あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part166
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part165
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1219662190// まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ --------------------------------------------------------------------------------
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
--------------------------------------------------------------------------------
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
--------------------------------------------------------------------------------
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html ・Jane Style(フリーソフト)
http://janestyle.s11.xrea.com/ ・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
前の作品投下終了から30分以上が目安です。
【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は応援スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。
【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
このぐらいまで単純化できそうな気がする。
爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会
最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち
爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり
途中飛ばすけど、
対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
ID:HnM5/Cn2は粘着荒らしです。
>>1乙
いまだにテンプレ荒らしがいるのか・・・よく飽きないね
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 00:33:23 ID:b0XkefEO
>>1乙
しかし
>>2に書いてある事だけは中々良い事に見える
>>1乙
>>6 あれってもっともらしく言ってるけど、キャラを設定だけでしか捉えていない
典型的な空論だよね
自分で話書いた事がないんだろう
>>1乙
>>2は俺もなかなか良いことに見える。
>3の前半だけは新規なんかほとんどいないけど、参考になりそうな。
元ネタは映画:パラサイトからエイリアン
やや独自解釈も含んでいるから、変な点があっても見過ごして欲しい……
OKなら1時10分ほどから投下したいのだけれど
前スレよりコピペ
そろそろ投下しますー
ルイズはゆっくりと身を起こすと、見知った未知の部屋をグルリと見回した。
天蓋のついた豪華なベッドに、どれもこれも高級そうな調度品の数々。間違いなくルイズの部屋だ。
私は誰だ? ここはどこだ? 私は死んだのではなかったか?
手始めにオハイオ州の田舎町を侵略している最中、高校の生徒たちに正体を感づかれてしまった。
最後に残ったケイシーという少年に寄生しようとした瞬間、シークという少年が作った薬物を直接投与されて水分を奪われてしまい、干からびたはずだった。
万の位まで数を増やし、インフラを飲み込み、確実に地球を我が物にするはずだったのに、あの少年たちに邪魔されたのだ。
天変地異が発生して水を失ってしまった故郷を捨て、新たな楽園を手に入れるはずだったのに、失ってしまった。
いや、それは違う。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……。
私は魔法が使えない貴族で、そのために誰かも蔑まれる劣等生が私であったはず。
烈風のカリンといわれたお母様、きついほうのエレオノールお姉さま、やさしいカトレア姉さま。
ここはトリスティン魔法学校で、私は使い魔を召還して……。
そしてどうなったのか、どうしても思い出すことが出来なかった。ズキリと頭が痛む。
その時の記憶は霧の中にあるようで、何度手で払ってもすぐに飲み込まれてしまうのだ。
だが、失敗したという記憶は無かった。何か分からないが、呼び出したような気がする。
「なら、まあいいか……。それより、喉が渇いた……」
ルイズはベッドの上から、届くはずの無い距離にあるテーブルへと手を伸ばした。
求めたのはコップと水差しだったが、それまでの距離は数メートル……いや、数メイルあり、人間の腕ならば届くはずが無い。
しかしルイズの右手は無数の蛇が寄り集まって出来たような触手へと姿を変え、その二つを器用に手繰り寄せてしまった。
コップに水を注ぎ、飲む。飲む。飲む。
満タン近くまで入っていた水差しはあっという間に空になってしまい、いつの間にか人間の腕に戻っていた右手を再び触手に変え、元の場所に置く。
ルイズは己の右腕が異常だと思いつつも、一方は実に自然なことだと思っていた。
なぜならば自分はヴァリエール家の三女で、別の星から来たエイリアンであって、ゼロと呼ばれる才能無しで、本来の姿は化け物なのだから。
「私、私は……」
自分は何者だろうか? ルイズ? 人間? 化け物?
エイリアンという単語は聞きなれない物だったが、なぜか理解できた。
再びズキリと痛む頭を抱え、ルイズはシーツを抱きしめて唸る。
「私は……私だ」
そう、私は私だ。別に他意もないし、それならば別にいいか。
きっと今混乱しているのは、変な風に寄生してしまったからなのだろうけど、私が私であるならば問題ないだろう。
寄生というか同化というか、ともかく自分の理解の及ばぬところだ。いまさら騒いでも遅い。
それに2度目のチャンスがやってきたのだから、今度こそ成功させないと。
あの時は"仲間"を増やす事ばかりに囚われ、危険分子を見逃してしまった。より慎重にやらねばいけない。
「まずは、使い魔ね。人目を引きたくない」
誰しも持っている使い魔だが、それを持っていないというのは不味かった。
すでにゼロのルイズとして多大な注目を受けている以上、さらに興味深い存在となるのは頂けない。
ルイズは己の左手を苦々しげに見つめると、そこに浮かぶ奇怪な模様を、皮膚を操作して何度も消そうと試みた。
しかしどういう原理なのか、そのルーンは一向に消えようとしない。魔法とはなんとも忌々しいものだ。
腕を触手の束に変えている間は分散して目立たなくなるが、それでは逆効果にもほどがある。
これでは使い魔を持ってきても、信用させるに足らないかもしれない。
「仕方ないか……」
ルイズは軽く溜息を吐くと、寝巻きを脱ぎ捨てていつもの制服に着替え始める。
窓の外はまだ夜明け前で薄暗く、授業どころか朝食の時間にすらなっていない。
つまりそれだけ人目が少ないということで、今のルイズには好都合だった。試したいことがある。
誰ともすれ違わないままに校舎の外に出ると、足早に門へと向かった。
「ちょっといいかしら?」
「これは貴族様。……申し訳ありませんが現在は真夜中、学校の外へは出られませんよ。規則ですので」
詰めていた平民の衛兵に声をかけると、落し物をしてしまったので申し訳ないが一緒に探してくれないかと頼む。
彼は一瞬だけ嫌そうに顔をしかめたが、貴族たるルイズの命令は絶対である。仲間に見張りの代理を頼むと、大人しくついてきた。
「どんな物か言うのは少し恥ずかしいから、人目につかない場所で……。」
哀れな獲物はルイズの思わせぶりな目配せを受けると、一瞬呆けた後で鼻息を荒くして頷いた。ロリコンの気でもあったのだろうか。
やがて二人は学校の端にあった暗がりに入り、彼はスカートを下ろしてくれというルイズの命令に従って体を屈ませ……。
「さすがにこれは使い魔にはならないわね」
ルイズの"子供"を耳の穴から入れられた男は、地面に倒れて死んだように動かない。
体の一部である寄生体を人体に進入させ、改変して住み心地のいい家に作り変えるのがルイズの力だ。
意志一つで動かせる"兵隊"となった彼らも"子供"を作ることが出来る。そして鼠算式に仲間を増やすのだ。
まさにルイズは女王蜂といってもいい生物だった。そうやって星の主導権を乗っ取るのが生態である。
もっとも、親木であるルイズが死ねば壊滅してしまうが。ちなみにルイズも原理は知らない。
「でも、まだ様子見……」
兵隊が子供を使って人間を作り変えてしまうと、記憶はあるものの、人間らしさ、というものを失ってしまうのだ。
失敗すれば性格が激変してしまったり、成功でも対応が機械的になったりと、親しい人間ならすぐに変化に気づくだろう。
それだけではなく保水力の低いそれらは、特に変わった直後など絶え間ない水の補給が必須となる。これだけでもバレてしまうかもしれない。
比べて親木から直接分離したものは、かつての性格をほぼそのまま残しているし、そういった弱点も控えめになっている。
以前は素早さを求めて爆発的に数を増やした結果、気づかれた人間に不覚を取ったので、この手は使う気になれなかった。
それを抜いても早急に動くのは不味い。ただでさえ、魔法という把握しきれない物が存在しているのだから。
この学校で魔法というものに慣れ、今後にうまく生かさなければなるまい。
「あなたは詰め所に戻って。今の事は忘れるのよ」
「は、い……」
ようやく立ち上がった衛兵はまだぼんやりとしていたが、どうにか歩き出すと詰め所へと戻っていった。
ルイズ自ら積極的に動いていき、寄生体を少しずつ潜伏させていくのが確実だろう。効率が悪いが仕方が無い。
小規模でも軍隊を作れるほど数が揃ったら、一気に開花させてしまえばチェックメイトだ。
電話やインターネットといった便利なものが存在しないこの世界なら、一度磐石な領地さえ築ければまず発覚しないはず。
そもそもルイズ単体では生殖行動を行えないため、それほど巨大なコロニーは必要ない。
何百人という仲間たちと共に来ていれば別だが、悪戯に数を増やす愚は身に染みて分かっていた。
最低限、ヴァリエール家に戻って領地の全てを我が物にすれば、それだけでもいいかもしれない。
「あの時はバカをやったものね……」
ルイズは額を押さえると、自重したような笑みを浮かべた。
異分子である少年少女達の中に入り込むなど、今にして思えばあまりに危険だ。
自ら手を下さなくとも、あの時は大勢の兵隊を持っていたのだから、自分は引っ込んでいればよかった。
星の頂点に君臨するという魅惑に惹かれる姿など、光に集まる虫と同じではないか。
「今度は失敗しないわ」
数分後、ここ数十分ばかりの記憶を失った男が詰め所へと戻ってきた。
仲間たちは冗談交じりに貴族様の愚痴をいい、変な魔法でもかけられたんじゃないかと揶揄する。
給料は良いが暇な事この上ないこの仕事で、こういった話題はいい暇つぶしだ。
やがて交代の時間が来て、彼らは今日のことをすぐに忘れてしまった。
以上でございます。
タイトルを書き忘れていましたが、ゼロのパラサイト、と予定してます
>>20 乙!
ヤバイのが来たなあ、ハルケギニア壊滅モノは何作かあるけど
クレバーに侵略するのは珍しいので期待してます
乙
元ネタは見たことないけど、SFホラーか
ルイズ?視点だけじゃなくて、他のキャラの視点からも見たいなw
いっちょ怖いのを期待しておくぜ!
乙
なつかしいな
深夜放送で見たことあるよ
校庭でエイリアン拾うんだよね
乙!
原作は知らないが分かったことがある。
触手ルイズだっ!
>>20 乙ッスー
まさかそっちのパラサイトか。
スピーシーズとかエイリアンとは違う怖さだからな。あれは……
パラサイトを見たことないから誰か作品解説を
話は変わるけど数年前見た人間に寄生するエイリアンにアメリカの学園が徐々に征服され
いち早く気づいた新聞部の学生とその友人たちがそれを阻止するために立ち上がるって映画があったなあ
そのエイリアンが水を好みカフェインを摂取する死滅するという変わった設定だったからまだ覚えてるよ
>>26 そういう変わった設定こそB級映画の醍醐味ってやつだよなぁw
フケ止めシャンプーとかな。
>>28 レボリューションだっけ?
個人的に好きなのはカントリーミュージックを聞くと頭が破裂して死ぬ火星人が出てくるマーズアタック
>>26 数年前に見たというそれがパラサイトだったはず。
B級映画と聞くとパラメディックの顔がちらつくw
超能力学園Zか
パンチラウォーズだな
新スレ乙か霊夢!
一応
>>2は必要なんじゃないのか?
それよりパラサイト乙。
映画クロス、それも好きなエイリアン物だからサイコーっす!
>>29 レボリューションのエイリアンは結構生物的だった記憶があるな。
でもナパーム弾とシャンプーのせいで…
パラサイトの人乙でした。
この映画、子供のころテレビで見たけど怖くて途中でチャンネル変えたなあ。
そういえば昔はB級映画よく日曜洋画劇場でやってたな。
ビーストとかトレマーズとか光る目とかアラクノフォビアとか……
>>37 トレマーズで少し考えたけど、ヴェルダンディに掘削進行速度で負けるよね……。
2作目だったら地上走って単為生殖するし3作目なら尻から火吹いて空飛ぶんだけど……。
というかヴェルダンテのおやつじゃなかろうかと>トレマーズ
トレマーズって地走りみたいなワームのやつ?
>>11 >しかし
>>2に書いてある事だけは中々良い事に見える
そりゃ他所スレのテンプレ丸コピだもの、内容的にはまともなのは当然の事
この荒らしの狙い所はまともな注意文を荒らしコピペと混ぜて貶める事だ
「ルールじゃないけど〜未確認情報あり 」だって本来知っとかないとマズイ情報だぞ
この荒らしがコピペするせいで信用度下がって無視されてるから
いまだにさるさんに何の注意も払わない書き手が居るぐらいだからな
洋画か、
つまり、エンティティ〜霊体〜から、あの幽霊を召喚だな。
洋画ねぇ、
トム・サビーニをだな。
つーか、
>>2は正しいんだから、そこまで本テンプレにしちゃえばいいと思うんだが。
ここで語ってどうする
>>20乙!
そろそろ夏も終わるし、ホラー系のSSもいいなw
>>42 あれって幽霊がレイプする話じゃなかったっけ?
神坂一のドアーズ一行とかで考えてみるけど最終目標を誰にするか…
日帰りクエストとかは召喚でとまってるんだな。
あの主人公、異世界に召喚された日に備えて剣道部に入ったとか言うのだった気も。
>>30 うん?これがパラサイトでいいの?
>>31 主演がイライジャー・ウッドで他も今をときめく俳優たちの若手時代だったかな
>>44 それ、なのはクロススレの注意書きそのままコピペしただけだから。
どんなに内容が正しかろうがその時点で論外だ。
つーか、コピペ馬鹿のレスにはレスアンカーをつけないでくれ。
真面目な話削除依頼が通り辛くなる。
>>50 そうだったのか。知らんかったこととはいえ、すまなかった。
パラサイトよりバカサイトだろ。
>>45 そうだね、ホラーならサイレントヒルとバイオだね!
ゲームだけど
54 :
53:2008/08/29(金) 12:44:41 ID:00cYn65J
ホラーと言えばクトゥルフ神話。
思い切ってウボ=サスラ辺りをチョイス!
SAN値がゲリゲリ削れるなww
最近のアニメの召還って全然ないよね
ストパンキャラとか誰かやってくれんかな
>>55 『旧き鍵』を読んじゃったルイズが引きこもる話ですね、わかります
シャドウハーツ2からアーネスト・T・シートンを召喚。
シャドウハーツ2からの召喚なのがポイント。
狼とお話できる特技を持っていたり、
ウルフテクノロジーによって作られた「ウルフスーツ」を着て戦ったりする。
本音はルイズ達にウルフスーツを着せてみたいだけなんです。
>>55 位階の高い方々はルイズその他のSanityをゴリゴリ削りそうだから、
ここは一つ、クトゥルフ関連でも使い魔として使えそうな奴らを召喚とかどうか。
ティンダロスの猟犬とかバイアクヘー(or黄金蜂蜜酒)とか。
インスマス面も亜人扱いでいけそうな希ガス。
何時も思うんだけど、ウルトラ世界の防衛組織に皆さんなら、
クトゥルフ神話の怪物たちを見てもSAN値減らないよな?
週一のペースで宇宙人や怪獣と闘ってるから平気そうなんだが・・・
クトゥルフのアレやらコレらは根本的に違うと思うけどな
怪獣見ただけで発狂してる一般人とか見たことないし
まぁ怪獣は一応動物ベースの姿のことが多いしな…
ティガのGUTSなら大丈夫だろ
ガタトノーアが出てるわけだし
>>57 原作完結とか殆ど終わってりゃいいけど、そうじゃないと色々厳しくなるからな
片方のゼロ魔が未完でそれだけで制御が大変なのに、両方未完で進行形だと色々続けるのに厳しい問題が発生するぞ
ロザリオとバンパイアからモカ召喚
ルイズの血って美味しいかな・・・
>>64そっちは石化しないからまだ大丈夫なんじゃない?
>>67 そういえばそうだったな
名前間違えるとかどうしようもないな俺
ちょっとヤディス=ゴーまで謝りに逝ってくる
最近のアニメは萌系ばかりで文章にしても面白くないものばかりだしな・・・
その中でも特に面白くないのがゼロの使いm
ミックスすることによって美味しくいただける様にですね
>>67 視線での石化はないが石化能力がないわけじゃないしな。
造詣自体は本家クトゥルー神話に忠実だったし。
クトゥルフならルイズのペルソナでニャルが出てきてるよな
ク・リトルリトルネタはすでに小ネタにいくつかあるな
何かいきなり、ブリミルは太照天昼子で虚無の使い手は聖地をとり戻すためだけに創られた生態兵器とかいう電波を受信した
ブリミルは男だってツッコミはなしな
77 :
蒼い使い魔:2008/08/29(金) 16:33:00 ID:KPsNuC8k
どうも〜、22話完成しましたー
40分から投下しまっす
>>76 ちゃんと中身を確認したわけじゃない
問題ない問題ない
そして支援
「ばっ!ばかーーーー!何してんのよーー!!!」
突然天井から乱入しウェールズを殺害しようとしたバージルにルイズが慌てて怒鳴る。
少しでもルイズが声を上げるのが遅かったら今頃ウェールズの首は宙を舞っていただろう。
「こいつは賊だろう、何故生かす必要がある?」
閻魔刀を納刀しながら、バージルはルイズを睨みつける。
「ちっ!違うのよ!その人は空賊だけど殿下なのよ!」
「……意味がわからん」
「だから空賊として襲ってきたけどその人は本当は殿下本人で…あぁもう!」
「…わかるように説明しろ」
そう言いながらバージルはワルドを見る。
「つまりだ、君が今殺しかけたその人こそ、僕たちの旅の目的であるウェールズ殿下本人だ。
空賊に扮し敵の物資補給を断つ作戦の最中だったらしい、僕たちの乗った船は偶然それに巻き込まれてしまった、ということだ。」
そう言いながらワルドは苦笑する。
「ところで、これだけ広い空の上でよくこの船の場所がわかったわね?しかも空賊に襲われていたことまで。」
キュルケが疑問を口にする、当然の疑問だ
「…こいつの視界が見えた」
バージルはつまらなそうに言うとルイズを横目で見る、ルイズは必死にウェールズを介抱していた。
バージルは初日のルイズの言葉を思い出す
―使い魔には主人の目となり耳となる能力が与えられるの。
「(これも、使い魔の能力…か。)」
バージルがそこまで考えると、ウェールズが目を覚ましルイズから説明と謝罪を受けていた。
「申し訳ありません!私の使い魔のバージルがご無礼を!どうかお許しください!」
「い…いやぁ…ハハ、あの時君の言っていた言葉をもっと真剣に受けとめておくべきだったよ…」
バージルの桁外れの殺気と閻魔刀の魔力を浴びあっけなく意識を手放してしまったウェールズは苦笑しながら言う、
「あれほどの恐ろしい殺気は今まで向けられたことなどなかったな…見事な剣だ、我が軍に是非欲しい人材だね…
いや、すまない、君たちの船を襲ってしまったことがそもそもの始まりだ、こうなってしまったことにもこちらに責任がある。」
そういいながらウェールズは深く頭を下げた。
「いえっ!こちらの責任です!だから頭を上げてください!」
あたふたするルイズをよそにバージルはさっさと船室を後にしてしまった。
待ちかねてました支援
船室を後にし甲板に出る、途中船員とすれ違ったが、ついてきたキュルケの必死のフォローにより事なきを得た。
「ところでダーリン、タバサは?」
「上だ」
そう言いながら空を見上げる。
見るとタバサの風竜が降下してくる、甲板にどよめきが起こるがキュルケが「私たちの仲間よ」とフォローを入れた。
「おかえりタバサ、私たちは無事だから安心して、旅の目的は達成したみたいよ、この船にウェールズ殿下が乗っていたわ。
空賊の恰好でね…」
そういいながらキュルケはタバサと話しこむ、それを横目でみてからバージルは目の前のアルビオン大陸を見る。
「……」
さすがのバージルもこの壮観な眺めに言葉を無くしたのか大きく目を見開いている。
ふと気がつくと背中のデルフが何事かぶつぶつと呟いている。
「スパーダ…スパーダ…どっかで聞いたような…うーん…?」
その言葉にバージルが反応する
「知ってるのか?」
そういうとデルフを引き抜く。
「え?あ、いや、どっかで聞いたことがあるようなないようなーってな、ハハ…」
「いいから思い出せ!」
いつになく激しい感情を露わにするバージル、その気迫にキュルケやタバサがビクッ!と反応した。
「い、いや、ほら俺っち6000年も生きてっからさ!忘れちまうこともあるんだって!それに!思い違いかもしれないだろ!?」
「ど…どうしたのダーリン?急に大声なんて出しちゃって…」
「チッ…なんでもない…」
そう呟くとデルフを鞘におさめる、使えん奴め…そう心の中で毒付く。
「そう…じゃあ、私たち、船室に行ってるわ、そろそろギーシュ起こさないと」
そう言うとキュルケ達は船室へと戻っていく、
それと入れ替わるようにルイズが甲板に出てきた。
ルイズはバージルを見ながらおずおずと話しかける。
「あの…バージル…」
「…手紙は取り戻せたのか?」
「あ…それはアルビオンのニューカッスルにあるって…」
「………」
「その…助けに来てくれたのよね…?」
「余計な世話みたいだったな」
「そうよ!殿下にあんなことして!
…でっ…でも助けに来てくれたのは…その…ほっ…褒めてあげるわ!」
「……」
バージルは沈黙したまま船室へと向かう。
宿で感じた冷たさは少しだけ減っている、そんな気がした。
結果は大変なことになりかけたが、バージルが自分を救うために来てくれたのだ、そのことが何よりもうれしかった。
「ありがとう…」
誰にも聞こえないように、ルイズは小さく呟いた。
支援
バージルと合流した一行は、ニューカッスルの王党派しか知らない港へ向かう事になった。
アンリエッタから授かっている手紙をウェールズに渡す。読み上げてる途中、彼女が結婚する事に驚いていたが、取り乱す様子はなかった。
そして、彼女から貰った手紙を返す事になったのだが、それはバージルに説明したとおりニューカッスル城にあるという。
というわけで、こうして向かっている途中なのである。
雲に隠れつつ大陸の下を潜り込むように進路を取る。制空権は反乱軍旗艦『レキシントン』が押さえておりこの船『イーグル』号ではどうにもならないらしい。
「あの艦の反乱が全てが始まった。我々にとって因縁の艦さ…。このまま雲の中を進み
大陸の下からニューカッスルに近付く。そこに我々しか知らない秘密の港がある」
その言葉どおり大陸の下には直径300メイル程の穴が開いている場所がありそこを垂直に昇っていく。
しばらく昇ると白い光るコケに覆われた鍾乳洞に出る。
これが港らしくもやいの縄が飛び岸壁に引き寄せられるようにして係留され木でできたタラップが取り付けられた。
その光景を感心した様子でワルドが頷く。
「秘密の港、というわけですか。まるで空賊ですな、殿下」
「そう、空賊なのだよ」
ウェールズがいたずらっぽく笑った。
タラップを降り、久しぶりの地面の感触を得る。
すると、背の高い年老いた老メイジが近寄りウェールズの労をねぎらう。
「ほほ、これはまた大した戦果ですな!殿下」
老メイジが顔をほころばせ言っているのは、『イーグル』号の後ろにある『マリー・ガラント』号の事である。
「喜べ、パリー、硫黄だ!」
「おお!硫黄ですと!火の秘薬ではござらぬか!これで我々の名誉も守られるというものですな!」
老メイジが突如泣き始めた。
「先の陛下よりおつかえして六十年…………」
パリーと呼ばれた老メイジと、ウェールズが話し合っている。
彼らは負け戦だとわかっているのにも関わらず、戦う気らしい。
そんな様子を見ながら、ルイズはバージルに話しかける。
「負けることがわかっているのに戦うの?」
「……らしいな」
「死ぬ…んだよね?」
言葉を震わせながらルイズは続ける。
「どうして…?」
バージルが口を開こうとしたその時、タイミングよくパリーと呼ばれた老メイジがこちらに話しかけてきた。
「これはこれは大使殿。殿下の侍従を仰せつかっておりまするパリーでございます。遠路はるばるようこそこのアルビオン王国へいらっしゃった。
たいしたもてなしはできませぬが、今夜はささやかな宴が催されます。是非とも出席くださいませ」
支援
ルイズたちは、ウェールズに付き従い、城内の彼の居室へと向かった。
ちなみにキュルケとタバサはトリステインの者ではないという事で別の場所に居る。
とはいえ二人も面倒だから、という理由が本心のようだ。
城の一番高い天守の一角にあるウェールズの居室は、王子の部屋とは思えない、質素な部屋であった。
ウェールズは椅子に腰掛けると、机の引き出しから宝石が散りばめられた小箱を取り出した。首からネックレスを外し、その先についていた鍵で小箱を開ける。
蓋の内側には、アンリエッタの肖像が描かれていた。
「宝箱でね」
ルイズがその箱を覗き込んでいるのに気づいたウェールズが、はにかんで言った。
小箱の中には一通の手紙が入っていた。
その中からボロボロになった手紙を取り出す。幾百と読まれてきたであろう手紙をもう一度だけ読むと
手紙を丁寧にたたみ封筒に入れルイズに手渡した。
「これが姫からいただいた手紙だ。この通り、確かに返却したぞ」
「ありがとうございます」
「明日の朝、非戦闘員を乗せた『イーグル号』がここを発つ。それに乗ってトリステインに帰りなさい」
ルイズがその手紙を食い入るように見ていたが、やがて意を決したかのように口を開いた。
「あの……殿下…。王軍に勝ち目はないのでしょうか?」
「我が軍は三百。それに対する敵軍は五万。勝つ可能性など万に一つもありはしないさ。我々にできる事は勇敢な死に様を連中に見せつけるだけのことだ」
「殿下の討ち死にされる様も、その中には含まれるのですか?」
「当然だ。私は真っ先に死ぬつもりだよ」
フッっとバージルが鼻で笑う、
それを無視しながらルイズはウェールズに深々と頭を下げ、続ける。
「殿下……、失礼をお許し下さい。 恐れながら、申し上げたい事がございます」
「なんなりと、申してみよ」
「…この任務をわたくしに仰せつけられた際の姫様のご様子…そして先ほどの小箱の内蓋の姫様の肖像
手紙に接吻なさった際の殿下の物憂げなお顔といい…もしや、姫様とウェールズ皇太子殿下は………」
「恋仲であったと言いたいのかね?」
「そう想像いたしました。とんだご無礼を、お許しください。してみるとこの手紙の内容とやらは……」
「恋文だよ。君が想像しているとおりにね。彼女が始祖ブリミルの名において永久の愛を私に誓っているものだ。
この手紙が白日の下に晒されればゲルマニアの皇帝は重婚の罪を犯した姫との結婚を破棄し同盟は成り立たなくなり一国で貴族派に立ち向かわなくてはなくなる」
「殿下!亡命なされませ!トリステインに亡命なされませ!」
ワルドがよってきてルイズの肩に手を当てるがそれでも収まらない。
「お願いであります。わたし達と共にトリステインへいらしてください!」
「それはできん…」
「…姫様の願いだとしてでもですか?姫様のご気性からしてご自分の愛した人を見捨てるとは思えませぬ!
おっしゃってくださいな殿下!姫様は、たぶん手紙の末尾にあなたに亡命をお勧めになっているはずですわ!」
「そのような事は一行たりとも書かれていない」
「殿下!」
ルイズが詰め寄る。
「私は王族だ。嘘はつかぬ。姫と私の名誉に誓って言うが、本当にそのような文句はない」
そう言うウェールズは苦しそうだった。その口ぶりから、ルイズの指摘が当たっていたことがうかがえた。
それを見てルイズは肩を落とす。
ウェールズが絶対に決意を曲げないことがわかった。
自分が亡命すれば、反乱軍にトリステインを攻撃する絶好の口実を与える、そう考えてのことだろう。
そして、アンリエッタが国事よりも私情を優先させる女と見られるのを避けようとしているのだ。
「ラ・ヴァリエール嬢、君は正直な、いい子だ。だが忠告しよう。そのように正直では大使は務まらぬよ。しっかりなさい」
寂しそうに俯くルイズに、ウェールズは微笑んだ。他人に安心を与えるような魅力的な笑みだった。
「しかしながら、亡国への大使としては適任かもしれぬ。明日に滅ぶ政府は、誰よりも正直だからね。なぜなら、名誉以外に守るものが他には無いのだから」
ウェールズはルイズの肩を叩きながら続ける。
「そろそろ、パーティーの時間だ。君達は我らの王国が迎える最後の客だ。是非とも出席してほしい」
ルイズ達は部屋の外に出る。
ワルドは居残って、ウェールズに一礼した。
「まだ何か御用がおありかな、ワルド子爵?」
「おそれながら、殿下にお願いしたい議がございます」
「何かな?私に出来ることであれば、なんなりとうかがおう」
ワルドはウェールズに、自分の願いを語った。
ウェールズはにっこりと笑った。
「なんともめでたい話ではないか。喜んでそのお役目を引き受けよう」
パーティは城のホールで行われた。玉座には年老いたアルビオン王、ジェームズ一世が腰掛け、皇太子ウェールズがその脇に控える。
明日で自分たちは滅びるというのに、ずいぶんと華やかな宴であった。
キュルケとギーシュはパーティという事もありそれなりに楽しみ、タバサは料理を食べ進めている。
ルイズはどこか暗い表情をしながら椅子に腰かけていた。
バージルは適当に食事をとりホールの隅で壁に寄り掛かっていると、ウェールズが話しかけてきた。
「ラ・ヴァリエール嬢の使い魔の……バージル君、だね、楽しんでるかい?」
「そう見えるのか?」
「ハハッ、まぁ、そう言わずに楽しんでくれたまえよ。これが我々にとっては最後の晩餐だからね。」
「…俺は、貴様がいつどこで死のうと興味はない、この国の滅亡もな、力のないものが滅ぶ、それが世の常だ」
「厳しいことを言うね…確かに我々にはもう力は残っていない、だがそれでも守るべきものがある」
「誇りか…?」
「それもあるが……我々の敵である『レコン・キスタ』はハルケギニア統一をしようとしている。『聖地』を取り戻すという理想を掲げてな、
理想を掲げるのはいい。だが奴等はその過程で流されるであろう民草の血を考えず、荒廃するであろう国土の事を考えていない、
だからこそ勝てずとも、勇気と名誉の片鱗を見せつけハルケギニアの王家は弱敵ではないと示さねばならぬ。
奴等がそれで『統一』と『聖地の回復』という野望を捨てるとも思えぬが…それでも我々が先立ち勇気を示さねばならぬ」
「………」
「そうだ、一つ頼まれてくれないか。アンリエッタに会ったら伝えてほしい、
『ウェールズは勇敢に戦い、勇敢に死んでいった』と」
「…会うことがあればな」
「頼む」
それだけ言うとウェールズは座の中に戻っていく。
それを見送るとバージルはホールを後にしようとする、するとその前を立ちふさがるようにワルドが現れた。
しえん
「君に言っておかねばならない事がある。明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる。」
「………」
「是非とも僕たちの婚姻の媒酌をあの勇敢なウェールズ皇太子にお願いしたくなってね。
皇太子も快く引き受けて下さった、式を挙げるのさ。君にも是非出席してもらいたいのだが…、
仮に出席してしまうと君が帰還するための手段がなくなってしまうんだ…」
「…興味がない」
「そうか、ならば君は明日の朝、すぐに船で発ちたまえ。
僕とルイズはグリフォンで帰る、滑空すれば問題なくトリステインまでたどり着ける。」
その答えを予期していたかの様にワルドは頷く。
「君とはここでお別れだな」
「そうだな……」
頷くと、バージルは立ち去ろうとする。
ふとバージルの足が止まる、そして振り返らずにワルドに話しかける。
「貴様はよほど下らんことをするのが好きらしいな…」
「…どういうことだね?」
「………」
それに答えずバージルは廊下の奥へと消えていった。
部屋に戻ったバージルはいつものように窓際に歩み寄る。
「相棒、珍しくなにもいわなかったじゃねぇか」
「……」
バージルは答えず外を眺める、城を取り囲む攻め手の陣屋の篝火が目に付いた。
「三百対五万…か、どうするよ、相棒?」
「知らん、奴らがここで玉砕しようと、その結果この国が滅ぼうと、興味がない」
「そうさな、相棒ならそう言うか…」
「この国は、力がないから滅ぶ、この世は…力だ…」
バージルはそう呟きアミュレットを取り出し見る、その時、ドアをノックする音が響き、ドアが開く
廊下の灯りを背にしてその向こうに立っていたのはルイズだった。
パーティの席上で酒を振舞われたのだろう、わずかながら頬が赤くなっている。
「やっぱりここにいたのね…」
そういいながらバージルの近くに歩み寄り背中にしがみついた。
コートに顔をうずめ、泣きじゃくり出す。
バージルは振り払うこともせず何も言わず外を見ている。
「いやだわ……、あの人たち……、どうして、どうして死を選ぶの? 訳わかんない。
姫様が逃げてって言っているのに……、恋人が逃げてって言っているのに、どうしてウェールズ皇太子は死を選ぶの?」
「…知らんな、これから死ぬ人間など興味がない」
「なによそれ!」
「人を想い…涙を流すのは人間のすることだ…、そしてそれは弱さだ」
「あんたも…人間じゃない!」
しえん
「黙れ!」
そのままルイズを突き飛ばす、ルイズは尻もちをつく形でバージルをにらむ。
「二度と俺を人間と呼ぶなと言ったはずだ…!」
そのまま閻魔刀を抜刀しルイズの鼻先に突きつける。だがルイズはひるむことなく言葉を続ける。
「何度でも言ってやるわ!あんたは人間よバージル!ならなんでそんなにそのアミュレットを大事にしてるの!?」
「ッ…!それは…スパーダの真の後継者が持つべき―「嘘よっ!!」」
「それが家族の形見だからでしょ!?お母様からのプレゼントなんでしょ!?家族を、人を想う心を持つあんたは人間よ!!」
「黙れッ!!」
「もういいわ!あんたは人の気持ちを理解しようともしない!
この国の皇太子は残される人の気持ちなんか理解しようともしない!そんなに死にたいなら勝手に死んじゃえ!
みんなっ…!みんな!大嫌いよ!」
そう言うとルイズは部屋を走り去ってしまった。
部屋に取り残されたバージルにデルフが話しかける。
「相棒、この際だから言ってやる、俺もあの娘っ子に賛成だ」
「…なんだと?」
バージルは静かに聞き返す
「お前さんの心は人間だよ、人を想うことをできるのが人間と悪魔の線引きだとしたらな」
「くだらん事を…貴様に何がわかる…」
「まぁ最後まで聞けよ、フーケの時もそうだったが…お前さんはなんであの娘っ子が空賊に襲われているとわかった時、即座に助けに飛んだんだ?」
「それはルーンが…」
「違うな、お前さんは表面に出しちゃいないが心のどこかであの娘っ子を気にかけているんだ、
どんなに冷たくあしらっていても、なんだかんだであの娘っ子を助けてんだろ?」
「違う…」
「お前さんは人を想うことに慣れていないんだ、そしてお前さんに想いを寄せる人間がいることにもな」
「……これ以上喋ってみろ、へし折るぞ…」
「おー怖い、最後にひとつ、6000年生きている俺っちからのアドバイスだ、人間ってのはな、決して弱くねぇぞ?
確かに肉体は弱い、だがな、何か守るべきものがあるとき、人ってのはいくらでも強くなれるもんなんだよ、
そのルーンもまた然り、ってな。相棒も、守りたいものがあったからこそ力を求めるようになったんだろう?」
「………」
「まっ!俺っちの話はこれで終わりだ、相棒もその辺、よくよく考えてみるんだな」
部屋の中に静寂が訪れる、バージルは窓から月を眺めながら考える、
デルフの行っていた言葉は、ダンテが言っていた言葉だ、
―人を想い、感情を昂らせ流れる涙は人間の証明だ、もし涙が流せるなら、そいつはもう悪魔じゃない。
―人間は強いぜ?悪魔にはない力がある。
バージルは無表情のままアミュレットを見つめる。
「俺は…」
月は煌々とバージルを照らし続けた。
91 :
蒼い使い魔:2008/08/29(金) 16:50:38 ID:KPsNuC8k
投下終わり〜、支援ありがとうございました
兄貴は本当は優しいんです、たぶん…
ちゃんとチェックはしてるが…投下してから誤字脱字に気がつく悲しさ…
ではまた〜
これからいよいよデレモードに入っていくのでしょうか……
何はともあれ、乙でありました
乙であります
いつも思うんだが
荷物取られるオッサンがかわいそうだ
>94
保険ぐらいあるさ。
……無保険で運送業経営?取引先の迷惑を考えない経営者など首を吊ってしまえ!
更新早いなぁ。
何はともあれ乙。
乙です。
バージルの心に変化が…。
さて、ワルドが死ぬのもあと少し?
おつかれー
まさか此処でツンデレが同時にデレる破壊力を目の当たりにすることになるんだろうか
バージルのツンデレの割合は99%がツンだからなぁ…
バージルはむしろヤンデレ(殺んデレ)かと。無論デレは0.1%未満で。
乙
やっぱワルドにしてみれば兄さんには帰ってもらう方が得策なのね
見透かされてるぽいけど
戦わないことが最大の護身なのです
乙です。
この戦闘力の差ではワルド逃げれないだろうな・・
それだけにwktkですww
もしかして初代ガンダールブってパパ…いやなんでもない
DMC3乙です
兄貴、デレないで。そのままでいて・・・・
バキで思い出したが
特殊能力がなくて強い奴って少ないね
勇次郎ならフーケゴーレムを正拳突きで倒しそうだが・・・
一歩は地味だしなぁw
シエスタの改変ものは多いがカリンさん改変ものとかはダメかな?
幻獣に騎乗する仮面魔法少女でも今は子持ち人妻
と言う設定は割りと生かせるかと…
ハルケギニアを謎のゴーレム軍団が襲撃。
ルイズと彼女が召喚した平民の拳法使いの少年がゴーレムの攻撃で壁の一部が破壊された学院の宝物庫にもぐりこむとそこには火の鳥の精霊が…
精霊に導かれ謎のゴーレムの搭乗して戦うルイズと使い魔の少年なんてのは…
デルフが凄い大人だ・・・
って六千年生きてるから当たり前なんだろうけど
>>109 純粋に肉体のみが強いキャラならたくさんいるぞ
スプリガンの御神苗とか単身赴任のサラリーマンとかるろ剣の左之助とか
>>112 娘を誘拐された元特殊部隊員とか、コックとかな
単身赴任のサラリーマンは特殊能力にはいらないのかな
気配や殺気読んで目に見えない空間の断裂も避けるし
>>112 その3人も魔法じみた技使わなかったっけ?
御神苗はあまり知らないけどサラリーは忍者で左之助は魔法で石を砕いたりさ
そういうのじゃなくてもっと現実的なやつね
まぁ勇次郎もそれに近いけども・・・
そういや左之助にガンダ補正付いたら安慈のやってた遠当ても出来るんかな
>>109 今のチャンピオンなら悪徒の野火さんを勧めておく
学園で勝手に風紀委員を始める姿が浮かぶ…
戸愚呂弟なら特殊能力無し? なのか?
>>118 ACTを知ってる人間がこのスレに何人いると
122 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 21:49:42 ID:9pWqhXua
他に投下の予定がないようでしたら、ウルフウッド22:00くらいから投下します。
>>113 9/18の木曜洋画劇場は必ず見るんだ!OK?
>>118 スカジャンはガンダ扱いなのかミョズ扱いなのか気になる所だな
126 :
ナイトメイジ:2008/08/29(金) 21:55:41 ID:nN0YYHXD
話をぶった切って22時から投下させてください
今回は私としてはちょっと長めです
>>125武器弾薬∞とかか?
ナイトメイジしえーん
129 :
ナイトメイジ:2008/08/29(金) 21:58:07 ID:nN0YYHXD
しまった、見逃していた。
では、後ほどまた起きていたら来ます。
えと、どちらを先に支援すれば!?
ウルフウッド見逃してたorz吊って来ます
>>126, hold short of runway 00, due to departure.
何が言いたいか分からなくなって来たけどあれです。
バキキャラを誰か召還してください。
何故か例がないよね?著作権的がやばいのかな?
>>118 イイネ。イカ娘とかも読んでみたいw
135 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 22:00:52 ID:9pWqhXua
それじゃあ、さっさと先に投下させてもらいます。
虚無と狼の牙 第十六話
ラ・ロシェールの町は混乱を極めていた。辺りを逃げ惑う人々の悲鳴と、それを掻き分けるように進む兵隊の怒号が響く。我先にと、断崖の外へと走り出す人の波。
先行きの見えない不安を怒号で掻き消すように叫ぶ兵士たち。ついさっきまで穏やかなこの町の光景は一変していた。
タルブと程近いこの町。もしもアルビオンのタルブ侵攻が真実ならば、間違いなく次の侵略先はこの町だ。コルベールが慌てて戻ってから十分も経たないうちに、町は大混乱の中にあった。
「そ、そんな馬鹿なことが……。アルビオンは不可侵を表明していたはずよ?」
ルイズが青い顔でコルベールにつめよる。
「状況は、どないなっとんねん?」
ウルフウッドは遠くの、これから艦隊が現れるであろう方角をにらみつけ、低い声で呟いた。
「姫殿下の婚約の祝いにやって来たアルビオンの船を、トリステインの艦隊が砲撃したのが原因と聞いていますが……」
「嘘よ! そんなことがあるわけがないじゃない! 今、この状況でトリステインがアルビオンに戦争を仕掛けるのがどれだけ無謀なことかは、軍人が一番よく理解しているはずよ!」
「そうです。その通りです。ですから、これはつまり――」
「向こうが仕掛けてきた、いうことやな?」
ウルフウッドがコルベールの言葉の後を継いだ。コルベールは無言で頷く。
「そ、そんな。よりにもよって、まだゲルマニアとの軍事同盟が正式に結ばれていないこのときに……」
「いえ。このときだからこそ、でしょう」
コルベールが顎に手を当てて、深い息と共に言葉を吐き捨てた。
「状況はどう見る?」
「アルビオン艦隊には最強の船、レキシントン号がいると聞きました。おそらく、奇襲を受けた我々の艦隊では、足止めすらも満足に出来はしないでしょう。連中がラ・ロシェールまで侵攻してくるのは時間の問題です」
「……タルブの町は?」
ウルフウッドの頭の中に、タルブでであったシエスタの家族の顔が思い浮かぶ。
「艦隊戦が行われている間に、住民は避難したと聞きました。そこらへんは不幸中の幸いといった所でしょうか……」
「そうか」
ウルフウッドは顎に手を当てて考え込む仕草を見せた。
「もしも、連中の艦隊がここへやってきたとしたら、どうなる?」
「……おそらくは、この町に爆弾が降り注ぐでしょう」
ウルフウッドはコルベールの言葉にゆっくりと頭を上げた。
「センセ。例のガソリンの練成、頼むで」
そして、ウルフウッドはおもむろに踵を返した。
136 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 22:02:19 ID:9pWqhXua
$
「他愛のないものですな」
レキシントン号の甲板でワルドが冷めた声で言った。
「不意打ちだからな」
艦長のボーウッドは忌々しそうに吐き捨てた。甲板では兵士たちの万歳の声が大きく響いている。
「これほどの大勝利だというのに、あまりご気分が優れない様子ですな」
「不意打ちでの勝利を喜ぶほどの恥知らずではないよ、私は。これほどの戦力であれば、真正面からぶつかっても負けはしないものを」
「そう言われますな。これも何よりも心優しきクロムウェル閣下が、親愛なるアルビオン兵の命を無駄に投げ出すことを嫌われたゆえの結果ですぞ」
「……ワルド子爵よ。こんなときに気休めなどいらぬよ」
ボーウッドの言葉に、ワルドは唇の端だけをゆがめて笑うと、帽子を深くかぶって、遠くを見据えた。ワルドの視線の先ではまた一つ、トリステインの船が墜落していった。
「全軍に告ぐ! これから我々は部隊を二つに分けて作戦活動を行う! このレキシントン号はタルブ近郊の草原に降下し、ここを占領活動及び拠点の構築を行う! そして残ったもう一つの部隊は護衛艦四隻を先行させ、ラ・ロシェールに先制攻撃を仕掛けよ!」
ボーウッドが大声を張り上げた。さっきまで歓声の上がっていた甲板の騒がしさが、別の騒がしさに変わる。
「艦長、新たな歴史が始まりましたな」
ワルドはトリステインの艦隊が落ちた残骸を横目で見やった。
「……戦争が始まっただけだよ」
ボーウッドは吐き捨てるように呟くと、艦長室へと身を翻した。
「さてと、それでは、母国を侵略するとするか」
ボーウッドを見送ったワルドは、マントを翻し、右腕で左肩を押さえた。先日、ルイズの魔法で受けた傷により、彼の左腕は義手になっていた。
137 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 22:03:40 ID:9pWqhXua
$
ラ・ロシェール爆撃に向かう四隻の船は、タルブからまっすぐにラ・ロシェールへと向かう航路を取っていた。
「トリステインの連中ものんきなもんだなぁ。不可侵条約なんか真に受けてよ」
「その方がいいじゃねえか。おかげでオレたちはこうして楽ーに、無防備な相手を頭の上から爆撃するだけなんだからよ」
「ちげえねえ」
砲門に弾薬を詰めながら、二人の兵士が笑う。
タルブ地方に駐屯する艦隊は先ほどの艦隊戦で全滅。距離的にこの短時間でトリステインからの応援の艦隊も期待できず、ゆえにラ・ロシェールには陸の兵力しか残っていない。そこに艦隊による爆撃を行うことはつまり、あまりにも一方的な蹂躙でしかなかった。
「けど、本当に大丈夫かなぁ」
「何がだよ?」
「いやさ。油断していると、メイジの連中が陸から魔法で攻撃とかしてきたりしたりしてよー」
「んなこたぁ、ありえねえよ。地上からこの船までどれだけ距離があると思ってんだ? そんな遠くから戦艦一隻を落とすメイジなんざ、スクエアクラスでもいねえって」
「それもそうだ――」
その言葉の続きは大きな爆発音にかき消された。衝撃波が、空に響いた。この兵士たち二人も、その衝撃に思わすその場に倒れこんだ。
「な、なんだ? 誰か、暴発でもさせやがったのか!」
倒れこんだ拍子に舞い上がった埃を手で払いながら、兵士は立ち上がった。
慌てて砲門の傍にある窓から顔を出して、辺りを確認する。煙は自分たちの船からは出ていない。そのことに安心して首を引っ込めようとした瞬間だった。
「お、おい! あ、あの船が燃えている!」
もう一人の兵士が戦慄く声を上げた。彼が示す指先では、一つの船が炎に包まれていた。
「な、なんだっていうんだよ! 火薬庫が暴発でもしたのか?」
先ほど窓の外を見ていた兵士はさらに身を乗り出して、燃え上がる一隻の戦艦を凝視した。火薬庫に引火したらしく、船は真っ赤に燃えている。その甲板からちらほらと脱出をする兵士たちの姿も見える。
「……まさか、トリステインの攻撃か?」
「馬鹿! あるはずねえ、ってさっき話してただろうが! これはただの事故だ――」
彼の言葉は最後まで続かなかった。窓から身を乗り出していた兵士の目に、奥にあるもう一隻の船に何か白い軌跡が下から向かっていくのが見えた。そして、それが船に到達した瞬間――
耳をつんざくような激しい爆発音が鳴り響き、船が大きく上に傾いた。そして、瞬く間に炎に包まれていく。
「な、なんだってんだよ……」
「お、おい。……一体どうなってるんだよ?」
「逃げるぞ!」
「え? な、なんなんだよ?」
窓を見ていた兵士は慌てて、もう一人の兵士に声を掛けて走り出した。納得できない表情のもう一人の兵士は辺りをキョロキョロと見回す。
「わからねーよ! けど、間違いねえ! あれは事故じゃない! 誰かの攻撃を受けたんだ! この船もあぶねえ!」
悲鳴に近い声で叫びながら、甲板へと向かう階段を登りきったとき、彼ら二人の体は地面から突き上げる衝撃と共に大きく宙を舞った。
138 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 22:04:43 ID:9pWqhXua
$
「信じらんねーな」
デルフリンガーが鍔を弱弱しく鳴らして、呟いた。
「あんだけしこたま火薬を詰めこんどったら、まぁあんなもんやろ」
特に何の感慨もなさげな様子でウルフウッドは答える。
「ちげーよ。もちろん、お前さんのその銃の破壊力にもおでれーたが、それ以上にお前さんの行動がさ」
「どういう意味やねん」
「艦隊相手にたった一人でケンカを売るなんて、正気を疑うぜ? 何考えてんだ、相棒? お前さんにとっちゃこの戦争は部外者のはずだ。それがこんな風にでしゃばるなんてよ?」
ウルフウッドは無言でバイクにまたがったままパニッシャーを構えなおす。四隻目の戦艦に照準を合わせた。
「これで――終わりや」
ウルフウッドが引き金を引いた。白い軌跡を描いて、まっすぐにロケットランチャーが船の下腹部へと飛んでいく。そして、爆発音と共に空がまた赤く染まった。
「隠し玉、だな。それも例のワルドん時も使わなかった取っておきのよー」
「ワルドとの戦いのとき使わへんかったんは、アレが室内やったからやのと、万が一風の魔法でこっちに跳ね返されたら洒落にならへん事態になっていたからや」
ウルフウッドは煙を吐くパニッシャーの銃口を閉じた。
「……これでまた、随分とぎょうさんの人が死ぬな」
落ちていく船をウルフウッドは静かに見つめる。
「何、大したことはねえよ。メイジたちはフライでこの程度の高さなら逃げ切れるし、脱出用の小型の船もいくつかあるはずだ。三割方は生き残るんじゃねえのか」
「それは残りの七割は死ぬ、いうことやろ」
「相棒、これは戦争なんだぜ?」
「……わかっとるわ、それくらい」
「本当にどういう風の吹き回しだい? 貴重な、貴重な隠し玉まで使っちまってよー? 借りを返そうって、つもりかい? 例の礼拝堂でのよ」
ウルフウッドは短く鼻で笑うと、何も見ていないような目で遠くを見つめた。
「……あの町には、いろんな人間が生活しとる。大人も、老人も、そしてガキ共も。その上に爆弾なんて落とさせるわけにはいかへん――それでは不十分か?」
デルフリンガーは答える代わりに、鍔を短くカツンと鳴らした。
支援でありんす
140 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 22:06:23 ID:9pWqhXua
$
先行した艦隊が落ちる直前、ラ・ロシェールからタルブへ向かう街道の脇にある森をコルベールは馬で駆け抜けていた。その背中にはルイズががっしりと捕まっている。
「先生! もっと急いでください!」
「無茶を言わないでください、ミス・ヴァリエール。この悪い道で下手にこれ以上スピードを出したら、落馬してしまいますよ」
そうは言うものの、無意識のうちにコルベールの馬に振るう鞭の速さが増していく。
「何を考えているのよ、あの馬鹿使い魔。一人で、アルビオンの艦隊に立ち向かうなんて……」
ルイズは唇を噛んだ。コルベールは無言のまま、馬を走らせる。
ウルフウッドはコルベールからガソリンを受け取ると、それを給油するやいなや、ルイズたちを置いてバイクを発進させた。「センセ。じょうちゃんを安全なところまで、頼む」とだけ、言い残して。
ウルフウッドの向かった方角はタルブ。パニッシャーとデルフリンガーを携えて、遠ざかっていく背中を呆然と見つめたルイズは、はっと気がついたようにコルベールを振り返ると「ウルフウッドを止めて!」と叫んだ。
コルベールもウルフウッドを止めることに異論はなかった。いくら彼でも、艦隊相手に一人で立ち向かうのはあまりにも無謀すぎる。
「どうして、あいつは、こんな馬鹿な真似を……」
ルイズの言葉にコルベールは心の中で頷いた。
コルベールにも、異世界から来た部外者であるはずのウルフウッドが、なぜこのような行動に出たのか理解できなかった。彼にとってはこの戦争は無関係であるはずだ。例のアルビオンの一件があるにしても。
「ミス・ヴァリエール。彼の乗っているばいくのスピードは馬など比べ物になりませんが、あの機体の性質上、このような森の中を走ることは出来ません。ゆえにおそらく街道をまっすぐに走っているはずです。
つまり、我々がこうして森の中をショートカットして走っている以上、追いつくのはそう難しくはないはずですよ」
コルベールには、自分で言った言葉が気休めにもならないことはよくわかっていた。
「先生、手遅れにならないうちに、お願いします」
ルイズの声はか細く、今にも消えそうな響きだった。
「どうして、あいつはわたしの気持ちなんか考えずに、いつもいつも自分勝手に……」
「ミス・ヴァリエール。あなたは、彼に対して、随分と献身的ですね」
コルベールは表情を変えないまま、無機質に言った。ルイズは一瞬戸惑ったような表情をしたが、
「だって、あいつは、その、わたしの使い魔、ですし」
「ミス・ヴァリエール。そういうのは、もうやめたほうがいい」
「え?」
「これ以上、彼の影を追いかけないほうがいい。どれだけ追いかけても、彼はあなたに応える事はできないのですから」
コルベールはわざと冷たく言い放った。うっそうとした森の中は、太陽の光が届かず、冷たい風が彼の頬をなぶる。
「……なぜ、ですか? なんで、そんなことが言えるんですか?」
コルベールはルイズを振り返らなかった。しかし、彼女の声から戸惑いと、そして怒りの色ははっきりと感じられた。
コルベールは漠然と理解していた。思えば、初めて彼を見たときから。なぜなら、自分もそうだから。
同じように血塗られた過去に押しつぶされそうな人間。おぞましい血にまみれた両手では、この少女の手を握り締めることは出来ない。
「わたしが、ゼロだからですか? 魔法の才能のないゼロのルイズだからですか? それで、他にも何のとりえもない、足手まといのゼロのルイズだからですか?」
「違いますよ、ミス・ヴァリエール」
「じゃあ、なんで?」
「あなたは自分を卑下する必要などない。……人を傷つけることしか出来ない魔法ならば、そんなもの使えないほうがよっぽどいい。そういうことです」
そういった過去に押しつぶされそうになりながらも、ただ生き続けている空っぽの人間。そう思うと、ウルフウッドがなぜ一人でアルビオンの艦隊に立ち向かおうとしたのか、その理由が分かるような気がした。
「……先生?」
コルベールの態度にルイズは不思議そうに首を傾げる。しかし、ルイズはその理由は訊いてはいけない気がした。
141 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 22:07:36 ID:9pWqhXua
その直後、けたたましい爆発音が二人の耳を貫いた。ルイズは反射的に身を屈める。
「な、なに? 砲撃?」
おびえた声でルイズが叫ぶ。梢が激しく揺れた。
「い、いえ。違います。あれは――」
そう言って見上げるコルベールの視線の先には、燃え上がる戦艦があった。そして、同じようにもう一隻の戦艦にも火の手が上がる。
「……まさか、ウルフウッドがやったの?」
呆然とするルイズの声。個人の力で戦艦が沈められるなどという常識を大きく逸脱した事態にコルベールも言葉を失う。見る見るうちに、四隻の船が炎に包まれた。
「アルビオンの軍艦を、全部沈めちゃったの?」
「……いえ」
コルベールは短く否定した。今、撃沈した四隻はあまり大きな船ではない。おそらくは巡洋艦であろう。となれば、肝心のレキシントン号がまだ残っていることになる。
「おそらくはラ・ロシェールへの先行部隊でしょう。まだ、アルビオン最大の戦艦レキシントン号は残っているはずです」
四隻の巡洋艦が先行したということは、残るレキシントン号の部隊は陣地を構築しているのか。コルベールはそう予測した。
コルベールは改めて、後ろのルイズを振り返る。ルイズは不安を隠しきれない目でコルベールを見つめた。
彼の予測では、ウルフウッドがタルブに侵攻した部隊に鉢合わせする前に、追いつくつもりだった。しかし、ウルフウッドのパニッシャーに単騎で戦艦を打ち落とす火力があったのは予想外だった。事態は、彼の予想を大きく超えた展開を見せ始めていた。
コルベールはルイズはラ・ロシェールに置いてくるべきだと後悔した。あたりには燃え上がる戦艦から脱出したアルビオン兵がいるはずだ。今彼女を一人でラ・ロシェールに返すわけにはいかない。
コルベールとルイズは、このまま突き進むしかなかった。
$
大きな足音を立てて、一人の男がレキシントン号の艦長室の扉を乱暴に開けた。
「ボーウッド、これは一体どういうことだ!」
「サー・ジョンストン、こちらも現在情報収集中です」
「情報収集中だと? 何をのんきな! 現に我が艦隊の巡洋艦が四隻も沈められたのだぞ!」
ボーウッドは気付かれないように、小さくため息をついた。目の前の総司令官ジョンストンの鼻息は荒い。冷静な話し合いなどできそうもなさそうだ。
「トリステインの艦隊は全滅したとほざいたのは一体どこのどいつだ? え? ならば、なぜ我が軍の艦隊が沈められるのかね?」
「……例の先行した部隊から戻ってきた竜騎士の報告によると、艦を沈めたのはトリステインの戦艦ではありません」
「だったら、何だと言うのだ! では、一体何が戦艦を沈めるなどという芸当が出来るというのだ、え?」
「竜騎士の報告では、相手はたったの一騎。いえ、たった一人の人間だったそうです」
「な……。そんな馬鹿な話があるか! スクエアクラスの火のメイジでもそのような芸当は出来まい! 貴様は総司令官であるこの私を馬鹿にしているのか!」
「いえ、断じてそのようなわけではありません。ただ、そのような報告を受けた、というだけのことです」
冷静な態度を崩さないボーウッドに対して、ジョンストンはこれ見よがしに舌打ちをしてみせた。ボーウッドはこの局面において悪戯に事態をかき回す司令官を、あきれた表情で見つめる。
「トリステインの新兵器、かもしれませぬな」
ボーウッドの隣に立っていたワルドが話に割って入った。
「ワルド子爵、トリステイン貴族である貴殿は何かをご存知なのかね?」
ジョンストンが不審げにワルドに視線を向けた。
「いえ、具体的にその正体を知っているわけではないのですが、それをやりかねない人間なら一人心当たりがございます」
「それは、一体どういうことなのかね?」
ボーウッドがワルドを問いただした。
「ですから、仔細は私は存じませぬ。ただ、作戦としては本艦はこのままタルブ平原上空にて占領活動を続けるべきですな。相手はゲリラ的です。見通しの悪い場所へ足を踏み入れるほうが危険であると思われます。
こちらからは下手に手出しをせずに、相手の出方を見ましょう。つきましては、竜騎士を数機、偵察に出すべきかと」
静かにそう自分の考えを告げた後、ワルドは彼ら二人から背を向けて、唇の端を歪めて笑った。ワルドの左腕の傷が疼いた。
しえーん
しえんー
144 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 22:09:17 ID:9pWqhXua
$
ウルフウッドは無言のまま、落ちていく最後の戦艦の姿を見つめていた。
「で、相棒、どうするんだい? 一応、これでラ・ロシェールへ向かう部隊は全滅させられたわけなんだがよー」
「そやな。けど、まだ――」
「肝心の連中最大の軍艦が残っているってか」
「それもある。けど、敵さんもこのまま大人しく待っていてはくれへんやろ」
「確かに」
嘆息するようなデルフリンガーの言葉が終わらないうちに、ウルフウッドは身を屈めた。その上を、火の玉が通り過ぎていき、地面に辺り火は四散した。
「あいつらは、アルビオンの兵隊、やな」
「竜騎士ってやつだよ、相棒」
竜にまたがった兵士が次の呪文を放つべく杖を構えて詠唱を始める。そして、その後を追うようにして、五機の竜騎士がウルフウッドにせまっていた。
ウルフウッドは小さく舌打ちをすると、バイクのアクセルを一気に吹かす。
「このまま、一気に突破するで」
先ほどの竜騎士が再び放ったファイヤーボールをたくみにバイクを操作しかわし、そしてそのまままっすぐに敵陣の中へ突っ込んでいく。炎の弾が撒き散らした地面の欠片が、背中に当たった。
ウルフウッドは右手でパニッシャーを担ぐと、銃口を開いた。時速八十キロで走りながら、相手に照準を定める。
引き金を引く。パニッシャーが火を噴く。放たれた弾丸は、正確に相手の竜の羽を捉えた。竜の羽に穴が開き、それでもなお羽ばたこうとする風圧で散り散りに千切れていく。空中でバランスを失った竜と竜騎士はもんどりうちながら、地面へと落ちていった。
目の前の光景に他の竜騎士たちは一瞬どよめいた。しかし、彼らも戦闘のプロだ。すぐに頭を切り替える。
「一気に畳み掛けろ!」
号令と共に残りの竜騎士たちがファイヤーボールを放った。迫り来る火の玉を前に、ウルフウッドはバイクの前輪を大きく持ち上げ、ユーターンさせた。
「臆したか!」
その姿を見て、一人の竜騎士が果敢に突っ込んできた。彼らの放った合計四発のファイヤーボールが爆風と煙を巻き上げる。そして、竜騎士はウルフウッドを追撃すべく、爆風の中を竜で駆け抜けた。
「なっ……」
煙を抜けて、その竜騎士が見たものは、ウルフウッドの背中と、そして自分へと向けれらた銃口。ウルフウッドに彼の行動は見抜かれていた。銃口が火を噴くのとほぼ同時に、彼は最高速の勢いそのまま地面に叩きつけられ、肩で地面を削りながら木に激突した。
仲間が撃ち落された光景を目の当たりにした残りの竜騎士たちは、慌てて火竜にブレスを吐いて焼き払うよう手綱を振った。しかし、それは遅すぎた。遮るもののない空中に浮かぶ彼らは、ウルフウッドにとっては、ただの的でしかなかった。
$
タルブ方面から飛んできた竜騎士たちが戦闘を開始したのを遠めに見て、コルベールは唇を噛んだ。事態はもう引き返せないところにまで来ていることを、彼は悟った。
「せ、先生! あれ!」
コルベールの後ろで馬にまたがったルイズが竜騎士を指差す。コルベールは無言のまま頷いた。
竜騎士たちの動きを横目で伺いながら、馬の手綱を右へと傾ける。
「ミス・ヴァリエール。少し、遠回りをします」
ルイズは「え」と小さな声を上げた。そして、慌てた表情で竜騎士たちを指差す。
「先生! あそこに、あのウルフウッドはいるんですよ!」
「だからこそです!」
コルベールが返事をする間に、数発の銃声がして一匹の竜騎士が撃ち落された。それから、彼らがファイヤーボールでも放ったのだろうか、どす黒い煙が巻き起こる。
「そ、そんな……。先生はウルフウッドを見捨てるんですか? なら、降ろして! わたしは一人でも」
「勝手な真似はするなっ!」
コルベールの鋭い声が辺りを切り裂くように響いた。普段とは違うコルベールの迫力にルイズはビクッと体を震わせ、続く言葉を失う。
「……ミス・ヴァリエール。冷静に、冷静になってください。ここはもはや戦場です。無策に飛び込むわけにはいかないのです」
コルベールは考えた。自分一人なら、まだなんとでもなる。しかし、相手は戦闘のプロだ。ルイズを連れて、彼女も無事守りきる自信はない。やはりここは引き返すべきなのだろうか。それとも――
コルベールが一人思考を回している間に、空中で大きな爆発が起こった。おそらくは、ウルフウッドが火竜の喉元にある燃料袋を撃ち抜いたのだろう。
コルベールに満足に考える時間を与えないまま、事態は彼らを待つことなく、無情に進んでいく。
145 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 22:11:02 ID:9pWqhXua
$
「偵察に向かわせた竜騎士部隊が全滅だと……?」
伝令兵の報告を聞いたジョンストンは表情を凍りつかせる。
「は、はい。ラ・ロシェールへ続く街道にて、巡洋艦を落としたと思われる人物と交戦。全竜騎士が撃墜されるのを遠見の魔法で確認いたしました」
全速力で走ってきた伝令兵は肩を震わせながら報告を続けた。
「その人物は今どこにいる?」
ボーウッドは冷静な声で伝令兵を問いただした。
「はっ。四隻の戦艦が撃沈した位置と竜騎士部隊が全滅した場所を考えると、我々のいるタルブ方面へ移動していると考えられます」
「ワルド子爵! これは貴殿の失態だぞ! 貴様の言うとおり竜騎士を派遣したら、この様ではないか! 相手は一人で戦艦を沈めるような男なのだぞ!」
ジョンストンが唾を飛ばしながら、杖をワルドに向けて、怒鳴り散らす。
先ほどまで一人の人間が、戦艦を沈めたことなど信じてもいなかったのに、随分と都合のいいことだ。ボーウッドは心の中で呟いた。
「申し訳ありません、司令官殿」
ワルドは慇懃に直立の姿勢で礼をする。
「ええい。貴様らにはもう任せられん。こうなれば、この私自らが残りの竜騎士部隊の指揮をとる! ボーウッド、貴様は竜騎士部隊その旨を通達せよ! この船を落としに現れたところを返り討ちにしてくれるわ」
鼻息が荒いまま、ジョンストンは乱暴にドアを開けて甲板へと向かった。
ボーウッドはその背中を見送ってから、大きくため息を付いた。戦争においてはいつだって、敵よりも愚かな味方のほうが厄介なものである。
「すまぬな。ワルド子爵。貴殿も軍人ならば上官の指示には従ってもらうぞ」
「お気遣いは無用ですよ。艦長殿」
ワルドはまったく悪びれた様子もなく、爽やかな笑顔すら浮かべている。
「ところで、伝令兵の君。その戦艦を落とした男の特徴を教えてくれないか」
そして、伝令兵の答えを聞いたワルドはただ一人不敵に笑った。
$
目の前に映った町の姿はほんの一ヶ月ほど前の記憶とは大きくかけ離れていた。家は片っ端から燃やされ、まだ煙のくすぶる灰の上で兵士たちが新たな陣地の構築を始めている。
ウルフウッドはその町の一角を見やった。先日、世話になった家族たちの家は、燃え落ちてただの黒い炭の塊になっていた。
「くそったれが……」
ウルフウッドは小さく呟くと、いらだたしげに地面をつま先で蹴った。
「ひどいもんだねー」
デルフリンガーがどこか能天気な声で相槌を打つ。
「なぁ、相棒。悪いことは言わねえ。もう、この辺にしておけ。お前さんはもう十分すぎるほどやったさ。あとは、放っておきな。これ以上の深入りは、おすすめできないぜ」
ウルフウッドは答えない。静かに、ただ静かに、燃え上がる村の光景とその上に浮かぶ巨大な戦艦を見つめる。
「なぁ。この戦争っちゅうやつで、一体何人の人間が家を焼け出されて、何人の人間が家族を失って、どんだけのガキ共が親のいない孤児になってしまうんやろな」
「……お前さんの落とした戦艦にも、子供の親だったヤツはたくさんいただろうよ。相棒、わかっているだろ? 戦争なんてそんなもんだ。そんなことを言っていりゃあ、きりがねえよ。
戦争で何かを助けるということは、相手から何かを奪うということだ。一度そうなっちまったら、もうどうしようもないんだよ」
「わかっとる、わかっとるわ。けど、けどな――」
ウルフウッドは静かに眼を閉じた。彼の脳裏に今まで出会ってきた人たちの顔が浮かぶ。魔法学院の人々、トリステインの城下町で出会ったジェシカたち、タルブのシエスタの家族。
そして、自分をこの世界に呼び寄せた小さくて、勝気で、わがままで、そして心優しい少女。
この世界に来て数ヶ月間、彼らと暮らしてきた。自分が今たっている場所、この空の下には彼らの生活がある。この世界に来てからの日々を共に過ごした人々が。
「みんな、何も持ってへんかったワイを受け入れてくれたやないか。――どうせ、ここへ来るときに拾たちっぽけな命や。誰かのために牙になれるんやったら、それで十分すぎるくらいやろ」
ウルフウッドはアクセルを吹かした。その目に、自らが牙を突きたてるべき相手をしっかりと映す。
「わかったよ。そこまで言うなら、もう構わねえさ。こうなりゃ、とことんまで付き合ってやるぜ、相棒!」
デルフリンガーに向けて、ウルフウッドは小さく笑うと、アクセルを握り締めた。
146 :
虚無と狼の牙:2008/08/29(金) 22:12:10 ID:9pWqhXua
支援ありがとうございます。以上です。
それではナイトメイジ様、遠慮なくお次どうぞ。
sien
支援…しようと思ったらもう終わってた!?
狼さん乙
いや、トンガリにどっぷり浸かってるね
漢前だよニコ兄
>>117 あの「二重の極み」とやらはどう見ても重ね当てでしかないと思うんだがどうか。
釘パンチですよ
152 :
ナイトメイジ:2008/08/29(金) 22:43:16 ID:nN0YYHXD
再予約に来ました
55分から投下させてください
投下、乙です。
どう転んでも、戦うしかない狼さんが切ない…
155 :
ナイトメイジ:2008/08/29(金) 22:56:07 ID:nN0YYHXD
気がつくとアンリエッタは暗闇の中にいた。
正確に言うと瞼を閉じ、柔らかいベッドに横になっていた。
何か夢を見ていたような気がする。
城から抜け出してラ・ロシェールに行き、そこでフネに乗って遙かアルビオンまで行く途中で空賊に襲われ、その空賊の中にウェールズ王子がいて……。
再会が嬉しくて彼の胸に飛び込んでいったところで記憶が途切れていた。
とても良い夢だった
もう一度寝て続きを見たいとも思ったが、頬に光が当たる感触がする。
なら、きっと朝なのだ。
起きなければならない。
「……え?」
アンリエッタの目に入ってきたのは自分の部屋にある見慣れたベッドの天蓋ではなかった。
そこにあるのは粗末な天井と壁紙も貼られていない壁。
部屋も自分の部屋ではない。
質素な椅子とテーブル、そして自分が寝ているベッドがあるだけだ。
でも、このベッドはとても落ち着く。そんな気がした。
「目を覚ましたみたいだね。アンリエッタ」
声がした。
忘れるはずもない。
ずっとずっと、聞きたかった声。
夢でも聞いた声。
ウェールズ王子の声。
「よほど疲れていたみたいだね。あのあとすぐに倒れてしまったのをここまで運んで来たけど、疲れは取れたかい?」
「ここ、は?」
「ここはニューカッスル、僕ら王党派に残された最後の城。そこの僕の部屋さ」
「あ、あの……私」
「わかっている。会いに来てくれたんだね。嬉しいよ」
掛けられていたシーツをはねのけ、アンリエッタはフネの時と同じく愛しいウェールズの元へ走りその胸に飛び込む。
そして、それが夢ではなく確かに現実のものであることを確かめるためにしっかりと抱きしめ、肩に添えられたウェールズの手のぬくもりを感じた。
「ウェールズ様、ウェールズ様」
やっとその手に現実感が戻ってきたときだ。
扉ががたがたと音を立てた。
「姫様の声よ!きっと起きられたんだわ」
「ちょっと、ルイズ。今は待ちなさいよ」
続いてバンという音と共に飛び込んできたルイズは……
「姫様、だいじょう……ぶ……」
そのまま固まってしまう。
「あ、あのですね。ルイズ。これはその、そのですね」
アンリエッタはなにやら言い訳をしようとするが、ウェールズの背中に手を回していては説得力などあるわけがない。
「……し、失礼しました!」
「待ちたまえ」
速やかに立ち去ろうとするルイズをとめたウェールズは、名残惜しそうに背中に回されたアンリエッタの腕をほどいた。
「入ってきたまえ」
そして、アンリエッタをベッドに座らせたウェールズは彼女の瞳をのぞき込み、口を開く。
「ただ会いに来ただけではないと言うことはわかっているよ、アンリエッタ。さあ、話を始めよう。それに、時間ももう無い」
それはアンリエッタに聞かせると言うよりも、むしろ自身に言い聞かせるように言葉だった。
子遠
157 :
ナイトメイジ:2008/08/29(金) 22:57:12 ID:nN0YYHXD
紅茶の香りは気分を落ち着かせると言うが、それはどうやら本当らしい。
ルイズはウェールズ王子が淹れてくれた秘蔵の一品を飲みながら、このたびを始める原因となったアンリエッタの婚姻、そして学院を出てからの事を思い出していた。
それはまたアンリエッタの話していることでもあり、ウェールズはそれを黙って聞いていた。
話が終わったのは紅茶を飲み終えた頃だ。
「そうか、結婚か……」
ウェールズは顔にさした影を隠した。
消したのではない。目の、そして心の奥に隠したのだ。
それはルイズの目にも明らかであったがあえてそれを指摘するようなことはしなかった。
「ウェールズ様」
一方、アンリエッタはそれを隠し切れてはいない。
その顔には静かな水面のに映るがごとく彼女の心を如実に現していた。
「わかっているよ。そうなると、あの手紙は君のためにも、トリステインのためにもならない。アンリエッタ……いや、アンリエッタ王女。手紙はお返ししよう」
ウェールズは机の引き出しから取り出した宝石をちりばめたはこの鍵穴に、首にかけているネックレスについた小さな鍵を差し込んで回した。
カチリとかすかな音がする。
ウェールズは箱を半回転させ前に押し出した。
「アンリエッタ、受け取ってくれ」
箱を開いたアンリエッタは中にある手紙に手を伸ばし、取り出す。
手の震えにあわせ、それがかさりと鳴いた。
「これを、こんな形で返していただくことになるなんて」
開いた手紙に視線を落とすアンリエッタの声もまた震えていた。
そして落としていたのは視線ばかりでなく、落ちた涙が手紙を濡らしていた。
「お願いがあります」
「なんだい?」
「火を……火をください。手紙を燃やします」
「わかった」
ウェールズは他には言わなかった。
飾る言葉は必要ない。飾ってしまえば余計なことまで言ってしまう。だからだろう。
故に呪文のみを唱え、杖の先に火を灯す。
アンリエッタは震える手をそのままに手紙を炎に寄せた。
火に当たる直前にアンリエッタの手は止まる。そして少しだけ、火から離れた。
再びアンリエッタの目から涙が落ちると、アンリエッタはまた手紙を火に寄せようとした。だが、また手紙は燃えることなく火から離される。
ためらいが彼女の手を止めていた。それがわかっていてたからルイズはじっと待っていた。
見かねたのかワルドがアンリエッタに近づいた。
「姫、その手紙、燃やさずとも良いのですよ。ここにいる者がその手紙のことを他言することはないでしょう。ですから……」
「いえ」
アンリエッタの声から震えが消えた。
ワルドの言葉が彼女の背中を押すようにためらいを消したのだろうか。
「ウェールズ様のおっしゃったように、この手紙はトリステインに害をもたらします。これはあってはならないのです」
今度こそ手紙は燃え上がる。
赤い火の中で白い灰となった手紙が音もなく崩れゆく様をわずかも見逃すまいとアンリエッタとウェールズはそれを瞬きもせず見つめていた。
158 :
ナイトメイジ:2008/08/29(金) 22:58:34 ID:nN0YYHXD
ウェールズの部屋を辞したルイズは暗い廊下でその扉が開くのを待っていた。
ルイズにも部屋が用意されていたが、二人きりで話したいことがあるというアンリエッタを残してここを去るにはあまりに不安すぎたのだ。
ルイズが足に疲労を覚え背中を壁に預けた頃、扉のきしむ音が響き、アンリエッタが部屋を出てきた。
見かけだけならば彼女はいつもと同じであるように見えたが、ルイズはそれがおかしいようにも思えた。
戦に向かうウェールズの部屋から出てくる女の姿としてはあまりにも平静すぎたのだ。
「姫様」
靴で床を叩く音を響かせ、喉の奥に何かを押し込めるように口元を押さえアンリエッタが駆け出した。
「姫様!」
一人にしてはいけない、そう思ったルイズは後を追う。
何をすればいいかもわからないままただアンリエッタの背中を追うルイズは廊下の突き当たりで追いつく。
アンリエッタは嗚咽をもらしていた。
「ルイズ……ルイズ、どうしてでしょう。どうしてウェールズは、あの人はあんなに死にたがっているのでしょう」
「それは」
「私はあの人に亡命を、ここから私と共に逃げてくれるように頼みました。でも、あの人はそれを断りました。王族としての誇り、義務。それもわかります。でも、それでも生きて欲しいのに。なぜ!」
「それ……は」
ルイズにそんなことがわかるはずもない。
考えていることはアンリエッタと同じなのだ。
ただ姫様のために生きていて欲しいのに。
「見てみる?」
こんな時だというのに、いつもの微笑を浮かべたベルが小さな窓のそばに立ち、外を指さしていた。
「あれを見れば少しはわかるかもね」
石造りの城の窓は小さく少ない。
そしてルイズ達は秘密の地下港を通ってニューカッスルに入城した。
それ故に今まで見えなかったものがベルの指さす遙か向こうにあった。
「あっ……」
城壁から距離を開け展開するレコンキスタの軍。
それが見えたのだ。
数など数えられるはずもない。それほどの大軍が城壁を囲んでいるのだ。
「あ、あ、あ……」
後ずさるアンリエッタは声すら出せない。
人の海が彼女の心に重しとなってのしかかっていた。
ルイズだって怖い。今ルイズが平静にしていられるのはアンリエッタを支えなければという思いがあるからだ。
「ざっと3万といったところかしら」
なのにベルはこんなに何でもなさそうに、むしろ面白そうにしている。
「あれからあなたを守りたいのでしょうね。力及ばずとも、そのための礎となりたい。そう考えているんでしょ」
「あ、あ、あ……」
震える足はアンリエッタを支えきれず、ついには後ろに倒れゆく。
その彼女を支える手があった。
「慣れぬ者には刺激が強すぎましたかな?」
アンリエッタを支えたのは年老いたメイジだった。
たしか、ウェールズの侍従でパリーといったはずだ。
「叛徒どもあれだけの人数を集めましてな。いやはや、300の我らに大層なものです」
「あら、そうかしら」
ベルはいつもの調子で叛徒の大軍を見ながら答える。
本当にいつもと変わらない。
「ほう、というと?」
「あのくらいがちょうどいいでしょ。あなたたちくらいなら相手に困ることはないわ」
「はっ?」
戸惑うのもつかの間、パリーは開いた口で大笑いを始めた。
「ははははは!いや、確かに。確かに、アンリエッタ王女のお連れの言うとおり。困ることはありませぬわい。これはいいことを聞いた」
ひとしきり笑ったパリーは足に力の戻ったアンリエッタより手を離す。
「そうわけです。ですから、決戦前にそんな顔をしてくれないでくだされ」
「はい……」
しっかりと立つアンリエッタを見たパリーはウェールズの部屋の方向へ歩こうとした足をふと止めた。
「そうそう、愉快すぎて忘れるところでしたわい。もう少しでパーティが始まりますでな。女性には時間もかかりましょう。早めに出席をお願いしようと来たしだい」
「ええ、是非」
確かな足取りでアンリエッタはあてがわれた部屋に戻っていく。
この倒れそうな幼なじみをどうやって支えたらいいのか。
それをルイズは考えるルイズの耳元にすれ違うパリーのつぶやきが届いた。
「あのように慕われながら王子も不憫な。できれば生き延びていただきたいものだが」
159 :
ナイトメイジ:2008/08/29(金) 23:00:51 ID:nN0YYHXD
城のホールで行われたパーティでアンリエッタは貴族達に囲まれ、言葉を求められていた。
それはそうだろう、このようなときにトリステインからの客人、しかもお忍びでその王女が来たとなれば何か言葉を交わしたくもなるというものだ。
「皆様が明日の出陣を万全なまま迎えられるのを嬉しく思います」
この死を前にした晴れがましくも悲しい宴でアンリエッタは皆の力になりたいと思っていた。
だから彼女は言葉の限りに皆を励まし、鼓舞を繰り返し、そして最後にこう結んだ。
それは、つい先ほどベルの言葉を意識したものだった。
「敵は皆様の100倍なれど不足はありません。存分が望むだけの軍功を上げられますようブリミルに祈りを捧げております」
「おおっ」
あたりは喧噪に包まれ、拍手と喝采が巻き起こる。
それこそまさしく彼ら王党派の貴族の望むものそのものだったのだ。
「感謝しますぞ。アンリエッタ王女」
沸き立つ喧噪の中にウェールズ王子の父王、ジェームズ一世もまた下りてきた。
もはや老いで立たぬ足に無理をしてここまで来たのも王女に対する礼であろうか。
「おかげで、皆の士気もこの上なく高まった様子。さて、何か礼を差し上げたいが良いものが思いつかぬ。この城にあるものなら、何でも良い。持ち帰られるが良かろう」
「いえ、なにも」
ルイズもアンリエッタの気持ちはわかっていた。
手紙も燃やした。
既に目的は果たしたのだ。
この上、何を求めるというのだろう。
「私なら」
そんな時でも違うことを考える者はいる。
ベルがそれだった。
「……をもらおうかしら」
ルイズの頭に衝撃のようなものが走った
ジェームズ一世の前に足早に進み出たルイズはその場に跪く。
「おそれならが陛下。私にはいただきたいものがあります」
「ほう、よかろう。いかなるものでも望むがいい。ここにあるものならば、だが」
「では」
ルイズは言葉に力を込めた。
ただ声が大きくなっただけかもしれないが、その言葉は周りにいた人間に衝撃を与えていた。
「ウェールズ王子をいただきたく思います」
「なんと!?」
あたりにざわめきが起こる。
混乱していたといってもいいかもしれない。
「ミス・ヴァリエール。私は王族としてここを退くわけにはいかない。それは、アンリエッタ王女にも言ったことだ」
それに対する返答も既に浮かんでいた。
ベルならばどう考えるか、という思考でだ。
「私はジェームズ一世陛下の望めば与えるとの言葉に応えたまでです。ウェールズ王子の意向など知りません。考えていません!」
「なっ……!」
驚くウェールズを無視してルイズはさらに詰め寄った。
「陛下!」
ジェームズ一世はしばし、目を閉じて考え込む。
あたりもしんと静かになった。
だが、年老いたジェームズ一世に今の状況はいささかつらかったようだ。
立ちっぱなしの足がふらついてきたとき、椅子が差し出された。
「陛下、よろしいではありませんか」
それはウェールズの侍従のパリーだった。
「実はレコン・キスタごとき王子の手を煩わすほどでもないと思っていましてな。ミス・ヴァリエールが引き取ってくれるというのならちょうどいいではありませんか。我らが上げる一人あたりの軍功も増えるというもの」
「パリー!お前まで」
「それに、私としてはこの戦を後に伝えてくれる者がいると大変嬉しい。王子はその役目に適任だと思うのです」
ウェールズは助けを求めて周りを見回した。
だが──彼にとっては不思議なことでもあったが──ウェールズを助けるものはなく、誰もがパリーに賛同を示していた。
誰もが、誰かがそう言うのを待っていたようでもあった。
「そう言うわけだ、ウェールズ。お前はミス・ヴァリエールと行け」
ジェームズ一世はその言葉を持って、これを決した。
160 :
ナイトメイジ:2008/08/29(金) 23:01:56 ID:nN0YYHXD
アンリエッタは何が起こったか理解できずにいた。
ただ、立ち尽くし今起こったことを考えていた。
「姫様。ジェームズ一世陛下より賜りましたウェールズ王子をお渡しします。あとはどうか」
やっとアンリエッタにも何が起こったかわかった。
ウェールズが自分と来てくれるのだ。
望んでいたことすべてがかなったのだ。
「ルイズ、ありがとう。本当に、ありがとう」
アンリエッタの両目からは涙が途切れることはなかった。
そしてルイズも、それが嬉しかった。
空になったウェールズの杯にパリーが酒を満たした。
彼の機嫌の良さはレコン・キスタの反乱が起こって以来のものであった。
「パリー……貴様……いや、礼を言うべきなのか」
ウェールズはここにおいて守るべきものが変わったと言うことを理解していた。
故に、悪態をつくこともできずにいた。
「王子、そんな顔をなされるな。それに、楽な生き方にはなりませぬぞ」
ウェールズとパリーはルイズにすがりつくアンリエッタを見て、再び酒を干した。
それがこれからウェールズが守り続けなければならないものなのだから。
例え決して結ばれることが無くても。
パーティも終わる頃、ルイズはホールを去り、夜風で体を冷やしていた。
少々暑くなってきた今、その冷たさは気持ちよかった。
酒ではなく、さっきの大芝居が原因だというところが格好がつかないところかもしれない。
「君があんな事をするとは思わなかったよ」
ワルドが月を見上げていた。
かれは、ルイズを守るようにここにいる。
「私は、姫様のために何かしたかったのよ」
ルイズも月を見上げた。
二つの月の寄り添う。それはアンリエッタとウェールズを思わせた。
「君は思っていたようにすばらしい女性だった。どうだろう、ルイズ。これが終わったと言わず、今正式に結婚を申し込みたいんだが……受けてくれるかい?」
「えっ!」
暑さで赤くなったルイズの顔がますます赤くなる。
お酒と大芝居でいい感じで回っていた頭がどんどん混乱してきた。
「ごごごご、ごめんなさい。ワルド様。今は姫様のこれからのことで頭がいっぱいなの。私の言い出したことだし」
「それはすまなかった。僕もよく考えるべきだったよ」
「ごめんなさい、ごめんなさい。わ、ワルド。明日にはきっと……おやすみなさい」
ルイズは駆け出す。
どこの駆け出すかは本人もよくわかっていないかもしれない。
それを見ていたワルドは、かぶっていた帽子のつばを摘んで深くかぶった。
161 :
ナイトメイジ:2008/08/29(金) 23:03:59 ID:nN0YYHXD
城の中を走り回ったルイズがたどり着いたのはアンリエッタの部屋だった。
ワルドとの結婚をどうしたらいいのか、それを聞けるような人はここにはアンリエッタしかいないことにようやく気づいたのだ。
さらに言えば、結婚を受けることは決まっているから既に相談することでもないのだがとにかく話をしたかったのだ。
そのために扉の前に立ち、ノックをするべき握った手を挙げた。
「アンリエッタならいないわよ」
声の主はベルだ。
いつの間にかここに来ていたらしい。
「じゃあ、姫様はどこに?まだホール?」
「違うわよ。さっき、ウェールズ王子といたから彼の部屋じゃない」
「そう、ありがとう」
ウェールズ王子の部屋を目指して歩こうとしたルイズだったがベルにマントを引かれてしまう。
首にマントが食い込んで
「ぐええ」
なんて言いながら足がとまった。
「なにすんのよ」
「それは、こっちの台詞よ。やめなさいって」
「私は姫様とちょっと話をしたいだけなの。止めないで」
「だから、それをやめなさいって言ってるの」
「なんでよ」
ルイズは本気でわかっていなかった。
「あのね、アンリエッタとウェールズ王子が一緒なのよ」
「わかってるわよ」
「同じ部屋に行ったのよ。どういう事かわかるわよね」
3
2
1
ぼんっ、
なんていいながら顔から蒸気が噴き出しそうなほどになった。
ようやくわかった、と思ったらまた
ぼんっ
何かが頭の中で爆発していた。
*******************************************
今回はここまでです
なにか、すごい分岐を作ったような気がする
うっかり言っちゃったんですよアンリエッタPLに幸運判定で成功したらだいたい一年後になんか起こるって
プラーナ全突っ込みした上でクリティカルまで出してくれたような……
生き別れのカップル乙。
ルイズ・サロメ・ド・ラ・ヴァリエールにGJ!
乙です!
しかし親友を死地に送り出したことで色々言われるアンアンですが、まさか本人が同行する話を見れるとは
乙
>>160下から2行目の
>どこの駆け出すかは本人もよくわかっていないかもしれない。
はどこに駆け出すかは本人もよくわかっていないかもしれない。
かな?
300対3万でも相手に「うわーだめだー」とか言わせれば勝てる。
50分ほどから第2話を投下したいのですがよろしいでしょうか
バキだったら対7万でも「敵は同時に4人しか襲って来れない」とか言いそうだな
100人のときは全員倒しきれなかったけど
支援
チーターマンなら敵は一度に二体ずつしか襲い掛かれないぜ?
広場で魔法の練習を終えたルイズは、朝日が昇るまで魔法の練習を重ねていた。
といっても錬金やフライを成功させるための練習ではなく、いかに狙った場所を爆破するかというものだ。
ゼロとはいえあの爆発の威力は捨てがたい。使用不能になっていたらどうしようかと思ったが、無事に爆発してくれて何より。
今のところ目標には殆ど当たらないが、その内当たるようになるだろう。爆発を故意に起こした事は無かったし。
ついでに、杖を持つとルーンが光を発して、身体能力が飛躍的に上昇するということも発見した。
肉体的にはドラゴンやサラマンダーなど、そういった規格外な連中と比べくもないルイズにとって、これは完全に棚から牡丹餅である。
いままでは己の体を武器とすることは最終手段でしかなく、変身能力をそういった方向に生かす事は考えていなかった。
しかし人間に成りすます事が出来るのだから、もっと強い生物に化ける事も当然可能なはずだ。
ルイズにとって人間もドラゴンも、まったく別の生物であって大した差異は無いのだから。
ルイズが次に取った行動は、学校の敷地外にあるコルベールの研究室を訪れる事だった。
自分という存在がディテクトマジックに引っかかるのか。また、コルベールがどう思っているのかを知るためだ。
私を危険分子として排除しようとするならば、今のうちに奇襲をかけておくのが一番安全といえる。
しかしどんなマジックアイテムがあるか分からない以上、安易に教師に手を出すのは避けたい。
「朝早く失礼します、ミスタ・コルベール」
城壁の外側に寄り添うように立つ小さな小屋の前へ行くと、ルイズはそのドアを軽くノックした。
居ないのかと思ったが、少し待つと慌てた様子のコルベールが顔を出す。
どうやら中で寝ていたらしく、顔にはよだれの跡があった。まだ朝食前の時間だから、それもあるのだろう。
「むさくるしい場所ですみませんが……」
小屋いっぱいに詰め込まれた訳の分からない機械や、その残骸と部品の数々で足の踏み場程度しかない。
応接用だったらしいテーブルの上には山のようにガラクタが並び、秘薬やら薬品の臭いで鼻が曲がりそうだ。
「私の使い魔について、お話を聞きたくて……」
「その事ですか……。いやはや、何と言ったらよろしいのか」
コルベールは即頭部に残った髪の毛をポリポリと掻き、言いにくそうにルイズを見つめた。
「私が見たものは、サモン・サーヴァントの呪文と共に発生した爆発……と共に、倒れているミス・ヴァリエールの姿だけでした。
その時にはもう左手にルーンが刻まれていて、幻獣の類かと思ったのですが、ディテクトマジックも無反応でして。
正直なところ、何も分からないというのが現状です……。力になれず、申し訳ない」
「そうですか」
「直後は茫然自失といった状態で、水メイジが見ても何も分からず焦りましたよ。
しかし、元気そうで何よりです。時に危険な使い魔を召還してしまうこともありますからね」
ルイズは密かに伸ばしていた触手を引っ込めた。テーブルの下を通してコルベールの足元を狙っていたが、この分なら必要ないだろう。
この世界の弱点というべきものが如実に現れている。何もかも魔法に頼りきりで、それ以外の事となるとからっきしなのだから。
「私自身にも、この使い魔の事は良く分からないのですけれど……。
今のところは、気に入っています。五月蝿かったりする訳ではないですし。
起きた時は気分が悪かったのですが、今はなんだかスッキリしました」
「それは良かった。本人との相性というのも重要ですからね。
ミス・ヴァリエールの使い魔については、こちらでも様々な文献は当たっています。
何か進展がありましたらすぐに報告しますので、心配する必要はありませんよ。
今日はその……使い魔と、じっくり向き合ってみると良いでしょう。
本来は昨日がそういう日でしたが、あの様子では不可能でしたと思いますし」
「はい、ありがとうございます。では失礼します」
これで不安材料はとりあえず解決だ。小屋を出て朝の清涼な空気を胸いっぱいに吸い込む。
後はいかにして気づかれず、植えつけていくかを考えればいいのだ。とりあえず先ほどのように平民を狙うのがいいだろう。
杖さえあれば強力な呪文を放てるメイジは始末が悪い。今のところ積極的に狙いたい相手ではなかった。
人間の前に不用意に姿を出せば、次は対策をして挑んでくるのが彼らだ。乾燥に弱いとなれば、そこを突かれるのは目に見えている。
メイジを狙うのは危険がある場合か、絶対の自信がある場合に留めておく。
「とりあえずは朝食ね」
時間を考えれば、もうすぐ朝食の時間のはずだ。エネルギーの充填は重要である。
今日は一日部屋で大人しくして、今後の動きと肉体の改造を試してみるのがいいだろう。
疎らにしか人影のない食堂に入り、普段の3倍近い量を軽々と食べきった。ここの料理は実に美味しい。
食後のワインも楽しみたかったが、その頃には人が増え始めていたので断念する。余計なお喋りで詮索されるのは御免だ。
近くに居た黒髪のメイドに部屋へ水差しを持ってくるように頼んでおき、席を立つと足早に食堂を後にした。
すれ違った誰かがからかいの言葉をかけて来るが、無視して一直線に部屋を目指す。
到着したらしっかりと鍵をかけ、ドアが開かなくなったのを確認してから窓も閉じる。
「よし、やってみよう……」
早速、右腕を触手の束に戻して軽くうねらせると、少しずつ人間の右腕に戻していく。
ただしその際に筋肉や骨の密度などを弄って、訓練を積んだ兵士に勝るとも劣らない豪腕に調整した。
これ以上になると腕を太くする必要が出てくるし、今のところはこの程度で問題ないはずだ。
「見た目に変化は無いわね」
自分の体を鏡に映し、年齢の割りに幼くて貧相なそれを確認する。もう少し育っていれば幅も広がるのに。
なんとなくツルペタな胸に手を当てると、こっそり増量してみた。薄かった二つの丘が盛り上がる。
制服のボタンが弾けそうになる位に女性らしさが出て、顔がにやけた。鏡に映してポーズをとってみたり。
「いや、ダメ、ダメ……。私は何をやっているのかしら……」
ハッと我に帰ると、胸を元通りに……するのは結構な精神力が必要だった。
別にコンプレックスとかそういうのではなくて、こう、獲物を誘惑する時に胸があったほうがいいとか、女なんだから胸ぐらいあったほうがいいとか。
やっぱり女性としての魅力があれば男を誘い出すのは簡単だから、勢力を強めるためにも胸は必要よね。
そう、バストレボリューションが私にも来てもいい頃よ。何しろ年頃なんだから。むしろ遅いぐらい。
だから、虚乳から微乳にするぐらいは当然の事は許されるはず。
今のサイズを鏡で確認して、どのぐらいまでならばれないか調べないと。
「こんな朝から、何を、やってるのよ……。あんたは……」
「うぇ?!」
ギ、ギ、ギ……と首を回したルイズは、部屋の入り口でツェルプストーが顔を引きつらせているのを確認した。
ちなみにルイズの今の格好は、マントを脱ぎ捨てて上着のボタンを外し、下着を捲り上げて自分の胸を直に揉んでいるという状態だ。
横を向いているので、入り口から見れば何をやっているのか非常にわかりやすいだろう。
その姿を外部のものが見たらどう思うだろうか。その答えはツェルプストーの顔に大きく書いてあった。
「ごめんなさいね。ルイズがそこまで気にしているとは思わなかったの。
でも大丈夫。きっとあなただって、もう少ししたら大きくなるわよ……」
キュルケはたっぷりと哀れみを込めた表情で、固まっているルイズを生暖かく見つめていた。
勝ち誇るように自分の豊満なバストを震わせ、軽く手を振って静かにドアを閉じる。
「ち、ちがうのー!」
それを追ってルイズが部屋から飛び出し、身長の高いキュルケに飛びつくようにして引き止めた。
その結果キュルケはバランスを崩し、ルイズに覆いかぶさるようにして押し倒す形になってしまう。
「な、何やってるのよあんたは!」
「誤解なの! さっきのは違うの!」
「なに、エッチな事でもしてたの?!」
「違うって! 別に胸を気にしてるとかじゃないの! うらやましくなんてないんだからね!」
「はいはい……って! ちょっと! 服ぐらい着なさいよ!」
「絶対に分かってないでしょ! 違うったらちがうんだからね!」
「わかった、わかりました! だから服をきてってばー!」
必死に逃げようとするキュルケだったが、現在ルイズの右腕は人間の限界近い所まで強化されており、制服を掴むその腕を引き剥がすのは絶対に無理だった。
しかも慌てたルイズがそのままの格好で突撃したため、二つの白いお饅頭は丸出しのままである。女子寮でなければとんでもない眼福物だ。
キュルケが恋多き女性なのは周囲の人間ならばまず知っている事であり、そのためこの事件は周囲に誤解されて伝わった。
曰く"キュルケがついに少女にまで手を出した"と。
そのためこの日以降、キュルケの部屋には女性からの恋文も数多く届く事になる。
しえ
以上で終了です
やっぱりルイズはエイリアンになっても胸を気にしていると思ったんだ……
キュルケも絡めないと空気になりそうだったし
後非常に申し訳ないのですが、どなたかwikiに追加をお願いできませぬか
自分でやろうかと思ったのですが、変に失敗したらどうしようかと不安で
>>ナイトメイジさん
10月10日後がたのしみですね!
ある意味手紙なんてぶっ契りな爆弾の気もしますけど
>>パラサイトさん
へ、平和だ……
おかしい、魔法学院の未曾有の危機のはずなのに……
あー、それはそれとしてキュルケってやっぱ女の子にももてるんだw
Wikiに関しては、ここでもいいですけど避難所の方で頼んだ方がいいかもしれませんね
(まとめWiki更新スレでいいんだっけ?)
乙。
相当ルイズの自我が残ってない?w
パラサイトの人乙でした。
楽しく読ませてもらってるんで、今からまとめに登録してきます。
あと、次回から投下レス全部に作品名を入れてもらえるとうれしい。
投下がきたってわかりやすいしね。
>>176 まあギャグパートという事で一つ……
>>177 やろうと思ってたのに忘れてました。ありがとうございます
外で雷がとんでもない音をさせてるよ……PC大丈夫かな……
腕の中でペットのチワワが震えまくっててタイピングし辛いぜ
雷、
雷帝インドラ、レールガン御坂美琴、雷帝アーシェス・ネイ、高木ブー
御坂シスターズ全員がルイズに召還されるってのが思い浮かんだ
インドラの神格匡体を召喚だと
>>182 そりゃすげぇ。
某所の「才人が1236人召喚される」より大変だ。
なぜ雷でラムちゃんが出てこないっちゃ
なにかSSを書きたいと思うけど、原作のゼロ魔が終わりそうだがら二の足を踏んでしまう。
書いてる間にゼロ魔が終わって、このスレが過疎化するなんて事が起こりそうで怖いし・・・。
書き手としてはむしろ完結してくれたほうが後々矛盾が出たりしなくていいんじゃないか?
うーん、カフェインなしでどうするんだろうか
そこはクロスオーバーだし
納得行く展開なら惚れ薬飲んで死滅とかでもいいと思うよ
むしろ完結するのをこのスレがたった時から待ち続けているんよ
やるならキッチリ最初から最後までやってオチつけたいんだもん
完結を待つとまではいかんが、裏表のいろんな設定がまだきっちり定まらないんでな・・・
特に虚無・始祖・聖地関係はこれからだし
原作売れてるから当分完結はないんじゃ?
完結するのかすら分からない
したとしてもその頃にはこのスレには居ないと予想
俺がノボルなら売れなくなるまで何年でも引っ張るねw
そうやって引き際を間違えた作品がいくつあると思ってんだ
多くは編集部の都合でだけど
本編が終了しても新とかつけたり外伝とかつければいくらでも続けられる
版を変え、絵師を変えてまだまだ売れる
そして飽きられ気がつけば中古本屋の100円コーナーへ
ゼロの使い魔(無印)
ゼロの使い魔Z
ゼロの使い魔GT
ゼロの使い魔U世
暁!!ゼロの使い魔
極上ときめきロマンシングタクティクスver.2改「ゼロの使い魔」ZERO通’X TURBO++64TWEI 〜そして伝説へ〜
ゼロの使い魔 〜えくすたしー〜
ゼロの使い魔OO
タバサの冒険とかSS書きにとって重要な情報が出てるから侮れん。
錬金で料理もできるとか、先住の力はディティクトマジックで探査不能とか。
おかげでちょっとプロット書き直ししちゃったぜ。
ノボル「エロゲのシナリオ書くより儲かるからあと10巻は出す」
ブギーポップ ゼロ ユーズ マニトゥ
207 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 02:10:07 ID:AsqL9Fop
>>181 ワルドと属性攻撃で競ったり、ヨルムンガントと力比べをしたりするわけですね。
虚無でもない限り、相の防御を抜けないような……なんてチートルイズ。
しかし、三面六臂でサイトに鞭呉れる、巨大ルイズの姿が脳裏に浮かんで離れん。
sage忘れごめん、吊ってきます
>>191 お茶があるからいいんじゃない?
日本茶はコーヒーよりカフェインを多く含む、らしいし
スカロンがカッフェに危機感を抱いていたから、コーヒーもあって不自然ではない
カフェインならチョコにも入ってるぞ。
ゼロ魔にチョコやココアって出てきたっけ?
あの話カフェインの脱水作用がエイリアン殺すんじゃなかったか?
劇中エイリアンに取り付かれた人たちはやたらガブガブ水飲んでるし
遅レスだけども……パラサイトの人、GJっした。
そーかー……姉妹スレでも吸血鬼化したルイズが豊胸してたけど、
やっぱり肉体改造可能だとルイズはついついやっちゃうんだなぁ……ウウッ
ところで、触手ルイズとキュルケの絡みはいつ見れますか?
正確には緑茶は、だな。
酸化醗酵させて青茶(烏龍茶など)や紅茶にしたりするとカフェインが少なくなるらしい。
もっともゼロ魔の「茶」は今のところ緑茶以外出てきてないが。
緑茶に砂糖は外道ですか?
>>214 緑茶に砂糖って、東南アジアとかでは普通に入れるぞ。
それは上等な料理に蜂蜜ブチ撒けるようなものです。
甘茶を飲みなさい、甘茶を。
リンディ茶が速攻で出てきた俺は死ぬべき
で、魔法でカフェインだけを抽出できるかだが魔法ならできるか
でも魔法はイメージが全てな感じだし、カフェインをイメージできるか?
ノボル「とりあえず20巻あたりからバッチグーと天神と一番星は出すか。
バッチ・グーにティエン・ジーンにイーチィ・ヴァン・ボッシィみたいな感じで」
薬品調合とかやってるような水メイジなら成分抽出とか出来るんじゃね?
カフェインとか成分理解してないと思う
>>221 天神が出たら、タバサやベアトリスが彼のメインターゲットに!
>>216 甘茶と聞くと狼と香辛料を思い出す俺ガイル
アニメは3巻までやって欲しかった、若しくは二期希望
ホロ召喚の人帰ってこないかな。
別のwikiだけど、仮面のルイズって作品読んで痺れた
ちょっとあの感動は言い表せんね
60オーバーまであったのに一気に読んじゃったよ……
このスレって結構長いこと続いてるみたいだけど、
今まで住人で「〜賞」みたいなの決めたり
コンペやったことは一度もないのかな?
長編部門とか小ネタ部門とかホラー部門とかSF部門とかギャグ部門とか
そんなんで各自選んで投票したりとか
賞じゃなくて単純にオススメ作決めるとかそういうの
ん〜…面白そうではあるが荒れる原因になりそうだな、それ。
やるなら避難所でじゃないかな?
>>228 今以上に、荒らしたがる奴らの格好の餌食になってしまう
>>227 そう言うのはその作品やってる方のスレで言えよ……
夏コミ\(^o^)/オワタ
でもすぐに冬コミ合わせの修羅場/(^o^)\ハジマタ
てなわけで 8時30分から投下
Mr.0の使い魔は名作
プリキュア悪役のあれも名作
サイヤの使い魔はパワーバランス的に失敗作
ドラゴンボールファンにはまどろっこしくてストレスたまるし
ゼロ魔ファンにとっては世界を蹂躙されることがわかっているので見たくない
ID:gzDdJoyo
毒吐きは毒吐きスレでやれヴォケ
サイヤの使い魔支援
酔い潰れたフーケを引き摺って、比較的小奇麗な道端に寝かせると、ルイズは置き去りにされた荷物を取りに戻った悟空を見送った。
絡まれて暴れたのと、慣れない酔っ払いの介抱で少し疲れた。
ルイズはスカートが汚れるのも構わずに、フーケの隣に腰を下ろした。
「はあ……。これじゃいつまでたってもアルビオンに行けないじゃない……」
「ルイズ」
荷物を抱えて戻ってきた悟空が、ルイズに声をかけた。
「何?」
「おめえ、ここで荷物とフーケを見ててくれ。オラちょっとギーシュ達の所に行ってくる」
「ギーシュ達ですって…?」
「ギーシュとタバサとキュルケと…あとワルドってやつかな……。どうもこっちに来てるみてえなんだ」
「なんですって!?」
子爵様が? ギーシュ達と? 何で?
ルイズは跳ねるように立ち上がり、悟空の服を掴んだ。
「ちょ、ちょっとそれってどういう事?」
「わかんねえ。だから行って訊いてみる。それに、もしここを目指してるんなら、そのまま瞬間移動で連れて来ちまった方が早えだろ」
「わたしも行く!」
「いや、おめえはここに居てくれ。今のフーケの気は弱っちくって、離れたら殆ど感じられそうにねえんだ」
「あ、ああ、そう…。戻るのにわたしが居ないといけないってわけね。わかったわ」
「んじゃ、行ってくる」
ピシュン。
お決まりの音を聞いた後、ルイズは再び腰を下ろし、立てた膝を支えにして頬杖をついた。
ちらとフーケの様子を伺う。かすかに上気した艶っぽい顔をだらしなく弛緩させ、眠りこけている。
うう〜んと悩ましい呻き声を出して寝返りをうつとロングスカートの裾がずり上がり、むっちりとした白い太腿が露になった。
ため息をつき、ルイズはそれを直してやった。
ラ・ロシェールから離れたところにある峡谷で実体化した悟空は、その場から急速に遠ざかっていくワルド達の気を感じた。
どうやら、一瞬送れて登場してしまったらしい。
すぐさま悟空は一行を飛んで追った。
幾重にも曲がりくねった峡谷の壁面に沿って飛んでいくと、数百メイル先にタバサの風竜、その少し先にグリフォンが飛んでいるのが見えた。
悟空はスピードを上げ、シルフィードに並んだ。
「よう」
「ゴクウ! ルイズは?」ギーシュが訊いた。
「ラ・ロシェールだっけか。そこにいるぞ。おめえらは何でここにいんだ?」
「わたし達もそのラ・ロシェールに行くところなのよ」
「やっぱそうか。そんじゃ、オラが瞬間移動で連れてってやる」
「助かる」タバサがぽそっと呟いた。
「あいつも一緒なんか?」
「ああ、子爵様? そうよ。ていうかあの人、あんた達の任務――何だかは知らないけどね――の同行を命じられていたらしいわよ?」
「そうなんか? オラ知らなかったけどな」
「まあそういうわけだから、子爵様も連れて行ってくれないか」
「わかった」
悟空は前を行くグリフォンの元へと向かった。
ワルドはまだ悟空に気付いていないようだ。
「オッス」
「えひゃい!!」
いきなり至近距離から声をかけられてどこかの偽物のような悲鳴をあげたワルドは、反射的に声のした方向を振り返ろうとしてバランスを崩し、グリフォンから真っ逆さまに落ちた。
地面に達する寸前悟空が足首を掴み、辛うじて地上への激突は避けられた。
「わりぃわりぃ。大丈夫か?」
「だ、だい、じょう…ぶだ」
そのままグリフォンの背中に乗せられたワルドは、まじまじと悟空を見た。
「ルイズの使い魔くんだね。名前は?」
「オラ悟空。孫悟空だ」
「……ええと、『ソン』のほうが名前かね?」
「いや、ゴクウが名前だけど」
「苗字が先に来るとは珍しいな…」そう言って、ふと、昔そんな命名規則の連中と交流があったことを思い出した。「東方系なのかね?」
「オラ、よくわかんねえ。オラがいたとこじゃ苗字と名前に分かれてる奴は殆どいなかったんだ」
「そうか…」
ワルドは一瞬、この男はエルフと関わりがあるのではと訝ったが、どう見ても耳が尖っていないのでその線は無いだろうと思い直した。
領地を持たない平民であれば苗字を持つ者がそう多くないのは考えるまでも無い。
「それで、いったいどうしたのかね?」
「おめえ達がラ・ロシェールに行こうとしてるみてえだったから、オラが一気に瞬間移動で連れてってやろうと思ってさ」
「そうか、…それは助かる」
――ピシュン。
実体化した一行の中に憧れの人物の顔を見つけ、ルイズは反射的に立ち上がった。
いるのは聞いていたが、実際にその相手を前にすると、かける言葉が出てこない。
「…ワルド様……」
震える声で、名前を呟くのが精一杯だった。
名前を呼ばれたワルドは、人懐っこい笑みを浮かべた。
「久しぶりだな、僕のルイズ」
「お……お久しゅう、ございます」
ワルドはルイズのもとへ行き、軽々と彼女を抱え上げた。
ルイズは頬を染めてされるがままになっている。
キュルケが密かに舌打ちをした。
「相変わらず軽いなきみは! まるで羽のようだね!」
「は、恥ずかしいですわ」
「ご苦労、使い魔くん。それにしても凄いことができるんだな、君は」
「昔仲良くなった連中に教えてもらったんだ」
「それにしても、何でこんなところにルイズを待たせていたの?」
「実はよ……」
悟空が身振りでルイズがいた場所を示すと、ギーシュ達に緊張が走った。
「あれはフーケじゃないか!」
「ちょっと! あんた達あいつと一緒にいたの?」
「詳細希望。400字以内で」
「いやあ、オラも何が何だかよくわかんねえんだけど」
「彼女は僕の保護観察下に置かれている」ルイズを抱きかかえたまま、ワルドが言った。「ルイズ、君の任務への協力を条件にね」
視線が2人に集まった。ルイズは「信じられない」という顔でまじまじとワルドの顔を見た。
大間抜けの低脳は、よりによって憧れの子爵様でした。
ルイズの顔を汗が流れた。予想外すぎる展開に思考が追いつかない。
「……それで、その彼女だが、何で寝ているんだい?」
「酔い潰れました」やっと我に返ったルイズが言った。
今度はワルドの顔に汗が流れた。
マチルダの奴、そんなに大量に飲んでいたのか? それとも、元々酒にはあまり強くないのだろうか?
「あ、そう……」
「それよりも僭越ながら子爵様、何でこんな奴を連れてきたんですか? 彼女は凶悪犯ですよ?」ギーシュが言った。
「うむ、実は彼女はアルビオンの出でね。現地のガイドとして協力して貰おうと思ったわけだ」
「そうなの?」と、キュルケ。
「知っての通り、アルビオンは今や内乱状態だ。現地の地理に聡い人間が一人いた方が心強いと思ってね」
無論これは嘘だ。マチルダがアルビオンの出なのは事実だが、産まれはサウスゴータである。
行ったことくらいはあるかもしれないが、遠く離れた地であるニューカッスル城の地理に聡いはずが無い。
観光客に説明する以上の道案内ができるとは到底思えなかった。
とはいえ、これは好機だ。
マチルダがすぐに動けないのであれば、それを十分利用させてもらえばいい。
「さて、いつまでも道端に寝かせておくわけにも行かないな。彼女を起こして、ひとまず宿を探しに行こう。今ならまだ良いところが開いているだろうし」
「え? アルビオンに行くんじゃあ…」と、ギーシュ。
「これだけの大人数だ。あの風竜に乗せるのはちと酷だろう。船で行くとしよう」
だったら悟空に…と言いかけて、ルイズは悟空が瞬間移動でアルビオンに行けないのを思い出し、その言葉を口に出すのをやめた。
それに、ワルドがフーケに道案内をさせるというのだ。
ニューカッスル側とどうやってコンタクトを取ろうか考えあぐねていたルイズにとっては、ある意味渡りに船であった。
「ルイズ、どうすんだ?」悟空が聞いた。
「子爵様と一緒に行きましょう。あんたが使えないってわけじゃないけど、その方が心強いし」
ルイズからのフォローに、ワルドは何とか自分の思惑通りに事が動いてくれたと密かに安心した。
「それなら、どうして船着場に行かないの?」ルイズが尋ねた。
「今日は一泊して、明日の朝一番の便でアルビオンへ立つ」
今から行けば午後の便があるかもしれないが、それではアルビオンへ着くのが真夜中近くになってしまう。
闇の中を行軍するのは危険だし、何より肝心のガイドがこれでは動くに動けない。
そう説明すると、ワルドは未だ寝ているフーケの傍らにしゃがみ込み、小声で囁いた。
「起きろ、サウスゴータ」
「…ぅん……」
声に反応はしたものの、かすかに呻いただけで、起きる様子は無い。
ワルドは少し語気を荒げて言った。
「おい、妹が呼んでるぞ」
「てふぁっ!?」
謎の声を上げて、フーケがガバと起き上がった。
血走った目でキョロキョロと辺りを見回し、ワルドの傍らに付き添うルイズの姿を認めると、慌ててワルドから引き剥がした。
「にょわっ!」ルイズが珍妙な悲鳴を上げた。
「あんたぁ!! 人の妹に何手出してんだい!!」
「おはよう」と、ワルド。
「は?」
だんだんとフーケの目に焦点が結ばれ、抱き寄せたルイズの顔とワルドを不思議そうな顔で交互に見た。
「あれ? これはヴァリエールの娘っこや」
「……おはよう」ワルドが溜息をついた。
「いいから離して」むくれた顔のルイズが迷惑そうに言った。
ラ・ロシェールで一番上等な宿『女神の杵』亭に泊まることにした一行は、一階の酒場で寛いでいた。
めいめいが頼んだ料理に舌鼓を打っている。流石に上等な宿だけあって、料理の質も一級品である。
悟空の姿は無い。腹ごしらえが済んでいるので、午後の修行に行くためデルフリンガーを持って何処かに飛んでいた。
フーケも羞恥と急に起きたことによる二日酔いで、言葉少なに自室へと引き篭もっていた。
……のだが、頭痛に耐えかねたのか、先ほどから隅の席で「迎え酒」と称して顔色が悪いままエールを呷っている。
そこに、桟橋へ乗船の交渉に行っていたワルドとルイズが帰ってきた。
ワルドは席に着くと、ウェイターにアンディーヴのグラタンを注文し、エールを一口含んで困ったように言った。
「参ったな。アルビオンに渡る船は明後日にならないと出ないそうだ」
「急ぎの任務なのに……」ガルディアン・ド・トロ(盛ったカマルグ米の周りに牛スジ肉の煮込みを盛り付けた料理)を頼んだルイズが口を尖らせた。
「あたしはアルビオンに行ったこと無いからわかんないけど、どうして明日は船が出ないの?」と、キュルケ。
「明日の夜は月が重なるだろう? 『スヴェル』の月夜だ。その翌日の朝、アルビオンが最もラ・ロシェールに近づく」
「いざとなれば臨時便も出せるけどぉ、ここ最近は風石が高価いからね。船を出す側も燃料を節約しようと必死なのさぁ」妙に間延びした声で、フーケが助け舟を出した。
「ところで、ルイズの使い魔くんは何処に?」
「ゴクウなら、午後の修行に行くと言って子爵様の少し後に出かけていきましたが」
「そうか……。彼に用があったのだがな」
「何ですか?」ルイズが尋ねた。
「いやなに、ごくごく個人的なことさ」
「はあああああああ………!!!」
ラ・ロシェールから数リーグ離れた洋上。
ルーンの刻まれた左手でデルフリンガーを逆手に持った――元々棒術使いなので、身体の下方に長物が伸びている方がしっくりきた――悟空が気を込めていた。
トリステインにいた時のように陸地で修行をしたら地上にダメージを与えかねない。
それでわざわざ海上に出たのだが、その配慮は功を成していた。
下を見ると、水面からは十分に高度を取っているのに、悟空を中心として海面が轟音を立てて渦を巻いている。
上に視線を転じれば、四方八方から雲が悟空のほうに引き寄せられ、中心に到達するとそのまま上へと吹き上げられている。
湿度も電位も異なる雲が一箇所へと集まっているために、台風の目のようにぽっかりと開いた雲海の中心では、時折雲間放電が起きていた。
ちょっとしたスペクタクルである。
「うほおおおすげえすげえ!! いいぞ相棒! もっとだ! もっとやれ!!
!……思い出したぞ!! 俺の知ってる『ガンダールヴ』もそうやって力を溜めてたんだ!!」
興奮状態のデルフリンガーが、風と波の音に負けまいと盛んにわめいている。
悟空のルーンが光る。その輝きを受け、錆付いたデルフリンガーの刀身も光る。
「相棒、『ガンダールヴ』の強さは心の震えで決まる!! 怒り! 悲しみ! 愛! 喜び!
何だっていい! とにかく心を振るわせな!!」
「心を振るわせる?」
悟空は気を込めるのをやめ、金色の炎をかき消した。超サイヤ人の特徴である逆立った金髪はそのままである。
「ん? どうした相棒」
「…うん。ちょっと、気になることがあってな」
そう言うと悟空はデルフリンガーを数回、左右の手に持ち替えた。繰り返すうちに、悟空の疑念が確信へと変わっていく。
左手でデルフリンガーを持った時だけ、悟空の精神が干渉を受ける。
ちょうど超サイヤ人に目覚めたばかりの頃と同じ、凶暴性が増した軽い興奮状態になっているのだ。
精神と時の部屋での修行で克服したはずの感覚が、この剣とルーンの相互干渉によりまた戻ってきていた。
「やっぱし…」
「何がやっぱしなんだ?」
「昔は超サイヤ人になると落ち着かなくなってたんだ。元々怒りで目覚めるもんらしかったからな。
修行で変身してても平常心を保てるようにしてたんだけど、おめえを握ってると…つうか、このルーンが光ってると、またあの頃のざわついた感じになるんだ」
悟空は超サイヤ人の変身を解いた。
するすると鞘に収められながら、デルフリンガーが尋ねる。
「勝手に怒りで心が震えるってことか」
「ああ。でも、これはこれでいいのかもしんねえな。悟飯が超サイヤ人の壁を超えたのも、やっぱ怒りで切れたのがキッカケだったしよ。
平静なまんまじゃ、いつまでたっても壁は超えられねえ。やっぱおめえを買ったのは正解だったみてえだな、デルフ」
「俺っちも役に立つだろ」
食後、ワルドはブツブツと悟空に戦いを吹っ掛ける言葉を考えていた。
マチルダの時はルイズたちが振ってくれたおかげでうまく凌げた。今度は本当に自分ひとりの力で何とかしなければいけない。
実力でははるかに悟空が上なのだが、ワルドは強い戦士と戦えると思うだけでワクワクしていた。
それにしても、なかなか言葉がまとまらない。
やはりこういう頭を使う作業は苦手だ。
『使い魔くん、僕と戦え』
『使い魔くん、僕と手合わせ願いたい』
『使い魔くん、僕と模擬戦でもやらないか』
『使い魔くん「ただいまー! ふひーっ、ハラ減ったぞー!!」』
ワルドの思考は、帰ってきた悟空の言葉により遮られた。
「あ、おかえりゴクウ。ワルドがあなたに用があるってさっきから待ってるわよ」
「オラに?」
紅茶を手にしたルイズに言われ、悟空はざっと室内の様子を伺った。
フーケは相変わらず一人でエールをちびちびやっている。頭が僅かにこちらを向いているので、部外者を決め込むつもりではなさそうだ。
タバサは一時も休まず、目の前に置かれたハシバミ草のサラダを一心不乱にもぐもぐと噛んでいる。
キュルケは既に食事を終え、小ぶりの鏡とにらめっこしつつ唇にルージュを引いている。
ギーシュも食後の紅茶をルイズと楽しんでいる。
そしてその奥、壁に沿って置かれた長椅子にリラックスした様子のワルドがどっかと座っていた。
「オッス」
「おくぎゅ、おかえり」
噛んだ。
まずい、動揺している。
目が泳ぎそうになるのを堪え、心を落ち着かせようとワルドは冷静な顔を崩さずにあごひげを撫でた。
心臓が早鐘のように鼓動を打っている。
「暇を惜しんでの特訓とは精が出るね」
「まあな。オラに用だって?」
「うむ。実は……」
焦るあまり、ワルドの頭から全ての修飾語が消し飛んだ。
「やらないか?」
フーケが盛大にエールを吹いて咳き込んだ。
タバサの顎の動きがぴたりと止まり、目だけがつつつと横に動いて悟空たちの様子を捉えた。
キュルケは汚物を見るような表情で顔だけ悟空たちの方向を向き、その頬にルージュの線を引いた。
紅茶のお代わりを注いでいたギーシュは動きを止め、カップから紅茶が溢れるのにも気づかず二人に視線が釘付けになった。
ルイズは鳶色の瞳を輝かせ、小声で「攻めだ!」と呟くと両手でガッツポーズを取った。
「なんだって?」
「失敬」ワルドは微かに頬を赤らめ、咳払いをした。「僕と手合わせ願いたい」
「おめえと?」
「どうだね?」
「いいぜ」
「そうか!」はやる気持ちを隠そうともせず、ワルドは腰を浮かせた。
「けど、その前にメシ食って腹ごしらえだ。オラ腹減っちまってよ」
すっくと立ち上がったワルドがそのままの勢いで前にぶっ倒れた。
しえんしえん
好きな作品だ
以上、投下終了。
最近気がついたことがあります。
うちのルイズ、悪乗りで腐女子属性付加したせいで書いると三千院家のお嬢様が脳内に浮かんでくるorz
ところで、前回投下時に本スレへの投下が叶わなかったのですが、いつのスレッドに代理投下して頂いたのでしょうか?
実は性懲りも無くまた挿絵を自作してきたので、もし不評でなければまた公表したいと思っているのですが。
ウホッ!いいワルド!!w
悟空は邪悪な心を持っていようとより強くなりたい奴、強い奴と戦うのが好きな奴が大好きだから
このワルドは結構気に入ってもらえるかも試練ww
文章も書けて絵も描ける、だと……
なんてこった
ワルドってDBでいえばどのレベルの強さなんだ?
ブウ編のクリリンぐらいか?それとも少年期のトランクスか?
桃白白>ブルー将軍≧ワルド
RR軍壊滅させた頃のゴクウ位の印象
初期のヤムチャ位だろう
乙ー
ルイズが楽しそーだな。
能力的にもムラサキ曹長でしょ
>>252 つまり作者の解釈次第でワルドは神にも匹敵する強さになれるわけか
神そんなに強くないぞ
空飛べて魔法使えるが、格闘技能は劣るだろう。
強さ的には天津飯(初登場時)くらいだと考えられるがどうだろう?
>>255 ドラゴンボールで神って言われてもなあ……
ワルドもルイズじゃなくて悟空を誘って聖域を目指せば祖国も婚約者も裏切らずに済むのにね。
>>258 海王神がいるじゃないの
ほとんど同じようなものだけど
>>258 ああ、この場合の神はDBの神じゃなくてもっと広い意味での神
サイヤの使い魔の人、乙です。このワルドは憎めないなあ。
では私も12話が完成しましたので、10:55あたりより投下開始したく思います。
前方進路、よろしいでしょうか?
>>260 烈海王や麺海王の神様?
すごく弱そうです。
サイヤの人乙です。
ワルドwwwワロスwww麦茶返せwwww
失礼しました。吊ってきます。
その前にウルトラ支援。
弱い悟空なんて呼ぶ価値なし
唯一俺Tueeeeが許されるキャラだと思ってる
12話
WEKC初陣!!
四次元宇宙人バム星人
四次元ロボ獣メカギラス 登場!
「サイト!!」
ルイズの絶叫とともに、火薬のはじける乾いた音が王宮の廊下にこだました。
フリントロック式の、地球ではもはや博物館かガンマニアの間でしか見れないようなハルケギニアの
銃でも、人一人殺すだけの力は充分にある。才人は、死を覚悟した。
「ぐはぁっ!」
心臓に鉛玉を撃ち込まれ、残った命をわずかに吐き出す不協和音が響き、ルイズは思わず目を覆った。
だが、断末魔を発したのは才人ではなかった。
「が……ば、ばかなぁ」
口から緑色の血を吐き、ギーシュ達に銃を突きつけていたバム星人達の体が床に崩れ落ちた。
ルイズがうっすらと目を開けたとき、そこには呆けたように立ち尽くしているギーシュたちと、自分の胸を
撫で回して弾が当たっていないか確認している才人、そして、彼らの前に本物の戦乙女のように凛々しく
たたずむ女騎士達の姿があった。
「勝ったと思ったとき、もっとも隙ができるか。覚えておこう」
「アニエス!」
なんとそこには、あの銃士隊隊長アニエスが数人の銃士隊員達を連れて立っていた。
「な、なんであなたが?」
「そ、そうよ。姿を見かけないからてっきりあなたたちも一緒に出撃していってたと思ったのに」
さしものルイズやキュルケも突然現れたアニエスたちに驚きを隠せない様子だった。
「ふん、我等は元々王宮警護が任務だからな。普段はお前らの目に入らないところにいるのだ。だが、
あんなに派手に銃声をこだまさせていれば、我らでなくとも気づく」
まだ煙の尾を引かせている銃をしまいながら、アニエスは平然として言った。
「それよりも、こいつらはなんだ。傭兵が多数来るとは聞いていたが、妖魔や亜人の類が混ざっている
などとは聞いていないぞ」
「あっ、そうだった! ちょうどいいや、実は……」
才人達は、ヤプールの手下が多数城内に入り込んでいること、そいつらが特殊な道具を使って怪獣を
この城に呼び寄せようとしていることを急いで説明した。
「それで、そのバム星人という奴らが、その機械を使ってザントリーユ城を襲った怪獣をここに
呼び寄せようとしている。そういうわけだな?」
「ええ、信じて、いただけるでしょうか」
才人とルイズは、息を呑んで、厳しい目で睨んでいるアニエスの目を見つめた。
「……よかろう、信じてやる。残った誘導装置は4つなんだな?」
「! アニエスさん!」
ぱあっと、才人たちはギーシュ達も合わせて喜色を浮かべた。
だが、アニエスの後ろに控えていた青髪の女性騎士が納得できない様子でアニエスに抗議した。
「隊長、こんな子供の言うことを真に受けるんですか!?」
「ミシェル、この怪人どもを見るだけでも城内に敵が侵入しているのは明らかだ。それに、このふたりは
終始私の目を見て話していた。心に後ろめたいものがあるやつなら、目をそらすか、笑ってごまかすか
するだろう。少なくとも、彼らはうそをついてはいない」
隊長にそうまで言われると、副長である彼女に言えることはなにもなかった。
「それで、それと同じ物を探し出せばいいわけか。だが、敵が人間と同じ姿に化けているとなると、やっかいだな」
「いえ、ミス・アニエス、どうやらその心配はなさそうですわよ」
キュルケが言うのと同時に、廊下の角からバム星人が3人飛び出してきて、こちらに銃口を向けた。
「死……」
しかし、星人たちが引き金を引くよりも早く、気配を察知していたキュルケとタバサの杖が閃いていた。
一瞬で炎と氷が怒涛の奔流となって星人たちを飲み込み、断末魔すら残させずに消滅させた。
「そう何回も不意打ちが成功するなんて思わないことですね」
例によって服だけ残して消えた星人達に、キュルケは杖を指揮者のタクトのようにかざしながら言った。
だがそのとき突然、城のあちこちから女性の悲鳴や兵士の叫び声が聞こえてきた。
それだけではない、ガラスの割れる音や重いものが床に叩きつけられる振動、さらには銃声までも
があちこちから聞こえてきて、城の中だというのにまるで戦場のような喧騒になってきた。
「これは……」
と、そのとき通路の先からひとりの銃士隊員が駆けてきて、息せき切ってアニエスに報告した。
「隊長、城のあちこちに突然怪物が現れて、城中が大混乱に陥っています」
「なんだと!?」
それを聞いてアニエス達だけでなく、ルイズやギーシュ達も愕然とした。
「どうやら、正体がバレて強行手段に訴えてきたようですわね」
キュルケが言ったとおり、叫び声は城中から聞こえてくる。城内に侵入していたバム星人全員が正体を
現したとしか考えられなかった。
「なんてことだ、それで、姫様は?」
「謁見の間から先は我々が死守しております。敵の武装も我々と同程度なので突破される恐れはないと
思われますが、敵が城中に散らばっていまして」
アニエスはちっと舌打ちした。このトリステイン城はかなり広い、そこに敵が散らばっているとなると
完全に掃討するのは容易ではない。
けれどそのとき、それまで黙って話を聞いていたギーシュが突然薔薇の杖を高々と掲げて宣言した。
「そういうことなら僕達も黙って見ているわけにはいかない。国の平和を守る貴族の端くれとして、
我らも戦うぞ、諸君!!」
びっくりしたのはルイズ達である。今の今までギーシュ達のことを忘れていたから余計に驚いた。
だが。
「足手まといだ、引っ込んでろ」
と、アニエスに一刀両断されてしまった。
「し、しかし」
「銃を向けられて震えているような男はいらん。星人は我々が掃討する、お前らは黙って下がっていろ」
ギーシュの反論にもアニエスはにべも無かった。だが、そのときキュルケが出てきて諭すように
アニエスに語りかけた。
「ミス・アニエス、言いたいことはわかりますけど、今はそんなことを言っている場合じゃないのではなくて?
夕刻にはザントリーユ城を破壊した敵がここにも来るのですよ。銃士隊だけでは手に余るのではなくて」
「ぬう、だが……」
「実力を心配しておいでなら、わたしとこの子は共にトライアングルクラス、そちらのぼうや達も、さっき
みたいに不意を打たれたりしなければ遅れをとったりしませんわ。ダーリンだって剣の腕はすっごく
立つし、ルイズは……ともかく、ここにいる全員あなたが思っていますより頼りになりますわよ」
「ちょっとキュルケ、なんでわたしのときだけ言葉を濁したのよ」
目尻をすわらせているルイズから目をそらして、キュルケはアニエスに判断をうながした。
アニエスは、少し考え込むそぶりを見せたが、やがて副長と顔を見合わせた後、ギーシュの顔を
見て、ものすごく妥協した力の無い声で言った。
「仕方ない。今は猫の手も借りたい状況だ」
「藁にもすがりたい気分というところですか隊長、胸中お察しします」
「ちょ、ちょっと君達、いくらなんでもそこまで言うことないんじゃないかね?」
アニエスとミシェルのあまりにも期待していない目に、フェミニストを自称しているギーシュはかなり
傷ついた様子だった。
だが、事態はそんな感傷を許しておくほど甘くはない様子だった。敵がどこかで爆発物を使用した
のか床と天井が揺れ、パラパラと埃が舞った。
「時間が無い。ミシェル、駐屯所の兵全てで城の北方の敵を掃討、同時に敵の持つ誘導装置を
探し出して根こそぎ破壊しろ!」
「はっ!」
青髪の副長は、一瞬だけ見事な敬礼をすると、マントを翻して駆けていった。
「さて、こちらも急ぐぞ。ぼやぼやするな! すぐに人数を集めろ!」
「はっ、はい!!」
アニエスに怒鳴られてギーシュ達は大慌てで水精霊騎士隊(WEKC)の皆を呼びに走っていった。
「我々も、できる限り城内の敵を駆逐する。城内の警備兵は不意を打たれて役には立たんし、
近衛兵は王族方を守るために動けん。今トリステインを救えるのは我らだけだと思え!」
「はいっ!!」
ルイズと才人もアニエスの剣幕には逆らえずに、思わず直立不動で返礼した。
ただ、キュルケは従いながらもわずかに微笑していて、タバサのほうは聞いてはいたようだが
顔色が変わらなかったので心境は謎だった。
しかし、だからといって状況に変化はない。
城の中は、人間に襲い掛かるバム星人と、それを迎え撃つ兵士、逃げ惑う人々などで混沌と
化しており、そこに銃士隊とWEKCが横合いから殴りこむ形となった。
「ファイヤー・ボール!!」
「エア・ハンマー!!」
WEKCの少年達は城への被害を抑えるために、攻撃魔法の中でも初歩の威力の低いものを
選んで使用したが、人間と身体能力がさほど変わらないバム星人にはそれで充分であった。
傷を負い、動きが止まったところにさらなる魔法の追撃、またはアニエスや才人が斬り込んで
とどめを刺した。
もちろん、それと平行してメカギラスの誘導装置の探索も行われた。あるものは星人が隠し持っていたり、
あるものは部屋の隅の花瓶の横に立てかけてあったりしたが、見つかり次第次々に破壊されていった。
星人としては、どうせハルケギニアの人間にはわからないだろうと隠すこともせずに適当に
置いて回ったのだろうが、それが災いして銃士隊やWEKCは苦労せずに誘導装置を発見できていた。
そしておよそ30分後、城内のバム星人達をほぼ掃討し終わった銃士隊とWEKCの少年達は、
中庭に集合して戦果を報告しあっていた。
「見たかい僕の華麗な戦いぶりを、銃を向けてきた星人へ向かって3体のワルキューレで、
見事な連携での同時攻撃、うーんまるで芸術だったね」
「だから、それは僕が相手の気をそらしてたからだろうが」
「まったくだ。そこいくと僕なんか、敵中に突貫してこうバッタバタと……」
ギーシュ達は、自らが倒した星人の数を得意になって自慢しあっていた。それは、夏の森で
採った虫の数を競い合う子供達にも似ていたが、星人の切り札であるメカギラスの侵攻を
止めなくては勝利ではない。彼らは自分の戦果に酔うあまりそれを忘れていた。
しかし、戦闘のプロである銃士隊は違う。
「隊長、城北方の敵は完全に駆逐しました。隊員4名が負傷して医務室に運ばれましたが死者はなし。
王女殿下他王国首脳陣の方々も全員無事です」
副長ミシェルが見事な敬礼をしてアニエスに戦果報告を行った。
「ご苦労ミシェル。こちらも敵は全員撃破した。それで、例の装置とやらは?」
「はっ、衛士隊の駐屯所で一つ、武器庫で一つ発見、それぞれ見つけ次第破壊しました」
「それらは恐らく使用人に化けたやつが仕掛けたものだな。それで2つか、おい少年、
こちらで発見したものは?」
才人はアニエスに言われると、えーとと指を折って数えた。
「えーと、こっちは食堂で見つけたやつと、最初にメイドに化けてたやつが持っていた分……
計4つ、ひとつ足りない!! 星人は5つ仕掛けたと言っていたんだ」
「なに!? ちっ、しかしもう城内はくまなく探したぞ。まだどこか見落としているところがあるのか」
すでに城のあらゆる箇所は捜索した。また、星人の残した衣類や持ち物も残らず調べた。
ほかに見落としている箇所があるのかとアニエスは必死で考えた。
(武器庫、駐屯所、重要区画はすべて調べた。奴らは最近雇われた使用人か、今日入ってきた
傭兵達に化けていたから城の中枢には入れないはず。ならば……他に部外者が入れるような場所は)
頭の中に城の見取り図を浮かべて、必死に考えたがどこも思い当たる節が無い。かといって極めて
目立つ形をしている誘導装置を見落としたとも考えがたい。
アニエスは思いつく可能性をひとつひとつつぶしていって考えていたが、考えているうちにいまだに
事態の深刻さを理解せずに自慢話を続けているギーシュたちの声が耳に障り、思わず怒鳴りつけていた。
「うるさいぞ!! 静かにしろ、そんなに騒ぎたいなら牢にでも叩き込んでやろうか!!」
とたんに、少年達は凍りついたように静かになった。
「まったく……ん、まてよ、牢……ミシェル、牢は調べたか?」
「はい、今日の混雑のなかで起きた揉め事で投獄された傭兵が数名おりましたので、念のために、
しかし念入りに調べましたが、ありませんでしたが」
「いや、西の塔の牢がまだ、ある」
「西の塔ですか? しかしあそこは貴人用の特別房です。傭兵や使用人がうかうか入り込める場所では
ありませんが」
「確かにそうだ。だが、もし傭兵の中にメイジが紛れていたらどうだ?」
それを聞いてミシェルははっとした。メイジはほぼ全てが貴族だが、中には地位を失って傭兵に落ちたり、
家中で立場の低い者が自ら身を落としたりすることがある。そんな者達はその反動からかプライドが
高く、罪を犯しても平民と同じ獄舎につながれるのを頑なに拒む者もいる。そんなとき、看守はやむを得ず
貴人用の牢を使うこともあるという。
「急げ! 西の塔だ」
「はっ!」
「あ、待って!! わたし達もいくわ!」
アニエスとルイズ達は全速力で西の塔へと駆け出した。あっけにとられたギーシュ達は置いていかれた。
すでに太陽は大きく傾き、塔は紅く染められている。
バム星人が予告した時間は夕方、彼らは間に合ってくれと祈りながら、急な塔の階段を駆け上がり、
入り口の扉を蹴破った。
「遅かったな、人間ども」
そこには、やはりメイジの傭兵に化けていたのだろうしゃれた服を着た星人が、奴に倒されたのだろう
看守達を足蹴にしながら待っていた。
「動くな、命が惜しければ、誘導装置を出せ、貴様が持っていることはわかっている」
アニエスとミシェルは銃を星人に向かって構えた。
「ふふ、これのことかな?」
星人は動じるふうもなく、懐から誘導装置を取り出して右手で高くかかげた。
すかさず、アニエスの銃が火を吹き、誘導装置を撃ち抜く。誘導装置は星人の手から取りこぼされると、
床に落ちて一瞬スパークした後、煙を吹き上げた。
しかし、星人は慌てるそぶりも見せず、むしろ笑いながら言った。
「それで勝ったつもりか」
「なに!? 貴様らの持ち込んだ誘導装置はこれですべて破壊した。貴様らの負けだ!」
「くっくっくっ、確かにもう誘導装置でメカギラスをコントロールすることはできない。本来ならばメカギラスを
この空間に呼び寄せた後、5つの誘導装置が動かすはずだったのだが、万一すべての誘導装置が事前に
破壊された場合は、最後に発信があった場所の周辺を無差別に完全破壊するよう切り替わることに
なっている。城だけ破壊してやるつもりだったが、こうなれば街ごとすべて焼き払ってくれるわ!!」
「馬鹿な!! 貴様もいっしょに吹き飛ぶぞ」
「かまわんさ、どうせ任務にしくじった我に帰る場所はない。覚悟しろ、もう誰にもメカギラスは止められん!!
ふはははは!!」
星人は哄笑しながら、左手に着けていた腕輪の宝玉を押し込んだ。すると、腕輪からピッ、ピッとまるで
カウントするような電子音が流れ、それを聞いた才人は思わず絶叫した。
「みんな下がれ!! 自爆する気だ!!」
「なに!?」
アニエスとミシェルは、踵をひるがえととっさに階段へ転がり込み、才人もルイズを抱きかかえると階段に
飛び込んだ。そしてその直後、星人の体は大爆発を起こし、牢屋ごと粉々になって消滅した。
「くぅ、皆無事か?」
「大丈夫です、隊長」
もうもうとした煙の中からアニエスとミシェルの声が聞こえ、それを聞いた才人は暗闇に向かって返事した。
「俺達も……ん?」
「あんた、どこ触ってるのよ?」
「へ? 腹じゃない、の……か!?」
なんと、才人の右手はルイズを抱きかかえた拍子に、その胸をしっかりと握り締めていた。
才人の顔から血の気が引いた。
「ああああああ、あんた、つつつつ使い魔の分際で、ご主人様の胸をつかんで、しししし、しかもそれが
腹ですってえ!?」
「お、落ち着けルイズ、に、人間誰にでも間違いはあるから。そ、それに今そんな場合じゃないだろ」
「安心なさい。2秒よ」
「へ?」
「2秒で、地獄に落としてやるわあ!!」
夕焼けの空に、2度目の大爆発とともに城中に響き渡るほどの断末魔の叫びがこだました。
しかし、幸か不幸か才人はかろうじて死んではいなかった。
「あーあー、真っ黒こげになっちゃって。生きてる? ダーリン」
「……今回は過去最大級、記録更新間違いなし」
遅れて駆けつけてきたキュルケとタバサが、なかば階段にめり込んでピクピクと震えている才人を
引きずり出して快方すると、やがて才人は目を覚ました。
「ここは、天国?」
「あいにくまだこの世よ。しっかしルイズ、胸を触られたくらいでそこまで怒らなくていいじゃない。減るもんじゃなし、
あ、あんたの場合は減るものが最初からないか」
「ゼエ、ゼエ……お、お黙んなさいよ。これでもね、ずいぶんと手加減してあげたほうなんだから」
ルイズは荒い息をどうにか抑えて言ったが、加減したとは信じがたい。
すると、巻き添えで爆発に巻き込まれていたアニエスとミシェルもすすだらけの顔を拭いてようやく起き上がってきた。
「な、なんという破壊力だ。塔の先端が無くなってしまったではないか……ミシェル? おいミシェル大丈夫か?」
「はは……死んだ父さんと母さんが、お花畑の先に見えました」
「ミシェルしっかりしろ! まだそっちに行っちゃいかん!」
アニエスは慌てて放心状態のミシェルの肩を揺さぶった。
「はっ!? ここは、天国?」
「安心しろ、まだ現世だ……それより、星人の言っていたことが本当だとすると……」
だが、アニエスが言い終わるより早く、西の塔からさらに西方に300メイルほど離れた空に突然歪みが生じ、
そこからまるでにじみ出るように銀色の巨大な鉄の竜が姿を現した。
「あれは!?」
全員の目がその鉄の竜に釘付けになる。竜の全長はおよそ60メイル、直立し、尻尾を長く伸ばした姿は、
それが恐竜型怪獣そのものだということを示していた。
「四次元ロボ獣メカギラス、とうとう来たか」
才人が言うのと同時に、メカギラスは錆びた歯車のような鳴き声を上げ、ギクシャクと腕と足を動かしながら
城に向かって前進を始めた。
「こっちに向かってくるわよ!」
「まずい、全員退避!」
そのとき、メカギラスの頭部からミサイルが発射され、城壁に穴を空け、城の屋根の一部が吹き飛ばされた。
城のあちこちで兵や使用人の悲鳴や怒号が上がり、砕けた煉瓦やガラスの破片が宙へと飛び散る。
さらに、城のあちこちで火の手が上がり始めた。守る者のいない城は完全に無力でしかなかった。
だが、このまま星人のおもわく通りにこの城を破壊されるなど許すわけにはいかない。
ルイズは階段を駆け下りるアニエス達とは逆に、破壊された塔の先端まで駆け上がり、才人を背に
メカギラスに杖を向けた。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、この国に仇なす者よ。これ以上の
狼藉はこの名にかけてわたしが許しません!」
高らかなルイズの宣戦布告。そしてそれに答えるように、ふたりのリングも光を放つ。
次の瞬間、メカギラスの放った破壊光線が、ふたりのいる塔の先端に直撃した。
「ルイズ! ダーリン!」
階下からふたりを追ってきたキュルケとタバサの目の前で、塔の頂上は今度こそ完全に粉砕され、
ふたりの体は天空へと舞い上げられた。
「キュルケ、危ない」
「お前達、早く逃げないか!!」
愕然とするキュルケの耳に、タバサとアニエスの声が虚しく響く、そしてメカギラスはそのミサイルの照準を
今度はキュルケ達に向けて合わせた。
だが、はるか上空へと飛ばされたふたりは、眼下にメカギラスと城をのぞみながら、まるで空を舞うかの
ように引き合い、夕日のシルエットが重なるとともに、その手をつないだ。
「「フライング・ターッチ!!」」
夕闇照らす銀色の光、合体変身、ウルトラマンA!!
「きゃあああっ!!」
メカギラスの放った数十発のミサイルが塔へと迫る。それが命中すればこんな塔などそれこそ跡形もなく
粉々になってしまうだろう。
キュルケは思わず目を覆い、タバサも無念に唇を噛み締めた。
だが、ミサイルが着弾する寸前、塔とミサイルの間に突然巨大な影が立ちはだかった。
「シュワッ!!」
ミサイルは、次々と巨体に命中するが、まるで山のようにそびえ立つその巨体を揺るがすことはできない。
そして、恐る恐る目を開いたキュルケ達の目の前には、夕日を浴びてその身を金色に染めた光の戦士の姿があった。
「ウルトラマン……A!!」
「エースが、また助けてくれた……」
キュルケとタバサにとっては4回目。
「ウルトラマンA……本当に、また来てくれたのか」
「すごい……」
アニエスとミシェルにとってはベロクロンとの戦い以来、2回目のエースとの出会いだった。
ウルトラマンAは、彼女達の無事を見届けると、かん高い機械音をあげて迫り来るメカギラスへ向かって構えをとった。
「デヤッ!!」
銀色の巨人と銀色の巨竜、トリステイン王国の命運を賭けて、燃えるような夕日を背にした決戦が始まろうとしている。
続く
ここまでです。支援どうもありがとうございました。
今回でようやく変身までこぎつけられました。それでは、次回でメカギラス編もラストです。
投下乙!
やはりウルトラ世界の異星人の考えることは地球人には理解できないなw
ウルトラの人、乙でしたー。
ミシェルさんにも出番があるのはちと珍しいですね。でも可愛かったからベネ!
サイヤの人も乙ですー。
学生陣が妙に味があるのですがその絵。
ウルトラ乙
サイヤの絵がうますぎる・・・
>>246 文も絵も書けるなんて…
天は人に二物を与えたのか
亀レス失礼、諸SS方々乙です
パラサイト>>確かに平和だ;根本の人格が残ってる所為か
寄生体の精神側主体で二つの人格が混ざり合ってる感じ?
サイヤ>>ツナギが・・・・ツナギでベンチに腰かけた人が・・・・
投下した皆様方、乙です。
それで、第7話が書き終わりましたので、
進路クリアで予定が無ければ投下したいのですが、よろしいでしょうか?
>>246 キュルケがフリーザに見えたww
うめぇ
支援
それでは投下開始します。前回よりは短めです。
「あン?決闘だと?」
突然の事にジャンガは一瞬呆然となり――笑った。
「キッ、キキキキキキキッ!!」
腹を抱え、心底可笑しいと高らかに笑う。
それを杖を突きつけたまま、静かに見据えるタバサ。
ジャンガは一頻り笑うとタバサを睨み付けた。
「お前…何を見ていたんだ?あのガキみたいになりたいのかよ?」
言いながら睨み付ける視線に更に殺気を含ませる。
だが、一般人ならばとっくに気絶しているだろう殺気にも、タバサは眉一つ動かしていない。
ただ静かに見つめている。
ジャンガは舌打ちし、爪を構える。それに同調し、タバサも突きつけていた杖を構えなおす。
「後悔しても遅いぜ…ガキ?」
「……」
ジャンガの脅しを含んだ低い声にも動じず、タバサは静かに杖を構えたまま見つめている。
その態度にジャンガは黙ると、より一層濃い殺気を放ち始める。
タバサもまた身体の周囲に冷気のように冷たい魔力のオーラを纏っていく。
――そして、決闘が始まった。
ジャンガは大地を蹴り、タバサ目掛けて駆け出した。
瞬く間に距離が詰められ、目の前の相手を餌食にするべく、右の真紅の爪が振り下ろされる。
しかし、爪が触れる直前、タバサは魔法を用い、軽やかな身のこなしでそれをかわした。
舌打ちをし、今度は爪を薙ぎ払う様にして横に振るう。
…が、それもまた余裕だとばかりに易々とかわされる。
何度爪を振るわれても、尽くかわす……そんな宙を舞う蝶の如きタバサの動きに、生徒達に驚きが広がる。
なにせ、あれほどの素早い攻撃を一撃一撃見切り、魔法と体術を掛け合わせて正確にかわしているのだ。
そんな攻防が暫く続き、何度目かの爪の一撃が地面を抉った。
タバサは大きく後ろへ飛び退き、ジャンガと距離を取る。と、同時に杖を向け呪文を唱えた。
タバサの目の前の空気が歪み、質量を持ってジャンガに襲い掛かる。”エア・ハンマー”だ。
迫る空気の塊をジャンガは横に跳んでかわす。
そこへ、追い討ちとばかりに数本の氷のジャベリンが飛んできた。
飛んで来たジャベリンにジャンガは爪を振るい、それを叩き落す。
「ナメんじゃねェ、クソガキがァ!くたばりなァァァァーーー!」
叫ぶや、右腕、左腕と爪を振るう。
ジャベリンが飛んで来た方向……タバサの居る方向目掛けて、二つのカッターが飛ぶ。
それに対し、タバサは一言ルーンを唱え、杖を振るう。
それだけで、タバサの周囲の風は彼女の意のままとなる。
風に触れたカッターは、まるで意思を持つかのようにタバサの目の前でUターンし、放った本人へと襲い掛かる。
僅かに顔を顰めるジャンガだが、更に二つのカッターを放つ。
四つのカッターは衝突するや、形を保てずに霧散し、ただの空気へと戻った。
そこで、ジャンガとタバサは静かに相手を見据えた。
「……」
「……」
沈黙が周囲を支配する。
まったく身動き一つしない両者に生徒達やルイズ、シエスタ、キュルケも固唾を呑んで見守っている。
――やがてジャンガが舌打ちをした。
「チッ、チョロチョロとウザってェ。メンドくせェ…面白くネェんだよ!?」
目の前の少女を睨み付け、怒りの叫び声を上げるジャンガ。
「これ以上ガキの相手はしてられねェ…。一気にケリをつけてやる!」
言うが早いか…、ジャンガは大量の分身を作り出す。
分身はタバサを逃がさない囲いのように、グルリと回り込むようにして円を描く。
「これで終いにしてやるゼェェェェェーーー!!!」
ジャンガの叫び声が響き渡り、本体と分身が一斉にタバサの周囲で動き出した。
先程のギーシュとの勝負の時と同じ戦法だ。
ルイズやキュルケには最早、本体と分身の区別はつかない。
キュルケは流石に友人の身を案じる。が、直ぐにそんな気持ちは引っ込んだ。
当の本人が実に落ち着いているのだ。まるで既に答えがどれかを知っているような。…そんな余裕が伺える。
ジャンガも相手のそんな落ち着いた様子にイライラしていた。
「テメェ…何を余裕ぶってやがるんだよ!?」
タバサは答えない。
「クソがッ!」
そう吐き捨てるや、大量のジャンガが一斉にタバサ目掛けて飛び掛った。
全員が息を呑んだ。――そして、それはジャンガも同様だった。
…飛び掛った瞬間、タバサが自分を見ているのだ。
それだけでなく、呪文の詠唱も既に終わっていたらしく…直後、風の刃”エア・カッター”が飛んで来た。
咄嗟の判断で、ジャンガは身をよじってそれを交わす。背後で数対の分身が切り裂かれ、掻き消える。
分身が一斉に消える。慌てたようにその場を飛び退き、距離を取るジャンガ。
自分を見据えるタバサは相変わらず無表情だが、その目には冷たい雪風が吹き荒れている。
だが、そんな事よりもジャンガは気になる事があった。
――何で俺の位置が分かった…?――
あれだけの動きをする大量の分身の中から本体を見つけ出すのは、分身全てを潰さずにしては至難の業だ。
それなのに、目の前の小娘はそれをやってのけた。――どうなってる?
気になる。気にはなったが――
「関係無ェ……関係無ェェェェーーーんだよ!!」
――疑問を振り払うかのように叫び、再び分身を作り出し、タバサを取り囲む。
まぐれだ…まぐれに決まってる…、そうジャンガは自分に言い聞かせた。…そして、まぐれは二度続かない。
再び分身とジャンガが動き出す。念を入れ、先程よりも速く、激しく動く。
「キィィィーーーッ!、キキキキキキキィィィーーーッ!!」
笑い声が響き渡り、分身がタバサ目掛けて飛び掛る。
ジャンガ本人はタバサの死角……背後に居た。
大きく跳躍し、タバサのか細い首にその爪を叩き込まんと振り上げる。
勝利を確信したかのように笑みを浮かべ、爪を振り下ろそうとした…その時。
「キッ!?」
タバサがこちらを振り返った。
周りの分身には目もくれず、真っ直ぐに自分を見据えている。
杖をこちらに突き出した事を認識した…次の瞬間。
「なッ!?」
無数のジャベリンが現れ、疾風のように飛んできた。タバサの得意呪文”ウィンディ・アイシクル”だ。
慌てたようにジャンガはカッターを放つ。
ジャベリンとカッターが衝突し砕けるや、煙幕のような水蒸気が辺りを覆いつくした。
やがて水蒸気が晴れるとそこには――
「あ…ぐあっ…な、なんだと…???」
――防ぎきれなかったジャベリンに腕や腹を突き刺されたジャンガが倒れていた。
ジャベリンに傷付き倒れたジャンガとそれを見据えるタバサを見て、周囲の生徒達は一瞬呆けたようになった。
「ひょっ、ひょっとして……勝った…の?」
「…そのようね」
ルイズの呟きに、キュルケが答える。
と、同時に見守っていた生徒達から歓声が沸き起こった。
タバサがあの亜人に勝った……その結果は皆の心に影を落としていた恐怖を振り払っていた。
そんな周囲の反応など耳に届いていないかのように、タバサはジャンガを見据えている。
そのまま、ゆっくりと近づいて行く。その足音にジャンガは顔を上げた。
冷たい殺気を宿した瞳が自分を見下ろしている。
「テメェ……何で、俺の…位置が分かった……グ、ギギギ…」
「風」
「何ッ?」
「実体を持っているのは貴方だけ。だから、風で動きが分かる」
激しい動きをすれば水をかき回して流れが生まれるように、周囲の空気が動き風が生まれる。
しかし、分身は実体を持たない幻影。どれだけ激しい動きをしても風が生まれる事は無い。
だから空気の流れを読めば分身と本体を見極める事は造作も無い事だ。
もっとも…これは風の扱いに長けた風のメイジならではの事だろうが。
ギリギリと歯を噛み締めるジャンガ。
「そんな…そんなバカな…」
自分はタバサを翻弄しようと激しく動き回った。
だが、それは彼女にしてみればより分身との見分けが付き易くなっただけであり、
結果的にジャンガは自分で自分の首を絞めてしまった事になったのだ。
「これで終わり」
悔しがるジャンガを見下ろしながらタバサは冷たく言い放った。
その言葉にジャンガは恐怖に怯えるかのように顔を引きつらせた。
「ま、まてっ、やめろ!わ、悪かった…、オ、オレが悪かった!あ、謝る…、謝るからよ…、だから…許してくれっ!?」
唐突なその言葉にタバサだけでなく、その場に居た誰もが呆気に取られた。
何を今更言い出すんだ…、全員同じ事を考えた。
そんな周囲の反応にも気付かないほど焦った様子でジャンガはタバサに叫んだ。
「ほ、ほら…俺は今しがた、あ、あのガキとやりあったばかりじゃないかよ?
…だから、イ、イライラしていただけなんだ……わ、解るだろう?」
タバサは答えない。ジャンガは更に言葉を続ける。
「ほ、本当は俺も…分かってるさ。そ、そうだよな……親は誰にとっても大事だよな?…大切だよな?
で、でもさ…俺は親にはイイ思い出が無いからよ……それもあって、つい…キツイ言い方をしちまった…。
そ、それだけだ…決して悪意が有って言った訳じゃねェんだよ…」
タバサは答えない。
「なァ?、悪い偶然で起きた不幸な事故だったんだ…。だからさ、今回だけは許してくれよ…な?、な?、な?
第一、こんな事をしたってお前の好きな父ちゃん、母ちゃんは喜んだりしないと思うぜ?寧ろ、悲しむって…な?
なら、今後はあのガキの使い魔として目立たないように、大人しくする…今後は誰にも逆らわねェ…。
だからさ…、み、見逃してくれよ…な?、な?、な?」
タバサは答えない。――対して、周囲の生徒達は呆れ返っていた。
あれほどまでの自己中心的で残虐な態度がまるで感じられない位の低姿勢。
言っていた事の全てを否定しつくす、そのあまりにも惨め過ぎる命乞い。
見ていて正直、情けないとしか言いようが無かった。
「た、頼むゼ……勘弁してくれよォ!?」
ジャンガは精一杯懇願した。
――タバサの答えは呪文だった。
「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ハガラース……」
タバサが呪文を唱えるたびに、彼女の周囲に冷気が吹き荒れ、空気が一瞬にして氷結する。
凍った空気は吹き荒れる風に乗せられ、のたうつ大蛇のようにタバサの周囲を荒れ狂う。
彼女の足元の地面は既にズタズタになり凍り付いている。
一目で彼女が唱えている呪文がとんでもない物だという事が分かった。
”氷嵐<アイス・ストーム>”……吹き荒れる氷結した空気は触れる物全てを凍てつかせ、切り裂く。
呪文が完成し、”氷嵐”の目が杖へと移る。杖を振り下ろせば、ジャンガは瞬く間にその身を切り刻まれるだろう。
恐怖に怯え、全身を震わせるジャンガ。
「まっ、待て!?あ、あやまってるじゃネェかよ!?許してくれよ!?」
「ダメ」
「!?」
タバサの一言にジャンガは目を見開く。
「貴方の言葉は全て嘘偽り。目を見れば分かるし、貴方のような人を私は知っている」
彼女は目の前で無様に命乞いをする亜人とダブって見えるとある人物を思い返す。
ド・ロレーヌ…以前、学園に入学して間もない頃、勝手に因縁をつけて母を侮辱した生徒の一人。
決闘に敗れ、今目の前の亜人がしているのと何ら変わりない無様な命乞いをし、
親友のキュルケに恨みを持つ女生徒達と協力し、彼女とキュルケを罠に嵌め、互いに争わせようとした奴。
そんな相手を知っているからこそ、彼女は亜人の目の奥に潜む怪しげな光に気付いた。
「ちょっと待て!?幾らなんでも、それは酷いじゃねェかよ!?せ、せめて、一回ぐらいチャンスを――」
「ダメ」
有無を言わせず、タバサは杖を振り下ろした。
「ま、待ってく――」
ジャンガの懇願する声は最後まで続かなかった。
「フギャアアアァァァァァーーーーー!!!」
荒れ狂う”氷嵐”はジャンガの悲痛な叫び声すら飲み込んだ。
以上で投下終了です。
とりあえず、今回はクールなタバサとジャンガの命乞いが書けました。
原作を知っている人は後半部分はヒーローズの月でのイベントを思い浮かべてください。
ガンツのBGMを流しながら読めば尚効果的。事実、自分はその曲を流しながら書きました。
では。
毒の爪の人乙でしたー
やっぱりこれでこそジャンガだ
先生、ジャンガが死んだらギーシュの解毒ができないと思います
解毒薬は医療室にあるんだよ、きっと
ジャンガさん毒の泡みたいなワザ使わなかったのか・・・
ふと思いついた
Weiβ kreuz Gluhenから、アニメ本編ラスト後のアヤ召喚
何だかんだで契約してくれそう
で、メイドの声に過剰反応→決闘までの流れがスムーズに
武器日本刀で、ロケランも普通に扱えそう
氷と嵐・・・幻竜神?
もしシルフィードがドラゴンルーラーだったら・・・
クロコダイルが面白いのは認めるがここで論議する話題じゃないな
そういうのは専用スレがある
299 :
名無しさん@お腹いっぱい:2008/08/30(土) 15:57:59 ID:0zgNGxx+
思いついた小ネタ
ここは葛飾区の派出所。ここで両津はいつもと変わらない日常になるはずなのに突然・・・
「あ〜あ。退屈だぁ。なんか別の世界に飛ばされたりしなかなぁ〜」
すると突然光が現れて両津が吸い込まれました。
「うわぁ〜〜〜〜何だぁ〜〜〜っ」
吸い込まれた先はそうここは異世界のハルケギニアでした。
「痛ててててて・・・・ったくここはどこだよ。」
「アンタが私の召喚魔法で召喚された使い魔なの。」
「お前は誰だよ!使い魔ってなんだ!召喚魔法って何だ!ここはどこなんだ!」
「私はルイズ。ここはハルケギニア、アンタは私の召喚魔法で召喚された使い魔なの。
あんたの名前は、教えて!」
「わしは両津勘吉だ!さっきから使い魔ってなんだ!」
「私達の召喚魔法で召喚された人物や生物は使い魔と呼ばれているの。」
「冗談じゃない、なんでわしがお前の使い魔にならなきゃならんのだ。」
「私だってこんな見た目がゴリラのような男の使い魔なんてやだよ。
それにアンタは退屈してたんじゃないの。この世界は色んな人や魔物などがたくさんいるんだから。」
「分かったよ!お前の使い魔になってやるよ。」
こうして両津はルイズの使い魔となりました
前に「二人は超竜神」っていう
プリキュアMAD見たのを思い出した
>295
『Yes?ナイトメア0』と、『水の使い魔Splash☆Star』
おそらく、カワリーノさんのほうだと思う。
ああ、プリキュアが召喚されたわけじゃないのね。
てっきりプリキュアが悪役になってるのかと思った。
304 :
ゼロの兄貴:2008/08/30(土) 16:31:39 ID:usuw6dYY
さて、別スレでやってる兄貴が
この前投下後にこっちで単発物書くって宣言したのが完成したから投下しても…いいかなぁ〜〜〜パパと久しぶりに
雨降って外に出れないから進む進む……
荒れるからやめといたほうが良いよ。きっと。
ん?ジョジョは該当スレがあるよね
いや、ジョジョじゃないからここに来たんだが
ジョジョじゃない兄貴ものなんじゃないの?
クーg(ry
「俺を誰だと思っている!」じゃねーの?
そもそも兄貴ものなのか?w
元ネタ教えてほしいが、秘密にしたいんならそれでもよし
とりあえず支援するしかないな
ok、進路クリアーだと認識する。
ガリアの王都リュティス。
人口三十万を誇るハルケギニア最大の都市である。
その東の端の森に面した場所に美しく偉大なヴェルサイテイル宮殿が存在した。
現在の宮殿の主はジョゼフ一世は、その中心部のグラン・トロワと呼ばれる美しい青色の大理石で組まれた建物で政治を行っている。
しかしながら、ジョゼフの評判はあまり良いものではない。
『無能王』。これがハルケギニアでのジョゼフの一般的な評価だ。
ガリア王家の長兄として生を受けながら魔法の才能を持たず、治世面でも意欲があるわけでもなくただ無為に時を過ごす。
そのためにこの国の民衆の大半はこう思っている。『オルレアン公さえ生きていれば』と。
長兄とは違い、幼い頃からメイジとして天才と呼ばれ、そのくせそれを鼻にかけるわけでなく人柄は温厚で優しく周りからの人望は非常に高い。
そんな人物だったからこそ、次の王位は彼だと言われていたのだが、五年前に狩猟会に出たとき馬から落馬し死んだ。
もっとも、落馬して死んだというのは表向きの発表で誰も信じてなどいない。
この国の者ならオルレアン公は暗殺された。そう思っている。
その宮殿の中を少々細いが美しい青い目と目の色と同じ青みがかった珍しい髪の色を持つ一人の少女が歩いていた。
肩まで伸ばした青髪と前髪を持ち上げる大きく豪奢な冠からその少女がこの国の王女である事が分かる。
ジョゼフ王の娘。名をイザベラというが、こちらも城に仕える…特に侍女からの評判はすこぶる悪い。
この王女、顔立ちは美人と言ってもいいのだが、性格が悪いのだ。
なにかにつけて召使である侍女達をこっ酷くイジめていた。
ただ、二年程前からその頻度が収まってきており侍女達は胸を撫で下ろしている。
それでも、持ち前の癇癪はそう抑えられるものではない。
遂には広い廊下を歩きながらまくしたてはじめた。
「まったく、父上も酷いわ!わたしだって王家のお役に立ちたいのに、よりにもよって北花壇警護騎士団の『副団長』任務だなんて……!」
無数の花壇が存在するこの宮殿は別名『薔薇園』とも呼ばれており
それにちなんだ方位を示す騎士団が存在する。東に東薔薇警護騎士団、西に西百合花壇警護騎士団という具合にである。
しかし、北には花壇が存在せずイザベラが言った北花壇警護騎士団は表向きには存在しない。
国内外で起こる汚れ仕事を専門に引き受ける影の騎士団。イザベラは二年前からその副団長任務に付いていた。
本来ならば非公式の北花壇騎士団といえど団長になるはずだったが、二年前にジョゼフがどこからか連れてきた男が団長を勤めている。
イライラしながら歩を進めていたが、前から聞こえてくる少しづつ近付いてくる足音を聞いて我に返った。
――来た。
急いで深呼吸し苛立ちを抑えると窓に映った己の顔を見る。
異常無し。さっきまでの歪んだ顔はどこへ行ったのか、本来の気品ある顔立ちが写っていた。
「おい、お前。俺は美しいか?」
徐々に近付いてくる足音と共に聞こえてくるそんな声にイザベラが内心ウンザリした。
もう数えられないぐらい聞いたやり取りだ。次に聞こえてくる言葉は決まっている。
「はい。お美しゅうございます」
その答えに満足したのか男が再び前へと歩を進める。
その問いも妙だったが、その男の姿も妙だった。
目立つ赤い髪は自分よりも長く伸ばされ、その髪の一部は三つ編に編みこまれていた。
その上、顔に化粧を施しているのだ。
それだけならただの優男に聞こえるが、男の背丈は高く身体も全騎士団員の誰よりも鍛え込まれているというのは大きな矛盾であろうか。
服装もガリアでは見られない物で、肩に防具を付けた物を着てメイジの象徴たる紫色の長いマントを付けている。
だが、もう一つの証たる杖は持ってはいない。
近国のゲルマニアならば平民出の貴族というのも存在するが、ここはハルケギニアで一,二を争う魔法大国ガリアだ。そんな物は存在しない。
それなのに、召使はもちろん衛兵……今では他の騎士団員からも恐れられている。
王女であるイザベラも例外ではなく、この男だけは敵に回したくないと思っているのだ。
二年前の事になる。
退屈と怠惰の日々に身を任せていた無能王ことジョゼフ一世だったが、そう言えばまだサモン・サーヴァントを試していなかったなと思い出した。
昔から魔法が一切使えなかったためやろうとも思わず、またやりたくもなかった。
それが、今になって試そうという気になったのは、最近になって自分の系統が失われた系統である『虚無』だと気付いたからだ。
だが、そう分かった時には意外にも何の感情も沸いてはこなかった。
分かるのがもっと早ければどうなっていたかとも思ったが、すぐに考えるのを止めた。
考えたところで弟が還ってくるわけでもなし、退屈も紛らわせそうに無い。
とにかく、退屈が紛れるのであればとやってみる事にした。
失われし『虚無』の使い魔であるのならば当分は飽きはしないだろう。
そう思い、椅子に座ったまま形どおりの詠唱を行うとあまり使われる事のなかった杖を振った。
「……ぬぅ」
唐突に襲われた眩暈を振り払うかのように頭を振ったが、気が付けば妙な事になっていた。
なにやら見たことも無い場所で見た事も無い人間、それも結構な人数がこちらを見ている。
先ほどまで己の居城で水浴びを済ませポージングを取った後、女達に何時もの台詞を言い、鏡の前で化粧をしていたはずだった。
それがどういうわけか、こういう状況に陥っている。
椅子に座っている男を見たが、この上なく退屈そうな顔をしていた。
虚無と言ってもこんなものか。
さて何が出てくるかと多少の興味はあったが、出てきた物はマントを付けた男だったからだ。
マントを付けているという事はメイジなのだろうが、メイジなど珍しくもない。
ジョゼフからすれば己に従うメイジなど腐るほどいる。
椅子の横の紐を引き
「つまらぬ」
と小さく呟くと扉が開き衛兵が数人入ってきた。
「御呼びでしょうか陛下」
「賊だ。連れてゆけ」
賊と聞くと慌てた一人の衛兵が外へと出て行ったが、残りが召喚された武器を構えながら男を囲んだ。
「貴様、ガリア王たるジョゼフ一世陛下の居室に忍び込むとは不貞な輩めが!」
「おのれ陛下のお命を狙った暗殺者か!」
「シャルル派の手の者だな!」
椅子に座る男が紐を引くと男達が入ってきて、どういう事か知らぬが囲まれ、暗殺者だのなんだのと言われている。
ある意味間違いではないのだが、まずどういう事かと考える事に専念する事にした。
まず、ここは何処だ?その答えは出ない。なにしろ全く見覚えが無い。
この男に拉致された?Noだ。眩暈はあったが気絶などしていない。
第一、近隣の軍閥にガリア王ジョゼフ一世など聞いたこともないし、今のところ自分にそんな事をする者が見つからない。
長い髪を一度かき上げて考えたが、どうにも答えに辿り着く材料が足りなさ過ぎる。
そうしていると、さっき出て行った男が後ろから二〜三人程の……なぜか全員手に杖を持っている男達が続いてきた。
再び退屈そうに事のなりゆきを眺めていたが、一つ思い付いて言った。
「余の命を狙ったのだ。そうだな、余は心臓を突かれたた人間がどう死ぬのか興味がある」
それなりに期待していたのに期待外れだったのだから、その命で愉しませて貰おう。
少なくとも今の退屈は紛れそうだ。そう思うと少しだけジョゼフの口元が歪んだ。
「その役目はわたくしにお任せを。不貞な害虫など我が風の魔法で一突きにしてご覧にいれます」
騎士の一人が男の正面に立つと魔法の詠唱を始める。
少しすると騎士の杖が青白く光った。
『エア・ニードル』
回転する空気の渦が鋭利な切っ先となり人一人の身体を貫くには十分な威力を持つ接近戦用の魔法だ。
それを見ても男は微動だにしない。囲まれ絶望的な状況にあるにしろ、魔法を使うため杖を抜くなりするはずだ。
少し不審に思ったが、どうせ逃げられはしない。
的確に心臓を貫こうとしたが、それよりも疾く男の腕が持ち上げられていた。
「ふっ……愚か者が!そんな物で俺を倒せると思っているのか?貴様がその杖一本なら俺は指一本で十分!」
男がそう言うや否や、己に杖を突きたてようとしていた騎士の目の前に逆に指を突き出す。
そしてその指をゆっくりと……いや他者の目にはそう見えるだけで実際にはとんでもない速度で振り下ろした。
南斗紅鶴拳
『南 斗 鷹 爪 破 斬』
指を突き出した腕を上から下へと振り下ろす。それだけだ。ただそれだけで騎士が動きを止めた。
なにやらメリメリと何かが裂ける音が聞こえてくるが、騎士を正面から見ている他の騎士や衛兵にはそれが何か分からない。
唯一背後から見ているジョゼフには何が起こったのか分かった。
程なくして残りの騎士にも音の理由が分かる。
「か、体が……そんな馬鹿な……!触れてもいないのに体が背中から裂けている!」
まるで魚を開くかのように騎士の体が二つに分かれ始めているのだ。
「ぐぎがが……おろるらぁ……あろわ!」
一際大きく断末魔を残すと、騎士の体が綺麗に真っ二つに裂け辺り一面に血をブチ撒けた。
さすがのジョゼフもこれには少々驚いたようだが、すぐに持ち直した。
これは当たりかもしれぬ。柄にもなくそう思う。
「余の使い魔にならぬか?」
さっきまで賊として殺そうとした事などなかったかのように男に問うた。
ここでこの男が指一本で人間を真っ二つにした事について少し説明せねばなるまい。
天空に輝く二つの極星。即ち北斗七星と南斗六星。
その北斗と南斗の名を冠する恐るべき暗殺拳が存在する!
一つを北斗神拳。そしてもう一つを南斗聖拳という。
南斗聖拳!外部からの肉体を破壊を真髄とし地上のどんな物質をも力で打ち砕く一撃必殺の拳法!
その南斗総派一〇八派の頂点に立つ南斗六聖拳の一つ、南斗紅鶴拳!
あまりの拳の速さに衝撃は背中へと一気に突き抜ける!
返り血で身を赤く染めた紅鶴に名を喩えた艶やかな殺人拳である!
なんかすごいやつが来てるw支援
そして現在の南斗紅鶴拳正当伝承者こそが南斗六星において最も強く美しく輝く妖星を宿星に持つ者。
妖星のユダ。今そこで返り血を浴びたばかりの男である。
少しばかり難解な状況におかれているユダだが思考は冷静で頭の中はエンジン音が鳴らんばかりに回転を続けていた。
性格に少々難があるが、普段から知を売りにしている彼である。
椅子に座っているジョゼフとかいう男や周りの連中が言っていた事を即座に纏め上げると己なりに結論を出した。
(使い魔というのが気に入らぬが……どうやらあの男に魔法とやらで呼び出されたらしいな。それにこの場所……少なくとも地球ではあるまい)
魔法など普段の彼からすれば一笑に付するところだが、現実問題として目にしているのだから認めざるを得ないし納得するだけの理由もある。
一つは、廃墟を利用した己の居城とは違う大理石造りの中世の城のような豪奢な造りの部屋。
二つは醜いと言ってもいい己の部下達とは違う、周りの統制と理性を保った男達。
三つ……これが最大の理由だが、窓から見える澄み切った空と遠くの鬱葱と茂る森の存在だ。
全世界を巻き込んだあの戦争によって世界は核の炎に包まれ暴力が支配する世となったのだ。
僅かに残った水と食料を奪い合い、殺し合いをするような世界である。
大気圏外まで巻き上がった粉塵の影響でまだ空はどこか薄暗いし、森など核の炎で全て消し飛んだ。
少なくとも己の知る限りではこんな場所は存在しないのだから、そう考えるのが妥当だと判断した。
(クク……面白い!)
支配する土地と部下達から引き剥がされた状態で使い魔とやらになれという状況だというのに面白いと考えるのも訳がある。
実際のところ彼にとって部下というのはチェスの駒に等しく、支配地と言っても荒れ果てた荒野と廃墟があるだけで何もない。
基本的に美しい物を好むユダにしてみればむしろ好機というやつだろう。
元々、同じ六星拳である聖帝サウザーに動かされた事をきっかけに南斗の乱を引き起こし
そのまま南斗二十三派を引き連れ世紀末覇者拳王ことラオウの配下となったのだ。
サウザーやラオウと違って誰かに従う事に抵抗は無いし、配下になれと言うのであれば己の紅鶴拳と知略を精々高く売りつけてやろう。そう決めた。
無論、この場で全員を皆殺しにする事も容易いのだが、そこは知略のユダ。
世紀末ならともかく、ここは一定の秩序が保たれている場所で、ここで王を殺したとしても何もならない事ぐらいは理解している。
いかに南斗紅鶴拳の使い手とはいえ一国家と真正面から戦うのは下策中の下策と言えよう。
「それなりの使い手だったのだがな。詠唱も無く倒すとは余も初めて見る。で、どうだ?」
指一本で人間を真っ二つに切り裂いた事に興味を持ったのか先ほどまでのどうでもよさそうな顔はしていない。
「南斗聖拳の前では、そのような物ゴミクズ同然。ジョゼフとか言ったか。このユダ様を配下にしたいのであれば相応の地位を用意してもらわねばな」
ゴミクズ呼ばわりされた事に周りの連中がざわつき始めたが、玉座に座るジョゼフは気にした様子も無く楽しそうな顔をしている。
「……なるほど。余は余と同じ王を召喚したようだな。ふむ、王たる者に使い魔になれというのも失礼というものだ」
実際のところ、軍閥を率いていたのだからその認識は間違ってはいない。
順調な結果に良しと思いユダが笑みを浮かべたが、そこにジョゼフが付け加えてきた。
「ただし、余と同格足り得るか証明してもらわねばな」
一人の騎士に短く告げると部屋の外へ出て行ったが、すぐに戻ってきた。
またしても手に杖を持った騎士達が今度は六人程入ってきたが、その後ろに見慣れない物が続いてきた。
石像らしき物が動いている。
「南薔薇警護騎士団の者達とガーゴイルだ。これを全て倒してもらおう。
ただし、ガーゴイル以外は殺してはならぬ。名が示すように余の警護も兼ねているのでな」
さて、目の前の紅の王はどうでるかとジョゼフが人の悪い笑みを浮かべていたが、ユダがそれ以上に妖しい笑みを浮かべ一歩前に進んだ。
「よかろう。その目に焼き付けるがいい!この妖星のユダ様の美しい姿を!!」
ユダがそう叫び背のマントを放り投げるとジョゼフの視界からその姿が消える。
何故か熱情の律動が・・・
支援
南斗聖拳。特に六聖拳の修練の量は人間を止めたと言ってもいい程に尋常ではない。
例えば、同じ六聖拳である南斗水鳥拳の伝承者候補は、正統伝承者となるために闇闘崖と呼ばれるものに挑む。
その内容は、崖の間に張られた棒の上に十日間立ち続けるというものである。
当然、紅鶴拳でもそれに匹敵するような修練を行うのだ。それを全て克服した人間の動きをメイジと言ってもただの人間が捉えられるはずがない。
騎士達が上に飛んだと判断し杖を構えた時には、もう既に一体のガーゴイルが鋭い手刀により貫かれていた。
この男の攻撃範囲は精々手が届く範囲。そう判断したのか男がガーゴイルを切り刻んでいる間に騎士達が距離を取る。
距離にして約八メイル前後だが詠唱を終わらせるには十分な時間だ。
だが、一人の騎士が詠唱を終えようとした瞬間に杖を持った方の腕に異様な熱さを感じ視線を腕にやると愕然とした。
「あ……うわぁあ…あ!う…腕が!」
肘から先が鋭利な刃物で斬られたように無くなっていたからそうなるのも無理はない。
だが、赤い男はまだ離れた場所に居る。残りの騎士達が慌てながらも詠唱を続けようとしたが、そこに何かが裂けるような音が近付いている事に気付く。
見ると床に裂け目を作りながら何かが飛んできて、今度は別の騎士の左脚を襲った。
風の魔法『エア・カッター』かとも思ったが相手は杖を持つどころか詠唱すら行ってはいない。
ただ腕を下から上に振り上げていただけだ。
南斗紅鶴拳奥義
『伝 衝 烈 破』
「ヒャッハー!切れろ切れろ切れろ切れろ切れろぉーーーー!!」
そう叫びながら手刀により生み出される不可視の衝撃波の刃を無数に繰り出す。
ユダが得意とする技で離れた敵にも攻撃する事ができる。衝撃波による斬撃を真髄としている紅鶴拳の奥義の一つだ。
この距離だからこそあの程度で済んでいるが、もう少し近ければそのまま体を真っ二つにしている。
呻き声をあげ地に倒れ伏した騎士達を見てようやく伝衝烈破を放つのを止めたが、ユダからすれば当然の結果だ。
いかに魔法が強力だろうと詠唱が終わる前に倒してしまえばメイジでも普通の人間でも大した違いは無いのである。
もっとも、仮に魔法が放たれたとしてもそれに当たるつもりも無いが。
時間にして20秒足らず。その僅かな時間の間でガリアが誇る南薔薇警護騎士団のメイジとガーゴイルをあっという間に血祭りにあげてしまった。
平民の中にもメイジ殺しという対メイジ戦に特化した人間は居るが、それでも正面から戦うという事は絶対にしない。
それを杖も用いるどころか、まして武器すらも使わずにだ。ガリア……いや、ハルケギニアの常識を遥かに超えている。
紫色のマントを再び拾い華麗にかけ直すと余裕を持ってジョゼフの方へと歩を進める。驚いた事に息を乱すどころか汗の一つすらかいてはいない。
「貴様の言ったように殺してはいない。だが、あのままでは死ぬかしれんなぁ」
ククと口元を歪ませてユダがそう言うと、ふむ、とだけジョゼフが呟き短くジェスチャーを取ると倒れた騎士達が運ばれていく。
「何をするのか知らぬが、このユダ様が『知と力を貸して』やろう」
おおそよ召喚された側、しかも一国の王に言うような台詞ではない。
その言葉にその場のほぼ全員が言葉を失ったが、唯一の例外が心底愉快そうに口を開いた。
「うむ。面白い、気に入った」
「ふふ……ははは……」
「……はっはっは」
『気に入った』という言葉にユダが笑い出すとつられるかのようにジョゼフも笑い出し
数秒もすると二つの笑い声が完全に一致し一つに重なる。
「「フハハハハハハハハハ!」」
ユダの超ナルシストという点を除けば、この二人結構似たタイプだ。
これがハルケギニアにおいて異例中の異例とも言うべき、使い魔契約を行わずに契約が結ばれた瞬間であった。
時を再び戻す。
その日から南斗紅鶴拳のユダは北花壇騎士団の団長という地位を与えられている。
裏舞台の騎士団の団長だが、副団長を王女のイザベラが勤めているのだから、実際の権限はそれ以上というところだろう。
もちろん、あのイザベラが黙っているはずもなかったが、ある日を境に何も言わなくなった。
その目で見てしまったのだ。南斗紅鶴拳の恐ろしさを。
ユダにヴェルサイテイル宮殿を案内してやれとジョゼフ直々に言われ、内心怒りながら渋々説明をしながら歩いていた時だ。
いくら父上が言うからといっても、なんで王女のわたしが副団長で、杖も持たないこいつが団長なのかと。
歯をギリギリと鳴らんばかりに噛み締めたが、それもすぐ終わる。
昨日のうちに、手頃な下級貴族を二人見繕い、金と地位をやるからあの成り上がりを始末しろ。と命じておいた。
貴族と言っても世の半数の貴族は領地を維持するだけで精一杯だ。
まして王女直々の命令である。そんな下級貴族がその誘惑に耐えられるはずもない。
元々人払いをしておいた目立たない場所の庭園に着くと、建物の影から二人のメイジが杖を持って現れた。
それと同時にイザベラが凶悪な笑みを浮かべる。
これでこいつが無様な姿を見せれば、父上も考え直すだろう。
さて、後はじっくり見物させてもらおうかと、二歩後ろに下がった。
もっとも、ユダからすれば血祭りにする相手が二人増えただけにすぎない。
もう少し力を誇示しなければこういう輩がいくらでも沸いて出てくる。そう考えたが、一人のメイジが言った言葉を確かに聞いた。
「妖精だと?その顔で妖精か。平民が二つ名を持つだけでも許されぬのに妖精とはな!」
妖星と妖精。同じ読みだからこそ勘違いされているが、見逃す事のできない言葉を確かに聞いた。
「な…んだと……?」
「聞こえなかったか?もう一度言ってやる。その顔で妖精な……」
その言葉が突如途切れる。顔面を手で掴まれ指の隙間から見えるユダの顔は言葉を失う程恐ろしかった。
「い、言ってみろ!この世で一番美しいのは……誰だぁぁぁぁぁ!!」
必死になって離そうともがくが一向に離れない。
「この俺だろうがぁぁぁぁぁ!!」
ユダがそう叫ぶと掴んでいた手を引き抜くかのように離すと、一瞬遅れてメイジの顔に五本の切れ目が入る。
そしてその切れ目が広がると断末魔の悲鳴をあげる間もなくメイジの頭が五等分されていった。
「ひぃっ!」
その惨劇を見て逃げようとしていたもう一人のメイジだが、やはり逃げる前に後頭部を掴まれた。
「た、た、助けてくれ!雇われただけなんだ!」
雇われたと聞いてイザベラがギクりとしたが、当のユダはそんな事聞いちゃいない。
彼にとって己の美しさを否定する者は、万死に値するのである。
「お前もかぁ〜!言ってみろ!?」
「あ、あ、貴方様はお美しゅうございます!い、言ったでしょ?だ、だから助けて、ね?」
それでもまだユダの怒りは収まりそうに無い。どれぐらいの怒りかというと身体から闘気が湧き出てくる程だ。
「ほう…それでは何があっても俺を美しいと言えるのだな?」
「それはもう、もちろんでございます!」
メイジがそう言うと、指を一本顔の前に出し告げた。
「ならば南斗の処刑を受けても言えるはずだな」
『南斗殺指葬!』
相手の体に一本づつ指を突き立てていくという南斗聖拳の処刑であり主に南斗十人組手に敗れた他流派の者に行われる!
常人なら一本目で死に至るという恐るべき処刑法である!!
「ご、ご冗談を……」
そのままメイジの胸に指の先を突き当てる。
「何本目に死ぬかなぁ〜?」
ズブリと指を突き立てるとメイジが声にならない悲鳴をあげる。
さらに深く指を突き入れるとサディスティックな声でユダが言った。
「さぁ〜〜〜死ぬ前に言ってみろ!俺は、このユダ様は美しいか?」
「おごがぁぁぁ!ゆ、ゆゆゆ、ユダ様は…あぎゃあああ!う、うつ、うつつく」
「なにィ〜〜〜〜!聞こえんなぁぁぁぁぁ!!」
「う、うつししし……しむら!」
そう言うと同時に一気に指を根元まで突き入れると指を曲げ思いっきり抉る。
妙な断末魔をあげるとメイジの体から力が抜け落ちていった。
使い魔じゃないのかよw 支援
その時の光景は二年経つ今でもたまに夢に見る。
正直、自分の名前が出ていたらと思うと今でも震えが止まらない。
あの時ばかりは本気で始祖ブリミルに命があった事を感謝したぐらいだ。
「おい、俺は美しいか?」
そして、また聞こえてきた同じ質問に、もう何度目になるか分からないため息を吐いてイザベラが自分の居室へと戻っていった。
さて、一方のユダだが、この生活に不満は無い。
前のように常に美女達が傍いるわけではないが、彼にとって美しい女とはこの世で一番美しい自分を愛する事が許された存在にすぎない。
何よりこの美しい宮殿を気に入っている。あの世紀末の世に比べれば女の事など些細な問題である。
それに、力よりも知を好む彼にとっては己の知略を存分に振るえるこの世界が気に入った。
実際、この二年間知略を駆使しハルケギニアに乱を起こしている。
この地で調べた文献で見つけたのだが、『アンドバリの指輪』という物が存在する事を知った。
死者に偽りの生命を与えるマジックアイテム。それだけではなく人の心をも操る事ができる。
そして、アルビオンという国の情勢が不安定である事。
さらには、リュティスの酒場で見つけたアルビオン王家に恨みを持つクロムウェルという地方司教を見つけた時、妖星が輝く。
アルビオンの貴族派が王党派を打ち倒しトリステインと戦争状態に入ったが、その一連の流れは全てユダが仕組んだものだ。
その後、トリステインの女王が指輪の力で蘇ったアルビオンの皇太子によって攫われそうになった事もそうだ。
皇太子を利用した事にトリステインの女王はアルビオンに攻め込むことを決意したらしい。
策はクロムウェルに授けてあるが、万が一敗れたとしてもこちらに損害は無い。
ジョゼフも一枚この件に噛んでいるが例によって退屈しのぎの一つのようでどっちでもいいらしい。
本格的に侵攻が始まればも自らもアルビオンに渡るつもりだが、その前に一つやっておく事がある。
グラン・トロワから離れたプチ・トロワと呼ばれる薄桃色の小宮殿の中にイザベラの居室がある。
今のところユダが団長だが、実際の団長任務はイザベラが行っている。
イザベラからすれば理不尽極まりないのだが、稀にユダ自身が出動している上に、前の件があるので何も言えないのだ。
昨日もエズレ村に住み着いたミノタウロスと、その騒ぎに便乗した人攫い達を四分割にして帰ってきた。
そんなイザベラだが、今はベッドの上でぐったりしている。
本来なら『人形娘』が来るまで召使をイジめている所だが、その気力も沸かない。
あのやろぅ……わざわざ人の部屋の外にミノタウロスの死体を並べなくてもいいじゃないか。
なにせ、朝起きて窓の外を見たらでーんとミノタウロスが綺麗に切り裂かれ並べられていた。内臓とかちょっと見えてたし。
ミノタウロスは風の魔法ですら通さない鋼鉄のように硬い皮膚を持つのだが、演舞と称してさらに死体を八分割にしやがった。
食べた物を吐き出さなかっただけマシというものだろう。
珍しくイザベラの無茶な命令が無く召使達がユダにちょっと感謝していると、呼び出しの衛士の声が響いた
「七号様!おなり!」
はぁ、と溜息を付く。あの物騒なナルシストを相手にするぐらいならまだ人形娘の相手した方がマシだ。
そう思うと何時もとは違う少しだけほっとしたような笑みを浮かべた事に自分では気付けていなかった。
『七号』。北花壇警護騎士団の団員は名前ではなく番号で呼ばれる。
そして、その七号とは亡きオルレアン公の娘、シャルロットである。
己の身を守るため進んで北花壇騎士団に身を投じた、同騎士団でも屈指の使い手だ。
変わらない一定の無表情で部屋に入ってきたシャルロットをイザベラが見たが、今日は突っ込む気にもなれない。
早いところ任務を言い渡そう。と思ったが、今になって伝えるべき任務が無い事に気付いた。
今回の任務は公式なものではなく、あくまでイザベラの私的なものだ。
その内容が、世界七大美味の一つに数えられる極楽鳥のタマゴ、しかも季節外れの物を取ってこさせるつもりだったのだが
どこかの誰かが窓の外で盛大にミノタウロスの解体ショーをやらかしてくれたもんで一気に食欲が無くなった。
任務無しでそのまま返すのも癪だしどうしようかと頭を悩ませていたが閃いた。
「任務って程じゃないけど、あんたにはアレの始末をしてもらうよ」
そう言って窓の外を指差す。さすがにそれが何なのか分からないシャルロットが珍しくイザベラに口を開いた。
「アレは?」
「ああ、あんたは会った事なかったね。団長様の仕事の後始末さ。あんた一人で片付けるんだよ」
何なのか確認するために窓の近くにシャルロットが近付いたが
繋ぎ合わせると全長2.5メイルになろうかという肉の塊だと分かった。
頭と思われる箇所からは二本の巻貝のような角が見て取れる。
この特徴を全て含む生物はシャルロットの知る限り一つしかない。
「……ミノタウロス」
「そうさ。随分と派手にやったみたいで、早く片付けないとこっちにまで臭いが移ってきそうだよ」
そう言うとイザベラがベッドの上に寝転びシャルロットが無表情のまま出て行く。
だが、表面上はともかく、内心は驚愕している。
ミノタウロスといえば風の刃を受け付けない事で知られる種族だ。
それをこうも容易く切り刻むとは……
どうやらイザベラを差し置いて伯父王のジョゼフが酔狂で任命した団長というのは相当の使い手らしい。
厄介な事になったと歩きながら思う。ジョゼフの首を狙う時、その団長が敵になれば目的を果たす事が難しくなる。
プチ・トロワの前庭に出ると獣臭と血臭が混じった悪臭がシャルロットの鼻を直撃した。
確かに、これは少しばかり辛い。イザベラがわざわざ自分を呼びつけたのも納得できる。
手間取れば腐敗臭が加算される。そう思い手早く片付ける事にしたが、大きい影が上から降りてきた。
一体の青い幼生の風竜が降りてきている。
「おねえさま、シルフィ凄い事聞いちゃったのね……ってなにこの臭い!」
この年齢で風竜を従えている事も驚くべき事だが、今の言葉は紛れも無くその風竜発せられたものだ。
これにはさすがに慌てたシャルロットも竜の頭を手に持つ杖でどついた。
ただの風竜ではなく、絶滅したと考えられている風韻竜である。
ここで正体がバレでもしたら間違いなく実験室送りなのだから、そうなるのも当たり前だ。
幸い、この悪臭のおかげで辺りには人の姿も気配も無い。
窓の外から見られても使い魔である事は知られているのでなんとかなるだろう。
「きゅい、ごめんなさい。でも凄い事聞いちゃったのね」
それでもなお小声で韻竜…シルフィードが続ける。
余程の情報だろうかと思い、「短く」と続きを言うように促した。
「あのね、あのね。北花壇騎士団の団長さんってのは杖どころか武器すらも持ってないらしいのね」
ありえない。風の刃や銃弾すら通さないミノタウロスの皮膚をどうやって切り裂くのかと
これ以上は黙るように言おうとしたが、突如後ろから妖しい声がした。
支援
支援
「ほう……竜、それも韻竜というやつか」
「!」
気配も無くいつの間にか背後を取られている。しかもシルフィードが韻竜だという事もバレてしまったようだ。
どうするかと、必死に考えたが、騒ぎを起こすのも拙い。かといってこのまま放置するわけにもいかない。ここはヴェルサイテイル宮殿だ。
完全な手詰まり状態に為す術がなかったが、背後の男はいつの間にかシルフィードに近付くとその姿をまじまじと見ている。
「ふむ……中々に美しい」
美しいと言われて少し気を良くしたシルフィードだったが、男の姿を見て気付いた。
赤く長い髪、顔に施された化粧、肩に付けられたプロテクター、杖はおろか武器すらも持たない男。聞いた内容と完全に合致する。
「こ、この人なのね、さっき言った団長さんは!」
未だ身構えた様子のシャルロットを見たが、ここでは話もし辛いだろうし、何より醜い物がある。
付いて来いと促すと、警戒しながら後ろに付いてきた。
一応騎士団の団長と隊員である、特に疑われもせず与えられたでユダの私室まで辿り着けた。
部屋に着くなり、シャルロットがディテクトマジックを唱える。反応は無い。
回りくどい真似をしたからにはなんらかの理由がある。
「用件は?」
と短く尋ねたが、軽く笑いながらユダが言った。
「先王の次兄オルレアン公の娘、名はシャルロット。ジョゼフの首を狙っている」
その瞬間シャルロットが杖をユダに向け魔法の詠唱を始めた。
時間にして数秒。ユダが今まで相対したメイジの中で最も早い詠唱を終わらせると杖の先に大きな氷の槍が出来上がり、即座にそれを放つ。
「いい腕だ。殺すには惜しい」
そう言いながらユダが手を振り下ろすと氷の槍……ジャベリンが切り裂かれ勢いを失い床へと落ちていった。
ククと笑いながらユダが一歩前に踏み込むとシャルロットも一歩下がった。その顔には今まで見られなかった焦りの色が見て取れる。
あれだけ太い氷の槍を素手で切り裂かれたのだから、驚かない方がおかしいだろう。
それに外ならともかく、ジャベリンを撃てたとしても後一発ぐらいだ。空気中の水分がほとんど残っていない。
また一歩踏み込むと今度はシャルロットは下がらずに呪文を唱えた。
シャルロットの前に氷の壁が現れる。
『アイス・ウォール』の呪文だ。
これで時間を稼ぎシルフィードの元まで辿り着き即座に撤退する事にしたようだがユダは対照的に焦った様子も無く淡々と氷の壁に近付いている。
「ふむ……攻撃だけではなく、防御も可能か。良い物を見せて貰った、その礼に俺の奥義を見せてやろう」
そう言いながらユダが氷の壁の前に来ると同時に両腕を鳥の翼のように広げた構えを取った。
「南斗紅鶴拳奥義!血粧嘴!!」
南斗紅鶴拳奥義
『血 粧 嘴』
氷の壁の後ろのシャルロットに何かを削り取るかのような音が一つ聞こえた。
何かと思ったが、すぐに分かった。ユダが拳を繰り出す度に目の前の氷の壁が削り取られている。
『血粧嘴!』その拳は名が示すように血で化粧を施した紅鶴の嘴と化す!
無数の突きとそれに伴う衝撃波の刃で相手の体を鋭い嘴で突くかのように削り取る恐るべき奥義である!!
チーズのように穴が開いていく氷の壁を目にして思考が飛びかけたが、どこかで聞いた事がある単語を確かに聞いた。
『南斗紅鶴拳奥義』と。
知識を得るために無数に読み漁った本の中で、似た言葉を見たような気がする。
ほんの少し考えたが思い出した。そしてその答えを小さく呟く。
「南斗聖拳」
思いもよらぬ、恐らく自分使う事が無いであろうと思っていた言葉を聞いてユダが止まった。
「……エルフが住まう地よりも東のロバ・アル・カリイエに遥か昔から伝わる技」
氷の壁がガシャリ、と音を立てて崩れ去ったがシャルロットは構わずに続ける。
「ミノタウロスやわたしのジャベリンを切り裂いたのもそれ」
「ほう……まさか南斗聖拳を知っていようとはな。何処で知った」
「ロバ・アル・カリイエの事に書かれている本を読んだ時、一度だけ見た」
小さく、信じられなかったけど。と付け加えてきたがユダも納得はした。
支援
支援
南斗聖拳は一子相伝の北斗神拳や、唯一の例外である南斗鳳凰拳とは違い分派が認められている。
『陰』の北斗神拳。『陽』の南斗聖拳と喩えられているのかこのためだ。
己の例がある。どこかの流派の南斗聖拳伝承者が召喚されていても不思議ではないだろう。
ロバ・アル・カリイエについてもある程度調べ上げてはいる。
東方と呼ばれ、こちら側との交流はあまり無いようだが稀にその品が流れてくる。
紅茶とは違う、緑茶のよのような物があるらしい。
なるほど。確かにそれなら東方のロバ・アル・カリイエに遥か昔から伝わると、その本に書かれていてもおかしくはない。
南斗聖拳の源流は北斗宗家だが、その北斗宗家も中国より生まれた。
西洋に値するハルケギニアからならば、確かに中国も東方だろう。
「なにが目的?」
値踏みするかのようにシャルロットを見ていたユダに問う。
本気で殺すつもりであれば恐らく自分は生きていない。それをしないのであれば何か理由がある。
「お前の母親は毒を盛られたそうだな」
その言葉にピクリ、とシャルロットが少し動いた。
「本来なら、毒が仕込まれた料理を、お前の身代わりとして口にして精神を狂わされた。クク……美しい親子愛だ」
瞬時にシャルロットの表情が氷のように冷たいものへと変わる。この男は一体何が言いたいのかと。
「用が無いなら――」
冷たく言いながら部屋を出ようとしたが、後ろから聞こえてきた声はその足を止めるに十分するぐものだった。
「その毒の解毒剤。俺が手に入れてやってもいい」
シャルロットの額を汗が伝うが構わずにユダが続ける。
「エルフとかいうやつらの毒だそうだ。実際にジョゼフはそいつらと繋がりがある」
「……対価は?」
短くそう呟くがユダからの返事は無い。小さく笑いながら部屋から出て行った。
「ふふ……全てはこのユダ様の手の内よ」
仕込みはこれで整った。
この国の内情もよく理解している。
シャルル派と呼ばれる者達は、あのシャルロットこそが真の王位継承者だと見ている。
本人さえその気であるならば決起も辞さない連中だ。
そんな忠誠心の高いやつらであるからこそ、ユダにとっても御しやすい。
シャルロットにその気がなくとも、きっかけを与えれば暴発する可能性が高い。
もちろん、それだけで謀反が成功すると考えているわけではない。
その時ジョゼフに止めを刺すのはこのユダだ。
頭さえ失えばどうという事は無い。次期王位を巡って争いが起こる。
イザベラかシャルロットという事になるのだが、王位はイザベラに移すというのが考えだ。
シャルル派がシャルロットを持ち上げるかもしれないが、その時は国王殺害の罪で皆殺しにしてやればいい。
シャルロットに関してはどっちに転んでも手を出すつもりはない。
ここは世紀末ではないのだ。民衆の感情にも目を向ける必要がある。
シャルロットまで排除して余計な火種を作ることはない。今までと同じか、例の毒の解毒薬をくれてやって反抗の芽を潰しておくのもいい。
無能王と呼ばれているジョゼフだが、ユダが見たところアレは自分と同じで恐ろしいまでの知謀を持っている。
放置しておけば後々厄介な事になる。だからこの乱に乗じて始末する事に決めたのだ。
誰かに従う事はあっても、決して臣従する事がないというのが妖星の本質。
そのまたの名を、常に人を欺き騙す『裏切りの星』
そう、全てはこの世界に『JD』の旗を掲げるために。
「人は裏切りの星と呼ぶがそうではない!妖星は、天をも動かす美と知略の星なのだ!!」
しえん
ですよねー支援
支援
もう一回
支援… 規制入ったか?
テーレッテー
南の空に妖やかしの星が美しく輝く!妖星は、やはり乱世を望むのか!?
次回、虚無の拳!『俺は妖星!紅鶴は血に塗れてこそ美しい!』
「妖星が告げておるわ!神が俺を選んだと!」
投下したッ!
いや、だってほら…ミョズの場合額にルーン出ると間違いなく
「俺の美しい顔に傷がぁぁぁ〜〜〜!」
でガリア終了のお知らせだし
投下乙!
面白かった、単発なのが惜しすぎる
投下乙
出来れば続きでビダーシャルVSユダも書いてください兄貴w
(やっぱ虚無抜きじゃ勝てんかな?)
兄貴乙
確かにガリアの平和とおっさん達のキスによる俺達への精神汚染を防ぐためには適切といえる処置だなw
この後反乱が成功するかどうか、それなりに楽しみだがまあここで終わっとくのがいいか
淀んだ異世界で僕らは出会った
>>337 一度は失敗して消息不明になるが今度は教皇側に付いて再登場とかありじゃね?
裏切りの星なんだから
ユダGJ!
さぁ早く続きを書くんだ、いや書いて下さいお願いします。
ルイズは裸王召還。
投下乙!!
何故かジョインジョイントキィを思い出してしまった・・・
ほんと、世紀末は地獄だぜ!
なぜかこんなイメージが出てきた
コルベール「汚物は消毒だ〜!!」
素直に白炎の人でいいだろw
>>344 コルベールは本当に消毒しちゃったからな
タバサ母「いかん!これには毒が入っている!」
やっぱり兄貴ィは、スゲェーやッ!
ユダの伝衝烈破は、ケンシロウもパクった程の使い勝手のいい技。
しかし、虚無の拳…続きが読みたくなる程の単発だったぜっ!
また向こうで会いましょう。
アッラーアクバルだ。
>>346 水飴をなめようとしたタバサから水飴を取り上げるタバサ母を幻視した
スカロン「あら? メチルアルコールって飲めなかったのかしら……?」
こんなことが日常茶飯事の妖精亭とかやだw
>>348 壺を割ってしまって自殺しようと舐めるんだっけ?
酔拳よりフェイフォンを召喚
2のラストのフェイフォンをよんでしまいさあ大変
というかあのラストはかなりショッキングだよね
>>352 あれ最終的に復活するよ。実在の人物だし。
サウザーとかはネタで見かけたことあるけど、ユダがくるとは思わなかったw
一方でルイズがシンを召喚してたりして
「女王だ! ルイズ、お前を女王にしてやる!!」
>>353 監督が子孫なんだっけか?
まあそれでもあのラストはねえよ
これで単発かよ・・・
続きを
狂おしい程続きを
ルイズはもうレイでも呼ばないと太刀打ちできんね
レイ「この回路をギーシュのゴーレムに付けるんだ」
そっちのレイじゃねえwwww
>>228 完結のみあげてみた
鉄板過ぎて面白みがないか
長編部門 ゼロな提督 薔薇乙女も使い魔
小ネタ部門 使い魔は不良高校生
ホラー部門 虚無の唄-song of zero- ゼロの探究
SF部門 るるる
ギャグ部門 ご立派な使い魔 UM☆アルティメットメイジ
グッジョブ!北斗を知らない私も楽しめました …なんですが、
無駄に名前を出すと荒れのもとになりますんで…感想・毒・姉妹、迷いましたが、
ここで言わせてもらいます。
自分が誰だか主張したいなら(つい、深く考えずにというのは判ります)個人サイト作るか、
せめて、コテハンつけてください。
>>348 小ネタの一休さん召喚を思い出した
あれはクックベリーパイだったが
ユダ相手だとサイトじゃ話にならんなw
瞬殺されるぞ。
風の聖痕から八神和麻
「それで、この俺を呼び出してどうしようっていうんだ?」
(まさかこいつらアルマゲストの残党か?)
ちらりとコッパゲを見ると血の臭いを嗅ぎ取った
「まぁまぁルイズくん、彼も混乱しているようですしティーでも飲みながら説明をしようじゃありませんか」
「ふん、平民付いてきなさい」
「・・・ってほいほい付いていくわけねーだろうが、ボケ」
風の精霊が呼びかけに応じたのを幸いに空を飛んで逃げようとする和麻
「いうこと聞けやコルァアアアアアアアア”レビテーション”」
ボグァ
空間がなんの前触れも無く弾けたかと思うと衝撃が和麻を遅い
風の精霊が吹き散らかされ、落下する
が、衝撃を五体に分散し重大な怪我は免れた
「(なんて奴だ)おいおい、魔法使いだかなんだか知らないが人を拉致しておいて高圧的に振舞うのがここの礼儀なのか?」
とここまで書いて疲れた
風邪気味で頭と喉が痛い
>>359 このスレを荒らしたくて荒らしたくて堪らないんですね、わかります
>>356 レイと聞いて
ル「レイ、V−MAX発動!」
レ「レディ!」
という電波を受信した
まあ、「ゼロ」が「レイ」を喚ぶのは理にかなっているな。
>>363 封印しとけ
完結できる自信がつくまでな
まあ、一生ってことになるだろうが
ん?神の手をもつ彼ですか?
>>363 個人的には、小説であんまりネット特有の言い回しを多用するとどうしても陳腐に見えてしまう
>SPT
初期のレイはV−MAXの存在も知らないが
どうやってフォロン呼び出しフラグをたてようか
そういや前にブギーポップ召喚という話が上がってたが、奴って強いけどルイズ的には最もハズレな気がする。
ブギーが表に出てなにかしらの活躍をしても本人なにも覚えてないわけだし初期の手柄に飢えてるルイズだと精神的に追い詰められる可能性がある。
>>373 それってルイズが世界の敵になるフラグじゃね?w
世界の敵ルイズってカッケー!
やっぱ召還されるのはスポーツバックかな?
あんまり知らんがブギーポップって世界の危機に登場するんじゃなかったっけ?
>>364 なんで荒らしてることになるの?
人気投票ぐらいいいじゃん
虚無の拳さん乙です。
とてもおもしろかったのですが、
次回予告に千葉繁分が足りないです。
>>356 最初の段階では世紀末使い魔伝説―零の章―でレイやってたんだが
ルイズんとこだとどう足掻いても続けざるをえんからユダ様にした
ちなみに
南斗紅鶴拳
『南 斗 鷹 爪 破 斬』
↑のは北斗でよく見る色が反転した時に出るテロップね。
後、次回予告と説明とモブのメイジのcvは千葉さんの声で聞いてくれぃ
ルイズがイマジネーター召喚すれば暴走して世界の敵になりそうだ。
で、テファが召喚したブギーと対決。
でもブギーが敵になると勝ち目ないよなー。
>>379 世界の敵となったルイズが、ブギーに破れてバッドエンド
それはそれでありじゃね?
悪魔のミカタから知恵の実
「どうしてトリステインを裏切ったの!ワルド!」
「それはルイズ 略」
「知恵の実を使って、自分の願いをかなえましたね?」
ブギー召喚ってどういう形で召喚されるんだ?
ルイズが取り憑かれて筒みたいな服に着替えるのか?
あと、ジョゼフすらブギー的には世界の敵に該当しない気がする。
383 :
戦国☆熱気バサラ:2008/08/30(土) 20:14:46 ID:iziIqGiY
話の腰を折るようですみません。
マクロス7の熱気バサラが召喚されたという設定で2話ほど投下したいのですが、よろしいですか?
因みに、マクロス7の曲だけじゃバラエティに欠けるので、福山芳樹さんの曲を大量に使ってます。
他にも、設定としては「仮面のメイドガイ」「武装錬金」等、福山さん関連のものが多々あります。
そんなんでいいですかね?
世界の敵に認定されるかどうかは強さとは無関係だからなー。
もっともルイズなら話の展開によっちゃ普通に世界の敵になりそうだけど…。わりと精神的に危ういし。
ネタがくどすぎると多重クロスになって避難所行けって話しになるけど。
節度を持って小ネタとして混ぜる分にはいいと思うよ。
しかし、2話完結予定って珍しいな。
387 :
戦国☆熱気バサラ:2008/08/30(土) 20:21:03 ID:iziIqGiY
>>386 いえ、残念ながら長編です。
一応5話までは書いてるんですが、曲の用意が間に合わなくて。
YOUTUBEのリンクとかはっつけてOKですよね?
あまりよろしくなかった気がする
かつて動画のリンク張った書き手はかなり叩かれたからお勧めはしない
というかまさか投下の度にageるつもりじゃあるまいな。
>>387 リンクはやめたほうがいいよ。
YouTUbeとかニコとか貼ると絶対叩かれるから。
MADが元ネタってんならやめとけ。3次創作は禁止。
そうでないなら、バサラクロスを読む人ならFBの歌ぐらい分かると
期待した方が良い。
>>385 レイ兄さんかぁ。
召喚したいけどレイ兄さんの魅力って
復讐する時の躁っぽい狂気も大きなウェイト占めてるからなあ。
フルボッコに叩かれたく無いなら避難所行けよ
>>391 ちょっと前のジャンプのスケットダンスはその辺潔かったよなw
作者の分かるやつだけついて来い! って意思がビンビンに感じられたもんだ
395 :
戦国☆熱気バサラ:2008/08/30(土) 20:28:36 ID:iziIqGiY
>>390 そのつもりでした・・・
>>391 MADが元ネタではないです。
3次創作と言いますと、オリジナル展開は無しですか?
気になったら、適当に検索で飛んで行ってもらうということで。
YOUTUBEで「マクロス7」で検索すれば一発です。
色々勝手が分からない部分が多いですけど、何か間違っていたら指摘お願いします。
まずは避難所で試しに書いてみるのをオススメする
398 :
戦国☆熱気バサラ:2008/08/30(土) 20:30:36 ID:iziIqGiY
まずメール欄にsageと入力してくれないか
>>399 すみません。
初心者がいきなり何かやろうってのが無茶だった様ですね。
反省します。
流石に意図的にageるのは止めてくれないかな
著作権侵害の違法動画にリンクを張るな、話題に出すな。
実在する歌の歌詞を書くな。
これを守れないなら避難所にも来るな。
>>400 初心者だってんなら避難所の方の練習スレに投下するべきかな
好きなキャラだし期待はしているけど、とりあえず2chのルールとかマナーを把握できるまで本スレ投下はしないほうがいいと思う
避難所にも来ないで欲しいが。
もちつけ
>>382 ブギーの成り立ちを考えると、「異世界に召喚」ってのはそもそも矛盾してるような気もする
どっちかというと世界の敵が現れたときに、ハルケにいる誰かにブギーポップが浮かび上がってくるって方が自然じゃないかと
(もちろんこれが召喚された藤花であることは問題ないんだが)
あと、世界の敵ってのは基本的にブレーキが壊れてる存在なんで、
ジョゼフが「世界滅ぼしたら俺の心に変化がおきるんだろうか?」っていう疑問を持つ段階までいってしまうかどうかってことになるかと
……なんか止まらなさそうだね
いっそ、この世界にもまたブギーポップが存在していて
ルイズがブギーポップとなって世界の敵と戦って…
…IFスレ向きだね、うんorz
>>392 空っぽのレイ兄さんが召喚されたらやだなw
>>410 一応クロスではあるから避難所でいいんじゃないかなw
後ね、ルイズをブギーにすると一つ問題がね
……虚無を使いこなせちゃうんだ
てかブギー本人じゃなくて
ffとかイナズマとか能力者でいいんじゃね?
個人的にはペパーミントの彼希望
……アイスの保存って難易度高そうだな
>>413 そう言えばそうかw
キュルケかシエスタを竹田君ポジションにして考えてみようかとした事はあるが断念していた
>>ID:xFwBEVMs
作者乙!
触るな危険
>>414 でも彼って地味に最強だしなぁ…
ブギーみたいな特殊なやつ(心の希薄な存在?)でなけりゃ存在がわからない隠密性、
フル開放すれば逆らう人間はいなくなるほどの精神支配能力、
世界の敵になりかけただけのことはあるよ。
某所で水鳥拳のレイ呼ばれてたけど召喚までなんだよなぁ、続きこないかしら
ここで違う人によるレイでもうれしいんだけんど
HOTELより赤川一平を召喚
「姉さん、事件です」
質問ですけど、SSを書く場合クロスする元ネタに出てくるキャラって最大何人くらいまで許容できます?
今考えてる奴が
召還された当人+一緒に死にかけてた仲間+元ネタの作中で死んだ奴
で一気に出てくる訳ではないんですけど10人以上は出てくる事になりそうなので
あなたの構成力次第です。できるなら100人でも200人でもいいです。
大事なのは「クロスキャラのいるゼロの使い魔」になのか「ゼロ魔世界でのクロスキャラ達の戦い」なのかだと思います
後者なら叩かれるのを覚悟するべきでしょう
叩かれたくて仕方のないマゾ書き手ばかりだな
叩きたくて仕方のないクソ読み手ばかりだな
叩かれたくて仕方のないバカ犬ばかりね
もっとぶって!
さあ!僕をぶって!(もっと!)
犬ではござらん!
拙者は、狼でござるよ!
カ・イ・カ・ン
そういや富樫ワールドの住民は召喚されてないな
とこの流れでヒソカを思い出した
冨樫仕事しろ
ウボォーギン呼び出したら軍隊と喜んでガチンコするんだろうな
>>433 バカ王子
パクノダ
シャウアプフ
が召喚されてるぜ
ブラックラグーンから人気キャラ、ロットン・ザ・ウィザードとかどうだろう。
相手が誰だろうと、いつも通りカッコつけて口上述べてる間に攻撃食らってダウン。
ルイズ「いい加減にしなさいよアンタはァァァァ!!」
>>425 信念が強いというか灰汁が強いというか生きることは戦いだみたいなキャラはどうなるの?
叩く奴もいるけど面白半分で叩いてる奴はウザい。
DMCから資本主義の豚こと梨元さんを召喚。
持ち前のMッ気からルイズとの相性も最高なのではw
デビルメイクライ?
その相性で言えば色丞狂介を召喚するしかあるまい。
>>438 俺が叩かれると思うのは、あくまで例えだけど、クロスキャラが大勢いて、そいつらがルイズたち置いてきぼりで戦ってるってだけの奴。
ようは、別に態々クロスしてまでやる必要のないSSだね。
「ゼロ魔世界でのクロスキャラ達の戦い」じゃなくて「ゼロ魔世界でのクロスキャラ同士の戦い」と書くべきだったな
>>414 ffなんか蹂躪にしかなんねえだろw
現時点でも今連載されてるバージルより強いぞ
あのへたれは最終的にザ・スライダー使いこなせるようになると
光速の何倍のスピードで動いて恒星破壊規模の破壊力を持つやつと同格になるんだぞw
ユージンかピートビートあたりが妥当なんじゃねえの
湯けむりスナイパーから源さんを召喚
誰も知らんか
プロット固まって一話書き上げたら規制食らってるよ!
最初は自分で投下したいし書きためる作業にもどるか・・・
ハンタ世界の住人呼ぶにしても
ハルケニアの重力はハンタ世界の百倍で物質の強度も数倍みたいな設定じゃない
身体能力に差がありすぎて一方的になってしまうのでは?
>>445 ああ、それなら叩かれるのもしかたないや。
ただ少しくらいならストーリー展開の為ならOKだと思う。
>>447 ffの能力未完成ってのはどっかで聞いてたが完成するとナイトウォッチ並になるのかよリィ舞阪
ユージンもユージンで人体の限界超えてる被投与体を数十体位は倒せるレベルだし
ガンダ補正あったら十分蹂躙出来ると思うよ
まず作者の人格があれだ
個人的には、重要なのはパワーバランスより内容のバランスだと思う。
要は同じくらい見せ場があれば問題ないんじゃないかっていう。
作者は変人・悪人・善人・超人・宇宙人なんでもいいよ
SSが面白くて余分なこといわなかったら荒れないと思うよ
只の作者に興味ありません
>>459 料理はいらない、器を持ち帰らせてくれ。
FFと聞くとファイナルファンタジーしか浮かばない
フーファイターズ
ファイナルファンタジー
ファイナルファイト
ファイティングファンタジー
BURAIから上巻ED後の八玉の勇士を召喚。
……どいつもこいつも七万を一人で全滅させられるよな。楽勝で。
ぜんりんくどう
フーコンファミリー
昔、ガンガンでやってた里見八犬伝より犬塚信乃を召喚
キュルケらからアプローチされたり、ルイズにデレられるたびに「私は女だ!!」と
>>447 そこまでいっても最強になれんのかフォルティッシモw
つーかあのへたれは結構ルイズと相性いいと思うけどな
>>459 普段の見た目が冴えない感じではないと女体盛りの器にはできません
ウッス
>>469 確かにぺたんこで無ければ盛りにくいからね。ルイズなんかが向いて、外が急にあかるk
>>469 じゃあ俺テファの女体盛り食べ物抜きおくれ
あいよっ!ミセス・シュヴールズの女体盛りお待ち!
スカロンなら喜んでやってくれそうだよね。女体じゃないけど……
ドラえもん召喚とか誰か書いてくれないかなー
>>447 ルイズのディシプリンというタイトルには惹かれるものがあるけど
ビートの性格だとテンプレ展開を破るのが難しそうだなー。
477 :
らあs:2008/08/31(日) 01:33:19 ID:xjyNpitl
ドラクエ
>>475 子ネタであったけどね。
最終的にオスマンの使い魔を見て地球破壊爆弾でハルケギニアを滅ぼす。
479 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 01:52:28 ID:xjyNpitl
不敗の使い魔のSSきてほしい。あとるいずととらも出てほしい。
>>437 貴族相手の決闘とかじゃ前口上は最後まで聞いてもらえる可能性が高い。
ギーシュとか相手がしゃべり終わるまでは流石に待つだろ
>>423 基本的に、ちゃんとした設定と展開があれば何人でも良い
エルクゥなら虚無の使い魔が三人まで元ネタの人だった
左手なら仮面ライダーが4人だ
薔薇乙女や提督なら、もっと多い。どちらも次元転移技術を持ったキャラや世界からの召喚だったから
薔薇乙女では話が進むに従って地球から人が次々とやって来た
提督なら最終話で大艦隊がハルケギニアの空を覆い、ゼロ魔主要キャラほぼ全員が別宇宙に留学した
君の想像力と構成次第だ
3×3アイズから八雲召喚・・・しても
八雲自体パールバティの使い魔みたいなもんだしな
いっそパイ召喚してルイズがウーになるほうが面白いか?
たまにはルイズが使役される側になるのも面白いかも
もういっそ虚空牙呼んでだな……
ただし飴屋かエコーズで
他には、マンティコアとか相性良さそうな気がする
>>423 男塾のヤツは一号生全員+王大人+カメオで塾長だから見せ場さえ用意できれば問題ない。
さらにシエスタがとんでもない魔改造されてるけれども特に問題とは思わん。
個人的には展開がちゃんとしてれば複数の作品からでも突っ込んでいいと思う。
あぁ、うん、薔薇と提督はケッサクだね。
で、激しく亀だが「世紀末使い魔伝説―虚無の拳―」GJ!
聖闘士と並んで禁じ手だった北斗の拳から召喚とは、やるな
しかもかなり面白い
是非是非続けて欲しい所です
>>483 小説のラストで、結局カプセル船を見つけられなかった兵悟ががんばって探し出そうとしているときに、
シンパサイザーにたまたま引っかかったサモン・サーヴァントに引っ張られてハルケギニアに召喚され(肉体はゲートを通る際に構成された)、
色々あって四つの四を集めた時に世界の外にパルスを送って、カプセル船の場所を知ることによって帰還する、
というストーリーを考えたけどややこしくて2秒で断念
というか素の状態で人類史上有数の戦闘の天才とかいうやつにガンダなんてくれてやったらどうなるんだよ!
トワプリの狼リンクを召喚
人間状態だと口調や性格が喋らないのでわからんがこれなら問題なし
7万戦で人間に戻ったところで終了とか
マブラヴオルタからBETA全軍召喚
…どうしようもないな
>>488 工藤の強さは肉体云々より機転の凄まじさが強さで
まず人類史上最強の戦闘の天才の思考を考えるので作者が死ぬ
次にナイトウォッチの扱いでハルケニアが吹き飛ぶ
パンチ一発恒星破壊してミサイル一発銀河破壊ですよ
ソルティ・レイからソルティ召喚とかどうだ?
第一話の落下中に転送。……ロイさんがお気の毒な事になるけど。
しかも名前も覚えてないから難いかなぁ。アニメ見る限りじゃ大破しない限りはメンテナンスレスだけど。
ワルキューレの拳受けてビクともしなかったり、フーケゴーレム一撃で砕いたり。ただ、ワルドだけは力押しじゃ勝てないよな。
あと、フレイムに手を噛まれて「にゃあぁぁ〜!」と悲鳴をあげつつフレイムの巨体をカニと同様に振り回して唖然とされるシーンとかあったりw
ちなみに、ソルティが人生で初めて「萌える」のがどういう事かを俺に理解させてくれたんだ。
断言する、彼女以上に女性キャラで萌えた事は無いと。
サモン・サーバントでシモン・ベルモント召喚
男塾のはオスマンの魔改造なければ他はオールオッケーだった印象
がんばれゴエモンきらきら道中からセップク丸を召喚。
どのタイミングで呼び出すかで話が大きく変わるな。
切腹をスポーツと勘違いするお馬鹿さんだが、かなり強いぞ。
>>490 上位存在だけ呼べばあら不思議、ご立派様の続編にw
>>492 ソルティはロイさんから離したくないな、最終回的に…
よしわかった。
ならばインテグラさんを派遣してあげよう。
>>495 ああ、腹に爆弾埋め込んだ上で切腹を敢行しようとする人か
……巨大ロボが踏ん張って必死に受け止めなきゃならんくらいの星(隕石?)普通にブン投げる身体能力と合わせて考えたら……
「決闘? それはどういったスポーツだ?」
……ルールの説明がうまくいけばギーシュは生き残れるかな
しかも、その巨大ロボが全力で投げ返した星を受け止めるんだぜ?
最終回云々前に最後までたどり着けないなロイさんw
娘も見つけられないだろうし。
ただ、盗賊つながりでおマチさんと仲良くしたり、外見年齢無視して真っ白なソルティに妹のような接し方をするルイズとかも見たいかも。
ソルティ以外で喚ぶなら……ロイさんかな。
それなりに強いけど、あくまで普通に人間だから地味すぎるがw
あのツンデレオヤジも萌えるぜw
十三話完成しました進路クリアなら投下致しますが……
今回半端にギャグパートを挟んだのでテンポが悪いのと。
逆にサイトの影が強烈すぎて下手するとヘイト扱いされてしまうかもしれない出来なので、
気になる方はご遠慮くださいませ。
それでは十分よりいかせてもらいます
こんな時間だが支援!
今マガツマンダラだけど支援
あああああ、すいません。
間違えて新しい方上書きしちゃって書いた分半分消えてしまいました。
申し訳ありませんが予約取り消させて頂きます。
本当にごめんなさい。
うわー、ドンマイです
支援
必死こいて復旧して参りました。
ペルソナ0第十三話投下させて頂きます。
ペルソナ0 第十三話
「くそっ、なんだってあたしが!」
トリステイン魔法学院の廊下でやつあたりに壁を蹴り飛ばしながら、蒼い髪の王女は悪態をついた。
その側に控えるのは同じく蒼い髪をショートカットにした無表情な少女、ただの護衛だと分かっていてもその眼を見ていると何故かイライラが湧きあがり余計にイザベラは荒れ狂う。
「こんな辺鄙な魔法学院に留学しなきゃいけないんだい!?」
「命令」
淡々と告げられた言葉にイザベラは声を荒げる。
「五月蠅いね、そんなことはわかってるんだよこのガーゴイル!」
イザベラはタバサにずいと指を突きつけた。
「肝心なのはお父様が何を考えてあたしをわざわざ糞忌々しいあんたと同じところに留学させようと考えたかってことさ」
胸を張ってイザベラは告げる。
「ガリアの魔法力は世界一ィィィィ、わざわざトリステインに留学なんてしなくても魔法を学ぶんならガリアの魔法学院で十分だって言うのにさ」
ため息をついてからイザベラは頭を横に振った。
トントン
「って、こんなこと馬鹿なお前に言ってもしょうがないね。命令されたことを忠実にこなすことしか出来ないガーゴイルなんだから」
トントン
「あー、もう。トリステインの馬鹿貴族どもってのはなんでこんなに鬱陶しいのかねぇ、いくらこのあたしの美貌がこの世のものではないくらいに美しいからって」
トントントン
「って、さっきから誰だい!? 王女様の体を気安く叩きやがる不敬者は!」
背中を叩く何者かに向かって振り返るとそこには奇妙な物体がいた。
「やっほー、クマです。そこの可愛いお嬢さんはひょっとしてタバサさんのお知り合いですかー?」
――なにこいつ?
それがイザベラの偽らざる感想だった。
ボタンのようなものが付いている赤い体と、ふさふさの青い毛並み、子供が絵に描いたような顔。
その眼と鼻と口がせわしなく形を変えるところからすればただの人形と言う訳でもないだろうが、しかしこんな感情表現豊かなガーゴイルなどイザベラですら見たことがない。
ゴーレムでないことは言わずもがなだ。
ならばなんだと言われるとさしもイザベラも回答に困る、だが目の前のナニカはイザベラのことなど知ったことではないと言うように気さくに話しかけてきた。
「お嬢さん、よければクマとお茶しなーい?」
「な、なんだいあんた……?」
「クマはね、クマだクヴォア!?」
笑いながら手を振る謎のナマモノ、もといクマの頭にでっかい杖がめり込んだ。
「新種のガーゴイル、モチーフはクマ」
「ガーゴイル? こんなのは聞いたことがないよ?」
「新しい魔法技術を開発してるのはガリアだけじゃない」
そう言うとタバサは目を回したクマをレビテーションで浮かせると、すたすたと歩き出した。
「お、おい何処行くんだい?」
「持ち主に返す」
その背中を見つめながらイザベラはぼつりと呟いた。
「なんだってんだい、全く」
そして不意に今まで感じていた違和感の正体に気づく。
「そんな顔も出来るんじゃないか……」
いつもただ人形のような無表情を刻みながら去っていく従妹の顔に、僅かな微笑みがあったからだ。
「ああ、もうくそ忌々しい」
その事に気づいた自分までにやにやと笑みを浮かべているのか分からず、イザベラは地団駄を踏む。
げしげしと備品であるアルヴィー人形にケリを入れ、ようやくイザベラは息を吐いた。
「これはそう――霧よ、この鬱陶しい霧のせい、それと喜ばせてからたたき落とす方がより絶望が増えるからに違いないわ、うん、そうね、そうに違いない!」
イザベラは空を見上げ溜息一つ、腰に手を当て、まるでその向こう側にいる相手に告げるように。
「早く晴れないと承知しないよ!」
我こそが王者とばかりに高々と。
ただ高々と。
蒼いドレスを翻し高貴な二つの胸を張る。
早朝支援
控え目なノックの音にルイズは扉を振りかえった。
空いていると告げ鍵を開くと、扉からクマが放り込まれてきた。
「へぶっ、ひどいクマよ。タバサちゃん」
痛そうに頭を擦るクマの姿にルイズは薄い笑顔を浮かべ、やってきた二人を歓迎する。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「ただいまクマよ、マルトーのおっちゃんにご飯食べさせてもらって元気百倍クマ!」
すぐに立ち直るクマ、そんな姿に二人して笑う。
だが続くタバサの言葉が部屋の雰囲気を一気に沈ませた。
「まだ眼を覚まさない?」
頷くルイズ。
普通ならけして平民が眠ることなど出来ない筈のベットには、今一人の少年が浅い寝息を立てていた。
傷だらけの痩せた身体と豆だらけの手、そしてあれほど沈鬱な表情を刻んでいたとは思えないあどけない寝顔。
「ええ、もう一週間……」
昏々とサイトは眠り続けている。
目を覚ます気配さえなく日に日に痩せ衰えていく体が酷く痛ましい。
「水の秘薬でなんとか保たせてはいるけれど、このままじゃ……」
ルイズは俯き親指を咬んだ、まだ何も分かっていない。
知らないはずの記憶の意味も、サイトが一体何を目的にこんな傷だらけになって戦っているのかも、この胸の掻き毟られるような感情の正体も。
何も分からない。
その事がまるで大切なものを奪われたのに何を奪われたのか分からないみたいで、ちくちくと心を攻め立てる。
「やっぱりシャドウをおとなしくさせないまま出てきちゃったのが悪かったクマか?」
「わたしのせい……」
ルイズがサイトを連れて仲間たちのもとへ戻った時、そこにはもう一人のサイトが変貌したと思しき巨大なシャドウがいた。
ふらふらのタバサを必死で庇いながら、キュルケとギーシュが傷だらけになりながら戦っていた。
「仕方がないわ、あの状況じゃ」
なんとか敵の攻撃を掻い潜りテレビの外に脱出することができただけでも素晴らしい幸運だった。
ギーシュの機転とクマの捨て身の一撃がなければ起こらなかった、奇跡と言い換えてもいい。
その状態で「IF」を語ることは、二人の努力と献身に対する最悪の侮辱だろう。
「ルイズちゃん……」
「まだ機会はある」
そう言うとタバサはあ可能性を口にした。
「マヨナカテレビ、クマの鼻でも見つけられないならその可能性に掛けるしかない」
「ごめん、ごめんクマ、ルイズちゃん。役に立たない、駄目なクマで」
しょんぼりと俯いたクマの頭をルイズの手が優しく撫でる。
「そんなことない、だってクマが助けてくれなかったら私は今此処にいないもの」
「ルイズちゃん」
ほろりとクマの頬を一筋の涙がこぼれ落ちた。
「ありがとうルイズちゃん、あのルイズちゃんがこんなやさしい言葉をかけてくれるなんてクマは本当に幸せものクマ」
クマの言葉にルイズの額に青あざが浮くがクマは全く気付いた様子はない。
そのままクマはルイズの胸に顔を埋めると滝のように涙を流し始める、しとどに濡れて透ける服。
さらにもう一つルイズの顔に青あざが浮く
「今は、今はただルイズちゃんの胸で泣かせてほしいクマ、装甲板のようなその胸で!」
「黙りなさいこの馬鹿クマ!」
ルイズは杖を振りあげるとシークタイムゼロセコンドで振り下ろした。
部屋の中が盛大に爆発し、いろいろなものがあたりに散らかる。
だが自分も被爆し、なおかついろいろときわどいことになっていながら、タバサの表情は明るい。
先ほどまで部屋の中を覆っていた暗い雰囲気は爆発でどこかへ飛んで行ったから。
久しぶりにルイズがルイズらしい顔をしているから。
まだ友達付き合いは短いが、タバサにとってそれは嬉しいことだから。
未だにクマと騒いでいるルイズを横眼にタバサは窓の外を見る。
窓の外には霧。
深い深い靄のような霧は夜半には霧雨に変わり、やがて大粒の天の涙となった。
雨の夜の午前零時、それを待つために一人、また一人とルイズの部屋に仲間が集う。
もっとも今日は招かれざる客が一人。
しぇしぇ
「まったく、あのガーゴイルは何やってるんだか」
イザベラはごろんと部屋のベットの上で転がった。
制服が皺になるが気にしないのはさすが傍若無人な御姫様と言ったところだろうか。
勉強などかったるくてやるはずがなく、普段ならちょっかいをかける侍女や騎士たちもなく、友達なぞいようはずもなく。
要するにイザベラは暇を持て余していた。
「ええい、うっとうしい」
頭に浮かんだ想像を振り払う、こんな時に何故かあの無表情な人形娘の顔が浮かぶのか?
「人の頭の中にまで出てくるとはいい度胸だねぇ」
本人が此処にいないのに酷い言いようだがイザベラは普段からこんなものだ。
しかもその思考が呼び水になったのか次々といろいろな記憶が浮かんでくる。
子供のころ家庭教師を落とし穴に嵌めて二人でラクドリアン湖に探検に行ったこと。
ついてくるなと言ってもシャルロットはおとなしそうな見た目からは想像もつかないほど意地っ張りで、絶対ついて行くと言ってきかなかったっけ。
そして結局最後には歩けなくなって、探しにきたシャルルの叔父様におぶられて帰り道を歩くことになった。
「シャルルの叔父様か」
思い出そうとしてみたがほとんど何も思い出すことは出来なかった。
思い出すことは出来たのはぼやけた顔に浮かべた穏やかな笑顔。
それに違和感を感じてイザベラはもう一度よく思い出そうとしてみた。
「なんだ、これはシャルルの叔父様じゃなくて」
最近見たシャルロットの笑顔じゃないか。
そのことに気づいてイザベラは自嘲した、親子は似ると言うが印象は細かいところまでそっくりだ。
――私とお父様は全然似ていないのに。
似ているところと言えば魔法の才能がからっきしと言うことだけ。
「だー! 何考えてるんだあたしは!ええいやめやめ、こう言うときはガーゴイルをいびってストレス解消に限るわ」
思考が変な方向へ行きそうになったので無理やりに考えを中断させる。
「確か、このへんに……」
そのままもそもそと部屋の片隅に移動、山と積んであるマジックアイテムを物色する。
なぜか知らないが父上から馬車一台分届いた、「こんなこともあろうかと用意しておいた」ってどんなことよ? と思ったが片付けることすら面倒だったので部屋の片隅に放置しておいたのだ。
「これじゃないわね」
イザベラはプレートに“アンドヴァリの指輪”と書かれた白い箱を放り投げた、箱は壁に当たり中身の紫の宝石がついた指輪を吐き出す。
「これでもないわ」
次に手に取ったのは古びた小汚いオルゴール、イザベラにはゴミとしか思えずこんなもの送ってくる父親に少しだけ殺意が湧いた。
「これでもない、これでもない、あーもーどこにあるのよ!」
そう言いながらイザベラはマジックアイテムの山を引っかき回す、マジックアイテムと言えどもほとんど実用性のない訳の分からない品物ばかりで、例えば今イザベラが投げ捨てたのは特に使い道の分からない水晶で出来た髑髏で、
足蹴にしているのは板状のなんなのかすら分からない鉄くずだ、他にも板と線で繋がった蒼い耳あてや血らしきもので汚れた穴の空いた紙袋などなど。
本当に魔法に関係があるのかすら疑わしい代物ばかりで、イザベラは頭痛すら覚えた。
「あった、これだこれだ!」
暫しの時間が過ぎ、イザベラがガラクタの山から引っ張り出したのは白い陶磁の本体に緑の宝玉が嵌め込まれた一つのマジックアイテム。
対となるアイテムの場所を指し示す能力があり、手に入って以降自分の配下の者たちの動きを監視するのに使っている。
「さてと、なんだ以外と近くにいるんじゃないか」
主を放っておくなど騎士にあるまじきこと。
だからせいぜい罰を与えてやろうとイザベラはほくそ笑むと、役に立ちそうなマジックアイテムを適当にポケットに詰めて部屋から駈け出した。
勢いよく締めすぎた扉がバダンと激しい音を立てて、通りがかった使い魔たちが驚いて逃げて行く。
そのままイザベラは我が物顔で廊下を突き進み、ひとつの部屋の前に辿り着いた。
「ここは確か……ヴァリエールの、部屋だったかい?」
いくら傍若無人と言えども腐っても一国の御姫様。
最低限の教養として他国の大貴族の名前程度は覚えている。
「どんな奴だっけ?」
だがいくらイザベラ様と言えどもほとんど会ったことない相手の顔まではよく覚えていなかった。
何度か思い出そうとしてみると、食堂で平民と話し込んでいた奇矯なピンクの少女が頭に浮かんだ。
「ああ、あの人形娘と五十歩百歩の奴か」
にししと嗜虐的な笑みをイザベラは浮かべた、おそらく今頃は己に足りないものについてワインでも浴びながら語りあかしているのでだろう。
そこへ颯爽と現れて嘲笑ってやろう。
そう思いイザベラはポケットからマジックアイテムを一つ取り出した。
一見して手鏡にしか見えないそれは“魔透鏡”と壁越しに向こう側の景色を見るマジックアイテムだ。
しかもディテクトマジックに反応せず向こう側からはこちら側は見えないと言う極めて便利な。
「さて見せて貰おうか!」
イザベラは扉に鏡を押し付けると、鏡は淡く光を放ちゆっくりとその下の木目ごと透き通っていく。
出来た穴をイザベラは覗きこんだ。
「おっぱい!?」
穴の向こうにはおっぱい、褐色の肉の塊が圧倒的な威圧感と共に聳えていた。
思わぬ不意打ちにイザベラは慌てて鏡を外した、危うく精神に再起不能の傷を負うところだった。
人形娘たちを笑うはずが飛んだ罠が仕掛けられていたものだ。
「くそっ、しゃらくさい。あたしはあんたなんかには負けないよ!」
鏡を設置する場所を変えて再トライ、今度は成功。
小さな穴の向こうには何か黒い箱を凝視するシャルロットと桃色の髪の娘が見える。ついでに昼間のナマモノも。
「よしよし、ガーゴイルの分際であたしに隠れて何かやろうなんて生意気許せる筈がないのよね」
途中から目的が変わっているがイザベラはピーピングを続行。
「――何してんのさ? こいつら」
部屋の中に居る者たちは先ほどから押し黙り、まるで祈るように黒い画面を見つめている。
「なんかの宗教かい?」
どっ引きのいざべらがどうしようかと頭を悩ませ始めた頃、それは起こった。
「何!?」
黒い画面が白と黒の波に乱れ、ぼんやりと何かが映し出される。
赤い、赤い大地だ。
草一本、虫一匹存在しない荒涼とした土地、あらゆる生命が死に絶えたその場所のなかでただ一人蒼い少年が立ち尽くしている。
蒼い服を着ているだけではなく少年の顔は死人のように真っ青だった。
『誰か、誰か俺の懺悔を聞いてくれ……』
そう語る少年の胸には奇形なルーンが鈍い光を放っている。
『一人はもう嫌だ、思い出してくれみんな――みんな、そして俺を罰して!』
懸命に訴えかける少年の顔には笑みがあった。
にやにやとした厭らしい笑い、それがあまりにも語る内容とのギャップを感じさせ見る者を気持ち悪い気分にさせる。
『罰して、そして楽にさせてくれよ』
そう言うと同時に少年の図上に血文字で書かれたようなテロップが映し出された。
日本語で書かれたそのテロップは誰も読むことが出来なかったが、しかしそれは幸いだったろう。
もし内容を理解してしまえばサイトの抱える闇の深さと、そして彼が犯したと言う“罪”とは何かについて考えざるを得なかっただろうから。
そこにはこう書かれていた。
――断罪! 隣の使い魔! シュバリエ・ド・ヒラガ、断頭台に消ゆ!
『あはは、はは、あはははは』
最後に虚ろな笑い声だけを残してテレビは沈黙した。
意味は理解できずともその異様な雰囲気だけは誰もが感じ取ったのか、一人として何か言うこともできず呆けたように真っ黒になったテレビの画面を見つめ続けることしかできなかった。
イザベラままた同様だ。
ただ一つの違うのは彼女の背後からひたひたと足音を消して忍び寄る人影があったと言うことだろう。
「なんだい、これは……」
そう呟いて後ずさるイザベラに向かって人影はゆっくりと手を伸ばした。
その細く白い首筋に向かって、背後から左手を伸ばしたのだ。
以上でございます、投下がこのような時間になってしまい申し訳ありませんでした。
伏線張りすぎて解消しても気づいて貰えるか不安に思いつつ、十四話をせっせこ書いて参ります。
続きは、出来るだけ早いうちに……
それではおやすみなさいませ。
またいいところできるなぁw
乙です!次を楽しみに待ってます!
バージルの新作が楽しみすぎる。
ラインハルトとその部下の提督達召喚とかどうですか(死者とオーベルシュタイン含む)
ハルキゲニア統一を目指すストーリーで。
それならラインハルトとキルヒアイスだけの方がいいのかな。
姉も一緒に召喚されてまた王宮に取られましたでもいいし。
またそうやって取り扱いに困るコメントを…
ペルソナ乙でした
ふと思うんだけど、P4の主人公って何故ワイルド能力に目覚めてたんだろう
あれってP3では世界消滅級の設定だったんだけど、その点語られてないんだよな・・・
マヨナカテレビも、そのまんまだし
やっぱ、次回作への伏線か?
口を開けば提督、提督
もう、うんざりなんだよ
銀英伝関係は随分と盛り上るようだから、別スレ立ててそっちでやって貰うのが良いかもね
独立しても十分にやっていけるだけのレス量はあるように見える
二時間後にはこのスレは大荒れですね、わかります
524 :
蒼い使い魔:2008/08/31(日) 09:04:39 ID:EduHOApY
その前に自分が投下すれば荒れない…んじゃないかなぁ…?
と…とりあえず投下してよろしいかしら?
9:10に投下したいと思います
支援
「では、ここで一旦お別れだな、使い魔君」
「………」
翌朝、ニューカッスルの秘密の港では『イーグル』号に女子供等の非戦闘員の搭乗が行われている、
その中で、バージルとワルドが向かい合っていた
「ルイズが結婚式の準備でこれなくてね、見送りは僕だけだが、どうか許してほしい、
キュルケ達はタバサの風竜で帰るらしい、では再びトリステインで会おう」
特に会話をすることもなくバージルはさっさと『イーグル』号へと乗り込む。
全ての搭乗が完了した『イーグル』号は音をたて出港していった
「もう生きて会うことはないだろうがね…」
それを見送りながら誰にも聞こえないようにワルドがニヤリと口元を歪め呟く、
同時にワルドの姿が、一陣の風となってかき消えた。
『イーグル』号の出港から暫くした後…
始祖ブリミルの像が置かれた礼拝堂で、ウェールズは皇太子の礼装に身を包み新郎と新婦の登場を待っていた。
扉が開き、ルイズとワルドが現れた。ルイズは呆然と突っ立っていたが、ワルドに促され、
鎧兜に身を固めた十数人ばかりの衛士が作る花道を通り、ウェールズの前に歩み寄った。
非戦闘員は既に港に向かい、兵士達は最後の戦いの
準備を始めている。式を見守っている人間は、タバサとギーシュ、そしてキュルケの三人だけだった。
「でも、ビックリよねぇ、子爵ったら急に結婚式挙げるって言うんだもん、驚いちゃったわ」
キュルケは言葉とは裏腹にのんびりとした口調で言った。
「しかし、勇敢なウェールズ皇太子殿下に婚姻の媒酌を頼むとは…子爵も粋なことをするね」
ギーシュはなぜか誇らしげに見ている。
「ふーん…ところでダーリンは?」
「帰った」
タバサが短く答える、キュルケは「そう…」と呟くと足を組みルイズへと視線をもどした。
一方のルイズは戸惑っていた。
今朝方早く、いきなりワルドに起こされ、ここまで連れてこられたのだった。
戸惑いはしたが、自暴自棄な気持ちが心をしはいしていたので、深く考えずにここまでやってきた。
死を覚悟した王子たちと、昨夜のバージルの態度が、ルイズを激しく落ち込ませていた。
「でもなんか…ルイズの様子がおかしいわねぇ?」
キュルケが相変わらずのんびりとルイズを見て呟く
「そうかい?緊張してるんだよ、きっと」
「そうかしら?」
顔を寄せ合ってぼそぼそと続けられる彼らの会話は、ウェールズの声によって中断された。
「では、式を始める!」
彼の前にワルドとルイズが並ぶ。ルイズはうつむいたまま、顔を上げようとしない。
「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、
そして妻とする事を誓いますか」
「誓います」
ワルドは重々しくうなずいて、杖を握った左手を胸の前に置いた。
ウェールズはゆっくりとルイズへと視線を移す。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール……」
朗々と誓いの詔を読み上げるウェールズ。
今が、結婚式の最中だという事を改めてルイズは実感した。
相手は憧れていた頼もしいワルド。
二人の父が交わした結婚の約束。幼い頃、ぼんやりと想像していた未来が現実のものに。
ワルドの事は嫌いじゃない。むしろ好いている。好いているはずだ。
なのになぜ、自分の気持ちはこんなにも沈んでいるのだろう。
……彼は……バージルはもう艦に乗っただろうか?
まるで言う事を聞かない使い魔の事を、どうして思い出してしまうんだろう。
「新婦?」
心配そうなウェールズの声がかけられる。
ルイズは戸惑っている。この結婚が本当に正しいのか戸惑っている。
しかしワルドは、落ち着かせるように諭す。
「緊張しているのかい?しかし、何も心配する事はないんだ。
僕のルイズ。君は僕が守ってあげるよ。永遠に。それをたった今、誓った。
……殿下、続きをお願いいたします」
しかしルイズは、拒否するように首を振る。
「新婦?」
「ルイズ?」
二人が怪訝な顔でルイズの顔を覗き込んだ。
ルイズはワルドに向き直り、悲しい表情で首を振る。
「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」
違うそうじゃない。でも、こんな気持ちのままじゃ結婚できない。
「日が悪いなら、改めて……」
ウェールズの言葉の途中、ルイズは首を振っていた。理由はわからない。わからないけど、気付くと首を振っていた。
「ごめんなさい。ワルド、わたし、あなたと結婚できない」
否定の言葉、それが出てきた。少なくともルイズに今わかると言えば、この結婚を望んではいないという事だ。
だって、望んでいたらこんな気持ちにはならないはずだ。
はっきりとルイズは言った。ワルドの顔が強張る。ウェールズは腰に手を当てる。キュルケ達は口をあんぐりと開けている。
「新婦は、この結婚を望まぬのか?」
「はいッ……! お二方には、大変失礼をいたす事になりますが……」
ウェールズの表情に緊張が走る。そして静かにワルドへと視線を向けた。
「子爵。誠に気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続ける訳にはいかぬ」
ワルドの両手がガバッとルイズの手を握るしめる。痛いほどに。
「……緊張しているんだ。そうだろルイズ。君が、僕との結婚を拒む訳が……ない!」
「ごめんなさいワルド。憧れだった、恋だったかもしれない。でも今は違う、違うの」
今度はルイズの肩を掴むワルド。表情は冷たく、双眸が鋭さを増した。
支援
「世界だルイズ。僕は世界を手に入れる! そのために君が必要なんだ!」
豹変したワルドに戸惑うルイズ。しかし構わずワルドは興奮した口調で続ける。
「僕には君が必要なんだ! 君の『能力』が! 君の『力』がッ!」
恐ろしい、とルイズは思った。これが、あの優しかったワルドなの?
違う。ルイズが憧れたワルドは『彼』ではない。
「ルイズ、君は始祖ブリミルに劣らぬ優秀なメイジに成長するだろう……。
今はまだその『才能』に気づいてないだけだ!君の『才能』が必要なんだ!」
肩を握り潰されるほどの痛みに表情を歪めながら、ルイズははっきりと理解した。
―ワルドは、私を愛していない…
だから心から拒絶する。本心本音の奥底から。
「あなたは……私を愛していない、今解った……。
あなたが愛しているのは私にあるという在りもしない魔法の才能。
そんな理由で結婚しようだなんて……酷い……こんな侮辱……最低だわ……」
ルイズは暴れてワルドから逃れようとした。
ウェールズはルイズを引き離そうとワルドの肩に手を置いたが、逆に突き飛ばされてしまう。
その瞬間ウェールズが腰に当てていた手で素早く杖を抜きワルドへ向けた。
「なんたる無礼!なんたる侮辱!子爵!今すぐラ・ヴァリエール嬢から手を引け!
さもなくば我が魔法の刃が君を切り裂くぞ!」
ワルドはようやくルイズから手を離し、再び訊ねる。
「こうまで僕が言ってもダメかい? ルイズ。僕のルイズ」
「誰があなたと結婚なんか……!」
「そうか……この旅で君の気持ちを掴むために努力はしたが……仕方ない。
こうなっては……『目的のひとつ』は……あきらめるとしよう……」
「目的?」
さっぱり意味が解らないというようにルイズは呟いた。
「そう。この旅における僕の目的は『みっつ』あった。
そのうちのふたつが達成できただけでも、よしとしよう。
まずひとつは君だルイズ。君を手に入れる事……だがもう果たせないようだ。
ふたつ目の目的はアンリエッタの手紙だ。これは手に入れるのはたやすい……」
「ワルド、あなた……」
何やら只ならぬ雰囲気が場を支配する、キュルケとタバサがゆっくりと杖を構えた。
「そしてみっつ目……」
『手紙』という単語で今こそ確信を得たウェールズは魔法を詠唱する。
だがそれよりも早く、二つ名の閃光のようにワルドは杖を引き抜き呪文を詠唱。
ワルドは風のように身をひるがえらせウェールズの心臓を青白く光るその杖で貫いた。
「ウェールズ・テューダー、貴様の命だ」
「き、貴様……まさか…『レコン・キスタ』……」
ウェールズの口から、ゴボリと大量に吐血すると、その体が仰向けに床に倒れた。
ルイズは甲高い悲鳴をあげた。
「殿下!!貴様ァッ!!」
突然の暴挙に凍り付いていた衛士がいっせいにワルドに飛びかかる。
しかしワルドが杖の一振りで巻き起こした『ウィンド・ブレイク』で、その全員が紙切れのように吹き飛んだ。
それを見たキュルケとタバサがワルドに向け一斉に魔法を放つ、
だがそれはワルドが生み出した風の障壁によって阻まれ霧散した。
キュルケが杖を構える、タバサは自身の周りに氷剣を生成している。
ギーシュも慌てたようにワルキューレを生み出した。
ルイズはワルドに向かって叫ぶ。
「貴族派…!ワルド、あなたアルビオンの貴族派だったのね!」
ワルドは喉の奥で笑うと、頷いた。
「いかにも。だが『アルビオンの』というのは正確ではないな。我々『レコン・キスタ』は国境を
越えて繋がった貴族の連盟さ。我々に国境はない」
そう言ってから、ワルドは再び杖を掲げた。
「残念だよ、ルイズ。君の才能が僕たちには必要だったんだ。今からでも考え直してはくれないかい?」
ルイズは力を失ってへなへなと床にへたりこみ、涙を飛ばしながら首を振った。
「いやよ!あなたはわたしの知ってるワルドじゃないわ!」
「残念だよ…では君を殺して手紙を奪うとしよう、そこの仲間も一緒にな」
ワルドは冷たく言うと、杖を構える、その光景がなぜかルイズにはゆっくりと流れて見えた。
「―ッ!」
非戦闘員を満載させ、アルビオンから離れつつあるイーグル号の中でバージルが突如目頭を押さえた、
まただ、この視界、目の前にいるのは…ワルド…?ウェールズに向かい何かを言っている、
「ウェー…ズ・テ……ダー、貴様…命…」
その言葉とともにウェールズが崩れ落ちる
「貴族派…!ワルド、あなたアルビオンの貴族派だったのね!」
ノイズが消えルイズの声が聞こえる、
「残念だよ、では君を殺して手紙を奪うとしよう、そこの仲間も一緒にな」
そう言うとワルドが杖を引き抜く、そこで普段のバージルの視界に戻ってしまった。
「チッ……」
「どうしたよ?相棒」
「ワルドが裏切った…奴は貴族派のスパイだ」
「おいおい!どうすんだよ!いまさらアルビオンへは戻れないぜ!?
てか相棒!お前薄々気がついてたんじゃねーのかよ!」
「どうでもいいことには気がつかん性分でな…」
「ひでぇ…とにかく!どうすんだ!?」
「チッ…」
バージルが忌々しく舌打ちをすると、砲撃音とともにイーグル号に激震が走る。
「何だ!?何が起こった!?」、
「貴族派の巡洋艦です!囲まれています!」
「クソッ!港がバレていたのか!?」
船内に船員たちの怒号が響く、
その言葉を聞きバージルは甲板に飛び出した。
バージルが甲板に出ると、巡洋艦が4隻、イーグル号を取り囲んでいた。
巡洋艦からは竜騎士隊が出撃し、イーグル号へと向かってきている、
バージルはそれを見てニヤリと笑うと、突如甲板から走り出し、宙へ身を投げ出した。
「おい!相棒!なにしてんだ!」
そのままデルフを引き抜き、飛んできた竜騎士にヘルムブレイカーを浴びせる、
頭を豪快にたたき割られた竜騎士は風竜を残しそのまま地上へ転落していった。
風竜を足場に次々と飛んでくる竜騎士を屠っていくバージル、やがてそれは巡洋艦の目に留まったのか
目標をバージルに変え、砲撃と魔法を仕掛けてきた、
軽く舌打ちをすると、竜騎士を風竜ごと叩き斬り、墜落しつつある死骸を器用に足場にしながら巡洋艦の甲板へと降り立つ。
甲板上の兵士は目の前に降りてきた男に戦慄しつつも武器や杖を抜き応戦の構えに入る、だがそれを振るう暇もなく男の姿が消えた。
次の瞬間、甲板上にいた兵士全てが大輪の血の花を咲かせる、それと同時に船が文字通り真っ二つに叩き斬られ地上へと落下していった。
「おでれーた!何したんだ相棒!?」
「黙ってろ」
そう言いながら、バージルは次々と同じように皆殺しにしながら巡洋艦を沈めて行く。
「な…なんだあれは…あ…悪魔だ…!」
あっという間に周囲にいた巡洋艦と竜騎士隊が全滅させられ最後の生き残りの一隻が撤退しようとする、
だが、それを見逃すはずもなく、その巡洋艦の甲板にバージルが着地した。
「ひっ…!悪魔めッ…!」
甲板に兵士たちが集まる、それを文字通り一瞬で殲滅すると、腕を斬り飛ばされ悶絶している生き残りの兵士に冷たく言い放つ。
「この船はもらった。今すぐ操舵に伝えろ、俺の言う通りにアルビオンへ進め、そうすれば命は助けてやる。」
「わっ…わかった!わかったから!たっ…助けてくれ!」
そう懇願しながら首を縦に振り、兵士は操舵室へと走って行った。
「相棒…相変わらずひでぇな…空賊よりタチわりぃぜ…」
「…仕掛けてきたのは奴らだ、文句は言わせん…」
イーグル号は、戦闘空域を離れたらしく、もう視界には入らなかった。
バージルは静かに、再び近づきつつあるアルビオンを睨みつけた。
するとアルビオンから一つの影が近づいてくる。
「………」
「おい相棒!ありゃシルフィードじゃねぇか?」
デルフの言うとおり飛んできた影はタバサの使い魔シルフィードであった。
「きゅいきゅい!大変なのね!今すぐ乗るのね!」
シルフィードがバージルに話しかけてきた、
「おでれーた!韻竜だったのか!?」
シルフィードが声を発したことに驚いたのかデルフが声を上げる。
「そんなことはどうでもいいのね!お姉さま達があぶないのね!」
その言葉を聞くとバージルはシルフィードの背中に飛び乗った。
右手には抜き身になった閻魔刀を握り締めている。
「おい…相棒まさか…」
―ズッ…ズズズズ…
デルフがバージルに声をかけた瞬間後ろの巡洋艦が音をたてて真っ二つになり、地上へと落下していった。
「おいおいおいおい!ここまでやるか!?命助けるって言ってたろ!?」
「知らんな…こいつが来れば奴らは用済みだ」
巡洋艦が素直にアルビオンに到達しても叩き斬るつもりだったのかバージルがしれっと言う
「かぁー…昨日の言葉を撤回するぜ…お前さんは悪魔だ…正真正銘の!」
叫ぶデルフを背にバージルはアルビオンへと向かった。
礼拝堂ではキュルケとタバサ、ギーシュ、そしてルイズがワルドと対峙していた。
四人はもはや満身創痍だ、一方のワルドは傷一つ負うことなく余裕の表情を浮かべている。
「どうしたのかね?魔法学院の生徒はその程度なのかね?」
「やっ…やっぱり僕らじゃダメなのか…?」
「ギーシュ!何弱音吐いてんのよ!!」
呻くように呟くギーシュにキュルケが檄を入れる。
「ハハハハ!実に美しい友情だな!」
そう笑うワルドにタバサがバージルの円陣幻影剣を真似た氷の剣を周囲に展開。
風を纏わせた杖を長剣に見立てこれもまた見よう見真似でスティンガーを突き放つ、バージルのそれには遠く及ばないが一応形にはなっていた。
その技の危険性を見抜いたのかワルドがバックステップで距離をとる、が、タバサが突き出した杖の先からエア・ハンマーが発動し、ワルドを吹き飛ばした。
モット伯邸で見て以来密かにバージルの戦い方や剣技を盗み日々必死に杖を振るい、自身の魔法を加えアレンジをしたのであろう、
「っ…!やるなっ…!」
ワルドがフライを使い空中で受け身をとり、タバサが追撃として飛ばした氷剣を叩き落とす。
「あれじゃまるでミニバージルね…」
切り結ぶ二人を見たルイズが小さく呟く。
危機的状況にも関わらずキュルケが噴き出す。
「あはは!それもそうね!頼もしいじゃないの、ここで死んじゃったらダーリンに笑われるわよ!」
そう言うと杖を握りワルドへフレイム・ボールを飛ばす、
「わっ…わかってるわよ!ギーシュ!行くわよ!」
そう言うと、ルイズは立ち上がりへたりこんでいるギーシュに檄を飛ばした。
「レディが戦っているのに僕だけ見ているなんて…そんなことはできないね!」
ギーシュは立ち上がり少ない魔力を絞り出しワルキューレを作り出した。
ルイズが「ファイアボール」を放つ、だがそれはあさっての方向が爆発し天井に小さな穴をあけてしまった、
穴から外の光が洩れ始祖像を照らす、
それを見たワルドが叫ぶ
「その力だ!その力こそ虚無の系統の証!君の力が欲しい!だから僕と来るんだ!ルイズ!」
「いやよ!誰が行くものですか!」
ルイズは再び拒絶の言葉を口にした、
ワルドが飛んでくる火球をかき消し、ギーシュのワルキューレを蹴散らすようにウインドブレイクで吹き飛ばす。
その破片がタバサに襲い掛かり手から杖が落ち、転倒してしまった、
「タバサッ!」
キュルケが叫ぶより早くワルドの足がタバサの腕を踏みつけ、顔に杖をつきつける。
「ぐっ…」
拘束されたタバサがうめき声をあげる。
「さて、ルイズ、君が僕と来るというならばこの仲間の命は助けよう、無論そこの二人もな、
それでも断るというならば…わかっているね…?」
ワルドは楽しそうにルイズに話しかける。
「くっ…人質を取るなんて…!そんなの卑怯よ!貴族の誇りも失ってしまったの!?」
「僕も本来はこんな手は使いたくないんだ、だが君が僕を困らせるからさ、さてどうするんだね?
それとも使い魔の助けを期待してみるかね?残念だが彼は来ないよ、永遠にね…」
歌うようにワルドが口にした言葉にルイズが反応する
「バージルが…!?ワルド…貴方なにをしたの!?」
「簡単なことさ、貴族派にアルビオンの隠し港の場所を教えた。
彼の乗ったイーグル号は撃沈され今頃海の藻屑さ…」
その言葉を聞きルイズは崩れ落ち座り込む。
「そんなっ…バージル…」
あのバージルが…あんな別れ方してしまったのに…一言謝りたかったのに…
ルイズの目から大粒の涙があふれる
キュルケが呆然とした表情を浮かべている、
だが唯一あさっての方向を見ていたギーシュだけは視線をワルドに戻し鋭く睨みつけた。
「さて、そろそろ答えを聞きたいな、僕のルイズ、さぁ、大事な友達を救いたいなら僕と来るんだ…」
ワルドが優しく囁く、そしてルイズに向かって手を差し伸べようとしたその時
「ヴェルダンデ!!」
ギーシュの叫び声が礼拝堂内に響く、それと同時にタバサが倒れている床がボコッっと陥没し、
拘束を逃れたタバサは穴の中へと消えていった。
「何ッ!?」
ワルドが驚くのもつかの間、強烈な殺気を感じ即座に飛び退く、
その瞬間ワルドが立っていた空間が音を立てて切り刻まれた。
その場にいた全員が始祖像の上を注視する、そこにはルイズの使い魔、バージルの姿があった。
「「「バージル!!」」」
ルイズ達が驚愕の声を上げる、
始祖像の頭の上で彼を象徴する氷のように蒼いコートを翻しながら、バージルがワルドを睨みつけていた。
「返してもらうぞ…貴様には過ぎた力だ」
そう言いながら右手の閻魔刀をワルドに向け、
ルイズとワルドの間に割り込むように飛び降りる。
「バージル!遅い!遅いわ!一体何してたのよ!ご主人様を待たせるなんてっ!」
ルイズが大粒の涙を流しながら叫ぶ、そんなルイズを横目でチラとみるとバージルが口を開く
「お前らは下がっていろ、巻き込まれたくなかったらな」
そう言うと再びワルドへ視線を戻す、ギーシュがタバサを穴から救出し、キュルケがルイズを抱えそそくさと礼拝堂の隅へと移動していくのが見えた。
「貴様ッ!!なぜだ!あれだけの艦に囲まれてなぜ生きている!」
「あれだけ?フッ…本当にあれだけだったのか…奴らは今頃海の藻屑だ」
巡洋艦をすべて叩き落としてきたにもかかわらずしれっとバージルは言う。
「この世は…力こそ全てだ…こいつが欲しければ、俺から奪い取って見せろ」
「フッ…ハハハハハ!!!言ってくれるじゃないかガンダールヴ!いいだろう!ラ・ロシェールでは不覚を取ったが…
今度は全力で相手をしてやる!どんな手品を使っているかは知らんが、それが私に通用すると思わないことだ!」
ワルドが高らかと笑い、再び杖を構える、それを見たバージルがゆっくりと左手の閻魔刀に手をかけ静かに目をつむりながら宣告する。
「You shall die.(―死ぬがいい。)」
534 :
蒼い使い魔 :2008/08/31(日) 09:17:45 ID:EduHOApY
はい、ここまでであります
ご支援ありがとうございました
24話は完成度80%なので早めに投下できるかと。
ではまたー
支援
またいいところで・・・何という後引きがため
ともあれ、GJであります
お疲れー
DMC2やってないけど3買おうかな
難易度ワルドマストダイだな
>>537 2やんなくても全然問題無いよ
1やってればなおよしだな
バージルの人乙ー
小ジャンプ横薙ぎ3発で落ちるワルドの姿が脳裏を横切ってしまうんだ(´・ω・`)
>>537 漏れ3しかやってないよ・・?
バージルの人乙ー
ワルドはよくもまあ戦車とミジンコくらい戦力差のある相手と戦おうとするわ・・・
>>537 2は駄作だからやる必要ないよ。
最後の「you shall die.」でゾクゾクした所で終わりとか鬼畜すぎる。
戦車vsミジンコ楽しみにしてます。
>>537 バージル操作したいならスペシャルエディション買うべし。
>>541
射撃Lキーに設定して幻影剣連射しながら斬りまくりでこっちが使う時は最強でした。
そしてやっぱり容赦無いなバージル!GJ
バージル乙です。
さようならワルドww
GJ
なら俺はワルドが左腕を切られて生き残るにフレイムの出番を賭けよう。
バジルさんの人乙です
ワルドはしぶとく逃げ延びたとしても
レコンキスタの人たちが心配だなあ
普通の人間が襲ってきても
無双状態にしかならんだろうし……
>>544 悪魔かオマエはw
乙
ワルドって戦力差判ってなかったのか…ここのはもうちょっとクレバーなのかと思ってたのに。
乙です〜
あぁ、遂に兄貴がデレ始めた・・・・T T
まぁ何は共在れさようなら、子爵様
>>537 >>538 >>539 自分も3しかやって無いです
ストーリー的には3→1→アニメ→4→2なんで、3から始めても全く問題は無いかと
ギーシュはもっと評価されていい
ってかバージルなら包囲してるレコンキスタ一人で殲滅できるよな。
バージル(デレ期)ならひょっとしたらやるかもしれんな
続きが気になる・・・ッ!
つーか自分で書いといてなんだが、「でれき」と聞くとどうしてもひっぱたく方のアレを思い出してしまう俺は道民。
デルフ「おでれーた!こいつぁただの棒じゃねーぞ!」
ルイズ「!?」
サイト「あ…、これは…」
ル「あんた知ってるの!?」
サ「こいつは『デレキ』とか『デレッキ』とか呼ばれてて、俺の国の北海道っていう地方の子供たちに恐れられた火かき棒だよ」
バージルはデレないでほしい。
万が一デレるならタバサにであってほしい。
>>547 ハルケギニアの常識では想像の範疇外だもん
空間切るとかもうね
ルイズがワルドと本当に結婚してしまう展開ってないのかなぁ
遅れたけど兄貴乙
正直兄さんの馬鹿強さ以上に、ルイズの恋の行方が気になる
そういや原作自体、恋愛物だし
>>556 召喚された奴がルイズと凄く相性が悪い奴ならそういう展開もありなんじゃね?と思う俺
悪いことしかしてないのに兄貴がかっこいい
すんばらしい悪役だな
バージル兄貴はぶれてないからカコイイんだよな。
主人公でも悪役でも自分の中の信念や美学を貫く男は本当にカコイイ
バージルの人乙です。
>>554 なぜだか横島君の「てめぇ俺のシロに!」ってセリフ思い出した。
あの師弟コンビ好きだったなぁ。
バスタードからガラ召喚
問題はD・S並のすけべさ。キュルケやシエスタやアン様やシェフィールドが性的に完食されるのを幻視したw
>>556 ……そういえば自分の書いた小ネタがそれに近い内容だった
レコン・キスタがレーザー砲に蹂躙されてワルドが壊れちゃったけどw
パタ……リロ……?
正解ですw
パタリロでやってみたかったのと、ワルドがルイズを口説き落としつつも
レコン・キスタが崩壊してトリステインに留まらざるを得ない状況を書いてみたかった
あの後は心中で、『何でこんな事になってしまったんだろう?』と愚痴りつつ
気難しい姑と小姑の御機嫌取りと職務に身も心もすり減らす日々を送っているという設定ですwww
起きたらペルソナ更新されとるー!
乙です!
>蒼いドレスを翻し高貴な二つの胸を張る。
高貴な二つの胸……
イザベラ様のおっぱいは世界一ィィィィーーーーッ!!!!
テファが闘神都市のシードを召還
>556
「ゼロの蛮人」だと英雄ワルド様と結婚してるよ
蛮人は逆にルイズの方が壊れてるじゃないかw
しかも廃人相手とはいえ、ブリミルの名に誓った結婚してるから離婚できない。
出世しようにも嫁が大チョンボかましたという汚点があるからある程度で頭打ちだし、エレ姉の方によさげな婿が来たらそっちに家督をとられる。
真っ暗とまでは行かなくても先は明るくないな。
EVILも結婚はしたな。
直後に魔王化してワルドを殺しちゃったので未亡人だけど。
蛮人のルイズって何かやらかしたっけ?
573 :
ナイトメイジ:2008/08/31(日) 15:09:39 ID:AgOoSe65
15分から投下させてください
>>568 他所でルイズがシード君呼ぶ長編がある
ところでルイズが乱崎凶華様を呼んだらどうなるのだらう
576 :
ナイトメイジ:2008/08/31(日) 15:16:23 ID:AgOoSe65
翌朝……。
礼拝堂の前に二人の男女が人目を忍んでそこにいた。
といっても、それほど色気のあることを話しているわけではない。
「すまなかったね。準備を手伝ってもらって」
「あなたもマメな男ね。こんな事までしてあげるなんて」
男はワルド、そして女はベール・ゼファー。
城の地下ではニューカッスルから疎開する人々がイーグル号と拿捕したマリー・ガラント号に乗船を始めている頃だがここまではその音も声も聞こえてこない。
「これからつらい運命を生きる二人のために何かできないか、とは思ってね」
「私はあなたの婚約者の好意を買うためにしているのかと思ってたわ」
ワルドは声をつまらせてしまう。
しかめた顔のワルドを見て、ベルが笑っていた。
「その下心……無いとは言えないな。それはともかく」
ワルドにとってはこの話はあまり愉快ではなかったらしい。
「君にはもう一つ頼みがある。イーグル号で先に出発しておいてもらいたい」
「それはちょっとひどいわね。ここまで手伝わせておいて、ルイズやアンリエッタの晴れ姿を見せてもらえないの?」
「すまないね。どうやらウェールズ王子は攻撃が始まる寸前までここにいたいようなんだ。フネはそれより早く出航する。僕たちにつきあっていたら君はここに取り残されてしまう」
「あなた達はどうする気なの?」
「僕の使い魔のグリフォンを使う。それに城に残っている最後のグリフォンも使わせてもらえる事になっている。僕とルイズ、それにウェールズ王子とアンリエッタ王女はそれでここからラ・ロシェールに行くつもりだ」
「私は同乗させてもらえないのね」
「グリフォンの飛行能力を考えると2人乗りが限度なんだ。それ以上乗れないことはないが、万が一を考えると3人はやめておいた方がいい」
ベルは諦めたのか大げさに肩をすくめ、ついでに大げさに溜息もついて見せた。
「それじゃ仕方ないわね。私の大切なご主人様のことは任せたわよ」
そう言うとベルは踊るようにきびすを返し、地下の港へ続く廊下に足を向けた。
「もう行くのかね」
「置いてけぼりはごめんだもの」
わざとだろうか。
足音を高く響かせ、去りゆくベルの背中をワルドはじっと見ていた。
そこには恐ろしいほどに鋭い視線があった。
イーグル号はそれから一時間も経たないうちに出航した。
靄が船体を隠してくれている。
未熟な水兵の操るレコン・キスタのフネでは拿捕や撃沈はおろか発見も難しいだろう。
そして、今は追い風。
イーグル号は帆を広げ、すばらしい速度でアルビオン大陸を後にした。
城から去る寸前。
礼拝堂に入ったルイズは小さく歓声を上げた。
祭壇とその回りはきれいに掃き清められ、その上には銀の燭台とロウソク。
周りには城の花壇から持ってきたのであろう花が飾られていた。
「これって……」
この様式は簡易ながらも結婚式のためのものだ。
新婦の冠、そして純白の乙女のマントまで用意されている。
「ワルド子爵、これは?」
続いて入ってきたアンリエッタとウェールズも同様だった。
この城の最後に作られた華やかな飾り付けに目を奪われている。
「ウェールズ王子。こんな時ですか……いえ、こんな時だからこそ了承していただきたい。私とルイズは今、ここで結婚式を挙げたいと思います。つきましては、その媒酌を引き受けていただけないでしょうか」
「こんな時に……かい?」
「ええ、最後に花を添えたく思いましたので」
この城……いやアルビオンの最後はそれは血なまぐさいものとなるだろう。
名誉、誇り。それを伴おうがそれは事実だ。
だがそこに、未来への希望となるものがあれば。
だからこそ王子はこう答えた。
「わかった。引き受けよう」
577 :
ナイトメイジ:2008/08/31(日) 15:17:36 ID:AgOoSe65
続いてマリー・ガラント号も出航を果たした。
ラ・ロシェールから出航したときに詰まれていた硫黄は船倉には一箱たりとも残されておらず、代わりに代わりにニュー・カッスルから落ち延びる人々、それに硫黄を売り渡した代金である相場の3倍の金を積み込んでいた。
商売としては大成功のはずだ。
それは間違いない。
それでもマリー・ガラント号の船長は大喜びはできなかった。
このフネの人々を無事送り届けるという使命感。
それを胸に船長は舵を切った。
頭上に冠を添えられたルイズは夢見心地だった。
こんな時であっても、胸の奥から幸せがあふれるように思えていた。
「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか」
「誓います」
重々しく、作法にかなった仕草でワルドがうなずく。
次はルイズの番だった。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール、汝は始祖ブリミルの名においてこのものを敬い、愛し、そして夫とすることを誓いますか」
答えは決まっていた。
こんな時に結婚式というのに少し戸惑いはしたが、ワルドには何か考えがあるらしい。
それが悪いものであるはずがない。
「誓います」
この先にある幸せを信じてルイズはそう答えた。
城のホールには大量の樽が運び込まれていた。
樽の中には元は硫黄が詰め込まれていた。
今は、練金された火薬がつまっているはずである。
最後の一樽までそれを確認したパリーは、次にホール中央に置かれた机に向かった。
そこには戦装束が一式置かれていた。
「王子、これは貸していただきますぞ。返す当てはありませぬが」
パリーは元はウェールズのものであった戦装束を手にし、身につけ始めた。
婚姻の儀式はすべて終わった。
ルイズは綺麗にたたんだ純白のマントの上に冠を置き、それをウェールズに渡そうとした。
「さて、これからもう一輪の花を今度は王子と王女のお二人で添えていただけないでしょうか」
「もう一輪?それは……」
婚姻の儀式と言うことだろうか。
だが、それはできない。
アンリエッタはゲルマニアの王と結婚をしなければならない。
故にどんなに愛していてもウェールズとの婚姻をブリミルの前で誓うことはできないのだ。
「それはわかっています。ですが、婚姻によらなくともお二人が永久に互いを想い、気遣うことはできるはず。その誓いをブリミルが認めぬはずはございません」
窓より光が差し込んできた。
それに照らされたワルドは舞台の上で万民を引きつける役者のようでもあった。
「これを逃して他に機会があるとは想えませぬ。そして、これが私がお二人にできるすべてであります」
跪くワルドの前に立つアンリエッタは口をふるわせ、わななかせ、そして高鳴る胸を両の手で押さえた。
「子爵、あなたの忠誠、嬉しく思います。ウェールズ様。私からもお願いします。どうか、ここであなたとの絆を誓わせてください」
ウェールズがそれを断ろうはずもなかった。
ルイズのポケットの中にはお守りがあった。
それを渡したのは怪しげきわまりない少女ではあったが、それでもルイズの使い魔なのだ。
この旅の間、ルイズはそのお守りを離すことなくずっと持っていた。
そのお守りは悪魔の蝿という名前が与えられていた。
578 :
ナイトメイジ:2008/08/31(日) 15:18:45 ID:AgOoSe65
「ウェールズ・テューダー 。汝は始祖ブリミルの名において永久にこのものを敬い、愛し続けることを誓いますか」
「誓います」
ワルド読み上げる詔が礼拝堂に響く。
それはいかなる聖典にも祈祷書にもないが、世界で最も神聖な詔。
少なくともルイズはそう確信していた。
「アンリエッタ・ド・トリステイン 、汝は始祖ブリミルの名において永久にこのものを敬い、愛し続けることを誓いますか」
「誓います」
アンリエッタはその身分にふさわしいドレスも着ていない。
これが永遠を誓う儀式であることを示すのは冠のみ。
それでもこの儀式は万の黄金よりも価値があったのだろう。
ルイズは彼女の幸せを隠さない笑顔に歓喜し、涙を流した。
すべてはうまくいっていた。
仮面の襲撃者、海賊という困難を乗り越えここに来た。
手紙の処分も終えた。
アンリエッタもルイズも幸せを手に入れた。
ウェールズの将来が不安と言えなくもない。
だが、ここまでうまくやってこれたのだ。
必ずそれも何とかできる。
そうに違いない。
アンリエッタとウェールズのキスでこの儀式も終わった。
それは決して口外されることのないが喜びに満ちたものであった。
「ウェールズ王子、これでやり残したことはないでしょうな」
ワルドは飾りに持っていた祈祷書を閉じる。
杖の位置を確かめ、少し緩んだベルトを締め直した。
「君の心遣いに感謝するよ。もう、なにもない」
「それは……よかった」
ウェールズ胸を魔力の刃が貫く。それは、彼の背中まで伸びていた。
「ふふふ……予想通り、いえ、予想以上じゃない」
「きゃああああああああああああああああああああああああああ」
誰が叫んだのか。
アンリエッタ?それとも自分?
「アンリエッタの手紙、アルビオンやトリステインの命運。そんなものどうでも良かった」
いや、両方?
どれでもいい。そんなことは動でもいい。
それよりこれはどういう事なのだろう。
ウェールズは胸から血をまき散らして床に倒れる。
「ルイズのあげたかったものがあったのよ。それは、絶望という美酒」
579 :
ナイトメイジ:2008/08/31(日) 15:19:49 ID:AgOoSe65
血に濡れた魔力の刃を帯びる杖を持つのはワルド。
──何が起こったの?何が起こったの?
誰も答えない。
目の前にある現実を受け入れるしかない。
ワルドがウェールズの胸を貫いたという現実を。
「その味を引き立てるため、アンリエッタを連れてきた。学友のギーシュ……は婚約者のワルドが来たからほっぽったのよね。二人の絶望はルイズのための芳醇な絶望を生む」
「ウェールズ、ウェールズ、ウェールズ」
同じ言葉しか話さないガーゴイルのようになったアンリエッタが倒れるウェールズを血にまみれるのもかまわず抱きしめた。
傷をおさえ、血を止めようとするがそんなことで止まるものでもない。
やっと手に杖があることに気づき回復の魔法を唱える。
「いやぁ!!止まって、お願い。あああぁあああっ」
水の秘薬も使わない回復の魔法にそれほどの力はない。
血と体温がウェールズの体から流れ出る。
「そして、ここに来るまでの困難をルイズ達が解決して、最良の結果が手に入るようにちょっとだけ手伝いもしてあげた」
アンリエッタの魔法など効かないとあざ笑うように血が脈動と共に吹き出した。
「死なないで。あああああっ」
アンリエッタのまとう乙女のマントは、その色を純白から真紅に変えていた。
「なぜって、そうしたらうまくできるって希望を覚えるでしょう。強い希望は絶望に最もあう酒肴なのよ」
「ワルド様。なんで、なぜ?」
理由を聞けば許せるのか?
許せるはずもない。
そんなはずなどない。
理由を聞けば許せるかもしれない。
矛盾した想いがルイズを支配する。
かすかな希望にすがりつき、ルイズは問うていた。
「もともとは城を壊してレコン・キスタを引き入れ、アンリエッタとワルドがその戦いで死んでいくところをルイズに見せるつもりだったんだけど……ふふ、もっといいことになったじゃない」
580 :
ナイトメイジ:2008/08/31(日) 15:21:06 ID:AgOoSe65
「レコン・キスタ完全勝利のためにはウェールズ王子の死に一片の疑いもあってはならない。だから、ここで死んでもらった」
希望は砕け散る。
修復など不可能なほどに。
「レコン・キスタ?なんで?裏切ったの?あの軍隊を見て?」
「僕はその前からレコン・キスタの一員だ」
希望など最初から無かった。
あえて言えば、砕くための偽物しかなかった。
「僕の目的は3つあった一つはウェールズ王子を殺害すること。二つ目はアンリエッタの手紙を手に入れること。燃やされたからこれはもう手に入らない。だけど、もっといいものが手に入りそうだ」
ワルドはアンリエッタの髪をつかみ、引き起こす。
「いやああ。ウェールズ様が死んでしまう。あの人のところに!」
「しばらくお眠りを」
ワルドの右腕が走り、魔力を消した杖がアンリエッタのみぞおちにめり込む。
「ウェールズ……」
その言葉を最後にアンリエッタはぐったりと動かなくなった。
「生きたアンリエッタ王女を捕らえれば死体や手紙より役立つだろう」
ワルドはアンリエッタを肩に担ぎ、残った手をルイズに差し出した。
「親友は捕らわれ、その婚約者は血にまみれた。その悲劇を起こしたのはルイズが幸せを託した婚約者。最高じゃない」
「そして、最後の3つめは君だ。行こう、ルイズ」
「いや、いやよ!行きたくない」
「いや、君は来なければならい。僕たちは婚姻をブリミルの前で誓った。それは誰にも覆すことはできない。心配することはない。行こう」
ルイズはただひたすら首を横に振り続けた。
そうすれば希望と幸せが戻ってくるとでも言うように。
「さあ、ルイズ。お膳立てはすべてできたわ。後はあなたの番。絶望を味わえば、力が欲しくなる。その思いはあなたの力を目覚めさせるわ。さあ、見せて、あなたの力を」
むろん戻るはずもない。
「聞き分けのないわがままはやめるんだ。必ず君を幸せにしてみせる」
ワルドの手が差し伸べられる。
ルイズはそれから逃げたかったが、足が動くのを放棄していた。
「さあ」
遠くで音がした。
人々の雄叫び。戦いが始まったのだ。
爆音の連続。大砲の斉射だろう。
「え?あれ?ちょっと、待ちなさいよ。普通ならここでイヤー、ボーンて感じで秘めたる力が覚醒するものでしょ」
それもこれも、今のルイズには幻想の彼方の出来事のようだった。そう思い込みたかった。
「始まったか……。時間もないな。ルイズ、いずれ君を迎えにいく」
「あー、ワルドもワルドよ。なに帰ろうとしているのよ。もうちょっと粘りなさいよ。あと2,3回つつけばきっとバーンてなるんだから」
マントを翻すワルドが走る。
すぐにドアを開く音と、遠ざかる足音が聞こえた。
支援
>572
たしか自軍の兵器を爆発に巻き込んでた
582 :
ナイトメイジ:2008/08/31(日) 15:22:58 ID:AgOoSe65
「レコン・キスタ完全勝利のためにはウェールズ王子の死に一片の疑いもあってはならない。だから、ここで死んでもらった」
希望は砕け散る。
修復など不可能なほどに。
「レコン・キスタ?なんで?裏切ったの?あの軍隊を見て?」
「僕はその前からレコン・キスタの一員だ」
希望など最初から無かった。
あえて言えば、砕くための偽物しかなかった。
「僕の目的は3つあった一つはウェールズ王子を殺害すること。二つ目はアンリエッタの手紙を手に入れること。燃やされたからこれはもう手に入らない。だけど、もっといいものが手に入りそうだ」
ワルドはアンリエッタの髪をつかみ、引き起こす。
「いやああ。ウェールズ様が死んでしまう。あの人のところに!」
「しばらくお眠りを」
ワルドの右腕が走り、魔力を消した杖がアンリエッタのみぞおちにめり込む。
「ウェールズ……」
その言葉を最後にアンリエッタはぐったりと動かなくなった。
「生きたアンリエッタ王女を捕らえれば死体や手紙より役立つだろう」
ワルドはアンリエッタを肩に担ぎ、残った手をルイズに差し出した。
「親友は捕らわれ、その婚約者は血にまみれた。その悲劇を起こしたのはルイズが幸せを託した婚約者。最高じゃない」
「そして、最後の3つめは君だ。行こう、ルイズ」
「いや、いやよ!行きたくない」
「いや、君は来なければならい。僕たちは婚姻をブリミルの前で誓った。それは誰にも覆すことはできない。心配することはない。行こう」
ルイズはただひたすら首を横に振り続けた。
そうすれば希望と幸せが戻ってくるとでも言うように。
「さあ、ルイズ。お膳立てはすべてできたわ。後はあなたの番。絶望を味わえば、力が欲しくなる。その思いはあなたの力を目覚めさせるわ。さあ、見せて、あなたの力を」
むろん戻るはずもない。
「聞き分けのないわがままはやめるんだ。必ず君を幸せにしてみせる」
ワルドの手が差し伸べられる。
ルイズはそれから逃げたかったが、足が動くのを放棄していた。
「さあ」
遠くで音がした。
人々の雄叫び。戦いが始まったのだ。
爆音の連続。大砲の斉射だろう。
「え?あれ?ちょっと、待ちなさいよ。普通ならここでイヤー、ボーンて感じで秘めたる力が覚醒するものでしょ」
それもこれも、今のルイズには幻想の彼方の出来事のようだった。そう思い込みたかった。
「始まったか……。時間もないな。ルイズ、いずれ君を迎えにいく」
「あー、ワルドもワルドよ。なに帰ろうとしているのよ。もうちょっと粘りなさいよ。あと2,3回つつけばきっとバーンてなるんだから」
マントを翻すワルドが走る。
すぐにドアを開く音と、遠ざかる足音が聞こえた。
583 :
ナイトメイジ:2008/08/31(日) 15:24:01 ID:AgOoSe65
「あーーー、行かないで。行っちゃだめーーーー」
ルイズは……その場に座こんだまま。
動いたらもっと嫌なことが起こるような気がしていた。
「行っちゃった……どうしよう」
*******************************
今回はここまでです
何事も思ったようにはいかないものです
流石ポンコツ魔王
詰めが甘いなw
>>538 >>539 >>540 >>541 >>548 _人人人人人人人人人人人人人人人_
> な、なんだってー!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
しかし、1は持っているけどクリアしていない
そうだ、不意を突いて4を買おう
不意を突くなら映画観に行こうぜ
悪魔が出てきてタイトルがDMCな映画があったはずだ
タイムマシンの製造元がDMCな映画もあったな。
ダークナイトなら見ました
クラウザーさんは悪魔ではありません、魔王です
通りで3のダンテが妙に4のネロと似てるわけだ
3の主人公もネロかと思ってたよ・・・
これ以上はスレチになる気がするから止めとくよ
吸血鬼ハンターDよりD召喚というネタ考えた
でも五分で爆沈
だってアイツ左手抜いたら
・寡黙
・超絶剣技
・美形 しかし〆の場面でしか笑わない
くらいしか個性ねーんだもん
性格なんか無いに等しいし
悪魔といえばデビルサマナーなルイズが見たいぜ!
つまり、14代目ライドウみたいな恰好のルイズが見てみたい
いや、本当に見たいのは金子絵のルイズか?
ナイトメイジの人乙です。
あ〜あベル様ww
ナイスポンコツww
鋼の錬金術師
JOJO
辺りが無いよな?
結構王道っぽいのになぁ・・・
アルはデュラハン辺りと間違われそうだな
いや、いるのか?デュラハンという物がルイズの世界に
593 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 16:41:27 ID:jd6j5Iyo
JOJOはあるよ
ベル様の人乙〜
流石ベル様。肝心な所で
,へ'´ ̄ ̄ ̄ へ` ヽ.
/ / ヽ ヽ ヽ ヽ
//, '/ { リ 人ヽハ. } i
〃 {_{ノ ヽ ノ ノ }ヽ`| l| |
li ィハリ ノ ` `ヽ リ yxハ
ヘヾ l ● ● 〈. 〈x)从
く≧〉ヘ⊃ 、_,、_,⊂⊃, 〉 〉≦〕、ゝ
从〈 〈/⌒l,、 __, イ_〈 イ 从ヽ
"/ / ≫≪ / "ヽ、
っぷり
タバサとかキュルケとかギーシュは登場判定失敗ですか?
ageてもうた
すまん
ハガレンは確か別スレ
だって、ジョジョとハガレンは別スレだし
ベル様乙ー
つーかベルもそうだがワルドもマジでもうチョイねばれやw
ルイズも気絶させて連れて行けばいいものをw
>>592 むしろここがジョジョスレからの派生と言ってもいいぐらいなんだが
そうだったのか・・・
まとめwikiに無かったから勘違いしてしまった・・・
なんか、スマンな
>>590 >金子絵のルイズ
一瞬で脳裏に思い浮かんで不覚にも萌えたが、
残念ながら俺にはそれを二次元に起こす能力がない。
それならロマサガ絵は?(イラストレーターの名前忘れた)
たしかサガフロのクロスはやってたはずだし……って何か凄いの脳内にうかんじゃった。
萌え成分ゼロで幻想的なルイズの絵……実際に見たいような見たくないような……
>>604 多分ロマサガ3のモニカをピンク髪にしたような姿になるよ
小林智美だっけ
サガフロのアセルスとかクーンのチビキャラ化した絵はやたら可愛かったから
あの感じで描かれてれば可愛いだろうな
コードギアス R2より「扇 要」召喚
大して役に立たずgdgdやってるうち何時の間にか仲間引き連れて
レコン・キスタ皇帝クロムウェルの配下になってる
おーるはいるぬるーしゅ('A`)ノ
609 :
子守唄:2008/08/31(日) 18:01:26 ID:reKdDmqv
投下します。
城内に入ったハクオロのおかげか、王党派はタバサの援護を始めた。
魔法の攻撃が飛び、敵の竜を落とす。
それが合図となって、貴族派の侵攻が始まる。
元々夜明けに攻撃をしかけるつもりで、攻撃の時間まであとわずかだったのだ。
王党派はタバサを保護し、タバサはハクオロの居場所を問うた。
しかし、ハクオロの情報は王党派に伝わっていなかった。
ワルドの遍在は、ハクオロを取り調べ報告へ向かった騎士を始末してから、ハクオロの前に現れたのだ。
王党派がタバサを助けたのは、純粋に貴族派の敵だと判断されたおかげである。
「ではトリステインからの使者、ヴァリエールはどこに?」
ハクオロの居場所が分からないなら、ハクオロが向かう場所へ行けばいい。だが。
「君はトリステインの者か? 身分を証明するものは――」
轟音が響く。城門が破られ、貴族派の兵士が雪崩れ込んできたのだ。
「君はその竜に乗って逃げたまえ。ここはもう危険だ」
「待って、ヴァリエールはどこ」
「早く逃げるんだ! ミス・ヴァリエールは我々が命懸けで逃がす!」
戦闘に巻き込まれたタバサは、ハクオロの居場所を掴めないままでいた。
ハクオロは――。
第17話 覚醒
「平民の剣士などに、この閃光のワルドが倒せるか?」
すでにウェールズは倒れ、戦力はハクオロとルイズのみ。
ハクオロが距離を詰めるより早く、ワルドはルイズへ迫った。
慌ててルイズはクスカミの指輪を向けたが、すでに桟橋で一度見た術、
ワルドの放った風がルイズを吹き飛ばし腕輪の狙いをそらした。
「ウェールズに告げ口をしたのは君だね、ルイズ。
どうやって知ったかは解らないが、いけない子だ」
すぐ側まで迫っていたハクオロの剣を見もせずに避けて距離を取り、
ワルドは新たな詠唱を開始し、四人の遍在を作り出した。
そのうちの一人がルイズの元に行き、腕輪と手紙を奪う。
杖は、今は所詮ゼロだからと無視し、クスカミの腕輪を身につける。
「むっ……これはどう使うんだ?」
どうやらそれが本物のワルドらしかったが、四人の遍在に阻まれハクオロは防戦一方、近づけない。
ドットメイジ(ギーシュ)相手でさえ勝利は困難な道のりで、
遍在一人には騎士二名を犠牲にしてようやく勝てたハクオロだ。
ルイズが人質に取られ、クスカミの腕輪を奪われ、心強い仲間もいない。
せめてタバサがいてくれれば作戦の立てようもあったが、
一人ではどんな策を練ろうと遍在の数に押し潰されてしまう。
「デルフ、何とかならないか!?」
「無理だね。できるだけ持ちこたえて、タバサの嬢ちゃんが早く来てくれるのを祈るっきゃないね」
だがタバサは来なかった。来れなかった。
四方から来る風の魔法を一身に受けたハクオロは教会の壁に叩きつけられて倒れた。
「フッ……その程度か、拍子抜けだな」
勝利したワルドは、王党派の貴族がここに来る可能性を考慮して遍在を残したまま、
本体でハクオロに近づくと、エア・ニードルの魔法を唱えて杖の先端に風の渦を作る。
「次にルイズが呼び出す使い魔は、貴様のような無能ではない事を祈ろう」
杖は、うつ伏せに倒れたままのハクオロの背中に突き刺さった。丁度、心臓の位置に。
「相棒ぉ……なんてこった、もうおしまいだねこりゃ」
デルフリンガーの言葉を無視し、ワルドはハクオロの死体に背を向けて歩き出した。
「さて、ウェールズにトドメを刺し、ルイズを連れて行くとしよう」
その時。
ワルドの横を、黒い霧が通り抜けた。
「おでれーた……相棒、こりゃ、どうしちまったんだ?」
デルフリンガーの困惑の声に振り向いたワルドは、立ち上がったハクオロの身体を包む闇を目撃する。
「刺し貫いたはずだぞ……心臓を……!」
その証拠に、ハクオロの胸元に鮮血があった。傷口も見えた。
使い魔のルーンも見えたが、奇妙な事に闇に溶けるようにして薄らいでいる。
同時に鮮血も消え、傷口も痕跡を残さず消え去る。
仮面の下でハクオロの双眸が鋭さを増した。
「頃合カ……」
強く、重く、響く、禍々しい声。
畏怖の気持ちが湧き上がり、ワルドはその場に屈しそうになるのをこらえた。
「き、貴様……何者だ……これは何だ、この黒い霧は……!」
「ルイズ、目覚メヨ」
ハクオロが、呼びかけるように手をかざした。
ワルドがハッと振り向くと、ルイズはゆっくりとした仕草で立ち上がり、虚ろな瞳で杖を掲げた。
唇が動く。
歌うような詠唱が聞こえる。
「まさかこれは、ルイズ……」
「ディスペルマジック」
光が教会の中を照らし、ワルドの遍在四体がすべてかき消された。
「お、おお……虚無の力か」
「ああ、間違いねぇ……こいつぁ虚無だ」
デルフリンガーも驚嘆した調子で言う。
「って事は、相棒は虚無の使い魔……虚無の使い魔は、左手、右手、額……胸……。
相棒は……胸にルーン……おでれーた! 相棒は、相棒の正体は!」
「黙レ」
黒い瘴気がデルフリンガーを包むと、絶叫が上がり、刀身がグズグズと崩れ出した。
「よ、四人目……は…………ぐげぇっ……」
刃の半分ほどを失ったデルフリンガーを捨てたハクオロは、さらに闇を拡大させていく。
「素晴らしい……これが虚無の力か! ルイズ! 君さえいれば、僕は世界を――」
「エクスプロージョン」
次なる虚無の詠唱が、ワルドの五体を引き裂いた。
声にならぬ声を上げ、全身を焦がしたワルドはその場に崩れ落ちる。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」
どんな幻獣よりも圧倒的威圧的な咆哮が天を裂く。
すでに貴族派の攻撃で燃えていたニューカッスル城を、さらに黒い霧が呑み込んだ。
恐慌状態に陥った貴族派の雑兵を蹴散らしていたタバサは、その霧を見て瞳をらんらんと輝かせた。
兵士達が逃げたためシルフィードが降りてきてタバサと合流する。
シルフィードは黒い霧に怯えたが、タバサはシルフィードに乗ると、杖で霧を指した。
「あそこへ」
暗黒の淵で彼は絶望していた。
貴族派と戦う事すら許されず、裏切り者に暗殺され、貴族の名誉も愛する女性も護れず、息絶えていく。
何と虚しい最期か。
せめて、せめて一太刀、せめて一矢、報いねば……!
忌まわしきレコン・キスタの敵を一人でも多く道連れにせねば……死んでも死に切れぬ!
「敵トノ戦イ。ソレガ汝ノ願イカ」
「敵ヲ倒ス。敵ヲ殺ス。名誉ヲ、愛スル者ヲ護ルタメ……戦イ続ケル」
「ソレガ汝ノ願イカ、小サキ者ヨ」
闇が問う。
声は人ならざる者、人の上位に存在する者だと感じさせる重圧的なものだった。
「まだ……死ねぬ。私は、戦わねば……名誉を……民を……アンリエッタを……護るために……」
「ソノ願イカナエヨウ」
「願い……を?」
「タダシ、我ニ汝ガスベテヲ捧ゲヨ。
ソノ身体、ソノ命、ソノ杖ヲ。ソノ誇リ高キ高潔ナル精神。
汝ノスベテヲ、我ニ差シ出セ」
「……私は……」
「コノママ、ココデ朽チ果テルカ。何モ護レズ、何モ成セズ、戦エズ」
「私は……」
「与エラレタ機ヲ無ニシ、朽チ果テルカ」
今わの際、ウェールズはか細い声を漏らした。
「……私に……機を」
本心の言葉だっただろうか。闇の甘言に惑わされたのだろうか。
闇がウェールズの中にそそぎ込まれる。
「今ココニ、契約ハ成立シタ」
「汝ガ願イ、カナエヨウ」
「ソシテ」
「戦乱ヲ戦乱ニヨッテ征シ、人タル者ニ進化ノ道ヲ歩マセヨ」
「戦乱ヲ戦乱ニヨッテ征シ、人タル者ニ進化ノ道ヲ歩マセヨ!」
「戦乱ヲ戦乱ニヨッテ征シ、人タル者ニ進化ノ道ヲ歩マセヨ!!」
エア・カッターによって生まれた無数の傷口が消え去り、ウェールズの心身に生命が息吹いた。
その様をすべて見ていたワルドは、虚無の魔法で焼けただれた身を必死に起こし、
暗闇に手を向けくぐもった声で懇願する。
「た、助けて……くれ……。私は、私はまだ……死ねぬ……生きねばならんのだ……」
すると闇は振り返り、鋭利な牙を見せて笑う。
「生キタイ、死ニタクナイ、ソレガ汝ガ願イカ」
「か、かなえてくれるのか……頼む、私はまだ、まだ……!」
「フフフ……フハハハハ!」
哄笑の後、闇は喜びに満ちた声で答えた。
「ヨカロウ。永久ニ死ナヌ、不死ノ肉体ヲ与エヨウ!!」
ワルドの視界が赤く染まった。
ルイズが目を覚ますと、目の前でウェールズが微笑んでいた。
教会は燃えて、黒い煙が立ち込めている。熱気が意識を覚醒させていく。
「よかった。さあ、行こう」
「ウェールズ殿下……? ご無事だったのですね」
「ああ。さあ、これは君の腕輪だろう。手紙もここにある。これを持ってトリステインへ行こう」
「トリステインへ……? 殿下、では」
「アンリエッタの願い通り、トリステインへ亡命し、レコン・キスタとの戦いを続けよう。
さあ、彼を連れてここから脱出しなければ」
言われて、ルイズはハクオロが倒れている事に気づいた。まさかワルドにやられたのでは。
「ハクオロ……!」
ウェールズに肩を借りながら近寄ると、ハクオロは低くうめいた。
「殿下、私はもう大丈夫です。ハクオロを」
「ああ。さあ、掴まってください。立ち上がって」
自分一人では立てぬ様子のハクオロ。
以前受けたライトニングクラウドと、火事のせいの新しい火傷が痛々しかった。
服も焦げていたが、幸い胸元にある使い魔のルーンまでは焼けていない。
「うっ……ルイズ、無事だったのか。それからあなたは皇太子殿下か?」
「ええ。ハクオロも無事で……ねえ、ワルドは?」
「解らん……私はワルドに殺されそうになって、そこから記憶が……デルフ、何があった」
相棒に問いかけるが、返事がない。不審に思いハクオロは足元に目をやり、驚愕に震える。
「デルフ……!?」
ルイズもそれに気づき、咄嗟に口元を押さえた。
半ばほどで折れた刀身は真っ黒に錆びつき、柄も触れれば崩れ落ちてしまいそうだ。
「デルフ……! 待ってろ、すぐトリステインに戻り鍛冶師に修理して――」
「……て……け……」
「デルフ?」
「置いて、いけ……」
「馬鹿を言うな! お前は私の相棒だろう!」
この時、ハクオロもルイズも、デルフリンガーは自分を置いて行けと言っているのだと思った。
しかし。
「そいつは、相棒は…………れる、もの……」
「何だ? 何と言った、デルフ」
「そいつを……置いて行け……炎の中に、置いて……け……」
言い終えると、デルフリンガーは真っ黒な灰となって崩れ去った。
最後に残した言葉は、ハクオロを炎の中に残し見殺しにしろと、そういう意味だったのか。
「デルフ、なぜだ……」
「……急ぎましょう、ここはいつ崩れてもおかしくない」
肩を貸しているウェールズが歩き出したので、ハクオロもよろよろと足を動かした。
ルイズは、灰となったデルフリンガーをしばし見つめ、目まいを起こす。
なぜだろうか、大切な何かを忘れている気がする。
デルフリンガーはいったい何を見たのか。
しかしそれをここで考えている余裕はなかった。
ウェールズのあとに続いてルイズも教会の外へ逃げ出すと、
そこにはタバサとシルフィードが待っていた。
「乗って」
炎上するニューカッスル城から、浮遊大陸アルビオンから、
一匹の風竜が四人の人間を乗せ脱出した。
様々な疑念と災いの種を乗せて。
――後日、ニューカッスル城焼け跡から一匹の赤いスライムが発見される。
腐臭を発し、人肉を食らうスライムは、武器や魔法の攻撃は通用したが、
どれほどの攻撃を浴びせても決して死ななかったため、仕方なく捕獲され隔離された。
研究材料としてこれから未来永劫閉じ込められ生きていくのだ。
615 :
子守唄:2008/08/31(日) 18:06:52 ID:reKdDmqv
投下終了。
残念! ワルドの冒険はここで終わってしまった!
乙です!
終わってしまったじゃねーよ。ひでぇよww
あ・・・ ああっ!!
みるみるうちに くろいきりは わたしのからだを
スライムにしてしまった。
よみの くにへの きっぷを てにしてしまった。
・・・いたみにも かゆみも ともなわずに・・・。
わたしの からだは とけてしまい あかい
スライムに なってしまった・・・。
こうですか、わかりません!><
乙
これは一番酷いワルドかもw
デっデルフが死んだ!
どーすんのよ語り部もういないよw、そしてワルド哀れwww
ワルドざまあw
先が楽しみになってきたー
デルフ死亡とか、新しすぎw
今後の展開にwktk
ワルドが地味にウザイ子になってしまったw
デルフ終了のお知らせ。
上条さん召喚以外では初めてか?
理想郷の東方のパチェにバラされてたな
研究者系はヤバいと思う
,,,
( ゚д゚)つ|デルフさんのご冥福をお祈り申し上げます
デルフ消えたか・・・
スライムワルドに自我って残ってるのかなぁ
子守唄の人乙
デルフは半分残ったので生存かなと思いましたが
カキョウインで南無でしたか、でも結構おいしい散り際だったな
wikiみたらまだ16話もまとめられてないのね
navi形式だったなら自分で編集するんだけど手動リンクじゃなOTZ
自身の死を選べる自由があっただけでも良しとしときましょ
とあるのデルフ瞬殺されたくらいだし上条との絡みなしで…
ウェ−ルズはディ−側か・・・
タバサだけは、タバサだけはハクオロ側に・・・
乙でした−
>>612 なんとなくこぶとり爺さんの話を思い出した
>デルフ乙
デルフ死亡?イベントはゼロの英雄以来か…
そーいやスライムワルドはヴィンダで操れるんだろうか?
偏在が使えて死なないスライムはけっこうやっかいかも?
エギンハイム村のイベントでも何かありそうだな
翼人達の中に見知らぬ黒い翼でルイズに良く似た声のおっぱい翼人が…
>>602 遅レスだが金子は貧乳好きだから案外かわいく描くかもしれない
ワルドが勝つSSってある?
ご立派のワルド。
避難所で連載されていた『ご立派な使い魔』(完結)
あの戦いは見ていて痛みを伴うものだったが実に素晴らしかった。
>>637 俺は見た事ないな。
俺としては逆にワンパンで決着が付くような奴が見てみたいが
ワルドが勝ったら使い魔死んで話が終わっちまうんじゃねぇ?
ラ・ロシェールでけっこう勝ってるじゃないか。
サイトごときに負けるような男が
他世界の英雄・暴君達にどう勝てと
>>639 3つの目的を全て果たせればワルドの勝ちと言えなくもないよーな
>>641 ワルドを強く書けばいいんだよ
ライトニングクラウドを山一つ消し飛ばす威力にしたり視認できないほど速く動けたり
ウェールズは討てず
手紙も回収できず
ルイズも当然手に入らない
そんなワルドもいるのさ。
>>642 じゃあ今日投下されたワルドはかなり勝ちっぽいのか
少なくとも、ワルドは優秀なメイジではあっても、
ハルケギニアの常識を超える存在じゃないからなぁ
特別な設定無しにワルドを強化しすぎると、
ハルケ世界のメイジそのものが化け物集団になっちまうwww
>>638 このまま行くとバージルSSはワルドの即死。
すでに偏在2回何もさせずに瞬殺してる&ラ・ロシェールでの手合せも瞬殺
648 :
虚無と狼の牙:2008/08/31(日) 21:58:59 ID:RdSkRgWl
他に投下の予定がなければ、ウルフウッド20:10から投下します。
既に22時・・・
651 :
虚無と狼の牙:2008/08/31(日) 22:06:11 ID:RdSkRgWl
すんません。22:10の間違いでした。というわけで、再度よろしく。
652 :
虚無と狼の牙:2008/08/31(日) 22:10:39 ID:RdSkRgWl
虚無と狼の牙 第十七話
ジョンストンはレキシントン号の真下に竜騎士部隊を展開させた。先行した巡洋艦四隻撃墜の原因が、下からの狙撃であったことを踏まえての策である。
「例のトリステイン貴族といい、艦長といい、全くの腰抜けどもめ。この私自らが戦い方を教えてくれるわ!」
鼻息を荒くしてジョンストンは威勢よく啖呵を切った。ボーウッドは苦笑いを浮かべながら、ジョンストンの後姿を見つめる。その二人の傍らで、ワルドはどこか冷ややかな笑いを浮かべている。
「事実上更迭された割には、随分と余裕ですな、ワルド子爵?」
平然とした様子のワルドに、ボーウッドは訝しげな様子で話しかけた。
「なに、面白いものがみれそうですからな」
「面白い?」
「……まずは相手の手の内を知る、これは戦いの基本でしょう」
ワルドは目の前のジョンストンの後姿を見て、鼻で軽く笑った。
ウルフウッドとデルフリンガーは森の街道を抜けた。目の前にあるのはタルブの平原、そしてその中央に浮かぶのは――
「相棒、見えたぜ、あれがレキシントン号だ」
デルフリンガーの言葉にウルフウッドはゆっくりと目標を見上げる。竜に乗った騎士が十人ほど、戦艦の下を旋回している。
「さてと、ここからが正念場だ、相棒。もう逃げも隠れも出来ないぜ」
「正面突破や、行くで」
ウルフウッドはアクセルを全開に回した。彼の乗ったバイクが平原へと躍り出る。
レキシントン号を守っていた竜騎士の一人が慌てて甲板に現れた。
「司令官殿。目標の人物と思われる男が姿を現しました」
「よし。馬鹿な男だ。先ほどまでの不意打ちのようにうまくいくと思うなよ。全竜騎士に告ぐ! これより目標に向かって全軍攻撃を開始、目標を打ち倒せ!」
威勢よく命令を出すジョンストンをワルドは冷めた目で見ていた。
――具体的なことは何も告げずに、何が指示だ。
ワルドは目の前の上官の愚かさを心の中であざ笑う。おそらくは、竜騎士隊は何も出来ないままに全滅するだろう。しかし、それは彼らが弱いということではない。
手の内の分からない相手に無策に突っ込めば、そのような結果になるのは火を見るよりも明らかなのだ。
「見たところ、ただの平民のようだな。どんな手を使ったか知らぬが、竜騎士部隊を相手ではおそらくは生きて帰れまい。馬鹿め」
馬鹿は貴様だ――ワルドは心の中で呟いた。
「よし! では、竜騎士部隊よ、いっせいにヤツに魔法を浴びせよ! 骨すらも炭に変えてくれるわ!」
大げさに身を翻して、指示を出すジョンストン。
――馬鹿め。
ワルドは船から身を乗り出しながら、その様子を眺めていた。あの男に魔法が通じないことは先刻承知している。
「なっ」
案の定の展開だ、ワルドは一人笑う。目の前で口を開けて呆然としているジョンストンの姿が滑稽で仕方がない。
ウルフウッドはデルフリンガーで大きさ数メイルはある炎の弾を切り裂くと、パニッシャーで狙いをつけて、竜騎士を二機撃ち落した。
「ば、馬鹿な! 何をやっているのだ! 真面目にやらんか! もっと魔法を! 魔法を浴びせかけよ!」
――まともな状況判断も出来ない愚か者め。自分に実戦経験がないから、戦況を正確に把握できないのだ。
ワルドははね付き帽子を目深にかぶって、慌てふためく背後のジョンストンの姿をあざ笑う。
戦場においてもっとも重要なのは、正確かつ迅速な判断だ。間の抜けた上官の指示に馬鹿正直に従って、意味のない特攻を繰り返させられている竜騎士たちは、ワルドにとっては心底憐れむべき対象でしかなかった。
案の定、魔法をデルフリンガーで切り払われると、ほぼ同時に今度は三機の竜騎士が撃墜された。
「何をやっているのだ、この馬鹿者共めが! こうなれば、全員突撃! 突撃を仕掛けよ!」
ワルドは小さく胸で祈る仕草をした。ボーウッドはそんなワルドの様子を忌々しそうににらみつける。
状況的に竜騎士の全滅は必至だ。ワルドはその状況を上からのんびりと眺める。
ウルフウッドの使う銃の破壊力は確かに恐ろしい。銃としての性能はハルケギニアの常識をはるかに上回っている。
しかし、いくら破壊力があるといっても、あの銃弾であれだけ簡単に戦艦を撃沈できるとは思えない。なにか、隠し玉があるはずだ。
――さぁ、見せてもらうか。君の手の内を。
竜騎士隊が全滅した頃合を見計らって、ワルドはゆっくりとフライの魔法で空へ浮かび上がった。
653 :
虚無と狼の牙:2008/08/31(日) 22:12:02 ID:RdSkRgWl
$
「相棒、これでやっかいなのは全部撃ち落したぜ!」
相手竜騎士の炎の魔法をことごとく打ち消したデルフリンガーが嬌声を上げた。
ウルフウッドは無言のまま頷くと、レキシントン号の真下へと切り込んでいく。
そこには占領行動に出でいた兵士たちもいたが、ウルフウッドの前にあっさりと竜騎士団が全滅したのを目の当たりにして、彼らは蜘蛛の子を散らすように逃げ始めていた。
「ちらほら、敵さんの姿が見えるけれどもよ、どうする?」
「んなもん、いちいち相手にしとったらきりないわ。目標は相手の戦艦のみや。それさえ落としたら、後はこっちの連中がなんとかするやろ」
「了解だぜ、相棒」
そうは答えたものの、ウルフウッドはどこか腑に落ちないものを感じていた。例のワルドの存在だ。
ウルフウッドはワルドが今回の一件に絡んでいるとにらんでいたが、それにしては事があっさりと進みすぎている。
――随分と、大人しいやないか。何を企んどる?
「相棒! 今だぜ」
デルフリンガーの声で一旦思考を止めたウルフウッドは、まっすぐにパニッシャーをレキシントン号に向けて構える。
例のガンダールヴのルーンのおかげだろうか、本能的にどこを打ち抜けば艦を落とせるかが、わかる。
「これで、終いや」
引き金を引いた。ランチャーがまっすぐにレキシントン号の腹へと向かって、飛んだ。
654 :
虚無と狼の牙:2008/08/31(日) 22:13:36 ID:RdSkRgWl
$
地面から突き上げてくる衝撃に、ボーウッドとジョンストンは甲板で宙を舞った。甲板に体を打ちつけたボーウッドは鈍い声を上げる。
「ぐっ、な、なんだ? これは、爆弾か?」
状況を把握できないままに、ボーウッドは立ち上がった。慌てて、船から身を乗り出し、下を覗き込む。そこではどす黒い煙がもうもうと昇っていた。
「馬鹿な、こんな芸当が出来るとは……。確かに、これでは先行した巡洋艦が撃ち落されたのも頷ける」
ハルケギニアにおいて、戦艦を撃ち落すのは、艦隊戦による大砲の応酬もしくは竜騎士による近接戦闘と相場が決まっている。だが、しかし今回のケースはそのどちらにも当てはまらない。
基本的にこのような戦艦は竜騎士による火の魔法に対して固定化の処理を行っているものだが――
「物理的な衝撃と、強力な火炎を併せ持つ攻撃など、聞いた事がないぞ……」
呆然とするボーウッド。彼は、自分たちの見通しの甘さを後悔した。
「こ、これは一体どういうことだ、ボーウッド!」
青ざめた表情でジョンストンがボーウッドに詰め寄った。
「……閣下。火の回りが早い。この船は墜ちます。脱出の用意を」
「このレキシントン号が落ちるというのか!」
「ええ、その通りです」
ボーウッドは冷静に事態に対処する。こうなってしまった以上、後に残った選択肢はいかに被害を少なくするかしかない。
「ちょ、ちょっと待て、ボーウッド! こ、これでは私にどうクロムウェル宰相に申し訳しろというのだ、え? わが国最大の艦隊を、たった一人に沈められたなどと」
「残念ですが、それが現実です」
「ふざけるな、わ、私は認めないぞ! 全員で消火活動に当たれ! 船員の退避など認めん!」
「往生際が悪いですぞ、ジョンストン司令官」
ボーウッドとジョンストンが振り返った先で、ワルドがゆっくりと甲板に着地した。
「往生際、が悪い、だと? ワルド子爵! そもそも竜騎士隊を任せた貴様がもっとしっかりしておれば、このようなことにはならなかったのだぞ!」
「お言葉ですが、手の内も分からぬ相手に無策に突っ込んでいくばかりでは、いかに歴戦の兵士といえども、勝てませぬ」
「き、貴様、私を愚弄するのか!」
「事実を申したまでのことです」
ワルドの言葉に逆上したジョンストンは杖を引き抜いて、ワルドへと向けた。その様を見たワルドはすばやくジョンストンの懐にもぐりこむ。
「司令官殿。こういった場合には、最高責任者が艦と運命を共にするというのが、軍人の美学ですぞ」
「わ、ワルド、貴様、自分が何をしたかわかっているのか……」
力なく開いたジョンストンの口から、血があふれかえった。ワルドの杖が彼の胸に深々と突き刺さっている。
「せめて、家名を汚さぬよう、この船と運命を共にするが良かろう」
ワルドはジョンストンの体を右足で押し出すように蹴りだした。ジョンストンの体が傾いた甲板を転がっていく。
「ワルド子爵、貴様何を考えている?」
「無能な司令官と共に心中するのは、あなたとて本意ではありますまい。ところで、その杖を仕舞っていただけますかな? 貴殿に危害を加える意図はありませぬゆえ」
ワルドに向かって杖を構えたままのボーウッドに対して、ワルドは悠然と笑ってみせる。
「貴様、わざと、いやわかっていたな? こうなることを?」
「さぁ、軍人にとっては上官の命令は絶対ですからな。それはあなたとて同じこと」
「……どうするつもりだ?」
「この船を落とした男を葬り去る。そのために一つ艦隊が消えてしまったわけですが、十分にトレードオフすると思いますがね」
「いくらスクエアの貴様とはいえ、戦艦を一人で撃ち落すような男に勝てるのかね?」
「相手の手の内がわかれば、あとは対応するだけですからな」
「まさか貴様は相手の手の内を見るためだけに、一つの艦隊を犠牲にしたというのか! 貴様は正気か!」
「いたって正気ですよ、艦長殿。ヤツはどうしてもこの手で殺さねば――収まりがつきませぬ」
ワルドはにやりと笑う口笛を吹き、風竜を呼んだ。
ボーウッドがくるりと背を向けるワルドに声を掛けようとしたとき、一人の兵士が慌てて、甲板に躍り出てきた。
「か、艦長! ダメです! 火の回りが速すぎて、消火が間に合いません!」
「ええい、本艦はもうだめだ! 総員に退避命令を出せ!」
兵の声に振り向いて大声で答えたボーウッドは、慌ててワルドに視線を戻そうとした。しかし、ボーウッドが甲板へと上がってくる兵の声に気をとられた隙に、すでにワルドは飛び立った後だった。
655 :
虚無と狼の牙:2008/08/31(日) 22:15:12 ID:RdSkRgWl
$
「終わったな、相棒。残党狩りは正規軍の奴らに任せて、俺たちはずらかるとしよーぜ」
デルフリンガーがのんびりした調子で声を掛ける。煙に包まれたレキシントン号がゆっくりと高度を下げていた。しかし、ウルフウッドは上空を見据えたまま、動かなかった。
「いや、まだや」
「あん?」
「まだ、一番厄介なヤツが残っとる」
ウルフウッドの視線の先、そこには風竜にまたがるワルドの姿があった。
「やぁ、使い魔くん。久しぶりだね」
「……随分のんびりとした登場やな。オンドレの船、もうすぐ沈むで」
「もったいないけど、仕方ないさ。おかげで、いいものが見られたからね」
ワルドの言葉にウルフウッドは舌打ちをした。手の内を見られたこともそうだったが、それ以上にそれだけのために艦を一つ犠牲にする精神が気に食わなかった。
「あの後、焼け跡からキミの死体が見つからなかったときは、本当に驚いたよ。あの出血でまさかとは思っていたけど、本当に生きているとはね」
「そらご期待に応えられんで悪かったな。どうやら、ワイ、地獄からは嫌われてるみたいやねん」
にらみつけるウルフウッドを見ながら、ワルドはくくっと喉の奥で笑い声を上げた。
「まさか。僕はむしろ感謝したい気分だったよ。こうして、ちゃんと君を自分の手で殺せることにね!」
挨拶代わりにウィンドブレイクを放つワルド。ウルフウッドはそれをデルフリンガーで横なぎに払い捨てる。
「今日は君一人かい? ご主人様はどうした?」
「あんな何の役にも立たん小便くさいガキ、置いてきたわ」
「それは残念だ、彼女にもぜひともお礼がしたかったのだけれどもね!」
ワルドは三つ続けざまにウィンドブレイクを放った。まっすぐに風の塊がウルフウッドに向かう。
「学習能力がないんか、オンドレは?」
ウルフウッドはそれらをデルフリンガーで簡単に払った。魔法を吸収できるデルフリンガーの前では、ウィンドブレイクなど物の数ではない。
「何、ただの準備運動さ。本番は、これからだよ」
おもむろにワルドは杖を持ち上げた。そして風の塊を放ち、レキシントン号の窓を叩き割る。
「?」
ワルドのとった行動にウルフウッドはとっさに身構えた。その様子を見て、ワルドは満足そうに笑う。
「君のその剣、吸収できるのは魔法だけだったな」
「相棒、やべえ!」
デルフリンガーの声が響くやいなや、ウルフウッドはバイクから飛び降りる。
「身軽になったか。いい判断だ。だが、これだけの数、貴様には避けきれまい!」
ワルドが再び杖を振るった瞬間、風に巻き上げられて数百本の矢が窓から飛び出してきた。巻き上げられた矢は、まっすぐにウルフウッドに向かって飛んでくる。
「相棒! オレは魔法力は吸収できるが、魔法力を受けて加速した物体を止めることは出来ないぜ!」
「わかっとるわ!」
無数の矢が竜巻の様にウルフウッドを取り巻いて旋回する。そして、
「串刺しになるがいい」
ワルドが杖を振るった瞬間、それらがいっせいに襲い掛かって来た。
「くっ」
ウルフウッドはパニッシャーとデルフリンガーを振り回して、襲い掛かる矢を払い落としていく。パニッシャーとデルフリンガーの重量を活かした衝撃の前に、放たれた矢は次々と散っていく。しかし――
「なるほど、見事なものだ」
ワルドが感嘆の声を上げた。
「あれほどの矢を放って、たったの三本しか刺さらないとはな」
ウルフウッドは矢の刺さった左足をかばうように身を屈めたまま、悠然と風竜にまたがるワルドの姿を視界に映す。
三本の矢は左足のふくらはぎ、背中、そして右肩に刺さっていた。傷口から静かに血が滴り落ちる。
656 :
虚無と狼の牙:2008/08/31(日) 22:16:48 ID:RdSkRgWl
「にらみつけているだけで、撃っては来ないのかい?」
ワルドが余裕の表情でパニッシャーを杖で指した。
「くそったれが。今日はまた、随分と饒舌やないか」
ウルフウッドが吐き捨てるように言った。
「相棒、こいつはまずいぜ」
デルフリンガーの言葉をウルフウッドは無言で受け流した。
この距離から狙撃しても、ワルドの風の防御壁のおかげで弾丸は当たらないだろう。唯一活路を開く道としては、接近戦に持ち込むことだが
――風竜にまたがって空中にいるワルド相手に接近戦に持ち込むのは不可能に近い。
「お得意の遍在いうのは使わへんのか?」
「悪いが、そんな安っぽい挑発には乗らない。前回は下手に遍在なんかを使ったせいで、魔法力が切れて、あんなピンチになったわけだからね」
ワルドは余裕で笑う。
「そちらこそ、例の船を落とした切り札でも使ってみたらどうだい? きれいに君に打ち返して差し上げよう」
ワルドは心底愉快そうな笑い声を上げた。前回不覚を取った相手を、今度は完膚なきまでに追い詰めている。それはとてつもない快楽だった。
「さてと、先ほどはガンダールヴらしい人間離れした動きだったね。けど、傷だらけの体で、次同じ攻撃を受けて、はてさてどこまで耐えられるかな?」
ワルドゆっくりと杖を振り上げた。再び風の魔法が、レキシントン号の窓から大量の矢を運び出す。
「相棒、次は本当にまずいぜ! どっかに身を隠すところを探せ!」
「アホ。無理や。こんなだだっ広い平原、どこに隠れろっちゅうねん」
半分あきらめたような口調のウルフウッド。
「相棒! お前さん、大人しくハリネズミになる気か!」
「アホか……」
ウルフウッドは自分の周りを取り囲む無数の矢を見ながら呟いた。
この状況で活路を開く方法があるとしたら、それはたったの一つだけだ。この矢の中にあえて飛び込んで、防御を度外視して、この矢の嵐を抜けて銃弾を打ち込む。
賭け、だ。この魔法を使っている間、ワルドは風の防御壁を張れないと仮定しての。
ウルフウッドはパニッシャーを盾にして、矢の中へ飛び込んだ。
「何?」
しかし、彼の予測は大きく外れた。矢は彼を避けるように後ろに広がったのだ。
「まさか……」
「くくっ。残念だったね。これくらい精密に矢を操ることが出来るのだよ、私は」
ワルドが悠然と笑う。パニッシャーを盾にして飛び込んだため、ウルフウッドの背中はがら空きだった。
――終わりか。
ウルフウッドが歯噛みして、あきらめかけた、その瞬間、彼の身の回りを炎が包んだ。その炎は蛇のようにウルフウッドの周りを一周すると、全ての矢を飲み込み焼き尽くした。
支援
658 :
虚無と狼の牙:2008/08/31(日) 22:18:10 ID:RdSkRgWl
「ウルフウッド君。無茶は困りますぞ、全く」
ウルフウッドはゆっくりと声の方向を振り向く。
そこには見慣れた顔――コルベールが腰に杖を当てて、立っていた。
「センセ。あんた、なんでこんなとこに」
ウルフウッドの言葉にコルベールは柔らかく笑って答える。
「……貴様、何者だ?」
勝負に水を差されたワルドが低い声で、コルベールに尋ねた。
「別に名乗るほどのものでもないですよ。グリフォン隊隊長のあなたのように地位のある人間ではないのでね」
そして、コルベールは再びワルドへ向かって杖を構えた。
「もっとも、母国と自分を信じてくれていた人間を裏切るような輩に、名乗るべき名前はないというのが本音ですがね」
コルベールの挑発に対して、ワルドは無言だった。そして、ゆっくりとワルドはコルベールの能力を分析し始める。先ほどの魔法から推測するに、おそらくは火のトライアングルクラス。厄介なヤツが戦場に現れた。
「って、なにやっとんのや! このハゲッ!」
と、唐突にウルフウッドがコルベールの頭を思い切りしばいた。
「なっ?」
あまりにも予想外の事態にワルドの動きが止まる。コルベールの頭に見事に赤い跡が出来た。
「あんた、じょうちゃんの面倒を頼んだやろ! それがなんで、こんなとこにおんねん!」
「いたた。人の頭を気安く叩いてくれますね……。大体、あなただって偉そうなことを言っていたくせに、そもそも大ピンチだったじゃないですか」
コルベールは頭を押さえながら反論した。
「うっ」
痛いところを付かれてウルフウッドは黙り込む。
「全く、人の頭を気安く……。大丈夫ですよ。ミス・ヴァリエールはちゃんと安全なところに隠れてもらっています」
「……ほんま頼むで」
「ええ。彼女を、こんな血なまぐさい世界に引きずり込むわけにはいきませんから」
そして、ウルフウッドはすばやくコルベールの前に立ちはだかり、ワルドの放ったウィンドブレイクをデルフリンガーでなぎ払った。
「まったく油断もすきもない奴やで」
不意打ちに失敗したワルドが小さく舌打ちをする。おそらく、コルベールともウルフウッドとも一対一で戦えば、ワルドは勝てるだろう。しかし、それが二人同時なら――わからない。
ワルドにとってはせめて今の不意打ちででも、コルベールは倒しておきたかった。
「センセ。あんた、二度と人に向けて魔法は放たへんのと違たんか?」
ワルドの動きを見据えながら、ウルフウッドがコルベールに声を掛けた。
「あれは魔法で人を傷つけたくない、という意味ですよ」
「なら、なぜ戦場に出てきた?」
「自分の友人が危険な目に遭っているのに、それを見過ごすのは、魔法で人を傷つけることと同じ。違いますか?」
「友人……な」
ウルフウッドはコルベールの言葉を反復して、小さく笑った。
「なにかおかしいですか?」
コルベールは不思議そうにウルフウッドを振り返る。
「いや。そうか、ワイは、センセの友達、やったんやな……」
「ウルフウッド君?」
「いや、なんでもない」
ウルフウッドはパニッシャーとデルフリンガーをゆっくりと構えた。アホみたいな話やで、と小さく呟いた。
「センセ、この戦いが無事終わったら、酒奢ったってもええで?」
「あいにく、収入のない君にたかる気はないですよ」
「そうかい」
「ええ。――ただ、お酒を飲むという案には賛成です」
「ほな、ちゃっちゃっと終わらせたろか!」
ウルフウッドはパニッシャーを振り回すようにして、銃口を開いた。その背後でコルベールが杖を構える。
「……調子に乗るなよ」
二人の様子を見て、ワルドが苦々しげに呟いた。
支援
660 :
虚無と狼の牙:2008/08/31(日) 22:19:13 ID:RdSkRgWl
以上で投下終了であります。
支援
乙
乙
パワーバランスがちょうどいいなぁ
禿げ乙
GJHAGE
乙でしたー!
コルベール先生との共闘とは新しい展開ですな。
続き楽しみにしています!
乙
さすがにやればできる男だな
投下乙です。
随分年の差のある友人だと思ったが、トンガリに比べれは若いよね、センセw
ウルフウッド氏、投下乙でした。
しかし、2人の遣り取りがいいね。
スーパーコッパゲタイムに期待します
投下乙
コッパゲールGJ
かっけーよコッパゲール
ウルフウッド乙
コルベールとのコンビネーションに期待。
コッパゲはどうして禿たの?
そしてなぜ女々しくもサイドの毛を残している
乙ー。
そういやハゲってウルフウッドの実年齢知ったらどんな反応するんだろうな?
「貴方はミルクで十分です」「そ、そりゃないでセンセ〜」
675 :
蒼い使い魔:2008/09/01(月) 00:39:15 ID:Pyqt9KIO
なんとか24話完成しました。
50分あたりに投下しとうございます
お付き合いください
なのは「ちょっと頭、生やそっか……」
コルベール「是非!お願いします!」
支援
魔法少女リリカルこるべ〜る 始まります
おぉぉぉぉー
明日は仕事だけど待ってた甲斐があるってものです
蒼い使い魔の作者様、存分に支援させていただきます
ワルドマストダイはじまるよー\(^o^)/
「我が系統は風!何故、風の魔法が最強と呼ばれるのか、その所以を教育してやろう!」
そう言うとワルドはルーンを唱え出す、それを中断させるわけでもなくバージルは身動き一つしない。
「ユビキタス・デル・ウィンデ……」
ワルドの呪文が完成された。するとワルドの体が、風で霧が揺らぐようにブレ始める。
バージルの目の前でワルドの体が分裂し始める。
一人……、二人……、三人……、四人……と別れ、ようやくワルドは元の形へと戻る。
本体を合わせて五人のワルドがバージルを取り囲んだ。
「へっ…遍在!?」
ギーシュが驚いたように声を上げた。
「風のユビキタス(遍在)……。風は遍在する。風の吹くところ、何処となくさ迷い現れ、その距離は意思の力に比例する」
ワルドの分身は、すっと懐から、真っ白の仮面を取り出すと、顔につけた。
「あの哀れな男は貴様だったのか、すると、貴様は何度俺に殺されたんだ?」
バージルが冷たい眼でワルドを見る。
「フッ…あの時は不覚を取ったが、今回はそうはいかない…!」
「言ってるそばから油断か…話にならんな…」
「何だとッ!?」
ワルドがバージルを睨みつける、バージルの右手にはいつの間に抜き放たれたのか閻魔刀が握られている。
「貴様…まさか…!」
閻魔刀がゆっくりと納刀されてゆく、やがてチンッっと完全に鞘に収まる音が響く、
その瞬間、遍在の一人が真っ二つにされ消え去った。
「貴様ッ!!一体何をッ!?」
ワルドの顔が驚愕に歪み、バックステップで大きく距離をとる。
「次は何をするんだ?貴様の魔力が尽きるまで付き合ってやる…早くかかってこい」
バージルが悪魔のように口元を歪め挑発する。
「なっ…!舐めるなァ!!!」
ワルドが吠えるともう一度ルーンを唱え遍在を作り出す、
「…芸がないな…」
消えた一体を補充し再び五体になったワルドは一斉に散開し詰まらなそうに溜息を吐くバージルに向け魔法を放った。
「ライトニング・クラウド!」
光の速さで襲い来る電撃を難なくかわし、遍在の一人を斬る。
「一匹…」
エア・ニードルで接近戦を挑んできた一人の偏在を杖ごと閻魔刀で流れるように斬り捨てる。
「馬鹿なッ!私の杖が切られるだと!?」
「二匹…」
"魔"法の力によって作られた杖など魔を喰らう閻魔刀の前ではただの棒切れと同じ、そのことを知らぬワルドは恐怖に顔を歪める。
デルフを引き抜き遍在の一体に向けスティンガーを放つ、それに反応した遍在がウインド・ブレイクを放つが
デルフによって吸収され、バージルのスティンガーがモロに直撃し腹部をぶちまけながら消滅していった。
「三匹…」
そのままデルフでラウンドトリップを放つ、魔力を帯びたデルフが飛び最後の遍在の首を斬り飛ばした。
「四匹…」
遍在を皆殺しにしたバージルが回転しながら戻ってくるデルフを掴み『本体』のワルドを見る。
「バッ…バカなッ…!こ…こんなことが…!」
「準備運動は済んだな?そろそろお互い本気を出すとするか…」
恐怖で後ずさるワルドを見ながら、バージルがしれっと言う。
支援
バカな…!?これで準備運動だと!?ワルドは心底恐怖する、目の前の男に、
ワルドは魔力を振り絞りもう一度遍在を生みだす
五人のワルドが再びバージルを取り囲む、バージルがつまらなそうに溜息を吐いたその時、
遍在の一体が爆発し掻き消えた。
「何っ!?」
ワルドが驚愕し振り向くと、そこには杖を構えたルイズが立っていた。
一瞬の出来事に、バージルですら呆気にとられてしまっている。
「私だって、戦うわ…戦えるんだから!」
そんなルイズをみてキュルケが驚く
「ちょ!ルイズ!なにやってるの!?ダーリンにまかせればいいじゃない!」
「使い魔だけに任せるなんてできないわよ!」
「ルイズゥゥ!!!貴様ァァ!!」
そのルイズの行動はワルドの逆鱗に触れたのか、遍在の一体がルイズへ向けウインド・ブレイクを放つ、
ルイズの体が木の葉のように宙を舞い、壁にしたたかにたたきつけられる。
「「ルイズ!!」」
キュルケがルイズの体を抱き抱える、ルイズは頭から血を流しぐったりとしていた。
「ハッ…ハハハハ!!これで我々の脅威が消えた…!主が死んだ以上…ルーンが消える!貴様も終わりだなガンダールヴ!ハハハハ!!!」
ワルドが突如笑い出す。
「目的を二つ達成できた!そしてここにはすぐに我が『レコン・キスタ』の大群が押し寄せる。
ほら!馬の蹄と竜の羽の音が聞こえるだろう!貴様の運命はここで終わりだ!」
「だからどうした…?貴様は死ぬ…肉片一つ残らずにな…」
その声を聞いたワルドはバージルに笑いながら視線を戻す、
ワルドは一つ勘違いをしていた、バージルの常識外の強さはガンダールヴに起因するものだと、
彼の強さはルーンありきの強さ、そう勘違いしていた。
それ故、ガンダールヴのルーンが今まで彼にまるで力を貸していないことを知らずにいた。
そして言葉を失うこととなる。
バージルの周りに凄まじい程の魔力が迸る、その眼には恐ろしい程の怒りと殺意が宿っていた。
手にしていないにも関わらずデルフの刀身が輝く。
「そうだ!思い出したぜ!『ガンダールヴ』!そうやって心を震わせるんだ!お前の強さは心の震えで決まる!
今のお前なら『ガンダールヴ』も力を貸す!怒り!悲しみ!愛!喜び!なんだっていい!とにかく心を震わせ…いや、まて!やっぱ落ち着け相棒!!」
背中のデルフが思わず制止を試みる程の強烈な怒り、バージルの立つ床にヒビが入り城全体が震撼する。
「You're going down!(―跪け!) 」
バージルの体に纏うように現れた蒼いオーラがバチバチッ!っと音を立てて弾ける、
その光景を唖然とした表情でワルドが見つめていた、が、突如おぞましい感覚が体中を包み込んだ。
今まで感じたことのない…、いや、あったとしてもこれ程のものは存在しなかった。
それは心の芯を侵食し凍りつかせる、恐怖であることにワルドはようやく気がついた。
「な…な……ぁ…」
ワルドの口から言葉にならない悲鳴が漏れる、汗が止まらない、逃げろ、今すぐ地の果てまで逃げろ、体中の全細胞が悲鳴を上げる、
だが金縛りにあったかのように動けない、それは遍在達も同じく恐怖でうごけないでいた。
それは遠くから見ていたキュルケやタバサたちも同じだった。
「This is the power of Sparda!(―これがスパーダの力だ!)」
バージルが叫ぶと、オーラが弾け、彼の体が変化する、
バチッ!バチバチッ!という音と共に全身に紫電が走り
纏っていたコートは皮膚と同化しているのか鎧のように硬質化、彼の銀髪も兜のように変化した。
左手に持っていた閻魔刀の鞘は左腕と同化、口は裂け、鋭い牙がその中に並んでいる。
その姿はまさに、『Demon(―悪魔)』と呼ぶにふさわしい姿をしていた。
「なっ…なによ…あれ…」
「あ…ぁ…」
「……………」
目の前の悪魔は自分たちに敵意を向けているわけではない
ただそこに敵を殺すために存在しているだけ、にもかかわらず強烈な恐怖が三人を包み込む。
倒れているルイズのように意識を失っているならどれだけいいことか、
三人は身を寄せ合い目の前で起こる事を見守るしかなかった。
「きゅいっ!!?」
雲の中で待機していたシルフィードが驚愕する、大気中の精霊が悲鳴を上げている。
ハルケギニアには存在しない、いや存在してはいけない禍々しく恐ろしい力が、ニューカッスルの中で渦を巻いている。
この場にいたくない、今すぐ逃げだしたい、それが出来ないのは、主であるタバサがまだ中にいるからであろう。
「ぁ…ぁ…あく…あ…悪魔……」
ワルドがようやくその言葉を口にしたのと同時に
目の前の悪魔が右手を左手と同化した閻魔刀に手をかける、
残っていた三体の遍在が一瞬で『消えた』。
斬られ、崩れ落ち、消えたのではなく、文字通り『消滅した』
ただでさえ抜刀する瞬間が見えないのにより早くなった、そう直感する、
一体何度遍在達の体に斬撃が叩き込まれたのだろうか?
「うっ…うわあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
目の前に存在する絶対的な恐怖にワルドはあらん限りの声をあげ遁走を試みる。
先ほどの遍在で精神力に余裕がなくなりもう遍在を出すことができない、だがタイミングよく貴族派による突撃が始まったらしく、
それと同時に礼拝堂の中に入ってくるように指示しておいたグリフォンが天井に空いた穴から急降下してきた。
「(助かったッ…!!)」
ワルドが安堵の表情を見せ、グリフォンの手綱に手を伸ばそうとした瞬間。
―ズガンッ!!という音とともに、ヘルムブレイカーがグリフォンに襲い掛かる。
一瞬で移動しグリフォンの頭を叩き割り撃墜した悪魔はゆっくりとワルドに視線を戻す。
「な…ぁ…」
目が合った、それだけで心臓を直接掴まれるような感覚に陥る。
「エ…エア・カッター!!」
ありったけの精神力を振り絞り目の前の悪魔に不可視の風の刃を放つ、ワルドの祈りが通じたのか
風の刃は悪魔の体を切り裂いた。
「やっ…やったか!?」
何を勘違いしている!まだ俺の(支援の)ターンは終了してないぜ!
ワルドの顔に希望が宿る、俺の魔法は奴に通じる!そう確信した。
だが悪魔の姿を見てそれはすぐに絶望へと変わる。
傷は付いていた、だが傷口からは血が流れていない、それどころか再生をはじめ、数秒後には元の状態に戻っていたのだ。
「ひっ…そんな…」
「終わりか…?」
地の底から響くような恐ろしい声、それを振り切るようにワルドはありったけの魔法を放つ
「ウインド・ブレイク!!エア・カッター!ライトニング・クラウド!!!」
二つ名『閃光』に恥じぬ速度で矢継ぎ早に魔法を叩きこむ、その全てが悪魔に直撃し、土煙を巻き起こす。
「どうだっ!?」
最後に叩き込んだライトニング・クラウドはまともに食らえば人間なら消し炭になる威力だ、無論、『人間』が食らえば、だが。
ワルドが土煙の中を睨みつけていると、突然、自分の左腕に違和感を感じた、―なんだ…?そう思いワルドは左腕を見る、
そこにあるはずの左腕が存在しない、肩口からきれいに左腕が『消滅』していた。
不思議なことに痛みがまるで感じられず、血も流れていなかった。
「えっ…?」
そう呟いた瞬間、傷口から夥しい血が噴き出すのと同時に今まで感じたことのない激痛が走る。
「ぐああああああ!!!!う…腕がッ!?俺の腕があああああああああ!!!!」
崩れ落ち右手で傷口を抑えうずくまる。何だ!?何が起こった?そう考える余裕もない。
激痛で意識を手放しそうになりながらも、ワルドはどうやってこの化け物から逃げるか、それだけを考えた。
土煙の中から悪魔が現れ、ワルドを見下ろす、その眼には一切の慈悲が感じられなかった。
「つまらん…これで終わりだ…」
そう言いながら錆が消え刀身が輝くデルフを高く振り上げる、ワルドが逃れ得ぬ死を覚悟したその時。
礼拝堂の扉を突き破り、貴族派の傭兵やメイジたちの先遣隊がなだれ込んできた。
それを見て、一瞬の隙をついたワルドはフライを使い、距離をとる。
「ハッ…ハハ…天は俺を見捨てなかったようだ…!これだけの数、たとえ貴様が化け物でも相手にしきれまい!
ルイズとともに死ね!ガンダールヴ!」
ワルドは左肩を押さえながら叫ぶ。
「俺は貴族派だ!あの化け物を討ち取り名を挙げろ!」
そういうと、周囲を傭兵やメイジが取り囲む、そして一斉に矢と魔法を浴びせようとしたその時、
「You Trash...(―ぶち壊してやる…)」
低く悪魔が呟く、そして、消えた。
「なっ…どこへ行った!?」
「消えた!?」
次の瞬間一人のメイジの身体が消滅した、そのメイジの血だけがその場にぶちまけられる。
バージルの最終奥義「絶刀」
礼拝堂の内部全体が歪むほどの、閻魔刀による目に見えぬ超高速の斬撃が繰り出される。
礼拝堂はまるでミキサーの中と化しあらゆるものを切り刻み、消滅させてゆく、
「うっ…うわああああああああああ!!!」
「ばっ…化け物ォ!!!」
「助けてくれぇ!!!!」
傭兵達の悲鳴が礼拝堂内に響き、始祖へ助けを求める。しかしその祈りは届くことなく無慈悲なる一撃の前に塵と化す。
「ヒッ…!!」
ワルドが声にならない悲鳴を上げ天井に空いた穴からフライを使い遁走を試みる、
がまるでワルドを追跡するかのように空間の歪みがワルドに襲い掛かる。
「く…来るな…来るなァァァァァァ!!!!!」
ワルドの叫び声が響くと同時に身体が空間の歪みに飲み込まれる。
「…………!!!!!…ッ!!!!!!!!」
断末魔の悲鳴すら切り刻まれ、ワルドの体は肉片一つ残らず、『消滅』した。
礼拝堂の中央に人間の姿に戻ったバージルが現れ、流れるような動きで閻魔刀を納刀する。
―チンッという音と同時に礼拝堂内に血の雨が降る。
絶刀に巻き込まれなかったキュルケ達は血の雨を浴びながらそれを呆然と見ているしかできなかった。
血の雨を浴びたルイズが意識を取り戻す。
「あれ…?私…」
「ルイズ!目を覚ましたのね!?」
「あれ…?キュルケ…?ワルドは…?」
ズキズキと痛む頭を押さえながらルイズはキュルケに尋ねる。
「それが…あの…貴族派のメイジたちが入ってきてから…その…」
キュルケが怯えるようにバージルを見る。
ルイズがバージルに視線を向けると言葉を失った。
礼拝堂内部は文字通り血の海と化し、その中心に佇む己が使い魔の姿が。
この惨状を見ればわかる、殺したのだ、肉片一つ残さずに。
当のバージルは血を浴び、降りた自身の髪を手で豪快にかき上げオールバックに戻す。
「おい…相棒…」
デルフが静かに話しかける
「……何だ」
「今の力…思い出したぜ…」
「何のことだ?」
「スパーダの力だ、相棒、お前さんからは奴の力を感じる」
「やはり…親父を知っているな?」
「あぁ、だがその話はあとだ、さっさと脱出しようぜ」
「…あとでゆっくり聞かせてもらう」
そう言うとルイズたちの方向へ向き直り、近づいて行く。
「えぇと…ダーリン…よね?今の姿は…一体…?」
恐る恐るキュルケがバージルに声をかける、心なしかギーシュも怯えた表情をしている。
ルイズは何があったのかもわからず「姿…?なんのこと?」と首をかしげている。
「少し全力を出しただけだ、それより脱出するぞ、これ以上ここにいてもなんの意味もない」
バージルがそう言うと、穴を掘っていたヴェルダンデが顔を出す。どうやら脱出用の通路が出来上がったようだった。
するとルイズが思い出したかのように倒れ伏しているウェールズに駆け寄った。
思わず読みふけってしまう支援
「ウェールズ殿下!」
「うっ…ラ・ヴァリエール嬢…私はっ…」
ワルドの一撃は心臓を僅かにそれていたのか、かろうじてウェールズは生きていた。
薄れゆく意識を無理やり覚醒させ、ウェールズは自らの指にはめていた風のルビーを引き抜きルイズに手渡す
「これをアンに…渡してくれ…そして、伝えてくれないか…?愛していると…」
ルイズはそれを受け取り、ウェールズの体を抱き抱える、
傍にはいつの間にかバージルが立っていた。
「バージル君…面倒を…かけたね…」
「まったくだな」
そう言いながら閻魔刀を静かに抜刀する。
「ちょっと…何を…」
ルイズが思わずバージルに声をかける、
「これ以上苦しめる必要はない、今楽にしてやる」
「そんな!」
声を荒げるルイズをウェールズが制止する。
「いや…いいんだ…僕はもう動けやしない、貴族派の連中に討ち取られるよりはいい…頼む…バージル君…」
バージルは静かに閻魔刀でウェールズの心臓を貫く、
「…ありがとう…さぁ、早く逃げるんだ…もうすぐ…ここも…」
そう言い残しウェールズが力なく崩れ落ちる。
「殿下…」
「行くぞ」
ルイズが静かに泣き出す、その横でバージルは閻魔刀を納刀しキュルケ達のもとへ向かう
近くで爆発音。
さらに近くで、反乱軍のものと思しき鬨の声がする。
先遣隊は全滅させたが、すぐに本隊が到着するだろう、
バージル一人なら本隊すら全滅させることも可能だが、足手まといが多すぎる上、脱出が面倒になる。
そう考え今脱出することに決め、ヴェルダンデの掘った穴へと飛び降りる。
ヴェルダンデが掘った穴は、アルビオン大陸の真下に通じていた。
ルイズたちが穴から出ると、すでにそこは雲の中だ。
落下する5人とモグラを、シルフィードが受け止める。
明らかに定員オーバーだがそんなことは言っていられない
ヴェルダンデはシルフィードの口にくわえられたので、抗議の鳴き声を上げた。
最後の一人を回収したタバサはシルフィードに短い命令する。
「脱出」
シルフィードは「きゅいきゅい!」と返事をして、穴の下から飛び立つ。
雲の中を飛びアルビオンから脱出した一同は、
追っ手の気配が無い事を確認してホッと一息ついた。
支援支援
シルフィードは、緩やかに降下し雲を抜ける、そして魔法学院を目指し、力強く羽ばたいた。
疾風のように飛ぶシルフィードの背中から見るアルビオンは、次第に小さくなっていった。
短い滞在ではあったが、様々な出来事があったアルビオンが風と共に遠ざかっていく。
しばらくの間はバージルに対し質問の嵐だった、魔人化を見られた以上
隠し通す事は困難となり、渋々と自身のことを説明した
「このことは黙っていろ、もし誰かに話したら…わかっているな?」
「も…もちろんだよ!!ねぇ!?」
凄むバージルにギーシュが首を縦にブンブンと振る
キュルケも同じように首を縦に振る。
「ねぇ…ところで…私が気絶している間に何があったの?」
ルイズが近くに座っていたキュルケに尋ねる。
「それが…あなたが攻撃されたとたん、ダーリンが突然キレちゃって…」
「その話はそれで終わりだ」
バージルが短く制する、
「ちょっと、ちゃんと教えなさいよ」
ルイズが抗議の声を上げるが無視されてしまった、
「もう、無視しないの!」
そう言いながらバージルの背中をたたく、
叩きながらも自分が攻撃されたときに普段無表情なバージルが怒りを露わにしたと聞いて、顔が自然にほころんでいた。
「あら〜?なにニヤニヤしてるの?」
そう言いながらキュルケが楽しそうにルイズの顔を覗き込む、
「なっ!別にニヤニヤなんてしてないわよ!」
色々なことがあり、疲れ切っているにも関わらずルイズは大声で叫ぶ。
「もうっ!疲れたからちょっと寝るわ!ちょっとバージル、せ…背中貸しなさい…」
「今回だけだ…勝手にしろ…」
バージルが短く答える。
「…ありがと」
そう小さく呟くと、バージルのコートにしがみつく様に寝息を立てはじめた。
「なんだか兄妹みたいだね」
「フフッ、確かにそうね」
ギーシュの一言にキュルケが同意する。
「今回だけ」
タバサが呟くとシルフィードの速度を上げる。
アルビオンはもう見えなくなっていた。
支援〜
694 :
蒼い使い魔:2008/09/01(月) 00:58:53 ID:Pyqt9KIO
はい。これでアルビオン編は終了です、
ワルド君にはもう少し働いてもらう予定です。
次は…そろそろタルブとか惚れ薬の季節か…
乙かれさまです。
ワルドは大方の予想のとおり無残に死にましたか
,,,
( ゚д゚)つ|ワルドの惨殺週間ですね、ご冥福をお祈り申し上げます
『ミンチよりも酷ぇえ!』だな・・・
アンドヴァリの指輪でも修復は出来そうもないな
ネタバレ:ワルド君にはもう少し働いてもらう予定です。
惚れ薬とな!?
なんと恐ろしい・・・どんなことになるか想像がつかない。
流石俺を何十回も殺した超兄貴
惚れ薬?!
想像するだけで怖いけど読みた〜〜い!!
グリフォンといえばDMC1にもいたな
きっと魔帝に再生してもらった超ワルドwが
DMCのグリフォンに跨って復活してくれるはず・・・!
乙です。
惚れ薬か…。飲んだ後よりも、飲むまでの過程が気になるな?
兄貴がついにデレた・・・・orz
えー、乙です
ミンチって言うか肉体が消滅したら復活は不可能ですね、確かにww
でも悪魔が実在するなら精神存在もOKで
>>702が実化するかも
DMC3のラスト兄貴にQSwithベオヴォルフで勝とうとした俺は多分挑戦者
バージル乙です。
スーパー惨殺タイムGJ
次は惚れ薬とな。イ`ルイズwww
こんばんわ。
よさそうなので投下させて頂きます。
元はカルドセプトからで、多少かねこしんや版色を入れます。
使い魔召喚の儀式。
魔法学院で学ぶトリステインのメイジにとって、その一生を左右するほどとされ
る重要な儀式である。
次々と己の人生を共有する友たる使い魔を召喚する生徒達。
蛙を使い魔として、やはり自分は水の系統なのだと納得する者。
土まみれの汚いジャイアントモールを召喚し、しかしそのことも周囲の目も気に
せず抱きついて頬ずりを始める者。
そして虎ほどもある見事なサラマンダーを召喚する者もあれば、まだ幼いとは言
え正真正銘の竜を召喚する者。
それらを見ていて、ヴァリエール家の三女であるルイズの心に緊張と焦りが生ま
れることはなかった、と言えば嘘になる。
しかし、彼女には、ルイズには今日の召喚に確信といえる自信があった。目の前
でサモンサーヴァントとコントラクトサーヴァントを成功させていく生徒達を見て
感じる緊張と焦りも、なお己の中にある自信を奮い立たせてゆくのを感じるのだ。
(大丈夫。私は、今日……何もかもが変わる。変えてみせる)
これほどの自信が心にあるのが不思議に思うこともない。期待と不安――いや、
正直に言えば不安のほうが大きかった――を抱えながらも万全の体調で儀式に挑む
ために必死で眠りに付いた昨日の夜。
しかし、夢から覚ました今日の朝……ルイズの心は生まれ変わったかのように晴
れ渡り、その精神はどんな魔法ですら、スクウェアスペルすら成功できるのではな
いかと思えるほど冴え渡っていた。
絶対に今日は上手くいく。その集中が途切れぬよう、朝から練習のための魔法す
ら使わずひたすらに集中を続けてきたのだ。絶対に、上手くいく。
「では、次はミス・ヴァリール」
自分を呼ぶ声。我知らず目を閉じて集中していた心を覚醒させて返事もそこそこ
に広場の中央に進み出る。
「はい。コルベール先生」
その様子を見てこの儀式を監督するコルベールは軽くほほを緩めて頷いた。
ミス・ヴァリエール。生徒の――そして一部の心無い教師の――間でゼロとあだ
名される、しかし誰よりも努力家である生徒。その努力家という姿を知っているコ
ルベールは、ルイズが適度な緊張を持ちながらも落ち着いていることを先ほどの返
事から感じ取っていた。
今日こそこの生徒の努力が実を結ぶのではないか、そんな思いがコルベールの中
にも芽生えた。
とはいえ、今日の彼は儀式全体を監督する立場である。いくら普段気に掛けてい
るできの悪い努力家の生徒であろうと不公平な態度はできない。改めて表情を引き
閉め、ルイズに向き直る。
「では、サモン・サーヴァントの詠唱から」
その言葉にルイズが頷き、サモン・サーヴァントの詠唱を始める。
そして、大爆発が起こった。
もうもうと立ち込める土煙。ばらばらと落ちてくる巻き上げられた土砂。恐怖で
騒ぎ立て暴れる召喚されたばかりの使い魔たちと、それを必死で静止する生徒達の
声で広場は大きな騒ぎになっていた。
しかし、それを制する立場であるはずのコルベールとその元凶であるルイズはじ
っとその爆心地へ目を凝らしていた。
二人は確かに見たのだ。爆発とともに何かが召喚されていたのを。
ごう、と強い風が吹き立ち込める土煙と降り注ぐ小石と砂の雨を舞い上げる。生
徒の一人、幼い風竜を使い魔とした小柄な少女だ。じっとルイズを見つめるその視
線に軽く礼代わりに頷きを返して爆心地へ目を戻すルイズ。
その先でわずかに、だがちょうど中心を漂っていた土煙が周囲の気流に乗って散
って行く。そこにあったのは
「え……?なに、あれ……あれは」
「……」
確かに使い魔が召喚されていたことを確認したものの、そこにある物が何である
のか理解できないルイズ。その隣でコルベールは無言で杖を握り締めた。
二人の、そして落ち着きを取り戻しつつある生徒たちのの前にあった物。
それは、一見すれば辺境の蛮族にも見えるそのみすぼらしい人間だった。
だがしかし、はっきりと人ではないことを示す異形でもあった。手足の先と腰し
か覆わない粗末な服、いや鎧というべきか、その下にある体。その右半身が、人間
ではないのだ。
ちょうど頭頂部から股間に向かってまっすぐに線が引かれたように体が分かれて
いる。蛮人の姿をした左半身、そして右半身は……
「あ、悪魔だー!!」
「ゼ、ゼロの魔法が成功した!悪魔を呼び出しやがった!!」
「悪魔なんてじ、実在するの!?」
悲鳴のような声が上がって周囲の生徒たちがざざっと離れだす。が、コルベール
が杖を掲げながら声を張り上げて恐慌状態に陥ろうとしている生徒たちを制する。
「落ち着きなさい!皆さんも一人前になろうかというメイジでしょうが!」
広場に響いたその声に生徒たちもわずかに自制を取り戻す。それを確認すると、
今度はルイズの方へコルベールは語りかける。
「さあミス・ヴァリエール、コントラクト・サーヴァントを」
「え……?でもミスタ・コルベール、あれは……」
改めて自分が召喚した使い魔の姿に戸惑いを覚えているルイズ。しかしコルベー
ルは首を振り、呼び出された「何か」への警戒は解かないままルイズの肩に左手を
乗せる。
「ミス・ヴァリエール。周りの生徒の言葉など気にしてはいけません。悪魔など実
在するかも分らない物を恐れるなど滑稽な事ですぞ。よしんば、あれが本当に悪魔
だとしてもあなたの召喚に応じたことは事実。主を害することはまずないでしょう
し、そうさせないためにも私がいるのです。さあ、あなたのサモン・サーヴァント
の成果ですぞ。自信を持ちなさい」
いつに無く饒舌なその言葉に、ルイズは朝から感じていた自信を取り戻す。そう
だ、私はサモン・サーヴァントを成功させたのだ。今日から私は変わるのだ!
「はいっ!行って来ます先生!」
力強く頷いて使い魔のそばに駆け寄るルイズ。見れば見るほど奇妙な、いや寧ろ
邪悪と呼んでいいほどの禍々しさである。特に異形の姿をした右半身は明らかに人
ではありえない色と質感の皮膚を持ち、ねじくれた角すら生えている。さらには
ぐぐぐ、といううなり声をもらし、不気味な臭気を放つ煙を体から立ち上らせてい
る。
一瞬その姿を直視して嫌そうな顔をするものの、これが初めての魔法の成果なの
だ。それに本当に悪魔なら見た目は悪くとも力については申し分ないと思っていい
かもしれない。実在するのなら、の話だが。
よし、と心を決めて仰向けでうなりをあげる使い魔のそばで片膝を付いて呪文を
唱え、口付けをする。と、程なく使い魔の左手に契約のルーンが描かれる。コント
ラクト・サーヴァントが無事成功したのだ。
「はい、成功です。よくできましたミス・ヴァリエール。今までの努力が報われた
ようでなによりですね」
異形の使い魔を警戒していたものの何事もなく契約が完了したことに安堵するコ
ルベール。そのねぎらいの言葉にルイズの心にゆっくりを歓喜が広がっていく。
やった、ようやくやった。魔法が成功した、これでもう私はゼロではないのだ。
そうして使い魔との契約を完了させた喜びをかみ締めていると、ぽんと肩を叩か
れる。
「ミス・ヴァリエール。その、あなたの使い魔ですが……ずいぶんと弱っていませ
んか?」
その言葉にあわててルイズは自分の使い魔の様子を確認する。不気味な臭いのす
る煙は収まっているものの、いまだにうなり声をあげる使い魔。もしかすると、う
なっているのではなくて苦しがってうめき声をあげているだけ?そう思ってもう一
度観察する。不気味な外見からそういう姿だと思っていたが、ところどころ体にあ
るのは鈍器で殴られた傷だろうか?そして、煙とともに漂っていた臭気で分らなか
ったが……血の臭い?
「こ、コルベール先生っ!確かに様子がおかしいです、もしかして……」
「落ち着きなさいミス・ヴァリエール。私はミス・ヴァリーエルの使い魔の様子が
おかしいので一緒に医務室へ連れて行きます!皆さんは次の授業に移動してくださ
い!……さあミス・ヴァリエール」
そう言ってコルベールはレビテーションで使い魔の体を浮かせ、自分を急かせる
ルイズを伴って医務室へと急いだ。
落ちてゆく。いや違う、消えていくのだ。
『彼』ははっきりと感じていた、己の消滅を。
滅びの賢者ホロビッツ、そして火の王を右腕に宿した竜眼のセプターゼネス。
彼と同じミゴールであり、黒のセプターでもあるフォマルハウトに率いられ火の
王のカードを手に入れるためにその二人に戦いを挑み……そして斃れた。
たった二人のセプターを倒すために彼らミゴールの戦士が何十と挑み、彼自身も
二人が呼び出すクリーチャーと切り結んだ。地と水の者をよく斃し、火と風の力で
は傷つかないミゴールの戦士たちは良く戦ったが、滅びの賢者の名を持つホロビッ
ツの力は強大で、そのホロビッツと並び立つセプターの弟子であるゼネスも驚異的
な力を持つセプターであった。百に届こうというほどいたミゴールの戦士が一人ま
た一人と斃され、背後から襲おうとした彼もまた、即座に振り向いたホロビッツの
拳の雨を受け天に舞い上げられたのだ。
そして今、己の体が消えてゆくのを感じていた。
まだ肉体的には戦える。頬骨が砕け、折れた肋骨が激痛を発し、右左肘は感覚が無
く、臓腑は拳の苦痛にのた打ち回っているが、それだけだ。
震える足に憎悪を込め、無事な左腕に全霊を注ぎ、霞む眼を渇望で開く。
しかし世界そのものから拒絶されるミゴールの肉体の消滅は止まらない。既に、
時間が来ていたのだ。彼らミゴールの終わりの時間が。
せめてもう一太刀、落下する肉体を矢として槍を構えるが意識ごと力が抜けてゆ
く。視界を白と黒が覆い敵の姿が消えてゆく。左手の力が完全に抜け落ち槍が手を
離れる。最期の一太刀、それすら与えられずに彼の体は大地へと吸い込まれ……
「……」
目の前に人間の顔があった。
殴る。
打撃音。
吹き飛ぶ人間。
悲鳴。
拳に確かに残る手ごたえを感じながら、そのミゴールは突然の覚醒の理由と今の
状況を把握しようと跳ね起きると身構えながら周囲を窺った。
支援ありがとうございましたと書き忘れてました。申し訳ない
言いにくいんだけど…誰に飲ませるかなんて考えてなかったり…
あと筆が妙に早いのはうっすらと練っていたプロットに従い
脊髄反射で書いているからです
デレ出しすぎると兄貴じゃないからその辺のさじ加減も難しいですね…
これからが難しくなってくる頃ですが、がんばります
跳ね起きる?ふと先ほどまで自分がいた場所を見ると、白い布を敷いた台がある。
(寝台……?俺は、ここに横たわっていたというのか、何故?)
そして前を見ると、人間の魔法使いらしきものが二人杖を構えながらこちらを警
戒している。一人は明らかに実践慣れしていないようだが、もう一方は明らかに戦
士の目をしている。小さな人間――彼が覚醒一番に殴り飛ばした人間だろう――を
庇う様に立ちながら彼に警告の声を発する。
「そこまでです!貴方が何者であるかは分りませんが、貴方は彼女の使い魔として
呼ばれ、傷の治療を受けておったのですぞ!その恩を仇で返すつもりですか!?」
魔法使いの言葉を反芻する。
助けた?人間が、ミゴールである自分を?カルドラ世界の敵であるミゴールを助
けただと?
カルドラ世界の全てから拒絶され、僅かに存在する創造神の力の及ばぬ地を離れ
ればすぐに世界から存在を削り取られるミゴールに、傷を癒し僅かな時を与えてや
っただと……?
ふつふつと彼の心に激しい感情が湧き上がってくる。敵である人間に情けをかけ
られ、あまつさえせめて戦士として討ち死にしようとした彼を無為に生き延びさせ、
世界から拒絶され消える様を見物しようというのか……!
「ふざけるなぁ!人間風情がミゴールの戦士を謀ろうなど愚かしいにも程がある!
元より長く生きられぬ命、貴様ら人間の、カルドラの僕の命を一つでも多く道連れ
に消えるまでよっ」
怒り、怒り、怒り。屈辱に激しい怒りが彼の中で燃え上がる。戦士の誇りを、ミ
ゴール族の命をかけた戦いを辱められた怒りが、全身を駆け巡り左手に集まり光を
放つ。ベッド脇にあった蜀台を槍のように構え、怒声を張り上げる。その裂帛の気
迫、そして何よりも剥き出しの殺意と憎悪を叩きつけられて、立ち上がりかけてい
たルイズは涙目になって腰を抜かし再び崩れ落ちる。
ペタリ。
ルイズの腰が床に落ちる音、それを合図にするかのように使い魔が動いた。
ダン、という音がしたと思った次の瞬間にはルイズから離れて杖を構えていた水
メイジの右手が杖ごと蜀台の槍で壁に縫い付けられていた。悲鳴を上げるまもなく
その下腹部に膝蹴りが叩き込まれ、悶絶する顔を角付き頭突きがさらに歪ませる。
自分の方へ襲ってくると思っていたコルベールが向き直ったときには、既に使い
魔は気絶した水メイジの顔を左手で掴み盾のように構えていた。
(いかん……完全に主導権を握られてしまった)
人質を取られた格好になってしまったコルベールはうかつに動けない。これでル
イズがいなければもう少しやりようがあるのだが、まだ子供のルイズは使い魔の気
に完全に飲まれて腰を抜かしている。それに、先ほど激しく顔を殴られた衝撃で足
元や手元がおぼつかない様だ。
お荷物を抱えた状態で人質まで取られている、ならばせめてミス・ヴァリエール
だけでも逃がとコルベールは考え部屋の中に視線を走らせながらにらみ合ってると
ぐいとコルベールのローブが引っ張られた。ルイズがコルベールのローブを手がか
りに震える足元を支えながら立ち上がっているのだ。
「……ミス・ヴァリーエル、非常事態です。立てるのなら走りなさい。私が盾にな
ります、何とか助けを……」
「そ、そこまでよアンタ!!えっと、ミゴールだっけ?
ご主人様に逆らうなんてと、とんでもない無礼者ね!」
空気を読まない絶叫が部屋に響いた。
この場合は空気を読まないというよりは勇気を振り絞った叫びと言うべきか、震
え崩れそうになる足をコルベールにしがみ付く腕の力で支えながら精一杯に使い魔
とルイズは向かい合う。
コルベールは焦って引き剥がそうとも思うが、そんな隙を目の前の使い魔が見逃
すはずも無いだろう。動けないコルベールをよそに、ルイズは武器を探して視線を
めぐらせる使い魔を睨み怒鳴りつける。
ぐあ、ごめんなさい、割り込んでしまったorz
支援いたします
「止まりなさい!せっかく召喚してやったのに怪我して出てくるわ、手当てをして
やってたらお礼どころか殴り飛ばすなんて出来が悪いにも程がある使い魔ね!
すぐ大人しくすれば少しは罰を軽くしてやるわ!!」
ミゴールはそんなルイズの言葉に一瞥を返しただけで武器を探すのに戻る。部屋
の奥、彼の後ろのテーブルの上にある小型のナイフを見つけ、それに右手を伸ばす。
「止まりなさいってば!あんたは私の使い魔なのよ、一生私に仕えなきゃいけない
んだから!!あんまり暴れると処刑よ、そんなの嫌でしょ!?」
キンキンと喚き続けるルイズ。その言葉に更なる怒りを掻き立てられたミゴール
はナイフを手に取ると怒りの叫びを上げた。
「まだ言うか、人間が!使い魔?一生仕える?笑わせるな!」
そう言ってナイフを握る右手をルイズの方へ突きつける。
「見るがよい我が肉体を!世界に拒絶されしミゴールの肉体を!!世界に存在する
だけで拒絶され、煙を上げて砕け灰と消える肉体を!」
憤怒と悲哀、ミゴールという種の絶望の篭った魂からの叫びだった。
が、
「煙?煙なら止まったわよ」
声に震えを残しながらもルイズが答えた。
「最初アンタを召喚したときは煙を上げて変なにおいがしてたけど、コントラクト・
サーヴァントが終わってルーンを刻んだら収まったわよ。第一アンタ丸一日寝込ん
でいたけど、体が壊れるなんて様子無かったわよ!」
精一杯虚勢を張って怒鳴るように言い返す。その言葉をミゴールは呆然と聞きな
がら消滅する様子の無い右手、そして自分の体を見つめていた。
肉体が、世界から拒絶されていない?そんな考えが一瞬浮かぶが、即座に否定す
る。確かに周囲の精霊力の敵意を感じる。この世界は自分という存在を、ミゴール
の存在を許していない。だが、何かが自分を守っている。いや、何かが自分に存在
を許しているのだ。
「な、これは……一体……?」
思わず左手の力を抜いてしまい、人質の体が開放され地面に叩きつけられる。だ
が使い魔はそれが眼に入っていないかのように呆然と自分の体を見つめている。召
喚した、一生の僕として……すなわち、存在し続けられるようにしたということか?
先ほど怒りに任せて暴れたときに光を放っていた左手、そこを見ると奇妙な文様が
刻まれている。これが、コントラクト・サーヴァントとやらの証、刻まれたルーン
なのだろうか?
「これは……これを、お前が私に刻んだのか……」
からり、と右手のナイフも取り落としながら呆然と呟く使い魔。突然敵意を失っ
た様子に戸惑いながらも、コルベールは警戒を解かないまま答える。
「そ、その通り!そのルーンこそコントラクト・サーヴァントの成功の証、あなた
がこのミス・ヴァリエールの使い魔となった証拠ですぞ!教師であり儀式の監督を
勤める私が証人です!」
「そうよ!立場が分ったのなら跪いて許しを請いなさい!!アンタは私の使い魔な
のよ!」
呆然としていた使い魔は、ゆっくりと顔を上げてルイズを見つめる。
緊張した顔で睨み返すルイズ。
呆然と見つめ続けるミゴール。
延々と見つめあい続ける二人。
動く機会を見出せないコルベール。
痺れを切らしそうになったコルベールが、一か八かルイズを突き飛ばして戦おう
か、そう思ったとき、突如ミゴールの涙腺が決壊し文字通り滝のような涙を流し
始めた。
「おお……おお…………おおおお!!なんという、なんという……!!
バルテアス神よ、この奇跡に、運命を感謝いたします!」
突然の豹変に呆然とするルイズとコルベール。ぼだぼだと涙を流すその姿にある
のは、歓喜。永い永い絶望と苦痛に苛まれていた囚人が、解き放たれた溢れんばかり
の大歓喜。
滝のように流れる涙を拭うこともせず、ミゴールはがくりと片膝を付き頭を垂れる。
「先の数々の非礼、我が命を百万遍滅しようとも購いきれる物でなないことは承知
しております我等が救世主よ」
「きゅ、救世主!?」
先ほどまでの不倶戴天の敵扱いから一転しての救世主呼ばわりにひっくり返った声
で返事を返すルイズ。おろおろと戸惑うルイズとコルベールだが、ミゴールは構わず
続ける。
「我等ミゴール族の救世主たる貴女様は、創造主たるバルテアス神が父ならば我等が
母神でございます。お望みとあらば我が胸を切り開き生き胆を奉げ忠誠の証と」
「いらないいらないいらないっ!!!」
物騒極まりないことを言い出すミゴールにルイズは悲鳴のような静止の声を上げた。
その後も非礼の罪を償うためと、自分の腕を切り落とそうとしたり舌を噛み切ろうと
るすミゴールをコルベールと2人がかりで必死で押さえつけ、罪への罰をどうするかは
後日決めるのでそれまで勝手に己に罰を与えることは許さないとルイズが命じるまで彼
の自傷未遂がやむ事はなかった。
ともあれ、こうしてルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは
メイジとしての第一歩を踏み出したのだった。
支援
ところでイルククゥかわいいよイルククゥ
以上で投下終了です。
カルドセプトからの召喚でいろいろ考えていたのですが、かねこしんや氏の漫画版でミゴールを書きたくなったので。
では。
GJ!
元ネタ知らないけど面白そうだ
カルドセプトか、明日の帰りにでもゲーム屋で探してみよう
乙です
>>716 凶箱のサーガはやめておけ、精神衛生上よろしくない
蒼の人
是非タバージルお願いします
乙です!
カルドセプトは気になるんだがどれからやればいいのかわからん
今度出るDS版からでもいいのかな
乙です
人頭杖片手にミゴール軍団を率いてベルカイルイズな展開に期待
そしてテファのスカートが鉄壁に
>>717 >>凶箱
状況もとうに様変わりしているご時世に、未だにそんな言葉を使う人がいるとは思わなかった
バージル ルイズだけにはデレてほしくなかった・・・orz
でもやっぱ面白い!次期待してます!
やっぱりワルドは消滅しましたねw
兄さん乙
兄さんより先にルイズがデレましたか
兄さん争奪戦はルイズが一歩リードした、かな?
「俺は一体あと何回殺されれば良い、教えてくれ、ゼロ……」
EWのヒイロっぽく呟くワルドを想像した。
犬死はさせないからもうちょっと待っててくれ;;
(某書き手より)
バージルの兄貴無双は読んでて気持ちがいい。
苦戦を知ることなく終わってほしいわ。
バージルの人乙。
色々あったが、最後の最後でタバサが全て持って行ってしまったw
嫉妬するタバサ可愛すぎるwwww
バージル+カルドの人乙
サーガは別に楽しめると思うけどな、ナジャラン可愛いよナジャラン
シルフィは韻龍だけど一応属性的には風扱いなのかな、その場合ミゴにダメージが行かないのか・・・
個人的にはサーガも好きですな。
クレイアイドルを2枚仕込んだブックでアリ無双楽しいです。
ギフト、マナ、ホープでひたすらブックを高速回転+女王様ポコポコ産卵……
あっという間にSTとHPが100超で武器防具装備可能の鬼クリーチャーですよ。
うたわれるものの人乙そしてGJ
ハクオロさんの中の人は相変わらず契約が大好きだな、戦乱を起す事が愛な歪んだ寂しがりやめw
ウルフウッドの人も乙&GJ
ウルフウッドとコルベールのコンビが熱い(性的な意味じゃないw)
ワルドとの決戦をwktkして待ってます
魔神シャザーンとかどうだろう。
他の英雄クラスの使い魔が霞む程に凄い使い魔だと思うが、小ネタ向きだな。
その気になれば全部の事件パッパラパーと解決w
てか、あの双子なんでシャザーン一々帰すんだろうか?
連れて歩きゃ、ピンチに陥る事も無いだろうに。
どうせ十分おきぐらいに呼び出すんだから。
かねこしんや先生が早く復帰できますように、と祈りつつGJ!
アンサモンでカードに還される途中のダゴンを召喚とかを考えてみたけど、俺には無理ぽ。
そういえばミゴールは火と風の攻撃は一切無効化してしまうんだな
こりゃ結構強力だぞ
基本パラも低くないし
そんなわけでカルドの人ぐっじょぶ
そういえば火と風無効化だっけ。となると水と土か。
両方攻撃には向かないし かなり有利だな。
でも風属性って水と合成して雷とか氷とか作って攻撃するスペルが多いような。
ぐあ、カルドセプト知らない。
…やってみるか。
かねこ版ミゴールは初期こそ「イー!」「イー!」言ってるような奴らだったのに
本格的に登場したらみんな種族のために討ち死にも辞さない悲壮な武人になってて
読者の度胆を抜き涙腺を破壊したという豪の者だからな
かっこよくなったのはいいんだが、
ショッカー戦闘員みたいだったお前達に何があったと思わざるをえない奴らだ
ゲームで言うと、ミゴールは
火と風属性無効化+水と土属性に強打(ダメージ1.5倍)ってやつだな
デコイ召喚してたらどうなっただろう
デコイ+グレムリンアムル=地上最強の組み合わせ
ランドプロテクトかけておいたらマジ神でも倒せない
サーガだと複属性のもいたが、土・風の奴にはダメ無効化しつつ強打発動だから、併せて使う方が危険
>>735 ちっとミゴール族について解説
かつて邪悪な神バルテアスが絶対創造神カルドラに挑んだ時創造した一族
「火と風を防ぎ土と水をよく撃つ」という特性のように
どれほど強力であっても火属性と風属性のクリーチャーの攻撃は通じず
土属性と水属性のクリーチャーに対しては攻撃力が1.5倍になる
世界の生命全ての天敵として創造された存在
唯一特殊能力があまり無い「無属性」だけがミゴールを倒せるのだ
しかし、世界全ての天敵ゆえ世界そのものから拒絶され、死しても地に帰れず
傷つき流れた血は地面に滴る前に掻き消えてしまう
故にミゴール達は「我等ノ子ノタメ」「子ノ子ノタメ」世界全てに戦いを挑むのだ
挑まねば吸い込む空気すら彼らには猛毒なのだから
>>741 ゲームだとスペル攻撃で倒せちゃうけどね
そしていい加減にsageに気付けと言ってみる
>>730 シャザーンは、本来、「シャザーン様、お助け下さい」と乞う少年少女たちを、「よし、助けてやろう」というスタンスのキャラだったのを、
日本向けに逆にアレンジしてるから…えらい人(?)のシャザーン様をそうそうつれまわすわけには
しかし、えらい割には、突然の呼び出しにも、しっかり付き合ってくれて、面倒見のいい魔神だよなぁ、ひごろよっぽど暇してたんだろうか?(w
シャザーン様はどう見てもノリノリだからな
>>730 シャザーンは「一回の呼び出しに付き一つの願いを叶える」魔神だった気がする。
「付いてきて」って言ったらただ付いてくるだけだとw
>>742 本来の設定とゲーム故のバランス調整を同一に考えると矛盾が発生してしまうのだ
科学的にはゲーム内の動作の方が正解だろ。
HDD漁ってたら書きかけで放置してた短編が二つ見つかった……。
気取ったところもあるけど可愛い少年と頬に傷のあるいかついおっさん、どっちが好み?
5レスぐらいで多かったほうをがんがって仕上げようと思う。
このスレでそんなこと聞いてもこの返事しか返ってこないと思うな
両方!
いかついおっさん×可愛い少年
間を取って頬に傷のあるかわいいおっさんでどうか
754 :
748:2008/09/01(月) 17:10:57 ID:ymCE5Ijn
纏めるとつまり両方デスね?
つーかショタは好きだけどホモは勘弁orz
オサーンの方を先になんとか仕上げますか……。
あれ? そういえば確かのヤツの定番ネタに可愛い……うむむ。
じゃあ俺は尻に傷のある可愛いおっさんで。
召喚したら面白そうなショタキャラいない?
>ショタ
おじいちゃんは少年探偵(ボソッ
エミール・フォン・ゼッレ
ユリアン・ミンツとか?
ユリアンはショタかどうかちょっと謎だけど
男塾の2号生筆頭?
>>758 隠の王の小悪魔とか、
壬「決闘だなんて……そんな恐ろしい魔法でボクを傷つけるつもりなの?(キラキラ)」
ギ「うっ……」
壬「本当に、ボクみたいな何の力もない平民をいたぶるつもりなの?(キラキラ)」
ギ「ぐっ……(良心が……ボクの良心が傷ついていく)」
ん?
これは決闘回避の新パターンか?
>>762 リストに何故にネギ・スプリングフィールドがいないんだ?
といっても、このスレに現時点の闇魔法体得状態呼んだ日にゃ阿鼻叫喚になりかねないからどうでもいいか。
呼ぶとしたら、武者○伝のワカとかどうだろうか?
>>757 リョウ師範もお尻に傷があるねぇ
最近見ないなぁ
小ネタ投下、良いッスか?
キャモーン
では……魔装機神 THE LORD OF ELEMENTALより、シュウ・シラカワ。
「ここは……」
突然の転移に、シュウ・シラカワは驚きを隠せない。
「チカ、空間座標算定を」
「はい!」
クチバシと足を器用に使い、コンソールを操作するファミリア。座標はそちらに任せ、シュウはカメラの目視で周囲を警戒する。
先程までシュウは、ラ・ギアスの空を飛んでいた。
金の鉱脈近くや、かつて高圧高温であった地殻付近でデモン・ゴーレムを作り出すと、金や宝石、或いはレアメタルを多く含んだデモン・ゴーレムが出来上がるので、普通に掘り出すよりも余程簡単に貴金属を採取可能となって非常に有用なのだ。
今日もその一環で近くの鉱脈跡へ向かっていたのだが、いきなり至近に鏡が現れ、回避する間もなくネオ・グランゾンはそこに突っ込んでしまったのだ。
「地平線……ここは地上ですか?」
そこでようやく、シュウはネオ・グランゾンの足下にいる人々が見えた。何やらその周りには地上でもラ・ギアスでもお目にかからないような珍妙な動物が沢山居たが。
「何です?ここは?」
いぶかしみながらも、外部の音声を入れる。
『……でゼロのルイズが!』
『こんなゴーレムを呼び出すなんて……!』
『でっけー!何メイルあるんだ!?』
『どう!これが私の実力よ!』
声を拾い聞きすると、どうも調度目の前に立っている少女が、自分を強制転移させた存在らしい。
「……座標算定はどうです?チカ」
「んー、もう少しかかりますねー」
一応状況を確認すべきか。大気の成分は……問題ない。
コクピットハッチを開放し、表へ出るシュウ。
自分の姿に、ざわざわと地上がどよめく。
「お初にお目にかかります。私の名前はシュウ・シラカワ。そしてこれは、私の愛機ネオ・グランゾンです」
優雅に一礼し自己紹介する。そのままネオ・グランゾンの掌に移り地上へ降りる。
「さて、お話を聞く限りどうやらあなたが私をここへ連れてきたようですが……どういうつもりなのか、聞かせて頂きますよ?返答次第ではタダではおきませんが」
と言いつつ、桃色の髪の少女に鋭い視線を向ける。その鋭さに一瞬腰が引けたが、必死に自尊心をかき集めて正対して見せた。
「……つまり、私はあなたに使い魔として呼び出されたという訳ですね?」
少女と、時たま補足説明をしてくる頭髪の薄い中年男性の説明を聞いたシュウは成る程、と首を縦に振った。
>>763 そもそも香水拾いもシエスタを庇ったりもしないんじゃ…。
「ええ、そうなるわ。本当なら、平民なんて願い下げだけど、仕方ないし。多分召喚されたのはあんたで、ゴーレムはおまけなんだろうし。まぁまぁ許せるくらいには美形だし……さ、契約をするんだから少しかがみなさい」
少しかがませて、何をしようと言うのかは判らないが、どちらにしろ自分には関わりのないことだ。
「お断りします」
きっぱりとシュウは言い放った。
「な、何ですって!?」
「私に命令を下して良いのは私だけなのです。そして何者も私を利用することは許しません。使い魔などもってのほかです」
手を胸に当て、見下すように言う。
まぁ、正直契約とやらを行っても、ヴォルクルスの支配すら逃れて見せた自分ならば、平気で使い魔としての支配からは逃れられそうだなとは思うが。
「平民のくせに!貴族に逆らう気!?」
「……その言い方、下品ですよ?」
蔑むような目を向けて言う。
「血筋でもって自身の正当性を主張するような感性は、改めた方が良いと思いますがね」
その一言に、今まで少女を嗤ってきた連中の目も、射殺さんばかりにシュウに向けられたが、それを嘲笑で受け流す。
「ともかく、私は使い魔には成りませんし、そもそも使い魔に向いても居ないと思いますから、別な使い魔を召喚する方が早いと思いますよ」
「そうもいかん」
と男が告げる。
「サモン・サーヴァントは神聖なものだ。やり直させる訳にはいかんよ」
「旧習、ということですか」
やれやれとため息をつく。
「どうか、彼女の使い魔に成ってやってくれんか……これが出来なければ、彼女は進級出来ないのだ」
コルベールの言葉に、ふかーくため息をついた。
「それでは、仕方有りませんね……」
顔だけ彼女の方に向ける。
「ふん、ようやくかんね……」
「進級は諦めて下さい」
「……は?」
くるりときびすを返し、ネオ・グランゾンの手に乗り、コクピットへ戻る。
なにやら騒いでいる少女は放置し、そのままネオ・グランゾンを上昇させていった。
「チカ、次元座標算定は?」
「はーい、出来てますよー」
「では、帰るとしましょうか」
ネオ・グランゾンの対消滅エンジンが低いうなりを上げると、ハルキゲニアの空からその姿はかき消えた。
「時空間座標固着終了――結界展開」
見慣れた、球の内側のラ・ギアス。元居た場所にたどり着くと、シュウはすぐさま先程まで居た世界を次元的に閉じこめた。
これであの世界は異世界と交流することは出来なくなったはずだ。結界の効力は精々200年といったところだが、少なくとも自分が生きている間は二度とあんな忌まわしい召喚の対象となることはないだろう。
「……ふっ。あの世界のみを次元的に孤立させるなど、私のネオ・グランゾンの力をもってすれば造作もありません」
似たようなことはガンエデンもやっている。
「しかし……ふむ……」
先程は自分の召喚された理由のばかばかしさに勢いに任せて戻ってきてしまったが、その事を除けばちょっと惜しかったか、と久しく知的好奇心を満たされていなかった心が疼いた。
(元の世界に帰るのが)造作もない使い魔・完
乙
いつかは誰かがやるとは思っていたがこの人でやっちゃうか。
投下乙
あっさりと、俺達では出来ない酷い事をするシュウに痺れる(ry
……まあこれで、神隠しに遭う人がいなくなるから良い事をしたといえるかもしれん(棒
投下乙
どこかの地球でご主人様に鞭打たれる未来が消えた犬が泣いています
ルイズ涙目w
しかしルイズが留年、もしくは退学になったら話の流れはどうなるんだろ
トリステインが侵略されて、タバサは毒飲まされて、最後はジョゼフと教皇の対決か?
乙したー。
……まあそうなるわな。
だが下手に契約を強行してうっかり成功した日には
ハルキゲニア滅亡のお知らせなので、これはこれで一番無難な結果と言えるのがなんとも。
そして恒例の誤字乙、俺orz
……ハルケギニアね。
乙ー。
あっさりしすぎだけど、これって虚無のメイジ全員が使い魔召喚不能で、教皇に至っては存在意義消滅の無能メイジってこと?ムゴいことを。
まだわかんないけど、
同一世界内からの召還なら出来るんじゃね?
ミョズニトニルンやヴィンダールヴとかは同一世界臭い。
しかしまあ、成功して当たり前のサモンサーヴァントが進級試験ってのもヌルイ学校だよなw
782 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 19:20:26 ID:j167Dzjm
>776
なんかそうなるとおっさん臭いお話になってしまうな
アンアンがエリザベス女王クラスに進化しない限り
メインキャラは教皇と狂王で、二人が暗殺だの代理戦争だの
をネチネチやってく仮想歴史陰謀戦記に…
レギュラーキャラにおにゃのこがいないと話暗くなるなあ
>781
そらま、ホグワーツやメルディアナと違って
「貴族の子女の為の学校」っつー側面も強いからね。
留年なんて不名誉なこと、そうそうさせられないんでしょ(苦笑
ミョズとヴィンは本編開始時既に召喚済
>>784 強いて言うならティファニア涙目の可能性が高いのか
そもそも使い魔を召喚する機会のないままひっそりと暮らすことになりそうだけどw>テファ
テファはすでに召喚して逃げられたんじゃなかった?
ティファニアは実はふたなり
そもそも使い魔召喚の儀だけが進級試験とは明記されてる訳でも無いんだが
しかし進級できても肩身が狭いんじゃないか?
本編よりも切羽詰った状態になってフーケのゴーレム相手に特攻して玉砕しかねない
そもそも再召喚ができないとも限らん
どう考えてもあいつは召喚事故だろうし
もう一度やればハルケギニア在住のMの方が呼ばれるだろう
>>791 召喚失敗してたら進級できないだろ
召喚成功だけで進級できるとは限らんだけで
進級試験の最後の試験が召喚の儀式の可能性が高い
M、とな?
「「「大変だ!ルイズがその辺に突っ立ってたマリコルヌを召喚したぞ!」」」
豚「犬とお呼びくださいマイマスター」
ルイズ「チェンジで」
コルベール「いや、そんなんないから」
>>795 ラブラブまでいくか分からんが結構相性いいかもなw
上手いことガンダ発動できればかっこいいマルコメが見れるわけか
>>771乙
聖地の『槍』がとんでもない事になってそうだ
これまでに召喚された分はそのままだろうし
>>781 中高大一貫の私立はマジなまぬるだぞw
外部と内部の差が酷すぎる
,.――――-、
ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、
| | (・)。(・)|
| |@_,.--、_,>
ヽヽ___ノ 6回召喚の儀をしたらヤクザが来たでござる
の巻
龍が如くから桐生さん召喚ですね、分かります
そういや遥は釘宮だったなw
シェンムーの藍帝様とか斗牛
友達召喚ですね。
ハットリくんじゃなくてバットリくんだったら相当なカオスになる事間違いないだろう…
ヤマグチノボル先生の来世にご期待下さい!
>>797 ヴォルクルスの分身とか混ざってるかもね。
>>792 うっかり道に迷ったマサキ・アンドーがサイバスター付きで召喚されました。
呂栄助左衛門召喚
>>809 なんでだろう?
マサキってだけですごく納得できてしまう。
>>809 使い魔(ファミリア)いるからメイジと勘違いされる気が。
サイバスター見てコッパゲは大喜びだろうが。つか何気にマサキって剣の達人だったな。
エーテルちゃぶ台返しは最強です
>>814 コルベールの技術レベルだと、
ルジャノール改とかのしょっぼいDランク魔装機ならともかく、魔装機神クラスだと理解すら出来ないような
実力も方も申し分ないしねぇ。
つーか余談だけどスパロボの連中の身体能力はバケモノクラスがごろごろいるし。
とくにとある天才科学者の娘なんかw
なんか逸話あったっけ?
ルネか?
>>818 スパロボの中の会話をそのまま転載
レーツェル「警備は……5人か」
リシュウ「ふむ。……レーツェル、援護を頼むぞ」
レーツェル「は?」
ジョナサン「せ、先生!?」
リシュウ「キエエェェェェェイ!!」
バイオロイド兵「!!」
リシュウ「イヤリャァァァァッ!!」
バイロイド兵「……!!」
リシュウ「ぬううん!!」
ジョナサン「た、弾を!?」
リシュウ「チェェストォォォォオ!!」
バイオロイド兵「!!」
リシュウ「ふうう……」
レーツェル「……」(援護する必要は……なかったかも知れんな)
フィリオ「す……凄い……。刀で弾丸を跳ね返すなんて……」
リシュウ「ふふ、ワシの見切りとゾル・オリハルコニウム製の仕込み杖をなめるでないわ」「それに、弾を跳ね返すぐらい、リューネの嬢ちゃんも朝飯前でやりおるわい」
ジョナサン「さ、さすがは示現流の達人……ゼンガー少佐達の師匠ですな」
サイバスターは永久機関やら未来予知コンピュータやらスパロボ世界でも理解不能なシロモノじゃないか。
まぁ、リューネは子供のころからスーパーロボットのパイロットになるために
育てられて今でもパワーリストを付けてる時代劇ヲタクという全身全霊間違った
キャラ造形だからな。それぐらいは。
その他有名どころとしてはキング・オブ・ハートとダイモスのパイロットに
サンドイッチで殴られてもかすり傷で済む記憶喪失の男とかな。
バキから克巳を召喚
でも克巳はもう・・・(´;ω;`)ブワッ
ども。
この前の投稿後地元県内のネカフェあちこち行きましたが全部公開PROXY規制で駄目でした。
つきましてはそれぞれの続きを携帯から隔週刻み(パケ代の事もあるので)に投下していこうと思います(メモ帳かメールの保存機能を使えばワード7枚分くらいにはなるので)。
次の投下がいつになるかは分かりませんが宜しくお願いします。
夢幻竜の方キターーー!
でも続きはまだ投下できないようですね(シクシク)
いつまでもお待ちしております!!
勿論、投下はスレ自体にあまりレスのつかない、なるべく深夜の丑三つ時か夜明け前の時間帯に行います。
投下を止めて早半年になりましたがなるべく御期待に沿えるよう尽力致します。
では、また。
>>825 ひょっとして薬物中毒のパイロットの作者さん……?
>>800 「俺は今日、大変な一日でなぁ…すこぶる機嫌が悪いんだ」
とか言いながら7万人相手に痛い事しそうな感じが。
手に何か持ってるあの人に近づいたら負けるし。
それがたとえ「塩」でも。
フーケ戦が大変かな、と思ったけどイベント前に落としちゃえばいい事に気付いた。
>>829 さあ?
私はいつもルイズ召喚系のスレにしょっちゅう出入りしてましたから、それはあなたのご想像にお任せ致します。
>>826 確かに死んでない
死んではいないが・・・
>>800 ギーシュがボコボコにされた挙句杖を顔面にブッ刺されるのを幻視した
835 :
MtL:2008/09/01(月) 23:03:10 ID:zxh6tJGZ
他に予約が居ないようでしたら11時20分から投下しますー
避難所の代理投稿依頼スレも規制食ってんの?
お待ちしてま〜す
838 :
MtL:2008/09/01(月) 23:17:33 ID:zxh6tJGZ
夢幻竜さんの話題に割り込んだ形で申し訳ありません。
そんなに長い文量でもないですが、投下しますー。
支援ー
840 :
MtL:2008/09/01(月) 23:20:41 ID:zxh6tJGZ
マジシャン ザ ルイズ 3章 (42)ザルファーの青
舞台は整い、役者は揃った。
災厄の次元渡行者、次元の花嫁、炎蛇、学舎の古老、聖約の白、女王の守り手、魔法博士、魔法大博士、複面の盗賊、情熱の赤、氷の姉妹、風の謳い手、教皇、黒威を駆る者、青炎の焼却者、青赤の賢竜、そして始祖。
過去の亡霊、未来の英雄、現代の迷い人。
可能性の海に落とされた、煌めくような意志と意志。
これで最高の役者が揃えられたのだろうか?
いや、これでは足りない。
今一人、最後の役者が未だ姿を見せていない。
それは……
シエスタの祖先が日系の魔法少女で魔法学院に生徒として通っていて使い魔召喚とかだめなんだろうか?
と言ってもハルケギニア式の魔法使えないなら召喚できんか…
日系なら巫女さん系で祓串を杖代わりにして欲しかったが
842 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 23:22:50 ID:Zvkkz+Yx
843 :
MtL:2008/09/01(月) 23:24:51 ID:zxh6tJGZ
名だたるプレインズウォーカー達の犠牲と献身によって、次元の裂け目は閉じられた。
大きな犠牲が払われたのは確かだが、かくしてドミニア崩壊の危機は回避されたのだ。
ここに大修復は完了
された、はずだった。
「……次元の歪みが、修復されていない?」
『久遠の闇』と呼ばれるプレインズウォーカー達に力を与えている原初の闇、始まりの海。ドミニアに無数に存在する世界と世界の狭間にある力に溢れた無の空間。
生きる者もいるはずのないその空間に今、一人の男が存在していた。
彼は黒一色しかないこの空間にあってただ一つ輝く、白い玉座のような形をした機械に腰掛けている。
年齢は二十代の中頃で肌の色は黒、白と青の立派なローブを身につけた魔術師風の姿をしていた。
何より特徴的なのは髪や髭が綺麗に剃られていることである。
彼の名はテフェリー。
かつてトレイリアのアカデミーに学び、天才児にして問題児と称された、時間と空間とを操ることを得意とするプレインズウォーカーである。。
もっとも、今の彼は正しくは『元プレインズウォーカー』というのが正しいのだが。
どういうこと? 修復は済んだはずじゃなかったの?
肘掛けに肘を乗せて頬杖をついていたテフェリーの思考を遮ったのは、彼の頭に直接語りかけてきた女性の声だった。
声の主は遠いドミナリアのアーボーグの地に居る、『ウルザの秘蔵っ子』『永遠のアーティフィクサー』『不老のギトゥ』等の異名を持つ、熟達の工匠ジョイラである。
「分からない……」
私たちの知らない裂け目があったということ……?
AR46世紀。
ウルザやナインタイタンズ、ドミナリアの人々が一丸となってファイレクシアの侵略を退けてから、300年後の未来。
ドミナリアはマナが失われ荒廃し、滅びかけた世界となっていた。
その原因はファイレクシア侵攻のもっと以前、スランの時代から続く数々の災害や事件によってドミナリアに与えら続けた負荷によって発生した次元の裂け目によるものであった。
次元の裂け目は、ドミナリアを荒廃させるだけに止まらず、多次元宇宙ドミニアに波及して時間や空間を超えて様々な影響を及ぼすに至った。
ミラディンではマナの核が不安定になり、ミラディンの太陽であった五つの宝珠が輝きを失い、神河では隠り世と現り世との帷が弱まったことで神の乱へと発展し、ラヴニカは多次元宇宙と切り離されたことで死者の魂が滞り幽霊街が生まれた。
そして裂け目がドミニアに与える影響が次第に大きくなり、ついにはドミニアそのものを破壊しかねない事態に陥っていると知ったテフェリー・ジョイラの二人は、スカイシュラウドのハーフエルフラーダ、アーボーグの工匠ヴェンセール、
そして多数のプレインズウォーカーや伝説的な魔術師らの助力を得て、裂け目の修復に奔走した。
結果として、プレインズウォーカー達の多大なる犠牲によってドミナリアの裂け目は修復され、ドミニアは救われた。
はずだった。
「修復が行われたことで、これまで気がつかなかった裂け目が活性化したのかもしれない」
場所はどこ?
「調べてみよう」
シヴの裂け目の修復のために己のプレインズウォーカーとしての力を失ったテフェリーは、今や並かそれ以下の魔術師でしかない。それでもこのプレインズウォーカーが次元の移動に利用する『久遠の闇』にいられるのは、彼が座っているテレポーターに依るところが大きい。
テフェリーはヴェンセールとギトゥの工匠達が作り上げたテレポーターのコンソールを、素早く叩いて操作した。
そうしてからテフェリーはドミナリアへと意識を向け、目を閉じてどこに裂け目があるのかを探ろうとした。
支 援
845 :
MtL:2008/09/01(月) 23:29:24 ID:zxh6tJGZ
数分ほども経ったろうか。
テフェリーの額には球のような汗がいくつも浮かび、きつく閉じられた目のために皺が刻まれていた。
どう、何か分かった?
「いいや……駄目だ。ドミナリアのどこにも、裂け目の存在は感じられない」
では、別の次元にあるということ?
「それも違う。確かにドミナリアに次元の裂け目は存在する。いや、むしろ我々が目を向けていない部分に裂け目があると考えた方良いかもしれない」
例えば海中や地中のような?
その言葉にテフェリーは、相手が見ていないにも関わらず首を左右に振った。
「いいや、視点を空間的・時間的に広げてみるんだ」
ドミナリアの歴史において起こったおもだった災害の中心に存在した裂け目は、既に修復が終えられている。ならばこれまで除外していた部分、裂け目によって引き起こされた変化に焦点を当てて探せばいい。
仮説に従いテフェリーが視点を変えて探すこと数分。
今度は先ほどよりも短い時間で彼は結論を出した。
「ドミナリアと重なっている、別の次元。そこに大きな裂け目が三つある」
別の次元?
「そう。今まで私も気がつかなかった。だが確かにそこにそれはある」
それは他のプレインズウォーカーであっても気がつかないような、些細な綻びからの推測であった。
でもそれが分かってどうするの? もうあなたはプレインズウォーカーではないわ。次元は渡れない
そう、彼はもうプレインズウォーカーではないのだ。
以前は息を吸うように行えた空間跳躍も、今ではヴェンセールが作ったこのマシーンの補助を受けてでしか行えない。
しかし、それでも彼は、空間と時間の達人であった。
「フェイジングだ」
フェイジング?
フェイジング、それはテフェリーが得意とする空間に干渉する転移の魔法。
対象物の相位をずらし、一時的に別次元であるフェイズ空間へと押しやる、テフェリーが最も得意とする呪文である。
「問題となっている次元は、ドミナリアの裏にある。そこに移動するだけなら、プレインズウォーカーの力が無くとも十分可能だ」
どうやって
「簡単さ。フェイジングした後に、更にフェイジングを行うのだよ」
! テフェリー! あなた、それは……!
フェイズ・インして別次元へ送られたものを、フェイズ・アウトさせずに更にフェイズ・インする。そうするとそれはテフェリーも知らないどこか別の次元、未知の領域へと放逐されてしまう。そのことを、ジョイラは知っていた。
待って! それは非常に危険よ!
「いいや、待てないね。こうしている間にも裂け目の影響はドミニアへと広がっている」
だからってあなた一人が行くことはないわ、私も一緒に行くわ
「だから駄目なのさ。どうなるか分からない計画に、君を巻き込むわけにはいかない」
テフェリー!
「少しの間さようならだ、ジョイラ。もしも、私が帰ってこなかったら、別の方法で裂け目を閉ざす方法を考えて欲しい」
テフェリーはそう言って強引にジョイラとのテレパシーの回線を切断すると、計画実行の準備を始めた。
大きく息を吸い込んでドミナリアを思い浮かべる。
青い海、豊かな森、草木が芽吹く平地、溢れ出る力を秘めた山、腐る沼地。
その中でも特に海にザルファーの海を強く思い浮かべて、テフェリーは注意深く青のマナを集めた。
そして、十分に魔力が集まったことを確認すると呪文を唱え、彼は自分自身を転移させたのだった。
かくて役者は出揃った。
ハルケギニアを、ドミナリアを、ドミニアを巻き込んだ争いの終幕が開かれる。
ウルザの後継者? そんな大それたものじゃない。
――ザルファーの魔道士テフェリー
846 :
MtL:2008/09/01(月) 23:32:51 ID:zxh6tJGZ
>>843に「。。」になってる場所がっ!
ということで投下終了です。
彼で新たに出てくる登場人物は最後です。
彼の登場はしばらく先になりますが、いらない子と言わないであげて下さい。
ではー。
投下乙でした。
乙です
乙でしたー
皆様お久しぶりです。セラエノの大図書館から戻ってきました。
なんというか色々あったわけですがなんとか無事です。
そんな訳で
覚悟完了、当方に投下の用意あり!
では諸君、支援の時間だ!
ソイツは地中を泳いでいた。
気づけばそこにいて、気づけばそこを泳いでいて。土を噛み砕き、土を吐き出し、身体を
くねらせ蠢かせ、泳ぎ続ける。
何の目的も与えられず、ただ産み落とされただけのソイツは自分の上で無遠慮に騒ぐ音に
人で言う「不快」に近いものを感じていた。
いっそ喰ってしまおうかとソイツなりの思考で考えたが、この騒がしい音は生まれたばかりの
身にはひどく堪えることを理解していた。
だからソイツは地中を泳いでそこから離れようとした。
――だが、ソイツは見つけてしまった
ソイツにとって居心地の良さそうな『殻』、ソレがいることに気づいてしまった。
そのままでも充分に過ごす事は出来るが、その中にいれば今よりもっと気持ち良く過ごせる。
騒がしい音も気にならない、腹が減った時にソレを使って捕食も出来る。
生れ落ちたばかりなのに、ソイツは自分のすべきことを理解していた。
本能の部分で感じ取り、ソイツは地中を泳いだ。
自分の上を踏み鳴らす音に混じって聞こえるそれの匂いと音。ドクドクと鳴っている心臓の音
で自分の『殻』の場所へと一直線と泳いでいる。
ああ、いる。いるぞ、そこにいる。
ソイツは歓喜する。
ソイツは狂喜する。
人とは全く異なる思考体系でソイツはその『殻』を欲し、追いかける。
大地を突き破り、土壁を駆けた。
匂いが段々と近づき、濃くなり、心音がより鮮明になる。
そしてソイツは見つけた。
その『殻』をソイツは人とは違う視覚を以て認知した。
それは、桃色の髪の少女で……
****
「おい姉ちゃん! 酒をこっちにもよこしてくんな!」
「は……はい、かしこまりました」
赤ら顔の男に声をかけられ、酒瓶を持った一人の少女が振向いた。
その少女を一目見て、その男はうっ、と息を呑んだ。
若草色のワンピースに身を包み、背に蒼銀髪の三つ編みを垂らしたその少女、唇にひかれた
朱は美しい顔を際立たせているが、儚げな眼差しはこの店にいるどの少女よりも暗いもの。
なのに、美しさはまったく失われない。
いや、むしろその憂いを帯びた瞳が、彼女の美しさをより一層際立たせていたのだ。
他の妖精たちが太陽ならば、この少女は月だ。儚く、おぼろげに輝くあの双月。
赤ら顔の男は一瞬で佇まいを直した。
「ご、ご所望の一杯は、こちらでよろしかったでしょうか?」
「おおお、お……おう!」
「かしこ、まりました……」
少女の諸手で包まれたボトルから注がれるワイン。しかし瓶の口が震え、注がれるはずの
ワインがテーブルへと零れる。
「あっ!」
それにしまったという顔をする少女だが、男は気にするなと言うに留まった。
それならばと注ぎ直す少女、男はそんなワインを注ぐ彼女の横顔に見惚れていた。
整った顔に長い睫毛、朱をひかれた唇は柔らかく、見ている者を魅了せずにはいられない。
もし女神がいるのならば、きっと彼女のような女に違いない、男は思った。
「お注ぎさせていただきました」
「おう……」
静かに一礼し、戻ろうとする少女。
「待て」
「はい?」
「これ、少ないけどチップだ」
男は少女の手に持てるだけの金貨を持たせた。その時、その少女の手がやたらごついような気が
したがすぐに考えるのを止めた。
「あ……ありがとう、ございます」
憂いを帯びた不器用な微笑みに心奪われてしまったから。
>>850 なんという嫁スレへの誤爆・・・(・∀・)ニヤニヤ
「すっごいじゃないクザク!」
ようやく厨房に帰還した九朔を待っていたのはこの店の人気筆頭のジェシカだった。
「何がだ……」
「何がって、初めてでいきなり金貨をあんだけ持ってくるクザクがよ!」
「そうか……」
そこでようやく手の中に溢れかえった金貨に気づいた。
だが、今の九朔にはまったく感じるところはなかった、受けた傷が余りにも深くて。
「でもさ、その格好はやっぱり正解だね。本当の女の子みたいでカワイイ!」
「ぐぅっ!」
そして傷はより深く抉られた。
男なのに、騎士なのに、この格好、今の自分の姿のおぞましさに全身から力が抜ける。
「我が……なんでこんな目に……!」
崩れ落ちるクザクの脳裏に先ほどのおぞましい記憶が呼び起こされる。
無銭飲食の肩代わりに何をさせられるかと思えば連れ込まれ、妖精と呼ばれた女の子達に
身包み剥がれパンツ一枚にされて、気づいたら彼女たちにメイクアップまでバッチリに
女装をさせられていた。これがトラウマにならずして何がトラウマか。
「きゃー、クザクさんカワイイです!」
「私、女だけど……君、カワイイと思う」
「悔しい……でもカワイイっ!」
「ああぁ、クザクちゃんてばほんっとにトレビアアアアアアン!」
くずれ落ちた九朔の周りから容赦なくかけられる妖精たちと名状し難きアレの声が更に自身を
痛めつける。
仕事はどうしたと言いたい所だが、今の九朔にそこまで考える余裕はない。
「くそぅ……羨ましい、羨ましいぞクザク! 変われ、むしろ僕と変わってくれ!」
ワルキューレと一緒に必死で皿を洗うギーシュの叫びも今の九朔には届かない。
もっとも、皿の催促が来るたびに女の子の谷間を覗いてテンションをあげるギーシュは幸せで
あったと言える。モンモランシーが見たら惨殺モノ間違いなしだったが。
「ほら、崩れ落ちるのは良いけどさ。とっとと仕事戻る!」
そして、今の九朔には崩れ落ちる暇すらない。
「無銭飲食した分はキッチリ働いて返さなきゃね、クザクちゃん?」
虚ろな目で見上げたジェシカの微笑みは天使のようなアクマの笑顔だった。
約1時間後、更に九朔はやつれた顔で厨房の作業机に突っ伏していた。
もはや性も根も尽き果てたといった体である。
ある程度周りを見ていたから分かっていたものの、尻を触られるわ腰を抱き寄せられるわ
キスをせがまれるわ、挙句の果てにはスカート越しに尻のあ……いや、これは止めておこう。
正直アレは思い出してはいけない、思い出したら別の意味で永遠の狂気に囚われかねない。
とにかく、疲れた。
「死ぬ……死ぬる……誰か……」
皿を洗う手を止めることなくぶつぶつと呟くギーシュを横目に重い溜息をつく。
このまま意識を手放してしまおうか、そう思う九朔。
が、
「いやー、クザクってば最高! 私マジ惚れそうだよ!」
厨房に飛び込んでくるなり抱きついてきたジェシカにそれは断念する事になる。
「ほんっと、もうっ、最高! クザクのおかげで今日の売り上げが現時点で前日比の倍だよ、倍!
アンタ目当てでお客が次から次へと来てるんだってばぁ!」
水桃のような柔らかくたわわに実った二つの果実を九朔に押し付けて黄色い声を上げるジェシカ。
が、当の本人といえば完全に無反応であった。
健康な男子であればそれだけでエレクチオンするか気力限界突破ではあるが、今現在の
九朔には何の効果もなかった。
当然だ、男としての尊厳も何もかも奪われ疲労困憊の身では無理難題な話なのだ。
だが、さすがにこのままの状況は余りよろしくない状況を招きかねない。
昨日から続く女難の連続を考えると、この二つの果実の重みはそれの前触れと思える。
「ジェシカ、すまんがもうそろそろ我から離れて――」
言いかけた、その時だった。
――ザザッ
それは、ノイズだった。
「ぐぅっ……!」
眼の前が暗転し、机から崩れ落ち、膝をつく。
酷い頭痛、あまりの激痛に、耐え切れず顔面を手で抑える。
指の隙間から見える風景、暗闇だったはずのそこがまるでテレビジョンのチャンネルを
幾つも切り替えるように変わっていく。
見たことのある場所、見たことのない場所、人が認識できる領域、人が認識してはいけない領域。
あらゆるモノが切り替わり映り変わる。
遠くで誰かが呼びかける声が聞こえる。だが、遠すぎて誰か分からない。
「っ……!」
また、視界にノイズが走る。
――視覚範囲、チューニング
思考拡散、範囲指定。
単世界範囲への視覚拡散開始、対象捜索、対象発見。
対象固定→第192542182167世界への接続ポート展開
――■術体系不一致
術式の強制コンバート開始――■ク■■ミコン破損。
■ク■■ミコン閲覧不可、コンバート不可。
術式検索不可。
断章使用不可。
復元作業開始。
・
・
・
復元進行率、0.0000000000000001%
ルーンの強制使用………………視覚共有開始
ノイズの後に映ったのはここではない何処か、誰かの視界。
両脇には建築物、狭い路地。
そこがトリステインであり、今見ているのがルイズの視界だと理解できた。
ルイズから掻い摘んで聞いていた使い魔との視覚の共有、それが今起きているのだ。
そして今、自分がルイズの視覚を共有しているのならば。
「これは……!」
ルイズは見上げていた、狭い路地から降り注ぐ太陽を覆い隠すそれを。
屍蝋色の、蠢くそれを。
口腔内をびっしりと埋め尽くした牙を汚れた粘液でまみれさせているそれを。
それは蛆、だが、蛆とは異なる、異形。
それが、ルイズを、見ている。
「くっ!」
ノイズ――暗転する視界、世界が再び自分の見る世界を映した。
「……ザクッ! あんた大丈夫なの!?」
戻った視界にジェシカの声と、不安げな瞳で自分を覗き込む彼女の顔が見えた。
「行かねば……」
「え?」
きょとんとした表情をしたジェシカをよそに立ち上がり、九朔は空間のある一点を見た。
それは、そこにある風景とは別のもう一つの風景。
視界の共有が招いたとでも言うのか、あの異形の発する力の流れが目に視える形として
見えていた。それを辿ればルイズのところへ駆けつけることが出来る。
つまり、ルイズの元へと至る『道』。
「ジェシカ」
「な、なに?」
ジェシカへと九朔は視線を向ける。
その瞳はただの少年のものではない、それは未だ失われた彼本来の在るべき意味を宿すもの。
「済まぬが少しここを離れる。少々やる事ができた」
「やる事って……あ、ちょっと!?」
「すぐ帰る!」
ジェシカの返答を待たずに九朔は店を飛び出した。その姿を追って店の外に出るジェシカ
だったが、既に九朔の姿を見つけることは出来なかった。
「ああ……もうっ! まだ食べた分働いてないんだから! とっとと帰ってきてよね!」
届いてるかも分からない九朔に向かい、ジェシカは大声を張り上げた。
紅朔来い支援
投下完了
作者はあまりの恥ずかしさのためンガイの森に旅立ってきます
乙です
》854
嫁スレってなに?
00:20から小ネタの投下良いですか?
そういうのは触れないお約束
さあ来い!
あっ…… 良い忘れてた。
サガ・フロンティアからの召喚になります。
支援!
あとすごく遅レスになるが>520がクリアしたのはノーマルENDだったんじゃないかと今更に。
なんで主人公はテレビ関係なくペルソナに目覚めたの? と マヨナカテレビって結局何? ってのは隠しボス倒すといける真ENDで仄めかされているけども……
双剣乙
クザク生きろww
そしてサガ支援
よっしゃ、投下開始。
昔書いた奴の手直しなんで、あんまり期待しないでね。
夜。トリステイン魔法学院の女子寮の一室にルイズはベッドの縁に腰掛けていた。
窓は開け放たれ、柔らかい月光が差し込んでいる。
心地よい夜風が頬を撫で、風にそよぐ草木のざわめきが耳に心地よい。
ルイズはおもむろに立ち上がり、何時までも自分を無視する男に指を突き付けて、声高らかに宣言した。
「私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。貴方のご主人様よ!」
「フウッ、それは、何度も、聞いた。フウッ」
「じゃあ、キチンと返事しなさいよ!」
漸く返事をした使い魔にルイズは激昂する。
そんなルイズの前で影が揺らめいている。部屋を照らすランプは魔法の道具であり、光が揺らぐことはあり得ない。
影が揺らいでいる原因は、ルイズを怒らせた使い魔が規則正しく立ったりしゃがんだりを繰り返しているからであった。
男は白を基調とした修行衣のようなものに身を包み、腰には短刀を刷いている。顔立ちは整っており、引き締まった腕には魔術的な刺青が彫られているのが見える。
奇妙なことにこの男は、召喚されてから一時も休まずに、何らかの筋力トレーニングを行っているのであった。
「それで、どこまで話したっけ?」
「ここが、フウッ、未開の、リージョンであり、私が君の、フウッ、使い魔に、なることを、フウッ、承諾した、ところまでだ。
フウッ、外界と、接するのも、悪くない。それにまた、あの時の様な、フウッ、昂ぶりが、得られる、フウッ、かも知れん。」
「そう。でもアンタなんでずっと筋トレしてんのよ。なんか意味あんの?」
「フッ、酔狂な。フウッ、よかろう、教えよう。私は、フウッ、努力が、好きなのだ。
フウッ、時が、流れている、以上、フウッ、努力、努力するのだ。
フウッ、一瞬、たりとも、フウッ、無駄には、しないのだ」
そう言って、次は腕立て伏せを始める。
額には汗が滲んでいるが、気にした様子もない。
その様子にルイズは頭痛を覚えるが、深く追求することはせず話を続ける。
「こほん。そ、それで、使い魔としての心得なんだけどいい?
使い魔の役割として、主人と五感を共有する事が出来るんだけど……
無理な様ね。何も見えないもん」
時の君は、筋トレをこなしながらも一応は聞いているようで、無言で先を促す仕草をする。
その態度にルイズは怒りを覚えたが、熱くなってはいけないと自らに言い聞かせる。
相手のペースに乗って舐められては成らない、私が上でコイツが下だという事を判らせなくては為らせねば。
ルイズは、怒りを精神力で押さえ付けて話を続ける。
「げ、原因の究明は後でする事にして、次にいくわよ。
主人の望むもの、希少な鉱石や秘薬の材料を集めてくる事だけど、出来る?」
「この、リージョンの、フウッ、地理や植生は、知らないので、フウッ、無理だ」
「えっと、じゃあこれが一番大切な事なんだけど……。
使い魔は主人を守る存在なのよ。 その能力で、外敵から主人を守るのが一番の役割なの!
あんた、トレーニングばっかりやってるんだったらそれなりに強いんでしょう?
何が出来るの? 言ってみて」
その問いに、時の君はトレーニングを中断する。
「並のモンスターなら敵ではない。
あと、野球も得意だ。草野球の助っ人も出来るぞ」
そう言って、どこからか取り出した1メイル程の細身の棍棒で、素振りを始める。
狭くはない室内だが、棍棒を振り回して大丈夫なわけがない。
素振りをする度に調度品を掠り、小さな傷をつけている。
程無くして素振りを終える。そして、どうだと言わんばかりにルイズを見つめている。
ルイズは何かに耐えるように、小刻みに震えながら質問を発する。
「そ、その野球って言うのは何なの?」
「野球を知らないのか? スポーツの一種だ、今度教えてやろう。きっと気に入ると思う」
何の頓着もない様子に、ルイズの疲労はピークに達した。つまり、どうでも良くなった。
良くない事だとは思うが、問題を明日に持ち越すことに決め、ルイズはフラフラとした様子で立ち上がる。
「い、色んな事があり過ぎて、眠くなっちゃったわね……」
そう言ってルイズは……
・
・
・
【タイムリープ】
時を吹っ飛ばす。
「『タイムリープ』この術は、相手を時間の流れから切り離し……
そして対象は、この時間の中で動いた足跡を覚えていないッ!」
「空の雲は、ちぎれ飛んだ事に気づかず!……」
「消えた炎は、消えた瞬間を炎自身さえ認識しない!」
「結果だけだ!! この世には結果だけが残る!!」
「未来という目の前に……ポッカリ開いた落とし穴を見つけ、それに落ちる事がなければ、人生は決して沈む事がない。絶頂のままでいられる、私は……!
この世界で、絶頂を極めるのはこの私だー―っ!」
・
・
・
「で、犯行の現場を見ていたのは誰かね?」
「この3人です」
高価な調度品で飾られた室内に声が響く。
先に尋ねた声の主は、この学院で院長を務めるオールド・オスマンであり、それに答えたのは頭髪が寂しい中年男性教師コルベールである。
時はまだ早朝であり、外の景色は白んでいる。
「えっ、えっ??」
我等のご主人様ことルイズ・(中略)ールはキョロキョロ周りを見回す。
その様子に、隣に居た褐色の肌と癖のある赤毛を持つ、ロングヘアーの少女‐キュルケ‐は呆れる。
もう一人の、ルイズより更に小柄で短い青髪の眼鏡少女‐タバサ‐には、表情の変化は見られない。
時の君は、廊下でスクワットをしているので部屋には居ない。
そんなルイズの様子は無視して、コルベールは説明するように促す。
870 :
sage:2008/09/02(火) 00:23:55 ID:khWSXqlh
トキのクン支援
「なにきょどってんのよヴァリエール? 早く説明しなさい」
それを聞いてキュルケは、なぜか呆然としているルイズに、説明するようせっつかせる。
ルイズは、「何で私が……」と小声でブツブツ言っていたが、昨夜の出来事をゆっくりと思い出すに連れ、落ち着いてきたようだった。
落ち着いて昨日の夜の出来事を反芻しながら、説明を始める。
要約すると、巨大な30メイルはあるゴーレムが突然現れ宝物庫の壁を破壊した。
黒いローブを着たメイジが宝物庫に侵入し、『黄金の杖』を奪い逃走。
ルイズら3人は、あとを追いかけたが見失ってしまった。と、いう事だった。
その証言と現場に残された犯行声明より、ホシは『土くれ』のフーケと特定されたが、話し合いはそれ以上は進まず、教師らの責任の擦り合いが始まった。
そんな状況も、オールド・オスマンの秘書ロングビルのもたらした情報により、進展することとなる。
「フーケは学院から徒歩で半日、馬で4時間かかる、人が立ち入らないような森の廃屋に潜んでいます」
・
・
・
【カオスストリーム】
やあ(´・ω・`)
ようこそ、時間妖魔のリージョンへ。
この術酒はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔も三度までって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このキーワードを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ひらめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、この術を作ったんだ。
じゃあ、注文を聞こうか。
・
・
・
「とうとう、この時が来たのね……」
ルイズは、レコン・キスタとの決戦を前に、今までの出来事に思いを馳せる。
初めは小さな切っ掛けだった。
土くれのフーケの捜索に名乗りを上げたのが始まりだった。いや、そもそもの始まりは『黄金の杖』が、この世界に持ち込まれたときからかも知れない。
そして、時の君が『黄金の杖』の正体を明かさなければ、こんな未来には為らなかっただろう。そうルイズは確信している。
ルイズは空を見上げる。空は蒼く透き通り、雲はゆっくりと西へ流れている、降り注ぐ陽光に緑は萌えて、風が土と太陽の匂いを運んでいる。
その光景は、此れから起こる国の存亡を掛けた戦いなど、忘れそうなほどに美しい。
この戦いは、どちらが勝ったとしても。新たな歴史の一節として大きく名を残す事だろう。
ルイズは思う。この日の為に出来得る事は総てした。仲間たちもきっとそう思っている筈だ。
それを無にしない為にも、この戦いは何が何でも負ける事など出来はしない。
ルイズは胸元で、強く握り拳を固める。
「なー、なー、嬢ちゃん。そんなに力んでちゃ、出来ることも出来ないぜ?」
ルイズの心中を察したかのように、忠告する声が響いた。
ルイズは手に持ったデルフリンガーに目を落とす。
『これ』は口は悪いが言っている事は正しい。
が、何時も余計な事ばかり言っているくせに生意気だ。そう思い、ルイズは憎まれ口を叩く。
「そうね、たまにはいい事言うじゃない」
「『偶には』は、余計だぁよ。俺は何時だって良い事言ってんよ」
「ふふっ、それもそうかもね」
ルイズはデルフリンガーに微笑みかける。それは、肩の力が適度に抜けた自然な笑顔であった。
2人は今まで幾つもの修羅場を共に乗り越え、気心の知れた相棒同士である。
そうして、ルイズが覚悟を決めたのを待っていたかのように、敵がその姿を現した。
敵は皆同じ服装に身を包んでいる。
その中には当然、レコン・キスタを率いるオリヴァー・クロムウェルの姿がある。
ルイズは、クロムウェルではなく其の隣の人物に険しい目を向ける。
ルイズが睨みつける先には、髭で長髪の男が居た。ルイズの婚約者でもあり、トリステインを裏切ったジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドである。
2人の視線が一瞬交錯する。それだけで、2人はお互いが敵であるという事を再確認した。
そして、レコン・キスタの精鋭達がウォーミングアップを始めるのを見て、ルイズも仲間達の元へと歩いて行った。
トリステインの精鋭達とレコン・キスタの精鋭達が正面を向きあって整列している。
両国の精鋭達はそれぞれ25人づつ、計50人の強者共が静かに闘志を燃やし、時が来るのを待っている。
クロムウェルとアンリエッタが読み上げられる試合規定と条約文に調印を行い、ウェールズが選手宣誓を行う。
試合前の一連の儀式を終えてから、主審を務めるマザリーニ枢機卿による試合開始の宣言がなされた。
「プレイボーール!!」
・
・
・
かくして、ハルケギニアの野球の歴史は始まった。
この試合において、トリステインは見事レコン・キスタ打倒した。
その後も、ロマリア、ガリアを相手に連勝を重ね、ついにはエルフと聖地シリーズで戦う。
聖地の解放を経て、エルフと人間は和解の道を少しづつ歩んで行くのであった。
当時の戦いを詳しく知る資料はないが、ゼロ(ノーヒットノーラン)の二つ名を持つ虚無の担い手が居たと伝えられている。
その虚無の担い手は、インテリジェンスバットを携え相手の魔球を打ち取り、虚無の魔法を駆使して打者を翻弄したのだという。
その虚無の担い手の名は知られておらず、ミス・ゼロの名前だけが後世に伝わるのみである。
◆◇◆
野球は血の流れない代理戦争として生まれたが、世界情勢が安定してくるにつれ、徐々に野球は市井に浸透していった。
王政が廃され、メイジ=貴族ではなくなった今では、代理戦争の手段としては用いられなくなり、娯楽の一環として多くの人々に愛好されている。
ここ旧トリステイン王国では、誰でも一度は野球をした事があり、好きなスポーツのダントツ1位は野球である。
その熱の入れ様は、女子リーグが結成されるほどである。
旧トリステイン王国の首都トリスタニアのブルドンネ街を、少女と中年男が肩を並べて歩いていた。
町並みは数百年前の面影を殆ど残してはいない。幅が5メイル程しかなかった通りが、倍以上の広さに成り、街ゆく人々の格好も全く違う。
そんな街中を、少女はピンクブロンドの髪を揺らしてズンズンと大股で歩いて行く。その少し後ろを、もう初夏だというのに黒いコートを纏った金髪の中年が人を食った笑顔を浮かべてついていっている。
「それでどこに行くのだ?」
「昨日の試合でアンタの実力は見せてもらったし、あの高慢ちきなグラモンを打ち取ったご褒美に、道具を一式揃えてあげる。」
「別に、学院の部室にある道具を貸してもらえれば、十分なのだがねぇ」
「だめよ、そんなの!
いいこと? 自分に合った道具を使うのが一番良いのよ」
「それで目的の店はまだかね?」
「もうすぐよ。少しは待ちなさいって」
大通りから外れて裏通りに入る。あまり日に当たっていない場所なのでジメジメしているのだが、悪臭などは無い。
暫く2人が路地裏を進むと、四つ辻に出た。
「あそこが目的地よ」
少女が指し示すのは、ショーウィンドウに様々な道具が展示されているスポーツ用品店であった。
「ココは隠れた名店よ。そんじょそこらの店より良い物を扱っていて、よく私も利用するの」
「ほう。それは楽しみだ」
男は顎を撫でながらニヤリと笑う。
2人が入店するとドアに仕掛けられた鐘が鳴り、カウンターで煙草をふかしていた店主が顔を上げる。
店主は少女の姿に気が付くと、営業スマイルを顔に浮かべて声を掛けてきた。
「これは、これは。ヴァリエールのお嬢さん、今日はどういった御用向きで?」
「こいつに合ったグローブとバットを見繕ってくれない? あと、スパイクもね」
「承知しました。それでは失礼して……」
店主は煙草を灰皿に押し付けてから、中年男に近寄って無遠慮に身体つきを調べる。
男は体を弄られて顔を顰めるが、特に文句は言わずに測り終えるのを待つ。
一通り調べ終えると、店主は暫く待っていてくれと言い残し、店の奥へと消えていった。
「少し店の中を見て回ってもいいかね?」
「手短に済ませなさいよ?」
一応の断りを入れてから、男は店を見て回る。
そして、古びたバットを手にした時に異変は起きた。
「んんー!? からかってやろうと思ってたが、てめ『使い手』か。いいぜ俺を買いな」
「ほう? 喋るバットか」
「もしかしてコレ、インテリジェンスバット?」
行き成りの出来事に2人は驚きの声を上げる。その騒ぎに店主も気が付き奥から姿を現す。
「やいデル公! お得意様にちょっかい掛けんじゃねえ!」
「お前、デル公というのか?」
「ちっげーよ! 俺っちの名前はデルフリンガー様だ! よく覚えときな相棒!」
「ちょっと! アンタを買うなんて一言も言ってないわよ!」
「良いじゃないか。親父、これを貰おう。」
「はっ? 宜しいので?」
店主はキョトンとした顔で尋ねてくる。
少女はギャーギャー言っているが、男は友人に良い土産が出来たと満足気に頷く。
「ヨロシクな相棒」
再び伝説は動き出す。
FIN
投下終了。
では、さいなら〜
意味がわからない・・・
俺もそう思う。
三次創作物か?
wwwwwwwwww
裏解体新書ネタなんてそう誰もが理解できる物じゃないと思うんだ…
俺は楽しんだから乙とは言うけどさ
うーん、これは本当に厳密に言うと三次創作スレスレだと思う。
少なくともこれはあくまで裏解体真書版、要するに攻略本に載ってる二次創作小説の
トキノくんであって、ゲーム版の時の君のキャラとは明らかに違うからなぁ。
その辺がこのスレ的にOKなのかどうかちょっと判断に困る。
裏解体新書読んでても最後の金髪中年が誰かわかんねーぞ
あ、でも個人的に面白かったよ、gj
提督とかいぬかみとか最近じゃDMCのバジールもかわらんだろ
俺からすりゃ別人格の三次創作物にしか見えんぞ
で上の3作品を今更wikiから除外するのか?w
これまたでかい釣り針!
ここでグランダー武蔵召喚。
需要? 召喚して意味があるか? おらしらね。
>>885 コロコロのホビー物は、意味を聞いちゃいけないんだ!!
なんでおもちゃごときで世界が動くんだよ!!
裏解体新書を知らない人置いてきぼりだなw
俺は分かったから面白く読ませてもらった。乙
また書くの忘れてた……
ルイズが召喚したのは『サガ・フロンティア』の『時の君』です。
他の人が言っているように『裏解体新書ver.』です。
ついでに言うと、『黄金の杖』と『黒衣の金髪中年』は別のサガシリーズからです。
>>883 また節操のない釣り針を
避難所で蒼の使い魔削除を仄めかしたのまさかお前さんか
>>886 じゃあ爆転シュート ベイブレードからタカオを召喚だ
何故かギーシュやワルドの戦いはベイバトル
ほら、やっぱりベイブレードは人を傷つける道具じゃないしね
もうボーグバトルやってればいいじゃない
あれこそ何でもありなアニメだけど
"裏解体新書"は、一応公式資料の一つとして扱っていいんじゃないかなぁ…ギリギリの気もするけど
最終回で異世界に飛ばされた妖魔王が召喚されるわけだな。
そして死の直前で一緒に召喚されたメモリーがコッパゲと協力してバルテクターを開発するわけだ。
>>891 ボーグと聞くと真っ先にボーグマンを思い出す。
裏解体新書か…懐かしいな
本編で主役を降ろされたヒューズさん誰か召喚してくれないかなw
ハーメル召喚を考えてて思ったんだけどさ、原作のフィンランディア、アニメのモルダウ、シェルクンチクのジークフリードなんかってチートだよな
ようはお手軽ガンダールヴみたいなモンだし、アニメのは代償がないしw
島津義弘召喚です
ハーメル召喚
つまりルイズを投擲しようとするとガンダのルーンが発動するんですね?
長編があったがどうなったんだあれ
>>825 パケ代も大変でしょうし代理しましょうか?
捨てアド用意したのでメール送って貰えば代理投下しますよー。
kinazatoフランソワーズgmail.com
(フランソワーズを@に変更)
双剣の人、面白かったです。
蜂蜜酒の準備をして夢見るようにお待ちしています
あれだな現代世界の異物がファンタジー世界に漂流したら?
みたいな描写や説得力は上遠野の事件シリーズがうまいな
あの世界だとそういう漂流物は界面干渉学とか学問になってるし
ホモ爆弾漂流とか
>>897 ギーシュとの決闘でルイズを操る所が思い浮かぶw
地獄の筋肉痛で転がるルイズが簡単に想像できる。
裏解体新書か、思い出した。ほぼ全員まとめてギャグキャラ化してるアレね。
まあ1名のぞいて全員登場してるしハッピーエンドだから好きなんだがな。
別にいいんじゃないの。
ああ懐かしい“ハイドハイドハイドハイド突き”
しかし吸血鬼が最悪の妖魔とされてるハルケギニアで吸血妖魔(半妖)のアセルスとか召喚したらどうなるだろうか、
アセルスの性格からして自己防衛以上はやらんと思うが……
下手に突っつくと別メディアで原作と違う展開をしてる作品全部がアウトになりかねないからなー
漫画連載で主人公がさらっと女装美少年になった某作品が好きな俺としては問題なしといいたい
果たして需要があるかどうかわからないけど、
外道忍法帖の天草扇千代で書いた小ネタを投下してよろしいでしょうか?
ちと長めになってるので、前後編作品です
特に反応がなかったけど、投下させていただきます
彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが初めて"彼"と出会ったのは、春の使い魔召喚の儀式の場である。
度重なる失敗の末ついに成功した『サモン・サーヴァント』によって、彼はルイズの使い魔として召喚されたのだ。
土がえぐれ砂煙が立ち昇る大地に横たわる青年を見るに及んで、
魔法成功の歓喜に浸る間もなくルイズはしばし呆然とし、そして落胆に沈んだ。
己の呼び出したものはドラゴンやグリフォンなどの幻獣でもなく、ワシやネコなどの獣ですらない、人間それも姿からして平民である。
雑用係としてなら役にも立つであろうが、使い魔としての用をなすであろうか。
いや、魔法も学もない平民がやり遂げられるはずがないだろう。
心中に沸き上がる困惑と周囲から叩き付けられる野次に身を震わせつつルイズが近寄ると、彼は目を覚ました。
半身を起こした使い魔の青年は、若々しい薔薇色の頬に貴族の公子のような平民とは思えぬ優雅さを漂わせていた。
ただ眼ばかり寒夜の星を思わせる冷たさがあり、その視線にルイズは息を呑んだ。
しかしそこは生まれついての一流貴族であるルイズ、気圧されることなく『契約』を交わした。
次の瞬間、左手に焼け付くような激痛を感じてルイズは苦悶の叫びを上げた。傍らを見やれば使い魔の青年も同じく左手を押さえている。
これこそ彼が持つ、極限までの練磨と不乱の一念が極まるところに生じる破天の業の一端であるのだが、
当時のルイズは感覚の共有であろうとあたりをつけ、熟慮することは無かった。
前例なき平民の使い魔の出現や、謎のルーンと召喚者にも及ぶ痛みなどの異様を呈したが
なんとか使い魔召喚の儀式は幕を閉じ、ルイズ自身も落第の憂き目を免れた。
彼は使い魔として──まあ、内容は雑用が主だが──よく働いた。
召喚の儀式の帰途にエド、ナガサキ、キリシタンなどの意味不明の言葉を彼が投げかけて来た時は困惑したが、
魔法学院のことやハルケギニアのことをルイズが話すうちに黙りこんでしまった。
そしてルイズが彼をここに呼び出したことや使い魔のことを告げると、
しばしの思案の後に彼女を主人として仰ぐことを彼は誓い、そして彼は自身の名をルイズに告げたのだ。
「わたしの名は天草扇千代と申しまする」
それからはルイズの身の回りの世話も、失敗魔法の後始末も、床で寝ることもセンチヨは諾々と従った。
「平民の使い魔も悪くないじゃない」
ルイズは彼という存在にそれなりに満足していた。
召喚した日は動揺のあまり気付かなかったが、彼の凛冽とした美貌もルイズの優越感を後押しした。
ルイズにとって悠々とした日々が続く中、その事件は起きた。
センチヨがギーシュと決闘をすることになったのだ。
理由はギーシュが落とした香水の壜を彼が拾って渡したところ、
そこからギーシュの二股がばれたとかいうお粗末なことおびただしいものだった。
ルイズが騒ぎを聞きつけた頃には、既にセンチヨとギーシュはヴェストリの広場で対峙していた。
ルイズは止めようとした。彼と過ごした時間は両手指の内に足りる日数であったが、
彼の存在は学院に心許せる者が殆どいないルイズにとってかけがえのない存在になっていたのだ。
哄笑を上げつつギーシュが杖を振るってワルキューレを造り出し、センチヨに向けて突貫させようとした。
センチヨはというと、遊山に興じるかのようにそれを眺めるだけ。
次の刹那、ギーシュのニヤけた表情がひきつれ薔薇の造花を取り落とした。
決闘の場だというのにいきなり腕を押さえて屈んだのだ。無論両者の間にいかなる物体の交流もない。
同時にセンチヨは怪鳥のように跳躍して一息に間合いを詰め、佩いていた細見の曲刀をギーシュの首筋に突きつけていた。
「ま、参った」
静まり返った広場にギーシュの降参の声だけが、細く長く降り落ちた。
センチヨは尋常ならざる能力を持っている。ルイズはそれを初めて目の当たりにしたのだ。
ルイズは彼を問い詰めた。それは如何な力なのか、何故秘密にしていたのかを。
だがその時の彼は黙して語らなかった。ルイズは彼との間に決定的な、分かり合えぬ冥漠とした隔たりを感じた。
その後、彼に決闘を挑む貴族が何人かいたが、何れもギーシュのように杖を取り落として敗れ去った。
ルイズはギーシュを含めてそれらの貴族達に敗北時の様子を聞いた。
そして皆一様にこう答えるのだ、『体に刃物を突き立てられるような激痛を感じた』と。
ある時、学院内に土ゴーレムと共にフーケが現れた。
己の使い魔に遅れを取ることをよしとせず、毎夜の特訓に打ち込んでいたルイズはちょうどゴーレムが塔を拳で打つ場面に行き会った。
迷うことなくルイズは失敗魔法で攻撃した。
騒ぎを聞きつけたキュルケとタバサが援護に現れるも、自在に変幻する土の前にトライアングルメイジである彼女達も責めあぐねる。
そして土ゴーレムが地に立つルイズに拳を振り下ろそうとした時、
何処よりか風を巻いて馳せ寄ったセンチヨが彼女を抱え、死地から救い出した。
賊を前にして逃走する形になったルイズは彼の腕の中で抵抗した。その姿に笑みを浮かべたセンチヨは彼女にこう言った。
「ルイズ殿、今より我が忍法の一端をあなたにお見せ仕る」
彼は己の喉笛に手をかけた。傍目から見ても、そこに万力の如き力が込められているのがよくわかった。
同時に土ゴーレムの上に立つ人影が喉を押さえて悶えた。
人影は不可視の炎に炙られるかのように身を震わせ、集中が切れた為に瓦解し土の瀑布と化したゴーレムと共に大地に墜落していく。
後に残った砂山の上には失神したミス・ロングビルが横たわっていた。彼女こそがトリステイン中に悪名轟かす土くれのフーケであった。
直後にルイズは扇千代より初めて“忍法”という言葉を説明された。
ついでに言うと、この頃からセンチヨは常にルイズの傍らにいるようになった
手紙回収の任を負ってアルビオンに赴いた時。
ルイズに追従した立場であったにも関わらずセンチヨは率先して働いた。
元々の忍術・体術にガンダールヴの力が相乗したセンチヨは闇中に入れば影の如く潜み、
灯下に身を躍らせれば剣光を散らして敵対者を斬り倒す。賊や女神の杵亭に押し入った傭兵はまるでセンチヨの敵ではなかった。
再び現れたフーケや謎の仮面の男もセンチヨの"忍法"の前に杖を落として敗れた。
そしてニューカッスルの礼拝堂、本性を顕しルイズを殺そうとしたワルドの前にセンチヨが立ちふさがった。
ワルドに強かに痛めつけられたルイズは、薄れゆく意識の中でそれを見届けた。
入り乱れて乱舞するワルドとその偏在。対するセンチヨは、慌てることなく己の両瞼の上に刀身を滑らせる。
次の瞬間、五人のワルド達はうめきつつ両目を掌で覆った。
死線に切りこんだ間隙をセンチヨは瞑目したままでありながら逃さない。
長刀とデルフによる剣撃の前に偏在は風に消え、本体のワルドも左腕を落とされ遁走した。
気絶したルイズが気付いた時、眼下に炎と黒煙に彩られながら落ちゆくニューカッスル城が見えた。
それを背に雲海に飛び立つ風竜の上で、センチヨはルイズに全てを打ち明けた。
自分のこと、自分のかつていた世界、そこで繰り広げられた三つ巴の壮絶な死闘。
彼の腕の中で聞くそれらの話は到底信じられぬことであったが、ルイズは信じた。
蒼穹に走る風が髪を揺する中、ルイズは眠り込んで夢を見た。
煙霧にぼやける水平線が遠く見える大海に小船がたゆたう。紺碧の天球には寒々とした星が瞬いている。船に座るのは幼い頃のルイズ。
中空から風のように現れる子爵様はもういないという実感と、寂寥と孤独の冷気に少女は身を震わせて泣いた。
そこへ模糊たる海面を渡って誰かが近づいて来る。藍色の大気を裂いて船に跨ぎ入った青年は溜息して、微笑を浮かべた。
「探しましたぞ、ルイズ殿」
ルイズの心にはセンチヨが住み始めていた。
この頃から既にルイズの胸に、センチヨへの、使い魔に対する以上の淡く熱い想いが蕾を結み始めていたのかもしれない。
支援
それからのセンチヨはずっとルイズの前に居た。
アルビオン軍がタルブの村に攻め寄せた時も、蘇ったウェールズとアンリエッタが杖をルイズ達に向けた時も、
アルビオンに上陸する時も。センチヨは打ち寄せる害悪を巌のように受け止め、その全てをルイズから遠ざける。
信頼に裏打ちされたセンチヨの行為にルイズも答え、己の果たすべき役目、虚無の詠唱を紡ぎあげ艱難を打破する。
それはまるで、二人の間に思念の山彦が響きあうようであった。
ロサイスに向けて七万の軍勢が歩を進める。
ルイズは殿軍としてそれを食い止めるよう命令された。撤退、降伏を認めぬ死守命令であり、生還は不可能。
恐怖に歯の根が合わず、臓腑が体内で捻れているような嘔吐感が沸き上がる。
だが、真の恐怖を生み出す根源は自分に付き従うであろうセンチヨの存在だった。
彼の死。想像するだけで心臓の鼓動が早鐘の如く満身にどよもし、筋骨がまるごと氷柱と化したかのような怖気が走る。
ルイズは人気の無い寺院の前にセンチヨを呼び出した。
「センチヨ、逃げて。わたしにつきあうことはないわ。あなたはもう道具として使われる忍者じゃない。
二度も死ぬなんてことしなくていい、いや、しちゃ駄目なの。だからお願い、どこか遠くに逃げて・・・」
それだけをセンチヨに言うとルイズは逃げるように踵を返した。
本来なら相手の返事を聞いてから移るべき行動だが、その言葉が肯定、否定のいずれにしても、
それを受け止めるのはルイズには辛すぎた。
ルイズは駆け出そうとしてセンチヨに肩を捕まれた。
声を出す間もなく、振り向かされたルイズの顔にセンチヨの顔が重る。
真に重なったのは唇同士、およそ春の儀式の際に交わした『契約』とは比べられぬ程に甘やかで深く熱く、そして物悲しい交わりであった。
唇が離れると共に彼に何か言おうとしたルイズは、強烈な眠気に襲われそのまま夢寐に意識を沈めた。
意識を失う前までの彼との思い出が車輪の如く脳裡を走り抜け、音も無く止まる。
「・・・・・・センチヨ!」
魂を掻き毟るようなルイズの絶叫がアルビオンの空を翔る。
涙が絡んだ上に、何度目の絶叫になるか喉が枯れているようで、彼女の愛らしい声は砂利が混じったような響きをまじえている。
ルイズが目を覚ました場所は寺院の前ではなく、出航するレドウタブール号の甲板であった。
兵士の言によれば、センチヨはただ一人で七万の軍勢が大挙する丘に向かったのだ。
話を聞くやルイズは狂気の如く柵に駆け寄り、飛び降りようとした。
同乗していたギーシュとマリコルヌが止めなければ、五体は大地に叩きつけられていただろう。
「無理だよ!下にもう、味方はいないんだ!」
「センチヨが行ってからもう丸一日経ってるんだ!君が戻ってなんとかなる状況じゃない!」
「おろして、お願い!二度も死ぬなんてあんまりだわ!センチヨ!」
絶叫は山彦響かぬアルビオンの空に無惨にも消えた。
支援
以上で前編は終わりです
外道忍法帖が人口に膾炙しているとは考え難いので、某所から拝借した解説をば
天草扇千代
天正16年に滅びた肥後天草家の嫡孫で、その遺臣群が成す天草党の若き頭領。
自身の知覚する痛みなどのあらゆる感覚を視線を介して相手に与える“忍法山彦”を使う。
天草家再興のために一族の者と共に伊賀鍔隠れで修行し、松平伊豆守臣下となる。
一族を滅ぼした小西家を憎み、小西行長が流布したキリスト教を憎む。
伊豆守より切支丹の秘宝奪還の命を受け、一党を率いて九州の地に向かう。
忍法だけなら甲賀忍法帖の甲賀弦之介に匹敵するヤバさです
バージルまだかな
山彦の人乙ー。
なんとも綺麗にまとまった小ネタ、感服いたしました。
釣りか…
やっぱ三平君かな
ハルケギニア産の珍しい魚類とかジョセフと釣りに行って欲しいな
ガンダは魚神さんでいいや、元フェンシング選手だたらしいし
失礼
×魚神→魚紳
>>898 返事が遅れて申し訳ありません。
書いた内容を携帯から頂いたメール先にそのまま送って良いという事でしょうか?
宜しければ今週末にでも行いますが。
そういえば幽々子SSの作者ってまだいるのかな。
山彦の作者さん、乙した。
上手く纏まってるし、文体もいい雰囲気だしてますね。
後編も期待してます。
仮面ライダーカブトより矢車想を召喚
「お前はいいよな…、ゼロってバカにされても前向きで…。…どうせ俺なんて…」
「…アンタなんでそんなに暗いのよ」
「…お前、俺の妹になれ」
「………お兄さま」
「ちょ、ちょっと、お姉さまを変な世界に引きずり込まないでほしいのね!!」
「俺のご主人様を笑ったのはお前か…? …俺も笑ってもらおう…。
―――変身!」
…しかしコイツの場合、ガンダ精神補正があっても能動的に行動しそうにないんだよなぁ。
ヤサ車さんは何故か蒼星石と一緒に来てるのがあったな。
あれをどうまとめるつもりだったのかすごい気になる。
そんなのあったっけ?
ちょっとwiki見てくるかな
そういえば自治スレのほうがちょっと不穏なんだけど
創作発表板に移転しなくちゃいけないのかな?このスレ
>>926 >創作発表板
丁度今、避難所の運営議論スレでその事について話が挙がってるな。
移動するにしても
>>1のテンプレすら弄ってないのにいきなりは無いだろう
事には順序があるんじゃないかね
まあ移転したら人減るとは思うがな
そもそもなんなの創作発表板って
厨が減れば万々歳
932 :
ゼロの女帝:2008/09/02(火) 17:11:25 ID:+Cf16Xgy
よろしおまっかー
道込んどらんのなら15分頃から投下イッパツいきまっせー
ばっちこーい
934 :
ゼロの女帝:2008/09/02(火) 17:19:06 ID:+Cf16Xgy
ほんじゃ行きまっせー
第十六話
「それはこの世の真理を否定することだ!」
その叫びとともに、ワルドの遍在が掻き消える。
「あら?もう精神力が尽きたのかしら」
「違う。おそらく『遍在』による攻撃が通用しないと判断した。
通用しないなら無意味に精神力と体力を消耗するだけ」
「だろうね。『遍在』の強みは分身が見た聞いた感じた事も知る事が出来るというもの。
つまり彼は『遍在』が倒される度に四回『死』を体感してると言っていい。
死とまではいかないかもしれないが一度につき四回もマダム・セトの攻撃に貫かれる
感触を味わっているのだ」
解説役になったウェールズとタバサ。
「女ならそれは日常茶飯事ですけど、普通の殿方ならそれはつらそうですわね」
「『遍在』は作った時に魔法を唱えるだけの精神力を分け与えねばならない。
通常の数倍消耗するといっていいだろう」
「おそらく手数を減らして一撃必殺の大技に賭ける、多分」
彼女らの読みは的中していた。
ワルドは瀬戸を甘く見てはいなかった。
最強の平民であると。
「しかし!最強であっても所詮は平民!
平民である以上貴族に!メイジに敗れる以外のことは許されない!
それが始祖ブリミルが定めたこの世の理なのだ!
食らうがいい!『ライトニング・クラウド』!」
通常を上回る精神力と魔法衛士隊の誇りを込めたその一撃は、範囲といい威力といい恐るべき物であり
それはトライアングルであるキュルケや実戦経験豊富なタバサ、ウェールズが戦慄するほどのものであった。
普通ならその執念は正しく報われ、小生意気な平民は足元でケシズミと化していただろう。
だが彼の、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドの前に立っていたのは普通の平民ではなかった。
それは神木・瀬戸・樹雷。
究極神、あるいは絶対神を上回る十五次元の存在の寵愛を受けしモノ
彼女は眼前に薄く輝く光の膜を生み出した。
ワルドが放った雷光は、その膜に触れるや否や
「な、なに?なにがおきたの?」
「き・・・・・・・・消えた?」
「違う どちらかというとあの膜に吸い込まれた様に見えた」
「まるで、あそこには膜ではなく穴が空いているみたいだ」
呆然とする一同。
それでもある程度状況を(しかも正しく)把握しているのはタバサとウェールズ。そして
判った
判ってしまった
理解できてしまった
自分の能力では彼女には何がどうまかり間違っても勝てないと
それはメイジとか平民とかいったチンケなものではない、もっと根源的なモノ
さしずめ上は下よりも上なのだ、といったほどの現実
エンジン音を聞いただけでブルドーザーなのだと判ってしまうレベル
彼女へ攻撃を届かせようと思ったら、天空の月に置いた的に当てるほどの飛距離と
精度を兼ね備えた一撃を放たねばならないのだと
936 :
ゼロの女帝:2008/09/02(火) 17:21:57 ID:+Cf16Xgy
「これほどの・・・・・・」
「これほどの力を持っていながらなぜここまで動こうとしなかった!
わたしやルイズを・・・・・・力無き輩がもがく様はさぞたのしかったろうなぁ!」
「それはちがうわ、ワルドちゃん」
「何が違う!」
「あたしに力ずく、あるいは理屈で諭されたからといって貴方は己の野望を封じたり、捨てたりできた?
出来はしないわ。
それは全ての殿方の悪い癖。
だから貴方にぎりぎりまで望んでいたの。
普通に、平穏に幸せになれる道を選ぶことを」
「普通?平穏?そんなもの欲しくない!
わたしが望んだのは「ソレは他人の幸せを踏みにじってでも手にする価値があるの?」 ぐっ」
「他人の幸せを、そしてルイズちゃんの心を踏みにじって手にした以上、貴方は他人に踏みにじられても
文句は言えないわ。
いわゆる『覇道』とはそういうモノ。
貴方にはその道を歩む覚悟があるの?
『踏みにじられる』覚悟が。
それに大体貴方の言う『聖地』とはそれほどの価値があるの?
っていうか『聖地』の事どの位知ってるの?」
「えっ とぉ その、だから、あのぉ
「呆れた 何にも知らないの?
知らずに騒いでたの?」
愕然とするワルド。
自分は何も知らずに求めてたのだ
そもそも『聖地』とはいったい何なのだ
エルフがのんびり畑耕してるだけかもしれないではないか
がっくりと膝をつく
「わ・・・・・・・・・・わたしは・・・・・・・」
937 :
ゼロの女帝:2008/09/02(火) 17:24:02 ID:+Cf16Xgy
はい、容量もあまりないし、本日はここまでです
ちなみに当然ながら『遍在に精神力を分ける』というのは独自解釈ですので
>>938 それは板の出来た経緯であって板の説明ではない。
要するに、SSやイラスト、更にはゲームまで、自分で作ったものを発表する為の板。
今は黎明期のカオス状態で、創作料理とかのスレもあるけど、その内に淘汰されてヲタ系の板になるだろう。
でも、「創作文芸」板は別にあるわけだから、
その板は文芸以外の創作発表になるんじゃないのか?
>>940 創作文芸板は、創作の為の技法などを話す板。
発表する板では無いというのがルールで決められてる。
創作発表板ってどこのカテゴリ?
>942
文化
あり
ちょっと向こうの自治スレ見てくるわ
>>939 悪い。調べながらレスしてしまった。
>>940 もう1000いってるがその板の雑談スレ読むと板の趣旨がなんとなく掴めるかと
そもそも、ねだる板での申請がこれだし
【板名】 創作発表板
【理由】 名無しでイラストや小説を発表するための専用板が欲しい
【内容】 オリジナルの小説やイラストなどを書いて(描いて)感想を貰う。
また、他メディアの二次創作や、一つのスレッドテーマについての競作なども受け入れます。
【鯖】 book4
【フォルダ】 mitemite
【カテゴリ】
文化 :”創作文芸”の下辺りか、漫画・小説等:同人イベントの下辺り。
【名無し】 名無しさん@執筆中
【ID】 強制/携帯識別(一つのスレで複数人が投稿執筆するため、各々の作品を区別するのにIDは必要)
>>947 おk
そのスレに人が集中してるな。ざっと見まあ良い板になるかもしれん
まあそれと移転するかどうかはまた別問題だけどな。
アニキャラにあるから集客になってる面もありそうだし
他のクロススレの住民も様子見状態みたいだ
あの作品のキャラがルイズに召喚されました 移転テストスレ
とでも銘打った試験スレでも立てて実験してみるのも一案
しかしこれ以上はここでは埋め雑談にでもならない限りしない方がいい話だ
953 :
950:2008/09/02(火) 19:41:04 ID:II47zA0f
954 :
950:2008/09/02(火) 19:42:46 ID:II47zA0f
あー、全然議論されてないから板は移転しなかった
とりあえず移転云々は上でも書いてるが避難所の方で話し合って決めるということで頼む
女帝乙です。
回を重ねるごとにワルドの情けなさ倍増ww
GJ
>>953 むしろ一時的に避難所って話しが何度も出てるからそっち考慮したほうが良かったんじゃねえのか
まぁ乙
議論は避難所でやるにしろその結果は本スレにもって来るべき
でそれが間に合わない状態で自治からも特に言って来てないなら
通常のスレ立てで問題ないんじゃない?
ただスレストップとか削除とか来る前にどうにか決めたいのは同意する
>>958 クロスに限定してないからならないと思う
そのスレ的にはエロパロ板のエロなし作品書ける職人さんや
ifスレの職人さんらがくればって感じじゃないかな?
>>958 統合だからって何でもかんでも混ぜたら、読者以前に作者同士で拒否反応おこして大変な事になるぞ?
あと、クロス限定でもこのスレ消費速度なのに、他とまとめたら他スレの作者や読者から苦情が出ないか?
まぁ俺は面白ければ何でも読めるし、つまらないと思ったらスルーするから、
板やサーバーの都合上まとめると言うなら仕方無いけどな。
>960
正確に言うとルイズに召喚されたというシチュエーションのみでこの量なんだよな
世界設定自体を合成したり
ルイズやサイトの方が別世界に行ったり
、使い魔以外の立場でハルケに来たり
といったパターンも許可にするととんでもないことになりそうだ
>>961 一応いっとくけど、そこら辺の設定のssが全くないわけではないぞ
(逆召喚は避難所行けって言われるけど)
ドラゴンボールキャラはほとんどが超人だからバランス調整が大変だな。
でも劇場版キャラのタピオンなら上手くバランスとれるかも。
劇中では特に超人的な戦闘力は描かれなかったし(特殊能力は魔神を封印するオカリナを吹けること)愛用の剣を手放したのでデルフを出しても違和感ないし。
ドラゴンボールでTueeやるならブウ編辺りの悟飯が適任なんじゃね?
悟空ってどんな相手にもたいてい苦戦してるじゃん。
悟飯なのか悟空なのかはっきりしろw
>>964 展開の都合でな。
実際呼び出したらパワーバランス崩れる上に究極状態だったら結構悲惨だぞ。
「ウスノロ」と言われる。
初期悟空のがキャラ造形として好きだな。
話としてもそこまでぶっ飛んだ強さじゃないから作りやすいんじゃなかろうか、と思う。
>>964 ブウ編で学校行ってた悟飯が正にTueeそのものの展開だったから悟飯が適任って意味。
それに対して悟空はTuee展開やったこと無いだろ。
初期の雑魚相手のはTueeとは趣が違うし。
ゼロ魔キャラを理不尽なまでに強くすれOK
それかDBキャラを理不尽なまでに弱くするとか。
某探検家とか某「セルフ」な勇者並に。
例えバランスを取るためでもストーリー的に説明のない設定改変も原作レイプに含まれるんだぜ
大体「俺TUEEE」ってのは作者の自己投影で原作の欠片も残らないほどに改悪されたキャラに用いる言葉であって
元々強いキャラクターに対して使うのは誤りなんだぜ
そもそもバランスブレイカーで話を組み立てられるかどうかは作者の力量次第で「最強=つまらない」はナンセンス
セガール映画見たことないのか?
重力の軽い星に行った時ののび太とか。
ハルケギニアは重力が強いんだよ
100Gぐらい
いっそ10000Gぐらいにしちゃおうぜ
ハルケギニア人が他の世界に行ったら無茶苦茶強くなるとか
>>973 それだとシエスタの曽祖父は重力に適応出来ず確実に死ぬな。
サイトもな
ルイズの召喚の声とともに現れるのは...真っ赤な赤いシミでした。
何度やっても、何度やっても...
それを数百回繰り返した頃でしょうか、ルイズはとうとう涙も涸れ果てその場に
崩れ落ちました...か...
ハルケギニアの大地にはクリプトナイトざくざくな設定でスーパーマン召喚すればいいんだな
スーパーマンならきっとなんとかしてくれる
バットマンを召喚
クロスオーバーになるとスーパーマンをフルボッコにできる彼では強すぎるか
バットマンはともかく1平民となったブルースはイメージ粉々になりそうだな…。
最終的にシエスタに押し付けるとはいえ、ルイズのパンツ持ってウロウロしてるブルースは見たくないw
>>982 だが待って欲しいその強さも科学の力あってこそ
彼は不滅の意思を有しているが常人なのだ
科学の"か"の字も無いような世界ではサイトよりはマシだが正直厳しい
犬に襲われて傷だらけになるし
微妙なスレ残り具合だ…。
キュイキュイか…
___
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>>972 ではいっそのこと、逆にコーヤコーヤ星から誰か呼ぼうか。
オバQなんてどうか。
タバサ涙目だが。
なかなか埋まらんな
>>988 そういや可愛らしくてキュートなお化けを喚んだ場合タバサはどうなるんだろう?
おばけのホーリーとかか。>可愛らしくてキュートなお化け
>>990 怖がりながらおっかなびっくり近づいて、少し動いただけでもビクッっと反応して物陰に隠れるタバサを想像した
キュートなお化けねえ
キャスパーとか
ハンドなんて可愛くないか?
ぐるみんのピノだな
おばけのQ太郎……
ユウちゃんレイくん
カメラアングルはテレビで映す以上は仕方ない――しかし、きゅいきゅいはやはり全裸だった。
-‐  ̄ ヽ 、 _
// / ̄ ̄ゝ~ '':::ヽ
メ:: リ ヽ' ヽ_ゝ _ _:::l
/::/ _ -‐:::i~,。、ヽ .:::|
/:/ /::::::::::::::::::::i `゚' 」::、ヽ
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|::/ /:::::::::::/ ,,;;ゝ
|::l 〈::::::::::::/ _,,...-‐i'
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1220351917/l50 ヽ;; _ゝ,_,.〈;;,,,,______,,,..-‐''"..ifエフ、 に送ってやるぞ
 ̄ / ヾ:::::l (:::::::::::::j .:l~ ::|
l :::l ゝ:;;;;;;;:' ::| :/
ヽ_ l、,/,,.. (_ :j、 ::|
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_,/( / i \ : '、-ニニ~ ' ::|__,,`ヽ
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\\.::ヽ `ニ仁,i' .:/.:r::/ヽ `、 .| / / / ヽ
\\ゝ\ヘキ//.::/ \ ノ ./ /
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。