきょろと三人の顔を見比べている。
リリスやヤンも、動揺こそしていないがかなり戸惑っているようだった。

「ショウ君、ミス・タバサ」

緊張に似つかわしくない、優しげな微笑みを浮かべるロングビル。杖はその手にはない。

「あなた達はやっぱり凄いと思うけど、それでもまだまだね」
「・・・まず勝ちて、しかる後に戦いを求める、か」

その笑みに、相手の言いたいことを悟ったショウが唸るように兵書の一節を呟いた刹那、魔法のようにロングビルの右手に杖が現れ、大地が揺れた。

「ショォウタァァァァァァァイムッ!」

ロングビルの立っている地面が盛り上がる。

「気をつけろ! ロングビルが"土くれ"だっ!」

ショウが叫ぶ暇もあらばこそ。

「えっ!」
「キャアッ!」

突如地面から現れた土の隆起に、ルイズとキュルケは捕らえられていた。
その間にも地揺れは続き、ロングビルの足元と、ルイズとキュルケを捕らえた隆起を結ぶ線もまた盛り上がる。
0.5秒ほどの間に、それはロングビルを頭に乗せ、ルイズとキュルケを両の拳に握った30メイルほどの巨大な土のゴーレムになっていた。

「くそっ! 系統魔法ってのはこんなことも出来るのか!」

巨人の拳を見上げてショウが叫ぶ。二人は殆ど体全てを拳に握りこまれ、顔だけを出していた。
ロングビル・・・いや、フーケがルイズとキュルケを捕らえたのは、万が一にもかわされる事のない、体術に劣る人間を狙ったのだとタバサやショウは察している。
彼女らの運動能力そのものは決して低くなくても、咄嗟の身のこなしや回避能力は、やはり鍛え上げたショウやヤン、後衛職とはいえ修羅場を潜り抜けてきたリリスやタバサに及ぶべくも無い。

「はーっはっはっはっはっは! あたしの正体に気付いたのはさすがだったけど、詰めが一歩甘かったねぇ!」
「くっ・・・」

タバサが悔しそうに唇を噛んだ。

「一体全体どうやったのよ? あいつ呪文なんて唱えなかったじゃない!?」

さすがにこのサイズの怪物とは出会ったことの無いリリスが唇の端を引きつらせて叫ぶ。
打てば響くようにタバサがその疑問に種明かしした。

「恐らくここに来る前に、既に地面の下にゴーレムを錬成しておいたのだと推測。それならば、一言の呪文だけであのように起動させる事が可能」
「・・・ここに誘い込まれた時点で既に負けていたって訳ね」

タバサの言葉に悔しそうに上を見上げるリリスと同様の表情でそれに頷くショウ。
それらを見下ろし、フーケが勝ち誇ったように叫ぶ。

「まず全員剣と杖を捨てな! この二人を握りつぶされたくないならね!」
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:19:29 ID:zuA3orAZ
あれ、このおマチさん意外と出来るぞ
ゴーレムの出し方がまるでビックオーだなw
191さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:20:43 ID:sqODvRtq
拳に握りこまれたまま、ルイズは放心の表情でそれを聞いていた。

「嘘。ミス・ロングビルがフーケだなんて・・・・嘘よ!」
「しっかりしなさいルイズ! 私だって信じられないけど、目の前のこれが現実なのよ!」

キュルケの叱咤にも、ルイズの表情は変わらない。ルイズにとって「ちい姉さま」は聖域であり、そのちい姉さまと同じ顔をしていたミス・ロングビルがフーケである事などありえない、いやあってはならなかったのだ。
すがるようなルイズの視線に気付き、フーケが憐れむような目でそれを見返した。

「言ったろう? お嬢ちゃん。『色々やらないと食べていけない』ってさ」

ぎり、とルイズの奥歯が鳴った。
彼女を構成する重要なパーツの一つ・・・怒りがその精神の前面を覆い尽くす。
動かない首を無理に動かし、地上を見下ろしてルイズが叫ぶ。

「ショウ! 私のことは気にしないで、こいつをやっつけて! あなたなら簡単でしょ!?」
「ちょっとルイズ!」

無茶を言い出すルイズにキュルケが顔色を変えるが、それもフーケの余裕を崩すには至らない。

「その度胸は買うけどね。いくらあんたの使い魔が凄いって言ったって、この状況じゃあたしが斬られるよりあんたが潰される方がどうやっても早いよ?
 なぁに、言う事を聞くなら誰も殺しやしないさ。あたしは優しいからね」

満更馬鹿にしているわけでもない口調ではあったが、それでも冷酷にフーケが宣言する。

「さぁ、さっさと言うとおりにしな! エルフのお嬢ちゃんは両手を頭の後ろに置くんだ。ショウ、あんたもだよ! 手をこっちに向けたり呪文を唱えたりしたら、すぐさまお嬢ちゃん二人を握りつぶすからね!」

選択の余地無く、ショウ達は武器を捨てた。ショウとリリスは頭の後ろに手をやる。

「さて、本題の前に一つ教えてもらおうかね。お嬢ちゃんと使い魔くんはなんであたしの事に気づいたんだい?」
「貴女が戻ってくるのが早すぎたから」
「へぇ?」

タバサの答えに、フーケが笑みを浮かべた。

「盗難が起きたのは昨夜。貴女が今朝それに気付いたなら、馬で四時間もかかるような場所の聞き込みを終えてその日の内に学院に戻ってこられるわけがない。
 それができるとしたら、最初から見当が付いていたか、もしくは貴女が犯人ないし犯人の一味である可能性が高い」
「ああ、やっぱりそこかい。まぁ、ずさんな計画だったからねぇ」
192さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:24:33 ID:sqODvRtq
納得するフーケの様子に、タバサが僅かに怪訝な顔をした。
ショウが言葉を重ねる。

「加えて、お前が馬車で破壊の剣について話題にしたとき、破壊の剣の力を知らないとルイズが言った時も、俺が金銭的な価値は無いといった時も、お前は失望の気配を発していた」
「あらら、こんなお子様にまで読まれるとは。それとも、それも"気"って奴かい」
「そんな所だ」

素っ気無くショウが答える。
得心が行ったのか、一つ頷くとフーケは話題を変えた。

「さて、本題だ。そこのエルフの使い魔。あんたこいつがなんだか知っているって言ったね。なら当然使い方も知っているんだろうね?」
「それは、わかるけど・・・」
「なら教えな」

戸惑ったようなリリスに、フーケは単刀直入に要求を突きつけた。
恐れや危機感ではなく、むしろ困ったような表情でリリスが口を開く。

「あなたや他のメイジが使えるかどうか分からないわよ?」
「いいからさっさと教えな! 言っとくけど嘘を教えてもこの二人の命は無いからね!」

溜息をついて、リリスはフーケに従うことにした。

「えーとね、それじゃ『破壊の剣』を胸の前に掲げて。鞘から抜かなくてもいいから」
「ふむふむ」

興味深げに『破壊の剣』を左手で持ち、胸の前に掲げるフーケ。
剣とは言ってもナイフほどの大きさしかないので、女の細腕でも苦にはならない。

「こう唱えるの。『天と地、この世界をあまねく大いなる力よ……』」
「天と地、この世界をあまねく大いなる力よ」
「『今我の呼びかけに応え』」
「今我の呼びかけに応え」
「『我に新たなる力を与え給え』」
「我に新たなる力を与え給え」
「そうすると秘めた力が解放されて……」

リリスの解説をフーケの悲鳴が遮った。見れば、『破壊の剣』がフーケの手の中でボロボロと崩れ落ちている。

「こ、壊れちゃったじゃないかっ!?」
「『破壊の剣』が!?」
「あ、使えるんだ。すごーい」
「凄いじゃないでしょう!」
「オールド・オスマンから取り戻して来てくれって言われたじゃないですか! 力を解放させちゃってどうするんです!」
「あ」
「『あ』ってなんですか、『あ』って!」

呆然とするフーケ、ルイズ、キュルケ。顔に出さないがやっぱり呆然としているタバサ。
こうしたアイテムは秘められた力を解放すればおおむね壊れる、という事実を知っているショウとヤンの二人だけがリリスに詰め寄っていた。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:26:35 ID:CYsC+48f
支援
194さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:27:25 ID:sqODvRtq
「お、お、お、お前、騙したねっ!」
「騙してないわよっ! っていうか、その、あれよ! まさかいきなり使うとは思わなかったのよ!」
「嘘つき」
「嘘だな」
「嘘ね」
「嘘ですね」
「絶対後先考えてなかった」
「ああもうっ! これで今回の獲物がパァじゃないかいっ!」

思わず頭をかきむしって怒鳴るフーケ。
その一瞬の隙を、ショウとタバサは見逃さなかった。
フーケが気がついたときには鞘ごと捨てた剣をショウが拾い上げ、居合切りに虚空を一閃している。
次の瞬間ゴーレムの両手首がずれて落ち、キュルケとルイズが土に戻った拳ごと地面に落下した。
地上までの距離はおよそ20メイル余り。

「あいきゃんふらーいっ!?」

空中で手足をバタバタさせて訳の判らない悲鳴をあげるルイズ。その彼女に向けて、杖を拾い上げたタバサは咄嗟に「レビテーション」を唱えた。
空中に浮かんだルイズが、可能な限りのスピードでタバサのほうに飛んでいく。
一方キュルケは「フライ」を唱え、同じく全速でフーケのゴーレムから離れようとする。
手首の先が無いとはいえ、あんな物に殴られたらアザ程度ではすまない。

「ヤンさん! フーケを!」
「合点承知っ!」

一方ショウは"気"を集中させ、ヤンは剣を拾って突撃している。リリスも、素早く呪文の詠唱を開始していた。

「ちぃっ!」

ゴーレムの手首が盛り上がり、拳が生まれると同時にそれがショウが今まで立っていた場所に叩きつけられた。
かわしたショウは、それと引き換えに放とうとしていた技を撃つタイミングを見失う。
小屋ほどもある拳が、ショウを追って次々と大地に叩きつけられる。
当たれば勿論、かすっただけでも即死は免れまい。
フーケも本来殺すつもりは無い。
だが、モット伯爵邸の地下での出来事を見ているフーケには、ショウの剣技への拭いがたい恐怖が染み付いている。
間違ってもあんな物を受ける訳には行かなかった。
もちろん、小うるさい小娘どもが呪文を完成させないように時折手で彼女らを払うのも忘れない。
ルイズ達はそのたびに完成しかけた呪文を放棄して回避行動を取らざるを得なかった。
ヤンも、"気"を上手く溜めて放つ為のタイミングをつかめないでいる。
が、フーケの攻撃も今のところ有効打を相手に与えていない。
ショウさえ無力化できれば、そのままゴーレムで逃亡したいところではあるのだが、そのショウが実にしぶとくゴーレムの拳をかわし続けている。

「くっ。ちょこまかと!」
195さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:31:03 ID:sqODvRtq
双方焦りが増す中、最初に状況を動かそうとしたのは拳をかいくぐる合間を縫い、どうにか呪文を完成させたリリスであった。

"静寂(モンティノ)!"

対象の周囲の空気の動きを止め、呪文詠唱を阻害する僧侶系2レベル呪文"静寂"が作り出す力場がフーケの周囲を覆った。
これでゴーレムを動かす事は出来まい、と笑みを浮かべた彼女を、今度は正面から3,4メイルはある拳が襲った。
豪快に頬を引きつらせた彼女の視界一杯に土の塊が広がる。
「フライ」を唱えていたタバサがギリギリのところで体当たりしなければ、リリスは血を吸いすぎて潰された蚊の様に、ゴーレムの拳にへばりついていた事だろう。

「何でまだ動いてるのよ!?」
「ゴーレムを作り出すことと操ることは別。操るのに呪文は要らない」
「何てインチキ!?」

だが、リリスが思うほどにダメージが皆無だったわけではない。
呪文が使えれば仮にゴーレムが破損してもすぐさま修復できるが、呪文を封じられてしまっては、もう今あるゴーレムと自分自身の肉体能力だけでどうにかするしかない。
そして、プロだけに自分の身体能力をまるっきり過大評価はしていないフーケであった。

(クソッ、やってくれるじゃないか!)

舌打ちを一つして、フーケはショウに攻撃を集中させる。その舌打ちさえ全く音を立てなかったが。最悪、ファイアーボールの一発位は覚悟の上で、ショウだけは無力化せねばならなかった。
幸いにも桃色頭の小娘の爆発はそれほどの精度は無いらしく、激しく動き回るゴーレムの上に乗っているフーケにクリーンヒットを出せていない。青髪や赤髪もそこらへんは大差ないようである。
だがそこまで激しくゴーレムを動かしているにもかかわらず、その頭の上に平気で乗っている自身の異常さに、フーケはまだ気付いていなかった。

何十回目かの攻撃の後、ショウの動きが僅かに鈍った事にフーケは気付いた。
好機とばかりに、これまでの叩き潰す動きではなく、地面を舐めるような横殴りの広い動きでショウを狙う。
これはさすがにかわせず、ショウと、ついでにヤンも吹っ飛んだ。
だが直後、それが同時に自分にも隙を作ってしまったことに彼女は気付く。
ゴーレムが腰をかがめて地面を薙ぎ払ったため、今まで細かく動いて地面に拳を叩きつけていた時と異なり、頭部の位置がほぼ空間の一点に静止してしまったのである。
それはとりもなおさず、フーケという的が静止していると言う事でもあった。
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:31:05 ID:CYsC+48f
支援
197さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:34:05 ID:sqODvRtq
殺気を感じ、フーケが咄嗟にゴーレムの右肩に飛び降りる。
直後、爆発がゴーレムの頭部を抉った。
次に、青髪の少女が放ったエア・ハンマーをギリギリのところで、しかし余裕を持った動きで避ける。
その時には既に、この連続攻撃の最後の攻撃を、余裕を持ってフーケは見極めていた。
赤髪の少女キュルケの、ファイアーボールではなく「フライ」による術者本人の体当たり。
タックルして、あわよくばゴーレムの頭から引きずり下ろそうという魂胆である。
もしそうなればショウやヤンと同じ土俵に立つ事になり、ゴーレムをうまく動かす事も出来ないまま倒されるだろう。
だが。

(そんなへなへなの「フライ」であたしの意表を突けるものか!)

フーケからしてみれば、その体当たりはスローモーで大雑把過ぎた。
恐らく魔力切れであろう、とフーケは思ったが、キュルケとしては全速での飛行だったのである。
ともかくフーケは滑らかな動きで腰を回転させ、突っ込んでくるキュルケをかわすと同時にそのみぞおちに膝を叩き込んだ。
そのまま流れるような連続攻撃で、たまらず動きを止めたキュルケの首筋を強打し、気絶させる。
気を失ったキュルケは、フライの残存魔力でゆっくりと地上に落ちていった。

(まさかこれほどとは)

不意をついたはずの親友が難なく倒されるのを見たタバサは冷や汗をかいていた。
ここへ来るまでの観察から、体術面ではせいぜい自分と同じかそれ以下だと判断していたが、とんでもない。
下手をすればショウでさえ危ないと思われるレベルの達人だ。自分の目がそこまで完全に誤魔化されたのは信じられなかったが、それだけ相手が上手だったと言う事だろう。
だが、まだこちらのターンは終ってはいない。
一人二人倒そうが、現状は六対一なのだと思い知らせてやろう。

"暗霧(モーリス)!"

リリスの呪文が発動する。
魔術師系4レベルの呪文、暗霧(モーリス)は敵を闇で包み、視界をふさいでその反応を鈍らせる術である。
視界を制限された敵は行動におけるイニシアチブを失い、情報不足による一瞬の判断の遅れは回避能力の欠如となって現れるのだ。
視界が急激に暗くなったフーケは、慌てて闇を透かし見ようと目を凝らす。
だが、何かを見て取る前に総毛のよだつ感覚が彼女の全身を襲った。

"鳳龍――"

考える暇も無く、ゴーレムの肩部から地上へとフーケはダイビングする。

"爆裂波!"
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:35:41 ID:T12vxpmu
おマチさんニンジャにクラスチェンジしたw
199さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 02:38:45 ID:sqODvRtq
それとほぼ同時に、全力の"気"の奔流をそのまま敵に叩きつけるショウの剣技が、かがんだゴーレムの胴体を見事に爆砕していた。
"気"を圧縮して叩きつけるだけの単純で大振りな技ではあるが、それ故に"気"の制御や圧縮が適当でもそれなりの威力を発揮し、放つまでの時間も短くて済むという利点がある。
吹き飛ばされたショウが、リリスの呪文で出来た隙に乗じてすぐさま反撃出来たのもこの故である。
飛び降りたフーケは――かがんだ肩とはいえ、15メイル以上はあるにもかかわらず――完璧な受身を取り、着地した一瞬後には立ち上がっている。
そして、そこに最後の攻撃が襲い掛かった。
カシナートを構えて突進するヤンである。
だが相手を女性と見たのか、その動きは明らかに切れが今ひとつだった。
先ほどフーケがキュルケを殺せるチャンスがあったにも拘らず、気絶させただけだったのも関係していたかもしれない。
が、それを見たリリスが重要な事実を伝えていなかったことを思い出し、急いで叫んだ。

「気をつけて! 今の彼女は"忍者"よ! 手加減は危険だわ!」

リリスがもう少し早くこれをヤンに伝えていたら話は変わったかもしれない。
だがそれを聞いたヤンが「え?」と思ったときにはもう遅かった。



地面に下りて立ち上がったときには、既に目の前にヤンが迫っていた。
普段はただのお人よしにしか見えないが、ショウほどではないにせよ、そこらへんの傭兵などでは及びもつかない実力の持ち主である事をフーケはその目で見て知っている。
呪文とゴーレムを封じられたこの状況で、どう考えても勝てる相手ではなかった。
諦めかけて、ふと、奇妙なことに気付く。

(あれ?)

静寂(モンティノ)の作り出す沈黙の領域の中、フーケ本人以外には聞く事も出来なかったが、その喉から気の抜けたような声が漏れる。
世界がスローモーションになっていた。ヤンの動きも、余裕を持って見て取ることができる。それと共に、体に染み付いた動きであるかのように、体が勝手に動いた。
ヤンが振り下ろした剣の平で気絶させようとしてくるのを、無造作に体を開いてステップを踏むだけでかわし、剣を半ばまで振り下ろして無防備になった右側から、左手刀を喉に送り込む。
かわされた事への驚愕、これから受ける攻撃への恐怖、それでもどうにかフーケの動きを捉えようと追いかけてくる視線。フーケは一瞬だけでそれらの情報を全て読み取っていた。
そして熱したナイフがバターを切り裂くほどの手応えもなく、手刀は喉笛どころか頚椎までを易々と両断してヤンの首を宙に舞わせる。

クリティカル・ヒット。

忍者の五体は、ただそれだけで戦士の大剣に匹敵する破壊力を秘めている。手刀は肉を切り裂いて心臓を抉り出し、回し蹴りは虎の背骨を折る。
加えて忍者独特の武芸である急所を突く一撃(クリティカルヒット)と、人型生物の範疇を超えると言われるほどの身体能力を、何ら武具を装備していない状態のフーケは最大限に発揮できる。
それこそが、忍者が殺人機械とまで称される由縁。
それなり以上の戦士であるヤンの動きも(ヤンが手加減しようとしていた事もあったが)、今の彼女の目には止まって見えたのだ。
首の傷口から鮮血を、両目から滂沱の涙の筋を宙に引き、ヤンの首は木立の中に消えていった。
ヤンの胴体から吹き上がる血しぶきも、素早く五メイルほども飛びすさったフーケには染みの一つも作っていない。
とてつもない高揚感とともに、フーケは唐突に理解する。これこそが『破壊の剣』の力なのだと。


200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:39:21 ID:CYsC+48f
支援
201名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:42:17 ID:KxbbAsG5
……
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:42:27 ID:zuA3orAZ
またヤンが死んだwww
そのうちにアンデットにランク?変化するぞw
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:46:54 ID:E+2JY18r
支援、なるほど転職用アイテムか
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:47:04 ID:6GStkLxM
さあう"ぁんといろいろの作者様に一言

スレの占用は程ほどに
205代理投下:2008/09/22(月) 02:58:04 ID:3YzlKKdM
一方その頃のトリステイン魔法学院。オスマンと話していたコルベールがふと思いついたように尋ねた。

「そう言えば盗まれた『破壊の剣』、あれはどう言う由来の物なのですか? 名前からしてやはり恐るべき力を持ったマジックアイテムなのでしょうか?」
「ふむ」

しばらく考えこんでいたオスマンが顔を上げる。

「まあ君になら話しても良かろう。ただし、他言無用じゃぞ」
「はい」

真剣な表情で頷きながらも、コルベールの顔には隠し切れない知的好奇心の色がある。
この辺がこの男の欠点でもあり愛すべき所でもあるんじゃがの、と思いつつオスマンが始めたのは、些か奇妙な昔話だった。

「もう2、30年ほど昔になるかの。おぬしがこの学院に来るかなり前のことじゃった」

その頃もやはりオスマンは魔法学院の学院長であった。
そして学院近郊の森を散策していた彼は、いきなりワイヴァーンに襲われたのである。

「いや、ワイヴァーンと言っていいものかどうかはわからんがの。わしの知っているワイヴァーンとはまるで形も違うし、ブレスも吐いたが、敢えて表現するならそうとしか言えん。
 姿はむしろ蛇に近かったが、ワイヴァーン、或いはドラゴンのような特徴を備え、小さいながら手足もあった」
「それでどうしました? オールド・オスマンならばワイヴァーン程度造作もないでしょうに」
「いやな、そいつの吐く氷の息を防御するので精一杯で、中々攻撃できんかったんじゃよ。
 おまけにブレスの合間を縫ってフレイムボールを放ってもまったく効かぬ。
 あの時ばかりはどうしたもんかと思ったわい」
「氷のブレス? オールド・オスマンのフレイムボールに耐える? それは一体・・・」

目を白黒させるコルベールには構わず、オスマンは話を続ける。
そのワイヴァーンもどきの動きは素早く、オスマンがフライで逃れようとしても無理だった。
オスマンがブレスや直接攻撃を土の壁で防ぎ、合間に放つ呪文もワイヴァーンもどきに効かず、戦いが膠着したときにその男は現れた。
年が若いだろうと思われるのに見事な白髪のその男は、ぴったりとした革鎧を身につけ、手にあの『破壊の剣』を持っていたのだという。
彼はオスマンが襲われていることを見るや、合図をしたら森の奥に誘い込むように指示した。
数分後、その通りにしたオスマンを追いかけたワイヴァーンもどきは、木とロープを利用した即席の罠で見事に動きを封じられたのである。
そのまま暴れるワイヴァーンもどきに馬乗りになった彼はその眉間に『破壊の剣』を突き刺し、これを倒したのだった。

「なんと、魔法の効かない怪物をロープとナイフだけで・・」
「ま、なにも魔法だけが力ではないということじゃな」
206代理投下:2008/09/22(月) 02:58:35 ID:3YzlKKdM
断末魔のワイヴァーンが暴れたため、彼は振り落とされた。彼自身はオスマンのレビテーションで無事に着地したものの、ワイヴァーンは森の木々の下敷きになってしまったのである。

「その時に、ワイヴァーンの眉間に突き刺したナイフを彼がやたらに気にしておったので聞いてみたら、あれは持ち主に全てを打ち砕けるような素晴らしい力を与えてくれる物なんじゃと言う事じゃった」

まいったな、と頭を掻く恩人の様子に、オスマンはゴーレムを作り出してワイヴァーンもどき――彼によればティエンルンというらしい――の死骸を掘り出してやろうとしたが、作業を始めたその矢先男の姿がぼやけ始めた。

「な、これは転移・・・頼む、じいさんあの剣を早く!」

オスマンが急いで首だけでも掘り出そうとしたが到底間に合わなかった。
男は死骸に走りよろうとするが、その姿は加速度的に薄れていったという。

「俺の、俺のダガー・オブ・シーブスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!」

後は言葉にならなかった。
悲痛な叫びの残滓を残し、若白髪の男は空気に溶けるように消えた。

「・・・あの時の彼の悲痛な叫びが、未だにこの耳にこびりついておる。彼にとってはよほど大事な物だったのじゃろうな。
 じゃから、彼の話から『破壊の剣』と命名していつか彼が戻って来た時に渡すために保管しておいたのじゃよ。それがまさか盗まれてしまうとはのう」
「心中お察しいたします。それでは結局その方の名前も分からずじまいですか」
「いや、名前は互いに名乗りあったよ。サンザ、といったかの」

オスマンが思いを馳せるような表情で瞑目する。

「今ごろ彼はどうしているのじゃろうのう・・・」

コルベールは無言のまま、学院長のその表情を沈鬱に見守っていた。

「ところで、今の話を彼女らにしておいたほうが良かったのでは?」
「あ」
「『あ』って何ですか!」
「いやー、彼女らが無事に帰ってくるといいのう」

今までのやりとりなどなかったかのように、オスマンが遠い目をして窓の外を眺める。
限りなく冷たい視線がその横顔に突き刺さるが、もちろん彼の面の皮はそれしきで貫かれるほどやわではなかった。

「・・・このボケ老人が」
「何か言ったかの、ミスタ・コルベール」
「いいえ何も。オールド・オスマン」
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:58:50 ID:T12vxpmu
さあう"ぁんとの作者様GJでした
しかしこのおマチさん、今までのスレで最強のおマチさんだよね
208代理投下:2008/09/22(月) 02:59:37 ID:3YzlKKdM
必ずしもオールド・オスマンのせいではなかったが、森には悲鳴と怒号が飛び交っていた。
二メイル近く鮮血を吹き上げていたヤンの胴体がぐらりと傾ぎ、倒れる。

「忍者・・・まさか『盗賊の短刀(ダガー・オブ・シーブス)』だったんですかあれは!」
「そうなのよ、御免!」

ショウとリリスのやり取りは理解できなかったが、ルイズもタバサも、『破壊の剣』の力が今のフーケをとんでもなく危険な存在にしてしまったことだけは理解できた。

「はは!」

森にフーケの高笑いが響き渡る。

「あはははは!」

即ちそれは、リリスの掛けた静寂(モンティノ)の効果が切れたと言う事。
そして、フーケが再び魔法を使えるようになったと言う事。

「あはははははははははははははははは!」

再び、30メイルを越す巨大なゴーレムが彼らの目の前に現れた。
日の光を遮るその巨体。
肩に乗るのは今や超人的な身体能力と戦闘体術、非人間的なまでの冷静さを併せもつ戦闘機械と化したトライアングルメイジ、"土くれ"のフーケ。

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはぁ!」

森にフーケの高笑いが響き渡る。
ショウが井上真改の柄を握りなおした。
無論錯覚だが、今の彼には手からにじみ出た冷や汗で、柄糸がぐっしょりと濡れているように思える。
扱いなれたはずのその感触を、今ショウは初めて頼りなく感じていた。





さあう"ぁんといろいろ 第七話 『死線』 了
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 02:59:41 ID:8HlJruYU
sienn
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:00:31 ID:Uh2EnvK9
さぁばんと支援
211代理投下:2008/09/22(月) 03:04:28 ID:3YzlKKdM
申し訳ない、作者さんが、各キャラの設定を書いた文がもうひとつあるが
行が長すぎとエラーがでて書き込めない。
分かる方、避難所の代理投下スレでよろしく。

212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:12:32 ID:/b6Qe4BO
とりあえず投稿乙。
しかし棚ボタとはいえおマチさん忍者に転職ですか。
忍者って強いんですよね。
でも調子乗って最後に倒されるのがゼロ魔クロスの定番w
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:13:28 ID:EPKLVtcz
2〜3レスの短いのを1日1回投下とかするならある程度長くまとめて数日置きに投下してくれたほうがいい
って言っても今日のこの長さはちょっとやりすぎな気がするな
214んじゃ最期だけ代理:2008/09/22(月) 03:13:59 ID:gZpLRxUV
投下終了。支援と掲載、代理に感謝。

どうにか宣言どおりにかきあげられてほっとしてます。
なんせ今週末からはスパロボ三昧の日々が待ち受けてますので。

なおここだけは強調しておきたいのですが、リリスは決して馬鹿ではありません。
うっかりしてるだけです。

用語解説:追加

リィナ Lv.15 G-BIS HUMAN 
原作でショウの仲間だった女僧侶。原作登場時は中の上レベル(推定で9〜11レベル?)。テツとは幼馴染でなにくれとなく世話を焼く。気立てが良くてさばさばした女の子。作者曰く「一緒にいて疲れないタイプ」だそうである。
いわゆる「いいお嫁さんになれる女の子」だが、幼馴染のゆえか、テツに対しては扱いがややぞんざいになることがあった。
ショウに淡い思いを抱いていたが、結局は身を引き、テツの世話を続けることにしたようである。
この作品ではマスターレベルに達した後司教に転職したことになっている。タルブの村にテツとともに住み着き、そこで生涯を終えた。
シエスタが翠眼なのは彼女の遺伝である。

テツ Lv.18 G-FIG HUMAN
同じくショウの仲間の巨漢の戦士。
最初は長柄斧、後に2mを越すような長大な両手剣を操るパワーファイター。代々の侍の家の生まれだが頭が悪くて戦士のままだった。
ショウと初めて会った時はそれで鬱屈していたが、後に吹っ切った様である。
作者曰く「若者らしい若者」で血の気は多いが女には優しい。単純で意地っ張り、筋を通し約束は守る。良くも悪くも男らしい、不言実行タイプ。
タルブの村にリィナとともに住み着き、そこで生涯を終えた。
シエスタが黒髪なのは彼の遺伝。

シェーラ Lv.25 E-BIS HALF-ELF(※原作ゲームには存在しない種族)
原作でのショウの仲間。このSSでは名前のみの登場。元高位僧侶で、魔術師系及び僧侶系の全ての呪文をマスターした超高位の司教。
古代の遺失魔法を研究しており、ショウが読み上げた様々な遺失魔法(=原作ゲームのシナリオ5で登場した新魔法。このSS及び石垣WIZでは基本的にシナリオ1〜3の魔法がベースである)を発見、再現した(原作で再現したのは一種だけだが)。
このSSでは司教に転職した後のリィナの師となっていた、という設定。

若白髪の男 Lv.10 N-THI HUMAN
原作でのショウの仲間にして後のシェーラの亭主、サンザの若き日の姿。
中立属性の彼は通常の方法では忍者に転職できないため、若い頃に必死で「盗賊の短刀」を探して忍者に転職したというエピソードがある。
このSSでこの後ちゃんと忍者に転職出来たかどうかは不明だが、少なくともハルケギニアに盗賊の短刀を取りに来る事は出来なかった模様。
合掌。

盗賊の短刀(ダガー・オブ・シーブス)
盗賊(シーフ)を忍者に転職させる魔力を秘めた魔法の短刀。
通常WIZ世界で転職を行うには訓練場で転職を行い、レベルが1にまで下がったり、能力値が最低クラスまで落ち込んだり、年齢が数歳上がったりと言ったデメリットを受けなければならない。
加えて上級クラスは属性や能力値などで厳しい転職制限がある。
この盗賊の短刀はその中でも条件の最も厳しいクラスである忍者に、瞬時に、レベル低下などの一切のデメリットなしでそのまま転職することが出来る、あらゆる盗賊垂涎のアイテムである。
何せ盗賊はパーティに必要不可欠なクラスである一方戦闘力が低く、戦闘では概ねパーティのお荷物となってしまうからだ。
ちなみに武器としては意外に強く盗賊の使える武器としては最強クラスだが、所詮短刀なのでダメージは低い。

ではまた、忘れた頃に。
215さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 03:16:20 ID:sqODvRtq
改めて代理の皆様ありがとうございました。

>長すぎ
すいません、いい調子で投稿できたんでこのままいけるかなーと。
今後気をつけます。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:19:58 ID:/b6Qe4BO
長文は好みが別れるからな。
まぁ、まとめて投下したかって気持ちもわからなくもないけど。
僕は好きですが叩かれる材料になるので気を付けて。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:22:16 ID:G4SNGiTM
まあなんにせよ面白かった。
お疲れ様。
218さあう"ぁんといろいろ:2008/09/22(月) 03:28:12 ID:sqODvRtq
うい、ご忠告感謝。

>>119
螺旋力に目覚めたフーケはいましたね。w

>>171 >>179
中世の貴族はそこら中血縁だらけですからね。にしても、キュルケも人間召喚してた場合、一番納得できるのが親戚説ではなかろうかと思うわけですw

>>175
長門も禁則事項って口にした事があったようななかったような。まぁハルヒっぽいキャラという点でひとつ。

>>190
そこは当然狙っております。スパロボZ発売記念!w
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:28:23 ID:Od0qZ2JT
>>214
乙ー
いや、もう言い訳のしようがないバカだと。>リリス
しかし若白髪の男、笑った。
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:35:05 ID:fARf0FY3
乙です
おマチさんが忍者か・・・ワルド首ちょんぱフラグか?
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:36:48 ID:z/exKeZa
よし。とりあえず、脱げ。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:38:00 ID:/b6Qe4BO
忍者は鎧着てたらダメだっけ?
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:41:02 ID:r9UzhhOq
さあう"ぁんとの人乙でした。

こうなると始祖の使い魔4人はベニー松山版の主人公二人とその奥さん達とか
復讐鬼の城後の主人公4人ぐらいしか思い浮かばないなw
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 03:58:02 ID:z/exKeZa
居眠りしながら寿司を注文する無敵エルフ忍者も喚んでくれ。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 04:05:10 ID:G4SNGiTM
WIZの防御力は回避力も入ってる計算だから
回避能力無い低LV忍者ならともかくLV高い忍者が鎧着ると逆に悪くなる
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 04:15:12 ID:z/exKeZa
>>225
入ってねーよ、硬いんだよ。
ウィズなめんな。
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 04:26:20 ID:Nq4q904j
大作乙でした
にしてもビッグオーはZ発売を狙ってたのかよwww作者大好きだwww
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 05:21:38 ID:caDJr1Fu
支援してるやつ支援レスの意味わかってるのか?
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 05:33:21 ID:Kf15sxHL
イミフ
230毒の爪の使い魔:2008/09/22(月) 06:10:43 ID:UIiJNGpC
どうも、おはようございます。11話後半部分です。夜に投下といいながら、色々とありまして朝になってしまいました。
予定が無ければ直ぐにでも投下したいのですが、宜しいですか?
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 06:13:38 ID:82cZvDAh
早朝から読めるとは
仕事の前に支援
232毒の爪の使い魔:2008/09/22(月) 06:15:15 ID:UIiJNGpC
それでは投下行きます。

――ここで少し時間を遡る…

――ルイズが食堂を出る約二時間前――
ギーシュから場所を聞いたジャンガは、今モット伯の屋敷の前へと来ていた。
「来たはいいが…さて、どうするかねェ〜?」
と、門前で腕組みをし、悩んでいるとジャンガの存在に気付いた一人の衛兵が駆けて来た。
「誰だ!?」
「お〜お〜…こりゃ好都合だ」
「何者だ貴様!?亜人がここへ何のようだ!?」
「ムゥッ!」
衛兵の声の後に聞きなれた可愛らしい叫び声が聞こえ、ジャンガは目を向ける。
そこには予想通りの物が居た。
ジャンガは口の端を持ち上げ、ニヤリと笑った。

一方、屋敷内では…
モット伯が雇ったばかりのシエスタを自室へと呼び寄せていた。
シエスタは学院のとは違う給仕の服を身に着けている。
黒ではなく赤が強調されているのもそうだが、スカートは格段に違う。
学院の物と比べても短すぎ、太股までが見えてしまっている。無論、モット伯の趣味だ。
モット伯はそんなシエスタを頭の上から爪先まで舐めるように見つめる。
「どうだ、仕事には慣れたか?」
「はい、大体は…」
「そうか…まぁ、余り無理はせぬようにな」
そう言ってモット伯はイスから立ち上がり、シエスタの後ろへと回ると肩に手を置くと、そのままシエスタに顔を近づけた。
突然の事にシエスタは驚き身を竦ませる。モット伯は彼女の耳の傍で囁くように言った。
「私はお前をただの雑用の為に雇った訳ではないのだからな…、シエスタ…」
「あ、あの…」
どうしたらいいのか解らず、シエスタはただうろたえるのみだった。
その時、扉が叩かれた。モット伯はシエスタから離れ、扉に向かって声を掛ける。
「何だ?」
「ジャンガと名乗る亜人が伯爵に面会したいと言っております」
「ジャンガ?知らぬ名だな…。しかも亜人だと?」
怪訝な顔をするモット伯の横でシエスタは動揺を隠せなかった。
(まさか…どうして?)
何故彼が、ここに来たのか…シエスタには理由が解らない。
そして、彼女はモット伯に言われ、疑問を残しながら部屋を退室した。

モット伯の部屋へと通されたジャンガは屋敷の豪華さに忌々しげに鼻を鳴らした。
「ハンッ…成金趣味丸出しだな…」
「君かね、私に面会したいとか言う亜人は?」
聞こえてきた声にジャンガは視線を前に向ける。
豪華な屋敷に負けないくらい立派な服に身を包み、赤いこれまた立派なマントを羽織った男が居た。
どうやら彼がモット伯らしい。ジャンガはこれと言った感情も表さずにモット伯を見据える。
「モット伯ってのはアンタの事か?」
「下賎な亜人風情が、貴族に馴れ馴れしい口を聞くな!」
ジャンガの言葉にモット伯は怒鳴った。
しかし、ジャンガがその程度の怒鳴り声で怯えるはずも無く、爪で頬を軽く掻く。
233毒の爪の使い魔:2008/09/22(月) 06:18:12 ID:UIiJNGpC
「まァそんなにカッカするんじゃねェよ…、血圧が上がるゼェ?」
「ふんッ!…それで、亜人風情が貴族の屋敷に何の用だ?」
「そりゃ、用があって来たのさ…。大体、用も無けりゃ、こんな所に来やしねェよ。
――テメェみたいな…女抱く為に立場を利用する阿呆の所なんかにはな…キキキ」
「貴様!亜人の分際で貴族を侮辱するか!?」
痛い所を突かれ、逆上したモットはイスから立ち上がり、壁に立て掛けてあった自らの杖を取る。
「そこへなおれ!」
「待ってください、伯爵!」
扉が開き、シエスタが部屋に入ってきた。ジャンガはシエスタに目を向ける。
「何だ、嬢ちゃんか?」
シエスタはモット伯の前に跪く。
「伯爵、この者の無礼をお許しください」
「ならぬ!かような亜人風情の無礼を許していてはジュール・ド・モットの名が廃る。そこを退かぬか、シエスタ!?」
「出来ません!」
「何!?」
「モット伯、私はどのような罰でもお受けいたします。ですから、ジャンガさんの事を許してください」
驚くモット伯に顔を上げたシエスタは懇願した。
幾分か気持ちが落ち着いたのか、モット伯はシエスタに尋ねた。
「お前はその亜人とどのような関係なのだ…シエスタ?」
「…私が向こうで給仕をしていた時の知り合いです。ジャンガさんは、私に良くしてくれたとある貴族の方の使い魔でして…」
「フン、なるほどな」
つまらなさそうに鼻を鳴らすモット伯に、シエスタは懇願を続ける。
「お願いですモット伯、ジャンガさんがここに来たのは私の責任なのです。ですから、罰を与えるなら私に――」

「テメェ……本当のバカだな?」

シエスタの声を遮って、ジャンガの声が部屋に響いた。
その声にシエスタは思わず振り返ると、下らない物を見るかのようなジャンガの顔が目に入った。
「ジャンガさん?」
「俺がいつ…”テメェの事で来た”なんて言った?勝手に勘違いしてんじゃネェよ、ウザってェ…」
「そ、そんな…」
「ま、そんな事よりもだ…」
悲しそうな表情を浮かべるシエスタを気にも留めず、ジャンガはモット伯を見据える。
「テメェによ…聞きたい事があるんだがな〜?」
「貴様、何処までも無礼な態度を――」
「ああ、もう最後まで話しは聞きやがれ。ッたく…貴族ってのは本当に要領が悪すぎる奴ばかりだゼ」
悪態を吐きながら、ジャンガは顎をしゃくる。
モット伯が目を向けると、そこには自分が…否、正確には自分が雇っている幻獣が使役する幻獣がいた。
「ムゥ?」
頭と身体の区別が無い、いわゆる”一頭身”の幻獣は、ほぼ身体全体を傾ける。
その仕草は見る物が見れば間違いなく可愛らしいと言うだろう。
モット伯はジャンガに視線を戻す。
「その幻獣が何だと言うのかね?」
「キキキ、いやなに……こいつらは俺の知っている幻獣だ…。『ムゥ』って名なんだがよ…、こいつはお前が使役してるのか?」
モット伯は、何だそんな事か…、とでも言うかのように鼻を鳴らす。
「違うな。それは私が雇っている、とある幻獣が使役しているのだ」
その言葉にジャンガは目を光らせ、口の端を吊り上げる。
「ほゥ?そうかい…」
234毒の爪の使い魔:2008/09/22(月) 06:21:02 ID:UIiJNGpC
「聞きたい事はそれだけかね?では、貴族を愚弄した罰を受けてもらおうか」
杖を構えるモット伯にシエスタは慌てて懇願する。
「待ってください、モット伯!お願いです、ジャンガさんへの罰は私が受けますから、どうか!?」
「ええい、お前は下がっておれ、シエスタ!」
そんな二人の会話も何処吹く風…、ジャンガは自分の予感が当たった事に笑いを隠せずにいた。
(キキキキキ…、なるほどねェ〜…”あいつ”も来ていたとはなァ…。キキキキキ…)
「キキキキキ…、キーーーッ!キキキキキキーーーッ!!」
突然、大声で笑い出したジャンガに、シエスタもモット伯も呆然と見つめる。
ジャンガは一頻り笑うと静かに呟いた。
「随分とまた……回りくどい真似をしやがるぜ…」
そして目を見開き、高らかに叫んだ。

「居るんだろ!?出て来いよ、ジョーカーーーー!!!」

「のほほほほ、いつお呼びしてくれるか…ドキドキしながら待っていましたよ、ジャンガちゃん♪」
何処からともなく、場の雰囲気にそぐわない陽気な声が聞こえ、唐突に一体の幻獣がその姿を現した。
その姿は一目見ると、誰もが道化師=ピエロを思い浮かべるだろう。
ムゥと呼ばれた幻獣と同じ頭と身体の区別が無い一頭身…大きさは一メイルほどだろうか?
白い顔には黒い十字マークのような目とギザギザの歯が描かれたような笑みを浮かべた赤い口、
オレンジと赤の縞模様をした身体、その身体(頭部?)の一部が背後に向かって突き出し、下巻きに緩やかなカーブを描いている。
白い手袋をしたような手や先の曲がった紫色の靴を履いた足は腕や腿で繋がっておらず、両手や身体はフワフワと宙に浮いているような感じだ。
何とも珍妙な…ハルケギニアでは見ない種類の幻獣である。
ジャンガは笑いながらピエロの幻獣を見つめる。
「よう、久しぶりだなァ…ジョーカー?」
ジャンガにジョーカーと呼ばれた幻獣は左手を口元に当てて笑う。
「のほほほほ、それは此方もですよ…お久しぶりですネェ〜ジャンガちゃん」
「相変わらずのようだなァ?…率直に聞くが、あの馬車にムゥを乗っけたのはお前か?」
「その通りですよ。いやァ〜ジャンガちゃん早く来ないかなァ〜と、ワタクシ胸をトキメかせて待っていましたよ」
二人はそれまでの場の雰囲気などそっちのけで談笑する。まるで、仲の良い旧友に出会ったかのような…そんな感じだった。
たまらず、モット伯が怒鳴った。
「ジョーカー!貴様、その亜人と知り合いなのか?」
「あ、はい、そうですよ〜♪ワタクシの無二の親友です、のほほほほ」
「親友ねェ〜、あのガキ共が使うような歯の浮く台詞を、よくもまァ平気で言えるもんだなァ?」
「のほほほほ、他意は有りませんよ?」
そうやって再び楽しい会話を始めようとする二人にモット伯は再び怒鳴った。
「え〜い、黙れ!ジョーカー!貴様の親友であろうと関係無い、その亜人はこのジュール・ド・モットを侮辱したのだ。
貴様の幻獣共を呼び出し、即刻そやつを捕らえよ!」
しかし、ジョーカーはモット伯を見つめ、動こうとしない。モット伯は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「どうした、ジョーカー!?」
「あ、いえ……どうして貴方の命令を聞かなければならないのかと、そう疑問に思っただけですよ?」
「何!?」
ジャンガはその時、ジョーカーの身体の右側面に刻まれたルーンに気が付いた。
235毒の爪の使い魔:2008/09/22(月) 06:24:03 ID:UIiJNGpC
「おい、ジョーカー…お前、まさかそのオッサンに召喚されたのか?」
「まさか?こんな人に仕えても面白くなさそうですからネェ〜…小悪党のいい例ですし」
「貴様…、ジョーカー!?主であるメイジから逃げ出し、行く当ての無かった貴様を拾ってやった恩を忘れたか!?」
叫ぶモット伯にジョーカーは怪訝な表情を浮かべる(と言っても、実際殆ど変わらないのだが)。
「はて?ワタクシ…いつそのような事をおっしゃいましたか?ワタクシは『ここで働かせてもらえませんかネェ?』と言っただけですが?」
「ぬっ!?」
ジョーカーは再び手を口元に当て、片方の目の形を変え、如何にも可笑しいと言う表情を見せる。
「まァ…出会いのイベントとしては上々な出来でしたかね?役者が大根でシナリオの半分もこなせてませんでしたが…」
「キキキ…なるほどねェ。俺と会う為だけにこいつを利用したのか……いいねェ、そういう所…変わってなくて嬉しいぜ。キキキキキ」
「お褒めに預かって光栄ですネェ〜、のほほほほほほ♪」
二人の笑い声が部屋に響き渡る。
一頻り笑うとジャンガはジョーカーに言った。
「さてと…それじゃ仕上げと行くか?」
「はいな〜、ジャンガちゃん♪」
ジャンガの言葉に嬉しそうに返事をするジョーカー。
「おっと、その前に…ジョーカー?」
「はい?」
「仕上げの前にそこにいる…シエスタ嬢ちゃん、眠らせてくれねェか?」
ジャンガに顎で示された所には跪いたままのシエスタがいた。
ジョーカーは納得するとシエスタに向かって右手を飛ばす。彼女の頭の上に掌を翳す形で停止した右手の掌から、紫色の輝きが放たれる。
途端、シエスタは目を閉じ、繰り糸を手放された人形のようにその場に倒れ込む。
「何?」
「がっ!?」
「ぐっ!?」
モット伯が驚くや、衛兵の呻き声が聞こえた。
見れば、ジャンガが後ろに居た衛兵二人の胸を両手の爪で貫いている。
爪を引き抜くと同時に倒れる衛兵。
ジャンガは爪から血を滴らせながら、モット伯へと向き直る。
「キキキ…次は、テメェだな?」
「き、貴様……私の二つ名は『波濤』のモット!トライアングルの――」
「メイジだって言うんだろ?…聞き飽きたゼ、その手の台詞はよ」
耳を穿りながらそう言い捨てるジャンガ。その相手の態度にモット伯は激怒した。
「お、おのれ、その余裕も今のうちだ!」
「どうでもいいがよ……テメェらメイジは杖は大事なんだろ?」
唐突なその言葉にモットは怪訝な顔をする。
「それがなんだ!?」
「手放していいのかと思ってな…?ああ、いや違ったな。手放しちゃいねェな…。
にしても、繋がってなくても放さないってのは…凄ェもんだゼ、キキキ」
何の事だ?目の前の亜人は何を言っている?
唐突にジョーカーが笑った。
「のほほほほ、いやいや…相変わらず凄いですネェ〜。やられたご本人、全く気が付いていないのですから」
「な、何の事だ!?」
「貴方の足元を見れば解ると思いますがネェ〜?」
「ん?」
言われるがまま足元を見る。そこには人の腕が落ちていた。
誰の腕だ、と思う前にその腕の握っている杖や服の袖に見覚えがあった。いや、見覚えがありすぎる。…だってそれは、自分の物だから。
恐る恐る自分の右腕を見ると…無かった。…肘から先が綺麗さっぱり。
一瞬、思考が停止した。
「な、な、何だとーーー!!?」
その絶叫と共に、止まっていた時間が動きだしたかのように、モット伯の腕の断面だから激しい血飛沫が迸る。
瞬間、音も無く駆け寄ったジャンガによってモット伯はその胸を貫かれた。
モット伯はパクパクと陸に上げられた魚のように口を動かし、やがて事切れた。
死んだモット伯を見下ろし、ジャンガは心底楽しそうに笑う。
236毒の爪の使い魔:2008/09/22(月) 06:27:18 ID:UIiJNGpC
「キーーーッ!キキキキキーーーッ!!!感謝しなオッサンよォ〜…秒殺してやったんだからなァ。何処かの気障ガキと比べたら幸せなもんだぜ…」
「のほほほほ、お休みなさ〜い、モット伯さん。のほほほほ♪」
ジャンガに同調するようにジョーカーも実に楽しげに笑う。
と、扉が叩かれ、衛兵の声が聞こえてきた。どうやら、騒ぎを聞きつけてきたようだ。
ジャンガは笑いを止め、ジョーカーに向き直る。
「よう、ジョーカー…シエスタ嬢ちゃんを見ていてくれるか?」
「あ、はい、いいですよ。ジャンガちゃんは”お掃除”に行くんですか?」
「いや、夜も遅いからよ…”寝かし付けてくる”」
ニヤリと笑うジャンガ。それにジョーカーも笑みで答え、手を振って見送った。
扉を開けると、向こうに衛兵が屯していた。
ジャンガとその姿に怯む衛兵達の姿が扉の向こうに消える。



――約十分間ほど、モット伯邸に大勢の悲鳴と断末魔、狂ったような笑い声が響き渡った――



静寂が支配したモット伯邸…
モット伯の部屋ではジョーカーが未だジャンガを待っていた。
ジョーカーが座った椅子の足元にはシエスタが寝息を立てて眠っており、離れた所には二人の衛兵と右腕を切り落とされたモット伯の死体がある。
そんな中、ジョーカーは椅子に座ったまま両足をパタパタと動かし、鼻歌を歌いながらジャンガを待っている。
その光景は実にシュールだった。
と、扉が開いた。入ってきたのはジャンガだった。
「あ、ジャンガちゃん、お疲れですネ。終わったんですか?」
「ああ、もう全員眠ったぜ?キキキ…寝付きのいい奴らばかりで、助かったゼ」
「のほほ、それはそれは。では、後はワタクシが後始末をしておきますので」
「キキキ…、それでだ」
「はい?なんですか?」
ジャンガは爪でシエスタを指し示す。
「そいつの頭の中を弄ってくれるか?とりあえず、メイジ崩れの盗賊連中が大挙して襲ってきて、そいつは慌てて逃げ出した。
そんで、俺とは森の中であって、気絶した…そんな感じにやってくれや」
「のほほほほ、お安い御用です。では、シエスタさん…少〜し頭の中に失礼させてもらいますよ?」
そう言ってジョーカーは先程と同じようにシエスタの頭の上に右手を翳した。

――モット伯邸の門の所までジョーカーはジャンガを見送る事にした。
「それでは、ワタクシはこれから後片付けに戻りますね?」
「ああ、頼んだゼ…」
シエスタを横抱きに抱きかかえながら、ジャンガはジョーカーを見つめる。
ジョーカーはそこでふと思い出したようにジャンガに尋ねる。
「そう言えばジャンガちゃん?」
「ん?」
「何でその方だけは助けたんです?」
「…別に深い意味は無ェ。…ただ、こう言うお人好しなバカは使いようだからな。助けておけば、後々役に立つだろうって事さ…キキキ」
「なるほど…それもそうですね。では、ワタクシはこれで、またお会いしましょうジャンガちゃん♪」
「ああ、俺は暫くは魔法学院に居座ってる積りだ。ま、暫くはお互い好きにやろうや…」
「そうですね〜、のほほほほほ♪」
「キキキキキ」
二人の笑い声は闇夜に木霊した。

ジョーカーと別れ、ジャンガは森をシエスタを抱きかかえながら、一路魔法学院へと向かった。
237毒の爪の使い魔:2008/09/22(月) 06:30:02 ID:UIiJNGpC
途中の森の中でジャンガはふと、腕の中のシエスタを見た。
ジョーカーの眠りの幻術が掛かっているとはいえ、実に気持ち良さそうに眠っている。…本当に気持ち良さそうだ。

――もう〜歩けな〜〜い〜〜、だっこして〜〜――

――テメェは飲みすぎなんだよ…、ッたく…――

また、昔の光景が脳裏を過ぎる。頭痛がし、左手にも痛みが走った。
「チッ…」
舌打ちをし、ジャンガは頭を振った。
徐に月を見上げる。…実に綺麗な月だった。
「いい月夜だな…」
そうジャンガが口にした直後、遠くから馬の蹄の音が聞こえてきた。
目を凝らすと遠くから桃色の髪を揺らしながら、一人の少女が馬に乗って此方に向かって来てる。
「チッ…無粋な野郎が来やがったゼ…」
ジャンガの横を通り過ぎ、少女=ルイズは馬を止める。
「ジャンガ!あんた、何やってるのよ!?」
「んだよ、テメェには関係無ェだろうがよ?」
「関係無いって……」
そこでルイズはジャンガの腕の中で眠るシエスタに気が付いた。
「シエスタ!?ジャンガ…どう言う事!?」
「どうもこうも…この森を歩いていたら嬢ちゃんが歩いてきてよ、随分と疲れた様子だったぜ?
話を聞く限りじゃ、モット伯の屋敷にメイジ崩れの盗賊が入ってきたらしいゼ?嬢ちゃんは必死で逃げてきたんだとさ。
んで、一通り話したら気絶しちまった…ってことさ」
一応筋は通っているようだ。…が、ルイズは一つ気になった事があった。
「あんた…随分前に出たんじゃない?何でこんな所を歩いていたのよ?」
「…別に。ただ道に迷っただけだ」
「…凄く見通しのいい道ばかりなんですけど?」
「……」
二人の間に沈黙が広がった。
「あんた…何をやっていたのよ?」
「…別に?」
ルイズは反射的に道の先に目を向ける。遠くにモット伯の屋敷の明かりが見えた。
そんなルイズにジャンガは声を掛けた。
「止めときなァ、屋敷には近づかない方がいいゼ〜?…死にたくなけりゃよ」
「ジャンガ……あ、あんた…」
声を振るわせるルイズを笑みを浮かべながら見つめるジャンガ。
「いいじゃねェかよ…俺達には関係無ェんだからよ。所詮はお偉いさん達の間の問題だ…。キキキ、気にする事は無ェゼ」
そう言ってジャンガは歩き出した。
色々と言いたかったが相手は聞きもしなさそうなので、ルイズは諦めるとジャンガの後を追って馬を歩かせる。
ルイズはもう一度、モット伯邸を見た。闇夜に薄っすらと浮かぶ屋敷の明かりは不気味な感じがした。



その頃、モット伯邸では…
「いや〜申し訳ありませんね、ガーゴイルを送ってもらって助かりましたよ…。流石にムゥちゃん達だけでは細かい作業は無理な物ですからネェ〜」
ジョーカーは人形を手にしている。何処にでもありそうな普通の人形だった。
その人形へとジョーカーは語り掛けていた。…誰かと話をするかのように。
238毒の爪の使い魔:2008/09/22(月) 06:33:02 ID:UIiJNGpC
「あ、それよりも、タバ…シャルロットさん、もう完全に完治したみたいなので、”仕事”には戻れると団長さんに伝えといてください。
いえいえ…、今はあの方も私の取ってきた例の”オルゴール”に夢中でしょうしね……他の準備など諸々は遅れても仕方ないでしょう。
あのお方はマイペースですからね…のほほほほ。あ、いえいえ…バカにした訳ではないですよ?本当ですよ。
ワタクシですか?もう少し、あの学院を見ていようと思いますね。…いえ、何か物凄く楽しい事が見つかりそうなんですよ。
こういう時のワタクシの感は当たるんですよ…いえ本当ですよ?
まァ、暇は貰っていますし……もう暫くは此方に居ます、はい…そう言う事で。
…では、またお会いしましょう。あのお方にもよろしく伝えて置いてくださいネェ〜、のほほほほ♪」
話し終えたらしく、ジョーカーは人形をポイと宙に放る。瞬間、人形は消しゴムで擦るように消えた。
「…始祖の残せし秘宝ですか…。ただのオルゴールでは無いと思ってましたけど…とんでもない代物だったんですネェ〜?
それにしても、あのオルゴールの本来の持ち主の方々…既に偽者に摩り替っているなんて夢にも思わないでしょうね」

ジョーカーはそう言うと、一人楽しげに笑うのだった。



――翌日、
モット伯邸が何者かに襲われ、モット伯以下…使用人、衛兵の区別無く全員が皆殺しになると言う大惨事に、
学院は愚か…トリステイン中がひっくり返るような大騒ぎとなった。
モット伯邸へと向かった使い魔ジャンガと主人のルイズ、唯一の生き残りであるシエスタは重要参考人として王宮からの使いに事情を聞かれたが、
有用な情報は得られず、シエスタの記憶も曖昧な所が多かった為、状況証拠から事件はメイジ崩れによる強盗だと言う事で決着が付いた。
シエスタは再び学院で雇われる事となり、全ては元の鞘に収まった……かに見えた。

実際は、ルイズがジャンガへの嫌悪感をますます募らせたり、記憶を改変されたシエスタがジャンガを恩人と慕ってより一層懐いた…などの変わった所もあったのだった。
239毒の爪の使い魔:2008/09/22(月) 06:36:02 ID:UIiJNGpC
以上で投下終了です。
ようやくジョーカー本格的に登場です。とはいえ、また暫く出てこないのですが(汗)
まぁ、気長に再登場を待ってやってください。
では、久方ぶりの成分表を。今回はジョーカーのもあります。



ジャンガの成分

欲望(70%)

ジョーカー(8%):いつも一緒に混乱を楽しむピエロ。組んでて楽しい相方。

シエスタ(5%):バカでお人好し、使い方しだいで役に立つ。…しかし、何だか調子が狂う相手でもある。

タバサ(5%)

ルイズ(1.9%)

ヒミツ(10%)(0.1%)



ジョーカーの成分

快楽(50%):ジョーカーの行動原理。楽しい事には首を突っ込み、大きな混乱になりそうな火種は手を加えて大火事にする。

ジャンガ(50%):何時でも何処でも二人は一緒。離れ離れは寂しすぎです。



こんなところでしょう。では、アディオ〜〜ス♪
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 06:44:55 ID:+cymxGX8
乙。

さすがジョーカー、便利キャラだぜ。
つーか成分wwwwww%じゃなくていいだろwwwwww
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 08:24:11 ID:RcjZ5Lq1
しかし、ルイズが「乗馬が得意」という設定が忘れ去られてるSS多いな。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 09:06:08 ID:212GMKtI
ポイズンピンクより主人公のうち誰かを召喚とか考えたのだが…

テージ:どう考えてもルイズが逆に使い魔にされます。
オリフェン、ハーシュ、ロンデミオン:どう考えてもルイズに従いません。
デュファストン:…状況次第じゃルイズ殺されます。…まぁテージ曰くロ○コンだそうだから、もしかしたら従うかも(をい

みたいな展開しか思い浮かばない俺涙目。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 10:45:10 ID:h2X5h+X6
>>242
どうしてもルイズに召喚させなきゃいけないのか?
他の虚無や佐々木さん、オスマンの恩人など原作の範囲でも十分逃げ道はあるが。
244名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 10:47:38 ID:4weu8wpo
>>242
・ガンダにルティカ
・ミョズにデュファストン
・ヴィンダにテージ&ラキ
んで聖地にはベセクの門があるってのはどうだい?
妙に互いのストーリーがマッチしそうな感じがする。
245名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 11:19:45 ID:m8WlmsMi
空気を読まずに召喚してほしいキャラを述べてみる。

空の軌跡からエステルとヨシュアを召喚。エステルとルイズの言い合いが面白そうで仕方が無いww
というかどちらかをピンで召喚すると、特にヨシュアがえらい事になりそうだからなあ……
246名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 11:35:01 ID:212GMKtI
>>244
その展開だとテファがイゼット化&ラスボスフラグ立ちそうですな。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 11:50:37 ID:4weu8wpo
どっちかといえばティファが四人目にルナーシェを召喚
で、ポイピン組に加えてガリアにロマリア、ワルドやタバサとかも参戦して究極の毒争奪戦かな?
凄まじくドロドロとしたストーリーになりそうだw
248名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 12:09:39 ID:ClkN4qlk
使い魔は主となるメイジに相応しい者が召喚される。
ディスガイアのラハールが召喚された事があるけど――エトナやフロンだったらどうなるんだろう。
249名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 12:32:04 ID:Kf15sxHL
>>248

エトナの場合…黒化又は魔人化
フロンの場合…愛マニア化

じゃね?
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 12:35:32 ID:Nq4q904j
>>245
3rd以降なら二人とも精神的にかなり成長してるし
ルイズを上手く導いてくれるだろうな、レン涙目になりそうだがw
戦術オーブメントは使用者に合わせてカスタマイズされてるらしいからルイズには扱えないだろうけど
そしてヨシュアは相変わらず全方位にモテモテな展開ですね、分かります
251名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 12:48:48 ID:NSMS2/mV
あくまデふぁんたジーのランニーヤ。
同じ召還ネタなのでかなり扱いやすいかも。
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 13:20:53 ID:oeFbXqHX
ジョゼフがまだ若いうちに「ネギま!」の夕映辺りを呼ぶといいかもしれない。
253名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 13:23:16 ID:P3GXs+mq
こうなると、エロパロ板にあったけど――ジョゼフが『手遅れ』になる前に虚無のメイジだと判明する話が見てみたくなるな。
理想郷の醜い〜みたいな感じになりそうだけど。
254名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 13:42:04 ID:5+3RJoj1
実際、ルイズやジョゼフのような境遇の人間が、自分が虚無であると自力で悟るには何が必要だろうか?
255名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 13:42:32 ID:PGkqB82S
>>253
シャルルがジョゼフの実力を評価していたか、
有能さから来る優越感からの態度だったからかで展開が変わるな。

原作では前者ぽかったんだっけ。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 13:44:47 ID:LEtKKD5x
超お人よしだっただけじゃねえの
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 14:03:02 ID:oeFbXqHX
>>255
幼い頃は魔法以外では押しなべてジョゼフのほうが優秀だったんでしょう。年上だし。
それで、シャルルの中に「兄上>自分」っていう一種の固定観念のようなものが出来ていた、とも考えられるんじゃ?
258名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 14:03:51 ID:zuA3orAZ
>>254
コンプレックスとかを天元突破すればいいんじゃないのか
なんて考えたけど、底抜けに明るく熱い漢じゃないとムリだなw
そもそも虚無なんて暗黒面の力みたいなものだしww
259名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 14:10:25 ID:z/exKeZa
祈祷書とかオルゴールの、「服を買いにいく服が無い」仕様が悪い。
つまり、ブリミルが悪い。
260名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 14:12:04 ID:JVOJ7P+h
>お人よし
それじゃつまんないし。
やっぱりどろどろとした鬱屈を熟成させてこそジョゼフって気がするな。

それの変化球としては……
シャルル「廃嫡だ!」
ズガガーン!(崩れる崖をバックに雷)
ジョゼフ「こ、これが……これが逆境か!!」

父「やめるんだジョゼフ。魔法の使えないお前が、シャルルに勝てるものか。たとえ形の上では負けでも、お前の戦いぶりは勝利に値す……」
ジョゼフ「父上!こんな時に変な冗談はやめて下さい!!
たかが魔法が使えるか否かの差、形の上だって勝ちます!!!」
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 14:14:00 ID:ly9ymvh3
>>254
ルイズがシャーリーを呼んでるやつはそんな感じだな
ジョゼフが隠居ライフをエンジョイしてる
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 14:14:20 ID:pfVw05g7
自分のSSの中ではシャルルは全部察していたけどあえてジョゼフが一番苦しむような態度を取ったって設定にしてある。
以前避難所で見た魔法の才能は性格の破綻度に比例するって説を見て、だったら12でスクウェアのシャルルはどんだけ歪んでたんだよと考えて。

兄さん可愛いよ兄さん、兄さんは苦しむ顔も最高だよ、もっともっと兄さんの知らない顔を見せておくれよ、絶望に歪んだ憤怒に狂った、美しいその貌を……
と言う兄さんの為なら死ねる! ってキャラになってるんですが、魔改造しすぎですかね……
263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 14:14:37 ID:3OEP08oo
なんつーかgdgdだよなアレ。
宝物庫とタバサの詮索を一般人の脳内会議レベル以下の非建設的な話し合いをするより
もっと優先して建設的な話し合いをする必要がある議題があるだろ召還したアレとかあれとか。
原作どーりのテンプレイベントやってる傍らで似て異なるキャラモドキが下手糞な内輪芝居を演じているようにしか見えん。
あれ面白いと思っているやついるのか?おバカな作者とそのバカを祭り上げて踊る様を見て喜ぶ養殖屋以外で。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 14:18:07 ID:PGkqB82S
>>260

そこまで後ろ向きに全力出す奴なら
あそこまで歪まなかったんじゃないかw


>>259
もしかしてブリミルって
テファ、ジェゼフ、ヴットーリオ、ルイズの
純真さ、知略、ねじ曲がった根性、うっかり、
を兼ね備えたスーパーはた迷惑だったんじゃ。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 14:18:15 ID:oeFbXqHX
>>259
ブリミルは全き馬鹿だからな。

「虚無」の使い手が、伝説ではなく現実に(始祖以外に)存在する、という、いわば「常識はずれ」の思考が出来ないとならんのだよな。

シュリーマンを引き合いに出そうかと思ったが、じつは当時「トロイアの存在は信じられてなかった」というのは嘘だったらしい。ちえ。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 15:25:48 ID:je7JH5fO
精神の暗黒面が「虚無」の源だとすると、テファもあれで内心ドロドロしたものを抱えてるんだろうか
267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 15:35:20 ID:XZ5h2l7n
精神の昂ぶりが力の源になるみたいだから、別に暗黒面とも限らないんだろうけどさ。
きっとゼロ魔本編の最後は、ツンの全てを乗り越えたデレデレの愛の告白で最高潮に高まった虚無のラブラブエクスプロージョンみたいになるんでないかと予想してたり。

あと>>262を読んで、避難所にネタ振った人間の一人として、ちょっと後悔したorz
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 16:00:48 ID:ZVx4GUkc
>>267
それどこのGガンだよwww
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 16:14:30 ID:uSYp1ReS
ルイズは嫉妬や怒りで、ヴィットーリオは狂信で、ジョゼフは……そういやジョゼフって何で精神力溜めてるんだ?
心が動かねー、って嘆いてるやつなのに
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 16:17:09 ID:A/DyYPKR
その『嘆き』で
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 16:21:00 ID:3Z+BD89u
ジョセフが一番暗黒面に特化してるっぽい印象だな
嫉妬狂気嘆きと全てを備えラスボスに相応しい人物
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 16:26:01 ID:hll0L2IA
じゃあティファ二アはおっぱいで精神力が溜まってるんだな。
おおお俺がお俺がもももんでほぐしてやややらないとな。
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 16:32:41 ID:z/exKeZa
クェイサーかよw
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 16:35:18 ID:PGkqB82S
>>272
ルイズが全く無い辺りそれはないだろう。

ツンデレという形で現れていたから
そちらに廻らなかった、ということかもしれんが。
275異世界使い魔學院紀 :2008/09/22(月) 16:37:55 ID:X8GN+ifv
H.A.N.Tを起動します -Welcome to H.A.N.T-
SS第二話、装填完了 投下態勢へ移行します
投下予定時刻 16:45 Good luck!
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 16:44:39 ID:PGkqB82S
よくわからんが待機。
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 16:45:01 ID:ZVx4GUkc
支援させていただきますぞー
278異世界使い魔學院紀 :2008/09/22(月) 16:45:08 ID:X8GN+ifv
玉磨かざれば宝とならず
                 礼記

2nd.Discovery 『ゼロの少女』 Scene.1

「あァ…腰が痛い…」
翌朝、固い床の感触に甲太郎が目を覚ます。
そして非常に気だるそうにあたりを見回す、そこは今までいた東京都新宿区、天香学園の学生寮…ではなく
昨日から住み込み始めた見慣れない部屋、そしてベッドには桃色の髪をした少女、ルイズが寝息を立てている。
「チッ…夢じゃねェか…」
そう重々しく呟きながらアロマに火をつける、ラベンダーの香りが幾分か心を和らげた。
「アロマがうまいぜ…、さて、どうするか…」
甲太郎があたりを見回すと昨夜ルイズが脱ぎ捨てた衣服や下着が目に付いた
「(そういや洗っておけって言ってたな……ダリぃ…)」
しかし、昨日取引したようにここにいる間は"一応"≪使い魔≫だ、元の世界に戻るためだ、仕方がない
一応世話になるのだからそれなりの義理は果たすことにし、適当なカゴに衣服を詰め込み、外へと出た。
「広いな…」
甲太郎は洗濯できる場所を探し学院内をうろつきながら一人ごちる、
ふと空を見上げると青い空がどこまでも広がり小鳥のさえずりが聞こえてくる、彼がいた東京とは大違いだ、
この世界には視界をさえぎる高層ビルや電線など存在しない
「(こういう世界も悪くはないかもな…)」
のんびり昼寝をするには丁度いい世界だ。
そんな事を考えながら歩いていると、不意に後ろから声をかけられた
「あの…」
「うん?」
甲太郎が後ろを振り向くと、そこにはメイドの恰好をした一人の少女が立っていた。
「あの、どうかされました?」
「あァ、あんたここのメイドか? ちょうどよかった、こいつを洗濯しといてくれ」
その姿を見て一瞬で察した甲太郎は洗濯物の入ったカゴを押し付ける。
「えっ? あっ、はい、えっと…あの…もしかしてあなたが噂のミス・ヴェリエールの≪使い魔≫さんですか?」
「あん? 誰だそりゃ」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール様です」
「あぁ…そういやそんな名前だったな…ま、一応そう言うことになってる」
よく覚えてんな、とそんな事を思いながら適当に相槌を打つ。
「あ、私こちらでご奉公させていただいているメイドのシエスタと申します」
「俺は皆守甲太郎だ、まァなんだ、ここにきて初めてまともな人間と会話した気分だ…」
「コータロー様…ですか、変わったお名前ですね」
「様なんてつけんな、俺はそんな大層な奴じゃねェよ」
アロマパイプを燻らせる甲太郎にシエスタが笑顔で話しかける。
「はい、わかりました、同じ平民同士よろしくおねがいしますね。では、お洗濯が終わりましたら、お部屋へお届けします」
「あァ、助かったぜ…んじゃーな…ふわーあ……眠い…」
「…いい香り、なんだろう?」
後ろ手で手を振りながら立ち去る甲太郎を見送りながらシエスタは呟き、水場へと歩いて行った。
279異世界使い魔學院紀 :2008/09/22(月) 16:46:45 ID:X8GN+ifv
甲太郎が部屋へ戻ると、主であるルイズはベッドの上でまだ心地よさそうに寝息を立てている。
「…ま、起こすのも悪いか…さて…俺も寝なおすとするか…」
そんなルイズを見て甲太郎は大きくあくびをすると床へと寝そべり寝息を立て始めた。
                           ・
                           ・
                           ・
                           ・
「あんたなんで起こさないのよぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「るせぇーな…あんまり気持ちよさそうに寝ていたもんでな…邪魔するのも悪いと思ったんだよ…」
ルイズが顔を真っ赤にし大急ぎで制服に着替えながら、呑気にアロマを吸っている甲太郎を怒鳴りつける。
ルイズが目覚めると時刻はすでに授業開始の直前になっていた、朝食を取り損ねた上に遅刻寸前だ。
「あんたみたいな役立たずな≪使い魔≫にはお仕置きが必要みたいね!!!」
着替え終わり、乗馬用の鞭を握りしめ睨みつけるルイズに甲太郎は立ち上がり気だるそうに答える。
「おいおい、そんなもんでどうする気だよ、悪いが俺にはそんな趣味はないんでな、他でやれ」
そう言いながらアロマを吸い、ふーっと煙を吹き出した。
「あ〜…眠い…」
その一言はルイズの逆鱗に触れたのか、甲太郎目がけ思いっきり鞭を振ってきた。
甲太郎の頬を横からおもいっきり殴りつけるように振りぬいたにも関わらず
鞭が軽い音を立て空を切り、ルイズは体勢を崩してしまった、ルイズが驚いたように目を見開き甲太郎をみる
「何やってんだ?」
ルイズは少し唖然としていたが甲太郎の呆れるようなその声に我を取り戻す
怒りのあまり手元が狂ってしまったのだろうか?
そう考えたルイズはもう一度甲太郎目がけ飛びかかるように鞭を振った。
ヒュン! という軽い音、またも鞭は空を切り、体勢を崩したルイズは前のめりに倒れこむ、石造りの床がルイズの顔面に迫った
「おっと」
「ぎゃうっ!」
ルイズが床に顔面から倒れこむ直前、甲太郎がルイズの襟首を掴み、転倒を阻止する。
「大丈夫か? ≪ご主人≫?」
甲太郎が制服の襟首をつかんだままルイズの顔を覗き込む。
「はっ! 離しなさいよ! いつご主人様に触っていいって言ったの!?」
ルイズは顔を真っ赤にしながらジタバタと怒鳴り散らした
「ほらよ」
「ぎゃん!」
甲太郎がパッと手を放すとルイズはドサッという音とともに地面に倒れこむ
「もう! あんた一日ご飯抜き!」
「冗談じゃねぇ、餓えちまうよ」
「知らない! 少しは反省なさい! それより授業へ行くわ! ついてきなさい!」
ルイズはそこまで捲くし立てると授業へ出るための準備をしはじめた。
「もうっ! あんたのせいで朝食も取れないし授業にも遅れそうだし最悪だわ!!」
「授業を休講(フケ)るのも悪かないぜ? 非生産的で無意味な授業を体験するぐらいなら、
夢という安息を生産する時間を過ごしていたほうがマシだ、そうは思わないか?」
「私は受けなくっちゃならないの! そんな考えを持ってるのはアンタだけよ!」
「お前もそこいらの生徒(ヒツジ)どもと同程度か。精々今のうちに教師に媚を売るがいいさ」
280異世界使い魔學院紀 :2008/09/22(月) 16:47:52 ID:X8GN+ifv
ルイズと甲太郎がそんな会話をしながら部屋の外へと出る、
すると部屋の前に一人の女生徒が立っていた。
燃えるような赤い髪に、褐色の肌、そして大きく突き出た胸。
一番上と二番目のブラウスのボタンが外れている為、余計に強調される。
その姿をみた甲太郎は口をぽかんと開けた
「(双樹!? いや…ちがうか…)」
天香学園の≪生徒会≫書記、双樹咲重を一瞬連想したがすぐにその考えを改めた。
「おはよう、ルイズ、良く眠れた?」
「おはよう、キュルケ、こいつのおかげでね…」
キュルケと呼ばれた女生徒とルイズは嫌そうな表情を浮かべながらも挨拶を交わす。
「朝食の時間になってもこないんだもの、起こしにきてあげたんだけど…余計なお世話だったみたいね
それで、あなたの使い魔ってもしかしてそれ?」
そういいながらアロマを吸っている甲太郎を指差す
「えぇ」
「へぇ〜、ホントに人間だなんて、凄いじゃない!」
アッハッハと笑い出すキュルケ。ルイズは腕を組んだまま黙っている。
「『サモン・サーヴァント』で平民を喚んじゃうなんて。あなたらしいわね≪ゼロ≫のルイズ」
「うるさいわね」
「誰かさんと違って一発で私は成功したわ」
「へぇ」
「使い魔はやっぱりこういうのがいいわよねぇ〜、フレイム!」
キュルケは、自慢するかのように自分の使い魔を呼んだ。キュルケの部屋からのそりと、真っ赤な巨大なトカゲが廊下へと姿を現した。
「(もう…なんでもアリだな)」
遺跡内部でそういった類の化人を見慣れているせいか、その姿をみても特になにも思わず、アロマの煙を吐き出す
「これってサラマンダー?」
ルイズは悔しそうに聞いた。
「そうよ、火トカゲよ、火竜山脈のサラマンダーよ、好事家に見せたら値段なんかつかないわよ」
「そりゃあ、良かったわね」
「素敵でしょう、あたしの属性ぴったり」
「あんた『火』属性だもんね」
「ええ、≪微熱≫のキュルケですもの、ささやかに燃える情熱は微熱、でも、男の子はそれでイチコロなの、貴方と違ってね」
「(香水は使わないのか…ま、面倒がないだけいいか)」
その話を聞きながら甲太郎はそんな事を考える。
「あんたみたいに色気振りまくほど暇じゃないわよ」
そんなルイズにキュルケは余裕の笑みを見せた。
「貴方お名前は?」
「あ? 皆守甲太郎」
「ミナカミコータロー? 変な名前」
ぶっきらぼうに答える甲太郎をキュルケは軽く流す
「………」
「それじゃ、先に行くわね、あなたも早くしないと遅れるわよ〜」
そういって後ろ手に手を振りながらキュルケは去っていった。それに続いてサラマンダーが可愛らしく動く。
キュルケが視界からいなくなると、ルイズは拳を強く握り締めた。
「あーもうむかつく! 自分がサラマンダーを召喚したからってわざわざ自慢しにきて! くやしー!」
「使い魔ごときで盛り上がって、おめでたい女だ」
「何言ってるのよバカ! メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言われてるのよ!? なんでわたしがあんたなのよ!」
「知らねぇな、こっちも迷惑してんだ、だから一刻も早く使い魔を変えたいだろ? だったら早く俺を元の場所に戻す方法を探すんだな
そうすりゃお前もああいうのを喚べるさ」
煙を吐き出し、まるで他人事のように甲太郎は言う、
「〜〜〜っ…! もういいわ、さっさと行くわよ!」
281異世界使い魔學院紀 :2008/09/22(月) 16:49:25 ID:X8GN+ifv
そう言いながらルイズと甲太郎は教室へと向かう、その途中、ふと甲太郎が口を開いた
「なァ、あの女、≪生徒会≫役員ってことはないよな?」
「何よ≪生徒会≫って、一応あることはあるけど、キュルケは普通の生徒よ、役員とかそういうのはやってないわ、
それよりあんた、キュルケに見とれてたでしょ?」
「別にそんなんじゃねぇよ、俺の元いたとこの知り合いに少し似てただけだ」
「そう? ならきっとロクな女じゃないわね」
「あァ、ロクな女じゃねぇよ」
にべもなく言い切った甲太郎を見て、知り合いに似ていたのなら仕方がないとルイズは考えた。
教室の前にたどり着き教室内に入ろうとするルイズに再び甲太郎が話かける。
「おい、ダルいから外で寝てるわ、終わったら声掛けてくれ」
「あれだけ寝ておいてまだ寝る気!? 使い魔と一緒に授業受けなきゃならないの!
いいからついてきなさい!」
有無を言わさぬ口調で甲太郎を教室に引っ張り込む。
ルイズが教室に入ると、すでに多くの生徒たちが席に着いていた。
大学の講堂のような教室には、たくさんの生徒が様々な使い魔を引き連れていた。
だが、使い魔が人間というのはルイズだけのようで、ルイズはそれをネタに散々揶揄されていた。
「おい、ゼロのルイズだ…」
「平民なんか連れてるぜ…」
その言葉にルイズはいちいち反論していたが甲太郎はどこ吹く風。
呑気に壁に寄り掛かりアロマパイプをくゆらせていた。
「(まるで小学生だな…)」
そう思いながらあたりを見回していると、やがて女性教員が教室へ入ってきた。
「皆さん、春の使い魔召還は大成功のようですね。このシュヴルーズ、みなさんの使い魔を見るのを毎年、楽しみにしているのですよ」
そして教室を見渡すと、やがて甲太郎に眼をとめた
「おやおや、また変わった使い魔を召喚したようですね、ミス・ヴァリエール」
シュヴルーズのとぼけた声に、教室中から忍び笑いがもれる。
「おい『ゼロ』。召喚が失敗したからって。その辺の平民引っ張ってくるなよ!」
誰かがそういうと、忍び笑いは大笑いに変わった。
「いい加減なことをいわないで、かぜっぴきのマリコルヌ!」
「誰がかぜっぴきだ! 俺は風上のマリコルヌだ!」
シュヴルーズが頭を押さえながら杖を振ると、二人がすとん、と座った。

そして授業が始まる。
甲太郎は半ばぼんやりと講義を聞いていた。
魔法には土、水、火、風、虚無の五つの属性があり、メイジはそのうち一つは必ず使えること。
虚無の属性の使い手は失われていること。メイジの実力によって四階級が存在すること。
メイジにはみな、それぞれ二つ名のようなものがついていること。
講義が進むと、いよいよ実践になり、シュヴルーズという女教師がただの石を真鍮に変化させていた。
「へぇ…便利なもんだな…」
甲太郎が呟くと、シュヴルーズは実際に実演してもらおうということでルイズを指名した。
「ではミス・ヴァリエール 『錬金』は貴方にやってもらいましょう」
282異世界使い魔學院紀 :2008/09/22(月) 16:50:31 ID:X8GN+ifv
そういった途端、教室中の生徒がびくっと反応した。そして続々と反対意見が挙がる。
「先生、やめといた方がいいと思います」
「そうです。無茶です、先生!」
「『ゼロ』に魔法を使わせるなんて!」
シュヴルーズは何をそんなに反対するのか分からない。
「失敗を恐れていては進歩はありませんよ。さあ、ミス・ヴァリエール。やってごらんなさい」
ルイズが意を決したように教壇へ向かっていくと、ある者は机の下に隠れ、ある者は教室から逃げるように出て行く。
わけが分からず、ぼんやりと甲太郎が観察していると、ルイズは一心に杖を掲げ、呪文を唱えた。
次の瞬間、ただの石が爆発を起こした。
「なッ!?」
爆風とともに飛んできた石のかけらや木片などを全て回避する。
とっさのこととはいえ、怪我を負うことはなかった。
「(なんだよこりゃ…椎名のより強力じゃねぇか…)」
土煙りが収まり煤だらけになったルイズが現れる
「ちょっと失敗したみたいね」
その言葉に教室中から非難の声が挙がり始めた
「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」
「(なるほどな…成功率≪ゼロ≫か…)」
何かある度によく聞くゼロのルイズ。魔法の成功率がほとんどゼロだから、と甲太郎は理解した。
「だが…この破壊力はさすがにすげぇな…」
甲太郎はそう呟きながら服についた埃を払い、アロマに火をつけた。

「はぁ…ダリぃ…」
「うるさいわね、早く片付けなさいよ!」
「わぁったよ…」
ルイズの失敗魔法による爆発によって、シュヴルーズは失神、授業は中断されてしまい
罰としてルイズは昼ご飯までにこの教室を片付ける事になったのだった。
甲太郎は気だるそうに、だが手際よくゴミを片付け机を拭いている。
途中、黙って机を拭いていると急にルイズが話しかけてきた
「…どうせあんたも心の中で私を笑ってるんでしょ?」
「…は?」
「魔法も使えない何の≪力≫もないメイジがなにを偉そうにしてるんだ、とかさ! 思ってるんでしょ!? 笑えばいいじゃない!」
「…何言ってんだお前?」
甲太郎から返ってきた意外な言葉にルイズは少々驚き目を見開く
「え?」
「お前の事笑ってどうするんだよ?」
「コータロー…」
「それに、だ、お前のその≪力≫、俺は認めるぜ? 俺のいた学園の≪生徒会執行委員≫とも渡り合えるだろうよ」
ま、今はもう解放されたけどな…と甲太郎は静かに呟く。
「…でも、こんなのじゃ≪力≫とは呼べないわ…私はただ普通のメイジでありたいだけなのよ…ふつうに魔法を使いたい…」
「最初から備わっているだけいいじゃねぇか、≪生徒会≫のように与えられたようなものじゃない、お前の天性のものだからな」
「ちょっと待って…さっきから引っ掛かってたんだけどあんたのいた≪学園≫って一体どんなところだったの?」
ルイズは怪訝な表情で甲太郎を見る、≪生徒会≫という言葉にひっかかりを感じたのだ、さっきもやたらと気にしていた気がする。
283異世界使い魔學院紀 :2008/09/22(月) 16:51:40 ID:X8GN+ifv
「どんなって言われてもな…、まぁ、ここと同じ全寮制の学園だ、一般生徒の上に≪生徒会≫が絶対の法として存在し
その下部組織≪生徒会執行委員≫が風紀の取締りを行っていた。簡単にいえば生徒を恐怖で支配していたのさ。」
「どんな集団よ…」
「そいつらはみな、過去に縛られた哀れな連中さ、それぞれが異能の力を持っていた、お前の魔法みたく、触れたものを爆発させる奴や、
木刀で石だろうが鉄だろうが斬っちまう奴、さっきのキュルケって奴に似てる女は香水を使って人心を操る能力を持っているな。
トップの生徒会長に至ってはそいつらの元締めだ、そりゃ強力な力を持っていたさ。」
「なによそれ…どんな化け物集団よ…、っていうかほとんど先住魔法の領域じゃない…」
「だが、その支配もついに終わる時が来た、たった一人の≪転校生≫が全員過去の束縛から解き放ったのさ。
学園の地下に眠っていた神サマの太古の呪縛までもな。」
「学園の地下に神様がいたの!?」
思わぬ一言にルイズが驚き聞き返す、
「まぁ、それは置いておいてだ、その化け物集団と戦い勝利した≪転校生≫、こいつには何の≪力≫が備わっていたと思う?」
「えっ? それはそんな化け物と戦うくらいだから…ものすごい≪力≫を持っていたんじゃないの?」
ルイズがそう答えると、甲太郎はどこか嬉しそうに、そして誇らしげに語り始める
「そいつはな、なんの≪力≫も持っていない、お前らの世界で言うただの平民だったんだ。」
「そんな…一体どうやったっていうのよ?」
「あいつは、俺やクラスメートを巻き込んで≪生徒会執行委員≫や≪生徒会役員≫と戦った、
持てる知力と勇気をもってな。あいつの人を思う心が、学園の魔人達の心の鎖を解き放っていった。
終いにはあいつ、敵だった執行委員や役員まで仲間にしていたんだぜ?そしてついには封印されていた化物まで倒しちまった」
ルイズはまるで英雄譚を聞く子供のように目を輝かせながら甲太郎の話に聞き入っている。
「あいつは…俺の誇りであり大事な親友だ、俺も救われたんだ、あの≪転校生≫に…」
そこまで言うと甲太郎は少し俯き、やがてルイズをまっすぐ見据える。
「たとえ≪力≫なんかがなくっても、やれることはあるさ、あいつみたいにな…、だから前を向け、お前はゼロなんかじゃねぇよ」
そこまで言うと、「火が消えちまった」と呟きアロマに火をつけ、後ろを向きふーっと煙を吐いた。
ルイズの心に甲太郎の言葉が響く、気がつけば眼に涙がたまっていた。
今まで誰かにかけて欲しかった言葉、自分を認めてくれる言葉、ようやく見つけた、自分を心から認めてくれる存在が。
「ふぇっ…うっ…ひっく…」
「なっ! おいおい! なんで泣いてんだ!? なんか泣くようなこと言ったか!?」
突然涙を流し始めたルイズをみて甲太郎は慌てふためく。
「ちっ違うわよバカぁ! な…泣いてなんかいないもんっ…! 使い魔の前では泣かないもん…!」
涙がとめどなくあふれてくる、ルイズは涙を止めることができずついには決壊してしまった
「うえ〜〜〜ん」
大声で泣き出してしまったルイズを見て甲太郎は溜息を吐きながら肩を落とす。
「どうなってんだ? これじゃ俺が苛めてるみたいじゃねぇか…」
そう呟くと少々疲れた表情でアロマを銜えた。


To be continued...
284異世界使い魔學院紀 :2008/09/22(月) 16:52:32 ID:X8GN+ifv
投下終了 執筆態勢へ移行します
そろそろジュブナイラーな感じにしていきたいな
これがまた難しいんだけどね…
食堂で待ち受ける甲太郎の運命とは?
次回!あのカレーをくぐれ!(嘘)
ではまた次回に、ゲット・トレジャー!
285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 17:32:54 ID:caDJr1Fu
【愛】
286名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 17:38:04 ID:NiNpJUAO
【愛】
287名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 17:41:24 ID:SLhy8U7y
【喜】
原作再プレイしたくなるな
288名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 17:50:08 ID:qW2tXuwo
【悩】
九龍は普通の人間と言えるだろうか?
289名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 17:53:43 ID:NiNpJUAO
もちろん宝探し屋としての訓練を受けていて、銃火器や格闘術は身についてるけど
学園の墓守達と比べると一般人のたどり着ける領域止まりだろうな
290名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 17:55:11 ID:JJJaJOCl
【愛】
雰囲気までばっちりジュブナイルしてていいなあ
291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:28:33 ID:OdhoEvof
>>262
声は子安?
でもあれは弟が天才兄を嫉妬していたんだけど。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:28:46 ID:E3x1wfev
イメージすれば自分の系統を無視した魔法も使えるよ
ついでに関節も増やせるよ
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:40:35 ID:I78Gc41y
ところでずっと疑問だったんだけど、よくヘイトだとか非難される声が上がるよね

で、開き直ってヘイトやるとしたら、どこまでなら許容範囲になるのかな?
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:42:05 ID:/HjfLSMe
なんか唐突に
「紙のかの字もねーよ」
と言いながら便所にて始祖の祈祷書でケツを拭くルイズが思いついた
295ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/22(月) 18:43:38 ID:ZVx4GUkc
流れぶって切ってすいません。投下よろしいでしょうか?
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:45:10 ID:czgFQ+Ky
GOGO!!
297ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/22(月) 18:46:04 ID:ZVx4GUkc
では行きます。改行うまくいってるといいんだけど。
2 ご主人様の涙
「ねぇ。本当に人、いえ猫とかトカゲの亜人ですら先住魔法を使えるの?その、タムリエルって所は。」
先ほどの発言に驚くルイズを落ち着かせ、彼女の部屋で証拠――簡単な自己回復の魔法――を見せても未だ信じられない様子で
何度も繰り返し聞き返すルイズに少しうんざりしながらマーティンは
先住魔法の意味をあまり考えずに、先ほどからくり返し説明している事をぶっきらぼうに言った。
「そうとも、ご主人様。タムリエルとそれ以外の全ての大陸と島々を合わせたニルンの地がある『ムンダス界』より
遠く離れた異世界『エセリウス』の影響と、そこに住まう神々九大神の加護によって、ニルンの生きとし生ける全ての
知あるものは魔法が使えるんだ。人によって得手不得手があるのは間違いないけれどね。」
「ムンダス界って何よ。まるでハルケギニアではないみたいじゃない。」
今までと違い質問を返してきたことに内心嬉しく思いながら、自分の中に生まれた疑問を彼女に投げた。
「ここはオブリビオンではないのかい?ムンダス界とは定命の生物が住んでいるニルンの地とそれ以外の全てを、
例えばあの月とか星とかをまとめて一つの世界として指し示す言葉だよ。」
厳密には違うかも知れないが、メイジギルドを辞めしばらく経ち、そういった定義についてすっかり忘れてしまった
マーティンが特に知らなくても問題なかった事を詳しく教えられるはずもない。確かこうだったか、と
憶測で言っている節があった。彼女は気づいていないが。
298ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/22(月) 18:46:50 ID:ZVx4GUkc
「『オブリビオン』?えせりうす…だったかしら。そことはまた違うのかしら。少なくともここはそんな所じゃないわよ」
「大違いだとも。」
どう違うというのか。ある理由から知識欲が強いルイズはいつの間にか自分の使い魔の話に夢中で
出なければならない午後の授業の事などすっかり忘れていた。
しかし、彼女がなかなか魔法を成功させなかったせいで時間がとれず、まともな授業ができないから使い魔との
親睦を深める為自習となり、何の問題もなかったが。
「まず、オブリビオンとは開いてはならない扉だ。それを開いて未だに正気を保っていられるかさえ怪しい所なんだ。」
「ここをそんな危険な場所だなんて言わないでよ。けど、神様のいるっていうエセリウスとは違って、随分怖い所なのね。」
ああ、とてもとても怖いところだ。そうマーティンはにこりと笑って言った。親が子に物語でも読み聞かせているかのように。
「身を持って知っているからね。オブリビオンの中の世界は。二つしか入った事は無いが、それだけで一生分の恐怖は味わったよ。」
そんな所ばかりではないらしいがね。とマーティンは付け加えた。
「どういうこと?あなた、そこに行ったの?それに二つって何?オブリビオンにはいくつか種類があるのかしら」
興味が尽きない。先ほど貴族で無いと風貌から思ったが、なかなかどうして教養のある語り口で話すこの男は自らが言った通り
貴族らしい身分なのでは無いのだろうか。今まで聞かされてきた始祖ブリミルとその使い魔の物語とは全く違うが、
しかし語りには一つとして嘘が見えないこの話に、ルイズはすっかりのめり込んでいた。
どこか遠くを見る目で、マーティンは語り出した。あまり思い出したい事ではないが、彼女の好奇心を満たして
親睦を深めるのは決して悪いことではないだろうと思って。
「ああ、若気の至りでね。若い頃は誰だって力や名誉を欲する物だ。オブリビオンに住む不死のデイドラ達の
力に憧れた私は、『メイジギルド』の見習いだった私は――」
「今、何て」
何だろうか。不死だとかのデイドラも興味はあるが、ありえるはずのない組合の名が出てきたが。
「ああ、だからメイジギルドの――」
「え?」
299ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/22(月) 18:47:40 ID:ZVx4GUkc
だから、何でそんな名前の組合がある。ルイズからすれば例え全ての人々がメイジだとしてもそんな組合の名はあり得ない事だ。
だって、彼女にとってメイジとは権威ある貴族なのだから。落ちぶれる者がいたとしても元から落ちぶれているわけではない。
おそらく彼のいた世界では魔法を使えないより多くの人でない生き物を平民として見ているのだと思っていた。
そういう考え方しかできない環境で育ったのだ。
「え?じゃないだろう。君だって公爵令嬢ながらメイジギルドの見習いの一人で、魔法の真理を探究しようと勉学に励んでいるのではないのか?
破壊の魔法を修めてバトルメイジになりたいのかもしれないが。」
マーティンのいたタムリエル帝国の中央、シロディール地方の街では、たしかに魔法を使えない人間もいたが、
それはたいてい覚えたり使ったりするのが面倒で、魔法を使わない向こう見ずな戦士ギルドの若い戦士か、
お金を出してギルドや魔法店から呪文を買うほど魔法を必要としない一般市民ぐらいだ。
初代メイジギルドの会長や皇帝、ユリエル1世がタムリエル全域に広めた魔法文化は、
魔法というものをメイジのみが扱える存在から誰もが扱える存在へと変えた。
マーティンが生まれるずっと昔の話だが、それ故、何故彼女が貴族ながらメイジであるのかを彼は理解できていなかった。
魔法はありふれた物だから特別だとは思っていないのだ。
「違うわよ!メイジっていうのは、貴族っていうのは魔法が使える人間の事!あんたの所だってそうでしょう!?」
生まれてから長い間植え付けられてきた概念とはそうそう頭から離れはしないものである。特にルイズは年若く意地っ張りの頑固者であり、
違うと言われても頑としてそれを通す人間だった。通さねば、生きていけなかった。不器用な生き方である。
ゲルマニアは、まぁ仕方がない。何せあの赤毛の忌々しくて憎らしいあいつがいるのだ。平民だって成り上がりで貴族にもなろう。
しかしそこでもメイジの貴族はいる。いて当たり前なのだ。だというのにこいつは、私が呼んだ使い魔の場所では、いや、まさか
そんなはずないじゃない。だって、そうじゃなかったら私がしてきた事ってただでさえ失敗続きなのに――
貴族としてしなくても良い無駄なことを延々としていたんじゃないの、だなんて考えるのもイヤ!
メイジが貴族であるのが普通であるハルケギニアは、トリステイン魔法学院の校訓である貴族は魔法をもってしてその精神となすという
言葉からも分かるように魔法が使えるという事は貴族としての誇りと同義である。特にメイジの貴族しかいないトリステインでは尚更の事だ。
ルイズはメイジながら全ての魔法を失敗するメイジである。もし、彼女が幼い頃にかのメイジギルドの創設者にして初代会長ヴァヌス・ガレリオン
やギルドの誇る優秀なメイジと出会っていたなら、彼らは彼女の爆発の原因を元気づけながら探り、
もしかしたらその爆発の真意を見つけていたかも知れない。なにせ失敗しかしないのだ。普通に見たらどう考えても変だし
その原因を探る事によって真理の探究に繋がるかもしれない。とタムリエルの一般的なメイジ達は思うだろう。
300ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/22(月) 18:48:41 ID:ZVx4GUkc
しかし悲しいかな、彼女はそのような良い意味での学者的発想のメイジと一切出会わず、
昔ながらの伝統に沿った教え方しかできないメイジの元で魔法を学び続けた。敵に背を向けぬ者は勇ましき貴族の心を持っているといえるだろうが
魔法を全く使えぬ者を貴族と認める道理はトリステインにはない。そして彼女はトリステインの王家に連なる公爵家の一員である。
愚直なまでに真っ直ぐな性根の彼女は、貴族としての誇りだけは誰よりも負けない程に育ってしまった。
中身の伴わない自信ほど、他者を振り回す物はない。それを分かっていてもルイズは貴族として振る舞わねばならなかったのだ。
故に、メイジが貴族でない世界など認めるわけにはいかなかった。認めたくはなかったのだ。子供のわがままとも言えると分かっていたが、
それを認めれば自分が壊れてしまいそうで、どうしても嫌だとしか思えなかった。そんなルイズの目には大粒の涙が浮かんでいる。
その涙を流しそうになるルイズの頭をそっと撫でて、マーティンは優しく語りかけた。
「そうか、それがここのメイジなのだね?ご主人様」
本当の親を知らぬまま育ち、メイジギルドに入って後、自業自得とはいえ危険な魔法でオブリビオンの世界を垣間見て共に魔法を学んだ友を死なせ、
逃げるようにメイジギルドを去った全てにおいて未熟だった若い頃。
それから何十年と過ぎたある日、教会に勤める司祭として住んでいた街が異形の化け物、デイドラ達に襲われた。すんでの所で何人かの街人と共に教会に逃げ込み
己が信仰する神々、「九大神」の一人であるアカトシュに祈りを捧げる中急に現れた後の盟友と共にデイドラ達を蹴散らして街を襲った奴らを一掃した。
そこからも一般人には決して真似できないだろう様々な事柄を盟友や老齢ながら頼もしき皇帝直属の特殊部隊『ブレイズ』の長ジョフリー、
それと盟友がどこかへ連れて行くと約束したまま何故か様々な所へ連れ歩くなかなか腕利きの戦士、ジェメイン兄弟と共に体験したのだ。
そして皇帝の命令を待つブレイズ達の拠点『曇王の神殿』に着いた後、彼はどうであろうと皇帝にならなければならないのを実感した。
ただ50年生きているだけでも人生観は変わるというのに、ここ数年でどれだけさらに変わったか。自己の概念の変化を繰り返しているマーティンにとって
そういう世界もありえるのだろうというのは、彼女の悲しげな鳴き声から察することくらいわけも無かった。
そして彼女はそれを拠り所として生きていかなければならないということも。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:48:41 ID:HaLC72K4
>>289
心肺機能停止しても戦闘続行可能だったり
少し歩き回るだけで、それや骨折等が回復したり
どう考えても錬金術なアイテム作成能力は無視ですか?
302ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/22(月) 18:49:29 ID:ZVx4GUkc
「そうよ、メイジは貴族なんだから。貴族がメイジ以外の何かなんて、ありえないんだもん。だから、だからあんたの所もそうよね…?」
目を真っ赤にして泣きながらルイズは話す。メイジは貴族、そんなハルケギニアにとって当たり前の話は、
タムリエルにとっては全く当てはまらない。
「とりあえず、ゆっくり息を吸って、そう。しっかりと吸って長く息を吐いて…」
深呼吸をさせて落ち着かせる。どう切り出すか、上手い具合に考えなければ彼女の精神そのものに悪影響を及ぼすだろう。
慎重にゆっくりとマーティンは話を始めた。
「まず、今の勘違いについて謝ろう。貴方の誇りをひどく傷つけた事を許して欲しい。私のいた国ではそれが普通の事だったんだ」
「何でそんなのが普通なのよ。おかしいじゃない」
未だ目を真っ赤にするルイズはジロリとマーティンをにらむ。これが逆恨みだとか八つ当たりだというものなのは分かっているが、
しかしそうしていないとどうしようもない気分になるのだ。
「私のいた国、タムリエルには以前魔法なんてほとんど伝わっていなかった。と言っても何百年も昔の話だけどね。
ある時ガレリオンという人がアルテウムという名前の島にある最初の魔法結社、サイジック会という所で様々な魔法を学んで研究し、
当時明らかにされていなかった色々な魔法の構成について解き明かした。偉大なメイジだったんだ。その、いわゆる研究者という
意味のメイジとしてね。私の世界のメイジは研究者としての意味合いが昔から強かったんだ」
アルテウムはサマーセット諸島と呼ばれる島々の一つであり、それらはハイエルフの故郷である。
彼の伝記である「秘術士ガレリオン」を最近読んでいなかったせいで彼が人かエルフのどちらだったかマーティンは忘れていた。
おそらくハイエルフだったろうが、もしかしたらそれも地雷かもしれない。人であると思わせる事にした。
「研究者ならこっちにもいるわ。王立のアカデミーには私のお姉様が働いているもの。でも、姉様は貴族だからね」
うん、そうだろうとも。彼はそう言ってルイズを否定することなく、優しく笑みを浮かべながら話を続けた。
「さっき言ったように、私の世界では誰でも魔法が使える。しかし、最初に魔法を研究し始めた人達はそれを自分達の為だけに
使おうとしていたんだ。正確には自分たちと自分たちが行う研究の発展の為に」
「随分と自分勝手ね。メイジが聞いてあきれるわ。魔法の力は人々の為に使われてこそよ」
303ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/22(月) 18:50:18 ID:ZVx4GUkc
ここのメイジは随分と一般寄りの考え方らしい――実際は使えないからこその正論吐きなだけだが、嬉しく思いながらマーティンは話を続けた。
「ああ、ガレリオンもそう思ったんだろう。彼はサイジック会を抜けて、世の中の人々がもっと魔法と親しくなれるように
メイジギルドを創ったんだ。伝記によると彼の生まれは貧しい労働階級だったらしい。おそらくその時の思いからそういった組織を
創設したのだと思う」
ルイズはびっくりした。平民が魔法を使うなんて!やはり認めたくはなかったが、しかしそのいきさつと
マーティンが生きていた世界の特異性から考えるとその元平民が行った事は本来貴族がやるべき事かもしれないとも思えた。
つまり、魔法の理解を深めるために平民に魔法を教えようというのだ。杖が無くては魔法が使えない
ハルケギニアの魔法と違い、ニルンとか言う別の世界から来たらしいマーティンの先住魔法は呪文を唱えるだけで魔法が使える。
そして、彼の言っていたエセリウスとか言う何か色々と凄い力を持ち、はるか天の彼方にあるとかいう神々が住む世界は
全ての知ある者に魔法を使えるようムンダス界を支えているさっき聞いた。そこなら敵に背を向けぬ者を貴族と言えるのだろう。
どこか羨ましげに、彼の地に思いを馳せた。そこで生まれていたなら私も魔法を使え、貴族として胸を張っていたのだろうかと。
いや、違う。トリステインで貴族にならなければ意味がないのだ。ルイズは思い直し、サイジックの事を考える。
本来メイジがすべき事をせずに平民に任せるなんて。そのサイジックのメイジ達を思いっきり怒鳴りたくなる気持ちを抑え、
マーティンの話の続きを聞く。
「彼の創ったギルドの支部は時の皇帝ユリエル1世の統治の元で瞬く間に広がっていった。皆魔法が使えることを大いに喜んだんだ」
ルイズはなるほどと思った。魔法が便利であるというのは貴族でありながら魔法が使えない自分が一番良く知っている。
その皇帝は人々の暮らしを良くしようと頑張ったのだろう。顔すら知らぬ皇帝だが、その統治はきっと良かったのだろうと感じていた。
「もしかして――ここの平民に杖を持たせたら魔法が使えるようになるのかしら」
小さな声でルイズは呟いた。マーティンは彼女の思考形態の変化を内心少なからず喜んだ。
考えてみれば、何故平民が魔法を使えないのか、ちゃんとした理由をルイズは知らなかったし考えたこともなかった。
常識と化していたそれを考えるメイジ自体がいなかったのだ。もし平民も魔法が使えるというのなら、
きっともっと人々の暮らしは良くなるのだろう。そう思うと先ほどまでの自分の積み重ねてきた行いが無に変わる事への怒りは
何とも言えぬ無力感を伴った寂しさへと変わる。貴族として平民の暮らしを向上させるのは平時においての義務と言える。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:51:05 ID:3s/coDDo
     _/,'       ̄  ̄ 9{_
    {゚>‐一 ¬ ̄ ̄`ヽ、  j. \
    /   /   {      \ {   ヽ
.   /  ヽ  {    ヽ、 \  l ヽ〉.   i
 /   ∧ l__\  代ー 、ヽ |       |・・・Orz
. {    { X´l ヽ\} \_ヽ |       l15巻も最悪ですね。つまらないです
 ヽ \∨ ヽ     __   |      !作者は何か大切なものを忘れています
   \小. ィ=     ´ ̄ ` l     ,ヒロインが2巻連続で登場しないなんて酷いです
      l }   '         ,'      /
      |:八  ヽ _フ     /    /
      l  个 、      ィ/     /
     l  /  _>r 'チー/   /      _
        ! !/ } │   /  , <_  _, イ´/ ヽ
 /\/ヽ { __ノ/⌒ヽ./ /   /7'´   /    l
/    \ハl  ∧_ノ X    /{    ヽヽ  __j
ヽ    _// / / /  l   / ノ    /  ∨〃
r'   ̄// /  { ,/  │   / {  /ヽノ   ∨
ヽ   ///   V   |  /  }     
305ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/22(月) 18:51:08 ID:ZVx4GUkc
もし魔法を皆が使えるようになったなら、それはきっと素晴らしいことなのは違いない。それでも自分は失敗を続けると思うと
やはり嫌な気分になる。
「さて、それはどうだろうか。ここは私のいた所の魔法とは色々と法則が違うようだ。今度はこっちの事について教えてもらえるかな。
その、よろしければだが」
どうやらある程度持ち直したらしい。マーティンはそう認識すると話題を変えルイズの口から説明が流れるのを待つ。
必要とされる事は彼女にとってとても嬉しいことで、嫌な気分がとりあえず消えたルイズは基本的な成り立ちから始めようかと口を開く。
「ええ、そうね。始祖ブリミルの話からでも始めましょうか」
真っ赤な目を細め、努めて明るい笑顔でルイズは言った。先ほどまでの怒りや寂しさと言った感情のうねりは物語の説明の途中で消えていった。
話しながらルイズは思う。今も、これから先も私はトリステインで貴族をやっていくしかないのだ。魔法が使えようと使えまいと。
そう思えば彼のいた世界に興味こそあるが、そこにある様々な物の成り立ちについてとやかく言うべきではない事が何となく理解できた。
肩の荷がほんの少し軽くなった気がする。立派なメイジになるのをあきらめた訳ではない。しかし後ろ向きに考えるのは卒業しようと思った。
その平民から成り上がった自分の目標とは違う、けれども間違いなく「立派なメイジ」がおそらくそうしたように。
もし、今までのやりとりを世話焼きな赤毛の彼女が見ればからかってこう言っていただろう。一つ大人になったわね、ルイズ。と
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:51:54 ID:3s/coDDo
うは誤爆すまん
307ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/22(月) 18:51:59 ID:ZVx4GUkc
投下終了です。「二つの文化が混ざる事に対し、そこからの摩擦しか見たがらない人がいますが、私は混じり合ったそれらから
力強く新しい何かが生まれると信じています」というオブリビオン内での名言を思い出しながら書いていました。
月が二つあったりエルフがいたり魔法があったりと似ているようで大分と違うムンダス界の中のニルンの地にあるタムリエルとハルケギニアのある世界。
全く違う文化の中育った二人が話をすればひょんな事からルイズさんかんしゃく起こすよねって解説の途中から思って
重要なメイジの価値観について合わせる為に今回よりもっと後に貴族ルイズを格好良く進ませる為にも泣かせてしまいました。ルイズさんごめんね。
後、地の文でもありましたがマーティンの言っていた事は脚色が入っています。史実に基づいた話を、変な方向に持って行かない為や
地雷を踏まないようにしつつルイズを宥める為と、私が深く理解しようとしてもなかなか伝えるのが難しい概念の簡略化が主な目的です。
ある程度の文章で全て説明するのは理解することよりとても難しいのを痛感します。
完全に間違った事は書いてないはずなので、納得して頂けると幸いです。あまりに分からない場合避難所の質問スレにて言って下さい。
詳しく書かさせてもらいます。
文章中ででていない脚色だと、ガレリオンがサイジックを抜けたのはもっと大事な理由があったからです。
もしかしたらそれを作品内で言う機会があるかもしれません。一般的に知られていませんが、マーティンは知っているはずです。

さて、この二つは同じ世界なのかマーティンの知る異世界なのかそれとも全く違うのか。
これからどうなっていくのでしょう。大骨の構成はラストまで作れましたがルイズさんや皆の動きがランダムに変化して行きます。予測できません。
ハルケギニア人は凄いです。マチルダ姐さん格好良すぎます。
神様達とデイドラの存在にその長、それとそれらが住まう世界についてやその他の語はもう少し後になってから詳しく説明させて下さい。
デイドラは不死という意味のニュアンスを説明するつもりがルイズさん急に泣いてしまうのですからびっくりしました。
土くれという名の盗賊が活躍する少し前くらいにはおそらくそれらの説明とマーティンさんの本当の位をハルケギニアのご主人様に説明できると思います。

私より長くTESシリーズを愛しているゲーム経験者がもしこのスレッドにいたら、説明を聞いてちょっと待った!とおっしゃりたい方がいると思います。
特に前作経験者なら帝国の悪いところや八つと一つの神(九大神の変わった言い方です。本編ではおそらく出しません)
で一つの方がやらかした事、メイジギルドのどこがいいんだよとか思う人もいるかと思います。
ただ、マーティンの心情からすれば彼は出来ることなら間違いなくデイドラ
(説明していないので今後は地の文みたく化け物とルビを振って読んで下さい。類語としてはおそらく最も近い言い方の一つだと思います)
とは関わりたくない人間であり九大神の司祭を勤め、人々を守るために皇帝としてというより、一人の人間としてデイドラと戦って命を落としました。
(結局彼は、最後に即位式の為帝都に向かう時も自覚はしつつもなかなか慣れない物だなと言っていましたからね。)
そんな勇敢で優しく責任感の強い人が無垢な子供に「へっへっへ…実はな。」何て風にこの世の汚い真理を言わないと思うのです。
もうちょっと大人になってから、そう言う物に彼女がぶち当たったときにゆっくりと助言をして壁を消し飛ばさせるのがマーティンだと思います。
後、モロウウィンドはあの風によって皆ちょっぴり変だったと思うのです。ただの個人的な推測に過ぎない事ですから何の意味もないんですけどね。

最後に前回皆様に指摘された改行の件今回どうでしたか?慣れていなくてすいません。これからもそう言うことどんどん言って下さい。
長くなりましたが、これで終わります。ご静読、ありがとうございました。では次回の投下まで。グッディ!
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:55:18 ID:F3hKJrIg
内容はとても面白いと思うのだけれど、文章の密度が高すぎて俺には少々読みにくいかなあ
台詞と地の分との間に一行開けてくれると読みやすいのだけれど
ルイズが魔法を覚えたりするのかな、何にしろ期待だ
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 18:59:31 ID:HaLC72K4
乙です。
それと投下中スマソ、リロードすべきだった。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 19:01:36 ID:Kf15sxHL
マーティンの人乙です。
えぇ最後まで読みたいです。
続きにwktk。
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 19:04:48 ID:Fhb8pGHB
一億年前のピクルスに食われるけどな
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 19:12:01 ID:uSYp1ReS

作者には玉葱と一緒に冒険する義務をあげよう
313名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 19:21:51 ID:3s/coDDo
>>307
わりこみすまん
お詫びついでに1,2話を登録しといた

つかお前ら登録したれよ
前スレをあさったじゃないか
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 19:21:53 ID:czgFQ+Ky
>>307


壮絶にやる気がわいた
今からメインクエスト進めてくる
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 19:22:28 ID:F3hKJrIg
タマネギがこのスレに興味を持ったようです
ttp://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/t/tarumomi/20070803/20070803182918.jpg
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 19:23:56 ID:OeOnisEr
>>315
きもい
オニオンソードでぶった切りたいツラだ
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 19:25:36 ID:8/9QJh/a
マーティンは魔法のマスタークラスだし皇帝の特殊能力もあるしかなりハイスペックだな
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 19:40:23 ID:WxK/kDpH
書き慣れないのかもしれないけど、適当に空行をいれた方が良いな
内容はともかく、読みづらいとそれだけで読者の獲得という点で不利ではないか
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 20:08:03 ID:Y0dp8p2O
>>307 投下乙。
面白かったし、この先の展開も気になる。
オブリビオンはプレイしたこと無いんだが、機会があればやってみたい。

確かに、改行はあったほうがいいかもしれないね。
一文が長いから、画面が字で埋まって読み難い人もいるだろうし。
自分は特に問題なく読めたけど、あえて挙げるなら、もうちょっと読点が欲しい気がします。

次回を楽しみに待ってます。
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 21:00:10 ID:bmNahLWD
さあう"ぁんといろいろ遅レスですが乙です
キュルケ親戚説は以前から出てましたが、その説だと
ツェルプストー家は一度断絶してることになっちゃんですよねえ「
まあ当時の当主は薄々自分の胤じゃないと気づいていたので子供の嫁なしい婿を親戚筋から迎えて
血が絶えないようにした…つうところで

しかしまさかおマチさんも親戚フラグ?
確かにサウスゴータ家も名門貴族だったとしたらどっかで親戚かも?
321名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 21:02:12 ID:OeOnisEr
人類皆兄弟
貴族穴兄弟
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 21:02:36 ID:jWzR1QfE
>>260
ジョゼフ「このハルケギニアではかつて―――
聖地の奪還をかけてエルフとの壮大な戦争がおこなわれていたんだろうなあ…

それにくらべりゃ……たかが王位継承!!

まだまだ……まだまだ……!!

どうにでもなるさ……なあエルフよ!」
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 21:20:28 ID:PFkmfmeM
オブリビオンの人、乙です。
ゲームの名前しか知らないけど、落ち着いた大人の男とルイズの交流はいいなぁ。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 21:29:35 ID:xdM5pBfb
つい先ほど15巻を読み終えた
ネタバレになるから詳しくは言わない。だが、ただ一言を叫ばずにはいられない


「アンリエッタにつける薬はない」


もうダメだ。本当にダメだ。このバカどうにかしてくれ
正直、教皇よりアンリエッタを先に始末するべきだ
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 21:38:22 ID:SLhy8U7y
キャラアンチとか相応のスレでどうぞ
326名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 21:39:36 ID:d4W/T6ss
よろしい。ならば楽俊だ。
楽俊にかかればアンアンだろうがイザベラ様だろうが……
327名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 21:59:44 ID:v7dkYZtp
>>324
何を今更・・・気付くのが10巻は遅いぞ
328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:02:15 ID:OeOnisEr
「アンリエッタにつける薬」となりうるものを召喚すればいいんですね?
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:08:35 ID:4GDXIJHq
>>328
真っ先にオーベルシュタインが
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:09:52 ID:zuA3orAZ
アンリエッタにつける薬なんてないのさ・・・
ゼロのパラサイトに出てくる寄生生物を寄生させて支配下に置くのが一番良いと思うんだ
下手に勝手なことをされては困るから人形になってもらうしか・・・
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:10:51 ID:jYymSsNq
アン様が召喚するのも面白そうだな。
しかしそうなるとアン様が虚無の一人な訳で、ジョゼフみたいになるのではないだろうか?
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:10:59 ID:Q6mXg+Bq
精神寄生体的なものを召喚すれば?
シロベーンとか
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:11:41 ID:xdM5pBfb
>>329
真っ先に抹殺されますね

うん、確かに薬です
間違いなく薬です


正しくは、毒薬です
334名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:13:08 ID:cLsdGyeN
王政を存続させるためのオーベルシュタインが
アンリエッタ殺す訳なさじ・・・

汚職貴族の粛清くらいは兵器でやるだろうし
ワルドなんて即座に発覚するだろうけど
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:13:43 ID:fwD4ou5n
勇次郎でアメリカ大統領みたいにおとなしくさせるとか
その日、トリステインは一人の男の前に屈した
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:14:27 ID:h2dEJCoY
アン様に空気入りの注射を打てば良くなるよ!
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:14:32 ID:kxmmgZIx
直接内容を出さなきゃネタバレしても良いと思ってるバカにつける薬はありますか?
338名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:17:03 ID:y9bHL4yS
女王としてはしらんが、15巻のアン様めちゃかわええって思ったらダメか?
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:18:09 ID:lVoLKmCc
>>337
ない。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:18:43 ID:8qOxyPUo
>>338
友と呼んでいいかな?w
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:23:09 ID:bmNahLWD
馬鹿だなあ、みんな
アン様の性格は伏線に決まっているじゃないか
世間では〇〇の補〇は〇〇〇〇様やち〇〇様ばかり上げるが、我らがアン様を忘れているぜ

〇〇の〇決の条件
@性格が変
Aまだ使い魔を召喚すてない
342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:24:54 ID:PGkqB82S
色々愚痴りたかったらこっちですればいいのに。

ゼロの使い魔統合スレッド
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220275036/

ネタの一つでも出して盛り上げるぐらいしてもイイと思うのだが。
荒らすつもりが無い、どうしてもひとこと言いたいだけならぴったりだと思うが。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:25:05 ID:rR7Rzzir
>>336
廃ビルの悪魔ですね
わかります
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:27:16 ID:xdM5pBfb
>>341
なるほど、○○の補○としてなら納得出来る
ルイ○にもジョ○フにも○ィットー○オにもひけをとらないキ○○イぶりだもんな

問題は系統だが、そんなもん後でいくらでも設定追加できるし
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:29:55 ID:ZLGu0U82
むしろレモンちゃんにつける薬を下さいな。
346名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:30:39 ID:212GMKtI
>>242
ルティカはなぁ…烙印者であるが故に寿命がやばい事になってるし。
ガンダ補正付けても長期の戦いではあまり持たないと思われる。

ポイピン組呼んだ場合、シエスタの祖父がロンデミオンとかあり得そう。
んで、シエスタのクラスが『剣を背負うメイド』で、
クラスチェンジすると『剛剣のメイド』か『護甲のメイド』になるとか。
んで何故かマスターを放置プレイしたデュファストンと共に、魔人が犇く戦場で大剣を振るって戦うとかあり得そうだ…。
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:32:32 ID:ze5YY4Vh
ゼロのアンアンでもたいして問題なくね?
実質みんなのアイドル的存在で、政治は殆どまるなげしてんだ。
ほぼ血統的価値だけになるから政略結婚以外に使えないと思われそうだけど。
トリスティンの虚無がアンアンの場合、ルイズは虚無から外れるから烈風再来にすりゃいいさ。

前から構想練ってるのが虚無アンアンに黄金時代のグリフィス召喚させるやつだけど、なかなかアイデアまとまらないぜ……
348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:40:44 ID:X65O9b+n
まぁそれはここ向きじゃぁないな
349名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:42:34 ID:ZVx4GUkc
>>347
ずっと前のスレでその案を見たことがあるな。
ベルセルク好きなんだ。もし上手いこといったら是非投下してくれ。
350名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:48:55 ID:JPahJidw
そ、そうだったのか……。
俺達はとんでもない事を見落としていた……。
虚無の担い手とは愚かな王族を打倒する為に市民革命を起こす、心臓に向かう折れた針だったんだよ!
351名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:55:03 ID:682RZeXI
>>350
 心臓に向かう折れた針、ではダメだな
 心臓を素通りして元の場所から体外に排除されるぞ(ブラックジャックのネタね)

 つか、こんなに早く売り出される新巻、発売日って意味あるのか?
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:57:09 ID:uSYp1ReS
忘れるな、発売日にならないと売り出されない土地もあるんだ
いや、うちの近所の本屋じゃ普通に売ってたけどさ
ネタバレってのは全国的に早売りがあっても発売日の翌日まではしちゃいけない
353名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 22:58:02 ID:k4oNEHU9
馬鹿を治す薬は知らんが、知力を永続的に上げる薬はゲームでは割と存在する
とりあえず、九龍妖魔學園紀の葉佩は量産できたような気がする
354名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:00:57 ID:6GStkLxM
メンバーカード持って、誰も行きそうに無いところに行けば秘密の店があるよ、きっと
355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:01:02 ID:ZVx4GUkc
>>353
バカを治す薬として、集中力向上の薬があると聞いたぜ。
アン様の処方にはちょいと違うがな。

やっぱりアン様良くするには、ウェールズ様生存しか策はないのかなー
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:01:19 ID:fU6LERWD
>>352
まあ今ネタばれするのは論外だが、発売日の翌日でも早すぎだろ。
一週間はこらえろ。それが出来なきゃ他所へ行ってそこでやれ。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:02:27 ID:ze5YY4Vh
>>349
それ書きこんだの俺ですよ。
何度もシュミレートしてみるんですが、どうも上手く行かない。
グリフィスには異世界へ来てからも国取りやってほしいんだけど、単に統一してもらっては面白くない。ってか、いきなり王女と切っても切れない関係に入り込めるんだし彼なら軽くやってしまいそうだ。
そこでひと悶着起こさせたいんだけど、明らかに国が手に入ってしまえばすげぇ良い国作りそうだし。

なんかいいアイデア無いかな。
358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:05:47 ID:OeOnisEr
ヴィンダーグリフィスVSガンダーガッツとか

ベルセルク・ゼロの続きを待つ
359名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:05:48 ID:jWzR1QfE
ふふふ、俺の住んでる地域じゃ多分あさってか普通の発売日にならないと読めないぜ。
そして地味にダメージだぜ。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:06:14 ID:9njh9KIo
>>357
他の虚無さんにガッツやガニシュカを召喚させるとか
361名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:10:19 ID:ze5YY4Vh
いや、グリフィスは記すことも憚られる使い魔!
コレだけは俺的に譲れない(異論は認めるけど)。

ベルセルクゼロかぁ……しばらく更新されてないけど俺はいつまでも待つぜ!
だからいつかきっと完結してほしい。
このサイトで俺にとって最大の楽しみですから。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:12:07 ID:9njh9KIo
>>358
人外をも惹きつけるグリフィスと、近代兵器すら使いこなすガッツか。
どっちも長所が強化された感じで面白いなw

ミョズニトニルンはゴトーかリッケルトにして改良しまくって欲しいw
名前を記し事すら憚れるのはチューダー帝国青鯨超重装猛進撃滅騎士団団長ですね、分かります。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:18:58 ID:9njh9KIo
>>335
魔法がラーニングされるか、習得済みで女子供の護身技扱いされそうだw
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:19:42 ID:Fhb8pGHB
馬鹿を治すか・・エアギアの空ならアンアンロボトミー改造しちゃうな
365名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:22:12 ID:bmNahLWD
と、とりあえずMTLとか日本合衆国とが心配です
366名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:25:16 ID:tBBoUJGM
いつも思うけどここの住人ってアンアン叩くの好きだね。
もう根っからああいうキャラなんだから、いちいち馬鹿だのつける薬ないだの言ってやるなよ。
367名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:25:52 ID:ze5YY4Vh
ガニさんちょっとチートすぎるなぁ。
無能王に召喚されて未知の亜人量産とか。……雑魚使徒が居ないし無理か。
従いそうにないから無能王でも排除されちゃいそうだけど。
ゴトーさん召喚されても寿命もう少ないw

近代兵器使うガッツ……ガトリングガンとか似合いそう。
ベルセルクゼロみて思ったけど、狂戦士鎧+ガンダなら百人斬りどころか7万斬りくらいやってのけそうだよね。

記すことも憚られるアドンw
確かに間違ってないなw
368名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:26:11 ID:74BXeXRO
好きだからいぢめたくなるんだ……
369名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:29:43 ID:nQ96JZah
>>366
アンリエッタスレを見ると分かるが、>368なノリ。
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:32:11 ID:jWzR1QfE
>>368
えーと、なんだろう、こういうの。
出来の悪い子ほど可愛い、って言うか……ああアレだ、ゲテモノ好き?ってヤツか?
371名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:37:55 ID:ze5YY4Vh
>>370
羞恥心があいされるのと同じ理由とか?
バカだバカだと言いつつも内心では「カワイイ奴めw」とか思ってるみたいな
372名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:39:42 ID:PFkmfmeM
>>332
精神寄生ならイースの大いなる種族か、ニャル様に憑依してもらおう
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:42:02 ID:U4g2lwsJ
おいおい、なかにはまともに王女やってる作品もあるだろ。わずかだけど。
374名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:44:34 ID:y8rIJ3xE
>>373
MtLのアンアンはすごい良い感じだ。

続きはまだかや。
375名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:49:11 ID:vLL5k5kI
>>373
魔砲使いのアンアンですね、わかります。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:50:47 ID:4GDXIJHq
マキャベリストなアンアンマダー?
377名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:52:14 ID:OeOnisEr
マザリーニを孔明クラスに強化すればいいんじゃねえかしら
378名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:54:35 ID:E4bXpY95
セル(DB)
ベガ(SF)
バルバトス(TOD2)

三つの内どれがいいか迷ってる。みんなはどれが良いと思う?
どうせならみんなが見たいと思う作品を作りたい
379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:56:05 ID:E3x1wfev
マザリーニの反乱を静めるべくパワードスーツを駆り父親の像を壊して武器をゲットして大暴れするアンアン
380名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:58:18 ID:ze5YY4Vh
>>372
ヤバイ事になりそうw
ってか、ここってもしやクトゥルフの知名度高い感じ?
381名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/22(月) 23:58:25 ID:YQUscozK
>精神寄生なら
同じMF文庫から「パートタイムプリンセス」を推薦しよう
382名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:00:48 ID:z3hbyfXY
ド・ラ・えもんを出せばスゲー愛されるはず

>>367
ガトリングはガントレットに装備ですね、分かります。

そういえばガッツには狂戦士鎧+ガンダがありましたねw
後は錬金でドラゴン殺しを更に大きく分厚く重く、そして大雑把にして貰い、
適当な所にマスコットとしてデルフを埋め込めば完璧ですね。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:02:36 ID:z3hbyfXY
>>378
アナゴさんかアダムスファミリーのお父さんが良いと思います。
384名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:06:21 ID:z3hbyfXY
>>379
アイアンマン?蝙蝠や蜘蛛もいけそうだw
後者は寄生生物シンビオートを召喚してヴェノムになっても良さそうw
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:07:23 ID:h2NY1afM
16巻ごろのアンアンが提督の人に出演すれていれば…
ダメだ!ウェールズを「とりすてぃん大王」にしようと画策する姿しか思いつかん
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:07:55 ID:AyTWkVZp
ウルトラマンガイアにも精神寄生するやつがいたなぁ
387名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:08:00 ID:GdktZQ+q
>>382
残念ながら、ドラゴン殺しには魔法一切効かないんですよ。
今、ベルセルクゼロめっちゃ気になる場所で生殺しですよね(涙)

>>383
アナゴさん複数いますw
388名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:12:25 ID:gIo9yMmi
小ネタの不退転戦鬼アンリエッタなら皆の期待に応えてくれそうだがな
389名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:13:05 ID:8mdIpdTK
>>379
アニエスがオペレーターですか?
ちょっとあのノリはアニエスの姐さんには出せないかと
390名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:13:29 ID:8C90iPVG
ジョニー(GG)で
391名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:13:34 ID:ygG3BOVI
アンアンが銀水晶とルナ召喚を考えてたけど、アンチ多いんだね…
392名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:17:36 ID:z3hbyfXY
>>387
ありゃ、魔法が効かないんでしたっけw
使徒を切り続けていたことで、霊体でも斬れる機能が付いたんだと勘違いしてましたw

えーと、近所の子供を驚かしたアナゴさんでお願いします。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:17:48 ID:TY0zvbDt
ガッツにモデルがいたなんて知らなかった
394名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:18:58 ID:z3hbyfXY
>>391
×アンチ
>>368-371

たぶん
395名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:23:26 ID:yR/NUSzt
>>376
アルビオンへルイズを派遣したときのアンアンが外面マキャベリストだ。
君主として命令なんてしたら責任問題。
下手したらヴァリエールを筆頭に国が割れる。
「友人にポロリと本音をこぼしたら先走りました」という形でなくてはいかん。
友情をダシにして、自発的に戦場へ赴くように嗾けるなんて、この女狐め!
本人は少しもそんなことを考えてないだろうから、まさしく天性のマキャベリスト!

……政治に誠実に取り組むようになって、空回りが目立つようになってきたな
396名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:23:30 ID:AyTWkVZp
ザ・鉄腕ゲッツか
パチモン臭い名前だが実在人物なんだよなあ
ttp://ansaikuropedia.org/wiki/%E9%89%84%E8%85%95%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%84
397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:24:32 ID:GdktZQ+q
>>392
あ、ベルセルク本編では微妙(シールケとの合体奥義してたし)ですが、ここで連載中のベルセルクゼロでは固定化もオスマンの重力魔法も無効化してたので。
魔を斬り続けたが故に“魔”を斬る事に特化した剣ってことになってました。

>>393
マジで!?
モデルについて詳細を!
398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:27:34 ID:AyTWkVZp
399名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:27:57 ID:TY0zvbDt
誤爆だったんだが一応

>モデルについて詳細を!
もう出てるが「鉄腕ゲッツ」
義手つけてたドイツの盗賊騎士
「オレのケツをなめろ」というセリフの元祖で有名
400名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:28:50 ID:dFitplzg
>>253
その話読んでみたいんだが「ジョゼフ」でタグ検索しても見つからない…
ヒントください。
401名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:29:41 ID:GdktZQ+q
書き込み前に出てた(汗)
鉄拳ゲッツ……知らないな。
しかし、そこってユーモア溢れる場所だからどこまで鵜呑みにするかちょっと判断迷うw
402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:32:36 ID:7BW4tGEP
>>400
普通に理想郷いって「醜い傷跡の〜」で探せばおk。
ここまで教えたんだ、これ以上の質問は許さん。
403名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:33:22 ID:GdktZQ+q
あ、また書き込み遅れたorz
本当だったんだ……。
しかしなんかかなりアレなセリフですねw
404名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:39:02 ID:z3hbyfXY
モーツァルトが作曲したことでも有名ですねw

>>397
そういうことでしたか、詳しい説明ありがとうございます。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:44:04 ID:8iXCaP2i
>>402
エロパロ板のジョゼフが才人召喚するアレの事じゃね?
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 00:47:31 ID:zHMAVXDP
>>383
ニコニコRPG仕様のアナゴですね、わかりました^^
407400:2008/09/23(火) 01:09:28 ID:dFitplzg
>>402
ありがとうございます。
見つかりました。

>>405
すいません、そっちも探してるんですけど見つからなくて…
よければ教えてください。
408名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 01:14:43 ID:h2NY1afM
ガッツというとサイトが召喚された世界でピンクの髪をしたマッシブな少女や青い髪のマッシブな少女にやたらともてまくる話ですね
409名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 01:15:45 ID:VEWhzout
>>408
タカの団結成ですね。わかります
410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 01:19:19 ID:h2NY1afM
>おタカさん風ルイズ
コントラクトサーヴァントは…ですね
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 01:22:17 ID:D+Pg8/5f
別の意味でちぃ姉さんが不安になるな。
412名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 01:40:10 ID:2AZr5LTd
>>409
いや・・>>408が言ってるのはこれのことだろ・・・
http://www.complets.co.jp/
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 01:43:00 ID:D+Pg8/5f
>>412
だから「鷹」じゃなくて「タカ」なんじゃないかな。
414ゼロと工作員:2008/09/23(火) 01:56:40 ID:Jqg6Mf3z
3話投下します。元ネタは「天になき星々の群れ<フリーダの世界>」
 のフリーダ・ゲーベルが召還されてるものです。
415ゼロと工作員:2008/09/23(火) 02:00:13 ID:Jqg6Mf3z
シエスタが慣れた手付きでパンツを洗濯板にこすり付けている。
石鹸水の入った大ダライと綺麗な井戸水の入ったタライと洗濯籠を並べ、服を順番に浸して手際よく洗っていた。
メイド服の袖口を肩まで引っ張り、金ダライの中に左手で洗濯板を立てかけ、泡だらけになった右手で揉み洗いしている。


「困ったわ」
フリーダは洗い場に立ち尽くしていた。
洗濯機で済ませるのが当たり前だったのが突然、手で洗えと言われたわけで
血の付いた死体を片付けるのは慣れていても、下着についた体液には抵抗があった。

「どうしたんですか?」
シエスタが手を動かしながら聞いた。

「ルイズに洗濯物を頼まれたのだけど洗い方が判らなくて」
「いいですよ。今日は当番ですからまとめて洗っておきますよ」

広場の百鬼夜行に目を向ける。
「ところで、貴族は洗濯物をどうしているの?私が来る前まではどうしてたの?使い魔に任せるとしてもあんなのには無理だろうし」
「貴族の皆さんは魔法を使って洗濯してますよ。魔法って便利ですよね。フリーダさんのご主人様も………大変ですね」
同情するような視線を向けられた。
「………ん。何」
「いえいえ!何でもありません!」
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 02:02:32 ID:6ZSOC8yD
sien
417名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 02:03:14 ID:ZKb5T+24
>>380
かなり高いみたい。
418ゼロと工作員:2008/09/23(火) 02:03:22 ID:Jqg6Mf3z
塔の長い階段をしばらく登ると、ルイズの部屋へと着く。
流石上流階級のお嬢様の部屋。
寮の部屋にしてはいい家具が取り揃えられている。
黒桐のクローゼットに天蓋つきのベッド、毛足の長い絨毯に、しっかりとした木で出来た背の低い机、ランプ一つとっても細かい金の装飾

がなされている。
角にある本棚は小綺麗に整えられ、中の本も丁寧に使われているのが部屋の主の性格を窺わていた。

部屋へ入ると着替えを済ませたルイズがベッドの上に座り、フリーダを椅子に座らせるように促した。

「ねえ、フリーダ」
ルイズは恐る恐る呼び捨てにした。彼女の機嫌を損ねたらまた、正面から正論で叩き潰されてしまうかもしれないから。
「あなたには使い魔としてやっていってもらうんだけど、能力について確認したいの」
使い魔にはどんなことが出来るのか授業で習ったのを思い出す。
「まず、使い魔は目や耳を通して周囲の光景を伝えることができるんだけど………見える?」
「いえ、見えないわ」
ルイズは見えないと聞いてほっとする。見えたら見えたで秘密も何もあったものじゃないから。
「秘薬の材料集め、硫黄や宝石とか臭いで嗅ぎ分けられるらしいけど、出来る?」
「鉱物の臭いなんて嗅ぎ分けられないけど、調合なら出来るわ」
任務のため彼女は最初に人を殺してから8年間で28人の<<偽人格>>を受け入れた。
脳のチップに消した後も残る幽霊達はフリーダの逃れ得ない罪の証だ。
料理の上手なミカ・ラインバックは毒薬の調合を肌で覚えている。
フルート演奏者を目指していたファミール・ハジームは、いつも楽器ケースに爆弾を詰めていた。
「意外ね、そんなのが出来るんだ」
ルイズは満足そうに微笑む。
材料を集めてこれる使い魔は数あれど、調合できる人材はそんなに多くない。ましてやそれが使い魔ならなおさらだ。
調合には専門の知識が必要だし、メイジに秘薬は必要不可欠であった。

「後は雑用と護衛なんだけど。出来る?」
「料理は真似事程度、掃除はいつもやってるわ。洗濯は…駄目ね」
手で洗うのを見て驚いたフリーダだった。

「まあ、雑用はメイド達の仕事だからいいわよ。護衛はどうなの?」
「そこらの一般人よりは大分マシよ。護衛対象がよほどの馬鹿をしなければ大丈夫」
エゴの塊だったかつての同居人。
彼女は<<正しい>>ことのために街の住人全てを敵にしても一歩も引かなかった。
419ゼロと工作員:2008/09/23(火) 02:05:52 ID:Jqg6Mf3z
そろそろ朝食の時間である。学園の中央の鐘が鳴っている。
フリーダは貴族と同じ場所で食事をするわけにもいかず、
食堂の前で一旦別れ、下働きたちのまかないを分けてもらうことにした。

トリステインは広大な国土を持つ農業国家だ。
食卓に並ぶ食材も良いものが揃っている。

フリーダは前まで自炊が中心だったので他人の手の入った食事を食べるのは久しぶりだった。
どの料理も食材が新撰で手が込んで居る。

テーブルや椅子、食器やスプーン、フォークに至るまで木で出来ていて暖かみを感じる。
トマトやレタスがふんだんに盛り付けられたオリーブオイルの入りのオリジナルドレッシングが掛かったサラダに、
人参やジャガイモ、ブロッコリーが色とりどりに入っているスープ、焼き立てのパンは暖かくて香ばしい。
食べ終え、付いてきた安物の紅茶を飲んで一息ついて居るとシエスタを見つけた。

「素敵な学校ね」
「私が生まれたときからお世話になっているんですよ」
「シエスタの嬢ちゃんが初めてきたときはちっこかったからな。こんなにおおきくなっちまってよう」

料理長のマルトーが厨房の奥から出てくると節くれ立った指でシエスタの頭をガシガシと撫でる。
浅黒い角ばった顎と毛むくじゃらの太い腕は熊みたいだ。
豪快に笑いながらマルトーは冗談交じりにシエスタに声を掛け、手を伸ばす。

「やらしい目で胸見ないで下さい」
シエスタは胸を押さえつつ、赤くなった顔でマルトーの鳩尾を叩き、マルトーは大げさに仰け反って避ける。
仲良くじゃれあっている様は仲の良い親子であった。

「よう。フリーダの嬢ちゃん。俺の料理どうだったかい?」
「ご馳走様でした。とても美味しかったわ」
「そうかい。そうかい。異国の人にも満足してもらえて光栄だ。腹が減ったらいつでも来てくれよ。美人は大歓迎だ」
マルトーは満足そうに頷いた。

「そうだろ!お前ら!」
厨房の奥へ声を掛けるとうぃ〜っすと他のコック達の野太い声が響いてくる。
「今度は私が料理をご馳走しますわ」
「おう!フリーダ嬢ちゃんの国の料理、食べるの楽しみだぜ」
420ゼロと工作員:2008/09/23(火) 02:07:19 ID:Jqg6Mf3z
教室は石造りで中央の教師が居る場所が一番低く、段上になっていて円周上に机が配置されている。
その様は大学の講堂のようで、お坊ちゃまお嬢様が集まる学校に相応しかった。
中央に黒板と、上下を紫色で揃え、尖がった帽子を被り、
ローブを着てマントを羽織り、杖を持った50代ほどの太った魔女が壇上に立っている。

魔法使いに黒板なんて益々ファンタジーね。
本や映画で見たのと殆ど同じ魔法使いの日常を見ていると次第に授業に興味が沸いてくる。

ルイズを含む全生徒の使い魔が揃ったため、教師と生徒の使い魔達の顔合わせと前学期の復習をかねて授業が行なわれていた。
使い魔の見立ては、魔法を使える者<<メイジ>>の資質を測る上で重要だ。
強力なメイジは強い使い魔を持つとされている、一生のパートナーたる使い魔によって将来が決まるとしても過言ではない。
たとえばグリフォンを召還した者は王族付きの宮廷魔術師になるだろうし、ゴーレムを召還した者は建築に高い才能を示すだろう。
今年は雪風のタバサが風竜を召還し、竜騎士として将来を期待されている。

フリーダは教室内の動物達を興味深く見つめていた。
白いフェレットやイタチやネズミ、鰐などが所狭しと並んでいる。
教室に入りきらない竜やバグベアードやゴーレムなどの大きな生き物は外で待機しているのが窓から見えた。
「ああ窓に!窓に!なんてね」
まだ見ぬ巨大生物に想いをはせる。
「…きっと、見ると発狂する大蛸や上半身が魚で下半身が人間の人魚もいるのでしょうね」

おのぼりさんのフリーダを見てルイズは呆れてため息をつく。
「メイジが使い魔を持つのは常識でしょ。アンタどんな場所に住んでたのよ」
「…遠い…ずっと遠い国よ」
他の国なら違うのも当然かと納得する。
「きょろきょろ見るのはいいけど目立たないようにね」
「ええ」
口では答えつつもフリーダはうわのそらだ。
421名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 02:08:51 ID:6ZSOC8yD
支援
422ゼロと工作員:2008/09/23(火) 02:08:59 ID:Jqg6Mf3z
「ああ〜ら。ミス・ヴァリエール、召還失敗して平民を使い魔にしたの?」
艶のある女性の声。大人びた健康的な小麦色の肌に黄色の瞳の炎のような赤毛が特徴的な学生が居た。
体に自信があるのか、制服をだらしなく着崩し、ワイシャツのボタンを上から3つ外し、胸元を見せ付けている。
足元には赤く分厚い鱗で覆われた緑の瞳の、尻尾に火が点いた赤い鰐ほどの大きさがあるトカゲ。
「キュルケ!」
ルイズが即座に反応した。

「あなたの使い魔より私の使い魔の方がよほど高等よ!調合だって出来るんだから!」
「ふーん?」
キュルケがフリーダへ向き直る。

「私の使い魔は火竜山脈のサラマンダーよ。見なさいこの大きさと鱗のつや、好事家に見せたら値段は付けられないわね」
サラマンダーはのしのしと歩くと口から赤い炎を吐いた。
「あいさつがまだだったわね。私は<<微熱>>のキュルケ、使い魔のサラマンダーはフレイムよ」
「フリーダ・ゲーベルよ。宜しく」
フリーダは頭を下げる。

「ツェルプストーの奴なんかにいちいち頭を下げなくていいわよ」
ルイズは不機嫌に曾曾叔父の彼女がツェルプストーに寝取られた、祖母の婚約者が寝取られた、などとずっと口げんかをしている。
ヴァリエール家の歴史は寝取られの歴史であるらしい。

ルイズが一方的に噛み付き、当のキュルケは涼しい顔をして受け流している。
猫に猫じゃらしを振って遊んでいる感覚だ。
ルイズはムキになり過ぎて遊ばれているのに気付いてない。
キュルケはそれがまた面白くていじるのである。

「みなさん、春の使い魔召還は大成功のようですね」
教室の中央の壇上に教師が立っている。
紫色の帽子にローブを纏い太った中年女性の姿は、物語から抜け出してきたそのままの魔女の姿でフリーダは少し笑ってしまった。
423ゼロと工作員:2008/09/23(火) 02:10:12 ID:Jqg6Mf3z
ミセス・シェヴルーズは部屋に居る使い魔を見渡した。
彼女は歴史あるトリステイン魔法学園で才能ある貴族の生徒達に魔法を教えられるのを誇りに思っている。
使い魔の存在はそのまま主人の資質を現す。
今年はミス・タバサが風竜を呼び出し、教師達を大いに湧かせた。
他の生徒達も無難に使い魔と契約を結んでいる。
だが一人例外が居た、ヴァリエールである。

名門ヴァリエール家の三女でありながら魔法の成功率はゼロ。
平民を使い魔として使役している。
ヴァリエールの担任であるコルベール先生は人間の使い魔だと言い張っているが、
彼女の目から見て、本物の使い魔かどうかも妖しい。
学業は優秀、素行も良好、実技は壊滅の問題児。
どんなに勉強が出来ても、魔法を使えない貴族は貴族としての価値なしと彼女は考えている。
できもしない御託を並べるのは学者の仕事であって、学生には十年速い。

「まあ、とっても変わった使い魔を召喚した方もいるのですね」
皮肉である。ヴァリエールの素晴らしい血を引きながら魔法が使えない貴族であるルイズへのあてつけ。

彼女の希望通りにルイズへの野次が飛ぶ。
「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、実家からメイド呼んでくんなよ!」
ルイズは歯噛みして言い返した。
「煩いわね!風邪っぴきのマリコルヌ!」
「僕は風上だ!ゼロのルイズ!」
嘲笑や侮蔑が入り乱れる教室の中でルイズはテーブルの下で手を力いっぱい握り締めていた。

シェヴルーズは自尊心が満たされたので生徒を黙らせようと思った。
「ミスタ・マリコルヌ。これ以上授業の邪魔をするなら退席していただきますよ」
彼女は杖を一振り。煩い生徒の口に粘土を詰めた。

「…下種な教師も居たものね」
はっきりとした声に教室が凍りつく。
ゼロの使い魔、フリーダの声だ。
「…学期初めに生徒の人気取り、駄目な生徒をダシにつかうなんてね」

「も、申し訳ありませんでした…ミス・ヴァリエール」
シェヴルーズは引きつった笑みを浮かべる。
424ゼロと工作員:2008/09/23(火) 02:12:50 ID:Jqg6Mf3z
「では授業を始めます。皆さんは私とこれから一年間『土』属性の魔法について…」
魔法の授業はフリーダにとって見るのも聞くのも新しい発見の連続だ。
この国では魔法は生活に密接に関わっている。
特に『土』属性の魔法は<<錬金>>を使った鉱物の精製、建築、運搬など生活に欠かせない役割を担っている。

何処にでもある地面の土でゴーレムを生み出し、重機として使い、
クレーンやトラック、ショベルカー代わりとして使う。
堤防補強などの単純な作業の場合、構造計算などを抜きにした場合土のメイジ数人で数日で完成させられる。
土を自在に動かし、壁や土台を容易に造れる。
<<錬金>>は生産設備もなしに鉄や銅を生産、これら全てを個人レベルでできるといった夢の世界であった。
レンガや窓ガラス、鍬の金部に至るまで全てメイジによるものであるらしい。
建築技術などに無理があっても、魔法による力技で造れるのだ。

薬品の調合や火薬などの化合物や、ランプや家具といった複数の素材を組み合わせ内部構造が複雑なもの、
ステンドグラスなどの繊細な調整が必要なものは<<錬金>>による制作が難しく、専門家の手を借りなければならない。
おそらく、ゴムなどの分子構造の特殊なものも造り辛い部類にはいるのだろう。

「………なるほどね」
馬や牛などが重宝される17世紀レベルの文化なのに、
黒板の一部のチョークや大きい窓ガラス、洗剤などの19世紀のオーバーテクノロジーがあるのは
魔法が使えるメイジが社会の中心に立っているのと大きく関係しているようだ。
洗剤や大窓ガラスなどは貴族が使うものである。
黒板やチョークは貴族の需要を満たす贅沢品であり、高すぎて貴族しか使えないものである。
魔法が使えない人々のための技術、例えば運搬や医療、作業機械などは
全てゴーレムや錬金などが代わりにやってしまい、
平民にあたる下層階級の底上げが行なわれず、魔法技術にばかり人材が集中する。
経済の二極化が起こり、歪な文化の発展が起こる。
その結果が貴族向けの小物の発達である。

17世紀に19世紀のオーバーテクがあるのではない。
19世紀に17世紀の技術しかないのだ。

ルイズにメイジが容易に精製可能な金属としている、青銅や銅などの製鉄所があるかと聞くと。
「あるわけないじゃない。平民はどうしてでかくて効率が悪いものを造りたがるの?」
と逆に聞かれ。
「硫黄や秘薬の材料を集めさせる方がよっぽど役に立つわよ」
と言われた。

人口比で見ると圧倒的少数のメイジ達による少量多品種生産が広がり、
社会のシステムとして機能しているのは根深い問題である。
たとえばメイジの生産力が一人で10、平民の生産力が1として考え。
彼等全体に100の予算を与えると一人頭の生産力が1割増えると考えるとする。
単純に生産力を比べるとメイジ11、平民1.1であるが、もし平民がメイジの100倍200倍居たらどうなるだろうと考えた。
425ゼロと工作員:2008/09/23(火) 02:13:56 ID:Jqg6Mf3z
ヴァリエールが使い魔とこそこそ話している。私の授業で余所見をするとはいい度胸だ。
先ほどはヴァリエールの使い魔の小娘に出鼻を挫かれたが
今度こそ教師を舐めた態度を矯正してやらなければなるまい。
「では実際にやってもらいましょう。筆記の成績がトップのミス・ヴァリエールなら私の授業を聞かなくても簡単ですよね」
「<<錬金>>における初歩、小石を金属片に変えてください」

小石を金属片に変えるのは小学生のメイジでもできる。
でも彼女は必ず失敗する。学校始まって以来一度も成功した事がない問題児だから。
私は失敗した姿を見てこう言うのだ「やっぱり私の授業が必要でしたね」と。

「ミセス・シェヴルーズ!」
「やめてください! 危険です!」
「先生はルイズを知らないんです!」
「うわーだめだー」

辺りから非難と悲鳴とあきらめが上がる。
引けなくなったルイズは勢いよく立ち上がり、杖を掲げる。
「やります!」
教壇へ足を踏み鳴らしながら進める。
その様子に上の段にいたキュルケがフリーダに声を掛けてきた。
彼女の隣の眼鏡を掛けた青い髪の小さな少女も上下に首を振っている。
「フリーダさん。危ないから隠れてたほうがいいわ」
彼女は声を掛けると下に潜り込んだ。
周囲を見ると罵声は止み、教室は静かになっている。
フリーダの隣の生徒もルイズの方向に背を向けしゃがみ、背中を丸め両耳を押さえてテーブルの下に隠れている。
嫌な予感がして彼女も背中を丸め他の生徒達と同じ姿勢を取る。
「…爆弾。………まさかね」

カッ!

視界が真っ白になる。半秒ほどの停滞の後、腹の底に響く爆音。
舞い散るプリント、ぶちまけられる黒インク、乱れ飛ぶ教科書。
窓ガラスが割れ、外に飛んでゆく。
「派手ね」

爆発が収まった後も、使い魔は驚いて暴走。犬猫の群れは爆走。
鳥達は逃走。トカゲ達は闘争。阿鼻叫喚の地獄絵図。

フリーダが壇を駆け下りると埃にまみれたルイズと、黒板に叩き付けられぐったりとしたシェヴルーズが倒れていた。
「大丈夫?」
「ちょっと失敗したわね」

ルイズに生徒達から総ツッコミが入る。
「お茶目ってレベルじゃねぇぞ!」
「シェヴルーズよおお死んでしまうとはなさけない」
「片付けがんばれよ。俺たちには関係ないけどな!」
「ざまあみやがれ!」
「イヤッハー!」

爆発を聞きつけた教員がやってきてルイズに魔法なしでの教室の後片付けを命じる。
当然授業は中止だ。
「…馬鹿ね、あなた」
フリーダは呆れた顔で片づけを手伝うのであった。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 02:15:23 ID:VpSSl5i5
支援頂戴つかまつる
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 02:16:37 ID:Jqg6Mf3z
投下終了。支援してくれた方に感謝。
428名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 02:54:38 ID:giOJR32z
ゼロと工作員の人、乙ですぅ^^     ところで4話だよね??
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 02:57:21 ID:Fu9cbsea
乙でしたー。


>>397
ちなみにどっかの対談で、鉄腕の人を三浦はしらなんだと答えてたと思うんだがな。
藤本香織里だかなんだかいう人との対談だっけか。
俺の記憶が正しければ、ただの偶然…また探してみる。
430名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 03:10:30 ID:Fu9cbsea
しかし「そういう世界」ではあるというても、かなりイヤなミセス・シェヴルーズだねw
他のもちょっとづつ設定違っているみたいだし、どういう変化が本編と違ってあるのか楽しみではあるですな。
431名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 04:29:52 ID:2AZr5LTd
今オーフェンの作者が自分のHPでオーフェンの続き書いてるの読んだんだが色々ニヤニヤさせられる
で、本編終了直後のオーフェン召還される話があるが
その続きの記述で本編終了直後のオーフェンは
内臓むき出しにしても死なない超人つーか魔王になってて話に食い違いが出ちゃったな
その話自体は魔王の力を返すために外大陸にいる本当の魔王に会いに行く話みたい
432名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 04:46:20 ID:O7Y37Lv0
>>431
マジでか
ちょっと読んでこよう
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 06:42:50 ID:DustusBC
迷彩君から迷彩君召喚。
問題はルイズに従うかどうか…奴は一人でも生きて行ける気がする。
あと学院がフルメタル・ジャケット化しそうww
434名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 08:22:55 ID:Rp8SNyWy
>>404
軍ヲタには武装SSの師団名として有名ですね<鉄腕
ドイツじゃ有名なんだろうな。
435名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 10:39:07 ID:16gMtukc
迷彩君からなら猫を召喚して欲しい。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 10:44:06 ID:aYtFguM1
新規で投下ってどうなんだろうか。
SSの技量にあまり自信ないが、大丈夫かな?

てか、投下による連続カキコが大丈夫かとか、色々不安だ。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 10:44:47 ID:DustusBC
>>435

> 迷彩君からなら猫を召喚して欲しい。

その手があったか…
438名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 10:50:45 ID:19AZs+E+
>>239
超亀
毒の爪の人乙彼!
俺はジャンガの成分好きだよ〜
439名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 10:51:47 ID:18atOOxY
>>436
投下しようぜ。俺も怖かったんだ。
連続カキコが不安なら専用ブラウザ使うんだ。ギコナビをググれ。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 10:51:48 ID:16gMtukc
>436

1をよく読んだ上で大丈夫なら投下GO!
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 10:54:33 ID:CLurZqv3
>436
不安ならまず避難所にある練習用スレに投稿してみては?
442名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 10:57:32 ID:aYtFguM1
>>439-441
サンクス。とりあえず練習スレに落とす方向で行きます。
443ウルトラ5番目の使い魔:2008/09/23(火) 11:01:34 ID:d+8GMh8I
こんにちは。
第14話、出来上がりましたので、11:10ごろから投下を開始したいと思いますが、よろしいでしょうか?
今回から新展開です。
メカギラス編が長くなりましたので、今回は前後編形式にしました。
444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 11:07:18 ID:DZfgHw6o
やっちゃってくださーい!(CV:子安
445ウルトラ5番目の使い魔 第14話  (1/8):2008/09/23(火) 11:11:45 ID:d+8GMh8I
 第14話
 剣の誇り (前編)
 
 奇怪宇宙人ツルク星人 登場!
 
 
「ウルトラ・ターッチ!!」
 ルイズと才人のリングが合わさり、ウルトラマンAがトリスタニアの街に降り立つ。
 メカギラスの襲来から一夜明けたこの日、トリスタニアは新たな脅威に晒されていた。
 石造りの建物がバターのように切り裂かれ、崩れ落ちた瓦礫を巨大な足が踏みにじる。
 それは、緑色の肌と爬虫類のような顔を持ち、両腕に巨大な刀をつけた怪物。
 その名はツルク星人、かつて地球で数多くの人間を惨殺し、ウルトラマンレオを苦しめた凶悪な宇宙人だ。
「タアッ!!」
 エースは構えをとり、ツルク星人を見据える。だが、いきなり攻撃を仕掛けることはしない。なぜなら、星人の
両腕に取り付けられた刀は、例え鉄でも軽々切り裂く恐るべき武器で、直撃されたらウルトラマンでも危ないからだ。
 しかし、両者の均衡は、両手の刀を振りかざして猛然と襲い掛かってきた星人によって破られた。
「シャッ!!」
 エースは宙に飛び、太陽を背にしてツルク星人に空中から攻撃を仕掛ける。星人は、慌てて空へ跳んだエースの
姿を追うが、真っ白な太陽の光がその視界を真っ黒に染め上げた。
「デャッ!!」
 必殺キックが星人の顔面に直撃! ふらつく星人にエースは機を逃さずにパンチやキックを打ち込む。
だが、視力の戻った星人は猛然と両腕の刀で反撃に出てきた。
 30メイルはあろうかという巨大な刃がエースに向かって振り下ろされ、間一髪エースは後ろへ飛びのいてかわしたが、
星人は蟷螂のように2本の刀を振ってエースを追い詰め、空気を切り裂く音が鳴る度に、建物が切り裂かれて
崩れ落ちていく。
 こんなとき、格闘能力に優れたレオならば、星人の刀を受け止めて反撃をおこなえるが、残念ながらエースに
そこまでの格闘センスはない。ただし、エースにもレオにはない武器がある。
 そして、完全に調子に乗った星人は、一気にエースを仕留めるべく、両手の刀を同時に振りかざしてエースに
飛び掛ったが、実はこれこそエースの狙いであった。
 闘牛のように突進してくる星人に、エースは両手をつき合わせて向けると、その手の先から真赤に燃える
灼熱の火炎がほとばしる!!
『エースファイヤー!!』
 火炎は星人の顔面を直撃、突進の勢いでかわすこともできずに見事カウンターの形で命中したそれは、
トカゲのような星人の皮膚の表面を瞬時に気化させて、爆発まで引き起こさせた。
 煙が晴れたとき、星人は顔面を黒こげにして両手で傷口を押さえ、反撃も忘れて金切り声をあげてもだえていた。
「テェーイ!!」
 エースは、顔面に大火傷を負って戦意を失った星人に怒涛の攻撃を炸裂させる。
 チョップ、パンチ、キックが星人のボディに次々と吸い込まれ、その体力を削ぎ取っていく。
446ウルトラ5番目の使い魔 第14話  (2/8):2008/09/23(火) 11:13:01 ID:d+8GMh8I
「ダァァッ!!」
 とどめに、エースは星人の右腕の刀の峰の部分を掴み、思い切り放り投げた。
 瞬間、地響きを立てて星人は大地に叩きつけられる。そして、フラフラになりながらも立ち上がってきた星人に、
エースは体を左に大きくひねり、その両腕をL字に組んだ。
『メタリウム光線!!』
 赤、黄、青に輝く美しい光線が放たれる。だが、なんということか、星人はメタリウム光線が放たれるよりも
一瞬だけ早く、残った力で宙へ飛び上がり、光線をかわしたかと思うとそのまま煙のように消えてしまったのだ。
(しまった! 逃げられた)
 まだ星人に逃げを打つ余裕があったことを読み違えたエースは、星人の消えた空を見上げたが、すでに
星人の姿はどこにもなかった。残ったのは、青い空と、廃墟となった街を駆け抜ける静かな風のみだった。
「……ショワッチ!!」
 確かに深手は負わせた。だが星人はまだ死んではいない、飛び立ったエースの胸中には一抹の不安がよぎっていた。
 
 
「この犬ーっ!! あんたのせいで奴に逃げられちゃったじゃないのよー!!」
「えーっ!? なんで俺!?」
 変身を解いた後、才人はなぜか激怒しているルイズの理不尽な怒りを一身に受けていた。
「普段役に立たないんだから、こういうときくらいきちんとサポートしてなさいよ。この、この!!」
「そう言われても、まさかあそこで逃げられるとは思ってもみなかったし。それに、俺普段からけっこう役に立ってるんじゃないか?」
 腹が立って反論してみた才人だったが、これがまずかった。
「なあに、あんたご主人様に反抗する気? そう、昨日はあれだけ頑張ったってのに、あの事なかれ主義の
鳥の骨のおかげで姫様にまで心労をかけてしまって、これで勝てばお心も晴れると思ったのに、後一歩ってところで」
 それで才人にもルイズの不機嫌の合点がいった。要は姫様命のルイズのマザリーニへの不満の八つ当たりだ。
鞭を振り上げるルイズに、こういうときどんな弁明をしても逆効果だと学習してきた才人はとっさに話題を変えた。
「ちょ、それよりも、逃げた星人のことが問題だろ」
 すると、どうにか効果があったようで、ルイズは鞭を下ろすと少し考えて言った。
「ち、まあ、そうだけど……たいして強い奴じゃなかったじゃない。また来ても別に怖くないわ」
 確かに、ツルク星人は両腕の刀を除けばたいした武器は持っていない。かつて宇宙パトロール隊MACは
これに苦戦し、ウルトラマンレオも一度は敗退したが、当時のレオは地球に来たばかりで、それまでの
ウルトラ兄弟と比べて格段に技量が劣っていたころだったし、MACも結成されたばかりで、実戦は
マグマ星人と双子怪獣のみというあたりだったから仕方が無い。
 ただし、才人が言おうとしているのはそういうことではなかった。
「あいつがヤプールの息がかかっているのはまず間違いない。けど、前回のメカギラスといい、なんで超獣じゃなくて
宇宙人を送り込んできたかってのが問題なんだ。大して強くもないやつを」
「? ……そりゃあ、超獣がいなかったからじゃないの?」
 適当に言った答えだったが、意外にもそれは才人の考えを射抜いていた。
「実は俺もそう思う。ここに来る前に、ロングビルさんに話を聞く機会があったんだけど、ヤプールに
洗脳される直前に「今エースを倒せるほどの超獣を作り出せるほど余裕が無い」って言ってたそうだ。
多分、まだヤプールは次々超獣を作り出せるほど復活してないんじゃないかな」
「だから、手下の宇宙人を使ってるってこと?」
 才人はうなづいた。
 ヤプールは超獣だけでなく、多数の宇宙人をも配下にしていることは知られている。アンチラ星人、ギロン人
メトロン星人Jrなどである。近年ではテンペラー、ザラブ、ガッツ、ナックルの4大宇宙人を操って神戸の街を
破壊し、ウルトラ兄弟と激戦を繰り広げたのはまだ記憶に新しい。しかもこの場合は本人達も自覚せぬうちに
精神を支配され、操り人形にされていたというのだから恐ろしい。
447ウルトラ5番目の使い魔 第14話  (3/8):2008/09/23(火) 11:14:12 ID:d+8GMh8I
 また、そうでなくてもバム星人のように侵略の分け前を狙ってヤプールにつく宇宙人も大勢出てくることだろう。
 だがルイズはまだことの深刻さを理解してはいないようだった。
「別にけっこうなことじゃないの? 超獣なら苦労もするけど、あんなやつしかいないならエースなら楽勝でしょ」
「そりゃ巨大化したならな、けど宇宙人は頭がいいから……」
「あーっ! もういいわよ。どっちみちまた出たならやっつければいいだけでしょ。それよりもうすぐ学院に帰る馬車の
時間よ。昨日のことはしょうがなかったけど、これ以上サボるわけにはいかないからね」
 そうだ、ルイズはあくまで学生で、授業を受けなければならないという義務がある。そして、本来そちらが
怪獣退治より優先されるべきことなので、才人も強くは言えなかったが、どうしても逃げたツルク星人のことが
気になって、もう一度だけ頼んでみた。
「なあ、もう1日この街にとどまれないか?」
「だめよ、さっさと帰らないと授業についていけなくなるわ。あんたわたしを留年生にするつもり? 心配しなくても、
あれだけ深手を負わせたんだから当分出てこないわよ。出てきたらそのときは学院にも連絡が来るから、飛んで
いけばいいでしょ。さっさと行くわよ」
 残念ながらにべもなかった。
 しかし、ツルク星人の行動パターンから、どうしても心のなかから不安が消えることはなかった。
 そして、才人にはどうしても気になることがもうひとつあった。それは地球で2006年から2007年に異常に怪獣や
宇宙人が頻繁に襲来してきた時期、それが実はヤプールが特殊な時空波を使って呼び寄せていたためであり。
もし、ハルケギニアでも同じことをされたら……
 
 
 その後、魔法学院に帰ったルイズ達は午後からの授業に出席し、その間才人はルイズの部屋の掃除や、
街であったことのオスマン学院長への報告、その後は食堂の手伝いをしてシエスタ達と夕食を食べて夜を迎えた。
「ふわぁぁ……じゃ、明日またちゃんと起こしなさいよね」
「ああ、お休み、ルイズ」
 部屋の明かりが消え、ルイズはベッドで、才人はわら束でそれぞれ横になった。

 それから数分後、ルイズが寝息を立て始めたのを確認すると、才人は静かに起きだして出かける支度を整えると、
部屋を抜け出してオスマンに会って事情を説明し、ロングビルに馬を一頭貸してもらうように話をつけた。
 厩舎は、さすがに深夜のため静まり返っていたが、なぜかそこで見慣れたメイド服を見つけてしまった。
「シエスタ?」
「あっ、サイトさん! ど、どうしてこんなところに!?」
「それはこっちの台詞だよ。女の子がひとりでこんな人気の無い場所にいたら危ないだろ」
「い、いえわたしは同僚が急病で、代わりに厩舎の見回りに来てたんですが、サイトさんこそなんでこんなところに?」
 どうやら、鉢合わせしたのは本当に偶然だったらしい。だが、これもなにかのめぐり合わせと、才人は
部屋に残したままのルイズのことを頼むことにした。
「そうだ、ちょうどいいや。ちょっと街まで行くから馬を一頭借りていくよ。学院長にはもう話を通してあるし、
何も無ければ朝には帰ってくる。けど、もし戻れなかったときはルイズによろしく言っといてくれ」
「えっ、どういうことですか!?」
「ちょっと気になることがあってな。あいつに授業サボらせるわけにはいかないから俺一人で行ってくる。
洗濯がどうとか言うと思うが、悪いけど適当に相手してやってくれ」
 そう言うと、才人はロングビルに比較的大人しくて扱いやすいと言われた馬にまたがると、不慣れな手つき
ながら手綱を握った。
448ウルトラ5番目の使い魔 第14話  (4/8):2008/09/23(火) 11:15:14 ID:d+8GMh8I
「じゃあシエスタ、頼めるかな?」
「わかりました。事情はわかりませんが、何かお考えがあってのことですね。ミス・ヴァリエールのお世話は
お任せください。けど、早く帰ってきてくださいね」
 心配そうに見つめているシエスタに、才人は出来る限りの笑顔を向けると、ルイズの見よう見まねで馬に
鞭を入れて、夜の街道へと走り出した。
 
 
 
 一方そのころ、トリスタニアの街では、深夜だというのに街中をたいまつやランタンを持った兵士が行きかい、
まるで昼間のように騒々しい体をなしていた。
「おい、そっちにいたか?」
「いや、こっちはいない」
「おい!! 5番街のほうでまた二人やられてるぞ」
「なに!? くそっ、これでもう15人目だ、いったいどうなってやがるんだ」
 街中を右往左往する彼らの中を不吉な情報が飛び交っていく。

 事の発端はこの2時間ほど前、酒場から自分の屋敷に帰ろうとしていた、ある中級貴族が突然襲撃
されたことから始まった。
 襲撃者は、いきなり彼らの眼前に現れると、先導していた従者を斬り殺し、一行に襲い掛かってきた。
もちろん、その貴族は酔いを醒まし、即座に『エア・ハンマー』の魔法で迎え撃ったが、なんとそいつは
ジャンプして空気の塊を飛び越すと、そのまま目にも止まらぬ速さで次の呪文を唱えている貴族を鋭い
刃物で胴から真っ二つにしてしまった。
 残った使用人達は、主人が殺されるや、蜘蛛の子を散らすようにバラバラになって逃げ出した。そのうちの
一人が衛士隊の屯所に駆け込み、事を話すとただちに詰めていた20人ほどの衛士が現場に急行したが、
すでに犯人の姿は無く、無残な遺体を目の当たりにして、彼らは口を覆った。
 だが、この夜の悪夢はまだ始まったばかりであった。
 引き上げようとする彼らの元へ駆けて来た伝令が、2リーグほど離れた場所での同様の事件を報告してきた
のを皮切りに、街のいたるところで貴族、商人、見回りから物乞いにいたるまで次々と殺人が起きていること
が明らかとなり、衛士隊はこれが自分達の職務を超えていることを知って、王宮に救援を求めるとともに、
非番の者も召集してのトリスタニア全域の一斉封鎖を開始した。
 
 しかし、千人近くを動員しての捜索にも関わらずに、犯人の行方はようとして知れなかった。
 唯一、目撃者の証言によれば、悪魔のような風体をした亜人で、両腕に巨大な刀をつけていて、猿のように
身軽であることがわかっているくらいだった。
「おい、裏通りでまた一人殺されてる!」
「ちきしょう、いったいどこに隠れてやがるんだ」
 彼らの必死の捜索も虚しく、犠牲者の数は増え続け、遂に首都全域に戒厳令が敷かれるにいたった。
「こちら、王立魔法衛士隊です。現在トリスタニア全域に戒厳令が公布されました。市民の皆さんは許可が
あるまで決して屋外に出ないでください。外出している人は、すみやかに最寄の建物に入ってください。
こちらは王立魔法衛士隊です。非常事態により、現在トリスタニア全域に戒厳令が敷かれています……」
449ウルトラ5番目の使い魔 第14話  (5/8):2008/09/23(火) 11:16:13 ID:d+8GMh8I
 上空からヒポグリフやグリフォンに乗った騎士達が、鐘を鳴らしながら市民に呼びかけていた。
混乱を避けるために、正体不明の殺人鬼が徘徊していることは伏せられていたが、慌しく駆け回る兵士達の
姿を見たら、いやがうえでも住民の不安はつのる。もたもたしている時間は無かった。
 
 だが、それから1時間後に、必死の捜索が実り、遂に街道近くの馬車駅で怪人を捕捉することに成功した。
「屋根の上だ、取り囲んで退路を塞げ!!」
「照明だ、奴を照らし出せ!!」
 兵士達が駅の周りを取り囲み、魔法衛士隊が空中から目を光らせる。
 そして、火系統のメイジが放った魔法の明かりがそいつを照らし出したとき、とうとう怪人はその禍々しい姿を
人々の前に現した。
 歪んだ鉄のマスクのような顔と赤く爛々と光る大きな目、しかもその顔の半分はどす黒く焼け爛れていて
醜悪さを増し、さらに黒々とした体表と手の先にだけ毛を生やし、両手の先を死神の鎌のような巨大な刀にした
姿はまさに悪魔と言うにふさわしかった。
「あ、亜人?」
「いや、悪魔、ありゃ悪魔だ!!」
 兵士達の間に動揺が走る。その隙を怪人は見逃さなかった。
「跳んだ!?」
 壊れた弦楽器のようなこすれた声をあげ、怪人は屋根の上から人間の5倍以上はある跳躍を見せ、眼下の
兵士達に襲い掛かった。
 たちまち逃げる間もなくふたりの不幸な兵士が鎧ごと胴体を真っ二つにされて息絶える。もちろん、怪人の
攻撃はそれで終わりはしない。
「む、向かい撃て!!」
 隊長の叫びで、恐怖に支配されかかっていた兵士達は、それから逃れようと叫び声をあげて怪人に
斬りかかっていくが、その勇敢だが無謀な行為はすべて彼らの死であがなわれた。
「平民共、どけ!!」
 あまりにも一方的な展開に、魔法衛士隊が高度を下げて参戦してきた。別に平民を助けようとか思ったわけ
ではなく、兵士達がやられている間何をしていたのかと後で叱責されるのを避けるためだったが、結果的に
兵士達は逃げ延びる時間を得ることができた。
「エア・カッター!!」「フレイム・ボール!!」
 魔法衛士隊は高度20メイルほどから攻撃を開始した。それ以上高くては闇夜で狙いを定められず、低くては
反撃を受ける恐れがあるための絶妙な位置加減だったが、怪人の身体能力は彼らの予測を大きく上回っていた。
 怪人は、放たれた魔法を俊敏な動作ですべて避けきると、そのままジャンプして両腕の刀を二閃させ、
ヒボグリフとその主人を兵士達同様に切り裂いてしまった。
「そんな馬鹿な、あいつは本物の悪魔か!?」
 王国最精鋭の魔法衛士隊ですら軽々と餌食にしてしまった怪人に、否応も無く兵士達の恐怖心はつのる。
 残った魔法衛士隊は仲間のあっけないやられ様に怒りを覚えたが、同時に未知の敵への恐怖心も強く、
高度を上げて逃げてしまい、地上の兵士達は再び死神の鎌の前に差し出された。
「うわあっ、た、助けてくれえ!!」
 すでに兵士達は逃げ惑う羊の群れでしかなかった。
450ウルトラ5番目の使い魔 第14話  (6/8):2008/09/23(火) 11:17:10 ID:d+8GMh8I
 怪人は、まるで狩りを楽しむかのように彼らの背後に迫っていく。
 
 だがそのとき、怪人の足元に突然多数の銃弾が殺到して火花を散らせ、怪人の動きが止まった。

「王女殿下直属銃士隊、参る」
 それは、王宮から急行してきたアニエス率いる銃士隊の放った援護射撃だった。
「第2射、撃て!!」
 副長ミシェルの命令で後列に構えていた隊員達が銃を放つ。彼女達の装備している銃は前込め式の単発銃
なので連射するためには射手が複数いるか、あらかじめ銃を複数持っているしかないからだ。
 だが、怪人は立ったままほとんどの弾丸をその身に受けたにもかかわらず、平然としていた。
「銃が効かんか、なら切り倒すまでだ、かかれ!!」
 副長の命令で銃士隊は全員抜刀して怪人を包囲しにかかった。
 銃士隊は、王女の直属警護部隊に抜擢されるだけあって、接近戦では一人で一般兵士の5人分に相当する
強さを見せるとも言われ、さらに集団戦法を用いれば無類のチームワークで凶暴な亜人とも渡り合うこともできる。
 今回の戦法は、かつて辺境の村を襲ったオーク鬼を包囲し、集中攻撃で仕留めたときの布陣であったが……
「やれ!!」
 合図とともに二人の銃士隊員が同時に斬りかかる、しかし怪人はそれより早く動いて一人を切り伏せると、
返す刀でもう一人に襲い掛かり、とっさにその隊員が盾にしようとした剣ごと彼女を切り裂いてしまった。
「ミーナ、シオン!! おのれっ!!」
 仲間を殺され、怒る隊員達の声が夜空に響く。だが、怪人はまるで殺しを楽しむかのように刀をゆらゆらと
降って余裕を見せてきた。
「なめおって、こうなれば一斉攻撃だ。全員かかれ!!」
 ミシェルの声とともに隊員達は一斉に剣を振りかぶる。
 だが、彼女が指揮を執っていることに気づいた怪人は隊員達が動くより早く、刃を彼女に向けて飛び掛ってきた。
「くっ!?」
 とっさに剣を抜いて受け止めようとしたが、一刀で剣の刃を根元から切り落とされて、丸腰にされてしまった。
 そしてその悪魔の刃が次に彼女の首を狙った、そのとき。
 
「待てーっ!!」
 
 馬の蹄の音とともにやってきた叫び声が彼女達の動きを止め、怪人もそちらに注意を向けた。
 
「あいつは!?」
 彼女達はその声と姿に覚えがあった。
「ツルク星人ーっ!!」
 そう、2時間前に学院を出発した才人がようやくトリスタニアに駆けつけてきたのだ。
 彼は、駅で暴れているのがツルク星人だと知ると、すぐさま馬を駆けさせ戦いに割り込んだ。
 等身大ではすさまじく素早いツルク星人にはガッツブラスターは通用しない。彼はデルフリンガーを引き抜くと
馬から飛び降りた。すると、左手のガンダールヴのルーンが輝き、彼に銃士隊さえ超える俊敏さが備わり、
そのまま勢いのままに上段から思い切り振り下ろした。
451名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 11:17:31 ID:16gMtukc
支援だっ!
452ウルトラ5番目の使い魔 第14話  (7/8):2008/09/23(火) 11:18:32 ID:d+8GMh8I
「くっ!」
 だがやはり正面からの攻撃では星人に避けられてしまった。さらに、体勢を立て直そうとしたところに
星人が右腕の剣を振り下ろしてくる。彼はなんとかそれを受け止めたが。
「相棒、伏せろ!!」
「!?」
 デルフの声に従い、才人はとっさに身をかがめた。直後、彼の首のあった空間を星人の左手の刃が
風を斬りながら通り抜けていった。
「次は左だ!! かわせ!!」
 息つく間もなく星人の攻撃は続く、才人はデルフの指示に従って、嵐のような星人の連続攻撃を
しのぐ。自称伝説の剣であるデルフリンガーはなんとか星人の刀との打ち合いに耐えていたが、
ガンダールヴで強化された才人の動体視力を持ってしても、星人の2本の刀の攻撃は見切りきれずに、
どんどん追い詰められていった。
「うわあっ!?」
「相棒!!」
 ついに才人は星人の剣撃に耐えられず、デルフリンガーごと吹っ飛ばされてしまった。
 地面に倒れこむ才人にとどめを刺そうと星人の剣が迫る。そのとき!!

「でやぁぁっ!!」
 
 突然飛んできた一本の剣が、いままさに才人に向かって剣を振り下ろそうとしていた星人の顔の
中央に突き刺さった。
 その剣は、星人の頑強な皮膚に阻まれてほんの数サントしか刺さっていなかったが、それでも
星人は顔面を押さえて苦悶し、金切り声をあげると、夜の闇の中へと跳躍して姿を消した。
 
「や、やった……」
「隊長……」
 その剣はアニエスが投げたものだった。彼女は星人の気配が完全に無くなったのを確認すると、
隊員達に負傷者の収容をするように命じて、才人とミシェルに向かい合った。
「また会ったな、少年。確か、ヴァリエール公爵嬢の使い魔だったか、先日はお前のおかげで大変
世話になったな」
「あ、その節はどうも」
 どうやら、ルイズの爆発に巻き込まれて城の床で一晩越せさせられたのを根に持たれていたらしい。
しかし、嫌味はそのくらいにしてすぐさま本題に入ってきた。
「さて、お前はさっきあの怪物のことを"ツルクセイジン"とか呼んでいたな。しかも、ヴァリエール嬢は
魔法学院に帰ったというのに、使い魔のお前だけがこんな時間にこんな場所になぜいる? お前は
何を知っているんだ」
 有無を言わせぬ強い口調と、嘘を許さぬ鋭い眼光でアニエスは才人に迫った。
 才人は、ごまかしきれないと思い、知っていることを話すことにした。
「あいつはツルク星人、昨日城を襲ったバム星人と同じく、昔俺の国を荒らした奴の仲間で、多分
ヤプールの手下さ。昼間エースに深手を負わされたから、もしかして仕返しに来るんじゃないかと
思って来てみれば案の定だったよ」
「昼間エースに? あの怪獣のことか、だが奴はあれとは姿形がまったく違うぞ」
453ウルトラ5番目の使い魔 第14話  (8/8):2008/09/23(火) 11:19:45 ID:d+8GMh8I
「ツルク星人は巨大化時と等身大時では姿がまったく違うんだよ。ただ、両腕の鋭い刀と、昼間の
戦いでエースの火炎でつけられた顔面の火傷の跡はそのままだったろ」
 怪訝な表情をするアニエスに才人は、ツルク星人の特徴を説明していった。等身大と巨大化時で
姿がまったく違う星人には、他にカーリー星人、バイブ星人、ノースサタンなどがいて、どいつも
等身大時は並外れた格闘能力を誇る、おそらくは状況に合わせた星人なりのタイプチェンジなの
だろうが、ツルク星人はその中でも特に凶悪で残忍な部類に入る。
「なるほど、わかった。しかし、ウルトラマンさえ取り逃した相手を、たった一人で止めようとは、
剣術に優れているのは分かるが、自惚れているのではないか?」
 するとデルフが鞘から出てきて、カタカタとつばを鳴らしながらアニエス達に言った。
「確かにそうかもな。だがな、さっき相棒が飛び込まなかったら、そっちの副長どのは間違いなく
殺されていた、いやあ、そのまま全滅していただろうな」
「なに、貴様!!」
「よせミシェル、少し頭を冷やせ。それで、講釈はもうそれで十分だ。あと聞きたいことはひとつ、
奴の仲間は昔貴様の国で暴れていたと言ったが、そのときはどうやって倒されたんだ?」
 さすが、現実的な思考をしているなと才人は感心した。あれだけの力の差を見せ付けられながら、
もう次に勝つ手段を模索しているとは。
「ああ、以前はウルトラマンレオ、エースの仲間だけど、彼が戦ってくれたんだが、最初の戦いでは
残念ながら星人に負けてしまったんだ」
「ウルトラマンが、負けた!?」
「ウルトラマンだって、別に神じゃない。あんたらもさっき見ただろう、奴は剣の一撃目をかわしても、
受けても、もう一本の刀で二段攻撃を狙ってくる。それをかいくぐって星人本体を狙うのは並大抵の
ことじゃない」
「だが、最初の戦いということは、彼は次の戦いで奴に勝ったのだろう。言え、星人の二段攻撃を
破り、奴を倒したその戦法を」
 才人は少し逡巡したが、やがて一言だけ口にした。
 
「三段攻撃だ」
 
 
 続く
454ウルトラ5番目の使い魔:2008/09/23(火) 11:20:45 ID:d+8GMh8I
以上です。支援ありがとうございました。
次回は、ツルク星人vs銃士隊&才人の戦いです。
今回登場する敵には、カーリー星人やフリップ星人も考えましたけど、やっぱり銃士隊とぶつかるなら
剣を持った敵ということでツルク星人に決定しました。

では最後にレオの次回予告風に。

トリスタニアを恐怖に陥れたツルク星人
魔法も銃も効かない星人を倒す手ははたしてあるのか?
そして、才人の言った三段攻撃とはなにか
急げアニエス、走れ才人!!
さあ、来週もみんなで見よう!!
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 11:24:52 ID:16gMtukc
ごくろうさまでした〜。
熱い展開にワクワクドキドキです。

>さあ、来週もみんなで見よう!!
筆が早くてうらやましい。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 11:25:54 ID:dOEf1sgE
Aの人、乙でした。
サイトの怪獣オタっぷりもなかなかすごいなぁ
アニメではあっという間に退場してしまったミシェルさんが活躍(?)してるのもいいですね、続きを期待してます。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 11:31:23 ID:aYtFguM1
怪獣やウルトラマンで男の子してるサイトがステキです。
でも、現実でエースの怪獣に詳しいとオサーン扱いされるよね!
458THE GUN OF ZERO(0/4):2008/09/23(火) 12:14:52 ID:DZfgHw6o
エースの人乙です!

よく考えたらこいつも中の人(非声優)的にウルトラと無関係じゃないな……
というわけで投下しても、いいかな?いいよね?投下します。

やはりこの板の皆さんはあんまり久保の事を知らない様なので、簡単に強さの紹介などを。

クォヴレー・ゴードン
必殺技:『テトラクテュス・グラマトン』相手は死ぬ。

ね?簡単でしょ?
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 12:16:34 ID:Z88D7OYL
クロス元知らない作品なんて山ほどあるんだしそう気にしなくてもいいと思うよ
460THE GUN OF ZERO(1/4):2008/09/23(火) 12:16:43 ID:DZfgHw6o
 あの草原から、トリステイン魔法学院の敷地内に来て、しばらくの間クォヴレーはこの部屋で放っておかれた。
 すっかり日も沈んだ頃、ようやくルイズが戻ってきた。
「済まないが、勝手に明かりを付けさせて貰った」
 と、燭台を指さすクォヴレー。
 しかしルイズは一言も言葉を発さないまま近づいてきて、クォヴレーを見るとふかぁーくため息をついた。
「はぁぁぁぁ〜」
 普通の人間なら、人を見てため息をつくとは何事かと怒るところだが、生憎とクォヴレーは普通の人間ではない上に、それとは別の所で感性もかなりずれていた。
「疲れているのか?」
「アンタ……人間、なのよね……」
 クォヴレー本人としては結構ナイーブな問題を無遠慮げに触られた格好となり、それにより初めていささか不機嫌になるが、すぐにこの少女は何も知らないのだと意識を切り替えた。
「そうだな。俺は、自分のことをヒトだと思っている」
「何で平民なんか……」
 そのままクォヴレーの前を通り過ぎ、ベッドに倒れ伏す。
「平民……という事は、お前は貴族なのか」
「そうよ。メイジなんだから当たり前でしょ?わかったら、その『お前』って呼び方改めなさいよね」
 ベッドの上、首だけ動かしてクォヴレーを睨み上げる。
「わかった。……ところで、メイジとは何だ?」
「……アンタ、どこの田舎から来たのよ?メイジは魔法を使える者の事よ」
「成る程。魔法使いのことをここではメイジと呼ぶのか」
 ふむふむと興味深げにしきりに頷くクォヴレーを見て、ルイズは心底後悔した。
 使い魔召喚の儀で呼び出したのは人間の平民で、しかもろくに常識も弁えない田舎者ときた。
(なんで……こんな……)
 涙ぐみそうになるのを、シーツに顔を埋めることで見せないようにする。
「それでルイズ」
「……何よ」
 まだ涙ぐんだままだというのは自覚していたので、クォヴレーとは反対に顔を上げながら尋ね返す。
461THE GUN OF ZERO(2/4):2008/09/23(火) 12:18:14 ID:DZfgHw6o
「使い魔は、具体的に何をすればいい?」
「そうね……使い魔の仕事は大きく三つあるわ」
 気だるげに、指を三つ立ててみせる。
「一つは、主人との感覚の共有。主の代わりに目となり耳となること。つまり、アンタの見聞きした物を私も感じることが出来るようになるの」
「……まさか出来ているのか?」
 少し驚いたようにクォヴレーが尋ねた。
「ダメね。教本通りにやってみたけど、ちっとも繋がらない」
「そうか……」
 内心ほっとするクォヴレー。この少女の平穏な日常のためにも、自分と繋がるのはお勧め出来ない。人間、知らない方が幸福なことなど世の中に山のようにあるのだ。
「二つめは、主人に代わって薬草や硫黄なんかの鉱物を取ってくること」
「この辺りの植物の生態に詳しくないので薬草は無理だが、硫黄などはすぐにでも出来るぞ」
「本当?」
 些か驚きで目を見開くルイズ。つい寝返りを打ってクォヴレーの方を向いてしまう。最も、この時点では既に涙は引っ込んでいたのだが。
「俺の考えてる硫黄と、こちらで言う硫黄が同じ硫黄であるのならな。火山地帯などでよく見かける物質のことか?」
「ええ」
「それなら俺も知っている硫黄だ」
 自信ありげに頷くクォヴレー。
「ふーん、案外使えるじゃない。で、三点目は主人であるメイジを守ること」
 少し気を持ち直したか、上半身を起こしベッドに腰掛ける形になるルイズに、若干胸を反らし気味にクォヴレーは答えた。
「それこそ俺の得意分野だ。任せて貰おう」
「へえ?少しは腕に自信があるみたいね。何が出来るのかしら?」
「銃の腕なら、かなりのものだと自負している」
 ここで、行き違いが発生する。
「は……?銃?」
「そうだ」
 ルイズにとって銃とは、このハルケギニアに存在するマスケットの類であり、クォヴレーにとってそれは、カートリッジ式であったりシリンダー式であったりする拳銃から対物狙撃ライフルに至るまでの幅広い銃の種類であった。
462THE GUN OF ZERO(3/4):2008/09/23(火) 12:19:38 ID:DZfgHw6o
 当然、威力・性能共に段違いであると共にその有用性もまた雲泥の差である。
 だが、ルイズはそんなことは露知らず。一度期待に胸が膨らんだだけに落胆も激しかったようで。
「そう……銃、ね」
 目を伏せがちにすると、再びベッドに倒れ込んでしまった。
(あんな役立たずな物が扱えるからって何だって言うのよ……)
「その三つが、俺の使い魔としての仕事か?」
「……そうだけど、あんたは三つ全部出来てる訳じゃないわ。それ以外の雑用もやって貰うわよ」
 顔だけを、今度はクォヴレーの方に向けつつ答えた。
「雑用……掃除などか。俺自身はあまり経験はないが、やってみよう」
 これについては自信なさげに返すクォヴレー。
「そ。それじゃあ明日の朝、それ洗っておいて頂戴」
 とルイズの指さす先には、駕籠に入れられた洗濯物。
「わかった」
 こくりと頷きかえす。
「それじゃあひとまず」
 ルイズがベッドから降りながら、命じる。
「私を着替えさせなさい」
 ルイズ曰く、貴族の子弟は使用人に着替えさせるのは当たり前なのだそうで。
(そういうものなのか……)
 全く頓着無く、純粋に未見の物事を知った故にクォヴレーは感心していた。
 命じられるままに引き出しからネグリジェと替えの下着を取り出し、命じられるままにルイズの服を脱がせたところで、ハタと動きが止まった。
「……ちょ、ちょっと。主人を裸にしてじっと見るのは……」
 少し顔を赤くしながら後ろを向くと、クォヴレーはルイズの方など見ていなかった。その手にしたネグリジェなどをまじまじと見つめている。
「ちょ……ちょっと、クォヴレー……?」
 もしかして、こいつ服に欲情する変態……?等と失礼なことを考えながら一歩引くルイズ。それが変態なのならば着替えさせているルイズは何なのかという話である。
 だが、難しい顔でネグリジェを見ていたクォヴレーは全く予想だにしないことを口走った。
「すまない、ルイズ。着せ方が判らない」
「はぁ?あんた何言って……」
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 12:22:21 ID:16gMtukc
投下予告はしようよ。支援。
464THE GUN OF ZERO(4/4):2008/09/23(火) 12:22:48 ID:DZfgHw6o
 文句を言いかけて、目の前のクォヴレーの服装に目がいく。
 どう見ても文化系統の違う服であった。
「しょ、しょうがないわね。それじゃあ私の指示通りに着せなさい。これから覚えるのよ?」
「ああ。わかった」
 突き詰めていくと、別にクォヴレーの服装は文化系統とはあまり関係の無いパイロットスーツであり、彼の大本の世界でもネグリジェなどは普通にある服飾品である。
 だが、クォヴレーの生い立ちに問題があった。
 生まれてしばらくの間を人造生命体バルシェムとして過ごし、ロンド・ベル、およびαナンバーズに居た期間にも、女性と「そういう」接触が皆無のままで、次元を超えて旅をする事となったクォヴレーには、ネグリジェなど初見であったのだ。
 ぎくしゃくしながらも着替えを終えたところで、今度はクォヴレーが尋ねた。
「ルイズ。使い魔としての仕事は大体了解した。それで出来れば、一日の内睡眠を除いた2時間程の休みが欲しいんだが?」
「そうね……私の言った仕事さえこなせば、別にそれぐらいは構わないわ」
「助かる」
 にっこりと、全く邪気のない笑みで笑いかけるクォヴレー。
 少し、どきりとした。
「そ……それじゃあ、私はもう寝るわね」
 すとんとベッドに腰を下ろす。
「俺はどこで寝ればいい?」
「ゆ、床よ。毛布ぐらいなら貸してあげる」
 ぽーんと飛んでくる丸まった毛布を受け取り、クォヴレーは燭台に近づく。
「明日は7時には起こしなさいよね!」
「了解した。灯を消すぞ」
 手をかざしながらフッと吹きかけ、部屋の中は星と二つの月明かりだけが照らす。
(け、結構整った顔立ちじゃない。……そうよね。この私が召喚したんだもの。例え平民だろうと、あれぐらいの美しさを持ってる奴が応じるのが妥当だというものだわ!)
 ベッドの上で毛布にくるまりながら何やら勝手に自己満足しているルイズ。クォヴレーもごろりと横になり、ベッドの上で動くルイズの様子を気遣いつつ、やがて規則正しい寝息が聞こえてくる段になるとようやくクォヴレーも意識を手放した。
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 12:28:28 ID:16gMtukc
よく見たら予告してた。
土下座しつつ支援。
466THE GUN OF ZERO(5/4):2008/09/23(火) 12:32:47 ID:DZfgHw6o
>>459
冗談で言ってみたかっただけなんで、あんま気にしないでくださ〜いw
467名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 12:36:12 ID:IKtVankR
>>458
ボブの絵画教室自重ww
468虚無と若獅子 第四話:2008/09/23(火) 12:47:40 ID:qM1vRboy
進路クリアーでしょうか?
問題ないようでしたら、12:55から第四話を投下したいと思います。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 12:53:22 ID:DZfgHw6o
進路クリア、両舷全速、よーそろ!
470虚無と若獅子 第四話 1/5:2008/09/23(火) 12:55:31 ID:qM1vRboy
夢を見ていた。

どことも知れぬ果てなき荒野、見も知らぬ空の下。
剣戟の音が高らかに響き、激闘が繰り広げられる中、ルイズは力ある言葉を紡ぎあげる。
湧き上がる言葉はうねる力となり、ルイズの意志が世界に顕現する。
詠唱が完成。掲げた腕の一振りとともに、火球が敵を薙ぎ払った。

詠唱の間、敵の前進を阻んでいた背中が、ルイズを称えるように、親指を立てて腕を上げ
た。全身を鎧ったその姿は、ルイズと同じくらいの背丈の――。


「馬鹿ね。それこそ逃げじゃない……」

ベッドの上で、膝を抱えて、自嘲気味に呟く。

夢見た理由は分かっている。
寝る寸前まで聞き入っていた、リューマの冒険譚だ。
その中でも、特にルイズの興味を引いたのが、リューマが語る魔法だった。
自分が知るそれとは、全く違うシステム。
生来の資質よりも、むしろ、後天的な学習によってその力が決まるという東方の魔法は、
積み上げた努力の量だけなら人三倍は堅いという自信があるルイズにとって、あまりにも
眩しかった。羨望のあまり、夢に見てしまうほどに。

だが、ただ力を手に入れるだけでは、意味がない、とルイズは思う。
得体のしれない東方の魔法に心揺らされるなどあってはならない。
それは、試練を乗り越える意志の揺らぎであり、心の弱さの証だ。
何しろルイズは、誇り高きハルケギニアの貴族なのだから。
王家にも連なる由緒正しきトリスティン貴族として、誰に対しても胸を張れる正しいメイ
ジにならなければならない。

でも、もしも、東方の魔法が使えるなら、そして、それがこちらの魔法と変わらぬ効果を
発揮するなら……。

堂々巡りを始める思考を断ち切るように、一つ首を振ると、キッと頭を上げた。
勢いよく立ち上がる。

「絶対にっ! 負けないんだからぁっ!」

おー! と腕を振り上げたところで、唐突に部屋のドアが開いた。

「ルイズ、そろそろ起きた方が……」

朝の鍛練から帰ってきたのだろうか、タオルで汗を拭いながら扉を開いたリューマの目が、
まるく見開かれる。
何か、見てはいけないものを見てしまったかのように目をそらす。

「ご、ごめん」

そのまま、パタリとドアが閉められた。

「ち、違うの、リューマ……」

何が違うのかは、言っているルイズ当人にも分かっていない。
差しのべられた手が宙を切る。
取り繕う言葉が、誰もいない部屋の中で空しく響いた。

471虚無と若獅子 第四話 2/5:2008/09/23(火) 12:56:38 ID:qM1vRboy
背中越しに扉の閉まる感覚。
はぁ、とため息をひとつ。
思わず逃げ出してしまったが、良かったのだろうか。
直感的に、他人に見られたくはない姿だろうと思ってまわれ右してしまったが、逆に、傷
つけてしまったのではないだろうか?
何事もなかったように、接するか、或いは思い切って笑い飛ばした方が、ルイズも気が楽
だったのではないだろうか。
こういう時、自分の経験の薄さが嫌になる。

リューマ・バステソーンは、歴戦の勇士である。
だがそれは、必ずしも人生の経験が豊富であることを意味しない。
むしろ、戦闘技術以外の面では、年齢よりも幼い部分が、多々あった。
それは、貶められた家名を嘲笑う声を跳ね除ける為にも、強くなければならなかったリュー
マにとって、必要な代償だったのかもしれない。
そして、幸運にもリューマには、その欠落した部分を、補い、支えてくれる仲間たちがい
た。だが、そんな彼らは今、いない。
元々が、多くの偶然が重なった末に、たまたま同じ道を歩いているに等しい間柄だ。
やがては、別々の道を行くことになるだろう。
いずれ、こういう状況が、当り前になっていくのだろう。
本音を言えば、その未来予想図は、とても寂しい。
でも、厭うことではないし、むしろ、心から尊敬できる仲間たちの、新たな門出を喜ぶべ
きなのだと、そう思う。

彼らがいなければ、間違いなく今の自分はないと断言できる。
恐らく、よくて銀獅子館で学ぶ従騎士の身分が精いっぱいだっただろう。
彼らがいればこそ、自分は、ただ一振りの剣でいられた。
一振りの剣にも、これだけの事が出来た。
そして、一振りの剣であるために、多くの事を犠牲にしてきた。
その事を、悔やみはしないし、それはこれからも変わらない。
だけど、彼らがいなくなった時、一振りの剣に何が残されるのだろうか。

懊悩するリューマを、虎ほどもあるトカゲが、興味深そうに眺めている。
尻尾の先には、燃え盛る炎。
ふと、目が合った。
リューマがオスマンから教えられた、ハルケギニアの一般常識の中には、勿論、使い魔に
ついての事も含まれている。
なので、リューマは、“それなりに”驚いた程度で済んだ。
反射的にグレートソードの柄に手が伸びそうになる自分を抑えつつ、鼻づらの先に手を伸
ばしてみる。
基本的に、何を召喚しても、人間には友好的な態度を取るという話だったので、警戒する
必要もないと判断。
主がこちらに敵意を抱いていない限りは、問題はない……はず。
それに、まあ、縦に割れた瞳や、表情のない顔も、見慣れれば、それなりに可愛らしい…
…ような気もする。

だが、我に帰ったリューマに、トカゲは興味を失ったのか、ふいと体を返すと、隣の部屋
の扉を器用に開けて、その隙間に姿を消した。
扉が閉まる寸前、忍びやかな笑い声と、香木の香がかすかに匂った。

「……なんだったのかな、今の」

リューマは、手を差し伸べたまま、視線だけでその背中を見送り、小首を傾げた。

472虚無と若獅子 第四話 3/5:2008/09/23(火) 12:57:53 ID:qM1vRboy
「それ、多分、キュルケのフレイムね」

朝食の席で、朝の出来事を話すリューマに、やたらと豪勢な料理を突きつつ、ルイズはど
こか物憂げに答えた。
寝不足が胃に来ているのか、言葉にも、食べる勢いにも、精彩に欠いている。
相対するようにテーブルに座るリューマはリューマで、慣れない豪華な食卓に戸惑い気味
だ。そもそも、物心ついた時から、どちらかと言えば質素な食生活だったし、軍学を学ぶ
銀獅子館では、長距離行軍に耐えられるよう、意図的に粗食が出されている。
給仕が付くような環境では、気遅れの方が先に立って、正直、味わうどころの騒ぎではな
い。それでも、空腹は最高のスパイスとばかりに、多少無理やり並んだ料理を端から詰め
込んだ。
多少雰囲気に呑まれていようが、そもそも、朝の鍛練を済ませている上に、食べ盛り。
これでもかと並べられた皿が、徐々に速度を上げながら、次々と空になっていく。
そんなリューマを眺めながら、ルイズは続ける。

「キュルケっていうのは、ゲルマニアから来た性悪女なんだけどね。
火竜山のサラマンダーを召喚したって、昨日、散々散々さ、ささささ散々自慢して……」

よほど悔しい記憶なのか、フォークとナイフを握る手がわなわなと震え、言葉が空回りし
はじめる。
リューマはどこで地雷を踏んだのかと、おろおろと周りを見回すが、誰も気にも止めてい
ない。
うららかな朝の風景の中で、そこだけ温度が下がり続けるようだった。
思いっきり食欲が減衰したリューマの手が止まると、ルイズが皿の上の鳥のローストを、
親の敵か何かのように切り刻む音だけが辺りに響く。
そのまま暫くの間、俯いたままぶつぶつと呟いていたルイズが、ふと、顔を上げた。

「そんなわけで、キュルケには近づいちゃダメだからね?
絶対、ぜーったいだからね!」

どんなわけ? などと聞けるはずもなかった。
言葉に込められた力が、表情に一切表れていなかったのが、逆に凄みを感じさせる。
コクコクとリューマは頷くと、気が済んだのか、ルイズの身体から、鬼気とでもいうべき
何かがすーっと抜けていく。

「ん、分かればいいのよ。
そういえば、この後授業だけど、リューマはどうするの?」
473虚無と若獅子 第四話 4/5:2008/09/23(火) 12:59:03 ID:qM1vRboy
ルイズの皿の上の無残な切れ端を、ちらちらと意識しながら、リューマは少し考え込んだ。
正直に言えば、異世界の魔法学校の講義に、興味がないかと言われれば、そんなことはな
い。興味津々と言わないまでも、リューマにだって、好奇心くらいはある。
だが、魔法とは縁のない自分が、恐らくそれなりに専門的であろう講義を、退屈せずに聞
いていられるという自信もまたなかった。
それに、何よりも、いつ何事があってもいいように、休めるときに休んでおくのは、騎士
の、いや、戦いに携わる者の習いと言えた。

「ぼくは、ルイズの部屋で少し仮眠をとるよ。
授業についていって、邪魔になってもいけないし」

「そう。
じゃ、いったん部屋に戻りましょう。
どのみち、教科書とか持っていかなきゃいけないし」

「はい。
あ、そうだ。念のため、教室の場所、教えてよ。
何かあったらすぐ駆けつけるから」

大げさね、とルイズは笑った。
学院の中で、何か事が起こる訳がないじゃない。


勿論、何事か起こったし、しかもそれはルイズに関わる事件だった。


腹に響く炸裂音で、リューマは目を覚ます。
まず脳裏に浮かんだのは、自らの失策に対する後悔。
何故、ルイズに着いていかなったのか。
よしんば休むにしても、もっと傍で休むべきだった。
だが、後悔は一瞬。
寝台から跳ね起きると、壁際のグレートソードを引っ掴み、せめてもの備えにクロークを
羽織ると、叩きつけるようにドアを開いた。
頭の中で教室までの経路図を展開。
同時に、ブーツから伝わる魔力が、リューマの運動能力を引き上げる。
グレートソードを握った右手を背中にまわすと、風を追い越す勢いで走り始めた。

廊下を駆け抜け、角を曲り、階段を飛び降りる。
幾つもの窓が後方に流れていき、瞬く間に事前に教わっていた教室にたどりつく。
走り抜ける勢いそのままに、扉を蹴破った。
474虚無と若獅子 第四話 5/5:2008/09/23(火) 13:00:08 ID:qM1vRboy
流れるような動作で、振り下ろすように背中にまわしていたグレートソードを構える。
切っ先が、石造りの天井をバターのように切り裂くが、意に介さず、油断なく目を左右に
走らせた。

机の下から、幾つもの顔が唖然とした表情で見上げている。
黒板の下で、中年の女性が気絶している。
何故か、教卓の前で、ボロボロに焦げたルイズが、ハンカチで顔に付いた煤を拭っていた。

「ルイズ、大丈夫!?」

周囲に対する注意を逸らさないように、細心の注意を払って、ルイズに呼びかける。
グレートソードを構えたまま、ゆっくりとルイズに近づいていく。
リューマは、案外平然とした様子のルイズに胸を撫で下ろす。

「ごめん、心配かけちゃったわね。
大丈夫。ちょっと失敗しちゃっただけだから」

その言葉に、ようやくリューマは戦闘態勢を解いて、グレートソードの切っ先を下げた。
ただそれだけの事で、それまで張りつめていた教室の空気が緩む。
それを合図にしたわけではないのだろうが、ぞろぞろと、机の下から生徒たちが這い出し
てくる。
破れた制服の隙間から、下着が見えていることに気がついたリューマが、羽織っていたク
ロークをルイズの肩に掛けた。
ありがと、と頬を緩ませるルイズに、容赦のない罵声が降りかかった。

「何がちょっとだ!」

「お前の魔法、殆ど成功しないじゃないか!」

「「ゼロのルイズ!」」

ビクリ、とその言葉にルイズの肩が震える。
俯いたルイズを、リューマは気遣わしげに見つめていた。
何か慰める言葉を掛けるべきだと、そうリューマの理性は囁いている。
だが、リューマは、何一つルイズに言葉をかけてやる事が出来なかった。
どんな言葉をかけても、ルイズの傷ついた心を癒すことなど出来ないと、知っていたから。


〜いつものように、ルイズの魔法が失敗した。
いつもと違ったのは、その直後に、ルイズが呼び出したあの男の子が、教室に飛び込んで
きたこと。大剣を振り回してる上に、殺気立ってたから、凄く怖かった。
ルイズの部屋に運び込まれた大荷物もあの子のだって言うし、やっぱり野蛮ね。
思わず、ギーシュの方を振り向いてしまった。不覚。
友達にも、ばれないように気をつけてたのに……。
でも、ギーシュは天井をじっと睨んで難しい顔をしていた。
別にこっちを気遣ってほしいわけじゃないし、期待もしてないけど、その態度は何よ!

――――モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシの日記より
475虚無と若獅子 第四話:2008/09/23(火) 13:01:25 ID:qM1vRboy
以上で、投下終了です。
それではまた、出来るだけ近いうちに。
476名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 13:12:15 ID:16gMtukc
よそ行っている間に来てたー。

豪華絢爛美少年絵巻、楽しみにしてますよ。
次でのギーシュの運命やいかに!?
477名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 13:20:08 ID:aYtFguM1
えー、こっち使うの怖くて練習スレに投下してみました。
サモンナイト2とのクロスです。
使い魔はマグナ。時系列的にはDISC1終了前後で。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 13:32:59 ID:16gMtukc
おk、読んでくる。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:07:45 ID:gAUPf/eT
格ゲーキャラ召喚って考えてみた

リュウ    あらゆる意味で全く制御不能

ダン     ギーシュあたりが呼んだらにあうかも

春日野さくら 系統魔法はおろか先住魔法、虚無の魔法すら
見よう見まねで使ってしまいそうだな

リョウ・サカザキ 「メシ食わすぞ」ったら簡単に従いそうだな しかしいつからコイツ貧乏キャラになったんだろ

キム・カッファン 逃げて!ジョゼフとワルド逃げてぇ!!
480名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:08:41 ID:UVhLvL1x
格ゲーキャラは漏れなくデルフ涙目だなw
481名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:11:57 ID:aYtFguM1
ほ、ほら侍魂とかなら!
つーか、先ずまっさきに決闘でギーシュが死ぬんじゃないかと小一時間。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:16:45 ID:Z88D7OYL
塊魂とかなら!

に見えた
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:19:06 ID:znzbDyvH
この流れなら、オプーナ召喚と言わざるを得ない
484名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:20:34 ID:gAUPf/eT
>>481
侍魂・・・って・・・・・・・・
コマネチかますルイズ想像したらやっぱエクスプローションでフッ飛ばされるんだろうなぁ
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:21:10 ID:n3BCwVHG
マゾブタヌルがエナジーボンボン召喚ですね、わかります
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:26:33 ID:SUoKSEPV
波動拳って強いんかね?
格闘家同士だから一発の威力じゃ倒れないのか、一発の威力が弱いのか
487名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:28:53 ID:QkYOMh3s
>>486
強いんじゃね?映画かスペシャルかわからんがアニメじゃベガ倒した時は波動拳だったと思う。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:33:31 ID:bJtPdVMG
映画版スト2の大型トラックで突っ込んでくるベガ様だったっけ
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:33:32 ID:gAUPf/eT
>>486
どんな相手でも(ラスボスですら)三発当てれば倒せるよーん
それから考えると尋常でなく強いんでねすか?(除我道拳)
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:33:38 ID:TyineP6i
>>486
漫画では最強クラスのキャラが使った波動拳で山が消滅した覚えがある
491名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:35:19 ID:QkYOMh3s
>>488
ああ、それそれ!
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:36:17 ID:MD130mNA
>>481
アンリエッタ「何ソノ塊、ナンデチンケナ塊ツクッチャッタノ?ア、ワカッタ、ポテチタベテタンデショ、アブラマミレノ手デ片手間ニ頃ガシタンダ。
        王女トテモ悲シイ。コノキモチ、オウジモワカルヨネ?」
ウェールズ(ガクガク)
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:37:10 ID:gAUPf/eT
>>486
次元をすら歪めシニスター(ニセモノ)を一瞬で骨にするオプティックブラストと互角
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:39:14 ID:bJtPdVMG
波動拳の威力が知りたいならボーナスステージの車を波動拳だけで壊してみれば良いじゃない
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:42:24 ID:MTpQzc3U
>>489
一瞬、ソニックブラストマンの話かと思ったんだが違ったのか。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:43:35 ID:n3BCwVHG
>486
リュウとゴウキが戦ったときの漫画版設定では、冗談抜きに山を砕く威力の波動拳を撃ち合ってた。
食らった波動拳は、体内で波動拳を放って命中した相手の波動拳と相殺し合ってる。
相殺に失敗したら周囲もろとも木っ端微塵。
497名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:45:18 ID:aYtFguM1
冷静に考えると気合で発火させたりもできるよな波動拳。
あと、インドの人は徹底的に人間扱いされない。きっと!
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:46:03 ID:NBE3fdId
ちなみ真空竜巻旋風脚は都庁を半壊できます
499名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:46:04 ID:39w3Gjkc
生物なら『気』を持ってるから『気』は相殺されて効きにくくなるが、
非生物は『気』が練り上げられないので破壊がたやすいとかいう設定をどっかで見たような
500名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:47:24 ID:gAUPf/eT
>>495
一番最初の「ストリートファイター」では波動拳三発でラスボスのサガットすら倒せるのですよー
リュウが靴履いたりしてますが

そういや先行者召喚ってなかったよね
実在の人物(人か?)だからかな?
501名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:51:02 ID:D+Pg8/5f
>>500
禿先生が喜ぶだけだからじゃないかな。

それに本物のあれの能力は歩くだけだし。
(「歩く」事を研究するための足だけロボット、上半身はただの飾り。)
502名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:53:22 ID:UVhLvL1x
先行者よりももっとマシなのがいるだろう…AIBOとか可愛いじゃん。
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 14:57:30 ID:SUoKSEPV
・・・ダン辺りじゃないとバランス大変そうだなw
504名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:02:46 ID:gmbIqlk1
リュウの反応が分からんよ・・・

最初の契約の口付けの時の
505名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:06:55 ID:8oJfLJy8
>>476
えー? 「ワルキューレ7体 薙ぎ払って3秒」じゃないの?
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:10:18 ID:DustusBC
じゃあKOFシリーズから…ごめんある意味リュウ以上の化物揃いだわw
507名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:11:09 ID:NBE3fdId
>>504
気絶した状態で契約
リュウならハルケギニアのまだ見ぬ強敵に心躍らせると思うんだ
まあリュウならとっとと学院から出て旅をしそうだけど
508名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:12:43 ID:MD130mNA
リュウとの契約時についてのインタビュー

ルイズ「小足を見てから余裕でした」
509名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:14:14 ID:39w3Gjkc
>>504
そりゃやっぱり、ルイズがそのときできる『最強』の技で挑んでくるわけだから……顔面に『風の拳』とか?

>>506
アーデルハイドなら妹のように扱ってくれそうだな
510名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:15:00 ID:U4NJkux/
リュウ召喚なら調子に乗ってタツノコキャラを召喚
いや、今度ゲームが出るから
511名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:15:30 ID:4za+HE/D
>>479
リュウは強い奴と戦わせることと食料の確保さえ保証すれば案外楽に制御できます。殺意の波動に目覚めなければ(おそらく本性をあらわしたワルドが生け贄になるでしょう)。

キムの場合……帰還の際ジョゼフとワルドがチャンとチョイの弟弟子になっているかと。
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:17:47 ID:NBE3fdId
>>510
ジェネレイターガウルからガウルですね?
鴉が出るんだからガウルだって出してくれても
513名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:19:02 ID:DZfgHw6o
>>506
八神さんちの庵くんとか。
絶対にルイズに御し切れねぇw
514名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:23:33 ID:mJvJNz9v
>>513
狂気度ならメンヌヴィル並だしなぁ
いっそ京・コッパゲVS庵・白炎での夢のタッグマッチでw
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:45:18 ID:sf7SRfs+
>>506
ラルフジョーンズ大佐(39歳独身)なら召喚慣れしてるから大丈夫。
516名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:47:39 ID:18atOOxY
>>492
見た瞬間ウケにウケた。おもしろいネタありがとうよ。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:49:37 ID:DustusBC
>>513

最初の召喚→説明の時点で八稚女喰らって燃やされるルイズを幻視したw
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 15:55:30 ID:DustusBC
>>515

確かにラルフやアーデルハイドならやって行ける気がする。

だが俺はオロチ関係者の召喚を…無理だなorz
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:05:36 ID:9JH51Yys
>>513
MIのアニメみたく、炎が出せなくなった状態でツンデレ補正を加えればなんとか・・・




やっぱ無理ぽ
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:19:57 ID:bdt2oJzj
召喚時の朦朧状態の隙に使い魔の契約して使い魔補正も加えれば可能?
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:20:56 ID:gAUPf/eT
あ、そうか
ジョゼフがベガとその配下を召喚しており
世界がその修正力としてキムをルイズに「呼ばせた」とか

・・・・・・・どう考えても修正力のほうが大きすぎます
正義の味方のほうがオーバーキルです(いや殺さないけど     多分)
522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:31:46 ID:ZBsDXi4f
恋姫無双の一刀を召喚させていろんな意味でハーレムルートってありかな?
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:33:38 ID:DustusBC
>>522

ありとは思うが…多分避難所向き
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:36:42 ID:3nsObcv2
スカロンの声優が若本になるわけですねわかりたくありませんでした
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:45:45 ID:aYtFguM1
ベガを呼ぶ教皇。
麻薬付けとなり聖地奪還のために東へ走る教徒達。

どう見ても地球教です。
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:46:49 ID:bJtPdVMG
粉付きの袋体に貼っ付けて走り回るのか
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:46:51 ID:AyTWkVZp
以前、格闘ゲームのキャラがルイズに召喚されました、なんてスレがあってな・・・
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:54:22 ID:vSOLPG+x
>>524
一瞬「ルイズが若本声を召喚しました」なんて想像した

疲れているらしい。昼寝してくる
529名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 16:58:31 ID:57vGMdxM
音速丸もしくはビクトリーム様召喚かw
ちよ父は既に来てたっけか
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:01:35 ID:2AZr5LTd
教皇が呼ぶならスト3のギルだろ
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:06:06 ID:0ikzsQGC
テファはパクマンさん召喚で一つ
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:07:14 ID:lx3VEk40
>>525
銀英伝かwww
533名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:09:05 ID:39w3Gjkc
格ゲー史上最強のボスとも言われるジェネラルを召喚
「初対面でいきなりキスとは感心しませんな。近頃の女性はハレンチで困る」

それはそうとして、格ゲーボスでとりあえずルイズの使い魔になってくれそうなのはいるだろうか。
クラウザーあたりは暇つぶしとか言ってまだ付き合ってくれそうなイメージがあるが……
ベガは逆に洗脳しそうだし、ギースは実利が無きゃ一切言うこと聞かなさそうだし…。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:12:12 ID:aYtFguM1
ゼロの提督は傑作だと思うんだ。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:14:26 ID:9zFlkTiM
>>515
クラークを忘れないで。
ギーシュのゴーレムに
スーパーアルゼンチンバックブリーカー、フラッシングエルボー 。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:15:31 ID:cRQK/O9i
いきなり何を言い出す貴様。
まぁ確かに良作だが。
537名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:17:09 ID:z3hbyfXY
新聞社勤めの宇宙人?
538名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:17:27 ID:GOzCXxJU
>>533
ブラッディロア1のウリコとか
539名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:27:13 ID:Q0XfbqRU
>>533
ミスターカラテ
540名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:28:26 ID:hBgD/OHv
メタスラシリーズから誰か来たら面白いかも。
イチモンジヒャクタロウとか、マーズピープルとか。

敵はモーデン元帥率いる飛行艇やら巨大ゴーレムやらで決まり
541名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:34:07 ID:7fUpkO+9
>>533
無界さん
542名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:36:16 ID:PLsbql9G
>>533
アーデルハイド
543名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:36:57 ID:k7yUGnTp
>>533
月華の剣士二幕の黄龍とか新・豪血寺一族のボビー・オロゴンとか
544名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:41:22 ID:UVg7Udiw
ソルでも召還されないかな
545名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:43:03 ID:XrIQKqN4
>>543
黄龍、召喚したら常世と現世が大変なことに
546名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:45:43 ID:MFWndu3A
北斗…は格ゲーじゃないか
あれは世紀末アクションスポーツゲームだもんな
547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:47:12 ID:AyTWkVZp
魔界大帝フェルナンデス
548名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 17:57:37 ID:h2NY1afM
格闘ものならヴィットーリオに宮本武蔵とブルース・リーを召喚して欲しいな
549名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:02:18 ID:n3BCwVHG
魔人大帝ゴルディバスとか
ただしサイトママンポジションでw
世界扉(小)でのメールで息子の無事を知ったゴルディバスは、愛息子サイトを追ってハルケギニアに……
550名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:02:51 ID:0ikzsQGC
>>548
どう見てもハルケギニア真っ二つエンドです
本当にありがとうございました
551名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:03:26 ID:TmNCyoXn
亀レスだが、久保の人乙
がんばれ!俺Tueeeeeeeee!とか言われないようにがんばれ!
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:06:48 ID:mXcIcqBe
>533
最強ならファットマンと言うゲームのボス マンデュー・ザ・ファット様 だろう
ただのジャンプで敵が死ぬ(即死) と言う非常識極まりないボスだ

553名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:15:11 ID:2AZr5LTd
>>552
対抗してスペランカー先生を呼ぶしかないな
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:16:47 ID:vzpqJUVj
碑文谷教授召喚とかどうだろ一か
彼ならルイズの魔力を効率良くためさせることができそーだ
555名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:24:32 ID:aYtFguM1
すぐ死んじゃうスペランカー先生にルイズのストレス大爆発ですね。
556名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:25:38 ID:16gMtukc
ネイガーを召喚。
方言が分からんし、米が無いであろうハルケでは・・・
シエスタの爺さんががんばれば何とかなるかな。
557名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:27:14 ID:3hnP7G9C
>555
さあう゛ぁんといろいろのヤンのように、死にまくるけど生き返りまくる。
そんな被召喚者はどうだろう。ちゃんとした説明がないとタバサの心理状態の保障は出来ないけれど。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:28:59 ID:cRQK/O9i
今色々資料探しにwiki見てみたら
15巻の激しいネタばれ見つけて死にたくなった。
確かにwikiはネタばれページなのは100も承知だが
まだ発売してないのにwikiにネタばれのせるなと…
559名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:30:28 ID:U4NJkux/
ありがとう
>558の犠牲のおかげでネタバレを見ずにすんだぜ
560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:30:54 ID:aYtFguM1
>>557
沢山います。
……これはタバサ的にどうなんだろうw
561名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:31:27 ID:AAO1/hdf
>>557
余の名はズシオのズシオとかどうよ?
562名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:34:16 ID:mJvJNz9v
>>557
姉妹スレのボス
563ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/23(火) 18:36:22 ID:18atOOxY
すいませーん。投下よろしいでしょうか?よろしければ50分くらいから投下しますね。
564名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:39:05 ID:Q0XfbqRU
>>557
スーパーマリオだな。
見えないところには死体の山がw
565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:39:32 ID:6wX0QQ9K
>>557
「ススメ!パイレーツ」の村田とか、「ラブ・ネゴシエイター」のジム・リード。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:44:19 ID:PHYEzxG2
そうだ!タバサ母を殺してから復活させれば毒の効果も消えるのでは?
死からの復活なんてこの世界ではエルフでも無理みたいだし。

しかし復活魔法が常態化した世界の戦争って殺し方が凄い事になりそう。
ぐちゃぐちゃのズタズタにして火葬にして灰を風に乗せてばら撒くとか。
567名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:45:15 ID:PHYEzxG2
>>557
小ネタで愛野狩人が呼ばれています。
格好良い俺YOEEEEEE!!を読みたければまとめWikiを。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:46:38 ID:OQebPKf/
オブリ支援
569名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:48:09 ID:6wX0QQ9K
>>563
支援。
570ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/23(火) 18:49:07 ID:18atOOxY
PC時刻と通常時刻がずれてた…いきますねー
3,悪夢と失敗を越えて
ここはどこだろうか。空は赤くて雷が鳴ってるし、なんだか凄い叫び声がする。
夢の中のルイズは全く見たことのない街を歩いていた。街、といっても家が燃え、家屋は潰されている為廃墟というべきかも知れない街が。
嫌だわ、一体何かしらここ。そう思っていると前で何かが動くのが見えた。
「人かしら?」
正確には人だった物だ。しかも現在進行形で人からそうでなくなっていると言うべきか。赤黒い鎧に身を包んだ身の丈190サントはありそうな
黒い顔の亜人が片手で人を掴み上げそのまま潰している。肉がちぎれ骨の砕ける音がする。その亜人は低い声でおそらく笑っているのだろう
楽しそうな表情だった。

ペタン、とお尻が地面に付いた。その亜人の恐ろしさに腰を抜かしてしまったらしい。
ひとしきり、それで遊んだ後に亜人はその、肉塊をそこらに投げ捨てどこかへ歩いていった。
「何よ、なによ。これは。」
目の前にそれが落ちた。現実の世界で間違いなく濡らしてしまうルイズであった。

クヴァッチ――マーティンが暮らしていた街にして16人いるデイドラ王の一人メイルーンズ・デイゴンの私兵集団に所属するドレモラ
という亜人達によって壊滅させられた街。
彼はこの地獄から生還するどころか逆に不死であるデイドラ達に占領されていたクヴァッチを取り返す
一端を担った。何故彼らは死なないデイドラから街を取り返すことができたのか?

デイドラにも種類がある。これらはオブリビオンと呼ばれるあの世としてタムリエルに知られる異世界に住む生物の総称である。
考え無しに動く動物のようなデイドラがいれば、人間のように思考し、自分たちで決めた規則や規律の下に動く者もいる。
そういった知あるデイドラにとっての恐怖とは痛みであり、恥であり、損失であり、闇である。
考える頭がそんなにないおばかさんは怖い物がないのだ。その分あまり強くもない物が多いが、稀に人を軽くひねり殺すのもいる。
彼らは皆不死である。しかし死なないと言っても肉体の損傷によって身体を捨て、彼らの故郷であるオブリビオンに魂のみで戻り
そこで再び身体を構築しなければならない。彼らとしても肉体が傷つけば当然痛い。数あるデイドラでも知性があり、話そうと思えば
普通に人と話すことが出来るドレモラ達は、自分と人間の関係を狩人と獲物、と表現している。狩られろ、いずれ死ぬ者どもが!というわけである。
最も、その傲慢さが原因で逆に人間に狩られて仲間内に笑われる者がいるのもしばしば見受けられるが、
それをされて自分を撃退した獲物を褒め称えるか、激して弱い人間を襲うかは、倒されたドレモラ次第である。

デイドラの王達――彼らはまた殊更に変わった理で動く。ああ、彼女が目覚めるらしい。もうこのような夢を見ないように
悪夢を司るデイドラ王、ヴァーミルナにお願いしなくては――嗚呼魔女が笑う。その内また見せる気のようだ。
不死の存在の事のことについて定命の存在が何か考えるのは不毛な事だと誰かが言った。
571ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/23(火) 18:49:55 ID:18atOOxY
うっすらと目を開ける。自分の部屋だ。良かったあの怖い亜人はいない。ルイズはほっとすると共にはっとして下を見る。
「不可抗力よ、アレ見たら誰だってこうなるわ」
開き直り脱ぎ捨てる。ふと気づけば昨日は話し込んでいる内に寝てしまったのか、制服を着たままになっていた。
ベッドで眠っていることから考えるとそこで、こらマーティン。何その毛布を使ってんのよ!たかいんだかんね。ふんとに。
デイドラ――不死なのに様々なことを怖がる連中。そのドレモラについて確かに昨日聞いたけれど、まさかいきなり夢に出るとは誰が思うだろうか。
ああ、全く目覚めが悪い。しかし良い感じに日が昇っている。二度寝はまずかった。
着替えが終わった頃にマーティンは目を覚ました。ある意味ちょうど良いタイミングだ。
「ああ、おはようご主人様。気分はいかがかな?」
「おはようマーティン。昨日聞いた話のおかげで悪夢を見たわよ」
それは仕方がない。気にする方が悪いのだとマーティンは笑った。
ルイズは何ともこう、マーティンに対しどうにか責任を負わせたかったが、しかし正論を返されてはどうしようもない。
マーティンはにこにこしている。朝食を取りに行きましょうとルイズが言ったので彼は扉を開いた。

「おはよう。ルイズ」
件の赤毛、いや、どこぞの海賊よろしく赤髪とでも名乗れるだろう燃えるような色合いの髪の女性と鉢合わせした。
実はいつルイズが出るかと待っていたのだが、そこら辺は気にしてはいけない。結局似たもの同士なのだ。全てにおいて反対なのに。
「おはよう。キュルケ」
「あなたの使い魔って、あらなかなか。ねぇ貴方、情熱ってご存じ?」
もう50歳だが未だに30台後半から40台前半として見られることの多いマーティンは、知りすぎているとも。少なくとも君よりは、と返した。
昔、快楽の為なら何だってするサングインというデイドラ王を信仰していたことがあった。恥ずべき過去なのは間違いないが、
おかげで火遊びの危険性は十二分に理解している。キュルケとしてみれば最近年若い同輩達と遊んでいたから、こうした包容力と教養の
ありそうな大人の男性と過ごしてみるのも悪くはない。それに、なかなか穏やかそうな顔の奥に獣が潜んでそうじゃないの――と
狩人としての目を光らせる。

「へぇ、それは是非聞いてみたいわ。おじさま、お名前の方は何とおっしゃいますの?」
「マーティン・セプティムだ。火傷を知らぬ君よ」
なにか、いい感じの雰囲気が気にくわない。とりあえずだだっ子の考え方でルイズは邪魔に入った。
「なれなれしいのよ、あんた。大体何?なんでいきなり口説くのよ」
途中からどっちに言ってるのか分かり難いが、本星だろうキュルケは言った。
「いいじゃないの、愛があれば、年の差なんて。ねぇ、ミスタ」
「いや、やめておこう。愛の炎は常に移ろい変わるものだ、明日を知らぬ陽炎のように。特に君のような方とは何度か経験があってね」
なかなかどうして、恋多き女性は何も知らぬ男を狂わせるものだ。そう言って、マーティンはキュルケの隣でのんびりしている火トカゲを見た。
じっと目が合うと何故かトカゲはマーティンにすり寄った。
「あら、珍しいわね。サラマンダーが飼い主以外に懐くなんて。やはりこれも運命かしら?ダーリン」
「いや、結構。私の一族は、その、何だ。まぁそういう一族なんだ。」
苦しい言い訳である。おそらく自身に流れる正統な皇帝の血――竜の神アカトシュに認められた血がかの神の眷属だろうこいつに
反応して懐かれてしまったのだろう。悪い気はしないが、正直暑苦しい。
572ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/23(火) 18:50:43 ID:18atOOxY
「ああ、そんな事より朝食だったな。行こうか、ご主人様。」
火トカゲのフレイムから離れ食堂の方へ行こうとするとトカゲは名残惜しそうに鳴いた。ついでにキュルケも。
「ええ、全く、キュルケもそうだけど、マーティンもマーティンよ。あいつと受け答えなんかしたらだめなんだからね」
「仲が良さそうだと思ったが…ああ、仇敵か何かかい?」
家同士で仲が悪いというのはあるだろう。果たしてその通りだとルイズは言った。

アルヴィーズの食堂の前でルイズは止まった。
「ここ、貴族しか入っちゃいけないのよね。ねぇ、マーティン。あなたって貴族なの?」
単刀直入に聞き入る。草原では見た目だけを判断材料にしたが、どうもそれは違うというのが昨日の語りから理解できた。
「ふむ、そうだな。司祭だと言っただろう?それは本当なんだが、ある日使いがやってきて、実は私はタムリエル帝国のセプティムという
地方の領主を父に持っているというのが分かったんだ。そしてはやり病で父と兄たちが死に、私が継がねばならぬとその使いは言ったんだよ」
うん?とルイズは首をかしげた。
「地方領主なら、別に真っ当な他の人を持ってくればいいじゃない。司祭なんだから貴族についてそんなに知らないでしょ?」
もっともな意見だ。これが皇帝だと言ったら納得するだろう。面倒だから絶対に言わないが――マーティンはため息を吐くフリをした。

「セプティム家の私兵集団、ブレイズが騒いだらしくてね」
「へぇ?物騒ね」

全くだ。彼らの忠誠には恐れ入る。ブレイズは皇帝直属の部隊にして、恐れを知らぬ戦士達である。皇帝の命令以外では決して動かぬ彼らは
マーティンの為に命の限りを尽くすつもりだった。マーティンからしてみたらなかなかどうして、頼むからもう少しくだけた態度で
接してくれるとこちらとしても心が休まり、デイゴンへの追撃の為の研究もはかどったに違いないと思う程度のとても重い忠誠を誓ってくれて
寝ても覚めても曇王の神殿では心休まる日が無かった。皇帝とはそうした職務なのだろうとは分かっているが、またやれ。と言われると
今は遠慮したい気分である。

マーティンはすっかりクヴァッチでのんびりと司祭をやっていた頃の精神状況に戻っていた。
ここ4年程非日常ばかりだったから久しぶりの日常なのである。できればのんびりと過ごしたかった。
自分の命と秘宝を用いて信奉する九大神の長、竜の神アカトシュを現世に呼び出し、帝国は崩壊を免れた。少しくらいこうしていても罰はなかろうと考える。
帝都にて新皇帝探しに苦労している評議会の凄腕バトルメイジ、オカートが聞いたら杖で頭をぶん殴られても文句は言えないだろう。
俺がこんなに苦労しているのに、と大事な決戦の時に兵をケチった奴に言われたくはないが、おそらく言われるだろう。

「まぁそういうわけで貴族にならねばならぬと言われて、さぁてどうしたものかと考えていると、
気が付いたらあの草原に倒れていたと言うわけだ。」
何故かこう嘘が豊富に出るのは神に仕える身としてどうなのだと思うところはあるが、
私はタムリエル帝国の皇帝である。というよりは説得力もある。嘘の方が説得力があるというのも変な話だが。
「わたし、ちょっとマズイ事をしたかしら?」
冷や汗をかくルイズにいやいや、そんな事はないと笑ってマーティンは言う。
実際の所は死んだはずの自分をどういうわけかエセリウス以外の所へ連れてきたのだ。
ここがオブリビオンならそれはそれで、もしかしたらいまや伝説となったニルンのどこかにあるという
大陸の一つなら新たな発見と共に帰る事が出来る。まぁなんにせよ今しばらくはここにいる事になるのは間違いなかった。
「久しく遠出をしていなかったのだ。異国に行くのは悪くない。そしてそこで食べる飯もまた格別な物だ。
それにかのセプティム領には優秀な賢者であらせられるオカート殿がいる。ブレイズも彼には逆らわないさ。
軋轢はあるかもしれないが」
自分で持ってきた椅子に座り、ちゃっかり貴族用の朝食を食べる。初めて食べる上等な飯は九大神からもたらされた恵みだと、
マーティンは彼らに今の状況を感謝した。帝都にてせわしなく働くオカートはおもいっきりクシャミした。
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:50:56 ID:Q0XfbqRU
うむ、支援。
オブリはにわかがやたらウザイのが玉に瑕だよな。
他ゲーのスレにまで涌いてきて罵倒してく奴もいるし。
574名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:51:11 ID:D+Pg8/5f
承知した市民
575ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/23(火) 18:51:30 ID:18atOOxY
授業と聞いてマーティンはほう、と教室を見てため息をもらした。自分が学んだシロディールのメイジギルド総本山であるアルケイン大学は
青空教室であった。栽培の月(5月)は良かったが、冬の星霜の月(12月)や暁星の月(1月)
等は寒くて仕方がなかったな――そんなメイジ時代を思い出しながら周りを見る。笑われている。私とルイズが。
何かこう、とりあえずお前達はもう少しマナーを知るべきだと言おうか、しかし魔法を使えない平民と思われているから
それはそれでまぁ仕方ないと思っておくべきか。
それらから視線をそらすと、あまり知らないモンスター達が見えた。彼らは一体なんだろうか。
滞在中の楽しみが時間を増す毎に増えている現状にマーティンはどこかに落とし穴が無いか少し心配になった。
おそらくここ数年のタムリエルの人間の中では上位5人に入るだろう極限状態下で一般人からしてみるととても不幸だったのだ。
そう考えると今の何とも言えない普通という幸せをかみしめるマーティンにとって、何か起きないかと思うのは普通だろう。
ちなみに今は皇帝の世継ぎが居なくてとても困っているオカートさんがランクインしている。寝る間もないらしい。可哀想に。
後少ししたら気が触れて帝都に自分を皇帝として祭り上げかねないくらいだ。

「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを
見るのがとても楽しみなのですよ」
どこにでもいそうなメイジの女性が言った。大学で見たことがある気がする。気のせいだろうか。
「変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
教室が笑いに包まれる。気に入らないな。こういう笑いの取り方は。マーティンはそう思いながら黙っていた。
「ゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺歩いてた平民連れて来るなよ!」
ルイズは立ち上がった。しかし、一度激情を殺すようにコホンと咳をして先ほど言った少々ふとっちょの少年に凄みを効かせる。
「それは彼への侮辱よ?風上の。こんなナリしてるけど東方はロバ・ウル・カリイエよりさらに東、人間と亜人の住むタムリエルという
所から来たメイジなのよ」

昨日の一件で、赤髪の挑発以外には乗らないようになったらしいルイズは誰から教わったのか氷点下のにらみでふとっちょの少年
マリコルヌを睨んでいた。出身については口裏を昨日の内に合わせておいた。そうそう信じられるものではないと、彼女は少し寂しそうに言っていた。
おぉ、とどよめきがあがる。東方はやはり怖いのだろうか。タムリエルの東方にある、人食いヘビ人が住むアカヴィリは確かに怖いが。
「しょ、証拠を見せてみろよ。いくらなんでもゼロがメイジなんて呼べる訳ないだろう?」
どもりながらも口にする。マーティンは立ち上がり、さて、何をしたものかと思案する。
氷魔法はなぁ。当たると冷たいし、やはり自己の回復。いや、派手さがない。では召喚…スキャンプは臭うな。
「あんまり使いたくはないのだがね。」
力をひけらかしてこれを自慢していた昔を思い出す。能力は優秀だったがその分モラルが全くなかった。だからこそあんな事になったのだが――
自制し、これはそうではないのだ。自分が何者かを証明する為に呼ぶのだと心の中で言う。
右手を上げて呪文を唱え、モンスターを召喚する。クランフィアというデイドラモンスターは二足歩行で敵に高速で向かい、
両手の鋭いかぎ爪を使ったり、勢いを殺さぬまま突撃したりして相手を倒す、デイドラの突撃兵ともいえる大きな黄色いは虫類に見える彼は
他の知恵あるデイドラの一人、ズィヴィライという種に可愛がられている。

おおと歓声が上がる。これが先住なのか、とか一体どうなっているんだ、とか可愛いらしい等が聞こえた。
決して青い髪の少女の口から美味しそうという声が聞こえてこなかった事を追記しておく。いや、なかったんだよ?
「これは失礼しましたわ。異国のメイジ様」
異形が元いた世界に帰って後、シュヴルーズが申し訳なさそうに頭を下げる。
先ほどまで間違いなくこちらを見下していたようだった。
ただそれは、いわゆる貴族が平民を見るときに何も考えずにする習慣的な物で、そういったどこにでもあることに
異を唱えてもどうしようも無いことくらい、マーティンは知っていた。
「いえ、いいのですミセス・シュヴルーズ、それに私はこの国のメイジと違い貴族ではありませんから。」
竜の神に仕える司祭です。と簡単な紹介と共に名を名乗ると、なるほど、おそらく位の高い異教の司祭様なのだろうと生徒達と教師は思った。
「さて、授業に戻りますわよ。あなた様のご参考になるかと思いますわ。ミスタ・セプティム」
576ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/23(火) 18:52:17 ID:18atOOxY
「ええ、是非聞かせて下さいミセス。新たな知識は様々な事を教えてくれますから。」
本当に何も知らないが、優秀であろうメイジが見ている。シュヴルーズとしては自身の魔法をアピールしたいが、
しかし、他の事も触りくらいは教えるべきだろう。そう思って講義を始めた。

結論から言うと、おそらく成り立ちから違うのだろう。全く知らない構成だったとマーティンは思った。
『火』の魔法はとても分かりやすい。シロディールに住むなかなかしたたかなバトルメイジの一人がこう言っていたのを思い出す。
破壊の魔法のどこがいいって?そりゃ――そこらの物をぶっ壊すときの爽快感よ。
おそらくシロディールにおける「破壊」の魔法と呼ばれる物にもっとも近いのだろう。ただ、この魔法は名の通り
火しか扱えず、例えば敵の体力を奪ったり一時的に本来の力が出せないように彼らの技量そのものを低下させたりするような魔法は使えない。
また、残念ながら耐性の低下という概念もこれの中には無いらしい。

『水』の魔法は傷を癒す魔法である。しかしこれには何らかの触媒が無いと素早く治らないし、重傷者の治療が出来ない。
「回復」の魔法に比べ、使いづらさを感じる。また人の感情等を操る「幻惑」系統の魔法もこれに該当するようだ。
この時マーティンは、初めてこの国には教会での無料で病気を癒す神々の恵みが無いことを知る。
考えてみれば当然の話なのだが、実際に神が存在し、時折気まぐれに現れるタムリエルの人間である彼にとって、
神格化したはずの始祖ブリミルが何故何もしないのかをとても不思議がった。

『風』の魔法は、ふむ、何というか。まるで知らないな、これに該当する物とすれば、
おそらく古代エルフ、アイレイドの失われた術式くらいだろう。そういえば、このハートランドのハイエルフ達は
ニルンを地、水、空気、そして光から構成されていると考えていた。火は光の弱まった状態だとも。
まるでこの世界の魔法の要素ではないか、とマーティンは一人考えていた。見えずとも身を守る盾となり
また敵を薙ぐ矛となる…私が知らぬ破壊の魔法と変性の魔法が組み合わさっているのだろうか?
興味は尽きない。前の黒板に書かれてある文字が読めないことが恨めしかった。あとで
ルイズに字を教えてもらわねば。

『虚無』の魔法。それが何かは伝説のみに記されているという。一般的に言うと奇跡の業らしい。
奇跡か、私が起こした事も、奇跡と呼べるのだろうな。と帝都の神殿で竜の神アカトシュを呼び出したことを思い出す。
始祖ブリミルが使ったというそれは既に呪文が現存していないという。
一度消え去った呪文を探すのは大変だ。アイレイドの魔法を探すトレジャーハンター達からそういった話を聞いた事もある
マーティンだが、そういった魔法は大抵普通の人間には唱えられないから消えたのだと分かっていた。
アイレイドはとても凄まじい力を持つ、生まれながらの魔法使い達である。天候すら造作もなく操る彼らの魔法は
普通のメイジが扱うことが出来なかったのだ。意味のない物は消えていく。おそらくここの虚無も、そうしたものだろう。
さて、最後にと、かの教諭がふふんと誇らしげにしているのを見ながらマーティンはそんなことを考えた。

「『土』系統の魔法は万物の組成を司る、重要な魔法であるのです。
この魔法が無ければ、重要な金属を作り出す事もできないし、加工することもできません――」
少々耳を疑う。おいおい、鍛冶屋はいないのか?いや、この魔法があるから製鉄技術が発達しないのか――
はるか昔、未だドワーフというエルフ達と種を同じとする存在がタムリエルにいた頃、彼らは各々が持つ
魔法の力ばかりに頼らず、自分たちで様々な物を造ろうと試みた。謎の消滅からもう何千年と経つが
未だその技術の全貌はまるで明らかにされていない。彼らに比べて、ここのメイジは面倒くさがりなのだなと
感想をこぼした。
彼らが何故居なくなったかと言えば、神の禁忌に触れたからだが、それを知るのは今亡き3人の現人神と
タムリエルの一地方であるモロウウィンドで活躍したかの地の英雄のみである。
577ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/23(火) 18:53:09 ID:18atOOxY
「さて、今日は『土』系統の魔法の基本である『錬金』を覚えてもらいます。一年生の時にできるようになった
人もいるでしょうが、基本は大事です。もう一度、おさらいすることに致します。」
杖を持ち、短くルーンを呟くと石ころが光り、光を放つ金属へと変わっていた。
「ゴゴ、ゴールドですか?ミセス・シュヴルーズ!」
それを否定し、真ちゅうだといった後、もったいぶったように自分をトライアングルと言った。
何だろうか、授業の際に話すことはいけないが質問は許される。手をあげ、かの『土』のトライアングルに聞いてみた。
「系統を足せる数でございますわ。この地のメイジはそれで格が分かるのです。ミスタ・セプティム」
ドット・ライン・トライアングル・スクウェア、この地のメイジは生まれながらに使える呪文がだいたい決まっていて、
最低が一つの系統しか属していないドット、最高が4つの系統に目覚めているスクウェアである。と彼女は言う。
同じ系統ならばより強力になり、違う系統なら二つを合わせた呪文が使えるという事らしい。

全ての魔法をマスターできないのか、この地のメイジエルフは少々退屈していそうだな。
タムリエルでは1000年の時を生きる彼らの中でも優秀なメイジは晩年、大抵今の所解明されている全ての系統
『召喚』『幻惑』『破壊』『回復』『神秘』『変性』の6つの系統と器具を使って薬の作成を行う『錬金術』を全てマスターしている。
そこで尚名誉に走るなら破壊と変性について研究し、後生の事を思うなら神秘の魔法を根気よく研究する。
敵対しているとルイズに聞いたが、マーティンは当然彼らも杖を持ってこのスクウェアのメイジとなるのだと考えていた。
先住魔法の使い手と勘違いしていたルイズはそこの詳細を教えていなかったのだ。
しかし引っかかるような気もする。何故知られるのは五つなのに四つまでしか足せないのだ?
シュヴルーズはかの虚無は伝説であるからと答えた。存在していたのが疑わしいのだろう。
見たこともない奇跡を信じるほど純真な子供でないのは、見れば分かるが。

「では、ミス・ヴァリエール。ここにある石ころを、望む金属に変えてみなさい。」
刹那、時が止まった。特徴的な擬音も、機械技術で造られた疑似時間停止装置もなく、
極彩色の服を着たいかにも狂気の様相を呈した老人もいなかったが、しかし皆の身体は
確かにに凍るように動かなくなった。

「先生、やめた方が良いと思いますわ」
危険ですからと加えるキュルケは困ったように言った。教室の皆が遅れて時を動かし、首を縦に振る。
指定されたご主人様の方を見る。さて、どうしたものかと思案しているような顔であった。
「彼女が努力家ということは聞いています。失敗を恐れていては何も出来ませんよ?」
優しく語りかけるそれは、教育者として誉められるべき事だろう。
現状の認識が出来ないというのは致命的な所だが、それに気づくには彼女もマーティンもまだ何も見ていない。
ルイズは立つと申し訳なさそうに言った。
「すいません、先生。その、そちらでやりたそうにしているツェルプストーにさせてあげた方がよろしいのではないでしょうか」
「何を言うのです。大丈夫ですとも。さぁ、こちらに来なさいミス・ヴァリエール」
うわぁ、とキュルケは呻いた。こうなったら行くしかなかろう。しかし珍しい、指定されたらとりあえず自分から爆発させに行くのに。
あの意地っ張りに何が起こったか知らないけれど、自分が何やってるのかをようやく認めたらしい。
前はあんなにツンとすまして泣きそうなのをこらえていた子供は、一晩でどうやら階段を駆け上がったようだ。
言われた後いつものように緊張もせず、とても普通に教壇へ向かう彼女の後ろ姿を見る。ゾク、とした。嗚呼、この感覚はあれだ。
こう、何というかとりあえず――同格?いやもっと違う、違う何かだが分からない。理性で考えていると
『火』の系統の本質たる破壊の本能がキュルケを呼びかける。『アレ』は良い。獲物から何かに成った、いや、これから成るのだ、と。
フフーフとキュルケは鼻歌でも歌うかのように笑う。これはこれは、それでこそ我が宿敵になれそうじゃない?
蛇がカエルをからかっていた関係は終わり、いずれ戦場で世界蛇と対する時彼女は何になっているのか、皆目見当はつかないが、
せいぜい何かをとがらせておいて下さいな。そう思いながらとりあえず爆風を受けるのはいやなので机の下に隠れるキュルケだった。
578名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:53:31 ID:OXppjEJG
支援
579ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/23(火) 18:53:57 ID:18atOOxY
教壇に上がるルイズは一度目を閉じ、カっと開いた。覚悟は既に済ませてある。震えは、もうない。そして二度とこさせない。
「ひとり言よ。今日はひどく調子が良いわ。何が起きるかわかったもんじゃないから、ここに残るのなら覚悟しなさいね」
元々、彼女は美しい側である。学院の中、少なくともこの中で同格をはれるのは真逆の性格をしたツェルプストー
くらいだ。そこでルイズを選んでも本来何もおかしくはない。しかし、その性格がわざわいし激烈な口調で自ら
他人を寄せ付けなかった。もう少し器用だったならば、魔法が使えなくても皆が暖かく迎え入れてくれる方法くらい分かったかも知れないが。
今、彼女の凛とした顔には何の迷いもない、昨日、貴族として前向きに生きると決めた。もはや未来永劫失敗を続けようとも頑張ってみようと
思う。魔法を使える平民がいたのだ。魔法を使えぬ名門侯爵家の令嬢がいてもいいだろう。出来ることを出来る者がやればいい。
ならば私は敵に後を見せぬ貴族となろう。いずれ守るべき民の為に。ただ、あきらめるのではない、続けるのだ。できるまで。
かぶろうではないか「ゼロ」の汚名。人々を守る事ができるようになれば、勝手にあっちが見る目を変えてくれるでしょう?
手柄が欲しくて「ゼロ」をやめたかった心の中では泣き虫の少女は今、確かに崇高な精神を持つ、まごうことなき貴族となった。
ルイズのただならぬ気配とその普段からはあり得ぬ物言い。それと精神の成長によってもたらされた見たことのないルイズの
美しさに皆驚きを隠せないが、しかし言っていることはとても物騒だ。これはさっさと逃げるに越したことはない。と
使い魔を連れて外に出た。

ふむ、とマーティンは空っぽになった教室と外に出て窓からこわごわとこちらを眺める生徒達、そしてしくじった!という顔で
ようやく彼女は毎度何かをやらかしているという事に気づいたシュヴルーズを見た。
「外、出といた方が良いわよ?」
ルイズがぶっきらぼうに言い放つ。はははとマーティンは笑った。
「何を言う?昨日言っていたじゃないか。使い魔と主人は一心同体なのだろう?ならば例え貴方が死地に赴いたとしても
私はそれについて行かねばなるまい。ならばたかが魔法の一つ、受けていなくてどうしようと言うのだね」
彼もただならぬ事が今から起きることは理解した。しかし、先ほどの覚悟の決まった顔と言葉は、なかなかに小気味良い。
落とし穴とはこれだったか?しかし、これなら大歓迎だ。マーティンはじっと先ほどから座っている中程の席から
ルイズを見ていた。不敵に笑い、呪文を詠唱する。杖を振り下ろすと同時に爆発が起こった。ルイズとシュヴルーズは黒板まで
吹き飛ばされて叩きつけられ、マーティンも衝撃と爆風に身をよじる。
なるほど、これは――凄い「破壊」の魔法だ。マーティンは爆心地の二人を見る。双方とも気絶していた。
これだけの破壊力で、よくもまぁこの程度ですんだものだと彼は思う。多少の傷はあるがこの程度なら回復の魔法ですぐに治せる。
生徒達と騒ぎに駆けつけた教師、それとどこからか見物していた見知らぬ使用人が見守る中、二人の傷を治し、
起きあがるのを待つマーティンであった。
580ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア:2008/09/23(火) 18:54:48 ID:18atOOxY
投下終了です。悪イズも狂イズもすきだけども最初はきれいなルイズを書こうと、マーチの人を見ながら思っていました。
ちょいと急すぎるかな?でもルイズさんがこう動き出してしまったのだから仕方ない気もするんです。
最初はネタから始まって、ギーシュさんまでネタと説明を混ぜながらこれで行こうとしましたが、何か覚醒が来たようです。
キュルケさんは何か蛇のイメージがあります。リリス的ですし、肌が黒くふくよかな体つきは豊穣を司る地母神辺りを連想しやすいんです。
たいてい彼女らは性愛とかも司ってたりしますよね、脳内法則ですが。いくらかのネタは仕込んだけれど、クスリと来たかな、不安です。
考えてみればタムリエルとハルケギニアの魔法は互換性なさそうですからね。マーティンがどのように理解したかはともかく。
しかし、何が起こるか分からないのがクロス・ハルケギニア。落とし穴に気づいたマーティンの明日はどっちだ。
さーて、さて、お昼ご飯とギーシュは一体どうなってしまうのでしょう。そしてシエスタどうしましょう。フラグが消えちまった。

いくつかこれ以降説明されない物を補足させて頂きます。
マーティンからのブレイズの評価は、ありがたいけど…だったりします。もし、オブリビオン持っているなら一回マーティンと
ブレイズ達の会話聞いてみると、いきなりそんなこと言われても、という感じでとまどっているマーティンと、命捨てますんで、貴方様の
為なら!なブレイズのあんまりかみ合ってくれない会話が聞こえてきます。即位式の直前は結構皇帝っぽく振る舞っていますが
それまで葛藤があったと言うことですね。そしてそこら辺のしがらみが急に無くなったので浮かれています、普通浮かれます。
おそらく死んだ後エセリウスで父さんや先祖と談笑するのは間違いありませんから。という訳で少々はしゃいでるマーティン書きました。
らしさまでは崩してないといいのですけれど。どうだったでしょうか?

マーティンはおそらく魔法の中では召喚はマスターしています。そうで無ければゲーム中で行うデイドラの魔法が使える理由が消えます。
疑似的な物でもオブリビオンへの『門』を開くのは至難の業です。おそらく過去においてやらかしたのはこれだ。
という設定で前回から何となく書いています。後クランフィアは可愛いですが、
もうデイドラと関わりたくないマーティンは使っていなかったということで、できれば、納得して下さい。

錬金術については、アルケミーをそのまま訳した翻訳者に文句言って下さい。おそらく日本語的な意味だと調合術とかの方が
タムリエルの錬金術には似合います。

オブリビオンがあの世ってエセリウスは何よ?という事はいずれ地で説明できると思います。
簡単に言えば、仏教のあの世とキリスト教のあの世観が違うと思っていて下されればだいたい当たりです。

3人の神様とモロウウインドの英雄は前作に登場していた人たちです。英雄は主人公さんで、3人はキーキャラクターというわけです。
彼らが関わった品は、出ないでしょうねー…出たら終わってしまいますからね。ハルケギニアの騒動を巻き起こしたいのです。
ルイズさんやその仲間達が段々と迫る敵を倒すまでもうしばらくお待ち下さい。

ではまた次回投下まで。改行って、こんな感じでしょうか?フェアーウェール
581名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:57:13 ID:PHYEzxG2
おお、セオリー崩しか!
支援。
582名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 18:57:29 ID:D+Pg8/5f
感謝するシチズン

583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:00:31 ID:XjuxS8ZZ
乙である、シチズン
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:14:00 ID:W/Nws1kS
マーティンはどんな酷い怪我を負っても大抵は気絶ですむよね
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:31:52 ID:LR+op53a
乙です
586名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:38:10 ID:h2NY1afM
スパロボ参戦記念で「超時空振動弾」召喚が見たいが
パターンからすると召喚者はギーシュで20年後のラノベ世界が入り乱れた混乱した世界で熟女化したルイズやキュルケ、
モンモンの腹の中にいた自分の子と戦ったりするという話に
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:49:56 ID:VxinEVuX
>>584
王冠は外れてるだろうよ、流石にw

クランフィアは嫌いです、ダメージ反射が非常に
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:51:37 ID:UVg7Udiw
マーティン・ジグマール
589名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:52:47 ID:QTwxYUNz
>>588
設定年齢16歳、かに座のB型?
590名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:54:39 ID:UVg7Udiw
>>589
19歳だ!
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:57:52 ID:OQebPKf/
オブリの人は面白いと思うのだけれど
会話の前後に一行空けてもらえると非常に助かる
物凄く読みにくいんだ
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 19:58:26 ID:16gMtukc
確かに、マーティンと言われると漫画版のジグマールを思い浮かべてしまう。
593名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:03:42 ID:Rrnj9yhz
地の文の頭に一マス空白入れたら読みにくさある程度軽減されると思うが……。
594名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:08:45 ID:z3hbyfXY
GER食らったあとのディアボロさん
595名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:10:39 ID:XRZsJxie
>>594
ボスは姉妹スレで既に何人か召喚されてるぞ
止まってるけど
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:11:44 ID:z3hbyfXY
ぎゃー、既にスレが進んでいたー
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:12:47 ID:z3hbyfXY
>>595
あざっす、ジョジョと召喚で探して読んできます。
598名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:14:46 ID:ktGF0lF8
ふとツインシグナルのシグナル召喚というフレーズが脳裏をよぎったが、こいつもメカに付き物のメンテナンスの問題がついてまわるんだよなぁ。
不思議金属MIRA製といえども、完全メンテフリーってわけじゃないみたいだし。

しかもバトル要素のある少年漫画の主人公にあるまじき戦闘力の低さといったら……
(作中の戦闘要員の中でワースト2の地位をクイーンと争っているという寒さ。ちなみに最下位はクイック)
戦力的にサイトと全く変わらないどころか、回復魔法が効かない分野郎より弱ひ……身体能力が高いっつったって、あの程度じゃ、なぁ……
599名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:16:04 ID:3e4ylG16
オブリの人乙!
600名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:17:03 ID:16gMtukc
その話なら、昔チャンピオンで連載してたロボ娘だっけ?
主人公以外が明らかに異常なヒロインたちを普通の娘として扱ってギャップに苦しむ話。
あれの幽霊娘を召喚しようと思ったことがある。
幽霊だとルイズが騒いで怖がるも近くの本物を幽霊とは認識せず頼るタバサとか。
コミックがどっかいって見つからなくて止めたけど。
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:19:13 ID:Q0XfbqRU
同じ作者の後作にも幽霊メイドが出てきたよ。
602名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:19:19 ID:3Mveote+
出かけて帰ってきたらかなりの量の投稿が…。
とりあえずウルトラの人、久保の人、若獅子の人、エルダーの人、乙。


ここで流れを読まずにウルトラ防衛チーム、栄光の歴史(昭和編)を。

科学特捜隊:某隊員が「ウルトラマンがいれば俺たち必要ないじゃん」と戦闘を放棄しかける
ウルトラ警備隊:新兵器の実験で惑星一つを木っ端微塵に破壊し、その十数倍の威力の兵器を地球上で使おうとする
MAT:トップの人間が「なーに、いざとなったらウルトラマンが来てくれるさ、はっはっは」と発言、よく解散通知される
TAC:戦闘機が強風にあおられたくらいで「脱出!」、隊員が事件を必死に訴えても誰も信じてくれない、よく謹慎者が出る
ZAT:それなりに頑張ってるが、立てる作戦のほとんどが「真面目にやる気あるのか」と言いたくなるものばかり
MAT:全滅

UGMとザ・ウルトラマンは知らん。
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:28:58 ID:WVo6SqgK
>>602
駄目すぎるww
604名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:29:32 ID:3Mveote+
あ、しまった、最後のはMACだったorz
605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:31:26 ID:6wX0QQ9K
>>602
はいはい、ゼロ魔とのクロスで考えてからまた来てね。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:39:13 ID:6ZSOC8yD
そろそ特撮うざいの時間です
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 20:57:03 ID:16gMtukc
ガンダになったウルトラマンと水霊騎士団に当てはめれば・・・
608名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:11:08 ID:Q0XfbqRU
実はウルトラマンよりライダーの方が圧倒的に強いってのは意外だったな。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:14:36 ID:mdlX9Yj+
拳帝・不死身の父蔵召喚
茂相 ヒロトでも可
610名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:21:05 ID:J042l+/K
>>609
モアイくんか。懐かしいな。
611ゼロと工作員:2008/09/23(火) 21:25:34 ID:Jqg6Mf3z
人気の途絶えた教室、ガラスは飛び散り、椅子は砕け、プリントは散らかり放題。
インク壷から漏れた液が床にしみを広げ、周囲にはもうもうと埃が舞っている。

「私の使い魔なんだからやっときなさいよね!」
冗談じゃないわと肩を竦めお手上げのジェスチャーをするフリーダ。

「あなたの受けた罰よ。責任の放棄ね。やってあげてもいいわ。
あなたが今後もし同じことになったら見捨てるけど。いいの?」
フリーダは話しながら手際よく教室を片付けてゆく。
「わ、判っているわよ!手伝いなさい!」

ルイズは椅子を机の上へ上げ、空いた床のゴミをフリーダがまとめて箒で掃いて行く。
しばらく沈黙が続いた後、ルイズが話し始めた。
「わかったでしょ。ゼロの二つ名の意味」
「………」
黙って続きを促す。

「どんな魔法を使っても失敗して爆発するの。だから、<<ゼロ>>のルイズ」
背中を向いたまま話しを続ける。鼻をすする音、肩は小刻みに震えている。
「………」
「魔法も使えない貴族じゃ、ご主人様失格ね」

フリーダも背中を向けて答える。たぶんルイズは泣き顔を見られたくないだろうから。
「あなたは貴族よ。失敗したから爆発したと考えているようだけど、違うわ」
「私が杖を振っても何も出ない。爆発させる以上、そこに魔力は存在するわ」
「使い方の方向が違うのよ。モーターにガソリンを入れても動かないもの」
モーターやガソリンはルイズには判らなかったが、
彼女が元気付けようとしてくれているのは判った。

フリーダは授業を思い返す。
「メイジには火や水が得意な家系があって、生まれつき持った特性があるのよね。特性は使い魔の姿で現れる」
「火を吐くトカゲや、大きな羽を持った竜、大モグラに蛙、朝の広場には沢山の使い魔が居たわ」
「でも、人間を呼び出したメイジは居なかった」

聞き入っている内に気は晴れたようだ。とたんに不機嫌になるルイズ。
「私もフリーダを呼びたくなかったわよ。本当ならもっと強くて格好いいドラゴンとか…」
「他とは違う特性を持っていると考えるのが普通じゃないかしら」
ルイズは首を捻る。
今まで彼女は頭から魔法を使えないと否定されてばかりだった。
フリーダは違う、魔法が使えないと否定した上で、魔力があると肯定してくれるのだ。
彼女は素直に嬉しいと思った。

「か、解決になってないじゃない!」
「爆発の使い方ぐらい、いくらでも考えてあげるわよ」
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:26:58 ID:Jqg6Mf3z
ゼロと工作員5話。
一度の投下量はこれぐらいでいいのかな?
実はゼロの使い魔はアニメしか見てないんだ
SSに興味を持って書き始めたんだが、やっぱり原作読まないと駄目だろうか?
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:32:52 ID:daBOrKEq
ああーそれは言っちゃだめだ、禁句だ
614名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:34:11 ID:GH1mNKlx
まあ、書き手がそれを言ってしまった以上原作は読もうか。

かくいう俺もここのSSでしかゼロ魔は知らないが
SSに惹かれてここに居るわけだけれど。
615名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:38:52 ID:f8nNq7VU
ご丁寧も燃料投下すんなよ・・・orz
616名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:42:18 ID:5EI9nQFv
一回の投下が一レスはないわ。
てゆーか投下予告ぐらいしろ。
617名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:42:47 ID:89qU+Hgx
あーあ、いっちゃった。
まあ、スレによっては本編見てなくてもいい仕事してたらオッケーというところもあるけどさー。
ゼロ魔系じゃないけど。
ちょっと軽率だったなあ。
618名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:44:07 ID:QgIslm4N
原作に一通り目を通してから出直してきてねとしか言い様が無い。
つーか、自分でそんな馬鹿な告白したらどう言う風に言われるか想像出来なかったのか。
619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:46:10 ID:XRZsJxie
>>612
原作読んだほうがいい、間違いなく
アニメや他のSSだけだと拾えない情報もまだまだあるしな
それにSSが多すぎて、元がどんな場面なのかわからなくなる、という事も多い

例えば、姉妹スレの話だが、あるSSでギーシュが決闘中に石礫を飛ばすというオリジナル魔法を使った
まあ、SSである以上原作と違う展開になるのは問題ないし、実際そのシーンは好評だった
問題なのはその後で、別のSSでも石礫を飛ばすギーシュが大量に出てきたこと
原作読まずにSS書いたら、原作ギーシュがそんな魔法使ってないって事がわからなくなったわけだ

原作読まずにSSだけの知識で書くと似たような恥かくぞ
620名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:46:16 ID:HZ4+rFF6
>>612>>614
おや?俺がいる。
実はゼロ魔に出会ったのはここのSSが初めてなんだぜ。
興味をもって書こうと思い、原作を探してみたが、一巻しか見つからないorz
一巻分までしか続かないので書くのは断念してしまったわけだ


後だいぶ前から思ってたが、ここ可愛いタバサ多すぎw
621名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:46:19 ID:Jqg6Mf3z
では荒れる前に原作勝手も読むまで投下止めます宣言するか
622名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:46:32 ID:gI90TfBY
どう見ても叩かれる燃料にしかならねえよ
623名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:47:18 ID:HFA25349
アニメも見てない、よりまだましだと思う俺は感覚が麻痺してるんだろうか。
624名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:48:42 ID:mJvJNz9v
アニメの方を先に見たせいかどうも原作の方に違和感感じる俺
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:48:51 ID:Q0XfbqRU
俺は原作しか読んでないが、駄目?
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:50:25 ID:6wX0QQ9K
アニメは見てないが、設定とかいろいろ食い違うらしいからなあ。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:50:30 ID:AyTWkVZp
モット伯とか日蝕で帰還とかはアニメ版のネタだが、それなりに根付いた感はある
628名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:51:04 ID:5rWiGVT+
二月くらい前に似たような話題になった際に、アニメか原作のどちらかは必須、という話になってたね。
俺もそんな感じでいいと思ってるよ。
629名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:51:43 ID:ytajs57G
シエスタがアニメだと可愛すぎる
だがそれがいい
630名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:52:32 ID:/quIgAdT
実際のところアニメ板にあるんだから最低条件としては
「原作かアニメを実際に読んだ(観た)事がある」でいいんじゃないか?

両方知っていれば変なのに突っ込みを入れられる心配が減るから推奨というだけで。


まあ、アニメを観たは少なくとも1期を最終回まで観ているのが条件だが。
631名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:52:54 ID:16gMtukc
アニメ準拠でいくならアニメだけでも、良いという話も昔無かったかな?

まあ、ゼロ魔SSを書く上で最高の資料である原作小説は読んでおいたほうが絶対にいいけど。
後、投下予告は忘れずに。
投下量は人好き好きだけど、ある程度話が纏まった所まで書き溜めて投下したほうが良い。

偽者防止に職人はトリップをつけることを進める。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:53:01 ID:h2NY1afM
原作読んでたんだ…
ご丁寧に青空文庫化して携帯に落として通勤電車の中で読んでたんだ…
「ん〜〜このオリ設定いまいちだなあ。サイトってどの作品のキャラだっけ?」
と思っている自分がいたんだ…
633名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:55:36 ID:Q0XfbqRU
望月版なら原作とほぼ同等らしいが。
634名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 21:57:04 ID:AyTWkVZp
サイト・・・はて、誰だったっけ・・・
635名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:00:35 ID:6wX0QQ9K
前、某所でSS書いたとき、召喚されたキャラがすぐにルイズと会話するシーンにケチつける人がいたな。
いわく「コントラクト・サーヴァント」する前に言葉が通じるのはおかしい」と。

その時は「この人何言ってんの?」とか思ったんだが、アニメではそうらしいね。

その当時、ゼロ魔がアニメ化してることすら知らんかったから、ちとぽかーんとしたよ。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:01:50 ID:KCzWIq9x
>>566
死体が揃ってないと復活できないTRPGウィザードりぃ世界だと、首を持ち出さないと
暗殺成功にならないとか。ロストするまで生き返らせては殺してを繰り返すって手も
あるけど。
死体も残ってなくても復活できるD&D世界だと、殺した上で魂をどこかに封じ込めるか、
石化した上で探知魔法が効かない閉鎖空間に仕舞いこむか、それとも帰ってこれない
異次元に吹っ飛ばすか。
637名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:02:49 ID:HZ4+rFF6
誰かアニメと原作の相違点を教えてくれ…
おおまかでいいから
638名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:04:53 ID:16gMtukc
設定考察スレで聞いたほうがいいんじゃない?
639名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:09:12 ID:N6dIgc/g
>>637

一番でっかい差は対7万でサイトマジ死ぬ5秒前でルーンは死んだからサイナラと消えちゃって
おっぱいエルフがマジックアイテムでサイトを復活させる。
んでルイズは自殺未遂するも助かって、奇跡を信じてアルビオンまでサイト探しに行くかんじ。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:22:09 ID:KhkPKUIM
原作でもコントラクト・サーヴァントする前から話が通っているんだが、
話が通らないと言う設定はどこから来たんだろうか。
641名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:24:30 ID:ZH1jRc3M
深夜アニメの見すぎでテファの胸の大きさがよくわからん。
どれくらいなんだ?
深夜はセキレイとか一騎当千とかあるからさ。
642名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:27:12 ID:D+Pg8/5f
>>641
細かいことは気にしなくてもいいんじゃないの。

どうがんばってもルイズより小さく見えることはないんだし。
643名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:32:28 ID:mRIXcA/0
>無界
力王召喚と申すか

顔面をカンナで削られるクロムウェルとか
母親の死体を食った魚を知らずに食わされたタバサとか出てくるんだな
644名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:34:59 ID:h8VbdaZt
>>641
ココを除いてみろ。
おっぱい紳士がおおよその値を計算している。

ttp://wiki.livedoor.jp/saitohiraga/d/%a5%d0%a5%b9%a5%c8%a5%b5%a5%a4%a5%ba
645名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:38:50 ID:vhuU5lq+
そういえばセキレイの投下はまだかな?
646名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:43:16 ID:a7HfXqFb
ゼロが“ゼロ”を召喚しました

ところで“ゼロ”という名前、あだ名、コードネームを持つ人って誰がいる?
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:43:33 ID:NBE3fdId
>>645
あのオリキャラ召喚を投下しようとしていたやつか
どれくらい酷いものか興味あったんだけどなあ
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:44:09 ID:DustusBC
なんという変態紳士
…そうかテファはIカップか…
情報ありがとう。
649名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:44:55 ID:3XMAhnpT
星矢でアイオリアが召喚されたのだが、LC冥王神話の天暴星ベヌウの輝火か蠍座のカルディアがルイズに
召喚されたら、どうなるのだろうか?
カルディアが召喚されたなら、ルイズの言う事なんて聞かないだろうし、ギーシュとの決闘イベントの時なんて
スカーレット・ニードルでギーシュに対して痛めつけるなんて生ぬるい文字道理の『拷問』をしそうだなあ(汗
650名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:44:59 ID:gn1ghAeo
私としてはアニメ準拠はお勧め出来ない。何故ならアニメはクソな出来だから
このスレのどんな悪評SSよりも原作改変つか改悪してます

別に「原作のラノベは傑作だ」なんて言わない。
でも中世ヨーロッパをキッチリ調べて舞台を作ってる。
文章は読みやすく、展開も分かりやすい。
対7万戦とか安物惚れ薬で百合ん百合ンとか、珠玉の名場面も多い
お色気やギャグもテンポ良くて面白い

アニメは、こういう原作の良い所をゴミ箱に投げ捨ててます。見るだけ時間の無駄。


てかさ
ロンディニウムは石造りで区画整理もしてある新しい大都市なんだよね
アニメでは、まさにお伽話って感じの森に囲まれたふる〜い雰囲気の、さして大きくもない町
「スタッフ原作読んだのかよ…てか17世紀ロンドンの資料くらい確認しろ!」
と、マジで突っ込み入れちまったよ


俺はSS書くために様々な学術書を読み、ヴェルサイユ宮殿特別展見にいったりしたんだぞ。休日に自費で
アニメでカネ稼ぐプロだったら設定資料くらい読めよな
651名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:45:29 ID:wr3jm3uM
>>646
ウィングゼロとか、ソニックダイバー零神とか?
652名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:46:06 ID:DustusBC
>>646

コードギアスの仮面の人
653名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:46:39 ID:AyTWkVZp
天才贋作者ゼロ、榊零
始祖の秘宝の謎も解き明かしてくれるに違いない
654名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:48:11 ID:Rrnj9yhz
>>646
「闇のイージス」の殺し屋「ゼロ」
655名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:48:50 ID:uMsZN1W/
お前らおっぱいが好きだなw
656名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:50:10 ID:HdSL6rNw
>>646
すでに呼ばれたキャラでか?
まだ呼ばれてないキャラでか?
657名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:50:43 ID:KhkPKUIM
宇海零
誰かわからんだろうけれど、賭博覇王伝零の主人公な。
召喚するとすればガンダよりミョズの方がいいだろうけど。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:52:45 ID:89qU+Hgx
>>650
俺は…正直、あンたは尊大でイヤなやつとしか思えなかッた。
アニメにはアニメ…原作には原作の…よさがあると、思ッているからだ。

だが、

>安物惚れ薬で百合ん百合ンとか、珠玉の名場面も多い

はッ。
同類だ。あンたは俺と同類のバカだッ
――機会があれば、酒を酌み交わそう。
659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:53:00 ID:yo5zy3DA
>>657
50点・・・・・・!
660名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:53:19 ID:DustusBC
一堂零
おそらく憚られる奴と思われ
661名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:58:17 ID:Q0XfbqRU
素子の中の人。残りあと 1/3 だけど。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:00:37 ID:cp0XJF+a
クロコダイルな方がすでに呼ばれてます
663名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:00:59 ID:7bFARXZ0
ジェロ
は実在の人物だからだめか
664名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:01:55 ID:0flxi2n/
>>646
ゼロを超える者は…ゼロしかいない…
の人とか
665名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:02:44 ID:NBE3fdId
サイボーグ00ナンバーズ
666名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:02:51 ID:GH1mNKlx
>>646
ゼロ少佐(MGS3。ミョズが適当か?)
ゼロ(ロックマンX,ZERO,ZXetc。ガンダ向けか)
ルル坊(ギアス。ミョズ?)

ぐらいしかおもいつかん、そういえばロックマンゼロの人はもう来ないんだろうか
667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:03:24 ID:bJtPdVMG
俺を目覚めさせて、どうしようっていうんだ
のゼロも呼ばれてたな、両方ロクゼロ版でロックマンXの方からは来てないみたいだが
668名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:03:28 ID:F4S3gPWl
ゼロ戦はやと
669名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:06:01 ID:mRIXcA/0
「覚悟のススメ」強化外骨格・零
「平成武装正義団」神風零
「はーいステップジュン」加納零
「コブラ」ブラックソード・ゼロ
「キング・オブ・ファイターズ2000」ゼロ
「まもって! ロリポップ」ゼロ
「地球防衛軍テラホークス」ゼロ軍曹
「モータルコンバット」サブ・ゼロ

かるく100とか挙げれそう
670名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:07:21 ID:4r5PLJO+
ライガーゼロ。

メカ召喚物はやっぱり難しいのかな。
ゾイドは生物だから、ちょっと毛並みが違うと思うけど。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:09:06 ID:nIWXkeRT
あとは女神候補生のゼロ・エンナとかスペクトラルフォースのゼロとか
672名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:11:48 ID:AyTWkVZp
まさに選り取りみどり
ゼロというキャラクターネーミングがいかに陳腐、いや一般的かがわかる
673名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:14:04 ID:BM+9vL0o
月マガの競技自転車漫画には零郎なんて名前のライバルがいるぞ
674名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:16:23 ID:UVg7Udiw
何語か忘れたがヌルは和訳して零
誰か絶対兵士召還してくれないかな
675名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:18:21 ID:AyTWkVZp
ヌルはドイツ語な
GS美神にプロフェッサー・ヌルなんてのもおったなー
正体はタコだかイカだか
676名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:19:15 ID:F4S3gPWl
すぐに打ち切られたが
タイムウオーカー零なんかどうよ
世界扉と相性がよさそうだ
677名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:21:00 ID:pkdCP2hS
ガスパジン・ゼロ?
678名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:22:25 ID:6wX0QQ9K
「剣豪(ファイター)ゼロ」。 知ってる人が少なそうだ。
679名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:23:19 ID:UVg7Udiw
ドイツかぁ
ヌルヌルはゼロゼロなんだな
680名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:23:59 ID:GjECFXAH
>>670
食事の用意(高濃度金属イオン水)ができないからゾイドは厳しい。
つかライガーゼロは気性が激しいからルイズでは乗りこなすのは無理。
681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:24:32 ID:QgIslm4N
>>670
図体のでかさが災いして、話に絡めるどころか一切登場すら出来ない場合があるからな。
アルビオン行きの時なんか、どう考えても船に積み込めないから自力で飛行手段が無い限り
同行出来ないし。
682名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:25:30 ID:WZaBo0nH
>>678
ブックオフで読んだ。作者がエロ同人作家に転身したやつだよな。
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:26:19 ID:nIWXkeRT
あぁ、そういえば昔ガンガンで裏剣道ZEROって漫画やってたな
684名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:26:51 ID:dkdxjLwL
蛇戦まで放置されることに定評のある、生ける虚無『ヌル』をですね…
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:27:06 ID:+jYR8DfV
翼の騎士ゼロ
686名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:27:42 ID:FZqribV4
>>682
出戻りだよ
687名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:28:38 ID:16gMtukc
アフタヌーンからラブロマの主人公の姉。
ゼロじゃなくてレイだけど。

そういえばゼロ魔ってショタキャラいないなぁ。
688名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:29:30 ID:UVg7Udiw
ZERO DIVIDEなんていう格ゲーがあったな
・・・プログラムだから召還無理か
689名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:29:53 ID:6wX0QQ9K
>>682
いや、もともとエロ同人作家だった、が正しい。

>>646
コマンダー0。 古いな。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:31:31 ID:HdSL6rNw
>「剣豪(ファイター)ゼロ」。 知ってる人が少なそうだ。
連載漫画がすべて打ち切りになる人の漫画だな。
その人の作品だとモンスターロードからグランサス召喚とか考えたな。
よく考えたら怪獣物にしかならんから俺には書くの無理だと気づいたが。
691名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:31:43 ID:znzbDyvH
>>646
戦闘妖精雪風の主人公深井零‥‥は読み方レイだからゼロじゃないのか。
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:32:52 ID:FQZWqItf
「ゼロと呼ばれた男」
「ネオ・ゼロ」
「ファイナル・ゼロ」


…あかん、技術レベル違いすぎで零戦飛ばすのなんか比較にならんほど難易度高いわ。

>688
WELCOME! TO THE "XTAL TOWER". I AM XTAL. だっけ?
693名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:34:43 ID:UVhLvL1x
ZERO DIVIDEとか超懐かしい。
ダメージが蓄積されると装甲が破壊されて中身が剥き出しになるけど、一部のロボの中身が
ちとキモかったのを覚えている。
694名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:35:14 ID:BM+9vL0o
変化球でゲートキーパーズの影山零士
彼から見た貴族は果たして糞蟲に映るでしょうか
ゲートキーパーズ自体からもまだ誰も書かれてないよね?
695名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:35:19 ID:6wX0QQ9K
>>674
nullは英語で「無価値の」「ゼロに等しい」「空(くう)の」。
ヌルじゃなくて、ナルと発音したほうが近いけどね。
ラテン語源の単語。

SFの名作「ナルエーの世界」は有名。
696名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:40:36 ID:UVg7Udiw
>>692
そこまで覚えてるのかw
XTALが未だに読めない
>>693
でも好きだった
697名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:41:43 ID:L4SXDCIC
牙狼の銀牙騎士ゼロ
仮面ライダーゼロノス
BOYのミリオンNo.0
698名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:43:30 ID:llLCnBDn
「犬神」のゼロはどう?

知ってる人がいるかは知らんが
699名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:43:44 ID:0ZqhqvNS
>>646
ファーランドストーリーのゼロ・ディバイスと言ってみるが、一体何人に通じるだろうか。
個人的には大好きなシリーズだったんだけど、もう続編は望めないだろうなぁ……。
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:44:22 ID:6wX0QQ9K
>>690
いや、一応完結してるのもあるぞ。

……ナーガスもいちおう打ち切りではない。


>>696
XTAL=クリスタル
昔「XTAL SOFT」ってソフトハウスがあったな。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:46:40 ID:FQZWqItf
>696,700
「イクストル」だがや。
それ以上間違えるとこの肘でおまえを今夜落として見せるこの俺ですよ?
702名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:49:02 ID:6wX0QQ9K
>>699
TGLは最近戯画ばかりのような。
山本和枝がぬけてからファーランドって作られてたっけ?
703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:49:58 ID:6wX0QQ9K
>>701
おっとっと、別のXTALと間違えたようだ。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:50:18 ID:UVg7Udiw
>>700
あ、Crystalだからか
クリスマスみたいなものか
>>701
って違うのか、サンクス、イクストルね
元ネタ知らんw
705名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:51:41 ID:7bFARXZ0
>>692
「ファイナル・ゼロ」で那須野治朗が麻薬工場にF-86で突っ込む瞬間に召喚ゲートが開くんですね
ってこのスレで鳴海章作品読んでるなんて俺とアンタぐらいだよw
706名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:51:50 ID:LR+op53a
迷惑千万な男・・・それがゼロ!!
707名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:52:06 ID:nIWXkeRT
>>690
あの人の作品からなら風の騎士団のダグ召喚を考えた事がある
708名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:54:47 ID:16gMtukc
ナーガスなら、四大の系統魔法の設定にはあっているが難しそうだ。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:55:30 ID:2icezcnB
>>646
ボンバーマンジェッターズから、ゼロさんこと、MA−0
710名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:57:34 ID:6wX0QQ9K
>>708
火メイジがうっかりヴァグーラ召喚、ハルケギニアが大変なことに。
711名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 23:58:05 ID:89qU+Hgx
>>690
ハルケギニアで新陰流なんですね。わかります!
712名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:01:18 ID:FQZWqItf
Cat Shit One Vol.0からMACV-SOG召喚。
対ガリア戦が朝鮮戦争クラスの戦力差に…
713異世界使い魔學院紀 :2008/09/24(水) 00:01:39 ID:6XErh5aA
H.A.N.Tを起動します -Welcome to H.A.N.T-
SS第三話、装填完了 投下態勢へ移行します
投下予定時刻 0:10 Good luck!
714名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:06:09 ID:R8wk20H8
sien
715名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:07:19 ID:L0XaPrgR
>>702
一応作られてはいる。オデッセイとか、シンフォニーとか。
獣王の証、狂神の都も原画は山本さんじゃなかったはずだし。
716異世界使い魔學院紀 :2008/09/24(水) 00:10:04 ID:6XErh5aA
Scene.2

ようやく教室の片づけを終わらせた二人は、教室を出る、
時間はすでに昼休み、昼食の時間だ。
甲太郎は大きくあくびをするとふらりとその場を立ち去ろうとする
「ちょっと、どこ行くのよ」
「どこって、昼寝するんだよ、メシ抜きなんだろ? 無駄なエネルギーは使いたくないんでね」
じゃあな、と言い残し立ち去ろうとする甲太郎をルイズは引き留める
「ま…待ちなさい、か…片づけを手伝ったご褒美に食事を許可してあげるわ、ついてきなさい」
「へいへい、ありがたいこったな」
顔を赤らめながらそう言うルイズに連れられ、甲太郎は食堂へと向かった。

一方その頃、図書館ではコルベールが資料を読み漁り
甲太郎の左手に刻まれたルーンの調査を行っていた
今まで確認されていない珍しいルーン、はたしてどういうものなのか?
今までに前例はあるのか? それがどうしても気になっていたのだ。
その中である歴史が記された書物に目を通しているとようやく該当するルーンが見つかった、
それを読んでいたコルベールの顔が見る見る青くなった。
そのまま跳ねるように立ち上がりその書物を抱え図書館から足早に出ていった

「オールド・オスマン! 大変ですぞ!」
と本塔の最上階にある学院長室にコルベールは転がり込む、だが学院長であるオスマンの姿が見えない。
部屋には険しい表情で荒く肩で息をしているオスマンの秘書、ミス・ロングビルの姿だけがあった
なぜか正拳突きの構えを取っている。
「ミス・ロングビル、オールド・オスマンはご不在ですかな?」
「オールド・オスマンはおりません、だったものならそこにいますけど」
コルベールはロングビルが指さした方向を見ると、壁にめり込んだオスマンがいることに気がついた
「またですか…オールド・オスマン…」
「な…なんじゃミスタ・コルベールか…」
「そんなことより大変ですぞ!」
「なんじゃやかましいのぉ」
そう言いながら壁にめり込んだオスマンを救出する
「これを見てください」
コルベールはオスマンに『始祖ブリミルの使い魔たち』と書かれた書物を先に見せる。
次にコルベールの描いた甲太郎の左手に現われたルーンのスケッチを見せた。
それを見たオスマンの顔は急に真面目になり、秘書のロングビルに席をはずすように言った。
「詳しく説明するんじゃ、ミスタ・コルベール」
717名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:10:09 ID:soGGiYls
テファ1m無いのかー。165cmしかないから巨大に見えるんだな。
718異世界使い魔學院紀 :2008/09/24(水) 00:12:25 ID:6XErh5aA
「へぇ、こりゃすげぇな」
甲太郎は『アルヴィーズの食堂』へ足を踏み入れ思わず感嘆の声を上げる。
「ちょっとあんまりきょろきょろしないで、みっともないわ、平民は本当なら入る事すら許されないのよ」
そんな甲太郎にルイズは声をかけ、テーブルへと向かった。
テーブルには豪華な料理がずらりと並んでいる、どれもこれもうまそうだ、
だが甲太郎はなにやら納得のいかないような表情をしている。
そんな事を気にも留めずに着席したルイズに甲太郎が声をかける
「おい、ここは食堂なんだよな? もちろんカレーはあるんだろうな?」
「カレー? なによそれ? なんかの料理? 聞いたことがないわ、
そんなものあるわけないじゃない、それよりあんたはそこ、それがあんたの食事」
そう言うとルイズは床を指さした、そこには堅そうなパンとスープが並んでいる。
「冗談じゃねぇ…」
「なによ? 文句あんの?」
「なんでカレーがねぇんだ!? ここは食堂だろ!? そんなことが許せるか!」
「へ…? だからカレーって何よ?」
ルイズは甲太郎が突然怒鳴り始めたことに驚いた、どうやらルイズが用意させた食事のことで怒っているわけではないらしい
カレーという食べ物が存在しない、それが原因で怒っているらしい
「おい、厨房はどこだ?」
「何する気よ?」
「ちょっと文句言ってくるだけだ、材料があれば俺が作る」
「ちょちょちょちょ! 待ちなさいよ! 今は忙しいんだから後にしなさいよ!」
そういいながら今にも駆け出しそうな甲太郎を必死で抑えつける、
甲太郎の眼は本気だ、ここのままでは本当に厨房まで殴りこみに行くだろう。
「クソッ! 離しやがれ! カレーも作れねぇ料理長なんざ蹴り入れてやる!」
「なんで食事でそこまで本気になってるのよ!」
「うるせぇ! カレーがない生活なんて考えられるか!」
そこまで言うとルイズを突き飛ばし厨房へと走り去って行ってしまった

「あら? コータローさん、どうしたんですか?」
「シエスタか、料理長はいるか? ここの責任者を呼んでくれ」
甲太郎が厨房に入ると、今朝知り合ったばかりのメイド、シエスタが現れる。
何やら雰囲気の違うコータローに少々戸惑いを覚えつつ料理長を呼びに行った
「おう、兄ちゃん! なんか用か? 俺がここの料理長、マルトーだ」
「あんたがそうか、とりあえず、厨房の中に入らせてもらうぜ」
マルトーを横目で見るとずかずかと厨房の中へと入って行く。
「お、おい! 勝手に入ってもらっちゃ困るぜ!」
マルトーの制止も聞かずに甲太郎は厨房の中に入ると周囲を見渡す、
719名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:12:48 ID:R8wk20H8
sien
720異世界使い魔學院紀 :2008/09/24(水) 00:13:52 ID:6XErh5aA
「おい、調理用のスパイスはどこにある」
「それならそこの棚…っておい! 勝手に開けるな!」
そんな言葉もなんのその、棚をあけ全てのスパイスやハーブを引っ張り出し、そのにおいをかぎ始めた
「(俺の世界にあるものとは少々違うな…だがこの香り、これなら…)」
甲太郎は恐ろしいほど手際よくスパイスやハーブ、香辛料を振り分けていく
その手際の良さ、そしてあまりの真剣さにマルトーも言葉を失いそれを呆然と見ていることしかできなかった。
そんなマルトーに甲太郎が声をかける。
「マルトーさんよ、聞くが≪カレー≫って料理を知ってるか?」
「いや? 初めて聞く料理だな、俺も料理作って長いが、そんな料理は聞いたことがねぇな」
「そうか、口の中に広がるほどよい辛さとスパイスの香味、そして下の上でとろける肉と野菜のハーモニー、
これこそが究極の料理だ、どうだ? 作り方、知りたくはないか?」
不敵な笑みを浮かべ甲太郎はマルトーを見る。
「…興味深いじゃねぇか、兄ちゃん、じゃあ教えてもらおうじゃねぇか
そんなに自信満々ならさぞかしうまいんだろうな?」
「あぁもちろんだ、食ったら病みつきだぜ?」
そう言うと、甲太郎はハーブとスパイス、香辛料の調合法、数週間熟成させる旨を実演を交え徹底的にマルトーに教え込む。
「よし、調合はこんなもんでいいだろう」 
甲太郎自身が作り上げた特性カレー粉が完成し、後は熟成させるだけとなった、マルトーは熱心にメモを取っている
「あとはライスがあればいいんだが…、そういった類のものは…」
甲太郎がそう呟き、料理人たちにその特徴を伝え探させる。
しばらくすると、シエスタが脱穀された米が入ったボウルを差し出しながら甲太郎に話しかける。
「そう言えば、最近東方から≪コメ≫と呼ばれるものが大量に届いてますよ、これなんですけど…
とても安くて美味しいので取り寄せたんですけど…貴族の方にはあまり人気がなくって…」
これぞ神の啓示! これならば最低でも数週間後にはカレーライスが完成する!
「よし、これならカレーが完成できる、マルトーさんよ、ここまではいいかい?」
「あ…あぁ、しかし本当にこれでいいのか?」
数多くのスパイスやハーブ、香辛料の中から彼の世界のカレーに近いものを確実にチョイス、的確な分量を見極め調合する。
カレーが存在しない世界でゼロの状態からカレー粉を再現させる程この男のカレーに対する情熱は本物だ、マルトーのその言葉にニヤリとわらう
「俺が言うんだ、間違いねぇよ。熟成したら続きを教えてやる…さて、戻るとするか、邪魔したな…」
甲太郎はそれだけ言い残すと厨房を後にした。
ルイズの元に戻ると、既にルイズは昼食を食べ終えており、甲太郎の食事はすべて片されてしまっていた、
それを見てカレー作りに没頭するあまり昼食を食べ損ねていたことにようやく気がつき、溜息を吐く。
「本当に厨房にいくとは思わなかったわ、今まで何してたのよ」
「何…ちょっと厨房の連中にカレーの作り方を教えてやったまでだ」
「そう、普段無気力なあんたがそんなにまで情熱を注ぐってどんな食べ物なのよ…」
「完成したらお前にも御馳走してやるよ、俺の特製カレーだ」
「べっ…別にいらないわよ、平民の食べ物でしょ? 貴族はそんなもの食べないわ」
アロマをふかしニヤリと笑う甲太郎を見て、ルイズは顔をそむけた
「ふん、そうかい、その時になって欲しいって言ってもやらねぇぞ?」
そう言いながらちゃっかり椅子に腰かけあたりを見渡す、するとシエスタがデザートを配っている姿が目に入った。
「(仕方ない、デザートでも貰って腹に入れとくか…夜まで待つのがつらいぜ…)」
がっついて取りに行くのもみっともない、ここまで来るのを気長に待つか…
そう思いながらデザートを配るシエスタを見る。何を配っているのだろうか?
721異世界使い魔學院紀 :2008/09/24(水) 00:15:08 ID:6XErh5aA
「デザートのオレンジスコーンでございます」
シエスタが配っているのはどうやらオレンジスコーンらしい、
それを受け取った数人の男子生徒が突如泣き崩れた
「ヒナ先生ッ!! 畜生! どこで間違えたんだ!!」
「俺はッ! 俺はァァ!! ヒナ先生ッ!!」
そんな声まで聞こえてきたが気のせいだと聞き流す、気のせいかシエスタの笑顔もどこか黒い
「(オレンジスコーンか…そういやずいぶん前に九龍が泣きながら食ってたが…ありゃ何があったんだ?)」
そんな風景を見ながら昔あったことをふと思い出した甲太郎であった。
しばらくそんな風に時を過ごしていると、一角から話し声が聞こえてくる。
金色の巻き髪に、フリルのついたシャツを着、そのシャツのポケットに薔薇をさした学生が数人の友人たちと話しながら食堂を歩いていた。
「なあ、ギーシュ!お前、今は誰とつきあっているんだよ!」
「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」
「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないよ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」
そんな会話をしながらルイズ達の横を通り過ぎようとする。
「どこの世界の学校も、こういう会話はするもんなんだな…」
「何ブツブツ言ってるのよ」
「別に…」
その様子をみて、ガキの会話はどこも同じだと考えながらアロマを吸う、
すると、ギーシュと呼ばれた学生のポケットから壜が転がり落ちた。
コロコロと転がったそれは甲太郎の足もとで止まる、それを拾いギーシュに話しかける。
「おい、なんか落としたぞ?」
「君は何を言ってるのかね? それは僕のじゃないよ」
「そうかい…」
甲太郎はそう呟くと、食堂の隅にあるゴミ箱へと投げ入れる、
壜は相当距離があるにも関わらずきれいにゴミ箱のなかへと吸い込まれていった。
「へぇ、やるじゃない」
「だろ?」
それを見ていたルイズが甲太郎と会話する横でギーシュが目を白黒させている。
「きっ! 君はなんてことをっ!」
「お前のじゃないんだろ? なんか問題でもあるのか?」
「いっ…いや…そのっ・・・と…特に問題はないがっ…」
ギーシュがそこまで言うと、その態度に疑問を持った生徒がごみ箱に壜を拾いに行き、声を上げる
「これは…モンモランシーの香水じゃないか?」
「ギーシュ、お前のポケットから落ちてきたってその平民が言ってたぞ? つまりお前は今、モンモランシーとつきあっているんだな!?」
「ちっ違うよ、いいかい? 彼女の名誉の為に言っておくが……」
その時、後ろのテーブルに座っていた、栗色の髪をした少女が立ち上がり、ギーシュの席に向って、コツコツと歩いてきた。
「ギーシュさま……」
そして、ボロボロと泣き始める。
「やはり、ミス・モンモランシーと……」
「か…彼等は誤解しているんだよ。ケティ、いいかい、僕の心の中に住んでいるのは、君だけ……」
バチーン、と気持ちいい音が響く。ケティと呼ばれた少女は、思いっきりギーシュの頬をひっぱたく。
「その香水が証拠ですわ! さようなら!」
ケティは怒りの歩調で去っていく。すると、それと入れ代わるような形で、巻き髪の女の子が歩いてくる。
「モ…モンモランシー、ごっ…誤解だ! 彼女とはただいっしょに、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけで……」
「やっぱり、あの一年生に、手を出していたのね?」
「お願いだよ。『香水』のモンモランシー。僕を信じてくれ!」
ギーシュの必死な叫びへの返答として、モンモランシーはワインの壜を掴むと、中身をどぼどぼとギーシュの頭の上からかけ、
「このうそつき!」
と、怒鳴って去っていった。
722異世界使い魔學院紀 :2008/09/24(水) 00:16:26 ID:6XErh5aA
「ご愁傷さん…」
頬杖を付き、欠伸をしながら甲太郎が呟く。
ギーシュは茫然とした表情だったが、ハッと我に返り
「なんて事をしてくれたんだ!」
甲太郎の言葉に食って掛かる様に顔を赤くして声を荒げる。
「別に何もしちゃいねぇよ」
そんなギーシュに取り合おうともせずに気だるそうに頬杖を突く。
「君が軽率に香水を拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた! どうしてくれるんだね?」
「どーもしねぇよ、二股かましたお前がバカだっただけだ、
女ってもんは面倒な生き物だからな…、ま、次は精々うまくやるんだな…」
そう言いながら手のひらをひらひらと振る。
その言葉に逆上したのかギーシュは顔を真っ赤にして甲太郎を怒鳴りつけた。
「なっ! きっ…君は貴族に対しての礼儀を知らないらしいね!」
「あぁ、知らないね、ついでに言うと覚える気もねぇよ」
「ちょっと!なに挑発してんのよ!」
「別に挑発なんかしちゃいねぇよ、思ってる事を素直に言っているだけだ…」
険悪な空気についに横からルイズが口を挟む
「君は黙っていてくれたまえ、≪ゼロ≫のルイズ、僕は君の平民の使い魔に用があるんだ」
「なっ…!」
その言葉にルイズは少し悲しそうな表情を浮かべる。そんなルイズを尻目にギーシュは甲太郎にビシッ! と杖をつきつけた。
「よかろう! 君に貴族に対する礼儀というものを教えてやる!」
「いーよ、別に教えてくれなくたって…」
甲太郎は気だるそうにアロマを吸った。
「いいや! 君に決闘を申し込む!」
「嫌だね、面倒くせぇ」
そう言いながら大きくあくびをする。
「無駄なことに体力なんて使うなよ…それより新しい女でも捜したらどうだ?
そのほうがよっぽどお前のためになると思うぜ…?」
そう言うとうーん…と背伸びをし、「あ〜…腰が痛い…」と呟くと机に突っ伏してしまった。
その態度についに堪忍袋の緒が切れたのかギーシュは叫び出す
「もう我慢ならない! 決闘だ! ヴェストリの広場で待つ! 逃げることは絶対に許さない!」
甲太郎の返事を待たずくるりと体を翻し、コツコツと歩き出す。
ギーシュの友人たちや周りの貴族たちが、わくわくしながらギーシュの後を追った。
数人の貴族たちが残り、甲太郎が逃げ出さないように目を光らせている。
「ちょっと! どうするのよ! 決闘になっちゃったじゃない!」
「…………」
「コータロー!聞いてる!?」
「…………」
甲太郎からの反応はない、ルイズが甲太郎を覗き込むと静かに寝息を立てていた
「起きなさいこのバカーーー!!」
「んだようるせぇな…」
どこまでも緊張感と気力がない使い魔である、ここまでくると頭痛がしてくる。
「あのね、平民はメイジに絶対に勝てないの! それなのに決闘になっちゃったのよ!?」
「おー、そりゃ怖い、怖いから俺は昼寝するわ…」
「だから寝るなーーーーっ!!」
「そうだ平民、僕たちはお前が逃げ出さないようにここにいるんだ、決闘には来てもらうぞ」
取り巻きの一人がそう言うと、ようやく甲太郎は重い腰を上げる。
「はァ…だりぃ…んで俺がんなことしなきゃならねぇんだよ…」
そう言うと大きく伸びをし肩を回した。
「ちょっと! 行く気なの!?」
「めんどくせぇけどな、こうでもしなきゃ昼寝させてもらえんらしい」
そんな様子の甲太郎を見てルイズはあわてて引きとめる。
「今からでも遅くないわ、ギーシュにあやまってきなさい、私も一緒に行ってあげるから」
「そうかい、ならそうさせてもらうかな、んで、どこで待ってるって?」
「こっちよ」
その言葉にルイズは安堵したのかギーシュが待っているであろう広場へと案内した。
723名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:16:50 ID:kGsS5aYh
sien
724異世界使い魔學院紀 :2008/09/24(水) 00:17:23 ID:6XErh5aA
ヴェストリ広場、普段日も差さないことから人の行き来も少ない中庭である。
しかし、どこから噂を聞きつけたのかすでに広場は野次馬でいっぱいになっていた
「諸君! 決闘だ」
ギーシュがきざったらしくバラの造花を掲げると、周りから歓声が巻き起こる。
普段娯楽の少ないトリステイン魔法学院の生徒にとって決闘はある意味最大の退屈しのぎなのかもしれない。
「ギーシュが決闘するぞ、相手はルイズの平民だ!」
ギーシュと20メイルほど距離をとったところに甲太郎が気だるそうにアロマを吸っている。
その様子を見たギーシュが甲太郎に声をかけた。
「とりあえず、逃げずに来たことは、ほめてやろうじゃないか、ルールはどちらかが負けを認めるまで続ける、
それと僕はメイジだ、杖を落としたら負け、というルールも…」
「あー、その件なんだけどよ、めんどくせぇからやめようぜ…、こっちは腹減って眠いんだ…」
「何だい? 今更怖気ついたのかい? そうだね、君が謝罪の態度を示せば許してあげないこともないよ?」
そう言った甲太郎にギーシュは余裕の表情を浮かべる。
「そうかい、んじゃ、俺が悪かった、はい、これで終わりな、んじゃぁな、俺は向こうで昼寝するわ…」
「「んな謝り方があるかーーーーっ!!!!」」
やる気なさげにひらひらと手を振りながら広場を後にしようとする甲太郎に思わずルイズとギーシュが突っ込みを入れる。
「はぁ? 謝ったろ?」
まだやんの?といった呆れた表情でギーシュを見る。
「あんたねぇ! そんな謝り方で納得する奴がいると思ってんの!? あんな無気力極まる謝罪なんて見たことないわよ!
むしろ逆に挑発しちゃってるわよ!!」
「んなこと言ったってよ…」
「ふっ… 謝罪の仕方も分からないとはね…、両膝をついて地に額をこすりつけて
『貴族様、わたくしの軽率な行いで二人のレディの誇りが傷ついたことをここに深くお詫び申し上げます』と言えばそれで手打ちにしてやろうじゃないか」
ギーシュは額に青筋を浮かべながら必死に冷静を装い、甲太郎に話しかけた。
「…わりぃな、言葉じゃうまくやり方が伝わらん、ちょっと実際にやってみてくれ」
「しょうがないね、こうするんだよ…」
そう言うとギーシュは両手両膝をつき地に額をこすりつけ懇願するように叫び出した
「私の軽率な行いで二人のレディの誇りをいたく傷つけてしまったことをここにお詫び申し上げます!! 本当にすいませんでしたァーーーー!!」
                                ・
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「へぇ…やりゃできんじゃねぇか、一応良心の呵責はあったみたいだな」
重い沈黙、甲太郎がぽつりと呟くと周囲が爆笑の渦に巻き込まれる
その笑い声にハッ! と我に返ったギーシュは完全に怒りで顔を真っ赤にした。
「もっ…もう許さん! こんな屈辱! 生まれて初めてだ! 決闘だ!」
「結局こうなるのかよ…、わかったからやるならさっさとしろよ」
甲太郎はアロマに火をつけぷかーっと煙を吐き出す。
「ちょっ! なに勝手に受けてんのよ!」
「ま、お前は下がってろ」
「何よもう! 勝手にしなさい!」
ルイズも完全に呆れてしまったのか、もう止めることをあきらめ二人から距離をとった。

To be continued...
725異世界使い魔學院紀 :2008/09/24(水) 00:18:03 ID:6XErh5aA
投下終了を確認 執筆態勢へ移行します
俺も…オレスコに踊らされた、哀れな≪宝探し屋≫の一人なのさ…
ではまた次回に、ゲット・トレジャー!

「よかったらこれ………もらってくれる?」
アイテムを入手しました  ≪オレンジスコーン≫
726名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:27:20 ID:3k9MDsgF
おちゅ

このギーシュは良いバカだなw
727名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:30:30 ID:n+kc/cWf
【愛】
オレスコ・・・!
アレはマジにトラウマだ
そういえばシエスタは雛先生か
728鋼の使い魔(前書き) ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 00:31:09 ID:XTK3Joni
お疲れでしたー。
えー、次の話が出来たので投下したく。
とりあえず45分予告。さるさんが少し怖い字数だ…。
729名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:34:51 ID:o0BqKWCK

system boot....ok
"Sugoku Sien System" 起動。戦闘モードへ移行。
対消滅型熱音響迷彩を解除。レーダー起動、索敵開始。遠距離支援砲戦用意。
ジェネレータ起動。エネルギー充填率21.59%........56.37%..........74.24%...........96.29%。加圧開始。
電磁銃身形成、第一次接続。第二次接続。第三次接続。ラジエータ出力最大へ。
各ロックの解除を確認。エネルギー薬室内へ。加圧率464.27%、正常値内。
チェックリスト、第1から第94までの照合を完了。システム、オールグリーン。
FPS起動、照準開始。重力偏流の計算終了。衛星へのアクセスを開始、終了。パケット送信。
第一次ロック、完了。第二次ロック、完了。第三次ロック、完了。衛星からのパケット受信。照準修正完了。
目標、あのキャラルイズスレ>>728。出力100.00%へ。
レコーダー起動、免責宣言開始!
支援開始、繰り返す、支援開始! 20080924、支援責任者>>729支援砲撃小隊、あのキャラスレ軍所属>>729少尉!
ルイズたんかわいいよ条約免責条項第42条第2項該当の熱化学核支援砲撃! 最終ロック解除!
支援準備よろし!
730名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:35:05 ID:0vAQBusE
>>646
五島雅

知ってる人が居たら嬉しい
731名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:39:37 ID:tB1+yrQy
投下終了と同時に支援するぜーって恥ずかしいよね
732名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:41:18 ID:cdUGACkG
だがよくあることだ
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:47:20 ID:tpNLw9SY
やべこれの今日の更新見たら
オーフェンのハーティア召還するしかないでしょ
ttp://www.motsunabenohigan.jp/note/notefram.htm
734鋼の使い魔(前書き) ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 00:47:40 ID:XTK3Joni
予告修正。50分からでいいですか?
あと今回から魔法の呼称をちょっと変えたので、不快感を催される方がいるかもしれないことを予告しておきます。
735名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:48:42 ID:WuQHMOht
>>729
>条約免責条項第42条第2項該当の熱化学核支援砲撃!
EGコンバット?
736鋼の使い魔(前書き) ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 00:50:53 ID:XTK3Joni
時間になったので投下します。
737名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:51:03 ID:MkmO51Fu
最近何故かカレーにハマってるのは特に関係無いと思うアロマの人乙
雛先生・・・初回プレイではどうにもならんかったぜ・・・
738名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:51:08 ID:o0BqKWCK
>>735
( ; ゚Д゚)
これだけで元ネタを悟られてしまうとは……!
流石は訓練された瑞っ子よ。
こんな所で同士に会うとはw
739名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:51:22 ID:9PKndI2h
支援
740鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 00:51:51 ID:XTK3Joni
 ラ・ヴァリエール公長女エレオノール。
 両親より受け継いだメイジとしての才能の光る才媛として知られる。
 学院在学中からも成績優秀につき人々の耳目を集め、卒業後はアカデミーでの研究の道を進んだ。
 現在はアカデミーの正研究員として在籍し、魔法の真理と実用の研究にいそしんでいる。
 
 アカデミーは元々、魔法学院の上部機関として発足したものの、次第にその研究機関としての性格を強くし、いつごろからか独立した一つの部署として確立した。
各省庁を牛耳る貴族らからの献金を受け派閥抗争の矢面に立たされる等と陰口もあるが、名と格に見合った優秀な研究所である。
 在籍する研究員にも階級が設定され、准研究生、正研究生、准研究員、正研究員、主席研究員の順に地位があがり、それにあわせて
個人で扱えるテーマと予算も大きくなっていく。もっとも、主席研究員ほどになると殆ど名誉職のような存在であり、アカデミーの主格は正研究員にあるといってもいい。
 エレオノールは学院を卒業した翌年よりアカデミーに入り、わずか9年で正研究員となった。
 見紛う事なき天才であった。
 
 
 懐かしみながらもエレオノールはシエスタを案内人に通廊を歩いていた。
「貴方はルイズと親しくしているそうね」
 前触れもなく声をかけられてシエスタは動揺した。ルイズやキュルケらが親しくしてくれているとはいえ、本来、使用人と貴族が口を聞くというのは
滅多にないことなのである。
「は、はい。勿体無くも、ミス・ヴァリエール様には懇意に御用命ぜられる事がたびたびありまして…」
「ふん。で、あの子は何処にいるの?」
「確か、今頃は…ミスタ・コルベール殿の研究塔へ出向いてらっしゃるはず…です…」
 かなりおどおどとしていたシエスタだったが、エレオノールはそんなことを霞みも気に掛けることはなかった。
彼女にとって使用人とは居ないように振舞うのが礼儀と考えているからだ。
「そう。…あの人も相変わらず、外道な研究を繰り返しているのでしょうね」
 つぶやくエレオノールの声は動揺するシエスタまで届かずに消えた。
 
 
 
 『氷河剣と土人形』
 
 
 
741名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:52:06 ID:o0BqKWCK
支援
742鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 00:53:07 ID:XTK3Joni
 研究塔前で身構える、タバサとギーシュ。
 ギーシュの格好は普段と変わらない。少々趣味の悪いシャツと、学院指定のショートマント。
 一方のタバサは、服装こそ普段と同じだが、それだけではなかった。
 華奢な体躯には丁寧になめされた皮のベルトを縦横に佩びていた。これはタバサが剣を使うからである。並の男であれば腰から落ちぬように巻く程度であるが、
タバサは肩掛けになるようにベルトを巻き、佩びた剣を収めていた。
 ギーシュが愛用の杖、青銅の造花を抜くと、タバサもそれに応じるように剣と杖を抜く。
 右手に抜かれた剣は、以前のレイピアよりもずっと短い。ギュスターヴの短剣に近いが、片刃のつくりであり、ギュスターヴのそれよりも肉の薄く、
ダガーナイフをそのまま長くしたようなものだった。
 一方左手に握られた杖も、以前の物から変わっている。以前の節くれたワンド系から、キュルケやルイズの使うタクト系のものに変わっていた。
目に付く特徴があるとすれば、柄のように握りがつくられ、長さの割りに太い。
(まるで長短一式の剣を構えるかのようだな)
 塔の前で観戦するギュスターヴにはそのように見えた。
 
「…よし、来い、新たなワルキューレ!」
 ギーシュの手から造花が投げられる。と同時に、懐から抜かれた新たな杖を握ったギーシュが【錬金】によってゴーレムを精製する。
 地面と造花が混ざり合い、起き上がるように出現したゴーレムは案山子のように細い。だが次の瞬間にはそこへ組木細工のように青銅のパーツがはまっていき、
最後には一体の屈強なゴーレムが立っていた。
「これが僕の『ヌーベル・ワルキューレ』だ」
 額に汗を浮かべたギーシュの渾身の業だった。
 それはまさに屈強なプレート・アーマーを着込んだ女戦士であり、以前のワルキューレよりも筋肉質な印象をみるものに与えた。
 右手に剣を、左手にラウンドシールドを構えた姿のNワルキューレは、古い時代のタペストリーに描かれる様なアンティークな騎士像をモチーフにしているのだった。
「以前のワルキューレ7体分のパーツ数とパワーを一体に凝縮させた。これで君の魔法にただやられるようなことはない」
 馬鞭状の新たな杖を構えながら、ギーシュは対峙するタバサを見た。
 
 
「ほぅ、なかなか手が込んでいるようですね」
 見物するコルベールがギーシュの手に関心の声を上げた。元来ドットメイジは組み合わせられる技術が少ないからだ。
「ねぇギュスターヴ。どうして『青銅』のギーシュのゴーレムが金色に光っているわけ?」
 ルイズは新たなワルキューレの感想を漏らした。
 Nワルキューレは青銅までしか扱えないギーシュのゴーレムであるにも関わらず、その全身を淡い金色に輝かせているのである。
 主人の言葉にギュスターヴは丁寧に答えた。
「ルイズ。青銅とは、なんだ?」
「え?」
「青銅というのは本来、錫と銅の合金だ。普段思い浮かべる緑青色の青銅は、長い風雨によって表面を錆びで覆われた姿でしかない」
「じゃあ、あれは一体…」
「青銅は本来合金であるから、含有する元の金属の配分で性質が変化する。銅が多ければ軟らかく柔軟に、錫が多ければ強度が上がるが脆くなる。
特に錫の含有量が上がると、金のような光沢を放つ場合がある」
 へぇ、と今度はギュスターヴの博識に感心するルイズだった。
「…詳しくてね、ミスタ?」
「これでも冶金には聡くてね」
 
 
743鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 00:55:02 ID:XTK3Joni
「行け!ワルキューレ!」
 淡い金色に輝くNワルキューレは、右腕の剣を構えてタバサに向かって飛び込んだ。
 タバサも自分から踏み込み、振り込まれる剣を紙一重でかわし、自分の剣を振るった。
 両者が激突し、剣と杖が打ち合わされる。ギーシュのワルキューレは盾を受けるのではなく、相手の姿勢を崩すように突き出したり、振るったりした。
タバサはそれを右手の剣で、或いは左手の杖で捌く。握りと太さを持ったタバサの杖はワルキューレの打突を捌きながら魔法を使うことが可能なのである。
 打ち合いを避けるように一旦間合いを開け、タバサが後方のギーシュに向かって空砕槌【エア・ハンマー】を撃つと、すかさずワルキューレが射線上に割り込んで
ラウンド・シールドで魔法を受け止め、タバサとの間合いを詰めて切り込んでくる。
(以前より、ずっと早い……!)
 タバサは目の前のゴーレムが予想以上の強さを持っていることに驚いた。
 以前のワルキューレも人間並みのパワーとスピードを有していたが、Nワルキューレはパワーも、何よりスピードが格段に上昇しているのである。
 シュバリエであり、剣の修練でさらに身体能力を上げているタバサに追従できるほどのスピードであった。
(ただ打ち合うだけじゃ駄目…)
 しかしタバサには好都合だった。接近戦で優秀な相手ほど今回は稽古の成果がわかる。ワルキューレの打ち込みにたたらを踏みながらもその目は闘志を燃やしていた。
 
 
 一方、杖を構えたギーシュは懸命にワルキューレを動かしていた。
(やっぱり以前のワルキューレよりずっと疲れる…なにより、相手が早い)
 ゴーレムは複雑な構造ほど動かす難易度が上がる。より大きく、より複雑なゴーレムほど硬度な魔法の産物である。
 以前の七体分、複雑さの増したNワルキューレは、ドットメイジの限界ともいえる操作能力をギーシュに強いているのであった。
(…その分、接近戦で有利だ!)
 パーツ数は7倍とはいえ『重さ』が七倍であるわけではない。しかし、今まで7体に分割して操作していた精神力で動かす為に純パワーは7倍に近い。
単純な能力でも力とスピードで圧倒できるとギーシュは考えていた。
 
 
「当てが外れましたな。コルベール師」
 素早く立ち回る二人を厳しい顔で見ていたコルベールにギュスターヴが声をかける。
「…ええ。危険過ぎるようなら間に割って入る位は覚悟していましたが、これでは…」
 タバサとギーシュの戦いは二次元上で激しく互いの位置を変える高機動戦を呈していた。
 ギーシュのワルキューレがタバサの姿勢を崩す。かと思えば空かさず体勢を直したタバサが移動してギーシュを狙って魔法を撃つと、素早くワルキューレが割り込んで
魔法を遮り、タバサとの間合いを詰めて切り込み、タバサと切り結ぶ…。
「下手に割り込むとミス・タバサもミスタ・グラモンも攻撃の手が止まりきらずに事故を起こしかねない…」
「それだけギーシュが努力しているということでしょう」
「…そうですね」
 生徒の努力を賞賛したくても、今は厳しい顔を崩せないコルベールだった。
 
 
 
 実力が以外にも均衡した戦いが続いた。しかし両者の差がじわり、じわりと戦いに影響を与え始めていく。
 ワルキューレの動作が徐々にだが、大雑把になっていく。タバサの射線に入る時も、盾で受けきれずに半身で受け、背後のギーシュが自分で動いて避ける、
というパターンが増えてきた。
 ワルキューレの盾自体も、魔法を受け、タバサの剣を受けることで、徐々に強度を落としていた。空砕槌【エア・ハンマー】を受けると、
盾の表面を覆う錫の多い青銅がバラバラと砕け落ち、芯になっている銅の多い青銅が露わになってくる。
「ふっ…ふっ……」
 杖を振るうギーシュだが、その膝が震え、額や頸には汗が玉のように浮かんでいた。
 新型のワルキューレを高速で動かし、尚且つ自分も激しく動き回る中で集中力と体力がそろそろ限界を迎えつつあるのだった。
 
744名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:55:21 ID:9PKndI2h
支援
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:55:56 ID:0vAQBusE
支援
746名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:56:17 ID:eB5X9QCi
支援する!
747鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 00:57:04 ID:XTK3Joni
 タバサはワルキューレの剣をかわして間合いを開けると、ワルキューレの背後にわずかに隠れるギーシュを狙って空飛刃【エア・カッター】を放った。
 身を投げて真空の刃を受けたワルキューレの動きが一瞬、止まる。すかさずタバサが踏み込んだ。
「『払い抜け』…!」
 低く駆けるタバサが握るロング・ダガーが、ワルキューレのわき腹を切り裂く。
 しかしタバサの体格では一撃の威力が劣るのか、切り裂かれたわき腹の傷は浅い。
 振り返ったタバサにワルキューレの剣が迫った。
「!!」
 多段的に繰り出される剣をタバサは漏らさず受け止めた。が、身体は浮き上がってたたらを踏んで下がる。
(スピードが落ちない…?)
 傷を受けたゴーレムは痛みを感じなくても体の変形によって動きが鈍るはずなのだ。しかしワルキューレは先程と変わらないスピードで攻撃してくる。
 芯のみとなった盾を叩きつけ、大振り気味に打ち込む剣を紙一重でかわすと、今度は呼吸を整える為にタバサは間合いを明けた。
 
 
 
 Nワルキューレは、ただのゴーレムとしてはある種、不必要に複雑な構造をしていた。
 ただのゴーレムであれば単一素材の椋かがらんどう、関節はマリオネットのような単純な構造が概ね一般的である。
 しかしギーシュは違った。まずワルキューレに骨格を与えた。次にその骨格を包むように硬度を上げた青銅の鎧を纏わせたのだ。
 さらに鎧と骨格の隙間には青銅製の巻きバネがいたるところに仕込まれており、これが俊敏なスピードとパワーの底上げを果たしていた。
 そして多少のダメージを受けても、体の基本構造である『骨格』が傷つかない限りスピードとパワーは下がらない。その上を包む『鎧』と『バネ』で攻撃を受け止めるからだ。
 
 
 タバサはワルキューレから間合いを開け、呼吸を整えながらじりじりと間合いを詰められていた。
 ちらちらとワルキューレの背後のギーシュへ攻撃する隙を探していたが、射線からワルキューレを外そうとすると、ギーシュは素早くワルキューレを動かして
それを防いだ。
 ワルキューレを繰るギーシュの腕が揺れる。
 ワルキューレは剣を構えて間合いを一気に削り、剣を振り込んだ。タバサはそれをいなしながら後退する。
 突っかかるワルキューレをサッと横へスライドするように移動してタバサがかわすと、前のめりになったワルキューレの反応が一瞬鈍った。
「『スマッシュ』!」
 タバサの腰溜めの袈裟斬りがワルキューレの背中に食い込む。切り裂かれた鎧の奥で剣先が何かぶちぶちと切る感触をタバサに伝える。
 技が決まってタバサは再び間合いを開けた。ワルキューレはタバサに向かい直すと、ボロボロの盾を構えて突進した。
 青銅の塊がタバサに叩きつけられようとしたが、タバサは踏み込みながらそれを避けた。
ワルキューレとすれ違うよう跳び、ワルキューレの鎧につけられた鋲が身体を掠める。
 ギーシュとタバサの視線が交錯した。この一瞬、二人の間にワルキューレがいなくなったからだ。
 しかし疲労を重ねたとはいえ、全力のギーシュは素早くタバサの前にワルキューレを移動させる。
 
 タバサはそれを待っていた。射線に割り込んだワルキューレを狙ったタバサは、正確に空砕槌【エア・ハンマー】を三回打ち込む。割り込んだ直後の、
姿勢を崩したワルキューレは、それを全て受けて宙を舞った。
「しまった!」
 ギーシュはこれに焦った。ゴーレムは遠隔操作という性質上、受身が取れない。
 案の定ワルキューレは後頭部から地面に落ちた。ギーシュは素早く立たせたものの、『骨格』が歪んでしまったのか、その動きが少し鈍くなってしまっている。
(今…!)
 するとやおら、タバサは手のロング・ダガーをしまい、右手に杖を持ち替える。口からスペルが漏れ、ギーシュは魔法で決着をつけにきたのだと判断した。盾を構えさせ、
魔法を受けきってから踏み込ませるべく、間合いをじりじり詰めさせる。
 『雪風』の二つ名にあるように周囲に氷の粒が発生する。それは以前ならば氷柱となって飛ぶはずが、今回はタバサの杖先に集まっていった。
 
748名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:57:21 ID:o0BqKWCK
支援
749名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:57:26 ID:fJVef7hL
支援
750鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 00:59:14 ID:XTK3Joni
 息を呑んで観戦していた四人の目に、やがてタバサの『成果』が映る。
「何、あれ…?」
「これは、なんとも…」
「ほぅ、面白いな」
「タバサらしいでしょう?」
 四者は四様にこれを漏らさずにいられない。
 
 
 タバサの右手に握られた杖は、魔法で収束させた氷結によって姿を変えていた。
 氷の粒が握る手も、杖先も全てを覆い尽くしていた。
 そしてそれは徐々に明確な形を取る。握りの尻が飾られ、鍔が現れ、杖先を覆う氷が薄く伸びていく。
 
 タバサの手には果たして、魔法で作られた美麗な長剣が誕生した。
「氷河剣【アイスソード】…私はこれにそう名づけた」
 
 構えたタバサがワルキューレに迫る。ワルキューレも盾を正面に構えて踏み込んだ。
 タバサはその手に握った氷の剣を掬うように切り上げる。氷の剣先は青銅の盾に食い込み、さらに鎧にも滑り込んでいく。
 そして弾けるような衝撃音と共に、Nワルキューレは、砕けた盾ごと吹き飛んで打ち上げられた。
 
「勝ったわ!タバサの勝ちね!」
「まだだ」
「え?」
「ミスタ・グラモンはまだ諦めておりませんぞ」
 安堵したキュルケを遮るギュスターヴとコルベールの声に呼応するように、ギーシュの眼が光る。
「ワルキューーーレッ!!」
 創造主の叫びに反応するように、うつろな青銅の瞳の女戦士は身を宙で屈めると、次の瞬間にその身を光らせて爆発させた。
(自爆?!)
 タバサは四方へ飛ぶ鎧の破片を避けるために動いたが、破片は飛び散らず魔法の力を失って砂に変わった。
 その代わり地面に降り立ったのは、案山子のようにひょろりとしたゴーレムだった。右手に剣を持った姿でこちらに対峙している。そのディテールの細部は、
先ほどまで宙に打ち上げられていたNワルキューレのそれだった。
 
 
「ワルキューレは鎧を捨てることでスピードをさらに上げる事ができる」
 ギーシュの口元から漏れる言葉は誰にも聞こえなかった。
「行けぇ!ワルキューレ!」
 ワルキューレがギーシュの声と同時に視界から消える。身構えたタバサは次の瞬間に囲む3体のワルキューレが眼に映った。
(分身!?偏在?!違う、これは…)
 手の氷河剣【アイスソード】を横薙ぎに振るう。しかし手にわずかな感触を残してワルキューレは再び間合いを空けた先に立っていた。
 ワルキューレの後方に立つギーシュが笑う。形容のし難い笑いであった。
「ミス・タバサ。貴方のような方とここまで戦えるのはまさに軍人の家に生まれた僕の誉れだ。だけど」
 ぴっ、と杖先でタバサを挿すギーシュ。ワルキューレもそれを真似るように剣でタバサを挿した。
「戦うからには、僕は勝つ」
 再びワルキューレが動く、今度はギーシュを囲むように、先程見えた複数体のNワルキューレが出現する。
 
「ワルキューレが増えた?!」
 ルイズが驚きの声を上げると、振り向いてギーシュはちっちっ、と指を振る。
「それは違う。これはワルキューレの高速移動が見せる残像だよ。…行け、ワルキューレ」
 再びワルキューレが動く、複数体の残像を撒きながら、タバサを囲むように一閃、二閃と剣が打ち込まれる。
 タバサは氷河剣【アイスソード】を振ってワルキューレの剣を『ディフレクト』する。するものの、スピードの差が徐々にタバサを追い込んでいた。
「タバサ…」
 キュルケはタバサを見た。必殺であるはずの氷河剣【アイスソード】は残念にもワルキューレを捕らえ切れなかったのだと思った。
 ワルキューレがギーシュの手元まで一瞬で下がり、再び間合いが明けられる。タバサは氷河剣【アイスソード】地面に付き立て、対峙するギーシュとワルキューレを見ていた。その頬からは剣先を掠めて血が流れていた。
「降参するかね?」
「いいえ」
「仕方ない。最後の一撃を受けたまえ」
 ギーシュはせめて、ワルキューレの剣の腹でタバサを撃つように杖を振った。
 ワルキューレが残像を伴って跳ぶ。残像を増やしながら一直線にタバサに向かったワルキューレの剣先が後一歩というところまで迫った、その瞬間。
 
 
751名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:59:25 ID:0vAQBusE
支援
752名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 00:59:38 ID:vBSJ8rs/
支援仕る。
753鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 01:01:03 ID:XTK3Joni
 ガキン、と硬いものにぶつかる音共に、高速で動いていたはずのワルキューレが急停止した。
「何?」
 ギーシュは杖を振ってワルキューレを動かそうとするが、ワルキューレは何かに挟まっているかのように身動きが取れない。
「鎧を捨てたとき、私は思った。スピードが上がった代わりに、防御力は下がるはず、と」
 地面に刺していたタバサの氷河剣【アイスソード】が抜かれる。
「だからその動きを止めれば私の勝ち。私から間合いを明けた時にもう貴方は負けていた」
「な、何のことだ…これは?!」
 ギーシュは初めて気付いた。ワルキューレの踏んだ足から氷が茨のように伸びてワルキューレの体を固めている事に。
「氷河剣【アイスソード】を通して地面の水分を操った。半径2メイル以内に踏み込んだ瞬間、氷の蔦で相手を絡める結界を張った」
 剣を構えて身動きできぬワルキューレに剣を構えたタバサが近づいていく。
「そ、そんな!魔法を使いながら別の魔法を使うなんて!」
「これは『剣』であり『杖』だから。私が『剣』として認識した氷河剣【アイスソード】は周囲の水分を操作できるようになっている。地面に刺せば土中の、
空気に触れれば大気の水気を…」
 
 タバサにとって剣と魔法を複雑に使いこなす事が剣を習い始めたときからの目標であり、この氷河剣【アイスソード】はその到達点の一つだった。
剣自体が極低音の『氷』であるから、剣として認識している間もその姿を崩さずに居られるのだ。
 ただ風や水を収束させて剣刃を発生させるだけならそれほど困難ではない。しかしそれはタバサの目標を達成させることはない。
 果たしてこれは嘗て『氷を使うものは二流』とギトーがつぶやいた事へのタバサなりの反抗心でもあった。
 
「まだやる?」
「……いや、降参だよ」
 諸手を挙げてギーシュは言った。身動きできぬ裸のワルキューレでは勝負にならない。
 本当は後一つ、仕掛けを残していたが、今になっては無意味だと判断した。
 
 
 
 氷が溶け、開放されたワルキューレが土に還っていく中で、ギーシュとタバサは見守っていた四人に迎えられた。
「凄いじゃないギーシュ。タバサに付いていけるとは正直思ってなかったわ」
「僕も本番までわからなかったさ。運が良かっただけだ…よ…」
 キュルケの言葉に反応しつつ歩こうとしたギーシュは、そのままばったりと地面に倒れてしまった。
「あら?」
「はは…足が立たないや……」
 最後はキュルケに肩を借りて歩くギーシュだった。
 一方タバサはコルベールの出迎えを受けたが、コルベール自身の表情は複雑だった。
「しかしミス・タバサ。貴方の新しい魔法はいささか、その」
「攻撃的?」
 こともなげに言うものの、コルベールは頷きながらも汗を浮かべている。
「はい。貴方は『シュバリエ』だそうですから、そのような魔法の使い方をするのでしょうけれど、一教師としては、余りほめられませんな」
「…わかった」
 口で言うほどタバサがわかっているのかコルベールは若干不安だった。
 
「どう?ギュスターヴ。二人の戦いは」
「悪くなかったな。特にギーシュの工夫はいい」
「あら、弟子の活躍はどうでもいいの?」
「出来のいい弟子は放って置いても成長するものさ」
「ふぅん……」
 タバサへの信頼感がルイズは羨ましいと思ってしまうのだった。
 
 
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:01:19 ID:o0BqKWCK
支援
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:02:31 ID:0vAQBusE
支援
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:03:05 ID:sjgovnUV
ころしてでもうばいとる支援
757鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 01:03:47 ID:XTK3Joni
「随分と楽しそうにしてるのね、貴方達」
 聞きなれない声に一同が振り向くと、本塔の方角から誰かがシエスタと共にこちらに歩いてくる。
 その『誰か』は一同の前まで来ると、ギュスターヴの脇に居たルイズは真っ青になってガクガクと震えるのだった。
「あ、あ、あ、姉さまっ?!」
「ひさしぶりかしらねぇ、ちびルイズ」
 反射的に飛び出し、何処かへ逃げようとするルイズをひょいっと猫を捕まえるようにエレオノールの手が伸びる。
「何処へ行こうとしたのかしら?おちび」
「えっ?!いえいえいえいえ、なんでも、なんでもないです……」
 しっかり捕まってしまったルイズは顔が引きつっている。
「久しぶりに再開した姉に向かってもう少し機嫌よく挨拶できないのかしらねぇ、ちびルイズや」
「で、ででででですが、突然の来訪ですから、その」
「ま、いいわ。そこの学友の方々を紹介してくれない?」
 やっと解放されたルイズはおっかなびっくり、そこにならぶ学友三人を紹介した。
「はじめまして。ゲルマニアのフォン・ツェルプストーですわ」
 ピキン、とエレオノールの表情が固まる。
「お〜ち〜び〜!」
「ひゃひぃ!」
 捕まったままのルイズは両頬をむにむにと引っ張られている。
「あんたよりによってゲルマニアのツェルプストーなんかと仲がいいってどういうつもり!領民と公爵代々の当主に恥ずかしくないの?!」
「あででで、べふにひひゃひぃわけひゃあひひひ〜」
 弁解しつつも涙声のルイズだった。
 次にタバサが前に出て礼をした。組み手のあとなのでかなり服がよれたり、瑕だらけなのであるが、タバサ本人はまるで気にもしない風情だった。
「タバサ」
 実に素っ気のない挨拶であった。
「……ルイズ」
「なんですか」
「この子は頭が遅いの?」
 場の空気が(タバサを除いて)凍りつく。ルイズは冷や汗が止まらなかった。
「タバサは口が重い子なんです」
「…そう」
 次にギーシュが恭しく礼をした。ギーシュは埃をハンケチーフで拭って相応に身を繕っていた。
「お初にお目にかかります。ギーシュ・ド・グラモンと申します」
「グラモン元帥のご親族と見えるけど」
「父の名をご存知とは光栄の至り」
 エレオノールはあくまで冷ややかに言葉を続ける。
「軍務の方々からは色々と便宜を図ってもらっているわ。ただ視察のたびに女性研究員に声をかけるのはやめていただきたいけど」
「は、はははは…」
 乾いた笑いしかでないギーシュだった。
「わたしはエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール。アカデミーの正研究員に籍を置いているわ」
 キュルケとギーシュから感心の声が漏れる。
 そんな二人を脇に一歩踏み出でてエレオノールはコルベールの前で礼をした。
「お久しぶりにございます。ミスタ・コルベール」
「君も健在なようだね、エレオノール君」
「相変わらず不毛な研究をお続けの様子で」
 視界に見える溶鉱炉を見ての発言である。苦々しくもコルベールは笑った。
「なんといわれようとこれが私の命題でね」
 そしてコルベールの脇に立つギュスターヴをエレオノールは見た、次の瞬間。
 
 
758鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 01:05:10 ID:XTK3Joni
 
 ボン、と何かが爆発するような音がルイズには聞こえた。
 目の前のエレオノールが突如ピンと背を伸ばして立ち上がり、次の瞬間には走り出してルイズの背中に隠れた。
「あぇ?姉さま?」
「あ、あの、ルイズ。…そこの、コルベール氏の隣に、いらっしゃる、殿方は、その…誰?」
 普段の知るエレオノールから想像できないほど、おっかなびっくりとしたエレオノールにルイズは困惑しながらも答えた。
「あ、はい。彼はギュスターヴ。私の使い魔です」
「へぇ、そうなの。使い魔……使い魔?!」
 一瞬呆けたようなエレオノールが大声を上げた。
「あ、あ、あんた。そこの人を、あの殿方を指して、つ、つ、使い魔っていったかしら?!」
 捕まってルイズはがくんがくんと肩揺さぶられている。
「あっ、あっ、た、たしかにっ、つっ、つかっ、使い魔って、言いましたっ!」
「人に冗談を言えるほど偉くなったわねぇ、おちび!」
「ちっ、違うんです!本当に!本当に使い魔なんです!」
 ヘロヘロになったルイズを怪訝そうに眺めるギュスターヴだった。
759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:06:26 ID:w1z6PMaI
しえ
760名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:07:11 ID:6qtPCn/5
支援
761鋼の使い魔(後書き) ◆qtfp0iDgnk :2008/09/24(水) 01:07:49 ID:XTK3Joni
投下終了。ちょっと時間掛かったな…。
プロットがクランクアップしないので時間が空いちゃってすみません。でも、10月中には3巻分まで完結させる予定ですのでよろしく。
ここ数日はゼロ魔の疑問点の解消に終始してまして…(空対地攻撃手段は?風石の消費メカニズムは?etc)
とりあえず序盤の山場までかけてよかったー(若干粗いんじゃないかと内省しつつ、次回までさようなら。
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:10:30 ID:jxOWVofF
遅れ馳せながらアロマの人に【愛】
皆守はどこでもマイペースだな。
カレーがこげてなければいいがw
そして九ちゃんはイ`
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:10:34 ID:FXOAMKPt
GJ
面白かったよん、エレ姉さんとのフラグにwktk
764ルイズが世界を征服するようです:2008/09/24(水) 01:10:59 ID:o0BqKWCK
乙ー。ギーシュの成長がいいね。こういうの好きだ。

次、投下しますね。1:25くらいからを予定。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:18:27 ID:2vPi47H9
キターーーー!!
766名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:20:29 ID:fJVef7hL
支援を表明する!
767名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:20:39 ID:Js5dOHSQ
支援するぜ
768名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:21:12 ID:MkmO51Fu
鋼の人乙です
ギーシュのNワルキューレは面白いですな
そして殺してでも奪い取りたい剣がこんなところにw
エレ姉さんが惚れる展開は初めてみたかも。今後の展開も楽しみです
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:26:19 ID:fY/3ED0H
世界の半分って基本的には海だよな支援
770ルイズが世界を征服するようです 0/9:2008/09/24(水) 01:26:28 ID:o0BqKWCK
つーわけで、「ルイズが世界を征服云々」中篇いきます。前後じゃ収まらなかった。ごめんね。
前回長すぎたので、今回は短めに。
未読の方はwikiの小ネタ、タ行へどぞ。追加してくれた方、ありがとうございました。
ヘルシング臭とかガンパレ臭とかデモベ臭とか言われてましたが、うん、あれだね、趣味バレバレだね。
でも気にしない。このままいきます。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:28:00 ID:IuszRZTa
>>730

花だ……花がいい
772ルイズが世界を征服するようです 1/9:2008/09/24(水) 01:28:21 ID:o0BqKWCK

「始めるわよ」

 首都トリスタニア、某所。
 明かりはただ一本の蝋燭のみという、薄暗く狭い小部屋に、数人が集まっていた。
 いずれもローブに身を包み、フードで顔を隠している。

「……まずは、現状確認からいきましょうか」

 アルビオンを制圧したトリステインは、すぐさま帝政ゲルマニアに宣戦を布告。
 同日、ゲルマニア首都ヴィンドボナは壊滅した。
 ……噂を信じるならば、ただ1騎の竜騎士によって。
 主要都市をわずか数日の内に陥落させられたゲルマニアは、成す術無く降伏した。

 現在、トリステインはロマリア連合皇国と交戦中。
 トリステインはトロルやオークなど亜人に加え、エルフ、
更には無数の強力なドラゴンまでも戦線に投入している。兵力差は圧倒的だった。
 アルビオン、ゲルマニアを傘下に加え、更には『東方』――エルフ達と同盟を結ぶことにすら成功。
 最早、トリステインは小国などでは無く、世界有数の覇権を誇る大国だ。

「そして、それを操るのがあの2人。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと、その使い魔ね」

 女王に即位したアンリエッタ。
 それを傀儡とし、裏から操る者が居た。
 マザリーニなど、優秀な人物は既にあらかた粛清され、この世から去ってしまっている。

「このままでは、世界は本当に、あの2人のものになってしまう」

 無論、ルイズ達に対する抵抗が無かったわけではない。
 送り込まれた暗殺者は、既に3桁にまで上る。
 しかし。グリフォン隊隊長を務めるジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵や、
『シュヴァリエ』の称号を持つ少女といった凄腕の側近。
 そして何より、本人達の力の前にあっては、暗殺者などカス同然だった。
773ルイズが世界を征服するようです 1/9:2008/09/24(水) 01:29:37 ID:o0BqKWCK

「そうはさせない。絶対にね。
――ここに、レジスタンスの結成を宣言するわ。
同意する者は素顔を晒し、血判状にサインを」

 そう言い放った人物が、まずフードを脱ぐ。
 素顔が、蝋燭の淡い光に下から照らされた。
 キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
 祖国を蹂躙され、復讐に燃える火のトライアングルメイジである。

「――彼女らは。私の、敵です」

 シエスタ。
 かつて魔法学院にて、メイドを務めていた少女。

「あいつらを、許しておくわけにはいかないよな」
「はい。頑張りましょう。
……それに、彼らはウェールズ兄様を……!」

 異世界人であり、伝説の『ガンダールヴ』である平賀才人。
 そして、その主、ルイズと並ぶ『虚無』の使い手、ティファニア。

「人数こそ少ないけど、十分ね。
このメンバーならば、十分あいつらに勝利し得るわ」

 朗々と、誓約の言葉を読み上げる面々。
 それは、遥か昔よりこの大陸に伝わる、死地へ赴く人々が交わす誓いの証である。
 この言葉が一体、どこで生み出され、どう伝わったのかは定かではない。
 一般的には、始祖とその仲間達の言葉が、その始まりであるとされる。
 ――だが。
 それは、遥か異世界、とある冒険者が集う酒場にて、
今まさに邪悪に立ち向かわんとする1人の少年、そして3人の仲間達が交わした言葉と。
 奇しくも、まったく同じものであった。


"我はここに集いたる戦友の前で厳かに精霊に誓わん。
我が生涯を光と共に過ごし、我が使命を忠実に果たさんことを。
我は全ての邪悪なるもの、闇たるものを絶ち、
悪しき力を用いることなく、また知りつつこれを許さざるべし。
我は我が命の限り、我が意志の揺るがざることをつとむべし。
我が使命にあたりて、与えられし力に驕らず、慢心に捉われることなく、幾万の敵を恐れることも無し。
我は心より人々を助け、
我が手に託されたる未来の幸のために身を捧げん。"
――アリアハン戦士誓詞


「――さぁ。反撃開始といきましょうか」

 キュルケは、獰猛に笑った。



――ルイズが世界を征服するようです――
774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:30:20 ID:tB1+yrQy
支援
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:30:43 ID:fJVef7hL
支援
「ウェールズ様……」
「アンリエッタ可愛いよアンリエッタ」

 ぶちゅー。

「はん。よくもまぁ、飽きないものね」
「クク。1度離れた分、余計に愛が深まったということであろうよ。麗しきものではないか」

 トリステイン王国、王宮。
 人目を憚ることもなくウェールズと抱き合うアンリエッタに、主は呆れ、使い魔は哂う。

「水の指輪。アルビオンでは苦しめられたけど、手に入れてしまえばこんな便利な物も無いわ」

 右手中指に嵌められた指輪を眺めながら、ルイズは漏らした。
 アルビオン侵攻の際にクロムウェルから奪ったマジックアイテム、『水の指輪』。
 ルイズは先住魔法の力がこめられたそれを使い、ウェールズの死体を操ることでアンリエッタを骨抜きにしていた。

(※これも、前編にてルイズがウェールズを殺害する際、
きちんと死体に傷がつかない方法で殺していたからこそ成せる業である。
仮に、『イオ』で爆破するなどという愚かこの上無い方法を取っていたならば、まず不可能であっただろう。
筆者が前編投下真っ最中にこのミスに気付いて頭を抱えたなどという事実は決して存在しないので、
その旨ご了承いただきたい。というか、正直ごめん)

「ヴァリエール宰相。前線より伝令です」
「聞くわ」
「最前線にて、極めて強力な竜騎士と遭遇。
交戦の結果制空権を奪われ、現在戦線は膠着状態にあるとのことです」

 報告を聞いた小竜が顔をしかめる。

「何? スカイドラゴン大隊はどうしておる」
「……そのほとんどが戦死。残った者も、本格的な戦闘は不可能と聞いております」
「バカな。我がスカイドラゴンが、そこらの竜騎士隊に劣る筈が――」
「それが、その。……相手は、僅か一騎だと、報告にはあります」
「何だと?」
777ルイズが世界を征服するようです 4/9:2008/09/24(水) 01:33:00 ID:o0BqKWCK

 りゅうおうはしばし黙考する。
 ……ただ一騎にスカイドラゴン隊がやられるなど、通常ではまず考えられない。
 いや、それどころか、あれ一体で竜騎士小隊を壊滅させられる程の戦力差なのだ。
 それは敗れるとなると――相手も、この世界の常識では計れないクラスの戦力か。

「……やむをえんな。すぐにしんりゅう大隊の出撃をさせよ。
同時に、地上戦力も補強する。
そうだな……ダースドラゴン連隊を、しんりゅう隊に載せてゆけ」
「了解しました」

 下がろうとする武官を、ルイズは引き止める。

「ちょっと待ちなさい。――ワルド?」
「何かな?」
「いくらりゅうおうのマジックアイテムで遠距離からすぐ連絡出来ると言っても、
いちいちこちらに指示を仰いでいるのでは対応が遅れる。
アンタ、前線指揮官として行ってきなさい。全て任せるわ。
必要なものがあれば送るから、何でも遠慮せず伝えなさいよ」
「しかし、護衛はいいのかな、ルイズ?」

 ルイズは鼻息を漏らす。

「ここ1ヶ月は暗殺も減ってきてるし、シャルロットだけでも十分よ。
いいから行ってきなさい。
そしてとっとと、その竜騎士とやらの首を晒しなさい」
「このような時のために力を授けたのだ。わかっておろうな?」

 ワルドはりゅうおうの指導と『改造』により、
『バギ』系統の全ての呪文を、更に『ピオリム』『スカラ』などの補助魔法すらも身につけていた。

「わかった。行ってくるよ、ルイズ。
さぁ、行ってらっしゃいの接吻を――」
「2週間以内に教皇の首を持ってきたら、褒美にね」
「マジで!?」
「マジよ」

 うっしゃー、と全力で走り去るワルド。
 
「よいのか?」
「いいのよ。どうせ、私のファーストキスはあんたなんだから。もうどーでもいいわ」
「カカカカカカカ! そうであったな!」
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:34:00 ID:tB1+yrQy
ワルドwww支援
779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:34:32 ID:fkZ6w93N
これは良いワルド
支援
780ルイズが世界を征服するようです 5/9:2008/09/24(水) 01:35:01 ID:o0BqKWCK

 ――数日後。
「やぁ、ルイズ。いや、ヴァリエール宰相とお呼びするべきかな?」
「どうでもいいわ。とっとと用件を言いなさい、ギーシュ」

 王宮の片隅、一室。
 突然姿を見せた元級友相手に、ルイズはうんざりと返す。
 今は、少しの時間であっても無駄にしたくない状況なのだ。
 深く椅子に体を沈め、ルイズはため息をついてから促した。

「こんな時に何なの?」
「今日はグラモン家の代表として来たんだ。父も兄さん達も、それどころではないようでね。
ロマリア侵攻の状況について、グラモン家として――と、」

 そこでギーシュは言葉を切り、室内を見回した。

「あの使い魔はどうしたんだい?」
「りゅうおうなら、戦力の補強のために部下を召喚中よ。いいから、とっとと話しなさい」
「やれやれ、忙しないねルイズ。まぁいいか。こちらも、遊びに来たわけじゃないんだ。
まずは、この資料を見てもらえるかな?」

 ギーシュが懐に手をやると、ルイズは背もたれにもたれたまま、無言で右手を伸ばし、



「驕ったな、ルイズ」


 瞬間。
 鋭利な何かが、背後からルイズの胸を貫通した。
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:35:16 ID:Js5dOHSQ
うっしゃー支援
782名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:35:25 ID:fJVef7hL
支援
783ルイズが世界を征服するようです 6/9:2008/09/24(水) 01:37:02 ID:o0BqKWCK
「がっ……!」

 吐血。
 思わず体を丸めようとするも、椅子に縫い付けられているような状況では、それすら許されない。
 続けて2、3と、何かがルイズの体を貫通する。更に大量の血を吐き出し、ルイズは痙攣した。
 必死で痛みを堪えながら、自らの体を貫通し、突き出ているものを確認。
 鋭く、槍のように尖った青銅。……椅子を、『錬金』したのか。
 懐から出した杖を突き出すギーシュを、睨みつけた。

「油断したね、ルイズ。
護衛の1人もつけないとは、僕も舐められたものだ。ドットメイジごとき、警戒する必要も無い?
いや、それとも信用してくれていたのかな? だとしたら、嬉しいね。
そのおかげで、君をこうして葬れるのだから」
「……ギーシュ……あんた……!」

 ギーシュは暗い瞳でルイズを見下ろした。

「ゲルマニア戦で父は死んだよ。2人の兄も、ロマリアでね。
知っていれば、さっきの僕の言葉がおかしいことに気付いた筈だ。
仮にも、元帥の死を知らなかったのかい?
だとすれば、僕がこうして直接手を下すことも無かったかな。
そんな有様では、いずれ誰かが君を殺しただろう」

 喋ることすら出来ず、血にまみれ、痛みにあえぐルイズ。それを眺めながら、ギーシュは哂う。
 傍らのランプを手に取り、『錬金』。青銅の剣を作り出し、構えた。
 
「あぁ、でも。こうして君を直接殺すことが出来て、嬉しく思うよ。
――さらばだ、『魔王』ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
貴族の誇りなど欠片も無い、愚かな侵略戦争で多くの命を散らした罪。死で償え」

 剣が、振り下ろされる。
784名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:37:28 ID:0vAQBusE
支援
785名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:38:00 ID:tB1+yrQy
支援
786ルイズが世界を征服するようです 7/9:2008/09/24(水) 01:39:18 ID:o0BqKWCK

 早く、速く、疾く迅く捷く!
 転移魔法『ルーラ』を超短距離間で使用、それを連発することで限りなく最速に近づく。
 扉を吹き飛ばし、階段の上を飛翔して、目的の一室へと全力で向かう。
 油断した。驕っていた。
 いくら主が大丈夫だと主張しようと、聞き入れるべきではなかったのだ。
 その傲慢こそ、敵が狙っていた隙に他ならないというのに――!
 最後の扉を中級火炎魔法『メラミ』で焼き尽くし、部屋に文字通り飛び込む。
 目に入ったのは、振り下ろされる剣、歪んだ笑みを浮かべた少年、そして血に塗れ瀕死の主。
 怒りに、視界が赤く染まった。


 轟音。
 大量出血のせいか、霞む目を凝らす。
 ――自分とギーシュの間に、紫のローブを纏った背中が立ち塞がっていた。
 ああ、きてくれたんだ。よかった。もう、あんしんだ。

「りゅう、おう」
「喋るな、主」

 杖でギーシュを牽制しながら、片手でルイズを即興の槍から引き抜くりゅうおう。
 苦悶の息が漏れ、血が噴き出す。りゅうおうはすぐに回復魔法『ベホマ』を起動。ルイズを床に寝かせる。
 あまりに深い致命傷だったが、何とか間に合ったらしく、傷は塞がっていった。
 怒り狂う使い魔は後ろ手に回復を続行しつつ、剣を下ろした少年を睨みつける。
 ギーシュは、全てを諦めたかのように笑みを浮かべていた。

「好機を逃したか。――無念だよ」
「我が主をここまで傷つけた罪、千度殺しても尚余りある。死ね」

 りゅうおうの杖に、膨大な量の魔力が集中する。発動すれば、塵も残さずギーシュを焼き尽くすだろう。
 ルイズは震える腕を何とか動かし、ローブの裾をつまむ。

「りゅうおう、まって」
「喋るな、主。傷はまだ塞がっておらん」

 使い魔の言葉を聞き流し、ルイズは掠れた声で続けた。

「ギーシュ、みごとだったわ。
ドットメイジでありながら、ここまでのけいびをすりぬけて、わたしにいちげきをくわえるなんてね。
みなおした。やるじゃないの」
「は。ここまで絶好の条件でありながら、殺せなかったのは僕の落ち度だ。
褒められるようなことじゃないよ」
「喋るなと言っておろうが、貴様も黙れ!」

 激昂するりゅうおうを尻目に、ルイズは荒い息を隠そうともせず言葉を継ぐ。

「いいえ。たまたまりゅうおうはいなかったけれど、
そうでなくともあんたはやったはず。
すぐにころされるのをかくごで、いちげきにすべてをかけてね。
そのかくごとじっこうりょく、しょうさんにあたいするわ。
ねぇ、いまからでもおそくはないわ、わたしたちのなかまにならない?
あんたになら、せかいの5%くらいはくれてやってもいいわ」
787名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:39:47 ID:fJVef7hL
支援
788ルイズが世界を征服するようです 8/9:2008/09/24(水) 01:41:12 ID:o0BqKWCK

 ギーシュは鼻を鳴らした。

「冗談にしても最悪の部類だね。殺せ」
「ならばその望み、叶えてやろう!」

 杖を振り下ろそうとするりゅうおうはしかし、後ろからローブを引かれる感触に動きを止める。

「主よ……! 何故止める!」
「ひつようだから。……そいつをちかろうに。けっしてみはりをおこたらないよう」
「は、はい!」

 ようやく現れた武官達に命じるルイズ。
 ギーシュは杖を取り上げられ、数人に拘束されて運ばれていった。

「まったく。あるじのいうことはちゃんとききなさい、りゅうおう」
「何故止め……いや、いい、喋るな主」
「だいじょうぶよ。あんたがこうしてくれてるんだから。
あいつはグラモンけのゆいいつのいきのこり。いかしておけば、なにかとべんりよ」
「回復魔法では傷を塞ぐことしか出来ぬと、知っておろうが!
いい加減に黙らんかこの痴れ者が!」

 激怒する使い魔を前に、ルイズは青白い顔でくすりと笑う。

「ふふ。しんぱいしてんのね、あんた」
「当たり前であろうが! 黙れ!」

 ルイズはその笑みをやがて大きくし、肩を震わせて笑い始めた。

「ふ、ふふふふ!
ねぇりゅうおう、あんたはわらう?
たかがどっとめいじひとりとゆだんして、そのけっかがこれよ!
あはははは! こっけいね! これが『まおう』ですって!」
「主!」
「ふふふふふふ!
ねぇきいてよ、わたしね、もしかしたら、
じぶんからいけんをいいにくるなんて、ギーシュはなかまになるのかもっておもってた!
もとは、おなじがくいんせいなんだしって! あはははははは!
ここまでしておいて、なにをいまさら! はははは!」

 ルイズは自嘲する。
 ――ああ、そうだ。愚鈍なことこの上無い。
 私は、人に恨まれることをしてきた。
 数え切れない程に人を殺し、多くの村を、町を、国を、叩き潰し、蹂躙した。
 後悔はしていない。全ては、目的のため。必要な行動だ。
 その私が! 今更!

「主……」
「あははは!
そう、はじめから、こうしておけばよかった!」
789名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:42:07 ID:fJVef7hL
支援
790名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:42:10 ID:esG7OV2y
支援
791名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:42:30 ID:esG7OV2y
支援
792名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:42:35 ID:tB1+yrQy
文体から何が好きなのか読み取れる支援
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:42:39 ID:0vAQBusE
支援

 ルイズは右手を掲げ、魔力を集中する。
 『水の指輪』が起動。城内全てに、力の波紋を広げていった。

「ギーシュがつえをもってここまではいってこれたということは、
じょうないにそのてびきをしたやつがいるはずよ。
これで、あんしん。じょうないのほとんどのにんげんは、かんぜんにあやつれるわ」

 有事にそなえ、『水の指輪』を使うための下準備は済ませてある。
 特に城内の人間には、秘薬を混入した食事や水を摂取させることで、
『完全盲従』という暗示をかけることに成功していた。

「わかった、もうよい。休め、主」
「あはは……はぁ」

 ルイズは再び、ローブの端を握り締めた。
 ローブでルイズを包むように、抱きしめるりゅうおう。

「……あんたのからだ、つめたいわね」
「ああ。竜であるからな」

 ルイズは微笑む。
 それまでのような狂乱したものではなく、穏やかな、安心し切った赤子のような笑み。

「……ほんと、つめたい。ああ、でも――」

 きもちいいわ、と呟き、ルイズは瞼を閉じた。
 りゅうおうは睡眠魔法『ラリホー』を使った手を下ろし、杖をしまって両手でルイズを抱き上げる。
 まさに、一国の姫を攫う魔王のような構図。
 それにしては、その手つきは、酷く慈愛に溢れていたが。
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:44:47 ID:fJVef7hL
sienn
796名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:45:14 ID:esG7OV2y
支援
797ルイズが世界を征服するようです 9/10:2008/09/24(水) 01:45:26 ID:o0BqKWCK


「…………」

 ルイズの寝室にたどり着き、ゆっくりとベッドに下ろす。
 枕元に置かれた宝玉を起動。魔力で編まれた、緑色の幕が豪奢なベッドを包み込む。
 元の世界にあった結界装置を更に改良したもので、
耐衝、耐熱冷、防音、更に魔法を反射する『マホカンタ』の機能をも併せ持ち、
りゅうおう以外の内部への侵入を決して許さない、鉄壁の守り。
 例え城が崩落しようとも、ルイズはそれに気付かず眠り続けるだろう。

「…………」

 りゅうおうはしばらくの間、眠る主の姿を見つめ、やがて部屋を出た。
 廊下を渡り、階段を下る。進むにつれ、徐々に騒音が大きくなっていく。
 爆発音に、風を切る音。何者かが、戦闘しているのだ。

「そこまでだ」

 その階全体を貫く、一際広大な廊下。
 護衛を勤めるタバサと共に、数人の近衛兵が奮戦していた。
 相手は、4人。
 その内の1人――燃えるような赤髪の少女が、現れたりゅうおうを見て目を剥く。

「な――!」
「そこの貴様ら。我が相手をしよう。それが目的であろう?」

 驚きを露わにしてこちらを向くタバサ達に向けて、顎をしゃくる。

「貴様らは、上で主の護衛だ。決して誰も近づけるな」
「しかし――」
「行け」

 たった二文字の言葉に込められた感情を瞬時に汲み取り、タバサは顔を青ざめながら頷く。
 他の兵たちを引き連れ、上のフロアへと去っていった。

「まさか、そっちから来るとはな。前の戦いでつけられなかった決着、ここで決めてやる」

 言葉と共に、2本の剣を構える少年。他の3人も体勢を整える。
 りゅうおうは笑い、演説するかのように手を広げた。

「まぁ待て。ここで我が戦っては、城が無くなってしまう上に人的被害も膨大だ。
それは、貴様らにとっても不都合であろう? 場所を変えるぞ」
「ど――」

 どこに、とメイドが続ける暇も無く、彼らの体は遠方へ転移されていった。
798名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:46:11 ID:fJVef7hL
支援
799名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:46:22 ID:esG7OV2y
支援
800名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:46:35 ID:fJVef7hL
支援
801名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:46:36 ID:tB1+yrQy
支援
802名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:47:13 ID:esG7OV2y
支援
803名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:47:20 ID:vBSJ8rs/
支援
804ルイズが世界を征服するようです 10/10:2008/09/24(水) 01:47:42 ID:o0BqKWCK
「……ここは、アルビオン?」
「そうだ。ここでなら、周囲を気にする必要はあるまい」

 半年ほど前、7万のアルビオン軍とルイズ達が対峙した草原。
 りゅうおうと4人は、一瞬にしてそこに辿り着いていた。
 転移魔法『ルーラ』及び『バシルーラ』を併用した結果である。

「さて、戦う前にひとつ聞いておきたい」
「何でしょうか?」

 ハーフエルフの少女が、背の丈ほどの大きな杖を構えながら返す。

「先ほどの小僧。あれは、貴様らの差し金か?」

 キュルケが厳しい表情で答える。

「……ええ、そうよ。ここにあんたが居るってことは、失敗ってことだろうけどね」
「ククク。いや何、立派であったぞ。主も賞賛していた。
いやいやしかし、そちらも中々に残酷な作戦をとるものだな。
戦力にならないドットメイジに、一か八かの特攻をさせるとは」

 りゅうおうの嘲笑に、キュルケは悔しげに唇を噛み締めた。

「……あいつの発案よ。私たちに、その覚悟を止める資格は無い」
「なるほど。ああ、しかしなるほどなるほど――貴様らの策か」

 何を言いたいのか。シエスタは訝り、そしてすぐあることに気付く。
 りゅうおうの瞳。
 普段は黄色のそれが、真っ赤に染まっていた。

「…………っ!」

 シエスタは直感する。まずい。
 あれは、逆鱗だ。

「よくも、主をあのような目にあわせてくれたものだ」

 戯れるような口調。
 それを口にするりゅうおうの脳裏には――血まみれで苦しげに喘ぐ、主の姿があった。
 りゅうおうの額のルーンが、輝き出す。

「――皆殺しだ」

 りゅうおうは、真の姿を見せた。
805名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:47:44 ID:w1z6PMaI
しえ
806名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:48:36 ID:XBvqz0mF
支援
807名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:48:46 ID:0vAQBusE
支援
808名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:48:51 ID:fJVef7hL
支援
809名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:48:53 ID:VQiRNwAM
回復がきつそうだなー支援
810名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:49:04 ID:esG7OV2y
支援
811ルイズが世界を征服するようですってよ:2008/09/24(水) 01:49:11 ID:o0BqKWCK
中篇投下終了。
うん、正直後編に収まる気がしないっ! あと2回くらい必要な予感。
長編のカテゴリに移した方がいいのかこれ。
あ、途中出てきたアリアハン戦士誓詞は『ナイチンゲール誓詞』をもじった、
元々はドラクエとはまったく関係の無いものなのでご了承を。出したかったから出した。後悔はしていない。

ここまでのぼうけんを ぼうけんのしょに きろくしますか?   はい/いいえ
812名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:49:27 ID:fJVef7hL
支援
813名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:49:39 ID:esG7OV2y
支援
814名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:50:07 ID:fkZ6w93N
乙ー
後編に収まらないって事は……終編?もしくは完結編?
ロボット大戦みたいだ
815名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:50:17 ID:esG7OV2y
ってもう投下終わってた
恥ずかしい…
816名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:50:42 ID:fJVef7hL
投下乙!
凄い大作だな
817名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:51:30 ID:tB1+yrQy
乙、面白かったwww

  はい
ニア.いいえ
818名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:52:55 ID:JOTmXRXd
うむ、面白い!乙!!

しかしキュルケ達も戦う動機の大本は復讐な訳で・・・
正義を気取る資格はないよね
819名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:53:20 ID:ZX75fK1e
もう480KBか、早いな…
820名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:53:50 ID:VQiRNwAM
GJ!
まあ最終話をだらだらと一年くらいやった作品もないわけじゃなし、満足できる作品を期待しておくさ

しかしPTでのシエスタの立ち居地が分からん
……まさかビキニアーマーでもつけてるのか?
け、けけけけけしからん、けしからんぞ!!
821名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:53:54 ID:fJVef7hL
もうそこまでいったか
次スレ立て挑戦してくる
822名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:53:59 ID:XBvqz0mF
素晴らしい
823名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:57:02 ID:fJVef7hL
立てたよ

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part173
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1222188953/
824名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:58:26 ID:tB1+yrQy
こんな餌で俺が釣られクマー
825名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:59:05 ID:doGc/Yhf
>>823
826名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 01:59:52 ID:sjgovnUV

なんでそんな場所にスレ立てたんだ?
827名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:00:01 ID:5klvEKy5
>>823
おつー
828名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:00:13 ID:ZX75fK1e
ふむ。
板移動か。
周りに相談も無しに。
829名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:00:58 ID:fJVef7hL
え?
うわ!スレ立て誤爆してたorz
マジで気づかなかったよ
アニキャラ総合に立て直してくる
830名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:01:13 ID:7C7H+Xb6
次スレは試しに避難所に立ててみようよ
831名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:02:16 ID:5klvEKy5
あ、本当だ創作発表板だな
832名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:02:28 ID:o0BqKWCK
ちょw誤爆だったのかw
てっきり運営で決まったのを見逃してたのかと思って、
慌てて避難所に確認に行ってしまったw
833名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:03:21 ID:VQiRNwAM
>>829
立ててしまった以上仕方ない、って気もするがかといってこのまま使うのも微妙という……
とりあえず削除依頼を先にやっとけ
834名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:03:49 ID:fJVef7hL
はじかれた…orz
835名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:07:57 ID:5klvEKy5
びっくりしたw
836名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:09:27 ID:G87lidTl
スレ立て行ってみます
837名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:14:11 ID:5klvEKy5
俺は別にどっちでもいいけどね
838836:2008/09/24(水) 02:15:48 ID:G87lidTl
ホスト規制に引っかかりました
他の方お願いします。
839名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:16:50 ID:ZX75fK1e
誤爆だったのかw

別のスレで以前、別の板に新スレ立てる荒らしが出たモンだから、失礼ながらその類だと思ってしまった
申し訳ない
840名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:17:31 ID:ZX75fK1e
では、行ってみましょうか
841名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:17:36 ID:zPnc3q5I
んじゃいってくる
842名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:18:46 ID:zPnc3q5I
お、かぶった
俺は待機かな
843名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:19:19 ID:ZX75fK1e
ダメだったorz
844名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:19:49 ID:zPnc3q5I
んじゃ俺いく
845名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:22:20 ID:zPnc3q5I
無理だった
なんだこの無理だらけコンボ
846名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:23:25 ID:doGc/Yhf
じゃあ俺も挑戦
847名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:23:27 ID:KmG8ha7X
んじゃ俺が
848名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:24:14 ID:KmG8ha7X
俺は待機
849名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:25:51 ID:q8VIT6b6
じゃあ俺がやる!
850名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:29:32 ID:LiOE11mR
さすがにこういう状況だとコピペ荒らしこないんだな
851名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:30:56 ID:5klvEKy5
そりゃな
852名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:32:05 ID:zPnc3q5I
なかなか立たないな
853名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:34:10 ID:sSQqyBXz
次スレは避難所に立てないか?
854名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:35:31 ID:LiOE11mR
2chから撤退とかスレの終わりだって
あれくらい無視してりゃ済むことなんだし
855名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:37:03 ID:0vAQBusE
856名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:37:25 ID:5klvEKy5
>>855おつー
857名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:40:58 ID:ZX75fK1e
>>855
乙です
858名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:42:59 ID:G87lidTl
>>855


ageてしまって申し訳ありませんでした。
859名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 02:45:29 ID:o0BqKWCK
>>855
乙です。
860名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 03:31:15 ID:4ri1e7ZN
埋め小ネタ

ギーシュ戦
「僕のワルキューレに勝てるかな?」

「ええっと、ひのふの…7体もいる… あ、あやまっちゃおうかな… なんてな?」

「げええ、8人に分身した!!」

ワルド戦
「君の事は聞いてるよ、使い魔君。分身出来るそうだね」

「だが、君の分身は所詮残像に過ぎない。実体を持った僕の遍在の敵ではない」

「さらに遍在はすべて僕と同等の能力を持つ。つまり、5方向から光の速さで攻撃がくる」

「分かっただろう? 君に勝ち目はない」

「「あー、確かにさすがのオレッチでも光よりは早く動けないわ」」

「「しかし、術者の意思より早く動くのは別に難しくないぞ?」」

「い、いつの間に、わたしの背後に。しかも二人になってるし!!」


F.S.Sより剣聖ダグラス・カイエン召喚
861名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 04:07:05 ID:2vPi47H9
んじゃ俺も埋め小ネタ

俺の体は満身創痍といってよかった。メイドのシエスタを助けるためにギーシュ
というメイジに喧嘩を売ったらこのザマである。

俺の左腕はあらぬ方向に曲がり、出血は夥しい。
ぼやけた姿でしか前方の敵を見れないし、口からは吐血が漏れた。
もはや一撃でその身を砕かれるだろう。

「もうやめたまえ。これ以上やったら本当に死ぬぞ?」
「は。効くかよ……。そんな……攻撃」

ギーシュは俺の言葉に怒ったのか、声を荒げて叫んだ。

「そうか! ならばこれで死ね!」

そして才人にゴーレムのとどめの一撃が迫る。

俺は目を瞑り、その衝撃を待った。

ああ、悪いな母さん。俺……。もう……。

その時



「破ァーーーーーーーーー!!!」
俺と一緒に召喚された寺生まれのTさんが気かなんかでギーシュのゴーレムをぶっ飛ばした。
「この勝負俺が預かる!」
「何を馬鹿な! これは決闘だ!」
「ならば俺が代わりに相手だ」
ギーシュがさらに六体のワルキューレをだすもやっぱり気とかそんなので
全部纏めてギーシュごとぶっ飛ばした。
寺生まれってやっぱりスゴイ。薄れゆく意識の中でそう思った。


2ちゃんねるコピペより寺生まれのTさん召喚
862名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 04:10:45 ID:2vPi47H9
ごめん「破ァーー!!」じゃなくて「破ぁ!!」だった。
863名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 06:22:41 ID:VuBoQAB/
うわー、確かに強いがよりにもよってセクハラ魔人のカイエンかよ!
果たしてルイズが奴を制御出来るのか見物ですね
864名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 06:32:39 ID:JhuR93qq
征服の人乙!
カトレア姉様カリン様、ヴァリエール家関連の人がどうなっているか気になるなあ
一応はアンリエッタを立てているなら王家への反乱ではないとルイズのやることに眼をつぶっているか?
865名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 07:21:59 ID:t9pJI0ay
>>804
勇者のパーティには普通に犯罪者とか加わってたけど、常に悪とは真っ向勝負だったからこその勇者。
有り様を偽ってしまえば奇跡は汚れ精霊はそっぽを向く。これでは勝てぬ。
866梅ネタ魔導物語より:2008/09/24(水) 09:02:21 ID:+izX0zat
ルイズに召喚され、唯々諾々と従っていたシェゾ・ウィグイィ。
しかしそれは、ルイズの魔力をおのが物にせんとする、シェゾの巧妙な罠だった!

シェゾ「ルイズ!お前がほしい!」
ルイズ「いやぁぁぁぁぁ!(エクスプロージョン)」
(爆発)
シェゾ「む、むねんっ!」
ドサッ


ホントは長編でも書いてみたいんだけど、こいつ媒体によって性格も能力もいろいろ違うから安易に手ぇ出せないんだよなぁ……
867名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 09:19:01 ID:0nsED4bM
投下された皆さん乙&GJでした埋め
今回の鋼氏の投下銀の戦車とかホルス神とかいませんかw
868名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 09:47:46 ID:fTuoTTZ/
>>860
ヤバイ、カイエンはマジで見たかった。
もういっそこのまま続けてくれ!奴のあらゆる意味で期待を裏切る
無軌道っぷりをもっと見たい!ぞっ!!
869名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 11:00:57 ID:brLh5Dhh
500kbならアロマはガーターベルト装備
870名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 11:08:23 ID:cdUGACkG
アロマと言われるとカプセルの代用品もどきが出てくる
というか次スレにばっかり構ってないでこっち埋めようぜ
871名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 11:58:36 ID:psCfJ6bB
500kbなら超鋼女セーラからベッキー召喚
872名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:07:02 ID:g6vPoJWA
>>871
考えてたネタ取られたっ!?
しかしベッキーを絢乃から引き離すのはちょっと…。
ということで作者同じつながりで権田原権三通称ごんちゃん呼ぼうZE!
ワルドとの雷撃対決とか見たい。
873名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:14:21 ID:2iCmcp/E
>872
ルイズを逆召喚してゼロ番長と呼んでやりたい
874名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:31:27 ID:n9ff0NwE
>>865
ロト紋の竜王(=1のりゅうおう)は異魔神に殺されたし、倒すだけなら別に正義じゃなくてもいいとおも
そもそもルビスの加護なんてあるか微妙だし
875名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:33:07 ID:QloaLKI0
>>874
ロト紋の竜王って一回死んでるんだっけ?
だとしたらどうやって復活したんだ?
876名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:36:05 ID:g6vPoJWA
>>875
最終回で世界樹の花が咲いたからその恩恵で。
正直ロト紋は大好きだがあれがドラクエTにつながるとは到底思えないw
877名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:37:35 ID:+qQP3HPO
ロト紋の竜王が「せかいのはんぶん」とか言っても説得力ないわな。
878名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:37:37 ID:n9ff0NwE
>>875
あれ、死に掛けただけかな?
とりあえずフルボッコにされて食われかけてる記憶はあるんだけど、その後逃げのびたんだっけか?
879名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 12:44:18 ID:QloaLKI0
>>876
あー、あれか
思い出した思い出した
880名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 16:41:17 ID:sGap0c4A
個人的にロト紋はパラレルだと思っている。
881名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 17:02:26 ID:7O1gMp+7
>>880
・3→ロト紋→(継ぐ者達)→1→2

・3→→→1→2
   ↓
   →ロト紋→(継ぐ者達)

このどっちなのか、ってことだよな
連載時は普通に下だと思ってたんだが、実際のところどうなのかね?
882名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 17:09:15 ID:ksHALF51
ロト紋読んでないなぁ。
藤原カムイだっけ?
この人の絵があんまり好きじゃなかった。
というか無理矢理絵柄変えてこの絵だったんだよな。
前の方が良かったけど、後の方が売れているwww
883名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 17:26:13 ID:VFBKIY0K
ゲームはゲーム、漫画は漫画で独立だろ
漫画はあくまでゲームの設定使ってるだけでしょ
884名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 17:37:51 ID:zf9iFKc9
その辺は読者の取り方次第ってことでいいんじゃまいの。
俺はあの作品好きだよ。
885名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 18:23:47 ID:DKjFCNqC
何もゲームと独自解釈コミカライズを同一ラインに無理矢理乗せて解釈するこたーないだろう
886名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 18:33:02 ID:w+X+4YJ7
何故かキーファがロトの子孫になっちゃうしな
887名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 18:57:51 ID:pj0Hu2qA
>>886
それは最初から仕組まれた伏線だろう?
グランエスタード城にある剣を知らないのか?
888名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:01:44 ID:zf9iFKc9
まぁスレ違いだしこの辺にしておこう。
クロス元の話で盛り上がるのはよくあることだけどそれでスレを消費するのもな。
889名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:06:00 ID:C8Qcaub7
それなら埋めの作業に入ろうか
次スレが進んでいるのにここがまだ残っている
890名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:08:50 ID:zf9iFKc9
そういえば次スレ立ってるの忘れてた。
じゃあ別にスレチの話題でもいいか^^
891名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:17:37 ID:XBvqz0mF
キーファって子孫だったのか
7やり直してこようかな

梅梅
892名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:21:01 ID:Sc5Znheo
別にいいけど、結論の出ない話題だな多分
まあこういうのをgdgdやるのは楽しいもんだがw
ではちょっと話題をずらして

ロト専用装備は勇者以外の人間には使えないけど、
じゃあ虚無専用装備(?)も最終的には一人で全部装備(?)したりするんだろうか
……複数装備するメリットがないか?
893名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:23:34 ID:TDeusLuR
んじゃ500kbなら宇宙英雄物語から死神の盾召喚っと
894名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:28:16 ID:pj0Hu2qA
ガンダールヴ専用装備なら
近代兵器を扱える人間が限られる時点で
かなり使い手が絞られるが、戦車とゼロ戦を同時に装備が無理だなwww
895名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:32:50 ID:Sc5Znheo
>>894
ははは、お前も子供の頃におもちゃの戦闘機と戦車を合体させて「これで最強〜!」とかやっただろ?w
……え、皆やってるよね!? やってるって言えよ!!


……まあそれはともかく
単に祈祷書と香炉とオルゴールってそれぞれ視覚、嗅覚、聴覚っていう風に分かれてるから、
この辺まとめて使えばなんかおこるのかと
……最後の一つは味覚?
896名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:36:54 ID:SMnZ1X+X
味も見ておこう……

触覚じゃね?
897名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:37:48 ID:C8Qcaub7
どこの調味魔導だそれは
898名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:37:58 ID:Sc5Znheo
始祖のプチプチ(ツンデレボイス付き)か
899名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:40:20 ID:9YO1PUaB
痛覚で鞭に決まってるだろJK……

ルイズの最強装備だぜwww
ただし味わうほうだがなw
900名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:53:59 ID:XBvqz0mF
次は第六感だな
901名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:55:48 ID:Sc5Znheo
一つ飛ばしてセブン・センシズだよ
902名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:56:05 ID:hBolNior
そしてセブンセンシズと阿頼耶識だな
903名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:56:29 ID:UdteIAiz
ああ、次は小便だ……

500KBならくま召喚
904名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 19:57:33 ID:C8Qcaub7
お前らルイズを光速で動かすつもりか
905名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 20:00:39 ID:Sc5Znheo
光速で呪文詠唱したら無敵だしな
906名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 20:04:17 ID:7V7jTSih
口を200くらい増やして並列詠唱だろ
907名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 20:12:45 ID:kJcMviCc
>>866
魔導物語の小説あったよな、あれが比較的まとまってんじゃないか
908名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 20:17:56 ID:tuVFeIq4
ハルケギニアでもゲートって開けるかな?
ヨタハチとかゲートロボがないから誰を召喚するにしろ戦力ダウンだけど
909元ネタ:大昔のログイン巻末マンガ:2008/09/24(水) 20:23:05 ID:P3EB7Q/A
小ネタ一発

ずぱぁぁぁん!すかっ
「欲しい…奴の力が欲しいっ!!」

丸めたスクロールで壁をカサカサ這い回る使い魔をシバキ倒そうとするも尽くよけられるルイズ。
汗だくなのでサウナに入ると…

「や、奴が!このままでは遠赤外線の力で…」

カッ





ここにコックローチルイズの爆誕である。
910名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 20:55:54 ID:cdUGACkG
つーか匂いでどうやって呪文取得すんだろな
911名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 20:58:45 ID:SMnZ1X+X
>>910
下着を頭に被って覚醒するやつだっているんだ
どうにかなるだろう
912名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:04:52 ID:7V7jTSih
                    ,_,..,ィヽ,、       |
                   /;;::r‐〜-ミ、     |  
                 4~/へi::::::;/,ヘミ7     |  呼んだか?
                 '-l|<>|:::::|<フ1|i'    ノ  
                    l! '" |::::l、~`リ    へ
              /`ー、  ハー;";::i:::ヾイl! ,r'~`ヽ、 \
           ,.ィ" ri l i ト、 1:|`丶:;;;:イ' ill!7、 、 y;  ヽ、_` ー――
913名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:10:42 ID:mHqmxTPy
500kbなら神様のおきにいり&もふもふっ珠枝さま!から家神の珠枝様召喚
914名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:11:31 ID:0PLcRtW7
>>909
ゼロ魔の文庫を読んでいるうちに、作品内に入り込んだりするのですね?

嗚呼、インサイダー能力さえあればルイズと……。
以下略
915名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:13:21 ID:9YhZNwQ8
>>895
宇宙刑事の乗り物は大抵がその機能が付いてたし。
916名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:23:00 ID:rYyoPI3G
500kbだったら、





















キングゴウザウラーを召喚して、トリステイン魔法学院と融合。
917名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 21:26:02 ID:A+Xl4Ev8
500だったら、再生の炎オルファリルを召還。
918名無しさん@お腹いっぱい。
500なら、ちょっと停滞してる自作をまた再開する。
避難所でコメントあって嬉しかったしねー