あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part171
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part170
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1221370902/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950 か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
1乙
5 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/17(水) 23:43:26 ID:Qv1SfADI
乙です
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html ・Jane Style(フリーソフト)
http://janestyle.s11.xrea.com/ ・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
前の作品投下終了から30分以上が目安です。
【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は応援スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。
【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
このぐらいまで単純化できそうな気がする。 爆発召喚 キス契約 「ゼロ」の由来判明(教室で爆発) 使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦) デルフ購入 フーケ戦 舞踏会 最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち 爆発 平民プゲラ コルベール問答無用さっさと汁 キス契約 フライに唖然とする 説明はぁどこの田舎者? 何者であろうと今日からあんたは奴隷 二つの月にびっくり 洗濯シエスタと接触 キュロケフレイム顔見見せ みすぼらしい食事厨房でマルトー 教室で爆発片付け 昼食シエスタの手伝い香水イベント オスマンコルベール覗き見 ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w ルイズ寝取られの歴史を切々と語る 休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと この段階でフーケは絶対つかまらない 翌朝捜索隊保身に走る教師一同 教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ 小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない オスマンから褒章 舞踏会 終わり 途中飛ばすけど、 対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
9 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/17(水) 23:59:19 ID:5TIKK0LA
>>1 乙
最近おもしろいのは「虚无(ヤクい)使い魔」と「ゲーッ!熊の爪の使い魔」だな。
主人公の性格がトンでるのより普通な方が良作度高い気がする。
前半省略 キュルケ「どうルイズ?私の使い魔を見た感想は」 ルイズ「私だってやってやるわよ!!」 ルイズ『サモンサーバント!!』 使い魔『ピッピカチュ〜』 ルイズ「まともなのが来た…の?」 キュルケ「あっ!!私のサラマンダーにちょっかい出さないで頂戴!!」 使い魔「ヒトカゲ〜」 使い魔「ピ〜カピカ〜」
まんま風船氏のにしか見えないのだが。 まぁポケモン系は大抵同じようなのになっちゃうような気もするが、 どうせならキュルケに呼ばれるのが他のほのお系のポケモンにした方がいいのでは。 ってほのお系ってあんまりいないんだっけ? みず系はやたらいたような気がしたが。
500種類もいりゃ炎タイプだって幾らでもいるよ
15 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 00:19:46 ID:ch+Oqw5s
今、天になき星々の群れのフリーダ・ゲーベルが召還されるのを今書いてるんだが ………きっと誰も知らないだろうな。マイナー過ぎて。 wiki見たら円環少女やアーマードコアやガンヘッドがあって吹いた。
16 :
松下 :2008/09/18(木) 00:20:02 ID:Odep5N6G
……おお、もう一ヶ月経ってしまった。お久しぶりです。 30分に投下予約しときますね。
パナソニックへの変更はいつですか 支援
なんかえらい言われようですが、支援してくれる方もいますし投下しましょか。 《神はまた言われた。 「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ果樹とを地の上に生えさせよ」。 そのようになった。…神は見て、良しとされた。夕となり、また朝となった。第三日である》 (『植物の創造』:旧約聖書『創世記』第一章より) 地獄の深淵をフネで飛び越え、松下一行は反逆地獄の中心……『悪魔大王』へと向かっている。 「ルイズさん、起きてください。到着しましたよ」 「ん…………ああ、おはようサトウ……ミスタ・サトウ。案外早かったわね」 地獄に落ちて三日目、と言っていいのか。ルイズは佐藤に揺り起こされて目を覚ました。 寝起きには少々ショッキングな容貌の佐藤だが、言動は紳士的と言ってよい。育ちはそれなりに良いのだろう。 異形の『案内人』は、ここまで松下と喋り続けていたようだ。 窓の外を見ると、黒くごつごつした岩肌が見える。フネの後方にはオロロン、オロロンという異様な風音が響いている。 悪魔大王とやらが口や鼻から噴き出している、霊魂の吹雪の放つ音なのだろうか。 「お蔭で、精神力もだいぶ回復したわ。……で、ここはどこなの」 「悪魔大王の頭上、ですね。現世へ帰還するための座標は頭頂部ですので、もう少しです。 ただ、私はここらでお別れとなりますが……」 松下は疲れた様子もなく、占い杖を手にして座席から立ち上がった。 「話し相手としては面白かったよ。もうぼくらがここに来ることはないと思うが、達者でな」 「みなさまも、どうぞ息災で……ささ、出口はこちらです。降りられましたら、そのまま真っ直ぐお進みください」 タラップを降りて上陸すると、確かに足元は赤黒く固まった熔岩のような、不毛の地だ。 しかし、ずっと向こうの小高い丘には、なにやら鬱蒼と樹木が生い茂っているではないか? 「ねえ案内人、あれは…………あれ、いないじゃない」 ルイズは振り向いて再び案内人を呼ぼうとしたが、彼らはすでにフネごとどこかへ消えていた。 「化かされたような感じだが、冥土ではあまり後ろを振り向かない方がいいぞ、ルイズ。 仕方ないな、真っ直ぐ進んでいくほかあるまい」 松下、ルイズ、シエスタ、佐藤は気を引き締め、力強く現世への道を踏み出した。
30分ほど歩くと、聳え立つ針葉樹の深い森が眼前に広がっている。 小さな道らしきものはあるが、森の中は全くの暗闇だ。松下が占い杖に魔法の光を灯し、先に立って進む。 暗い森を抜けると、やや開けた明るいところに出た。空には太陽もないのに、なぜか明るく暖かい。 そこには小川が幾筋も流れ、さまざまな草木が生い茂り、花が咲き乱れ、瑞々しい果実がたわわに実っているではないか。 「あっ、なんだか楽園みたいなところじゃないの……」 「葡萄に無花果、これは柘榴、それにアルビオン名産の桃リンゴ……。 野菜や果物がたくさんありますねぇ」 林檎、洋梨、マルメロ、花梨などの仁果類。 杏、梅、サクランボ、李、桃などの核果類。 アーモンド、栗、胡桃などの殻果類。 ブルーベリー、ラズベリー、桑の実、苺、木苺、蛙苺などの漿果類。 蜜柑、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、柚子などの柑橘類。 アケビ、柿、グミ、苔桃、山桃、棗、枇杷。 熱帯果樹ではナツメヤシ、ココヤシ、パイナップル、バナナ、パパイヤ、マンゴー、アボカド、ドリアン。 地面には芋やら根菜やらが盛んに葉を出し、大きな西瓜やメロン、カボチャの類も無数にある。 季節も産地も異なる草花や果実が、ここでは奇妙な調和を保って共存している。 「なんだこりゃあ、地獄の中心に楽園とは」 「いつぞや訪れた、蓬莱島みたいですなぁ」 「同じ木に、花と果実が同時につくなんて……」 「こっちの小川からは、蜂蜜や葡萄酒の香りがしていますよ!」 一行が意外な光景に見とれていると、奥の方から黒い犬のようなものが近づいて来た。 「むっ、気をつけろ諸君、あの犬からは妖気がする。それに硫黄臭い」 「そりゃあ、こんなところにまともな犬がいるとは思えないわよね」 警戒しつつ話し合っているうちに、黒い犬は後脚ですっくと立ち上がり、しゃがれた人間の言葉で挨拶をした。 「やあ、遠路はるばるようこそ。お前さんたちがメシア、《東方の神童》松下一郎ご一行かな?」 やはり尋常の犬ではない。名前を呼ばれた松下が進み出て、応答する。 「そうだ。この地獄の底から地上へ戻るために、我々はここへやって来た。で、きみは誰だ」 「ははは、おれぁまぁ、悪魔のたぐいさ。 大体の事情は聞いている、この園の中心部へご案内してさしあげよう」 どうやら、ここから先は彼が『案内人』というわけらしい。
黒い犬はそう答えると、前足を猿のような手に変化させ、よく熟れた桃リンゴの果実を一つもぎ取った。 ルイズは怪訝げな表情のまま、おずおずと彼に質問する。 「あの……ここは地獄、のはずよね? でもこの光景は、あまりにも地獄らしくないわよ」 「ご覧の通り、地獄にも楽園みたいな場所はあるのだ。どうだい、ひとつ」 「遠慮しとくわ。とても美味しそうだけど、ここのものを食べたら生き返れないんでしょう?」 「残念だなあ、こんなに美味ぇのに……」 ガブリ、ムシャムシャと悪魔はこともなげに果実を味わう。 いつの間にかその両足は、驢馬のように蹄のあるものに変わっていた。 「……さ、ともかくおれの後について来な。もうしばらく歩くから、雑談でもしながら行こうや」 二足直立のまま振り返ると、悪魔はスタスタと歩き始めた。四人は言われるままに、彼の後に従う。 あたりは本当に清らかなほど明るく、空気は澄んで芳しく、ほどよく暖かい。足元はふかふかした緑の芝生だ。 チピピピ、と美しい声で小鳥が歌い、樹木の枝陰には小動物が群れ集い、鹿やイノシシ、一角獣の姿さえ見える。 霊体になっている今はあまり寒暖の差を感じないが、今までの極寒地獄とは天と地の差である。 「……信じがたいけど、本当にここは楽園なんだわ」 「本当は、楽園のかけらみたいなものだ。『悦楽の園』と呼ばれている。 むかし悪魔大王が人類の祖先を堕落させるため、楽園に忍び込んだとき、頭上にちょいと種子が入り込んだらしい」 彼は歩きながら桃リンゴを食べ終わると、近くの低木の枝からまた一つ、見慣れない赤い果実をもぎ取った。 「……なにそれ、林檎(ポム)?」 「ああ、『黄金の林檎(ポム・オ・ドーロ)』……ポモドーロ、トマトというのだ。 またの名は『愛の林檎(ポム・ダムール)』だってよ。茄子の一種で、林檎とは全く別種なんだがな」 ガブリ、と一口齧ると、果汁がぽたぽたと地面に滴り落ちる。なかなか美味しそうだ。 ハルケギニアには地球の欧州でいう『大航海時代』がなかったのか、いわゆる新大陸産の植物は伝わっていないらしい。 もしくは存在していても、まだ有毒で食用には適していないと考えられているのかも知れないが。 《私の愛する者が若者たちの中にあるのは、林の木の中に林檎の木があるかのよう。 私は大きな喜びをもって、彼の陰に座った。彼の与える実は私の口に甘かった。 彼は私を酒宴の家に連れて行った。私の上に翻る彼の旗は愛。 干し葡萄をもって私に力をつけ、林檎をもって私に元気をつけて欲しい。 私は愛のために病みわずらっているから。 どうか、彼の左の手が私の頭の下にあり、右の手が私を抱いてくれるように!》 (旧約聖書『雅歌』第二章より)
「―――ところで、今度はおれから、お嬢さんに質問だ。ああっと、ミス・ルイズ・フランソワーズだっけか? たとえば林檎ってあるよな、林檎。 その林檎はなぜ、枝から離れるや地面に落下すると思う?」 唐突に悪魔に問い掛けられ、ルイズは目をぱちくりさせた。林檎が、地面に落下するのはなぜ、だって? 魔法が科学技術の多くを肩代わりしているハルケギニア文明世界でも、それなりに宇宙観、自然哲学は存在する。 しかし、空中に浮かび上がる『レビテーション』や『フライ』の魔法や『風石』などはあるものの、 《物体がなぜ落下するか》という根源的な問いに、はっきりした答えは実のところまだ発見されていない。 ルイズは不安そうに、松下の方をちらっと振り向いた。 「…………マツシタとか、学院やアカデミーの人なら、気のきいた答えが返せると思うけど……」 「質問されているのはきみだ。きみだって高等教育を受けて来たはずだろう。 授業で習ったり書物で読んだりしたことはないか?」 すげなくボールを投げ返され、仕方なくルイズは自分の学んだ知識を披露する。 松下を召喚して以来、常識はずれなことばかり起きているので、自分の常識もおかしくなりそうだが。 「……うーん、そうね、昔からいろんな説があるけど、私は一応こんな風に学んだわ。 万物は四つの元素、土・水・風・火から成り、それぞれは独自の性質を持つ。 一番重いのは土だから、それは自然に凝集して不動の大地となり、次に重い水がそれを包んで海や河川、蒸気となる。 風は大気となってそれらを覆い、向上する性質を持つ火はその上にあって太陽などの天体となる。 ならば林檎が地面に落ちるのは、それが土から生じるもので、あるべき場所たる土に帰るから、と。 まあ一番普及している答えは、そんなふうに神様が世界を創ったから、になるけどね」 自信なさげにそう答えて振り向くが、松下や佐藤は黙ったままだ。シエスタは笑顔で肯いている。 くっくっ、と悪魔は含み笑いをした。 「そういうふうに神様が創った、か。まぁ、そうかも知れねぇな。うん、いいセンいってるぜ」 悪魔は食べかけのトマトを掌の中で変化させ、自転する卵のような小宇宙の模型を現出させた。 「ついでだから、その宇宙についてもう少しお勉強だ。 お嬢さんの言う四大元素による層の上に『エーテル』という第五元素、霊的な光とか生気、の層を置くこともあるな。 これは天球層と言って、月より上にある諸々の輝く天体を構成し、絶えず球状の大地、《地球》の周りを回転運動している。 その階層は七つとも九つとも言われ、最上層には造物主、運動の原因である神が座している。 つまりァ、天国だ。どうだい、なかなか壮大な宇宙じゃないか?」
相変わらずぶっ飛んでるセンスだぜ。クールだな支援!
「……まあ、理にかなってはいると思うわ。 で、ここは地獄……地球の中心、つまりあんたの言うところの宇宙の中心というわけね。 そんな位置に悪魔大王なんて物騒なのがいるのも、どうかと思うけど」 ルイズはフウッと溜息をつく。大体地獄の底と言っても、この道は頭頂部への上り坂ではないか。 悪魔は小宇宙モデルをもとのトマトに戻し、一口でゴクリと呑み込んでしまう。 「うっほん、まぁ、そういうことだが……古くから、別の説も提唱されてきた」 今度はオレンジをいくつももぎ取って、頭上に投げ上げる。 すると一つの大きなオレンジを片方の焦点にして、空中で楕円軌道を描くように他の実が回り始めた。 「地球は宇宙の中心にはなく、こんなふうに太陽の周りを、他の星々とともに回っているのだと。 宇宙の摂理を司るのは、人格を持った神や天使・精霊ではなく、『数』……数学的法則であると。 そして四大元素も突き詰めていけば、それ以上分割できない最小の微塵、原子(アトム)である、とね」 それを聞いて、ハッ、とルイズは息を呑んだ。 ―――――四大元素より小さな、最小の微塵の粒。 それはひょっとして、あの『始祖の祈祷書』に記されていた『虚無(ゼロ)』の魔法が操るというものではないか? 先を歩く悪魔は足跡に火花を残し、手を後ろに組み、尻尾を蛇に変えてくるくる回している。 頭からはニョキッと山羊のような一対の角が生え、いよいよ悪魔じみた姿だ。 やがて前方に、非常に巨大な古木が聳えているのが見えてきた。高さも太さも、学院の本塔よりずうっとありそうだ。 比較的低い場所にも広々と枝を広げ、無数の林檎らしき実を星々のようにつけている。 ラ・ロシェールの町にあるような『世界樹』というものだろうか? あれは枯れ木だが。 それらを見ているうちにふと、ルイズの頭には疑問が浮かぶ。 「でも、もし大地が、地球がぐるぐる動いていたら、その上にあるものはみんな吹き飛んでしまうんじゃないかしら? それに、なんで地球や惑星は太陽の周りを回転しているの? 別に紐で結ばれているってわけでもないのに」 「ふふん、賢いお嬢さんだ、実にもっともな疑問だねぇ。 それを説明するために、天文学者ケプラーによって引力、つまり『物が他の物を引きつける力』というものが想定された。 磁石が鉄を引きつけるような、遠隔的に働く不思議な力だな」 悪魔の頭上には、オレンジの飛び回る宇宙モデルが浮かんだままついてきている。 「アイザック・ニュートンという自然哲学者は、この引力に一定の普遍的法則を発見した。 これは『2つの物体の間には、物体の質量に比例し、2物体間の距離の2乗に反比例する引力が作用する』というもので、 逆2乗の法則……一般的には『万有引力の法則』として知られている。 なぜ地球は林檎の上に落下しないのか? 地球は林檎より遥かに大きな質量を持つからだ。 そしてこの万有引力は、月を始めとする天体にも同様に存在して働き、それぞれの動きを司っている――――」
支援
もはやルイズにはさっぱり理解できないレベルになってきた。 が、博学な悪魔は家庭教師にでもなったつもりか、かまわず授業を続ける。 「ニュートンの科学的業績は彼の前半生に集中している。 プリズムによる光の分析。二項定理と微分積分(流率法)の発見。力学の研究。 それに万有引力の法則……まさに彼は、自然哲学と数学の偉大なる天才だった。 だが後半生のニュートンは、造幣局長官として国家に仕えるかたわら、錬金術と神学研究に没頭した。 彼は理神論の立場から三位一体を否定したし、世界の終末がいつ来るかなんてことも予測しようとしたらしいな」 「「?????」」 「まあきみ、そのぐらいにしたらどうだ。どうも理屈が多くていかんな。 ぼくや佐藤には分かるが、ルイズやシエスタは理解の範疇を超えて目を回している」 「いやぁ、こりゃ失礼。なにせ悪魔だけに、つい悪い癖が出ちまう」 巨大な古木の根元まで来て、ようやく悪魔の逍遥講義は止まった。 「――――さあお待ちどう、到着したぜ。ようこそ地獄の底の底へ。 ここが大地の中心であり、悪魔大王こそ世界の最底辺、地球の半球の境目なのだ。 そして霊的に言えば、彼の背負う『罪の重さ』が、万物を大地に引き付け、堕落させるというわけだな」 悪魔は虚空からステッキを取り出し、くるくると回転しながら炎と煙に包まれる。 やがてその中から現れたのは、長身痩躯の年老いた男。 黒い燕尾服に蝶ネクタイ、背中に纏うは赤マント。 眼光鋭くして鼻と顎は長く尖り、灰色の髪は耳元を覆うが、頭頂部は禿げ上がっていて角が一本突き出している。 その顔つきは佐藤、いや『ヤモリビト』の仮面そっくりではないか! 「「!?」」 ふわりと禿頭の上に、黒いシルクハットが着地した。そのツバを、白手袋をした悪魔の指がつまみ、ちょいと持ち上げる。 「さてと、改めてご挨拶しようじゃあねぇか。 おれは地獄の大公、その名も高い悪魔、メフィストフェレスだ。うっほん、諸君よろしく」 《お前はエデンの園のどの木からでも、心のままに取って食べるがよい。 しかし、『善悪を知る木』からは取って食べてはならない。それを食べると死ぬであろう》 (旧約聖書『創世記』第二章より) (つづく)
28 :
松下 :2008/09/18(木) 00:42:04 ID:Odep5N6G
投下終了、支援感謝。 松下一郎は出会ったことのない、悪魔メフィスト登場です。 ハルケギニア人の宇宙観がよくわからないので、四大元素説からアリストテレスの宇宙論を援用してみました。 原作でこのへんの話が違った感じで出てきたら……まあ、そのときはそのときで。 トマトが一般的な食材になったのはわりと新しいそうですがね。 さて、ルネサンス、大航海時代、宗教改革及び宗教戦争と来て、17世紀には『科学革命』が起こります。 近世と近代の狭間に生きたニュートンは、わりとマッドサイエンティストっぽい人だったようですなぁ。 ちなみに彼が林檎の落ちるのを見たという1666年頃は、ロンドンでペストが大流行したあと大火災が街を焼き尽くし、 トルコでユダヤ人のメシアが即位するという、なんとも黙示録的な時期でした。ほぼ300年あとに松下が死んでますな。 では、また。
GJ!
ナショナル氏乙 12使徒の一人にメフィストフェレスがいるのは2作目の悪魔くんでしたっけ?
31 :
12 :2008/09/18(木) 01:01:33 ID:L0oDKIX6
>>13 もうポケモンは既出だったのか……
ポケモンスタープラチナ見てたら思いつきで投下してしまった
ポケモンはかなり多く召喚されてる しかし、既出だろうとなんだろうと関係ないのがこのスレ
メフィストは兄なのか弟なのか そもそも実写版は組み込まれてるのか気になる
ポケスペキャラって召喚された?
ポケモンはそれなりに種類が出てるけど それぞれの特徴とかを生かせれば問題ないと思うよ 何せ何百匹も居るんだし
カエル顔の大飯食らいの少年とペンギンを召喚 人間でもカエル顔だとやっぱりルイズはいつも以上に嫌がるか?
風助は確実に「風の先住」使いと認定されるな
カエル顔の人より常時ふんどし一丁の人の方が嫌がられると思う カエル顔はむしろ亜人と勘違いされて喜ばれるかも
126 :名無しさん:2008/09/18(木) 00:37:30 ID:3/azlj0w 悪魔くんやばいくらいツマランな あーいうのをオナニーssって言うんだろうな チラシの裏でやって欲しいわ
考えたが忍空だと黄純が一番おもしろそうだな 能力的には強いけど些細なことで手首を切りたがる使い魔
黄純よみてえなw
久しぶりに覗いてみたが低年齢化がさらに進んでるなぁ・・・ てかまだ偽コピペ張るためだけに張り付いてるNEETいたのか
松下氏乙
毒吐きからわいた連中などスルーしてください。続きにwktk
>>44 頭のかわいそうな奴は何処にでもいるもんだ
>>44 まぁ、あそこまで来たら気違いの域だから触らない方が
47 :
ゼロの社長 :2008/09/18(木) 06:43:04 ID:wuJ9alN6
第2話…っていうよりほぼ0話になる分が完成したので、15分後に投下します。
ではしえん
支援ありがとうです そりではいきます アテムと遊戯の戦いの儀より数ヶ月 天を貫かんが如く、天高くそびえ立つ高層ビル、海馬コーポレーション本社ビル 突風が吹きすさぶこのビルの屋上で、対峙する二人の決闘者(デュエリスト)がいた。 「僕のターン!手札より、レッドガジェットを召喚!レッドガジェットの効果により、 手札にイエローがジェットを加える!」 歯車から手足が生えた機械の戦士が対峙する決闘者の一人、武藤遊戯の前に召還 される。 今はいない、彼自身であり最大のライバルであるもうひとりの自分 『アテム』と 戦った時に、ともに闘った3色の歯車の戦士の一人、レッドガジェット。 「さらに、僕はカードを2枚伏せ、ターンエンド」 ガジェットの後ろに、2枚の伏せカードが現れる。 そして、遊戯に対峙するのは、このビルの主であり現在世界で屈指のデュエリストとなった、 海馬瀬人であった。 「俺のターン!ドロー!手札より、魔法カード大嵐を発動する!」 ソリッドビジョンにより現れた大きな竜巻が、遊戯の場の伏せカード2枚を破壊していく。 破壊されたカードは、聖なるバリア−ミラーフォース−、そして、起動砦ストロングホールド。 「しまった!!」
「ふん!雑魚モンスターをあえて攻撃表示で残す事で、こちらの攻撃を誘い、 罠カードで反撃する目論見だったようだが、甘いぞ遊戯! その程度の戦略でこの俺を倒せると思うな! 手札より、古のルールを発動!」 デュエルディスクにカードを挿入すると、フィールド上に巻物が現れ消える。 そして、後に現れる強大な力を秘めたモンスターの登場を恐れるかのように、 場を嵐が吹きすさぶ。 「このカードの効果により、手札からモンスターを生け贄無しで通常召喚することができる。」 海馬の手札が輝いたように見えたのは、決して気のせいではないだろう。 デュエルモンスターズの世界にいまや3枚しか存在しない究極のレアカード、 そして、海馬瀬人の最も信頼するモンスターがフィールドに召喚される。 「出でよ、青眼の白龍!」 フィールドに咆哮を放ち、全身純白にして美しい蒼き瞳を持つ龍がフィールドへと召喚される。 「青眼の…白龍!海馬君の最強のモンスターが、1ターンで出てくるなんて…」 遊戯は自分の予想の甘さを反省した。 こんなにも早く、相手の最強のモンスターを場に出させてしまうなんて。 「己の愚昧な策略を呪うがいい!青眼の白龍の攻撃!滅びのバーストストリーム!!!」 攻撃力3000を誇る青眼の白龍の必殺技が、遊戯の場のレッドガジェットを 塵も残さず粉砕した。もっとも、青眼の白龍の攻撃を受けて倒れないモンスターなど、 殆ど存在しないが。
「うわぁぁぁぁぁ!」LP4000→2300 あっという間に遊戯のライフが半分近くまで削られる。 それほどまでに、青眼の白龍の攻撃は強靭であり、最強であり、そして無敵であった。 しかし、もくもくと上がる煙が晴れようとしたそのとき、異変は起こった。 「ぬっ!?何だこれは?」 海馬の目前に、今までそこには無かった"光る鏡"が現れたのだ。 あまりにも突然の出現に、海馬だけでなく、向かい側にいた遊戯までも思わず身構える。 ソリッドビジョンではありえないそこにあるという感覚。 だが、糸もなしに鏡がふわふわと浮かぶなど現実にはありえない。 海馬が思わず手を伸ばし、その鏡に触れた瞬間、その場は閃光に包まれた。 「なにぃっ!?ぬああああああ!!」 まばゆい光の中で、遊戯は海馬の声を聞いた。しかし、目の前は閃光で埋め尽くされ 海馬の姿はおろか、周りを見ることすら出来ない。 「!?海馬君!?いったいなにが!?」 閃光が収まり、辺りが元通りになったとき、遊戯はすぐに気が付いた。 いきなり現れた不思議な鏡とともに、今まで目の前にいた、海馬瀬人の姿がなくなっていることに。 こうして、ゲートをくぐりぬけた海馬瀬人は、世界を越えてハルキゲニアの土を踏む事となった。
>>35 レッドが召喚された事はあるけど、ポケスペのではなくゲーム寄りのキャラだったな
以上です。 短めであれですが、一応ギーシュ戦位までの目処が立ったので、出来上がり次第順次投下したいと思います。 …しかしゼロ魔SSを描いていたつもりが遊戯王SSになっていた…不思議
あれって立体映像じゃなくて実物出てくるん?
ルイズがビッグオーを召喚とか見たいけど、無理かなー。 自分の意思があるっぽいし、ロジャー以外をドミュナスとは認めなさそう。
ググったらコブラもすでに召還だったのか まあコブラ召還してももともと剣も使えるし雲の上から落ちても生きてるからな……
エセ紳士ロジャ−ごとでいいんじゃないかw ベックだと造ることも出来てお得かも
58 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 08:41:46 ID:z9+SYnU9
前スレ1000は責任持って書くように。 あと、1Zなんだよ。
59 :
前スレ1000 :2008/09/18(木) 08:42:50 ID:qHWoCEla
うはー。やっちまった、初の1000ゲト。 よーし。完結目指していっちょうやったるか!
>>57 自分で書こうかなーとか思ったりもしたけど、交渉場面を上手く書く自信が全く無いので諦めました。
あー、でもロジャーなら交渉関係無しで、ビッグオーでショータイムとアクションさせるだけでもいいのかな?
いっそのこと真実の求道者であるシュバルツ・バルトをですね… コッパゲ先生と一緒になってビッグ・デュオの周りをくるくる回ってそう。 キン肉マンからウォーズマン召喚なんて考えたが、基本が素手なキャラは難しいな。 だってデルフの扱いが…
>>62 お前は何を言ってるんだ?
あれはただのかわいいクマちゃんじゃないか
ウォーズゲフンゲフン、既に召喚されていたのね 最近まとめしか見てなかったから知らんかったよ 中身を知ったルイズがどんな反応を示すか楽しみすぐるw しかし身長2m超えで八頭身の熊のぬいぐるみを可愛いと言うルイズはちょっとずれてるな だったらバトルマンを召喚してですね…
みんなNarutoとか聖闘士とか、脳みそ筋肉な連中を喚ぶけど、頭脳派キャラは少なすぎる。 どんなマンガでも定番キャラなのに まとめの完結作品を見ても、ヘルミーナやヴィオラートのような技術者キャラ喚ばれてる あまりに我が道行きすぎて評判は悪いようだけど、薔薇乙女や提督も割と頭で勝負してる 自然にオリジナリティが出て良いと思うんだけどなぁ、頭脳派キャラ
66 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 10:09:48 ID:z9+SYnU9
さて、そろそろストパンの召還モノが読みたいです><
坂本少佐か智子、ビューリングあたりか? その他は基本的に重火器前提だろうし、ストライカーユニットを最初から装備かタルブでゲットかな 喚んだのが芳佳だったら間違いなくテファのおっぱいが狙われる。 アホネン大尉だったらルイズがレズ調教されるな。 エイラやサーニャはお互いを引き離すのが可哀想すぎる。エイラはともかく、サーニャだけだったら涙出る。
>65 まさにそのオリジナリティが少ない理由じゃないかなぁ。 原作のルイズ&才人の事態解決方法って徹頭徹尾力押しだから、 頭脳派キャラとなるとどうしても事態進行に差異が生じる (というか、生じないと頭脳派である意味がない)。 それだけでも難しいのに、そこに「ゼロ魔原作キャラは殆ど頭を使ってない」 ってのがついてくるから、頭脳戦でその手のキャラを相手に上手く立ち回れるキャラが ゼロ魔原作に殆どいない(無能王くらいか?)=下手をせんでも蹂躙になりやすい。 提督を支持する一方での凄まじいアンチを見てもその辺の一端は掴めるかと。
>>68 それはノボルがアホって事か?
読者が(ピー)ってことか?
ジョゼフとガチンコ頭脳戦でいいじゃん
>>69 内容が難しい上に、叩かれること確定じゃ、誰も書く気になれんだろ?
>>69 ジョセフを頭脳戦で倒すSSをお前に書けるとは到底思えないな
書き手より頭の良いキャラは動かせないのだから・・・
72 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 11:14:22 ID:z9+SYnU9
ルッキーニの縞パン最高
誰もが認める知性溢れるキャラでやるべきなんだよ! 呉学人とかコンボイ司令官とかドクターウェストとか! このメンツならどんな大惨事を起こしてもいつもの事さ!
まさかこんなに簡単なことを見落としていたとは……
呉学人がありとあらゆる汚い手を使ってルイズのために人材を集めるSSとか読んでみたいな 何で人材を集める必要があるかわからんけどな
77 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 11:38:41 ID:Zz4j7EaT
だれかアカギを呼んでくれ
78 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 11:56:26 ID:z9+SYnU9
こうですか? 実はヴァリエール家は借金まみれで、 ゲルマニアの赤毛に借金返済をせまられる。 ルイズは借金を返すためにアカギとともに ギャンブル船エスポワール号に乗る事にッ……!!
そういや伝勇伝のライナって呼ばれてないな ライナの眼はハルケギニアの魔法も複写出来るのか?
>>65 最近北斗の拳からユダ様が召喚されたじゃないか。
それはそうと、誰か熊ちゃんの外見載ってるサイト知らないか?
検索しても中身しか出てこないぜ。
誰か勇者シリーズを召喚せんかな。 谷田部三部作・ゴルドランならメンテフリー、ジェイデッカーなら燃料ガソリン、 と結構いける気はするんだが。
谷田部? ああ、ぴこの監督ですね
>>69 >>71 ノボルに会った事もないから断言は出来ないけど、
このスレでも時々見かける、登場人物が脳筋だらけだと作者の頭が悪いというのは
なんか違くね?
百歩譲って普遍的な法則としたら、頭の出来だけに当てはまる問題なのかなぁ
「登場人物は作者の能力を超えない」とすると人間の作者では神や異性を描けないのか、
なんて極論もあり得るのではないかな
まぁ作品内容と作者を混同する事自体どうかと思うし・・・
哭きの竜を召喚して、「ゼロのルイズが竜を召喚したぞっ!」て大騒ぎに… なんなんな でもジョセフに向かって「あんた背中が煤けてるぜ」て言わせてみたい やっぱどっかの時点で「だったら麻雀で…」の展開に持ち込まないとな
レートは点ヨルムンガンド
点F-15と違ってヨルムンだとガリアにしかないから成立しない気がする
対象とかテーマを持ってる作品と、作家はイコールじゃない。 そら当然。 極論に飛んでるけど あくまでも作者の認識と描写の範疇での「登場人物」なんだから 登場人物は作者の能力を超えられるわけないじゃんよー そこを、頭良く/格好よく見せるのが作者の腕でしょ。 その見せ方の底が浅いと、途端に薄っぺらく感じるわけで。
この場合は読者が求めているものをノボルが書き上げてるだけじゃないか? 正直ゼロ魔読者が頭脳戦なんてややこしいものを求めてるとは思えない
頭脳戦も良いが折角ルイズが「物質を直接爆発させる」という冷静に考えりゃ相当ヤバい能力を持ってんだから、 それを活かしてルイズの精神構造を「力こそパワー」って感じに変えさせる使い魔呼ぶ方が良いんじゃないか?
戸愚呂弟の登場か…… あと、頭脳戦だとゼロ魔キャラが置いてかれるような気がするな
92 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 13:25:03 ID:9BSuoEeb
ルイズがエルフェンのルーシーを召喚。 しかし、全員首チョンパされて全滅。
>>92 ルーシーなら小ネタに居るよ。読んでないから首チョンパかどうかは知らんが。
>>90 「力こそが全て。何か言いたきゃボーグで語れ」
これ思い出した
力こそパワーねぇ。 ルカ・ブライトとかバーン様とか……どっちも使い魔になってくれそうにないなぁ。
力こそパワーなら セクシーコマンドーとかよく分からない系の奴じゃないのか?
97 :
前スレ1000 :2008/09/18(木) 13:53:20 ID:qHWoCEla
>>92-93 人物は違うが、同じ作品から誰か来るのを執筆中。
暫し待たれぃ!
力こそパワー・・・・・・・・ブルース・バナーでも呼んどく? あるいは「ナイトメア・オブ・ナナリー」からダルクとか
( 〒) < 破壊!破壊だ! なVAVAとか
パワーファイターならこいつがいるでしょう。 つ【ラオウ】 死亡後ならば大丈夫。小娘が生意気な口を聞いたら即座に首をねじ切られそうだけど。
>>95 バーンさまなら姉妹スレで呼ばれてます
もっとも呼ばれた所で止まってるようですが
>99 ロックマンX5の覚醒状態のゼロ――と言うのも面白いかもしれない?
そういやロクゼロのゼロは呼ばれてるけどXのゼロは呼ばれてないな
岩本マンガのイメージが強いからじゃないかなぁ >Xのゼロ
一連の流れで、なぜかブラックゼウス(若)を思い出した俺。 とりあえずエクスプロージョンの使い方の応用は14巻で無能王がやってるね。
力こそパワーといえばフレイムコンボイ(CV若本) 若い女の子には優しかったりたじたじだったりする野生の紳士
よく考えてみたら銃に取り付けるレーザーサイトみたいな照準器を召喚して杖に取り付けるだけでもルイズ無敵になるんだよな。 銃と違って反動無いだろうし、弾を込める必要も無いし、失敗魔法は呪文によっては連射出来るだろうし。
力こそパワーといえば たまに現れる怪力系のルイズがたまらなく萌える 特に黒蟻は筋トレ描写があるのがナイス。
>>107 「私をゼロと呼ぶな!」と相手を爆殺していくルイズ
「ゼロ」は最初は成功率ゼロだったが
途中からぺんぺん草一本残らないという意味の「ゼロ」に…
>>110 城のつなぎ目だけを爆発させて、その城を崩壊させてた。
丸ごと爆発させんでもこうすりゃいいのよ、という良い見本だと思う。
>>111 俺の読み落としじゃなければ
あれって目視してない所を爆破してるよね。
>>112 城の構造を完璧に把握してるか、エクスプロージョン自体に自動ロックオン機能みたいなのがあるかのどっちかでは。
個人的には前者だと思うが。
>>113 >城の構造を完璧に把握してるか
俺もこれだと思うけどこれってすごい強力だよな…
ノボルがそこまで考えてたのかは知らんが仮に虚無の使い魔が
偵察向きの小動物だったら極めてチートだ。
>>111 なんか昔テレビで見たビルの壊し屋の人達が同じ方法使ってた気がする
ビルを支えてる柱だけを爆弾でぶっ壊してた
あれは爆破のプロかつ建築のプロの匠の業
実は虚無の魔法を使って壊したと見せたのは政治的、イメージ的なただのパフォーマンスで 無能王の知覚が及ばない範囲は爆薬を使って城の重心点となる部分を破壊したとかだと面白い。 爆破のノウハウは現代の本を読んだとかすればいい。色々考えれて夢が広がる。
つまり発破のプロを召喚だな。 こわしや我門あたりかな?
>>118 モモレンジャーに決まっているだろう!
もしくはこいつ↓
_____
/ ̄ ̄ ̄ ̄\,, /::::::::::::::::::::::::::::::`:::、/`ー*
/ ヽ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、
|____ | /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
|ィェァ ィェァ ,) | |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ,| l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
. ヽ , ′ |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
ヽ ___ /ヽ ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
/ |/\/ l ^ヽ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
| | | | l━━(t)━━━━┥
>>81 キスで人生踏み外すと言えばドランですね。
ルーン刻まれて使い魔の説明受けて、汗たらしながら
「私はまたやってしまったのか〜っ!」
と頭抱えるのがやたらリアルに想像できる。
>>120 後期穴掘る光線銃とか入手するからギーシュの使い魔になってもいいかも
>>120 その顔だと契約前に爆破されて逃げられるぞ
力こそパワーなら これって、新ビックリマンのブラックゼウス様(若本)の 台詞だったと思うけど、いまいち自信ないな。
125 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 17:26:06 ID:qfk1+ufb
>力こそパワー ここでまさかの橘千晶(メガテンV)登場とかどうだろ いつの時点で召還されるかによって大分流れが変わるけど
>>40 原作知らんがどんなんか読んでみた
めちゃくちゃ面白いじゃないかw
地の文がやべえ笑いが止まらんwww
>>126 というかスゲー原作っぽい気がする
だが悪く言えば悪魔くん分が強すぎてかな〜り一方的な感じはするかも
>>125 話的に面白くなりそうなのは
サカハギに片腕ちぎられてすぐ位じゃないか?
それ以前だとやたら度胸のある普通の女子高生だし
魔丞になった後はいきなり殺し合いになって終わりそうだし
>>113 ルイズは三巻で『レキシントン』号を死人出さずに墜落させてる、無茶苦茶器用に
つまり爆破前に完全透視してる
>>88 それが正解だろう
ラノベは小中高生がメインターゲット。なら知能レベルも思春期ど真ん中に合わせなきゃ
すなわち脳みそおっぱい
つか、ラノベの少ないページでは高度な戦術論や複雑な政略を書くスペースがない
でもなぁ・・・
「頭脳戦メインにしました」=ゼロ魔蹂躙
どんなバカ揃いの世界なんだよ
爆破のプロと言えばウルトラの太郎さんだろう ウルトラ五番目の使い魔でウルトラダイナマイトが出せるかどうか? しかし個人が違うと技の名称も変えるのはどうして? 地球人的にはスペシウム光線もワイドショットもメタリウム光線も同じにしか見えんぞ?
「頭脳戦メインにしました」=ゼロ魔蹂躙 ってことはないと思うし 事実頭脳戦メインにしたSSだって良作はあったっしょ ただ良作なせいで信者とアンチが生まれてしまった感もあるし 新しく投下されるのが良作だとしてもアンチは高確率でつくと思う 一方的なのはダメ&双方尊重ってのが所詮個人個人の価値観で変わるからな 要するに作家の勇気しだいだと思うぜよ
なんか、こう、きむちわるいレスですねぇ
133 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 18:03:02 ID:/zwJXgs9
敵側勢力は全員頭が切れるんだよな 敵の鬼謀を主人公側が愛と友情と力で打ち破るってタイプの物語だろ だから頭脳戦メインで二次創作することも十分できる ただまぁ頭脳戦メインだと主人公側が常に勝ち続けるだけじゃあ駄目って部分もあるし難しいよな
>力こそパワー 新ビックリマンのブラックゼウス(CV若本)もこんなキャラだったな こいつは見た目幼女の異母姉プッチーに一目惚れしていたしルイズとは意外といいコンビになりそう スーパーデビルはガリアで無能王と悪巧み しかしこいつら魔王クラスの存在なんだよな
>>135 スーパーデビルは送り返さんとたち悪いだろうな…
カオスデビル以降になるとギャグなしでやばくなるからなあ…
ここでエンブリオンの参謀・ゲイルを ニューカッスル城丸ごと爆弾仕掛けたトラップになったりルイズ(主人公)置き去りで話進めたりウェールズと友情を育んだり討ち死にしたウェールズの死体食ったりします。 デルフは脚に仕込まれる。
つまり冒険野郎マクガイバーの出番ですね!
愚地克巳を召喚 克巳だけの克巳だけのマッハ突きを (´;ω;`)ウッ…
ビックリマン……スーパービックリマンの世界だと、冗談抜きに生死に関わる世界だからな。 せめて『新』か『2000』で……
>>139 デルフまで喰いかねんな、お腹壊しそうだけど
>>141 2000も第三部で今までのビックリマンシリーズが集約している集中豪無編だと大概変わらん。
>>140 まだ読んでないんだけど、やっぱり(´;ω;`)ウッな展開か…
あんだけ持ち上げたんだからそこから落ちたら再起不能では…
ビックリマンは世界観からして桁違いだ、現行全ジャンル最強キャラが数人いる世界だぞ。 コロコロ版のスーパーと2000ならまだしも普通に召喚したんじゃたぶん神様とかが宇宙またいで普通に連れ戻しにくるんじゃね? 頭脳派系で真っ先に思いつくのはジョジョだが、専用あるしなぁ。
>>127 あれの面白いところの一つは、原作の事象を独自の視点や切り口で見せているところだと思う
アンアンの行幸も言われればそうだな、と
18:50から天になき星々の群れのフリーダが召還されるものを投下しようと思うのですがいいでしょうか?
>>149 貴様の所為でタバコの灰を落として乳首が火傷したじゃないか・・・!
どうしてくれる?
151 :
ゼロと工作員 :2008/09/18(木) 18:54:17 ID:ch+Oqw5s
フリーダは、2時間も待って、宙港の出国ゲートをようやく抜けた。 <<特定制御タップ>>で自走鞄を操作しながら回廊を歩く。 「もし、これからつらいことがあったら、私を恨みなさい。受けてあげるから」 数週間前までは嫌悪の対象でしかなかった少女に語りかける。 「なんか恥ずかしいですけど、フリーダさんにあえてよかったです」 だが、今はそうは思わない。むしろその笑顔を守ってあげたいとさえ考えていた。 そして、自分の思いを形にしようと考えた末、フリーダに言えたのは結局、またしても冴えない一言だけだった 「………ありがとう。私もよ」 太陽に愛された微笑を浮かべるアリスの10mほど後ろでビジネスマンの男が片手で銃を構えていたのが見えた。 フリーダはアリスを抱き寄せた
元ネタは知らないけど支援 あとガンヘッドのSTGは名作オッパイパーイ
153 :
ゼロと工作員 :2008/09/18(木) 18:56:14 ID:ch+Oqw5s
トリスティンの有名な魔法学校の校庭では、二年生に進級する際にある儀式が行なわれていた。 サモン・サーバントと呼ばれる使い魔を召還する儀式だ。 魔法により自分にあった使い魔を呼び寄せ一生のパートナーとする。 雲一つ無い絶好の召還日和、緑の芝生の上で担当の教師達も満足そうに生徒達を見ている。 広場には竜や、鼠、犬、サラマンダー、バグベアードなど様々な生き物を生徒達は呼び出し成功を互いに喜び合い和やかに談笑している。 彼等は自身の使い魔の自慢話に花を咲かせていた。 そんななかで取り残された生徒が一人。ルイズである。 召還を始めたのが4時間前、他の生徒が次々と成功していく中、魔法を失敗し続けている。 失敗魔法の爆発で校庭は掘り返され穴だらけになりルイズは泥とほこりにまみれたみすぼらしい姿になっていた。 「ルイズ!早くしろよ!」 30分前まではヤジが飛び交っていたのだが、嘲笑を通り越し周囲の視線は同情に変わってきている。 時折聞こえる声も投げやりだ。 頭の涼しげな中年の男性教師が声を掛ける。 「ミス・ヴァリエール、今日は調子が悪かったのです。サモン・サーヴァントは明日やり直しましょう」 「お願いします!最後ですから…あと一回だけ、どうか一回だけ!お願いします!」 泥だらけの姿で眼に涙を溜めつつ必死にルイズはコルベールに願う。 何度失敗しても続ける姿に彼は同情した。 「判りました。ミス・ヴァリエール、最後の一回です。落ち着いてやりなさい」 と言うと帰り支度を始めた。周囲の生徒も同調して校舎へ向かおうとしている。 「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ!強く、美しい私の使い魔よ!我が導きに答えなさい!」 ルイズの高い声が校庭に響く。大きな爆音と主に土煙が舞い上がる。 ひときわ大きな爆発に注目が集まった。 爆発の向こうに見えるのは何かの影。
154 :
ゼロと工作員 :2008/09/18(木) 18:57:19 ID:ch+Oqw5s
「……え」 爆破に誰か巻き込んでしまったのだろうか。 そこにいたのはルイズより少し年上の少女が血を流して蹲っていた。 血の気の引いた肌は真っ白で体から溢れた血が黒い池を広げている。 女生徒から悲鳴が上がり、男子生徒はうろたえる、教師達の何人かは他の教師達を呼びに走り残りの教師は呆然と立っていた。 ルイズの担任であるコルベールは直ぐさま駆け寄り倒れている少女を確認した。 少女の胸と腹部、大腿部には穴が開いていてどれも命に関わる深刻なものだった。 制服は黒く染まり、目鼻が整った端正な顔は痛みで歪み、プラチナブロンドの髪が血で黒く固まっている。 「速く他の先生方に連絡を。保健室に連絡を取って、治療の魔法が出来る生徒は集まってください」 騒然となる校庭の中でまたしてもルイズは一人取り残された。
155 :
ゼロと工作員 :2008/09/18(木) 18:58:43 ID:ch+Oqw5s
目を覚ますと彼女は見知らぬ部屋に居た。 フリーダが横たわっているベッドの隣にあるカーテンの隙間から光が差し込み部屋の中に光の帯が出来ている。 天井は木の板が張ってあり、蛍光灯や電灯の類がない。代わりに古風なランプが吊るしてあった。 消毒薬の独特な匂いがする。ベッドシーツもカーテンや枕も白だ。 電灯がないほかに机や棚などの殆どが木製でプラスチックや金属製品が殆どないところから部屋の主がひどく懐古趣味であると判った。 薄く目を開けて首だけを動かして周囲を見ると、たくさんの薬らしき瓶や棚に入ったファイル、書類を書きかけたままで放り出してある机 椅子に掛けられたままの白衣が見えた。 部屋には白衣を着た30代ほどの女医と、彼女が居るベッドへ近づいて来ているピンク色の長い髪をした中学生ほどの少女。 緑のネクタイと黄色いブレザーを着て室内なのにマントを羽織っていた。 起きる前に寝返りを打つ振りをして体が動くか確認すると共に盗られているものがないか確認した。 幸い、5mほど先の籠の中に彼女のホルスターごと偽装した拳銃があった。
しえん
157 :
ゼロと工作員 :2008/09/18(木) 19:01:15 ID:ch+Oqw5s
フリーダの意識が途切れる直前の記憶は組織の追っ手からアリス・マクブライドを守るために撃たれるまでのものであった。 肺、脇腹、右大腿部をやられ、出血多量で意識が朦朧とし、アリスを無事に逃がした後、安心して意識を失ったのだろう。 体が無事なのを見ると宙港係員に助けられたと考え否定する。 撃たれたのは宇宙港のロビー、助けたのは港の係員かもしくは組織の関係者か。 アリスを本気で暗殺するつもりなら失敗したときを考え二重三重に予防線を張っているはずだ。 しかもセキュリティの厚い宙港ロビーである。 それだけの用意ができるなら医療スタッフや係員が入れ替わっていたとしても不思議でない。 あの状況でフリーダを助けたのは組織の関係者の可能性がある。 アリスは宇宙一の資産家、ルサージュ家の正式な最後の遺産後見人だ。 自身が殺されていないとすると暗殺は失敗したらしい。 彼等には私を生かしておく理由はない。居ても邪魔なだけだ。 それが生きているとなるとアリスを逃がし、私を通じてアリスを懐柔させようとしていると考えられた。 彼等はアリスを殺すか利用するために繋がりの深い関係者である彼女を利用するはずだ。 私を懐柔か洗脳するかして利用するためと考えるのが自然である。 首の差込口に記憶媒体を挿入し、偽人格を記憶領域に追記しすることで簡単に洗脳ができる。 機械の力を借りて偽の記憶を上書きし全くの別人にしてしまう。 現在の潜入操作の基本であり彼女自身も何度もやってきたことだった。
158 :
ゼロと工作員 :2008/09/18(木) 19:03:19 ID:ch+Oqw5s
病室を見ると明らかに宙港の医務室とは違うと判った。 部屋には全く医療機械がなく、木や石を使ったアンティークな調度品から見ても別の部屋だと判る。 撃たれて直ぐに医務室に運びこまれたと考えると不自然だ。 意識を失っている間に運び込まれたのだろう。 血で汚れた服は着替えさせられ、パジャマを着ている。 敵に捕らわれ何処かも判らず絶望的な状況ではあるが撃たれた傷は完治しているようだ。 手足は痛みも少なく違和感無く動かせ、義体に変わってもいなかった。 軟弾頭が直撃し、内臓と神経をズタズタに引き裂き、汚染物質を体内にばら撒いたはずだが体は健康そのもの。 手術による貧血や薬物の副作用などもない。強いていうなら長い間寝ていたせいで体の動きが多少鈍いぐらい。 これは異常だ。手や足が生身、普通の体のままだ。 多少の傷なら再生できるが彼女が受けたような酷い傷となると別だ。 生身のまま治療するのは膨大な時間と金が掛かる。 そもそも生身のまま体を再生する意味がない。 酷い傷があるならその部分を義体化すればいい、義体技術が発達した現代では、生身より遙かに高い性能で安価に手に入れることができる。 義体に体を変えるのは一般的なことであり民間でも広く行なわれていて抵抗感は薄い。 金をかけて生身を維持して治療するのは彼女のかつての同居人のようなよほどの物好きか金持ちぐらいだろう。
支援
160 :
ゼロと工作員 :2008/09/18(木) 19:05:39 ID:ch+Oqw5s
薄目を開けると態度の大きいピンク髪の少女がフリーダが居るベッドの横で女医と会話していた。 彼女が起きていたら少女の尋問でも始まっていたのだろうか。 意識が戻っていない振りを続けるため、眼を閉じ医者と少女の会話に集中する。 使い魔、進級、貴族、家名といった単語が聞こえてきた。 内容によると少女の親はこの国ではかなりの地位についていて彼女を使い魔として使役、つまり洗脳する必要がある。 それができないと家名に泥を塗るらしい。 使い魔を使役できないと進級できない。進級とは組織内のランクだろうか? 私を洗脳することで手柄を上げ組織内での評価を高め家名を守りたいようだ。 腰には指揮棒をぶら下げ、武器らしきものは二人とも持っていなかった。 此処はそれなりに地位が高そうで非武装な少女を人質に取り、情報を聞き出し逃げ出すのが良さそうであった。 都合よく少女が近づいてきたのでベッドに引き倒し背後から首を絞め、女医に見せ付けるつつフリーダの盾にする。 二人は驚いた表情のまま凍りついていた。 「動くな。喋るな。私が聞いたことだけ答えなさい」 女医が金魚のように口をぱくぱくさせていると新たに男性二人が医務室へ入って来た。 ローブを着た長いひげと白髪の眼鏡をかけた70代の男性と頭が寂しい眼鏡の真面目そうな30代男性である。 二人ともピンク髪の少女を人質に取っているのを見て面食らった様子であったが直ぐに禿げの男性は持ち直し指揮棒を構えた。 フリーダの意識は闇へと堕ちていった。
161 :
ゼロと工作員 :2008/09/18(木) 19:06:43 ID:ch+Oqw5s
1話は以上です。支援ありがとうございました。
乙 ・・・といいたいが、元ネタが判らん
乙です 昔持ってたSFのゲームブック思い出した
円環少女、天になき星々の群れ、戦略拠点32098楽園 ・・・と書いてもたぶん誰も判らないかもしれない
>>164 楽園はガチ名作だと思う。今だとかなり入手が難しいけど。
167 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/18(木) 20:00:20 ID:abG4v/V+
最近爆熱の使い魔の更新がない。職人さん元気だろうか?
>164 知ってる人が居るか居ないかじゃなくて興味持った人が調べたり まとめのときに元ネタを入れるたり目次のために必要だと 自分は思ってる
ノエイン…ノエインからの召喚はまだか・・・っ!!
あいつら素粒子の供給なしだといずれは消えるんじゃなかったっけ? 仮に喚ぶとしたらアトリがいいな
そこはお約束のルーン補正で
>>169 俺はマテパからの召還を待っていたりする
コルクマリーとかシャルロックとかカイザートとか
女子校スナイパー乙
アトリのかっこよさは異常
アトリ抄からの召喚だと…!? って、誰がわかるんだこんなマイナーな漫画。
竜騎兵才人VSノエイン才人VS才人 そしてルイズに死亡フラグ……
ルイズがPX-1召喚
>>129 >
つか、ラノベの少ないページでは高度な戦術論や複雑な政略を書くスペースがない
川上稔・・・
>>180 色々書きまくった結果、しまいにはラノベがサイコロみたいな厚さになっちまったじゃないか。
アトリって最後どうなったんだろ? なんか巨大化して門みたいなのに取り付いて・・・その後がよくわからん
当たり前と言えば当たり前だが、召喚されるキャラはほとんどみんなハイスペックなので、 ここで意表を突いてエクセルサーガよりハイアットなんてどうだろうか。 ことあるごとに心停止して契約解除し、ガンダ発動でようやく普通の人間以下。 …いかん、ストーリーが成立せん。
>129 野崎透の作品は表紙や挿絵以外はラノベっぽくないぜ。 ガオガイガーやダイバージェンス・イブのSF考証やガサラキのシリーズ構成もやってる。 最近の作品は装甲騎兵ボトムズ・コマンドフォークトだな。どれも内容が骨太。 ガサラキは特に人型ロボット兵器の描写が凄く、既に都市部での対テロ戦闘が主軸に なるのを予測してたりする。
ガラサキってなあ・・・よくボトムズと対比されてるけどオカルト染みててあんまりな TA1部隊で一つの都市を制圧可能とからしいけど投入するくらいならその金額で動員できる 歩兵で人海戦術した方がいいよな。 ATとTAじゃ操作性やメンテナンス等から考えてもATのが優秀だと思うんだけど
そこでラノベとしても一般娯楽小説としても読める 宮部みゆき、小野不由美、田中芳樹、京極夏彦あたりの出番ですよ。
>>183 本当は異能なんだけどまだ本人が覚醒前の時に召喚する話でええやん
闇の書覚醒前の八神はやてを召喚してまい、ルイズが「なんでこんな平民の病人を…」
と思いながらも、ちい姉様を思い出して色々介護してまったり
コルベが電動式車イスを見てハアハアしたり
とか言うのを想像してまうが、どうやって闇の書に異世界まで追いかけさせるかが…
188 :
178 :2008/09/18(木) 21:31:41 ID:mhAFoUfa
>>179 量産型くまさんの方です(飛ばされたヤツ)
個人的には百鬼夜翔から、誰か――まあ、ガンダールヴとして呼ぶならヨーダイが一番か? 原作終了後ならジェラルド・ナギ・携帯電話の三つと言うか二人と一つがセットになるし。 原作が始まる瞬間なら、目覚める寸前のジェラルドだけだし……
メイトリックスを召喚する強者はいないものか
>ガラサキってなあ・・・よくボトムズと対比されてるけどオカルト染みててあんまりな オカルト部分は一応根幹設定だがメインは政治・軍事描写 右翼の親父が延々と思想を語るシーンとかあったりする >TA1部隊で一つの都市を制圧可能とからしいけど投入するくらいならその金額で動員できる >歩兵で人海戦術した方がいいよな。 まあこれは本編見て欲しい >ATとTAじゃ操作性やメンテナンス等から考えてもATのが優秀だと思うんだけど 同じ世界に存在しない限りその比較は成り立たない ちなみにTAはアニメの10年後(ゲーム版)には大抵どこでも使用される装甲車レベルの兵器になっている つかアーマードトルーパーのメンテ性能はどんなロボット物と比べても頂点に近い簡易さ 同レベルなのはボスボロットくらい
>>191 あの作品には重大な欠点がある。アニメが面白くなかった。
あとそろそろスレ違いな。
>185 ATはボトムズワールドでは棺桶で間違いないけど、今の地球からすれば オーバーテクノロジーの塊だぞ。今の地球のロボット技術じゃ二足歩行で やっとのところをローラーダッシュで高速移動とかやらかすし。 それにアストラギウス銀河では銀河系を二週間で横断可能な宇宙船が一般でも 普及しているんだぜ。っつかATは普通にレールガン(ソリッドシューター)を装備してたりする ぐらい火力的にかなり優秀。 今の地球でもオーバーテクノロジーの塊であるATがキリコ付きで召喚されても ハルケじゃ満足に稼動させられないだろうなぁ。ポリマーリンゲル溶液とマッスルシリンダーが 安定して得られれば無問題だろうけど、流石のコッパゲ先生にも荷が重過ぎる。 聖地にはATのガラクタの山があって、コッパゲ先生とキリコで一台をなんとか組み上げて ヨルムンと肉弾戦。腕がもげ、バイザーが吹き飛び、満身創痍のスコタコで戦うとかむせる。
「敵は海賊」のアプロとか召喚してルイズと並べたらきっと可愛いぜ。
>>193 ザ・ラストレッドショルダー後のフィアナに振られたと思い込んでた頃なら
ルイズに付き合ってくれるかもしれんね
(放射能が残留している大地を歩いていくという自殺紛いな事してたし)
>>189 個人的に読んでみたいなぁ
ヨーダイに限らず、麦ちゃんパターンとか色々面白そう
>>190 シュワ「君は一体なんなんだ!爆発は起こす!
俺はさらう!使い魔になれなんて突然メチャクチャを
言い出す!かと思ったら人の前で服を脱ぎだす!
挙句は藁の上で眠らせる!君は人間なのか!?
お次は洗濯ときた!銅像が君を殴ろうとしたんで助けた!
そしたら俺まで襲われる身だ!一体なにがあったのか教えてくれ!」
ルイズ「駄目よ」
>>195 俺はたとえ神にだって従わないですね、わかります。
キリコなら・・・・キリコなら言ってくれる
麦ちゃんというとわくわく7のまるるんを思い出してしまう。 暴れ回るまるるんの背中にしがみついている麦ちゃんは可愛かった。
麦ちゃんというと 立原あゆみ 「麦ちゃんのヰタ・セクスアリス」
本気と書いてマヂ(モトキが本名だけど)召喚見たい スーパー立原大戦とか風で
岳 みんなの山から三歩を召喚 ストーリーが全く思いつかんが
ネギまからラカン召喚。 問題は7万が700万でもラカン無双になる事と変態過ぎること…ルイズの下着をくんかくんかしそうw
>198 シュワがその台詞言うのかよ
お父さんは心配性のお父さん喚ぼうぜ。 ルイズを心配するあまり異常な行動を繰り返すの
実写ドラマ版のBGMが全て超兄貴だったあれか
209 :
35 :2008/09/18(木) 22:46:58 ID:r2z22s8C
>>52 時間はかかるだろうけどポケスペのレッドで一本書いてみる
内容は2章のパロディで。もちろんワルドさんが中二病患者として登場
エアギアからイッキとかカズとかを召喚ってのはどうだろ いや、単に今さっき22巻読んだばっかりだから言ってみただけだが ところでATってガンダールヴの武器にカウントされるのかな?
立原あゆみっていうとTSもの思い出す
本気だな
ヴぁんぷ!から“銀輪部隊”ロミー・マーズを召喚 デルフをお気に入りにしてくれるに違いない 必殺技だって叫んでくれるはず!
スラムダンクより安西を召還。 安西「諦めたらそこで試合終了だよ」
ルイズを見てまるで成長してないですね?わかります
いっそ森村あゆみ召喚 ‥‥左手だけなら最強
ヴぁんぷ!からなら子爵のほうがいいな。 見た目以外は完全無欠の紳士な彼をルイズたちは貴族と認めるかなぁ。 問題はハルケギニアと地球との文字文化の格差かな。 ルイズたちに中黒ルビ振った強調とか「……!」の美学がわかるだろうか。
>>196 確かに書けばそれなりの反応はあると思うよ。
なにしろTRPG関係の連中は自分から発言して自分から意見を言って、
という訓練をしているから比較的アグレッシブに反応が得られるだろう。
ほめ言葉や乙ももらいやすいジャンルだ。
基本のパイそのものは小さいんだけどね。
だがしかし、同時に設定厨も多いから叩きも多いだろう。
頭脳戦派キャラ召喚と同じ危険を孕んでいるのに書く度胸のある人がいるかな?
>>218 呼んだことないからよく分からんが、それって作者の表現技法であって本編の内容とは大して関係ないんじゃないか?
「その作中の世界の中」で、その文字というかそういう表現があるんなら話は別だが。
子爵は液体の肉体で肉声で会話出来ないので 身体を変形させてそういった表記を行って意思疎通してるんだ
なんか読んでみたいような読んでみたくないような…
というか「会話は可能だけど読解は不可」っていう設定で、文字による発言しか出来ない子爵は難易度高すぎだろ そしてもっと気になる点は、そもそも子爵って「吸血鬼」だと認めてもらえるんだろうか……?w
子爵は液体の身体の吸血鬼のくせに 美人の許婚と美形の息子と娘にメイドさんつきの城もちのリア充
子爵の言葉は文字だからなぁ。翻訳機能がそっちにいっても不思議はあるまい。 それかノートPCごと持って行って、字を覚えるまでの間読み上げ機能かなんかに話をさせるか。 ルーン効果って、字を覚える速度も馬鹿みたいに速いみたいだし。
アンアンが紺碧の艦隊の大高弥三郎を召喚 これならジョゼフとも何とか渡り合える筈 アンアンにその才能があれば・・・だけど
話せない人ならセルティ召喚のがいいな 作者つながりで 問題はどうやってキスするかだが 何せヘッドレスヒロイン
>>226 でもさあ、煙がなくなったと思ったらそこには多量の血溜まりがあって、
恐る恐る近づいてみたらいきなり盛り上がって人の形をとったかと思うと、
体の一部を使って空中に見たこともない文字を多量に浮かび上がらせるんだぜ?
俺がコッパゲ先生だったら燃すね、一片残らずw
(その程度で子爵が死ぬとは限らんけど、理解への壁は大きい)
>>226 「ヨゥ ハヴ スェルェクテッドゥ マイクロゥソフト セァァム アズァ クァンピュードゥァーズ ディフォーゥト ヴォーィス」
とMicrosoft Samがしゃべるわけですね、分かります。
同一作者繋がりだったら個人的には平和島静雄が召喚された奴とか見てみたいな 問題は平和島静雄が序盤のルイズの暴虐にゼロ秒でキレることだろうけど
>>227 シリーズで言うならその通り。
但し、左手改造は「通りすがりのレイディ」後さね。
>>229 じゃあ、頭の方を召喚だ。
そうすれば、セルティもきっと頭を追ってハルケギニアに……
>>173 カイザードは読んでみたいけど難しいだろうな
魔法を使ったらその時点でそのキャラは「カイザード」じゃなくなりそうな気がするし、
そもそも魔法も名前以外オリジナルになるしw
>>228 トリステインに大高ならアルビオンにハインリッヒ・フォン・ヒトラー
ロマリアにヘンリー・ルーズベルトとかも面白そう。
ただ間違いなくハルケギニアに近代戦のノウハウが投入されるうえに、ジュネーブ協定なんかないから戦略爆撃や毒ガスが横行する地獄になるだろうな。
むしろコンラッド・フォン・ロンメルを軍司令官にしたら。
>>233 理屈っぽいやつはアウトって、結構会話が難しいよなー
あんましゃべんないタバサとか割と素直に感情で動くキュルケとかはセーフか?
>>235 「ラブラブだから頭とかどうでもいい」って明言してるけどなw
そーいやハルケだとシューターは馬モードになれるのか、首ないけど
>>237 (マンガ版の)作者つながりで、各国にラ級戦艦が
召喚されてるとかはどうだろうか。
吸血鬼といえば真紅なる貴人だなぁ
FEアイク召喚 次々と立てるフラグを全てスルーしていってほしい
>>236 もうこれしかない
対ワルド
「ルイズの心を踏みにじったお前を俺は許さない!
俺はイマリ国の勇者カイザートだ!」
『マテリアル・パズル…』
ドスッ ズボッ
「シエ…スタ……」
…いかん、ワルドが勝ってしまう
魔法の詳細がわかればジャンクーアを召還したい
一人で島一つの病気を沈静化させた医者だからカトレアを治す事もできるはず
>>237 ロンメルやヴィーガント、ドロッセルマイヤーならともかく
ハインリヒ王がウェールズにしろテファにしろに召喚されて素直に下に付くとは思えない
独逸から引っ張ってくるならマイントイフェル辺りがいいかと
とりあえず誰が来てもレコン・キスタは生まれる前に潰されるな
第一話は中途半端なところで終わってしまい、申し訳ありませんでした 予約がないようなので、0:25頃に第二話を投下します 前回忘れていたので、召喚時期を記載します 召喚者:ブロリー 時期:危険な二人〜終了直後
>>243 宇宙空間に放り出された後ならヒトラーは何とかいけるかも……
第二話 記憶喪失 「ブロリー?それがあんたの名前なのね」 「ブロリー……僕の、名前……僕は誰……?」 男は意味不明な言葉を紡ぐ。 「あんた、何意味わかんない事言ってるのよ。ブロリーってあんたの名前でしょ」 「名前……わからない……ここは……?」 会話が成立していない。ルイズの頭に再び血が上り始める。 「知らないわよ!も〜、何でこんな変な平民を使い魔にしなきゃいけないのよ」 男は、ルイズの存在などまったく無視で、自分の世界に入り込んだように独り言を続けている。 使い魔の癖にこの態度。ルイズの頭がいい感じに煮えたぎる。理性がストレスを抑えるのを放棄する。 失笑という冷や水を浴びなかったら、透き通るような桃色の髪を乱さねばならなかっただろう。 ここでキレては恥の上乗せ。活力を取り戻した理性に従い、ルイズは次の行動に入ることにする。 使い魔と主従の契約を結ぶ儀式である。これさえできれば、ルイズは変でむかつく男の主人。使い魔とは何たるかを“教育”してもなんら問題はない。 いや、必ず教育し、二度と主に迷惑を掛けぬようにせねば、とルイズは固い決意を心に結んだ。 「あんた、こっち向きなさい」 一度では伝わらないと思えたが、男の耳にはしっかりと言葉が入ったらしい。ルイズは男の目を捉えることができた。 変わらぬ無表情。見続けると、妙な気分になる。 「じっとしてなさいよ。すぐに終わるから」 意味は伝わったようだ。男は頷いて肯定を示す。無表情で、どこか呆けたような男の雰囲気。 ルイズは契約の呪文を唱える。こんな男に、あんなことをしなければならない、と心に澱む感情を振り払うように。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 ルイズは、男の頬に手を添え、キスをした。異性と認識する相手に始めて。 相手は平民、使い魔、これは儀式、と反論してもこれはファーストキスである。 顔をほんのり朱に染めたルイズは唇を離した。男の唇は、ルイズが思っていたより、ずっと無骨、ゴツイとも表現できる硬さがある 男は先ほどと変わらぬ表情で見つめている。キスをされたのに何の反応もないのはおかしな話だ。 キスしたのにこの態度。ルイズは釈然としない気持ちになる。しかし、使い魔相手にそんなこと思っても仕方がないので、ささっと契約成功の報告に移る。 コルベール先生から成功のお墨付きを承り、ようやく、ルイズは一息つける心地になった。 不安で一杯だった召喚の魔法の成功。本来なら嬉しいはずのルイズであるが、やって来た使い魔は最悪。 それでも成功は成功と、ルイズは心を落ち着けた。 そんなルイズの心の平静は、すぐに茶化されて、掻き乱されてしまったが。 ルイズの叫び声が虚しく青空の中に響き渡る。 「ぐぉおおおおおおおおおおおおお!」 ルイズが口喧嘩に躍起になっていると、突然、男が猛獣のような咆哮を上げた。 人を竦み上げるほどの大音響。わずかでも男に意識を向けていたら、と条件が付く理由は、誰もが自分が楽しむので満足していて、それ以外には気が回らない。 男のすぐ脇に立っているルイズも自分を守ることで精一杯。そもそも、十数人が笑っているので、聞き取るのは少々難しい。 よって、男の黒髪がわずかに変色し、金色に光る粒子を纏ったことに、誰一人気づかなかった。
247 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/19(金) 00:25:19 ID:cMi0femG
ココで流れを断ち切ってしまうが「赫炎のインガノック」の ギー先生はどうだろう?原作は水戸黄門ばりのテンプレ戦闘だが うまく調理すれば化けるかもしれん。 (ちなみに漏れは文章力ゼロだ。自分では書けません、クレクレでスマソ)
男が悶絶した原因は契約成立を示す使い魔のルーンが刻まれている証だ。 大量の汗を流し、動悸の激しい男の左手の甲に意味不明な文字が躍る。 コルベール曰く、珍しいルーンとのこと。全生徒が召喚の儀式を終了したので、コルベールは学院への帰るよう促した。 ひとしきり笑い終わった生徒たちは寮を構える学院への帰途につく。地上でなく、空中を散歩しながら。 驚くべき光景だ。なんと全員が空を飛んでいる。これがハルケギニアにおいて、貴族の支配を象徴する魔法の力なのだ。 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」 「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」 「何なら、その使い魔にでもおぶってもらえよ!地面に足をつけなくてすむぜ」 ルイズに降りかかる辛らつな言葉。未だ、こいつらを黙らせる術を持っていないルイズは悔しさで震えることしかできない。 いつも付きまとう劣等感。ルイズは、逃げるように、使い魔に目を移した。 男は飛び去っていく生徒達を見つめていた。この表現では生ぬるい。食い入るように凝視しているのだ。 「空を飛ぶのが珍しいの?あんたどこの田舎者よ」 呆れたルイズの声など、どこ吹く風。男は学院内に消える生徒を見続けている。 ルイズは、頭を抱えて心の荷を吐き出すように、ため息を吐く。会話が成立しない、そもそも何を言っているかわからない人間を相手にしているので精神的にかなり疲弊している。 「ちょっと、あんた。もう部屋に帰るわよ。さっさと立ちなさい」 口だけじゃ反応しそうもないので、ルイズは男の肩を揺らす。 男は、眠りから覚めたようにはっと体を強張らせ、音もなくルイズに質量のない視線を投げかける。 「部屋……ここは……どこ?」 心に穴でも開いているような男の言葉。またこれだ。これにいちいち説明をしなければならないとは何という苦痛か。 「ここはトリステイン。あんたが見た建物は高名なトリステイン魔法学院よ」 「トリステイン……魔法……?それは何?」 「トリステインを知らない?あんたどこの田舎から来たのよ」 ハルケギニアの歴史にその名を轟かすトリステインを知らない人間など、ルイズの常識からはかけ離れている。 ルイズは、言葉も通じないような世界の果に住んでいる使い魔を召喚したのかと、絶望的な気分になった。 「どこから来た……?わからない」 小鳥が囀るような力のない声。その中に混じった重要なキーワードを、ルイズは聞き逃さなかった。 「わからない?あんた、自分がどこにいたかわかんないの?」 試しに聞いてみたら、男が頷いて肯定を示した。 何かがおかしいと、ルイズの心に疑惑が渦巻き、心に沈殿する粘着質の闇が溶けてゆく。 「ちょっといい。私の質問に答えてくれる?」 「はい……」 男の了承をもらえたので、とりあえず、当たり障りのない所から、ルイズの尋問が始まった。 「あんたの名前は?ブロリーじゃないの」 「わからない」 「あんたの両親の名前は?」 「わからない」 「あんた、今まで何をしていたの」 「わからない」 さらに数回の質問をした結果、男から、知らない、わからない、以外の答えを得ることはできなかった。
「これってもしかして、記憶喪失ってやつ?」 疑問形で言ってみてたが、ルイズはそうであると信じ始めている。これまでのおかしな言動に説明を付けるにはこれしかない。 記憶喪失。つまり、記憶が「ゼロ」。ルイズは、自分ってなんて呼ばれてるんだっけ、と意味もなく考える。 「ゼロ」のルイズ。理由は魔法が成功できないから。その使い魔も「ゼロ」。何も覚えていないから。 ルイズは筋肉ムキムキのお兄さんによって、頭から地面に叩きつけられた。そのお兄さんの姿が誰かに似ているのは気のせいだろうか……。 そう思わせるほどに、ルイズは勢いよく草原に体をめり込ませたのだ。 傑作な話である。間違いなくこの男は「ゼロ」のルイズの使い魔だ。ルイズは魔法の才能がない。こいつは記憶がない。 自分は呪われている。多分、どこぞの執事に不幸をうつされたのだ。じじいめ、妙な物渡しやがって。 ルイズは自分でも意味不明な罵詈雑言を呪詛のように吐き続ける。 「平気?」 男が初めてルイズに話しかけた。男の身を案じる言葉が耳に入った瞬間、ルイズはバネが反発するように跳ね起きた。 由緒正しいヴァリエール家の三女が、使い魔に心配されるなどあってはならない、と頭の回路が警告したらしい。 「だ……大丈夫よ。ななな、舐めないでくれる。私、貴族。こんなことじゃ動じないから、うん」 目元が引きつり、口がソーセージになってるのに、どこが大丈夫なのかは本人もわかってない。 「さ、行くわよ、使い魔。私について来なさい。私の前から消えちゃだめよ」 使い魔を視界から消した、つまり振り返った、ルイズは震える声でそう言った。 男は命令どおりにルイズの背にぴったり張り付く。 膝を伸ばして、手足が前方で平行になってるルイズがその場を後にし、草原が舞台の狂想曲は閉幕となった。 「もう一度聞くけど、本当に何も覚えていないの?」 豪華な調度品で飾られてる部屋、ここでルイズは日々の生活を過ごしている。 今、ルイズはベッドに腰掛け、男は壁際にもたれ掛かっている。 室内は淡い蝋燭の光に包まれ、窓は、満天の星空とハルケギニアを象徴する双子の月を、切り取っている。 落ち込んだルイズは、精神力を回復するためしばしの休息が必要だった。一般には昼寝と判断される。 起床は夕方で、それからある作業をしていたのこともあり、今は深夜といえる時間帯になっている。 「はい……」 男は、昼からほとんど変化のない表情で節目がちに、ルイズの疑問に答える。 ルイズが立ち直ってからしたこと、それは男への尋問の続きだ。 ルイズの頭が冷えて最初に浮かんだことは、なぜ、男の記憶が失われたかについてだ。 てんでだめな魔法と違い、ルイズは座学の成績がいい。魔法ができないからこそ、知れることは全て知っておこうという好奇心が強いのだ。 ルイズのこうした性格も、男の謎めいた正体を解明することに一役買っている。 使い魔召喚について、メイジたちは一つの事実を知っている。使い魔の記憶を、主人に従うように改ざんする。 もちろん、それで記憶が全て失われた記録など存在しない。しかし、共に記憶に作用する何らかの力、排除していい話でもない。 よって、ルイズは、記憶が消えたのは召喚前か、はたまた召喚後かを見極めるため、男から召喚される前の出来事を聞きだしているのだ。 男は寡黙に見えても、会話に支障が出るほど口下手ではなかった。そのためスムーズに、ルイズの作成した質問表にチェックが入っていた。 そして、日が沈んでから深夜まで続いた質疑応答の結果は、成果となるものがほとんどない、と結論付けられた。
「まさか、召喚直前に何やってたのかすら覚えてないとはね」 「ごめん……」 一晩中話し合ってるので、男とルイズにちぐはぐな空気が流れることはなくなっていた。 最初は口に出すどころか首の動きだけで返答していた男も、時を経るに連れて、言葉による受け答えをするようになった。 ずっと二人きりだったので、警戒心が解けてきたのだろう。 羊皮紙にびっしりと書かれた細かな文字。その全てにペケマークを付けたルイズは頭を抱えてる。ここまで手がかりなしとは予想外である。 数時間に及ぶ苦労が徒労に終わり、ルイズは深いため息を吐いた。 「も〜、わけわかんない」 ルイズはベッドに体を投げ出す。月の光に浮かぶ、絹のようになめらかで美しい肢体が悩ましく宙を舞う。 ルイズは、横になったとたんに強い睡魔が上ってくるのを感じた。そういえば、今日は、昼から体も感情も動きっぱなしなことを、今更思い出す。 変な男を召喚して、自分で勝手に大騒ぎして、いろいろなことを言った気がする。 男のイメージは、召喚直後と比べて、ずいぶん変わっていた。暗そうだけど、少なくとも悪い人じゃない。記憶がないだろうか。でも、ルイズはそれがなくても酷い人間だとは思えなかった。 ルイズの心に召喚したときの光景が浮かぶ。 (そういえば……私、こいつに酷いこと言ったけ) 平民を召喚したと馬鹿にされてショックだった。感情任せに、男に辛らつな言葉をぶつけていた。今思い返すと、やってはいけない事かな、と罪悪感が芽生えてきた。 貴族は平民の上に立つ者。それだけではない。持てる魔法を使って、平民を護る者でもある。平民より身分があるといって、驕り高ぶるようでは貴族の勤めは果たせない。 遠い昔に母が教えてくれたこと。叱られてばかりだったけど、貴族とは何たるかを熱心に教えてくれたかつての勇猛な戦士。 ルイズは自問する。魔法ができない自分。ならばせめて、誰よりも貴族らしく振舞おうと思った。今日の自分はそれができただろうか。 ルイズは男に言った言葉を思い出す。そう、ブタとか、ロクデナシとか。かなり汚い侮辱をしていた。そしたら、こいつはなんて言ってたっけ?たしか…… ルイズの中に閃光が走ったのはその時だった。虚ろな意識が一気に覚醒する。烈風のごとく回る記憶を確認しながら、男が何を呟いたか思い出す。 闇の中に消えた男の記憶。八方塞でお手上げではなかったのだ。底の見えぬ奈落の中に、一筋の光明があるではないか。 「あんた、確か、ブロリーとか言ってたわよね。あれはあんたの名前じゃないの」 「わからない。名前、知らない」 予想通りの回答。当然だ。この男は、召喚した時から、何の変化も見られないのだから。 しかし、ルイズは男の言い分が違うと確信している。でなければあんな言葉は出てこない。 「いいえ、あなたの名前はブロリーよ。私があんたに、えっと、あ、あれこれ言ったとき、あんたはそこからある言葉を連想した。それがブロリーよ」 ルイズは、トリックを暴いた探偵気分で、まくし立てる。 「私が言ったのは“ブ”と“ロ”まで。その先の“リー”はどこから出てきたの?その場所はあなたの記憶の中じゃない!」 人々が心地よく夢に浸る静かな夜に、ルイズの迷推理が木霊する。
「僕はブロリー……。本当に?」 「多分ね。私が名前を聞いたとき、かすかに残った記憶が呼び起こされたんだと思うわ」 ルイズは、私は確信を持って言っている、というオーラに包まれている。ただし、外見だけ。 人間、その場でそうだと思って、勢いで動いては後悔するらしい。 ルイズの心臓の鼓動は増すばかり。冷や汗も少し流れている。見当はずれかも、と不安でがどんどん圧し掛かる。さすがに、証拠が少なすぎた。確証がないことに、今さら気づいたのだ。 男の様子を窺うと、本当にそうかも、という顔をしているような気がした。 後一押しで信じ込ませることができる、とルイズは確信する。主旨が変わってるよ、との誰かの注意声は爆散させた。もう、跡形もない。 何を言ったら、こいつの名前がブロリーになるか。ルイズはいい方法はないか探すことに専念する。 そして、男がなぜここにいるか、ということを使うことにした。 「それにね、あんたは私の使い魔。名前がないと不便じゃない!」 双月をバックに仁王立ちするルイズ。 ルイズの額には何かを達成した御褒美である気持ちの良い水疱が滴っている。 彼女の指先は男の心を撃ち抜かんばかりに伸びきり、腰に手を当てたポーズは、判決を下す裁判官のように、凛々しく、立派である。 「そう……かもしれない」 妙に神々しいオーラに圧倒されたのか、男も同意を示した。 「でしょ。これで決まりね。あなたはブロリー。この私の使い魔」 「僕は、ブロリー。ブロリーか。あと、使い魔って……?」 名前が決まったせいか、男は少しずつ饒舌になっている。無論、ルイズものどに引っかかった骨が取れたように、いい気分になっている。昼間からの陰険さはどこへやらだ。 「そうね、使い魔は私の従者。私の身の回りの全て雑務は全てやりなさい。手抜きは許されないわ。それと、私の命令には絶対服従。破ったら許さないんだからね。 最後に、これが一番大事なんだけど、この私を守ること。これだけは何があっても優先しなさい。あなた、力強そうだから大丈夫でしょ?」 「わからない。でも、やる」 男は、何かを決心した顔つきになっていた。 「わからないじゃダメ。もっとはっきり決意しなさい」 「わかった」 「返事は、はいよ。元気良く!」 「はい!」 ルイズは王様気分で上機嫌でうなずいた。
これで投下終了です ブロリー記憶喪失ネタ ブロリーらしい動かし方がやたら難しいです
253 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/19(金) 00:36:52 ID:cMi0femG
247です。ゴメン投下に割り込んでしまった(泣)迷惑かけたよ
乙 「カカロットーーーーッッ!!」 が聞けるのか?楽しみです。
新井素子の作品からなら、絶句から新井素子を召喚。 恐らく、能力開花後ならそんじょそこらの使い魔より凄い筈。 チートキャラも量産出来るし。 古今東西の小説のなかでどんなキャラより強い男もおまけについてくるかもしれないし。
今小ネタを考えているのだけど、長さってどれぐらい必要なんだろう
30cmちょっと
新金貨で3エキューくらい
ブロリーの人乙 ブロリーの設定よく覚えてないけど とりあえず怒りか何かで覚醒したらハルケギニア終了でおk?
問題はない!15レスまでならッッ
ブロリーの人超乙。 「カカロット症候群」による綺麗なブロリーに期待w
代理依頼がきたので01:40よりミッションを開始する
どうも久方ぶりの夢幻竜でございます。 今回の話は元々一本で行こうと考えていたのですが、描写上二話に別ける事になりました。 あともう一つもバリバリに頑張って送り出したいと思います。では行きます。 ゼロの夢幻竜第三十三話「軍師」 時刻はそろそろ午前三時を差そうかという頃。 赤色と青白色に輝く双月は天高くあり、アルビオン貴族派のいる野営場を煌々と照らしている。 既に多くの兵士や幻獣の類いが眠っており、起きているのは見張りと高官くらいなものであった。 そんな時ラティアスは自らの体を不可視化させ全くと言っていい程音も立てず静かに、しかし夜闇を切り裂くかの如く速さでそこへ向かって飛んでいた。 ルイズと話し合った作戦とは……先ずラティアスが夜闇に乗じて敵方を奇襲する。 そして自分の身が安全な内に甚大な被害と混乱をもたらしてから帰還する。 一方、ルイズは城にある医療施設から睡眠薬を失敬し、何らかの媒体を使ってウェールズにそれを飲ませる、という物だ。 危険な策ではあったが、こうすれば弱体化した貴族派は王党派の降伏要求を飲まざるを得ない、という事になる。 仮にそれが失敗し、ニューカッスルまで攻め込まれるような事があったとしても、ウェールズという王位継承権第一位という存在がある限りアルビオン王家は幾らでも復興可能なのだ。 但し問題はラティアスがどれだけ敵を弱体化させられるかという事にかかっていた。 敵とて愚か者の寄せ集めではないのだから知恵の回るやつが一人や二人いたとておかしくはない。 ラティアスの攻略法はその内発見されてしまうだろう。 それに降伏勧告を呑まざるを得ない被害とはつまり、敵方の士気が落ちるくらいの被害とも言い換える事が出来る。 それに至るまでに果たしてどれだけの敵をぼっこぼこにしてやらねばならないのだろうか? 五千か?いや一万?それとも……? そうこうしている内にラティアスの両目は野営場を照らす灯火を捉えた。 ラティアスは、哨戒している数名の竜騎士や使い魔に気付かれぬようスピードと高度をぐっと下げて野営場の後方に回る。 野営場のすぐ後方には草木が鬱蒼と生い茂る急な斜面があった。 相手にしても、まさかこんな気付かれ易く攻め込み難い地形から来る筈ないだろうと思っている筈。 奇襲なら奇襲で出来るだけ相手の気をてらわなければならない。 時々場内の動きに注意しながらラティアスは何とか回り込む事が出来た。 次に一発目のミストボールを放つ場所の選定である。 なるべく混乱を引き起こし易い場所というと大将のいるテントという事になるが、上からだとどれがそのテントなのかさっぱり分からない。 闇雲に攻撃しても意味はない。 となると次に幻獣や鬼達がいる所が思い浮かんだ。 人間より体躯も力も大きい彼らが一度見境無しに暴れ始めれば大騒ぎになるだろう。 ラティアスは目を凝らしてそれらが集まっている所は何処なのか探し始めた。 すると……いた。陣の左右翼それぞれの中心付近だ。 狙いが定まりラティアスは全身の力を集中させる。 次第に左手のルーンが光り出しぐんぐんと力が湧いてくる。 そして間髪入れずに二発のミストボールを勢い良く放った。 その頃竜騎士隊に属するある青年は自らが受け持っている竜を背にぐっすりと眠っていた。 彼は夢を見ていた。 あともう少し実績をあげれば手に出来る勲章を手にし、意気揚々と地元に残してきた婚約者と結婚する光景を。 尤も軍に入るという事はいずれ死ぬという事なのだから当の婚約者とは地元を出る時に別れていた。 彼はふと目を覚まし辺りを見回す。 そこは華やかな結婚式場ではなく戦地に程近い野営場であった。 彼は自分自身を情けないと思った。 未だに未練がましくつい数日前に捨てた筈の幻想を追い求めようとするなんて。 「僕を笑ってくれよ、ウィンザー。」 微かにそう言って彼は身を寄せていた竜の肌を撫でる。 その時だった。突然青白く輝く光の球が後方から来たと思うと、ウィンザーの近くに着弾した。 その勢いは凄まじく、近くにいた竜達は木の葉の様に易々と吹き飛ばされ、兵士達の詰所や眠っている場所に次々と落ちていった。 そして竜騎士の彼もまた吹き飛ばされた物の一つであった。 受け身を取ることも出来ず、彼はすぐ近くにあった灯火の支柱に激しく首根を打ち付け、その時実にあっさりと天に召される。 薄れゆく意識の中で彼が最後に思い出したのは元婚約者の笑顔だった。
ラティアスは地面から3メイル程の所を飛びながら、慌てふためく兵士が密集している所に向かってミストボールを放つ。 彼らの動きはまるで流れる川の水の様で、集まったかと思うと離散し一ヵ所に留まっているという事がない。 それ故に技を放つ規模とタイミングには慎重を期した。 しかし最初の一撃から3分と経たない内に下は大混乱の様相を呈していた。 攻撃的な火竜等は見えないラティアスの攻撃に対し闇雲に火炎のブレスを吐くが、それはその場にいた味方の兵士を巻き込むだけで何の効果も無い。 風竜や鬼達は場も弁えずに取っ組み合って大暴れを始め、食糧や兵装のある箇所を悉く破壊していく。 更に言えば竜達は素早いので、彼らの動線を見極められずに敢えなく下敷きになってしまう兵士達も少なくはなかった。 勿論ラティアスの方もルーンの輝きを抑えも隠しも出来ないので油断は出来ない。 全体とまではいかないが動線が見えている以上絶えず動き回らねば、あっという間に魔法攻撃の餌食になってしまうだろう。 だがまだ帰る事は出来ない。甚大な被害と言うにはまだまだ浅過ぎる物であるからだ。 どうすればもっと弱体化出来るだろうか。 サイコキネシスを使えばもっと手っ取り早いだろうが、あれは最後まで温存しておかなければこの場から逃げ切る時間を稼ぐ事が出来ない。 その時彼女は昼間の戦いでのある事を思い出した。 爆発物等が置いてある所に発火して生じた炎を上手く兵士の密集地に誘導が出来たら……? それからのラティアスの行動は早かった。 野営場からそんなに離れていない所にあった中型のフネに潜り込み、何かないだろうかと素早く中を物色していく。 と、彼女の鼻はある臭いを嗅ぎ付ける。 その臭いとは油であった。しかも壁や天井、更には床にまで余す所無く塗りつけられている。 臭いを我慢しつつ奥へ進むと、今度はまた別の臭いが鼻を襲ってきた。 何の臭いだろうかと思い、それの発生元の部屋に入ると、そこには堆く積まれた黒色火薬があった。 ラティアスは知らなかったが、このフネは焼き討ち船と呼ばれる船であり、敵艦隊の中心に向け無人のまま突入して内部の火薬を爆発させるという代物なのだ。 思いもよらぬ物にラティアスは閃く。 流石に念力でフネをまるまる野営場まで持って行って落とすなんて事は力量関係から出来ないが、 ここにある火薬を大量に場内の灯火にでも放り込めば目的の完遂率は更に高くなるだろう。 飛び火すれば尚良い。 試しにラティアスは火薬の詰まった樽を念力で浮かせてみるが、これが思いの外重かった。 しかし先程起こした騒ぎも治まりかけている以上背に腹はかえられない。 意識を集中させながら樽を持ち上げ、野営場内に入っていく。 すると忽ち下から宙に浮く樽を見た兵士達の反応が返ってくる。 彼等が何らかの行動を取る前に、ラティアスは未だに暴れ続けている一匹の火竜の顔に目掛けて樽を放り投げ更にその後ろからミストボールを撃ち込んだ。 樽は衝撃を受けたために空中で四散し、内部に詰められていた黒色火薬はその周辺に散らばっていく。 そして兵士達が魔法で如何する前に、得体の知れぬ物をぶつけられて怒った火竜はブレスを吐いた。 阿鼻叫喚という物が実在するのであれば、それは正にこんな場所を指すのではないのだろうか。 王党派による奇襲に現場臨場していたボーウッドはその時そう思わざるを得なかった。 最初に奇襲の第一報が入ったのは幻獣の休憩所へ向け臨時軍本部の後方から攻撃がなされて一分程してからだった。 ボーウッドは哨戒していた者達を軍本部テントに招き入れ各々から端的な報告を聞いたが、内容は何れも攻撃の直前まで何ら異状は無かったという物であった。 彼はそこから少しばかり思考に没頭していたが、再び起こった耳をつんざく様な爆発音によって現実に引き戻された。 見ると軍本部からそれほど離れていない場所の地面に、ぽっかりと鰓が開いていた。 風によって運ばれる空気は彼の元に火薬と生物の焼ける臭いをもたらす。 伝令によれば宙に浮いた黒色火薬の詰まった樽が火竜の眼前で破裂したとの事。 ボーウッドは粉塵状態となった火薬に火竜のブレスがかかったため周辺は大爆発に見舞われ、 火竜もブレスを吐くためにある体内の油袋に引火して爆発したと判断をつけた。 息吐く間も無く、延焼が起きている場所に向け何者かによって更なる火薬樽が放り込まれる。 爆発はそこかしこで発生し、その中には兵糧や武器の収められているテントを襲ったものもあった。 ボーウッドは直ちに消火作業と幻獣達に因る騒ぎの鎮静化を下士官達に指示した後、近くにある総司令官のいるテントに足を運ぶ。
そのテントの奥では緑の色をしたローブとマントを身に纏った三十代そこそこの男が悠然と席に座っていた。 一見すれば聖職者の様な感じだが、一対の碧眼に宿る理智的な光はなかなか一筋縄ではいかない雰囲気を出していた。 そしてその傍らには、ボーウッドが今まで見た事も聞いた事もないような獣が男の影の様に立っている。 いや、そもそもこれは獣なのだろうか? その異様なまでの巨大な存在感は本体である総司令官の存在を完全に喰ってしまっていた。 そこまで思ってボーウッドはふとある事を思い出した。 確か総司令官は他国から極秘裏に執政官にあたるモノを招き入れていたと言っていた。 何処から来たのか、どういう人物なのかというのは明かさなかったがこういう事実があったなら明かさない訳である。 「閣下、失礼致します。王党派からの奇襲でございます。」 先ずボーウッドは恭しくそう告げた後で子細を説明する。 閣下と呼ばれたその男は彼の報告を暫し聞いた後、落ち着き払った声で対応した。 「狼狽えるな。奇襲など私と執政官殿にとっては想定の内だ。 夜闇に乗じて攻撃するという事はつまり相手の手勢は少ないという事だ。そうは思わんかね? 音も立てず気も悟られずにここに来たという事はまた、その手勢は風系統のメイジが主になっている可能性が高い。」 それについてはボーウッドも見当をつけていた事だった。 だがそれならば未だに竜騎士達がその存在を発見出来ていない事がひっかかる。 攻撃に前後して青白い光が見え始めた事も気になるが。 「しかし、だ。執政官殿によると風のメイジならば風の魔法で攻撃を行えば良いにも拘わらずそうしないのは奇妙だと言っている。 加えてそれらの姿が空中に舞う青白い光以外少しも見えないというのも気にかかるそうだ。」 その段になってボーウッドが先程から考えていた事が段々真実味を帯びてきた。 まさか。この攻撃を行っているのは…… 総司令官はそんな彼の考えを読んだかの様に続ける。 「君が想定している敵の姿と執政官殿が想定している敵の姿は一致するだろう。 恐らくは昨日我が軍に被害をもたらした奇妙な竜だ。 要はその命知らずな敵を如何にして潰すかという事だ。 だがその点に関しては執政官殿の方が長じているかもしれんな。 何せ執政官殿はその敵と同じ『如何なる図説にも姿を現さぬ不思議な生物』の一つなのだからな。」 その瞬間にも後方では爆発が起こり、見えない敵による攻撃は続いていた。このまま敵の横暴を黙って見過ごしている訳にもいかない。 ボーウッドは執政官殿に向き直り質問した。 「執政官殿。かの敵を討つには如何すれば宜しいのでしょうか?何か策がおありなのですか?」 するとテーブルの上にあるインク壷に差された羽ペンが青白い光を放ちながら宙にすっと浮き、 同じくテーブルの上にある一枚の白い紙にさらさらと文字を書いていった。 そこにはアルビオンの公用語でこう記されていた。 『敵は地上に程近い所にいる。木を隠すなら森の中、光隠すなら明かりの中。肝心要は地上にいる部隊である。 不審な光を見つけ次第即刻攻撃を行うよう伝えよ。 水系統メイジに発光塗料を用意させ、敵の体に上手く塗り追跡させ易くさせるだけでも良し。 光が野営場を出たなら、後は竜騎士隊の者達の仕事である。』 その内容にボーウッドは成る程と思う。少し頭を捻れば分かる様な事ばかりだ。 しかし敵の特徴や攻略法をそこまで分かっているのなら、執政官殿が直々に兵を動かせば良いのではないだろうか? すると羽ペンが再び紙の上を走り出す。内容はボーウッドの疑問に完璧に答えていた。 『私は他国から来ている故戦闘行為を行う事を主から許されてはいない。命令権もまた然り。戦略、及び戦術への参加のみ許されている。』
つまりは執政官というのは表向きの肩書きなのであって、実際は軍師という位置に近いという事だった。 しかし人間ではない、見れば見るほど異形とも言えるその姿は肩書きとの異質さを余計に深めていた。 人間を差し置いて何故こんな生物が執政官という地位に就けたのか。 ボーウッドが一人訝っていると総司令官から声がかかった。 「ともかく作戦は執政官の指示通りに行いたまえ。期待しているぞ、ボーウッド君。失敗する事は許されないのでね。」 「承知致しました。直ぐに作戦行動を実行致します。」 そう言ってボーウッドはテントを出たが、腹の中では正直うんざりしていた。 総司令官は失敗と断じていたが、自分が昨日の昼間に戦場にいたのならそんな言葉はまず出ないだろうと思っていた。 死に体の軍が息を吹き返して逆に攻撃してくるなぞ、勝利は確実だと思われていたあの場の誰もが考えていなかった。 にも拘わらずあの男は、如何なる戦闘も自分が書いたシナリオ通りに進むと考えている。 こういった場でそういう思考回路に行きがちなのは組織で上に立つ者の常ではあるが、自覚していない人間程厄介なものである。 そうなると、期待しているという言葉さえも白々しく聞こえてくるものだ。 後手後手に回った失策の尻拭いをさせられるのはあくまで彼の部下なのであって彼自身ではないのに。 貴族による共和制が標語となっているのに皮肉もいいところである。 目の前で続く爆発と混乱に嘆息しつつボーウッドは手近な兵達を集め作戦の概要を伝える。 勢い良く各方面に散らばる姿を見てボーウッドは鼻白んだ。 自分の様に重要なポストに就いていない兵士は正直数字でしか表されない。 取り換えの効く効率の良い物として扱われ、その者がどんな人生を歩んできたか、どんな人間と関わり合ってきたかは無視される。 そんな物にいちいち付き合っていたら軍という組織は精神的な面で破綻してしまう。何せ代わりは幾らでも存在するのだから。 少なくともそれよりマシな自分は?無論、己の役割を全うするしかあるまい。 --------------------------------------------------------------------- 投下終了します。 何だかアニメにおけるフィラーエピソードみたいになりましたが、良い感じに謎は残せたと思います。 ラティアスは無事戻れるのか? キュルケ達はこの事態にどう動くのか? そして執政官の面した軍師って誰なのか? 大いに想像していて下さい。 ではまた、近い内にお会いしましょう。
誰もいないようなので、2:00から投下させていただきます 今回は番外編的なお話をば・・・
「今日は、あのワイバーンはいないんですね」 シャーリーが先輩メイドであるシエスタにそう訊ねたのは、メイドたちの仕事も一段落ついた昼下がりのことだった。 どちらかというと無口なこの少女が、自分から口を開くのは珍しい。 「そうねえ……。アレはご主人と一緒によくどこかにいっちゃうんだけど」 あまり学院内にいてほしい相手でもないだけに、シエスタの態度は若干いい加減なものでもあった。 一度も吼えられたり、威嚇したりされたことのないシャーリーと違って、他の平民、いや、メイジたちにとっても、巨大なワイバーンは恐怖の対象なのだ。 「モードなら、二、三日留守なんじゃない? 主と一緒にね――」 別のところから、解答が飛んできた。 壁にもたれ、赤いオオトカゲを従えた美女が微笑んでいた。 使い魔のフレイムと共に、日向ぼっこを楽しんでいたキュルケである。 「これは……ミス・ツェルプストー」 シャーリーもシエスタもあわてて頭を下げる。 「里帰り、とか言ってから。今頃は……」 と、キュルケは空の、ある方向へと目を向けた。 その方角へ、大国ガリアがあることは、シャーリーは知らなかった。 ガリアの王都・リュティス。 魔法大国の中枢部の東端。そこに王族たちの住まう宮殿ヴェルサルテイルはあった。 ガリアの誇る壮麗で美しいその宮殿の上空を、一匹の竜が飛んでいた。 青い美しい鱗を持った風竜だった。 王宮に、近隣に住む者で、この青い竜を知らない者はいない。 プチ・トロワに住まうガリアの姫君・シャルロットが召喚した使い魔シルフィード。 竜といってもまだ幼生であり、人間で言えば十歳時くらいでしかない風竜は、きゅいきゅいと鳴きながら、今日も空の散歩を楽しんでいた。 だが、不意にシルフィードは痙攣でもするように動きを鈍らせ、ぴたりと鳴くのをやめた。 「きゅい!」 シルフィードは脅えた声を発して急速降下すると、プチ・トロワの陰にその身を潜めて、空を見上げた。 直後、空に大きな影が見えた。 巨大な翼を持つ飛竜・ワイバーンである。 ワイバーン属にも色々あるが、ヴェルサルテイルの上空に現れたのは、その中でも最大種のグレートワイバーンと呼ばれるもので、 「空の暴君」 と恐れられる怪物だった。 人間や動物のみならず、風竜や、ワイバーンに負けず劣らず狂暴さで知られる火竜にさえ襲いかかることがある。 その恐るべき爪や牙は竜の鱗を容易く引き裂き、その巨体は生半な魔法などものともしない。 ものの本によると……。 年経た巨大で狡猾なグレートワイバーンのために、小国が壊滅状態になったこともあるという。 このような怪物の前では、幼竜であるシルフィードなど、格好の餌食にしかならない。 あわてて隠れたのも無理はなかった。 おかしなことに、こんな物騒な生物が現れたのに、宮殿では迎撃する様子もない。 ワイバーンは巨大な羽根をはばたかせ、国王が住むグラン・トロワの前へと降り立った。 と、ワイバーンの背中から、一人の少女が飛び降りた。 長い青髪が風に揺れた。 一目でガリア王家の血を引くとわかる者である。 ただ。 その身から放たれる粗野……というより狂暴な空気は、王族というより、裏社会の人間に近いものがあった。 なるほど、狂暴なワイバーンに似合いの主人だった。 少女はふんぞり返り、宮殿内へと入っていく。 「イザベラ様、ようこそ」 「いらっしゃいませ」 「ようこそ」 宮殿の人間たちは少女を見ると、顔を伏せて挨拶する。 これに対してイザベラは、 「ん」 と、いかにも横柄な態度であり、まともに顔を見ようとすらしない。 イザベラはそのまま玉座の間へと向かい、政務の杖を振っている国王・シャルル一世と顔を会わせた。 「おお、イザベラか! よく来たね」 イザベラの顔を見たシャルルは相好を崩して、歓迎の意を表した。 抱きついて頬擦りでもしそうな勢いである。 王を前にしたイザベラはさすがに殊勝な態度で床に膝を突き、
「国王陛下におかれましては、ご機嫌うるわしく……」 挨拶を述べようとするが、シャルルはそれをさえぎって、 「よした、よした! そんな他人行儀なことはしなくていい。さ、顔を良く見せておくれ」 と、走るようにしてイザベラのそばに寄った。 まるで子供である。 その様子は、とても幼少時から天才と誉れ高い国王のものとは思えなかった。 「はあ……」 「また一段と綺麗になったね」 やたらにテンションを上げるシャルルに、イザベラはやや困った顔ながら満更でもなさげだった。 イザベラの父ジョゼフは、ガリア王家の長兄であり、すなわちシャルルとイザベラは叔父・姪の関係になる。 ジョゼフは数年前にシャルルが王位継承した後、地方に引っ込んで実質上の隠居生活を送っており、あまりリュティスにも出てこない。 と、いっても、ジョゼフはコモン・マジックすらろくに扱えぬ無能者として有名な男であり、そのことについてとやかく言う人間はあまりいなかった。 むしろ死ぬまで僻地でくすぶっていてくれと願う者のほうが多かった。 叔父と姪はしばらく歓談をしている頃―― プチ・トロワではシルフィードが主のもとで、きゅいきゅいと鳴いていた。 「イザベラ……様と、使い魔のワイバーンがきてるのね! 私、すぐに隠れてやり過ごしたけど、本当に怖かったのだわ!」 と、青い幼竜は人語で口をこぼしていた。 必死な口調が示す通り、幼いドラゴンが本当に怖かったのだ。 「そう」 そんな使い魔に、主は気のない返事を返して、そのまま黙りこんでしまった。 青いドレスと大きな王冠を身につけた、美しい姫君。 背丈も低く、ぱっと見には下手をすると十歳くらい見えるが、今年で十五になる乙女である。 シャルル王の娘、ガリア王国王女シャルロット。 大国の姫であり、若くしてすでにトライアングルクラスのメイジである彼女こそが、シルフィードの主であった。 シルフィードが高い知能を持ち、先住の魔法操る風の古代竜……風韻竜であることは、王宮内でもごくわずかなものしから知らぬ。 一国の王女がこれほどの使い魔を召喚したのだから、もっと大々的に知られてもよさそうだ。 使い魔は、メイジの実力をもっともわかりやすく示すものと言われるのだから。 しかし、シャルロットは、 「無駄に目立つからいや」 という理由で、そのことを秘密にしていた。 「初めて会った時のこと、ほんとに腹が立つのだわ! あのワイバーン、シルフィのごはんを横取りにしたのね! それを謝りもしないで、いまだにシルフィのこと馬鹿にしてるのだわ!!」 シルフィードはワイバーンへの怒りをわめいている。 確かに格で言うのなら、ワイバーンと風竜とでは竜のほうが上だ。 戦っても、竜が遅れを取ることは早々ない。 だが、それはあくまでも中型・小型のワイバーンの話であり、グレートワイバーンとなると、話はまったく別だった。 格なんぞといっても、所詮自然界でものをいうのは強さであり、力だ。 弱肉強食。それが厳格なルールなのである。 前述したように、成竜でさえ危険なのだから、シルフィードのような幼生など、彼らには餌でしかないのだ。 そんなところへ、 「シャルロット様、イザベラ様が見えておいででございますが……」 シャルルが王子の時代から仕えている老執事が、従姉妹の来訪を伝えてきた。 シルフィードが韻竜であることを知る数少ない人間の一人である。 「もう、聞いてる」 シャルロットはシルフィードのほうへと目をやった。 「さようでございますか。では……」 「多分、すぐに帰ってしまうわ」 何か言いかけた執事をさえぎるように、シャルロットは言った。 わずかながら険を吹くんだ声。 実際にその通りで、何か特別な用事でもない限り、イザベラがヴェルサルテイルに長居をすることはまずない。 「ですが、ご挨拶ぐらいは……」 「うん」 シャルロットはうなずいたけれど、 「本当のことを言うと、イザベラはちょっと嫌い。だって、お父様はあの子ばかり可愛がるんだもの……」 そうつぶやいた後で、あわてたように、 「このことは、秘密」 と、執事に念を押した。 執事は何も言わず、かすかに苦笑するばかりだった。
支援
シャルロットの言う通り、シャルルは、昔から『不出来』な姪をずいぶんと可愛がっている。 幼い頃から、魔法の才能の乏しい姪に対して、 「なに、イザベラには知恵と度胸があるさ」 と優しく励ましていた。 そこのところが、まだ幼い王女にとっては、少々面白くないのである。 大好きな父が、従姉妹に取られているような気持ちになるのだろう。 執事の苦笑は、姫君のそんな思いを感じとった上でのものだった。 「トリステインのほうはどうだい?」 「相変わらずの田舎ですわ。ワインはなかなかのものですけど」 「やれやれ、相変わらず口が悪いな」 毒を吐く姪にシャルルは苦笑しながらも、 「今回はゆっくりしていけるのかい?」 「いえ……。今日は叔父上にご挨拶にうかがっただけですから――。それに、実家に顔を見せなくてはなりませんし」 「そうか……。残念だな」 シャルルは肩を落として、 「久しぶりで一緒に食事をしたかったんだが……。ま、仕方ない」 「申し訳ありません」 「いや、謝ることはないよ。兄さんに会ったら、よろしく言っておくれ」 「はい、叔父上」 イザベラはシャルルに挨拶をして、ワイバーンに乗って飛び立っていた。 菓子類やワインなど、多くの土産物を持たされて。 姪が帰った後、シャルルは玉座で一人ぼんやりとしていた。 兄・ジョゼフのことを思い出していたのである。 (今頃、何をしているのか……) シャルルはその才気や人望から、正当な後継者としてなるべくして王となった。 周りの人間は皆そう思っている。 しかし、 (そうじゃあないのだ……) 前王である父が王位を譲ると言ったのは、シャルルではない。 ジョゼフなのである。 これに対して、シャルルは何の抵抗もなかった。 魔法が使えぬと揶揄されていても、兄の優れた頭脳と知識は王として君臨するに相応しいものだと思っていたからだ。 だからこそ、兄を祝福し共にこの国を盛り立てていこうと言った。 ところが……。 ジョゼフはどうやって手回ししたものか、いつの間にかシャルルを正当後継者として、王位を継がせてしまったのである。 シャルルは驚いて、これは違うと言おうとしたが、気づいた時にはすでにそのようなことを言えぬ、言ってもまず無駄であろうという状況になっていた。 まったく舌を巻く他なかった。 戴冠式の日、 「これからはなシャルル、何もかもお前一人でやってるみることだ。俺はもう知らんよ」 ジョゼフはそう言い残し、去っていってしまった。 人々はこれを気にも止めなかった。 ジョゼフは魔法の使えぬ無能王子として、蔑視の対象でしかなかったからだ。 だから、皆このことをなるべくしてなったこととしか認識してはいなかった。 (愚かなことだ……) そのことで、シャルルは言うに言われぬ怒りをおぼえずにはいられなかった。 己が王になったことで、兄がどれほど優秀な人材であったのか、それまで以上に痛感したからだ。 人が魔法に長けるシャルルを誉めそやすが、政治という点から見ればシャルルは無能ではないが、特別優秀な人間ではない。 それは他の人間にも言えることで、メイジとしては優秀であっても、まず人の上の立つ器量のない人間や、まったく視野狭窄で浅慮な者の多いこと。 そういった人間は、それはそれでガリアの軍事力を支える大事な存在であるのだが、なまじ力があるものだから暴走の危険を伴う者が多い。 もしも王位が父の言葉通りジョゼフに譲られていたら、 (手前勝手に暴走して、謀反を起こしたかもしれない……) のである。 なんとも皮肉なことに、シャルルを慕って集まってきた者の半数はそんな人間だった。 彼らは悪人ではないし、熱意も才能もある者たちなのだが……。 さらにガリア全体で見ると、目をつぶってもいいレベルではあるが、明らかに腐敗・堕落の兆候を見せる貴族は数多い。 巨大な力を蓄えつつあるゲルマニアや不穏な空気の漂うアルビオンなどを見るに、 (これからは、メイジの力のみではやっていけなくなる……)
と、痛切することが多かった。 (なんとまあ、頭が痛いことか……) シャルルは暗然とした気持ちで息を吐いた。 「お暇をいただきたいのですが……」 新人のメイドが唐突にそう申し出てきたのは、初仕事がようやく始まろうという矢先であった。 幼さを残す少女はぎゅっと唇を噛み締め、尋常ではない決心であるのがよくわかった。 「どうしたの、急に?」 メイド長は、なだめるようにして、なるべく穏やかに訊ねてみたのだが、 「私……。私……」 メイドはうつむいて震えるばかりであった。 そして、これまた唐突に―― 「私、カエルだけはダメなんです!!」 と、甲高い声で絶叫した。 カエル? メイド長は目を丸くした。 屋敷のあちこちからぴょいこら、ぴょんとカエルが這い出し、使用人たちを驚かせている、という報告があったのは、そのすぐ後であった。 その後、入ったばかりのメイドは、逃げ出すようにして屋敷から出ていってしまった。 (またか……) メイド長は頭を押さえ、舌打ちをした。 このようなふざけた事態を引き起こした犯人は大よそ見当がついている。 というよりも、この屋敷内では、まずその人物しかありえなかった。 カエル騒ぎが幾分おさまりを見せてから、メイド長は茶の用意をして主人の元へと向かった。 これはいつものことで、毎日特別なことがない限り、この時間にお茶を用意して主のもとへ持っていくのだ。 造りは古いが品の良い屋敷の中、日当たりの良い南側に主人の部屋はある。 「お茶の用意ができました」 扉をノックして呼びかけると、すぐに、入れ――と返事が返った。 穏やかだが、はりのあるいい声だった。 部屋の中央で、主は机に置かれたチェス盤を睨んでいた。 青い髪に、青い顎髭をたくわえた美丈夫である。 このような辺鄙な屋敷にいるよりも、王宮で玉座にでも座っているのが似合っていそうだ。 これに対して―― メイド長も美女である。 その役職に比較せず、年齢はまだ若く二十代前半ほどだが、落ちついた知性的な雰囲気をしている。 ブルネットの髪が実に奥ゆかしく、上品さを匂わせていた。 メイド長は無駄のない、ゆったりとしているようで手際の良い動きでお茶を入れ、ティーカップをチェス盤の横を置く。 青髪の美丈夫がカップを手にした時、 「ところで、旦那様」 メイド長は声をかけた。 「なんだね?」 「先ほど屋敷の中をカエルの群れがウロウロして、使用人一同大変に迷惑しております」 「なんと、それは困ったことだな。俺はこの通りチェスに夢中になって気がつかなかった」 「そのせいで入ったばかりのメイドが早々に暇乞いを申し出てきました。無理に引きとめることもできなかったので、望むようにいたしましたが」 「そうか。まあ、しょうがないな」 美丈夫は興味なさげにお茶を飲んでいる。 「もしやすると、旦那様はこの騒ぎを起こした犯人をご存知ではないかと」 「いや、知らんな。今日は朝からチェス盤にかかりきりだった」 「左様でございますか」 では、失礼をいたします、とメイド長は主人の部屋を辞した。 (面の皮の厚い……) 内心で主人に対し毒を吐きながら、メイド長は次の仕事のためきびきびと歩き出した。 メイド長は、その名をメアリといった。 この屋敷の主人、ジョゼフは正式なガリア王家の生まれであり、まがりなりも、『大公』と呼ばれる立派な身分の人間である。 年齢はすでに四十を超えているのだが、その美貌といい、たくましい見事な肉体といい、とてもそうは見えない。 今年十七になる娘がいるなど、ちょっと信じられなかった。 外見ばかりではなく、馬術は神業のような腕前であり、武術においてもとんでもない使い手であった。 また数多の楽器を玄人顔負けで弾きこなし、学問においては博覧強記の見本そのものだった。 屋敷のあちこちに飾られている絵画や彫刻――いずれも見事な出来映えの芸術品だが、これはいずれもジョゼフの手によるものである。
他に人がいないのに意味があるか分からないが支援
知る者はほとんどいないが、経済や政治方面でも抜きん出た先見の目を持っている。 並の人間であれば、一つでもいいからあやかりたいと思うだろう。 唯一にして、最大の欠点は魔法の才能がほぼゼロということだが。 しかし、メアリから言わせれば、だ……。 ジョゼフという男は天から何十と与えられた才能を無駄に浪費して省みるところがまったくない穀潰しだ。 せっかくの知恵と見識を子供じみた悪戯に注ぎ込み、諸人に迷惑をかけることに注がなくてもいい情熱を注いでいる。 むしろ、それを生きがいさえしているように思えた。 あらゆる意味で無駄使いの大好きな男なのである。 金も時間も、そして知恵も知識も『無駄』にあるものだから、まったくもって始末が悪い。 小人は暇を持て余すとろくなことをしないと言うけれど、ジョゼフという男はどうでもいいところで大物なのだ。 これでは娘が愛想をつかして他国へ行ってしまうのも無理はなかった。 その娘……イザベラも、若干方向性は違うものの、父親と並び立つような穀潰しなのだが。 やたらに銃をぶっ放したがるので、危なくてしょうがない。 その標的になるのは、もっぱら領民に危害を及ぼすオーク鬼や猛獣であったのは不幸中の幸いか。 「……そういえば、今日はお嬢様のお帰りになる日だったわね」 メアリは誰言うとなく、そうつぶやいた。 若きメイド長の言葉に反応するように、風の音が窓越しに響いた。 ばさり、ばさりと羽根音がする。 屋敷の上空に、巨大なワイバーンの姿が見えた。 メアリは長い溜め息をつく。 思えば、使い魔召喚の報告として彼女が帰ってきた時は、使用人どころか領民たちはワイバーンの出現に大騒ぎをしたものだ。 無理のない話だが。 屋敷がイザベラの帰りでバタバタしているところ、メアリは急にジョゼフから呼び出しを受けた。 それは、他の何者にも決して真似出来ない、二人だけの方法によるものだった。 「お呼びでしょうか、旦那様」 「おお、すまないな、メアリ。実は、ちょっと雑用を頼みたいのだよ」 と、ジョゼフは書状らしきものを読みながら苦笑した。 「なんでしょうか……。あ、ご存知かもしれませんが、先ほどお嬢様がお帰りになられました」 「そうらしいな。おお、ちょうどいい、イザベラにも手伝わせてかまわん。あいつのワイバーンならすぐだろう」 「……」 主がこんな言いかたをする時は、大抵が面倒ごとだ。 メアリは溜め息をついた。 それと同時に、彼女の額に複数の文字が現れ、発光し出した。 言葉にすると、それは、ミョズニトニルンと読める。 ジョゼフの簡単な説明によれば、早い話、領内でゴタゴタがあり、何とかしてくれと領民たちが言っている……ということだった。 「で、それをどうにかしてこいというのですね?」 「そうだよ」 「……わかりました」 メアリはうなずいて、主のもとを辞した。 部屋を出る時には額のルーンは消えていた。 額のルーンは、普段は身につけたマジック・アイテムで見えないようにしている。 メアリ。正確には、メアリ・シュヴァリエ・ド・バンクス。 メアリがジョゼフによって、はるかイギリスからこのハルケギニアに召喚されたのは今より数年前のこと。 ただのメイドでしかなかった少女は、いまや魔法の世界で騎士の称号を得ている。 といって、表向きの仕事はイギリスにいた頃とそう変わらなかったけれど。 (世の中って、わからないわね……) メアリは我が運命の不思議さに嘆息するばかり。 だが、トリステインに自分と同じような境遇の、メイドの使い魔がいるなどということは……。 知恵の塊、神の本と呼ばれる力を得たメアリもまだ知る由はなかった。 * * * これにて、投下完了です。 支援のかたありがとうございました。
いえいえー、投下乙っしたー
なんてこった…… wikiである程度の量が纏まったら読む派だから、 支援だけしてさっさと寝ようと思ったのに、 なんとなしにちょっと読んだらやられた……
支援しようと思ってたら投下終わりましたか。乙です。 > 「なに、イザベラには知恵と度胸があるさ」 デコがある。その広い額がイザベラさまの良いところ。 ってかまさかのメアリ・バンクスさんですかw
ぬ、途中送信 まさかスーパー森薫メイド大戦になるのか!?
くっそー、wikiで検索したら既に5話もあるじゃないですか! また読む作品が増えて睡眠時間その他が減ってしまう……
徹夜で読破はよくあること 投下した方、乙でした
wiki登録されてしまった作品の加筆って許されるんでしょうか? ほんの1〜2行なんですが…やっぱ上げちゃった作品に文章付け足すのはかなり抵抗あるような それで話が分かりやすくなるならやった方がいいような
ごめんなさい聞いておいてなんですが やっぱりやめます これを戒めに最終チェックをもっともっと厳しくしていきます
自分のなら問題ないと思うが
すげェなんか投下の嵐だ 起きててよかったぜ 各職人さんGJ!
>>215 >>216 才人と一緒に召還してルイズと才人を指導する安西先生というのもいいかも。
「君たちは強い」
>>284 ありがとうございます
ただそれが許されると甘えができてしまいそうというか
戒めることで次からの投稿の時の覚悟が上がって、もっとよい作品を投下できそうな気がする
とかいうようなえらく個人的で精神的な理由から加筆はやめておきます
安西先生ワロスw
>>264 > 相手の気をてらわなければならない。
「奇をてらう」を何か勘違いしてないか?
ともかくおつかれ
上でノエインの話題でてたけど スピン兵器からでてる電気みたいなのって何なの
>>180 川上稔作品に高度な戦術論や複雑な政略とか出てこないし。
百鬼夜翔の日野山麦――炎が使えて熱に強く、その反面水が弱点というバランスは良いとして――ハルケギニアで「九十九神」の概念が理解できるんだろうか。 下手をすれば最高位のガーゴイルとか言われそうですが。 もし彼女が召喚されたなら……妖怪たちとの戦い、タバサは役に立つんだろうか。ことごとく気絶しそうですし。
百鬼の法則だと極端な話をすればインテリジェンスソードも竜もメイジですら妖怪になるからな 生理的に恐怖を生む存在じゃなきゃ大丈夫だろ
外見の印象が『かわいい』や『びっくり』なら大丈夫だとおもわれ。 なつかしいなぁ。人間時の容姿を美人にするためだけに『畏怖すべき美』を取ったっけ…。
妖魔・百鬼世界の法則が当てはまるなら――世界のどこかに『妖怪ブリミル』がいる可能性も?
>>293 幽霊を連想させる妖怪じゃない限りタバサは大丈夫じゃないかな
ジョニー辺りが召喚されたら……駄目だ、ルイズの頭痛の種が増える予感
誰か麦のん召還してよ! で、ギーシュやワルドに 「関係ねえよ!カァンケイねェェんだよォォォ!! 」 ってやって欲しい。
小島「でもそんなの関係ねェ!」 ルイズ「はい、おっぱっぴー」
ルイズ「な、なんでガスが利かないの?」 ???「そんなこと、俺が知るか!」
>>298 関係ねえよ!カァンケイねェェんだよォォォ!!
テメェの希望なんざ、指一本動かさなくても100回無視できんだよォぉぉぉぉッ!!
>>300 改造電気人間!改造電気人間じゃないか!
>>297 ???「其処のキュートなレィディ、ジェリーフィッシュ快賊団にはいらないか?」
ルイズ「誰!?」
ジョニー違い
>>298 それよりも、食堂で大炎上ですよ
麦「なんで食事を残すのですか!!」
そう云えばディズ子召喚モノあったけど第二話来てないな・・・
上で「知性派」という話題が出てましたが私が思うにはっきり言って無理なんですね 知性を見せるとなると「技術」か「戦術」か「戦略・政略」となります 「技術」で知性を見せるとなるとコルと一緒に(ハルケギニアにとって)オーバーテクノロジーを 提供し続ける、となりますがそれでは主人公がイマイチ知性的には見えない上 確実に原作キャラ蹂躙となります 「戦略・政略」となると「ゼロの提督」という悪例?が存在します。 ぶっちゃけ政略はともかく戦略考えるキャラがゼロ魔には存在しない(せいぜいジョゼフくらい?) のでやはり原作蹂躙は避けられません そして戦術ですが、これは魔法がやはり現実世界での戦術の殆どを無効としてしまうのです 包囲したところで魔法を連射されたら(こちらのメイジが多いのなら包囲戦とかせず正面からやりあって勝てる)負けますし 定番である水攻めはフライやレビテーションには通じません 奇襲の類も魔法や使い魔による偵察がありますから・・・・・・ しかも魔法防御、無効化などの描写が無いため戦術に組み込む事もできません 困ったモンだ
もう蒸し返すなよwww
ゼロ魔キャラが野球で対決する話を考える作業に戻るんだ!
原作蹂躙って言葉は便利だな ヘッ
すかさずアンチに走るのは流石だと思う 願わくばその行動力を平和利用してほしいものだ
>>307 じゃぁ、正解といえる例を自分で書いてみせてよ
>>311 いえ、これは「提督」を叩いてるつもりはありません
ただ「召還キャラが戦略・政略で原作キャラを圧倒した場合叩く人がいる」というつもりで書きました
伝わらなかったのは私の文が下手糞だったからですね、申し訳ありませんでした
>>312 だから無理だって言ってるのに・・・・・・
少なくとも私は考え付かない
>>312 お前は何を言っているんだ?
アンチはアンチ行為しか行うことが出来ないからアンチを行っているんだ。
一緒に平和利用の方法を考えようぜ
ギシギシアンアンお盛んですな
知性派でも大丈夫なやつがいるぞ キン肉マンフェニックスだ
あれは姑息って言うんだよw
>317 ゆで理論による、原作蹂躙ならぬ物理法則蹂躙が起きるのですね。
魔法を組み込んだ全く新しい戦い方を想像した ……なんかいけそうだな。魔法超人ブリミルとか。
>>319 アンアンがアルビオンに送り込む精鋭を選定するためにトーナメントを開くのですね分かります。
>>314 原作自体が異世界の物や人に引っ掻き回される話なので
ハルケギニアにないものなら、それが戦術のような無形の物でも
蹂躙されるのは元から一緒だね
ヴァリエールバスターが炸裂するわけか
アルビオン・インフェルノ ガリア・リベンジャー トリステイン・スパーク ロマリア・フラッシュ ですねわかります
フェイスフラッシュならぬ、デコフラッシュですね! わかります! パンツフラッシュは流石に自重します!
さすがスグルw 荒れた流れがもとに戻ったwww
>>314 そもそも
>包囲したところで魔法を連射されたら負けますし
とはならないから戦術ってものがあるんじゃないか?
第20回メイジオリンピック編、国外遠征編、第21回メイジオリンピック・ザ・ビックファイト編、七人の悪のメイジ編、 黄金の杖編、夢のメイジタッグ編、トリステイン王位争奪編 ちなみに、王位争奪編だけ主役はアンリエッタ
>>328 アンリエッタスーパーフェニックス、アンリエッタゼブラ、
アンリエッタマリポーサ、アンリエッタソルジャー(ナカノヒトはアニエス)、アンリエッタ(胸が)ビッグボディが現れる
と申したか
あ、ソルジャーは俺が持って帰ります
5人のニセアンリエッタは背中に王家の紋章があるのに アンリエッタ本人だけは尻に紋章があると申すか。
マルトーのおっさんが牛丼を作るのですね、わかります。
盛り上がってるな。 クマちゃんのせいか。
アンリエッタが巨大化できるというネタは後半忘れ去られるのですね とりあえず前半のうちに巨大化して全裸になった状態を大衆に見上げられてケツ毛の有無まで知れ渡ってしまうという話をやらないと!11
>328 何故かローションぬるぬるでのキャットファイトですねわかります
>>325 顔を隠すマスクは必要だろう
ということで普段からパンツかぶってることにすれば
パンツフラッシュも問題なし
キュルケ「よし、みんなルイズに魔力をわけてあげるのよ!」 ギーシュ「10万パワーずつだね!」 ……… …… … キュルケ「パ…パワーが入っていかない! なんで!?」 ルイズ「いいのよキュルケ… だって私は“ゼロ”だから」 キュルケ(いやそれは知ってる) ギーシュ(知ってるよ) タバサ(知ってる)
337 :
ゼロの女帝 :2008/09/19(金) 15:00:14 ID:9a9MbvJ7
空いてますかぁ 空いてるなら十分頃から投下しちゃったりしますよぉん
ハイ・支援・し・ます
支援♪支援♪
340 :
ゼロの女帝 :2008/09/19(金) 15:12:06 ID:9a9MbvJ7
それじゃあいっきまーす 第二十二話 「・・・・・・・・・・」 「なにやってるのかしら、ヴァリエール」 「うっさいわよ、ツェルプストー」 コックのマルトーがセトやサイトから教わった料理「エビフライ」を突き刺したフォークを手にルイズは唸る。 関係無いがマルトーは最近二人からいろいろな『東方の料理』を教わり、それがまた美味なので評判が高い。 噂では王宮からスカウトが来たとか。 「一昨日の夜からずっとこうなのよ」 「やっぱり?まだスネてるのね」 「納得したでしょ、ルイズちゃん」 「わぁってるわよ」 そう、わかってるのだ。 今度こそ本当に自分の使い魔を、と『サモン・サーヴァント』を行った結果来たのは あの阿呆で美人と見ればすぐ尻尾振る年中サカリのついた平民だったのだと。 どうでもいいが時折私の胸を見て心底残念そうな、気の毒そうな表情をするのは許せん。 しかしまあ武器持たせればそこそこ役に立つので辛うじて我慢してやってるというのに。 アイツときたらタバサとしょっちゅうどこかに出かけている。 「だからね、ルイズちゃん。 サイトちゃんに実戦経験詰ませる為なのよ」 それは判っている。 仮にもこのわたしの、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔なのだ。 『メイジ殺し』の群れすら無双乱舞とばかりに薙ぎ払うくらいの実力が無ければ困る。 でもしかし主人である自分以外の女の子と数日出掛けるとは何事であるか。 などと右手のエビフライと左手のキシメンをかじりながら考えていたルイズは、キュルケが突然自分の頭を掴んだのに驚き、反応しようとするが 「ヤキモチ焼くのもぉ たいがいにぃ・・・・・・・せんかぁ!」 そのままキュルケはルイズの頭を、自分のヒザに叩き付ける! 「もぎゃもぎゃもぎゃぁ!」 額を抑えて床を転げるルイズをよそにキュルケは右の親指を額に当て「あぽ」と一言。 「何すんのよ!」 と立ち上がったルイズの右手を掴んだキュルケは、そのまま彼女を壁へと放り投げる。 ちなみに食堂のテーブルは既にギーシュがワルキューレで部屋の隅に運んでいた。 何故か壁際に張られているロープの反動で戻ってきたルイズの顔面に足の裏による蹴りを叩き込むキュルケ。 「あぽ」 「もうトサカ来た!」とそのままファイトを始めるルイズ。 この二人の格闘が、のちハルケギニア全てを席巻する人気スポーツ「レスリング」の起源である事は言うまでもない。
341 :
ゼロの女帝 :2008/09/19(金) 15:14:09 ID:9a9MbvJ7
「よっし、学園に戻ってきたな」 「あなたには感謝している」 「いや、そりゃこっちの台詞だって」 「あなたは自覚していないかもしれないがあなたの戦闘力は尋常では無い程に高く、 その協力を得ている私の労力は非常に軽減されている。 北花壇騎士団としての任務において生命の危機を救われたのも二度や三度ではない。 今回もあのような少女が吸血鬼というのはあなたが言い出すまで予想もしていなかった」 「ああいう時は『一番怪しくなさそうなのが犯人』と決まってるからな。 一歩下がってみればあの子が不自然なまでに事件に関わって『無かった』。 それに、経験を積む事で心構えも出来るようになってきたから。 『必要とあれば幼い少女すら斬る』心構えなんて経験積まないと出来ないからな。 なにより、お前に手を貸したのは俺だけじゃない、こいつもだろ」 「きゅいきゅい、そうなのね。 お姉さまに手を貸してるのはサイトだけじゃないのね」 「判っている。感謝している」 きゅいきゅいと喜ぶ使い魔をよそに、『守りたいのはヴァリエールだけなのか』などと考え、自分でも理解出来ない『寂しい』という 思いをしながらまたサイトに話し掛ける。 「他にも、あなたを同行させる事でヴァリエールにも貸しを作れるし、セトからは謝礼を貰っている。 私にとってきわめて有益」 「謝礼ってやっぱお金?」 「肯定。他にも薬物やそれに関する知識を」 「よくわからんが助けて欲しい時には遠慮無く声掛けてくれよ。 得とか利益とか貸しとかじゃなく、俺が助けたい相手のひとりなんだからな、お前は」 などと会話をしているうちに二人は学園の中庭に降り立つ。 「じゃあ俺はコイツを洗ってやったあとメシ食わせるから」 「わたしは報告書を。あと・・・・・・・・・・」 「ん?」 「ありがとう」 そのかすかな、しかしお日様の光が結晶となって零れ落ちるような笑みを見る事が出来たのはサイトと、二人を見守っていた瀬戸だけでした。 「くたばれ!地獄突き地獄突き地獄突きぃ!」 「死にさらせ!48の虚無の技がひとつ!ルイズバスター!」
342 :
ゼロの女帝 :2008/09/19(金) 15:16:35 ID:9a9MbvJ7
はい、今回はここまでです タバサ贔屓なので今回はタバサメイン(?)にしてみました 吸血鬼退治については『待て!外伝』(嘘です)
短
乙でしたぁ……えっ、外伝は嘘なのですか。うぅしょんぼりだぁ。
345 :
ゼロの女帝 :2008/09/19(金) 15:19:13 ID:9a9MbvJ7
>>343 『短いのを早めに多数』がわたしのスタンスですので請容赦
空いてるっぽいので 15:40 ごろから投下しようと思います。
支援するのですよー
支援します。
ゼロの氷竜 三話 日が傾き、夕闇の迫るトリステイン魔法学院。 学院に戻ってすぐ使い魔との付き合い方、使い魔のしつけ方について注意を受けたルイズ のクラスメイトたちは、思い思いの場所、思い思いの形で使い魔との時間を過ごしていた。 主とさして変わらない大きさのモグラに、青銅のゴーレムで掘り出したミミズを与える金 髪の少年。 捕らえたネズミを風で巻き上げ、フクロウに与える丸みを帯びた少年。 水たまりのような池で泳ぐカエルを、どこか引きつった表情で見ている金髪の少女。 空色の髪の少女は日陰で丸くなる青い竜にもたれながら本を読んでいる。 赤毛の少女は小さな炎を生み出しては、燃えさかる尾を持つ巨大なトカゲに食べさせてい る。 だがその表情はどこか上の空だ。 学院から出るまでと戻ってきてからの髪の薄さが違ったように見える教師は、生徒たちが 使い魔と仲良くしているのを微笑ましく見ながら、時折儀式を行った草原の方を眺めてい る。 ところ変わって学院の厨房では夕食の時間が迫り、戦争が始まっていた。 「下拵えは!?」 「あと少しです!」 「馬鹿野郎!! その虫食いはまかない用だ、戻しとけ!!」 「スープ大丈夫です!!」 「オーブンの準備は!?」 「鳥でも豚でも問題ありません!!」 「よーし、頃合いだ!! スープから盛って出していけ!!」 「わかりました!!」 数十人がせわしなく動き回り、怒号が飛び交う戦場の中、憂いを含んだ表情を浮かべる一 人のメイドがいた。 メイドの名前はシエスタ、使い魔召喚の実技から一人だけ戻らないルイズとはいささかの 関わりがある。 時はさかのぼり、ルイズの入学から二ヶ月ほど経っていたある日、夜風に当たろうと外に 出たシエスタは馬小屋の陰、月の光の当たらないそこからすすり泣く声を聞いた。 顔を覗きたくなる衝動に耐え、シエスタはそっとそこから離れようとした。しかし足下の 小枝に気付かず、それを踏み折る音を泣き声の主に聞かれてしまう。 「誰!?」 「あ、いえ、動かないでください」 シエスタの声に、月明かりの元に出て行こうとした泣き声の主が止まる。 「あの、私はあなたが誰かわかっていません。あなたも、私が誰かわかっていないと思い ます」 その言葉に、泣き声の主は再び馬小屋の陰に戻る。 「私にはたくさん家族がいます。だから、実家にいたでは時々誰かの泣き声を聞きました し、私も夜にこっそり泣いたこともあります」 馬小屋の陰からは何の言葉もない。 シエスタは自らの言葉を継ぐ。 「だから、そういうときには誰かに見られたくないって気持ちになります。だけど」 「だけど?」 小さなつぶやきだった。 シエスタは口元に笑みを浮かべる。 「だけど聞かれたくないと思いながら、誰かに聞いてほしいとも思うんです。多分、少し 気持ちが楽になると思うんです」 シエスタの、誰かに話しかけるような、どこか独り言のような言葉は、馬小屋の陰にいる 誰かにも届いていた。 「でも、誰に話したかわかってしまったら、その人と次に会ったときにとても恥ずかしく なったりすると思うんです」 互いが誰か、知らない方がいい。 シエスタが言外に込めたメッセージは、正しくその言葉を聞いた誰かに伝わったようだっ た。 「私の」
小さな声はそっと話し始める。 「私のうちはとても大きいの。そしてお父様もお母様も、とても立派な方たち。厳しいけ れど」 最後の言葉に、シエスタは音に出さずに口元をほころばせる。 「私は小さな頃からずっと教育を受けてきたわ。二人のお姉様は、二人ともその教育に恥 じなかった。だからお父様とお母様の子供であるなら、それは絶対にできるはずのことだ った」 小さな声が、さらにトーンを落とす。 「でも私はそれができなかった。学院に来れば、できるかも知れないと思っていた。いい え、できないわけはないと思っていた。でも、それからもう二ヶ月が経ったわ」 シエスタは声の主に見当がついていた。 いつもどこか不機嫌そうに学院を闊歩し、時折クラスメイトに野次を飛ばされている。 自分たちメイドや料理人が何かミスをしたときには、烈火のように怒り始めるため、シエ スタの仲間内の評判はあまりよろしくない。 「今でも、私はそれができることを信じてる。信じてるの」 言葉尻に、小さな嗚咽が混じった。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 国政も左右するといわれる名門、ヴァリエール公爵家に生まれながら魔法を使うことがで きない。 口さがない一部の同僚や学院の生徒は魔法が使えない『ゼロ』とまでいっている。 「お、お父様やお母様もはじめは励ましてくれた。姉様たちに比べて少し時間がかかるだ けだって。ちょっとコツをつかむのが遅いだけだって」 少ししゃくり上げながら、言葉は続く。 「でもそのうちお父様もお母様も励ましてはくれなくなった。少し悲しそうに、でも私を 安心させるために笑顔を浮かべるだけになった」 シエスタ自身、メイジに対する鬱屈した感情はあったため、ルイズに好意的だったわけで はない。 だがその言葉を聞き、様々なこと、学院の先生方に熱心に質問をしていたり、森の中でこ っそり魔法の練習をしていたり、『ゼロ』が、という前置きをしながら同僚が教えてくれ た、日付が変わるまで図書室にこもっていたことなどを思い返せば、シエスタのわだかま りは霜が日を浴びたように溶けていく。 「わ、わたし、私は」 感情があふれてしまったのだろう。 声はとぎれとぎれになり、やがて押し殺したような泣き声が聞こえた。 「私は昔、失敗をしてばかりでした」 シエスタは我知らず話を始めた自分に少し驚いた。 「何度も同じ失敗を繰り返して、偉い人たちに怒られ続けました」 だがその言葉によどみはない。 「時には手で打たれたり、鞭で打たれたりしました」 嗚咽の声は小さくなっていた。 シエスタの話は続く。 「でも、ある人が言ってくれたんです。お前みたいに不器用なやつは見たことがない。た だ、お前みたいにひたむきなやつも見たことがない」 やがて嗚咽は聞こえなくなっていた。 「俺も昔は失敗ばかりしていた。だが、ある人が言ってくれた。失敗もしないやつに何が できる、とな。誰でも失敗するもんだ。だがそれでくじけていたら何もできなくなる。特 に、お前みたいに不器用なやつは」 シエスタはその言葉を思い返しながら、空に浮かぶ二つの月へ視線を投げる。 確か、あの夜もこんな風に二つの月が見えていた、と思いながら。 「それを聞いたとき、その人は肩の力が抜けたっていってました。私も、それを聞いたと きに自分の肩が少し軽くなったような気がしたんです」 シエスタは昔を思い出し、少しにじんでいた視界をその手でぬぐう。 「私とあなたが一緒かどうかはわかりません。でも、あきらめたらおしまいですよ?」 学院の外、森を抜けた風が学院へ入る。 ささやき声のように足下の草を揺らし、風は吹き抜けていく。
ふっと息を吐き、シエスタは馬小屋にもたれながら座り込んだ。 泣き声も、嗚咽も聞こえなくなっていた。 どこか気持ちのよい静寂に、シエスタはそっと目を閉じる。 しばらくして、草を踏みしめる音が聞こえた。 シエスタは聞き耳を立て、足音が離れてしばらくしたら、私も部屋へ戻ろう、と考えた。 不意に、月明かりが遮られる。 驚いたシエスタが見たのは、月明かりに照らされる桃色がかった金色の髪。 逆光で表情がいまいち判然としないが、目元にはこすったような跡がついていた。 よもや姿を見せるとは思っていなかったシエスタが何も言えずにいると、目の前の人物が 怒ったような表情を浮かべ始める。 平民であるシエスタは、貴族の怒りというものをよく知っている。 よく知っているがため、シエスタの顔は青みを帯び、その口はかすかに震え始める。 「あなたの名前は?」 ルイズの言葉に、シエスタは答えを返すことができない。 「耳が聞こえない訳じゃないでしょ。名前は?」 わずかに、ルイズの顔が紅潮している。 「は、はい! あ、あの、シ、シエスタと申します」 震える声で答えたシエスタを見ながら、ルイズは視線をさまよわせる。 なんであんなことを言っちゃったんだろう、謝って離れれば良かったのに。 シエスタの頭の中は後悔だけが広がっていた。 「あ、あの、あのね」 「は、はい!」 「あの、……ありがとう」 耳どころか首筋まで真っ赤に染めながら、礼の言葉を口にしたルイズに、シエスタは何の 反応もすることができなかった。 思考が止まってしまったシエスタを尻目に、ものすごい恥ずかしさを感じていたルイズは 慌てるように自らの言葉を継ぐ。 「で、でも勘違いしたら駄目よ!? 貴族にこんなこといわれたからって調子に乗ったらひ どい目に遭うんだから!!」 自分の励ましに対し、礼を言われた。という極々単純なことを、シエスタはようやく飲み 込めた。 そして焦りながら言葉を重ねるルイズの、言葉とは裏腹なシエスタへの気遣いに、胸が温 かくなるのを感じた。 「はい。差し出がましいことを言いまして申し訳ありませんでした」 謝罪の言葉を口にしながら優しく微笑むシエスタに、ルイズは改めて礼を口にした。 「ありがとう、シエスタ」 二つの月だけが、二人の少女の微笑みを見ていた。 その日から、ルイズは学院の使用人たちに対し、ほんの少しだけ優しくなった。 その変化に気付いた使用人は一人だけだったが。 そしてルイズは、時折シエスタと話をするようになる。 学院の中でルイズの笑顔が現れたことに気付いた人間は、とても少ない。 その笑顔を受けるシエスタ。 ルイズを仇敵と称しながら、どこか暖かい視線で見つめるキュルケ。 言葉少なく、何を考えているかわからないといわれながら、鋭い観察眼を持つタバサ。 授業にとどまらない真面目さを持ちながら、成果を伴うことができないルイズを心配する コルベール。 そして学院の様々な場所を学院長としての責務と、ほんの僅かの、……僅かの、……多少 の、……ある程度の、……半分程度の趣味を含みながら学院内を見回っているオスマン。 時は使い魔召喚儀式の前日に進む。 使い魔が召喚できなければ、進級ができなくなる。 その話を仲間から聞いたシエスタは、夜こっそりと学院寮に向かう。 緊張で眠りにつくのが遅くなっていたルイズは、小さなノックの音に気付く。 「誰?」 少しとげのある誰何の言葉に、扉の向こうからは返事がない。 すっと息を吸い、言葉を叩きつけようとしたルイズははたと気付く。
「シエスタ?」 沈黙が、肯定を表しているように思えた。 「あ、あの……」 話し始めようとしたシエスタは、何の言葉も用意していなかったことに気付く。 床を見て、扉を見て、廊下の先を見て、また扉を見る。 「が!」 瞬間的に大きな声が出てしまい、声を出した本人と、声を聞いた人間は同時に驚く。 一泊の沈黙があり、シエスタは小さな声で一言だけを伝える。 「頑張ってください」 すっと緊張が解けたことを感じ、ルイズは同じような小さな声を扉の向こうに投げた。 「ありがとう」 互いの姿が見えない二人の少女は、それでも互いが同じように微笑んでいることを確信し ていた。 メイドとしての教育の成果で、足音を立てずに寮を後にするシエスタ。 緊張が解けたことで睡魔にあらがうことができなくなったルイズ。 それは使い魔召喚儀式の成功を暗示しているように思えた。だが今、シエスタは不安げな 表情を隠すことができない。 ルイズのクラスメイトは全員戻っているにも関わらず、ルイズの姿がなかったからだ。 昼食の直後、安全のために開けた草原へと出かけるルイズたちの姿を見送ったシエスタは、 午後のお茶の時間頃に戻った生徒たちの中に桃色がかった金色の髪を持つ少女の姿がない ことに気付いた。 だが、シエスタはルイズが他の生徒よりも時間がかかるのではないか、とも思っていた。 だからすぐに心配をすることはなかった。しかし空が朱に染まり、夕闇が迫ってもルイズ は戻らない。 軽い焦燥が、深刻な憂いに替わるには十分な時間だった。 普段と違うシエスタの姿に、仲間たちは声をかけることをためらう。 だが、 「シエスタ!!」 「はい!?」 「仕事だ」 厨房を預かる料理長、マルトーが声をかける。 声が大きく、手の早い彼が、実は非常に優しい人間であることを、かつて励まされた経験 を持つシエスタは知っている。 「はい!」 視線だけでマルトーが心配していることに気付いたシエスタは、笑いながら元気に返事を した。 そう、大丈夫。 あの人はきっと立派に使い魔を召喚している。 食堂へスープを運び始めたシエスタは、その後ルイズから歓喜に満ちた報告を聞くことに なる。 だがその場には二人と一匹ではなく、三人の人間がいることを、シエスタはまだ知る由も ない。
以上です。 すいません、ゼロの氷竜 二話の 「つまり、戦争を始めるかも知れぬということだ。違うかな、オスマン」 を 「つまり、戦を始めるかも知れぬということだ。違うかな、オスマン」 に変えていただけないでしょうか。
ゼロの氷竜氏
支援出来なかったけど、乙です。
>>345 毒や感想じゃないけど、意見を一つ。
『短いのを早めに多数』でも別に良いけど、書いたのを直ぐに投下するのではなくて、それをある程度ためてから投下したら?
別に誰も「早くしろ」とは言ってないし、後から見直せて量も増える。
一石二鳥だと思うけど……
例えるなら、
何かアニメを見ていて、3分後に突然『次回は2日後!』を延々繰り返されてる感じ?
そう! 何かモヤモヤしたものを感じる。
時間かかってもまとめて読みたい。そう思えてしまう。
後、登録も本人がしているなら良いけど、他の人がやっているなら小出しは自重した方がいいと思うよ?
>>307 ルイズに召喚される限り、「戦略・政略」の類は多分無理。
アンリエッタに召喚されないと難しい。
氷竜の方乙! そしてGJ!! シエスタとルイズが身分を越えて友情を育むSSは結構ありますがやっぱり大好きです。 人型系男性キャラが召喚されてしまうと、大概対立してしまいますが、こういう関係の方が見ててあったかくなれます。 でも、この関係の状態からルイズが男性キャラを召喚したらどうなるんだろう? 味方が多くないルイズを支えてくれる人として譲るんだろうな……とか妄想してみたり。
氷竜乙
>>354 はつまり「推敲しよう」「焦らなくていいよ」と言いたかったのだろう
>>305 遅レスだけど、麦ちゃんは料理を残したくらいじゃ怒らないよ
ただ、粗末な残し方したら怒るだろうけど…
…あ、やっぱり食堂大炎上な予感がした
氷竜の人、乙した。 「ありがとうとごめんなさいがちゃんと言えるヤツになれ」って義仲の兄貴が言ってた。 (誰がわかるんだ、そんなネタ) >355 アンリエッタでも無理だと思う。二人に共通することとして 「考えなしで感情と行動が直結してるくせに、自分の考え、行動が常に最善だと思ってる」 ってのがあるから。 キレて反発するか、聞いてるつもりで結局自分の感情を優先するかの差はあれ。
>>358 >>354 は、
短くて文句言う人もいるみたいだし、
『焦らないで』、『小出しではなく』、『書きためて投下したら』って事。
んで、まとめに登録も、書きためてからの投下の方が話数も減って楽かなっと思っただけ。
逆に考えるんだ。謀略をやりたいならマザリーニ枢機卿や無能王に召還されればいいと。
逆転ホームラン!ルイズが無能王やマザリーニを召喚してしまえば…
>無能王召喚 タバサの態度が気になるところ
テファ召喚してマチルダびっくり
小ネタでもルイズに召喚されなきゃいけないのか?
風邪引きのブタがクマ吉君やしっとのマスク、ファーザーを召喚してるしいいんじゃないの?
>>366 そもそもルイズに召喚されなきゃいけない、っていう縛りは今はない
>>1 参照
>>367 ありがとう。プロット組んで、書き始めるよ。
マザリーニだったら何を召喚しても謀略ができるんじゃねえかな? 肉体派だったら密偵とか、特務機関を作ったりとか。 頭脳派なら軍師とか。
>マザリーニが召喚 なん……だと……?
そもそも人間召還するって事は 虚無の魔法使いって事だろう? つまり魔法使えない人間が ああいった立場になることは無いような気が?
>そもそも人間召還するって事は虚無の魔法使いって事だろう? これって未だに原作でも確定している設定という訳じゃなかったよな? だったら今のところは改変の余地を持たせておいてもいいと思うんだが……。
そういや、シエスタはできる子だよな。
掃除に料理に何でもできちまう。
>>373 マザリーニは平民上がりだから召喚ができないだろう。
といいたかったんだろうな。
>>373 ミョズさんにせよジュリオにせよ、ハルケギニアの人間と決まった訳でもないしな。
>>373 そうだよな。その方が面白いし。
>>374 ごめん、よくわかんない。
マザリーニって元々平民だっけ?
ブラックホークダウンを召喚
マザリーニは教皇候補じゃなかったっけ? 担い手候補の可能性はあるな かと言ってどういう物語になるかわからんが
枢機卿は「平民の血が入っている」と噂されているのであって、メイジじゃないというわけではないのでは? 多分貴族の庶子かなんかで魔法の才能に乏しくて、聖職者の道(政治家と言っても良い)を選んだんだろう クロムウェルは平民だけど司教にまでなっているし
マザリーニに関しては、能力はそれなりにあるのに仕えるべき人間がアレすぎるから、 めっちゃ苦労してるかわいそうな人というイメージしかない。
>>376 マザリーニがトリステインで貴族平民を問わずに悪評を買っている理由の一つが
「平民の血が混じっている」という噂話にあるんじゃなかったっけ?
>>380 でも三銃士のリシュリュー枢機卿よりは報われてるよw
よかった、「マザリーニ」だから混血、という俺の覚え方は間違ってなかったんだな
ノボル、やってくれた喃……
>>383 審議中…
_,,..,,,,_ _,,..,,,,_
_,,..,,,_/ ・ω・ヽ/・ω・ ヽ,..,,,,_
./ ・ω_,,..,,,,_ l _,,..,,,,_/ω・ ヽ
| / ・ヽ /・ ヽ l
`'ー--l ll l---‐´
`'ー---‐´`'ー---‐´
>>383 m9( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )c9m
>>383 凄い。いや、もうなんつうか凄いよアンタ
あやまれ!ジューリオ・マッツァリーノ枢機卿にあやまれ!
考えたらアンリエッタもルイズとは別のベクトルで王の器じゃないな・・・ トリスティンの未来は暗い
ならば、ギーシュの浮気に日々悶々とするからモンモンで、 いずれ腕チョンパされて義手になる予定だからギーシュか?w
396 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/19(金) 18:42:14 ID:uK7RbxP6
もしも、SEGAのソニックシリーズのソニック・ザ・ヘッジホッグがルイズに 召喚されたら?
でんぐり返しで全て無かった事になる
契約のキスで輪っかが散らばるわけだな?
時間メイジが現れて過去のギーシュを殺害してだな
401 :
ゼロと工作員 :2008/09/19(金) 19:02:30 ID:s10r7ZTq
誰も投下しないようなので19:10から初めてもいいだろうか
支援
403 :
ゼロと工作員 :2008/09/19(金) 19:10:56 ID:s10r7ZTq
次に眼が覚めると執務室のような場所でフリーダは後ろ手に縛られ床に転がされていた。 先ほどの少女と男性二人が立っている。 「うむ。体は大丈夫かね?」 白くて長い髭の仙人風の男性が聞いて来る。 人を縛っておいてよくもぬけぬけと言えたものね。 「きつく締めすぎよ。体が痛いわ」 フリーダは二人をにらめつけながら答えた。 「…縄を解いてくれない?抵抗しないから」 私の返答を聞いて彼等は拘束を解いたが眼に油断はない。 彼等の利き手はいつでも指揮棒を取り出せるようにポケットの中に入っている。 「あれだけ動けるならもう大丈夫のようじゃな。ところで自己紹介がまだじゃったな。ワシはこのトリスティン魔法学園の校長をしておる オスマン。隣はジャン・コルベール教諭じゃ」 トリスティンと呼ばれる企業や組織は聞いたことがないし、魔法学園とは意味不明だ。 何処かのマイナーな宗教団体だろう。宗教にも金が必要だ。 狂信者団体にでも拉致られたのだろう。 アリスと一緒に居た私をわざわざ拉致した時点で名前や住所などを知っているはずだ。 私が組織(コーポ)と繋がりがあるのを彼等が知っているかはまだ判らないので伏せておく。 「私はフリーダ・ゲーベルよ。どうして此処に居るのかしら?」 オスマンを爪先から頭まで値踏みする。 「それには深い理由があってのう。ミス・ヴァリエール入ってきなさい」 ドアから先ほど見たピンク髪の少女が出てきた。 不機嫌そうに腕を組んでいる。 「ミス・ヴァリエールが春の使い魔召還の儀でフリーダ君を召還してのう。その時君は死に掛けておったのじゃ。撃たれる相手に心当たり はあるかね?」 「私は事故に巻き込まれました。助けてくださいました事に感謝します」 本当はテロに巻き込まれたのだが、事故に巻き込まれたことに変わりない。 下手にアリスの名前を出して彼女を危険に晒すのは避けたい。 「それで事故はどうなったの」 海賊を撃退しお祭り騒ぎのれジャイナの白昼堂々宙港ロビーで人が撃たれたのだ。更に拉致まで行なわれ行方不明者まで出ている。 ニュースになって紙面を賑わせているだろう。 「事故?さてなんのことじゃろうか。ワシが知っているのはフリーダ君が校庭で血だらけになって倒れていることだけじゃからのう」
404 :
ゼロと工作員 :2008/09/19(金) 19:12:32 ID:s10r7ZTq
フリーダは違和感を感じ始めていた。 先ほどから一度もアリスに関する話題が出てこない。 あれだけの事件が起ったのを知らず、アリスの関係者であるフリーダを拉致し、彼女を治療した。 事件を知らないのは報道管制が敷かれていると考えるとして、アリスの話題を話さないのはおかしい。 私に話したところで逃がさなければいい。むしろそれを目的としなければ拉致する意味が無い。 彼等が暗殺しようとした勢力と敵対する勢力と考えたとしても話題にすら上げないのはおかしい。 もしかしたら本当に知らないのではないだろうか。 「うーむ、君も召還されたばかりで、混乱しているのだろうと思う。まぁ、茶でも飲んで落ち着きなされ」 オスマンはコルベールにハーブティーとクッキーを持ってこさせた。 ハーブティーには唇だけ付けて飲む振りをし、クッキーには手をつけない。 麻薬や自白剤を入れられていたらたまらない。 ヴァリエールはフリーダと一緒に出されたお茶を飲んでいた。 来たのに喋らせてもらえないのが納得いかないらしく、じたばたもがくのをコルベールになだめられていた。 「ここはハルケギニアのトリステイン王国。トリステイン魔法学園ですじゃ。フリーダ君は召喚されてから三日三晩、治療を受け続けてい たのじゃよ」 彼等には敵意も危険性も少ないようだ。そろそろ口を開くべきだろう。 「話をここで確認させてくれる?私が連れてこられる原因となった春の使い魔召還の儀とは何か説明してくれるかしら」 「はい。それは私から話そうと思っていたところです」 コルベールにはフリーダの礼に欠ける言葉を咎める様子はなかった。 つまり、それは対等に扱っていることの現われでもある。 「トリスティン魔法学園では毎年春にメイジによる使い魔召還の儀式が行なわれます。そこで私の生徒であるミス・ヴァリエールが召還に 成功しあなたを呼び出しました」 「魔法?召還?」 魔法学院と呼ぶからには魔法について学ぶ場所なのだろう。だが星々を旅慣れたフリーダでも魔法など一度も見たことがなかった。魔法 とは映画や小説の世界のものだ。 子供にあなたは召還で拉致されましたと言っても普通誰も信じないだろうが、語るコルベールの眼は大真面目だった。 「うむ。治療には召還主のミス・ヴァリエールが水の秘薬の治療費を出しての。家一つが買える値段だったのじゃ」 高額な医療費はともかくとして三日三晩とは解せない。 フリーダの知る限りでは彼女の怪我を治すには絶対安静で3ヶ月以上は掛かるはずだ。 とすると私は新医療の実験台にされたのだろうか。 それに先ほどから魔法と呼ぶ言葉が気になる。 3ヶ月以上掛かる怪我を3日で治療するとは確かに魔法だ。 魔法とはフリーダが知らないだけでこの星ではありふれた技術名称なのかもしれない。 魔法について当たり前のように話し、隠す気がなさそうなので聞いてみた。
405 :
ゼロと工作員 :2008/09/19(金) 19:13:42 ID:s10r7ZTq
「すいません。私は魔法を見たことがないのです。良かったら見せて下さいませんか」 オスマンは頷くと答えた。 「ミスターコルベール。見せてあげなさい」 コルベールが小声で呟き指揮棒を振ると空中に炎の蛇が現れ消えた。 もう一度呟くと床に円が現れ、土が噴出し小さな人型を形作り歩き出した。 更に杖を振ると人型は消滅した。 「見事じゃコルベール」 杖を使い呪文を唱え火や土を自在に操る。まるで本物の魔法使いではないか! 「その………魔法?を使い私を治療したのね」 「治療に使ったのは水の魔法じゃが。もしかして魔法を使ってはいけない体じゃったのかね」 「始めて見たから驚いたのよ。私の住んでいるところは田舎だったから」 「医務室には医療器具がなかったけど。魔法で治したのかしら」 「そうじゃ」 私は洗脳で頭を書き換えられたのかと心配になる。 此処は精神病院だと言って欲しかった。 「あなたにはミス・ヴァリエールの使い魔になっていただきます。拒否権はありません。コンクラクトサーバントも終了しました」 「冗談じゃない!突然拉致してお前は奴隷だって!ふざけるのもいい加減にしなさい!」 常識的な対応をしておきつつ冷静に考える。彼等は人身売買を商売にしていると判った。 もし、組織に無許可で人身売買をしているなら彼等は粛清を受けるはずだ。 アリスを操る手駒として私を使おうとしていたジョンソンも潰しに掛かるだろう。 コルベールが不思議そうに眉毛を歪める。 当たり前の話しを否定され驚いていた。 「この国では平民は貴族に逆らえません。契約の印となるコンクラクトサーバントも付いています。右手を見てください」 「ルーン文字が掘り込まれていますね。これが証拠です」 手の甲には文字らしき痣があった。 「契約はどちらかが死ぬまで解除されません。新たな使い魔を呼び出すのも不可能です」 貴族云々に関してはこの国の身分制度のとして判った。 人身売買も納得できる。フリーダ自身も売られた存在であるのだから。 「この痣にはどういった意味があるのかしら」 「使い魔に知能、特殊能力、主人への忠誠を与えます」 なるほど。手の文字は識別番号で、所有印か。 洗脳効果もあるらしいが目の前のピンク髪に欠片も恐怖や忠誠、愛情さえも感じないので失敗したと見るべきだ。 記憶や経験、感情に直接作用する自身の脳に埋め込まれている記憶媒体に似たものを感じる。
支援
407 :
ゼロと工作員 :2008/09/19(金) 19:16:46 ID:s10r7ZTq
「どの程度の知能が与えられるの?」 「ワシのモートソグニルの場合、人間の言葉が判る程度になったのう。他の使い魔達も言葉が判るようになっておる」 オスマンはそう言って手元の白い鼠をなでた。 鼠に言葉を理解させるなんてたいしたものね。 少なくともフリーダの知る限りでは人間以外の動物に即席で知能を持たせる技術は存在していない。 洗脳は思ったより高度なものかもしれない。 フリーダ自身、ヴァリエールに何の感情も抱いてない現状では、洗脳されていると知覚出来ないから恐ろしい。 「いいわよ。使い魔になってあげる」 ヴァリエールの不機嫌そうだった顔が明るくなる。 ややあって、ふん当然よといった顔をしてふんぞり返っていた。 「でも条件があるわ」 ヴァリエールがビクリと固まる。 「な、なによ。いってみなさい!」 弱気を隠すため虚勢を張っているのがバレバレだ。 「ひとつ、私の衣食住を保証する。 ひとつ、私にこの星についての情報を速やかに教える。 ひとつ、私の所持品を全て返す。 ひとつ、私と雇用契約を結ぶ。 ひとつ、私を帰すために学院、ヴァリエール家の力で研究する。 ひとつ、私と彼女の契約を彼等が保障する」 ヴァリエールは顔を真っ赤にして怒鳴った。 「使い魔を返すなんて受け入れられるわけないじゃない!」 フリーダは微笑で答える。 「あら?人を拉致しておいていえる言葉?使い魔も使役できない貴族だなんて家名に泥を塗るわね。 お父様やお母様はどんな顔をなさるのかしら。進級できない名家の貴族なんて前代未聞ね」 耳まで赤くしてグッと口を閉める。 「うっ」
408 :
ゼロと工作員 :2008/09/19(金) 19:19:30 ID:s10r7ZTq
更に追い討ちをかけるフリーダ。 「私を殺すのも論外ね。呼び出した使い魔を一日で殺すの。学校の由緒ある伝統行事で呼び出した一生者のパートナーをよ? クラスメイトはどんな顔をするのかしら」 「どうしてそれを!」 「私の寝ているベッドの横であなたが話してくれたわ」 少女の目には涙まで溜まってきている。 「………うう」 魔法を使わないためにも予防線を張っておく。 「魔法を使って私に無理やりいうことを聞かせる手もあるけど、あなたの望む結果にはならないわね。出来るなら既にやっているでしょ?」 「受け入れなければ私だけで生きてゆくわ。あなたに頼る必要。ないもの。」 実際、フリーダは一人でもやっていける。 各地の任務では単独潜入が多かったから。 「あなたに選択権はないわ。私を使い魔にしなさい」 もはやどっちが主人なのかわからない 少女はプルプルと震えながら 「わ、わかったわよ…使い魔にすればいいんでしょ」 と小声で呟いていた。 「話しの腰を折って悪いがの〜ちょっといいかの?フリーダ君の持ち物じゃが興味深いことがあってのう。研究に使わせてくれんか?受け 入れてくれたら学園でフリーダ君がいた場所に帰る研究が出来るのじゃがのう」 「いいわ。だけど大事なものだから物は貸せない。知識やノウハウを教えるのなら最大限協力するわ」 「うむ。それでいい」 その日の夜。 フリーダはバックパックから取り出した銀色の保温シートを体に撒きつけ床に横になりながら溜息をついた。 ベッドには騒ぎ疲れて寝息を立てているヴァリエール「本人はルイズ様と呼びなさいと言っていた」が眠っている。 「また………人と一緒に暮らすことになるなんてね…。もう一生無いものとおもっていたけど…」 眼鏡をかけて、ルイズのずれていた布団を直す。 <いつからこんなに面倒見がよくなったの?殺して逃げればいいじゃない> 頭の中の<<偽人格>>達が彼女を責める。 フリーダは偽人格を黙殺し眼を瞑った。 <帰るために利用するだけよ。彼女の力は必要よ> <甘くなったわねあなた> 以上2話終了です
409 :
ゼロと工作員 :2008/09/19(金) 19:22:21 ID:s10r7ZTq
支援ありがとう
工作員乙。 元ネタは分からんが面白かった。 次回にwktk
乙、なんと言う正論。
ただ正論というのは正論であるが故に反発も招きやすいからねぇ。 スーパーロボット大戦64ではギャリソン時田が「人に嫌われる方法は正論を言うことです」と言っていました。 ミス・ヴァリエール、耐えることも人の上に立つ者として大切なこと。これも修行と思うことです。
言うことは全て正論なのに、なぜか人の共感を呼ばない。 某義眼の参謀長どのがいい例だな。
慇懃無礼なキャラって多いからな。 そういうのに限って美形だったりするw
>違和感を感じ
頭痛が痛い的な重複表現だと指摘したいんじゃないかな
1話冒頭でフリーダと分かれたアリスさんは 「正論で反発を招く」程度では片付けられない理想家だからなあ
Yahoo!の辞書検索で「違和感」を引いてみたらいい 大辞林の方な
では違和感を使った正しい文を書いてもらおう
「それはないわ。勘だけじゃ話にならねぇ」
確かに、「頭痛が痛い」は駄目だろう。痛いのは頭なんだから。 でも、「違和感を感じる」は問題ない表現だろ。
過ぎ去った過去と同じだな これは文法的に間違っちゃいない
「違和を感じる」とは言わないからな。
違和感じる
「違和感を覚える」「違和感を抱く」「違和感を持つ」の方が自然だと感じる
お前が今、感じている感情は違和感の一種だ
それは単なる「慣れ」。
こうやって見ると日本語って難しいな ところで、ルーンの力を以ってすれば日本語を完璧に使えるようになるのか? 例えば、ルイズが逆召喚された場合とかだと。
言語機能はルーンじゃないだろ。
ロシア語が一番難しいらしいけどね
言語機能は使い魔の契約にあるっぽいなあ
言語能力はゲートじゃない?アニメは失敗魔法でしゃべれるようなったけど
>>433 召喚された時点で既にルイズの言葉がわかってるから、契約は関係ない。
召喚そのものにあると見ていいだろう。
サイトが英語で喋ったらルイズ達は理解できるのだろうか?
どっちでもいいが正解だな
ルイズたちが英語で喋ったらサイトは理解できるだろうか?
サイトの喋る英語をルイズ達が理解できたとして ルイズ達の唱えるルーンの意味をサイトは把握できないのだろうか?
氷竜と聞いて幻左京(CV:塩沢)を思い出した。
>>412 スパロボで正論といえばDのクリフだな
一見ただの慇懃無礼なマッド科学者かと思いきや
主人公達を(分かり難くい形で)庇ったり、くそ真面目な状況で人をからかったり、なかなか愉快な人だった
「効率よく嫌われるためには、正論だけを述べていればいい、という話もあったな。反論できない相手はストレスが増し、感情的になる」
「謎はすべて解明された!」
「とでも、いって欲しかったのかもしれんがね」
ライターが64の人と同一人物だがなー
クリフで小ネタ書こうとしたがなかなか難しい…職人さん皆さんに改めて乙&GJですよ
>442 抜け忍伝説とはまたふるい
>>442 >>444 BURAIの方かと思った。
BURAIならロマールなんか相性良さそうだな。
ガスロ化したらアウトだが。
>>443 独自路線が多いけど、面白いスパロボだったよゲッターチームがチェンゲだし
ギュネイと鉄也が活躍するし
>>445 敵は二億四千万、挑むは八匹の狼たち
だっけ?
七万くらい軽く捻れそうだ
>>446 携帯機のスパロボは実験的な意味合いが強いからな。
据え置き機は基本的に原作をなぞるだけだが、携帯機は原作にないストーリーやらIF展開やらかなり冒険してる場合が比較的多いし。
…ある意味、このスレと共通している部分があるかもしれんww
>>446 D最大の欠点は主人公メカが格好悪かった事だな。「ダサかっこいい」ですらなかったんだ、これが・・・。orz
>>449 えー? おれ、フォルテギガス好きだぜ?
エールシュヴァリアーはカッコイイだろ。
>敵は二億四千万、挑むは八匹の狼たち 敵のヒットポイントが人数表記なので、HP200の敵を倒すと200人殺したって事になる ちなみに大量虐殺ゲームといえばドラッグオンドラグーン あれも1ステージで100人殺すとかざらにある
うん、フォルテギガスはまだましだったんだが・・シルエットがごちゃごちゃしてて、いまいち好きになれなかったんだこれが。 SRXは大好きだから携帯機じゃなければ好きになれてたのかも知れぬ。
HPが兵力というと「天地を喰らう」が真っ先に思い浮かぶなあ
ここを見て久しぶりにSS書いてみようかと思ったんだけど、スレ住人的にはどれが見たいかな? イートマンのボルト召還 TOD2のハロルド召還 ヴィーナス&ブレイブスのブラッド召還 取りあえず頭の中にあるのはこの三つなんだけど
俺的には SRX>ファービュラリス>ブランネージュ>ジェアン>デア>エール>ストゥディウム >ガナドゥール>ストレーガ>フォルテギガス>バンプレイオス だがな。
>>456 君が一番書いてみたいと思うものを書けばいいんじゃないの
>>456 どちらかというと、ソーディアンのベルちゃんが見たい
>>456 EAT−MANはあの芸風が・・・・。
出来るって言うなら書いてもらいたいが。
462 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/09/19(金) 23:20:54 ID:dDI6m4TH
>>458-459 それもそうだね
ざっと書いてみて一番筆が乗ったのを投下する事にするよ
>>460 それも考えたんだよね
ベルセリオスってブラックホールやらの無属性っぽいの使えるし
参考になったよ
あんがと
そう言えば複数の作品から召喚というのもアリなのかな?
整合性とれて面白ければいいんだけどな
アリかナシかって言われればどっちかというと アリなんだろうけど、そんなことやる必要性を感じない。
>>463 アリだけど避難所でやれ、ってのが今までの慣習かね
割と地雷だと思われやすく、荒れるのを予防する目的だったような
テンプレには特に記載なしか
>>456 ブラッド召喚は読んでみたいが
やつを呼んだら元の世界が滅亡するような
ゲーム終了後なら不死身じゃなくなってるし
いや、予言に従ってハルケ世界に行くってことにすればいいのか
>>447 >>452 上巻のラスト辺りの雑魚敵のHP(人数)は三万くらいだった記憶が……
はっきり言って正面から叩き潰せるよな。
>>463 同様の世界観なら可じゃない?
全く無関係はだめだろう。
関西弁少女だというだけで無関係の「三人」が召喚された作品もあるしなぁ
コマンドーとシェーファーとコナンとターミネーターが召喚されるとか 例は単なる冗談だが、世界観はともかくなんらかのつながりが無いと多分支離滅裂になるぜ
>>463 個人的にはダメではないと思う
ただ、難易度は同作品から、もしくは同じ世界観からの複数召喚よりさらに高いだろうからやめた方がいいと思うけどな
ガンダムとダンバインとエルガイムとザブングル召喚でどうか。 ラスボスはもちろん巨大化したシャアで。
ブラッド召還はいつの時期かによるな 話が始まる前かナグソス倒したときか爺倒したときか 不老不死という要素を残しているならシエスタの祖父でも初代使い魔でもなんでもこなせるんだが
ウルトラマンアグルとウルトラマンジャスティスとウルトラマンヒカリの 「元・人類に守る価値なし組」が召喚される話なら妄想したことあるぜ
>>473 マジレスするが
そこまで富野作品がそろっている場合は
旧シャア板のスレのほうが適切だと思うぞ。
複数召喚か 漫画版のサイトに原作のサイト、さらにアニメ版2期のサイトとアニメ版3期のサイトを召喚でどうだ
ボルトは来たらいいなぁとは思いつつ。 あのテイストをテキストに落とし込みかつゼロ魔世界に馴染ませるのはかなりの力技だなぁと思う
斉藤一(るろ剣)と斉藤浩司(帯ギュ)と斉藤(全子)さんとサイトー(攻殻)を召喚
>>473 バトルロボット戦線かリアルロボット列伝からの召喚にすればいいのよ。
481 :
子守唄 :2008/09/19(金) 23:45:22 ID:zgw/tg3F
――投下します。 以前のテンションで文章書けれないけど……完結に向けて何とかここまで漕ぎ着けました。 文章も展開もgdgdしてるけど、未完のままじゃ気持ち悪いというわがままにもうしばしお付き合いを。
漫画版デビルマン、アニメ版デビルマン、映画版デビルマン、あと何かあったっけ?
フライを使って宙を舞いながら、別の魔法を唱える。 それは熟練のスクウェアメイジでさえ困難な、突出した技術だった。 その技術を、雪風のタバサは使っている。 第21話 うたわれるもの 風竜とフライの飛行速度の差は歴然だったが、戦闘経験の差は圧倒的だった。 シルフィードはなかなかタバサに近づけず、魔法を避け回るばかり。 ルイズもクスカミの腕輪で雷を落とすが、飛行するシルフィードの背中ゆえ狙いが定まらず、 フライで小回りの利くタバサに当てるのは至難の業だった。 それに、クスカミの腕輪の威力ではタバサを殺しかねない。それは、嫌だった。 何とか戦闘能力を奪わねばならない。 「シルフィード、あんたのご主人様を止めるために、協力してもらうわよ。 いい? まず私が隙を作るから、あんたは怪我をさせないよう気をつけてタバサにぶつかって、 杖を弾き飛ばすのよ。そうしたらフライも解けるから、タバサを口に咥えて地面に下ろす」 「きゅい」 「協力してくれるのね、ありがとう。 あんたのご主人様を何とかして上げるんだから、それが終わったあと、 私の使い魔を何とかするのも手伝ってくれる?」 「きゅいっ!」 「いい子ねシルフィード。さあ、詠唱を始めるわよ!」 ハクオロは、いや、ウィツァルネミテアは楔が発動しないルイズに困惑していた。 なぜだ。契約に逆らえば、魂に打ち込まれた楔によって、五体が弾けるはず。 タバサとウェールズは契約に従って行動しているし、契約をたがえれば死ぬはずだ。 だのになぜ、ルイズだけが。 その理由に思い当たろうとした時、彼の思考は中断された。 「コノ……声ハ……」 風を切って飛ぶシルフィードの上で、叫んでいる訳ではないルイズの声が、聞こえるはずがない。 しかし、聴こえた。 フライで空中を飛び回りながら冷気の竜巻を放ったタバサも、 まるで耳元でささやかれているかのようにはっきりと聴こえるルイズの声に焦れた。 正体の解らない謎の攻撃を受けようとしている。 ルイズもウィツァルネミテアの契約者だ、ゼロだからといって侮れない。 何をするつもりだろうか。 指示を仰ぐべきかとウィツァルネミテアに視線をやったが、黒き巨人は沈黙をたたえている。 タバサは凍てつくような眼差しでシルフィードを見やった。
「シルフィード……あなたの主は私。私に従いなさい」 「きゅいっ……!」 否と風竜は首を横に振った。 「私はこのお方の剣。使い魔であるあなたも従うべき」 シルフィードは悲しそうに咽喉を鳴らす。 ようやく母親が助かって、解放されたと思った。 けれど違った。 操り手が変わっただけで、タバサは操り人形のままだ。 なのにタバサは魂から忠誠を誓っている。 母親を助けてくれた恩、そのための契約。 道理だ。しかしシルフィードの感情は納得しようとしなかった。 恩人であるあの怪異も、結局はタバサを戦いの道具として利用している。 せっかく母親が正気に戻って幸せな時間をすごせたはずなのに、 それが契約なのだから仕方ないと割り切れないのだ。 フライで飛ぶタバサの額を汗が伝う。 こんないたちごっこを続けていては、フライと攻撃魔法を併用する自分の息が切れる。 一気に蹴りをつけねば。 より強力な、契約によって引き出される、風、風、風、水。 「アイス・トルネード!」 氷の刃を孕んだ巨大な竜巻を放つ。呑み込まれれば全身を切り刻まれるだろう。 タイミングを計った攻撃は、しかし雷撃によって阻まれた。 タバサは契約によって引き出された力により、フライと攻撃魔法の併用をした。 ルイズは契約によって引き出された力により、詠唱とクスカミの腕輪の併用をしたのだ。 電熱により氷刃は溶けたが、シルフィードは竜巻を食らいきりもみ状態になる。 タバサは小さく息を吐いた。最初の目論見ははずれたが、これで致命的な隙を作れた。 竜巻が消えても、シルフィードはすぐにはバランスを立て直せない。 その隙に風の魔法で狙い撃ちにする。 詠唱開始。竜巻が消え、シルフィードは回転しながら落下していく。 好機。 その瞬間、詠唱が完成した。 「イリュージョン!」
支援
タルブの村の上空が蒼と白の影に埋め尽くされる。 青空ではない、白雲ではない。 シルフィードの蒼い鱗と白い腹だ。 まるでイナゴの大群の如き数のシルフィードが天空を飛び交っている。 こんな魔法は見た事がなかった。 タバサはウインディ・アイシクルを放ったが、氷は幻影を素通りしてしまう。 本物はどこに消えたのか。 そもそもこの魔法は何なのか。 「――虚無ノ魔法カ」 主君の呟きにハッと振り返るタバサ。 無数のシルフィードの向こうで、ウィツァルネミテアはタバサの下方を見つめていた。 その視線が、タバサに向けて、上がっていき――。 下! 悟り、杖を向けた瞬間、シルフィードが飛翔してきた。 タバサの身長より長い杖を、シルフィードの爪が弾き飛ばす。 その衝撃を受け、タバサも回転しながら地面へと落ちていった。 「タバサ、使い魔は従えるものじゃないわ」 上下の感覚を失ったタバサの耳に、遠くからルイズの声が聞こえた。 「メイジと使い魔はね」 声が近づいてくる。 視界にきらめく桃色の髪が見えた。 「家族なのよ」 気がつけばタバサは、ルイズの腕の中にいた。シルフィードの背中の上だ。 「少なくとも、ハクオロはそう言っていた」 まるで母親に抱かれているかのような安堵に包まれ、 タバサは全身から力が抜けていくのを感じた。 あのお方のためにすべてを捧げたはずなのに。 「だから、この子の事も見て上げなさいよ」 すべてにおいてあのお方を優先するあまり、シルフィードを疎かにしていた自分。 あの方を裏切る訳にはいかない。 感謝と忠義は契約によるものではなく、本心からのものだから。 けれどタバサはもう、ルイズと戦う気をなくしてしまっていた。 「……私の負け」 ルイズはタバサを地上に下ろすと「もう少し借りるね」と言って、 シルフィードとともに天空へと昇っていった。 すでにイリュージョンは消え去り、空は元の青さを取り戻している。 その下で、タバサの周囲は、赤に満たされていた。赤い炎と、赤い血に。 だが危険は感じなかった。 トリステイン兵も、アルビオン兵も、すでに戦いを忘れ、見上げている。 黒き巨躯の怪物と、桃色の髪をなびかせる小さなメイジを。
>漫画版デビルマン、アニメ版デビルマン、映画版デビルマン、あと何かあったっけ? 一応兄貴が書いた小説版がある あとはOVAとマガジンZのAMONとネオデビルマンあたり
黒きウィツァルネミテアの眼の先で、シルフィードに乗ったルイズが杖を握りしめる。 「ルイズ……」 「ハクオロ……いえ、あなたは分身の方ね」 「ソウカ……使イ魔ノ楔カ」 ルイズは黒きウィツァルネミテアと契約した。メイジとしての力を欲して。 ルイズは白きウィツァルネミテアと契約した。主と使い魔として。 互いに楔を打ち込み合った結果、 ルイズは黒きものの力を得ながら、白き使い魔と心を重ねていった。 ルイズは分身に攻撃をしたが、分身と空蝉は同一。 「空蝉ノ存在ガ、汝ヲ楔カラ護ッテイタカ」 「空蝉と分身は同一の存在らしいけど、私から言わせてもらえば全然違うわ。 空蝉は、白いのはね、私の使い魔なの。家族なのよ。 最初に契約を結んだのは分身、あなただったのかもしれない。 けれど私の家族は――ハクオロよ。 ウィツァルネミテアなんて、舌を噛みそうな名前の奴なんかじゃない。 だいたい、戦で人を高みに導くですって? これのどこが、高みに導いてるっていうのよ!」 二人の眼下では、無数の骸が転がり、家は炎上し、畑は踏み荒らされている。 戦意を失った兵士達は一様にこちらを見上げている。 「ルイズ……ドウヤラ、汝ハ我ニトッテ邪魔ナ存在ラシイ。我自ラ、汝ヲ滅ソウ」 「あんた、自分の胸がどうなってるか気づいてないの? 使い魔のルーンは……まだ消えちゃいないわ。 あんたが打ち込んだ楔……一切合財、返却させてもらうわ」 ルイズの朱唇が素早くルーンをつむぎ出す。 妨害しようとウィツァルネミテアは手を伸ばしたが、 詠唱に呼応して輝く使い魔ルーンが焼けるように痛み動きを封じた。 「ヌウウッ……ルイズ、貴様……」 黒い霧がウィツァルネミテアの全身からあふれ出し、タルブの村を呑み込む。 さらに霧はルイズを襲おうとしたが、ルーンが痛み、 分身とは違う意識が黒い霧をルイズからそらす。 そして、ルイズは天高く杖を掲げた。 「ディスペルマジック!」
白光は大空を、大地を照らし、ウィツァルネミテアの黒い霧をすべて払った。 村を焼く炎さえも消え去り、その神々しき光にすべての者が心奪われる。 タバサは自分の中から、ウィツァルネミテアの楔とともに、 契約の力が消えていくのを感じた。 「虚無……」 「そうか、彼女がそうなのか」 気がつけば、タバサのかたわらには同じ契約者ウェールズがいた。 彼は苦笑を浮かべて言う。 「参ったな……契約により永らえた命だというのに、 どうやら不死性が消えただけで、命に別状はないようだ……。 これではおいしいところだけいただいた、詐欺のようなものではないか」 「じゃあ、お母様も……」 契約が消えても、すでに治ってしまった母はそのままという事か。 タバサはホッと息を吐いてから、白光の根源を見上げた。 「まさか、虚無が実在するなんて……」 大きくウェールズはうなずき、羨望の眼差しをルイズに向ける。 「彼女はまさに、始祖ブリミルの再来………虚無の担い手。 ハルケギニアを解放せし伝説の力……」 タバサは、ウィツァルネミテアに抱いた畏怖と同種のものをルイズに抱いた。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 16歳の小さな少女こそが、まさしく。 「神話の時代から……人々から崇められ、称えられ、うたわれるもの」
白光が収まったその時、ウィツァルネミテアの身体は白く染まっていた。 胸に刻まれたルーンは七色に輝いてその存在を誇示している。 「ル……イ……ズ……」 「……ハクオロ、ね?」 「アア……」 白き使い魔は、鋭い牙の並んだ口でわずかに微笑んで見せた。 「ハクオロ、分身は……黒い方はどうなったの?」 「一時的ニ抑エ込マレテイルダケダ。マタ、暴レ出スノハ時間ノ問題ダ」 「そう……」 「ダカラ、ルイズ、頼ミガアル」 ハクオロは、白い手を差し出した。 ルイズはシルフィードの首を撫でてやり「タバサの所に戻って上げて」と言うと、 巨大な白き手のひらへと飛び降りた。 それを見届けると、シルフィードはタバサのいる地上へと戻っていく。 「頼みって何?」 「カツテ……我ハモウ一人ノ娘、ムツミニ願ッタ。 ソノ願イ、ルイズニナラバ……カナエラレルハズダ」 「ハクオロの願い……」 「我ノ本質ハ禍ニシテ元凶。コノ世ニ在ッテハナラナイ存在ダ。 ダカラ――我ヲ滅セヨ」 使い魔のルーンが、ハクオロの悲しみを伝えてくれている。 だから、別れの言葉は覚悟していた。 「何……馬鹿な事、言ってんのよ。あんたは私の使い魔なのよ。家族なのよ。 そんなあんたを、私に殺せって言うの?」 「解ルダロウ、ルイズ。私ハ在ッテハナラナイ存在。 眠リニツイタトシテモ、マタ目覚メテシマウ刻ガクルダロウ……ダカラ」 「永久の眠りを……あなたは望むのね?」 「ソウダ。今ノ汝ニナラデキル。イヤ、汝ト我ナラバ可能ダ。 ダカラ、ルイズ」 ハクオロは、己の手のひらに納まる小さな少女に向けて言った。 「再ビ我ト契約シ、自ラ契約ヲ断チ切リ、終止符ヲ打テ。 ウタワレルモノ、ルイズ……」
491 :
子守唄 :2008/09/19(金) 23:53:16 ID:zgw/tg3F
――投下終了。 ハルケギニアにおいては【うたわれるもの=虚無の担い手】というオチ。 次回完結+蛇足。
GJ っす そっかぁ、うたわれるもの。だったんですねぇ
ガハハ! よう、あんちゃん 支援してやるよ!
悲しい、悲しい話をしよう…… 「契約者ウェールズ」を「婚約者ウェールズ」と読み違えて「いつの間にタバサとそんな関係に!?」と思ってしまった 具体的には俺の頭が悲しい もとい GJ! やっぱハクオロさんのラストはこうなるのか…… ラスト期待して待っています!
乙でしたー。 解釈なんて、作者さんの胸一つ……は流石に言いすぎですけど、ブリミル信仰が一般的なハルケギニアならアリかと思われます。
>>474 ブラッドはゲーム開始時で345歳
流石に初代使い魔は無理
ただ、30年前オスマンを助けたのがブラッドとかいう事は可能
どうやって帰って来たかは、やっぱりあの爺さんかアリアがなんとかしたとか?
空気を読まずに発言!! ハリーを召喚しよう!!!!
グリーンゴブリンの中の人か?
ダーティーハリー召喚か、面白そうじゃないか
ポッターのか? それとも髭のハリー隊長?
……全部じゃね?
>>456 V&Bのブラッドお願いします。
テンプレの最後に貼られるAA版もお願いします!
>>496 1.ブラッド・ボアルがブリミルに召喚される
2.ブラッド・ボアル初代使い魔就任
3.ブリミル永眠で使い魔の任終了、予測安全値が大幅に減少
4.ルイズがバルディバル・ボアルことバルを召喚
>>499 ダーティーハリーつうとフタコイでイカファイヤーとガチ勝負して手榴弾でイカファイヤー
吹っ飛ばしたものの再生されて黒焦げになった警官のだな
御免なさい・・・ ポッターです・・・
V&Bならウィッペルが比較的やりやすいような気がする。
えー、ゾイド/0のハリー呼ぼうぜ。姉ちゃん込みで。
ワイルドアームズ2のブラッド召喚と聞いて飛んで来ました。 ED後の召喚でならかなりの戦力になるし…アルビオンで戦艦相手にブラッド無双しそうだがw
ゾイドは・・・・ 初代しか見てないな
>>506 姉ちゃん金ないと微妙では…セバスチャンとベンジャミンをつけるべきだ。
でジョゼフ側はチームニャンニャン
>>506 ハリー・チャンプか〜!
チームの3人(?)召喚したら、色々と活躍してくれそうだw
ハリー・マクドウェルが召喚されると聞いて(ry
ジェミー召喚でいつもと荒鷲状態とのギャップにドキドキするルイズとか見てみたいが、 ハルケに音速を超えて飛ぶものがあるかどうか分からないな と思ったが、竜の羽衣をレイノスにすれば問題ないのか?
一連の流れを受けてワイルドアームズ3のヴァー様がアップを始めました。
何気にるろ剣キャラって召還されてないんだな
ハリーこと松沢夏樹が召喚と聞いてやってきました。
ハリー・チャンプならホエールキングかアイアンコングPKかダークホーンかか
セバスチャンとベンジャミンは当然オプションでついてくるとして、 姉ちゃん最大の武器はあの凄まじい押しの強さだ。 国王でも宰相でも関係なく押して押して押しまくるのが見たい。w
なら、はりもぐハーリーを。 さらに、おばけのホーリーも。 後者はタバサが召喚で。
>>515 松沢作品だと、勇者はツライよの主人公を呼んだらえらい事になるなw
パッパラ隊の水島くんは素で人間戦車状態なので呼び辛そうだ…
ハリーといえば∀の赤メガネの人が思い浮かぶ。
>>515 HP0.1のスライムより弱い魔王を呼び出して何させる気だw
生卵ぶつけられても死ぬんだぞ
後カレーがないから餓死するぞw
カレーと聞いて九龍妖魔學園紀の皆守が出てきた ていうか今書いてる途中、 マイナー作品故、知ってる人がいるか激しく不安 期待しないでカミングスーン
カレー?源リョウガを召喚ですね デスさまで魔法でもなんでもバクンだ
リョウガ要らねえじゃんw
アロマがうまいぜ・・・
カオシックルーンは考えたことあったなぁ。 でも使い魔のルーンがガンダールヴだろうが何だろうがあるだけ無意味になっちゃうんだよなぁ… あと(原作通りだけど)デス様がいれば他はなくても困らないというバランスブレイカーぶりも問題か。
お、知ってる人がいるようで安心、 これで筆が進むってもんだ カレー食いながら頑張るわ
「泥んこハリー」召還と申したか
ジーン・ジオンというイカした作者名を思い出す
>>525 じゃあ、ポン刀使いの時代劇マニア時雨キョウゴ
問題はハルケギニアには彼の大好きなヘルトラマンが放送してないという
>>527 懐かしいw
どろんこ状態で召喚
→汚くて部屋に入れられず、屋外に放置
→シエスタが勝手に洗う
→ハリー行方不明
>>525 シエスタのモツとタバサのパンツがすごいピンチな気がするけど、きっと気のせいだな
>>526 九龍は大好きなゲームだから楽しみにしてる
魔神は好きで知ってるけど九龍はやってないんだよな。 なんか以前wikiでそれの主人公か誰かが召喚されたやつを読んだ気がするんだが…今探したら見あたらんかった。
前からの疑問なんだが、なんで『使い魔定光』には定光がいないんだろう 定光召喚で書いたのになんかしょげてきた
537 :
代理の人 :2008/09/20(土) 03:00:41 ID:89bhG8A5
夢幻竜&LFOの作者さんから新作の代理投下依頼が来ました 予約が無いようなら3:10頃から投下します
九ちゃんは素でガンダールブだから呼ばれたら強そうだな ルイズ放っておいてトレハンに出かけてしまいそうだが
539 :
代理の人 :2008/09/20(土) 03:02:28 ID:89bhG8A5
タイトルは「Deep River」 出典は投下後になります
九ちゃんは作中喋らないからね、書けないのだ それはそうと、オカマの支援!舐めたらあかんぜよォォォ!!!
確かに喋らないキャラを自己解釈して書くと ぼくのかんがえたさいきょうのしゅじんこう臭がしてくるよなあ…
あと学院の備品をパクリまくるだろうなw あとコルベールも真っ青な発明をしまくりそうw
熱血硬派くにお君からごだいを召喚したら強そう それはそうと支援
面目ない、回線のトラブルで遅れました 以下、「Deep River」の投下を開始します ------------------------------------------------------------- ‘新しい物好き’という言葉もある通り、人は何かにつけて新しい物を欲しています。 それは人間が新しい物から導き出される楽しみを感じる時に、脳の中で分泌されるドーパミンが快感を伴う物質だからと言われています。 しかし新しい仲間との出会いでもある使い魔召喚の儀は所詮人間に殆んど無害の物しか来ません。 絶対に危険が及ばないと分かっているからこそ、そんな悠長な事が言えるのです。 さて今回例外を当てたのは……
Deep River 第一話 Os iusti meditabitur sapientiam コツ、コツ、コツ Et lingua eius loquetur indicium ―選定は終わったか?― Beatus vir qui suffert tentationem ―こいつか?― Quoniqm cum probates fuerit accipient coronam vitae ―はい― Kyrie, fons bonitatis ―……番が適任だと思います。― Kyrie, ignis divine, eleison ―性格もおとなしいですし……も未発達です。― O quam sancta, quam serena, quam benigma, quam amoena esse Virgo creditur ―……そうか…― O quam sancta, quam serena,quam benigma, quam amoena ―おれの好みだな― O castitatis lilium ―は?― Kyrie, fons bonitatis ―いや― Kyrie, ignis divine, eleison ―それじゃ手術の前に……― O quam sancta, quam serena, quam benigma, quam amoena esse Virgo creditur ギギギ O quam sancta, quam serena, quam benigma, quam amoena ガシュンッ O castitatis lilium ―ちょっと遊んでいってもいい?― チキチキチキ 一瞬の静寂。次に眩しい光と何かが滑り込む音。 そして…… To want it would catch paid, ―馬鹿な!……番が消えた?!― I gonna say it such not many. ―実験場の生体反応がありません!― I can sanse more whole needed act to now go lawyer. ―まさかそんな……消えたというのか?!― Not truely more than dog-bone of dear…oops.Let it out. ―施設内の全区画に非常警報を出せ!― Authors know more than need you dare to regard,terminal act. ―警察と自衛隊に緊急出動要請を出すんだ!周辺区域を封鎖するんだよ!― Survived kids have exlid led to gotta zack. ―緊急指令、緊急指令!― Do it legal,that govern sir and worker. ―実現中の……番が失踪した!― Neo slight world,Suicide world. ―発見次第射殺せよ!― Hello,Ms master of death pirates. ―これは訓練ではない!― I gonna fallin games. ―繰り返す!実験中の……番が失踪した!― Thus gonna burnin out really,so don't let me dance in the rain,in the rain. ―発見次第射殺せよ!― Thus gonna burnin out really,so don't let me dance in the rain,in the rain. ―あと1分で施設内部全区画の閉鎖が完了します!― Don't let me dance in the eraser rain… ―チッ!お楽しみはお預けかよ……―
しえーん
しかしこれ以降それの存在はその世界で確認される事は無かった…… 平和な日常が永遠に続く保証はどこにも無い。狂気は常に日常と紙一重の所に存在する。 神がこの世に住在しないのなら誰もそれを予測する事など出来はしない。ほんの少しのきっかけで互いの位置は簡単に逆転してしまう。 問題はその狂気の中でどれ程の者達が正気を保っていられるかである。 少なくともルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールという名の少女はその中に入っていなかった。 今、ハルケギニアにあるトリステイン魔法学院では進級がかかった使い魔召喚の儀が執り行われている。 そんな中、ルイズは目にうっすら涙を浮かべながら使い魔を召喚するための呪文を唱えていた。 杖を振り直後に爆発が起きる度に失敗だと笑い呆れる同級生達。 彼女は自身に問いかける。眩しいくらいに青い空の真下で私は一体何をしているというのか?これでは体の良い見せ物ではないか。 今までゼロのルイズと散々馬鹿にされても己の矜持を砦とし必死に耐えてきた。 手の皮が剥け、声が枯れてしまう程に魔法の実技も練習したし、坐学も連日の徹夜を繰り返して最高の成績を修める程懸命に励んだ。 しかし肝心の実績が何一つ無いのではどうにもならない。このまま使い魔を召喚出来なかったら、進級どころか最悪退学になってしまう。それだけは絶対に避けたかった。 丁度一年前、入学してすぐの頃不安と恐怖に押し潰されてしまいそうだった自分をすんでの所で救ってくれたのは、両親や長姉ではなくすぐ上の姉であった。 使い魔の召喚だけは失敗するわけにはいかない。次に失敗し学院を追い出されてすごすごと実家の玄関に戻るような事になれば、両親は何と言うだろう? それに折角励ましてくれたすぐ上の姉に申し訳が立たなくなる。 成功した生徒達を見ると、ある者はサラマンダーを、またある者は風竜の幼生を召喚していた。 正直な所ルイズもそういった立派なのが欲しかったが、この際贅沢な事は言っていられない。 例え苦手な蛙が出て来ようが、恐ろしい鬼や吸血鬼が出て来ようが、何が何でも御する覚悟でいなければならない。 試験の監督をしているコルベール氏はルイズに次が最後の機会である事をそっと告げた。 半ば自棄っぱちになってルイズは召喚の為の呪文を唱えて杖を振り下ろす。 だがやはりそれまでと同じように目の前の地面は爆発してしまい、真っ黒な煙が周囲にたちこめた。 ただ敢えて言うなら、それまでの爆発と若干違っていたのは、その威力が明らかに大きかったという事だった。 ルイズは愕然とする。 遂にやってしまった。張り詰めていた緊張の糸はぷっつりと途切れ頭はもう何も考えられない程真っ白になった。 これから自分は周りの貴族達や果ては領民からも蔑まれる惨めな生涯を送るのだろう。考えただけで内臓が押し潰される様な感覚に襲われた。 それからすぐに一陣の穏やかな風が煙を爆発した地点から移動させていく。 ルイズは始め何も召喚出来なかったと思っていたがそれは大きな間違いであった。周囲の笑いも次第に治まっていく。 煙か去ったその場には、半球状に削られた様な穴が開いていた。 そしてその穴の中には……一糸纏わぬ少女が一人仰向けに横たわっていた。 そのあまりの展開に男子生徒は何人かが前屈みになり、何人かが目を背け、残りの者達は凝視しようとして女子生徒達から問答無用の鉄拳制裁を喰らっていた。 ルイズは少女の元へ歩み寄り、頭の先から爪先まで観察してみる。 年の頃は顔の造詣からして人間で言うならば20手前辺りといったところだろうか。 肌はまるで白磁の様に真っ白でキメも細かい。ルイズのコンプレックスを刺激するかのように胸もそこそこの主張をしていた。 そして離れていると気がつかなかったが、少女の頭にはヴァイオレットのロングヘアーに隠れるように一対の突起が存在していた。 突起が角だとするのならばまさかこれは鬼? いや確かに雌の鬼も存在するが鬼なら図体はもう一回り大きくなければいけないし、ここまで人間と遜色ない外見をしている筈がない。 となると、これは鬼の亜種なのだろうか。それとも新種の亜人なのだろうか? 眠っているようなのでルイズは先ず、近くに来たコルベール氏に質問してみる事にした。
シエン
「コルベール先生。私、これを使い魔にしないといけないんですよね?」 「勿論だとも、ミス・ヴァリエール。春の使い魔召喚の儀式は神聖にして絶対の伝統儀式だ。やり直しや変更なんて認めたら儀式自体を侮辱する事になってしまう。 君がこの亜人を好むと好まざるとに拘わらず、君はこれを使い魔にしなくてはいけないのだよ。 それに君は今のこの結果に至るまで何回も失敗してきた。やっと成功したというのにそれを帳消しにして欲しいのかい? 加えて、使い魔となる生き物は召喚者の元に自ら望んで現れるという。 せっかくこの亜人が君の元に現れたというのに君が受け入れてあげないのではあまりに酷というものじゃないかね?」 万事休す。ルイズは何も言う事が出来ずに亜人と契約する事が決まったのである。 さて、これから使い魔になる亜人は未だに起きる気配が見受けられない。仕方ないのでルイズは杖を振り呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」 さあ後は契約の為のキス、なのだがどうにも体が緊張してしょうがない。 ファーストキスが同性とだなんて……これはノーカウントなのよ、私はノンケなのよー、と自分の心に言い聞かせをしても、 心臓が早鐘の様に鼓動を打つのは止められなかった。 深呼吸を一つし、意を決してルイズは亜人と唇を重ねる。 嗚呼。一瞬の出来事の筈なのにこれだけ時間感覚の麻痺するものが他にあるのだろうか? 亜人の唇は温かくて柔らかい。そして……何故か塩っぽい味がした。 「終わりました。」 「うむ。『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』は一回できちんと良く出来たね。」 コルベールは心底嬉しそうな表情を浮かべる。 無理も無い。ルイズの事を彼女が入学して直ぐの頃から知っている彼は、いつか彼女の才能が開花して欲しいと願っていたからだ。 教師が特定の生徒に肩入れするなどあまり心良く思われないかもしれないが、 普段から失敗続きで成功した試しの皆無な彼女が何の魔法にせよ成功した事実は担任として喜ばしい事だった。 ルイズはルイズで口元を指でぼんやり触り、次いで服の袖で思い切り拭いている。 そしてその段になって亜人が何も身に纏っていない事に気付く。 自分が身に着けているマントをかけてやりたかったが、貴族でもない、ましてや人間ですらない物に貴族の証であるマントをかける事は出来ない。 どうしようかとまごついていると亜人が眉を動かした。見ると手の甲に使い魔のルーンが刻まれているところだった。 その時ルイズは得体のしれない物を目にしギョッとする。 それは透明な手が、もっと正確に言えば型板ガラスで出来た手の様な何かが体の下から上へすうっと二本伸びていく様だった。 しかし何かの見間違いだったのか、50サントも行かない内にそれは空気の中に雲散霧消していってしまった。 コルベール氏は興味深そうに亜人の手に刻まれたルーンを見ているので気付いた節は無さそうである。 同級生達を一通り見ても、反応したのは何事か呟いて気絶した青髪の少女くらいだ。 少ししてコルベール氏は生徒に亜人が身に纏える何かを持って来るように指示した。 いくら『レビテーション』等の魔法で学院まで送る事が出来ても裸というのはマズいと判断しての事だ。 他の生徒達はルイズを嘲りながら学院まで戻って行った。 しかしルイズはそれらの言葉はただの一言も耳に入って来なかった。 その場で共に留まったコルベール氏の方に向き直り恐る恐る質問をする。 「あの、先生。私が喚び出したこれって……一体何なんですか?」 「ミス・ヴァリエール。私は恐らく同じ質問を魔法生物学の講師の方にするよ。手に刻まれたルーンも気になるが、それ以上に私も君の使い魔が何なのかどうにもひっかかってね……」 そう言うとコルベール氏は亜人の元に屈み込み、自分の持てる範囲の全知識を使って調べ始めた。 「角はあるが体格は人間のそれとほぼ同じだし肌の色も違う。 鬼等は大抵獣の皮を着けているが、彼女は何も身に纏ってはいないのも一考していて悪くはないだろう。 だが体の成長具合に関してはバランス性に欠けている節が見られる。特例を除き人間でも鬼でもこうはいかない。」 丁度自分の胸元と股座を交互に見ていたルイズにとってかなりグサッと来る言葉だったが、教師に手を上げる訳にもいかないのでぐっと我慢する。
それから1分と経たない内に生徒の一人、キュルケが簡素な作りの服を持ってやって来た。 彼女もやはりルイズの使い魔が気になるのか、何も言わずに服を着せつつも目に浮かぶ言葉は「奇異」の一言だけの様に見えた。 そして着付けられた服を見てルイズは小さく苦言を呈する。 「ちょっとあんた。何でうちの学院で勤めているメイドが着ている服を着せるのよ?」 「何でって……学院に戻った時あなたの部屋の近くにいたメイドに頼んで貸してもらったのよ。」 「頼んで貸してもらったって……あんた自分の服でも良かったじゃないの。」 「ごめんなさいね。私亜人に着せられる様な服なんて持ち合わせてないのよ。あなたの部屋に入って服を失敬してきても良かったけど、パッツンパッツンになっちゃうでしょ?」 痛烈な言葉にルイズはキーッと悔しそうな声を上げる。その様子を見てコルベール氏は溜め息を一つ吐いた。 学年が変わってもこの二人は相変わらずであった。まあ、悪友同士という言葉が相応しいとも言えるが。 その時、使い魔がぴくりと動き閉じられていた瞼をゆっくりと開けた。 垂れがちで円く褐色を帯びた目はくりくりとよく動き、クセの無いサラサラの髪は軽やかに顔の周りを舞う。 ルイズ達を見て人間に酷く怯えている様にも見えたがルイズは一応質問をしてみた。 「あんた、誰?」 すると使い魔からは予想の遥か斜め上を行く答えが返って来た。 「みゅう?」
投下終了 人間というのは日常に飽きると例外を欲するという物好きな生き物ですよねぇ。 わざわざ求めなくてもこの日常は例外や異常さに満ちているというのに。 くれぐれもお気をつけ下さい。貴方の周りにも例外に繋がる扉は至る所に存在しているのですから…… エルフェンリートより28番召喚。 ---------------------------- 以上、代理投下でした。 支援人に感謝!
>>436 「ファイアフォックス」のソ連製思考誘導戦闘機ミグ−31を召喚して
続編ファイアフォックス・ダウンの別分岐パラレル「ファイアフォックス・ゼロ」とか
ルーンの補正効果を使ってハルケギニア語で機体に命令するルイズに「ロシア語で考えるのだ」
Deep Riverの人乙
アレか、あれなのか
>>525 いっそドラマCDのヘルトラマンとか
「あーモツ出たー(棒読み)」
>>534 闘神デビルマンはなぁ
面白かったんだけど打ち切りでコミックス未発売orz
けど、あの作品のデーモン族って次元移動してるから、帰ろうと思えばデビルマンは帰ってしまうんでは?
メタルマックスとかメタルサーガからも面白そうだなw 問題は、ロマリアのティーガーを入手するまで生身だということだがw
そう言えば、東方から「ゆっくり」召喚されてないよね? ゆっくりが召喚されたらどうなるんだ??
別にゆっくりは東方発祥じゃないぞ。
>>556 ゆっくりの戦闘能力が不確かな部分が多い+キャラ付けも明確では無い のでオリキャラ召喚に近くなるぞ
MUGEN仕様の「ゆっくり」は増えたり、大きくなったり、口からマスパぶっぱしたりするのでかなり戦闘シーン書くのが辛いと思われ
あと戦闘中の台詞センスも必要。
>>554 デビルマンならネタばれになるがバイオレンスジャック版もいるでないか
ハルケギニア地獄地震発生、廃墟と化した魔法学院で難民となった少年少女達はそれでも使い魔召喚の儀式を行おうとしていた…
あ、でもアルビオンひとり勝ちしそうだなあ
俺がゆっくりで書くならご立派様系統にするな。 ルイズ以外はゆっくりを平民だと思っていて、 むしろ台詞を変な風に解釈して勝手に感動したり改心したり それに対して一人ツッコミをいれるルイズという構図で
>>560 若本ボイスの異常に身体が硬い高校生みたいだなw
今、対ギーシュ戦を考えてるんだが、ワルキューレって頭を壊せば戦闘不能になるか?
ヴァルキューレは外部からギーシュに操られるものだから 手足を潰さないと戦闘不能にならないだろう ヴァルキューレ経由で見聞きしているわけでもないし頭を潰されてもたぶん動き続ける
たとえその瞳を灼かれても たとえその腕(かいな)をもがれても・・・・ 奴らは・・・・ 決して歩みを止めない――――
どうも皆さん、おはようございます。 予定などなければ5分後くらいに10話目の投稿したいと思います。 支援の方、よろしければ御願いいたします。
誰もデビルマン『レディー』を挙げない……なにゆえ?
「……良いですかな皆さん?この様に炎は色が薄くなればなるほど高温になっていくのです。」 ミスタ・コルベールは手にした炎で鉄の棒をあぶりながらそう言った。 そして十秒くらいあぶると鉄の棒から炎を離し、棒の両端を手で掴むと一気にそれを折り曲げた。 あぶられていた鉄の棒は抵抗することなくあっさりとくの字形になってしまった。 「と、この様に火の魔法は魔力の調節によって温度が変わります。その温度をうまく操ることが出来れば様々な金属を加工するときに役立ちます。」 生徒達は彼の言葉を聞きながらも机に置いているノートにメモしていく。 今日の二限目は「火」の魔法の授業である。担当教師はコルベールだ。 火属性の便利さや加工技術などを学ぶ。 しかし本来この属性は攻撃などが主体であり普通ならそれを学ぶための授業だ。 でもコルベールが担任をしているときはいつも加工といったものになってしまう。何故なのかは誰も知らない。 まぁだが他の教師の時は攻撃魔法を学ぶためバランス的に考えれば丁度良いのである。 それ故「火」属性の魔法が得意な生徒達からは時折不満が出ることもある。 「では…もうしている生徒達もいるが黒板に書かれている事をノートにまとめてください。」 コルベールが黒板を杖で指しながら言うと、メモをしていない生徒達もノートに書き始めた。 そんなのんびりとした授業の最中、教室のドアからノックの音が聞こえた。 「はいはい、どなたですか?」とコルベールが言いながらドアの方に近寄り、音を立てて開けるとそこにいたのはミセス・シュヴルーズであった。 それからすぐにシュヴルーズがコルベールの耳元で何か言うと彼の顔色がサッと青くなっていくのが遠くに座っている生徒達からも一目瞭然であった。 話を聞いたコルベールはシュヴルーズに軽く頷くと急いで教壇の方に戻った。 「えーすまない諸君、今日予定されていた授業は全て中止。指示があるまで自室か同級生の部屋で待機しておくように!」 そう言うとコルベールはササッ!と教室から出て行った。 いきなりの事にポカーンと口を開けていた生徒達だが段々と理解し始める者達が現れる。 「つまり…一日自由って事かな?」 ギーシュは不安げにそう言うとノートを閉じて席を立った。 それに続き何人かの生徒達もメモをし終えると席を立ち教室を出て行く。 普通こういう事があれば誰もが喜ぶことだが先ほどのコルベールの様子を見ていると何かあったのだろう。よくは知らないが。 「一体何が起こったのかしら?」 ルイズが席に座ったまま不安そうに呟いた。 まぁいつまでも教室にいたって授業が再開するはずもないのだから彼女も席を立ち他の生徒達と一緒に教室を出た。 教室の出入り口に来たとき、突然誰かに肩を掴まれた。 驚いて後ろを振り返ってみるとそこにいたのは学院でも実家でもお隣同士のキュルケがルイズの肩を掴んでいた。それもやけにうれしそうな顔つきで。 「なによツェルプストー、何か私に用があるの?」 「あるわよ、今大いにね。」 キュルケはそう言うと肩を掴んだままグイグイとルイズを近くにいるタバサの方にまで連れて行った。 詳しいことを聞いていないルイズは嫌そうなめ目でキュルケに質問した。 「キュルケ、私まだ何も聞いてないのよ。説明くらいしなさいよ。」 「まぁまぁ、これからお茶会をするんだしそんなにツンツンしない。」 キュルケの言葉にルイズはポカーンとした。 「なに阿呆みたいな顔してるのよ?」 それからキュルケは話し始めた。 どうせ今日の授業は全て中止になったのだから何かしようとキュルケは考えていたらしい。 それでお茶会をしようと思いつき、隣にいたタバサをまず最初に誘った。 「…で、2番目に私を見かけて誘った、ねぇ…。」 「そうよ。何か文句あるわけ?」 「いや、別に文句ないわよ。丁度何をしようかと悩んでいたところだし。」 「なら問題ないわね。」 そう言ってキュルケは次のことを話し始めた。 お茶会は部屋でしたいとの事。そのためにジャンケンで決めるとの事であった。 負けた者後の二人を部屋に招待するのである。 ルイズは最初それにとまどったが… 「もしかして…私に負けるのが怖いのかしら?」 と、キュルケの安い挑発で絶対勝ってアンタの部屋でお茶を飲むわよ!と豪語したルイズはジャンケンすることにした。 その時に限って、どうやら始祖は何処かの誰かを相手にチェスに興じていたのだろう。
ルイズの部屋。 「ふぅっ…これくらいで充分ね。」 部屋の掃除をしていた霊夢はバケツと箒を部屋の隅に置くと満足げに言った。 掃除というのはやっぱりきつい物だが追わせると確かな満足感を得られる物である。 それに本音を言えばルイズの部屋は小さい分神社の境内の掃除よりかは楽である。 さて掃除も終わり次は何をしようかと考えている時、突然ドアが大きな音を立てて開いた。 「だからなんであたしの所に来るのよ!!タバサの部屋もあるでしょうに!」 もの凄い剣幕でルイズが部屋に入ってきた。その次にキュルケが入ってくる。 「あら?ジャンケンで負けた奴の部屋に行くって最初に言ったじゃないの。」 キュルケはそう言って入り口で立ち止まり本を読んでいたタバサを部屋に入れる。 あっという間に物静かだった部屋は喧噪に包まれてしまった。 「ちょっとルイズ、なんなのよこの二人は。」 いきなりの客に少し目を丸くさせ、霊夢はルイズに話しかけた。 どうやら授業中、何かトラブルでも起こったのか全生徒が自室での待機になったらしい。 当然授業は中止となり、今日予定されていたものも全て取り消し。 そのため暇をもてあますこととなったキュルケはタバサとルイズを誘いこんな事を言った。 「…ジャンケンして負けた奴が他の二人を部屋に招待してお茶会をする。ねぇ…」 霊夢はそこまで聞くと手に持っているカップに入った緑茶を口に運んだ。 一回目はタバサがチョキで勝ち、後の二人は同じパーだったらしい。 その後も何回かおあいこ合戦が続いたのだが、遂にキュルケの方に軍配が上がったという。 ルイズは負けたことを悔しがり色々と言ったそうだがキュルケは気にしなかったらしい。 「まぁ私も別にこういうのは嫌いじゃないし、丁度暇をもてあましていた所よ。」 「話がわかるじゃない。やっぱりお茶会をするときは皆こんな気分じゃないとね〜。」 霊夢の言葉を聞きうれしそうにキュルケがそう言うと皿に盛られたクッキーを一個つまみ口の中に放り込んだ。 それを見ていたルイズが嫌そうな目でキュルケを一瞥して紅茶を啜る。 多分この場にいる三人の中では最年少のタバサは一人静かに霊夢と同じ緑茶を飲んでいる。 飲み終えたタバサはカップを口から離してテーブルに置くと霊夢の肩を チョンチョン と叩いた。 「ねぇ。」 「ん?何かしら。」 「これ、何処で売ってたの?」 「あんた、もしかして気に入った?」 タバサはそれに対しただコクリ、と頷いただけであった。
一方場所は変わって学院長の部屋。 そこでは会議用の大きなソファが二つ向かい合うように置かれ、教師達が何人か座り口論となっていた。 今回の問題は今年の給料だとか授業料の滞納だとか…そういうものではない。 『泥棒』が忍び入り、宝物庫の財宝を盗んだのである。それも平民出や元貴族で構成されている組織の仕業ではない。 最近トリステイン中の貴族達が夜、枕を高くして眠れる事が出来ないほどの腕を持つ泥棒の仕業である。 その名も『土くれのフーケ』である。 二つなの通り土属性を得意とする元貴族と思われる泥棒。 時に大胆、時に静かに獲物を掠め取り、気づいたときには無くなっている。 トリステインで名高い王宮の貴族達でさえ欺く業は正にプロである。 そして今回この魔法学院が不幸にもフーケの毒牙に刺さってしまったのだ。 最初の報告は朝一の巡回をしていた教師であった。 ふと本塔の方を見てみると宝物庫がある階層の外壁に丁度大人一人分の穴が空いているのを発見した。 急いで学院長にこの事を報告し、オスマンや数人の教師達は慌てて宝物庫の中へと入った。 しかし時既に遅く、恐らく夜中に実行したのであろう…そこにはフーケからのメッセージもとい、領収書が書かれていた。 『破壊の杖、確かに領収いたしました。 土くれのフーケより。』 学院側にしてみれば正に巫山戯ているの一言に尽きる。 その場でにいた者達だけで一度話し合ったが全員の意見が無いとどうすればいいかわからなくなり。やむを得ず授業を中止して緊急会議となった。 急いできてくれたコルベールもコレには顔を真っ青にし会議に参加している。 いつもは冷静を装っているミスター・ギトーも顔を真っ赤にして叫んでいる。 今このことを王宮に報告するか否かで論議していた。 王宮に報告をすれば魔法衛士隊から選抜された捜索隊をよこしてくれるだろうがそうすると別の問題が出てくる。 要はここ魔法学院の名折れになるということ。つまりはトリステインで随一のセキュリティを誇るここをあっさりと忍び入られたと言うことになる。 そうすれば警備の怠慢や教師達の注意不足が指摘され、最悪人事異動というものが待ちかまえている。 だから一部の教師達はそれを怖れ自分たちでなんとかしようと言っている。 そんな泥沼会議にオスマンはただ一人自分の椅子にもたれ掛かりため息を吐く。 (やれやれ…今日は本当についていないのぅ。) いつも朝一に行うミス・ロングビルの下着確認を自分の使い魔に探らせたものの彼女は外出していた。 挙げ句の果てに泥棒騒ぎで生徒達の学びの時間を一日分つぶしてしまったのだ。 全く、人生何が起こるかわからないものである。特に長生きしてると本当に。 (現に盗まれたあの破壊の杖も思い出深い品じゃったが…。) このままだと自分が生きている内にはもう拝めないかも知れないと。心の中で呟いた。 そうこう議論している内にドアからノックの音が聞こえ、ミス・ロングビルがドアを開けて入室した。 会議に没頭していた教師達も一斉に彼女に視線を注いだせいかロングビルの顔が少し引きつる。 「おお!ミス・ロングビル。今まで何処におったのじゃ?」 そんな中オスマンは椅子から立ち上がり老人とは思えぬしっかりとして歩みでロングビルの傍に寄った。 「すいません、オールド・オスマン。少し調べ物をしていました。」 オスマンの言葉にハッとなりまたいつものエリートの顔つきに戻った。 「調べ物とは?」 その言葉に殆どの者達が首を傾げた。 「はい、あの土くれのフーケについてです。」 この場にいた教師達が予想もしていなかった言葉に驚愕した。 ロングビルは懐から一枚のメモ用紙を取り出し説明し始めた。 「今日の未明、散歩をしていたときに大きな箱を抱えたフードを被った不審者をヴェストリの広場で見かけました。 怪しいと感じた私はそれを追跡、不審者は数日前の決闘騒ぎから放置されたままの壁の穴から森の中に入りました。 ますます怪しいと感じた私は悟られないように尾行しました。犯人はここから三時間ほどの所にある廃屋にその箱を置いて姿をくらましました。」
その報告を聞き終えたオスマンはあることを思いつく。 恐らくその廃屋というのもフーケの隠れ家であろう。そして一時的に姿をくらまし時が経てばまた戻ってくる。 それよりも先に教師達を何人か送り込み破壊の杖を取り戻し、フーケが戻ってきたところを一斉に攻撃する。 捕まえるか、あるいは仕留めるか…答えは二つあるのだ。 多少引っかかるところもあるが今の雰囲気でそれを言うと無駄に時間を喰ってしまう恐れがある。 オスマンは改めて表情をきつくすると教師達の方に向き直った。 「さて、奴の居所がミス・ロングビルのお陰でわかった。」 そう言うとオスマンは再び自分の机の方に戻り椅子に座った。 「それじゃあ、次は誰が代表としてミス・ロングビルの案内の元フーケの隠れ家へ行くという事じゃ。 我こそは…と思う者は杖を掲げその決意を示してくれい。」 オスマンがそう言ったものの……誰も杖を上げようとはしなかった。 いかに強い教師達でさえも王宮の貴族を退かせる程の実力を持つフーケとは闘いを交えたくないのだろう。 オスマンもその事がわかっているためかそれを見て神妙な面持ちで頭をポリポリと掻いた。 「まぁそりゃぁ…怖いのはわかる。誰でも命は惜しいもの、けど0人ってのはないじゃろうが…。」 「ならオールド・オスマン。なんであなたが先に杖を掲げないのですか?」 思わず言ってしまった事をロングビルに突っ込まれオスマンはハッとした顔になり慌てて言い訳をした。 「え?いやぁだってワシは学院長。この学院を守る立場なのじゃ。」 「それはこの場にいる全ての教師達にも言えることなのですが。」 たかが秘書に更に痛いところを突かれ、追いつめられたオスマンは両手で机を思いっきり叩いてこう叫んだ。 「いいじゃん、いいじゃん!だって学院長なんだもん!!」 (((本当この人、偶に考えてることがわからなくなる…。))) この日から大半の教師達がオスマンにカリスマ性を疑うこととなった。 さて場所は戻り女子寮塔ルイズの部屋。 キュルケが紅茶を飲み干し一息つくとカップをテーブルに置き口を開いた。 「ねぇねぇ。少し聞いて良いかしら?」 「何?」 その言葉にルイズが顔を向ける。 「今更だけど、なんで急に部屋に待機って事になったのかしらね?」 キュルケは不思議そうに言いながら皿に盛られたクッキーを手に取る。 ルイズはしばらく唸った後口を開いた。 「う〜ん…何かしら?」 「わからなければいいわよ。どうせ私もあまり考えてないから。」 「なら最初からそんなこと言わないでよ。」 キュルケはあっけらかんにそう言うとクッキーをヒョイッと口の中に入れた。 そんな二人のやり取りをよそに霊夢は視線だけを二人に向けながら静かに茶を飲んでいて、タバサは持ってきた本を読んでいる。
「……ねぇ。」 ふと霊夢がルイズに声を掛ける。 「ん、何よ?」 「アンタ等って仲が良いの?それとも悪いの?」 その質問にキュルケとルイズが二人同時に人差し指をお互いの顔に向けた。 「失礼ね、ヴァリエールとは代々敵同士なの。」 「ツェルプストーと一緒にしないでよ!」 言い終えてから二人とも指の動きがほぼ同時だったことに気づき顔を見合わせる。 その様子を見て霊夢は思わず苦笑する。 「言ってることは違うけどそれだけ動きが同じだとどうなのかしらねぇ。」 霊夢の言葉を聞いてルイズが少しだけ顔を赤くし立ち上がる。 「偶々よ!偶々!」 必死に反論するルイズではあるが隣に座っているキュルケは怪しい笑みを顔に浮かべている。 「そういえば…喧嘩する程仲が良いって言うじゃないの?」 彼女の言葉にルイズは多少動揺しながらもキュルケに返事をする。 「だ、だれがアンタみたいな…!」 沸々と込み上がる小さな怒りのせいで勢い余って机を叩いてしまう。 それを察知したのか素早い反射神経でキュルケがティーポットを二つ、霊夢がタバサの持ってきていた本2冊を手に取った。 木を叩く音と共にカップとクッキーが皿と一緒に空中に乱舞し、天井あたりまで来ると一気に床めがけて落ちていく。 天井から降ってくる菓子と皿にあたふたするルイズだが皿が顔に当たる直前で霊夢が皿をキャッチした。 地面やタバサの頭に落ちたクッキーは空しい音を立て、内何個かが破片をまき散らして粉砕した。 カップの方も鋭い音を立てて砕けてしまった。カップ1個につきエキュー金貨で3、新金貨で5のお値段である。 キュルケは何もなくなったテーブルの上に持っていたティーポットをテーブルに置いた。 「全く、癇癪起こすなら余所でしなさいよ。」 霊夢がため息交じりにそう言った後キュルケがよけいなことを言った。 「まったくだわ…。あなた、それのせいで男にもてないのよ。」 「っ…!?あ、アンタたちねぇ…!!」 そこでルイズの脳内の何かが切れてしまい、近くにあった本棚から2冊の分厚い辞典を取り出すと勢いよくそれを二人に投げつけた。 「おっと。」 「よっと!」 霊夢は迫ってきた本に対し顔を横にそらしてかわし、本はそのままベッドに着地した。 キュルケの方はというと上手いこと白刃取りのように受け止めた。 それを見たルイズが悔しそうな顔をしながらもう2冊取り出そうとしたがキュルケがタバサに目配せをすると杖をルイズの方に向け呪文を唱えた。 すると風の力でルイズの体に空気が絡み付くと、まるで操るかのようにタバサが杖をヒョイッと動かすとルイズは椅子にピョコンと座った。 怒り心頭のルイズは何とか立ち上がろうとするが人が自然の力に勝てるはずが無くただ風の中で藻掻くだけであった。 椅子に座るのを見届けたキュルケはフッと小さなため息を漏らすとタバサの方に向き直りお礼を言った。 「ありがとねタバサ。」 「ここは室内。」 そう言って丁度読み終えた本をパタンと閉じ、頭の上に乗ったクッキーを1個手に取って口の中に入れた。 霊夢はようやく抵抗するのをやめ、ゼェゼェと肩で呼吸しているルイズを少々呆れた目で見る。 「…アンタが暴れたせいでお茶会が台無しね。全く…。」 ルイズはハッとした顔になり自分の部屋を見回した。 床にはバラバラに散らばったクッキーやカップの破片がある。 爆発したときよりかはひどくはないがこれはこれで十分な有様である。 ルイズは冷や汗を浮かべながらも霊夢の方に顔向くと顔を少しゆがませ怒鳴った。 「う…うっさいわね!大体レイム、アンタが余計なこと言うからよ!?仲が良いとか悪いとか…。」 霊夢はというとそんなルイズに呆れながらも返事をした。 「…それって責任転嫁なんじゃないの?」 「あなたも悪いと思う。」 霊夢とルイズのやり取りにタバサが静かに呟いた。 二人は同時にタバサの顔を見、何事もなくクッキーをほおばるタバサを見て霊夢とルイズは苦笑した。
そんな中、キュルケが二人の間に割って入ってきた。 「でもどうする?クッキーは駄目になっちゃったしポットの中身もホラ、スッカラカンよ。」 そう言ってテーブルの上にあったポットを手に取り軽く振った。中からは何の音も聞こえない。 「丁度良いじゃない、これでお開きにしたら。」 すかさず霊夢がキュルケにそう言ったが彼女は納得していない様子である。 「う〜ん、まだ昼食の時間じゃないから暇なのよね。」 「そもそも先生が自室で待機って言ってるのにお茶会を企画したアンタってどうなのよ。」 何を今更、ルイズがそんな事を言った。 一方のキュルケはウンウン唸りながら何かを考えている。 「キュルケ…?」 タバサが席を立ち上がり心配そうに声を掛けると… 「そうだ、外に行きましょう!!」 突然キュルケが大声でそう言い、ルイスが目を白黒させた。 「外よ外!部屋でのんびりするより遙かに有意義じゃない!」 「う〜ん…とりあえず落ち着きなさい。」 捲し立てるキュルケにルイズは冷静に彼女の額を杖でペチッと叩いた。 まともに喰らったキュルケはそのままベッドへと倒れたが何事もなかったかのように起きあがった。 「…とりあえず一度聞くわツェルプストー。外へ行くってどういう意味?」 ルイズはキュルケの顔を指さしたながらそう言った。 どうしてあんなに考え込んでたあげくその結論に至ったのだろうか。 「そのままの意味よルイズ、散歩に行きましょ?」 その言葉を聞きルイズはため息を吐くと、口を開いた。 「あのねキュルケ?今は休み時間じゃないのよ。自室か同級生の部屋で待機する時間なの。」 「それはわかってるわよ、けど私としてはこのままお開きにして部屋で篭もるのは嫌なの。3人ともわかる?」 キュルケがそういったものの帰ってくる返事は案外冷たいのであった。 「残念だけど私は部屋でゆっくりくつろぐ方が好きなの。」 ルイズがそう言うとタバサも続いていった 「私も同じ。」 「まぁ私は…どっちでもいいわね。」 続いて霊夢が曖昧な返事をした。 どうやらトリステイン人とガリア人、そして日本人にはゲルマニア人の気持ちは理解されないようである 「意外と冷たいのねあなた達。…でもあれを見たらきっと考えも変わるわね。」 そう言うとキュルケはマントを翻し部屋を出て行った。 彼女の突然の行動にルイズはただただ頭を捻るが、隣りにあるキュルケの自室から物音が聞こえてきた。 しばらく戸棚を開ける音と、物をひっ掴んでは投げるような音が聞こえ、それが止むと右手に紙を握りしめたキュルケが部屋に戻ってきた。 キュルケは自信たっぷりの笑みで紙を広げ、そこに描かれている地図を3人に見せた。 それを見てルイズが胡散臭そうな目でその地図を見ながらそれを持ってきたキュルケに質問する。 「何よそれ。」 「うふふふ…これは宝の地図よ。宝の地図。」 それを聞いてルイズが呆れたような顔をする。 「キュルケ…あなたまさかこんな趣味があったなんて…!」 この様な宝の地図は街に行けばいくらでも売っているが大抵はまがい物で構成されている。 手を出したら十人の内九人が破産したり死んだりとロクな目にあわないのだ。 ルイズはキュルケを嫌な奴だと心から思っているが同時に実家のこともあってかライバルでもあるのだ。 しかし自分の好敵手がこんな物が趣味だったのは少しショックであった。
朝から支援
「へぇ〜?宝の地図ねぇ…。」 そんなルイズとは反面に霊夢はキュルケが持っている地図に目をやる。 隅っこなどに書かれている文字はあまりわからないが多分宝のことについて書いているのだろう。 「うふふふふふ…興味あるの?場所はこの学院から馬で三時間くらい離れた所よ。」 そんな二人を見て不安になってきたルイズが霊夢の服を掴んだ。 「ちょ…ちょっとレイム!あんたまさか着いていく気じゃないでしょうね!?」 「まだ行くって決まったわけじゃないわよ。後服がのびるから掴むのやめてよね。」 そう言いながらルイズの手を掴んで離すとキュルケの方に顔を向ける。 ルイズはそんな霊夢の態度に少々頬を膨らましてう〜、う〜唸るが今になって始まったことではないため怒鳴るようなことはしなかった。 しかしそんなルイズにお構いなく微笑みキュルケが口を開く。 「まぁまぁ落ち着きなさいよ。そこに眠っている宝の名前は…名前は…っと。」 地図をひとさし指で辿りながら宝の名を探す。 そして見つけたのか、指でスッと文字を撫でながらその名前を口にする。 「『境界繋ぎの縄』。」 そう言った後、ルイズの方に顔を向けていた霊夢が驚いた表情でキュルケの方を向く。 「境界?」 「そうよ、なんでもこれを決まった方法で使うと自分が願う場所へ行けるらしいわ。」 ま、本当かどうか判らないけど。 とキュルケが言うと霊夢は彼女が手に持っていた地図をもの凄い勢いでひったくった。 「ちょっと!貸して欲しいならちゃんと言ってからにしてよ。」 そんなキュルケの言葉が耳に入っていないのか霊夢は目をあちこちに走らせ地図の内容を把握していく。 しばらくすると霊夢は地図をテーブルに置き、笑みを浮かべた顔をキュルケに向けた。 「いいわ、行きましょう。」 その思わぬ言葉にキュルケは少し驚いたがすぐに笑顔になり、ポンと両手を叩いた。 「やっと乗り気になってくれたのね、嬉しいわ。」 一方霊夢がこの話に乗るとは思わなかったルイズは慌てた様子で霊夢に話しかけた。 「ちょっと!いきなりどうしたのよ!?」 「帰れる方法が見つかるかも知れないから探しに行くだけよ。」 「は?…………えぇ!?」 随分とあっさり言ったため一瞬何のことだかわからず反応するのに遅れたルイズであった。 まさかこんなに早く帰る方法が見つかるとは彼女は夢にも思わなかったのである。 「え?なんなのルイズ、一体どういう事?」 「う〜ん、とりあえず行きながら話すからとりあえず早く行きましょう。」 霊夢の事をあまり知らないキュルケはルイズの驚きようにキョトンとする。 状況を理解していないキュルケを促している霊夢を尻目にルイズは混乱しつつも再度話しかけた。 「つ、つまり何…もう帰るって事?」 霊夢はその言葉にええ、と頷く。 「まさかアンタ…今更になって私に帰るな。とか言う気?」 それに対し、ルイズはムッとしながらも答える。 「別にそんなんじゃないわよ!帰るならさっさと帰りなさいよ。」 ルイズの態度に霊夢は肩をすくめた。
「つ、つまり何…もう帰るって事?」 霊夢はその言葉にええ、と頷く。 「まさかアンタ…今更になって私に帰るな。とか言う気?」 それに対し、ルイズはムッとしながらも答える。 「別にそんなんじゃないわよ!帰るならさっさと帰りなさいよ。」 ルイズの態度に霊夢は肩をすくめた。 ルイズは霊夢と出会った最初の日にした、約束事を思い出していた。 一緒に元の世界に帰る方法を探すこと ちゃんとお茶と食事は摂らせて欲しいこと、後ちゃんとした寝床 いや、二つめまでは今はどうでもいいとして今直面している事は三つ目だ。 ―――――――私の迎えが来るか元の世界に帰る方法を見つけたらすぐに帰らせて欲しいこと 霊夢がここから元の世界に帰れば自分は最召喚が可能となる。 そのときに使い魔は何処に行った聞かれるはずだが……まぁそのときはその時だ。 もしキュルケが持ってる鷹の地図が本当ならば霊夢はその宝を使って無事ゲンソウキョーに帰る 自分は問題を色々処理してから最召喚して、このまま大円団。 …ならば自分がすべき事はなんだろうか、とルイズは考えた。 このまま部屋で待っているだけなのか、それとも…。 『貴族という者はどんな者であれ、助けて貰ったら礼をしろ。』 ふと、頭の中で父がかつて小さい頃の自分に言っていた言葉を思い出した。 助けて貰った…とは言わないがちゃんと部屋の掃除や洗濯もしてくれたレイムには礼をするべきだ。 このまえ買ったお茶はまぁ…レイムの事だと持って帰りそうな…。 後はまぁ…何もない。 一応宝石という手もあるが残念ながら今は手元にない。 さて、どうしようか…とルイズは一人心の中で考え込み、決めた。 「…でもアンタには色々助けて貰ったこともあるし、別れの挨拶くらいには付き合ってあげる。」 そうポツリと、霊夢に向かって彼女は呟いた。 今のルイズにはこれぐらいしか思い浮かばなかったのだ。 このとき、宝の地図は「十人中九人がハズレ」だという事を霊夢は知らなかった。
はい、投稿終了です。 支援してくださった人、本当に感謝感激。 前回フーケ探しといってましたが…これだと宝探しだな。 追記 これ急展開じゃね?と思われる方はゼロの使い魔原作三巻の159Pのギーシュの言葉を思い出してください。 後まとめに載せて貰った後に話の内容をちょくちょく変えています。
霊夢の人乙です。
お待ちしておりましたm(__)m
次回にwktk
>>566 それは俺も考えたが…ジュン召喚だとどう考えてもワの人が殺られて犯られる展開にw
投下GJ!
核攻撃も回避する巫女さんだぁぁぁぁぁ!GJ!
少し間が空いてしまいましたが、第八話を十時半くらいから投下したいと思います。
>>566 デビルマンレディーは変身すると学院の男達が狼となるか、大量出血で死ぬからw
「あの女の子、どこへ行ったんだろう?」 困った表情(にはとても見えないが)をしながら北野君は呟いた。 なんとか使い魔集団を振り切って突如逃げ出したメイド少女を追ってみたものの、既に少女の姿は見えない。 ならば人に聞いてみようか、と考えるものの周囲に声をかけられそうな人間はいなかった。 目の前には食堂内部へ続く大きな扉がある。 あの少女はここに入ったのだろうか? 状況を考えればそれが一番高い可能性だ。 それに、食堂ならば人がいるのは間違いない。 少女の格好からしてここで働いている可能性は高いのだから入ってみる価値はある。 「けど、勝手に入っちゃっていいのかなぁ。うーん、考えるより行動だよね」 少しばかり行動について迷うものの、北野君は食堂に入ることを決断した。 考えてみれば関係者でもない自分が裏口に回るほうがまずい。 むしろ、正々堂々と真正面から入ったほうがいいだろう。 仮に駄目だったとしたら誰かが注意するだろうし、その時は大人しく出て行けばいい。 そう結論を下し、北野君はゆっくりと食堂の扉を開いた。 (うわぁ……) 目に入った光景に純朴な少年は思わず感嘆する。 想像していた食堂とはまるで違ったのだ。 北野君が想像していた食堂とは、いわゆる学生食堂である。 生徒がごった返し、トレイに食事をのせて空いたテーブルを探して歩き回り、テーブルについた生徒たちはお喋りをしながら食事を楽しむ。 だが、異世界の食堂はそんな平凡な彼の想像を遥かに超えていた。 まず、内装が豪美なことこの上ない。 テーブルにはこれでもかというくらいの豪華な飾り付けがなされている。 その上には華やかな色とりどりの花が飾られており、優雅な雰囲気を強調するようにローソクが何本も立ち並んでいるのだ。 壁際には石でできているであろう像が立ち並び、内装自体もどこの宮殿だとばかりに絢爛豪華な雰囲気を醸し出していた。 まるで本で見たことがある中世ヨーロッパの宮殿のようだ。 資料でしか見たことがない光景を見て、無表情にしか見えない少年の肌に興奮の赤が浮き出て行く。 (……皆ぼくと同じくらいかな? 外国の人は実年齢よりも高く見えるっていうからわからないけど) 一通り感動した北野君は食堂にいる学生たちを見回した。 いるのは昨日の広場に集まっていた少年少女たちと同じような年格好のものばかりだ。 ルイズや青髪の女の子、それに赤髪の女性に金髪の少女と見た目が大幅に違う人間ばかり目にしてきたため一概に断言はできないが 恐らくはシステム的に自分のいた学校と同じような構成になっているのだろう。 あるいは、年齢には関係なく入学できるのかも。 何気に主を含む少女たちに失礼なことを考えつつ、北野君はメイド少女を探すべく足を踏み出した。
>577 その順番は猟奇的だ! ……避難所でも難しい表現かもしれない?
ざわっ……! 昼時の憩いの場である食事の場にざわめきが広がった。 それは入口の側から徐々に徐々に波紋のように範囲を広げていく。 食事をとっていたもの、祈りを捧げていたもの、歓談に興じていたもの。 その全てがその少年を目にした瞬間、一様に石化をかけられたが如く動きを停止する。 (な、なんだアイツは……!?) (人間…いや、獣人か!? それともあれがエルフなのか!?) (お、俺知ってるぞ……アイツ、ゼロのルイズの召喚した使い魔だ!) (何!? じゃ、じゃああれが……) 『悪魔!?』 彼らの魂のシャウトが心の中で一斉にあげられる。 勿論、声を大にして口にするものはいない。 下手に刺激して、自分に興味を持たれたら一大事なのだ。 途端にざわめきが消え、食堂に静寂が訪れる。 入口から離れた場所は未だ喧騒の最中だが、北野君が歩を進めるたびに静寂の範囲は広がっていく。 触らぬ悪魔にたたりなし。 誰もが初めて見る異色の使い魔に恐怖し、それでいて興味をすてきれずにチラチラと横目で観察するように覗き見てしまう。 黒一色の服装と髪に透き通るほどの白い肌。 対極色のコントラストがその存在感を不気味に引き立てている。 こちら側の視線は感じ取っているだろうに、まるで気にする様子を表情に見せない。 それでいて、何かを探しているかのようにキョロキョロと周囲を見回しながら食堂のど真ん中を歩くのだから生徒たちからすればたまったものではない。 (な、なんであんなに視線を彷徨わせているんだ?) (というかなんでそもそも奴がここに?) (食事に来たんじゃあないのか?) (食事って……何を食べるんだよ悪魔って) (そりゃあ……!?) 一人の生徒の推測に場が固まる。 彼らの脳裏に思い浮かんだのは頭からバリバリと食べられる自分たちの図だった。 誰一人として普通に食事をしにきたのだと考えないあたり、外見による先入観とは全く持って度し難いといえよう。 ともあれ、想像図に恐怖した生徒たちは一様に口を閉じ、気配を消そうと勤しんだ。 気をひいてはならない、その一心で石像のように硬直する。 かくして、普段は喧騒で賑わっているアルヴィーズ食堂はたった一人の少年によって沈黙を余儀なくされるのだった。
「なんか静かだな」 「ですね、珍しいこともあるもんだ」 「ふむ、ようやく貴族の坊ちゃんどもも正しいマナーってもんがわかってきたのか?」 一方、食堂で何が起こっているのか知るよしもない調理場では料理長のマルトーが鍋をかき混ぜながら副料理長と会話をしていた。 理由はわからないが、静かなのはいいことだ。 別段、マルトーは食事中に喋ることに対して目くじらを立てているわけではない。 友人らと喋りながら食事をすることもまた食べることの楽しみの一つだ、それを否定する気はない。 だが、ここの学生たちは喋ることが主目的で、折角自分らが丹精込めて作った料理にロクに手を着けない。 熱々のスープに限らず、料理は出来立てが一番美味しいのだ。 それを長々と放置されて、しかもそのいくつかを残されて料理人が良い顔をするはずもない。 「ま、なんにせよ静かに食べるのはいいこった。こっちもカンにさわる声を聞かなくて済むしな」 「全くですね」 ハッハッハ、と朗らかに笑う調理責任者たち。 と、そこに疾風のように駆け込んでくるメイド少女が一人。 額に汗を浮かべて、しかし顔面は蒼白にしたその少女は彼らがよく知っている下働きの少女だった。 「おい、シエスタ……どうしたんだ、そんなに真っ青な顔で?」 「使い魔に吠えられでもしたか? ったく、貴族様もちゃんとしつけとけってんだ」 カクカクと謎のゼスチャーを繰り広げながら頭をぶんぶんと横に振るシエスタに二人は首を傾げる。 とにかく、落ち着かせないことにはどうしようもないと水を入れたコップを差し出す。 すると、シエスタは男らしい一気飲みでそれを飲み干し、はぁーっ! と大きく息をついた。 その豪快な飲みっぷりに思わず感心する男二人。 「はぁ……はぁ……マルトーさん! 私、逃げ……早退します!」 「へ?」 ぽかん、とマヌケな顔をしてマルトーはメイド少女の顔を見やった。 人一倍真面目で働き者な少女が早退? 食堂の静寂といい、今日は珍しい事が続くものだ。 だがまあ、今日は別段忙しいというわけでもないのでメイドが一人早退したところで大勢に影響はない。 切羽詰った顔を見るに、余程の事情があるのだろうし、マルトーとしては受諾に異はなかった。 「ありがとうございます!」 その言葉を聞くや否や、シエスタは脇目も振らずその場を駆け出した。 残された男二人は、わけがわからんとばかりに互いに顔を見合わせるのだった。
さて、一人のメイド少女が猛烈な勢いで着替えを済ましているその頃。 北野君はモーゼのごとく人が割れた食堂のど真ん中を横断していた。 (うーん、いないなぁ) 近場の学生や給仕たちを恐怖のどん底に陥れている自覚など全くなしに北野君は黒髪の少女を探す。 少女と同じような服装の女の子がチラホラと目に付くあたり、探し人がいるのは間違いなさそうだ。 誰かに聞くべきか。 そう考えてみるも、皆忙しそうに働いているのを見ると声をかけるのは躊躇われる。 学生たちは食事をしているのだから、そこに声をかけるのはマナー違反だ。 (困ったなぁ。それに、なんかぼくのせいで場の雰囲気を乱してるような気がするし……) 先程から自分に集まる視線を北野君は感じていた。 こちらから視線を向ければサッと目を逸らされるものの、四方から感じる気配に間違いはない。 ルイズから聞いた話を分析する限り、自分は平民という身分に分類されるらしい。 ひょっとしたら、ここは自分のような人間がうろつくのは珍しいのかもしれない。 半分正解で半分的外れな推測を立てながら、黒衣の少年は思考する。 自分のせいで楽しい食事の時間を邪魔するのは心が痛む。 (いったん外に出るべきかな) そう考え、足を反転させようとしたその瞬間。 北野君の強化された目がある光景を捉えた。 数十メートルほど先のテーブルに座っている金髪の男子生徒。 彼のポケットから小びんがころりと零れ落ちていったのだ。 (わっ) 割れる、と咄嗟に身構えるが、幸い丈夫な造りなのか小びんは割れなかった。 しかし、金髪の少年は落し物に気がついていないのかお喋りに夢中の様子。 このまま放っておいたらそのまま小びんに気がつかないままかもしれない。 盗まれたり、誰かが踏んづけたりしたら大変である。 彼にとって大切なものかもしれないし、気がついた自分が教えてあげるべきだ。 北野君は持ち前の親切心を発揮して、金髪の少年の下へと歩いていく。 「ギーシュ。 お前―――だよ!」 金髪の少年を中心に会話が盛り上がっているのか、彼のいるテーブルはなかなか盛況だった。 この雰囲気に水を差すような真似はあまりしたくないのだが、気づいてしまったものは仕方がない。 北野君は小びんを拾うと、ゆっくりと手を差し出した。
北野君効果に戦々恐々しながら支援!
「あの、これ落としましたよ」 「うん?」 友人の少年たちから質問攻めにされていた金髪の少年―――ギーシュ・ド・グラモンは目の前に差し出された手をいぶかしむ。 なんの変哲もない男の手だ。 しかし、その掌の上に乗っているものは問題だった。 紫色の液体が入っている小さな透明のビン。 その存在は彼にとって見覚えのあるものだった。 忘れるはずもない、愛しの存在であるモンモランシーにもらった香水だ。 (げ!) サッと顔を青く染め上げたギーシュ。 見るものが見れば、この香水がモンモランシーのものだということは看破されてしまうだろう。 そうなれば、自分とモンモランシーの関係が邪推されることは間違いない。 いや、それ自体は別にいい、彼女とステディな関係なのは確かなのだから。 だが、問題はそこではない。 自分は今、下級生のケティ・ド・ラ・ロッタと交際している。 ぶっちゃけると、二股だ。 つまり、もしもこのことがケティの耳に入ればまずいことになる。 (どうする……どうするんだギーシュ・ド・グラモン!) ギーシュは瞬時に自分の青銅色の脳細胞を働かせる。 一番いいのは白を切りとおすことだ。 幸い、目の前の友人たちが香水に気がついた様子はない。 というか、何故かこちらのほうを見ながら真っ青な顔をしてブルブルと震えている。 食あたりか? でも自分は平気なんだが。 まあそれはさておき、チャンスだ。 幸いにも手の主は丁寧語であることから判断して下級生か平民の使用人だろう。 こちらが強気の態度で押せばきっと引いてくれるに違いない。 この間、僅か三秒。 即興で対策を練ったギーシュは否定の言葉を口にしようとし 「これは僕のじゃ―――!?」 そしてその声を喉でせき止めた。 振り返ろうと曲げた視界の先に、金髪ロールの少女が。 つまり、モンモランシーの姿が映ったのである。
(モンモランシー! なんてタイミングで!) ギーシュは振り返ろうと身体を半身にした体勢でピタリと動きを止めた。 目に映っているのは間違いなくモンモランシーだった。 何故か息を切らして顔面を蒼白にし、身体を震わせながら血走った視線をこちらに向けているような気がする。 まずい、非常にまずい。 この状況ではこの香水は自分のじゃないといえないではないか! もしもその言葉を発してしまったら、モンモランシーを傷つけることになってしまう。 (くそっ、こうなったら正直に話してこいつらには口止め―――って、ゲェッ!? ケティ!?) 方向転換して本当のことを口にしようとしたギーシュの口が再度塞がれる。 立っているモンモランシーよりも手前のテーブルに、二股相手であるケティの姿があったのだ。 何故か彼女もモンモランシーと同じく、顔面を蒼白にしてガタガタと震えている。 ヤバイ、ヤバすぎる! これはもしや、既に二人とも状況を把握しているのではないか!? (前門の幼馴染、後門の下級生。どちらを選ぶも地獄……考えろ、考えるんだギーシュ! 考えればきっと妙案が……) 必死に頭をフル回転させてこの場を切り抜ける方法を考える二股男、ギーシュ。 だがすぐにそんな都合の良い方法を考えつけるはずもなく、焦りばかりが先行してしまう。 「あの、これ」 ツンツン。 肩を遠慮気味に叩かれ、ギーシュはふと思った。 そうだ、そもそも後ろの奴が原因じゃないか。 コイツがビンを拾いさえしなければ、自分がここまで追い込まれることはなかったはずだ。 (なんか段々腹が立ってきたぞ!) 果てしなく自業自得にも関わらず、ギーシュは自分本位に怒りを表面化させていく。 ハッキリいって現実逃避ともいえるのだが、今の彼を止める者はいない。 いや、厳密には二人ほどいた。 モンモランシーとケティ。 彼の二人の恋人は必死にジェスチャーで訴えていたのだ。 後ろを振り向くな、すぐにそこから離れろと。 しかし残念ながら乙女たちの願いは愛しい少年には届かず。 「おい、お前―――」 ギーシュは、振り返ってしまった。
支援
果たして決闘イベントは発生するのか。 どう考えてもギーシュオワタな次回に続く。
乙でしたー。 『振り返れば奴が居る』状態のギーシュに、周りのみんなは『ギーシュ、後ろ後ろ!』と心の中で叫んでいるんでしょうね。決して注意を引かないよう心の中で。
593 :
ゼロと工作員 :2008/09/20(土) 11:07:46 ID:jB1P48dt
誰も居ないようなので第三話を投下します
エンジェルGJ お待ちしておりましたm(__)m ギーシュピンチww次回にwktkして全裸待機
595 :
ゼロと工作員 :2008/09/20(土) 11:09:19 ID:jB1P48dt
夢を見ていた。 海賊と政府が戦ったレジャイナと呼ばれる国。 彼女が眼鏡を外したスコープの照準画面に顔に冷笑を貼り付けた人物が入ってくる。 彼はスピーチを始め、彼女は皮肉げに嘲笑う。 「ミスタ・マーカス。あなたの脳味噌を黒コゲにするだけで、メジュナの子供なら300万人救われるのよ」 きっと彼女は報酬を祖国の銀行口座に寄付し、そのカネでゲリラは銃を買い、内戦で同朋は無意味に死に続けるのだろう。 それでも彼女は、それが彼女に与えられた役割だから引き金を引いた。 ピンクの髪の少女がスコープの視界へ入ってきた 彼女はそれがただの標的に見えたので撃った。 肩と胸に伝わる反動。 人間がただの標的に見える自分に気づき、居心地が悪くなる。 ケースから大切に眼鏡を取り出し、大切に、そっと、かける。 工作員ではない生身の自分を取り戻して、少し落ち着く。 視力を強制しないただの透明体だから、見える景色は変わらないのに。 それでもレンズ一枚はさんだから、人間はもう破壊対象ではなくなった。 自分が自分であるためにフリーダは眼鏡をかける。 窓の外は光に満ちている。 カーテンを開けると青空の下、朝日が昇ってきている。 部屋は塔の高い場所にあるため、学園の壁の向こう、平野の緑の絨毯までよく見える。 朝の冷たい風が吹いて眼が覚める。 周囲はビルや工場、自動車がないから空気が澄んでいる。 学園の中央には大きな尖塔が立ち、影が壁の外まで伸びて日時計みたいだ。 学園中央を取り囲む4つの塔の一つ、円の中心を学園の中心とし、学園正面玄関を12時とした10時方向にある塔。 ここがフリーダたちの住む2年生の学園寮だ。
596 :
ゼロと工作員 :2008/09/20(土) 11:10:55 ID:jB1P48dt
立てかけてある大鏡の前で眼鏡を鼻に引っ掛けほとんど銀色に見える長いプラチナブロンドをブラシで梳いている。 細く白く長い指先。切れ長で涼しげな瞳は可愛さよりも冷たさを感じる。 名匠が感性より理性を頼りに、造形の限界に挑戦したかのような精緻な人型の影。 怪我をしたとき服が破れていたので学園から貰った制服に袖を通す。 白いワイシャツを着て紐のリボンを付ける、古風な黒のスカートをつまむと、 かすかに艶のある細すぎない足が、太股の半ばまで肌をさらす。 「………短すぎるわね、見えるんじゃないかしら」 「おはよう。ルイズ」 外から冷たい空気を入れ、まだ寝ぼけて眠そうなルイズを起こす。 低血圧なのかフリーダは朝機嫌が悪い。 ふわふわのウェーブの掛かったブロンドよりの赤毛が光の加減で桃色に見える。 目鼻のととのった意思の強そうな顔、鳶色の瞳は瞑られている。 細くて折れてしまいそうな中学生に見える体は150cmほどでかなり小さい。 ヨーロッパ系に見える顔立ちで、すべすべお肌にやわらかそうなほっぺ。 枕の皺が付いたのだろう顔に赤い線が走っている。 毛布をずらしてもまだ起きないのでルイズの柔らかそうな白いほっぺを思い切りつねる。 見た目のわりにごつくて力強い手で引き伸ばす。 「ひゃうっ!ふああっ!ふわ〜!ふわああ!」 触り心地のいいふにふにほっぺを引き伸ばすのが楽しくて伸ばしたりもとに戻したりを繰り返す。 それにしてもよく伸びる顔だ。 眼を瞑ったままのルイズを横に伸ばした顔が間抜けで面白かった。 「なななな、あなた誰よ!」 「あなたが呼び出したんじゃない。忘れたの?」 ピタリと動きが止まる。 昨日を思い出しているらしいルイズの顔は一気に赤くなり、一瞬後には青くなった。 頭を抱え布団に潜り込む。 「頭が痛い。休む」 「寝ても私は消えないわよ」
597 :
ゼロと工作員 :2008/09/20(土) 11:11:56 ID:jB1P48dt
ルイズは目覚まし時計を見た。 「まだ6時じゃない。7時まで寝かせて」 昨日は相当なショックだったようだ。 全寮制の学校だけあって投稿時間が掛からない分、朝は余裕がある。 「そこの籠に下着あるから洗って。下の平民達の宿舎の隣にあるから洗い場があるから」 これからの共同生活のために覚えておくのもいいかもしれない。 「ああ、いいわ。やっておくから」 朝日が昇ったばかりの宿舎の外を犬や猫が走り回っている。 庭では空に浮かぶ大きな目玉の化け物や青い竜が目覚め、土竜が道の真ん中に穴を掘っている。 石のゴーレムが歩き回り蛇が蛙に追い掛け回され、尻尾に火をつけたトカゲがのっそりと歩き回っている。 学園の使用人達が忙しそうに洗濯物を運び、馬車の荷台からは林檎や牛乳の缶が下ろされている。 ペット用の皿を並べ、給食バケツから次々にスープを掬い上げ使い魔達の餌として盛り付けていた。 「まさに動物園………百鬼夜行かしら」 羽もないのに空に浮かぶ犬、嘴と羽の付いた四足歩行の動物、意思をもった石の塊、 生態学的にありえない動物達を見てとんでもないところに来てしまったと感じた。 動物学者がこの光景を見たら卒倒するか狂喜するだろう。 どちらにしても冷静ではいられまい。 杖を使う魔法使い達、モンスター、石造りの家々。 喋る竜やエルフが揃えば完全なファンタジーだなと冗談交じりに考える。 階段を下りて使用人達の宿舎へ向かうとメイドがやってきた。 ホワイトブリムを頭につけてエプロンと紺の地味な姿。 汚れが判りにくいように紺を主体とした服を着ている。
>>583 因みにノワール召喚も考えたが…レイーポされるのが男から女に変わっただけだったw
逃げてー!おマチさん超逃げてー!!
599 :
ゼロと工作員 :2008/09/20(土) 11:12:50 ID:jB1P48dt
「新しく入ってきたんだけど。下着の洗い場判らないかしら」 こちらですよと手を引いて連れて行かれて洗い場を見て苦笑いした。 置いてあるのは洗剤、洗面器、スポンジ、洗濯板。 洗濯機もなしに洗うようだ。 いくらインフラや生産設備が発達していない星でも洗濯機や乾燥機すらないのはありえない。 魔法とモンスターに加えて機械までないとは。 オスマンの話しは本当で、私は魔法で召還されて違う世界からやってきたのか。 それとも私の頭が弄られているのか。 もし、この星が我々人類が知らない惑星だとしたら、未開拓惑星と呼ばれるものなのか。 それとも平行世界と呼ばれるものなのか どちらにしても救援は期待できない、むしろファンタジーよりSF寄りだ。 好奇心を抑えきれずに小説好きな頭で考えていると、メイドから声が掛かった。 「あなたが平民なのにミス・ヴァリエールに使い魔にされたフリーダさんですね」 働き者の厚い皮の手が差し出された。異世界に浮かれていた彼女は現実へと返る。 「フリーダ・ゲーベルよ。ベックの具合はどう?」 今回も少女がきょとんとする。 「気にしないで」 フリーダは心の底からルイズを呪った。<<ベック>>は「次の指示を待つ」を意味する、組織の符丁だ。 もしかして私は本当に違う世界に来てしまったのかも知れない。 この反応は何も知らない民間人である可能性が高かった。 「わたし、この学園の使用人をやっているシエスタです。よろしくお願いしますね」」 黒い大きな瞳、やや長めのボブカットにした黒い髪と、少し低い鼻とそばかすがある高校生ほどの少女。 身長は160cmほどでたわわな胸が目を惹く。 周囲のヨーロッパ系の生徒達とは違い、アジア系の顔立ちをしていた。 フリーダが訓練して得た不自然でない笑みを返すとシエスタが右手を差し出してきた。 左手を差し出すと彼女は屈託ない笑みで利き手を引っ込め、左手での握手を応じる、 「………どうして私の顔を知ってるの?」 「学園の中では有名ですよ。ミス・ヴァリエールが人間の使い魔を召還したって」 「更に使い魔は魔力を持ってない、ゼロのルイズに相応しいって」 「銀髪の綺麗な人だって聞いていたから直ぐに判りましたよ」 暖かい両手でフリーダの手を包み込む。 その姿にアリスとのデジャヴを感じる。 「私がゼロのルイズって言ってたこと秘密ですよ。貴族は怖いですから」 秘密ですよと人差し指を上げて快活に笑う。 「平民同士仲良くしましょう」 「………………そう」 何か気の聞いたことを言うはずが、こんななさけない返事しか出てこなかった。 目の前の少女が組織の監視員の可能性を考える。 疑うだけ無駄だ。此処は未開拓惑星だ。他の人類との接触どころか知られていない。 「あなたがフリーダさんでよかったです」 シエスタが微笑む。彼女まで温かくなるようだ。 出会いを歓迎する理由などない。けれど、前にもしたように彼女は嘘をついた。 「私も、あなたみたいなひとでよかったわ」 疲れているのか、周囲の怪物達が煩くて、妙にいらいらした。
600 :
ゼロと工作員 :2008/09/20(土) 11:14:19 ID:jB1P48dt
以上です。投下を終わります。
失礼しました。 工作員支援
工作員乙 なんか…ドライな人だなぁ 振り回されるルイズに期待w
>>555 遅レススマソ
バギーごと召喚すればいいのでは?
てゆーかタルブにバスをおけば…問題は弾薬だなw
乙でしたー。 基本的にサイトを振り回すルイズが、召喚対象が違うだけで振り回される側に。 ……ルイズが成長するためにはドライな使い魔と、ウェットな使い魔。どっちが良いんだろうか。使い魔にされる側は別の感想を持つんだろうけど。
>>604 自分がしっかりしなくちゃと思わせるような使い魔だな
年下の気の弱い女の子とか
年上の病弱げなお姉様とか
バケモノじみた能力と忠誠心持ちでルイズの一挙手一投足に反応する危険人物とか
>バケモノじみた能力と忠誠心持ちでルイズの一挙手一投足に反応する危険人物とか 以前にあったメイドガイ召喚とか、ですかね?
>>591 大好きな作品なので、久々に続きが見れてうれしいよー
GJ!
>>603 バギーと聞いて千葉繁の声のバラバラになる人を思い出した
>>604-605 師匠的な存在もいいのでは?
ミカヤや氷竜はいい師匠になりそうだけど。
師匠になりそうな爺さんを召喚してはいるんだけど、舞踏会で終わっちゃってて話が進みません。
待っている人がいたらごめんなさい。
ルイズの師となる爺さんキャラか 教皇セージとか族長ハクレイとか天秤座の童虎とか
>609 ワードナさん?ぜひ続きを・・・
何故か旋牙連山拳を繰り出すルイズを想像した
>>609 > 師匠になりそうな爺さんを召喚してはいるんだけど、舞踏会で終わっちゃってて話が進みません。
まさか、PSOの人ですか?
いつまでも続きを待ってます。
>>608 千葉繁と聞いて上半身一回転させて変身するあの方を思い出した
>>545 遅レスだけどこれって原詩を改変して作られた主題歌の歌詞だからアウトじゃね。
>>614 千葉繁と聞いて某新作の濁声のケフカの悪夢を思い出したどうしてくれる
工作員グッジョブ! 完結した人格が魅力的な人ですね
>>609 ヤン提督?
にしても、知性派キャラでもいける道が開拓されたというのに、未だに師匠・先生キャラが少ない
・・・まぁ、今さら知性派キャラが再び現れたところで
「提督のパクリ」
「ゼロ魔蹂躙」
「この程度で知性派プゲラ」
なんて毒吐きが山のように垂れ流されるのが目に見えてる
これに耐えれる作者って少ないわなぁ
>>618 今さら知性派キャラが再び現れたところで
「提督のパクリ」
「ゼロ魔蹂躙」
「この程度で知性派プゲラ」
なんて毒吐きが山のように垂れ流されるのが目に見えてる
そんな事言い始めたら、SSなんて書けなくなるだろ?
釣られるなよ
橘さんや誤学人、コンボイ司令官とスーパーフェニックスが来ればいいんだよ! 次点でロビンマスクなんておすすめ
>>621 くくく、釣られおったな痴れ者め
ホントは私の計画通りだ
>>622 司令官召喚は以前あったがTF好きの俺の心をがっちりつかみ損ねたからダメ
初代コンボイ司令の作戦って結構成功率が高かった様な覚えが。 仮に失敗してもあの人一人で何とか出来るぐらい強かったりもするからな。 デストロン基地だかに一人の乗り込んで、 あっという間にメガトロンとの一騎打ちにまでに持ち込んだとき 最初からやれよと、思ったな。
ビーストヲーズ リターンズの コンボイのやる気の無さは異常。
>>622 大事な人を忘れてる
つ海のリハク
リハク「ルイズ殿の資質を見誤るとはこのリハク一生の不覚!」
よくうっかりキャラでリハクが出るけど、 そんなに出番あったけ? ラオウ編でたまに出てただけだと思うが。
>>627 その台詞が来るとダマラムも候補にあがってくるな!
うっかりイレーネはもう召還されてたね
ルイズのツンデレ属性を考えれば電王のデネブあたりはいかがッスか? デネブならツンデレの扱いには慣れているだろうし、ルイズが求めるお決まりの家事能力も持っているしw
ルイズが欲しかったのはぶっちゃけ自慢できる普通の使い魔であり、 家事が出来るかどうかは求めていないと思うのだが。 実のとこ「目がいい犬」とか「主人の命令に従順な猫」とかでも おそらく満足してた思うぞ。
「なんでこんな冴えない生き物なのかしら」 「ドラゴンとかグリフォンとかマンティコアとか、せめてワシとかフクロウとか」 とか言うセリフを見るに、原作開始時のルイズが『使い魔』という物に対して何を重視しているのかがよく分かる。
羽持ちってことは基本風属性だと思ってたのか 母親があれなんで当然といえば当然だけど
>>632 タバサが召喚してなかったっけ?
ルイズではないはず。
>>636 タバサの出た小ネタではゼロライナーのチケットで、ルイズが召喚した小ネタもあった。
問題はその小ネタを書いた人が他の小ネタの際、
余所から盗作をした事。作者が管理人さんに頼んでそれで全部消えた、と。
ネギでも放り込んでルイズを絶望のどん底に突き落としてみたい気がするなw もっとも、奴はオヤジの杖が標準装備だから平民呼ばわりはされんか。 ……杖が数十メートル吹っ飛ばされてて、知らずに平民呼ばわりならアリだな。 そしてコントラクトサーヴァントの時にカモが光の速さで魔法人を書き、パクティオーカードゲットと。 「なんで私の方が従者なのよぉぉぉぉっ!!」 「いや、どー考えても魔法使いとしての格的に当然だろ、常考。」 この場合ネギにはガンダがミョズがつくとして、ルイズの方のアーティファクトはどうなるんだろう? 順当に行けば祈祷書だが……
カモも召喚されてるんなら、順当に考えると契約する対象はカモになるんじゃね?
すみませんが30分ごろから投下してもよろしいでしょうか。
どーぞどーぞ。
ウォ、じゃない。 クマさんキタ!!
では投下を始めます。
第四話 洗濯超人ベルモンド 天気の良い早朝、メイドのシエスタはいつものように洗濯をしようと洗濯場へと向かっていた。 そんな彼女に呼びかける者がいた。シエスタが振り向くとそこには、 洗濯物を抱えたクマちゃんがいた。 シエスタの体に衝撃が走る。 昨日の使い魔の召喚でクマちゃんが召喚されていたというのは聞いていた。かわいらしいとも。 だが、実際に見てみるとここまで愛らしいものだとは。 こんな可愛いクマちゃんと毎日を過ごせるなんて。正直ルイズがうらやましい。 「ねえ、どうしたの?」 と、そこにベルモンドから声が掛けられる。 正気に返ったシエスタはごまかすようにベルモンドの用件を聞きなおした。 なんでも主人のルイズに洗濯ものを頼まれたのだが洗濯の場所が分からなくて困っていたそうだ。 なお、ルイズは朝起こされた時にベルモンドに抱きついて寝ていたことに気付き、 恥ずかしさをごまかすように洗濯を命じて部屋から追い出してしまっていた。 今現在は着替えも命じればよかったと後悔したり抱き心地が良かったなあとにやにやしたりと忙しい。 それはさておきシエスタは、クマちゃんと一緒にいたかったこともありちょうど自分も向かうところだったからと快く案内をすることにした。 互いに自己紹介しながら洗濯場へ着くとそれぞれの洗濯物を洗い始めた。 だが、 「あの、手、大丈夫なんですか?」 悲しいかなベルモンドのぬいぐるみの手は水を吸い、おまけに泡立ってびしょびしょのぶくぶくに。 すかさずシエスタは持ち前の親切心とかわいいクマちゃんのためという思いからベルモンドの分の洗濯も引き受けた。 別に苦にはならない。いつもの仕事が少し増えただけだし、 それに手を胸の前で握り合わせてギュッギュッと水を絞るベルモンドの仕草はとても可愛かったからだ。 ああ、これだけでご飯三杯はいける。
シエスタが再び正気にかえったときいつの間にか選択は終わってしまっていた。 「じゃあ、あとは干してしまいましょう」 そう言って洗濯物を持とうとしたシエスタを、 「さっきのお礼にボクが持ってあげるよ」 とベルモンドが押しとどめた。 「そんな、悪いですよ」 そう遠慮したが、 「そんなことないよ。ここまで案内してくれた恩もあるしこれくらいさせてよ」 とそれを押し切ると、自分の分と一緒にシエスタの洗濯物もひょい、と持ち上げてしまった。 洗った後の水を吸った洗濯物というのは重い。今までもシエスタは一人で運んでいたとはいえ何度かに分け苦労して運んでいたのだ。 それをあっさりと持ち上げ、ベルモンドは物干し台へと別段変わらない足取りで歩いていく。 「うわあ、ベルモンドさんって力もちなんですね!」 「うん、ボク鍛えてるんだ。でも改めて言われると照れるなあ」 正直、このクマちゃんが鍛えているというのには違和感を感じた。 だが、照れているベルモンドを見ているとそんなものはどこかへ吹き飛んでしまった。 ああ、かわいい。 こんな使い魔を持っていいなあミスヴァリエール。 だが考えてみれば自分だってこうしてベルモンドに会えるのだ。 そう思いシエスタはこれから毎日洗濯を一緒にしようという約束を交わした。 洗濯を自分が、運ぶのをベルモンドが、そういう約束を。 洗濯物を干し終わった後ベルモンドと別れるのはさびしかったがそれでも足取りは軽かった。 これからは毎日このかわいいクマちゃんに会える。シエスタには日々が明るくなっていくように感じられていた。 今の彼女にはベルモンドの真実は知る由もなかった。
コ〜ホ〜、コ〜ホ〜支援。
以上、短いですが投下を終わります。はじめ1/3としてしまいましたがそれは間違いです。 すみません。 ちなみに洗濯超人だからと言って後で獣性に目覚めるような展開はありません。
ゲーッ!中の人などいない!支援
まてコラwwwいくらなんでも短すぎだろwwwwwwww支援したのにwwwwwwwwwwww
ウォ…ゲフゲフベルモントの人乙 まぁ奴は獣性以前に中の人が…ゴホゴホ 次回にwktk
クマさんキター 支援
ちょwwwせっかく支援に来たのにwww というかクマ人気に嫉妬
中の人はスクラップ三太夫の時代も地球で一人戦い続けてたからなぁ。 2世初期のレジェンドが皆歳食ってて悪行超人と闘えない設定って、 ウォーズマンが戦えばそれでよかったんじゃねえのか、とか思うが。
ウォ・・・熊の爪の人乙 ギーシュ、決闘吹っかけるなよ、吹っかけるなよ ルイズとシエスタの夢のために
照れるのはシャイな彼な。GJ
アスナ召喚したら魔法無効化で契約できなくて涙目wwwwww ……それだと本編でネギと契約できてないか
自己レス むしろデルフ涙目になるなorz
>>556 そもそもゆっくりは三次創作になっちまう。
戦争男の笑い声ってケケケッーだっけ?
葱は小ネタでほんの触りだけあるが、どう考えてもチートです
>>660 それ悪魔のシンフォニー
中の人は明確な笑い声無かったような気がする
あらゆる面でルイズに勝ち目ないもんなぁ、ネギ召喚…。 エヴァとさよを召喚してルイズ育成ってのは考えたことあるけどオリジナル設定を増やさざるをえなくてなぁ。
そういや戦争男は二世冒頭で「どわっはっはっは」とか普通に笑ってなかったか
>>638 実力知ったらルイズ大喜びじゃね?
あとアーティファクトだが…祈祷書的なものか世界図絵ハルケギニア版的なものになりそうな希ガス。
どう考えてもルイズは前衛向きじゃないし。
ネギのスペックはどんな感じだったっけ? 天才なのは知ってる
ルイズが従者といえばヤクいが始まった辺りに出てた 三只眼召喚のお互いが従者であり主人っていうアイディアは面白そうなネタだったな 難しそうではあるけど
新刊を読んだ俺がネタバレしないように感想を書くぜ!! 悪もイチャイチャも中途半端ですげえ物足りなかった
>>641 乙です
しかし、シエスタも哀れだ…
いや、中の人も未だに読者人気No1のカッコいい超人なんだけどさ
>>664 笑いすぎだとキン肉マンにどつかれてたな
悪はともかくイチャイチャの寸止めっぷりは今に始まったわけでもあるまいに それはともかく、ネタバレっていつから解禁だっけ? このスレだと一週間くらい?
バンダル・アード=ケナードのマドゥ=アリはどうだろう?バンダルに来る直前の。 峠を越えれればいい関係になるかも?
>>666 10歳児だけど使える戦闘用魔法は10種以上、でかい奴なら恐らくトライアングル級の威力。ものによっては無詠唱も可
中国拳法も学んでいて魔法をからめた接近戦が得意。瞬動という短距離高速移動も可能
あんまり目立たないけど本来は攻撃系以外の魔法のほうが得意で、細かい魔法作業も普通にこなす
教師として中学生を指導するだけの学力を持ち、性格は真面目で素直(ただし頑固な面もある
そのうえ才能もあるがそれ以上に努力しまくるという…箇条書きすると物凄いチートキャラだな。
これでもまだ上には上がいまくる漫画なんだけど。
現在のネギは単独でヘクサゴンクラスの攻撃をほいほい放てるレベルだと思う
ラカンの強さランキングはどの辺だっけ?
戦艦をなんとか落とせたか?
>>666 くしゃみをすると脱げる、周りの女生徒が
>>618 最近投下されてるSSってどれもイマイチだよな
提督のような一流のSSにまた出会いたいものだ
あああ、早く中身が登場して欲しい。 ウォーゲフンゲフン、熊の人乙です。
早く新刊が読みたいぜ 地方はこれだから・・・
>>675 別にいいんだが、提督って十分「最近の作品」じゃないか?w
いまいちでごめんなさい。
長谷川裕一作品だと誰が適任なんだろうか
登場するときってやっぱギュルギュル回転しながら誰かぶち抜くんだろうか。 うーん、楽しみ。
>>680 ツキメあたりならバランスブレイカーにもならないし、一見普通の使い魔だし、適任かと。
王様だけど。
主人公は基本的にただの人間だし、そのパートナーは基本的にトンデモだし、敵方は更にアレだし。
なかなか難しいんだよね、長谷川作品。
>>675 釣られてやるよ。他の作品を落としめるな。提督とは方向性が違うだけで十分面白い。
提督もまた面白い作品だがお前みたいなヤツが持ち上げるから内容以前に叩かれたりする。
>>678 完結したら即座に「過去の作品」って感じがしてしまう
>>680 長谷川作品っつーとマップスとかダイソード、クロノアイズか?
どれも喚んだら大変な事になるな。良くも悪くも
大きな力には大きな責任や反動がついてくる、にも程があるからなぁ
つか長谷川ってすげー漫画家だわな。あのトンデモ設定が破綻しないんだから
例えばクロノアイズの『もしタイムマシンが本当に作られたら』の発想には、目から鱗が落ちた
>>683 それ同意。他の作品には他の作品の良さがある。
例えば「使い魔を買いに」「ご立派様」「アトリエシリーズ」、どれも秀逸だ
別に提督だけが良作なわけじゃない
>>683 釣りじゃない。テンプレ展開ばっかで飽きたよ
一応全部ここのは流し読みしてるけど30秒以内で読み終わって
記憶に残らないのばっかw
ゆっくりスルーしようね
ガン×ソードのレイ兄さんとか ●ateのギル●メッシュとか そういう奴が召喚されたら物語成立しそうにないな。
ガンパレから青のあっちゃん召喚 駄目だな、舞に会えないから回りの人間斬り捨てでも帰るか
何と立派な釣り針じゃ…
>>686 大先生
それならいっそ、テンプレ展開さえろくに書けない私の代わりに続きを書いてくれませんか?
そこまで仰るのであればさぞかし素晴らしくてララァも喜ぶ作品を書けるのでしょうから。
ソウルハッカーズからネミッサ召喚。 ラスボス戦後なら問題ナシ。
>>688 理想郷に金ピカ召還がある
個人的にゼロ魔SSでTOP3に入る良作品なのでお勧め
>>692 その針には毒が塗られている、気をつけろ!
新刊には新兵器出たんだろうか ティーガー出したばっかりだからまだかな
ハクション大魔王が出てくるSSってこのスレの作品だったっけ?
>>693 ネタはあるけどテンプレSSを書き散らしてる暇な時間なんてないよ
>>694 ルイズに憑依すんのか?
必然的に「意外とセクシー」の選択肢が消去されることになるなw
アプスーorティアマトに殺される寸前のナオミとかどうよ
>>686 そしてそのテンプレから離れた内容にするとヘイトと言う
イザベラ様ごっこですね?
>>694 実体が無いのが何とも。
そもそもネミッサを語る上で無視出来ない特徴の一つである電霊化が
ハルケギニアでは何の意味も無いからなぁ。
ところで思ったんだが ハルケギニアって戦艦あるじゃない? その戦艦ってどうやって通信取ってるんだ? 魔法?
>>704 第2次大戦の軍艦は基本的に手旗信号だったという
エンジェル GJ
さらばギーシュ、知らないというのは哀れなものよ。
迷わず成仏しなせえや。
>>704 手旗、発光、信号旗とあるが、モールスに相当するようなものはまだ無いんだろうな。
すまん、3巻にかいてあった
>>700 > アプスーorティアマトに殺される寸前のナオミとかどうよ
あ、それいいかも。
問題は強過ぎる位だしw
手旗信号と言えば IOCCC の anderson.c を思い出すな。 あれは素晴らしいよな。
ナオミはあのイベント限定とはいえすげーチートだよな
まあ、ナオミはあそこでさっくり死んでてくれないとビジョンクエストが発生しなくなって レッドマン&主人公涙目と言う事になっちまうけどなw
ナオミの戦闘曲かっこいいよね。
>>711 > ナオミはあのイベント限定とはいえすげーチートだよな
てゆーかあんなイベントでもないと多分死なないw
>>703 まぁ電霊化は無理だわなw
体はキュルケかシエスタにとり憑けばいいと思われ
確かにナオミの曲は格好良すぎる。 そして何より、所持する固有魔法の数々が…… 特に「ソーマ:自分のHPとMP全快」……なにこれ?
>>138 世界樹の時もあったね
DSのショボグラ、低性能じゃ満足できないとか
DSの液晶が小さいから
PSPに移植すれば大画面でやりやすそうとか
PSPでパクリっぽいのがあったけど
世界樹より売れたのかな?
718 :
717 :2008/09/20(土) 20:43:51 ID:HpkzC7JL
すいません、盛大に誤爆しました
ここでよく理想郷とかNTとかを目にするけど、何処に在るの? 検索かけても関係ないのばかりいっぱい出てきて見つけられない。
>>717 どこから誤爆したか大体見当がついちまうのも悲しいものだw
他のキーワード: 理想郷 ss …だな、ヒントとは。NTは何て言えば良いのかな?
>>719 マジレスするとArcadia とNight Talkerでググれ
>>717 とともの。のことかぁぁぁぁぁぁぁ
あれの先生ズ呼んだら楽しそうだなー
>>721 ここには何ら関係が無い外部の個人サイト晒すな。
誤植スマソ
>>721 おぃぃぃいいい!?常識で考えて晒しちゃ駄目だろー。
折角、皆でヒント出したのに…。
>>680 トビア…はスレ違いか…ダイ・ソードは?
>>721 はただの荒らしかリアルで空気読めてないやつ
だね……
まぁ、次から気を付けてくれ…
>>729 おっぱい星人のコ・ズーがテファの下で嬉しそうに善行を積み、破壊の杖として
宝物庫で眠ってたブロンブルに浮気がばれてしまいウェールズの生命どころか
浮遊大陸存亡の危機に陥りかけたため、ほうほうの体で逃げ出したコ・ズーが
ルイズをそそのかしてダイ・ソードを召喚させるんだけど神の呪縛すら解除した
ダイ・ソードが素直に使い魔になるわけがなく、一緒に召喚された王太に刻印
刻まれるというプロットなら組んだ事がある。
個人的な事で場を乱してしまってすみませんです。 ついでの様で申し訳在りませんが、教えてくださった方々本当にありがとうございます。
俺も書きたいなあ 赤いコートを羽織った銀髪のあの人とのをクロスを
>>716 しかし真に驚愕すべきことは頭装備が百七拾八式鉄耳という件
>>706 そんなわけがあるか。無線封鎖して隠密行動してるときだけだ、それ。
>>735 多分別スレに書かなきゃいけないんじゃないかな?
投下、いいっすかね?
クロス元は何ぞや?
スーパーロボット大戦シリーズよりです。
>>680 量産型ラドウを考えたのだが、あまりにもチート過ぎてストーリーが思い付かんかった。
>>680 トカマク・ロブスキー…じゃダメか。キャプテンオーマイガーあたりか。
場羽無宇人だと微妙にひどいことになる罠
お断りします。
>>742 あと召喚されるキャラも明記すべし。
そして個人的にだが妙な予感がするぜ…。
>>738-739 勘違いするんじゃない
赤いコートに銀髪でもこっちは主人公ですぐに気絶する男だ
では…… まぁ、何ですな。前回の『造作もない使い魔』の時はルイズを思いっくそ虐めてしまいましたので、今回はずっと素直で従順な、それでいて強さは匹敵する彼を、呼ばせてあげましょう。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは杖を突き出した体勢のまま、震えていた。 場所は、トリステイン魔法学院のすぐ側。 進級試験の一環として、使い魔の召喚と契約の義が行われていたのだが、自身はことごとく失敗を続け、担当教官のコルベールより最後のワンチャンスという宣告を受けていたのにも関わらず、突き出した杖の先で起きたのは、爆発。 「ハハハハハ!」 「やっぱり、ゼロはゼロだな!」 「これで留年だな、留年!」 (そんな……) 脱力し、力なく腕を下ろす。……後ろから投げつけられる罵声が痛い。 うっすらと、涙ぐむ鳶色の瞳が、爆発跡に立ち上る爆煙を睨み付けていた。 そこに、動く者が居る。 「へ?」 何とも間抜けな声を上げてしまったが、煙が晴れるより先にそいつは近づいてきて、ルイズの前に立った。 「俺を呼んだのは、お前か」 そこにいたのは銀髪で翠色の瞳を備え、銀色銀色を基調とした全身を覆う奇妙な服を着た少年だった。 「え……え?」 「助けを呼ぶ声が聞こえた。窮状に陥っていて、どうしようもないから助けて欲しいと懇願していて、ゲートを開いたのは、お前か」 「げ、ゲート?ていうかそれは……」 確かに、助けを請うたかも知れない。他の生徒にバカにされるのが悔しくて、もはや何でも良いから自分の所に来てくれと願ったかも知れない。 「見ろよ!ルイズの奴、平民を召喚しやがったぜ!」 「あはは!流石はゼロのルイズだな!」 「ルイズにはお似合いの使い魔だ!」 散々に笑い飛ばす面々に、ルイズはハッとして担当教官を振り返った。 「ミスタ・コルベール!召喚のやり直しを!平民を使い魔にするなど、前例がありません!」 ルイズの言葉に、ゆっくりとコルベールは首を振った。 「ミス・ヴァリエール。使い魔の召喚は神聖なモノだ。やり直しをする訳にはいかない。それに何より、今の口ぶりでは彼は正に君のために召喚に応じたと言うことになる」 言われて、銀髪の少年に向き直る。 当の彼は首をひねっていた。 「済まない。正直あまり事情が飲み込めていないんだが……」 「君は呼ばれたんだよ。この、ミス・ヴァリエールの使い魔としてね。そしてここは、トリステイン魔法学院だ」
>>748 何かよくわからんが、テンプレと空気読んで投下するなら何でもいいと思うよ。
シュウの作者の人か支援
「魔法?そうか、ここは魔法がある世界か」 よく分からない言い回しを少年は口にした。 「だが、必死に助けを求めていたにしては、ここは平和に見えるが」 「うむ。ミス・ヴァリエールにしてみれば必死だっただろう。何しろ、使い魔を呼び出すことが出来なければ、彼女は進級出来ないのだから」 「そうか。話には聞いていたが、大変なんだな、学生は」 しみじみと頷く。 「……では、俺がここに来たと言うことは彼女の危機はもう去ったということか?」 「いや」 コルベールが首を左右に振る。 「使い魔を呼び出した上契約まで果たすことによって初めて、召喚の儀式は完成する」 「契約……つまり、俺が彼女に仕えるということか?」 うむ、とコルベールが頷くと、少年はじっと考えこんだ。 「……わかった。少々条件は欲しいがお前の使い魔に成ろう」 顔を上げ、ルイズの方を見る。コルベールも促すようにルイズを見た。 だが、ルイズの方はそう簡単ではない。そりゃあ、せっぱ詰まったせいで何でも良いから来てくれと願ってしまったが、平民だなんてのは考えの外だ。 第一、契約の方法が方法である。 (そんな……私のファーストキスよ!?ファーストキス!それが……) 平民などに奪われるなど、全くもって冗談ではない。 「うううううぅぅぅ……」 小さくうなり声を上げつつ少年を睨み付けてやる。 「どうした?何か調子が悪いのか?」 全くこちらの葛藤を理解もせずに、脳天気にもこちらの心配などしてきている。 「ええ、そうよ!調子が悪いのよ!アンタみたいな平民を呼んじゃうだなんて!」 「嘘付くなよ『ゼロのルイズ』!」 「失敗ばかりなのはいつものことだろう!?」 「煩いわね!?」 外野のヤジに噛み付く。 「『ゼロ』?」 少年が、その言葉を繰り返した。 「な、何よ……」 「ルイズ、というのがお前の名前か。それに『ゼロ』……えらく強そうな呼び名だな」 「はぁ……?」 何とも的外れな少年の言葉に、怒るよりも先に呆れてしまう。 「それで、契約とはどうするんだ?どうすれば成立する?」 「う……」 唐突に本題を振られ、苦い表情になるルイズ。再び少年を睨み付ける。 「……どうした?」 せめてもの救いなのは、顔は良いことか。
ふかーくため息をつき、ルイズは一歩、少年に近づいた。 「ちょっと屈みなさい」 「こうか?」 片膝を付く少年の頬を掴み、こちらの顔を近づける。 「感謝しなさいよね。普通ならこんな事、されることは無いんだから」 「なに?」 心中、必死に「これは使い魔だからノーカン、これは使い魔だからノーカン」と唱えながら口では契約の呪を紡ぐ。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 そっと交わされる口付け。 少年は一瞬面食らったような顔をしていたが、ルイズが離れる時には元の表情に戻っていた。 「成る程、キスが契約のキーか……っつ!」 ルイズが立ち上がったところで、少年は左手を掴んで呻く。 「何だ、これは……っ」 「契約のルーンが刻まれているのよ。すぐに痛みも止むわ」 「ルーン……?」 怪訝な顔で尋ね返しつつ、自身の胸の辺りを弄る少年。するとその体から空気の抜けるような音がし、ガバと彼は胸元を開いた。 「ちょ、ちょっとあんた何考えてんのよ!?」 顔を手で覆いながら、それでも指の間から意外と厚い胸板をしっかり見つつ、批難する。 後ろの女生徒達からも悲鳴が上がっていた。 「ルーンとは、これか?」 袖から腕を引き抜き、調度遠山桜を晒すような姿になりつつ、左手を掲げた。 「随分と脱ぎにくそうな服だね。……それにしても、珍しいルーンだ。私も見たことがない。スケッチしてもよろしいかな」 コルベールがしげしげとそれを見つめる。少年が頷き返すと、そそくさと書き写した。 「ふむ。ではこれにて、春の使い魔召喚の義は終了とする。各自、次の授業に向かうように」 コルベールから解散の礼を受け、教師と生徒達は召喚したばかりの使い魔を伴って学院の方へと飛ぶ。 「ルイズ!お前は後から歩いて来いよ!」 「そうそう!お前はフライもレビテーションも使えないんだからな!」 「その平民の使い魔と一緒にな!」 わざわざ言わずもがなの事を言い残しつつ遠くなっていく生徒達を睨みながら、ルイズは奥歯を噛み締めていた。 服を着直しつつ、ルイズの見ている方向を一緒に見ていた少年は、ルイズが振り返ると少し間を空けて語りかけた。 「――自己紹介がまだだったな。俺の名はクォヴレー、クォヴレー・ゴードンだ」
よりによって久保かよ! 支援。
久保ww搭乗機が超チートな彼かwwwwww
ほう、久保か。 そういやコイツって並行世界を移動しようと思えばいつでも出来るっぽいよな。 …ウェールズとかが死んだらゴキトラの一部になったりするんだろうか乙。
搭乗機体の動力が怨霊だしなぁ。 先住系の方々にとってはスゲーやばそうだwww
タバサが父(の霊)と会えたりして?
さっぱり知らないよ。
つーか、ここで切られてもどんなキャラかさっぱり分からんよ。
こぶ平かw
最後の一行で判断してググルしかないな ぶっちゃけ最後の一行以外読む価値なしだ
アンアンを見て「なんかアルマナに似てるなぁ」とか思ったりするのかしら。
α第三次はクスハ編しかクリアしてない… そういえば強そうなゼロことヒイロは召喚されてないな
>>765 それは専用スレ有り
ゴードンの人乙
しかしディス・アストラナガンまで来てたらチート確定だなw読みたいけどw
次回にwktk
久保霊の人乙。 たまに髪が青くなったり「フフフ・・・」とか言ったりするのか? 超期待して待ってる。
>>765 全主人公でやったけどニルファの方がキャラが魅力的だった。
しかし、クスハは初期設定がリアル系で殆どヒュッケバインMk-IIIに乗せてたから違和感があったな。
続ける気があるなら良いけどさ、名乗るだけで終わるんじゃ、 一行レスで「○○から○○○召喚」と書くのと大差ないだろ。
「ウサ耳生物てまー」召喚。
>>758 大丈夫なんじゃないか?
然るべき魂の循環を行っている途中の霊たちから
力を分けてもらっているだけみたいなこと言ってたし。
何度も出てる話題だが・・・・・・ お前らゼロの使い魔原作を読んだことあるよな? まさか一巻も読んだこと無いなんてないよな?
>>772 おまww論外すぎる。
みんな、ちゃんと一応原作は読んでるだろwwwww
そうだろ…?
読み手ではいるだろけど(以前、読んだ事無いってのがいたし)、書き手は流石に読んでるだろう
読んでないと細かいところでクスリと来ないし書けませんよね。 というわけですいませんが投下よろしいでしょうか? クロス元はThe Elder Scrolls IV: オブリビオン より シロディール最後の皇帝マーティン・セプティムを原作のシナリオクリア後から
読むことは読むけど、原作連載中な上に、ここで書かれてるのはクロスオーバーなんで、つじつま合わせをするのが大変だよねえ。 それにしても、どう転んでも、つじつまを合わせなくても大丈夫なぐらい規格外なキャラとか召喚されてるのを見ると、ちと羨ましい気もする。
反応無いけど投下しますね。 1不運な皇帝 晴れ晴れとした青い空が延々と続いている。なるほど、神の住まう地エセリウスとはこのような場所だったか。父と先祖達は一体どこにいるのだろう。 黒髪で少し黄色がかった肌をした40代くらいに見える男―マーティン・セプティムはどこかの草原に倒れていた。 タムリエル帝国最後の正統な血統を持つ皇帝だった彼は命と引き替えに国を守り、天に召されたはずだった。 ふと、自分が仰向けになって倒れていることに気づき起きあがろうとすると誰かの顔が見えた。この地に住まう神々、九大神の使いか何かだろうか。 「あんた誰?」 エルフと人間のハーフを祖先とするブレトンであろう可愛らしい容姿の少女が何とも形容しがたい顔でそう言った。 何故お前がここにいるのだと言うのをとりあえず口には出すまいとし、とりあえずこれは何なのかを確かめるような表情で。 「マーティン、マーティン・セプティムです。九大神の使いの方」 立ち上がって偽り無くハッキリと口にする。周りには少女と同じ服装をした年若い少年少女達とそれを束ねているのだろう年長者らしき姿が見える。 マーティンの言葉を聞いた途端に少女の表情が変わる、何を言ってるんだこいつは。という風に顔をしかめ肩をすくめてマーティンを見た。 「何言ってるの、あんた。九大神って何?それにセプティム?聞かない家名ね。もしかして異国の貴族…まさか、そんな服で貴族なはずないわよね?」 エセリウスではない?九大神の住まう地でそれについて知らない等と言うことはありえない。自分の国の王の名を知らないようなものだ。 そしてセプティムの名も知らない。タムリエルやその周辺の国であるならその名を知らぬ者はいないこの名を。ではここはどこだ? 困惑しつつも、頭の中に浮かんだ最悪の解答をあえて避けてマーティンが思考の海に落ちかけたとき、自分の着ている服が変わっていることに気が付いた。 今着ているのは皇帝の為に作られた彩色豊かなローブではなく、皇帝になるなぞ考えたことすら無かった数年前、街の教会で神の教えを説いていた時に着ていた使い古しの小汚いローブだった。 「ううむ、貴族かどうかといわれればたしかにそういう身分なのだが、この姿では証明することはできないな」 相手が本当に人間なのか良くは分からないが、最悪の解答の世界に存在するあの連中のように襲いかかって来る気配はない。 適当に相槌を打ち、陽気な笑みを浮かべて目の前にいる桃色髪の少女をじっと見る。小さな杖を持っている彼女は「ヘェ…」とうさんくさそうにマーティンを見ていた。 彼女はメイジなのだろうか? 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出すなよ!」
あざけりの混じった声で誰かがそう言うと、目の前の少女以外の子供達が笑った。 桃色髪の少女、ルイズは弁解するが、墓穴を掘ったようでさらに大きな声で笑われている。 召喚だと?マーティンの顔が途端に険しい物となる。まさか彼女はアンデッドの代わりに私を呼び出してしまったというのだろうか。 マーティンのいたタムリエルで使われている召喚の魔法では、ゾンビやスケルトンが見習いメイジに呼び出される召喚対象だった。 もっとも呼び出しても少し経てば元の世界に帰ってしまうのだが。 ならばエセリウスからここへ?いや、そんな事が出来るメイジなど存在しない。マーティンはここがどこかについて幾ばくか思考し、 ルイズが更に大きな墓穴を掘り進んでいるとき、誰かが声をかけてきた。 「失礼、ミスタ。私はこのトリステイン魔法学院で教師をしているコルベールというのですが」 先ほど見た年長者である。魔法学院?ではここにいる子供達はやはり見習いメイジか?どうにも現状が理解出来ない。 とりあえずここがどこかを聞かなければとマーティンは口を開いた。 「あ、ああ。私はマーティン・セプティム、ミスタ…コルベールでしたか?すいませんがここがどこか教えて欲しいのですが」 「ああ、はい」 おそらく急に住んでいた所から違う場所に召喚されて混乱しているのだろう。コルベールはそう思い、この地に住まう誰もが知っている事をゆっくりとにこやかに話し始めた。 「トリステインです。ハルケギニアにある5つの国の一つ、トリステイン。他の四つはアルビオン、ガリア、ゲルマニア、ロマリア…どうかなさいましたか?」 結果としてマーティンは尚更頭を痛める事となるのだが。ハルケギニア等という大陸は聞いた事すらない。もちろんその五つの国々も。 できればタムリエルに未だ知られていない地であって欲しいが、その可能性はおそらく低い。先ほど確かに私の体は消え去ったのだから。 しかし、さっきのやり取りからここがエセリウスであるとも思えない。 では残りうる答えは−考えたくない話だが−1つ。ここは不死の邪な神々(というと多少の語弊があるが、しかしそれ以外で短く説明できる語句を私は持ち合わせていない。) であるデイドラ王達の誰かが所有するエセリウスとは違う異世界−オブリビオンのどこか。しかもここはタムリエルどころか未だニルンの地に住まう者が 誰も来たことがない様な辺境なのだろう。マーティンはよくよく彼の地には縁があると目を閉じ右手を額に当てながらため息をついた。
コルベールがこちらをにこやかに見ている。おそらく混乱している頭を整理する時間を与えてくれているのだろう。 「ああ、失礼。どうぞ続けて下さい。ミスタ・コルベール」 「ええ、まぁ気を楽にして下さい。何せ誰もこんな事が起こるなんて思っていませんでしたからね。『使い魔』の儀式で人間が呼ばれるなんて」 コルベールは笑顔を崩さなかったが、マーティンの顔は大いに引きつった。 「使い魔…ですか?」 自分だって聞いたことが無い。このような使い魔の儀式とやらも人間が召喚で呼び出されたことも。 そもそも基本的に異世界から何かを呼び出すのだから人間が呼び出されるはずがないのだ。少なくともタムリエルの召喚の方法では。 「ええ、そうです。貴方を呼び出した彼女はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと言いまして、ここトリステインでは名門と名高いヴァリエール公爵家の三女なのです。」 貴族のメイジとは珍しい。いや、バトルメイジ志望なのだろうか。 ハルケギニアと違い知ある者なら誰もが魔法を使えるタムリエルとその他の大陸や島々を合わせたニルンと呼ばれる世界でのメイジとはいわゆる専門職である。 研究室に何年もこもって実験を続けるため世の動きに疎くなりやすく、閉鎖的な空間で求める結果が出るまで作業を続けるという仕事は少なくても名門貴族の令嬢がやるようなものではない。 変わってバトルメイジと言えばメイジの中でも格好の良い花形と言える職業である。タムリエルの中央、シロディール内に置かれる評議会の総書記官オカートも 腕の良いバトルメイジだった。見た目にも戦うメイジの凄さというのは学を持たない者に分かりやすい。 −どちらにせよあまり貴族の令嬢がやる仕事でないことは確かだが−そうマーティンは思いながら使い魔について聞こうとした。 「その、ヴァリエールさんの使い魔ですか?それで私はここに呼ばれたと?」 「ええ、そうよ。酷い格好の貴族様?」 後から上品ながらも怒気をはらんだ声がした。振り向くと件の桃色髪の少女、ルイズがこちらを怖い顔で見上げている。墓穴を掘り尽くしたらしい。 とりあえず−この格好では仕方ないが−マーティンをやんごとなき身分であると信じてくれていないのは間違いなかった。 「まぁまぁ、ミス・ヴァリエール。少し落ち着いて下さい。」 「落ち着いてなどいられません!」 人間を召喚した事と私が身分を貴族と偽った事に腹を立てたらしい彼女はコルベールに召喚のやり直しを求めている。
よくよく周りを見れば使い魔として呼び出された様々な生物が主人であろう子供達の近くにいる。どう猛そうなモンスターもいたが、ちゃんと主人と親睦を深めているようだ。 召喚のシステムその物が違うのか、一体どういう風に出来ているのだろうかと青い髪の少女が呼び出したらしい、青い竜を見ながらマーティンは若い頃恐れを知らなかった 未熟なメイジに戻ったかのように辺りの使い魔とその召喚魔法の構成について考え、それからややあって自分がどうなっているのかをもう一度考え始めた。 自分が死んでしまったのは間違いようのない話である。デイドラ王の一人にして破壊を司るメイルーンズ・デイゴンをシロディールから追い出し、オブリビオンへ叩き返す為に 自身の命を使ったはずなのだ。体が消えていく感覚は確かに覚えている。ならばここに私が使い魔として呼ばれた事は何か、何なのかは分からないが意味があるのではないか。 「ミスタ・セプティム。よろしいでしょうか?」 ルイズを説得したらしいコルベールがマーティンにたずねる。頬を可愛らしく膨らませながらこっちをにらむルイズではなくコルベールの目をじっと見て、マーティンは首を縦に振った。 「では、単刀直入に申し上げますと、貴方は彼女の使い魔を呼ぶための呪文『サモン・サーヴァント』で呼び出されてしまったのです。そしてこの春の使い魔召喚の儀式は昔か らの伝統で、呼び出された生き物を使い魔として契約せねばいけないのです。どうやら、貴方は名前や身なり、先ほどまでの受け答えから察するにこの地ではない東方の出 身かと思われますが、彼女と契約を済ませていただけませんか。当然、貴方の衣食住は主人となるミス・ヴァリエールが負担します…その歳ですと養われているご家族等いらっしゃるのでしょうか?」 彼もやはり私のことを貴族とは思っていないらしい。この年季の入った青いローブを見て貴族と思う方が変かもしれないが。しかし東方とは。ここの東方にもアカヴィリのように獣人がいるのだろうか。 「いや、家族はいない。教会で働いていたのでね。親兄弟たちも…はやり病で」 間違っても国家の崩壊を狙うカルト教団に暗殺され、自身もそれに狙われていた等とは言えない。少なくとも自分が召喚した何かがそんな事を言い出したら 早々に元いた世界に送り返すだろう。いや、送り返された方が良いのだろうか?しかし私は死んでいるし、幽霊になるのは嫌だ。 「なるほど、それは…すいませんでしたな」 「いえ、お気遣いなくミスタ・コルベール。それで、私は彼女と契約をしないといけないのですね?その、あまり気乗りはしませんが。」 未だ頬を膨らませ納得しきれていないルイズを見る。それはこちらのセリフよ!と怒りをあらわに叫びたそうにしているが、 コルベールに目で注意され頬を今までより少し大きくし、鋭い目つきでこちらをにらむだけに留まった。
「それは困るのですミスタ。この儀式は例外もやり直しも認められないもので、呼び出した生き物を使い魔にしなければならないのです」 困ったように笑うコルベール。その顔には気持ちは分からないでもないのですが、といいたげな表情が浮かんでいた。 「つまり、送り返したりはできない、と?」 タムリエルの召喚ではあり得ない事を言うコルベールに好奇心と望郷、そして行くべき天の地への思いからどうしてもそれを聞かなければならなかった。 もっとも、死んでしまった自分が元いたところに戻って幽霊になりたいという分けではないし、仮に送り返されてちゃんとエセリウスに送られるのかは分からなかったが。 「ええ、残念ですがそのような魔法はございません。それにミス・ヴァリエールはここで貴方と契約しないと進級が出来ないのです。どうか彼女の為にも契約して下さい」 もちろん、貴方の為にも。何も言わずともコルベールの笑顔は間違いなくそう言っていた。 「ああ、なら仕方がない。契約させていただこう。」 彼らがオブリビオンの住人であるとするなら、下手に食い下がれば何をされるか分かったものではない。それに一度死んでしまったのだ。 使い魔というのをやってみるのも悪くないのかもしれない。この世界の魔法について多少の興味もある。皇帝というとても重い責任から解かれ 若き日の過ちを再び起こさない程度の好奇心が蘇ったマーティンは出来るだけ普通に笑って未だ可愛らしく怒りをあらわにするルイズを見た。 「では、契約とやらをお願いできますかな。あー…ご主人様?」 従者がするようにひざまずき、頭を下げる。ルイズはその仕草にほほぅと感心した風に、しかし未だ怒ったままなのか少し冷たい声で言った。 「ふぅん、いい心構えじゃない。顔を上げなさい。我が名はルイズ・フランソワーズ――」 杖を片手に長々と詠唱を始めた。やはり詠唱も違うのか。しかし一体どのように契約を結ぶのだろう。 「――この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 杖をマーティンの額に置き、顔を近づけキスをする。一瞬の間の後ルイズは唇を離した。 口づけが契約とは、ロマンチックな契約方法を思いついたものだ。いや、普通は異形の化け物とするのだから気分としてはよろしくないな。 この方法を編み出した古のメイジに対しそんな感想を思うマーティンだったが、急に身体が熱くなり、彼は低い声で呻いた。 「すぐ終わるわ。『使い魔のルーン』が刻まれているだけだから」 こっちが『契約』のメインか!やはり儀式など参加せずに断るべきだった――と言ってこれを蹴った時の対応策などあるはずもなく、またこの後来るだろうと思っていた 何らかの呪いにかけられるわけでもなく、熱はすぐに収まった。
シェン
「たしかにすぐに済んだとも、ご主人様。できればああいうのは先に言ってくれるとありがたいのだが」 立ち上がり、少々刺々しく言うが、ルイズはふふんと笑っている。 「身分を偽り、主人の使い魔になるのを嫌がった罰よ。素直に受けなさい」 本当は偽ってないのだが、しかしここで言ってもどうしようもないだろう。笑顔でコルベールが近寄ってくる。どうやら先ほどの契約の証らしい左手の甲に書かれたこの文字―― これは、この文字は見覚えがある。 「珍しいルーンですな」 以前、共にいた時間こそ短いものの私にとって最高の友人と共に入った古代のエルフ族、アイレイドの遺跡の文字盤に書かれていた文字によく似ていた。 「ここはニルンのどこかなのか…?しかし…それでは」 思わず声に出る。確証など何も無い。しかし、もしそうだとすれば自分はどういうわけか生き返った事になる。まさか、見習いメイジの彼女が? 「さっきからわけ分かんない事いってるんじゃないわよ。ほら、皆行ってるんだからさっさと行くわよ」 ルイズに言われ、思考の海からはい出て辺りを見れば先ほどまで周りにいた見習い達は皆空を飛んで建物の方へ向かっている。 あそこが先ほどコルベールの言っていたトリステイン魔法学院なのだろう。 「飛ばずに道を案内しようとしてくれるとはご主人様はずいぶんと優しいのだな」 シロディールでは法律で禁止されていた飛行の呪文はそこに住んでいたマーティンには当然使えない。今、空を飛ぶ見習い達と勉学を共にするルイズは 当然飛べるものをわざわざ自分の為に飛ばずにいるのであろうと考えていた。メイジというのは自分と自分の携わる研究以外はどうでも良いと思う人種である事を、自分自身 の経験からマーティンは知っている。使い魔として――おそらくは小間使いのような事をさせるのだろう――呼ばれた私に案内をしてくれる可愛らしい主人に、タムリエルの一般的なメイジにはない優しさがあるように思えた。 「ふ、ふん。そうよ。もっと感謝しなさい、魔法も使えない平民と一緒に歩いてあげてるんだからね!」 「いや、魔法なら使えるのだがね。空を飛ぶ魔法は覚えていないが」 驚きの声が辺りに響く。誰かが失敗を続けたせいで大幅に予定時刻を過ぎ、もう夕方になりつつある草原には、 タムリエルの夜を照らすのと同じように二つの月が浮かび始めていた。果たしてシロディール最後のセプティム家の皇帝がこの地で何を成し遂げるのか, それは神々すらも分からない。ここは彼らが作り出した予言書にして既言の書、エルダースクロールのない世界――ハルケギニアなのだから。
以上で投下を終わります。いくつかの専門用語が出ていて初見の人には分からないと思いますが、次回からのルイズやハルケギニアの人々へ 説明するという形で詳細を明らかにしていきたいと思います。ではまた次の投下まで。
大儀でござった。 原作は知りませんが、オリジナル世界では死んでいるはずの人だとすんなりいきますね。
なんかごっちゃりした文章だったな乙
マーティンか、確か氷魔法と回復魔法だっけ使うのは
召還から契約までテンプレ進行で最後に名乗って終了 しかもマイナーで知らない名前 投下前に名前出さないからwktkして読んだのに・・・ 久しぶりにポカーンってなったぞww
とりあえず毒吐き行けば?
>>788 流し読みしろw時間の無駄だ
この程度なら20秒で終わるぞ
俺は律儀に最後まで読んだがな
プロが書いた作品でも、1話で全部判断する人、少ないとおもうんだ THE GUN OF ZEROの人、続き待ってます
わぁ釣り針がいっぱいだなぁw
今日オブリビオンのメインクエ終了させた自分には すばらしくタイムリーなネタだぜ
>>784 マーティン召喚とかマジで期待wwww
マイナー作品だと反応が薄かったり厳しいことが多いだろうが頑張ってくれ
あと、もう少し改行を入れたほうが見やすくていいいかも
ナイフでワニの化物2匹を血祭りに上げたチート皇帝かw 期待だわww
まとめ見てて、キョン召還があるなら宮野召還もありなんじゃと思ったけど 横にいるのがツンデレ美少女なのは変わらないことに気付いた
>>772 ずっと立ち読みだったが15巻読んで
購入を決定しました。
>>784 乙!
当方今まさにoblivion攻略中・・・
めっちゃタイムリーです
マーティンか、しばらく会ってないなぁ
ってか、このSS読むまでメインクエストの存在素で忘れてたぜ!
>>788 オブリはメジャーだよ、PCゲームではかなり。
エロゲとは別種類だけど、ちなみにDarkbrotherhoodの連中も呼ばれてる
宣伝よく見るけどそんな板は論外
>>798 ごめんね。ネタバレしてごめんね。
支援をくれた方や読んだり感想を付けてくれた皆さんどうもありがとう。
後で作者は書かない方がいいのはわかっているけどもそれだけは言わせて下さい。
後作者は360版を元に作成していますので、MOD等でのお話はほぼ絡みません。PC経験者さんすいません。
>802 エクスカリバー持ったウサ耳女子高生とかは無しですねわかります
闇のイージスから楯雁人を召喚。 なんか蝶(バタフライ)もセットで来てそうだが。 コルベール「君もまた……傷を刻まれた者か……私と同じ様に!」 楯雁人 (お前も来ているのか……蝶!) なんてイベントがあるとステキ。
リッチになってやったら強くなったマルコも無しですね、わかります。
>テンプレ展開 主人公の情報をうまく出してて期待できると思うんだが。 ただ、ブラウザで読むには少々文字の密度が高い。 改行をうまく使ってもらえるとありがたいです。
九龍妖魔學園紀から皆守甲太郎SS 一話完成しましたので投下しとうございます 20分に投下予定
>>804 ティファニアがジーザス先生を召喚するんですね
ルイズはゼロを召喚してもいいと思うんだ
「行っちゃったね…大丈夫かな…九龍クン…」 「奴なら大丈夫だ、≪秘宝≫を見つけ出し、ケロっとした顔で現れるさ。」 天香学園屋上、二人の生徒が沈みゆく夕陽を眺め学園から去って行った友を想う。 男子生徒がアロマに火をつけ煙を燻らせ小さく呟く 「死ぬなよ…九龍…。卒業までに戻ってこなかったらマジでお前の脳天に蹴りを入れてやるからな…」 「そうだね、皆守クンの言う通りだよね、きっといつかまた逢える、あたし達の≪宝探し屋≫に…」 皆守と呼ばれた男子生徒が小さく苦笑する 「あァ…、そろそろ戻るか…八千穂」 そう言いながら、校舎の中へと戻るべく、皆守が女学生の名を呼び振り返る、 すると八千穂と呼ばれた女生徒が驚いた表情でこちらを指差している。 「おい、どうしたんだよ?」 「ねぇ、皆守クン、その鏡一体何だろう…?」 「鏡だぁ…?」 返ってきた返事に訝しげな表情で八千穂が指さす先に視線を動かすと、 「なんだこりゃ? こんなもんあったか?」 皆守の前に大きな鏡がドンと鎮座していた。 「私たちがここに来た時は、こんなものなかったよねぇ? ってゆーか、なんか光ってるよ〜?」 八千穂がその鏡に近づき触れようとしたその時、突如鏡が光を放ち彼女を飲み込もうとした。 「バカ! 触るな!」 皆守が叫び八千穂をかばうように制服の襟首を掴み引き倒す。その拍子に皆守は鏡に触れてしまい 恐ろしい力でその中に引きずり込まれる。 「皆守クン!!」 「八千穂! クソッ! 抜け出せねぇ!」 八千穂が皆守の腕を引っ張り完全に引きずり込まれないようにするも、ずりずりと彼の体は鏡の中に引き込まれていく。 「ど…ど…どうしよう〜!! 皆守クン!!」 「ダメだ! このままじゃお前も飲み込まれちまう! 手を離せ八千穂!」 「そんなの出来ないよっ!」 それでも拒否する彼女を残った手で突き飛ばす。その拍子に彼の体は完全に引きずり込まれ、鏡とともに消え去ってしまった。 「皆守クン…そんな…どうしよう…」 その場に残された八千穂が座り込み呆然と呟いた…。
「…んだここは?」 鏡に飲み込まれ意識を失った彼は茫然とあたりを見渡す。 そこは明らかに自分が暮らしてた東京新宿、天香学園とは違う場所。 一面に広がる草原。遠くには資料で見た中世ヨーロッパ辺りを連想させる城が建っていた。 視線を感じそちらへ目を向けると自分の周りに見たこともない制服を着ている人達に気がついた。 「あんた誰よ?」 その中で一番皆守に近い位置にいた桃色の長髪の子が声をかけて来た。 「…あ? 何だお前」 事情が呑み込めていない皆守は少々イラついた口調で聞き返す。 その言葉とともに周囲にいた人々が笑い声をあげた 「ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」 「さすがはルイズ、遥か予想の斜め上だ!」 「なっ、うるさいうるさい!! ちょっと間違えただけよ!!」 桃色の髪の子が頬をやや赤く染め、野次を飛ばす仲間であろう人達に怒鳴り散らす。 「おい、質問に答えろよ、ここはどこでお前は誰なんだ?」 周囲の人間に怒鳴り散らす少女に皆守が再び尋ねる 「うるさいわね! あんたは少し黙ってなさい!」 その返答に再び口を開こうとすると、この場で唯一大人であろう中年の男性が前へ出てきた。 その男性に向かい、ルイズと呼ばれた桃色の髪をした少女は訴えかける 「ミスタ・コルベール! もう一度やらせてください!」 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 「でも…彼は平民ではないですか!」 「それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。 一度呼び出した『使い魔』は変更することはできない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。 奸むと好まざるにかかわらず、彼を使い魔にするしかない」 「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」 「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。例外は認められない。彼はただの平民かもしれないが、 喚び出された以上、君の『使い魔』にならなければならない。 かつて人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。 彼には君の使い魔になってもらわなくてはな」 「そんな……」 その言葉を聞きとてつもなく嫌な予感がした皆守が前に出る 「待て、なんだその使い魔って、つかここはどこだ、いい加減にしねェと蹴り入れるぞ!」 「あーっ、もう! うるさいだけじゃなく、失礼な平民ね! いい? 言うのは一度だけよ。 ここは、ハルケギニア大陸のトリステイン王国。そして、伝統あるトリステイン魔法学院よ。 …後、これが一番大事な事だけど。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール。 あんたの主人となるべきメイジよ。覚えておきなさい!」 半ば自暴自棄気味に叫びながら、少女はこちらへ近寄ってくる。 「はぁ? 何言ってんだ? そもそもメイジってなんだよ…」 早くしろーと野次を飛ばしてくる生徒を、ルイズと名乗った少女はキッと睨み、その後ため息をつきながら皆守の方を見る。 「あんた、感謝しなさいよね。こんな事平民には一生ないんだから」 怒りを通り越して呆然とする皆守にルイズが話しかける。 「ちょっと…屈みなさいよ、届かないわ、あとそのパイプ?取りなさい」 「なんだよ…何する気だよ…」 ブチブチと文句を言いながら少女の言う通りに屈む。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 小さな杖を皆守の目の前で振りながら呪文らしき言葉を紡ぐ。
「(何の儀式だこれは…)」 と、少々呆れながら様子を見ていると杖を皆守の額に置き、徐々に顔を近づけてくる。 「おい! ちょっと待て! 何する気だ!」 それに驚いた皆守がルイズを突き飛ばそうとするも時すでに遅し、二人の唇が触れあった。 「(なんだろう?いい香り…)」 ルイズが皆守から漂ってきたラベンダーの香りにそんな事を考えていると。思いっきり彼に突き飛ばされてしまった。 「お前! いきなり何しやがる!」 皆守は怒鳴りながら唇を制服の袖でゴシゴシと擦る。 「ちょっと! 貴族に向かってなんてことするのよ!」 「うるせぇ! それはこっちのっ…! うぐっ!!!」 言い終える前に、左手に這うような熱と痛みが走る。 「クソッ! 何しやがった!」 「すぐ終わるわ。あんたの身体に『使い魔のルーン』が刻まれているだけだもの」 ルイズが呆れ気味に応える。確かに熱いのは一瞬で、体は普段の状態に戻った。 と、痛みから解放され地べたに座り込んだ皆守に、コルベールと呼ばれる男性が近寄ってくる。 「ふむ、珍しいルーンですね、少々見せてもらうよ」 そういいながら彼の左手に浮かび上がったルーンをさらさらとスケッチしていく。 スケッチし終わったコルベールは、周囲にいた生徒に指示を出す。 「――さて、これにて儀式は無事終了です。さあ皆、教室に戻りますよ。遅れないように」 コルベールとルイズ以外の生徒たちは皆宙に浮いた。 「なっ…」 その様子をみて、皆守は言葉を失い持っていたアロマを地面に落とす。 「なに驚いてるのよ、メイジが空を飛ぶなんてあたりまえじゃない」 「………んなわけあるかよ…なんなんだここは……俺はどこに来ちまったんだ…?」 落ちたアロマを拾うことも忘れ皆守は一人呆然と呟く。 そんな二人に空の上の生徒たちから声がかかる 「ルイズ! お前は歩いてこいよ!」 「お前みたいなのは平民がお似合いだぜ!」 「ハハハハ!!」 その言葉に顔を真っ赤にしながらルイズは俯く。そんなルイズを横目で見ながら皆守が話しかける。 「説明はしてもらうからな? それで…お前は飛ばないのか?」 「ううううるさい! さっさと行くわよ!」 叫びながらドスドスと建物へと向かうルイズを見ながら皆守は小さく呟く。 「…八千穂をかばって正解だったな…なんなんだよここは…」 こうして彼、皆守甲太郎の異世界での使い魔生活がスタートしたのだった。 1st.Discovery 『謎の異邦人』 「なんで月が二つあるんだよ…」 窓から見える二つの月を見て甲太郎は自分が異世界に来た事を痛感する。月が二つあるなど地球では絶対にありえないことだ。 あの後、歩いて寮塔に着いた甲太郎は、一緒にいたルイズに状況把握の為色々と質問をぶつける。 ここは何処なのか? 何処の宗教団体なのか? さっきは何の儀式だったのか? それはもう沢山聞き、気付けば夜に変わっていた。 その間に、なんとなくここが別世界だと感づいたのだが、ありえないと何度も甲太郎は自分に言い聞かせて来た。 だがそれも空に浮かぶ二つの月と、圏外になった携帯電話、そして先ほど見た何も使わず空を飛んで行った人々をみて、その考えも次第に変わっていったのだった。 「何言ってるのよ、月が二つあるなんてあたりまえじゃない、それよりコータロー、ちゃんと私の説明聞いてた?」 そんな甲太郎をみてルイズがイライラしたように話しかける。 「あぁ、ちゃんと聞いていたさ、俺はお前の≪使い魔≫とやらになっちまったんだろ? だがな、俺は学生だ、もう少しで卒業なんだぞ? そんなことに付き合ってられないんだよ、さっさと俺がいた世界に帰せ」 「平民のくせに学生? っていうか元いた世界ってなによ? それに、解除して還す手段があるならとっくにそうしてるわ」 「ふざけるのも大概にしろよ…一方的に拉致しておいて還す手段がないだと? どこまで勝手なんだ?」 「うるさいわね! そもそもあんた平民のくせに貴族に対する口の利き方がなってないのよ!」 「貴族だ? そんなことは知らねェよ、第一、一生ガキのお守なんざ俺はごめんだね」
そう言いながら甲太郎は壁に寄り掛かりアロマに火をつける。 「ガキってなによ! もう…なんでこんなメイジもなにも知らない田舎者が私の使い魔なのっ…!?」 ルイズは自分が召喚してしまった男をキッと睨みつける、なんでこんな奴が召喚されてしまったのだろうか。 そう思っていると、ルイズの鼻をラベンダーの香りがくすぐった。 「ねぇ、あんたの吸ってるのもしかしてパイプ? そんなもの吸っていいと思ってるの?」 「いや、こいつはパイプじゃなくってアロマさ、いわゆる精神安定剤ってやつだ」 「何よそれ…、でもいい香りね」 「どうだ? お前も試してみるか?」 甲太郎はニヤリと笑い咥えていたアロマをルイズに差し出す、ルイズはその言葉に顔を真っ赤にした。 「な…な…何言ってるのよ! そ…そんなもの吸うわけないでしょ! 馬鹿じゃないの!?」 「ふん…うまいんだがな…」 そう言いながら、ふーっと煙を吐き出し考える、 何としても元いた地球に帰りたい、もう少しで卒業する身だ、 それに、親友と再会を約束したのだ、卒業するまでににもう一度会うと、自分自身がその約束を果たせないなど笑い話にもならない。 とはいえ、ここは右も左も知らない世界だ、今のところはおとなしくしておくべきか…、そう考え甲太郎はルイズに話を切り出す。 「お前、改めて聞くが、俺ではない使い魔のほうがいいよな?」 「と…当然じゃない!」 「よし、決まりだ、お前は俺との契約を解除し元にいた世界に還す方法を探す、 その代りに俺はお前に従おう、これはお互いにとって為になる取引だ、悪い話じゃないだろ?」 「取引って…あんたねぇ、平民であるあんたが貴族である私に取引なんてできる立場だと思ってるの? でも、あんたの言うことももっともよね、私もあんたみたいなやる気のない平民なんかよりネズミとか犬を召喚しなおしたほうがよっぽどいいわ」 「チッ、んだよそりゃ…お前が男なら蹴り飛ばしてやるところだ…、まァいい、とりあえず交渉成立だ」 ルイズの尊大な態度に少々イラついたが、ぐっとこらえる、子供相手に怒りをぶつけたところで疲れるだけだ。 「とりあえず、使い魔としての仕事を説明しておくわ、契約解除するまであんたは私の使い魔なんだから しっかり働いてもらうわよ、その代わりここにいる間の衣食住はこちらで面倒見てあげるわ」 「めんどくせぇな…」 ため息交じりに呟いた甲太郎をルイズがキッと睨みつける 「なんか言った!?」 「いや…で、何をやらせる気なんだ?」 「本当やる気を感じさせない奴ね…! いい? まず使い魔には主人の目となり、耳となる能力が与えられるわ、 でもあんたじゃ無理ね、何も見えないもの 」 「へぇ…」
そういいながらぷか〜っとアロマの煙を吐く、まるで興味がないらしい。そんな甲太郎の態度にイラ付きを感じながらルイズは続ける 「…あと、使い魔は主人の望むものを見つけてくるの、例えば秘薬とか」 「悪いがご期待には添えられそうもねぇな」 すでに甲太郎は床に寝そべっている、目を離したら寝ていそうだ。 「ちょっと! 何寝てるのよ! 最後までちゃんと聞きなさい! あと使い魔は主人であるメイジを守ること! これが一番大事!」 「おいおい、荒事をさせる気か? 俺は学生だぜ? 平和な日常を享受させてくれよ…」 「あんたなんかにそんなことは期待してないわ、だから洗濯とかその他雑用はしっかりやってもらうからね!」 「んで俺が……わかったから、んな睨むな…」 殺意のこもった眼で睨みつけてくるルイズにめんどくさそうに手を振りながら答える。 「もうっ…! 本当なんなのコイツ! どこまで無気力なのよ!」 そうブチブチと文句を言いながら自身も眠るために、制服を脱いでいく、それをチラとみた皆守が驚いて口を開いた。 「なッ! お前! なにやってんだ!」 「何って? 着替えてるのよ、見ればわかるじゃない、っていうかお前って何? ご主人様って呼びなさいよ」 「そうじゃねぇよ! なんで俺の前で着替えてんだ!」 「何よ、使い魔の前で着替えたって何も思わないわ」 そういいながらルイズはスルスルと衣服を脱ぎ寝巻き姿へと着替える。 「どこまでも常識のねぇガキだな…」 「それ、明日になったら洗濯しなさい」 と、キャミソールとパンティを甲太郎に投げ付ける。 それを手で払い落すと甲太郎は再び目を閉じ考える。 「(んでこんなことになっちまったんだ…、あァ…マジで夢であってくれ…)」 そこまで考えると、深い眠りへと落ちて行った。 To be continued... 特記事項 皆守甲太郎:ドライです 使い魔です ルイズ:協調性がありません ご主人様です
以上、投下終了 アロマは無気力だけど根は熱い奴なんです。 卒業式までの帰還は絶望的でしょう… がんばれ≪不健康優良児≫ 學院紀なだけに日常パートに力入れたいなぁって思う。 ではまた次回にゲットトレジャー!
>>748 母親に毒殺されかけたり幼馴染に裏切られたり師匠に裏切られたり仲間に裏切られたりする人のことですねわかります
噂に聞く九龍妖魔學園紀か
原作の空気に近いかと言われれば否だが、この作品の空気が好きかと言われれば答えはYES。 なんかもう突っ走りすぎだろコレwwwとか思いながらニヤニヤしてる俺がいる。 アレな展開はこの作品の味だな。
アロマの人乙 彼奴なら正面からだったらルイズの爆発でも避けられると信じてるw
カレーが無くて生きられるのだろうか?
自分で香辛料だのなんだの似たようなもんで作るんじゃないか?奴なら
奴ならきっと、異世界でもカレーを作りだす そういう奴だ
九龍妖魔學園かあ、雰囲気とか大好き。微妙にうさんくさい所とか、演技がかかってるから印象が整理しやすいと思うんだ。 それはともかく乙です。 話は変わるけど、ルイズに召喚されたシーンを変えるのって難しいね。 一巻を読み返しながら「召喚された人物に合わせてどう態度を変えるか」を考えるのがマジむずい。
>>822 被召喚キャラにもよるが、平民だった場合ルイズは平民(使い魔)のことを人間として見てないからなぁ。
こちらが何を言おうが何をしようが意に介さず一方的に言うだけだから、コミュニケーション以前。
しかも異世界から来たと言おうが実際にハルケでは再現不能な技術を見せようが、
自分の知らないこと=存在しないと思ってるから……
まとめてみると、確かに難易度高いな。
亀レス多謝 久保乙です サルファはニートと乳揺れと久保と女王様とネタ満載だけど、 自分は久保でしかクリアしてなかったり 乗ってる機体で即決 デザイン的にも設定的にも
たまに出てくる理想郷というのはSS?外部サイト?
土曜日の書き込みを見直してみるといい
>>827 善意で教えてるんだろうけど、自分がやってる事は相手先に迷惑掛けるってのを自覚しろ。
聞く方もヒントもらっても見つからなかったら諦めろ。
今日と言うか、昨日の夜に同じような事やった人が居たのにな…。 ヒント出てるんだから、余計な事しなくていいよ。
カレー星人がきてるw 原作大好きなのでかなり期待
ちょっと調べれば分かるようなことを他人に聞くな 聞く前に調べろ、目の前にある箱は何のためにある、先生は何のためにいる
>>830 ハリー松沢召喚したのかと思ったじゃないか。アロマはカレーレンジャーだろ。
ブルマが美味いぜ……。
アロマは九龍の真ヒロイン しかもツンデレっていう
ほんと
>>825 とか
>>827 はどういう教育を受けてきたのやら。
2ch風に言うなら回線切って首を吊れ。
世間一般風なら親の顔を見てみたいもんだ。
まだクリアしていないけれど、DSのドラゴンボールやっていてしみじみ思う……この頃の悟空ならルイズに召喚されてもパワーバランス的には問題ない、と。 人格的なものも、人里離れた所で一人きりで生きてきたと聞けば、同情的になりそうだし。
忘れた頃にやってくるさあう"ぁんといろいろです。 予約がなければ三分後に投下。 ところで前回うちのシエスタが金髪だと言ったが・・・スマンありゃウソだった。 髪が曽祖父譲りの黒髪、目が曽祖母譲りの翠眼、です正しくは>うちのシエスタ
出かける前の支援
ルイズは展開の目まぐるしさに軽く混乱していた。 そもそも今日一日でどれほど沢山の事件があったことか。 シエスタの実家があるタルブの村に到着するなり、あのアニエスとか言う金髪の女剣士にショウが胸を撃たれて死にかけた。 それがきっかけでショウと仲直り(実の所はルイズが一方的にドツボにはまっていただけだが)出来たのはいいが、自慢の髪から血を落すのにはかなり苦労した。タバサが水の魔法を使ってくれなければまだこびりついていたかもしれない。 その後シエスタの曽祖父母が本当にショウ達の世界からやってきたと判明して、彼らやリリスが『守護者』(ガーディアンズ)と呼ばれる転生を繰り返して世界を守る戦士だったという話をリリスから聞いた。 どう考えても信じられないような荒唐無稽な戯言にしか聞こえないのに、不思議に否定する事が出来なかった。 加えて天使や悪魔などの『異形の者』と呼ばれる存在やそれを封じた『魔除け』の話、それら全てを生み出したリリス達の世界の神――リリスは『集合無意識』とか言っていたが――の話。 その後シエスタの曽祖母であるリィナの残した呪文書のことをリリスから聞いたときには、ひょっとしたら自分でも魔法が使えるようになるんじゃないかと興奮したりもした。 そのせいか、呪文書の解読作業を続ける間中ずっと妙に頭が冴えていた。魔法理論には自信があったけど、自分でもあそこまでできるなんて驚いた。ひょっとしたら本当に不名誉な『ゼロ』から脱出できるかもしれない。 その後天使達が現れて、そのあたりのことは良く覚えていない。信じられないほど集中して呪文を唱えていたような気がする。起きたのはやっぱり爆発だったが。 でも本当に驚いたのはその後だ。 どことなくショウに似た面影のケイヒと名乗る女剣士が現れて、ショウと同じ技を使った。 ルイズが腰を抜かしている間に一対一でショウとケイヒが立会い、ショウが――あのショウが!――圧倒的な実力差を見せ付けられて敗北した。 あのままならひょっとしたらショウがケイヒに一矢報いていたかもしれないが、それでもルイズは戦いに水を差してくれたアニエスに感謝したい思いだった。ショウを撃った事は絶対許す気にはならなかったが。 その後魔法を使ってケイヒは姿を消した。一気に50リーグも移動する、凄い魔法だという。 それだけあれば、魔法学院からトリスタニアまでだって一瞬で移動できるだろう。改めてリリス達の世界の魔法に驚きと畏怖を感じる。 それでも、いずれまた現れるにしても敵は去ったのだし、ようやっと気を抜けると思った。 だが、今日という日はまだ終っていなかったらしい。 最後の最後で、ルイズにとってはこの日一番の驚くべき事件が待ち構えていた。 「ワ・・・ワルド様!?」 「やあ、僕の小さいルイズ。いや、もう小さくはないかな? ともかく久しぶりだね」 シエスタの家の屋根から下りてきた男――ワルドは、そう言ってルイズに微笑んだ。 彼としては本当ならばルイズを抱き上げてキスの一つもしたいところではあったが、ルイズの使い魔や後ろに控える青い髪の少女が鋭い目を向けてくるので自重する。 そのショウやタバサにことさらアピールするかのように、洗練された所作で幅広の帽子を胸に当て、一礼した。 「はじめまして、諸君。トリステイン王国近衛、魔法衛士隊グリフォン隊隊長、ジャン・ジャック・フランシス・ワルド子爵だ。以後お見知り置きを」 第七話 『死線』
高確率ギル化支援
にこやかに自己紹介するワルドであったが、心中は穏やかではない。はっきり言えばはらわたが煮え繰り返っている。 そもそもあの天使たちは勝手に持ち出した『召喚の書』を用いて彼が呼び出したものである。 本来の計画ではルイズの仲間が一人二人倒れた所で颯爽と登場し、"烈風"直伝のカッタートルネードを放って天使たちを退散させ、ルイズに心から感謝されてやがてその感謝が愛に変わり・・・という筋書きだったのだ。 昔読んだおとぎ話を元に『プラン・ド・ル・オグル・ルージュ』と名前までつけた完璧な計画であったはずだった。 が、ケイヒの登場によって出るタイミングを逸し、さらにはケイヒ、及びリリスの先住魔法の想像以上の威力によってあっさりと天使達が全滅。 計画が完膚なきまでに崩壊して唖然としている所で、潜んでいた遍在さえ発見されてしまうという更なる醜態。 遍在を消そうにも、天使たちをコントロールするために『召喚の書』を持たせていたのでそれもままならない。 ケイヒが姿を消した後だったのが不幸中の幸いだったが、それでも己の間抜けさ加減に舌打ちしたい思いであった。 それはともかく、ワルドの自己紹介は彼が期待したほどには波紋を呼ばなかった。 魔法衛士隊といえば王室直属の精鋭中の精鋭、名門貴族で構成されたトリステイン軍の花形である。 トリステイン貴族であればその名を聞いただけであからさまに見る目と態度が変わるものだが、この場にトリステイン貴族は一人しかいなかったし、しかも彼女は旧知の仲だった。 ルイズ以外の3人のいぶかしげな表情が変わらないのに気付き、自分の迂闊を悟ったワルドはもう一枚カードを切ることにした。心中憮然としながら。 「ああ、それと僕はルイズの婚約者でもある。軍に入ってから碌に手紙も出さなかったのをまずルイズに謝らないといけないけれども」 「こ、婚約者!?」 「ワルド様・・・」 今度は多少なりともワルドが期待していたような反応があった。 中でもルイズが頬を染めているのがワルドの自尊心を満足させる。 なんだ、これなら僕もまだまだ勝負になりそうじゃないか・・・。 もっとも驚きを露わにしているのはリリスくらいで、ショウもタバサも大して表情は変えていない。もちろん、ヤンは死んでいるので元から反応がない。 タバサは相変らず冷徹な視線をこちらに向けてきているし、ショウもこちらに向けた剣を下ろしていない。 ふらふらの癖に力の篭もった視線を向けてくるこの使い魔を、ワルドは改めて厄介な存在だと認識する。 常に冷静なタバサのようなタイプも戦いにおいては脅威なのだが、こういう手合いは敵に回すと総じて厄介なのである。 勝てる勝てないは別として、しぶとく、粘り強く、生半な攻撃では倒れない。完全に息の根が止まるまでは何度痛打を与えても、最後の最後までこちらの喉元に喰らいついてこようとする。 過去何度かこう言った敵と合いまみえた時には、いずれも勝ちはした物の例外なく苦戦させられている。 ショウの目には、そうした敵たちが浮かべていたのと同じ種類の光が浮かんでいるようにワルドには見えた。 そしてもちろん、ワルドは自分の直感を杞憂と笑い飛ばせるほどには楽観的ではない。いられない。 そのようなワルドの思考を、二つ名の通りの、冷たいタバサの声が断ち切る。 「ルイズの知り合いだというのはわかった。けれども、それはこの場にいた理由にはなっていない」 「ちょっとタバサ! 子爵様を疑うの!?」 怒り半分、ショック半分というところの表情でルイズがタバサを見やる。 ショウが視線はワルドから外さないまま、言葉を続けた。 「同感だ。ルイズの婚約者で、よくは分からないが魔法衛士隊とかいう大層な名前の部隊の隊長なんだろう? 身のこなしを見る限りでは腕にも覚えがありそうだ。それなのに先ほどの戦いで最初から最後まで傍観していたのは確かに解せないな」 「ショウ! あんたまで!」 ルイズが叫び、ショウのほうに振り返った。今度はややショックのほうが大きいようにも見える。 そうしたやり取りを聞きつつ、ワルドは必死で頭を回転させていた。なんとかしてこの状況を上手く納得させなければならない。でなければ待っているのは破滅だ。 いや、レコン・キスタの計画などつぶれた所でたいした事は無いが、ルイズが自分から離れてしまうのはなんとしても避けなければならない。 ワルドがルイズに求めている無償の愛。母親が自分に注いでくれたのと同じ種類の愛情。 それを手に入れるには、なんとしてもここでつまずく訳にはいかない。いやむしろどうにかしてこれを逆にチャンスに変えなければ・・・。
泣いた赤鬼支援
「まぁまぁ、ルイズ。彼らがそう考えるのも仕方がない。けど、僕にもそうせざるを得ない理由があったんだよ」 「だったら是非とも事情を聞かせて欲しい。まさかルイズに張り付いて、ずっと様子を伺っていたと言うわけでもないだろうし」 氷のような瞳に底冷えのする光を宿し、タバサがワルドを見上げる。 実は全くそのとおりであったりするのだが、勿論ワルドとしてはそれを正直に言う訳には行かなかった。 背筋に冷や汗を垂らしつつ、代わりに、たった今組み立てた嘘八百を慎重に語り始める。 「実は僕は影ながらルイズの事を見守り、場合によっては危険から救うように、さるお方から命じられていたんだよ。ただし、可能な限り隠密裡にね」 「ええっ!?」 ルイズの反応はワルド本人が驚くほど激しかった。 一瞬嘘がばれたのかと思ったが、どうもそうではないらしいとわかり、ワルドはこっそりと胸を撫で下ろす。 「子爵様・・・あの、ひょっとしてそれをあなたに命じられたお方というのは・・・姫殿下ですか!?」 どうもルイズは勝手に誤解してくれているらしい。 アンリエッタ王女と親しい関係だったというのは知らなかったが、どうも上手い具合に転がってくれている。 ワルドは己の幸運に感謝しつつ、もっともらしげな表情を作ってその誤解を増長させることに決めた。 ショウもタバサも腕は立つかもしれないが、所詮人生経験を積んでない10代前半の若造である。それくらいならこの十年で身につけた経験でなんとしてでも誤魔化せる自信が彼にはあった。 「いや、残念ながらルイズ。それを君に言う訳には行かないんだ。僕は軍人だからね。任務の事を知られたからといってそれ以上のことをぺらぺら喋るわけにも行かないんだよ。済まないね」 「いえ、こちらこそ申し訳ありません子爵様。秘密のお仕事の事ですのに・・・」 「そんな事を言わないでくれ。婚約者に何も話せなくて心苦しいのは僕のほうなんだから」 心底済まなそうに頭を下げるルイズに大人らしく余裕を見せて点数を稼ぎつつ、タバサとショウのまだ納得していない視線を意識する。 リリスはどうにか八信二疑という所だが、この二人は意外に手強そうだと認識を改める。 「ルイズ、姫殿下と言うのは?」 「この国の王女、アンリエッタ殿下よ。昔、遊び相手をつとめさせていただいた事があるの」 「へぇー、お姫様と知り合いなんだ」 「でも仮に王女がルイズの友人だから護衛を命令したとして、なぜルイズに護衛をつける必要があったのかわからない」 さすがにタバサの追及は厳しいが、ワルドもこれくらいは予想していたので用意しておいた答えを返す。 「そこまでは僕も知らないな。グリフォン隊の隊長とはいえ、僕は一介の士官に過ぎない。将軍でもなければ近衛隊の隊長ですらないんだからね。多分何か重要な意図か、さもなくば何かの気まぐれがあったんだろう」 「その気まぐれというのは?」 「やんごとなき方々にはよくある事だよ。いちいち裏を勘ぐっていたら身が保たない。これも処世術という所さ」 ショウの追求に肩をすくめて見せる。果たして、こう言った世界を知らないショウは反論できずに黙り込んでしまった。 一方タバサは追及の手を緩めない。
ワルド、KOOLになれKOOLになるんだ 支援
「ならあなたはいつからルイズの護衛をしていたの?」 「うーん、そうだな。もう二十日くらいになるかな? 君たちがラグドリアン湖まで行ったのが、僕が護衛についてすぐだったね」 キラリ、と眼鏡の下の目が光った。 「ならば、あなたがルイズの護衛を命令されていたのだとしたら、今までの戦いでなぜ一度も姿を現さなかったの? ラグドリアン湖でのゴーゴンとキメラ、モット伯爵邸での戦い、昼間のアニエス、それに今の天使と、あの女剣士。 アニエスの場合はルイズに危害が及んでいなかったからともかくとして、それ以外の場合ではなぜあなたは出てこなかったのか、理由を知りたい」 「ちょっとタバサ! 子爵様が困っていらっしゃるでしょ! 秘密の任務だって言ったじゃない!」 「だけど、最低限巨人や天使と戦っていたときに出てこなかったのは、当人の話を信用するなら余りに不自然。 モット伯爵邸の時はショウがいなければ全員死んでいたし、さっきもケイヒが援護してくれなかったら、セラフの大炎(マハリト)を連続で10回以上受けて、間違いなく私たちは全滅していたはず。 モット伯邸でショウがあれを使うまでは、彼にあんな力があるなんて誰も知らなかったはずだし、今回の場合はショウは麻痺して動けなかった。あの状態でケイヒの援護を期待するのは筋が通らない」 鋭い。 ワルドは舌を巻いた。 先ほど、人生経験の差で如何様にも言いくるめられるなどと思っていた事は、既に記憶の彼方に消えている。 「それはその、出て行くタイミングを掴めなかったんだよ。ポイゾンジャイアントの時は剣士君たちがどうにかしてくれるだろうと思ったし、さっきの事だって・・・」 「セラフは広範囲に有効な火炎の呪文を持っている。しかもあの時は20体近くが存在した。範囲攻撃は持っていないとは言え、強力な攻撃呪文を操るエンジェルも同数存在していた。 その状況でルイズに危険が及ばないと判断するのであれば、あなたの判断力を疑わざるを得ない」 「そ、それは・・・・」 通常なら屋外(結界外)での大炎(マハリト)はタバサの言ったとおりルイズ達全員を巻き込んでなお余る効果範囲を持つ。 が、あのときはエンジェル達にルイズにだけは当てないように指示していたから、自分は安心して誰か一人二人死ぬまで高見の見物をしていられた・・・などと勿論言える訳が無い。 間違いなく、今の発言でワルドの実力に対するルイズの評価は大きく下落した事だろう。 しかもワルドはどうしたってそれに反論できないのだ。 表情に出ないように努力しながら、ワルドは心の中で何度もタバサの首を締め上げる。 そして、その時が来たならルイズの友人であろうがなんだろうが必ず殺す、ショウの次に殺してやると固く誓った。 おほん、と咳払いをして素直にミスを認めるふりをする。 「まぁ、それについては判断ミスだと認めざるを得ないかな。でも」 と、ここでワルドの声が演技ではない真剣味を帯びた。 「もし秘密の任務でなければ僕は何度だってルイズを助けるために姿を現していた。これだけは信じてくれ。亡き母に誓ってもいい」 この時ばかりはタバサもその真摯さに押されて黙りこんだ。未だに疑いの表情を浮かべているショウも、ワルドの気迫に押されて顔をしかめる。 実際この時のワルドが語ったのは、紛れも無い本心からの言葉だったのである。 もっとも、姿を現してルイズを守りたかったのはルイズの心を捕まえるためという理由も大きいのだが・・・。 「もう、この辺でいいでしょ! ショウもタバサも納得した!? わかったらとっとと剣を下ろしなさいよ!」 続いた沈黙についに堪忍袋の尾が切れたか、ルイズが怒鳴る。 溜息一つついてショウは刀を背の鞘に納め、タバサも突きつけていた杖を下ろした。 ワルドも心の中で安堵の息をつく。 どうやら第一の関門は切り抜けられたようだった。
その頃、トリステイン魔法学院。 既に日付も変わり、夜番の衛兵以外は皆就寝している時間帯である。 学院秘書ミス・ロングビルを名乗る女、マチルダ・オブ・サウスゴータ――その実は貴族だけを狙う怪盗「土くれのフーケ――の部屋に侵入する影があった。 気配を感じ、ロングビルが目を覚ます。枕の下に隠しておいた杖をそっと握りこんでベッドから身を起こした。 「どちらさまでしょうか? このような夜更けに・・・って、なんだ、あんたかい」 影のように静かに部屋に入り込んできたのは、モット伯の事件があった夜に彼女を脅した仮面の男であった。 自然、フーケの態度も冷淡な物になる。妹の名前を出されて脅迫されては友好を深める気にもならない。 「女が欲しいなら、小遣いやるからトリスタニアの淫売宿にでも行って来な。あいにくあたしゃそれほど安い女じゃないよ」 「お前に動いてもらうときが来た。すぐに仕度をしろ」 軽口に反応せず、要件だけを切り出してきた男の態度にフーケは顔をしかめた。 この前は嫌味な位に余裕たっぷりだったのに、今は逆に余裕がなさすぎるように感じたのだ。 この手の連中はプライドだけは不相応にたっぷりと持っているから、何かにつけて自分が優越している事を示したがる。 不必要に余裕を見せたがるのもその一つだが、それをする事も忘れていると言う事は、 (よっぽど追い詰められているね、こりゃ。それとも女に振られたでもしたか?) 「聞いているのか、おい!」 「あー、はいはい、聞いてますから続けて下さいな、若様」 軽くあしらわれ、仮面の男がフーケを睨みつける。 何か言おうとしたようだったが、結局その口から出てきたのは指示の続きであった。 「後数日でヴァリエール公爵の娘が学院に戻ってくる。タイミングは俺が指示するからその前夜『破壊の剣』を奪い、いつものように署名を残せ。そして次の朝、手がかりを見つけたと言ってヴァリエールとその使い魔達をおびき寄せるのだ」 「・・・はぁ? なんであたしがそんな面倒くさいことをやらなきゃいけないのさ」 「うるさい! お前は命令に従って動けばそれでいいのだ。黙って俺の言う事に従っていろ!」 フーケもさすがにかちんと来たが、逆らうわけにも行かない。 「はいはい、分かりましたよご主人サマ。それでご命令は以上ですか?」 「そうだ。合図があったらいつでも実行できるように用意しておけよ。いいな?」 そう言い捨てると、仮面の男は現れたときと同じように音も立てずに去っていった。 しばしその背が消えた扉を見つめていたフーケだが、やがてふん、と鼻息荒く拳を握った。 こうなりゃあの覆面男を出し抜いて、破壊の剣も手に入れて高く売り飛ばす。そんでもって今まで稼いだ金であの子と一生幸せに暮らしてやる。 半ばヤケクソ気味に決意を固めると、フーケはベッドにもぐりこんだ。何にせよ、全ては明日からだ。
〜w〜
モット伯の時はフーケの仕事を横取り出来そう 支援
遠く離れた魔法学院でそんな事が起きているとは当然ながら露知らず、ショウ達はワルドと友好的とは言わないまでも、どうにか消極的中立と言った空気を作り出すことに成功していた。 「本当にすみません、子爵さま」 「いや、それはもういいよ。彼らも分かってくれた事だしね。それよりも、彼らには礼を言いたかったんだ」 「お礼、ですか?」 タバサの片眉がぴくりと動いた。ショウは怪訝そうな表情になる。 「うん。ミス・タバサも使い魔くんたちも、そしてこの場にいないミス・ツェルプストーも。何度もルイズを助けてくれてありがとう。 君たちがいなかったら、君たちの助けが無かったら、ルイズはこうしてここに立っている事はできなかったはずだ。心からの礼を述べさせてもらう」 ごく僅かにではあるが、ショウが笑みを浮かべた。皮肉ではない、好感の笑みだ。リリスも、僅かに顔がほころんでいる。 「気にしないでくれ、俺はこいつの使い魔だからな。主を守るのが侍の勤めだ」 「私もよ。友だちのために力を貸すなんて当たり前の事じゃない」 タバサも無言ながらコクコクと頷いていた。 雰囲気が和やかになりかけたところで唐突に、リリスがぽんと手を打つ。 「あ、使い魔くんたちで思い出したけど、そう言えばヤンの事忘れてたわ」 「迂闊。私も忘れていたけど」 ショウやリリス、タバサの言葉に照れくさそうにしていたルイズもさすがに「あ」という表情になる。出がけに植木に水をやるのを忘れてきた、という程度の表情ではあるが。 黒焦げにされた上にエンジェルの減命(バディアル)を連続で喰らって絶命したヤンは、一行から3メイルほど離れた場所で未だに放置されていた。心なしかその背中が煤けているような気がする。 「いや、火炎呪文で丸焼きにされたんだし、実際に煤けてるわけだけど」 「誰に言ってるのよ? ともかくキュルケが寝ているのは不幸中の幸いだったわ。今の内にやっちゃいましょ」 些かぞんざいなルイズの提案にリリスも頷く。 「そうね、死言(マリクト)を二回使っちゃわなくてよかったわ」 「ヤンさんなら復活(ディ)でも甦るような気はしますが」 「同意する」 「そこはそれ、誠意って奴よ」 冗談のつもりなのだろうが、まるっきり冗談に聞こえないショウとタバサのセリフをリリスが笑い飛ばす。 復活(ディ)とは僧侶系5レベルの呪文で、その名のとおり死者を復活させる事ができる。 ただいつも使っている還魂(カドルト)に比べると成功率も低く、またある程度原形を留めた死体でないと蘇生が不可能なため、追い詰められた状況でもなければ実際に使うものは殆どいない。 時間は掛かっても死者蘇生の専門家集団である『寺院』に運び込んだほうがよほど確実なのだ。 もっともハルケギニアには『寺院』など無いので、どのみちリリスの還魂(カドルト)が最高の蘇生手段なのであるが。 その還魂(カドルト)は僧侶系の最高位、7レベルに位置する呪文である。であるから、リリスといえども一日に2回しか使用できない。 先ほど天使達に対して同じ7レベルの攻撃呪文、死言(マリクト)を使用したが、その後ケイヒに向かって再び死言(マリクト)を使用していたら、ヤンの蘇生は明日の朝まで待ってもらう羽目になる所だった。 もっともショウとケイヒの戦いに割って入っていたら、この場にいる面子全員が屠られていた可能性も高いであろうが・・・。
まさかこんな時間に支援
一方、自分をおいてけぼりにして話が進んでいることにいささかむっとしながらも、ワルドはそれを表情に出さないように努力する。 自分が割と感情的なほうに属する事は一応自覚しているのだ。そうでなければ、グリフォン隊の隊長を務めるほどの使い手にはなれない。 「ええとその、彼を埋葬するわけじゃなくてこの状態を魔法で治療できるわけかい?」 とは言えさすがに戸惑ったような声で尋ねるワルド。 傍目には焼死体としか見えず、実際そのものであるのだから無理もない。 「ええ、リリスの魔法は凄いんですよ、子爵様。・・・もっとも毎回甦ってくるヤンも凄いとは思うんですけど」 「それじゃあ、見せてもらってもいいかな?」 「いいですよー。別に減るもんじゃないし。ただ、集中が必要ですので静かにお願いしますね」 「わかった」 ワルドも、間近で蘇生の魔法を見るのは初めてである。 その目には少年めいた好奇心の色があった。 ショウがヤンの遺体を仰向けにし、両手を胸の上で組ませて後ろに下がる。 頷き、リリスが目を閉じた。 その喉から、僧侶呪文特有の柔かく規則正しい韻律が漏れ始める。 生命の源たる 熱き血の流れ その身のうちに沁む 赤き血の流れ 生命の水よ 生命の流れよ その流れ止まりて血潮冷えし肉体に 再び魂の宿らんことを 囁くように。 願わくばこの失われし魂を呼び戻し 闇を打ち払い 光をもたらし 浄められたる肉体に再び生命を分かち給え 凍てつきし血液の流れに再び炎を灯し給え 灰と変わりしこの身を再び血肉と為し給え 祈るように。 魂は不滅 御霊は滅びず 戻るべき肉体に 魂よ戻れ 祝福(カルキ)あれ 祝福(カルキ)あれ 詠唱は続き。 還魂(カドルト)! そして、渾身の念が込められた『力ある言葉』(トゥルーワード)が発動し、呪文は完成する。 息を詰めて見守っていたワルドの目には、一瞬彼女とヤンの遺体が光り輝いたようにも見えた。
「お・・・おお・・・」 呻き声とも、溜息ともつかぬ、恐らくは感嘆の声がワルドの喉から漏れた。 炭化していた全身の皮膚が剥がれ落ち、ピンク色の筋肉の上に真新しい皮膚が再生する。 体中に開いていたいくつもの傷口も、時間を逆行するかのように口を閉じていく。 黒くちぢれていた髪は薄い小麦色の輝きを取り戻し、癖のない短髪に姿を変える。 青白かった全身に瑞々しいピンク色の血の気が戻り、最後に一つ、大きく息を吐いて、ヤンは目を開いた。 「おっし、成功。気分はどうかねヤン君」 「あー・・・リリスさんですか。すいません、またお世話になりました」 「いいっていいって。それよりも、記念すべき六十回目の蘇生の気分はどうかしら? まあ賞品が出るわけでもないけどさ」 満面の笑顔で尋ねてくるリリスに、ヤンとしては苦笑するしかない。 「一回死んだら後はもう何回死んでも同じですよ。・・・あれ? こっちの人は?」 「ああ、ワルド子爵って言う人。ルイズちゃんの婚約者なんだって」 「こ、こんやくしゃ!?」 「よろしく、ヤン君」 にこやかな笑みを浮かべ、ワルドが会釈する。 ヤンも慌てて立ち上がろうとしたが、自分が裸に近い格好なのに気づき、慌てて前を隠す。 それを手で制して、ワルドが顔をリリスに向けた。 その目には恐ろしく真剣な色がある。 「リリスくん」 「はい」 ごくり、と思わず唾を飲み込む。 「その、だ。その蘇生呪文は死んだ人間なら誰でも生き返らせることが可能なのだろうか?」 リリスの顔が曇った。ワルドが言いたいことを概ね察したからだ。 だが、こればかりは言っておかなくてはならない。 残酷な事実を告げねばならないのは気が進まないが、これは僧侶や司教など、治療呪文を操る者としての務めでもあるのだ。 「蘇生が可能な死者には大きく3つの条件があります」 無言でワルドは先を促す。 可能な限り感情が入らないように、淡々とリリスは言葉を紡ぐ。
支援
「一つ目は死者が十分な生命力を持っていること。また死因は怪我や事故、病気等で無ければならず、老衰のように生命力を使い果たして死んだ場合は蘇生させる事は不可能です。 二つ目は死体がきちんと保存されている事。正式な処置を踏んで保管されている死体であれば、数百年経っても蘇生が可能ですが、腐敗したり、体の重要な部分が消失していたりすれば蘇生はやはり不可能になります。 三つ目は死者が我々の世界における冒険者クラスの修行を積んでいること。これにより、魂が戻ってきやすく、また肉体も復元しやすくなります」 「・・・その三つを全て満たしていなくては駄目だと言う事かな?」 「絶対、という訳ではありません。術者の腕や他の条件次第では、条件のうち一つ、肉体が多少損傷していたり、あるいは冒険者クラスで無かったりしたとしても蘇生に成功することはあります。 老衰で死んだ場合でも、蘇生呪文で復活し、数ヶ月後に別の病に倒れるまで命を永らえたこともあったそうです。 ですがその場合でも蘇生率はかなり低下しますし、三つのうち二つ以上の条件を欠いているのであればおよそ絶望的といっていいかと思います」 ワルドの目を真っ直ぐ見ながら、リリスは包み隠さず事実を伝えた。 もっとも、そう答えたせいでこの後何が起こるかを前もって知っていたら、率直に答えるのはさすがに躊躇したかもしれない。 神ならぬ身とはままならないものであった。 そして、表情の全く伺えない瞳がリリスの視線を見返す。 「そうか、ありがとう」 平板な声とともにワルドは頷いた。 やはり、異世界の魔法といえどもそこまでご都合主義ではないらしい。 「ワルド様・・・・」 ワルドの内心を多少なりとも察したのであろう、ルイズが彼を見上げていた。 その瞳がわずかに潤んでいる。 無言でワルドはその頭を撫でてやった。 手の平に伝わる感触が、ささやかな満足感と欲望を掻き立てる。 そうとも、死んでしまった母親が甦らないとしても、僕にはもう一人の母親がいる。 必ず、彼女を。僕の新しい母親を我が物とするのだ。 結局その日はワルドもシエスタの実家に泊ることになった。 ワルドは秘密の任務なのだから気にしないでくれといっていたが、さすがにそうもいかない。 シエスタの家族には事後承諾してもらうことにして、毛布を一枚分けてもらったワルドは客間の長椅子にごろりと横になった。 本来は納屋の焼けた事、アニエスが逃げ出したことなどを伝えるためにも彼らを起こさなければいけないのだが、ルイズは勿論、ショウ達もさすがに疲労が限界だった。 そもそも普段ならとっくに寝ている時刻なのである。 取りあえず天使のことは口を噤み、アニエスの仲間が助けに来て、その過程で納屋が燃えてしまったことで口裏を合わせる事だけを決め、一行は休むことに決めた。 ショウとヤンが水を浴びて着替え、他の面々も寝巻きに着替えてベッドにもぐりこむ。 今夜はこれ以上厄介事が起こらないでくれ、と切に念じながら。 翌朝。どうにか彼らの祈りは聞き届けられたようで、朝まで何も無く彼らはぐっすりと休む事が出来た。 とは言っても、朝に弱いルイズは普段より三時間は短い睡眠時間がこたえた様で、揺り動かされるどころか、さまざまなキュルケのいたずら――その大半はここでは到底書けない――にもかかわらず、中々起きようとはしなかった。 目が覚めてからも(頭がぐらぐら揺れて、まともに受け答えも出来ない状態をそういうのならばだが)体はともかく脳が覚醒する様子は無い。 ワルドの前ではせめて無様な姿を見せまいとするのだが、それでも我慢できずにふらふらと倒れかかり、そのたびに隣のショウに支えてもらっている。 (何故だ! 何故左隣に僕がいるというのに僕のほうにもたれかかってこないんだ、ルイズ!?) もちろん、ワルドがそれを見て内心更なる憎しみを滾らせていたことは言うまでもない。
ワルドなら、やっぱり願うよなぁ 支援
早朝のトリステイン魔法学院。 学院長オールド・オスマンの秘書を務めるミス・ロングビルはベッドから上半身を起こし、うん、と伸びをした。 まだ太陽が地平線から顔を出してそれほど経っていないことを確認し、朝食までの時間をどう使うかを考える。 数秒で二度寝をすることに決め、ぽふっと柔かい寝床の中に倒れこんだ。 どうせ早めに出ていってもあのセクハラ爺に尻を触られるだけである。 今日は色々と忙しい事でもあるし、せめて今はゆっくりしよう。 可愛い妹に心の中でおやすみ、と呟いて瞼を閉じようとした瞬間、鍵をかけていたはずの扉がいきなり開いた。 驚いて跳ね起きたミス・ロングビルの前に、あの忌々しい仮面の男が立っていた。 「そうやって惰眠を貪っていると言う事は、準備は済んだのか?」 「は?」 口調からすると随分ご立腹のようだが、彼女にはその理由が分からない。 そもそも、何を言っているのかが分からない。 「破壊の剣を盗み出す計画の準備は整ったのかと聞いているんだ!」 「ちょ、声が大きいよ! 石壁つったって、怒鳴ったりしたら隣に聞こえるんだからさ!」 さすがに焦るフーケを、仮面の奥の目がじろりと睨む。 「その時はお前が困るだけのことだ」 いや、あんたの計画にも差し支えるんじゃないのか、と言おうとしてフーケは言葉を飲み込んだ。 どう考えてもそんな正論が通じそうな雰囲気ではない。 「で、どうなんだ。朝から二度寝を決め込むからには準備は全て整っているのだな?」 「午前様になってからやってきてよく言うよ。仕込みをするとなれば昼間からしなくちゃいけないこともあるのさ。大体夜っぴて働くなんて美容に悪いじゃないか」 じろり、がぎろり、になった。 こりゃ軽口も通じなかったか、と心の中でフーケは嘆息する。 「ともかく啖呵を切ったのならば、今日中に全ての準備は終らせておけ。俺にはお前の二度寝を悠長に待っている余裕はない」 「へいへい」 「真面目に聞け!」 「ははっ、承りましたわが主」 よっぽど「余裕がないのはあんた本人だろうと言い返してやりたかったものの、さすがにそこは我慢する。 荒々しく、それでも足音を立てずに出ていく仮面の男を冷やかな目で見送ったフーケはさて、とひとりごちた。 すっかり目が覚めてしまったのだから、着替えて何がしかの準備でもするか、と思い・・・やっぱり馬鹿馬鹿しくなって、結局彼女は二度寝することにした。
支援
シエスタの実家の食堂。 朝食の席でキュルケが一行を代表してワルドをシエスタの家族に紹介するとともに、昨夜の事件を説明する(事情は部屋にいる内にタバサが説明している)。 アニエスの仲間が彼女を助けに来て、それを阻止しようとしたが失敗。そのとばっちりで納屋が燃えてしまった事を伝え、賠償を行いたいと申し出るとシエスタの父親は快諾した。 人が死んだわけでもなし、貴族であり娘の恩人でもあるルイズ達に文句を言う筋合いでもないのだろう。 彼女の申し出た賠償の額が、納屋を中身込みで十軒ほど建て直せるほどの物だったのも影響しているだろうが。 「にしても、よく見ると結構いい男ねぇ」 いきなり、キュルケがまじまじとワルドの顔を見つめた。 「あなた、情熱はご存知?」 満更でもないキュルケの表情に、ヤンは些かむっとして、ワルドを敵だと確信することに決めた。 もっとも彼自身、召喚の儀式以降はキュルケの元ボーイフレンドたち及びファンから「トリステイン人民最大の敵」呼ばわりされていることは知らない。 「お気持ちはありがたいが、むやみに顔を近づけないでくれたまえ。婚約者が誤解するといけないのでね」 ワルドの言葉に再びルイズが頬を染める・・・と、ワルドは期待したのだが、残念ながら彼女は半覚醒の脳を全て目の前の朝食に集中している状態で、彼の言葉など聞いてもいなかった。 一方、余りに素っ気無い態度に、カチンと来たのはキュルケだ。 それはもちろんキュルケとて、ヤンがいるのに本気で他の男を誘おうとは思っていないが、女としてないがしろにされたようで、はなはだ面白くない。 今までこの表情で迫って、何も反応を示さなかった男はいないのだ。 キュルケは頭の中で、ワルドを人名リストの「好意的中立」から「消極的敵対」に移動させることにした。 ちなみにタバサは「友人」の中の「親友」、ショウとリリスは「友人」の「一般」、ヤンは「現恋人」のフォルダ(以前の男たちのデータは全て「未整理」フォルダの中だ)にそれぞれしまってある。 ちなみにルイズは「友人」の中の「おもちゃ」フォルダに大切に仕舞いこんである。 閑話休題。 「あら、興味はありますけれども別に好意を抱いているわけじゃありませんことよ? そちらこそ誤解しないで頂きたいわね」 「・・・・それは失礼した」 「私、自意識過剰な男って嫌いですの」 つん、と澄ましたキュルケに、リリスが必死で笑いをこらえていた。 ヤンはヤンで顔が笑み崩れそうになるのをこらえていたが、これはどちらかというと彼が女性心理に疎いことを自ら暴露しているような物である。 まぁこれは彼が「いい人」である裏返しでもあるので良し悪しなのだが。
テンパっているのに気付いておあげ 支援
しえんしとこか、うん
そうこうしている内に、顎と胃の活動に連動して頭の回転が上がってきたのか、ルイズの目がどうにか普段の物になってきた。 先ほどから溜息をつきながら口元を拭いたりしてやっていたショウが安堵の息をつく。 それを横目で確認し、キュルケは次なる爆弾を送り込んだ。 「でも、私の体に何も反応なさらないのはご立派ですわ。つまり子爵様は豊満な私よりもつるんぺたんなルイズのほうがいいって事ですのね」 スープを飲んでいたルイズがむせた。 「ちょ、ちょ、ちょ、何言ってるのよ!?」 顔を真っ赤にして、怒っているのか恥ずかしがっているのかわからないルイズを横目で眺めつつ、ワルドは苦笑しながら頷いた。 「まぁそうなるかな・・・」 「成熟した私よりも、未熟な青い果実の彼女のほうがいいと」 「引っ掛かる言い方だが、そういう事だ」 「このロリコンどもめ」 タバサが小声で呟き、今度はワルドが口に含んだコップの水を盛大に噴き出した。 「そうね、タバサも気をつけたほうがいいわよ。ルイズにすら欲情するとなれば、タバサも危ないわ」 煽るキュルケとコクコク頷くタバサに咄嗟に反論する事も出来ず、ワルドは一瞬視界が暗くなったかのような錯覚を覚えた。 (ねー、かあちゃん。"ろりこん"ってなんだー?) (シッ! そんな言葉使っちゃいけません! 後、エリザ、ポリーヌ、カロリーヌ。あなたたちはあのお髭の貴族様に近づいちゃいけませんよ。いいわね) (なんで?) (なんでも! わかったわね!) (((はーい))) 小声でまだ幼い娘達に注意するシエスタの母親の言葉も、ワルドの耳には逐一届いてしまう。 音に敏感な風のスクウェアである事が今は恨めしい。 精神的に打撃を受けているワルドに代わって、キュルケに噛み付いたのはルイズだった。 「キュルケ! それってどう言う意味よ!?」 我に返ったワルドも慌てて弁明を試みる。 「へ、変なことを言わないで欲しいな! 僕はルイズの婚約者であって、それ以外の女性には興味が無いんだ! ただそれだけだよ!」 「動揺するのがまた怪しい」 「よねー」 リリスまで加わり、笑いを含んだ目でタバサと頷きあう。 その傍らで、男二人が微妙にやってられない雰囲気を作っていた。 「そういうもんなんだろうか・・・?」 「俺に聞かないで下さいよ、ヤンさん」 勿論卓のもう一方で、シエスタとその家族が表情を引きつらせていたのは言うまでもない。
これはキュルケの罠だ 支援
再びトリステイン魔法学院。 「おい、フーケ!」 人気のない廊下で、いきなり名前を呼ばれたフーケはギョッとしたが、振り向いてげんなりした顔になった。 「なんだ、またあんたかい。今度は一体なんなのさ?」 「・・・・・・決まっているだろう、作業の進展具合を確かめに来たのだ」 むっつりと、不機嫌そうに答えを返すのは、やはり例の仮面の男である。 言葉の前の不自然な間に、器用に片方の眉だけを持ち上げるフーケ。 「何さ、今の間は?」 「お前の知ったことではない。それより、進捗状況はどうなのかと聞いているのだ!」 イライラした様子を隠そうともしない男に、フーケが露骨に呆れた表情になる。 「あのねぇ、あたしだって昼間は秘書としての仕事があるんだし、準備を終えるとなったらどうしたって夜になるんだよ」 「俺がやれと言っているんだ! すぐに取り掛からないか!」 「・・・・はいはい、わかりましたよ。暇を見つけてやっておくさ」 「急げよ。状況はお前を待たないぞ」 言い捨て、仮面の男は身を翻して消える。 溜息をつき、取りあえずオールド・オスマンから言い付かった仕事を果そうと歩き始めた。 その脳裏にちらりとひらめいた考えがある。 (まさかとは思うけど・・・あいつ、あたし相手に八つ当たりしに来てるんじゃないだろうね?) だがそのひらめきが正しいかどうか、今の彼女に確かめる術は無かった。
>>863 大人はウソつきではないのです。まちがいをするだけなのですw
どう見ても八つ当たりです 本当にありがとうございました 支援
シエスタの実家。 朝食が終った後、シエスタとその家族は食休みもそこそこにそそくさと食堂から出ていき、ルイズとワルドも「二人きりで話がしたいというワルドの提案に席を外していた。 残っているのはショウ達5人だけである。ワインもお茶もないが、水のグラスを傾けてまったりとした食後のひとときを過ごしていた。 「にしてもルイズと子爵の話ってなんだろうな」 「なになに? ショウってば子爵にやきもち焼いてるの?」 「なんですかそれは」 照れ隠しに怒るでもなく、慌てて否定するでもなく、本当に何のことだか分からない、という顔でショウが答える。 あらつまんない、とキュルケとリリスが思ったかどうかはともかくとして、珍しくタバサが会話に参加してきた。 「それよりも、昨日の続きをしたい」 そう言うタバサはコップの水を僅かにこぼし、指先が机の上に水で文字を書く。 『声を出さないで。子爵は風のスクウェア。この会話も多分聞かれてると思った方がいい』 僅かに目を見張ったキュルケが、頷いて口を開く。 「そうね。だけどみんな結構疲れてるし、続きは学院に戻ってからにして、今日は少しゆっくりしない?」 一方で指はタバサの真似をして、口とは全く別の言葉を紡いでいる。 『タバサもショウも、そこまであの男を警戒するって事は、何かあるのね?』 頷いて今度はショウが水文字を書く。 「そうだな、正直俺も疲れが取れていない。昨夜はかなり消耗したからな」 『ワルドからは"気"が全く感じられない。生きてる以上、気配を断ってそれに気付かない事はあるにしても、全く感じられない事はありえないんだ』 三人が僅かに首をかしげる。 「ルイズもいないし、現状では余りはかどらないかもしれないわね」 と、これはリリス。
支援
『どう言うこと?』 『もう少し詳しく説明を』 『屋根に潜んでいたのを気付かなかったのは、奴が忍びの達人だと言う事でまだ納得できなくもない。 だが、ああして正面に立っていても、俺は全く奴の気配を感じられなかった。 奴が何らかの理由で姿を見せている時も気配を断っているとしても、目の前にいるのに何も感じないというのはありえないんだ。 まるでギーシュのゴーレムみたいで、生きている人間とは思えない』 少し間が空いた。 ちなみに先ほどからヤンの発言がないのは、ヤンが読み書きが苦手で水文字を読み取って話についていくのがやっとだからである。 決して話が難しくて参加できないわけではない。 それはともかくしばしの後、タバサの指が再び水の文字を描く。 『だとすると恐らくそれは風のスクウェアスペル、『ユビキタス』。『遍在』と呼ばれる分身を作り出し、自由に操る術。この分身は何から何まで術者と同じで、戦ったり呪文を使ったりする事さえできる。 通常は本体と見分けがつかないが、何から何まで本体と同じといってもあくまで魔法で作られた分身だから、"気"を発しないのかもしれない』 『つまり気配を探ることによっては奴の分身を見つけることはできないわけか・・・厄介だな』 『私は空気の流れで彼の存在に気付いたけど、遍在が"気"を持たないと言うのなら、気配に恐ろしく敏感なショウが気付けなかったにもかかわらず、私が気付けた事の説明がつく』 『なるほどねぇ。あれはショウが消耗してたせいだと思ってたわ』 ずっと気になっていたのか、腑に落ちた表情でタバサが頷いた。 一方ショウは深刻な表情である。侍は"気"を用いて戦い、"気"をもって敵を察知する。 気配の察知能力において他のクラスの一枚も二枚も上を行くだけに、それに頼る所も大きいのだ。 即ち、相手が"気"を発しないと言う事は、彼にとって遭遇戦において大きな枷をはめられたに等しい。 が、ショウが真剣に悩む一方で暢気に脱線している連中もいた。 『なにか、"どっか〜ん! なぜなにトリステイン"ってノリになってきたわね』 『ねぇ。で、どうなんですかタバサおねえさん』 『誰がおねえさんか』 『えへ、僕頭の悪いうさぎさんだからわからないや』 『そこはむしろ説明役のお姉さんと間抜けな人形と言ったほうがいいんじゃ?』 『その話はもういい』 タバサが再度突っ込みを入れると、さすがにキュルケやリリスも話を本筋に戻す必要を感じたらしい。 『でも物は考えようね。分身からは"気"を感じないと言うなら、逆に言えば本体と分身が一緒にいてもショウ君は見分けが付くって事じゃない?』 『それはそうですけど、余り今の時点で役に立ちそうな話じゃないですね』 『まぁショウのほうは分かったわ。それで、タバサが気にしているのはなんなの?』 リリスの指先を見て、再びタバサが頷く。
『ひとつはショウが存在を感知できなかった事。もうひとつは、余りにもタイミングが良すぎる事。彼の言葉は一応の筋は通っているけど、それでも疑いは残る。 言っている事はいちいちもっともでケチはつけられないけど、結局彼は、私たちに何ら事情を説明していない。この状況で幾らルイズの婚約者だからといっても、それだけで信用しろというのは無理がある』 『タバサは、ワルドがケイヒやエンジェルと関係あるかもしれないと考えているの?』 『そこまでは分からない』 『エンジェルはまだしも、ケイヒが間違ってもワルドの下につくとは思えませんが』 『よねぇ。大体、ワードナならともかく人間にエンジェルを操ることが出来るとも思えないし』 『モット伯がポイゾンジャイアントを操っていたじゃないですか。あれは?』 ショウの言葉にはっとしてリリスが顔を上げた。 『そうか、『召喚の書』! あれなら人間でもエンジェルを召喚・使役できるかも』 『なるほど。そうなるとエンジェルを召喚したのはあの時『召喚の書』を隠匿した人間かもしれない』 『つまり・・・どう言うこと?』 『あの時出てこなかった『召喚の書』を隠匿したのが、ワルド子爵である可能性があると言う事』 『そう言えば、あの時も私たちのことを見張っていたはずよね』 一瞬遅れて、事態を理解したキュルケとショウの瞳が大きく見開かれた。 『つまり、あのエンジェルはワルドが召喚したもので、ケイヒはエンジェルとは関係ない・・?』 『でもアニエスは牙の教徒で、ケイヒはそのアニエスを助けに来たじゃない?』 『それもこれもまだ断言は出来ないわね。ただ、仮にケイヒがワルドの仲間だったとしても、仲がいいわけじゃ無さそうね』 『筋は通ってるわね。でもそれでも疑問は残るわ』 『ワルドの目的ですね?』 『そうよ。あれだけルイズが大切そうなのに、私たちをエンジェルに襲わせた。筋が通らないわ』 『む』 『案外ショウ君に嫉妬してたんじゃないの?』 『ないない』 思いつきで言ってみたキュルケ自身、それが最も正解に近い答えだなどとは思っても見なかった。 まぁ、その気になれば城を落せる程の戦力を、女の子の前でいい格好をするための低レベルな思いつきに使うなどと、普通は考えまい。 しばし言葉が途切れ、全員が考えこむ。 その間に文章を追っていたヤンがようやく追いつき、何の気なしに文章を書き込む。 『あっちもこっちも謎だらけですねぇ。意外と、ワルド子爵も牙の教徒(プリースト・オブ・ファング)だったりすれば話が簡単なんですけど』 「「「「!!」」」」 何気ないヤンの一言が、他の四人の目を見張らせた。 軽い冗談のつもりだった本人は、四人が一斉に示した反応にウサギのようにびくりと震える。
さるさん入りかけた 支援
『ありえる』 『否定は出来ないな』 『モット伯の事件からすると、牙の教徒(プリースト・オブ・ファング)は宮廷内にも相当数入り込んでいると考えるべき。 彼が牙の教徒、あるいはレコン・キスタのエージェントだったとしても驚くには当たらない』 『レコン・キスタ?』 首を傾げたリリスと、似たような表情のショウを見てタバサは僅かの間不思議そうな顔をしていたが、やがて得心したのかまた文字を書き始めた。 『レコン・キスタはアルビオン――トリステインの西の海の上空を漂う巨大な空飛ぶ島――で内乱を起こしている勢力。王権の打倒とブリミル教の改革、そして聖地奪還を目標に掲げ、多くの貴族たちを傘下に収めている。 そのレコン・キスタが『アルビオン国教会』として掲げる教義が、牙の教徒の物に酷似している』 『つまり、牙の教徒であると言う事はイコールでレコン・キスタとやらのスパイでもあると言う事か?』 『あくまで可能性。断言はできない。まぁ、そうであってもなくても敵である可能性には変わりない』 『でも、考慮には入れておいたほうが良さそうね』 四人が頷く。 ワンテンポ遅れて、その字を読み取ったヤンも頷いた。 「それにしても出てくる気配がないな。ルイズと子爵は本当に一体何を話しているんだ?」 と、これは声に出してショウが話す。 にまっとした笑みを浮かべてそれを見やるキュルケ。 「ああら、やっぱり気になるのかなショウ君は」 「それはね」 「普通なら、長く音沙汰の無かった許婚だし、話は尽きる事がないんだろうと思うんだけど」 ごくわずか、影のかかった表情になってリリスが呟く。 『普通ならな』 今度は指先で、ショウは答えた。
さるはやばいな
ショウの懸念にもかかわらず、ワルドとルイズとの間に交わされていたのはごく普通の思い出話だった。 ルイズは当然覚えていないが、初めて会ったときの話。 赤ん坊のルイズを抱いて、あやすのに四苦八苦したこと。 4つ位のルイズと、彼女のお気に入りだった庭の池のボートで水遊びをしたこと。 ルイズの嫌いな野菜をワルドが食べてやったら、甘やかすなと二人揃ってルイズの母親にしかられたこと。 そしてルイズが魔法を使えない事が分かり始めたころ、母親にしかられたルイズは池のボートの中に逃げ込むのが常だったこと。 「覚えているかい? あの日の約束。ほら、きみのお屋敷の中庭で・・・」 「あの、池に浮かんだ小船?」 ワルドが頷く。 「きみは、いつもご両親に怒られたあと、あそこでいじけていたな。まるで捨てられた子猫みたいに、うずくまって」 「ほんとに、もう、ヘンなことばっかり覚えているのね」 「そりゃ覚えているさ」 唇を尖らせたルイズを見て、楽しそうにワルドが笑う。 「でも僕は、それはずっと間違いだと思ってた。確かに、きみは不器用で、失敗ばかりしていたけれど」 「意地悪ね」 ルイズがふくれっつらになる。 状況が期待通りに運んでいるのを確信して、ワルドは内心ほくそえんだ。 ワルドがショウに対して持っているアドバンテージは年月の積み重ねである。 いかに親密になっているとは言え、子供の頃に重ねた共通の経験はそう簡単に代替出来る物ではない。 思い出話でそれを喚起させておいてそこから今後の・・未来の話に繋げるのがワルドの書いた筋書きだった。 「違うんだルイズ。きみは失敗ばかりしていたけれど、誰にもないオーラを放っていた。魅力といってもいい。それは・・・」 「それは、私が小さな女の子だったからですか?」 きみが、他人にはない特別な力を持っているからさ、と続けようとして、ワルドの頭は真っ白になった。 いきなり何を言い出すのだこの桃色頭の許婚は。 「いやそのね、君には特別な才能が・・・」 「子供の頃、何かに付け私を庇ってくださったのも小さな女の子だったからなのですか!?」 絶句するワルド。ルイズが感情のままに言葉を畳み掛ける。
「おかしいとは思っていたんです・・・私、ショウを召喚するまでは魔法が全然使えなくて、もうとっくに婚約だって破棄されていておかしくないのに。 考えてみれば変だったんです、ずっと音沙汰の無かった子爵様が今このときに私の目の前に現れて、婚約者だと名乗ってくださる。 ・・・ひょっとして子爵さまは姫殿下のご命令に便乗して、私が育ってない事を確認しに来たのではありませんか? 婚約を破棄しないでいてくださったのは私が子供のような体型のまま育たなかったからなのではないですか!?」 「ちょ、ちょっと待ってくれルイズ!?」 「ワルドさまは本当にロリコンなのですか!? 私が背が低くて肉もついていないから婚約を破棄しないでいてくださるのですか?! 子爵様の言う私の魅力や才能と言うのは、詰まる所胸が無くてちっちゃいことなのですか!? 答えて下さい!」 真剣な眼差しを向けてくるルイズ。視線を合わせたワルドは一瞬言葉に詰まった。 彼は間違いなくロリコンの気があったが、自覚はしていなかったので真実を突きつけられて言葉を失ったわけではない。 単純に、涙を目に溜めたルイズが美しく、それに見とれてしまったからだ。 が、ルイズはそうは思わなかった。 図星を指されてワルドが黙り込んでしまった物と思った。 「やっぱり・・・やっぱりワルドさまは小さな子が・・・小さな子だから・・・」 「ち、違う! そうじゃないんだよルイズ!」 「今までありがとうございました! さようなら!」 だっとルイズが身を翻して走り去る。 「閃光」と仇名されたワルドが、速度が身上の風のスクウェアたる彼が、それを引き止めることすら出来ない。 「待て! 待ってくれルイズ!」 我に返ったワルドが必死に呼びかけるにもかかわらず、ルイズは泣きながら家の外へ走っていく。 「ルゥゥゥゥゥイズ! カァァァァァムバァァァァァッッッック!」 ワルドの絶叫が朝のタルブ村に響いた。
ジャーンジャーン ゲェッ!?キュルケ!? 支援
sien
玄関先で呆然としていたワルドは、いつの間にか自分が取り囲まれていることに気付いた。 ショウ、キュルケ、タバサ、リリス、ヤン。 いずれも程度の差はあれど、怒りの表情を浮かべている。 代表して、キュルケが口を開く。 「ワルド子爵。よろしければルイズに何を言ったのかご説明願えませんかしら?」 「ぼ、僕は別に何も・・・」 ワルドが母親と"烈風"以外の女性を怖いと思ったのはこれが初めてだった。 思わず気圧され、口篭もる。 「何もないはずがあるか。なら何でルイズは泣いていたんだ!」 今にも背中の剣を抜き放ちそうな剣呑な表情で、ショウが詰め寄る。 「ショウ、気持ちはわかるけどここはルイズのところに行ってあげなさい」 「でも! それに、こういうのはキュルケさんみたいな女友達のほうが」 「私はだめよ。喧嘩ばかりしてるから。互いに素直になれないの。だからあなたしかいないのよ、ショウ君」 「ちょ、ちょっと待ってくれ! それはルイズの許婚である僕が行うべき役目じゃ」 「そもそもルイズを泣かせたのはあなたでしょう?」 リリスの一喝とひと睨みがワルドを黙らせた。 ショウはしばらく逡巡するようにワルドとキュルケの顔を交互に見ていたが、やがて頷くとルイズの後を追って駆けだした。 勿論ショウは野伏せりのような足跡を辿る技術は持っていないが、ルイズが駆け去ってすぐならばその後に残った気配の残りカスを追ってルイズを探し出す事も出来る。 一方、キュルケ達はいよいよ剣呑な表情でワルドに迫っていた。 「さて、子爵さま。ここではなんですし、客間のほうに行きましょうか?」 「いや、だから、僕は何も・・・」 「それはこれから伺いますわ。ヤン!」 パチン、とキュルケが指を鳴らす。 「アイ、マム。というわけで、申し訳ありませんけどついて来て下さいね」 「ちょ、ちょっと待ってくれヤン君・・」 こうしてワルドは、シエスタの家の客間で昨晩以上に厳しい追及を受けることになったのであった。
こうして見るとワルドと草壁桜の相性は凄くよさそうだ 支援
一方、ショウは首尾よくルイズに追い着いていた。 村はずれの立木にもたれかかり、しゃくりあげている。 一瞬躊躇したが、覚悟を決めると近づいて声をかける。 「なぁ、ルイズ・・・」 びくり、とルイズが震えてショウのほうに振り向く。 次の瞬間、ショウにすがり付いてルイズは盛大に泣き始めた。 ショウはしばらく固まっていたが、やがて諦めたように頭を撫でてやる。 十三歳の少年としては、まぁこれでも上出来の部類だろう。 なお必死の弁解によりワルドのロリコン疑惑は一応――本当に一応――解けたものの、以降彼を見る目が些か冷たいものになったのはやむを得ない所であろう。 ところでその頃のトリステイン魔法学院。 「おいフーケ!」 「ちょっと! もう勘弁しとくれよっ!」 三たび仮面の男がフーケの元に計画の督促に訪れ、フーケがまたもや悲鳴をあげていた。
フーケ、マジ乙! 支援
その1投下終了。支援と掲載に感謝。 今回は量が多いのであと2,3回ほどに分けて投稿します。 次は今夜にでも・・・次のスレまで待ったほうがいいかな? なお、シエスタの弟や妹たちの名前は適当な所から引っ張ってきています(ヒント:8人兄弟)。
乙 面白いな
さあう゛ぁんとGJ それにしてもこのロリド、テンパりすぎであるww そして哀れおマチさんww続きにwktk
変態的な意味であながち間違いでは無い気がするが
乙であります 魔法衛士隊隊長の受難w
どうもです。第11話前半部分が書きあがりました。 特に予定などが無いのであれば、投下したいのですが、宜しいでしょうか?
支援します
では、投下開始です。 教室を出てからもジャンガは暫くルイズを解放せずに歩き続けた。 広場に面した通路に来て、漸く胸倉を掴み上げる爪を離した。 首が絞まっていたルイズは、床に落下した途端、大きく咳き込んだ。 「ごほっ、げほっ」 「テメェに聞きたい事があるゼ?」 そんなジャンガの言葉にルイズは恨めしげに見上げる。 「な、何よ…授業中にいきなり」 「授業中も何も関係無ェだろうが?テメェがいた所で爆発起こして邪魔するか、 邪魔にならないように隅で本を読むしかネェじゃねェか?…そんな奴が一人居なくなったところで、 大して支障は無ェだろうが。違うか?」 「…っ」 痛い所を突かれ、ルイズは悔しげに歯噛みする。 それをつまらない物でも見るように、見下ろすジャンガ。 「フンッ…、まァ、そいつは置いといてだ……テメェ、モット伯って知ってるか?」 ルイズは驚き、顔を上げる。 「モット伯!?あ、あんた…そんな事聞いて、どうする気なのよ…?」 「別に…ただ、気になっただけだ」 「気になるって……何でモット伯を気にするのよ?」 「モット伯の所に、あのシエスタ嬢ちゃんが仕える事になったゼ」 「…え?」 ジャンガの言葉に驚き、目を見開くルイズ。 「シエスタが…本当?」 「ああ…、今朝迎えの馬車に乗り込む所に出くわしたゼ。実に寂しげな顔をしていたっけな〜?」 それを聞いたルイズの顔はどんどん曇っていく。 「そんな、急に…」 「モット伯の事、教えろ」 「…モット伯は王宮の勅使よ。学院にも偶に来るわ。…いつも偉ぶってて、私は好きじゃないけど」 「勅使ィ?」 「簡単に言えば、王宮の重要な命令なんかを伝える役目を担ってる官吏の事よ。ようは王宮の御偉い様ね」 「…んだ?命令伝えるなんざ、手紙でも送りゃ済む事じゃねェか…。わざわざ”そんな事”にまで役目与えるなんてな…」 ”そんな事”の部分を強調するジャンガにルイズはムッとした。 「勅使が伝える事は外部に洩れてはいけない、洩らしてはいけない本当に重要な事なの。 伝書フクロウなんかで運んだら、万が一他人に盗み見られるかもしれないじゃないの。 だからこそ、王宮では信頼に値する実力の伴った貴族を勅使に任命するのよ。解った!?」 「あ〜はいはい…、実に良く解る説明だったゼ」 爪で器用に耳の穴を穿りながら、ジャンガは生返事を返す。 「でだ…、そんな御偉い勅使の”貴族様”がなんだって、こんな所で働いてる小娘一人をわざわざ引き抜いたりするんだ? 御偉い様なんだからよ…召使なんかには事欠いていないんじゃないか?」 その質問にルイズは難しい顔をする。 「…多分、自分の妾にするのだと思うわ…」 「はァ?」 間の抜けた声が口から漏れた。 妾……つまりは、最初から”女”として扱う為に雇ったと言うのだ。 「貴族にも色々いるし、噂でしか聞いてないけど…。そう言う話もあるって事…」 「ハンッ、想像していたよりも、貴族ってのは性質が悪いみたいだな。…獣以下だゼ」 ジャンガの最後の言葉にルイズはキレた。 「あ、あんた、今のは貴族全員に対する最大の侮辱よ!?」 「事実を口にしただけだぜ…?この間のキザ野郎もそうだが、平民に対して人としての接し方をしてるとは思え無ェよな? まるで牛馬に対するような、家畜同然の扱いだ」 「そ、それは…」 「テメェだってそうだろう…、俺様を使い魔だと言って、こっちの言い分なんか聞きもせずにこき使ってくれたくせによ? …もうそんな命令は受けたりしネェけどなァ〜。キキキ、お前もモットって奴と同じだゼ」 「違う、私は違う!私は…」 「どう違うってんだ?違う所を探す方が難しいぜ…。――ああ、”魔法が使えない”って所は違うかもな…キキキキキ!」 「くく〜〜っ!!」 悔しがるルイズ。と、唐突にジャンガは笑いを引っ込める。
「な、何よ?」 「まァ……貴族はクソだが、平民もクソが多いよな…」 「え?」 「例えば…こんな奴等さァァァーー!!」 叫びながら、ジャンガは後ろへと振り向きざまにカッターを放つ。 唸りを上げて飛ぶカッターは少し離れた所の壁を大きく抉る。 煙が立ち込め、壁の欠片がパラパラと降り注ぐ。その光景にルイズは呆然とするしかなかった。 「あ、あんた…いきなり何を――」 「おい…そこに居るんだろう?」 ルイズの言葉を遮って、ジャンガは崩れた壁を見ながら声を掛ける。何だろうと思い、崩れた壁を見る。 煙が晴れ、そこに数人の給仕の男女の姿が見えた。突然の事で皆一様に震えている。 その給仕達に向かってジャンガは歩み寄るや、男の一人の胸倉を掴み、高々と持ち上げた。 首が絞まり、息苦しさに苦悶の表情を浮かべる。 ジャンガはそんな事は気にも留めずに給仕の男を睨み付ける。 「おい…さっきからウルせェんだよ…。陰で隠れてこそこそしやがって、正直ウゼェぜ」 「ちょっ、ジャンガ!いきなり何を!?」 怒鳴るルイズにジャンガは不思議そうな表情を向ける。 「お…こいつらの事を庇うのか?…こいつらが今何を言っていたか知りたいか?」 「え?」 「こいつら、さっきからここに隠れてテメェの悪口を言ってたんだよ。無能なのに貴族で生意気だとか…、 とんでもない奴を召喚しやがってとか…、使い魔の主人のくせに管理できてないとか…、 そりゃもう色々とな…。正直、あまりのバリエーションの多さに俺でも脱帽しちまったぜ…キキキ」 「……」 「ま、無力な雑魚共が出来る事といやぁ…これ位だろうけどな。――俺としてはウゼェ事極まりねェ…」 そこまで言ってジャンガは給仕の男を自分の眼前に引き寄せた。 息が掛かるほどの距離で睨み付けられ、給仕の男は震えるばかりだ。 震える男にジャンガは威圧感タップリに言った。 「お前等が別に貴族の奴等をどう思おうと、どう悪く言おうと関係無ェさ…。だがよ、そういうのは俺のいない所で言いやがれ。 ウゼェんだよ…、今度俺の近くで同じ事をしたら……」 そこで一旦言葉を切ると、一層濃い殺気を含んだ視線をぶつける。 「殺すぞ?」 ――たったの一言だった。しかし、その一言に掴まれた男だけでなく、他の給仕も全員、一様に激しく何度も首を縦に振った。 それを見ると、ジャンガは男の胸倉を掴み上げる爪を離した。 地面に落下した男は、その場で息を整えるもせずに咳き込みながら、ほうほうの態で逃げ出す。 他の給仕達も男が逃げ出すと同時に蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。 その様子を見て、ジャンガは笑った。 「キキキ…全くよォ、互いに憎み合っている様は見ていて楽しいぜ。 貴族も平民もやってる事は同じだってのによ…それにすら気付いてねェかな?キキキ…馬鹿ばかりだな」 「な、何よ…煩いんじゃなかったの?」 「あン?…別に見ている分には楽しいさ、当然の事だろう?ただよ…、俺が話をしている時に横槍を入れるのが気にくわねェんだよ」 「そう…」 「フンッ……もうテメェに聞く事も無ェ…、教室に戻るなり部屋に戻るなり好きにしやがれ」 「その積りよ!」 ルイズはスカートに付いた埃を払い、踵を返すと教室へと戻っていった。 ジャンガはもう一度つまらなそうに鼻を鳴らすと、その場から立ち去った。 夕方… オレンジ色に染め上げる夕日、輝きを増してきた二つの月が空に浮かんでいる。 それらを本塔の屋根の上で見上げながら、ジャンガはポツリと呟いた。 「…不味かったな、昼食…」
あの後、適当に時間を潰し、昼食をいつもの通り厨房で食べた。 マルトーとか言うオッサンは嫌な顔をしていたが、相手の機嫌を損ねるとどうなるかは解っているので、 嫌な顔をしながらも最高の料理とワインを出したから別にいい。――しかし、何か物足りなかった。 今までと同じような食事だ。実際、味は悪くない。違いは無いはずである。 …あるとすれば、いつも怯えながらも厨房の連中でただ一人、笑顔で居続けた例の小娘が居なかった事位か。 小娘一人居なくなっただけで、なんでこんなに飯が不味く感じるのだろうか? 不思議……と言うよりは不愉快だった。 「チッ…」 ジャンガは舌打し、目を閉じた。少し…と言うよりはかなり早いが、眠ってしまえば嫌な事も忘れられる。 そう考え、ジャンガは夢の世界に意識を委ね様とした。…が、その考えは直ぐに打ち砕かれた。 目を閉じた瞬間、例の小娘の顔が浮かんだのだ。それも最後に別れた時の寂しげな表情をして…。 (ああ……全く、ウザってェ…) イライラを募らせながら、何とか視線を小娘から逸らそうとするが、それも叶わなかった。 やがて、小娘は会釈をし、馬車へと走っていく。 (クソが……いつまで続くんだよ――って、ん?) イライラが頂点に達しようとした時、ジャンガはある事に気が付いた。 馬車の扉が開け放たれた時に、中に赤く丸いずんぐりとした生き物が見えたのだ。――その生き物にジャンガは見覚えがあった。 生き物が何であるのか理解した瞬間、ジャンガは両目を見開いていた。 跳ね起き、ポツリと呟く。 「何で…ここにいるんだ?」 解らない。ここが自分の居た世界とは違うのは既に承知の事実。…では、何故”あれ”がここに居るのだ? 自分の様に召喚されたのか?ルーンは見当たらなかったが、逃げ出したりしたのだろうか? …いや、もっと単純な理由がある。そう”あいつ”だ。 「…確かめるか」 ジャンガは立ち上がると本塔の上から消えた。 寮塔の玄関ホールにある噴水。 その縁に腰掛け、二人の生徒が話をしている。ギーシュとモンモランシーだ。 モンモランシーはギーシュから手渡されたのであろう、ブローチを嬉しそうな笑顔で見ている。 「素敵、ミスリル銀のブローチね」 「君にお似合いだろう、モンモランシー?」 その言葉にモンモランシーは怪訝な表情を浮かべると、ギーシュを見た。 「これでこの間の事を帳消しにしようっての?」 モンモランシーの言葉にギーシュはふと笑みを浮かべる。 その笑顔にモンモランシーはドキッとしたが、辛うじて顔には出さずにすんだ。 「な、何よ…そんな顔しちゃって?」 「モンモランシー……僕は間違っていたよ」 「え?」 ポカーンとするモンモランシーだが、ギーシュはそのまま言葉を続ける。 「僕は多くの女性に対して同じように接するのが正しい事であるとして信じてきた。 だが、それは間違いだった。この間の事で理解したよ…真に愛する者はただ一人しかいないのだと。 君はあの時、あの凶悪な亜人を目の前にしながら、僕を庇ってくれた。 …嬉しかったよ、本当に。そして、同時にこんなに優しい君をちゃんと見つめていなかった自分を恥じたよ。 これからは君を見続けるよ。無論、必要な時には一人の男として他の女性に接したりするだろう。 だが、愛するのは君だけだ…モンモランシー。約束する、もう君を悲しませたりはしないよ、僕のモンモランシー」
しえん
モンモランシーは別人を見るような目で目の前の男を見た。 あの決闘騒ぎ以前の彼ならば、こんな台詞を吐く事は……あったかもしれない。 (それはどうでもいいわ!) 心の中で叫ぶ。…とにかく、今のギーシュは以前とは違う。 軽い軟派な男ではなく、文字通りの”漢”だ。 モンモランシーは確信していた、今の彼ならば全てを信じて上げられる…と。 「…いいわ、信じてあげる。――絶対に、私を泣かせないでよね?」 「ああ、約束するとも」 そう言うと、ギーシュはモンモランシーの顎に手を添え、目を閉じる。 モンモランシーもウットリとして目を閉じる。 目を閉じた二人の距離は徐々に近づき、そして―― 「おー、おー、熱いねェ〜?」 ――唐突に聞こえてきた声に、二人は目を開き、声の方に顔を向ける。 ニヤニヤしながら長身の亜人が自分達を見下ろしていた。 「ジャ、ジャンガ!?」 ギーシュは反射的に立ち上がり、モンモランシーを背に庇う。 モンモランシーは心配そうにギーシュを見つめる。 「き、君は…ま、また、人の恋路を邪魔しに来たのか…?」 「キキキ…、そりゃお前…こ〜んな楽しい事をやっている所へ首を出さない訳が無いだろうがよ?」 「傍迷惑よ!」 叫ぶモンモランシーだが、 「――嘘だがよ」 直後のジャンガの言葉に脱力し、一瞬こけそうになった。 しかし、ギーシュは変わらずジャンガを睨み付けた。 「一体、僕達に何の用が有るんだ!?」 そう叫ぶギーシュにジャンガは目を向ける。ギーシュはその目に一瞬、決闘の時の恐怖を思い出し震え上がったが、 直ぐに立ち直ると杖である造花のバラを構えた。それを見てもジャンガは笑うだけだ。 「キキキ、そんなにカリカリすんじゃねェよ。――テメェに聞きたい事が有るのさ」 「へ?」 唐突なその言葉にギーシュはポカンと口を開けた。 その夜… 夕食を取っていたルイズの下に珍しく、料理長のマルトーがやって来た。 「あの、貴族様…お食事中に申し訳ないんですが…」 「何?」 ルイズはスプーンやフォークを動かしていた手を止め、取り出したハンカチで口元を拭う。 「その、貴方様の使い魔の事なのですが…」 「……ジャンガがどうかしたの?」 また何かしでかしたか…、ルイズは頭痛がする頭を抱え込む。――しかし、返ってきた答えは予想外の物だった。 「いえ…いつもならば既に姿を見せているはずの時間なのですが…、一向に厨房に現れないので…。 折角の料理も冷めてしまうので…それで、主人である貴方様にお尋ねしたのですが……ご存知ではないですか?」 ルイズは驚いた表情でマルトーを見る。 「あいつが…いないの?」 「へ、へぇ…」 どうしたのだろうか?まさか、何処かで遊び呆けているのか? 悩んでいるとテーブルを挟んだ向かいで、モンモランシーと食事をしながら談笑していたギーシュが口を挟んできた。 「あの亜人がいないのか、ルイズ?」 「ええ…そうみたい。何か知ってるの?」 「いや、実はさっきの事なのだが、あの亜人がモット伯の屋敷の場所を尋ねてきてね」 「モット伯ですって!?」 驚き、声を上げるルイズ。昼間の件もある、一体あの亜人はモット伯の屋敷に行って何をするつもりなのだ? ルイズは唐突に席を立つと、そのまま食堂を出て行こうとする。マルトーはルイズの背に声を掛ける。 「あの、貴族様…どちらへ?」 「…貴方には関係ないわ」 「食事は?」 「片付けておいて。もういらないから」 そう言うとルイズは食堂から出て行った。
以上で前半投下終了です。 続きはまた夜にでもします。では!
毒の爪の人お疲れ&GJ! ここから先の展開が気になるので夜の分にも期待しておく。
なかなか良いツンデレだな乙
乙ー。 さて学院外での大暴れをした場合はオスマン達のフォローも届くまいて。 どう展開するか期待。
誰かシュートの久保さんを召還して伝説の7万人抜きを見せてくれ
>>898 七万抜いてどうする
その先にゴールがあるわけじゃあるまいし
おれ、この試験が終わったらまた書き始めるつもりなんだ
クロムウェルがゴールでしょ。 かつてコーラの缶で不良を打ち倒した久保さんだから、デルフ蹴飛ばしてクロムウェルも一撃だよ。
七万の中にクロムウェルはいないけどな ニューカッスルの五万の中になら、いるはず
スポーツ選手召喚・・・・・・「ジャイアント台風」よりジャイアント馬場召喚 地上最強の使い魔召喚でルイズ鼻高々 ホントに?
ニュースカッスル5万の撃退方法。 予め城の弱点部分に火薬をしかけます。 城が突破される事を前線から知らされます。 ウェールズは王座にて待機。 全員来た事を知ってウェールズは魔法を唱える。 城全崩壊。 5万の兵士の約9割死亡 ロイヤルビッチ歓喜
城の中で5万全員(騎兵含む)が鮨詰めになってウェールズ探してるのかw 「押すな押すな、落ちる!」 「誰だ俺の股間触ってるのやmあふん」 「メリー(馬)がうんこしてるー!」「やめろ俺が逃げるまで止させあばばばば」 「本部本部!第一軽装魔法騎兵隊、作戦開始位置から3時間の渋滞中!まだ作戦は変更が無いのですか!?」
まあさすがに五万とは言わんが四分の一くらいは城を捨て駒にすればなんとかなるな。 ただしワルドがいる以上最初からやつを村八分にせんと筒抜けだしなぁ。
久保さんは伝説のゴールトゥゴールよりも いかに困難な状況であろうとも必ず逆転勝ちを得られる伝説の呪文、 『サッカー、好きか?』の方が強力だと思うw 相手が7万だろうとエルフだろうとこの呪文が出たらもう勝ったも同然ww
というかそれはほとんど姉妹スレの爺さんがやった戦法じゃないかw
某所の元傭兵さんがやった作戦でもあるw
ドイツ軍兵器を召喚しまくったら面白そうだぜ…。 後はガンダールヴが使い方を教えるだけ。 国が総動員で人集めて操作に追従させる。 陸上戦艦ラーテによりゲルマニア征服。 80cmグスタフ砲によりアルビオン砲撃による降伏勧告 あれ?これってレイプ。。。
アルビオンはパンジャンドラムで反撃だ〜。
パンジャンドラムでも持って来い
なんたるシンクロ。
むしろドイツ第三帝国を丸ごと召喚 総統閣下とヒムラーは魔法と聞いてめっちゃ飛びつきそうだな
被ったので桜花に乗ってレキシントンに特攻してくる
>>903 そういった策略は土魔法による防御やフライ、レビテ−ションによる脱出で
無効化されてしまうのですよー
>>910 他所にそんな作品があるのですよー
あっちはドイツじゃなくて近未来日本ですが
>916 >あっちはドイツじゃなくて近未来日本ですが ああ、あの火葬戦記モドキか…… あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin軍板 とかありそうな気がする。
お医者キャラ召喚 とりあえずファウストはもう呼ばれてるから・・・・・・・・・トキさま(仮名)とか?
>>916 某所では殆どが平民の傭兵だったから効果大だったらしい
>>916 城の城壁が一気に振ってくるのに。
レビテーション如きで防がれるもんかね。
それにどれくらいの人が貴族でどれくらいの人が傭兵かでも。
被害は変わってくるもんじゃないかね。
ハムテル・二階堂・菱沼さん・チョビを菅原教授の車ごと呼ぶとか
>>921 城壁自体にレビテーションかければいいのですよー
平民なら防ぎようはないですがこの世界の戦争で二千や三千程度の平民を(つまりは使い捨ての雑兵を)
死なせた所で戦況に影響など無いと思われるのですよー
現実の兵器を大量行使ならマツシタでこっちでもやってるじゃないか ただし敵側だが
ぼちぼち設定スレ行きだが興味深いな。 城壁全体をレビテーションさせられるとして、その城壁が砕けたら瓦礫全てにレビテーションがかかるのか、あるいはキャンセルか。 瓦礫全てにレビテーションがかかったとして、爆発による運動エネルギーをどの程度レビテーションが支えられるか。 知的キャラ召喚だと、リアル物理法則だけじゃなくファンタジーな魔法理論まで考えないといけないとか死ねるよね、設定にこだわる作者は。
>>894 亀だが毒の爪の人乙!
続きがんばって〜
ゼロ魔世界に現代兵器……原作とは違うけど、FF6みたいな世界になるなら良かったのに。 そしてコルベール式魔導アーマーでアニエスと初期ルイズが歓喜?
>>926 ファンタジーの要素が濃い(つまり本編に忠実)なら慣性の法則とか質量とか
運動エネルギーとか無視して「ピタッ」と止まってしまうのではないかと愚考するのですよー
どの程度の質量(大きさや重さ)を止められるかはそれこそ術者の力量によって変わるのではないかと
思われるのですよー
この考えは策略でよくある「せき止めた川の水で水攻め」にも関わってくる(魔法で水攻めはあっさり防がれる)
のではないかと思うのですよー
ファンタジーな魔法理論は理論として成り立ってないから困る。
そもそもゼロ魔の魔法やら世界設定やらが典型的なファジー・ファンタジーだから 理屈は精神力で捏ね上げればどうとでもなる
>>926 なら、ゆで的知的キャラのミート君を召喚すればいいよ
そうすれば物理法則も魔法理論も作者の都合のいいように出来るからw
ただオレは、知的なミートより昔のマスコットなミートの方が好きだけどね
>>932 ああそうか
二世でいきなり天才とか言われだしたのが不思議だったが
ゆで世界の物理法則を解析できる頭脳なんだ
そりゃあ正義超人の至宝と呼ばれるわな
>>933 ぶっちゃけていうと作者が物理法則とファンタジー魔法とどっちに重みをおいて書くかで
全て決まると思うのですよー
よく言われるが錬金とかすげぇオーバーテクノロジーだしな ところでその翠星石みたいな語尾はどうにかならねぇのですよ?
戦車運ぶのに20人ものメイジが絶えずレビテーションかけて、それでも東方号の船底が抜けそうなくらい重量が残ったわけで(14巻)、レビテーションで城壁瓦礫を支えるのは無理だと愚考する。
>>938 幾人かがレビテーションで落下速度を抑えてる間に他のメイジが風や土のスペルで
砕いたり横へどけたりとすれば瓦礫全部を支えるとまで行かなくとも
兵士達の何割かの安全を保つのは可能ではなかろか
>>933 レビテーション(周囲は浮く)ってエターナルフォースブリザードみたいだなw
>>939 とっさにそこまで連携が取れるほどの練度は無いんじゃないかな。
それに、まずは「落下する自分を助ける」ためにレビテーションが必要だろうし。
瓦礫の重量は戦車なんか目じゃねえぜ?
そういえばレビテーションって単体おんりー? 複数ばっちおっけ?
単体だろう、複数浮かせている描写がない以上 そんでもって複数人で一つの物体に同時にレビテをかけることも虎が証明してくれてる 二十人掛かりでオストラント号の底が抜けそうになるぐらいまでしか重量軽減できてないけど 一人当たり1トンちょいってところだろうか?浮かせられる重量は
wikipediaによると、軽い方でも50トン以上あるみたいだから オストラント号は30トンまでならいけるのか
TK-Xもとい10式なら44tだ 高性能でしかも軽い!
ワルドが一人で船浮かせてたのは風石を併用してたからできたってことでいいのかな
ワルドはスクエアでも超エリートで超優秀だろ。ワルドさん馬鹿にすんな。
じゃないの? 個人的には集中が必要なレビテーション(集中乱れたらこっぱげは落ちそうになってた)を一晩維持するのが一番凄いと思う 流石魔法衛士隊隊長
結局、出来るといったら出来るという事になるだけで
すごいね、人体
ワルドはマッハ4で空を飛び、ワルドは単独で大気圏離脱が可能で、ワルドはワープ速度9.97でワープするからな。
そんなワルドに勝ったサイトはマジ半端ねえ
柳田理科雄あたりが解説してくれないかな、マッハに到達した瞬間に死ぬワルドとかw
>>951 ワルド腕は鋼鉄をも握り砕き、ワルド足によるキックの威力は王選手のホームラン1000本分。
弱点はお腹のワルド袋。
ワルド袋wwwwww すごい懐かしい響きだ
ていうかこんな世界じゃ、ティーガーは強すぎ。 守れず貫けないチハたんじゃないと。
>>957 整備も補給も立ち行かないから、戦略的にはそれほど強いってことも無いと思うけど。
さて、近場の本屋に15巻が入ってないから通販にでも頼るかねえ。
アマゾンか楽天か……
>>950 の人から反応が無いんで、次スレ立ててきます。
次スレ、立てられませなんだ。 どなたかお頼み申す。 『ムネン アトヲタノム』
「えっ!15巻でてたのか!」 ぽつぽつ雨の中走ってかいにいく。 売ってない(ちくしょう…アピ●の野郎… 帰り 大粒の機関銃雨 ア●タ…●ピタぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!!!
行って来る
スマン、オレも弾かれた・・・ orz
>15巻 とりあえずメイドの人と姉妹スレのエンポリオの人は設定補助がしやすくなったな そうか、リアルで見たのかジョゼフ…
そういうのは運営議論スレで話し合うべき で、スレ立て行ってみる
いらんだろ。 wikiにリンク作るくらいはいいだろうけど。 まぁ載せたいなら運営議論で提案してみては?
大儀であった
あ、ありのままに(中略) 『Part.171スレ中に投下できるだろうと思ったらいつの間にか次スレが立っていた』 な…何を言ってるのか(後略) いや、ほんと。早く続き書かないとなぁ。もうちょっとや、もうちょっとなんや…
モンスターコレクションよりシン・メーン・アルティエン召喚。 元から強い上に7万戦では部下を召喚して大活躍。 問題はルイズが下品な方向に行きそうな事w
埋め 鉄腕バーディよりバーディ召喚 というのを考えてみたが、あれは男から女に変身するから面白いんだよな バーディ単体で呼び出したりルイズをバーディの中に入れてもあんまり面白くないか
すみません途中で送りましたorz あとギーシュがコルボポジション(女難的な意味で)になることw
なんか次スレがひどい事になってるんだけど
専ブラを導入している俺に隙はなかった みんなで使おう専ブラ
こんなとき、不意打ちで別スレを立てたら、偽テンプレ野郎はどう対応するのだろうか ってここに書き込んだら意味無いんだけども
ネタは浮かんでも文章に出来ねー・・・ MUGENのKFM召喚モノ・・・
>>978 どう対応するもなにも、その別スレも荒らすという行動意外は考えにくいな。
意外じゃない、以外だった。ゴメン。
やっぱり食いついてくるか。誤魔化しが効かないんじゃダメだな・・・
MUGENといえば鬼巫女と◇(_○)◇と神みずかとunkが好きだな
>>979 ウワァ…ウワァ…ウワァ…しか目立った台詞が無いじゃないか
ところでKFMって彼女いるんだよな
うめるか。
1000近いし、ネタだけでも書いておくわ ・召喚>KFM、無口。 ルーンは胸にM.U.G.E.N ・部屋にて使い魔の心構えを教えて感覚の共有について話してみると KFMの遠隔操作が出来ることを知る(感覚の共有はおk) ・一応設定的には道場の主だったから雑用もできる ギーシュの決闘でドラクロに変身orカンフーメンに変化でギーシュをボッコ フーケイベントでADSのコアが盗まれる + 捜索した後ADS化。 >ゴーレムを一撃で喰ってNO FUTURE 没ネタ ・ADSのステージシフトで大軍が宇宙空間に転送されあぼーん ・鬼巫女のキンクリで全滅 ・姉妹スレの吸血鬼のスタンドを持つメイドさんにもなったり、光を降らしまくる上半身裸の神とか
避難所に引っ越せばアク禁も削除もおkだよな
>>986 それさ、ぶっちゃけ最悪三次創作になっちまうような気が。
この調子だと 最悪避難所が本スレ代わりになる事も考えられるな。
いよいよもってコピペ荒らしがうざいなぁ 新参さんが入りにくくなるじゃないか
何スレか試しに避難所でやれば良いんじゃないとか思うけど、管理する側ってのも大変そうだしな・・・ 姉妹スレ並みの進み具合なら出来そうだが、こっちはまだ進み悪いってわけじゃないから で1000ならノエインからアトリ召喚
>>1000 ならティーガー戦車に対抗するためスターリン戦車召喚
>>1000 なら
タイガー戦車に対抗しようとするスターリン戦車に対抗するルーデル召喚。
>>993 なら
スターリン戦車に対抗するためにルーデル閣下召喚
考えることは一緒かwwwww
じゃあ
>>995 ならルーデル閣下の落とし子、A-10を召喚
1000ならプロット組み直す
1000ならカビバよりスパイク・スピーゲル召喚 ガキ+はねっ返りのルイズに発狂寸前に
l
1001 :
1001 :
Over 1000 Thread このスレッドは1000を超えました。 もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。