あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part170

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part169
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1221058613/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!


     _       ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,     本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし     ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ      本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |     ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l      ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
              ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。


.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 14:46:48 ID:ed9J2iQS
>>1
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 14:47:21 ID:gNOxXdLz
>>1乙!>>1の他にテンプレなし!
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 14:50:55 ID:fX6EaLvb
>>1
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 14:52:27 ID:9GI5+U3p
乙といわざるを得ない
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 14:54:26 ID:HyIXrHZP
>>1
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 14:55:18 ID:pisMOU5T
>>1
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 14:56:40 ID:cod2J3GC
>1乙ー。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:00:28 ID:gkiBYA06
>>1
乙なんぢゃよー
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:04:07 ID:ya78Fd2z
>>1とこのスレの前途を祝して、乙
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:07:58 ID:Q+p9iQ8H
>>1乙と言わざるをえない。
以下、のテンプレモドキは偽物。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:08:35 ID:EI1iJG5u
>>1
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:09:44 ID:WTW3+Gph
1乙。
14ウルトラ5番目の使い魔:2008/09/14(日) 15:16:05 ID:wBxH0KIn
1 乙です。

第13話、なんとか完成いたしましたので、トップバッターで15:25ごろから投下を開始したいと思います。
今回で、長く続いたメカギラス編もラストです。
また、かなり長くなってしまいましたので(7/12)から代理をお願いいたします。
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:18:04 ID:HyIXrHZP
北斗と南で支援
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:22:22 ID:gkiBYA06
やっぱスレの終わり頃に投下するもんじゃないなぁ
>>14を全面的に支援する
17ウルトラ5番目の使い魔 (1/12):2008/09/14(日) 15:26:07 ID:wBxH0KIn
 第13話
 落日の決闘!!

 四次元ロボ獣メカギラス 登場!
 
 
 燃えるような夕日の下、その紅い光に照らされてウルトラマンAがトリステイン城を守るように構えている。
 迎える相手はバム星人の作り上げたロボット怪獣メカギラス、巨大なパワーを秘めてミサイルと破壊光線で
武装した鋼鉄の巨竜。
 今、両者の銀色の体は夕日に照らされ、まるで黄金のような幻想的な輝きを放っていた。
(こいつを倒さないと、トリステインは滅ぼされるわ。サイト、いつもどおりサポート頑張んなさいよ)
(うーん。こいつに関してはよく分からないんだが、とにかく勝たないと話にならないからな!!)
(来るぞ、ふたりとも!!)
 かん高い音を上げて、メカギラスの頭部からミサイルが放たれてエースの周辺で爆発を起こし、エースは
城へ被害を出さないために天高く飛び上がる。戦いが始まった。
 
 その様子はトリステイン城を見上げるトリスタニアの街全域からも眺めることができた。
「おい、大変だ!! 外に出てみろ」
「なんだ、城が、城が燃えてる!!」
「それに、怪獣もいるぞ、戦っているのは……」
「ウルトラマンAだ!!」
 
 空中へ跳んだエースは、メカギラスの頭上を飛び越えて反対側に着地した。
「デヤァッ!!」
 エースはメカギラスの真後ろから飛び掛る。鈍重なメカギラスは急には振り返れずに後ろはがら空きだ。
(もらった!!)
 才人が叫んだように、メカギラスは足をガシャガシャさせているだけでまるで旋回が間に合っていない。
だが、メカギラスはそのままの姿勢のままで首だけを関節部から180度回転させると、ミサイルと破壊光線を
エースに向かって連射してきた。
「シャッ!!」
 間一髪、エースは側転でそれをかわしたが、流れ弾が街に着弾して各所で火災が発生し始めた。
(街が!)
(待て、今はこいつを倒すのが先決だ。住民達も先のベロクロンとの戦いの後の非難訓練が行き届いている。
すぐには惨事にはならない)
 あの炎の下で、いくつの家が焼かれ、いくつの幸せが壊されているのか、それを思うとエースの胸も痛む。
しかし、その悲劇を少しでも減らすために、今は心を鬼にしてメカギラスを倒さなければならない。
そのあいだにも、夕日の赤い光に、炎の赤が加わり、血の様に街に広がっていく。
18ウルトラ5番目の使い魔 (2/12):2008/09/14(日) 15:27:11 ID:wBxH0KIn
「ダッ!!」
 エースは、首に合わせてようやく旋回が終わったメカギラスに向けて、再び構えをとった。
 
 
 そのころ、エースによって窮地を救われたキュルケとアニエス達は、城中に残っていたWEKCと銃士隊を
かき集めていた。
「ギーシュ、みんな無事?」
「ああ、僕らはみんな大丈夫さ。それよりも、これはどうなっているんだい? 敵の計画は阻止したんじゃなかったのか」
「あいにく、敵が悪あがきしてね。だめだった。ね」
「ね、じゃないだろ、どうするんだよ!!」
 ギーシュ達はどうしていいのかわからずに、完全にパニックになってしまっている。
「お前達、静かにしろ!!」
「はいっ!!」
 アニエスは一喝して少年達を黙らせると、銃士隊を見渡して言った。
「全員揃っているな。いいか、第1班は私とともに女王陛下、王女殿下方を城から避難させる。ミシェル、お前は
残りの班を指揮して火災の延焼を全員が避難するまでなんとか食い止めろ」
「はっ、隊長、ご無事で」
「お前もな。だが無理はするな、王族と首脳陣の避難が完了したらあとは各自の判断で脱出しろ」
「はっ!!」
 ミシェルは、銃士隊の4/5を引き連れると、燃え盛る炎へ向けて立ち向かっていった。
 そしてアニエスは次にギーシュ達を見渡すと、よく通る声で言った。
「それから、お前達!」
「あっ、はいっ!!」
「お前らもミシェル達に協力して消火と城の者達の避難に当たれ、どんな方法を使ってもかまわん。消火不能だと
判断したら破壊してもいい。私が責任をとる!!」
「!?」
「どうした、ウルトラマンが怪獣を抑えている今しか猶予はない。早く行け!!」
「はい!!」
 生徒達は、ここでもアニエスの気迫に圧倒されていた。部下の責任を全て自分一人でかぶるなど、簡単に
言えるものではない。
 しかし、生徒達にも貴族の子弟としての意地があった。平民に責任を負わせて助かろうなどといった
腐った考えを持った者は少なくともこの中にはいない。水や土の系統の使い手は消火にまわり、炎に相性の
良くない火や風の系統の使い手は『開錠』や『連金』を応用して避難経路を造ったり、『レビテーション』や
『フライ』で水場から消火用水を運んできたりしていた。
 だが、火災の勢いはそれらの努力をあざわらうかのように徐々に延焼を広げていった。
  
19ウルトラ5番目の使い魔 (3/12):2008/09/14(日) 15:28:13 ID:wBxH0KIn
 そして一方、アニエスらは王女アンリエッタをはじめとした王族や国の重鎮達を避難させるために謁見の間まで
やってきていた。
「皆様方、炎がそこまで迫ってきています。ここは危険です、ただちにご避難ください!」
 アニエスは狼狽している貴族や大臣達を、隊員達に命じてなかば強引に退去させていった。
「アニエス、来てくださいましたか」
「女王陛下、姫様も早くご避難ください」
 しかし王女アンリエッタはかぶりを振って答えた。
「私は最初の戦いのとき、絶対にこの城から逃げ出さないと誓約しました。皆が戦っているというのに王族が
敵に背を向けるわけにはいきません」
「姫様、それは違います。今皆が必死に戦っているのは姫様達を安全な場所までお連れし、ひいてはこの国を
守るためなのです。敵と戦っての討ち死になら私がどこまでもお供します。しかし炎にまかれて死んでは
犬死以外の何者でもありません」
 王族の誇りを守ろうとするアンリエッタをアニエスは必死で説得した。
「わかりました。ただし、王族はこの城の主です。この城から離れるのは最後の一人となってからです。
あなた方も、一人も残らず逃げ延びたら、私もここを離れましょう」
「うけたまわりました。それでは、城の東側はまだ火が回っていません。お急ぎください」
 すでにここにも煙が流れ込みはじめて来ている。一刻の猶予も無いが、幻獣などの目立つ乗り物を使っては
いい的にされてしまうので、走って逃げ延びるしかない。
(だがそれも、ここであの怪物を倒せたらの話だ。首都を壊滅させられては、すぐに滅亡はせずともトリステインの
国力は激減する。ウルトラマンA、頼む、なんとしてでも奴を倒してくれ)
 熱気を帯びた廊下を駆けながら、アニエスはエースの勝利を切に願っていた。

 
 だが、ウルトラマンAはメカギラスを相手に、予想外の苦戦を強いられていた。
(くそっ、バリアか!?)
 メカギラスの弾幕をかいくぐり、掴みかかろうとしたエースはその寸前で、突如見えない壁にぶつかって
跳ね飛ばされてしまった。その壁はメカギラスの全体を包み込んでいるらしく、エースのチョップもキックも
歯が立たない。なおかつ、メカギラスの攻撃は素通しするらしく、バリアの前で立ち往生しているエースに
向かって至近距離から破壊光線を放ってきた。
「グワッ!! ヌォォッ」
 直撃を食らったエースは思わずひざをついてしまった。まだたいしたことは無いものの、これを何発も食らっては
危険だ。
(エース、危ない!!)
(!?)
 とっさに右に飛びのいたエースのいたところを、ミサイルと破壊光線の乱射が通り過ぎていき、それが街に
当たってまた火災が広がっていく。
20ウルトラ5番目の使い魔 (4/12):2008/09/14(日) 15:29:10 ID:wBxH0KIn
(大変だ、このままじゃ街が燃えちまう!)
(ちょっと、このままじゃせっかく復興したトリスタニアが台無しになっちゃうじゃない!! サイト、あんたあいつ
のこと知ってるんでしょ、弱点とかないの!?)
(そうは言っても、前のメカギラスは記録にあるのはウルトラマン80が異次元から引きずり出したのを
倒したところしかないから、どうやって戦ったのかは分からないんだ!)
 悪いことに、才人の知識には、どうやってウルトラマン80がメカギラスを破ったのかというその方法が無かった。
もちろんエースの地球滞在以降に出現した怪獣なので北斗の知識にも無い。少しでも良い材料があるとしたら
誘導装置を全て破壊したことで、メカギラスが異次元に逃げこむことと、テレポート攻撃をしなくなっていること
があるが、それを差し引いても、その攻撃力と防御力はすさまじかった。
(もう、だったらあのなんとか光線で決めちゃいなさーい!!)
 しびれを切らしたルイズに思わずエースもびくっとしたが、今はそれしかないかもしれない。エースは上半身を
大きく左にひねると、投げつけるようにメカギラスに向かって両腕をL字に組んだ。
『メタリウム光線!!』
 エースの腕から必殺の光線が放たれる。しかし、やはりメカギラスの直前で、まるでガラスにぶつかった
水鉄砲の水のようにはじかれてしまった。
(くそっ! メタリウム光線でも駄目なのか!!)
 時間の経過とエネルギーの消費でエースのカラータイマーが鳴りはじめた。
 メカギラスはその場からほとんど動かずに、首だけを旋回させてミサイルと破壊光線を連射してくる。
まさに動く要塞だ、だがその鉄壁の防御を破らなくては勝機はない。
 そのとき、さらにメカギラスの破壊光線が飛んできて、とっさにかわしたエースの居た場所で爆発を起こした。
(このぉ、自分だけ一方的に攻撃できるなんて卑怯よ!!)
 思わず怒鳴り声を上げたルイズだったが、その言葉を聞いて才人ははっとした。
(待てよ、向こう側の攻撃は通すってことは……エース!)
(なるほど、目には目を、バリアには……)
 合点したエースは、メカギラスの真正面に立ち、まるで挑発するように身構えた。
 当然、メカニズムの塊であるメカギラスには挑発など意味がないが、その電子の頭脳は、停止した標的に
向かって正確に照準を合わせた。
(来る!!)
 メカギラスの両腕が高く上がり、錆びた扉を思い切り開いたようなこすれた鳴き声が上がったとき、エースは
両手を高く掲げて、そのまま円を描くように体の前で回転させた。
(バリアには、バリアだ!!)
 瞬間、メカギラスの頭部から発射された破壊光線がエースに殺到する。しかし、それらはエースの眼前に
出現した丸い光の壁にさえぎられて、そのままメカギラスへ向けて跳ね返されていった。
『サークル・バリア!!』
 あらゆる光線をそっくりそのままお返しするエースのバリアにはじかれたメカギラスの破壊光線は、
メカギラス自身のバリアは素通りするという特性はそのままに、メカギラスのボディを直撃し、その内部の
回路や構造体をショートさせ、焼き切らせていく。
21ウルトラ5番目の使い魔 (5/12):2008/09/14(日) 15:30:34 ID:wBxH0KIn
(いまだ、エース!!)
 よろめくメカギラスに向かってエースは跳ぶ。すでにバリア発生装置も破壊されたのか、エースをさえぎる
ものはない。
「デヤッ!!」
 エースの跳び蹴りがメカギラスの右肩を直撃し、肩の関節部分から盛大に火花が散った。
「テヤッ!!」
 後方に着地したエースはすかさず反転して、今度は左肩にキックをお見舞いした。再び花火のように
大量の火花が散り、メカギラスの両腕は力を失ってだらりと垂れ下がった。
(今だ!!)
(とどめよ!!)
 すでにメカギラスは駆動部もやられたのか、全身から火花と煙を吹き始めている。だが、それでも奴は
命じられたただひとつの『破壊』というプログラムを遂行するために、体中の関節をきしませてエースに向き直った。
「シュワッ!!」
 エースは胸の前で両腕をクロスさせると一瞬、白い閃光が走った。
「デヤァ!!」
 瞬間的にエネルギーが圧縮され、そのまま両腕を水平にメカギラスに向かって押し出すと、腕の間から
三日月形に整形されたエネルギーの刃が飛び出した。
『ホリゾンタル・ギロチン!!』
 これぞ、エースがもっとも得意とするギロチン技のひとつ、水平発射されたカッター光線は狙い違わずに
メカギラスの首に命中、関節部を切り裂いて頭部を空中に吹き飛ばした。
 そして、宙に飛んだ頭部が大地にひしゃげた音を立てて転げ落ちた時、残った胴体も完全にコントロールを
失ったらしく、小さく爆発を起こした後に両腕が関節部からもげて、あとは積み木の城を崩すかのように
ガラガラと音を立てて崩れ落ちていった。

「やったあ!!」
 城の者、街の民、貴族平民、あらゆる身分を問わずに、この戦いを見守っていた者達全員から歓声があがった。
 もちろん、才人とルイズも同様である。
(よっしゃあ、勝ったぜ!!)
(ふん、このわたしにケンカ売ろうなんて百年早いのよ)
 メカギラスを撃破し、得意満面のふたりであったが、そのときエースは厳しい声でふたりに言った。
(いや、まだだ!!)
 ふたりは突然のエースの声にびくりとした。メカギラスは確かに倒したはずだ、なのにまだ何かあるというのか?
「シャッ!!」
 しかしエースは何も言わずに跳ぶと、トリスタニアの市街地の中に静かに降り立った。
 街の人々は、突然やってきたウルトラマンAに驚き、逃げ出す者もいるが、エースはそれにはかまわずに、
今の戦いの流れ弾で火災を引き起こした家屋に、両手のひらをつき合わせて向けた。
22ウルトラ5番目の使い魔 (6/12):2008/09/14(日) 15:31:40 ID:wBxH0KIn
「シャッ、デュワッ!!」
 すると、エースの手のひらの間から大量の水が噴出して、炎を覆い、みるみる消し止めていく。
『消火フォッグ』
 エースの能力の使い道は攻撃だけではない。時にはこうして怪獣の被害にあった人々を救い、その被害を
最小限に抑えることもできるのだ。

「やった、火が消える!」
「火事が消えていくわ、アンナ、ミナ!!」
「よかったな奥さん、これで取り残されてた子供達も助かるぜ!」
「おかあさーん、エース、ありがとー!」

 街のあちこちから、人々がずぶぬれになるのも構わずに手を振っているのが見える。
(怪獣を倒しただけでは、まだ戦いは終わったわけではない。戦いのあいまに傷つき、大切なものを失っていく
人々のことを忘れてはいけないよ)
 エースにそう諭されて、ふたりは有頂天になっていた自分を恥じた。
 一軒、また一軒と、エースは延焼のひどい家屋から順に消し止めていく。しかし、燃え上がっている家屋は
多く、すぐにすべてには行き届かない。だが、エースの行動に勇気付けられた人々は、自分達の手で火災を
消し止めようと、力を合わせてバケツリレーなど消火活動に当たっていった。
 そんな人々の様子を、才人は頑張れと声援を上げて、ルイズは気恥ずかしそうに唇をかんで見守っていたが、
エースの視界に、炎上し続けているトリステイン城が入ると、ルイズはまるで我が身が燃やされているかのように
叫んだ。
(エース、城が、トリステイン城が燃えてる!! 先に、先にあっちの火を消して!!)
 だが、エースはそれを承諾しなかった。
(だめだ、城はもうほとんどの人が避難し終わっているが、街の延焼は今消し止めないと犠牲者が大勢出る)
(でも、数千年の歴史と伝統の王城を……)
(歴史と伝統は千年あれば作れるが、失われた命は何万年たっても戻ってきはしない。ルイズくん、君にも
聞こえるだろう。炎にまかれて苦しむ人々の声が、それに背を向けることが、君にできるのかい?)
 かつて北斗星司として、超獣の脅威に苦しみ、道を見失った少年や少女達をはげましたときのように、
エースの言葉は、貴族として王家のために尽くすか、それとも力無き人々を守るのかと対立する
ルイズの心を揺さぶった。
 そして、迷うルイズに才人は、少しとまどいながら話しかけた。
(なあルイズ、俺はお前の言う貴族の誇りと義務ってやつは、正直理解できねえ。だけど、その誇りを守るために
一生懸命に頑張ってるお前は、本気ですげえと思ってる。けど……)
(……くっ、うるさいうるさい!! どいつもこいつも人の気も知らないで……貴族として生まれた者がどれだけの
義務と責任を負うかも知らないくせに!)
(ああ、確かに知らない。けれど、目の前で家族や友を失おうとしている人の涙より重いものがあるのか?)
(…………)
 ルイズは今度は怒鳴りつけることもせずに、言葉にできない感情を才人に向け、才人はそれを黙って受け止めた。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:32:13 ID:EI1iJG5u
支援
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:32:53 ID:Q+p9iQ8H
支援
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:33:03 ID:4JC9hgg8
代理入る?
26ウルトラ5番目の使い魔:2008/09/14(日) 15:45:06 ID:wBxH0KIn
代理、お願いいたします。
27ウルトラ5番目の使い魔(代理):2008/09/14(日) 15:49:48 ID:4JC9hgg8
才人にとって、目の前の光景は決して他人事ではない。地球も、彼の召喚された当時こそ平和であったが、
ほんの数年前までは、毎日のように怪獣や宇宙人の襲来が相次ぎ、ニュースで犠牲になったそれらの人の
名前が読み上げられる度に、次は自分かと心の中で思っていた。
 だから、そんななかでいつも必ず駆けつけて、人間のために戦ってくれるウルトラマンの存在は本当に
心強かったし、あこがれた。そして、だからこそ才人には、目の前の人々を見捨てることはできなかった。
 
 やがて、街の人達の懸命の努力もあって、市街地の火災は完全に消し止められた。
「ショワッチ!!」
 エースはトリステイン城の上空へ飛ぶと、空中で静止したまま消火フォッグを雨のように降らせた。
しかし、城の火災はかなりなものに拡大しており、多少勢いは弱まったものの、鎮火のきざしは見せなかった。
 しかも悪いことに、戦いの後の上に長時間消火にエネルギーを消費したために、エースのカラータイマーの
点滅は、もはや限界に達しようとしていた。
(くそっ、もう力が……)
 カラータイマーの点滅はウルトラマンの命そのものを表す。その点滅が消えてしまったら、エースは2度と
立ち上がる力を失ってしまうのだ。
 だがそのとき、城から脱出していたキュルケ達が、エースのピンチを見て取って、振り返った。
「エースが危ないわ、みんな、エースを助けましょう。城の火をわたしたちで消し止めるのよ!」
 キュルケは、ホタルンガとの戦いで、カラータイマーの点滅が危険を表すものであることを知っていた。
しかし、彼女の意気込みとは裏腹に、ギーシュが汗まみれで息も絶え絶えな表情で言った。
「ミ、ミス・ツェルプストー……き、君の言うとおりだ……だけど、もう僕達には、系統魔法どころか、
フライひとつ使うだけの精神力も、の、残ってないんだ……」
 そう、トライアングルクラスの使い手で、莫大な精神力を持つキュルケやタバサはまだしも、大半が
ドットやよくてラインクラスの力しかない少年達の力はすでに限界にきていた。
「そんな……」
 キュルケは愕然とした。自分にはまだ余力があるから気がつかずにいたが、少年達はもう立つだけで
精一杯の力しか残っていない。そして、いくらなんでも自分とタバサだけではエースを助けて城の火を消す
などということは不可能。
(みんな、もういい。早く離れてくれ……)
 皆の声を上空で聞き、エースは残りの力を振り絞って消火フォッグを放つ、だが、炎の勢いは治まらず、
もはやこれまでかと思われた。そのとき。
28ウルトラ5番目の使い魔(代理):2008/09/14(日) 15:50:36 ID:4JC9hgg8
「皆さん、下がってください」
 キュルケ達の後ろから、鈴の音色のような声が響き、生徒達が思わず振り返ると、そこにはトリステイン王女
アンリエッタが、アニエスら銃士隊に護衛されて立っていた。
「ひ、姫様!?」
「皆さん、ありがとうございます。あとはわたくしがやります」
 思いもよらぬアンリエッタの言葉に、ギーシュ達トリステインの貴族らは苦しい息の中で必死になって止めようとした。
「ひ、姫様、そんな、危のうございます。早く、ご避難をっ、ゴホッ、ゴホッ!!」
「ありがとう、けど大丈夫です。アニエス、城の中の者は全員避難したのですね?」
「はっ、城内の者は牢獄の罪人にいたるまで一人残らず、間違いありません」
 アニエスの報告を受けて、アンリエッタはこくりとうなづくと、宝玉をあしらった杖を取り出し、そして生徒達を見渡して言った。
「この中に、風系統の使い手で、まだ余力を残している方はいらっしゃるかしら?」
 すると、タバサがキュルケに押されて前に出てきた。
「あなたは……いえ、ごめんなさい。わたしに力を貸していただけるでしょうか?」
 アンリエッタは、タバサの独特の青い髪の色と、見覚えのある顔つきに一瞬気を取られたが、今は気にしている
場合ではないと思いあたり、誠実に協力を請った。
「……」
 タバサは何も言わずに首を前に振った。
「ありがとう。では、皆さんは離れて、あなたはわたくしに合わせて風のスペルをお願いします」
 アンリエッタとタバサは横に並ぶと、城へ向かっての呪文の詠唱に入った。系統はアンリエッタが『水』『水』『水』、
タバサが『水』『風』『風』の6乗のトライアングル。それらは重なり、増幅しあって、やがて巨大な水の竜巻を作り出した。
 魔法の理論上で言えば、トライアングルクラスの魔法を最高の精度で組み合わせれば、ヘクサゴン・スペルという
通常とは比較にならない威力を生むという。しかし、そのためには使い手が最上級であることを前提に、両者のあいだに
完璧な同調をも必要とする、まさに理論上での極大魔法であったが、そのとき皆は、竜巻にいびつな形ながらも
刻まれた六芒星の輝きを確かに見た。
 竜巻は、城を包み込むと、ゆるやかだが大河の流れのように雄雄しく回転し始めた。炎は水の勢いに押されて
次第に小さくなっていくが、まだ火勢は強い。しかし、ふたりの呪文が完成したとき、竜巻はその姿を変えた。
 竜巻に含まれる水分が急速に冷却、凝固を始め、水の竜巻は氷の竜巻に姿を変えていく。
「きれい……」
 誰とも無くそうつぶやいたように、夕日の残光を受けて、氷の竜巻はまるで金塊が飛び交っているように輝いていた。
しかも、それは空気中の水分はおろか、エースの消火フォッグの水分までも吸い込み、内部を真空に変えて
炎から熱と酸素を奪い取り、あれだけあった火炎を、まるで握りつぶすかのように消滅させてしまった。
「やったやった。火が消えたぞ!」
「やっぱ、王家の魔法は俺達とは段違いだな。王女様、ばんざーい!!」
 竜巻が役目を終えて消滅したとき、太陽は完全にその姿を隠し、代わって双月が輝きだし、銃士隊や
WEKCの生徒達、ほかにもこの光景を見ていた大勢の人々から一斉に歓声があがった。
 アンリエッタは、振り返って微笑むと一礼して言った。
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:51:14 ID:p3IPjipk
代理 支援
30ウルトラ5番目の使い魔(代理) 9/12:2008/09/14(日) 15:51:24 ID:4JC9hgg8
「皆さん、ありがとう。けれど、これはわたくしだけの功ではありません。敵と戦いながら、城の人々を逃がし、
炎の勢いを喰い止めてくれた銃士隊と、魔法学院の生徒の皆様がいてくれたからこそ、わたくしが魔法を
使うだけの猶予が残っていたのです。そして……」
 彼女はそこで一旦言葉を切り、空を見上げて、星空を背にして見下ろしているエースに語りかけた。
「ウルトラマンA、この国を、再びヤプールの脅威から救ってくださって、ありがとうございます。トリステインの
民全員を代表して、心よりお礼を申し上げます」
 そして、優雅に会釈すると、片手を振って感謝の意思を示した。
 エースは、それを見届けると、一度だけゆっくりとうなづいて見せ、満天の輝きを見せる星空へと飛び立った。
「ショワッチ!!」
 人々は、エースの姿が夜空に見えなくなるまで、手を振り、ありがとうと叫びながら見送っていた。

「それから、あなたにもお礼を……」
「友達のためにしただけ……気にしなくていい」
 アンリエッタが、タバサにも礼を言おうとしたとき、タバサはもう用は済んだとばかりに背を向けていた。
「待って、あなたはわたくしの恩人です。さきほどの魔法は、わたくしだけではあれだけの力は出せません
でした。それに、あなたのその髪の色と、魔法の才、あなたはもしかして……」
「姫様、もし本当に私に感謝する気持ちがあるなら、それ以上の詮索はしないでもらえますか」
 タバサはそれだけ言うと、友の待つ元へと帰っていった。
(いいえ、わたくしの記憶が正しければ、あなたは間違いなくガリア王家の……しかし、なぜ……?)
 アンリエッタは、タバサの背中を見送りながらも、心の中から湧き上がる疑問を抑えられなかった。
 
 そして。
「おーい、おーい!」
「!! その声は!?」
「サイト、それにルイズも、まったく悪運の強いやつらだ」
 月の光に見守られ、ふたりは仲間達の元へと帰還した。
 
 
 それから数時間後、かろうじて形だけは焼け残った謁見の間に、生徒達と銃士隊の面々が整列して、
玉座に座ったアンリエッタの言葉を待っていた。
「皆さん、今回の一件は本当にありがとうございました。おかげで、トリステイン城はなんとか機能を
失わずに済み、人命の被害も最小限にとどめられました。もう、何度お礼をしても足りないくらいですが、
わたくしはあなた方のような頼もしい騎士達を持てて、心から誇りに思います」
 すると、全員を代表してアニエスが前に出て言った。
「もったいないお言葉です。我ら一同、王家の武器としていつでも命を捨てる覚悟はできています。
また、戦いのときは我らの命、ご自由にお使いください」
「その忠誠には千の感謝でも足りませんわ。ですが、あなた方の命はまずはあなた方のものです。
あなた方の死はあなた方の家族や友人、そしてわたくしの心を痛めるということを忘れずに、
最後まで大切に守り抜いてくださいね」
31ウルトラ5番目の使い魔(代理) 10/12:2008/09/14(日) 15:52:15 ID:4JC9hgg8
「はっ!」
 アンリエッタの言葉に、彼らはひざをついて頭をたれ、最高位の敬礼で答えた。なかには、ギーシュの
ように感極まって涙を流している者までいる。アンリエッタは、しばらくその様子をすまなそうに見ていたが、
やがて意を決したように、悲しげな声で彼らに言った。
「さて、実はここで皆様に謝らなければならないことがあります。今回の功績に対して、全員にシュバリエの
称号を送りたいところなのですが……」
「それに関しては、私から説明いたしましょう」
 申し訳なさそうにしているアンリエッタに代わって、隣に控えていた枢機卿マザリーニが前に出てきた。
 彼の言うところによると、敵の城内侵入をたやすく許してしまったばかりか、陽動作戦にまんまとはまって
城を無防備にしてしまった以上、彼らに勲章を与えれば軍の無能をさらけだすばかりか、女子供に手柄を
すべて横取りされたと軍内部からも不満が出る、だから今回のことは、軍が出払ったときに偶然敵が
襲撃してきたことにして、国民には発表したいということだった。
 もちろん、これには生徒達はおろか、銃士隊の隊員達からも言葉には出さないものの、副長のミシェルなどは
貴族のこの汚いやり方に、歯軋りをして怒りを表していた。
 また、破壊されたメカギラスの残骸は、後日王立魔法研究所に運ばれて研究材料にされるとのことだったが、
怒りに燃える彼らの耳には届いていなかった。
 だがその一方、彼らの怒りと不満を一身に受けているはずのマザリーニは、落ち着いた表情のまま、
残りの句を継いだ。
「以上、"私の"考えに従ってもらうことになる。皆、異論はないな」
 異論も何も、王族を除けば国の最高権力者であるマザリーニの意向に背くことはできない。不満を持つ
者達は、(薄汚い鳥の骨め)(王女殿下の心を踏みにじりやがって)(それが貴族のやることかよ)と胸の中で
彼を罵倒したが、唯一アニエスだけは微動だにせず頭を垂れていた。
(例え汚く思われても、全体の感情に配慮しなければならないこともある。だが、それを自分の発案だと
言い切ることで、皆の不満を一身に集めて、王女殿下に災が及ばないようにするとは、マザリーニ枢機卿、
鳥の骨などと揶揄されても、貴方という人は……)
 マザリーニは、これだけの人間からの負のオーラを一身に受けながらも、痩せた体を揺るがせもせずに
立っている。いや、彼の立場からしてみれば、こんなものは序の口で、利権争いに貪欲な貴族達との
駆け引きでは、それこそこの国を守るために心を鬼にして戦っているのだろう。
 王女以外にも、忠誠をかたむける価値のある人間の存在に、まだこの国も捨てた物ではないなと思い、
自身の目的のためにも及ばずながら尽力しようと、アニエスは思った。
32ウルトラ5番目の使い魔(代理) 11/12:2008/09/14(日) 15:53:09 ID:4JC9hgg8
 やがて、またアンリエッタが皆にねぎらいの言葉をかけて場を和ませた後、この場を締めくくる言葉を述べた。
「銃士隊、そして学院生徒の皆さん。改めて、心よりの感謝をあなた方にささげます。今回は、本当に
申し訳なく思いますが、あなた方の活躍は、永久にこの胸にとどめておくことをお約束いたします。そして、
あなた方でしたら、次は今回以上の手柄を立てることもできると信じています。そのときは、わたくしの
名誉に賭けて最大限の礼を尽くしましょう。共にハルケギニアに平和をもたらさんことを!!」
「杖にかけて!!」「剣にかけて!!」
 生徒達と銃士隊の唱和が、猛々しく城を超えて夜空にもこだました。
 
 その声は、平民で使い魔であるという理由で謁見の間の扉の外にある控え室で待たされている才人とデルフの
耳にも届いていた。
「どうやら、話は終わったみたいだな。まったく貴族の話ってやつは長ったらしくていけねえや相棒」
「そうだな。ふぁぁ……俺もう眠いや」
「お前さんは間違っても偉くなれんタイプだね。式典の最中に居眠りしてぶち壊す類だ」
「へん、偉くなんて、なりたくもねえ、や……」
 急激にまぶたが重くなり、それっきり才人の意識は深いまどろみの中へと落ちていった。
「相棒、お前さん今日はよく頑張ったよ。その若さで、たいしたもんさ」
 デルフは才人の背で、我が子をほめる父のようにつぶやいた。
 と、そのとき扉が開き、謁見が終わったルイズやアニエス達が控え室に入ってきた。
 もちろん、いびきをかいて気持ちよさそうに眠っている才人の姿が目に入る。当然、きまずい空気が流れた。
「…………」
「あ、娘っ子……相棒もさ、今日はさ、疲れてたんだよ」
 しかしデルフの声は、ゆっくりと杖を振り上げるルイズの耳には届かない。
 そして……

「この、馬鹿犬ーっ!!!」
「わーっ!! ルイズ、ここはまずい!!」
 
 ルイズの爆発魔法が炸裂し、皆は壁際まで吹っ飛ばされて、才人は夢の世界から引きずり出された。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 15:53:45 ID:p3IPjipk
長いな 支援
34ウルトラ5番目の使い魔(代理) 12/12:2008/09/14(日) 15:53:57 ID:4JC9hgg8
「な、何が……げっ、ルイズ!?」
「あ、あんたってやつは……ご主人様がいないと思って、まあ気持ちよさそうに……」
「ま、待て、話せばわかる!」

「うるさーい!!」

 本日、最大最後の大爆発が夜空に響き渡った。
 逃げる間もなくキュルケもアニエス達も巻き込まれて伸びてしまい。最後にルイズは精神力の使いすぎで、
才人は吹き飛ばされて頭を打ったせいで、ばったりと床に倒れこみ、そのまま寝息を立て始めた。
 
 やがて、轟音を聞きつけた兵士達がやってきて、彼らをどかそうとしたが、そこへアンリエッタが
やってきて彼らを止めた。
「そのままにしておいて、朝まで寝かせておいてあげなさい」
「しかし、この聖なる王城の床でこのような無礼な真似を」
「いいのです。彼らはこの国とわたくしの恩人、今はそっとしておいて。ああ、風邪をひくといけませんわ、
毛布を持ってきてあげなさい。命令ですよ」
 アンリエッタが最後に強い口調で言うと、彼らは慌てて毛布を取りに駆けていった。
「本当に疲れていたのですね。アニエス、皆さん、本当にご苦労様です」
 ひとりひとりの顔を見渡し、最後に突っ伏して眠っているルイズに目をやると、アンリエッタは懐かしそうに
その寝顔に語り掛けた。
「ルイズ、あなたは今でも変わりませんね。元気で、真っ直ぐで……」
 ルイズの顔にかかった髪を優しくはらうと、アンリエッタは王城の奥へと静かに去っていった。

 続く
35代理人:2008/09/14(日) 15:54:43 ID:4JC9hgg8
以上で終了です

964 :ウルトラ5番目の使い魔 あとがき:2008/09/14(日) 15:44:25 ID:xckRypMQ
以上です。支援及び、代理投下ありがとうございました。
初めての完全オリジナルストーリーとして作ったメカギラス編ですが、銃士隊やWEKCの結成など、
今後の展開のための設定を盛り込んだ結果、かなり大きくなってしまいました。
次回からはもうちょっと簡潔にまとめられるように気をつけます。
では、次回からは、またどんな怪獣や宇宙人がエースとルイズ達の前に立ちはだかるのか、お楽しみに。
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 16:02:55 ID:RAB5RWkd
作者様に代理の人乙です
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 16:28:16 ID:6WKFMk4D
乙です。
それにしても有能で王族としての責任感に溢れたアンアンはいいものだ。
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 16:45:39 ID:FZTHoMPT
新スレに入ったのに平和だ
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 16:58:59 ID:DAhXXl3q
>>38
この平和を守るために我々は戦い続けねばならないのだ
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 17:10:51 ID:j+23S4O7
良からぬものに反応を起こしたがる己が誘惑と、な
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 17:11:09 ID:WTW3+Gph
ウルトラ乙。
アン様が有能だと…
いい!GJ!
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 17:40:33 ID:ePB1batZ
ウルトラの人と代理の人乙です
有能なアンアンは初めてみたかもw
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 17:51:53 ID:mfQAMBKY
乙〜やはりウルトラマンは永遠のヒーローだな。
ところで昨日公開となった超ウルトラ8兄弟記念にティガを召喚しようと考える猛者はいないですか?
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:05:24 ID:xP/1g8I0
大使い魔17(クロス元大鉄人17)のアン様もかなりがんばっているぞ。
特撮系とのクロスだと相性が良いのか? アン様?
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:15:34 ID:WTW3+Gph
>>43

ティガなら劇場版の後位か?
えっと…グリッターティガはチート過ぎね?
46ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:30:15 ID:Ez8VFyMg
トリップてすと
47ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:31:01 ID:Ez8VFyMg
10分後くらいから投下しようと思います。
支援いただければ幸い。
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:31:21 ID:w6GoCIYy
むしろ年くったマンを呼ぶ猛者はいないのか?
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:32:03 ID:ZpU8s4cn
そういや、原作ではタイガー戦車が出てたようだけど。
ラーテやグスタフが出る作品はいつ出るんでしょうか。。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:37:01 ID:Q+p9iQ8H
初投下であるのなら、差し支えなければクロス先を申せられい。

支援
51ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:38:49 ID:Ez8VFyMg
あ、すいません。
初です。
んでクロス先はロードス島戦記の氷竜ブラムドです。
52ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:41:58 ID:Ez8VFyMg
ゼロの氷竜 一話

顔をしかめるような強い風ではなく、まどろみを誘うようなたおやかな風が吹いていた。
波立つ青々とした草原の上、中空に浮かんだ巨大な鏡。
傍らで唖然と口を開いた、頭髪のさびしい教師よりもはるかに大きな鏡。
木陰で本を広げていた、空色の髪の少女。その傍らに寄り添う風竜を飲み込むのにも十分すぎる大きさの鏡。
その大きな鏡から、白銀の鱗に覆われた、一本の巨大な足だけが突き出ていた。





ゼロの氷竜





ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、同級生からゼロのルイズと揶揄される彼女は混乱していた。
春の使い魔召喚の儀式、その開始とほぼ同時に風竜を呼び出した空色の髪の少女を、ルイズは羨ましいと思った。
無論、意地っ張りと題をつけられるような彼女がその言葉を口にすることはなかったが。
心のどこかでかすかに無駄と思いつつも、
(風竜以上の立派な使い魔を!)
と力を込めて振るった杖から飛び出すのは、今までと寸分の変化もない轟音と爆発。
ルイズの目線の先、かつて青々とした草原であったそれは、岩と土の荒地と化していた。
「ミス・ヴァリエール」
そう声をかけた頭頂部が涼やかな教師は、差し迫った時間を理由に召喚の打ち切りを告げた。
だがルイズは歯を食いしばりながら、同級生の嘲笑と罵声に耐えながら食い下がる。
出来の悪い、しかし真面目で努力家の少女の願いを、煌めく頭部の教師はあと一度だけという条件でかなえた。
精神的に幼い同級生の言葉に傷つき、涙をこらえるためにひびが入るほどに歯を食いしばり、一人の少女は、骨が折れるほどの勢いで、自らの持つ魔力を使い尽くしても構わないという覚悟で、渾身の力を込めて、その杖を振るった。
ルイズは爆音が聞こえなかったことに小さな喜びを覚え、次の瞬間、爆発と轟音にも似た衝撃に目を開いた。
そして見開いた目に飛び込んできた景色は、巨大な鏡からそびえる、鋭い鉤爪を持った一本の巨大な足だった。
半瞬の忘我。
自らの頬に手をやり、つねった痛みに顔をしかめる。
その瞬間、鏡が轟音とともに砕け、思わず顔を背けたルイズが再び鏡のあった場所へ視線を投げると、そこには白銀の鱗を持つ、巨大な竜がその巨躯を横たえていた。
はらはらと少ない髪の毛をはためかせ、呆然と口を開いた教師に目をやる。
口を開いてはいなかったが、これ以上なく目を見開いた赤毛で胸の大きな仇敵の顔を確かめる。
表情の少ない主に代わって口をあんぐりと空けた風竜と、表情の変化が見られない空色の髪の少女を眺めた。
程度の低い野次を飛ばしていた同級生たちも、舌をなくしたかのように声を発しない。
数度の深呼吸程度の時が過ぎる。
あまりのことに使い魔召喚に続く、契約の儀式を忘れていたルイズを尻目に、竜の首が持ち上がる。
開かれた双眸に見据えられたルイズは、不思議と恐怖を感じなかった。
たとえじゃれ付く程度の行為だったとしても、人間の命を奪うに余りあるであろう存在。
魔法学院の長であるオールド・オスマンですら、対しえないであろう強大な魔獣。
だが、その瞳は静謐な水面を思わせた。
まともに魔法を使うことも出来ない自分の召喚に、なぜこれほど巨大で美しい幻獣が応えてくれたのか、ルイズの思考が内側へ向きかけた瞬間、目前の竜が声を発した。
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:42:03 ID:crqjCJax
いっそダンディ4がそれぞれの使い魔……キレイなジョゼフになりそうだな。
イザベラはダンの地獄の特訓とか去れそうで。
54ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:43:11 ID:Ez8VFyMg
ブラムド、かつて彼が住んでいたロードスという島では五色の竜の一体、氷竜と呼ばれた彼は混乱していた。
休眠期に入っていた彼は、まどろみの中でどこかからか呼ぶ声を聞いた気がした。
しかし彼はかつて自らを使役していた魔術師により、一つの宝物に縛り付けられていた。
太守の秘法の一つ、真実の鏡と呼ばれるそれは、どれだけの距離が離れた場所でも映し出し、人を映せばその心すら暴くとされた。
魔術師が滅ぼされ、その王国もなくなったが、彼はその秘法に縛り付けられたままだった。
人間にしてみれば巨万の富を抱えた彼を、宝や名声のために狙うものは絶えず、彼は時に追い払い、時に焼き尽くし、時に噛み砕いた。
自らの望みもしない殺戮を、強大な竜である彼に強要するほど、秘法に込められた呪縛は強く、無慈悲なものだった。
だから今彼が睥睨する小さなものたちに対し、警告をしなければならなかった。
殺戮を、避けるために。
「小さき者たち」
下位古代語、かつて彼を縛り付けていた魔術師たちが日常会話として使っていた言葉。
だがその呼びかけに対し、眼下の小さな者たちは言葉を返そうとしない。
仕方なしに、ブラムドは呪文を唱え始める。
魔術師たちの中で唯一、友とも呼べた魔術師から教わった魔法のうちの一つ、自らの知らぬ言葉を理解するという魔法を。
『言語理解(タング)』
敵意や害意は感じられなかった。
剣や杖、弓矢の類をこちらに向けているわけではなく、それどころか自分がここにいることそれ自体に驚いている様子だった。
わずかな不思議さを覚えながら、ブラムドは再び呼びかける。
「小さき者たち」

「しゃべった!?」
韻竜、それもこれほどまでに巨大な。
無論、衝撃を受けたのはルイズだけではない。
傍らの教師も、同級生たちも、その場にいる全ての人間が、そしてすでに契約を済ませていた一部の使い魔たちが受けた衝撃は、あまりにも大きすぎた。
「しゃべることがそれほど不思議か」
かすかに、ほんのかすかに、竜の声に笑うような響きが込められた。
そしてブラムドは確信する。彼らは盗賊ではないだろう、と。
そう確信した瞬間、休眠期で緩んでいた脳細胞が急激な活動を開始する。
なぜこれほど大人数の人間が近づくのを感知できなかった?
なぜ巣穴で寝ていたはずの自分が太陽の下、草原の中にいる?
首を回した瞬間、かたわらにあったはずの宝物の山が、自らを縛りつけ続けていた太守の秘法が、真実の鏡が存在していなかった。
その事実が理解できなかった。
それから離れることも、それを壊すことも、それを燃やすことも、その身に走る激痛のために何もできなかった。
どれだけの日々、どれだけの年月を経ようとその魔力を衰えさせることなく、自らを縛り付けていた呪縛の鎖が、不意に掻き消えた。
我知らず、ブラムドはその翼をはためかせた。
ルイズやその場にいた人間たちが突風に顔をしかめると同時に、ブラムドの体は宙へと浮き上がる。
長年の癖からか、ブラムドの上昇速度は緩やかなものだった。しかし、堪えきれない歓喜が、翼に強い力を与える。
やがて竜の目をもってしても人間の顔が判別できなくなった頃、ブラムドの体は雲を貫く。
高空を滑る強い風の流れに翼を立て、更なる高空へと舞い上がる。
眼下を見下ろせば懐かしい白竜山も帰らずの森も見えず、それどころかロードス島やマーモ島も存在しない。
彼方には海が見えるが、一方は大地が続いている。
そしてその場から海の果てまで飛び去ろうと考えても、忌々しい激痛に身を焼かれることもない。
呪縛から解き放たれた。
55ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:43:56 ID:Ez8VFyMg
そのたった一つの出来事、だが人間の一生よりも長い時間、縛り付けられていたブラムドにとって、そのたった一つの出来事が何よりも喜ばしかった。
トリステインの上空に、歓喜の咆哮が響き渡る。
その声に気付いたものは少なかったが、トリステイン魔法学院の学院長、オールド・オスマンはその少数の一人だった。
はっきりと聞こえたわけではない。だが、長い時を生きた偉大なるメイジは、神託に導かれたように、召喚の儀式が行われている草原へと向かう。

時間は少し巻き戻る。
ブラムドが起こした風が収まった瞬間、ルイズの目の前には自らの爆発で穴の開いた草原だけがあった。
当然、それを見たのはルイズだけではない。
同級生の一人がこらえ切れなかったように笑い出す。
「あっははははははは!! ルイズのやつ使い魔に逃げられたぞ!?」
丸みを帯びた体の同級生がそう叫んだ瞬間、その場にいた三人を除いた全ての人間が笑い出す。
自分に向けられた笑い声を、ルイズは気付いていなかった。
あまりの出来事に、瑣末なことに心を砕く余裕がなかった。
眉間に皺を寄せ、うっすらと目に涙を浮かべ、ただ呆然と立ち尽くしていた。
赤い髪の少女は心配そうにルイズを見ながらも声をかけることができず、空色の髪の少女は開いていた本をたたみながらもやはり声をかけることはできない。
髪の色が判然としない教師はルイズの様子に心を奪われ、生徒たちの罵声や笑い声を抑えることを考えられなかった。
やがてルイズの方が小さく震え始めた瞬間、彼女を巨大な影が覆った。
天空を見上げるルイズの目に飛び込んできたのは、恐ろしい速さで舞い降りる巨大な竜の姿だった。
半ばまで翼をたたみ、その体が地上に落ちるに任せたブラムドは、先ほど目の前に立っていた桃色の髪の少女の前を目指して落ちていった。
『落下制御(フォーリングコントロール)』
魔法によって落下速度を制御したブラムドは、翼を動かすことなく、再び突風を起こすことなく、そよ風とともにルイズの目前に降り立った。
その不可思議な光景に、人間たちは息を呑んだ。
「人の子よ、名はなんと言う」
辺りに響き渡るような大きな、だが優しげな声だった。その声に導かれたルイズの返事は、かすかに震えていた。
だがそれは恐怖ではない別の理由からだった。
「ルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
「長いな」
わずかに、人間であれば眉根に皺を寄せるような響きが、竜の声に混じる。
「まぁよい。我が名はブラムド。氷竜ブラムド。ここは我の知る大地とは違う場所のようだ。我をこの地へと呼び出したのは、ルイズ、汝か?」
普段であれば、
「ええそうよ!! あなたをここへ召喚したのはこの私!! だからあなたを私の使い魔にしてあげる!!」
といいかねない気の強さをもつルイズだったが、努力の末に呼び出した使い魔に逃げられたのかと勘違いし、周りの様子にも気付けないほど打ちのめされていたためか、異常なほど素直だった。
「ええ、私があなたを呼び出したの」
「目的は?」
「使い魔にするために」
その素直すぎる言葉に、残り少ない髪の毛を真っ白にするほど衝撃を受けた教師、コルベールがいた。
言葉を理解するような頭のいい魔獣が、それも先ほどからの不可解な現象を考えるに魔法を使うほどの強大な魔獣に、服従を強制する契約をする前にそんなことを話してしまって、もし暴れだしでもしたらどうするつもりなのですかぁ!!
死ぬ。死んでしまう。
いや私一人が死ぬだけならまだしも、全ての生徒たちの命が……
「使い魔?」
「ええ」
「それは我を騎馬のように乗りまわし、戦場へ連れ出したりというようなものか?」
「いいえ、今のところこのトリステインはどこの国とも戦争はしていないから、戦場に連れ出すことはないとは思うけれど」
話すうちに、ルイズはもしかしてこの竜が私の使い魔になってくれるのでは、という希望を感じ始めていた。
「いつまでだ?」
「私かあなたのどちらかが……死ぬまで……」
しかしその希望は打ち砕かれたように思えた。少なくともルイズには。
不意にブラムドの問いかけはなくなり、その場を、その空間を沈黙が支配する。
当然だ。
56ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:44:44 ID:Ez8VFyMg
ルイズは得心する。
これほどまでに強大な存在が、自分などに付き従うはずもない。
私は落第し、実家に連れ戻される。
いや、このドラゴンに食べられてしまうのかもしれない。
それもいいかもしれない。
身の程もわきまえずに、こんなことをしでかしてしまったのだから。
絶望に支配されるルイズを尻目に、ブラムドは喉の奥から笑い声をもらし始める。
「ふっ…………ふっ……ふっふふふふふふふ……」
ルイズが顔を上げる。
「ふはははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
ブラムドの笑い声は止まらない。
いつまでも止まらない。
ブラムドの声に驚いた生徒たちも、その声が笑い声だということがわかると得心のいかぬ風に顔を見合わせる。
ルイズが数度の呼吸を繰り返しても、笑い声は響き続ける。
その肺の大きさが人間と違いすぎるとはいえ、そんなことを今のルイズが気付くはずもない。
それゆえに、ふつふつと、怒りがこみ上げる。
笑われているわけではないと心のどこかで気付きながらも、死を覚悟したほどの絶望を笑われているように思え、普段のままにその怒りを爆発させる。
「ちょっと何よ!?」
ルイズとブラムドを交互に見ていたコルベールは、かすかな髪の毛を逆立てんばかりに驚く。
「そんなに馬鹿笑いすることはないじゃない!!」
赤毛の少女、キュルケは驚きに目を見張りながらも、自らの宿敵にかすかな微笑を送った。
「それは私みたいなメイジがあなたみたいな立派な竜を呼び出したなんて奇跡みたいなものだろうけど!!」
空色の髪の少女、タバサは手に持っていた本の存在を忘れかけた。
「それでもそんなに馬鹿にされるいわれはないはずよ!?」
髪を振り乱しながら、目に涙を浮かべた少女に、ブラムドは謝罪する。
「……すまなかった。だが別に汝を笑ったわけではないのだ」
「じゃぁなぜ笑っていたの?」
涙目のルイズはブラムドに問いかける。
「ルイズ、お前は望みもしない牢獄に閉じ込められたことはあるか?」
「ないわ」
「そうか」
ブラムドはため息をつくように、過去を思い出すように、その目を空の彼方に向け、自らの言葉を継ぐ。
「我は無形の牢獄に囚われていた。雪が降り、泉や湖が凍り、また溶け出す。そんなことが何度も何度も、数え切れないほどに繰り返される膨大な時間をだ」
ルイズには想像もつかない、ただひどいことだと感じられるだけだ。
幼いころに父や母に叱られ、部屋に閉じ込められたことなど基準にすらならないだろう。
我知らず、ルイズは自らの体を抱きしめる。
ブラムドはルイズの様子を見て、微かに笑いながら話を続ける。
「その牢獄から解き放たれるための方法はただ一つ。我が死ぬことのみ」
その言葉にルイズは驚き、伏せていた顔をブラムドに向けた。
「だが我はその軛から脱した。ルイズ、そなたのおかげであろう」
「で、でも私は、あなたをその牢獄から解き放つために呼び出した訳じゃないわ。どちらかといえば新しい牢獄に招待したようなものじゃないの?」
中途半端、というものは時に悲劇を生む。
たった今、ルイズが中途半端に回した頭から出た言葉を、そのままその口から繰り出したように。
57ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:46:25 ID:Ez8VFyMg
コルベールの顔は、もはや蒼白を通り越している。
おそらく複数の毛根が、衝撃で死滅しているだろう。
だがブラムドの声音は変わることはなく、むしろ楽しげな響きさえ含む。
「我はルイズ、汝の母の母、そしてその母の母が生まれるよりも遥かな以前より生きてい
る。その我が、いまさら一人の人間の生涯に付き合う程度の時間を忌むものか。何より、
汝ら人間が生まれ出で、死に行くよりも長い時を、我は無形の牢獄に囚われ続けていた。
そこから開放してくれた汝の守護者たるを、我が断るとでも思うか?」
ルイズはブラムドを懐疑していたわけではないが、自らの能力に対しての懐疑は存在した。
本名ではないものの、国内外にその名を轟かせた自らの母や、王立魔法研究所の所員にま
でなった姉の指導を受け続け、魔法学院に入学してからも爆発という結果から逃れ得なか
ったために。
故に自らが召喚したことが事実であったとしても、まさか、という思いから抜け出すこと
ができなかった。
だが、自らの守護者に、つまり使い魔になってくれるという言葉を聞いて、さらに疑いを
深めるほどにルイズは鬱屈してはいなかった。
それは彼女の資質であるのか、それとも両親や二人の姉の躾や教育の賜物なのか定かでは
ないが、たとえ魔法を使えずとも誇り高い貴族たらんとした彼女に与えられた、確かな、
そして偉大な成果といえただろう。
先刻とは種類の違う涙を目に浮かべながら、ルイズは契約を完了させるためにブラムドへ
と呼びかける。
「ありがとうブラムド。では使い魔の契約をするわ。首を下ろして」
ルイズは生涯で二度目の、確かな魔法の成果を手に入れようとする。
コルベールはその成果に微笑を浮かべ、キュルケはどこか満足げに口の端を上げ、タバサ
は改めて本を開いた。ちなみにタバサのかたわらの風竜は、いまだに忘我したままだ。
同級生たちが息を呑んで推移を見守る中、ルイズの呪文が風に乗る。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、五つの力を司
るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」
頭を垂れるブラムドに、ルイズは天への祈りを捧げるように口付けた。
ブラムドの左前足の甲に、使い魔のルーンが刻み込まれる。
ルイズが自らの力で行った、生涯で二度目の成果。爆発ではないそれを確かめるため、コ
ルベールはブラムドへと話しかける。
「ミスタ・コルベール!!」
だがそれをさえぎる声があった。
「オールド・オスマン?」
「ミスタ・コルベール、すまんがミス・ヴァリエールを除く生徒たちを学院まで引率して
もらえるかな?」
コルベールは、オスマンのその言葉に異を唱えることはできなかった。
その表情は普段と変わらないが、身にまとう気配が異常なほどに張り詰めていたからだ。
「わ、わかりました。みなさん、それでは学院まで戻ります」
そしてコルベールは学院へと向かう生徒たちを見送り、後ろ髪を引かれるようにオスマン
たちの方を振り向き、学院へと飛び去っていった。
58ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:48:40 ID:Ez8VFyMg
ゼロの氷竜 二話

ブラムドはフライを唱えて飛び去っていく生徒たちを視線の端にとらえながら、目の前の
年老いた人間から視線を外すことはなかった。
そしてそれはオスマンも変わらず、普段の好々爺然とした雰囲気は掻き消えていた。
ルイズは普段と違うオスマンの態度、この場に漂う張り詰めた空気に気圧され、言葉を発
することができない。
「はじめまして、竜殿。わしはそこなミス・ヴァリエールが勉学に励んでいる、トリステ
イン魔法学院の院長をしておるオスマンと申す。よろしければ尊名をお聞かせいただけま
いか?」
ブラムドは虚実を聞き分ける魔法を唱えながら、主であるルイズへ目線を投げかけた。
『虚言感知(センスライ)』
ルイズはオスマンとブラムドの間に視線をさまよわせながら、ブラムドに頷きかける。
小さな主よりの許可を得て、ブラムドはオスマンへ話しかける。
「老いた人の子よ、我が名はブラムド。フォーセリアと言われた世界、アレクラスト大陸
の南に位置するロードス島、その北方にそびえる白竜山の主であった」
「丁寧な自己紹介いたみいる。だがわしはフォーセリア、アレクラスト、ロードスといっ
た地名に心当たりがない。お尋ねするが、トリステイン、アルビオン、ガリア、ゲルマニ
ア、ロマリアといった地名をご存知だろうか?」
「聞かぬな。試みに問うが、お主らの信ずる神の名は?」
神、という単語に、オスマンとルイズは不思議そうな顔をする。
神に近しいものといえば始祖ブリミルだが、神そのものという概念は存在しなかったから
だ。
「神ではないが、わしらは6000年前に系統魔法を生み出したとされる始祖ブリミルを
信奉しておる」
「そうか。我のかつていた世界には神が存在した。神の身ははるか古に滅びてしまったが、
その奇跡を伝える人間たちがいた。神の力を借り、死者をもよみがえらせるものもいたと
いう」
「なんと!? それはまことですかな!?」
目を見開いたオスマンは、同じような表情を浮かべるルイズと顔を見合わせる。
その驚きように、ブラムドはどこか得心したように考えていた。やはり、この世界は我の
いた世界とは違うところなのだ、と。
「ふぅむ、非常に興味深いが、その話はまたいずれの機会にするとして、一つお願いがあ
るのだが、聞き届けていただけるだろうか?」
「願いの中身を話してもらわねば、是も非も答えることはできぬ」
「確かにそうじゃ。願いというのはブラムド殿の力がどれほどのものか、はかる魔法をか
けさせていただきたいのじゃ。無論、調べるだけで他に害はない」
無論、虚実を聞き分ける魔法を唱えているブラムドには、オスマンの言葉に嘘がないこと
はわかっていた。しかし、ブラムドはあえて即答を避けた。
「主よ」
だが呼ばれたルイズは反応をしなかった。
巨大な竜が自らの使い魔となったこと、それに対する現実感の薄さが、ルイズの普段の明
敏さを損なわせていた。
仕方なしにブラムドは今一度呼びかける。
「……ルイズ」
「はっはっはっ、はい? はい!」
どこか他人事のような、傍観者のような気分でいたルイズは、ブラムドに呼ばれたことに
気付き、慌てすぎたせいで明らかにおかしな返事を繰り出した。
「オスマンはかように言ったが、我は構わぬと思う。ルイズ、許可はいただけるか?」
あえてルイズに許可を求めたブラムドに、オスマンは彼を信頼することに決めた。
少なくとも主といったルイズに対し、害をなすことはないだろうと。
「わ、私も問題ないと思います」
使い魔に対し、どこか教師へ受け答えするようなルイズの態度に、ブラムドとオスマンは
共通した微笑ましさを感じていた。
「主の許可は下りた。思うとおりにするが良い」
「では、失礼する」
59ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:49:26 ID:Ez8VFyMg
ディテクトマジックを唱え、ブラムドに秘められた力を見極めようとしたオスマンは、そ
れが不可能であることを知った。
力が強すぎて己を物差しにして計ることができない。
海の大きさをコップや樽で測るような絶望感を覚える。そして、それほどの竜を使い魔と
したルイズを賞賛してやりたかったが、それと相反するように苦悩せざるをえない。
複雑な表情を浮かべたオスマンに、ルイズは不安げな表情を向ける。
ブラムドは表情を変えないまでも、オスマンの態度に違和感を覚えた。
「何かおかしなことでもあったか?」
オスマンはラムドの言葉にその顔を上げ、長いため息をつく。
「ブラムド殿、今わしにわかったのは、貴殿の力がわしにははかることができぬほど強い
ということです」
その言葉にルイズは喜色を浮かべるが、ほめるにしては態度がおかしいことが気にかかっ
た。
「貴殿ほどの力を持つ竜を召喚し、使役したミス・ヴァリエールの才能は、わしを軽々と
凌駕するものじゃろう」
その苦悶の表情に、ブラムドはオスマンが何を考えているのか想像がついた。
かつてブラムドがいた世界でも、強い力を持った魔術師たちが世界の覇権を握り、巨人族
をはじめ、自らも含めた竜族や上位精霊など、本来人間のみでは太刀打ちすることのでき
ない存在を打ち滅ぼし、あるいは屈服させた。
大陸全土を支配した魔術師たちの王国は結果として滅びたが、この世界でも同じことが起
こらないとも限らない。
「身内の恥をさらすようだが、今この国に住む貴族どもには馬鹿者が多い。その馬鹿者ど
もに、これほど強い力があることを知られては困ったことになりかねん」
「困ったこと?」
かたわらの少女が疑問を浮かべる。
言葉に気付いた二つの視線が少女に集まり、少女はその体を固める。
二つの視線の主たちは微かな微笑を浮かべ、ルイズは頭上からの言葉を聞く。
「つまり、戦争を始めるかも知れぬということだ。違うかな、オスマン」
「然り。……どこの国、いつの時代であっても人間は同じ事を繰り返すということですか
な」
オスマンの寂しげな微笑みに、ブラムドは似たような表情で応える。
「じゃ、じゃぁどうすればいいんですか!?」
ルイズが悲鳴を上げる。
「主と使い魔が一心同体という前提がある以上、ブラムドだけを残していくことはできま
せん。かといって学生である私が隠遁生活を送るのも無理です」
「……わかっておる。わかっておるのだ。ミス・ヴァリエール」
眉間に深い皺を刻み込むオスマンに、ルイズは感情を叩きつける愚かさを自覚する。
「申し訳ありません。オールド・オスマン」
「いや、気にせんでよろしい」
「オスマン」
落ち込む二人の人間とは対照的に、ブラムドはいたずらを思いついた子供のように楽しげ
に話しかける。
「何かな、ブラムド殿」
「先ほど我とは違う種だが、竜の姿を見た。であれば竜を使い魔とするのは不思議なこと
ではないのだな?」
「ふむ。確かに竜を使い魔とする人間もおります。数は多くはありませんが……」
「問題は我の大きさということだな?」
「端的にいってしまえばそうですが、まさかその体を縮めるわけにもいきますまい?」
「問題はない」
こともなげなその言葉に、オスマンとルイズは二の句を容易に継ぐことができなかった。
「だが」
たった二文字の言葉に、二人の人間は居住まいを正す。
「お主やルイズと話をするのに、竜の姿は持て余すだろう。ならばいっそ人間に変わるの
が良いのではないか?」
二人は呆けた。
60ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:50:11 ID:Ez8VFyMg
文字通り思考が停止した状態にさせられた。
理由は至極単純なもので、想像もつかない高度な現象を、あたかも路傍の石を蹴飛ばす程
度の気軽さで言われたからだ。
「ルイズを守るのが使い魔の役目であれば男の姿が良かろうが、共にすごすのであれば女
の方が良かろう。どちらにする?」
二人の人間が、同時に口を開いた。
「おと……」
「女じゃ!!」
だが鈴の音を鳴らすような声が響きかけた瞬間、その見た目からは想像もできない張りの
ある声がさえぎった。
半拍の沈黙がその場を支配した後、オスマンは自らの叫びを継ぐ。
「ミズ・ヴァリエール、お主が暮らしておるのは女子寮じゃ。無論学院内である以上、男
が立ち入ることは絶対にならんというわけではないが、貴族の婦女子が生活する場に男が
いる状況を作り出しては、子女を預かっているという立場を考えた場合、親御さんへの責
任問題になりかねん。使い魔であれば特例という形はとれるが、問題の種は出来るだけな
い方が望ましい。わかってもらえるね? ミス・ヴァリエール!!」
オスマンはルイズの両肩に手を置き、熱意のこもった言葉を一息で言い切った。
当然、普段の緩やかなしゃべり方ではなく、その力強さは一軍を指揮する将のようだった。
だがその目はルイズを見ていない。
ルイズがその顔を仰ぎ見ようとすると、オスマンはさりげなく視線を逸らす。
少女の表情に不信感が満ち溢れるが、目の前の胡散臭い老人の言っていることは正論には
違いない。
また、自身の通う学院の院長であることも考えれば、その提案に否やといえる立場でない
ことも確かだ。
不承不承という言葉がふさわしいように、ルイズはブラムドへ話しかける。
「……女でいいわ」
ブラムドとしては男になろうが女になろうが労力は変わらない。
ルイズの表情が気にかかりはしたが、その口から出た以上は命令といって差し支えない。
「心得た」
ブラムドが詠唱を始める。
オスマンの目がブラムドへと向く。
その瞳を見たルイズは言い知れぬ不安に襲われた。
『変化(ポリモルフ)』
ブラムドの呪文が完成し、その体躯が縮み始めた瞬間、ルイズは自らの不安が目の前に存
在したことを知った。
大きな翼が背中へとしまわれていく。
長い首が短くなりながら、その顎が縮んでいく。
長い爪が手足に収まり、その四肢が絞られる。
体中を覆っていた白銀の鱗はいつの間にか消え去り、その鱗に負けない白い肌へ姿を変え
る。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:50:41 ID:fQDSBCs2
支援
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:50:48 ID:cod2J3GC
まあ相手がでかいと魔法を拡大しないとかけられないからな……と思ってこれはガープスのルールと思い出した支援
63ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:50:58 ID:Ez8VFyMg
見上げていた二人の人間の首が緩やかにおろされると同時に、そのうちの一人、ルイズは
メイジの証であるマントの留め金を外す。
何かが、期待に充ち満ちた顔をしたオスマンの視界をさえぎる。
ブラムドは人の姿となり、ただ静かに立ち尽くしていた。
空を閉じ込めたような青い瞳。
新雪のような真白い肌。
そして太陽の光を受けて煌めく銀髪は、先刻までその身を覆っていた鱗が姿を変えたかの
ようだ。
オスマンの顔に、マントをブラムドにかぶせたルイズの視線が突き刺さっていた。
正確に言えば、オスマンの伸びきった鼻の下に。
だが伸びていたのは半瞬に過ぎない。
何故ならあらわになるはずであったブラムドの胸元と下腹部は、ルイズがたった今取り外
したマントに隠されていたからだ。
ルイズの眼差しは恐ろしいほどに鋭かった。
かつて学院に在籍していたルイズの姉、エレオノールもかくやというほどに。
オスマンが伸ばした鼻の下を戻し、何かを誤魔化すようにあごひげをしごき始めた瞬間、
地の底から這い上がるようなルイズの声が響いた。
「オールド・オスマン」
「何かね? ミス・ヴァリエール」
額に一筋の汗をたらしながらも、声音が変わらなかったことは賛辞に値するだろう。
「私はこのマントを支えていなければなりませんので、服を一着持ってきてはいただけま
せんでしょうか?」
「んむ、心得た」
言うが早いかオスマンは学院へと飛び去り、その場には一人の少女と一人の女性が残され
る。
丈がわずかに足りないマントを巻き、夕日に染められたブラムドの姿は一枚の絵画のよう
だった。
数瞬の忘我。
「ルイズ?」
ブラムドに見とれていたルイズはブラムドの呼びかけに反応するのが遅れる。
「ブ、ブ、ブラムド!」
「何だ?」
「女になったのなら、その肌をさらけ出すようなことは出来るだけしないで頂戴!」
「わかった。だが元々服をまとっていたわけではない。この姿になった瞬間に裸であるこ
とは仕方あるまい?」
「で、でも裸になることがわかってるなら、服を用意してから変身したっていいんじゃな
いの?」
「なるほど、道理だな。ルイズ、お前は頭がいい」
そういいながら、ブラムドはその手でルイズの頭をなぜる。
学院の授業で実技が伴って以降、ほめられた経験のなかったルイズは我知らず涙をこぼす。
「どうしたルイズ?」
ブラムドの言葉に、ルイズは自身が涙をこぼしていることを知る。
慌てて心配がない旨を伝えようとするが、喉が詰まったように言葉が出てこない。
その様子にブラムドはその唇をルイズの顔に寄せ、こぼれた雫を舐めとった。
「ブ、ブ、ブラムド!?」
「塩辛いな。なんだこれは?」
「なんだこれはって、涙よ」
予測もつかないブラムドの言葉に、ルイズは一瞬惚けたような表情を浮かべ、端的に答え
る。
64ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:51:44 ID:Ez8VFyMg
「妙なものだ。ルイズ、なぜ涙を出す?」
「わからないわ」
「ルイズにもわからないことがあるのか」
その言葉に、ルイズはブラムドの自身に対する強い評価を感じた。
繰り返される実技で、クラスメイトたちの視線は公爵家の子女への敬意から、落ちこぼれ
に対する見下すものへと変わっていった。
ルイズ自身、その状況に満足していたわけではない。
だがゼロの二つ名を冠せられるようになるまでに、見下されることに慣らされてしまった。
「ルイズ?」
再び涙をこぼし始めるルイズに、ブラムドは気遣わしげな視線を送る。
そしてルイズは自覚する。
自分を評価してくれるブラムドの態度に感動しているのだということを。
「だ、大丈夫、大丈夫よ」
初めてみる涙に、ブラムドは不可解な感情を味わっていた。
それは涙を初めてみることでわきおこったのか、人間に変わったことでわき起こるように
なったのかはわからないが、けして不快なものではなかった。
そしてブラムドはその感情に従い、ルイズの頭をなぜながら、その体をそっと抱きしめる。
急ぎ舞い戻ったオスマンは抱き合うルイズとブラムドの姿を見て、ミス・ヴァリエールと
替わりたい、そう切実に思い、悔し涙に頬を濡らした。



以上です。
支援どもでした。
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:54:14 ID:wx0gDZVI
氷竜乙。
これからに期待。
66ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:54:21 ID:Ez8VFyMg
あとちょっとついでに。
ロードスのルールだとポリモルフだと変身できないですので、
ソードワールドの拡大を使った感じを考えてます。

まぁ小説のロードス島戦記でもカーラがロック鳥になってたりするんで、
魔法の拡大もありとして処理してます。

手が遅いんで次がいつになるかわからんですが、
完結するまでがんばる所存です。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:56:13 ID:0JThQxlz
ひょっとして以前にシューティングスターを召喚の小ネタを投下した職人さん?
68ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 18:57:35 ID:Ez8VFyMg
>>67
んにゃ、全く初です。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 18:58:34 ID:cod2J3GC
乙。
ソードワールド(ロードス)のルールってかなり忘れてるけど、ドラゴンとかは発動体いらないんだっけ?
あと問題は遠見の鏡だな。あれに抵抗判定ができてモンスターレベルが適用できるかで覗きイベントが……
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:04:14 ID:f+DNCvkv
氷竜の人、乙

続きを楽しみにしています。
頑張ってください。

>>69
正確には人が発動体を必要とするだったはずです。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:04:42 ID:WtEC2GEO
乙!シューティングスターの次はブラムドか
ついでにマイセンも来ないかな〜
72ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 19:06:31 ID:Ez8VFyMg
>>69
ソードワールドは必要なんだけど、
ロードス島は明記がなかった覚えがあります。
コンパニオン捨てちゃったからちょっと確かめられないんですけど。

あと70さんのいうように魔獣は不要でした。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:07:06 ID:fQDSBCs2
新連載に期待を込めてスピード登録
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:10:46 ID:GR3Vv4PQ
ぬう、これでは龍窟で狩るのを躊躇しそうになるな!
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:16:35 ID:dNh7SBsX
ロードスは名作だな・・・シューティングスターの斬新さも良かったが氷竜も凄く魅力的だ
面白かった、描写も上手いし出だしも良い、こういう物語ってわくわく感があって好きだから、是非とも頑張ってくださいね!
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:17:01 ID:M9qo2RbC
このブラムドは魔神戦争以前なのかな?
ともあれGJです!
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:17:41 ID:fQDSBCs2
うむ、これは長編(予定)で良いのだよね?
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:19:31 ID:FZTHoMPT
氷竜の人、乙です!!

余談ですが、フォーセリア世界では古竜がハルケギニアでいう韻竜に分類されると思います。
んでもって、真の古竜はマイセンとシューティングスターのみでエイブラ、ナーガ、ブラムドは厳密にいえば老竜だった筈では?

長々とつまらないことスミマセン。
次回も期待しています。
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:24:11 ID:ZQgbYW/W
「言葉を喋る=韻竜」なんだし、タング使ってるなんてハルケギニア側にはわかんねーんだから
フォーセリア側での分類はこの際関係ないんじゃね?
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:36:40 ID:fQDSBCs2
オスマンの性格が変わってないのが良いな
長老な半面、高田純次的ないい加減さがあって
81ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 19:37:06 ID:Ez8VFyMg
>>76
魔神戦争以前ですね。
そもそもニースと会う前。

>>77
長編のつもりです。
ってか話全く進んでないのに書きすぎた感もあったり。
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:39:32 ID:cDI5NtLS
ブラムドと戦わなかったアシュラムは
竜の咆哮の恐ろしさを知らず、
そのままエイブラ討伐に向かい
マイリー神官不在なみだ目になるんですね。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:42:16 ID:fQDSBCs2
とりあえず長編に登録
複数行に分割された一文は一文にまとめておいたけど、間違ってたら直して
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:46:32 ID:q9uxpxje
>>82
こう考えるんだ。
エイブラが教皇に召喚されました。
あとナースがジョゼフに召喚されてて支配の王錫の情報をアシュラムが知らずに終わる。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:49:06 ID:4yiv15QV
>>84
>エイブラ
虎の代わりにエイブラムスが召喚されたのかと思って
ヨルムンガンド涙目とか考えた俺ガイル
86ゼロの氷竜 ◆Mzy8Osstcc :2008/09/14(日) 19:50:06 ID:Ez8VFyMg
>>83
あざーす!

でもある程度で改行してる方が読みやすいですね。
次から50か60文字ぐらいで改行してあげるようにします。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:50:47 ID:qqAlAryp
>>84
じゃあ、テファは金鱗の竜王だな。
マイセンは性格良い竜だから、呪いを解除して貰えばお友達になってくれるだろ。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:56:36 ID:WzaVlVaA
2つ前のスレで書きましたが再び希望。
 幻燐の姫将軍2〜導かれし魂の系譜〜からリウイ・マーシルンを召喚
出来ればロウルートEND後で仲間になるキャラをすべて含めたメンフィル軍
でお願いします。18禁ゲームですが内容は一般で。
 ランスに比べるとマイナーですが人物的に負けてないと思います。
 タイトルは「幻燐の使い魔」か「半魔人の使い魔」で。
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:57:07 ID:P+ggcs+S
そろそろコテ雑談ヤメレ
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:58:18 ID:fQDSBCs2
>>86
でも見る環境で違っちゃうから気にしなくても良いと思う
PCで見やすくても、PDAや携帯だと左端で改行されたりしちゃう
どのブラウザを使うかでも違うだろうし

ここでの投下時には1行の最大文字数に制限があったはずだから、区切りの良いところで改行したり、1行の文字数を決めうちして一律に改行せざるを得ないのだろうけど
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 19:58:29 ID:gLDMkNSC
乙。
オスマン途中までの威厳が台無しだ。w

ポリモルフがだめなら、竜語魔法の応用ってことでもえんではないかと。>作者氏

>>69
ドラゴンは、というか人型種族以外のソーサラーは発動体使いません。
デザイナーのみゆきちゃん曰く「人間が楽をしているのか、それとも退化したのかはわからないけど」だとか。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:01:32 ID:ePB1batZ
氷竜の人乙です
これは今後の展開に期待せざるを得ない、つかオスマン自重w
そしてタイトルを見て一瞬合体する勇者メカを思い出してしまったw
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:04:56 ID:FZTHoMPT
<<92さん、同意w
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:06:41 ID:M9hVZ/TR
>>92
同類がここにも1人w
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:10:35 ID:46QacvtG
ルイズが最初から報われる短編は多いけど、長編で読めるのもいいなぁ
>>88
age無いでね、あとスレの空気読もう
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:12:37 ID:9AcAQHBM
誰か・・・ゼロの氏賀Y太書いてくれ。
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:16:16 ID:g5jMTUOL
本人召喚してどうするつもりだこんちくしょうwww
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:22:30 ID:cod2J3GC
なんとなくスレの流れが
おっさん系→兄ちゃん→忠誠になってきた気も。
流行廃りもあるのかねぇ。
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:26:05 ID:lQwX14mW
氷竜の人乙!
コレはまたずいぶんとオスマンですねw

阿修羅無と一緒にいるダークエルフ(名前忘れたorzシュヴルーズみたいなの)とか召喚もありかな
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:27:44 ID:MdZ0xbiC
ピロテースだっけ
ロードス好きとしては氷竜に期待せずにはいられない
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:32:37 ID:p9Ljl7ym
ピロテースがナイスバディというイメージは一体何処から来たんだろう…
いや、そういう印象があってな?
10299:2008/09/14(日) 20:35:03 ID:lQwX14mW
× 阿修羅無
○ アシュラム

どんな変換だよ、俺w
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:39:18 ID:zkwst43X
氷竜の人乙!!!
これは面白い!
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:43:29 ID:Ez8VFyMg
>>101
ロードス島本編で、エルフにしては豊かな胸が、とかの描写があったはず。
あとはアニメのイメージじゃね?
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:44:50 ID:ZQgbYW/W
>>101
OVA版じゃね?最初の、結城信輝がキャラデザの奴。
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:45:22 ID:gLDMkNSC
OVAのロードスアニメだろ?
あれは爆乳だった。>ピロテース
出渕の小説イラストでもやっぱり大きかった。
クリスタニアとTVアニメではしぼんでたが。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:46:04 ID:ya78Fd2z
>>101
アニメだと胸元が大きく開いた服着てたなぁ

>>102
誤変換だったのかw
わざとやってるって思ってたよw
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:54:57 ID:TwTNA/Ww
>102
かのものの前では阿修羅といえども無に帰す
故にそのなを亜修羅無と号す

とか言ってみたくなる誤変換だ
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:55:46 ID:Q0Ydc8iO
>>104
小説の描写がでたのはOVAの後だよ。アニメ先行キャラだから。
ちなみにクリスタニアの映画だと乳がしぼんでた。
110名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:58:31 ID:p9Ljl7ym
ああ、やっぱりOVAあたりの印象かなぁ。
OVA版見たこと無いからたぶん当時のアニメ誌に載ってたイラストとか設定がとかで
刷り込まれたんだろうなぁ。

エルフは貧乳、ダークエルフは巨乳というイメージもやっぱりロードスからなんだろうな!<結局その結論か
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:04:33 ID:FZTHoMPT
エルフ=巨乳という新たな価値観を打ち立てたテファの胸は、まさに「乳革命」w
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:09:45 ID:lXTl2LJl
>>95
従順なアタリキャラ召喚するとテンプレ俺Tueeeにならないように色々工夫しなきゃならないから
長編となると結構作るの難しいんだろうね
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:14:55 ID:vWKV4GNh
ゼロの氷竜のまとめwikiからきますた
支援させていただきます
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:18:07 ID:EcvNEekt
ピロテースとティファニア――まさに両雄並び立つ! かな?
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:18:46 ID:rga3MJQA
氷竜乙
夢幻竜の時も思ったが、女に化けられる使い魔ってすごく萌えるよね
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:23:07 ID:gLDMkNSC
「ルイズととら」のとらにも萌えるのか?
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:24:20 ID:mfQAMBKY
>>115
きゅいきゅい…
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:32:58 ID:mjwD8DcA
氷竜の人乙。
この世界のルイズは徳等級の大当たりを引きましたなあ。一生の運を使い果たした反動で不幸キャラにならなきゃいいけど。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:37:51 ID:fQDSBCs2
変身したブラムドはマキナみたいな感じかな?
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:40:52 ID:Gkma6ISN
西洋風ドラゴン召喚は多いけど東洋系龍の召喚は見ないな
姉妹スレでドラゴンズ・ドリームいたけど結局最後までルイズには…

神竜や坂東一之丞観戦武官や小竜姫様や竜堂兄弟とかは…
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:42:55 ID:gI1v5dLY
>>116
あれけっこう楽しみにしてたのだが、全然音沙汰ないな
風呂敷広げすぎて収集つかなくなったのかな?
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:48:03 ID:xamxsG3o
見てみたら最終更新からそろそろ1年なのか……。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:48:49 ID:0JThQxlz
>>120
ネバーエンディングストーリーに出てきた龍(名前思い出せん)は東洋系に入るのかな?
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:50:13 ID:8jTlGkmL
>>123
ファルコンだっけ?あれは西洋的に見えるが
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:54:29 ID:TcGxEbir
今日も電波を受信中。投下します。
うん、書き終わってからこいつがもう召喚されてたことに気づいたけど、あれだね、路線全然違うし、許せ。
ごめんなさい、先に書いてる方。
キャラ崩壊注意。特にルイズとかルイズとかルイズとか。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:54:54 ID:0JThQxlz
>>124
dクス
映画だと胴体が長いんで東洋系かなと思ってた
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:54:57 ID:0MxN4I1l
りゅうおうたんを召喚…
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:55:59 ID:1Mpth5l6
>>121
ルイズ以外の虚無持ちがクロス作品の敵を呼び出すと、
話を組みたてる難易度が上がっていく印象があるなあ。
マジシャンザルイズやBASARAは、そんな中がんばってると思う
1291/21:2008/09/14(日) 21:56:24 ID:TcGxEbir

 唐突だが、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは、
同級生であるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールのことが嫌いだ。

 それはツェルプストーとヴァリエールの確執などという問題ではなく、
純粋に、キュルケ個人として、ルイズ個人のことが、だ。
 嫌っていた、という表現では、少々生温いかもしれない。
 憎悪していた、というのはややニュアンスが違う。
 忌み嫌っていた、というべきか。
 キュルケは、常々こう思っていた。

 一言で彼女のことを言い表すならば。
 まさしく、『邪悪』だと。

 この言葉を聞いたキュルケの親友、タバサは、無言で頷いたという。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:56:24 ID:9t3gUs67
ブラムドが大ニースに出会った後なら、若い頃の大ニースの姿に変化したんだろうな

えっと、手元のSWのロードス島ワールドガイドだと、

モンスターLV14
竜語魔法LV10、古代語魔法LV8を使用可能
炎のブレスと竜の咆哮を使用
炎と氷の攻撃、毒、病気は無効
休眠期以外は睡眠不要
身体能力はまさに化け物

…何このチートw
人の姿でも、竜語魔法と古代語魔法は使用可能だろうから、ガチ過ぎるにも程があるw
1312/21:2008/09/14(日) 21:57:46 ID:TcGxEbir

 
 幼きある日、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、自宅の池に浮かべた小舟の上で考えていた。
 先ほどのメイドの言葉を思い出す。
 小腹が空いた、何かつまもうとキッチンに入り、たまたま聞いてしまった陰口。

『貴族の癖に、魔法が使えないなんて――』

 もっともな言葉だと、ルイズは歪んだ笑みを浮かべた。
 貴族とは即ちメイジであり、魔法が使える。
 当たり前の認識だ。
 その常識に照らし合わせれば、なるほど、確かに自分は落ちこぼれのクズだろう。
 しかも、ここは名家も名家、誰もが畏れるヴァリエール伯爵家なのだ。
 姉や父が怒るのもわかろうというもの。

 だが、彼女はそれをまったく、これっぽっちも気にしていなかった。
 ある予感がするのだ。
 いや、確信と言ってもいい。

 ――自分はおそらく、貴族だとか平民だとか、そういう下らない次元ではなく、
もっと遥かに大きな概念で括られる存在になるのだ、と。

 ルイズは、そんなひどく傲慢な確信を抱いていた。

 ……しかし、ゴチャゴチャとうるさくさえずる輩を、このまま放置しておくのも癪だ。
 ここらでひとつ、黙らせておく必要があるだろう。
 それには、魔法を成功させるのが一番だ。
 今やってもどうせ失敗するだろうが、しかし、試さずして魔法が成功することなどありはしまい。

 魔法が使えない、と言っても研鑽を怠っているわけではない。
 専属の教師を雇い、多くの書物を読み漁って、
彼女は既に一人前の魔法使いたるに十分な程の知識を蓄えていた。
 
 どの魔法を試してみようか。
 魔法に成功した、ということが一目でわかるようなものが良いだろう。
 仮に『ライトニング・クラウド』に今成功したとしても、誰にも見られず空しく散るのがオチだ。
 となれば、錬金。いや、使い魔召喚が妥当か。
 本来ならば魔法学院の進級試験になる筈のものだが、構うまい。
 先に召喚していたとしても、さして問題があるわけでも無いだろう。

 そうして彼女は、詠唱を始めた。
 成功する、とは思っていない。失敗して元々。成功したら――むしろ驚く。

「5つの力を司るペンタゴン――」


 驚いた。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 21:59:13 ID:Gkma6ISN
神龍召喚あたりなら小ねたでいけそうなんだが…
「願いを言え。どんな願いもひとつだけ叶えてやろう」
「え、え〜と私の使「ギャルのパンティお〜くれぇ〜!」」
しか思いつかん…
1333/21:2008/09/14(日) 21:59:16 ID:TcGxEbir

「なんだ……ここは……?」

 舞い上がる水飛沫の向こう、現れたものを見て、ルイズは更に目を見張った。
 おまけに喋った。ということは、あれは――人間なのか?

 身を包んでいるのは紫のローブ。手にしているのは先端に竜の頭部を象った杖。
 しかし、その姿は人間とはかけ離れている。亜人、だろうか。

 そして、何よりも異常なのが、こうして面を向かい合わせているだけで伝わってくる凄まじく強大な魔力と、その邪悪さである。
 一瞬にして理解した。理解する間もなく思い知らされた。
 これは、巨悪なのだと。

「……小娘。これを引き起こしたのは貴様か? 何なのだ、これは」

 こちらを睨めつけてくる。
 ひるんではならない。こいつは、私の、使い魔なのだ。

「小娘じゃない。私は、ルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
お前の、主よ」
「……主、だと?」

 圧迫感が更に強くなる。
 怯える心に鞭を入れ、ルイズは笑った。引くな。笑え。傲岸不遜であれ。
 それが、主だ。

「そうよ。アンタは私の使い魔召喚に応じた。
使い魔ならば、主である私に従うのが道理でしょう」

 次々と重ねられる問いに、ルイズは答えていった。
 召喚の儀式。使い魔。主。ハルケギニア。トリステイン。ヴァリエール。魔法。貴族。

 やがて、その応答も尽きた頃。そいつは、突如として笑い始めた。

「ク……ハハハハハハハハハハ!
窮地に突然現れたものに、飛び込んでみれば……別の世界とはな!
これぞ、精霊のお導きだろうよ! 感謝するぞ!」
「…………」

 ルイズにはわかっていた。
 精霊だと? そんなもの、こいつが信じているわけがない。
 こいつは、自らこそ神と称するような者。
 精霊など、鼻で笑い飛ばして無視するような輩だ。

 ――だが。
 それでこそ、私の使い魔に相応しい。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:00:51 ID:vIuJmUbk
誰だろう?
支援
1354/21 >>127 Σ(゚д゚lll):2008/09/14(日) 22:01:25 ID:TcGxEbir


「よかろう。小娘よ、貴様と契約してやる。
この世界は、少々我とは馴染まぬようでな。力が出てこん。
貴様と繋がれば、我は十二分に元の力を発揮できるだろうよ」

 これで、まだ不調だというのか。
 だとすれば、一体、こいつはどれだけの力を持っているというのだろう。

「結構。でも、小娘ではないわ。あんたは使い魔。私に従属する者よ。わかる?
私のことは、主と呼びなさい」
「クククク! 承知した、我が主」

 膝を着き、頭を下げる使い魔を見下ろしながらルイズは考える。
 こいつは、決して素直に従うような奴ではないだろう。
 『使う』のには、ひどく苦労する筈だ。
 だが、そのデメリットを補って余りある力。
 そう、この力だ。これさえあれば、――国を手に入れることすら、不可能ではあるまい。

「主よ。我にはわかる。貴様も、おそらく我と近しい者。
躊躇無く世界を踏みにじる種類の人間だ。
我は待っていた。貴様のような者が現れるのをな」

「随分と言ってくれるわね。私はそんな、あんたみたいな悪じゃないわよ。
で、何が言いたいの?」

 そいつは立ち上がると、ルイズの目を見て笑った。
 どこまでも邪悪でありながら、赤子のように無垢な笑い。



「もし我の味方になれば――世界の半分をお前にやろう」



 こうして。
 後に歴史書に『魔王』と記される、主と使い魔は出会った。
 2人は、幼い子供でも笑い飛ばすような目的を叶えるための行動を、ここに開始する。
 即ち。
 世界征服である。


「乗ったわ」


 使い魔――りゅうおうの額に、ルーンが刻まれた。




――ルイズが世界を征服するようです――
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:02:24 ID:1Mpth5l6
DQM一巻の、頬杖ついたワルそうなりゅうおうの絵で再生された
137名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:03:25 ID:9t3gUs67
投下中に送信してました、申し訳ない…

りゅうおう支援
138ルイズが世界を征服するようです 5/21:2008/09/14(日) 22:03:42 ID:TcGxEbir


 進級試験でもある召喚の儀式は、滞り無く終わった。
 そして大半の予想を裏切り、あのルイズは召喚に成功した。
 『ゼロ』の異名を持ち、今まで一度も魔法を成功させたことの無い、あのルイズが成功したのだ。
 それに驚かなかったのは、学院生徒では僅か2名。
 キュルケ。そして、タバサである。
 
 儀式を終え、夕暮れ時。学院の廊下を並んで歩きながら、キュルケが漏らす。

「――茶番ね」
「おそらくそう」

 普段は寡黙なタバサが、珍しく言葉を続けた。

「彼女が召喚したあの小さな黒竜。
あれはおそらく、既に前から使い魔だった。でもなくとも、彼女と何らかの繋がりがあったと思われる」
「そう思う理由は?」

 熱にうかされたように、タバサは喋り続ける。

「ヴァリエールは魔力を使っていなかった。詠唱の真似事をしていただけ。
あそこであの竜が現れたのは、おそらくは竜自身の能力に拠るもの。
転移時の爆発で砂埃を起こし、それを皆の目から隠した」
「……私も同意見よ。問題は、どうしてそうしたのかってことね」

 キュルケが眉根を寄せ、タバサが応じた。

「たった今召喚したように見せかけたのは、あの竜を今まで隠匿していたため。
あれは、普通の竜ではない」
「……まさか、韻竜、ってこと?」
 
 韻竜。
 極めて高い知性を持ち、先住魔法すら操るとされる、伝説の存在である。
 
「違う。……おそらくは、それをも越える存在」
「どうして、わかるわけ?」

 タバサが立ち止まる。
 ちょうど、彼女の自室の前だった。

「それを今から見せる。が、他言はしないで欲しい」
「了解よ。ツェルプストーの名にかけるわ」

 キュルケは即答した。
 この時間の短さこそが、揺るがぬ信頼の証であり、
つまるところ彼女達の関係を如実に示すものだった。
 タバサがドアを開く。
 窓から夕焼けの陽光が差し込み、赤く染まった部屋。
 その隅で、巨大な何かが蹲っていた。
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:03:54 ID:f+DNCvkv
支援

>>130
申し訳ございません。
SWのロードス島ワールドガイドに、ナニールの武装のデータがあったら
避難所あたりに書いて頂けないでしょうか

ワールドガイドを無くしてしまって確認できないのです。
140ルイズが世界を征服するようです 6/21:2008/09/14(日) 22:05:03 ID:TcGxEbir


「……さっきあんたが召喚した風竜じゃない。どうしたの? こんなとこに蹲って」

 タバサは問いに答えることなく使い魔に近づいていく。
 竜の背にそっと手をやった途端、竜が痙攣するように跳ねた。
 身を縮め、更に部屋の隅へと体を押し込めていく。

「ヴァリエールがあれを召喚してから――したように見せかけてから、ずっと怯えている」

 ぶつぶつと、何かを呟く声が聞こえる。
 はじめ、キュルケは誰が喋っているのかと部屋を見回し――やがて、その顔に理解の色が浮かんだ。

「まさか……」
「そう。私が召喚したのは、韻竜だった」

 キュルケが目をひん剥いた。

「す、凄いじゃないアンタ! 韻竜を使い魔にするなんて、聞いたこt」
「今はそれを問題にしている時ではない」

 興奮するキュルケの言葉を遮り、タバサは続けた。

「この竜はずっとこう繰り返している。

『あのお方が来た。あのお方が。あのお方がいらっしゃった』。

……極度に怯えてしまっていて、会話は難しい状況。
何とか聞き出せたのは、あの黒竜が、竜を統べる『王』のような存在であることだけ」

 キュルケの顔が歪む。

「伝説の韻竜をそこまで怯えさせる、『王』……。
一体、なんなのよそれ」

 タバサは頷いた。
 その顔は、夕日に照らされていてもはっきりとわかるほどに青白かった。

「ヴァリエールが今まで魔法が使えない『フリをしていた』のは、皆を油断させるためではないかと私は思う。
今ここでその偽装を止めて、黒竜を皆の目に晒した。
おそらく彼女は、本格的に『目的』に向かって動き出す筈。
あの黒竜が、どれだけの力を持っているのか。……私は、恐ろしい」

 ――そして、沈黙。
 部屋には、怯える風竜の呟きだけが響いていた。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:05:21 ID:grX1FaBO
/21のってことは後21/21まで投下するってことか?
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:05:41 ID:Rf+JcS8c
支援じゃ。
143ルイズが世界を征服するようです 7/21:2008/09/14(日) 22:06:30 ID:TcGxEbir


「どうしたの? リュウオウ」

 儀式から数日後、食事の場。
 肩に乗せた小竜が妙な素振りをしていることに気付き、ルイズは小声で話しかけた。

「まさか、あの騒ぎが気になるわけ? 放っておきなさい、あんなの」

 ルイズが目を向けた先では、金髪の少年――ギーシュが黒髪のメイドを怒鳴りつけていた。
 関わる意味も価値も無い、どうでも良いことだ。
 だが。

「あの髪……目……いや、まさか」
「リュウオウ? どうしたの?」
「バカな、まさか、そんな筈は。
だが、あの瞳、忌々しい輝きの瞳、間違える筈も」

 ルイズは顔をしかめた。
 幼い頃からの付き合いで、動じた所など1度も見せたことのないリュウオウが、どうしたというのだ?

「こんなところに、かの血を受け継ぐ者が居る筈がっ……!」
「リュウオウ!」

 声量を抑え、使い魔を怒鳴りつける。本当にどうしたのだ。まったくもってらしくない。
 リュウオウは沈黙し、……やがて、掠れた声を出した。
 
「……主よ。あのメイドは理不尽な謝罪を要求されている。
助けてやるべきではないのか?」
「……アンタ、頭腐ったの?」
「あのメイドに恩を売っておけ。なんとしても、あやつを敵に回してはいかん。
あれは――我らの『運命の敵』だ」
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:06:51 ID:npiF/9NK
ルイズはレベル1になりました支援w
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:06:51 ID:/5PnnyfS
では支援を。
146ルイズが世界を征服するようです 8/21:2008/09/14(日) 22:07:55 ID:TcGxEbir

「はははは! ルイズ! 『ゼロ』の君の使い魔が、僕と決闘だなんてね!
確かに竜種は強力さ! だけど、手のひらサイズのそれじゃあね! 僕の敵じゃない!」

 言葉と同時に、青銅の戦乙女が組み上げられる。その数、7。
 それを鼻で笑い飛ばし、ルイズは己の使い魔に念話を伝えた。

『リュウオウ。――蹴散らしなさい』
『承知した、我が主』

 異世界の魔法、『ギラ』。
 初歩の魔法である筈のそれ。
だが、魔王の手によるものとあれば――最早、別の魔法と言っても過言ではない威力を持つ。

 小さき黒竜から放たれた閃光は鋭く、ただの一瞬ですべてのゴーレムを溶かし尽くした。

「な!? ぼ、僕のワルキューレが!」



「……『大嵐の聖剣』?」
「うむ。城の宝物庫に収められていたのだがな。
昨夜の騒ぎで、それが盗まれた。かの大悪党、『土くれのフーケ』じゃ」

 どうでもいいわ、と鼻をほじるルイズに、使い魔からの念話が届く。

『主よ。この討伐、引き受けよ。他の者に譲り渡してはいかん』
『リュウオウ?』

 ほじった鼻××を飛ばす主に顔をしかめながら、りゅうおうは笑った。竜のくせに器用な顔である。

『最早、驚くことも出来ぬ――この世界と我の世界とは、想像以上に縁深きようだ』
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:09:33 ID:Pl061dQy
「今のはメラゾーマではない、メラだ」みたいなもんか支援

「『エクスプロージョン』!」

 ルイズから放たれる、『虚無』の魔法。
 りゅうおうの指導を受け、自らの属性に目覚めてから幾数年。
 使い魔からあふれ出る魔力のバックアップをも受け、ルイズの力は凄まじいレベルに達していた。
 一撃で巨大なゴーレムを砕き、無数の残骸へと散らす。

「がっ、ぐっ……な、なんだその魔法は……」

 地に叩きつけられ、動きを止めるフーケ。
 その傍らから、ルイズは奪われた物を拾い上げる。

「これが、『大嵐の聖剣』……?」

 光差さぬ森の中で、自ら光を放つように輝く一振りの長剣。
 それと対を成すように、小さき黒竜が闇に包まれる。
 闇から現れたのは、紫のローブを纏った亜人。彼本来の姿である。

「ク……ハハハハハハハハハ!
愚か者どもめ! 『大嵐の聖剣』だと!?
ああ、確かにその剣は、念じれば強力な風の刃を生み出す!
我らが扱う魔法の一つ、『バギクロス』をな!
なるほどなるほど、強力な魔法だが……その剣の本質は、そんなものではない!」

 おかしくてたまらない、というように腹を抱えて笑うりゅうおう。
 そう、この剣の強さは、そんなものではない。
 それは、希望。
 それは、光。
 それは、正義。
 それは、絶望と悲しみの暗闇の中を、燦然と照らす一条の光。
 それは、夜が暗ければ暗いほど、闇が深ければ深いほどに輝きだす白銀。
 それは、例えすべてを無くしても、尚この胸より生まれ出る最強の力。

 それははじめ、ただの強力な剣だった。
 だがそれは、時を経るにつれ、人々の希望を、意志を、夢を、その剣身に集めていった。
 折れるわけにはいかないから、折れなくなった。
 曲がるわけにはいかないから、曲がらなくなった。
 故に最強。最強であれ、と望まれた――それ故に最強の、勇気ある者のための剣。
 それは、絶望を知りながら、それでも尚闇に抗う人々の希望を担った、伝説の剣。
 それは、人々の歓声を一身に受け、血を吐いて泥に塗れながらも強大な魔王へ立ち向かう、勇者の剣!


「この剣に相応しき名は2つ!
『王者の剣』!
そして……『ロトの剣』だ!」


 ルイズは悟った。
 ああ――この剣を持つ者こそが、私たちの『敵』なのだ。
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:12:06 ID:9AcAQHBM
sien
151ルイズが世界を征服するようです 11/22:2008/09/14(日) 22:12:40 ID:TcGxEbir

 剣は、りゅうおうが魔法でどこぞに転送してしまった。

「この剣を破壊することは出来ぬ。よって、封印した」

 ということらしい。

「さて。――じゃあ、こいつね」

 ルイズはそう言うと、土くれのフーケへと顔を向けた。

「ひっ!」

 フーケは先ほどから、りゅうおうの出す凄まじい邪悪な気配に怯え切っていた。
 腰が抜けており、それでも何とか逃げようと、手を使って後ずさる。

「怯える必要は無いわ。私たちは、アンタに危害を加えるつもり無いから」

 りゅうおうがククク、と笑う。
 ルイズは満面の笑みを浮かべ、尻をついているフーケに手を差し伸べた。

「先ほどのゴーレム。見事だったわ。
私達は、力のある人材を求めてるの。
ああ、アンタなら、十分にその資格がある」

 フーケは、理解できないものを見る目でルイズを見つめ、震える声で尋ねた。


「な、なに、を……?」





「もし、私たちの味方になれば――そうね、世界の2%くらいはくれてやってもいいわ」





 捜索の甲斐無く、奪われた『大嵐の聖剣』は、戻らなかった。
 騒ぎの後、ミス・ロングビルが突然の辞職願いを残し、実家に帰ったという。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:12:53 ID:9AcAQHBM
あとやっぱりゼロの氏賀Y太諦められないよ・・・
153ルイズが世界を征服するようです 12/22:2008/09/14(日) 22:14:07 ID:TcGxEbir

「……ふぅ。疲れた。頭の中花畑な奴の相手は疲れるわ」
「クク。そんなことを言ってよいのか、主? あやつはこの国の王族であろう?」
「は。だから花畑だってのよ。王女のくせに、その責務すら理解していない。
あれ、放っておくとその内この国を滅ぼすわね」

 アンリエッタが、寮の自室を去った後。
 ルイズは寝台に寝転がって愚痴を漏らしていた。
 テーブルの上に乗っている小竜は、ルイズに問いかける。

「しかし、主よ。先ほどの話、どうするのだ?」
「ああ、アルビオンの話? 受けるに決まってるじゃない。
そもそも、あいつを傀儡にしてこの国から手に入れる計画なんだから、
繋がりは強くしておかないとね。何をきっかけに近づこうかは悩みの種だったし、渡りに船ってやつよ」
「クハハ! あの王女も、まさか親友がそんなことを考えておるとは、夢にも思うまい!」

 堪え切れぬ笑いを漏らす使い魔に、ルイズは輝くような笑顔を向けた。

「知ってるかしら、リュウオウ?
――親友ってのはね、お互いそう思ってるから親友なのよ」
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:14:20 ID:cod2J3GC
ガンパレwww支援
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:14:27 ID:/5PnnyfS
懐かしい、その歌詞(?)はRtガンパレだっけか支援

「そこまでよ、ワルド」

 今まさにウェールズを刺し殺さんとするワルドの背後。
 ルイズは、突如としてそこに出現していた。

「これ便利ね。『トヘロス』だっけ?」
「ああ。自らより弱き者に、気配を悟られぬようにする魔法だ。
今の我らならば、気付かれる心配は皆無だろうよ」
「そんな便利な魔法あるならもっと早く使いなさいよ、バカ竜」
「な……!」

 突然現れたかと思えば、肩に乗せた使い魔との会話を始める婚約者。
 ワルドは、絶句していた。

「ミ、ミス・ヴァリエール! こ、このワルドは裏切り――」
「ああ、アンタ黙ってて」

 使い魔が何事かを呟くと、ウェールズは瞬時に昏倒した。
 ……どうやら、眠っているらしいことをワルドは見てとる。

「る、る、ルイズ……? 一体、何なのかな……これ……?」

 恐る恐る尋ねるワルドに、ルイズはようやく顔を向けた。

「ワルド。あなたが、『レコン・キスタ』の尖兵だってことは、もう知ってるわ」
「――――!」

 瞬時にその場から飛びのき、距離をとる。
 考える。悟られていた。ならばこれは? 王女の罠か?
 あの腐れビッチ、愚鈍なのはまさか演技なのか?
 いや、ならば何故ルイズを選んだ? 戦闘力も皆無な筈なのに?
 婚約者ならば情で落とせると思ったのか?
 ――混乱する頭ではじき出された、最初の言葉はこれだった。

「る、ルイズ。……何で、私、呼び捨て?」

 片言であった。

「……ぷ、ははははは! いいわ、ご希望なら今まで通り、ワルド様と呼びましょうか?」
「ああ、頼む」
「頼むのか」

 使い魔が突っ込んだ。珍しい光景である。
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:16:51 ID:npiF/9NK
あれ、超ダイジェスト?
小ネタだったのか支援
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:17:23 ID:gLDMkNSC
頼むのか吹いた支援w
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:17:33 ID:9AcAQHBM
ルイズ「氏賀・・・・ギーシュをバラしなさい!!!」
160ルイズが世界を征服するようです 14/22:2008/09/14(日) 22:18:26 ID:TcGxEbir


「さて、ワルド」
「様をつけてくれ」
「こだわるのね。――あなたが先に勧誘した『土くれのフーケ』は、私たちの仲間よ」
「……そういうことか」

 先日、『レコン・キスタ』に加わった大盗賊、『土くれのフーケ』。
 ……間諜だったか、とワルドは失敗を悔いる。

「けどね。私たちは、別にトリステインに仕えているわけではない。
これがアンリエッタの罠だとか想像しているかもしれないけど、大外れ。
安心なさい。あの王女は、見かけ通りよ」
「なに?」

 困惑するワルドを前に、ルイズは笑った。高らかに笑った。

「聖地奪還? 下らない。ああ、下らないわ。小さいわね、ワルド。
仮にも、私の婚約者ならば――世界征服くらいは言って欲しいものよ」
「様を」
「貴様、しつこいぞ」

 魔王は突っ込み役に回っていた。他に居ないのだから仕方が無い。
 ルイズは腕を広げ、演説を続ける。

「私達は、世界を欲している。
『偏在』をはじめとした強力な魔法を駆使するスクウェア・メイジ。
おまけに騎士としても極めて優秀なあなたならば、私たちの仲間たるに十分な力よ。
このりゅうおうが居れば、更なる力をあなたに与えるのも容易。
ねぇ、ワルド。あなたが、必要なのよ」

 そうして、ルイズはワルドに手を差し伸べた。

「あのクロムウェルにいつまで従属しているつもりかしら?
あれはただの小物。あなたが付き従う価値など、欠片も無いような男なのに?
さぁ――この手をとりなさい、ワルド。そして、一緒に世界を踏み躙りましょう?



もし、私たちの味方になれば――うーん、えー、世界の1%くらいは、あげなくもないというか、善処するわ」
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:19:42 ID:MdZ0xbiC
ID:9AcAQHBM
ageるのやめて
162名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:19:42 ID:9AcAQHBM
善処かw 賞与がどんどん渋くなっていくw
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:19:48 ID:9t3gUs67
支援

>>139
ナニールの装備はデータにありませんでした。

ロードス島リプレイの3巻の収録シナリオにて、
ロードス島RPGルールの基準のものがあったはず。
残念ながらそれは手元にありませぬ。
164ルイズが世界を征服するようです 15/22:2008/09/14(日) 22:20:00 ID:TcGxEbir


 ワルドはしばらく黙考する。今の状況。レコン・キスタ。クロムウェル。ルイズ。そして、この使い魔。

「……君の目的は、何だ?」
「ククク。物分りの悪い男だ。
世界征服だと、先ほどから言っておろう」

 ……本気なのか、とワルドは額に汗を浮かべる。
 世界征服。聖地奪還どころの話ではない。
 人間やエルフ、この世界に住む全てを敵に回すつもりなのか。
 
「……クロムウェルは、伝説の『虚無』の使い手だ。
『レコン・キスタ』を敵に回せば、いずれ相対することになる。勝算は、あるのか?」
「ああ。あれ、嘘よ」
「は?」

 ワルドの口があんぐり開いた。

「う、嘘? ……………………嘘ぉ?」
「あいつが使ってるのは、水の秘宝で……ってああもう、面倒ね」

 ルイズは嘆息すると、おもむろに杖を腰から引き抜いた。
 ワルドに突きつける。

「言葉で納得できないなら、力で示すわ。
かかってきなさい、ワルド。力とは何なのか、教えてあげる」
「……いいだろう。私も、口先だけでは納得できない。
そこまで言うなら、お手並み拝見といこう。
君たちが、あのクロムウェル卿をも上回る力を持っていると、納得させてくれれば――
その時は、君の下につく」
165名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:20:29 ID:cod2J3GC
善www処wwwワルドの扱いフーケ以下
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:21:24 ID:9AcAQHBM
>>161

おk

そのかわり。・・・・・ゼロの氏賀Y太書いて。
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:21:26 ID:npiF/9NK
やけに様に拘るなw

>>163
そういうの投下が終ってからやらない?
168ルイズが世界を征服するようです 16/22:2008/09/14(日) 22:21:36 ID:TcGxEbir

 ワルドは自らの愛杖を抜くと、詠唱を始めた。

「ユビキタス・デル・ウィンデ――」

 手加減をしている余裕など無いだろう。
 最初から、全力でいく。


「ユビキタス。『偏在』せよ!」

 5人にその数を増やしたワルド達が、ルイズに殺到する!

「リュウオウ」
「承知した、我が主」

 『ベギラマ』。中級閃熱呪文。
 魔王の手によって放たれたそれは、4人のワルドを瞬時に消し飛ばした。

「な――!」

 慌てて動きを止める、残り物。
 ワンアクションで、分身全てを消し去るほどの威力。
 しかも、あいつは今――わざと、本体を避けた。
 つまり、本体がどれか、ということも、一瞬で把握したのであり――

「……なるほど。わかったよ、ルイズ。確かにこの使い魔の力は、君が言うだけのことはある。
使い方次第では、まさしく世界を征服し得る力だろう。
わかった。君に、従う」


「それは重畳。じゃ、こいつはさよならね」



 黒竜から放たれた、初級爆裂呪文『イオ』。
 眠るウェールズ・テューダーは、無数の肉片へと散った。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:22:31 ID:9AcAQHBM
鬼畜www
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:22:49 ID:vdHJ1sJ1
世界を半分こ支援
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:23:30 ID:1Mpth5l6
世界が切り売りされてゆく支援
172ルイズが世界を征服するようです 17/22:2008/09/14(日) 22:23:57 ID:TcGxEbir


「姫様。……ウェールズ皇太子は、裏切り者の手により、その胸を刺し貫かれて――」
「我が力及ばず、申し訳ありません」

 アンリエッタの前、平伏するルイズとワルド。

「……そう」

 平静を装うアンリエッタだが、その顔は蒼白。

「ご苦労様でした。……もう、下がって下さい」


「これで、よかったのかい? ルイズ?」

 王宮の廊下を並んで歩きながらの問いかけに、ルイズは微笑む。

「ええ。これでアルビオン貴族派への憎悪は煽った。
あとは、きっかけがあれば――トリステインは、アルビオンへと侵攻する」

 ワルドは肩をすくめた。

「やれやれ。可愛い婚約者が、こんな酷いことを考えるようになっていたとはね。
君の仕業かな、リュウオウ?」

 使い魔は念話で低い笑いを漏らした。

『ククク。何を言うか。主は、我と出会った時よりこの有様であったぞ。
それを見抜けなかったのは、貴様の目が腐っておることの証であろう』
「おや。手厳しいね」

 2人と1匹は、声を揃えて笑った。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:24:50 ID:9AcAQHBM
現在 

魔王  50%

ルイズ 47%

フーケ 2%

ワルド 1%(予定)
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:24:54 ID:gI1v5dLY
こんな黒いルイズは新鮮だw
支援
175ルイズが世界を征服するようです 18/22:2008/09/14(日) 22:25:16 ID:TcGxEbir


「タバサ。いえ、シャルロット・エレーヌ・オルレアンと呼ぶべきかしら?」

 学院裏庭の片隅。
 突然かけられた言葉に、タバサは一瞬にして迎撃体勢を整える。

「見事ね。流石はシュヴァリエ。
その恵まれない体格でありながら、よくもそこまで磨き上げたものだわ」

 拍手をしながら姿を見せたのは、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 タバサは無表情のまま、杖を握り締める。

「緊張する必要は無いわ。私に、あなたを害するつもりは無い。
私の用は、ただ一つ。勧誘よ」

 ククク、と肩の上の黒竜が哂う。

「……私に、あなたに与する意志は無い」

 断言するタバサ。
 この邪悪に、手を貸すことなど決して無いと、目が告げていた。

「ああ、知っている。知ってるわ。
あなたとキュルケが、何やらコソコソ動いていたのはね。
――でもね、シャルロット。この言葉を聞けば、あなたはきっと、私の味方。
私の信頼する仲間になってくれるわ」
「その名前で、私を呼ぶな」

 敵意をむき出しにするタバサを前に、ルイズは笑った。
 それは、絶対的な優位に在る者の傲慢。
 抵抗を可愛く受け止める、強者の微笑み。

「こんなのはどうかしら。




もし、私の仲間になれば――あなたに、母を返してあげる」



 タバサの顔が、凍った。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:26:22 ID:0JThQxlz
JOJOスレ避難所の白蛇とルイズを思い出した
特定の人物を恐れてるところとか 支援
177ルイズが世界を征服するようです 19/22:2008/09/14(日) 22:26:54 ID:TcGxEbir


「どうしたっていうのよ、いきなり!」
「これ以上の協力は、出来ない」

 突然態度を変えたタバサに、キュルケは苛立ちを隠せない。
 あのルイズが裏で、何をしているのか。
 それに関する調査もようやく進んできたというのに、一体どうしたのか。

「何があったの!? あいつに、何かされたわけ!?」
「これ以上は、言えない」

 目を伏せ、視線を合わせないタバサ。
 それを見て、キュルケは嘆息した。 

「……そう。あんたなりの、思いやりってわけ?」
「関わらない方がいい」

 ふん、とキュルケは鼻を鳴らした。

「冗談。あいつは、私の敵よ。あの邪悪を、放っておくことは出来ないわ」
「許して欲しいとは言わない。が、これ以上は言えない。
もう一度言う。関わらない方がいい」
「くどいわ」

 タバサが顔を上げ、キュルケを見上げる。
 ――一瞬だけ。2人の、視線が交わされた。
 それで、十分。
 まるで違う性格でありながら、それでも親友だった2人。
 幾つもの死線を潜り抜け、互いの背中を任せあった2人。
 その2人にとっては、その一瞬で十分だったのだ。

「じゃあね、タバサ。楽しかったわ」
「今まで、ありがとう。さようなら」

 それは。
 親友同士の、決別の瞬間だった。
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:27:14 ID:9AcAQHBM
園川エルザ・・・・・
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:27:24 ID:ePB1batZ
恵まれない体格ってお前がゆーか支援w
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:27:25 ID:HJBwd6IZ
>>173
あらためて比べてみると竜王太っ腹だなw
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:28:26 ID:g3pUdji8
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
  http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html
・Jane Style(フリーソフト)
  http://janestyle.s11.xrea.com/
・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
 前の作品投下終了から30分以上が目安です。

【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は応援スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。

【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
 議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
 皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
 著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
 いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
 追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
182ルイズが世界を征服するようです 20/22:2008/09/14(日) 22:28:33 ID:TcGxEbir



「……知っていたんですか」

 自室の扉を開け放ち、突然現れた黒髪のメイド。
 ルイズは驚き、音を立てて椅子を離れる。

「シエスタ!」
「……知っていたんですか、アルビオンが、タルブに侵攻するのを!」

 シエスタは叫ぶ。握り締めた拳を震わせていた。

『……話を聞かれたか。少々、無用心だったようだな』

 使い魔の念話に、ルイズは硬い表情で頷きを返した。

「……まぁね。あっちには、何人か間諜を忍ばせてあるから」
「なんで、なんで、それを前に――」
「必要だったからよ」

 返された答えに、メイドは戸惑う。

「必要――?」
「そう。トリステインがアルビオンに侵攻するための、口実としてね。
バカが向こうから来てくれたおかげで、やりやすくなったわ。
これでこちらとしては、何の憂いも無くアルビオンを叩き潰せる」

 シエスタが目を伏せる。
 握り締めた拳から、一筋の血が垂れた。

「そんな理由で、見捨てたんですか。
タルブを。私の、故郷を。お父さんも、お母さんも、弟も、みんな、死んだ」
「見捨てたわ。――どうでもよかったから」

 視線を上げ、ルイズを睨みつけるシエスタ。
 その瞳の輝きに、りゅうおうは体を震わせた。
 ――ああ、あの瞳、あの瞳の輝きこそが、かの血脈の証。
 幾度倒されても決して折れぬ意志の現れ。
 人々の希望を背負う、一筋の光。
 正にあれこそ――勇者たるものだ。

「……優しい人だと思ってた。
名前を覚えてくれたり、私を助けてくれたり。

今、この時より。あなたは、私の敵です」



『……厄介なことになったな』

 メイドが去った後。
 また盗み聞きされるのを警戒してか、念話でりゅうおうは話しかける。

『ま、なってしまったものは仕方が無いわね。
いずれ敵対するのならば、それがいつであっても大差は無いわ』
183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:29:18 ID:EcvNEekt
なんと言う邪悪、まさに『吐き気をもよおす邪悪とは――だな。支援
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:29:42 ID:gI1v5dLY
竜王相手だときゅいきゅいは肩身狭そうだなw
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:29:50 ID:9AcAQHBM
氏賀の臭いがしてきた!!!!!!!!!
186名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:30:18 ID:g3pUdji8
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
 ※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
  最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大

1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり

4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/17(日) 02:13:03 ID:9AxAAVZE
やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-244.html

完結:やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-245.html

やる夫が「売れっ子」ラノベ作家を目指すそうです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-284.html

やる夫が同人小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-371.html
187ルイズが世界を征服するようです 21/22:2008/09/14(日) 22:30:21 ID:TcGxEbir
「……参ったわね。ちょっと、水の指輪を舐めてた」
「あれほどの力を持つとはな。少々、計算が崩れた」

 小高い丘の上。本来の亜人の姿に戻ったりゅうおうと、ルイズは語り合う。

「よいのか? 今まで隠匿していた力、ここで晒してしまって?
7万の敵が相手となれば、流石に隠し通すことは不可能であろう」
「仕方無いわね。ここでトリステインの兵力を失うのはまずい。
ま、もう政府の8割がたは掌握したし、国内は力押しで何とかなるでしょう」

 7万の敵を単騎で食い止める、決死の任務。
 ルイズとその使い魔は、自ら志願してここに立っていた。

「お、来たわね。よくもまぁ、あんなに群れちゃって」
「数こそが人間の力。主よ、侮るでないぞ」
「わかってるわ」

 遠目に見える丘の向こう、見え始めた敵の先頭集団。
 それに向かい、ルイズは意識を集中させた。

「最初から全開でいくわよ。叩き潰すわ」
「承知した、わが主」

 制御できる限界スレスレの出力で放たれた『エクスプロージョン』と、最上級爆裂呪文『イオナズン』。

 初撃は、数千の敵を消し飛ばした。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:31:44 ID:9AcAQHBM
ルイズ無双!!!!!!
189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:31:54 ID:wx0gDZVI
>>182
これはやばい。シェスタが敵に回った。支援
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:32:22 ID:g3pUdji8
このぐらいまで単純化できそうな気がする。

爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会

最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち

爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり

途中飛ばすけど、

 対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:32:45 ID:9AcAQHBM
ここで逆転するには彼の力が必要だ・・・・・そう。氏g(ry・・・
192ルイズが世界を征服するようです 22/22:2008/09/14(日) 22:33:08 ID:TcGxEbir

「がっ――!」
「リュウオウ!」

 ルイズは目を疑った。
 本来の姿を取り戻したリュウオウが、あのリュウオウが――圧倒されている。
 アルビオンの片隅にある、小さな村。
 こんな所に、何故こんな使い手が!

「くっ……何者だ、貴様!」

 言葉と共に、『ベギラマ』を放つりゅうおう。
 しかしその閃光は、敵の左手にある大剣に吸収されてしまう。
 この世界のものとは思えぬ奇妙な服装に、黒い髪の若い男。
 左手には大剣。魔法を吸収する、対魔法使いのためと思われる兵装。
 そして、何かのルーンが浮かび、光り輝く右手には――

「何で、その剣がここに――!」

 ルイズの疑問ももっともだった。
 その剣は封印した筈。あのリュウオウが封印したのだ、そう簡単に破れるわけもない。
 だというのに、何故、ここにあるのか。
 『大嵐の聖剣』。いや――

「『王者の剣』。……『ロトの、剣』――!」
「か、カカカカカカカカ! クハハハハハハハ!」

 戦闘中、しかも劣勢だというのに、りゅうおうは笑い出した。
 魔法を放ち、剣を杖で防ぎながら、堪えきれぬ笑いに身をよじらせる。

「そうか。――そうか!
ついに現れたか! この世界にも、やはりいたか!
だとすれば、その剣を持っているのも不思議ではない、必然だろうよ!
運命、だからな!」

 そう。その剣は、必ずやある者の手に渡る。
 闇に抗う者。
 勇気ある者。
 人でありながら、ただ自身の努力と意志だけで人を超えた存在。



「現れたか! 我が愛しい怨敵! 我が愛すべき天敵!
――『勇者』よ!」


 ここに、物語の主人公は降臨した。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:33:39 ID:1UC9dJ01
携帯より今北。
何だ?何が起こっている?
支援
194名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:34:31 ID:1Mpth5l6
やっとデル公出演おめ支援
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:35:03 ID:9AcAQHBM


物語だ!!新たなる物語が起こっているww
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:35:05 ID:ya78Fd2z
22/22という事は、まさかここで終わりか!!
197ルイズが世界をゲフンゲフン:2008/09/14(日) 22:35:42 ID:TcGxEbir
ここまでで一旦終了。待て後編。支援サンクス。
あと、>>127凄すぎ。死ぬほどびびった。
あ、投下してから今気づいた。サイトのルーンの位置間違えてる。



 

ここまでのぼうけんを ぼうけんのしょに きろくしますか?

はい/いいえ
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:36:01 ID:UKnx96VV
支援&投下予約
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:36:48 ID:hKx+CQ21
>>197

いいえ
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:36:59 ID:cod2J3GC
このやろうてめえ乙だ畜生w
ここで切るとは何たる邪悪よ!
201名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:37:02 ID:9AcAQHBM
>197

いいえ
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:37:35 ID:1Mpth5l6
>>199>>201
そんな ひどい・・・
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:37:55 ID:9AcAQHBM
>202

いいえ
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:37:57 ID:duf70ydb
氏賀Y太ネタならここじゃなくて
エロパロ板のほうが適切だぞ。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:38:21 ID:ePB1batZ
勇者サイトか、本人はノリノリなのだろうか乙w
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:38:23 ID:ZndqZukL
すごかった!
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:38:46 ID:9AcAQHBM
>204

ネタじゃなくて本人を召還したい。
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:38:49 ID:0JThQxlz
ロトの剣で攻撃、デルフで防御かよw
しかし才人が出てくるとは意外だ
てっきりシエスタかと思ったけど
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:38:54 ID:npiF/9NK
>>197
復活の呪文じゃないのかw
GJでした。
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:38:56 ID:/5PnnyfS
デモベ臭とガンパレ臭がそこはかとなく……w
だが面白かった、乙です
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:39:46 ID:f+DNCvkv
ルイズが世界を氏、乙

>>163
どうも面倒なお願い申し訳ございません。
ロードス島リプレイの方は自分で手放してしまって確認できなくて(:_;)
有難う御座いました。
212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:40:28 ID:bSzdtklT
>>197
ぬこがリセットボタンを押しますた

213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:41:30 ID:4KpO4Hiw
ウエールズ不憫過ぎるwww
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:41:49 ID:+RHxKnrK
特徴が黒髪だけだからサイトかアレルかアレフか意表ついてディアルトとかダイとか迷うとこだな
まあそれよりもりゅうおうの子孫の母親がルイズの可能性が出てきたわけだが……

にしてもエセテンプレってこんな100以上過ぎてからまで投下するのか……
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:41:56 ID:wx0gDZVI
>>197
GJ. 勇者はシェスタだと思ってたよw 面白かった。

>199,201
つまり、continueなしでクリアまで一直線ということか。
衝撃が怖い((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:42:35 ID:j+23S4O7
>>197
ふっかつのじゅもんをください
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:42:45 ID:cod2J3GC
>いいえ
分った、ゲーム続行か
218名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:43:06 ID:oTB4wh4F
あと最後辺りヘルシング臭もw
乙。後編も楽しみにして


おきのどくですが ぼうけんのしょは きえてしまいました
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:43:51 ID:wlnf8JaP
乙ー。
何と言う外道と言うかケチのルイズ。
もう少し領土を分けてあげようよw
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:43:53 ID:gLDMkNSC
りゅうおうGJ。
なるほど、シエスタは先代勇者の血筋な訳ね。
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:44:19 ID:ya78Fd2z
>>197
後編に期待

しかし、サイトサイドの話とかも読んでみたいというのは我がままでしょうか?


サイトサイド……、ププッ
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:44:20 ID:Gkma6ISN
ロトの紋章パターンなら勇者は3人か?
ラストの勇者はサイトとして
勇者シエスタの他にもうひとり…?
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:44:33 ID:ziFWGOwk
竜王乙

サイトは呪文を使えないから、この後「大魔王を破壊〜」ってことになるのかと思うとしょんぼり
【にしても『破壊神を破壊した男』はゴロがいいな】
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:44:48 ID:9t3gUs67
なんというダイジェストw
乙でした
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:47:11 ID:1Mpth5l6
いけねえ言い忘れてた乙

では しばし やすむがよい!またあおう!>>197よ!
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:47:35 ID:/wWuqbIZ
>>207
よくわからんが、
実在の人物召喚はこのスレではNGだし、
過剰なグロネタはこの板ではNGなんで、
ここで読むのはあきらめた方がいい。
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:49:56 ID:9t3gUs67
>>211
避難所のSS職人を応援するスレ にググッて見つけたデータ張ってきました
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:52:16 ID:hKx+CQ21
実在の人物は不可か・・・
どおりでイチローが召還された話がここに書かれずにVIPに書かれるわけだ。
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:53:43 ID:vdHJ1sJ1
りゅうおう
どうやっても勝てる気がしない……

何度倒しても、所持金半分で復活できる不死身の勇者
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:55:54 ID:ziFWGOwk
実在の人物が不可って言うか、「あの作品のキャラ」が召喚されるスレなんだから何らかのストーリーになってるものじゃないとそもそもアウトなんだよな
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:56:40 ID:9AcAQHBM
ん? 氏賀って実在の名前? 実名だったのか・・・。

スマンかった。

スレ汚してごめんなさい。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:56:41 ID:GR3Vv4PQ
>>229
配管工ヒゲオヤジ「お金で命が買えるなんて基本じゃないかね」
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:56:46 ID:iL0C6mD7
だいたいただの漫画家召還してなにを期待してるんだ?
サイトとそうかわらんだろうに

まさかY太氏本人に猟奇趣味があるとでも思ってるんじゃないだろうな?
作品と作者の人格は関係ないぞ
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 22:58:13 ID:V0tsn1vk
>>228
何かの物語になっていればイチローも可
たとえば古畑版イチローとか
235198:2008/09/14(日) 23:00:25 ID:UKnx96VV
23:10頃から投下しようと思います。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:00:26 ID:iL0C6mD7
あくまでも、「実在の人物をモデルにした物語のキャラ」ならば可ということだな
237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:00:48 ID:4yiv15QV
>>234
地球を滅亡させるイチローとか?
238名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:01:33 ID:grX1FaBO
>>235
元ネタの開示を求む
239名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:02:46 ID:UKnx96VV
>>238
先日、溺れる金貨というタイトルでハンターハンターのクロロを召喚したものです。
今日は中編を投下しにきました。
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:04:57 ID:Pl061dQy
ウルトラマンアグルこと藤宮博也を召喚。

水の精霊の力を借りて変身を……やっぱ無理があるか。
…なんでアグルは映画に出れねぇんだよぅ、畜生。
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:06:15 ID:MdZ0xbiC
>>239
おおお
あの話好きでした
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:07:41 ID:GmT1d3IR
>>236
ヒトラーじゃなくてヒルターなら問題ないね!
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:08:21 ID:grX1FaBO
>>239
クロロの人か
244溺れる金貨 中編 1/4:2008/09/14(日) 23:08:56 ID:UKnx96VV
 仕事が多いと言っても、一日を費やして捌けぬ程ではない。余裕は十分にある。
 それでもティファニアが朝早く起きるのは、遅れて起きだしてくる子供たちが、朝食を
待つことがないようにするためだ。朝は早く起きて、準備に時間を費やし、晩は子供たち
を寝かせてから、後片付けに時間を費やす。
 ところがその日、ティファニアの朝は後片付けから始まった。
 居間のテーブルで、彼女が姉と慕うマチルダ・オブ・サウスゴータが酔い潰れていた。
彼女はこうして唐突に遊びに来ることが間々ある。連絡なしに夜中に到着したときなどは
ティファニアも対応出来ないため、シーツの用意も出来ていない部屋で横になったり、あ
るいは今日のように居間で椅子に体を預けていたりする。
 見てみれば、祝い用の酒瓶が開けてあった。何か良いことがあったのだろう。ティファ
ニアは自身も嬉しくなった。身近な人が笑っていることを知るだけで、胸は温かくなる。

 特別揺り起こされることもないが、慮って別な場所で朝食を取ってもらえる訳でもない。
同じ机の上で食器が立てる音に、マチルダは目を覚ました。
 視界の内で長い耳が揺れ、金の髪が流れるのを見て口元を緩める。ぼけた眼を擦り、そ
の勢いでひたひたと頬を叩く袖の感触に眉を寄せる。よだれを含んで水気たっぷりのそれ
をどうにかしようとした。その中で、彼女は鮮やかに焦点が合いはじめた目で前を向き、
動きを止めた。
 丁度自分と同じか、二、三だけ年上と思われる男が、こちらを見ていた。好奇心から覗
き見る訳でもなく、もっと無関心に観察する訳でもなく、正しくマチルダを見ていたので
はなく、ただこちらを見ているという風に、男が見ていた。マチルダは赤面した。
「クロロだ。よろしく」
 慌てて席を立つ。
「ちょ、ちょっと顔を洗ってくるよ!」
「おはようマチルダ姉さん、いってらっしゃい」
 口元も酷い。確かにそこも酷いが、目元の跡を誰かに見られるのは恥ずかしい。




 コップ一杯の水と、軽いものを口にして深く座り込む。重苦しく、野暮な外套はここで
は必要がない。顔を隠す必要もない。杖も手元から離してしまった。普段の重圧から開放
された肩を椅子に委ねて、天井を見つめる。頭に血が集まって、すうと感覚がなくなって
いく。いつものように、何も思わず、何も考えぬよう。
 正面から向き合ってしまえば、どうだろう。マチルダは盗賊だと、フーケが言うのだ。
およそ罪悪感というものとは無縁でいた。貴族は皆嫌いだが、殺して歩くほど憎んでいる
訳でもない。安穏と自身の領地の中央に館を構え、宝を溜め込む貴族から頂戴することは、
マチルダにとって憂さ晴らしのようなものだった。昼に就く職は手慰みのようなもので、
どちらも然程変わらない。
 労働の報酬に得た小金も、後ろ暗い宝の対価に得た大金も、マチルダの財に他ならない。
その財でウエストウッド村を養い、一月を賄えぬようであれば仕事に精を出す。精を出す
仕事は、昼の秘書業であったり、夜の盗賊業であったりだ。大金が必要であれば盗賊業に
力を入れ、小金が必要であれば秘書業に力を入れる。
 マチルダ自身は盗賊業に抵抗も嫌悪感も、罪悪感もない。ただしマチルダの傍に、一般
の感覚に輪をかけてそれを忌諱する優しい娘が居る。マチルダは遣る瀬無い。正面から、
自分が盗賊をしていると言えば、ティファニアは卒倒するだろう。そして泣いてしまうに
違いない。
 受け入れて欲しい気持ちはない。悪行ではないと説き伏せる必要も感じない。
 ただ、どんな行為であっても、マチルダがしてきたこと、していることだ。マチルダ自
身のことでもある。親しければ親しいほど、隠して付き合うのは難しい。
 つまりマチルダは、ティファニアともっと話がしたいのだ。

 誰かに打ち明ける感情ではない。こうして内省するのも随分気恥ずかしい。
 マチルダが彼女自身の内に仕舞っておけば良い感情だった。だから目前の、ティファニ
アに盗賊であると打ち明け、それをしてしまった男にも話す必要はない。ただ問うだけだ。
「なあ、クロロ」
「どうした?」
「昨日の話の続きをしたい」
「そうか、そうだな、ふむ……」
 クロロは顎に手をかけ、僅かばかり反芻して言った。
245名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:09:29 ID:Gkma6ISN
邪悪系で能力強化型使い魔と言えば…DG細胞とかかな?
ただデビルアルビオンのコアにされたルイズや
謎の覆面ゲルマニアンメイジになったエレ姉さましか思いつかん
246溺れる金貨 中編 2/4:2008/09/14(日) 23:09:43 ID:UKnx96VV
 マチルダ・オブ・サウスゴータは確立される。
「金貨を抱えた男の話をしよう」




 マチルダは初め、村からやや距離を取り、すねの高さまで膨らんだ木の根などを椅子に、
バーボンでも傾けながら話すことを提案した。
「なあテファ、ここに入れた私のバーボンはどうしたっけ」
「ごめんなさい、この前フアナがふざけて割っちゃったの。きつく言って置いたから、叱
らないであげて」
「いつだったか持ってきたぶどう酒は」
「コリニーとメアリーの誕生日に半分ずつ使っちゃったわ。料理に良さそうだったから」
「あそこにブランデーがあったはずなんだけれど……」
「やあね、それはマチルダ姉さんが昨日飲んだでしょ」
「そうだったかい……?」

 マチルダはクロロを誘い、一度ウエストウッド村を離れた。そして森を出てすぐの、と
ても景気が良いとは言えぬ町に入り、行き着けの酒場へ歩く。
 煤けた木造の壁は、光という光を吸い込んで鎮座する。昼過ぎだというのに倦怠な空気
が漂い、職の無い男たちが何組か、四人掛けのテーブルにそれぞれついていた。
 カウンター席の最奥を選び座る。店の中では唯一の植木がすぐ後ろに置かれ、近くの二
人席との衝立となっている。これの周囲だけ、酒気臭い酒場の空気が和らいでいた。
 グラスに口付ける。
「財産の価値は人を生かすことにある、とあんたは昨日言ったね」
 盗み聞きをしていたこと、それにクロロが気づいていたこと、諸々を省いてマチルダは
口火を切った。色つきの唇が水気を含み、ぷるりと揺れた。
「財産が何かの拍子に財産では無くなってしまったら、そいつは何になる?」
 果たして財産では無くなった何かを奪うことは、盗みと呼べるのか。
 財産は人を生かすことに価値があるという。ならば無価値とは。
「馬鹿な男が一人居るとして、そいつは山ほどの金貨を持っていた。麻袋とか、木箱とか。
まあなんでもいいさね。抱えるほどの金貨を持っていた」
 片肘をつき、大仰な手振りを加える。唇が釣りあがるのは気性のせいだ。十六、十八そ
のころ、婚期のマチルダの仕草は粗暴と見えるものだったが、二十歳を過ぎて艶を帯びた。
「馬鹿な男は船に乗った。そいつは馬鹿で、おまけに不幸でもあった。乗った船は底に穴
が開いて、沈んだ。
 他の乗員はどうしたって、そりゃ浮き板に掴まったね。男も掴まった。ただしそいつは、
板を右手でしっかり掴んで、それでも左手には金貨を抱えていた。男と浮き板をまとめて
海底に沈めちまう重さの金貨をね」
 やがてその男は溺れ死に、海底に落ちた金貨の横で骨となるだろう。マチルダはグラス
を持って、氷の冷たさに目元を緩めた。
 クロロがマチルダを見つめる。彼女は話を進める。
「沈んだ金貨を拾うことは盗みになるかい」
「なる」
「何故」
 クロロがグラスを傾ける。マチルダは持ったグラスを何度か揺らし、氷の音を聞いた。
「それは盗掘だろう。男が死んでいたら、既にその金貨は男の子供を生かすためにある。
 場所がどこであっても、だ」
 財産は遺産となり、それは無価値ではない。無表情に言い切る。
 マチルダは、意見を否定された女の顔をしなかった。クロロの言葉をうけて闊達に笑い、
グラスに口付ける。彼女はにやりとした。
「そいつはいつから?」
「どういう意味だ」
 やはりクロロは無表情に言った。心を読める者が居たら、彼がやりとりを仄かに楽しん
でいることが分かっただろうか。
「その男が……ん?」
 マチルダが言葉を切る。フードを寄せ、グラスで口元を隠して酒場の扉に傾注したため、
クロロも問うことなくそれに倣った。
 外の光が店内に差し込み、一瞬だけ壁や床が本来の色を取り戻す。
247溺れる金貨 中編 3/4:2008/09/14(日) 23:10:32 ID:UKnx96VV
 新たに酒場を訪れたのは、小太りの腹を抱えた男と、痩せぎすで猫背の男の二人組で、
彼らは一度店内をぐるりと見回し、飲み騒いでいた不良な男たちから距離を取るように二
人席を選んだ。マチルダとクロロの背に、観葉植物を挟んだ場所だ。
 男たちは粗野な身なりをしていたが、椅子を引く手つきや、給仕を呼び止めて注文を言
いつけるさまを見て、マチルダは直ぐに彼らが貴族である、あるいは貴族であったことに
気づいた。彼らの声に耳を欹てる。
「……よし、昨日の酒場よりマシだ」
「給仕の顔か?」
「馬鹿野郎。椅子の座り心地のことさ」
「変わらねえよ。それに酒の味はまだみてない」
「そうだなあ。……しかし、楽だがよく分からん仕事だった」
 なあクロロ、あんたは唇で会話ができるか? マチルダは口元を隠していたグラスを置
き、クロロに顔を向ける。彼は頷いた。
「"始祖のオルゴール"の確保。そして、できるなら"風のルビー"も。だったか」
「そうだ、だが――」
 始祖のオルゴールとは? クロロが問う。
 この国の王家に伝わる秘宝さ。六千年前からあると言われてる。
 クロロは顎を引いた。
「――だが、流石にルビーの方は無理だったな」
「皇太子が指にはめてらあな。あれじゃ無理だ」
「その辺の事情も解ってたんだろう。伝令役の女も、万が一隙があれば、みたいな言い方
だったしな。主目的はやっぱりこいつさ」
「しかし、始祖のオルゴール? 昨日開いてみたが、壊れてたじゃねえか。さっぱり動か
なかった」
「それに見合った警備の粗末さだったろう。もしかして、あの部屋の物を全部持っていか
ないと割に合わないんじゃないかと、胆を冷やしたくらいだ」
「この時勢とはいえ簡単すぎた。もしかしたら、財宝はもう守る気がないのかもしれん」
「そういえば、武器庫の方の警備は尋常じゃあなかった」
「……まあ、そういうことなんだろうな」
「ああ、そうだろうな」

 その言葉を最後に二人の男は口を噤み、グラス一杯のぶどう酒でのどを潤し席を立った。
酒場に外の風が一度流れ込む。しかし場に蔓延する酒気に負け、掻き消えた。
「手癖の悪い男」
 マチルダが嘯いた。古ぼけたカウンターの下で、両の手の中に隠した始祖のオルゴール
を、クロロは光のない瞳で眺めている。




 汗を掻いたグラスを脇に退け、二人は新しい酒を注文した。
 既に夕暮時、夕飯時だろうか。マチルダはそのことも含めてティファニアに言って来た
ため、急いで村に戻る必要はないのだが。酒場全体が騒々しく、猥雑に賑わい、素面を
保った面々が一握りとなっていた。
「それで?」
「何だい」
「話の続きだ」
「ああ……」
 マチルダは、グラスに浮かんだライムを軽く舐めた。
「海に沈まない男の金貨は男の物だ。海に沈んだ、死んだ男の金貨は男の子孫の物だ。
 こうだろ?」
「ああ、それが自然だろう」
「これの中間はどうなんだい」
「間か。ふむ……」
 愉快な意見を聞いた、とクロロはカウンターについていた肘を離し、椅子に背を預けた。
マチルダが笑いながら、彼の返答を待っている。店の中央では酔っ払いの一団が飛びぬけ
て盛り上がっており、他の集団がやや不快げな顔をしていた。
「"いずれ溺れ死ぬ"ことが決まった、海底に向かって沈んでいく、しかしまだ息のある男。
そいつの金貨は誰のものか?」
「そう! それだ。そいつはどうなる」
248名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:10:43 ID:j+23S4O7
前中後編仕様と言うことは小ネタ扱いになるのかな。支援
249溺れる金貨 中編 4/4:2008/09/14(日) 23:11:22 ID:UKnx96VV
 なあ、クロロ。とマチルダはさも愉快そうにグラスに口付けた。素振りは見せないが、
彼女も幾分か酔っている。
「金貨はいつから子孫の物になる? 死が決まっている男の死を待つ必要はあるのかい?
 金貨の重さで男を海底に連れ込む財宝に、まともな価値はあるのかい。
 "人を生かす価値"がさね」
 けたけたとマチルダは笑った。
「生きている、しかしいずれ死ぬ」
 その金貨は既に、男の子孫の物と呼んで差し支えあるまい。
 二人が同時にグラスに口付け、それぞれを干す。酒場の中央では喧嘩が始まっている。
 ところで、とマチルダは言った。

「もうすぐ滅びる国、底に穴が開いた国、溺れる王、やがて海底に沈む皇太子。
 そいつらが抱えた財宝は誰の物だい?」
 彼らは今まさに、海底に向かって沈んでいる。クロロは無表情に口を開く。
「同じだ。それもやはり子孫の――」
 財宝は子孫の物だ。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:13:45 ID:UKnx96VV
投下終了です。支援ありがとうございました

小ネタのつもりだったのですが、どうも収まりきらず、
前中後編で終わるかどうかも怪しくなってきたので言い出せませんでした…
Wikiは今のままでおねがいします

>>241
嬉しいです!ありがとうございます〜
251名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:16:06 ID:JAlbFBEv
GJ! こういうのも好きだ。
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:17:16 ID:MdZ0xbiC
投下GJ
長編化歓迎です
253名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:18:18 ID:j+23S4O7
>>250乙でした。
了解、移そうかと思っていたがそのままで。
254名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:18:47 ID:Pl061dQy
金貨の人乙。
でも俺の理解力が足りないせいか、内容が何だかよく分からないんだぜ…。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:19:37 ID:IP19Wu1i
あれ?ドラクエTの竜王と、ロトの紋章の竜王は同一人物(むしろ竜物?)じゃありませんでしたっけ? 
ということは、異魔神やらオメガルーラやらの設定も出てくる? 王者の剣は元からあったのとアルスが作り上げたの2本ある設定だけどどっちが飛んできたんですかね。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:20:24 ID:w66JpYrB
乙。すまん、最初名前だけ見てどこぞの宇宙人小隊のキャラか何かと勘違(ry

>>240
無くは無い、が現時点ではハッキリとしてはいないな。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:20:41 ID:Y/BVS5YJ
23時30分頃から投下しようと思います。
召喚されるのはキン肉マンII世からベルモンドです。
258名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:23:57 ID:ya78Fd2z
ルイズの心の傷になりそうなチョイスだなw
259ゲーッ!熊の爪の使い魔:2008/09/14(日) 23:31:09 ID:Y/BVS5YJ
では次から投下します。
260名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:31:53 ID:Pl061dQy
ゲーッ!て。支援。
261ゲーッ!熊の爪の使い魔1/5:2008/09/14(日) 23:32:26 ID:Y/BVS5YJ
第一話 やってきたクマ
「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
もう何度繰り返したかわからない使い魔を呼び出すための文句。今度こそは、そう信じて少女は再び呪文を唱えた。しかし起きたのはまたしても爆発。また失敗した、皆がそう思っていた中、初めに異変に気付いたのは「実況」の二つ名をもつ学生だった。
「あーっと、あれはなんだーっ!煙の中から何かの影がーっ!」
その声に少女、ルイズも下げていた顔をあげる。確かに煙に隠れてはっきりとは見えないが何かがいる。
やった、ついに成功したの?そう期待を込めて煙が晴れていく様を見詰める。
そして現れたのは、
「ルイズが呼び出したのは、大きなクマちゃんだー!!」
人の大きさほどもあるかわいい茶色いクマのぬいぐるみ、だった。
262ゲーッ!熊の爪の使い魔2/5:2008/09/14(日) 23:33:34 ID:Y/BVS5YJ
「見ろよ、ゼロのルイズがぬいぐるみを呼び出した」
「今晩から一人はさびしいよーとか言って抱きしめて一緒に寝ちゃったりすんのか?」
などと「実況」以外の生徒からも馬鹿にした声が上がり始める。そして、ルイズは目の前のクマちゃんを前に声もなく立ち尽くしていた。
が、気を取り直すと教師のコルベールへと向かった。
「ミスタ・コルベール!」
「なんだね?」
「もう一度召還させてください!」
しかし へんじはにべもないものだった。
サモン・サーヴァントで呼び出したものはたとえなんであれ契約を結ばないといけないと告げられただけだった。
しかしそれで納得するわけにもいかない。
「契約も何もあれはぬいぐるみ、モノですよ!使い魔になんかなるわけないじゃないですか!」
が、そのぬいぐるみは、
「くうーん」
「喋った!?」
なんか鳴き出して起き上がってきたのだった。
「あれ、ここはどこなの?何か光にのかべに入って包まれたところまでは覚えてるんだけど」
が、ルイズにはそんなことよりも聞くべきことがあった。
「なに、あんた喋れるの?って言うかあんたいったい何なのよ?」
「ボク?ボクの名前はベルモンドだよ」

これが、ルイズと漆黒の使い魔との出会いだった。
263ゲーッ!熊の爪の使い魔3/5:2008/09/14(日) 23:35:26 ID:Y/BVS5YJ
第二話 オーバーボディの神秘

なるほど、分かった。こいつの名前はベルモンドでぬいぐるみなんかじゃなくて普通に動いて口も利ける。
それに可愛い。うん、これなら契約してもいいかな……ってそんなわけあるか。
自分で動くってことはようは着ぐるみってことじゃない。
わざわざこんなクマの格好してるやつを使い魔にしろって言うのか?冗談じゃない。
自分の使い魔はもっと強く美しくなんていうかすごいものであるべきなのだ。どうしてこんなやつと
「というわけで君は彼女の使い魔としてここトリステインの魔法学校に呼び出されたんだ。
いきなり呼び出して悪いとは思うがどうか彼女と契約を結んでくれないだろうか?」
「うーん、僕がその使い魔ってやつになるとルイズっていう子が助かるの?」
「ああ、ぜひお願いできないかい」
「……ってなに勝手に話を進めてるんですか!まだ契約するなんて一言も!」
というか何と気さくにクマに話しかけているのかこの禿は。わざわざ相手の都合まで聞いているし。
なぜだかふと幻視できた。呼ばれたのがただの平民でそいつの都合など一切聞かずただルイズに契約するよう迫る禿の姿が。
なのにこいつは今クマに親切に話しかけルイズと契約してくれるよう、お願いまでしている。こいつ、実はクマが好きなのか?
そういうルイズの内心を無視してコルベールは話を続ける。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:35:45 ID:V0tsn1vk
熊爪支援
265ゲーッ!熊の爪の使い魔4/5:2008/09/14(日) 23:36:46 ID:Y/BVS5YJ
「さきほどもいったように一度呼んだものとはきちんと契約する、これがルールです。出ないとこのままあなただけ進級できませんよ。」
「うっ」
進級できない、それだけはどうしてもお断りしたい。例えこの着ぐるみと契約することになっても。
「というわけでベルモンド君、彼女を助けると思って契約してやってくれないか、ほら、ルイズ君からもちゃんとお願いして」
「何でこっちからお願いしないといけないんですか!……でもいいわ、あんたと契約してあげる。
でもいい、勘違いしないで!仕方なくなんだから、あんたで納得してるわけじゃないんだから!」
「うん、いいよ。それで君のためになれるのなら。人助けはいいことだからね」
「うう、じゃあ契約するから顔見せて」
「顔?もう見せてるよ?」
「その顔じゃない!頭とって中の顔見せなさいって言ってんのよ!じゃないと契約できないのよ!!」
「ルイズ君、顔をとれなんて、なんてことを言うんだね!」
266ゲーッ!熊の爪の使い魔5/5:2008/09/14(日) 23:38:09 ID:Y/BVS5YJ
「えーと?これが僕の顔だよ。契約ってどうやってやるのかわからないけどこのままで問題ないと思うよ」
「そんなわけないでしょ!……いいわ、そこまで言うならやるけどだめだったらひどいからね」
「ルイズ君、ベルモンド君になんて言い方を!」
妙に熱くなっている禿は無視して
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司る ペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
呪文を唱え、クマの口の部分に口付けた。
布とその奥の綿の感触。こんなんで契約できるわけがない。だというのに、
「ク、クピーッ!」
ベルモンドは左手を抑えて苦しみ出し、
「落ち着くんだ、ベルモンド君。使い魔のルーンが刻まれているだけだ、すぐに落ち着く。苦しませてしまってすまない」
親身になっている禿の脇からみるとその手には確かに、
ルーンが刻まれていたのだった。
なぜ、キスした感触は確かに着ぐるみのものだった。というかところどころ縫い目だって見えてる。
まさか本当にぬいぐるみ自体が本体だとでも言うの?
もうなんだか訳がわからなくなってきた。なので一応契約できたと、いうことだけ考えてもう戻ることにした。
細かいことは後で考えればいい。そう思い、ベルモンドをつれて、
「何か困ったことがあったいつでも言ってくれたまえ、それと君のルーンのことも調べておくからね。私は何時でも力になるよ」
今やクマ好きであることがあらわになった禿の声を聞きながら部屋へと帰ったのだった。
267ゲーッ!熊の爪の使い魔:2008/09/14(日) 23:41:35 ID:Y/BVS5YJ
以上で書き込みを終了します。
オーバーボディって正体見せるまではホントに体の一部って感じなので契約にも成功させました。
もちろん中の人はいずれ出します。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:42:12 ID:Pl061dQy
多分こいつの本当の「素顔」を見たらルイズ気絶するんじゃないか乙
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 23:48:31 ID:ST7beCpX
ゲーッ!師匠の教え方のせいか変装趣味になってしまった超人w
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 00:04:54 ID:vKwDCp3r
>>268
でも、マイケルじゃなくてよかったじゃないか
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 00:09:54 ID:4OmsOOTC
>>270
そりゃ象よりはね
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 00:23:22 ID:AvQFFB2P
タイトルの段階で吹いたw
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 00:29:54 ID:7cw1AILA
>>216
復活の呪文ツールで作ってみた、DQU持ってる人はどうぞw
適当に作ったわりにはまともなステータスだった。

るいず たばさ ちひつこ
きゆる けろむ ぐびるき
よにう おうる とおぬま
むもこ うふむ はげぷげ
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 00:31:28 ID:+fs6Y7NP
「実況」の二つ名とはwww
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 00:32:16 ID:9dyw497Y
アデランスの中野さんだろ
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 00:42:15 ID:vKwDCp3r
残念
アデランスの中野さんは解説者
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 00:58:28 ID:9dyw497Y
>>276
そうだった
あれだ名前が思いだせんが角ばった顔のあの人だ
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 01:24:50 ID:LhKLFrLR
>>277
角田さんじゃねw
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 01:26:23 ID:eMFw+16S
金貨の人GJ!
禅問答の様なやり取りが新鮮で良い感じです。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 02:01:59 ID:A68sr0LS
金貨、氷竜、竜王の人GJでした

途中で放棄したりしないで、長く続けて下さいお願いしますm(_ _)m



金貨の話は興味深いな、こういうのもありだ
281T‐0:2008/09/15(月) 02:14:17 ID:Ecuw7lqQ
こんだけ待たせて進んでるようであまり進まない話を、
投下します5分後位に。
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 02:15:44 ID:SQTgsLrk
OKOK、支援だ
283T‐0:2008/09/15(月) 02:18:12 ID:Ecuw7lqQ
それじゃ少し早いけど投下開始。


 ――ああ、まただ。

 ルイズは肩を落とし、目の前の現実に失望したような、深いため息をついた。
 【これ】はいつも、唐突にわたしを襲う。わたしの感情や気分など知ったことでもないように、
 ただいきなり現れて、どうしようもない絶望をわたしにプレゼントしてくれる。  

 ――『あいつ』がわたしの使い魔になってから、果たしてわたしは何度ここに来ただろうか?
 
 分厚い暗雲に覆われた空を見上げて、ルイズは立ち尽くし、考える。
 敏感な素足が踏みしめる地面の感触は雪のように冷たく、硬い。
 足を少し動かすと、黒い土にまみれて目の見える範囲全てに敷き詰められた、
 変形した人間の死体や骸骨の絨毯が虚しくカラカラと鳴った。
 空には見たことのない銀色に光る体のドラゴンが、およそ生物の羽音とは思えない奇音を発し、
 まるで、地上に落した餌を探すように――文字通りその目を光らせて――徘徊している。 
 ドラゴンは時々その光を放つ眼をルイズに向けることもあるが、探しものはどうやら自分ではないらしく、
 すぐに光を離して暗黒の世界にルイズを引き戻した。

 ルイズはすぅと鼻から息を吸い込んだ。
 鉄と、血と、風化した土と、風化した死体の混ざり合ったそれは、心の奥にある恐怖心をメキメキと
 表に押し上げて来る。
 恐怖を押し上げる自分の心が、ルイズは怖かった。ひたすらに。だが同時に知っていた。
 ここには自分以外の人間がいないのだと。泣いても叫んでも、誰も助けてはくれない。 

 また一人で、現実のわたしの目が覚めるまでここにいるしかない…… 

 ――そういえば、『あいつ』はどうしたのだろうか?

 ルイズの記憶に、初めてここに来た時に見た使い魔の姿が蘇る。夢の中のあいつはシルエットだけは
 人の形を持っていたが、その本質は決して人ではなかった。
 顔の皮が、半身の筋肉がすべて吹き飛び、骨だけを露出させた人間は果たして生きていられるのだろうか?
 あの時は焦りと不安が爆発し、恐怖が足を滑らせた。心があいつの目の前に立つことを拒否していた。
 心配してやるべきだったのかもしれない。一緒に行動するようにと、命令してしまえばよかったかも知れない。
 忠誠を使うべき主君に恐れられた。あのときの自分の行動はあいつの目にどう映っていたんだろう?
 
 ここはあいつの夢――あるいは記憶――の世界のはずだ。

 どこかで爆音がとどろき、雲と地面の間で火柱が上がった。
 飛び跳ねるように体を抱き抱え、世界を照らす炎を見つめた。
 それは『火』系統に特化したトライアングルメイジが起こした魔法のように、ルイズの目に映る。
 空に届きそうなほど立ち上がった火柱は一瞬で勢いをなくし、後に残る黒い煙を黒い空に溶かしていた。 
 無意識に唾をのみ込んだ。のどがごくりと鳴り、生々しいは感触はルイズを『夢の現実』に引き戻す。 
  
 あいつ――ターミネーター――を探す必要がある。
284T‐0:2008/09/15(月) 02:19:32 ID:Ecuw7lqQ


 おかしなことに、初めてこの世界に足を踏み入れたとき以来、ターミネーターはルイズの前に
 姿を現したことがなかった。  
 この前の姿を見て、愛想をつかせた? だが、それはないと言い切れる。
 本当のルイズの世界におけるターミネーターは、常にルイズの隣を、歩幅を合わせて歩んでくれるのだ。
 では、もし故意にルイズをこの世界に引き込んでいるのがターミネーターがなら、彼を従える主として
 わたしは「なぜ?」を聞き出す必要がある。
 
 勇気を宿すように、手を強く握る。目的は決まった。 
 それは希望と言うほど大げさではないが、向かうべき結果へと繋がる大きな第一歩。
 まだ恐怖はある。夢だから危害を加えられない世界であるとわかっていても。
 この夢は思い出すと、それだけで背筋が変にしびれるのだ。
 地面に敷きつめられた、黒い土に汚れた骸骨。それを容赦なく踏みつぶして前進する巨大な銀色のゴーレム。
 空はどす黒い雲に厚く長く覆われ、ルイズに閉鎖された場所にたった一人でいるのだという事実をたたきつけた。
 墓場のような世界に、ただ一人だけ取り残される。それは絶対的な孤独だった。
 吐き気がするような夢。
 『悪夢』と一言でいえば簡単だが、その短い言霊に秘められた恐ろしさを、ルイズは理解していた。

 先ほど火柱の落ちた場所から、歓声が上がった。
 あまりにも突然なその出来事に、夢の中のルイズは眼を大きく開いて、
 遠くに響く雄たけびに近い歓声の大合唱を聞き入った。
 
 自然と足が動いた。もろくなった骸骨が崩れてルイズはつんのめった。
 誰かがいる。
 確信を得て、慣れたくもない地面によろめきながら、ルイズは走り出した。



 
              第19話 
285T‐0:2008/09/15(月) 02:21:27 ID:Ecuw7lqQ


 目の下に薄いクマを張らせたルイズは、授業のため教室に向かう道をやや定まらない足取りで進んでいた。
 頭がくらくらする。気を抜けば頭どころか体ごと左右にぶれてしまいそうな気分だった。
 すでにここまでの道中で、ルイズは口に手を当てて何度もかわいらしいあくびをしている。 
 踏み進むたびに足から伝わる廊下の硬さとかすかな刺激が、かろうじてルイズの意識を現世にとどめていた。
 そして、ルイズのすぐ斜め後ろには、ターミネーターが当然のように歩幅を合わせて歩き進んでいた。  

 ルイズは目をこすりながら、ターミネーターの方に首を少し振り向かせた。

 もう、確信に近い――残念ながらルイズのボキャブラリーでは言い表せない――ものを持っていた。
 背をピンと伸ばして胸を張り、無愛想な人の形をしたこれは、人間ではないのだと。
 彼を生み出した世界。そして彼がいたあの夢のことを、いずれは話すべきなのだろうか?
  
 ……いや、だめね。

 ルイズは思った。
 前、初めて夢を見た時のことを静かに思い出す。わたしはそのとき、ターミネーターに夢のことを全て話した。
 最も、あの暗黒の世界を完全に説明するのはこの世にいる誰でも不可能だとわかるが、それでも、
 体験したありのままを説明をした。だがそのとき、ターミネーターは何も答えなかったのだ。
 主人とその使い魔は普通、感覚的なものを通してお互いに理解し合う存在だ。そういった意味では
 夢という無防備な精神に働きかけてくるターミネーターはある意味で頭がよく、優秀なのかもしれない。
  
 だが、ルイズはあの夢に、【意味】が見い出せないでいた。
 あのような地獄を一方的に見せて、ターミネーターは何を言いたいのだ?
 お互いを理解するための情報が、あの夢には少なすぎるのだ。しかし、何度も連続で見せるからには、
 それに、なにか理解してほしい重大な意味があるのかもしれない。  
 しかし、ターミネーター当人がそれを理解していないのだ。ターミネーターが嘘を付いている可能性も考えたが、
 一月近く彼を傍で見続けたルイズだからこそ、彼が主たる自分に揚々と嘘をつけるようには思えなかった。

 ――矛盾。

 頭をよぎる一単語。
 しかし、この世界が現実である限り、そしてターミネーターと自分がここにいる限り、それはあり得ない言葉。
 不安が耳に囁く。何が足りない? この言葉を崩して現実に立ち返るために、あと何が必要……?
 わたしは主人だ。少なくとも、ターミネーターの世界にとってはわたしが主人なのだ。 
 主従し、忠誠を誓うものの胸中を探れずして、なぜそのものの主人を名乗れる?
 ましてわたしは貴族――それもそんじょそこらの成金貴族とは違う、由緒正しく誇り高いヴァリエール家三女、 
 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールなのだ。
 
 その誇りを持って、わたしは霧のように隠れたターミネーターの真意を看破して見せ――! 

「っ――ひゃあっ!」 

 大きな手にいきなり肩を掴まれ、驚きに身が総毛立った。  
 肩に引っ張られて足が身体が大きく前に振られ、思わずこけそうになる。
 
「な、なによいきなり!? びっくりしたじゃない!!」

 ルイズが胸を押さえて振り向き、いまいちイントネーションの安定しない声で叫ぶと、
 ターミネーターはすっと後方を指さして、なんとなしに疑問を孕んでいるような声で、言った。
 
「通り過ぎている」

 何の事? と思い、ひょいと視線を指の先に送ると、そこには壁沿いにおいて
 ぽっかりと口をあけている、教室の出入り口があった。
286T‐0:2008/09/15(月) 02:23:11 ID:Ecuw7lqQ


「……ねぇあんた。前にわたしが話したこと、ちゃんと聞いてた?」
「ああ」

 ひっそりと覇気を含ませた声で尋ね、そっけない口調が返ってくる。   
 教室に入って席に着いたルイズの視線が、ターミネーターの手に握られている長い布に止まっていた。  
 ターミネーターは首をかしげる。ルイズの怒りがなんなのかデータを算出しているのだが、それを理解
 できるかはまったくの別問題。そして彼は今、理解しかねていた。

「持ち歩いちゃダメって言ったのよ! わたしは……!」

 手を伸ばすと地面を引きずってしまうほど、異常な大きさの布にくるまれたその中身は、
 ワイバーンを殺したという未知の武器。ルイズの知識の外に存在しているもの――【銃】。
 それは、現在ハルケギニア各国の銃士隊などが使う簡単で脅威を感じさせないおもちゃのような物とは別種。 
 威圧感、重量感、美しさ、そして威力。それらすべてが、まるで別次元の存在。
 ターミネーターは、これを長年愛用し、手に馴染んだ得物であるかのように使いこなせると言う。
 だからルイズは危険を感じた。
 携帯するには物騒すぎる、ここは魔法学院なのだ。メイジとして技量を高めるため、貴族が集まる学び舎。
 言い訳を考えてもフォローしきれないほど、あまりにも必要がない。そんなものは戦争で使えばいい。 

 ……しかし、そんなものをわたしを守るために使うというのだから、そこは少し嬉しい。

「代用品を受け取っていない」 

 その武器を手放さない理由を、彼は短く、わかりやすく言ってのけた。
 あまりにも簡単に、感情もなく返ってくる答えに、ルイズはうっと言葉につまり、
 しかし一瞬ののちに顔に浮かべた感情を怒りに変えた。

「だから、それは……」
「あら〜ルイズおはよう。相変わらず顔にしわばかり浮かべてるわね」

 背後からさわやかな声で嫌味を放ったのは、見るまでもなくキュルケだった。
 キュルケは声同様、とても嫌味を言っているとは思えないさわやかな笑顔で近づいてきた。
 その後ろには、分厚い本を小さな手で支えて、うずめる様にして読みふけっている青い髪の子、タバサがいる。

「あーらキュルケじゃない。人の悪いところばかり見ていいところを見ようとしないその姿勢。
 さっすが! ゲルマニアの成金貴族は違うわね」

 ルイズは腕を組んでフンと鼻を鳴らした。ちらと横目で見ると、キュルケはあら、と余裕たっぷりに笑っている。
 それがなんだか頭に来る。くっと奥歯を噛み合わせると、うーと低く唸りながら睨みつけた。
 鋭い視線を浴びながら、それをものともせず、キュルケはターミネーターの隣に立ち、彼の顔を見上げた。 
 ターミネーターもまた、首を下に向けてキュルケを見た。
 
「あなたごめんなさいねぇ、まだ約束は果たせそうにないのよ」
「かまわない」
「ちょっと! 約束って何よ!!?」
 
 ルイズは向かい合う二人の間にさっそうと滑り込んだ。
 
「約束は約束よ? 言葉通りじゃない」
「そこじゃないわよ! 私が言ってるのは約束って言うのが一体何なのか? ってこと」
「くっ! ……この女は……!」

 妖艶に笑って誤魔化すキュルケを切り捨て、ルイズはくるりと方向転換しターミネーターを見上げる。
 彼女が手をちょいちょいと寄せなさいジェスチャーをすると、ターミネーターはルイズの顔の位置まで
 大きな身体をしゃがませた。 
287名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 02:24:18 ID:iP4v+OLU
支援
288T‐0:2008/09/15(月) 02:24:24 ID:Ecuw7lqQ

 
「約束って、なに」

 勢いこそなかったが、対峙した相手を押しつぶすような圧力を散開させながらの言葉は、
 ここにいるのが普通の感性と凡庸な性格の持ち主なら、有無をいわずに腰を抜かしてしまいそうな迫力がある。 
 だがターミネーターはどこまでも冷静で、そしてジョン・コナーの言葉を借りるなら、「クソまじめ」な性格をしている。
 彼のCPUは彼女の様子を論理的に分析しながら、結果として出る如何にしても理解不能な感情に疑問を浮かべていた。 
 
「彼女は私に武器を用意すると言った」 
「はい……?」

 関節のかたくなった人形のように、ぎこちない動作でキュルケを見た。
 キュルケは微笑みを浮かべ、ルイズの反応を楽しそうに眺めている。  

「ツェルプストー! わたしの使い魔に勝手にものを与えないでよ!」

 キュルケは赤い髪をかきあげてルイズを見た。
 見る者に大きな余裕を見せつける笑顔は印象的で、間近で見る者は忘れることはないと思わせるほどであり、
 それはキュルケという人間の性格と器、相対する者を何かしらで認めていることをよく表していた。 

「彼は犬じゃないのよ。そんな言い方はないんじゃなくて? ま、いいじゃない。手間が省けて」

 ね? と聞いてくるキュルケを見て、ルイズは心の中でうっとうめいた。
 キュルケの言っていることは、悔しいが正論だった。
 ターミネーターは重すぎて、武器を求めて城下に行ったところで道中で馬がつぶれてしまう。
 それなりの準備をしていけば行けるのだろうが、あいにくと手持ちのお金でそれをやってしまうと今度は
 武器を買うお金がなくなってしまう。それじゃあ本末転倒だ。何の意味もない。
   
「でも、でも……」 

 自信無く口をもごもごさせると、キュルケがかるくため息をついて、またターミネーターに顔を向けた。 
 
「あなたも大変ね。こんな主人を持って」
「どういう意味よ!?」

 言った通りの意味よ。とつぶやくと、ルイズが飛びついて取っ組み合いが始まった。
 周りにいる生徒は驚いた顔をしたが、すぐに「ああまたかよ」とでも言いたげな、げんなりした表情をした。
 
「……まだ、理解できない」 
「……うるさい」

 二人の連れ添いは、あたりを気にせず激しい取っ組み合いをする二人を眺めながら、
 それぞれ無感情な顔で、言った。  




 しばらくあと、およそ真面目・硬派で通っているコルベールがまったく似合わない仮装をし、
 あわてた様子で教室に飛び込んでくるまで二人は止まらなかったし、止めようとする者もいなかった。
289T‐0:2008/09/15(月) 02:26:23 ID:Ecuw7lqQ
投下終了。
こんな長々と間が空いたうえ、こんな時間に平気で投下するような作品に
支援してくれる人、ただ感謝です。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 02:28:01 ID:SQTgsLrk
俺は好きだぜ? 投下乙
291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 02:30:58 ID:/NfDek7H
おお、T‐0の人が帰ってきてくれるとは・・・。
投下乙です。次も楽しみにしていますよー。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 02:41:54 ID:FCR8H70f
まさに「I’ll be back」w

T-Oの人待っていました、支援!!
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 02:43:37 ID:xKM1Sk5g
久々のT-0の人乙

ではこちらも小ネタを48分に投下します
召還者はひみつ
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 02:47:09 ID:iP4v+OLU
支援準備okでっせ
295最低のララバイ (1/3):2008/09/15(月) 02:49:51 ID:xKM1Sk5g
「何でこうなったんだろう…」
 草原に腰掛けた男は溜息を吐く。
「そりゃおめー、自業自得って奴よ」
 男の隣に突き刺されているデルフリンガーはただ笑う。
「けっ…」

 ルイズの使い魔として召還されたものの、とにかく肉体労働はサボりまくる、態度は尊大、罵倒は数知れず、その癖飯は人2倍要求する、
ルイズに犬呼ばわりされたら激昂して殴る、ギーシュとの決闘に至っては、腹を刺されたにも拘らず鬼のような形相で発砲し、
ギーシュが撃たれて降参しても無視して馬乗りになって殴り続けたりと、とにかく自分勝手であった。
 学院で働く平民達ですら彼に余所余所しくするようになっていった。

「フーケだっけ?あの姉ちゃん捕まえる時なんざ、おめービビって破壊の杖を明後日にすっ飛ばして、娘っ子のとこに着弾してたよな。
あの後ガンダールヴに目覚めて俺っちデタラメに振り回してゴーレム切り崩してやっと止められたよなぁ。でも空になった破壊の杖構えたフーケ撃ち殺すってのは悪どいねぇ」
「あれが最善の方法だと言ったろ。戦場で敵を説得する馬鹿がどこにいる」
「ははは。軍人さんの言う事は違うねぇ」
 その一件以来、ルイズはしばらく口を利かなかった。何せ平気で殺人を犯せる人物と同じ部屋に住んでいるのだ。下手な事が言えない。

「その後もひでーやな。姫さんの依頼に前払いの報酬を要求するなんてな。娘っ子の怒る事怒る事。

「あのクソ姫のわがままで敵陣の真っ只中に行けってんだろ。金貨千枚貰っても安いくらいだよ。今後の地位だって保証してくれないと困る」
「道中の盗賊に傭兵に、あと空賊か。ガンダールヴに目覚めたからって気ィデカくなり過ぎだぜ。あれだけバンバン殺しまくるともう笑うしかねーな。
しかしウェールズまで殺っちまったのはねーよなぁ」
「仕方ねぇよ。空賊の船長に化けてるなんて判んねぇし、第一俺は皇太子の顔だって教えてもらってねぇんだ」
 その後ニューカッスルはレコン・キスタの総攻撃を待つまでもなく総崩れ、同行したワルドは失踪、
ルイズ一行はウェールズの下手人は貴族派だったと言い張ってトリステインに逃げ帰るしかなかった。
 ルイズはアンリエッタに対し、回収を依頼された手紙は既に処分されていた、ウェールズは討ち死にした、と虚実織り交ぜた報告をせざるを得なかった。
 使い魔は、主人が嘘を吐かなければならない状況を作ってしまったのだ。

 そして神聖アルビオン皇国が興り、トリステインに宣戦布告した。今ルイズと使い魔がいる戦場は、タルブの草原の真っ只中である。
完全に自軍が押されていて、もはや撤退するしかないだろうと周囲で囁かれ始めていた。
 男は、自分たちが殿を務める事になるだろうと予想はしていた。寧ろあの自称御主人様のクソガキが自分から名乗り出てもおかしくないとも考えていた。

「はぁ…」
「何溜息吐いてんのよ」
 ルイズだ。背後で仁王立ちしていた。
296最低のララバイ (2/3):2008/09/15(月) 02:50:40 ID:xKM1Sk5g
「何だ、クソガキか」
「いい加減その呼び方何とかしなさいよ。御主人様と呼びなさいといってるでしょ」
 ルイズはこれまで、使い魔からは「クソガキ」としか呼ばれた事がない。彼の三白眼のふてぶてしく完全に見下した顔で呼ばれる度に鞭を振り回す衝動に駆られるが、
相手が人への殺傷に躊躇しないと知った今では、ただ耐えるしかなかった。せめてこの場で冷たく言い放って張り合うのが関の山である。
「よく言うぜ、俺にあんなクソッタレた扱いしておいて、敬意を示せだ?てめーは地位だけで何もなっちゃいない、ただ威張るしか能のないクソガキじゃねぇか」
「言うわね。平民や使い魔風情が貴族に何されようと文句言う筋合いなんてないのよ」
「あぁそうかよ。俺は知ってるんだぜ?お前らが最低呼ばわりしているモット伯な、確かに平民の女囲っちゃぁいるが、
調べたらちゃんと待遇は良くしているし虐待もしちゃいねぇよ。ま、夜伽を虐待と言うならそうかもな!」
「何が言いたいのよ…」
「いちいち言わねぇと判んねぇか?おめぇは貴族の中でも最低だって事だよ。学院の貴族共だってたいがいだが、お前はその中でもぶっちぎりで最低だって事だよ」
 別にルイズがそこまで学院に住む平民を無下に扱っているなんて事はないのだが、彼女の使い魔への待遇は、他の生徒と較べ、公平に見ても良いとは言えない。
しかしそれは殆どが使い魔本人の人格や行動に起因する。
 それに理論武装し根性の捻じ曲がった大人に対し、口論でやり込める程ルイズは人生経験を積んでいない。ちなみにモット伯の話は彼がその場で思い付いたデタラメである。

 今度はルイズの方が溜息を吐いた。
「まぁいいわ。姫様からの勅命よ。全軍撤退が決まったわ。私達が殿を努める事になるの。で、判ってるわよね?」
「その顔は7万の敵陣に一人でさっさと突っ込んで死んで来いって言いたそうだな」
「判ってるじゃない。あんたみたいな性根の腐った奴は死んだ方が世のためよ」
「残念だな、俺は死なねぇ。召還される直前に殺されかけてこうして生き残れたんだ。殺しても死なねぇよ。死にようがねぇ」
 どこからこんなキチガイじみた自信が湧いてくるのか。本当に生き残る気がしたが、出来れば壮絶に散って欲しいというのが、ルイズの偽らざる本音だ。
 実際に召還当時、男は自分が死なないと思い込んでいた状況にあり、ミサイルの雨霰を受けて、爆発四散する直前に鏡に取り込まれたのだ。
絶対死なないという思い込みは簡単に覆そうにない。

 ルイズは去った。残るは男と、地面に刺さったままのデルフリンガーである。
 男は眼前に迫る敵陣を見据えると、デルフリンガーを構えた。体格からして戦闘どころか運動ですら限りなく不利な体だが、ガンダールヴの効果で身が軽くなる。
「おめーさん、そのデタラメな自信はどっから沸いてくるんだ?まぁ大体想像はつくけど」
「俺は何しろい…何だっけとにかく遺伝子のお墨付きで、無敵のガンダールヴ様だぜ!俺は無敵だ!」
「まぁいーや、おめーがどんな最低野郎でも、心を震わせて俺っちを使ってくれれば何だっていいぜ!」
 そして血走った目でただひたすら真っ直ぐ突っ込んでいった。
「掛かって来い!」

 しかして彼は死ななかった。
 ウェストウッド村のテファニアに召還されたからだ。召還されたのが血まみれの剣士だったため当初は慄いたものの、彼を甲斐甲斐しく看病した。
 しかし目覚めた彼の傲慢不遜な言動に手を焼く事になる。それでも笑顔を崩そうとせず相手をしたデファニアは鉄の精神を持ち得たかもしれない。

 後に村の孤児曰く、
「テファ姉ちゃんが鬼のように怒った顔始めて見た」
297最低のララバイ (3/3):2008/09/15(月) 02:52:30 ID:xKM1Sk5g
 装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズより、ダレ・コチャックを召還


以上です。

あの最期の瞬間に召還されたら、まぁ本人にとっては「俺は死なねぇ!」ですわなぁ

あといくら誤字でも「デファニア」って何だどこの惑星だ
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 03:22:52 ID:i1/1mshe
そこだけ書かれてもなぁ……ちとGJとは言い難い。
ボトムズなのはいいけど、それ「しか」無いのは残念。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 03:26:25 ID:0GtrpkK4
モット伯のくだり信じかけたよ
嘘かよw
投下乙でした
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 03:27:33 ID:hUU/V8Sv
短編だしこれでいいんじゃん?
gj
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 06:48:25 ID:c/QFplCI
ボブおじさん来てたー!!
やはりシュワ映画はいい
302名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 08:18:27 ID:syiXrYgX
ターミネーターの人乙
やっぱ2は名作だわ。3はアレだけど・・・

ボトムズの人乙
冷静に考えたらウェールズって空族に化けてる最中に殺されても文句言えないんだよな。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 08:51:51 ID:BbDMbOm1
爆熱じゃぼこぼこにされてましたね。
304211:2008/09/15(月) 08:54:55 ID:CYjlmfo8
>>227
ありがとうございます。
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 09:45:17 ID:aAHw1FCm
>>297
>今ルイズと使い魔がいる戦場は、タルブの草原の真っ只中である。
この展開だとトリステインは負けたって事かな?
シエスタの村にある兵器が何だったのか気になる
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 10:57:22 ID:XB4NmEgw
ウェールズ「空賊王にオレはなる!!」
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 11:13:28 ID:2gThKO09
>>305
オンボロのスコープドッグが何台か転がっていて、それを修理して使用可能にするとか。
デルフリンガーは銃剣。

ザキだったら何故かルイズを殺そうとするがルーンの力で自分を傷つけていそう。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 11:58:45 ID:xKM1Sk5g
>>305
終戦時の60年前だと、ATも登場していないので、揚陸艇辺りになるのかねぇ

また、シエスタと仲良くならないと、竜の羽衣関係には関わらず終いかもしれない
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 13:28:25 ID:rW6QJZJx
>>308
今のとこみたことないがたまたま立ち寄ったタルブで竜の羽衣を略奪していくような使い魔とかなら別にシエスタと仲良くなる必要無いよな
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 13:46:02 ID:qpWo/zIT
甲鱗のワーム様を召喚したら・・・
これはどうなるんだろう・・・
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 14:12:40 ID:XWc1u5QP
ひどい丸投げを見た
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 15:19:30 ID:fzyx5HWH
>>306
紅豚「ウェールズ団ン〜? 安い仕事はやらねーぜ」
313名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 15:24:39 ID:LPXK4/KG
>>310
MtLのお人なら、MtLのお人ならきっとやってくれる。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 15:29:36 ID:TveCRXX8
ギャザで起きてるいろんな争いごとは全てウルザの兄弟喧嘩が原因って本当?
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 16:02:57 ID:ZwGUR/M6
ほとんど、全て。
遡ると本来の原因は全部ヨーグモス。
316テスト ◆WENsur1z9M :2008/09/15(月) 16:30:35 ID:iP4v+OLU
ひどい出来でひどい文章のガンパレから岩田が召喚されましたーという内容のSSが完成したので、
もし予定がなければ16:40に投下したいと思っているのですが、よろしいでしょうか?
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 16:36:07 ID:BTKqDDwJ
量にもよるが支援だけなら
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 16:38:02 ID:OLMiDHpD
岩田じゃしょうがない

神河・ラヴニカ・ローウィン世界はウルザと関係なさそうだけどね
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 16:38:44 ID:3q+1yWxL
内容がひどい(大惨事)なのはどんとこいだが、出来がひどいっていうなら避難所の練習スレのほうが妥当じゃないか?
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 16:40:09 ID:BTKqDDwJ
一回くらい投下してみてから判断で良くね?
321青にして灰白の使い魔 ◆WENsur1z9M :2008/09/15(月) 16:42:45 ID:iP4v+OLU
では、ここに一度投下して、皆さんに判断してもらうと言う形で。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 16:43:09 ID:dsfRzbTG
一回投下してから判断するなら
練習スレでやった方が双方のためにも良くね?
323 ◆WENsur1z9M :2008/09/15(月) 16:44:21 ID:iP4v+OLU
把握しました。避難所のほうに投下することにします。お騒がせしました。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 16:45:22 ID:JWGU/Pre
お騒がせされました
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 17:58:26 ID:XB4NmEgw
もういいよ
投下に迷うくらいならごみ箱に入れろ
迷うような職人はいらねぇ
んなもんどうせクソレベルだろ

ほしいのは全話投下出来る職人だ
投下間隔や内容や量は問わねぇ
第一話を投下した
その瞬間に最終話を投下する覚悟を持ったやつがほしい
326名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:03:32 ID:BTKqDDwJ
なんだそりゃww
327名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:05:49 ID:2h8e9y9d
>>325
何でこの人、こんなに偉そうなの? 王様?
328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:09:36 ID:AaHP4OZZ
>>325
「ただのSSには興味ありません。この中に迷わない職人、最後まで投下できる職人、
覚悟をもった職人がいたらあたしのところに来なさい。以上」

こうですk(ry
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:10:55 ID:XB4NmEgw
人は皆、自分という存在(国)の王様さ
だから自分は自分の意思で立って歩ける
お前は他人の命令で動く奴隷か
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:13:22 ID:JWGU/Pre
その存在や意思の押し付けはよくないなぁ
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:18:39 ID:2h8e9y9d
>>329
だったら相手も王様なんだな?なんでそんな偉そうなの?
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:19:48 ID:N/+oHEX5
とりあえずNGに入れておいた
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:22:04 ID:BTKqDDwJ
そういやイワタマンの人は結局練習スレに投下したのはこっちに投下しないのか
あれ?手直ししてるのか?わかんね
334名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:24:18 ID:uTa3+D7/
避難所と間違えたのだろう
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:26:55 ID:AkYCoxhA
ちょっとなごんだ
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:29:46 ID:BTKqDDwJ
まぁいつかここに投下するか
しかしやたら時間がゆったりしてるな
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:35:16 ID:iF/pOrc7
そーいやここの行数と字数の制限ってどんだけだっけ?
338名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:37:36 ID:bub/f/o+
>>1を見ると幸せになれる。
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:37:47 ID:BTKqDDwJ
行数は60だったかな
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 18:52:55 ID:BMLkXDfc
行数調整ミスって時間掛かる事もしばしば…
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 19:37:06 ID:8X46j2fy
>>329
これは恥ずかしいというか痛々しいな。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 20:01:55 ID:VUjyYM5d
何かで読んでじ〜んときちゃって使いたくなったとか、じゃないの。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 20:13:45 ID:pMxQXOa3
黒人演歌歌手を召喚
ジェロの使い魔
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 20:18:52 ID:gjfa4x1K
ちょっとワラタw
お前それが言いたかっただけちゃうんかと。
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 20:24:13 ID:mxNoxviM
良いセンスだ
346名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 20:55:11 ID:AV7zODg1
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 20:58:55 ID:c8tI4Pjj
昨日は大作のラッシュだったが、今日は全然ないな。

そういや今日は敬老の日だけど、お年寄りでどんな使い魔がいるかな。
昨日でたダンディ4のほかに、忍術学園学園長やDr.猫柳田とか
348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:02:19 ID:/JA2vkBa
ロリババァことアンゼロットさまが召喚(し返し)済み。
349名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:03:42 ID:+rJw9WLt
つ「アドバーグ・エルドル」(召喚済み)
350名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:04:41 ID:+mSFyDX2
老人…兄弟スレの隠者ジョセフと、ワードナ、ウルザ辺りもそうかな?
351名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:06:12 ID:BMLkXDfc
せっかく書いていたのに親からの電話で気分を壊された…
音楽聴いて気分作ってる
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:06:24 ID:uPEAZ43K
年齢不詳だが亀仙人とか
353名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:08:15 ID:pU3jPStF
梁山泊長老 渋川剛毅 男塾塾長 この辺
まあどっちにしろルイズ可哀そうってことだ
354名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:10:10 ID:CF6YhwDr
ダンブルドア校長先生とかどうよ。ルイズを良い方向へ導くけれども
メイジ至上主義にどう反応するか見ものだろうな。
355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:13:01 ID:c8tI4Pjj
そういえば東方不敗マスターアジアもすでにいたな。

山本シナ先生召喚したらルイズたち大混乱に陥るだろうな。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:15:37 ID:1vPZRNJI
>>353
なんという濃すぎるメンツ……可哀そうどころじゃねーぞw
357名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:18:46 ID:JvzVHWd2
東方先生はまだ50前じゃなかったか?
ジジイと呼ぶにはまだ早い。
358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:20:50 ID:ktyXbesn
老人か
ウルヴァリン マグニート アポカリプス はどうか
359名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:25:24 ID:o/KiZ89P
ご老人…ダイの方のスレでマトリフ師匠が呼ばれてたっけ
あれは噴いた
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:26:23 ID:nB2XABqL
作中で散々老人呼ばわりされてるが東方先生は48歳だ
ちなみに190センチを越える巨漢だって事も忘れられがち
361sage:2008/09/15(月) 21:26:54 ID:vUYaI4zc
サイボーグGちゃんとか豪血時おうめとか
362名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:27:12 ID:7CmxYx4p
ID:XB4NmEgwは去年から同じ言葉を繰り返すアレな人
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:42:38 ID:UQ1/Z6p6
じゃあ見た目老人っぽい宇宙人ジョーンズ召喚
このろくでもない、すばらしき異世界
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:44:29 ID:fzyx5HWH
>>361
Gちゃんはいろいろ面白そうだな
365名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:45:00 ID:vRSyT28c
>>347
いいんじゃないの?少し位静かな日があっても。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:45:59 ID:DZlmzUS0
>>364
マシンルイズ、マシンきゅいきゅいとか見てみたいw
367名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:47:45 ID:aAHw1FCm
>>366
そういえば読みきり版でも連載版でも、最後に家族をサイボーグ改造しちゃったんだよなw
368名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:47:57 ID:LFDkTAaY
>366
マシンドルフィン召喚ってのはどうだ
369名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:49:18 ID:XXPOhL3M
ドクターカオスとか
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 21:54:03 ID:baHJ14Wd
>>354
ヴォルデモートのチンピラ臭があまりに酷すぎたり
肝心な時にいつもいなかったりで最後の黒幕はこの爺に
違いないと思っていたんだがなあ。
371名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:00:20 ID:R/DUzQ/f
サイボーグGちゃんを呼んだら間違いなくコッパゲ(場合によってはギーシュも?)は弟子ポジションになる
372名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:05:56 ID:3KHtSG3U
藤田和日郎の作品に出てくる年寄りはことごとく格好いいぜ?
うっかり凶羅とか呼ぶと大惨事だが。
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:07:28 ID:hEYBscw5
ムダヅモ無き改革の小泉ジュンイチロー首相とかは、
お年寄りになるのだろうか……
374名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:07:46 ID:OHx+jZel
小ネタの『瞬撃の虚空』のケンジロウじいさん以外はいたわってやる必要がないくらい元気な人ばっかりだなw
375名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:10:25 ID:junhcl3Y
じいちゃんかぁ…スーザン呼んでセクシーコマンドーを会得するルイズ

スカート下ろしてパンツ丸出しでヒヨコ走りしてくるルイ…

いゃぁん!えっちぃぃぃぃ!!
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:10:27 ID:EBKPmA7m
一両具足召喚
377名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:15:08 ID:IhIFt0Lq
『邪眼は月輪に飛ぶ』より、主人公であるマタギの杣口鵜平はどうだろうか。
最新式の銃でこそ能力を発揮する使い魔が多い中で、単発式の猟銃であれだけのことができるのだから。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:17:38 ID:a+rPYJ6G
>>377
ウヘイの使っている銃って、
ゼロ魔世界のレベルじゃ最先端の技術レベルの代物にならんか。
単発とはいえ後込め薬莢式だし。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:17:47 ID:OHx+jZel
お年寄りと言えば、PSOのフロウウェン爺さん召喚の続きはまだかなぁ……
380名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:22:28 ID:0Ho+5EDj
フロウウェンの人はオイラも待ってるお(´;ω;`)
381名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:24:12 ID:SgskW+Hd
じいさんと言うより、じじぃって感じだが、
382名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:26:56 ID:SgskW+Hd
途中送信、スマン

ARMSの新宮十三、いいかも。最強じじぃのひとり。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:31:03 ID:OHx+jZel
富士鷹ジュビロと皆川亮二の描くジジイは強すぎる。

「ジジイではない、ドクターと呼べ!!」
384鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/15(月) 22:34:33 ID:BMLkXDfc
爺さんというにはまだまだ若いぜ。
でも若者かというとばっちりおっさんだぜ。
という事で続きかけたんだけど、そうだな…45分投下予告。
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:35:17 ID:a+rPYJ6G
おっさんの為に冷や水用意して支援
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 22:44:47 ID:nLGVL7MG
鋼!鋼!支援、支援!!
387鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/15(月) 22:46:17 ID:BMLkXDfc
 コルベールの研究塔前にて、屹立するタバサ。抜けるような空の下で、彼女は平素と変わらない静かな風情でギーシュに正対していた。
 しかしながら対峙するギーシュには、目の錯覚であろうことを承知の上で、目の前の華奢な少女から陽炎のように沸き立っている『戦う意志』を浴びるように感じ取り、
腰を下ろしていながら竦み上がっていた。
「ま、ままま、待ってくれ。どうして君と僕が決闘をしなくちゃいけないんだい?!」
 噂に聞くに彼女はシュバリエだというではないか。楽天家なギーシュでも流石に戦って一本取れるような相手ではないことくらいすぐにわかっていたから、
手を振って今にも飛び掛ってきそうな――実際、それは只の妄想なのだが――タバサを静止した。
「と、というか…ミス・タバサ。学生同士の決闘は校則で禁止ですぞ」
 場に居合わせた唯一の教諭であるコルベールは、タバサの見せる並々ならない意欲に、額に汗を浮かべていた。
「そ、そうだとも!決闘はいけない!」
「あんたが言うと説得力ないわねー…。あ、シエスタ。クックベリーパイおかわり」
 我関せずという姿勢を崩さないルイズは空になった皿をシエスタに渡していた。
「それは困る」
「ど、どうして」
「稽古の成果がわからないから」
 どもったり汗を浮かばせたりするギーシュをはじめ、その場に居合わせたものたちに、口数少なくもタバサは話し始めた。合間にキュルケも口を挟みながら…。
 
 
 タバサはこの一週間ほど、ギュスターヴが事業を始めるために忙殺されている間に、キュルケの協力を得ながら、一人剣の稽古と、
これからの課題について時間を費やしていた。
 ラ・ロシェールでの一件の折、フーケが最後格闘戦を仕掛けてきたことを教訓に、タバサは剣と魔法を同時に、かつ、効果的に組み合わせて使う方法を考えていた。
 例えば先述のフーケは、両足が杖の効果を持つ義足になっており、杖を振るモーションを省略していくつかの魔法を使って見せたように。
 同じくフーケと戦ったキュルケを抱き込んで、ギュスターヴに習った剣技を生かしつつ、魔法も効果的に使うことが出来る方法を考案したのである。
 今度はそれが実戦でどの程度の効果が出せるかを実験しなくてはいけない。しかし、キュルケでは相手にすることが出来ない。キュルケは魔法で攻撃できるが、
格闘に対応できないからである。
 そこで、ゴーレムで攻撃しつつ、ゴーレムを軸に魔法で戦う事が可能なギーシュに白羽の矢が立った、というわけである。
 
 
「…と、いうわけなんですけど、ご許可いただけますかしら。ミスタ・コルベール」
 途中から殆どキュルケがしゃべっていたために、コルベールはキュルケに答えるべきか、タバサに答えるべきか、一瞬迷ってから、タバサに向かいなおした。
「いや、しかし…向学心のある様子は理解しましたが、やはり学友を的にするようなやり方は了承できませんな…」
 努力する人間が好きなコルベールは苦しい表情で答えた。
「俺じゃ駄目なのか?」
 ギュスターヴの質問に首を振るタバサ。
「そりゃ駄目だろうな。相棒の場合魔法だろうとなんだろうとなぎ倒しちまうだろう?」
 一振りで樹木を両断してしまうギュスターヴでは飛び掛る【エア・ハンマー】だろうと【エア・カッター】だろうと剣圧で消し捌いてしまう。
デルフが持つ魔法吸収効果があれば尚更のことであった。
 かくしてどうしたものか、逡巡するコルベールやタバサの話を聞きながら、ギーシュはどこか上の空でぶつぶつとつぶやいていた。
「…ミスタ・コルベール」
「なんですかな」
「やらせてもらってはくれないでしょうか」
 つぶやかれた言葉が場の人間を一瞬、固める。
「い、いや、しかしですな…」
「これは決闘というより、組み手のようなものでしょう。そうであれば本来の決闘ほど身の危険はないはずです」
 さっきまで竦んでいたギーシュは、今度はなぜか妙に乗り気になっていて、キュルケやルイズは訝しげに話を聞いていた。
「といっても、僕は所詮ドットメイジ。組み手であってもトライアングルのタバサとじゃ釣り合わない。だから…」
「だから?」
「3日、時間をくれないか。3日で君との組み手に相応しい手立てを準備する」
 ギーシュの声色は真剣だった。やがて数拍し、タバサは頷いた。
 
388鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/15(月) 22:47:20 ID:BMLkXDfc
 用件は終わったとばかりに、タバサはシルフィードに乗って自分の部屋へと戻っていき、キュルケも同乗してその場を去っていった。
「ミスタ・グラモン。本当にミス・タバサと…組み手をするつもり、ですか?」
「…はい。仮にも僕はグラモンです。仕合組み手の類とて承ったからにはやらせていただきます」
 覚悟を決めた表情でギーシュは言い切る。
「でもたった三日で準備なんて出来るの?言っちゃ悪いけどギーシュ。あんたとタバサじゃドラゴンとモグラ位差があるわよ」
 うんうん、とギュスターヴとシエスタは頷いていたが、ギーシュは不敵に、ふ、と笑う。
「…実はね、ここでコルベール師の助手をしながら新しいワルキューレのアイデアを練っていたんだ。あと3日でそれを使えるものにしてみせるさ」
 ほー、とコルベールを除いた三者が関心の声を上げた。
「…まぁ、それでタバサと互角にはならないだろうけど。今のワルキューレじゃ案山子もいいところだし」
 ギーシュもただ闇雲に引き受けたわけではなかったと見て、コルベールは少しばかり、安心と興味を抱く事ができた。
「いいでしょう。…ただし、ミスタ・グラモン。3日後の組み手に私は立ち合わせていただきます。それが条件ですぞ」
 
 
 
 『挑む若者、伏する男、携える女』
 
 
 
389鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/15(月) 22:48:30 ID:BMLkXDfc
 アルビオンのとある岬に建設されたニューカッスル城は、今より十数日前にこの世から消え去った。
 嘗ての名城は内乱の最後、王党軍と貴族連合軍の戦闘の舞台に選ばれ、結果立て篭っていた王党軍の寡兵を撃滅する為に、アルビオンが誇る空船艦隊による
包囲砲撃を豪雨のように受け、崩壊した。
 今あるのは大地にこびりつくように残った城壁の一部と、地盤に建物を留め置く為に張られた基礎、そしてその上に積まれた嘗て城だった石と土の山である。
 
 既に内乱も終わり、新政府も立ち上げられたものの、ニューカッスル城跡には今も人の気配が多い。
 王党派が残した隠し財宝があるのではないか、と睨みをつけてた者や、今頃やってきてうち棄てられた屍から金になるようなものを剥ぎ取っていくような者たちである。
 悪漢・盗賊・傭兵崩れが屯し、身に着けるものを剥ぎ取られた名も無き死体の園に、一人の男が立っていた。
 その背格好はアルビオンでは平素、見ることが出来ないものだ。兵隊が使う丈の長くキルティングされたマントはともかく、つばの広くとられ、羽飾りの付いた帽子、
そしてマントを止めるブローチは、トリステイン王国の紋章である白百合にグリフィンをあしらったデザインが用いられている。
 少々疲れた顔つきの男だった。左腕を通すはずの袖は絞られ、余った布地が揺らめいている。
 
 
 砲撃の始まったあの日のニューカッスル城から、満身創痍でレコン・キスタにやってきたワルドは、前もって手に入れた符丁やいくつかのトリステイン軍の情報を渡し、
後方の医療施設に収容された。
 本来ならばウェールズの首とトリステイン王室上の瑕疵であるアンリエッタの手紙を持ってくることで、何らかの地位を得ることが出来るはずだった。
 だが現実は、ウェールズを殺しきれず、左腕を落とされ、グリフィンをも失っての完全なる敗走だった。
 
 
 だが、受けた治療の礼をするためにオリヴァー・クロムウェルを尋ねた折、彼は煙たがるような素振りを欠片も見せず、朗らかに笑って答えた。
「子爵よ。卿は確かに我々の作戦行動や功績に寄与することは叶わなかったかもしれない。しかしだ。卿が我々に参加したことを知ったからこそ、トリステインと
ゲルマニアは我々の打診した不可侵条約に惹かれたのだ。これは一種の譲歩だ。であるなら、これは卿の功績であると私は考える。どうかね」
「勿体無きお言葉でございます」
 クロムウェルはワルドに一杯の杯を勧め、自身もグラスを傾けた。
「……しかしながら、返す返すもウェールズには苦戦した。後の結果をみれば、かのものは最後魔法の力にて爆散し、多大な犠牲を我々に強いた。
私にとって死者は友人であるが、死体すらないものでは同情するばかりだ」
「…左様でございますか」
 ワルドはこの目で見たわけではないが、目の前の男が伝説に伝え聞く『虚無の魔法』を操るのだと知っていた。だからこそ、ものの数年で一国を落とすほどの大組織を
作り出せたのだということも。
 クロムウェルの『死者は友人』というのも聞いている。聞くに、クロムウェルの『虚無』の威光は、敗れた敵を現世に呼び戻し、精強なる兵士とすることが出来る…と。
 ならば、爆散したというウェールズも、本来ならその骸を兵士としたかったのだろう。
「確かにウェールズほどの男、そうは世におりません。閣下の『虚無』の威光で我らの陣営に加えて頂きたかったものです」
「ふむ。そこで卿に頼みたいことがある」
「なんでございましょうか?」
 クロムウェルは指に嵌めている指輪を撫でながらワルドを見ていた。
「ニューカッスルに赴き、『ウェールズだったもの』を集めるのだ。何、血の一滴、髪の一本でもかまわん。指の一本でも見つかれば、私としては卿を賞賛したくなるほどだ」
 ワルドの脳裏で考えが乱舞する。クロムウェルは恐らく、近々にトリステインへ侵攻することだろう。ならば、今此処で何らかの功績を挙げることで、
トリステインを併呑した後の地位を手に入れることができるかもしれない。そう、例えばトリステインを取り仕切る総督などに叙してもらえるやもしれない…。
「その希望、このワルドめが叶えてみせましょう」
 深く頭を下げてワルドは答えた。
 
 
390鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/15(月) 22:50:34 ID:BMLkXDfc
 かくしてワルドは再びこのニューカッスルを訪れたわけであるが、捜索を始めて判った事は、目標の余りの拙さであった。
 基本的に、ハルケギニアの戦場で死体を回収する事はない。例えば王侯貴族、ないしそれらに絶大に貢献したメイジであったりするのならともかく、末端の兵士など、
髪の一房でも生き残った人間の好意でもなければ届かないのだ。
 だから今、ワルドが睥睨として見渡す古戦場には数え切れぬほどの死体が転がっている。
 それも五体が残っているわけではなく、頭が無いもの、腕が無いもの、足が無いもの…。
 ましてや探すのはウェールズだ。その体は爆散したために、まともな形で残っていないことは明白だった。
 とりあえず、爆散した中心を基点に、【偏在】も動員した捜索を始めたが、それらしいものはいまだ見当たらない。
 捜索範囲を広げてはみたものの、手に入ったのは瓦礫の下から見つかったウェールズの礼服一つのみ。
 死臭立ち込めるニューカッスルは、そこに居るだけで生きている人間の生気を奪うようで、まだ全快ではないワルドの身を苦しめた。
「やはり死後数日が経っていると無理か…死体があるならともかく、爆散してバラバラになったとあればな…」
 額の汗を拭おうとして、一瞬左腕を動かそうする時の虚しさに苛立ち、近くの大きな瓦礫に腰を下ろす。
 ぼんやりと空を見つめる。残された右手は自然と、首にかけられたペンダントに向かっていた。
 すると、林の方に向かわせた偏在の一体が、なにやら薄汚れた布包みを持って戻ってきた。
 偏在はワルドの前に包みを置くと、役目を果たしたというばかりにその場で掻き消えた。
「なんだこれは?……?!」
 ワルドが片腕でどうにか包みを開く。
 それは血と泥で汚れ、半分ほどを鳥に啄まれて骨が露出した『首』だ。それも下顎の骨がなく、後頭部に当たる部分が欠け落ちていた。
 しかし残った顔面の顔立ちと、頭部の髪から、それがウェールズだというのがワルドには一目瞭然だった。
 
 
 
 後日のロンディウムの宮殿に、幼児ほどもある小包を持ったワルドがやってきた。
 クロムウェルは、傍にローブを着込んだ者を侍らせてワルドを出迎えた。その者は、物腰からどうやら女性であるらしいことをワルドは察した。
「閣下の所望する品。無事手に入りましてございます」
 傅いて報告したワルドに、クロムウェルは手を叩いて喜んだ。
「おお!そうか!いや、すまないな子爵よ。随分と苦労したんじゃないのかね」
「お恥ずかしながら、かなり手こずりました。しかしながら、お陰で閣下のご満足する成果となったと自負しております」
「うむ。ミス・シェフィールドよ」
 シェフィールドと呼ばれた傍らの女性は、ワルドから包みを受け取ると、クロムウェルの前に台座を用意し、そこで包みを開いた。
 
 それは傍目には挽肉の失敗作とも言うような代物だった。部位不明の肉片に、汚れた骨の欠片がちらほらとしている。見つけたウェールズの首と礼服の一部も
含まれていた。
「どうかね、ミス」
 シェフィールドの視線は、ローブのフードで窺い知れないが、わずかに見える口元が綻んだ。
「少々時間が掛かるものと思われますが、問題ないかと」
「そうか!ではかく話したように」
「はい」
 満足げなクロムウェルはシェフィールドに包みを預けると、シェフィールドは静かに部屋の奥へ入っていった。
「…閣下。失礼ながらあのようなものをどうするおつもりで」
「子爵。私の『虚無』が死者を呼び戻すことは知っているだろう?」
「ですか前に言っていたではありませんか。死体すらないもの、と…」
 言葉を続けようと視線を上げた時にみたクロムウェルの表情を見て、ワルドは鼻白んだ。
 その目は自分を高みから見下ろしている。そのなんと穏やかな事か。
 まるで自分を無知で哀れだといわんばかりに…。
 だがクロムウェルは次の瞬間、普段の柔和な表情を作って語り始めた。
「『虚無』とて無限ではない、が、時間をかけることで肉片からでも人間は復活するのだよ」
 こともなげにそう言うので、ワルドは頷かざるを得なかった。
「…左様でございますか」
 
391鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/15(月) 22:52:06 ID:BMLkXDfc
「さて、子爵よ。卿にはこの功績にふさわしい品をこちらで用意してある。ひとまずは受け取りたまえ」
「はっ」
 すると先ほど奥へ下がったはずのシェフィールドが、棒状の包みを持って戻り、ワルドにそれを手渡した。
「この場であけるといい。卿が『今一番欲しい物』を用意したつもりだ」
「は。…では、失礼して…」
 ワルドは膝の上に包みを乗せ、残った右腕で包みの結びを開いた。開かれた包みの隙間からきらきらと輝きが漏れてワルドの目を打った。
「ぅ……?!こ、これは…!」
「ふはははは…よく、出来ているだろう?その『腕』は」
 そう、包まれていたのは『腕』であった。
 それもただの腕ではない、まるで鋳型で作ったように精巧に作られており、皺の一本、指紋の一つさえありそうなほど忠実に作られている。
 何よりも見るべきは、その明かりを反射するまばゆい光沢だった。
「銀色の義手でございますか…!」
 ハルケギニアをくまなく探しても二つとないだろう、銀に輝く義手であった。
「それがあれば卿も存分に力が揮えるだろう。付けたまえ、子爵」
 礼をしたワルドはそよぐ左袖をまくり上げた。切り落とされた上腕は、今はふさがれて肉とに覆われている。
 銀色の義手の根元はすり鉢状にされており、ワルドは切断面と義手の根元を重ね当てた。
 すると義手の根元がぐにゃりと崩れた。それにワルドは一瞬気を散らしたが、それを待っていたように技手の根元から蔦のように銀色の触手が伸びて絡みついた。
「ぐぅっ?!」
「言い忘れていたが、それは古代の戦士が使ったマジック・アイテムの一種だ。欠けた四肢を補い、元のそれと同じように動かす事ができる。
ただしそれは本来のものにすこし改良を加えた代物でね、なに、『始めは』痛むだろうが時期に馴染む」
「はっ…はぁっ、……ありがたき、幸せにございます……」
 触手が食い込み、食いついた義手が『繋がった』ワルドは、息をつきながら鬼気迫る笑顔で答えるのだった。
 
 
 
 タバサの決闘という名の組み手申込みからきっかり3日後、場所は3日前とおなじ、コルベール研究塔前の開けた場所だった。
 3日前の申し合わせのとおり、タバサは3日を待ち、ギーシュは3日待たせて己の持ちうる最高の準備をして対峙した。
 それを見物する為に、コルベールをはじめギュスターヴ、ルイズ、キュルケの三人が遠巻きに二人を眺めていた。
「準備はいい?」
「ああ…かかってきたまえ」
 そして二人は杖を構えた。
 
 
 
392鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/09/15(月) 22:54:02 ID:BMLkXDfc
 学院の敷地の一角でそのような事が行われていることとは、一件無関係なように学院長執務室ではオスマンともう一人の間で時間が流れていた。
「お久しぶりでございます。オールド・オスマン」
 来室者は女性だった。しかし彼女は学院の人間ではない。
 凛とした声に振りまく冷ややかな空気、豊かなブロンドの髪を揺らして、眼鏡をかけていた。
「何年ぶりになるかのぅ。ミス・ヴァリエール…いや、エレオノール君」
 一度ミス・ヴァリエールと呼ばれたエレオノールという女性は、にこりともせずに答える。
「大体、9年ぶりくらいになるかと」
「ほっほっほ。月日がたつのは早い者じゃ。当時から優秀じゃったおぬしも今はアカデミーの正研究員じゃからな」
「あの時は推薦状を書いていただき感謝しておりますわ」
 彼女は嘗てこの魔法学院で学生として籍を置き、そして平穏無事に旅立って行った一人だった。
「して、今日はどのようなご用件かの」
「在籍しているルイズへ、殿下より言付かっているものがございます」
 彼女はルイズの姉だった。10歳以上離れた姉妹だが、比べ見ると振りまく雰囲気がよく似ている。
「ほぅ…と、いうことは」
「はい。殿下のご婚儀での巫女に選ばれました」
「慶事じゃな。ヴァリエール公も鼻が高いじゃろうて。では巫女というのであれば例の物も?」
「はい。こちらに…」
 催促されたエレオノールは腰の鞄から一冊の本を取り出して見せた。その装丁はくすみ、長い年月を過したことがわかる。
「婚儀までの間、あの子にはこれを持っていただかねばなりません」
393鋼の使い魔(後書き) ◆qtfp0iDgnk :2008/09/15(月) 22:56:05 ID:BMLkXDfc
投下終了。
さて、序盤の山場までどうにか持ってこれたと自負。
ワルドはこれで腕力と器用さがうp(ネタ元的発言)
…はぁ、卒業できるのかな、俺…(就職もどうしよう
394名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:05:57 ID:fzyx5HWH
>>393
投下乙です

そして安心しろ!俺も卒研放ってSS書いてるし就活なんか全くしてないぜ
395名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:06:04 ID:YPDWMrNr
投下乙
左手が利き腕同様に使えるようになって二刀流が可能になりますね!
396名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:11:38 ID:+mSFyDX2
銀の手乙!

…ふと、悪名高きロアーヌ公なら、ニューカッスル戦の逆境も何とかしそうだと思ったw
397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:21:29 ID:pU3jPStF
ふとシャールを使っていたにも関わらず
銀の手取るの忘れたことを思い出した。GJ
398伝説のメイジと伝説の使い魔 ◆VOYDsokLyw :2008/09/15(月) 23:36:33 ID:jMtGFHW8
あるキャラを召喚してみました
45分頃に投下したいと思います
よろしいでしょうか?

誰を召喚したかは投下し終わるまで秘密です
399名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:39:25 ID:+mSFyDX2
支援
400名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:39:29 ID:fzyx5HWH
しえ〜んします
401名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:40:06 ID:TveCRXX8
伝説か
コンビニを思い出すぜ支援
第一話 伝説の出会い

「――――」
世界のどこか、どこでもない淡い光の中で、男は誰かの名を叫んだ。その名が何者か、男自身もすでに忘れた。
記憶がなくとも、男は、本能から、本能でしか表せようのない誰かを求めた。
男の根源に眠るのは、流れる血だからこその欲望。自身の強大な力ゆえの狂気。それを上回れた故の、かつて、隣であった故の、劣等感を味わった故の憎しみ。
「――――」
男は叫ぶ。光の彼方に向かって。
男はその意味を喪失し始めていた。男の頭が霞のような霧に覆われ、何もかもが忘却されてゆく。
不意に男は額を押さえる。何かに支配される不快感を感じたからだ。
男は額を掻き毟る。そうでなくては頭が割れる。記憶の彼方に感じた、痛く、僅かに暖かみのある拘束。
男のすべてが光に包まれる。男はもう何も考えられなくなっていた。
「――――――――――――」
男は支配に抵抗するように、叫びにならない金切り声を響かせた。それでスイッチが切れたように、男の意識は深い闇の中に堕ちていった。

清々しいほど青々とした空。気持ちいいほどに地上に潤いを与える太陽。上空だけ見ればのどかな一日に見える。
視線を下に移すと、地上を彩る草花がなぎ倒されていた。おまけに、その無残な姿は、吹き上げられた粉塵で覆われている。なんとも場違いな光景である。
のどかな風景に、爆発の発生。平和な生活は終わりを告げ、戦いの渦中に人々が巻き込まれようとしているのか。
ここに過去最高の出来のぶどう畑でもあれば、職人たちの魂を垣間見ることができる。
しかし、ここは見渡す限り草原と学院へ通じる道しか見えない。旨そうな物は道の先にある学院の中に収められている。
ついでに言うなら、一人で戦争はできない。一人で人に迷惑をかけることはその限りではない。
昼間から地面を抉るなどいい趣味ではない。彼女にはちゃんとした原因があるので、そんなことはないが。
爆発を起こした張本人、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールは、自分に眠る力である魔法を発現させる杖を振り下ろしたまま、目の前に横たわる男を見つめていた。

話を始める前に、今日は何の日か、という問いに答えよう。
ここはハルケギニアに君臨する四つの国家の中で魔法使い、つまり貴族の権威が大きいトリステインの国。
詳細に記すなら、王都トリスタニアから、馬で二、三時間ほどの距離で南に位置するトリステイン魔法学院近郊の草原だ。
今日はこの場で学院の伝統行事、二年生に進級した春に、魔法の教鞭を受けている生徒たちが自らのパートナーとなる使い魔を召喚する日である。
儀式は最後の一人を除いてスムーズに進み、現在はその一人が必死になって使い魔を召喚した直後だ。
「ゼロ」のルイズが召喚した使い魔。それは、まったくもって、驚くべきものだった。
ルイズの目の前で穏やかに眠る暫定使い魔は、身長にして二メートルを超える。丹精で幼さを感じる長髪の青年だ。
服装は腰にターバンのようなものを巻きつけ、どこかの民族衣装と思わせる白地の服が下半身を覆っている。
腕の手甲のようなものや首に掛かる装飾具、そして、履いているブーツは皆同じ金属で作られているようだ。
辺境に住む少数民族の戦士なのだろうか。肌を露出した上半身から見える肉体は自らが屈強な戦士であると示さんばかりに盛り上がっている。
戦いの痕なのだろうか、男の胸から腹部にかけて赤く腫れている。左胸にも生々しい傷痕が残されている
正体が推測できない謎の男。これが異教徒だった場合、面倒なことにはなりかねない。
この場にそこまで意識する狡猾な大人がいないことはある意味幸運なのだろう。
今その男を囲んでいるのは、目先のことで一喜一憂する、少年少女達だ。

「平民だ!ルイズが平民を召喚したぞ!」
この一言を皮切りに、周囲で様子を窺っていた生徒たちが一斉に笑い出した。
これをただの平民と見るのは、本来ならば、難しい。
しかし、まだ外の世界を見る経験も少なく、魔法を使う者以外は平民だと考えが固定されている生徒たちに、それをわかれというのが無理なことだ。
ルイズはこの不名誉な扱いに必死に反論するものの、からかいの火が付いた集団を止めることはほぼ不可能だ。
ルイズは、口喧嘩をしてもにっちもさっちもいかないので、引率のコルベール先生に召喚のやり直しを要求してみることにした。
長々と伝統に反するとご高説を教授され、反論の余地なく撃沈を食らった。
ルイズは、落胆して肩を落としながら、草原をベッドに気持ち良さそうに寝ている男の脇に腰を下ろした。
男がうめき声を上げ、目を覚ましたのはその時だ。ルイズは、不意の出来事に、体を強張らせる。
男は上体だけを起こし、不思議そうに辺りを見渡している。その顔はどこか陰が含まれ、哀しくもあり、感情の露出がほとんどない。
「起きたの?あんた誰よ」
ルイズはあきれた様に問いかける。ここは気遣いの言葉を掛けるのが模範的対応と言われている。
しかし、ハズレを引いた失望感と使い魔がいきなり動き出したことによる気の動転により、ルイズがそれをできる心の余裕はない。
男はルイズの言葉に反応してルイズの方を向く。その表情からは男の内心を予見することはできない。
「どうしたの?言葉はわかるでしょ?あんたの名前、早く教えなさいよ」
イライラを吐き捨てるようにルイズが言うと、男の口が開いた。
「ナ……マエ。僕の名前……」
全く、要領を得ない答え。頭に筋が浮かびそうなるルイズを逆撫でするには十分だった。
「あんたの名前よ!わからないわけないでしょ!」
再び失笑の的になるのもお構いなしに、ルイズは猛然と食って掛かる。
相当強い口調で捲くし立てられたにもかかわらず、男は無表情のまま虚空を眺めている。
自分の苦労など知らん振りな男の態度に、ルイズはとうとう切れた。
「何よ!自分の名前もわからないわけ。あんた人間の顔してるけど、ブタか何か!?何とか言いなさいよ、このロクデナシ!」
そこまでルイズが言ったら、男がゆっくりルイズの方を見た。
「何よ。悪い事言ったなんて認めないわよ」
そう言ってるルイズだが、僅かばかり尻込みしている。言い過ぎによる、後ろめたさを抱いている証拠だ。
起こるかと思われた男は、額に手を当て苦しそうに呻きだした。
「ブ……タ……ロクデ…………、ブ……ロ……、ブロ、ブロリー?」
囁くような声。ルイズは聞き取るために男の顔を覗き込んだ。
「何それ。あんたの名前?」
男は何かを思い出したように額から手を離した。
「僕の名前……ブロリー……」
404伝説のメイジと伝説の使い魔 ◆VOYDsokLyw :2008/09/15(月) 23:47:29 ID:jMtGFHW8
以上です

ドラゴンボール劇場版からブロリーを召喚

ブロリーの奇妙な態度と一人称の僕については次回以降に判明します
ついでに、僕は狙って言わせてます
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:47:42 ID:fzyx5HWH
ブ、ブロリーだと...支援
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:48:27 ID:g+wb5BGK
全てが終わった・・・・。
407名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:49:17 ID:fzyx5HWH
支援しようとしてたら終わってた

ハルキゲニアに召喚の場合
やっぱ長さの単位はメートルじゃなくてメイル使った方がいいかも
408名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:53:15 ID:fAhWx/B8
銀河一つ滅ぼして、理論上はどこまでも強くなれるヤツが来たか。
彼が怒り以外の純粋な心を持たないとルイズ死亡フラグじゃんw
今後に期待して待ってます
409名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:58:47 ID:TveCRXX8
後にも先にも悟空が手加減を頼んだのはブロリーだけなんだよな
410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:01:53 ID:GBd2WDTj
ブロリーはマジトラウマ…
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:08:13 ID:5CYaCTFi
ブロリーの人乙
だがブロリーwww怒ったらハルケギニア消滅レベルだなwww

しかし今日、いや昨日は投下が少なかったな
作品もっと来い来い
412名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:08:25 ID:74y1stSH
二回復活する執念がいいな。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:08:31 ID:u9yltmZB
あの話は熱唱するクリリンに吹いたw
何で俺だけネタは結構あとの作品まであったな。
414名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:15:45 ID:qZ5iM4s7
>>412
復活と聞いて、悪魔城ドラキュラの若本ドラキュラ思い出した

百年に一度だけど何度でもよみがえる
生まれ変わって主人公にもなるw

仮に呼び出しても、ルイズに従わずにハルケギニアに暗黒時代到来を呼びそうだ
415青にして灰白の使い魔 ◆WENsur1z9M :2008/09/16(火) 00:34:31 ID:hF7cR5T7
予定入ってなさそうなので再び。
練習用スレに誤爆していざ避難所スレに投下しようと思ったら避難所スレの投下理由と少し違ったのでやはりここに投下を。
えー……っと、では0:40投下予定
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:36:10 ID:5CYaCTFi
寝る前最後支援
417名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:37:35 ID:ETOYbJ8l
くそっ!寝ようと思ってたのによ〜w
418青にして灰白の使い魔 ◆WENsur1z9M :2008/09/16(火) 00:40:00 ID:hF7cR5T7
 その日も、岩田裕はいつものようにテントのポールの上にいた。
 軽く息を吸い込み、軽く跳ぶ。手を伸ばして青空に少しだけ近づいた後、真っ逆さまに落下した。
 重力からも解き放たれるまでにあとどれほど訓練すればいいのかを考えながら、顎を高くして地上に目を凝らす。

 ――そんな時だった。異様に大きい鏡が眼前に現れたのは。

 悲しいかな、真っ逆さまに落下し、地上に目を凝らしている状態で眼前といったらそりゃもう進行方向。
 岩田が反応するよりも速く、岩田の体が鏡に飲み込まれた。

青にして灰白の使い魔

 トリステイン魔法学院、春の定番と言えば、二年生に進級する際の使い魔召喚の儀式。
 ただ召喚するのではなく、さらに契約し自分の魔法の属性と専門課程を決める重要な儀式だ。
 使い魔は召喚したメイジの力量を測る際にも役立つし、主のために戦ったり秘薬を手に入れたりする。
 伊達にメイジの実力を見るならば使い魔を見ろ、と言われていない。
 つまりは、だ。トリステイン魔法学院はめでたくその使い魔召喚の儀式の日を迎えたということだ。
 そして当たり前のように生徒たち使い魔を召喚し、一喜一憂している。

 しかし、それすら許されない少女がいた。
 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 美しいというよりは可愛くて、優しいというよりは厳しい。
 透き通る、とまではいかない白い肌と、明るい桃色のかかったブロンドの髪、輝く鳶色の瞳の少女。
 小柄で歳よりもずっと幼く見える彼女は、努力しても、努力しても、決して報われない哀れな少女だった。

 鬱陶しくなるような青空の下、ルイズは目を瞑りながら何度目かのサモン・サーヴァントの呪文を唱え始める。
 これが最後とコルベールに念を押されているので、失敗は出来ない。もし失敗すれば明日に先延ばしだった。
 それだけは避けたいと彼女は思う。既に恥ずかしいが、上塗りするようなことだけは避けたかったのだ。
 目を瞑り、呪文を唱えながら深呼吸をする。そしてひたすら自分が召喚したい使い魔を思い描いた。
 白鳥のように美しく。主のために忠誠を誓ってくれる家来のような素晴らしい使い魔を。
 呪文が最終段階へと移行するに従い、目を見開いた。その瞳に映るのは無事召喚された使い魔のみ。

 悪いことは起こらない。ここから先は必ず、必ず良い事が起こる。これで私は変わるのだ。

「――我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ……!」

 ルイズが呪文を唱え終わるその瞬間、何かが光り輝いてから、いつものようにルイズの眼前で爆発が起こった。
 煙がもうもうと立ち込める中、ゆっくりと目を凝らす。成否を確認するためではなく、召喚された使い魔を見るために。
「……ない……しっ、ぱ……違う、せっ、成功……し、たっ……うぇ?」
 煙が晴れた。ルイズと周りの生徒、コルベールまでもが固唾を呑んで見守る中、<それ>は姿を現した。

 <それ>は白い奇妙なつなぎを着ていた。その顔には白い特殊な化粧が施されている。
 落ち着きがないのか癖なのかは分からないが、<それ>は長い手足をタコのようにくねらしていた。
 一見すれば白いタコ。近くで見れば道化といったところだった。
 ……つまり、人間――それもその身をくねらした――なわけだ。
「おいおい、ゼロのルイズ! いくらサモン・サーヴァントが成功しないからって平民を連れてくるなよ!」
「しかもなんかくねくねしてるぞ! 気っ持ち悪い!」
 連れてきただけならどれだけ嬉しいことか。ルイズは顔をしかめることで飛んできた野次に応えた。
 歯を食いしばる。泣きたくなったが、今は耐えるしかないと思った。
 首をぶんぶん振って辺りを見渡していた平民がついに口を開いた。
「フフン、ここは誰ですか? 私はどこですか? 私は岩田、イワッチ! はっ、電波受信中ー!」
 ルイズは一歩退いた。周りの生徒は既に三歩退いていた。
 岩田と名乗った平民はくねくねしながらその場で踊り始めた。周りの生徒はさらに二歩退いた。
 だがこの程度で折れるほどルイズは弱くない。動揺を見せまいとして気丈に振舞うと、口を開く。
「あっ、あんたが……私の使い魔?」
「フフン!? どうやらこの世界は私が元いた世界との時差が激しいようですね?」
 完璧に無視された。いくらなんでも酷過ぎる。
 せめて、せめて普通の平民が出てきて欲しかった。いや、それはそれで困るか。
「……ミスタ・コルベール。もう一度召喚をさせてください……」
 ルイズは落胆しながら、ぼそっと言った。
419青にして灰白の使い魔 ◆WENsur1z9M :2008/09/16(火) 00:41:10 ID:hF7cR5T7
 コルベールと呼ばれた中年の男は、うーんと唸った。
 ルイズが努力熱心なことも知っていたし、真面目な娘であることももちろん良く分かっていた。
 召喚した使い魔が妙なことを口走る平民だったことは、気の毒としか言いようがない。
 だがしかし、決まりは決まり。儀式は神聖なものだ、全員を平等に扱うためには仕方がない。口を開く。
「ミス・ヴァリエール……残念ながらそれは無理です。例外は認められません。さあ、儀式を続けなさい」
「っええぇっ!? こっ、こんなくねくねした電波平民とですか!?」
 気持ちは分かる。力になってあげたいとも思う。しかし……
 しかし無理なものは無理だった。コルベールは無言で儀式を続けるよう促す。
「そうです。残念ながら……規則は規則で――」
「フフン、なるほど、契約ですネ!? そんなもので私を縛ろうとは思わないほうがいいですよぉー!」
 いきなり奇声をあげてバナナの皮を振りまきながら岩田が高速スキップで生徒の中に突っ込んだ。
 その動きは素早い。風メイジが放った疾風のようだ。湧き上がる悲鳴と絶叫。
 ルイズなんてあまりの出来事についていけず腰を抜かしている。
 敵意を持っているのならばどさくさにまぎれて倒すなんてことも出来るな、とコルベールは考えて頭を振った。
 生徒の使い魔を倒すなど馬鹿げている。だがどの道止めねばならん。一人でうんうんと頷いた。
 コルベールは杖を構え、岩田を止めるために走り出そうとして岩田が投げ捨てたバナナの皮に滑って転んだ。

 我を取り戻したルイズは、高速スキップで生徒の中を突き進む岩田を追いかけた。
 いきなり問題発生だ。これで生徒に怪我でもされたらルイズの立場が無い。尤も、既に無いようなものだが。
 その先には微動だにしない少女――小柄なルイズよりも小さい――が一人。青い髪の、落ち着いた風貌だ。
 例えるならば、凍てつく吹雪だろうか。近寄りがたい雰囲気を放っている。
 見たことがないわけではない。しかし、ルイズは少女と会話したことがなかった。
 そもそもルイズがまともに会話するような相手なんてキュルケだけだった。
「タバサ、危ない!」
 岩田が少女の前で立ち止まるのを見て、ルイズの悪友であるキュルケが叫んだ。
 キュルケは――キュルケはタバサと呼んでいたか――と比べると背が高い。
 それどころかルイズよりもずっと高い。大人の色気というものも持っていた。赤い髪はまるで燃えている様だ。
 例えるならば情熱の炎だろうか。本人は微熱と言っているが、どうにも微熱という雰囲気じゃないと思う。
「フフン!? 何故私がデンジャラスなのです!」
 回転しながら岩田が叫びに応える。まったくどうでもいいが、フフンフフンうるさいやつだ。
 岩田はタバサの目の前で嬉しそうにくるくる踊った。なにがそんなに嬉しいのかはさっぱり分からない。
 ルイズが近寄って蹴りの一発でもお見舞いしてやろうかと考えていると、タバサの前に金髪の気障ったらしい
少年がその間に割って入るような形で岩田を睨んだ。あの顔はおそらくギーシュだろう。
 ルイズは事態がますますややこしくなるなと思って溜め息をついた。

 岩田が奇声を上げて突っ込んできたのに冷静に反応出来たのは極僅かだった。
 極僅かでない者たち、つまり残りの大半は喚いているだけである。
 その極僅かに含まれるのが、ギーシュ・ド・グラモンとタバサだった。
 尤も、タバサは驚きもしないし暴れもしない。身動きひとつせずにイワタを見つめているだけだ。
 イワタが自分の前で踊っても瞬きひとつしない。実は冷静に見えるだけで内心動揺しているのかもしれない。
 一方のギーシュはというと――

 まともに会話したことがないタバサを庇うために、自ら進んでその間に割って入った。
「おおっと、僕の級友に何か用かな、平民君。それ以上勝手な真似をすれば、この僕が相手になろう」
 言いながら、果たしてそれが可能かどうかを吟味する。
 可能だ。相手はたかが平民。自分に敵うはずが無い。
 自分よりも少し背が高いように見える岩田を睨みつけながら、どうしてくれようかという考えが頭の中を駆け巡る。
 周りがただならぬ雰囲気と受け取ったのか、急に静かになった。
 不意に、踊り続けていた岩田が立ち止まって、ニヤッとしながら口を開いた。
「ククク、ヒィーッヒッヒ!……さてはあなた、私の才能にシットしましたね!? 天才とはいつもシットされ」
 まだ何か言いたげな岩田を無視してギーシュの回し蹴りとルイズの飛び蹴りが岩田の身体に叩き込まれた。
 岩田は壮絶に血を吐いて倒れた。そして動かなくなった……
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:41:49 ID:5CYaCTFi
支援
421青にして灰白の使い魔 ◆WENsur1z9M :2008/09/16(火) 00:42:21 ID:hF7cR5T7
「しっ、死んだぁ!?」
 やや小太りの少年、風上のマリコルヌが絞り出すような声で言った。
 まさか、とギーシュは内心で笑い、表面上でも薄く笑う。ゼロのルイズはどうあれ、あの程度の回し蹴りで
死ぬはずがなかった。
「落ち着きたまえ。この程度では死なない」

「ッ……ゼェ……嘘……これまだ生きてるの?」
「ルイズ! 自分の使い魔の面倒ぐらいしっかりと見なさいよ!」
 キュルケがタバサの身体に触れて怪我はないか確認しながら言った。彼女にしては珍しく動揺しているらしく、
髪が乱れていることに気づいていない。
 確かにその通りだと思い、しかし見る暇すらくれずに暴れられてはと思い直した。
「うっさいわねぇ、まだコントラクト・サーヴァントしてないんだから使い魔じゃないわよ!」
「召喚したのはあなたでしょ!」
「うぐっ……チッ」
 否定できない。ルイズはその可愛い顔をさらにしかめて堂々と舌打ちして見せた。
 そもそも召喚したくて召喚したわけじゃないのだが、四の五の言っていられる状況でもない。
 既に起き上がってきょろきょろと辺りを見回している岩田の方に視線を向ける。
「ちょっと、あんた。こっち向きなさい!」
「フフ、いいでしょう」
 この平民、意外と背が高いなとルイズは思う。175サントぐらいだろうか。
 顔が白い。道化のように化粧を施していた。
「失礼、届きませんでしたネ」
 沈黙をどう捉えたのか、岩田が自ら膝を折って身を屈めた。
 ルイズは、コントラクト・サーヴァントについて説明したかな、と思いつつ、どうでもいいやと思い、とっと
とコントラクト・サーヴァントを済ませることにした。

「――我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……
 ――五つの力を司るペンタゴン……
 ――この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……!」

 呪文を唱える終わると、杖を岩田の額に当てた。
 それから、嫌々ながら唇を重ねる。
「はぁ……なんだかすごく疲れたわ……あ、終わりました」
 一連の動作を見守っていたコルベールに顔を向けると、彼は腰を擦りながら頷き口を開いた。歳か?
「色々と問題はありましたが、コントラクト・サーヴァントは一回で出来たようだね。おめでとう」
 彼は嬉しそうに微笑を浮かべながら言った。
 頭頂部の肌が露出している部分にバナナの皮が被さっていることは教えないでおこう。
「相手が馬鹿な平民だったから出来たんだよ!」
「そいつが高位な幻獣だったら食われてるところだぜ!」
 外野がわざとらしくルイズを挑発するように言った。
 ルイズは唇を噛み締めたままキッ、と二人を睨みつけ、言い返そうとして頭を振った。
 言い返そうにも、言い返すだけの気力も無い。
「でもまぁ、ゼロのルイズにしてはよくやった方よね」
 香水のモンモランシーがそう囁いたのが聞こえて、彼女は少しだけ顔を綻ばせた。
 それから先ほどから静かにしている岩田のほうに視線を向けた。
「フフフ、友情を育むのはイィ! スバラシィ! っと、おやおやこの熱は……ギャグですね!?」
 彼は奇声をあげたかと思うと、手を擦りながら回転し始めた。
「はぁ……ああ、それはルーンが刻まれてるだけ」
「収まりましたね。これがルーン……なるほど、これは」
 じっと左手の甲に刻まれたルーンを眺める岩田。
 そこで区切り、岩田はいきなり回転し始めた。腕はくねらせ、手のひらを閉じたり開いたりしている。
 こいつは少しぐらい静かに出来ないのかと思ったが、出来ないからこう騒がしいのだろう。
 ルイズは半分諦め、心底疲れたという表情を浮かべながら吐き出すように言った。
「今度はなんで回転してんのよ」
 岩田が首をガクガクと前後に揺らしながら口を開いた。
 手のひらを閉じたり開いたりを繰り返し、時折足を絡め回転の速度を増し、腕を揺らしながら。
422青にして灰白の使い魔 ◆WENsur1z9M :2008/09/16(火) 00:43:29 ID:hF7cR5T7
「いえ、こうしていないとあなたの首の骨が折れる……というのは冗談で、ギャグの練習です」
 殴ろうかと拳を作ると、岩田は土下座して腰を左右にぶんぶん振った。
「最初からそうすればいいのよ……大体、なんで回転しないと私の首の骨が折れる訳?」
「ルーンの所為なのかは分かりませんが、無意識に動く手が制御できません。もう少し離れたほうが良いと思いますが」
「はぁ……もういいわ、勝手にしなさい」
 岩田は再び踊り始めた。止める気力すら出てこない。

 コルベールは疲れて下を向いているルイズを気の毒に思いながらも、何気なく岩田を見た。
 相も変わらず踊っている。何がそんなに楽しいのだろうと思った。
 それから、その手のルーンが見覚えのない珍しいものだと気づく。
「ん? 珍しいルーンだね、少し見せてくれるかい?」
 岩田は真顔に踊るのを止め、言われたとおりに左手の甲を差し出してきた。
「おや、君はまともな対応が出来るんだね」
「まともな対応を望んでいるように思えましたが」
「失礼、そうだったね。えーと……イワタ、だったかな……」
 話はそれぐらいにしてルーンをスケッチし始める。やはり見覚えがなかった。しかしひっかかる。
 ひっかかると調べたくなる。コルベールは根っからの科学者だった。
「どうも。それじゃあ皆、教室に戻るぞ」
 生徒たちにそう言うと、コルベールはいち早くフライを唱えて自身を浮かせた。
 戻ったらさっさと授業の続きをして、いち早くルーンについて調べたかったのだ。

「ルイズ、お前は歩いて来いよ!」
「あいつ『フライ』はおろか『レビテーション』すらまともに使えないんだぜ!」
 ルイズはその声ではっと我に返った。既に生徒たちはフライを使って戻り始めていた。
 言い返そうと思って、馬鹿馬鹿しくなって止めた。諦めがついたともいう。
 ガタっという物音がして岩田に向き直ると、岩田は血反吐を吐いて倒れている。
「どうしたのよ、平民」
 岩田は感慨深そうに倒れこんだまま頷いた後、また踊り始めた。踊りながら口を開く。
「いえ、そうか、飛べるのですか、ククク、飛べるなんてイィ! スバラシィ! ギャグに応用できそうですね!」
 こいつは四六時中ギャグのことしか考えていないのか。
 ルイズは今日何度目かの溜息を吐いた。吐いてから、本格的に岩田をボコることに決めた。
423青にして灰白の使い魔 ◆WENsur1z9M :2008/09/16(火) 00:45:05 ID:hF7cR5T7
以上です。支援してくれた方、感謝です。では……
424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 00:46:44 ID:5CYaCTFi
乙っした
長編って扱いでおk?
425青にして灰白の使い魔 ◆WENsur1z9M :2008/09/16(火) 00:48:30 ID:hF7cR5T7
ああ、はいそうです。長編です。申し訳ありません。
426カルドセプト ミゴール 03:2008/09/16(火) 01:16:00 ID:q705Qe5Q
こんばんわ。
20分から投下したいと思います。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 01:19:02 ID:cdWx6LiO
ミゴール待ってました
428名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 01:19:02 ID:TNHS0iih
イワッチ乙
奴はなにげに強いからな…イワッチ無双にwktk
そしてミゴール支援
429ゼロと在らざるべき者 3-1:2008/09/16(火) 01:22:29 ID:q705Qe5Q
 朝日の光と熱を顔に感じる。その刺激にルイズはゆっくりと目を開けながら
体を起こす。カーテンを閉め忘れたか、と思うがこの顔に感じる日差しの暖か
さを思うと、それもまたよいかと心の中で頷く。まだ眠気の残る頭を覚醒させ
るために顔をこすりながらベッドを降りようと――

 ふみっ
 
 床の絨毯を捉える前に、妙な感触と共に足が止まる。頭に疑問符を浮かべな
がら、再度ベッドから降りようと両手で体を反転させてベッドに腰掛ける姿勢
になると、そのまま両足を床へ下ろす。

 ごっ

 再び右足が何か大きなものを踏みつけ、しかも体重が乗った今回はそれを床
へと叩き付けた。何だ、と足元に視線を動かすと――

「おはようございます、ルイズ様」
「きぃやあああぁぁぁあぁぁぁぁ!?」


「全く……場所が悪いのよ場所が。あんなところにいたらその気が無くても踏
みつけちゃうでしょ。ベッドの足元で起きるのを待つのはやめなさい」
「はっ、申し訳御座いませぬ」
 ミゴールを傍に控えさせて着替えながら――最初はミゴールに着替えさせよ
うと思ったのだが、早速爪でブラウスを裂いたのでやめた――ルイズは愚痴を
漏らしていた。この憂鬱な気持ちの原因、それは今ぐりぐりと絨毯にこすり付
けている足に残っている気色悪い感触のせい、ではない。
 昨日の夜、あのミゴールの懇願。バルテアス神とやらの復活を目指すことを
半ば泣き落としのように約束させられたあの後。
 ルイズは結局、コントラクト・サーヴァントは一人の使い魔に一回しか使え
ないこと、そしてメイジは一人の使い魔しか持てない事を告げられずにいた。
 自分に過剰なまでの忠誠を誓うミゴールだか、それは命を救われたというよ
りは、滅び行く彼らミゴールという種を救う手立てを持っているからこその忠
誠であるのは明白だ。
 ならば、それを告げればミゴールは……
 などと考え事をしているうちに着替えが終わる。こうして悩んでいても仕方
がないし、ミゴール全体といかずともこのミゴールはルイズのルーンの力によ
る力で死なずにすんでいるのだ。そうそう最悪の事態にはならない、ルイズは
そう自分に言い聞かせる。
「ミゴール、食堂に行くわよ」
「はっ」
 ひとまず歩きながら考えよう、そう思い廊下へ踏み出したルイズだったが、
そこに陽気な声がかかった。
「あらおはよう。ルイズ、あなた本当にそれと契約したの」
「おはよう、キュルケ。ええそうよ、何か文句あるの」
 キュルケのからかうような言葉に、ルイズは憮然と返す。ルイズ自身、亜人
はメイジの使い魔としては変な部類に入るという自覚はある。とは言え現在は
自分に忠実に仕えている使い魔をからかわれるというのは正直気に入らない。
 しかしキュルケはそんなルイズの不機嫌そうな顔を見て愉快そうに言葉を続
ける。
「別に馬鹿にしてるつもりは無いわよぉ?トロール鬼、にしては小さいけど、
それはそれで強そうじゃない。まあ亜人のさらに亜種なんてメイジの使い魔に
は相応しくないかとは思うけど」
 そういうとキュルケは自慢げな様子で部屋の中に声をかける。その声に応え
て、のっそりと虎ほどもある火トカゲが現れる。それを見てルイズが一瞬悔し
そうな表情を浮かべ、キュルケは誇らしげに胸を張る。しかし――
「グルグルグル……ヴヴ……」
430名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 01:23:18 ID:5CYaCTFi
長編把握
白鳥神族で家来だからある意味望み通りだなwww
そしてこれが本当の寝る前最後支援
431ゼロと在らざるべき者 3-2:2008/09/16(火) 01:23:40 ID:q705Qe5Q
 現れた火トカゲはやけに不機嫌そうにうなり声を上げている。その口から
ゴフッゴフッと火の粉の混じった荒い息を吐き、まるで威嚇するかのように
炎でできた尻尾を逆立てている。
「ちょ……キュルケあんた、コイツなによっ。危ないじゃない、主人ならちゃ
んと大人しくさせなさいよね!」
「え? え? ちょっとフレイム、何を怒ってるの?ほら落ち着いて……」
 落ち着きがない、というよりは今にも暴れだしそうな様子のフレイムにルイ
ズは怯え気味に一歩引き、キュルケは使い魔を落ち着かせようと屈んで目を合
わせながら慌てて体をなでている。
「ルイズ様、後ろへ」
 不穏な空気を感じたミゴールが口を開いてルイズとフレイムの間に割って入
り、彼女を自分の背後へ隠す。しかし、その行動がきっかけになってしまった。
「グルル、ガアアァァァ!」
「え? え?」
「きゃああぁ?!」
 小型のトロール鬼のような亜人、ルイズの使い魔をそんな風に思っていたキ
ュルケが突然の言葉に驚愕で腰を上げながら振り向いた。そして、フレイムは
自分を落ち着けようとしていた主人の手が離れたこと、そして主人の驚愕が伝
わった事で完全に落ち着きを失い、その衝動のまま飛び掛った。
 その標的は、眼前の亜人。
 ルイズの目の前で、自分を守るために前に出たミゴール、その右腕にがっし
りとキュルケの使い魔であるフレイムの牙が食い込んだ。
 その衝撃で一瞬よろけたミゴールが一歩右足を後ろに引いて持ちこたえる。
悲鳴を上げるルイズ。何が起きているのか理解できないキュルケ。そんな二人
のメイジをよそに、フレイムはミゴールの腕を咥えたまま火の息を吐きながら
その爪をミゴールの体に突き立てる。
「い、嫌ああぁぁぁぁ! 何してるのよっ! やめなさいこの馬鹿トカゲ!」
 慌てて杖を取り出すルイズだが、目の前で猛り狂う獣への恐怖で手元が震え
杖を取り落とす。キュルケも荒々しい唸りを上げながら亜人を襲う自分の使い
魔の姿を、信じられないものを見るような目で呆然と見ている。そして、フレ
イムはミゴールを床に引きずり倒そうと――

 肉と骨がひしゃげる音が響いた。

 一瞬遅れてフレイムが悲鳴と牙の破片を溢しながら崩れ落ちてのた打ち回る。
それを確認しながらミゴールは息を吐きながら左手と右足を下ろす。
 ミゴールの行った行動は単純だ。右腕に噛み付いたフレイムの頭を左手で上
から押さえ、後ろに引いていた右足で膝蹴りをその顎に打ち込んだのだ。大半
は肌が露出しているものの、鉄板の貼られた腕当てを咥えた状態で顎を強かに
蹴り飛ばされたのだ。顎と口腔内への強烈な衝撃にフレイムは何本もの牙を砕
かれ、悲痛な叫びを上げながら苦痛で悶えている。
「申し訳御座いませんルイズ様」
 ルイズへミゴールから声が掛けられる。その声は先ほどまで倍以上の体重を
持つ獣に襲われていたとは思えないほど平然とした声だ。疑問符を浮かべるル
イズに、ミゴールが重ねて言う。
「申し訳御座いませんルイズ様。許可無く他を害しました」
 あ、とルイズが小さく漏らす。ミゴールが言っているのは、昨日のオスマン
とルイズとの約束のことだと思い至った。ミゴールが勝手に暴れずにルイズに
従うなら開放する、というあの約束のことを言っているのだ。
「そんなのはいいわよ、それより大丈夫なの!? 見せなさ……えっ、あら?」
 我に返ったルイズが慌ててミゴールの傷を確かめる。しかし、よくよく見る
と怪我らしい怪我は全く無い。ミゴールの腕当ては鉄板部がひしゃげて牙が一
本突き刺さり、火の息でボロボロになっている。だというのに、それに覆われ
ていなかった生身の部分には僅かに黒い血を滲ませる切り傷が二つ三つあるだ
けで、火傷すらしていない。
「ルイズ様。ミゴールの体があのような火の者に手傷を負わされることはあり
ませぬ。それよりもあれの始末は如何されますか」
432ゼロと在らざるべき者 3-3:2008/09/16(火) 01:25:06 ID:q705Qe5Q
 淡々としたミゴールの言葉に、ルイズの意識が周囲に向かう。廊下に人気は
無いものの、先ほどのフレイムの雄たけびと悲鳴は十分に周囲を騒がすに足り
るものだろう。
「いや、何もしなくていいわ。あんた目を付けられてるんだし騒ぎに関わるの
は避けたいわ。それよりキュルケ! あなたの使い魔が勝手に騒いで襲い掛か
ってきたのよ、どういうこと?!」
 言葉通り騒ぎにしたくないルイズだが、一方的に自分の使い魔が襲われた理
由くらいは確かめたいとキュルケに怒りの篭った視線を向けて言う。
 しかし――
「……あ……その、ごめんなさいルイズ……こんなことになるなんて……」
 びくりと体を震わせて、亡羊とした様子で答えるキュルケ。その姿にはいつ
もの自身に溢れた陽気なゲルマニア人を思わせる様子は無かった。無理もない、
キュルケもフレイムの行動に全く思い当たることは無いのだ。さらに一生の友
と思っていたフレイムの突然の凶行、何より殺意を漲らせて亜人の腕に食らい
ついていたあの恐ろしい姿。
 そんな獣と、彼女は今朝まで同じ部屋で眠っていた。友と信じて。
「え、ええ! 悪いと分ってるならいいわ。ミゴールも大して怪我がないみた
いだし。じゃあ私は行くけど、もうこんなことさせないでよね!」
 酷くしおらしくなってしまったキュルケの様子に戸惑うが、ルイズも先ほど
のフレイムの様子に恐怖を覚えたのは事実だ。ミゴールが悶絶させて床に転が
せているとはいっても、あんな獣の近くには居たくない。未だ呆然としている
キュルケを置いて、ルイズはミゴールの手を引いてその場を離れた。

 騒ぎで食事の時間が無くってしまったため、直接教室へと向かいながらルイ
ズは先ほどのことを思い出していた。よくよく考えてみれば、キュルケの呼び
出したサラマンダー、あれはミゴールを敵と見なしたから襲い掛かったのでは
ないだろうか。
「はい。精霊力に近しい者ならばミゴールがどういう存在か見ただけで分るで
しょう。身体の一部に炎を宿すほど火の精霊と近しいならば、ミゴールのこと
を知らずとも存在を看過できない相手と認識するのは在り得ることかと」
 恐る恐る聞いてみれば、あっさりこんな答えが返ってきてルイズは頭を抱え
た。メイジの使い魔は、主の属性に近いものが召喚されることが多い。となれ
ば、ある程度以上クラスの高いメイジならばそれなりに火や水といった系統に
分類される力を持つ使い魔を召喚することが多い以上……
「ってことは、あんたを連れて歩いていたらまたさっきみたいに襲われかねな
いってことね。どうしたらいいのかしら、変に話を大きくしたらアカデミーま
で飛び火しそうだし……さっきみたいな反応があったら離れる、くらいしか思
いつかないわね」
 ルイズの言葉に頭を下げるミゴール。しかし、ルイズの心は迷惑そうな言葉
とは裏腹にミゴールを召喚したことへの喜びがあった。
 早い話、先ほどルイズは勝ったのだ。あの因縁深いツェプルストー家のキュ
ルケに、トライアングルメイジに勝ったのだ。まあ、戦ったのは使い魔だが。
しかもミゴールが昨日語ったミゴール族の力、水と地をよく斃し、火と風では
傷つかないという力が本物であると目の前で見せ付けられた。この力は系統魔
法への強力な対抗手段となる。メイジの使い魔としては十分すぎるほどの力だ。
「ちょっと驚いたけど、今日はいい記念日になりそうね」
 一転して嬉しそうな呟きを一言漏らした。

「……何が、記念日よ……」
 そして、無人の廃墟となった教室の中で泣きそうな呟きを漏らしている。
 調子に乗った結果がこれだ。暗澹たる気持ちでのろのろと机だった物の残骸
を集めるルイズ。
 最初の授業、簡単に系統魔法というものの概要の復習を流した後の実践。そ
して指名を受けたルイズはミゴールの手前失敗できないと意気込んで挑み、失
敗した。いつもと同じ爆発、それが教室の中で炸裂したのだ。
 片づけを行いながらも、ルイズへ何も聞いてこないミゴールの様子をそっと
窺うルイズだったが、ミゴールは黙々と彼女の命令に従って片づけを続けてい
る。何て言おうか、私にミゴール族は救えないとでも言うのか? 言える訳が
ない。
433ゼロと在らざるべき者 3-4:2008/09/16(火) 01:26:12 ID:q705Qe5Q
 そんなことを考えながらのろのろと体を動かしているうちに、拾うものが無
くなっていることに気づく。顔を上げると残骸を袋に積めているミゴールの背
中があった。――言葉が漏れる。 
「分ったでしょ。無能なの、私」
 ミゴールが振り向くのが気配で分る。目を合わせられないルイズは、顔を伏
せて言葉を続ける。
「無理なのよ、救世主なんて! 魔法なんて今まで一度も成功しなかった!
あんたを召喚したサモン・サーヴァントとコンントラクト・サーヴァント、そ
れが最初の魔法の成功なの!」
 叫びのように、いや劣等感とゼロであったことを隠していた負い目が彼女に
叫びとして口を突かせる。
「私が与えたルーンがミゴールの体を守っているって言っても、コントラクト
・サーヴァントは一回しか使えないの。もう一度使うには、呼び出した使い魔
を殺さないと駄目なの!私じゃ、あんた達を救えないのよ!」
 絶叫となったルイズの言葉が教室中に響いた。顔を伏せたまま荒い息を吐く
ルイズの方へ足音が聞こえる。息を整えながら顔を伏せたままルイズは考える。
これからどうなるのだろうか。これでミゴールが自分を見限るのは確実だろう、
ではミゴールは最初に目を覚ましたときのように「人間は敵だ」とルイズに襲
いかかるのだろうか。ミゴール族を救える、そう思わせて忠誠を誓わせておい
てから「実は無理でした」などと到底許せるものではないだろう。
 目の前で足音が止まる。殴られる、そう思って首をすくめるルイズ。
 しかし、聞こえてきたのは石の床を足が擦る音。恐る恐る片目を開けると、
ルイズの足元で今までのようにミゴールが跪いていた。
「ルイズ様。ルイズ様の師よりの命、完了致しました」
 そして変わらない言葉。
「我が命はカルドラ世界による滅びからルイズ様により救われた物。そしてル
イズ様はバルテアス神の復活を目指すと誓われた。ならば、ルイズ様を主とす
る事に何の異論も御座いませぬ」
「で、でも……そんなの口先だけじゃない! そりゃ私だってあんたたちが滅
びるだけの種族なんて可哀想だと思うし、私の使い魔なんだから助けてやりた
いとは思うけど……私に何ができるって言うの、魔法一つ上手く使えない私に!」
 再度のルイズの言葉。しかし、それでもミゴールは跪いた姿勢を崩さずに、
頭を下げたままルイズへの恭順を示し続ける。
「いいえ、ルイズ様。四属に反するミゴールであるからこそ、ルイズ様がゼロ
などでないことは我が身で持って証明致します。我が主に相応しいのはルイズ
様を置いて他にありませぬ」
 そういって左手のルーンをルイズに示す。
「この世界でカルドセプトが知られていないということは、おそらくカルドセ
プトを知る者達はそのことを隠匿している、あるいはカルドセプトを知る物が
居ないかのいずれかでしょう。知る者が居ないならばただ集めるのみ、隠匿さ
れているならば奪い取ればよいだけでしょう。ルイズ様の下へカルドセプトを
完成させるための道具、私のことはそうお思い下さい」
434ゼロと在らざるべき者 3-5:2008/09/16(火) 01:27:00 ID:q705Qe5Q
 ミゴールの言葉に、ルイズは目を閉じて後悔の念から漏れそうになる泣き言
を必死で食い止めた。「メイジと使い魔は一心同体」という言葉が痛い。結局
ルイズは、使い魔をメイジの道具としか見ていなかったのだ。ミゴールは主で
あるルイズのために尽くすと言っているのに、ルイズ自身はミゴールの懇願に
対して「バルテアス神の復活を誓わされた」だの「ミゴール族を救ってやる」
といった考えしか持っておらず、コントラクト・サーヴァントが一人にしか使
えないことを教えず、そのままだまし通そうとさえしていた。
 なんて、自分は卑怯なのだろうか。
 ルイズへの揺るがぬ忠誠を示すミゴールの姿に、ルイズはただ己を恥じた。
しかし、それをミゴールに見せるわけにはいかない。そんな物を見せるのは
ミゴールの示す忠誠への裏切りに等しい。今のルイズにはそう感じられた。
 だから、ルイズはきっ、と胸を張った。まなじりを吊り上げ、今までの弱気
と卑怯を恥じ、しかしそれをミゴールに告白して許しを請う事はしない。
「なら命じるわ、ミゴール。生涯私に仕えなさい。私の下にカルドセプトを届
けるために、その命の全てを捧げなさい」
「はっ。確かに」
 朗々と命じる。
 昨日のようにミゴールの一方的な懇願ではない。
 はっきりとルイズから、その生涯をかけて果たすべき命が下された。
435ゼロと在らざるべき者:2008/09/16(火) 01:28:01 ID:q705Qe5Q
以上で投下終了です。
では。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 01:29:40 ID:hJ/Mhcg5
02
ところで今から投下したいんですが
あいてますか?
437巨人の使い魔:2008/09/16(火) 01:32:31 ID:hJ/Mhcg5
=436
あ、失礼。
40分から投下します。
438名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 01:32:37 ID:cdWx6LiO
おお、ルイズかっこいい!
ミゴールの方乙でした!
439名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 01:33:36 ID:TNHS0iih
ミゴール乙です。
ここまで忠誠度Maxな使い魔も珍しい。
ギーシュ戦にwktk
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 01:38:02 ID:TNHS0iih
どうぞ、そして何を召喚するのか教えてプリーズ
441巨人の使い魔:2008/09/16(火) 01:42:02 ID:hJ/Mhcg5
元ネタはウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア超時空の大決戦。
少女は出ない予定。
442巨人の使い魔:2008/09/16(火) 01:43:14 ID:hJ/Mhcg5
第1話・伝説の始まり


トリステイン魔法学院の女子寮、
とっくに日は落ちていてあたりは真っ暗だが
その一室にだけ明かりがついていた。
その部屋の主は翌日に行われる使い魔召喚の儀式が
気が気でなく、いつまでたっても寝付けないために
寝るのをあきらめていた。
「はあ、もし留年しちゃったらどうしよう。」
重い溜息をつくのはルイズ・フランソワ―ズ・
ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
彼女の二つ名はゼロ、胸は大平原だが二つ名はそのせいではない。
魔法の才能がゼロだからだ。
彼女は生れてこのかた16年間一度も魔法が成功したことがない。
だが明日行われる使い魔召喚の儀式で成功しなければ留年となる。
魔法が使える貴族に生まれたからには絶対何か魔法が使えるはず、
そう信じてきた。出来そうな魔法はいままでほとんど試してみた。
だが成功しなかった。
だが、ここにきてルイズは1つだけ未だ試していない魔法があったことに
気がついた。
(もし成功しても契約の儀式をしなければ大丈夫よね、たぶん。)
杖を手に取りネグリジェ姿で呪文を唱える。
「・・・・・・・・・
五つの力を司るペンタゴン!
我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!」

すると1メイル程度の楕円形の鏡のようなゲートが出てきた。
「え、・・・これって成功?」
だが、ここで予想外のことが起きた。
本来なら使い魔となる者がでてくるゲートから強烈な光が発せられ、
ゲートに自分が逆に吸い込まれるような感覚を覚える。
「きゃあっ!」
眩しさで一瞬目を細め、それから眼をあけると目の前には違う世界が広がっていた。
上下左右、あらゆる方向にいろいろな景色が映る。
見たことのない高い塔が立ち並ぶ光景、
別の方向へ眼をやれば火山が噴火して15メイルはある竜が噴火から逃れている場面、
といった具合である。
443巨人の使い魔:2008/09/16(火) 01:44:24 ID:hJ/Mhcg5
驚くべきことは自分がまるで宙に浮いているかのようであることで、
自分の足元にもそうした光景が広がっている。
「な、なによこれ・・」
自分の周りの場面は次々と切り替わっていき、ルイズの顔は不安で引きつっていた。
突如、遠くに赤い点のようなものが見えた。
それは周りの場面が切り替わるにつれて自分に近寄ってきた。
「赤い、玉?」
まるで血のような色のガラス玉のような物体、大きさはリンゴほど。
それが点の正体だった。
それが目の前にくると、周りの視界がすべて同じ場面に切り替わった。
建物は瓦礫の山と化し、バラバラになった人の死体が燃え盛っている光景。
「な、なんなのよ一体。」
そこで再び猛烈な眩しさを感じ、目を細める。
目をあけるとそこはいつも通りの自分の部屋だった。
「今の、幻覚?一体・・・・そうだ、使い魔は?」
部屋を見渡すが自分以外に生き物は見当たらない。
つまり、失敗。
「はあ、サモン・サーヴァントもできないなんて、ほんとどうしよう。」
大きなため息をこぼしながらベットに戻ろうとすると
そこにはさっき見た赤い玉があった。
こんなものを部屋に置いた覚えはない。
気味が悪い、捨てようかと思ったときだった。
「願いを言え。」
声がした。だが部屋には自分一人しかいない。
「願いを言え。何でも叶う。」
「だ、誰?出てきなさい!」
声をしたほうを見ると、そこにはさっきの玉があるだけだ。
「まさか、この玉が?」
だとすればだれかのいたずらだろう。誰かがマジックアイテムを
買ってきて、悪戯に置いたのかもしれない。
それでもやっぱり本当に願いが叶うか試したくなり、その玉に
自分の一番の願いを言ってみることにした。
「魔法が使えるようになりますように。」
玉が赤い光を発する。
「なにこれ、ずいぶん凝った作りね。」
杖を取り、軽くレビテーションの呪文を唱えてみる。
だが魔法は発動せず、部屋の中で爆発が起きただけだった。
「ケホッ、ケホッ、何やってんだか私は。部屋の掃除は明日メイドに頼むとするか・・」

望みを捨てて、ベッドに潜ろうとすると玉が目に映った。
ムカついたのでそれを窓から捨てる。
玉はどこかへ転がって行き、そのまま見えなくなった。

444巨人の使い魔:2008/09/16(火) 01:45:35 ID:hJ/Mhcg5
次の日。
陽光が学院を照らすなか、その儀式は行われた。
広場で次々と自分の使い魔を召喚する。
青髪の短髪の少女は風竜を、憎き敵、ツェルプストーは
サラマンダーを召喚した。
次は自分の番。
「おいおい、ゼロのルイズに召喚なんてできるのか?」
「やるだけ無駄だ、やめとけって。」
「そうだそうだ。魔法の成功率0のルイズ」
周りから野次が飛ぶが、無視する。
ふと眼を遠くへやると、昨日の赤い玉があった。
窓から捨てた後ここまで転がってきたようだ。
最後のブリミル頼みもダメだった。ならいっそあのマジックアイテムにでも
頼んでみるか。
玉に祈りをこめるように、失敗するとわかっている呪文を詠唱する。


玉が赤く光った。
普段は何か呪文を詠唱すると魔法が起きる代わりに爆発が起きるが
今回はその爆発すら起こらなかった。
「ミスタ・コルベール、もう一度やり直しをさせてください。」
彼はルイズの普段の努力を知っていた。それゆえにこのまま留年するのを
不憫に思った。
「いいでしょう。やり直しを許可します。」
その時、突如轟音があたりに鳴り響いた。
ゴオオォォォ・・・
「何の音だ?」
「お、おい、あれを見ろ!」
生徒の一人が音のする方向―空を指差して言った。
そこには、空の代わりに蒼い海が逆さまの状態で広がっていた。
そしてその海面に直径15メイル程のゲートがあった。
普通ゲートの大きさは召喚される生物の大きさで決まる。
15メイルもあるゲートなら召喚されるのはおそらくドラゴンの類だろう。
「それにしてもこの現象は一体・・・・」
教師や生徒たちが見詰めるなか、轟音はその大きさを徐々に増していき、
そして突然ゲートから1つの赤い翼の生えた物体が飛び出てきた。
大きさは10メイルほどであろう。
「なんだ?竜か?」
だが、それの飛ぶ速さは明らかに普通の竜と比べ物にならないくらい速かった。
風竜を召喚した少女が竜に乗って追跡を試みたが
全く追いつけなかった。
前代未聞の使い魔にはしゃぐ周りに比べて、当のルイズは
あまりの予想外の出来事に呆然としていた。
「嘘・・・成功しちゃった・・・・」





445巨人の使い魔:2008/09/16(火) 01:46:43 ID:hJ/Mhcg5
その日は天候に恵まれていた。
風は弱く、空を飛ぶにはかなりの好条件。
「それじゃ我夢(がむ)気をつけてね。」
そう言うのはオペレータのジョジー。
魔の海域と言われているバミューダトライアングルの調査には
もってこいの日だった。
我夢の乗るXIGファイターEX(シグファイターエキサイタ―)にも
特に異常は見られない。
そう、事故など起こるはずがなかった。
だが調査海域に入ってしばらくすると突然キャノピーが眩い光に包まれた。
「うわっ!」
自動操縦に切り替える暇もなかった。
やがて目が眩しさを感じなくなってから目をあけると
見慣れない景色が広がっている。
しかも、いつの間にか天地が逆になっている。いや、グラスコクピットのHUD画面に映る計器は機体が180度逆さまになっていることを示している。
単に自分が逆さまになっていただけだった。
機体を180度ロールさせて機体を水平にする。
「こちら我夢、本部、本部応答を。チーフ、ジェジー!」
だが無線からはザザーという雑音が流れてくるだけだ。
「くそっ、応答なしか。無線が使えない。それにしてもここは一体どこなんだ?」
周りには広がる森と西洋風の建物が広がる。
旋回しながら周りを見ると城下町のような街もあった。
だが、日本のものではない建物の造り。
日本の下町とも違う、発展途上の中世のヨーロッパのようだった。
「ここは日本じゃないのか?」
周囲に着陸できそうな場所がないため、やむを得ずに近くにあった学校のような
建物の敷地に着陸することにした。
「PAL、あそこに着陸してくれ。」
搭載されている人口知能、PAL(パル)が広場のようなところへと機体を垂直着陸させた。



謎の飛行物体が学校に着陸したのを知ると、生徒たちの動きは速かった。
「うわー、でかいな・・」
「これどうやって翼を動かすんだ?さっきから全然動かしてないぞ。」
すると、それの頭と思われる部分の透明なところが後ろへとスライドした。
「あ、あれが口かしら。」
「しかしまあ、あのゼロのルイズがまさか竜を召喚するなんてねえ。
私のサラマンダーよりすごいじゃないの。」
「ふんっ、どう、思い知ったかしらツェルプストー。」
「まあ、確かに私の使い魔よりすごいかもしれないけど、あんな高い位置にある
口にレビテーションも使わないでどうやってキスをする気なの?
契約しないと使い魔とは言わないわよ。」
「う、うるさいわね!わかってるわよ、それぐらい。」
コルベールにレビテーションで浮かしてもらおうとした時、
ルイズたちが口と思いこんでいる部分から人が出てきた。
「おい、竜の口から人が出てきたぞ!どういうことだ?」
「ま、まさかあの竜に食われてたんじゃないだろうな。」
「ゼロのルイズが人食い竜を召喚したぞ!」
「な、ち、違うわよ。そんなわけないじゃない!」
周りが面白おかしく騒ぎ立てている中、青髪の少女がレビテーションで
竜に近づき、中の男に話しかけた。
「あなた、何者?それにこれはなんという種類の竜?」
「僕は高山我夢(たかやま・がむ)。これは竜じゃなくてただの飛行機だよ。」
446巨人の使い魔:2008/09/16(火) 01:48:48 ID:hJ/Mhcg5
「ヒコウキ?竜ではないのになぜ飛べるの?」
「えっと、急に訊かれてもちょっと困るけど・・・」
飛行機を知らない少女にいきなり飛行機の原理から説明しろといわれても
困る。しかもこの飛行機、XIGファイターは揚力でなくリパルサーリフトで飛ぶ
新しい概念の飛行機だ。わかるように説明できる自信がなかった。
その質問に我夢が答えられないと悟ると少女は次の質問をした。
「あなたはどこの国から来たの?」
「僕は日本から来たんだ。見た感じここは日本じゃないみたいだけど。」
「ニホン?それはどこの国の一部?ガリア?ゲルマニア?」
「ガリア?ブルガリアなら知ってるけど、そんな国は聞いたことないな。
君、日本を知らないの?」
「ニホンというのは国の名前?」
「そうだよ。ここはなんていう国なんだい?」
「ここはトリステインにあるトリステイン魔法学院。」
「魔法?」
そこまで話したとき、青髪の少女をだれかが下から大声で呼んできた。
「ちょっとタバサ、大丈夫なの?そいつに食われたりしないわよね。」
赤いロングヘアの女の子が下から呼んできた。
「大丈夫、キュルケ。これは竜じゃない。乗り物のよう。」
「ちょっと待って、竜じゃないってどういうことよ?」
今度は桃色の髪の少女が下から話しかけてくる。
「えっと、これは竜じゃなくて飛行機って言って空をとぶための機械で、」
「って、そういえばあんただれよ。なんでその中にいるのよ。」
タバサが代わりに説明をする。
「この人はタカヤマガム。あなたが召喚した人。これは竜でなく
ヒコウキという乗り物らしい。なぜ飛べるかについてはよくわからない。」
「竜じゃない・・・・って、もしかして私が召喚したのはあんた?」
「召喚?君が僕をここへ呼んだの?」
「そうよ。」
得意げにそう答える。
竜じゃないのは残念だけど、これならある意味竜よりいいかもしれない、そう思ったのだ。
「ミス・ヴァリエール、こ、これは一体・・・」
「ミスタ・コルベール!実はかくかくしかじかで。」
「な、なんと!しかし人間が召喚されるとは前例がありません。」
「ところであんた、魔法使えるの?」
「魔法?使えないけど。」
「じゃああんた平民ね。我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール」
「平民?」
「五つの力を司るペンタゴン」
「ねえ、さっきから何唱えてるの?」
「このものに祝福を与え、我の使い魔となせ。ああ、ちょっとしゃがんでくれる?」
ガムがしゃがむとすぐに無理やりキスをした。
「むぐう!! ちょっと急になにするんだよ!」
ルイズはガムを無視し、はげ頭の教師に報告をする。
「先生、終わりました。」
すると、突然ガムの左手に激痛が走り、
苦悶の表情が浮かぶ。
「あ、があ、く、あ,A,A,あべし!」
「ああ、それは契約のルーンが刻まれてるだけだから心配しないで。じきに治まるわ。」
左手に何か文字のようなものが刻まれると痛みは治まった。
禿げた教師、コルベールは手のルーンを書き写し、珍しいルーンだとか言うと
どこかへ行ってしまった。
447巨人の使い魔:2008/09/16(火) 01:50:09 ID:hJ/Mhcg5
「さあて、儀式も無事済んだことだし私たちも帰りましょう。」
キュルケはそう言いながら杖を取り出し、何か呪文を唱えた。
すると、急にキュルケの体が宙に浮いた。
見れば周りの他の生徒も同じように浮いている。
「ま、魔法が0のルイズはその竜もどきに乗ってきなさいよ。」
「こ、これが魔法?」
あまりの非日常的な出来事に我夢が呆然としているとみんなそのままどこかに飛んで行ってしまった。
残されたのは我夢とルイズだけだった。
「・・・・・君も魔法で飛べばいいじゃないか。」
「き、貴族は滅多なことでは魔法を使わないものなの!」
そう言ってルイズは寮まで歩いて行った。

寮の部屋に着くと我夢は真っ先に気になっていた質問をした。
「それで、どうやったらもといた場所に帰れるの?」
はあ?とあきれ顔のルイズ。
「あんた、今の自分の立場わかってる?あんた私の使い魔なのよ!
帰れるわけないじゃない。」
「え、そんなの聞いてないよ。それに使い魔って、なに?」
「はあ、使い魔も知らないなんてあんたほんとに一体何者?
来てる服も変だし。」
XIGの隊員服を見て言う。
「いい?使い魔っていうのはメイジの一生を共にする伴侶みたいなもんよ。
使い魔召喚の儀式で召喚された使い魔は死ぬまで一生その主に仕えるの。
一度召喚した使い魔は途中で変えることはできないわ、その使い魔が死なない限りね。」
「うん。それで、メイジってなに?」
「あんた、私に喧嘩売ってるわけ?」
「え、な、なんでそうなるんだよ。」
「メイジを知らなかったらハルケギニアで生きていけないわよ。」
「そのことについてなんだけど、実は僕はこの世界の人間じゃないんだ。
信じてもらえないかもしれないけど、たぶんこことは別の、異次元から
やって来たんだ。」
「は、異次元?」
「つまりこことは別の異世界ってこと。」
「そんなものが存在するわけないじゃない!あんた、人を馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ。」
怒気を含んだ声でルイズが言う。
「ほ、ほんとだよ。」
プチッと何かが切れるような音がしたような気もしたが、
怒り狂ってわめき散らすなどという貴族らしからぬ行動をとらないよう、
深呼吸をするルイズ。
「はあ、ほんとにあんたが異世界から来たなら何か証拠見せなさいよ。」
「え、えーっと・・・ほらこの服。こんな服ここにはないでしょ?多分。」
「ただ変な服着てるってだけじゃない。そんなのじゃ証拠にならないわよ。」
うーん、と首をひねって考える我夢。
「じゃあこれならきっと・・・・」
そう言って手首についた大きめの腕時計のような
無線機の画面をひらき、XIGファイターEXを呼ぶ。
「そのまま微速前進。降下。」
すると先ほどの轟音がまた聞こえてきた。
「これなら証拠になるかい?」
448巨人の使い魔:2008/09/16(火) 01:50:51 ID:hJ/Mhcg5
音は窓の外からする。
窓を開けるとそこには先ほどの飛行物体、XIGファイターが
ホバリングで静止していた。
「うわ、これこんなこともできるんだ。え、羽を使ってない?
いったいどうやって・・・」
「これで信用してくれたかな。これはこの世界の技術じゃない。」
ところが当のルイズはXIGファイターにすっかり見入ってしまい
我夢の話など上の空だった。
そこからルイズが導き出した答えは一つ。
「あなた、ひょっとしてエルフなの?」


数時間後。
あれほど高く昇っていた太陽は姿を隠し、代わりに夜空に
2つの月が浮かんでいた。
部屋の中ではあいかわらずルイズと我夢がそれぞれ自分について
説明していたがその顔は疲れを通り越して少しやつれているようにも
見えなくはない。
「・・・結局私どこまで説明したっけ?」
「使い魔は主人の目となり耳となり―・・・ってところまでだよ。」
「でも私にはあんたの見てるもの、特に見えないわ。人間相手じゃ
無理なのかしらね。」
「そ、そうか。ところで僕はどこまで説明したっけ。」
「えーっと、異世界から来て、家に帰りたくて困ってるんだけど
無理だから私の使い魔になりなさいってところまでよ。」
「ああ、そうだった。僕が異世界から来たってみんなに知れ渡ると面倒だから、
できれば内緒にしてほしいんだけど。」
「もう面倒事はたくさん。今日でだいぶ疲れたわ。私もう寝るわ。さっそくだけど仕事よ。
服を脱がすのを・・」
そう言いながら使い魔に目を移すと、すでに床の上で座りながら
眠っていた。
「・・・・ま、明日からやらせればいいか。」
ネグリジェに着替え、ベッドにもぐりこむ。
何かとても重大なことを忘れているような気がしたが、睡魔には勝てなかった。
ルイズと我夢のそれぞれの意識は深い闇の中へと落ちて行った。

449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 01:52:56 ID:TNHS0iih
ガイアだと…俺の一番好きなウルトラマンじゃないか! 支援
450名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 02:03:00 ID:TNHS0iih
あれ?もしかしてさるさん?
451代理:2008/09/16(火) 02:12:43 ID:aA7K1Sny
名前:巨人の使い魔 投稿日: 2008/09/16(火) 01:54:28 ID:UMemmMmo
以上、投下終了です。
ちなみにガイア以外の作品の怪獣も出ます。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 02:17:00 ID:OqGVz3b1
こんなところでさるさんw
乙でした
453毒の爪の使い魔:2008/09/16(火) 02:22:27 ID:ppNlrNh3
どうも、遅くなりましたが第10話書きあがりました。
予定が無ければ直ぐにでも投下したいのですが、宜しいですか?
454名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 02:25:24 ID:OqGVz3b1
今正に寝ようと・・・支援
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 02:26:15 ID:n/LhUBBo
しえんだ
456毒の爪の使い魔:2008/09/16(火) 02:26:29 ID:ppNlrNh3
では、投下行きます。

青と赤、二つの月の輝きがトリステイン魔法学院を照らす。
そんな夜空を見上げながらジャンガは広場に寝転んでいた。
特に何もする事が無い夜、静かに月を見上げるのが彼の日課となっている。
ジャンガを知る者が見れば、奇妙な光景に映るだろう。
しかし、こうして月を見上げる事は何も此方に呼ばれてからの事ではない。
”向こう”に居た時もする事が無い夜は同じように静かに月を見上げていた。
無論、理由は暇潰しである所が大きい。…実際はそれだけではないのだが、それはまた別の話である。

「にしても…たかだか怪我が治ったくらいで騒ぎすぎだゼ」

――決闘騒ぎから既に一週間が経っていた。
あの後、重傷を負っていたギーシュとタバサは広場へとやって来た複数の教師により、
直ぐに医務室へと運ばれ治療を受けた。
ギーシュは解毒がされていたとはいえ、胸を大きく切り裂かれていたため出血多量。
ジャンガに必要に痛めつけられたタバサは更に酷く、全身打撲の上に背中は切り裂かれており、
骨も一つ残らず罅が入るか、骨折しているという有様であった。
オスマン氏が代金を肩代わりした秘薬を用いた水のメイジの治療により一命は取り留めたが、
直ぐに全快する筈も無く、ギーシュは三日、タバサに至っては一週間も掛かった。
今日の授業でタバサがキュルケと一緒に出席してきた時には教室中が歓声に包まれたが、
決闘の一部始終を見ていれば無理からぬ事だろう。
教室中から歓声を受けた時にもタバサはまるで表情を変えなかった。
――ポツリと「ありがとう」と呟いたのをキュルケは聞き逃さなかったが。

「ま、俺には関係無ェな…」
ジャンガは月を見上げながら呟く。
自分の目が月目と呼ばれる理由…二つの赤と青の月。
そんな月を眺めていると口から自然と漏れていた。
何故かは解らない……自然に、本当にごく自然にそれを口にしていた。

――その時、気配を感じた。



「誰だ!?」
気の緩みがあったのは間違いないが、今の気配はかなり近くで感じた。
叫びながら身体を起こし、気配のした方へと顔を向ける。
月明かりに照らされ、そこに立っていたのは彼の知っているメイドだった。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 02:27:24 ID:uEuY2OVQ
支援
458毒の爪の使い魔:2008/09/16(火) 02:31:30 ID:ppNlrNh3
「…テメェかよ」
「あ、その……驚かせてしまってすみません…」
メイド=シエスタは怒鳴り声に怯えた声で言った。
ジャンガは舌打をする。不味い物を聞かれたものだ。ジロリとシエスタを睨みつける。
「おい…」
ドスの利いたその声にシエスタは怯んだ。
「今の聞いたのか?」
「……はい」
「チッ…メンドくせェ」
ジャンガは心底後悔していた…、不味い物を聞かれたと。
そもそも、何であれを今更口にしたのか理解できない。…考えれば考えるほどイライラしてくる。
ギリギリと歯を噛み締め、自分の迂闊さを呪う。そんなジャンガの様子に心配になったシエスタは声を掛ける。
「あ、あの…ジャンガさん?」
「あンッ?!」
不用意に声を掛けた為に殺気が篭った視線を叩きつけられる。
殺気に震え上がるシエスタ。しかし、なけなしの勇気を振り絞り、恐怖を何とか押さえつける。
「その、すみません…」
「……チッ」
再び舌打をし、ジャンガは立ち上がる。
「あ、あの?」
「…テメェのようなのが来ない所へ行くんだよ。文句でもあるのか?」
「いえ、別に…」
その言葉を聞き、ジャンガはその場を立ち去ろうとする。
その背にシエスタがおずおずと声を掛けた。
「あの!」
「まだ何かあるのかよ?」
「その…今まで話す機会が無かったので」
「ん?」
シエスタは意を決した表情で言った。
「ジャンガさん、ミス・ヴァリエールの事を悪く言うのは止めてください」
「…何だそりゃ?」
「あの時の会話、全部聞いていました。確かにミス・ヴァリエールは周りに迷惑を掛けているかもしれません。
でも、努力をしているという事を否定するのは気の毒です」
ジャンガは黙ってシエスタを見つめる。
「覚えていますか…召喚された重傷のジャンガさんをミス・ヴァリエールが三日三晩看病していたのを?」
「フン、それが何だってんだ?」
「あの時のジャンガさん、本当に危険な状態だったんです…危篤寸前で。
それで、ミス・ヴァリエールが高価な秘薬を取り寄せたんです。幾ら貴族でも代金を払えきれるか解らないほどの…。
それ位、ジャンガさんの事を心配していたんです。だから…」
「だから何だ?まさか、そう言う事があったから、あのクソガキに謝って、看病した事に礼を言えってのか?
ハンッ!冗談じゃねェゼ。俺は助けてくれ何ざ一言も頼んじゃいねェ……あのクソガキが勝手にした事だ」
「それは…」
「お前…随分と卑怯だな?そう言う話をして同情誘おうなんてよ」
「そんなつもりは…」
シエスタは何とか弁解しようとするが、ジャンガは最早聞く耳を持たない。
背を向け、その場を去ろうとして――ふと足を止める。
肩越しにシエスタを睨み付ける。
「さっきのは誰にも言うんじゃねェぞ?」
「はい…。あ、あの…ジャンガさん、お願いです…仲良くとは言いません。
…ただ、誰にも怪我をさせないでください…。厨房の皆にも…」
「……それは他の奴等の態度しだいだ。大体、今更言う事かよ。…何か気になるのかよ?」
「いえ……少し心配になっただけで…、それだけです」
「フンッ」
ジャンガは忌々しそうに鼻を鳴らすと、それで話は終わりとばかりにその場から消え去った。
「あっ…」
何かを言いたげに手を伸ばしたが、消え去ったジャンガに届くはずも無く、仕方なく学院へと来た道を戻る。
その去り際、彼女は一言小さく呟いた。

「…さようなら、ジャンガさん」
459毒の爪の使い魔:2008/09/16(火) 02:34:35 ID:ppNlrNh3
 
――翌朝
本塔の上でジャンガは目を覚ました。大きく伸びをして目を擦る。
「くわぁぁぁぁ〜…、ああ…ダル」
まだ半分寝ぼけている頭を激しく振って覚ました。
身体を起こし、朝日に照らされる学院を見渡す。…と、学院の一角で目が留まった。
そこには一つの人影があった。――シエスタだ。
いつものメイド服ではなく、普段着らしい服装をしている。手には旅行にでも使うような鞄を持っている。
「…こんな朝早くから何してるんだ?」
考えているとシエスタは学院の外へと歩いていく。学院の入り口には馬車が一台停まっており、どうやらそれに乗ろうとしてるようだ。
ジャンガは立ち上がると、目にも留まらぬ速度で本塔から跳び、シエスタの後ろへと降り立つ。
着地の音にシエスタは驚き振り返った。
「ジャンガさん…?」
「よう、こんな朝早くからお出かけか〜?それとも、この学院が嫌になって遂に逃げ出すのか?キキキ」
小馬鹿にした風な言葉を投げかけるジャンガ。
しかし、シエスタは特に何を言うでもなく、ただ寂しそうな表情を浮かべるだけだ。
その様子にジャンガも笑いを引っ込め、怪訝な顔をする。
「何だ、どうしたってんだよ?」

「やめるだと?」
ジャンガは思わず聞き返していた。表情を変えずに頷くシエスタ。
「はい、今日から急遽、モット伯の屋敷に仕える事になりまして…」
「モット伯だ?――ああ、なるほど。夕べ妙に様子が変だったのはそう言う事か…」
合点がいった。誰も傷つけないでくれと改めて頼んだのも、そう言った理由があったからなのだ。
もっとも、だからと言って特に何か感じる訳でもないのだが。
「ふ〜ん…まァ、俺には関係ねェ事だ。じゃ、元気でやれや」
そう言ってジャンガは爪をヒラヒラと振りながら背を向け、その場を立ち去るべく歩き出す。
「ジャンガさん…」
「ん?」
囁くような声だったが、ジャンガの耳にはハッキリと聞こえた。
背中越しに後ろを見る。シエスタが申し訳なさそうな表情で真っ直ぐに見つめていた。
「あ〜ん?そんな顔しやがって……引き止めてもらいたいのかよ?」
ジャンガの言葉にシエスタは直ぐには答えなかったが、やがてゆっくりと口を開いた。
「少しでも…ジャンガさんと皆さんが近づく事が出来ればいいなと思って私なりにがんばったんですけど…、
…結局何も変えられませんでした…。力になれなかったのが…心残りです」
――こいつは一体何を言ってるんだ?
ジャンガはシエスタの言葉に目をぱちくりさせる。
…そしてシエスタは頭を下げながら言った。



「ごめんなさい…」



ズキンッ!――頭痛がした、左手が痛んだ。

瞬間、目の前の景色が反転し、ぼやけ、全く別の光景が浮かぶ。
遠い過去に見慣れた顔が浮かび、聞きなれた声が聞こえてくる。

――ごめんね…――

――すまねぇな…――

…それは一瞬の事だった。だが、ジャンガにはハッキリと見えて、聞こえた。
一瞬、呆けた様に立ち尽くし……直後、例えようの無いイラつきを覚えた。
460毒の爪の使い魔:2008/09/16(火) 02:37:34 ID:ppNlrNh3
ギリギリと音がするほど強く歯を噛み締める。
ズガンッ!
轟音が響き、土煙が立ち込める。
土煙が晴れると、シエスタとジャンガの間の地面に深く巨大な溝が出来ていた。
ジャンガが苛立ち、カッターを地面に放ったのだ。
その光景にシエスタはおろか、馬車の運転手も驚愕の表情を浮かべていた。
そんな事は気にも止めず、ジャンガはシエスタを睨む。
「失せろ…」
苛立ちを押さえ込み、静かにそう言い放つ。
呆然と立ち尽くすシエスタはただ立ち尽くすのみだった。
「失せろ……今直ぐにだ!」
苛立ちを発散させるかの如く、叫ぶジャンガ。
シエスタは暫し立ち尽くしたままジャンガを見つめていたが、やがてゆっくりと会釈をし、馬車へと向かった。
呆然としていた運転手に「待たせてすみません」とだけ伝え、中から開けられた扉から馬車に乗り込む。
開け放たれた扉からチラリと赤い体色をした耳の生えた饅頭のような生き物が見えたが、
イライラしているジャンガはそんな事など気にもとめない。
馬車は走り出し、学院から去っていった。ジャンガは遠ざかっていく馬車が見えなくなるまでそこを動かなかった。

馬車が見えなくなるや、ジャンガは城壁を苛立ち紛れに蹴飛ばした。罅が放射線状に走る。
「チッ…何で謝りやがるんだ、あの小娘は?」
さっきの事を思い出すと、また頭痛がしそうだ。
「クソッ…イライラするんってんだよ…、クソッ!、クソッ!!、クソッ!!!」
ぶつけ所の無い苛立ちは叫びとなって口から飛び出す。…しかし、それで晴れる訳も無い。
「クソッ…」
一頻り叫んだジャンガは馬車の消えた方向を一瞥し、学院へと歩いていった。



教室では教師の一人、ミスタ・ギトーによる授業の最中だった。
いや、今の状況を一目見ただけではとてもそうとは思えないのだが…。
なにせ、教壇に立ったミスタ・ギトーと彼に挑発されたキュルケとが一瞬即発の状態にあったのだから…。
「火傷じゃすみませんわよ?」
「構わん、本気できたまえ。その、有名なツェルプストー家の赤毛が飾りではないのならね」
ギトーの再度の挑発に、キュルケはいつもの小馬鹿にしたような笑みを消す。
胸の谷間から抜いた杖を振り、炎の玉を作り出す。
続けて呪文を詠唱すると炎の玉は膨らみ、直径一メイルほどの大きさになった。
生徒達はその後の展開を予測し、慌てて机の下に潜り込む。
杖を振り、右手を押し出すように突き出し、育った炎の玉をギトー目掛けて飛ばした。
唸りを上げて跳んでくる炎の玉を、ギトーはまるで動じず、冷静に腰に差した杖を引き抜き、剣を振るように薙ぎ払う。
途端、烈風が巻き起こり、炎の玉を瞬く間に掻き消す。それに止まらず、風は炎の玉の出所である、キュルケをも吹き飛ばした。
それらを見届けるや、悠然としてギトーは言い放った。
「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。簡単だ。『風』は全てを薙ぎ払う。『火』も、『水』も、『土』も、
『風の前では立つ事すらできない。残念ながら試した事は無いが、『虚無』さえ吹き飛ばすだろう。それが『風』だ」
立ち上がったキュルケが不満そうに両手を広げていたが、ギトーは気にも留めずに話を続ける。
「目に見えぬ『風』は、見えずとも諸君らを守る盾となり、必要とあらば敵を吹き飛ばす矛となるだろう。
そしてもう一つ、『風』が最強たる所以を教えよう」
杖を立てるギトー。
「ユビキタス・デル・ウィンデ…」
低く呪文を詠唱する…その時!

バゴンッ!!
ガッシャーーーン!!

岩石が砕け散るような音が響いたかと思うと、全く反対方向から何かが割れるような音が響き渡った。
461毒の爪の使い魔:2008/09/16(火) 02:40:44 ID:ppNlrNh3
教室中の――ギトーを含める――誰もが一瞬、何が起こったか解らずに呆然とした。
言ってしまうと、教室の扉が突然吹き飛び、教室の後ろにある窓ガラスの一つを割っただけである。
だが、吹き飛んだ扉の向こうに居る者の姿を認めるや、生徒達は一様に顔に恐怖を張り付かせる。
「ジャ、ジャンガ…」
誰かが呟いた。ジャンガはゆっくりとした足取りで教室へ踏み込む。
ジャンガの姿を認めるや、ギトーは講義の言葉を口にした。
「君、今は授業中だぞ!?非常識にもほど――」

――次の瞬間、形容し難い音が断続的に響き渡り、轟音が二回ほど天井の一角から響いた。

天井にポッカリと穴が開き、その向こうに青空をバックにした本塔が見えた。
その本当の最上階、学院長室の壁にも穴が開いており、煙が濛々と上がっている。
生徒達は揃って唖然としていた。
ギトーが文句を言った瞬間、ジャンガは瞬時に例の三体の分身を生み出し、ギトーを取り囲むや四体で袋叩きにし、
悲鳴すら言わせないまま、本塔の方向目掛けて、四体で蹴り飛ばしたのだ。…時間にして約10秒ほどの出来事だった。
生徒の誰もが息を飲み、そして直感する。――今のジャンガは頗る機嫌が悪い。
ジャンガはそんな哀れなギトーが吹き飛んだ方向へ一瞥もくれず、教室を見回す。
そして、教室の一角に目が行くと、そこにはルイズが座っていた。睨まれルイズは「うっ…」と呻き声を漏らす。
ジャンガは足早にルイズへと近づき、その胸倉を爪でつかみあげる。
「ちょっ、く…苦しいわよ…」
「少し面を貸してもらうぜ?」
ルイズをつかみあげたまま、教室を出て行こうとする。
その去り際、ジャンガは教室の生徒達を振り返り、こう告げた。
「授業の残りは自習だ…、お前らの好きにしな。キキキ」
それだけ言うと、ジャンガはルイズを連れ、今度こそ教室を出て行った。



その頃…
本塔学園長室では、オスマン氏が目の前の光景に溜息を吐いていた。
「やれやれ…ミスタ・ギトーか。…まったく、彼は怒りっぽいうえに、要領が悪くて困るのう」
オスマン氏の視線の先では、見事なまでにボロボロな上に、いい感じに血塗れなギトーが仰向けに横たわっていた。
そして、その下には下敷きにされるようにしてミス・ロングビルがうつ伏せに床に倒れている。
ピクピクと痙攣しているあたり、一応生きてはいるようだ。
何故、このような状況に陥ったかと言うと、ミス・ロングビルはつい今しがたまで本棚の片付けをしており、
そこにいつものオスマン氏のセクハラを受け、それに使われた手の形の彫刻をオスマン氏の顔面へと投げ返した。
(オスマン氏の顔が微妙にへこみ、鼻血を垂らしているのはそう言った訳なのだが…)
その投げ返した直後に、ジャンガに蹴り飛ばされたギトーが壁と本棚をぶち破ってミス・ロングビルに衝突したと言う訳である。
「ふう…ここ一週間は問題が無かったと言うのに…、やれやれ…まだまだ先がおもいやられるのう」
オスマン氏は取り出した水ギセルを吹かしながら、ミス・ロングビルとギトーの治療の為の対処を考えた。
462毒の爪の使い魔:2008/09/16(火) 02:46:23 ID:ppNlrNh3
以上で投下終了です。投下した後で気が付いたのですが、『風』の部分の”』”が一つ抜け、抗議が講義になっていた(汗)
今回から公式設定ではない、ジャンガの過去に関するオリジナル設定を徐々に入れていきます。
ボロボロのギトーの姿は某ゴム人間にぶっ飛ばされた敵を思い浮かべてくれればいいかと(笑)
次の舞台はモットのお屋敷です。それでは♪
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 02:49:00 ID:2/HTebjG
乙なんだぜ
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 02:51:04 ID:lb43Dv7s
ギトー無残
支援
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 02:51:57 ID:lb43Dv7s
遅かったか。
乙です。
466名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 04:05:00 ID:QhKoFLrA
さっき、トリステインでやったコントラクトサーヴァント凄かったです!ツンデレの桃髪少女がバカ犬連呼で
爆発魔法ぶちこんで召喚してました。俺も召喚されてファーストキス食らい無様に
契約さらしました。乗馬ムチ出されたときは一瞬引いたけど、ルイズの「いやなら
止めていいんだぜ!」の一言で覚悟決め、生まれて初めて使い魔になりました。
その後、朝食・昼食も抜かれてペコペコのハラ、思いっきりこき使われ派手にツンデレ
ルイズの練金にふき飛ばされました。スッゲー男らしく気持ちよかったです。また行くとき
カキコして下さい!帰ってからルーン付きの左手見て、また感じまくってます!

467名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 08:43:42 ID:7Wahpizn
ベル様の人といい鋼の人といい
今日は俺好みの人多いなぁ、乙です
あとイワッチ自重w
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 09:37:36 ID:5h+0TlNp
あの外道猫はツンデレがよく似合うぜ。

あのピエロは真の主君LOVEがよく似合うぜ。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 09:50:20 ID:aRwLjC+A
遅レスだがりゅうおうの人でフーケがもらえる(予定)の世界の1%ってどれくらいだろ?
ハルケギニア(を含む惑星)が地球と同サイズとしたら九州くらい?
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:05:14 ID:DOpaSQUy
九州すげえ
471名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:17:25 ID:eXQ8eNDN
アメリカの半分くらい
地中海2つ分くらい
472ゼロのエルクゥ24 0/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:23:30 ID:2t49f5fZ
連休終わってから投稿するのが俺のジャスティス。
5分後に投下を始めたいと思いますが、他に予約等ないでしょうか?
473名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:25:47 ID:CkjSQM/h
支援
474ゼロのエルクゥ24 0/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:29:59 ID:2t49f5fZ
「ん、んんっ……」

 ルイズの目覚めは、それなりに心地よいものだった。
 いつもは眠気にあまり働かない頭も、珍しく目覚めてすぐに動き始める。

「……知らない天井、というわけでもないけど」

 見覚えはあるが、見慣れない天井ではあった。
 周囲には白い簡易ベッドが六個ほど並べられ、それぞれにカーテンが取り付けられており、鼻につくような秘薬の匂いがする……ここは、学院の医務室だった。

「私……痛うっ!?」

 医務室で寝かされるような事があっただろうか、と思ったところで……ジクリ、と腹部に鋭い痛みが走った。
 慌てて毛布をまくると、学院の制服の腹部に、見事な穴が開いている。

「あれ。服、だけ……?」

 しかし、それだけだった。ブラウスと肌着に穴は開いているが、そこから覗く肌は綺麗なものだ。
 傷のようなものは見当たらず、感じた痛みは一瞬で消え失せていた。

「私……そうだ! 私、ウェールズ様をかばって……!」

 気を失う瞬間の記憶が、痛みの代わりに溢れ出してきた。
 耕一とワルドの決闘。途中までの息を呑む互角の攻防からの急展開。
 突然ウェールズに向けられたワルドの兇刃。間一髪でウェールズを庇ったルイズは倒れ、鬼に変身した耕一がその後を―――!

「ミス・ヴァリエール! お目覚めになったのですね!」

 そこに、朗らかな女性の声が響き渡った。
 ハルケギニアには珍しい、耕一と同じ黒髪黒瞳のメイドは、手に持っていた水の張られた洗面器とタオルを置き、こちらに小走りに駆けてくる。

「あんたは……確か、コーイチの知り合いの……」
「シエスタと申します。ミス・ヴァリエールが眠っている間のお世話係を申し付かっておりました」
「そ、そうよ。私はこんなところで眠ってるわけないのに、何でここにっ?」
「も、申し訳ありません。私は詳しい事情は聞かされていないんです。ミス・ツェルプストーとミス・タバサのお二人が、意識のないミス・ヴァリエールを連れてこられて……」
「キュルケとタバサが?」

 ますますわからない。ルイズ達がアルビオンに向かった事は、当事者を抜けば、アンリエッタ以外誰も知らないはずだ。
 ましてや、事はトリステインの危機なのだ。ゲルマニア留学生であるキュルケが知れるわけがない―――。

「いえ―――そうとは、限らない?」

 そう……今回の件、ゲルマニアと無関係ではない。
 レコン・キスタに対抗するために同盟を組む、その相手方だ。同盟と言う名前とはいえ、その実体は、ゲルマニアからの軍事援助。だからこそ、見返りとして、第一王位継承者であるアンリエッタがわざわざ向こうに嫁がなければならないのだから。
 ゲルマニアにとっても、この話がご破談に終わる事はあまり望ましくないはずだ。猿山の大将に過ぎない彼の皇帝にとっては、国内の他勢力を跪かせる『始祖縁の王家』という権威は喉から手が出るほど欲しいものだろう。
 此度の同盟が国家自体の命綱であるトリステインと違って余裕はあるだろうが、進んで破棄したいとも思っていまい。
 そう考えれば、ゲルマニアが協力してきたとしても不思議じゃ―――。

「み、ミス・ヴァリエール? 大丈夫ですかっ?」
「あっ? ど、どうしたの?」

 思索は、シエスタが肩を揺らした事で中断された。

「ご気分が優れませんか? ぼうっとしていたようでしたが……」
「う、ううん。何でもないわ。気分は、いつもよりスッキリしてるぐらいよ」

 スッキリしすぎて妙に頭が回るほど、と、ルイズは先ほどの、まるで戦記小説の軍師のような思考を思い出して、心の中だけで一人ごちた。
475ゼロのエルクゥ24 2/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:31:42 ID:2t49f5fZ
↑は1/9ですね。投下早々すいません。

------------------------------------------------------------

「それならいいのですが……あ、ミス・ヴァリエールが気が付かれた事、報告しなきゃ。あの、少々お待ちくださいね」

 ぺこり、と一礼して、シエスタは医務室を出て行った。

「……とりあえずは、話が聞ける人が来るかな」

 シエスタを見送ったルイズは呟き、起こしていた上半身を投げ出すように横たえると、ぽすっ、とベッドから空気が抜けた。

「……どうなっちゃったんだろ」

 アルビオンはやはり滅びてしまったのだろうか。任務はどうなったのだろう。
 懐を探ってみたが、そこに入れておいたはずの件の手紙はなくなっていた。
 そして、アルビオンで倒れたはずの自分を、なぜキュルケとタバサが連れてきたのか。
 ……ニューカッスル城で治療を受けて、眠っているまま脱出船に乗せられた。学院に連絡が行って、それを聞いたいらんことしぃのキュルケがタバサにシルフィードを出してもらって……。

「そんなところかしら」

 さっきの妄想が馬鹿みたいに、それはすっと心に馴染む考えだった。

「やあ、君付きのメイドが慌てた調子で走っていったからまさかと思ったが、本当に気が付いたんだね」
「ん?」

 そんな取り留めもない事を考えながら、窓からぼうっと外を見ていると、医務室にややハスキー気味な少年の声が響く。

「ギーシュ?」
「いやあ、良かった良かった。大丈夫かい? 学院に運び込まれてから、3日も寝ずっぱりだったんだよ」

 現れたのは、耕一に手酷くやられて以来、妙に丁寧に接してくるようになったギーシュだった。

「私、そんなに寝てたんだ……」
「うむ。腹部への刺突なんて、暗殺でもされかかったのかい? 腕のいい水メイジに当たったようで、傷が残っていないのが幸運といえば幸運だが」
「……事情は、言えないわ」
「そうかい。あのミスタ・カシワギが命を落とすほどの事だったようだし、命があって戻ってきただけでもよしとするのがいいのだろうね」
「―――え?」

 やれやれ、と肩を竦めたギーシュの言葉の中に、聞き逃せない言葉があった。

「コーイチが、なんですって?」
「……そうか、知らなかったのか」
「いいからもう一度言いなさい! ギーシュ!」

 バン! とサイドテーブルを叩くルイズに、ギーシュは瞑目した。

「死んだ、と聞いている。君を傷つけられた相手を追い、相討ちになった……と、僕がキュルケから聞けたのはそれだけさ」
「なに、それ……」

 死んだ? コーイチが? エルクゥが? あの地上最強の生物が?

「ところで、ルイズ」

 自分を傷つけた相手……ワルドと? 相討ち? スクウェア・メイジは『アレ』すら打倒しうるというのか? 

「君はいつの間に、その……そんなに体を鍛えたんだね?」
「はあ?」

 思考を中断されたルイズは、杖より重いものなど持った事がないこの由緒正しき公爵家の三女に向かって何トチ狂った事を言っているのかこのヘタレナルシーはこっちは今忙しいんだ、と苛立たしげにギーシュの視線を追って―――。
476ゼロのエルクゥ24 3/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:32:49 ID:2t49f5fZ
「な、ナニコレっ!?」

 そして、驚愕した。
 先ほど拍子で叩いた鉄製のサイドテーブルが、まるで何か重いものが勢いよくぶつかったかのようにひしゃげ、潰れていたのだ。

「なにこれって、さっき君が潰したんじゃないかね」
「し、知らないわよっ! 手で叩いただけで、鉄のテーブルがこんなに潰れるはずがないじゃないのっ!」

 見事にクラッシュしているテーブルを指差すギーシュに、ルイズはそんな正論を言い返す。
 しかし、その心は―――『鉄などという脆い材質の』テーブル、手で叩いたらすぐに潰れるに決まってるじゃないか―――という、全く逆の感想を抱いていた。
 いや、感想という意識ですらなかった。それは、ルイズにとっては、パンを食べる時にパンを指で挟んで引っぱればちぎれるじゃないか、というレベルの、誰でもわかっていてわざわざ言葉として脳裏に浮かべるまでもないような事実と同じものだった。
 あまりにそれが自然だったので……自身でも気付くのに、しばしの時間が掛かった。

「やれやれ、痛んでいたのかね。しょうがない」

 ギーシュが胸のポケットに挿していた造花のバラを手に取り、一振りすると、テーブルがみるみるうちに元の形に戻っていく。
 材質が鉄から青銅になってしまっていたのはご愛嬌だ。

「これでよし。ふふ、僕の『青銅』は、そんじょそこらの鉄なんかより丈夫さ。ミスタ・カシワギに敗れてからというもの、研鑚を欠かしてはいないからね」
「…………」

 得意げなギーシュをよそに、ルイズはじっと開いた自らの手の平を見つめていた。

「ルイズ、気を落とさない方がいい。ミスタは使い魔の本分を果たしたんだ。君が無事にここへ帰ってきた事が、何より彼への慰めになるはずさ」
「……そうね」

 黙り込んだルイズを、使い魔が死んだ事への哀しみだと見てとったギーシュは慰めの言葉をかける。
 確かに、それもショックではある。だが、キュルケからギーシュへの又聞きであるそれに現実感はあまりなく(どうせキュルケが適当こいたのだと思っていた)……それよりも、自らに起こった変化にルイズは気を取られていた。

「…………」

 手の平から目を離し、今しがた再生されたばかりのテーブルに視線の先を変える。

「ルイズ?」

 そして、おもむろに手を振り上げ―――自然な力加減で、その台の部分をはたいた。

 めぎっ。どごん。

「どぉぅわっ!? な、何をするんだねっ!?」

 平手を見舞われた一本足のテーブルは、その足のなかばから耳慣れない金属の潰れる音を立てて綺麗にヘシ折れ、台の部分が吹き飛んでいった。
 自分の方に飛んできたそれをギーシュは慌てて避け、台は潰れながら壁にめり込んで止まった。

「―――どうなってるの?」
「それは僕が聞きたいよ……」

 手を振り切った格好のまま呆然と呟いたルイズの声に、尻餅をついたギーシュの声がかぶさった。

§
477ゼロのエルクゥ24 4/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:34:37 ID:2t49f5fZ
「……何やってるのよ、ギーシュ」
「……ちょっと、レディのお世話をね」

 しばらくして医務室に入ってきたキュルケは、壁に向かって杖である造花を振っていたギーシュに、何か可哀想なものを見るような生暖かい視線を向けた。
 吹き飛ばされたテーブルがめり込んだ痕を修理していました、とはルイズに口止めされていて言えず、ギーシュは力無く肩を竦めただけだった。

「ふぅん。ま、頑張ってね。で、色男にお世話されてるラ・ヴァリエール嬢、ご機嫌はいかがかしら?」
「誰かさんが勝手に人様の使い魔を殺してくれたせいで最悪よ」
「……ギーシュに教えた事は、嘘じゃないわよ。私達がニューカッスルのお城に着いた頃には、もう全部決着が付いていたの」

 そう、楓と一緒に帰ってしまった耕一の事を、キュルケとタバサは、耕一自身の話した内容から、吶喊したまま討ち死にしたのだと改竄した。
 恋人が迎えにきて元の世界に帰ってしまった、などと真実を知れば、またルイズが癇癪を起こしてうるさいだろうから、というのがキュルケの言い分である。
 あの時城に残っていた王党派の生き残りに話を聞けばバレてしまうだろうが……これから先そんな機会が訪れる事などそうはあるまい、という判断は、なるほど妥当なものだと言えた。

「そう……コーイチ、本当に死んじゃったのね」
「ええ。最期は、これが看取ったらしいわ」
「ちょっ、これ扱い? ちょっと扱い悪くね? 伝説の剣なんだぞーえらいんだぞー、あっやめて鞘に押し込まないでむきゅん」

 もっともらしく脚色されたキュルケとデルフリンガーの話を聞いて、ルイズは今度こそ悲しみと喪失感を覚えた。
 目を閉じ、思いを馳せる。彼はどこか一歩退いたところにいたから、泣きじゃくって呆然とするほどの強い衝動ではない。滴る水がゆっくり布に染み込んでいくように、心に悲しみの色が広がっていく。
それは、厳しく鍛えてくれた長姉とも、慈愛で包み込んでくれた次姉とも違う……そう、そっと見守ってくれる兄のような。そんな存在だった。

「……どうせそのうち、次の使い魔は召喚する事になるんだぜ? 無駄だと思うんだがねえ」
「もう、2回目の『サモン・サーヴァント』でも、同じものが召喚されるって決まってるわけじゃないんでしょ?」
「普通の系統メイジならね。それぞれの系統と実力に合った奴が選ばれるが……相棒は虚無の使い魔で、ってことは娘っ子はおそらく虚無の担い手で、使い魔が選ばれる基準は謎に包まれてる。運命、なんて言われてるぐらいでな」
「虚無、ねえ。ルイズが虚無の系統ってのがいまだに信じられないけど、タバサもそんな事言ってたしね。そうだとすれば、もう一度呼ばれる可能性が高い、か」
「ま、一度体験した身だ。開いたゲートに入るかどうかはあっち次第だろうけどな」

 その横で、キュルケとデルフリンガーが小声で言葉を交わしあう。 耕一達が帰っていってしまったその帰途、事実を誤魔化すかどうかで散々話し合った事だった。

「あの様子だと、お嬢ちゃんが行かせないっぽいがねえ」
「もしかしたら、二人一緒に来るかもよ?」
「はは、有り得そうだ。んで『コントラクト・サーヴァント』でキスするときに一揉めあったりしてな」
「きっと見ものよ、それ」

 くすくす、と剣と女が密かに笑いあったのを見咎めて、ルイズの眉が釣り上がった。

「何笑ってんのよ」
「んーん、何でもないわよ。で、あなた体調の方はどうなの? もう起きても平気なの?」
「ん……たぶん大丈夫よ。何だか体が軽いくらい」

 ぐるぐると腕を回したルイズが、身軽にベッドを抜けてしゅたっと床に降り立った。
 ギーシュはその様子を見て冷や汗を顔に貼り付けている。

「そ。じゃあ来てくれる? 色々と学院長に報告しなくちゃね」

 並の男だったらそれだけで陥落させられる、流れるようなウィンクを飛ばしながら、キュルケはドアを開いた。
 デルフリンガーを肩に担いだその姿は、妙に似合っている。そのままスラリとその長剣を抜いて、妖艶な剣舞でも踊り出しそうであった。

「はぁ。もう、ツェルプストーは野暮しか知らないのかしら。少しぐらい悲しみに暮れさせてくれてもいいじゃないの」

 憮然としながらも、傍らの椅子の背にかけてあったマントを羽織るルイズ。
478ゼロのエルクゥ24 5/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:35:32 ID:2t49f5fZ
「……服がごわごわするわ。お風呂入ってきていい?」
「我慢なさいな。報告が終わったらご一緒致しますから」
「結構よ。あんたの風船みたいな体なんて見たくもない」
「うふふ、洗濯板よりは殿方を満足させられましてよ?」
「あーはいはい。色ボケも大概にしとかないと刺されるわよ」
「うーん、まあ確かに挿されてはいるけど。そんな逆恨みをするような男は最初から相手に―――」
「す、少しは自重しなさいよ! さすがに下品すぎるわよ!?」

 小気味よく言葉を応酬させながら連れだっていく二人の背中を見送って、部屋に残された一人はぽりぽりと頭を掻いた。

「あー……随分と、こう……図太くなったねえ。あれはホントにルイズなのかい?」

 ゼロだ無能だと蔑まれ続けた環境からか、本来の繊細でナイーブな面が、癇癪やヒステリーとして表に出てしまっていた少女。
 それが今は……なんだか、酸いも甘いも噛み分けた傭兵メイジのようだ、などと突飛もない事をギーシュは感じていた。

§

「目が覚めたばかりだと言うのに、わざわざご足労願ってすまんの、ミス・ヴァリエール」
「いえ、オールド・オスマン。私も話を聞きたいと思っていましたので」
「うむ。現在の時点でわしが知っている事は伝えよう」

 腕を広げてルイズを歓迎したオスマンは、椅子に座り直して水ギセルをふかした。

「君がミス・ツェルプストーとミス・タバサによって学院に運び込まれてきたのは、3日前の事じゃ。腹部に傷を負っていたようじゃが、既に完璧に近い治療が施されておった。それからずっと眠り続け、今しがた目を覚ました、というところじゃな」
「はい。それで、学院長は、その……私が外出していた、理由については?」
「姫殿下より、委細聞き及んでおる」
「では、私が懐に入れておいたはずの手紙は……」

 オスマンは、首を横に振った。

「ワシ等は見ておらん。持っていたのになくなっておるというのなら、果たして奪われたか落としたか。君が深手を負った状況が不明じゃから、何とも言えんが―――」
「そこは、私が説明させていただきますわ」

 ドアが開き、外で待っていたはずのキュルケが入ってくる。

「キュルケ! 機密の話よ!」
「こちらも機密の話よ。―――先日、ゲルマニア皇帝アルブレヒト三世からトリステインに、正式に遺憾の意の表明がありましたわ。内容は、婚約していたアンリエッタ王女の不義について」
「っ! そ、それは!」
「そ。アンリエッタ姫からウェールズ王子へのラブレターは見事奪われて、皇帝の下に、ってワケね。まったくあのヒヒオヤジったら見栄張っちゃって。始祖の血が欲しかったら、ここで手紙を握り潰せばいいのにねえ……」

 自分の国の皇帝をヒヒオヤジ呼ばわりしたままの不遜な態度で、キュルケはやれやれと肩を竦めた。

「ミス・ツェルプストー。その話、本当かね?」
「ええ、間違いなく。先ほど私の実家から連絡がありましたの。トリステインの王宮は、今必死に使者を飛ばしてる頃じゃないかしら。一両日中には、ここにも連絡がくるかもしれませんわね」
「ふぅむ……」

 目を閉じて髭を撫で、オスマンは考えにふける。

「それじゃあ、私の任務は、失敗したのね……」
「あら。てっきり、『なんでアンタが手紙のこと知ってんのよ』とか言い出すかと思ったのに」
「……別に。ニューカッスルまで私を迎えに来たんでしょう? どういう風の吹き回しかは後で聞かせてもらうけど、だったら知ってても不思議じゃないもの」

 落ち込んだ様子はあるものの、らしくなく冷静なルイズに、キュルケはニヤニヤと興味深げに視線を送る。

「……ああ、姫さま、申し訳ありません」
「別に謝る必要はないと思うわよ? ある意味、それ以上の働きをしたと思うけど」
「余所者は黙ってなさい」

 瞑目するルイズをからかうようなキュルケの口調に、ルイズの声が厳しくなった。
479ゼロのエルクゥ24 6/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:36:43 ID:2t49f5fZ
「ど、どういう事よ?」
「アルビオンの内戦は王党派が勝利。反乱軍である『レコン・キスタ』は消滅して、ジェームズ一世陛下もウェールズ皇太子も健在。今は元鞘に戻りつつあるってところかしら」
「ちょ、ちょ、ちょっ! なにそれ!? 王党派が勝利って……!」
「聞いた通りの意味よ」
「そ、そんな事あるわけないじゃない! 負ける寸前だったのよ!?」

 あの絶望的な状況を、300対50.000の戦いを勝利したというのか? どれほどの奇跡が起こればそんな事が可能なのか?
 祝宴前の余興と称されたワルドと耕一の決闘を楽しげに観戦していた王党派のメイジ達。滅亡を前にしても揺るがないその覚悟に感じた物悲しさを思い出し、ルイズは声を荒げた。

「あなたが否定してどうするのよ。言ったでしょ? 『ある意味、それ以上の働きをした』って。王党派が勝てたのは、ルイズ、あなたのおかげなのよ?」
「な、何の話よ」
「コーイチよ。あなたの使い魔が、『レコン・キスタ』軍を一人で壊滅させたの。まぁ実際に倒したのは五千か一万かってところでしょうけど、それで完全に士気は崩壊。その混乱に便乗した王党派軍が、見事『レコン・キスタ』の総司令官を討ち取った、ってわけ」
「は―――」

 息を呑む。あり得ない、と驚く心と、なるほど、と納得する心がキッチリ半々に溶け合い、ルイズは目を見開くばかりだった。

「……一度君から報告を聞いてはおるが、今聞いても荒唐無稽な話じゃな」
「事実ですわ。全て見ていた証人……いえ、証"剣"がいますから」

 と、担いでいる長剣を掲げてみせる。

「デルフリンガーを発見出来たのは、本当に偶然でしたわ。タバサの使い魔である風竜でニューカッスルに向かっている途中、死屍累々の戦場の中に不自然に光るものがありました。不審に思って降りてみるとコーイチの死体があり、持っていたこの剣が光を放っていましたの」

 デルフ、と声をかけて少しだけ鞘から抜くと、その刀身が強く光を放って消えた。
 自らを錆びさせていたのを元に戻す時に光ったのと同じ原理だ。話を合わせ、光ってもらったのだった。

「誰かに気付いてもらえないかと光っていたそうですわ。近くには、トリステイン魔法衛士隊の制服を着た死体もありました。デルフリンガーの話では、密命を帯びたルイズの護衛だったらしいのですが、ニューカッスル城で豹変し、ウェールズ皇太子の命を狙ったと」
「うむ……」

 そして、デルフリンガーと、その裏切り者の兇刃からウェールズ皇太子を庇って傷を負い、治療を受けていたルイズを回収し、戻ってきた―――そう締めくくり、キュルケは一歩下がった。
 帰ってきたばかりの時に報告した内容と同じものだ。概ね今の言葉は、ルイズに対する説明だった。

「……あれだよな。結局、『なんで最初ニューカッスルに行こうとしてたのか』って部分には触れてねぇんだよな」
「学院長は、頭が回りすぎて勝手に想像してくれるわよ。ルイズは、さて今までのルイズだったら、そんな事気付きもしなかったでしょうけど……ふふ、今のルイズには、後で説明しなきゃいけないみたいよ? 面白いと思わない?」
「あくどい女だねえ」
「要領がいいと言ってちょうだいな」

 そんなひそひそ話に気付いているかいないか、オスマンがうぉっほん、と咳払いをした。

「さて、ミス・ヴァリエール。使い魔を失った悲しみは理解するのじゃが、君には一つやってもらわなければならない事がある―――王宮への報告じゃ」
「……はい」
「うむ。じゃが、今からというのも急じゃな。今日は大事を取って休むといい。明日、面会が出来るよう手配をしておこう」
「お気遣い、ありがとうございます」

 頷いたルイズに、オスマンはキセルを一服して髭を撫で、嘆息するように言葉を搾り出した。

「……ともすれば、君の言葉一つで、トリステインがこれからどう動くのかが決まるやもしれぬ。心してかかりなさい」

§
480ゼロのエルクゥ24 7/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:38:19 ID:2t49f5fZ
 時刻は午後に入ってしばらく。学院長室を出たルイズとキュルケは、ゆっくりとした足取りで、自分達の部屋のある寮塔に向かっていた。
 今日の授業を終えた生徒たちは、それぞれの広場で昼下がりの社交を楽しんでいる。
 目覚める前は戦場真っ只中の城にいた事もあってか、ルイズはどこか現実感のない眼差しでそれを眺めながら、頭を悩ませていた。

「私の言葉一つで、か」
「そんな気にするもんじゃないわよ。甘言で王女様を操って国を自在に動かしたい、とか言うなら別だけど」
「……自分の国の行く末を気にしない貴族なんていないわよ」
「ご忠臣ですこと」

 そんな二人を見て、近寄ってくる影があった。

「やあ、ゼロのルイズじゃないか。お強い使い魔様に逃げられて追っかけてたから休んでたってホントかい?」

 でっぷりとお腹の出た、小太りの少年―――ルイズ達のクラスメートである、マリコルヌ・ド・グランドプレだった。

「……下手を打てば、面子を潰されたゲルマニアとの戦争になるわ。何とかそれだけは防がなくちゃ」
「そうね。ま、必要以上に刺激しなきゃ大丈夫よ。まだ内が固まりきってないから、他んちの庭に援軍出すぐらいならまだしも、単騎で他国の首都を攻めるような戦争やる余裕はないはずだもの」
「……あんた、ツェルプストーでしょ? そんなホイホイ自分とこの内情ばらさないでよ」
「いーのよ。これであのジジイが失脚したら、それはそれでうちには儲けものだわ」
「まったく、野蛮な国ね」
「自由と言ってちょうだい」
「ゼ、ゼロのくせに僕を無視するなあ!」

 風どころか空気の扱いで、ルイズとキュルケはマリコルヌを通り過ぎていく。

「殿方が何か御用みたいよ、ルイズ」
「虫が足元にいるからってわざわざ踏み潰すなんて大人気ない事しないわよ」
「あら、気が合うわね」

 あからさまな無視であった。虫扱いで無視である。
 残念ながら今のマリコルヌは、汚い物を見下すような視線を受けて悦ぶような特殊な性癖は持ち合わせていなかった。

「きっ、きっ、貴様ぁ! ゼロの分際で僕を侮辱するか!」

 マリコルヌは健全な男子として、顔を真っ赤にして杖を抜き放った。

「目下の者にしか威張れないかぜっぴきがナマ言ってんじゃないわよ。潰すわよ」
「や、やれるものならやってみろ! 僕の『風』の前で、ゼロがそんな事出来るもんか!」

 いつものヒステリーとは違う、妙な迫力を持ったルイズの言葉にマリコルヌは少々たじろぐが、魔法成功確率ゼロにそんな力は無いと判断している理性は、なんとか応酬を続けさせた。

「……あたしにもケンカ売ってるってわからないのかしら」

 キュルケが呆れた表情で、袖の中に忍ばせてある杖をそっと指に掴む。
 この剣幕が続けば、一悶着ありそうだ、と直感したのである。この太っちょがトチ狂って一発撃つ事でもあれば、自分の『火』で収めよう、と思っていた。
 ―――結論から言えば、その直感は当たっていたが、その必要は全くなかった。

「そちらこそやってみなさいな。そんなガラガラ声じゃ、羽虫だって飛ばせないわ」
「こ、声は関係ないだろ声はぁ!」
「声は空気の震え。風の力よ。お偉いかぜっぴきのメイジ様は、『サイレント』も満足に使えないのかしら?」
「つ、使えるさ! お前なんて、何にも使えないだろう! このゼロめ!」
「何も使えなくても、あんたのを潰すぐらいわけないけど」
「こ、このお……! 少し教育してやる必要があるみたいだな……!」

 顔を真っ赤にしたマリコルヌが、とうとうルイズに向かって杖を振るった。

「『エア・ハンマー』!」
481ゼロのエルクゥ24 8/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:39:54 ID:2t49f5fZ
 ドット・スペルとはいえ、訓練していない人間なら軽く吹き飛ばせる風の鎚がルイズを襲う。
 ルイズは、それを興味なさげに横目で見やると、酷く無造作な手付きで、キュルケの担いでいたデルフリンガーを掴み、抜き、振った。
 目にも止まらぬ速度で振られた、少女の身長と同じほどの刃を持つ長剣は、寸分の狂い無く風の鎚の真芯を捉え―――ぽしゅう、と気の抜けるような音が鳴って、それだけだった。

「へ、へあ?」

 何も起こらず、軽いそよ風がルイズの桃色のブロンドを小さく揺らした。

「こんなそよ風のハンマー、浴びてたら風邪を引いちゃいそうね」
「くううっ! 何をしたのか知らないが、絶対にその小憎らしい顔を吹き飛ばしてやる! 『エア・ハンマー』!」

 振られる杖と剣。
 結果は、先ほどと同じく、ルイズの長い髪の先端を揺らすだけ。
 2回、3回と呪文は繰り返されるが、全て同じ結果に終わった。

「はあ、はあ、はあ、はあ……な、何なんだ、何なんだよお! どうしてこんな……!」
「現象が目の前にあるのに、理解しようとしないからよ。人間なら、頭を働かせなさい」
「ひ、ひいいいいぃっ!」

 ルイズは、まるで歴戦の剣術家のように素早い一歩を踏み出すと、へたりこんだマリコルヌの首元めがけ、処刑人のように無造作に、デルフリンガーを振り下ろした。

「ひぃっ!」

 びゅん! と風を切る音に目を閉じる。しかし、予想されていた衝撃や痛みはなかった。
 おそるおそる目を開けると、首筋薄皮一枚のところでぴたりと、その剣は止まっていた。

「あう、あう、ああ、あ……」

 斬鉄の勢いで振られた長剣を寸止めする。
 マリコルヌは、自らのあまり美しくはない肉体を少しでもマシにしようとかつてしていたトレーニングを思い出し、それを成す為の尋常ならざる膂力を理解してしまった。
 鉄の塊を振り回す事よりも、振った鉄の塊を止める事の方が、ずっとずっと難しいのだ。

「杖を抜いた狼藉は不問に付すわ。下がりなさい、豚」
「あひっ!」

 ガキン! と剣を進め、切っ先を地面まで突き刺すと、わたわたとマリコルヌは逃げ出していった。

「はあ。まったくもう……行きましょ、キュルケ」

 ルイズは、デルフリンガーをひゅんひゅんと片手で軽快に振って土を払い、鞘に収めると、ぽいっとキュルケに投げ渡した。

「…………」
「何よ、何か文句あるの?」
「な、何でもないわよ。行きましょうか」

 歩いていくルイズの背中を見やりながら、キュルケはそっと鞘から剣を抜く。

「……デルフ、今のは」
「……たぶん、間違いねえよ。握られた感触がソックリだった」
「そう……」
「娘っ子には自覚がねえっぽいけどね」
「そこが一番の問題よね……はあ、貧乏クジばっかりだわ」
「お疲れさん」
「ありがと」

 そして、一瞬だけ痛ましそうな表情を浮かべると、早足でルイズの後を追っていった。

§
482名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:41:21 ID:MWBliR9G
sien
483ゼロのエルクゥ24 9/9 ◆yxbMPy6fic :2008/09/16(火) 10:42:18 ID:2t49f5fZ
「あひ、あひっ」

 夢中で逃げ出したマリコルヌは、人のまばらなヴェストリの広場の隅に転がるように倒れこんだ。

「豚、豚だって……僕の事を豚だって……!」

 今なら誰も見ていない。マリコルヌは押し留めていた感情を解放し、ひくひくとしゃくりあげた。

「豚、豚ぁ……ひっ、あひいっ! 豚、豚っ! 豚ぁっ!」

 ぼろぼろと涙とよだれを流しながら、ズボンに失禁の染みが広がっていく。

「ああっ、あああっ……! あんな小憎たらしい女の子に豚と罵られる事が、こんなに、こんなに……!」

 そして、マリコルヌの中には、恐怖や、劣等感や、恥辱や……様々な感情がはちきれんばかりに溢れ―――

「気持ちいい事だったなんてッ!!!!!」

 ……開眼した。

「ああ、たまらないッ! 豚と呼んでくださいッ! 豚にしてッ! 僕はつるぺた少女の豚ですうぅッ! 乗って! つるつるおまたで跨ってくださいッ! 鞭! 鞭イイッ! ちっちゃなおててに持った鞭で、醜く膨れた豚めの尻をキツくお仕置きしてッ! ぶひぃぃぃん!」

 ……濡れたズボンからは、ほのかに栗の花の匂いがしていた。
484名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:43:06 ID:MWBliR9G
sien
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:45:52 ID:5h+0TlNp
ちょwwwwwwwwどMの宴wwwwww
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:53:28 ID:MWBliR9G
sien
487名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:55:51 ID:MWBliR9G
代理します。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:56:06 ID:MWBliR9G
977 :ゼロのエルクゥ24 5.5/9 ◆yxbMPy6fic:2008/09/16(火) 10:46:30 ID:WhQj8JZs
以上です。と思ったら、コピペミスな上にさるさん喰らいました……。

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「だって、もう同盟なんてする必要がなくなったんですもの」
「どういう意味よ」
「ハルケギニア統一を掲げる『レコン・キスタ』に対抗するための軍事同盟―――いや、始祖の血脈を差し出す代わりの軍事援助だったんでしょ? その『レコン・キスタ』がなくなっちゃったのに、する必要ないじゃない」
「は?」

 ルイズの目が、呆気に取られて丸く開いた。
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以上が、5/9と6/9の間に入ります。失礼しました。
お楽しんでいただければ幸い。

申し訳ありませんが、どなたか代理投稿をお願いします。
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:56:35 ID:MWBliR9G
代理終了です。
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 10:57:23 ID:tDD0Y90B
リアルタイムに出会えた乙!
キュルケがナイス相棒・・・以上に豚自重ww
しかしこれは“もうちっとだけ続くんじゃ”で良いんですよね?
今後の展開も激しく期待してます
491名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 11:31:30 ID:A8rWP+WE
> ……開眼した。
ワロタw
エルクゥの人、お疲れ様でした
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 12:39:38 ID:DRpqIhIl
乙でしたー。
それにしてもマリコルヌ、ここでも『罵られるのがお好き』なのか。不憫なのか、喜んであげるべきなのか迷うなあ。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 12:41:07 ID:TNHS0iih
エルクゥ乙。
とりあえずマルコメ豚自重汁wwww
GJ
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 12:59:09 ID:eXQ8eNDN
こういう設定って二次創作での設定がいつの間にか定着しちゃったみたいなパターンが多いけど
公式設定ってのが…マリコルヌ…
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 13:17:54 ID:N4qtjY3x
それが、マルコメクォリティwww
496名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 13:32:49 ID:tszWGipe
マリコルヌという人物をよく知りたければ、
4巻P117後ろから2行目〜P118前から2行目を読むがいいさ…
497名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 13:37:46 ID:rVbY4BJ3
たまにはマリコルヌが真っ当に活躍する話を書こう、と思って以来話が進みません。鉄拳のボブみたいな格好良いデブがいたっていいじゃないかブー。
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 13:45:22 ID:tszWGipe
>>497
風系統はタバサがいるからなぁ、どうしても霞まざるをえない。
同じ理由でフーケがいるからギーシュも…いやこっちは何とかならんでもないか?
499名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 13:47:36 ID:Qraj+94E
サモ・ハン・キンポーみたいな面白カッコイイマリコルヌですねわかります。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 13:59:06 ID:l9z1iD/y
>>498
おマチさんは巨大ゴーレムでどかどかやるのが好きで
ギーシュはタクティカルコンバットが好きって感じが。
まあギーシュに出来ることはおマチさんにもできるんだろうけどな。
501名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:17:07 ID:4FwCGpRp
ギーシュは溶かした青銅を使って何か出来ないだろうか。
502名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:18:25 ID:l9z1iD/y
>>501
そのまま相手に浴びせればおk。
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:18:30 ID:06zlSZl9
オマエらヤんドロやな
504名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:24:54 ID:+IPeU1Gr
相手を包み込むような形でワルキューレを作って拘束するとか発想(と魔力と技術)次第でギーシュの可能性無限大!
そういえば自分が中に入るとかやってた話があったな
505名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:26:01 ID:tszWGipe
>>501
マキビシみたいな感じでトラップを仕掛けるとか、足や身体にまとわり付かせて動きを封じるとかしか思いつかん。
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:29:06 ID:l9z1iD/y
つーか錬金は応用範囲広過ぎだよな。
有能な土メイジって実は最強じゃね?
507名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:30:32 ID:06zlSZl9
オマエらヤんドロやな
508名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:31:25 ID:06zlSZl9
オマエらヤんドロやな
509名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:32:24 ID:4FwCGpRp
でも火の属性も要りそうだから
ドットじゃ無理か?
510名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:34:09 ID:EgYMFjYh
>>504
なんとかはめてしまえば敵をワルキューレに詰め込んで人質+戦力として使えるな
土メイジ実は超便利?
511名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:35:36 ID:tszWGipe
>>506
剣を錬金で作るのが主流かどうかは分からんが「凄い剣イコール錬金で作った剣」みたいなのがハルケギニアの常識らしいからな。

とは言え、ヨルムンガント一体>スクウェア土ゴーレム三体だが。
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:36:01 ID:+IPeU1Gr
そーいやギーシュが巨大ゴーレムを火薬に練成して自爆するって話なかったっけ?
敵がゾンビ(みたいなの)軍団で名前あるキャラがどんどん戦死していくって話だった
ところで阿呆に反応するのもアレですがヤんドロってどういう意味?
513名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:39:53 ID:EgYMFjYh
一人で戦う前提だと限界があるな
キュルケ辺りに協力してもらえば赤熱化した銅像が迫り来るちょっとしたホラーが出来るな
514名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:40:25 ID:4FwCGpRp
火薬に錬成ってかなり高等テクじゃね?
何種類もの材料を丁度イイ感じに配合しなきゃならないし。
あと、他人の魔力が通ったモノって錬成出来なさそう。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:41:46 ID:l9z1iD/y
>>511
ガラス細工の地道な作業とか見てると
一体成形でいきなり完成品作り出せる錬金は大概チートだな。

あとヨルムンガントはコスト的に高くつくし
インスタントに作れるわけじゃないから
スクウェアの土ゴーレムの汎用性は捨てたもんじゃないと思うw
516名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:44:57 ID:+IPeU1Gr
>>515
オマケにエルフの協力も必要でしたからね
土or石があれば何時でも何処でも作り出せる土ゴーレムは卑怯一歩手前
少なくとも「篭城」という概念は土メイジが居る以上存在しないと見ていいと思う
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:49:20 ID:LTtfADw6
飛んでくる銃弾や矢を錬金で砂に変えたら最強じゃね?
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:49:51 ID:l9z1iD/y
>>516
城壁なんかには流石に固定化かけるでしょ。
でもニューカッスル城もあっさり地下からギーシュの侵入許してたなぁ。
戦争は正々堂々戦場でってのが
未だ互いの暗黙の了解として成り立ってると思うしかないな。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:50:22 ID:gUUCKa/Y
そこまで速くできないんじゃないかな。
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:52:24 ID:vy+d6mjb
人の動体視力とか反応速度の問題としてだな…
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:53:08 ID:4FwCGpRp
禁書レベルの練金なら強いんだがな。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:54:46 ID:tszWGipe
原作の劇中で出てきたゴーレム

ドットのゴーレム:人間サイズ、ガンダ発動サイトに一刀両断
ラインのゴーレム:そこそこ大きい、水精霊騎士団(サイト、ギーシュ抜き)の良い練習相手
トライアングルのゴーレム:30メイルくらい、動きがもっさりしているっぽい。ロケランで上半身バラバラ
スクウェアのゴーレム:25メイルくらい、かなり滑らかな動き。ヨルムンガントの噛ませ犬

こんな感じかね
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:55:59 ID:aRwLjC+A
風魔法の使い手で太いキャラと言えば
神風の術や胃の笛の術なんだが…
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:57:10 ID:tszWGipe
>>522
水精霊騎士『団』じゃなくて『隊』だったorz
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 14:57:54 ID:LTtfADw6
メイジ〉平民だからきっと身体能力にも超えられない壁が
メイジ殺しは超規格外の突然変異
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:02:21 ID:tszWGipe
水魔法でドーピングして無理矢理に身体能力アップとかできないもんかな?
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:09:51 ID:QhKoFLrA
そういえば、マジンガーZは18m、グレートマジンガーは25mなのに、
なぜか並ぶと同じくらいの身長なんだよな。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:11:05 ID:Qu/yDd0P
地下にMSが隠してあるとぐらい言ってください
529名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:17:11 ID:+IPeU1Gr
>>527
さらに50mのゲッタードラゴンも同サイズ    不思議不思議
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:17:13 ID:6z3ys7Iv
それは無理だな。
何故ならお目当ての"被召喚物"はさっき見つけて全て破壊してしまったからだ〜!!
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:22:52 ID:edebeqj4
>527
目の錯覚です。
もしくはエヴァンゲリオンのように『画面に映えるよう』に変更されているとか。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:28:02 ID:gUUCKa/Y
>>527
>>529
設定なんて飾りです!
えらい人はそこら辺が判ってないのです!!!


あの時代のアニメはそこら辺を気にしちゃ駄目。
だって大きさが違いすぎたらマジンガー好きとグレートマジンガー好きと
ゲッター好きのよい子が喧嘩しちゃうじゃないか!

とりあえず「豪ちゃんと賢ちゃんだからしょうがない」としておきなさい。
533名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:29:01 ID:wHqSl3bv
理想郷、入れない?
また鯖落ちか?
534名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:30:00 ID:5h+0TlNp
>>毒の爪
遅レスもいいとこだが

>開け放たれた扉からチラリと赤い体色をした耳の生えた饅頭のような生き物が見えたが、
これってムゥだよな。公式で頭が弱い呼ばわりされてるムゥだよな。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:30:07 ID:1XfGtKPZ
なんで外部の話題だすの?
536名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:33:52 ID:wHqSl3bv
んー、理想郷に投稿されてるゼロ魔ss読もうと思っただけ
他所様の事書いてすまん
537名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:35:27 ID:MURPr4nf
test
538名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:43:22 ID:EPxKoaSY
新スレ入ってから結構経ったが・・・
蒼の人がまだ来ていない
忙しいからなのかもしれないが投下が早いだけに来ないと心配になるな
539名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:48:50 ID:MURPr4nf
test
540名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:52:56 ID:QhKoFLrA
アリエス馬鹿にすんな。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 15:59:51 ID:gUUCKa/Y
なんか2chの仕様変更があったみたいで
投下できない人がいるのかな?

昨日は書き込みできたけど、
今日出来なくなったんで専ブラを最新にしたらできる様になったけど。
542名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 16:08:09 ID:BQ1ZqWDh
そーいやBBSPink鯖だと変な風になっていたな
543名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 16:49:45 ID:nyFUvrMd
そうなんだ、テステス
544名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 16:59:10 ID:STkhPNQ6
にしてもsage 忘れおおいな
545名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 17:04:54 ID:PiMWEyNT
遅レスですが青にして灰白の人GJ!
よく考えたらイワッチは当りっぽい。ただ、殺人衝動を抑えられればだけど・・・。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 17:21:43 ID:mOZ75WD9
ガンパレは裏設定がわけわからんことになってるから
そこらへんで噛み付いてくる人がいないか心配だ

その辺こだわる人はとことんこだわるからな……
547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 17:25:44 ID:ttBi74tl
使い魔のカービィ帰って来てくれー
548名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 17:30:36 ID:4FwCGpRp
アレって気を抜くと
身体が勝手に人殺しそうだから
それを抑えようとした結果
踊ってるように見えるんだっけ。
549名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 17:37:23 ID:nyFUvrMd
とりあえず第六世代の連中の一般特徴を列挙すると
身体能力が常人の十数倍から数十倍
左手に多目的結晶埋まってる
力翼という不可視の力場を発生されられる

後は岩田の特徴としては……靴下か。
550名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 17:58:57 ID:PwfwqiyR
>>500
意外とおマチさんには複数ゴーレム行使とか出来ないかもしれない。
なのはとか型月なんかだと並列思考・魔法の並列操作は才能が物を言う世界だったり、
大火力、大魔力と繊細な魔力操作は大抵お互いに阻害し合うみたいな設定とか多いし、
(大出力と細密動作が両立し難いのは現実の兵器やら機械なんかでも同じ)
他のキャラがやってない複数ゴーレムの並列操作は、ギーシュスペシャルみたいな感じかもしれない。
551名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:10:10 ID:mOZ75WD9
そんだけ器用でなんでギーシュはドットなんだろな……
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:11:03 ID:mcJ1/fH1
>>550
ガンダム世界ならニュータイプとして覚醒できる……かもしれないw
553名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:11:06 ID:ZA5Mj8Pd
投下してもいいですか?
1815時くらいに。
短編にするか長編にするか迷ってる程度のものですが。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:14:21 ID:ZA5Mj8Pd
訂正、1830時くらいに。
555名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:14:30 ID:OP55pzmW
テンプレ読んでませんと声高々に言ってるように見える
556名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:17:21 ID:K1x/imzz
>>551
単純に地力が足りないんじゃないの
557名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:17:54 ID:+IPeU1Gr
>>553
元ネタ教えちゃくださいませんか

あと「実在の人物駄目」となると「大空のサムライ」坂井三郎召喚ってのもヤバいよなぁ
「窮地からの脱出」が得意技だけど窮地に陥った事無いから得意技を実戦で使った事無いというのもスゴい
零戦との相性もバッチリなのだが
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:18:27 ID:wBsrf7u7
>>555
何かやってるか…?
559名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:20:20 ID:mOZ75WD9
>>558

元ネタ明記しろって言いたいんだろ?
560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:20:49 ID:ZA5Mj8Pd
忘れてた。
エスコン0のエクスキャリバー……
561名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:22:15 ID:cRfNPnwG
>>557
彼をモデルにした創作が何かあるんだったらともかく、そうでないのなら
止めといた方がいいだろうな。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:24:00 ID:wBsrf7u7
元ネタって終わってからでもいいんじゃねーの?
召喚キャラ書いたらテンプレを読んでないのがばれたのはあったがw
563名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:24:37 ID:eXQ8eNDN
>>560
学院の広場にいきなり高さ1kmの塔が出現するのを想像するとかなりシュールだ
564名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:27:57 ID:ZA5Mj8Pd
>>563

ちょっと学園の周囲の地理を
思いっきり間違っているかもしれないことに
今気付きました。
565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:30:41 ID:ZA5Mj8Pd
ま、いいや、ifってパラレルワールドみたいなものだし。
開き直って投下します。
5661:2008/09/16(火) 18:31:23 ID:ZA5Mj8Pd
「すげ……」
 誰かの呟きの通り、それは凄まじかった。
 今までの爆発とは、明らかに規模が違った。爆風や爆音はいつもの通りだったが、絶対的な範囲の違いが感じられた。爆心は遥か遠くだったのが、その場にいた者達の命を救った。今まで彼

女を野次っていた同輩の少年少女達は、爆煙に巻かれながら、自分達と彼女が『全くの別物』である事を、この時点で知ってしまった。
「手応えありよ!絶対に成功したわ!」
 自信満々で宣言する、見えざる同級生の少女。恐らく小さな胸を張り、煙が晴れて使い魔の姿を見る事を心待ちにしているのだろう。今まで自分を嘲ってきた連中を見返す事が、やっとでき

ると。既にそれは達成されているが、憐れな同級生の姿が、彼女────ルイズには見えなかった。
 やがて、煙は少しずつ晴れ、だんだんとそのシルエットを現す────筈だった。
 その場にいる全員の視線の先に、いつまで経ってもそれは姿を見せない。全員が、今までの爆発の中心を見ていた。抉られた大地、それだけだ。
「なんだよ、驚かせやがって」
「やっぱりゼロはゼロね」
「これが最後って約束だろ?」
「何が『絶対に成功したわ!』よ。ただ派手になっただけじゃない」
 皆が口々にルイズを罵る。不安の裏返しだった。あんな威力、どんなメイジであっても絶対に出せない。自らの存在理由を脅かされそうな、そんな予感から自分を護るための、僅かな抵抗だ

った。
 少ない例外は、赤い髪の少女と蒼い髪の少女、そして禿げ上がった中年くらいだった。
 彼らも、失敗したと思っていた。この時は、まだ。
「あー……、ミス・ヴァリエール。残念だが……」
「……なあ、あれ、さっきまであそこにあんな塔あったか?」
 禿げ上がった中年、コルベールの言葉は、その小さな問答により、波紋の様に広がったざわめきにかき消された。
「塔?」
「あれだよ。かなり高い」
「何個かあるぞ?」
「何あれ」
 学園の塀の向こう、森の先に、空を切り裂く様な長い黒いシルエットが見えた。細く遠く、高い。幾つかの最も近い『それ』もかなり高いが。最も遠いそれは、一際眼を惹いた。
5672:2008/09/16(火) 18:33:30 ID:ZA5Mj8Pd
「なあ、もしかして……」
「もしかすると、ね」
 数人の生徒達が、レビテーションやフライの魔法で宙に浮かぶ。上からなら、何か見えるかも知れない。そう思ったのだろう。
 果たしてそれは正解だった。彼等の眼には、有り得ないものが映っていた。
 やたらと静かな上空が気になったのか、一人、また一人と彼等に続いて宙に浮かぶ生徒が増える。そして、それを見て絶句するのだ。
 唯一飛べないルイズと、赤髪と蒼髪の少女達、そして教師であるコルベールだけが、大地に残された。
「なんかとんでもないものが見えるみたいね」
 赤髪の少女、キュルケが最も遠い塔を見て呟く。
「…………」
 蒼髪の少女、タバサは無言だ。何かを考えている様にも見える。
「なに……なんなのよ……私にも見せなさいよー!」
 ルイズは喚いている。
 それを尻目に、タバサは召喚したばかりの使い魔、風竜の背に乗る。そしてキュルケに眼をやると、彼女は頷いた。最後にルイズに視線をやり、
「乗る」
 とだけ、言う。その意味を理解した瞬間、ルイズは風竜に飛び乗った。

 そこには、壮大としか言えない光景があった。

 森だった場所が綺麗に円形に切り取られ、その中心に最も高い、有り得ないくらい高い塔がある。その周りに中央の塔の半分くらいの背丈の塔が六つ囲んでいる。かなり間を開けて、その更

に外周に背丈の低い建造物と得体の知れない何かが四つ。後は手前側に建造物が四つ密集していた。塔から伸びる道が、離れたそれらが付属物であることを示していた。
 余りにも巨大で、余りにも美しく、余りにも禍々しい、余りにも巨大な施設だった。誰もが絶句するくらいに。
 そしてこれ程の物を造る技術は、この世界、ハルケギニアには絶対存在しない。有り得ないのだ。何百メイルもある塔を、どうやって造れるのだろうか。
「綺麗……」
 ぽつりと、ルイズが呟いた。確かに、ここまで巨大で、かつ精密な建造物は美しかった。感動、いや、畏怖すら覚える。そこにいる全員がそう感じただろう。
「あー、すまないが、コントラクト・サーヴァントを済ませて貰えないだろうか、ミス・ヴァリエール?」
 情緒もへったくれもあったものではない。が、コルベールが声をかけたお陰で、その場の全員が正気に戻った。
「ミスタ・コルベール……これも……使い魔なんですか?」
 ルイズが不安げに問うが、
「状況から言って、ミス・ヴァリエール。あなたの召喚した使い魔で間違いないでしょう」
 と、太鼓判を捺した。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:33:37 ID:eXQ8eNDN
C
5693:2008/09/16(火) 18:35:11 ID:ZA5Mj8Pd
「…………。……タバサ、あの塔に。お願い」
 数瞬悩んだが、すぐに彼女はその光景について考えるのをやめた。これは人知を越えたもの、これが何かなんて考えるのは愚かしい、と、あ、タバサのこと、初めて名前で呼んだ、なんてこ

とは思っていた。
 タバサは頷き、中央の塔に風竜を飛ばす。あまりにも巨大で広大なため、風竜でもそこそこ時間がかかる。後ろから同級生達が追ってくるが、風竜に追い付ける筈がなく、次々に諦め、高見

の見物に入る。
 やがて風竜は高度を下げ、中央の塔の根元の近く、ではなく、それよりかなり手前に着地した。塔の非常識な大きさが、距離を見誤らせたのだ。
「嘘、まだあんなに遠いの?」
 どれだけの距離があるのかは判らない。だが、ルイズは風竜を飛び降り、塔に向かって駆け出す。
 案外短かったが、それでも走るには長い。一体、幅は何メイルあるのだろうか。天辺からは何が見えるのだろうか。汗だくになりながら、その塔の壁に手を突き、霞んで見えない天頂を見る

。初めての、成功した魔法が、前例の無いくらい大規模な『施設』。ひょっとして、私は凄い存在なのか、などと思うのも無理はない。
 一通り感慨に耽り、しかし風竜の羽音を聞き、あまりゆっくりしていられないと思ったルイズは、さっさと契約してしまう事にした。
「……我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」
 呪文を唱え、塔にキスをする。途端、地面が光り、ルイズに何かが流れ込んだ。
5704:2008/09/16(火) 18:36:06 ID:ZA5Mj8Pd
 その頃、コルベールをはじめ生徒達は中央の塔に向かいながらその光景を見ていた。
 巨大すぎて時間がかかる。先行したルイズ達が豆粒の様に小さく見えるのだ、無理もない。
「コルベール先生、この施設、一体何なんですか?」
 生徒の一人に訊かれ、師は困り果てた。一見して、ハルケギニアには存在しないものなのだ。学者としての性格が強い彼にも、この施設が一体、どんな目的で、どんな用途があり、どう使う

のか、皆目見当がつかなかった。
「わかりかねますな。ハルケギニアにはこんなもの、存在しませんからな。異世界かも知れませんぞ」
 故に、そう答えるしかなかった。彼のその言葉は正解だったのだが、今は知る由もない。
 と、その施設に変化が起きた。綺麗に舗装された地面が光り輝いていた。
「先生!なにが……」
「わかりません!皆さん落ち着いて!」
 騒ぎのだす生徒達を制し、その光景をじっと観察する。眩しい。
 やがて光は外側からゆっくりと輝きを失い、一部を除いて完全に消えた。
 それはまるで、何かの紋様に見えた。
「まさか、これは……ルーンか?いやはや、これ程大きいと、案外判らないものですな。しかし珍しい形だ……ッ!」
 慌ててメモ帳にその図形を書き写すコルベール。今まで抑えていたが、学者としての血は騒ぎまくっていた。
5715:2008/09/16(火) 18:38:01 ID:ZA5Mj8Pd
 タバサは、眼下に倒れているルイズに向かい、風竜を下ろした。
 駆け寄り、首に手を当て、脈が有ることを確認し、ゆさぶる。
「う……」
 ただ気絶していただけのようだ。すぐに眼を醒ます。
「う……ん。頭、痛い……」
 頭に手を当て、躯を起こそうとはしない。
「大丈夫?」
 タバサも心配するが、全く動かない。ぶつぶつと、痛みを訴えるだけだ。眼に光が無い。
「え……?これ、もしかして……ハルケギニア?あれ?」
 だんだんと痛みを訴える呟きから、意味の判らない単語を呟く。
「私……?なんで?い……嫌……これ……」

「ここ……世界の……外側?」

 彼女の眼は、自分を、いや、世界を『外側』から見ていた。使い魔の一部によって。
 痛みを対価にする様に、それが『何』なのか、ゆっくりと理解する。
「凄いわ……私……力を、手に入れちゃった」
 感覚の共有で、視界をジャックしていた。この施設と共に召喚された、遥か天空の彼方に存在する、軍事衛星の視界を。
 そして、知識も。
「素晴らしいわ、エクスキャリバー。私の、使い魔」
 彼女は、聖剣の名と共に、それが異世界の戦略兵器だという事を知った。
572名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:42:29 ID:STkhPNQ6
どうやって、あの鏡の中にはい…
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:45:27 ID:nrpoIUk4
フリーサイズ支援
574fine:2008/09/16(火) 18:45:32 ID:ZA5Mj8Pd
終了です。

学園の外側に、エクスキャリバーのシステムを丸々召還する非常識をお許しください。


「投稿しすぎ」で終了宣言が遅れたことをお詫びします。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:48:48 ID:eXQ8eNDN
gj
反射衛星まで召喚したのか
ベルカ涙目だが、まあどうせ破壊されるしいっかあw
576fine:2008/09/16(火) 18:55:52 ID:ZA5Mj8Pd
少し解説を。



今回の召還では、
・中心のレーザー本体
・6基の目標照準追尾装置
・4基のジェネレーター施設
・基地防衛用のレーザー列車砲4両
・役に立たないだろうけど4つのジャミング施設
・反射衛星いくつか
を引きずり出しました。

反射衛星には、言及されていなかったので
監視衛星としての役割も付随。
ある意味この魔法世界最強の戦力を召還した訳ですが……

この先を書こうか、これで終わらせるか……
577名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 18:59:31 ID:TNHS0iih
これで おわらせるなんて もったいない
578名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:00:03 ID:STkhPNQ6
もうこれ引きずりだせるなら、次はもうグスタフ砲とか
もしドイツが…で陸上戦艦ラーテとか日本の零式のデカイ版とか
現実世界のびっくりドッキリメカすら呼び出しそうだな。
タイガー戦車が会った位だしな…。
579名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:00:43 ID:QhKoFLrA
それを動作させるための人員もついてきてるの?
580名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:06:58 ID:qa6MkAMd
理想郷が落ちているのでこちらに投下したいと思います。
よろしいでしょうか?
581名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:08:08 ID:ADR+a+6u
>>580
テンプレは読んだよね?
582名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:09:05 ID:ZA5Mj8Pd
ルイズに知識が流れています。
動かすための人員は……どうしよう。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:11:58 ID:ADR+a+6u
ギーシュのゴーレムが動くのに疑問を抱かないように、中の人など居ない
これで良いじゃない!
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:15:41 ID:ZA5Mj8Pd
『科学なめんな、ファンタジー』でいきたいです。
ベルカの科学力は世界一チィィィィィィィィィ!

よし、思いついた。次回まで待ってください。
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:17:41 ID:gUUCKa/Y
>>580

こっちの方がいいんじゃないかな。
理想郷に投下するつもりの作品なら。

ゼロの使い魔統合スレッド
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220275036/
586子守唄:2008/09/16(火) 19:21:06 ID:GvFHnz69
空いてるようなので投下します。
587白き使い魔への子守唄 1/7:2008/09/16(火) 19:22:01 ID:GvFHnz69
風竜の速度でタルブの村に駆けつけたハクオロ達が見たのは、
無残にも剣を突き立てられたアヴ・カムゥの姿だった。
タバサとシルフィードは、それが何であるかは知らない。
ルイズは、まだ事情が掴めていない。
少し考えれば、あれを動かせるのはシャクコポル族のみであり、
戦いとは本来無縁なはずのシエスタが、村を護るため戦場に身を投じたのだと解っただろう。
だが、思考がそこまで働く前に異変が起こった。
「あ、ああ……」
呆然とした様子で嗚咽を漏らすハクオロ。わなわなと震え、仮面に手を当てる。
「ハクオロ? どうしたの、ねえ……」
「アアァッ……」
ルイズの声すら耳に入らない。
しかし、あまりに強く感情が暴れたせいか、ハクオロの胸のルーンが光る。
音はなかったはずだが、何かが弾けたように感じ、ルイズは耳を押さえた。
絶望と怨嗟の絶叫がルイズの精神を打ち震わせ、胸がきりりと痛んだ。

これ以上は……この先に行ってはいけない。
何が起こるのかは解らないけれど、起こしてはならないという確信があった。
「ハクオロ、ダメ――」
言葉、届かず。
「アアアアァァァァァァァッ!!」
ハクオロの全身から黒い霧が噴出し、シルフィードもろともルイズを包んだ。
恐慌状態に陥ったシルフィードを懸命になだめるタバサの声が聞こえ、
ルイズは宙に落ちないようシルフィードに掴まるしかできなかった。
「や、め、て……!」
胸が焦げるほどに痛い。
思考が混濁し、混濁の中に沈み、沈んだ先に、それはあった。
記憶のカケラ。
刻まれしもの。

黒濁はシルフィードから離れ、タルブの村へと降りていく。
解放されたルイズは、シルフィードから身を乗り出し、その名を叫んだ。

「……それは、ダメ……やめて、ウィツァルネミテア!」

それこそがハクオロの本当の名前だと、ルイズは認めたくなかった。


   第20話 ウィツァルネミテア降臨
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:22:05 ID:c6w5BtHn
まとめWikiの小ネタ見てたらAC版北斗の拳からトキが召喚されててマジ吹いた。
いつの間に召喚されてたんだw
589白き使い魔への子守唄 2/7:2008/09/16(火) 19:22:53 ID:GvFHnz69
暴虐をもって蹂躙するその怪物の降臨は、見る者すべてを恐怖に陥れた。
白い外殻に青紫の筋肉を持ち、三十メイルはあろうかという巨躯からは、
太い腕と足、そして尻尾が生えている。
肉に突き立て引き裂くため爪は鋭い。
獰猛な獣を思わせる牙と、すべてを威圧する鋭い双眸は怒りを発していた。
それがハクオロであるという事は、見る者が見れば、胸に刻まれたルーンから解っただろう。

だが彼がハクオロであると解った者はすべて、胸のルーンのせいではなく、
かつて交わした契約から悟っていた。
彼が契約者、己の主、楔を打ち込んだ者、すなわちハクオロだと。

突如現れた怪異を前に、真っ先に対応したのはフーケだった。
なぜなら怪物の眼差しは真っ直ぐとフーケに向けられていたから。
(この鋼鉄のゴーレムの、仲間……?)
アヴ・カムゥはただのゴーレムではなかった。中に血のようなものが流れるゴーレムなどない。
無論ガーゴイルの類でもない。異質な何かだ。
それを倒したと思ったら、今度は明らかにゴーレムではない怪物。
ハルケギニアにこんな生物がいるのか?
天空を支配するドラゴンでさえ、この脅威の前では雛鳥も同然。

ただ大地に立つ――それだけで彼は君臨していた。
ハルケギニアという大地に生きるすべてのものの頂点に。

チリチリと空気が焼けるようなプレッシャーの中、
フーケはアヴ・カムゥの残骸から剣を引き抜いた。
状況の把握をできる状況ではない。やらなければやられる。
アレの穿つような敵意はこちらに向いている。
剣を腰に構えてゴーレムが走り出す。
その動作は、巨体ゆえに遅く見えるものの、歩幅の広さから走行速度は十二分にある。
だが奴は――ルイズがウィツァルネミテアと呼んだ存在は、
巨躯を人間よりも素早く疾駆させた。
その巨体ゆえの歩幅の広さで、人間が全力で走る時のような回転速度で足を動かせば、
その速度はその質量と合わさり嵐のようであった。
590白き使い魔への子守唄 3/7:2008/09/16(火) 19:23:52 ID:GvFHnz69
機敏な動作に面食らいながらも、首を刎ねんと剣を振るったフーケの動きは優れていた
だがゴーレム渾身の一刀をハクオロは白い甲殻で包まれた手で掴むと、
まるで枝でも折るかのように軽々と、鋼鉄の剣をへし折った。
そのままゴーレムの腹部に右の手刀を貫通させると、背中側に爪を突き立てて掴み、
己と同じほどの大きさの土くれのゴーレムをゆっくりと持ち上げた。
「ウオオオオオオオオン!」
大気を揺るがす咆哮の後、ゴーレムを真っ二つに引き裂いて土砂の雨を降らす。
「ひぃっ……!」
小さな悲鳴を上げて落下するフーケを鷲掴みにして捕らえたハクオロは、
彼女を眼前へと運び、殺意に彩られた双眸と、剥き出しにした牙で威嚇する。
死ぬ。とフーケは確信した。こんな化物にかなうはずがない。
自分はここで殺される以外に道はない。
「貴様ガ……」
怪物が語りかけてくる。
「シエスタヲ……殺シタ……!」
心当たりのない名前を言われ、フーケは精いっぱいの抗議とばかりに身をよじる。
杖は、巨大な指に挟まれて折れてしまい使い物にならない。
「シエスタ? そりゃ、あの鉄のゴーレムで襲ってきたメイジの事かい?
 自分から戦場に出てきたんだ。殺されたからって、文句を言われる筋合いはないね」
「ナラバ貴様モ殺サレテ文句ハ在ルマイ!」
死刑宣告の瞬間、ハクオロの手の甲が爆ぜた。
続いて肩と二の腕、側頭部。空中で待機していた戦艦からの砲撃だった。
視界がスパークしたフーケは何が起きたのかも解らぬまま、
積もった土くれの上に落下していった。
幸運にもそれがクッションとなり、骨を何本か折る程度ですむ。
そんなフーケに目もくれず、嗜虐の牙を天空へと向けるハクオロ。

――身体ガ、熱イ。

跳躍するハクオロ。山のような巨体が宙を舞い、空中から砲撃してきた戦艦に拳をめり込ませる。
中にあった火薬が暴発し、炎に包まれた戦艦を腕に刺したままハクオロは着地した。
右足は村人達が丹精込めて育てた畑の上に。
左足はシエスタの家に。
ふたつの大切なものを蹂躙したのだと気づかぬまま、ハクオロは吼え、戦艦を投げ飛ばした。
空中にあった別の戦艦と激突し、タルブの村に二隻分の残骸が炎とともに振る。

――咽喉ガ、焼ケル。

すでに地上に降りていた二隻が砲門をハクオロに合わせ爆音を鳴らしたが、
ハクオロは蚊に刺されたほどにも感じず、わずらわしいとばかりに腕を払う。
すると黒い霧が鞭のようにしなって二隻の船を襲い、
霧は質量を持っているかのように戦艦を粉砕した。

「フハハハハハハ!」

燃えるような高揚感の中、ハクオロの自我が焼け焦げていった。
黒く、黒く焦げて、白い巨躯も黒に染まっていく。
胸に刻まれている使い魔のルーンが、悲しげにまたたき、薄らいでいった。
591白き使い魔への子守唄 4/7:2008/09/16(火) 19:24:45 ID:GvFHnz69
「全軍突撃」
ウェールズの言に兵達は驚愕した。
まさか、アルビオン艦隊をいともたやすく壊滅したあの化物に挑めというのか?
そんな心を見透かしたようにウェールズは微笑む。
「あの巨人は我々の敵を倒してくれている。敵の敵は味方ともいうだろう。
 それに、巨獣がいちいち蟻を踏み潰すのは、逆に難儀なものだよ。
 地べたを這うレコン・キスタの兵士達を皆殺しにするんだ」
冷酷な命令に恐怖しながらも、兵士達は声を上げて突撃した。
ウェールズの命令に逆らえば、あの怪物は自分達をも襲いかねないという予感があった。
だから、敵の敵は味方だと、身を持って証明せねば、自分達も、殺される。

炎舞うタルブの村に突撃する兵達を見送りながら、アンリエッタはウェールズに問う。
「ウェールズ様……これは、これではあまりにも……」
「戦とは、争いとは、醜いものなのだよ、アンリエッタ」
「ですが、こんなに酷いだなんて……。
 これではただ力あるものが、力なきものを蹂躙しているだけではありませんか。
 ご覧になってください。レコン・キスタの兵達はすでに戦意を喪失し、
 逃げ出そうとしているものもいるではありませんか」
「そうだね、けれど、修羅の道を行くと僕は約束したんだ。
 アン、君はここに残っているといい。いや、引き返してもいいよ。
 これ以上、僕と共に歩む必要はない」
「……いいえ……わたくしは、ウェールズ様と共にある事を誓いました。
 私達が出逢った地で……誓約の水精霊に……」
フッ、とウェールズは微笑んだ。
「しかし、僕は"彼"に誓ってしまったんだよ。水の精霊より強い誓約を」
今にも泣きそうな笑顔を見て、アンリエッタは胸が張り裂けそうな思いがした。
592白き使い魔への子守唄 5/7:2008/09/16(火) 19:25:44 ID:GvFHnz69
「ハハハハハハハハハハッ!」
黒き巨人は、燃えるタルブの村を見て哄笑した。
炎と煙にまみれ、争っている。
トリステインの兵と、レコン・キスタの兵が。

戦え。
争え。
それこそが我が望み。

――ソウダロウ? 空蝉ヨ。

――違ウ。自分ハ、自分ハ……!

――スデニ思イ出シタハズダ。目ヲ背ケルナ。我々ハコウナル宿命ナノダ。
――因縁ノ断チ切レタ異界ノ地ニ来テ、我等ハ何ヲシタ?
――結局、同ジ事ノ繰リ返シダ。
――我コソガ元凶。我コソガ禍。
――神話ノ時代ヨリ、我ノ成ス事ハ、変ワラヌ。

――違ウ。
――スベテ、思イ出シタ。
――ソレダケデハナカッタハズダ。
――ダカラ我ハ眠リニツイタ。


科学が発達したはるか未来、人々は汚染された地上から逃れ、地下深くに潜った。
結果、人類は無菌状態の中でしか生きられる脆弱な生き物になっていた。
だが人類は発見した。
人類が地上で生活していた時代を生き、氷に閉じ込められ眠っていた男、アイスマンを。
人類はアイスマンを研究した。アイスマンの肉体を、アイスマンの仮面を。
しかしアイスマンは逃げ出した。
人と獣の遺伝子を融合させたマルタと呼ばれる実験体、亜人間と共に。
593白き使い魔への子守唄 6/7:2008/09/16(火) 19:26:36 ID:GvFHnz69
――ミコト。

犬の耳を持つ少女を愛したアイスマンは、彼女にミコトと名前をつけ、子をもうけた。
幸福な時間。
ミコトの歌う子守唄は、幸せの象徴でもあった。
しかし、人類は追ってきた。
地上の環境から身を護るため、アヴ・カムゥに乗って。

ミコトは子を産んだ貴重なサンプルとして解体され、
アイスマンは激しい怒りと憎しみから、仮面に秘められた真の力を解放する。
そして人類は、死にたくないという願いをアイスマンの手によってかなえられた。
未来永劫苦しみ続ける赤いスライムへと変化させられ、地下世界に封印される。

そして眠りについたアイスマンは、大神(オンカミ)としてマルタに崇められるようになった。
すなわち、解放者――ウィツァルネミテア。
一人の男と、神が融合した成れの果て……神話の時代よりうたわれるもの……。

以来、地の底で眠り、目覚めては外に出て戦乱を起こし、
契約と引き換えに我が子等の願いをかなえ、契約によって縛りつける存在となって。

――ダガ、我々ハ再ビ眠リニツイタ! 人ニ我ハ不要! 違ウカ? 分身ヨ!

――否! 必要ナレバコソ、ルイズニ呼ビ出サレタ! 違ウカ? 空蝉ヨ!

ミコトを殺された激しい怒りと憎しみによって、彼の心はふたつに引き裂かれた。
自分を止めて欲しいと願う空蝉、すべてを焼き尽くそうとする分身。
だがどちらも正真正銘、自分自身。
同じ自分ゆえに理解し合い、憎み合う。
だが、交互に目覚めていたはずの彼等が、同時に目覚めてしまう事態があった。
そして本能に従って彼等は戦い、空蝉――ハクオロは敗れ、記憶を失った。

ハクオロは再びミコトとめぐり会い、記憶を取り戻し、
分身を倒して融合し、元のひとつの存在に戻り再び眠りについた。
二度と目覚めぬように。

――ルイズガ我ヲ目覚メサセタ。
――ルイズハ我ガ眷属トナッタ。
――ハルケギニアデ、我ハ再ビ人々ヲ戦ワセ、高ミヘト導コウ。
――コノ、永劫ノ孤独カラ解放サレルタメニ。

――イイヤ、違ウゾ、分身ヨ。
――ルイズハ貴様ノ眷属ナノデハナイ。

――ナニ?

――ルイズハ、我ノ家族ダ。
594白き使い魔への子守唄 7/7:2008/09/16(火) 19:27:26 ID:GvFHnz69
無数の雷がハクオロの五体に降り注いだ。
その力、魔法ではない、超能力の延長にあるその力は、クスカミの腕輪。
「……ルイズ」
風竜の上で腕輪をかざす彼女を睨みつけるハクオロ。
獰猛な双眸をキッと見返すルイズ。
「……これが、これが、これが私達の探していた真実なの?
 私達が犯してしまった間違いの結果が……これだっていうの?
 答えなさいっ、ハクオロ!」
クスカミの腕輪が光り、再び雷鳴がハクオロを襲う。
痛みすら感じぬほど脆弱な攻撃に、しかしハクオロは驚愕した。
「莫迦ナ……楔ヲ自ラ断キ切ルナド不可能ナハズ」
「ムツミが……ムツミが言っていたのは……こういう意味だったの?
 お父様を眠らせて上げてって、あんたが、あんたが……ウィツァルネミテアだから。
 この世界に禍(わざわい)を撒き散らす元凶となるもの……。
 異世界の大神(オンカミ)……ウィツァルネミテアだから!」
「……タバサ、ヤレ!」
背筋に走った悪寒にハッとルイズが振り向けば、タバサが杖を向け詠唱を始めていた。
「タバサ、あんた……まさか!」
「ウインディ・アイシクル」
無数の氷の槍を放たれ、咄嗟に後ろに逃れたルイズはシルフィードから転落した。
だがそんな事は、今のルイズには些細な問題だった。
ハクオロの記憶が戻って、ルイズもその記憶を知った。

ウィツァルネミテアの契約。
願いをかなえる代償に眷属となり、未来永劫従わねばならない。
この契約を破棄するには尋常の事態が起きなければならず、
破棄するのもウィツァルネミテアの側から破棄するものであって、契約者にはどうしようもない。
そして契約者の魂には契約の楔が打ち込まれ、契約をたがえれば、五体は肉片と化す。

だのに、ウィツァルネミテアに攻撃をしたルイズの五体は無事だった。そして。
「タバサも、ウェールズ様も、そして私も……願いと引き換えに!」
タバサの母親が正気に戻った理由、ウェールズが命をとりとめ亡命した理由。
自分が魔法を使えるようになった理由、すべてがウィツァルネミテアの契約のため。
願いをかなえてもらったのだから、文句を言う筋合いはない。契約に従うべきだ。
だが、その結果ハルケギニアの大地が戦禍に呑み込まれるというなら。
「デルフが死んでしまった理由がようやく解った。私はデルフの遺志を継ぐ。
 シエスタだって、こんな復讐は望んでいない……そう思う。
 だから私は、ハクオロを――止める!」

タバサが次なる詠唱をしているかたわらで、シルフィードは思い切り身をよじった。
予想外の動きにタバサは空中へ放り出され、詠唱をフライへと変更せざるえなかった。
「シルフィード……」
わずかながら怒りと悲しみを孕んだ言葉を背にして、シルフィードは下降する。
そして地面に激突する寸前のルイズをすくい上げ、対峙した。
己の主、雪風のタバサと。
そして同様に、シルフィードの背に乗るゼロのルイズも対峙する。
己と同じ契約者、タバサと。そして、己の契約者……ウィツァルネミテアと。

「シルフィード……あんたのご主人様が、あんな風じゃなかったように、
 私の使い魔も、あんな黒い奴じゃない……白い仮面の、あいつだけなの。だから!」

記すことさえはばかられるもの。
神の元凶、ウィツァルネミテア。
そして虚無の使い魔を呼び出したゼロのルイズ。
虚無のメイジと白き使い魔の物語は、ついに終焉を迎えようとしていた。
595子守唄:2008/09/16(火) 19:28:21 ID:GvFHnz69
投下終了。
うたわれの、酷い、ネタバレ。
最低限に留めようとしたけど、ウィツの説明するとなると全力でネタバレになってしまう。
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:30:27 ID:EgYMFjYh
うたわれのPS2版(初回限定版)を最近買った俺が複雑な顔で乙を送る
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 19:53:18 ID:OqGVz3b1

うたわれ見た事ないんだがアニメで十分?
598名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 20:04:23 ID:TMJDHVBV
アニメでしかうたわれしらんが大好きだぜ。
乙かれさまー
599名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 20:09:06 ID:iC/SuMtJ
子守唄の人乙
ルイズがやたらと身勝手に思えてしまう俺はハクオロファン。
600名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 20:25:46 ID:1bKD+IIO
もしかして異世界の神様を勝手に呼び出して下人扱いしたあげく殺しに掛かってるのか?
アルルゥ「ムックル、噛め」
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 20:58:55 ID:/B0GmoH/
力也(CTU抜き)vs釘宮(デレ無し)……燃える(not萌える)ジャマイカ
602名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:05:04 ID:aRwLjC+A
>>600
微妙だな…
ブリミルの時代にもウィツはハルケギニアにもいたらしいし
うたわれ原作でも考古学者が見た古代化石のウィツ自身の出身は不明だし
あるいは…?
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:06:16 ID:a4E+ZOrO
エアマスターのパイロットのことか?
604名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:10:14 ID:/vgoxH80
乙です
万能に限りなく近いウィツにルイズがどうやって対抗するのか・・
腕輪なんて玩具じゃ役に立たないしどうするんだ/(^o^)\
605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:16:34 ID:Dx9E2Tnn
あれだろ。
ルイズが服脱ぐと何故かボンテージ姿になって、「この駄犬!ご主人様のいうことを聞きなさい」と
鞭をビシバシしたらウィツが「キャインキャイン」と言ってだな…
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:17:49 ID:jzd4Zsdh
フォークを装備すればきっと勝てるよ
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:19:04 ID:M7R6j54w
シャマルさん呼んで来たら勝てるよ。たぶん。
608名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:21:18 ID:gUUCKa/Y
>>605
爆れつハンター?

あれのキャラって喚ばれていたっけ?
キャロあたり喚ぶと魔法の設定次第でえらいことになっちゃいそうだけど。

確かあの世界の魔法使い(ソーサラー)の魔法しか吸収できないんだっけ。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:26:44 ID:9ls+cpUN
デンデよぼーぜ
610名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:29:34 ID:TNHS0iih
>>608

ガトー召喚だろそこはギャグ的な意味で
…例の台詞の度に黒焦げになるガトーを幻視したw
611名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:29:38 ID:M7R6j54w
ニュー速の某スレ見てたら、秋田県丸ごと召喚とかある意味アリだと思ってしまった
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:32:11 ID:ElSGiBXw
ハルケギニアのみなさーん
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:35:07 ID:TNHS0iih
>>611

秋田ケン召喚とな…面白い(ネイガー的な意味で)
614名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:35:18 ID:gUUCKa/Y
>>610
そいつ当たりっぽいから面白くないし(能力は魔法(ソーサリー)無効だっけ)。
615名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:38:50 ID:aRwLjC+A
某魔界都市〇宿丸ごと召喚とか
616名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:40:42 ID:TNHS0iih
>>614

てゆーか間違いなく当たりw
7万相手にガトー無双しそうw
617名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:41:18 ID:aPt4Ia3j
ナメック人達の戦闘力は地球の一般人よりも遥かに上なわけだから
デンデも実はそれなりに強かったりするんだろうか?飛べるし。
618名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:43:40 ID:i2JpfcEO
>>617
あれは幾つか種類があるからなんとも
ちなみにサタンも一般人だが初期のゴクウよりずっと強い
619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:44:15 ID:xDfijPJK
>>617
少なくとも初期ヤムチャくらいの戦闘力はあるんじゃね?
それでも銃持った一般人の半ダースくらいなら秒殺レベルだし。
620名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:44:33 ID:TNHS0iih
>>615

> 某魔界都市〇宿丸ごと召喚とか

誰を召喚してもチート確定だな
特にメフィスト呼んだらルイズ終了確定w
621名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:47:00 ID:SuXu/XJ3
エクスキャリバー召喚とか当たりすぎる
トリステインに勝てる勢力なくね?
622名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:48:20 ID:OqGVz3b1
召喚したものの酸素なので気づいてもらえません、ということはあるんだろうか
623名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:49:40 ID:74y1stSH
オリゼーとか
>気付いてもらえない。
624名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:50:27 ID:hLhaI37Y
>>623
かもすぞー。
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:50:28 ID:yHEKQquZ
絶望先生の臼井くんですねわかります>気づいてもらえない
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:51:45 ID:TNHS0iih
>>622

どうせなら透明人間の方が面白くないか?
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:51:48 ID:s8GmCLB3
われものって、同じライターのビ・ヨンドと恋姫と一応同じ世界の話なんだよな
魔王宮本小十郎召還を考えたが、あの強さだとギャグ以外にしようがないような…
確定はしてないけどウィツァルネミテアと同格の魔王らしいし。
628名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:51:52 ID:l9z1iD/y
直保召喚かw
レコンキスタはO157かボツリヌス菌で壊滅だな。
629名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:52:16 ID:hLhaI37Y
個人的にはネギま!の高音辺りを召喚して欲しい。

そして脱げる。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:53:38 ID:zTEYwUxC
丸ごと召喚系も面白そうだなぁ、長編にするの難しそうだけど
631名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:54:05 ID:hLhaI37Y
>>627
知らなかった!

恋姫&黒大将は98版でしかやってねえが、好きな作品だったんだよ。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:55:01 ID:GBd2WDTj
>>622
疎状態の萃香とか?
633名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:59:56 ID:TNHS0iih
>>632

> 疎状態の萃香とか?

確かそれ完結作品にあったぞ
634名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:07:49 ID:s8GmCLB3
>>631
宮本小十郎=黒皇のクローン
ウィツァルネミテア=白皇?(不確定情報)らしい
しかし、こうなると金皇と白金皇の話もいつか出てくるのだろうか。

時間軸は
ビ・ヨンド中盤→恋姫→ビ・ヨンド後半→うたわれるもの(遠い未来)
だったと思う。
635名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:08:06 ID:N5YxOXFT
ここにいる
  ↓
   .
636名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:11:00 ID:LFKE4wug
ウィツは空蝉分身そろってるのならラスボスの巨大ウィツモードで自由に動き回れるんじゃ
637名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:11:26 ID:cGqORW/J
魔界都市シリーズのキャラ召喚を考えてみたが、
インフレ具合が凄まじすぎてどうにもならんな。
主人公のせつら召喚しても、7万人が一瞬で消え去るしw
638名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:17:03 ID:A8rWP+WE
>>630
日本国、丸ごと召喚なら某blogにあるよ・・・200話overの




ロマリアが、ゲルマニアとガリアに水爆おとしちゃう様な「火葬戦記」だがw
639名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:17:16 ID:eXQ8eNDN
>>621
きっと他の虚無の担い手がストーンヘンジとかフレスベルクとかガルム小隊とか呼んでるんだよ
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:19:10 ID:SuXu/XJ3
>>639
番犬が相手ならMOBIUS1とYellow13を呼ばざるを得ない
641名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:21:48 ID:ETOYbJ8l
>>637
ワルドが私に殺されるのが目に浮かぶ・・・
642名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:21:52 ID:xDfijPJK
>>637
せつらがマトモに7万相手に戦うはずが無いだろうw
適当にせんべいを食いつつあしらうだけだろうな。
それでも7万が一瞬で6万くらいに減って、敗走してゆく様がありありと見えるわけだが。
「私」が出てきてしまったら、その時は7万ご愁傷様としか言いようが無いけど。

つかせつらにコントラクトサーバントって無理だろ、キスした時点でルイズ発狂するぞ。
それ以前にサモンサーバントで出た鏡を空間ごと切り刻みかねないし。
643名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:23:12 ID:ct9nHMK3
んー、せつらは戦わないよ
敵がみんな魂抜けれて呆けるから
644名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:24:10 ID:0puYvZ0s
>>611
kwsk
検索しても出てこなかったぜ…('A`)
645名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:28:00 ID:EgYMFjYh
よく考えたら菊池作品屈指の美しさを相手にゲートがそのまま閉じるんじゃあないか
通っても普通に契約できるとも思わんが。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:28:51 ID:pPcV70Ky
たまに『魔法が使えるルイズ』を見るけど、コンプレックスが無い、またはエレオノール2号のどちらか……「るるる」みたいに、魔法は使えるけど原作そのままのルイズって……いないかなあ。
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:29:10 ID:wPRL5bik
>>637
「無敵モード」が有るからね…

黒豹の旦那とか人形娘とかくたびれた中年刑事とかなら…
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:29:20 ID:KFht+BpE
>>630
ヤーパンの天井が呼び出されて東方を目指すとか
649名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:30:56 ID:mRyjt+GU
遅まきながらエクスキャリバーに期待。
アレのてっぺんに無誘導爆弾落とすのがオレのジャスティスでしたw

で、ビジュアルが浮かばない人のために↓
ttp://namco-ch.net/acecombat-zero/background/superweapon.php
650名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:32:11 ID:ChpFJ9fO
MONS†ERのヨハン召喚がみてみたいです
651名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:32:33 ID:wPRL5bik
>>642
せつら視点で「色気づく前の小さな女の子」と認識させれば
糸による攻撃は防げるかもしれない…

そしてルイズが夢遊病状態もしくは目が塞がった状態なら…
652名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:33:16 ID:LTtfADw6
キレルくん喚ぼうぜキレルくん
キレたら女だろうと殴るぜ
653名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:35:52 ID:QhKoFLrA
シルフィードみたいな喋り方。
654名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:36:18 ID:yHEKQquZ
以外にも金色のガッシュ!!のガッシュって呼ばれてないのな。
落ちこぼれだし、ルイズと気が合うかと思ってるんだが。
ギーシュとも仲良くなりそうだし
655名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:36:49 ID:tszWGipe
>>646
魔法が使える=ゼロじゃない、なのでコンプレックスが発生しようがない。むしろ中途半端に魔法が使えたらイザベラみたいになる可能性がある(烈風カリンの娘だし)。
公爵家の三女やら王女の幼なじみやらという立場のせいで余計なプライドが育ちやすい。
カトレアを手本にしてくれればいいけど、憧れてる原作の時点であんなのだから多分、無理。
656名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:37:58 ID:mZc+D7kS
こーなったらもう!ルイズが、カミュかムツミの物真似をするしかないっ!!
657名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:39:26 ID:ETOYbJ8l
いいですともの使い魔を作ろうかと思ったんだが彼は白魔法ってつかえた?
658名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:47:06 ID:SuXu/XJ3
月の民のサンプルがセシルとフースーヤしかいないから何ともだが
あの二人を基準にしたら使える
659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:47:08 ID:OqGVz3b1
不覚にも今までハクロオをハオクロと読んでいた・・・orz
660名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:48:19 ID:aRwLjC+A
PS版設定応用の学園ゼロ魔の話って無いね
夢邪鬼召喚で永遠に続く学園ゼロ魔学園祭の話とか
廃墟となった秋葉原でサイトの実家に居候するゼロ魔キャラ達(地球の制服姿)
召喚者はやっぱテファか…
661名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:48:33 ID:ETOYbJ8l
まだ間違ってるぞww
662名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:48:35 ID:tszWGipe
>>659
…こ、これは釣りか?
663名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:50:41 ID:EgYMFjYh
>>659
アニメ見てこい
それでまだそう言えたら尊敬する
664名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:53:42 ID:SuXu/XJ3
>>663
ここはうたわれラジオだろ
665名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:54:29 ID:hLhaI37Y
>>659
む、うたわれはやってないが、たしか「ハクオロ」じゃなかったか?
666名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:01:34 ID:nrpoIUk4
これは大漁旗を上げるべきなのか
667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:09:16 ID:OqGVz3b1
アニメ見て間違いに気づいたつもりだったんだがな・・・
ハクオロさんか、すまえぇ、すまねぇ・・・orz
668名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:10:07 ID:hLhaI37Y
>>666
む、つまり、俺は釣られてしまったということか。
669名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:13:05 ID:hLhaI37Y
播州皿屋敷から、お菊さん召喚。

タバサ涙目。
670名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:14:58 ID:1cmsbuCV
ずっとハオクロだと思ってたオレも居るから安心するんだ
一人じゃないぞ!

そしてなんか書き込めん……
671名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:16:13 ID:1Ysp06qn
へー、うたわれとビ・ヨンドが同じ世界なのか・・・
ルイズが黒大将を呼んだらどえらいことになるな
なんせアニメだと手加減したのに星一つを消滅させちゃったし・・・
672名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:17:19 ID:OqGVz3b1
ちょっとうたわれファンの方々と子守唄ファンの方々のために吊ってくる
673名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:18:30 ID:N/HU/AfM
>某魔界都市〇宿丸ごと召喚とか
地下に外なる神々の遺跡とかあるんだぜ
674名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:21:21 ID:cdWx6LiO
菊池系の方々は呼んでも蹂躙にしかならない予感
675名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:22:30 ID:HHfkjedF
エロ的な意味で蹂躙しなければおk
676名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:25:05 ID:cr9TB59k
>>671
原作だとちょっとした手違いで一つの星系だか島宇宙だかを消滅させてるけどな。
677名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:26:49 ID:JQlBQrgJ
オレもハクロオ(=白郎)と思ってた
678名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:32:54 ID:cr9TB59k
>>674
んじゃ、小説版の朝霧陽子。いちお菊地秀行作品。
679黄金の使い魔:2008/09/16(火) 23:34:03 ID:ChpFJ9fO
8話完成したため、つたない文章ではありますが
23:40より投稿したいと思います
680名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:34:35 ID:N/HU/AfM
菊地のレダは単なる夢オチだからなあ
681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:34:35 ID:M7R6j54w
682名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:36:53 ID:aRwLjC+A
リーフ系ならあらゆる並行世界のルイズと使い魔達が隆山温泉に集結する
使い魔ファイト’97を…
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:39:45 ID:q705Qe5Q
支援
684名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:42:02 ID:ChpFJ9fO
アイオリアはジュール・ド・モット伯爵の邸宅の前に立っていた

隣には自分を兄と慕う少女が居る



事の始まりは少し時間を遡る、朝の日課 シエスタとの洗濯の時間に
いつになっても現れないシエスタに、病気にでもなったのかと心配したアイオリアが
他のメイドに尋ねた所、貴族に妾として買われていった事が発覚
兄様が行くなら私も、と聞かない少女を連れ
いざシエスタを取り戻さんとやってきた訳である

ちなみに主人であるルイズはこの事を知らない

モット伯の邸宅には門には門番が、敷地内には見回りの平民兵士が相当数おり
恐らく邸内にも相当数詰めていると思われる 
下級貴族も雇われている事だろう


「さて、今から邸内に向かう訳だが彼等は雇われているだけだ、怪我人は出したくない」
「私が囮に」

「怪我人は出したくないと言ったはずだ、タバサ。」

「私なら―――」
言いかけたタバサの頭の上にアイオリアの手が置かれる


「女性を囮役にしたとあっては私の立つ瀬がない、ここは任せてもらえないだろうか」

「はい、兄様」
タバサの頬に少し赤みが刺す

「タバサには上空で待機いていて貰いたい、シエシタを見つけ出したらそこの窓を割る。それを見つけ次第そこからシルフィードにシエスタを乗せて学院に飛んでくれ」

――――それでは、兄様が
と思ったタバサだったが、任せると言ってしまった手前言い出せず
「わかりました」
と不安気な顔で言うのだった


「案ずるな、このアイオリア。こんな所安々と倒れはせんよ」



そう言うとアイオリアは邸宅の方に歩いて行った、堂々と 正面から
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:44:06 ID:ChpFJ9fO
屋敷に近づいてくるアイオリアに対し門番が立ちはだかる
「誰だ貴様!こことモット伯の屋敷としっての事か!」 
「歩を止めよ!しからざれば攻撃する!」


「ここの主人に様がある」

アイオリアは歩みを進める

「貴様ァアアア!」
アイオリアに槍が突き立てられる、 槍が折れる

敷地内の衛兵が応援に呼ばれ アイオリアに対し弓を射る、斬りかかる、突き立てる
その全てが徒労に終わった


屋敷の前まで来たアイオリアはドアに手をかける
ドアを開けた瞬間に 魔法が弾幕のようにアイオリアを襲う
ドアは粉々に砕け散り、粉塵が立ち込める 
しかしそれすらも徒労に終わったと知った時、
もはやアイオリアに立ち向かう物は居なくなっていた

「ジュール・ド・モットはどこだ」

粉塵から姿を現した黄金の獅子の問いかけに対し、雇われ貴族はそれに答える以外の道を知らなかった



寝室のドアを開ける、そこにはベッドの上で卑猥な格好をさせられたシエスタとそれに迫るモット伯の姿があった


「アイオリアさん!!!」

「なんだ貴様は!!!!!」
とっさに杖をベッドの脇に置いてある取る

―――危機一髪、と言ったところか・・・


「俺の名はアイオリア、獅子座(レオ)のアイオリアだ!」

「衛兵は!衛兵はどうした!!!侵入者だ!!!!!!」




しかし、答える声は無い
686名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:45:31 ID:qZ5iM4s7
獅子無双支援
687名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:46:02 ID:+QSAOddf
名前欄にタイトルを入れたらどうだい?支援は一応しよう
688名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:46:17 ID:fppqfmhb
支援申し上げる―
689黄金の使い魔:2008/09/16(火) 23:47:12 ID:ChpFJ9fO
「その娘を返してもらえないだろうか」
アイオリアは怒りを押し殺して、あくまで紳士的に尋ねた


「たわごとを!私の二つ名は『波涛』!『波涛』のモット!トライアングルのメイジだ!杖も持たず無断で侵入した事、後悔するがいい!」
ベッドの脇に置いてあった杖を取り構えを取り、魔力を集中させる


「・・・そうか」
アイオリアはシエスタに向かって歩いて行く

その瞬間空気中の水分から水が生まれ、濁流となりまさに龍の様にアイオリアに襲いかかる
しかし吹き飛ばされる所かその場に留まる事もなく、アイオリアは歩みを進める
まるで何事も無いかのように

アイオリアはモット伯を無視してシエスタを抱えると拳で窓を割る
そしてシルフィードの背にシエスタを乗せると

「兄様も」
と手を差し出すタバサの手を断り
「行け、私にはまだやる事がある」    
とモット伯の方へ向き直った

「さて、ジュール・ド・モットよ・・・、何か言う事はあるか?」





「ひ、、ひィッ!!!」


モット伯はその場でへたり込むと、やみくもに魔法をふるう

無数の氷の刃、巨大な濁流、巨大な氷の竜巻
その全てが無意味だった



腰が抜けてしまって、立てなくなったジュール・ド・モットの脛を踏みつける
鈍い音して、モット伯の足に関節がひとつ増える



―――――――――――――――――――-ッ!!!!!


悲鳴が邸内に響き渡る
690名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:48:02 ID:cr9TB59k
死宴
691名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:48:41 ID:SuXu/XJ3
足から全身バラバラになるモットが頭を過ぎる
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:50:35 ID:+QSAOddf
専用ブラウザならコテハンを記憶させられる支援
693黄金の使い魔:2008/09/16(火) 23:50:39 ID:ChpFJ9fO
「ぉお・・!!!
お前・・・は馬鹿か!?
伯爵であるこの私に・・・王宮の官吏であるこの私に!!!こんな事をして許されると思っているのか!?」

モット伯は言わば貴族流の命乞いをアイオリアにする
しかし、それがアイオリアの怒りにさらに油を注ぐ結果になってしまった

「では聞くが、貴族は平民に何をしても許されるのか!
貴族とは自己の欲望の為に、力を見せつける為に
弱い者を足蹴にしても良い物なのか!!!」


「あ・・・当たり前だ!!貴族あっての平民だ!!私が私の道具を思い通りにして何が悪い!!」
震える声でモットは言う

その姿にはもはや貴族の威厳等かけらも無く、血と糞の詰まった肉袋が恐怖に怯え、縋る様な目でこちらを見ている
反省の念があれば許すつもりであった、しかしこの肉袋は自分が悪い事をしているという認識すらない




「もはや問答無用!あの世で今まで足蹴にした者達に詫びよ!!!」
694名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 23:51:54 ID:qZ5iM4s7
サヨナラモット 支援
695黄金の使い魔:2008/09/16(火) 23:53:45 ID:ChpFJ9fO
そういうとアイオリアは右腕を伸ばし、拳を放とうとした
しかしまさにその時、アイオリアの背中に少女がしがみついた

学園に帰ったはずのタバサである
兄が心配だったタバサはシエスタとシルフィードを先に学園に帰らせ 自分は残って様子を見ていたのだった

「兄様・・・、だめ・・・」
タバサは震える声で言った

「止めるなタバサ!こいつは最早貴族などでは無い、欲望の走狗に成り下がったクズだ!!」
怒れる黄金の獅子は、その牙を尚も肉袋に向けようとする


「だめ・・・ルイズが・・・」



ここでアイオリアはハッと気付き、考える
ここでこいつを殺せば 主人であるルイズに累が及ぶ事は避けられない
しかも王宮の勅使を殺したとあればラ・ヴァリエール家の3女とはいえどう軽く見積もっても重罪
しかし己の非を認めない、傲慢な欲望に溺れたこのクズをを聖闘士として見過ごす訳にはいかない 



「くっ・・・・・・!!!」
行き場を無くしたアイオリアの怒りが、部屋の壁を消滅させる




結果として肉袋(元ジュール・ド・モット)は条件付きで許された
・弱者に対し、己の力を持って理不尽な要求をしない事
・今日の事を公にせず、またアイオリアの罪の一切を問わず、その周りの者に累を及ぼさない事
・シエスタや今まで手をかけた者に対し相応の慰謝料を払う事
・以上の3つの誓いを反故にした場合、その命を持って償わせる事
この4つの条件で許す旨を伝える際、終始アイオリアは苦虫を噛み潰したような表情だった






一段落し、二人はモット邸の庭園に腰掛け月を見上げながらシルフィードを待つ
「先ほどは済まなかった、これでは兄失格だな」

悔しそうに言うアイオリアにタバサは

「そんな事無い」

と短く呟くと、兄の胸に顔を埋め、その瞼を閉じるのだった
696黄金の使い魔:2008/09/16(火) 23:55:20 ID:ChpFJ9fO
今回はこれで終了です
読んで下さった方ありがとうございました
モットは死ぬ予定でした
というより、死んだ状態で一度書きあがってました
ですが、悩みぬいた結果生きていただくことになりました



早くアルビオン編にいきたくて駆け足気味です
気付いた点等ありましたら、ご指摘ください
697虚无(ヤクい)使い魔:2008/09/17(水) 00:02:08 ID:LzAZr47P
乙です
生きてもらった方がアイオリアらしいと思います
698巨人の使い魔:2008/09/17(水) 00:04:18 ID:hJ/Mhcg5
先日投稿した巨人の使い魔の作者です。
すいません、wikiで編集しようとしたら
スパムメールのipアドレスに該当
 とかいうメッセージが出てきて
更新できません。
どなたか代わりに更新してくださる方はいませんか?
お願いしたいのですが。
699虚无(ヤクい)使い魔:2008/09/17(水) 00:09:36 ID:Qv1SfADI
>>698
試してみますダメなら報告します


それと投下予約がなければ>>698の編集終わったあと
4話を0:30くらい?から投下させていただきます
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:17:43 ID:AQtZWatf
701名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:23:17 ID:Pt7oT++E
マジシャン ザ ルイズのハルケギニアってアラーラみたいだな。
三色だし。
呪文全部混成orマルチだし。
702名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:24:39 ID:Pt7oT++E
>>638kwsk
703虚无(ヤクい)使い魔:2008/09/17(水) 00:24:55 ID:Qv1SfADI
>>698
一応やっときました
確認お願いします
704虚无(ヤクい)使い魔:2008/09/17(水) 00:27:24 ID:Qv1SfADI
えっと作業終わりましたので
改めて30分から投下します
ヨロシク
705名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:30:58 ID:dtENlr2Y
黄金聖闘士が光の速さでウンコしたらどうなるの支援。
706虚无(ヤクい)使い魔 1/11:2008/09/17(水) 00:31:34 ID:Qv1SfADI
昼食時の学生食堂……その厨房は戦場だ。
なにせ学園の大半の生徒が限られた休み時間の中、ほとんど一時におしかける。
それは貴族のご子息ご令嬢ご用達の格式高い『アルヴィーズの食堂』も例外ではない。
「おい!皿だ」
「ハイ、こっち」
「残飯は奥だ! そのあと洗い場へつっ込んどけ!」
「了解!」
  
  
「おめぇ、中々手際がいいじゃねーか!」
がっちりと太った大柄の男、この戦場の司令官であるコック長マルトーが急遽入った臨時戦力に称賛の言葉を贈る。
  
「どーも、実はむかし料理人めざしたんで、こういう仕事は嫌いじゃないんですよ」
「そうかそうか、それはいい!」
司令官は糸目の男の背中を「バン!」と叩く。
男はよれよれと前に2〜3歩つんのめると手にした食器を落としそうになり、慌ててバランスを取る。
なんとか被害を出さず持ち直すと、男は「ハハ…」と笑った。
  
応じてマルトーも「ガハハ」と豪快に笑うと困った顔をして言った。
「こちらとしてもお前さんを雇ってやりたいんだがなぁ……」
  
  
2時間ほど前のこと──
八雲は食堂の裏あたりをうろついていた。
なんとか雇ってもらわなければならないのだが、目の前の食堂は気品が高すぎる。
客が入る正面口は平民として学園にいる八雲にとって、とても一人で入れるような雰囲気ではない……
  
その時、裏口が開き中からメイド服をきた女の子が出てきた。
どうやらここで働く給仕さんのようだ。
「ねぇ、ちょっとそこの君」
声をかけると女の子はこちらに気づいたように振り返り返事をした。
「はい、なんでしょう……」
  
707虚无(ヤクい)使い魔 2/11:2008/09/17(水) 00:32:25 ID:Qv1SfADI
そう言ってスタスタとこちらへ向ってくると、女の子は何かに気づいたように言った。
「? …あなたもしかするとミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう……」
「あれ、知ってんの?」
「ええ、有名ですよ。ミス・ヴァリエールが平民の使い魔を召喚したって。 額と右手に文字のついている男の子って聞いていたものですから…... あ、私シエスタっていいます。」
  
成程… 自分の召喚は生徒のみならず、ちょっとした噂話のネタになっているらしい。
「俺は藤井八雲。 ところでお願があるんだけど……」
そう言ったところで八雲の腹の虫が「ぎゅるるぅ…」と鳴った。
  
「お腹……空いているんですか?」
「まぁね……」
シエスタの問いに八雲が答える。
「ご飯抜かれちゃってさ、ここに来る前から何にも食べてなかったし、できればここで雇って欲しいなァって思ったんだけど……」
  
八雲の言葉に女の子は困ったような顔をした。
「コック長の…マルトーさんに紹介することはできます。 けれど、あなたは貴族様の使い魔ですから、そのあなたを雇って使うことは……私たち平民の一存では難しいかと」
  
せめて「ルイズの許可を」というその答えに八雲は肩を落とす。
上手くいくなんて思ってはいなかったが、やはり世の中は厳しい。
「そうかぁ、無理言ってごめん」
そう言って去ろうとする八雲をシエスタが引きとめた。
  
「あの…私たちのまかないで良ければ食べませんか?」
「え、いいの?」
「はい、こちらへいらしてください」
そう言うとシエスタは裏の厨房に八雲を招きいれた。
  
厨房は小奇麗で広々としていた。
何人ものコックやシエスタと同じ格好をしたメイドたちが、来たる昼時にかけて忙しそうに下準備に取り掛かっている。
  
「これ、どうぞ…貴族様への料理の余りもので作ったシチューです」
「ありがとう! うまそうだな」
そう言って八雲はシチューにがっついた、人間らしい食事など何時以来であろうか?
シエスタは八雲の食べっぷりをニコニコしながら見ていた。
  
708虚无(ヤクい)使い魔 3/11:2008/09/17(水) 00:33:16 ID:Qv1SfADI
「助かったよシエスタ、生き返った気分だ」
出された食事を平らげると八雲は言った。
「やっぱ食べっぱなしじゃ悪いしさ、何かお礼がしたいな。 そうだ、今日だけ『勝手に』お手伝いする分なら問題ないだろ?」
八雲は「こう見えても食器運びや皿洗いは得意なんだぜ!」と胸をはる。
「ほら俺の勝手で、ちょっと手伝うだけだよ、ちょっと」
  
シエスタはしばらくキョトンとしていたが、やがてクスッと笑って言った。
「そうですね…これから猫の手を借りたいくらい忙しくなりますから、お言葉に甘えてしまいます。 すぐにマルトーさんに紹介しますね」
  
こうして八雲はアルヴィーズの食堂でマルトーの下、『勝手に』手伝う事になったのだった───
  
  
前線を離脱して八雲と話していたコック長マルトーだが、残念ながらやはり八雲を雇うのは難しいことを告げた。
マルトーは少しもどかしそうな顔をしていたが、すぐにいつもの調子にもどると、
「まぁいい、坊主! その代わり今日のところはバンバン働いてもらうからな!」
そう言って豪快な笑いと共に再び自分の戦場へと戻っていった。
  
持ち場に戻ると八雲はニヤニヤと食器を洗いながら鼻歌を口ずさむ。
アルヴィーズ食堂で働いている従業員、マルトーさんやシエスタはいい人たちだ。 厨房の仕事は楽しい。
もし人間になっていたなら……俺はこんな仲間たちと、こんな生活を送っていたのだろうか。
  
  
  
その時、どこからか怒鳴り声が聞こえたような気がした。
気になって厨房を見まわすとコックや給仕たちが持ち場を放ったらかして集まり、そわそわと心配そうに客席の方を覗いていた。
不審に思った八雲は一緒に覗き込もうとするのだが、人だかりのせいで何が起こっているのかがよく見えない。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:33:54 ID:zNdkASYN
そういえば童顔だって設定だったな。
年取らないからってのもあったっけ。

支援
710虚无(ヤクい)使い魔 4/11:2008/09/17(水) 00:34:05 ID:Qv1SfADI
仕方なく目の前にいたコックの男に「どーしたんスか?」と問いかけると無視できない答えが返ってきた。
  
「シエスタの奴が貴族様を怒らせちまったんだ。 あのクネクネ野郎……シエスタを仕置きするって」
「一体どうして!?」
「あのキザったらしい貴族野郎がどうやら二股をかけていらしいんだ。 シエスタがあいつの落とし物を拾ってやったら、それが片っ方の女からの贈り物でな…… 」
更に話を聞くと、どうやら二股がバレて付き合っていた2人の女生徒を怒らせた事をシエスタのせいだと責めているらしい。
  
「逆恨みじゃないか!」
「その通りだ、貴族の野郎は魔法が使えるってだけで、平民には何をしても許されると思ってやがるんだ…」

状況を説明した男は悔しそうに歯ぎしりをしながら客席を見つめている。
誰もが助けられずに厨房の中から一部始終を見守っている。
八雲は居ても立ってもいられず、その人集りをかきわけて客席へとおどり出た。
  
  
金髪の貴族がその場にへたり込んでいるシエスタに罵声を浴びせ続ける。
傍らには彼の友人らしい生徒たちが平謝りするメイドをニヤニヤと眺めている。
  
「止めろっ!」
  
その声に驚き、シエスタを囲んでいた数人の男子生徒たちはコックコートの乱入者に視線を向ける。
すぐそばに今にも泣き出しそうなシエスタが八雲を見ていた。
  
「なんなのだね、君は? 見てのとおり僕は気配りのできないメイドを教育中だ」
「二股バレた腹いせにシエスタをいびろうってのがアンタの教育なのかよ?」
周囲から笑いが漏れる。
「そのとおり!、どう見てもギーシュが悪いww」
「な、なんだと!」
  
711虚无(ヤクい)使い魔 4/11:2008/09/17(水) 00:34:56 ID:Qv1SfADI
笑う仲間にも憤慨しつつも、ギーシュと呼ばれた男子生徒は開き直って言った。
「君は……たしかルイズに召喚された平民だったか? 君も貴族に対する礼儀がなっていないようだね。 人のモノに手を出すのは気が引ける、しかし、それ以上無礼を働くならば貴族の義務として君にも躾をしなければならないが」
「面白れぇ、シエスタの代わりに俺がお前の性根を叩き直してやるぜ」
  
「平民のくせに僕と戦おうというのか? 君はそのメイドをかばって僕と決闘をしようと?」
「ああ、そういう事だけど何か文句あるのか」
ギーシュが問いかける。
「君はこのメイドのなんなのだね?」
「シエスタは俺のダチんこだ! 俺の仲間が酷い目に合っているのを黙って見てる訳にはいかねえっっ!」
  
その剣幕に押されギーシュは少し後ろめたいものを感じたが、食い下がってその挑戦を受けた。
そもそも無抵抗のメイドに あたり散らすのは気持のいいものではなかった。 自分に否があるのは分かっていたし、こんな大事になるとも思ってはいなかった。
しかし周囲に囃したてられるうち引くに引けないところまで来てしまったのだ。
これ以上メイドを責め立てることはしたくない、けれど相手が目の前の生意気な平民であれば多少の格好はつく…… そう自分を納得させ、ギーシュは制裁の対象を八雲に変えたのだった。
  
「よかろう! では決闘だ。 ヴェストリの広場で待つ。」
そう言い残しギーシュは食堂を後にした──
  
  
  
  
712虚无(ヤクい)使い魔 6/11:2008/09/17(水) 00:35:44 ID:Qv1SfADI
ルイズがその騒ぎを聞いたのは、教室の片付けがやっと終わって少し遅めの昼食をとりに向っているまさにその時だった。

「うーっ……腹立っちゃったからって、ヤクモを追い出しちゃったのは失敗だったわね。 あのバカ……こんな肉体労働をご主人さま一人にやらせるなんて」
そんな恨み事を言いながら空腹のお腹を引きずっていると、食堂の方からよく知った嫌な顔がこちらへ向ってくるのが見えた。
  
「ねぇ、ルイズ」
フキゲンオーラをまき散らしながら、キュルケのかける言葉を無視して歩く。
「無視することないじゃない。 それよりアンタの使い魔が大変なことになっているっていうのに」
ルイズは頭が痛くなった。 空腹と疲労と頭痛にすぐにでも逃避したい衝動に駆られたが、聞かないわけにはいくまい。
  
「どういうことよ? あのバカ何をやったのよ」
「何でもギーシュと決闘するんですって。 平民のメイドをギーシュが苛めていたところに使い魔さんが怒鳴り込んで決闘騒ぎになったみたいよ」──
  
  
  
ルイズがアルヴィーズの食堂へ急ぐと、中から出てきたギーシュとちょうどすれ違った。
「ねぇ!ちょっとギーシュ」
ギーシュを捕まえて喰ってかかる。
「アンタ私の使い魔と決闘するって本当なの? そんなバカみたいなことやめなさいよ」
  
しかしギーシュは取り合わない。
「決闘をしかけてきたのは君の使い魔だ。 止めたいのならば君の使い魔にいいたまえ。 彼が土下座してあやまるのであれば考えよう」
そして最後に「主人たるもの使い魔には礼儀を教えたまえ」と言うと決闘の広場へと行ってしまった。
  
食堂に入ると、コックの格好をしたヤクモとアルヴィーズの食堂で働く平民たちが集まっていた。
「ちょっとアンタ! ギーシュと決闘するってどういうことよ」
「ちょっと成り行き上ね……」
バツが悪そうに軽口を叩く使い魔にルイズの怒りが沸点を越えた。
「何バカなこと言ってんの! アンタ殺されるわよ!」
  
713名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:36:22 ID:zIzPj3X1
>>709
外見は高校生のままだからな、車の運転免許持ってるの驚かれた事もあるしw支援
714名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:41:48 ID:JszC159w
もしかしてつかまったかな?支援
715巨人の使い魔:2008/09/17(水) 00:44:24 ID:NwzeNl6a
編集ありがとうございました。
支援させていただきます。
716虚无(ヤクい)使い魔 7/11:2008/09/17(水) 00:49:19 ID:IBB2gm2U
「大体の理由は聞いたわ。 たしかにギーシュが悪いと思う。 けど平民は貴族に逆らってはいけないの! 平民は貴族には勝てないのよ!」
これには集まっていた平民たちも同意する。
決闘の火種となったメイドも泣きながら懇願する。
「おねがいです! どうかミス・ヴァリエールの言う通りにしてください。 貴族様に逆らったら殺されてしまいます」
  
「けどさ……」
「『けど』じゃない! そのメイドにはかわいそうだとは思うけど、何もアンタが決闘すること無いじゃない。 同じ平民だからって!」
「違う」
  
投げかけた言葉をヤクモが否定する。
「シエスタは俺のダチんこだ。 貴族だか何だか知らねぇけど、あいつは俺の仲間に平気で手を出しやがった。 ここで謝ったら、彼女たちはこの先もアイツらの好き放題を我慢しなくちゃいけない」
「それが普通なのよ! 貴族と平民というのはそういうものだわ」
ルイズは続ける
  
「命令よ! 今すぐギーシュに謝ってこんな決闘は止めなさい」
「使い魔の癖に! ダチんこだか何だか知らないけど、平民のメイドの為には戦って私の命令は聞けないっていうの!」
そう叫んでヤクモを睨みつけたルイズは息を呑んだ。
  
まとっている雰囲気がいつもとまるで違う……
怖くなるほど真っ直ぐにルイズを見つめながら使い魔は言った
「悪い、ルイズ…… 俺はその命令は聞けない」
空気に飲まれてしまい言い返すことができない。
「それに大丈夫さ、俺は死なないから」
  
そう言ってヴェストリの広場へ向う使い魔をルイズは黙って見ていた。
この時ルイズはまだ彼の言葉の意味を理解してはいなかった──
  
  
  
「決闘だ! 決闘だ! ギーシュとルイズの使い魔の平民が決闘するぞ!」
ヴェストリの広場は騒ぎを聞きつけた生徒たちで溢れており、その中心でギーシュが決闘相手の到着を待ち構えていた。
ヤクモを止められなかったルイズは少し離れた所から心配そうに広場を見ている。
717虚无(ヤクい)使い魔 8/11:2008/09/17(水) 00:50:37 ID:IBB2gm2U
そこへ調理人の姿をした糸目の男が現れる。
待ち構えていた生贄の登場に広場は色めき立った。
  
「逃げずに来た事は褒めてやろう……」
ギーシュが口を開く。
「僕の名はギーシュ、ギーシュ・ド・グラモン。 二つ名は『青銅の』ギーシュだ」
「ルイズが使い魔、藤井八雲だ」
  
「勝負は杖を落とさせるか、『参った』と言わせた方が勝ちだ。 異存はなかろうね」
「ああ」
「では始めようか──」
  
  
……学院長室にて……
ちょうどそのころ、本塔の最上階にある部屋ではコルベールがひどく興奮した様子で並びたてた本とスケッチについて説明していた。
「オールド・オスマンこの資料です。 始祖が従えていたという伝説の使い魔『ヴィンダールヴ』のルーン、そしてミス・ヴァリエールが召喚した少年の右手に現れたルーン、この2つは同一のモノです」
「なるほど……つまり君の結論は、その少年が伝説の使い魔『ヴィンダールヴ』だと」
「はい、間違いはありません。 これは一大事ですぞオールド・オスマン!」
「して、その少年は本当にただの平民だったのか?」
「それが……」コルベールは言葉につまる。 が、すぐ意を決したように驚くべき考えを述べ始めた。
  
「念のため『ディテクト・マジック』をかけてみたところ、彼はどうやら人間ではありません」
「なんじゃと!」
「それどころか生物ですらない可能性があります」
「それはゴーレムのようなものか?」
「いえ、上手く説明できないのですが、彼は一個人として生まれ持った自我と心を持っています。 決してメイジが作り出したゴーレムではありません。 しかし彼からは命が全く感じられないのです、まるで死人のような……」
「うむむ……」
百歳とも三百歳とも噂される学院の長、オスマン氏はコルベールの説明を受けて低く唸った。
718虚无(ヤクい)使い魔 9/11:2008/09/17(水) 00:51:10 ID:IBB2gm2U
その時、メガネをかけた20代半ばの女性があわただしく部屋に駆け込んできた。
「ヴェストリの広場で決闘を行っている生徒がいるようです。 止めに入ろうにも生徒たちが邪魔をしているみたいで」
「暇を持て余した貴族ほど性質の悪いものはないわい……して、どこの誰が暴れておるのだ?」
「一人はギーシュ・ド・グラモン、もう一人はミス・ヴァリエールの呼び出した使い魔の少年です。 教師たちが『眠りの鐘』の使用許可を求めていますが」
その名前を聞いて、オスマン氏とコルベールは顔を見合わせた。
「バカモン、たかだか子供の喧嘩を止めるために秘宝をつかってどうする。 そんなもの放っておきなさい」

そう言って女性を部屋から追い出すと、オスマン氏は壁にかかった大鏡に向かって杖を振る。
その壁にはヴェストリ広場の様子が映し出されていた。
  
……決闘場へ……
  
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う、したがって君の相手は……」
ギーシュが薔薇の花を振った。ひとひらの花弁が宙を舞う
「このワルキューレがするよ!」
  
  
完全に虚を突かれた、突如現れた青銅の女戦士の左腕が腹部にめり込まれる。
  
「かはっ…… !」言葉にならない声が漏れた。
  
間を置かず追撃の右が顔面を襲う。 咄嗟に右腕でガードするが高スピードで繰り出された重金属の一撃は腕をあらぬ方向にへし曲げ、踏み止まろうとする八雲を5メイルほど後退させた。
遠巻きに見ていたルイズがその光景に思わず目を塞ぐ。
  
「なんだよ、もう終わりかい? 僕のワルキューレがもっとお相手をして欲しいと言っているのに」
渾身の攻撃を当て勝負が決したと思ったのか、
ギーシュは“戦意を喪失したはずの敵”にわざとらしく挑発をしている。 だが……
719虚无(ヤクい)使い魔 10/11:2008/09/17(水) 00:51:43 ID:IBB2gm2U
「悪いケド、木偶人形で遊ぶ趣味は無いんでね 」
ギーシュの笑みが消えた。
  
──青銅の戦乙女が襲いかかる。 
が、…… 一、二、三撃、ワルキューレの猛攻を甲、掌、外腕で的確に弾く。
確かにスピードは速い、だが動きは粗末なものだ。 負ける理由が見当たらない。
  
大振りの左を右掌で流すと、その場で反回転しワルキューレの顔面に後ろ回し蹴りを浴びせる。 流石に青銅製のゴーレムを生身の蹴りで粉砕することは難しいが、頭部の重心を襲った衝撃にワルキューレは転倒せざるをえない。 
倒れた人形が起き上がるのを待たずに、八雲はギーシュに向かい走った。
  
迫りくる敵にギーシュは慌てて薔薇の杖を振る。
花弁は舞い、武器を手にした6体のゴーレムが八雲の道を阻むかのように出現する。
  
正面2体のワルキューレが八雲の突進を阻むと、残りの4体は左右から側方後方に廻り込み、そのまま隙間なく包囲した──  だからであろう、それを見たのが遠見の鏡にて決闘を覗いていたオスマン氏とコル・ベールだけだったのは……
  
  
ギーシュが「今度こそ!」と勝利を確信した時だった。 
正面を守るワルキューレに三筋の斬撃が走り人形は崩れ落ちる。 
何が起きたかを理解する前に、ギーシュは足を払われ仰向けに打ち据えられた。 
そして片膝姿勢になったヤクモに、左足で杖を持つ右手を、右掌で顔を抑えられ、地面に貼り付けにされていた。
  
「ま、参った 」
  
「平民が、平民が勝ったぞ!」
「ルイズの使い魔が……ギーシュに勝った」
「それも圧倒的じゃないか!」
辺り一面に驚嘆の声があがり、ヴェストリの広場は予想外の結末に大騒ぎとなった。
  
八雲は余りの騒ぎに驚き落ち着かない様子で「ども、ども」などと愛想笑いをしながら、そそくさとどこかへ逃げて行く。
720虚无(ヤクい)使い魔 11/11:2008/09/17(水) 00:52:31 ID:IBB2gm2U
それを見つけたルイズが追いかけていく。
「ヤクモ!大丈夫?」
「ああ、おかげさまで」
使い魔は見慣れた顔を確認すると、いつものさえない笑顔で笑った。
  
「あなた強いじゃない! 嘘つきの困った平民だと疑ってたけど少しだけ信じてあげるわ」
「え、ひっでーなぁ、俺そんな風に思われてたのかよ」
そう言って拗ねるヤクモにルイズが心配そうに言葉をかけた。
「ヤクモ怪我は? すぐに『治癒』の魔法をかけなきゃ」 ……しかし
  
ルイズは目を疑った。 目の前の使い魔はまるで無傷であった。 
コック服の腹部と腕の部分は破れて血がついているのにも関わらず、ヤクモの身体は傷一つ無いのだ。
「う、うそ」
「打ちどころが良かったみたい」
ヤクモはそういって誤魔化している。 目を細くして「アハハ」と笑っている。
  
しかしルイズに生まれた不審は消えなかった。
そう、確かに見たのだ。 ヤクモの腕があらぬ方へと曲がるのを──
  
  
……塔の最上階……
そんな騒ぎとは遠い所、学院長室で一部始終を見ていたオスマン氏とコルベールは顔を見合わせた。
「オールド・オスマン見ましたか?」
「うむ」
「ギーシュのゴーレムに囲まれた瞬間、彼の手から一瞬何かが現われ」
「うむ」
「その大きな爪が……」
「うむむむ」
「やはり彼は『ヴィンダールヴ』なのでしょうか」
「まだ何とも言えん。 しかし、このことはくれぐれも内密にするのじゃ、王室の暇な貴族たちに知られでもしたら戦争の玩具にされかねんからな……」
コルベールにそう念を押すとオスマン氏は思慮に耽った。

「『ヴィンダールヴ』……いかなる魔獣も手足のごとく使役したというが」

--

以上で代理投下終了です。
721ヤクイひと:2008/09/17(水) 00:52:45 ID:uJ+NPJrX
さるさん食らってとけません
誰か避難所へいって代理をお願いします
m(_ _)m
722名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:53:44 ID:yuWfGDbO
しえ
723名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:55:00 ID:jJF/7Q5N
八雲にヴィンなんてあまりにチート過ぎる。
GJ
724ヤクイひと:2008/09/17(水) 00:55:49 ID:uJ+NPJrX
代理人乙です
ご迷惑おかけしました
725名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 00:58:47 ID:JszC159w
乙でした
さっそく土爪活躍ですね〜

獣魔術をヴィンダールヴと勘違いなのかどうかは今後の楽しみかな
デルフの扱いがどうなるかが掛かってるw
726名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:02:30 ID:uQEDj/ym
>>713
八雲って具体的に何歳だっけ
727名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:06:55 ID:uJ+NPJrX
ヴィンにしたのはゼロのアトリエ参考にして・・・
デルフイベントをやるかやらないかが最大の悩みです

実は月曜にもっとさっぱりあっさりしたのが書き上がってたのですが
やはりバトルを期待してる方がいたようなので戦闘シーン以降を一から書き直しました
フーケ戦でのカタルシスのために正体バレやおおっぴらな獣魔術はひかえましたが
728名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:08:52 ID:uJ+NPJrX
1987年時に16歳ですよ
つまり・・・
729名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:09:50 ID:SHDkchLS
>>726
享年16歳です
730名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:12:46 ID:AQtZWatf
俺が生まれた頃に連載始まったから・・・
通常の時間の流れだと今は40ぐらいだな
731名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:14:04 ID:zNdkASYN
連載が数年前に終わっているから・・・・

30代前半ってとこか。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:15:35 ID:/V0TYmwj
生年月日とか作中の年度や日付けが正確に出てるキャラはこんな時困るよな……

某貧乳年増偽善者30歳祭りが懐かしいぜ
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:16:14 ID:OIOkfp55
最終的に30歳近かったような
734名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:16:22 ID:dtENlr2Y
しかも無職住所不定。
735名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:16:57 ID:AQtZWatf
春麗も40代だしなw
736名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:17:17 ID:zIzPj3X1
剣は使ってた事あるから空気にはならないと思うけどw
しかし、便利すぎて消されたんだろうけどコネリーのマウスは勿体無かったな。

>>728
外見だけならルイズと同い年w
737名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:17:59 ID:OIOkfp55
>春麗も40代
するとキャミィは34か
ひぃ
738ジル:2008/09/17(水) 01:19:08 ID:6g05hrsJ
0130時投下予定です。
規制かかるかも知れないので途中でID変わるかもです。
739名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:20:27 ID:1J66up/T
永遠の16歳です。
死ぬ時も16歳です。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:20:32 ID:/V0TYmwj
僕の血を吸わないで……じゃないか
バイオハザード?

支援する
741絶望の街の魔王、降臨-5:2008/09/17(水) 01:30:48 ID:6g05hrsJ
では、いきます。
742絶望の街の魔王、降臨-5:2008/09/17(水) 01:31:25 ID:6g05hrsJ
 ジルの朝は早い。元の世界では職業柄、不規則な生活を送っていたが、この世界ハルケギニアでは厄介な緊急招集が無く、規則的な生活ができるために、しっかり睡眠を堪能できる。故の早起きである。
 躯を軽く解し、コンバットナイフとシースを装備して、洗濯物を手に外に出る。
 外の洗濯場でメイド達と雑談をしながら、手早く洗濯を終わらせ、密かな日課であったランニングに出る。
「先生!おはようございます!」
 ここで、ギーシュが合流する。
「今日はついてこれるかしら」
「やってやりますよ!」



 数日前、決闘の日の夜、ギーシュが謝りに来た。



「本当にすまなかったよ」
 直立して、頭を垂れる。
「あの後すぐにモンモランシーとケティとメイドに謝った。元は僕の不義理から起こった事なのに、下らない面子でメイドに、女の子にあたるなんて。今考えると恥ずかしい限りだよ」
「それで、その顔に?」
 ギーシュの顔は両頬が腫れ上がっていた。
「あのメイドの娘、シエスタにお詫びに手にキスをしたのがいけなかったのか、ケティにココナッツクラッシュを……そのケティをお詫びに食事に誘ったのが気に障ったのか……、モンモランシーにシャイニングウィザードを貰って……でも見えたから……」
 最後は小声で聞こえなかったが、駄目だこりゃ、とルイズは思った。
「次に浮気をするなら、殺される覚悟ですることね」
 それよりも、よく生きていたな、或いは、よくそんな高難度の技を出せるな少女達よ、と思うべきなのだろうか。
「う……もうしない。始祖ブリミルに誓って」
 一オクターブ下がったジルの真面目な声に、身を震わせながら誓う。赤く腫れた頬と相対する様に、その顔は蒼くなる。
「で、他にも用があるんでしょう?」
 勘の良さは健在だ。誓った後なかなか帰らないギーシュに向けて問う。話を切り出せなかったギーシュに助け船を出したのだ。
「あ、ああ……その……僕に戦い方を教えてくれないか!?」
 突然の懇願に、ルイズは驚いたが、ジルはやはりといった顔をする。
「何故?」
743絶望の街の魔王、降臨-5:2008/09/17(水) 01:33:07 ID:6g05hrsJ
「僕は貴族、しかも軍人の家系だ。何れにせよ、領民を護る義務がある。だけど今の僕には、たった一人を相手に敗ける僕では、大切な人すら護れない。そう思ったんだ。あ、いや、君が弱いと言ってる訳じゃないんだ」
 しかし、ジルは少し意地悪を言う。
「私はメイジ同士の戦闘なんて知らないわ」
「精神力が切れれば、メイジだって平民と変わらない。そうなったらこの身一つで戦うしかない。君はワルキューレを避けたり、動けない様に的確に壊したり……戦い慣れているし、
基本的な戦い方を知っている、そうだろう?それに、魔法が打ち止めになった僕に言った事……」
 頭に血が上っている様に見えた割にはよく見ていた。案外、素質はあるのかも知れない。ワルキューレの采配も、僅かだが連携や挟撃の片鱗は見せていた。
「いいわ。なかなかよく見てるじゃない」
 ギーシュの眼が輝く。
「ただし、音を上げないことと、その志を忘れないこと。それさえ守れば、教えてあげるわ」
「はい!お願いします、ジル先生!」



 そんな訳でジルは基礎体力作成のためのランニングに付き合わせているのだが……



 十分後。



「ぜはーっ、はーっ」
 汗だくで、腹を押さえ、足を引き摺りながら走る(しかし、ジルの歩みより僅かに遅い)ギーシュ。心電図が紅に染まっていないか心配な挙動だ。
「情けないわね。でも昨日よりは伸びたわ」
 あまり運動をしない貴族のお坊ちゃんに最初から十キロは酷と、二キロから伸ばしていくつもりのジルだったが、初日は一キロちょっとでぶっ倒れる(本当に意識が無かった)
ギーシュを見て、目標をかなり下方修正した。しかし少しずつ体力はついている様で、今は二キロ地点でギーシュを待っていた。
「夜はちゃんとトレーニングすること、いいわね?」
「い……イエス、サー……」
 ゴール地点でギーシュはばったり倒れた。



 自分はしっかり十キロ走った後、洗濯場でギーシュに水をぶっかけて休ませる。
 そして、朝食前にルイズを起こす。
744絶望の街の魔王、降臨-5:2008/09/17(水) 01:34:13 ID:6g05hrsJ
「起きなさい」
「んん……」
「起きなさい」
「後五分……」
 なかなか起きないルイズに業を煮やし、窓を開放。取り出したるはデザートイーグル。
「ルイズ」
 ゴリッと、そのゴツい銃口が額に押し付けられる。
「十秒以内に起きないと」
 カチ、ガチンと、撃鉄が起こされる。
「永遠に眠ることになるわよ?」
 がばぁっ。
「ち、ち、ちょっ!!」
「おはようルイズ。よく眠れたかしら?」
「殺す気!?」
「今日は初弾を入れてないわ。だけど次はどうかしらね、寝坊助の御主人様?」
 ルイズの顔は蒼い。毎朝こんな起こし方をする使い魔は、朝っぱらから本当に心臓に悪い。
「もう少しマトモな起こし方ってものがあるでしょ!」
「マトモな起こし方じゃ起きないからよ。悔しかったら自分で起きなさい」
「くうううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
 この様に、時には銃声が響いたりもするが、それは既に女子寮の日常と化していた。



 アルヴィーズの食堂の前で、二人は別れる。ジルは厨房に出向く。
「おお、『我等の大砲』!よく来た!」
「ジルよ。いい加減名前で呼んでほしいわ」
 コック長のマルトーが、鍋を振るいながらジルを歓迎する。暑苦しい挨拶を、ジルは華麗に流す。
 ギーシュとの決闘から、ジルは厨房で英雄の様な扱いを受けていた。特にマルトーはそれが顕著で、ジルを『我等の大砲』と呼ぶ。どうもロケットランチャーの事らしい。
「しかしな、平民が貴族相手に勝つなんて……」
「どんなに強かろうと、慢心した相手の足を掬うのは誰だってできることよ。要はどれだけ冷静に相手を見て、どれだけ冷静に対処できるか。貴方だって、あの時のあの子になら勝てるのよ?」
「ほう?今は?」
「私が戦い方を教えてるわ。もう油断なんてしない」
「な、何だって!?」
745絶望の街の魔王、降臨-5:2008/09/17(水) 01:35:59 ID:6g05hrsJ
 マルトーの貴族嫌いは有名だ。ここ数日でジルも会話からそれを知っていた。しかしそれは偏見というもの、ジルはマルトーの貴族嫌いを快く思っていなかった。
「道を間違えなければ、あの子は名君になるわ。何れにせよ、二度と平民を馬鹿になんてしないわ。私が鍛えるのだから」
「うむぅ……『我等の大砲』が言うなら間違いは無いんだろうが……」
「悪い貴族もいれば、いい貴族もいるのよ。貴族で一括りにして悪いと決め付けちゃ、本当にいい貴族に会った時に損をするわ」
「それはそうだが……」
 フライパンを揺らしながら考え込む。頭では別の事を考えていながら、腕はしっかり動いている。プロだ。
「はい、どうぞ……」
 メイド――確かギーシュに絡まれていた娘だ――にシチューを出され、早速食べ始める。
「美味しいわ。いい腕ね」
「はっは、よせ、照れる」
 今までの悩みはどこへ行ったのか、豪快に笑い、鍋をかき混ぜる手を止める。幾つもの鍋やフライパンを一人で同時に見ているようだ。
「ほれ、追加だ」
 マルトー自らサラダをジルの前に置く。すぐに逃げる様に竈に戻る。いくら忙しいとはいえ、怪しいマルトーの挙動をいぶかしんだジルは、そのサラダを口にしてその理由を知った。
「……苦いわね」
 しかし、その程度だ。マルトーを肇とする厨房の全員が、その反応を疑った。
 サラダの中身は全てがはしばみ草なのだ。その苦さ、後味、その他諸々の風味などで大多数の人間に忌み嫌われる食材なのだ。それを平然と、はむはむと食べている様はある意味脅威であった。
「じ、ジルさん……それ……」
「おいおい、ジル……大丈夫か?」
「何が?毒でも入れてたの?」
 騒然とする厨房にジルの冗談がやけに響く。
「いや、たまげた。苦くないか?」
「そうね、混合ハーブより少し苦い程度ね。それがどうかしたの?」
 ハーブだ。ラクーンシティを肇とするバイオハザード発生地域で確実に採取できる回復薬、あの三種類のハーブを常用することによりできた苦味への耐性。それが今、初めて露見した。
「混合ハーブ?なんだそりゃ」
「これよ。まだ少しあるからあげるわ」
 四次元空間に繋がっているのではないかと疑いたくなるサイドパックから、紙の包みを幾つか取り出す。
「何ですか?」
 包みを開くと、紫なのか黒なのかよく判らない色の粉末が山になっていた。なにか、毒々しい。
「グリーンハーブとレッドハーブとブルーハーブの混合ハーブよ。全部混合しちゃって、単体のハーブは無いけど」
 よく見れば、ジルが言った色の粉末が合わさってこの色を表現している。
「ふーむ……」
「何故か、使った瞬間にあらゆる傷が消えて、体力が回復して、あらゆる毒が浄化されるのよ。そこらの下手な薬よりよく効くわ」
「え!?これが水の秘薬!?」
「違うわ。ただハーブを採集してすりつぶして混ぜるだけの、ただの薬。飲んでも塗っても効くわ。ある意味、魔法より不思議な薬よ」
 ただ、ウィルス感染症には効かないが。
「便利ですね」
「ありがたい」
 余談だが、彼等がその味を体感するのはかなり後のことだった。同時にその威力に感謝もしたが。
746絶望の街の魔王、降臨-5:2008/09/17(水) 01:38:40 ID:6g05hrsJ
 それからルイズは授業へ、ジルはコルベールに呼ばれ彼の研究室に赴く。
「で、これがこう動いて……ほほー」
 ジルの持つ武器や装備に関心があるという彼は、ジルに頼んでその仕組みや構造を教えて貰っているのだ。
「実にすばらしいですぞ!ここまで硬くて頑丈な鉄は初めて見ます!」
「鉄じゃなくてチタニウム合金よ。それはステンレス。錆びないし硬いわ」
「何と!?固定化もかけずに」
 歓喜の雄叫びをあげるコルベール。禿げた中年が子供の様にはしゃぐのはどうも……見るに耐えない。
「この世界にはマトモな製鉄技術が無いのかしら?」
「メイジの錬金では、この鉄を作ることすらできないでしょうな。いやはや、平民の技術というものを侮っていました。何より発想が違う」
「この怠けきった世界でそれに気付ける貴方は、とっても貴重よ。うまくすれば、歴史に名前を残すでしょうね」
「いやいや、貴方が現れたからですぞ。新しい材料を『創る』など、思いつきもしませんでしたからな」
「詳しい事は研究するしかないわ。製鉄技術の本でもあればいいんだけど」
「いえ、充分です。先達の努力の上に胡坐をかいているだけでは、真っ当な発展はできませんからな」
 ジルに貰った元素周期表を眺め、ウンウンと頷く。そして突然何か閃き、猛然とノートに書きなぐる。
 その姿を見て、もう意思の疎通は不可能と判断したジルは、邪魔にならない様にこっそりと研究室を出ていくのであった。



 ヴェストリの広場。ギーシュと決闘をした場所である。ジルはそこに足を運んだ。
 いつも日陰で薄暗く、風通しもいいのでなかなか快適な場所だ。
 暇になった時は、ここで射撃訓練をする。コルベールから貰った不要なガラクタを、外壁の前に向けて並べる。
 遠く離れ、取り出したのは無骨な金属の塊。束ねられた三本の筒が特徴的な、この世界の人間には一見して銃には見えないそれを構える。
 キィィィィ……ンと、モータの音が少し聞こえ、刹那、その音は轟音に掻き消される。
 傍から見たら、ジルが持つそれは火を噴いている様にも見える。しかし、恐ろしいのはその連続したマズルブラストでは無く、そこから放たれる銃弾である。或いは、
その反動を抑え付けられる彼女の腕力である。
 ガラクタは端から次々に吹き飛ばされていく。まるで見えざる剣に薙がれる様に。土煙が巻き上がり、やがて全てがそれに飲み込まれる。
 銃口から火が消え、バレルの回転が止まった時、目標周辺は地面が抉られ、ジルの横には薬莢の山ができていた。
「ふう……」
 息を吐き、目標を見なおす。一つだけ、最後の一つだけ、無傷で最初の位置に鎮座していた。土煙に護られたのだ。
「……」
 無言でM66を担ぎ、放つ。銃弾より遥かに遅いそれは、固体燃料を消費しながら加速し、正確に小さなガラクタに命中、しかし標的が軽すぎたのかそのまま跳ね返る様に方向を変え、
浅い角度で塀にぶつかり更に跳ね返り、そのまま……塔の上部めがけて飛翔していった。
 ルイズから学院の建造物全てにかけられた『固定化』の話を聞いていたジルは、特に慌てるでもなく、それを放置して傍観していた。ロケット弾の向かう先には窓は無く、壁しかない。
ロケット弾は学院長室の真下、宝物庫の壁に何事も無く着弾し、その弾頭の装薬を存分に炸裂させた。
747絶望の街の魔王、降臨-5:2008/09/17(水) 01:41:02 ID:6g05hrsJ
 しかし、ジルの楽観は結果として後の事件の発端となった。残った的に対するほんのちょっとした『怒り』、それが『ただのロケット弾』に与えた効果を彼女に知れというのは酷な事だ。
ジルには、まだ己の左手に刻まれた紋様の意味すら知らないのだから。
 『ちょっと壁が焦げて、小さなヒビが入った』。その結果に何等の関心も抱かず、ベレッタを抜いて残されたガラクタに気が済むまで鉛弾を叩き込むのだった。



 そして、全ての授業が終わり、ルイズの魔法の特訓とギーシュの訓練に付き合う。
「錬金!!」
 今日もルイズの声と共に、派手な爆音が轟く。
 回を増すごとにわずかずつ威力を増していくルイズの爆発に戦々恐々としながら、ギーシュはジルにワルキューレをけしかける。魔法の使えないときの訓練も必要だが、
魔法を使った戦闘訓練も必要としたジルの提案でヴェストリの広場でやることになった。それに感化されたのか、ルイズもついてきて魔法の練習をしているが……
「錬金!!」
「うおあ!?」
 と、時々不意打ちの様にあっちこっちに何の脈略も無く爆発を起こす。
「よそ見しない」
 いつの間にか接近していたジルに頭を叩かれる。自律ではなくギーシュが操っているため、一瞬でもギーシュに隙ができれば連携もガタガタになり、ジルにとってはただの案山子にも等しくなる。
『戦場じゃ、いつ流れ弾……は無いわね。不意打ちや流れ魔法がくるか判らないわ。常に周囲を警戒しながら、倒すべき敵から注意を逸らさないこと』
 と、非常に無茶苦茶な事を言われたため、ルイズに文句も言えず、必死にその感覚を掴もうと努力している。その甲斐あってか、今ではルイズの爆発の直撃を食らうことは滅多に無い。
せいぜい軽傷で済んでいる。
「錬金!!」
 そう油断もしていられない。避けたと思ったら次の爆発。決闘の時に見たジルの緊急回避を真似ようとするが、
「ふがっ!!」
 確かに直撃はしていないが、爆心にいないというだけでダメージはかなりのものだった。それでもジルは冷酷にもワルキューレを一体切り裂き、立ち上がろうとするギーシュに肉薄する。
「ワルキューレェェェェェェェ!!!!」
 ジルの背後から一体、襲い掛かる。反射ともいえる動きでそれを切り裂くが、その『反射』がいけなかった。
 少々無理のある体勢で横に薙いだ、その状態でほんの少し遅れて接近してきたワルキューレが左手にいた。回転の勢いは止められず、無防備な背中をそのままワルキューレに曝す格好となる。
 恐らく、何も考えず取った行動なのだろうが、それをギーシュは会得しかけていた。自然に躯が動く、自然に適切な行動が取れる。最強の戦士たる条件の一つを。
「錬金!!」
748名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 01:50:42 ID:/V0TYmwj
臓物をブチまけろ支援
749絶望の街の魔王、降臨-5:2008/09/17(水) 02:01:20 ID:55m8bPUS
「……」
 最大の敵がジルではなく、ルイズだったことを、ギーシュはその爆轟に揺さぶられた頭で初めて理解し、満身創痍の彼は悲鳴も無く壊れた人形の様に倒れた。
 しかし非情にも、
「錬金!!」
 明後日の方向を向いている故に状況を知らないルイズの呪文が聞こえ、彼は死を覚悟し意識を闇に委ねた。が、彼にその呪文は害を成さなかった。
「フッ!」
 ジルが地面を転がっていた。ローリングで爆発を回避したが、その手にナイフは無い。
「ルイズ!中止!」
 彼女は叫ぶ。その声に、ルイズは詠唱をやめた。
「うわ……ギーシュ、大丈夫なのかしら?」
「これを口にねじ込んでおけばすぐ治るわ。そんなことよりも……」
 ギーシュの怪我など『そんなこと』で済ませられるのも、全ては混合ハーブのお陰だ。毎回、これと同等か酷い怪我を負うが、いつも次の日にはピンピンして走り回っているのだから、
それにルイズは先住魔法以上の不思議さを感じる。その恩恵を今は亡き街で存分に受けたジルですら、本当は専門機関に分析を依頼してみたいと常々感じていたが、今はもう叶わぬ願いだ。
既に気にしないことにしている。
「……」
「……あ」
 無残なナイフの残骸が視線の先にあった。
750絶望の街の魔王、降臨-5:2008/09/17(水) 02:02:42 ID:55m8bPUS
以上、伏線を張りまくったジルの日常編を終わります。

ナイフが無くなりました。
751黄金の使い魔:2008/09/17(水) 02:08:00 ID:wVPFiMdS
おつです〜

私も編集しようとしたら@Wikiのスパム なんとかでエラーなんですけど
誰か代わりに編集していただけませんか

テキストファイルは
http://www-2ch.net:8080/up/download/1221584594128311.IgNE6C

DLパスは1010

になります。よろしくお願いします。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:09:33 ID:55m8bPUS
ばいばいさるさんが邪魔すぎます。
どうにかならないですかね。
753名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:22:00 ID:Xw5+rTTH
試しに新しく書いてみようと思ったのですが、
オリキャラってどの程度まで許容されるんでしょう?
一応、全体のストーリーにあまり深く関係しない一般市民キャラを考えているのですが……。
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:23:15 ID:YKkQwbOf
スレ違い

>>1
・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:23:57 ID:55m8bPUS
>>751
できました。
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:24:25 ID:YKkQwbOf
ああ、メインで無いモブキャラだったら、良いんでない?
757名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:25:12 ID:ZIOzMtDl
>>753
お引き取りください。
オリジナルは不可だ。スレタイ、テンプレ読めよ
758名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:27:11 ID:PbB7Jg1p
>>740
おまwwそんな昔の作品よく覚えてたなw
当時はおもろかったけどいま読んでおもしろいと感じることができるかなぁ
759黄金の使い魔:2008/09/17(水) 02:27:30 ID:wVPFiMdS
>>755
ありがとうございました
本当に助かりました

できたら「黄金の使い魔」のもくじページもお願いしたいのですが・・・
760名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:28:23 ID:55m8bPUS
忘れてました、すみません。
可及的速やかに!
761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:28:39 ID:/V0TYmwj
だがちょっと待ってほしい
闇色天幕大軍団の作者がオリキャラを自ら執筆するのであれば
俺は全力で支援する
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:29:48 ID:55m8bPUS
>>759
できました。
まことに申し訳ありませんでした。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:32:23 ID:eeRvvajR
>>753
どの作品から呼ぶつもりなのかを教えてくださらないと対応が決められません。
オリキャラを呼ぶわけでは無いのでしょう?
作品名を秘密にしないとネタばれになってしまう一発キャラなら投下後でかまいませんが
764黄金の使い魔:2008/09/17(水) 02:33:04 ID:wVPFiMdS
>>762
いえ、助かりました
本当にありがとうございます
こちらこそお手数おかけしまして申し訳ありませんでした
765753:2008/09/17(水) 02:34:39 ID:Xw5+rTTH
今読み返したら、全然違う意味になっていたorz
召喚されるのは勿論原作有りのキャラです。
言いたかったのは、例えば「酒場の主人」に名前を付けて、
ストーリー展開の中でちょいちょい関わらせたりする場合のことです。
766名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:36:53 ID:/V0TYmwj
……とりあえず相沢祐一はマズイと言っておく
767名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:37:29 ID:eMYKXq4U
一応これでデルフの出番が来たのかな?
しかし、ルイズはひでぇな(笑)
768名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:38:08 ID:YKkQwbOf
それであれば、過去の作品見てみたら?
結構オリキャラ出てるのあるよ
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:41:01 ID:UxBMloYa
酒場の主人に名前をつけてまで登場させる意味が分からないな
スカロンを改変すれば何とかなりそうだし
代用が利かないなら無理しないほうがいいかも
770名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:46:11 ID:so3lY7cZ
酒場の主人に自分の名前つけて
話とは無関係にタバサたんとちゅっちゅするお!

……だったら勇者だな
771名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:46:39 ID:RyELEaHh
おお!
いつの間にかソックスバットまで呼ばれているではないか。
やはり西博士やマサルさんやキタキタ親父に劣らぬ変人ですな〜。
いっそ避難所に小ネタで4人同時召喚を!……
だめだ
色々な意味でだめだけど何よりもルイズ一人じゃツッコミきれねえ。
かといってツッコミ要因を呼んだらゼロ魔キャラを完全に食ってしまう。
だがタバサとギーシュをツッコミ要因にすれば何とか……
うん、やっぱ止めといた方が無難だ。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:49:34 ID:B51m5ltX
>>769
「例えば」だから、酒場の主人ではないんじゃないか?

個人的には、スカロンやギムリ程度の登場頻度なら構わないと思う。
既存のキャラで代用が効くならその方が好ましいけど。
773名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:54:58 ID:so3lY7cZ
よし俺が今考えた名前を付けてやろう
【ガモ=マイネージャー】
でどうだ
774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 02:58:53 ID:dtENlr2Y
サカヴァーノ・シュジーヌ
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 03:13:03 ID:7+vw+vQW
774のセンスに嫉妬
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 03:14:42 ID:yuWfGDbO
アレだ
仮面ライダーでいうショッカーみたいなもんか
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 03:14:57 ID:RyELEaHh
酒場の主人か、スカロン改変と聞いて思いついた。


「今じゃこんな水商売じみた酒場なんかやってるけどさ、あたしも若い頃は歴戦の戦士達の為に働いてたもんさ」
「戦士達って?」
「文字通り戦士さね、サイト。正確には戦士や魔法使い、僧侶に舞踏家。商人や遊び人なんかもいたっけか。
 みんな世界を救う勇者と戦う為にあたしの店に集まった、気のいい奴らばかりだったよ」
「それって何かすごい聞き覚えがあるような気がするんですけど……」
「そうかい? まあ、アリアハンの『ルイーダの店』と言えば、ちっとは名が知れてるからね」


主人が男である必要はあるまい。
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 03:42:07 ID:wVPFiMdS
「やべ・・・財布忘れちまったよ。おやじぃ、今日はツケで頼むぜぇ・・・」

「ツケでっか?よろしおま!でも利息はトイチでっせえええええええええええ」

「げぇ!萬田はん!!!」
779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 03:51:25 ID:4W/9O+nH
こんな時間だが、このスレ見てたらどうしてもかきたくなって書いてしまった。
って言っても今までちゃんとSSを書いた事が無いので文章も微妙だと思うんだが、
投下してもいいのだろうか。
召喚されるキャラは遊戯王デュエルマスターズより海馬瀬人なんだが
780名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 03:52:31 ID:wVPFiMdS
支援
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 03:53:44 ID:zNdkASYN
その手の業種の人間は基本的に人当たりが良くて紳士的だぞ。
特定のラインを超えると豹変するらしいがな。

萬田さんは大金を借りようとするか、期日を過ぎても金を返そうとしない限りは
それほど怖くはないぞ。
782名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 03:55:14 ID:gajLZZR7
デュエル「モンスターズ」じゃなかったか?
デュエルマスターズだと別作品だったような気がするが
783ゼロの社長 01:2008/09/17(水) 04:07:50 ID:4W/9O+nH
>>782素で間違えたorz
と,言うわけで投下させてもらいます。


「宇宙の果てのどこかにいる,私の僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より訴えるわ、我が導きに答えなさい!」




ここ、トリステイン魔法学院では、今日は2年生の使い魔召喚の儀式を行っていた。
2年生達はここで、一生の僕であり、友であり、目で耳である使い魔を次々と召喚していった。
たった一人の例外を除いて。
その例外こそが「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
先ほどの呪文を唱えたトリステイン魔法学院の2年生であり、
そしてこの儀式を行っている中庭を爆発で穴だらけにしている張本人である。
もっとも、彼女自身が起こそうとして爆発を起こしているわけではない。
彼女はなぜか,全ての魔法を発動させようとするたびに失敗し、代わりに爆発を起こしてしまうのである。
故に“ゼロのルイズ”という不名誉なあだ名までついている始末である。
魔法成功率ゼロ、そしてゼロの記録更新はこの使い魔召喚の儀式でも,続いていた。

「ミス・ヴァリエール、そろそろ時間がありません。次で最後としましょう。」

爆発続きで体力も減ってきたのか,肩で息をしているルイズに声をかけたのは、
学院の教師でありこの儀式の監督者でもあるジャン・コルベールだった。
そもそもこれで35回目の失敗であり、コルベールは他の生徒には教室に戻り自習するようにと伝えていた。
この場に残っているのはコルベールのほかに、からかい半分で見ている
ルイズのクラスメイトのキュルケとその親友のタバサのみであった。
784ゼロの社長 01:2008/09/17(水) 04:08:57 ID:4W/9O+nH
もう日も暮れ始め、いつまでも成功する見込みのないルイズにはかわいそうだとは思うが、
いつまでもこれを続けているわけにも行かない。
彼女の努力は知っているが,こればかりは結果を出せなければどうにもならない。
コルベールはそう思い、苦渋の思いでルイズに終了を告げた。

「わかりました、これが…最後です。」

ルイズはそう言うとその最後の1回に全てをかけるかのように目を瞑り、意識を集中させ、もう一度呪文を唱えた。

「宇宙の果てのどこかにいる,私の僕よ!」
(お願い…これが最後のチャンスなの!)

「強靭で!最強で!そして無敵の使い魔よ!」
(私はゼロなんかじゃない!だから,その証のために…)

「私は心より訴えるわ、我が導きに答えなさい!」

そして,やはり起こる先ほどまでと変わらない爆発。
目を伏せ,首を振るコルベール。
からかうつもりが,流石に不憫になったのか同情するような目で見るキュルケ。
しかし、タバサだけはルイズの少し前方、爆発のあった付近へ視点がずれていた。
煙の中に,うっすらと影が見えたのである。

(成功したっ!?しかもキュルケのサラマンダーなんかよりずっと大きい!)

しかし、その煙の中から現れたのは、青年であった。
785ゼロの社長 01:2008/09/17(水) 04:10:15 ID:4W/9O+nH
長身の体躯、マントのように腰まで長いコート、腕には鉄板を貼り付けたような見たことの無い腕輪。
そして何より精悍な顔つき。

(これが…私の使い魔?)

ルイズがそう思うのも無理は無い。今まで召喚されてきた使い魔たちは皆、かえるやらモグラやら,とりあえず動物だったのだ。
いや、むしろ,人間の使い魔なんて見たことも聞いたことも無い。

「ぬぅ…一体何事だ…?貴様らは一体何者だ?」

ルイズが、いや、ルイズを含む4人が思考をめぐらせている時、先に声をかけてきたのは青年のほうだった。

「……ミスタコルベール。召喚のやり直しを求めます。」
「ダメです。」

コルベールはこう続けた。

「ミス・ヴァリエール。召喚の儀式はメイジとして一生を決める神聖な物なのです。
やり直すなど,この儀式に対する冒涜です。
君が好むと好まざると,君が召喚した以上、彼は君の使い魔と決まったのです。
断固として,やり直しは認められません。」

断固として認められなかった。
あきらめたのか、ルイズは青年に近づき

「おい,召喚だなんだと,何を訳のわからないことを…」
786ゼロの社長 01:2008/09/17(水) 04:12:26 ID:4W/9O+nH
「あんた、感謝しなさいよね!貴族にこんな事されるなんて、ありえないことなんだから!」

と、いいつつ、コントラクトサーヴァントの口付けをしようと試みるが…
届かない。
当然である。
ルイズの身長は153サントに対して目の前の青年は少なくとも185サントはある。
背が届かないのである。
コホン、咳払いをして、コルベールがレビテーションの魔法をかけ,強引に契約は完了した。

「ぬっ!貴様何を…ぬあっ!何だこれは?」

青年の左手に契約のルーンが刻まれる。その痛みに青年は顔を苦痛にゆがませる。

「それは契約のルーン、あんたは私の使い魔として契約されたの。」
「使い魔の契約だとっ!?ぐおっ!」

(珍しい形のルーンだな…後で調べておかなくては)
コルベールは青年の手のルーンをすばやく書き写した。

「それで…あんた名前は?」
「ふん、他人に名を聞くときは、先に名乗るものだと習わなかったのか?礼儀を知らない小娘が。」
苦痛に顔をゆがませながらも、皮肉を返す青年。
ふぅ,とため息をつきながらルイズは答えた。

「私はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
このトリステイン魔法学院の生徒であり、あなたのご主人様よ。」

と,ルイズが無い胸を張りながら青年に向かって答えた。

「さて,あんたの名前は?」

相手の皮肉に冷静さをもって返したルイズ。相手もこれでは答えざるを得ない。



「俺の名は…海馬瀬人。海馬コーポレーション社長にして最強のデュエリスト、海馬瀬人だ。」
787ゼロの社長 01:2008/09/17(水) 04:16:48 ID:4W/9O+nH
以上で第1話終了です。

うわぁ…SS投下するのって異常に緊張するっす。
初投稿なので投下していく間隔とか、文字数はどのくらい入れればいいかとかが
わからなかったり、そもそも余り文才が無いのでお眼汚しのものを投下するかとは思いますが
どうぞよろしくお願いします。
ここが駄目とか,ここを直したら良いとかあったらお願いします。
788名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 04:52:22 ID:0/6otT4T
社長の人乙です。
しかし彼はある意味ルイズ以上に傲慢ですからルイズも大変だw
期待してます。
789名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 05:06:58 ID:3bcTAOlf
>そもそも余り文才が無いのでお眼汚しのものを投下する
以前にも話題に上がったけど、こういう極端にへりくだった言い回しはしないほうが無難です。
読む側はいろいろな期待を持つけど、それがぶち壊しになってしまう。
せっかく投下したものの評価を、内容と関係ないところで下げるのはもったいない。

文体には不自然なところがなくてすらすら読めました。
平民と認識している相手に対して、ルイズの側から名乗るあたりが少し気になったかな。
高慢同士で果たしてどこまでいけるのか?続きが楽しみです。
790名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 07:32:11 ID:AQtZWatf
>そもそも余り文才が無いのでお眼汚しのものを投下する
まあ読む側からすれば何で自分でつまんないと思うようなもんを
わざわざ読まされなきゃなんないの?
自分で面白いと思うような分に修正してから投下しろよってなるもんな
791ゼロの社長:2008/09/17(水) 07:47:44 ID:4W/9O+nH
>>789
>>790
なるほど…ヘンな謙遜はかえって読んでもらう側に不快感を与えてしまうんですね。
盲点でした。
とりあえず、書きあがり次第順次投下していきたいと思います。
楽しみにしていただけると幸いです。

792名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 07:48:06 ID:T38qcI+c
タバサさんはやはり実の父でも幽霊は怖がるのかな?かな?
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 08:11:49 ID:LVGjaAl+
>>791
期待してます
頑張ってください
794名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 08:40:28 ID:fHWCghKN
すげえ遅れたが黄金の人乙。

ここで唐突に聖闘士の最低条件

・素手で岩くらいは砕けるようになろう
・小宇宙を感じよう
・小宇宙を燃やせるようになろう
・音速(秒速340mくらい)で拳を繰り出せるようになろう
・原子を砕けるようになろう
・同じ技が二度以上通じないようにしよう


黄金聖闘士の最低条件

・光速(秒速30万Km)で拳を繰り出せるようになろう
・セブンセンシズに目覚めよう(これに目覚めれば勝手に小宇宙は増大します)
・人格的にちょっとおかしくなろう(女神かもしれない人にライトニングボルト、弟子を氷付けに、発狂か死か選ばせてあげる、など)

※別に細かい小宇宙のコントロールは必要ありません(牛、山羊あたりを参照)
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 09:01:36 ID:mSBOEvy0
誰を呼んだかと思えばタコ社長か…。
796名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 09:40:39 ID:FZli0Tbp
地雷臭がするのはとりあえずスルーしてる俺
SS童貞?もちろん読みませんよ ハハッ
797名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 09:58:50 ID:YVbVDX38
初期ルイズの魔法は、何を唱えても結果的に『爆発』するという物だった。
使い魔召喚の儀式において、『向こう側』で爆発がおきて大問題になた――という作品、どこかにあったような気がするんだけど思い出せない……
798名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 10:05:51 ID:Pp37fshX
>>797
ここでも何度か話題に出てる日本丸ごと召喚しちゃったあそこでは?
799名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 10:21:30 ID:JQk+Jwn5
聖闘士召喚で一番当たりなのはユニコーンの邪武だと思うんだ
彼なら使い魔兼マリコルヌの親友として心底幸福な使い魔ライフを送れる間違いなく
800名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 10:54:16 ID:V7zZw6oy
あいつは確かにマゾだが
沙織様命だから、ルイズには屈服しなさそう。
801名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 10:58:02 ID:/Gf90OkR
社長乙です。
青眼召喚はあったけど、社長自身はこれまでありそうでなかったから期待しています。
超ワンマン経営の海馬コーポレーションが社長不在で立ち行くのかすごく心配。
けど社長もデュエルモンスターズの精霊世界や記憶世界とか行った経験があるから、異世界も分かれば受け入れ早そう。
802名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 11:02:12 ID:CjrIdyEI
マリコルヌがルイズの召喚したユニコ−ンの聖衣を纏う、よし問題無し!!
803名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 11:09:23 ID:ZcZGceLX
社長はVIPであったけどAAだったから全然話進まなかった
804名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 11:18:04 ID:V7zZw6oy
オレ、遊戯王は初期の
カードゲーム以前が好きだったなぁ。
805名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 11:18:51 ID:2e+TObUf
>>800
普段から「誰か馬になりなさい!」な沙織様に慣れた邪武からしたらルイズのツン程度じゃ物足りなかったりしてw
806名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 11:40:02 ID:V7zZw6oy
風俗嬢「アラ、…お兄さんまた来たの?」
邪武「なぁ。……踏んでくれないか?」
風俗嬢「はぁ。仕方ないわねえ。
ホラ!這い蹲りなさいよ!!踏んで欲しかったらまず足を舐めなさい!!」
邪武「あぁッ!ぺろ、ペロリ。……これは…青酸カ」
ぐしゃ
風俗嬢「つまんない事いってんじゃないわよ!さっさと舐めなさい!」
邪武「ひぎぃッ!?ぺろぺろ、ぺちゃぺちゃり。」
げしっ
風俗嬢「何してんのよあんたの唾で足汚れちゃったじゃない!!」
邪武「もっと!もっとォ!!」
807名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 11:59:51 ID:JQk+Jwn5
>>805
邪武相手ならルイズもどんどんエスカレートしてゆくから問題なしw
808名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 12:07:53 ID:muNGrGYK
>>804
同志よw
わたしゃシャーディーが好きでねえーー
809名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 12:17:04 ID:oxYbj5fo
三沢召喚が読みたいです
810名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 12:29:21 ID:so3lY7cZ
三沢米軍基地召喚ですね、わかります
811名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 12:33:58 ID:mEZPu7VV
まさか、緑のタイツ・上半身裸の……あの格好で召喚されるのか!?
812名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 12:38:14 ID:hX7ieQlG
>>804
つまり、罰ゲーム全開というわけだな
813名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 12:51:28 ID:gQvrxn0v
>>809
三沢「いらない殻を脱げ!」
ルイズ「なんなのよアンタ!?」

この三沢ですねわかりません。
814ゼロと魔砲使い ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:07:07 ID:NZOf11pV
とりあえず仕上がりましたので、21話、少ししたら投下します。

今回ちょっと物足りないかも知れませんが、一連の流れを書ききると、今回投下分の三〜五倍になりそうなのでいったんここまでになります。

続きのペースは早そうです。時間がほしい。
815名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:08:02 ID:eVKyzKqJ
原作の空白の期間、ハルケギニアにいたってパターンがもっと見たいな

龍-RON-の押小路龍が中国密入国〜〜記憶喪失の状態で李姉弟に見つかるまでの期間
ネギま!の神楽坂明日菜 フェイトの転移魔法でどっかに飛ばされ〜〜刹那と再会までの期間

前者なら主役の龍とルイズほっぱたらかして大女優シエスタ誕生編へ
後者ならもともと魔法無効能力者だからデルフますます空気編へ
816名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:08:52 ID:V7zZw6oy
しえん。
817名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:09:16 ID:eVKyzKqJ
>>814
たんたんたぬきの支援や!
歌うで〜〜踊るで〜〜
818ゼロと魔砲使い ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:14:31 ID:NZOf11pV
では、投下開始します。さるさん回避のため、少し間を開けますが、5分あいたりしたら避難所をチェックしてください。
819名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:14:43 ID:ejV77eo5
「エルフを狩る者たち」が召喚されたらビダーシャル脱がされてしまうのだろうか

>>814 支援
820名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:17:07 ID:zNdkASYN
>>819
女限定じゃなかったっけ?

支援
821ゼロと魔砲使い 第21話-01 ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:17:53 ID:NZOf11pV
第21話 予兆



 「それじゃ、いってくるわね」
 「不在の間の練習メニューはまとめておきましたから」
 風竜の上から、ライバル兼親友と、その使い魔たる女性が声を掛けてくる。
 「あなたも急に忙しい身の上になっちゃったわね。ま、せいぜい頑張りなさい。シルフィードから落ちないようにね」
 二人を見上げつつ、赤毛で褐色の肌を持つ豊満な女性−−キュルケは憎まれ口風の激励を送る。
 「ふふん、残念ですけど、今の私には『レビテーション』が使えるのよ。落ちてもなのはの助けが間に合うわ」
 「あら、じゃあ以前なのはがいってたの、本当だったのね」
 「ええ。幸いなことに。私の予想が当たっていてよかったです」
 そう。『虚無』に目覚め、その呪文を詠唱したルイズは、コモンマジックを自在に使えるようになっていた。『虚無』の魔法は威力がありすぎるうえに消耗が激しすぎるため、ルイズとしてはむしろこちらの方がうれしかったりした。
 もう自分は『ゼロ』ではないと、胸を張って言えるのだ。まあ、別の意味で『虚無(ゼロ)』になってしまったのだが。
 本当は学院に戻ったらこの辺のことをまたなのはと一緒に調べてみる予定だったのだが、急なロマリア行きでその時間がなくなってしまっていた。
 「そろそろ出発」
 頃合いと見たのか、あるいは時間が押し迫ってきたのか、残る一人の少女、竜の主であるタバサが二人を促す。
 改めて二人が落ち着いたのを確認して、タバサは一番の親友に声を掛ける。
 「いってくる」
 「いってらっしゃい」
 キュルケは挨拶を返すのと同時に、風竜は力強く羽ばたいて天へと駆け上った。
822ゼロと魔砲使い 第21話-02 ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:20:07 ID:NZOf11pV
 「いってらっしゃい。さて、私も頑張らないとね。タバサだけじゃなく、今のままじゃルイズにも置いていかれちゃうし」
 キュルケは学院内で一、二を争う実力者−−であった。
 過去形なのは、今現在でははっきりと自分より上位の存在が二人存在しているからだ。
 スクウェアに目覚め、同時に魔法の同時使用や呪文の改良すらこなすようになった親友のタバサ。恐ろしいことに今の彼女は時々、ごく簡単な魔法をほとんど呪文を唱えることなく、感覚的に組み上げてしまうことがある。
 初めて気がついたのはアルビオン行きの飛行船の中でだ。彼女は遠く離れた場所の音を『魔法で拾った』といっていた。だが、彼女の呪文レパートリーには、そんなモノはなかったはずなのだ。
 というかそもそもそういう漠然とした定義の魔法自体が存在してない。風はキュルケとは縁遠い属性だが、遠くの音を聞くための『遠聴』という呪文が、もう少し融通の利かないものであることくらいは承知している。
 あのときのタバサは、杖を片手に、歌うように呪文を紡いでいた。それはキュルケの知る『詠唱』ではなかった。あのときタバサは、間違いなく己の感性で呪文をその場で紡いでいた。
 少し聞いてみたところ、館での一戦以来、なのはがいうところの『魔力を共鳴させる』という行為の感覚を把握できるようになったという。風の魔力の共鳴が今のタバサには精霊の歌声のように感じられるという。
 そのため、ごく単純な行為に関してなら、その精霊達を動かすための『歌』が、ある程度感覚的に判るらしい。
 タバサは判ってかそうでないのか、なんでもないことのようにいっていたが、これはとんでもない技術である。
 呪文創造能力。今のタバサは、感覚で呪文を紡ぐことが出来る。元々彼女は勉強家であり、理性で呪文を用いる術にも長けている。
 その気になったら、開発者としても大成できるだろうと、キュルケは見ている。
 そしてルイズ。ゼロだといわれ続けていた少女は、ついに真なる『ゼロ』に目覚めた。
 伝説の『虚無』の使い手。メイジの頂点。彼女は最底辺から一気に頂上へと駆け上ったのだ。
 そしてそんなルイズを支える使い魔、なのは。本人が伝説に匹敵する超絶メイジであり、加えて大人な包容力が、何かと問題の多かったルイズを優しく包み込んで背筋を伸ばさせた。
 元のままなら、虚無を手にしたとたんのぼせ上がって増長し、私たちを虫けらのような目で見たあげくにおべんちゃらの得意な相手にころっと騙されていただろう。
 だが今のルイズにはそんな心配はいらない。
 自分を取り戻し、自分のよって立つための足場を築き上げ、決して揺らぐことのない根を見事に張り巡らしている。
 それに比べて自分は。
 力では負けてはいない。虚無に目覚めてしまったルイズは別格としても、今の自分の力はトライアングルには収まらないということが何となく判っている。
 だが自分はまだトライアングルのままだ。力はあっても、スクウェアになれそうでも、今の自分にはまだ何かが足りない。
 殻を、破らないといけない。
 そのことは理性が理解している。だが、現実がそれに追いつかない。
 キュルケは、そのことを誰よりも理解していた。
823ゼロと魔砲使い 第21話-03 ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:22:07 ID:NZOf11pV
 一方、ここはアルビオン。首都ロンディニウムの南、ハヴィランド宮殿。
 白の宮殿と呼ばれるその内部では、白とは言いがたい人物達が、今回の件について話し合っていた。
 全軍の約半数とも言える、三万もの将兵の寝返り。
 圧倒的有利だったレコン・キスタは、ただの一日で状況を五分に引き戻されてしまっていた。
 連絡が届いた時には、トリステインからの援助物資が届きはじめるところであった。
 「ええい、裏切られただけならまだしも、物資が届くとなると、文字通り五分になってしまうぞ」
 「直後ならばただの烏合の衆だったのだがな……」
 そんな声が上がるが今更である。状況を把握している人物からは、ずっと建設的な意見が出ていた。
 「確かに物資は届いたかも知れん。だがまだたいした量ではない。船も大半は座礁している。今ならばまだこちらの方が優勢だ」
 「だが、このままトリステインからの援助が続けば、状況は判らん」
 「何よりもまずいのは、敵にもまた『虚無』の使い手と称する人物が現れたと言うことだ」
 レコン・キスタが成長してきた理由の一つに、クロムウェルが『虚無』の使い手を称しているという点がある。だが王党派にも『使い手』がいるとなれば、その優位は帳消しになる。
 「相手側の『使い手』は判っているのか?」
 「はっ、調べによりますと、トリステインの大貴族、ヴァリエール公爵の息女で、名はルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエールと申すそうです」
 「これもトリステインか……」
 しばし沈黙が流れる。
 やがて、一人の人物が口を開いた。
 円卓ゆえ上座はない。だが、その人物は、その場において頂点に立つ人物であった。
 「ならば手は一つですね。裏切りは悲しいことですが、それはまだ何とかなります。この問題の根は、ここではなくトリステインにあります」
 サー・オリバー・クロムウェルは、ゆっくりとその言葉を発した。
 「彼らが盛り返している理由は、すべてトリステインにあります。私に対抗する『虚無』の存在すらも。ならば話は簡単です」
 「トリステインの干渉を、断ち切る、と」
 「その通りです」
 適宜な発言をほめつつ、クロムウェルは言葉を続ける。
 「トリステインに圧力を掛け、援助を止めさせましょう」
 「しかしどのように……この状況において、外交交渉は無駄かと」
 「それは判っています。少々非情の手を取らねばならないでしょうね」
 そういうとクロムウェルは、地図のある一点を押さえた。
 「この地を押さえます。さすればしばらくの間、トリステインを止めることが出来るでしょう」
 彼の指し示した点には『魔法学院』と書かれていた。
824ゼロと魔砲使い 第21話-04 ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:24:07 ID:NZOf11pV
 シルフィードが飛ばせば、遙か遠方のロマリアといえども二日の距離に過ぎない。もっともそのためには、ガリアの国を横断する必要がある。一応正式な入国証その他の書類もきちんと所持しているが、何故かタバサはそれを否定した。
 「どうして? わざわざ犯罪者になることなんてないじゃない」
 当然の質問に対し、タバサは真正面からルイズの瞳を見つめていった。
 「万一がある。ガリア王はあなたとなのはに強い興味を持っている。場合によっては拉致くらいしかねない」
 冗談事ではなかったが、タバサの語る口調には遊びの雰囲気はなかった。
 「そうなったらあなたの犯すことになる罪科は国境破りなんか比べものにならなくなる。あなたとなのはが戦って負けることはないでしょうけど、外交問題にはなる」
 「う……」
 「そもそもあの戦いのとき、私はあなたとなのはが負けていたら、その身柄をガリア王のところに運ぶように命じられていた」
 駄目押しの告白が来た。
 ルイズも納得せざるをえなかった。
 そして一日を掛けて到着したのは、その戦いの舞台ともなった場所……タバサの実家であった。
 「おお、お嬢様、それにルイズ様もなのは様も。よくぞいらっしゃいました」
 執事のペルスランは、変わらずにルイズ達の来訪を喜んだ。
 「明日早朝には発つ。食事その他の用意をお願い」
 「お忙しいようですな。また何か……」
 「いいえ、今回は私の意志。友達のため」
 「……! 判りました」
 ペルスランは内心感極まっていた。
 あのお嬢様が、『友達のため』とおっしゃった。
 それは彼にとっても、大変喜ばしいことだったのだ。
825ゼロと魔砲使い 第21話-05 ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:26:07 ID:NZOf11pV
 特にトラブルもなく、夜の帳がおりていた。食事はおいしく、タバサは母親のところに行った。
 前回も泊まった部屋には、ルイズとなのはの二人きりだ。
 いや、正確にはもう二人(?)いるが。
 「そいつが読めるって言うことは、やっぱりあんたは使い手のマスター、『虚無』の担い手か」
 「……知ってたの、デル君」
 なのはの声が、どこか冷ややかだったりする。
 今ルイズは、アンリエッタから借り受けてきた『始祖の祈祷書』に目を通している。
 「う〜ん、やっぱり『エクスプロージョン』しか読めないわ」
 “やはりプロテクトされていますね。乱用を避けるためでしようが”
 なのはの胸元でレイジングハートも意見を述べる。一方、
 「あなた、ご主人様が虚無の担い手だって、気がついてたの?」
 「んなこたねえ! そっちの話聞いて初めて思い出したんだよ、ああ、そうだったなって」
 危険な響きを帯びているなのはの声に、デルフリンガーはおびえていた。
 「ああもう久々にしゃべれたと思ったら、なんで使い手の姐さんに脅かされなきゃなんねえんだよ!」
 「ほんとに覚えてなかったみたいね……ま、いいわ」
 なのはは追求を打ち切った。
 「でね、デル君。あなた、あれについては何か覚えてる?」
 なのははルイズの方を見る。
 「ご主人様、始祖のオルゴールの声を聞いて、虚無に目覚めたんだけど、使えるのはエクスプロージョンだけ。それも最後まで唱え切れたのは一回だけ。あのあと何回か唱えてみたけど、途中で力尽きて、失敗魔法と大差ない結果しか出なかったわ」
 「ん? まあ『虚無』は馬鹿みたいに力を使うからな。よっぽど心を震わせないと、力がたまらないぜ」
 「心を、震わせる? 前にもそんなこと言ってたよね」
 なのはは以前、似たようなことをデルフリンガーが言っていたのを思いだした。
 「ああ、俺も『使い手』の心の震えが強くなればなるほど力が出る。確か虚無の担い手も似たようなもんだったはずだぞ?」
 「具体的には?」
 「心の震えって言うのは、要は強い感情の動きだ。怒りとか、決意とか、まあいろいろだな。ただどっちかって言うととんがってる方が強くなる。いくら心が震えると言っても、優しさとか感動とかだと、なんて言うのか、こう……力が抜けちまうんだよな」
 「うーん、攻撃的な方がいいとか?」
 なのはの言葉に、デルフリンガーは鍔をかちかち鳴らして答えた。
 「そう、それそれ。怒りとか憎しみとか嫉妬とか、とにかく攻撃的な方が力が出るんだよ。そういや昔、明鏡止水とか言う剣術の極みとか言ってたやつがいたけど、あれじゃ全然力が出なかったな。落ち着きすぎてちっとも心が揺らがねえ」
 「冷静すぎると駄目なのかあ」
 「ああ。むしろ荒っぽい方がいいぜ。もっとも姐さんは例外かも知れねえけどな」
826ゼロと魔砲使い 第21話-06 ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:28:07 ID:NZOf11pV
 「例外? 私が?」
 首をひねるなのは。
 「ほら、前一回、俺にものすごい力を通しただろ? 心が震えてくるとああなるんだけど、姐さんはそういうのと無関係に力を通しやがった」
 「魔力を通した時よね。ということは……」
 “デルフリンガーか、あるいはひょっとしたら『ガンダールブ』のルーンに、感情を魔力に変換する能力があるのかも知れません”
 レイジングハートが冷静に言葉を繋いだ。
 「なるほど。その線はありそうね」
 なのはも頷いた。
 「そういえばタバサがスクウェアに目覚めた時も、なんか激昂してたよね」
 “そう考えると、これは個々の特性でなく、系統魔法に限らない、これはハルケギニアにおける魔法全体の特性かも知れません”
 「強い感情、特に攻撃的な意志を伴った感情が、魔力に変換されるのか……うん、ちょっと調べてみようか」
 そういうとなのはは、荷物の中からパソコンとスキャナを取り出すと、レイジングハートに接続した。
 「ご主人様」
 「判ってるわ」
 先ほどの話を興味深そうに聞いていたルイズは、打てば響くように頷いた。
 「とりあえず怒った時のことを思い出してみるね」
 ルイズは目を閉じると、過去、自分がキュルケに馬鹿にされていた時のことを回想した。
 今でこそ彼女のことを考えると少し心が温かくなる。だが、初めてあった頃は……
 その頃のことを思い出すと、むかむかした怒りがわいてくる。挑発的な言動には励ましの言葉が混じっていたことが今だと判ってしまうので除去。いろいろ思いだしていくうちに、キュルケのあるからかいの言葉が思い出された」
 
 ……あら、かわいいわね。
 −−な、なんでツェルプストーがヴァリエールであるあたしをかわいいなんて言うのよ!
 ……ふふふ、ねえ、今夜私の寝室に来ない?
 −−ちょ、ちょっと、あなた同性の趣味もあったの?
 ……ないわよ? って、あら、あなた女だったの。てっきり美少年だと思ってたわ。ごめんなさい、おほほほほ……
 
 −−そう、あいつは、最後の台詞を、あたしの胸を見て言いやがったのよ!
 
 そりゃ無いのは自覚しているけど、男扱いはないでしょ!
 
 
 
 ルイズの怒りが見事に爆発していた。
 
 
 
 「うわ、本当に魔力が増えた」
 “……今までうまく測定できませんでしたけど、彼女の魔力容量、かなり大きいですね。なまじたまっていたせいで、この魔力の多いハルケギニアでは返って測定しづらかったようです”
 「ああ、バックグラウンドに紛れちゃったのね?」
 “はい。虚無の発動でいったん空になったので測定できましたけど……概算でSからS+位はありそうですよ”
 「ミッドだったら即スカウトが来そうね」
 なのはは知り合いの甘党妖精元艦長を思い出しつつ言った。
 「でも、逆に言うと、『虚無』って……」
 “マスター並みの魔力を一回で使い切る大出力魔法なんですね”
 なのはは頭を抱えた。そしてふとあることに思い至った。
 改めてルイズの方を向いて言う。
 「ご主人様」
 「全くあのツェルプストーはーっ!……って、もういいの?」
 「はい。で、ちょっと思いついたことが」
827ゼロと魔砲使い 第21話-07 ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:30:07 ID:NZOf11pV
 そういうとなのははルイズの手を取り、詠唱した。
 
 「ディバイド・エナジー」
 
 レイジングハートがそれを受けて桃色−−なのはの魔力光の色に輝き、なのはの魔力がルイズに向けて流れ込んでいった。
 「わ、なに、これ。なんか暖かいのがなのはから」
 “……効果はありますが、これは……”
 だが、術式を中継するレイジングハートの声音は実にしょっぱいものであった。
 少ししてなのはが魔力の接続を切ると、光は収まった。
 「ご主人様、力が回復しているのが判りますか?」
 「ええ、何となくだけど」
 ルイズにも何となくだが力がたまっているのが感じられた。
 “虚無が命を削るという意味が少し判りますね”
 レイジングハートがぼやくように言う。
 「ん? どういうこってい」
 デルフリンガーがそれに対して興味深そうにツッコむ。
 「魔力の吸収効率が極端に低いのね。まあこんだけ魔力素が濃い上、魔法の基本形態が共鳴型だから当たり前と言えば当たり前かも知れないけど」
 「なのはには理由がわかるの?」
 ルイズも興味津々と言った様子で聞いてくる。
 「はい。つまりですね……」
 この世界は魔力に満ちている。物質に融合しているもの、拡散しているもの、などなど。
 そして形を為す前の魔力素も、他の世界に比べて桁違いに濃い。
 ただこの魔力素、空気中の酸素濃度のような面があり、濃すぎても薄すぎても障害が出る。
 薄いと当然量的な不足が生じ、魔力の回復が著しく阻害される。
 逆に濃すぎても魔法の暴発や濃度過多による吸収阻害が発生する。
 ミッドチルダなどに比べると、ハルケギニアの魔力濃度はこの吸収阻害が起きるレベルを遙かに超えて濃い。なのはがこれで異常を起こしていないのは、元々彼女の魔力容量自体が桁違いに大きい上、ガンタールヴのルーンによる補正が効いているためである。
 そしてルイズ達ハルケギニアのメイジは、その原理上魔力をあまり取り込む必要がない。
 彼らが消費する『精神力』は、触媒としての魔力であるため、直接魔力をエネルギーとして使用するミッド式やベルカ式に対して桁違いの変換効率を表面上は持つことになる。
 ミッド式では百の力を得るのに最低で百、普通は百二十〜二百近い魔力が必要になる。つまり変換に際してどうしてもロスが出る。
 ところがハルケギニア式では最高が百、普通は一〜十という信じられないような高効率が達成されている。これは事象の変換に必要なエネルギーを、自分の魔力から供給しているミッド式と外部から調達しているハルケギニア式の違いである。
 「ただ、虚無は例外みたいなんです」
 「例外?」
 なのはは説明を続ける。
 虚無の魔法は、現時点では『エクスプロージョン』しか判っていないが、それでも明らかに他の系統魔法とは違った面がある。
 なのはが調べた限りにおいて、エクスプロージョンは、設定された範囲において、魔力収奪による崩壊爆発を起こす呪文である。
 ここでポイントとなるのは、『収奪による爆発』という結果的な作用こそ外部の魔力を利用していることになるが、実はこの爆発自体が、エクスプロージョンという魔法からすると『二次的現象』に過ぎない。
 『エクスプロージョン』という魔法は、本質的には
 
 『一定の範囲内に対して、術者の設定した対象から、強制的に融合している魔力を引きはがす』
 
 呪文であって、爆発という破壊現象とは直接的に結びついていない。
 そしてそのためのサーチ、ターゲッティング、コントロール、その他すべては、『術者の魔力からの持ち出し』になっている。
 ここが他の系統魔法とは一線を画している点となる。

 「もともとこのハルケギニアのメイジは、魔力を自然から吸収する能力が、私たちに比べると極端に低いんです」
 「元から大して使わない上に、ちょっと吸収すれば足りるからね?」
 「そうです」
 なのははルイズの勘所を押さえた答えに対して喜びつつ頷く。
828ゼロと魔砲使い 第21話-08 ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 13:32:15 ID:NZOf11pV
 「加えて安全性を確保するという意味もありますが。それはともかく、『虚無』の魔法は、少なくともエクスプロージョンは極端に負担の多い術式なんです。途中であっても発動するのも、術の本質が『目標の設定』であって、爆発そのものではないからみたいですね」
 「さすがなのはね。私たちだけじゃ、この事を調べるのに何年かかったことかしら」
 ぼやくルイズに、なのはは首を横に振った。
 「いいえ、これはたまたまこの術式がハルケギニアのものというより、私たちの使うものに近いから判ったことですよ。虚無の魔法自体が、まるでミッド式の術式をハルケギニア式にコンバートしたみたいな面が強いですし」
 「基礎知識があったっていうことね」
 「そういうことです」
 「いやはや、たいしたもんだぜ姐さん。今回の使い手は、えらい頭がいいんだな」
 デルフリンガーも、感心したようにいった。
 「ま、なんにしても」
 なのははまとめるように言う。
 「ご主人様の素質は、虚無でなければ空前絶後だったはずです。まあ、だからこその虚無だったかも知れませんけど。これはどっちが先かになっちゃいますけど」
 「実は私って元からすごかったのね」
 茶化すように言うルイズ。増長するでもなく、自嘲するでもない、素直な誇りだった。
 「いずれにせよ、虚無の魔法はおそらく無茶苦茶に魔力を消費します。ご主人様の器が大きくても、それを簡単に空っぽにしちゃいます。私の魔力を渡そうにも、入り口が狭すぎてあまり補充できません」
 「そういえばなのはの魔力ってどのくらいあるの?」
 尋ねるルイズになのははちょっと恥ずかしそうに言った。
 「ご主人様よりは多いです。倍あるかどうかは微妙ですけど」
 「で、それがすぐ回復するのよね……」
 魔力素が濃い上それによる吸収阻害が起きていないため、それこそあっという間に魔力が回復するのが今のなのはである。なのは自身、それに気がついた時「どういうずるよ」と思わず自分にツッコんでしまったくらいである。
 「逆にご主人様は回復が極端に遅いわけですから、濫用は禁物ですね。あまり攻撃的な精神を保つというのもよくないですし」
 「そうね」
 ルイズだって魔法を使うために年がら年中ヒステリーを起こしているなんてごめんだった。
 (でも考えてみると以前の私って……)
 あまりにも力を溜めやすい状況だったために、ルイズは内心でがっくりと膝をついていた。
 そんな気分を何とか立て直してルイズは言う。
 「まさに切り札なのね、『虚無』は」
 「使いどころが難しいですね。他の魔法が使えるようになればいいんですけど」
 「でも読めないのよね」
 傍らの『始祖の祈祷書』に目を落とすルイズ。
 “心から必要だと思えば読めるはずです”
 レイジングハートがサポートする。
 「めんどくさいわね。でも仕方ないか。うかつに使うと即倒れるんじゃ……っと、結構時間経ってたわね。そろそろ寝ましょう」
 ランプの明かりが揺らめいていた。
 「はい、ご主人様」
 二人ともベッドに潜り込む。程なくして、室内はかすかな寝息だけが支配する静寂な空間になった。
829名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:36:34 ID:KDSq+Usk
しえん
830名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:38:22 ID:5kjUa62G
支援。
831名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:40:52 ID:KDSq+Usk
さるさんか?
いや、これで終わっているようにも見えるが。
832ゼロと魔砲使い 第21話-10(代理):2008/09/17(水) 13:42:53 ID:KDSq+Usk
 −−直後。
 寝たはずのなのはがむっくりと起き上がった。
 光量を落とした状態でパソコンを立ち上げる。
 「起きてたんですかい、姐さん」「しっ」
 話しかけてくるデルフリンガーを黙らせる。
 (どうしても話したかったら念話にして)
 (へいへい。どうもこれは好きになれねえんだが)
 なのははレイジングハートとパソコンをつなぎ、データを転送する。
 そこに映し出されたのは、ルイズにも読めないはずの、『虚無』の術式であった。
 (ざっと見た感じでもすごいわね、これ……)
 (“この世界の魔力に支えられたものではありますが、とんでもない系統ですよ、これは”)
 (魔法そのものがロストロギア級よね……ご主人様がこれを制御できるようになれば、最低ラインで問題は解決するんだけどなあ)
 (“読めない以上、難しいかと”)
 なのはが見つめていたのは、こちら風に記述し直された『次元転送』の魔法。
 呪文の名称は、『世界扉』となっていた。



以上で投下終了です。
続きは

 魔法学院大ピンチ、目覚めよ炎の女王!
 神聖なる矛盾、聖下の住まう地
 大いなる狂乱、復活の使徒

の三本立てでお送りいたします。時間ないよ〜。
833名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:45:47 ID:zNdkASYN
魔砲氏乙
代理氏乙
834名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:46:04 ID:KDSq+Usk
代理投下した!

そういうわけでGJ!
相変わらず続きが気になる引きだぜ。
つか、エクスブロージョンの呪文が途中で発動するとか、すごい納得したw
見事な見解(けんげ)なり!
835名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:46:53 ID:Q+8i921T
09がないけど、話がつながってるからナンバリングのミスかな?
魔砲の人、代理の人乙でした。
836名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:50:02 ID:eVKyzKqJ
>明鏡止水とか〜〜〜〜全然力が出なかったな

ば、爆熱の方の立場が…

>復活の使徒

ロマリアの地下にトンでもないものが
私的には変形ラミたんvs魔砲の人希望
837名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 13:57:42 ID:Fqo6eNGZ
>>835
と、指摘されたのであわててチェックし直したら、どうもナンバリングのミスのようでした。
つか私が慌ててコピペしたので、落ち着いてリロードしてたらすぐ解ることでしたわい。

代理も三回目くらいだけど、まだまだ慣れません。
魔砲の人のは二回目、かな…。
838名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 14:35:32 ID:Kd1hGrZW
>>794
黄金聖闘士は人格に問題がある人の集団なの?
原作は知らないけど
SSを見るからにアイオリアがまともな人に見えるんだが
839名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 14:47:56 ID:Uibc+GbC
ろくでもない奴ばかりのはず
星矢達の敵役だったし
840名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 14:54:30 ID:gajLZZR7
ろくでもないのは、サガと蟹、シャカ、原作版のシュラとアフロディーテくらいじゃないか?
まあトップのアテナが、大将首を上げるために敵の本拠地に単身乗り込む素敵なお嬢さんだから、ろくでもないやつがいても仕方ないだろう

>>794
スカーレットニードルは降伏か死かを選ばせる技で、早くしないと発狂するぞって事だったはず
841名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:08:24 ID:QoAG+jVu
半分近くろくでもないじゃないかw
842名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:10:03 ID:wyykL2Wz
魔砲使いさん乙です
次が楽しみだ……
843名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:10:32 ID:Baq+7m3H
>>836
爆熱のは頭は冷静、心は熱くってタイプの明鏡止水なんだよ、きっと。怒りは胸に沈めず両足に込めて己を支える礎とせよ、みたいな。

この理屈だと本当に殺すことだけを訓練されたやつとかなら、戦闘は心を伴わない単なる作業に過ぎないから力は出せなさそうだけど。
844名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:11:35 ID:V7zZw6oy
真面目な話をすると、
拳のスピードが光速を超えると地球がマジやばい。
845名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:14:58 ID:zmyv+QSt
そんな、ゼットン一兆度で地球がメルトダウンとか言わないでw
846名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:18:07 ID:Dy6vYNfw
ファンタジーのFは「FUSIGI」のF!
847名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:20:13 ID:khsRaCy+
>>839
べつにろくでなしばかりではないと思うぞ
ロストキャンバスに出てくる先代達を見るかぎりは。
848名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:20:40 ID:zNdkASYN
80年代ジャンプ作品にそこら辺を求めるのは酷だw
849名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:36:44 ID:uMtrYaDu
>>843
イワッチも後者の類か
850名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:40:10 ID:T38qcI+c
>ガイア
来たのが我夢で良かったね。
藤宮だったら……。

>魔砲
ひねくれたりおごったりしない成長をしているようで何より。さすがは高町教導官か。
デカレンジャーでも先代デカレッドが「ハートは熱く、頭は冷静に」と説いていますので、光って唸る人の明鏡止水の境地もそういうものでは?
851名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:48:50 ID:9SlzFKFl
らきすたのこなた召喚
何気に身体能力高い上にゼロ魔知ってる可能性もあるな
852名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:52:27 ID:eVKyzKqJ
>>851
こなたなら長編一本(逆召喚パターンだが)小ネタで一本あるよ

しかしクロスキャラがゼロ魔知ってるってパターンは無いなあ
853名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 15:54:29 ID:SHDkchLS
そういうのは憑依ものにまかせておくということで
854名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 16:07:35 ID:V7zZw6oy
だれか東鳩のヒロユキちゃん召還してくれよ。
タバサが何日で落ちるか知りたい。
855名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 16:10:03 ID:dVxNiXIr
性欲を満たすために無理やり本編どおりにイベントをこなそうとするVIPPERサイトなら連載中
856名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 16:12:28 ID:wHY90Jsy
イワッチで思い出したけどリタガン再開しないかな。
これからってところで随分前から停まってて生殺し状態。
857名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 16:19:57 ID:nw7e4wFz
>>850
藤宮自身は悪い奴じゃないと思うよ。
ただ地球を救うための手段と考え方が我夢と合わなかっただけかと。
858名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 16:25:39 ID:LEGRi+KH
>>855
kwsk
859名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 16:26:19 ID:fHWCghKN
>>857
て言うか破滅招来体に操られたクリシスに騙されてただけだけどな。
スタンスとしては

我夢「地球も人類も救おう」
藤宮「地球を救うためには人類を滅ぼそう」

みたいな感じ。
ただ問題なのは、藤宮の場合は頭脳も行動力も資金も体力(トレーニングしてたし)もウルトラマンの力もあるからねぇ。

畜生、1〜2クール目の藤宮大好きだぁー。
860名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 16:37:00 ID:wHY90Jsy
青にして灰白のまとめを読んでいたら漏れ?を見つけました。マリコの台詞から始まる部分が抜けているようです。
既出だったらすみません。
861名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 16:37:47 ID:480fVIqj
67 :名無しさん:2008/09/17(水) 11:14:24 ID:Nxgh2Y9A
ルイズ召喚(呪文で三次創作(笑)かわかる)
→連続失敗(付き添いはハゲはデフォルト、キュルケとタバサは高確率で見学してる)
→最後の1回で成功

人間だ(ここでギャラリーいる時は平民とはやし立てたりする)
→召喚やり直しを要求→ハゲ「それはだめです契約しなさい」

ルイズが貴族をアピールしつつ契約
(このときのルイズのスペックは召喚キャラを上回るのでほとんど成功するたまに避けられる)
→契約後にあんた名前なに?

お前から名乗れとかルイズを非難しつつ律儀に肩書つきでフルネームで答える召喚キャラ
「おれは○○のナントカだ」

見事にテンプレどおりですよ社長の人。

68 :名無しさん:2008/09/17(水) 11:20:31 ID:63qx6zAU
>>67
初めて書くのにはテンプレの方が最善の書き方なんだよきっと。

それよりバイオのアレはワロタwwwww
ジル先生って…オレの腹筋を殺す気かw

70 :名無しさん:2008/09/17(水) 12:15:42 ID:/WU/MCEo
なんか最近、本スレの雰囲気が変わってきてないか?
何処が如何という訳じゃないが、見て居られない空気を感じる……

71 :名無しさん:2008/09/17(水) 12:26:42 ID:fxXMB.w2
もうね、あんな奴らのSSなんて全部Wikiから消そうぜ

72 :名無しさん:2008/09/17(水) 12:35:20 ID:GqYiVNrM
本スレの平均年齢が下がった感じがする。作者も読者もガキくさい奴が増えた。
862名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 16:56:37 ID:Baq+7m3H
「なんで毒吐きのほうを本スレに貼る」とか言って釣られるなよ!

絶対に釣られるなよ!!
863名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:12:30 ID:480fVIqj

89 :名無しさん:2008/09/17(水) 16:51:30 ID:4HwO0uNw
誰だよ本スレにコピペしたバカは

90 :名無しさん:2008/09/17(水) 17:03:09 ID:Cyca.Ld.
それより釣られるなよ!とか反応して全力で釣られてる馬鹿はどこのどいつだ

本スレの雰囲気なんかだいぶ前から変わってると思うが、住人の馬鹿さが加速したのは最近だな
洒落抜きに平均年齢下がってる感じだよなー

91 :名無しさん:2008/09/17(水) 17:11:03 ID:1y8d4uvw
ランスが来たあたりじゃね?
まぁ作品以外はスクロールしてるからどうでもいいけど
864名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:27:20 ID:dVxNiXIr
2ch歴350年の俺に言わせると、ここの精神年齢がどうしようもなくさがったのは
ここ349年くらいの出来事
865名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:29:23 ID:V7zZw6oy
いまいちだろw
866名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:34:50 ID:jvtRe2BP
ここの平均年齢が下がってる感じがするのには同意するが
毒吐きスレの平均年齢も下がってる感じするよ
867名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:35:03 ID:Qv1SfADI
こういう話題で伸びてるところがグダグダ言われてる理由だと思うけど
いつまでも完全に関係ないレスをスルーってのは難しいししかたない
気付いた個人個人が自重してくしかないわけだわさ

気張らずにやろうぜ
868名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:36:34 ID:nSUuU2V9
前回のと合わせて魔砲読んだ。
おもしろかったけど前話のルイズの言葉遣いがひどくないか?
トリステインの不穏分子に対しての毒虫とかw
869名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:40:55 ID:8OrRXOtn
>>866
本スレと避難所は同じカードの表と裏だし
互いに影響しあってもおかしくないと思うんだ
870名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:43:40 ID:NaZPb7t1
まぁ、毒吐きスレの皆はツンデレですから。
憎めないです。
ただ、本スレのこぴぺは止めておいた方がいいのでは。
871名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:46:43 ID:FdjkyHif
ツンツンデレツンデレツンツン
872名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:53:29 ID:/QplQoHi
夜桜四重奏のきょにう眼鏡言霊使いを召喚

眼鏡できょにうで百合。
完璧だろう。
873名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:54:31 ID:UCiTncTH
ロックマンのX・・・
なんか暗くなりそうだ
874名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 17:56:31 ID:jvtRe2BP
岩本版だとな
原作はそうでもないだろう
875名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 18:02:56 ID:2f8l/AgA
DQM+の勇者ロトの出番ですね
876名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 18:06:10 ID:2f8l/AgA
ロトじゃなくてロランでした
877ゼロと魔砲使い ◆IFd1NGILwA :2008/09/17(水) 18:19:18 ID:NZOf11pV
さるさんも解除されました。2分じゃまだきついかなあ。
代理の方、遅ればせながらありがとうございます。


>>868

ルイズの言葉遣い、直そうにも的確なのが浮かばなくて申し訳ない。
ちなみに毒虫は(ちょっとだけ直しました)19話のワルドの毒虫発言から引いているので直せないんです。
878名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 18:21:25 ID:n9zOMao4
体に武器がついてて(サイコガン的な)好きな時にガンダ発動、とかありかね
879名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 18:26:12 ID:r+dWuNoi
魔砲の人乙

これはキュルケとギーシュが更に一皮剥ける予兆!?

>>870
彼らはルイズかはたまたイザベラ様か
今見てきたら「ヤンデレ」という言葉がナチュラルに浮かんできたよ
好きだから荒らしちゃう!あたしと一緒に死んでー!
とか
880名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 18:29:58 ID:r+dWuNoi
>>879
はい質問
ハルケギニアの一般的なメイジが
ミッドチルダに渡ってミッドチルダ式を会得できる可能性はどれだけありますか?
具体的にはワルドとか
881名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 18:30:56 ID:UCiTncTH
>>874
さっき5のエンディングみたせいかな
すごい泣きそうなった
882名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 18:33:28 ID:W4LDZr7i
>880
本人の努力しだいじゃね? あの大阪さんですら『スターライトブレイカーや』を習得できたんだしw
883名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 18:38:53 ID:MQmEqWVv
>>880
ゼロ魔となのはでは魔力の設定が全然違うからなぁ。
つまり『なのは世界における』魔法の素質が無ければその時点で詰み。
幾ら努力しても決して身につかない。
884名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:05:27 ID:QoAG+jVu
>>880
もともとまったく関係ない作品だけに全く未知数でございます
ワルドがまったく素質が無かったりシエスタがすごい素質があったりする可能性もあれば
普通にメイジとしての素質に比例する可能性もありまする
ようは作者しだいでごじあいます
885名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:05:36 ID:NaZPb7t1
ハルケギニアの水による治療<<現代先進国の治療
水の指輪(先住)>現代先進国の治療
メイジの肉体能力<<<<<<アメリカ海兵隊隊員
平民兵士70000<アメリカ軍 壱師団+機甲小隊
アメリカ海兵隊隊員<昔の日本軍兵士
昔の日本軍は蛆虫に怪我を治療される。
よって。
ハルケギニアの水による治療<蛆虫
886名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:08:32 ID:zykhFCF6
>>885
それが今までの話題とどの様な関連性が?
ファンタジーと現実を比べるなんて馬鹿げてると思うけど。
887名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:10:47 ID:uzd6W7wc
そもそも水による治療ってなによ
888名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:12:06 ID:hc3sG3qz
>>809
SIREN2の三沢か?
889名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:12:11 ID:XZmp/0/T
副作用は水ぶくれ
890名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:12:37 ID:a8pnwLLT
意外な事に蛆やフンコロガシは自分が病気や食あたりにならないように
常時消毒薬や胃腸薬を作成して対処している。
(牛糞入りの堆肥を好んで食うカブトムシの幼虫も結構)
その為、彼らは今でも医学者の研究対象だったりする。
891名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:12:39 ID:gajLZZR7
水属性って言いたいんじゃないのか
892名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:15:44 ID:pNCUS4B5
そろそろ次スレ立てるべきか?
893名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:21:55 ID:NaZPb7t1
>>886
ごめん…場を和ませようとボケただけだったんだ…。
894名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:25:37 ID:K4NbNTWA
マゴットなめんな
自然の持つ治癒力は現代医学をも時として凌駕するってことを知らないのか
榎稲穂師匠もドクターKもそう言っていたというのに
895名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:27:09 ID:gajLZZR7
>>892
テンプレに従うなら、もう少ししてからだな
896名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:27:48 ID:093lAzkT
ひさしぶりにゼロ魔原作スレいったら、
新刊発売1週間前で驚いたぜ
897名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:32:32 ID:q60FEhyp
>>896
早!
898名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:33:02 ID:NaZPb7t1
おお!!はやく、はやく俺に新刊を!
899名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:34:41 ID:spBxlmJT
やっぱすごいよな
長期になると新刊が出る間隔が長くなったりそれどころか数年出ないことだってざらにあるのに
900名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:35:24 ID:eiNeaFwu
現代日本人でラノベ読むようなキャラなら知っていてもおかしくないんだけどね。
901名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:36:22 ID:eiNeaFwu
ごめんなさい。>>900は、>>852-853について。
902名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:37:33 ID:4S2ck/bb
>>899
レッドサン……ラバ空……覇者の……
903名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:37:39 ID:fk22Hq8D
うんこ食えるようになったらこれ以上のリサイクルはないからなぁ
904名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:37:53 ID:Z84S8jB4
ぶっちゃけ最初の勢いがないからな今のゼロ魔は
売れるうちに突っ走ってるのかも知れない
905名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:39:30 ID:q60FEhyp
>>904
いや、大体こんなペースだぞ
今回は1ヶ月から2ヶ月ほど早いけど
906名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:42:11 ID:Z84S8jB4
>>905
ストライクウィッチーズも同時にやって月1で新刊だしてる
どうしちゃったのかな
907名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:43:50 ID:IZRopqka
>>902
ああ・・・次はパシストだ・・・
908炎神戦隊ゴーオンジャー ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 19:45:52 ID:xKiJJWAc
GP−05投下してもいいですか?
909名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 19:56:06 ID:NaZPb7t1
正直、現実の人もファンタジーとしか思えない活躍する人いるよね。
ルーデルとかルーデルとか、シモ・ヘイへとか船坂弘とか船坂弘とか辻政信とか坂井三郎とか
どうみてもファンタジーです。本当にありがとうございました。
910炎神戦隊ゴーオンジャー ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 19:56:57 ID:xKiJJWAc
20:00頃にGP−05を投下します。
911炎神戦隊ゴーオンジャー@ ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 20:01:36 ID:xKiJJWAc
次回予告
「オン! バスオンでぃ。今日は虚無の曜日って事で魔法学院も休みなんだが、ヒューマンワールドじゃ毎週日曜日にガイアークが蛮機獣送り込んでっからな。油断はできねぇぜ!
 GP−05 買物ホリデー
 ――GO ON!!」
912炎神戦隊ゴーオンジャーA ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 20:03:12 ID:xKiJJWAc
「炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!」

 学院長室では、コルベール・オスマンが「遠見の鏡」で決闘の様子を見届けていた。
「……圧倒的でしたな。あんなゴーレムを作り出すとは何とも恐るべき使い魔です。あの突風と竜巻……、トライアングルクラスのメイジにも劣らぬものですよ、オールド・オスマン」
 コルベールは厳しい視線でセンプウバンキ・ギーシュ戦を見ていた。
「どういうゴーレムなのじゃろうな、あれは」
「かなりのメイジの手によると思うのですが……」
「……うむ、あのルーン、君の持ってきた資料に間違いが無ければ確実なのじゃろう。それも気になるが……」
「オールド・オスマン! 早速王室に報告して指示を仰がない事には……」
「それには及ばん、ミスタ・コルベール。王室のボンクラどもに過分の力を与えてどうしようと言うのだね? 戦争でもしようと言うのか?」
「そ、それは……」
「この一件、わしが預かる。他言は無用じゃ」
「仰る事はわかりますが、状況は……」
「そうじゃ、ゴーレムを通じてとはいえ彼らは自分達の存在と能力を堂々とさらけ出した。ミスタ・グラモン、ドットクラスの土メイジなど敵ではないゴーレムを作る自分達の能力をな。人の口に戸は立てられぬ、アカデミーの耳に入るのもそう遠くないぞ」
「それに何やら嫌な予感がします。下手をすればハルケギニアが戦火に包まれるどころか、死の世界と化すかもしれません……」
 コルベール・オスマンは夕焼け空を眺める。晴れ渡るだろう明日の天気のような明るい未来など期待できないと知りつつも。
913名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 20:03:40 ID:4cLcS3QW
>>907
ここで星界の・・・とか十二・・・とか言ってみる
ノボルエライ!ノボルエライ!
爪の垢を煎じて遅筆作家に注射してやりた
914炎神戦隊ゴーオンジャーB ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 20:05:14 ID:xKiJJWAc
 ――GP−05 買物ホリデー――

「ううう……、頭痛い……」
 ギーシュとの決闘の翌朝、ルイズの目覚めは激しい頭痛と共にあった。
「……確か昨夜は……、決闘の後ヘルガイユ宮殿で祝勝会とばかりに酒盛りをやったんだったわよね……」
 ケガレシア達が嬉々として呑んでいる「DIOXIN BEER」だの「錆の雫」だのというぞっとしないラベルの瓶の中身を呑む気になれなかったルイズは、シエスタに持ち出させたワインを1瓶空けて泥酔した。
 すっかりできあがって大声で、
「♪害悪(ガイアーク)ナンバー1 大地を汚すヨゴシュタイン
バン(バン)バン(バン)君の番 そう明日のために
ブン(ブン)ブン(ブン)ゴミ処分 エゴな投棄GO!」
 やら、
「♪汚染が大好き 蛮機族ガイアーク
リデュース・リユース リサイクルやめちゃおう
絶望させたいから頑張れる GO−ON!!」
 やら素面に戻った今にして思えば実に不穏当な歌を歌っていた記憶はあるが、そのあたりから記憶が曖昧になっている。
 激しく痛む頭部を押さえつつケガレシアに声をかける。
「……ケガレシア、街に買物に行くわよ」
 ルイズは休日である虚無の曜日を利用しケガレシアと街に買物に行く事にした。ヨゴシュタイン・キタネイダスは相変わらずヘルガイユ宮殿で機械いじりをしている。
 蛮ドーマから見下ろすトリステインの城下町はまさに自然と都市が調和した美しい町並みなのだが、ケガレシアはそれらにあまり興味が無さそうだった。
「これがトリステインの城下町でおじゃるか?」
「ええ、ブルドンネ街はトリステインで1番大きな通りよ」
「なかなか賑やかでおじゃるな」
「スリも多いから気をつけるのよ」
「目当ての店は決まっているのでおじゃるか?」
「ええ、こっちよ」
915炎神戦隊ゴーオンジャーC ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 20:06:49 ID:xKiJJWAc
 その頃学園寮のモンモランシーの自室では……、
「……ルイズ達がどこかに行った……キタネイダスって奴は別行動っぽい……」
 そう言いつつトランプを広げるタバサ。
「買い物にでも行ったんでしょ。それよりタバサ、あんた何でそんなにミスタ・キタネイダスの事目の敵にするの?」
 トランプを1枚置くモンモランシー。7並べをしているようだ。
「……パス……」
「それよりあたしはあのケガレシアって女が何か気に食わないのよね。ギーシュがどうこうっていうより生理的に。そうそう、ギーシュはギーシュでミスタ・ヨゴシュタインが嫌いみたいよ」
「……そう……ところでハートの6と8を早く出して……」
「ん……、何であたしが止めてるのを知ってるの?」
「……2人で7並べをしているから……」
「なるほど」
「……出して……」
「……嫌」
「………」
 無表情のためそうは見えないが、キレて手持ちのトランプを放り投げるタバサ。
 その時、
「タバサ! こんなとこにいたのね! 今から出かけるわよ! 早く支度してちょうだい!」
 声と共にキュルケが部屋に飛び込んできた。
「……何……」
「ミス・ケガレシアがルイズに連れられて街へ行っちゃったの! 今日こそは女を上げる方法を教えてもらおうと思ってたのに! だから追いかけるのよ! ルイズ1人に女を上げさせたりはしないわ! それにはあなたの協力が必要なのよ、タバサ!」
 ケガレシアの名前を聞いたモンモランシーが眉をひそめるのにもかまわず、キュルケは早口でまくし立てた。
「ありがとう! タバサ!」
916炎神戦隊ゴーオンジャーD ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 20:08:22 ID:xKiJJWAc
 一方、ルイズ達はある武器屋に入っていた。
「こいつはおったまげた! 貴族が剣を! おったまげた!」
 武器屋に入ると店主は最初はルイズ達をガサ入れに来た役人かと驚愕したが、客だと言うとそれ以上に驚愕した。
「ねえ、貴族が客だからってちょっと大袈裟過ぎない?」
「いえ、お嬢様方。農民は鍬を、兵隊は剣を、貴族は杖を振ると相場は決まっておりやすんで」
「使うのは私じゃなくて彼女よ」
「こりゃまた随分と用心深いお方で。ゲルマニアかガリアの国境に近い所の出身ですかい?」
「どうしてそんな事を?」
「なあに、ちょっとした推測でさあ。でかい戦まではいかなくても、お隣さんとのいざこざに備えてるのかと思いやして」
「まあそんなところね。彼女に合うような武器を見繕ってくれる?」
「へえ、でしたらこちら! かの高名なゲルマニアの錬金魔術師・シュペー卿が――」
「駄目でおじゃるな。これならわらわの鞭の方がましでおじゃる。まあマジックワールドの技術では、あまりいい武器は望めないでおじゃるが……」
「……まあ、あんなのを魔法抜きで作れるケガレシア達から見ればねえ……」
『ナマ言ってんじゃねーぞ! 剣もろくに使えねえアマが!!』
 ルイズ・ケガレシアの会話に割って入った何者かの声がした方向に、2人は注目する。
「あ、こらデル公。てめえ何言ってやがんだ」
 ケガレシアは樽に乱雑に突っ込まれていた剣の中から、1.5メイル程度の長剣を取り出す。
「ほう」
「インテリジェンスソード?」
「へい、何せこんななりですが……」
「……ふむ、いただくでおじゃる」
「そ、そりゃ毎度」
「ちょっとケガレシア、そんな錆だらけの買ってどうする気!?」
「少々面白い事を思いついたでおじゃる。……たぶんルイズも気に入るでおじゃるよ」
『い、いったい俺をどうする気だ!? ……ってこいつ「使い手」か!? こんなとこで使い手にめぐり会えるたーね……な、何だこりゃ!? こんな奇妙な「使い手」は初めてだぞ!?』
「いくらでおじゃるか?」
「新金貨で100ですかね」
「高くないの?」
「馬鹿言っちゃいけやせんぜ。あの大きさの大剣なら相場で最低200でさ。ただあいつは見た目通りで置いとくだけで商売の邪魔になりやすんでね。中古の値段でいいでさあ」
「買ったわ」
 ルイズは財布を取り出すと、新金貨を100枚店主の前に積み上げた。
917炎神戦隊ゴーオンジャーE ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 20:10:13 ID:xKiJJWAc
 2人が店を出ると、色気をふり撒いている赤髪の少女とその後方をついてくる小柄な青髪の少女が店の前にいた。共に杖と何かしらの荷物を持っている。
「ハーイ、ご機嫌いかがかしら、おふたりさん」
「キュルケ、タバサ! 何でここにいるのよ」
「あら、どこにいようと私の勝手でしょ。剣を買ったみたいだけど、そんなボロ剣で済ますなんてヴァリエールもケチね」
「うるさいわね」
「そんなボロ剣よりこっちの方が素敵よ」
 キュルケが持っていた包みの中から出てきたのは、華麗な装飾のレイピアだった。しかしケガレシアはふんと鼻で笑い、
「元々武器としてならわらわの鞭の方がましでおじゃる。これはちょっと面白い事に使えそうなので買ったでおじゃるよ」
『……っていうかよ、姐さん、ほんとに俺が必要なの?』
 ケガレシアが帯びているデルフリンガーが自信無さげに質問した。
「そう言うものではないでおじゃるよ、デルフリンガー。わらわ達はまだマジックワールドについて知らない事が多いでおじゃるから、お前の知恵は役に立つでおじゃる。それに戻ったらもっともっと強力にしてやるでおじゃるよ」
『……嫌な予感がするのう』
 デルフリンガーは溜め息を吐くような雰囲気で呟いた。
918炎神戦隊ゴーオンジャーE ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 20:14:09 ID:xKiJJWAc
以上投下終了です。
しかし反応が無くて寂しい……。
919名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 20:16:52 ID:7lyylFWV
仕事中なんだ乙。
てか毎週日曜日に蛮機獣ってw
920名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 20:17:40 ID:pNCUS4B5
ちょっと早いかも知れんが次スレ立ててくる
921名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 20:19:55 ID:pNCUS4B5
ホスト規制で弾かれた・・・  orz

他の人お願い
922炎神戦隊ゴーオンジャー ◆/J119aJ2n2 :2008/09/17(水) 20:23:37 ID:xKiJJWAc
>>919
いや、ソングコレクション内のミニドラマでウガッツが出た時、
「今日は日曜日でもないのに」って言ってたのでちょっとメタなナレーションを入れてみた。

ちなみに酔ったルイズが歌ってたのは、「炎神エコラップ Recycle Custom」の替え歌「害悪(ガイアーク)エゴラップ Pollution Custom」。
「害悪産業革命宣言」を歌たかったが、ほとんど歌詞がわからなかった……。
923名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 20:35:45 ID:ghC/mzDw
>『……嫌な予感がするのう』
何故か男塾一号生の田沢を思い出したw
924名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 20:52:34 ID:Q3a/hx9X
うおっ、今来たらケガレシアさまの新作が!
替え歌、1stか2ndかな?と、思ったら、エコでしたか。
果たして、デルフの産業革命ネタはあるのか!
GJでした。
925名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 21:07:31 ID:xaCkmk3X
ID:pNCUS4B5
てんぷれよんだことないんですかー?
926名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 21:11:11 ID:uchkoXZB
>>923
そのセリフは松尾じゃなかったっけ。あいつの「嫌な予感」はよく当たるんだよな。
927名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 21:11:11 ID:QQ8adROF
・次スレは>>950か480KBからお願いします。
現在475kbぐらいだな
928名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 21:17:15 ID:SHDkchLS
まぁだからちょっと早いって言ってるんだろうが。
今は別に急ぐ理由もないな。
誰かが投下しようとしてて容量がやばいってんなら早めに立てる意味もあるんだが
929名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 21:19:49 ID:bdb/NhBf
スレ立てようとしてるのはアレな奴だな。
立てさせちゃ不味いだろ。
930名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 21:28:39 ID:4S2ck/bb
二人で7並べって、なんつう虚しいことやってんだ……
931名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:00:22 ID:fHWCghKN
こいつらは部下が死んだら作中で堂々と「喪中」とかやる連中だからなぁ
932ゲーッ!熊の爪の使い魔:2008/09/17(水) 22:05:43 ID:zY3SQ2rU
しばらくしたら投下しようと思うのですが次スレの話も出ていますし次スレを待ったほうがいいでしょうか。
それともまだこちらに投下でよろしいでしょうか。
933名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:09:26 ID:fHWCghKN
まだ多少余裕もあるからいいと思うが支援
934名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:09:34 ID:j58f56vk
ベタテキストファイルにして20kB以下ならかまわんだろ
935名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:09:36 ID:4E6fuf/I
>>932
現在477kbだから次スレ待った方がよさげかな?
936ゲーッ!熊の爪の使い魔:2008/09/17(水) 22:11:51 ID:zY3SQ2rU
10kBくらいなのでこちらに投下することにします。
15分ごろから投下します。
937ゲーッ!熊の爪の使い魔1/3:2008/09/17(水) 22:15:38 ID:zY3SQ2rU
第三話 クマのいる生活

さて、部屋に戻ってきた。夜は長い。気を取り直してルイズはベルモンドに質問してみることにした。
「改めて聞くけどあんたって一体何なの?」
「? ボクはベルモンドだよ」
「それはもう聞いたわよ!私が聞きたいのは名前じゃなくてあんたが何者かっていうこと。
着ぐるみみたいな格好のくせにその上からでも契約できるしあんたもしかして変な種類の亜人か何か?」
「ルイズの言う亜人っていうのが何のことかわからないけど違うよ、ボクは『超人』だよ
ところでボクからも聞きたいんだけどここの人たちってみんな魔法っていうものが使えるの?
コルベールのおじさんはそんなことを言っていたし、他の子たちも空飛んで帰ってたよね」
「チョージン?聞いたこともないわね。それに魔法が珍しい?あんた何言ってんの?」
「え、でもボクのいたとこじゃ魔法なんて見たこともなかったよ。
まあ、悪魔霊術とかピラミッドパワーとかオプティカルファイバーパワーとかなんかそれっぽいのを使う人も少しはいたなあ。
そういえば月が二つもあるんだね、ここ。すごいや」
そう言ってベルモンドは考え込むポーズをとる。
ルイズはそれを聞いて頭が痛くなるのを感じていた。
着ぐるみだか亜人だかチョージンだか知らないが録に魔法も知らないとはとんでもないド田舎から呼んでしまったということか?
というか月が二つってどういうことだ、頭おかしいのかこいつ?
こんな常識知らずが私の使い魔として務まるのか?
そう感じ、何か言ってやろうと抱えた頭を上げベルモンドを見やった。頭に手をやり考え込むクマちゃんを。
「か、かわいい…」
だが、文句の言葉が口を出ることはなかった。
「え、なにか言った?」
「言ってない、言ってない!何も言ってないわよ!」
だが口とは裏腹に眼はベルモンドから離せない。
確かにこいつは変な奴だが見た目はクマちゃんで、なんていうのかその、愛らしい。すごく。

抱きついてもふもふしてみたい。
938ゲーッ!熊の爪の使い魔2/3:2008/09/17(水) 22:16:34 ID:zY3SQ2rU
ルイズは頭を振って今浮かんだ考えを打ち消した。
こいつは使い魔で私はその主人なのだ。もっと威厳あるしっかりした態度で接しなくては。
「こほん、まあいいわ。とにかくあんたは私の使い魔なんだからしっかりと務めを果たしてもらうわよ」
そうしてルイズは使い魔の務めを話し出した。
そうして役割を教えた後威厳たっぷりにその実行を命令しようと考えていたのだが、その目論見はあっさり外れてしまった。
感覚の共有はできないし何か探させようにもよほどの田舎から来たのかこっちのものは何も知らない。
もう期待などできなくなってしまったが、一応一通り言っておこうと思い最後の主人を守るという役目を話したとき意外な言葉が返ってきた。
「うんそれならまかせてよ。必ずルイズを守ってあげるよ」
「あのねえ、あんた、冗談はやめてよ。あんたみたいなのがそんなことできるわけないでしょ」
はっきりいってルイズにはベルモンドに戦闘力があるようには全く見えなかった。
そこいらの使用人のほうがまだこのクマちゃんよりは強そうだ。取り柄といったら可愛いことしかないんじゃないのか、こいつ。

ああ、かわいい。抱き枕にして寝てみたい。

939ゲーッ!熊の爪の使い魔3/3:2008/09/17(水) 22:17:40 ID:zY3SQ2rU
ルイズは頭を振ってまたしても浮かんだ変な考えを打ち消した。
が、そんなルイズを気にしないでベルモンドは自信たっぷりにこういってのけた。
「大丈夫だよ。僕は正義超人だからね。みんなを守ることが使命なのさ」
いや、正義チョージンだからね、なんて言われてもちっとも理由になってない。さっぱりわけがわからない。
部屋に戻ってじっくり話を聞こうと思っていたが結局頭が痛くなるだけだった。
もう話を切るのはあきらめてせめて主人らしく振舞おうと自分を着替えさせるように命じた。威厳たっぷりに。
……いや、本人はそのつもりだったが女の子がクマちゃんに着替えを頼むというのはほほえましい光景でしかなかった。
「はーいじゃあじゃあ脱がすよー、腕上げてー。はい、じゃあこれ。服はどこへしまえばいいのかな」
ベルモンドは案外てきぱきと着替えさせてくれた。手がボタンにかかったときこの着ぐるみの手で細かいことができるのかと気になったがそれも器用にこなしてくれた。
さて、問題は寝るときだった。ベルモンドに寝る場所として床を指したのだがさすがにこれは不満そうだった。
それでもあんたは使い魔だからと強引に押し切ったら諦めたのか床の隅に向かっていった。
そこまではいい。だがベルモンドはそのまま膝を抱えて座り込んだのだ。
「うう」
部屋の隅で背中を丸めて膝を抱えるクマちゃん。
「うううう」
なぜか心が痛む光景だった。
「うううううう……あーー!もういいわよ、あんたもこっちで寝なさい!」
「え、いいの?」
「いいのよ!でもこれは得別なんだからね。あたしが寛大なご主人様なことに感謝しなさい!」
「わーい、ありがとう」
そうしてベルモンドもベッドにもぐりこんでくる。
ルイズはさっきベルモンドを抱き枕にしたいと考えたのを思い出した。でもプライドとかが邪魔をして結局抱きつきはしなかった、起きている間は。
眠った後ルイズは自然とベルモンドに抱きついていた。
この夜、ルイズはかつてないほど安眠できたという。


少女はその中身をいまだ、知らない。
940名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:19:55 ID:fHWCghKN
よく考えるとあの黒い戦争さんがこの口調で喋ってるんだよな乙
941名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:20:22 ID:/+RBL+OA
中の人などいない。
っていうか戦争男なんか出てきたら泣く。
942ゲーッ!熊の爪の使い魔:2008/09/17(水) 22:21:04 ID:zY3SQ2rU
以上で投下を終了します。
ところで今だにオプティカルファイバーパワーの理屈がわかりません。
よろしければこのゆで理論を説明してください。
943名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:22:08 ID:4E6fuf/I
酷い詐欺だよなw 乙でしたー
944名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:23:00 ID:hFq2Y0h6
オプティカルパワーはすごい
だから強い
説明終了

ではだめか
945名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:23:17 ID:rcNyksDX
ルイズにタッグフォーメーションA覚えさせれば使い魔と共同作業が出来るはず。
946名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:25:17 ID:j58f56vk
「ゆでだから」
これ以外の説明は不要と言うか不可能
947名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:28:09 ID:lEd+X1JF
「理論の後に現象がついてくる」でもいいと思う
もしくは強い願いや思い込みが現実になる理論
948名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:30:31 ID:fHWCghKN
腕を切断されて右手のベルリンの赤い雨が使えなくなるのは分かるんだが、
何故そこで左手ではなく足で同系統の技を使うという発想に行くんだか理解できない。
949名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:32:57 ID:TCawn4u+
ウォーズマ、ゲフンゲフン熊の人乙。
正体を延々秘匿して、テファニア介抱イベントまでぬいぐるみだとおもしろいとか思った。

傷の介抱をしようと近寄るテファの目の前で、背中のファスナーから姿を現す戦闘演算機。
驚愕、恐怖するテファ→敵意が無いことを示そう→友好的な態度が相応しい

結論:笑顔
 ウ ォ ー ズ マ ン ス マ イ ル
950名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:42:20 ID:5TIKK0LA
テファ「コーホーコーホー」
951名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:45:02 ID:gajLZZR7
>>945
ルイズがロビンポジ→ルイズつぶれる
戦争男がロビンポジ→ルイズ背骨折れる


何となく戦うたびに、実況、「実況」の二つ名を持つ生徒、 解説、世界に羽ばたくアデランスのコルベールでお送りしてる所を幻視したw
952名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:46:14 ID:FRNM3pL7
ちょっとごめん
ベイダー卿久しぶりに読みたいんだけど
まとめwikiのなかに見当たらん
ケータイだから探せてないだけ?
ある?
953名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:49:33 ID:Vu4cmv2o
954名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:50:28 ID:ZAApZjC9
>>949
あんなカシャンとかシャキンとかの効果音が付きそうなものは断じて笑顔じゃねえ
……影響を受けてウォーズマンスマイル浮かべるテファが見えた
955名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:53:05 ID:3bcTAOlf
ベイダー卿は、まとめWikiからだとリンクのページから外へ飛ぶ必要がある。
ジョジョ、エヴァ、鋼の錬金術師なんかもその類だ。
956名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:54:53 ID:FRNM3pL7
>>953
>>955
ありがとうございました
なんかめんどくさいんですね
957名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 22:57:31 ID:dtLi2gzh
以前は銀英伝も別スレに隔離、という話があったんだけど、結局作らなかったの?
ジョジョ並に呼べるキャラ多いと思うんだけど
958名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:01:12 ID:QQ8adROF
では、そろそろ次スレたのむ
959名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:09:18 ID:5TIKK0LA
埋め
960名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:10:33 ID:FtYRInUR
            ____,......、_
           ,/´::::::::::::::::::`ヽ、.
         ,/´;::´;::::::;:::::,,;:::;;; ;,、:\
        /;';/:::;/;/´フノ リ`゙i::::`、
       ,/レ/;/!/○    ノ 、_!::!::;;i,
       ,/:/:/::::/  ,、      ○ リ:;:| i!
      ,/::::/:::::/  i  ヽ、_    |;ノi 
     ,イ:::::;!:::::/|  |      フ  /:::|
    ノ,/::::/;::::::|:ヽ、 ヽ    /  /::|:::| < 誰も居ませんよ?
   / /::::::::|:|::::::|::::::`メ、`___ ´,, イ:::::|:::ト、
  / /::;::::::|リヽ、|;/~ \|ヽ;::::::::::::::::::;|;イ `
 ノ  /::/::::::|::::::::/::::ヽΤ`+´`、:::::::::::::::リ;|
   i::::|::::::::|::::::/:::::ノ:´゙レ、ノ、_ノ、;::::::::::::::|;|
  /:::/|::::::;/::::/:::/::::::::::::::ヽ´::::i`、:::::::::::|i!
  /;::||::::::;/:::::/;;;/::::::::::~::::::~::|::::|;、`メ;;::::|リ
 レ´|:| !;;;;|::_;/_ソ;;::;:::;:::::;::::;:::::|:::;:i´~ー´:ノ 
   !j-ーイ_/,/,__|__|___|__|__|__|__ト;;;;/
 ''゙´"/'´`|\:::::/===/:::::::::::|===|
 ^~~    ` `ソ::::::::/::::::::::ノ|::::::::|
961名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:14:17 ID:eVKyzKqJ
ガッツ召喚って非難所逝きかなあ?
アンアンの命令で平民に成りすましてマッシブな工事現場で働くルイズとか見たい
962名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:14:19 ID:zNdkASYN
誰も立てないのなら挑戦します。
963962:2008/09/17(水) 23:18:56 ID:zNdkASYN
ホスト規制で失敗しました
次の方お願いします。
964名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:24:37 ID:B51m5ltX
スレ立てに行きます
965名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:25:08 ID:4cLcS3QW
>>961
「Theガッツ」か?
元ネタエロゲでもエロイシーンなければこのスレでOKじゃね?
966名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:29:16 ID:B51m5ltX
967名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:33:12 ID:gajLZZR7
>>966
スレ立て乙です
968名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:33:59 ID:oEAHzdVt
乙。さて、埋めてくれヴェルダンデ
969名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:34:38 ID:4DmPF8Sr
スレ立て乙!

彼岸島から西山なんて考えたが…
召喚後すぐにコッパゲと爆弾作ってそうだし、
フーケとの戦いでは破壊の杖そっちのけでお手製ロケット砲使用、
タルブでこんなこともあろうかと味噌を持ってきたり、
侵攻されたらこんなこともあろうかと地雷を敷いておいたり、
手に負えなさそうなことしまくりそうなのでやめた
970名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:36:28 ID:GaJo2Cyc
この早さなら言える!

>>701
俺もそう思った。
971名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:38:35 ID:B51m5ltX
もうスレ立てちゃったけど、設定・考察Wikiはテンプレに入れるだと思った。
972名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:40:24 ID:t00cf6BW
>>949
それって、テファ終了のお知らせ?w
973971:2008/09/17(水) 23:41:03 ID:B51m5ltX
ミスった
テンプレに入れるべきだと思った
http://wiki.livedoor.jp/saitohiraga/d/%a5%c8%a5%c3%a5%d7%a5%da%a1%bc%a5%b8
974名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:44:43 ID:xaCkmk3X
運営で話し通ってんならいいだろうけど・・・
975名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 23:52:13 ID:pm3XR9e1
クウガの続き来ないかなあ……ずっと待ってるが
976名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 00:00:26 ID:m9fBlX/1
>>909
150km級の球を投げるピッチャーが出てくる野球漫画の感想で、
『こんな奴現実にいるわけねぇ』という感想があったのを思い出したw
977名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 00:00:32 ID:j7+74JjJ
スレ立て乙!

うーん、我ながら豪快な遅筆っぷり。一応先週から書いてるのにまだギーシュとも遊んでないとは…
978名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 00:10:32 ID:tvXjTSU7
さていくか
1000ならマイティハートからイケメン怪人シヴァルツシルト召喚!!出会った瞬間ヒッヒッフー!
979名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 00:11:16 ID:qHWoCEla
じゃあ、舞-乙Himeからエルスティン・ホー
980名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 00:12:08 ID:ch+Oqw5s
生め
981名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 00:16:07 ID:Er46Xnjg
では、電王からデネブ召喚!
食事から始まって、色々と親身になって応援してくれると思うんだ。
982868:2008/09/18(木) 00:18:21 ID:jSItpmRr
>>877
日付変わったけど
謝んなくてもいいですよ。
ただルイズが、「この毒虫が!」って昼ドラチックに言うのを想像して吹いちゃったもんでw
983名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 00:25:38 ID:ch+Oqw5s
984名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 01:07:31 ID:t/pL5h48
埋め
985名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 04:52:08 ID:y8TN5acE
うめ
986名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 04:53:07 ID:y8TN5acE
うめ
987名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 04:56:01 ID:NEl+BnoN
1000ならアゾットの剣を持った使い魔を召喚
988名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 04:59:28 ID:y8TN5acE
埋め
989名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 04:59:43 ID:y8TN5acE
埋め
990名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 05:14:29 ID:y8TN5acE
うめ
991名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 05:40:02 ID:y8TN5acE
埋め
992名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 06:10:56 ID:ymtHQ0Tb
ゼロの使い魔埋め
993名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 06:25:02 ID:+gcLYn4I
>>982
「謝んなくていいですよ」はないだろう(苦笑)。
それだと魔砲少女のひとが本当に悪い事したみたいじゃないか。

それはともかくむしろ「この寄生虫が」と言って欲しい。
そんで後ろから撃たれるんだ。

994名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 07:40:54 ID:cTteQlHq
1000ならテファがびんちょうタン召喚
謎のル−ン、ビンダ−ルブを巧みに使い幸せに暮らしましたとさ。
お わ り
995名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 07:52:41 ID:PYzK7ugt
1000なら銀河熱風オンセンガー召喚。
996名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 07:54:55 ID:H1UQL1zi
1000なら『ファイレクシアの抹殺者/Phyrexian Negator』を召喚。
ルーンが刻まれる時に2点以上のダメージを受けると…
997名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 08:25:15 ID:z9+SYnU9
1000ならルイズは男の子
998名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 08:32:51 ID:T2MnGjLY
1000なら闘奴ルーザ召喚
999最近MTGしてない宴はまろやか:2008/09/18(木) 08:39:34 ID:GlLrFZ9h
>>996
やばい! これ読みたい! 超読みたいです!
職人様お願いします!
1000名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 08:39:58 ID:qHWoCEla
1000ならなんか新作書きまーす。てか書くぞー!
10011001
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