【IF系】もしゼロの使い魔の○○が××だったら3

このエントリーをはてなブックマークに追加
906名無しさん@お腹いっぱい。
もし自由に行き来できたら、と聞いて、もしサイトが自由に行き来していたらとか…

***

「げっ」
抜けるような青空をバックに、才人の顔をまじまじと覗き込んでいる女の子が言った。
才人と年はあまり変わらない。黒いマントの下に、白いブラウス、グレーのプリーツスカートを着た体をかがめ、呆れたように覗き込んでいる。
顔は……。可愛い。桃色がかったブロンドの髪と透き通るような白い肌を舞台に、くりくりと鳶色の目が踊っている。
知り合いの女の子みたいだ、というかよく知っている。人形のように可愛いけど、からかうとカンシャクを起こす、幼なじみというか近くて遠い関係というか……
才人はどうやら仰向けに地面に寝転んでいるらしい。顔を上げて辺りを見回す。
黒いマントをつけて、自分を物珍しそうに見ている人聞がたくさんいた。豊かな草原が広がっている。遠くにヨーロッパの旅行写真で見たような、石造りの大きな城が見えた。
頭痛がする。才人は頭を振りながら言った。
「げって……。なんだよルイ」
どげし、と才人の足が踏まれ言いかけていた言葉が途切れた、抗議の声を上げるべく才人が顔を見上げると、彼女は人差し指を口の前に立て、静かにしろとジェスチャーをしている。
「どこの平民?」
平民、なんだそれは。周りを囲んだ少年少女たちも、彼女と同じような制服を着て、手に何か棒のようなものを持っている。
それどころか周囲には、大きなトカゲの化け物や、一つ目玉の化け物やら、やたら毒々しい色のカエルやら、フクロウやらがいる。
昨晩ルイズが言っていた『使い魔召喚の儀式』にでも迷い込んでしまったかのようだ……ん?

「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」
誰かがそう言うと、才人の顔をじっと覗き込んでいる少女以外の全員が笑った。
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
才人の目の前の少女が、鈴のようによく通る上品な声で怒鳴った。
「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん」
「さすがはゼロのルイズだ!」
誰かがそう言うと、人垣がどっと爆笑する。
才人の顔をじっと覗き込んでいる女の子は、どうやら使い魔を召喚しようとして、俺を召喚してしまったらしい。
「ミスタ・コルベール!」
ルイズが怒鳴った。人垣が割れて、中年の男性が現れた。才人はその特徴的な髪型を見て、『ああ、この人が礼のカラクリ好きな人か』と思ったからだ。
「なんだね。ミス・ヴァリエール」
「あの!もう一回召喚させてください!」
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
「どうしてですか!」
コルベールという先生は、使い魔の召喚がメイジの一生に関わることだとか、一度呼び出した使い魔は変更できないとかを説明しだした。
「でも……」
ルイズがちらりと才人の顔を見る、とルイズの顔がどんどん赤くなり、ついには両手で顔を隠し、恥ずかしそうにうつむいてしまった。
その様子を見ていた周りがどっと笑う。
「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。例外は認められない。ただの平民かもしれないが、呼び出された以上、君の『使い魔』にならなければならない。
古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。彼には君の使い魔になってもらわなくてはな」
「……」
ルイズは指の隙間から才人の顔を見る、またまた顔を赤くし、湯気まで立ち上らせて肩を震わせた。
「さて、では、儀式を続けなさい」
ルイズは才人の顔を、困ったように見つめた、そしてルイズは才人の顔に手を添えると、思い切り顔を近づけた。
「ゆ、夕べあんたが言ってた通りになっちゃったじゃない、どうすんのよ」
「どうもこうも、呼んだのはそっちだろ。俺だってまさかホントに使い魔として呼ばれるなんて思ってなかったし」
「……と、とにかく、契約してから考えるわよ」