【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
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いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。
【警告】
・以下のコテは下記の問題行動のためスレの総意により追放が確定しました。
【作者】スーパーロボット大戦X ◆ByQOpSwBoI
【問題の作品】「スーパーロボット大戦X」「スーパーロボット大戦E」「魔法少女(チェンジ!!)リリカルなのはA'S 次元世界最後の日」
【問題行為】盗作及び誠意の見られない謝罪
【作者】StS+ライダー ◆W2/fRICvcs
【問題の作品】なのはStS+仮面ライダー(第2部)
【問題行為】Wikipediaからの無断盗用
【作者】リリカルスクライド ◆etxgK549B2
【問題行動】盗作擁護発言
【問題行為】盗作の擁護(と見られる発言)及び、その後の自作削除の願いの乱用
【作者】はぴねす!
【問題の作品】はぴねす!
【問題行為】外部サイトからの盗作
【作者】リリカラー劇場
【問題の作品】魔法少女リリカルなのはFullcolor'S
【問題行為】盗作、該当作品の外部サイト投稿及び誠意のない謝罪
4 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 19:56:58 ID:nFQww90d
塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね
塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね
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塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね塚田こうへい死ね
乙
8 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 20:49:47 ID:eg8WZvi1
乙
微妙にスレタイがwwwwwww
1乙なんだが、今までは リリカルなのはクロスSS だったんだが。
ソコは気にしたら負けだよ・・・
というよりもスレタイをコピペせずに手書きでやったからスマンカッタ
NO〜!
こんばんはー。
21:50から投下したいと思いますので、どうか支援をよろしくお願いします。
容量はだいたい20KBです。
支援
支援ヨォーソロー
支援
しえーん
クラナガン・シュピーゲル「少女と少年 その5」
<特甲>とは、質量兵器と転移魔法のハイブリットでも言うべき代物である。
強力な兵器である戦闘用義肢――質量兵器と一体となったそれを、転移魔法で目標空間座標に送り出し、四肢との接続部に置換させる。
これによって義肢で身体を動かす児童を兵装の中枢部として使用、効率的に兵士にする――それが特甲児童。
今や、時空管理局の主力である魔導師と並ぶチャイルドソルジャーだ。
その中でも、脳にかける負荷の大きさと引き代えに絶大な力を得た者こそ、特甲猟兵と呼ばれる子供達である。
特甲児童は、手足を制御する為に制御チップを脳内に埋め込まれており、これにより電子的に義肢と繋がっている。
彼らは、強大な力を秘めた異形の装備を己の手足として認識、操作し、基本的に紛争地域に『単独で』派兵された。
人格改変プログラム――激しい戦いから子供の心を保護する為の機構の、副作用ともいえる欠陥のために。
過剰な無痛感覚、激しい攻撃意欲、他者を認識する能力の喪失――結果起こった同士討ちが、単独派兵の理由だった。
だが、レベル3の負荷は、想像以上に子供達を歪めていた。
ここにも、その犠牲となった兄弟がいた。
熱帯の乾季と雨季で表情を変える地獄。今はちょうど雨季にあたり、降り注ぐ雨水が大地を潤し、草木を育て、野に転がる死体の腐敗臭を洗い流す。
無数の腐り果てた骸と、死体を喰らう蟲と、質量兵器と壊れたデバイスの山が転がる大地。
其処に、二人の少年がいた。年頃は十代半ばといったところだろうか。
二人とも時空管理局のブラウンの制服を着ており、雨水で生地を重くしたそれにも構わずに、外に立ち尽くしている。
「どうしてじゃ?」
長兄の少年は世界に問うた。坊主頭に雨季の激しいスコールが当たり、服を濡らすのも構わずに、無意味に手を握ったり開いたりしている。
その顔には浮かぶのは苛立ちとも悲しみともつかない、得体の知れない喪失感。
目の前には、もはや動くことのない三つ子の末っ子、『剣(ツルギ)・シンケル・ユング 』。
最初に、渇くと言ったのは剣だった。どうしようもなく水を求めて、馬鹿みたいに貴重な水を消費した。
また、死体に群がる蟲の群れが、絶えず幻覚として見えると言ったのも、剣だった。
鬱陶しかった。
だから、殴った、蹴った――虐待した。
「なんでじゃ?」
次兄の少年は世界を睨んだ。宙を睨む視線は、ぞっとするほど虚ろなもので、いるのかどうか分かりもしない神様に問いかけるものだった。
パンク刈りにした頭が水を吸い、鬱陶しい。
ざわざわと足元で這いずり回る死肉に集る虫けらどもを踏み潰し、その音に顔を顰め唾を吐きながら言った。
「なんで殺してしもうたんじゃァ、ワシら」
口から血反吐を吐き、動かなくなった弟の体には、青痣と鬱血の痕が幾つもあり、骨も折れていた。
気づいたら、死んでいた。
失われたものは、大きい。貧困ゆえに家族に殺されかけ、四肢を失った三つ子の一人が、欠けた。
「今日は……いやに喉が渇きよるのォ……」
長兄――陸王(リクオウ)・マルティン・ユングの呟き。
天から降り注ぐ雨水を啜り続けながら、暗雲を眺める。
「兄ちゃん……妙なんじゃァ、 ワシ、なんか虫がぎょうさん見えおる」
次兄――秋水(シュウスイ)・ルーエン・ユング の呟き。
必死の形相で、本来死肉に集る筈の虫けらどもを踏み潰す――潰しても音がしない幻に踊り狂う。
既に足元を這いずり回る蟲と、幻覚の区別が出来ないぎらついた瞳。
特甲レベル3の人格改変化に耐える為の措置――三人で変通抑制を共有――それが、崩壊した瞬間。
完璧なチームとして運用されていたユング三兄弟は、自ら弟を虐待死させた。
陸王は、ひどい渇きを覚え、支給品のミネラル水をがぶ飲みしていた。
秋水は、虫の幻覚に悩まされ、幻の虫を踏み殺してまわった。
――まるで弟の剣のように。
熱帯の紛争地域に派兵されたユング兄弟の、味わった地獄の一端だった。
辻ーん
支援するぜよ
支援
地上本部地下階層にて。
薄暗い地下通路の照明は消え去った。敵性勢力の攻撃により、大型魔力炉が動作を停止し、今は小型の非常用電源にエネルギー供給は切り替わっている。
暗闇の中での戦闘は、戦闘機人の暗視機能付きの目でアシストされ、人外同士の戦いに拍車をかける。
通路の入り口付近はうず高く積まれた瓦礫の山によって塞がれ、外からの救援、中からの脱出を不可能にしていた。
つまりは、閉ざされたコロッセオとでも云うべきものが今この場所だった。
苛烈――激熱――灼熱――激痛。
爆煙が視界を覆った刹那、ギンガ・ナカジマの左腕は千切れ飛んだ。
綺麗に血の孤を描いて飛んでいく、己が左腕の断面は捻り切られたようになっており、痛々しく人工筋肉が裂けていた。
絶叫する――脳に埋め込まれた制御チップが、痛覚をカットするが、一瞬早く痛みが脳に届いていた。
痛みが告げた、失ったものの大きさを。
「ぐ……あああぁぁ!!」
左腕が地面に転がる――鋼の篭手リボルバーナックルが/母の形見が遠くに失われた。
アームドデバイスの回転弾倉にカートリッジを詰め込んだギンガの武装は、左腕ごと吹き飛んだ。
その損傷をギンガに与えたのは、小柄な長髪の少女。
銀髪隻眼の人影が、その幼い肢体を灰色のコートに包み、仁王立ちしている。
手にはギンガの左腕を破壊した無数の投擲用ナイフが握られ、その獣の牙のような刃を煌かせていた。
「言った筈だ……姉は強いと。ノーヴェ、ウェンディ。タイプゼロを痛めつけろ、死なない程度にな」
「わかった、チンク姉。悪く思うなよ、ファースト」
「了解っすー」
ギンガ――さらさらの青い長髪、涼やかな緑色の瞳/左腕がなく、バリアジャケット自体がぼろぼろ。
激痛に脳を焼かれながら、相棒であるローラーブーツ『ブリッツキャリバー』を駆動させる。
ブリッツキャリバーの高速回転は、地面を舐めるように滑り、赤いショートカットの戦闘機人『ノーヴェ』の射撃を避ける。
放たれる光の弾丸、すなわち高密度プラズマのシャワーを、魔力障壁とジグザグな回避機動でかわし、しのぐ。
「ヘっ! まだ戦うつもりかよ、ファースト!」
ギンガが、恐ろしい形相――修羅の如き顔で叫んだ。
残った右手を握り固め、精一杯の力で魔力を纏わせて、唸る。
「私は……母さんの娘で……ギンガ・ナカジマだ! 戦うことをただ受け入れたお前らとは違うっ!!」
右脚に力を込め、ローラーブーツの加速を加算した跳躍を実行する。
馬鹿げた跳躍力だった。戦闘機人ならではの人工筋肉の生み出すそれは、ローラーの加速によって飛翔にも似た飛距離を確保した。
残った右の拳に魔力を集め、障壁を展開しながら全体重を乗せた一撃を見舞う。
ノーヴェはその金色の瞳を輝かせて、笑った。
「面白れェ!!」
利き足である右脚を一歩後ろに引き、篭手で覆われた両腕で構えを取り――推進噴射。
脚に履いたローラーブレードが、リボルバーナックルのスピナーと同様の機構を回転させ、踵のジェットノズルが推進炎を吐き出し加速。
強靭な人工筋肉に支えられた腿が蹴りを放っていた。
「――いいこと教えてやるよ」
加速した拳と爪先のぶつかり合い。しぃっ、と息を吐きながら火花を散らす。
歯を剥いて、目の前の己が遺伝子と同じDNAを持った少女に真実を告げた。
「あたしとお前等の遺伝子は同じ……あたしはクイント・ナカジマの遺伝子を使って培養されたっ!!」
「――っっ! それでも、お前らはぁぁぁ!!」
最近は規制が厳しい 支援
驚愕すら強靭な精神力で捻じ伏せ、咆哮した。
バックステップで後退しながら、ギンガは半球状に障壁を展開し、次なる敵からの射撃に備え――後方からの衝撃に臓腑を揺さぶられた。
吹き飛ばされ、地面に体を叩きつけられる。
「がっ!」
「あたしを忘れられると困るっすねー」
もう一人の赤い髪の戦闘機人『ウェンディ』の言葉。手に抱えられた空中飛翔式銃器一体型ライディングボードが、砲口からさらなる追撃の砲火を放つ。
ギンガの手前に着弾した炸裂弾が、熱波で彼女の体を吹き飛ばした。
脳内チップの放つ警報が、赤い津波の群れとなって網膜を埋め尽くす。
《緊急警告――タイプゼロセカンドがインヒューレント・スキルを使用しています》
スバルが? と疑問が湧いた。
あんなに戦うことを嫌っていた子が、殺戮が前提の装備を使用しているとは、到底思えなかった。
ぐるり、と思考が半濁する。痛みが脳の神経系を高速で駆け巡り、灼熱となって身体感覚を支配した。
《人格改変プログラムのダウンロードを確認。セカンドの脳波領域を実質的に支配しています》
駄目だ――と、歯を食い縛りながら思う。
人格改変プログラムは、人間を兵器に変えてしまう代物だと、自分達の体の面倒を見ている兵器運用部の人間から聞いたことがある。
今きっとスバルは、取り返しの付かないことをしようとしているに違いない。止めねば、という強い意志が、ぼろぼろの体を疾駆させる。
立ち上がり、咆哮しながらブリッツキャリバーに命じた。
「ブリッツキャリバーッッ! 私に駆け抜ける力を! スバルを――助ける力をっっ!!!」
《All right!》
純白のローラーブーツが高速回転し、空中に光の道ウィングロードを構築し走り抜ける。
限定空戦機動――クイントの娘達が持つ魔法の構築能力をもって空中に躍り出たギンガは、青い長髪を揺らしながら技術もへったくれもない技を繰り出していた。
全力全開だった。体に宿る魔力を、高速機動と残った右腕に込めて、音速突破。衝撃波で全てを薙ぎ払いながら、銀髪隻眼の戦闘機人へ突撃する。
チンクが驚愕に目を見開いた。
「馬鹿な! 貴様にISは詰まれていない筈だっっ!!」
《Sonic move》
それは、かつて彼女を助けた雷光の魔導師の技であり、超高速機動を可能とする魔法だ。
あの日から、何時だって研鑽を欠かさなかった。弱い自分が、誰かを助けられるようになる為に。
でも、その力を、今はただ目の前の敵を討ち滅ぼす為に。
「とどけぇぇぇぇ!!!」
「だが、姉には届かない……<ランブルデトネイター>!!」
それは、S級ストライカー魔導師すら殺害した最強の凶刃。
金属を高威力爆発物へと昇華させるチンクのインヒューレント・スキル<ランブルデトネイター>が、その手に握られたナイフを爆弾へと変える。
合計6本の黒い刃が、空中を弾丸以上の速度で飛翔。
投擲される野獣の牙にも似た刃。超音速の拳が爆弾と化したナイフを砕く、砕く、砕く。
爆撃。
片腕だけでは限界があった――砕き損ねたナイフが、至近距離で爆裂。
爆風に吹き飛ばされ、宙を舞うギンガの肢体目掛けて、ノーヴェが飛び上がり、一閃。
削岩刃の如きスピナーを回転させて、その腹へ蹴りを叩きこんだ。
「お前の負けだよ、ファースト」
地面へ無様に体を投げ出し、薄れいく意識の中で、ギンガは確かに聞いた。
電気ノコギリの放つ轟音を。
支援!!
レベル3 支援!
黒鉄の装甲を纏った人影が、スピードスケートのような前屈姿勢で、地下通路を爆走していた。
耳を潰しそうなとんでもない唸りを上げるのは、その両脚に内蔵されたエンジン部であり、高速機動を可能にしているのは足の車輪である。
右腕は長大な超伝導機銃内蔵型チェーンソーと一体化しており、左腕は重量バランスを取る為に巨大な盾となっていた。
肩からは刺々しい雷撃器が生え、全身凶器と云った印象を見る者に与える。
全身を覆う黒い機甲は頭部も例外ではなく、フルフェイスのヘルメットによって顔は見えない。
《この先に敵がいるってのはァ、本当の話かのォー?》
馬鹿に訛りがひどい少年の声に応えるのは、地上本部のトップ、レジアス・ゲイズの娘『オーリス・ゲイズ』だ。
この最強のチャイルドソルジャー、特甲猟兵の威圧感溢れる声にも動じずに冷静に答えた。
《先刻魔力炉が何者かの襲撃で爆破され、迎撃に向かった陸士からの連絡が途絶えました――敵の戦闘機人の可能性もあります。
ですから、貴方に始末をお願いしたいのです、陸王・マルティン・ユング》
坊主頭の少年、陸王はその緑色の瞳をヘルメットの中で爛々と輝かせる。
喉の渇き――無性に水が飲みたくなるそれも、戦闘の昂りが在るときだけは抑えられた。
人格改変プログラムによる症状だというこの病的な渇きも、今はどうでもいい。
陸王は、己に与えられた力を振るう喜びに、打ち震えた。
《そいつァ楽しみじゃァ〜、バッラバラにしたるかのォ!》
肩の雷撃器を突き出し、ショルダータックルを目の前を塞ぐ瓦礫の山に喰らわせた――破壊音。
雷撃器の放つ抗磁圧の衝撃の釘が、凄まじい爆圧となってバリケードとしての機能を発揮していた瓦礫を粉塵に変えた。
――どどどどどど
破砕音とともに、エンジンである脚部と巨大チェーンソーの轟きが、コロッセオだった戦域を満たした。
瞠目する三人の敵性戦闘機人に向けて、勝負を挑むのは、たった一人の特甲猟兵。
薄く晴れていく粉塵から突き出した巨大な回転刃と、黒鉄色の機甲の威容に、ナンバーズが瞠目し、各々の武器を構えた。
チンクが、警戒しながら呟いた。
「なんだ、貴様は?」
陸王は凶悪な煌きを放つチェーンソーを掲げ、銃口を構えた。
少女が四人。立っているのが敵、倒れているのが一応味方。
なんじゃァ、べっぴんばっかりじゃのォ、と思う。
それらをぎょろりと一瞥すると、甲冑のようなヘルメットをスライド――音を立てて覗く坊主頭。
「けっこう可愛いやないかァ。待っとれ、今たっぷり可愛がったるからのォ、ほんま楽しみじゃ〜」
血走った目が、三人の戦闘機人を見据えた。
レベル3に心を食われた虚無に満ちた目が、蛙を睨む蛇の眼のようにナンバーズを捉え――破壊の悦びに歪んだ。
地上本部、第3ゲート付近駐車場に、閃光が瞬いた。
ティアナの胸部をぐしゃぐしゃに砕かんと迫ったリボルバーナックルは、遠方から届いた一発の弾丸によって、軌道が逸れた。
本来胸部を抉る筈だった拳は大きく横にずれ、右腕のバリアジャケットを破壊するだけに終わった。
狙撃に助けられたことを一瞬で理解したティアナは、横に跳びながら通信を開き、銃口をスバルに向け、叫ぶ。
「どうしたのよ、スバル!」
《スバルは正気を失ってるぞ、ティアナ! 今は取り押さえるのが先決だ》
ヴァイスからの通信と同時に、魔力で構成された弾丸が飛来したが、牽制射撃に止まる。
いったいどうしたのか、と思いながら通信の声に耳を傾けると、どうしようもなく震えた声が聞こえた。
《……くそっ》
《無理をするな、ヴァイス。お前のトラウマは――》
世界を穿孔する 支援!
ヴァイスの声――震えながら怒鳴る。
陽気なこの男らしからぬ様子だった。
《今ここで止めなきゃ、誰が止めるんだ?! 俺が――》
これに対し、地上本部狙撃班は静かに告げた。
何処か、己を信頼しろ、という意志のこめられた声。
《――俺達を頼れ、ヴァイス。お前さんほどじゃないが、俺達も狙撃手のつもりだ》
《……すまん。ティアナ、スバルから離れろ。狙撃で気絶させる》
「わかりました。エリオ、キャロ、撤退するわよ!」
「……はい」「わかりました」
いささか不満そうな顔をしていた二人だったが、最後は指揮官であるティアナの指揮に従った。
いや、あるいは本能的に理解していたのかもしれない。
自分達では、決して目の前の<怪物>に勝てないと。
後退していく敵を追おうとした、<怪物>にむけて、非殺傷設定の魔力の塊がぶち当たった。
一発、二発、三発――合計二十発以上に及ぶ魔力弾の雨。
元々ぼろぼろだったバリアジャケットが直撃に崩れ去り、顔の前で組まれた防御障壁に阻まれて、直撃弾は十発以下だ。
だが、直撃で髪の毛は幾本か宙を舞い、その金色の瞳を射抜くかのように頭部を狙って弾丸が飛来する――そのとき、左腕をスバルは掲げ、口を開いた。
呟き――とても幸せだった、在りし日の自分と母。
脳髄の中にだけ存在する、現在にも続くそれの中で、スバルは母とともにその言葉を唱えた。
「転送を開封」
白熱する輝き――粒子状に崩れ、金色に輝く義腕に置換される左腕。
普通の拳の三倍近い大きさの掌、鋭く鉤爪状に尖った指先、肘から生えた赤い角のような抗磁圧増幅器。その腕が、巨人族のそれのように開かれた。
偽りなき願い――ずっと幸せで在り続けたい――が呼び出した、人造の巨人の拳。
瞬間、発生した抗磁圧の盾が、魔力素を分解していた。きらきらと宙を舞う粒子が、狙撃の無力化を物語る。
狙撃班の驚愕――真正面からの力任せの技に狙撃を弾かれたと云う事実。
《馬鹿な! どんな出力のフィールドだ!!》
《目標に転送兵器の運用を確認した。奴は――クイントの娘は、<特甲>に適応しやがった》
《……目標の脅威レベルをS級魔導師以上と認定。<特甲>を破壊しろ、それしか無力化の方法はない》
狙撃班が再度狙撃を行ったときには、スバルの身体は既に空中に在った。
マッハキャリバーの唸り――空中に展開されたウィングロードを駆け抜け、車輪の回転がその身体を高速で滑らせる。
ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり、と雷鳴のような凄まじい音が響き、空から地面を駆けるフォワードメンバーを追いかけた。
ティアナの悲鳴――無表情に自分達に向けて魔法を放とうとするスバルへ向けて、牽制の直射型魔力弾を撃ちまくる。
その全てを、抗磁圧の盾で防ぎながらこちらにむけ飛び降りてくる人影――異形の左腕部をかざしながら、右腕を振動波によって破壊に包む。
着地――轟音が鳴り響き、四肢から放たれた<振動破砕>がティアナの頭部を粉砕したかに見えた。
エリオの悲鳴が木霊した。
「ティアさん!」
しかし、それは幻術――光学情報による高精度の幻影。
強い攻撃によって霧散した幻影が消えたとき、そこに在るのはアスファルトを砕いた右腕だけ。
「――?!」
《Fake Silhouette》
皆殺しがレベル3の基本概念(コンセプト)なんだ 支援
クロスミラージュの詠唱音は、音響操作によって何処から聞こえたかわからない。
振り返り、虚ろな瞳で辺りを窺うスバル――まるで獲物を狙う肉食獣の動きで飛び退り、狙撃を回避。
異形の左腕部の放つ抗磁圧で全てを吹き飛ばそうとしたとき、頭の後ろで銃を構える音がした。
二挺拳銃が、静かに背後5メートルからこちらにレーザーサイトで狙っている。
オプティックハイド――透過防壁による奇襲だった。
「アンタとの追いかけっこも終わりよ、スバル」
撃った。
瞬間、信じがたい速度で振り返りながら、スバルは異形の左腕部の抗磁圧放射機構を作動させた。
爆音が鳴り響き、抗磁圧の爆風がアスファルトを瘡蓋のように捲れあがらせた。
ティアナは粉塵とともに訪れた爆圧のシャワーに吹っ飛ばされ、背中から地面に叩きつけられる。
「――ッッ!」
爛々と輝く黄金の双眸。
こちらにゆっくりと歩み寄ってくる金色の瞳は、戦闘機人として覚醒したスバルのものだ。
粉塵から見える金色の巨腕は、それ自体が生き物のように見えるほど異様な外観だった。
これに対し、黒鉄色の回転弾倉を持った篭手、リボルバーナックルは、<振動破砕>の破壊の為か、だらりとぶら下げられている。
脚部のローラーブーツ、マッハキャリバーが電子音声で相棒を制止し叫んだ。
《Buddy,stop!》
無言で、人格改変プログラムによって戦闘兵器となった少女は右腕を掲げた。
ギギギギ、とスピナーが高速回転し、今まさにティアナの頭蓋骨を叩き割り、脳漿を撒き散らそうと吼える。
立って逃げようとするが、腰を強く打ったらしく、歩くことも這うこともできない。
粉塵で煤けた赤毛を揺らしながら、ティアナは目を閉じた。
ごめん、お兄ちゃん――あたし、執務官になれそうにないや――。
「アクセルシューターッッ!!」
無数の桜色の魔力光が飛来し、抗磁圧の壁にぶち当たって霧散。
射撃を警戒して飛び退ったスバルの虚ろな眼に飛び込んだのは、靴から生えた光の翼――アクセルフィンが天使の羽根のように羽ばたいた。
純白のバリアジャケットが舞踏服のように風になびき、その右手に保持された黄金の杖『レイジングハート』が、赤い宝玉を煌かせた。
栗色の髪はツインテールにされて纏められ、豊満な胸元と瑞々しい肢体を空中で構えながら、その女『高町なのは』は高らかに宣言した。
「ごめんね、ティアナ。いっぱい辛い思いさせちゃったけど、もう大丈夫だから。
スバル、何が貴方をそうさせちゃったのかわからない、でもね――」
きっ、と修羅のように佇む少女を見据えて呟いた。
嫌われてもいい。怨まれてもいい。だから、あの子を止められる力を。
「――その姿が、貴方の望んだものじゃない、ってことはわかる。だから、止めてみせるっっ!!」
《高町一等空尉の要請に従い、エクシードモードを解放》
バリアジャケットが再構築され、より防御性能が高まった姿へと変わる。
レイジングハートも先端を鋭角化させ、より力強いフォルムのヘッドに。
高町なのはエクシードモード。紛れもなく、現時点での全力だった。
スバル――否、タイプゼロセカンドは、転送兵器と化した大型の抗磁圧放射型義腕で薙ぎ払い、爆圧で全てを押し流さんとする。
なのはの反応はそれよりも一瞬早く、ティアナを後ろに放り投げながら、真上へ飛翔。直後、アスファルトが塵になって消えた。
急速上昇――真下で起こる破壊の濁流にぞっとしながら、速射。
《Shoot barret》
単純な直射弾を天にかざした左腕で弾きつつ、タイプゼロセカンドはその場で急速旋回。
右腕で宙に固定した魔力スフィアを鷲掴みにし、解き放った。天に放射される青い魔力の奔流――破壊を生む魔力素のシャワー。
ディバインバスター。確かに、スバルが高町なのはから受け継いだ技だった。
あたしの透過防壁は振動する 支援
永遠に産まれ続ける剣 永遠に枯れ続ける剣 支援
なのはは驚愕を振り払い叫んだ。
「っっ! でも、レイジングハート!」
《Short buster》
速射式砲撃魔法『ショートバスター』――即射性と引き換えに、短距離戦専用の魔法となった砲撃である。
桜色の魔力光が奔流となって真っ向から青の魔力光とぶつかり合い、魔力素の爆裂音を響かせる。
僅かに押し負けているなのはは、さらなる破壊を追加――マガジンからカートリッジをチャンバーに流し込む。
「カートリッジ、ロードォォ!!」
廃莢されるカートリッジは、二発。地面へ落下する空薬莢の煌きは、美しかった。
さらに、ショートバスターを二回詠唱――合計三発分の砲撃が、纏まった光の柱となってタイプゼロセカンドに襲い掛かる。
彼女が、暴力的な砲撃の嵐から逃げようと飛び退った瞬間、衝撃が<特甲>である左腕を直撃していた。
接続部である二の腕から吹き飛ぶ義腕に瞠目しながら、再転送を実行。吹き飛んだ腕が、新たに転移してきた義腕で元通りに。
弾丸が来た方向を睨みつける。
《支援します、高町空尉》
「ヴァイス陸曹?! 貴方は、銃を――」
《今だけ、今だけは俺は人を撃てます――しっかりやれよ、フォワードリーダー》
光とともに、ティアナの持つ二挺拳銃が巨大な狙撃砲へと再構築され、真っ直ぐにタイプゼロセカンドへ構えられた。
その手綱を握るのは一人の少女。スコープを覗き込みながら、休日にヴァイスから手ほどきされたとおりに銃身を安定させる。
まともな射手なら外しようが無い距離にいる、相棒にして現在目標となっている戦闘機人を捉えた。
「アンタには昔から苦労させられてたけどね、今日のは極めつけよ」
狙いを研ぎ澄ます――絶対に外さないと云う確信。
「だから――戻ってきなさい、バカスバル」
引き金を、決意とともに引いた。
燃える展開 支援
無限、夢幻、無間。
記憶と脳髄が見せる夢の中で、スバルは涙を流していた。
消えていくのだ、全てが。お母さんが――今はもう何処にもいないのだと思い出してしまった。
急速に薄れていく在りし日の自分と家族達の理想郷に、手を伸ばした。
「嫌……母さん……消えちゃ……駄目」
頬を涙で濡らしながら、ゆっくりと膝をつく。
最後に、母が振り向いて笑った気がした。長い青い髪が揺れて、幻影なのにひどく颯爽としていた。
リボルバーナックルを伸ばすスバルの口に指をそえ、悪戯っぽく微笑みながら、母は、クイント・ナカジマは言った。
緑色の瞳が、スバルの虚ろだった金色の瞳を見据える。
(こらっ、スバルはお母さんの娘で、ギンガの妹だろ? 泣くな、泣いちゃったら、今ある幸せも逃げていくんだからっ!)
すうっ、とスバルの瞳が理性の色を取り戻し――緑色の瞳となる。
異形の義腕が粒子状に分解、壊れかけの本来の腕に戻り、傷つき抉れた部分から機械の証である火花が散る。
(お母さんは、いつも皆に優しいスバルが好きだよ? だから、優しさを忘れちゃ駄目)
真実の声――永久の安らぎを否定し、前に進む意志を肯定するもの。
これこそが、本当の母のものなのだという思い。
でも――でも――あたしは母さんと――。
びしっ、と額を指で弾かれた。
(もう、母さんはいくよ? スバルは、こっちで頑張るの、いい? 好きな人は逃しちゃ駄目だぞ?)
「――うん」
ゆっくりと崩れ落ちるスバルを、ティアナは急いで支えた。
見れば、その寝顔は泣きながら笑っていた。悲しそうな、笑み。
「騒々しい奴……」
全身に負った打撲と疲労で、直後ティアナも倒れこんだ。
その疲労の溜まった面を見ながら、なのはは溜息をついた。
「もう……何だかんだ云って、仲がいいんだね、二人は」
以上で投下完了です。
地上本部編は、まだ出てない特甲レベル3なども出ますので、もうちっと長くなる予定です。
皆様、支援ありがとうございました。
ではでは。
>>37 やれやれ、鼻血が止まらないです(まて)
GJでした!
やっぱりね、暴走したスバルを仲間たち(キャロとエリオは何もしてないが)の手で取り戻す
まさしく王道! そして、ティアナ強い! ヴァイス、お前は本当に何者だ?w
なのはも出てきて万々歳ですね。
はやてとフェイトが空気ですがwww
ギンガの方も戦略級兵器たるレベル3陸王の登場で、原作通り拉致は難しいでしょう。
何気に音速突破する機動を迎撃するチンク、化け物だな。
次回は新しいレベル3、やっぱり≪テンペスト≫かな? 戦闘機人たちの無線も盗聴しそうだw
ナンバーズ涙目の姿が思いつくも、そんな単純じゃないだろう展開にwktkです!
今後共頑張ってください!!
GJ!!です。
あぁ・・・質量兵器万歳w
ナンバーズも強化されるようなので楽しみです。
GJ!
スゲー展開だ!
ふむ
前スレ
>>589 ゆりかごをノアの箱舟、管理局を米国に例えるなら、
そのゆりかごをテロリストが占拠してたってことも
考慮すべきだろ。
管理局ヘイトのこのスレでは今更な意見だけど。
>>42 とりあえず、設定議論スレ行こうか?そっちに意見書いたから。
今特に予約とかないのであれば短編を投下したいのですが
早く投下するが吉。
んじゃ投下します
なのはとシルエットノートのクロスです
ジェイル・スカリエッティ事件が終結してから半年後、新たな事件が幕を開けようとしていた
「実はな、管理外の世界で超強力な魔力の出現と消滅を確認したんや、その魔力の量は軽
見積もってもAランクを余裕で超える数値やこれを危険と見た管理局は現時点で最強の
部隊機動六課を調査に向かわせることにしたんや」
「それではやてちゃん、その場所は?」
「場所は第97管理外世界、そこにある海上都市三号アクアフロートや!!!」
アクアフロートにむかう機動六課の面々、そしてそこでおこる事件の数々!!!
「いきなりなにをすんだてめぇ!」
「いや、ウサミミだからな俺の探しているネコミミ少女と関係がありそうな気がする、
わるいが拉致らさせてもらう」
「これはウサミミじゃねえ!!!!!」
ヴィータを拉致しようとする謎の片目の男
「うおおおおおおおおお遅刻だああああああああああ!!!!でもまだ3分ある可能性が
ある限り、僕はあきらめない」
「すごいなんの魔法もつかわないであんな速度で走るなんて・・・」
フェイトが目にした時速約39Kmで駆ける男
「す、すごいあの女の人こんな寒いのに寒中水泳してる、よしティアナ私も泳いでくる」
「この馬鹿!!!死ぬわよ!!!!!」
スバルとティアナが見つけた寒中水泳する女性
そして機動六課の面々の元に届く1枚のチラシ
「暗黒武闘会・・・また開かれるんだ」
そして暗黒武闘会に参加する機動六課・・・
「この戦いに勝って、俺は高飛びするんだあああああああああ」
「ディバイン・・・バスターーーー」
「ぎゃああああああああああああああああああ」
「見たこと無い魔導師やな、所属はどこや?」
「なんですか魔導師って?わたしは魔法少女シェルティーです」
「また会ったなウサミミ、今度こそ拉致ってくれる!!!」
「だからウサミミじゃねえーーーー」
「あなた人間じゃないわね」
「うふふふふふ今年こそ勝ってシシト君を・・・・・・」
其々の欲望と、真実とかのため戦う一般人と魔法少女と魔導師と動物と機械達
「フハハハハハハハついに我は復活したぞ!!!」
そしてついに復活する真なる魔王
「全力全快、スターライト・・・ブレイカーーーー」
「無駄無駄無駄ァ我にはナナシの拳以外きかぬわ」
「そんな、なのはのスターライトブレイカーも一切きかないなんて」
条件結界のせいで全く手が出ない機動六課たち
そこに現れた1人の男グラップラーナナシこと村上シシト
「現れたかグラップラーナナシ我はあの時とは違う!!!」
「いくぞこっちだって鍛えてきたんだ!!!!」
そしてついに究極の魔法が発動する
「まだ終わっていないぞナナシーーー完治、完治チィィィーー」
「僕だって倒れるわけにはいかないんだ・・・みんな力をかしてくれーーー」
シシトの祈りが全時空のパンツに届く
全時空のパンツエナジーがシシトの力になる
I am the bone of my pantu
体はパンツのみ纏っている
「いくぞ真なる魔王、Dクローの貯蔵は十分か」
魔法少女リリカルなのはSilhouette Notes、魔法少女あまり関係ありません
2052年12月10日開始予定・・・
「スターライトブレイカーーーーー」
「ドゥブッハァ!!!!!!」
以上です駄文でさーせん
49 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 00:11:14 ID:FqivJww5
職人の皆様GJです!
00:30からビーストウォーズメタルスとのクロスを投下して良いですか?
支援
51 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 00:31:16 ID:FqivJww5
かつてサイバトロンとデストロンが闘った舞台……それは漆黒の銀河に美しい蒼の光を放つ『地球』と呼ばれる水の惑星。
その地球に両軍の戦艦が墜落し、停止状態となる。彼らが闘いを繰り広げるのは400万年後の未来の話。
そして、彼らが停止状態で眠っていた時期……。
同じ地球を舞台に新世代のサイバトロンとデストロンが地球と宇宙の未来を賭けて長くも短い死闘を繰り広げた。
その闘いは総称して『ビーストウォーズ』と呼ばれる。
しかし、この闘いを知るものは一握りしかいない。
何故なら……地球から飛び立ち、生還したサイバトロンのチームにパワードコンボイの姿がなかったからだ。
遡ること数時間前……。
Generation1のメガトロンの後継者を自称するビーストメガトロンは……デストロン最強戦艦『ネメシス』を起動し、戦艦内に保管されてあった『夜天の書』。
その本のはみ出しの欄に書き記された伝説のバナナの種を求めるために調査をしていたコンボイ。
彼にバナナの種を手にする方法を教えるため、メガトロンはサイバトロンとデストロン両軍によるものまね大会を開催した。
しかし、その決戦では多くの戦士が似ていないものまね。さらには反則のものまねを曝し。
満点、つまり伝説のバナナの種を得るに相応しい者が現れないという結果が続き。
ネメシスのブリッジに鈍い音が響く……。
それは苛立ちが募ったトランスフォーマーが強くデスクトップを殴り付けたからだ。
52 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 00:35:35 ID:FqivJww5
「えぇい……少しは似ているものまねが出来ないのか貴様ら?
このままじゃチャンネルが変わる一方だ!」
腹に篭った怒りの声を吐き出すかのように口にしたのはこのものまね大会を審査員長として開いたドラゴンメガトロン。
「ダー。なかなか、クリカンみたいに行かないもんだな。」
なんとか、この状況を打破する猛者が現れないかぁ−−心の声でっす。
彼の傍で採点機器を見上げていたメタルスダイノボットも困ったように頬を爪で掻いていた。
採点機器の光は未だにブラックウィドーの薬師丸ひろ子の高得点で止まっているが満点には至っていない。
そこへ、大会開催からずっと宙に浮かんでいた夜天の書がメガトロンへ十字架の表紙を向けてメッセージを送る。
『我が主、やって良いですか?』
「ほほぅ、夜っちゃんか……。」
なんとも、自信に満ち溢れた熱い古書からの参加表明にメガトロンは期待を抱いて顎に手を沿えてほくそ笑む。
これは期待できるな−−と。
「ものまね大会は自由参加だ。ぐっさんを越えるぐらいのものまねをやってみろ……餅のロンリー、あまりにも似ていない場合は。夜っちゃんもお仕置きだかんな!」
『わかりました、ありがとうございます我が主。』
許可を下してくれた現在の主メガトロンに夜天の書は嬉しそうに礼を述べ。
表紙を開き、喜び勇んだようにページを素早く綴りだした。
しばらくしてある場所でページは止まり……掛け声がブリッジに響き渡る。
53 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 00:40:23 ID:FqivJww5
『夜天の書。ルーシーをやります……。
コウタ!』
「小さい子にゃわかんねぇよ、ポチっとな!」
『bass!!』
飛び出た反則を罰するためにメガトロンは素早くデスクのキーを人差し指で押し。夜天の書にミサイルを放って直撃させる。
だが、夜天の書はめげなかった。
『搭矢アキラをやります。
この一手で決める!!』
「反則の一手だ!」
『アベシ!!』
連続の反則を厳しく審査し。ドラゴンヘッドで殴り飛ばす。
ダイノボットは見ていられない。というかのようにため息をつきながら双肩を浮かしていた。
「まさか、アキラくんがあの一手を打つなんて……。ダー。」
壁に激突して床にずり落ちていく夜天の書を見遣り憤慨しながらドラゴンヘッドを突き付ける。
「貴様ぁ、反則とは一体どうゆうつもりだ……。
ポテチの油がついた指を舐めた手で全部ページめくってから古本屋に売り飛ばしてやろうか!」
『そ、それは嫌です我が主……。』
「はぁ、はぁ……ぬぬぬ。」
チータスから始まった反則行為の数々を思い出し、ついに我慢が出来なくり。これが俺様の怒りだ!と言わんばかりにメガトロンは左手のドラゴンヘッドを高く掲げ、火を放って叫ぶ。
「貴様らそれでもお笑い芸人か!? お笑いで世界平和を考えたことはないのかぁー!
いい加減にしないと俺様の勘忍プクログラムの容量オーバーしちゃうぞ!」
「待てメガトロン!!私に良いものまねがある!」
大きな手がサイバトロン側からあがる。
54 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 00:43:49 ID:FqivJww5
その手の主をライバルであるパワードコンボイだと認識し。
ライバルの姿にようやくメガトロンは上昇していたプログラムの温度が降下し、釣り上がっていた眦を静め……悪意に満ちた笑みで許可を下す。
「なぁんだ、コンちゃんか。勿体ブリジストンなことをしやがって……。よし、やってみろい!」
「はい、えっと……。」
途端に素の声色になり。コンボイは何のレパートリーをするかメガトロンの笑みに満ちた表情を見遣りながら悩む。
何しよっかな……。私が得意な奴は……アレだ!
心を射止めたのは万事屋を営んでいるキャラクターのシルエットがメモリーに浮かびあがる。
これしかないな。と納得し、コンボイは審査員長の前で披露を実行に移す。
「コンボイだ、坂田銀時をやるぞ。
『おいっ、オメーラちゃんと銀魂ついてんのか!?』
なの魂の人、私も応援しているぞ!」
「ダァ!?」
かなり完成度の高いものまねにダイノボットは一瞬時が止まったかのように驚く。
念を押してオシオキボタンに手をのばしていたメガトロンも、これは納得の行く芸術作品である。
「おぉっこりゃどうだ。ダイちゃん!?」
完成度の高いコンボイのものまねにメガトロンも期待を寄せ、採点確認員のダイノボットへ声をかける。
すると、採点機器のランプは満点まで点灯しており。
良い笑顔でダイノボットは採点結果を伝えようとする……しかし。
ダー、やべぇぜコリャ……。
すぐに彼の表情は鬼気迫るものに変わった。
「大変です、部長!?」
「誰が部長だ!なんだ、ダイノボット係長。」
55 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 00:47:35 ID:FqivJww5
すでにプログラムは危機感への鐘が鳴り響く。
メガトロンの尋ねにダイノボットは焦躁しながら答える。
「点が入りすぎて採点機器がオーバーヒートしちまったぁ!」
「ナヌーっ!?」
「ク、ダイノボット!採点機器から離れろ!」
しかし、コンボイの警告は遅かった……採点機器は床に響くほど激しく膨脹しブリッジに振動を波紋のように送りだした。
もういつ爆発してもおかしくない状況である……。
「これほどとはな。まさか、私のものまねは最強ということか!?」
現実に起こっている自身のものまねの採点結果に嬉しそうに驚くコンボイにメガトロンは揺られながら突っ込む。
「違うわ!縦揺れ横揺れ石英、長石、黒雲母!理科の勉強を実体験してんだよデカゴリラァ!貴様ら、緊急退避だ!」
コンボイ、ダイノボットを始め。ネメシスに集結していたトランスフォーマーにメガトロンは退艦を命じた。
しかし
「もうみんな、退避したじゃ〜ん。」
「ナンダッテェー!?」
チータスの報告にブリッジのモニターを覗き込む。
そこには既にラットル達とワスピーター達が外へ退避している姿が映っており。小さく「ワッセ!ワッセ!」と聞こえてくる。
ブリッジに居たのは夜天の書を含めた四人だけであった。
「やべぇ、ヘタこいたべさ。」
「「うそーん!?」」
そう言っていた間、ついに採点機器は臨界点を突破し轟音が艦全体へと響く……。
そして全てを覆うような光が溢れ出す……それは
コンボイを
「しまった!!」
チータス、ダイノボット、メガトロン、夜天の書を。
『こーわしたこーわした〜!先生に言ってやろ〜!』
「え、あ、ちょっと〜!?」
彼らを閃光が包み込み。光が晴れ渡った後、ネメシスのブリッジから四人のトランスフォーマーと夜天の書が……姿を消していた。
おい夜天の書wwwwwwww
57 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 00:52:17 ID:FqivJww5
※
「う……ん?」
しばらくしてプログラムが回復し始め。センサーは鮮明に景色を映しだす。
視覚センサーに映ったのは薄暗い広い空間……。
暗視モードに切り替え、何となしに辺りを見回す。
が、見覚えのない場所である。
自身の身体の大きさを収納できるスペースからコンボイは今自分は何かの格納庫に居るのだと推測した。
「私は……いったい?。」
上半身をゆっくり起こし、数分前のメモリーを辿っていき……蘇った記憶にコンボイは思い出す。
「そうだ……私はコンボイだ。私はネメシスで銀ちゃんのものまねを……」
余りの完成度の高さに採点機器が暴発したんだ……。
くそ、ドンキーコングにしておけばよかったんだ!
今思い返せば悔しさと三人のトランスフォーマーと夜天の書から言われた言葉がが蘇ってくる。
『こーわしたこーわした〜!先生に言ってやろ〜!』
「止めろ!止めてくれ!」
両手で頭を抑え、染み出した後悔を噛み締めた。
しかし、その時コンボイは自分の身体にコードのようなものが取り付けられていることに気付く。
手や足……腰。身体の至るところに取り付いている……。
「止めて−−って何だ……このコードは?」
「しゃ、喋ってる……。」
突然、聴覚センサーに届いた声にコンボイは驚いた表情で声の主に視覚を向けると。
そこに居たのは長い金髪をツインに纏め、黒いブラウスと白いスカートの服装の女の子が心配そうな表情で立っていた。
彼女の服装からコンボイは彼女が誰なのかふと推測し、気が重くなってしまう。
「……先生、ごめんなさい。」
「は……はい?先生? 私の名前はフェイト・テスタロッサ・ハラオウンと言います。
貴方は……?」
まさかあの最終回から続けるとはwww
59 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 00:58:43 ID:FqivJww5
意思疎通が出来る。と解り、フェイトと名乗った少女は安堵した顔になり、身体の大きな彼を見上げて聞き。
コンボイも別の意味で安堵しながら今の現状を知る為に彼女へ自身の名を答える。
「な、なぁんだ違うんだ。私はコンボイ、サイバトロン軍のトランスフォーマーだ。」
……初めて耳にする単語……。
コンボイから告げられた名称。それはフェイトには聞いたこともない名であった。
思い出そうと、記憶の中から探していくがやはり聞いたことはない。
「サイバトロン……軍……、トランスフォーマー?」
この後、コンボイは自分が知るものとは異なる世界に居る事を知らされることになる。
そして……同じ状況に陥っていたトランスフォーマー達が居ることも彼は知らない。
違う場所で再び始まるビーストウォーズの幕開けであった。
ビーストなのはウォーズA's 開戦。
次回予告
コンボイ「初めまして、ゴリラのコンボイだ。」
フェイト「はじめましてコンボイ。」
コンボイ「いやぁ、それにしてもリリカルなのはは第1期からカッコイイ歌があっていいな。」
フェイト「あはは、そうですかぁ〜?恐縮です。」
コンボイ「次回、「はじめまして!」
オープニング歌ってる人誰だったかな?えっと水……水き……」
チータス「水木一郎じゃん?」
フェイト「違う!」
コンボイ「エンディングはたむ……田む」
チータス「たむけんじゃん!」
なのは「違ぇよ。」
なんというカオスwww
確か、バナナは突然変異種で種がないんだよな
何てハチャメチャギャグ展開…いいぞ、もっとやれ。
このノリは正にビーストウォーズメタルス、しかもあの最終回のモノマネ合戦からとは。
62 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 01:01:36 ID:FqivJww5
以上です。
次回予告やオープニングの使い方はダチのBsts氏から許可もらってます。
あの最終回から繋がってるのとメガトロンが夜天の書の主だったというのがミソですのでよろしくお願いします。
支援ありがとうございました。
真面目な話かと思ったらまさかの物真似合戦とかw
>「待てメガトロン!!私に良いものまねがある!」
これは別のコンボイだろ!と思ったがそういやマトリックス取り込んでたっけ。
水木一郎はありだと思ったw
GJ
自分より出来の良い話を創る。もうこんな感動はありません。
次回予告とかバンバン使って抜いて良し。
いかん。夜勤から帰ってきたらテンション急上昇しちまったw 眠れねえw
素晴らしきバカオス。もう本から出てきた各員のメカニカルなデバイスが勝手にトランスフォームしそうだ
アレ?生徒がもといフェイトがハラオウンを名乗るという事は、A'sの後?
>>67 後だな。二期では養子の話があっただけ、エピローグではハラオウン姓になってるけどね
ところでそういう質問はウロスの方でした方がいいよ
69 :
ビーストなのは:2008/07/11(金) 12:42:14 ID:FqivJww5
みなさん感想ありがとうございます。
>>67 言われて気付きました。
ハラオウンの部分は完全な誤植ですorz
投下した部分への質問もウロス?
さすがに無理あるんじゃね?
71 :
情に目覚めし黒き龍:2008/07/11(金) 17:54:15 ID:V/1Mo2K4
大変遅くなってしまいましたが、星矢クロス投下してもよろしいでしょうか?
反応も無いみたいなので投下しますね。
今回は、別の意味でザフィーラタイムです。
タカタカタ、タカタカター♪
シャマルを救うべく、自らの意思で聖衣(クロス)を身に纏った黒龍は、管理局の執務官であるクロノに戦いを挑んだ。
大事な家族の為に、空を飛べないという不利を物ともせず、聖闘士(セイント)の持つ圧倒的なスピードでクロノを翻弄する黒龍。
不利を悟ったクロノは、起死回生を測るべく接近戦を挑むが、互いの渾身の一撃が放たれた後、崩れ落ちたのはクロノであった。
倒れたクロノを、救助しようと動くなのは達。だが、その行動をあざ笑うかのように、黒竜は意識を失ったクロノを人質に取る。
そしてクロノの命と引き換えに、結界の解除を宣告するのであった。
情に目覚めし黒き龍第4話 「八神家の日常、そして終末」
「さぁ、こいつを見殺しにするのか、結界を解くのか早く選んでもらおうか」
僅かに、足元に力を篭める黒龍。その行動に、もはや顔を青ざめるしかないなのは達、黒龍の雰囲気に守護騎士達も
何かを言う事ができなかった。
アースラブリッジ
「艦長、早くクロノ君を救出しないと!」
エイミィが、リンディにクロノの救出を請う。だが、リンディは無言で聞き流していた。彼女の中では公としての自分と、母親としての
自分が争っていたのだ。
「エイミィ、結界の解除を。それと平行して、サーチャーをあるだけ周囲に展開してちょうだい」
リンディは、結界の解除をエイミィに命令した。だがそれは、母親としての顔だけでなく見捨てた場合のなのはやフェイトの反応
が容易に想像できるからだ、彼女は公と私の両方で妥協を取ったのにすぎないのである。
周囲に満ちる、異質な空気が薄れていく。黒龍は仕草で逃げろと、シグナム達に伝え油断無く周囲を見渡す。
シグナム達の気配が遠ざかるのを感じると、黒龍はあたりに響くように言い放った。
「どうやら、この小僧の命が大事に見える。シグナム達の引いたようだしな、そら返すぞ!」
踏みつけていたクロノから足を離すと、なのは達が居る方向に勢い良く蹴り上げる。
勢い良く飛ばされる、クロノの体をキャッチするなのはとフェイト。だが、勢いは殺せずにそのまま空を後退する。
その隙を逃さず、黒龍は己の最大速度で離脱した。
「目標、高速で移動しました。サーチャーが追いつきません、振り切られます!」
魔道師を補足するために、かなりの速度を与えられているサーチャーが全て振り切られ、レーダーによる探知に切り替えるが
突如目標が消失する。転移魔法かと残留魔力を確認しようとするが、一切の反応が無くエイミィは軽い混乱状態に陥った。
「嘘、消えた? 残留魔力は一切無し……転移魔法じゃない?」
無理もない、まさか人が完璧に気配を断って、闇と同化できるとは誰も思わない。
「しょうがないわね、クロノを回収後、直ぐ救護室にそれと、先ほどの戦闘記録を至急解析してちょうだい。」
リンディは、エイミィに対して言い放つと、クロノの状態を確認する為に自分も向かうのであった。
「どうやら、上手く撒けたようだな。しかし何をやっているのだシグナム達は?」
家族を救う為に、戦った黒龍ではあったが実際の所、状況が全く掴めていなかった。
「まぁ、後で直に聞けばいい。それよりも早くアイスを買いに行かねば」
そこで気づく、コートはシャマルに預けたままであるが、財布はズボンに入れておいたので問題はない。
問題は、この身に着けた聖衣(クロス)を何処に隠すかである。このままコンビニに入っては只の変質者である。
「とりあえず、近くの路地裏にでも隠すか。」
どこか締まらない八神家のノリに、何だかんだと毒されてきた黒龍であった。
数日後、八神家の夕刻
シグナムが蒐集に出かけ、シャマルと黒龍が少し遠くのスーパーの食料品セールに出かけてる現在。
八神家にはお子様二人と、ワンコが1匹。それぞれが、のんびりと日常を楽しんでいた。
「なぁザフィーラ、最近体洗ってる?」
はやてが、リビングに寝そべっているザフィーラに声をかける。
その視線は、ザフィーラのフサフサな毛並みに注がれているが、どうも様子がオカシイ。
「最近は洗っていませんが、どうなさいました主?」
寝そべったまま、ザフィーラははやての問いに答えた。
「やっぱりや、折角のキレイな毛並みがぼさぼさ、毛色も艶を失ってるし」
瞬きもせずに、ザフィーラを見つづけるはやて。
その視線に僅かに居心地を悪くしたのか、ザフィーラはのそりと起き上がる。
「はやての言うとおりだ、何か汚らしいぞ」
はやての膝枕の上で、寝転んでいるヴィータがはやてに追従するかのように、ザフィーラの姿を見た。
ザフィーラの、艶の有る綺麗な灰白の毛並みが、艶を失いすっかりボサボサになり、また汚れが目立っていた。
「そのまま家にいると、部屋中が汚れてしまうから洗わんといかんよなぁ」
その言葉にザフィーラは、風呂場に向かおうとするが、はやてが慌てて止めた。
「まった、私が洗ってあげる。一度で良いからワンコ洗うのやってみたかったんや」
はやてのワンコ発言に、ザフィーラは慌てて否定する。
「主、何べんも言うようですが、私は犬ではなく狼です」
しかし、その否定はヴィータの発言で、さらに否定される。
「何いってるんだよ、近所じゃ評判の賢い犬扱いじゃねぇか」
(おおっぴらに狼なんて言える訳が無く、喋ってもいけない。そんな中、私は頑張って犬の振りをしているのだ。)
「私を、狼なんて言ったら大騒ぎだろうに」
(ヴィータよ、もう少し私の気持ちを汲んでくれ。)
「あん、この前爺ちゃん達にドッグフード貰って、尻尾を振りまくってたじゃねぇか、今更何言ってんだよ」
『……』
しばし無音になるリビング。
この中で、はやてとヴィータの気持ちは一つになっていた、即ち。
(ワンコ確定やね(だな))
アイコンタクトをするはやてとヴィータ。その様子に、慌ててリビングから離脱しようとしたザフィーラだが
何故か、体が動かない。慌てて自分の体を確認すると、そこには四肢を縛るバインドの光。
「何をする、ヴィー……タ」
流石に、この行動にはカチンときたザフィーラは、ヴィータに向かって怒ろうとしたが、そこには騎士甲冑を纏い己の相棒たる
グラーフアイゼンを肩に担いだヴィータと、ニコニコと笑っているはやての姿が。
「おい、はやてに洗って貰うか、アイゼンの頑固な汚れになるかさっさと選びやがれ」
ヴィータの非情な宣告に、せめてもとばかりに思念通話で黒龍に連絡をとろうとするが、そもそも黒龍は
思念通話どころか魔力が全く無い事に気づき、万策尽きたとばかりに顔を青くするザフィーラ。
いや、元々青いのであるが。
此処からはダイジェストでお楽しみください。
「あ、主! ヴィータ、何故服を脱いでる!?」
「どうせ、濡れるなら私たちも一緒に、お風呂しようと思ってな」
「はやてと入れるなんて、幸せじゃねーか何焦ってるんだよ」
「ザフィーラの毛皮、濡れてるとまた違う感触やなぁ」
「おら、座らないと洗えねぇだろ」
「主、抱きつかないでください。ヴィータその格好で上に乗るな!」
「も、もう限界だ(バタンキュー)」
「ちょ、ザフィーラ重いから、早ようどいてや!」
「重てーんだよ、このワンコ!」
「むうぅ〜」
「動かんといて、どこ触れてるん!」
「あっ、バカやろう……」
一方、その頃の烈火の将と買物組み
全身を朱に染め、シグナムは佇んでいた。周りには無数の大型生物の山、もはやどれもピクリともせず
ただ、その姿が戦いの凄惨さを物語っていた。
「……待っていてください主はやて。後少し、後少しで闇の書の蒐集が終わります」
腕を振るい、己の相棒に付いた血を払い、待機状態に戻す。
「済まぬなテスタロッサ、お前との勝負は楽しかったがそうも言っては入られないのだ」
悲痛な表情で呟くと、シグナムは己の敬愛する主の元に返る為、転送の魔方陣を展開するのであった。
それはまた、一つの戦場であった。刃は無い、互いに殺しあう事は無くともその闘争心と熱気は正に相手を超える為に
高まりあう。これを戦場と言わず何と言おう、その戦場の名は主婦の嬉しい味方『特売セール』と言う。
「黒龍! ビニール袋に詰められるだけの人参をお願い、私は玉ねぎとジャガイモを詰め込むわ!」
シャマルは両手でビニール袋を伸ばせるだけ伸ばすと、ひたすら詰め込み始めた。詰め込んだ際に出来る隙間に小さ目の
玉ねぎを選び詰め込んでいく。
それは熟練の主婦の技であった。この世界で行った買物の数々が、湖の騎士を百戦錬磨の主婦へと鍛え上げたのだ。
もはや、彼女に死角はない。並み居る主婦を押しのけ、最良と感じる根菜を瞬時に選び取る。
無双の手腕をひたすら発揮し続けるのであった。
「シャマルよ、今の姿は、はやてに決して見せられないものだな」
高速の動きで、詰めれるだけの人参を詰め終わっていた黒龍は、離れた位置で奮戦しているシャマルの姿を確認すると溜息を一つ。
正直、今のシャマルの表情は悪鬼そのものだ。ぶっちゃけ自分から近づきたくない。
「後は、肉か。確かバラ肉のブロックだったな」
小宇宙(コスモ)を燃やすと、瞬時に精肉売り場に直行し安売りのバラブロックをゲットする。完璧なまでに少宇宙(コスモ)の無駄遣い
である。もっとも彼は暗黒聖闘士(ブラックセイント)そもそも、その力を私利私欲に振るっていたのだから、らしいといえばらしいのだが。
その日の夕食で、外出していた3名は奇妙な光景を見るのであった。
なぜかリビングに出されているちゃぶ台、そしてザフィーラに甲斐甲斐しく肉などを上げる、はやてとヴィータ。
「なぁ、シグナム。はやて達に何があったのだ?」
先に戻っていたシグナムに、問い掛ける黒龍。だが、シグナムも首を横に振るばかりであった。
「解からん、だが仲が良いのは良い事だ」
そんな微笑ましい光景を見て、シグナムは決意を新たにする。
「そうね、こんな生活がずっと続くように頑張りましょう。その前にご飯を作らないと」
シャマルがエプロンを手に、シグナムと黒竜に笑いかける。そんなシャマルに二人は全く同時に返事を返した。
『味付けは、絶対にするな』
「うう、二人とも酷いわ!」
シャマルの悲痛な声に、シャマル以外の4人と1匹は笑い出すのであった。
だが5人と1匹が、こんな風に笑い合える幸せな日は訪れなくなる。数日後八神はやてが、闇の書の侵食により倒れた事で、最後の
舞台が幕を開けたのだ。
それは夜天と群雲と、黒い龍の別れの時……
支援
以上で投下終了です。
久々の投下なのに文章が上手くなっていなくて申し訳ございませんOTZ
GJ!!です。
お久しぶりですw
しばらく更新が無かったので、心配してました。
少し、残念なのが黒龍が出てきた後のアースラ組みの黒龍に対する分析とかを見たかったです。
ザッフィーが淫獣化しとるw
GJ!
黒龍も良い感じに馴染んできましたね。
しかしザフィーがうらやましい。
青銅聖闘士と同等かそれ以下の暗黒聖闘士でこれだけ強いなら、黄金聖闘士だとどのぐらいの実力差になるだろう。
光速の動き、光速の拳を放てる黄金聖闘士なら飛べない程度、全く問題にならないかな?
さらに同じ攻撃は二度効かないからな奴らは
どんなチートだ!
一輝兄さんなんてあっという間に冥界の奥まで行っちゃうぜ。
>>82 異次元ご招待(アナザーディメイション)あの世ご招待(積巳気冥界波)異世界ご招待(六道輪廻
星屑召喚(スターダストレボリューション)相手消滅(スターライトエクステンション)毎秒一億発
の360度攻撃(ライトニングプラズマ)絶対零度(オーロラエクスキューション)銀河の星を破壊
できる攻撃(ギャラクシアンエクスプロージョン)
チートすぎるでしょう…
光速でパンチを放つとハルケギニアが衝撃で吹っ飛ぶんです ><
地球ではバンバン打ってた?神のご加護です ^^
どうやら次元遭難をしていたようだ。
>>83 ちょっと変えれば大丈夫じゃね?
ペガサス流星拳とか同じのに何回かだしてるし
ていうか実体がないヴォルケンズって積尸気鬼蒼焔食らったら一撃昇天じゃね?
霊魂じゃないから?一撃昇天は無いと思うけど、でも普通に凄まじい威力だろうな、積尸気鬼蒼焔。
マニゴルドと教皇の積尸気鬼蒼焔を食らえば一撃で死ぬかもしれんけど、デスマスクがヴォルケンズに使っても大して効果無さそうっぽい。
それとも積尸気鬼蒼焔使えるほどの実力も無いか?デスマスクは。
まぁ、何が言いたいかと言うと……
マニゴルドと教皇最高だよ蟹万歳!(デスマスク除く)
昨日、6ヶ月強の南米出張を終えて帰ってきました。
中断していた投下を再開してもいいでしょうか?
でも、半年も間が開いてるとコチラも気が引けますし、
そもそも誰も覚えていないんじゃ・・・・
それでも構わないと言ってくださる方がいれば
今晩 練り直してから投下予定です
さすがに自分でもプロットとか設定をすっかり忘れてしまったので・・・
これから久しぶりに日本の温泉を味わってきます ノシ
全力で待っていたぜ!
滑走路を磨きながら支援体勢でまっている!
>>90 長を忘れるな!
英霊大量召喚の積尸気転霊波なんか鬼強だぜ!
94 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/12(土) 13:47:22 ID:cXzBoH/Y
>>82 いやいや青銅は弱い奴でも音速以上の(時速1000km)で動けるんだから、この時点で管理局で対抗できる奴いないって。さらに黄金聖闘士は光の速度で動けるんだし、雑兵とティターン神並みの戦力差がるよ。
えっと今予約ないですよね?
七時半から赫炎のインガノックの続きを投下したいと思います。
最近規制が厳しいので、支援をお願いします。
よし、支援するぜ
正座で待機
時間ですので、投下を開始します。
容量はほぼ11KB。支援をお願いします。
血は紅い。
夕日のように。
太陽のように。
どこまでも紅くて――不気味だった。
あるはずがない。
存在するはずがない。
夢は終わったのだ。
崩壊する街と共に全ては消えうせたのだ。
あの巨人と共に異形都市は終焉を迎えた。
背にはもう鋼のきみはいない。
視界の端で踊る道化師はいない。
ただ残っているのは食欲と睡眠欲のない体、体温が失われた体、変質した大脳で身に付けた現象数式程度。
あの都市では殆ど無力だった力。
数式医としての自分。
異形と化していく体を止めることも出来ずに救えない人が圧倒的の多かった力。
けれど、今は救えるのだろう。
一人でも多く、あの都市よりも多く、救いきれるかもしれない。
この世界は狂っていないから。
ここの空は青いから。
この地に悲しみの涙が降り注ぐことはない。
無限にも匹敵する絶望はない。
ああ、この世界は美しい。
誰一人狂っていない。
いつ死ぬかも分からない恐怖に怯える必要もない。
蒸気機関による薄汚れた空気はなく、人であることを止めた機関人間はいない。人を殺す都市法もない。
けれど。
けれど、けれど、けれど。
あれはいた。
41の大災厄が。
見間違えることなどありえない。
あれは恐怖そのものだ。
幾万の悲しみを喰らい尽くし、絶望させる怪物。
そして、その中でも僕の記憶に残っているものがいる。
子供を喰らうウィンディゴでもない――炎の記憶が心に焼き付いているだけ。
哀れな老人の住まう湖に現れたストーン・ゴーレム――孫を残し、消えうせた最後。
狂人と少年が掘り進んだ地下に潜んでいたドラゴン――既に終わったかつての王。
そのどれでもない。
記憶にあるのは149の症例。
救いきれなかった149人の命。
過去を否定する水魚の女性――ペトロヴナ。
それが纏いしもの、それが喰らいしもの、それが接続したもの、それが孕んだもの。
――祝福せよ! 祝■せよ!
――■■、ああ、素■らしきかな!
――盲目の生け■は今や私の聖餐である!
――私の時■は動かない!
――レ■ル・レ■■よ、あなたは動かない!
――愛■き私の《■械》使い、
――大■爵が食べ■してしまったあなた!
――私の糧■■って!
――矮小な■身を知り!
――永遠が何■るか■知■なさい!
彼女の声は記憶に残る。
焼きついている。
呪詛のように、その美しい肢体が赤黒い樹肌に呑み込まれながらも悦楽し、快楽し、祝詞の言葉を上げる様を。
恐ろしい。
けれど、美しい。
残酷な童話のように、心が惹かれるよう。
されど、敵。
傷つける敵。
僕は滅ぼした。
≪右眼≫で見つめ、≪右手≫で滅ぼした。
打ち砕いたはずだった。
なのに。
「何故、ここにいる――クリッター ブラッドツリー」
終わったはずの幻想が、悪夢が、見えない道化師が哂いながら踊っているような気がした。
赫炎のクラナガン
第一章 狂気は蔦のように根を伸ばし
支援
蔦が伸びる。
絶望を糧に、血肉を苗床に、ゆらゆらと蔦を伸ばす。
一人の人間が死に逝こうとしていた。
動く気力もないそれは老人。
金もなく、家族もない、何もかも見放された半ば死人。
雨露を啜り、草木を齧り、惰性のまま生き延びてきた孤独な人間。
愛すべき子供たちはテロで失い、管理局の保障も私財も何もかも捨て去った、ただ悲しみに耐えながら生き延びてきた。
それは不幸である。
誰がなんといおうと不幸であり、老人自体もそれを否定しようがない虚無と悲しみに明け暮れていた。
記憶は苦しい生活の中で擦り切れて。
ただの生存本能のみが体を動かして。
鼻もロクに聞かず、耳も遠く、目だけはいい。
そんな体、そして彼は見たこともない蔦を体に生やして、ただ苦しみの中で果てようとしている。
そんな結末。
「こいつが、感染者か」
そう、結末を迎えようとしていた時、ぼやける視界の中で二足の足を見た。
声は出ない。
ただ目を上に向ける、そこには両手のない、煙草を加えた男が立っていた。
「話は聞いたが、やはり【樹化病】か」
腐臭にも似た体臭を放つ老人。
その傍にいても顔色一つ変えずに、その両手のない男は睨み付ける。
「クリッター・ブラッドツリーの種子に感染しているものと思われます。瞳孔の反応及び確認できる蔦の状態から、精神混濁並びに深度の侵食状態です」
男の背後にいる少女。否、少女の体を模した自動人形が答える。
鋼鉄の娘。その唇から洩れる言葉には感情は無い。
淡々とピアノを弾くかのように言葉が紡がれるのみ。
「そうか。なら、殺すか」
あっさりと告げる死の予告。
それに老人は恐怖しない。
もはや心は壊れかけ、記憶は擦り切れかけている。
ただの肉の塊同然だった。
だから、これから起こる事態に反応しなかった。
不意に輝く翠の光。
空間が僅かに揺らいだと思った瞬間、老人の体が吹き飛んだ。巨人に殴られたかのように、その体が廃屋の壁に激突する。
悲鳴すら上がる暇もなく、砕け散る血肉。
真っ赤な真っ赤な雨が降る。
壮絶な光景。悪夢のような光景。
されど、それで終わらない。
伸びる、延びる、吼えるように伸びる。
それは蔦。それは蔓。血が凝固したような樹肌の植物――異形。
完全に育ちきってはいない、けれど生命力の強いそれは砕けた苗床から蔦を伸ばして、新たな血肉を求めた。
目の前にいるのは二体。
片方は機械の体、クローム鋼による数秘機関の結晶――血肉にならぬ。
もう片方。機械の義肢、一部もまたクローム鋼による数秘機関を内蔵、半ば改造人間。されど、人の血肉がある。
襲い掛かるのは男へと――愚かな選択。
その蔓の一撃を常人は躱せまい。
訓練を受けていない魔道師にも、覚悟を決めていない戦士にも。
だが、男は躱さない。
必要すらない。
「おそい」
先端が音速にすら迫る蔓の一撃を待ち受けていたのは爆炎。
現状如何なる火炎放射にも勝る鉄すらも溶かす炎の壁。
それに呑み込まれ、それに焼かれ、それにより蔓は唸るように悶える。
「うぜえ」
男は続ける。
翠の光。空間が歪む。紅の焔をも潰して、ひしゃげて、切り刻む力場。
手の平で握りつぶされるかのように異形は潰れて、千切れて、燃え尽きる。
苗床の老人の遺体など、炭も残さず、ただ消滅する。
「舐めるな」
消えうせた死体。
老人の腐臭にも似た悪臭も、血肉が焦げる香ばしい香りも、廃墟の埃っぽい臭いも何もかも吹き払い。
男は下らなさそうに煙草の煙を吐き出し、吹き捨てた。
「殺しは救いだ」
彼は告げる。
「幻想は終わった。記憶もある。だけど、夢は終わらねえ」
背を向けて、用事が終わったとばかりに歩き出す。
それは――
「巡回医師。やはり俺はお前のことを認めるわけにはいかねえな」
巡回殺人者。
かつての異形都市で特一級の危険人物と認定された死の肯定の権化。
「夢が終わらない限り」
ケルカン。
死を振るう、かつての≪奇械使い≫
支援
しえーん
「あれ?」
少女は倒れる。
遊びは終わり、残飯から取ってきたパンを齧り、三人仲良く毛布を被って眠って。
朝を起きる。
起きようと、した。
けれど、動かない。
「どうしたー?」
「動けない」
「は?」
毛布を被った少女が、二人の少年に見つめられて恥ずかしそうに微笑む。
「なーにを、ふざけるんだよ」
少年が笑いながら、少女の毛布を剥ぎ取った。
瞬間、その顔が歪んだ。
戸惑ったように。
「なんだ、それ?」
「え?」
少女が体を見下ろす。
その足首に黒い紐が絡み付いていた。
いや、紐ではない。紐は動かない、紐はこれほど奇妙ではない。
それは蔓。
少女の足首から、太ももから、全身から、どこからか生えている植物の蔓。
古い御伽噺でお姫様を包み込んだ眠りの茨のような蔓。
「なんだよ、これぇ!?」
少年たちが口々と叫ぶ。
得体の知れないものに、恐怖を誤魔化すように。
少女は分からない。
痛みは無い。感覚がない。ただ手足は動かない、不気味に動く蔓に怯え、少年達の戸惑いに伝染したかのように震えるだけ。
喝采せよ! 支援
支援
「くそ、こんなもの」
活発な少年が蔦を引き千切ろうと手を伸ばす。
瞬間、少女が目を見開いた。
「だめぇ!!」
「え?」
蔦が蠢く。
少年の敵意を感じ取ったように素早く動いて――閃いた。
「あ?」
反応することすら出来なかった。
少年が吹き飛ぶ。ゴミでも払うかのように吹き飛んだ。
人差し指ほどの太さもない蔦の一本、その一撃で殴られたかのように吹き飛んで、ゴロゴロとアスファルトの上に転がる。
「お、おい、大丈夫か!?」
もう一人の少年が慌てて駆け寄る。
けれど、気付く。
痛みに呻く吹き飛んだ少年、その蔦に吹き飛ばされた場所から零れる紅い血に。
真っ赤に染まった衣服。アスファルトの大地を汚す赤。
蔦はまるで弾丸のように少年の血肉を削り飛ばしていた。
「怪我だ! 怪我してる!」
「あ、あぁ!」
少女が絶望に顔を歪める。
大切な仲間、それを傷つけた蔦に、恐怖し、怯えた顔。
「くっ。ここにいろよ!」
利発そうな顔、つい3日前まで肺炎で死に掛けていた少年は少女の怯えを理解したかのように声を上げた。
「ギー先生だ! ギー先生にこいつを診せてくる! その後、お前を診てもらうからな!」
医者なら分かるかもしれない。
子供には分からなくても、大人には分かるかもしれない。
少年は血を流す少年を背負い、少女にそう告げて急いで歩き出した。
「あ、ぁぁ」
少女が涙を流す。
蔦に包まれたまま、変わってしまった朝の光景に悲嘆の声を上げて。
そして、見た。
路地裏から、地面から、ゆっくりと伸びてくる――無数の“蔦”を。
しえん
緩やかに、朝が訪れる。
それは晴れていた。
不気味なほどに、どこか違和感がある空。
「朝、か」
彼は、ギーは目を覚ます。
毛布代わりの改造外套から身を起こし、硬くなった手足を少しだけ伸ばした。
ぱきり、ぱきり、小枝が折れたような音。
間接の鳴る音。
「やれやれ」
現象数式で老化を抑えているとはいえ、やはり若くない。
かつての十年前、ただの医者であった頃の力は、体は既にない。
変わり果てたのだから。
夢の残滓を引きずることもなく、夢に誘われることもなく、食事に興味も無くした、冷たさに震えることもなくなった。
失ってばかり。
代わりにギーが手に入れたのは手品にも劣る力のみだ。
彼は息を吐く。
空腹は感じない。だが、体に疲れは残っている。弱った体力を実感する。
寝床代わりに使っている廃墟の横、ギーの少ない私物置き場の中にダンボール箱が一つ。
それを開いて、中から取り出したのは無数の缶詰。
中にあるのは賞味期限が当に過ぎたクラッカー。生きるのを放棄しようとしていた老人から貰い受けた食べ物。
しゃくりと齧る。僅かな塩気と渇いた味、美味くなどない保存食。
しゃくしゃくと齧って、ギーはさらに手を伸ばす。
昨日の街の帰り道、猫缶と一緒に買った缶コーヒーのプルトップを開いて、乾いたクラッカーを胃へと押し流す。
ゴクリと喉が鳴る。
食欲はない。けれど、食わないと倒れるだろう。
今の彼には無理やりにでも食べさせてくれる彼女もいなければ、食事を作っては残すギーを叱る少女もいないのだから……
クラッカーを五つ。
缶コーヒーを一本。
それがギーの限界だった。
「ふぅ」
口の中の渇きを、苦々しいコーヒーで潤してギーは息を吐く。
こんなの食事を続けていたらいずれ倒れることは明白だった。
けれど、倒れるのが今でなければいい。
その程度。それぐらいの考え方、自分の命を重視してないが故の食事。
「ナァー」
しかし、それに抗議するように飛び掛るものが一匹。
ポンッと彼の頭に乗る黒猫。ぺしぺしと肉球で彼の額を叩き、尻尾が彼の後頭部を叩いた。
「やれやれ」
彼は手を伸ばして、黒猫を捕らえようとする。
だが、黒猫はするりと彼の手をすり抜けて、彼の前に降り立った。
「ナァッ」
短い鳴き声。
小さな小さな黒猫が、ギーを見上げて喉を鳴らす。
彼を非難するように、叱るように鳴き声を上げた。
その姿がどこか彼の知っている――“黒猫”を思わせた。
これこそ、我が支援の終焉である
支援
「すまない」
短い謝罪。
どこか失った“彼女”に叱られたような気がして、ギーは表情を変えずに呟く。
「ナァー」
よろしいとばかりに黒猫の肉球が、ギーの膝を叩いた。
言葉が分かるのだろうか?
不思議とギーがそんな風に思った時だった。
「ギー先生!」
声がした。
彼を呼び求める声が。
「なんだ?」
改造外套を引っさげ、黒猫から目を離し、彼は立ち上がる。
少しだけ早足で廃墟から出る。
そこには救いを求める少年がいた。
腹部から血を流し、苦しむ少年がいた。
「これは?」
ギーが駆け寄る。
右眼を見開き、現象数式を展開するための数式を構築し始める。
「先生、助けて!」
「分かっている。彼はすぐに助けて見せる」
「違う! 違うんだ!」
「?」
「アイツが、“リーナ”が変な蔓を生やして――」
少年の口から叫ばれる少女の名――リーナ。
瞬間、ギーの顔が僅かに強張った。
回る回る運命の連鎖。
悪夢のような幻想はまだ彼を離さない。
彼を嘲笑う道化師が消えないように。
しえん
投下完了です。
更新が遅れてすみませんでした。
赫炎のクラナガンも中盤を越えて、クライマックスへと近づいております。
管理局側の動きはまた次回。
地味な展開ですが、どうぞ最後まで読んでくださると幸いです。
ご支援ありがとうございました。
また次回もメルヘンな展開をお楽しみ下さい。
GJ
彼を失った先生が最狂を相手にどう立ち向かうのか期待しています
ああ、しかし彼を支えてくれる人はいないのか…
投下乙ー
厨くさい新キャラが誰とどう交わることになるのか期待w
そしてなんかフラグビンビンなリーナは果たして助かるのか
弱い、しかし善い少女を理不尽から掬い上げる腕は在るのかっ
GJです!
原作未プレイですが、これは怖い、怖いですよー
主人公と思われるギーさんの無気力系やさぐれっぷりと、
対照的にその気殺る気気合十分な彼の関係者っぽい人が
また恐ろしい事を引き起こしてしまいそうで……
管理局の面々がどのように関わっていくのか、期待です
投下ご苦労様です〜
さて、DHSの投下予告をしたいのですが、9時過ぎた辺りに大丈夫でしょうか?
支援だ!
道は空いている
さきほど帰ってきました。
やっぱり日本の温泉はいいね。
じゃ、私は>120の投下後に・・・・
>また次回もメルヘンな展開をお楽しみ下さい。
ああ、実にメェルヘンだ(断章のグリム的な意味で)
……あれ、時間ですがどうかなさいましたか?
それでは、9時を過ぎたので、投下します。
今回は20kちょいですね。支援お願いします。
突然現れた銀髪の男性。私たちの危ない所を救ってくれた人。
だけど、その手に握っているのは質量兵器たる拳銃。次元世界において禁忌とされる物品。でも、あの人は犯罪者のようには見えなくて、このアンノウンの事も何か知っているのだろう。
なのはじゃないけど、ちょっとお話がしたい。でも、管理局員として私たちは接しなければならなくて・・・・・・・・・
私たちはお互いの武器を交えた・・・・・・・・・
魔法少女リリカルなのは DEVIL HUNTERS 第4話 「雷と銃と剣。そして右腕」
ほのかに硝煙の臭いが漂ったその一瞬、フェイト達は唖然としていた。
今まさに異形達に命を刈り取られんとしていたのを救ってくれた目の前の青年。その助っ人の存在自体が驚きであり、それに拍車をかけていたのは
「拳・・・・・・銃・・・・・」
拳銃。弾殻・弾頭で構成された金属の弾丸を火薬の力によって猛スピードで射出する質量兵器。
弾を装填し、引き金を絞れば撃てるだけの力がある人間であればたとえ子供であろうとも扱うことのできる管理局、いや、次元世界では禁忌とされるもの。
それをその青年が向けていることがさらなる驚きであった。
「君は・・・・・・?それに、その拳銃、何で持ってるの?」
何故質量兵器を持っているのかを問う。それはある意味で強迫観念とも言える。
質量兵器はだめだ、質量兵器は忌避されるべきだという常識を持つフェイト、もちろんエリオとキャロもだが、相手が何者であるかの前に何故禁忌の兵器を持っているのか。
それを考えてしまうのだ。もしかしたら相手が何者であるかという疑問より強いのかもしれない。
「あ?何でだって?」
しかしその青年にフェイトの気持ちなど知ったことではなかった。
「そんなもん、あいつらぶっ殺すにはドタマに鉛弾ブチ込むのが手っ取り早いからに決まってるだろ?」
しれっとした表情で答える青年の答えにフェイトは疑問を覚えた。
「『あいつら』?君はアレの事を知ってるの?」
言葉からして何か知っているような口ぶりだった。だが、明確に答えられることはなかった。
「さあな。ま、ただ言えるのはあんなの1匹に手こずるなんてまだまだって事だな」
「なっ!?」
間違いない。自分たちがまだまだなどと呼ばれたのは癪ではあるが、この口ぶり、間違いなく何かを知っている。
なんとしてもこのアンノウンに関することを聞き出そうと声をかけようとしたが、それは青年の言葉に遮られてしまった。
「君は・・・・」
「HEY!メガ助!!今日も真っ黒メタボだな!!」
フェイトの言葉を遮って飛び出したのは眼前の敵への挑発。だが、メガ・スケアクロウはただ、ゆらゆらと体と刃を揺らしているだけだった。
「ハン、やっぱりあんなバッチィ虫の集まりに答えを期待したのが馬鹿だったか」
そういうやいなや青年は敵へ向かって飛び出す。体のバネを最大限利用したその走りは、すぐにトップスピードへと乗り、
「こんなのはな!」
走りながら左手を突き出す。握られているのは大型2連バレルリボルバー式拳銃『ブルーローズ』
青薔薇から吐き出された弾丸は正確に目標へと到達し、メガ・スケアクロウの胴体に穴を開ける。
「こうするんだよ!!」
一匹一匹の虫の集合体が痛みを感じたようにのたうち、その隙にすでに青年はその背中に背負われた大剣『レッドクィーン』の間合いへと距離を詰めていた。そして左手はそのグリップにあてがわれ
「フンッ!!」
突進力と体重をかけた斬撃が袈裟掛けに振るわれる。だが、一撃のみで終わろうはずがない。
「フンッ!!」
すぐさまに返す形で今度は逆袈裟。Xを描くように切り裂かれるメガ・スケアクロウ。
「エイヤァァ!!」
大振りで振るわれた左手を直ぐに返し、横一文字の一閃。その後の青年の体勢は左肩を突き出し、そして肩越しに敵を見る。
「ィィヤァ!!」
支援
しえん
待っていたのは人相手であれば脳天を砕くであろう縦の一文字。それと気合いの声とともに振るわれた彼の斬撃は、その敵を車両先端へと吹き飛ばし、その体躯に傷を付ける。
切り裂かれた所からは、虫が漏れ、体液をしたたらせている。
「バッチィな」
その状況を生み出した本人は、嫌悪感を露わにし、じたばたともがく敵のすぐ前へと歩み寄る。車両先端。ちょっと進んでしまえば、走っている車両から降りることが出来るだろう。『横からなら』
「Die!(死ね)」
そして青年は右足で、もがくメガ・スケアクロウに蹴りを入れた。『車両の前に』向かって。
「■■■■■■■■■■■■■■■!!!」
走っている列車の先に差し出された者の運命など決まっている。踏みつぶされ、跳ね飛ばされ、死への階段が用意される。たとえ悪魔でも例外ではない。
一瞬跳ねたと思った瞬間、メガ・スケアクロウの体はどんどんと潰され、出来の悪い即席のミンチとなる。甲虫の群れが潰れ、処刑具がレールと擦れる嫌な音がする。
やがて、その音はなりを潜め、また、リニアの走行音のみが響くようになる。
「こんなもんだろ。所詮は下っ端のクソ虫どもだな」
その銀髪の青年、ネロのミッドチルダにおける初仕事が終了した瞬間でもあった。
「こんなもんだろ。所詮は下っ端のクソ虫どもだな」
その言葉に、フェイトをはじめ、エリオとキャロが我に返る。自分たちが手こずり、対応を考えていた敵。
それだけに意識が行ったせいで、あわや命の危機にさらされたが、目の前の銀髪の青年は自分たちを助け、正体不明の敵を瞬殺した。
そこで、リニアと異形の奏でた不協和音を思い出し、苦い表情を浮かべる3人。
「!?」
だが、それはすぐに驚愕の表情へと変わる。今まで、暴走していたはずのリニアがどんどんとスピードを下げているのだ。やがてリニアは止まり、辺りを支配していた妙なプレッシャーも消える。
「(はやて・・・・・・・)」
驚きの連続の中、フェイトは念話ではやてと話し合っていた。
「(アンノウンの反応・・・・消滅や)」
どこから現れたのか解らない謎の襲撃者。少なくとも人間ではない奴らはさっきの青年の仕留めたので最後だったようだ。
「(あの男の子・・・・・・)」
「(質量兵器・・・・拳銃やね。助けてくれたのはありがたいけど、話聞かせてもらわんとあかんな)」
フェイトが『男の子』といくら年が近そうだとは言え、本人が聞いたら怒るに違いない名詞を使ったが、その可愛らしい言葉とは裏腹に、2人はその危険性を計ろうとしていた。
管理局員たる彼女らからしてみれば、いくら助けてくれたとは言え、質量兵器を所持していること自体が悪。戦闘は極力さけ、穏やかに『確保』したかった。
「シャーリー、解析はできた?」
はやてが問う。短い時間とは言え、簡易な解析をするには十分な時間だった。
「はい、推定ランクD〜Cと言ったところでしょうか。しかし、見た感じデバイスの類は見られないですけど・・・・・・・」
「(どう思う?フェイトちゃん)」
「(魔道師じゃなくても、拳銃を持っているのはとても危険だよ。でも、魔道師じゃない人にしてはそれなりに魔力を持ってるね)」
拳銃を警戒するフェイト。そこでふと気づいたことがあった。いや、思い出したことがあった。
「(そういえば、なのはは?)」
「(近頃の状況が状況や。とりあえず、スターズは護送優先。さっき緊急でシグナムをそっちに向かわせたわ。もう少しでつくはずや。あまり望ましくないけどもしものときは)」
もしもの時。穏やかな解決が不可能となった場合である。
「(シグナムが・・・・・うん、わかった。とりあえず話をしてみるよ)」
「(お願いな)」
「(了解)」
念話を終了し、ネロへと向き直るフェイト。フェイトとはやてのやり取りを聞いていたのか、エリオとキャロの2人はフェイトの後方へと位置。援護射撃に入られる形である。
「君!」
「あん?」
早速コンタクトをとろうとするフェイト。果たして相手ぶっきらぼうな様子で声を返してきた。とりあえず、会話は出来そうであった。
「助けてくれてありがとう。まずはそのお礼が言いたかった」
「別に感謝されるようなことでもないさ。あいつらをぶっ殺すのが仕事のようなもんだからな」
やはり、とフェイトは思う。先ほどの言動から取れる『あいつら』、『所詮下っ端』等の科白。彼を連れていくことができればアンノウンの情報が間違いなく手に入るに違いない。
「それで、君はどこのどういう人なのかな?それに時空管理局の法は知っているね?質量兵器は禁じられている。少し話がしたい。一緒に来てもらえるかな?」
管理局の名と法を出し、同行を願う。マニュアル通りの台詞だが、このような状況で逆らうような者はまずいない。そう、『まずいない』のだ。
「やなこった」
「え?」
しかし、ここに例外が居た。彼は管理世界の住人でもない。管理局を敬うもしくは恐れているわけでもない。質量兵器を恐れているわけでもない。むしろ積極的に使う側の人間である。
魔法というものに恐れをなしているわけではない。己の力が弱いと思っているわけでもない。管理局に逆らうことに恐れを感じていない。
彼は、基本的に組織で群れるというのを好まない。そして上から権威を以て押さえつけられるのを良しとしない人間である。
彼が信じるのは己の力、愛する女性と、己が友。そして友の父でもある己が故郷において信仰される神の存在。管理局はその対象ではないのだ。
「そんな法だとか掟だとかそういうのを持ってくる奴らは基本的に好かないんだ」
その思いがこの言葉には含まれていた。
「断る。そういうことだね?」
「その通りだよ。まさか言葉が理解出来ないって訳じゃないだろ?それとも従わないと・・・・なんとやらって奴か?」
傍若無人な物言い。ネロも女性をいたわることが出来ないという訳ではないが、恐らく己を捕まえようとする組織の人間、敵になるかもしれない者にまで遠慮をする必要が無しと判断した。
「そういう事なら実力行使ってことになるね。だけど、出来るならしたくないんだ。ダメかな?」
悲しげな表情を浮かべるフェイト。確かに質量兵器を持っているのなら犯罪者という括りに入る。だが、目の前の青年は、彼女には悪人に見えなかった。
「ダメだね」
しかし相手にはその気持ちが理解できる由も無かった。帰ってくるのは再度の拒絶。
「なら、仕方がないね・・・・・・・・・・君を、いや、あなたを・・・・・・・逮捕する!!!!」
瞬間、フェイトの身体は神速を以てネロへと迫る。手に持つデバイスからは金色の魔力刃が鎌の形を成し、眼前の目標へと振るわれる。
「ハァ!!!」
「捕まってたまるかよ!!」
ネロの方もただ立っているわけではない。手にした大剣で攻撃を受け、鍔迫り合いのような形へと持っていく。
周りは切り立った崖。フェイトに知る由も無いが、ネロは空を飛ぶ事は出来ない。故にこの車両の上という狭いフィールドでは受けるかいなす、若しくは紙一重で避けるしか手段はない。
大きく距離をとっての戦いというのは難しい。後に回り込んだとしてもまだ残りの二人が待ち構えている。
狭い故に援護が出来ないのだ。そこでわざわざ挟み撃ちのチャンスを与えたら拙い。状況は不利である。
だが、同時にこの状況が彼にとっても好機である。
「ィヤァァァ!!」
「ッ!?」
体格の違いを利用してフェイトを押し出し、力任せに振り払う。わざわざ突っ込んできたという事はフェイトには近接戦の自信があるとネロは判断した。
遠距離から射撃で袋にされるよりは相当マシである。ネロもまた近接戦が専門なのだ。
そして狭く、横への広がりが少ない車両上は、回り込まれる心配の必要があまりない戦いやすいフィールドでもあった。
「じゃれ合っている暇はねぇんだ」
そのまま追撃をかけるネロ。流石に殺すつもりはなかったが、状況を打破するためには怪我の一つや二つ位は負わせるくらいの気でいた。
「クッ!?」
しまったと内心後悔するフェイト。銃にばかり目が行っていたが、この青年は剣の腕も相当だ。守勢に回るのは不味いと感じた。
「(迂闊だった・・・・・・)」
苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべる。その彼女の耳に、突如聞き慣れた声が突然聞こえた。
「(テスタロッサ。そこから下がれ)」
「えっ」
驚きで呆けたような顔だったが、体は敏感に反応し、バックステップで後方へと下がり、それと同時に、相手は頭上を見上げていて
「マジかよっ!?」
同じようなバックステップで下がり、その刹那、流星の如く、高速の『誰か』が衝撃と共に降り立った。
「大丈夫か?テスタロッサ」
「シグ・・・・ナム」
果たしてそれはフェイトの援軍。機動六課部隊長、八神はやてに仕えるヴォルケンリッターが将、シグナム。炎を纏う魔剣を振るう誇り高きベルカの騎士。
「遅くなったな。済まなかった」
「いや、全然かまわないです・・・・ありがとうございます」
「フッ、先にも言ったが、お前は私の上司なのだぞ?そこまで低姿勢になることもなかろうに。対等に接してよいと言ったのはお前だぞ」
「あははは・・・・・」
短いやり取りの後、シグナムはネロを見据える。状況は分かっている。説得も失敗、ならやるのは一つだけ。
「いくぞっ!!!!」
「っチィ!!」
先のフェイトに勝るとも劣らない、爆発的な突進、赤の女王(レッドクイーン)と炎の魔剣(レヴァンティン)がぶつかり合う。
火花を散らせ、ギリギリと音を立てる二つの剣。先はネロに軍配が上がった。だが
「お前・・・・その右腕・・・・・動かせるな・・・・?」
「っ!・・・・なんの事だかな!!」
いくら体格が勝り、剣のボリュームも勝っているとは言っても、今度は鎌ではなく同じ剣。
先のフェイトのように全体重を乗せることの出来ない大鎌とは違い、両手持ちされた剣はロスなく持ち主シグナムの力を相手に伝えていた。
そして、ネロは片手という事実。だが、そこに隠された秘密の一端をシグナムは天性の勘というべきもので感じ取っていた。
「しらを切るか・・・・それもいいだろう。だが、この勝負勝たせてもらうぞ!!」
そしてネロにとって予想外だったのは相手のパワー。男と戦わせても遜色のないものだった。
「負けそうになっても、わざわざ最後まで手の内を見せないとは・・・・」
だが、シグナムは気づいて無かった。彼が『切り札』どころか、その前段階すらも見せていないことに。彼が内に持つ優しさで『右腕』を現さない事に。
「くそったれが・・・・・」
「もう終わりか?・・・・・・なら素直にするのだな。それならまだ罪も軽くなろう」
決して嘲っているわけではない。シグナムの騎士としての気質がその言葉に表れているだけだ。だが、その言葉がネロに火を付ける。
「さっきから好き勝手ぬかしてんじゃねーぞ!!!ふざけやがって・・・・・・」
ネロが左手に握ったグリップが一気に全開まで捻られる。
「こいつ・・・・・・・・何っ!?」
「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
爆音。魔法の発射音でも火砲の発射音でもない。それは剣の音。赤き女王の刀身が真紅に染まり、その背からは真っ赤な炎が吹き荒れる。
「推進機構を備えた剣だと!?」
驚くシグナム。だが、それは十分な隙だった。一瞬の内に均衡は破れ、荒々しい力の奔流に巻き込まれる。
「CRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRAZYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!!!!」
吹き飛ばされるシグナム。そしてその場に残ったのは、ネロ。
ブリンガー支援
『イクシードシステム』・・・・城塞都市フォルトゥナ独自の宗教団体『魔剣教団』の騎士が扱う剣に搭載された仕掛け。
剣に推進剤タンクと噴射機構を備え、攻撃力を上げるシステムである。これにより、比較的非力な人間でも悪魔に対して効果を上げることができる。
剣の達人が使えば、更なる攻撃力を得、殺傷力を高めるのだ。とはいえ、それは剣に振り回されない程度の噴射である。
だが、ネロのレッドクイーンは違う。形こそ同じでもその剣は他のものより肉厚で、イクシードに関しても常人では扱えないほどのパワーを出す。
今や、教団最強となった彼専用の、彼にしか扱えない特注の大剣。叫びとともに振るわれた一撃は、ベルカの騎士をすら容易く吹き飛ばした。
「シグナムっ!?」
「「副隊長!?」」
下がっていた自分たちの所まで吹き飛ばされてきたシグナムを心配するフェイト、エリオ、キャロの3人。なんとか体勢を立て直し、3人の目の前に着地する。
上体が下がっていたのが少しずつ上がっていき、3人が見た彼女の表情は
「シグナム?」
・・・・・・・・・笑っていた。ニヤリ、という擬音が付くような表情を浮かべていた。
「面白い・・・・・・・まさかあんな剣があるとは思いもしなかった・・・・・・」
身体が熱を帯び始める。久方ぶりの強敵となりえる者の前で、騎士として、武人としての血が騒ぎ始めていた。
「テスタロッサ。こんな時にすまないが・・・・・・・・手出しはしないでくれ。私が倒したい」
「は、はい」
思わず返事をしてしまったフェイト。だが、心のどこかで思っていたのかもしれない。『こうなったら手がつけられない』
「お前・・・・・・名は?」
再びネロの前へと立ったシグナム。対峙する青年へと一つの言葉をかけた。
「・・・・・・・・・・・・」
この状況はある意味決闘。全力を以て戦う相手に敬意を表し、名の一つでも聞いておきたかった。
「・・・・・・・・・・・・・・ネロ」
『ネロ』それを聞いたシグナムの表情はどこか嬉しそうで、目を瞑り、反芻するような仕草は喜びを表現して言うようだった。
「ネロか・・・・・・・いい名前だ」
そして穏やかな表情は一変し、再び戦士のそれへと変わる。
「私の名はシグナム。そして愛剣レヴァンティン!」
高らかと名を返したその姿は、まさしく騎士だった。
「シグナム・・・・・・・・・・・・・悪くない」
そして二人は剣を構える。1人は下段に構え、もう一人は地に大剣を突き刺し、剣からは炎が噴き出す。
「行くぞ!!!!!」
「きやがれ!!!!」
一撃でも直撃すれば終わりという至近距離での戦いが開始される。
シグナムが剣の振るいやすさを生かして連撃を放てば、片手でありながらネロはそれを大剣で切り返す。力を以て高速の斬撃を繰り出せば、シグナムは長き経験によって積まれた業でいなす。
本来なら、切り合うには相性の悪い武器同士。小振りのものに速さで勝てないはずの大剣は、持主の純粋な蛮力が速さを生み出す。
大振りの物に打ち負けるはずの長剣は、騎士の積み上げた長き歴史のなかで培われた剣技によって受け流していく。
ベルカの騎士と魔剣教団騎士。次元を越えた、2人の騎士の剣戟はまさに極上の物だった。
火花が散り、炎が巻き上がり、文字通り、熱き戦いがそこにあった。
「はぁ!!」
「フンッ!」
しかし、双方が人智を超えるものを持ったとしていても、どこかで優劣とは付いてしまうものである。やはり、右手を吊るした状態のネロが少しずつ押され始めていた。
それは凡人が見ればわからない程の物、しかし、じわりじわりとそれは姿を現していく。
「やはり片手では無理があるようだな!!!」
「っち!!」
やがてそれは、シグナムが押していると判るほどにまで膨れ、ネロの表情が歪んでいく。
そしてそれは唐突に起きた。
「でやぁぁぁ!!!」
強烈な踏み込みと共に振るわれた斬り上げ。とうとうネロの大剣がその手を離れてしまった。
「くそったれ!!」
「終わりだ!!!」
それをシグナムが見逃すはずがない。弓のように引き絞られた身体から繰り出されたのは渾身の一突き。
非殺傷設定のデバイスの攻撃を受け、相手は沈黙。それがその瞬間、彼以外が思った事だった。シグナム自身も、とった、という感があった。
だが、誰もが知る由もなかった。苦し紛れのように差し出された右腕。その布の下に何が隠されているのかを。
自身の危機に、ネロは切り札(ジョーカー)を切る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『悪魔の右腕』の封印を・・・・・・・・・今こそ解く。
支援
Atomic!
支援
支援
「うっ!!」
フェイトが目を瞑る。シグナムの剣が相手へと接触した瞬間。光があふれ、強風が吹いた。
目を開ければ、シグナムが銀髪の青年を倒しているはず。仕方なかったとはいえ、やはり彼が悪人とは思えない為に、心が痛む。
目の前がよく見えてくる。新人の皆には後味の悪い初出動だったな。悲しみを孕んだ眼が、次の瞬間には驚愕を含んだ物へと変わっていた。
「え・・・・・・・・・?」
「あれ・・・・・・・・・・・・」
フェイトのほかにも、エリオとキャロも同じように動きを止めていた。そしていつの間にか姿を戻していたフリードもまた人間のように動きを止めていた。
「なん・・・・・・だ・・・・・・・と・・・・・・・・?」
しかし、一番驚愕しているのは当のシグナムだ。当たり前だ。決めたと思った攻撃は相手へと吸い込まれたはずなのに
「何なのだ・・・・・・・それは・・・・・・・・?」
苦し紛れに差し出された右腕から現れたのは
「・・・クソッ!本当ならここで出すつもりはなかったんだがな・・・・・・・」
明らかに人間の物ではない『腕』がレヴァンティンを握りしめていた。
「ここまでやらねぇと分かんないだろ!!」
「はっ!?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
レヴァンティンごとシグナムの体が投げられる。先ほど剣で飛ばした様な山なりの軌道は描かない。限りなく床に平行に飛ばされていた。
「何っ!?」
だが、今度は投げるだけでは終わらない。切り札を切らねばならないほどの相手だ。もはや痛い目にあってもらうしか解決方法はない。
シグナムを投げたと同時に、ネロもその場から疾走し、さらに右腕を突き出す。其れが意味するのは
「腕が伸びただと!?」
悪魔の右腕がそのまま長さを伸ばしたわけではない。その悪魔の力が生み出す実体を持った幻影が飛び出し、あたかも腕が伸びているように見えるのだ。
だが、離れていくシグナムの右足首を掴んでいるのは、腕が伸びているのと同義であった。
「しまった!?」
掴まれたのに気付いても、もう遅かった。
「ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
「ぐうぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・・・・」
捕まえた足を振り回し、回されるシグナムが苦悶の声を上げる。
「イイィヤァァァァァァァ!!!!!!!」
そして片手で、片手でジャイアントスイングをされたシグナムの体はネロの手を離れ、
「ぐあああああああああああああ!!!!」
岩壁へと叩きつけられた。
「ネロ!トラブルがあったみたいね!」
「グロリ・・・・・・・いや、トリッシュか」
その時、強制的にネロの懐の通信機が通信を繋げる。
「見てたのか?」
「ちょっと心配になってね。ダンテもこっちに向かってるわ。アナタも急ぎで逃げなさい。一度使いっきりの転送陣が近くにあるはずだわ。今のうちに」
「わかったよ」
今しがた吹っ飛ばした相手の方を見やり、ネロは背中を向けた。
「シグナム!!」
「副隊長!!」
予想だにしなかった。まさかあんなことが起きるとは。シグナムが負けるとは。しかしそれは現実で、彼女は岩壁へと叩きつけられた。
「待て!!!!!!」
そしてすぐにその場を後にしようとする銀髪の青年の姿を確認したとき、大声をあげていた。絶対に捕まえる。仲間を傷つけられたという怒りがフェイトの体を動かした。
猛スピードで離れていく青年。だが、逃がすわけにはいかない。しかも、青年の視線の先に見えるものが
「おそらく、転送ポートの類だと思われます!!!!!!!」
ロングアーチからの叫びがその気持ちをさらに掻き立てた。
「逃がさない!!!!!!」
後少し、確実に捕まえるために後少し。
「えっ!?」
だが、それは叶わなかった。青年の前面から一陣の風が吹き、次の瞬間には猛スピードで先を走っていた。
そして銀髪の青年はフェイトの前から消えてしまう。何も残さずに。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙。誰も言葉を発さない。ただ、今まで起こったことが信じられなかった。あまりにもイレギュラー過ぎる。
「ライトニングはシグナムの介抱・・・・・・その後引き継ぎの準備や。警戒は怠らずにな」
力なく呟くはやて。ただ一つの救いは、反応からシグナムは大事に至ってないというのが分かっていたことだった。
誰もが、驚愕し、そして言葉を失っていた・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして舞台は次のステージへと移る。
青年の逃走時に解析した魔力。巧妙に手が加えられたのと術式が違うために解析が難航したが、奇跡的に逃走先が判明した。
しばらくたった後、はやてのもとに報告がされる。
シャーリーが驚きの声で告げる。
「解析、出来ました・・・・・・・・・逃走先・・・・・・第97管理外世界・・・・・・・・・・『地球』です・・・・・・・」
To Be Continued・・・・・・・・
なんと言う初見殺しw
乙w
おまけ 坊やのウエポンコメンタリー
レッドクイーン
ああ?これか?俺の仕事道具さ。時たまメンテで教団の支給品の剣を使うときもあるが、こいつがあると随分と『狩り』が楽になるんだ。
どうなってるかって?めんどくせぇな、仕方無い、説明してやるよ。
魔剣教団では細っこい両刃の剣に、バイクのアクセルみたいな仕掛けが付いてるんだがな、こいつは推進財で悪魔どもに一発キメるための装備。それなりの腕が立つなら中々使えるシロモノさ。
だけどよ、あんなんじゃ俺には足りないんだ。もっとパワーが欲しい。だから改造してもらったのさ。
刃も肉厚の片刃にして、噴射もかなりパワフルにしてもらったさ。あ?まともに使えないだろうって?そりゃそうさ『俺以外にはな』
今じゃ手放せなくなった相棒さ。技術部の仕事にはホントは感謝してるんだぜ?
名前の由来だけどよ。こいつでブンブン言わせるとメチャメチャ炎が噴き出すんだ。だから『赤の女王』 イカすだろ?
もういいだろ?キリエが待ってるんだ。じゃあな。
乙!
『悪魔の右手』は解析できたとしても訳わからんだろうな
悪魔専門の教団が分かってないぐらいだし
GJ!!です。
そりゃ初見で腕が伸び掴んでくるのを予見する事はできないだろうなぁw
地味に強力な相手を掴んで超怪力で投げ飛ばすや地面に叩きつけるなどの攻撃をSSでは
あんまり見ないので面白かったです。
GJ!
続いて 投下体勢に入っていいかな?
半年振りなので勘が狂ってるもしませんが・・・
さるさん(泣)
投下完了です。支援ありがとうございました。
本来なら2つに分けようかと思ったんですが、前に次回予告をしてしまったのでこの形に落ち着きました。
イメージとしては姐さんの登場は二期での登場シーン。戦闘は4の初回ダンテ戦のBGMでお楽しみください。
モチーフはもちろん、4のダンテ戦。今回は豪快に初見殺しをさせてもらいました。
そして舞台が変わります。なのはと坊やたちの世界って一緒だったんですね〜。
詳しくは次回以降で。
次回予告
六課、大自然と歴史の残る城塞都市フォルトゥナでドキドキツアー。
坊やと唇がキュートなあの娘、デート現場をすっぱ抜きされる。
【7】開放への鐘鳴 DIAPASON
ヴァレー基地を見るのはたかだか36時間ぶりのハズなのに、ずいぶんと懐かしい気がする。
もう二度と見ることができなくなった景色かもしれないと考えると、
冬山の寒々しい空に轟音が響く殺風景な空軍基地でもどこか温かい居場所のようにも思えた。
そんな感慨を抱きつつ、ヘリから直接担架に乗せられたなのはは、そのまま医療室に直行させられた。
少しばかり苦すぎた過去の経験から、医者の指示には素直に従うに限ると知っているので、
なのはとしても医療チームの命令に逆らうつもりはない。
「なのは!」
遠くから響く音があった。
なのはにとって聞き覚えのある、そしてホッとする気分にさせてくれる大切な人のものだった。
キャノピーが跳ね上がったと同時にF−20タイガーシャークから飛び降り、
装具を外す時間すら惜しんでフェイトが走り寄ってきた。
「フェイトちゃん?」
「なのは!大丈夫? 怪我は? どこか痛む? 頭打ってない?ボケてない?」
「色々あったけど、大丈夫だよ。全然平気! ちょっと疲れたけどね」
相変わらず、自分自身の問題に関して、なのはは嘘が下手なのは変わらないな…
フェイトはそう思う。
それでもフェイトは この場はなのはの嘘を素直に受け容れた。
担架に横たわるなのはは幻術によるフェイクシルエットでない。本当に無事に帰ってきたのだ。
そして、どれほど過酷な経験をしていたとしても命に別状はないことは揺るぎようのない事実だ。
親友に対しても素直になれないで無理を隠そうとしているあたりは、如何にもなのはの性格らしいといえばらしいが、
フェイトにとっては同時に少し寂しい気もする。
救難ヘリに同乗していた看護兵の一見乱暴、だが実は的確な緊急処置で、
脱臼しかかっていたなのはの肩は奇麗に治り、3日後には病室から開放された。
なのはは軍医から開放されるとその足でピクシーの元に向った。
そしてただ、一言。
「迷惑かけてゴメンなさい」
頭を下げる。
面白くもなさそうにオーシアの雑誌をめくりながら、なのはを一瞥するピクシーだったが、
無愛想加減は普段よりもいっそう磨きがかかっていた。
歴戦の凄腕傭兵の雰囲気は、エース級魔導師にもない独特のものだった。
「無事でなによりだ。サイファー」
「あら? 心配してくれてたんだ?」
「ずいぶんな言い草だな。当たり前だろう」
途端に剣呑な雰囲気は霧散してしまい、なのははつい気を許してしまったが、
ピクシーは容赦なかった。
「自分のミスで撃墜された間抜けですよ? 私は」
「そうだ。このドアホウの大間抜け、バカ、素人、ボケナス、報酬ドロボー、無能者」
ピクシーは冷たい表情に戻ったが口調は熱く、遠慮なく、思い切りなのはを罵倒する。
「・・・・」
さすがに傭兵にしても戦闘機パイロットとしても一枚上手のピクシーの言葉だけあって
なのはも黙って叱責の言葉を受け容れる。
ピクシーはフッと表情を緩めて続ける。
「だが、撃墜されても生き延びる奴はいる。そういう奴は賞賛すべき間抜けだ」
「・・・・・・まさか褒められるとは・・・思いませんでした」
ボロカスに馬鹿にされながらも賞賛されるとは、さすがに苦笑交じりの返事をするしかない。
「"Dead man talks no tales"」
「何ですか?それ」
「傭兵の癖に知らないのか?『死人に口無し』だ。試験にはでるから覚えておけ」
死んだ奴には何の権利も無い。
ピクシーはなのはが撃墜されても死地から還ってきた事を傭兵の真価として評価していた。
「二度とこんな失敗はしないよ」
「当たり前だ! そうそう何度も繰り返されてたまるか!」
堪らず、毒づいた後になのはを再び罵倒しようとして、
ふと、ピクシーは東のユージア大陸にはどんなにベイルアウトしても
必ず生還してくる伝説的な戦闘機乗りがいるとの噂を思い出した。
「もう済んだ事だ。これで終わりだ・・・・・・俺はお前の保護者じゃない。ウィングマンだ。ところで次の機体は決めたのか?」
幸か不幸か、機種更新という点で考えれば、なのはがF−4Eファントムを失ったのは、
将来を考えると、良いきっかけだったともピクシーは思っていた。
折角の腕を活かしきれていない。もっと馴染んで手足の一部となるまでの時間を
考えると、より高性能な機種に移行するべきだ。
「う〜ん、まだ、決めてないんですが、私って思うに長射程を大火力で圧倒するような機体が性にあってるんじゃないかな?」
「何故に疑問形で聞く?・・・・俺が知るかよ! そんな事」
片手をヒラヒラとふって突き放す。あれこれ口出ししたところで意味が無い。
知り合って短い期間にも関わらず、ピクシーは自分の考えを貫き通す相棒、
高町=サイファー=なのはの性格をほぼ正しくに把握していた。
支援爆撃
あの時の情景が頭の中をフラッシュバックする。
死を覚悟した過酷な経験だったのに、何故か思い出すのは自分が襲われている時ではなく、
最後の敵兵に銃弾をぶち込んだ時のことだった。
予備役のベルカ軍兵士と、捕虜にされていたオーシア空挺部隊の若い兵士。
私はまだ死ぬことができない。
命を譲ってくれたオーシアの兵士が納得できる生き方をする必要がある。
PPP♪ PPP♪ PPP♪
不意に内線電話の電子音が鳴る。我に返ったなのはは慌てて受話器を持ち上げた。
「サイファー?」
「私ですが」
電話をかけてきた声の主は復帰にむけてリハビリに励むなのはに何かと世話をやいてくれた駐在所長だった。
「もうじき仕上がる予定だ。体調はどうだ?」
「ありがとうございます。全く問題ありませんよ」
「では30分後に。G4格納庫で待っているぞ」
なのはは更衣室で新しく誂えたパイロットスーツを着込み、準備を整えた。
そして外へ通じるドアを開ける。
少しずつ気力が満ち、漲ってくるのを感じる。
格納庫の奥の暗くなった陰には一羽の猛禽が羽を休めていた。
F−14Dスーパートムキャット。
大型制空戦闘機で格闘戦に加え、長距離の索敵と攻撃が可能なこの機体は
なのはの魔法戦闘スタイルをそのまま戦闘機に置き換えた特徴を備えていた。
純白の塗装に青い縁取りのストライプは相変わらずなのはの搭乗機であると主張している。
H格納庫では駐在所長の他にフェイトとシグナムが一緒に待っていた。
「なのは・・・」
「フェイトちゃん」
「新しい翼だね」
「うん。新しいもっと強い翼。私はまだ負ける訳にはいかないんだ」
投下間隔が短すぎやしませんか?
駐在所長は複雑な表情でスーパートムキャットを眺めた。
この機体をオーシアから調達してきたのは彼だが、より格闘戦能力の高い機体を選ぶよう
アドバイスを聞き入れてもらえなかったことが心配だった。
自分の魔法戦での戦闘スタイルをそのまま活かせるような機体選びを主張するなのはに押し切られた格好だが、
その拘りがこの先どう転ぶかわかったものではない。
「テスト飛行でしょ。模擬空戦、つきあうよ」
「うん!ありがとう フェイトちゃん」
「私も一緒に上がろう。構わないな?」
「シグナムさんまで・・・」
「長距離攻撃は位置取り争いとタイミングで決める一瞬の勝負だ。だが、
この世界の戦闘機のドッグファイトには不確定要素があまりにも多すぎる」
動きの俊敏さにかけては名高いF−20タイガーシャークと格闘戦に特化したMiG29フルクラムが相手では
F−14Dスーパートムキャットには難しい間合いの模擬戦になるだろう。
「是非、おねがいします!」
結局、模擬戦はなのは対フェイト・シグナムというハンデ戦で、なのはの5戦0勝5敗だった。
元々機動力に優れた2機に、フェイトとシグナムという中近距離レンジを得意とする相手では、
今回初めての機体に搭乗するなのはに勝ち目は薄い。それでもなのはは満足そうだった。
模擬戦とはいえ、敗北の中にこそ学ぶべきことがある。となのはは厳しい表情に似合わない明るい口調で語った。
「さぁて、模擬戦の再検討、すぐにしなきゃね」
なのはは汗を流すべくフェイト、シグナムと共にシャワー室に向かった。
3人が並んで後姿を立ち去る姿を眺めている者達がいた。
遅れて格納庫にやってきたはやて、シャマル、そしてピクシーだった。
「ピクシーはどう思います?」
「俺はナンパ師じゃないんで、女性の心理は一度も読めたことがないが」
「ま〜た、またまた。このニヒルぶっちゃって、このスケベ妖精」
「そういうお前さんはオヤジマニアだな。メビウス」
先の作戦で臨時のペアを組んで以来、はやてはピクシーをおちょくることが多い。
「空戦ではよくわかりませんけど、変わったと思いますよ」
はやてとピクシーだけでは漫才になる予感を嗅ぎ取り、シャマルがはやての問いに答える。
「相変わらず強いと思うで? まぁ、さすがに今日は全敗やったけどな」
「そうですね。なのはちゃん。空に上がればとても強い子ですけど、復帰初めての空でしたからね」
「それに私達に隠して無理しがちなトコロがあるからな。まだ体調も万全でないんかもしれんなぁ」
フェイトと同じように、はやてもなのはが我慢を隠そうとする性格をよく知っていた。
そのやりとりを横目で眺めていたピクシーは駐在所長を視線を交し合った。
無言の連帯が成立する。なのはを「男の立場」から支えてやる必要がありそうだ。
照明を落とされた室内は戦争に赴く者達の緊張感と静寂に包まれていた。
スクリーンにAXE&HAMMER社のプレゼンテーションソフトが起動し、
画面を映し出すと同時にスピーカーから静かな、しかし威厳のある声が流れた。
「首都ディレクタス解放戦備は整った。
これにより ウスティオ空軍第6航空師団による首都奪還作戦任務の遂行を発令。
続いて 作戦詳細を令達する。」
冒頭の声の主である基地司令の宣言を受け、正規軍の作戦参謀がレーザーポインターを手に壇上に上がる。
「ディレクタスは 5つに分かれた地域行政区域で構成されている。
この5区域には各所強力な兵器が配備されており全体で ベルカのウスティオ方面軍司令部を形成している。
今作戦の敵部隊殲滅はウスティオ全土の解放と同義であり 我々の命運を分ける戦いでもある。
敵勢力は主に地上軍を中心に展開。
未確認だが 周辺には強力な航空部隊が配備されているとの情報もある。
ディレクタスを解放すべく、
ベルカ軍を殲滅せよ。全力を尽くすのだ!」
「おい、サイファー」
「なんですか ピクシー?」
ガルム隊の2人はブリーフィング中にヒソヒソ声で声を交わしあった。
「この作戦じゃ、対地攻撃がメインだぞ」
「ああ、私達より適任の仲間がいるからその辺はみんなに任せます」
「お前の狙いは こないだの戦闘の相手か?」
「何でもゲルプ隊とかいうエース部隊らしいですが、絶対出てきますよ。それに対応できる隊が必要でしょ?」
「今回、地上目標は捨てる・・・と?」
「首都ディレクタス開放作戦ということでウスティオ正規軍のパイロット連中も含めてみんな気合入りまくってますからね。
だって・・ほら、どの隊も対地攻撃装備ばかりじゃないですか」
同僚の指摘にピクシーは降参の仕草を見せた。
「お前さんがそこまで野心的だとは思わなかったよ」
「は?」
これは完全にピクシーの勘違いというか思い込みだった。
傭兵としての損得勘定、収支でいうなら、ディレクタスのベルカ地上軍を叩くほうが儲けは少ないがリスクも少なくて安全だ。
だが、敵エースとの対空戦闘となるとハイリスクな割に報酬には見合わない。
ただ、強敵を倒せば自らの傭兵としての商品価値を高める「営業活動」にはなる。
ピクシーほどのランクの傭兵ともなれば名前は世界中の軍関係者に知れ渡っているが、
サイファーこと高町なのはは凄腕だが、傭兵としての知名度はそれこそ皆無だ。
ウスティオ首都開放という誰もが注目する作戦の中で敵エース部隊を落とせる実力を見せ付ければ
この戦争が終わっても仕事のオファーは少なくないだろう。
「並の腕の敵で慌てるほどの下手糞はこの基地にはいないでしょう?皆、その程度なら自分の面倒は見れますよ。ただ、問題は・・・」
「敵エース部隊という事だな」
「そういうことです」
「いずれにせよガルムの1番機はお前だ。なのは。オレはその2番機であり、お前について行く。それで文句ないだろ?」
「ありがとうございます。 ラリー」
「ガルム2は1番機を厳しく選ぶんだ。だがその代わり、一度認めた奴は絶対守ってやる」
ピクシー(妖精)というよりもガルム(冥界の番犬)と呼ぶに相応しい獰猛だが頼れる微笑だった。
名前で呼ばれたことにちょっと驚き、ピクシーへの返事へも意識して名前で返す。
やはり名前で呼ばれるというのは嬉しいものだ。
ついに、満を持したウスティオ軍の首都奪還作戦が始まった。
大規模な作戦だけあってオーシア軍がディレクタス奪回に先んじて、他方面へ派手に陽動作戦を行っていた。
その間隙を縫って奇襲をかけることになっており、
それだけにヴァレー基地の空軍戦力を一気に叩きつける作戦が取られていた。
《イーグルアイより各隊へ。ベルカ軍をディレクタスから追い出すぞ》
対地攻撃兵装を抱えた戦闘機部隊が次々とウスティオ首都圏の空に飛び込んだ。
すぐさま迎撃がウステティオ戦闘機を手荒く出迎え、先陣をきっていたF−16の4機編隊に集中的な対空砲とミサイルがあびせられた。
あっという間に全機が叩き落された。
その直後に続いていた同じくF−16の別編隊はもう少し首都に近いところまで迫ったが、やはり濃密で正確な対空砲火で撃墜され、
市街地に轟音と共に巨大な爆発に変貌させれていた。
さすがに占領した敵国首都に駐留させている部隊だけあって迎撃も激しい。
2つの部隊が戦果をあげることなく犠牲になったが、その隙に別方向から進入した部隊が首都圏中心部に迫る。
<みんなヤル気まんまんやね>
はやて達のマジシャン隊はレーダー妨害電波の雲の中に隠れていた。
<首都開放だしね。それだけ士気があがってるんだよ>
<でも、犠牲は少なくなさそうですよ>
シャマルは不安そうな様子を隠そうとはしなかった。
<我が身を投げ打ってでも戦う価値がある。と、いうことだ>
シグナムは自分自身の形成している核としての騎士の誇りと忠誠の対象を想いながら古くからの同僚に応えた。
<そうやねぇ。この国の人間やったら命を賭ける価値がある戦いと思うのは当然やなぁ>
<でも、私達が生死を賭ける戦いではないと?>
<シャマル。常に生死を賭ける覚悟は必要だぞ>
<すいませ〜ん・・・>
烈火の将らしく戦いに望む姿勢は手厳しい。
<そう思ってしまうのも無理ないかもな、私達は異世界から来た魔導師で、卑怯で一方的な戦いをやってるワケやしな!ソコんとこは自覚せんとな>
<そうだよね。私達はこの世界では本来、存在してはいけない存在なんだ>
フェイトはこの世界での戦いが激しくなってくることに不安を抱いていた。
それはこの管理外世界には存在してないはずの管理局魔導師が、戦果を積み上げていくにつれ、
この戦争全体に影響力を与えることになるのではないかとの恐れだった。
世界を護る筈の存在が、世界の将来に介入する行為になりかねない。
戦争が目的ではない。
あくまで危険なロストロギアの改修の手段としての戦争だ。
支援
《イーグルアイより、第3波、突入せよ》
《もうそんな頃合か、思ったより早いな》
《マジシャン隊よりイーグルアイへ、了解した。これより攻撃態勢に移る》
はやては時空管理局の特別捜査官からウスティオ空軍のマジシャン隊指揮官へと瞬時に立場を切り替えた。
はやて、フェイト、シグナムそしてシャマルの4名で編成されている
ウスティオ空軍第6航空師団第86"マジシャン"戦闘隊ははやてのMiG31フォックスハウンドを先頭に
ディレクタス第3行政区に陣取るベルカ軍地上部隊を痛撃した。
建物が込み入っている都心にも関わらず、高層ビルの森の中に機体を潜り込ませ、
ピンポイントで精密な外科手術のようにディレクタスに巣食うベルカ軍の腫瘍を潰していく。
<くぅぅぅ!・・・っと・・・はぁ〜 あぶない あぶない!>
<はやてちゃん! ちょっと危険すぎですよぉ>
フェイトのタイガーシャーク、シグナムのフルクラム、シャマルのトーネードは巧みに障害物を避けながら華麗な飛行で攻撃を続けていたが、
唯一はやてとリィンUが操るフォックスハウンドが苦戦していた。
ついさっきは旋回ではらみすぎ、そのままビルの側壁に機体の腹から激突するところだった。
<リィン? もうちょい過渡領域の反応を滑らかにできんか?>
<できます。けど、今度はパワーが必要以上に出すぎると思うです>
<その辺はまぁコッチで何とかしよ。・・・で、いけるんやな?>
<はい!>
多少旋回性が犠牲になったものの、フォックスハウンドが猛烈な速度で駆け抜けた。
《マジシャン1よりイーグルアイへ。手術は無事成功、繰り返す。首都南部の腫瘍は全て摘出成功》
《よくやったマジシャン隊、第5波攻撃隊の援護に廻れ》
ディレクタス地上では市民が一斉に、だがベルカ軍には知られずに、行動を起こし始めていた。
環境保護団体の女が化学工場の経営者と一緒に銃を抱えて走り抜ける。
与党議員はビル屋上で狩猟用ライフルを構え、野党支持者は隣で双眼鏡を抱えていた。
粗暴な前科者として白眼視されていたアル中親爺はウスティオ情報機関の手足となって情報を集めている。
「通信と輸送関連の施設、機材、人員に狙いを絞るんだ」
蜂起に備え、ディレクタスが占領された後も首都に潜伏していた
ウスティオ陸軍特殊部隊の隊員達が抵抗組織を有機的なものにまとめあげていた。
これから軍隊の神経系と循環器系ともいえる通信と輸送に対して襲い掛かるのだ。
市民の多くは素人だったが既に地の利、人の和を得ており、あとは天の時を待つだけだった。
そして、ヴァレー基地の戦闘機部隊が奇襲をしかけたことで遂に天の時が至った。
これまで従順だとおもわれていたディレクタス市民の蜂起をうけて、ベルカ軍は浮き足立った。
《何だ お前達は!民間人が出てくるな!》
《 命令に従え!危険だと言ってるんだ!》
陸軍の兵士は治安維持と占領施策の面から民間人に対する接し方を十分に教育をうけているが、
民間人が組織だって巧妙に抵抗してくる事態に対処できるほど訓練されてはいなかった。
《ここは俺達の街だ!ベルカは出て行け》
抵抗は綿密に計算されており、シュプレヒコールをあげ、罵声はあびせるが、
投石や火炎瓶といった表面的な示威行動は行わず、通りを平和的に行進するだけ、それだけでベルカ軍を威圧する。
あちこちで市民が築いたバリケードで補給トラックのコンボイが道を塞がれ、立ち往生し始めた。
戦車なら用意に突破できる障害も装輪のトラックでは乗り越えることも不可能だ
《畜生、彼等が大人しかったのは兵士の監視の目を騙す為だったのだ!》
ディレクタス市民がベルカ軍の占領を従順な家畜のように受け容れていたのはこうした流通網への護衛を薄くさせるのが真の目的だった。
《何が起きているんだ 何だ お前達! 民間人は退避を や やめろ!》
《第84監視哨 応答せよ!どうした おい! 応答せ・・・》
静かに火がついた抵抗は一気に爆発的な勢いで燃え広がった。
《市民の抵抗を排除せよ!》
民間人に向けて発砲するというのは、誇り高い兵士がするような事ではない。
唾棄すべき犬以下の仕事だ。だが、命令であれば従うしかない。
誰にとっての幸運だろうか、彼等に下された任務は抽象的な「排除」という言葉で誤魔化されていた。
《全く・・具体的な命令を出されずに助かったぜ》
《何を暢気なこと言ってやがる!? おかげで俺たちが・・・うわっ!》
地上では物資を乗せたトラックがウスティオ市民の違法駐車で立ち往生し、ベルカ軍が設けた光ファイバー網はあちこちで寸断されていた。
そして空から戦闘部隊に対して攻撃が降り注ぐ。状況は加速度的にウスティオ有利に傾いてゆく。
市民の抵抗運動は市街地北部と西部に集中するよう計算されていた。
ヴァレー基地の戦闘機隊が攻撃を中央区と南部に集中させているにもかかわらず、
ベルカ軍は増援や物資を北部、西部地区からの派遣が困難になっていた。
《俺達の街に戻すんだ!俺達の手で!》
地の利では地元の市民に敵うはずもない。ある商業地区では架橋工兵部隊が群集にとりこかまれ、身動きとれなくなっていた。
《鐘楼を確保したぞ!》
《自由の鐘を響かせるんだ! 街中に聞えるように!》
《街中に響かせろ!俺達の自由の証だ!》
完全に勢いづき、興奮した群集がなだれ込み、鐘を鳴らしはじめる。
《何の音だ? 鐘の音? 》
《何で鐘が鳴っている?どこのバカだ! 鐘楼は封鎖してあるはずだ!》
鐘の低い響きは日が沈みかけた首都ディレクタスに鳴り響いた。
支援
《民衆の力が これほどに膨れ上がるとは……味方につけられなかった時点で負けていたか……
街道の30km地点まで一旦後退。混乱の収束を図る》
あるベルカ軍の歩兵指揮官が独断で後退を始めた。
指揮官自身は一旦後退が恒久的後退になると感じていたが、立場上、おいそれと口にできることではない。
《街は連合軍に落ちた。動ける者から 退路を開け!臨時混成でも構わん、再編成を実施、直ちに反転攻勢を!》
方面軍司令官の乗ったヘリがベルカ本国方向でウスティオ機に撃墜されたという情報を知った歩兵指揮官
は部下の中隊長達の狂信的な戦闘指揮にくらべて、はるかに現実的で冷静だった。
《もはや手遅れだ。我々は負けたのだ。》
《こちらイーグルアイ、市民蜂起は成功、町は開放・・・れた・・・だ》
イーグルアイの言葉は最後まで聞き取ることが出来なかった。
オープン回線で歓声をあげている大馬鹿者が何人かいるが、イーグルアイも含めて誰も注意しようとはしなかった。
<やったね はやてちゃん>
<うん、そうやな。 この国の人たちには嬉しいニュースやろな>
シャマルの呼びかけに対し、思念通話で交わすはやての声のトーンは決して嬉しそうではなかった。
<主 何をお考えですか?>
とっさに雰囲気を読んだシグナムが問いかける
<ん? これで戦争は終わってくれるんかな? ってな>
はやての声の調子は沈んだままであることにフェイトも気がついた。
<で、それは八神特別捜査官殿の予測ですか?>
<予測やない、終わってくれたらエエな〜っていう願望や。ハラオウン執務官殿>
はやては苦笑交じりに、そして何故か恥ずかしそうに答えた。
首都開放が確認されるまでマジシャン隊は編隊をフィンガーチップに組みなおし、周辺区域の警戒に当たっていた。
《作戦中の各隊へ これより首都開放作戦第2段階を実施する。敵戦力を削り取れ!》
《了解!》
戦意に溢れ、勢いづいたヴァレー基地の戦闘機の何機かが撤退してゆく街道上のベルカ軍の車列に襲い掛かった。
爆発と黒煙が帯状に連なり、兵器と人が纏めて黒焦げの塊に変貌して燃えていた。
《ザマーミロ! ベルカの強盗共め!》
《二度とウスティオに入ってくるんじゃねー 思い知ったか!》
ウスティオ空軍出身者の声は過激で容赦ないものだった。
散発的な抵抗をする部隊に彼等は機銃掃射を加え、徹底的に退却中のベルカ軍部隊を蹂躙していった。
<ひどい・・・>
その様子を上空から眺めたフェイトは言葉に詰まっていた。
<戦闘というには一方的やな>
はやての声も深く沈んでいる。
<はやてちゃん 止めさせる事はできないの?>
シャマルの声は些か以上に引き攣っていた。
<出来ないわ>
<どうして?フェイトちゃん!>
割って入ったフェイトにシャマルが食って掛かる。
<あの攻撃を食い止めたらどうなると思う?>
<死ななくても良い人達が助かるわ!>
<……どうやって?>
<えっ?>
<あれほどの集中的な物理的攻撃を純粋魔力だけで食い止めることができると思いますか?>
<そ、それはっ・・・・>
<よしんば出来たとして、ウスティオに潜入している私たちの能力に対する疑念をもたれたらどうする?>
<それに、・・・もう終わっている>
戦闘というより虐殺だとの感想は口にせず、シグナムがぼそりを呟くのを聞いて、
シャマルが辺りを見回すと武装を使い果たしたのか、悠々と帰頭するウスティオ正規空軍の戦闘機の姿が見えた。
《イーグルアイよりマジシャン隊、続いてベルカ地上部隊掃討に入れ》
一瞬、電撃のように張り詰めた緊張が無線越しに伝わってきた。
だが、はやてはゆっくりとした口調で、だが断固とした強い意思を込めて、返信をおこなった。
《マジシャン1よりイーグルアイ、攻撃は不可能、我が隊は既に対地攻撃可能な武装を全て射耗、繰り返す 対地攻撃不可能》
《・・・・・・・・・・・・了解、マジシャン隊は任務終了、帰頭せよ》
はやての回答は嘘だった。はやて自身も含め、フェイトもシグナムも機銃には十分な残弾を残していた。
それが彼女達の立場でできる小さな抵抗だった。
イーグルアイの短い沈黙に含まれていたものは何だろうかと考えると、
今後の立ち回り方についても少し考える必要があると思案するフェイトだった。
とりあえず今回はココまでです。
半年振りの投下で勝手がわからずご迷惑をお掛けしました。
後半はMISSION UDATE後、ゲルプ隊との戦闘がメインになります。
>>141 neetがボコボコにされると胸がスッとしますなww
お疲れ様
しかし、途中に話題に出てたオメガ11はやばいww
なんたってひとつのミッションで1回は落とされているからw
しかも、次のミッションで何事も無かったかのように出撃してるしww
>>145 GJ!
DMCはよく知らないんだが、純粋におもしろく先が楽しみです。
(本音)『やたらにフェイト達が横暴すぎね?確かにネロの態度もアレだけども
平然と恩を仇で返してる上逆恨み。法の守護者としてどうかと思うんだ』
>>160 テンプレに
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
前の作品投下終了から30分以上が目安です。
とあります。ちゃんと読んでください
半年前ってこのテンプレなかったんだっけ?
>>163 確かに横暴すぎ。質量兵器の所持って現地の法に合わせりゃ大抵問題ない筈なんだし…。
管理局に傾倒しすぎて現地世界の法律なんてクソくらえ状態なんかね?
それとも管理局として現地の法を守る気がないのか。
規制がまだ解除されてなくて泣きそうです。
0:00頃からスバゲッチュ最新話を投下します。
今回はおまけ付きです。
設定議論スレな。
では、DOD氏の投下30分後に、R-TYPE Λ 第16話を予約させていただきます
スバゲッチュ支援
どちらも支援、寝れないじゃないかwww
もう寝ようと思ったのにこのドSコンビめwww
では投下を開始します。
携帯投下のため申し訳ありませんが容量は不明です。
本編5レス、おまけ1レスです。
支援支援支援!!!!!
「遅れてすみませんなの! キャンベル大佐っ、ご無沙汰していますなの!」
迎えの途中で出会ったギンガに散々ホラを吹きデマを教え、なのなの口調習得の武勇伝(嘘)に
ついつい力を入れて話し込んでしまったシャリオは、結局予定より5分以上も遅れて、スネークが
待っている森へと到着した。
もうこれだけで言語道断、軍隊ならば厳罰が下ってもおかしくないような所業であるが、同僚を
誤魔化すのについ熱がとシャリオが言うと、まあ仕方がないかというような雰囲気がスネークと、
通信ウィンドウの向こうのキャンベルの間に流れた。
任務の前に無用な軋轢を生むのは、彼らもきっと避けたかったのだろう。シャリオとしては内心
冷や汗ものだったが、何はともあれ助かった。
『それにしても、君の顔を見るのは久し振りだな! 無事なようで何よりだ……が、その口調は』
「あっ、え、えと、これはっ」
『また妙な趣味に走ったんだな? 今回の敵に奪取されて喰らった、というところか』
「うぅ……そうなの。すみませんなの……」
モニターの中から通信で話しかけるキャンベルに、委細をあっさり見抜かれてしょぼーんとなる
シャリオだった。
「やれやれまたか」といった口振りからすると、どうやら前にも似たような事があったらしい。
『どうしたスネーク? さっきから妙に静かだな』
ウィンドウの傍らに立つ男、迷彩服を着てバンダナを巻いたスネークは、再会を喜び合う二人の
前で、沈着な彼に珍しく意外そうな顔をつくっていた。
「いや……あれの作者が、女性だったとは思わなかった」
「今は男女平等の時代ですっ、なの! 機動六課も男子より女子の方が多いですしっ」
『人材不足の管理局だ。どこからでも引き入れられるような仕組みはきちんと整っている』
「そうだな。いや、すまなかった」
軽量を維持しつつ銃弾さえ跳ね返す、スネークを魅了してやまない特殊強化段ボール。
制作者は何処の大博士、その道の権威かと想像を膨らませていた。
それがまさか、このようなうら若い乙女であったとは。そんなふうにスネークは驚き、内心では
素直に感嘆した。
ここ機動六課は強力な人材を次々と引き抜いて構成された、別名「夢の部隊」だとか何とか噂さ
れているのは聞いたことがある。
人手不足の時空管理局にそんなコトがある訳がない――と聞いた当初は思っていたのだが、この
女性が一介のメカニックとして収まるのだ、あながち誇張でないかもしれないとスネークは思った。
戦闘員のデバイスを一挙に引き受けるのだからただの技術者という扱いではないかも知れないが、
それでも、有能な職員をかき集めているのだろうということは簡単に想像できた。
支援!
いろいろともてあます支援
伝説の工作員、潜入(スニーキングミッション)の英雄に最大級の支援!!!
気を取り直して。
「はじめまして、シャリオ・フィニーノ一等陸士なのっ! シャーリーって呼んでくださいなの!
ちょっと口調がおかしいのは敵の攻撃のせいなので、気にしないでください、なの!」
『前にも話したと思うが、シャリオ君はハカセの助手をしたことがあってな。その時知り合った、
共通の教え子のようなものだ』
「そうか。俺はスネーク。ソリッド・スネークだ。スネークと呼んでくれ」
「お話しはキャンベル大佐に聞いてます、なの!」
「そいつは光栄だと言いたいが……大佐」
「その子はどうせ自分で調べる。ある程度は話さざるを得まい」
名前を交わして、自然に握手をする。
お互いに、上司や同僚から話には聞いていても、直接顔を合わせるのはこれが初めてだった。が、
第一印象は二人ともまずまずのようだ。
打ち解けるのは一瞬だ。名刺みたいな洒落たものはないがと言うと、シャリオはばつが悪そう
に笑って、自分もそうだと返した。馴染むのがずいぶん早い女性だと
スネークは思った。
語尾がなのなの状態でなければ、もっと好印象なのだが。
『あまり時間も無い。本題に入ろう』
画面越しにキャンベルが言った。シャリオが頷き、スネークは表情を引き締めた。
割と和やかだった邂逅の雰囲気が、一気に緊張を含むそれへと変わる。
「敵は『ピポスバル』なの。機動六課の魔導師スバルが、小型化して分身してしまったの!」
「…………」
『シャリオ君……その口調はどうにかならないのか……』
「すっ、すみません、なの……」
だがその一人がなのなの言っているようでは、緊張の糸はゆるゆるに緩んでしまうようであった。
台無しである。済まなそうにするシャリオだった。
「数は?」
「およそ百なの。今は立てこもってて、同僚のティアナ……スバルの相方が潜入してるの!」
『立てこもっている……? 何か、要求があるんだな?』
「『スパゲッティ百億皿、さもなくば全世界に『なのなの光線』を発射する』、って……」
『今後ミッドチルダから『緊張』の二文字が消し飛ぶわけか。また厄介なモノが出てきたものだ』
「なるほど、面白すぎて笑えないな。何処の誰だろうか。そんな物を作ったのは」
『私が知るわけないだろう。そこのシャリオ君なら知っていると思うがね』
再び気を取り直して続けるが、二人はうっすら笑みを浮かべてシャリオを見た。
スネークがさっそく自分に親しみを持ってくれたのは作戦行動上好ましいことではあるのだが、
なのなの口調の自分はどうやら弄られキャラとして認識されてしまったようだった。
羞恥に顔を伏せながら、自分はそのような運命にあるらしいと、シャリオは己の在り様を覚るの
だった。
というか今日は踏んだり蹴ったりだと思った。
魔法少女リリカルなのはStrikerS外伝
スバゲッチュ 第三話「疑惑のピポスバル」 Bパート
「こっ、これが今回の敵っ! その名もピポスバルなのっ!」
この空気を何とか払拭すべく、シャリオは慌ててウインドウをひとつ開き、ピポスバルの画像を
目の前のスネークと通信越しのキャンベルに提示した。今回の騒動を引き起こし、シャリオを窮地
(砲撃的な意味で)に追い詰めている、真っ白なピポヘルを被ったスバルの姿がそこにあった。
キャンベルもスネークもシャリオ弄りを止め、食い入るようにその姿を見た。なるほど確かに、
その頭に乗っかっているのはピポヘルに間違いない。スネークがかつてメサルギア事件で挑んだ、
ピポサルたちが被っているのとまったく同じものであった。
となると気になるのは、どうして封印されたはずのピポヘルが暴走したのかという一点になる。
だがその前に感想をひとつ。
「サルじゃなかったか」
『当たり前だ。さすがにサルに魔導師は務まらんだろう。なぁ、シャリオ君』
「あ、あはは……」
ひどい言われようだった。
「ところで、そのゲットアミは大丈夫なのか? 『ゲッチュ!』の方は」
「あ、はい、大丈夫なの。ゲットアミはティアナが一本持ってる他に、ここに一本、予備が一本」
「そいつを聞いて安心した。これが有ると、捕獲がずいぶん楽だからな」
シャリオの手の中にあったゲットアミを見てスネークが尋ねると、頼もしい答えが返ってきた。
通信越しにその会話を聞くキャンベルは、何だか懐かしそうな顔をしていた。
転送と捕獲を兼ねたあのガチャメカは、ハカセと同様の長い付き合いだ。
メサルギア事件が落ち着いた後、もうこれ以上使われることはないだろうと思っていたのだが、
どうやらその予想は軽く裏切られてしまったらしい。
望ましいことではないのだが、昔懐かしいあのメカを見ると、色々なことが頭を過る。
「シャーリー、敵が立てこもっているのは何処だ?」
「訓練スペースに基地を作って、そこにいるの。ティアナが潜入、既に交戦中なの!」
『先行している魔導師の体力も無限ではない。早く駆けつけてやった方が良さそうだな』
「はいっ! なの! それで、今回の武器ですけど……」
そうだった、とスネークは言った。ミッドチルダでは拳銃はご法度。たとえ緊急事態とはいえ、
もし万が一使用がバレでもしたら一気に犯罪者扱いなのだからたまったものではない。
「武器以外はこちらで用意してきた。君のあの段ボールも含めてな」
「光栄です、なのっ! えっと、まず……」
シャリオはゲットアミを手渡したあと、その握りの感触を確かめているスネークの足元に、拳銃
型の武装を二挺、緑色の手榴弾のような物体をいくつか並べて見せた。
いわく、バナナガンの類似品。ピポ・スネークが使っていたような、殺傷力の無い銃とのこと。
「こっちの緑のは閃光弾なの。ピンを抜いて3秒で、強烈に発光するの!」
『シャリオ君、大丈夫なのか? そちらはともかく、銃の方は』
「大丈夫なの。管理局の基準はちゃんとクリアしてるの! ……一応」
カートリッジ内蔵により、弾丸から魔力以外の要素を排除しました。
発射についても火薬ではなく魔力を用いるため、魔導兵器の条件はクリアーです。
認証した使用者以外は、超絶複雑なセキュリティにより拒絶します。汎用兵器ではないのです。
どう考えてもグレーだけど仕方がありません。命には替えられないんです。なの。
「理念は真っ黒じゃないか」
『まるで合法ドラッグだな』
「ぁぅ」
しょぼーんな顔になった。
とはいえ、思い直す。
『仕方がない。借りていきたまえ、スネーク』
「……まあ、無いに越したことはないが……」
『なに、ミッドの法律は熟知している。少なくとも法では裁けまいよ。剣やハンマーを堂々と振り
回す魔導師もいるらしいからな』
仕方なしにスネークは銃を受け取り、リロード用のカートリッジを手渡されるのだった。
「っくち!」
「どうしたヴィータ。今日は暑……っくしゅん!」
「あら、冷房はあんまり効かせてないと思うんだけど」
「あんでもねぇ……ったく、誰か噂でもしてんのか?」
「そういえば主はやてが、楽しみだった苺大福が無いと言っていたな。その件じゃないのか?」
「ばっ、ばっ、バカ、んなことしねーよっ! なななな何だよそれっ! 超心外だぞッ!」
「あ、はやてちゃんですーっ」
「あわあわあわわわわわわっ」
「嘘ですーっ」
「リインてめえぇぇッ!!!」
そんな守護騎士たちだった。
「シャーリー、ところでだが」
そうこうしているうちに装備の準備も整い、そろそろ任務開始かという時になって、スネークは
シャリオに切り出した。
もう出発なのだが、何だろう。そんな風に思ってスネークの顔を見る。そうして、はっとした。
そこには、戦士がいた。生死の境に命を懸けて走り抜けた、つわものがそこにいた。修羅の道を
行く者特有の、研ぎ澄まされた迫力の宿る静かな瞳に射抜かれて、シャリオは慄然とすると同時に
頼もしさを覚えた。熟練された戦士の力は、きっとティアナを助けてくれるだろう、と。
支援
「今回の敵には……そうだな。映像はないか? 情報がほしい」
「映像? あ、確か、最初の、開発室の記録があるのっ」
「何でもいい。乗り込むのは、それをチェックした後にしたい」
前回不覚を取り、縄目の屈辱を味わった相手、ピポサル。その本拠地に乗り込むとき、スネーク
とて装備は万全だった。だが最善の行動をとり極限に警戒を高め、それでなお無様な敗北を喫した
のは、スネークにとって忘れられない苦い思い出だ。
『君の言うことはもっともだが、今は緊急だぞ。どうしてもか、スネーク』
「ああ。どうしてもだ」
あの時ただひとつ惜しむらくは、情報。
突入の前に、もっと内部の構造が分かっていれば。敵の切り札「メサルギア」のセキュリティが
解析できていれば。ピポサルたちの弱点となるものを割り出し、用意することができていれば――
あのミッションは、危険を犯さず完遂できたかもしれない。戦友ピポ・スネークにも、最後の戦い
までサポートができたかもしれなかった。
「じゃあここから、そのまま西――あの枯れた木の方に向かってください、なの! 詳細な位置と
ピポスバルの映像は、追ってウィンドウを送るの!」
「わかった。じゃあ後はよろしく頼む」
「ガッテン承知なのっ!」
『健闘を祈るぞ、スネーク』
開発室へ戻るシャリオと、ウィンドウを閉じるキャンベルの声。
深く耳に刻み入れ、スネークは立ち上がった。
支援
本編は以上。
以下はおまけです。
支援
眠・れ・な・いw
これは眠れません
支援w
おまけ・そのころのギンガさん
「……の…………なの……」
シャリオと別れたギンガはオフィス内の廊下を歩きながら、何やらぶつぶつと呟いていた。
前を真っ直ぐ見て口を動かしている様は、何も知らない人が見たら結構怪しげな行動である。
たまたま機動六課の職員が来なかったのが幸いというべきか。
「そ……な…………うなの、そう、なの」
しかし当人からしてみれば、その様子はいたって真剣そのものであった。
真面目に引き締めた表情。普段の鍛練と同じ、いやひょっとするとそれ以上かもしれない。どこか
近寄りがたいほどの熱意をかもし出しながら、ひたすら一人言を繰り返してかつかつと歩き続ける。
何が彼女を駆り立てるのか? ――なぜならばこれこそ、シャリオが
一か月に渡る独自の研究で導き出したらしい「なのなの口調」完全習得法、その第一歩だからだ。
「そうなの、そうなの、そうなの、そうなのっ、そうなのっ、なのっ……」
そうなの、そうなの、と誰に言うでもなく、ギンガはずっと小声で、同じ言葉を繰り返していた。
シャリオいわく、まずは「なの」という言葉そのものに慣れること。
これが肝要な「レッスン1」。
日常で使う「そう『なの』」「そん『なの』」などと言った、「なの」というフレーズが入って
いる言葉を口ずさむことで、まずは心理的な抵抗を無くすのだ。そうシャリオは言った。
(ほ、本当なのかな……ホントにこれで身に付くのかな?)
どう考えてもウソである。
というか普通身に付けたくない。そこまでの努力が必要ならなおさらである。
だがしかし、これは試練だとギンガは受け取っていた。
機動六課超絶流行最先端のこのスキルをマスターすることで、もしかしたら自分が、ちょっとだけ
可愛くなれるような気がしたのである。
(確かに、何か、ちょっとヘンかもしれないけど)
仕事ではどうやら「真面目で何か取っつきにくい」と思われているらしく、近付いてくる男性は
あんまりいなかった。
戦闘時の近接格闘の激烈さのためか、ちょっと近づいてきても離れて行ってしまう始末である。
ギンガはそういう状況から脱却したかった。
要するにモテたかった。
(だ……だって……だって、だ……大流行だって言うし。男の人からも大人気になるっていうし!
私だって男の人とお付き合いしたいし、職場だと近付いてくれないしデートだってしたいしっ)
戦闘機人だって女の子。男の子にちやほやされてみたかったりするのである。
確認するようだが、流行とかマスター法とか、全部もちろん余すところなくシャリオの大嘘だ。
ギンガとて嘘を嘘と見抜けないほど目が曇ってはいないのだが、いかんせんそういう事情があった
ため完全に鵜呑みにしていたのだ。
(確か、ここを曲がって……ん?)
そうこうしているうちに廊下のT字路に差し掛かり、どこかで見た髪の毛が目の前に現れた。
その人物とは……。
続く。
長引いてしまって申し訳ありません。
支援レスありがとうございました。
ではまた。
ギーンーねーえー!!!
最後の最後に何という爆弾を置いて行ったのだあなたという方は。
ギガトン級のGJを!!
GJ!! ってかギン姉GJ!!
未だかつて、こんな可愛いギン姉を書いた人間はあなた以外におるまいてwwww
GJ!!です。
この、なのなの口調をマスターしたギンガがなのはと会い、
会話をし、なのはが後輩に舐められてるのって思い、二人のなのなの言葉使いが
戦うんですねッ!!
>>191 このギン姉をウチのギン姉と取り替えたいんですが、か ま い ま せ ん ね ッ ! ?
GJ!
ギン姉かわいいよギン姉
あの容姿で「なの」とか言われたら、ワシャぁもう・・・
そしてシャーリー、お前さんは既に何処までもまるっと腹黒だw
それでは、55分に第16話を投下させていただきます
GJ!Missingクロスとかもそうだけど、
ギン姉、実はリリカルで一番可愛い気がする。
GJなの!
ギン姉可愛いよギン姉
これはR氏が取り換えたくなるのも仕方ない
もう主役食ってるしww
それでは投下します
結論から云えば、投降を促そうとするギンガの目論見は失敗した。
目前の武装勢力人員へとデバイスを突き付け、その罪状を告げる。
其処までは良かった。
何も問題はなく、状況は彼女の望むままに進行する筈であったのだ。
だがひとつ、彼女は見誤っていた。
否、彼女のみならず、管理局員の全てが見誤っていたのだ。
彼等が、第97管理外世界の人間が、どれ程までにバイドに対する恐怖を抱いているか。
どれ程の敵意を、そして憎悪をバイドへと向けているのか。
ギンガは、そして攻撃隊は、それを見落としていた。
「AC-47β」起動の直後、目前の人物より僅かに声が発せられる。
ただ一言、忌まわしき存在の名称。
『・・・バイド』
「・・・え?」
その瞬間、ギンガの視界が白い光に覆われ、聴覚が轟音に満たされた。
スタングレネードと呼称される、非殺傷型質量兵器か。
炸裂地点はギンガよりも攻撃隊に程近かったらしく、彼女への影響は微々たるものだった。
眩む視界、麻痺する聴覚。
数瞬後、機能回復。
同時に鈍い衝撃がギンガを襲う。
朧気な視界の中に浮かび上がる、彼女に向かって脚を突き出すアーマーに身を包んだ人物の姿。
どうやら彼女を蹴り付けようとして、バリアジャケットに阻まれたらしい。
一瞬ながら怯んだその人物は、しかし次の瞬間にはギンガの鼻先へと銃口を突き付けていた。
咄嗟に身を逸らし、ブリッツキャリバーでの蹴りを放つ。
発砲はほぼ同時。
3発の銃弾が、ギンガの肩を掠め飛ぶ。
切り裂かれるバリアジャケット。
同時に蹴りを放った脚が目標人物へと接触、防御の為に翳された腕、その骨を砕く衝撃がギンガへと伝わる。
異様な感触に顔を顰める彼女であったが、直後に放たれた再度の銃撃に反応、瞬間的に爆発的な加速を行い目標人物の懐へと入り込むと、リボルバーナックルの一撃を見舞った。
加減こそされてはいたものの、戦闘機人の膂力で殴り飛ばされた彼の身体は約10mにも亘って宙を舞い、更に地面へと叩き付けられた後に数mを転がって漸く停止。
動き出す様子が無い事を確認し、次いでギンガは周囲から無数の銃声が鳴り響いている事に気付く。
攻撃隊及び武装勢力、交戦中。
「・・・しまった!」
小さく己へと毒吐くと、ギンガはブリッツキャリバーによって駆け出した。
拠点外部、闇の向こうからは無数の誘導操作弾、高速直射弾が撃ち放たれ続けている。
同時に拠点内からは質量兵器による応射が始まっており、状況が完全な戦闘状態へと移行した事が見て取れた。
最悪の展開に歯噛みしながらも、ギンガは思考を廻らせる。
あの時、目標人物は「AC-47β」の起動に反応しバイドの名称を口にした。
恐らくは活動を開始した「AC-47β」内部のバイド体からの反応を検出し、こちらを汚染体と判断して攻撃行動を実行したのだろう。
明確に人間である事を確認しておきながら、反応検出と同時に射殺を試みる武装勢力。
正しく異常としか云い様がない。
しかし、少なくとも他の武装勢力人員は、バイドの反応を検出しつつも攻撃を躊躇っていた様だ。
だが先程の銃声が、戦闘の引き金を引いてしまった。
スタングレネードを使用したのは攻撃隊に近い武装勢力人員であったが、その後に戦闘を展開する意思があったか否かは定かではない。
戦闘が開始された決定的な要因は、間違いなく自身へと向けて放たれた銃撃だ。
ギンガは自身の肩部、銃弾に切り裂かれたバリアジャケットへと触れた。
無残に千切れたそれは、銃弾に秘められた恐るべき威力を如実に表している。
対人用の銃弾ならば十分に防げると踏んでの攻撃実行だったが、予想に反して銃撃は容易くバリアジャケットの防御を貫いた。
弾頭に特殊な処理が施されていたのか、それとも単に貫通力が高過ぎるのか。
いずれにしても、危険な事には変わりがない。
攻撃隊は今まさに、その弾雨の前へと曝されているのだ。
可能な限り速やかに、武装勢力を背後より強襲しなければ。
ギンガは更に加速、風の様に武装勢力の一団を目指した。
彼等は4つか5つの天幕の向こうに布陣し、遮蔽物に隠れながら質量兵器により攻撃隊へと応戦している。
天幕を迂回しようと進路を変更するギンガであったが、その動きが唐突に停止した。
上空、耳障りな高音。
反射的に見上げた視線の先を、白と黒、2つの機影が過ぎる。
「・・・ッ、あれは・・・!」
漆黒の影は強襲艇、そして白い影は見覚えのあるものだった。
決して忘れ得ない、記憶の深層までへと刻まれた機影。
「R戦闘機・・・!」
機首に左右一対の先尾翼を備えたその機体は、強襲艇と共にギンガの頭上を低速で通過。
しかし直後、大気の壁を打ち破る轟音と共に、その姿が掻き消える。
R戦闘機、超高速戦闘機動。
衝撃波がギンガの身体を打ち据え、後方へと弾き飛ばす。
「く・・・ッ!」
地面へと叩き付けられる直前、ギンガは体勢を立て直し着地。
攻撃隊の交戦域へと目を遣ると、丁度その上空にてハッチを開く強襲艇の姿が視界へと飛び込んだ。
すぐさま地上より直射弾が放たれるが、彼方より飛来した2発のミサイルが攻撃隊の布陣する地点へと着弾。
直撃こそしなかったものの、強大な炸裂の余波が攻撃隊を散り散りに吹き飛ばす。
直後、ミサイルを発射したと思しきR戦闘機が、再び上空を突き抜けた。
地上から撃ち上げられる弾幕が途絶え、その隙に強襲艇は機首を回頭させて離脱を図る。
その陰から、ひとつの人影が空中へと躍り出た。
「・・・え?」
瞬間、ギンガは駆け出そうとしていた事も忘れ、食い入る様にその人影を凝視する。
呆然とした声を洩らし、強化された戦闘機人の視力を以って対象を拡大。
しかし、その結果は理解できない現実をギンガへと叩き付ける。
それは、有り得ない人物。
此処に存在する事、それ以上に武装勢力の強襲艇より降下する、その事実こそがあってはならない人物。
嘗ての戦友にして、弟の様な、しかし1人の戦士として肩を並べ戦った人物。
「何故・・・!?」
薄汚れた白色のロングコート。
嘗てとは異なり、踝までを覆うスラックス。
2年前より僅かに伸びた深紅の髪、既にギンガをも追い越さんばかりに伸びた背丈。
その手に握られた、記憶の中のそれよりも更に長大となった、白亜と群青の槍型アームドデバイス。
瞬時に深紅の稲妻と化した、その人物は。
「何で貴方が其処に・・・!?」
エリオ・モンディアル二等陸士。
「エリオッ!」
混乱のままに叫ぶギンガを余所に、エリオは空中にて身を翻すと頭部を地表へと向け、そのままストラーダの矛先をも下方へと向ける。
直後、爆発音といっても過言ではない程の凄まじい推進用魔力噴射音と共に、エリオの身体が地表へと突撃を開始。
武装勢力の機体より現れた、バリアジャケットに身を包んだ人物の姿に、唖然と頭上を見上げるばかりの攻撃隊、その中央にエリオは「着弾」する。
付近に展開していた局員4名が振動と粉塵に怯んだのも束の間、直後に彼等の身体は横薙ぎの一撃によって、宛らボールの如く吹き飛ばされた。
薄れゆく粉塵の中央には、ストラーダを振り抜いた体制のまま佇むエリオの姿。
その凶行にギンガを含め、攻撃隊員が息を呑む暇さえなく。
ストラーダより生み出される爆発的推進力によって、エリオの姿が掻き消える。
ギンガが我へと返った時には既に遅く、新たに6名の局員がストラーダによる強烈な打撃を受け昏倒していた。
同じく我へと返った周囲の局員達が、エリオの影を追う様にして射撃魔法を展開するものの、誰1人としてその速度を捉える事ができず、逆に1人ずつ着実に人数を減らされてゆく。
更に武装勢力、そして三度上空に現れたR戦闘機による激しい質量兵器の弾幕が攻撃隊の行動を阻み、彼等はまともな抵抗も許されずに無力化されていった。
「どうして・・・どうしてッ!」
そして、約2分後。
総数20名を超える攻撃隊はギンガを残し、完全に制圧された。
揺らめくミサイルの爆炎、その周囲には意識の無い局員達が、ある者は眠る様に、またある者は吹き飛ばされた先で構造物に叩き付けられて、死んだかの様に横たわっている。
しかし質量兵器による直撃弾は皆無であったらしく、全員が五体満足のままに地へと伏せていた。
武装勢力は、意図して直撃を避けたのか。
いずれにせよ、残るはギンガ唯1人。
「エリオッ! どうして・・・どうしてこんなッ!」
絶叫するギンガ。
その声に気付いたか、倒れた局員達の間に佇むエリオが、ゆっくりと彼女の方へと顔を向けた。
燃え盛る炎を背後にしたエリオの表情を窺う事はできず、ただ躊躇う素振りすらなく構えられたストラーダの矛先が、ギンガの叫びに対する彼の答えを表している。
「AC-47β」、出力最大値へ。
左腕のリボルバーナックルが唸りを上げ、ブリッツキャリバーが突撃の瞬間を待ち受ける。
獲物へと飛び掛からんとする猛獣の如く身を屈め、全ての力を標的へと叩き付けんと構えるギンガ。
最早、彼女の視界にはエリオの姿しか映り込んではいない。
頭上のR戦闘機も、質量兵器の銃口を彼女へと向ける武装勢力も、エリオ以外の一切が意識より除外されている。
今やギンガのその瞳は生来の澄んだ碧ではなく、戦闘機人の証たる金色の光を放っていた。
そして、数瞬後。
「ッエリオオオオォォォォッ!」
その膂力・魔力の全てを用いて、ギンガはエリオへと突撃を開始。
ブリッツキャリバーが火花を散らして地を削りつつ、凄まじい加速で彼女をエリオの許へと導く。
振り上げられた左腕、リボルバーナックルが破滅的な力の解放に備え、その唸りを増した。
幾重もの思考の壁がギンガの意識を阻み、しかし彼女はその全てを粉砕しつつ突撃を継続する。
何故、エリオが此処にいるのか。
何故、武装勢力の側に付いたのか。
何故、自分達を襲うのか。
そんな事は、最早どうだって良い。
唯、殴る。
殴らねば気が済まない。
全力で、有りっ丈の力で殴り、その目を覚まさせてやらねば気が済まない。
「ッアアアアァァァァァッ!」
咆哮と共にエリオへと襲い掛かるギンガ。
その視界の端で、無数の光が瞬いた。
武装勢力、発砲。
無数の銃弾がギンガの足下を穿ち、その数発がブリッツキャリバーのローラーを弾く。
ギンガは体勢を崩し、しかし即座にそれを立て直すと、先程を上回る速度で突撃を再開した。
エリオは動かない。
今度は前方、視線の先で光が炸裂する。
噴射炎。
何時の間にか、R戦闘機がエリオの頭上へと移動していた。
機体下部よりミサイルが放たれ、ギンガが反応する間もなくその側面の空間を貫き後方へと着弾、天幕の1つを完全に吹き飛ばす。
ミサイルが通過した際の衝撃波、そして後方からの爆風にギンガは、今度こそ体勢を立て直す事もできずに前方へと倒れ込んだ。
それは、エリオから僅か数mの距離。
それでも何とか、彼へと渾身の一撃を叩き込もうとして。
瞬間、掬い上げる様に振るわれたストラーダの柄の先端が、彼女の顎を捉えていた。
「が・・・ッ!」
脳を揺さ振られ、ギンガの意識が混濁する。
余りの衝撃に跳ね上げられた身体は、戦闘機人の耐久力を以ってしても動かす事は叶わなかった。
仰向けに地へと倒れ全てが逆さまとなった彼女の視界に、後方より歩み寄る武装勢力人員の影と、ホバリングするR戦闘機の側面に刻まれた「POLIZEI」の文字が飛び込む。
突然、その眼前にデバイスの矛先が突き出された。
ストラーダ。
事故修復機能を備えている筈のそれは、表層に無数の深い傷が刻み込まれ、更に白亜の塗装は殆どが剥げ落ちてしまっている。
しかし、それを目にしたギンガの脳裏を過ぎったものは、どれ程に酷使すればこの様な状態になるのかという疑問ではなく。
眼前のデバイスが彼女の額を掠めた際に、その肌を「物理的」に切り裂いたという事実に対する戦慄だった。
熱い液体が自身の額を伝い落ちる感覚に、ギンガは身震いする。
ストラーダ、非殺傷設定解除状態。
「な・・・ぜ・・・」
声を振り絞るギンガの周囲を取り囲む、複数の武装勢力人員。
何とか頭を持ち上げ、彼女は自身にデバイスを突き付けるエリオの表情を視界へと捉える。
そして、ギンガは息を呑んだ。
支援
予想外すぎるエリオ支援
作り物じみた無表情。
感情の窺えない双眸。
ガラス球を思わせる程に冷淡な2つの眼球が、無機質にギンガを見下ろしていた。
直後、ストラーダから一筋の電流が迸る。
衝撃が全身を駆け巡ると同時、僅かな抵抗すら許されず、ギンガの意識は闇へと沈んだ。
* * *
強烈な青い光の奔流が、拡散しつつゆりかご前部を襲う。
ゆりかごは艦体外殻及び断裂面の至る箇所で爆発を起こし、無重力空間内に無数の破片を飛び散らせて炎を噴き上げた。
無重力であるため炎はすぐに掻き消えるが、連鎖的に発生する爆発により、結果として巨大な炎の壁がゆりかごを取り巻いている。
しかし、爆発によって崩壊してゆくゆりかごを目にしてもなお、魔導師達は攻撃の手を緩めはしない。
誘導操作弾を、高速直射弾を、砲撃を爆炎の中心部へと叩き込み、より一層その密度を増しゆく。
そして同時に、爆炎の中から放たれる弾幕も、魔導師達の攻撃密度上昇に合わせるかの様に激しさを増すのだ。
脅威は、未だ消え去ってはいない。
「スターライト・・・ブレイカー!」
他の攻撃隊員によりなのはの正面へと張られていた障壁が、異形より放たれ続ける弾幕によって破られる。
しかしその瞬間、桜色の光が爆発し、迫り来る弾幕をも呑み込んで集束砲撃がゆりかごの断裂面、異形の存在へと向けて放たれた。
「ブレイク・・・シュート!」
直線上の空間に存在する全てを呑み込み、粉砕し、轟然と突き進む5条の光。
巨大なゆりかごの破片をも貫通したそれは異形の額、巨大なレリックへと突き立つかに見えたが、その直前に現れた虹色の魔力光によって形成された壁が砲撃を掻き消す。
「また・・・!」
『DOSE 70%. Danger』
「・・・ッ! 排出実行!」
『Exhaust DOSE』
ブラスタービット4基を用いての砲撃すら容易く防がれ、苦しげに声を洩らすなのは。
しかし、次いで発せられたレイジングハートからの警告に、致し方なく「AC-47β」内に蓄積されたエネルギーを圧縮魔力へと変換・放出するプロセスの実行を命じる。
「AC-47β」より噴き出す圧縮魔力の残滓を空間に引きつつ、なのははブラスタービットを引き連れ後退。
排出実行の間は他の局員が魔力弾の迎撃と援護に当たり、強制排出が終了するや否や彼女は再び前進し異形と対峙する。
なのはを含め、主力となる砲撃魔法を使用する5名の攻撃隊員は、数分前からこの行動を繰り返していた。
巨大な異形の甲冑、その攻撃は凄絶の一言に尽きる。
低速ではあるが、それでも魔導師の飛翔速度を大幅に上回る、無数の誘導操作弾。
額のレリックより間断なく放たれる、低誘導性ながら高速の大威力エネルギー弾。
そして胸部装甲の内に格納された黄金色の球体、時折展開されるそれより放たれる、虹色の魔力光を放つ大規模砲撃。
砲撃は誘導性能が無い為、攻撃隊を襲うのは専ら誘導操作弾と高速弾ではあったが、その密度が尋常ではない。
そもそも回避自体が困難であり、現状では攻撃に当たる者を他の攻撃隊員が防御魔法でバックアップし、「AC-47β」内のエネルギー蓄積率が臨界に近付くと控えの人員と入れ替わり強制排出、といった手段を採る他ないのだ。
そうして目標へと撃ち込まれた集束砲撃の数は、既に10発を超えている。
しかしそれらの砲撃の内、有効打は唯の一撃も無かった。
その全てが虹色の魔力光「カイゼル・ファルベ」によって掻き消され、霧散してしまったのだ。
『一尉! 前方、約3000!』
支援
隊員からの念話に、なのははレイジングハートを構えつつ、遥か前方を飛翔する白い影を睨む。
突如として現れ、ゲインズを消滅せしめたR戦闘機。
その機体が放つ波動砲は想像を絶するものであり、光の雪崩と呼称しても遜色のないものであった。
既に3度ほどその砲撃を目にしてはいたが、無数の光弾が拡散しつつ巨大な壁となって目標へと襲い掛かる様は、単一の戦闘機が独自に実行した攻撃とは思えぬ、正しく戦略攻撃と呼ぶに相応しいものだ。
それが発射される度に、ゆりかごの艦体は大きく抉られ、その巨体の其処彼処から爆炎を噴き上げる。
しかしそれでも、決定的な打撃を与えるには至らないのが現状であった。
外殻を破壊しても、艦内へと砲撃が届かないのだ。
それにはカイゼル・ファルベによる自動防御だけでなく、もうひとつの要因があった。
R戦闘機を執拗なまでに狙う、機動兵器の大群である。
「うじゃうじゃと・・・何処から湧いたんスか!」
なのはの隣、バックアップに就いているウェンディが吐き捨てた。
ランディングボードの砲口より放たれる光弾は誘導操作弾を迎撃する合間に、R戦闘機を包囲せんとする機動兵器をも攻撃する。
着弾と共に巨大な爆発が連続して起こるも、機動兵器の数は一向に減りはしない。
否、寧ろ増加してすらいた。
周囲の艦艇群の陰、そしてゆりかごの断裂面より際限なく現れ続ける機動兵器の総数は、既に数百を数えている。
それらは魔導師の攻撃、そればかりか存在すらも完全に無視し、只管にR戦闘機へと集中砲火を浴びせ掛けているのだ。
無論、R戦闘機も幾度か反撃を試みている。
フォース先端より連続して放たれる弾頭が凄まじいまでの炸裂を起こし、膨大なエネルギー輻射と衝撃波が空間を埋め尽くす度、数十機の機動兵器が跡形もなく爆散していた。
しかし全方位より撃ち掛けられる弾幕と、圧倒的物量による完全包囲を打ち破るには到らず、敵中枢らしき異形に対する砲撃の狙いも定まらぬまま、フォースを盾に空間を縦横無尽に翔け続けている。
それでも先程の様に、ゆりかごの異形に対する砲撃を敢行してはいるのだが、それらの攻撃は直前に放たれた機動兵器の砲火を躱す為の機動により狙いを逸れ、いずれも外殻に着弾して減衰した後、カイゼル・ファルベにより掻き消されていた。
何故、機動兵器は攻撃隊を放置してまで、R戦闘機を執拗に狙うのか。
恐らくは異形に対し、あの波動砲を撃たせない為だろう。
今のところ直撃はしていないが、単一目標に対する至近距離からの砲撃が実行されれば、カイゼル・ファルベとて耐え切れるものではない。
事実、ゲインズ撃破に続く波動砲の発射直後、明らかに低集束の砲撃が放たれたが、それはカイゼル・ファルベの防御を突破し、異形の頭部へと着弾している。
流石に打撃力は不足であったか、目標を撃破するには至らなかったそれではあるが、結果としてひとつの事実を攻撃隊へと認識させる事となった。
高集束波動砲による極近距離砲撃。
カイゼル・ファルベを突破し、更に巨大な異形を滅ぼし得る、最も確実にして唯一の手段。
自らが持ち得るあらゆる攻撃を試し、その全てが通用しないと判明した今、面白くはないがそれだけが攻撃隊に残された現状打破の方法であった。
事実、R戦闘機が繰り返し目標への接近を試みている事からも、その推測は的を射ていると考えられる。
よって、目標への直接攻撃を繰り返しつつも、同時にR戦闘機を狙う機動兵器群の排除に当たる攻撃隊ではあったが、しかしその異常な物量と目標からの激しい弾幕により、状況の進行は順調とは云い難い。
機動兵器群からの反撃が無い事は救いではあったが、しかし攻撃隊の半数は常に目標に対する牽制と迎撃に当たらねばならない為、戦力は絶対的に不足していた。
「ッ・・・スターライト・・・ブレイカー!」
幾度目かのスターライトブレイカーが放たれ、R戦闘機へと照準を合わせていた機動兵器群を呑み込む。
直線上の30機前後が撃破された筈だが、しかし残る機動兵器群は高速にて飛翔するR戦闘機を追撃するばかりであり、背後より空間を貫く集束砲撃魔法を意に介する様子すら無い。
「ブレイク・・・シュート!」
直後に砲撃の規模が膨れ上がり、更に20機前後の機動兵器が光の中へと消える。
しかしそれでも周囲の機動兵器群は、なのはへと警戒を向ける事さえしなかった。
只管に質量兵器を乱射し、R戦闘機との距離を詰めんとする。
『馬鹿にしてッ!』
攻撃隊を完全に存在しないものとして対応するその機動に、念話を通じて隊員の悪態が放たれる。
なのはとしてもそれは同意であったが、言葉にはせず続けて直射砲撃の発射体勢に入る事で応えた。
しかし、当の砲撃が放たれる事はない。
なのはは途絶える事のない機動兵器群の増援、そして無尽蔵の魔力弾を放ち続ける異形を前に、次の行動を選択し倦ねていた。
「何処を・・・何処を狙えば・・・!」
呟き、周囲の状況を再確認する。
数百機の機動兵器はR戦闘機との交戦状態にあり、時折放たれる波動砲と炸裂弾により大きく数を減らすも、すぐさま現れる増援により損失を補う為、戦況は膠着状態にあった。
R戦闘機は機動兵器群への対処に追われ、ゆりかごの異形に対する砲撃を実行できない状態にある。
攻撃隊は異形への攻撃を試みているが、いずれは弾幕と砲撃に押し潰される状況が目に見えていた。
況してや、この状況下でR戦闘機が撃墜される様な事があれば、機動兵器群の砲口は攻撃隊へと向けられるだろう。
異形よりの砲撃と、数百機の機動兵器群からの一斉射撃。
その悪夢の様な事態を回避する為には、一刻も早く機動兵器群を排除するか、ゆりかごの異形を攻撃隊の独力で撃破する必要があった。
「高町一尉、ちょっと良いッスか」
「何、ウェンディ?」
バックアップのウェンディから掛けられた声に、なのはは視線を機動兵器群より逸らさないままに答える。
ウェンディはランディングボードに乗りなのはの横へと移動すると、再び射撃体勢を取り言葉を繋げた。
「ゆりかごを見るッス。あの前半部分、今は緊急用の補助ブースターで姿勢を制御してるッスよね?」
「・・・そうだね」
ウェンディの言葉通り、異形を内包したゆりかご前部は、艦体各所のブースターにより姿勢を制御し、その断面を攻撃隊へと向けている。
その事実を確認し、なのはは続く言葉を待った。
「で、ゆりかごの武装はその運用理念上、艦体後方と下方が死角になってるッス。つまり、あのブースターでやっと動いてるポンコツの下に回り込めれば・・・」
「外殻を破壊して、後方から目標を襲撃できる・・・!」
思わぬところから齎された妙案に、なのはは僅かに興奮した声を零す。
ウェンディの言葉通り、ゆりかご下方からの艦体越しの攻撃は、現状で採り得る最良の手段に思えた。
もし、カイゼル・ファルベによって砲撃が掻き消されようと、ゆりかご自体に打撃を与える事は無駄にはならない。
上手くいけば、艦内からあの異形に対する、何らかのエネルギー供給を絶つ事も可能かもしれないのだ。
「ウェンディ、何処からそんな策を?」
「えへへ・・・伊達に更生施設で戦術を勉強してた訳じゃないッスよ!」
「成程・・・!」
言葉を交わしつつも、機動兵器群へと砲撃を叩き込む2人。
ある程度、機動兵器の数を減らす事で道を作り、あわよくばR戦闘機をもゆりかご艦体への攻撃へと誘導しようと考えたのだ。
更に、2人は攻撃隊へと念話を送り、作戦の内容を伝える。
『こちら高町。皆、少しで良いから目標の注意を引き付けて! 私とウェンディはゆりかご下方へと回り込んでの攻撃を行います!』
『チンク姉、負傷した人達を頼むッス! アタシはちょっくらデカブツに嫌がらせをしてくるッス! 行くッスよ、一尉!』
全方位への念話を発し、返答を受け取るや否や、2人はゆりかごへと突撃を開始した。
2人の目前へと迫る弾幕の悉くが、後方より飛来した高速直射弾と数条の砲撃魔法によって消滅する。
異形もまた2人の思惑を察知したのか、ゆりかご各所よりバーニアの噴射炎を煌かせ、何とか死角を補おうと巨大な艦体を振り回し始めた。
しかしそれでも、メインエンジンを内蔵する艦体後部を失った巨大艦艇が、機動力に優れた空戦魔導師の追撃を振り切れる筈もなく。
弾幕を潜り抜けた2人は、数分と掛からずにゆりかご下方へと滑り込む事に成功した。
なのはは艦体へと向き直りレイジングハートを構え、ウェンディは彼女をバックアップすべくランディングボードを手に周囲を警戒する。
「敵影なし! それじゃ一尉、ゆりかごの姿勢が変わる前にブチ抜くッスよ!」
「分かってる!」
ゆりかご艦底と平行に身体を浮かべ、なのははレイジングハートを振り被った。
彼女の正面、そしてブラスタービットへと桜色の光が集束を始め、周囲を眩く染め上げる。
膨れ上がる5つの光球。
「スターライト・・・」
その1つ、一際巨大な光球へと、レイジングハートの先端が突き付けられる。
眼前では、ゆりかごが艦体を側転させ回避行動を開始していたが、もう遅い。
爆炎と射撃・砲撃魔法の光に照らし出される濃紺青の艦体を見据え、なのはは幾度目かのトリガーボイスを紡いだ。
「ブレイカー!」
爆発。
そう形容するのが相応しいまでの閃光、そして轟音の炸裂と共に、5条の砲撃が1つの巨大な奔流と化してゆりかごへと襲い掛かった。
それは一瞬にして艦体外殻を貫き、内部構造物を根こそぎに破壊しつつ異形へと向かう。
そしてなのはは、更なるトリガーボイスを発した。
「ブレイク・・・シュート!」
瞬間、砲撃の出力が増大し、更に大規模な破壊がゆりかごへと齎される。
内部構造を呑み込みつつ膨れ上がる砲撃は遂に異形の背面へと到達し、その鋼色の装甲を打ち破らんと魔力の牙を突き立てた。
レイジングハートを介してその様を捉えたなのはは、カイゼル・ファルベの発生が一瞬ながら遅れた事を確認する。
勝機が、見えた。
ヴィヴィオの時には確認する余地など無かったが、あれの発動には何らかの認識が必要であるらしい。
否、自動防衛機構ではあるのだろうが、それでも魔法である以上、対象を術者が認識しているか否かによって、発動までのタイムラグが大幅に異なるのだ。
あの異形の認識能力が人間と同様のものか否かは判然としないが、少なくとも不意を突かれれば認識に遅れが出る事はあるらしい。
ならば、採れる手段はひとつ。
異形の前後より挟撃を仕掛け、カイゼル・ファルベを打ち破るのだ。
こちらは、直接的に異形を狙う必要はない。
異形の背面より伸びる、無数のケーブル及びパイプ。
この角度より観察して気付いたが、それらはゆりかごの艦内、その深部にまで張り巡らされているようだ。
即ちそれらは、あの異形の活動維持に、何らかの形で密接に関わっていると推測できる。
その推測が正しければ、異形は艦体への被害拡大を無視できる筈がない。
しかし、如何にカイゼル・ファルベといえど、異形とゆりかご艦体の双方を同時に防御する事は難しいだろう。
必ず、いずれかの防御に綻びが生じる筈だ。
その瞬間こそが、勝機。
『こちら高町、奇襲成功! 目標に攻撃を集中して!』
『了解した!』
念話を終えるや否やゆりかご断裂面の方角にて、凄まじい魔力と爆炎の光が炸裂し、轟音が響き渡る。
それを確認し、なのはとウンディは再びゆりかごへと向き直り、各々の得物を構えた。
狙うは異形の背面、そして其処より伸びる無数のケーブルを呑み込む艦内構造物。
機動兵器群は未だにR戦闘機を追撃している為か、周囲にその姿は見当たらない。
2人は集束を開始し、照準を合わせる。
「骨董品はそろそろ退場するッスよ・・・!」
「スターライト・・・」
膨れ上がる光球群。
そして遂に、それらが解き放たれようとした、その瞬間。
『危ない!』
攻撃隊からの念話と共に、衝撃と轟音が2人を襲った。
堪らず吹き飛ばされ、悲鳴を上げるなのは、ウェンディ。
「くあッ!?」
「ッ・・・ぅああぁぁぁッ!?」
回転しつつ吹き飛ぶ身体の制御を漸く取り戻した頃、なのははウェンディと共に再度ゆりかごを視界へと捉えた。
同時に、彼女等は己が目を疑う。
「なん・・・スか? これ・・・」
「何が・・・」
彼女達の眼前に拡がる、常軌を逸した光景。
それは。
「冗談じゃないッスよ・・・!」
メインエンジンを点火し、ゆりかごの「前部」へと衝突した「後部」、そして衝突の反動によって弾き飛ばされる「前部」、双方の巨体だった。
「そんな・・・完全に割れているのに・・・!?」
「・・・こいつ、戦艦のゾンビッスか? 流石にもう笑えないッスよ!」
『一尉、ウェンディ! 無事か!?』
異常な状況に混乱する2人の脳裏へと、チンクからの念話が飛び込む。
焦燥の滲むその思念に対し、2人はほぼ同時に答えを返した。
『チンク姉、無事ッスか!?』
『チンク、そちらの状況は!?』
すぐさま、チンクからの返信が入る。
しかしその思念は、やはり隠し様もない焦燥と混乱とに満ち満ちていた。
『くそ・・・気付くのがもう少し遅ければ全滅していた! 突然、ゆりかご「後部」が突進してきたんだ! 負傷者が4名、衝突面に巻き込まれた! あれでは・・・』
念話が、唐突に途絶える。
同時に周囲へと轟き始める、不気味な炸裂音。
何事か、と周囲を見回す2人の脳裏に、再びチンクからの念話が飛び込んだ。
『聞こえるか・・・一尉、ウェンディ、応答を!』
『チンク、何があったの?』
瞬間、2人の頭上より轟音が響く。
彼女達が反射的に視線を跳ね上げると同時、チンクが状況の更なる悪化を告げた。
『ゆりかご「前部」・・・兵装が稼動を始めた! 全兵装、オンライン!』
その言葉を聞き終える前に、なのはとウェンディは全速力でその場を離脱する。
直後、彼女等が身を置いていた空間を、無数の光弾が貫いた。
「な・・・!」
2人の視線の先、ゆりかご「前部」。
それは、衝突のエネルギーとブースターの推進力を用い、ほぼ垂直に90度回転。
艦首を2人の方向へと向け、艦体上部に配置された魔導兵器及び質量兵器を乱射していた。
辛うじて射角外へと逃れる事に成功した2人であったが、次いで飛び込んだ攻撃隊からの警告に、自身等が未だ危機を脱してはいない事を理解する。
『ゆりかご「後部」、再突撃! 回避!』
2人の視界、その端へと映り込むゆりかご「後部」の巨体。
断裂面を進行方向へと向け、メインエンジンの大出力を以って高速で突撃してくるその艦影を捉えるや否や、2人は死に物狂いで宙を翔け、攻撃隊との合流を目指す。
そして数秒後、巨大な衝突音と衝撃波が、背後より彼女等を襲った。
またも吹き飛ばされる2人。
それでも体勢を立て直し飛翔し続けた結果、彼女等は数十秒後に攻撃隊生存者との合流を果たす事ができた。
数を減らした負傷者と戦闘継続可能な隊員達は皆が皆、蒼白な面持ちで2人を迎える。
彼等は2人が無事に帰還した事に対する喜びを口にするでもなく、ただ沈黙のままにその背後を見据えていた。
なのは、そしてウェンディもまた、自身の背後で起こっている事態を突如として轟いた爆音から察し、戦慄をその表情へと浮かべつつ後方へと振り返る。
「・・・次は、何?」
爆発。
なのはの視線の先、攻撃隊の目前で、「前部」と接触した「後部」上方が内部より爆発し、その構造物の大部分を吹き飛ばしていた。
無数の破片が攻撃隊を襲い、しかし片端から射撃魔法により迎撃されてゆく。
漸く破片の飛来が収まった頃、ゆりかご「後部」は劇的なまでにその姿を変えていた。
「あれは・・・?」
「・・・何のつもりだ、化け物が」
上部構造物の殆どが消滅し、内部へと大きく陥没した異様な全貌を曝す「後部」。
その巨体の影から、メインエンジンの青白い光とは異なる、真紅の光が漏れ出している。
徐々に光度を増すそれは、やがて同色の光弾による周囲への無差別攻撃を開始した。
その光弾の数、もはや人間の認識が及ぶものではない。
壁としか云い様のない密度を以って放たれる弾幕は、R戦闘機を追う機動兵器群、衝突により離れ行く「前部」、果ては光弾を放つそれを搭載する「後部」自体をも破壊しつつ、あらゆるものを排除すべく空間を埋め尽くす。
そして、3度「前部」と「後部」が接触し、それらの角度に変化が生じた瞬間。
攻撃隊は、光弾を放ち続けるそれの正体を目の当たりにした。
ほぼ立方体の形を取る、真紅の光を内包した巨大な結晶体。
本来は強固な防御区画に護られていたであろうそれは、今やその全貌を外部へと曝し、外敵は疎か自身を内包する構造物に対してまでも破滅を齎す、完全な殲滅機構と化していた。
古代ベルカの民が生みし、究極の質量兵器「聖王のゆりかご」。
その巨躯へと膨大な量の魔力を供給する心臓、ゆりかごを究極たらしめる力の集束体。
本来ならば決して、敵に対する攻撃手段とはなり得ない、なる筈のない機関。
ゆりかご「駆動炉」。
「自分から心臓部を曝すなんて・・・まともじゃない!」
「まともな戦艦は真っ二つになった時点で轟沈してるさ! あれはもう戦艦ですらない!」
「ゆりかご、発砲!」
攻撃隊員達が口々に罵倒の言葉を叫ぶ中、4度目の接触を起こした「前部」及び「後部」は其々、艦体上部と駆動炉を攻撃隊へと向け、質量兵器と光弾の弾幕を放つ。
轟音と共に空間を貫くそれらを、攻撃隊は各々が出し得る最高の速度を以って飛翔し回避。
しかし「前部」が更に回転し、その断裂面が攻撃隊へと向くや否や、隊員の1人より警告が飛ぶ。
『砲撃、来るぞ!』
攻撃隊の方角から見て、上下真逆となった異形。
その胸部より黄金色の球体が覗き、周囲には虹色の魔力光が吹き荒れている。
直後、散開した攻撃隊の間を突き抜ける様にして、虹色の大規模砲撃が空間を貫いた。
回避行動も空しく、1人が砲撃範囲外への離脱叶わず、光の奔流へと呑み込まれる。
肉体がデバイス諸共に消滅し、砲撃跡には僅かな虹色の魔力残滓のみが残された。
残存攻撃隊員、11名。
「くぅ・・・!」
『駄目だ! 一尉、此処は退こう! このままでは全滅だ!』
隊員からの念話に、なのはは判断を余儀なくされる。
飽くまで戦闘を継続するか、この場を脱し安全圏へと退避するか。
この場に残れば?
恐らくはそう遠からぬ内、高密度の弾幕と砲撃により全滅する事となるだろう。
魔導・質量兵器を満載した「前部」と、暴走する駆動炉を搭載した「後部」、そして「前部」断裂面へと露出した異形。
これらを同時に相手取り、生還する術など想像も付かない。
では、退却を選べば?
先ず、何処へ逃げるというのだ?
周囲の広大な空間には、無数の次元航行艦が漂っている。
上手くいけば、それらを盾に離脱する事ができるかもしれない。
しかし同時に、それらの機能がオンラインにならないとも限らないのだ。
第一に、ゆりかごの攻撃を掻い潜って遠距離へと脱する事、それ自体の成功が疑わしい。
一体、どちらの選択こそが最善なのか?
「どうする、一尉?」
傍らより、チンクが問い掛ける。
すぐには答えず、なのはは視線の先に集束する虹色の光を見据えた。
そして数秒後、遂に彼女は決断する。
「・・・撤退します! 次の砲撃を回避後、後方の次元航行艦へと向かって飛んで! 艦艇を盾に、この空間を離脱します!」
支援
異形の胸部装甲が解放されると同時、攻撃隊はなのはの指示を実行した。
散開し砲撃を回避するや否や、後方へと飛翔を開始。
「AC-47β」より齎される魔力の幾許かを自らのリンカーコアへと供給し、出し得る限りの速度を以って次元航行艦を目指す。
後方からの追撃はない。
このまま離脱できるか。
『振り返るな、飛べ!』
『行け、行け、行け!』
飛行速度の遅い者、「AC-47β」によって飛行が可能となってからの時間が短い陸士などの3名には、高速飛行可能な者が2人ずつ飛行補助に就く。
結果として時速200kmを超える速度での移動を可能とした攻撃隊であったが、翔けども翔けども目標艦艇へと辿り着けない。
実際にはかなりの速度で近付いているにも拘らず、既に数十分も飛翔している様な感覚に襲われるなのは。
しかも2つに割れているとはいえ、其々の全長が優に3kmを超えるゆりかごである。
その巨体から見れば、時速200kmばかりの速度で飛翔する魔導師の一団など、地を這う蟻に等しいだろう。
それでも漸く、目標艦艇まで数kmの位置にまで接近する事に成功した、その時。
『A dimension quake is detected! Evade!』
レイジングハートが警告を発すると同時、目標艦艇が爆発した。
「・・・ッ!」
襲い掛かる衝撃波と炎熱に、なのはは満足に悲鳴を上げる事もできずに吹き飛ばされる。
やや後方を飛んでいたウェンディと隊員の1人が彼女を受け止めたものの、3人はそのまま制御を失い数百mに亘って無重力空間を舞った。
暫しの後に漸く体勢を立て直し、衝撃に霞む視界もそのままに目標艦艇を探すものの、その艦影は忽然と消え失せている。
奇妙な事に、十数秒前に視界を埋め尽くしていた筈の爆炎も艦艇の破片も、その一切が消失し、無だけが空間を支配していた。
其処で漸く、なのはは目標艦艇爆発の直前に発せられた、レイジングハートからの警告へと思い至る。
「次元・・・震・・・?」
背後へと振り返るなのは。
ゆりかご「前部」は、ゆっくりと垂直方向へ回転している。
「後部」は艦底をこちらへと向けたまま、特に動きはない。
しかし数秒後、その陰より禍々しい真紅の光が漏れ出す。
光は際限なく膨れ上がり、やがてゆりかごの2つに割れた艦影すらをも呑み込まんとした頃。
「前部」艦首が閃光を発し、同時に周囲の艦艇が次々に爆発、四散した。
「な・・・!」
驚愕と共にその光景を見つめるなのは、そして攻撃隊員。
彼等の視線の先では爆発した艦艇群の破片と爆炎が、視認すら可能なまでに具現化した空間歪曲へと呑み込まれ、消滅してゆく。
何が起きているのか、それを理解したなのはの隣で、チンクがその思考を代弁した。
「次元跳躍攻撃・・・こんな至近距離で・・・!」
呆然と周囲を見やる間にも、次元震は続々と周囲の艦艇群を破壊してゆく。
ひとつの次元震が収束するや否や、新たな次元震が発生。
既に周囲の空間は、常時40を超える数の次元震が絶えず発生し続け、汚染艦艇群すら無差別に消滅してゆく危険空域と化していた。
次元震発生の間隔は衰える事なく、そればかりか徐々に時間を短縮すらしている。
弱点さらさないボスなんてボスじゃありません支援
これが、これこそが。
古代ベルカが生みし、禁断の質量兵器。
「聖王のゆりかご」が秘めし真の力、「戦船」の真の姿か。
「危ない!」
意識すら引き裂かれんばかりの異音。
脳髄を揺さ振る高音は、至近距離にて空間歪曲が発生した事を示す。
辛うじて影響範囲からは外れていたらしいが、攻撃隊員は一様に肝を冷やした。
即座に隊員の1人が、数分前に発せられたなのはのそれとは相反する指示を飛ばす。
『戻れ! ゆりかごから距離を離すと危ない! 次元跳躍攻撃の最小射程より内に入るんだ!』
反論の声はなかった。
このままゆりかごより距離を取り続ければ、次元跳躍攻撃の最小射程内へと到達してしまう。
先程とは反対に、攻撃隊は必死にゆりかごへと追い付くべく宙を翔けた。
しかし。
「・・・ッ! こっちの思惑はお見通しか・・・!」
『畜生、離されるな! これ以上距離を取られたら死ぬぞ!』
そんな彼等の行動は予測済みであったのか、ゆりかごは「前部」及び「後部」共に、其々メインエンジンと補助ブースターにより、攻撃隊とは反対の方向へと加速を始めたのだ。
双方の距離は縮まる事なく、それどころか攻撃隊は徐々にゆりかごから引き離されてゆく。
『速い・・・!』
『後方、次元震接近! 影響範囲到達まで70秒!』
隊員からの念話に後方を見やれば、その言葉通り次元震が徐々に接近してきているではないか。
虚数空間より零れ出す異様な光と、歪んだ空間場景が迫り来る様に、なのはは脊椎を氷の手によって掴まれたかの様な錯覚を起こす。
同様に後方を振り返っていたウェンディが表情を青褪めさせ、なのはと共にチンクの身体へと回していた腕により一層の力を込めると、更にランディングボードの速度を上げた。
同じくチンクの飛行補助に付いているなのはもまた速度を上げ、攻撃隊はゆりかごから距離を取る際、それ以上の速度を以って濃紺青の艦体を目指す。
だが、間に合わない。
次元震が迫る。
悲鳴。
微かに漂っていた艦艇の破片が、空間歪曲に飲み込まれる。
その距離、後方僅か300m。
更に速度を上げる。
しかし、ゆりかごもまた加速。
背後より迫る次元震の接近速度が、更に跳ね上がる。
影響範囲到達まで200m。
ゆりかご「前部」より光学兵器、「後部」駆動炉より光弾、飛来。
簡易砲撃魔法、5発。
弾雨の壁を貫き、攻撃隊の道を切り開く。
影響範囲到達まで100m。
「前部」及び「後部」衝突、「前部」断裂面が攻撃隊へと向く。
2秒後、砲撃。
攻撃隊、散開によりこれを回避するも、飛翔速度は大幅に低下。
影響範囲到達まで50m。
なんと言う絶望w
支援w
「駄目・・・!」
これ以上の加速は不可能だ。
迫り来る空間歪曲を振り返りつつ、なのはは自身の胸中を絶望が覆い始めた事を自覚する。
最早、打つ手はない。
見れば、ウェンディやチンク、他の隊員も同様の認識らしく、恐怖と諦観の入り混じった表情を浮かべていた。
そうして遂に、万物を虚数空間へと誘う奈落の穴が、魔導師達を捉えんとした、その時。
レイジングハートが三度、警告を発した。
次元震の接近とは異なる、異常な警告。
『Warning! A high energy reaction is detected! It distinguished from the nuclear fusion reaction!』
瞬間、ゆりかごの更に前方、闇に閉ざされた空間にて、轟音と共に光が爆発する。
脳髄による精確な理解が全くできない、異常な音。
次元跳躍攻撃のそれとも異なる、人間の意識には決して解析できない異音。
しかし、唯ひとつ。
唯ひとつだけ、理解できる事がある。
あれは「破滅」の音だ。
「破滅」そのものが放つ、魂それ自体をも侮辱し破壊する、虚無の音だ。
あれの発生源に近付く事は、それ即ち存在の「消滅」を意味する。
青白い雷光と爆発が、2つに割れたゆりかごを単なる漆黒のシルエットと化した。
余りにも巨大な青き爆発は、周囲に残る艦艇を次々に呑み込み、その悉くを消滅させてゆく。
爆発はひとつではなく、広範囲に亘り連鎖的に発生しているらしい。
約4秒間に亘り続いたそれは、発生時と同じく唐突に収束した。
「な・・・今のは・・・!?」
「核融合・・・ですって・・・?」
呆然と呟くなのは、そして隊員。
彼等の視線の先では、ゆりかごがその艦体各所より爆炎を噴き上げ、質量兵器と光弾の弾幕を周囲へと展開しつつ急激な戦闘機動を開始している。
「前部」及び「後部」が互いに接触を繰り返しつつ、何かから逃れようとするかの様にあらぬ方向へと進路を変更。
気付けば、攻撃隊へと迫っていた次元跳躍攻撃までもが、何時の間にか完全に停止していた。
そして、その殲滅行為を為した存在は、レイジングハートからの4度目の警告と共に姿を現す。
『Annihilation that all reactions of Mobile Arms disappear』
「殲滅された!? あの機動兵器群が!?」
「一尉、あれを!」
ゆりかごの向こう、闇の中より現れ出でる、白き影。
過度な進化を遂げた科学技術と、未知なる強大な存在への恐怖から生み出された、狂気の翼。
鈍いオレンジの光を放つ球状兵装を機首へと接続し、高速にて割れた艦体へと突撃する、忌まわしき質量兵器。
「R・・・戦闘機!」
攻撃隊が行動を起こすより遥かに早く、R戦闘機はゆりかご「前部」へと肉薄、フォースより十数発の弾頭を発射する。
それらはゆりかご外殻へと接触すると同時、炸裂する無数のエネルギー爆発と化して上部14箇所の砲門を破壊し尽くした。
速度を緩めぬまま外殻に沿って飛び続け、断裂面へと至るやミサイル2発を同時発射。
発射直後に急激な方向転換を行ったミサイルは、そのまま断裂面に佇む異形の頭部へと着弾。
僅かに残った装甲が跡形もなく吹き飛び、膨大な量の赤い血が噴き出すと同時、異形の絶叫が空間へと響き渡る。
更にR戦闘機はフォースを射出、「後部」駆動炉へと直撃させた。
フォースは駆動炉へと激しく衝突、その強固な結晶体へと罅を刻む。
直後、フォースと駆動炉の双方から、凄まじい弾幕が放たれ始めた。
零距離より駆動炉へと猛烈な連射を叩き込むフォース、抗うかの様に真紅の弾幕を以ってフォースを呑み込まんとする駆動炉。
一切の防御行動が存在しない熾烈な衝突はしかし、フォースが赤い光を放った事で唐突に終わりを告げる。
急激な機動で駆動炉より離れ、「後部」の周囲を旋回するR戦闘機の許へと飛翔するフォース。
先程とは異なり赤い光を纏ったそれには、損傷らしき損傷を負った形跡すら無い。
対照的に駆動炉は、結晶体の表面へと無数の罅を走らせ、内部よりガス状の高圧縮魔力を漏出させていた。
「一尉、好機だ!」
呆然と、R戦闘機とゆりかごの交戦を見やっていたなのはは、横合いより掛けられたチンクの声に我へと返る。
見れば、彼女とウェンディ、そして攻撃隊員の殆どがデバイスを構え、攻撃の体勢へと入っているではないか。
なのはは瞬時に彼等の言いたい事を理解し、レイジングハートを構えると同時に宣言する。
「・・・総員、突撃!」
その言葉が放たれると同時、魔導師達は雷管に撃鉄を打ち込まれた弾丸の如く、弾かれた様に目標へと向かって飛び出した。
ゆりかごはR戦闘機との交戦に全力を注いでいるのか、接近する攻撃隊への迎撃を行う様子はない。
狙うは「後部」、傷付いた駆動炉。
「構えてッ!」
そして、遂に。
遂に彼等は、真紅の結晶体を射程へと捉えた。
R戦闘機は「前部」と交戦中、当の「前部」は補助ブースターを破壊され、最大の打撃力を有する異形を攻撃隊へと向ける事ができない。
砲撃魔導師が集束砲撃の準備へと入り、他の魔導師が防御体勢へと移行する。
駆動炉は彼等を排除すべく、これまでを超える密度にて弾幕を形成。
重い振動音と共に、空間に赤いカーテンが出現する。
発射弾数が多過ぎるだけでなく発射点との距離が近い為、光弾と光弾の間隙が見えない。
しかし魔導師達は、ほぼ完璧とも云える連携によって強固な防壁を築き、その全てを遮断する事に成功していた。
それでも次々に粉砕されゆく複数の結界を見やりつつ、なのはは集束を終える。
「これで・・・終わらせるッ!」
5名の砲撃魔導師。
なのはの5つを含め、総数18もの魔法陣と魔力集束体が解放の時を待ち望み、その暴発せんばかりの魔力の矛先を駆動炉へと突き付けていた。
やがて、駆動炉より放たれる弾幕を受け止めていた結界が、最後の2つを残して消滅する。
「スターライト・・・」
更に1つが消滅し、駆動炉が更に輝きを増した。
内部にて暴走する魔力に耐え切れないのか、結晶体は徐々に崩壊を始めている。
しかし、このまま自然崩壊を待つつもりなど、攻撃隊には欠片もありはしなかった。
「ブレイカー!」
さすがR支援
支援
ニュークリアカタストロフィキター!支援
そして遂に、光は解き放たれる。
ゲインズとの戦闘では放たれる事のなかった、5名の砲撃魔導師による全力での集束砲撃。
弾幕を掻き消し、空間に存在する全てを呑み込みながら結晶体へと直撃する18条の光。
それらは結晶体の罅を突き破り、内部の魔力集束体へと突き立つ。
瞬間、暴力的としか云い様のない圧力が砲撃を押し返し、一瞬ながらなのはを怯ませた。
しかし彼女は、そして4名の砲撃魔導師達は、すぐさまトリガーボイスを紡ぐ。
全ては目前の脅威を打倒する為、古より蘇りし亡霊、憐れなる船を冥府へと葬り去る為。
「ブレイク・・・」
希望の、正義の光は放たれた。
「シュート!」
そして、絶望と憎悪の光もまた、同時に。
「ぎッ・・・ああぁああぁぁぁッ!?」
轟音。
視界を埋め尽くす、虹色の光。
全身を焼く魔力の熱に、なのはは絶叫した。
腕を誰かが掴んでいる様に感じたが、それすらも夢か現か判然としない。
何が起こっているのかは理解できないが、やがて回復した視界へと映り込んだものが何かは、辛うじて認識できた。
駆動炉を含め、構造物の殆どが消滅したゆりかご「後部」。
そして直上よりそれを見下ろす「異形」。
巨大な赤と碧のオッドアイが、冷然となのはを見下ろしていた。
そして彼女は、意識が完全に覚醒すると同時に、更なる絶望を目撃する。
それは、異形の全貌。
安穏なる「ゆりかご」より完全に剥離したそれは、常軌を逸した狂気そのものの造形を現していた。
四肢が存在しないと思われたそれは、胴部と同色の装甲に覆われた左右一対の巨大な腕部、そして節足動物を思わせる無数の体節と腹脚を併せ持った下半身を備え、轟然と無重力空間を漂っている。
下半身の全長は70mにも達するだろうか。
腹脚の数は最早数え切れず、それらが忙しなく蠢いては体節を上下左右へと揺らしている。
そして、それら体節の間隙より、血液の飛沫が噴き出すと同時。
解放と真の生誕に、異形は歓喜と怨嗟の咆哮を上げた。
未完の悪夢が、9年の時を経て蘇る
なのはがwww支援
コテ入れ忘れた・・・orz
以下、あとがきです
投下終了です
支援、有り難うございました
という訳で今回は「ギンガ、タイーホ失敗」「エリオ、局員をチョメチョメする」「ゆりかご、グリーン・インフェルノ化」「WAR-HEAD、刄Eェポン使用」「ザブトム、完成形態へ進化」と、以上の内容でお送りしました
2つに裂けて襲い掛かるゆりかごというのは、この作品を書き始めた当初からやりたかった事です
元ネタは「凵vのステージ5、ボスラッシュの真打「グリーン・インフェルノ」、攻撃方法もほぼ同じです
コイツは初代のステージ3で登場した緑色の巨大戦艦ですが、当然ながらARROW-HEADによって撃沈されます
そして「凵vステージ5にてボスとして再登場、分離合体型戦艦と銘打って襲い掛かってくるのですが・・・公式で「分離合体型」と言われつつも、実際にはARROW-HEADによって撃沈され、真っ二つに割れた状態で襲い掛かってきます
要するにウェンディの言葉通り、戦艦のゾンビです
「R」シリーズは伝統的に、こういった「動く筈のない兵器」「兵器としての運用を想定されていない作業機械」「打ち棄てられた廃棄物」などの、高度機械文明の負の面を象徴するものが襲い掛かってくるシチュエーションが多々あります
個人的な意見ですが、ミサイルとかレーザーで武装した軍用機に襲われるより、ゴミの塊や産業廃棄物、再生工場の資源回収装置や大型自動清掃機に追いかけられる方が数十倍は怖いッス・・・
しかも「R」は平然とそれをやるしorz
WAR-HEADが使用し、キャンサーの群れを殲滅した攻撃は、刄Eェポン「ニュークリアカタストロフィー」
ドース100%時に、そのエネルギーを利用して周囲の空間に核融合を励起させるという、問答無用の極悪兵装です
R-13A CERBERUSでいう「ヒステリックドーン」に当たります
WAR-HEADがゆりかご駆動炉にフォースを突っ込んだのは、弾幕を吸収して再びドースを蓄積する為です
弾幕を見かけたら、取り敢えずフォースを突っ込むのがR-TYPERの性
最後のザブトムですが、この両腕と節足動物の下半身というのは、開発陣がデザインしたザブトム完成形態です
「U」及び「SUPER」作中のザブトムは未完成であり、建造中にWAR-HEADが侵攻してきた為に已む無く不完全のまま迎撃に当たったとの事
このDARIUSからうっかり迷い込んだボスの様な敵との戦いの結末は、また後ほど
次回予告
はやて、再会
それでは、代理投下をお願い致します
>>224 GJ!
エリオは洗脳されたのか?
まさかのゆりかごのグリーン・インフェルノ化!砲台はやはり再生しますか?
やっぱフォースでのとっつきは基本ですよね!刄Eェポンパネェー!
ザブトム完成形態まで出るとは油断ならない。
GJ
相変わらずの絶望っぷりが素敵です
エリオが見た目は五体満足で一安心。中身?生きてるだけマシじゃね?
しかしそうなると法則的にはキャロとフリードは……今後も目が離せません
追伸:此方のギン姉がなのなの言ってたら絶望感を振り払えるかも!w
GJ!
なんという「邪悪」
ゆりかごが漆黒の眼のような近接射程なし+カバー用の戦艦ゾンビ化
やっぱ全てが敵になるのは怖いですよね
精神干渉でバイドの悪夢にうなされそうだ
GJ
戦闘機械に襲われるSFよりも脈動すら感じさせる日常の方がホラーになりますからね
ギン姉と民間警察がこの絶望を少しでも変えてくれると期待
GJ!トリアエズ、ギンガざまぁと真っ先におもってしまった俺はダメポですか?
しかし何と言うSLB祭り!所でプラチナPOWタソは出てきますか?
さすがR絶望具合が半端無い。
襤褸負けしたギンガ達に全く同情できないのはなぜだろう?
乙でしたー、分離合体型ゾンビ戦艦ゆりかご素敵です
ところでゴマンダーとかバラカスみたいな系統の連中はいつ出てきますk
GJ!
>>199しっかし、バリアジャケットは相変わらず尖った物に弱いのな
>>224 GJ
>>232 バリアジャケットが尖ったモノに弱いっていうより、防御力そのものが貧弱なんじゃなかったっけ?
たしか、AAAクラスのバリアジャケットでようやく9mmパラペラム弾を防げるとかなんとか、そんな考察を読んだような気が。
ウロスか議論スレに池
GJでした!エリオの登場は予想外でした。
身長がギンガより上になってるみたいなので、エリオサイドでは
かなりの時間が経ってそうです。バイドとも戦ってるんだろうな。
WAR-HEADの活躍が素敵でした。
これからもRの活躍に期待してます。バイドの活躍も。
最後にヴィヴィオの驚異を感じさせてましたね。
次回はやて再会。こちらもバイド化した彼女が出てくるのかな。
では頑張ってください。
GJ
エリオ君は、バイド化したキャロにトドメでも刺してそうな荒みっぷりですね。
ゴマンダー化キャ…………いや、何でもないです
ええと、他に予約も無いようですし、2時50分から投下開始しますね。
さあ来いモンキー野郎! 人間一度は死ぬもんだ!!
―――――気合を入れるんだ、兵隊! つべこべ言わずに気合を入れろ!
HALO
-THE REQULIMER-
LV4 [Inter Mission I]
時空管理局 遺失物管理部 対策部隊 機動六課。
そのフォワードメンバーである少年少女たちの朝は早い。
教導隊より出向となっている高町なのは戦技教導官による早朝訓練は、
朝の七時から開始され、朝食時間――二時間後の九時になるまで延々と続く。
極めて当たり前の事実だが、遅刻等は厳禁であるし、身支度も含めれば六時半には起床せざるをえない。
ところがだ。
―――隊舎の上空を、ヘリコプターの爆音が通り過ぎる。
時刻は朝の五時過ぎ。 とんだ目覚ましであった。
ベッドから叩き起こされたフォワード陣は、結果、寝惚け眼で訓練場に集結する嵌めになる。
しゃっきりとしているのは、本人曰く数日は不眠でも問題ないというスバルのみだ。
「………うー」
「にゃはは……。皆、今日はちょっと早起きになっちゃったからねー」
「あの……今朝のヘリ、何だったんですか?」
苦笑して皆を見回すなのは。当然の疑問をぶつけるスバル。
それに対してなのはは、んー、と可愛らしく口元に指を当てて考え込んだ後、内緒だと言って笑った。
「まあ、後で教えてあげるから、今は訓練に集中しようか。
――それじゃあ、まずは眠気覚ましにシュートイベ―ションやるよ!」
************************************************
「んじゃ、俺はもう待機として睡眠とりますんで。旦那も休んでおいた方が良いッスよ?」
あの後、108部隊の生き残りを病院へと輸送したストームレイダーは、
そのまま機動六課宿舎へと帰還し、マスターチーフとヴァイス陸曹は其処でようやく休息を得た。
欠伸をしながら自室へと戻るヴァイスを見送ったチーフだが、この後の予定もまた存在する。
迷いの無い足取りで訓練所を一望できる位置へと移動する彼に、コルタナが心配そうに問いかけた。
無論、神経回路を通した高速通話である。
《本当に休憩しなくても大丈夫なの?》
「問題は無い」
端的な答え。
スパルタン達――否、海兵隊の歩兵は全員、必要とあれば何時までも起きていられる。
そういう訓練を受け、睡眠学習まで施されているのだ。事実、何の問題も無い。
訓練所は何らかの機構――恐らくは魔術――によって、様々な戦場を再現可能らしい。
会場に浮かぶ人工島に、瞬く間にビル群が生まれたかと思うと、
空中を飛ぶ人物――タカマチ教導官だろう。面識は無いが――によって訓練が始められた。
彼女の放つ無数の弾丸が、次々にフォワード陣に襲い掛かる。
それを素早く動くことで回避し、彼らは反撃の一手を打つべく行動を開始した。
悪くない動きだ。
「どうですか? うちの部隊は?」
背後から聞こえた声に、チーフはゆっくりと振り返る。
同時に『モーショントラッカーを常時起動するか否か』について討議を開始。
神経回路内での結論は否決。《私だって暇じゃないのよ?》もっともな理由だ。
今後はチーフ自身による索敵の強化について合意する頃には、金髪の女性が視界に映る。
さて、見覚えはあるが何者だったろうか。思案するよりも早く、彼女の方から名乗ってくれた。
「執務官の、フェイト・T・ハラウオンです。
――武装隊では一尉待遇になります。六課ではスターズ分隊長を」
「特殊機甲部隊SPARTAN-II-117、マスターチーフ」
フェイトの会釈に対して、チーフは敬礼で応じた。
士官待遇であるならば、礼を欠いた対応はできない。
軍隊において階級と権限は、絶対の壁だ。異世界であろうと違いはあるまい。
しかしそういった挨拶に慣れていないのだろう。フェイトは苦笑交じりに楽にして下さいと告げる。
マスターチーフは、ゆっくりと肩の力を抜いた。
「今やっているのはシュートイベ―ションなんですけど……」
「魔法に関しては知識がない」
《でも、確かに中々のものだと思うわ。
――国連宇宙軍にも、生身であれだけの機動力を持つ歩兵はいないわね》
シュートイベーションとは、教導官の放つ弾丸を只管避け続けるか、
或いは教導官に一撃を加えることで終了する、苛烈な攻撃回避訓練であるらしかった。
高町なのはという膨大な魔力、力量を有する魔導師が行っているせいか、
展開されている弾幕の量、精度はおよそ尋常なものではない。
少なくとも平均的な訓練ではない事くらいは、魔法に疎いチーフにも理解できた。
無論、国連宇宙軍や過去の地球上の軍隊でも、敵の攻撃に対しての対処法は教わる。
しかしそれは、即座に遮蔽物を見つけて飛び込むといった形の回避運動であり、
弾幕に身を晒したまま、動き続けて攻撃を回避するとなれば――戦力としては必要十分以上だと言える。
「ただ……少し行儀が良すぎるな」
ぽつりと零したチーフの一言。
不思議そうにするフェイトに何でもないと首を横に振り、再び視線を訓練場へと向ける。
「……あの。マスターチーフって第97管理外世界――地球の人、ですよね」
「そうだが」
「……コヴナントとの戦争って、何年前から始まったんですか?」
「約30年前。正確には28年前になる」
「……私、十年前から行ったり来たりしてますけど――そんな話、聞いたことないです」
チーフの掌の上で、コルタナは驚いたように彼女へと視線を向けた。
行ったり来たり? 十年前から? 地球と?
そんな簡単に地球と行き来する事はできない。
できる筈がないのだ。
『コヴナントに補足される可能性のある船舶は、如何なる理由があろうとも地球に接近してはならない』
コール議定書。
地球を護る為に定められた、たった一つの厳格なルールが存在するが故に。
これによって移民星からの避難は困難を極めたが、しかしつい先ごろまで地球の座標を隠す事に成功していたのだ。
無論、戦争は終わった。
コール議定書による拘束も遠からず解除される筈――いや、既に解除されているかもしれない。
だが――10年前からだと?
有り得ない。その当時は、コヴナントとの戦争が最も激化していたはずだ。
疎開して地球に居続けるならともかく……。
ましてや、コヴナントとの戦争それ自体を知らないなどという事は――……。
《今年って、何年かしら? 西暦だと》
「えと、今年が新暦75年だから……2014年です、確か」
コルタナが息を呑む。無理も無い話だと思う。
驚きを隠せたのは、彼がスパルタンであったからだ。
マスターチーフは、搾り出すようにして呟いた。
「……我々の時間は2553年だ」
――どういう事なのだ、これは?
****************************************************
高町なのはから見たマスターチーフ。その第一印象は『真面目な人』だった。
やると決めたこと、或いはやらなければならないことは、決して完遂する。
少なくとも、初めて遭遇したときの戦闘記録映像。
そして昨夜の戦闘の報告を見る限り、間違いないと思う。
でも、その印象は少し誰かと重なって――誰に似てるんだろう。
……ああ、そうか。お父さんに似ているんだ。
「――と、言うわけで。
それを受けて八神部隊長が正式に決定。
マスターチーフさんが戦術顧問として機動六課に出向することになりました。
未確認勢力――コヴナントと戦うことは、これからも多くなると思うし。皆、ちゃんと指導を受けるように」
「SPARTAN-II-117、マスターチーフだ。宜しく頼む」
《私はコルタナ。まあ、ユニゾンデバイス――みたいなものだと思ってくれれば良いわ》
チーフと、その掌の上に投影されたコルタナの挨拶。それに対するみんなの反応もそれぞれだ。
割合と素直そうに宜しくお願いしますと挨拶するエリオ、キャロのライトニング陣、そしてスバルに対し、
ティアナ1人だけが、敵意をむき出しにするような視線をチーフに向けていた。どうしたのだろう?
その視線を特に問題なく受け止めたチーフは、淡々とその一言を発した。
「それでは、訓練を開始する」
****************************************************
彼女は兄を奪った存在を許さない。
彼女は兄を殺した相手を許さない。
彼女は兄を貶めた物体を許さない。
ティアナ・ランスターは、決して質量兵器を許せない。
だというのに――……。
ダン、と鈍い音を立てて彼女の投擲したナイフは、地面に突き刺さる。
「あーもうッ!!」
―――気に入らなかった。
何もかもが気に入らなかった。
質量兵器を扱う人物がここにいる事も。
そんな人間が大手を振るって歩いている事も。
そして、自分がそんな人間相手に教えを請うている事も!
ましてや、その訓練がよりにもよって『ナイフの投擲』とは!
魔導師を馬鹿にしているのではないだろうか、この男は。
更に重ねて言えば、仲間や上司達の態度だ。
突如出現したこの男は、なんでもヤガミ部隊長の肝煎りで、戦術顧問として機動六課に所属している。
タカマチ教導官――なのはさんと立場は同じ。得体の知れない人物だというのに!
他の部隊長達もあまり気に留めてはいないようだし――……。
そして、まだ年の若いキャロやエリオは素直に聞いてしまうのも仕方ないとしても、
何だって自分のバディであるスバルまでもが、あの男の言う事を聞いているのか!
土に突き刺さったナイフを引き抜きながら、ティアナは周囲を見回した。
そして、鋭い視線――物体に作用する力があれば、間違いなく刺し貫くだろう――をチーフに向ける。
彼は今、エリオの挙手を受けて、其方へと歩き出した所であった。
「あの――……」
「どうした、モンディアル三等陸士?」
「別にこのナイフ投げが嫌だと言うわけじゃないんですけど。
何故、訓練しなきゃならないんですか?」
マスターチーフは少年の素朴な疑問に対して頷きを返した。
疑問を抱いたまま訓練を続ける者より、疑問を提示してくれる者の方が好ましい。
「あの標的が敵だったと仮定し、それを無力化する必要が生じたとする。
この際に身につけている装備がナイフしか無ければ、これを使うしかないからだ」
無論、ナイフは二本持っていた方が好ましいが、と付け加える。
するとエリオは少し考えた後で首を横に振り、続けて口を開いた。
「……いえ。多分、僕が聞きたいのは、そういう事じゃないと思います」
「言ってみろ、モンディアル三等陸士」
「ええと……僕らが戦う相手は次元犯罪者ですよね。コヴナントとも戦う事になるかもしれませんけど。
とにかく、彼らはAMFやガジェット、あの質量兵器とか……危険な力を使うじゃないですか。
それなのに魔法じゃなくて、ナイフで対抗する意味ってあるんですか?」
《それは違うわね。危険な力なんか存在しないわ》
「――――へ?」
唖然、というのが適しているだろうか。
思わず大口をあけてチーフを見上げるエリオに対し、
その掌に姿を投影しているコルタナは苦笑交じりに指摘する。
《貴方たち管理局だって、魔法をクリーンな力として使っているでしょう?
でも、貴方たちは武器としても其れを使う。――でも、魔法は危険な力じゃない》
そういう事よ、と笑うコルタナに続けて、チーフもまた頷いた。
「危険な人間がいるだけだ、モンディアル三等陸士。
力を持った、危険な人間が。
コヴナントと戦うには、危険な人間が必要なのだ」
ナイフさえ持っていなくとも、
たとえ足がもげようと、
たとえ腕が千切れようと、
たとえ虫の息であっても、
――生きている限り、
「敵にとって、脅威となる存在が」
洩れ聞こえてきた会話にティアナは顔を顰める。
ますます気に入らなかった。
マスターチーフという男の、言わんとする所が理解できるが故に。
つまり奴はこう言ってるに等しいのだ。
『お前らは生きていたって脅威でも何でも無い』
――邪推だろうか? いや、間違ってはいない筈だ。
同様に会話を聞いていたのだろう。
キャロが真剣な顔をしてナイフを見つめているのが視界に入った。
まあ、あの子達は小さいから良いとしても――……。
「ねえスバル。どうしてアンタ、アイツの言う事を素直に聞けるの?」
「どーしてって……んー、助けてくれたから、かなぁ」
「はぁ? 何よそれ。助けてくれれば犯罪者でも良い人ってわけ」
「そうは言ってないけどー」
ティアナの言葉を否定しながら、スバルは大きくナイフを振りかぶる。
刃先を掴み、手首のスナップを効かせて投擲。
タン、と響き渡る軽快な音。
くるりと空中で半回転したナイフが、狙い違わずに的へと命中した。
「あ、このナイフ、きちんと的にあたると気持ち良いなぁーッ!
なんていうか、こう、スカッとして! ほら、ティアもやってみなよっ!」
「あーもう……うっさい、馬鹿スバルッ!!」
ティアナのナイフは、またも地面に刺さった。
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支援支援支援支援!!!!!
今日はまだ眠れないのか支援!
支援
そういった訓練場の風景を真剣に見つめる者が、二人いた。
先程までチーフとフェイトが立っていた場所にいるのは、シグナム、そしてヴィータ。
副隊長を務める彼女達にとっても、やはりマスターチーフによる訓練は気になっていたらしい。
いつになく真剣な表情のシグナムを見やり、ヴィータは呆れたように呟いた。
「…………シグナム、なんか雰囲気違ぇーな」
「当然だ、ヴィータ。
奴は単なる戦士でもなければ、騎士でもない。
兵士であり軍隊――つまり戦争だ、ヴィータ。
我々が行うのは、間違いなく戦争になるだろう。
斬り、斬られ、撃ち、撃たれ、殺し、殺される。それが戦争だ。
お行儀良く非殺傷やら魔法やらと言いながら何も出来ずに死ぬか、
或いは生き残り、勝利する為にあらゆる物を駆使して戦うか。
少なくとも、私ならば後者を選ぶ。
そして、選ばなければ生き延びる事はできない」
「ああ……だからか。
マスターチーフとかいう奴があーいう事を教えてるのは」
「――――?」
やっとわかったぜ、と呟くヴィータ。彼女を不思議そうに眺めるシグナム。
しばらくして、ああと合点がいって頷いた。そういえば、そうだった。
「リィンや新人は当然として。主やテスタロッサ、なのは達も未経験だろうが――。
そうか、ヴィータも戦場に赴いた事は無かったか」
「ああ。アタシが生まれた頃にゃ、もうベルカで戦争はやってなかったからな。
つっても、はやての世界じゃあ六十年だか七十年前にドンパチやってたらしいぜ?
海鳴で爺ちゃん達から良く聞かされたからなぁ……話が長いっつーのに」
「それでもしっかり聞いたのだろう。どんな感想だ?」
「いや、なんつーか……そんなに良いもんじゃなさそうだな、って」
鼻の頭を掻きながらヴィータはそう言った。
面白可笑しい逸話を語ってくれた者はいた。
酷く懐かしそうな顔をする者もいた。
悲惨な話など何一つ聞かされなかった。
だが―――……。
楽しそうな顔をする者は、誰一人としていなかったのだ。
或いは、とヴィータは思う。
それは老人達なりの優しさだったのでは、と。
幾らヴィータが老人達よりも長い年月を生きていたとしても、彼女は戦争を知らない。
知らない者に対して話すには、憚られる内容や想いが『戦争』にはあるのだろう。
シグナムが見せた表情と頷きは、ヴィータの思考を肯定するものだった。
「まあ、せずに済めば良い部類の経験である事は、間違いあるまい。
――が、そうは言っても……戦争というのは、これもまた騎士の華だ。
主に忠誠を誓っての戦い、或いは強敵との正々堂々たる決闘に並ぶ、な」
「血が騒ぐのも無理はねぇ、か」
常にも増して――何処か高揚した表情のシグナム。
その様子を見やったヴィータ。さも仕方ないと言わんばかりの顔で、口を開く。
「シグナムだもんなぁ」
「……何だその言い草は」
シグナムの視線を避けるべく、ヴィータは明後日の方向を向いた。
表情を伺うことはできないが、どうせニヤニヤと笑っているに違いない。
シグナムは溜息を吐いた。反論をしてもからかわれるのが関の山だろう。
「まあ良い。ヴィータ、お前も覚悟しておいた方が良いぞ」
そしてシグナムは、ちらりとマスターチーフの方に視線を向けて呟いた。
「奴を見る限り、今の戦争は随分と変わってしまっているらしいからな……」
HALO
-THE REQULIMER-
LV4 [Inter Mission I]
END
以上ここまで。
サルサンって00分で解除されるんですね。知らなかった。
焦って代理投下スレに書き込みましたが、自分で投下できましたので。
それでは支援など有難う御座いました。
GJ!
こちらの管理局は現実的な対処で安心できそうだ。
戦いは厳しいだろうけど。
>>224 DARIUSというよりMetal Blackな気がする。
机上の空論、身勝手な価値観、そんな夢見がちな管理局員と違い
このエリオはバイドという現実を嫌ってほど味わったんだろうな……
もしかして物語をハッピーエンドに導ける唯一の存在になれるかも?
――難易度BYDEだな
R-TYPE氏GJ!!
よもやここでエリオが、しかも成長してご登場とは…。それとは別に、ギンガ側の敗北は当然と思ってたりして。(阿呆)ザブトム完成型の存在は知りませんでした。
もし仮に管理局チームがゴマンダーと当たったら、インスルー(アウトスルー)をムキになって墜とそうとする気がする。
余談:個人的な事ですが、毎度見事な解説をしている後書きもwikiに残して欲しいです。
>>195 バリアジャケットが無敵と錯覚している阿呆の多いこと、多いこと
リリカルなのはの住人は基地外の集まりでつねwww
Gjまあ新たな脅威が出てきた以上しょうがないですね。
Rtype氏GJ なのはあれだけ打っている他に体にも相当なダメージ。体大丈夫かこれ?
予告編みたいなのを投下。
「ケロロ君、言われてたガンプラを買ってきたよ。」
「おースカリエッティ殿おかえりでありまーす。」
転送装置で研究所に帰還したスカリエッティを出迎え、待ってました。と言うかのように眼を輝かせて緑色のケロン人、ケロロ軍曹は喜んだ。
彼からガンプラの入った袋を受け取り、ナイロン越しに透けた中身を見て叫ぶ。
「おぉっ!待ちに待ったセンチネルのFAZZであります!」
まるでクリスマスプレゼントを貰った子供のように両手に掲げてはしゃいでいるケロロ。
そんな彼の姿を可愛いらしく思いスカリエッティはつい笑みをこぼす。
こういうのも悪くないな。と。
「ははは。さっそく、作ってみようか。軍曹等身大の武器としての参考ついでにね。」
「了解でありまーす!これがあればペズンの反乱も鎮圧間違いなしであります!」
ニッパー、紙やすり等、プラモ作りに必須の道具を取り出すスカリエッティとケロロ軍曹は制作に取り掛かった。
「ほらよ。あんたら専用のデバイスが出来たぜ。クーッククク。」
クルル曹長から二人のケロン人に紫と赤のカード型デバイスがそれぞれ渡される。
ガルル中尉は自身の帽子のトレードマークが形どられたデバイスを鋭い目付きで見下ろし……呟く。
「まるでケロンの魂が体言していかのようだ……。」
「まさかまたお前と一緒に闘うとはな……。」
そして彼よりも柔和を帯びた鋭い目付きのギロロ伍長が複雑な気持ちを述べるとガルルは怒りもせずに笑みを浮かべた。
また弟と一緒に闘うとはな……。
「フフ……。ケロン01 ガルル参る!」
「あ、待てガルル!ケロン02 ギロロ行くぞ!」
ケロロなのはStrikerS
クロス元:ケロロ軍曹
>256
待ってます。
後、タイトルは「リリカルケロロ」の方が語感がいいかと思いますが。
普通にガンプラ作ってるスカ博士が見えたぜ
GJ。博士はマジでなんにでも順応しそうだから困る
>>250 六課の訓練風景が変わったw
ナイフ投げか・・・他にどんな訓練をするのか楽しみです。
そしてガンプラの影響でナンバーズの装備がガンダム風になってたり、ガンダムそのものを作ったりするんだな
ガジェットがボールになったりするのか
逆に強そうだ
GJ!!
GD3型がウォルターガンダムになるんだなw
ガジェットシリーズが融合してグランドマスターガンダムみたいなのになるのか。
いやケロケロなのはのほうが語呂よくないか?
-THE REQULIMER-さん、乙ッス!
マスターチーフの知名度の無さに、オレが泣いた・・・カッコいいんだけどなぁ
それにしてもティアナがウザイ子になってるなぁ、まぁ経験を考慮すれば仕方の無いことなのかもしれないけど。
あ、あと気になってたんですけど、今チーフが所有してる火器ってライフル程度なんでしょうか?
チーフの最後に乗った船(戦艦クラス?)って、確かスコーピオンとか搭載してましたよね。
REQULIMER氏
GJです!!
チーフの訓練によって、新人達がどう変わっていくか、
これからの展開にも目が離せません。
タイトルにけちを付けるとは、気がついてない分質が悪い能無しだな
>「まるでケロンの魂が体言していかのようだ……。」
大塚明夫自重しろwww
270 :
新人 211:2008/07/13(日) 16:51:31 ID:LWLrroE8
誰もいないみたいなので投下予告を
前スレでは、稚拙なSSで不愉快な思いをさせて誠に申し訳ありませんでした
現在仮面ライダーカブトとのクロス作品『地獄の四兄弟』というタイトルのSSを制作中です。
夏休みに投下の予定です。
四兄弟、誰が加わるのだろう
そーいうのは投下予告じゃなくて宣伝っつーんだ。
正直不愉快だからいちいち近況報告しなくていいよ。
貴方の『夏休み』が何時からなのかは知りませんが、
そういうのは投下予告とはいいません
あぁっと、だからと言って詳しい期間を発表されても困るからな。
投下の数時間くらい前がベターなのかな。
誰も見てないような時間帯なら直前でも問題無いだろうけど。
そういうことは書き上げてから言ってください。
いや、流石に投下前から作品を書き上げているSS作家は少数だろ
>>277 お前は投下しながら書き上げるのか・・・!?
つまり夏休み30分前に投下するんですね。わかります。
>>278 いや、余程の完璧主義というか一点集中型でない限りそうならないか?
少なくとも作品書き上げてから投下するSS作家なんて、職人レベルの人含めてもほとんど知らないんだが
>>280 あ・・・ありのまま(ry
お前本気で言ってるならもう少しROMってたほうがいいよ
>>281 280は完結=書き上げる
の意味なんじゃないか?
『書き上げて』の意味を勘違いしてるんじゃないか?
一話か全話かで
>>280 夏の暑さにやられたのですね ゜・(/Д`)・゜。
>>280 >>281 おちつけ。お前ら、書き上げるの定義が異なってるぞ。
>>280の書き上げるってのは、最終話まで完結させるってことを指して書き上げると言ってる。
>>281の書き上げるってのは、一話分を書き上げるってことを言っている。
どういう思考パターンなら書き上げる=完結になるのか?
つまり擦れ違いだね…
一つの作品を丸々「全話」書き上げてから投稿するなんて人は殆どいないって事だろ
>>286 いや本来の意味からして
そういう使い方な奴もいるだろ
ss書きとしてはあまり合わないかもしれんが
正直そこまで煽る意味がわからん。荒らしか?
夏だなぁ…
293 :
一尉:2008/07/13(日) 20:53:20 ID:yz/Q9ISg
夏たね支援
全ては私のシナリオ通り。
残るは憎まれ役の幕引きだ
普通書き上げて表に晒すのは一巻分がプロの基準で、1話分がアマだよな
ただ素人が長編やるなら3話くらい書き溜めて欲しいかな、だいたい1話だけ書いて満足して止めちゃう人が多いし
誰もおられないようなら、
22:10位から(チートなので)戦闘はあまり無い方向かギャグ予定のRXとのクロス投下させてもらっていいですか?
>>297 最近暗い話が多かったんで
明るい話は大歓迎です
>>297 おのれ!クライシス!ですね。分かります。
新参だけどむしろ文章量が不安。
周りが「一話当り数十KB余裕で書いてますw」なのを目にする一方で、一話当り10KB届かない位なんだけどあまり文章量気にして付け加えると変になりそうだし……
皆の、「余裕で文章少ない」「文章少なめ」「ちょうどいいね」「ちょっと文章多い」「文章大杉でだらける」の境界線教えて欲しいもんだぜ
クロノは任務中に保護した管理外世界の男性に頭を悩ませていた。
保護したのは年は二十歳前後、体格の良く顔も整っている人間だったと思われる男性。
だったと思われる、というのは今は見た目にはわからないが、拾った時は昆虫っぽい亜人だったからだ。
第一、人間は…人間以外でもほとんどの生き物は、例えSランクオーバーの魔導士だろうが、宇宙空間に漂っていて無事だったり、この船の検査を無意識に無効化したりはできない。
…船に回収してからすぐにクロノ達は彼の検査を行った。
だがその男を詳しく調べようとしたその時…不思議なことが起こった。
補佐であるエイミィと担当者しかまだ知らない事実だがいくら調べようとしても何も見えてこなくなったのだ。
クロノは記録されていたその映像を見て色々な手を試した無駄な時間を思い知りため息をつき、クロノの意識は男性を保護することになった経緯を思い返す…それはある管理外世界が滅んだことが観測されたのが始まりだった。
管理外世界は基本的に不可侵である為詳しくはわからなかったが。
その世界の統一国家であるクライシス帝国は、管理局が禁忌とする質量兵器と強力な兵を多数保有しており、独特の文明を発達させていた。
だがクライシス帝国は突然滅び、世界を巻き添えにしたらしい…
そして、それが止んで暫くたってから、ほんの一瞬だけクロノが乗るこのアースラの総エネルギー量がカスに思えるほどの超超高エネルギーを秘めた何かが観測された。
(観測されたエネルギー量からいって無関係だとしても原因究明に派遣されるだろうが)恐らく、それがクライシス帝国を滅ぼしたロストロギアだと管理局は予測し…
捜索のためクロノらに消失した地点に向かい痕跡を探るよう命令が下った。
そこで見つけたのが、この男性、『南光太郎』だった。
名前は寄り添うように漂っていたバイクと車もクロノ達はアースラに収容しており、その二機から聞いた。
回収した時の光太郎の姿と同系統のフォルムを持つ二機が(簡単な検査を行ったところ魔力などは全く持っていないようだが)意思を持ち、話を聞くことができたのは行幸だった。
昆虫っぽい亜人の姿から人間の姿になったのはつい先程、検査を止めて暫くしてからのことだった。
…戻ったら戻ったで全裸で、一目でわかる程鍛えられた体と『凄く…世紀王です』ということはわかったが、どうでもいいことだ。
この男性の名前は南光太郎。21歳…クロノの、妹みたいな友人と同じ地球の日本出身らしい。
バイクも車も詳しくは教えてはくれなかった。
従ってクロノの命令で現在調査中だ。
クライシス人が地球に潜入していたと言うのだろうか?
それとも地球人が何らかのアクシデントに巻き込まれクライシス帝国にいたのか。
管理世界のどこかから違法に地球とクライシスを行き来していたのか。
疑問は尽きなかったが、光太郎が目覚めれば解決するだろうし、クロノの頭を悩ませている問題ではなかった。
体の検査を諦めたものの、もしもの時は軟禁できるよう用意された別室にクロノは入る。
光太郎が寝かせられた備え付けのベッド以外には殆ど何もない部屋は、清潔感のある白系統の色で統一されている。
部屋の中へとクロノは足を進め、絵や写真の一枚もなく、殺風景な部屋で寝息をたてている光太郎の様子を伺う。
存外整った顔に浮かぶ表情は険しく、何か悪い夢でも見ているようだった。
時折、「教えてくれ…キングストーン」とか寝言を言っているが、何のことかまではクロノにもわからなかった。
まさか人名などではないだろうが。
クロノが悩んでいるのは、光太郎をどうするかだった。
法的には何も問題はない。
クライシスも地球も管理外世界だし、犯罪らしい犯罪を起こして捕まえたわけでもない。余罪も、多分無い。
何故あんな場所にいたのか追究は必要だろうが、重要参考人程度で済むだろう。
どちらの世界で何をしていようが、それは管理局が裁くものでもない。
自分が追っているロストロギア…キングストーンを二個持っているなどとは思いもしなかったクロノは光太郎の罪状などについては、そう考えていた。
いや、もし持っていると考えても『八神家』という前例をよく知っているクロノの考えは変わらなかっただろう。
クロノが気にしているのは、罪科ではなくクロノ達では検査できなかった肉体をそのまま報告すれば本局がどう判断するかだった。
宇宙空間で生存可能な改造人間…強引に管理下に置かれ実験に協力させられることになるのだろうか?
それとも質量兵器扱いされるのかだ。
「…ここは?」
考えに耽っていたクロノは男が発した声に目を見開き、光太郎を見た。
光太郎の目が薄く開いていた。男が目覚めるのを見ながらクロノは顔を顰め、光太郎をモニタしているはずの担当者へと通信を繋ぐ。
担当者から帰ってきた答えはデータには全く変わりない、ということだった。
クロノの表情は報告を聞いてより険しくなる。
覚醒することも察知できない隠蔽能力ってなんだ?
もし逃げられて一旦見失ったら発見は困難かもしれない。
実験体になることを強制されるのでとか気にするクロノの嫌な予感を更に加速させながら光太郎は体を起こした。
「目が覚めたか」
「君は…」
意識が完全に戻っていないらしく、目を瞬かせた光太郎は次の瞬間クロノの肩を掴んでいた。
クロノは肩の痛みで呻き声をあげるのをどうにか堪える。
思っていたよりも、遙かに素早い。
出世をして前線を退いたとはいえ、未だ一線級の魔導師であると自負していたクロノは反応が遅れたことに自尊心を傷つけられた。
光太郎の方は、そんなことを気にする余裕など持ち合わせていない。
クロノの肩を握り潰しかねない強さで掴みながら、光太郎は詰問する。
「クライシスはッ! 地球はどうなったんだ!?」
「落ち着け…ッ、」
そう言ってクロノは手を退けようとしたが、光太郎の腕はビクともしない。
肩を掴む光太郎の、改造強化された手の力は次第に強くなっていく。
「これが落ち着いていられるかよッ、頼むから教えてくれ!」
「教えてやるから落ち着けと言ってるんだ…!」
「す、すまない…」
苦しげなクロノの言葉を耳にし少し冷静さを取り戻したのか、光太郎は掴んでいた肩を離してクロノに詫びる。
自由を取り戻したクロノは、肩の痛みを我慢しながらクライシス帝国のある次元世界が滅んだ事、地球は無事である事を説明しはじめた。
クライシスが滅んだ事、地球は無事だと言う事を聞いた光太郎は一瞬笑い、今は深い悲しみを表に出す。
「今度は僕から質問させてくれ。クライシスが何故滅んだかや君が何故あの場所にいたのか。君の出身なども含めて知っていることを」
「世界が滅んだのは、多分…俺が、クライシス皇帝を殺したからだ」
クロノは(他人からみれば少しの間だったが、)暫く二の句が告げられなかった。
……何を言ってるんだコイツは?というのが素直な気持ちだった。
クライシス皇帝を殺す事と世界が滅ぶ事は関連性などないようにクロノには思える。
死ぬ前に皇帝がロストロギアを暴走させ、世界を道連れにしたということだろうか?
皇帝を殺したことについては、それこそクロノの権限ではどうにもできない事柄だ。
管理外世界で人殺しが行われたら、それはその世界の法で裁かれる。
だがその世界も滅んでいたら…?
管理局はその場合代わりにやるような機能は無い。
突拍子も無い話に困惑するクロノに、光太郎は憂い顔のまま説明を続ける。
「クライシス皇帝の力は怪魔界全体に広がっていたらしい。奴を殺せば怪魔界全てが滅ぶ。そう奴は言っていた」
「…信じがたい話だな。それで君は、どうしてそんなことを?」
少し身を引き、何かをしようとしたなら今度は返り討ちにする用意をしながらクロノは質問を重ねた。
だがその質問に光太郎はとても意外そうな顔をした。
クロノからそんな質問が来るなど全く予想していないといった様子で、クロノに言う。
アクロバッターはツンデレ
「? 知らないのか? クライシス帝国は地球を侵略してたからじゃないか」
「なんだって?」
「本当に知らないのか!? 帝国50億の人間を移住させる為に、クライシス帝国は色んな怪人を送り込んでいただろう!?」
興奮状態の光太郎を宥めながらクロノは記憶を探ったが、やはりクライシス帝国が地球に攻め込んでいたと言う話は記憶に無い。
そんな話があれば義妹達から真っ先に聞かされているはずだ。
「そんな話は、聞いたことが無いな…」
疑わしげに返すクロノに、光太郎は怒りを隠さなかった。
「冗談きついぜ。ゴルゴムから半年、やっと平和になった日本に奴らが侵攻していたことは、全世界で知られているはずだ」
「ゴルゴム?」
これもまた前回地球を、海鳴を訪れた時には全く聞かなかった話にクロノの困惑は深くなっていく。
ゴルゴムという単語にも困惑した表情を深くするだけなのを見て、光太郎は怒りを通り越し、呆れたようだった。
「ゴルゴムも知らないのか? 話にならないな…他に誰かいないのか? ニュースとかに目を通してる人とかさ」
少しクロノを笑う光太郎に、クロノは不愉快さと持つと共に何か…決定的に見落としていることがあることを確信していた。
「僕だって大きなニュース位は聞いている。君こそ、どうも僕の知る地球とは違うように感じるんだが」
「はぁ? 地球が二つあるって言うのか? 悪いが、冗談なら俺は「冗談じゃない! いいか? 少し話を整理するから僕の質問に答えてくれ」
そう言ってクロノは、ゴルゴム等を知らない事に呆れ、怒ったままの光太郎に幾つか質問をしていく。
質問の内容に光太郎は素直に答えてくれているようにクロノには感じられた。
余り嘘などが得意なようには見えないし、頭がイカレているようにも見えない。
幾つかの質問を終えたクロノは不承不承ながら、一つの事を認めた。
「…僕が知る地球と君がしる地球は別のもののようだな」
光太郎も、クロノの質問から予想していたのか驚きはしなかった。
「おのれクライシスめ…ッ」
口惜しげにそういうだけで、むしろ驚きはクロノの方が大きかった。
次元世界に地球は一つだけだ。
クロノの義妹や友人のなのはが住む世界の地球だけだ。
だが光太郎の地球はそこではない。
クロノの知る地球はゴルゴムが日本を占領したことなど無いし、クライシス帝国の侵略など受けていない…改造人間。
仮面ライダーなんて存在しない。
信じられない話だが…だが、こう考えればしっくり来るという考えがないわけではない。
次元世界では未だ確認されていない、次元世界の外が更に存在しそこの地球にクライシス帝国は侵略を行っていた…
次元を渡る能力を持たなかったにも関わらず、そんなことがあるというのだろうか?
専門家ではないクロノには判断が付かなかった。
ただ分かるのは、思っていたよりも遙かに光太郎は厄介な問題児だということだ。
「今度は俺の質問に答えてくれ。地球でもクライシスでもない、ここはどこだ? 船の中みたいだが」
「…アースラだ。君には悪いが暫く航海を続けるよう命令がきている。後で世話を」
クロノが説明しようとした途中で、光太郎は突然壁の方へと目を向けた。
「どうかしたのかい?」
尋ねながら、さりげなく光太郎の見ている方を見たが殺風景な壁があるだけで特に目に付くものはない。
だというのにクロノの脳裏にも何か引っかかるものがあった。
それが何かクロノが答えを出す前に光太郎が尋ねる。
「アクロバッターやライドロンも、俺のバイクと車もここにいるのか?」
「…どうしてわかったんだ?」
光太郎にはまだ収容したことは伝えていない。
だがしかし、光太郎が視線を向けた方向には、確かに二機を収容した場所があることとクロノは知っていた。
名前を知っていたことからブラフで言っているのかと考えるクロノに光太郎は爽やかな笑顔を見せて答えた。
「俺とアクロバッターは仲間だからだ」
何かそういう機能があるのだろうが、勘弁してくれとクロノは思った…
*
光太郎が目覚めて半月近くが過ぎた。
状況に余り変化はない。
クロノ達は怪魔界を滅ぼしたロストロギアの実態調査及び探索の任務中で、相変わらず航行中だった。
光太郎はその途中で救助されたクライシス帝国の被害者と言う扱いを受けている。
改造人間だと言う話は信じてもらえたが、皇帝からクライシス帝国の幹部、怪人達をほぼ一人で倒し、クライシス帝国を壊滅させたと言う話までは話半分に聞かれているのだ。
勿論光太郎もただ彼らの保護にあるのがよいとは思っていないのだが、彼らとは技術体系が違うのでどうしようもなかった。
ライドロンやアクロバッターが何故か一緒に回収されていたが、ライドロンの力でも地球への帰還は出来ないという回答が来ている。
怪魔界と地球を行き来するのと管理局が行っている管理世界間の移動は異なる技術であるらしい。怪魔界からなら地球へ行けたが、怪魔界はもうないのだ。
だが、地球への帰還を諦めてはいない。クロノは協力を約束していたし、光太郎自身も研究者達を訪ねるなり、探していく決意を固めていた。
この体には少なくとも五万年もの時間があるのだから。
そんなわけで機密に関わる場所に入るわけにも行かない光太郎は一先ずクロノの保護下で管理世界の知識を吸収することに努めていた。
それに関して、この管理世界の地球で使われている言語と光太郎の地球の言語は同じだったのは幸いだった。
光太郎自身も驚くほどの吸収力を見せ、光太郎はミッド語を学び、知識を得ようとしていた。
クルーの娯楽や学習のため用意された蔵書に目を通しながら光太郎は驚いていた…理解力などが向上しているようだ。
だが、驚きはすぐに消え光太郎は恐怖を感じた。
本を読む手が止まり、虚空を見つめる光太郎の脳裏には、こちらに来てから一度だけ夢の中で語り掛けてきたキングストーンの声が響いていた。
夢の中で、光太郎の故郷の地球に似た風景の中でキングストーンは光となって、光太郎を照らし、穏やかで力強い声で光太郎に語りかけた。
『光太郎よ、お前の肉体は遂に創世王の肉体となった』
(ど、どういうことだ? 信彦のキングストーンは確かに破壊したはずだ)
『宇宙に投げ出され漂流するお前は、孤独を恐れ無意識にそれを埋める存在を求めたのだ…アクロバッター、ライドロン、そして、それらよりも先に、お前が破壊したと思っていた『月の石』がそれに答えた』
(答えてくれ! キングストーン。『月の石』がまだあったと言うなら、信彦は生きているのか!?)
肝心な所を答えないキングストーンに苛立った光太郎は叫んだ。
だが、キングストーンはあくまで静かに光太郎に答えを返す。
感情を乱す光太郎を打ち据えるように、厳かに声を響かせる。
『信彦は死んだ。クライシス帝国とお前が殺したのだ』
(……そうか)
『だが、我はお前が何度でも蘇るように、また何度でも蘇る。光太郎、お前が望みさえすれば…何度でも。光太郎よ。成長するのだ…さすればアクロバッターを呼んだように故郷の地球を感じられるであろう』
自分が兄弟のような、あるいはそれ以上に想っている親友と戦い、殺した記憶が光太郎を苛む。
改造手術から、ゴルゴム神殿の崩壊から信彦を残して一人で脱出したことも。
実際は死んでいなかったとしても…ブラックとして、RXとして合計二度も殺したことも光太郎の魂に深い傷として残っていた。
光太郎は表情を歪めながら、それでもキングストーンに尋ねた。
(…本当か? だが、どうして、そんなことがわかる!?)
『かつて同じような事があったからだ。光太郎…前創世王も、五万年前に同じ道を辿った』
(…ど、どういうことだ!)
『創世王は、肉体を失うまで今のお前と同じくクライシス帝国のような侵略者と戦い続けた。そして人々を守り、傷つき倒れお前も知るあの姿となった』
光太郎が見た創世王の姿は、巨大な心臓のような姿だった。
それが、遠い昔は違う姿を取り光太郎と同じように戦っていたと、キングストーンは言った…にわかには信じがたいことだった。
『そして、侵略者と対抗する内に創世王を神と崇めるようになった支援者達が、ゴルゴムを作った。肉体を失った創世王は、それを受け入れる他戦う術がなかった』
(…! 馬鹿な…馬鹿なことを言うな!! あの創世王が、俺と同じようにクライシスと戦っていたというのか!?)
自分達を浚い、改造したゴルゴムと創世王が。
数多くの悲劇を生んだあいつらと同じだと認めることはできず、光太郎はいつの間にか叫んでいた。
だがそんな光太郎の激情も物ともせずに、キングストーンの言葉は光太郎の中に強く響いてきた。
『その通りだ。光太郎、お前はまだ、創世王が歩んだ道を一歩進んだに過ぎない。だが、彼よりも更に成長せねばならない…新たな創世王が生まれるその日まで。戦い続ける為に。半ばで倒れ、ゴルゴムなど作らぬ為に』
(何を…言ってるんだ。キングストーン)
『だがそれは、心までも新たな創世王となるということ。お前を苛む孤独は完全に消え、お前は人を必要としなくなる…多くの人々がお前を恐れ、数少ない者達がお前を崇めても』
(……俺は、俺は人間だ!)
『いずれ、遠くない未来…たった千年程の時間が過ぎれば、お前は人々に心動かされる事はなくなるだろう…賢き道を行け、光太郎』
自分でもわかならい、何かに突き動かされた光太郎の悲痛な叫びにも揺ぎ無い声で、キングストーンはそう答えた。
光太郎はその言葉を聴いたせいでより孤独と郷愁、そして未来への不安を感じていた。
「…そうなるとは思えないぜ。キングストーン、この孤独がいつか消えるって言うのか? 俺は、創世王と同じ道をなぞっているだけなのか?」
嘆く光太郎にキングストーンは答えなかった。
代わりに教えられたことは、かつての創世王が同じような事故にあった時は地球に戻るまで千年以上の歳月を必要としたということだった。
そこへクロノがやってくる。
クロノは管理局本局にもうすぐ到着すると告げた。
「それから君は一度管理局の保護下に置かれることになる。管理世界にない感染症がないか、その逆も含めて君の体を検査したり前科が無いか調べる少しの間だけだ。
直に、多分君は地球へ送られることになるだろう」
クロノはそういうと、海鳴市にある家やこちらにあるオフィスの場所や連絡先を光太郎に教える。
今の光太郎の記憶力なら、それを覚える事はそう難しい事じゃなかった。
「開放されて、もし困ったことがあったら連絡をしてくれ」
「それなら、俺のアクロバッターとライドロンを頼んでいいか?」
光太郎の申し出に、クロノは陰りのある笑顔を見せて頷いた。
軽く音速を超える速さで怪人を轢き殺してきた車を、質量兵器を禁忌とする管理局に引き渡して弁護するのは流石のクロノにもできることではない。
「元からそのつもりだ、あんなもの…本局には渡せないからな。君のバイクと車は責任を持って預かっておく」
「頼む、世話をかけるな」
「気にするな。お陰でクライシス帝国のことも少しはわかったから、その礼代わりさ」
素直に礼を言って光太郎はクロノと別れ、アースラを下りる。
アクロバッター達と分かれたのは、クロノによればアクロバッターと、特にライドロンが管理局が禁止している質量兵器に認定される可能性がある。
航行中、クロノと話した際に二機の性能を知ったクロノに渋い顔で言われた光太郎はクロノの伝手を頼むしかなかった。
余りよくないことだが、抜け道が結構あるらしい。
そして…本局を訪れた翌朝には、光太郎は身柄を移送されていた。
移送先は周囲を荒野に包まれたこれもまた殺風景な場所だったが、地上である分アースラよりはマシだとさえ光太郎は感じた。
施設内では、白衣を着た男が秘書らしき女性を伴って光太郎を待ち受けていた。
男は二十歳を少し過ぎただけのようにも、四十を超えているようにも光太郎の目には映った。
性差はあるが、隣に立つ紫のロングヘアーの女性とその男はどこか似ていた。
「君が光太郎だね?私が君の担当になったジェイル・スカリエッティだ。ドクターと呼んでくれると嬉しいな」
「よろしくお願いします。ドクター」
がっしりと握手をする光太郎を見るドクターの秘書らしき女性の笑顔が微かに深くなった。
光太郎はそれ気づき、女性にも挨拶をする。
「君のようなケースはとても希少だからね。協力に感謝するよ」
「お手柔らかに頼みますよ」
「私に任せておきたまえ…全てね」
そう言ったドクターの目に狂ったような光が宿ったが…ゴルゴムの科学者に比べれば幾分マシ、としか光太郎の目には映らなかった。
以上です。
光太郎は、ルーテシアのように三脳さんの手で貴重な実験体としてスカリエッティに引き渡されましたとさ。
でも表向きはただの協力で自発的。詳しくは次回で…
バイクが兵器www
あーあドクター死亡フラグ立てちゃったw
GJ!
リボルケインぶっさしフラグが立ったなw
光太郎はラムネ菓子の袋を踏んだだけ悪の気配を察知する男だwww
どんな些細なことからでも悪を見抜くwww
乙
博士に合掌w
>>308 初代ライダーのサイクロンの分類は「二輪兵器」なんだぜ?
RXに非殺傷などという生易しい言葉はない!
俺のファーストインプレッション、太陽の王子キター!
今思い出してみるとストーリー的には突っ込みどころ満載だったが、そんなものを吹っ飛ばすほど格好良かった。
設定的には漫画版との混合みたいだな。
まあ特撮というのはどいつもこいつもハイスペックだが。
管理局=ドクター
↓
ドクター=悪
↓
悪=クライシス
↓
クライシス=管理局
こうですね、わかります
JS事件=ゴルゴムの仕業ですね,わかり(ry
20分から投下します。
リリカル・ニコラスの第二話です。
支援
キングストーン2個とかもうチートってレベルじゃねえぞw
リリカル・ニコラス 第二話「パニッシャー」
青い空と輝く白い雲の下に男はいた。
彼は入院患者が着るようなパジャマを着ており、全身のあちこちに包帯を巻かれている。
傍らに置かれた松葉杖と相まって、大怪我をしたらしいと容易く連想させる。
彼はボンヤリとした表情で、どこか心を吸い込むような青い空をただ静かに眺めていた。
男の名はニコラス・D・ウルフウッド。
かつてまったく別の世界で超異常殺人能力集団GUNG−HO−GUNSとして、ミカエルの眼の殺し屋として、そして人間台風と呼ばれた優しいガンマンの朋友として生きた男である。
ウルフウッドは呆けたような顔で青空を見上げながら、ふと口を開いた。
「ああ、調子狂うで…相変わらずの青さや…」
青空を仰ぎながら火の消えた吸いかけのしけったタバコを咥えてウルフウッドはそう呟いた。
場所は聖王教会に属する病院の屋上、空はどこまでも青く雲は白く輝いている。その光景に、彼はかつての世界で最後に見た空を否応無く思い出した。
「しっかし、どこの世界でも空は青いんやなぁ。しかも“魔法の世界”て……悪い冗談も良いとこやで……実際…」
ウルフウッドはこの世界の人間ではない。
彼が生まれ育ったのは暴力そして銃がものを言う世界。プラントに縋り、乾いた砂の上で生きることを強いられた惑星“ノーマンズランド”。
だが彼は今ここにいる、魔法というものが存在する秩序のある世界、ミッドチルダに。
最初は信じられなかった。
なにせ昨日まで緑も水も無く、手に銃を取り鉛弾の雨を掻い潜るような世界にいたというのに、いきなり平和と秩序のある世界に飛ばされたのだ。
その上“魔法”なんてメルヘンなものまである、彼にとっては悪い冗談以外の何物でもなかった。
「しっかし……なんでワイはこんな場所におんねんやろな…」
何故こんな所に飛ばされたか、詳しい理屈や理由など彼に知る由など無かった。
まあ、検討くらいはついていたが。
「やっぱアレか、トンガリやナイブズの力の影響なんか? ったく…面倒な奴っちゃで、ホンマ…」
あの地での最後の記憶は定かではないが、恐らくこの次元間移動は自立型プラントであるヴァッシュ・ザ・スタンピードやナイブズの影響であると簡単に推測は出来た。
彼らの力以外にこんな天変地異のような現象は起こりえない。
ウルフウッドはもう一度深く溜息を吐いて空を見上げる、脳裏に駆けるのは元いた世界に残してきた友と弟分の二人。
(トンガリ…リヴィオ……すまんわ、しばらくそっちに戻れそうもあらへん…)
ナイブズやレガート達を相手に、きっと壮絶な戦いの中へと向かったであろう仲間を思ってウルフウッドは沈痛な面持ちで瞑目。
傷ついた身体に頼る当ても無い漂流者である彼に今できることはそれくらいだった。
そうしていると、突然ドアを開けて誰かが屋上にやって来た。振り返るまでもなく彼にはそれが誰か理解できる。
毎日顔を合わせていれば嫌でも気配を覚えるというものだ。
「あ! ウルフウッドさん、またここにいたんですか?」
「お前も飽きずにようこんな男に会いにくるなぁ、カリム」
ウルフウッドは、口に咥えたシケモクをピコピコと動かしながら自分を見舞いに来た金髪の美女に向かって呆れたような声をかけた。
彼女はミッドチルダに流れ着き、満身創痍で虫の息だったウルフウッドを助けた命の恩人、聖王教会騎士であるカリム・グラシア。
カリムはウルフウッドを助けてからというもの彼の容態を気にかけて、時間を見ては見舞いに来ていた。二人は今ではもうすっかり顔馴染みである。
ウルフウッドは火のないタバコを口先で揺らしながら、馴染みの顔に軽く会釈した。
そして、カリムはウルフウッドの口の先に咥えられたそれを見るとツカツカと彼に近づいて、むすっとした表情を見せると彼の咥えた煙草を手で奪う。
「病院で喫煙なんて以ての外です!」
整った眉をほんの少し歪めてそう言う彼女の言葉に、ウルフウッドは思わず昔似たような言葉を言われた事を思い出した。
「火ィは点けてないねんけどな」
ウルフウッドは苦笑しながらそう答える。彼のその様子にカリムはまた一段と表情を険しくした。
「もう! 全然反省してませんね? 一応ケガ人なんですから少しは自分の身体の事を考えてください!!」
「ああ…まあ、そう怒るなや……」
ズイと顔を近づけて注意するカリムの気迫に押されてウルフウッドは顔を引きつらせて二・三歩引いた。普段は大人しい印象のあるカリムだが怒るとそれなりに恐い。
そんなウルフウッドとカリムのやりとりに付き添って来ていた尼僧は思わず苦笑した。
「まったく……また騎士カリムに怒られているんですか、ウルフウッドさん?」
「おう、シャッハかいな。ちょい助けてくれや? 恐い姉ちゃんに捕まっとんねん」
ウルフウッドに声をかけたのは、カリムの秘書である聖王教会のシスター、シャッハ。彼は丁度良いところに来たシャッハに、助け舟を求めて手を振る。
そんなウルフウッドの言葉に、カリムは顔を真っ赤にして詰め寄った。まあうら若い美女が“恐い姉ちゃん”呼ばわりされては無理も無い。
「ちょ! 誰が“恐い”ですか!?」
「そんな息巻くなや、それが恐いっちゅうねん」
「またそんな事を言って! そもそもあなたがですね!」
カリムは澄んだ声を荒げてウルフウッドの胸倉を掴むと、彼の身体をガクンガクンと揺さぶった。
彼女の乙女心は大層傷ついているようで、ケガ人のウルフウッドが相手だと言うのに手加減を忘れている。
「イタタっ! ちょ! 傷開く!! シャッハ、助けてくれや〜!!」
大いに身体を揺さぶられたウルフウッドは、揺れる度に疼く全身に刻まれた傷の痛みに涙目になってシャッハに助けを求めた。
俺の永遠のヒーロー、光太朗兄ちゃんktkrwwww
とりあえず一言、ドクターとナンバーズ……逃げてぇ!w
支援
支援しつつ
>265
それだと「ケロロ軍曹」じゃなくて「ケロケロちゃいむ」とのクロスになってしまうぞw
彼女はヤレヤレと言った風情で苦笑いし、お手上げのポーズを取る。
「お手上げです、あなたの発言にも問題ありますから」
「そう言わんといてえな、いい加減にワイが逝ってまうわ…」
「ヤレヤレですね……騎士カリム、そろそろ本題に移っては?」
シャッハの言葉にカリムはようやく我に返り、ウルフウッドを締め上げていた手を離すと、オホンと小さく咳をして気を取り直した。
「そ、そうですね…」
「ったく、あやうく教会の女に殺されるとこやったで…」
「そんな事を言うから騎士カリムが怒るんですよ?」
「ああ、ハイハイ……分かったわ、今度から気ィつける。 で、ワイになんか用なんか? さっき“本題”がどうこう言うてたやろ?」
そのウルフウッドの言葉にシャッハとカリムは顔を見合わせる。それはまるで、今までの騒がしくも和やかだった雰囲気に少し影が落ちたようだった。
「その……ここではしにくい話ですにで、病室で良いですか?」
「ああ、別に構へんで。ほんなら行こか」
カリムにそう促され、ウルフウッドは松葉杖を付きながら屋上の階段入り口へと向かった。
△
つんと鼻を突く消毒液の匂いにある程度人が寝起きしている事を感じさせるすえた体臭が混じり、ウルフウッドの入院している病室に独特の匂いを漂わせていた。
まず部屋に一番最初に入ったシャッハが窓を開けて、清涼とした空気を病室に迎える。
少しばかり淀んだ空気が入れ替えられ、たちまち外から爽やかさが入り込む。涼やかで気持ちの良い風を感じつつウルフウッドもまた病室へと足を踏み入れた。
だがその風のもたらす気持ちの良さは一瞬で霧散した、部屋の中に鎮座するある“モノ”の為に。
「これ……どないしたんや?」
目を怪訝に細め、思わずトーンが一つ下がった声でウルフウッドはそう尋ねた。
それを見れば嫌でも血と硝煙の匂いにまみれた殺しの記憶が蘇る、口中には図らずもかつて嫌と言うほど味わった血の味が蘇る。
病室の中央、運ぶ為に使われた台車の上に鎮座する半壊した十字架。
それはかつて彼の手により鉄火を振るった最強の個人兵装。名を“パニッシャー”処刑人の名を冠せられた十字架型重火器。
そして銃はもう一丁、彼の愛用していた拳銃も十字架型の兵器の横に鎮座していた。
この二つの武器はそれこそ己が手足と感じられるほどに長い時をウルフウッドと共に死と破壊を行使してきた得物である。
自然、ウルフウッドの心には複雑なものが宿り表情はひどく曇った。
彼のその様子にカリムもまた表情を強張らせながらも言葉を繋げる。
「あなたが倒れていた場所で見つけました。拳銃はあなたの服に…」
「そうなんか…」
「では、そろそろお聞きしてもよろしいですか? あなたの事を…」
一命を取り留めてからというもの、今の今までウルフウッドは自分の身の上をほとんど話してはいない。
彼の負った傷の深さもあって、身体に負担をかけぬ為にも事情の説明は先送りにされていた。
今まではただの漂流者の民間人であったが、容態が落ち着きコレが見つかってはそうも言ってはいられない。
この世界ではこんな物騒な代物はご法度も良いところだった。
そうして“ナニから話そうか”とウルフウッドが思案して少しばかり黙っていると、カリムがおもむろに口を開いた。
「あなたを手術した医師が驚いていました……その…あなたの身体の傷と…施された数々の施術に…」
カリムは俯き途切れ途切れになりながらそう言った、シャッハもまた顔を伏せて複雑そうな表情になる。
ウルフウッドの身体を治療した医師は彼の身体に刻まれたあまりに凄惨な傷とまともな人間ならばありえない改造処置に言葉を失った。
肉体に無数に撃ち込まれた数十発の銃弾、常人なら数度死んで有り余るほどに投与された代謝促進剤。
管理世界なら、いや、正常な精神を持つ人間ならばあのような処置を人にしはしない。
カリムのその言葉に、自分がどういう存在であるか既にある程度知られたと察したウルフウッドは自分と言う存在の本性を告白し始めた。
「そうやなぁ…ほんなら、まぁ……ワイが孤児院入ったあたりから話そか…」
身寄りの無い、何も持たないどこにでもいる孤児だった。
そして彼は辺境の孤児院に受け入れられた、そこは楽園だった。ドブ泥にまみれずとも、奪わず逃げ回らず生きられる世界。
それがある日終わった。
「ミカエルの眼?」
「ああ……殺し屋の…寄りあいみたいなもんや…」
教会からの誘いと言う隠れ蓑で引き入れられた殺人集団、暗殺結社“死天使(ミカエル)の眼”。
そこであらゆる殺しの手管を血と肉と心に深く深く刻まれ……幼く脆弱な子供から洗練された殺人者へと変えられた。
そして更なる戦闘存在へと昇華させる為に行われた改造処置。
治癒機能・骨格強度・筋力の増強・感覚神経の鋭敏化、戦う為の殺す為の性能を追求され身体を異形へと変えられた。
「代謝機能の強制促進のせいで年をとるのも早い……昔の知り合いに会っても、ワイやと気付くかどうか…」
カリムは絶句した。
いちおうは管理局に籍を置く彼女ではあるが、直に犯罪や血生臭い事象に対峙した経験は皆無である。
そんな彼女に彼の話す半生はあまりに壮絶が過ぎた。
カリムは言葉を失いながら自身の軽率な行為を恥じた。
ウルフウッドの瞳は忘れる事など叶わぬ古傷を抉られて、形容し難い悲しみに満ちていた。
殺人・苦痛・絶望・悲哀、そして濃密な血と硝煙の匂い。それら全ての過去と言う名の鎖が肉体と同化し、彼を縛り付けている。
そこに触れれば鮮血を滴らせ、骨や筋まで剥ぎ取っていく程に……
それは他人が安易に穿り返して良いモノではない、だが自分はそこに軽率にも触れてしまった。
深い後悔の念と罪悪感がカリムの胸中を駆けた。
「すいません……そのようなお話を無理矢理聞いてしまって…」
「ええって。別に気にしてなんかあらへん」
「でも…」
「だから、ええって。どうせその内話さなあかん事やったろ? そないな事いちいち気にすんなや」
カリムの哀しそうな表情にウルフウッドは僅かに悲しみの滲んだ笑顔でそう言うと、彼女の頭をそっと撫でた。
それは、病人と見舞い客との絵にしては妙な光景だった。
「そんでワイはどうなんねや? もしかしてお縄になったりせえへんのか?」
「そんな事ありませんよ。というか…どうしてそうなるんですか?」
「いや、この辺りはああいう物騒なモン持っとるんはご法度なんやろ? ワイめっちゃ違法やん」
「いいえ、そもそも管理外世界に対しては過度の干渉はしないのが常識ですから。そんな心配は無用です。でもそれらの武器はちょっと…」
カリムはそう言いながら巨大な十字架型の重火器と拳銃に目を移す。
ウルフウッドの身柄が法的に罰せられる事は無い、だが彼の持つ最強の個人兵装は別だ。
質量兵器、つまるところ通常火器全般が法的に禁止されている昨今、この馬鹿げた得物はあまりに違法な存在だった。
「そうか…まあ、しゃあないやろな……」
ウルフウッドは苦笑しながら長年愛用した鋼鉄の十字架を軽く手で叩いた。
中身に大量の弾薬を仕込み、多重硬質金属装甲で覆われた十字架銃は鈍い金属音の残響を響かせる。
そして、何故か彼の顔にはどこか寂しげなモノが張り付いていた。
「……」
「ウルフウッドさん、どうなさったんですか?」
「いや……おかしな話なんやけどなぁ…コイツはもう二度と見たぁないって思っとったんや、正味の話。でもな、おかしなもんで…いざ別れるとなると少し寂しいなんて思うとる…」
師に手渡され、殺人と破壊に従事した禍々しい鋼鉄の十字架。
疎ましく思いながらも、土壇場ではいつも信頼してきた戦場の相棒だった。
ウルフウッドはこの歪な兵器に、どこか自分の半生と歩んだ生き方を重ね合わせてしまう。
「まあ…この生き方もワイの人生の一部や……ただ恥るんは…間違ってんのかもしれへんな」
「ウルフウッドさん……」
「でもまあ、ご法度のシロモンやったら仕方あらへんわな。まあスクラップにでもなんでもしたってや」
ウルフウッドはそう言いながら苦笑した。
カリムは思う。
これは単なる武器だ、破壊以外にもたらすものなどありはしない違法な武器、それは変わらない事実だ。
だが、ウルフウッドにとっては違う。この鋼十字には彼のその半生が刻み込まれている。
これ以上彼から奪って良いのか?
理不尽に蹂躙された半生を送り、見ず知らずの場所に飛ばされて、誰も頼る者のいない彼からさらに奪って良いのか?
カリムは一瞬そう思案すると、一つの結論を導き出した。
「ウルフウッドさん、もし良ければこれをあなたにお返しします」
「はぁ!? いや、それ無理やろ?」
「この武器の存在を知っているのは私とシャッハだけですから。口外しなければ大丈夫です」
カリムはそう言いながらシャッハに視線を向ける。
その瞳に込められた意思を感じたのか、シャッハは即座に反論するのを諦めた。
管理局員として、法に従う者としては間違った考えかもしれなかったが、カリムの想いにもまた間違ってはいないと感じたから。
「そうですね、使わなければただの大きな十字架ですし」
「と、言う訳です」
了承の意思を込めたシャッハの返事に、カリムはちょっと悪戯っぽくウインクして微笑んだ。
「そうか。堪忍なぁ、迷惑かけるわ」
ウルフウッドは二人に心からの感謝を込めて礼を言う。
忌まわしい記憶かもしれないが、自分の分身とも言うべきこの長大な武器を捨てずに済んだ事が嬉しかった。
「でも流石にこのまま運ぶんは無理やろ。なんか包む布とかあらへんか? 前はそうして運んどったんやけど」
「それでしたら病院からシーツでも借りましょう」
「あんがとなシャッハ、あと縛るんでベルトとかもくれや……ん?」
「どうしました?」
十字架と拳銃を懐かしげに眺めていたウルフウッドがある事実に気付いた。
彼の記憶、あの砂の星で演じた死闘、最後の戦いの中で自分の装備はまだあった筈だった。
「なあ、ワイの荷物ってこんだけやったんか?」
「え? ええ、確かそれだけでしたよ。何か足りないのですか?」
「ああ、まあな…」
(確か拳銃がもう一丁と薬があと一回分はあった筈やけど……もしかして向こうに置いて来たんか?)
しえん
自分が持っていた装備には他にも45口径の愛用の拳銃がもう一丁と回復用代謝促進剤があった筈なのだが、それは影も形も無かったらしい。
あるとしたらやはり故郷に残してきたのだろう。
(置いて来たんやったら有効に使って欲しいわ……無駄にせなよトンガリ、リヴィオ)
遥か彼方、まったく別に次元の星で、ウルフウッドの胸に去来したその願いは叶う事となる。
ダブルファングの二つ名を持つ弟分はウルフウッドへの義理と矜持を貫き通し、彼の残した装備の助けを借りて最強と呼ばれた13番(ロストナンバー)を倒したのだ。
それは、今の彼には知る由も無いことだった。
続く。
アナザーワールド
砂の惑星ノーマンズランド、最後の七都市オクトヴァーンでその男は武器の整備をしていた。
愛用の二丁銃“ダブルファング”にかつての兄貴分が残した拳銃を。
すると、唐突に彼は鼻にむず痒いような感覚を覚えた。
「ヘックション!!!!」
「おいおい、凄いくしゃみだな? 大丈夫か?」
「いえ! 大丈夫ですよヴァッシュさん」
「誰か噂でもしてんのかねぇ」
「ええ、案外ウルフウッドさんかもしれませんね……」
「ああ、ありえるな。あいつならどこかで生きてて、存外そういう事言ってるかもしれない」
「そうですね」
この星に住む人間の命運を賭けたナイブズとの戦いまであと僅か、ダブルファングことリヴィオはウルフウッドの残した得物を手に、彼への思いを馳せた。
(見ててくれよニコ兄、あんたの分も俺はこの星の人を救うよ)
投下終了です。
これでなんとかパニッシャーを持たせつつウルフウッドをミッドに送れた・・・・
とりあえず、これでお膳立て終了です。
投下お疲れさま
乙。スバルとか改造人間組がウルフウッドの体のこと知ったらどんな反応するか楽しみだ
トライガン読み直すとウルフウッドの死に様はやっぱり泣けるな。
ミッドではもうちょっと幸せになって欲しい…。
GJ!
本当ニコ兄からは哀愁が漂うな……。
今まで頑張って来たんだからミッドでくらいゆっくりして欲しいぜ……でも血と硝煙の臭いは彼を逃がさないんだろうな……。
ウルフウッドがどのように機動六課に関わるか、凄い楽しみです!
これからも更新頑張って下さい!
GJでしたッ!
ニコ兄はもう十分すぎるくらい戦ったよ……せめて平穏な時間を味わってほしいです
人間は一人一人違います。同じ人間など二人としていません。
互いの違いを認め合おう。
338 :
一尉:2008/07/14(月) 14:56:17 ID:wL60+iqV
よし支援たな。
某板の某スレからロボゲ板へ、ロボゲ板からここに着いた訳だが…
なるほど、なのはを全然知らない俺でも十分楽しめました
続きが気になるなあ
管理局ニ栄光アレ
地球ニ慈悲アレ
リリカル・ニコラス、とても面白くて楽しみな作品です。
これからウルフウッドがどんな選択肢を選ぶのか、とても気になるところです。
『なのは』をよく知らない俺から質問なんだがこれってパソゲーのスピンオフなんだよな?
主人公は色んな世界に行けたりするの?
>>341 なぜアインハンダーw
>>341 設定的にはどこへでも、詳しくはウロススレか設定議論スレで
すまん、ミスった
リリカル世界は新参者ですが、投下よろしいでしょうか?
元ネタは某18禁ゲームですが、スレ移動しないといけないような内容はありません。
誰もいないようでしたら21:30ほどから・・・
支援でもしとくぜ!
長くなった淡い金色の髪が、夏の暑い風にゆっくりとそよいでいる。
手をかざして午後の太陽をまぶしそうに見上げた、年のころは二十歳前後の優しそうな笑顔の青年が、ゆっくりとメガネに手を添える。
彼にとっては久しぶりの休暇、それと久しぶりの太陽の下だった。
細身の体がじりじりと太陽に炙られ、うっすらと汗が出ているのが見て取れるが、彼はその暑さすらも心地よさそうにしていた。
通りすがりの人は誰も想像だにしないが、時空管理局の誇る無限書庫。そこの司書長ユーノ・スクライアその人だった。
その若き司書長は今、ミッドチルダ郊外の閑静な町のとある花屋の前にいた。
「はい、できました」
「あ、ありがとう」
ユーノの選んだ花、というより応対してくれた店員さんにお任せしたわけだが、ぎりぎり片手で持てる程の、結構なサイズの花束がきれいな
ラッピングに包まれていた。
想像以上に立派な花束になって、逆に持ち運ぶことに気後れする。
が、これでばっちりです。というような女性の店員の満面の笑みに苦笑を返すしかなかった。
見た目通り、かなりな額になったが、あまり給料を浪費することもないユーノには特に気にならない。
花束を見ていると、ふと昨日の光景が脳裏で再生される。
ちょっと小休止を。とテラス風に造園された休憩室でコーヒー片手にぼーっとしていた時だった。同じく休憩タイムなのか、若い女性の司書が
入ってきた。
無限書庫もJS事件で、その有用性が認められ司書が大幅に増員された。そして入ってきた司書は、そんな新任の司書の一人だった。
無限書庫は管理局の他の部署と異なり、比較的上下関係が穏やかなので、新任の司書であっても本部長と言っても良いレベルの立場である
司書長のユーノとも雑談で花が咲く。
まあ、ユーノ自体が若くて、あまり権威張っていないと言うところも気安さの一員ではあるが。
最初はたわいもない話だった。が、ある話題になるとその女性の目がきらりと光り、ずいっと身を乗り出してきた。
その何とも言えない圧力に、ユーノは少々笑顔を引きつらせ、こめかみにうっすらと冷や汗をうかべる。
『え? しししし司書長、高町戦技教導官のご自宅にいかれるんですか? お一人で?』
『そ、そうだよ』
ユーノの幼なじみであり冒険を一緒に重ねてきた、なのはは、ちょくちょく無限書庫に顔を出す。
時空管理局の中でも超が付くほどの有名人で、公然・非公然含めて結構な数の崇拝者すら居ると言う、あの高町戦技教導官が、にこにこ顔で
『ユーノくーん』などと言いながら無限書庫に入ってきたときは、事情を知らない新しい司書達は、なにか見てはならない物を見たように、
石像のごとく硬直した。
一度ならず二度三度とそのような光景を見るに当たり、面と向かって言及するものは居なかったが、司書達の間で半信半疑だった噂が
確定した事実と受け止められていた。
即ち”ユーノ・スクライア無限書庫司書長と、鬼も恐れる高町なのは戦技教導官は、できている”と。
で、ユーノが、わざわざ休みを取って ―実際は一ヶ月前ほどから決まっていた強制休暇だが― 高町なのは戦技教導官の自宅に行く。
こんな特別なことといえば……
『プ、プロポーズですか?』
興味津々のきらきら光る目と期待に胸ふくらませた女性司書が、超特大の言葉のディバインバスターをユーノに打ち込んだ。
『――っ!!』
思わず口に含んだコーヒーを吹き出したユーノは、激しくむせかえった。
にこにこと、にやにやの中間くらいの目で笑顔を浮かべて見つめてくる、女性司書の誤解を必死で取り除こうとした。
無駄だった。
『またまた〜、照れなくていいですよ。でもユーノ司書長、女性のおうちに行くんだから、絶対に花束を持って行かないと
だめですよ』
という女性司書の熱意のこもったレクチャーというか暗示を強制的に聞かされたユーノが、げんなりとして休憩室を出たときは、
だいぶ日が傾いていた。
実際問題として、JS事件でなのはが負った怪我や療養のお見舞いなどで、ちょくちょく会っているうちに、自分の中の意識も微妙に
変わってきて居るのも確かだが、色恋の雰囲気なのかどうなのか自分でもわからなかった。
世俗的に言う幼馴染という関係は、なかなかに強固だった。
「ああ、もう、変に意識しちゃうじゃないか」
昨日の司書の暗示が効いたのか、いつの間にか自分の手の中にある花を見つめた。
ふぅとため息をついたユーノは、花屋を後にゆっくりと歩き出した。
目指す目的地はすぐそこだった。
万全のセキュリティ機構が組み込まれているという謳い文句の、マンションのセキュリティチェックを抜けて、なのはの部屋の前に
立つと、がばっとドアが開いて金髪の少女が飛び出てきた。
「ユーノお兄ちゃんっ。こんにちわっ」
元気いっぱいで後先考えずに突撃してくる少女の体当たりを、内心ひるみつつ何とか抱き留め、ユーノはにっこりと笑顔を浮かべて
少女を見つめる。
「こ、こんにちわ、ヴィヴィオ」
「うわぁ、すごーい」
元気いっぱいの少女のオッドアイがユーノが手に持っている花束に釘付けになった。
ひとしきり感心した後、不意に少女の顔が満面の笑みにこぼれ、にこにことした笑顔のままで燕のように身を翻して、ユーノの手を
とって引っ張る。
なのはが養子として引き取ったヴィヴィオだった。一時は凄惨な目に遭いかけていたが、なのは達の保護と温かい環境に育まれ、
今では寂しそうな影すらも見えなくなっていた。
過去の状況を知っているユーノとしては、笑顔に包まれた少女をみて思わず笑みがこぼれた。
少女のはやくはやくという言葉に苦笑しながら、ばたばたと玄関に入った。
「なのはママー! フェイトママー! ユーノお兄ちゃん来たよー」
「はーい」
ヴィヴィオが靴を脱ぐのももどかしそうに、手をメガホン代わりに部屋の中に向かって声を張り上げる。
なのは達はなにやら手が離せないのか。返事だけで、出てくる気配がなかったので、ヴィヴィオが腰に手を当ててぷぅっと頬を
ふくらませた。
「ん、もうっ。さぁユーノお兄ちゃん、あがってあがって」
「あはは、ありがとう。じゃあ、おじゃましまーす」
仕方がないわねぇ。と言うようなヴィヴィオのおしゃまな態度に、思わず笑みを誘われながら、ユーノも靴を脱いだ。
「ユーノ君、ひさしぶりだね」
「ひさしぶり。はい、なのは。ご招待ありがとう。」
その頃になったようやくエプロン姿のなのはが顔を出した。いつものサイドテールではなく、蝶の形を模したバンスクリップで、
長い髪を後ろでまとめ上げていた。そのいつもと違う格好にユーノは一瞬見とれてしまう。
ヴィヴィオが、なのはに笑いかけて横を抜けて奥に駆け込んでいく。
奥から、『フェイトママ、ユーノお兄ちゃんね、すごーい花束……』とか言っているのを聞きながら、ユーノはなのはに花束を
差し出した。
「うわぁ、綺麗だね。ユーノ君どうしたの?」
「いやあ、あはは」
「ありがとう。早速飾るね」
なのはは目の前に差し出された花束に目を丸くして驚いた。
花束を受け取った後、びっくりした表情のままでユーノを見つめる。相手をじっと見つめるのは、なのはの癖だと知っていても、
ユーノは思わずどきりとして口元を引きつらせ、笑ってごまかした。
そんなユーノにクスッと笑ったなのはは、花束に埋もれるように満面の笑みを浮かべる。
「ユーノ、久しぶり」
「あ、フェイト。ひさしぶり。ちょっと忙しかったからねぇ」
「ん」
ぱたぱたと音がしたので顔を上げると、ヴィヴィオをまとわりつかせたまま、やはりエプロン姿のフェイトが奥から出てきた。
意味ありげな微笑を浮かべたフェイトに、ユーノは焦ったように挨拶を返す。
「ほら、フェイトちゃん、ユーノ君にもらったよ」
「うわ、すごく大きな花束だね。なのは」
「うん」
なのはは振り返って、フェイトに花束を見せた。想像していた以上に立派な花束にフェイトも目を丸くした。
ひとしきり感心した後、早く生けないと。と顔を見合わせた二人は、花瓶はどこだっけ? とユーノを放りだして慌てて探し始めた。
「……おーぃ」
「お兄ちゃん、こっちだよ」
一人ぽつんと残されたユーノに。ヴィヴィオがくすくすと笑って手を引っ張った。
§ § § § § § § § § § §
ユーノがダイニングで待っていると、次から次へと料理が並べ始められた。
ヴィヴィオもなのは達と一緒になってフォークやナイフなどを並べている。
そもそも、今日、ユーノがここに来ているのは、たまたま3人の休みが重なると知ったなのはが、『じゃあ一緒に食事しよう』と
言い出したことが発端だった。
どこかのレストランでも行くのかな? と何気なくOKしたユーノだったが、『じゃあうちで』というなのはに、『え? なのはって
料理できたっけ?』と口を滑らせたのが運の尽きだった。
これでどうだ。と言わんばかりのラインナップに、ユーノはおとなしく降参の白旗を揚げる。
「ユーノ君、ちょっと痩せた?」
「え? そうかな? 自分では全然気がつかないけど」
「そっか、じゃあ、今日はわたしとフェイトちゃんとヴィヴィオで作ったからじゃんじゃん食べてねー」
全員が席について、苦笑いのユーノの対面の席でにっこりと笑ったなのはの言葉でちょっと早めのにぎやかな夕食会が始まった。
「でね、初めて桃子ママに会ったのー」
「そう、きれいな人だったでしょ」
食事の合間に、ユーノの隣に座っているヴィヴィオが海鳴市に行ったときのことを興奮気味にしゃべっていた。
そのきらきらした目をみて、ユーノは優しく笑った。
なのはと生活するようになり、学校にも行き始め、様々な経験がヴィヴィオに良い影響を与えてることが明らかだった。
なのはとフェイトもそんなヴィヴィオを慈愛に満ちた目で見つめていた。
「でね、ケーキがとってもおいしくって、美由希お姉ちゃんもとっても優しかったの」
「翠屋のケーキは絶品だからね。桃子さんの作ったケーキは無限書庫でも大人気だよ」
「あ、そうなんだ」
ユーノの言葉にフェイトがナイフを止めた。確かにあそこのケーキはおいしいし、母や義姉に会いに行くときは、
必ず持参している。
でも、その翠屋のケーキが無限書庫にまで浸透しているとは思わなかった。
思わずなのはの方を見たが、なのはも知らないとばかりにぶんぶんと首を振る。
「管理外世界とはいえ、超がつく有名人達の出身世界だからね。みんなこっそりと観光に行ってるみたいだよ」
いろんな意味で時空管理局の超有名人二人の、きょとんとした表情を見て、ユーノは自覚がないとはこのことか。とばかりに軽く
吹き出した。
確かに、第97管理外世界は、表だって交流ができる状態ではない。
現地法の徹底や魔法の秘匿など義務づけられることは多いが、ある一定以上の審査を通れば訪問することもできる。
それこそ、ハラオウン一家が移住しているくらいだ。行き来すること自体はなんら問題がない。
さらに言うとユーノは一度、非公認組織の機関誌をもらったことがある。その中には《あの高町教導官の育った町特集》とか
《海鳴市グルメ探訪》とか、思わず頭を抱えるような記事があった。
まあ、そんな記事が載るということ自体が、海鳴市や翠屋が広く認知されていることを意味していた。
まるっきり自覚がない戦技教導官と執務官は、ユーノの言葉に「へぇ、そうなんだ」と感心していた。
「でね。初めてじてんしゃに乗ったの。自分でこいで走るなんてふしぎー」
「そういえば、ミッドチルダには自転車はあまりないね」
「あ、あれ? ほんと」
「うん、そうだね」
日が傾き、一通り食事も終わって、リビングに移動してお茶をしていると、お気に入りのうさぎのソファを抱えたヴィヴィオが
ユーノの横に陣取った。
自分が経験したことを誰かに伝えたいヴィヴィオは、少々興奮気味にユーノに話しかけていた。
大人達の目では、ほとんど意識しないことでも、子供には刺激的で、逆に大人達が気づかされることがある。自転車と言う存在が
そうだった。
ミッドチルダの交通網の中で自転車という存在が利用されることは、ほとんどない。
確かに地球に比べ交通網が整備されているため使う機会は極めて少ない。ただ、健康のためとかで普及してても
おかしくないはずだが、見かけることはなかった。
ユーノの言葉になのはとフェイトが思案顔になったが、確かに見たことがない。
「それでそれでユーノおにいちゃん、ユーノお兄ちゃんってば」
「ん、な、なに?」
ヴィヴィオがなのはとフェイトと会話していたユーノの服を引っ張った。
あわててヴィヴィオに向き直ったユーノに、素朴な質問が投げかけられる。
「なんでじてんしゃって転ばないの?」
不思議そうに小首をかしげるヴィヴィオの質問の回答は、ユーノも知らなかった。
「え?」
「ねえ、なんで?」
ユーノだったら答えてくれるに違いないと言うような、きらきらと輝く瞳が、わくわくと答えを待っていた。
「え、あ、そのー」
「なんでー?」
いや、知らないんだよ。と正直に返すタイミングを逸してしまい口ごもるユーノに、純真無垢な断罪者の顔が近づいてくる。
「ねぇ、なんでころばないのー?」
思わず後ずさって、周りを見渡すと、なのはとフェイトが笑っていた。
「くすくす」
「な、なのはー、笑ってないで助けてよー」
ヴィヴィオの素朴な質問を前に、ある意味叡智の結晶たる無限書庫の司書長は無力だった。提督達や、将官と前にしても
びくともしない鉄壁のユーノ司書長を最初に撃破したのは、もしかしたらオッドアイの少女かもしれない。
あまりも情けない表情だったのか、それを見てなのはとフェイトが噴出した。
「さ、ヴィヴィオ、そろそろお風呂はいろっか」
「フェイトママと?」
「ん」
「はーい」
ヴィヴィオのなんでなんで攻撃に、おろおろするユーノを見かねたのかフェイトが笑いながら助け舟を出した。
きょとんとした顔のヴィヴィオだったが、納得したのかうんしょっとソファから降りた。
ユーノは助かったぁと、ため息をついて手元にグラスを引き寄せた。
「じゃあ、先にお風呂入るねー、なのはママ」
「うん、いってらっしゃい」
フェイトと手をつないだヴィヴィオは、リビングから出がけになのはに手を振った。
なのはもにっこりと笑って小さく振り替えす。
ふと、ヴィヴィオが部屋を振り返ってユーノを見る。
視線を感じて、ん? とユーノが傾けていたグラスを放す。
にっこりと笑ったオッドアイの少女が、いたずらっぽく笑った。
「じゃあ、ユーノパパも一緒に入る?」
「ぶっ、ごほっ」
確信犯的なヴィヴィオの爆弾に、思わずユーノがむせた。
「こら、ヴィヴィオ」
「あはははっ」
なのはの言葉ではじかれたようにヴィヴィオが、噴出したフェイトを引っ張っていく。
「ごほっごほっ」
「だ、大丈夫? ユーノ君」
リビングでは、まだむせているユーノの背中を、なのはがこれまた笑いをかみ殺しながらさすっていた。
§ § § § § § § § § § §
なんだかんだで楽しい一日が過ぎ、気分転換ができたユーノは、いつものように無限書庫で調査・整理をしていた。
「そういえば自転車がなぜ倒れないか。かぁ」
ヴィヴィオが風呂に入っている間に、なのは宅を辞してきたが、正直あの質問が引っかかっていた。
局のコンピュータに問い合わせればすぐに答えがわかるはずだが、なのはやフェイトもそうしなかったということは、
たぶんヴィヴィオに考えさせようとしてるのだろう。
ひょっとしてユーノに聞くように言っていたのかもしれない。であれば、安易にコンピュータから解答を引き出すことは
ためらわれた。
「どうしたんです? 司書長」
「ん? いや、素朴な疑問に答えられなくてね」
「えええぇっ? 司書長でもわからない質問ってあるんですかっ!?」
自然と難しい表情を出していたのかもしれない。書類を抱えて通りがかった青年の司書が怪訝そうに声をかけてきた。
ユーノの言葉に心底驚いたように司書が目を見開く。
「あのね」
確かに自分は無限書庫、すなわち時空管理局の叡智の集合の管理人ではあるが、すべての知識を持っているわけではない。
思わずがっくしと肩を落とした司書長を怪訝そうに見つめた司書は、上を見てさらりと答えた。
「じゃあ、探してみたらどうです?」
確かに、言うとおりだが、《自転車がなぜ倒れないか》という質問に対する回答は、無限書庫の収集品の中にはないだろうと
思っていた。この問題は、ただの一般的な力学の問題でしかない。
「ないと思うけどなぁ」
まあ、ものはためしと、検索魔法を使って検索を開始する。
さまざまな箇所から書物が飛び出してきては帰っていく。
毎度のことながら、自分達の遥か先の実力を有する司書長の魔法を、目の当たりした司書達の感嘆のため息が出る。
「……ん?」
しばらくして、ふっとユーノが目を開けた。数冊の書物が、ユーノの手元に浮かんでいる。
「ほら、あったじゃないですか」
司書は自分の言ったとおりの結果に、満足そうに立ち去った。
そしてユーノは、つぶやくように本をめくり始めた。まさか、本当に引っかかるとは思わなかった。
「ほんとだね、さすが無限……書…………庫…………」
しかし、その本をめくるにつれて、次第にユーノの表情が厳しくなる。
はっと顔を上げたユーノは慌てていつもの定位置に浮かび上がり、手当たり次第に検索魔法をかけ始めた。
その鬼気迫る雰囲気に、司書たちも表情を厳しくする。
§ § § § § § § § § § §
「ん?」
時空管理局本局の高セキュリティ会議室の前の休憩コーナーで、コーヒーを片手にホログラフディスプレイのニュースを漫然と
眺めていたはやては、廊下の向こうから見知った顔がやってくるのに驚いた。
まあ、確かに同じ時空管理局に勤務しているので、会ってもおかしくないと言えばそうなのだが、実際に会うのは滅多になかった。
はやて自身は比較的本局にいる方だったが、目の前の黒い執務官服姿の幼馴染みは、ほとんど本局にいないはずだった。
「あれ? はやて。こんなところで、どうしたの?」
軽くはやてが手を振る。
流れる砂金のような長い髪を風になびかせながら、歩いていたフェイトが笑ってるはやてに気がついて、
驚いた表情のまま近づいてきた。
「ああ、フェイトちゃん。久し振り。そっちはどない? 元気してる?」
「うん。元気」
「ティアナはどないしてる?」
「がんばってるよ。ものすごい頑張り屋さんだから、ちょっと見ててはらはらするけど」
「そないなこというてたら、うちら全員そうや」
「……そうだね」
「そうやで」
どっか他の会議室をつかうんかなーと思っていたはやてだったが、フェイトは壁の自販機から紅茶を取り出して、
目を細めるはやての横に座った。
ちょっと時間があるんやろか?と思いつつも、久しぶりの親友との遭遇にはやても表情を和らげた。
会話となるのは、やはりお互いの近況と、かつての部下の動向。フェイトから聞く話にはやても相好を崩していた。
しばらく、少女時代の昔話に花が咲いた。
「で、はやてがここにいるってことは、ひょっとして」
「ってことはフェイトちゃんも一緒かいな」
ふと、真顔になったフェイトがはやてをじっと見つめる。
ん?と首をかしげたはやてだったが、忙しいはずの執務官がこんなにのんびりとしているはずはない。であれば、
フェイトの目的は自分と同じ用件やろか?
そう思ったはやては、少し表情を厳しくした。
自分がここに呼び出されたのは、緊急に、そして一人で。という連絡を受けたからだった。
だが、そうなると自分とフェイトを同時に呼び出す理由が分からなかった。
漠然とした共通点と言えば、幼なじみである。もしくは機動六課で一緒だった。というぐらいしか思いつかない。
「私は、ユーノから……」
「あれ? はやてちゃんにフェイトちゃん。どうしたの?」
はやてが口を開きかけた時、反対側の通路に設置してあるエレベーターのドアが開き、栗色のサイドテールの戦技教導官が
ひょっこり顔を出した。
振り返ったはやて達と目が合った幼なじみは、目を丸くして素っ頓狂な声をあげる。
さすがに、この場に現れたなのはが無関係だとはとても思えず、はやては眉をひそめた。
いったいユーノ君は何を考えてるんやろか。と。
「なのはちゃんまで……いったいどういうことや?」
「え? ひょっとして……」
姿勢良く近づいてきたなのはは、挨拶早々のはやての独り言を聞き、訝しそうにフェイトを見つめた。
軽く頷いたフェイトはゆっくりと立ち上がった。
「うん、ユーノに呼び出されたんだ」
「そうなの?」
「っちゅうことは、みんな一緒かいな。で呼び出した当の本人はまだなんか」
少し驚いた表情のなのはの顔を見た後、はやてもゆっくりと立ち上がった。
ここにいるのは全員が幼なじみで、同じく幼なじみの一人であるユーノに呼び出されている。
そして全員が全員とも忙しい身であり、同窓会的な催しで集まるような状態ではない。
集まった場所自体のセキュリティ設定自体も、なにか特別なことが起きたことを意味している。
状況はよく分からないが、自分たち三人を呼び出すと言うことは機動六課絡みの問題なのだろう。
それと、他人に聞かせることができない、本当にユーノが信頼する人にしか話すことができない極めて重要な問題が発生した。
そのことに三人は同時に思いついた。
顔を見合わせた三人は表情を引き締めて頷いた。
「あ、来たみたい」
不意にフェイトは見知った気配を感じた。確か、彼女はユーノの所でたまに手伝いをしている。
その言葉に、ふっと顔を上げた三人の視線の先に、ユーノと、フェイトの使い魔でもあるアルフが両手に大きな袋を抱えて
申し訳なさそうな表情で歩いてきていた。
「ごめん。みんな揃ってるね」
小走りに走ってきたユーノは自分のIDを会議室の端末に打ち込んで会議室を開けて、はやてたちを招き入れる。
「アルフ」
「はいよー、フェイト。元気してたかい」
フェイトが、少女フォームのアルフに近寄って、両手に抱えていた紙袋を受け取った。
「うん、元気」
「そかそか、たまには家に顔をだしな。みんなも待ってる」
「うん」
アルフが中腰になったフェイトを軽く抱きしめてにっこりと笑った。
暖かい言葉にフェイトも軽く微笑む。
ひとしきりお互いの温もりを感じた後、フェイトに紙袋を渡したアルフはこれから夕食の買出しだ。といって手を振って
去っていった。
全員が会議室に入り、セキュリティロックをかけた後、ユーノが持っていた紙袋をテーブルの上に置き、
中から一目で古文書とわかる古書を取り出しはじめた。
デバイスを使ったホログラフが全盛期の現在で打ち合わせに紙を持ち出すのはめったにない。だが、ユーノが
わざわざ持ってきたと言うことは無限書庫関連の物なのだろうと、三人はあたりをつけた。
「よいしょっと」
「なんや、ユーノ君、えらい大荷物やなぁ」
「うん、まあね。でも下手にデータ化すると、どこで盗聴されるかロストするかわからないからね」
だから手で持ってきたんだと苦笑いを浮かべるユーノに、相当隠しておきたい問題のようだと三人は顔を見合わせる。
「で、うちらを呼び出したってことは、なんやきな臭い事件か?」
フェイトが受け取った紙袋の中身を含めて、ようやく資料の整理ができたのか、並べ終わって一息ついたユーノにあわせるように、
なのは達も席につく。
一通り見渡して、起動六課に戻ってきたみたいだね。というなのはの言葉に、顔を見合わせて笑った一行は、その当時のように
代表してはやてが口を開いた。
「……それが、わからないんだ」
三人の突き刺さるような視線を浴びつつ、テーブルの上で両手を組んだユーノは、軽く頭を振った。
「え?」
「わからないんだ。これが事件なのか、そうでないのか。でも、とてつもなく重大な事件のような気もするんだ」
「なんか、ややこしそうな話なの?」
「うん、そうなんだ、なのは」
戸惑うような目のユーノを見て、なのはは表情を曇らせた。ユーノはなのはの目を見てゆっくりとうなずいた。
その言葉に、はやてとフェイトは顔を見合わせる。
「とりあえず説明してくれるかな、ユーノ」
フェイトの言葉にうなずいたユーノはバインダーの中から一枚の写真を取り出した。
「説明の前に、まず、これを見てくれるかい?」
三人は差し出された写真をじっと見つめた。
「ん?」
「……」
その写真には銀色に輝く船体外部にでっかく赤ペンキで文字が描かれていた。ピントが合っていないためか、ぼやけているが、
背景に星が瞬いてることを考えると、どこかの宇宙空間で撮られた写真らしい。
そして描かれている文字は、なんとか読み取ることができた。
その文字はどう見てもひらがな、第97管理外世界の日本の文字だった。
ミッドチルダの通常の宇宙船にペンキでひらがなを書くような風習は当然ながらあるわけがなく、どう見てもいたずらか何かとしか
考えられなかった。
ただ、船体外部にひらがなで落書きができるような力を持っているとすれば、自分達三人ぐらいではないだろうか?
そして、いたずらをするような性格の人間といえば……
思わずなのはとフェイトの視線がはやてに集まる。
「え、あ、う、うちしてへんでー。落書きなんかしてへん」
じっと写真に見入っていたはやては不穏な空気を感じ、慌てて顔をあげた。なのはとフェイトの視線とぶつかり、顔を真っ赤にして
手を振って否定する。
はやては、いや、まあ、確かにきれいな船に落書きしたら楽しいやろうな。と、微かに浮かんだいたずら心をねじ伏せて身の潔白を
言いつのる。
自分の身の無実を証明するために船体に書かれている《じてんしゃ》という綴りを指し示す。
「それに、なんよこれ。”て”が逆やん。いくら私でも、こんな間違い……え?」
「ちょっちょちょっとユーノ君、これって」
「あっ」
そこまできて初めて気がついた。そもそも、船体外部にひらがなで文字をかくと言う意味。
そもそも、そのこと自体が異常極まりない。というかありえない。
となると、これはミッドチルダの写真ではない? であれば、故郷である地球の写真なのか?
「気がついたかい?」
「どういうことや? これ。ていうか、これはなんなん?」
三人の視線が再びユーノに集中する。
はやてが写真の中の落書きを指差す。
「やっぱり、ひらがなだよね? それ」
「うん、そうだね。でもこんな大きな船って地球にあったっけ?」
「ううん。ない……と思う……よ」
ユーノの問いかけにフェイトが答えた。そのままなのはに疑問を向ける。
なのははちょっと考えて、もう一度写真を見た。
落書きが書かれている船は、どう見てもスペースシャトルレベルのサイズではない。もっとずっと大きなもの。ただ、地球の
宇宙ステーションも言うほど大きいものではない。
となると、この写真は地球で撮られたものでは、ないのではないだろうか? ただ、確証はない。
「で、これの犯人が知りたいってことなんか? ひょっとして写ってる船は新造艦やろか?」
「でも最近XV級が就航したばっかりなのに、もう新造艦つくってるの?」
はやては厳しい表情でユーノを見つめた。
もし、これが悪戯だとすると悪質すぎる。しかし、部外者の悪戯だとすると、造船工廠に侵入しているということになり、
極めてまずい状況となる。
また見たこともないフォルムから考えるとXV級とかではなく、未就航の船のような気がする。そんな新造艦を整備している場所に、
次元犯罪者が進入してやったとすれば、いつでもテロを引き起こすことができるという宣戦布告に等しい問題だ。
支援
359 :
代理:2008/07/14(月) 21:45:27 ID:uJpBLBrr
それも、わざわざひらがなを書くということは、自分たちと同じ第97管理外世界出身の者か、それとも、自分たちに向けた
メッセージか。
フェイトやなのはも表情を険しくする。
意気込む三人にユーノは戸惑ったように首を振った。
「いや、ちがうんだ、なのは、はやて、フェイト」
「え?」
「ん?」
「何がちがうんや?」
一転して訝しそうな表情の三人にユーノは自分の戸惑いの元を明らかにした。
「今見てもらった写真は、無限書庫の中で見つけたんだ」
しばらく間があった。
無限書庫にある情報は、雑多なものがある。しかし、誰かの告発文や昨日今日取った写真などが、安易に放り込まれるような
ところではない。
特にユーノが司書長になってからは、新たな情報は基本的に整理された後に格納されるようになっている。
必然的に、ユーノが”見つけた”ということは、ユーノが無限書庫の住人になる以前に、既にあった。ということになる。
「どういうことなの?」
「どういうことや?」
となると、なのはたちが管理局に所属する前の問題なのだろうか? それにしてはユーノの表情に違和感を感じる。
三人の説明を欲している雰囲気を感じ、ユーノはゆっくりと頷いて写真を手に取った。
顔の横で三人に見えるように写真をひっくり返す。
「ごめんね、先入観を植え付けないように、こんな写真にしたんだけど、実はこれは無限書庫に放り込まれてた、遺棄世界の
遺跡から発掘された書物の中の差し込み写真なんだ」
「……なんやて?」
「それも、原本の写真は厳密には写真じゃない。一種の念写なんだけど、……推定で二千年ほど前のものなんだ」
ユーノの口から語られる事実がなのは達の脳裏を稲妻のように駆け巡った。
――ありえない。時代的に見てもあまりにもおかしい。
ユーノの言葉を理解した三人は目を見開いて絶句した。
「そんな」
「ばかな」
「だったら、これは、この文字とこの船はなんや、ユーノ君」
忘我から立ち直った三人が愕然と声を上げ、そしてはやてが立ち上がってテーブルを叩くように身を乗り出す。
なのはとフェイトが、はやてを見つめ、揶揄するように、ゆっくりと首を振った。
それを見て少し冷静さを取り戻したのか、はやても、ごめんな。といって席に座った。
ユーノは軽く微笑んだ後、真剣な表情に戻って、ホログラフをつけた。
書物を広げて、それを映像化する。
「……これは、今から二千年ほど前に発生した次元震を発端に、滅んだ世界の預言書の一説らしいんだ」
ユーノが無限書庫で調べた内容を説明し始めた。
滅んだ世界は精神感応能力が極めて高い存在がいたようで、未来予知に近い予言を映像つきで残すことすらできたらしい。
だが悲しいかな、世界を渡るすべを持たない文明は避難することもかなわず、災害に巻き込まれ衰退していった。
そして、来るべく世界の終末の預言が紡がれた時、その中で終末の象徴として描かれていたのが、先にユーノが取り出した
写真であった。
360 :
代理:2008/07/14(月) 21:46:14 ID:uJpBLBrr
そういった内容と共に、次々にカットが変わっていく。念写ということで、細部はぼやけ、きれいな映像とはとても言えず、
何らかのアートを見ているようにも思える。
宇宙の暗黒と銀河、無数の光点、銀色と緑、空に大樹、船に文字、光る線、三角錐状に描かれた円。そして波。
そういったイメージを模した映像が流れていく。
「で、関連する資料を総合すると、これはまぎれもなく”船”だ。それも、あまりにも巨大な……」
再び、船体に《じてんしゃ》と書かれているカットで止まった。
それを背景にユーノが肘をついた。
「それって、ゆりかごくらいの?」
巨大な船。と聞くと思い浮かぶのは聖王のゆりかごだった。なのはの言葉にユーノはゆっくりと頭を振った。
「いや、資料を分析すると推定で全長20〜30km程度になる。ゆりかごの5〜6倍くらいかな」
「……え?」
「なんやて。それ、ほんまかいな」
「……ちょっとまってユーノ。その船は、まさか……」
ユーノの言葉に、三人は絶句して顔を見合わせる。
愕然としていたフェイトだったがふと気がついた。
なぜ、ユーノが厳しい表情をしているのか。過去の遺物であれば、そういうこともありました。で終わるはず。なのにユーノが
険しい表情を変えないということは。
フェイトの視線を受けてユーノがゆっくりと頷いた。
「うん。フェイトの思ってることは正しいと思う。この船は今も飛んでるはずなんだ」
「え? 二千年も?」
なのはが呆けた様につぶやいた。
「そうだよ、それも極めて光速に近い速度で。だよ」
「あかん、なんや、あたまがくらくらしてきたわ」
ユーノは、いくつかのページをめくった後、文章を抜き出して拡大した。
何が書かれているか三人には分からなかったが、ユーノはここに書いてあると指差した。
「ユーノ君。整理すると、二千年以上も前の宇宙船が光速で今も飛んでて、その宇宙船に”じてんしゃ”って書いてるってこと?」
「そうだよ、なのは」
「二千年前って、西暦が始まってそれほどたってないよ? 宇宙船なんか……」
なのはが情報を整理するように、ひとつひとつ言葉を重ねていく。ユーノはその言葉をきいた後、ゆっくりと頷いた。
彼女の持っている知識から考えて、二千年前といえば、日本はどうだったか? 世界はどうだったか?を考えて、とても
信じられなかった。
これがどこか自分達の知らない言葉で書かれている落書きであれば特に戸惑う必要もなかった。しかし母国語で
書かれているとなれば話は別になる。
ユーノが自分達を召集したのもなんとなく理由が分かった。
「ちょいまち、その宇宙船って、ひょっとして」
361 :
代理:2008/07/14(月) 21:47:19 ID:uJpBLBrr
難しい表情で考えていたはやてが、はじけるように顔を上げた。ユーノと視線が交錯する。
――いやな予感がする。
その船が、何のために作られているのか、誰が作ったのか今の時点では分からない。だが、それだけの巨大な船が
ただ飛ぶためだけにあるとはとても考えにくい。
宇宙を飛び回るというのであれば必ず危険にさらされる。その危険を排除する機構がある。必ずある。
兵器という名の機構が。
「わからない。けどたぶん持ってるはず。僕達の常識の範囲であればいいけれど、それでも強力な武器を持っていると思う」
はやての言葉にユーノはしっかりと頷いた。
三人の表情が一気に強張った。
「ユーノ、誰かにこの話した?」
「いいや、していない。君たちが初めてだ。っていうより他の人に話せないよ。こんな話」
「あかん、そない危険なものほおっておけへん。まるで……」
フェイトの言葉にユーノはゆっくりと首を振った。
そしてはやてが腕を組んで険しい目で写真を見据える。
「そう、はやての想像はたぶん当たってる」
「……質量兵器でロストロギアってことかな?」
なのはが、険しい顔でゆっくりと見渡して、確認するように問いかけた。
「うん、まず間違いなく。……それも超弩級のね」
ユーノの言葉に、誰も声を出すことができなかった。
会議室のホログラフは銀色に輝く船体と赤いペンキの《じてんしゃ》を写し続けていた。
全員の視線が集まる。
この映像が、これから何を引き起こすのか、じっと見つめる四人には想像ができなかった。
362 :
代理:2008/07/14(月) 21:47:51 ID:uJpBLBrr
以上で投下終了です。
久しく2chに投下していなかったのでさるさんのことを失念していました。
ちなみに、マイナーゲームですがクロス作は
「R.U.R.U.R〜ル・ル・ル・ル〜 このこのために、せめてきれいな星空を」
です。
GJ!
なんだか綺麗な物語のようで、面白そう。
364 :
代理:2008/07/14(月) 21:52:51 ID:uJpBLBrr
以上で代理終了
GJ!
ここは軍モノ?というか絶望的な話が多く
こういう絶望的じゃなさそうな話は少ないので期待しています
『りりるる』ならもう少し早くクロス元に気付いたであろうGJ。
確か、コンシューマ移植が決まったと聞いております。
ゲームはプレイしてないけど、時間の数え方が違うなんて話を聞い(RY
ちなみに好きなキャラはシロ姉と『ベニバナ』。
うぃむしゅーかよ!
確か殖民惑星を破壊、ないしは住んでる生物を残らず単機で殲滅できる機動兵器があったような
(まだ買ってないけどね)
GJ!!です。
自分はグロくて世界観も物凄いシビアな作品が大好きなのですが、
このSSは普通に次回が楽しみに思えるほど面白かったです。
続き物と考えてよろしいのだろうか?
これは、期待。
修羅場は発生するのかしないのか、話はそこからだw
ルルルはSF好きにはタマランぜ、
イチヒコとヴィヴィオが手をつないで歩いてそうなくらいほのぼのとしてそうだなw
これでユーノが目立ってなければなぁ……
キャラ叩きはご法度
フェイトたんはエロカワイイ
―バイド研究所所長の年頭挨拶より―
374 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 00:03:18 ID:+Sc7fkuv
>>310 ナンバーズ全員でかかっても、ノーマルのRXに勝てるか微妙だぜ。
しかも能力的にはアナザーシャドームーン(シャドームーンにキングストーン2つ)以上でしょう?創世王RXはブラックサンが進化したRXにキングストーン2つなわけですし。
ディエッチやオットーみたいな射撃タイプでもロボライダーの装甲は破壊できんし(ミサイルも火炎もへっちゃら)、格闘重視のトーレやチンクじゃ「最強」のバイオライダーには手も足も出ないぜ!
いざとなったら「その時奇跡が起きた」で助かるのが光太郎兄ちゃんクオリティ。
>>374 ボルティックシューターの射程は無限だからな。
RXにそのままのスペックで戦闘させると
どんなにシリアスな文章でもギャグにしかならないからなw
>>373 駄目だ、骨の瑞までバイドに汚染されてやがる……
誰か火炎放射器持って来い。消毒すっぞ。
まぁ、言ってることには同意だが。
RX相手に戦闘になることを期待している人はいないと思うw
敵組織がRX相手に四苦八苦している様を生暖かく見守りたいwww
キングストーンを解析してみて、何とか性能がダウンどころじゃないぐらい下がった
劣化キングストーンをスカ博士が作って、ナンバーズに移植するけどそれでも凄い強くなりそうだw
RXは存在がぶっ飛んでるものなぁ。次回が楽しみ。
>>379 スカ博士にできてるならとうにクライシスやゴルゴムがやってるよ。
ところで・・・PS2ソフト『正義の系譜』では過去の創世王のなりそこないが出て来たことはご存知か?
るるるる、あの凄まじき名台詞のやつか……
ぜひ出してくださいw
クソぉ!静まれぇッ、オレの腕ぇぇえええ!!
385 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 00:30:10 ID:SREUQ/JO
むう、気になるクロスがまた一つ……
スマン、sage忘れた…
>>381 創世王に負けた方の世紀王だっけ?
ショッカーとゲルショッカーを復活させたりしたすごい奴。
また楽しみな作品が一つ
《じてんしゃ》が何のための宇宙船か知ったらなのは達は何を思うんだろうな
るるる知らないんだが別スレでのクロスものがかなりの良作だったから期待してしまう
ゼロですね、わかります
りるるとるるる、同じ人なのか
りりるって…自サイトに掲載してるな
まさか、転写じゃないだろうな?
>>393 こっちに投下してるのがサイト主かどうかは判らんが、中身は同じだった。
一応、確認とってみんと
やだなぁ,もう勘弁してよ!盗作騒ぎはもう、うんざりだ!
まとめに載せてないのが幸いだったな。誰も載せないように
ああ、誤解させて申し訳ないです。
当の本人なので盗作とかじゃないです
いちおう、トリップ入れてますので・・・
#自サイトは集積所みたいなもんなので、ごちゃまぜで置いてるのです
自サイトってどこなの?
本当に本人なら、自サイトのほうでもなんか反応してくれる?
2chにアドレス張るの怖いだろうけど
このスレには既にまとめサイトがあるので、混乱を招くような二重連載/掲載は
ご遠慮ください。というかやめてください。
>>400 お前の一存で決めるモンでもないだろ。
運用議論スレに池。
>>399 特に隠されているわけでもないので探せばすぐ引っかかる
>>400 複数の場所に掲載してもよかろう
規則ない限り取り締まることはできん
まあ前回のはぴねすの事件もあったので
本人以外の投稿じゃないかと皆警戒してしまったな。
>>398 そういうことでしたら、在らぬ疑いをかけてしまって申し訳ありませんでした。
テンプレにあるとおり、過去幾人もの盗作者が出てきていたので、そのような問題については皆、過分に敏感になっていました。
不快な思いをさせてしまい、本当にすみませんでした。
これからの投稿を楽しみにしております。
↓以下いつもの流れ
場所がわからない
ヒントください
>>408 グーグルに以下を突っ込む
"るるる" "ゼロの使い魔" "クロス" "R.U.R.U.R〜ル・ル・ル・ル〜"
返事はイラン
自己完結しました
自決しました
412 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 13:41:09 ID:0tVxY57I
>>380 というかナンバーズって、下手すりゃRX一話に出てきたスカル魔の「機能停止ピーム」で終わりじゃね?
ちなみにあのシーンで無事にBLACKに変身できたら、序盤の怪人ぐらいそのまま勝てたと信じている( ̄▽ ̄;)
スカル魔は怪魔妖族でも雑魚の方だからな
るるるの人かゼロ魔のアレはおもしろかった
415 :
一尉:2008/07/15(火) 17:53:44 ID:mO0Ze3FG
じてんしゃ支援
>>412 それ以前にストロンガーやスーパー1にも負けそう
職人の皆様GJ
以前予告したケロロ軍曹とのクロスのプロローグが出来たので今夜8時に投下して良いですか?
ぴちゃ……。
頬に落ちた冷たい感触で軍曹は眼を覚ました。
「ケ、ケロ……ここは?」
頬を拭うとしっとりと濡れていた……。
光など差し込まない暗黒の世界。
痛いほど凸凹した固い何かの上で倒れているのが背中で解る。
手探りで辺りに触れ、右腕を支えに体重を乗せて立ち上がると。
風が吹いていない事とここは冷ややかな気温の世界であることしか分からない。
何より湿り気もあって、ケロン星人の肌にはここの環境は最適だ。
次第に暗闇に慣れてきた眼は岩肌のような壁で造られたトンネルを捉え、ケロロ軍曹の脳に映像を映す。
訓練生としてケロン軍に軍学校に入学していた頃、彼はここと似たような場所で模擬戦を経験したことがあり。
ケロロは自分は今どこかの洞窟の中に居るんだと推測した。
「ケロー……我輩、何処の惑星にきたんだっけ?」
記憶に残る自分の行動を読み込みはじめ、ケロロは腕を組んで記憶の映像を見直して思い出しはじめる。
この星に来た目的(侵略)を……。
※
ケロン軍本部からの指令を受けてケロロ小隊5人全員で船に乗り込み、宇宙港から出港した後。
舵を自動運転に切り換えて本部から渡された目標の星の資料を確認した。
星の外見、その世界に生きる生命達の画像が添付された詳細が記載されている資料……。しかし、ケロロはある資料で心を奪われてしまう。
資料の内容よりも添付されていた画像に写っていた機械的でヒーローっぽい杖のようなもの。それを構えてピンク色のエネルギー射撃をしている女の子の姿に心を奪われた。
スッゲー!
『何コレー!!めっちゃカッコイイじゃん!戦隊ヒーローごっこ出来んじゃんかよ!!』
『カッコイイですぅー。』
と誰かと叫び、興奮した気持ちを抑え切れなくなって画像に写る人と同じポーズを取った。
※
ここまでの記憶がロードされたところでケロロは右手を顎に添えて「う〜ん。」と唸りながら首を捻る。
「なんだっけ……な〜んかこの後あったんだよねー。」
〔ねー〕
〔ね-〕
〔ね〕
気の抜けたような語尾が洞窟の形状に反響し、音がどこかから抜けて聞こえなくなると同時に何か最悪な事態が起きた事も思い出しそうであった。
※
『えっと、脇に抱えるように左手で持ってー〔バキン〕右手で支えて……ん?』
『おい……ケロロ。貴様今、何をへし折った?』
誰かに言われ、手元を見下ろす。
手に抱えていたものは先端に赤い球体が付き、手に馴染むような触り心地でいてそこから細長い棒が生えたような形の物。
『なんだっけコレ?なんか、触ったことがあるような……。』
『ケ、ケロロ君……それ船の舵じゃ。』
そう、誰かさんの言うとおり。
これはまるでこの船の舵であるレバー……。
突然、身体から脂汗が吹き出しはじめる。
それは自分はやってはいけないことをしてしまったのではないか?という確率の高い推測で体温がぐつぐつと急上昇した結果。
『アッハッハッハーまさかーそんなことないよねー。』
『隊長さんよぉ。やべぇぜこりゃ、クーックックック。』
と口で明るく振る舞うが、誰かの煽る声で首は潤滑油の注されていないロボットのようなぎこちない動きになり……全員でゆっくりと舵の方を振り向く。
『…………』
どうにか最悪の事態になっていないかと問題の存在の可動部分を根本からゆっくりと視線を注ぎ、上へと移動する。
上へ……。
上は……。
上が……。
根本の少し上から舵はボッキリとへし折られ、ちぎられていた。
とゆうことは……。
『我輩がちぎっちゃったんだー。なーんだ、そっかー……ケロロォォォ!!』
『ケロロ貴様ぁ!!』
『軍曹さん!?』
『どんだけ、オンボロなんだかな。クーックックック。』
『と、とりあえず何とかしないとケロロ君!』
やってしまった。
悲痛なバカの叫びが宇宙船に響き渡るが船はもはや自動運転から切り替えることは出来ず。
ブリッジから見えてきた綺麗な曲線を形成している真ん丸の星……が。
かなりの速度で拡大、いや近づいており星の大陸の山、川、海がはっきりと確認できた。
やばい。とはもはや言っている時間も無く。
ケロロは何か大仕事を成し遂げた中年親父の気持ちが痛いほど解ってしまい……諦めた。
『……あぁ、アルマゲドンから見る星ってこんなに綺麗だったんだ。』
『何を諦めてるんだケロロォォ!』
誰かのツッコミを聞きながら星の美しさを噛み締めた直後、視界は真っ白に染まり轟音と共に……意識は途切れた。
※
完全に『自分の記憶(アルマゲドン)』という映画を見終わり、ケロロは背後を振り向く。
その先、視線が捉えたのは落盤し土砂で塞がれている洞窟の出口。
あの後、この星に船が墜落して衝撃でハッチが開き……自分は洞窟の中に投げ出され。
船がぶつかったからあの出口を塞いでしまったことは納得できた。
「ケロ……悔やんでいても仕方ないであります。それよりもー」
後悔の念が心を押し潰してしまいそうであったが、この洞窟はまだ先に続いていることを確認出来ていた。
その事実が心強く、自分の背中を押してくれる。
くじけることはせず、再び奥へと向き直って歩を進ませるケロロ。
「こんな洞窟に入ったら藤岡隊長もきっと取材を続けるに違いないであります!」
そう自身で勇気づけ、誰かさん達を忘れて奥へと進んでいった。
長く長くずっと同じ岩肌の洞窟であったが、先程から上から水が滴っていることからここはただの洞窟ではく、鍾乳洞であることが実感でき。
暗闇に視界が慣れていたこともあり、上を見上げるとたしかに永い年月で作られた岩肌が鍾乳石を形成している。
「ケロ……浪漫を感じるなぁ。」
自分が経験した思い出。生きてきた年数など、彼らに比べたらまだまだ年下なのでありますな。
と言い知れぬ感動が押し寄せ、ケロロ軍曹の心を清らかにしていった。
支援
「まさにガイアの夜明け!ケロッケロッケロッ。いざ、すすーめー♪ケロッ?」
しばらく奥を目指して進んでいた自身の眼が最奥から差し込む光を捉え、この洞窟から脱出出来る可能性への期待を抱く。
なんとも言い知れぬ喜びが沸き上がり、ケロロは勇み脚で光の源へと走り出す。
「藤岡隊長、我輩現場に突入するであります!」
次第に光へと近付き、視界がだんだんと暖かい輝きに覆われながらケロロは光の中に突入していく。
「やったー、ワレ脱出成功セリ。でありまーす!」
〔りまーす〕
〔まーす〕
〔まーす〕
「ケロ……?」
ある意味脱出は出来たのかもしれない。
光の源を潜った先にあったのは何かの研究施設。
反響する甲高い声に気付いた白衣を着た男性が驚いた表情で小さな姿の宇宙人を見ていた。
「カエル……?」
そっちと会うのかw
支援
以上がプロローグです。
支援ありがとうございました。
スカがガンダムを作るフラグが立った
とりあえずGDはボールになるのは確定ですな
427 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 20:36:23 ID:PRMqOZbM
リリカルケロロ軍曹STS
グッジョブ、最高です!
執筆活動ガンバってください
このスレ見てると
いかにリリカルなのはがヘボい世界かわかるなw
やべぇ!、続きが気になるぅ〜!
ゆりかごがホワイトベースとかムサイとかグワジンとかの形状になりそうだ
430 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/15(火) 20:46:50 ID:tKjhYx9W
ディードのツインブレイズがビームサーベルになるのは確定かな?ww
GJでした!六課側じゃgdgdだと思うしこっちなら面黒いことになりそう。
ちなみに考えたけど
クルルとスカ
チンクとギロロ
ウェンディとタママ
ゼストとゼロロ(改名したのは地球でのはず)
この組み合わせなら管理局危機なほど最強な予感。
GJ
イノーメースカノンはサテライトキャノンになるのかな?
いやそこはアトミックバズーカでしょ、ケロロはUCネタメインだから
しかし、それではガルルとかぶってしまうorz
ガルル小隊にも出てホシイゼヨ
>>433 となるとウェンディはGアーマーに乗るんだな
ドゥーエは変身ではなくコアファイターの換装
ギンガはズゴックの爪かなぁ
雑談はウロスでな。
GJでした。
やたら久しぶりな闇の王女の第八章前編を23:20から投下します。
多少長いので支援をお願いします。
支援!!!!
支援
魔法少女リリカルなのは 闇の王女 第八章前編
それは、唐突な問いだった。夕霧の晴れ間に、彼女の住んでいた街を歩きながらの、ささやかなひと時。
今日は彼女の命日で、だから二人は一緒にいた。黒の喪服を身に纏い、二人は道を歩む。
彼女の墓前で、少女は言った。
『好きだった?』
少年は金髪の少女に問われて、一瞬ぽかんと口を開いて驚いた。
何が? と問いかけそうになってから、少年は気づいた。それが、今はいないあの子に向けたものだったと云うことに。
心臓の鼓動が跳ね上がり、冷たい汗が肌を冷え込ませていく。体温はぞっとするほど下がり、立ち眩みがした。
口ごもりながら、あ、とも、う、ともつかぬ声をあげ――呟くように言った。
『……多分、初恋だった――僕は、今でも自分が許せないよ、フェイト』
『ユーノの、せいじゃ――』
不意に、少年が少しだけ冷たい声音で囁いた。
それはきっと、少年の心に巣食うどうしようもないもの。
『違わないさ。僕は、平和に暮らしていた女の子を、死地に追いやったんだ。
フェイト、僕はね――まだ、あの子が、なのはが好きだ。でもきっと、平穏に暮らすうちにそのことだって忘却していく自分が――』
きっと、届くまい。
己が胸の内の想いすら、この人には。そう思うと同時に、フェイトはその言葉を聞いた。
ぐらり、と心がぐらついた。
『――許せないよ』
がらがらがらがら。
断ち割れていく記憶の奔流の中から現れる、過去の亡霊――狂った女の纏う黒鉄色の騎士甲冑。
重厚な装甲に身を包んで、翼を広げて飛んでいく――誰にも傷つけられないように、仮面に素顔を隠して。
ああ、そうか。私は――嫉ましいのだ。
あんなにもぼろぼろで、傷ついて、針鼠みたいに傷つけあうことを恐れている、あの子が――なのはが。
――だから。
《各艦の魔導師部隊はカタパルトから射出後、<聖王の揺り篭>に取り付き、艦内へ侵入せよ。
敵艦の中枢ユニットである<聖王クローン体>の撃破、確保が最優先事項であり、その次に各種機関の撃破を行え》
オペレーターからのアナウンスを聞きながら、漆黒のバリアジャケットを身につけた魔導師フェイト・T・ハラオウンは、
静かに深紅の瞳を見開き、相棒である三日月斧のデバイス――バルディッシュの柄を握って呟いた。
「貴方にこれ以上無理はさせないよ、ユーノ。なのはは――」
決意とともに、雷光の魔導師は全力を誓って言う。
「――私が堕とす」
(フェイト、時間だよ)
脳裏に響く使い魔アルフからの声を聞きながら、フェイトは金色の髪を揺らして立ち上がった。
戦いに赴く為に――全ての罪を清算する戦いに。
同時刻、艦内左舷カタパルトにて。
長髪を後ろで纏め、外套を身に纏った男が一人物憂げに立っていた。
赤く煌く短剣を腰に差し、ゆっくりとその人影はカタパルトの上に乗った。
呟き――愛した女への決意。
「なのは……君は僕が救ってみせる――この概念祈祷型で」
レイジングハートと対となる遺産を手に、青年は叫んだ。
「本局嘱託魔導師、ユーノ・スクライア――いきます」
加速する体を感じながら、スクライア一族の青年は、戦禍の渦中へと身を投げ出した。
始まった終焉への序曲を止める為に。
群青と黄金の装甲を持つキロメートル級戦艦<聖王の揺り篭>上空における死闘は、馬鹿げた規模の破壊を<揺り篭>表面に穿っていた。
黒き騎士甲冑が、テールバインダー先端のクローで軌道上のもの全てを薙ぎ払いながら空気を劈(つんざ)き、慣性制御で音速以上の戦闘機動を実現する。
ソニックブーム――衝撃波の壁が破壊を呼び込むも、銀色の機影に避けられ、捻じ曲げられていく。
銀色の人影が放った虹色の刃が、黒い騎士甲冑の表面を抉り、魔力素に分解していく。
敵の戦闘機人トーレの攻撃がまるで読めない――相手の被っている鋭角的シルエットのヘルメットが、非人間的印象をなのはの目に焼き付けていた。
右手に保持した黄金と黒の杖、レイジングハートの尖った矛先が、空間を薙ぐように一閃された。
分厚い甲冑の仮面越しに、なのはの詠唱が解き放たれる。
「ショートバスタァァァッッ!」
ショートバスター。短時間詠唱を目的とした高速詠唱型砲撃魔法であるが、なのはの異常な出力の為に、本式のそれと遜色のない威力を誇る一撃である。
桜色の光の柱が、横一文字に砲撃魔法の刃を放っていた――トーレはこれを雷光の如き俊敏さで回避するも、背後では高出力のエネルギー兵器の直撃に
耐え切れぬ<揺り篭>のダークブルーの装甲を破砕。驚愕しながら、トーレが青紫の髪を揺らして喚いた。
《化け物め……貴様のような生き物は、もはやドクターの望む世界に必要ないっっ!》
「黙れ……お前達に言えたことかァァァ!!」
思い返される激痛の日々――精神が身体の異常性を拒絶した空白の期間。
目に涙を浮かべながら、仮面の奥でなのはが絶叫した――誰も許せなかった己の痛み。
「今日この日の為に、私は生きてきたっ! お前達に、報復する為にぃ!!」
《……どれだけ殺そうと、お前の胸の痛みは消えない! 再改造された私に、落とされろ高町なのは!》
「黙れェェェ!!」
トーレの放ったインパルスブレードの斬撃を、あえて避けずに真正面から突っ込んだ。
高密度のプラズマを纏った刃が生み出す必殺の一太刀を、肩部の黒い重装甲で受け切り、火花を散らしながら、頭部から相手に突っ込む。
胸部の胸の谷間に黒い仮面がぶつかり、装甲が歪んでいく。黒い仮面全体にびりびりと震動が奔り、トーレの機甲で保護された胸部に歪みが生じ、砕けた。
衝撃――頭突きによる思いがけないカウンターに戸惑い、姿勢制御を手放し、吹き飛ばされてしまう。
砕け散った胸部機甲を見つめながら背中の推進器から逆噴射をかけ、空中に踏みとどまる。
トーレの呟き――賞賛に近い脅威の認識。
《AMF下でこの戦闘能力……貴様の力、あまりにも危険だ》
なのはは歪んだ仮面の奥で顔に汗を浮かべて、体内を駆け巡る魔力の濁流のオーヴァーロードに耐えていた。
幾重にも掛けられたプロテクトの開封は、高町なのはと云う魔導師に<ジュエルシード>の圧倒的出力を与えていたが、同時に絶えずかかる脳の制御中枢への圧迫感が酷い。
レイジングハートからの警告が映り込む網膜映像――ブラスターモードの一時休止を訴えかける文面。
ふっ、と笑いながら、玉のような汗を浮かべて呟く。
「ありがとう、レイジングハート。でも……今はブラスター1だけじゃ勝てないよ……」
獣の如き前屈姿勢で計8本のインパルスブレードを構えながら、トーレが言った。
《祈りは済んだか、高町。もうすぐ成層圏だ……ドクターの勝利は近い》
破損した騎士甲冑の再構築を行いながら、なのははレイジングハートの先端を眼前の敵に向けて構えた。
黒い悪魔の如き翼が閃き、姿勢制御用の重力制御が行われる。
「お前なんかには負けられない……!」
瞬間、思いがけない方角から飛んできた光の刃が、トーレの身体を打ち据え、切り刻んだ。
戦闘機人にとっても重要な器官が詰まった腹が切り裂かれ、血飛沫と機械のスパークが飛んだ。
なのはの方にも飛来したそれは、レイジングハートの張った魔力障壁に防がれ、鋼鉄すら両断する威力の片鱗を見せ付けるように大気を引き裂きながら唸りをあげた。
虚を突かれたなのはは、斬撃が飛来した方角を見つめ、驚愕に身構えた。
人形的に整った容姿――黄金の長髪、紅玉のような瞳、朱の唇。豊かな胸元や括れた腰、身体を包むタイトなバリアジャケットは黒く、白いマントと対照的だ。
漆黒の三日月斧のデバイス、バルディッシュのハーケンモード――魔力刃の巨大な大鎌が、後部から姿勢制御用フィンブレードを生やしたそれを
保持した女性が、こちらを冷たく睥睨していた。
見慣れた顔――別れを告げた友の再来に仮面の奥の顔が強張る。
「……フェイトちゃん?」
《フェイトォォ……テスタロッサァァァ!》
驚愕と怨念――二つの意思を受け取ってなお、金色と黒の魔導師は悠然と佇む。
フェイト・T・ハラオウン――なのはにとって、傷つけまいと遠ざけた友の一人だった。
ひょっとしたら、今でも共に笑いあえたかもしれない人の、言葉。
「ハーケンセイバーを弾くなんてね。でも次は外さないよ、なのは。バルディッシュ」
《OK,Sir. Sonic move》
とんでもない瞬発力が生み出され、高速移動魔法ソニックムーブによる超音速の機動が、目にも止まらぬ速さでなのはの側面に回りこんだ。
同時に展開される金色の輪――ミッドチルダ式の環状魔方陣が展開され、稲妻をばちばちと放つ。
トーレは歯を食い縛って痛みに耐え、脇腹から火花と血を撒き散らしながら落下し、ガジェットドローンV型に保護されて<揺り篭>の青い船体に消える。
逃すまいと飛翔しかけたなのはを、金色の魔力光のバインドが捕らえた。
「っっ! どうして――」
「わからない? 貴女は人を傷つけ過ぎた――だから」
詭弁だった。あるいは、これ以上なのは自身を含めた人々が戦うのを見たくないのか、それとも――。
クロノからの、デバイスを通しての機械的通信を無視しながら照準し、トリガーとなる言葉を唱えた。
《何をしている、フェイト!》
「これが答えだよ、お兄ちゃん……プラズマスマッシャー」
フェイトの十八番たる砲撃魔法の閃き。
放たれる雷撃――最大出力の雷光の瞬きが仮面の奥の瞳を一瞬潰し、胸部甲冑を焦げ付かせる。
全身に荷電されたという衝撃がなのはの臓腑を、筋肉を襲い、吐き気がこみ上げて来る――飲み下す。
弛緩した身体を無理矢理奮い立たせ、敵意をもって相対――黒い翼を翻し、テールバインダーをとんでもない加速で叩きつけるも、魔力刃に弾かれた。
超音速の衝撃波――鋭利な刃物の如きそれが、身体を切り刻む。
黒い仮面の奥で涙を浮かべながら、喚いた。
「ッッ! それでも、私は負けられないっ! あの子に、ルーテシアに誓ったからっっ!!」
超音速機動でなのはに接近、バルディッシュ・アサルトを巨大な魔力剣の姿――ザンバーフォームへと可変させ、カートリッジロード。
六連装回転弾倉内の薬莢を全て使いきり、廃莢しながら左手のスピードローダーで装填。
「もう遅いんだよ、なのは。全てが、遅すぎた」
支援
耳元で囁かれる――零距離で振りかぶられた魔力刃が、斬撃を連続して叩き込んでいく。
歪む、凹む――重装甲が捻じ曲がっていき、装甲が唸り悲鳴を上げた。
まさしく斬撃空間と呼ぶに相応しい魔力刃の乱舞に、さしものなのはも苦悶の声をあげて吹き飛ばされかけるが、バインドで空間固定されて逃げることも叶わない。
衝撃が内臓を揺さぶり、酷い吐き気。
「がっ!」
「もう、やめようなのは――貴方の復讐は、決して叶わない。スカリエッティは、私が捕まえる」
レイジングハートに身体強化魔法をかけさせ、必死で持ち堪えるなのはの頬を、一筋の涙が流れた。
今までの自分を支えてきた『復讐』の一念を――あるいは、今まで奪った命の重みを無駄にさせられ――生き方を否定されたと云う事実。
それも親友だった人によって。腹に入った斬撃が腹部装甲を砕き、腹を圧迫――バインドが砕け散り、なのはを空の彼方に吹き飛ばした。
「フェイト……ちゃ……」
「あの頃には戻れないんだよね、なのは。私は、時空管理局の人間として貴女を討ちます」
何も保持していない左手で環状魔方陣三つを発生させ、三叉の矛の如く並んだそれにカートリッジ二発の消費によって魔力を注ぎ込み、
莫大な魔力を増幅、雷撃として再構築――稲妻が大気を焼き焦がし、神の雷のように鳴った。
フェイト・テスタロッサが、母から受け継いだ雷の魔法。
「トライデントスマッシャーッッッ!!」
直射砲撃――三つの雷撃が空気を切り裂く音と共に、障壁を張る暇も無い黒騎士の甲冑を真正面から捉え、ある一点で集中して破滅的なダメージを叩き出す。
帯電したなのはの絶叫――苦悶に満ちた声が響き渡り、ゆっくりと力が失われていく。
(ルーテシア……ごめ……ん)
暗くなっていく視界の中見たのは、泣きそうなほど潤んだ赤い瞳だった。
なんだかひどく辛そうな、胸の張り裂けそうな痛みを抱えた目。
(どうして……フェイト……ちゃ……)
分厚い甲冑にひびが入り、なのははゆっくりと羽をもがれた蝶のように<聖王の揺り篭>船上に落下――堕ちた。
こちらに向け飛ぶユーノが、悲鳴のような声をあげた。
「なのは―――っっっ!!!」
何時だってなのはの心配をしていた少年の、焦る顔。
「……ユーノくん……駄目だよ、そんな顔しちゃ……」
チェーンバインドを伸ばして彼女の身体を掴もうとした――触れ合う手と魔力の鎖。
しかし、力を失ったなのはの身体はそれを掴むこと無く――黒い甲冑ごと<揺り篭>に穿たれたクレーターに墜落し、騒音を立てて衝突。
轟音の中心地たる黒い甲冑の主は、ついぞ動くことなく。
ユーノにとって悪夢そのものの光景が、目の前にあった。愕然として立ち尽くし、無力に打ち震え――フェイトを見上げて叫んだ。
「どうして、どうしてなんだ、フェイト!」
フェイトはその光景を悲しみと共に見つめると、一言だけ呟いた。
金髪が風にさわさわと揺れ、悲しみに震えるようだった。
「わからないよね? ユーノは何時だって、私を通してあの子を見てた。なのはを――。
私を一人の人間として見たことなんて、なかったんじゃないのかな?」
深い悲しみだけがあった。
ぎりっ、と歯を食い縛って、ユーノは眼下の光景を目に焼付け押し黙った。
「私は、ユーノが――」
支援支援支援支援支援支援!!!!!!
しーえーん
支援
透過防壁を展開した這い寄る影が、その言葉を飲み込んだ。光学迷彩を解除、魔導師を殲滅――。
節足動物のようなガジェットドローンW型の、大振りな鎌が今まさにフェイトに振り下ろされようとしていた。
「フェイトォォォ!」
「え?」
まどろみの中、思い描くように見たのは夢。
幸福であったことを思い出さずにはいられない夢幻。
彼と彼女がまだ独りじゃなかった頃のお話――儚い日々。
笑いあう少女と少年――少年の顔ははっきりとせず、なのはにはただそれが、夢なのだとわかった。
何の為にこんな失った過去の残滓を目に焼き付けねばならないと云うのか――そんな疑問符が鎌首をもたげた。
そんなとき、声が聞こえた。
『なのはは、何の為に魔法を使うんだい?』
無邪気な少年の問いかけに少女(じぶん)は、笑って答えた。
『うん、私はね……ずっと自分が将来何になるのかわからなかった。だけど、魔法に出会って、思ったの。
この力で、皆を護りたいって。きっと、皆で笑い会えるような、幸せな世界を魔法が創ってくれる筈だから――』
それは、砕け散った理想。世界はずっと残酷で、自分は別の誰かの理想の為に壊された。
全ては子供の戯言だ。
ああ、でも、どうして――こんなにも眩しいのか。
少年は、なおも問うた。少女の決意を確かめるように。
『でも、世界は、なのはにとって優しいだけじゃないよ。何時かきっと、君は出会うはずだ。
――どうしようもない世界の壁に』
それは、少年が知る事実であったのか。
それに対する、己が答えは――?
微笑が消え、代わって決意に満ちた凛とした表情で、少女――高町なのはは言い放った。
栗色の髪が揺れた。
『もしそうだとしても、私は皆を、私の周りにいる人全ての笑顔を護ってみせる。
――それが、私がこの力を、魔法を得た意味だと思うから』
なんと云う――無知で、愚かなようで――途方も無く大きな理想。
少年の顔にかかっていた霞が晴れて――十九歳になったなのはは、初めて少年が誰だったかを知った。
(■■■君?)
少女の首にかかる紅き宝玉が、振動しながら光り輝き、なのはの精神領域から答えを得た。
――力を振るうに足る答えを。
『マスターの意志承認を完了。リミットブレイク、ブラスターモード上位レベル発動を当デバイスの自制機構が許可。
――忘れないでください、貴女の力は多くの願いと共にあります』
その声が、今自分が為すべきことを教えてくれている気がした。
幼き少女が、否、ここにいるなのは自身が強い意志をもって叫んだ。
<ブラスター2、セットアップッッ!>
快音。
フェイトの身体を肩口から袈裟切りに裂こうとした刃は、目を潰すような灼熱の閃光に砕かれ、球体状の本体も融けて消える。
爆発すら起こらない圧倒的な指向性エネルギーが、透過防壁を張っていた無数のガジェットを焼き尽くし、光球を幾つも空中に作っていった。
飴が溶けるように重厚な装甲を失い、機械の内臓を炸裂させる戦闘機械の群れ。
次々と起こる閃光に瞬きながら、ユーノとフェイトは光の放出点――なのはの墜落地を見た。
そこには、黒鉄色の塊が存在した。
無機質な装甲表面は紅いスリットが入り、脈動するように明滅しながら蠢き、光を灯していた。
まるで、成虫になる為の儀式――繭(まゆ)を形作る金属の塊。
得体の知れないそれが、桜色の閃光を放ちながら開いていく――花開くような美しい光景に一瞬見とれたフェイトは、すぐさま環状魔方陣を編み出すと、
ユーノが止める暇も無いほどの早業で雷撃を放った。空気をイオン化させながら突き進む雷の矢は、繭に突き刺さり――。
半球状に広がる馬鹿げた出力の魔力障壁が、全ての魔法をキャンセルしながら展開された。
広がる虹色の粒子が、おぞましいほど煌びやかに輝く。
「何?!」
ユーノは、取りとめの無い思考に陥っていた。
高速で回転する頭脳が、無数の思案を纏めていく。
――何故、高町なのはと云う管理外世界の平凡な少女に、異常なまでの魔法の才が在ったのか?
黒騎士の甲冑は、以前よりずっと禍々しく、神々しかった。
全体のシルエットは以前と変わっていないが、全身に広がる紅と金色のライン――脈動するが如く明滅するそれが、生きた鋼を思わせる印象を与える。
手に保持された魔法使いの杖――レイジングハート・エクセリオンは、黄金の矛先に紅い宝玉を嵌め込んだという相変わらずの在り方で、主の手に収まっている。
その黒い柄とドラムマガジンは、レイジングハートが主の戦いを支えると決意した結果。
――何故、ユーノ・スクライアと云う魔法世界の住人に、彼女は出会ったのか?
黒騎士の周りに浮かぶ浮遊砲台――金色の、レイジングハートの分身である攻撃端末ブラスタービットは、やはり尖った槍の矛先のような形状をしていた。
黒い甲冑が、テールバインダーで強く足元を打ち、飛び立った。フェイトから飛来する無数の魔力砲撃を、全て回避しながら突っ込む。
漆黒の鎧武者のような仮面ごしに、強い意志を込めた瞳がフェイトを見据えた。
力強い声が、まるで十年前の二人の戦いのように響いた。
思いは手に、力は刃に、ただ支援する
「フェイトちゃんが救われるなら、討たれてもいいかな、って思った。でも――」
「なのはぁぁぁっっっ!!」
フェイトは雄叫びをあげながら、高速で儀式魔法を編みこみながら後方へ離脱――バインドでは捕らえきれないであろう超高速機動。
落雷をザンバーフォームのバルディッシュの刀身で受け、その莫大なエネルギーを刀身に蓄積、六連装カートリッジを全て使い切り、
次いでフェイト自身のあり余る魔力を刀身へ流し込んでいき、強大な雷撃の刃を形成する。
――それは、今このとき、運命じみた時代の流れの中で、ここに彼女を立たせるためではないだろうか。
「――どうして、フェイトちゃんはそんなに悲しそうなの?! 私はそれを聞くまで引けないっっ!!!」
なのは――黒い脈動する甲冑に覆われた彼女の周りの、浮遊する計四基のブラスタービットが環状魔方陣を展開し、中央のレイジングハート本体に魔力を注ぎ込み、圧縮。
本来、詠唱時間が長い筈のその魔法を分割並行処理し、短時間での発射を可能とする術式。
圧縮された魔力素が、四つの光球となって黒い騎士甲冑の周りで輝く。
フェイトの術式の完成――稲光の閃光が、大剣の長大な刀身から迸る。
「おおおおおぉぉぉ! 雷光一閃っっ! プラズマザンバーブレイカァァァァァ!!!」
なのはの術式の完成――桜色の閃光が、四つの光球から放出された刹那、中央の魔方陣から光の柱が奔る。
「これが! 私の全力全開っっ! エクセリオンバスタァァァァァッッッ!!!」
ともに最高の威力を誇り、<闇の書防衛プログラム>の複層障壁を破壊した砲撃であった。
ぶつかり合い、うねり、空間を捻り切る唸りが、咆哮の如く辺り一帯を満たした。
激突――桜色と金色の魔力の衝突は、一面の物理法則を一時的に破壊し、虚空を劈(つんざ)いた。
巻き起こる爆風の中で、ユーノのマントが翻り、何十機ものガジェットドローンががらがらと音を立てて崩れていく。
戦闘機械の爆発が彩る耳を馬鹿にしそうな爆音の中で、確かにユーノは聞いた。
決着のついた証である、魔力の崩壊音を。
「なのは! フェイト!」
呼び声に答えたのは――懐かしい声。
「ユーノ……くん」
支援!
どこまでも加速する!
支援
復 活 ! ! 高町なのは 復 活 ! !
皆様、ご支援ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。
はわわ、フェイトそんがヤンデレになっちゃったよぉぉぉ!(ぇ
トランザムなのはさん対フェイトそんのラストシーンは、ゲッター氏の作品ではもっとも熱いバトルだったのではなかろうか。
そして未だ真価を見せぬユーノナイフの正体は!?(ぉ
ともあれGJでした!
盛り上がってきたぁ!
これだ、これこそ魔法少女! GJ!
なんか一部ヤンデレなフェイトそんが怖いですが、なのはのある意味スーパーモードに感激。
ちょっと噛ませになったトーレ乙、今日はもう帰っていいよと言いたくなりましたw
しかし、いつの間にかユーノも奪い合うようないい男になって(なのはからはどうなのかは分からんが)
事件が無事に解決したら、背中からギガントハンマーで殴られればいいと思うよw
それにしてもブラスターモードがかっこいい!
一段階ごとに限界突破、こんな演出だったら多分本編のなのはさんに惚れてしまっていたかもw
次回に親友同士の決着が付くのか。
楽しみです。あと、出番の薄いはやても頑張れw
GJ! 次回も待ってますぜ!!
457 :
柾木ジュンイチ:2008/07/16(水) 00:12:08 ID:xfQywYl+
709 :名無しさん:2008/07/14(月) 07:20:03 ID:TsypQlRs
ところでStrikers May Cry氏だけど、この先リリカルグレイヴとリリカル・ニコラスが混ざるとか思ったのは俺だけか?
>>705 ホテルからのティアナの暴走ぐらいか、六課というかなのは側のイベントにはんたがまともに絡んだのは。それ以外はアニメ本編の内容に影響を与える形ではんたは絡んでないな
逆にはんた側については、なのはとの約束が不調に原因ではあっても、そのこと自体になのは達はまったく絡んでないんだよなぁ
シリアス、ギャグ共に結構好みだったし、どう収集つけるのかも含めて楽しみなんだけどなぁ
>>707 ここでの評価を見て凹んだかね
710 :名無しさん:2008/07/14(月) 08:02:38 ID:EZEAeC6E
ま、まさか、そんな事にはならないだろ……。
正直、リリカルニコラスはリリカルニコラスで楽しんでるから混ざるのだけは止めて欲しいんだぜ。
あとリリカルニコラスで思い出したけど、リリカルTRIGUN更新されないかなぁ……
711 :名無しさん:2008/07/14(月) 10:23:39 ID:/7iWXDeI
>>705 絡むときはなんか怖いからなあ……。
712 :名無しさん:2008/07/14(月) 21:07:09 ID:2tSadGEg
いろいろ湧いてるな
夏になったと実感できる
713 :名無しさん:2008/07/14(月) 21:09:56 ID:TsypQlRs
>>712 ウロスの質問君のことか?
こんなSSありませんか?程度の質問はいいと思うが、顔文字に文句つけてるのもどうかと思う
714 :名無しさん:2008/07/14(月) 21:11:19 ID:DHIozazA
どのなのはスレにもいろんな痛い子が沸いてるから逃げ場が無い
この夏乗り切れるか…
458 :
勇者精霊伝ブレイカ:2008/07/16(水) 00:22:54 ID:xfQywYl+
うーんやっぱ、ある程度拡散させた方がいいな。
634 :名無しさん:2008/07/13(日) 01:27:02 ID:0u.i9HEg
R-TYPEはなぁ、希望を更なる絶望で塗り潰すっつうのに特に馴染みがない俺には、
何か結局はぐだぐだぐだぐだ苦戦してるだけな印象があるんだよなぁ。
こう、見てて退屈だから打ち切った。原作ゲームも知らなかったし。
635 :名無しさん:2008/07/13(日) 01:34:31 ID:Ov5OfbzY
>>626 非戦闘のヤツを頑張って書いてみようとはしてみたものの……
ほぼクロス側をなぞっている様になってしまってあきらめた。
636 :名無しさん:2008/07/13(日) 01:36:02 ID:kczxnPS2
>>634 救いがないのは昔から恒例らしいぞ?
759 :名無しさん:2008/07/16(水) 00:17:41 ID:UaydYKXg
寝る前に本スレに予告ないかチェックしたら……
夏だねぇ。
糞つまらん作品ばっかりだ。
蚊取り線香でどうにかならないのかな?
760 :名無しさん:2008/07/16(水) 00:18:08 ID:KyJO7hGI
>>745 右腕使わなきゃいけないほどの強敵なのか?
ネロが押し負けた描写ってダンテぐらいにしかないんだけど
せめて必殺技的なものを受けるなれともかく
761 :名無しさん:2008/07/16(水) 00:18:24 ID:ptcf8U6U
ああ、暑いから脳があれなんだろうな・・・
ダメな作品の作者ならなおさらだろう。
459 :
勇者精霊伝ブレイカ:2008/07/16(水) 00:43:24 ID:xfQywYl+
無職 遠山 武(新潟市東区 68歳)
「ブルーインパルスがやってくる」の見出しが目を引いた。
新潟市の「東区だより」は15日に、新潟空港近くで「華麗なアクロバット飛行を披露」と宣伝している。
これには次のような問題点があると思う。
(1)ブルーインパルスは兵器である。
そのアクロバット飛行を華麗と賞賛している。
国民がこの飛行を見て、そんな考えになれば世界平和のためにまずい。
特に子どもへの悪影響が危惧される。
(2)憲法は武力の保持を禁止している。
ブルーインパルスは明らかな武力であろう。それを自治体が宣伝するのは、
平和憲法をないがしろにする行為である。
(3)兵器の価格水増し購入などで膨大な軍事費の無駄遣いが判明した。
この曲芸飛行も多額の税金を使って、パイロットが繰り返し訓練したり、
戦闘機が燃料を消費したりする。やはり軍事費の無駄遣いだ。
(4)墜落もありうる。危険である。
(5)終戦直後だったら、平和の尊さをしみじみ味わった国民感情の発露から、
この行事は行われなかったであろう。
今は平和のありがたさに鈍感になっているのではないか、
平和憲法下で、こんな行事はあってはならない。
中止してほしい。
(新潟日報 2008年6月6日 「窓」)
>>431 クワットロにいいようにこき使われるケロロを思わず想像した。
GJフェイトこれでエリオ達の事とか知ったらマジで精神大丈夫なんだろうか?
462 :
一尉:2008/07/16(水) 11:41:32 ID:QwRWtcp+
ケロロ君支援
>>460 君がッ! クアットロと訂正するまでッ! 殴るのを止めないッ!
<<こちらオメガ11、闇の王女を拝読した。ついに熱い展開に入ってきたな!
しかし音速戦闘とは恐れ入るw そしてGJ!
んで、2200ごろに投下したいんだが、大丈夫かな?>>
465 :
一尉:2008/07/16(水) 21:33:25 ID:KjwSmN33
オメガ部隊支援
<<全く、今日も熱いなクソッタレ。こっちも投下の準備が整った。オメガ11の感想の時間も考えて2300頃に予約を入れたい。よろしいかな?あとオメガ11!全力で支援する!!>>
どちらも、支援。
<<それじゃあそろそろ投下する。あぁ、DHS氏、投下を終えて身軽になったら
支援する。それでは交戦!>>
ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL
第14話 特別演習空域"円卓"
全てを賭けて、鋼鉄の翼は駆け上る――かの地、円卓へと。
地上本部戦闘機隊のブリーフィングルーム。
そこではパイロットたちが、緊張した面持ちで地上の司令官レジアス自ら行う今回の演習の解説を聞いていた。
ただ一人、メビウス1だけがえらくリラックスして、同僚たちの顔を観察している。
正面右にいるアヴァランチ、左のウィンドホバー、そして後ろのスカイキッド、みんな最近の間に技量は跳ね上がったのだが、それでも
今回の演習はある意味地上本部の名誉を賭けた戦いのため、緊張しているようだ。
まるで以前の自分を見ているようだ、とメビウス1は苦笑いを浮かべた。ユージア大陸での一年に及ぶ激戦は、彼にそういった感情を忘
れさせてしまった。
「――演習は、廃棄都市の上空を区切って行う。地面のことは気にしなくていいが、安全のため規定高度を設ける。高度一万フィートを
切った者は敵味方問わず、戦闘機動を中止。その間は攻撃されてもノーカウントだ……聞いてるか、メビウス1」
「……ええ、聞いてます」
途中で刺すような視線を向けてきたレジアスに、メビウス1は姿勢を正して返事をする。レジアスは軽く咳払いをして、解説を続けた。
「演習空域は、半径100キロのこの円形の内部だ」
レジアスが視線を動かすと、傍らにいた副官のオーリスが頷き、端末を操作する。直後、演習空域の詳細がブリーフィングルームのモニ
ターに映し出された。
画面の中央、廃棄都市を中点に大きな円が描かれている。それを見た瞬間、メビウス1ははっとなった。
――こりゃ、まるで円卓じゃないか。
元の世界での、戦闘機乗りにとって自身の技量を試される激戦区。かつて無敵を誇ったベルカ公国空軍の、絶対防衛戦略空域。通称を円
卓と呼ぶ。ユージア大陸出身の彼にとっては海の向こうの地であるため訪れたことはないが、戦闘機乗りとして興味はある土地だ。
その円卓と、今回の演習空域は酷似しているのである。しかも、レジアスは
「我々は、この空域を円卓と呼ぶことにする」
とまで言った。偶然なのだろうが、メビウス1は吹き出すのを我慢せざるをえなかった。
公開意見陳述会を目前に控えて行われる、今回の本局所属空戦魔導師との合同演習。合同とは言うが、事実上の対決である。
随所の動作を魔力に頼っているとはいえ、質量兵器に限りなく近い地上本部の戦闘機に、本局が陳述会で批判してくるのは明らかだ。
そこでレジアスは一計を講じた。それが今回の演習であり、勝利した方が陳述会会場の上空警護に就く。もし、本局が何か言ってきたら
こう言えばいいのだ、「あなたの頭の上を守っているのはその戦闘機です」と。
無論、敗北すれば本局はそれ見たことかと猛烈な批判をしてくるだろう。最悪、戦闘機隊は解体されるかもしれない。まさに地上本部に
とって、この円卓での勝敗は己の運命を左右する決戦なのだ。
「この演習で勝利し、本局の鼻っ柱を叩き折ってやれ。以上、解散」
ブリーフィングルームに、レジアスの力強い言葉が響く。パイロットたちは立ち上がり、一斉に敬礼した。彼らにしても、自分たちの立
場を守るため、この戦いへの意気込みは特別なものがあるのだろう。
「必ず勝とうぜ、そしたら一杯やろう」
「いいな。じゃあその時は俺がおごろう」
「さすが、太っ腹だな。やる気出てきたぜ、なぁメビウス1」
「ん? ああ――そうだな」
盛り上がりを見せるアヴァランチ、ウィンドホバー、スカイキッドとは対照的に、メビウス1は曖昧な頷きを見せた。彼には彼で、今回
の演習に別の意味を見出していた。
――さて、六課の皆はどこまで見せてくれるかな?
二日ほど時間は遡り、機動六課。
「ふーむ……」
一冊の子供向けの絵本を手にして、はやては自身の執務室で思案顔。絵本のタイトルは「姫君の蒼い鳥」、先日ヴィヴィオがメビウス1
に読んでもらっていたものだ。
内容はそこまで重要ではない。問題は、絵本の中にカリムの予言と一致する言葉が出てきたことだ。すなわち、ラーズグリーズの悪魔。
さらに言うなら、この絵本とまったく同じ内容が元の世界にある、というメビウス1の証言も気にかかる。
「一応、出版社とか調べてみたよ。けど……」
絵本について調べたフェイトだったが、その表情には曇りがある。
「けど、どうやった?」
「元の出版社は、だいぶ前に倒産してた。今、この本を出してるところにも資料は残ってない。作者の名前も分からないし――」
「要するに、何も分からないってことだよね」
そう結論付けたのはなのは。フェイトはなのはの言葉に頷く。
「予言では、歴史が大きく変わる時、ラーズグリーズの悪魔は姿を現す、だったかな。そして、メビウスさんの世界にこれと同じものが
ある……まさかとは思うけど」
証拠も何もない、ただ漠然とそう考えてしまうだけ。だが、はやての思考はなのはとフェイトと同じだった。
「ラーズグリーズの悪魔……やっぱり、これはメビウスさん?」
「だと思う。スカリエッティって線も否定できないけど」
「スカリエッティは、むしろこっちと違うかな」
はやては端末を引っ張り出して、カリムの予言、ラーズグリーズとは別のものを表示させる。それは、メビウス1がミッドチルダに現れ
てからしばらくして出てきたものだ。
「――恐ろしい御稜威の王が蘇り、救うべき者を無償で救う。私としては、こっちの方がスカリエッティに似合ってると思う」
「無償で救う、って言うのが矛盾してるけどね。彼がやってるのは破壊行為だし」
フェイトの指摘に頷きつつも、しかしはやては自分の考えを口にする。
「そうなんやけど……王様から見たら、自分の破壊活動も正当な行為やろ?」
「あ、なるほど――そんな王様は迷惑極まりないけどね」
乾いた笑い声を上げて、なのはは話題を切り替える。
「そういえば、二日後の演習なんだけど」
「ああ――本局の方から、お知らせが来とったわ」
再び端末を操作して、はやては今度は別の画面に切り替える。画面のタイトルは「メビウスさんの美味しい話」と言う妙なものだったが
その内容は、びっしりとメビウス1考案の魔導師による対戦闘機戦の戦術が書き込まれていた。
これが、前回メビウス1の言った六課にとって美味しい話である。
「本局も本気や、演習に投入されるのは最低でも、ランクAの魔導師。それが六〇人程度……こっちにもお呼びがかかっとる」
はやてはなのはとフェイトを交互に見て、「いけるか?」と言った。二人が頷いたのは、言うまでもない。
支援する
演習当日の演習空域"円卓"。
高度三万フィートの空を、鋼鉄の翼の群れが編隊を組んで飛んでいた。先頭を行くのはリボンのマークをつけたF-2、メビウス1だ。その
後方にはアヴァランチ率いるF/A-18F、ウィンドホバー率いるF-16C、スカイキッド率いるMir-2000がそれぞれ四機ずつの合計一三機。
「こちらゴーストアイ、各機聞け」
そしてはるか遠くの距離から空中管制を担当するE-767、ゴーストアイ。直接戦闘には参加しないが、高度な情報収集力をもって部隊の戦
闘の手助けを行うのが任務だ。
「ブリーフィングでも通達されたが、もう一度確認する。今回の演習では、より実戦に近い状況を生み出すため、ミサイルと機関砲弾に特
別なものを用意した」
――ああ、これか。
ウエポン・システムを起動させて、メビウス1はディスプレイに表示されるF-2の搭載兵装を確認する。
ミサイルは中距離用のAAM-4、短距離用のAAM-3が四発ずつ。機関砲弾は五一二発。どれもボタンを押す、引き金を引くなどすれば実際に発
射されるが、ミサイルは通常炸薬の代わりに、爆発しても"見た目"だけな非殺傷設定の魔力式、機関砲弾は実弾の代わりにカートリッジを
積めた魔力弾、これも非殺傷設定。ただし弾道特性や誘導性能は実弾と変わらない優れものである。
「これは、ISAF空軍に是非導入したいな」
感嘆しながら、メビウス1はゴーストアイからの通信に耳を傾ける。
「なお、撃墜判定はこちらと本局、双方の司令部が行う。抗議は認められない。賄賂を贈っても無駄だぞ」
「ゴーストアイ、お前のお袋の頼みだったら?」
「それはやむを得ん……待て、何を言わせるアヴァランチ。撃墜判定を出すぞ」
「冗談だ」
編隊内で笑い声が上がる。戦闘前に張り詰めた空気が、一瞬だけ解けた。
「――待て。こちらのレーダーに反応がある」
だが、次の瞬間ゴーストアイの言葉で、皆の気が引き締まった。メビウス1も、酸素マスクの固定を確認し、データリンクで送られてくる
ゴーストアイが捉えた円卓の全体図を注視する。
いくつもの光点が、円卓の中心部に向って接近しつつある。その数はざっと二〇といったところだが、これは第一波と見るべきだろう。
ゴーストアイのレーダーが、円卓の外部からさらに接近中の魔力反応を発見した。
「ちょ、ちょっと待て、本局の連中はいくら戦力を投入して来るんだ? 俺たち一三機だぞ?」
「投入する戦力の制限については特に明言されていなかったからな……出せるだけ出したってとこだろう」
戸惑うスカイキッドに、ウィンドホバーは冷静な思考を口に出す。その瞬間、編隊内で軽くブーイングが発生した。
「演習でランクA以上の魔導師これだけ投入するか、普通」
「何が何でも本局は俺たちを潰す気ってことか。畜生め」
「本局からの勧誘、蹴って正解だったぜ。こんな小汚い真似するとは思わなかった」
「……愚痴を言いたくなるのは分かるが、これも任務だ。奴らを全て叩き落せ、お前たちはそれが出来る。そうだな、メビウス1」
ブーイングをひとまず鎮圧したゴーストアイは、確認するようにメビウス1に問いかけてきた。彼は笑って、答える。
「ああ――もちろんだ。円卓の空は俺たちのものだ」
「と、言うことだ。各機、戦闘態勢に移行せよ」
ブーイングを続けていたパイロットたちも、「仕方ない、やってやろう」とヤケクソと自信が入り混じったような感情の元、兵装のセーフ
ティを解除させる。
編隊が円卓の中央に到達すると、ようやく各機のレーダーにも反応があった。魔力反応が二〇、まっすぐ突っ込んでくる。
「来るぞ。各機、交戦を許可する」
ゴーストアイからの命令。パイロットたちは待ちわびていたように、エンジン・スロットルレバーを叩き込み、機体を翻させる。
「Como On! It's Paybacktime!」
エンジンが彼らの闘志に応えるように、咆哮を上げる。主翼が大気を引き裂き、空が震える。
そこには下座も上座もない、条件は皆同じ。
――生き残れ。異世界であっても、それが"円卓"と名のついた土地の、唯一の交戦規定だった。
本局の空戦魔導師たちは、この日のために集められた精鋭揃いだった。それゆえ、彼らは戦闘機を見ても驚かなかった。それどころか、質
量兵器紛いに何が出来る、と侮ってすらいた。
だが、その自信は脆くも打ち砕かれた。
「くそ……!」
もう一〇人も撃墜された。一人の魔導師は悪態をつきながら、先ほどから圧倒的な動きを見せるリボンのマークをつけた戦闘機に狙いを定
めた。
手にしていたデバイスから魔力弾を放って"リボンつき"を撃ち落そうとするが、いくら撃っても当たらない。機体の各部を絶えず動かして
ランダムな機動を繰り返す"リボンつき"は、今度は上昇し、主翼の先端から水蒸気による白い糸を引きつつ、魔力弾を回避する。
「ダメだ、速すぎる……それにあいつ、後ろに目でもついてるような動きをしやがる」
肉薄して距離を縮めようにも、一度戦闘機がアフターバーナーを点火すればぐんぐん引き離される。死角からこっそり、しかし高速で近付
いて一撃を浴びせようと企んだ魔導師だったが、この"リボンつき"はそれすら回避してみせた。
ところが、次の瞬間"リボンつき"は突然速度を落とした。尾翼のラダーを動かして左右に機体を揺らしているが、その姿が、彼には挑発し
ているように見えた。"ほれほれ来いよ、俺はここだぜ"と。
「舐めるなぁ!」
魔力を収縮、一気に放出して急加速。"リボンつき"を必中距離に収め、魔導師はデバイスを構えようとして――側面から、強い衝撃を受け
た。なんだと思って振り向くと、頭上を轟音が駆け抜けていく。間もなく、念話で司令部の方から自分が撃墜されたことを知らされた。
「何故です、自分はいつ……」
「たった今だよ。実戦なら君はとっくにミンチだ……もうすぐ、切り札が到着するんだ。今回は下がりたまえ」
「くそ……了解」
無念の思いを噛み締めながら、彼は降下して空域を離脱する。あまり"死人"が長々と戦場に残っていたらもう一撃もらいかねない。
一方で、魔導師に機関砲弾を浴びせて見事撃墜したのはアヴァランチのF/A-18Fだった。
「二人目! ナイスワークだぜ、メビウス1」
「人間サイズが相手じゃ機関砲もそうそう当たらないが、こうすりゃだいぶマシになるだろう」
「まったくだ」
先ほどまで魔導師からの執拗な攻撃を回避していたメビウス1は、自身が囮になることでアヴァランチのサポートを行った訳である。
さてと、残りは九――辺りを見渡しながら、メビウス1は搭載兵装の残弾を確認する。
ふと見ると、魔導師たちが三人塊になっているのが見えた。個人個人で挑んでいては勝てないことにようやく気付いた彼らは、戦力を集中
させることで対抗しようとしているのだ。スカイキッドの編隊の三番機が挑もうとして、大量の魔力弾の応酬を浴びてやむなく引き返して
いる。
「固まって弾幕を張ったか……考え方はおかしくない。けど、距離を詰めすぎだな」
メビウス1がそう言った瞬間、スカイキッドの編隊は魔力弾の射程外から威力の大きい中距離ミサイルを放つ。案の定、魔導師たちは回避
しようとしたが間に合わず、ミサイルが炸裂。三人まとめて見た目だけはえらくリアルな爆風を浴び、撃墜判定を食らった。
「それにしても一方的だな――っと」
はるか上空から見えたかすかな閃光に気付いたメビウス1はラダーを踏み込んで、F-2を横滑りさせる。次の瞬間、魔力弾がすぐ傍を駆け
抜けていった。視線を上げれば、魔導師がデバイスを構えて、もう一度射撃を試みようとしているのが見えた。
不意討ち大いに結構。だが失敗したらすぐ逃げろ――。
エンジン・スロットルレバーを叩き込んで、機体を急上昇させる。魔導師は慌てて逃げ出そうとしたが、もう遅い。針路を先読みし、魔導
師の逃げる方向に向って機関砲を放つ。赤い非殺傷設定の魔力弾の雨に自ら突っ込む羽目になった魔導師は驚愕し、撃墜判定を下されて渋
々空域を離脱していった。
メビウス1は一息ついて、ただちに周辺警戒を実施。撃墜した後、この瞬間は緊張の緩みや勝った喜びから油断しやすい。
案の定、後方から迫る敵影を彼は目視する。
――甘い!
コクピットの正面上位に設置したバックミラーに、接近中の魔導師の姿が映った。メビウス1はただちに操縦桿を左に倒し、機体を横転さ
せる。機体が水平になったところでエンジン・スロットルレバーを押し込んで急加速、上昇。首を上げて魔導師の位置を確認しつつ、操縦
桿を引き、宙返り。機首をはるか眼下の魔導師に向けさせると、短距離空対空ミサイルAAM-3の弾頭が、魔導師の魔力反応を探知。
「メビウス1、フォックス2!」
スイッチを押して、AAM-3を発射。後ろから一撃浴びせようと考えていた魔導師は、いきなり動き出して挙句反撃してきたメビウス1に驚
き、とうとう一撃も放つことなくAAM-3を食らって撃墜された。
一息ついて、ディスプレイに視線を送って残弾を確認。AAM-3とAAM-4がどちらも二発ずつ、機関砲弾は三四〇発。
もう1ラウンドいけるかな――絶えず周囲を警戒しつつも、どこか他人事のように胸のうちで呟く。ちょうどその時、ウィンドホバー隊が
本局の魔導師第一派最後の一人を撃墜した。
「こちらウィンドホバー、ターゲット撃墜。おかわりを頼む」
「ゴーストアイよりウィンドホバー、あいにくだがみんな早食いでな。もう少し待て、北西より第二派が接近中」
余裕の表れか、仕事はばっちりこなしながら、ゴーストアイすらも軽口を叩く。
サブディスプレイにはゴーストアイが捉えた円卓の全体図がデータリンクを通じて、映し出されていた。彼の言うとおり、北西より魔力反
応が接近してくる。
「って、おいおい――」
思わず、メビウス1は声を上げた。数は四〇、先ほどの倍である。負けるつもりは一切ないが、全て食いきれるかどうかが不安だった。
「ウィンドホバー、お前がおかわりって言うから奴さん大盛り出してきたぞ」
「……その、なんだ、すまん。みんな、一緒に食べてくれ」
「こちらスカイキッド、手伝うぜ。まだまだ食い足りない」
「アヴァランチ、同じくだ。次はもう少し歯応えのある奴がいいな」
ところが、戦闘開始直前と違って彼らの士気は高かった。編隊を組みなおし、各部隊は高度二万フィートで北西へと進撃していく。
――思えば、この時彼らは調子に乗っていた。油断していたと言っていい。自分たちの技量と愛機の性能に酔いしれ、これまで絶対に勝て
なかった空戦魔導師たちを蹴散らせたことで、警戒が疎かになっていた。
間もなく、それを彼らは思い知ることになる。
北西方面に現れた新たな獲物を求めて進撃した地上本部戦闘機隊とメビウス1だったが、途中彼らは雲の量が明らかに増えていることに気
付いた。飛行前の天候確認では、今日は快晴そのもののはずだったのだが。
しかも、雲の色がえらく不気味だった。雨雲と言ってもいい。あんなところに飛び込めば、たちまち視界ゼロの暗黒の世界が待っているはず
である。
「……ゴーストアイ、聞いていいか? 魔法で雲を増やすなんてことは出来るのか?」
「出来ないことは無い。手間はかかるが、局地的に雷を落とす魔法もある」
なんとなく、嫌な予感がメビウス1の脳裏をよぎる。レーダーがあるとは言え、機関砲は基本的に相手を視認した状態で使うものだ。雲に
相手が隠れれば、機関砲は使えなくなる。要するに、攻撃の手段をひとつ封じられてしまうのだ。
「各機、レーダーだけに頼るな。目視による警戒も厳とせよ」
「ウィンドホバー、了解」
「スカイキッド、了解した」
「アヴァランチ了解」
FOX2 支援!
とりあえず各編隊に指示を下し、メビウス1も周囲への警戒をいつも以上に厳しくする。
こういう時は、単純に視覚による情報だけでなく第六感、カンという奴も必要だと彼は考えていた。科学技術の結晶である戦闘機を駆る者
としてはおかしなものだが、ときどきそういうものも当たる事があるということを、メビウス1は経験から知っていた。
レーダー画面に視線を送ると、正面に多数の魔力反応があるのが分かる。その数はざっと見て二〇と言ったところだ。
「……待て、残りはどこに?」
当初、捉えた魔力反応は四〇だった。残り二〇の魔力反応が、レーダーから消え失せている。
「ゴーストアイ、残りはどこだ? そっちのレーダーには何も映ってないか?」
「ゴーストアイからメビウス1、いや、どの魔力反応も正面にいるぞ。数四〇、固まっている。全て編隊の正面だ」
「何……固まっている?」
その瞬間、メビウス1は背筋に寒いものを感じ、はっとなった。直後、レーダー画面に映っていた魔力反応が分裂を始める。
二〇が三〇、三〇が四〇に。あっという間に、魔力反応は増えていった。
「なんだこれは、いったい……!?」
戸惑う彼らを他所に、魔力反応は分離。反応が戦闘機隊を取り囲むような陣形を組んだ瞬間、メビウス1は叫んだ。
「まずい――全機ブレイク!」
直後、雲を突き抜けて四方八方から、魔力弾の雨が彼らに降り注ぐ。寸前でメビウス1が警告したため、被弾した機体はいないようだが、
編隊は完全に崩れてしまった。おまけに、魔力弾の雨は少しも止む様子を見せない。このままここに止まっていては、いずれ撃墜される。
「右も左も魔力弾だらけだ、どっちに逃げればいい!?」
「避けきれない――うわぁ!?」
「退避だ、退避」
「どこに退避するんだ、畜生!」
混乱する編隊。とうとう撃墜された機体も出てしまったようだが、この状況でどの編隊の者なのかは知り得なかった。
「こちらメビウス1、撃ち落されたくないなら上昇だ! 全速力でこの雨を突っ切るぞ!」
叫び、メビウス1はエンジン・スロットルを叩き込む。アフターバーナー点火、F-2のF110エンジンが咆哮を上げ、軽量化された機体の速
度を押し上げる。
なかなか、小癪な真似をするじゃないか――!
音速を突破し、魔力弾の豪雨の突破を図る最中、メビウス1は何故か笑みを浮かべていた。
ゴーストアイの装備する極端に大きなレーダーならともかく、戦闘機に搭載されるレーダーはどうしても機体のサイズの関係で性能がある
程度制限されてしまう。二つの目標を捉えても、距離が近すぎればシステムが一つの目標と判断してしまう。あの魔導師たちはそういった
戦闘機の搭載するレーダーの性能の限界を知った上で、この奇襲を仕掛けてきた。
「となれば、これから先に出てくるのは……」
六課に託した、自身が考案した対戦闘機戦の戦術。その中に、確かに「極端に距離を詰められるとレーダーは複数の目標も単一と判断する」
と言うのがあった。上手く利用すれば、奇襲を仕掛けられるとも。
雲を突き抜けると、魔力弾の豪雨はもう降ってこなかった。周囲には、青一色の空が広がっている。
振り返ると、どうにか突破できた味方戦闘機がいた。ウィンドホバーのF-16C、アヴァランチのF/A-18F、スカイキッドのMir-2000。しかし
ただそれだけだった。残りは突破できず撃墜されたか、今もあの雲の中で逃げ回っている。
「こちらメビウス1……お前たちだけか、突破できたのは」
「こちらウィンドホバー、そうだ。俺の隊は二機やられた……」
「スカイキッドだ。一機撃墜されたようだが、残りはあの雲の中だ」
「アヴァランチより各機。俺の方はみんな無事のようだが、突破できずにいる……メビウス1、俺たちだけでも充分戦える。反転して魔導
師たちを蹴散らそう、タネが分かっちまえばもうこっちのもんだ」
「そうしたいのは、山々だがな……」
レーダーに、あらたな敵影。今度の魔力反応は、今までの比ではないほど大きい。それらが四つ、高速で接近してくる。
「ゴーストアイより各機、まずはそいつらを落とせ。友軍はまだ持ちこたえている、魔導師への攻撃はそれからだ」
ゴーストアイから指示が飛ぶ。その瞬間、メビウス1ははるか上空で何かが光るのが見えた。
「――ブレイク!」
メビウス1の一声で、各機は一斉に各々最適と判断した方向に回避機動。直後、彼らが今までいた空間を引き裂くのは、見覚えのある桜色
の砲撃魔法。
――来やがったな。
酸素マスクを装着しなおし、操縦桿を握り締める。レーダーによれば、四つの魔力反応も散開、散らばった各機に向かっているようだ。
通信機に耳を傾けると、すでに味方は交戦を開始したのが分かった。
「おいおい、俺の相手は幼女かよ」
「……ってめぇ! その台詞後悔させてやる!」
アヴァランチは負傷が癒えて復帰したスターズ2、ヴィータと。
「機動六課のお出ましか。お手柔らかに頼むぞ」
「そう言わずに、全力で来い」
ウィンドホバーはライトニング2、シグナムと。
「美人を撃つのは気が進まないが……悪く思わんでくれよ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
スカイキッドはライトニング1、フェイトと。
そして――。
「と来れば、必然的に俺の相手はお前になるんだな……高町?」
「はい――その通りです」
すれ違い、互いに言葉を交わす。
メビウス1の相手は、なのはだった。魔力リミッターも一部解除され、本気に近い力が出せるようになっている。
「お互い宮仕えだもんなぁ。大方、本局の要請で参戦するよう求められたんだろ?」
「ええ。メビウスさんも、レジアス中将に頼まれて?」
「俺はまぁ、戦闘機に乗ってる時点で参加決定だしなぁ……まぁいい」
とてもこれから戦うような素振りは一切見せず、世間話でもするような口調で、二人はもう一度すれ違う。
「俺の渡した戦術、見た……よな、見たからあんな攻撃してきたんだろう」
「じっくり読ませてもらいました。これから、実践します」
「OK、見せてもらおうか」
再びすれ違う――しかし、今度は違った。思考を戦闘態勢に切り替えて、メビウス1となのは、二人のエースはゆっくりと旋回し、互いに
向き合う。戦いが始まる直前の、一瞬の静寂。自分の呼吸の音だけが、この広い空に響き渡る。
「それじゃあ全力全開で――行きます!」
「来い!」
そして、静寂は突き破られた。
片や、ISAF空軍のエースパイロット、"リボン付き"。
片や、管理局のエースオブエース、"白い悪魔"。
同じエースの名を背負った者による戦いが、始まった。
本局エゲツナイww 支援
支援!
投下終了です。
と言う訳で円卓です。B7Rです。でもベルカ空軍は出ません。
せっかくエースが対決するならそれに相応しい場を、と考えて円卓にしたまです。
次回は、適当にACZEROの円卓でのBGMを用意してお待ちください。
乙です
既に本局は勝負で負けている気がするw
ここで勝っても辛勝だろうし、それでは戦闘機が無用とは言えないだろうし
>>479 >当初、捉えた魔力反応は四〇だった。残り二〇の魔力反応が、レーダーから消え失せている。
>「ゴーストアイ、残りはどこだ? そっちのレーダーには何も映ってないか?」
>「ゴーストアイからメビウス1、いや、どの魔力反応も正面にいるぞ。数四〇、固まっている。全て編隊の正面だ」
ゴーストアイの得た情報、データリンクで各機に送信されてない・・・いや、ひょっとしてルールに"音声以外の通信禁止"の文があったとか?
6なら友軍機の支援攻撃で本局の空戦魔導師を簡単に撃墜できるのだが
今後の展開が気になるぜ
姫君の蒼い鳥、蒼い鳥・・・千早ですね、わかります。
GJそして乙でした
円卓と名づけたレジアスもGJ
次は円卓BGM、「CONTACT」「THE ROUND TABLE」「THE DEMON OF THE ROUND TABLE」用意して待ってる。
ああああ、ごめんなさい、今になって描写ミスです。
メビウス1が見てたのは自機が捉えたレーダー画面で、ゴーストアイからの
データリンクは別のディスプレイなんです。
まとめサイトの方で修正しておきます、ごめんなさいorz
485 :
sage:2008/07/16(水) 22:29:29 ID:BFbFk7Od
GJ
ところでAAMが日本製なのは気のせいか
>>485 sageはメール欄だ。
しかし本局えげつねえ……。
まあ、戦闘訓練すらせずに5歳児を実践投入するのは良いくせに、質量兵器は一度作ってしまえば子供でも使えるから駄目とか訳の分からんこといってる所だからこれ位しかねんな〜
GJです!!たまたまZERO聞いている時の投下・・・・・・・ピンポイントすぎるwwwww
時間もたったみたいなんで50分から投下します。今回も約22K。支援よろしくです。
DHS氏の後に、時間を置いて、PCから発掘したネタの一つを投下させていただきます。
一発ネタ的な短編です。
クロス元を先に書くとオチがアレなのと、今のところ連載を増やす心算がないことから、
その辺りは終了時に明かします。
>>484 投下お疲れ様でした。
次回に向けて非常にワクワクさせる展開で、楽しんで読ませていただきました。
エース同士の対決を楽しみにしています。
>>487 支援
GJしかし実用性は十分証明されたな。
<<支援対象が増えたな、こりゃ働き甲斐がある>>
ついでに
>>485 エースコンバット世界でもF-2が搭載しているのはAAM-3とAAM-4なので
合わせてみました。あっちの世界でどこの会社がミサイル作ってるかは
はっきりしてませんし、そもそも一国の空軍にあらゆる機種がひしめいて
ますから、突っ込むのは野暮ってことでどうかお願いします。
それでは投下します。さるさんが怖いぜ。今回は動きが少ないです。あしからず
私たちがレリックを護送している間に起こった更なる出来事。謎の勢力の出現、謎の男性の出現。
それを助けてくれたのは一人の拳銃を持った男の子だったんだけど、私たちは管理局員。事情聴取という形でお話を聞くしか無かった。
何も権力をちらつかせて来てもらおうとフェイトちゃんも思ったわけじゃない。シグナムさんも別に見下していたわけじゃない。
だけど、あの人との気持ちはすれ違って、戦うということになっちゃった。
謎の右腕を持った彼が去って行った先は、私の故郷。私とはやてちゃんの生まれ故郷、そして、フェイトちゃんも加えて思い出を作った場所。
その世界の名前は・・・・・・地球。
魔法少女リリカルなのは DEVIL HUNTERS 第5話「地球」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
誰もが口をきかず、ただディスプレイに映された映像を見つめている。
機動六課部隊長室。ここにスターズ・ライトニング両分隊体長陣とメカニックデザイナー及び通信主任のシャーリーが集結していた。
言わずもがな映し出されているのは先のエイリム山岳地帯で起きたレリック回収任務の際に記録された映像。ガジェット。謎の赤い男、アンノウン、異形の右手を持つ青年。
新人達にとっては予想を遥かに超えた初出動となった。そしてここで、この出来事の検証が行われていた。
「それで、まずこの謎の人形と獣たちについてやけど、シャーリー、何か解ったことはある?」
部屋の窓際中央に据えられたデスクからはやてが問う。その表情は先の任務終了後とは違い、落ち付いている。
「やはり魔力反応のみが検出された程度しか・・・・あと、現れたときの魔法陣がミッドチルダ・ベルカ式双方共と違うということだけでしょうか・・・・・・」
「ほとんど何も解ってないようなもんやね・・・・・戦ったフェイトちゃんの感想は?」
体調陣の中では唯一交戦したフェイト。だが、彼女にも分かることは無かった。
「・・・・・戦いの最中、妙なプレッシャーがずっと気になってたって所かな」
その言葉にはやてが首を傾げる。
「妙なプレッシャー?AMFとは違うよな?ガジェットは全滅してた後だし」
「私が駆け付けた時にはそのような物は感じませんでした。そうなると恐らく」
シグナムの言葉を代わりに言ったのはなのはだった。
「そのアンノウンから何らかの干渉があった・・・・・ってことかな?」
その言葉にフェイトも頷く。
うん。多分そうなんだと思う。だけど、AMFとは違って魔法は普通に使えたから。それに、気分が高ぶってるときにはそんなに気にならなかったし」
「ますます訳がわからなってきたな。それじゃ、それは置いとくとして」
はやてのその言葉と共に映されたのは、二つの映像。赤い男と青い青年。それが映された瞬間、場の空気が変わった。
「まずはこの先に現れた赤いコートの人。スターズの2人とリィンが当たったみたいやけど・・・・・・」
「すみません・・・・・・リィンがしっかりしていればですぅ」
リィンが頭を垂れる。表情もしょぼくれている。
「仕方あらへん。正直あの状況では確保できひんかった。今まで何人の局員があたっても捕まえられへんかったんやから」
『今まで』・・・・・・それに反応したのはなのはヴィータだった。
「今まで、つーと、例のロストロギア強奪犯ってやつか」
「うん、赤いコートに人の背丈ほどもあるアームドデバイス、二丁の質量兵器、拳銃に銀髪。各地の局員の証言通りの特徴だね」
フェイトの言葉で、皆が件の襲撃犯は彼だと確信する。一部報道規制が入っているみたいだが、局内ではある程度知れる出来事であった。
特に以前は四課が襲われたとの事もあって、執務官のフェイトの存在も相まって、六課にもそれなりの情報が入ってきていた。
「それにしても、ティアナとスバルが無事だったのは良かったよ」
安堵の表情を浮かべるのはなのは。相手は局内では凶悪犯とされる人物だ。怪我が無くて良かったものだ。
「それは確かにそうやな・・・・・・・・シャーリー」
それに同意したのち、先を促すはやて。
「はい。短時間でしたが、それなりのデータは取れました」
軽く苦笑するシャーリー。だが、次にはもうその表情は真剣なものとなっていた。
「推定ランクはAA+以上」
AA・・・・制限を受けているなのはでAA+。彼はそれと同等以上の魔道師だという。予想以上に手ごわいようだと思った面々だった。
「それに、証言にもあった背中のアームドデバイスですが・・・・・・あれはデバイスではないことが判明しました」
「「「「!?」」」」
デバイスではない。では形通りの剣だということか。
「恐らく、武器としての剣でしょう。ですが・・・・・・・・・多量の魔力を帯びているのは確認できました。多分、ロストロギアの類かと・・・・・・・」
「ロストロギア・・・・・・・・・デバイスを持たない代わりということか?」
シグナムが疑問を口にするが、その問いに明確に答えることは出来なかった。
「すみません・・・・・そこまでは・・・・・・・」
「いや、いいんだ」
シャーリーが謝罪の言葉を口にするが、シグナムはそれを制す。そこで、赤い男についての議論は一先ず終わり、次のフェイト達を助け、そして同行を拒否された青年へと話は変わる。
「次は、後に現れたこの人やね」
映し出されるのは、あの布袋を打ち抜き、最後に出現した黒い異形を瞬殺した映像。
「ごめん、はやて・・・・・それにシグナムも・・・・・」
捕まえられなかったことに対する謝罪、痛い目にあわせてしまった謝罪。だが、それ以前に、あのような戦闘の形へと持っていってしまったこと自体に負い目を感じている。
確かに、礼はしたし、なるべく言葉を選んだつもりだった。だが、よく思い出してみると、相手は自分の言い方に不快感を持っているように思えた。
悪人には見えなかった。だから戦わずに話を聞かせてほしかった。だが、ミッドチルダで拳銃を所持していた事、そしてアンノウンについて何か知っているだろう事が、フェイトの言い方を固くした。
穏やかに話を聞きたい自分がいる。だが、管理局員として、執務官として法を厳守する立場での自分がいる。うまく折り合いがつかない事に、悲しみを感じた。
「ええんよ。シグナムも・・・・な?」
「はい。テスタロッサ、負い目を感じることはない。それに私も正直、心が昂ったんだ」
「え?」
正直な感想を述べるシグナム。その様子にフェイトはきょとんとしてしまった。
「銃を使うとは言え、奴は剣士だった。しかも今までに会ったことのないタイプだった。随分と熱い戦いだった。まぁ、最後の『アレ』には驚いたがな」
その言葉に連動したように映し出されたのは、青年にシグナムが刺突を決めた時。ダメージを受けるはずの攻撃は、青年の人ならざる右腕によって受け止められていた。
「あれは・・・・・・・・」
「なんだよ・・・・あれ・・・・・」
驚きの表情を浮かべるのはその時の光景を見ていなかったなのはとヴィータ。その人とかけ離れた様相の腕、そしてシグナムがあっけなく岩壁にたたきつけられたこと。
「まさか、腕が伸びてくるとはな・・・・・・ふふ、迂闊だった」
あんな目に合っておいて笑みを浮かべられる、その様子にヴィータが「このバトルマニアめ・・・・・」と思ったのは内緒である。
「その彼についてなんですが・・・・・・・」
シャーリーが口を開く。その口ぶりからしてこちらも何かありそうだった。
「はじめは推定ランクDかCとなっていたんですが・・・・・・・・・・・」
「なにかあったんか?」
はやてが促す。
「彼が、右腕を出した途端、魔力量がアップしまして・・・・・・・・・・」
そこで一度、言葉を切るシャーリー。
「推定ランク・・・・・・・・AA+・・・・先と同じです」
「「「「っ!?」」」」
皆が息を飲む。そのランクだけではない。DないしCランクの身で、始めはフェイトとシグナムと互角の戦いを演じていたという事実に。
魔力が感知できるのなら当然魔力を応用した攻撃を繰り出すことが可能であると推測する。
だが、そこに更なる驚きの事実が告げられる。
「それで、高ランクの魔力を持つと思われるこの二人なんですが・・・・・・・・・」
それは普通であれば考え付かない事。
支援
支援する!
「リンカーコア自体からは、ほとんど魔力が感知されなかったんです・・・・・」
魔力の源たるリンカーコアから魔力が感知できないのに魔力反応はあるということ。
「ちょっと待って!?それっておかしくあらへんか?」
「うん、リンカーコアから魔力が出ないのに魔力が感知されるなんて・・・・・・」
シャーリーの報告にはやてとフェイトが食いつく。無理もない。自身の常識とはかけ離れている。
「はい。それが異常なんです・・・・・でも、魔力は感知されるのでして・・・・・」
「ロストロギアの影響とはまた違うのか?」
シグナムの指摘にシャーリーは首を振る。
「はい。ロストロギアのような反応は初めの赤い人はともかく、この彼には・・・・」
「それならこの右腕がそうなんじゃねーのか?」
ヴィータも予想を立てるが、しっくりくる理由とは言えなかった。
「でも、人の腕がロストロギアっていうのは・・・・」
なのはの言う事はもっともだった。いくらなんでも人の身がロストロギアとは考えにくい。
「人に寄生するってのは聞いたことあらへんしな・・・・・・」
「だけど、彼の手は普通じゃなかったよ・・・・・・上から何かをかぶせているといのも違うと思うし」
「テスタロッサの言うとおりです。確かに人の腕ではありませんが、あの男の腕ではありました」
場が鎮まる。考えても考えても解らないことだらけ。アンノウンも然り。場が沈黙に包まれる。その中で、はやての大きなため息が響いた。
「わからんことをこれ以上どうこう言っても仕方あらへん。こうなった以上、逃げた男の子に話聞かせてもらうしか方法はないやろ。シャーリー、解析できたんやってな?」
逃走先が割れたとの報告を聞いていたはやてはシャーリーに答えを望む。しかし、当のシャーリーはどこか言いづらそうだった。
「はい、術式が違うみたいでだいぶ難航はしたんですが・・・・・・・・・・・」
そして出てきたのは予想外の地名だった。
「解析・・・・・・・できました・・・・・逃走先は、第97管理外世界・・・・・・・・『地球』です」
「えっ!?」
「うそっ!?」
「なんやて!?」
「なんだと!?」
「マジかよ!?」
第97管理外世界、現地呼称『地球』
正確には現地世界の宇宙、太陽系第三惑星の名であるが、特に現地では地球外の知的生命体の存在が確認されず、管理局側では世界名=地球といっても差支えない位である。
その地はここに集まるもの達には馴染みの深い世界である。
部隊長、八神はやて及びスターズ分隊長兼戦技教導官、高町なのはの出身世界であり、彼女らとフェイト、ヴォルケンリッターの面々が出会った始まりの地。
今、目当ての人物が逃走した先は、その馴染みの地であった。
「地球に逃げ込むとはな・・・・・・・・・」
いち早く我に帰ったシグナムが呟く。だが、この時彼女達は知る由もなかった、彼は逃げ込んだのではない。『逃げ帰った』のだと言う事に。
「全ては話を聞かんとなにもわからんということか・・・・・・・・・・」
はやてが意を決したように言う。顔を上げ、皆を見回す。
「上に掛け合ってみるわ。短期間だけでも調査の許可を出してもらおうと思う。クロノ君達にも協力してもらってな」
掛け合う・・・・・・それは六課の地球での活動を承認してもらおうというもの。魔法の発達していない管理外世界だ、好き勝手にやるわけにはいかない。
そして同時に、この一連の謎を解き明かそうということ。
「今度こそは戦いじゃなくて、お話でなんとかしよ?誰もむやみやたらに人と戦いたいなんて思ってないんや」
はやての問いに、皆は力ずよくうなずいた。
「ド派手にかましたらしいな、ネロ」
「あやまればいいのか?」
「まさか。悪魔とやり合う以上何も知らない奴らとぶつかるのは仕方ないさ」
城塞都市フォルトゥナ魔剣教団詰所内の一室にて、ダンテとネロ、そしてトリッシュの3人が居た。
ネロがミッドチルダから帰還した後、しばらくしてダンテ達が訪ねてきたのだ。ダンテも先の事件の誤解は解消されている。捕まるということはなかった。
むしろ、スパーダの実子というのがばれて何時か大劇場の中央に父と同じように祀られるのではないかと心配していた。
「それに、相手の面拝まないで話をするのはあまり好きじゃないんだ。ま、状況が状況だからこっちの方にとどまってるのさ」
テーブルに足を乗せたダンテがおどけたように言う。
「おかげで店は休業さ。たいして金にならない仕事だがな」
そういってぼやくが、裏の世界では悪魔などのオカルト絡みの仕事にはタダ同然の依頼料でも飛びつくというのは有名な話である。
人間界に蔓延る悪魔を滅する。ダンテの背負った使命でもあり、宿命でもあり、彼自身の私怨故でもある。
「普段もそんなに仕事してる訳じゃないけどね」
トリッシュが皮肉る。
「俺は週休6日制がポリシーなんだ。そしてピザとストロベリーサンデーが俺のライフスタイルなのさ」
両手をあげて反論するダンテだが、正直反論になっていない。
「日本のゆとり教育も真っ青ね」
「で?これから俺はどうすればいいんだ?」
「ほんとならネロにも色々やってもらいたかったんだがな・・・・・」
ネロの問いにダンテが両手を開いて鼻をならす。表情はわざとらしく『困ってます』といった感じだ。
「この間のアレから少々やりずらくなってな、ちょいとスマートにできなくなってきたんだ」
「どういうことだ?」
「確かに強奪ばかりしてきたが、こっそり頂くってのもやってたんだがな、流石に連中も知恵を絞り始めてな、警備が強くなったらしい」
要は、これからは強奪の比率がさらに上がるということだ。
「それに、なんだかキナ臭くてな。こっちで調べたいのが色々出来ちまったんだ」
「だからしばらくはお預けってこと」
トリッシュが結論を述べる。
「そうかい。だけど、そのうちまた暴れることになるんだろ?」
「状況次第だが、この様子だとそうなるかもな」
その言葉にネロは「わかった」と言って、席を立つ。
「それじゃ、また何かあったら連絡くれ、その逆もあるかもしれないけどな」
立ち上がったネロにダンテが問う。
「なんだ?これから用事か?」
その問いにネロがニヤリと笑みを浮かべる。しかしながら若干照れているようにも見える。
「キリエを待たせてるんだ。今日は閉店さ。悪いな」
キリエの名を聞いて、同じく笑みを浮かべるダンテとトリッシュ。
「あのお嬢ちゃんか。お手手つないでお散歩か?」
「お熱いことね。青春ね」
「言ってろ。あと、変なマネしないで帰れよ」
2人を残し、ネロは一足先に部屋を後にする。
「戻るか」
「そうね」
そのすぐ後に2人も部屋を後にする。ダンテは出された飲み物を飲みほすのも忘れなかった。
実にダンテだ。支援
「ネロ」
フォルトゥナ市街地にある大劇場前、大きな噴水の前に彼女は居た。
「キリエ」
ネロが愛するたった一人のかけがえのない女性、キリエ。彼女ぬに向かってくる彼の眼はとても穏やかなものだった。
「待たせたかな?」
「ううん、大丈夫」
決して他の人間には見せることのない表情。人生を賭けて守り抜くと誓った彼女にのみ向ける笑顔。
かつてのサンクトゥス一派の暴走からそれなりに経った。あの時、お互いの気持ちを伝えあった二人はこうやって度々出かけるようになった。
皮肉なことに先の事件による組織の崩壊が彼らに余裕を与えた。
教皇が不在となり、幹部のほとんどの席が空き、随分と当時は混乱した。騎士団長にネロという意見もあったが、彼は頑なにそれを拒否した。
代わりに一騎士として残ったが、以前の様に都合の良い便利屋のような扱いはされなくなった。そこにはダンテの存在も一部関わっていた。
スパーダの実子たるダンテが拳銃を扱い、その後の研究において、スパーダは、近代においては銃を使ったという事実も見つかり、卑しい者というレッテルを貼られることもなくなった。
組織再編が進んだ今では、一部拳銃を使う教団騎士も出始めているそうだ。
また、新たに就任した教皇はネロある程度の自由を認め、キリエは歌姫という立場からそれほど拘束時間は少なく、こうやって2人で出かけられるようになったわけである。
ちなみに、今ではネロとキリエは同居している。お互い親類の居ない身、惹かれあっているのは明らかで周りも反対することも無かった。
「行こうか」
「うん・・・・・」
特に言葉を交わさずに握ったのは互いの手。キリエはネロの左側に立ち、ネロは右手を差し出して歩き出す。
「フォルトゥナ・・・・・・・・『悪魔』を神と崇める街か・・・・・」
シグナムが呟く。そう、ここ城塞都市フォルトゥナに機動六課から人員が派遣されていた。
「あんまり、いい響きはしないですね。『悪魔』って聞くと」
管理外世界に逃げたとされる重要参考人についてはやてが上と話をつけたところ、1週間の猶予が与えられた。
管理外世界に無用な混乱をもたらすのはタブーであり、魔法の存在がばれない事を厳守した上で時間が与えられた。時間も1日たりとも延長はあり得ないという。
とはいえ、後見人達の協力もあってこうやって時間が取れた。部隊本来の機能を損なうわけにはいかない為に、ある程度自由が利くフェイトとシグナムが派遣された。
「しかし、2000年前に人間界を救った魔剣士か・・・・・・・・変わった宗教だな」
「神話ならではのエピソードってことでしょうか」
すでに2日を消費した。目当ての銀髪の青年は見つからなかったが、その分、この地の文化に対するリサーチは出来た。
2000年前に人間界を救い、後にフォルトゥナを治めた魔剣士スパーダ。人間に味方した『悪魔』ということだが、フェイトはその『悪魔』という言葉が気になった。
あの時リニアに現れた異形達もまた『悪魔』と形容できるようなものではないか。
「まさか・・・・・ね」
しかしそこまで考えて首を振り、思考を止めた。『悪魔』などおとぎ話の世界に登場するものだ。あれも何かの魔法的に作られた何かのはずだ。
「魔法というものを使っていてとそんな事を思うのは」とと言うのは管理外世界の住人が思う事だ。
管理世界の住人にとって、魔法とは科学技術と同列。あくまでも『神秘』の行使ではなく『技術』である。彼らにとっては魔法はすぐ目の前にあるありふれたものなのだ。
「しかし、叶うのならそのような伝説と剣を交えたいと思うのは私の性なのだろうな」
「あははは・・・・・・・」
ニヤリと笑うシグナムにフェイトは苦笑を返すしかなかった。
「それはそうと、一刻も早く見つけないとな。時間も限られている」
「そうですね」
容姿等は分かっている。だが、難航したのにはそれなりの理由があった。
彼女らからしてみれば件の青年、すなわちネロは、管理外世界に潜伏する管理世界の住人と認識されていた。
故に、自分を嗅ぎまわる人物には気をつけているだろうということであまり、積極的な聞き込みなどは行われなかった。
ここの界隈で見知らぬ人間が、見知らぬ人間を探す。それだけで、どこからか噂というものは生まれ、それを耳にした目標が逃げてしまっては元も子も無いのだ。
「だが、時間を考えると、堂々と聞き込みをした方がいいかもしれんな」
「記録映像からとった写真はありますからね」
早急に任務を達成する。ならば、逃げられる前に、相手の耳に情報が行く前にこちらが見つけ出す。そう思い、2人は写真を使って聞き込みをすることにした。
そして、それにより2人は認識の間違いに気づき、すぐに答えに行きつくこととなる。
市街地で最も栄えている地区、大劇場周りにて聞き込みを開始した2人だったが、目標の人物についてあっけなく情報が得られてしまった。
それは、一人の老婆に声をかけた時だった。
「すみません、御婆さん。少しお話を聞かせてもらってもいいですか?」
声をかけたフェイト、そして横のシグナムを見つめた老婆は快く答えてくれた。老婆はフードを目深にかぶっていたが、表情は柔らかい事が解ったのだ。
「外の方ですかな?・・・・いいですとも。この老い先短い老いぼれに答えられることならいくらでもお答えしましょう・・・・・」
その答えにシグナムがすかさず「感謝します」と頭を下げた。
「ありがとうございます。それで、この人を探してるんですが、見た事は有りませんか?」
青年の写真を手渡すフェイト。写真を見た老婆はそれを見た途端、感嘆の息を吐いた。その様子に、「まさか?」と思う2人だったが、そのまさかだった。
「おお・・・・・・・これはこれは教団騎士のネロ様ではありませんか」
「え!?ご存じなんですか?」
フェイトが驚きの表情を浮かべる。横に立つシグナムも同様だった。
「はい。この方は魔剣教団騎士のネロ様でございますよ。この街を救ってくれた英雄の1人で・・・・・」
そう言ったのち、老婆は言葉を続ける。
「悪魔の右腕を持ち、その力で、街を救ってくださったお人です。それに歌姫のキリエ様とはもうそれはとてもとても仲が宜しいようで・・・・・・」
「そのネロさんに会いたいんです!どこに居るかご存じありませんか?」
予想外の当りにやや興奮気味のフェイト。幾分か老婆も気押されながら答える。
「は、はぁ・・・・・・・・先ほどお二人が歩いて行くのを見ましたが・・・・・・・おそらくミティスの森の方に出かけられたのでは?」
「ミティスの森?」
「はい。あちらの山の方にあるんですがね、市街とは違って自然が多く残ってるのですよ。しかしながらまだ危険もある所でありましてな行くのならお気をつけなされ」
老婆は注意を促す。
「ネロ様が付いておられるならキリエ様も危険はありませんでしょうが・・・・・・お二人ともは大丈夫ですかな?向こうには教団の本部もあります故、騎士がつくかもしれませんが」
そう言う老婆だったが、フェイトは「必要ないですよ」と述べ
「私たちもそれなりの護身の心得はあるんですよ?」
と微笑んで見せた。それを見た老婆は表情を崩し
「それなら無理に止めはしませぬ、何か大事な用がおありのようですから・・・・・・」
直感的に何かがあると悟り、無理な引き止めはしなかった。
「そうなんです・・・・・・・それじゃ、行ってみますので」
「ご老人、ありがとうございます」
「いえいえ、なにがなんだかようわかりませんが、お気を付けて」
やり取りもそこそこに、老婆は去って行った。それを見届けたフェイトはすぐさまシグナムに向き直り、
「ああ」
言いたい事を感じたシグナムは頷いた。
すぐに2人は目的地へと歩き出した。
「まさか、ここの住人とは・・・・・・・・」
「はい。驚きましたけど、やっぱり・・・・・・・」
何かを知っている。フェイトは今度こそは失敗しない事を胸に誓い、歩いて行く。
2人が向かうは、ミティスの森。フォルトゥナ城を過ぎた辺りにある、ラテン語で「優しい」を意味する広大な森だ。
「ここは、やっぱり静かね・・・・・・動物の鳴き声と川の流れの音だけ・・・・・・・ネロはそう思わない?」
「いや、いいところだとは思うさ」
ミティスの森でネロとキリエの2人はゆったりとしていた。何をするでもなく、ただ寄り添い、自然を感じる。
自然は人の心を癒し、恋人の存在はさらにそれを加速させる。ただ、静かに2人でいることが若い二人には幸福だった。
特にネロは、キリエがいいならなんでもといった感じだ。普段のはねっ返りぶりとは正反対である。
「でも悪魔が出たら危ないだろ?」
「でも、ネロが守ってくれるでしょ?あの時も・・・・・そうだったし・・・・・・・」
思い出されるのはあの全てが解決した日。2人の初めての接吻を邪魔した悪魔をネロは完膚なきまでに叩き潰した。それを持ってこられるとネロの顔も赤くなる。
「まぁ・・・ね・・・・」
鼻を掻き、照れ隠しをするネロ。そんな彼の様子を見て、キリエは優しい笑みを浮かべていた。
そして、また今度も、2人の雰囲気をぶち壊す相手と言うのが現れるのである。
「ネロ・・・・・・さんですね?」
突然呼ばれた名前、首を向けるとそこには、前にネロが剣を交えた相手が居た。
「時空管理局だ・・・・・・・・」
「私たちは戦うつもりは全くありません・・・・・お話、聞かせてもらえないでしょうか?」
要件を伝える二人を睨むネロ。
「ネロ・・・・・・・」
「キリエ・・・・・・下がってろ・・・・」
心配そうに顔を向けるキリエを己の後に下がらせる。そして、右手のコートの裾をまくり、左手は背中のレッドクイーンに添えられる。
「何しにきやがった?」
ガンを飛ばすネロだったが、向けられたフェイト達は怯えずに言葉を返した。
「私達に、認識の差異があったようだ。それを謝罪したいと共に」
「ただ、お話が聞きたいんです。私達が知らない事をあなたは知っている・・・・・・私達はそれが知りたいんです」
しばらくの沈黙。ただ、森の音がするのみ。
どれだけたっただろうか、ふとネロが剣に添えていた左手を下ろした。それを見て、安堵の表情を浮かべるフェイト。しかし
「え!?」
「!?」
下ろされた左手はすぐさま懐の拳銃を握り、フェイトに銃口を向けていた。
「なんで・・・・・・・・・」
ろくに言葉を発する暇もなく、躊躇なく引き金は引かれた。二連リボルバー故の重い射撃音を響かせた銃口からは、硝煙が漂っていた。
し、支援だぜ!
支援!
なんだかんだ言って動いてるじゃねいかww
支援!!!!!!
「え・・・・・・・・?」
しかし、フェイトには何もなかった。そして、ふと気づいたように後ろを向いた時
「これって!?」
「記録のあれか!」
一体のスケアクロウが風穴を開けられて、もがいていた。しかし、敵はそれだけではなかった。後方には何体もの敵が集結し、君の悪い音を鳴らしていた。
「あ、あの!」
また助けてもらった。それに対して言葉を紡ごうとしたフェイトだったが、
「めんどくせぇ話は後だ。まずはこいつらぶっ殺す」
すでにネロは敵を見据え、戦闘態勢に入っていた。右腕は妖しく輝き、その存在感を出し、左手は今すぐにも敵を屠るべく、トリガーに指がかけられていた。
「テスタロッサ!どうやらそういうことらしい」
「・・・・わかりました」
ひとまずの進展が見られたかと評価した2人は彼と同じく、敵を見据え、己のバリアジャケットと獲物を出現させる。
炎の魔剣と雷の杖、レヴァンティンとバルディッシュ・アサルトが剣となり、鎌となる。
「キリエ・・・・・・・」
「ネロ・・・・・・・・」
不安そうにするキリエにネロは向き直り、
「すぐに終わらせる。だから・・・・・待っててくれ・・・・・・・・君は俺が守る」
「・・・・・・・うん」
愛する人に誓いを立てる。
「さて・・・・・・・いっちょ派手に遊ぼうぜ!クソッタレ共!!!」
狩人達は、悪魔の群れへと身を躍らせた。
To Be Continued・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
投下完了です。今回は戦闘が無いのでおまけ無し。
正直、難産でした。当初プロットでは六課勢揃いさせるつもりだったのですが、時間軸っていうか仕事放棄させるわけにもいかんので
皆の嫁と姐さんにフォルトゥナに出張ってもらいました。
正直、4の後の状況を考えるのは辛かったです。悪魔の右腕のせいでネロがはぶられるわけにもいかんし、教団が無くなったら戦う理由が半減しちゃうし。
なかなかにご都合主義な会で申し訳ありません。
あ、ちなみに、プロットの奴では、六課をダンテモードのときに通るフォルトゥナの大通りにあるホテルに宿泊させるなんて計画もありました。
それでは支援ありがとうございました。
>>506 GJっした!!更新早くて嬉しい限りです。
しかし魔法至上主義な弊害がこんな形で出てくるとは。
目に見える物しか信じないってのはロマンが無いですなぁ。
さてこの2人は今度こそオハナシキカセテ任務を実行できるのか?
後シグナム、戦闘狂自重&空気嫁。
あ、あと宣伝みたいな感じになってしまいますが、前にうpろだにあげたタイトルロゴの画像をアップしときました。
宜しかったらごらんになってください。
DHS氏乙です
・・・しかし今さらだけど、質量兵器ダメで戦力は魔道士だけって横暴にも程がある設定だなぁ
ぶっちゃけ才能のないヤツは能無のゴミ、って遠まわしに言ってるようなもんじゃないか。
0:00頃から投下を開始します。
魔法先進国ミッドチルダに有利な魔法はOK。
でも驚異になる魔法はロストギア。
魔法後進国でもミッドチルダの驚異へ脅威を与える可能性がある技術は質量兵器。
>>509,511
なんとなく管理局アンチの気持ちが分かったような気がする
少しだけ
投下を開始します。7kbの4分割です。
支援!
最近は頭痛が酷くなってきた。鈍く後を引く悪質さ。煩わしいこと限りなし。針でも突き刺して
おきたいものだ。こめかみを指圧すると、痛覚に甦る鋭利さが心地よかった。反射で閉じた瞼は、
それを未練がましく逃すまいとでもしたのか。
見上げると空は、あおあおとして高かった。鮮やかな色彩に網膜の深奥を灼かれ、右腕で陽光を
遮った。際限のない高さは、何もかも吸い込む深い水底にも思われた。「今にも落ちん」とは巧く
言ったものだと思う。
見ている自分が落ちて行きそうだった。周囲に聳える数々の摩天の楼閣が無ければ、地から足が浮く錯覚にでも見舞われたやも知れぬ。
と思えば、額に滴。
掲げた腕の袖を捲ると、肘の裏がかすかに、汗で濡れていた。踵を返して腕をおろすと肩の中が
歪んだ。痛覚が走っていた。
「ち」
忌々しくなって掠れた息を吐き出してやっと、水を摂っていなかった事を思い出す。そういえば
今日は昼飯も喰らっていない。
軽く済ませるか。そう思いぐると腕を回すと、ごり、と骨が鳴る。
すると反対も、つられたかのように痛みを増した。ついでに背中が張っていた。実に忌々しい。
忌々しい限りだ。
鬱憤というのが相応しいか。
どうにもならぬ現状への消極的な、煩悶染みた種類のやるせない鬱屈した怒りだ。何もかも煩わ
しくなって、厭わしくなる。心からそのように思うわけではないのだが、どうにもならない現実を
前にして、苛立ちは募り、蟠る。
若い頃は酒で紛らわせていたが、今はそんなことはしない。酒の力を借りて一時だけの安らぎを
得たところで、問題の根本がどうにかなるわけではない。「安らぎ」らしき物を、酒で買うような
年でもない。
それだけのことが可能な若さがあれば。
頭痛や肩凝りや胸痛や腰痛や胃腸の弱体化に悩んだりはしない。
そういえば黒かった一本が最近、また白くなったと思いが至った。
というのは髪の話である。
「此方に回せ。五分で片づける」
『はっ』
舎へ戻り椅子に腰を下ろしたところで白髪が減るわけではなく、仕事は増える一方だ。
増えると言うよりは処理しきれぬ分を全て一身に引き受けているからなのだが、変わりはない。
モニターの向こうの部下はすぐにウィンドウを閉じて消えた。
そして現れるは大量の追加ウィンドウ。
全てが数字と署名欄で埋め尽くされているそれだった。いつもの仕事相手だ。
その内一つに目が止まる。
またか、と声がこぼれた。
パネルを操作しつつ引き寄せると、「出向依頼」とでかでかと銘打たれたそれは、毎度見慣れた
細かな字の羅列だった。下を見れば、知る名前があった。有能な魔導師、才気の片鱗を見せ開化を
始めたばかりの有望な男だ。
どうせなら「引き抜き要請」とでも明け透けに題すればよいものを。データの削減くらいしたら
どうなのだ。
これだから本局は。
レジアスはそう思う。
支援せざるを得ない
憤りと同時に虚しさがこみ上げてきて、レジアスは机に肘を乗せ掌を組み額を押し付け、暫しの
あいだ目を閉じて静かに呼吸をした。
火を噴くような激しい怒りは無い。時空管理局本局による、地上本部からの魔導師・人材の引き
抜きはこれが初めてのことではない。日常茶飯事と言っていいくらいの出来事だった。
漫然としてたゆたっている、溶岩のようなどろどろとした激情があった。同じいびり方が余りに
長い間繰り返されていて、堪忍袋の緒は切れるどころかゆるゆるに伸びきってしまっていたらしい。
署名をして浮かび上がる感情は、どこかやるせなさを含んでいて、植物然としているようだった。
その先を見てみると、同じ件名のパネルが三枚見えた。すべて引き抜き。どれも有用な人間。
腹立たしいことこの上ない。「陸」を蔑ろにしているのは明々白々だ。
(盗人め)
丹精込めて育て、常に気を配り目をかけてようやく実った「果実」を、横から泥棒にでも掻っ攫
われている様な気分だった。
されど署名はする。拒絶したところでどうせ、本人に金と権力をちらつかせるのだから、抵抗に
実質的な意味はない。
その代わり、レジアスは思う。
「愚か者が」
目の前の脅威より大局の安全を、と本局は言う。
そのためには魔導師が必要。人材が必要。だから寄越せ。地上に戦力など要らぬ。
馬鹿げている。と、その度に思うのだ。
目の前の火の粉を振り払えぬ者に、どうして大火を鎮められよう。
いや。
(鎮める気など無いのだ)
思考を切り上げるときにレジアスはいつも、そのように結論を付けるようにしていた。矛盾など
無いし、漫然と熱いちろちろとした火を残すことができる。
火は内側に燃え残り、反骨心じみた動力をレジアスに与え続けていた。
今にきっと、今にきっと。
そんなふうに思い続けて、苛烈な責務をこなしていくのだ。
やがて疲れ果て、家路に就く。
その後強烈に眠くなれば眠り、眠くならなければ飯を食す。飯を食えばどうせ眠気が襲い来る。
それがレジアスの毎日だった。牢獄のように理不尽な。
子を生し年を取り財を残し、それでなお死ねぬのは生物としてどうなのかと、そのように考える
ようになった。
人間五十年とは言うものの、医学が進歩した今現在は、其れよりも長く生きる者は多い。次なる
世代を生み育み、それでもう生命体としての役目は終わりのはずなのに、それ以上に人を生かし続
けるものは何なのだろう。
普遍的な答えなどあろうはずもない。人の生きる理由や目的は、それぞれ違っていて然るべきだ。
勿論何の根拠も持たず、ただだらだらと生きている者も居ようが。
では、自分は何に生かされているのか――そう考えることがあった。
しかしそれも少し前の話だ。最近ではこの問が頭に浮かぶことはない。答えはいつも、レジアスの
内心では、毎回が同じ場所に完結するようになっていた。
ミッドチルダを愛している。
それがただ一つ、レジアスの根底を支えているものであった。
できることなら自らが魔導を操り、守っていきたいと子供の頃は願いもした。
だが魔力を持たない者は、才能の壁以前に、その壁の前に立つことすら許されなかった。
凡人以前の「無能」。
だから必死に、無能なりに戦い続けるしかなかった。
そして抗い、足掻き続けた。
結果がこのザマである。
(老いたな)
そんな事を考えるということは。
それはつまり、がむしゃらに進むことができなくなっているということで。
若さを失って久しい、いい証明になっているようだった。
繰り返す。
(俺は老いた)
レジアスは疲れていた。
死もそう遠い未来の話ではあるまいと、そんな事をもふと思うくらいには。
胸を張って死ねるかと言われると、汚いことに手を染めたわ目的は完遂できるかわからないわで、
必ずしもそのようには言えない。
しかし信念を歪めたことは一度たりともなかった。
死して記憶の全てを失い、いつか完全なる無に還る日が来るのだとしても、その寸前まで自分は、
ミッドチルダの為に生きてきた、道を曲げずに歩んできたと言うことができる。それだけが唯一、
レジアスにとっては救いのように感じられていた。
日々続いていく怒りと理不尽の中で、それでも頑張り続けていられるのは、己のそのような部分に
起因するのかもしれないと思っていた。
――気付くと、帰りの夜道を随分と歩いてしまっていた。
昼間のやや強い陽気のお陰でそれほど寒くないが、風が吹いていた。手の甲に吹き付けた空気は
意外なほどに涼しかった。
ふとすれば、足もとにこつんと当たるものがあった。
下を見て、形を見て、思う。
(剣?)
鞘にかっちり収められた、ひと振りの剣がそこにあった。
連想し、騎士に憧れたこともあったかと懐古した。思わず手に取って、眺めてみることにした。
いや、待て。
待て。
何故このような場所に?
が、そう思ったのは一瞬だった。
剣は、鞘に入ったままの姿をしても、とても美しいものであると、レジアスにはなぜか分かった。
鞘に施された装飾は、けばけばしくない程度の質素なものだったが、反対にその簡素さがとても
清楚で、中の剣の美しさを絶妙に引き立てているように思われるのだ。
いや、馬鹿な。中身を見ていないのに何故、そんな。
そのように思うのだが、レジアスはすでに「剣」に魅了されていた。どうしようもない、魔性の
ようなものに唆されていく。
焦がれる女の肌に触れるが如くの動作で、ゆっくりとレジアスは、転がっていた剣を手に取った。
どうしてか鳥肌が立った。
「……」
気が付くと、疑念や不信、警戒の心は鳴りをひそめてしまっていて。
レジアスはどうしても、その剣を鞘から抜いてみたくなってしまった。
憧憬の残り香に惹かれるように、背中を押されるような感覚を覚えながら、レジアスはそっと、
鞘から剣を抜き放った――。
「…………承太郎……ポルナレフッ……貴様らの力ッ! 全て『覚えた』ッ!」
「この『アヌビス神』ッ!! 今度こそはッ!! ぜっ……――〜〜〜〜対に負けな……うおォォ!? こ、腰がッ!」
「ニャニィ〜〜!? この『体』! この『疲労』! 頭痛肩凝り胸痛腰痛その上胃腸の弱体化ッ!」
「ぐ……起きろドグサレッ! この白髪全部引っこ抜くぞッ!! このクソカスめがァ――――ッ!!!」
老当益壮不撓不屈。
その手に握るは呪いの魔剣。
地上本部の明日はどっちだ。
リリカルレジアス、はじまります。
ちょwwwアヌビスなにやってんのwwww
リリカルレジアスとうとう来たw
GJ!!
あんたってやつはwwwwwwwww
レジアスwwwwww腰とかwwwwww
というわけで、クロス元はJOJO第三部でした。
小ネタ扱いなのでタイトルとかは特に。
StSを観て一番先に考えたネタでしたが埋もれさせるのもあれかなと思ったので、体裁を整えて投下した次第です。
渋い老当益壮を目指していたこともありました。
ではまた。
GJ!
もうどこまでいってもこいつはwww
おまけにも吹かせていただきました
GJ!!ですw
剣って文字が出た時点でまさかと思ったが・・・やってくれるwww
シールドとBJを透過で肉体だけを切り裂いたり、シューターの弾幕を覚えたぞで
切り落とすレジアスwまたはほしい人材に持たせて操り引き抜きw
まさかのアヌビス神www
あいつって魔法も憶えれるのかね
GJ
アヌビス二刀流シグナム
アヌビス三刀流シャッハ
を以前は妄想しておりますた
ちょっと目を離していたら大量のレスが……w
感想ありがとうございます。
ジョジョクロスだけで幾つかプロットは練っていたので、スバゲッチュが終わったら
これを含めて候補を考えて、ひとつに絞って手を出そうかなと思っています。
まだ先の話ではありますが。
今月は少々リアルの事情がありまして、抱えている長編の更新がほとんど不可能
かなと思い、このような一発ネタの形で投下をさせていただきました。
支援レスありがとうございました!
>>527 魔法を覚えたらッ! レジアスを選んだ理由にはならないッ!
『覚えない』からいいんじゃないか……!
GJ!
アヌビス神「あああーっ これは俺のイメージじゃあない…
マヌケな災難はホル・ホースの役だ!」
そんなアヌビス神と乗っ取られたレジアスカワイソスw
GJ!
最後の数行で腹筋を粉砕されかけましたw
アヌビス神の能力は剣の物質任意透過と学習能力でしたっけ?
あと、相手を魅了して自身を拾わせ、剣を抜いたものの肉体の略奪です。
>>531 YES! YES! YES!
「攻撃を受けなければ覚えられない」ってデメリットを除けば、闇の書クラスに恐ろしいかもわからんね。
534 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 03:04:33 ID:r07OcCTG
THE OPERATION LYRICALに円卓が!!
エースコンバットではZEROが、ガルム1が一番好きな私。
ガルム1が登場するのは無理だろうけど逸話ぐらい出るかと期待したが……。
ちょっと残念。
>>533 攻撃を逸らしたりして、本体や刀身にダメージを受けなくてもOK
ようは見ることができればいい
>>523 レジアスの一人称って私じゃなかったけ?
>>536 _
/´ `フ
, '' ` ` / ,!
. , ' レ _, rミ
; `ミ __,xノ゙、 「俺」だったはずだもんねー
i ミ ; ,、、、、 ヽ、
,.-‐! ミ i `ヽ.._,,))
//´``、 ミ ヽ. _,,..,,,,,,_
. | l ` ーー -‐''ゝ、,,)) ./ ,' 3 `ヽーっ
ヽ.ー─'´) l ⊃ ⌒_つ
''''''''' `''ー---‐'''''"
、ヾ'"''; /ゝ
ミ 彡 wWw _/´ `ヽ
ミ 彡 、ヾ ヾ/ ,! ビクッ
. ミ ミ ミ ゝ o. oミ
ミ ミ ミ `ミ __,xノ゙、
ミ ミ ミ ミ ヽ.._,,)))
ヾ、 ! ミ i
´"'`、 ミ ヽ. 、ゞヾ'""''ソ;μ,
. ` ーー -‐''ゝ、,,)) ヾ ,' 3 彡 私はレジアスだ
ミ ミ
彡 ミ
/ソ,, , ,; ,;;:、ヾ`
確認が足りませんでした。DVD観たら「私」か「わし」でしたね。
申し訳ありません。Wikiでは修正します。
アヌビィィィィス、おまえかあああ!
つーかもう皆に讃えられる愛の戦士ゼストさんとかはやても平伏せざるを得ないおっぱい博士スカリエッティですね。
などと考えた俺は某スレに毒されてる。
最後に、シグフェイの乳は素晴らしく、なのはの乳は素(ry
539 :
一尉:2008/07/17(木) 11:29:35 ID:WnZQMZVI
F−2は空自衛隊機なんだF-18は米軍機です。支援
たまには真面目なアヌビスの狂気が見たいんだぜ
原作の欠片もないギャグキャラ化は食傷気味なんだぜ
つうかガチで強キャラのチート野郎だろアイツ
血生臭さの極地のバランスブレイカー
敵なら兎も角主役としては扱いづらいにも程がある
そこら辺の恐ろしさというか凄味をちゃんと表現できる人尊敬するわ
>>538 さあ、奇妙な使い魔スレに帰ろうか
アヌビスはシグナム姉さんに装備でレバ剣と二刀流したほうが映えると思うな
GJ!
中将の独白に全俺が泣いた!
GJ!本当に中将を幸せにしてやりたい・・・
>>541 二刀流したら鞘つかっての攻撃や抜刀系の技つかえなくなるぞ
そんなの必要ないぐらいアヌビスがチートだから問題ないw
というか直剣で抜刀なんて(ry抜刀術は威力上がるようなモノじゃ(ry
>>546 某大冒険の主人公の剣の鞘みたいに納刀してると魔法攻撃力が上がる効果があるんだよ
どっちかというと弓形態が使えなくなるな、と思ったところで
シュツルムファルケンで打ち出されるアヌ●スを想像した
【ナイルの川底に落ちてリタイヤだー!】
今更でスマン。
THE OPERATION LYRICAL を最大限支援する。
ゼロシフトですね、わかります
今夜9時位に繋ぎ話を投下させていただきます
キターーーーーーーーーww
支援支援w
支援
>>550 SSに深い考証での突っ込みは野暮ってもんだ
詳しい人がフィクションを楽しめないのは映画とかでもよくあるからな
無知は罪だが同時に一つの幸福でもある、ってか
>>556 割り切って楽しめない知識派気どりが多いこと多いこと
>>555 まあ、ミサイルと誘導魔法砲撃の撃ち合いだけで話が終わっちゃ詰まらんというのは同意だど・・・
もっと屁理屈こねてくれると嬉しいと思ってさ。
あー、ちょっと用事が入ってしまって、今日は投下出来そうに有りません。
投下は後日という事で……本当に申し訳ないorz
おぶぇぁー
けれど、俺達は待ってますぜ!
Don't mind 気にするな。
562 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 21:36:54 ID:Z/OLke1F
ミサイルと魔法の誘導弾じゃ射程が違いすぎて話にならないよ
>>562 まあ、ミサイルは10キロ単位とか100キロ単位の射程があるから・・・目視じゃ分が悪いか。
レーダー積んだ航行艦とデバイスの間でデータリンクを行って誘導は航行艦が引き継ぐとか・・・射程足りない?
散弾ミサイルキボンヌ
>>564 ミッドオワタ\(^o^)/
そういやミッドチルダに核兵器撃ち込まれそうになったクロスってなかったっけ?
R-TYPEか?
あれだと、撃墜に成功してたけどな。
ところで、核ミサイルを打ち落とした場合、普通の爆発はしても、
核爆発が起きるはずないだろう、と某アニメを見ていて思ったことがある。
核ミサイル撃墜→核爆発の表現の初出はどこなのだろうか。
stylishはまだかーーーーー
ここ基本的に雑談and設定議論禁止だから避難所行こうねー
>>566 頑丈に作ってあって、なおかつ衝撃でも起爆するようになってるとか。
今日は投下無しですかな・・・それもまた良し
>>566 戦略級の水爆で起爆に原爆を使っているとか。
あのクラスになると滅多矢鱈に頑丈だからな……
避難所にレッツゴー
573 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/17(木) 23:39:13 ID:MpXvMne1
同じく叫ぶぜ。stylishはまだかっ!
全力全開で職人を応援するスレ へ
アセリアはまだかーーーーーーーーー
stylishはまだかーーーーーーーーーー
そして
>>573はsageろ〜〜〜〜〜〜w
まぁスタイリッシュは15話と16話の間が短かったからな…期待するのも無理はないか…
なんの為の応援スレか
今までの職人の活躍とこれからの活躍を祈願するんだよ
たぶん
愚痴を見せられてもイラっと来るんだよね
いや、自治厨かどうかはともかくとしてさ。
感想も書かずに雑談ばっか続けてるのは正直どうよ?
>>579 自治厨(笑)
ルール無視で雑談しといて逆ギレw
小学生と同レベだねw
583 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 07:35:46 ID:SSNjLAB8
さっそく何人か釣れたわwwwwww
しばらくの間このスレで遊ばせていただきます
ヨ・ロ・ピ・ク・にゃ〜
何処がどう釣りになってるのかサッパリわからん
別にどっちでもいい
587 :
一尉:2008/07/18(金) 11:10:49 ID:jp4X9zhe
三刀流なら良い支援
以下英語で雑談とかすれば、静かになるんじゃね?
dun think so?
btw any new SS worth to read out here ?
am tired to read a bunch of trash, so juz cheking here for Caro now:)
翻訳サイトでやってみたらへんてこな訳文になった。
『灰褐色文が〜』って
以下ドイツ語で雑談
ば、バームクーヘン?
592 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 20:10:00 ID:oh9hoDta
グーテン アーベント
>>591 神話になっていいよ……
594 :
一尉:2008/07/18(金) 20:37:49 ID:G5pzUxf1
神話支援
新和と言えば、D&D。
シュツルムファウスト
リリカルケロロ軍曹STSの1話が出来ました。
10分に投下したいのですかよろしいですか?
進路クリアー、投下どうぞ
蛙とな!?支援じゃぁぁぁぁぁ!
支援wスカ博士と接触してるのがいいぜwww
「ケロ……あのー我輩のこと見えているでありますか?」
場をごまかすかのように作り笑いを浮かべ、ケロロが男性に尋ねると男性は「ああ。」と首を縦に動かす。
やべー。現地生命体に見つかっちゃったー。
顔から汗が吹き出し、精神が張り詰めてくる。
どうやってこの現地生命体から姿を消すか……。アンチバリアの存在をど忘れし、脱出の名案を出そうと考察し始めた。
が……よく、辺りを見回すと研究室と思わしき広い空間。
その空間の壁に立つ柱。
そして、生命体が手元の寝台で寝かせている誰かの身体を見てケロロは思考が停止した。
誰かは裸で……胸が膨らんでいていて身体も幼かった。そのことから女性だと認識する。
が、問題はそこではなかった。
女性の身体の一部がメスで開かれて機械が剥き出しているのだった。
「……どうした?」
カエルと思える物体が固まっているのを察し、男性は妖しく眼を細めて尋ねる。
しゃべるということは、このカエルは誰かの使い魔か……。
と考察し、男性は始末してしまおうと判断した時。
「わー、すっげー!改造人間じゃんカッコイイー!」
「へ?」
第1話「ケロロ、めぐりあい研究施設。であります!」
新しく現れたテレビのヒーローを見ているかのような興奮した声に男性は邪念が霧散してしまう。
意外な言葉をもらい、反復しながら眼の前のカエルを見遣る。
カッコイイ?
確かに自分の中の最高の技術で生み出したこの戦闘機人に愛を注いでいるが、他人からそう言われたことなど今までになかった。
その為、男性は嬉しさで気分が高揚していたことを自覚した。
褒められて……うれしいのか。私は……。
「カッコ……イイかい?」
スカ懐柔!?紫煙
「左舷、何をバカなこと言ってんの!?
こんな『出たなショッカー!』みたいなのとか『キカイダー!!』みたいなヒーロー、ヒロインほど男の心を擽るものはないであります。
これは造ったのでありますか?」
「ああ、戦闘機人と言ってね。この娘だけじゃなく。あっちのカプセルに入った娘もね。」
柱のように立ち並ぶカプセルの中を男性が促して示すとカエルはらんらんと輝きを放って中に浸かっている少女達を見回して叫ぶ。
「ゲロー!なんじゃありゃぁ……あれ全員ショッカーライダーに変身するんでありますか!?」
カプセルにはそれぞれ数字がNo.5から順番にプレートに刻まれており、ケロロにはそれがまるでライダーシリーズに思えてしまう。
「いや、変身はしないけど。あらゆる状況での闘いを想定して調整している。」
「やべぇよ。アンタ……男の中の男であります!」
きっぱりと崇高の眼差しできっぱりと答えるカエル。
そんな彼に男性は興味が湧きはじめていた。
このカエルは……認められなかった自分の技術を褒めた。自分を認めた……。
ただそれだけ……。
それだけでもスカリエッティにとっては充分な感情である。
ふわふわと、気持ちが柔らかくなって。知らないうちに自然と口元は緩んでいた。
「ありがとう……。」
「ケロッ、自信を持った方が良いーであります。」
にこにことこちらが照れてしまいそうになる輝かしい笑顔を見せてくれるケロロ。
そんな彼に男性はまだ自己紹介を済ましていないことに気付き、口を開く。
「ありがとうカエル君、まだ名乗っていなかったね。私はジェイル・スカリエッティ、科学者をやっているんだ。」
なんだと・・・やってる内容はエグイのにハートフル系になりそうな気配がwww
支援
605 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 22:19:45 ID:I91Ciq6E
これは期待
やはりスカも夢見る子供w四円
やだ・・・何この気持ち・・・
おっ、自己紹介は宇宙共通の最初のコミュニケーションでありますな!
とスカリエッティと名を告げた彼にケロロは気を良くし。ビシッと両手をを腰に沿え、右手を斜めに額にくっつけて名を名乗る。
「ケロッ!我輩、ガマ星雲第58番惑星 宇宙侵攻軍特殊先行工作部隊隊長 ケロロ軍曹であります。」
「宇宙……それは興味深いね。軍曹君と呼べば良いのかな?」
「ノンノンノン!コミュニケーションに遠慮なんて無しだって〜。好きに呼んで良いであります。」
スカリエッティの尋ねに「わかってないなぁ。」というかのように肩を浮かせてその小さな緑色の右手をひょっこりと差し出す。
「だから我輩も、スカ殿と呼ぶであります。」
ケロロの言葉にスカリエッティは彼の右手に自身の右手を重ねて握手を成立させる。
スカ殿か……。
初めてあだ名ような呼び方を付けられ、嬉しそうに微笑んで小さな彼の名を呼ぶ。
「よろしくね、ケロロ君。」
「よろしくであります。」
冬の寒さを溶かしていく澄みきった春風のように純粋な心のまま成長した科学者と宇宙人が出会った。
そして、ミッドチルダの世界に嵐を巻き起こす……のは後の話。
「ねー、スカ殿。この娘の名前おすぇーてー。」
ぴょこっと寝台に飛び乗り、横たわる少女を見遣りながらケロロはスカリエッティから名を尋ね。
教えられる。
その名は
「ああ、彼女はNo.4・クアットロだ。」
伝説のアノ人の仮の名前にケロロは更に興奮したのか目を皿のように丸く広げ、クアットロへと敬礼をする。
まさか、ビームランチャーを限界まで撃ったお方に会えるなんて……我輩感無量であります!!
「ケロ!4号機とかマジでカッケェェ!最高じゃん!」
「そ、そうかい?」
同じ4でも3倍の速さでないんだぜ私怨
ダカールで演説はできないぜw支援www
ケロロは真っ直ぐいて白と黒の美しい配色の眼から涙を溢れていた。
そんな彼に「何故泣いているんだ、ケロロ君は?」とスカリエッティは聞きたかったが彼から熱い何かを察し、言葉をかけれない。
「ねーねー、早くクアットロ殿起動しないでありますか?」
「え、軽っ。」
今の今熱い何かは何処へいったのか、けろっと雰囲気が切り替わり。ケロロは急かすかのようにスカリエッティに尋ねてきた。
が、スカリエッティも新しく出来た小さな友人の楽しそうな笑顔を見たくもあり……彼から少し離れて近くのコンピューターへと歩み寄る。
あれだけの反応だ……他の娘達にも会わせてあげたい。
「ケロロ君、クアットロは起動できないから先にNo.1から3までの娘達を紹介するよ。」
「マジ!?会わせて会わせてー!」
意外であったスカリエッティの言葉にケロロは。
プロトタイプからG-3も居んの!?と驚きと喜びが心を高揚させる。
そして、手元のコンピューターに設けられた通信機器にスカリエッティが誰かの名前を呼び。すぐに三人の女性がケロロ達の居る研究室へと到着した。
「まず三人共紹介しよう。彼はケロロ君、私の宇宙の友人だ。」
スカリエッティからの紹介に三人は同じタイミングで頷き、ケロロを認識して一人の女性が先だって挨拶をし始める。
「No.1、ウーノです。よろしくお願いしますケロロ君」
「彼女は情報処理や私の秘書を務めている。」
スカリエッティと同じ紫色の長い髪を揺らし、ぺこっと頭を下げる彼女に続き、金髪の女性と紫色の短髪の女性が前に出てケロロと握手を交わす。
「そして次はNo.2とNo.3。No.2は潜入や隠密行動を特化してNo.3は高速戦闘に特化している。」
「名前はドゥーエ、よろしくねケロちゃん。」
「トーレだ。よろしく頼む。ケロロ。」
そんな彼女達にケロロは元気よく笑顔を浮かべ、昴ぶった心が影響して震えた右手で敬礼をする。
デレスカ支援
警戒心ないのかチミらwww 試演
勝手に支援
615 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 22:29:20 ID:I91Ciq6E
支援
支援するであります
やべぇよ……これならケロンはあと10年は闘えるであります……ゲロゲロリ。
「ウーノ殿、ドゥーエ殿、トーレ殿。よろしくであります。我輩こんなにガンダムに会えるなんて夢みたいであります!」
その笑顔は輝かしく、まるでさんさんと大地に恵みをもらたす太陽のように明るい。
彼の笑顔を見る者にさえ恵みをもたらすように……。
スカリエッティから紹介され、知り合ったばかりの戦闘機人の彼女達も彼の存在は好印象となって焼き付いた。
「ガンダム?」と三人は同時に首を傾げたが。
とくにトーレはケロロと左手で握手したまま、彼の姿に見入ってしまっている。
なんて、つぶらな瞳なんだ……可愛い。
「…………。」
「ケロ?トーレ殿どうしたでありますか?」
トーレの顔を見上げると彼女の瞳は潤みを帯び、頬はほんのりと赤く染まっていた。が、ケロロはその反応が分からず。?を浮かべて尋ねた。
「ああ、いや、そ、そのだな。」
ケロロからの尋ねにトーレは途端に慌ててしどろもどろになってしまう。
そんな妹の態度を姉二人は何と無く理解していた。
ウーノは、可愛いもの好きだから……。と
ドゥーエは、スイッチ入ったわね。と
「可愛いからってトーレ。ケロちゃん一人じめしないでよ。」
「あ、す、すいません。ドゥーエ姉様。」
注意をされ、名残惜しむようにケロロを見遣りながら彼から少し離れ、今度はウーノとドゥーエがケロロの頭を撫でたり抱きしめたりしてくる。
「ケロロ君、ウーノお姉ちゃんって呼んでね。」
「ウーノお姉様ズル。なら私もお姉ちゃんで良いわ。」
「ケロっ、お姉ちゃんでありますか?」
なかなかに彼女達に受けが良い彼にスカリエッティは口元に手を沿えて笑みを零してしまう。
思ってたよりも、ケロロ君とこの娘たちの相性は良いみたいだ……
待てよ。ケロロ君は宇宙から来た。ということは船でか……。
何てフレンドリーな 支援!
彼の言葉に推測し、スカリエッティはその疑問を口に乗せる。
「ケロロ君、君の宇宙船を見せてくれないかな?」
「良いでありますが。」
ウーノに抱きしめられたままケロロは不思議そうに「ケロ?」と首を傾げてそう答えた。
「ハッ…………。」
が、そこで彼は船と仲間達、洞窟を壊してしまった事を直感的に思い出す。
あ、忘れてた……みんな脱出したかなぁ。
「ゲロォ……。」
途端にげんなりと、痩衰えるケロロの表情にスカリエッティは?を浮かべてしまう。
「どうしたんだいケロロ君?」
「ケロ……そのぉ。とっても言いにくいのでありますが。」
「?」
その場にいた一同が「なんだろう。」とケロロの言葉を待つ。
そして
「入口壊しちゃった♪」
てへっ。とケロロはキャップを被ったような頭に両手を沿えてぶっちゃけた。
そんな彼を見て、ついに我慢出来なくなったトーレがウーノ、ドゥーエに囲まれていた小さな宇宙人に抱き着く。
「きゃわいぃぃ!!」
「ゲロッ!?」
その力は半端なものではなく、愛の篭った怪力で抱きしめられ。
次第にケロロの緑色の肌が赤く染まり、青くなって意識が薄れていく。
ケロ……ああ、見える。時が見えるでありまーす。
〔りまーす〕
〔まーす〕
〔まー〕
何故か心の中で語尾が反響する。
そしてケロロはぐったりとトーレの腕の中で気を失った。
「ちょっとトーレ、ケロロ君死ぬから!!」
「唯一のマスコット殺さないでよね〜。」
姉二人からの指摘にケロロの可愛さにスイッチが入っていたが、ハッと我に返り。
ケロロを見下ろすとケロロは白目を向いて口から魂が立ち上っていた。
「ぁあっ!大丈夫かケロロ!?」
そんな娘達やケロロの光景をスカリエッティは嬉しく思っていた。
これは良い出会いだ、何となくだけどこの施設にいるのが楽しい……。
慌ててケロロを介抱しているトーレ達を面白いそうに眺め、そっと笑い声を零す。
「さて、入口の確認とケロロ君の船を見てみるかな……ふふ。」
ケロロ「さて、次回のリリカルケロロ軍曹STSは−−」
ギロロ「まて貴様、何を忘れてくれてたんだ!!」
タママ「ひどいですぅ!」
クルル「まぁ、好き勝手出来るから良いけどな。クーックックック」
ケロロ「まぁ、よくある事じゃんドンマイドンマイ。
第2話「ケロロ小隊、散らばっちゃった。であります!」てことで……どすか?」
ギロロ「ごまかすなぁ!!」
ドロロ「あれ……皆は何処?」
軍曹!俺と替われ支援
以上です。
次回はも少しケロロとスカリエッティ達の話を。
他のメンバーがどうなったかを書いていきます。
投下乙であります。
>>621 うむ、俺も代わって欲しいでありますw とくにドゥーエ希望(マテ
追記、今回も支援と前回感想ありがとうございます。
625 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/18(金) 22:41:47 ID:I91Ciq6E
乙
GJ!!です。
なんだよ・・・これはぁ!!こんな相性がいいなんてw
侵略者と世界制服をたくらむ悪の科学者がいたら手を組むしかないじゃないwww
クアットロとクルルの極悪電子戦で苦戦する管理局が見れそうだw
戦闘もクルルの作ったロボに乗ればいいし。トーレとギロロの相性がよさそう。
タママに影響されて黒くなるオットーとディードとかwww
そして、一番楽しみなボケガエルー!!と叫ぶシューティングアーツ使いが見たいぜw
乙です!
やっべ!かなり皆幸せそうだ
>>622 GJ!
ガジェットに代わるマスコットの座についた(?)軍曹さん。
やはり全員スカ側という訳ではないんですね?
でも六課側にいたとしても最終的には軍曹に従いそうだなぁ。
後こいつらチート分何気に高いから扱いに気を付けて下さいね。
特にクルルw
すげぇ…かつてないインパクトだ!!
乙!
>>626 確実にスカ側に濃厚な敗北フラグが立っちゃうけどなw
数の子をガンダムと呼んだケロロのせいで、数の子がいきなり、「・・・私がガンダムだ」
とか言い出さないか不安だw
次回も楽しみだ。
ケロロは宇宙世紀限定だからそうはならないとは思う
F91?V?しらね
>>632 チンク姉がガトリング砲を撃ちまくるんですね、わかります
>633
小説版でフリーダムかストフリなチョメチョメも出てたし、軍曹は「ガンダム」ならこだわらないんじゃないか?
ディエチの砲撃の時は「月は、出ているか」というのかwww
>>633 軍曹はガンプラエースで『連邦かジオンか、はたまたザフトか』と言ってたからUCのみって訳では無いはず。
>>636 ラライブドアン星人がギロロに託したストライプフリーダムですな。
セインがマドロックに、ノーヴェ、ディエチ、ウェンディ、ディードがそれぞれジャスティス、フリーダム、リジェネレイト、テスタメント化するのを想像してしまった(爆)
そして捕まったギン姉がプロヴィデンスに…
お前らウロス池…………あ、やっぱウロスにも来ないで。
最低限のルールも守れないカスは迷惑なだけだしw
>>639 ……あまり煽らないように。
対応は、あくまでソフトに誘導するべし。
出来ないというなら、専ブラでも入れて速攻あぼーんでもして、
スルーするのがお勧め。
しかし、ほんとうに夏だのう……。
夏とか関係なくね?
いつもと変わんないいつもどおり
どうも、お久しぶりです。このたびは何となく「魔法殺し屋☆ピノッキオ」の続きを書いてみました。
決して連載に移行というわけではなく、短編連作な感じでしょうか?
内容としては「ギンガさんとの触れ合い。バイオレンスもあるよ♪」です(ぇ
問題が無ければ30分頃に投下開始で〜
支援支援支援〜♪
支援
「……覚えているよ。明日のことだろ?」
そこは悲惨な惨劇の舞台。
数体の物言わぬ屍が散乱し、彼らが流しただろう赤が部屋中を染めている。
「駅前の噴水に六時……」
だがその悲惨な殺人現場において唯一立っている人物、つまり死体の創造者たる殺戮者。
彼は真っ黒なロングコートと揃いの色の手袋、片手には未だに血が滴る凶器を握っている。
しかし!……彼がもう片方の手で握っているのは携帯電話。何処かの誰かとされる会話はスケジュールの確認だろうか?
「え? 五時……食事にしては早くない?」
殺戮者が訝しげな表情で紡ぐ言の葉を運ぶ機器には、電話の相手から送られた可愛らしいキャラクターのストラップが揺れている。
「買い物? 女の子の買い物なんて付き合っても…『□□□!? □□□□!!』…解ったよ……」
思わず耳を携帯から離して、殺戮者は小さくため息。同時にツイッと視線が横にズレて、電話を持っていない手を一閃する。
血が満ちた空気を切り裂き、投げられたのは数人の命を奪った凶器 ナイフ型デバイス「カヴァリエーレ」。
「ドスッ」と何か柔らかい物に刃が突き刺さる音。
「■■ッ!」
止めを刺し損ねていたらしい最後の犠牲者、僅かながらにも這いずり逃げようとした標的に無慈悲に突き刺さるカヴァリエーレ。
動物のような断末魔が僅かに漏れて、今度こそ命の炎が掻き消えた。そんな動作をしながらも、携帯電話を手放す事など彼はしない。
別にそれほど大きな問題でもありはしないと言いたげに会話を続ける。
「ん、何か聴こえた?……カエルか何かじゃないかな? うん、じゃあ明日……」
自分が命を奪った相手をカエルとまで表し、男は携帯電話を閉じた。
「バリアジャケット解除」
『その前に私を死体から抜いてください』
「五月蝿い奴だな……」
電子的な声に促され、めんどくさそうにナイフを死体の背中から引き抜く。
引き抜いた反動で吹き出た返り血が黒のコートを濡らすが、気にはしない。
ふいに殺戮者の姿に変化が起きた。光が走り、黒のロングコートが弾ける。つまり返り血も何もかも隠蔽されるわけだ。
バリアジャケットとしてのコートが消えれば、中から現れたのは何処にでも居そうな青年。
携帯電話とアクセサリーサイズになったカヴァリエーレをジャケットの懐に仕舞い、変わりに取り出すのはタバコとライター。
「ふぅ……」
殺戮の現場を後にするのは軽い足取り。咥えたタバコから昇る白煙を何となく見つめながら、殺し屋 ピノッキオは大きく伸びをした。
私 ギンガ・ナカジマは待ちぼうけをしていた。
何も待ち合わせの相手が遅刻している訳じゃない。私が早く着き過ぎただけ。
物の本によれば『デートの待ち合わせは30分前行動』らしい。
「そう言えば……コレってデートよね?」
家族でもない男性と二人っきりで買い物や食事に行く……うん、デートだ。
そう認識しただけで頬が赤くなってくるのを感じる。もし人々が行きかう駅前広場でなければ、大声でも出してしまいそうだ。
熱を帯びた赤い頬を押さえつつ、自分の姿を検分。変じゃないだろうか?
「一番のお気に入りを着てきたんだけど……」
父が地上本部の事実上のトップという要職に急な昇進をしてしまってから、全く私服を着る機会に恵まれなかった。
誰よりも忙しく苛烈に仕事をこなし、自分や新しい家族への気遣いも忘れない父 ゲンヤ・ナカジマを置いて、何処に行けるだろうか?
誰が意図するでもなく、ナカジマ一家の休み総数はこの数ヶ月で急落である。
だからこそ日の目を見る機会も無くなっていたこの服が、流行遅れになっていないか不安でならない。
「でも……服なんて気にしないかしら?」
そんな事を口に出してから、『ソレは弱音だ!』と強い志が叱責する。
確かにピーノはそういう事には疎いだろう。だがそれは私が妥協する理由にはならない。
『今日こそ決める!』そんな心意気を維持しなければ、今日という日の価値も急降下だ。
「もっと……貴方の事を知りたいな? ピーノ」
ピーノとは私がこれから会う人物、つまりデート?のお相手の名前。
数ヶ月前にお父さんに紹介された民間協力者。廃棄都市出身の遊民で、戸籍が無いことから諜報の仕事を任せているらしい。
彼自身はどんな人物かと言えば……何時も無愛想で気だるげな印象を受けた。
『無気力で自分にも他人にも興味が無く、その日その日を何となく生きている』
悪く言えば廃棄都市のスラムに行けばたくさん転がっているような人間だ。本人もそんな事を言ってたし。
「でも……何か違うのよね」
どこか一本通った筋だろうか? 時たま見せる悲しそうな瞳だろうか?とにかく無性に気になってしまうのだ。
何を聞いても、何をしても喜べるような反応は中々返ってこないけど……構ってあげたくて、喜んだ顔が見てみたいな?
「あれ、遅刻だった?」
振り向けば目に入るのは私と同年代の男性。くたびれたジャケットとズボン。
手には何も持たず、デートだと言うのに黒いサングラスをかけて、タバコを咥えていた。
デリカシーの欠片も無い格好だが……
「大丈夫よ、私も今来たところだから」
よし、とりあえずピーノの服を買いに行こう。
「今日の会議も陸に海は完敗やな」
次元世界の狭間に浮かぶ、時空管理局本局と呼ばれる巨大な建造物の一室で、八神はやては呟いた。
仕事中というわけでは無いらしく、身を包むのはワイシャツのみで、身を置くのはベッドの上。
左手には最近呑み始めたアルコール度数が高いウィスキーと氷が満たされたグラス。
ソレを煽りながら、投げ出された数枚の資料に目を通して呟く。
「情報戦でのヴェロッサの穴が痛い……か」
この数ヶ月の陸と海のゴタゴタで、スッカリ濁ってしまった夜天の主の瞳だったが、海の敗因を的確に分析していた。
交渉の勝敗を導くもっとも有用な武器である情報、それを秘密裏かつ的確に陸から吸い出していた名うての査察官の死。
それが現在の管理局再構築会議における陸と海のパワーバランスを決定付けていた。
『申し訳ありません、私があの時犯人を捕らえられていれば……』
開かれた通信ウィンドウに映るのはティアナ・ランスター執務官補佐の姿。
ヴェロッサ・アコース殺害の現場に遭遇し、犯人と思わしき人物と交戦するも倒されてしまったと言う苦い経験を持つ。
そんな元部下の悔しそうな顔を見るでもなく、はやては書類に目を通す。
「それだけの使い手だったと言う事やな。陸の人手不足はもう解消されたんやろか?」
『クックック』と搾り出すような上官の笑いに薄ら寒いモノを覚えつつ、ティアナはふと気が付く。
どうして査察官殺しの犯人が優秀だと陸の人材不足が解消されるのか?
『まさか! アイツは陸の魔道師!?』
「う〜ん、表立った所属の魔道師ではないみたいやね。でも……陸との関係は濃厚やろ」
『だったら陸を追求する事もできるのでは!?』
行き当たった最悪の結論。ソレを肯定するはやての言葉。ティアナは慌てて頭を振って叫んだ。
「自分が目指してきた管理局と言う正義はこの程度のモノだったのか?」そんな疑問を振り払うように。
「ソレは無理。そもそもヴェロッサの潜入や接触も重大な越権行為で違法やからな」
『そう……ですね。では殺害の実行犯の素性を中心に探っていく方向で』
「ん〜よろしく〜」
頭を垂れた部下が画面から消えると、はやてはグラスの中身を一気に煽った。
空になったグラスを投げ出し、ベッドの上で完全に体を崩し、寝る体勢に移行。
「何してるんだろう……私達は」
本来ならばシャワーくらい浴びるべきなのかもしれないが、そんな気力はもう彼女には無かった。
強いアルコールが連れてくる倦怠感と睡魔に襲われながら、八神はやては呟く。
「あ〜ぁ……世の中はこんな筈じゃない事ばっかりや……」
「もう……許してくれ……」
ピノッキオと言う名前の殺し屋=ピーノという名前の青年は盛大にグッタリしていた。
何時でも気だるげな表情には本物の疲労感が滲み、ピシッとした隙の無い歩き方の欠片も見えずフラフラ。
手には有名な洋服ブランドのロゴが刻まれた紙袋が握られ、安定に欠けた動きに合わせてと所在無さ気に揺れている。
「どうしたの、ピーノ? 服を買ってるだけじゃない?」
片やギンガ・ナカジマは元気満タン。スキップでもし始めそうな足取りと、満面の笑顔。
そのステキな表情に真っ向から相対するのは不機嫌極まりない表情。
「どうして僕の服をギンガさんが率先して買うんだ?」
「だって何時も同じ様な服ばかりなんだもん」
確かにその点についてはピノッキオも同意はしている。
『まずは貴方の服を買いましょう』
そんなギンガの申し出に、自分が選ぶと何時も同じ様な服になってしまい、仕事時に足が付く危険を感じていた殺し屋は意図しない強力を受諾した。
だけど……
「だからって、こんなに買うこと無いだろう。それに……」
金銭的な問題は特に有りはしない。
残業続きで休みが無かったギンガの財布と、危ない仕事をしていて主な出費はタバコであるピノッキオの財布。
大量の服を買うにも心強い戦力だ。ピノッキオ自身、多めにあるに越した事は無いとも思う。
では何が二人の間で意見の隔たりを生んでいるのか?
「あんなに試着する必要はない」
ピノッキオにとって服とは所詮体を覆う物であり、試着をしてまで真剣に買った事など殆ど無かった。
試着しても一回の買い物で2・3回程度であり、ジャケットを羽織ってみたり、ズボンの裾あわせを頼む程度。
しかし今回はギンガによるフルコーディネート。上から下まで纏めて渡され、着てみて問題ありの服を変更。
それを繰り返して、一対のセットとして数点の服が選択されるわけだが、ソレで終わりではない。
「ピーノってどんな服も似合いそうだから、つい楽しくなっちゃって……」
ギンガも『言われてみれば少々やりすぎたかな?』と恥かしそうに頬を押さえた。彼女は基本的に世話焼きな人種である。
母を早くに無くしているので、天真爛漫を地で行く活発な妹や、仕事以外ではだらしが無い父の面倒を一人で見てきた。
故にどうしてもそう言った『面倒を見たくなるような人』を放って置けないのである。
本人が興味無さそうな事ほど気をかけたくなるのだ。今回のピノッキオの服もその一例。
「じゃあもう終わりだね? 次はギンガさんの買い物かな?」
ピノッキオの買い物だとしても、楽しんでいたのはギンガなのだが、それを指摘するのは野暮だと言う事くらいは彼にも解る。
と言うか今日と言う日の為にギンガの父にして、彼の雇い主であるゲンヤ・ナカジマに『女の子の扱い方』についてレクチャーされた。
何処まで本気なのかは酔っていたので本人すら解らないだろうが……
「私は別に良いの。ピーノの服を選んでいるだけで十分楽しかったから」
「そういう物なの? 自分の物は何も獲得していないのに」
「……」
ギンガはビキリと青筋が入った額を揉み解し、不思議そうに首を傾げているピノッキオを睨みつける。
まだ『女の子は苦手』な青年はコレがデートであり、重要な事は『好きな人と一緒に居ること』だと言う事実に気が付いていないらしい。
流石に今まで何度も間違いなく美人の部類に入るだろう、ギンガのアタックをスルーしただけのことはある。
確信を持って『女の子は苦手』なんて言うものだから、ピーノは『腐』の付く女性が愛する類の性癖か!?と顔を赤らめたものだ。
「そういう類じゃないよ。ただ苦手なんだ……良い思い出が無い」
買い物は結局一旦休憩と言う事になり、予約していた(もちろんギンガが)レストランへと二人は移動。
同じ建物の上階に位置する店へと二人はエスカレーターで移動を開始。
平日とはいえアフター5をとっくに過ぎたショッピングモールには人が満ちている。
「ふ〜ん、でも私には何度も付き合ってくれるのね?」
「ん? それはゲンヤさんがうるさいから」
「……ヒドイ」
『脈あり!!』そんなギンガの期待を完全粉砕する冷たい一言。
普通のカップルならばすぐに喧嘩別れモノだが、この奇妙な男女はそうは行かない。
「それに……女の子って感じないんだよね」
「つまり私は女の子として見て貰えてないと?」
行かない……はずなのだが……さすがにピノッキオのソレは余りにも配慮を欠いていた。
やっぱり自分が一方的に世話を焼いているだけなのか? そんな暗い思考がギンガの脳裏を掠める。
「ギンガさんは『お母さん』とか『お姉さん』って感じかな?」
「なるほど……ソレはソレでショックだけど……まぁ、良いわ」
しかし紡がれたのは違った形の優しい言葉。言ったピノッキオ本人にはそんな気はサラサラ無いのだろうが。
やんわりとした笑みを浮かべなおして、ギンガは安堵の息を吐く。絶対に振り向かせて、ドギマギさせてやるんだ!とコッソリ気合を入れ直す。
心理映像としては『ダー!と腕を突き上げているギンガのバックで鮮やかな色の火薬が爆発している図』だろうか?
「■■■■■」
不意に響くは爆音、建物が僅かに揺れる。照明が数回明滅し、辺りを人々の悲鳴が満たす。
自分の心理映像と重なる部分があって焦っていたギンガだが、すぐに管理局の魔道師として成すべき事を思い出した。
事態の確認と必要ならば買い物客たちの避難誘導が必要になるだろう。
「ピーノ、ちょっと待ってて!」
恋する乙女は何処へやら? 勤務中の管理局局員が一瞬で完成し、手近なサービスカウンターへと小走りで駆ける。
そんなギンガの後姿を華麗に見送って、自分はパニックに混じってタバコを吸い始める辺り、ピノッキオの感性は死んでいるのかもしれない。
「下手には動けない」
そう、決して怠惰だけが彼の行動を決定付けている訳ではないのだ。
彼は戸籍が無いことから陸の暗部で殺しの仕事を円滑に進められている。
だが幾ら戸籍が無かろうと下手に動けばその力が嫌でも露見するもの。
幾ら諜報員としてギンガに紹介されているとは言え、『本当の自分』を知ったら、流石の世話好き女房も悲しむだろう。
「ん? なんで気に掛けてんだろう……」
自分の思考に生まれた疑問点に、タバコの灰を落とすのも忘れて天を仰ぐピノッキオの姿は混乱する周囲から余りに浮いていた。
「タン!」
不意に聴き慣れた音がピノッキオの鼓膜や空気を揺らして、長くなり過ぎた灰が崩れる。
その音は『火薬の炸裂音』だった。そちらへと彼が視線を向ければ、ようやく混乱が収まった大衆の一人がバタリと倒れる。
誰もが事態を理解できないまま、動かない人……死体から溢れ出す鮮血だけが生々しく……混乱が加速する。
「キャアア!?」
悲鳴が混乱を呼び、今度は連続して聴こえる火薬の炸裂音 つまり銃火器の発砲音。
バタバタと複数の人影が粉塵の中、連続して光るマズルフラッシュと共に倒れていく様子を確認しても、ピノッキオは酷く冷静だった。
「随分と懐かしい場所に帰ってきたな……」
携帯可能な銃火器とその威力を思い出し、壁越しで撃ち抜かれる心配が無さそうな一角に身を潜めた。
辺りには硝煙の匂いと爆発が遅れて連れてきた煙が満ちる。遠くでは悲鳴とそれを追う銃声が幾度と無く交差していく。
「テロかな? それとも薬中?」
数多の次元世界を管理すると言う目標を掲げる管理局のお膝元、治安が安定しているかと言えばそうではない。
他の世界へと向けられる力、人材や予算は海と呼ばれる分野に多くを割いている。故に地上は人手と予算不足に常に悩んできた。
そのくせクラナガンには放置されている廃棄都市が無数に存在する。ただ廃棄されているわけでは無い。
そこには底辺の人間が流れ着き、法の目も行き届かない事を利用し、多くの悪事がのさばっている。
窃盗品を換金し、汚い金を洗浄し、違法な薬物や武器が公然と取引されているのが現状。
そんな場所に住む人々は多かれ少なかれ闇を心に抱え、ウッカリすれば歪んだ神や主張に頼りたくなってしまうものだ。
「ここでは僕らの世界で言う銃火器は禁止されてるはずなのに……あるところには有るんだな……ん?」
隠れて状況を把握しようとしていたピノッキオは、銃声と悲鳴に混じり一つの音に気がついた。
普通に人が歩くときに発する音では無い。なにか車輪が地を捉えるような音。
それがこちらに近づいてくる。どうやら彼が隠れている壁の隙間を目指しているようだ。
素人ならばそっと顔を出して確認したくなるか、怯えて動けなくなるのが関の山だろう。
だがプロフェッショナルはそんな事をしない。やるべき事は対象の実体を確認すると同時に速やかな無効化。
「……」
ゆっくりと懐から武器 ナイフ型デバイス カヴァリエーレを取り出す。
今はアクセサリーにしか見えないが、起動させれば容易く人の皮膚を切り裂く凶器。
それを簡単に秘匿所持し、何時でも使用できる点において、ピノッキオは魔法を気に入っていた。
「いま……!」
タイミングはピッタリだった。相手の姿が僅かに見える絶妙なタイミング。
ターゲットが何かをする前に組み付き、押し倒し、カヴァリエーレを振り下ろそうとして……
「ギンガさん?」
ピノッキオは押し倒している相手が先程まで一緒に居た、敵対者とは程遠い存在である事を確認。
その姿は
相手も生命の危機とは違う驚きに目をパチクリさせ、彼女 ギンガは思わず声を上げる。
「ピーノ……ピーノ! 無事で良かっムグッ!?」
「静かにして。気付かれる」
上げる……事は許されなかった。嬉しい再会はピノッキオの手が、ギンガの口を塞ぐ事で中断。
二人して辺りを見回し、不意に訪れた静けさに安堵しながら、壁の後ろへ。
「今の状況は?」
「テロリスト……多分破滅主義の過激派が中央制御室を爆破して……一般人に銃を……」
『乱射した』
ギリギリとギンガは奥歯を噛み締める。管理局所属の魔道師であること、そして自分自身の正義の為に……決して納得できない事態。
その発生を許した事が何よりも怒りを誘う。無抵抗な人を虐殺するテロリストにも、それに遅れを取ってしまった自分にも……
「……撃たれたの?」
冷静な状況説明に耳を傾けていたピノッキオだが視線を下に移せば、そこには確かに紅い水溜りがあった。
「うん、係の人から事情を聞いていたら、いきなり……ね?」
指摘されてその存在を思い出したように、ギンガはズルズルと壁に背を預けて、崩れ落ちる。
今は魔力で精製されたバリアジャケットを纏っているが、不意に撃たれたのならば弾痕はその下に確かにあるのだろう。
「止血。それに傷口を見てみないと……弾が残ってるかも」
「大丈夫、人よりもちょっと頑丈に出来ているから。それよりもテロリスト達を制圧する方法を……ウンッ!」
ギンガが撃たれたのは右足のふくらはぎ。ピノッキオの手がソコに僅かに触れれば、ビクリと身を震わせた。
彼女とて修羅場はたくさん潜ってきた。だが最近闇ルートで出回り始めた質量弾丸を飛ばす銃器については経験が無い。
捜査の過程で相対したこともなかったし、当然撃たれるのも初めてだった。
「情けないわね、私って」
対処の仕方が解らなかった。魔力反応も無しで、コレだけの威力が瞬時に、簡単に作用させられる質量兵器。
階段部分を死守して、一般人の下の階への誘導を完全に行いたかったが、敵の多さと銃器の連射性と安定した威力。
そして何より不意に受けた一撃がソレを大きく拒む。
「守りきれそうに無かったから、とっさに階段を崩したの。
エレベーターは死んでいるから、少なくともこの階に居る奴らは他の階へ行けない筈。
でもこれじゃあ……ゴメンなさい」
テロリストを他へと行かせない戦略は同時に逃げ遅れた一般人がこの場所から去る方法を奪うという意味だ。
同時にジクジクと生を奪い続ける裂傷、それを簡単に与える兵器、そんな兵器を何の躊躇いもなく人へ向けられるテロリスト。
そんな様々な不慣れな状況が腕利きの魔道師に恐怖を確かに与えていた。
「ゴチャゴチャ考える奴は弱い」
「え?」
「僕の先生が言った言葉さ」
ピノッキオに殺しの術を教えた自称元CIA工作員 ジョン・ドゥ。
考えても克服できない事、つまりこの場合の『恐怖』に対する数少ない対処法。
ギンガは珍しく自分からモノを語った、無愛想な樫の木のお人形に意外そうな視線を向ける。
「そう……ね。よしっ!」
パチンと己の頬を打ち、ギンガは上手に管理局局員としての顔を再構築する。
だけど彼女も人間、そんな風に自分が必死に気合を入れているのに、平然としているピノッキオにちょっと嫉妬。
あれだけの虐殺を聴いている筈なのに、撃たれて血を流す自分が目の前に居るのに……何時もと何ら変わらない表情。
まさか馴れているなんて事は……
「子供の……泣き声?」
混乱が不気味な静寂に取って代わられつつあるフロアを満たす涙声・嗚咽。
母と父を求める声だけが薄い闇の中で反響し、余りにも痛々しい。当然黙っていられないのはギンガだ。
自分も状況こそ違えど一人で危険の中をさ迷い歩いた事がある身として、少女を放っておくことは彼女には出来ない。
自分の怪我の事など気にも留めず飛び出そうとしたギンガを捕まえる手。
「ピーノ!? どうして!!」
「静かに……アレだけ大声で泣いているんだ。テロリスト達にも聴こえてる。助けに要ったら貴方も狙い撃ちにされるよ?」
それを肯定するように、少女の後方から近づくのはこの破滅的状況下にあって、余りにも普通な足音。
そんな人間が居るとすればソレは間違いなくこの空間の強者。つまりテロリストたちと言う事に成るだろう。
「でも!」
もしギンガが万全の状態ならば、少女を回収して安全に帰ってくることも出来るだろう。
だが彼女の頑丈な体とローラーブーツと言うデバイスの存在を考慮に入れても、太腿を打ち抜かれた損傷は大きい。
それに運良く回収・帰還が実現したとしても、この隠れ場所を飢えたハンター達にバラすと言う愚行に繋がる。
「でも……」
その愚考を犯した場合、合計で三人の命が危険に晒される事になるだろう。
一人はどんな状況でも危険な迷子の少女、二人目はそれを助けに行ったギンガ、最後に潜伏場所を暴露された形に成るピノッキオだ。
それが解ったから、彼女は口を紡いだのだ。自分だけならば構わず飛び出す事が出来ても、もう一人の命が懸かっているとなれば……
「さっきピーノは言ったよね?」
もっとも高確率で多くの命を救う方法は、迷子の少女を見殺しにしてギンガとピノッキオが隠れ続けると言うもの。
だがこの選択では迷子少女の命が高確率で失われることになる。故にギンガが選ぶのは毛一つの選択肢。
「『ゴチャゴチャ考える奴は弱い』って。だから……」
母の形見であるアームドデバイス リボルバーナックルに覆われた方の手を硬く握り締め……飛び出した。
「ギンガさん!?」
「だから私は考えない! きっと、きっと! 助けてみせる!!」
実は一つだけ、迷子少女を救う事ができるかもしれない可能性を残しつつ、ピノッキオに危険が及ばない方法が存在する。
その方法は『ギンガが飛び出して少女を回収、ピノッキオの居るこの場所に戻らずに、管理局部隊到着まで逃げ切る』と言うもの。
「ダメだ!」
だがソレは余りにも危険すぎる。流石のピノッキオも静止の声を上げた。
しかしギンガは飛び出す。飛び出すしかなかった。不安そうな子供ほど彼女の心をかき乱すものは居ない。
空港火災の日、不安で泣いていたスバル、そしてソレを探しながらも本当に怖かった自分。
あんな思いをもう誰かがすることの無いように……彼女は走る。
「大丈夫? 怪我は無い!?」
いかに太腿を負傷しているとは言え、全力のブリッツキャリバーの速力ならば、ギンガが迷子の下に辿り着くのは難しくない。
すぐさませっかくお洒落したのだろう服を粉塵に染め、顔を涙にグシャグシャにした10歳に満たないだろう女の子を確認。
突然の現れたお姐さんにポカンとしている少女に事情を説明している時間は無い。
すぐにこの場所を離脱し、どこか隠れられるようなところへ! 抱えて走り出そうとすると不意に少女が叫んだ。
「お母さんが……お母さんが居ないの!」
「大丈夫、チャンと見つけてあげるから。今は…「タン」…っ!?」
言葉を遮る乾いた炸裂音。続いてギンガが背中に感じるのは熱さ、更に引き裂き貫くような痛み。
『撃たれた!』
背筋を鮮血が熱を奪いながら零れ落ちる感触と一緒にギンガはようやく事態を把握した。
「どうしたの? お姉ちゃん」
「何でもない……大丈夫、だから!」
事態を把握で傷に首を傾げる女の子に弱々しい微笑みを向け、リボルバーナックルがカートリッジロード。
振り向く勢いで振りぬかれようとする拳と、それが連れてくる魔力弾。だが遅い。引き金一つの銃器には遅すぎた。
「■■! ■■!」
発砲音、二連射。衝撃が二つ、痛みも二つ。ギンガが覚えるのは違った驚愕。
『バリアジャケットが抜かれた!?』
物理衝撃に高度な耐性を持つはずの防護服が唯の布のように。
最初の裂傷、更に新しい二つの損傷に驚きも相まって、膝から力が抜ける。
「さっきの魔道師か……手間を取らせやがって」
平静な声と平坦な足音。近づいてくるのは何処にでも居るような背広に身を包んだサラリーマン風の中年男性。
だがその瞳だけは死んだ魚のように濁り、夢幻を見ているように虚ろでもある。
しかし手に握るのはミッドチルダに存在してはならない火薬式銃器、いわゆるピストル。
「如何してこんな事を…「■■」…グッ!?」
「お姉ちゃあぁん!!」
何の警告もなく、顔色を変える事も無い。淡々と放たれた弾丸を足に受けて、ギンガの体が崩れる。
完全に力が入らなくなった足に引き摺られて、うつ伏せに近い体勢で倒れてしまう。
ようやく状況を理解した少女が抱きついて来ても、ソレを抱き返す余力も無い。
「どうして? 管理局の魔道師様に……廃棄都市で足掻くオレ達の事が解ってたまるか。
希望も夢も明日への糧も無い。魔法を使える人間だけが重宝されて、世界を動かす。
幾ら働こうとも届かない金や地位を、魔法が使えるってだけのガキが掻っ攫っていく。
ふざけるな、何が魔法だ……何が管理世界だ……」
男は虚ろな口調で、だがしっかりと恨みを口にする。
例えどんな管理外世界の出身者でも魔法の性能さえあれば、一足飛びに世界を管理する管理局の門を潜る事すら可能。
だが幾ら努力しようとも廃棄都市に流れ着いた時点で、多くの人間がその将来を失ってしまうのだ。
「オレ達はお前ら管理局が掃いて捨てるようなゴミじゃねぇ」
ピッタリとギンガの額にあわせられる銃口。男は初めて熱を帯びた言葉の群れを吐き出す。それは理想に準じる革命家と呼ぶには幼稚、宗教家と呼ぶには乱雑。
「これはソレを証明する為の…『サク』…ヴァれ?」
何かを切り裂く軽い音。不意にテロリストの言葉が途切れる。
不信に思い、ギンガが視線を必死に上に向けた。何かの液体が端正な顔を濡らす。
「ビシャビシャ」と彼女の顔を濡らすのは何処からか溢れ出る紅い紅い……
「なんヴぁこれヴぇい!」
引き裂かれたのはテロリストの喉下。喉を埋め尽くす大量の鮮血は命を刈り取るに充分。
途切れた言葉が再び紡がれる事も、狂気に覆われた指が再び引き金を引く事も無い。
「違うよ。人の命なんて平等に……ゴミみたいなものさ」
崩れた男の死体をゴミでも動かすように横に捨て置き、恩人にして殺害者の姿がギンガ達の眼下に晒される。
黒いロングコートを筆頭とした黒尽くめに身を包み、右手には血が斑模様を映すナイフ。
「やっぱり女の子は苦手だ。その迷子とギンガさんのワガママのおかげで……余計な仕事をしちゃったよ」
「ピーノ? 貴方は……」
何の躊躇いもなく撃ってきたテロリスト。だがそんな奴を簡単に『殺害』と言う手法で無力化した手際の良さ。
どう考えてもまともな人間ではない。
「それは偽名さ。僕の名前はピノッキオ……殺し屋だ」
時は僅かに巻き戻る。
飛び出していったギンガさんの背中を見送って、僕 ピノッキオは何度目か解らないため息をついた。
勇気と無謀は別のモノ。今回の彼女のアクションは完全に後者だ。どんな人間でもそう評価するだろう。
他人の命の為に、自分の命を投げ出す。しかも見ず知らずの奴の為に。それが管理局の局員だ!って言われると困るが……
「僕がここで仕事をする道理は無いんだけど……」
地上本部の実質的なトップであるゲンヤさんが雇い主とは言え、それが一般の局員まで浸透しているとは言い難い。
もしここで自分の実力を披露するような事に成ったら、危険人物として対処される可能性もある。
何せ僕の戦いは管理局が掲げる非殺傷などと言うものとは大きく離れているからだ。
だけど……
『恩を返せ』
先生の言葉。僕の人生を決定付けたといっても良い言葉。
『もう……しょうがないわね? ピーノは』
そんな風に笑いながら、僕なんかの世話を焼いてくるギンガさん。
どんなにつまらない反応を返そうとも、決して嫌な顔をしないお人好しの世話好き。
何よりも僕の苦手な女の子。そのはずなのに……
「嫌いじゃないのか? 彼女を……なら……」
ゆっくりと立ち上がり、大きく息を吐く。手には既に機動状態 ナイフ状のカヴァリエーレ。
光が全身を多い、この世界での仕事着 ロングコートを筆頭にした黒尽くめのバリアジャケットを展開。
「助けても……嫌われて終わるだけかもしれない」
銃声が聞こえた。既にテロリストに遭遇、戦闘を行っているのだろう。
僕は駆け出す。この世界に来て僅かにマスターした魔法、身体強化をフル稼働。
普通の魔道師からしたら、魔法とも言えないような小さな不思議。だけどそれで充分だ。
僅かにでも早く辿り着き、確実に事を成す。
『ピノッキオ……すまなかった。許してくれ』
おじさん、クリスティアーノおじさん。僕には謝られる理由なんか無いんだ。
僕が選んだんだから……恩返しを。ただ方法が『殺し』だったってだけ。
愛されなくても良い。ただ僕が好きな人の役に立ちたくて、守りたかった。
「見つけた……」
目標を視認。ギンガさんは撃たれたらしく倒れ、テロリストは何かを熱く語っている。
『獲物を前に舌なめずりをするのは三流のやる事だ』……誰の言葉だっただろうか?
正面からこれ以上近づくのは危険。そう判断、身を屈めて倒れた棚などの後ろを通って後ろへ。
全く気付かれた様子は無い。首を絞める要領で手を回し、逆手に持ったナイフを引いた。
「違うよ。人の命なんて平等に……ゴミみたいなものさ」
『ゴチャゴチャ考えるやつは弱い。人の命をゴミだと思え』
そう僕に教えた先生だって……あんなに強かったジョン・ドゥだって……抗争先で銃弾を受けて簡単に死んだ。
僕もそうだ……見逃した女の子に殺された。ゲンヤさんだって偉いはずなのに、身内である管理局からも命を狙われる。
もちろん呆然と僕を見ているギンガさんも例外では無い。現にいま死にそうなっていたし。
「ピーノ? 貴方は……」
僕はそのゴミみたいな命を狩って生きてきた。たぶんこれ以外に何かをする事は出来ないだろう。
他人からすれば本当に救いが無い人生かもしれないけど、そんな自分が嫌いじゃない。
気付かせてくれたのは間違いなく似合いもしない平穏な時間。平穏の中に居ても、そちらに行こうとは思わなかった事実。
そんな時間を与えてくれたギンガさんだろう。だから僕は胸を張って宣言する。おじさんのくれた名前、先生がくれた職業。
「僕の名前はピノッキオ……殺し屋だ」
驚愕です……支援無しで投下が終了しましたw
えぇ、最後のほうとかグダグダで、リリなのキャラが出番少ないって……解ってますとも(遠い目
しかし書き終えて楽しかったので良し!ですとも(勝手に納得
ではさらば〜
GJでした!
陸が頑張ってますね。はやては現実に疲れてそう。
ギンガはとても素敵でした。
ゲンヤ、頑張ってくれ。
GJ!
なんという殺し屋思考w
ミッドチルダはテロ頻発状態に逆戻りですね。
GJ!
そしてフルメタネタワロスwww
乙です。
内輪もめなんて下らない。
争ってないで、次元世界の人々の平和と安全を一番に考えてくれ。
GJ!!です。
ここのゲンヤが好きですw
スバルとギンガの体のことで海に協力してたが、その技術が陸にできたら
海に加担する理由が無い。元々、俺は陸士だもんって感じが堪らないwww
真実を知ったギンガと今後の海と陸の暗殺と情報戦が楽しみです。
663 :
一尉:2008/07/19(土) 13:42:46 ID:4JciAJG8
まさしく最強たな。支援
664 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 19:02:04 ID:qawyUW2L
過疎りすぎワロタ
>>664 雑談するくらいなら過疎ってる方がまだまし
R-TYPEの続きが早く読みたいぜ
ヒステリックドーン、ニュークリアカタストロフィーときたら残るはアレだよな
バイディックダンス
あとネガティヴコリドー
エクリプスメモリーとエンボスも忘れちゃならねーぜ
>>666 俺も待ってるぜ
アセリア氏まだかのう・・・・
さて
これ以上続くと雑談化してしまうので
自重するか
他の作品を待たれているところに悪いとは思うんですが
投下するなら今のうちと思うので、問題が無ければ30分から投下します。
何ら問題ありませんぜ!支援します。
よし、支援します。
光太郎がスカリエッティの研究所に移送されてから暫くの時が過ぎた。
研究所にやってきた光太郎に、スカリエッティの秘書のウーノはスカリエッティの都合に合わせて日に2,3種類の検査を行い、数日をおいてまた検査をする、というスケジュールを組んだ。
基本的に人が良いせいで思わず承諾してしまった光太郎は、今の所その通りに協力していた。
お陰で宛がわれた部屋で暇を持て余していることも少なくない。
広い場所を借り、空手の稽古をしたり、(許可をもらう相手は変わってしまったが)アースラにいた頃と変わらずドクターの許可を得て本を読み、世話係の少女に頼んで外に出て気分転換をするという毎日を過ごすのは、そう悪くない。
クライシス帝国との戦いに気づかぬ内に疲れていたのか光太郎はそう感じていた。
そうしてゆっくりと毎日を過ごすある日のこと、何度目かの検査日の翌朝、宛がわれていたベッドで光太郎はドクターに借りた本を読んでいた時だった。
何冊も本を読むうちに読むスピードが上がり、光太郎は数秒に一度位の速さで本を読み進めていく。
それで頭に入るのかとこちらでの生活に不慣れな光太郎の世話役を命じられた少女に尋ねられたこともあったが、大丈夫だと光太郎は返事を返している。
不意にページを捲っていた指が止まった。誰かが読んでいる途中だったのか、途中に栞が挟まっていることに光太郎は気づいた。
それを確認したこう太郎は、栞が挟まっていたページから目を反らした。
そして、視線は在らぬ場所へと落とされる…何か重要なものでも発見したかのように、光太郎の表情は険しさを増していた。
「…嫌な予感がする」
光太郎はそう言うと体を起こしてスカリエッティの所へ向かい走り出した。
…そこまで見て、スカリエッティは監視映像を止めた。
困っているような、面白がっているようななんとも言えぬ微妙な表情でスカリエッティは秘書のウーノや、自己判断による行動を許可する程信頼しているトーレ。
スカリエッティの作り出し、ナンバーズと呼んでいる戦闘機人達の内から呼んでおいた2人に顔を向ける。
そのまま目配せをして意見を求めてみたが2人とも不可解そうな表情をみせるだけで返事は無かった。
ナンバーズの三番目、紫の髪をショートカットにしたトーレが確認するように尋ねた。
「この後光太郎はまっすぐドクターの所へ乗り込んできて、驚いたドクターはうっかりケースから出していたジュエルシードを落としかけたと?」
「…これで三度目だ。偶然とも思えないが、彼が私を監視しているような素振りは無い」
スカリエッティよりも10cm以上も背が高い為、自然と見上げながらスカリエッティは返事を返す。
トーレは聊か咎めているような口調でたずねたが、白衣のポケットに手を突っ込んだままのスカリエッティにそれを気にした様子は無い。
それどころか返事を返した声は、そうしたことが起こったのを面白がっているような雰囲気を持っていた。
答えたスカリエッティは、ウーノに椅子を持ってくるように頼むと再び光太郎の監視映像や検査で取ったデータを並べ、眺め始めた。
そんな創造主の態度に、管理局が大した警備もつけずに外部に移送していた所を強奪してきたトーレは苦い顔を見せる。
ジュエルシードとはロストロギアに指定されている次元干渉型エネルギー結晶体…言わば使い勝手の恐ろしく悪いちょっとしたキングストーンで、取り扱いには十分に注意しなければならない。
スポンサーに頼んで送ってもらった異邦人一人の『嫌な予感がする』で、創造主が落っことしたなんてトーレには目も当てられない話だった…
同じくウーノも、スカリエッティを心配し苦い表情でどこかから椅子を持ってくる。
「何らかのレアスキルを所持しているとも考えられますが…」
「ありがとう。今のを見て本当にそう思うかね?」
口を濁すウーノに一瞥を与えて、再び表示させたデータをスカリエッティは眺める。
礼を言って受け取った椅子に腰掛ける彼の目は生き生きとしていた。
データはまだ殆どが不明とされていて、れ以外の洗脳結果などについては効果なしと記載されている。
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スカリエッティの元にはスポンサーからの惜しみない援助で購入された最新の機器が揃っているのだが、それらをもってしても光太郎の体内を調べることはできないでいた。
それに加えてこのような原因不明の奇行に振り回され、スカリエッティの本来の仕事は妨げられていることをウーノは不愉快に感じていた。
「ドクター、やはり光太郎は早急に処分してサンプルの一つとしてしまった方がよろしいかと思われますわ。彼が来てから、予定していた作業に大きな遅れが生じ始めています」
「予定? そんなもの構わんさ。生きた興味深いサンプルを研究するには多少の遅れは仕方がない…スポンサーもそれは承知している」
スカリエッティは秘書の進言をばっさりと切って捨てた。
異世界の質量文明が生み出した生物に興味津々らしく、鼻歌混じりにそれに付き合うつもりのようだった。
ニヤつきながらスカリエッティは「嫌な予感がする」パターンを割り出そうとでもしているのか、早送りで映像データを流していく。
流れていく映像に自身の作品の一つが移り、彼は呟いた。
「ほー…チンクはうまくやっているようだね」
「はい。騎士ゼストの世話をしていたせいか、思いのほかうまくやっているようです」
諦めたようにため息をついたウーノはスカリエッティの隣に立ち、それをサポートしながら返事をする。
名前が挙がったチンクはスカリエッティが作り出したナンバーズの一人だ。
五人目のナンバーズであるチンクは他のナンバーズとは違う狙いで作った個体でナンバーズの中ではもっとも小柄だ。
発育不良な体をチンク本人が気にしているのは知っていたが、当時のスカリエッティがどこかの軍隊が少年兵に頭を悩ませていると聞き、お遊びであえてそうなるようにしたのでそれは諦めてもらうしかない。
チンクは狙い通りの結果に加え、能力も高く誰に似たのか生真面目で面倒見のいい性格に育ったので重宝している。
例えば今回のように光太郎に見せてはならないものを見せない為に、光太郎の世話役を命じたりするには打ってつけだった。
小さい体で男性としても大柄な光太郎の世話をあれこれとしている姿が映っている所を見ると、人選は間違っていなかったようだ。
そこにトーレが口をはさむ。
トーレは腰まで伸びる癖の無い銀髪を揺らし、急ぎ足になって光太郎を先導するチンクを咎めるように見ていた。
「何故チンクに? 私なら三度もドクターのお邪魔をさせるような真似はさせませんでした」
光太郎が普通に歩くだけでドンドン放されていく妹はどう見ても役者不足だとトーレは感じていた。
普段は妹を虚仮にするような言い方はしないトーレに、スカリエッティは喉を鳴らして笑った。
意気込むトーレに、スカリエッティは映像へと目を向けたまま返事を返す。
「初めてチンクと会わせた時、光太郎が驚いていたからさ」
返事をしながらスカリエッティは、光太郎の世話役兼監視役として誰を選ぶか考えていた時のことを思い出す。
チンクを小さな女の子呼ばわりして初印象を悪くする光太郎のある種の不器用さは、チンクの世話を焼きたがる気性と馴染むだろう。
そして彼の信用をあげる一助となるとスカリエッティは考えていた。
「そういえば…あの時彼が面白いことを言っていたな」
「と言いますと?」
「チンクの服装について尋ねてきてね。クライシス帝国ではあの程度のボディスーツ程度の機能性では話にならないようだ」
「…それは、どちらかというと見た目の問題では?」
ウーノはチンクが身に着けているのと基本的には同じものを着ているトーレを見て言う。
彼女らのボディスーツは機能性は案外高いのだが、基本は体のラインが色々と出すぎる…健全な男性らしい光太郎が顔を顰めるのも仕方が無い話だとウーノは思っていた。
だが、もっと凄いのを作らなくてはねと零すスカリエッティにはその辺りの改善は永遠に無いようにも思っているウーノは、それ以上言わなかった。
「まあ、それはいずれ彼が驚くような防護服も作ってみせるとして、あの人の良さそうな光太郎に子供が殺せるとは思えないだろう?」
尋ねられたトーレは嘲りに近い笑みを浮かべて、「そうですね」と答えた。
スカリエッティよりも背の高いトーレから見ればスカリエッティの胸程しかないチンクの体躯は、見ていて少し…有体に言うとかわいそうなものだった。
その時部屋の扉が開いて、当のチンク研究室に入ってきた。
三人は普段の彼らからすると優しすぎる表情を見せ、黙りこくったままチンクが入ってくるのを待った。
チンクは向けられる視線に訝しげな表情を返す。
「ドクター、私をお呼びだと聞きましたが…………なんです?」
676 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/19(土) 22:34:35 ID:eYC+utP6
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下げ損ねすみません。
「ドクター、私をお呼びだと聞きましたが…………なんです?」
スカリエッティ達は何も言わずに、生暖かい目で首を振った。
数年前の戦いで片目を負傷して以来眼帯をつけているチンクは片方の目を何度か瞬きさせて首を捻った。
「チンクから直接話を聞きたくてね」
「光太郎のことでしょうか?」
「ああ。彼がいた世界には彼と同等以上の改造人間が後10人いるらしいが…」
チンクの報告をまとめたものを広げ、スカリエッティは尋ねた。
詳しい話は聞けていないようだが好奇心を刺激されているらしく、椅子から身を乗り出しさえしていた。
「はい、先輩と光太郎は呼んでいるようです。私達と同じような間柄なのかもしれません」
「ふむ…」
スカリエッティは何か思うところがあるらしくそう返すだけに止まる。
「そう考えると不憫なものだな。彼は今異世界に迷い込んで一人ぼっちというわけか」
ならば研究して彼の兄弟を作ってやるのが研究者としての責務だろうかとスカリエッティは笑った。
スカリエッティがそう零すのを聞いて、チンクはショックを受けたのか映像データの中の光太郎に向ける視線に同情の色が透けて見えた。
それから2つ3つ質問を重ね、メモを取ったスカリエッティは、
「…なるほど。よくわかったよ。ではチンク。もう一つ頼んでもいいかな」
そう良いながらウーノが用意した椅子の上で座りなおす。
椅子の脚が長いせいでそれでも立ったままのチンクをスカリエッティが見下ろしているのを見て、ウーノは手を止めて苦笑した。
「なんでしょうか?」
「彼と一緒にミッドに行って彼の着替えを2,3着買いに行ってきてくれないか?」
「服…ですか?」
首を傾げる三人に、スカリエッティはため息をついて頷いた。
すると新しいモニターが空中に浮かび上がり、昨晩の映像だと日付でわかるそれにはスカリエッティと光太郎が映っていた。
バスローブを身につけ、風呂上りの牛乳を飲むスカリエッティと、その隣、洗濯機の前でタオルを腰に巻き鍛え上げられた裸身を晒して仁王立ちする光太郎…スカリエッティはげんなりした顔で言う。
「私は自分の服を貸すつもりはないし、毎晩タオル一枚で洗濯機の前に立たれるのも迷惑なんだ」
横目で光太郎を見たスカリエッティは、無言で洗濯機を見続ける光太郎に居心地が悪そうにして少しずつ距離を置いていった。
「ああ。なんなら、君達の服も買いたまえ」
その時の自分の様子を見苦笑がもれた。
殆どセクハラに近い映像を見せられている三人のリアクションなど構いもせずに、スカリエッティは言う。
「ウーノ、後で私のスーツを仕立てた店などをチンクに教えておいてくれ」
因みにウーノに任せるうちにいつの間にかスカリエッティの服の値段と着心地が跳ね上がっているのだが、スカリエッティはそんなことには全く気づいていなかった。
毎日来ている服がきっちりと手入れされ、気に入って何年も着ているものもほつれ一つないのだがそれが当然だと信じていた。
「な…なんでしたら、私が参りましょうか?」
少し青ざめた顔で映像を視界に入れないようにするウーノにスカリエッティは間髪いれずに首を振った。
「駄目だ。そんなことになったら私が困るじゃないか。君がいない間、一体誰が私の世話をしてくれるというんだね?」
「はい」
「よよ予算は幾ら程ですか!?」
二人をジッと見つめるトーレを小突きながら、顔を赤くしたチンクが尋ねた。
ウーノも咎めるような目を向けると、詰まらなさそうにトーレは部屋を出て行く。部屋を出て行く時、トーレは肩越しに振り向いてスカリエッティと肩を竦めあった。
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「幾らでも構わないから、見栄えよくしてやってくれたまえ…特に湯上りに見苦しくないように頼む」
そう言って、今日もまた管理局の用途不明金の額を増やすスカリエッティの金銭感覚にウーノは困ったような顔をする。
それくらいの浪費をしてもいい位には働いているが、スポンサーの一人である首都防衛隊代表の前ではこんなことはないようにしなければならない。
「わかりましたドクターとは別の店を教えることにしましょう」
「? 何故だね?」
「ドクター…」
呆れたような顔でウーノは不思議そうにするスカリエッティに近寄ると、体に手を這わせて服の掴み縫い目などを見せる。
「ドクターの服は全てオーダーメイドですから。魔法を使う職人でもその日に一着と言うのは無理です。今着ているこの服を作った職人は人気もあって数年待ちなんですよ?」
「金を積んで急かせばいいだろう?」
「ドクターと同じような手合いが多いんです」
「なるほど。やる気を無くしてしまうのか」
説明を受け、やっと納得したように言うと、スカリエッティは興味をなくしたように作業に戻る。
ウーノはそんな様子に慣れているので気にせずチンクに既製服の店などの位置を教え、準備をするように言い渡した。
一番上の姉に教えられたことを何度か頭の中で整理しながら部屋を後にするチンクの背中を不安げに見送ってからウーノは通信画面を開き、今度は光太郎に連絡を取る。
部屋で読書中だった光太郎は、空中に浮かぶ通信画面に未だに不思議そうに見上げた。その田舎者っぽさにウーノは顔をしかめる。
だがそれを我慢して説明をしたにもかかわらず、光太郎は首を横にふった。
「厚意は感謝するが、受け取るわけには「こちらの買い物もありますから、荷物持ちの報酬とでも思ってください。5分後にチンクが迎えに行きますから準備をよろしくお願いします」
恐縮する光太郎にそっけなく言い捨てて、ウーノは通信画面を切る。
疲れた様子で彼女はため息をついた。
そして、外出の準備をしに行ったチンクへと通信回線を開く。
準備万端と言った顔でウーノが時々使っている車を用意しているチンクが映し出される。
手入れは怠っていないためすぐに動かせるが、シートの調整などに手間取っているらしい妹を見て、ウーノは頭を抱えたくなった。
少し考え…すぐに頼りになりそうなのは、長期の潜入任務に従事しているナンバーズの二番目、ドゥーエだけかもしれないと思い至ってから、彼女はチンクに話しかける。
「…チンク。ドゥーエに連絡をしておくから彼女と合流しなさい」
「ウーノ姉、どうしてですか?」
腑に落ちない顔で尋ねてくるチンクは、彼女ら戦闘機人達用のボディスーツ…体にぴったりとフィットするそれの上からチンクの固有武装である防御外套『シェルコート』を被っていた。
殆ど外へ出さずその手の感覚にズレがあるのだろうが、ボディスーツの上から灰色のコートだけ。
買い物に行くのにこれはないと唖然としながらウーノは答えた。
「そんな格好でそんな質問をするからよ」
「どういう」
何かチンクが言っていたような気がするが、視界の端でスカリエッティが飲み物を欲しがっていそうな雰囲気を見せたのでウーノは通信を切った。
ウーノは部屋を出て用意していた飲み物をグラスに注ぎ、スカリエッティの元に戻る。
作業をしていたスカリエッティは、戻ってきたウーノが盆の上に飲み物を載せているのを見て、手を止めた。
差し出されるグラスを取り、「ありがとうウーノ」
そう言っておいしそうに飲むスカリエッティに「いいえ」とウーノは答え、グラスを一度スカリエッティから受け取る。
グラスの表面に浮かぶ水滴をふき取り、ウーノが減った分を継ぎ足す様をスカリエッティは少しそわそわとしながら待つ。
クスリと笑い、返されたグラスから仄かに漂う甘い香りを楽しむスカリエッティのところに、光太郎とチンクがどちらが車を運転するかで揉めていると報告が来るのはもう少し先立った。
以上です。
貼るのが遅くて申し訳ないです。
>>675 「チンクの服装について尋ねてきてね。クライシス帝国ではあの程度のボディスーツ程度の機能性では話にならないようだ」
→「チンクの服装について尋ねてきてね。クライシス帝国ではあのボディスーツ程度の機能性では話にならないようだ」
ですOTL
GJです
相変わらず光太郎の直感は凄いw
GJ!
スカさんごときに光太郎を殺せるわけないのにね、JK。
早く不思議なことを起こして下さいよう。
GJ
スカ逃げて!いや逃げるだけじゃダメか。
ナンバーズ連れて逃げた先でひっそりと暮らして!
GJ!!です。
あんまり光太郎の事は知らないんですが、
スカ博士がチンクを殺せなさそうって真実なんだろうか?
悪だったら、結構あっさり倒すタイプ?
>>687 あっさり倒しますが、何か?
RX「邪悪なスカリエッティに仕えたのが貴様の不幸だ!」
光太郎がチンクを殺せないと言ってたとおもう
スカリエッティではなく光太郎がチンクを殺せないと言ってたとおもう
すまん、スカリエッティーが光太郎の性格から判断してチンクなどの幼い子供に、
見えるものを殺せないと判断しているけど、光太郎は悪だったらあっさり、
ジャスティスするタイプかなって。
光太郎「所詮はナンバーズ!邪悪の塊だ!」
ま、いざとなればバイオラでチンクの体乗っ取ったり、ロボでチンクの頭脳ハッキングしちまえばいいし。
その辺り数の子たちは判断しずらいぞ。
たいていの怪人は怪人自身も悪だったけど、数の子達の場合は善悪の判断がついてないのが多い。半分近くがドクターに従ってますだぞ
それはともかく、GJです
つまりクア姉はさっくりとリボルケインられるって事ですね、解ります
光太郎が悪の科学者に従うのは止めろとナンバーズを説得している光景よりも
リボルケインで全員まとめてぶっ刺して火花散らしている光景の方が圧倒的に想像しやすいんだが。
>>695 マンガの方は情け容赦ないからありえるな
逆にテレビの方だと一緒に暮らした幼い(外見が)子供を殺すのは躊躇しそう
ということは、下手するとスカリエッティが彼女達を悪にした→許さんッ!!
→天誅後にスカ博士のスポンサーを知る→・・・悲しみを作る管理局(上層部)許さんッ!!になってしまうのか。
GJ!RX無双を期待していますw
699 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/20(日) 00:06:14 ID:MMYx63DK
何かある度「ゴルゴムの仕業か!」「もしやクライシス!」と根拠無しに行動して、見事的中する光太郎兄ちゃんの直感は伊達じゃねえ!
>>687 今BLACKを見直してますが、相手が民間人でも、当時の時代柄多い不良な若者の暴力シーンに「止めるんだ!」とか言って乱入してポンポン投げ飛ばしてますね。後、ヤギ怪人みたいな洗脳タイプの怪人に操られてる一般市民もボコボコと…
さすがに相手が子どもの場合は投げはしませんけど、相手が明確な敵なら子どもでも躊躇しても殺る時はやりそうな気もする。
ここまで「容赦なし」と判断されるのは正義の味方としてどーよw
容量ヤバいが新スレ立ってねぇな。
というわけで立ててみる。
女子供を殺そうがどんなド汚い手を使おうが、結果的に多くの人々の平和と幸福の為になるなら正義です。
まぁ、一般的な正義の味方ではないな。
世間では勘違いしている人が非常に多いんですが、善と正義は全くの別物です。
沢山居る割りに、チームワークの欠片もない平成ライダーよりましでは?
>>703 響鬼は組織だってたしブレイドもそれなりにチームワークが高かった筈だが?
>>704ブレイドの最終回は良かったなあ。個人的には平成で一番の回だと思ってる
ただし序盤はオンドゥルルラギッタンディスカー!?だけど
555のライダーは普段仲悪いが戦闘時の連携は抜群だぜ
天道と加賀美だって中々のもんだ
ウーノに世話してもらう気満々って、なかなかのダメ人間っぷりだなスカ博士
光太郎しらないがおもしろいっす、次回もたのしみだ
今での会話で光太郎がものすごいことはわかった
>>706 変身したまま当身→植物状態には吹かざるをえないw
>>707 平成では、信頼はしないが信用はする、ってのが基本スタンスだからなあ。
でもまぁ光太郎も信彦殺す事は躊躇ってたし、あっさり殺すって事は無いだろう
吹っ切れたらジェノサイドだけどね
スカが橘さんを味方につけたら…
∧∧
(#0M0)<俺の体はボドボドだぁ!!
>>695 というか歴代ライダーなの中でももっとも自分の直感のみで生きたライダーなんじゃね?
そしてそれだけで生き残れる呆れるほどの強さを誇るのがBlackRXというライダーだと思う
なんかデバイスの声を聞いてたら
斑鳩の機械ボイスを思い出した
誰か斑鳩やシルバーガンとのクロスを書いてほしいなあ
ではこのスレ埋めましょうか。
暑い埋め
‥ __. -‐----、_ , '⌒ヽ
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/ , zi≠ i .i .ハ ヽ ヽ:ヽ
j ./z≠ .| .i..:j:.:メ ├廾弋ヽヽ ヽ| :.
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.| |. .::' ̄|i/.ィ;;バ V 込!。レメ.:.} リ
.| | i.i.:.::::代込ジ ,~'゙ |ハリ .:
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} :弋^ゞュ:ゝ (;:ソ ,.兮{、
./ .:.:/T´:个 - .._ /\イ))
/ .:.:ノ \:.:.`\ リ\:.:. },ノ
.: ./ .:/ 入.:.:.ト}` ̄`ヽリ川'| :. ‥
/ / :/\_ .::| ,)リ.} 工ニイ | , -‐- 、
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: .: .::./ /: . ノ:.:.:.:. { i .∧ノ / \ ', (__ _>-。-、
_,..=ニヽ、_/ /: . ∧:.:.:..:.:.:|: j ./トノ / ハ. ヽ _: . / o x ヽァ
三ニ, /: . く:.::!.: : : :.:}: | /┤ /: .: .: .: .: . |、 \ (_ .二ィ K`ヽ、__
.=ニ--┐ ノ: .: .: .:\. :. ノ: j /.ノ ̄ : .: .: .: .: .: .: .: .: .:ト、: \ : .: .ヽ. . . , イ 、__)
: .: .し': .: .: .: .: .: .`ー´`ー-.ノ ,': .: . : .: .: .: .\\__,ノ\  ̄: . し'ヒ>、_)
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: .: . : . {:|. ! `゙ ー '´
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| ト、__ノ|
ヽ:: ノ
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>>720 このまま変形してタンクモードとかなんねぇかなって思った俺は異常
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/ ヽ \
// | \ニ>、 ',
/イ /|x/| ∧xト|ヽ!トヽ|
||イ ・ ・| |〉⌒i
/^ヽ|∧'' l ̄l '''| l ,イ 負けないですよー!
\ .〉 |ゝ、`_´_. ィ| | ∧|
. ,`| | /'´∧ \l| l/ ヽ
/'| l∧/| トイ| | ヽ
. i | |〈 ノ | 〉.| | )
/  ̄/ヽ. /
(⌒} _ /_r // / | 干〃
` x ''" / \// { c、
/ ヽ _,. /-―‐ィゝ、 ゝ
,′ f / Vトゝ_ r 7 / ) ヽ
| 、 | /⌒! ト、´\ ´ っ
| r !∨ / __ イ |┐、ヽ
| ゝ∨ /ニニ <「 |/ イ \',
| | ∧ /\/..イ |
| ∧ ′ Y| | \ |
>>721 ト、
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少 し … | . ヘ / /
_,ゝリ. | / /
頭 冷 や そ う か … ,--メ、_ 〉-┴―' ' ― ― - : - 、 / / /
ノ--' \、: : : : : : : : : : : : : : : : : \ / / /
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