あの作品のキャラがルイズに召喚されました part157

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part156
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1216651054/
まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

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    __             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃  `ヽ  .    ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.    ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
              ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!


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     _        ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし     ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ       本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |     ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
               ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。


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   ,ィ =个=、       ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’      ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
                姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
               SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
               レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。


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2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:05:13 ID:O92mqSbU
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:07:32 ID:a7AyTOh0
>>1
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:11:23 ID:WZ0szaMR
管理人様
以下自作品の削除をお願いします。
(本人証明として、自ブログの方も削除致しました)

長編:1編
「ゼロのgrandma」
短編:2編
「色鮮やかな空へ」
「四系統だけど」

色々とご迷惑をお掛けしました。以降、忘却願います。






夜天の使い魔 第一部
夜天の使い魔 第二部

http://rein4t.blog123.fc2.com/
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:11:28 ID:7AezZthz
>>1
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:12:07 ID:WZ0szaMR
やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-244.html

完結:やる夫が小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-245.html

やる夫が「売れっ子」ラノベ作家を目指すそうです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-284.html

やる夫が同人小説家になるようです
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-371.html
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:12:55 ID:WZ0szaMR
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
 ※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
  最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大

1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:13:54 ID:WZ0szaMR
このぐらいまで単純化できそうな気がする。

本スレに1人か2人の荒らしが登場
「うぎゃああああ荒らしがでたああああ
 本スレのやつら民度が低いから触りまくってスレが荒れるにちがいねええええええ」×20
本スレでスルー
「本スレの奴等も少しはマトモになったようだなプゲラ」×5
今までの流れが本スレに貼られる→スルーか一人二人が「肥溜めにカエレ」
「ここを肥溜めとか言う奴は上から目線のお子ちゃま。むしろ俺たちの方が大人」×10
いぬかみ投下
「まったくよー、本スレの奴等、嫌いなSSならあぼーんするかスルーしろってんだよなwwwwww
 ちったあ俺達を見習えよwwwwww
 ・・・ナニ? いぬかみ投下? ぎゃあああああ何でここまで叩いてるのに投下できるんだああああ
 お前らもっと叩こうぜえええええ   何? スルー? ここはお祭り好きな奴等の集まりだから良いんだよw」
以後ダラダラと「ぼくののうないのこんごよそうされるいぬかみのてんかいのひはん」×50

以降無限ループ



このぐらいまで単純化できそうな気がする。

本スレに1人か2人の荒らしが登場
「うぎゃああああ荒らしがでたああああ
 本スレのやつら民度が低いから触りまくってスレが荒れるにちがいねええええええ」×20
本スレでスルー
「本スレの奴等も少しはマトモになったようだなプゲラ」×5
今までの流れが本スレに貼られる→スルーか一人二人が「肥溜めにカエレ」
「ここを肥溜めとか言う奴は上から目線のお子ちゃま。むしろ俺たちの方が大人」×10
提督投下
「まったくよー、本スレの奴等、嫌いなSSならあぼーんするかスルーしろってんだよなwwwwww
 ちったあ俺達を見習えよwwwwww
 ・・・ナニ? 提督投下? ぎゃあああああまたビッチ談義でスレが埋め尽くされるううううううううううう
 お前らもっと叩こうぜえええええ   何? スルー? ここはお祭り好きな奴等の集まりだから良いんだよw」
以後ダラダラと「ぼくののうないのこんごよそうされるていとくのてんかいのひはん」×50

以降無限ループ
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:14:26 ID:WZ0szaMR
このぐらいまで単純化できそうな気がする。

爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会

最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち>>16

爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり

途中飛ばすけど、

 対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:16:14 ID:WZ0szaMR
あの作品のキャラがルイズに召喚されましたスレの新ガイドライン

第1条 人の和を大切にしなさい。
第2条 仏教をあつくうやまいなさい。
第3条 天皇の命令には必ず従いなさい。
第4条 役人は礼儀を正しくしなさい。
第5条 裁判は公平に行いなさい。
第6条 悪をこらしめ、善を行いなさい。
第7条 その役めにあった人に仕事をさせなさい。
第8条 役人は、朝早くから夕方おそくまで熱心に仕事をしなさい。
第9条 おたがいに信じあいなさい。
第10条 異なる意見に対しても、おこらないようにしなさい。
第11条 功績、過失を明かにし、必ず賞罰をくわえなさい。
第12条 役人は、勝手に税をとってはいけない。
第13条 役人は、他人の役目もよく知っておきなさい。
第14条 役人は、おたがいにしっと心をもってはいけない。
第15条 自分の利益を考えずに、国のことを大事に考えなさい。
第16条 人を使ううときは、その時期をよく考えなさい。
第17条 大事なことは、必ずみんなと相談しなさい。



追加

南極地域の平和的利用(軍事的利用の禁止)
科学的調査の自由と国際協力
南極地域における領土主権、請求権の凍結
核爆発、放射性廃棄物の処分の禁止
条約の遵守を確保するための監視員の設置
南極地域に関する共通の利害関係のある事項についての協議の実施
条約の原則及び目的を助長するための措置を立案する会合の開催
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:25:38 ID:1IBnwYUX
>>1
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:46:36 ID:WVPsWEhv
>>1

>>10
これは!まさか拳法17条!
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 13:53:14 ID:jNDWu0h9
>>1乙〜
マヨナカテレビの人を期待待ちしとるんだが、ルイズたちのアルカナってどうなるんだろうなぁ?
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 14:17:44 ID:zUk+TYVF
>>1激しく乙!!

>>13
サイト…戦車(力・勇気・寛大・名誉)

ルイズ…愚者(夢想・愚行・極端熱狂)

キュルケ…恋愛(魅力・愛美)

タバサ…女教皇(秘密・神秘・英知)

ギーシュ…星(希望と明るい見通し・瞑想・霊感・放棄)

モンモン…太陽(物質的な幸福・幸運な結婚・満足)

アンリエッタ…正義(平等・正しさ・行政・正当な判決)

シェスタ…運命(幸運・転機・向上)

自分で考えてもバランス悪い上に、無いわw
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 14:18:20 ID:zUk+TYVF
下げ忘れた……吊ってくる。
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 14:19:42 ID:zUk+TYVF
あ、サイトは戦車じゃなくて剛毅だ……さらに吊ってくるorz
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 14:38:09 ID:vxlZ7fu5
>>1乙です
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 14:39:50 ID:Jji2xHu9
>>1乙ー。

>>12
IDをよく見よう。
つまり「削除依頼が通り辛くなるからレスをつけるな」と言う事だ。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 15:34:47 ID:cIPPuGb6
>>14
才人→シルバーチャリオッツ
ルイズ→ザ・フール
キュルケ→ラバーズ
タバサ→ハイ・プリエステス
ギーシュ→スタープラチナ
モンモン→ザ・サン
アンリエッタ→ジャスティス
シエスタ→ホイールオブフォーチュン

こうですか?
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 15:49:41 ID:WVPsWEhv
>>19
ズィーズィーは腕が肥大していた……
つまりシエスタの肥大している箇所は……胸?
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 16:08:09 ID:0JWkeFbG
ある時、イエスが弟子たちを連れて街中を闊歩していると、
一人の女性が民衆から石を投げつけられていた。
なぜこんなことをしているのかと、弟子が民衆の一人に問うと、
「この女は罪人だからだ」と答えた。
それを聞いたイエスは民衆にこう言った。
「ならばしかたがない。続けなさい」 
そしてこう続けた。
「ただし、一度も罪を犯したことのない正しき者だけこの女性に石をぶつけなさい」
民衆は、とまどい、やがて一人また一人とその場を離れ、
石をぶつけているのはイエスただ一人だけとなった。
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 16:44:30 ID:OzLFvRbw
ぶつけんなw
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 17:00:26 ID:U8MgZKek
迫り来るは野良メイジ。
迎え撃つは平民と貴族と連合軍。

「このパン、おろそかには食わんぞ」

七人の貴族。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 17:15:26 ID:5TYLKQ2B
才人の見たブリミルは>>21みたいのとは丸っきり違ってたわけだが、
伝承のブリミルはどんな感じなんかね?
少なくとも、エルフがガンダールヴというのは伝わってなさそうだ。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 17:35:28 ID://Y7dX7B
あの過去話でブリミルの言い遺した「異教徒」がエルフじゃない可能性が高まった
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 17:38:46 ID:teX8oxbT
伝説は捻じ曲げられるもの――では、ブリミルの行った様々なものを捻じ曲げたのは一体?
ありそうなのが、ブリミルを神格化して権力を握りたがった神職者とか、事実が知られると拙いと考えた賢者達。

……種シリーズにおけるブルーコスモスのように、自分たちより遥かに強いエルフを忌避した一部のメイジの捏造とか。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 17:39:40 ID:Jdag4zmB
恥を知らぬ後世の捏造である
28ゼロの使い魔はメイド:2008/07/26(土) 17:47:39 ID:cluFjtqQ
17:50から投下よろしいでしょうか?
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 17:48:16 ID:XF0ti80W
支援
30ゼロの使い魔はメイド:2008/07/26(土) 17:50:15 ID:cluFjtqQ
 雑多な、という言葉がしっくりくる街を二人の少女は歩いていた。
 マントをつけた貴族の少女と、質素な服を着た平民の少女。
 ルイズとシャーリー。
 慣れない道のせいか、それとも先ほどまでずっと馬に揺られていたためか、シャーリーの足はふらふらとしている。
 「ほら、はぐれないようにして。スリが多いんだから気をつけて」
 ルイズはシャーリーの手を引っ張りながら、人ごみをかきわけるように進んでいく。
 その様子は、初めてのお使いに四苦八苦する小さな姉妹のように見えなくもなかった。
 これが二人とも貴族か、平民であればさほど珍しいものではなかった。
 しかし、貴族と平民の、それもあまり垢抜けているとはいえない少女が妙に仲良く歩いている様子はけっこう目立った。
 「あれは衛兵の詰め所ね。で、あっちの看板は床屋。それと、こっちは酒場。あんまり近づかないほうがいいわね――」
 ルイズは並ぶ店を解説しながら、シャーリーを引っ張る。
 「は、はいっ」
 シャーリーも必死でついてこようとするが、やはり三時間の乗馬はかなりきつかったようだ。
 ふらふらして、何度も蹴躓きそうになっていた。
 見ていて、実に頼りない。
 学院内で一生懸命に働く姿からは想像もできないものだった。
 (やっぱり無理があったのかしら……)
 ふらつくシャーリーに、ルイズはちょっとばかり後悔してきた。
 よく考えれば、【いぎりす】とかいう名前さえ知られていない辺境の地からやってきたのだ。
 どんなに元気良く見えても、環境の違いから、肉体的にも精神的にも見えない疲労がたまっているのかもしれない。
 (やっぱり、ダメもとでもイザベラに頼んだほうが……。今さら言ってもしょうがないけど)
 あのワイバーンの翼なら、馬で三時間の距離もあっという間だったろうに。
 とにかく、シャーリーを休ませよう。
 そう思って、ルイズは適当なところはないかと辺りを見た。
 その後で、
 「ああっ!?」
 思わず声を張り上げた。
 シャーリーが、いない。
 ほんの少し目を離した隙に、はぐれてしまったのだ。
 ルイズは大慌てで、歩いてきた道を逆行し始めた。


 「しかし、いつきても、せまっ苦しいとこだぁね」
 ブルドンネ街の往来で、イザベラは呆れ顔で言った。
 「狭いし、汚いし、大したもん売ってないしさ」
 地元の人間に喧嘩を売るようなことを、堂々と言ってのける。
 貴族相手に喧嘩を売る人間はそういないが。
 「そりゃトリステインだもの。あんたのいたリュティスなんかとは違うわよ」
 横に立つキュルケがとりなすように言った。
 蒼い髪と赤い髪の美しいメイジ二人。
 同じ長い髪ながら、それぞれ剛と柔の対照的な雰囲気の少女たちは実によく目立った。
 「で、街まで繰り出してちびっこ二人のストーキングか。情けない話だよ? 肝心の相手はどこにいるんだかわからないしさ」
 イザベラは自嘲気味に言って、自分の広い額を軽く叩いた。
 「駅に馬がとめてあったから、ここにいるのは間違いないんだけど」
 「どうかねえ? ヤクザもんにでも捕まってイタズラでもされてんじゃないのかい」
 「不吉なことを言うわね……」
 キュルケは毒舌を吐くイザベラに肩をすくめた。
 「そんなことになってれば、すぐにもわかるけどね。ぼっかーんって」
 と、キュルケは自分の拳を開いてみせた。
 その途端、自慢のバストが揺れた。
 「モードに匂いでも追わせれば手っ取り早いんだけど、こんなところじゃそうもいかないんだよねえ」
 「あなたのモードは素敵だけど、街中じゃインパクトありすぎるわ」
 キュルケは肩をすくめ、うふふと笑った。
 「ああ。へたすりゃ衛兵にとっつかまる」
 イザベラも肩をすくめた。
 「しかしさ、なんであんな小娘に興味持つんだい」
 「そうねえ。あの子、なんかあると思わない? 学園の使い魔、というか、動物たちに妙に懐かれてて」
 「ふふん」
 「私のフレイムや、それにあなたのモードも。普通の動物ならまだしも、使い魔になった幻獣までってのは、変じゃないかしら」
31ゼロの使い魔はメイド:2008/07/26(土) 17:51:46 ID:cluFjtqQ
 「そりゃあそうだが……」
 「あなただって、人間の使い魔ってことで興味わいたんでしょう?」
 そう言われると、イザベラは嫌な顔をした。
 発言をしたキュルケに対してではなく、何事か、嫌なものを思い出したという表情であった。
 「どうしたの? 変な顔して」
 「別に。ちょっと、苦手な相手のことを思い出しちまっただけさ」
 「へええ。怖いもの無しで傍若無人のあなたでも、そんな人がいるのね」
 「なんだい、それじゃ私が手のつけられない悪たれみたいじゃないか」
 「悪たれってのは、あってるわよね」
 キュルケは愉快そうに笑う。
 「魔法学院で銃の試し撃ちして停学食らったのはあなたが初めてじゃない?」
 「ぬかしな。学院中で色男どもを食いまくって、学院中の女から総スカンを食った色ボケに言われたかあないね」
 即座にイザベラは言い返した。
 両者の言っていること、共に嘘偽りのない真実だけに始末が悪い。
 イザベラとキュルケはしばらく睨み合った後、急に大声で笑い出した。
 「はっはは。お互い、偉そうなことは言えないか」
 「言えてるわ」
 「まあ、そんなことはいいさ。それよりも、ゼロのルイズとメイドを探さなきゃならないね」
 と、イザベラは何かを取り出す。
 それは拳ほどの羅針盤のようなものだが、針にあたる部分が犬の形をしていた。
 「それって人探しのマジックアイテム?」
 「いーや? 獣が多くいるところを探すためのもんさ。本来は狩猟の時に使うんだがね」
 「こんな街中で?」
 「あのメイド、いっつも獣がそばにいたろ? だったら獣の多くいる場所を探せば、いるかもしれない」
 「へえ。でも、よくそんなの用意できたわね」
 キュルケは感心したように笑った。
 「たまたまだ。いざって時に金にするために、いつも二、三個持ってるのさ」
 イザベラは冗談のようなことを、真顔で言った。
 しかし、イザベラの手にしている羅針盤、作りは地味だが、かなりの値打ちもののようだった。
 いくら貴族でも、そうほいほい買ったり売ったりできる代物とは思えない。
 キュルケは眼を細めた。
 このイザベラという少女と友人になって一年になるが、未だよくわからないところが多い。
 ガリアの出身であるということ以外、詳しいことは誰も知らないのだ。
 イザベラ・ド・モリエールという名も、どうも偽名らしい。
 高価なマジックアイテムを何気なく、しかし数多く持っていることから、かなり裕福な家柄の出身のようだ。
 本人が何も言わないので、キュルケもしつこく問いただしたことはないが。
 イザベラはサボりまくっている割に成績は優秀で、十番より下に下がったことはない。
 優秀というよりは、勉強の仕方が効率的なのかもしれなかった。
 ただ魔法実技に関しては凡庸で、風のラインクラス。
 二つ名は、『木枯らし』。
 口さがないものは、限りなくドットに近いラインと言ったりもしたが。
 もっとも本人はあまり魔法に大きな価値を抱いてはいないようだった。
 「ヘタな魔法よりも手っ取り早い」
 と、銃を扱うことを好んだ。
 金にあかせてゲルマニアの職人に改造させた銃をいくつも持っている。
 こういったところが、性格も含めて学院で鼻つまみ者になっている要因なのだ。
 その中には、キュルケが仲介したものの数多い。
 「さてと、こいつでうまく見つかればお慰み……」
 イザベラが羅針盤を起動させると、すぐに犬の形を模した針が激しく動き出し、ある方向を指し示した。
 「さっそくきたかい。じゃ、いってみるかね」
 イザベラは軽い口調で言って、羅針盤を持ったまま走り出す。
 「ああ、ちょっと待ってよ」
 キュルケもそれに続いた。


 シャーリーは、街角に一人ぽつねんと立っていた。
 というか、途方にくれていた。
 人ごみに流されてしまったと思ったら、いつの間にか主人のルイズとはぐれてしまっている。
 闇雲に歩き回るより、じっとしているほうがいいかとその場に留まっていたが――
32ゼロの使い魔はメイド:2008/07/26(土) 17:53:03 ID:cluFjtqQ
 ものすごく心細かった。
 何しろ生まれて初めて足を踏み入れた場所であり、ろくに方角の見当さえつかない。
 学院の中はまだ良かった。
 主人のルイズもよくしてくれたし、メイドの仲間もいた。人懐っこい動物のおかげでほっとできた。
 しかし、こんな場所へ一人で放り出されると、どうにもたまらなかった。
 他の人間がみんな得体の知れない生き物に見えて、不安で仕方がない。
 そのへんをうろついている猫や犬のほうがまだ、心を許せる気がした。
 (え? 猫? 犬?)
 シャーリーは、はたと気づいた。
 いつやってきたのか、すぐそばに一匹の犬がシャーリーを見上げている。
 ちぎれんばかりに尻尾を振りながら。
 向かいに見える建物の屋根には、猫が三匹ほどたむろして、シャーリーを見ていた。
 (……どこかの、飼い犬かな? でも、首輪してないし……)
 考えながら頭を撫でてやると、犬はいかにも嬉しそうに目を閉じ、されるがままだった。
 それを見ていると、不安でたまらなかった心が、急に軽くなった気がした。
 (この子が、ルイズ様を見つけてくれたりしないかな?)
 ふと、そんな都合のいいことを考えてしまった。
 すると犬は急にシャーリーから離れた。
 (え? どうしたの?)
 犬は一度シャーリーを振り向いてから、どこかに行ってしまう。
 「……」
 シャーリーはため息をついて、うつむく。
 やはり、じっとしていてもしょうがない。
 (出入り口のほうに行けば、見つかるかもしれない)
 そう思い、歩き出そうかとシャーリーは顔を上げた。
 (……っ)
 顔を上げて、シャーリーは青くなった。
 自分の周辺を見るからに人相のよくない連中が数人、たむろしているのだ。
 これは、まずい。
 あわてて逃げ出そうとするが、そこを大きな体の男がさえぎってしまう。
 方向を変えて逃げようとしても、別の相手に邪魔をされる。
 とても、よろしくない状況だった。
 「あの……と、通してください」
 必死で言うが、男たちはニヤニヤするばかりで答えようとしない。
 いや口々に何事か言っているが、シャーリーはそれを半分も理解できなかった。
 しかしながら。
 男たちが、どういう目的で自分に絡んできているのかは、初心な少女にもおぼろげながら察することが出来た。
 混乱して向こうの顔もよくわからない。 
 全員がのっぺらぼうのようで、そのくせ不気味な笑みがへばりついて見えた。
 恐怖で、頭が真っ白になりそうだった。
 おもむろに、一人がシャーリーの腕をつかんだ。
 遠慮のない力で締め上げられ、
 「痛い!」
 シャーリーはたまらず悲鳴を上げた。
 ところが、その途端。
 「ぎゃああ!!」
 シャーリーのそれをあっさりかき消すような、ものすごい悲鳴が走った。
 ぱっと、男の手が放されていた。
 シャーリーが驚いて目を開けると、腕をつかんだ男が地面に引き倒されてわけのわからない悲鳴を上げていた。
 その足には、大きな赤犬が噛みついている。
 男たちがどうしたことかあわてるばかりで、仲間を助けることもできない。
 ようやく一人がナイフを取り出した。
 しかし、そこへ何か黒いものが飛んできた。
 それはナイフを持った男の顔や腕に襲いかかる。
 何かと思えば、それは数匹のカラスだった。
 カラスの大きな嘴でつつきまわされ、男の手からナイフが落ちる。
 別の男には、大きなネズミが耳や鼻に引っ付き、噛み付いていた。
 ネズミの歯の力というやつは恐ろしい。
 堅い木や胡桃を容易くかじってしまうのだから、人間のやわな鼻だの耳なんかひとたまりもない。
33ゼロの使い魔はメイド:2008/07/26(土) 17:54:19 ID:cluFjtqQ
 襲われていない男たちは、周辺を見回して子供みたいな悲鳴を発した。
 周辺は、猫や犬、そればかりか鳥やネズミにぐるりと取り囲まれていた。
 一体どこから集まってきたのか。
 禽獣たちの目は殺気に満ち、今にも襲い掛かってくる勢いだった。
 刃物を振り回して威嚇したって無駄だろう。
 男たちはひぃひぃと、泣いているのか笑っているのかわからない声をあげながら逃げ出していった。
 「…………」
 シャーリーはあまりにも突拍子のない事態に茫然自失となっていた。
 どうやら助かったらしいが、あの動物たちは一体。
 と、聞き覚えのある声が耳に響いた。
 「ちょっと、はなしなさいよ、このバカ犬!!」
 「あ」
 見ると、さっきの犬が少女の裾をぐいぐいと引っ張っている。
 桃色がかった金髪。
 それはまさしく、
 「ルイズ様」
 「へ? あ、シャーリー!?」
 ルイズはシャーリーに気づくと、目を丸くした。
 途端に、犬はくわえていた裾をパッとはなす。
 「どこにいってたの、心配したのよ!」
 ルイズは叫びながらシャーリーに駆け寄った。
 「申し訳ございません……。とんだお手間を……」
 シャーリーは身を縮こまらせて頭を下げる。
 「手間はともかく、このへんは物騒なんだから……。あなたみたいな女の子が一人でウロウロしたら危ないんだから!」
 ルイズにしたって、シャーリーと比べて安全というわけでもないのだが、そこはそれ。
 「ホントに! 何かあったらどうしようかと…。心配したんだからね!?」
 両手を腰に当て、いかにも年長者という態度でシャーリーを叱る。
 「すみませんでした……」
 シャーリーはすっかり小さくなり、謝罪を繰り返すばかりだった。
 「――まあ、無事だったなら、いいんだけど」
 小さくなるシャーリーに、
 (ちょっと、言い過ぎたかしら? でも、でも危ないのはホントだし……)
 内心色々考えながら、わざとらしく咳払いをした。
 「ごほん! とにかく、いきましょ!」
 と、ルイズはシャーリーの手を取った。
 「……ところで、この犬なに? なんかこいつに引っ張られてここにきちゃったんだけど」
 自分を連れてきた犬を見て、ルイズは不思議そうに言う。
 「さあ……」
 と、シャーリーは首をかしげた。
 ルイズを見つけてきてほしい……。
 ぼんやりと心の中で思いはしたが――
 (……でも、まさかねえ?)
 犬を見ると、パタパタと尻尾を振っていた。
 「…………ありがとう」
 シャーリーは小さく、お礼を言った。
 「え? 何か言った?」
 ルイズが振り返った。
 「いえ、なんでもありません」
 シャーリーはあわてて首を振る。
 「? そお?」
 ルイズは訝しげな顔をしたが、シャーリーの手を握って歩き出した。
 二人の少女は連れ立って歩き出す。
 自分たちを見ている、二つの視線に気づくことなく。


 「なんだ、ありゃ……?」
 イザベラは呆れたような声でつぶやいた。
 羅針盤を頼りに進んでみれば、推測通りシャーリーは見つかった。
 街のチンピラに囲まれて、実に助けがいのある状況にあったが。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 17:55:17 ID:7AezZthz
オッ支援する
35ゼロの使い魔はメイド:2008/07/26(土) 17:55:30 ID:cluFjtqQ
 キュルケがすぐさま杖を振ろうとした途端に、チンピラたちはわらわら集まってきた獣の群れに襲われた。
 足をやられたり、顔をかじられた者もいたが、よくまあ、あの程度ですんだものだ。
 「まるで、お姫様を傷つけられた近衛騎士団みたいね……」
 キュルケは身を震わせ、しかし、笑みを浮かべて言った。
 「そういう例えはやめな。好きじゃない」
 イザベラの瞳に、かすかだが殺気が宿る。
 「そうだったわね」
 キュルケは微笑し、ごめん、と言った。
 イザベラはふんと鼻で息をした後、
 「時に、気づいたかい?」
 「なにが?」
 「さっき。あのメイドの右手がチラチラ光ってたのに」
 「……よく見えたわね?」
 「眼はいいんだよ」
 イザベラは自分の瞳をさして、唇の端を吊り上げた。
 「健康優良児だもんね」
 「まーね」
 イザベラはケケケ、と笑う。
 「いずれにしろ、あのメイドが妙ちくりんな力を持ってるのは確からしい」
 「そうねえ……。さすがはゼロのルイズ、とんでもないレアもの引き当てたじゃない」
 キュルケは嬉しそうに指で唇を撫でた。
 ライバルとは、強大であればあるほど燃えるもの。
 「引き当てるねえ? だけど――使い魔なんてもんは、てめえの実力以上のものは呼び出せないんじゃないかい?」
 「それもそうねえ。すると、あの子とんでもない大物になるのかも?」
 「とんでもねーバカか、とんでもねー厄介者かも知らないよ?」
 イザベラのつぶやきには、ひどい実感がこめられていた。
 (しかし――こりゃ、マジモンだわ……。まさかとは思ってたけど、あのヴァリエールが親父と同類だったとはね……)


 *
 これにて投下終了です。支援のかた、どうもありがとうございます。
36名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/26(土) 17:56:50 ID:K+z9KCea
ありそうなのは伝言ゲームの結果かな。
人から人へ、または親から子へ話が伝わっていく間に、
話の一部が抜けたり、ほかの話と混じったり、語り手が想像したことが入ったり、
そんなことを繰り返した結果、今の話になったとか。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 18:25:22 ID:x9CetAnf
お疲れ様でした!
いいイザベラですね!

↑そこかよ!!?
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 18:32:17 ID:F6sY63NB
考えてみるとヴィンダールヴの能力を未制御のまま垂れ流すと非常に危険な気がするぜ乙

>36
こんな感じとか?

「異教徒から聖地を取り戻せ」

偉大なる始祖が苦戦するくらいだから敵は化け物に違いない

そういやエルフって化け物のように強いよね

どうやらエルフが必死に守ってる場所があるっぽい、あれが聖地に違いない!

エルフから聖地を取り戻せ!
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 18:57:38 ID:u/H+Y8nV
つか伝承歪めたのデルフが言ってたロマリアの祖であるブリミルの弟子だろうな
デルフ曰くいけすかねー野郎だったって話だし
唯一ブリミルの子供じゃないってのも気になる
(もしかしたら各王家の祖たちであるブリミルの子達はハーフエルフの可能性があるし)
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 19:12:11 ID:DdTt4TNC
>39
そもそも直系の子孫より弟子の弟子の…の方が偉いってのがわからん
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 19:18:33 ID:GYzxMpGt
メイドの人GJでした!


考えてみたら、弟子に力を与えられるってのも不思議だよなあ。
あとは血縁なのに。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 19:53:19 ID://Y7dX7B
そこら辺考えると、本当に平民は魔法使えないのかって話になるよなあ
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 19:55:37 ID:qJ5cP7Dj
>>41
改造したんじゃね。
遺伝子やら血やらをちょちょいっと。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 20:05:41 ID:QEu8dRbM
>>41
その疑問がSSのネタになるのです。
まじで、どうしようか悩んでた部分が少し解決しました。
ありがとう。
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 20:35:38 ID:7A7ECpcw
シャーリー乙
野良一同「このロリコンどもめ!!」
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 20:42:25 ID:OTYZPu3Q
野良の皆さん
「お姉ちゃんをいぢめたのはお前たち?
 じゃあやっつけるよ、いい?答えは聞かないけどね♪」
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 20:43:24 ID:F9wzpM2E
シャーリー可愛いよおぉぉぉぉぉぉぉ
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 20:46:26 ID:7mqssmo2
学院の食堂って貴族用だよね?
ミスロングビルってどこで飯食ってたんだろう?
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 20:58:38 ID:31EFArfz
たしか教員用の席があったはず。つーかメイジなら爵位無くてもOKだろ
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 21:13:43 ID:0+FOpWn/
貴族だからって爵位もちとは限らないしな。
っつーか次男、三男なんかは持ってないのが普通。
爵位は領地と一緒に与えられるものだから。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 21:16:52 ID:PRD6INz1
シャーリー乙です!!なんというか、シャーリーは、本当にメイドに萌える
と言うことを教えてくれた漫画なので、職人さんも頑張って下さい。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 21:31:31 ID:MTrL6F2A
このスレって半分考察スレになっているような気がしないでもないな
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 21:45:37 ID:kzn74HRv
しゃぁりぃかあいいよおおおおおぉぉぉぉぉ乙
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 21:46:44 ID:l5LsQSQ5
おもちかえりぃぃぃぃぃ!
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 22:04:27 ID:J5ue15dB
>>54
発症してるんですねわかります(ID見ながら)
戯言の病毒使いみたいなのにガンダついたら病原菌がパワーアップするのかちょっと気になった
56ゼロHiME:2008/07/26(土) 22:38:01 ID:u4JeBqrH
17話完成したので投下します。
進路クリア?
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 22:38:16 ID:RsL+c793
OKです
58ゼロHiME:2008/07/26(土) 22:39:57 ID:u4JeBqrH
では、いきます
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 22:40:47 ID:GhBozRDg
クリアクリーーーーーーーーーーーんっ 支援
60ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第十七話 1/3:2008/07/26(土) 22:41:29 ID:u4JeBqrH
 翌日、船員達の声と眩しい光で静留は目を覚ました。舷側から下を覗き込むと、白い雲が広がっており、フネは雲の上を進んでいた。

「アルビオンが見えたぞー!!」

 鐘楼の上に立った見張りの船員の声に、静留はフネの前方へと顔を向けた。
そこに広がっていたのは圧巻の光景だった。雲の切れ間から、黒々とした大陸が姿を覗かせていた。大陸は遥か視界の続く限り延びている。地表には山がそびえ、川が流れていた。

 「あれがアルビオンよ……驚いた?」

 いつのまにか横に来ていたルイズが静留に言った。

 「事前に教えてもろうたとはいえ……ほんに聞きしに勝る絶景どすなあ」

 静留はそう言ってルイズに微笑むと、空に浮かぶ大陸を眩しそうに眺めた。

 「浮遊大陸アルビオン。ああやって、主に大洋の上をさ迷ってるわ。大きさはトリステインの国土ほどもある通称『白の国』」
 「白の国……?」

 不思議そうな様子の静留にルイズは大陸を指差した。
 大河から溢れた水が白い霧となって、大陸の下半分を包んでいる。その霧が雲となり、ハルケギニアの大地に雨を降らせるのだとルイズは説明した。

 その時、鐘楼に登った見張りの船員が大声を上げた。

 「右舷前方の雲中より、船が接近してきます!」

 静留はルイズは言われた方を向く。なるほど、大きな黒いフネが一艘近づいてくる。舷側に開いた穴から、大砲が突き出ていた。

 「どう見ても普通の商船には見えまへんな」
 
 静留の言葉にルイズは眉をひそめて呟いた。

 「いやだわ……反乱勢、貴族派の軍艦かしら」
 
 
 結果的に言うとそのフネは海賊ならぬ空賊のもので、ルイズ達の乗ったフネは停船させられ、あっというまに彼らに制圧されてしまった。
 ルイズ達は相手がただの空賊か、貴族派の私掠船か判断できるまでは様子を見た方がよいというワルドの策に従い、特に抵抗することなく捕ったので、杖とデルフを取り上げられ、フネの一番奥にある船倉に閉じ込めてられてしまった。

 「放り込まれて大分経つけど、誰も来ないわね」
 「そうだな、後で頭目が尋問に来るといっていたが……」

 じっとしてるのに飽きてぼやくルイズをなだめるようにワルドが答える。

 「まあ、焦っても仕方ないですやろ……っと、どうやら誰か来なはったようですわ」

 入り口の近くに座っていた静留がそう言うと同時に扉が開いて、やせぎすで目つきの悪い空賊が顔を除かせる。

 「お頭がお呼びだ」
 
61ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第十七話 2/3:2008/07/26(土) 22:43:56 ID:u4JeBqrH
三人は甲板の上に設けられた空賊船の船長室へと連れて行かれた。
 部屋の中央に置かれた立派なテーブルあり、一番上座にバサバサの長い黒髪を真っ赤な布で纏め、無精ひげを顔中に生やし、左目に金のアイパッチをした赤銅色の肌の空賊が他の空賊たちにかしずかれて座っていた。
 大きな水晶のついた杖をもっており、どうやらメイジくずれの空賊らしい。

 「おい、お前たち! 頭の前だぞ、挨拶しねえか!」

 ルイズたちを連れてきたやせぎすの空賊が後ろからルイズをつつく。だが、キッとした視線で頭を睨みつける。

 「気の強い女は好きだぜ。子供でもな。さてと、名乗りな」
 「その前にこっちの質問に答えて……あんた達は王党派、貴族派、どっちなの?」

 ルイズは、頭目の言葉を無視して言った。

 「当然、貴族派に決まってる。もうすぐ負けそうな王家に忠義立てしたって儲かりゃしねえからな」
 「じゃあ、この船は貴族派の私掠船ということね」
 「そういうことだ。お前らが貴族派だと言えば、きちんと港まで送ってやらんこともないが」

 そう言って頭目はにやにやと笑う。しかし、ルイズは首を縦に振らずに、真っ向からその空賊を見つめた。

 「お断りよ! 誰が薄汚いアルビオンの貴族派なものですか! 私はトリステインから遣わされた王党派への使いよ! だから正式な大使としての扱いを要求するわ」

 ルイズの言葉に頭はあっけにとられた表情を浮かべ、静留が大げさに天を仰ぎ、ワルドが困ったように顔を手で覆った。
  
 「お嬢ちゃん、確かに正直なのは美徳だが、こういう交渉事では致命的な欠点にしかならんよ。それより、貴族派につく気はないかね? あいつらはメイジを欲しがってし、先のことを考えりゃ、ここで恩を売っておいた方がトリステインにとっては有益なはずだ」
 「死んでも、嫌よ」
 
 ルイズは胸を張って言い切った。それを見た頭目は大声を出して笑った。

 「やれやれ、トリテインの貴族は気ばかり強くて、救いようがないな。まあ、どこぞの国の恥知らずどもより何百倍もましだがね」

 豪快に笑いなら立ち上がると、ルイズの前までやってきた。静留が警戒して身構える。

 「失礼した。貴族に名乗らせるなら、まずこちらから名乗らなくてはな」

 そう言って頭目は、頭と顔に手をやると、バサバサの長い黒髪と真っ赤な布、左目のアイパッチを投げ捨てた。そして、最後に作り物だったらしいひげを引き剥がして現れたのは、凛々しい金髪の若者であった。
周りに控えた空賊たちが、一斉に直立不動の姿勢をとった。

 「私はアルビオン王立空軍大将……いや、それよりはこちらの肩書きの方が通りはいいかな? アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」

 頭目――ウェールズ皇太子はにっこりと魅力的な笑みを浮かべると、ルイズたちに席を勧めた。

 「アルビオン王国へようこそ、大使どの。さて、御用の向きを伺おうか」

 あまりの展開にルイズは口をあんぐりと開け、静留は驚きに目を丸くし、ワルドは興味深げにいきなり名乗ったウェールズを眺めた。
62ゼロHiME〜嬌嫣の使い魔〜 第十七話 3/3:2008/07/26(土) 22:46:35 ID:u4JeBqrH
 「いや、大使殿には失礼いたした。しかしながら、君達が王党派というのがなかなか信じられなくてね。この『イーグル号』が堂々と王軍の軍艦旗を掲げれば、あっという間に反乱軍に囲まれる。空賊を装うしかない、というわけさ」

 いきなり目的の王子が眼前に現れ、何も言えずに立ち尽くすルイズに代わってワルドが優雅にウェールズに頭を下げて言った。

 「アンリエッタ姫殿下より、密書を言づかって参りました」
 「ふむ、姫殿下とな。君は?」
 「トリステイン魔法衛士隊グリフォン隊隊長、ワルド子爵」

 それからワルドは、ルイズたちをウェールズに紹介した。

 「そしてこちらが姫殿下より大使の大任を仰せつかったラ・ヴァリエール嬢と、その使い魔たる少女にございます、殿下」
 「なるほど! 君のようなりっぱな貴族が後十人いれば、我らがこのような姿を晒す事もなかったろうに! して、その密書とは?」
 
 ルイズが慌てて、胸のポケットからアンリエッタの手紙を取り出し、恭しくウェールズに近づく。だが、途中で気がついたように足を止めると、ちょっと躊躇うように口を開いた。

 「あ、あの……失礼ですが、本当に皇太子様?」

 ウェールズは笑った。

 「まあ、無理もない。さっきまでの顔を見せられてはね。では、証拠をお見せしよう」

 ウェールズは自分の指に光る指輪を外すと、ルイズの嵌めた『水のルビー』に近づける。
二つの宝石は共鳴し、その間に虹の輝きを創り出す。

 「水と風は虹を作る。王家の間にかかる橋さ」
 「大変、失礼をばいたしました」

 ルイズが一礼して、手紙を渡すと、ウェールズは受け取った手紙にその場で目を通した。

 「アンリエッタ……姫は結婚するのだな」

 ウェールズの言葉にワルドが頷く。ウェールズはどこか寂しげに微笑むと、ルイズに手紙を返却することを了解すると伝え、そして言った。

 「肝心の姫から貰った手紙だが、残念ながら手元にはない。多少、面倒だが、ニューカッスル城まで足労願いたい」
63ゼロHiME:2008/07/26(土) 22:48:22 ID:u4JeBqrH
以上で終了です。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 22:49:40 ID:sWJx91WU
乙なんだぜ
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 22:59:12 ID:/wBql1xh
乙HiME
66未来の大魔女候補2人 第4話 ◆kjjFwxYIok :2008/07/26(土) 23:14:10 ID:PZBkqFJM
進路クリアですか?
でしたら、23:25から投下いたします。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:17:18 ID:7AezZthz
HiMEの人OTSUでした。
大魔女候補の人待ってました進路クリアどす
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:24:46 ID:7A7ECpcw
ん……?まだか?
 
              未来の大魔女候補2人 〜Judy & Louise〜

                   第4話『朝の魔女2人』



 ジュディは、朝日が昇ったのに少し遅れて目覚めた。
 隣からはルイズの寝息が聞こえてくる。

「ふぁ〜ぁ」

 欠伸をしてから、極上の柔らかさを持つ布団から上半身を起こし、眼をしばたかせる。

「う〜…ぅん」

 大きな伸びをしてから、ベッドから降りて部屋の中を見回す。
 ジュディの目に映るのは、見慣れた自分の部屋ではなく、自分の部屋が3つは収まる程に広く、見たことも無い位に豪華な部屋であった。ルイズの部屋である。

「そっか…… 夢じゃなかったんだ……」

 ポツリとそう呟き、ガックリと項垂れる。
 部屋の中は薄暗く、カーテンの隙間からは朝日が漏れている。耳を澄ますと外からは、小鳥の囀る声が聞こえてくる。

「ルイズさんが励ましてくれたのに、暗い顔してちゃだめだよね?
 きっと帰れる。うん、きっとダイジョウブ。必ずみんなとは、また会えるから」

 そう、自分に言い聞かせ、顔を上げる。
 薄暗い部屋をゆっくりと横切り、窓の前に立つ。背伸びをして、片側のカーテンだけを開ける。すると、透明な朝日が部屋に溢れた。
 窓を開けテラスに出ると、朝露で湿りを帯びた風が頬を撫で、温かい朝日がジュディを包み込む。
 全身で朝を感じ、ジュディは大きく深呼吸をする。すると、体全体に1日分の活力が漲る。
 太陽が昇ってそれ程時間が経っていないらしく、気温はまだ低い。
 窓から下を見下ろすと、既に起きて仕事をしている人達が目に入った。その人達は一様に、黒地の質素な服に白のエプロンという格好をしている。
 ジュディは昨日、この学院には『メイド』と呼ばれる雑用をしてくれている人達が居ると、ルイズから聞いた事を思い出した。
 ジュディには見慣れない格好だが、あの白黒のいでたちは昨日見たメイドそのものであるので、間違いはないだろう。
 大きく息を吸い込んで、ジュディは眼下に居るメイドに挨拶をする。

「メイドさん、おはよーございます!」
「きゃ! お、お早う御座います!」

 いきなり頭上から呼びかけられた黒髪のメイドは、目を白黒させて驚いた様子である。

「朝早くから、ゴセイが出ますね」
「い、いいえ、滅相も御座いません!」

 黒髪のメイドは、ジュディの言葉に委縮し、畏まってしまう。ジュディは、何故そんな風になるのかわからず首を捻る。

「し、失礼致します!」
 そうこうしている内に、黒髪のメイドは一礼をしてから足早に去って行った。
 ジュディは首を傾げながら部屋の中へ戻る。
 ベッドに目を向けると、スヤスヤとルイズが気持ち良さそうよさそうに寝ていた。髪は乱れて四方八方に広がり、口元には涎が垂れている。

「ルイズさん、ルイズさん。朝だよ、早く起きて」
「ぅん〜 なに〜?」
「もう朝だよ」
「あと5分〜」
「ダメだって。早起きは3クライスの得だよ?」
「ふぁ〜 もう朝〜?」

 ルイズは目を擦りながら起き上り、ベッドの反対側にある壁に目を向ける。そこには、背の高い振子時計があり、カチコチと時間を刻んでいる。

「なによぉ〜 まだ1時間ぐらい眠れるじゃない。おやしゅみーzzz」
「もうっ! しょうがないな〜」

 ルイズは再び布団に潜り込む。暫くもせぬ内に寝息が聞こえてくる。
 その様子に、ジュディはあきれた声をあげて頬を膨らます。まるで兄を起こす時のようだ、と、ジュディは感じる。
 ジュディはルイズを起こすことを断念して、着替えることにした。
 鞄からソックスとシャツを取り出し、それに着替える。脱いだ寝巻きは、丁寧に畳んで鞄に仕舞う。
 クローゼットを開け、何時ものスカートと魔道着を着る。そして、姿見の前に立ち、昨日の赤いネクタイではなく黒いリボンタイを締める。
 姿見の前で一回りして、可笑しな所がないことを確認してから、紫のローブを身に纏い、着替えが完了した。
 再びベッドに近寄って、ルイズを揺さぶる。

「ねえねえルイズさん、お散歩に行って来て良い?」
「う゛ん〜? いってらっひゃい、きおひゅけちぇね」

 布団の中からくぐもったルイズの声が聞こえてくる。
 全く起きる気配のないルイズに、ジュディはため息を付いて
 ジュディは寝癖の付いた髪を梳かす。それが終わると、荷物掛けから大きなとんがり帽子を手に取ってから、ドアノブに手を掛ける。
 扉を開けて、穏やかな寝息が響く部屋から抜け出る。
 廊下には、ポセイドンが昨日と同じ場所に鎮座していた。
 廊下は静かなもので、どの部屋からも物音は聞こえてはこない。女子寮の中で起きているのは、ジュディだけのようだ。

「よしっ。いこっか、ポセイドン」

 ジュディは、大きなとんがり帽子を被って胸を張る。
 知らない場所を探検する事に、心が高鳴るのを抑えながら一歩を踏み出す。
 廊下には、窓から差し込む透明な朝日が満ち満ちており、誰も知らない1日が始まるのだと、ジュディに予感させた。



 ◆◇◆


 学院の中庭に、片手を胸元に当てて乱れた呼吸を整えている少女が居た。先ほど、ジュディが声を掛けた黒髪のメイドである。

「ああ、吃驚した。貴族の方から挨拶されるなんて、夢にも思わなかったわ……」

 メイドというものは、奉仕する者であり、それが当り前のことだ。粗相があれば叱咤されるが、そうでないならば特に何も言われもしない。
 何か言いつけるために呼び止められることはあっても、日常の他愛ない挨拶をされる事など皆無といってよい。
 個人付きで、付き合いの長い主従ならばそういったことも有るだろうが、少女は学院全体の貴族に仕える立場であり、有象無象の1人でしかない。
 で、あるからして、今朝のように丁寧に挨拶をされて、ましてや苦労を労われるなど初めての体験であった。

「ああ…… しまったわ。
 思わず逃げるみたいになっちゃったけど、何か言いつけられるのだったのかも……
 どうしよう、このことが原因で何か罰を受けたりしたら…… いえ、罰で済んだらいいけど、解雇されちゃったらどうしよう?」

 先ほどの自分の態度を思い出し、今更ながら下手な対応をしてしまったと少女は頭を抱える。
 少女の頭の中には、様々なシチュエーションが渦を巻いている。

「どうしよう、どうしよう。謝りに行った方がいいかしら? でも、案外なんとも思われてないかも?
 でもでも、お仕置きされるのは嫌だし、潔く謝った方が…… でも、影腹を切れなんて言われたら…… ブツブツ」

 少女の思考は悪い方向に加速していく。
 貴族にとって、下働きの平民など取るに足らない存在である。些細なことが原因で、無体な仕打ちをされた例もあるのだと、少女は同僚から聞かされている。
 そんな訳だから、平民の貴族への畏怖は強く、また、決して逆らえぬ存在である。
 そんな風に想像が膨らんでいき、戦々恐々としている少女に、声が掛けられた。

「おーい、シエスタ。そんな所に蹲って、一体どうしたんだ?」
「きゃっ! い、いいえ、何でもない…です」

 シエスタと呼ばれた少女は、不意に掛けられた声に仰天して、しどろもどろに応える。
 声を掛けた少年は、そんなシエスタの様子を不思議に思い問い詰める。

「何でも無いって事はないだろう? 顔なんか真っ青じゃないか」
「そ、そんなに酷い顔してますか?」
「ああ。一体、何があったんだよ? 俺だったら何でも力になるから、何があったか言ってくれよ」

 その言葉に力付けられて、シエスタはポツリ、ポツリと、何があったのか話し出した。

「う、うん。実は……」
 
 話を聞き終えた少年は、腕を組んで難しい顔をする。だがその実、考え込んでいる振りをしているだけなのであるが、シエスタにはそんな事は分からない。
 しばしの黙考の後に少年は、シエスタに笑い掛ける。そのなにも臆したところの見られない態度は、シエスタには頼もしく映った。

「大丈夫だって。あいつ等、気に食わない事があったら直ぐに怒鳴りつけて、杖を振り回すだろ?
 そうしなかったって事は、別に何とも思っちゃいないって事だって。
 何食わない顔してりゃ、別にどうってことないさ」
「そう……でしょうか?」
「そうだって。血眼になって追っかけてこないって事は、全然大丈夫だって。なっ?」
「そう、ですよね?」

 少年の言い分も尤もだと思い、シエスタは気持ちが軽くなる。確かに、何も言って来ない所を見ると、大した問題では無いように思えてくる。
 延々と、暗い想像を浮かべて悩んでいた事が馬鹿らしく思えてくる。やはり、この少年は頼りになるとシエスタは思い、頬が紅に染まるのを感じる。

「お貴族様の事で悩んだってムダムダ。
 どうせ考えるならさぁ…… えっと、今度の休みだけどさぁ、よかったら俺と……」

 少年は手をモジモジさせて、シエスタに話し掛けてくる。
 どうやら少年は、シエスタをデートに誘っているらしかった。
 まだ学院に来て間もない少年との仲は、満更でもない。抜けた所もあるが、何度か助けられる事もあったし、何より他人とは思えない雰囲気を感じていた。
 そんな訳で、シエスタは特に抵抗感も無くデートの約束をする。少年は両手を胸の前で組んで感激し『生まれてきて良かった』などと言っている。
 身持ちの固いシエスタだが、初デートという事態に、少年ほどではないが、心が湧き躍るのを感じる。
 やはりここは、近場の森にでもピクニックに行こうか。そして、お弁当を作っていって家庭的なのをアピールするのも良い。
 それよりも、思い切って城下町まで足を延ばそうか。お金なら、今まで貯めてきたへそくりがある、それで都会のデートを楽しむのも悪くない。
 さて、どちらにしようか。と、考えたところで重要なことに気がつく。

「つい、話しこんじゃいましたけど、早く仕事に戻らないとマルトーさんに叱られませんか?」
「おっと、いけね。急いで戻らないと。
 また後で! この話、忘れないでよ!」

 そう言って少年は、踵を返して食堂の方へ走りだす。マルトーとは、学院の胃袋を握っているコック長のことだ。仕事には厳しいが、周りからの信頼は厚い人物である。
 シエスタは、自分と同じ黒髪の少年の背中を見送ってから、自分の仕事へと戻る。

「さて、お洗濯しなくちゃ。うん、今日もいい天気!」

 その言葉の通り、頭上には青空が広がり、陽光が燦々と降り注いでいる。
 天高く純白の雲が流れ、薫風が吹き抜ける。今日も1日晴れのようだ。



◆◇◆


73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:28:22 ID:7A7ECpcw
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74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:28:41 ID:vxlZ7fu5
支援
 早朝、学院長秘書ロングビルは、学院の本塔の階段を登っていた。目指すのは最上階の学院長室。
 何時もならば、こんなに朝早くから出勤したりはしない。
 それにもかかわらず、階段を上っているのには理由がある。

「全くあのジジイと来たら、こんな朝早くから一体何の用だい?
 おちおち寝てられやしない……
 ……はぁ。今日もセクハラされるんだろうねぇ、全く嫌になるよ。
 さっさと目的を果たして、村に帰ろう。テファ達に会って心の洗濯をしないとやってられないよ。うん、それがいい。
 ……でも、安定した定期収入も魅力なんだよねぇ、ぶっちゃけ高給取りだし、セクハラさえなかったら本当に就職してもいいのに。
 そうなったら、テファにも堂々と、どんな仕事をしてるかも言えるし…… でも、周りは貴族の馬鹿ガキばっかりだし…… 如何しようかねぇ?」

 その理由は、ロングビルの口から駄々漏れであった。相当にストレスが溜っているらしく、不機嫌な足取りで階段を上っていく。
 愚痴は主に仕事のことであり、ついでに先の人生設計なども考えているようだ。
 文句は尽きることなく、口から衝いて出る。

「ココの教師ときたら、揃いも揃って変人だらけだし、一般人には付いて行けないよ、まったく。
 それにしても、何でこんな高い所に学院長室を置くんだろうねぇ?
 3,4階で良いじゃないか。その方が楽だし、利便性もあるだろうに…… 見栄って奴かい?
 やっぱり、これが貴族のサガなのかねぇ?」

 愚痴は、仕事のことに始まり、同僚のこと、はては学院の構造にまで波及する。
 一通りの愚痴を零し終えて、最上階に辿り着く。身嗜みを整え、小さく息を吸い込んでから、扉をノックして入室する。

「オールド・オスマンお呼びでしょうか?」
「おお、ミス・ロングビル。待っておったよ」

 部屋の奥からオスマンが返事をしてくる。流石に、朝っぱらからは水煙管を吸ってはおらず、朝の清涼な空気が部屋に満ちている。
 先程までの不機嫌さなど、微塵も感じさせない表情でロングビルはオスマンに微笑む。

「こんなに朝早くから、一体何のご用でしょうか?」
「なに、大したことではない。朝食が済んだ後、ジュディちゃんに此処に連れて来てはくれんかね?」
『たったそれだけの用事で、朝早くから呼びつけたのかい? このクソジジイ』

 ロングビルは、忌々しそうに毒づく。もちろん、口にも表情にも出さずに、だが。

「ミス?」

 返事をしないロングビルに、オスマンは怪訝な顔で呼びかける。
 ロングビルは、何でも無いと言うように微笑んでから、用件を承諾する。

「それならば、お安い御用です。お任せ下さい。
 それで、お話はそれだけでしょうか?」
「あと1つ、出来るならば引き受けてほしいこともあるんじゃ。いいかの?」
「何でしょうか? 職務に差し支えない範囲でなら、お引き受けしましょう」
「うむ。
 ジュディちゃんをこの学院の生徒にしたいと思っとるんじゃが、問題があるのに気が付いての。
 それを何とかしてほしいんじゃ」
「問題……ですか? それはどんな?」
「読み書きじゃ。ジュディちゃんは、此方の文字の読み書きは出来んじゃろうから、それから教えんといかんのに気が付いてのう。
 授業を見学する分なら何とかなるが、生徒として受けるのなら読み書きが出来んと問題があるじゃろう。
 じゃから、ジュディちゃんに、読み書きを教えてやってはくれんかのう?」
 
 オスマンの言い分は、ロングビルにも分かる。しかし、何か釈然としないものを感じて、ロングビルは疑問を口にする。

「それは確認したのですか? 言葉は通じていましたし、違う言語を使ってはいませんでしたよ?」
「昨日、ジュディちゃんから地図を貸してもらったじゃろう? そこに書いてある文字は、ワシには全く分からなんだ。
 じゃからして、違う言語を使っていると考えられる」
「なら、どうして言葉が通じているのですか? 違う言語を使っているのなら、言葉が通じるのはおかしいでしょう?」

 そうまくしたてるロングビルに、オスマンは片手を挙げて宥める。オスマンは泰然としたもので、こちらが慌てているのが滑稽に思えてくる。

「まあまあ、落ち着いて、深呼吸でもしなさい」

 オスマンは、オホンと咳払いをしてから説明を始める。

「オホン。それは、サモン・サーヴァントの影響じゃろう。
 使い魔となった動物は、人間の言葉が喋られるようになる場合がある。聞いたことがあるじゃろう?
 そして、喋られるようになる動物は、犬猫などの、長い間、人間の傍にいたモノたちじゃ。
 で、あるからして、人間を呼び出した場合、言葉が通じるようになるのは自明の理じゃ」
「けれど彼女は、使い魔ではありません。そうおっしゃったのはオールド・オスマン、貴方でしょう!」
「落ち着きなさい。ワシはサモン・サーヴァントの影響だと言ったじゃろう? 使い魔になった影響とは言っとらん」
「……サモン・サーヴァントの? 一体どういう事です?」

 少し冷静さを取り戻したロングビルは、分からないといった顔で聞き返す。
 1つ溜息をついてから、オスマンは話し始める。目はいつになく真剣だ。

「使い魔が言葉を話せるようになるメカニズムは、契約時に精神構造と声帯部分が変化するためじゃ。
 そして、コントラクト・サーヴァントを行う事で声帯部分が変化している。どう言う事か分かるかね?」
「つまり、サモン・サーヴァントで呼び出された時点で、精神部分は変化している。と、いう事ですか?」
「そうじゃ。人間ならば声帯の変化は無用じゃからのう。精神部分が変化するだけで充分なのじゃ。
 ジュディちゃんは向こうの言葉で話しているつもりでも、口にする時点でそれは此方の言葉に翻訳されているのじゃろう」

 ロングビルは両手を眉間に当て、オスマンの言葉をかみ砕く。
 何しろ人間が呼び出された例がないので、オスマンの言葉の真偽を確かめる術がない。しかし、特に矛盾も見当たらず、ロングビルは頷くしかなかった。

「それが本当かどうかは別にして、あの子に読み書きを教えることはお引き受けします。
 しかし、本当に生徒にするつもりですか? 読み書きを教え終わる前に、帰る方法が見つかるかもしれませんよ?」
「別にいいじゃろうが。ここは学び舎じゃ、そしてワシらは教える立場なのじゃからな。
 それに、無駄になる知識など無い。それをどう活かすかは、本人次第じゃ。
 知識はいずれ、あの子の助けになっていく。きっとな」

 ロングビルの言葉にオスマンは、教育者の顔で諭す。
 初めて見るオスマンの真面目な顔に、ロングビルは眼を点にして驚く。
 真面目な顔をしていても、何処か飄々とした態度を消さなかった老人が、ここまで真剣な顔をしているのを見るのは初めてだ。
 腐っても教職に就くものか。と、ロングビルはオスマンに対する評価を改めねばと考える。
 そんな風に少し感動しているロングビルに、紙袋が手渡される。
 
「これは?」
「それをジュディちゃんに渡しておいてくれ。制服が入っておる」
「制服? あの子に合うサイズの物があったのですか?」
「いんや。ワシが夜なべをして裾直しをした。サイズは合っとるはずじゃ」

 オスマンが、さも当たり前のことのように言ってのける。
 その言葉に、何か不穏なものを感じて、ロングビルは固い声で問いかける。

「……どうやってサイズを知ったのです?」
「なに。ワシのうっふんスカウターにかかれば、お茶の子さいさいよ!
 自慢ではないが、的中率は8割を切っとる!」

 オスマンは、得意満面といった様子で親指を立てて良い笑顔を浮かべる。そこには先ほどの真剣さなど欠片もありはしない。
 それに対しロングビルは、沈痛な面持ちで懐から杖を取り出す。そして、明確な意思を込めてルーンを詠唱する。

「ん? 如何したんじゃ、ミス・ロングビル? なぜ杖を取り出すんじゃ?
 えっ、あっ、ちょっ、待って。無言で杖を振らんでくれい! 怖いから!」
「……少しでも見直した私が馬鹿でした。
 やはり、今日という今日は思い知って貰います!」

 怒り心頭といった表情で、ロングビルは杖を振りかぶる。そして詠唱が完成すると、杖の先には岩塊が出現した。
 オスマンを杖で指し示すと、生まれ出た岩塊はオスマン目掛けてすっ飛んで行く。 
 ロングビルの暴挙にオスマンは、泡を食ったかのように逃げ惑う。何しろ人の頭ほどはある岩塊が飛んでくるのだ。
 必死になって避けるオスマンだが、ロングビルの詠唱は徐々に速くなっていく。

「この! このっ! 避けるな、このクソジジイ! 大人しく引導を渡されな!」
「ひっ、ひぃぃー!」

 この騒動は、同じようにオスマンに呼ばれていたコルベールが、間に入るまで続いたのである。そのお陰で、オスマンは正座で説教にまで減刑さることになった。
 ロングビルの魔法は、学院長室を滅茶苦茶に破壊し、その後始末はオスマン本人がする羽目になった。ロングビル曰く、自業自得だそうだ。
 オスマンは、コルベールが時間通りに来てくれていたら、こんな事には成らなかった、と、後に語る。因みに、コルベールの遅刻の原因は、二日酔いである。
 ロングビルは、如何して朝っぱらからこんな事になるのだろうと、憂鬱に感じながら空を見上げる。
 部屋の片づけをするオスマンを尻目に、今日もロクでもない1日に成るだろう、と、ボンヤリと思うのであった。



◆◇◆


 春の陽気が風を伝って窓から流れ込み、部屋の空気が暖められている。既に多くの者が起き出しており、女子寮は少しざわついている。
 気持の良い風にくすぐられて、ルイズは天蓋付きのベッドの中で爽やかに目を覚ました。

「オハヨウ、ルイズさん」

 眼をしょぼしょぼさせるルイズに声が掛かる。
 そちらを見やると、特徴的な紫のとんがり帽子が目に入った。

「んっ? ああ…… おはよう、ジュディ」

 いまだ焦点の定まらない眼を擦って、朝の挨拶をしてきたジュディを見つめる。
 やがて、ぼやけていた視界が定まってくると、目の前には、ジュディの帽子がひょこひょこと揺れている。そして、その紫のとんがり帽子の広いつばには、黄色くて黒い斑模様のある何かが鎮座している。
 顔を近づけてよく見ると、それは毒々しい色彩を持つルイズの天敵であった。

「カエルッ! な、な、な、なんでそんなのを部屋に連れ込むのよ!?」
「?」

 ルイズは、帽子を指差しながら一気にベッドの端まであとずさる。
 ジュディは、何のことか分からない顔をして、帽子を脱ぐ。

「あっ、カエルさんだ。いったいドコから来たの?」
「ジュ、ジュディ! お願いだからどっかやって!」
「しょうがないなぁ」

 両手で顔を隠しながら、ルイズはジュディにお願いをする。
 すると、ジュディは残念そうに、カエルを優しく両手に乗せて部屋から出ていき、直ぐに帰ってくる。もうその手には、カエルは居なくなっていた。

「ルイズさん。カエルさんは外に出したから、もうダイジョウブだよ」
「そ、そう、ありがと。
 で、でも、勘違いしないでね、驚いただけでカエルが苦手ってわけじゃないのだから」

 今更な言い訳であったが、ジュディは特に何も言わずに微笑む。
 ルイズは、プイと顔を背けてバツの悪い顔で話題を逸らす。

「じゃあ、着替えるから少し待っていて。そしたら、朝ごはんよ」
「はーい」

 カエルが居なくなったことで、人心地ついたルイズは着替えを始める。
 ベッドから起き上がり、フラフラと覚束ない足取りでクローゼットまで進む。
 クローゼットの引き出しから替えの下着を取り出し、手早くシルクのネグリジェとレースがふんだんにあしらわれた下穿きを脱ぎすてる。


(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
                  ̄ ̄
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:36:25 ID:7A7ECpcw
じじいwww
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:38:01 ID:uHxEd2X2
省略すんなw


支援
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:38:05 ID:31peqqub
>>78
ずれてるwずれてるw
さるさん?
支援?
82代理:2008/07/26(土) 23:42:07 ID:7A7ECpcw
「さて、行きましょうか」
「はーい」

 着替えと身支度を終えたルイズが、そうジュディに呼びかける。
 ジュディは、腰掛けていた椅子からぱっと飛び降りると、とんがり帽子を被ってルイズに駆け寄る。

「忘れ物はないわね?」
「うん。戸締りもバッチリよ」
「それじゃ行きましょ」

 支度の確認をしてドアノブに手を掛ける。そして、深呼吸をしてから扉を開ける。すると、そこにはやはり、ポセイドンが大人しく鎮座していた。
 表情の判らなオレンジ色の3つの眼が2人を映す。思わずルイズは、目を逸らして呟く。

「ううぅ…… 居ると分かっていてもこれは……」

 流石に心の準備が出来ていれば叫んだりはしないが、ポセイドンほどの大きさともなれば、ただそこに居るだけでもかなりのプレッシャーを感じる。カエル嫌いのルイズならば尚更だ。

「あっ、さっきのカエルさんだ。どうしたの?」
「えっ?」

 その声に振り向くと、ポセイドンの頭の上に先ほどの毒々しいカエルがちょこんと乗っていた。
 ジュディは、カエルを手のひらに乗せて話しかけている。ルイズとは違い、ジュディにとってカエルは可愛いものであるようだ。
 それを一歩引いた位置で眺めるルイズに、声が掛かる。

「おはよう、ヴァリエール」

 声を掛けてきたのは、見事な金髪の巻き毛とソバカスをもつ少女だった。
 学院制服に身を包み、マントは黒の物を纏っている。見事な金髪が透けるような白い肌に映え、ブルーの双眸は宝石のように澄んだ色をしている。
 背はルイズよりも10サントほど高く、スレンダーな体型をしている。

「おはよう、モンモランシー。珍しい事もあるものね、朝っぱらから貴女と出会うなんてね?」
「ええそうね。きっと今日は、始祖ブリミルは御休みしていらっしゃるのね。
 で、それがあなたの使い魔?」

 お互い挨拶と憎まれ口を交わしあう。
 モンモランシーと呼ばれた少女が、ポセイドンを指差す。

「そうよ」
「ふーん、なかなかやるじゃない。貴女、水属性なんじゃない?」
「なに? うらやましいの?」

 ルイズは薄い胸を張って少し自慢げに問いかける。
 しかし、そんなルイズの態度を、モンモランシーは鼻で笑って一蹴する。

「まさか。羨ましくなんてなんてないわよ。
 わたしには、ロビンが居るからね」

 そう言って、モンモランシーは手の平を突き出す。すると、ジュディの手に乗っていたカエルが飛び上り、モンモランシーが差し出した手に飛び乗る。
 モンモランシーは、手の平に乗せたカエルの背を指で掻いてやりながら微笑む。そして、ルイズの方に差し出した。

「紹介するわ。この子が、わたしの使い魔の『ロビン』よ」

 すると、ロビンは挨拶をするかのように、喉を膨らませて鳴き声を上げる。
 何時ものルイズならば、眼前にカエルを突き出されたなら、腰が抜けるくらい怖がるのだが、ポセイドンを見たあとでは大して怖くないと感じる。

「あっそ。 随分毒々しい色をしてるけど大丈夫なの?」
「毒なんか持ってないわよ、失礼ね」

 さも心外だというように、モンモランシーは憤慨する。そして、ロビンが来た方向、つまり、ジュディへと視線を投げかける。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:43:57 ID:7A7ECpcw
「この子、昨日の?」
「ええ、そうよ。
 ジュディ、紹介するわ。彼女は『洪水』のモンモランシーよ」
「はじめまして、モンモランシーさん。わたしジュディです。
 ロビンもヨロシクね」

 ルイズの紹介を受けて、ジュディは行儀よくモンモランシーとロビンに挨拶をする。

「ええヨロシク、ジュディ」

 モンモランシーはジュディに挨拶を返した後、ルイズをキッと睨みつける。

「で、誰が『洪水』ですって? わたしは『香水』のモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシよ。
 間違えても『洪水』ではないわ!」
「ふん。アンタなんか『洪水』で十分よ。知ってるんだからね、小さい頃に洪水みたいなオネショしたのを」
「キーッ! アンタなんて『ゼロ』じゃない。『ゼロ』のルイズ!」

 ルイズとモンモランシーは、お互いに悪口の応酬を始める。
 喧々諤々と、放っておいたら何時までも罵り合っていそうな勢いだ。
 しかし、扉が勢い良く開かれたことで一時中断となった。
 開かれた扉から姿を現したのは、キュルケであった。不機嫌を通り越して、冷めた呆れ顔を浮かべている。

「まったく…… 朝から騒々しいことね。喧嘩なら余所でやってもらえませんこと?
 もう少しお淑やかに出来ないのかしらねぇ?」
「オハヨウございます、ツェルプストーさん。フレイムもオハヨウ」
「うふふ。朝から元気ね、ジュディ。そんな堅い呼び方しなくても、キュルケでいいのよ」

 元気よく挨拶するジュディには、色っぽく微笑んで返す。
 喧嘩をしていた2人は、水を差されて不機嫌な目でキュルケを見やる。ルイズの眼は、余計なのが増えたと言わんばかりだ。
 キュルケは、その視線を物ともせずに嫣然と返す。その余裕ぶった態度がルイズの心を逆撫でする。

「ふん! アンタに慎ましさが如何とか言われたくないわね」
「それは同感ね」

 ルイズの言葉にモンモランシーが同調する。
 それを見てキュルケは、からかいを含んだ声色でおどける。

「あらあら、カエルを召喚した者同士、仲が良いのね?」
「それは関係ないでしょ。行き成り出てきて何なのよ!」
「仲が良い? 悪い冗談だわ」

 また喧嘩を始めようとするルイズを、ジュディが窘める。

「ルイズさん、ケンカはダメだよ」
「う……むっ…… はぁ、わかったわ」

 ルイズは言葉を詰まらせてから、しょうがなさそうに頷く。
 ルイズからは先程の喧嘩腰な態度など、微塵もなく掻き消えていた。
 そんなルイズとジュディのやり取りを、キュルケはニヤニヤして見ているが、モンモランシーは顎が外れんばかりに驚き固まっている。よっぽど、目の前の光景が信じられないらしい。
 モンモランシーは、ぎこちなくキュルケに問いかける。

「ねえ、キュルケ。一体どうしちゃったのかしら? 信じられないわ、あのルイズが素直に言う事聞くなんて。
 わたし、まだ寝ているのかしら?」
「さあ? 何があったのかは知らないけど、お姉さんぶりたいんじゃない?」
「まさかっ! ルイズに限ってそんな筈ないと思うけど?
 それにしても、本当に始祖ブリミルは御休みのようね」
「なら『ゼロ』じゃなくなったから機嫌が良いんでしょ」
「ああ、なるほど。『ゼロ』は返上して、今は『ほぼゼロ』のルイズよね」
「そこっ! 五月蠅いわよ!」
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:45:41 ID:7A7ECpcw
 顔を額がぶつかるほどに近づけて、ヒソヒソ話をしている2人をルイズが怒鳴りつける。しかし、2人は意にも介さず話し続ける。
 ルイズとて、鬼ではないのだ。ジュディを召喚してしまった責は自分にあるし、昨夜の出来事を鑑みれば、なおさら強気にはなれない。しかし、そんな事は口が裂けてもいえないのがルイズである。
 イライラと、剣呑な目で2人を睨むルイズだが、ふいにマントの裾が引っ張られ、そちらへと振り向く。

「ねえねえ、ルイズさん」
「ん? 何、ジュディ?」

 振り向くと、ジュディが不思議そうな顔で見上げていた。そして無邪気な顔で聞いてくる。

「さっきから『香水』とか『ゼロ』って言ってるけど、なんなの?」
「えーと…… それはね、あだ名よ」
「あだ名?」

 そう言って、ジュディは首を小さく傾げる。ルイズにとってその顔は、悪魔の如きものに見えた。
 言いにくそうにしているルイズに代わって、モンモランシーが指を立てて説明する。

「メイジの特徴をあらわす二つ名の事よ。例えば、わたしは香水の調合が得意だから『香水』の二つ名を持っているわけよ。
 でも、こんなのメイジなら常識よ。貴女、いったい何処から来たの?」
「ちなみに、あたしは『微熱』よ。意味は…… ジュディには、少し早いわね。うふふ」
「じゃあルイズさんは、何が『ゼロ』なの?」
「えーと、あー… それは……」

 その質問に、ルイズは口ごもる。ジュディは悪気があって聞いた訳ではないし、負い目も感じていることもあり、怒鳴って誤魔化すという事が出来ない。
 意味のないうめき声をあげて、言い訳を考えるルイズに、ジュディが再び問いかける。

「ねえ、どうして? 『ゼロ』ってどういう意味?」
「あー、うー た、大したことじゃないから」
「なにそれ? どうせすぐに分かることなんだから、教えてあげたら?」
「そうそう。みんな知ってるんだから、教えて上げなさいよ」
「うるさい、うるさーい! もうこの話題は終わり。
 さっ、はやく食堂に行くわよ!」

 結局ルイズは、大声で怒鳴って話を無理矢理終わらせ、ズンズンと大股で廊下を進んでいく。
 その気迫に、廊下に居るものは端に寄り、ルイズの進んだ後に道ができていく。

「よかった。あれでこそ、何時ものルイズね」
「まあ、そう簡単に人は変わらないわよねぇ」

 モンモランシーとキュルケは、心底安心したという具合に、互いに手を取り合って頷きあう。

「ポセイドン、いくよ。まって、ルイズさん」

 ジュディはポセイドンを連れてルイズを早足で追いかる。その後を追って、モンモランシーとキュルケが歩いていく。
 学院は、朝の喧騒に包まれて活気に溢れている。
 窓からは、多くの生徒達がぞろぞろと、食堂を目指しているのが見える。そして、そこから空を見上げると、憎たらしいほどの青空が広がっている。
 ルイズは忌々しく太陽を睨みつけ、最低な1日の始まりを恨むのであった。



 ・
 ・
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85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:47:27 ID:7A7ECpcw
次回予告


「チクショオオオオ! くらえワルキューレ! 失敗魔法!」
「さあ来いルイズゥゥ! オレは実は爆破されただけで死ぬぞぉぉ!」

 チュ☆ド―ン

「グワァァァァ!」
「ワルキューレAがやられたようだな……」
「ククク…… 奴はワルキューレの中でも最弱……」
「ゼロごときに負けるとはワルキューレの面汚しよ……」
「くらえええ!」

 ズギュ―――z___ン

「「「グワァァァ――!!」」」

「やった…… ついにワルキューレを倒したわ…… これでギーシュのいるヴェストリの広場に行ける!!」
「よく来たなゼロのルイズ…… 待っていたぞ」

 ギィィィィィイ

「こ、ここがヴェストリの広場だったの……! 感じる…… ギーシュの魔力を……」
「ルイズよ…… 戦う前に一つ言っておくことがある。お前は僕を倒すのに『ガンダールヴ』が必要だと思っているようだが…… 別に居なくても倒せる」
「な、 何ですって!?」
「そして、彼女たちにはすでに謝っておいた。あとは僕を倒すだけだなクックック……」

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

「フ…… 上等だ…… 私も一つ言っておくことがある。この私に召喚した使い魔がいるような気がしていたけど、別にそんなことはなかったわ!」
「そうか」
「ウォォォ、いくぞぉぉぉ!」
「さあ来いルイズ!」
 
 ルイズの魔法が世界を救うと信じて……!



 ・
 ・
 ・



今回の成長。
 ルイズは、おしゃれL2のスキルパネルを手に入れました。
 ジュディは、建造物の知識L2のスキルパネルを手に入れました。


 第4話 -了-
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:48:55 ID:UjUPh9gO
まだまだ支援が必要だと思ったがそんなことはなかったぜ乙。
87未来の大魔女候補2人 ◆kjjFwxYIok :2008/07/26(土) 23:49:22 ID:PZBkqFJM
 代理投下、有難う御座いました。

 思いのほか早く書けたなぁ。自分でもびっくり。
 あと、ひょんなことからジュディとタバサの中の人が一緒だという事を知ってさらにビックリ。
 ゼロ魔アニメ見ようかな?
 それにしても、ルイズとモンモンを同時に出すと、どっちが喋ってるのかわからなくなるなぁ……

 あと、言葉の翻訳の考察とか、次回予告とかは、適当に流して下さいね。

 第5話も頑張って書けば、1週間ぐらいで書きあがるといいなぁ。
 それでは、さようなら (^ヮ^)ノシ
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:51:18 ID:31peqqub
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:55:48 ID:Yum+j4Az
投下いいか?
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:56:10 ID:hLl2ivFg
だめぽ☆
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:56:43 ID:/wBql1xh
>>89
OKだけどどなたさん?
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:58:04 ID:7A7ECpcw
知らないということは残酷だな…
つーか前は投下は一ヵ月後とか言ってなかったかw

とりあえず代理投下L1のパネル取得しときます
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/26(土) 23:59:27 ID:Yum+j4Az
ガンダム00のティエリア・アーデで憑依もの
プロットはアンアンがゲルマニアに攻め込んでフルボッコまででけた
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:02:17 ID:/LXG6rBc
アンアンがゲルマニア……憑依……?
途中で投げ出さない覚悟と、最後まで書ききる勇気を持ってるのならいいんでないですか。
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:02:24 ID:hcnvcH91
ガンダムキャラ召喚は別にスレがあるから、そっちのが喜ばれると思うぞ?

ガンダムキャラがルイズに召還されました 2人目
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1205871030/
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:02:36 ID:rNULHMIP
大魔女候補の人乙でした。
省略されましたネタ…これこそスレで読む醍醐味ですな。wikiではこれほどの感動は味わえまい…
次回も期待してます。
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:02:56 ID:RrGJM8l1
>>93
理想郷に投下したほうがよいと思う
しかしまた微妙なキャラだな
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:03:51 ID:HQp7j1Qd
憑依って言う時点で既にスレ違いもいいとこだろ。
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:05:47 ID:+iT0L/HO
憑依物は微妙なラインなので確実安全な理想郷推奨
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:06:59 ID:GSocMkiS
幽霊・霊体を召喚して、使い魔inルイズみたいな状態になるのってまだ無いよね?
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:09:17 ID:3+V6OY0x
オーバーソウルですね分かります
憑依物ならアルビオン王国興亡記は?
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:09:55 ID:k9RqCqtw
>>100
なるほどマ神(マッスルの神様)というわけだな
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:10:23 ID:pWtGKEtV
ガンダムといえば魔龍伝の新作(9話)は?それに8話がまだサイトにUPされてないのも気になる。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:10:54 ID:rNULHMIP
幽霊は覚えがないけど他のならちょこちょこ見るな…ADAとか
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:12:47 ID:DHF8rCP7
憑依といえば、ネミッサはまだ来てなかったっけ
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:16:33 ID:vldgIr9E
パプリカ召喚なら憑依ネタになるのかな
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:16:38 ID:kwcwyWeT
シャーマンキングのSSは誰一人としてなかったな
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:18:00 ID:1+HuEoDt
>>100
黒蟻がそれに近いかな?
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:19:00 ID:Su56Gc7h
大好きだよ!!
釘宮 りえ(20代/女)<2008-07-26 23:55:10>
この応援メッセージが載ったら好きな人に告白しようと思っています。さんまさん勇気をください。

ttp://www.fujitv.co.jp/27h/rtmes/rtmes-1.html
110名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:19:06 ID:rNULHMIP
夏だからとか言いたくないが最近続きを催促するようなレスをよく目にするようになったな…
それはともかくまとめにないとか言う人はなんなの?
好きな作品なら自分で登録すればいいのに。wikiではまとめ方もちゃんと説明されてるし、まさかコピペもできんわけじゃないだろう。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 00:59:38 ID:9gadlyF2
早く続きを書け






佐藤大輔
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 01:15:03 ID:YlaQaUBX
>87
ジュディの人GJ!!
ジュディとタバサが中の人が同じって事で調べてみたら、
マリー姉さんとエレ姐さんも中の人が同じでおでれーた

次回も期待
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 01:36:47 ID:uIcJjKgz
シャーリーは妊娠しません


230 : 蓮花(新潟県):2008/07/25(金) 21:02:49.95 ID:xSleXY6G0
人間以外の動物に中だしされて妊娠しないの?人間の雌は
マジレスくれ


254 : 嘉緑仙(東京都):2008/07/25(金) 21:18:13.02 ID:0+e5vptl0
>>230
受精もするし細胞分裂もちょっとだけする
けど染色体が違うから妊娠までには至らない


257 : 戴姆勒・奔馳(長屋):2008/07/25(金) 21:20:31.80 ID:xNEmSILB0
受精はするけど着床はしないってうぃきni書いてある
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 01:37:32 ID:4C4l4XVd
>>111
言って出るなら苦労はせんさ……。






EGFマダー?
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 01:43:09 ID:YgSamiwS
なにか、いろいろと酷い誤爆を受けたきがしたが
ルイズのサモンサーヴァントなら、仕方ないね
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 02:02:14 ID:TXkTJneQ
>>100
霊の類ではないが、GIFTなんかはルイズが寄生されてる。
話は面白いし文体が好みなので、続きが楽しみだ。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 02:09:43 ID:9SChH2FV
とりあえずGIFTをCFITと読んだ俺が颯爽と通過
フネ用のGPWSとかコッパゲ開発しないかな
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 02:12:21 ID:tcjF3Lyf
GIFTは続きが楽しみだ
119Persona 0 :2008/07/27(日) 03:59:45 ID:yg350SJM
4時より第二話投下致します、進路クリアですか?
120Persona 0  第二話:2008/07/27(日) 04:03:27 ID:yg350SJM
「――私は、私ィィィィィ!」
 下から響いてきた絶叫にキュルケは慌ててレビテーションを解いた。
 頭から真っ逆さまに地面へと落ちていく、その途中に異様なものを見てキュルケは思わず再度レビテーションを唱えるのを忘れそうになった。
「あは、あはは、あははははぁぁぁ」
 それは船だった、どこにでもあるような小さな小さな木製の船だ。
 そこから冗談のように太い樹が天に向かって生え聳えている。
 太い根を船中にのたくらせた樹は血のように赤い葉をを思うままに茂らせている。
 もっともその樹が茂らせているのはそれだけではない。
「あはは、キュルケェェェ!」
 小さな船を苗床に育ったその樹は、首を吊った桃色の髪の少女と言う実をつけた。
「――!? ヴァリエール」
 船が揺れるたびにガサガサと葉がこすれる音が響き、それに伴って少女の体も右に左にと不安定に揺れる。
 その揺れの狭間にわずかに垣間見えるのは、船の中に倒れ伏した桃色の髪の少女。
 ――ヴァリエールが二人?
「あんたも私のこと馬鹿にしてるんでほぉぉぉぉぉ」
「きゃ!?」
 考え事のせいでレビテーションの操作がおろそかになったところに撃ち込まれる見えない力、その強烈な威力にキュルケは吹き飛ばされ床の上に投げ出された。
「なにすんのよぉ」
「うるさいうるさいうるさい、私のことを馬鹿にするやつはみんな死になさい!」

 ――メギド!

 聞いたことの詠唱に、聞いたことのない効果。
 一見して魔法と分かるのにどんな攻撃をされているのか皆目見当が付かない。
「あぐっ!?」
 体を抉られるような痛みにキュルケは呻き、その場に膝を折った。
「あははは、当たった。当たったわぁ、もう一発!」
「くっ、フライ!」
 笑いながら詠唱を唱えるルイズの姿に本能的な危機感を覚え、キュルケは反射的にフライを唱えた。
 次の瞬間キュルケが居た空間に閃光が火花と散る。
「どうせあんたもわたしなんか死ねって思ってるんでしょう、生まれてこなかったほうがいいって思ってるんでしょう!」
 首を括ったルイズは目から血の涙を流しながら、高々と高々と吠える。
「いいわ死んであげようじゃない、後腐れなく死んであげようじゃない!」
 まるでこれまでの鬱屈すべてを吐きだそうとしていみたいに、キュルケにはその姿はとても晴れ晴れとして見えた。
「でも一人は嫌、だから一緒に死にましょう? いいわよね?散々バカにしたんだから」
「いい加減にしなさいよヴァリエール!」
 だがその姿は到底キュルケには受け入れられるものではなかった。
 ルイズが彼女の好敵手足りえたのはひとえにどれほどの嘲笑にも負けずルイズが意地を張り続けた故。
 今は魔法は使えずとも、いずれは必ずヴァリエールの名に恥じないメイジになると言う愚直なまでにまっすぐな生き方に、フォン・ツェルプストーの敵として相応しいと思った故に。
 だからルイズの姿でルイズの声で、普段のルイズとは似ても似つかない言葉を囀る目の前の相手は到底許せるものではなかった。
「こんのぉぉおぉぉ、フレイムボール!」
 全力を込めたフライを解除する目標はルイズの姿をした化け物、回避などしない。フライの慣性を使って全速力で吹き飛びながらキュルケは呪文を完成させた。
 杖の先に燈る紅蓮の焔、自らの皮膚や肺すら焦がすその熱を抱えたまま。
「ルイズゥゥゥゥゥ!」
 キュルケは笑い声をあげるルイズへと向かって突っ込んだ。
121Persona 0  第二話:2008/07/27(日) 04:05:21 ID:yg350SJM




「げふっ、げっふ……」
 一瞬黒く吹き飛んだ意識は次の瞬間猛烈な痛みによって引き戻された。
 どうやら激しく地面に叩きつけられたようで呼吸ができない、咳きこんだ息には血が混ざり左手は変な方向へと曲がっている。
「っぐ」
 それでもキュルケは立ち上がった、ぼろぼろの体でよたよたと不格好に。
 まず最初にしたのは自分の傷がどれほどの対価を生み出したのかと言うこと。
「いたい、いたい、いたいい、いたいいぃぃぃぃ」
 骨の一本や二本折った甲斐はあったとキュルケは笑った。
 はんばほどから折れたキュルケの杖は首を吊ったルイズの胸に突き刺さりその周囲を炭に変えている、樹から生えた腕のような形の枝がその傷を庇うように押さえている。
 その傷口からしてもやはり人間のものではない、痛みのなかに一体こいつはなんなのかと言う疑念が湧きあがり、次に本当のルイズはどうなったのか? とキュルケは視線を巡らせる。
 見れば先ほどの特攻で船のなかから放り出されたのか、すぐ近くには桃色の髪の少女が安らかな寝息を立てていた。
 一見して大きな傷はなく、多少髪や皮膚が焦げ跡や火傷が残る程度このくらいなら水の秘薬で綺麗に治るだろうとキュルケは胸を撫で下ろす。
「痛いじゃないの!」
 それが油断となったのか、もう一つのルイズの声に振り向いた瞬間強烈な張り手が来た。
「あんたうるさいのよ人のこと“ゼロ”、“ゼロ”って、うるさい、うるさい! だからお返ししてあげるわ!」

 ――マカラカーン!

 お返しすると言った割にはもう一人のルイズは動かない、それを訝しく思いながら霞む視界でキュルケは折れた杖を構え。
「いい、加減に、黙りなさい、よ……」
 最後の力を振り絞り呪文を唱え――ようとしてそのまま気を失った。
「あ、あは、あはは、あはははは!」
 もう一人のルイズはそれをあざ笑う、滑稽だ、馬鹿みたいだと嘲笑する。
 一頻り笑った後で気が済んだのか、ユラユラと揺れる船底に足を生やしのしのしと歩きだした。
 キュルケは無視して、目指すのは勿論本当の自分。
「さぁて、“ゼロ”の人生もこれでおしまい」
 細い細い指で桃色の頭を掴んで吊り上げ、その愛らしい寝顔にこれでもかと言うほどの悪罵の礫を投げつける。
「さようならルイズ、生きる価値のないルイズ、だぁれにも愛されていない“ゼロ”のルイズ」
 そしてルイズはゆっくりとその指に力を込めて行く。
「あなたが死んでもきっとだぁれも泣いてくれないわね」
 そう言ってルイズはわずかに儚げにくすりと笑い。
「さようなら、さようなら、大っきらいなルイズ」
 そして血の花が咲いた。
122Persona 0  第二話:2008/07/27(日) 04:06:33 ID:yg350SJM
 はたり、はたり地面に黒い滴が零れる。
「あ、れ……?」
 ルイズはそう呟くと背後を見た。
 その瞬間におもちゃのような樹の細腕がもげる。
「何よ、あんた?」
 ルイズは根本から取れた樹の根本を見ると、次に背後に立つ影を見た。
 金色に光る二つの眼をしたそいつは形こそいびつに歪んでいるが人の形をしているように見える。
 もっとも背丈が巨大な樹木の二倍以上もある人間など居るわけがない。
 ソイツの正体もまた、ルイズと同じシャドウだった。
 では一体誰の? これほどの大きな影を持つ人物をルイズは知らない。
「ズゥゥゥ、ズゥオオオオオオオオオ!」
 ソイツは高々と一声吠えると固く固く拳を握った。
 その拳の先には影に覆われた長い棒のようなものを持っている。
 だが体中を覆う黒い靄のような影に覆われて、その輪郭すら確かではなかった。
「なんなのよ!あんた!」
 夢から醒めたようにそう言うと、影のルイズは魔法を唱える。

 ――メギド!

 炸裂する万能、だがソイツは全く痛痒など感じないとばかりに船の舳先をその足で踏みつぶした。
 その事実がさらにルイズを激昂させる、癇癪のままに激情のままに何度も魔法を解き放つ。

 ――メギド、メギド!! メギド!!!
 
 それもすべて無駄だった。
 だからもう一人のルイズは己のすべてを注ぎ込んで、可能な限り強力な魔法を唱えた。
 偽りの体が崩れていくが、それすら一切構わなかった。
 
「あんたは一体、なんなのよぉぉぉ!」

 ――メギドラオン! 
 

 一際大きい激情が力を引き出し巨大な力となって爆心地にクレーターを作る。
 だがソイツはまるで何事もなかったかのようにその黄金に光る二つの眼を輝かせると、紙でも引き裂くようにルイズの影を真っ二つにした。




123Persona 0  第二話:2008/07/27(日) 04:07:03 ID:yg350SJM
「しっかりするクマ、傷は浅いぞ、がんばれー」
 ぺちぺちと頬をはたかれ、キュルケはゆっくりと目を覚ました。
 体中に残る鈍痛、それでも先ほどの気が狂うほどの激痛はない。
 目の前にはクマがいる?
「ううん、此処は……」
「お、目を覚ましたクマね」
 目の前の謎の物体は安心したように笑うと、ゆっくりとキュルケに近寄ってきた。
「いやぁよかったクマ、君たちが倒れているのを見た時はクマどうしようクマかと」
「あんた――何?」
「クマは、クマクマ!」
 どうやらこの子が自分たちを運んで来て、おまけに応急処置までしてくれたのだろう。
 ならばよくはわからないが貴族として礼は言わないといけない。
「ありがと、よくわからないけど助かったわ、えっとクマちゃん?」
「気にすることないクマ、こんな可愛い女の子二人ならクマ大歓迎」
 もう一人と言われて咄嗟にキュルケは悲鳴じみた声をあげる。
「そうだルイズは!?」
「ルイズってもう一人の女の子クマか?」
「そうよ! 桃色のブロンドの……」
「それならそこにいるクマ」
「え?」
 言われて振り返ると、そこには好敵手と認めた相手が体育座りでベソを掻いていた。
「いやぁ驚いたクマよ、いきなり霧が晴れる日でもないのにシャドウが暴れだしたと思ったら、2体のシャドウが同士討ちしてるんだもん。クマ怖くなって君たち浚って逃げてきたクマ」
 聞きなれない言葉にキュルケはクマに向かって聞き返す。
「シャドウって、やっぱりさっきの」
「そうクマ、このコのシャドウもすっごく大きかったけどもう一匹のシャドウはクマが見たことないくらい強い奴で、もうクマおしっこちびっちゃいそう」
 あーおっかないおっかないクマクマと五月蠅いクマに向かってキュルケはもう一度問いかける。

 >シャドウって何

「シャドウ? シャドウは人の押さえつけた心から生まれてくるクマ」
「押さえつけた心?」
「そうクマよ、シャドウはもともと人の心の一部なのクマよ。けどそれを認めてあげないとただ暴れることしか出来なくなってやがて宿主すら殺してしまうクマよ」
「それって、つまりは……」
 あの巨大な化け物はルイズの心の一部なのだろうか?
 普段顔を突き合わせている相手の以外な一面に驚きつつ、キュルケはルイズに声を掛けた。
「ヴァリエール……」
「う゛、うるざいわねぇ、ほう゛って、おいで、よぅ」
 ルイズはぽろぽろと涙を流す、しょうがない発破をかけてやろうと立ち上がったキュルケは。
「――!?」
 クマの影に隠れていた、ルイズに向かい合って座るもう一人のルイズの姿を見た。
124Persona 0 :2008/07/27(日) 04:17:20 ID:yg350SJM
以上です。
ええと事件と犯人の設定のため多少過去作品の設定やオリ展開を使うかもしれません。
しかしあくまでメインはゼロ魔とP4ですのでなんとかご容赦いただきたいところ。
ペルソナはゼロ魔の名前借用元である北欧神話で統一予定です。
次回でルイズ編終了の予定、皆様もう少々お付き合いくださいませ。

>14
けっこう自分の考えていたのに近い……ええと自分のイメージ的には。
アニエス:剛毅
シエスタ:節制
デルフ:戦車
コルベール:刑死者
オスマン:塔
あたりですかねぇ、オマチさんが悪魔でワルドが死神。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 04:43:26 ID:UekYmXht
ペルソナの人GJ!
北欧神話って事はキュルケはフレイヤ、タバサはフレスベルグ辺りでルイズがユグドラシル?あくまで予想ですが
というかこのクラスの神は後期ペルソナだろうか
あともうペルソナ出せる歳じゃないけどコルベールが自分のトラウマを克服したらスルトを使いそうだw


126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 04:49:39 ID:AlHJDv1a
乙です。牙狼もそうだったけど、キャラの負の面が怪物化したヤツのデザインが面白い。今後も楽しみにしてます
個人的にはフーケは塔(災難・不名誉・転落)、ワルドが月(裏切り・嘘)
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 05:57:38 ID:8k9Q25UF
>>121
> はんばほどから折れた
ひょっとして「半ば(なかば)」?
そりゃ「はんば」じゃあ変換してくれんわなあ。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 06:13:33 ID:d8SQWsPI
GJ!!
ルイズの影のデザインが秀逸でした

第一話の投下以来ずっと考えていたんだけど
どうしてもキュルケのシャドウを生む様な鬱屈が思いつかなかった
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 06:37:00 ID:JRM/tNca
キュルケは、自分自身の善悪を飲み込んで自分を確立しているように見えますからね……相当大きな転換点でもなければ出てこないような気がしますよ。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 06:46:24 ID:z/hihtOe
「Hのし過ぎで乳首が真っ黒なのよ」

「嘘よ綺麗なピンク色なんだから、ア、アナタなんか私じゃないっ」
でOK
131名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 07:09:27 ID:kNDc/PT5
マジレスするなら

「ママぁ・・・なんであたし達を殺したのぉ!?」
「し、知らない知らない!あなた達なんか知らない!あたしはママじゃない!!」
132名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 07:13:31 ID:Hu3gxNS7
そこまで行くとちょっと暗いな
まぁ面白く書けるならそのラインでもいいな
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 07:53:10 ID:If0vXstq
中絶は母体に負担かかるし後遺症残ることもあるから、避妊魔法使ってるんじゃないか?
つまり水子ではなく精子が(ry

あ、昔中絶して石女になってしまったというのはどうだろう
妊娠の心配がないからと開き直って男遊びしてるけど、実はそれがトラウマになってるとか
貴族は血を継ぐ子を残すのが最大の責務だし
トリステインに留学してる理由も片輪者扱いの厄介払い
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 07:55:43 ID:IWHN7X4K
キモ
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 07:59:45 ID:Hu3gxNS7
だから重くて暗いってー
ネタとしてハードル高いがな。
136名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 08:21:11 ID:z5HA1k30
キュルケはお尻専門で前は処女ということにすれば問題ないよ

ジョゼフはシャドウが出てきても喜びそうだから困る
137名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 08:25:14 ID:2uXkGNkQ
冥王様の召喚とかって既出?
138名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 08:32:22 ID:T2bamCpu
キュルケは一般人(シャドウを持たない的な意味で)の立場で頑張らせるというのはどうか
139オーガン:2008/07/27(日) 08:40:39 ID:KFY+NRDz
>>130-133
ここは成人向け板じゃない、出ていけぇーっ!



私の話はまだ終わってないよな?
140名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 08:44:29 ID:i6M2MFZ/
テレビの人乙! シャドウのデザインがいいな。
冥王様や月姫の志貴や〈新宿〉のせんべい屋を見てて思ったんだが、
普段は温和だが残虐な人格を持つ、というのは何が元祖だろうな?
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 08:50:54 ID:vZrZxcsi
>>140
ジキル博士とハイド氏とか?
あれは二重人格だけど
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 09:49:22 ID:sJRvt6IE
ペルソナさん乙です。あの小船をもってくるとは良い意味で予想外でしたw
もう一体のシャドウってなんだろ? 一瞬クマかと思ったけど違うし、
ラスボスのあのお方かな?
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:17:16 ID:oBV4oDJL
>>140
ブルース・バナー博士
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:24:01 ID:IFXSyeMj
冥王?
依代なしでハーデスを喚べるのか?
それとも瞬とセットか?
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:30:38 ID:oBV4oDJL
>>144
「冥王計画ゼオライマー」の若槻魔沙樹のことではないかと思われ
146ゼロのエンジェル:2008/07/27(日) 10:40:41 ID:e7bMUiHi
45分から投下します。
第五話です。
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:41:49 ID:cr0EI1vN
事前支援仕る
148異世界BASARA:2008/07/27(日) 10:44:21 ID:vVMsXb7e
ペルソナの作者さんGJでした。
自分も丁度やっている所だから読んでいて面白かったです。
……しかし、何の前情報もなく買ったから色々びっくりした。
特に蒸し暑いダンジョンが。

ところで、自分も投下してよいですか?
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:44:33 ID:oBV4oDJL
北野君支援
150異世界BASARA:2008/07/27(日) 10:46:47 ID:vVMsXb7e
おっとエンジェルの人が。
じゃあ自分はもう少し後で投下します。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:46:49 ID:oIr1obQM
>>146
きぇえええっ!
(支援するよ!)
152ゼロのエンジェル(1/6):2008/07/27(日) 10:47:49 ID:e7bMUiHi
「んしょ、んしょ…っと」

北野君は気絶した二人の少女を運んでいた。
キュルケはその豊満な肉体故に、タバサは長めの杖を握り締めているが故にルイズと同じように抱っこでは運べない。
仕方なく両脇から腕を差し込んで引き摺るように運ぶ北野君。

「ふう…」

ルイズが眠るベッドの上に二人を運び終えて一息つく。
幸い、ルイズのベッドは三人を横たわらせても余裕がある大きさだったので彼女たちが落ちる心配はなさそうだ。
さて、これからどうしたものか?
北野君は悩んだ。
何故かはわからないがこの二人の少女は気絶してしまっている。
勿論紳士な北野君に少女たちへ悪戯を働こうなどという邪な気は毛頭ない、というか発想すらない。
あるのはただ、少女たちの容態を心配する優しい心だけである。
しかし所詮彼は一介の高校生に過ぎないわけで、介抱の心得などあるはずもなく…
彼女たちが目が覚めるのをじっと待つほかないのだ。
ぐー
と、思い出したかのように北野君のお腹がなった。

(…そういえば、お腹がすいたなぁ)

昨日召喚されて以来、北野君は何も口にしていない。
とはいえ、ルイズの部屋には食べ物があるようには見えなかった。
仮にあったとしても主の許可なく食べるわけにはいかないのでどちらにしろ意味はないことなのだが。
とにかく、お腹が空くという現象は人間にとって必然の欲求であり満たさねばならない事象である。
それは北野君とて例外ではなく…

(でも、この人たちを放っていくわけにも…)

だがしかし、北野君は食べ物を捜し求めて部屋を出て行くということはしなかった。
無防備な女の子三人を放置して長い時間席を外すなど心優しい彼にはできなかったのだ。
ちょんちょん
すると、困った風にベッドの上の少女たちを見下ろしていた北野君の背中をつつくものがいた。
振り返ってみると、俺を忘れるなとばかりにフレイムが尻尾を振っているではないか。

「え、もしかして君が見ていてくれるの?」

おうよ、とばかりに頷くフレイム。
153ゼロのエンジェル(2/6):2008/07/27(日) 10:50:28 ID:e7bMUiHi
北野君は思案する。
戦闘力という意味では目の前の火トカゲと自分では比べるのもおこがましいほどの差があるだろう。
そういう意味ではここを彼に任せたところで彼女らに危害が及ぶことはないはずだ。
だが、彼女たちが目覚めた時に自分がいなければ状況を説明するものがいない。
ルイズはともかく、残りの二人はいきなり廊下で倒れたのだ。
それが目覚めてみればベッドの上では混乱するだろう。

ぐー、ぐぐー!

しかし北野君のお腹は彼の良心に反して早くメシを食わせろと不平を上げていた。
フレイムも早く行けとばかりにこちらを見つめている。

(うーん……あ、そうだ! 置手紙をすればいいんじゃないか!)

これはうっかりしていた、と北野君は自嘲しながらペンを取るとすらすらと紙に文字を書いていく。
勿論『日本語』で。
なお、これは言葉が通じていたんだから文字も通じるだろうという至極当然の思考によるものである。
何せ北野君はハルケギニアの文字をまだ見たことがないのだから。

「これでよし、と」

北野君は簡単な説明と自分はご飯を食べてくるという旨を書いた紙を枕元に置いた。
ちなみにこの北野君の心配りが後に一人の少女を精神的に追い詰めることになるのだが、それはまた後日の話である。

「それじゃあ、頼んだよ」

任せとけ、と一吠えするフレイムの頭を撫でて北野君はドアのノブに手をかけた。
とりあえず、誰か他の人を見つけなければ。
ここが学校である以上は食堂、ないしは調理場のような場所が存在しているはず。
それらの場所を聞いておきたい。
そんな思考をめぐらせていた北野君は気がついていなかった。
ドアが既にほんの少し開いていたことに。
そして、ドアの向こう側に人影があったことに。
さらに、その人影が隙間から部屋の中を窺っていたことに。
どんっ

「きゃあっ!」

ドアを開けると同時にドアが何かを突き飛ばし、その何かが悲鳴を上げた。
それは、金の長い髪を縦ロールにした女の子だった。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:51:07 ID:vZrZxcsi
悪魔私怨
155ゼロのエンジェル(3/6):2008/07/27(日) 10:53:39 ID:e7bMUiHi
少し時間は遡る。

「いけない、このままじゃ遅刻だわ…♪」

切羽詰った台詞の割にはその口調は軽い。
走るというよりもスキップの勢いで廊下を駆ける一人の少女がいた。
彼女の名はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。
香水の二つ名を持つ金髪縦ロールのお嬢様である。
遅刻確定という状況ではあるが、それに反しモンモランシーの機嫌は浮かれ気味であった。
その理由は昨日の出来事にあった。
ルイズによる北野君召喚の折、彼女は恐怖から腰をぬかし、その挙句お漏らしまでしてしまっていた。
それだけでも良家の子女として失格であるのに、その光景を好きな男の子に見られてしまったのだ。
モンモランシーは絶望した。
それはそうだ、男の子の前で粗相するような女の子を誰が好きでいてくれるというのだ。
だが、男の子は―――ギーシュは予想を裏切り自分を蔑むことはなかった。
それどころか、腰が抜けて歩けない自分をお姫様抱っこして部屋まで運んでくれたのだ(途中でバテて魔法を使っていたことには気づかなかった)
当然、その時の彼女の感激は筆舌に尽くしがたかった。
前から好意は持っていたが、この時のことでモンモランシーのギーシュに対する好感度はうなぎ上りとなっていたのだ。
ちなみに、彼女が遅れているのは念入りに化粧をしていた上に散々身につける下着を悩んでいたからだったりする。

「〜〜♪」

あまりのルンルン気分に鼻歌を歌ってしまう。
ギーシュにもうすぐ会える、そう思っただけで鼓動が弾み、頬の温度が上がる。
どことなくロールもいつもより巻きがよい。
が、彼女の快進撃もそこまでだった。

ずりずり…

何かを引き摺るような音が廊下を駆ける少女の耳へと届く。
なんだろう?
興味を引かれたモンモランシーは音のするほうへと向かう。

(確かあっちはルイズの部屋があるほうよ……ね゙!?)

ビシリ。
廊下を曲がり、音源へとたどり着いたモンモランシーは顔を引きつらせた。
そこには、昨日自分を含む生徒たちを恐怖のどん底に陥れた悪魔がいたのだ。
156ゼロのエンジェル(4/6):2008/07/27(日) 10:55:46 ID:e7bMUiHi
(あ、あの悪魔、何をして…)

見れば悪魔は何かを引き摺っているようだった。
見つからないように細心の注意を払い、影からこっそりと何を引き摺っているのか確かめてみる。

(あれは…『微熱』のキュルケ!?)

それはグラマラスな体型とエキゾチックな美貌で男子を魅了してやまない級友だった。
彼女は悪魔に引き摺られてルイズの部屋へと連れ込まれていく。
これは一体どういうことなのか。
混乱するモンモランシー。
だが、彼女が考えをまとめる間もなく更なる衝撃が彼女を襲う。
部屋からすぐさま出てきた悪魔はモンモランシーがいる場所とは反対側の廊下の角に歩いていったかと思うと、またしても人を引き摺り始めたのだ。

(こ、今度は『雪風』のタバサ!?)

キュルケとは見た目&性格的に対称的な、にも関わらず何故か仲が良い小柄な少女が引き摺られていくのを呆然と見送る。
先程のキュルケもだったが、彼女らは気絶しているようだった。
僅かに胸が隆起していたため、死んでいるということはないだろう。
ほっとするモンモランシー。

(け、けど…なんであの二人があの悪魔に…?)

考えるまでもない、あの悪魔にやられたに決まっているではないか。
そう結論を導き出した彼女は戦慄に襲われた。
キュルケもタバサもメイジとしては上級に位置するトライアングルクラスのメイジである。
戦闘力という観点からすれば学校の生徒の中でも十指に入るのではないかといわれている存在だ。
その彼女らが為す術もなくやられてしまったというのか。
しかも、見た感じ悪魔は負傷どころか疲労すらしているようには見えない。

「あの悪魔…そんなに強かったの…?」

この時点でモンモランシーには彼女らを助けよう、という気はなくなっていた。
水系統という戦闘にはあまり向かない属性、メイジとしてもキュルケやタバサには遠く及ばない。
それを理解しているが故に、いや、人としての生存本能が故に彼女は指一本すら動かすことができなかった。
そうこうしているうちに、悪魔はタバサをもルイズの部屋へと引きずり込んでいく。

(……ど、どうしよう?)

はからずもとんでもない状況の目撃者となってしまったモンモランシーは途方にくれた。
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:56:39 ID:vZrZxcsi
さらに支援だ
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:58:19 ID:TIpmlTzH
sien
159ゼロのエンジェル(5/6):2008/07/27(日) 10:58:32 ID:e7bMUiHi
バタン。
ルイズの部屋の扉が閉まる。
どうする? 助けを呼びに行くべきか?
モンモランシーは自問する。
個人的にはすぐにでもこの場から離れたかった。
このままここにいればあの悪魔に見つかる可能性がある。
そうなれば自分も彼女らの仲間入りだ。
だが、かといってここで自分が逃げてしまえばあの悪魔は彼女たちに何をしでかすかわかったものではない。
そうなってしまえば目覚めが悪すぎる。
モンモランシーはたっぷり数十秒ほど悩んだ後、決断した。

「とにかく…状況を把握しないと」

ロール少女は勇気を振り絞って様子を窺うことを決めた。
本音では逃げ出したかったのだが、昨日の情けない失態を思い出してしまったのだ。
自分の誇りのためにも、こんな自分を好いてくれているギーシュのためにも。
ここで安易に逃げ出すわけにはいかなかったのだ。

(ごくっ…)

そろそろと足音を立てないようにして扉の前へと移動する。
幸い、悪魔が出てくる気配はない。
ゆっくりと、そして静かに扉を僅かに開く。
はたして、そこにはベッドの上に並べられた三人の少女の姿があった。

(ル、ルイズまで…!)

半分予想していたことだが、彼の主であるはずのルイズも既に彼の手に落ちている様子だった。
これから彼女らは一体どうなってしまうのか。
食べられてしまうのか? それとも汚されてしまうのか? もしくは何かの生贄に?
恐怖と好奇心が入り混じった視線でモンモランシーは中の様子を窺う。
ぐー
と、悪魔のお腹から空腹を示す音が鳴った。

(た、食べるつもりーっ!?)

戦慄に顔を引きつらせるモンモランシー。
どうやら自体は深刻な展開を迎えつつあるようだった。
最早一刻の猶予もない、誰かを呼びに行っている暇もない。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 10:58:55 ID:TIpmlTzH
支援
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:00:37 ID:cr0EI1vN
重ねて支援
162ゼロのエンジェル(6/6):2008/07/27(日) 11:01:25 ID:e7bMUiHi
だが、自分ひとりでどうしろというのか。
自身には戦闘力は皆無、こういう時頼りになるはずの使い魔のロビンは小さなカエル、とてもではないが戦力としては期待できない。
ぐー、ぐぐー!
悪魔の腹の音が更なる高音を発する。
もうこうなってしまうといつルイズたちが食われてもおかしくはない。
背を向けているため顔は見えないが、きっと奴の顔は醜悪な笑みが浮かんでいるに違いない。
口からは牙が伸び、目は赤く染まって涎をだらだらと流しているのだ。
そんな想像図にモンモランシーは顔面蒼白になってしまう。

(ちょっと、主人の危機なのよ!? どうにかしなさいよ!?)

北野君の足元で大人しくしているフレイムに向けてモンモランシーは罵倒を飛ばす。
だが火トカゲは主人を守る様子も見せず、むしろ悪魔に従う様子すら見せていた。
そういえば、先程から肩に乗っているロビンも大人しい。
普通、あんな悪魔を見れば怯えるか敵意を剥き出しにするはずなのに。
なんということだろう、あの悪魔はコントラクト・サーヴァントの終わった使い魔すら従えることができるというのか。

(ブリミル様…!)

金髪の少女は始祖に祈りを捧げる。
もはや彼女には祈ることしかできなかったのだ。
そして、その願いは聞き届けられた。
じっと三人の少女を見つめていた悪魔が視線を外し、テーブルのほうへと動いたのだ!
奇跡の降臨に思わず瞳を潤ませ、虚空へと更なる祈りを捧げるモンモランシー。
が、それ故に彼女は気がついていなかった。
悪魔が部屋を出ようとしていたことに。
彼がこちらに気づかずにドアを開けようとしていたことに。
どんっ

「きゃあっ!」

いきなり開いたドアに突き飛ばされ、モンモランシーは尻餅をついてしまう。
短いスカートがまくれ、下着がその下から露出する。
しかし彼女にそれを気にする余裕はなく、その視線は魅入られたように眼前の存在―――北野君へと向けられていた。
ぶつかり合う視線。
ゆっくりと悪魔の手がこちらへと伸びてくる。
モンモランシーはこの瞬間、死を覚悟した。
163ゼロのエンジェル:2008/07/27(日) 11:03:17 ID:e7bMUiHi
モンモンの運命は…次回へ続く。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:03:32 ID:YH6tas6q
オモラシー支援
165名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:05:14 ID:rNULHMIP
な、なんだtt
相変わらず誤解生まれまくりんぐ…次回楽しみにしてます。乙でした。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:06:18 ID:vZrZxcsi
エンジェル乙!
善行がほぼ確実に悪評を招く北野君カワイソス
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:07:36 ID:16PeSxpM
ワクテカ
168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:18:36 ID:If0vXstq
ポマードの調合頼んだら悪魔の力の源と勘違いされるかもな
そして禁制の薬に手を出すモンモンならポマードに毒を混ぜての暗殺を企むかもしれない
今回の恐怖が毒に対する嫌悪を凌駕して
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:24:41 ID:BlSocdL1
>>168
毒を入れようとしても
北野くんの何気ない一言で
見抜かれてると勘違いしそうだw
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:26:25 ID:VAxC0ZZT
北野君乙!
はやく・・・早く続きを・・・
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:28:33 ID:tg3Jbo+v
久しぶりの「茶」が拝めたのは嬉しいな。
モンモン茶、何と響きのよい言葉かー!(・∀・)
172名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 11:29:24 ID:GoWN+Xnm
ポマードは髪に塗るものだから、毒を入れてもほとんど効果がなくて「な、何で毒が効かないのよ!」となるわけですね
頭皮からの吸収ならよっぽどの毒じゃないと効かないだろうし
173異世界BASARA:2008/07/27(日) 11:39:01 ID:vVMsXb7e
エンジェルGJです。
自分もそろそろ投下します。
174異世界BASARA 1/4:2008/07/27(日) 11:49:08 ID:vVMsXb7e
城内は凄惨を極めていた。
押し寄せた敵に斬り裂かれた者、最初の大砲で吹き飛んだ者……
討ち死にした王軍のメイジの死体が転がり、城内からは戦いの音が今なお響いている。


ジェームズ1世はただ1人、パーティーで設けられていた玉座に座り、静かにホールの大きな扉を見つめていた。
遠くから爆発音と、悲鳴が聞こえてくる。爆発の音は次第に大きくなり、振動がホールの中にまで伝わってきた。
彼はその音を聞いて悟った。これは大砲の音ではない、だが火の魔法とも違うと。
そう思ったその時、ホールの扉が轟音と共に吹き飛んだ。
火が燃え広がり、黒煙が濛濛と立ち上る。

その煙の中から、1人の男が現れた。

見た事のない服を着た男であった。このアルビオンでも……いや、ハルケギニアのものではなかった。
ただその眼が、男の凶悪さ、狡猾さを表していた。

「ご機嫌如何かな?空の国の王よ」

ジェームズの姿を見て、男は口の端を吊り上げて言った。
その言葉に、ジェームズの顔が怒りに歪む。
「機嫌だと?約定を破り、奇襲を仕掛けておきながら……よくもそんな事が言えるな」
「私は本来騙し合いは苦手なのだがね。ところで……」
と、男はぐるりとホールを見回す。
「……ここにいるのは卿だけかな?」
男の問いにジェームズは答えない。しかし、男はここに目的のものがない事を理解した。
「そうか、ならばもうここに用は無い。邪魔をしたね」
踵を返し、爆破した扉から男は出て行こうとした。
「待て!」
だがそこに、ジェームズがウィンディ・アイシクルを唱えて発射した。
男は振り向き様に、手に持った剣でそれを切り払う。
「朕のような老いぼれでは戦うに値しないという事か?このジェームズ1世、年老いても貴族の誇りは失っておらぬ!」
ジェームズ1世は杖を向けながら男に叫んだ。



「……生憎だが、卿の朽ちかけた“誇り”には興味がないのだよ」
175名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/27(日) 11:52:42 ID:swj8Cdmj
sien
176異世界BASARA 2/4:2008/07/27(日) 11:54:12 ID:vVMsXb7e
激しい攻防の中、ウェールズ皇太子は鍾乳洞の港にいた。
戦えない女子供をイーグル号に乗せる為、メイジ達と一緒にレコン・キスタ軍を迎え撃っていたのである。
だが、圧倒的な数と、奇襲によってその抵抗も空しく、一人、また一人と倒れていく。
遂にはウェールズと数人のメイジだけになってしまった。
「イーグル号はまだ出港出来ないのか!?」
「もう少し掛かります!」
ウェールズは汗を手で拭い、上へと続く階段から現れる敵兵に魔法を放つ。
「何としても守れ!敵を1人も通すな!!」


戦いの音はイーグル号内部にも響いてきていた。
轟音が響く度に、乗り込んでいる婦人や貴族の子供から悲鳴が上がる。
その一角に、造花の薔薇を持った青年と、年老いた老人がいた。ギーシュと氏政である。
運良く彼等は奇襲から逃れ、このイーグル号まで辿り着く事が出来たのである。
2人はただ黙って床に座っていた。
「……ウジマサ、僕はやっぱり戻るよ」
と、突然ギーシュが立ち上がって叫んだ。
「このまま敵に背を向けて逃げたんじゃ貴族の恥だ。僕のワルキューレで1人でも多くの反乱軍の兵士を倒してみせる!」

「阿呆かお主は!!」
そんなギーシュを氏政は一蹴した。
「ついさっき聞いたじゃろ?敵は5万じゃぞ。お主1人加わった所で何も変わらんわい!」
「じゃあウジマサはこのまま逃げるのかい?ここに来るまで手柄を立てるとあれ程言っていたじゃないか」
それを言われると氏政も言い返せない。ギーシュの言う通り、わしが手柄をたてるんじゃあと意気揚々としていたのは事実だからだ。
「い、いやまぁあれは……文を取り戻すまでが任務じゃから……」
氏政はばつが悪そうに口をもごもごさせる。
「ととととにかくじゃ!こんな所で犬死せんでも良いじゃろう?ここでおとなしく出港を待てば……」


「それではグラモン家の名に、父上の顔に泥を塗るようなものじゃないか!」
177異世界BASARA 3/4:2008/07/27(日) 11:56:30 ID:vVMsXb7e
“命を惜しむな、名を惜しめ”……武人であった父の言葉をギーシュは思い出す。
「そんなに戦うのが怖いなら、ウジマサはここにいればいい!父上、見ていてください!ギーシュは今から男になります!!」
ギーシュは杖である薔薇を手に持ち、船室から飛び出して行ってしまった。

「父上の顔に泥を塗るじゃと?」

ギーシュの言葉が氏政の頭に響き、今は亡き父の事を思い出させる。
氏政の父、北条氏康は偉大な戦国大名であった。
16歳で初陣、以来36回の合戦に出撃して一度も敵に背を見せた事がなく、あの上杉、武田と渡り合った勇武の父。
さらに民衆からも慕われ、「相模の獅子」とまで呼ばれた父……


だが氏政にとって、父の存在は重荷となっていた。
父の氏康があまりにも偉大過ぎたのだ。


自然と、氏政は父の氏康と比べられるようになった。
初めは氏政も、その名に恥じぬように必死に尽力していた。
しかし天は彼に父のような力を与えなかったようで、氏政は次第に周囲から呆れられていった。
「氏康様さえいてくれれば……」こんな事を言う兵もいた。
そんな氏政の前で、父上の、グラモン家の誇りのために飛び出していったギーシュ。
氏政には、さっきのギーシュが昔の自分のように思えた。
「嫌な事を思い出させおって……ええい!仕様のない若造じゃ!!」
氏政は栄光槍を重たそうに持ち上げる。
そして、気づくと彼はギーシュと同じように船室を後にしていた。
178異世界BASARA4/4:2008/07/27(日) 12:00:42 ID:vVMsXb7e
勢いよく駆け出したギーシュはワルキューレを用いてレコン・キスタの兵と戦った。
しかし、戦争での戦いを経験した事のないギーシュは次々とワルキューレを破壊されていく。

ガシャン!と、派手な音がして最後の1体が壊された。
「そ、そんな……いくらなんでもこんな早く……」
ワルキューレの全滅というこの現状に、ギーシュは腰を抜かした。
「おいおいどうした坊や?助っ人にしちゃ随分と弱過ぎるぜ?」
傭兵風のメイジがギーシュを嘲笑うかのように言った。
その言葉に、ギーシュは悔しくて唇を噛み締める。
「退け!後は私達に任せろ!」
ウェールズが言うが、ギーシュは腰が抜けているのか、立ち上がれない。

「何だ、本当に終わりか?じゃあとっととくたばれ。こっちは色々と忙しい身でな」
そう言うと男は呪文を素早く唱える。
巨大な火の球、『フレイム・ボール』が発射され、ギーシュに襲い掛かった。

ああ、なんてあっけない最後なんだ…

氏政にあれだけの啖呵を切っておきながら、敵を1人も倒せずにいる自分が情けなくなった。
巨大な炎の球が自分に迫ってくる。
ギーシュは思わず目を瞑り、今まさに訪れようとしている死を覚悟した。
その時である。


「きえええぇぇぇぇぇぇぇーーーっ!!」


聞いた事のある声に、ギーシュははっと目を開く。
そこには、フレイム・ボールを防いだのであろう、巨大な氷柱と……
自分を守るように立っている使い魔であった。
179異世界BASARA:2008/07/27(日) 12:05:21 ID:0hxOmHG9
これにて投下終了です。
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 12:28:50 ID:iUPcU/CN
BASARA GJ!
爺燃!

久しぶりに覗いてみたけど、去年の夏から続いてる作品がまだ何作もあって驚いた。
まとめで読み直してくるわ。
181蒼い使い魔 :2008/07/27(日) 12:37:41 ID:wGxjq2Mm
北野君、BASARAさん乙であります!
自分も第五話完成したので投下しま〜す
40分くらいに
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 12:38:30 ID:eFHsCQry
北野君はバトルロワイアルの七原に匹敵する
倒れた人を整然と並べたくなる性癖持ち
183蒼い使い魔 第五話:2008/07/27(日) 12:40:31 ID:wGxjq2Mm
朝の柔らかい光が窓から差し込み部屋の中を照らす
その光に気がついたのかバージルは静かに目を開いた
「…やはり夢ではない…か…」
と部屋を眺め、ベッドの上で静かに寝息をたてる少女をみて
昨日起きたことは現実であることを実感する

周囲には昨夜ルイズが脱ぎ捨てた衣類が散乱している、
「洗濯しておけ、と言っていたな…」
と寝る間際そう言いながらルイズがこちらに投げ付けて来たことを思い出す
フンと不愉快そうに鼻を鳴らし、手近なカゴの中に衣類を回収しバージルは窓から庭へ飛び降りた

適当に庭をうろついていると、一人のメイドが歩いているのが目に入った
洗濯が出来る場所を探しているバージルにとってその存在は渡りに舟だったので声をかけてみることにした
184蒼い使い魔 第五話:2008/07/27(日) 12:41:31 ID:wGxjq2Mm
「おい、そこの貴様」
「はっはい!なんでしょう!?」
いきなり高圧的なご挨拶である、多少うわずった声でメイドは答えた

「これを洗濯できる場所を探している、案内しろ」
とカゴをメイドに見せる

「はい!すぐにご案内します!」
と洗濯場へと案内させたバージルは、非常に気だるそうに洗い始めた
その手際はあまり慣れているとは言い難かった
メイドはその姿を見ておずおずと話しかける
「あのっ、よろしければお手伝いいたしましょうか…?」
「そうか、では頼む」
とその返答を待っていたのかいないのか、バージルは即答した

メイドは手際よく洗濯物を洗ってゆく
それを偉そうに腕を組むいつものお決まりのポーズでながめるバージル
その微妙な空気に耐えられなくなったメイドはとりあえず話題を切り出してみる
「あの〜、失礼ですが貴方は?みたところ学院の人ではないようですが…」
「昨日急にここに呼び出された」
「ということは・・・もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔の方ですか?」
「フン…そういうことになっている」
鼻を鳴らし適当にバージルは答える
「そうでしたか・・・昨日から噂になっていますよ、平民の使い魔が召喚されたって」
「貴様も魔法とやらが使えるのか?」
「いいえ、私も平民ですよ、ですからこの学院で貴族の方のお世話をしているんです」
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 12:42:09 ID:dRxh1wBZ
支援致す
186蒼い使い魔 第五話:2008/07/27(日) 12:42:16 ID:wGxjq2Mm
「はい、終わりましたよ」
「助かった、礼を言う」
素っ気なく言うと、洗い終わった洗濯物が入ったカゴを受け取り立ち去ろうとするバージル
そのまま数歩進むと思い出したかのようにメイドに訪ねた
「そういえば、名を聞いていなかったな」
「あっ、申し訳ありません!私、シエスタといいます!」
「バージルだ…、借りはいずれ返す」
そう言うと学生寮へと歩いていった
残されたシエスタはバージルの後ろ姿を見送りつつ「不思議な人…」と呟くと
残された仕事を思い出したのか、その場を後にした。


出て来た窓からルイズの部屋に戻ったバージルは適当に洗濯物を干し始める
そして、まだ眠っている主人を起こすために声をかける
「起きろ」
「うっ・・・うぅ〜ん、むにゃむにゃ…」
「起きろ」
もう一度声をかけ、肩を揺らす
「zzz…」

         ―チャキッ
閻魔刀の鍔が鳴る音と同時にガバッ!と跳ねるように覚醒するルイズ
「起きたか…」
「なななな何よっ!誰よあんた!」
突然のことにパニックになったのか喚き散らすルイズ
「貴様痴呆か?貴様が昨日呼び出した使い魔だ」
「あっ…そうだったわね…ハァ…ハァ…」
と荒く息をつき必死に呼吸を整えながらルイズは言った
「次からは…もうちょっとマシな起こし方…しなさいよ…」
「貴様が早く起きればな」
ジト目で睨むルイズにしれっとバージルは答えた
187蒼い使い魔 第五話:2008/07/27(日) 12:43:41 ID:wGxjq2Mm
ようやく落ち着いたのかルイズはバージルにバケツを差し出し水を汲むように命じる
窓からさっさと飛び降り水を汲み戻ったバージルからバケツを受け取り顔を洗いながら話しかける
「バージル、あんた窓から飛び下りないでよ、誰かに見られたらどうするの?」
「見られることに問題があるのか?」
「あんたねぇ、どこの世界に窓から部屋に出入りするやつがいるのよ…
あんたが常識外れなのは認めるわ・・・でも空を飛べるメイジでさえドアから出入りするわよ?」

そういうとベッドに腰をかけ、バージルに「着替え」と命じる
「…どこだ?」と聞くバージルに「そこのクローゼットよ、早くしなさい」と言う
適当にルイズに投げ付ける、するとルイズは「着替えさせて〜」と言った、が
―チャキッという閻魔刀の鍔の音を聞き「なっ、なんでもないっ!」と急いで着がえ始めた

「昨日のことだが…」
ルイズが着替えているのでバージルが外を見ながら話す
「話した内容はすべて黙っていろ」
正直、バージルは自分のことを語ってしまったことを少なからず後悔しているのである
「え?なんでよ?」
「貴様にも不都合だろう」
「(うっ・・・たしかに悪魔呼んだなんて言えないわよね…)」
たしかに悪魔を呼んだとあってはヴァリエール家が黙ってはいないだろう
まだ腕の立つ平民のといったほうが数倍マシだ
周囲からのルイズ自身への評価はどうあれ、後々振り掛る事態に比べれば微々たるものである
そう頭のなかで打算すると
「わかったわ、黙っておいてあげる。そのかわり、私の言うことは聞くこと!いいわね!」
「フン・・・考えておいてやる」
とバージルは素っ気なく言った
188蒼い使い魔 第五話:2008/07/27(日) 12:45:01 ID:wGxjq2Mm
着替え終わったルイズは朝食をとるために食堂へ向かおうとバージルを連れ外にでる
すると、それと同時に隣の部屋のドアが開いた
中から出てきたのは燃えるような緋色の髪をした女だった。背が高く出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいる
健康そうな褐色の肌だった。
その女性はルイズを見るとニヤリと笑って話しかける。
「おはようルイズ」
ルイズは顔をしかめ、露骨に嫌な感情をした。
「おはようキュルケ」
「昨日は大変だったわね〜、でもよりによって平民を召喚しちゃうなんてさっすがゼロのルイズよね。」
ルイズは顔をしかめ、バージルは興味なさそうに腕を組み外を眺めている
ただの平民じゃないわよ!と言いかえしてやりたかったが、バージルとの約束がある手前それも言えない
言ったら斬り殺される、たぶん。
「へぇ、よくみたらすごい色男ね、見てるだけで燃え上がりそうだわ…、貴方のお名前をお教えいただけるかしら?ミスタ?」
「……………」
ガン無視をきめこむバージル
「バージルよ!」と代わりルイズが答える
「素っ気ないとこも素敵ね…私はキュルケ、微熱のキュルケよ、よろしくねミスタ・バージル」
「でもやっぱり使い魔にするならこういうのじゃなきゃ。おいでフレイム〜」
と自らの使い魔を呼ぶキュルケ、すると扉のむこうからのそりと熱気を放つ巨大なトカゲが現れた
「これってサラマンダー?」と悔しそうに聞くルイズ
「そうよ〜、火トカゲよ〜、見て、この立派な尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、
間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ!って・・・あら?どうしたのフレイム?」
自らの使い魔の様子がおかしいことに気がついたキュルケがフレイムに声をかける
みるとフレイムが震えている、恐怖しているのだろうか?その視線はバージルに釘付になっている
すると、その視線に気がついたのかバージルは視線を下に向けフレイムと目を合わせた
ビクッとフレイムが反応するとそのまま回れ右をして去っていってしまった
「ちょっとフレイム、どうしちゃったの!?」とキュルケはフレイムの後を追いかけて行ってしまった

その場に残されたルイズはバージルに訪ねる
「あんた…なんかやった?」
「さぁな…、それより、あの女は自分の名前の前に『微熱』と言っていた、あのコルベールという教師も『炎蛇』と名乗っていた、
ふたつ名のようだがなんだ?」
「メイジのふたつ名よ、ふたつ名でそのメイジの系統や力量がわかるの」
「それで、貴様は『ゼロ』と呼ばれていたがそれが貴様のふたつ名か?」
「そっ、そんなの関係ないでしょ!?はやく食堂へ行くわよ!」
と、バージルの質問を無理矢理中断し、ルイズは足早に食堂へ向かった。
189蒼い使い魔:2008/07/27(日) 12:47:15 ID:wGxjq2Mm
これにて投下完了です〜
どうもでした〜
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 12:50:49 ID:rNULHMIP
ぬぬ…そこはかとない中途半端感が…でも楽しませてもらいました。
心なしかシエスタには態度が柔らかいような…
ともかく乙です。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 13:13:16 ID:Y/T4fcj6
パージルの人乙です。
こりゃモット伯は斬り刻まれるなw
192名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 13:18:46 ID:+j0WDoQc
蒼い人、乙です
毎度のことながらギーシュがカワイソス
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 13:23:05 ID:XyRziqoM
エンジェル、BASARA、蒼い使い魔の方たち乙!

ルイ茶にモン茶に続いて、次はタバ茶か!?
そして、モンモンの運命やいかに?
北野くんの誤解はいつ解けるのか?
マジで続きが気になりますww

ギーシュが熱い男になってるぜ!!
というか、展開自体が熱いぜBASARA!!

バージルは何やら性格が丸くなりすぎているなぁ…。
ルーンの効力、恐るべし!!
194名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 13:34:57 ID:IFXSyeMj
蒼い人、BASARAの人、エンジェルの人、乙
こうも暑いのに書けるなんてご尊敬するね
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 13:43:28 ID:SjpbD1bB
BASARAの人乙!

「きえええぇぇぇぇぇぇぇーーーっ!!」北野君かと思った
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 13:58:06 ID:kedYQTkb
原作どおりだと、ギージュ死亡フラグじゃね?
197名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:10:16 ID:QQ+OQ2Nk
ゲイナーとかマクロスとかを書く人はいないのか・・・
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:13:24 ID:9SChH2FV
>>195
北野君ならレコン・キスタ勢が涙目で逃げ出すな
「あれは…!…鬼か!?ま…まさか悪魔でも召喚したのか!?」
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:13:44 ID:Horre9Qj
>>197
『彼は、彼こそは超ロマ☆リアアイドル!ヴィットーリオちゃんです!』

こうですねわかりました
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:16:35 ID:2uXkGNkQ
もしも、召喚されたのが、タイラー艦長がだったら、
かなり平和的に解決できそうな気がする。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:19:07 ID:iUPcU/CN
無責任艦長は多分アンアンと仲良しになる。
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:23:43 ID:QQ+OQ2Nk
>>199
むしろロボ成分が・・・
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:30:27 ID:T1gK6oUq
>>201
パコパコ3号と名付けるんですね。わかります。
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:39:30 ID:iUPcU/CN
初期のタイラーなら喜んでルイズの犬になってスーダラ節歌いながらブワァーっとイーグル号一隻でレコンキスタ撃退するだろう。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:53:45 ID:2uXkGNkQ
>>204
「あんた本気で降伏するつもりだったの!?」と、
ルイズにこっ酷く叱られるわけですね。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 14:59:17 ID:Horre9Qj
>>202
おk、撃墜されたはずの柿崎召喚ってことですね?
そしてタルブにあるのはケーニッヒ・モンスター
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 15:02:46 ID:0DcFS5Q4
ケーニッヒ・モンスターとは、またマイナーな機体を・・・
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 15:04:12 ID:pdqoutmA
キングゲイナーとのクロスは某所にあったな。
マクロスは見た事が無いが。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 15:15:27 ID:Ijli3WyD
>>197
で、ジョゼフがオーバーデビル召喚ですね
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 15:15:42 ID:FuD/0zJ7
ゲインを召喚したらキュルケにガエラの面影を見出し俺の子を産んでくれと誘惑し
ロングビルにときめくお名前ですと
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 15:21:33 ID:uanW6eLO
とりあえずマクロスから召喚すると
誰がアイドル役かがとても気になる

そして歌で世界が平和になるかどうか、が気になる


ワルド「プ、プロトカルチャー…」
クロムウェル「バカ共が!飼い慣らされやがって!」
対七万戦は、緊急ライブへ早変わり
212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 15:28:13 ID:0DcFS5Q4
わた〜しのかれ〜は、ガンダ〜ルブ〜♪ってか?
213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 15:30:42 ID:Ijli3WyD
「メイジも平民も貴族もくだらねぇ!
 戦争なんかやめて俺の歌を聞けぇ!
 ボエエエエエエエエエエエエェ」



剛田武召喚          こうですか?わかりません! 
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 15:38:58 ID:rNULHMIP
プロトカルチャーは違うだろw
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 15:48:02 ID:rNYQOYza
マックで軽茶ー
216適当:2008/07/27(日) 15:49:33 ID:FF/5FtSg
らぶやんからカズフサ

「ふんふんふーん」
持っていたオナホが裂けてしまったが
そこは童貞仲間のコルベールにコピーして貰い
無事解決

「か、カズフサ殿!これは、す、凄くやわらっこい!やわらっこいですぞ!」
「あー、取り合えずそれと同じのを三個とぬるぬるした肌に優しい液体をですな、1リットルほど作ってくれんか」
「お、おふうー、これは革命ですぞ!しかし見た目が問題ですね」
「タバサ嬢で頼む、つるりもっちりで頼む」
「いや、タバサ嬢は生えているであろうからもっさりしなければなりませんぞ」
「それではルイズ嬢で」
「「それはない」」


「へい、らっせえ!」
「貴様これはどういうことだ!ゴキブリが入っていたぞ!打ち首にしてやる!」
「おうおうおう!勝手な事抜かしやがって!ゴキブリはちゃんとメニューに載ってる!」
「うげー」「ぉぇぷ」「うぼあー」

「今日の特別メニュは冬虫春草アル全部残さず食うアルよ!」
「ヴぇ、ヴェルダンデー!!!!」

もぐらのミイラから生えた冬虫春草が大きいトレーに載ってテーブルに載っている
そして蛙 梟 ネズミ など

「マルトーきさま!料理を馬鹿にしているのか!」
「こちとらアメリカンでい!文句を言わずに食ってみろ!」
ぱく だばだば
「味見してるのか?」
「ふざけんな、こんなもの食えるか!」

ブチ ぶち ぶっち

食堂の生徒がぶち切れて調理場ば消し炭
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 16:00:53 ID:NPTPBmIB
218名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 16:03:14 ID:lB6NZCw/
いや、タバサは生えてても、こう、なんだ
「チョロリ」といった感じだろう。そう、申し訳程度に

ルイズは幼く見える肉体にコンプレックス持ちだ
ということは胸、腰つき、尻以外にも先天性無毛症であることは十分に考えられる
ていうかはえてないよ。もう絶ッ対はえてないよ
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 16:04:00 ID:V/JYUnvS
ゼントラーディ語講座ー

ヤック→とても
デカルチャー→信じられない、恐ろしい
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 16:22:40 ID:H1vVJ0Hw
>211
一つ聞いていいか?
そのワルドやルイズは身長、体重何メートルで何キロくらいなんだ?
メイルじゃないぞメートルでだぞ
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 16:27:44 ID:BCxwpzKD
実はアルビオンはプロトカルチャーの遺産で、中には巨人族もしくはプロトデビルンが……
222適当:2008/07/27(日) 16:59:12 ID:PyuQ37od
Vガンダムからウッソ

エンジェルハイロウ=アルビオン
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:08:00 ID:o+8BzJ0h
>>217
それ耳だっけ?
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:08:51 ID:E1bdrTgo
>>213
ちょっとウケタww
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:19:37 ID:Wps/4H3D
>>217
いいなこの二人
特に猫耳っぽくて困惑した表情がいい!
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:27:20 ID:fZrOwRai
るいとらをまだ待ち続けている自分。
というか、とらってあんなチートなキャラ性能だったんだな。
原作だと周りも凄い連中ぞろいだから全然気にならなかったが、
とら単体で取り出した場合のあのバランスブレイカーぶりに吹いてしまった。

227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:37:32 ID:oBV4oDJL
>>221
それなんてマクロスゼロ?
じゃあコルベールが工藤シン?
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:46:15 ID:BCxwpzKD
実はハルケギニアの正体は木星で、アルビオンはヤマトに出てきた浮遊大陸?
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:49:59 ID:Zkwt3G1q
>>228
波動砲で消し飛ぶ前にハルケに来てそのまま定着したわけですね。
あれ、そうすると始祖ブリミルの正体はもしかして美男司令? ガミラスの科学力からしたらあながちありえなくもないな。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:51:36 ID:2uXkGNkQ
>>228
沖田艦長召喚で、ルイズは、虚無魔法充填120%のみならず、
ワープなどの無理難題を押し付けらそう…。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:51:52 ID:V/JYUnvS
>>228
木星なんてやばすぎだろ。
滅びの力があったり、エイリアンに寄生されて斧で叩っ斬られたり、爆弾にされたりろくな目に合わんぞ
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:55:33 ID:Lj0wzyAt
ペルソナネタ見てたら、ふと
「真1のヒーロートリオがシャドウを出したらどんな香具師になるんだろう」
と気になった。

3体とも超強くて、序盤のイベントで本体半殺しにしてからラストダンジョンでリベンジされる、とかだろうか。
そうすっとあの3人はラストダンジョンまでペルソナ抜きで戦う事になるわけだが、まあ3人とも素で強いからあんま関係ないか。

うん、ゼロ魔関係ないな。スマソ。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 17:56:43 ID:oBV4oDJL
>>231
他にも爆破されて第二の太陽にされたり分割されて多くの殖民惑星に
なっちゃったりもしてますが。
234虚無と狼の牙:2008/07/27(日) 18:04:53 ID:1sGLLLQC
ウルフウッドの続きを15分から投下します。
235虚無と狼の牙:2008/07/27(日) 18:16:17 ID:1sGLLLQC
虚無と狼の牙 第十話

 トリステイン魔法学園の門の前で二人の男がにらみ合っていた。
一人はハルケギニアでは珍しいくらいの長身で、羽根付き帽子をかぶった男で、整った口ひげが彼の精悍な印象を強めている。
そして、にらみ合う男のほうも彼に負けず劣らずの長身で、黒い服を身にまとい、その傍らには巨大な十字架があった。
 羽根帽子の男のほうが、彼をなだめるように笑って言った。
「そんな怖い顔をしないでくれよ。僕は敵じゃない。女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ。
姫殿下より、キミ達に同行することを命じられてね。そこで僕が指名されたってワケさ」
 そしてワルドは「弱ったなぁ」と呟きながら、苦笑いを浮かべて両手を広げた。
「う、ウルフウッド、相手が悪いよ」
 ワルドの正体を聞いて、ギーシュが青ざめた顔になった。
「魔法衛士隊?」
 ウルフウッドが怪訝そうにギーシュに問い返す。
「女王陛下直直属の最強のエリート部隊の一つで、その中でもグリフォン隊と言えば、エリート中のエリートだ。
間違いなく、この国最強のメイジの一人だ」
 ギーシュは不安そうにウルフウッドの服の裾を引っ張る。
その姿を見て、ウルフウッドはため息をつくと、全身の緊張感を緩ませ、改めてこのワルドという男を観察した。
 確かにギーシュの言うとおりだ。今まで見てきたメイジとは体つきが違う。魔法に頼らずとも、相当の戦闘力は持っているだろう。
それに何よりも、その目。笑ってはいるが、その奥で何かが油断のない光を放っている。
「わかってくれて、助かったよ。そこのキミもありがとう」
 ワルドは鷹揚に笑って、ギーシュの肩を叩いた。ギーシュがどこか恥ずかしげに、その肩をすぼめる。
 そして、ワルドは彼らの後ろでまだボーっとしているルイズに向かって歩き始めた。
「久しぶりだな! ルイズ! 僕のルイズ!」
 満面の笑みで両手を広げるワルドに、ルイズは慌てて頭を下げた。
「お久しぶりでございます」
 そのままワルドはルイズを抱きしめ、抱え上げた。ルイズは恥ずかしそうに顔を伏せる。
「相変わらず軽いなきみは! まるで羽のようだね!」

「『まるでハゲのようだね』ですとぉ!」
「……み、ミスタ・コルベール、どうなされたのですか」
「え、いやあの誰かが私の悪い噂をするのが聞こえた気がしたもので」
「はぁ。(っていうかあなたはまるでハゲじゃなくてハゲそのものじゃないですか)ところでミスタ・コルベール」
「はぁ、なんでしょう。シュヴルーズ先生」
「あなたははね付き帽子をかぶった髭面の男前と黒服の目つきの悪い大男どちらがお好みですか?」
「はぁ?」
 そんな間の抜けたやり取りがシュヴルーズとコルベールの間で交わされている頃、
 ワルドはゆっくりと丁寧にルイズを降ろすと、改めてウルフウッドとギーシュに視線を移した。
「ルイズ。彼らを、紹介してくれたまえ」
「あ、あの……、ギーシュ・ド・グラモンと、使い魔のウルフウッドです」
「キミがルイズの使い魔か。まさか人とは思わなかったよ。あぁ、そうか。だからさっき僕があのモグラを魔法でどかそうとしたときルイズをかばってくれたんだね」
 わざとらしい笑みを浮かべる。しかし、ウルフウッドはあの魔法を撃った直後の彼の様子をしっかりと観察していた。
あれはモグラに襲われている婚約者を心配している顔ではなく、もっと別の部分で驚きつつも何かに納得している表情だった。
「僕の婚約者がお世話になっているよ。それと、さっきの僕の勘違いについても謝ろう」
「さよけ」
 ウルフウッドはどうでもよさそうに返事をした。どうもこの貴族という連中が平然とやる三文芝居じみた大げさな表現は好きになれない。
彼にとっては馬鹿馬鹿しくてくだらないことこの上ない。
「どうした? もしかして、アルビオンに行くのが怖いのかい? それとも、僕がルイズの婚約者だと知って嫉妬しているのかい? 
まぁ、それも仕方ないかな。ルイズはとても魅力的な女性だ。そう、とてもね」
 ワルドが放つ一見ただの屈託のない冗談の中にウルフウッドは別の何かを感じた。
彼はわざと自分がルイズの婚約者であることを繰り返している。なんのためか? その理由はわからない。
そもそも貴族の文化に疎いウルフウッドには「そういうものだ」と言われたら反論することは出来なかった。

236虚無と狼の牙:2008/07/27(日) 18:17:19 ID:1sGLLLQC
「す、すごい速いねー。これは一体何というマジックアイテムなんだい?」
 サイドカーにちょこんと座ったギーシュがウルフウッドに問いかける。ギーシュはものめずらしそうに飛び去っていく景色を見ていた。
「バイクや。マジックアイテムでもなんでもない。ガソリンで動く機械や」
「き、機械?」
 ギーシュはその言葉に慌ててバイクの観察を始めた。彼の常識では機械というのはせいぜい風車小屋に備え付けれられた粉挽きぐらいのものだ。
「し、信じられないな。こんな機械がこの世に存在するとは」
「魔法の力に頼らへん世界でやったら、こういうもんが発達すんねん」
 ウルフウッドはそんなギーシュを横目に前方を飛ぶグリフォンの様子を窺う。
 ワルドが半ば強引にルイズをグリフォンに乗せ、残ったウルフウッドとギーシュはバイクに乗るという構成になっていた。
「けど、ウルフウッド、ありがとう」
 ぼつりと呟くようにギーシュが礼を言った。
「何がや?」
 ウルフウッドは前を向いたまま愛想なく聞き返した。
「ヴェルダンデをかばってくれたことさ」
「……別にかまへん。わざわざ礼を言われるほどのことでもない」
「ヴェルダンデもすっかり君になついていたしね」
 その言葉にウルフウッドはモフモフ言いながらまとわりついてきたモグラの姿を思い出して、ちょっと顔をしかめた。
「けど、ほんまにあのモグラ、ワイらに付いて来とるんか?」
「大丈夫さ。結構ああ見えてヴェルダンデが地中を進むのは速いんだぜ。僕の自慢の使い魔さ」
 得意そうに胸を張るギーシュを見て、ウルフウッドはこいつはそんなに悪い奴じゃないなと思った。
「ところでお前、あのワルドっちゅうのについてどう思う?」
「どうって?」
 ウルフウッドは言葉を選ぶように間を空けた。
「あいつのじょうちゃんに対する態度や。正直、オレには貴族の連中がどういう人間なんか分からんから、あいつの態度がそういうもんなんか測りかねる」
「というと?」
「……あいつは不必要に婚約者であることをアピールしすぎちゃうか思うねん。不自然なくらいにな」
「うーん」
 ギーシュは考え込む仕草を見せた。
「正直、愛情表現なんて人それぞれだから、不自然かどうかまではわからないけれども。
けど、はっきりわかっているのはルイズは超良家のお嬢様だということさ。ルイズと結婚するということはそれだけで十分に価値があるからね。
そういった家柄とか名誉とかが欲しくてたまらない貴族なら、そういうこともあるかもしれないね」
 ギーシュは一人納得するように頷いた。
「グリフォン隊の隊長ともなれば名誉も実力も十分なものさ。だとすれば、残るは後一つ。家柄というものに彼が執着してもおかしくはない、とは思うけど」

 ワルドの前で抱きしめられるような格好で、グリフォンに乗ったルイズはちらちらと後ろを走るウルフウッドたちのほうを見ていた。
「随分と使い魔くんたちが気になるようだね、ルイズ」
 ワルドの声にルイズは、はっとして顔を上げる。
「いえ、ワルド様そういうのじゃなくて、その……えっと、あいつらが珍しい乗り物に乗っているからそれが気になって」
「確かにそうだね。この僕のグリフォンに平然と付いてくるものがトリステインにあるなんて考えたこともなかったよ」
「そ、そうですわね」
 何かをごまかすようにルイズは笑った。
「ところで、ルイズ。キミの使い魔くんは一体どういう人なんだい?」
「どういうって?」
「少し興味が湧いただけさ。少し話しただけだけれどもなかなかに変わった人物のように思ったからね」
「ぐうたらでいい加減で無愛想な奴です。姫様が学院にいらしたときにも出迎えにも行かない無礼な奴で。それで、デリカシーもなくて、それで……」
 ルイズは精一杯ウルフウッドの悪口を並べ立てた。しかし、悪口を言えば言うほど、彼女の頭の中で思い起こされるのはフーケから彼が助けてくれたところ、魅惑の妖精亭で貴族たちを一瞬で叩きのめしたところばかりだった。
「本当に、あいつはわたしの言う事なんて聞かないし、わたしのことなんてどうでもいいみたいだし……」
「わかった、わかったよ、ルイズ。もう十分さ」
「え?」
「これ以上聞くと、僕の心が嫉妬の炎で燃え上がりそうだからね」
 ワルドはわざと悪戯っぽく笑った。ルイズはその笑顔を見て、ワルドから顔を背けてしまった。

237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 18:18:40 ID:h2rNvx2N
支援
238虚無と狼の牙:2008/07/27(日) 18:18:45 ID:1sGLLLQC
 トリステインを出発して半日ほどたったころ、辺りは赤い岩肌になっていた。陽も少しずつ傾き始めている。
「いやー、しかしすごいものだね。このばいくというのは!」
「そうか?」
 サイドカーではしゃいでいるギーシュに気のない返事を返すウルフウッド。さすがの彼も半日も走り続ければさすがに少し疲れている様子だ。
「そりゃそうさ。馬だと二日はかかる道のりだからね」
「あんなちんたらしとるもんに乗れるかいな。ところで、そのラ・ロシェールいうのはもう近いんか? 
まだ距離があるようやったらもうすぐ陽が沈むから、どっかで休むことも考えたほうがええ」
「それなら大丈夫さ。ほら、あそこを見たまえ。大きな岩山が見えるだろう? ラ・ロシェールはあの頂上、このペースだと陽が沈む頃にはもう着いているはずさ」
「……なるほど。なら、もう道案内はいらんな」
「へ?」
 ギーシュの言葉にウルフウッドは目の前にある目的地を確認すると、一気にバイクのアクセルを吹かした。
「ま、まだスピードが上がるのかい? こ、このバイクというのは?」
 一気にスピードを増した風を真正面から受けて、船の帆のように頬を膨れ上がらせてギーシュは叫んだ。
 グリフォンを置いて、ウルフウッドたちは先へと進む。そして、山道を登り峡谷へと差し掛かったとき、彼らの目の前に松明が投げ入れられた。
「小僧、しゃがめ!」
 その瞬間ウルフウッドの鋭い声が暗くなった道を切り裂くように響いた。
「え?」
 事態の飲み込めないギーシュがマヌケな声を上げたとき、上空から何本もの矢が降り注いできた。
「ちぃ」
 ウルフウッドは背に立てかけてあったパニッシャーを片手で振り回すように持ち上げると、それを盾のように構えた。無機質な音を立てて、矢がパニッシャーに弾かれる。
「な、なんだぁ?」
 頭を抱えたまま事態が飲み込めず、震える声を上げるギーシュ。
「待ち伏せや。おそらくは野盗かなんかの類やろ。……無駄弾は使いたくなかったんやけどな」
 そうウルフウッドが吐き捨てるように呟いたとき、ワルドの駆るグリフォンが彼らの上空へとやって来た。
「大丈夫か?」
「こんなおもちゃにやられるか、ボケ」
「……その悪態がつけるようなら、大丈夫なようだね」
 ワルドはゆっくりと旋回しながら、あたりを睥睨すると、
「こんなところで足止めを食うわけには行かない。一掃させていただくとしようか」
 そうひとり言を行って、グリフォンを上空へ駆ろうとしたとき、一つの影が彼らのさらに上空を飛んだ。そして崖の上で竜巻が起こり、野盗たちが崖から落ちてきた。
「あれは竜? ちゅうことはまさか」
「風の魔法じゃないか」
 そして、一匹の見慣れた竜が姿を現した。

239虚無と狼の牙:2008/07/27(日) 18:19:59 ID:1sGLLLQC
「コルベールセンセからの援軍?」
「そっ」
 あきれ返るような表情をしたウルフウッドの前でキュルケは何事もなかったかのように右手を返して短く肯定した。
「私もびっくりしたわよ。『彼らがアルビオンに向かうなら、空を飛べる彼女の使い魔がいてくれたら何かと助かるはずだ』ってね。まぁ、私は付き添いのおまけって奴?」
 と鼻から大きく息を吐きながら、キュルケは隣のタバサを見た。タバサは相変わらずぼーっとした表情で何か本を読んでいる。
「んで、ちょうどええタイミングで俺らが盗賊に襲われていたいうことか」
「そういうこと。こっちも朝から叩き起こされて、遠路はるばるラ・ロシェールくんだりまで来る羽目になったから、その腹いせも兼ねてちょっと派手に暴れてやったわ」
 ウルフウッドたちはあれから無事ラ・ロシェールにたどり着き、宿に来ていた。ウルフウッドにはうまく事情が読み込めなかったが、今日は船は出ないらしい。
 しかし、もし船が出たとしても、現在の疲労した状態でクーデター真っ只中の敵地に乗り込むわけにもいかなかったので、どちらにしても一晩ここで体勢を整えるつもりであったが。
 というわけで、宿の手続きをしにいったワルドとルイズを待つ間、こうしてウルフウッドはキュルケとタバサにここへ来たいきさつを尋ねているわけである。
「大体事情はわかったわ。けど、おじょうちゃんたちをそのアルビオンいうとこには連れて行くのには賛成できひんで?」
「私だって、好き好んでクーデター真っ最中の王都になんか行かないわよ。あんなところに特に何の用事もないわけだし。私とタバサはここでいざと言うときのために待機」
「そうしてくれるとありがたいわ」
 とウルフウッドが言ったところで、ワルドとルイズが戻ってきた。
「困ったことになったよ。アルビオンへの船はあさってまで出ないらしい」
「まったく姫様から授かった緊急の任務だっていうのに……」
 両手を挙げて首を振るワルドと不満げに鼻を膨らますルイズ。
 そのワルドの言葉を聞きながら、ならばこんなに急いで休みもなく来る必要はなかったのではないかと思うウルフウッド。
このワルドという男の性格からして、船が出ないというのを知らなかったというのはなかなかに信じがたい。
「どうしたんだい? 使い魔君?」
「別になんでもないわ」
 ウルフウッドの視線に気がついたワルドが声を掛けたが、ウルフウッドはそれを素っ気無くかわした。
「まぁ、いい。それで部屋割りなんだが、そこのお嬢さん方お二人。使い魔君とギーシュ君。僕とルイズがそれぞれ同室だ」
 その言葉にルイズが慌ててワルドへと振り向く。
「え、で、でも……」
「僕とキミは婚約者だ。別に構わないだろう? それに単純に男女で分けるといろいろと問題が多そうだからね」
 そう言ってワルドはキュルケに意味ありげな笑みを向ける。
「ええ。ゼロのルイズと同じ部屋で寝るなんてことになったら、私は野宿するほうを選びますわ」
 ワルドはキュルケの答えに簡単に鼻の先だけで笑うと
「まぁ、そういうことだ。さてと僕のか弱いルイズ、さぞかしこの長旅は疲れただろう? 今日は早く休もう」
 と言って、ルイズの肩に手を置き「お先に」と部屋へ向かって歩き始めた。ルイズも何か言いたそうな表情をしたが、うまく言葉が見つからなかったのか、エスコートされるままに歩いていった。
 その姿を見送るウルフウッドたち。
「てっきりもっと噛み付くかと思たわ」
「あら、どういう意味かしら、ウルフウッド?」
「あのワルドとかいうのなかなかのエリートらしいで」
 キュルケはその言葉を鼻で笑った。
「おあいにく様。いくら優秀でもあんな冷たい目をした男はこちらから願い下げよ。私は微熱のキュルケ。お相手も燃え上がるほどに情熱的な方でないとね」
 ウルフウッドはその答えにどこか満足そうに笑う。
「なるほどな。ところで、こいつ運ぶの手伝ってくれへん?」
 ウルフウッドの指差す先にはテーブルに倒れこむようにヨダレをたらして寝ているギーシュ。どうやら半日かけた長旅が堪えたらしく、宿に着くなり彼は爆睡していた。
「お断りするわ」
 キュルケはにこりと笑った。

240虚無と狼の牙:2008/07/27(日) 18:21:01 ID:1sGLLLQC
 あくる日の朝、ウルフウッドはドアを叩く音で目を覚ました。
「朝のお祈りなら間に合うとるで」
 頭をかきながらドアの前に立ち、ぶっきらぼうに返事をするウルフウッド。ちなみにギーシュは相変わらず爆睡している。
「僕はモーニングサービスに来たんじゃないよ。そんなつれないことを言わないで開けてくれないか、使い魔君」
 ウルフウッドは「やれやれ」と小さな声で呟いた。
「朝っぱらから、何の用やねん。出発は明日ちゃうんか?」
「だから、さ」
「どういう意味や」
「僕たち貴族というのは厄介なものでね。強い相手を見ると、その相手が自分より強いかどうかはっきりさせたくなるのさ」
「……ワイは貴族でもなんでもないし、ましてやお前らみたいにわけのわからん魔法なんか使えへん」
「そんなつれないことを言わないでくれたまえ。伝説のガンダールヴ」
 その言葉にウルフウッドが反応したことを、ワルドはドア越しに感じ取った。
「何が言いたい?」
「ルイズから聞いたのさ、君が伝説の使い魔であることをね。そして、事実上君一人でフーケを捕まえたこともね」
 ウルフウッドは考えた。彼は自分からガンダールブの話をルイズにしたことはない。だから、ルイズがガンダールヴの話を知っているはずはない。
他に考えられる可能性としては、例のオスマンかコルベールが話した可能性だが、彼もあえて口外する意思はなさそうだった。
――なんかきな臭いことになっとるな。
「わかった。手合わせ、したるわ。準備するからちょっと待っとれ」



 ウルフウッドは宿の中庭にある練兵場に立っていた。
「なぁ、相棒」
「なんや」
「オレを使ってくれるのはうれしいんだけどよぉ……。なんで、いつも使っているあのごつい銃は持ってきてないの?」
「こんなところでおいそれと手の内晒すわけにはいかへんやろ。一応お前はそういうときのために持って来たんやから」
「……オレ、ぐれるよ」
「そんときは根性文字通り叩きなおしたるわ」
「何をそこでぶつぶつ言っているのかね?」
 ワルドが不思議そうにウルフウッド彼が片手に持ったデルフリンガーに声を掛けた。
「いい場所だろう? かつて貴族が貴族らしかった時代、名誉と、誇りをかけて僕たち貴族は魔法を唱えあった。でも、実際はくだらないことで杖を抜きあったものさ。そう、例えば女を取り合ったりね」
「おんどれ、ワイは貴族関係ないいうのが覚えられへんのか」
「そんな怖い顔をしないでくれたまえ、使い魔君。僕は貴族だから、貴族の作法しか知らないんだよ。そこらへんは容赦してくれたまえ」
 ウルフウッドは来るんじゃなかったかと思いながら、軽く頭を掻いた。
「そして、こういった決闘の礼儀作法としては介添え人を立てる必要がある。なに、心配しなくてもいい。もう介添え人ならよんであるさ。おいで、ルイズ」
 ワルドに呼ばれてルイズが物陰からゆっくりと姿を現した。
「ワルドが急に呼ぶから来てみたけど、あなた一体何をするつもりなの?」
 不安そうなルイズ。
「何、キミの優秀な使い魔くんと少し手合わせしてみたくてね」
 ルイズはワルドの言葉に不安そうにウルフウッドを見るが、
「じょうちゃん、おはようさん。朝っぱらからご苦労やな」
「って、なんであんたはそんなにいつも緊張感がないのよー!」
 普通に朝の挨拶をしたウルフウッドをルイズは怒鳴りつけた。
「というわけで、準備は整った。それじゃあ、始めようか」
「しゃあないな」
 ため息をつくとウルフウッドはデルフリンガーを構えた。
「ねぇ、相棒。一つだけ聞いていい?」
「なんや?」
「勝つ自信、ある?」
「……とりあえず勝つ気はない」
「久々の出番が敗戦処理はいやー!」
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 18:21:08 ID:O7Utqp+C
shien
242虚無と狼の牙:2008/07/27(日) 18:22:31 ID:1sGLLLQC
 馬鹿なやり取りをしている一人と一本に向かって巨大な空気の塊が飛んでくる。ウルフウッドはすばやく後ろに飛ぶと、それをなんとかかわした。衝撃と共にウルフウッドの目の前で土煙が舞い上がる。
「あぶねー! 俺に魔法が当たったらどうすんだ!」
「それ、剣の言うセリフちゃうやろ!」
「ほう、エアハンマーをかわすか。やはり反射神経は相当いいようだね」
 にやりと笑うワルド。そして、杖を構えて呪文を唱え始めた。真空の刃が三本、ウルフウッドに向かって飛ぶ。
「おいおいおい、来てるって相棒!」
「ちっ」
 そのうちの二本はなんとかかわせたが、最後の一本がウルフウッドの身体を捉えている。ウルフウッドは体勢を崩したまま、最後の一本にデルフリンガーをぶつけた。
「いてー!」
「お前、伝説の剣やったらもっとしゃきっとせんかい!」
「伝説の剣だからもっと大切に扱えってんだよぉ!」
 怒鳴りあいながら逃げ回るウルフウッドとデルフリンガー。当然ながらコンビネーションは最悪だ。
 しかし、ワルドは油断するそぶりすら見せない。
「悪いが、期待外れとは言わないよ。すばやい身のこなし、攻撃に対する読み、そして反射神経。どれをとってもなかなかのものだ。
こうして遠くから魔法で狙い打つだけでは埒が明かない。ということで、本気を出させてもらうよ」
 ワルドは杖を構えると、ウルフウッドに向かって杖をレイピアのように突き出して突進した。突き出された杖をデルフリンガーで弾くウルフウッド。
しかし、それにワルドは構うことなく、不敵に笑うと、フェンシングのようにすさまじい速さで突きを繰り出した。
「相棒押されてるぜ!」
 ウルフウッドもある程度は刃物の扱いは仕込まれている。しかし、それはあくまで護身術程度のものであり、この状況を打破できるほどの技術はなかった。
 小回りの効くワルドに至近距離でやり合っていても、このままだとやられるのは目に見えている。距離をとる必要を感じたウルフウッドは、後ろに飛んだ。
 その姿を見てワルドは唇の端を歪ませた。ウルフウッドは気が付く、後ろに飛んだのは失敗だったことを。
「エアハンマー!」
 体勢を崩したウルフウッドは襲ってくる空気の塊をよけきれない。存分に全身を叩きつけられて、三メートルほど吹っ飛ばされる。
「がっ、くっ!」
 ウルフウッドはそのまま背中を地面に打ちつけ、一メートルほど地面を横滑りした。
243虚無と狼の牙:2008/07/27(日) 18:23:32 ID:1sGLLLQC
「……我々魔法衛士隊はその魔法の詠唱すら戦いに特化されている。こうして攻撃を繰り出しながら、魔法の詠唱を行うのは基本中の基本さ。勝負あったね。僕の勝ちだ」
 倒れるウルフウッドに杖を突きつけて、ワルドは得意げに言った。
「大丈夫、ウルフウッド?」
 慌ててウルフウッドに駆け寄ろうとしたルイズをワルドは右手で制した。
「これでわかっただろう、ルイズ。君を守ることが出来るのは誰か。残念ながら、彼にはそれだけの力はない」
「でも……」
「かまへん。ワイが負けたんは事実や、じょうちゃん」
 倒れたままウルフウッドは空を見上げて言った。
「さぁ、行こう、ルイズ。クーデター真っ只中のアルビオンは危険な場所だ。生き延びるだけの力のないものは置いていく。残酷なようだけれども、それが一番正しいんだよ、ルイズ」
 そのままワルドは半ば強引にルイズを連れて行ってしまった。
「……相棒、いいのかい? 相手にあんな好き放題言われて」
「かまへん言うとるやろ。あのアホ、随分とじょうちゃんのご機嫌取りに必死みたいやからな。邪魔したったら、悪いやろ」
「とは言ってもよ。何もわざとぼろ負けすることもないんじゃないの? しかもあの貴族の娘っ子の目の前で」
「……オレにはようわからんけど、あいつはそれなりに実績のある軍人みたいや。そんな奴がこんな作戦真っ只中に、強い奴と手合わせしたいという理由だけで、味方同士で潰しあうような真似をすると思うか? 
戦闘狂ならいざ知らずな。んなくだらん余興でこちらの手の内を晒す必要はあらへん」
「けど、それだと相手の思う壺だぜ」
「こっちになんのメリットもなかったわけやない。あいつもそれなりの代償ははらっとる」
「え?」
「言うたやろ? こっちの手の内は晒したくない、てな」
 ウルフウッドは上半身を起こした。ガードした両腕がまだ少ししびれている。一撃必殺ほどの破壊力はないが、それでもうかつに直撃を食うのはまずい威力だった。
それにあの戦法。あれはメイジが近接戦闘に不利であるということを、知り尽くした上でのものだった。単純に近距離にもっていけば勝てるというものでもない。
「随分ときな臭いことになっとるな。勘弁して欲しいで」
 そのまま風に浮かべるようにウルフウッドは呟いた。
「相棒の考えはよくわかった。けどね」
「なんや?」
「やっぱ俺の扱い敗戦処理ってひどくない?」
「……まだ言うか」
 それからウルフウッドが自分の部屋に戻ったのは、散々デルフリンガーの愚痴を一時間たっぷりと聞かされた後だった。
244虚無と狼の牙:2008/07/27(日) 18:24:32 ID:1sGLLLQC
以上です。支援どうもありがとうございます。
245名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 18:30:27 ID:3Ebq/L6M

コッパゲ先生自重w
246蒼い使い魔:2008/07/27(日) 18:39:26 ID:wGxjq2Mm
お疲れ様です
続き楽しみにしてました!

こちらも続きができたので第六話投下します、
45分位に〜
247名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 18:41:50 ID:9WoBV68d
>エンジェル
 キタノセイイチロウの伝説がまた1ページ。
 なにをどうしても悪行と思われる不幸と、それに気付かない本人の天然ボケがおかしくてたまりません。

>BASARA
 若者と老人の対比が見事。
 ギーシュと氏政はルイズと幸村の若人ペアとはまた違った趣がありますな。
 老人は若人に、若人は老人に何を賭けるのか、何を残すのか?

>蒼
 ルイズが虚無に覚醒するより前にストレスと緊張でぶっ倒れる方が先と見ました。
248蒼い使い魔 第六話:2008/07/27(日) 18:45:31 ID:wGxjq2Mm
二人は朝食をとるために、『アルヴィーズの食堂』へと向かう
そこは、食堂とは言えとても華やかな作りであり
いかにも貴族趣味、といった建物である
中も豪華絢爛という言葉がぴったり当てはまるほどの内装が施されていた

中には百人はゆうに座る事ができるテーブルが三つ並んでいる。
どうやら学年別に分かれているらしく、ルイズはバージルを連れ二年生所定の真中のテーブルへと進んだ。
周囲からは「おい、ゼロのルイズだ」「平民なんか連れてるぜ…」などと様々な声が聞こえてきたが
それらを無視しルイズは自分の席へと進み着席する

「…悪趣味だな」とバージルは中をみて呟く
「…今のは聞かなかったことしてあげるわ、
メイジはほぼ全員が貴族だから。だからトリステイン魔法学院では貴族たるべき教育を存分に受けるの。
だから食堂も貴族の食卓にふさわしいものでなければならないのよ」
「…くだらん」
その一言にムッときた表情を浮かべるルイズ、それをナチュラルに無視しバージルは続ける
「それで?俺はどこにいればいい」
すると、ルイズは床を指差す、そこにはみすぼらしいスープに堅そうなパンが並んでいた
ルイズ達生徒の前に並んでいる食事と比べるとあまりにも貧相である
「…」
「あのね、普通なら平民はこの食堂に入れないの、それを私の特別な計らいで入れてあげてるんだから
あんたは床よ」
何度も殺されそうになっているにも関わらずサラっと言うルイズ
するとバージルは沈黙したまま踵を返し外へと向かう
「どこいくのよ?」
「…」
無言のバージル、入口の前に少しだけ立ち止まるとそのまま立ち去った
キンッ!という音が聞こえたような気もしたが周囲の話声でかき消されてしまった
「なによアイツ…」そうつぶやくと食事の前の祈りの唱和がはじまった、その瞬間
           ―グシャンッ!
ルイズが座っていた椅子が音を立てて崩れ落ちた
前衛的な格好で転がるルイズ
椅子の脚には見事な切り口、おそらく立ち去り際にバージルに斬られたのだろう
「なっなっなっ、なにがっ!」
「ゼロのルイズの椅子が!」
と騒然となる食堂、ルイズは「あんの馬鹿犬ーーーーッ!!!!」と怒りの咆哮をあげた
249蒼い使い魔 第六話:2008/07/27(日) 18:46:22 ID:wGxjq2Mm
そんな騒ぎを引き起こした張本人、バージルは食堂を後にし適当な壁に寄りかかり考えに耽る
やはり何かがおかしい、ここに呼び出されてから何かが自分に起こっている
思えば今までの自分の言動、不自然な点が多すぎる
なぜ使い魔などなることを承諾したのか?考えれば最初は抵抗したもののごく自然に承諾していた気がする
普段なら初日の時点でルイズの首を刎ねていたはずだ
なのに、あの小娘に殺意を抱けない、先ほどの食堂の件もそうだ
普段なら斬り飛ばすのはルイズの首だった、なのになぜか椅子の脚を斬っていた
「やはり…こいつが原因か…」と忌々しそうに自らの左手の甲を見つめる
そこには使い魔のルーンが幽かな光を放っていた
チッ、と舌うちすると閻魔刀を抜き放ち、ルーンの刻まれた手の甲を軽く斬ろうとする
閻魔刀は人と魔を分かつ刀、これも"魔"法の力ならば閻魔刀で切り離すことが出来るはず
ところが、閻魔刀は左手の数サント手前で動かなくなった、否、動かせなくなった
「クソッ…!何故動かん!」と思わず声を荒げる
「自傷防止の効果もあるのか…?厄介だな…」
仕方無く閻魔刀を納刀する、さて、どうするかと思案を巡らす、どうにか解除をする方法はないか

「あら?バージルさん?」
思案に耽るバージルに通りかかるシエスタが声をかける
「どうなさったんですか?」
「シエスタ…と言ったな、フン、気に食わんことがあっただけだ」
「そうですか…、あのっ、もうお食事は済まされましたか?」
「いや、まだだ」
「私たち、これからなんですけどよければ一緒にいかがですか?」
その申し出に、バージルは「そうさせてもらおう」とあっさり受け入れた
左手のルーンは静かに光を放っている…
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 18:46:47 ID:lZ41KLpH
ルイズ懲りてねーなw支援
251蒼い使い魔 第六話:2008/07/27(日) 18:47:05 ID:wGxjq2Mm
「どうですか?おいしいですか?」
シエスタに厨房へ案内され、用意されたシチューを静かに食べるバージル
その姿は一部の隙がなくどこかの貴族をイメージさせる
「あぁ」と短く答える
「あの、本当にバージルさんは平民なんですか?なんていうか貴族っぽいっていうか…」
その通りである、ルイズは意識していなかったが、バージルの姿はその辺の貴族と比べても
なんら遜色がないほど洗練されている
「さぁな…、世話になった、礼を言う」
そういい完食したバージルは厨房を後にしようとする、どうもこの娘は苦手だ
「よろしければまたいらしてください、いつでも歓迎しますよ」とにこやかな笑顔でいうシエスタ
そんなシエスタにバージルは問う
「…なぜ、そこまでしてくれる、俺と貴様は赤の他人だろう?」
「そんな…他人だなんて…、同じ平民どうし助け合うのは当然です!」
と、力強く話すシエスタを見て、フン、と軽く鼻を鳴らすと静かに厨房を後にした

バージルが外へ出ると、そこには腕組みをし鬼の形相で仁王立ちするルイズの姿があった
「おおおおお遅かったじゃない、ごごごごごご主人様にあんな事をしといて待たせるなんていいいいいいい度胸じゃない」
とラッパーのようにどもりながら話すルイズ
「貴様には関係ない、首が飛ばなかっただけありがたいと思え」
「〜〜〜〜〜〜っ!!!あんたへのおしおきは後よ!それより授業へ行くわ、ついてきなさい!」
と怒り鎮まらぬルイズはバージルを連れ教室に向かった

教室へ着くとルイズは席につき、バージルは教室の一番後ろの壁に腕を組み寄りかかる
周囲からのヤジに律儀に言いかえすルイズを一瞥しバージルは軽く周囲を眺めた
周りには様々な使い魔がいる、フクロウに今朝みたサラマンダー、あれはモグラか?
眺めて見ても自分の様な人間(―バージルは認めないが)はいなかった
次に生徒達をみてみると、今朝、話しかけて来た女に、あれは…
「(昨日俺を吹き飛ばした…)」ルイズよりも背の小さい青い髪を持った少女、タバサを見つけた、
バージルの視線に気が付いているのかいないのか静かに本を読んでいる
挨拶がわりに目の前の机に幻影剣でも突き立ててやるかと思案していると
教壇に中年の女が現れた、おそらく教師なのだろう、一旦教室が静かになる
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 18:47:26 ID:TIpmlTzH
支援
253蒼い使い魔 第六話:2008/07/27(日) 18:47:58 ID:wGxjq2Mm
「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。この赤土のシュヴルーズ、
こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ。」
と満足そうに生徒と使い魔を眺めるシュヴルーズ
「あらあら、中々変わった使い魔を召喚したようね、ミス・ヴァリエール」
とルイズと教室の後ろに佇むバージルを交互に見た

教室にクスクス…という笑い声がする
「召喚に失敗したからってどこかの戦場から死に損いなんて連れてくるなよ!ゼロのルイズ!」
とヤジを飛ばす少年、  ―チャキッ!
同時にルイズは席を跳ねるように立ち上がり…ヤジを飛ばした少年―マリコルヌ…ではなくバージルにとびかかる
バージルの手に納まった閻魔刀の鞘がバチバチッ!と嫌な音を立てている。
「何だ…?」静かに怒りに満ちた目でルイズを見る
「(何だって…、こうしないとあんた絶対マリコルヌ殺すでしょ!)」
左手に握られた閻魔刀を抑えつけ小声でバージルに言う
「だからなんだ」
「(だからって!ここは教室よ!絶対絶対殺しちゃだめ!わかった!?命令よ!)」
と必死に説得し、なんとかバージルに閻魔刀を納めさせる
荒い息を立てながら席に戻りルイズは頭を抱える
自分が馬鹿にした少女が止めなければ空間ごと真っ二つにされていた事も知らないマリコルヌは
まだ口汚く罵っていたが、「ミスタ・マリコルヌ。友達を馬鹿にするものではありません」
というシュヴルーズの言葉とともに目の前に現れた粘土に口をふさがれた。

それからの授業は問題なく進められた。
『火』『水』『土』『風』の魔法の四大系統。失われた系統である『虚無』。
それら魔法と生活との密接な繋がり等々。
バージルは一日目に大体の説明をコルベールから聞いていたが、
魔法の力をどうにか自分のものに応用できないか割と真剣に授業を聞いていた、
シュヴルーズの錬金の実演を行い、ただの石を魔法で真鍮に変える、
こうまで万能性多様性に富んでいると、科学技術が発展する余地などないだろう。
254蒼い使い魔 第六話:2008/07/27(日) 18:48:41 ID:wGxjq2Mm
するとシュヴルーズは今行った錬金の実習をしてもらうと言うことで、ルイズを指名した
すると教室の空気が変わった、
「先生、止めといた方がいいと思いますけど……」
キュルケが困った声でそれの撤回を求める。
「どうしてですか?」
「危険です」
キュルケが即答すると、教室の殆ど全員が同意し頷く。
「危険?何故ですか?」
ミス・シュヴルーズは何の事か判らないと言った風で、ルイズに向ってやってごらんなさいと促す。
「やります!」
と立ち上がったルイズに向って、キュルケは顔面蒼白にして
「ルイズ、お願いやめて!」 と必死になって止めている

ルイズは杖を振り上げる。
それを見た生徒たちが慌てて机の影や椅子の下に隠れる。
ルイズが短くルーンを唱え杖を振り下ろすと、その瞬間机と、その上に置かれた石が爆発した
爆風をもろに受け、シュヴルーズは黒板に叩きつけられる。悲鳴が上がり驚いた使い魔達が暴れだした
「ちょっと失敗したみたいね」
そう言ってボロボロの姿のルイズがスス交じりの黒い煙を吐き出した時には、ミス・シュヴルーズは気を失い
あらかじめ机の下に避難していた生徒たちにも甚大な被害が及んでいた。
「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」
そんな怒号が響き渡る教室の外―
爆発が起きた瞬間まるで瞬間移動して来たかのように教室の外へ出たバージルは、髪をバックにかき上げながら
「…成程、だからゼロ…か…」と、一人呟いた。
255蒼い使い魔 :2008/07/27(日) 18:49:16 ID:wGxjq2Mm
投下完了!
ありがとでしたー
続き考えてきます…ノシ
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 18:49:23 ID:QQ+OQ2Nk
乙!
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 18:54:34 ID:9WoBV68d
乙。

そうか、ルーンは切り離す事も心理的にブロックしちゃうのか。
自分が放り出してる話では実験でルイズに攻撃魔法を放っても全部自分に帰ってきちゃうという風にしていたけど、それは思いつかなかった。
258名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 18:56:41 ID:TEAvufsO
>「あぶねー! 俺に魔法が当たったらどうすんだ!」

この時点じゃ忘れてるとはいえ自分の存在意義を放棄するような台詞を言っちゃだめw
259名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:00:55 ID:kedYQTkb
ルイズ、反応速度よくなってね?
乙でした。次回も楽しみにしてます。
260名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:06:52 ID:w7WtxuUt
これまで見てまだTYPE-MOONネタが出てないのは意外
使うとする場合Fateネタが無難かなあ
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:08:06 ID:9SChH2FV
>>1をディスプレイに穴があくくらいよく見てみたらいいと思うんだ
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:09:23 ID:h2rNvx2N
>>260
>>1読め 理解できなきゃ半年ROMれ
263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:09:47 ID:rNULHMIP
毎度乙です。

>>261
いや、たぶん260自体がネタ
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:10:26 ID:YgSamiwS
今回の天婦羅では省かれているけど、あれらはここではなく
別のところに専用のスレがあるからな!!
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:12:00 ID:QQ+OQ2Nk
型月のキャラがルイズに召喚されましたpart5
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1214004971/

ゼロ使×型月クロスSSスレまとめwiki (TYPE-MOON)
http://www13.atwiki.jp/zeromoon/pages/1.html
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:14:08 ID:MZVGWU33
するーするー
267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:42:31 ID:fwpfS/YZ
狼乙
シュヴルーズ先生の新刊はハゲ×ヒゲですかw
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:43:46 ID:z5T8A6u+
そして段々丸くなっていくバージル乙
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:49:42 ID:FuD/0zJ7
バージルってスタイルチェンジはできないの?
270適当:2008/07/27(日) 19:55:43 ID:PyuQ37od
AgeOfEmpireからキャデラックw
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 19:57:00 ID:xn5qG9BN
>>233
>多くの殖民惑星
レッド・ホット・ドラグーンの新刊はいつ出るのかなぁ……
272名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/27(日) 20:03:11 ID:ZCqhAePC
蒼い使い魔の人乙です
それにしても、更新速度はやいなあ
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 20:05:46 ID:AlHJDv1a
>>269
出来ません。バージルは幻影剣連射しながら斬りかかれるから火力が半端じゃ無かった
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 20:12:21 ID:E6AGWVt7
>260
同意する。
が、タイプムーンも、肩付きも、知らないので書きようがない
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 20:14:31 ID:0DcFS5Q4
虚無と狼の牙の人乙です
デルフ、伝説級の魔剣なのに敗戦処理なんてw
今からパニッシャーを見たワルドのリアクションが楽しみです
276適当:2008/07/27(日) 20:14:54 ID:PyuQ37od
ルイズが淫乱
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 20:19:25 ID:O7Utqp+C
ここで書いても絶対にまとめに入らない物を勧めるなよ
>>1に反した物は内容関係なく叩かれるんだから作者がMな性癖でもない限り専用スレでやれ
278名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/27(日) 20:21:20 ID:ZCqhAePC
そういえば手塚治虫系のSSってあったかな?
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 20:22:06 ID:CO7yhs8h
虚無と狼の牙の方、乙です。
ウルフウッドとワルドとの本気の戦いが、楽しみです。
パニッシャー、どんな風に使ってくれるのかな。わくわく。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 20:30:33 ID:x23ZL5ga
そういえばワルドはパニッシャーを抱えてる所(ついでにアレを軽々と持ってるところも)
は見てるんだよね。にも拘らずそれを持ってきもしなかった>あ、こいつ手の内見せる気
無いな?くらいはワルドも思ったのかね?
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 20:39:36 ID:O7Utqp+C
ワルドからは不恰好な盾としか見て無いかもしれん
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 20:40:43 ID:+Ja2Uqu8
>>281
不恰好な盾…無能警官バリアーを思い出したのは俺だけで良い
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 20:59:15 ID:0DcFS5Q4
考えたら、まだ盾か鈍器の代わりにしか使われてないよな>パニッシャー
あれが銃器って知ってるのは、ウルフウッドとコルベール、シエスタとその父親だけか?
284名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:07:32 ID:jl2saDlf
でかい十字架とインテリジェンスソード、
戦闘で使うと考えたらふつうは後者の方が本気っぽいぞw
285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:38:49 ID:gbTubyQB
まあ、平民の傭兵が目立って名を売るために見せびらかしてる虚仮威しと思っても無理ないよな
武器にしろ盾にしてろ、馬鹿でかすぎる上に形が変だから
ハルケギニアでは十字架に宗教的な意味ないよな?
286名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:40:54 ID:5GB2CGhs
盾つながりで宇宙英雄物語から、エディ・ガーランド召喚
ギーシュ戦でギーシュ本人をワルキューレの攻撃からの盾に使いそうw
287名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:41:30 ID:kJoKr8Qs
世界樹の迷宮2からフロースガルさん召喚。
パラディンなので盾に最適!
288名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:42:37 ID:lZ41KLpH
>>286
聖地にはスターラーク本社があるんですね
289名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:45:41 ID:FuD/0zJ7
盾ならキャプテンアメリカだな
初代は死んじゃったから実は生きてました召喚コースで
290名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:46:18 ID:9SChH2FV
>>286
盾なら「神の盾」ことイージスシステムをだな(ry
ただし本当にシステムだけね。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:46:24 ID:T1gK6oUq
>>287
ああ、あの名前言われても誰だかわからない飼い主。

‥‥とりあえずクレクレひまわり少女シトトを召喚。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:49:59 ID:NDtvupd+
大巨獣ガッパ召喚
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:50:02 ID:i6M2MFZ/
ルイズが盾を召喚。
これで勝つる!
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:52:41 ID:Jn4DCVNr
>>285
タバサの冒険2を見るに、ブリミル教徒がもつ始祖が手を広げてる姿を抽象化した聖具があるそうな。
十字型じゃなくてT字型とかY字型とかかもしれんが。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:53:19 ID:mqg1H0wR
ささえの盾が出ない
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:53:51 ID:lZ41KLpH
>>293
これなんかどう?

      _,,.. - 、 
     ,.-'      `' 、.
   ,r'       ,rfn、 \
    ,'  ,rffn.   '"     ヽ
   .i  '"     ,riiニヽ.   ',.
   {  ,riiニヽ      _.    ',   
   !   ,..  _,,.. -‐' _,..r'  i
   ',   '、., __ ,.. -‐''"゙  }  |  ← 魔王の盾
    `、  ヽ        !   }
     '、  ヽ      ./   !
     \  `ヽ==='゙    ,'
       ' 、        / .
        `''‐   . r'
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 21:56:36 ID:i6M2MFZ/
シレンよりやまびこの盾召喚。
全ての魔法を反射!

>>295
9階で粘れ
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:03:04 ID:HQp7j1Qd
>>296
お前が何のスレを見てそれを思いついたかはよく判った。
ぶっちゃけ俺もあのスレはよく見てるから。
けど、そいつは明らかに三次創作になるからここではお勧め出来ない。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:04:14 ID:gbTubyQB
ほら、魔城ガッデムが出てくる漫画の…ソードブレイカーだったっけ?あれの主人公は盾の勇者って呼ばれてたような
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:04:34 ID:vnczHpnh
>>293
轟世剣ダイソードからヨゴを召喚ですね
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:08:30 ID:7dqt4fTR
>>282
オボロ防壁を思い出した
302名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:13:47 ID:YReqXVFb
14巻の最後見る限り、図案化したブリミルを模した聖印は十字架みたいだね。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:19:20 ID:GVZN+T2u
キャプテン・アメリカも盾の人だな。
ただ召喚したらまず爆笑される。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:22:18 ID:uqwcTntq
盾ね…

ワ「食らえライトニング・クラウド!」
?「なんの、こんなこともあろうかと!」
で空間磁力メッキを発動して銀色になるルイズ


あとタバサの風で岩を巻き上げてアステロイド・リングで身を守るオストラント号
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:22:23 ID:ZR8zcnS3
大番長の金剛寺(兄)が盾っぽいなー、彼なら18禁ゲーキャラだがそういう展開にいく心配ないし
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:23:13 ID:9WoBV68d
楯でいくつか考えてみた。

1:キャプテン・アメリカの使う超合金製シールド(投擲可能)
2:アルゴスの戦士のディスカーマー(楯じゃない?)
3:ギリシャ神話のメデューサの楯(使用者が念じれば開眼・石化させる)
4:パイルバンカー付き楯(人間サイズに小型化)
5:ガトリングシールド
6:テッカマンブレードのシールド(細いワイヤーが出ます)

4と5は弾薬が切れると使い物にならないのが残念。
逆に3は強力過ぎる。
6は原作見ていたのに存在自体知らなかったorz
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:25:07 ID:9gadlyF2
>>271
そういやその作品、最初は雑誌連載だったんだよな
田中芳樹に連載させるなんて無謀だよなw
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:26:26 ID:YgSamiwS
世界樹の迷宮からパラディンを呼べば大丈夫さ
属性攻撃で回復できるし、きっとデルフにも出番があるはず
フロントガードさん?そんなひとは知らないな
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:27:17 ID:YReqXVFb
止まってるけど、へっぽこのイリーナに頑張ってほしいな。
彼女の筋力25から繰り出されるシールドアタックは
紙防御のメイジぐらいなら一撃で昏倒させる威力を発揮する。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:27:29 ID:0DcFS5Q4
>>305
金剛丸じゃなかったか?
大番長キャラの多くは割かしエロと無縁だからな。
オレも以前、兵太召喚で書こうかと思った事があるし。
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:28:59 ID:xlUQ0Qk0
>>309
昏倒どころかべちゃってつぶれると思うんだがw
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:32:10 ID:Jn4DCVNr
ROニメのロアンなら……いや、なんでもない。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:38:30 ID:x26g2Ljy
盾で思いついたのがモノリスフィアのモノリスとか
能力チート過ぎるな
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:42:33 ID:mfhyGHLz
BM〜ネクタール〜よりBM(日本産)を召喚。
ルイズ・タバサ・キュルケ・ギーシュ・モンモランシーの命をかけた脱出が始まる……
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:47:39 ID:+JY7zjMQ
このイージスのたてで きみらのこうげきを ふせぐぞ
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:49:27 ID:4bnVFLvQ
楯雁人召喚。
盾といえばこれ。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:51:11 ID:kJoKr8Qs
リンカイザー召喚。どんな攻撃でも防ぐけどしょっぱい戦闘しかないぞ!
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:53:05 ID:ovn+16DD
>306
>4:パイルバンカー付き楯(人間サイズに小型化)
青の騎士ですねわかります
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:57:41 ID:fLPLVbhk
盾なら天地くんの光鷹翼とかどうよ?
いや、瀬戸様でもいいがw
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:58:22 ID:9WoBV68d
>>318
そうそう、それそれ。
ちなみにブルーナイトシリーズはアームパンチのように液体火薬で長槍を射出しますが、TV版は圧搾空気を使っているようです。
321名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/27(日) 22:59:14 ID:ZCqhAePC
最強の竜星座の盾は?
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 22:59:16 ID:YgSamiwS
なにルイズが異能生存体?
たしかに高威力の失敗魔法を近距離で炸裂させても
煤ぐらいしか付かないところ考えると確かにそうだが・・・・
323名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:08:52 ID:mqg1H0wR
私を弄んで苦しめた男みたいー!!!
324名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:10:56 ID:1+HuEoDt
>>321
だってあの盾って話が進むほど
噛ませ犬的アイテムになっちゃったし。

着ている人間も脱いだ方が強いという本末転倒っぷり晒してるし。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:19:35 ID:V/JYUnvS
>>324
シスコン、ブラコン、マザコン、露出狂・・・凄い面子が揃ってますよ!
326名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/27(日) 23:21:05 ID:swj8Cdmj
>>321 >>324
まあ、最初のほうに「矛盾」の盾であると明らかになっちゃったからね。
327名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/27(日) 23:22:59 ID:ZCqhAePC
>>325
ファザコンもいたら完璧なのに
328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:29:00 ID:mfhyGHLz
封選娘々追宝録より宝貝の『盾』を。
文字通り最強の盾であるが、矛と合わさると『矛盾』を起こし、消滅を起こすという。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:32:41 ID:0DcFS5Q4
>>320
生身で使ったら肩外れるぞw
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:40:48 ID:gumn/6sA
>>328
あいつら引き合うから非常に危険。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:47:58 ID:Jn4DCVNr
>>328
それならいっそ犬の姿もとれるほうをだな。
さすれば「健気な動物ネタ」で敵を文字通り涙目にするルイズが!
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:56:31 ID:UX4WzBg3
楯談義で盛り上がっているところ恐縮ですが、久しぶりに続きを投下してよろしいでしょうか。
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:57:44 ID:vnczHpnh
>>332
作品名をお教えいただきたく存じます
334名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:57:46 ID:Jn4DCVNr
まずは名を名乗られよ!
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/27(日) 23:59:47 ID:kJoKr8Qs
(多分)銀さまカモン!支援
336ゼロのガンパレード:2008/07/28(月) 00:00:10 ID:UX4WzBg3
すいません、久しぶりすぎてコテハンが消えてました。
といっても今回はフーケさんのほうですが。
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:00:49 ID:QzO+5Ybf
失礼した。とまれ支援!
338名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:00:55 ID:4bnVFLvQ
キターーーーーーーーーーー!
しえん!
339フーケのガンパレード:2008/07/28(月) 00:04:02 ID:UX4WzBg3
「エア・ハンマー」
「ファイア・ボール」

ルーンの詠唱が夜空にこだまする。
王立トリステイン魔法学院。
王都トリスタニア郊外に設立されたこの全寮制の学院は、
トリステイン建国期にまでその起源を遡ることの出来る伝統ある魔法学府である。
『貴族は魔法を持ってしてその精神と為す』を校訓に、数多の貴族を国内外に送り出した教育機関。
その名声から諸外国からの留学生も数多い、まさにトリステインが誇る名門校である。

その学院が、何者かの襲撃を受けていた。



/*/



食堂の机の陰に隠れ、放たれる弓矢を避けながら男は頭を抱えた。
何故このようなことになったのか。
ここは伝統ある魔法学院の筈であり、諸国からの留学生も多い。
それは生徒がなんらかの傷を負うようなことでもあれば国際問題となりうるということである。
故に戦場からは一番遠く、かつての諸外国との戦争、あるいは内乱の際でも、この学院だけは戦火に巻き込まれることはなかった。
その実績があるからこそ諸国の貴族はこの学院に自分達の子弟を通わせていたのだが、その伝統も今日を最後に消えることになるようだった。
襲撃してきた者たちの多くはおそらく平民の傭兵の類ではあったが、男はその中に幾人かのメイジの姿を見て取っていた。
それはいい。魔法学院に奉職しており、長らく戦争など経験してはいないが、男とてかつては貴族として戦場に赴いたことも有る身である。没落した貴族が夜盗や傭兵に身をやつしている現状は知っている。
侮蔑や同情の気持ちはあるが、だがそれだけである。頭を悩ます理由にはならない。
問題なのはメイジたちがまさにその杖をこちらに向けているということだけだった。
食事も終わり、職員や生徒の殆どが寮に引き上げた後だと言うのも問題ではある。
襲撃者が何人いるかは解らないが、おそらくはかなりの数が動員されているのは間違いない。
先ほどから魔法によるものと思われる戦闘音も響いてきている。
食堂に残っていたのは、生徒を除けばメイジは自分ともう一人だけである。
その相方は女性であるし、最悪自分だけで戦わねばならぬと思えば背筋に氷が這うのを止められなかった。

「駄目です、勝手口にも暴漢たちがいます。逃げられません」

相方であるところの女性、厨房の奥へと様子を見に行っていたシュヴルーズが彼の横に身を滑り込ませながらそう言った。
彼女を庇うかのように幾人かの料理人たち、貴族嫌いで有名なマルトーがそれに続く。
頭に被った鍋や手にしたまな板は楯か兜のつもりなのだろう。魔法には役立たぬが、弓矢相手なら役立ちそうだ。

「晩飯が終わった時間でちょうど良かったですな。
 あと少し遅ければ明日の仕込みを始めてたところでしたぜ」

飄々と言う料理長に男は苦々しげな視線を向ける。
今のこの状況が解っているのか、こいつら。
この学院で働いていても、所詮は学の無い平民か。
毒の篭った視線にもマルトーは動じず、唇を歪めて見せた。

「旦那、貴族の旦那。
 俺たちからして見れば、旦那の持つ杖は簡単に俺たちを殺せる道具でさぁ。
 たとえ死ぬことがなくたって、魔法一つでこちらは大怪我を負っちまう。
 なのに俺たちには旦那方に刃向かうことも許されねぇ。
 わかりやすかい? 俺たちは、何時だって、死と隣りあわせで働いてるんですぜ?
 魔法が弓矢に変わったからって、それほど変わりはしませんぜ」

マルトーの言葉に、シュヴルーズが辛そうに俯いた。
ああ、やはり自分は何も見ていなかったのだ。
この学院で長い時間を過ごしながら、それでも彼らが何を考えていたのか、
自分達貴族を平民がどんな目で見ているかすら知らなかったのだから。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:06:23 ID:vWuiPg8K
支援
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:08:03 ID:PxagVXzc
支援せざるおえない
342フーケのガンパレード:2008/07/28(月) 00:08:05 ID:nSm2VUTU
「……真の貴族は、そのようなことはしない」
「真の貴族、ですか。
“何処かの誰かの為にその力を奮うことが出来るのが真の貴族”だそうですしな。
 確かに真の貴族ならそんなことはせんでしょうな」

マルトーの返答に男の顔が一層引きつった。
そういえばあの無能な娘は平民たちには人気があったのだったか。
魔法がつかえぬゼロの分際で、それでも貴族とは何かを声高に言い放つあの娘。
落ちこぼれのゼロのルイズ。
気がつけば、机の下に隠れている料理人や使用人、生徒たちの視線がこちらに集まっている。
良かれ悪しかれルイズの名はこの学院に暮らす者にとっては注目の的であった。
何度か口を開こうとして止めると、男は入り口と窓の方に視線を向けた。
ルイズについては言いたいことも色々とありはしたが、しかしそれをこの場で口に出すほど空気が読めなくは無かった。
憮然とした男の顔を見やり、マルトーは一つ息をついた。
本音を言えば彼も怖くてたまらない。
だが彼はこの学院の使用人たちの纏め役であり、今はそれに誇りを持っていた。
彼は貴族ではない。魔法も使えない。
だから何処かの誰かの笑顔の為になど戦えない。
だがそれでも、それでもと彼は思うのだ。
彼を親方と慕う弟子たちや、同じ時間を共に過ごしてきた同僚たち。
彼らの為になら、自分はほんの少しだけでも戦えるのではないかと。

「旦那、貴族の旦那」

言いながら、マルトーは手に持っていた浅手の鍋を頭に被った。収まりが悪いが、何とかなるだろう。
篭手代わりに厚めの鍋つかみ。まな板は端の穴に紐を通して首からかけた。
擂粉木と包丁を握り締めて彼は言う。

「俺が囮になりやす。
 旦那はその隙に皆を逃がしてやってくだせぇ」
「使用人や平民たちを、かね?」
「いえ、そこの生徒さんがたもお願いしますぜ」

男が不思議そうに首を傾げた。
料理長の貴族嫌いは有名であるし、なにより真の貴族云々を口にする男であれば、
たとえ大人であっても貴族として平民を守れくらいは言いそうだと思ったからだ。
だが、マルトーは照れくさそうに笑ってそれを否定した。
彼は貴族ではない。魔法も使えない。
字は読めるが、達者ではない。殴り合いの喧嘩だってここ数年したことが無い。
だがそれでも、そんな彼でも解ることがある。
ルイズのように貴族の誇りなど知らないが、それでも知っていることはある。
どこの誰でもが知っているような、何の変哲も無い、けれど間違えようの無い世界の真理。

「旦那、大人は子供を守るものでさぁ」


343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:08:12 ID:7vnWxZjk
待ってました
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:10:17 ID:FGXaOtm5
全力支援
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:11:12 ID:FGXaOtm5
なんというリアルタイム
支援です
346フーケのガンパレード:2008/07/28(月) 00:12:40 ID:nSm2VUTU
/*/



それは言うなれば偶然であった。
だが意味のある偶然ではあった。
愛する娘が死地にあるとすれば、一刻も早くそこに向かいたいと言うのが親の愛である。
そしてその母親にはそれを可能にする力、権力と財力があった。
そしてさらに幸運なことに、いつ危篤状態に陥ってもおかしくない次女の為に、
各地にそれを知らせ、あるいは医師を招聘する為の風竜や竜籠すらも完備されていた。
人の口には語られない伝説によって次女が健康を取り戻した今となっては無用の長物であるそれを、
母は惜しみなく三女の為に使用した。
一刻も早く学院へ、そして王都を経て娘の下へ馳せ参じるその為に。
だから、彼女たちがそこから立ち上る火の手に気づき急行したのは、云わば始祖ブリミルの導きとも言うべき必然であった。



/*/



小さな声でルーンが詠唱される。
マルトーが身に着けた鍋やまな板、手袋が微かな魔力を放ちだした。

「『固定化』の魔法をかけました」

杖を構えたシュヴルーズが言った。これで少しは鎧や兜の代わりにはなると。
料理長が笑い、礼を言う。
その光景を見ていた一人の生徒が、眼鏡を押し上げながらおかしそうに言った。

「“イーヴァルディの勇者”それも南トリステイン版ですか」
「おや、ご存知でしたかミスタ・レイナール」

恥ずかしげに女教師が頬を染める。
各国に伝わる英雄譚“イーヴァルディの勇者”、原典が存在しないそれには、各地で様々な伝承が確認されている。
レイナールと言う生徒が言ったのは南トリステイン地方の伝承にある一節だった。
平和な城下町を襲った怪物に立ち向かう勇者イーヴァルディ。けれど彼は剣と槍を持ってはいたが、鎧も兜も持っていなかった。
危険だと止める声も聞かず戦おうとする彼の服に、領主の娘は固定化の魔法をかけて送り出す。

『彼には鎧も無く、兜も無く、けれどそれよりも強いもので守られていました』
『お姫さまの魔法が、みんなの声が彼を守りました。彼が守りたいと思ったものが、彼を守ってくれたのです』
『彼は言いました。
“ぼくの右手には剣がある。ぼくの左手には槍がある。ぼくの後ろには守りたい人たちが居る。ぼくを守ってくれる人がいる。
 だから、これいじょうほしいものなんかなにもない”』
『戦う彼を見て、お姫さまは言いました。
“誰か彼を助けてください! 代わりにこの街を差し上げます!”
 その声に、騎士や町の人々は彼に向かって走り出します。
 人々は口々に言いました。
“街など要りません。わたしたちには、彼さえいてくれればいいのです”』
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:14:21 ID:anwJUUA1
支援
348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:16:21 ID:zugfX80/
支援だ!
349フーケのガンパレード:2008/07/28(月) 00:16:39 ID:nSm2VUTU
生徒たちは目を見交わすと、次々に杖を取り出した。
あるものは錬金で武具を作り出し、またあるものは水の魔法の準備をした。
料理人たちも彼らの親方に倣って武装を始めた。
もう誰もマルトーを独りで行かせようなどとは思ってはいなかった。
一方、レイナールから説明を受けた料理長は奇妙な表情で固まっていた。
愉快そうに笑う生徒が、その伝承の続きを、姫が勇者を愛していたことまで話したからだ。
シュヴルーズにはそのようなつもりは無かったが、だが生徒たちや料理人たちにはそれで充分だった。
怪我をしても治しますからねという水メイジに、親方にも春が来ましたなと笑う使用人たち、
年甲斐もなく赤面して慌てるシュヴルーズとマルトー。
男は不謹慎なと口を開こうとして、しかし思いとどまった。
戦を前にしてもなお笑っている彼らに、遥か遠い遠い昔に見た光景を思い出したからだ。
少年の日に、初めて父と出陣した戦場。
初陣を前に眠れぬ身を起こし、陣幕の間を歩いた。
彼に目を留めた古強者の歩兵が彼に酒を進め、戦の前とも思えぬ賑やかな光景がささくれ立った神経を慰めてくれたものだった。
残念ながら彼の初陣はほぼ負け戦であり、あの夜に杯を交わした者たちは殆どが始祖の御許へと行ってしまったが、
それでもあの戦のことは今でも鮮明に思い出せる。
前の晩に笑っていた人々が物言わぬ骸として横たわる戦場。
血と鉄と炎と死の匂い。
そしてそれを圧倒する、あの、鮮烈なまでの感動。
暴力への恐怖から戦場から身を引いても、それでも消えなかったあの日の光景。
圧倒的な力で敵陣に乗り込み、最後の最後で敗北を覆したトリステインの英雄の姿。
何気に気恥ずかしさを覚え、建物の外を確認しようとした彼の目が見開かれた。
窓の向こうに、一瞬だけ見えたそれは、確かにあの日にかつての彼が見たそのままの姿だったのから。
二十数年前と何ら変わらぬ、マンティコアに跨った、あの英雄の姿。
彼は一つ息を吸い、そして吐いた。
もはや恐怖は消えていた。
錯覚かもしれない。幻かもしれない。死と暴力を前にした気の迷いかもしれない。
だがそれでも彼はそれを確かに見た。見たのだ。
ならば、もはや恐れることは何も無い。
二度と見れぬと思っていたあの人の姿を見ることが出来たのだ。
ならば、それに恥じぬように振舞うのみだ。
そうとも、あの人が、彼の英雄が見ているかも知れぬと言うのに、何故に見苦しい真似が出来ると言うのだろう
杖を取り出しルーンを唱えると、彼は常にそうしているように皮肉げな声で生徒たちに語りかけた。

「では諸君、講義の時間だ。
 我が系統である“風”の最強を証明してさしあげよう」



/*/



魔法学院にまた一つ火の手が上がる。
だがそれは滅びを齎すそれではなく、滅びに刃向かう反逆の火の手だった。


350名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:18:37 ID:uTKm7H71
我々のできる最大限の支援をしよう。
351フーケのガンパレード:2008/07/28(月) 00:21:03 ID:nSm2VUTU
/*/



十人がかりでオールド・オスマンと対峙していたメイジたちは我が目を疑った。
無論自分たちだけでオスマンを倒せるなどとは思っていない。
彼らがやるのはあくまで時間稼ぎであり、仲間が生徒や職員を人質に取るまで彼をこの場に止めておくのが任務だと知っていた。
倒せることは出来ずとも足止めくらいなら、とその任務についたトライアングルクラスのメイジが十人。
そこまでの戦力を動員して足止めにしかならぬオスマンの力こそを恐れるべきか。
だがその均衡もあっさりと覆されつつあった。
飛竜とマンティコアに乗って乱入した美しい二人の女メイジが放つ魔法が次々に仲間たちを倒していく。
感じられるその魔力はスクエアクラスに間違いない。
まだ若いその二人は、しかし歴戦の傭兵メイジが及びもつかない程の使い手であった。
だがだからこそ腑に落ちない。そんな若く美しいメイジならば噂にもなる筈だが、しかしそんな噂は聞いた事もなかった。
何者だとの誰何の声と、オスマンの驚愕の視線に答えるように、二人は獰猛に笑って事も無げに言ってのけた。

「「――――母親よ」」



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学生寮の前に集められた生徒たちは目の前の光景が信じられなかった。
突如として乱入してきた傭兵たちに屋外へと引きずり出され、これからどうなるのかと身を震わせていた時のことである。
新たな傭兵たちと共に現れた一人の少女、その顔を見た瞬間に誰かが恐怖の叫びを上げた。
その尖った長い耳は、彼らメイジをして絶対の敵と言わしめたエルフの証なのだから。
だが、なぜ生徒たちを連れ出した傭兵たちすらが驚きの声を上げるのだろう。
まさか全然別の二つの集団が学院を襲ったとでもいうのだろうか。
その混乱はエルフの少女の魔法が完成すると共に極限に達した。
それまで殺気に満ちた目で少女を警戒していた傭兵たちの目が訝しげに細められ、不思議そうに当たりを見回す。
エルフの横に立つ桃色の髪の女性が、優しそうに説得を開始すると、傭兵たちはあっさりとそれに従ったのだ。
ごくりと誰かが喉を鳴らす音が聞こえた。
あるいは、それがエルフの魔法なのだろうか。自分たちも、あの男達のように魔法で心を操られてしまうのだろうか。
そんな生徒たちを眺め、エルフの血を引く少女ティファニアは悲しそうに息をついた。
エルフが恐れられていることなど知っていた。
何も気にせずに接してくれるマチルダたちの方が少数派なのだと解っていた。
そんなことは誰よりも良く理解していた。理解していた筈だった。
それでも、だがそれでも助けた筈の生徒たちに恐怖の目で見られるのは辛かった。
横に立つカトレアが黙ってティファニアの手を握ってくれるその温かみが今は救いだった。

「ありがとうございます、レディ」

目を上げると、少し、いやかなりふくよかな男子生徒が一歩前に出て彼女に頭を下げている。
驚いてカトレアの方に目をやれば、嬉しそうに背中を押された。

「トリステイン貴族、マリコルヌ・ド・グランドプレ、“風上”のマリコルヌと申します。
 よろしければ、お名前をお聞かせ願えないでしょうか」
「え、あの、ティファニアと申します」
「それはいい名前ですね。まるで草原を駆け抜ける風のようだ」
「は、はぁ……?」

どこがだろう。
不思議ではあるが、嬉しかった。このマリコルヌという少年は、自分をエルフというだけで変な目では見ない。
さすがに顔を見るのは怖いのか、少し視線を下げてはいるが、それでも礼を言ってくれた。
父が付けてくれた名前をいい名前だとを褒めてくれた。
ただそれだけのことではある。だがそれでもティファニアがマリコルヌに好意を持つには充分すぎるほどだった。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:24:19 ID:FGXaOtm5
・・・え?
どんな展開?
353名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:25:58 ID:zugfX80/
ちょ、予想ができんぞ
354フーケのガンパレード:2008/07/28(月) 00:26:12 ID:nSm2VUTU
「マリコルヌ! 何を考えてるんだ! 彼女はエルフだぞ!」
 
生徒たちの誰かがそういった。
周りの者も男性女性関係なくそれに同意する。
だがマリコルヌはそんなことはどうでもいいかのように首を振った。

「しかしだね、ギムリ。彼女はぼくたちを助けてくれた。それは事実ではないかな?
 少なくとも、エルフだというだけで恩を恩と感じないという選択肢はぼくには取れない。
 それよりも今は、この出会いを始祖ブリミルに感謝すべきだと思うがどうだろうか」
「エルフとの出会いを始祖に感謝するだって!? 不謹慎にも程がある!」

いかにも真面目そうな生徒が叫ぶが、しかし他の者は互いに顔を見交わした。
確かにそうだ。このエルフの少女は自分たちを襲った男たちに魔法をかけて、自分たちを助けてくれたのだから。
次第に生徒たちから恐怖の色が薄れ、感謝の視線がそれにかわる。
だがそれでもまだいくばくかの疑いの視線が消えることはなかった。
なぜエルフが自分たちを助けてくれるのか。メイジの敵であるエルフと同行しているこの女性は誰なのか。
更に男子生徒の疑いの視線はマリコルヌにも注がれていた。
彼らの知っているマリコルヌは確かに気のいい男ではあるが、勇気などとは無縁であったからだった。
あるいは既に心を操られる魔法でもかけられたのかと、友人とエルフとを見比べていたギムリの視線が一点で止まる。
ややあってその顔に理解の色が広がった。
なるほど、確かに我々は始祖ブリミルに感謝すべきかも知れぬ。
その頃には周囲の友人たちもそれに気づいてお互いに目を交し合っていた。
ギムリは一歩踏み出すと、マリコルヌがそうしたように視線を下げつつ、ティファニアに向かって礼を述べた。

「失礼をいたしました、レディ。
 どうやらこのような事態に混乱していたようです。
 願わくば、わたしの謝罪を受け取っては頂けないでしょうか」
「え、ええ! 気にしてませんから……」
「ありがとうございます。
 始祖ブリミルの名にかけて、あなたに感謝を」

それを見ていたカトレアが一歩踏み出して、マリコルヌに微笑みかけた。
密かに友人のことを心配していた彼女にとって、率先してティファニアを受け入れてくれた少年は実に好ましく映っていたのだ。
自分よりも年上の美女の笑顔、しかも自分に好意を持っているそれに、あまり女性に縁のない少年の頬が赤く染まる。

「わたしの友人を庇ってくれてありがとう、ミスタ・グランドプレ。
 これからも妹のルイズともども仲良くしてくれると嬉しいわ」

驚きの声が上がった。
ルイズの姉ということはこの女性はヴァリエール公爵家の女性であり、
しかもその上エルフの友人だということなのだから。
もっとも、その驚きも一瞬のことではあったが。

「……まぁ、ルイズのお姉さんだからな」
「ああ、ルイズのお姉さんじゃあしょうがないな」

内心では妹の評価に頭を抱えているカトレアの横で、ティファニアはカチコチに固まっていた。
マリコルヌとギムリの言葉を聞いた生徒たち、そう多くはないが数人の男子生徒たちが次々に彼女に挨拶をし、礼を述べていく。
幼い頃から人から隠れる生活を送っていた彼女にとって、このような同年代の男子と話すのは初めての経験だったのだから。
たどたどしくしか話せない自分を自覚し、また赤面して言葉が止まる。
男子たちはそんな彼女を温かく見守っていた。




 『灰は灰に、塵は塵に、乳は乳に。
  生ける者全てが、いつの日にか始祖ブリミルの御許へ還るが如く、
  乳によって育まれし我らは、いつしか母なる乳の元へと還るのだ』

             ――――マリコルヌ・ド・グランドプレ回顧録「ヰタ・セクスアリス」
355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:26:27 ID:1U7VB8Ih
テファがマルコに……
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:27:15 ID:2JC9HYXr
やはりそこかwww
357名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:27:23 ID:FGXaOtm5
まさかマルコメ×ティファなんてことにならないよね?
支援
358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:28:21 ID:vl+yQMR4
乳に父をかけて父と母ですねわかります
359名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:28:49 ID:1U7VB8Ih
> 『灰は灰に、塵は塵に、乳は乳に。
>  生ける者全てが、いつの日にか始祖ブリミルの御許へ還るが如く、
>  乳によって育まれし我らは、いつしか母なる乳の元へと還るのだ』

>             ――――マリコルヌ・ド・グランドプレ回顧録「ヰタ・セクスアリス」


ちょっ!mtl!w
360フーケのガンパレード:2008/07/28(月) 00:31:53 ID:nSm2VUTU
今回はここまで。
魔法学院襲撃編で一話、と考えていたのですが、長くなりすぎたので切ります。
次はフーケさんとコルベール先生の共闘とか後始末とか。
なので、学院襲撃編の後編の後に本伝に戻る形ですか。
あまり待たせたくないなとは思ってますが・・・うーむ、仕事が忙しくなければってとこですか。
あじゅじゅしたー。
361名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:32:00 ID:0NCUsal1
相変わらずですね(色々と台無し的な意味で)
362名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:35:02 ID:ccJdXV6A
投下乙でした。
さて、もっかい最初から読み直してくるかな。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:37:51 ID:lt1kNKwA
ガンパレ氏、あじゅじゅしたー。
マリコルヌ×テファとかなかなかいいじゃないかw
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:39:28 ID:29GRo5jy
投下乙でした。
しかし、いつも思うんだが、リタガンの雰囲気がすごい出てていいねw
それとギトーの>「では諸君、講義の時間だ。
         我が系統である“風”の最強を証明してさしあげよう」ってセリフがとてもよかったw
365名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:45:47 ID:pAZNDvIA
ガンパレードキターーーー!! 乙でした。
次は奥様戦隊wの活躍かな?
かっこいいルイズが再び見られる日もお待ちしてます。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:54:19 ID:5rp36gzM
フーケがでてこないフーケのガンバレード乙でしたー。
次回も期待してまーす。
367名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 00:55:30 ID:SjjaWjsb
マルコメミソ自重しろwwwwwwwww
乙ですた。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 01:08:37 ID:IEuDd7mX
まぁ健全な男の子ならソコに目が行くよねマルコメ……
しかし親方やイーヴァルディのくだりで感動してたのがダイナシであるなw
369名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 02:00:05 ID:nfAlE9jS
これはマルコメがおっぱい教を設立するフラグだな
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 02:22:53 ID:DeEtZjI4
ガンパレード・乙!
まさかのカトレアソックス覚醒・・・ステキです!
371名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 02:53:32 ID:vVPKdW3d
あぁ、本当に酷いなぁwwwww(ほめ言葉

というかセラエノ帰りのギトーさんなにやってんすかwwwww
372Persona 0  二話完結〜三話冒頭:2008/07/28(月) 03:19:05 ID:XZJ9H6sQ
失礼致します、ルイズ編の完結部と三話の冒頭部分ができましたのでお届けにあがりました。
進路クリアでしょうか?
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 03:21:38 ID:vMhEQNby
支援準備はあるぜー
こんな時間に人が来るとは思わんかったがw
374Persona 0  二話完結〜三話冒頭:2008/07/28(月) 03:23:57 ID:XZJ9H6sQ
 キュルケは慌てて杖を構えようとするが、しかし杖がないことに気づいてたじろいだ。
 もう一度暴れられたら今度こそもう止められない。
「安心するクマ、ルイズちゃんの影は落ち着いてる」
 そう言いながらクマはぺったんぺったんとルイズの隣に歩いて行く。
「ねぇ、ルイズちゃん」
「らによぉ、あんたは!」
「クマはクマよ、ルイズちゃんこの子を許してやって欲しいクマ」
 そう言ってクマはもう一人のルイズを指さした。
「暴走しちゃったけどこの子もルイズちゃんの一部なのクマよ、だから……」
「違うもん、こんなの私じゃないもん」
 涙声でルイズは拒否するが、その声には力がない。
 その代わりにまるでルイズの内面を代弁するように影がさらに激しく涙を零す。
「ルイズちゃん……」
「私は立派なメイジになるんだもん、いつか必ず魔法を使えるようになって、胸を張ってヴァリエール家に帰るんだ、もん」
 それはどうしようもなく虚勢だった、それはルイズ自身にもわかっていた――はずである。
「だからこんなところで挫けちゃ駄目なんだもん」
『でもやっぱり怖いだもん』
 ルイズの言葉を継いだのはもう一人のルイズ。
『いつまで経ってもコモンマジックすらろくに使えなくてみんなに“ゼロ”だ“ゼロ”だって言われて、だんだん本当に自分でも“ゼロ”なんじゃないかと思えてきて……』
 ぽつりぽつりと吐き出されるその言葉にルイズははっと息を飲んだ。
「あなた……」
『本当に“ゼロ”なら、そんな私なんていらないって思ってた』
 キュルケもまた二人のルイズを前にして息を呑んだ、あれだけの意地と虚勢の下にはこれほどの苦悩があったのか。
『私なんて、産まれてこなければよかったって思ってた』
 もう一人のルイズはゆっくりと顔をあげると虚ろな目でまっすぐにルイズを見つめる。
375Persona 0  二話完結〜三話冒頭:2008/07/28(月) 03:25:29 ID:XZJ9H6sQ
 ルイズはなにか言おうとして、しかし何も言えずに口を噤んだ。
「ほら、しっかりなさいなルイズ」
 そんな背中をとんと押してキュルケはルイズに笑いかけた。
 その笑顔はまるで炎のよう、凍てついたルイズの心を温め、燃やし、無理やりにでも前に進む活力を注ぎこむ。
 そのおかげか、やっとルイズはまっすぐにもう一人の自分を見ることができた。
 長い桃色の金髪と吊りあがり気味の瞼、普段はきつく結んだ口元は今は薄く閉じられておりこうして見れば随分と可愛らしく見える。
 ルイズをじっと見つめるその姿は、まるで雨に濡れそぼる捨てられた子犬のようだった。
「――分かってた、あなたは私のなかにいたんだって」
「ルイズちゃん!」
「弱虫で泣き虫で、ずっと諦めたがってた。どうせ“ゼロ”なんだって認めて楽になりたいと思ってた、私」
 そう言ってルイズは自嘲するように笑った。
「でもごめんね、まだ私は諦められないの。だって魔法を使える立派な貴族になるのは私の夢だから、魔法が使えるようになってちぃ姉さまのご病気治して差し上げたいから」
 だからもうちょっとだけ一緒に頑張ってくれないかしら?
 ルイズのか細い言葉に、もう一人のルイズは同意するようにこくりと頷いた。
「ふふ、一番大切なものはやっぱり私と一緒なんだ……」
 そうしてルイズはくすりと笑う。
「あなたは、私ね」

 >自分自身と向き合える強い心が、“力”へと変わる…
 >ルイズはもう一人の自分。
 >困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ“イドゥン”を手に入れた。 


 そのまま意識が遠くなっていく。
 手に黄金の林檎を持った桃色の髪の仮面の乙女、そんなもう一人の自分の姿を目に焼き付けながらルイズは意識を失った。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 03:27:14 ID:vMhEQNby
ペペペペペペペ!支援
377Persona 0  〜三話冒頭:2008/07/28(月) 03:28:48 ID:XZJ9H6sQ
〜二日後〜


「あなたの、テレビに、時価ネットたなか〜」
「ルイズー、ちょっといい?」
「あ、うん。分かった」
 テレビのスイッチをぷつんと切ってルイズは立ち上がった。
 黒い画面に映る自分の顔を見ながらしみじみと考える。
 魔法の力など少しも使っていないただの箱なのに、ボタンを押すだけでいろいろな映像を見ることができるなんてとんでもないアイテムである。
 クマの話によるとこの箱は“テレビ”と言うらしい、本来は電源と電波と言うものが必要らしいのだが問題なく動いているのはやはり……
「この使い魔のルーンのせいなのかしらね……」
 テレビの側面には珍しい形の使い魔のルーンが今も光を放っている、なぜ珍しいかと言えば半日ほど図書館の本をひっくり返しても該当するルーンは結局見つからなかったからだ。
「ルイズー、聞いてるのー?」
「あーごめん、今出るわ」
 音を立てて扉を開けるとそこには最近親しくなった赤毛の友人の顔。
「もぉ遅いわよぉルイズ」
「勝手に人の部屋に上がりこんでおいて遅いもなにもないじゃない」
「そんなことは後々、早くしないと夏のソナタ始まっちゃうわよ」
 はいはい、と言いながらルイズは指で消したばかりのテレビを弄る。
 ぷつんと言う音と共に画面に光が満ち、まるで遠見の鏡のように番組を映し出す。
『オールハンドゥガンパレード、全軍抜刀、全軍突撃、男と女が一人ずつ生き残れば我々の…』
 ぷつん
『嘘だッ!』
 ぷつん
『空ーと君との間にはー、今日も冷たい雨がふ…』
 ぷつん
『ぱれろちゅちゅ、ぱれろちゅちゅ…』
 ぷつん
「ああ、これよこれ」
 何度かのチャンネル変更を経てテレビにはハルケギニアでは見慣れない服装で抱き合う男と女の姿が映し出されていた。
 それを見るともなしに見ながら、ルイズはついとキュルケに話を振ってみる。
「なんなのかしらね、これ」
「これって、どっち?」
 ルイズは己の手とテレビを見比べながら、拗ねたように「両方」と言った。
「夢じゃ、ないわよね」
「夢だったら良かったわね」
 そう言ってキュルケは未だ生傷の残る左腕をかざして見せた。
 水の秘薬で粗方は直したが、もともと何故こんな大怪我をしたのか公に出来ないこともあって、キュルケが手配した分の秘薬では細かい擦り傷や切り傷まで完治させるには到底足りなかったのだ。
「ペルソナって言ったっけ? 良かったじゃない、魔法が使えるようになって」
「ありがと、けど全然良くないわよ。私自身の力じゃないし……」
 ルイズはそう言って自分の胸を貫くように生い茂る半透明な樹木の枝と、その先端から伸びる若い娘の姿を見た。
 左手に持った籠には黄金の林檎、顔を覆う仮面は硝子のような白い球面、たなびく髪の先には桃色の花が満開に花開いている。
 イドゥン、それがもう一人のルイズが姿を変えた“ペルソナ”の名前。
「それにこんな魔法じゃ、下手したら異端扱いよ」
「まぁ、それもそうね」
 そう言うとキュルケは唇に指を当て、
「けれど一人や二人は喜んでくれる人がいるでしょう?」
「そんなこと……」
 そう言ってルイズの頭に浮かんだのは優しい二番目の姉と厳しい両親、そして子供頃からずっと憧れている一人の青年の姿。
「それに私もその一人だしね」
 ついと横を向いたキュルケの姿がどこかおかしく、ルイズは笑った。
 すっごく嬉しかったけどそれを悟られるのが同じくらい恥ずかしく思えて、ルイズもまた反対方向に向けてそっぽを向く。
 一つの部屋に素直じゃない少女が二人、部屋の中にはテレビのBGMだけが響いている。
 窓の外は、雨。
378Persona 0  〜三話冒頭:2008/07/28(月) 03:29:46 ID:XZJ9H6sQ





 午前零時。
 ルイズが寝静まった部屋のなかで電源の切れたテレビにひどく鮮明な映像が映った。
 人のような、獣のような黒い影が、もはや肉塊となった物体を引きずりながら画面に近づいてくる。
「オオオオオォォォ――ズゥゥゥゥ、オォォォォ、ィズゥゥゥゥ」
 深い呼気のようなその遠吠えは高く高く、テレビのなかの世界に響き渡る。
 異なる理に支配された異なる世界、だと言うのにマヨナカのテレビは不吉なものを映し出す。



379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 03:30:47 ID:vMhEQNby
ペルソーナ!しえん
380Persona 0 :2008/07/28(月) 03:39:10 ID:XZJ9H6sQ
以上でございます、短くてすいません。
しかしあえて言わせていただきます、ガンパレードの人GJであると!
作中でgjをしたいが為に急ピッチで書き上げるとかおれ何やってんだか……

ええと三話はルイズの覚醒から次の事件につなげるための繋ぎの話です、短いですのでこのように分けました。
次回は三話の後編と四話となります。
ルイズのペルソナはイドゥンとなりました、常若の林檎を管理する乙女です。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 03:55:45 ID:vMhEQNby
乙っしたー
イドゥンかー。罪罰で出てきたのしか覚えてない…orz
…出てきてたよな?あれ?
382名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 08:17:13 ID:djM9R/Qa
乙&GJ
次はだれのシャドウだろうな。 たぶん、次はギーシュかタバサか?あとサイトでてきてほしかったりする。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 09:43:16 ID:u4wf+PCl
>>381
ないだろ罪罰には
384名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 10:15:01 ID:MUdmXB61
デルフはソーディアンもそうだけど、お喋りなところがYAIBAの「当」の玉を思い出す
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 10:29:35 ID:w+u/qVrE
変わったものもいいな。
エターナル・ダークネスの書でも召喚してほしいな。
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 10:31:58 ID:vMhEQNby
>>381
あ、やっぱりいなかったか…
なんだろう、なんかメガテン関係で出てきた気がするんだけど…別のヤツと間違えてるのか?

それはそれとして、魔法無効系のキャラは色々案が出てるけど、
物理無効で魔法は普通に効くヤツってないよなぁ。
どんなのがいるかは思い浮かばんけど
387名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 10:33:03 ID:Oi+qFQph
サラを召喚してルイズがギルステイン化……エレ姉さまが美味しいポジションになれるな
388名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 10:35:55 ID:TpSBzKuw
>>386
ギリメカラとかランダとかうざすぎる
389名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 10:51:51 ID:JOVpbBdD
>>386
そういう手合いって大体幽霊とかそんな感じじゃね?
390名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 10:54:34 ID:vMhEQNby
あーいやいや、書き忘れたけどメガテン系以外でってことで
メガテンならなんぼでもいるし。妖獣タマモノマエとか
391名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 11:10:51 ID:2pUg8pcp
キラヤマトが召喚されたら面白そう
392名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 12:20:06 ID:ijzuLteR
やっぱり姉妹スレ案内はテンプレに必要かも
393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 12:35:15 ID:xfnrSkkG
キラ・ヤマト=サイト

これが成り立ってしまった。ここではね。

http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1205871030/

394名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 13:02:01 ID:GCQYmh4N
あばばbbbbっばあっばb

久しぶりにガンパレの人が来てて大興奮
そして相変わらずオチで台無しすぎるwwww

これからもどんなに間があこうとも待たせていただきます><
395蒼い使い魔 :2008/07/28(月) 13:39:45 ID:CfpAoVRD
第七話完成いたしましたことをご報告いたします…
45分くらいに投下予定でっす
396蒼い使い魔 第七話:2008/07/28(月) 13:45:44 ID:CfpAoVRD
失敗魔法による爆発でメチャクチャになった教室を
片付けを命じられたルイズが黙々と掃除している、
一方その使い魔のバージルは腕を組みながら壁に寄りかかって目を瞑っている
その姿をみてルイズは堪忍袋の緒が切れた
「ちょっと!なんであんた手伝わないのよ!」
「なぜ俺が手伝わねばならん、貴様の責任だろう」
「主人の不始末は使い魔の不始末なのよ!いいから手伝いなさい!」
そう言われようやくバージルは(渋々だが)片付けに参加した

重い沈黙の中二人でしばらく教室の片付けをする
しばらくするとルイズが唐突に口を開いた
「わかったでしょ?私がゼロって呼ばれてる理由…」
「……」
「そうよ、私は魔法の成功率"ゼロ"%、だからゼロのルイズ。
笑っちゃうわよね、魔法も満足に使えない癖に偉そうにしちゃってさ!」
半ば自暴自棄気味に叫ぶルイズ、
バージルは沈黙したまま片付けをしている、まるで「俺には関係ない」と言わんばかりに
そんな態度に今まで貯めこんで来た鬱憤をとうとうルイズは爆発させた
「なんとか言いなさいよ!なんで何も言わないの!?何で笑わないのよ!笑えばいいじゃない!
魔法も使えない癖に何を偉そうにしてるんだとかさ!」
涙を目に溜めながらルイズは叫ぶ
「……」
「アンタみたいなのがっ…アンタみたいなのがっ…一番ムカツクのよ!!」
そうバージルに言い、ルイズはとうとう泣き出した
バージルは非常に気だるそうに泣いているルイズを見る
「…だからどうした」
「うっ…うっ…ヒック…何よ…っ…」
「俺が言って解決することなのか?」
「それはっ…」
「そんなことは貴様自身の問題だ、貴様がその力をどう捉えていようと俺には関係がない」
「関係がないって…」
「それとも同情して欲しいのか?悪いが俺には流す涙はない」
「泣いて解決するならば、ずっとそうしていろ」
そう言うとバージルはさっさと教室を後にした
「なんなのよ…アイツ…」
バージルに言われ、ルイズは泣いていた自分がなんだか馬鹿馬鹿しく思えて来た
「泣くだけじゃ…何も解決しないわよね…」
そう自分に言い聞かせると力強く涙をぬぐい教室を後にした
教室は綺麗に、片付いていた。
397蒼い使い魔 第七話:2008/07/28(月) 13:46:28 ID:CfpAoVRD
一方その頃、図書館ではコルベールが資料を読み漁り
バージルに刻まれたルーンの調査を行っていた
今まで見たことがない珍しいルーン、はたしてどういうものなのか?
前例はあったのか?それがどうしても気になっていたのだ。
その中である書物に目を通しているとようやく該当するルーンが見つかった、
それを読んでいたコルベールの顔が見る見る蒼くなっていく。
そしてそのままその書物を抱え図書館から足早に出ていった

「オールド・オスマン!大変ですぞ!」
と本塔の最上階にある学院長室にコルベールは転がり込む
オールド・オスマンと呼ばれた老人は秘書のミス・ロングビルにセクハラをして
彼女の渾身のリアルインパクトをくらって伸びている所だった
それをみたコルベールは呆れたようにため息をつく
「またですか…オールド・オスマン…」
「おぉ・・・頭から後光が差しとる…神様かのぉ、ってなんじゃミスタ・コルベールか」
「そんなことより大変ですぞ!」
「なんじゃやかましいのぉ」
「これを見てください」
コルベールはオスマンに『始祖ブリミルの使い魔たち』と書かれた書物を先に見せる。
次にコルベールの描いたバージルの左手に現われたルーンのスケッチを見せた。
それを見たオスマンの眼光は鋭くなり、秘書のロングビルに席をはずすように言った。
「詳しく説明するんじゃ、ミスタ・コルベール」
398蒼い使い魔 第七話:2008/07/28(月) 13:47:19 ID:CfpAoVRD
昼食の時間、
朝と同じように食堂へ入るルイズ、違う点と言えば近くにバージルがいないことか
「まったくあの馬鹿使い魔!ご主人様をのこしてどっかいっちゃうなんて何考えているのよ!」
とブチブチ文句を言いながら席へとつき食事をとる、ルイズの席の隣にはもう一つ席があり
他の貴族たちと同じ食事が並んでいる
「せっかく同じ食事を用意してやったのに!なんでどこにもいないの!?」
と怒りながら周囲を見渡す、するともはや見慣れた氷の様に蒼いコートを羽織った長身の男が目にとびこんできた、
見るとどうやらメイドと話をしているようだ、
その様子をみてさらに怒りを燃やすルイズ
「あああああああのばばばばば馬鹿犬!なななななんで親しげにメイドとなんか話をしてんのよ!!!!」
と今にもデビルトリガーを引きそうな勢いである
主人が怒り狂っているのを知らない当のバージルは今朝知り合ったメイド、シエスタに昼食の交渉を行っていた。
ルイズの元へ行けば貴族たちと同じ食事が用意されているのだがそんなことは知らないバージル、
シエスタの仕事が一通り済んだら食事をとる、ということで彼女の仕事が終わるまで
壁に寄りかかり、静かに目を閉じて待つことにした

するとテーブルの一角から大きな音と、話し声が聞こえて来る
何かと思い視線を向けるとそこには人だかりができていてここからでは様子をうかがい知ることはできない
あまり気にはせずまた静かにバージルは目を閉じる―が、「……申し訳ありません!申し訳ありません!」
というさっきまで話していた人物の声が聞こえて来た、するとすぐに視線を戻し、静かに人だかりへと移動した。

人を押しのけ人だかりの中心部へと辿りつくバージル
そこで見たものは
涙声になりながら必死に頭を下げ続けるシエスタと、
尊大に彼女を叱りつける気障ったらしい服装の男子生徒が一人。
男子生徒の頬には平手打ちを食らったのか赤く張れ上がっていた。

「…何が起こった?」と隣にいた人間に話を聞くバージル
「彼女が拾った香水瓶のせいで彼の浮気がバレたのさ、
まぁ八つ当たりってやつだね、あのメイドは運がわるかっただけさ」
と教えてくれた
「…くだらん」
そういうとバージルは二人の間に割り込む
「その辺にしておけ、時間の無駄だ」
「なっなんだね君は!?」
「バ、バージルさん!」
突然の闖入者に驚きの声をあげるシエスタと男子生徒
399蒼い使い魔 第七話:2008/07/28(月) 13:47:57 ID:CfpAoVRD
「ん?君はたしかゼロのルイズが召喚した死に損いの平民じゃないか。
引っ込みたまえ、それとも君が彼女の代わりに罰を受けると言うのかね?」
と、不機嫌そうに言い放ち男子生徒―ギーシュはバージルを睨みつける
実は彼はルイズの使い魔召喚に居合わせた人物である、が、実の所バージルの血を見ただけで卒倒した一人である
そのため、彼はバージルを戦場で重傷を負っていた死にかけの平民程度としか見ていないのである。
その台詞を聞きただでさえ険しいバージルの表情がさらに険しくなる
普段の彼ならこの時点でギーシュをバラバラにしていただろう、
しかしルーンの効果かなにかか、その場で抜刀することはなかった。
「時間の無駄だ、と言ったんだ、貴様の安いプライド等どうでもいい、こいつの仕事の邪魔をするな」
自分の昼食がかかっているからか、シエスタをかばうバージル
「きっ、貴族に向かって貴様だと!ヴァリエール家の使い魔は貴族に対する礼儀も知らないみたいだね!」
そんなバージルの尊大な態度と挑発するような台詞に顔を真っ赤にしてギーシュは怒り出した。

「よかろう!貴族に対する礼儀を教えてやる!このギーシュ・ド・グラモンの名に賭けて君に決闘を申し込む!」
「フン…」
「ヴェストリの広場で待つ、逃げることは許さない!!」
その声を聞いたのか人だかりをかきわけルイズが飛び出してくる、
「ちょちょちょちょっと!あんた!なに勝手に決闘なんて受けてるのよ!!」
「フン、そこのガキが言いだしたことだ」
とバージルは聞く耳を持たない
ルイズはギーシュを説得する
「おねがい、やめてギーシュ、そもそも決闘は禁じられてるわ!」
「なんだいゼロのルイズ、そんなに使い魔が心配なのかい?別に平民と貴族の決闘は禁止されていないだろう?」
「違うわ!!!あんたの命の心配よ!絶対コイツに殺される!」
意外な一言に場は騒然とする
400蒼い使い魔 第七話:2008/07/28(月) 13:48:57 ID:CfpAoVRD
「ハハハハ何を言っているんだゼロのルイズ、メイジであるこの僕がただの平民に負けるはずがないだろう?」
「だから!こいつは尋常じゃないの!私だって何度も殺されかけてるのよ!?」
「それは君がゼロだからさ、間違っても僕は負けはしない、心配するのなら新しい使い魔が呼べるかどうかを心配したらどうかな?」
とまるで取り合わない、笑いながらギーシュは取り巻きをつれ広場へと行ってしまった。
仕方無くルイズはバージルに話す
「もういいわ…ここまできたら好きにしなさい、でもこれだけは約束して、絶対に、ぜ〜〜〜〜〜ったいに殺さないでね」
「フン…考えておいてやる、ところでヴェストリの広場とやらはどこだ、案内しろ」
「こっちよ」
と、ルイズと共にヴェストリの広場へと移動しようとするバージルに
今まで呆然としていたシエスタが声をかける
「あっあのっ、バージルさん!その・・・申し訳ございません!私のせいで!
貴族の方と決闘なんて危険です!殺されてしまいます!」
「フン、気にするな…貴様には借りがある」
「ちょっと…なんの話よ…」
と不機嫌そうにルイズは言う
「申し訳ございません!ミス・ヴァリエール!私のせいでご迷惑を!」
「いいのよ別に、コイツなら大丈夫でしょう、それに万が一負けても、コイツの傲岸不遜さを直すのにちょうどいいわ」
と謝るシエスタにルイズは答えると、バージルとともに広場へ向かうべく食堂を後にした。
401蒼い使い魔 :2008/07/28(月) 13:49:56 ID:CfpAoVRD
投下完了です、決闘いれたら長くなりそうな
予感がしたので今回はこれまで…お許しください
402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 13:53:15 ID:louIAdK7
乙〜!
ギーシュ……さようなら……
403名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 13:57:54 ID:CvxTdJUF
乙!
ギーシュよ、姉妹スレの兄貴みたいに殺されないことを祈るよ・・・
404名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:00:10 ID:JOVpbBdD
乙でした。
「二股をかけてメイドにやつあたりし、平民に殺された馬鹿、ここに眠る」
と書いた墓石、用意しておきますね。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:09:11 ID:94TxozRH
乙!
ギーシュ……南無南無
にしてもバージル、随分と丸くなったような気瓦斯
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:17:39 ID:JOVpbBdD
>>405
前回ちらっと出てきたけど、ルーンの影響が強く出てるらしい。
……まあそうでなけりゃ速攻でルイズが「ルイズだったもの」になってるだろうが……。
407名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:23:12 ID:4a8myOtY
あーあ、ギーシュも相手の力量を測れるぐらいの眼があれば
408名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:24:13 ID:94TxozRH
>>406
いや、なんかルイズ以外にも結構寛大に接してるみたいだからさ。
ルーン恐るべしw
409名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:34:41 ID:/t1k+LRB
そういやすでに何らかの力を秘めた模様とか刻んでる奴が同じ箇所にルーン刻まれたら効果はどうなるんだろうか
そのまま両立するのか影響しあって効果が崩れるのか
410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:39:43 ID:MUdmXB61
>>409
竜の紋章とかか?
あれはダイなら移動できるけど
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:53:45 ID:qM21WAtT

ギーシュ・・・生きろ・・・
バージルお兄ちゃんは根っこの部分はダンテと一緒だと勝手に思ってる
じゃなきゃ一緒にジャックポットするわけがない
412名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:56:59 ID:+LYHFoN0
ギーシュってガチで殺されたことあったっけ?
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:58:26 ID:Ho+7s3Gz
ぱっと思いつくのは姉妹スレのゼロの兄貴だな
小ネタだと結構死んでるけど(ギーシュに限らんが)、このスレの長編だとちょっと思いだせん
414名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 14:59:29 ID:SzZkG8kL
>>412
姉妹スレで死んでる
こっちでも魔戒騎士に殺されている
415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 15:05:24 ID:Oi+qFQph
魔戒の奴は既に死んでいたようなもんだし、と擁護しておく。

怪物なら殺していい、ってのもアレだがハルケじゃエルフや翼人は怪物扱いで生存権を認めてないしなぁ。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 15:07:23 ID:2UWBjPXp
>>412

テッカマンゼロ。ダガーにされてボルテッカで消滅
417名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 15:23:12 ID:XUUV1VAx
バージルの人乙。兄弟そろってギーシュにトラウマ植え付けるんだろうか。
それとも命を奪ってしまうのか。
418名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 15:24:51 ID:/cWRRGiA
ルイズに絶対殺すなと念押しされてるから命だけは助かりそうだな…
419名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 15:27:04 ID:SzZkG8kL
>>418
「命だけ」はな
目を斬って手足を切断しても生きていれば命だけは助かったことになるんだぜ
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 15:37:57 ID:JOVpbBdD
>419
切断面がきれいならきっと魔法でくっつくよ!
……実際問題どの辺まで治せるのかな。
421名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 15:41:50 ID:Bol2KQ55
灰になるだけならOK。
ロストするとアウト。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 15:46:45 ID:JOVpbBdD
>421
カドルト信仰という異端がハルケギニアに広まるんですね、分かります。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 15:57:59 ID:XUUV1VAx
まあ少なくともダンテ(悪魔も泣き出す使い魔より)のような比較的穏便な結果にはならないだろう。

424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 16:40:05 ID:fsRI9wmp
>>409
カオスレギオンのジークなどはいかが?
VS七万がすごいことなりそうだがルーンの効果もあって出血とか体力の消耗も凄くなってハンデもつくからちょうどいいかもしれん
425名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 16:42:56 ID:SzZkG8kL
>>423
待て、この世界のギーシュはスパーダやムンドゥス並みに強いかもしれないじゃないか
426名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 17:00:17 ID:6h63vWo0
これだけ様々な『使い魔』が召喚されていて思うこと。
ルイズとギーシュの死亡フラグ回避率は異常ともいえる。たまに死ぬだけだし……精神的なレベルアップも見込めるから。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 17:08:41 ID:be6Mtkr9
>>425
ソレ、ギーシュじゃないじゃん(w
428名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 17:19:14 ID:PPTldUZU
>>426
ブリミルが大体そのメイジにとってベストな使い魔連れて来てくれるからなw
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 17:29:26 ID:mq7tvNgI
足にサクサクッと刺す位ならすぐ治るし大丈夫でしょ
430名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 17:38:34 ID:uTKm7H71
あんまりグロいのやるなら避難所のほうへいってくれよ。
431名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 17:55:47 ID:vMhEQNby
バージルお兄ちゃんの技量なら急所を外して死なない程度に針鼠、なんて真似も簡単だと思うのはちと過大評価かね?
432名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 18:13:50 ID:anwJUUA1
お前らほんとにギーシュ好きだな
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 18:18:18 ID:FzAPyyc7
ギーシュは決闘イベントでほとんどの作者が盛り上げに使うから自然と人気でたんだろうな。
むしろギーシュをほとんど使わずに書いてる作品ってどれくらいあるかな。そこまで進んでるのに限定すると。
434名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 18:38:29 ID:TpSBzKuw
さっきメガテンクリアしてきたので
ハルケギニアで天使と悪魔を喧嘩させようかな
もちろんブリミルはニュートラル
435名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 18:40:21 ID:lRMsqT8f
>428
ブリミルが結婚相談所を開いたらはやりそうだな
436名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 18:44:36 ID:xfnrSkkG
2008/07/22(火)の事を覚えていますか?荒らした本人です。
僕のせいで本スレ及び、避難所に多大なご迷惑をかけた事を、心からお詫び申し上げます。
今後、本スレ及び、避難所には書き込むようなマネはいたしません。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 19:16:06 ID:ybO8VG57
ギーシュはニュータイプや異能生存体か何かだと思う。
438名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 19:19:38 ID:CvkdDPqf
複数のワルキューレを同時に操るからな
ニュータイプの可能性は高い
439名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 19:25:27 ID:Oi+qFQph
ただしカツやオデロポジションで最終話で死ぬんだなw
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 19:44:16 ID:o/bePBiK
ギーシュ「行けっ!ファンネル」


ガンダム世界ならエースになれるかもな
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 20:03:03 ID:CvxTdJUF
>>440
ファンネルよりも、人型のGビットの方が合うだろwww
ルイズならサテライトキャノンか
442名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 20:10:22 ID:7cgeeIHX
>>441
Bitラスヴェートだな、色的に考えて
443名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 20:12:29 ID:C7INe2VO
全てに自分が乗っている様なんですねわかります
444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 20:18:44 ID:CvxTdJUF
>442
そしてフーケとテファの姉妹に「すべての貴族を抹殺(ry
なんやかんやで殺されるんですね、わかりますw
445名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 20:23:56 ID:29GRo5jy
>>444
あの2人は死んでないよ。
フーケやテファも死なずに、最終回で車椅子のフーケとそれを押すテファがワンカットだけ出てくるんだろうな。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 20:25:57 ID:ipsEA2LL
そろそろアフターウォー的ストーリーは
旧シャア板で頼むw
447虚無と狼の牙:2008/07/28(月) 20:48:12 ID:wVHwgFuo
二日連続で失礼。ウルフウッドの十一話を九時から投下します。
448名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 20:50:09 ID:+ChPk6i3
ペルソナ乙ー
イドゥンはゲーム未登場?能力が気になりますな
しかしこのスレにおけるエレオノールのハブられ率は異常だろw
449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 20:51:58 ID:PPTldUZU
エレオノールってアカデミー出身だし
見つかったら解剖コースにしますか投薬コースにしますか、な
特殊な使い魔ばっかりだからなw
450虚無と狼の牙:2008/07/28(月) 21:00:16 ID:wVHwgFuo
虚無と狼の牙 第十一話

 デルフリンガーの愚痴に付き合ったウルフウッドが宿に戻ると、ギーシュはまだ気持ちよさそうに眠っていた。
「ほんまに気楽な奴やの、お前は」
 あきれ返るように呟くと、ウルフウッドはベッドに腰を下ろした。
 出発は明日の朝。それまで時間はたっぷりとある。
「け、あのクソアホンダラ。ワイの一張羅が泥だらけやないけ」
 そうぼやくと、乱暴に身体をベッドに投げ出した。

 その日の夜、ウルフウッドたちは宿の一階の酒場にいた。
「あら、ダーリン、ルイズは?」
「知らん。お前らがてっきり呼びに行ってるもんやと思たんやけどな」
 ウルフウッドはギーシュと共に二階から降りてくる途中でキュルケに声を掛けられた。キュルケの横ではタバサがあいかわらず本を読んでいる。
「まぁ、別にいいわ。あつーい二人の時間を邪魔しちゃ悪いし」
「あのなぁ」
 ため息を付きながらウルフウッドはキュルケの隣に座った。
「あら、ダーリン、その手に持っているものは何? 私へのプレゼント?」
「ちゃう。暇つぶしに、そこらへんにあった木屑を彫って作ったんや」
 そう言ってウルフウッドは右手に持った木彫りの鳥をテーブルの上に置いた。
「見たことない鳥ね」
「そうか」
「うん」
 不思議そうに鳥を眺めるキュルケ。さっきまで本を読んでいたタバサも興味深そうに首を突っ込んできた。
 ワシの存在をしらない彼らを見て、ウルフウッドは改めて自分が異世界に来たことを感じ取る。
 ちなみにこれは刃物らしい扱いを要求したデルフリンガーで暇つぶしに彫ったものである。
「おいおい、そんな鳥の話なんかどうでもいいから、早く注文をしよう。僕は今日は何も食べていないからもうお腹ペコペコさ」
「お前は夕方までヨダレたらしながら寝とっただけやろが」
 ウルフウッドは軽くギーシュの頭をはたいた。

「かんぱーい!」
 楽しそうに酒をたしなむキュルケたちの隣で、ウルフウッドは椅子に深く身を預けてため息を付いていた。
「どうしたのダーリン? なんか元気ないわね」
「大丈夫や。別になんでもない。ただ、なんかちょっと変な気分がしてな」
「なに、私の魅力にやられちゃったわけ?」
「あほか」
 そう言って笑うウルフウッド。
――なんで、オレはこんなところでこいつらと酒なんか飲んでるんやろな。
 不思議な気分だった。この世界に来て、ルイズやキュルケたちと知り合って、こうしてみんなで酒を飲む。
昔だったら考えられなかったことだし、経験したこともなかった。不思議な心地よさが彼を包んだ。
「あら、ダーリン、もう部屋に戻るの?」
 不意に立ち上がったウルフウッドを不思議そうにキュルケは見つめる。
「あぁ。なんかな、こういうのは……慣れてへんねん、ワイ」
 キュルケはウルフウッドを引きとめようとした。しかし、彼の浮かべたどこか空虚な笑顔にその手は途中で止まった。

451名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 21:01:03 ID:ICrlGHFa
支援
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 21:01:09 ID:Z8iN4Dua
sien
453虚無と狼の牙:2008/07/28(月) 21:01:23 ID:wVHwgFuo
「調子狂うで、ホンマ」
 ベッドの上に寝転がって、ウルフウッドは天井を見つめていた。
 孤児院を出てから彼はずっと独りで生きてきた。いや、一人で生きようとしてきた。だれにも頼らず、誰も信じず、そして誰も巻き込まないために。
――変わってきているのだろうか、自分は。
 そう思った直後、ウルフウッドは上半身をはね起こした。窓から見える松明の光。辺りを包む気配。
――囲まれてもうたな。

「だからさぁ、そこで僕は言ってやったんだ!」
「はいはい」
 興味なさげに酔っ払ったギーシュの自慢話に相槌を打つキュルケ。彼女はウルフウッドが退出してしまったせいで退屈だったが、かといって部屋に戻ってもやることもないので、しかたなくまだ酒を飲んでいた。
「だから、聞いてる? キュルケぇ?」
 はいはい、うっとおしい酔っ払いだね、そう心の中で呟いたキュルケが酒のつまみを取ろうとしたとき、ガラスが砕けるような音がした。
「来る」
 タバサが本から目を離してそう呟いた時、破られた扉から彼らに向かって矢が降り注いできた。
 タバサはすばやく杖を取ると、呪文を唱えた。彼らの周りで風が起こり、矢が吹き飛ばされる。
 同じように食事を取っていた宿泊客たちから悲鳴が上がった。
 キュルケはすばやく辺りを見回すと、身を屈めた。
「やるじゃない、タバサ」
「だめ、囲まれている」
 肩を叩いたキュルケにタバサは冷静に事実を告げた。
「囲まれているって? まさか」
「私たちが狙われている」
 タバサは身を屈めた。ギーシュは一気に酔いのさめた顔になって「な、なんなんだ」と状況が飲み込めないままに身を縮めている。
「なんで、私たちが狙われるのよ」
「わからない」
「けど、どうやらメイジは相手にはいないようね。矢くらいだったら、あんたの魔法で簡単に防げるわ」
「……そうもいかない」
「え?」
「来る。次は投石」
「え、ええ! ちょ、そんなの防げない――」
 タバサの言葉とほぼ同時に今度は直径五十センチほどの大きさの石がドアと窓を破って彼女たちの元へと向かってきた。
 タバサは小さく唇を噛んだ。先ほどの矢とは根本的に質量が違う。今、風の魔法唱えてもこの石を防ぐには間に合わない。キュルケにしても同じだ。
炎では石を防げない。土のメイジであるギーシュが防壁でも作れればいいのだが、それも間に合わない。
――万事休す。
 タバサがそう観念したとき、ゴオンという巨大な音と共に、二階から巨大な木の丸テーブルが降って来た。その落ちた衝撃の振動に彼ら三人の身体が小さく宙に浮いた。
 それは彼らを守るように石と彼女たちの間に立ちはだかる。しかし、木のテーブルで投石を防げるはずもない。
テーブルは石があたるとグシャアと音を立てて、木屑を撒き散らしながら砕けた。
 そして、砕け散ったテーブルの影、そこにパニッシャーを盾のように構えたウルフウッドがいた。
「大丈夫か、じょうちゃんたち!」
 ウルフウッドは投石の方向を一睨みすると、タバサたちに声を掛けた。タバサは無言のまま頷く。ウルフウッドは三人が揃っているのを確認すると、
「ここじゃ的になるだけや! あそこのテーブルの影に飛び込め!」
 ウルフウッドの指示にすばやくテーブルの影に飛び込むタバサとキュルケ。その後ろにへっぴり腰のギーシュが続く。
 三人がテーブルの影に入ったのを確認したウルフウッドは、パニッシャーを担いだまま一足飛びに自分もその影に飛び込み、テーブルの足を折ってそれを盾にした。
454虚無と狼の牙:2008/07/28(月) 21:02:28 ID:wVHwgFuo
「ウルフウッド! これはいったいどういうことなの?」
「知るか。とにかく、この様子やと昨日崖で襲われたんも、どうやら偶然というわけではなさそうやな」
 テーブルを背にしたままキュルケの質問に答えながら、ウルフウッドはテーブルの影から辺りを見回した。暗がりのせいで相手の数は大まかにしか把握できないが、数十人は間違いなくいる。
「戦い慣れとるな。傭兵か」
 ウルフウッドがそう呟いたとき、今度は矢の第二波が飛んできた。タバサが無言で杖を構える。しかし、その矢は彼女が呪文を唱える前に全て風に吹き飛ばされた。
 風の呪文――この場でその呪文を唱えるもう一人の人間は彼しかいない。
「大丈夫か?」
 見上げると二階からワルドが杖を構えたままウルフウッドたちを見下ろしている。ワルドの隣には驚いた顔でこの狂騒を見つめるルイズがいる。
 ワルドはルイズを抱えると、二階からウルフウッドたちの隣に飛び降りた。
「これはまさか、僕たちの行動がレコン・キスタにばれていたということか?」
「順当に考えるなら、そうなるな」
 周りの様子を窺いながら、ウルフウッドは相槌を打った。他の宿泊客たちは部屋の隅へ非難している。
そして、相手の攻撃は部屋の真ん中にあるテーブルに隠れた自分たちに集中していた。狙われているのは明らかだった。
 ワルドは声をひそめて言った。
「このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ、成功とされる」
「……何が言いたい」
 ウルフウッドが上目遣いにワルドを見据える。
「二手に分かれよう。一つはここで応戦、もう一つは桟橋へ向かう。それが確実だ」
「船は明日にならんと出えへんのちごたか?」
「そこは僕がなんとかするさ」
 そして、ワルドはウルフウッドたちを見回した。キュルケは興味なさげに髪をかきあげた。
「桟橋組は僕とルイズは決定だ。使い魔君、君はどうする?」
 そのワルドの言葉に不安そうにウルフウッドを見つめるギーシュ。ウルフウッドはギーシュをちらりと見ると、
「……このガキ共ほっとくわけにはいかんやろ。ワイはここに残る」
 目を閉じながら、そう静かに言い放った。
 その様子を見たルイズは不安そうな目で何かをウルフウッドに言おうとした。しかし、それをワルドが遮る。
「そうだな。その編成がもっとも戦力バランスが取れているだろう。ルイズは僕に任せておいてくれたまえ」
 ウルフウッドはふん、と鼻を鳴らすと
「そうと決まったらはよ行け。こんなところでちんたらしとるわけにはいかへんやろ」

455虚無と狼の牙:2008/07/28(月) 21:03:55 ID:wVHwgFuo
「行ったな」
「行っちゃったわね」
「さてと、これで何の気兼ねもなく大暴れできるな」
 ワルドとルイズが出て行った裏口を眺めがならそう呟くと、ウルフウッドは服に付いた埃を払いながら、ゆっくりと立ち上がった。
「おいこら、小僧。そろそろ酔いも醒めたやろ」
「え。あぁ、うん」
 ウルフウッドはまだ呆然としているギーシュの頬を軽くはたいた。口を開けたままウルフウッドを見上げるギーシュ。
「例のセンセから預かった荷物が俺らの部屋にある。お前はそれを取ってきてくれ。んで、大きいじょうちゃんとちっこいじょうちゃんには魔法で後方支援を頼むわ」
「で、ダーリンはどうするわけ?」
「囲まれたまま防戦しても埒が明かへんからな。ワイが突破口を開く」
 ウルフウッドは犬歯をむき出しにして笑った。
 そして、右手でパニッシャーのベルトの止め具を外した。小気味のよい金属音を立てて、ベルトの止め具が外れていく。パニッシャーを覆う白い布がひらりと落ちて、その姿が露になった。
ウルフウッドはパニッシャーを一瞥すると、ゴウンと風を切る音と共にパニッシャーを軽々と肩に担いだ。
「ほな、試し撃ちといこか」
 ウルフウッドは振り回すようにパニッシャーを右肩に載せ、銃口を先ほど矢の飛んできた入り口へと向けると、引き金を引いた。
 キュルケたちは何かが連続的にはじけるような大きな音を聞いた。そして、その直後――ウルフウッドが銃口を向けた先が弾け飛び、埃を舞い上げる。
一瞬にして、建物の形を変えてしまうほどの破壊力。その先からいくつもの悲鳴が聞こえた。
「ほな、行くで」
 ウルフウッドは硝煙の匂いのする空気の中立っていた。そして、パニッシャーを低く構えると入り口に向かって身を屈めたまま走り出す。
ハルケギニアの常識では理解不能な破壊力の前に、宿を取り囲んだ傭兵たちは混乱し一気にその統制を失っていた。
その混乱する集団の中へ、まるで牙のようにウルフウッドが食い込んでいく。
「ひ、ひい!」
「な、なんだ! 撃たれた? 何に? 銃?」
 悲鳴を上げる傭兵たちのど真ん中を切り裂いていくウルフウッド。突然の侵入者に傭兵たちは慌てて手に持った剣を目の前の黒服の男めがけて振り回そうとした。
しかし、ウルフウッドは右足を踏みしめて、その場に止まると、傭兵たちの動きよりもすばやく敵陣のど真ん中でパニッシャーを振り回す。
「ぐげぇ!」
 左手を地面に付け、パニッシャーを一回転振り回し、辺りをなぎ払った。鈍い音共にウルフウッドの回りにいた十人ばかりの身体が木の葉のように宙に舞う。
「は、離れろ。距離をとって囲め!」
 地面に叩きつけられた仲間の姿を前に、血の気をなくした表情の傭兵のリーダーらしき男が指示を出す。
慌てて宿を囲んでいた傭兵たちがウルフウッドのまわりに人垣を作った。しかし、ウルフウッドはかまうことなくゆっくりと体勢を持ち上げる。
「おおきに。撃ちやすうて、ええな」
 ウルフウッドはにやりと笑うと、パニッシャーを右脇に挟み、上半身を大きく逸らし回転しながら撃った。地面を叩き割るような銃声が辺りに響く。
そして、それに遅れて数多くの悲鳴が重なった。あっという間に腕や足を打ちぬかれる傭兵たち。
 数秒の後、痛みでうずくまる傭兵たちのど真ん中に悠然とウルフウッドは立っていた。
「し、信じられん。俺たちがたった一人にこんなにあっけなく……」
 倒れこんだままの傭兵の一人が呆然と呟く。ウルフウッドを囲んだ傭兵たちは何もすることが出来ず、みな腕や足を打たれてその場に死屍累々の様を呈していた。
「すまんな。お前らに恨みはないけど、お互い様いうことや」
 ウルフウッドはパニッシャーを地面に突き刺すように立てると、どうでもよさそうにそう一言だけ呟いた。
456虚無と狼の牙:2008/07/28(月) 21:05:28 ID:wVHwgFuo
「なんていう戦闘力なの? っていうか、あの大きいのって銃? っていうかウルフウッド強すぎ? あれだけの傭兵を一瞬で」
 目の前で起きたことが信じられないキュルケは、うわごとのようなセリフを繰り返していた。
 一応後方支援と言われたが、そんなことは全く必要となかった。
ほとんどの傭兵はウルフウッドに襲い掛かって返り討ちにされていたし、その状況に混乱した一部の傭兵がキュルケたちを人質にしようと襲い掛かってきたが、そんなものはもののかずではなかった。
 その様子を同じように無言で見つめていたタバサは、ウルフウッドが傭兵を一蹴するのを見届けると、もう終わりとばかりに再び読書に戻った。
「……タバサ、あんたあんなものを見て、よくそんな風に平然としていられるわねえ」
 あきれ返るようなキュルケの声をタバサは聞き流した。

 ウルフウッドは辺りに転がっている傭兵たちを一瞥して、彼らにもう戦闘力がないことを知ると、そのうちの一人に話しかけた。
「おい」
「な、なんだよ……化け物」
「お前らの雇い主は何もんや? これは誰の差し金や? なぜオレたちを狙うた?」
 冷たい表情でパニッシャーを突きつけるウルフウッド。相手の傭兵は額に大汗をかいている。
「わ、若い女だ。それと仮面の男。オレたちはあんたらを襲えと言われただけで、どういう目的かは知らない……」
 無言でウルフウッドはパニッシャーの銃口で傭兵の頭を小突いた。
「ほ、本当だって! 俺らはただ雇われていただけで、何も知らない!」
 これ以上は訊いても無駄やな、ウルフウッドがそう判断してパニッシャーの銃口を降ろした直後、視線の先の岩陰から飛び立つ一つの人影が見えた。
――まずい。あいつは桟橋に向かっている。
 ウルフウッドはすばやくパニッシャーを構えて、空を飛ぶ男に照準を合わせようとする。仮面をつけた男がちらりとウルフウッドの様子を見た。
おそらく、この男がさっき傭兵の言った仮面の男で間違いない。
 しかし、相手を捉えたウルフウッドが引き金を引こうとした刹那――仮面の男の姿がふっと闇に溶け込むようにして消え去った。
「なんやと!」
 人が消えた。予想外の出来事にウルフウッドは戸惑う。しかし、ウルフウッドには戸惑っている時間は与えられなかった。
 ウルフウッドは自分の身体に大きな影がかぶさってきたことに気が付いた。視線を男の消えた場所から右に逸らす。そこには巨大な土で出来た拳。それが今まさに彼を潰そうと降りかかってきていた。
「くっ」
 納得の行かないまま、ウルフウッドはすばやく身を後ろに退いた。目の前で土煙を上げながら、巨大な拳が地面にめり込む。
 目の前にあるのは見覚えのある光景。ウルフウッドはうっとおしそうに舌打ちをした。頭の中で、彼が出発する前にコルベールから聞いた言葉が蘇る。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 21:06:20 ID:+pFhxTBK
支援
458虚無と狼の牙:2008/07/28(月) 21:06:41 ID:wVHwgFuo
「お久しぶりね、使い魔君」
「おんどれはまた性懲りもなく……」
 ウルフウッドはゴーレムを見据えたまま吐き捨てるように呟く。
ウルフウッドのパニッシャーを警戒したのか、フーケはその姿を見せず声だけが響いていた。
「全く、役に立たない連中だねえ。足止めすら満足に出来ないじゃないのさ」
「お前らの目的はオレらの足止めか?」
「まぁね。本当は殺しても構わないと言われていたんだけどね。しかし、すごい火力だねえ、あんたの銃は。
傭兵なんかじゃ足止めすら出来るわけもないか」
 しかし、その言葉とは裏腹に楽観的にくくっとフーケは笑った。
「けど、それじゃああたしのゴーレムは壊せないよ。あんたがゴーレムを壊すよりも再生のほうが早いからね!」
 その言葉と共にゴーレムは右足を持ち上げて、ウルフウッドを踏み潰そうとしてくる。
 ウルフウッドはパニッシャーを担ぎ上げると、残った左足を払うように横なぎに砲火した。
土煙と共にゴーレムの軸足を引きちぎる。そのままゴーレムはバランスを崩して倒れたが――
「無駄だって言っているのに」
 というフーケの言葉と共に、地面に切れた左足をくっつけると、そこから引き抜くように新たな左足を再生した。
「なるほど。こら、このままやってもジリ貧やな」
 ゴーレムの再生能力に感心したように呟くウルフウッド。
「残念だったねぇ。ここには破壊の杖はない。じっくりといたぶらせてもらうよ」
 体勢を低くしながらウルフウッドは考える。
 おそらくランチャーを使えば、一発でこのゴーレムは仕留められるだろう。
しかし、補給のあてのあるライフル弾はともかく、ここでランチャーを消費するのは痛い。となれば、やはりあの方法を使うか――
「小僧、二階の窓からさっきオレの言うたヤツをゴーレムに向かって投げつけろ!」
 ウルフウッドは宿に向かって大声で叫んだ。
「……まだ、なんか悪あがきをするつもりかい?」
「さあな」
 不敵に笑うウルフウッド。その態度が気に入らなかったのかフーケはゴーレムにパンチを繰り出させた。
しかし、ウルフウッドは軽く横飛びしてそれをかわす。
「ちょこまか逃げ回ってんじゃないよ!」
「ほうか。なら、こっちからいかせてもらうわ」
 ウルフウッドは宿の二階を見上げた。窓から顔を覗かせているギーシュを見つける。
「小僧、そいつを元に戻してこいつの頭からぶっかけたれ!」
 ウルフウッドの言葉にギーシュは刻々と頷くと、大きな黒い塊をゴーレムに向かって投げつけた。そして、彼のバラの杖を振る。
「そんなものをぶつけて何をしよう――」
 フーケの言葉も終わらないうちに、その黒い塊は透明な液体になり、ゴーレムの全身を濡らした。あたりに独特の刺激臭が立ち込める。
 フーケがその正体に気が付いたときにはもう遅かった。
「コルベールセンセ特製や。よう燃えるで」
 ウルフウッドはパニッシャーを横に払うようにして弾丸を一発。そして、その一発で十分だった。ゴーレムはたちまち炎に包まれた。
459虚無と狼の牙:2008/07/28(月) 21:07:48 ID:wVHwgFuo
 ゴーレムが炎に包まれて朽ち果てるのを見たフーケはその場から逃げ出そうとした。
しかし、逃げようと振り返った彼女の目の前にあったのはパニッシャーの銃口。そして、それを構えたままフーケを見下ろすウルフウッド。
「……あたしの居場所もお見通しだったってわけかい? 本当に怖い男だねえ、あんたは」
「なぜ、オレらを襲った? オレらがおんどれを捕まえたことに対する逆恨みか?」
 フーケの言葉にウルフウッドは耳を貸さずに質問をした。
「……それもなかったとはいわないけどね。ただ、わかるだろ? なんの目的もなくあたしを脱獄させてくれる慈善業者がいると思うかい?」
「お前を脱獄させたのは――例のレコン・キスタやな?」
「ご名答。っていっても、あたしもそれくらいしか知らないんだけどね。悪いけれども、拷問されてもそれ以上の情報は吐けないよ」
 フーケはやけくそのように笑う。
「どうする? 魔法力の尽きたメイジなんて、あんたならどうにでもできるだろう? 殺すかい?」
 笑っていない目でフーケはウルフウッドをにらみつける。
「去ね。そして、二度とオレらの前に現れるな」
 ウルフウッドは冷たくそう言い放つと、パニッシャーの銃口を下ろした。
「……いいのかい? あたしはあんたたちを殺そうとしたんだよ」
「別にオレにはお前を殺さなあかん理由はない。お前をとっつかまえたんもただの成り行きや。それの逆恨みやったら、これでチャラにしてもらうで」
「……甘いね。あんた」
「じゃかあしい。そんな危ない橋ばっか渡っとったら、ワイが手えださんでもじきにお前もおっ死ぬわ」
 フーケはウルフウッドの言葉にため息を付くと、瞳から敵意を消失させた。
「じゃあ、今回はありがたく生きながらえさせてもらうわ。一応、あたしもこんなところで野垂れ死ぬわけにはいかなかったりするんでね」
「口上はええから、はよ行け。ボケ」
 フーケはウルフウッドの言葉を聞き流して、ウルフウッドから目を逸らすと、小さな声で喋り始めた。
「……アルビオンに行くなら一つ頼みがあるんだけど」
「なんやねん」
「出来れば、関係のない人間には手を出さないでもらえないかい? 向こうにいる人間のほとんどは今回のクーデターには何の関係もない一般市民さ。やるなら、そういう連中同士でやっとくれ」
「……外道は外道同士、仲良うお互いの血肉を喰らいおうたるわ」
 ウルフウッドの悪態にフーケは軽く右手を振ると、ゆっくりと歩き始めた。
 遠ざかっていくフーケの背中を見つめるウルフウッド。
「甘なってもうたもんやな、ワイも」
 そのままウルフウッドは空を見上げた。
「調子狂うわ。どっかのクソトンガリ頭のせいやで、全く」
 そして、ポツリとそう呟いた。
460虚無と狼の牙:2008/07/28(月) 21:08:51 ID:wVHwgFuo
以上です。支援ありがとうございます。
461名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 21:10:34 ID:ORVB3win
昨日の今日でお疲れ様です♪
ガンパレといいシャーリーといい良作が多くて嬉しい限りだい♪
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 21:35:59 ID:+ChPk6i3
なんというウルフ無双…盾にも武器にもなるパニッシャーが復活したおかげで
デルフの価値がジンバブエドル並みに落ち込んでるなw
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 21:37:41 ID:PPTldUZU
乙です。
このウルフウッドは再生用の薬ってまだ持ってるんだっけ?
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 21:39:29 ID:/cWRRGiA
死んだとこからスタートだから持ってないでそ
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 21:55:06 ID:oCs4VWh6
Persona0のルイズがイゴールに出会ってるということは、ルイズはワイルド持ち?
466名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 21:58:41 ID:QzO+5Ybf
>>465
そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
だが、冒頭で自らの声が出ずに名乗れなかった、という所があるから
たぶん違う。 part153-822基準であればフィレモン由来のペルソナ使いかもしれない。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 22:11:53 ID:oCs4VWh6
>>466
了解。それにしても、フィレモンとは懐かしい!3からはどうしてるんだろう・・・
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 22:13:53 ID:vMhEQNby
>>467
罰のEXダンジョンで主人公にフルボッコにされたからスネて引き篭もってます
469名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 22:17:56 ID:oCs4VWh6
>>468
あ、ありえるw
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 22:32:05 ID:JQfHSJkF
ランボー召喚
471名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 22:37:05 ID:x1LhB/EA
二次創作系SS総合ヲチスレ
http://pc11.2ch.net/test/read.cgi/net/1217249486/
472名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 22:38:47 ID:mLGyFHSd
>>470
ベトナム帰りの一人軍隊野郎ですね。
代表作は『地獄の季節』、『イリュミナシオン』など。

おや?ちょっと違うのがまざったか。
473名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 22:39:06 ID:RXFm6UZP
しかし折角隠したと思ってた手の内を見られてしまいましたな…ホント遍在は反則だ。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:01:24 ID:TAWxqI+e
>470
チュー太郎も一緒に召喚でしょうか
475名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:06:58 ID:Tg7+6cw4
フィレモンってパピヨンさんに似てますよね
476名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/28(月) 23:08:47 ID:6tvaGlZQ
何気にギーシュがアイマスの雪歩召喚というのが浮かんだのですが……案外いいコンビになるかもしれない
477名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:10:28 ID:vMhEQNby
そして雪歩の方がモンモンと仲良くなってしまいギーシュがないがしろにされるんですねわかります。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:12:37 ID:L3cFmsuZ
>>476
ネガティブ志向の雪歩を励ますポジティブ志向のギーシュ。確かにいいかもしれない。
やはりシャーリーみたいに勝手に動物が懐くのかな?戦士はちょっと想像しにくいし。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:14:43 ID:EFzLkUcW
「ゼロの人間革命」
とかタイトルだけでやばそうなのはダメですか?
本人ではなく丹波哲郎版でということで
480名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:15:46 ID:F2XoUIAZ
菊と鶴で話を面白く出来る自信があるならいいんじゃないか
481名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/28(月) 23:20:57 ID:6tvaGlZQ
>>478
頭脳とかはばかれるの可能性もあり
雪歩の場合懐かれるというか、追い回される姿のほうが想像しやすいかな?
482名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:22:09 ID:SzZkG8kL
ギーシュがゴン太くんを召喚
大して変わらんな
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:23:09 ID:vk2EWZf7
ノッポさんでは?
484名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:26:37 ID:h9saH71R
バージル
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:27:49 ID:lt1kNKwA
雪歩は大型犬がだめなんだっけ?
大型動物だらけの魔法学院て、現代人からしたら何気に怖いよな。

以前マレーシアの動物を放し飼いしている動物園で、
うっかりカンガルーの飼育場に入ってしまい、目の前で想像以上にでかい
カンガルーに虚ろな目で見下ろされた時は、リアルに小便ちびりそうだったw
486名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/28(月) 23:31:30 ID:6tvaGlZQ
ドラゴンだのサラマンダーはハルケギニアの人間でも怖いと思うけど
外伝できゅいきゅいに脅えまくる村民の話とかあったし
487名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:31:46 ID:GSKXBRNw
うっかり入れちゃうんだ、マレーシアの動物園では。飼育所。
こええ。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:34:05 ID:gAmc04wj
>>462
そこは第一次世界大戦後のドイツマルクで
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:35:46 ID:ht57JZdH
ルイズが武器屋のオヤジを召還する妄想をしたけどあっという間にストーリーが瓦解してしまった
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:36:41 ID:L3cFmsuZ
>>485
いや、チワワみたいな小型犬も駄目です。
小型犬に怯えていたところをプロデューサーに出会っていますから。
もっともあの和田アキ子も犬は大の苦手ですから、気にする事はない。

>>485-487
彼等にとっては人間こそが猛獣なのかもしれませんがね。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:41:54 ID:hRa5Y17m
雪歩と言ったら「わたしの飼い主は千早さんです」
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:45:20 ID:gAmc04wj
武器屋のオヤジ「この矛をご覧ください!この鋭い矛はどんな盾でもいとも簡単に貫いてしまいます!」
          「それからこの盾です!この盾の頑丈そうなこと!どんな矛でもたやすく防いでしまいます!」
ルイズ「その矛でその盾を突いたらどうなるのよ…」

こんなストーリーを思いついてしまったが確かにここで終わるな。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:46:19 ID:2S+hLBhn
>>489
「魔の旋律」かよ
コッパゲと心友になりそうだな、毛生え薬的な意味で。
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:52:50 ID:29GRo5jy
>>492
武器を買いに行った時に激しい値切りバトルをすれば・・・
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:57:28 ID:8YXDlg98
そろそろまた新しくアトリエシリーズで誰か書いてくれないもんかね。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/28(月) 23:57:55 ID:iRTIQaR5
なかよくあそぼからヤンチャーを召喚
みんな覚えてる?
497名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:03:41 ID:UfXTjzL5
萩原雪歩、宮崎のどか、美坂栞を召喚ですね分かります
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:17:54 ID:vLM9n4MB
雪歩誰か召喚しねーかなぁ
499名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:19:20 ID:4Oxoet3L
スタークラフトというRTSのハイドラリスク(コイツttp://mcgibs.iseenothing.com/images/gallery/finals/hydralisk.jpg
ごめんなんでもない。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:20:34 ID:rqnVp530
>>475
パピヨンがフィレモンに似てんだよ
501名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/29(火) 00:20:44 ID:Xgsg+d50
いや、もういっそ765プロ所属アイドル全員召喚
502名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:23:06 ID:G2s9kfxw
>>501
タルブにこれがある光景が浮かんだ
ttp://www.acecombat.jp/ace6/mp_cnt15.html#specialcolor52
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:28:38 ID:jNCRc3sh
栞よりも舞をガンダで召喚する方がいいなぁ。
剣技は一流で超能力(?)も使えるから戦闘力高いし。
504名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:30:05 ID:WHeKi2Ic
どうも、このスレッドへ…と言うよりは、2チャンネルへの書き込みそのものが始めての新参者です。
偶然ここを見つけてゼロ魔に今更ながらはまったり。
えと、とりあえず自分も作品を一つ作ったりしてみました。

作品:クロノアヒーローズ
キャラ:ジャンガ(+α)

始めてみたのがアニメ第一期だったので、それをストーリーの骨組みに、原作小説で細かく肉付けといった感じで作ってます。
それで、投下…してもいいでしょうか?
505名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:34:36 ID:Se/8fL9z
いいんじゃないか
506名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/29(火) 00:34:56 ID:Xgsg+d50
支援
507名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:35:34 ID:rpi6LGrX
誰とて最初は初心者なんだ、気楽に行こう。
それはそうと支援。
508名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:36:51 ID:XqWazOTs
> どうも、このスレッドへ…と言うよりは、2チャンネルへの書き込みそのものが始めての新参者です。

こういう言い訳はいらない。
書き込んでも大丈夫と自信が持てるまではやめておけ。
自信があるならドンと来い。
509毒の爪の使い魔  ◆tsGpSwX8mo :2008/07/29(火) 00:40:02 ID:WHeKi2Ic
ありがとうございます。では、第一次投下開始です。



――衝撃が右胸を貫いた。

一瞬の間を置き……喉元へ押し寄せた物を一気に吐き出す。
口から滴る”それ”を拭い”血”である事を認識する。…肺が破壊されたのだろう。
痛みと熱が宿る右胸を押さえ、目の前の相手――自分の右胸を撃ち抜いた少年を見た。
怒りとも後悔ともつかない感情を宿した瞳で自分を睨み付けながら、未だ硝煙を立ち上らせている大型のハンドライフルの銃口を向けている。
目だけを動かし、少年の後ろに蹲るもう一人の少年を見た。
顔は苦痛に歪み、腹を押さえているその両腕の間からは血が滴っている。目の前の少年を庇い、彼の一撃をまともに受けた結果だ。
視線を目の前の少年に戻す。向けられた銃口にブレは無く、引き金に掛けられた指には力が篭っている。いつでも彼を撃てるといった感じだ。
そもそも自分はこの状態では長くは持つまい…、持ったところでどうなる…?
――なら、いっその事……



「残…念だな…お前の…友達は…俺…様の毒で……あの世…行き……だぜ…。全部…お前の…親父……譲りの……甘さの…所為……だからな…。
キッ…キキキ……、後悔……しな…。俺を……見…逃した…事を……精々…後悔しな……。後…悔して……苦しみ…ぬきやがれ………クソガキィィィッ!!!」

その叫びとほぼ同時に彼は足を踏み外し――

「キィィーーーーーッキキキキキキィィィーーーーーッッ!!!」

――狂ったような笑い声を上げながら真っ暗な闇の中へと落ちていった。



瞬く間に裂け目から覗く星空が遠退いていき、凄まじい速度で落下している事が理解できる。
(ああ……これで終わりかぁ〜……)
(…このくだらねぇ世界とも……くだらねぇ人生とも……くだらねぇ奴等とも……お別れだなぁ…)
落下しつつあるにも拘らず、彼は至って冷静だった。――これで最後である事を悟っている為だ。
(楽に…死ねるかな…?)
自分の真下へと目を向けた。だが、そこに広がるのは闇のみ……底がどうなっているかは解らない。
(キキ……甘い期待だよな……)
そうして上へと視線を戻す。既に裂け目の出口は豆粒のようになっている。
「まぁ……どの道……地獄で…苦しみぬく…事になるんだ……。この世で…最後…の…苦しみぐらい……一瞬で…済んでくれ……よな…?」彼の問いに答える者はいない。
そうして、彼は目を閉じた。目を閉じる瞬間、光と同時に暖かさを感じたが…彼はそれが地獄の業火の物だろうと思った。



――実はこの時、彼の背後=真下にエメラルド色の鏡とも卵ともつかない不思議な物体が現れ、彼を飲み込んでいたのだが…そんな事を彼が知る由も無かった…
510毒の爪の使い魔  ◆tsGpSwX8mo :2008/07/29(火) 00:42:31 ID:WHeKi2Ic
(お願い…)
切なる願いを胸に秘め、桃色髪の少女は杖を振り上げた。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!」
その類を見ない呪文に周囲にいる生徒達が一同に唖然とした表情を浮かべる。
しかし、少女=ルイズは気にも留めない。
「神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ!」
呪文を唱えながら天高く掲げた杖を振る。そして…
「我が導きに、応えなさい!!!」
唱え終わると同時に杖を振り下ろした。
瞬間、これまで彼女が引き起こした物とは比べ物にならない……それこそ何かの記録にでも残せるかのような大爆発が巻き起こった。
――無論、そんな爆発が起きて周囲の者達が平気であるはずもなく……
「ゲホッ!ゲホッ!」
「やっぱりこうなったか…」
「まぁ、解りきっていた事だけど…」
「ゲホッ…まったく、ゼロのルイズが!」
…爆発にひっくり返り、煙に咳き込みつつ、ルイズへ文句、罵声、暴言を浴びせ始める。
彼女自身、いつもよりも巨大な爆発が起きた事は解ったが、それだけだと思いあからさまに落胆の表情を浮かべていた。…が、その表情は直ぐに引っ込んだ。
煙が晴れた後の地面に、明らかにその場に居た誰でもない者が仰向けに倒れていたのだ。
「こ、これって……」
猫の目を模したような銀色のボタンが付いた足首がようやく見えるほど丈が長く、手が見えないほど袖も長い濃い紫色のコート。
金色の十字のマークが刻まれたコートと同色の帽子。
首に巻かれた濃さの違う二色の紫の縞模様のマフラー。
身に着けている物はこの辺りでは特徴的だが、どうみても人間――平民である。
511毒の爪の使い魔  ◆tsGpSwX8mo :2008/07/29(火) 00:43:28 ID:WHeKi2Ic
「へ、平民?平民を呼んじゃったの…?」
平民を召喚した…、その事実に彼女は一旦引っ込めた――否、それ以上の落胆の表情を浮かべた。
そんな彼女に燃えるような赤い髪をした少女が近づいて来る。その表情は笑いを堪えるのに必死だといった感じだ。
「キュルケ…」
「大見得切っただけあるわねルイズ?まさか、平民を呼び出すなんて…クッ、ククッ…」
赤髪の少女=キュルケが堪えきれずに口から漏らした笑いに周囲が同調し、瞬く間に伝染する。クスクス笑いが辺りを支配していく。
「うう……」
悔しそうに下唇を噛み締めるルイズ。
「ふふふ…って、あら…タバサ?」
青髪を短く切り揃え、眼鏡を掛けた少女=タバサが地面に倒れている平民に近づきその顔を覗き込む。
「どうしたのよ?」
「…平民じゃない」
『え?』
尋ねたキュルケだけでなく、ルイズもその言葉に声を上げる。
そして、倒れている平民だと思っていた人物を見つめる。
確かに平民……いや、人間としては少々変だ。
両方の袖からは手が見えない代わりに左右三本ずつ、長く大きな真紅の爪が伸びている。個人的に伸ばしているとしても、とても人間の爪とは思えない。
そして何より、顔だ。帽子とマフラーに隠れて見え辛かったが――
「ね、猫!?」
――そう、その顔は人間の物ではなかった……、薄い紫色の毛に覆われたその顔は猫のそれだった。
どう見ても人間ではない……これは亜人だ!そう気づいた瞬間、ルイズは思わず飛び上がってしまうほど喜んだ。



「や、やったーーー♪亜人を呼べたんだ!!」
「ゼロのルイズが…初めて成功した?」
「……」
唖然とするキュルケと一切表情を変えずに眼鏡のずれを直すタバサ。
ルイズが召喚したのが亜人だと言う事が解るや、周囲の生徒達からも「あのゼロのルイズが亜人を?」「嘘だろう?」などといった話し声が聞こえ始めている。
それらの声が耳に入るだけで彼女は更に上機嫌になった。
その興奮が冷めないうちにと契約の段階へと移った。杖を操り呪文を唱える。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
杖を下ろし、亜人の傍に座るとマフラーを除け、顔がよく見えるようにする。
「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」
呪文を唱え終え、ルイズは亜人の唇にそっとキスをした。毛が顔に当たってくすぐったい。
唇を離すと亜人の体が淡く光り始める。暫く経つと光は収まった。
「コントラクト・サーヴァント、完了しました」
ルイズは監督のコルベールに儀式の無事終了を告げる。
「うむ。ではルーンの確認を……ん?」
言葉を止め、コルベールは倒れる亜人を真剣な目で見据える。
「どうしたんですか、ミスタ・コルベール?」
「この者の右胸に…」
「え?」
ルイズだけでなく、キュルケとタバサも亜人を見下ろす。
見れば右胸の部分に小さな穴が開いている。…いや、それだけではない。
コートの色や召喚成功の喜びなどで気付かなかったが、穴を中心としてコートの色が微妙に変わっている。…いや、湿っているのだ……それも水ではない。
それが何かは亜人の背から地面に広がり始めていた、爪の色と同じ真紅の液体が物語っていた……
512名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/29(火) 00:44:48 ID:Xgsg+d50
支援
513毒の爪の使い魔:2008/07/29(火) 00:47:06 ID:WHeKi2Ic
以上で一話の第一次投下終了です。
次はまた少ししたら投下します。

>自信があるならドンと来い。
そうですね…へんにビクビクしてたらいけませんよね?
どうかよろしくおねがいします。
514名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 00:59:21 ID:g3u6ytHB
何という焦らした引きか
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 01:07:34 ID:++3oXBRR
投下乙
毒の爪・・・バスタードの外道な呪いを思い出した
516名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/29(火) 01:09:24 ID:Xgsg+d50
乙であります
これが世に言う後引きがためというものか・・・
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 01:21:21 ID:rpi6LGrX
乙!
ジャンガはナムカプで結構てこずったなぁ・・・続き期待してます!
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 03:05:05 ID:UiDDB+6k
クロノアシリーズktkr
ジョーカーの出番マダー?
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 07:03:02 ID:tThQxWP6
ルイズがサイトでなくサイトのパソコンと契約していたら…と思ってたら既にあるんだな
何でもありだな理想郷
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 09:24:16 ID:G9xBt82L
>>519
なんでもアリ度でいうならこっちのスレのほうが上だと思うが
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 09:25:36 ID:tThQxWP6
理想郷を召喚してまうルイズとかどうか?
522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 09:27:42 ID:4Oxoet3L
さて、バージルお兄ちゃんによる公開処刑はまだですか?
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 09:33:31 ID:g3u6ytHB
だが待ってほしい
この世界のギーシュはバージルを凌駕する実力の持ち主かもしれないことを
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 09:50:12 ID:i+BrvOgd
だが待って欲しい
バージルとて血に飢えた狂人ではない。そんなことは望んでいないはずだ。
事の本質はギーシュ(メイジ)の実力とバージルの実力の比較ではない。それではアジア諸国の反発が予想される。
しかし、被召喚者だからといって暴力が容認されるべきだろうか?議論を呼ぶのは必至だ。
その前にすべき事があるのではないか。今こそ冷静な議論が求められる。
「初期ギーシュはやられ役でなんぼ」というのはあまりに乱暴だ。
使い魔の実力を示すための戦闘イベント、危険なにおいと忌まわしい音が響いてくる気がする。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 09:51:56 ID:X4cn1IhN
>>491
淫ベルさんを召喚して、着替えや風呂に入ってるところを●RECされるルイズが思い浮かんだ。
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:06:03 ID:U1cToSVY
XENOGLOSSIAの雪歩召喚して
雪歩&シエスタでユニット組んでアイドルデビューっすかwwww
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:14:22 ID:6w/pSoR6
誰か、始終学園モノでやってくんないかなぁ。
鳴海孝之とか伊藤誠召還して。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:17:36 ID:lHilZdSc
その二人かよ。
ここは王道的に浩之ちゃんでいいだろう。ハカロワの
529名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:18:31 ID:9onnWJze
学園ものなら、エンジェル伝説があるじゃないかww
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:19:03 ID:29B5KUsN
誠はすでに召喚されてるぞ
生首だけどな

しかも固定化されたうえにアンドバリで復活した
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:19:36 ID:tThQxWP6
ここは修学旅行の馬車が崖から落下して…
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:20:34 ID:FkaTQCks
前にグリンスヴァールがあったな……
533名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:24:04 ID:6w/pSoR6
>>528
初めて知ったわ。ちょっと読んでくる。

浩之ちゃんも良いよな。
てか、戦争やガンダは裏設定くらいにしといて、
ずっと学園でイチャイチャして欲しかったなぁ。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:38:37 ID:bLrytlSl
学園モノ?
「恵まれし子らの学園」の生徒たちを召喚するとか?
535名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:43:41 ID:iU7w2edO
男塾の塾生達召喚という立派な学園モノがあるではないか
536名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:50:18 ID:tThQxWP6
漂流教室召喚とかどうだろう?
あるいは魔法学院が砂漠と化した未来のハルケギニアに召喚されるとか
537名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:51:42 ID:g3u6ytHB
学園もの?
ええと、本編では決して真の実力を見ることはなかった超自然的存在な学生のムリョウを召喚してだな
善人だし使い魔も嫌な顔せずやってくれるんじゃないかな
538名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 10:54:13 ID:LAE/9fKd
>>526
そこはゆきぽじゃなくて伊織だろ
キャラかぶりまくりで超絶カオスになりそうだが

水瀬 伊織 THE iDOL M@STER
・CV:釘宮理恵
・お嬢様
・ツンデレ
・対外的にはネコかぶって上品に振る舞っているが、身内の前ではワガママな本性を露わにする
・兄二人に対して、強い対抗心があり、コンプレックスを抱いている
・極度の負けず嫌い
・見下した相手(下僕)への呼称は「あんた」
539名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 11:03:45 ID:bLrytlSl
>>482
むしろタバサがのっぽさん召喚
のっぽさんならエルフとの和平も七万の軍勢食い止めもタバサママンの心を癒すのも可能だ
だってのっぽさんと車寅次郎に不可能は無いんだから!

あ、寅さんには「自分が幸福になる」という不可能ワードがあったな
540名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 11:32:20 ID:3pjTNS5X
>523
ギーシュじゃなくてギースだったり、グラモンじゃなくて瑪羅門(バラモン)だったりするんですね。わかります
541名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 11:46:14 ID:xFJ9LARe
学園ものと言えば、学園黙示録の面々をだな……
女性陣にはルイズに敵視されそうな胸部装甲の持ち主と
アニメ化したら声かぶり確定のお嬢しかいないが。
542名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 11:46:23 ID:JBviTdZF
>>540
繋げるとギース・ド・バラモンか
なんか恐ろしいものが脳裏をよぎったが気のせいだなうん

何度やっても出ないから妥協して美しくて強いに絞ったら妖星のユダとか蜥蜴座のミスティとか呼んじゃうルイズとかどうだろう
543名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 11:50:03 ID:o+ElOGcu
>>541
幼女を忘れるな。あと犬。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 11:52:50 ID:O3gbo29b
>>540
前者だと父親が性質の悪い女に言い寄られた結果家族崩壊で悪の道に走ってトリスティンを支配するけど
ルイズに召喚されたマーシャルアーツ使いの才人に塔のてっぺんから落とされるんですね
545名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 11:53:03 ID:bLrytlSl
>>541
そーいや女性は幼女除けばドイツもコイツも
ルイズの前世からの宿敵っぽい胸の持ち主しかいないんだな。
(たぶん)食われ役の婦警さんも含めて
546名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 12:22:20 ID:/QHbwMiP
101匹わんこ融合生体兵器召喚という電波を送信したやつ 名乗り出なさい
547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 12:26:13 ID:SByDXOnT
とりあえずここに高見沢みちる召喚しときますね。
548名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 12:32:16 ID:bLrytlSl
>>547
どこからともなく灰皿召喚して相手にたたき付けるんですね、わかります



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いまどき誰が「時をかける学園」(狙われた少女)
なんて知ってるんだ

とりあえず知ってる奴は手を上げて、放課後に職員室まで来なさい
549名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 12:48:10 ID:3zq9+e9q
>>548
うぐわ〜っ あたまがわれるよーにいたいっ
550もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 12:58:02 ID:6lreY1Bv
十分後に投下します。
551名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 12:58:41 ID:MB6Gj5IO
ktkr
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 12:59:04 ID:lHilZdSc
スーパー支援タイム
553名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:01:47 ID:9onnWJze
カマンッッ!!支援!!
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:09:10 ID:n3GbDwMy
しえん
555もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 13:10:27 ID:6lreY1Bv
.
「例のワルドの報告、――お主は耳にしたか?」
 薄暗い部屋の中、マザリーニは、眼前の椅子に座る男に尋ねた。
「ウェールズ殿下が一度戦死され、“虚無”の秘儀で蘇生された――という、例の報告ですか?」
「そうじゃ。貴公はいかが思う?」
 
 銀髪が美しい初老の男は、しばし目を俯けて心中の言葉を探っているようであったが、やがて硬い視線をマザリーニに向けた。
「分かりませぬ。ワルドは……少なくとも私が知る限り、左様な虚言を軽々しく流す者ではありませんからな」
「余人ならばいざ知らず、情報源が彼奴である以上、信じる価値はある、と?」
 確認するようなマザリーニの言葉に、男は重厚に頷き、枢機卿はさらに重い溜め息をついた。

 男の名はリッシュモン。
 トリステイン王国の高等法院長。
 この国の司法長官と検事総長と最高裁判所判事を兼ねる。
 そしてトリステインに於ける、『レコン・キスタ』最高幹部の一人。
 その彼がいま、枢機卿の私室で“組織”の情報を暴露している事実を知る者は、誰もいない。

 白髪。小皺。張りの無い肌。――だが、外貌とは裏腹に、マザリーニは老け込んではいない。
 彼は年齢から言えば、まだ四十代に過ぎず、頭脳も筋骨もまだまだ働き盛りだ。それを証明するように、その男の眼光は炯炯とした光を放っており、決して『鳥の骨』などと揶揄されるような老骨には見えない。
 実際、マザリーニが永年にわたり、トリステインの内政と外交に辣腕を振るってきたのは事実なのだ。彼がいなければ、先代ヘンリー王の崩御以降、迷走を続けるこの国の政治はどうなっていたか分からない。

 行政権をもつ王政府と、司法権をもつ高等法院。その二つの機関の長が昵懇であるなど、想像する者さえこの国にはいまい。事実、王政府と高等法院は様々な政策において、陰日向に対立を繰り返してきた。それこそが国家の健全な姿であるという意見もあるくらいだ。
 だがリッシュモンは、その痩身痩躯で国一つを支え続けるマザリーニに、立場を越える敬意を覚えざるを得なかった。
 そしてマザリーニも同じく、リッシュモンの硬骨の人格と、司法の頂点に立つ者としての高潔さを評価していた。――つまり、彼らは政敵であると同時に友人であった。互いに談笑する事も、酒を酌み交わす事も無かったが、二人は互いを深く理解しあっていた。

 その信頼があればこそ、リッシュモンは辞表と同時にマザリーニに告げたのだ。
『レコン・キスタ』に誘われたと。たとえ彼らに加盟せずとも、彼らから誘致された事実だけで、職を辞するには充分な理由だと。高等法院長という重職は、国家の誰よりも――国王よりも高潔であらねばならぬ。ならばいまの私に、国法を司る資格は、もはや無いと。
 そして、そんな彼の辞表を破り捨てながら、マザリーニも言った。
 辞職は認めぬ。さらに『レコン・キスタ』の誘致も受諾して欲しいと。

「…………」
「…………」

 互いに、しばし言葉はなかった。
 だが、リッシュモンは、やがてぽつりと、
「分かりました、猊下」
 と言い、それを受けたマザリーニも、愛想笑い一つ作るでもなく、
「礼を言う」
 と言葉を返した。


 それから数ヶ月。持ち前の官位と官職、何よりその人柄から、リッシュモンが『レコン・キスタ』トリステイン支部長ともいうべき座に就くのに、時間はさほど必要ではなかった。
 クロムウェルの人格・能力から、『レコン・キスタ』の現有戦力や組織内部の勢力関係。そして何より、魔法衛士隊グリフォン隊隊長を始め、国家の重臣でありながら祖国を裏切った、王宮内の貴族たちのリスト。
556もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 13:12:21 ID:6lreY1Bv
.
 マザリーニは、リッシュモンからもたらされる、それら数々の貴重な情報を耳にしながら、彼ら裏切り者たちへの態度を一分も改めず、情報の機密レベルを上げることもなく、またマリアンヌやアンリエッタにも報告しなかった。
 来たるべき一斉検挙の日まで、彼奴らを絶対に警戒させてはならないからだ。
 なにより、面が割れてしまった間諜など、こっちからすれば、逆に利用できるだけの便利な存在に過ぎない。王宮内の内通者などというデリケートな話題で、王族たちの神経を苛立たせる気は、マザリーニにはなかった。
 それはリッシュモンも理解している。
 高等法院長として、長らく法を管理してきた彼からすれば、言葉は悪いが、やはり王家の女性たちなど、前王の遺児と未亡人であるに過ぎなかったからだ。だからといって打倒して政権を奪おうとまでは飛躍する気は無いが。

 もっとも、そのせいで、王女の隠密行動に、間諜の一人であるグリフォン隊隊長が護衛として加わるという、滑稽な事件が起こったりもしたのだが。
 ワルドが内通者と知りつつ泳がせていたのはマザリーニの独断だ。だから、アルビオンでの王党派の敗北にワルドが1リーブルでも関与しているならば、この件で、宰相としての彼の政治家人生は終わりだ。
 だが、だからといって、官職の椅子に見苦しくしがみつく気はないし、王女の突拍子もない行動を追及する気はない。誰かが泥を被れば済むのなら、自分が被るまでだ。その程度の覚悟が無くして、どうして一国の政(まつりごと)を担えよう。――マザリーニはそう思う。
 だが、今はまだだ。まだ政治の表舞台から追放されるわけには行かぬ。この難局を切り抜けるには、どう考えても自分の力が要る。状況がマザリーニの考える通りの事態であったならば、世界が迷走を始めるのは、これからのはずだからだ。


「……リッシュモン、おぬしらの中に、クロムウェルの“虚無”をその目で確認した者はおるのか?」
「いいえ、おりません。おそらくは此度アルビオンへ渡ったワルド以外には」
「真実と思うか、その“虚無”は?」
「分かりません。……しかし、見た者にそうと信じ込ませるシロモノではあるのでしょう。さもなければ、いかにアルビオンの貴族どもが酔狂であったとしても、一介の僧ごときを担ごうなどとはしますまい」
「……」
「ですが猊下、この件の問題はそこではありませんぞ」
「わかっておる」
 マザリーニは、青い顔をさらに蒼白にして、頷いた。

 いま、戦々恐々としてアルビオンの成り行きを見つめている周辺諸国にとって、最も恐るべき事態とは、強力なリーダーを中心として、アルビオンの貴族が一本化し、事実上の挙国一致体制をとる事なのだ。
 議会という意見調整の場は、言い方を変えれば公的な政争の場であるとも言える。
 ならば何人かの議員(=貴族)を抱き込んで、議会を紛糾させれば、議会制共和主義を標榜する『レコン・キスタ』は彼らを無視する事は出来ない。彼らの国家体制は、いまだ三権分立を確立させるところまで進歩してはいないからだ。
 つまり、いまのアルビオン新政府では、議会が揉めるほどに国家としての行政行動に支障をきたすはずだ。そう思ったマザリーニは、すでに何人かのアルビオン貴族に莫大な謝礼を支払い、手筈を整えさせていた。
――しかし、そんな小細工が通用するのもクロムウェルが首領であればこそだ。指導者としてのウェールズのカリスマは、クロムウェルごときの比ではない。アルビオンは瞬く間に団結し、一糸乱れぬ安定した体制を整備してしまうだろう。

……だが、それには大きな疑問点が一つある。
 ウェールズがカリスマを持ち得る場合は、彼が本物で、なおかつ正気である場合に限られるのだ。

「リッシュモン、アルビオンへ行け。そなたを遣わす用向きは、こちらで何とでも考える」
「見極めろ、と?」
「ワルドが嘘をついているか否かはワシにも分からん。じゃが、万一のことがある。万一に備えて、その“ウェールズ”を見極めるのじゃ。そやつがただの影武者か、それとも皇太子殿下本人であるのかをな」
「……」
「クロムウェルの“虚無”ごときはどうでもよい。どうせマジックアイテムか手品の類いであろう。じゃが、もしウェールズ殿下が、本心から『レコン・キスタ』に参加しているのであれば、……ワシごときにはもはや、何が起こっておるのか見当も付かぬ……」
 マザリーニは搾り出すように言った。
557もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 13:15:45 ID:6lreY1Bv
.
 そうなのだ。
 ウェールズが自らの生存と正気を、クロムウェルの“虚無”の噂を逆利用して、意図的にうやむやにしている可能性を考えるならば、ここで問題になってくるのは、ウェールズの真意である。
 彼からすれば『レコン・キスタ』は、自らが継ぐべき国を奪い取った簒奪者である。つまりは“敵”だ。それ以上でもそれ以下でもあろうはずがない。だから皇太子が正気でクロムウェルの帷幕に参じる事など在り得るはずがない。
 ならば、そのウェールズは影武者か、もしくは洗脳された人形でなければならない。
――だが、もしウェールズが影武者ないし人形ならば、“虚無”で復活したなどという噂が流れるだろうか? 王家最後の皇太子が革命の大義を自ら認めた事実を、より前面に出して喧伝した方が、『レコン・キスタ』内部の士気は更に上がるはずだ。

 つまり、“虚無”はともかく、客観的に見れば、復活の噂そのものに何らかの意図があると疑わざるを得ない。いやウェールズならば、諸国がその疑惑を持つことさえ、当然計算に入れているだろう。
 ウェールズの真意はともかく、彼が正気でクロムウェルの側近となっているならば、戦争を回避できる確立が、客観的に見て飛躍的に高くなる。何を考えているのか分からないクロムウェルより、どう見てもウェールズの方が、常識が通じそうだからだ。
 それはトリステインとて例外ではない。王宮最大の主戦論者であるアンリエッタも、ウェールズの生存を知ってなおアルビオンに攻め込もうと主張し続けるとは、到底マザリーニにも思えないのだから。
 そして、その和平への可能性こそが、『レコン・キスタ』に対するアルビオン包囲網の、戦意と足並みを最大限に乱すことになるだろう。
――結果、アルビオンは数年分の時間的余裕を得ることに成功するはずだ。

 しかし、マザリーニには分からない。
 継ぐべきはずの王権を叩き潰された男が、あえて仇敵の軍陣に身を投じ、一体何を為そうとしているのか。自らの国を滅ぼした『レコン・キスタ』を利用し、さらに何を狙っているのか。

「まあ、ワシの杞憂であってくれれば、それで済むのじゃがな」
 自らを慰めるように彼は自嘲する。あくまで可能性の問題、確認が取れるまでは空論に過ぎぬと自身を叱り付ける。だが……絶望的な予感は一向にやまない。
 それと歩調を合わせるようにリッシュモンも沈鬱な口を開く。
「なれど猊下、――最悪の事態の可能性も、やはり考えておかねばなりませんぞ」

 最悪の事態とは言うまでも無い。
 ウェールズが『レコン・キスタ』とクロムウェルを隠れ蓑に、ハルケギニア統一という途方も無い野望を抱いてしまっている場合である。
 アルビオン国王としてではなく、あくまでクロムウェルの影としての天下布武ならば、“始祖の末裔”たるテューダー家の名誉は「侵略者」の誹謗を受けずに済む。
 いや、それどころか『レコン・キスタ』の掲げる王権否定や聖地回復のスローガンほど、他国への侵略や統治にうってつけの大義は無い。
 もしかすると今回の内乱自体、テューダー王朝という軛(くびき)から自らを解放するための、ウェールズの大いなる狂言だったのかも知れない……。

 加速し続ける黒い予感に、……枢機卿は笑った。
「リッシュモン、……お互い、長生きはしたくないのう」
 この歳になっても苦労は終わらぬ。疲れた笑顔でそう訴える枢機卿を見て、リッシュモンも静かに微笑んだ。
「それでも、最善を尽くす以外にはありますまい。我らは、それ以外のやり方を知りませぬからな」


((((((((((((((((((

「いいかげんに起きなさいっ、このばか犬っっ!!」

(やべぇっ!!)
 平賀才人は跳ね起きた。
 起こす側である自分が、起こされる側の少女に叩き起こされる。
 つまりは寝坊。すなわち遅刻。怒るのはルイズ。怒られるのは自分。
 そうなると末路は明白だ。股間に蹴りが飛んでくるか、背中に鞭が飛んでくるか、もしくはワラ布団ごと爆破されるか……。
 そこまでの思考が脳裡をよぎった時、ふと、周囲を見回す。

「あれ……?」
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:17:18 ID:O3gbo29b
ジジイたちに支援
559もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 13:18:48 ID:6lreY1Bv
.
 狭く、暗く、汚い空間。
 彼が横になっているベッド以外に、室内には所狭しと物が置かれ、雑然と積まれた樽が窓の一つを塞いでいる。小鳥の鳴き声と空気の湿度から早朝だという事は分かるが、窓から光が入って来ないため、一瞬夜かと思ってしまう。
 何より、この部屋に沁み付いた、溺れてしまいそうな程に強烈なワイン臭。何でも、ワイン蔵に入りきらない酒樽を、一時期この空間に保管するのだそうだ。
 ハルケギニアに召喚されて以来、床での雑魚寝や野宿さえ経験した才人であったが、そんな彼でもこの酒臭さには、いささかならず閉口したものだった。
 まあ、疲労しきった彼の肉体は、そんな状況でさえ、平然と眠りを強制する若さを持っていたが。
(何事も慣れだって「寄生獣」の後藤も言ってたけど、……素直に適応できちまう俺ってのも、我ながら微妙なんだよな)

 ここはトリステイン魔法学院ではない。
 タルブとかいう農村の倉庫小屋だったはずだ。
――まあ、はっきり言って客人を泊めるような部屋では全然ないのだが、こちとら、村の好意に甘えて厄介になっている立場なのだ。部屋がクサイなどと贅沢を言えるわけが無い。
(もう日本の風景は、夢にさえ出てこねえか)
 そう思うと、仕方がないと分かってはいても、若干の寂しさが募る。
 いや、寂しいのは、自分だけではないはずだ。
「ルイズのやつ……自分一人でちゃんと起きてるかな……?」
 思わず呟いてから、失笑する。

 才人はベッドから立ち上がった。
 まだ身体に痛みが走るが、それでも動けないほどではない。これなら今日か明日中には魔法学院まで帰れそうだ。無論、歩いて帰れと言われれば不可能に近いだろうが、ドラゴンの背に乗るくらいなら支障はないだろう。
「あれ……?」
 そこまで考えて、ふと彼は周囲を見回す。
 何か静かだと思ったら、いつもきゅいきゅい騒がしいアイツがいない。
 壁に立てかけてあるデルフリンガーを取ると、鞘から数センチほど抜刀する。

「ふわぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜、おはよう相棒」
「おはようデルフ。ちょいと訊きたいことがあるんだけどよ」
「あの韻竜の娘っ子なら、明け方に出て行っちまったぜ。一度学校に帰ってネエチャンに会うとか言って」
「学校? 魔法学院の事か?」
「ああ、確かそんな名前だったけ」
「なら姉ちゃんってのは? 家族の話題出したら泣きそうになるような奴だぜ?」
「知らね。オネエサマって言ってたから、てっきり家族の事かと思ったけど、考えてみれば、そりゃおかしいよな」
「お姉さま……そうか……そう言ってたのか」

 シルフィードに実の姉がいるのかどうかは知らないが、彼女が日頃「おねえさま」と呼ぶのはタバサ以外にいない。タバサが魔法学院に帰っているという事は、キュルケやギーシュも無事であると考えて間違いないだろう。
 ならばルイズは……?

 そこまで考えて、その思考は中断された。
 不意に耳に届いたノック音。
「あ、――どうぞ」
「失礼します」
 そう言って、パンとスープを載せた盆を持って入室して来たのは、確かどこかで見覚えがある――、

「あれ? あなた確か……ミス・ヴァリエールの使い魔さんの……?」
560もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 13:20:18 ID:6lreY1Bv
.
 草色の木綿のシャツに茶色のスカート。地味だけど、可憐さが匂い立つような格好は、少女が普段身に纏うメイド服とは、また違う趣きがあった。
 そう、おれはこの娘を知っている。
 たしか掃除や洗濯の仕方とか、蒸し風呂の使い方とか、井戸の汲み方とか教えてくれたメイドさん。そういや厨房でメシの厄介にもなったっけ。
「しえすた、だったっけ?」
「いかにも、そのシエスタですけど、……でも使い魔さんが何故うちの倉庫に?」


$$$$$$$$$$

「伯父上が騒いでいる、と?」
 アンリエッタはそう聞いて、思わずアニエスを振り返った。
 この侍女が、ひとたび剣を抜けば、一呼吸で数人を斬り伏せる手練の刀術者である事実は、まだ知る者は少ない。が、その剣客の侍女を相手にアンリエッタは、逆に切り込むような眼差しを返す。
「どういう事です?」
 その問いに、アニエスは困惑したように答える。
「どうやらニューカッスルから持ち出した『風』のルビーと“始祖のオルゴール”が、いつの間にか紛失しているという事らしいのですが……」
「……」
 アンリエッタは瞑目して答えなかった。
 いや、その態度自体が、口篭もった先を言えと命じているのをアニエスは感じた。

「どうやらジェームズ陛下は……アルビオンからの脱出行で、ラ・ヴァリエール嬢が自分から盗んだと主張されておられるようでして……」

 握り締めた拳が、みしりと音を立てる。
 薔薇の花びらのような唇は、真一文字に結ばれ、憤怒で顔色は蒼白になっている。
 純白のドレスに包まれた小さな肩は、瘧(おこり)にかかったように細かく震え、それでいて見開かれた大きな眼には、一分の揺らぎもない。
……アニエスは、少なくともここまで怒りをあらわにした王女を見たことがなかった。

 王家の娘としての嗜みで、全力の努力で舌打ちをガマンする。
 すでにアンリエッタは、ジェームズと同じ脱出艇にルイズと同乗した女官たちから、話を聞いている。ルイズは、ただ狼狽するだけだった彼らを指揮し、フネを無事にラ・ロシェールまで辿り着かせようとしたのだという。
 そんな彼女を……よくもまあ、ぬけぬけと……ッッッ!!

 怒りをこらえ、アンリエッタは卓上の鈴を手にとると、玲瓏な音色を三回響かせた。
 アニエスとは違う、別の侍女が入室し、微笑む。
「殿下、何か御用ですか?」
「ええ、少し待って。――アニエス、紙とペンを」
「はい」
 小盆に乗せられたガチョウの羽のペンと羊皮紙、そしてインク壺。
 アンリエッタは羽ペンにインクを浸すと、見事な筆跡でさらさらと長文を書き記し、最後に花押を押し、その侍女に預けた。
「ジェームズ陛下に、それを渡してください」
「はい」
 深深と頭を下げ、退室していった侍女の背中を見ながら、アニエスは尋ねた。その書付には何をお書きになったのですか、と。
 アンリエッタは寂しげに微笑むと、花びらのような唇を開いた。

「始祖の秘宝とルビーを紛失なされたことは大変遺憾に思います。されど、陛下がお疑いのルイズ・フランソワーズは、わたくしの大事な友人であり、国内有数の大諸侯の末娘であります。これ以上彼女を辱める事は、祖国を失った陛下のお為にならないかと存知ます」

 アニエスは呆然とした。
 これでは脅迫ではないか。
 そんな自分の行為のはしたなさを、アンリエッタも充分理解しているのだろう。恥らうようにアニエスから背を向けた。だが、その背中は今の手紙を後悔しているようには、全く見えなかった。
(お変わりになられた)
 アニエスは思わざるを得ない。
561もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 13:23:06 ID:6lreY1Bv
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 だが、当のアンリエッタは、自分が以前に比べて変わったなどとは、さらさら思ってはいない。
 あるのは今回の一件に対する悲嘆と絶望。それと『レコン・キスタ』への、言いようのない怒り。
 それ以外には、アンリエッタの胸中には何もない。
 今後のトリステインの内政外交問題についても、宰相マザリーニと太后マリアンヌの関係についても、一ヵ月後には結婚するゲルマニア皇帝の人となりについても、彼女の心は全く関心を覚えない。どうでもいいとしか思えない。
――いや、例外はある。
 ウェールズのいない灰色の世界で、いま生きている他者に対して、アンリエッタが積極的に抱く感情と言えば、唯一、ルイズに対する謝罪の意思くらいだ。

 もとをただせば、アンリエッタ個人には、アルビオンにルイズを送り込もうなどという意図は、全くなかったと言っていい。
 彼女が魔法学院の寮に現れたのは、ただひたすらに、数年ぶりに会う旧友に、今回の結婚の愚痴を聞いて欲しかっただけなのだ。ウェールズとの手紙が話題に出たのも、高貴な出自の者独特の癖で、ただ不幸に酔って見たかっただけなのだ。
 王女たる自分が、本気で手紙を回収しようと思ったなら、もっといくらでも他に方法があるはずなのだから。

 まさか、ルイズが――手紙を取りに戦場に行くと言い出すなど、いくら何でも誰が予想しようか?

 ルイズの言葉は嬉しかったし、学生の身分で、怪盗『土くれ』のフーケを逮捕した彼女の言葉は、確かに信じる価値はあった。あると思った。だからその時、自分の護衛に就いていたワルド子爵を、特別にルイズの護衛に任じ、やらせてみようと希望を持ったのだが……。
(王女ともあろうものが、なんという愚劣な……ッッッッ!!)
 こんな危険極まりない任務に、唯一と言ってもいい私的な友人を巻き込み、戦場に追いやってしまうなど、冷静になってみれば、まさしく正気とも思えない選択肢だ。下手をすれば自分は、想い人のみならず、友人さえも失っていたかも知れないのだ。

 だが、あの場に於いて最良の選択だと思ってしまったのも事実なのだ。
 子供の恋文一枚ごときが、政略結婚の障害になると真面目に考えるほど、アンリエッタはバカではない。だから最悪、昔の手紙は放っておいていい。
 だが、アンリエッタの真意は手紙の回収などではなく、ウェールズへの亡命の呼びかけにあった。である以上、どうしても宰相の息がかかった者に今回の任務を依頼する事は出来なかったのだ。
 何故なら、『レコン・キスタ』との絶好の開戦の口実になるウェールズを、トリステインに亡命させる事など、あの枢機卿が了承するはずがないからだ。
 アンリエッタは知っている。
 あの地味で、小柄で、痩せぎすの、官吏の典型のような風貌を持つ枢機卿が、その気になればどれほどの影響力を宮廷に発揮するかという事を。
 だから、アンリエッタはどうしても王宮のメイジに、今回の任務を依頼出来なかったのだ。そして、そんな時にかつての旧友と再会する機に恵まれ、その婚約者たるスクウェア・メイジも、あつらえたように自分の護衛として魔法学院に同行している……。

 だが、いかに切羽詰っていたとはいえ、自分が取った選択は、許される事ではない。

「ルイズ・フランソワーズはどうしています?」
 そう訊かれて、アニエスは済まなさそうに俯いた。
「いまだ意識は戻っていないとの事ですが、さきほどヴァリエール公爵と長女のエレオノール様が、病棟に御到着になったようです」
 アンリエッタは軽く頷く。
 無論、二人ともに面識はある。ヴァリエール家の娘たちは昔、アンリエッタの『遊び相手』として選ばれ、よく公爵家の私領まで遊びに出かけたものだった。
 そういえば、ヴァリエール公爵は宮廷貴族たちの重鎮だし、エレオノールはアカデミーの主任研究員として、両者ともにトリスタニアに私邸を構えていたはずだ。
「ルイズの病室へ向かいます」

 そう、ルイズはいま、この王宮の特別病棟で、その昏睡状態の肉体を横たえている。
562もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 13:24:13 ID:6lreY1Bv
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「へぇ〜〜、すっごいっすねサイトさんって。俺だったら絶対そんな生活耐えられないですよ」
 シエスタのすぐ下の弟であるジュリアンが、感心したように言う。
 いや、ジュリアンだけでなく、シエスタ一家の皆さんは、いつの間にか才人の語る「使い魔生活日記」に耳を傾けていた。
「ま、慣れだよ慣れ。やってみれば何とかなるもんさ」
 開き直ったように言う才人を、デルフリンガーがまぜっかえす。
「でも、どっちかと言えば、馴らされているのは相棒、オマエの方じゃね?」
「おれは動物か!?」
 そんなやりとりに、シエスタ一家が苦笑する。

 この一家団欒の雰囲気は、才人に否が応でも家族と故郷への懐かしさを強制するものであったが、それを懸命に押し殺し、場の盛り上げ役に徹する。しばらくぶりに一家が揃った楽しい夕食を、愁嘆場にしてはならない。その程度の常識は彼にもあったからだ。
 だが、結果から言えば、才人がそう努力する必要もなかった。シエスタが必要以上に場を盛り上げ、彼を話題の中心に持っていくように流れを仕切ってくれたからだ。

 シエスタは、何故か非常に熱っぽく、自らの家族に才人のことを紹介した。
 その口調が半ば誇らしげでさえあったため、才人がシエスタに戸惑う以上に、彼女の父が機嫌を悪くするという一幕もあったが、それでも長女から語られる少年の話を聞き、才人を見る目が、非常にあからさまに変わったりもした。
 そこにきて、ようやく才人にもシエスタの意図が読めた。シルフィードが不意に姿を消した話を聞き、父の眼に、才人に対する僅かばかりの警戒が芽生えている事を知ったシエスタは、彼女なりにそれを解くつもりなのだろう。
 何といっても子供の苦労話ほど、中年の心を直撃するものはないからだ。
 だが、その話に登場する才人のキャラクターの美化っぷりには、当人としては、やや閉口する以外なかったが。

 曰く、サモン・サーヴァントで、某貴族に突然召喚された「平民」の少年。
 曰く、元帥の末っ子と決闘して、「平民」ながら敗北を認めさせた男。
 曰く、『土くれ』のフーケによる破壊の杖盗難事件の関係者で、杖を無事取り戻したメイジの一行に加わっていた、唯一の「平民」。
 曰く、その時負った火傷をおして出場した使い魔品評会で、“剣との漫才”という前代未聞のジャンルを開拓し、アンリエッタ姫の多大な支持を獲得してグランプリに選ばれた使い魔。
 
「実はスゴイんですよサイトさんの人気って。厨房のマルトー親方なんかも『我らの剣』って呼んでるくらいですし」
「マルトーって……あの貴族嫌いで有名なシェフのおっさん? うそだぁ〜〜〜」
「ホントですよう。お疑いになるんなら一度厨房に遊びに来てくださいよ。直接ご紹介しますよ?」
「どうせ紹介してもらうなら、そんなおっさんよりも、可愛いメイドの子なんかの方がいいな」
「でも残念ながら、サイトさんの人気は、妙に男性方面限定なんですよね。何でだろ?」
「やっぱ、モテなさそうだからじゃね?」
 デルフリンガーのツッコミと、露骨にショックを受ける才人の表情に、一家は爆笑の声をあげる。
 だが――、

「そういやシエスタ、お前、何で今頃帰ってきたんだ?」

 話が一段落したところで、シエスタの父が、娘に尋ねた。
――そう。それは才人も訊きたい事だった。確か彼の知る限り、魔法学院の学休期間はまだ先のはずだったからだ。こんな時期に休みを取れるほど、学院の平民たちは暇そうではなかったと思うが……。
 だが、その解答は一目瞭然だった。
 父にそう訊かれるや否や、そばかすが可愛い彼女は、それまでの笑顔を消し去り、無言で俯き、小さく肩を震わせている。

「実はわたし、……学院を辞めるんです……お父さん」

 一同は凍りついた。
(クビになったてことか?)
 が、才人は単純に解せなかった。彼が知る限り、シエスタは学院のメイドたちの中でもかなり有能な方だったはずだ。陽気で、要領も良く、おいそれと解雇されるヘマはしないはずだと思うが……。
563名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:25:07 ID:Yor1BXKE
よかろう、ならば支援だ。
564もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 13:25:22 ID:6lreY1Bv
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「貴族の方々に粗相でも働いたの?」
 母親が、心配そうに娘に尋ねる。
 そういえば、その可能性があったことを、才人は思い出していた。
 彼は知っている。学院の貴族の子弟たちは、そりゃもういけ好かない、ぼんぼん連中ばかりである事を。まあキュルケやタバサは、付き合ってみればそれなりに面白い奴らだったし、あのギーシュも、一度喧嘩して、逆に垣根がなくなったように感じたが。
 それでも、人となりをよく知らない大多数の貴族たちに関しては、才人からすれば、やはり好印象の人物は絶無に等しい。
(基本的にストレスを平民にぶつけて、こいつムカつくからクビにしろくらいの理不尽は、平気で言う連中ばかりだったしなぁ)

「でも、姉ちゃん、……そうなると仕送りとかは……?」
 ジュリアンが、おそるおそる尋ねる。
 確かに、長女シエスタを頭に八人姉弟という、貧乏人の子沢山を地でいくような、この一家において、今後の彼女の給料が期待できなくなるということは、少なからざる経済的損失であるはずだ。
 だが、その問いには、少女は俯いたまま答えた。
「それは問題ないの。次の奉公先は、もう決まっているから」
「どこなの?」
 シエスタの母が、心配そうに尋ねる。


「宮廷勅使のジュール・ド・モット伯爵様」


 娘の答えに、両親とジュリアンは絶句した。
 そのモット伯爵とやらを知らない才人や年少の弟や妹たちは、三人の様子に、ぽかんとしていたが、ジュリアンがおそるおそる重ねた問いは、その空気の理由を余す事無く説明し切っていた。
「それって姉ちゃん……ひょっとして、あの『人食い』モット伯のこと……ッッッ!?」
 
 シエスタは、その質問には答えなかった。
「明日、伯爵様のお屋敷に伺うことになっているの。だから、今日は実家に帰っていいって、学院長が仰ったの……」
 そう言って、か細い笑顔を弟に向けた。
「あとジュリアン、『人食い』だなんて無礼なことを言っちゃ駄目よ……伯爵様には『波濤』という、ちゃんとした二つ名があるんだし。それに、魔法学院の三倍のお給金を約束して下さったんだから」
 そう笑うと、
「お鍋が冷めちゃったね。わたし、ちょっと温め直してくる」
 と言って、鍋を両手で抱えて部屋を出て行ってしまった。
 シエスタの母は、その背中を呆然と見送り、父親は、握り締めた拳を震わせている。
 彼女のその回答は、もとよりジュリアンの問いを全面的に肯定していたからだ。シエスタの新たな奉公先は、その噂の男であるという事実を。

 かつて『人食い』と呼ばれたウガンダ大統領がいた事を、才人は知らない。
 だが、そんな剣呑な仇名を持つ者が、もとより只者であるはずがない。
「いったい何者なんだ……その野郎は……?」
 才人の問いに、ジュリアンは悔しそうに答える。
「ゲス野郎ですよッッッ!! 宮廷勅使の地位にあぐらをかいて、目をつけた女は娘だろうが人妻だろうが、『御雇い』の名目で屋敷に連れ込んで、やりたい放題ッッ!! 国家の恥部とさえ言われる貴族野郎ですッッッ!!」
「なんで、よりによって……あの娘が……ッッッ!!」
 泣き崩れるシエスタの母親と、肩を震わせる父親。
 だが、才人にはまだ納得がいかない。
 ただ女好きというだけのスケベ貴族を捕まえて、『人食い』と呼んだり、ここまで悲嘆に暮れたりするのは、やりすぎではないだろうか?
 そんな才人の顔色を読んだのか、シエスタの父はぼそりと言った。

「モット伯の屋敷に『御雇い』になって、無事帰ってきた女は、誰一人いないんだ」

 少年は絶句した。
「それって、――誘拐とか殺人とか、そういう事じゃないんですか!? 何でそんな奴が、逮捕もされずにのうのうとしてるんですッッ!?」
「君は何を言っているんだ」
 才人の叫びを遮ったのは、絶望に満ちたシエスタの父親の声。
「貴族の方々が、平民に何をしようが、我々に何が出来ると言うんだ。たとえどれだけ理不尽であっても、これが始祖ブリミルの定めし世界の理(ことわり)であり、法(のり)なのだ」
565もう一人の『左手』(その34) ◆utAARsQ0ec :2008/07/29(火) 13:26:14 ID:6lreY1Bv
今回はここまでです。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:31:00 ID:O3gbo29b
投下乙です
ここでモット伯か
何かクロムウェルやリッシュモンとは逆でとんでもないゲス野郎になってそうでカワイソス
あと才人ときゅいきゅいのイチャイチャが無いと物足りない今日この頃
567名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:33:12 ID:Yor1BXKE
乙したー。
このリッシュモンは新しい。
オサーン連中の頑張りに期待っ。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:33:33 ID:tThQxWP6
とりあえずタイホウバッファローラルカスの登場はまだですか?
569名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:35:18 ID:JFdbIr9z
>>548
川越の坊さんを召喚するのか?
実在の人物は不味いが、キャラクタとしてのT氏ならOKかなぁ。
570名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:40:41 ID:lHilZdSc
乙ですた。
571名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 13:42:28 ID:ZxcxiqK4
小宮山さんに男女問わず調きょ、鍛え直されたこともあったな。性的な意味で>学園物
572名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 14:12:22 ID:5D2jZ3UD
学園のもってったら、ときメモの主人公が召喚されたSSがなかったっけ?
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 14:14:08 ID:O3gbo29b
あったね
確かクロムウェルとの決戦のとこで話が止まってる覚えが……
574名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 14:39:10 ID:Wo2s4khj
ゲーマーズフィールド誌連載の四コマ、「進め!TRPG生徒会」から服部くんを召喚。
卓上ゲームをこよなく愛するドラゴン。ルイズもジョゼフもご満悦です。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 14:51:49 ID:h2gzwkXr
>>574
ゲームのチョイスは「蓬莱学園の冒険!!」辺りどうだ?
576名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 14:58:46 ID:QwzELkni
ゲーム好きなドラゴンならフォーチュンクエストのBJも喚ぼうぜ
577名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 15:01:52 ID:Wo2s4khj
>>575
絶版なので「学園薔薇ダイス」か「リオフレード魔法学院」などを勧められます。
 
>>576
志村!ジェローム・ブリリアント三世だからJBだお!
578名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 15:12:38 ID:9rcXDZDD
フォーチュンクエストといえば、ホワイトドラゴンのシロちゃん召喚はいかがだろう
きゅいきゅいの事を「おねーさん」とか呼んだ日には可愛くて仕方がないと思うんだ
579名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 15:28:08 ID:h2gzwkXr
「おねーしゃん、おねーしゃん」言うシロか
最高だな。ちい姉様の病気もホワイトドラゴンの血で治りそうだし
580名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 15:37:31 ID:FwHzTCtF
見た目は子犬で可愛くて戦闘は糞強くて、いるだけで味方側に幸運が舞い込むとか
581名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 15:42:05 ID:aaJ3AuhG
>>580
エクセルサーガから召喚ってことだね。
582名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 15:53:10 ID:4OqKkFnt
腹筋破壊大帝千葉トロンの召喚物を考えたがふざけてばかりで話が進まん
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:02:08 ID:ZxWHtW8w
>>582
既出

そーいやフレイムが目立つor役に立つor顔合わせの場面以外での出番がある作品ってありましたっけ
「キュルケの使い魔」が目立ったり頑張ったりする作品は幾つかあるけど
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:11:58 ID:SEVfjHNE
糸色望の話で
糸色望とフレイムのコンビでフーケを撃破するのがあったような
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:16:05 ID:V5N7tGvJ
モット伯が人間かどうか疑わしい……
586名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:20:04 ID:0qk8aiW9
>>579
あえてシロちゃんじゃなくてそのお母さん引っぱってくるのはどう?
人化できるしおしゃべりだしと歳食ったきゅいきゅいみたいな感じだがw
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:30:31 ID:i+BrvOgd
シロちゃんがルイズのほうにいるならば、テファニアのところには逃げ出して森に住み着いたディープドラゴンが……
そしてジョゼフには……実はドラゴンだけど外見は大人しい……風雷棒(+ズシオ)?
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:36:53 ID:ZxWHtW8w
>>587
ドラゴンつながりでジョゼフの所には・・・・・・・・・天使のなっちゃん
589名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:38:28 ID:xFJ9LARe
>>587
ジョゼ山の所にズシヲが行くなら、
ルイズの所にはヅカキャラだろガンダールヴ的に考えて……
590名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:46:56 ID:ZxWHtW8w
竜堂四兄弟がそれぞれ振り分けられるとしたら
ルイズの所には余かな
テファの所が終で
教皇の所に始
で、ジョゼフの所に続呼び出されてすぐ逃げ出す、と
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:56:32 ID:w7HvH8dm
>>590
7万どころの軍勢じゃ足りないどころか変身せず人間のままでも蹴散らせそうな…
そもそもその兄弟に武器って要るのか?続とかは色々やってはいたけども
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 16:58:05 ID:6w/pSoR6
>>578
ルーミィが呼ばれたら大変なことになるんだろうな…。
エルフだし。

>>590
ハルケギニア終了のお知らせ
593名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:03:36 ID:ZxWHtW8w
まあとりあえず終には食い物を、始には字を教えた挙句書庫に放り込んでおけば安心安心
余はまあ普通にやってけるだろうから問題はやっぱ続だな
594名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:09:20 ID:6L6x8zT8
>>532
あれは、クロス先の設定も上手く使っててよかった。

しかも、気が付くと百数十年も経ってて笑ったなぁ。
595名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:13:55 ID:O2T4fQRB
>592
どうだろ?
野郎共が「おっぱい!おっぱい!(AAry」でテファを即刻受け入れたように、女も「可愛い〜♪」で済ませそうな気がする
エルフが恐れられてるのは「人間とは違う強力な魔法を使う、よくわからない連中だから」っぽいし
杖と詠唱が必要なところから系統魔法を習ったハーフエルフって扱いになるかもしれんぞ
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:29:30 ID:YCwMUao8
このスレに触発されて、北斗の拳からレイを召喚とか書いてみたが
第1話でコルベール先生を輪切りにしちまって詰まった
このまま1発ネタで終わらすか、
それとも書き直してそれなりに続けるか悩んでる
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:30:48 ID:6w/pSoR6
カモン!
598名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:34:55 ID:XW1Fpqrm
>>596
避難所に投下するという手もある。
代理投下&練習スレで
599名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:39:17 ID:fPeKfP0j
しかしクロス先の人物とかを詳しく調べてるとトンデモ能力なやつが結構多いな
ひたすら弱キャラで何か書いてみるかねえ
600名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:46:18 ID:w7HvH8dm
>>599
「住めば都のコスモス荘」の主人公の鈴雄なんてどうよ?
もしくは「怪物王女」のヒロ君・・・は血を貰えない限り死ぬし血の戦士化もしないか
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:50:31 ID:2SIXiQB2
>>519
ルイズぅぅうううわぁああああああああんのコピペを見てしまいパソコンを爆破
602名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:52:13 ID:fTxY14gS
レイ召喚なら一発ネタでも長編でもOKOK!!
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 17:54:37 ID:UiDDB+6k
レイと聞くとガンソードに変換される俺
604名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:00:59 ID:6/QNDqgY
北野くん召喚SSを読んだらキレルくん召喚ネタを思いついたぜ
とりあえず最初の召喚で誘拐じゃねえか!でルイズにキレて食べ物を床に置くんじゃねえ!でまたルイズにキレて
二股して責任転嫁してんじゃねえ!でギーシュにキレて
とにかくキレたら女でも躊躇なくブン殴るキレルくんをだな
605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:06:14 ID:fPeKfP0j
>>600
ドッコイダーは案外強キャラだと思っている
ラッキーマンになれない洋一とかなら弱そうだがひたすらバットエンドに向かっていきそうだ
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:10:18 ID:HNAKoUj6
提督ー!まだですかー?提督ー!?
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:14:46 ID:NU89X6iJ
もしルイズがタバサから地下水を見せられたらどうするんだろうか
「そう かんけいないね」?
「ゆずってくれ たのむ!」?
「ころしててでもうばいとる」?
608名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:16:09 ID:1ECi9vPQ
レイを召喚すると………
戦おうと決意する女性の服を切り刻むのですね。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:18:43 ID:6w/pSoR6
ひょぉおおおおう!
しゃぉうっ!
しぃゃぉおおおおおおう!!
610名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:20:13 ID:bLrytlSl
そういえばレイってキャラ何人いるかな?
種死のクローンホモに三人目に・・・・・・・他にいたかな
611名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:22:41 ID:xFJ9LARe
>>610
奇面組のリーダーをお忘れか。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:23:46 ID:DPua6ySs
>>610
北斗、ガンソード、エヴァンゲリオン、漢字でもよければ奇面組。
名字でよければ、アムロもそうだぞ。
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:32:24 ID:5D2jZ3UD
鉄拳にもいる。
多分、本気で探し出すとキリがないと思うぞ?
614名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:34:27 ID:FUCb4GWQ
もうレイのイメージは世紀末バスケ部のイメージしかないよ
615名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:42:17 ID:klbtXHSM
>>606
 読者は黙って裸ネクタイで待つのみ
 でも白靴下は許す
616名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:43:26 ID:bLrytlSl
>>615
黒タイツは駄目ディスカー?
617名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 18:51:04 ID:klbtXHSM
あなたが妙齢の美女であれば可
618名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 19:28:36 ID:dznLyiZ7
>>615
奈良重雄乙
履いてるほうが15倍興奮するなんてそりゃお前だけだー!!
619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 19:37:31 ID:pNfRrRVF
>>618
すまない、俺も興奮するんだ
620名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 19:38:23 ID:xFJ9LARe
靴下は履くモノじゃなくて嗅ぐモノだろ?
621名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/29(火) 19:44:33 ID:TozMD5dr
ソックスハンターktkr
622名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 19:46:48 ID:kgJ02WHY
奈良召喚は面白そうだなw
623名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 19:59:43 ID:fPeKfP0j
反抗もせずひたすらルイズにこき使われるのが目に見えてる
624名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 20:00:11 ID:9onnWJze
おいおい、ロリコン+ホモの奈良を召還したら・・・
ギーシュとルイズとタバサが危ないなwww
特にギーシュは叶親ポジションになるんじゃないか?
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 20:05:04 ID:klbtXHSM
>>ロリコン+ホモ
 それってバンコラン少佐か
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 20:06:02 ID:EeEhHmg8
ロリコンは少佐じゃなくてヒューイットだろ
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 20:08:24 ID:O3gbo29b
>>625
そういえば10歳の子供まで手を出してたな
……あの少佐ショタの気もあるのかw
628名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 20:20:31 ID:klbtXHSM
バンコラン少佐は美少年キラー
10歳くらいの少年も毒牙にかけた

ホモなロリコンだな、変態紳士と呼ばざるを得ない
629名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 20:27:36 ID:VI5d+PUc
ホモなロリコンではなくて、ホモなショタコンといわないか?この場合
630名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 20:56:27 ID:+DtT+IFC
たしかバンコランの能力の対象は最大だと老人まで対象だったような

ゼロ魔世界で犠牲になるのはだれだろう
631ZERO A EVIL:2008/07/29(火) 21:00:15 ID:MAwCXG38
こんばんは。
かなり遅くなりましたが10話が完成したので9時10分ごろに投下したいと思います。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:01:06 ID:klbtXHSM
@ギーシュ
Aワルド
Bクロムウェル
Cジュリオ
D教皇
Eオスマン
Fコルベール


とりあえず学院の男子生徒は全員が危険です
633名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:05:09 ID:++3oXBRR
バンコランはすでに来ているが、1年近く放置されている・・・
ttp://www35.atwiki.jp/anozero/pages/926.html
634ZERO A EVIL:2008/07/29(火) 21:10:18 ID:MAwCXG38
無事に裏口から脱出したルイズ達は、船が停泊している桟橋に向かっていた。
貴族派の妨害があった以上、一刻も早くアルビオンに辿り着かなければならない。
長い階段を駆け上がり丘の上に出ると、四方八方に枝を伸ばした巨大な樹が現れる。枝の部分には船が木の実のようにぶら下がっていた。
後ろを振り返ってみても、追っ手が来る様子はない。どうやら、フーケはうまく敵をひきつけてくれているようだ。

「よし、こっちだ!」

ワルドに促され、ルイズ達は樹の根元にある空洞の中に入っていく。
空洞の中には各枝に通じる多くの階段がある。ルイズ達はアルビオン行きの階段を見つけると、再び長い階段を上り始めた。

階段をしばらく上り続け、踊り場付近に辿り着いた時、ルイズは背後からこちらに近づいてくる足音を耳にする。
慌てて振り向くと、白い仮面という怪しげな風貌の男がこちらに向かってくるのがわかった。
どう見ても船に乗りに来た客には見えない。貴族派の刺客とみてまず間違いないだろう。
そう考えたルイズがワルドとシエスタに知らせようとした瞬間、仮面の男は走るスピードを上げ黒塗りの杖を取り出すと魔法を詠唱し始める。
すると、仮面の男の杖の先端が白く光る。一撃で相手を刺し貫くことができる威力を持つ魔法、エア・ニードルだ。
仮面の男は最後尾のシエスタに目をつけたようで、一直線にシエスタの方に向かっている。シエスタも仮面の男に気付いたようだが、その時には男はすぐ側まで迫っていた。

それを見たルイズは、背中に背負っていたデルフリンガーを抜き、一気に仮面の男との距離を詰める。
そして、シエスタを貫こうとしたエア・ニードルをすんでのところで受け止めた。

「シエスタには指一本触れさせないわよ!」
「やっと俺の出番がきたぜ! さあ相棒、一気にやっちまえ!」

デルフリンガーは自分の出番がきたことに喜んでいるようだが、ルイズの心はそれどころではなかった。
あと一歩でも遅かったらシエスタは命を落としていたかもしれないのだ。そう考えると、この仮面の男を許すわけにはいかなかった。
憎しみと怒りの感情が溢れそうになるのを抑えつつ、ルイズはデルフリンガーを構えて仮面の男と対峙する。左手のルーンは僅かに光を放っていた。

「シエスタ、今のうちにここから離れて!」
「は、はい!」
「ワルド様、シエスタをお願いします!」

ワルドにシエスタのことを任せたルイズは、仮面の男に向かって高くジャンプするとそのまま勢いよく斬りかかる。
オルステッドが使っていた技である『ジャンプショット』。シンプルだが強力な技だ。
仮面の男はとっさに杖でガードするが、勢いを殺しきれず、鍔迫り合いでルイズにおされる形になる。
ルイズはその隙を見逃さず、渾身の力でデルフリンガーを仮面の男に叩きつける。剣をハンマーの代わりにして相手を叩く力技『ハンマーパワー』。峰打ちだが威力は申し分ない。
ルイズの攻撃をまともに喰らった仮面の男は、回転しながら後ろに吹き飛ばされる。
その時、いつの間にか側まで来ていたワルドが追い討ちをかけるようにエア・ハンマーを放つ。直撃を喰らった仮面の男は階段から落下していった。
その後しばらく待ってみても仮面の男が戻ってくる気配はない。どうやら撃退に成功したようだった。

「どうやら、もう大丈夫のようだね。さすがルイズ、見事な剣さばきだったよ」
「そんな。敵を撃退できたのはワルド様のお陰ですわ」
「謙遜することはない。君の力は僕の想像以上だよ! この力があれば貴族派の妨害など恐れることもないさ!」
「ワルド様?」

どこか興奮気味に語るワルドを不思議に思ったが、戦いに勝って気分が高揚しているのだから無理もないと気にしないことにした。
シエスタにも怪我はなさそうなので、ひとまずは安心といったところだろうか。

「あれ? ひょっとして俺の出番、もう終わり?」

そんなデルフリンガーの呟きをよそに、ルイズ達はさらに上を目指す。
635名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:10:36 ID:mx7VXo37
支援
636名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:11:10 ID:BGyxUfnU
今は、この支援が最高だな
637ZERO A EVIL:2008/07/29(火) 21:11:22 ID:MAwCXG38
階段を上りきり、桟橋に着いたルイズ達は、そこに停泊している船に乗り込む。
いきなり現れたルイズ達に船員は驚くが、ルイズとワルドが貴族だとわかるとすぐに船長を呼びに行った。
船長との交渉の末、ワルドが風の魔法で風石の代わりをすることで話はまとまり、船はアルビオンに向けて出港する。

「二人ともよくがんばったね。空に出てしまえばしばらくは安全だろうから、今のうちに休んでおくといい」

ずっと走りっぱなしで疲れていたルイズは、ワルドの言葉に甘えて客室で休むことにした。
シエスタはルイズと一緒の部屋で休むのをためらっていたが、ルイズに強引に引きずられていってしまう。
そんな二人の姿をワルドは微笑みながら見送っていたが、その目はシエスタの後姿を鋭く射抜いていた。

翌日、アルビオンが目に見える位置まで近づいた時にそれは現れた。
舷側から大砲を突き出した大きな黒い船が近づいてきたのだ。旗も掲げていないところを見ると、どうやら空賊のようだ。
その船にルイズ達の船はあっけなく停船させられてしまう。この船の武装は貧弱で、頼みのワルドも船を浮かすために精神力をほとんど使っていたのだから無理もなかった。

甲板に降り立った派手な空賊の男が船長と交渉している。どうやらこの男が空賊の頭のようだ。
そんな中、ルイズは大人しくしていた。ここで暴れればワルドやシエスタが危険な目に遭う可能性があるからだ。
もちろん二人に危害を加えるようならただでは済まさない。そんなことを考えながら、ルイズは怯えるシエスタを背中に隠し、成り行きを見守っていた。

男と船長の交渉はすぐに終わり、船長は命を助ける代わりに船と積荷を全て渡すという一方的な要求をのむことになった。
うな垂れる船長をよそに、上機嫌な男はルイズ達に目をつけると、船倉に閉じ込めるよう部下に指示を出す。後で身代金をたんまり取る腹積もりのようだ。
こうして、杖とデルフリンガーを取り上げられたルイズ達は空賊の捕虜になってしまうのだった。

「ルイズ様、これから一体どうなってしまうんでしょうか……」
「心配しなくてもいいわ。待っていれば、必ずチャンスは来るはずよ」

ルイズ達は、空賊が持ってきた水と食事のスープを飲みながら今後の事を話し合っていた。
シエスタにはああ言ったものの、ルイズも不安なのに変わりはない。だが、ワルドやシエスタの手前もあるので、冷静を装っていた。
そんな中、ワルドは一人落ち着いている。今は船倉の積荷を見て回る余裕すら見せていた。

その時、扉が開き空賊の男が入ってくる。男は三人を見渡すと、楽しそうに喋りだした。

「あんたらも運が悪かったな。まあ、大人しくしてりゃ悪いようにはしねえからよ」
「いや、そうでもないさ。目当ての人物にこうも早く会うことができるなんて思わなかったからね」
「あん? お前、一体何言ってんだ?」
「頭に伝えてくれないかな。我々はトリステインの大使で、アンリエッタ姫殿下から密書を言付かっているとね」
「……てめー、そんなことばらしちまってただで済むと思ってんのか?」
「いいから早く頭に伝えてくれないかな」
「いいだろう。ちょっと待ってな」

そう言うと空賊の男は船倉を出て行った。
二人の会話を聞いていたルイズとシエスタは唖然とした表情をしている。大事な任務をあっさり喋ってしまうワルドの真意がわからなかったからだ。
何か言いたそうな二人の表情にワルドは気付いていたが、特に気にする素振りもなく、ただ黙って男が戻ってくるのを待っていた。

しばらくして、男が船倉に戻ってくる。先程とは違い、表情は真剣そのものだった。

「来い。頭がお呼びだ」
638名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:11:39 ID:XW1Fpqrm
あの世で支援し続けろオルステッドォーーーーーーーーーッ!!!!!
639ZERO A EVIL:2008/07/29(火) 21:12:04 ID:MAwCXG38
男に連れられて、ルイズ達は船長室に通される。そこには、あの派手な空賊の男がいた。

「お前か、トリステインの大使ってのは」

空賊の頭の質問に、ワルドは優雅に一礼してから答える。

「トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵です。先程伝えましたとおり、アンリエッタ姫殿下より密書を言付かって参りました」
「そんな大事なことを空賊なんかにぺらぺら喋っていいのかい? お前らを貴族派に売り飛ばすこともできるんだぜ」
「あなたがそんなことをするはずがないでしょう。ウェールズ・テューダー皇太子殿下」

その瞬間、その場にいた空賊全員の目がワルドを睨みつけるように鋭くなったのをルイズは見逃さなかった。
派手な空賊の男をウェールズ皇太子と結論付けたワルドの真意はわからないが、この反応を見るとまったくの見当違いにも思えない。

「俺がアルビオンの皇太子だっていう確証でもあるのかい?」
「殿下が指にしているのはアルビオン王家に伝わる風のルビーではありませんか? もしそうなら、トリステイン王家に伝わる水のルビーと共鳴し、虹色の光を作り出すことができるはずです」

その言葉を聞いたルイズは、アンリエッタから渡された水のルビーをワルドに手渡す。

「ワルド様、これを」
「ありがとうルイズ。殿下、よろしいですかな?」

空賊の頭は自分のしていた指輪を外すと、ワルドの持っている水のルビーに近づける。
すると、ワルドの言ったとおり二つの宝石が共鳴し、虹の光が作り出された。

「どうです、殿下」
「まいったな。まさかこんな形で見破られるとはね。君の言うとおり、私がアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」

ウェールズは苦笑いを浮かべながら変装を解く。それを見た周りの空賊達は一斉に姿勢を正した。
シエスタは突然の展開に驚いていたし、ルイズはウェールズの変装を見破ったワルドを尊敬の眼差しで見つめている。
そのため、二人はワルドの手際が良すぎることを疑問に思うこともなかった。

その後、ワルドから手渡された手紙を読み終わったウェールズは、アンリエッタから送られた手紙を返すことを了承した。
だが、手紙はニューカッスル城に置いてあるとのことなので、ルイズ達はウェールズと一緒にニューカッスル城に向かうことになる。
ワルドがウェールズから手紙を受け取れば、今度はルイズの任務が始まる番だ。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:12:31 ID:dB+Bo9IJ
sien
641ZERO A EVIL:2008/07/29(火) 21:12:48 ID:MAwCXG38
ニューカッスル城に着いたルイズ達は、ウェールズの自室に通される。
ウェールズは机の中から宝石箱を取り出すと、中に入っている手紙を読み返し始めた。すでに何度も読んでいるのか、手紙はぼろぼろであった。
手紙を読み終えたウェールズは、それを丁寧に折り畳み、封筒に入れワルドに手渡す。

「姫からの手紙は、この通り確かに返却したぞ」
「ありがとうございます」

頭を下げ、ワルドが手紙を受け取る。
ワルドの任務が終了し、いよいよルイズの出番がやってきた。

「恐れながら、殿下に申し上げたいことがございます」
「君は?」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します。幼少の頃、アンリエッタ姫殿下の遊び相手を務めさせていただきました」
「ほう。よし、何なりと申してみよ」
「ありがとうございます」

ルイズは一つ息を吐くと、意を決したように話し始めた。

「私は姫様から重大な任務を受けてここにやってきました。殿下、姫様は殿下がトリステインに亡命することを望んでいます! 私達と一緒にトリステインにいらしてください!」
「それはできない。私はアルビオン王家の誇りをかけて、最後の最後まで戦い続けるつもりだ」
「お願いでございます! 姫様は今でも殿下のことを愛しております!
 私にも愛している人がいます。ですから、姫様のお気持ちがよくわかるのです! もし、殿下が亡くなられるようなことがあれば、姫様は悲しみに打ちひしがれてしまいます!
 それに、このまま勝ち目のない戦いを続けるより、トリステインに亡命して再起を図る方がきっといい結果が得られるはずです! ですから、どうか、どうかお願いします!!」

ルイズの熱のこもった説得を聞いたウェールズは静かに目を閉じる。どうやら頭の中で考えをまとめているようだ。
ルイズはウェールズの返答を緊張した面持ちで待っている。やがて、ウェールズは目を開けるとルイズへ答えを出した。

「亡命はできない。例えそれが姫の望みであってもだ」
「殿下!」
「明日、ニューカッスル城への総攻撃が始まる。朝には非戦闘員を乗せた船が脱出する予定だ。君達もそれに乗って帰りなさい」
「待ってください!」
「そろそろパーティーも始まる時間だ。王国が迎える最後の客として、是非参加してほしい」
「まだ話は!」
「よせ、ルイズ!」

淡々と話すウェールズに、なおも食ってかかろうとするルイズだが、ワルドに止められてしまう。

「このまま君が取り乱してしまっては、ますますいい結果が得られなくなる。ここは僕に任せてくれないか」
「ワルド様、でも!」
「ルイズ、僕を信じてくれ」
「……わかりました」
「ありがとう。シエスタ、ルイズを連れてしばらくここから離れてくれないか」
「は、はい。ルイズ様、行きましょう」

ルイズはシエスタに連れられて部屋の外に出て行く。
ウェールズの説得に失敗した自分を情けなく思うが、まだ全てが終わったわけではない。
ワルドがきっといい方向に話をもっていってくれることを信じて、ルイズは待つことにした。
642ZERO A EVIL:2008/07/29(火) 21:13:27 ID:MAwCXG38
夜になり、城のホールではパーティーが始まる。
明日、貴族派の総攻撃があるというのに、パーティーに参加している者達の表情は明るかった。皆が楽しそうに食事をしたり、踊ったりしている。
一方、ルイズは用意された客室でシエスタと一緒にワルドの帰りを待っていた。
城のメイドからパーティーが始まるという知らせを受けたが、自分の代わりにウェールズを説得してくれているワルドを置いて、パーティーに参加できるわけがない。

「それにしても遅いねー。何かあったんかね?」
「ウェールズ殿下を説得するのは、いくらワルド様でも簡単にはいかないわ。あれだけ強い意志を持っていらっしゃるんだもの」

デルフリンガーの呟きに答えるルイズの声には不安の色が混じっていた。あのウェールズの強い意志をどうやって曲げさせるのか、ルイズには想像もできない。
もし、ワルドの説得が失敗すれば、明日の総攻撃でウェールズは命を落としてしまうかもしれない。そう考えると気が気でなかった。
その時、ドアをノックする音と共にワルドが部屋に入ってきた。

「遅くなってすまない」
「ワルド様! ウェールズ殿下の説得はうまくいきましたか?」
「ルイズ、落ち着いて聞いてほしい。説得はうまくいかなかったが、ウェールズ殿下の意志を変えることができるかもしれない妙案があるんだ」
「その案とは何なのです?」

ルイズは緊張した面持ちでワルドの返事を待っている。ワルドはルイズが落ち着いているのを確認した後、口を開いた。

「僕達がここで結婚式を挙げるんだ」
「け、結婚式ですか!?」
「そうだ、お互いに愛し合っている僕達の結婚式を見れば、きっとウェールズ殿下の考えも変わるはずだ」

確かに、ウェールズがアンリエッタを愛しているのなら、幸せそうな結婚式を見ることで心に迷いが生まれる可能性はある。
ワルドと結婚することで自分だけ幸せになるのはアンリエッタに申し訳ないが、これでウェールズの命を救うことができたならアンリエッタも喜んでくれるはずだ。
こんな形で結婚式を挙げるとは思わなかったが、ワルドと結婚することに不満はまったくない。

「わかりました。私、ワルド様と結婚します」
「ありがとう、ルイズ。ウェールズ殿下にはすでに明日の結婚式の媒酌を頼んである。大丈夫、きっとうまくいくさ」
「はい!」

ルイズの返事に満足そうに頷いたワルドは、続いてシエスタの方に視線を向ける。

「シエスタ、君はその剣を持って先に船で脱出しなさい。僕とルイズはウェールズ殿下を連れてグリフォンでトリステインに帰る」
「え、でも……」
「待ってください、ワルド様。シエスタには私の結婚式に出席してもらいたいんです」
「しかし、グリフォンにはそんなに大勢は乗れないんだ」
「それなら、船が出発する前に結婚式を挙げましょう。ウェールズ殿下を説得する時間も必要なのですから、早くても損はないはずですわ」

ルイズは世話になっているシエスタに自分の晴れ姿を見てもらいたかったし、自分の結婚式に親しい人間が一人も出席しないのは嫌だった。
この状況では、姉のカトレアもアンリエッタも出席することはできない。だから、せめてシエスタだけでも出席してほしいと思ったのだ。

「わかった。ウェールズ殿下には僕から連絡しておくよ」
「すみません、ワルド様」

シエスタが結婚式に出席するのを認めたワルドは、ウェールズに連絡するために部屋を出て行った。

「ありがとうございます、ルイズ様。私なんかがルイズ様の結婚式に出席できるなんて夢のようです」
「私の一生に一度の晴れ舞台なんだから、シエスタには出席してもらわないとね。デルフ、あんたも出席すんのよ」
「おう、相棒の勇姿を拝ませてもらうぜ」

その後、ルイズ達は明日に備えるため早めに寝ることにした。
今日は興奮して眠れないと思っていたルイズだが、疲れていたせいもあり、ベッドに入るとすぐに眠ることができた。
643名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:14:12 ID:BGyxUfnU
男名無し、支援を通す!
644ZERO A EVIL:2008/07/29(火) 21:14:42 ID:MAwCXG38
ルイズは夢を見ている。

夢の中のルイズは、日の本という国でとある城の城主をしていた。
ルイズには大きな野望があった。混乱状態にある日の本を戦乱に巻き込み、その戦乱に乗じて自分が日の本を支配しようと企んでいたのだ。
そのために人外の力を手に入れ、異形の者達を手下にするなど着々と準備を進めてきたルイズだが、それを邪魔する者が現れた。
ルイズの野望を成功させるために捕らえていた男をある忍びが救出にやってきたのだ。
忍びの力はかなりのもので、捕らえていた男を救出されただけでなく、異形の手下達も倒されてしまう。
そして、忍びと捕らえていた男がついにルイズの所までやってくる。
だがルイズには人外の力がある。負ける気は毛頭なかった。
天守閣の屋根の上で、ルイズはカエルとヘビの姿に変化する。この姿こそ、これからの日の本を治めるのに相応しい気高き姿だとルイズは思っていた。
しかし、忍びと捕らえていた男にルイズは敗れ、天守閣の屋根の上から落下する。
こうしてルイズの野望は脆くも崩れ去ったのだった。

場面が切り替わり、ルイズの姿が変わる。
次のルイズは、鳥の顔をした大仏の姿をしていた。だが、これはルイズの本当の姿ではない。
この姿は、ある寺の池に捧げられた2000人の液体人間の憎しみという感情から生まれたルイズが、池の中央に建っている大仏に宿っただけなのだから。
ルイズの目の前には、自分と同じくらいの大きさのロボットが立っている。
液体人間の強い憎しみの感情に突き動かされるように、ルイズは目の前のロボットに戦いを挑む。
だが、圧倒的な強さを持つロボットにルイズは敗れてしまう。
ルイズは敗れたが、それで液体人間の憎しみが消えるわけではない。
液体人間は自分達をこんな姿に変えた者達を飲み込み、ルイズを倒したロボットさえも飲み込もうとするのだった……

再び場面が切り替わる。
今度のルイズは、以前見た夢と同じように山の頂上で下にいる者達を見ているだけだった。
だが、今回の夢は下にいる人物が違っている。下にいたのは背格好がまったく違う4人の人間と魔王だった。
やがてオディオと名乗った魔王と人間達との間に戦いが始まる。魔王の力は恐るべきものだったが、戦いは人間達の勝利で幕を閉じた。
戦いに敗れた魔王は真の姿を現す。そこに現れた姿を見たルイズに衝撃が走った。
魔王の正体は、ルイズもよく知っているオルステッドだったのだから……

その時急に場面が切り替わり、ふと気が付くと、ルイズは別の場所に立っていた。自分の姿を見てみると、魔法学院の制服を着たルイズ本人の姿なのがわかる。
辺りを見回してみると自分の周りに7つの石像があるのがわかった。石像を見ようと近くによるが、その姿を見たルイズは驚いてしまう。

「こ、これって!」

その7つの石像にルイズは見覚えがあった。
翼のないドラゴン、頭だけの姿をしたマザーコンピュータ、坊主頭の格闘家、ガトリング銃を持った大男、武道家、カエルとヘビの変化、鳥の顔をした大仏。
全て夢の中でルイズが体験した姿だった。

その時、奥に見える扉から一人の男が現れる。オルステッドだ。
オルステッドが現れたことでルイズは激しく動揺する。7つの石像とオルステッドは、自分もここにいる者達と同じ末路を迎えるということを示しているように感じられた。
だが、それを認めるわけにはいかない。

「私はあなた達と同じにはならないわ! 結婚式だってうまくいくし、ウェールズ殿下の命だって救ってみせるんだからッ!」

そう叫んだ瞬間、7つの石像の目が光を発し、周りの風景がぼやけていく。
ルイズが最後に目にしたのは、悲しそうな表情を浮かべるオルステッドの姿だった。

やがて、ルイズはゆっくりと目を覚ます。窓の外は薄暗く、まだ夜が明けていないのがわかった。

「大丈夫。きっとうまくいく、きっと……」

だが、いくら大丈夫と呟いてみても不安が晴れることはなかった。
645名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:14:49 ID:XW1Fpqrm
いや〜な予感がするぜ、フラグもな… 支援
646ZERO A EVIL:2008/07/29(火) 21:15:21 ID:MAwCXG38
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。
次回はもっと早く投下できるように頑張ります。
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:16:49 ID:bao6WpWI
>632
美少年・美青年以外は対象外だろ。
ギーシュ、ジュリオ、教皇は絶対食われるな。
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:17:17 ID:XW1Fpqrm
乙でした〜
649名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:34:13 ID:ezOsyZtv
ぜんまい侍が呼ばれたら

「ゆるさないぞワルド!」
「キー、ミーの一張羅に穴が開いたでヤンスー」
ちょうど脇の下辺りに棒で突かれた穴が開いている

ワルドが急に暴れてウェールズに襲い掛かるシーン


「これぞ風の偏在の術!」
ズバババ
「「「どれが私か判るかな?」」」

「くっそぅ、ワルドのやつぅ分身するなんて卑怯だぞ」
「ぜんまい侍さん、ワルドの一体だけ鼻の色が赤いでやんすよ」
「ムムッ、あ・や・し・い そこだっ!」

ぜんぜん ぜんまい侍の おだんご だんだん だだだんだん!
「必殺!だんご剣 受けてみよ!」

すぽぽぽぽ@おp

「うぽ」「おぽ」「おぽ」

ごくん ごくり ごっくるりん
「これは」「うまい」「もういっこ」

ぱぁーっと笑顔になったワルドが邪心を無くし
童子のようにだんごを下さいと嘆願する

「はーまったく、こんどから悪さするなよな、わかったなワルド」
「へ、へーい」

こうしてぜんまい侍は良い行いをしたのでした めだたし めだたし
650名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:36:07 ID:ezOsyZtv
必殺だんご剣 ×
必笑だんご剣 ○
651名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:37:09 ID:Xq823iHh
教皇とジュリオは元々がガチホモだから問題ない
同好の士を見つけてむしろ意気投合するかも知れんぞ
652名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:43:50 ID:Nz2CnKbx
なぜか「♪ヤンデレーツンデレーガチホモにバカ 最初の二つは強敵」とか歌ってるキュルケとか思い浮かべてしまった
653名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:47:12 ID:1POvZYcB
ちょっとまて、バンコランは「バンコラン菌」の発生源だろ
654名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/29(火) 21:51:24 ID:Xgsg+d50
ZERO A EVILのかた、乙であります
これは次回が気になる・・・!
655名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:54:46 ID:kPkX1p3v
バンコランも女を抱いたことあったぞ
656名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 21:56:05 ID:Z43BFWCG
遅ればせながら左手さん乙&GJ。サブキャラが意外な性格をしてるのが面白い。モット伯がどんな人物なのか期待しています。

EVILさん乙&GJ。ワルド逃げてー(ry
……と言いたくて仕方がなくなるのは何故なんだろうw

>>652
その歌はシエスタが歌う方がしっくりときそう…………ティファニアであってくれるな、頼むから。
657名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:02:59 ID:ISCLQEUc
>>652
kwsk
658名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:04:07 ID:O3gbo29b
>>657
『愛しの彼が振り向かない』じゃね?
659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:06:43 ID:ISCLQEUc
>>658
ああ、あれか!
なんか懐かしいな。

と、ちょいと連載予定のネタが出来たので15分ぐらいから投下してもおk?
660名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:10:56 ID:O3gbo29b
いいですとも!
661名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:12:15 ID:wCf+0vtZ
どんとこーい!
662名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:13:28 ID:BGyxUfnU
おお、オルステッドの技を使いこなしてる!
ってことは魔王殺しの奥義、出るか?
663ウサギの使い魔:2008/07/29(火) 22:16:37 ID:ISCLQEUc
では投下いたします


「……え?」

ルイズがサモン・サーヴァントの呪文を唱えた後に現れたのは、ターバンを巻いた金髪の少年だった。

「ルイズが平民を召喚したぞ!」
「いやいや、さすがはゼロのルイズ。まさか平民を召喚するとはな」
「ちょっと失敗しただけよ!」
「失敗っていつもの事じゃないか」

とまあ、召喚された当人はそっちのけで話が進む中、その当人は少し困惑していた。

「おいおい、いったいどこの田舎に上がっちまったんだ? 約束の時間に間に合わないぜ」

そう、この少年は友人達との待ち合わせの場所に行く途中だった。
本来なら、いや“いつも”なら街中に現れるはずだったのだが、それがよくわからない城の様な建物の前に現れてしまった為に、その“移動”に失敗したのだと思ってしまった。
と言っても、彼はこういう事態には割りと慣れている。
すぐさま周囲を確認し、現在位置の確認をしようとした。

「はぁ〜、俺もまだまだ未熟……え…………ええええぇぇぇぇぇ!?」

その少年が空を見た瞬間、突然叫び声を上げた。
その声に周囲の人々もまたその声に驚き、ビクっと体を震わせて彼の方を見た。

「ビ、ビックリするじゃないの! いきなり変な大声出さないでよ!」
「おい……嘘だろ?」

ルイズの声も今の彼には届いていない。
彼が驚いている理由は二つ。
一つは、そこにあるはずの物がなく、ないはずの物があった事。
もう一つは、そこにあるものがありえない状態になっている事。

「どうして月があそこにあんだよ……しかも……二つも!」

まず一つ、彼がいた場所から見えるのは月ではなく地球のはずだった。
彼のいた場所こそが月であるはずなのだ。
そしてもう一つ、月は二つも存在しない。
ここが地球だとするのなら、見える月の数は一つしかないはずだ。
だがしかし、確かに空には二つの月が浮かんでいる。

「じゃあ、ここはどこなんだよ……」

と、本人が悩んでいる間に、ルイズの方もまた悩んでいた。

「ミスタ・コルベール、召喚のやり直しをさせてください! こんな変な奴が使い魔だなんて絶対に嫌です!」
「ミス・ヴァリエール、我侭を言ってはいけません。サモン・サーヴァントのやり直しが出来ない事はあなたも知っているでしょう」

そう言われてルイズは口をへの字に曲げて「むぅ〜」っと唸った。
一度召喚した使い魔は死なない限り新しい使い魔を召喚することは出来ない。
それは授業で散々言われた事だ。
不愉快な顔をしながらも納得したルイズは彼の前に立った。

「ねえ、あんた名前は」
「あぁ?」

彼がルイズの方に振り向いた。

664名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:18:01 ID:Nz2CnKbx
>>656
シエスタ「♪メイドになってもバニーになっても 他の人が邪魔をーするーよー 胸の谷間は男の人には有効」
ルイズ「やっぱりそれ狙いかぁぁぁぁ!!!ってか『ばにー』って何?」

こうですね、分かります。
確かにシエスタの方がしっくりくるな
「いつか正攻法で勝つために 私十四式は最後まで取っておくー」

>>657
「愛しの彼が振り向かない」でググると一番最初に出てくる。
665名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:18:17 ID:Wo2s4khj
アクアビートどーすんだよ!支援
666ウサギの使い魔:2008/07/29(火) 22:18:21 ID:ISCLQEUc
(!か……かわいい……)
「いやあ、ごめんごめん。驚かせちゃったかな。つい取り乱しちゃってね」

と、急にさっきまでとは打って変わってキザったらしい口調に変わった。
この少年、可愛い女の子には目がないのである。

「ああ、もういいわ。とりあえず契約だけすませるからちょっとしゃがみなさい」
「契約?」

頭に?をつけたまま、その少年は顔を彼女と同じ位置まで下げた。

「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」

呪文を唱えたのち、その少年はいきなり唇を奪われた。

(……え?)

少年の顔が一気に赤くなる。
そのキスに耐えれなかったのか、少年はルイズを突き放した。

「いいいいいいいやいやちょっと! こういうのはまず友達からはじめ……うっ!?」

突然、少年が左手を抑えて蹲った。

「な……なんだこれ……ぐっ!!」
「大げさよ。すぐ終わるわ」

ルイズの言った通り彼の左手に走った痛みはすぐに引いた。
が、その後には焼印で押し付けられたような文字が手の甲に残っていた。

「なっなんだこれ!? クソっ! こすっても取れねえぞ!」
「当たり前じゃない、使い魔のルーンがそんなんで取れるわけないでしょ」
「つ……つかいま?」
「そうよ、あなたは私の使い魔になるために呼ばれたの。つまり私に一生仕えるのよ」
「はぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!??」

少年の顔が怒りに歪み、口調も乱暴なものに戻る。

「ふざけんな! とっとと元いた所に戻しやがれ!!」
「それが出来るならとっくにやってるわよ!」
「んな勝手な事があるか!」
「私だって出来る事ならあんたなんかを使い魔なんかにしたくなかったわよ!」
「んだとぉ〜!」
「何よ!」

売り言葉に買い言葉を何度か繰り返していくうちに取っ組み合いに発展していき、もはやただの子供の喧嘩になってしまった。

「おいおい、自分の使い魔と喧嘩するなよ」
「はは、使い魔とのコミュニケーションもまともに取れないのかよ」
「所詮ゼロはゼロだな」

周囲の野次を気にする事なく、二人の喧嘩はさらにエスカレートしていき、お互い涙目になりながら頬を抓ったり引っ張ったりしている。

「ひいはへんにひうほほをひひなはいよ!(いい加減言う事を聞きなさいよ!)
「ひいははほえをほほのはひょにほほへ!!(いいから俺を元の場所に戻せ!!)

と、その喧嘩の最中にルイズが彼のターバンを掴んで、そのまま引っ張って外してしまった。
その刹那、周りの野次がピタリと止んだ。

667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:19:16 ID:Wo2s4khj
ラビきたー 支援
668ウサギの使い魔:2008/07/29(火) 22:19:25 ID:ISCLQEUc
「……あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」






「「「「「「「「「「「あああああああああああああああ!!!!」」」」」」」」」」」






周囲の生徒達、およびコルベールはそのターバンが外された頭を見て仰天した。

「うわ、しまった!」

ターバンを取られた少年が頭を抑えた。
最も、手で押さえただけで完全に隠せるほど“ソレ”は小さくはないのだが。

「あ……あんた亜人だったの!?」
「へ?」

亜人とは、ハルケギニアの世界において人に似た人間以外の種族の者達の事を言う。
彼の場合、この世界ではまさにその部類に入るであろう。
なにせ、そのターバンに隠されていた頭部には両の耳とは別の『ウサギの耳』があったのだから。

「亜人って何だ?」
「あんたみたいなのの事よ。う〜ん、ウサギ耳の亜人だからウサギ人間かしら?」
「ウサギ人間って言うな!」

と、少年は叫んでその呼び名を否定した。

「何よ、うさぎの耳だからうさぎ人間でいいじゃない」

その言葉を聞いたとき、その時少年は奇妙な違和感を覚えた。

(コイツ、ウサギ人間って呼び方自分で思いついたのか?)

彼の様な者をウサギ人間と呼ぶ人々は彼のいた世界にも存在した。
むしろ彼が行くはずだった場所ではそちらの呼び方でしか呼ばれないのだが。
が、少なくともウサギ人間を亜人などと呼ぶ人間は一人もいないはずだ。

(ってことはウサギ人間って呼び方の事も俺達の事も本当に知らないのか? どうにもコイツはややっこそうだぜ)

そう結論付けると、少年は「はぁ」と一呼吸置いて、そしてぶっきら棒に言い放った。

「いいか? 俺は耳長族のラビってんだ。よ〜く覚えとけ」

ラビルーナでの長い生活は、彼に耳長族としての自覚をしっかりと植え付けた様だ。

669名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:20:17 ID:Wo2s4khj
月夜の晩の丑三つ時に ヤモリと薔薇と蝋燭と 支援
670名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:20:30 ID:oaZMnlHa
兎捕獲スキル・兎料理スキル持ってるシエスタ支援
671名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:21:47 ID:Nz2CnKbx
>>670
逃げて!超逃げて!脱兎のごとく逃げて!
672ウサギの使い魔:2008/07/29(火) 22:22:03 ID:ISCLQEUc
ちょっと短いですけど1話はここまでです。
おさっしの通り魔動戦士グランゾートよりラビ召喚です。

「近所のビデオショップにグランゾートのDVDキター! 思わず全巻レンタルしちまったぜ! イヤッホウ!(AA略)」

な勢いで書き上げました。
支援感謝いたします。
673名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:22:20 ID:swF+wt59
魔導王・・・?
懐かしすぎる。
674ウサギの使い魔:2008/07/29(火) 22:24:50 ID:ISCLQEUc
>>673
失敬、誤植です。
見なかったことにしてください・・・・
675名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:25:25 ID:/3nJvsfW
アクアビートの出番はあるのかww
広い水面、必要ですよね。
続きが楽しみ。
676名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:31:41 ID:duyfo7pN
懐かしすぎてワロタ。
このスレの住人の年齢層は相変わらず高いなw
677名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:33:28 ID:ezNNY0t1
広い水面+波が無いが条件だからなw
後者が無ければアンアン錯乱時に役に立ちそうだけど
水魔法で条件そろえることが可能かが問題になるな

それはそうと乙です
678名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:34:54 ID:swF+wt59
>>674
ワタシナンニモミテナイネ。

グランゾートが、昨年アクションフィギュアで出ていたっけ。
679名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:35:10 ID:cbvcpCLa
ZERO A EVILの人乙&GJ
分岐点に立たされたルイズがどちらを選ぶのか…期待して待ってます。

ウサギの使い魔の人乙そしてGJ
グランゾートってデカイ顔がロボになるやつだっけ、懐かしいw
680名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:44:13 ID:GS60C5dU
懐かしいな

パワーアップの際には絶対に首から下が新たに召喚されて
巨大化すると思ってたのにトゲトゲで白くなったのはションボリだったうえに
お気に入りのアクアビートは召喚条件厳しくて殆ど出てこなかったなw

681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:44:51 ID:swF+wt59
遅れましたが、ウサギの使い魔の人GJです。
懐かしさのあまり、音楽集を出して来ました。
682MtL:2008/07/29(火) 22:47:11 ID:PDn2qi6U
お久しぶりです。
しばらく間が空いてしまいました。

何もなければ11時から投下しますー。
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 22:48:42 ID:q651K7l0
よかろう。ならば支援だ。
684ゼロHiME:2008/07/29(火) 22:55:33 ID:OhC0PAvL
18話できたんで投下します
進路クリア?
685ゼロHiME:2008/07/29(火) 22:56:22 ID:OhC0PAvL
おっと被ったんで明日にします;
686MtL:2008/07/29(火) 23:01:36 ID:PDn2qi6U
マジシャン ザ ルイズ 3章 (38)病魔の進行

朝。あの舞踏会の夜から一週間ほども経過したある日の朝。

変わらぬ朝の変わらぬ目覚め。彼女はいつも通りに自慢の髪の毛の手入れを済ませ、食堂へ向かうべく支度を整えていた。
年の頃は十代の中頃、流れるようなブロンドと、絹のようなきめ細かい肌、顔に残ったそばかすは彼女が少女と淑女の境目にいることを示している。
彼女の名前はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。ちなみに名前と名字がほぼ同じなのは、彼女の家の伝統で、長女はそう名乗ると決められているからである。

季節は本格的に秋へと近づきつつある。
あれほど厳しかった日差しも、今ではやや斜めに差すようになってきている。騒がしかった虫達の合唱も、今では聞き苦しいほどではない。
モンモランシーにはつい先日までの緩やかな時間、学院でお茶をしながら他の沢山の生徒達とともに過ごしていたあの日々がまるで遠いように感じられて仕方がない。
本来なら、そろそろ学院の夏期休業も終わりに差し掛かって、慌ただしく準備が始まる頃合いである。
しかし、彼女が今寝起きしているのは本来居るはずだった寮の自室ではなく、客人としてアカデミーから与えられている一室である。

あの日、襲撃した機械竜と降り注いだ巨石の雨によって、トリステイン魔法学院は見るも無惨な姿に壊滅した。
人づてに聞いた話だと、跡には瓦礫の山だけが未だ手つかずで残されており、きちんと形の残っている建物は何一つ無いということである。
当然、学院再開の目処は立っていない。
彼女はその事件の際に、ある少女に連れられて学院を脱出して難を逃れ、その後の紆余曲折を経て、今、この部屋に身を置いている。
紆余曲折と一言に片付けるには、あまりに様々な体験をしたのだが、それは彼女が今ここに滞在している、いや、滞在させられていることに深く関わっている。
彼女を始め、あの事件の中核にいた人間は、一人を除いて、皆その身を王都トリスタニアに置いている。
特に、学院関係者達は全員がアカデミーに集められているという状況だ。
様々な理由を提示されたが、要するに自分は知りすぎてしまったということなのだろうと、彼女はそんなふうに理解していた。

一方、トリステインでは今、未曾有の規模の徴兵と貴族の動員が進められている。
近く、浮遊大陸攻撃のためにアルビオン領への大々的な侵攻作戦がかけられるらしい。
女王陛下がその旨の宣言を正式に発布を行って、男達は国民は貴族から平民に至るまで、気勢をあげて続々と兵士としてトリスタニアへと集ってきている。
彼らが口々に叫ぶところは、『誓約の女王アンリエッタ』。
それが彼らの命を背負っている者の二つ名である。

モンモランシーは部屋に一つだけある窓へと近づいて、厚いカーテンを開けた。
二階に位置するモンモランシーの部屋の窓。そこからは、アカデミーの空き地に集められた士官候補である若きメイジ達の訓練風景が見えた。
「……ふん、何が誓約の女王よ」

モンモランシーは、世間では女王が始祖と契約したとされている事件の、本当の真相を知っている。
その正当な功労者が、誰であったかも知っている。
それでも、彼女はそのことで声を上げたりはしない。
女王という重責、責任、それらついて想像もつかない苦労があるであることは彼女も理解しているし、それに今の状況をを女王が望んだわけでないというのも何となく分かっている。
それでも、呟かずにはいられない。

「あんなの、嘘っぱちじゃない」
心からあふれてこぼれた言葉の意味。
別に女王の行いに不満がある訳ではない、ただ純粋に悔しいのだ。

ルイズが目覚めたその日、モンモランシーはアンリエッタが人々から『誓約の女王』と呼ばれていることと、その経緯をかいつまんでルイズに教えた。
そのとき、涙を流して彼女はこう言ったのだ。
『うれしい。私なんかが姫殿下のお役に立てるなんて……こんな嬉しいことは、他にないわ』
、と。
そうして、自分のことのようにそのことを喜んでいたルイズを思い出して、モンモランシーは薔薇色のその美しい下唇を噛んだ。

「だったらなんで……あの子を助けてやらないのよ……っ」
そう言ってモンモランシーは、テーブルに置かれている一冊の本を見た。



687MtL:2008/07/29(火) 23:05:06 ID:PDn2qi6U
「ルイズ、どうしたのかしら」
舞踏会の翌朝、前日の分かれ際のルイズの様子が気になったモンモランシーは、とりあえず朝食の場で本人から詳しい事情を聞き出す腹づもりでいた。
「おはよう、モンモランシ」そんな風に声をかけてきた幼なじみ、グラモン家の三男坊ギーシュと食堂に向かった彼女だったが、問題のルイズはその場に一向に姿を見せなかった。
きちんと待ち合わせはしている。ルイズはどちらかというと時間に正確な方である。遅刻をするのは珍しい。
心配してそわそわした様子でルイズの部屋を訪ねると言い出したモンモランシーに、「どうせお腹でも壊したに違いないさ。昨日も変なものを食べたみたいだったしね」とギーシュは軽く言って、その言葉を受け流した。
その幼なじみの物言いに呆れたモンモランシーが、ギーシュをその場に残して一人ルイズの部屋へと向かおうとしたそのとき、食堂の入り口に件のルイズがその姿を見せた。

腰を浮かしていたモンモランシーが待つ席へと、ルイズはゆっくりとした足取りで近づいてくる。
その顔色は、心なしか青い。

そして、テーブルから三歩ほど離れた場所で足を止めると、ルイズは小さく、区切りながら言った。
「ごめん、食事は当分、一人で部屋で取ることにするわ」
その何かが張り詰めたような彼女の様子に、モンモランシーは不審を抱いた。
「ちょ、ちょっと何よ、藪から棒に。別に一人で食べたいっていうならそれで良いけど、理由くらい言いなさいよね」
ルイズはそのモンモランシーの言葉に目をつむり顔を伏せて、絞り出した声で応じた。
囁くように一言。
「……ごめん」
彼女はそうとだけ言うと、モンモランシー達に身を翻してしまった。
「ちょっとっ!?」
とっさにルイズを捕まえようとしたモンモランシーの手が、虚空を掴む。
モンモランシーの引き留める声にも耳を傾けず、ルイズは混み始めた食堂の人混みに紛れてしまった。
「っ!」
直感的に、追いかけなくてはいけないと感じたモンモランシーが席を立って、見えなくなったその背を追いかけようとする。
しかし、そんな彼女の勢いを、横からぬっと突き出された杖が遮った。

「やめたまえ」
いつの間にかそこには、男が立っていた。
その白い髪の毛は燃え立つ炎のイメージ、眼下の奥に潜むその目は色眼鏡によって窺い知れない、年月を刻まれた皺はまるで元からそうであったかのようにぴったりと彼自身の堅牢さと組み合わさって隙がない。
あの日、ルイズに呼ばれ『この世界』へと現れた男。性は分からない、只名前だけがある男、彼の名はウルザ。

「邪魔しないで頂戴。あたしが何をしようと勝手でしょ。どこのメイジだか使い魔だか知らないけど、あたしの行く手を阻む権利はあなたにないでしょう」
キッと睨んでそう声をかけるモンモランシーに、ウルザは抑揚のない平坦な声で言った。
「……彼女を追いかけたとして、それで君は彼女になんと声をかけるのかね?」
「そ、……」
「彼女は君に何も語ろうとはしないだろう。それは君達を守るため、何の力もないただの学生である君達を巻き込まないために」
「だったら! 無理矢理でも聞き出してやるんだからっ!」
その言葉に、ウルザは出来の悪い生徒を前にした教師のようにゆっくりと首を振った。
彼のその所作にモンモランシーの血がますます上る。
しかし、次の言葉が氷の刃となって、モンモランシーを突き刺した。
「それで、君は彼女に何ができるのかね? 何の力も持たない小娘である君が、虚無の運命を背負った彼女に、どんな手助けができるのだね?」

688名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:05:37 ID:8D5u6kaO
支援
689MtL:2008/07/29(火) 23:09:40 ID:PDn2qi6U
息が止まる、決定的な宣告。
自分とルイズの間にある溝は深く、広い。
ルイズを捕まえ、彼女から事情を聞き出したとして、それで一体何ができるというのだろう。
伝説でも天才でもない自分に、何ができるというのだろう。

答えは、何も、できない。

……自分は、無力。
何のことはない、そんな自覚。


現実を突きつけられ、己の無力を目の当たりにしたモンモランシーに、ウルザは更に畳み掛けるように言った。
「彼女は恐ろしく強大なものと、この世界の全てをかけて立ち向かわねばならないさだめにある。そして、彼女の隣に君達の並び立つ場所はない。彼女の苦しみは大きく耐え難い、だが、君達にはそこに立ち入るための資格がない」
唇を噛みしめる。
それは、あえて考えないようにしてきたこと。
『ゼロのルイズ』は『虚無のルイズ』で、自分たちとは比べものにならない尊い存在だという、歴然たる事実。
しかし、それでもモンモランシーは、ルイズの側に駆け出していきたかった。
理性では彼女は既に遠い世界の人だと分かっている。
けれどルイズは命の恩人で、何より彼女は臆病な自分に勇気をくれた、

大切な、友達なのだ。



一瞬だったのかそれとも数分だったのか。
気づいたときには、すぐ側からその声が聞こえた。
「もしも」

その言葉に、心を打ち据えられたモンモランシーはのろのろと、見上げる形でいつの間にかすぐ側まで近づいていた長身の老人の顔を見た。
「それでも君が、彼女の力になりたいと、分相応の願いを持つというのなら」
ウルザは杖を持たぬ左手をぬっと差し出した。
「この本が助けとなるだろう」

そう言って、ウルザがどこからか差し出した本を目にしたモンモランシーは、突然ぐらりと世界が傾ぐのを感じた。
視線が本へと吸い込まれた。そして、それを見ているだけで彼女の平衡感覚が不確かになっていく。
まるで自分と自分以外の境界が薄れるような、不可思議。

ウルザの手にあるのは皮の装丁をした、鍵の封印が施された、やや大きい一冊の本。
表面には綺麗な字で何事かが書き込まれている。
モンモランシーは、まるで現実感が希薄となったような夢遊の心地で、それを両手で受け取った。

そして渡したウルザは身を屈めて、モンモランシーの手に本を握らせながら、
「きっと彼女も喜ぶだろう」
耳元でそっと優しく囁いたのだった。



690MtL:2008/07/29(火) 23:13:17 ID:PDn2qi6U
『ドミニア異邦』
簡素なそれが、そのとき手渡されたその本のタイトルであった。
その中身は、ウルザが書いた魔法理論研究の解説書であるらしかった。
『らしかった』と言うのは、未だモンモランシーにも、まだそのほんの大部分を理解するには至っていないからである。

そこに書かれている内容は大きく分けて三つ、『ドミナリア』のウィザードと呼ばれる人々が使う魔法の概要論、『ドミナリア』の魔法と『ハルケギニア』の魔法の比較論、『ハルケギニア』向けにアレンジされた『ドミナリア』魔法の実例。
そのうち彼女が読み終えたのは最初の項目、『ドミナリア』魔法の概要論だけである。

ウルザが生まれたというその世界『ドミナリア』。そこにはモンモランシー達が知る魔法とは似て非なる魔法があり、そしてその土地では魔法を使うもの達をウィザードと呼ぶらしかった。
ウィザード達は、土地からマナと呼ばれる力を引き出して、それを己で精練して、魔法という形に加工して世界に変化をもたらすのだという。

そこに記された土地からマナを引き出すという感覚は、モンモランシーには今ひとつ分からない概念だった。
『ハルケギニア』のメイジは、普通、魔法を使う際には、精神力という自分の力を消費して行使する。
一方ウィザードは、自分の力は使わずに引き出したマナを使って魔法を行使する。
そもそも、根本、力の組成からして違うのである。そんな異界の魔法、異界の知識を一朝一夕、すぐに理解するというのは、メイジであるモンモランシーには少々荷が重いと言えた。
強いて言えば、ウィザードのそれは、周囲の精霊から力を借りるという、先住魔法に近いのかもしれない。
モンモランシーに分かるのはその程度である。

「でも……もしも、ここに書いてある異界の魔法が、本当に使えたら……私だって」
――ルイズの力になれるかもしれない、とは続けられなかった。
力を手に入れて、特別な存在になって、でもそれだけですぐに人を助けられるようにると思うほど、モンモランシーは思い上がってはいなかった。
確かに、平等な立場にはなれるかもしれない。
しかしそれだけである。
真に、ルイズの抱えた問題に関わろうとするなら、まだ何かが足りない。
モンモランシーにはそう思えて仕方がなかった。

「………あ、」
ふと再び窓へと目線を戻したモンモランシーは、開いた門からこちらへと歩いてくる、マントを着けた数人の人影を確認した。
それを見たモンモランシーの体が雷が落ちたように硬直する。
そして続いて慌てて窓から離れ、本を乱暴にベットに放り投げると扉を勢いよく開いて外へと飛び出した。

そう、彼女が目にした数人の中心にいた、その女性こそは、




691名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:16:18 ID:n8gi91gT
しえん
692MtL:2008/07/29(火) 23:17:02 ID:PDn2qi6U
『爆発/Explosion』
呪文に応え、爆発が巻き起こる。

ここはアカデミーの一室。地下に用意された攻撃魔法の実験を行うための一面に真っ白な部屋。
その一面にある、何重にも固定化や高質化が掛けられた壁が、無残にも木っ端微塵に破壊されて、周囲に石の破片をまき散らしていた。

『空想/illusion』
一瞬の後、砕け散った壁が瞬時に元の再形成される。
いや、元の形に戻ったように見えた。

『解除/Dispel』
幻影の効果が強制的に解除され、まやかしの壁が消え去って、そこに真実の姿がさらけ出された。


「はぁ……はぁ……」
一連の呪文を唱え終わったルイズは、はずむ息を鎮めるように右手を胸にやる、そして左手が滝のように落ちる汗を払おうと額に伸びた。
ルイズの手には、彼女のサイズに合わせた手甲がはめられており、それがほんのりと薄く光を放っていた。

「その三種の魔法の扱いに関しては、ほぼマスターしたと言って良いだろう」
少し離れた場所で腕組みをして様子を見ていたウルザが、そうルイズに声をかけた。

「……まだいけるわ。どんどん、次の魔法を……」
口では強がっているが、その実情、疲労困憊という様子でそう口にしたルイズを見ながら、ウルザは腕組みを解いて自分の髭を撫でた。
「その籠手の力は、あくまで君の力を補強するものにしか過ぎない」
彼女が今、手につけている籠手は、ウルザが制作したアーティファクトの一つである。
魔力の集中を助け、本来であれば霧散しやすい魔力を余すことなく活用することで、マナの効率を倍加させるというものである。

「過剰な魔力の使用はやはり君の肉体を破壊する。無理は結果に繋がらない。続きはミス・ルイズの体力と精神力が回復してからにしよう」
ウルザのその言葉に、ルイズは何かを言いたげに含みのある表情を浮かべたが、結局はそれを飲み込んでこくりと頷いた。

正直なところ、ルイズは既に『始祖の祈祷書』に記された虚無のスペルについて、その全てを読むことができていた。
しかし、実際にそれを行使することに関しては、ルイズの病の症状を進行させることに繋がるとして、ウルザから厳しく戒められているのである。
加えて、ウルザは普段魔法を使う際には、必ずその籠手を着用することを義務づけていた。
籠手はルイズの体に掛かる負担を最小限に抑え、症状の進行を進ませることができるとのことである。

兎も角、訓練の時間は終わった。
ルイズはその場に立ち尽くして、足早にその場を立ち去っていくウルザの足音を聞きながら、胸元に下げられた懐中時計の針を見た。
時刻は昼をいくらか過ぎた頃合い。
彼女は思った以上に時間が経過しているのに驚きを覚えつつ、自身もその場を立ち去るべく始祖の祈祷書や風・水のルビーといった貴重品をまとめ始めた。
この後には、彼女にとってとても大切な予定が入っているのである。敵うことなら身を清めてから出向きたかった。



693名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:21:19 ID:mx7VXo37
支援
694MtL:2008/07/29(火) 23:21:38 ID:PDn2qi6U
それから小一時間ほど。
ルイズは扉の前で、未だ薫る石けんの匂いを吸い込んだ。
そうしてその前で深呼吸一つ。緊張の末にヘマをしないように、入った後の行動を頭で再現しながら、心を落ち着ける。
じっくり三呼吸ほども間を取ってから、ルイズは扉を三度ノックした。
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。参りました」
「どうぞ、お入りなさい」
中から涼やかな声が響いた。
「はい」

扉が開かれて、視界が広がった。
正面の理事席に座っていたのは、彼女が心から敬愛する女王陛下であった。
奥に座するアンリエッタは、春の日差しのような穏やかな笑みでルイズを見ている。
彼女の服装はお忍びと言うことを意識したのか、普段よりは幾分か簡素で、華やかさが押さえられたものであったが、それでも事務一辺倒の部屋を華やかな空間に変えてしまうには十分であった。

しかし、そのアンリエッタの姿以上にルイズを驚かせたのは、その前に立ってルイズに背を向けていた、二人の大男を従えた一人の女性の存在である。

例え背中であっても分かる、特徴的な燃えた立つような赤毛、首筋から覗く褐色。
その姿は、見間違えようがない。

「ツェルプストー!?」
そう、そこにいたのは夏期休暇の前に別れ、ゲルマニアへと帰郷したはずの級友であった。
「な、なんであんた、こんなところにいるのよっ!? ゲルマニアに戻ったんじゃなかったの!? それに……その髪、ずいぶんさっぱりしちゃってどうしたのよ!?」
驚きの声をあげるルイズに、キュルケがくるりと振り返った。
にやりと笑ってルイズの方を向いたキュルケの髪は、最後に会ったときに比べて明らかに短い、かつては背中まであったその髪は、今は肩のところで綺麗に切りそろえられていた。
キュルケは依然と変わらぬ動作で後ろ髪を払う動作をすると、笑いを含ませてルイズに言った。
「相変わらずせっかちねぇ。そんなにいっぺんに質問しないで頂戴。それにあんた、今は女王陛下の御前よ? 頭下げなくて良いの?」
「あっ!」
にやにやと笑うキュルケの指摘に、ルイズは今最も重要なことを思い出して、大慌てでその場にひれ伏した。
「ひひひひひ、姫殿下、じゃなかった女王陛下っ! も、申し訳ございませんっ!」
なんということだろうか! いくら驚いたからといって、女王陛下を蔑ろにして良いわけがない!

顔を真っ赤にしてバネ仕掛けの人形のように頭を何度も下げるルイズを見て、アンリエッタはくすくすと笑った。
「良いのですよ、ルイズ。あなたは私のお友達ではありませんか、気を楽にして頂戴」
「はっ、ははっ! きょ、恐縮です」
カチコチに固まってしまったルイズに、アンリエッタは更に続けて言った。
「それにね。あなたに来てもらったのは他でもありません。彼女との再会を喜んでもらおうと思ったからなのです」

   ハァ?

流石にこの言葉には、ルイズも間抜けな返事を思わず返してしまったのだった。



                           第二、第三段階は色彩感覚、温度感覚の変調
                                         ――ウルザ
695MtL:2008/07/29(火) 23:26:05 ID:PDn2qi6U
以上で投下終了です。

「分不相応」となるべきところが「分相応」となっていました……。
今回は誤字以外にも色々と考えさせられる話になりました。

支援して下さった皆さん、ありがとうございましたー。
696名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:31:46 ID:XYJj1r5Q
>>692

症状の進行を進ませることができる

症状の進行を遅らせることができる

では?
697MtL:2008/07/29(火) 23:33:46 ID:PDn2qi6U
>>696
その通りです。

全く反対の意味になっていました…あぅぁー。
698名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:40:01 ID:3LAQy51/
>長女はそう名乗ると決められているから

これ、おもしろい。
古代のローマ女性の名前を思い出す設定だな。
彼女たちの名前は「氏族名の女性形」が基本。
ユリウス一門の女性は皆ユリアなのだ。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:45:54 ID:BGyxUfnU
目は幾つかの色を失い舌は味を失う、って奴か…
モンモランシーに期待せざるをえない
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:48:12 ID:++3oXBRR
ガリレオ・ガリレイの名前も、
「トスカナ地方では、長男の名前には姓を単数形にしてその名前とすることがある」
からだそうだし(ソースはwikipedia)
701蒼い使い魔 :2008/07/29(火) 23:48:59 ID:56Bxq5dc
お疲れ様です、続き楽しみにしていました
続きが出来たので投下したい所ですが、
ゼロHiMEさんも投下準備完了しているようなので明日に出直しま〜す
702名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:55:40 ID:eMEkFpQ8
明日まで五分もないんだが
703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:57:47 ID:ql3WXX7w
>>519
何てタイトル?
704名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/29(火) 23:58:12 ID:Q83Mxpra
俺も腹ペコセイバーで中篇を書いたから後で投下してもいい?
705名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:00:02 ID:eMEkFpQ8
セイバーマリオネットですね。いや、なつかしいなぁ。
706名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:01:04 ID:g3u6ytHB
さあ、明日になったぞ、皆の衆
いや、正確には今日になったか
707名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:01:18 ID:Nz2CnKbx
ガス欠気味のF-86Fを召喚か。しかも初代ブルーインパルスカラー。
708名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:03:55 ID:irZhS7td
>>704
一応確認するがテンプレは読んだよな?
テンプレに引っかからないのならいいんじゃないか?
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:04:28 ID:suC9wTZZ
>>698
アニメ二期の資料集にあるヤマグチノボルの短編にそう書いてありますよー。
710名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:12:35 ID:RC/Qpqsi
>>703
テスト板のルイズさんの華麗なる日常ってやつかな?

>>705
懐かしい、Rの小説とOVAとドラマCD持ってる。
711名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:16:52 ID:UBzDblUU
誰かWAのゼットとか2のトカ&ゲーとか召喚してくれないかなぁ
712名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:26:35 ID:GArWNz8B
トカ&ゲーなら途中まで考えてたな。
アガートラーム召喚で内的宇宙に魔神の力とツッコミの才能を得てしまったルイズがレコ☆キスに参加してるトカ&ゲーとひたすらかけあい漫才を…。
713名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:29:39 ID:HK9NF5B7
じゃあカトレアさんのところに召喚されるゼットだな
714名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:31:42 ID:BhBHT7EC
>型月
そもそももテンプレに蔑称しかないのが問題じゃね?
夏休み期間中だし、ここに来る人全てが、
略称どころか蔑称まで知っていること前提つーのは無理があるぞ?
715名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:32:25 ID:12bb7PNH
ジョゼフがトカ&ゲー召喚か…
能力的には申し分ないはずなんだが性格的な問題で扱いに困るガリア王家が目に浮かぶようだ
716名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:32:36 ID:RmLOyEgS
セイバー支援
717名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:33:00 ID:/Sz7eEfL
プルコギドンVSフーケのゴーレム?
怪獣大決戦ぽくなる訳ですね?
718蒼い使い魔 :2008/07/30(水) 00:45:05 ID:l2cqH1vD
一応、投下してもいい空気かな?
よければ第八話1:00から投下したいと思いますがOKです?
719名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:45:13 ID:hXzu30FG
ゼット召喚されると盲目の少女が
720名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 00:47:51 ID:ZLdJMUg1
ゼロHIMEさんがいないならokじゃね?
721名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/30(水) 00:49:45 ID:ZTo3Diks
まず支援
722蒼い使い魔 :2008/07/30(水) 00:59:01 ID:l2cqH1vD
それじゃあ投下いたします、第八話〜
723蒼い使い魔 第八話:2008/07/30(水) 01:00:12 ID:l2cqH1vD
ヴェストリの広場
そこにはこれから行われる"決闘"―という名の貴族による一方的な制裁
を見物しようと噂を聞きつけた生徒たちで、広場は溢れかえっていた。

「諸君!決闘だ!」
その広場の中心、決闘を申し込んだ男子生徒、ギーシュは
薔薇の造花を掲げ高らかに宣言をする。うおーッ!見物人から歓声が巻き起こる。
「ギーシュが決闘するぞ!相手はルイズの平民だ!」
ギーシュは腕を振って、歓声にこたえている。
一方、決闘を受けたバージルは詰まらなそうに腕を組み目を瞑っていた。

一方人だかりの最前列では、ルイズがバージルと同じように腕組みをしながら見ている
そのルイズに向かい、隣にいたキュルケが話しかける
「あらルイズ、自分の使い魔が決闘するっていうのに随分冷静ね?」
「いいのよ、アイツなら負けないでしょ、何度も殺されかけたし…」
「あら、随分使い魔を信じてるのね、ちょっと妬けちゃうわ」
「ばっばか!そんなわけないでしょ!」
と顔を真っ赤にしてルイズは反論する。
そんなルイズをみてキュルケは苦笑しつつ、隣にいたタバサに話しかける
「それにしても珍しいわねタバサ、あなたがこういうの見に来るなんて」
「あの男が気になる」
と短くタバサは答える、その返答に意外と思ったのかキュルケは驚いた顔を見せる
「あら?あなたバージルが気になるの?まぁ、彼、すごい色男だからねぇ」
もちろんそういう理由ではない、純粋に気になったのだ、
バージルが召喚された時にみた神速の居合、コルベールの炎を切り返した剣に。
そして、チラとみた、バージルの目に。
自身の二つ名、「雪風」が霞むほど冷たく鋭い目、いったいどうなればああいう冷たい目になるのか。
その目に一瞬惹かれていた自分がいたことに。
「ねぇ、タバサ、あなたどっちが勝つと思う?」
と、いうキュルケからの質問によって思考が中断される、
その問いに「まだわからない」とだけ答え、バージルを見つめた。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 01:00:59 ID:wVtLlt4G
ダヴァイ(来い)ッッ
支援ッッ
725蒼い使い魔 第八話:2008/07/30(水) 01:01:04 ID:l2cqH1vD
バージルとギーシュは、広場の真中に立ち、睨みあう、といっても睨んでいるのはギーシュだけだが。
「とりあえず、逃げずに来たことは、褒めてやろうじゃないか」
ギーシュは、薔薇の花を弄りながら言った。
「……」
その言葉にバージルは沈黙で応え、静かに閻魔刀に右手をかける。
「さっきも気になってはいたが、君のそれは剣かね?
平民どもが、せめてメイジに一矢報いようと磨いた牙か。良いだろう、つかいたまえ」
とその様子をみたギーシュは続ける
「これは決闘だ、どちらかが負けを認めるまで続ける、それと僕はメイジだからね、
杖を落としたら負け、というルールも付け加えてあげ―「始めろ、時間の無駄だ。」」

バージルにルール説明を中断されギーシュは顔をしかめる、
「フン、では始めよう!」
そうギーシュは言うと薔薇の花を振った。
花びらが一枚、宙に待ったかと思うと……。
甲冑を着た女戦士の形をした、身長は人間と同じ位の青銅の人形となった。
「僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手す―『―キィンッ!』」
ギーシュが余裕たっぷりに言い切る暇もなく、ゴトゴトッ、と『ワルキューレ』がバラバラになり崩れ落ちた。
「なっ!!!」ギーシュは驚いてバージルを見る、当のバージルはその場を一歩も動かず、閻魔刀を納刀している
バージル十八番の神速の居合、それはこの広場にいる誰も見切ることができなかった。
例え、遠く離れたものであってもその居合は空間ごと切り刻む事ができるなど、夢にも思わないだろう
「おいギーシュ!なに失敗してるんだよ!」と周りからのヤジに、我に返ったギーシュは
そうだ、失敗しただけだ、そう思い、もう一度ワルキューレを一体呼び出す
「見苦しい所をみせたね平民、今度こそこの青銅の『ワルキューレ』が―『―ガキィン!ガキャン!ガキャンガキャン!』」
「こっ!今度はなんだ!?」
異様な音に驚きワルキューレを見る、
そこには浅葱色をした西洋風の両刃剣がワルキューレを串刺しにしていた
それも一本二本ではない、バージルから放たれた大量の幻影剣がワルキューレに襲い掛かる
そして幻影剣が砕け散るのと同時にワルキューレは粉々になった
「うっ…うわああああああ!!!!」
「なっ・・・なんだあれは!」「先住魔法か!?」広場が恐怖に包まれる、
「なっ!なんなんだ!?何をした平民!」
ギーシュは恐怖に駆られ半狂乱気味に叫ぶ
「説明してどうする…これから死ぬ貴様に…」
バージルは静かに答える、その目は凍りつくように冷たく慈悲など全く感じることができなかった。
「うぅ・・・うわあああああ!!!!ワ、ワルキューレェェェェェ!!!!」
そう叫び薔薇の造花を振り回し今度は七体、ワルキューレを呼び出す
その手には槍や剣などが握られている、ワルキューレ達は主を守るべくバージルを取り囲んだ。
726蒼い使い魔 第八話:2008/07/30(水) 01:02:47 ID:l2cqH1vD
時は少し遡り、ここは学院長室
コルベールは、唾を飛ばしながら学院長であるオスマンに説明していた。
春の使い魔召喚の際に、ルイズが人間の男を呼び出してしまったこと。
そしてその契約の証明として現れたルーンが、見た事がないものであったこと。
それを調べていたら……。
「始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』に行き着いた、というわけじゃね?」
オスマンは、コルベールが描いたバージルの手に現れたルーンのスケッチをじっと見つめた。
「そうです!あの男の左手に刻まれているルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』に刻まれていたモノとまったく同じであります!」
「つまり、君はあの男が伝説の使い魔、『ガンダールヴ』であると、そう言いたいのかね?」
「まだ憶測の域を出ませんが、その可能性は大いにあります!」
「ふぅむ、どうしたものかのう、ミスタ・コルベール、あの男と少し話したそうじゃな、何かつかめたかね?」
「彼は、魔法のない所から来た、と言っていましたな、別の世界、という単語がでてきましたが、申し訳ありません、
その時はあまり深く考えていませんでした。」
その通りである、コルベールはバージルに魔法の概念と貴族社会について軽く説明したものの、
彼自身のことを聞くのを失念していたのである。
「なるほどのぅ、今度彼から話を―」
その時、コンコンッっとドアがノックされた
「誰じゃ?」
扉の向こうから、ミス・ロングビルの声が聞こえてくる。
「私です。オールド・オスマン」
「なんじゃ?」
「ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がいるようです。大騒ぎになっています。
止めに入った教師がいましたが、生徒たちに邪魔されて、止められないみたいです。
教師たちは、決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可を求めております。」
「たかが子供の喧嘩を止めるのに、秘宝を使ってどうするんじゃ。放っておきなさい」
オスマンは一つため息をつくとドアの向こうのロングビルに訪ねる。
「まったく暇をもてあました貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるのかね?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」
「あのグラモンとこのバカ息子か。血は争えんのう、息子も親父に似て女好きじゃ、どうせ女関係絡みじゃろう、それで?相手は誰じゃ?」
「それが……、ミス・ヴァリエールの使い魔のようです」
その返答とともにコルベールの顔が蒼白になる
「危険です!すぐに止めなくては!」
「どうしたと言うのかねミスタ・コルベール、そんなにあわてて…さすがにグラモンの馬鹿息子も平民を殺したりは…」
「使い魔のことを言っておるのです!あの男の剣術、人間離れしています!
私でもあの男の抜刀術を見切ることはできなかったのですぞ!しかも、私の放った魔法を顔色一つ変えずに切り返してきました!」
そうまくしたてるコルベールをなだめながらオスマンは言う
「まぁまぁ、いくらその男の剣術が優れているとはいえいくらか神経質になりすぎじゃぞ?
それに、今まであの男が誰かを傷つけたり、殺した事があったかね?」
「そっ…それは…」
「そう言うことじゃ、ミス・ロングビル、放っておきなさい」
そういうと「はぁ・・・、わかりました」という返答とともに去っていく足音が聞こえて来た
「それに、あの男が本当に伝説の使い魔『ガンダールヴ』なのか、確かめるいい機会だと思わんか?」
そう言ってオスマンは杖を振る。壁にかかった大きな鏡に、ヴェストリ広場の様子が映し出された。
727蒼い使い魔 第八話:2008/07/30(水) 01:03:37 ID:l2cqH1vD
七体のワルキューレがバージルを取り囲む
表情を変えずにバージルはそれらを一瞥すると軽くため息をつく
「Humph, How boring.(―フン、つまらん…)」
「舐めるな!行けぇ!ワルキューレェ!」
その言葉を聞き激昂したギーシュは七体全てをバージルに飛びかからせる。
ワルキューレの武器がバージルに迫る、その瞬間―
バージルはその場で、閻魔刀の柄で左右のワルキューレの武器を打ち払う、
そのまま身を翻し抜刀、後ろから飛びかかるワルキューレを頭から真っ二つに斬る、
左右に泣きわかれになったワルキューレが地面に落ちるよりも早く
そのままの勢いで閻魔刀を振い、二体のワルキューレが真っ二つになった。
一秒もかからず三体のワルキューレを屠ったバージルは、そのままゆっくりと閻魔刀を納刀する。
―チンッ!という鍔と鞘がぶつかる音と共にワルキューレが崩れ落ちる。
残るは四体、バージルは静かに佇んでいる。
右の一体がバージルに飛びかかる、それを横目でチラと見ると
ほんの少し上体をずらし攻撃をかわし、柄頭でワルキューレの腹部を打つ、その衝撃でワルキューレは粉々になった、
そのまま抜刀し左から襲いかかるワルキューレの脚を鞘で打ち払う、ワルキューレがくるりと宙に舞い、
頭の位置が地面にむいたところを閻魔刀で胴体を真っ二つに斬られた、
そして残るワルキューレのうち一体に足払いをかけ、先ほどの一体と同じように
宙に舞わせると、一旦納刀しそのまま横一閃、最後の二体を同時に斬り捨てた。

場が沈黙に包まれる
「…………」
「な…何が起こったんだ…?」
「え?俺、目を瞑っちゃったんだけど…?」
「気がついたら、三体倒れてて、あれ?」
という言葉がちらほら聞こえてくる

ルイズはあんぐりと口を開けている
薄々バージルの実力には気がついていたがまさかこれほどとは。
しかもバージルはまるでなにもしていないと言った感じに余裕の表情だ
おそらくあれは本気ではないのだろう。
キュルケはしばらく茫然としていたが、突然クネクネと身体をくねらしはじめた。

「すごい…」
タバサは思わず驚嘆の言葉を口にしていた
流れるように華麗なその剣術、そして体捌きに、
最初、ギーシュがワルキューレを呼び出した際、タバサはずっとバージルを見ていた、
が、一瞬バージルの手が動くのがなんとなくわかったが、その瞬間ワルキューレが崩れ落ちた。
つまり見切れなかったのだ。
数々の危険な任務をこなして来た自分でも、あの男の剣は見切れない…。
背筋に寒いものが走る、もしあの時放ったエア・ハンマーであの男が気絶しなかったら、
自分は何が起こったかも分からず斬り殺されていたかもしれなかった、と。
728蒼い使い魔 第八話:2008/07/30(水) 01:04:37 ID:l2cqH1vD
「…どうした?もう終わりか?」
自分が呼び出した七体のワルキューレ、それが文字通り一瞬で殲滅させられ、
腰を抜かし呆然としていたギーシュにバージルが話しかける。
「あ・・・あぁ・・・」
「参った」そう言おうにも言葉が出ない、いや、そもそも言った所でこの男が見逃してくれるだろうか?
バージルの目は、まるで道端の小石を見るかの如く冷たい、
座りこむギーシュにバージルがゆっくり近づく、その足取りがギーシュの恐怖を煽る
「うっ・・・うわあああああ!!!」ギーシュは狂乱気味に叫びつつ後ろへ後ずさりをした、
目の前の悪魔から逃げるために、だがその努力は報われることはなかった。
ギーシュの周りに浅葱色をした剣 ―幻影剣が現れる、
八本の幻影剣はギーシュの周りを旋回し、ビタッ!と停止した。
その切っ先は全てギーシュの首筋を捉えている
おそらく串刺しにするつもりなのだろう、バージルがニヤリと口元を歪める
「―Die!(死ね!)」


「やめてぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
そう叫び声を上げバージルに何かが飛びかかる、それは主のルイズであった、
「もうやめて!バージル!あんたが強いのはよくわかったから!お願いだから殺さないで!」
ルイズは縋りつくようにバージルに懇願する。
その姿をみて興が殺がれたのか、バージルは
「フン…貴様など殺すにも値しない…」そう言いながら全ての幻影剣を地面へと突き刺した、
幻影剣が消えた瞬間、突如泡を吹いて崩れ落ちるギーシュ、極度の緊張から解放され意識を手放したのだろう。
平民が最下級のドットとはいえメイジを軽々と打ち倒す、そんな歴史的瞬間にも関わらず
歓声を上げるものは広場には存在しなかった。

「行くぞ…」そうルイズに声をかけ、重い沈黙が支配する広場をコートを翻し後にするバージル
「え…?あ…うん…」
呆然としていたルイズは正気を取り戻しバージルの後を追う、
するとバージルは突然立ち止まり、突如虚空へと向け、閻魔刀を抜刀、真空刃を飛ばした。
閻魔刀の魔力が乗った真空刃は塔へ直撃し、強力な固定化がかかっているはずの壁を容易く削り取った。
「え…?な!なにしてんのよ!」
バージルの突然の行動に驚くルイズ、
そんなルイズをみてバージルは
「ただの挨拶がわりだ」
と、納刀しながら何事もなかったかのように返事をし、広場を後にした
729蒼い使い魔 第八話:2008/07/30(水) 01:05:11 ID:l2cqH1vD
「まったく…恐ろしい使い魔じゃのぉ…、まさかわしらが見ていることに気がついていたとは…」
「えぇ…しかもこちらに影響はないとは言え攻撃を仕掛けてくるなんて…」
所変わってここは学院長室、遠見の鏡で決闘の成り行きを見守っていて、
最後に飛んできた斬撃に肝を潰したのかソファーへ倒れるように座り込むオスマンとコルベール
二人は深いため息をつきながら話し合う
「最初の、彼が何をしたか見えたかね?」
オスマンが、最初のワルキューレがバラバラになった事を思い出しコルベールに訪ねる。
「いえ…私には何が起こったのか…」
「わしもじゃ…何も見えんかった。右手が動いたのはなんとなくわかったんじゃが…ありゃやっぱり斬ったのか?」
「しかしあぶなかったのぉ、あれは本気で殺す目じゃったよ、グラモンのバカ息子はヴァリエールに感謝すべきじゃて」
「やはり彼は『ガンダールヴ』です!王宮に報告をして指示を!」
「それはならぬ」
『ガンダールヴ』に興奮しているコルベールをオスマンは嗜めるように言った。
「もし王宮に伝説の、それも強力無比な使い魔がいると知れれば戦などに利用されかねん」
「ははあ。学院長の深謀には恐れ入ります」
「この件はわしが預かる。他言は無用じゃ。ミスタ・コルベール」
「は、はい!かしこまりました!」
「しかし、彼の戦いぶり、ルーンが影響しているとはおもえなかったんじゃが…」
「…そうですね…、もしかしたらあれが彼自身の戦闘力なのかも…」

「「なんと恐ろしいものを…」」
二人がそう呟くのは、ほぼ同時だった。

730名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 01:05:35 ID:wZFC16EK
うおーっ!支援!!
731蒼い使い魔 第八話:2008/07/30(水) 01:07:34 ID:l2cqH1vD
投下完了です。
支援どうもでした!
投下速度が落ちてるけど、私は生きています…
がんばるぜ・・・
732名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 01:15:51 ID:p08gWjcw
お疲れ様です
俺は応援してるぜ!
普段のバージルなら次元斬でギーシュをワルキューレごと細切れにしかねんのに・・・
よく生きてたなギーシュ
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 01:18:00 ID:SdoKBNmD
蒼のヒト乙!

MtLのヒトも乙!あと少し早く帰っていればリアルタイムだったのに
ウルザがモンモランシーにツンデレとは意外(恋愛的な意味ではないが)
キュルケも合流してアルビオン総攻撃まではあと僅かか?
タバサ達は直接アルビオンなのかな?

ところで、久々に親指シフトで打っているがまだまだ意外にイケるな
734名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 01:30:06 ID:yF2M+38Y
蒼の人乙。
ギーシュが助かってもフーケやワルドはどうなるやら。
735松下:2008/07/30(水) 01:37:21 ID:wVtLlt4G
皆様、投下乙でした。

…三週間ぶりぐらいに、地獄ならぬ修羅場から戻ってきました、松下です。
どうにか七月中に間に合いました。
千年王国の続きを、10分後に投下してよろしいでしょうか。
736名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 01:41:19 ID:3/g7OPLw
ktkr
737名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 01:42:16 ID:8ukXvOAQ
ソニー支援
…そろそろよござんしょうか。まあなんといいましょうか、相変わらずです。


《虎よ! 虎よ! あかあかと燃える 闇くろぐろの 夜の森に
 どんな不死の手 または目が おまえの恐るべき均整を つくり得たか?
 …またどんな肩 どんな技が おまえの心臓の筋を 捻じり得たか?
 おまえの心臓が 脈うち始めたとき どんな恐ろしい手が 恐ろしい足が用いられたか?
 どんな槌が? どんな鎖が? どんな炉に おまえの脳髄が入れられたか?
 どんな鉄床が? どんな恐ろしい手力が その死を致す恐怖を むずと掴んだか?》
  (ウィリアム・ブレイクの詩集『無垢と経験のうた』中の「虎(The Tyger)」より)


度重なる戦火に燃える、天空の大陸アルビオン。
シティ・オブ・サウスゴータから敗走し、スカボロー港に集結していたトリステインの敗残兵は、
ロサイスから艦隊に乗って回りこんできたゲルマニア軍の奇襲により、完膚なきまでに殲滅された。

「ハハハ……なんと他愛もない、鎧袖一触とはこのことか!」

勝ち鬨をあげるゲルマニア軍。そこへ内陸側から、風竜に乗った将校たちが味方の旗を持って飛んで来た。
小柄で痩せた指揮官の男は、《ガンダールヴ》のルーンを持つアドルフ・ヒードラーだ。
「やあ諸君、奇襲は成功したようじゃないか。これぞまことのトラ・トラ・トラ、だな」
「おお、ブラウナウ伯爵! いや、ヒードラー総督閣下!」
「いやいや、自分は総督代行ぐらいでいい。アルビオン属州総督の責務は、ハルデンベルグ侯爵に担わせて差し上げよう。
 ちょっと狩りをしてきたところだ。アルビオン軍数万とトリステインの殿軍は、地獄へ落ちてしまったよ」

ゾロゾロと数百ほどの将兵が彼の前に集まり、整列して右手を斜め前に突き出し敬礼する。
「「ジーク・ハイル(勝利万歳)! 総員、傾注!!」」
ヒードラーはにこやかに微笑み、片手を挙げて敬礼に応えた。
「ジーク・ハイル。うむ、ご苦労だったね諸君。この新兵器、ティーガー戦車の威力はどうだったかな?」
「素晴らしい、の一言です! ご覧下さい、この地獄のような光景を! 敵の死体の山を!」

廃墟から立ち昇る熱と血肉と硝煙の臭いに、将校は酷く興奮している。
「自走する車に、強力な大砲を乗せるという大胆な発想! 寸分の狂いもなく組み上げられた分厚い鋼鉄の板!
 それにこの精巧なカラクリ! まさに芸術品です!
 ゲルマニアのメイジが総掛かりで研究しても、とうてい同じものはできますまい!」

異世界からもたらされた超兵器、《ティーガーT》。
全長8.45メイル、全高およそ3メイル、重量は12万リーブル(約56トン)。前面装甲の厚さは10サントにおよぶ。
第二次世界大戦中にナチス・ドイツが開発した、当時最強の重戦車である。
光の矢のように発射される8.8サントの徹甲弾は、秒速750メイル以上の速度で回転しながら、
2リーグの距離から8.4サントの分厚い鋼鉄製の装甲板をぶち抜くことができ、内部で炸薬が爆裂する。
副武装として7.92ミリメイルMG34機関銃×2、NbK39 90ミリメイルSマイン発射機×6。
ハルケギニア程度の文明世界の軍事兵器としては、馬鹿と冗談が総動員というところだ。
強力なメイジかドラゴンの群れでもなければ、まずこれに立ち向かうことはできまい。

今のところ整備と操縦は部下の悪鬼に任せてあるが、訓練しだいでは普通の人間にも扱えるようになろう。
さらにティーガーU、ヤクトティーガー、シュトゥルムティーガーなども、ロマリアから持って来てある。

記録によれば、始祖ブリミルが降臨した『聖地』の門は、数十年に一度活性化する。
そして《ガンダールヴの右手の槍》として、その時代の地球上でもっとも強力な武器をもたらしてくれるという。
ただ基本的に個人用なので、機甲師団として運用できるほどの物量はないし、
ミサイルや戦闘機の大半は墜落して破壊されていた。まあ、AK−47だけはコンテナごと山ほど来ていたが。
砂漠の中にある聖地は、かなり放射能で汚染されているのかもしれない。

さてしかし、一つ問題がある。

始祖の秘宝、『祈祷書』と水のルビーは、ルイズ・フランソワーズともども地獄へ落ちてしまったようだ。
これでは始祖の虚無が復活するのに必要な《四つの虚無》、つまり担い手・使い魔・秘宝・ルビーの四組が揃わない。
おそらく始祖でなければ、あの門を正しく潜るのに必要な知識は持っていないだろう。

だが、あれらは六千年もの間、このハルケギニアなる文明世界を守護してきた強力なマジックアイテムだ。
四大王国同様、一時的に埋没しても、消えてなくなることは決してなかったという。
まぁ、そのうち松下やルイズともども、現世に戻ってくるだろう。
なんなら悪魔に命じて地獄まで回収に行かせてもよいのだし。うん、さしたる問題ではない。
最後には我が神《シーレン》様を復活させ、ハルケギニアも地球も地獄も天界も、我らが膝下に屈服させてくれよう!

ヒードラーはそう思案してほくそ笑み、拳を振り上げてゲルマニア軍を激励する。
「では諸君、天下無敵のゲルマニア軍よ、さらに進軍しよう!
 不実のアルビオンを掌中におさめ、ロンディニウムの異端者クロムウェルどもを滅ぼそう!!
 ジーク・ハイル!!」

「「「Sieg Heil!! Sieg Heil!! Sieg Heil!!」」

「…………」
ヒードラーに、否、ダニエル・ヒトラーに背負われていた魔剣デルフリンガーは、ずっと沈黙したきりであった……。
さて一方、地獄を歩いていた松下・ルイズ・シエスタ・佐藤の一行は……。

「……なんとも、図体ばかりでかくて悪趣味なフネねぇ……冥土の渡し舟に、デザインをどうこう言いたかないけど」
深淵の縁に設置された桟橋には、死人の爪で作られたフネ・ナグルファルが繋留されていた。
これに乗れば、目的地である地獄の中心まで二日ほどで着く、というのだが。

「これでもまだ小さなほうです。ちなみに帆布は死人の皮膚で、綱は髪の毛で、櫂などは人骨でできていますが。
 私ども『案内人』は、この地獄でそれなりの生活を営んでいましてね。
 たまに深淵から浮き上がってくる小型のフネを捕らえて、こうして移動に使うんですよ」
「実に乗る気が起きないフネね……って、私ども?」
「まあフネの上をご覧下さい。なんか白っぽい、虫みたいのがたくさんいるでしょ?」

なんと、フネに群がってさまざまな作業に携わっているのは、みな『案内人』と同じ姿の異形のものばかりではないか。
「「!?」」
「私どもは、地獄に湧く蛆虫のようなもので、生物でもなければ亡者でもありません。
 妖怪、と言うものが一番近い存在でしょうか。……さ、どうぞお乗りください。そろそろ出港です」


一行はフネに乗り込むと、しばらく深海のように静かでひんやりした船内を歩き、適当な座席を見つけて座る。
すると異形のものたちは、静かに『死を讃美する歌』を歌い出し、続いてお経のような『別れの歌』を歌った……。
実に縁起でもないが、出港の準備が整ったようだ。
ピイイーーーッ、と桟橋のそばで異形のものが笛を吹き、チリンチリンと寂しげな鈴の音を響かせた。
「出港ぉ…………っ!!」

ギギイイイ〜〜ッ、と納骨堂の扉が開くような不気味な音を立てて、怪異なるフネは深淵の底へと出港した。
肌を切るような雪風に乗り、ふわりと真っ暗な虚空へ浮き上がる。
……そしてしばらくグラグラ揺れた後、どうやら安定軌道に入ったようである。

船員と話していた案内人は、そそくさとルイズたちの席に戻ってきて、ガイドを再開する。
「ええ皆様、大変お待たせいたしました。反逆地獄コキュトス巡り、これより終点に向かいます。
 よろしければこの毛布をお使いください。機内食が出せませんで申し訳ありませんがね」
よく喋る案内人の冗談を、松下が毛布を受け取りながら鼻で笑う。
「はは、きみも言っていた通り、我々亡者に食事は不要だよ。霊的な飢渇を癒すため、供物などを食べることはできるが。
 しかし冥土のものを水一滴でも口にしてしまえば、二度と現世には帰れなくなるじゃないか」

案内人は体内から淡い燐光を放ちつつ笑い返し、説明を続ける。
「さて、この反逆地獄は四つの円に分かれています。
 外側からカイーナ、アンテノーラ、トロメア、ジュデッカ。
 それぞれに、愛するべき肉親、自分の祖国や党派、守るべき客人、大恩ある主人を裏切った罪人が幽閉されています。
 まあ、見て楽しい光景でもありませんし、全部上空を通り過ぎてしまいますが。
 中心に突き刺さっているのが、造物主たる神を裏切った《悪魔大王》だというのは、先ほどお話しましたね」

左側の硝子窓の向こうに、黒々とした岩山のような、両腕を左右に広げた悪魔大王の姿がぼんやり見える。
数百リーグも彼方にあるはずだが、圧倒的な迫力と存在感だ。見ているだけで体が、いや霊体が重圧を感じる。
ぐいぐいとフネごと吸い寄せられていくような、異様な重圧である。

「あの悪魔大王の醜悪な頭は三つあり、各々の顔色は赤と黄色と黒で、これは三つの大陸に住む三つの人種を表します。
 全身は黒い毛に覆われ、頭には山羊のような角が生え、耳からは大蛇が出ています。
 背中には六枚の蝙蝠に似た皮翼があって、これを羽ばたかせると吹雪が起こり、反逆地獄全体を凍りつかせます。
 また彼はその巨大な三つの口で、落ちてくる罪人の魂を吸い込んでは噛み砕き、硫黄の煙とともに吐き出しているのです。
 まるで噴煙を上げる火山のように……」

「……そいつは、なぜ神様に反逆なんてしたの?」
ブリミル教では、悪魔に関する神学的知識はまだ整っていないようだ。
ルイズは子供のように、案内人と松下に質問していくほかない。
「ふぅむ、諸説ありますね。
 有力な説は、自分が神より優れていると思い込み、宇宙の支配者になりたいと願ったというもの。
 もう一説は、神が自分に似せて人間というものを創造し、自分の地上における代理人とした時、
 土くれなどに跪くことはできないとして背いたというもの。つまり罪状は『高慢』と『嫉妬』による不服従です。
 彼はもともと最初に創造された偉大な天使であり、神に次ぐものとして君臨していたのだそうですから」

「……でも、神様は全知全能で、完全に善なる存在でしょう?
 なんで神様の作った世界は、こんなに罪と悪に満ちているの? なぜ神様に敵対するような、悪魔が存在できるの?
 そいつらが反逆した時に追放なんてしたりせず、すぐ消滅させてしまえばよかったのに……」
ルイズはそう言うと、頭から毛布を被り、不安そうに震えてうつむく。
松下が案内人に代わって答えた。

「神を、善悪とか強弱とかいった、平凡で不確かな人間の尺度で測るべきではない。
 悪魔も神の被造物であり、宇宙のシステムを管理する天使の一種だ。
 人間に試練を与え、霊的成長を促す《神の影》というべきかも知れん。
 神は善も悪も、天使も悪魔も、平和も災いもともに造るのだよ。万物は唯一の源泉から発する。
 全ては神が与え、神が取り去るのだ」
《私が主である。他にはいない。私の他に神はいない。
 あなたは私を知らないが、私はあなたに力を帯びさせる。
 それは、日の上る方からも、西からも、私の他には誰も神がいないことを、人々が知るためだ。
 私が主である。他にはいない。
 私は光を造り出し、闇を創造し、平和をつくり、災いを創造する。
 私は主、これらすべてを造る者である》
  (旧約聖書『イザヤ書』第四十五章より)


明快な答えだ。だが、それを聞いたルイズの震えは、ますます酷くなった。
足元にぽっかりと穴が開き、すーっと底なしの深淵に落ちてしまいそうな感覚に襲われる。
……おお、神が、神が悪を造った、だなんて。

ごくり、と唾を呑み込み、ルイズはさらに質問する。
「じゃ、じゃあ、人間はなぜ罪を犯し、争い、悪事を働くの? 悪魔のせい? それとも神様のせい?」

松下は即答する。
「いいや、人間自身のせいだ。
 自由意志の悪用、無知、無明、欲望……あるいは《原罪》のせいとも言える。
 神の目から見れば、すべて人間が心に思い図ることは、生まれながらに悪く、罪深い。
 外から人の中に入るものは人そのものを汚さないが、心の内側からはあらゆる罪悪が出て来るじゃあないか。
 悪魔は人間に悪事を唆すが、行為の決定権は人間の側にあるのだから。
 ……そして彼らの罪業は、終わりの日に裁かれるのだ」

ルイズはしばらく黙りこくったあと、ぼそりと呟く。
「終わりの日……ハルマゲドン、ラグナロク、神々の黄昏……。
 そして古い世界の終末と、そこの案内人は言っていたわね……」

「ああ。ぼくらが布教している『千年王国』の小冊子を読んでいないのか?
 これから起きるであろう大艱難について、簡単に預言しているぞ」
松下がそう言うと、シエスタがポケットから件の小冊子を取り出し、ルイズと佐藤に手渡す。
ルイズは興味なさそうにパラパラとページをめくり、松下が興奮したような口調で説教を始めた。

「厳しい冬が何年も続き、激しい疫病と飢饉、全世界規模の大戦争、地震や洪水などの天変地異が起きる。
 魔物や盗賊が跳梁跋扈し、人心は腐敗し、食と富と快楽と権力に対する渇望が、罪深い人間どもを衝き動かす。
 現世の終わりは近い。今まさに、現代文明の大破壊が起ころうとしている。
 天から炎と隕石と熔鉱が降り注ぎ、選ばれた人間だけが救われ、悪人は地獄の炎で焼かれるだろう!」
―――完全に異端だ、邪教だ、カルト宗教だ。犯罪的狂人のたわごとだ。
しかし、ブリミル教の聖職者たちが説く抹香臭い教えより、妙に説得力があるように感じるのはなぜだ。
ここが地獄の深淵で、あそこに悪魔大王が鎮座ましましているからだろうか。ああ、なんだか口の中が渇く。

「わ、私たちは、ていうかマツシタは、せ、世界を滅ぼそうとしているの?」

ルイズの発言にシエスタが気色ばむが、松下は彼女を手で制した。
「社会のひずみを生み出している、腐った現体制を打倒する程度のことはする。
 そして築き上げられるのが、人類究極の目的である理想的な世界国家『千年王国』だ。
 最終的に世界を滅ぼすのは、創造者である神自身だよ! 陶工が使い物にならない作品を、みな砕いてしまうように。
 悪に汚染された古い世界が、最後の審判を受けて滅びるのは、神が定めた必然、摂理だ。
 天体が回転し太陽が東から昇るのと同様、止めようがない」

松下は、危険な終末論を口から吐き出し続ける。
「太古の昔から、何度も繰り返し《生命の大絶滅》は起きている。おそらく霊的な革命、進化に必要なのだろう。
 我々のすべきことは、その時が近づいていることを告げ知らせ、なるべく多くの人間を救いに導くことだな。
 ぼくはメシア、救世主なのだから。
 ……とはいえ、救われる人間というのも、神が既に定めているのかも知れんが」

ルイズにはもう、頭を抱えて髪をかきむしることしかできない。
ああ、自分には理解できない。いや、したくない。すれば自分は、真の貴族どころか、正気の人間でなくなってしまう!
「―――――はぁ、神学問答はこれぐらいにしましょう。とにかく、早く現世に帰還しなきゃ。
 アルビオンやトリステインは、ハルケギニアはどうなっているのかしら……」
「現世のことは天に任せるんだな。今は休息の時だ。
 早めの精神力回復のために、瞑想のテクニックをいくつか教えておくよ」

佐藤は黙って二人のやりとりに聞き入りながら、メシアの著した小冊子に目を通していた……。


《栄光あれ 讃えられてあれ サタンよ かつて君臨した天の高みにおいても
 また今 事やぶれて 沈黙の内に夢想にふける 地獄の深みにおいても
 我が魂がいつの日か 知恵の木の蔭にて 御身の傍らに憩えるようになしたまえ
 御身の額の上に 新たな寺院のように その小枝が広がるであろう時に》
  (ボードレールの詩集『悪の華』中の「サタンへの連祷」より)


(つづく)
744松下:2008/07/30(水) 02:00:51 ID:wVtLlt4G
投下終了、支援感謝。
なにやら、ますますえらいことになってきました。ちなみにブレイクは英国の誇るけったいな詩人です。
…そういえば、貸本版では松下も戦車を操縦してボスキャラを撃ち殺したりしてたなぁ。
アナーキーなメシアだこと。

では、また。…今度は少し早めに来ます。
745鋼の使い魔(前書き) ◆qtfp0iDgnk :2008/07/30(水) 02:09:00 ID:HK9NF5B7
松下の人お疲れ様です。
アルビオン編までプロットできたからこっちもどんどん投下するよ
・・・・・・ときに召喚元と関係ない小ネタが混じっていても皆様は気にしないものだろうか?
とりあえず15分から投下予定
746鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/07/30(水) 02:16:09 ID:HK9NF5B7
 アンリエッタが訪れた夜が明けて、早朝。
朝の澄んだ空気の中に旅支度をしたルイズとギュスターヴが、厩番に駅逓乗り換えが効く馬をもらい、学院正門前で馬具を着けていた。
ルイズは普段の制服だが、スカートの下にブラウンのスパッツを着け乗馬用のブーツを履いている。踵に生えた角のような棒拍が朝露に濡れている。
一方ギュスターヴは普段のデルフと短剣に、以前武器屋でデルフにおまけとしてつけさせたナイフ6本を革紐で連ねて体に巻きつけるように着けている。
馬具の具合を確かめながらルイズは言った。
「いい?ギュスターヴ。私達はアンリエッタ殿下からある任務を賜ったわ。その為にまず、国を出てアルビオンに行くのよ」
 しんとする朝の空気にルイズの声が響く。そこには使命感に燃える瞳があった。
「なんで俺まで付いていかなきゃならんかな」
 他方、秘密主義的に振舞う一応の主人に対し、手の内を知っているギュスターヴは少し冷めた気分で抵抗してみる。
「何言ってるのよ!あんたは私の使い魔でしょ!ご主人様が出かけるなら付いていくのが基本でしょうが!」
 指を伸ばしギュスターヴに突きつけるルイズ。彼女の頭が今は任務の事で頭が一杯なのだ、というのがわかる。
 ギュスターヴは小さくため息をつく。
「…で、まずは何処まで行くんだ?」
「ここから大体北西に400リーグくらいにあるラ・ロシェールという町に行くわ。そこからアルビオンへの定期船が出ているの」
「しかし馬では次の『スヴェルの日』までに町に着けるか微妙だな」
「誰だ?!」
 不意に聞こえてきたのはこの場の二人以外の、若い男の声だ。
 警戒しデルフに手をかけるギュスターヴだが、声の主は上空から屈強なグリフィンに乗って降りてきた。馬が慄くなか、グリフィンは行儀よく地面に着地する。
「いや、驚かせてしまって失礼。僕は君達を護衛する為にアンリエッタ殿下に依頼された、魔法衛士大隊のワルドだ。よろしく」
 
 ワルドと名乗った男はグリフィンの背から颯爽と降りると、呆然としていたルイズに近寄り、その腕ですっと胸に抱き上げた。
「久しぶりだ、僕の小さなルイズ!」
「わっワルド様?!」
 突然の抱擁にルイズは顔を真っ赤にして固まった。
「陛下のご依頼に感謝しなければならないな。婚約者と再会できる機会を与えてくれたのだから」
「そ、そんな…昔の話ですわ」
 目を伏せ気味に答えるルイズにワルドは大仰に答えた。
「そんなことを言ってくれるなよルイズ!暫く会えなかったが、僕は君の事を片時も忘れた事はなかった」
 あまりに熱っぽい言葉にルイズはますます頬を染めてしまう。
 ワルドはそんなルイズをそっと地面におろし、二人のやり取りをぼんやりと見ていたギュスターヴに話しかけてきた。
「君がルイズの使い魔だそうだね。いつもルイズを守ってくれて礼を言うよ」
「……ああ…なんてことはない」
 気さくに話しかけてきたワルドに、ギュスターヴは巧く受け答えしきれない。
ワルドはそんなギュスターヴを無視してルイズに聞かせる。
「殿下から預かりものがある。任務を進めるために必要なものだそうだ。もっているといい」
 ワルドは懐を探って何かを手に取ると、ルイズの両手を取って握らせた。それはうっすらと桜色をした便箋に、古めかしい様式で装飾された
薄蒼の石の填められた指輪だった。便箋の方には、赤い蝋に王女の紋章の印で封がされている。
「では、時間も惜しいので出発しよう。使い魔君は早馬を飛ばしたまえ。僕が上空で先行するから見失わないように」
 言うとワルドはやおらルイズを抱き上げてグリフィンに乗せると、手綱を引いてグリフィンを空へと導いた。
あまりの手際に声も上げなかったルイズだが、立ち呆けているギュスターヴに急いで声をかける。
「あ、あ、ギュスターヴ!遅れないようについてきなさいよ〜!」
 ギュスターヴの耳にルイズの声が空へと遠くなっていく。
 つむじ風のように引っ掻き回していったワルドに唖然とするしかないギュスターヴの腰で、デルフがかちゃかちゃ言い出した。
「なんだかすっげーなあの男。おまけにお嬢ちゃんの婚約者だとさ」
「……まぁ、貴族の娘ならそんなのもあるだろうさ。…さて、見えなくなる前に出発するぞ」
 馬が余ってしまうのだが、仕方が無いと一頭を門に繋いだまま、ギュスターヴは急いで馬を走らせ、上空のグリフィンの進行方向へ進んでいくのだった。
747名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 02:16:12 ID:fx/iIy3W
鋼の人の書きたいように書かれるのが宜しいかと

本文より小ネタの方が多いなんてのは勘弁ですが
748鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/07/30(水) 02:18:14 ID:HK9NF5B7



『ラ・ロシェールへ向けて…』



ギュスターヴ、ルイズ、そして現れたワルドら三人がトリステイン魔法学院を出発したほぼ同時刻。当座の目的地であるラ・ロシェールの町の一角に店を構える酒場
『金の酒樽亭』。20年前に店を構えて以来、立地条件から常連客の多くは傭兵や盗賊あがりなどのアウトローばかりで喧嘩も絶えないが、酒の質と量が
顧客の範囲を決めている節もある、そんな店である。
 その日も朝から、いや、前日の晩からどんちゃん騒ぎをしながら酒をかっくらっている一団が店に陣取り、強い酒やら肴やらを食い散らかしながら
荒くれた男立ちが管を巻いている。
そんな店に、ふと見慣れない客が入ってきたな、と酒場の主人は出入り口からこちらに向かってくるものを認めた。
ローブを身に着けて、フードで陰になり顔は窺えないが、その両足には中々の装飾がされたブーツがきっちりと履かれている。
 謎の客はカウンターの椅子に座ると、主人の前にとす、と小気味よい音を立てる皮袋を置いた。
主人がその袋の口をあけてみると、中には新金貨がぎっしりと詰まっている。
「お客さん、そんなに出されても困りますよ」
 金回りのいい客は一見商売として旨みがあるが、荒くれ者を扱ってきた主人は一方で、なにやら危うい背景があるのではないかな、という勘繰りを持った。
 
客はカウンターに肘をついて答えた。その声は、女性。
「宿代も入ってるんだよ。部屋は空いてるかい?」
 それも路地裏で立ちんぼしているようなうらぶれた女ではない。凛としたものが混じった、美女といえる類の声だ。
 主人がその女と宿代の周りで交渉していると、角で酒を飲んでいた傭兵くずれの一団が女を囲むように集まってきた。
「お姉さん、ひとりでこんな店にはいっちゃ、いけねぇなぁ」
「危ない連中が多いからなぁ。怖かったら守ってやるぜぇ、ベッドの中までな、ギャハハハハ!」
 酒臭い息を吐きながら、一団の一人が悪戯のようにフードを引っ張ると、その下から女の顔が覗く。
鼻筋の通った小顔、裏の世界を見てきた人間が持つ鋭い目をしている。髪は特徴的な、鮮やかな緑色。
女を知る者は彼女を『土くれのフーケ』と言う。

酒で調子づいている傭兵達は、それぞれに奇声を上げ口笛を吹いてフーケを見た。
「こいつぁべっぴんだ。見ろよこの綺麗な肌をよ」
 品性の疑わしい声で一人がフーケの顎筋に手を伸ばすが、フーケは蝿を払うように手を振る。
「気安く触るんじゃないよ、蛆虫」
 鬱陶しげに席を立つと、羊を追い込む獣のように男達がフーケを取り囲もうと動く。
やがて一人が手を伸ばしながらフーケに迫る。
「へっへっへ、怖がらなくても悪いようにはげへぇっ!」
 
 フーケの肩に手を置こうとした男は、次の瞬間に何かに弾き飛ばされるように吹っ飛んでテーブルに頭から突っ込んだ。テーブルの上の瓶やグラスが床で砕ける。

 驚いて一団が振り向くと、すっと長いフーケの足が、ちょうど吹っ飛んだ男の顎の高さまでピンと伸びていた。
フーケの足が男を蹴り飛ばしたのだった。

数拍して事態を把握した男達は、酒で濁りきった声でフーケに叫ぶ。
「このアマ!」
 同時に男達はフーケを捕まえるべく手を伸ばすが、フーケの足はしなる鞭のように男達を強かに蹴り飛ばした。
「ぐへぇ!」
「ごはっ!」
「あぎぃ!」
 

749鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/07/30(水) 02:19:19 ID:HK9NF5B7
酒場はあっという間に竜巻が出入りしたかの如き惨状を呈した。窓に首を突っ込んで伸びている者、椅子とテーブルの山に埋もれている者、ある者は
店の柱に叩きつけられてえびぞりで気絶している。酒場の主人は喧嘩程度はいつものことさ、という風情でのんきにグラスを磨いていた。
まだ息のある一人にフーケが近づいていくと、男は子供のようにブルブルと震えて慄いた。
「ま、まってくれぇ!俺達はもうなにもしねぇよぉ!」
「そんなに怖がることは無いだろう?私はあんた達を雇おうと思っただけさ」
 冷ややかに笑うフーケの顔を怪訝な表情で男は見た。
「や、雇う?」
「そうさ。金なら、ホラ」
 フーケはテーブルの一つに、カウンターで主人に渡したように金貨の入った袋を置く。
「一人新金貨で100ずつ渡しとくよ。その代わり後で私の命令に従ってもらうからね」
 
 
 
 金の酒樽亭を後にしたフーケは、そのまま町の路地に入る。路地を進むと脱獄の時に姿を現した、仮面の男が待っていた。
「……お前さんの言った人数は集めたよ。これからどうするんだい?」
 
 
 フーケは脱獄後、このラ・ロシェールまでつれてこられてから、脚の『準備』をしつつ、アルビオンからやってきた傭兵たちから情報を集めるように指示されていた。
しかし前日になって、今日は「傭兵たちを金で集めろ」と指示を受けたのだった。
 仮面の男は地図を渡して話す。
「この印の付いたところに傭兵の半分を待機させて、そこを通った者を襲わせろ」
「残りの半分は?」
「保険だ。暫く伏せておけ」
「ふぅん…まぁいいさ。少なくとも、この『脚』の礼分は働いてやるよ」
 カツカツと地面を踏み鳴らしてフーケは答えた。


ルイズ、ギュスターヴ、ワルドの一行は一路ラ・ロシェールへの道をひた走っていた。
 「走る」といってもそれは馬に乗っているギュスターヴだけの話で、ワルドとルイズは悠々と空を飛ぶグリフィンの背である。
駅逓で馬を変えるたびに疲労の度合いを濃くしていくギュスターヴであるが、懸命に先行するグリフィンを追いかけていた。
 ルイズはグリフィンの上から眼下を走る馬上のギュスターヴを心配した。
「ねぇワルド。あんまり急ぐとばててしまうわよ」
「僕とグリフィンなら大丈夫さ。これくらいの距離はなんでもない」
「そうじゃなくて、下でついてきてるギュスターヴのことよ」
「付いてこれないならおいていけばいいさ」
「彼は私の使い魔よ。放っておく事はできないわ」
 そんなルイズの言葉を聞いて、どこか悲しげな目でワルドは見た。
「どうやら、あの使い魔君に心奪われたらしいね」
「そ、そんなわけじゃないわ!」
「本当かい?まだ僕のことを婚約者として見ていてくれているかい?」
「それは、その…あの頃はまだ、小さかったし…」
「僕は君のご実家の、ラ・ヴァリエールに見劣りしないものが欲しかった…」
 ふと、ワルドの視線がどこか遠くを見ている。
「父も母も亡くなってしまってから、軍に入って出世して、君のご実家にも指差されず会いにいけるくらいになりたかった。
お陰で今は、近衛軍の精鋭の綱とりを任されている」
「出世したのね、ワルド。…でも、私はあの頃と同じ、魔法の使えないゼロのルイズよ」
 そう答えたルイズを、ワルドは優しげに頭を撫でた。
「君は暫く会えなかったから、気分が落ち着かないだけさ。この旅はいい機会だ。ゆっくり、昔の気分を思い出すといいよ」
 爽やかに笑いかけるワルドだが、ルイズはどこかそれを手離しで喜べない。
 再び眼下、懸命についてくるギュスターヴを見るのだった。
 
 
750名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 02:20:26 ID:wVtLlt4G
支援ヌ
751鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/07/30(水) 02:20:31 ID:HK9NF5B7
馬上で汗を流しながら、ギュスターヴは懸命に馬を操って大地を進んでいた。かろうじて街道らしき道筋を通っている事は判ったし、場所場所で立て札の類を見たり、
上空のグリフィンの向いている方角を確認して進む。
黙々と手綱を引いていたギュスターヴに、デルフが話しかけてくる。
「相棒、大丈夫かい?」
「まだ馬に慣れきってないからな。後が怖いな」
 鍛錬を重ねたとはいえ、齢49の身体である。酷使すれば若者のようには行かない時もある。
「お嬢ちゃんとワルドって奴、上で何話してんだろーな」
 上空のグリフィンをギュスターヴは見た。否、グリフィンにまたがる二人を、ルイズに寄り添うようにするワルドを、その眼で見た。
「さぁな。ただ」
「ただ?」
 グリフィンを確認してから、ギュスターヴは手綱を繰って街道を走る。その表情は、苦虫を噛み潰したような渋みを含んで。
「あの若造、何か隠しているような気がするな」
 


場所場所の駅逓で馬を乗り換えること、3度。時間も迫って夕暮れが近い。それだのに四方は川もなく、むしろ丘陵を登っている事にギュスターヴは疑問を抱いた。
「なんでこんな山間にはいるんだ?船に乗るんだろう…?」
 船に乗るなら港に行くものだ。しかし山に入っていって港に出るというのはギュスターヴには理解できない。薄暮の空に影を射し始めたグリフィンを見て、ほのかに
嘆息する。
「付き添わせるならもう少し詳しい指示を出してくれよ。ルイズ…」
 山間の道を辿って行くギュスターヴ。起伏が激しく、木々も茂る中を進んでいると、どこからか複数の松明がギュスターヴの乗る馬の前に投げ込まれた。
「何だっ?!」
 

 火は生草の上でちろちろと燃えるのみだった。しかし次の瞬間、ギュスターヴの馬目掛けて無数の矢が打ち込まれてきた。
 その内に尻に一本の矢が刺さり馬が暴れて立ち上がろうとするのを強引に押しとどめたギュスターヴは急いで手近な木の陰に寄って下馬し、
手綱を木に結んで身を隠した。
「夜盗か…?」
 と、上空を見ると木の陰に暗い空を飛ぶグリフィンが、先ほどよりもずっと小さく見えた。
「あの二人、気付いてないのか…?」
 そうしている間も松明の火を頼りにした謎の弓撃はギュスターヴを囲むように飛び、馬の肌を掠めると錯乱した鳴き声を上げている。
デルフを抜いてギュスターヴは夜盗と思わしき集団に対峙すべく動き出した。
「相棒、嬢ちゃん達に置いてかれちまったぜ?どうするのよ」
「今更引き返すわけも無い。ここを突破して追いかけるぞ」
 これ以上馬が傷つくのを避ける為にあえて影から飛ぶと、矢もギュスターヴを追うように飛んでくる。木や岩の陰に隠れながら自らを射掛ける者がどこに
潜んでいるのかをギュスターヴは探していた。矢の飛んでくる間隔を覚えながら移動すると、薄暗い林の中に弓を番えてこちらを見ている集団を認めた。
「あそこだな…」
 確認するとデルフを地面に刺し、帯巻きにしているナイフを一本、『左手』に握った。
(ガンダールヴというのが身体能力を高めるのならば…)
 呼吸を整え、体から闘争心を引き出す。そして静かに眼を瞑った。
752鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/07/30(水) 02:21:34 ID:HK9NF5B7
 この時ギュスターヴは単にそうするだけではなく、聞こえる音に神経を注いだ。ガンダールヴが武器を握って心を震わす時、体から引き出す力は
筋力だけではないということにギュスターヴは気付いていた。肌に触れる風、聞こえる音、匂い、眼に入る光すらも平時よりも肉体は敏感に捉える事ができるのだった。
そしてギュスターヴの聴覚にははっきりと聞こえたのだ。弓に張られた弦が空気を切る音、飛翔する矢羽の欠けが風を裂く音、木の幹に鏃が刺さるわずかな音も
聞き漏らさなかった。
 活目し、身を乗り出したギュスターヴ。音に聞こえた場所を注視した。薄暮の空、目が捉える光が少ない時間において、ギュスターヴの眼には陽光の下と大差なく、
鮮明に夜盗の弓構える姿を写していた。
「そこだっ!」
 ナイフを握る左手のルーンが光る。ギュスターヴは引き出された身体能力を駆使してナイフを投げた。
 手を離れたナイフは空を回転しながら飛び、寸分の狂い無く夜盗の喉にその刃を滑り込ませた。ナイフが突き刺さった一人の夜盗が、喉を抑えるように呻いて倒れる。
 ギュスターヴはすぐまた身を影に隠した。
「やるじゃねーか相棒」
 地面に刺さったままのデルフが話す。
「ああ。でもナイフも無限にあるわけじゃない。これだけで切り抜けられるかな…」
 反撃を受けると思わなかったのだろう夜盗は矢掛けるのを止めたが、多勢を貨って再び矢を打ち込んでくる。今度は脂を含ませた火矢を混じらせて飛ばし、
辺りの草木に突き刺さるとそこから徐々に燃え始める。
「ちょ、まじやべーぜ相棒!辺りが燃え始めてるぜ」
「しかし今飛び出せば矢に当たるだけだ…くそ!」
 夜盗は一心不乱に矢掛けてくる。仲間がやられてあせっているのかもしれない。
 ギュスターヴの周りを火矢の炎が広がって炙り始めようとしていた。



 と、その時。『真上』からギュスターヴの周囲に降り注ぐ『氷の槍』。燃えかけていた草木で溶けると火を消していった。
 同時に、物陰から矢掛けていたはずの夜盗から悲鳴が上がる。
「りゅ、竜だぁ!」
「メイジが乗ってるぞ!」
「火の玉がとんでくるぅ!」
 悲鳴を上げながら夜盗の声が散って遠くなっていく。ギュスターヴが見上げると、学院の生活で見慣れた竜に、顔なじみの少女が二人乗っていた。
「ハァイ?ミスタ」
「キュルケ!タバサ!」
 

矢を受けて傷ついた馬はシルフィードが咥え、ギュスターヴはシルフィードの背中を借りてラ・ロシェールを目指すこととなった。
どうしてここへ、と問うギュスターヴに対して、
「ミスタとルイズが気になっちゃって、ね?」
 ふられたタバサは頷く。背中には、あの飾ったようなレイピアが背負われている。
「それも持ってきたのか」
「何かに使えるかもと思って。それに出先でも修行ができるでしょ?」
 大人用のレイピアを背負うと、タバサに舞台をひしめく人形のような、ある種の滑稽さを作っている。

「それにしても、使い魔を置いていくなんてルイズも薄情ね」
「いや、ルイズは気付いていなかった。夜盗が襲ったのは地上を移動していた俺だけだった」
「そのワルドっていう人、本当に護衛なのかしら?」
 キュルケは見知らぬワルドの姿を想像しようとした。
「さてな。王女から預かり物を持ってきたところや、先日の王女がやってきた時に護衛をやってきたあたりから、それなりに腕の立つ、
それで高官や王女に覚えがある軍人なのだろうとは思う」
 シルフィードの翼が風を切る中、三人は答え無き考えの中に泳ぐ。
「……ひとまず、ラ・ロシェールという町まで行ってルイズと合流しよう。話はそれからだ」
「そうね。飛ばして頂戴、タバサ」
 頷いて、タバサはシルフィードの首を叩く。
 一鳴きしたシルフィードは、薄暗くなりつつある空を飛んでゆくのだった。
753鋼の使い魔(後書き) ◆qtfp0iDgnk :2008/07/30(水) 02:23:19 ID:HK9NF5B7
投下終了。話のテンポが遅くて申し訳ありません。
小ネタについては話の調子を崩すような使い方はする気はありませんので頑張ります。
そうでもなくても設定の独自解釈が多いですから…
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 02:35:42 ID:UBzDblUU
乙ー
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 02:38:50 ID:8ukXvOAQ
乙でしたー。
ところで、人外はさておいて人間で出てきたキャラの最高齢って歳どれくらい?
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 02:39:32 ID:Qs9MiKbf
鋼の人乙でした
何気にワルドに置いていかれたという展開は初めてかもしれないw

>>710
thx
テスト板でしたか、その他を掘り返しても見つからないわけだ……
757名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 02:51:48 ID:QlYXeRfy
蒼のヒトおもしろかったです。
バー汁には悪童街道まっしぐらで行ってほしいなあ
大概の作品で話が進んでくると使い魔はご主人様の都合のいいように動いてしまってるから
758名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 02:53:38 ID:Xhdx4MZO
最大限の乙を
759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 04:03:05 ID:IF4dU5QH
バージルに殺されそうになったギーシュの今後が楽しみだ
あと恒例のキュルケの夜這い
760Persona 0 :2008/07/30(水) 06:34:56 ID:uc5SjyW/
もう一度推敲してから7時より投下致します。
しかし今回は無駄にいろいろ盛り込みすぎた悪寒がひしひしと。
よろしければお付き合いくださいませ。
761Persona 0 :2008/07/30(水) 06:36:15 ID:uc5SjyW/
もう一度推敲してから7時より投下致します。
しかし今回は無駄にいろいろ盛り込みすぎた悪寒がひしひしと。
よろしければお付き合いくださいませ。
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 06:43:25 ID:1z7Y80vy
重要だから二回?
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 06:47:53 ID:WEkHADEf
鋼の人乙
次も楽しみにしてるわ
764Persona 0 :2008/07/30(水) 06:58:08 ID:uc5SjyW/

 ――我は汝 汝は我 私はイドゥン 私が胸に抱く林檎とは 貴女の胸に宿る不屈の輝きと知りなさい。

「ようこそ、ベルベットルームへ」
「あなたは……」
 長鼻の老人はルイズを歓迎するように腕を広げる。
「再びお目に掛かりましたな」
 掻き鳴らされるピアノの旋律、柔らかくも狂おしいその響きに心を掻き毟られるような錯覚を覚えながらルイズは彼に問いかける。
「あなたたちは誰なの? それに此処は……」
「以前申しましたように此処はベルベットルーム、人の精神と物質の狭間に存在する部屋。私たちは此処で“契約”を果たされた方の手助けをすることをその役割としております」
「“契約”?」
「そう“契約”だ、だが貴女はそれ無しに此処に参られた。故にその運命は私にも見通すことは出来ません」
 イゴールは手を組むと思案げな顔でルイズを見つめる。
「その見通せぬ場所に未知なる何かが眠っているのか、或いは我が主のお導きか、それとも私にもわからない全く新しい“何か”なのか」
 ともかく、とイゴールは続ける。 
「貴女は見事内なる闇を打ち破り“力”に目覚められた――ならば貴女は今宵からベルベットルームのお客人だ」
「こちらをお持ちください」

 ――契約者の鍵を手に入れた。

「貴女が手に入れた“ペルソナ”それは、貴女が貴女の外側の事物と向き合った時、表に現れ出る“人格”
 様々な困難と相対するために自らを鎧う、“覚悟の仮面”とでも申しましょうか」
 そう言うとイゴールはルイズの背後に浮かぶ半透明な影を見た。
「ほぅ、イドゥンでございますか。これはまた数奇なる因縁を感じますな」

 >イドゥン?

「それは此処とはまた異なる場所にて語られる神話に名を残す、女神の一人でございます。
 その娘は永遠を約する神々の林檎の管理者であり、故にこそ敵対する巨人たちによって拐かされた」
「ふーん、でもなんでそんな聞いたことのない神様が私のペルソナなのかしら?」
「さぁて、ひょっとしたら本当に今はいずこかへ御隠れになっている我が主の導きかもしれませんな、ですがお忘れなきよう。すべては貴女の無意識の海より産まれ出でたものなのですから」
 そこまで言って、イゴールはなにかに気づいたように自分の額を叩く。
「おっと長話が過ぎましたな、どうやらご友人がお待ちのようでございます。今宵はこれにて失礼させていただくことにいたしましょう」
「ご利用ありがとうございました」
「えっ、ちょっと待っ……」
 まだ大切なことを聞いていない、そう思ったがルイズの意識は急速に白くなっていく。


765Persona 0 :2008/07/30(水) 06:58:55 ID:uc5SjyW/
 気がつくと、目の前にキュルケの顔があった。
「どうしたのルイズ?」
「い、いやなんでもないわ」
 ぶんぶんと首を振ってぼやけた頭をしゃっきりさせる。
「何か気になるものでもあったの?」
 そう言って不思議そうに聞いてくるキュルケにはこの扉は見えていないらしい。
 しかもキュルケの反応からすると自分がベルベットルームに入っていた時間はほとんど経過していないみたいだった。
「別に、ちょ、ちょっとぼうっとしちゃっただけよ!」
 ルイズの言葉にキュルケは呆れたように溜息をついた。
「貴女が“ペルソナ”を試したいって言うから、こうして付き合ってるんでしょう?」
「そ、そうね、悪かったわよ」
 そっぽ向きながら言った言葉にキュルケは目を丸くする、普段なら憎まれ口が飛んでくる筈なのにここで素直に謝られるとは思っていなかった。
 だがすぐに口元を緩めてくすりと笑った。
 ルイズの話では“ペルソナ”とは仮面と言う意味らしい。
 きっと刺々しい“貴族の誇り”と言う仮面を外した下には、こういう普通の女の子らしい一面もあるのだろう。
「ほらルイズ呆けてる暇はないわよ……フレイムボール!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ――ヒステリービンタ!」
 そう言いながら新しく視界に入ったシャドウに向かって駆け出して行くキュルケと、それを追うルイズ。
 普段腐らせている魔法や新しく手に入れた力を使って戦い、それを磨く。
 日常に飽いた少女と、魔法を使いたいとずっと渇望し続けてきた少女二人は、こんな日常も悪くないと思い始めていた。
 ――その日の翌日、魔法学院の屋上に体の裏表が逆さまのある人物の死体がぶら下がるまでは 
「やったクマ、凄いぞルイズちゃん!」
 だけど今は笑う、手に入れた新たな力と新たな仲間と共に。
 ルイズは生きている。 


766Persona 0 :2008/07/30(水) 07:00:09 ID:uc5SjyW/
 その日、一人の女性と一本の剣が魔法学院の土を踏んだ。

「まったく奇妙な事件だな」
「こんな事件を任されたのが運の尽きだねぇ相棒」
「全くだ、こんなことなら警邏の仕事など引き受けるべきではなかったな」
 軽口を飛ばす相棒にため息一つ。
 使っていた剣を研ぎに出している間の急場凌ぎとして捨て値で買った代物だが、これがなかなかどうして役に立ってくれる。
「しかし分からん、何故ここなんだ?」
「貴族狙いで有名なスリが魔法学院でホトケになってたんだろ? だったら報復か何かじゃなんじゃねぇの」
「それにしてもこれはないだろう」
 そう言ってアニエスは空を見上げた。
 天に向かって聳え立つ火の塔の先端、そこにはもはや人としての原型すら留めないほど破壊された人の死体が引っ掛かっている。
「トライアングルクラスのゴーレムに握りつぶされてもこうはならんぞ?」
「奴さん、よっぽど恨まれていたんじゃねぇの?」
 その言葉にアニエスは苦笑する。
「恨まれていたか、そうかもな。だがそれにしても殺した後で魔法学院まで連れて来て吊るす理由にはならないのじゃないか?」
「さぁね、そこまでは俺っちにもわからんさ」
 そうしてアニエスはもう一度空を眺めると、嘆くように呟いた。
「全く面倒な事件だ、まるで霧のなかにいるみたいに……こんなところでぐずぐずしている暇はないんだがな」
「相棒、あんまり根を詰めるなよ」
 カタカタと鍔を鳴らすデルフリンガーをきつく握りしめ、アニエスは言葉を返した。
「そう言われようと止まれないさ私は、仇をこの手に掛けるまでは……な?」
「そうかい、それじゃあまずは第一発見者の話でも聞きに行くことにしようか」
 口の悪い剣は笑い、女剣士も苦笑しながら歩きだした。
 まるで霧のように捉えどころのない事件へと向かって。


767Persona 0 :2008/07/30(水) 07:01:05 ID:uc5SjyW/
 その日は朝から学院の雰囲気がおかしかった。
 あちこちで囁かれる噂、と平和な学園に満ちるきな臭い匂い。
「でさぁ、火の塔の屋上に……」
「裏返し? うわっなにそれ……」
「しかしこの魔法学院に賊なんて……」
 火の塔の屋上? 魔法学院に賊?
「どうしたのルイズ!? 顔が真っ青よ」
「――なんでもないわよ」
「でも……」
「なんでもないったら!」
 キュルケに怒鳴ってしまってからルイズは自分の言葉に驚いたように唇に手を当てた、怒鳴るつもりなど全く無かったのに胸の奥をチリチリと焦がされているかのよう。
 自分でも何にこんなに苛立っているのか分からず、ルイズは己自身に困惑する。
「ごめん、キュルケ怒鳴ったりして……」
「気にしてないわ、だって貴女が怒鳴っているのは何時ものことじゃない」
「ちょ、ちょっと! い、今聞き捨てならないことを聞いた気がするわよ」
「気にしない気にしない、それより早く食堂に行かないとお昼食べ損ねるわよ?」 
 そんな会話を交わしながら二人はアルヴィーズの食堂へと駆けていく、その背中を見つめる人影が一人。
 どこか寂しそうな眼で喧嘩しながら駆けて行く二人ことを眺めていた。
 一方、そんなこととは関係なくアルヴィーズの食堂では一人の生徒が時の人となっていた。
 青銅の二つ名を持つドットメイジ、ギーシュ・ド・グラモンである。
 
768Persona 0 :2008/07/30(水) 07:02:12 ID:uc5SjyW/
 事件、事件、事件、皆口を開けばそればかりだ! 本当ならば薔薇の美しさについて語り合いたいところだがお望みならば仕方がない。
 そう、僕は確かに見たよ、見てしまったよ! あのケチなスリが学院の塔に吊るされる決定的瞬間をね!
 暗くてよく分からなかったけど、あれはゴーレムだったのかな?
 最初はトロール鬼やオーガ鬼かと思ったけどどう見てもあの動きは生き物って感じはしなかったね。
 時間は真夜中の、日付が変わるかどうかってくらいかな? そんな時間に何していたのかって? ふふ、愚問だねこの薔薇のギーシュ・ド・グラモンにそんなことを聞くなんて。
 ソイツはまるで影みたいに闇のなかから現れると一息に学院の塔を駆け上っていった、それがあんまりにも速くて最初はフライでも使ってるのかと思ったくらいだよ。
 でも違ったみたいだね、塔の傷からすればアイツはなにかを塔の壁に突き刺しながら火の塔を登って行ったんだ。
 まるで化け物だね、そうでなければ先住のマジックアイテムじゃないかな?
 ほらよくあるだろ? 平民向けの安っぽい小説とかでガリアとかの作った魔法人形が暴走してって、あれさ。
 はは、思いつきで言っただけだけど、この推理は案外いいセン行ってるんじゃないかな?
 さて僕はこのへんで失礼するよ、愛しい人を待たせているのでね。
 しかし気付いたのが僕だけって他のみんなは何をしてたんだい? けっこうな音がしたから、他に誰か気づいても良さそうなものだったんだけど……

769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 07:02:30 ID:1z7Y80vy
支援
770Persona 0 :2008/07/30(水) 07:03:21 ID:uc5SjyW/
「ああ、五月蠅かった」
「全くね」
 ギーシュが去った後二人は食後のお茶を楽しんでいた。
 噂に夢中の同級生たちは皆食事を終えて出て行ったため、食堂には人影はまばらにしかいない。
 やはりお茶は静かに楽しむものだ、できれば甘いもの――もっと贅沢を言えば大好物のクックベリーパイ……と一緒に。
 そんなことを考えていたルイズはふと自分に向けられた視線に気づく。
 一体どこから? と考えて周囲を見回すとケーキを配っていた平民の少年と眼が合った。
 ハルケギニアでは珍しい黒い髪と黒い眼、どうやって織ったのか分からない青い服を着て、怪我でもしたのかその両手には不格好に巻かれた包帯を付けている。
 少年はルイズと視線が合うと一目でわかるほどうろたえて、そそくさと厨房へと引っこんでいった。
「なにかしら、あいつ……」
 その態度に釈然としないものを感じる、だけではない。
 その少年の姿を見たとたん訳のわからない胸騒ぎが一層強くなった気がして、ルイズはぎゅっと拳を握り締めた。
「ねぇ、ちょっといいかしらそこのメイド?」
「はっ、はいっ。わたしですか貴族様!?」
 通りすがりのメイド――今引っこんでいった少年と同じ黒髪黒瞳の娘……を呼びつけた、メイドはおそるおそると言った感じでルイズに向かって頭を下げる。
「な、何か至らないところがご、ございましたでしょうか!?」
 まるで取って食われそうだとばかりの勢いで頭を下げるメイドの姿が少しだけおかしく、同時になぜか悲しかった。
「そんなに畏まらなくていいわよ、ちょっと聞きたいことがあるだけだから」
「きっ、聞きたいことでございますりゅでしょうか?」
 必死に敬語を使おうとしているらしいが必死すぎて呂律が回っていない上に、使い方がどこかおかしい。
 よほど貴族が恐ろしいのだろう、別に貴族は平民を取って食ったりなどしないのに……
「ええ、さっきケーキを配ってた平民が居たわよね、貴女と同じ目と髪の色をした」
「あ、はい、サッ、サイトさんですね」
「へぇ、サイトって言う名前なのね、アイツは」
「はっ、はい。半月ほど前いきなり学院の厨房にやってきて「給料はいらないから此処で働かせてください」って、身許がよく分からなかったんですけど、料理長のマルトーさんが殊の外気に入ったみたいでそれ以後一緒に働いて貰ってます」
 変わった人ですよねーと引き攣った顔で笑うメイドをよそに、ルイズはその名前を心のなかで反芻する。
 サイト、サイト、サイト――才人?
 ふと浮かんできた奇妙な文字に頭を傾げながら、ルイズはメイドに礼を言った。
「ありがとう、もういいわ」
「はっ、はい、失礼致します!」
 何度も頭を下げながら少年と同じように厨房へと下がっていくメイド、ふと横を見るとすごくにやにやした顔のキュルケ。
「へぇ、ルイズってああ言うのが……」
「いや、あのね、キュルケ」
「確かにそこまで顔が良い訳じゃないけど、悪くないわよね、可愛らしい顔してどこか陰がある感じとか」
「だからね、違うんだって」
「平民と貴族の身分違いの恋、故にこそ燃え上がるって奴なのかしら。うん、いいわね、アリよアリ」
 そこまで言うとキュルケはぐっと親指を突き出し、
「応援してるからね、ルイズ!」
「話を聞けぇぇぇ!」
 食堂に響くルイズの叫び。
 そんな二人を見つめる人影は、一人で黙々とハシバミ草のサラダをほおばっていた。
771Persona 0 :2008/07/30(水) 07:04:22 ID:uc5SjyW/
以上三話でした。
 前回分がかなり半端になったのでWiki掲載時に2話に吸収して加筆&誤字修正かけておきます。
 誤字指摘して頂いた方ありがとうございました。
 次回はあの人のマヨナカテレビと影戦の予定、頑張って書きますのでよければ見捨てないでくださいませ。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 07:09:23 ID:0PMyJXwn
うちのヨシツネは氷結反射、疾風反射、ランダマイザ、武道の心得を継承してます
773名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 08:07:54 ID:Y9rAttRJ
>>772
ちゅーことはクリスマスをペルソナ合体に費やしたのか…?
なんと もったいない!
774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 08:42:09 ID:dwEUU0IA
サイトもでるのか
どうやってきたのか気になるとこですな
投下乙でした
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 09:02:42 ID:0PMyJXwn
>>773
それはそこ、セーブ&ロードで
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 09:46:11 ID:Nv322CX0
クリスマスで思い出した。

猫の地球儀の幽。
地球に辿りついた瞬間、召還される。
なんか色々楽しそうだな。
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 10:02:33 ID:G0mcR1qf
ラクス・クラインが召喚された場合やっぱブリミル教に替わって
クライン教がハルケギニアを覆い尽くすのだろうか

あるいはスレ違い?
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 10:10:10 ID:IF4dU5QH
うん、該当スレへ行け
779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 10:19:59 ID:qPJOQrGS
>>220
身長 57メートル
体重 550トン

それはそうとゼロ魔クロス派生スレ増えすぎの希ガス
本スレとやっかい村で2本にまとめてもいいような気が
780名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 10:24:57 ID:2iW+pVAP
>>776
本編での展開が悲惨すぎるのであの展開直前の楽も召喚してほしい
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 10:37:15 ID:QEjGb9f6
幽召喚でオスマンとモートソグニルは朧が操作するロボット、というプロット考えてた。
ただ、その展開では決闘でフルボッコにされたギーシュを盛大に黒化させてたのでボツ。
最近の展開でギーシュに情が移っちゃった。
782名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 12:34:36 ID:G0mcR1qf
サムライ系キャラではどんなん来てますかね
五右衛門とショウくらい?

他に呼んで面白いのつったら・・・・・・・・「ジェミニ・サンライズ、呼ばれて参上つかまつりー!」
783名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 12:43:39 ID:Nvqm6HEq
>>782
銀さんを忘れるなんてー!五右衛門とかとはふいんきが違うが。

個人的にはアルカナの神依様とか、覇王丸とか呼んでほしかったり。
784名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 12:46:33 ID:zobpSBxE
牙神さんを召喚したらヤバイなw
785名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 12:47:56 ID:1e3NyB7F
>>782
侍じゃないがMGSからサイボーグニンジャなんてどうだろう?
786名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 12:51:49 ID:G0mcR1qf
センセー! ストゼロのソドムはサムライキャラに入りますか?
787名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 12:54:34 ID:f7/xUoA+
サムスピの侍達は癖の強い人ばかり………
説得不能……羅刹丸、幻十郎、破沙羅、炎邪、水邪、腐れ外道、ボスキャラの皆さん
他にも病気持ちなども……
覇王丸は大当たりだと思う。
788名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 12:58:17 ID:G0mcR1qf
そもそもニンジャとイロモノが殆どでどのあたりが「サムライ」スピリッツなのやら
789名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:11:15 ID:IF4dU5QH
>>781
サムライレンズマンのシン・クザク
彼は生粋のサムライだ
790名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:16:04 ID:Q5wdPOfZ
>>788
それを言っちゃあおしまいよ。だから突っ込んじゃダメ

>>782
それだとタルブにあるのがスターになるかな。

サムライだったら宇宙剣豪ザムシャーは? 守ることに目覚めたあとなら心強いぜ!
791名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:17:12 ID:Wmc1T94o
>>785
発狂して終了だろww
792名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:17:21 ID:QEjGb9f6
ニンジャ……最近のネタを取り入れて甲賀デスシャドー流免許皆伝となったシャドーファルコン。
補助具なしの高飛びで3メートルを跳び、隠業の術さえ修めている。
戦闘力についても組み技と手裏剣によって遠近問題なし。
現代に蘇った刀工「タナカ=サン」の手による刀による戦闘力は圧倒的だ!
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:24:36 ID:iBSlFwZt
侍なら
ウルトラスーパーセクシィヒーロー呼ぼうぜ
794名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:27:18 ID:IF4dU5QH
そういやSAMURAI7からは誰も喚ばれてないな
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:28:54 ID:irZhS7td
忍者か・・・
フクロウ男爵やワイルド、ロケットマンとかどうだろう?
796名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:29:29 ID:Wmc1T94o
ああ、侍と言えばサムライ・ジャックがいるじゃないか
797名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:35:02 ID:YeYnDYnh
侍ならば「えすぴー都 見参」から五条都をだな。

どっちもツルペタでお似合いだ。
798ナイトメイジ:2008/07/30(水) 13:39:02 ID:MqEQ7gPy
流れを豚切りしてワルド主役の回を投下させてください
45分頃からと言うことで
799名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 13:41:46 ID:G0mcR1qf
>>798
おっけー かむかむひやー
800ナイトメイジ:2008/07/30(水) 13:46:38 ID:MqEQ7gPy
時は少しさかのぼりルイズ達がアンリエッタを城外へ連れ出した日の夕刻のこと。
グリフォン隊隊長ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドは詰め所の机に組んだ両手をつき、思考を巡らせていた。
「ふむ」
今晩の城の警備はグリフォン隊である。
その当番となっている隊員達に隊長たるワルドとは別系統で命令を下した者がいるのだ。
いや、命令というには少しおかしいかもしれない。
隊員達は口を濁していたが、どうやらアンリエッタ王女に命令……というかお願いをされたようなのだ。
そのお願いの内容はまちまちではあるが、総合してみると夜のある時間帯に警備の穴を作っておくということになる。
「さて」
なぜ王女が警備に穴を開けるのか。
おそらくは何者かを引き入れるためだろう。
では、だれを城内に引き入れるのか。
ワルドの持つ情報では該当する人物は出てこない。
なぜ引き入れるのか。
これもわからない。
王女を逐一監視しているわけではないが、そのようなことをする理由は欠片も見あたらない。
だが、これが元でトリステインがひっくり返るような事態をとなる可能性は十分にある。
「そうだな」
ワルドは立ち上がり、傍らの杖を腰に挟む。
今夜は正規の勤務以外にも動かなければならないようだ。


そして時間は元に戻る。
苦笑いのアンリエッタとついでのギーシュ、それにあきれ気味で手をうちわにして耳のあたりを扇いでいるベル。
とにもかくにもアンリエッタ一行は夜のトリステインの通りで足止めを食っていた
むぅきーーーー、とばかりに頭をかきむしるルイズが落ち着くまで待つしかない。
下手に触れたらいろんな意味で爆発しそうだし。
そりゃもういろいろと。
だが、その危険きわまりない生体爆発物に触れる強者が現れた。
「やれやれ。せっかく城からうまく抜け出したのに、それじゃ台無しになるじゃないか。ルイズ」
「何ですって……あ!」
ルイズは口を開けたままになってしまう。
そこにはルイズが今のような姿を見せたくない人がいる。
「ワルド様……」
だからルイズの声は懐かしさと恥ずかしさ、それに憧れで震えてしまった。
「久しぶりだな!ルイズ」
「お、お久しぶりです」
もう、どうしようもなく恥ずかしい。
ルイズは赤く染まった顔をうつむけたままになる。
こんな姿を見せてしまってどうしたらいいか思いつくはずもない。
「君との再会を楽しみたいが、少し待ってくれないかな?」
「は、はい」
ワルド様にはしたない女と思われないかしら。
この恥ずかしさはいつになったらなくなるのだろう。
永遠に続きそうな気がする。
ルイズはただ、ひたすらそんなことはないと思いたかった。
801ナイトメイジ:2008/07/30(水) 13:49:07 ID:MqEQ7gPy
メイド服の少女、すなわちアンリエッタの前に立ったワルドは彼女を頭の上から足先まで一通り見たあと膝をつき、頭を垂れた。
「魔法衛士隊グリフォン隊隊長、ワルド子爵と申します。アンリエッタ王女殿下」
「存じています」
魔法衛士隊の中でも彼はひときわ目立つ人物だ。
覚えていないはずがない。
「では姫、深夜の冒険もここまでにいたしましょう。城ばかりでなく街も衛士達により守られているとはいえ何があるかわかりません。どうか城へお戻りください」
「いいえ、できません」
アンリエッタは昨夜の決心をそのままにきっぱりと答えた。
「ワルド、私は自らの責任のために、そしてトリステインのために私自身が行かなければなりません。ですから行かせてください」
「ですが……先ほども申し上げたように姫に何かあればどうするのです。それこそトリステインはどうなるのです」
「何もありません。私は責任を果たした後、必ず帰ってきます」
アンリエッタの声に宿る力は衰えない。
ワルドの視線を受け止め、一歩も譲らず揺るがない。
「しかたありません。では、姫。この一行に私も加えていただけないでしょうか」
「あなたを?」
「はい。実は姫、今宵の警備はグリフォン隊が担当しているのです。このまま姫に旅立たれては、我がグリフォン隊が責任をとらされてしまいます。
 隊は解散となるやもしれません。そうなれば、隊員達の処遇はどうなるか。しかし、これが姫直々の命令であり、隊長である私も同行するとなれば言い訳も立ちます」
「そ、それは」
「それに、姫の一行には我が愛しき婚約者、ルイズが加わっております。できますれば、婚約者を守る名誉を得る機会をこの私にお与えください」
──婚約者?
アンリエッタがそのことを知ったのは今が初めて。
ギーシュはさっきのルイズみたいにうろたえているし、ベルは口元に笑みを浮かべている。
ルイズは両手で赤くなりっぱなしの顔を押さえているけど。
そしてアンリエッタは──
アンリエッタはそれに自らとウェールズを重ねる。
拒否はしたくない。
でも、どうすればいいかわからない。
だからアンリエッタは傍らのベルを見た。
──ここまで導いてくれたベルなら何か教えてくれるかもしれない。
ベルはわずかにうなずく。
それでアンリエッタの心は決まった。
「わかりました。ワルド子爵、同行を許可します。私を、そしてルイズを守ってください」
「では、姫」
立ち上がるワルドは、建物の陰に手を向けた。
「馬車をご用意いたしいました。どうぞこちらへ」


正直、一行はほっとしていた。
目的地のアルビオンに行くには港のあるラ・ロシェールに行かねばならない。
しかし、そこまでどうやっていくか……実は何となく歩いていこうということになっていたのだ。
といっても、ラ・ロシェールは王都の近くにある港町ではない。
けっこう遠いのだ。
そこまでの道は舗装されていて歩きやすいのだが、旅慣れていないアンリエッタに貴族の二人が耐えられるかどうか。
冷静に考えると、ワルドが来てくれてどれだけ助かったかよくわかる。
それに事情を知ったあとにはできる限りの準備を整えてくれた。
これもアンリエッタ達にはまねのできないことだ。
だが、ルイズはいらついていた
──あそこに座るのは婚約者の私のはずでしょ。
御者台で手綱を握るワルドの横に座っているのが事もあろうにベルなのだ。
外の様子をよく見るため、要は見張りということはなのだがルイズはワルドを取られているようで気に入らない。
それが何かとても仲が良さそうで……。
ならば、というわけでルイズは二人の間に割り込んだ。
「ルイズ、どうしたんだい?」
「私、中よりこっちのほうが好きなんです」
「そういえば、ルイズは馬が好きだったね。中より椅子は堅いが、それでいいならこっちにいるといいよ」
「は、はい!」
声が震えていて様にならなかった。
802ナイトメイジ:2008/07/30(水) 13:50:16 ID:MqEQ7gPy
ルイズは「どうよ」とベルを見てやるが、ベルはルイズが思った通りの困った顔なんて全然していない。
口の両端をこれでもかと言うほど広げて笑っている。
──やられた!これじゃ、自分が子爵様をどう思っているか宣伝しているようなものじゃない!!
「なるほどねえ」
何かに納得しているベルに何か言ってやりたがったが、何を言ってもワルドへの思いをあらわにしてしまう。
──またはしたない女と思われるかもしれない。
結局ルイズはのどまで出かかったベルにたたきつける文句を飲み込んで、耐えに耐える。
「ところで、ルイズ。彼女は何者なんだい?学院の生徒じゃないようなんだが」
その声にルイズは体中にため込んだものが抜けていく思いがした。
今にも爆発する寸前だったのだ。いろいろと物理的にも。
これで無理なく話題を変えることができる。
「あ、はい。これは私の使い魔のベール・ゼファーです」
「これ、ということはないでしょ。これは」
「あんたなんかこれで十分よ」
ルイズはそういうが、ワルドはベルを興味深げに見る。
「意外だな。まさか人間を使い魔とするとは思わなかったよ」
「初めまして。我が主の婚約者様。ベルとお呼びください」
「あんた、やけにかしこまっててるわね」
「第一印象は大切よ」
とたん、ワルドは笑いがきこえる。
ルイズの顔にはまた血が上ってくる。ここにいるのはいたたまれないが、離れるのも嫌だ。
「何かおかしな事をしたました、私?」
「いやいや、そういうわけじゃないよ。仲がいいと思ってね。ルイズはいい使い魔を召喚したようだ」
「そ、そんなことありません!こんな、こんな、変な使い魔」
「だが、君の使い魔は役に立っているんだろう。聞いたよ、土くれのフーケを追い払って学院の秘宝を取り返したそうだね。彼女にも手伝ってもらっただろ?」
「そ、それは……」
ルイズはあからさまに沈んでしまう。何か全部ベルの手柄と言われているような気がしたのだ。
「使い魔を見ればメイジがどれほどの力を持つかわかるように、使い魔の働きもメイジの実力を現すものさ。なら、土くれのフーケを撃退するほどの使い魔をもった君の力も推して知るべし、さ」
そういわれると悪い気はしないが、その評価の元がベルとなるといまいち釈然としない。
実に複雑な気分だ。
「それにルイズ、こうやって君と再会して確信したよ」
「え?」
ワルドはルイズの耳元に口を近づけ、そっとささやく。
だれにも……馬車の中にいる二人に聞こえないように。
「君には特別な力がある。そう、他人にはない特別な力が。僕にはわかるのさ」
「え?そんな、まさか」
ルイズにはそんな心当たりは一つもない。
いや、一つあったような気がする。
確か、あれは……
「それってもしかしてこのルーン?」
ベルの声が過去を探ろうとした思索の手を止めた。
それっきりルイズは思い出すのを忘れてしまった。
「知っているのかね?」
「ええ。伝説の使い魔、ガンダールヴ。それと同じルーンなんでしょ?」
「ほう」
「でも、大きな声で言うことじゃないわね」
「なぜかね」
「だって、ルイズは伝説って言うほどの魔法を一回も成功させた事がないでしょ。それに、こういう秘密はかくしておいた方がおもしろいわ」
「まさに、そうだ」
ルイズごしに視線を合わす二人はたがいにうなずきあう。
「君とは気が合いそうだ」
「そうね」
どこか自分の知らないところで二人が通じ合っているような気がしてルイズはとにかく慌てた。
「ちょ、ちょっと二人とも!!ワルド様まさか!」
──ベルのことが!?
803ナイトメイジ:2008/07/30(水) 13:51:44 ID:MqEQ7gPy
「いや、ルイズ。怒らないでくれ。そうだな、今言ってしまおう。実はね、これが終わったら正式に君に結婚を申し込もうと思ってたんだ」
「ええっ!」
「そうなったら、君の使い魔と折り合いが悪かったら困るだろ?」
「え?えあ、あ、ああああ?」
もはやルイズの舌はまともに回らない。
悪い気はしない。
しないのだが、いつの間にそこまで話が進んでしまったのかわからない。
わからないから、舌は絡まり続けていた。


その頃の馬車の中
本来王族が使うものとしてはいささか役不足ではあるが、この馬車もそれなりに高級な代物である。
中で話す声は外に漏れないし、外の声も中にはなかなか響かない。
ただし、大声は別である。
特にルイズが最後に騒ぐ声は鮮明に聞こえた。
「まあ、ききましたか?ギーシュさん。ルイズが結婚をするそうですよ」
「ええ、そうみたいですね」
椅子に座る王女は窓から見える風景に目を移し、少しだけ目を伏せた。
大切な何かを思出すように。
「姫、どうなされたのですか?」
「いえ……ルイズが少し羨ましいと思いまして」
ギーシュはこれでも女心にはたまに敏感になる。
目の前の姫が何を思うのか、おぼろげながらわかりかける。
「あ、いえ。何でもありません。今のは忘れてください」
ギーシュはこれでも忠義に篤い貴族である。
言われたとおりにすっぱり忘れてしまった。

************************************
今回はここまでです。
サイトがいなかった場合、ルイズはやっぱりワルドにべた惚れするんだろうなと思って考えてたら話が長くなってしまいました。
804名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:05:48 ID:qOeWbESP
やはりワルドは優秀だなGJ
このままうまくベルと組んで誘導できれば、レコンキスタにルイズを引き入れることができるんじゃないか?w
805名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:11:29 ID:G0mcR1qf
お疲れ様です
普通なら優秀な貴族で強力なメイジ
普通のマザコンでそのくせツルペタ娘に求婚するただの見境無し男
まともに考えればまあ大抵勝ち組だよね

・・・・・・・そういやギーシュも本来「そっち側」のはずなのだが

806名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:15:57 ID:4qvGMJ/B
誰か、 キョンを召喚してくれ
807名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:17:55 ID:GkfR98Uu
おじゅじゅ

>>806
短編で召喚済み
808名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:22:08 ID:LOheg1aV
綺麗なワルド――どちらかと言えば信念を持った悪役的な存在が多いように思える。
心底『トリステインの忠臣』というワルド、どこかで登場していないものか。
809名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:24:20 ID:FjwDKDpc
>>808
「御立派さま」に啓蒙されたワルドを忘れたのか!
810名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:32:51 ID:S2WJg0Cr
>>808
まだはっきりしてないが、ガンパレのワルドはいわゆる「国士」っぽい感じだな。
811名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:36:55 ID:G0mcR1qf
左手のワルドは裏切り者だけどシビれるよねぇ
812名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:38:06 ID:qOeWbESP
>>809
忠誠の対象がトリステインじゃない希ガス
813名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:41:05 ID:LOheg1aV
>809
まだ呼んだ事が無かったです。いわゆる食わず嫌い、いや読まず嫌いだったというか。
現在読み始めたところですが……笑えますね。うん、これでワルドがどうなるのか非常に楽しみだ。しかも完結済みとは至れり尽くせり。
814名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:50:55 ID:DzxznJ0i
>>804
そういえば作品は数あれ、ワルドがルイズをレコンキスタに寝返らせるというのはないっけ?
815名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 14:59:15 ID:ALbSgZ/m
>>808
「エデンの林檎」のワルドだな
816名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 15:30:22 ID:c4iZX9lW
>>803

ポンコツさん乙
817名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 15:54:46 ID:biuvq8nl
このスレに触発されてちょうどプレイしていた『半熟英雄対3D』を題材に書いてみたはいいけど、
選んだのが『四次元皇帝』だったもんで完全に原作クリアしてない人は置いてけぼりのフリーダム作品になってしまったんだが・・・
分かる人いるかな?
818名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 15:59:53 ID:yOHmHVbB
4次元は、やばい。
あのラッパはどれもやばい。
819名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 16:01:06 ID:qPJOQrGS
>>519
あのパソコン、使い魔だから表示されてる日本語をハルケギニア人が読めます、という設定は見た瞬間吹いた
820名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 16:11:57 ID:kfkJvaGd
>>806
野生動物のキョンが召喚されました
821名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 16:15:40 ID:MygkFBSV
パソコン型使い魔かあ…
A・Iが止まらないの地下にあるスパコンそのものを召喚すれば
822名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 16:20:17 ID:G0mcR1qf
>>806
八丈島のきょんっ!
というワケでこまわりくん召喚
823名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 16:27:52 ID:1e3NyB7F
>>821
A・IときいてG・Wをおもいだした
824名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 16:55:40 ID:5uov4aH9
>>821
大量の電力が供給されないと動かないからちょっときついな。
825名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 17:00:38 ID:txh/nVQl
>>821
AI・・・・・ 「スーパー巨人」召還ですね?
826名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 17:22:16 ID:Wmc1T94o
>>823
なんだ、ワームクラスタでもぶち込んで破壊するのか?
827名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 17:24:48 ID:bGrit1F/
ルイズがアマテラス…無理だな
ルイズがファティマ…騎士じゃないから無意味だな

ルイズがすえぞうを召喚ならなんとかなるか
828名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 17:42:00 ID:CDPayAtK
魔砲の人、今日も来ないかな?
829名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 17:49:44 ID:G0mcR1qf
>>825
今時何処のドイツが知っとんだンなモン

いや、そりゃオイラ知ってっけどさァ
830名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 17:57:53 ID:MygkFBSV
映画化記念で無印時代のフェイト召喚で
831名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 17:58:53 ID:qOeWbESP
>>826
序章というか終章というか、1話目だけあったけどまとめにみつかんねー
832名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:02:43 ID:qdkfly0T
>>825
箱が軽すぎてうっかり落っことして見つかってしまうんですね。わかります。
833名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:18:37 ID:j2GHMI0X
ちょっと遅レスだけど
俺が忍者って言ったらリュウ・ハヤブサに決まってんだろう!
834名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:21:07 ID:Gc4vx9G6
今知ったがOblivionから召喚されてるんだな
Ruined-taleもDark brotherhoodも非常に良いストーリーだったなぁ。
835名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:24:58 ID:3pBor4kN
>>830
無印のフェイトだと契約には応じなそうだ、できるできないは関係なく自分で帰ろうとしそう。
StSのドラマCDはどうでもいいとして、無印映画化は楽しみだ。
836名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:29:24 ID:8ukXvOAQ
>>835
なのフェばっかの百合厨仕様になりそうだし見に行く気しない。
どうせレズ好きのキモオタしかいないだろあんなの見るの。
レズ作品で見られるアニメはせいぜいマリみて程度。あと駄作しかないでしょうに

ペルソナ含むメガテン系見てて思ったんだけど怪奇モノからの召喚少なくね?
837名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:32:49 ID:DzxznJ0i
>>835
映画化ってなのはが?
あれって三作目がすごく評判悪かったらしいけど今はそうでもないんだ?
838名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/07/30(水) 18:34:06 ID:ZTo3Diks
怪奇ものって、たとえばどんなの?
ドラキュラとかフランケンシュタインとか?
839名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:35:52 ID:qOeWbESP
>>836
クトゥルフとかのホラー系は結構小ネタとかでみる印象があるけど
840名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:37:41 ID:xOAVDHDy
>837
StSの評価は微妙。無印は一部に好評。
841名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:47:00 ID:32EFiFVJ
>>869
メガテン版のクトゥルフを召喚しろと言いたいわけですよ、きっと。
セクハラデザイン。
842名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:48:22 ID:vTpS/mUN
>>836
いつからここは作品をたたくスレになったんですか?
アンチは他所でやりましょうね?
843名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:50:09 ID:32EFiFVJ
>>841ミス、
>>839
844名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:54:23 ID:qPJOQrGS
>>837
全体的にリセットかかりました
845名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:54:25 ID:Op3xKePv
>>794
最終回の後のカツシロウとか落下途中のヘイハチで考えた事はあるw
846名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:55:51 ID:3pBor4kN
>>836
同人作品のイメージ混ざってない?

>>837
やはり回帰したいのかもしれない…
847名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:57:51 ID:irZhS7td
>>845
でも、ヘイハチ召喚だと可哀想だよな。
何よりも米が好きなのに、ハルケギニアはパン食文化だもんなw
848名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 18:59:20 ID:vTpS/mUN
>>845
七人の中から一人でも来ればもう当たりの部類だなw
来るキャラの時期にもよるが
849名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:00:17 ID:qOeWbESP
>>847
そこでハルケギニアに米食文化を持ち込むんですよ!
ヘイハチならきっと種籾くらいもってるって!(偏見)

・・・ハルケじゃあんま上手い米にならないかなー
850名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:05:12 ID:vTpS/mUN
>>849
東には普通に米もありそうだけどな
851名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:07:42 ID:miAdAlgE
おお、イドゥン名乗り口上出たか
早速使ったのがヒステリービンタかよw
ペルソナは3からやってないけど期待してます

>>833
タバサ「 お の れ 無 能 王 ! ! 」
852名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:08:31 ID:zobpSBxE
ヘイハチと聞くとサリーちゃんのパパみたいな髪型した三島家の方を思い出す
あのジジイ召喚したらハルケギニアの支配を考えかねんが、他の血縁者よりはマシなんだよな
(一応人間だし)
853名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:30:55 ID:WEkHADEf
最終回後のカツシロウはいい感じになると思うんだけどなあ
しかし発展途上のカツシロウで主砲を跳ね返したり、真正面からの銃弾を斬ったりできるが
そこにガンダ補正がかかるとどうなるんだ?
854名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:31:55 ID:mdXim2V9
提督!!!!!!!!!!!!!!!!!
855名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:36:41 ID:vTpS/mUN
>>853
とりあえずギーシュ戦とフーケ戦は楽勝だろうな

キララから乗り換えるのかも見どころか?
856名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:37:58 ID:Op3xKePv
>>855
キララにはとっくに降られてるからなあ
857名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:41:47 ID:irZhS7td
SAMURAI7のキクチヨを除いた6人は、元工兵のヘイハチも含めてみんな一流のサムライだから、

あのキララの唇を奪った後が、なんとも哀れだったな・・・
858名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:42:14 ID:oMKj0PNe
>>849
召喚される時期は地球でいう四月前後なので、種まきにはギリギリ間に合うかも。

夏休みが終わり、アルビオンに出征する寸前には食えるかな。
859名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:43:37 ID:Op3xKePv
>>857
そのキクチヨですらノブセリ一刀両断したりするから侮れん。
860名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 19:59:35 ID:stUFSrrn
稲作と聞いてメイベル召喚しようと資料集め始めたら終わらなくなってる俺参上

稲作怖いよ稲作。温暖な気候と豊富な水が必須だけど、ハルケに広まったら大変な事になるよ稲作。
ハルケの基幹農作物と思われる小麦の生産能率が中世でだいたい3倍(麦10粒蒔いたら30粒収穫)に対して、
米は江戸時代とかで約16倍(10粒から160粒)ぐらいの収穫効率があったらしい。
しかも熱帯の気候なら4毛作とか出来るんで、単純に考えると64倍収穫効率が上昇するんだぜw

まぁハルケギニア温帯〜冷帯っぽいからそんな大変な事にはならないだろうけど、
米が普及した時の経済的影響とか妄想するとなんかワクワクする俺。
861名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:00:31 ID:kP6N/NVM
>>858
例え種籾だけがあったって、米作りの技術が無ければ意味が無いさ。
それを(断片的にかも知れんが)持ち込む事が出来そうなキクチヨは原作での
敵艦ぶった切り→残骸から足だけ発見と言う死に様を考えると死亡直前とかの
召喚が難しいからなぁ。
しかも全身義体だから、ハルケギニアでは修理が不可能に近いし。
普通の機械とかのように行かないからな、その手の物は。
862名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:03:45 ID:wVtLlt4G
北イタリアは現代では欧州一の稲作地帯でやんすが
アウソーニャ半島はどうなんでしょ
863名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:07:10 ID:/ffBe27o
政府が飼料用米の作付けを奨励すれば稲作農家は助かるのかな
知り合いが3年前に比べて肥料価格が2倍になった、出荷しても赤字だしもう作るのは自分の家で食べる分だけにしようかって嘆いてたけど
資材代が値上がりしても市場で買い叩かれて自分から値上げは出来ない、どうせ減反で作付け禁止されるんだからって
864名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:14:48 ID:KMtjnjEO
アンアンの宴会に米が出てくるSSを読んだ記憶がある。
ただし、ご飯じゃなくてデザートとしてお米のプディング。
才人がマグロの刺身を食べてドン引きされたりと面白かった。
865名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:19:36 ID:WEkHADEf
いっそタルブではお米が採れるとかにしてしまえば
キュウゾウが召喚されたらどんなリアクションなんだろうか
866名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:23:30 ID:f5WH6ZR2
>>864
デルフで魚切って、悲鳴上げさせてたやつだね?
867名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:24:30 ID:8RM7PaDG
妙に社会的な話になってきてるなw
868名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:26:42 ID:ij1OmwCn
しかし米作るには良い水が大量にないといけないんじゃなかったっけ?
まあ、ハルケギニアに無いとは限らんか。
869名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:26:52 ID:hlNEH7L9
この流れはつまり北斗の拳からタネもみをもったおじいちゃん召喚か
870名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:27:21 ID:33qv2szv
>>821
AIと聞いてAI1召喚とか思い浮かんだ。
虚無に目覚めたと思ったらAI1に吸収されるルイズ。
871名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:45:08 ID:tab0K/81
>>868
水の精霊に相談だ
872名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 20:49:46 ID:c0PWAxqy
>>870
ハルケギニア吸収ENDか。破滅へひた走らせるのもおもしろいな。
873名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:02:56 ID:b7XKO44u
>>869
今日よりも明日なんじゃ!
874名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:04:02 ID:CI513c5B
サムスピでちょっと思い付いたんだが、
修羅ルイズと羅刹ルイズとか。
875名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:05:16 ID:dWPVy/lt
あのおばさんがいなければ、まっとうな成長をすると思われる。
876名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:08:51 ID:qOeWbESP
>>874
デフォルイズは、ピンクだから修羅なのか犬が使い魔だから羅刹なのか、さてどちらだ
877名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:14:50 ID:KMtjnjEO
>>867
提督が受けるスレだしね。
政経軍の話は好きな人が多いんだろう。

信仰の危機に曝された挙句、ルイズが堕落してしまう黒蟻が大好きです。
878名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:20:05 ID:hcJNjTrj
記憶喪失系もいけるかも。例えば騎士ガンダムや神秘騎士ネオガンダム、天零頑駄無。仮面ライダーアギトとか。
879名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:21:13 ID:hcJNjTrj
>>878
追記。
それなら「自分はゴーレム?」や「この世界のどこかに自分の故郷がある?」とか物語に深みを持たせやすいし。
880名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:35:37 ID:BhBHT7EC
>食料革命
ジャガイモの伝来で十分じゃね?
中世の収穫倍率
麦:*3〜5
ジャガイモ:*9〜10
米:*10〜30


米はすごいなぁ……
881名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:36:08 ID:vTpS/mUN
>>878
ルイズの家政夫をしながらガンダールヴによって急速にアギトとして覚醒していき、最終的にはこの世界が自分の故郷ではないと気がつくのか。
結構ハードなストーリーだな。翔一君なら乗り越えそうだが
882名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:36:12 ID:sSkUPe2Z
>>878
最近見ないけど、ハクオロさんがそれかな
883名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:40:26 ID:sr5Y9Uyg
ここでうたわれしってDVDそろえたんだ・・・
続き・・・続きを・・・
884名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:41:40 ID:7DrBZgwR
>>881
まだ、最終決戦でライダーキックかましたと同時に召喚された方が楽だわww
ルイズにキック当たりそうだけどwww
885名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:42:53 ID:vTpS/mUN
>>884
あんな凶悪キック当たったら死ぬからwwww
886割れぬなら……(0/4):2008/07/30(水) 21:43:08 ID:Td/15JSW
8月まで投下はしないとキッパリ言ったばかりなのに……
スマン、ありゃウソだった。

10時頃から作品を投下します。

もしも蒼天版曹操と賈言羽とあの人とあの人が召喚されたら。
887名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:44:05 ID:miAdAlgE
ワルド「お前はメイジではない。何故これほどの力を・・・何者なのだ、お前は!?」
サイト「ただの・・・・・・人間だ!!」

なんという燃え展開
888名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:53:21 ID:OhDNnBqY
仮面ライダーアギトか。
あかつき号で力を解放した黒い服の青年――彼があの瞬間召喚されたほうが大変だろう。
889名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:55:41 ID:7DrBZgwR
>>888
志村!白!白!白い服の方!通称光の力。モチーフは明けの明星!
(だからあかつき号)
890名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 21:58:28 ID:stUFSrrn
ソウソウの人待ってましたー!

>>880
ジャガイモは穀類と違って保存性が悪いから決定的な経済効果に欠けるんだぜ。
農業史研究家の間でも穀類は文明を生み出すけどイモは生まないってのが通説だったんだぜ。
一月ぐらいしかもたないイモじゃ備蓄→蓄財→特権階級の発生→文化の発達ってプロセスが発生しないんだぜ。
マヤ・アステカはジャガイモの賜物って説も有力なんだけど、その場合保存用の干し芋の存在が必要不可欠なんだぜ。

文明人はアホだから、保存できる食物が増えると戦争したがるらしいんだよな(収穫期を気にせず戦える)
あと余剰作物は貨幣との換金を加速するから商業の発達が促進するとか……オラなんだかワクワクしてきたぞ。
891名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:00:13 ID:ET2VcP1u
ギルス召喚しちゃったらルイズ死ぬだろうな。
892割れぬなら……(1/4):2008/07/30(水) 22:00:31 ID:Td/15JSW

「ほんっ……とに! アイツったら一体全体何を考えて毎日生きてるのかしら」

ヴァリエール家の屋敷の中庭で、不機嫌な少女が小石を蹴りあげる。
両頬をぷくぅっと膨らませて、ルイズは1人ツェルプストーの屋敷のある方向を睨んでいた。
アイツとは曹操の事だ。
降臨祭での上奏、リッシュモンの処刑から2年、ルイズはかろうじて魔法学園を卒業した。
コモンマジック以外全く魔法が使えない駄目メイジの称号は、ついに返上する事はできなかったが。
今は領地で何をするでもなくダラダラと過ごしていた。

アンリエッタは例の一件で貴族に対する不信感を覚え、銃士隊と呼ばれる部隊を結成させた。
その半数以上が平民、残りも比較的中央の権力闘争から縁遠い下級貴族によって構成されている。
隊長は曹操、その下にコルベール、アニエス、さらに魔法学園からギーシュやレイナールといった面々が引き抜かれた。
後の歴史家に言う『曹操と愉快な仲間達』の誕生の瞬間である。

それはそうと曹操はアンリエッタから賜わった領地の管理をルイズに、銃士隊の管理をレイナールに丸投げし、自分は毎日ガラクタ弄りをしていた。
冒頭でルイズが非常に不機嫌だったのは、そのせいだ。
なお開発資金はツェルプストー家持ちである。
どのような詐術を使ったのかはわからないが、曹操はキュルケの家族から好印象で迎えられている。
ルイズはその点も気に入らない。
今更曹操をルイズ個人の所有物だと言い張るつもりは無いが、ツェルプストー家に出入りするのだけはやめてもらいたかった。

「ソウソウも、コルベール先生も、キュルケも、あんな鉄クズ触って何が楽しいのかしら?」

「さて……ね。だけど、君の姉上は楽しんでいる様子だったよ」

中庭にワルドが現れる。
ワルドはルイズの帰郷に合わせ、本当に久しぶりに自分の領地に帰ってきていた。

「ちぃ姉さまが?」

「いいや」

消去法で、ガラクタ弄りに参加しているのがエレオノールの方だとわかる。
ルイズはそれを確認すると心底ホッとして、数秒後に今までにない位に眉間に皺を寄せた。
893割れぬなら……(2/4):2008/07/30(水) 22:02:15 ID:Td/15JSW

「まさかソウソウの奴、今度はエレオノール姉さままで手込めにする気じゃないでしょうね。
 嫌よ私、あんなのを『お義兄ちゃん』だなんて呼ぶのは」

「さぁて、わからないぞ。
 君の姉上は今の所特に決まった相手はいない様だし、何より我らのご主君は色を好むからね」

ルイズはムスっとした顔はそのままに、ワルドを睨む。

「我らって何よ? ワルドはともかく、私はソウソウに忠誠を誓った覚えは無いわよ」

ワルドは少し笑って、上質の白ワインと一緒にルイズの隣に座った。
グラスに少量注ぐと、液体は太陽光を吸って七色に輝いて見えた。
相変わらず不機嫌な少女は奪い取る様に杯を握り、一息でそれを飲み干した。

「ねぇワルド、どうして貴方はソウソウのために働くの?」

「そりゃあ、忠誠を誓ったからさ」

酒で唇を濡らしながら、ワルドは答える。

「じゃあ。アルビオンでソウソウから『仕えろ』って言われた時。
 何でワルドは断らなかったの?」

「空腹で、睡眠不足で、疲れていて、追い詰められていて、正常な判断能力を失っていたからだと思うよ。
 ……幸運な事にね」

くいっ……と、2人同時に酒を煽る。

「そういう事が聞きたいんじゃないの。わかってるんでしょ?」

「それはね、ルイズ。僕が出世をすればするほど、自分が何のために、誰のために働いているのかが鮮明になっていったからだよ。
 僕がどんな苦労を重ねて今の地位を手に入れたか知ろうともしないくせに、僕に命令できる事を疑おうともしない連中さ。
 彼等を蹴落とすには、ソウソウに仕え、ソウソウの手足となるのが最も有効な手段だと僕は思っている」

「よくわからないわ」

「『士は己を知る者のために死す』つまりは、そういう事だよ」
894名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:03:23 ID:SPxRkD1O
支援だと? ならばよし
895割れぬなら……(3/4):2008/07/30(水) 22:03:30 ID:Td/15JSW

ルイズはボトルごとワインを奪い、一気に飲み干す。
味も匂いもわからないうちに喉を通ったそれは、数瞬の後に吐き気に変わった。

「そんな飲み方をしたら、体に悪い」

「うるさいわね、わかってるわよそんなこと!」

そう、わかってはいるのだ。
曹操がトリステインの屋台骨を揺さぶろうとしている事も。
自分が使い魔に比べて、極端に矮小な存在のような気がする事も。
魔法が使えるとか、使えないとかいう問題ではない。
行動力、影響力、それが圧倒的に足りない。
足りないままでは、トリステインを守れない。
今は女王になった、自分の親友を守れない。

「ワルド、利己的な人は私も嫌い。
 だけど、私は姫様を守りたい。
 どうすれば良いと思う?」

「簡単さ、君もソウソウに仕えれば良い」

簡単に言うが、ハルゲニアの常識で言えば破天荒にも程がある発言である。
メイジが平民に仕える。
それだけならまだしも、メイジが使い魔に仕える。
それはとてもとても常識外れだと言えよう。
しかし曹操に仕える者は、常にその常識という物に立ち向かわなくてはならないのだ。

「決めた、旅に出る」

ルイズはゆっくりと立ち上がる。

「仕えるって言ったって、何の取り柄も無かったらソウソウだって使いずらいに決まってるわ。
 今の私、何の取り柄も無いもの。
 だから旅に出て、勉強する」

そして力をつけて、親友を守る。
そう心の中で誓った。
896割れぬなら……(4/4):2008/07/30(水) 22:04:55 ID:Td/15JSW

同じ頃、ガリア王都リュティスは雲一つ無い晴天であった。
気温、湿度共に快適で、昼寝にはもってこいの昼下がりだと言えよう。

そんな中、プチ・トロワ宮殿の王女の部屋の前で、泥だらけになったオッサンが佇んでいた。
原因はわかっている、王女イザベラの侍女達が卵やら泥の詰まった腸詰めやらを投げつけたからである。
男の名は賈言羽、ガリア王ジョゼフの直属の部下、外交官。
王女はともかく、下働き程度は無礼討ちのできる身分である。
……いや、下手をしたら王女すらただでは済まされないかもしれない。
侍女達は怯えに怯え、必死になってカーテンの奥に身を潜めた。

「ふ……ふん、誰かと思ったらカクじゃあないかい。
 こんな所に何の用だい?」

かろうじて放心状態から回復したイザベラが、普段通りのふてぶてしさを取り戻した。

「ガリア王より直々の命令でございます。
 北花壇騎士7号殿のエギンハイムの翼人討伐に同行せよと」

そう言って賈言羽は懐からガリア王直筆の書類を取り出す。
卵黄で文字が滲んでいるが、それにツッコミを入れられる人間はいなかった。

「まったく……また父上の気まぐれかい……わかったわよ、とっととお行き」

まるで汚物でも見るかのような目をして……いや、現実に今の賈言羽は見事なまでに汚いのだが、
イザベラは鬱陶しいとでも言いたげな顔で賈言羽を見る。
賈言羽はその視線を意に介さず、イザベラに背を向け退室する。

「礼と無礼の区別もつかぬか。
 父子ともども大した王族っぷりよ……」

そんな言葉が、小さな声の割に妙にハッキリとイザベラの耳に届いた。

「待ちな。今、何て言った?」

室内が凍りつく。
侍女達がより一層の恐怖に怯えた。
賈言羽はイザベラを無視して歩き続けた。

「待てって言ってるんだ!」

イザベラの怒声に反応して、入口のガーゴイルが動き出す。
身長の倍ほどもある大きな槍を振り上げ、勢いをつけて投擲。

賈言羽はほんの少したりとも避けるそぶりを見せなかった。

大槍はぶぉん、という音と共に賈言羽の脇を通り過ぎ、イザベラの真後ろにあった絵画に風穴を開けた。
そのまま賈言羽は部屋を出た。
イザベラの命令によってのみ動く筈のガーゴイルは、それを止めようともしなかった。

部屋の外でその一部始終を見ていたタバサは、事前に渡されていた物を彼に放ってよこした。
洗濯されたばかりの綺麗な布を受け取ると、賈言羽はそれで顔についた汚れをぬぐった。
897割れぬなら……(5/4):2008/07/30(水) 22:06:16 ID:Td/15JSW

コモンマジック以外全く魔法が使えない駄目メイジの称号は、ついに返上する事はできなかったが。

……大事なことなので、2回言いました。

今日の分はこれで全部です。
次回は金曜10時30分に投下予定。

当分の間、曹操の出番はありません。
898名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:15:18 ID:JyvVEh0Z
蒼天の人帰ってきたー、乙です

ルイズに結局何もかも忘れて帰ってきたフラグが立ったか?
899名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:17:08 ID:bNXaIYW4
提督はまだなのか?
900名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:18:52 ID:YeYnDYnh
百姓を召喚なら、カムイ伝の正助がいいんじゃなかろうか。

農民の生産力を高めて、武士と農民が対等な社会を作ろうとしたやつだし。
農地の開墾、肥料や農機具の改良など、知識もあるし。
901名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:19:12 ID:m1qGgYaJ
ルイズの前歯欠けフラグか
902名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:30:25 ID:irZhS7td
「お前、一体何があった?」って位、人が変わって帰ってくるんだろうな・・・
903名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:35:19 ID:ZTo3Diks
白土キャラならサスケのほうがいいな
904名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:37:16 ID:OhDNnBqY
百姓……駄目だ、牧場物語(というよりもルーンファクトリー)からの召喚しか思いつかない。
905名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:40:17 ID:k/xD6HJB
カトレアって病弱だけど最初から死んでいたり
途中で死んでしまった作品ってあるかな?
906名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:41:16 ID:N1pKjLQX
>>903
だが召喚されたのは「ニニンがシノブ伝」のサスケ
907名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:44:12 ID:pKAtuPu3
>906
もちろん集団だよな?
で、何故か音速丸さんまで付属していると。
908名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:44:54 ID:FyWK+xjb
>>903
だが召喚されたのは清涼飲料水サスケ。
「ナニ?サスケ?」
909名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:50:13 ID:3LMUTHNr
>902
旅先で路銀稼ぎに工事現場のアルバイトをしたところ
ムキムキマッチョな猫柳建設の一員になるんですねわかります。
910名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:51:11 ID:SPxRkD1O
今更ながら曹操の人GJ。やはりカクは賈言羽でいきますか。

>>905
貴様は俺の嫁をなんだと思ってやがる。
カトレア主役SSもっと増えないかな……。
911名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:52:48 ID:biStc34u
SASUKEのあのセットと、SASUKEがどういう競技かって言うのが分かる資料が召喚される訳だな。
あんな完走するだけで大騒ぎになるマイナー競技なんて、ハルケギニアじゃ誰もやらんだろうがw
912名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 22:54:06 ID:k/xD6HJB
>>910
ごめん
悪気はないんだ
ただ知りたかっただけで
913名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 23:01:48 ID:2BQqMp25
>>912
シマイスレへ行けばシアワセになれるよ
914名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 23:10:15 ID:Qs9MiKbf
農業召喚と聞いて、アストロノーカが真っ先に思い浮かんだ俺はどうしよう

>>900>>904
放送禁止であぼーん

>>911
あれはメディアあってこそだしな。
ハルケじゃキツかろう
915名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 23:19:42 ID:HWBo1hvW
姉妹スレで仮面を召喚したルイズを見て、スプラッターハウスのヘルマスクを召喚したらとんでもない事になると思った。

なにせムキムキマッチョのルイズが、ゴーレムや亜人を素手でボコボコにするイメージしか浮かばない。
916名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 23:36:53 ID:Dp4C9I4/
>>915
ラスボスは怪物にされたカトレア姉さまですね。
917名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 23:50:24 ID:RqbcadgN
>>908

冒険活劇飲料か。
なつかしいな。ひと夏で消えたが。

蓋を取れ取れ中身を捨てろ 逃げ道無いぞ サスケ!覚悟!
オーオーオーオー、ヤー! 全部捨ててやる
来るぞ来るぞ来るぞ来るぞ手ごわいぞ
飲めよ飲めよ飲めよ飲めよ残すなよ
サスケ サスケ おいら飲み物 名はサスケ

一本のサスケが二本のサスケに三本に四本に 五本! 十本!
オーオーオーオー、ヤー! 全部本物だ
(以下略)

918名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/30(水) 23:51:58 ID:i7rSvdj3
>>907
音速丸「貴様ぁ!幼女で妹だからっていい気になるなよぉー!もちーと可愛らしく振舞えってんだーい!!
そしたら僕ちゃん段々気持ちよくなってきてねでもってねでもってねへけけまあそんな感じよぉーん(はぁと)」
ルイズ「やかましいいい!!」
919名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:02:14 ID:sYkoI45E
誰か聖剣3のブラックラビを召喚した話を書いてくれんかね


召喚のショックで普通のラビの姿になってしまうブラックラビ。
初めの頃は最強のザコキャラのプライドもあって、ルイズの言う事を聞かなかったり歯向かったりするけど、
精神は肉体の奴隷とか何とかで、思考が段々普通のラビのようになっていく。
ブラックラビは、「これはマズイ」と思いながらもだらだらと日が過ぎてゆく。

ガンダールヴのルーンは左耳に印される。
耳を手のように使うから(俺設定)、というのは無理があるかな。

ギーシュとの決闘はルイズに巻き込まれる形で。
ルイズは失敗爆発、ブラックラビは投石(ルーン効果で威力増)で辛くも勝利もしくは引き分け。

フーケに盗まれたのは破壊の杖ではなく「何かの欠片」
実はコレ、砕け散ったマナストーンで、これに触れたブラックラビは普通のラビから「ラビリオン」もしくは「キングラビ」にクラスチェンジ。
キングラビの方が良いかな。「ラビラビ雨あられ」が使えるし。そんなこんなでゴーレムを何とか撃破。できるかね?
ブラックラビがクラスチェンジをするとマナストーンの欠片は力を失う。

ブラックラビはマナストーンの欠片を見つけ出して用いれば、そのうち元の姿に戻れるのでは、と希望を抱き、ルイズもとりあえず満足。めでたしめでたし。


というのはダメかい?
920名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:03:57 ID:qdqk6Iww
ホーリーブラウニーからフィオかピオラ召還しようかと思ったけど一夜じゃ終わらないんだよな
うまい設定ないものか
921名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:11:21 ID:c9yKnh6I
>>919
自分で書くというのはダメかい?
922名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:11:38 ID:IoGiOMty
>>919
そこまで細かく考えてるなら、自分で書いたほうが早くないか?
923名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:14:03 ID:sYkoI45E
自分で書くとなると、まず文才を得るためにドラゴンボールを見つけることから始めないといけなくなる
924名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:14:59 ID:O8nH4vKB
それは私の能力の範囲を超えている。
925名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:15:16 ID:Ws/GmW96
>920
魔王を倒すまでいつまでも夜のまま、何時までも日が変わらない、という話があったっけ。
926名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:16:40 ID:i8/GodfZ
>>920
召喚したけど気付かないルイズ
しかし影で彼女らブラウニーは、神の意思(原作)に沿わせるため
影でキュルケやタバサやマリコルヌやらに妖精的超技術で手助けするのである!!

待て、もしやすればグロどころじゃないぞ!
927名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:17:36 ID:1tVqL08l
>>919
小ネタの零と黒を見て我慢したまえ
928名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:19:45 ID:5wV94h4/
俺にもっと文才があればゼッド召喚SSを書いているのに
プロットを考えるのだけで精一杯ですよ
929名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:20:40 ID:rY0sawFu
さて、気が付いたら480KB超えてるのだが、次スレを立てたほうがいいのだろうか?
930名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:21:56 ID:9AWR1+j1
>>920
ルイズの召喚時に、手助けするって言うのはどうだろう。
実は、サイトはルイズが召喚したのではなく、フィオたちがルイズに与えた。とか
931名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:22:20 ID:sYkoI45E
>>927
おお、もうあったのかい
あちゃー、だな
932名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:23:08 ID:nNgSSLJe
>>931
ネタとしては全く別ベクトルだから気にするな!
933名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:26:46 ID:rY0sawFu
何の反応もなかったが、テンプレに従い新スレを立ててみた
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1217431486/
934名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:29:58 ID:nNgSSLJe
>>933
全くもって気がつかなかったので乙
935名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:30:56 ID:1GnQBvvF
>>933

危ない危ない
936名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:40:23 ID:RlOZzf1q
製鉄は錬金の魔法で発達が阻害されているし
冶金学の発達は錬金術とさらにはイスラムから手に入れたダマスカス鋼を
なんとか作ろうと研究・開発したおかげ

すぐれた合金を作っても
マジックアイテムで納得されて
技術の進歩が阻害される

げんに六千年前のデルフを越える剣なんか出てこないしwww

冶金学のやの字すらでてきてねーよwww

文明化とか魔術の否定から始まるから
魔法至上主義の旧弊依然としたメイジを全員ギロチンに掛けないとな
937名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:41:22 ID:codw+a54
>933
乙、うちに来て書きかけのSSをファックしてもいいぞ。

>928
捏ねくり回したり、これで書いてくれ! って叫んでるだけじゃ誰も書いてくれんぞ?
しかし自分が書いた作品が話題に思わずニヤリとしちゃう気持ちを味わう為に。
書け、書くんだジョー!
938名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:46:35 ID:ZemH8I/O
書いてしまった!なら言ってもいい。
939名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:47:20 ID:CI3io324
スレ立て乙
さあヴェルダンデ、埋め立てだ
940名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:47:55 ID:b+FfdV2w
>冶金学のやの字すらでてきてねーよwww
たぶん、夜勤が嫌いなんだよ
941名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:52:05 ID:sd1hxbyz
治金学が痴漢学に見えた
942名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:55:05 ID:uRGsMB5q
>旧弊以前

旧態依然……か?
草を生やしながら鼻息荒く吼えるのも結構だが少しもちつけと。
943名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 00:55:05 ID:lOS1XgIX
夜勤病棟の変態医師比良坂を召喚……しちゃ駄目だな。
比良坂の声がカミーユだったなんて……。
944名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 01:01:46 ID:IjGkV//L
>>943
カミーユってmjd?
945名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 01:08:48 ID:6nv/hCo/
比良坂先生は私の尊敬するお尻アナリストです。
946名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 01:12:30 ID:Fc+3dJSm
神ー湯のなかの人って変体役よくやるよな
947名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 01:23:56 ID:Bf5dmki0
埋めついでに

FF13(仮)から光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士ライトニングさんを召喚。
948名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 01:33:44 ID:qdqk6Iww
>>947
ソフトがでるハードが変わるように召還された後もほかの人に再召喚されてたらいまわしになるんですね
949名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 01:38:20 ID:lOS1XgIX
>>944
名義は違いますが飛田氏だそうです。
Gガンダムのウルベ・イシカワやテッカマンブレードのテッカマンダガーとペガスも彼が演じています。
950名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 02:27:36 ID:YCiDPDko
以外にスレイヤーズとのクロス無いんだね
まあリナとか明らかにルイズ食っちゃうキャラと火力だしな厳しいか
951名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 02:30:49 ID:YCiDPDko
スレ立てられなかった
他の人たてて
952名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 02:34:40 ID:zFJ3zuDW
立ててくるわ。運営議論スレで言われてたけどテンプレの型月をTYPE-MOONに変えとくよ
953名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 02:35:52 ID:SVoEyYsG
>>951
>>933
480KB突破済み
954名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 02:36:36 ID:SVoEyYsG
こりゃ重複するかな・・・
955名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 02:37:17 ID:zFJ3zuDW
俺も立てれなかった…スマン他の人頼む
956名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 02:38:05 ID:zFJ3zuDW
ありゃ。立てれなくてよかった。
あぶない>>933見てなかったよ。すまんな
957名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 02:43:26 ID:bEaNX0Fc
もう次スレは立ってるんだ・・・落ち着こうぜw
958名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 02:44:18 ID:7Aa48XcG
そろそろ埋めないか?
959名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 03:05:44 ID:3hEGLnON
そういえばルパン三世って五ェ門以外召喚されてないな。
ルパンとか次元は結構面白そうな気がするが
960名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 03:19:30 ID:Ms9UjJGL
>>959
キュルケの夜這いでルパンダイブするのがすぐに頭に浮かんだwww
961名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 03:21:25 ID:5GhLHads
キュ〜ルケちゃ〜ん
962名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 03:38:45 ID:sj/kmqpy
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part158
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1217431486/
963名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 06:55:02 ID:j7U5kB1y
では埋めを開始。

>>1000か500Kなら始祖ブリミルを召喚。
964名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 07:07:17 ID:aLaLQ+dX
>>950
ルイズ・フランソワーズVSリナ=インバース
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1215691017/
965名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 10:33:57 ID:4Na2DoAs
剣士でもあり魔導師でもある一流の変態シェゾ
前に召喚されただけで終わってるorz
966名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 10:36:35 ID:WTE4YZvF
ベルセルクのアドンとか
967名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 11:06:50 ID:bBLTfk39
>>782
サムライでここまでにムゲンとジンが出て来ない事に絶望した。
968名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 11:19:47 ID:tm3DS8uo
るろ剣とかこないかなー
969名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 11:35:13 ID:ZemH8I/O
丁稚仕事に慣れてるから順応してくれるだろうな
970名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 11:41:26 ID:YtvDxyiy
心眼の宇水召喚ですねわかります
971名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 12:20:29 ID:16bIvPfU
>>947
せっかくだから、ルイズが すりーさんを召喚して、
ジョゼフが せがさんを召喚しちゃいます。

ついでに、タルブ村には竜の羽衣「OPA-OPA(父)」がずでーんと。
972名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 14:08:30 ID:jMtzy4IX
1000か500kbなら、「召喚された書物」が「さぶ」「アドン」「サムソン」「薔薇族」など。
973名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 14:18:59 ID:SVoEyYsG
1000と容量限界、どちらが早いか・・・
974名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 14:27:06 ID:f4LVnZG3
もってくれスレ
975名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 15:34:06 ID:NnbldJuY
三大少年誌でどれが一番召喚率低いかな?
976名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 16:08:20 ID:q9LjKLLV
提督の人、今までに比べると、かなり投下が遅れてるなぁ
といっても、前回「最終話をなんとか夏の終わらぬうちに」つってたから、ホントに夏が終わる間際まで投下しないかも

・・・本当にそれが最終話だったら、の話だが
977名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 16:58:10 ID:SisUeoB4
>>975
チャンピオンは(^ω^#)ビキビキ
978名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 17:09:44 ID:MBvxsIlW
>>975
厄いわね
979名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 17:24:30 ID:AFvn/ND5
>>975
マガジン、サンデー、ジャンプですね?わかります
980名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 17:27:37 ID:l4PR7Vkp
>>968
拙者、働きたくないでござる!!
981名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 17:29:19 ID:/QRGv6HR
最後のレスなら「まかでみっくす」からテジャス召喚。 本体のみ。
「ゼロのルイズが服を召喚したぞ!」
「あれ? あの服動いてね?」
「まさか、幽霊とか?」
982名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 17:59:23 ID:03pLEwvW
>>975
ボンボン、コロコロ、ガンガンですね?わかります。
983名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 18:13:08 ID:/QRGv6HR
>>975
漫画少年、冒険王、少年画報だよね?
984名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 18:23:05 ID:ZydoXgv4
埋め
985名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 18:25:11 ID:8SnGi22e
そろそろ虚無繋がりで、黒の剣のカイエスかシノブをだな。
986名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 18:31:43 ID:j99VA0o7
そういえば料理漫画からって居ないよな?
知識的な問題で書けないんだろうが
クッキングパパの荒岩課長とか比較的なじみやすそうなんだがなぁ
987名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 18:36:28 ID:jrCqM0sb
知識はあっても材料が…特に調味料
988名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 18:49:23 ID:b8ttGvtB
料理漫画からでも料理人じゃなければ大丈夫だろ
ワルキューレにアームロックしたりフーケにアームロックしたりワルドにアームロックしたり
989名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 18:50:00 ID:R6bagQjX
どんな素材でも料理出来て、現地調達出来そうな奴といえばジャンだが
壊滅的に性格悪いから平民とも対立しそうなんだよな……
990名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 18:53:07 ID:R4fzaqbj
誰か一人でも小此木ポジションがいれば問題は無いはず。
……きゅいきゅいが小此木かな?
991名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 18:56:12 ID:q9LjKLLV
料理モノはまずいぞ

ハルケギニアにおける食材の調達もさることながら
SS作者も料理が出来ないと、本当の意味で「不味い」

ちなみに私は、ボンカレーなら得意だ
食う早さなら誰にも負けない
992名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 19:02:27 ID:R6bagQjX
マルトー 「学院の生徒達がみんなぶっ倒れてるじゃねぇか!!
       毒を盛るだなんてそれでも料理人か!?」
ジャン 「別に俺は毒なんて持っちゃいねーぜ。
      素材はありがちな代物さ、ただし組み合わせが普通と違うがな!」
コッパゲ 「……確か材料はキノコ、まさか!?」
ジャン 「勘がいいな、ハゲのおっさん。
      ある種類のキノコは特定の素材と組み合わせると強い幻覚作用を引き起こす。
      つまりあの連中はラりってオネンネしてるだけさ! カカカカッ!!」

何かこんな感じで学院の一部(コッパゲ、オスマン、シエスタ)以外を全員酷い目に遭わせるとこしか塑像できんw
ちなみに腕っ節も強く、包丁で投げられたゴミを全て叩き落し、鮫をも水槽から蹴り出してる
993名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 19:02:42 ID:Vd8UK3UE
甘いな!私はいつのまにか肉料理が砂糖みりん醤油の味付けになるんだ!
994名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 19:03:18 ID:EevxSe5Y
>>994なら鬼巫女召喚
995名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 19:03:23 ID:R6bagQjX
×塑像
○想像
orz
996名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 19:13:16 ID:IdYUZ6e5
>>944
頑張れ
997名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 19:33:42 ID:q9LjKLLV
>>996
頑張るカミーユか、難しいな
頑張ってシャアを「修正してやる!」とぶん殴るのか?
998名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 19:48:05 ID:rY0sawFu
テレビ版のカミーユ召喚したら大変だよな。
MS云々無しにしても、彼は情緒不安定だから・・・
999名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 19:51:56 ID:AFvn/ND5
暴力はよくない
1000名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/31(木) 19:53:16 ID:8aWHobLo
1000ならお前らの創作能力が数十倍になる
10011001
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