Fate/stay night vs 東方project
別スレからZeroでのエヌマ・エリシュの描写借りてきた
そう、それはもはや剣ではない。
この世に”剣”と呼ばれる概念が現れる以前に誕生したモノが、
既知の剣の容である筈もない。それはヒトより以前に神が創りしモノ。
世界の始まりに記された神の業の具現であった。
挽き臼じみた三つの円筒は、天球の動きに呼応して、それぞれが
地殻変動に等しい重さとパワーを軋ませながら廻っている。
滾りあふれる膨大な魔力は測定の埒外だ。
エア――古代メソポタミア神話において、『天』『中』と別たれた大地と水の神。
その名で呼ばれるこの『乖離剣』こそは、神代において世界の創造に立ち会った原初の剣。
始まりの刃が果たした役とは、即ち――未だ無形であった天と地とを切り分かち、
その判別に確たる姿を与えたことに他ならない。
天が絶叫し、地が震撼する。
宇宙の法則を軋ませて解き放たれた膨大なる魔力の束。
アーチャーが振り下ろした切っ先は、そもそも誰を狙ったものでもない。
もはや誰を狙うまでもないのだ。乖離剣の刃が裁ち落とすのは、たかが”敵”ごときでは収まらない。
否――大地だけではない。亀裂は地平から何もない虚空にまで延び拡がり、空間を
歪ませて大気を吸い上げ、逆巻く風とともに周囲の全てを虚無の果てへと吹き飛ばしていく。
英雄王の執る乖離剣。その一撃が穿ったのは大地のみならず、
天にまで及ぶ世界そのものだ。その攻撃は、もはや命中の是非、威力の可否を
語るものですらなかった。兵が、馬が、砂塵が、空が――およそ切り裂かれた空間を
拠り所としていた万物が、渦巻く虚無へと呑み込まれて消えていく。
その一刀を揮うより前の有象無象は、何ら意味を成さぬ混沌にすぎず――
その一刀が揮われた後に、新しい理が天と海と大地を分かつ。
解き放たれた天地創世の激動は、もはや対城宝具の域にすらない。
形在るモノのみならず、森羅万象すべてを崩壊させる規格外。
それこそが英雄王を超越者たらしめる『対界宝具』の正体だった。
空が墜ち、大地が砕け、全てが無に帰していく闇の中、ただひとつ燦然と輝く
アーチャーの乖離剣。その光は、さながら新しき世界を初めて照らす開闢の星の如く、
煌々と破滅を締めくくる。
で、こっちがHollowラスト直前のエアの描写
これを抜けられた骸は何千万分の一の確率らしいんで、都合数千万の人間大の敵を殲滅させたということかな
「―――よい開幕だ。死に物狂いで謳え雑念―――!」
その罪を根絶する為、暗黒の侵略者を上回る暴風となって、黄金の殲滅者が降臨する―――!
生命活動、否、存在事項を許さぬあらゆる自然(ぼうりょく)が、王の前に乱れ集う。
地獄を謳う骸どもに、圧倒的な真実が荒れ狂う。
「――出番だエア。おまえとて不本意だろうが、なに、これも先達としての務めよ。
真実を識るものとして、一つ教授してやるがいい……!」
主人の命に従い、乖離剣が軋みをあげる。
これこそあらゆる死の国の原典、生命の記憶の原初。
カレ等が地獄を歌うのなら、ソレは地獄を作り上げる。
天地が開闢する以前。この大地は溶岩とガス、灼熱と極寒が入り乱れる地獄であった。
その苛烈さは語り継がれる記憶にあらずとも、目に見えぬ遺伝子に刻まれている。
……そう。
地獄とは、このおおらかな星があらゆる生命(いのち)を許さなかった、原初の姿そのものだと―――!
「黄泉路を開く。存分に謳え亡者ども。
なに、退屈はさせん。我とてこのような気紛れは一生に一度あるかないかでな。
財の出し惜しみはせぬ、夜明けまで命を賭して持ちこたえよ……!」
暴風の中心は無風などではなく、紛れもない奈落の穴。
この領域に踏み込んだ骸たちは、落下するようにもと在た無へと戻っていく。
英雄王がかざす真実に、阿鼻叫喚如きが耐えられようか。
新都に編成されつつあった骸の大軍はここに壊滅する。
それは戦闘と呼べるものではなく、文字通り、自然による天罰そのものだった。