【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.9

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1名無しさん@お腹いっぱい。
アニメでも大活躍し、過去リプレイ作品で異世界慣れした我らが“下がる男”柊蓮司……
そんな彼や他の登場人物達がもしも○○の世界に飛ばされたらor○○キャラが第八世界にやって来たら…?
そんなナイトウィザードのifストーリーを語るスレです。

■ 注意事項 ■
・不要な荒れを防ぐ為に、sage進行で御願い致します。
・冥魔(荒らし)に反応するあなたも冥魔です、スルーしましょう。
・次スレは>>975を踏んだ方、若しくは475kbyteを超えたのを確認した方に御願い致します。
 また、重複防止の為に次スレを立てる人は立てる前に宣言を御願い致します。
・荒らし、カッコ悪い。
・Q.ナイトウィザードって○○のパクリ?
 A.とりあえずほぼ全て何かのパクりです。初版が2002年3月発売なのでそこから判断してください。

■ SSを投下する方へのお願い ■
・NWキャラをクロスさせたい作品世界に送り込むも良し、
 逆にクロスさせたい作品のキャラをファー=ジ=アースを中心とした
 きくたけワールドに招いてNWキャラ達と掛け合い活躍させるも良し、
 SS創作者の想像の赴く儘に楽しめる物語を書き込んで下さいませ。
 但し、NW関連スレと云う事で片方は「ナイトウィザード」で御願い致します。
・801等、特殊なものは好まない人も居るので投下する場合は投下前にその旨を伝えましょう。
・各作品の初投下時は、クロスする作品名を最初に御願い致します。
 そうすれば読者も読み易いでしょう。
・SSの内容が18禁の場合は地下スレ(検索ワードは「卓上ゲーム」)へ。
・NW側からのホストキャラはNW公式作品に登場しているキャラを主軸として、
 SS創作者オリジナルのキャラをストーリーに絡める場合はあくまで脇役としての
 立場で参加させて下さいませ。
・御互いの作品を尊重しましょう。一方的なクロスは荒れる原因ですよ。

■前スレ
【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.8(アニメサロン)
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1207322099/
■関連スレ
ナイトウィザード-NightWizard!-セッション40
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1211878628/
【ネタバレ】ナイトウィザードその15【卓ゲ雑談】
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1207318313/
菊池たけしセブンフォートレスナイトウィザード64
http://game14.2ch.net/test/read.cgi/cgame/1212119648/

■関連リンク
http://www.fear.co.jp/nw/(原作ナイトウィザード公式)
http://www.nightwizard.jp/(TVアニメ公式)
http://www42.atwiki.jp/nightwizard/(アニメ版まとめWiki)
http://www32.atwiki.jp/nwxss/(過去SS保管庫)
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 15:41:23 ID:Zu6WeegA
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 15:49:13 ID:5xWLhqKG
            ,: :´ ̄ ̄ ̄ ̄: :`.、 
           /(__: : : : : : : :/\
          /__.二二二二二. __i
         /: : : ,: : : : : : : : : : : : : :}: : : : :}
          / : : : :{∧;Aレ;{: : :/ヽA: :}: : :i : !
   _人_   {j'{: : : ト┬‐┤|::./┬‐┐| : : | : |
   `Y´   {lヘ: : : { 弋丿 レ  弋丿イ: : :.|: :|   
        {| jハ ⊂⊃    ⊂⊃: : : :|: :|   お疲れさま、>1……。
           l j{: : :}ヽ.  ヽフ   ノ:j: : : :i: :|   この書物も、もう9冊目……。
          |.l: : :|: :,>;‐〈 ̄〆ヘ}: : : :| :.i
          |:|:||三三三三:三:三{j: : :.|: :|
            l: || NWクロスSS ||: : : |: :|
         j: :i||  ノ'(⌒j      l|: : : |: :|
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 19:06:57 ID:0L8pajd8
新スレおめ。

ふと、こみパの世界でナイトウィザードアニメが放送されてたら由宇あたりがはまりそうだと思った。
…この場合、クロスオーバーに含まれるんだろうか?
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 19:54:34 ID:0FYqC7wv
>>1
乙!



>>4
すげー強引な上になんの根拠もないじゃないかwwww
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 20:00:56 ID:llNjlx81
そこに柊やアンゼなどが現れてドタバタに巻き込まれるならクロス
こみパキャラがただNWのコスプレしてNWっぽい騒ぎになるなら小ネタ

と思わんでもないw
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 20:21:43 ID:H0hnrOir
コスプレしたらそのキャラが憑依する〜とかのノリならアリじゃね
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 20:26:15 ID:7VyNM1Dk
「あかん、売上が下がる……!」
「ふふん♪ この"ちょーこー"詠美ちゃん様にはんこーなんてするからよ! いい報いだわ」
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 20:31:08 ID:4OWeAah1
NWのコスプレして本を売っていたら、作者が買いに来た、と言うなら良くありがちな事実。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 20:31:48 ID:0L8pajd8
キリヒト×柊本を出す怜子。
何気にリオンコスプレが無茶苦茶似合う彩。
そのまんまでコスプレに間違われるすばるw
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 20:54:03 ID:7VyNM1Dk
すばるって誰だ……
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 21:25:01 ID:FPJIwckh
DC版の追加ヒロインだろう
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 21:26:56 ID:KLB0Kq8g
隣のブースでひぐらしサタスペ本を売っている天。
その隣でエロフィギュアを売っているじゅんいっちゃん。
そのとなりでSW設定本を売っているみかきみかこ。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 21:27:46 ID:7VyNM1Dk
そしてその横にはハッピータイマーとPTRPGが、と。


リアルコミケじゃねーか
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 22:47:05 ID:4OWeAah1
そして電源無しゲームコーナーを巡り、仕事相手には挨拶、ファンとは談笑をするきくたけ。

あの人はコミケで人材一本釣りとかしてそうだしなぁ…
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/04(水) 03:03:23 ID:5djTHHlK
スカウトはどっちかと言うと社長がよくやってるイメージがあるな
最初にじゅんいっちゃんに仕事持ち掛けたの社長だし
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/04(水) 04:25:48 ID:rnvlGwyv
>>14
まさかアニキャラ板でプリティトルーパーの名前まで出てくるとは思わなかったw
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/04(水) 10:05:03 ID:t2u8Jbrm
キリヒト「……本当、このスレは予想外のことばかり起こるよね」

【言ってみたかっただけ】
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/04(水) 19:53:01 ID:oYzTZEaT
なんつーか、狭い業界なんだよな。
うちの鳥取でも至って普通に某システムの絵師が遊んでたりする。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/04(水) 21:06:25 ID:tqVlHiJw
部活のOB経由で、某システムのテストプレイに誘われたなぁ
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/04(水) 22:10:03 ID:kmIZcMQj
地方在住のうちみたいな卓には羨ましい限りだなぁ
一度は電源無しに参加してみたいもんだぜ
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/05(木) 00:48:51 ID:rnxabUWI
俺はあきらめたよ。20年以上実プレイなしだと、もう怖くてオンセすら出られない。
23まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/05(木) 21:17:06 ID:9DO/c4Re
9時半から、久し振りに投下します。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/05(木) 21:27:58 ID:Mg5QOo9b
支援するよ!
25まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/05(木) 21:30:37 ID:9DO/c4Re
サフィーがどこからか仕入れてきた情報を元に、飯波高校に通っていた人狼“銀之介”について調べ始めて数日。
飯波高校不思議研究部部室で、静といのりはお互いの成果について報告しあっていた。
「駄目。やっぱ1年生はほとんど知らないみたい。春美ちゃんも知らないって」
溜息と共にいのりが言う。いのりの方は色々と調べてはみたものの、さっぱり情報が得られていなかった。
「で、せんせいはどうだった?」
「ああ、僕の方は色々分かったよ。完璧とは言えないけどね」
対する静は満足げに言いながらメモを取り出した。
「よく調べられたね。去年の卒業生って言っても下がる男じゃあるまいしそんなに有名ってわけでも無いのに」
短期間でここまで調べて来たいのりが素直に関心する。それに静は肩をすくめて言う。
「いや、運が良かっただけさ。僕のクラスの担任の柏持先生が銀之介くんの担任だったのと、小夏さんが詳しく知ってたんだ」
「あ、そうだったんだ。確かに不思議研の部長なんだし、詳しくても変じゃないね」
「まあ、その代わり小夏さんからは獣化した銀之介くんがどんなに格好いいか聞かされたけどね。2時間ほど」
「…そっか、大変だったね」
いのりは同情をたっぷりと込めて静に言う。小夏のことは良く知らないが、春美を見る限り、その話がどんなだったかは想像がつく。
「なあに。元々調査もできるからって理由で送り込まれたわけだからね。このくらい、どうってことないさ」
静が相変わらずのにこやかな笑顔で言いながらメモを読む。
「本名は駒犬銀之介。今年の3月までこの学校に通っていた人狼で、正体がばれてすぐにどこかへ引っ越したらしい。日本じゃないって噂もあるけど、どこだったかは分から

ない。
どうも彼らの一家はこんな風に正体がバレては引っ越しを繰り返していたらしいね。この飯波高校にも、2年生の頃に転校生として入学したと聞いたよ。
評判は…温和な性格のお人好し。たまに獣化してこの学校でも目撃されていたって言うから、もしかしたら獣化を完全には制御しきれてないのかも知れない。
ちなみに卵の黄身を見ると獣化するんじゃないかって話だよ」
「へえ。すご〜い」
静の調査の成果にいのりは目を丸くした。
多数の魔法を使いこなし、かつ実戦経験も豊富な静は、戦闘特化のウィザードとは違い、調査や情報収集も得意としている。
この手の、敵が何なのか探るところから始めなくてはいけない任務には適任なのだ。
「でも、2人以外からはあんまり詳しい話は聞けなかったなあ。どうも銀之介君の話題を出すのを避けてるみたいで」
「あ、それはあたしも思った」
普通の高校に現れた狼男。もう本人はいないとは言え、もう少し話題になってもよさそうなものだ。
「ど〜もみんな反応が薄いんだよね。それに男の子は銀之介って言うとたま〜に嫌そうな顔するし」
「そういえば柏持先生からも変なことを言われたよ。銀之介のことはあんまりおおっぴらに言わない方が良いって」
「なんで?」
「さあ?なぜだろうね。ただ、倉地先生が好きってわけじゃないなら、その方が楽しい高校生活になるとも言ってたなあ」
「倉地先生ってあたしのクラスの担任の倉地先生?」
「ああ。なんでかは分からないけど…」
2人してそんな話をしていたときだった。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/05(木) 21:35:22 ID:Mg5QOo9b
支援ー
27まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/05(木) 21:35:39 ID:9DO/c4Re
ガチャ

「あ、ど〜もこんにち…は?」
小夏か春美が入って来たと思って挨拶をしたいのりの目が点になった。ぶっちゃけて言うと、2人じゃなかったのだ。
柔道部、剣道部、空手部にレスリング部、相撲部…筋肉モリモリの男がどやどやと入ってくる。
「静=ヴァンスタインに要いのりだな?」
その中の1人、何故かガクランを着た男が2人に確認する。
「そうだけど…なんなのよあんたらは?」
「我々はァー!」
その中の代表らしい何故かガクランの男の声にあわせて、男たちはいっせいに、懐からそれを取り出す。
それは、はちまきだった。全員おそろいの。そこに書かれた文字は…『くら』の2文字。
「倉地香ファンクラブ!」
全員で声をそろえて言った。言いきった。そりゃあもう堂々と。
「倉地香…ファンクラブぅ〜?」
なんだそりゃ〜って気持ちを限界まで込めて、いのりが怪訝そうに聞く。
「その通り!我々は陰ながら飯波高校の女神、倉地香様を守護すべく集いし集団!」
そう言う彼の眼は、マジだった。そりゃ〜もうやばいことほどに。
「…で、その倉地香ファンクラブの皆さんが僕たちに何の用だい?」
「うむ。貴様らだろう。我らが宿敵、駒犬銀之介のことを調べまわっていると言うのは!」
「宿敵?どういうことだい?」
宿敵。一般人が普通は使わないような言葉に、静が反応する。それに男は大きく頷いて答えた。
「うむ!思い起こすこと2年前、駒犬銀之介は我らが女神、倉地様を脅かした!その罪は許しがたい!
あの男はどこぞへ去ったが、いつ戻ってくるかも知れん!もし見つけたならば、すぐに我らに知らせるのだ!」
言いたいことを言うと、男は2人にポスターを押しつけてどやどやと去っていく。
「ファンクラブって…」
残されたいのりがぼ〜ぜんとして言う。
「なるほどね。確かにあ〜ゆ〜のがいたらおいそれとは話したがらないだろうね」
うんうんと頷いて1人納得する静。
「けどまあ、これで分かったよ」
「何が?」
「新しい情報。銀之介くんの人間としての顔さ」
静はいのりに先ほど渡されたポスターを見せる。そこには柔和な少年の顔と、銀色の狼の顔写真が並べて載っている。

WANTEAD 駒犬銀之介 見つけたものは速やかに倉地香ファンクラブまで

なんてな言葉と共に。

「これって…」
「指名手配書。理由は分からないけど、銀之介君は彼らにはずいぶんと嫌われているらしい」
いのりに説明しながら、学生鞄の中にポスターをしまう。
「さ、今日はもう帰ろうか。サフィーちゃんにも教えてあげないと」
なんてなことを言っていたときだった。

バタンッ!

「静さんいますか!?」
ぶっ壊れんじゃねかってほどの勢いで扉を開けて不思議研の部長こと三石小夏が入ってくる。
「ああ部長、今日はちょっと用事があるので「よかった!やっぱり部室にいたんですね!」
静の言葉を遮って静の手をとって、言う。
「すぐ職員室へ行ってください!私じゃど〜しよ〜もありません!」
28名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/05(木) 21:37:59 ID:Mg5QOo9b
支援ネタがでてこない支援。
29まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/05(木) 21:38:46 ID:9DO/c4Re


予想外の来客を出迎えた倉地香はひどく不機嫌だった。
「…久し振りね」
目の前の来客に、倉地は敵意を隠そうともしない。
「本当に久しぶりでしゅね」
それをさらりと流す来客は、小学生くらいの赤毛の美少女。
「久しぶりで…少し老けたんじゃないでしゅか?」
サフィーである。

ピキィ

サフィーの挑発に空気が凍る。気の弱い奴ならあっさり失神するほどに。
「…永遠にお子様体型のあなたと違って、あたしは、女として磨きをかけてるの」
倉地がセクシーでダイナマイツなプロポーションで胸をはる。
サフィーに見せ付けるように。
カチンと来た。だが、すぐに思い直して答える。
「そうでしゅね。ずいぶんきれいになっと思うでしゅ。前よりきれいになって…あとは落ちるだけでしゅ」
ニヤリと笑って。

プチ

倉地の額に青筋が浮かぶ。
「…ジルちゃんなら大歓迎だけど、あなたは好きになれそうもないわ」
「そこは同意するでしゅ。アンタとは永遠に分かり合えないでしゅね」
サフィーの方も頷く。
「ま、アタシは、静を迎えに来ただけで、アンタには用はないでしゅ」
「静って…留学生の静くん?…あなた、まさか静くんから血を吸うためにたぶらかしてるんじゃないでしょうね?」
倉地は知り合いの吸血鬼の少女から聞いたことがあった。
目の前の少女が、美少年の血しか吸わない偏食家であることを。
「…そう言えば、1回しか血を頂いたことはないでしゅね」
今度また吸ってみようかなんてなことを思いながら、サフィーが答える。
「ちょっと。留学生とは言え静くんはうちの生徒なんですからね。変なことをしないでちょうだい」
「生徒…ねえ」
遠くを見ながら、この学校に通っている2人のことを思う。
「そんな可愛いもんじゃないでしゅよ。静も、いのりも」
「ちょっと、どういうことよ?」
サフィーが静だけでは無くいのりのことまで知っていることを聞き咎め、倉地が怪訝そうに聞き返す。
「…ま、色々あったんでしゅよ」
こちらに向かってくる足音を吸血鬼の聴力で聞き取り、肩をすくめて立ち上がる。
「迎えが来たようだから、そろそろ行くでしゅ」

ガチャ

「失礼します」
サフィーの言葉にあわせるように静といのりがやってくる。
「それじゃ、バイバイでしゅ」
なにか言いたげな倉地を残して、さっさとサフィーは行ってしまう。
「あ、ちょっと待ってくださいよ。結局倉地先生とはど〜ゆ〜関係なんですか?」
「ちょっと」
倉地は残された2人に問いかける。
「あなたたち、あの子とどういう関係なの?」
その言葉に、静は少しだけ考えて、答える。いつもの笑顔のまま。
「そうですね。強いて言うなら…戦友、ですかね」
最強に怪しい関係を。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/05(木) 21:43:43 ID:Mg5QOo9b
支援ー!
31まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/05(木) 21:44:33 ID:9DO/c4Re


飯波の秋の日は暮れるのが速い。
そんなわけでぼちぼち太陽もすっかり沈んだ頃、3人は連れだって見回りを開始する。
「倉地先生とサフィーちゃんって、知り合いだったんだね」
呑気に話かけるいのりの言葉には、気負いは感じられない。
そりゃ〜そうだ。
ベテランのウィザード2人に、やっぱりベテランの吸血鬼。並大抵のエミュレイターでは敵にもならないのだから。
「昔、ちょっと色々あったんでしゅよ」
いのりの言葉にサフィーが溜息と共に答える。
「あんまし良い思い出じゃあないんでしゅけどね」
6年前のことを思い出して、少しだけ眉をひそめる。
厄介な相手だった…敵として。
思わずこぶしを握り締めるサフィーを見ていて、静は思い出した。
「ああ、そうだ」
月衣からポスターを取り出す。
「サフィーちゃん、これ。例の人狼…銀之介君の素顔らしい」
先ほど手に入れたポスターをサフィーに手渡す。
「へえ…これが…うん?」
ポスターをしげしげと眺めて、サフィーは気づく。
「この子…見かけたわよ」
「え!?いつ!?」
サフィーのつぶやきにいのりが驚いて問い返す。
「お昼ごろ」
サフィーはその時のことを思い出した。

もやもやもやもやもやもやもやもや

サフィーの朝は遅い。

と言っても、吸血鬼なだけに夜行性だからとかそんな理由ではない。
ウィザードになって、太陽光を克服したサフィーには、別段昼間寝てなきゃいけない理由なんてないのだ。
ついでに言えばここ何日か、いのりや静と一緒に暮らしているせいか、昼起きて、夜寝る生活を送っている。
にも関わらず、サフィーの朝は遅い。
その理由はただ一つ。
吸血鬼には学校も、試験も何にもないのだ。

きゅるるるる…

アパートの一室。いのりが使っている部屋でその音は鳴り響いた。
割と可愛らしい音だった。
その後、少しして、その音の主がのっそりと起き上がる。
「ふぁぁぁぁ〜」
大きなあくびをして、寝ぼけ眼でポツリと呟く。
「…お腹減ったでしゅ」
ベッドから降りてキッチンへ向かう。いつも通りならいのりが何かしら作っておいてくれるはず…

ごめん!ねぼ〜した!お昼はてきと〜に食べて! いのり

…だったのだが、テーブルの上にはほとんどひらがなで走り書かれた手紙と、野口さんが1人。
「…しょ〜がない、でかけるとするでしゅ」

そして30分後…
32まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/05(木) 21:45:20 ID:9DO/c4Re

ガラッ

お昼時からはだいぶ遅くなった時間、サフィーは1人で前に2人と来たうどん屋に来ていた。
「お邪魔するでしゅ」
すぐに店の奥から1人の少年が出てくる。
「いらっしゃいませ〜」
「…あれ?今日はこの前のうどんのお姉ちゃんじゃないんでしゅね?」
少年を見て、怪訝そうな顔でサフィーが言う。
「うどんのお姉ちゃん…ああ、唐子ですか。唐子は今ちょっと買い物に行ってるんですよ」
「ふ〜ん」
てきと〜に相槌を打ちながらながら、お子様用の椅子に座る。
「ま、いいでしゅ。じゃ、お子様うどんを」
「はい。ちょっと待っててくださいね」
そしてさらに30分後…

「しっかし…吸血鬼がうどんってのも色々間違ってる気がするでしゅ」
食べ終えて、満足げな溜息と共にサフィーが呟く。
「にしても…」
サフィーはちらりと少年の方を見る。
ぼさぼさの頭、服の下の身体つきは細いと言うより…貧弱。
義理の弟を思わせるどこか憎めない、のんびりした雰囲気はサフィーの好みにも合うが…
(…30点でしゅね)
残念ながらサフィーのお眼鏡には叶わなかった。

ジリリリリリ

うどん屋の黒電話が鳴る。それを少年が取る。
「はい。七味うどん亭で…!?」
少年の表情が一変する。
「その声は…まさか!?」
のんびりした雰囲気から驚愕の表情に。
「どうして!?確かにあの時…」
そして、シリアスな表情に。
「…なんで叔父さんが生きてるのかは分からない。でも、唐子を巻き込むな!」
それは、何かを決意した、男の表情。
「…分かった。じゃあ、6時に」

やもやもやもやもやもやもやも
33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/05(木) 21:46:28 ID:Mg5QOo9b
支援が足りない!
34まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/05(木) 21:46:36 ID:9DO/c4Re

「…ってなことがあったから、覚えてたんだけど」
話しているうちに色々とつながったんだろう。サフィーが、本気モードになる。
「6時か…」
静が時計を見る。時計は、6時を少し回っていた。
「でも、場所が分かんないよ?ど〜するの」
「任せといて」
いのりの言葉を受けて、サフィーが月匣を展開し、空へと上がる。
集中して、辺りを見回す。人間の限界をはるかに上回る目で持って、それを探す。
「…いた!」
街外れ。廃車置場になっている場所でぶつかり合う銀色の影をサフィーの目がとらえる。
明らかに一方の動きが悪い。どっちが負けてるかなんて、言うまでも無い。
「まずいわね…おされてる」
見たままを、静といのりに伝える。
「先に行くわ」
その様子を見ながら、サフィーは瞬間的に決意する。
見てすぐに分かった。でなければ、間に合わない。
「大丈夫かい?あいつは…」
「だからよ」
静の心配を一蹴する。
あいつに思い知らせなくてはならない。
「あいつには、アタシも借りがあるから!」
吸血鬼を怒らせたら、怖いってことを。
35まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/05(木) 21:46:58 ID:9DO/c4Re
今日はここまで。次でクライマックス1です、1。
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/05(木) 21:49:58 ID:Mg5QOo9b
お疲れ様でした。
僕血僕月は、友人のを借りて読んだっきりで、実はあまりよく覚えてないんだよなぁ。
古本屋あたりで買ってみるかな。

それにしても、うん。支援が一人っきりっていうのは正直挫けそうでした!
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/05(木) 22:16:33 ID:vjYLzmoB
む、いつの間にやらまほうせんせいがきている。こいつぁ幸先良いスタートだな。
しかし、潜入工作でもないのにクライマックスまで主人公PTとロクに絡まない
PC4ってのもある意味斬新のようなな。とにかく乙であります。

あとは錬金の人・お茶会の人・双子の貴石の人が帰ってきてくれれば良いんだが…
前も間隔が空いてたからきっと忙しいのだろう、うん。
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/05(木) 23:06:50 ID:RhBN2fb/
てか、前スレがメロンにあったから
見つけられなかっただけだったりしてw
まほうせんせいの作者様、お疲れ様です。
と言いつつ私も投下させていただきます。

―――280年12月下旬
―――北海・政庁


 その男は。とことん、影が薄かった。
 後ろを歩いていても気づかれない。
 政務をしていても気づかれない。
 訓練の指導をしている時ですら、兵士達は気にも止めはしない。

 もはや、存在感が薄い、などという言葉では済まされない次元の影の薄さなのである。

 それは資質なのか、ある種の能力とでも言うべきなのか。
 実際問題としては後者であるのだが、彼がそういった『才能』に恵まれていたのは紛れもない事実であった。

「孔融様」
「うお!?…な、なんじゃ王修か。
 相変わらず影が薄いのう…」

 己の使えるべき主にそんなことを言われても、彼―――王叔治の表情は揺るがない。

「歓談の中、失礼を承知でお伺いいたします。
 この件についてご判断を」
「ふむ?…うむ、金は港の維持にまわせ。
 とはいえ、使い道を縛らなければ、無用の金となる。
 留意せよ」
「は。仰る通りに」

 言葉と共に、王修は主に向かって一礼。
 かくて、彼の姿は掻き消える。

「失礼、少々連絡に時間がかかってしまいました…おや、今、誰かいましたか」
「いや、誰もおらんよ」

 目の前で会話していてさえ、この有様である。
 苦笑しつつ、孔融―――王修の主は、懐に奇怪な形の『連絡用の道具』をしまった、やはり奇妙な格好をした客人の言葉に応じる。

「それで、孔融殿。
 北海の政庁にいらっしゃるウィザード…王修叔治とは、どなたの方のことでしょうか。
 どうやら、我々の組織が連絡を取れたのは、彼らしいのですが」

 孔融は、さらに笑みを深くする。

「後ほど紹介しよう。
 ところで、魔法使い殿。
 秘事は睫とはよく言ったものだと思わんかね?」
「…は?」

 孔融の客。
 奇妙な仮面をかぶった男は、何を言われたのかわからず、ほうけたように口を空けた。


―――281年12月下旬
―――北海・政庁

「聞いたか?
 化け物が下ヒに出たって話」
「いや、なんか兵として利用してるとかなんとか」
「俺は、三、四人の女が急に登用されたとか聞いたけどな。
 で、化け物どもはその女たちに連れられてきたとか」
「はは、嘘に決まってんだろ」
「だよなあ…でも割と耳にするんだよ」

 他愛もない噂話。
 だが、そんな噂話に、王修は背筋を凍らせていた。

 ―――下ヒまでも、か?

 『世界は、狙われている』。
 そんな言葉を、今更のように王修は思い出していた。

 世界は、別の世界からの侵略を受けている。
 王修は、それを幼いころから常識として学ばされていた。

 この世界―――中華の「外」を含めた世界、すなわち「地球」の、さらに外界。
 そこには、「地球」の豊富な資源を狙う者達がいるのだという。
 「侵魔」と呼ばれる侵略者たちは、地球を覆う結界に侵入し、命を食らうのだという。

 事実、王修自身も、幾度か侵魔とあい見えたこともある。
 たった一度の例外を除いては、ほとんどが力の弱い存在ではあったが、彼は、百を超える侵魔を滅ぼしてきた。
 そもそも、青州周辺の「侵魔」の掃討こそが王修の本当の仕事であり、北海太守孔融が部下、膠東侯国令の肩書きのほうが隠れ蓑なのである。
 とはいえ、現実は少々異なっている。
 世は乱世。孔融は、孔子の子孫だけあって確かに頭は切れるが、形骸的な方策を好み、武に関してはからっきしだ。
 王修自身の生真面目さと、孔融の頼りなさが、王修を侵魔の掃討の合間に、政務に走らせる羽目となってしまっているのだった。

 話は逸れたが。
 とにかく、世界は絶え間ない侵攻に晒されている。
 知る者がいようといまいと、それだけは絶対の事実なのである。

 そして、その現実を知っているからこそ、王修は嫌な予感が止まらなかった。
 各地のウィザード―――侵魔を滅ぼす者達―――と連絡が取れなくなっているという事実。 
 遠方から来る人々の口の端に上る、「化け物」の単語。
 自分が所属するウィザード組織における、上司からの連絡。

 それらの情報は、本来大衆に知られるはずのない「侵魔」の侵攻が、表に見える形で急速に進んでいるということを示唆していた。

「…けど、その規模の侵攻だったら、僕にお呼びがかかる前に、他のウィザードに声がかかるか。
 それこそ、荊州四英傑とか」

 嫌な予感を打ち消すため、そんな言葉を口にしたが、より悪い予想が、王修の頭の中をよぎる。

 あるいは、自分の隣の屋敷に住んでいる「人造人間」も動員されるかもしれない。
 そのことを考えると、ちり、と頭の中で音が鳴った気がした。
「王修、いいかのう?」

 そこでやっと我に返った。
 目の前にいたのは、彼の主である孔融だった。
 慌てて立ち居振舞いをただす。

「は!なんなりと」
「ま、そんな堅くならずともよい。
 客人から、お主宛にじゃ」

 二重の意味で意外な言葉に、王修は戸惑った。

「は…?
 そんな、孔融様御自ら私に手渡す必要は」
「それが客人の意向でな。
 至急目を通すように、とのことじゃぞ」

 言われて、王修は素直に書簡を開く。
 そこには、いくつものことが書かれていたが―――特に目を引いたのは、この一文だった。

『今からする私のお願いに、はいかYesでお返事してください』

 間抜け、とも言える文言である。
 体中から緊張感が一基になくなる。
 なんでこんなものを孔融様に運ばせる羽目になったのだろう、と王修は溜息をつく。
 だが、その溜息は、書簡の最後の言葉で一瞬にして消え去った。

『世界の守護者 アンゼロット』

 息が止まる。
 疑問が頭を駆け巡る。

 自分のような下位のウィザードに、彼女のような存在から声がかかることなどあるはずがない。
 だがしかし。
 客人のあの仮面は、確かに―――

「どちらにせよ、北海は護ってもらうぞ、王修」

 ―――疑問は、主の声で消え去った。

 まるで、見通したような主の言葉。
 孔融は、すべてを知っていて、言っているのだろう。 

 そう。どちらにせよ、自分のやるべきことはただひとつ。

 主が治め。
 民が住み。
 そして、自分の愛すべき隣人のために。

「は。一命に変えましても」

 『忍者』王修叔治は、身命を賭してこの度の戦に臨むことを決意した。
―――281年12月下旬
―――北海周辺


 空を、見ていた。

 落日の空は紅く。

 夕暮れ時に、食事の匂いがする。

 帰るべき家は「ご主人様」

 帰るべき家は遠「ご主人様。お腹、すいた」

「………」

 言葉を噤んだ少年の瞳に移っていたのは遠い日の幻か。
 それとも美しいあの日々の思い出か。
 どちらにせよ。というかどちらでも同じだが。
 少年の隣にいる少女は、少年の現実逃避を許さなかった。

「…ご主人様?」
「うん、わかってるんだ、恋。
 でも、少しくらい感傷に浸らせてくれても」
「ごはん」

 いくら二度目だからって慣れるもんじゃない。
 慣れてたまるか。
 せっかく皆の食費を稼ぐ算段やら、学園生活やらが軌道に乗ったところだったのに。
 翠と鈴々の暴れっぷりやら、星の傍若無人っぷりやらも少し―――ほんの少し、緩やかになったのに。
 華琳の我侭にも、愛紗の小言にも我慢してきたはずなのに。

「……畜生―――――――!?」

 叫ぶ声に答えるのは。

「………………?」

 どうしたの、とでも言いたげな少女の顔。

 ああ、わかってる。わかってるんだよ恋。
 俺だって今すぐたらふくご飯を食べさせてあげたいさ!
 そうさ、あのはふはふごっくんはむはむぱくぱく可愛いぞ畜生!とか心の中で叫びつつ至福の時を謳歌したいさ!!
 でもこの状況がこれを許さないんだ!
 そもそもお前の悪癖が貧乏の原因だろうが!
 恋の食費がどのくらい家計を圧迫しているかわからないあなたじゃないでしょう、一刀!
 ああ、わかってる、でもわかってくれ蓮華!思春!
 この可愛さの前には家計が赤字だってこともつい忘れて餌付けに走ってしま「ご主人様、危ない」

「…!?」

 少女が、少年の前に立つ。
 そこで、やっと彼は正気に戻る。

 少年を正気に戻したのは、少女の行動も含めた、どこか懐かしい気配。

 いや。懐かしいというにはあまりにも、短い期間ではあった。
 ほんの数ヶ月。
 たった数ヶ月離れていただけの、戦場の気配。

 かつて、「外史」の世界において散々味わった、あの気配が、場を包んでいた。

「これは…」
「……わからない。でも、危ない」

 少女は言葉と共に、拳を構える。
 彼女に許された武器は己の体のみ。戦場を共に駆け抜けてきた伝説の武具は、今はない。
 仕方ないことではあった。
 少女と少年は、「この世界」にくる直前に、床を共にしていたのだから。

「なんなんだ…何かいるのか、恋」
「…………………………」

 こくり、と頷く少女。
 目を走らせれば、気配だけでなく、景色そのものが変化していた。
 夕焼け、というにはあまりにも紅い空。
 そして、有り得ざる紅い―――紅い、月。
 それまでいた、街道はなくなり、荒廃した土地が広がっている。

 少年にとって、生涯二度目となる異世界への訪問。
 そして、再び巻き込まれる、戦乱の世界。

 戦の幕明けは、獣の吼声だった。
 と、いうところで今回は終了です。

 もし枠が開いているなら、PC5はち○こ太守でしょうか。
 クラスは魔物使いでしょうか。恋は魔物相当の魔剣使い(魔器なし)で。
 そもそも王修の元となっているキャラクターが誰かわかっている人は…いるんでしょうか。
 ブーストジャンプ=井蘭、エアブレード=斉射とか考えると…駄目ですか。

 次回はとりあえずオープニングシナリオの後編、所属都市と初期武将の紹介、ついでに第一シナリオのボスの顔出しとなるかと思われます。
 もしよろしければ、また見ていただければ幸いです。
 それでは、失礼しました。
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/06(金) 20:45:01 ID:hV6THHXX
>>45
グッジョブ。
王修はあの人か。
隣に住んでるのは具が大きい印度風肉野菜香辛料煮込みを得意料理とする
私が死んでも代わりはいる彼女で、その所有者たる女性が苦手なあの人か。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/06(金) 21:40:32 ID:y5sxnGBX
>>45
Nice、三国志w
なるほどなるほど、三国志の皮を被ったNWキャラが誰かを考えるのも楽しいな

とはいえ、孔融はともかく王修がどんな人物だったかなんてしらねーw
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/07(土) 04:09:15 ID:cKPh87kt
>>45殿、GJでっす。
王修>ニンジャボーイ! ニンジャボーイではないかっ!! 
彼女の人造人間とはこっちでも相変わらずの様で……。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/07(土) 15:10:39 ID:gHmrP1Zt
元々三国志に興味が無いため誰が誰やら良く解らないが期待している
50ふと思いついたネタ:2008/06/07(土) 16:37:06 ID:nsi7rNw5
「柊さん、次の任務では、パーティーに潜入していただきます」
「パーティー?」
「ええ、正式なパーティーなので、きちんとスーツで来て下さいね」
「いやちょっと待て。俺、スーツなんて持ってないぞ?この前まで高校生だったんだし」
「それなら問題ありません。既に仕立て屋さんにお願いしておきました。すぐに行ってください」
「あー、分かった。で、どこなんだ?」
「ナポリです。イタリアの」

「あれ?ユウ、その生地どうしたの?なんか見たこと無い生地だけど」
「いやな、さっき仮面をつけた男が『これから来る下がる男にこの呪錬生地でスーツを仕立てて欲しい』って置いてったんだが…
下がる男ってなんなんだ?」
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/07(土) 21:53:38 ID:NGmK10El
>>50に便乗。

「よお、お前さんが下がる男さんかい? 日本人の客は久しぶりだ、よろしくな」
「下がる男言うな! 俺は柊蓮司って名前があるんだ!」
「そいつぁ失敬。で早速仕事に入らせてもらうが……なにかこだわりはあるかい?」
「いやそんな事言われてもよ? 俺もついこの間まで学生やっててなんでも制服で
通ってたくらいだからな」
「ほほう、初仕立てってか。そこでいきなりオーダーメイドとは、お前さんの依頼人は
なかなか粋な御仁だな。感謝するがいいや」
「……まぁ、何かにつけてカッコつけた奴なのは認めるがな、感謝しろと言われても
素直に頷けないものが……」
「なんだか鬱屈してるな」
「鬱屈もするわ! いつもいつも気軽に任務だ仕事だって気軽にあっちこっちに
送り込みやがって! 今回だって、『次の任務では、パーティーに潜入していただきます』
の一言でこんなナポリくんだりまで飛ばされたんだぜ?!」
「これがジャパニーズ・ビジネスマンってやつ?」
「そういうのとは違いそうだがな……まぁいいや。とにかく何でもいいから好みを言ってみな」
「悪ぃ、取り乱した……そうだな、とにかく動きやすいのがいいな。細かい事情は話せねぇが、
それを着ての大立ち回りになりそうなんでな」
「ほう、なんだかやたら丈夫な生地だと思ったが……防弾チョッキ代わりってわけかい?」
「ま、そんなとこだ」
「ふむ……初めての生地に、スーツの範疇を越した用途……問題は山積みだが……
よござんしょ、特急料金まで貰ってるんだ、全力で行かせてもらうんで、あんたも覚悟しな」
 (中略)
「おい、仮縫いだ」
「今それどころじゃねぇ?! 立て込み中だってわかんだろうが!」
「こちとら仕事には命かけてんだ! 四の五の言わずに着替えやがれ!」
 (中略)
「ほほう、これは見事な仕立てだな、柊蓮司くん」
「ん? うお、誰かと思えばナイトメアのおっさんかよ! そんな格好してるからわからなかったぜ」
「夢使い正式の衣装出来たかった所だが、さすがにここではな」
「おっさんにもそれくらいの良しk……じゃねぇ、常識はあったか」
「まぁ、会場ごと暗示をかけて正装だと押し通る手段もあったのだが」
「それはやめとけ」
「しかし、見れば見るほど見事な仕事だ。まず襟首を飾る(中略)、さらに袖口は(中略)、しかも
胸元の(中略)、その上で肩口に(中略)の工夫を施し、全体のエレガンテなシルエットを崩すことなく、
動きをまったく阻害しない呪錬スーツを作り出している。いや見事な仕事だよ。よほど腕のいい
仕立て屋に恵まれたようだね」
「そんなにスゲェのか……いやまぁ、俺は紹介されただけなんだが……む?」
「柊蓮司くん! 敵だ!」
「ああ、判ってるぜ!」
 (中略)
「よお、仕事の方はどうだったい? その分じゃうまく行ったご様子だな」
「おう、まったく仕立て屋様様だぜ! 胸の縫い付けに生地を二重にしてくれた工夫のおかげで、
命拾いしたぜ!」
「……いやまぁ、珍しい生地だし防弾チョッキ代わりってうから端切れも有効活用してみただけなんだが」
マジでそれが役立つような情況になるとは思いませんでした(←SD顔の二人の背後にフキダシでなく直接かかれる)
「とにかく、また頼むときにはアンタにお願いしようって決めたぜ!」
「そいつぁうれしいね。これからもご贔屓に」
「で、早速なんだがな。仕立ててもらったアレ、大立ち回りで破れちまったな……
早速同じもの仕立てちゃくれねーか?」

 「 日 本 へ 帰 れ ー っ !! 」

(SDマルコ落語家風衣装)「イギリス人にとってはスーツは戦闘服といいますが、
ジャパニーズビジネスマンにとってはマジモンに戦闘服だったみたいです」
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/07(土) 22:00:32 ID:QnKRzqsJ
最後に吹いたw

元ネタなんだろ。
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/07(土) 22:03:48 ID:NGmK10El
>>52
すまん、書き忘れてた。
スーパージャンプ掲載、『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』(大河原遁)

簡単に言うと、美味しんぼの服飾(主に紳士服)版。
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/07(土) 22:10:31 ID:6Pdn7d9P
「王様の仕立て屋」だろ。
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/07(土) 23:02:24 ID:DwrIgmGR
最初はなのはクロススレに投下しようと思ったんだけど、雰囲気がどうも違うんで作ってみたものをこちらに投下〜
アバン風予告っす。

「アイツが妙な動きしてるからこんな所まで来たはいいけど・・・
 なにこれ?珍しいものが漂流してるじゃない。」
「ベル、拾ってみたらどうです?
 きっと退屈しのぎぐらいにはなりますよ。」
「ふぅん。じゃ、拾っておきましょうか。
 リオンのお勧め、期待してるわよ?」

――世界は狙われている――

紅い月が昇るとき、それは現れる。
世界の“常識”の外からの敵、侵魔(エミュレイター)。
“常識”の影へ消えた魔法を駆使し、闇に紛れ人知れず侵魔を討つ者。
世界の真実を知る者は彼らを夜闇の魔法使い、ナイトウィザードと呼んだ。

「逃げ・・・られちゃた・・・
 誰か、奴を・・・アンゼロット・・・さ・・・ま・・・」

「予想より早く事態が動きだしてしまいました。現在ロンギヌスを派遣して事態の収拾に当たらせています。
 おそらく彼女の目覚めも近いでしょう。その時の為、信の置けるウィザードを傍に置いておきたいのです。
 しばらく彼女をお願いできますか?赤羽桐華さん。」

「子犬さん・・・?大変!怪我してるの!」

「ここは僕に任せて、君は逃げて!」
「ふえ、え、えぇーーーー!
 子犬さんが男の子になったのーーーーー!!!」

「きゃぁぁぁぁぁっ!」
「魔力で障壁を張った?なんて硬さ・・・」

『マスター、早く私の名を!』
「う、うん!レイジングハート!」
『Standby ready, Set Up』
「ガンナーズブルーム?いや、違う。あれはキャスターズブルーム!」
「なんでだろう・・・使い方が手に取るようにわかるの・・・」
『SpellBullet Cartridge Load,《Starlight》』
「いっけーーーー!!」

「くれはさん、お久しぶりです!」
「はわ!エヴィくん、生きてたの?!」
「くれはお姉ちゃん、まるで幽霊でも見てるみたいなの・・・」

「す、すっごいでっかい剣なの・・・」
「あれはウィッチブレード。白兵戦用の箒です!」
「箒?じゃ、じゃああの黒い子もウィザードなの?!」

「葵ちゃん、なんで邪魔をするの?」
「・・・私の見る限り、あの少女が為さんとする事は善なのでな。
 それと今の私は子ノ日葵ではない。ゲシュペンストだ。」

「これが私の―――
『SpellBullet Cartridge Load,《DivineCorona》』
「全力全開!」

それは、願いの宝石をめぐる物語。
魔砲少女キャスターなのは、(好評だったら)始まります。
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 00:05:39 ID:jyWVaUa+
>>51
袖の付け根ににアクションプリーツを施し剣を降り抜けるように、
肘を動かしやすいよう、生地に事前にアイロンで曲面を作っている上に、
縫い目が少し捻りぎみになっているな。
前身ごろが動きやすいように少し深めのサイドベンツ、
パンツは動きやすいようにツータックで
腰を捻り易いように背骨の付近に切れ込みを
さらに、パンツの方にも肘と同じ工夫がしてある。

(原作の柔道家のとゴルファーのを組み合わせて見ました)

こうですか。分かりません。
5751:2008/06/08(日) 01:07:15 ID:+Y5eFkmp
>>56
援護感謝。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 01:19:31 ID:T5eT2uPN
つい最近ここにたどりつきました
なにかオススメのさくひんはありますか
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 01:33:29 ID:+Y5eFkmp
>>58
まとめ行って、知ってる作品・思い入れのある作品とのクロスを読めばいんじゃね?
あとは、式神の城を軸とした大型リレークロスは読み応えあるねぇ。
その他だと……きっちり完結してるお話ってことで、ベホイミちゃんクロスとか推してみる。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 01:34:01 ID:ATYjqDMX
>>58
それはこのスレに投下された過去作でかい?
つアガートラムシリーズ
つ桃月町の魔法使いシリーズ

あとリレー耐性があるなら式神の城異聞
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 01:54:26 ID:IT80slU9
個人的には……ARIAとのクロス(柊蓮司と退屈なお茶会)と、らきすたクロス(柊蓮司と終わらない明日)が好きだったり。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 01:58:30 ID:KKqHE15U
俺も好きだが・・・続きはマダ〜?
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 02:03:10 ID:YXYJ3fnH
>>50>>51
頭の中で一部漫画になって読めたw

そういや柊も織部も「女難」の気が似てるかもしれないな
美人の策でいつの間にか所属を捏造されたり(ロンギヌス/ジラソーレ社)、
美人の策で突然さらわれたりしてるし
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 02:15:23 ID:9eWCoaNQ
武装錬金とのクロスも続きが読みたいんだけどな
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 02:24:28 ID:ATYjqDMX
忘れられているが、サウザンドアームズクロスとペルソナクロスの続きが気になるんだぜ
折れた魔剣とレン…
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 03:28:15 ID:H7cx3bpG
>>61
おれも同じく。最近来ないからさびしいぜ。
>>65が言ってるペルソナクロスも読みたいな。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 03:43:25 ID:IT80slU9
魔法少女ベル☆フライという電波が飛んできた。
でもこれ何のクロス?
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 06:01:04 ID:dcIRsEFJ
ミンキーモモとのクロスでどうだ
一期シリーズはふつーに魔法少女をするけどスポンサーの都合で二期に延長
その境目の話でトラックにひかれて魔王に覚醒して近所のおにーちゃんの柊蓮司と戦うのが二期シリーズになるわけだ
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 06:19:21 ID:Tn3w9pQ4
>>51
「にしてもよくナポリにいる仕立て屋なんて知ってたな?」
「うむ。実は最近覚醒したウィザードの中にナポリで仕立て屋をしているものがいてな。彼女の紹介だ。
なかなかに将来有望な忍者で、名はコン…すまん、度忘れした」

 前回は誤字脱字が多すぎました。反省しています。
 とりあえず、一部訂正を。

 一部の年号:281年→280年
 >>42「一基に」→「一気に」
   「そして、自分の愛すべき隣人のために」→「そして、自分の愛すべき隣人がいるこの地を護るために」

 後、今回から正式な題名をつけてみました。
 では、前回の続きを投下させていただきます。
■■■

―――280年12月下旬
―――月匣内


 紅い月が昇るその空間。
 そこは、月匣と呼ばれる。
 生命の力を吸い尽くすために、侵魔が展開する結界。
 そして今。
 その結界の中には、一組の少年少女がいた。

「………来た。ご主人様、気をつけて」
「…気をつけてどうにかなるならそうするけど」

 少年―――北郷一刀と、呂布奉先の名を持つ少女。
 二人の視線は、同じ場所に向いていた。

 先ほどした、獣のような声。
 声の主は、黒い犬。
 犬は犬でも、その大きさは尋常ではない。
 獅子より巨大な犬。

 いや、犬と呼ぶのも語弊がある。
 それは、化け物だ。

「…見逃してくれるかな?」
「…………たぶん、無理」
「…逃げる?」
「…」

 一刀の言葉に、呂布はこくり、と頷く。
 同時。少女は少年を抱えて。

「うわっ!?」
「……ご主人様。口は閉じてて」

 駆け出した。

■■■
―――同刻
―――???

「あら、まだこんなところにもいたのね。
 あの忍者以外、このあたりに残っているウィザードなんかいないと思ってたけど」

 少女の姿をしたソレは、手にした手鏡を弄ぶ。
 そこには、月匣の中を、少年を背負い駆ける少女が写っている。

「それともイノセントかしら。
 どっちでも、あのプラーナは魅力的ね…面白くなってきたじゃない」

 と、そこで手鏡に映っている映像が変わる。
 写ったのは、寝ている男。
 隣にいる女が、男の頭を殴って、男は体を起こす。
 そんな映像を見て。

「…ふふっ。やっと来たわね」

 優雅に足を組み、侵魔の王は微笑んだ。


■■■



『ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜』

 オープニングシナリオ・後編「目覚めと謀」



■■■


―――280年12月下旬
―――月匣内


 駆ける。駆ける。駆ける。駆ける。
 わき目も振らず、少女は走る。

 思いはひとつ。
 ただ、『ご主人様』を安全な場所へ。

 自分に居場所を与えてくれたご主人様。
 自分を怖がらなかった、ご主人様。
 恋の大好きな、ご主人様。

 ご主人様を傷つけるわけにはいかない。
 きっと、愛紗は髪を逆立てて怒るだろう。
 もしかしたら、星や鈴々、翠だって怒るかもしれない。

 それは、いやだ。
 怒られるのもいやだし、ご主人様が痛い思いをするのも嫌。

 だから、少女は走る。

「…恋!おい、恋!!」

 真名。
 本当に大切に思っている人にだけ呼ぶことを許す、自分の本当の名前を呼ばれ、呂布は自分の手元に目を落とす。
 すると。
 恋の大切な人が、ひどく汚れていた。

「ご主人様。ボロボロ」
「恋が引きずったの!
 …じゃなくて。
 いくら逃げても無駄みたいだぞ、ここ」
「…?」

 やっぱり気づいてなかったか、と
 一刀は溜息をつき、汚れた制服のまま立ち上がる。

 あれだけ走ったのに、まったく風景は変わっていないのだ。
 紅い月も。遠くに見える山も。
 そして、そこら中に散らばっている矛や鎧の残骸も。
 何一つ、変化していなかった。

「わかった?」
「…………」

 子供に諭すような言葉にこくり、と頷く恋。
 一刀は、頷くまでの時間が短かったことに安心して、もう一度周囲を見渡した。

「しかし、何なんだ、これ」
「…わからない」
 先ほど繰り返された問答をもう一度。
 その後口を開いたのは、恋だった。

「でも。
 変な感じ。まるで、生きてる感じがしない」
「うーん」

 言ってみれば、異常に過ぎる状況ではある。
 とはいえ、二人とも随分と落ち着いていた。

「身一つで放り出されたあのときにくらべれば、どうってことはないか」
「……………?」

 首をかしげる恋。
 そんな彼女に、一刀は頭の上に手を置き。

「頼りにしてるってことだよ」
「…」

 一瞬、恋が瞳を揺らめかせ。
 そして、恥ずかしげに視線を逸らす。
 少女の愛らしい反応に、一刀はこんな状況だというのに笑みを抑え切れなかった。

「…さて。どうしよう。
 朱里に聞きたいところだけど…」
「今は、いない」
「恋。やれるか?」
「………………………」

 しばらくの逡巡の後、恋は頷く。
 その微妙な間に、一刀は迷う。

 「あの」呂布奉先が、勝つとは言い切れなかったのだ。
 ならば、逃げるか―――と考えた、その刹那に。

「……大丈夫。ご主人様は、私が護る」
 
 え、と言葉を発する間もなかった。
 三国一の武の使い手、と呼ばれたその少女は。
 再び、疾風のごとく、走り始める。

「恋っ!?」

 速い。わずか数秒の間に、恋の背中は小さくなっている。

「くそっ…!!」

 悪態をつき。
 小さい背中を追って、一刀もまた、走り始める。

―――280年12月下旬
―――月匣内


 足を前に。息を切らせ。全力で。

 地を踏みしめ、走る。

 が。全く少女の背中は大きくならない。
 むしろ、小さくなっていく一方だ。

 当たり前といえば、当たり前だ。
 自分はただの学生。
 少し愛紗や星に手合わせしてもらうこともあるとはいえ、その体力はただの人間の域を出ない。
 だが、恋は違う。

 三国無双、呂布奉先。
 足は疲れることをしらず、腕はあの巨大な戟を手に抱き続け。
 兵万人に値する関羽と張飛という二人の将。
 彼女らを相手に、余裕を持って戦うことすらできる。

「だからって…!」

 その先の言葉は、息が切れて口にはできない。
 情けなさすら思い浮かばない。
 一刻も早く彼女のもとへ。
 ただひとつ、その思いを核にして、走る意志を奮い立たせる。

 何かができるわけでもない。
 だけど。あの、あまりに考えなしで、純粋な彼女に、せめて、退くときの判断を誤らせたくはなかった。

「―――!!」

 いつの間にか、視界の中で、彼女の姿が大きくなっていた。
 その先にいるのは、獣。
 黒い獣。

 恋は、その獣と素手で渡り合っている。
 勝負は、互角。

 獣を爪を、恋は軽やかにかわし。
 次々と拳を叩き込んでいる。
 あるいは、獣を追い詰めているのかもしれない。
 化け物相手に、恋が優位に立っていること以上に、恋が無事である事実に一刀は安堵した。

 が、その安堵も長くは続かなかった。
 獣の口に、炎。
 そして、その炎が、急激に大きくなっていく。

「…!」

 恋の顔は見えない。
 だが、その挙動はどこか戸惑っているようにも見えた。
 まずい。あれが、あの炎が。
 彼女を、包んだら。

「…恋!」

 声は届いた。
 彼女はこちらを向く。
 同時、その火が、少女に向かって。

「恋――――――っ!!」

 何も考えず。届くはずのない手を、一刀は伸ばした。

 …その瞬間。
 北郷一刀の中で、何かが、変わった。
―――280年12月下旬
―――月匣内


 届くはずがない。
 当たり前だ。

 く、と吐き出した息を引き戻そうとするが、肺に空気は入らない。
 気が遠くなる。酸素が足りない、とは理解できなかった。
 ただ、意識もせずに、前に足を進めようとして。

「げほっ!?」

 衝撃。そして視界の回転。
 体中に感じたのは、地面の感触だった。

 考えるより先に起き上がろうとしたが、動かない。
 自分の上に、錘が乗せられているような。
 ふに。

「…ふに?」

 どこか感じた覚えがあるような。
 いや、毎日相手は違えど味わいつくした感覚が、何か。

「…………ご主人様?」
「…へ?恋?」

 聞き覚えのある声に。ただ、相手の名前を返すだけ。
 背中の感触は、少女の肌のもの。
 何が起こったのかはわからない。
 何で、どうして、自分の背中に恋が移動したのかはわからない。
 ただ、どうやら。

「良かった…無事なんだな」
「………?」

 どこか、首をかしげるような気配。
 一刀はすでに疲れ果てた体で、ただ溜息をつく。
 安心した後で。

「でも、何でだ?いったい、何が」
「…わからんな。お前さんの『月衣』を通ってきたのかもしれんが。
 あるいは何かしらの力で空間をつなげたか。
 ま、覚醒したばかりのウィザードにはよくあること…だな」

 返ってきたのは、男の声だった。
「へ?」
「しかし、魔物使い…かよ。
 そっちの嬢ちゃんは魔物には見えないが…な」

 そこにいたのは、声の通り、男性だった。
 妙な間をとったしゃべり方。
 腰には剣を二本。
 細い目は狐のようにも見える。

「………」

 そこで、背中が軽くなっていることに気づく。
 見れば、恋が。自分と男の間に立っていた。

「……………」
「…と、待て待て。
 お前さんとご主人に危害を加えるつもりはない。
 俺はウィザード…ってもわからんか。
 とりあえず、あの化け物を倒して、この『月匣』からお前さんたちを出すために来た」

 何を言っているかはわからないが。とりあえず。

「大丈夫。嘘は言ってない」

 その言葉尻は、比較的やわらかいものだった。
 恋がそう言うなら間違いはないのだろう。
 あのわけのわからない説明が嘘かどうかはともかく、恋が敵意を顕にしてないのなら、多分大丈夫だ。

 と、そこで。
 何度目とも知れぬ獣の声がした。
 空気を震わせる、轟音。
 思わず、その音に目をしかめ、体を震わせてしまう。
 雷と同じだ。
 巨大な音は、それだけで人の動きを止める。

 が、どこからともなく現れた、謎の男は。

「さて。
 自分が請け負った仕事ぐらいはせんと…な」

 表情を揺るがすことなく、そう言った。

―――280年12月下旬
―――月匣内


 地を蹴って、巨大な犬が迫りくる。
 その瞳にあるのはこちらへの敵意だけ。
 碌な知能は感じられない。

「『地獄の猟犬』…か。
 てめえがルーラーじゃないことはわかってる。時間はないんでな」

 言葉とともに、男の呼吸が変わる。
 深く、長い呼吸が紡がれる。
 そして、その呼吸に合わせるように、男の体から、燐光が浮かび上がった。

「な、何だ…?」
「……………?」

 若い主従の驚きに。男は、ニィ、と口元に笑みを浮かべる。
 再び呼吸が、元の拍へと戻っていく。
 が、光は消えない。
 むしろ、収束され、光は輝きを増していく。

 『気功』。
 一部の間でそう呼ばれる能力によって凝縮された生命力は、男の体に纏わりついてゆく。
 その形状は、蛇か―――あるいは。

 まさしく、龍のように。

「――――――!!!」

 その時にはすでに、黒い巨犬は数歩で男に飛びかかれる位置に到達していた。
 獣にとっては、男は餌の前にいる障害物にすぎない。
 一振りで吹き飛ばし、その後に食事をするつもりなのだろう。
 だが、その障害物は、ただの人間ではない。
「…!」

 先手は、最初から男のものだった。
 獣が襲い掛かり、爪を振るうその前に、静かに間合いを詰め。

 飛んだ。

 光が、男から零れ落ちるようにして残像を描き出す。
 獣が男の動きに対応するより前。
 いや、驚きという感情を生み出すよりさらに前に。

 男の足は、獣の頭に叩き込まれた。

「!」

 ご、という音。
 硬く、そして何かが砕けた音が生じる。
 獣の頭は潰れ、体から力が失われる。
 直後。
 黒い獣―――ヘルハウンドの体は、まるで、雲を散らすように消え去った。

 たん、と軽い音がしたのは、その後。
 長い滞空を経て、男が地面に降りた音。

「…と。さて、後はコアかルーラーを潰して…」

 息をついた後。男は何気なくあたりを見渡し、眉をひそめた。

「ん?」

 空に浮かんでいた、紅い月はいつの間にか消え去っている。
 空間が、揺らめき。
 数秒後。
 男と少年、少女がいたのは、近くに城壁が見える、ごく普通の街道だった。

「もうやったのか…やれやれ、仕事が早い」

 戸惑う少年と少女を他所に。
 男は、いつものように笑みを浮かべていた。
―――280年12月下旬
―――北海周辺


「…い、今目の前で起こったことをありのままに話すぜ。
 恋と一緒にいちゃいちゃして寝たと思ったら、いつのまにかそこは見覚えのある平原になっていて
 ちょっと戸惑ってたらみょーな真っ赤な空間にいてさらには黒い化け物がいて
 恋が黒い化け物と戦って危ないと思って声をかけたらいつの間にか恋が上にいて
 今度は変な男が来て化け物を蹴り飛ばしたと思ったら化け物は消えて
 俺は恋と一緒に馬に乗っている…。
 な、なにを言っているのかわからねーと思うが俺も何を言っているのかわからない…。
 催眠術とか時をとめる能力とかそんなちゃちなもんじゃねー…。
 もっと恐ろしい物語の展開上の都合とかそういったものを感じざるを得なかったぜ…」
「………ご主人様」

 どこかかわいそうなものを見るような目で一刀を見る少女。
 一刀の言葉通り、彼は恋とともに、馬に乗っていた。
 手綱を取っているのは恋で、彼らが乗っている馬の横には、もう一匹の馬がいる。

 その馬には、やはり同様に、男女が一緒に乗っていた。

「そこの嬢ちゃんの言うとおり落ち着けって。
 どうせなるようにしかならんさ」
「そこのオッサンも少しは説明しようよ!?」
「ああ。だから飯でも食いながら説明するさ。
 こんなところで立ち話しても落ち着けるわけないだろ」
「…お腹、すいた」
「むむむ」

 そう恋に言われてしまうと、一刀としては何を言うこともできない。
 とはいえ、状況もわからないのに、助けてもらったとはいえ見知らぬ人間についていくのはどうなのだろうか。
 恋はすでに食欲にとりつかれているし。
「気をつけろ。
 こいつはこうやって人を利用していくんじゃからな」
「…ご忠告どーも」

 さっき獣と蹴飛ばした男の後ろ、一緒に馬に乗っている女性。
 その女性の言葉に、一刀は投げやりな言葉を返す。
 と、そこで男が、手綱をとった手をそのままに、後ろを振り返った。

「人聞きがわりいな。
 今は嘘を言ってないぞ。飯をおごるのも本当だし、状況を説明するのも本当だ」
「ふん。その後何を頼むかは言っとらんじゃろうが。
 目覚めたばかりのウィザードに、何を吹き込むつもりじゃ、お前は」
「真実だよ。この世界の。
 ま、この二人がこの世界の人間とは限らんが…な」

 言って、男は視線を前に戻す。
 一刀は、二人の会話を右から左に聞き流しつつ、空を見た。
 空は青い。
 そして、異様に広い。
 見慣れた日本の空とは大違いだ。

「なあ、恋。
 これから、どうする?」
「…ごはん」

 予想通りの言葉。
 だが、今は、そんな変わらぬ彼女が、彼の支えになっているのだった。 

「…はぁ。皆、どうしてるかな…」

 言って。彼は、共に住む少女「達」のことを頭に思い浮かべていた。
―――280年12月下旬
―――???

 その存在は、可愛らしい笑みを浮かべ、手鏡を閉じた。

「…まさか、新しいウィザードが二人加わるとはね。
 これで、北海のウィザードは、五人。
 あの夢使いもおそらく加わるでしょうし…ふぅん。
 エミュレイターとウィザードとしても、都市同士の攻防戦としても、割と互角の戦いができそうじゃない。
 流石は徳の人、劉備ってところかしら」

 くすり、と声を立てた後、少女の姿を模した魔王は、立ち上がる。
 目指すは下ヒ。
 わざわざ芽を蒔いたのだから、それを収穫しなければ。


「さあ、ゲームの始まりよ、劉備玄徳。
 あの逃げ出した夢使いと、下ヒの人々を。貴方は、助けてあげられるかしら…?」 
悲しいことに、一人しかNWのキャラクターが出せませんでした。
お詫びになるかはわかりませんが、以下キャラクターシートの一部のデータ。
能力は属性とクラスから汲み取ってください。
基本的に1stルール準拠です。


PC1王修叔治 (能力は元のキャラクターを参照のこと)

三国志的経歴:孔子第20代目の子孫孔融、そして、その孔融を青州から追い出した袁譚に使えた文官。
       孔融の困っているときには常に駆けつけ、しかも、その能力は文だけでなく、武にも通じていたという。
       後の主、袁譚は結局曹操に滅ぼされるのだが、王修は主の首級の前で泣き叫び、罪を恐れることなく主の遺体の弔いを懇願した。
       王修の忠義に感じ入った曹操は、彼を礼を以って臣下に迎えるのだった。
       至って普通の説明ですが、正直ネタに困るぐらい真面目で影が薄い方。


PC2劉備玄徳

クラス   :龍使い
属性    :水/風
二つ名   :『大海師』
ライフパス :高貴な血筋/美人の連れ合い
性格    :笑顔を絶やさないふりをして、実は陰険である
アイテム  :雌雄一対の剣(現在は日本刀相当)

三国志的経歴:有名な三国志の主人公の一人。
       漢復興を目指す皇帝の末裔で、仁徳にあふれるナイスガイ。
       実際は、乱世を流れ流れた挙句、時流や軍師に恵まれてやっと建国できたというわりとあれな人。
       人情に篤い、というイメージはあるが、それも実は虚飾とかなんとか。
       とにもかくにも、優れた軍師や武将には尋常ではないくらい好かれていたようです。
       二つ名の元ネタがわかる人、いますよね…?

備考    :一応8レベル以上、魔法は二つ以上覚えているということで。
       バランスはいいがクラスがクラスなので抗魔力が紙。


PC3孫尚香

クラス   :強化人間
属性    :地/水
二つ名   :『弓腰の第五姫』
ライフパス :許婚/ケンカ屋
性格    :自分は冷徹なつもりだが、実は正直
アイテム  :ロングボウ、トンファー

三国志的経歴:劉備の何人目かの嫁。実際は年の差がえらいことに。二分の一とかってレベルじゃないです。
       呉の軍師周ユが政略結婚→酒池肉林→劉備骨抜きで同盟・後顧の憂いも断って一石二鳥ウマー
       とか考えたため、劉備の元に嫁ぐことに。
       そんな作戦も、孫尚香本人の性格の前に破綻する。
       とんでもなく勝気な新妻は情けない夫の首根っこをひっつかみ、呉からの大脱走を決めるのであった…!

備考    :防御力に定評のある強化人間。前衛、後衛共に可能だが…。
       しかし、強化人間が随分多くなりそうな予感が。
       まあそれはそれで。
PC4呂布奉先(恋姫・真名:恋)

クラス   :魔剣使い
属性    :火/虚
二つ名   :『北郷さんちの猛犬』
ライフパス :天涯孤独/ハラペコ
性格    :普段は無邪気だが、いざとなると絶対無敵
アイテム  :なし

元ネタ的経歴:元ネタはエロゲ。とりあえずごめんなさい。
       無口で無邪気で三国無双な美少女。

備考    :どう考えても前衛。割りと属性も特化しているが、逆に魔法に弱くなってる。
       魔器はもちろん、「あの」戟ですが、現在は持っていません。
       三国無双=ダイス目が鬼のイメージがあるがどうか。


PC5北郷一刀

クラス   :魔物使い相当(一部の特殊能力は適用できない。また、一部の能力にマイナス補正)
属性    :天/虚
二つ名   :『天の御使い』
ライフパス :異世界生まれ/愛の狩人
性格    :普段は優しいが、いざとなると変態
アイテム  :なし

元ネタ的経歴:元ネタはエロゲ。やっぱりごめんなさい。でもぶっちゃけNWもエロゲを元ネタにしてるし(ry
       エロゲ主人公にしても、ナニにアイデンティティーを求められることが多いナニかの使い。

備考    :魔術師や夢使いほど特化はしていないが、この面子の中ではまともな後衛。
       一応、魔物相当キャラクターは先ほども言ったとおり、(現在は)呂布。
 と、いうわけでPCはこうやって紹介していくつもりです。
 ちなみに、卓ゲーマー・三国志ファン・外史ファンのツッコミ待ちです。
 おかしなところ、気づいた点がございましたらぜひ突っ込みを。
 全力で修正いたします。
 ちなみに、経歴は演義・史実をごっちゃにして、作者の妄想が多分に含まれています。

 また、三国志9準拠のデータはどうやって紹介するか迷っている最中です。
 …三国志9のプレイ画面をそのまま紹介できればいいのですが…やめたほうがいいでしょうし。
 とりあえず、キャラクターの画像はリンクフリーの場所に誘導、データは数値・兵法を記載という形にしようかと。
 けど画像も、十八歳未満の人に留意しなければいけないので少し迷ってます。

 と、いうわけで所属武将・都市の紹介は次回とさせていただきます。
 さて、次回はやっと281年1月。
 ついに、英雄集結シナリオの始まりと相成ります。
 では、次回も見ていただけたら幸いです。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 09:43:30 ID:0tQcU3yF
>86
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 10:27:23 ID:+Y5eFkmp
乙。
まず真っ先に、劉備相当二人が出会ったか!
恋の通名を聞いて周囲がどう反応するか……
あーいや、修羅夫妻だとスルーかなw
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 12:06:40 ID:GudUmKWm
>68
しまった! 魔法少女モノなんてほとんど見たことない!
小学校低学年の頃に、魔法使いサリーとかそのへん見た気はするが…… うーん

>三国志の人
ウィザード無双〜ってのが正式タイトル?
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 12:32:48 ID:+Y5eFkmp
>>89
大丈夫、基本的に「何か事件が!→変身して魔法で解決!」のテンプレートさえ守れば、
ある程度はそれっぽくなるから。

大人に変身して、日常の些細な事件をドタバタしつつ解決するのが初期、
年齢は変わらず衣装だけ変わって、フツーにバトルモノっぽく解決するのが最近の傾向かな。
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 13:01:22 ID:GudUmKWm
だが、それだとクロスSSではなく、単にナイトウィザードのキワモノシナリオだw
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 14:22:02 ID:xC3BXHfz
ナイトウィザードじゃ魔法少女なんて日常的に存在してるしな

だがそこで逆転の発想だ
柊(輸血済み)をクロス世界に飛ばしてライバル魔法少女の立ち位置にさせるというのはどうだ?
キワモノシナリオを超えて地雷シナリオっぽくなるが


しかし柊の汎用性の高さは異常
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 14:22:35 ID:biEASWTR
だって柊だもの
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 14:26:42 ID:yforJDcg
柊を敵役に置くとなるとその近くにエリスみたいな元凶キャラがいるのか
シャイマール事変を一般ウィザード側で描くような感じで
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 14:45:57 ID:+Y5eFkmp
じゃああれだ。
柊が変身して魔法少女に(ry
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 14:47:23 ID:yforJDcg
>>95
それは92ですでに出てるな
輸血ってのは龍之介の血のことだろうし
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 14:49:00 ID:xC3BXHfz
性別の境界が"下がる"という訳だな
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 15:07:12 ID:T5eT2uPN
>>92
……むかしむかしあるところにon the lockという某系二次創作サイトがあったそうな。そこの嘘予告に主人公が後の社会的生命全てを捨てて、ただありのままで魔法少女になるとゆーとてもしゃかいてきなはなしがありましてな
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 16:06:30 ID:xC3BXHfz
>>98
類似作に
「君のハートにトレース・オン
 君のハートをトリガー・オフ」
と、執事からメイドになったアレがあるところですね?
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 17:33:00 ID:0tQcU3yF
アレか柊がメイドガイになるんだな
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 17:44:00 ID:Tn3w9pQ4
>>89
ふと、魔法少女プリティーサミー風味なんて良いかもと思った。

ルーの失脚とシャイマールの退位で実質裏界帝国を統べる存在となったベル。
ベルは真の裏界支配者と他の魔王と認めさせるために、落し子でもって世界に混沌をもたらすことを宣言する。
だが、それを快く思わないのがパール。そこで彼女は新たな落とし子を作って邪魔をもくろむ。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 17:44:42 ID:ZCzhT9nt
>>100
それってロンギヌスじゃね?
あの仮面的に
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 18:17:29 ID:dcIRsEFJ
>101
つまり、主役のサミーが騒動を起こしてライバルのミサがそれの妨害、つまり世界を守るんだな
えらい逆転してるな
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/08(日) 20:43:09 ID:Jk0KbN6u
>>86
・タイトルに「ドキッ」は入らないのか?
・下ヒはキツいけど、周瑜は表示できなくもないと思うぜ?
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 13:22:05 ID:59G4/HsQ
hos
106まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/10(火) 21:24:42 ID:yTOrEMI8
短いけれど、9時半から投下します。
107まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/10(火) 21:29:07 ID:yTOrEMI8
夕闇が辺りを支配し始めるころ、夕闇にまぎれて銀色の影が屋根を駆けて抜けていく。
どんどんと街を外れ、やがてたどり着いたのは、廃車置場。
そこには1人の、帽子とコートを着た男が立っていた。
その後ろには気絶させられ、倒れている、ソバカスの少女。
それを認め、銀色の影…銀之介が緊張と敵意をこめて言う。
「約束通り来たぞ。だから、唐子を返せ!」
「キシシシシ…連れねえよなあ。こっちはお前に会いたくてあの世から帰ってきたってのによぉ…」
そう言いながら、男は帽子を脱ぎ棄てる。
「な!?」
その姿に銀之介は驚愕する。
「父さん!?…いや、違う…」
父親にそっくりなひょろひょろの男。
銀之介は1度だけ、見たことがあった。かつて、彼の死をみとったときに。
男は、銀之介の父親が決して見せぬ下卑た笑みを浮かべて嘲笑う。
「おもしれえだろ?地獄から帰ってきて、姿を変えられるようになったんだ。人間の姿に、な。
この姿で行ったら、そこで寝ている嬢ちゃんはあっさり騙されてくれたぜ?」
その言葉で銀之介は確信する。目の前の男が、確かに自らの叔父であると。
かつて、凶暴な狼として生きざるを得なかった男であると。
「なんでなんだ!」
悲しみを込めて銀之介が叫ぶ。
「人間として生きられるようになったんなら、何でこんなことを…」
「ふざけんな!」
銀之介の言葉を遮り、否、答えるがごとく男が吠えた。
「俺を、てめえらみてえなクソ弱え生き物と一緒にすんな」
男がコートも脱ぎ棄てる。それと同時に身体が銀色の毛に覆われて、膨れ上がる。
「俺はな、超えたんだよ。人間どころか、狼人間すらもなあ…」
(なんだ…この感覚)
警戒し、構えを取りながら、銀之介は震える。
狼人間の鋭い感覚がとらえていた。男、否、オオカミから放たれる得体の知れない何か。
この場にいるだけで吐き気すら催すような、どす黒い気配。
「今の俺様はな」
狂気に満ちたその瞳を見て、自らも気づかぬそのうちに銀之介は確信する。
コイツは、目の前のコイツは、もはや人間ではないこと。
「化け物よ」
ニヤリと凶暴な笑みを浮かべて言う。
いつの間にか、空には赤き月が輝いていた。
「こいよ。この俺様が、直々にミンチにしてやるぜ」
「叔父さんが、何でそうなってしまったのか、僕には分らない」
銀之介が、再び悲しそうに呟く。
もはや、言葉では、どうしようもない。
「だけど、同情はしない」
それは優しい少年の決意。
「僕は、この街が好きだ。大切な想い出がたくさんあって、大切な人がいるこの街が。だから…」
誰よりも優しい狼であること、今だけ忘れることにする。これからの、戦いのために。
「それを壊そうとする奴は、誰であろうと、止めてみせる!」
ほぼ同時に2頭の狼が銀色の影へと変わる。
戦いが、始まった。
108まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/10(火) 21:35:37 ID:yTOrEMI8

赤き月の光の下で、銀色が激しく交錯する。
人であり続けようとする狼と人であることを捨ててしまった狼。
2頭の獣はただ己の本能と経験にのみ従いその爪と牙をふるう。
人を遙かに上回る膂力と反射神経、どんな刃にも勝る爪と牙を持つ人狼に、技など必要ない。
超高速で行われる純粋な力のぶつけ合い。
そして、数分後―――

「キシシシシシ…ざまあねえなあ」
オオカミが嘲笑う。
「クソッ…なんで…」
全身を切り刻まれ、肘をついた銀之介が信じられないと言うように呟いた。
この数分間、確かに2人は、互角だった。互いの攻撃は確実に相手をとらえ、同じだけの傷を負わせた。
にも関わらず実際には銀之介が一方的に追いつめられていた。その理由はただ一つ。

傷が、再生しない。

狼人間には、異常なまでの生命力と再生能力が備わっている。
銀の弾丸で受けた傷でない限りは、恐るべき速度で回復するのだ。
だが、銀之介の傷は全く塞がる気配が無かった。
(これじゃあまるで…)
「まるで、アラキの野郎の魔法みたい、だろ?」
「な…!?」
下卑た笑みを浮かべたオオカミの言葉に、銀之介が驚いて顔を上げる。
その顔を見て、満足そうな表情で、手品の種明かしをする。
「こいつはなあ、呪いなんだよ」
呪い。普段滅多に聞くことのない単語に、銀之介が怪訝そうな表情を浮かべる。
「の、呪いだって…?」
「そう、呪いさ。俺様が、悪魔に魂を売った時に得た力よ」
オオカミがそう言った瞬間、銀之介の全身をいも虫が這いまわるような感覚が襲った。
それは決して外したことのない、銀之介の“嫌な予感”
オオカミの体から、吐き気のする何かが吹きあがるようにこぼれ出す。
「一思いになんて、つまらねえことは言わねえ」
その何かがオオカミの右腕に集まっていくのを感じる。
銀之介の全身の毛が逆立つ。
あれを喰らったら、ヤバい。
とっさに後ろへ飛び退り、全力で回避しようとする。
だが、それ以上のスピードでオオカミは距離を詰める。
「せいぜい苦しんで…ぶっ壊れてくれよ」
吐き気を催すような“瘴気”を銀之介へと叩き込んだ。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 21:37:10 ID:/SOYNiFE
支援いる?
110まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/10(火) 21:39:00 ID:yTOrEMI8

「ぐあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!????????」
痺れ、痛み、吐き気…ありとあらゆる嫌なものが銀之介の全身を襲う。
立ち上がることすらできず、銀之介はのたうちまわった。
その、のたうちまわる銀之介を踏みつけて、オオカミが言う。
「効くだろ?俺の呪いを全部叩きこんでやったからなあ」
銀之介は返事すら出来ない。
やがて、悲鳴が弱まり、ゼイゼイと荒い息だけが聞こえるようになる。
「お、そろそろかあ?」
(もう、駄目だ…)
銀之介の心が狼の闘争心を失う。後に残るのはお人好しの、青年の心。
(あれ…なんで…?)
だからこそ、薄れ行く意識の中で気付く。
(あんな所に、女の子…?)
なんにせよ。こんな所にいては危ない。
痛みで単純化した思考で、銀之介は叫ぶ。
まるで囁くように、弱々しい声で。
「逃げて…ここ…あぶな…」
うつろな目で、自らのはるか後方に立つ少女へ。

「なんだと!?」
銀之介の弱々しい呟きに、オオカミが慌ててそちらを見る。
月匣の中に入ってこれる、少女。
そんな奴はこの街には数えるほどしかいない。
「…《ヴォーティカルカノン》!」
少女の一撃が、オオカミを撃ち抜く。
貫通した傷をおさえ、オオカミは怒りと共にそちらを見る。自らのはるか後ろに立つ少女を。
「ちぇ…1発ではやっぱり仕留められないか」
「てめえ…」
赤き月に照らされて更に輝く赤い髪を揺らしながら、少女はどこか楽しげに、言う。
「来てやったわよ」
夜の闇を受けて、少女は不敵に笑う。当然だ。なぜなら彼女は夜に愛された種族。
「悪い狼を退治する、赤ずきんちゃんがね」
吸血鬼なのだから。
111まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/10(火) 21:39:31 ID:yTOrEMI8
今日はここまで。
ちなみに、この叔父さん、スキルの大半は人狼のものですが、何気に現在のクラスは人狼じゃなかったりします。

>>36
僕血の3巻以降マジお勧め。サフィー可愛いよサフィー。

>>37
合流した時点で1回切れます。伏線回収その他は次回のセッションで。
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 21:43:20 ID:/SOYNiFE
乙。
ようやく合流フラグですが、何と言う男前な登場シーンだw
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 21:48:11 ID:WiFmm6UZ
うお、きてた。
おつー。次回にも期待期待。

瘴気か、なるほどw
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/10(火) 23:55:20 ID:J4IAtJdb
おお登場がかっけぇwそしてGJ!

それにしても悪魔かー。
なんかこのままアークマデテクールともリンクしそうな勢いだなw
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/11(水) 00:20:09 ID:moTuNsFL
今回も面白い
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/12(木) 08:12:58 ID:PYGg5fLc
今月のふぃあ通を聞いて、やっぱり柊はいい主人公だっただなあと改めて思った。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 18:21:46 ID:9nbbWOPi
復旧した、か?
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 20:17:58 ID:RTZ1Zs8Q
ところで、ラジオによれば卒業直後にシェローティアなんだな。
在学中長期に外に出しにくい柊をクロスさせやすい時期が卒業後〜シェローティア前
だと思ってたんだが、ほとんどないのか。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 22:55:20 ID:oKWzZ8oV
卒業後どっかの物語とクロス
      ↓
物語終了。そのとき、次元の穴からなぞのマジックハンドが!
      ↓
「未来の柊さ〜ん? ちょっとお願いしたいことがあるのですけど、はいかYESで(ry」
      ↓
語られざる物語終了。「お疲れ様でした。今は(ry」
      ↓
話途中で柊大脱走。あやしげなメーターのたくさんついたタイムマシン(not宇宙船)に乗り込む。
      ↓
空砦直前の自宅に無事期間
      ↓
「星を継がないもの」につづく


これで大丈夫だよ! だよ!
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 23:04:24 ID:a0h/q75j
あれ?ラジオっつーかドラマ内で明言されてたっけ?>アニメ直後
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 23:08:44 ID:3likywYj
卒業前でも幻砦の柊砲発射の時をうまく使えば異世界クロスも簡単だよ!
レシオ調整も実は便利だよ!
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 23:10:13 ID:rjqt1u4x
>>120
ドラマじゃなくてラジオ本編(ってのも変だが)で、「直後ぐらいなんですよね」「そう」
って会話が。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 23:30:29 ID:UWKgl4UQ
よし、何とかなる
「ぐらい」だからな「ぐらい」
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 23:36:38 ID:5A8jVknS
2時間あれば1回は世界を救える世界だからなぁ(ソース:S=F・Adより)
「ぐらい」ならきっと2〜3日程度の余裕はあるだろう
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/13(金) 23:37:56 ID:a0h/q75j
てゆーか、そもそもルルブ記述によるなら柊が19才の時点で11月半ば以降の話とゆーことに>空砦
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 01:19:29 ID:0mCu5Kfo
あれ?柊の誕生日って決まってたっけ?
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 01:43:26 ID:maiBWMRL
11月7日になってた。
ソースは、くれはのキャラソンCDに収録されているボイスドラマ。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 04:15:44 ID:dTx0KXou
はっはっは、きくたけが設定忘れるのはいつものことだからねえ
誰だっけ?学年間違えられた人がいたようないないような
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 15:16:49 ID:3rklD4mX
はっはっは…

そのミスなかったら、柊は今ジャスティスとかと同じようにほぼ使い捨て同然のPCとして歴史に埋もれてるんだよなぁ…


そして血月クロスさん乙!
落とし子っていいよね!
130まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/14(土) 17:24:26 ID:Y8QY7Oci
5時半から、投下します。
131まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/14(土) 17:30:23 ID:Y8QY7Oci
(…あれ?あたし…?)
唐子の目がゆっくりと開かれた。
鼻につくオイルと錆びた鉄の匂い。
(うぅ…さむ…)
思わず身震いする。
辺りはすっかり日が落ちて真っ暗になっている。
まだまだ夏のなごりが残っているとはいえ、この時間になると、流石に少し冷え込む。
ぼんやりとする頭で、なぜこんな所にいるのかと考えた。
(そうだ。確か銀之介君のお父さんにばったり会って…)
夕方のことを思い出す。ばったりと出くわした見慣れた顔。
(それで、銀之介君のところに連れてこうとしたら空が赤くなって…?)
それから先が、思い出せない。気がついたら、ここにいた。
(いったい何がど〜〜なって…)
「と…こ…」
唐子の思考を中断させる声。
その弱々しい、かすかな声に反応して、唐子は何気なくそちらを見て…
「銀之介君!?」
唐子の意識が一気に覚醒する。
空地の真ん中に倒れ伏した、銀之介の姿に。
「どどどどど〜したの!?」
唐子が銀之介に駆けよる。
「いったいなにが…!?」
近寄って銀之介の近づいて、唐子は気づく。
先ほどからする錆びた鉄の匂い。
それが、銀之介から放たれていることに。
「よか…無事…たんだな…」
唐子の元気な様子を見て、銀之介が安堵の表情を浮かべる。
それは、あまりに弱々しい、笑み。
「ひどい怪我じゃない!?」
銀之介が怪我をしたことは何度もある。
かつて、銀之介が銀の弾丸で撃たれたときや、もう一人の狼男と戦った時。
だが、今の銀之介の状態はかつてないほどに悪かった。
毛皮に覆われていてもなお分かるほどに、銀之介の顔色は悪い。
死人のような土気色。
「ごめ…ぼくは…」
「いいから!喋っちゃ駄目!」
さらに錆びた鉄の匂いが強くなる。
血が、止まらない。
地面が真っ赤にそまって、唐子の膝を赤く濡らす。
「こんなの…嫌だよ!」
唐子の目からボロボロと涙がこぼれ出す。
見れば、分かる。目の前の少年は、助からない。

そうそれこそ…“魔法”でも使わない限りは。
132まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/14(土) 17:33:05 ID:Y8QY7Oci
「…《キュアウォーター》」
すっと。
きれいな手が添えられ、銀之介に何かが流れ込む。
唐子は涙で滲んだ瞳で、その手が添えられた方を見る。
そこには、いつの間にか1人の少年がしゃがみ込んでいた。
「ひどい怪我だ。これだけ酷いと…」
少年は喋りながらも詠唱はやめない。時間が無い。
「…完全回復に3ラウンドはかかるね」
再び銀之介に魔力を流し込む。癒しの魔力を。
銀之介の傷が時計でも巻き戻すかのように塞がって行く。
それを銀之介はどこか茫然として、その様子を見続けていた。
唐子には少年に見覚えがあった。
そう、ついこの前の家の手伝いのときに。
「もしかして…この前の…?」
「ええ。おいしかったですよ。あなたのお店のうどん」
そう言って安心させるように“魔術師”静=ヴァンスタインは、笑った。
133名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 17:39:47 ID:Ysv+Ysqt
支援
134まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/14(土) 17:39:56 ID:Y8QY7Oci


紅く染まった空を、サフィーは駆ける。
「待ちやがれ!」
追ってくる追跡者に追いつかれないように。
恐ろしいほどのスピードだった。お互いに。
「やれやれ…しつこい男は嫌われるでしゅよ?」
距離を置いて後ろを向き、どこか楽しげにサフィーは笑う。
スピードをゆるめることなく、挑発するように。
時々、不可視の力で持って妨害するのも忘れない。
ただの不可視の力では凝縮された《ヴォーティカルカノン》とは比べるべくも無いが、それでも牽制程度にはなる。
「クソッ!」
時々思い出したように放たれる不可視の力を回避しながら、オオカミはビルの壁をけり、一息に屋上と屋根を飛び移る。
それでもなお、上空を飛ぶサフィーには追いつけない。
「ほらほら。こっちでしゅ」
(とりあえずこれだけ離れれば大丈夫ね)
口では挑発をしながら、サフィーは冷静に考える。
これだけ離れれば、充分に時間が稼げたはずだ。後は“相棒”がうまくやってくれるはず。
(後は…)
向きなおり、現在向かっている方向を驚異的な視力で持って確認。
(…うん。あと500mってとこね)
目標をとらえてさらに加速する。
「ほ〜ら。狼だってんなら追いついてみせるでしゅ。それとももう年で無理でしゅか?」
「このガキ…」
オオカミは更にヒートアップする。
「この俺様を…なめてんじゃねえぞぉ!」
爆発的に加速する。サフィーとの距離がグングン縮まる。
(あと300…200…)
どんどんと詰まって行く距離を見ても、サフィーは慌てない。そのうち追いつかれるのは想定済みだ。
そう、うまく行っている。サフィーの思ったとおりに。
そしてついに…
(…後少し!)
スピードを緩めながら、向きなおる。
不敵な笑みを浮かべてオオカミを見据える。
ココまでくれば、もう大丈夫だ。
「残念だったでしゅね。これはわ…」

ガツンッ!

目の前に一瞬火花が散る。頭が、いたい。
集中が途切れ、墜落しかける。
『姉さん、よそ見して飛ぶから、看板にぶつかるのよ』
昔、一緒に暮らしてた頃妹に言われた言葉が頭をよぎる。
慌てて再び浮き上がろうとするも…
「おいついたぞ…クソガキィ…!」
その前に爪がサフィーの体を引き裂く。
「くぅ…!」
痛みからの悲鳴を飲み込み、まっすぐにオオカミを見据える。
「…しょうがない。ちょっとだけ相手してあげるわ」
本気モードで力を高める。
「相手してやる?」
対するオオカミは怪訝そうに言う。
「てめえ、俺様よりよええだろうが。いきがってんじゃねえぞ、ガキ!」
オオカミから瘴気が噴き出す。どうやら本気で殺す気らしい。
駆けだしのウィザードならそれだけで動けなくなるほどに強烈な殺気。
だが、それを受けてなお、サフィーは平然としている。
戦いが、始まった。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 17:42:18 ID:u0Q3NKwn
久しぶりに投下中に出くわした。なんてこった

支援
136まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/14(土) 17:43:22 ID:Y8QY7Oci

「《ヴォーティカルカノン》!」
サフィーの虚無の弾丸を受けてなお、オオカミは止まらない。
血をまき散らしながら、サフィーに迫る。
「死ね!」
その爪でもって、サフィーを引き裂く。
わずか、2撃。
たった1ラウンドの間に、サフィーは追いつめられた。
「キシシシシ…やっぱりよええじゃねえか」
あっという間にぎりぎりまで追い込まれたサフィーを見て、余裕を取り戻したオオカミが、サフィーを嘲笑う。
一方のサフィーは痛みに顔をしかめしながら、無理やりに笑顔をつくる。
「…分かってたわ。アタシがアンタにかなわないことぐらい」
「…なんだと?」
オオカミがサフィーの言いたいことが分からず困惑する。
それをまっすぐに見つめ、サフィーは改めて、言う。
「そう、アタシは、アンタにはかなわない。けどそれは…」
サフィーは気づいていた。間にあったことに。上空に浮かぶそれを見て。
「サシでやりあった場合よ」
オオカミがその異変に気づく。
背中が、熱い。思わず上を見て、気づく。
「いっけえ。ファイアーワークス…」
巨大な鳥が上空に浮かんでいる。その上に乗っているのは、一人の少女。
轟々と赤い炎をまき散らしながら、鳥がオオカミめがけて急降下してくる!
「全てを…焼き滅ぼしちゃえええええええええええええ!」

GYOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

渾身の体当たりを受けて、オオカミが爆炎に包まれる。
「ぐおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
魔法の力を帯びた炎は、オオカミの月衣を易々と抜け、オオカミを焼く。
「大丈夫!?サフィーちゃん!?」
自らの魔物から飛び降りて、いのりがサフィーに駆け寄る。
「ま、なんとかね」
今にも死にそうな怪我にも関わらず、いのりに答えるサフィーの口調は軽い。
サフィーにとって、死にそうな、くらいの怪我ならばそう問題ではない。
そのくらいなら、狩人との戦いに費やした500年の間に何回もしてきた。
「てめえ…待ち伏せかよ」
黒こげになった肉体を再生させながらオオカミが悔しそうに言う。
その言葉に、サフィーはむしろ意外そうに答える。
「あら。こっちには仲間がいるのよ?1人で挑むなんて馬鹿な真似、するわけないでしょ」
サフィーの辞書に、正々堂々の文字は無い。
卑怯だろうがなんだろうが、生き残れればそれでよし。そのためならば手段を選んだりはしない。
それが、狩人に追われながら500年を生き延び、赤毛の死神と恐れられた、サフィーのやり方。
サフィーが静かにオオカミに、呟く。
「覚えときなさい。猛獣にとって最大の天敵はね…ずる賢く策をめぐらせる、狩人なのよ」
そして、サフィーの策が完成する。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 17:44:06 ID:Ysv+Ysqt
しっえ〜ん
138まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/14(土) 17:45:23 ID:Y8QY7Oci
シュタッ

オオカミの後ろから何かが着地する音が聞こえる。オオカミは嫌な予感と共に後ろを振り向く。
そこには、眼鏡をかけた少年を抱えた、狼の姿をした少年。
もう、放っておいても死ぬはずだったはずの少年は今はピンピンしていた。
「…で?アンタは勝てる自信があるかしら?4人相手に、たった1人で」
冷やかなサフィーの台詞でオオカミは悟る。
自分が、まんまと罠にひっかかった獲物であることを。
「チキショウ…」
オオカミの脳裏に、半年前の記憶が蘇る。
狼人間の群れに追いつめられ、挙句の果てに遠くから銀の弾丸を詰めたライフルで射殺された記憶。
今度は、違う。人数はたった4人だし遠くから狙撃してくる奴もいない。
だが、完全においつめられていることにはなんら変わりが無かった。
「もうやめて。叔父さん、僕はもう、戦いたくない」
銀之介が静かに言う。
「くくくくく…分かってんだろ?」
どこまでも甘ちゃんな銀之介に、オオカミもまた静かに言う。
「俺様は、野生に生きる狼だった。そして今は、それすらも超えた化け物だ。
…そんな俺が、飼い犬みてえに尻尾をふれるかよ!」
一声吠えて、威嚇。全員が身構える。
そして、戦いが始まる、そんなときだった。

「…《ヴォーテックス》」
漆黒の闇がサフィーめがけて飛ぶ。
「サフィーちゃん!危ない!」
いのりは咄嗟にファイアーワークスに命じてすでに酷い怪我を負っているサフィーをかばう。
間一髪、魔法はサフィーに届かずファイアーワークスの巨体にあたり、弾かれた。
突然の狙撃にサフィーは顔をしかめる。
魔法を使う、サフィーの敵。それに心当たりは一つしか無い。
「フン…せめて忌々しい吸血鬼だけでもと思ったが…」
白衣を来た、男が闇から染み出すように現れる。
「…相変わらず、汚い手を使うわね」
ほとんど汗をかかないサフィーの背中を嫌な汗が伝い落ちる。
こいつは、ある意味において自分と同じだ。
目的のため…吸血鬼を殺すためならどんな手段も厭わない。
そのことをサフィーはここにいる誰よりも知っていた。
「お前には言われたくないな。呪われし血をひく、赤毛の悪魔め」
相変わらずの不機嫌な表情で。
吸血鬼、ドクターアラキは冷やかに返した。
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 17:45:42 ID:2Agrh8Hn
やっと全PC合流紫煙
140まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/14(土) 17:46:22 ID:Y8QY7Oci

「アラキ!邪魔をすんな!これは俺の喧嘩だ!」
突然の闖入者にオオカミは声を荒げる。
だが、それに対してもアラキは冷静に返した。
「喧嘩?一方的な狩りの間違いだろう。お前が獲物のな」
その言葉にオオカミはぐっとつまる。
今、ここで戦ったら、負ける。それは、自分自身が一番理解していたことだから。
たたみかけるように、アラキが言う。
「今ここでお前に消滅されては困るのだ。時が満ちるまで待て。それが我が主の意思だ」
「ちぃ…嬢ちゃんの命令かよ」
その言葉に、オオカミの意気が一気に消沈する。
嬢ちゃんの命令。それはオオカミにとって最も守らなければならないもの。
それが、この世界に帰って来た時の“契約”だった。
「それでいい。この場は一旦…」
言い終わる前に虚無の弾丸が飛んでくる。
「…《ダークバリア》」
アラキの生み出した闇の球にそれは阻まれる。
そして、アラキは虚無の弾丸が放たれた方を見る。
「帰る、なんてそう簡単に認めると思う?」
サフィーは魔法の構えのまま、アラキに笑いかける。
「…心配するな。貴様らの遊び相手は別に用意してある」
そう言うとアラキは虚空から1冊の本を取り出した。
ただの本では無い。その本からは確かに何か力がこめられていた。
「召喚の魔導書…?」
その正体に一足早く気づいた静がアラキに問いかける。
「その通りだ。もっとも、この世界の、だがな」
「何だって!?」
「アバラ・ガビ・ガバラ・ガビオリラ・ゲルオリス・ゲルラ・アラオビルス・ガルバ・アラビアス・ガラビアラス・ゴル・ベル・バル…」
驚きの声を上げる静を無視してアラキが舌噛みそうな朗々と呪文を読み上げる。いつの間にか地面には召喚の魔法陣が現れている。
ファー・ジ・アースでは見られない様式。
そして、儀式が完成する。
「…アークマデテクール」
アラキの呪文の終わりと共に。
「まんまじゃん!」
いのりの突っ込みはさらっと無視された。
節くれだった角を持つ、漆黒の悪魔が魔法陣から現れる。
それと同時に、悪魔をこの世界に出さないための魔法陣が消滅する。
「さあ、悪魔よ。思う存分暴れるがいい」
アラキが言う。その言葉は、契約として悪魔にこの世界で暴れる力をもたらした。
「魔界の悪魔。赤毛の悪魔の相手はにはふさわしかろう。もっとも、そいつはお前など及びもつかぬ力を持っているがな」
悪魔が召喚されたことを確認して、アラキはオオカミを伴い闇に溶け込む。
後に残されたのは、4人と、1体の巨大な悪魔。
「あ、悪魔…?」
目の前の現実が信じられず、銀之介が呟く。
まるで、他の3人に確認するように。
「その通り。最後に置いてくだけがあるね。魔力が、そこらの雑魚とは比べ物にならない」
静は頷きながらも悪魔から目を離さない。
頭の中で戦略を組み立てる。目の前の悪魔は本気でいかなければ、倒せない。
「…もしかして、あたしたちけっこ〜やばくない?」
いのりもウィザードとしての経験から察していた。目の前の悪魔がかなりの強さを持つことを。
主の気持ちを察して、ファイアーワークスも本気の戦いの構えを取る。
「なんにせよ…」
サフィーが引き継ぐ。
アラキに逃げられたのは残念だが、そんなことを言ってる場合でもないことくらい、とっくに理解していた。
「今はこいつをぶちのめすのが先でしゅ!」
その言葉と共に悪魔が翼を広げ、吠える。これから繰り広げられるであろう血の饗宴を思って。
141まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/14(土) 17:48:24 ID:Y8QY7Oci
今日はここまで、続きは明日辺りにでも。

>>112
主人公ですからw

>>113
ええ、あのクラスです。

>>114
と、言うわけでちょびっとだけリンクさせてみました。中ボスとしてはちょうどいいかな、と。

>>115
ありがとうございます。

>>128
実にロマンですよね。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 17:49:09 ID:u0Q3NKwn
いのりが普通すぎて影が薄い件について( ゚д゚) y-~~~
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 18:01:50 ID:3Pwt9AEg
>>142
はやく天の声で台詞を脳内再生する作業にもどるんだ
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 20:39:35 ID:0yXgt5IM
>>141
ぐっじょぶです。
合流終わって、こっからリサーチフェイズってとこですかね?


> 「ひどい怪我だ。これだけ酷いと…」
> 「…完全回復に3ラウンドはかかるね」

> そこには、眼鏡をかけた少年を抱えた、狼の姿をした少年。

こことここで吹いてしまった俺。
特に後者は、お姫様抱っこを想像してえらい大惨事に
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 20:58:18 ID:WKcvsCmE
どう考えても、お姫様抱っこだろうJK
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 21:44:04 ID:o2EGhRr7
ちょwwwwwwwwwおちゃらけ劇場だったか何だったか、そっちのキャラがwwww
GJwwwww
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/14(土) 23:26:32 ID:aQvkHJna
>>143
天の声=若本 で再生されてしまう俺アニメ組
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 00:02:41 ID:Ysv+Ysqt
>>147
はやくNWtA DVD最終巻のTRPGオーディオコメンタリーで天の声を脳内に取り込む作業にもどるんだ
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 00:04:53 ID:AXOVKIqP
>>148
未来に帰ぇれ!ww
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 10:54:45 ID:FyC3IFif
なぁに、50億年といわれる地球の歴史からすれば、一週間やそこら誤差じゃないかね?(満面の笑みで
151まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/15(日) 11:50:35 ID:yyMq6tM7
俺…12時になったら投下するんだ…
152まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/15(日) 11:59:32 ID:yyMq6tM7
吠え声を上げながら、悪魔は心の中で大笑いしていた。
何しろ、召喚者直々にこの世界で暴れる許可が出たのだ。
悪魔は、契約なしではこの世界では何もできない。
契約違反を犯してウギルナルガードが粛清されたのがついこの前。
下手な真似はそのまま死を意味する。
だが、今回は違う。契約を結んだ。この世界で暴れろ、と。
まずは目の前の連中をぶち殺して、迂闊な契約を結んだ召喚者もぶち殺す。
そう、悪魔は決めていた。

悪魔は知らなかった。異世界の一部では常識であること。
悪魔には軍隊でも勝てない理由は、悪魔が魔界の力で守られているから。
その魔界の力、異世界で月衣と呼ばれる力が通用しない連中がいること。
それがちょうど目の前の4人であること。
そう、本来なら考える必要すら無かったのだ。
自分が逆に倒される可能性なんて。
153まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/15(日) 12:04:51 ID:yyMq6tM7


「サフィーちゃんは距離をとって魔力を集中!銀之介君といのり君は悪魔に突っ込んでくれ!」
戦闘の開始と共に、静が3人に命令を下す。
そして、それと同時に、移動の魔力が付与される。
「え?え?」
「い〜から!一緒に来て」
突然の出来事に困惑する銀之介を引っ張っていのりが悪魔に突っ込み、
サフィーが悪魔の巨体から放たれる攻撃に巻き込まれない位置まで下がる。
「行くよ!ファイアーワークス、《サバイバルモード》!」
いのりが自らのプラーナを餌にファイアーワークスの力を限界まで開放。
そして、銀之介よりも早くいのりと静が普段なら考えられないほどの高速で行動を開始する。
プラーナをより早く行動するために開放したのだ。
「魔力の強さから考えて、こいつはアークデーモン級。こいつ相手に僕の魔法じゃ心もとない。だったら…」
高速で静は相手を分析する。
「…僕は援護に徹する!」
分析が終わると同時に静の魔法が完成する。
「…《スロウ》!」
静の魔法は悪魔の抵抗力を易々と上回り、悪魔の動きを鈍らせる。
「今だ!いのり君!」
「おっけ〜!行くよファイアーワークス!」
その瞬間を見逃さず、いのりが攻撃に転じる。
ファイアーワークスの剛腕から、攻撃が放たれる。
その攻撃は鉄よりも硬い悪魔の皮膚を易々と貫く。
それと同時に。
「銀之介君!」
「わ、分かった!うりゃあ〜!」
困惑しながらも放たれた銀之介の狼パンチがファイアーワークスの開けた穴に叩き込まれ、更に傷を大きくする。
「もういっぱ〜つ!」
どこか楽しげにいのりが再び攻撃を叩き込み。
「ほら、銀之介君も!」
「え?あ、も、もういっぱ〜つ!」
銀之介が連携して攻撃をする。
「じゃあ、後は頼んだよ!」
悪魔が動き出す気配を察して静が後ろへと下がる。
魔術師が攻撃に巻き込まれたら、死ぬ。歴戦のウィザードである静は、そのことを当然のように理解していた。

かくして。ようやく悪魔が行動を開始できるようになった頃。
悪魔はすでにボロボロだった。
154まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/15(日) 12:08:40 ID:yyMq6tM7
(な、何がどうなっている!?)
内心、悪魔は大混乱していた。当然だ。悪魔と対等以上に渡り合う人間界の生き物など、存在しない。
絶対的な暴力のぶつかり合いで悪魔が負けるなどありえるはずが無い。
それは、人間外の吸血鬼や狼人間相手でも同様である。
それが、数万年は生きている悪魔にとっての常識だった。
その常識が悪魔の判断を間違えさせた。
悪魔のプライドに駆けて、尻尾を巻いて逃げるなど、認められなかったのだ。

悪魔がその力を振りしぼり、全力で攻撃を行う。
避けられないように高速で尻尾を振りまわし、その爪で持って2人を引き裂く。
戦車すらも破壊できるほどの一撃。
「…ぐわあ!」
銀之介が一撃で瀕死寸前まで追い込まれる。
先ほど静に傷を治してもらってなければ死んでいたかも知れない。
「やっべ死ぬ死ぬ!」
慌てていのりがファイアーワークスに全力で防御させ、プラーナを開放して防御に回す。
それでもなお、ファイアーワークスの防御を貫き、悪魔の一撃はいのりにかなりのダメージを与えた。
「いたた…」
その様子を見て、悪魔は余裕を取り戻す。あと1回、攻撃すれば奴らを倒せる。
だが、次のいのりの言葉で悪魔は凍りついた。
「と、言うわけで後は頼んだよ。せんせい、サフィーちゃん!」
悪魔は怒涛の攻撃を受けていたために忘れていた。敵は全部で4人だと言うことを。

「…《ヘイスト》」
静の魔法がサフィーに素早く動く力を与える。
「これでよし。後は…撃つだけだ。頼んだよ、サフィーちゃん」
「まかせときなさい」
何もサフィーはただぼ〜っと3人の戦いを見ていたわけでは無い。
自らの中に眠る、隠された力。
それを無理やりに叩き起して使う、サフィーのとっておき。
普段は疲れるから使わない、ここぞと言うときの切り札。
ファー・ジ・アースの吸血鬼が《拘束術式》と呼ぶそれを、サフィーは準備していたのだ。
「今度こそ、一撃で仕留める」
じっくり、じっくり練り上げた強力な不可視の力。引き絞った弓のように強力なそれを更に収束させる。
不可視の力を限界まで収束させた魔法が、どれだけの威力を叩きだすか、サフィーにとっても未知の領域だった。
流石に不利を悟った悪魔が逃げ出そうと背中を向ける。だが、すべてが既に遅かった。
「…《ヴォーティカルカノン》」
言葉と共に悪魔の身体に大穴が開く。そして断末魔と共に悪魔が塵へと変わる。
かくして、悪魔は完全に消滅した。

「お、終わった…のか?」
銀之介が思わず溜息とともにその場にへたり込む。
今まで命がけの戦いと言うものをほとんど経験していない銀之介にとって、悪魔との戦いはとんでもなくきつかった。

「つ、疲れた…」
プスン
どこか間抜けな音とともにファイアーワークスがしぼむ。供給するプラーナが切れたのだ。

「ところで、そろそろ傷を治して欲しいんだけど…」
戦いが終わって自分が大怪我をしていたことを思い出したサフィーが静に回復魔法を要求する。

そんな3人の様子を見て、静が提案する。
「とりあえず、色々と話したいこととかはあるけど…今日はもう、休むことにしない?」
3人は1も2もなく頷いた。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 12:10:59 ID:GHkU3N8l
しえ〜
156まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/15(日) 12:12:47 ID:yyMq6tM7


ガラガラ…ピシャン!

「みんなおっはよ〜!」
今日も今日とて元気な声が飯波高校に響き渡る。
その声を聞いて、1年2組の元気娘がやってきたんだなと思ってそちらを見たみんなは絶句した。
湿布、包帯、絆創膏。いのりは全身傷だらけだった。
あのあと、とりあえずダメージの大きい2人に回復魔法をかけたところで静のMPが切れ、
いのりに回復魔法をかけることができなかったのだ。
「いや〜階段で足滑らせちゃってさ。最近の階段は怖いね!」
一身に浴びている視線に気づき、照れくさそうに言ういのり。
(嘘つけえええええええええええええええええええ!!!!!!!???????)
クラスの心がひとつになった瞬間だった。
「おはよ〜ございま〜す」
そんなことは露知らず、教室にぐるぐるメガネのおかっぱ少女が入ってくる。
「あ、春美ちゃんおはよ〜」
ここ1週間ほどですっかり馴染みになった春美にいのりは挨拶を返す。
そんないのりを春美はじっと眺め、言う。
「うんうん。昨日怪我したって聞いてたけど、お元気そうでなによりです」
「へ?春美ちゃん、どこで聞いたの?」
不思議そうな顔をして、いのりは春美に聞き返す。その瞬間、春美の眼鏡がきらりんと光る。
「ふっふっふ…私の情報網、なめちゃいけませんよ?新聞部じゃあ“聞き込み”の春美って有名なんです」
どうやら独自の怪しげな情報網で持って調べたらしい。
「そ、そ〜なんだ。う、うんだいじょ〜ぶだよ。明日になったら多分せんせいがなお…」
「明日?せんせい?」
「う、ううん!な、何でも無い!」
そ〜いえばいきなり治ったら思いっきり怪しまれることに気づいて慌てて訂正する。
(し、しまったあ〜!?しばらく包帯とか巻いとかないと!)
面倒なことになったと思ういのりであった。

あっと言う間に時間が過ぎて、放課後。
「…ってなことがあってさ〜、やっぱり休んどきゃよかったよ〜」
不思議研の部室でがっくしと机につっぷしていのりが静に愚痴る。
姉と違って学校を休むと言う発想が全然出てこない自分の健康優良児っぷりが恨めしい。
「はっはっは。そう言えばそうだねえ。輝明学園ではよくあることだから気にしてなかったよ」
そういって笑う静には、傷一つ無い。そもそも怪我してない。
「…なんかびみょ〜に納得いかない」
ジト目で、無傷の静を見て言う。
サフィーと銀之介は自分よりボロボロだったせいか、1人無傷の静が余計に納得がいかなかった。
「仕方ないだろ?耐久力は一般人に毛が生えた程度の僕があいつの攻撃を食らってたら、今頃学校どころじゃないよ」
いのりのように凶悪な魔物に守られてるわけでも、サフィーや銀之介のように人間離れした体力を持ってるわけでもない。
そんな静が悪魔の攻撃を喰らったら、そもそも生きていないだろう。
「そりゃ〜そうだけどさ…」
それでも納得がいかないいのりが言葉を続けようとした、そのときだった。
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 12:14:59 ID:xqL6Mfj0
し〜え〜ん〜
158まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/15(日) 12:15:41 ID:yyMq6tM7
「良かった!静さん、まだ残ってたんですね!」
「いのりさん、やっぱりここにいたんですね!」
1Pカラーと2Pカラーのぐるぐるメガネ少女が同時に入ってくる。
2人は何事かとそちらを見る。
「やあ、どうも小夏さんに春美さん。何かあったんですか?」
騒々しく部室に入ってきた不思議研コンビに、静が問いかける。
「今日は隣街に買い物に行くと言っていたように思うのですが」
「そ〜いえば…」
いのりも春美から聞いていた。何でも隣街でオカルト市があるとかで2人してそこへ行くと。
「はい!色々買えて楽しかったですけど、とんでもないものを見つけたので、静さんにも見て欲しくて!」
そう言うと小夏はカパッと鞄を開けて逆さにする。
中から怪しげな人形だの透明な石っころだのよく分からんものがごろごろ出てくる。
そして、小夏が一冊の黒い本を拾い上げた。
「これです!春美ちゃんが古本の中から見つけ出したんですが…」
「…ぶちょ〜、それ、何の本ですか?」
その本の表紙にはよく分からん文字で題名やらなんやらが書いてある。いのりには読めない文字だ。
だが、いのりには微妙に見覚えがある気がしていた。
「はい!よくぞ聞いてくれました!」
ずずいっといのりに近寄って、小夏が解説する。
「どうやら、昔の魔術書らしいんです!由来とかは分からないけど、何でも書いたのは悪魔で、悪魔の呼び出し方が書かれてるって!」
そう語る小夏はめっちゃうれしそうだった。
「ははは…悪魔の呼び出し方…ね」
つい昨日その悪魔と戦ったいのりが乾いた笑い声をあげる。
「そんなの、きっと偽物ですよ。ね?せんせ…せんせい?」
背中を伝う嫌な予感を無視しながら、隣の静に話しかけようとして、気づく。
静の顔色がまっさおになっていることに。
(いのり君…悪いニュースだ)
2人に聞こえないように小さな声で、静がいのりに話しかける。
(なんですか?悪いニュースって)
(うん…あの本、本物だ)
(ええっ!?)
(昨日、あのアラキが使っていた魔導書と同じものだよ。少なくとも表紙は)
(じゃあ…)
(あれに書いてある通りにやったら…)
(うん。悪魔が召喚されるね。多分)
サー
いのりの顔もまっさおになった。
あんなのともう1回戦うなんて、いのりも静もまっぴらごめんだった。
「どうやらラテン語で書かれてるらしくて、まずは解読から…」
ヒソヒソ話している2人に気づかず、小夏が楽しげに言いだす。
「や、やめしょう部長!」
「そうです。その手のものは素人が適当に手を出すと危険ですよ!」
慌てて2人して小夏を思いとどまらせようとする。
「え〜?」
小夏が不満そうに漏らした。
その後、小夏を説得してなんとか諦めさせるのに2時間を費やすことになる2人だったのだが、その内容は割愛する。
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 12:16:21 ID:GHkU3N8l
しぇ〜ん
160まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/15(日) 12:18:26 ID:yyMq6tM7


「う〜ん」
唐子は目の前の少女を見て、首をかしげた。
「なんでしゅか?」
目の前にいるのは、やっぱりあちこちに包帯をまいたサフィー。
大きなコップで、コーラを飲んでいる。
「サファイアちゃん」
「サフィーでいいでしゅ」
「じゃ、サフィーちゃん…」
「なんでしゅか?」
「サフィーちゃんってほんと〜に…」
「吸血鬼でしゅよ?しょ〜しんしょ〜めい」
昨日、眼鏡をかけた少年を連れてった銀之介は奥の部屋でうんうん唸っている。狼の姿のまま。
回復魔法が十分かける余裕が無かったため、ボロボロのままで帰ってきて、今は狼人間の生命力で必死に治しているのだ。
そのお見舞いとしてサフィーがたずねて来たのはつい先ほど。
「いやあ、銀之介君も言ってたし、信じないわけじゃ〜ないんけどさ…」
サフィーの方を見る。
ちっちゃい女の子だった。銀之介の従妹の少女よりも。
真昼間から訪ねてきた。太陽がさんさんと輝いているのに。
コーラを平気で飲んでいた。っていうかよくうどんを食べに来ていた。
ぶっちゃけ吸血鬼に見えなかった。
「…ま、確かに今のアタシは吸血鬼としては変でしゅけどね」
唐子の言いたいことを察して、サフィーが苦笑する。
サフィーにしてもほんの1週間前まで想像もしていなかった。
平気で昼間から出歩き、人間の食べ物を食べるようになるなど。
「けど、事実でしゅ。アタシは吸血鬼でしゅ。それは変わらないでしゅ」
きっぱりと言い切る。吸血鬼としての力は失われていない。
血を吸えば傷を治せるし、不可視の力だって使える。無くなったのは弱点だけ。
「ふ〜ん。あ、じゃあさあ…」
納得したのか、唐子はさらにサフィーに聞く。
「吸血鬼の知り合いもいる?」
「…まあ、少しなら」
長い間追われ続けてきた吸血鬼は家族以上の群れを作らないため、サフィーはあまり他の吸血鬼というものを知らない。
ブラックウィナーがなくなってからは吸血鬼同士が連絡を取り合ってお互いに会うこともあるらしいが、サフィーはあんまり積極的に関わってはいなかった。
「それじゃ、ジルさんと森写…なんとかさんって人、知らない?」
だが、唐子が口にしたのは、その数少ない知り合いだった。
161まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/15(日) 12:20:23 ID:yyMq6tM7
サフィーは思わず怪訝そうに聞き返す。
「ジルと森写歩朗って…コニーとトナ?」
「知ってるの!?」
「知ってるも何も…」
驚きながらサフィーは言う。
「妹とその旦那でしゅ」
「妹!?」
唐子は思わず例の写真を取り出す。
「え?だってど〜みても10歳は年上…あ」
改めて写真とサフィーを見比べた唐子はきづいた。その写真に、サフィーがしっかり写っていることを。
おしゃれをして、ドレスを着ているが、この赤毛は見間違えようが無い。
「ほんと〜にいた。ってことは…」
「だからマジでしゅ。っていうかどこでその写真を手に入れたんでしゅか?」
「えっとね。あたしと銀之介君の知り合いに漆野さんって人がいて…」
「漆野?漆野…ああ、花ちゃんのときの刑事でしゅか」
あの時はコニーとトナが誘拐事件に巻き込まれたとかで大変だった、らしい。
直接的にはほとんど関わって無いのでよく知らないけど。
「吸血鬼になってからは年取らないから見かけと年齢は全然あてにならないでしゅ。
これでもコニーより300歳は年上でしゅよ?」
スケールの大きな話である。
「300歳…すごい年の差だね」
唐子が目を丸くして言う。
「吸血鬼にはよくあることでしゅ」
サフィーは肩をすくめて答えた。

「それにしても…」
ふと、大人の口調でサフィーは呟く。
「狼男に吸血鬼、とどめに悪魔。一体この街で何が起こっているのかしら…」
その小さな呟きは誰の耳にも入ること無く、消えていった…
162まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/15(日) 12:23:35 ID:yyMq6tM7
今日はここまで。

>>142
サフィー:主人公、静:その相棒、銀之介:なんだって!?係。
相対的に影が…これから、きっと濃くなります。

>>144
戦闘中だと大変な時間ですけどね3ラウンド。

>>145
そう言えば抱えるとマジでお姫様だっこ…どこのBLだw

>>146
単発ながら単行本になってたりします。
普通の中学生だと知恵絞るしか無いんですが、6Lvパーティーだとガチで殴り殺せたりw
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 18:02:44 ID:FyC3IFif
GJ。
やっぱ連携取ると強いな。
怪我を装う宿命確定のいのりに合掌。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/15(日) 22:02:54 ID:H8Q8q5J/
GJ!
これでキャンペーンでいうと1セッション目が終わった位なのかな? 
それともまだミドルフェイズだったり? 
ともあれ、サフィー可愛いよサフィー。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 16:57:06 ID:AbmNjhJZ
まほうせんせいの人連続投下乙であります。
静=ヴァンスタインが活躍している(驚)ただそれだけでステキw
そして作戦は喰らう前に倒せな前のめりパーティであった。ボス戦大丈夫?
しかし人狼とはいえプラーナ開放が出来ないとウィザードの戦闘は厳しいか銀之介。
それとも単に時間稼ぎのザコでも強めの奴を出す作者と言う名のGMがヒドイのかw
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/17(火) 06:46:37 ID:CNxR68Y0
血月のひと連続乙です
アークマデテクールまでクロスされ、そしてとりあえずボコれ倒れるときは前のめりだなパーティがステキです。そして哀れ銀之介

そろそろ終盤ですね。参加の遅さもプラーナも哀れ銀之介…
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 12:37:56 ID:jgVqNfol
禁書目録とクロスして、町中で幻想殺しに触れられて物凄い勢いで月衣に入ってた魔剣とか幸運の宝石とかどばどば落ちてきて困る柊とか思いついた
168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 15:07:19 ID:c8bflqy+
禁書かー、アニメ化決まって今波に乗ってるからなぁ

……あれ。禁書とのクロスはあったような気がするのに、思い出せない……?
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 17:04:07 ID:HcmuiSf0
ヒント:バー
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 17:20:02 ID:e361HQp/
>>167
いつもの通り不幸な目にあいゴミ捨て場に突っ込んだ当麻を助け起こそうとして柊が手を貸したら
うっかり右手を差し出したばっかりに月衣から魔剣が転がりだし頬を掠めつつ背後の板塀に突き刺さり
それを偶然目撃した善良な一般イノセントが悲鳴を挙げて治安維持組織が登場
更に魔剣を右手で掴んでしまい機能停止&ヒルコが分離し為大剣二本抱え
何故か成り行きで一緒に逃げ惑う前に謎のシナリオヒロインが登場し新たな騒動に巻き込まれる

まで読んだ。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:06:28 ID:i+if5xBh
禁書目録はガンガンの漫画のみしか知らないんだが
幻想殺しで地面を触ったらファー・ジ・アースオワタ
とかなったりしないんだろうか
172名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:12:46 ID:U938r5N4
>>171
そら流石にクロスオーバー成立しないわw
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:14:53 ID:c8bflqy+
>>171
そこまで幻想殺しは便利な代物でもないっていうのが原作二巻に載ってんだが二巻飛ばして三巻はじめたからなぁ……>漫画版

具体的に言うと、結界の類は「核」に触らないと壊せない。第八世界なら幻夢神に触らないと消せない。
そうでないと禁書世界の魔術も世界の魔力や魔術的事象をいじってるもんだからとっくに使えなくなってるはずですよ?
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:49:59 ID:df24F6We
仮に裁定者に触れた場合、世界結界の常識が壊れる程度ってとこかねぇ?
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:53:07 ID:DC+vXVvc
当麻の幻想殺しは何でも消せるけど、一度に消せる量には限界があるから>>171のいうような事態が起こったとしても
せいぜい一部地域の世界結界が急激に弱まりました、といったあたりじゃないかと。
結構弱点も多い能力だから、幻想殺しは。
荷電粒子砲とかかめはめ波みたいなずっと放出され続けるタイプの魔法なんかは打ち消し続けるだけになって本人動けなくなるし。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 20:55:06 ID:Ul6k9k32
なら、ゲイザーは触れられただけであぼんか?
177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:06:32 ID:HcmuiSf0
当麻に触られただけでイッちゃうゲイザーか。
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 21:11:42 ID:c8bflqy+
>>176
禁書世界はクロスしようとすると上条さんか一方さんかがいるだけで結構詰む場合が多いわけですよ。
確かにゲイザーは触ると滅びはじめるはず。異能で構成されたものに対しては加減なしだから。

しかし、上条さんの身体能力はすげぇ一般人並だから覚醒したウィザード相手には手も無く捻られる。
弱点その2、幻想殺しは右手首から上しか効果がないため全方位からの別種の攻撃には対処仕切れない

結論。ゲイザーには勝てるかもしれんがニンジャボーイの飛びクナイ連射やあかりんの幻想舞踏殴りの前には無力。
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:30:31 ID:WFSqka2t
幻想殺しで柊力を殺せば……

 【返り討ち】

>178
幻想殺しvs幻想舞踏!?
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:31:41 ID:P1tUDflD
幻想殺しで世界結界を消そうとしたら、逆に世界結界と同調して
合わせ巫女の再現ってのもありそうだ
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:34:38 ID:ivDVXkAv
つか、対魔王の最終兵器じゃね?
たどり着くのとか大変だが、右手で触るだけで勝てるとか
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:46:52 ID:c8bflqy+
>>180
世界結界との同調はないな。100%ない。
アレは存在するだけで世界の力(禁書でいうマナ、主八界でいうプラーナ)を殺し続けるとゆーよくわからん代物だから、もとが異能なら殺してしまう。
つまり「常識を守るための非常識結界」に対してアレが外から影響を与えることはないし、核に触れれば跡形もなく消滅する。
月衣は術者に触れば触ってる間だけ解除されるだろーけど。これは禁書で言う魔術師や超能力者に触ってる間は能力が発動できないけど以降まったく使えなくなるわけじゃないことからの話
183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:47:44 ID:e361HQp/
だがしかし、主八界的にはファー・ジ・アース自体が夢だからなぁ
ある意味魔王達の方が確固たる現実なんだよな
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:49:58 ID:JKqlyrD9
むしろ冥魔に対する最大の切り札にもなりえるぞ>幻想殺し

という訳で、冥魔が溢れているラースに送ればきっと世界滅亡の危機を回避できるはずだ
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/18(水) 23:55:56 ID:c8bflqy+
>>184
ナイトウィザードとセブンフォートレスと禁書目録の多重クロスオーバーを書いてくれるのか
超楽しみにしてる。頑張ってくれ

それはさておき「魔法少女みこみこくれは」とかいう電波飛ばしたのダレー?
186名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 00:03:04 ID:mLC5cWed
>>178
描写を見る限り上条さんが一般人レベルとはとても思えません!www
その一般人というのはリナ・インバースの故郷レベルの一般人ということですか?
187178:2008/06/19(木) 00:13:23 ID:JVnqgZTv
>>186
以下の中から好きなものを選べ

・その答え、YESだね!
・いいえ。ドラゴンボール世界のサイヤ人の中のに一般人です
・実は逸汎人の打ちミス
・一般人の前にすげぇってつけてるじゃない!もっとちゃんと見なさいよ!
・禁書世界の一般人は全盛期のイチロー並説浮上
・上条さんは中学時代テニヌ部に入ってて全国制覇してたんだよ!今は忘れてるけどな!
・はいはいギャグ補正ギャグ補正
188名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 00:14:29 ID:AvjlRFZX
一般人と言うか逸般人と言うか「強化型特攻江原」と言うか。
そんな感じの身体能力。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 00:14:55 ID:xuDJJt1t
というか、あの世界の一般人って何だ?
無能力者?
それとも学園都市の外にいるマジなパンピー?
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 01:19:37 ID:TlM3ZMEO
あの学園都市だと、能力開発の一環として肉体強化のカリキュラムがあっても可笑しくないと思う。
原始的な筋肉トレーニングから、近未来的な薬やら電気信号やらによるものまで色々だろうが。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 06:24:21 ID:ZhGnYlbF
>>185
ライバルはエリス(魔法少女シャイマール)で、シャイマールの間の事をエリスは覚えていないと言う設定が、どこかから電波に乗って飛んで来たんだぜ……。
192名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 07:31:12 ID:XjL2IbwT
マスコットキャラがやってきて、「正義の魔法少女になるんだ」と変身アイテムを
もともとウィザードのキャラに渡すって結構面白いんじゃないかと思う。
シナリオはスーパー魔女っ子大戦で。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 08:12:55 ID:JVnqgZTv
>>191
ナースウィッチこむぎちゃん?
194名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 08:50:02 ID:J7hEgAjb
>>192
由緒正しい「大人になる」系の魔法アイテムで
アンゼがうっかり使ってしまうんですね。わかります
195名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 12:42:17 ID:tkNPVyDT
よくわからんが、その幻想殺しとやらでアゼルの包帯をつかんだ後くらいまで妄想した。
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 12:45:18 ID:JVnqgZTv
>>195
ダメー!アゼル消えちゃうー!
197名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 13:03:44 ID:6UpzXoA4
>由緒正しい「大人になる」系の魔法アイテムで
うっかりあかりんがつかってしまってさらにきわどい感じになるのですね解ります
198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 16:59:27 ID:bxMOrgvX
27歳人妻真行司灯、二児の母と申したか
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 17:51:08 ID:ZhGnYlbF
魎皇鬼「灯ちゃんッ! プリティあかりんに変身だッ!!」
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 18:38:22 ID:kZPWQSMk
あれ?
その小動物の中の人って……?
201名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 19:40:28 ID:Ja+8cW3a
柊蓮司ですね!分かります!
【それは三下女神とぽんこつ魔王のコンビが主役の方だ】
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 21:36:23 ID:z9vtFTZ4
>>196
いや、待て、むしろ触れている間「プラーナ吸収能力」を無効化し続けるんじゃないか?
アゼル様本体は幻想じゃなくて確固として存在する古代神なんだから消滅しないだろう。

FtEの一般人は完全に幻想存在だから一発だろうな。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 21:57:12 ID:jxS7Xi48
>>202
古代神本体なら消えないだろうが、普段の姿の写し身なら消える可能性はあるぜ
それにいくらなんでも触れただけで一般人消滅なんて超能力、アゼル一人でもう十分だ
204名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 22:30:23 ID:Ruv6PnbV
>>203
上条さんがアゼルにフラグを立てるフラグなんだよ。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 22:41:28 ID:9NlGhC1N
え? 上条さんとアゼルさんで「ダブルアーツ」?
206名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 22:49:37 ID:Hcjh2XlS
もし幻想殺しでアゼルの無差別吸収能力を消失出来たりしたら、
本当に上条さん−アゼルフラグが立ち兼ねない恐ろしさ
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 23:14:19 ID:AvjlRFZX
>>206
手を繋いでいる間、吸収能力無効化で、「お手々繋ぎ馬鹿ップルデート」フラグだな。
そして、星×流とアゼル×上条のダブルデートだな。
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/19(木) 23:26:46 ID:8mIEoHKI
それなんてダブルアーツ?
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 00:38:01 ID:MAg1QR1H
幻想殺しは神の奇跡だろうが超科学の産物だろうが、それが異能の力であれば消せるらしいが、右手しか宿ってないから右手以外プラーナ吸われてあぼーんじゃね?
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 00:42:54 ID:32j4nuUE
>>209
だから右手でずっとアゼルと繋がっておくんだろう?
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 00:50:42 ID:GtVIk24v
いや幻想殺しは範囲全体攻撃である前方のヴェントの天罰術式を無効化しているからプラーナ吸収も無効化可能じゃね。
212名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 01:22:24 ID:yuVYpsAC
えーと、禁書読んでないからよくわかんないんだけど……

当麻「えーと、だから、その……どうしても、触らないとダメですか?」
アゼル「(コク)」
当麻「(……って、この包帯巻きファッションのどこに触れと?!)」
アゼル「お願い……あなたにこの力を封じてもらえたら、私も普通に暮らしていけるの……(必死な上目使い)」
当麻「う……! 判りましたよ、それじゃあ……(こわごわと手を伸ばす)」
アゼル「あ……ダメ」
当麻「うわぁ! ごめんなさいごめんなさい決してやましい気持ちじゃ!」
アゼル「そうじゃなくて……魔殺の帯に触られたら、そっちを封じられて力を押さえられなくて……」
当麻「……大惨事ですか」
アゼル「うん、大惨事」
当麻「じゃあ一体どうしろと?!」
アゼル「だから、その……『中身』を」
当麻「な、なかみ……?」
アゼル「つまり、その、魔殺の帯の下の、中身を……」


(省略されました。続きを読むには、アンゼババァと3回叫んでください)

213名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 01:26:54 ID:n43iJQqf
まぁ、いきなりインデックスをまっぱにした上条さんだし
つか、帯も触ったら破壊されないんかね? アレも異能じゃね?
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 02:40:07 ID:2I+6sI4x
だから中身なんだろ?
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 06:57:56 ID:aNitea4g
アンゼババァ!
アンゼババァ!!
アンゼババァ!!!
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 09:14:42 ID:P7C0sqYI
逃げろ!逃げるんだ>>215!!
鞭をはじめとした拷問器具一式を揃えたアンゼロット様がそっちに…っ!
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 10:14:51 ID:LEYzudp2
中身に触れろ…と言われたらなんやかんやで色々あった挙げ句、よくわからない偶然と不可抗力っぽいものの産物でなぜか最終的にはパイタッチに至る。
それが上条クォリティー。
218名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 11:04:10 ID:AV1I4SXv
「柔らかいクッションを持ってくるのです!」
219名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 11:38:26 ID:P7C0sqYI
とうまは少々エロ方向にフラグが立つからなぁ。
ひいらぎは燃え方向にも立つんだが。

…まて、輝明学園改造制服も魔法で生地を強化してるんだよな…。
にげてー!あかりんたち改造制服着てる女の子たちはみんなにげてー!?
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 11:53:50 ID:XFgJQKbu
>>219
あくまで「生地を強化」なんだから、精々破れやすくなる程度だろJK

……はっ!夢使いのような有り得ない服装なら(ry
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 12:03:38 ID:P7C0sqYI
ああなるほど、つまり鉄壁を誇っていた膝上20cm強のミニスカートがガンガン捲れてパンツが見えるようになるんですね?
石田『ネコミミ』ヒロユキ先生デザインの娘限定だけど。あ、でもみかきみかこデザインも割りときわどいか。
あと、サンプル夢使いはあの格好で着てるのは巫女服なんだぜ
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 12:37:24 ID:oBXdqRKw
>>212
アンゼババァ! アンゼババァ!! アンゼババァッ!!
逝く前に言い残しておく。
ジャンプでそんな漫画やってるよな今>お手手繋いで
手を繋いでないとヒロインが消滅するんで
手を繋ぎながら旅、
手を繋ぎながらお風呂、
手を繋ぎながら寝所を共に。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 12:45:46 ID:oBXdqRKw
>>222で言ってた漫画なんだが>>205>>208が言ってた「ダブルアーツ」だった。
題名覚えてなかったんでスルーしてしまってた。
二人ともゴメンね。
224名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 14:57:52 ID:dk5qV9LT
アゼルの落とし子になりたいです。

……せーの、アンゼババァ!
アンゼババァ!
アンゼババァ!
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 16:22:26 ID:patPA6RJ
皆無茶しやがって…
226名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 18:04:28 ID:hS4oPGsr
この勢いじゃ、発言を先導した
>>212 も狙われることになるのでわ
227名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 18:49:47 ID:DNq9XN7w
空気読まずにカキコ

昨日のドルアーガの塔みてたら、NW!とのクロスでこんなタイトルが思い付いた。

つ『ただ一枚の楯として、ただ一振りの剣として』

そして、ドルアーガを冥魔だった事にすればクロス下準備OK!
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 19:21:59 ID:IePt4OB/
そういやアニメ、漫画、ラノベの主人公で魔王とフラグ立てられそうな奴っていうと、当麻以外には誰がいるだろう?
俺が思いついたのは啓太×マルコくらいだけど。
229名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 19:38:14 ID:SiITEV03
人修羅
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 19:38:53 ID:p+vwsdur
>>228
……諸星あたる?
奴ならどんな魔王に対しても果敢に迫り捲るぞw
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 19:57:33 ID:fe9Y1pyH
>>228
>>230
同じ系列じゃGSの横島もだなww
アゼルにフラグが立ちそう。

あとは、エロゲだがアリスのランスとか?
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 20:05:07 ID:PeNoANkZ
横島はYOKOSIMAになりそうでなんか嫌だなぁw


あとランスはフラグというよりもむりy(ry
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 20:33:30 ID:sH0Pz1wL
最新巻では幻想殺しの本来の使用法が語られている。
どうも天使の強大な力を制御するための補助システムみたいなものらしい。

なので、もしかしたらアゼルの無差別吸収能力を制御できるかもしれない。
そしてとどめは石破ラブラブ天驚拳。……つくづくこの組み合わせはダブルアーツだな。
234名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 20:35:18 ID:fMncZ+Rj
つまり、存在自体が魔殺の帯みたいなもんか?
いや、元ネタ知らないんだけどさ
235名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 21:02:33 ID:vEbhaTwU
>>234
クロスで考えるとそんなもんじゃね?
禁書世界における実動型の守護者とか。
セッションだとグラム相当の右手とかで処理したことはある。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 21:18:38 ID:5a4s0lCV
>>234
封印、というよりは破壊に近いかな?>幻想殺し
その名前のとおり「常識的でないもの」に触れれば壊せるという代物

・特殊な力で作られたものは破壊される
・結界などは「核」となるものに触れる必要がある
・一度に処理できる数には限界があるが、一度に二千種類でやっと処理負けるとかほぼ普通だとありえないのでほぼ無視できる
・力の供給のパスなどは触れれば解除できる

……こんな感じ?
237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/20(金) 21:35:42 ID:Vrdx7ANM
>>221
かなりスレ違いだけど
なぜか現在FB onlineで連載中の菖子の制服姿がやたらにえろいのを思い出した。
オーバーニーソって色気を抑える役割があったのかというのが……
238名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 00:52:50 ID:jqKm25hv
>>236
天罰術式の件を見ると上条当麻という存在にかけられた異能の力も無効化できるようだ。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 01:04:22 ID:aLE+vbBo
>>236
あと、魔術でも超能力でもないらしいな、幻想殺し
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 01:08:06 ID:Ft1C9e8l
>>238
4巻の御使落しもそうだな>存在への魔術

って。だからここはクロススレなんだってば。
クロスさせるとすると、やっぱり不幸な男×2が思いつくのだが……

ここは意外性狙いで「みこと」つながりであかりんと御坂妹とかどうだろうか
個人的にはシェリーと志宝さん家の娘さんとかも面白そうだと思った
必要悪はイギリスだからマユリも絡めて話はできそうだよな
御坂とくれはは中の人ネタもできるなー。夢が広がりんぐ
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 01:21:50 ID:jqKm25hv
虚数学区・五行機関は月匣展開装置か。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 03:44:03 ID:evFzJG4t
魔殺の帯って摩擦の帯って書くとエロくね?

つまり、俺とお前でダブル不幸な男だ!
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 07:55:48 ID:t4SrjlVb
柊が触られたら柊力が失われて下がらなくなるのか?
…ウィザードとしても終わるかも知れんが。
244名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 08:13:09 ID:CTXC4H0j
別に超パワーじゃないんで。柊力は。
245名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 08:25:51 ID:UPyPAOJe
触れ合っている限り幻想殺しと柊力が相殺されて不幸が起こりにくくなるんだよ、きっと!
でも手を繋いでたりしなきゃならんのでどの道不幸になる。
246名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 09:02:50 ID:JdDng7Sx
手をつないだ結果、二人の間に友情以上のモノが芽生え大変妖しい関係になります
247名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 09:08:02 ID:t4SrjlVb
ふたりは!フラグブレイカー!
248名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 09:21:10 ID:vjx+z4Yt
もう、そこに安部高和とグイード・ボルジアも入れてやろうぜ。
249名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 10:01:01 ID:ZkI9v1wQ
>>245
幻想殺しは幸運とか神の加護とかそういうのも消しちゃうから結局は+−ゼロなんじゃwww
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 10:07:02 ID:Ft1C9e8l
>>243
使用できなくなるだけ。手が離れればまた使用可能
……同時に月衣も強制一時解除されるだろーからいろいろごちゃごちゃ出てくるだろーけど
251名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 10:16:37 ID:JdDng7Sx
>250
半年前のパンとか、発酵しきった牛乳とかだな
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 10:23:38 ID:Ft1C9e8l
鳩とか万国旗とか星の錫杖とか……
253名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 10:24:50 ID:ZkI9v1wQ
昔立てたフラグとか…
254名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 10:43:40 ID:doH/m8FY
>253
彼と手を繋いでいる間だけハーレムエンドですね、分かりました。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 12:18:28 ID:JA3CfEMm
なんだかもうダブルアーツが前提になってるな

だがもし柊力と幻想殺しが打ち消し会う関係にならなかった場合、
柊はただの不幸な下がる男に、とうまさんは下がる不幸な男になり
さらに不幸に拍車がかかる可能性があるな
256名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 12:31:28 ID:cmJf+2XX
ここでさらなる大逆転
小説準拠で神の奇跡が無くなり卒業が取り消しに
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 15:50:33 ID:80xYbHv7
まあ、あれだ。
柊力は強い力や弱い力と同じ様なものだから、幻想殺しじゃ消せないだろ。
258名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 15:50:41 ID:wQkdGJ2j
まあ、道理を外れて突然下がる訳じゃないしなぁ…
急遽学園都市の潜入任務とかが入って、上条さんのクラスに編入され、
小萌先生に「一度高校を卒業したのですけれど、もう一度高校生をやることになった柊蓮司くんです。年齢は皆さんより上ですけど仲良くして下さいねー」とか言われてクラスの避雷針その二になるんだろう。
能力は、月衣自体が常識を無視した自分だけの現実だから良しと。能力名『四次元ポケット』とか言われて、土御門とか青髪ピアスとかにフレイスのときのように色々入れられるんだな。

上条勢力に下がる魔剣使いが追加、と。
259名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 16:52:43 ID:7eviSBnM
レベルが2下がるのが道理に外れていないだと?
レベル∞の守護者をレベル8にする力なんだぞ・・・

しょせんは柊蓮司かw
260名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 17:03:15 ID:iAYY3ETi
>>257
重力、電磁力、強い力、弱い力、柊力、か。
実はウィザードの力の根源だったりするのか、柊力。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 17:08:53 ID:D9ue+pjg
てか、柊が下がるのは異能でもなんでもなく世界常識、
物理現象と変わらないから幻想殺しも効かないんじゃね?
とか言ってみる
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 17:16:15 ID:P0kc3t8h
イノセントな生徒や街の住民が「あれが噂の下がる男」って言って認識してる時点でもう世界結界に組み込まれた常識になってるんですねw
263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 17:26:46 ID:F0VNY720
常識になったら消せないなら原作で科学側の能力を消せないやん。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 17:33:05 ID:evFzJG4t
二つの作品をあわせるんだから一方の見方だけで語っちゃ駄目だと思うんだけどね。

個人的には裁定されりゃ消えないでいいと思う。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 18:04:00 ID:IPoXEDRY
つーか話的に面白い方でいいんじゃね?
柊力が消えた→これでもう下がらないぜ!
消えない→幻想じゃないから殺せないよねー
どっちでも話は組み立てられるだろ
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 18:27:24 ID:dNlh+qlR
柊が下がるのに柊力は関係なかったというオチとか。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 18:51:17 ID:2MVCpWbh
なんせ柊力って複数の次元宇宙にまたがって存在してるからな。
幻想と呼ぶには普遍的過ぎるだろう。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 19:08:29 ID:3aah/Ixf
普遍的かどーかは関係ないと思うが。
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 19:42:42 ID:10hko5Nd
上条さんがウィザードだったら柊並にアンゼにこき使われそうそうだな。
問題は神の奇跡を無効化してしまうから卒業できない。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 20:40:31 ID:t4SrjlVb
外部リンクって他のWIKIのもOKなんだよな?

http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/2645.html
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 23:16:20 ID:A2rUyn0n
>>269
ウィザードになれるのかね?
超能力者って魔術使ったらやばいんじゃなかったけ?
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 23:27:17 ID:S+Odey+h
>>271
つ異能者
あと幻想殺しは魔術でも超能力でもない。
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 23:39:56 ID:R1cGgsj3
月衣無効化してしまうんじゃね?
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 23:47:24 ID:Ft1C9e8l
つかそもそもナイトウィザードと禁書目録における「魔術師」の意味から違うのになんで同じ前提で話進めてんだよ

禁書世界と同じ世界観でクロスさせるのは正直かなり難しい。
むこうは化学技術と魔術は合反する技術で、こっちではある程度合成できること
お決まりの「ウィザードがその世界の人間に知られてないだけ」説は、ただでさえ化学側と分裂しまくった魔術側に第三勢力として組み込むのはかなりの技量とうまい嘘が必要になること
主人公格の連中がある状況下においては無茶苦茶な性能なことと、逆にそれ以外だとまともに戦えないこと

サブキャラ同士のストーリーやお祭り騒ぎや掌短編ならなんとかなるけど、まともに二次書こうとする人間はまず避けるよ
だって、最低思考にならないようにまともに書くために乗り越えるハードルが高すぎるし多すぎる。
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 23:50:22 ID:S+Odey+h
>>273
龍脈も無効化しちゃうぐらいだからしかねないな。
>>274
上条軍団がファージアースに来ましたでなんとか。
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/21(土) 23:50:34 ID:KJ64EPXN
少なくとも、書こうとして断念した理由は誰も求めてないと思う。
277NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 01:56:38 ID:nCFSf5i6
まずはその流れをぶち殺す。

おひさしぶりです
一旦切れた集中を持ち直すのはマジで大変

それはともかく、二時十五分くらいから投下したいと思います
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 01:59:38 ID:Qsp6rIHc
蝶・待ってた。支援しますぇー
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 01:59:55 ID:UMLvqalQ
ktkrwww
支援支援
280NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:16:34 ID:nCFSf5i6
 


 その日、銀成市から人が消えた。
 いや、人とは言わず一切の生物の気配が消失したその街は、整然とした街並みであるにも関わらずどこか滅び去った廃墟を思わせる。
 紅の月に照らされた瓦礫の都市の一角。
 街を一望できるその場所には、かつてこの街に住む若者達が通う銀成学園があった。
 だが、現在そこには校舎の姿はなく――代わりに街には不釣合いなほど巨大な洋館が聳えている。
 ”秘密侯爵”リオン=グンタが街に展開した月匣。そしてその中心に具現化した彼女の居城。
 天の紅月に向かって伸びる時計塔の頂上にて、甲冑の女騎士は一人刻を待つ。
 彼女の足元、巨大な時計盤が静かに時を告げる。
 風など起こるはずのないその世界に、疾風が通り抜けた。
「……来たか」
 モーリーは瞑目していた瞼を開き、天を見据える。
 真っ赤に染め上げられた空が、たわんでいた。
 その歪みは次第に強く、大きくなっていき、その壁の向こう側にあるモノが輪郭を帯びて形になってくる。
 月匣の結界を強引に突き破り、侵攻してこようとするモノ。
 事実関係で言えばその立場は全く逆なのであろうが、少なくともこの場において、ソレはまるで世界を食い破るケモノのようであった。
 空が割れる。
 穿たれた月匣の障壁から黒い威容が突入する。
 ――結界徹甲機能搭載、輸送型箒『ブロンズスター』。
 機体ごと洋館に向けて激突する勢いで、ウィザード達の乗るであろうブロンズスターが急加速した。
 時計塔の頂上でそれを見届けたモーリーは目を細め、軽く地を蹴る。
 中空に身を投げ出しながら彼女は虚空から自らの魔剣を取り出し、巨大なその刃を肩に担ぐようにして構えた。
「ふっ――!」
 同時にモーリーの身体から膨大な魔力が放出される。
 街一つを灰燼に帰するであろうその威力をただ一振りの魔剣に注ぎ込み、彼女は己――己の後ろに聳える洋館に向かって突進するブロンズスター
に向かって撃ち放った。
 輸送能力に優れるものの機動性において大きく劣るブロンズスターがその一撃を避けられるはずもない。
 モーリーから放たれた魔力の斬撃はブロンズスターの機首に直撃し、紅の空を破砕音と爆炎で染め上げた。
 機体がひしゃげ、ばらばらに砕け散り、消滅し、粉々になって空に撒き散らされる。
「―――」
 感慨を催さない鉄屑の流星雨をやはり無表情に見据えながらモーリーはソレを見た。
 飛散する瓦礫に混じって尾を引く四つの残光。
 その動きは明らかにブロンズスターの残骸ではなく、箒が空を疾走する軌道だった。
 ブロンズスターのようなデカ物で事を成せる、などと思うような者達ではない事はモーリーとて理解している。
 故に先の一撃などはその実、これからの戦いの戦鐘のようなものでしかない。
「……そこか」
 四つの箒の動きと、それに搭乗している者の姿を確認して、モーリーは空を蹴った。
 常識の枠外の急加速で空を疾走し、一瞬にして彼我の距離を詰める。
 狙う相手はただ一人。それ以外の者達など彼女の考慮の対象ではなかった。



281NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:19:35 ID:nCFSf5i6
 



 ※ ※ ※




「敵の月匣の位置が判明しました」
 一同が介する宮殿のテラスで、アンゼロットは静かにそう切り出した。
 モニターに浮かび上がるのは紅に染められた銀成市。
 ただ、カズキ達にとって見慣れているはずのその光景に大きな違和感を与えるのは、丘の上にあったはずの銀成学園の校舎がどこにもなく、
代わりに巨大な洋館が聳え立っている事だ。
「見ての通り、銀成市一帯及び銀成学園に重なる形で月匣が展開されています。恐らくはモーリー=グレイとリオン=グンタが作り出したモノ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
 開口一番叫びを発したのはカズキである。
 彼はモニターに食い入るような視線を向けたまま、身を乗り出してアンゼロットに詰め寄る。
「街の皆は! 寄宿舎の皆はどうなってるんだ!?」
「ロンギヌスの調査では、月匣内は無人との事でした。恐らく、月匣を展開する時に内部の人間を排除したのではないかと」
「そ、そっか……よかった」
「排除? なんだってそんな事を」
「現状、既に世界総てがマーニの月匣に囚われている状態ですから、殊更に彼らを取り込む必要性がなかったのでしょう」
 蓮司の問いに彼女はそう応えると、怜悧な目を僅かに細めてから表情を引き締める。
「ですが、それはわたくし達にとっても好都合。月匣内部では現実世界や一般人に対する被害を想定する必要はありません」
 更に、万一に備えて銀成市の月匣をその上から覆うようにロンギヌスが結界を敷いた。
 何らかの要因で変化が生じてもある程度はその侵食を抑えられるはず。
 そう説明をした後でアンゼロットは手元のコンソールを操作して、別の映像を映し出した。
 そこには輸送用の箒であるブロンススターが映っている。
「月匣への突入は結界徹甲機能を搭載したブロンズスターを使います。
 強化装甲を施しておきましたので、突入した後は弾頭として使ってくださって結構」
「神風仕様かよ……随分と派手にやるもんだな」
「それほど事態は逼迫しているのです。世界結界の異常は速やかに矯正しておかねば修復後にも影響を及ぼしますから」
「もっとも魔王達が甘んじてそれを許すとは思えないが……」
「ええ、そこらへんのエミュレイターならともかく魔王級が相手ならいいとこ空中で撃墜、爆散ですね」
「それでは単なるバンザイアタックだろう……」
 嘆息交じりにもらす斗貴子にアンゼロットは「ご心配なく」と微笑を返した。
「ブロンズスターには自動操縦機能もありますし、テンペストも搭載させています。ダメっぽかったらそれで各自突入を」
「ダメっぽいとかいきなり俗っぽく言うなよ……」
「ほっといて下さい。ともかく、ウィザードの方々は操縦のフォローをお願いしますね」
 各々に頷いてみせるウィザード達を確認すると彼女は満足そうに一つ頷き、そしてナイトメアと共に背後に控えているブラボーに目をやってから
再び全員に向き直る。
「なお、今回の作戦において切り札と成り得るのは言うまでもなくブラボーさんです」
 現在、月匣内を含めた全世界においてヴィクター化したマーニによるエネルギードレインが発動している。
 蓮司達が纏う月衣はその吸収能力を幾分か減殺できるものの、戦力の低下は免れない。
 ブラボーであれば自身の戦闘能力も十二分であるし、何よりも彼の武装錬金であるシルバースキンはその特性によってエネルギードレインを無効化できるのだ。
 出撃の時間が差し迫る中、世界の守護者は力強く言葉を続ける――



282NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:21:40 ID:nCFSf5i6
 



 ※ ※ ※




 ――常識を逸脱したモーリー=グレイの接近を避けられない事を、ブラボーは彼女が自分を見据えた刹那に理解していた。
 モーリーが空を蹴った瞬間、彼は箒――テンペストから跳んで身を宙に躍らせた。
 同時に箒をモーリーに向かって蹴り飛ばす。
 彼の重量を失い、そして蹴足によって加速したテンペストが交差的に彼女に直撃する。
 激突し、爆砕するテンペスト。その爆炎の中から、全く勢いを減じないモーリーの斬撃がブラボーに叩き込まれた。
 女公爵の魔剣を腕で受け止める。シルバースキンと魔刃が火花を散らして交錯する。
 思ったよりも威力がない、と感じた瞬間には、襟首を捕まれていた。
 彼女は始めからブラボーを捕縛するために、片腕で剣を振るっていたのだ。
 反応するより早く、世界が反転して天上の街に向かって吹き飛ばされる。
「ブラボー!」
 蓮司の操るテンペストに同乗しているカズキの声が轟いた。
「――構うな、先に行け!」
 叱咤するように叫ぶと、テンペストは小さく円を描いてから洋館に向かって飛んで行く。
 残光をまとって紅の空を疾駆する二つのテンペストを安堵して見届けた後、ブラボーは身体を反転させて地面に激突した。
 遥か上空から投げつけられた勢いと着地の衝撃でアスファルトが瓦解する。
 委細構わず上空を見上げると、そこには既に魔剣を振りかぶる女騎士の姿。
 迸る魔力が斬撃と共に放たれる、その刹那。
「!」
 モーリーは僅かに身を翻した。
 彼女自身が動いた、というよりは何か見えない糸に手繰られるように不自然に挙動が崩れ、放たれた魔力はブラボーの脇にあるビルへと直撃した。
 爆炎と轟音が響き渡り、ビルが打ち砕かれて崩壊する。
 現実であれば大惨事といったところだろうが、異世界と同義であるこの月匣の中では人的被害も物的被害も考慮する必要がない。
 標的を討ち損なったモーリーの表情が僅かに歪む。
 そんな彼女を見上げるブラボーの脇に、ナイトメアと剛太が乗ったテンペストが降り立った。
「……やはりというべきか。足止めに来たな」
「問題はない。むしろこちらの方が好都合だ」
 中空からゆっくりと降下してくるモーリーを鋭く見据えながら、ブラボーは力強く語る。
「カズキが無事に敵の許に向かった。切り札と呼ぶのなら俺よりもアイツの方が相応しい」



283NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:23:45 ID:nCFSf5i6
 


 ※ ※ ※




「――加えてもう一つ」
 アンゼロットが七人に向かって言葉を続ける。
「やや本末転倒ですが、この状況になって我々にはもう一枚切り札ができました」
「もう一枚?」
「そう。それは――貴方です、武藤 カズキさん」
「オ……オレ?」
 アンゼロットの言葉と共に向けられた多くの視線に、カズキはたじろいで自らを指差す。
「そうです。黒い核鉄を奪われた貴方は、現在白い核鉄と同化して命を繋いでいる状態」
 それはある意味、彼自身が白い核鉄と同じ存在だという事。
 そして白い核鉄の力は、黒い核鉄の力を無効化する。
「……つまり、貴方は黒い核鉄をコアにして励起するエネルギードレインの影響を受け付けない、唯一の存在なのです」
「オレが……」
 知らず己の胸に手を当てながら呟くカズキを見やり、アンゼロットは次いで蓮司達に目を向けてから口を開いた。
「本作戦はカズキさんとブラボーさんを中心に行います。おそらくリオン=グンタであれば二人の情報も知っているでしょうから、
 その除外に当たる事は大いに予想される……ゆえに、柊さん達は二人の援護を。両者あるいはいずれかをマーニの許へと辿り着かせてください」
「……わかった。任せとけ」
「うん、わかったよ」
「了解です」
 蓮司、くれは、剛太が頷いて返すのをカズキは言葉もなく見やっていた。
 と、隣に座っていた斗貴子が軽く肩に手を添える。
「大丈夫だ。……私達が、キミを守る」
「斗貴子さん……」
 カズキは斗貴子の顔を見つめたまま、胸に添えた手に力を込めた。
 そして静かに瞑目する。

 ――誰かがオレを守ってくれるのならば、オレは皆を守る力になる――

「……よろしいですね、カズキさん?」
 響くアンゼロットの声に、カズキは目を開いて彼女を見据えた。
 その瞳はもう何の憂いもない。ただ突き進むのみ。
「――わかった」
 宣言も宣誓もない、しかし万感を込めてただ一言首肯する。
 アンゼロットはカズキの真っ直ぐな視線を受け止め、口元を綻ばせてから彼と同じように小さく頷いた。


 そして、八人の許に出撃準備完了の通信が届いた。
 


284NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:26:07 ID:nCFSf5i6
 



 ※ ※ ※




「それより、何故ここに残った? 斃すべき相手はマーニだけだろう」
「公爵位の魔王を一人で相手取らせる訳にもいかんさ。それに、エミュレイターと闘うのはウィザードの使命でもある」
 ハットの隙間から僅かに非難めいた視線を向けたブラボーに委細構わずナイトメアは告げる。
 彼の駆るテンペストに同乗していた剛太は半ば付き合わされた形になるのだが、別段それに不満の意を示している訳ではなく――
「俺達も一緒に戦います。三人でやって早く決着をつければ、あいつ等にも追いつける」
 むしろ、意趣返しの機会を得た事に高揚している様でもあった。
 核鉄を手放そうとした時のような消沈した表情は既になく、逆に自信に満ちた剛太の表情を見てブラボーは小さく苦笑を浮かべた。
(……カリスマという奴か)
 見て取れる容姿や交わした言葉というよりは、ただあるだけで有無を言わさず相手を魅了するその存在感。
 ウィザードを率いるあの銀髪の少女は、まさに世界の守護者に相違ない。
「――侮られたものだ」
 がしゃり、と甲冑が音を鳴らして地面に降り立った。
 その言葉を吐き出したのが戦力外ともいえる剛太であった事もあるのだろう、魔剣を携えた女公爵はその美貌に怒気を孕ませて三人を見据える。
「その小僧の言う通り、決着は早々につけよう。一人だろうが三人だろうが、たかが人間如きを葬るに僅かばかりの時も必要ない」
「―――」
 モーリーの言葉を受けて、ブラボーが一歩前に進み出る。
 彼女が放つ強大な魔力と剣気を真っ向から受け止めて、彼はその脚で地を穿つ。
 その踏み込みは大地を砕き、世界を震わせる。
「――侮られたものだ」
 そして彼女がそういったように、彼もまたそう言った。
 両の拳を静かに構え、両の掌に魔力を編み、両の手に武器を生む。
 そうして人間達は魔王に立ち向かう。
「ならば見るがいい、裏界の王よ。世界を守る人間達の意思とその力を――!」




 ※ ※ ※



285NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:29:12 ID:nCFSf5i6
 

 モーリー=グレイを抜き先行した蓮司やカズキ達は、当然ながらそのまま聳える洋館へと招待された訳ではなかった。
 闇色の威容から零れだすように溢れ出したクリーチャー達が彼等の駆るテンペストへと迫っていたのだ。
 その数は圧倒的という程ではなかったが、状況が悪すぎた。
「くそ、このままじゃ鴨撃ちだぞ……!」
 上空から振り下ろされたクリーチャーの爪牙を紙一重で回避し、すれ違い様にカズキのランスがその身体を打ち砕く。
 箒の扱いに不慣れではないといっても、それは一人で乗っている時の話。
 同乗者が――それも箒に乗った事のないカズキや斗貴子が共にいては当然ながら機動性はかなり落ちる。
 加えて蓮司とカズキは共に持つ武器が近接戦用であり、くれははクリーチャー達を一掃できる魔法を扱えはするものの操縦をしながらではそれも難しい。
 空中というフィールドであるが故に文字通り四方八方から襲ってくるクリーチャー達の対応に追われて進む事が叶わないでいる。
 箒の扱いに長け、砲撃等の中距離戦闘を旨とする緋室 灯が戦線から離脱していた事が、ここにきて仇になっていた。
「くれは、降りるぞ!」
 蓮司は舌打ちして後ろに疾るテンペストに声をかけて、箒を下降させる。
 このまま不利な空中戦を続けていても敵の壁を突破できない。
 それはくれはもわかっているのだろう、彼女は蓮司に追随して大地に向かって箒を駆る。
 半ばテンペストを乗り捨てるようにして四人は地面に降り立つと、すぐに散開してくれはの周囲に位置取った。
 上空に群がっていたクリーチャー達が蓮司達を取り囲むように着地する。
 目指す洋館まではまだかなりの距離がある。
 湧き出すように生まれてくる魔物達の群を見ながら、くれはの魔法の完成まで敵の侵攻を食い止める――

 ひらりと、黒い蝶が舞った。

「――!?」
 気付けば周囲、四人を取り囲むクリーチャー達に混じって何羽もの黒蝶が飛び交っている。
 カズキと斗貴子がその正体に気付くと同時、ばちりと火花が弾け彼等の周囲を爆炎が包み込んだ。
「蝶野!」
 耳をつんざくような爆裂。
 紅の月に染められた世界を焦がすかのように巻き上がった轟炎に浮かび上がるように、蝶の羽根を纏ったパピヨンが宙に浮かんでいた。
「お前……宮殿で傍観とか言ってなかったか」
「気が変わった」
 訝しげに問いかける蓮司に、パピヨンは至って軽く即答した。
 その言いようがどこぞの大魔王の口振りと似ていて蓮司は不快そうに眉を潜める。
 しかしパピヨンはそんな蓮司を気にする風でもなく、呆気に取られているカズキとくれはを見やり、警戒心をあらわにして睨みつけている
斗貴子に目を向け、そして口元を半月に歪めて嗤った。
 まるで道化師のように手を大きく広げ、恍惚の入り混じった表情で踊るかのように語る。
「とても、とても、とても面白い玩具を手に入れたんだ。こんな所で世界が終わってしまっては困る」
「なんだと……?」
「協力してやろう、と言っているんだ」
 くつくつと心底楽しげにパピヨンは嘯くと、ゆっくりと自分を見上げる四人に向かって手を翳した。
 彼の纏う黒色の羽根が大きくわななき、燐粉が吐き出される。
「……ニアデスハピネス!」
 身構える隙もなかった。
 協力すると言った舌の根の乾かぬうちにパピヨンは力を解放し、溢れ出した黒い燐光が四人を包み込んだのだ。
「な――!」
「パピヨン、貴様……!」
「慌てるなよ」
 憤る蓮司と斗貴子をよそに、パピヨンは軽く肩を竦めて見せる。
 四人を包み込んだ黒色火薬の武装錬金は、先のクリーチャー達を退けた時のように爆発する事なく消滅していた。
 一体何をされたのかわからないまま周囲を見渡そうとすると、
「はわあ!?」
 くれはが素っ頓狂な声を上げた。
 驚いて三人が彼女を振り返る――振り返ろうとした時。
 三人は同時にそれに気付いた。
「うわあああっ!?」
 愕然として蓮司と斗貴子が互いを凝視する。厳密には互いではなく、そのすぐ背後。

 ――四人の背中に、パピヨンと同じ黒色の羽根が生えていた。
286NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:31:23 ID:nCFSf5i6
 


「うわあ、斗貴子さんに羽根生えてる……結構似合ってるかも」
「あっははははは!! ひ、柊に羽根生えてる! 面白すぎるっ!!」
「「お前等うるさいっ!!」」
 珍奇な格好にされたことがよほど恥ずかしいのか、蓮司と斗貴子は顔を紅くしてカズキとくれはを一喝し、
そしてその元凶たるパピヨンを向き直って怨嗟の篭った視線を投げかけた。
 しかし当のパピヨン本人はといえば、不満そうに眉根をひそめて四人を睥睨している。
「むう、服が全く合っていない。噴飯モノだが、この際贅沢は言ってられんか……」
「服とかそんな事はどうでもいい! なんなんだよコレはっ!?」
「お前っ、一体何を考えてるっ!!」
「最初に言っただろうが、協力してやると」
「この馬鹿げた格好のどこが協力だと――!」
「武藤!」
 斗貴子の声を遮ってパピヨンは洋館を指差す。
 カズキとくれはが、そして業腹ではあったが斗貴子と蓮司も彼の声に引かれてそちらに視線を向ける。
「今から穴を空ける。タイミングを合わせて突破しろ」
 パピヨンの声が何時の間にか真面目に戻っていたからだろう、カズキは一つだけ頷いてから進路を遮る
クリーチャー達に向かってサンライトハートを構えた。
 エネルギーを展開すると同時、陽光にも似た輝きが溢れ出す。
 その光に反応したのか、軍勢が奇怪な雄たけびを上げて一気呵成に突進してきた。
 迫ってくる闇色の壁を挟んだ、その背後。
 カズキの放つ陽光に呼応するかのように、蒼白い閃光が立ち上った。
「なんだ……!?」
 サンライトハートの輝きに似ているが、色合いが違う。
 僅かに眉を潜める斗貴子であったが、少なくとも彼女の知識の中にそれを類推できる要素は存在しない。
 天空を貫く稲妻のような光が噴出して駆け抜ける。
 黒い軍勢を薙ぎ払い、四人に向かって疾走してきた。
「往け、武藤!」
「おおっ!!」
 パピヨンの号令と共にカズキが吼え、地を蹴る。
 同時に四人が纏った黒い羽根が、火を噴いた。
「ま、まさか……!」
「ちょっ――!」
 ようやく背中の羽根の意図に気付いた斗貴子と蓮司が青ざめて呻く。
 しかし、パピヨンとカズキは委細構わずに叫んだ。
「ニアデスハピネス!」
「サンライトクラッシャー!」

『――明日への蝶加速ゥ!!!』

 陽光の輝きが黒の軍勢を吹き飛ばし爆走する。
 背中の羽根からジェット噴射のように迸った爆炎がその突進を加速し、まさに空を翔るように四人の身体が疾走する。
 それはまさに、周囲の闇を切り裂く鮮やかな陽光に導かれて宙を駆けて疾駆する四羽の蝶。
「はわーーーーー!!」
「い、いやだ! こんな突入の仕方はいやだあああぁあぁあぁぁ!!」
「覚えてろパピヨン! 戻ったら絶対にブチ撒けてやるぅううぅう!!」

 遠ざかっていく三人の悲鳴を聞きながらパピヨンは満足気に頷いた。
「……うむ、美しい」


287名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 02:32:23 ID:rAgEfYKR
戻って来てくれたからきっぱり言うぜ!
戻ってくれて嬉しいよ! 待ってた!>錬金の人
288NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:34:39 ID:nCFSf5i6
 


 黒色の異形達を貫く陽光と、闇色の魔獣達を穿つ雷光。
 似て非なる輝きが一瞬だけ交じり合い、そしてそしてすれ違う。
 その刹那、カズキと斗貴子は見た。
 白い衣装とオレンジのマフラーを身に纏い、三叉槍の武装錬金から雷光を迸らせる少年の姿を。
 同時に、その少年も見た。
 突撃槍の武装錬金から陽光を迸らせるカズキと、彼によりそう斗貴子の姿を。


 ――交錯は一瞬。
 彼等が出会い互いを知るのは今この時ではない。





 交錯を経て一気にパピヨンの元まで辿り着いた少年――ソウヤは手にした武装錬金を露を払うように一閃してから眉を歪めた。
 周囲に群がるクリーチャー達を一瞥して、唇を噛む。
「なんなんだ、コイツ等は……『この世界』は一体どうなってる!?」
「ふん、大方どこぞのカミサマが悪趣味な饗宴(パーティ)でも催したくなったんだろうさ」
「……訳がわからない」
 いかにもつまらなそうに鼻を鳴らしてパピヨンが答えると、ソウヤは一層表情を険しくしてパピヨンをねめつける。
 無論この状況が彼のせいではないというのは理解しているのだが、半ば巻き込まれた形になった彼としては非難の色の一つも出るだろう。
 しかし一方のパピヨンはそんなソウヤの目線を受けても全く動じる事はない。
「そら、来るぞソウヤ。お前の願いを叶えたいなら、まずは目の前の問題を片付けないとな」
「………」
 唸り声を上げつつにじり寄って来るクリーチャーを見つめたままパピヨンが言うと、ソウヤは小さく舌打ちしてから彼に背を預けた。
 構えた三叉槍の矛先、その向かう先にたむろする魔獣達。姿形は全く違うが、彼の目には彼の記憶の中にある敵と同じモノに見えた。
「協力はしてもらう。だが、それを別にしてもコイツ等は放っておけない。『この世界』も『オレの世界』も、毀させやしない」
「……なるほど」
 ソウヤの言葉を聞いてパピヨンが得心したように呟いた。
 それが一体何に対しての得心であったのかは彼以外には知る由もなく、恐らくこの場においては知る意味もないだろう。
 群がるクリーチャー達に手を掲げ、黒死の蝶を羽撃かせる。
 三叉槍を展開し、雷光を疾走らせる。
 そして、

「ニアデスハピネス!」
「ライトニング・ペイルライダー!!」

 爆裂と極光が戦場を貫いた。 




 ※ ※ ※




289NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:39:37 ID:nCFSf5i6
 
 紅の月に照らされた外の世界とは一変して、洋館の中は静寂に包まれていた。
 外に溢れていたクリーチャー達の姿はそこに侵入してからただの一度も出現していない。
 どこにあるのか知れない光源に照らされて白く浮かぶ屋内は乱れ一つなく整然としている。
 長く長く続く回廊、左右に並ぶ扉、その奥にあるのは高く聳える巨大な本棚。
 それは数え切れないほど膨大な蔵書を収めた書物庫であり、同時に”秘密侯爵”リオン=グンタが形作る月匣だった。
 そんな場所に侵入してどれほどの時間が――月匣内において通常の時間経過など考慮できないが――経ったのだろうか。
 蓮司とカズキは現在――

「「ううぅうおおおおおぁぁああぁああ!?」」

 その静寂をブチ破って回廊を爆走していた。

「カズキ! てめえ、迷宮化した月匣では迂闊に扉開けるなって最初に言っただろ!?」
「そんな事言ったって開けないと進めないだろ!?」
「トラップの探知をしろって言ってんだよ!」
「そんなのやった事ないし! っていうか最初に罠に引っかかった蓮司に言われたくないぞ!?」
「あ、あれは……探知に失敗しただけだ!」
「失敗したんならやってないのと同じじゃんか!」
 互いに罵りあいながら、しかし決して速さを緩めずに我先にといった風体で二人は回廊を必死に走り続ける。
 何故か、と問うまでもなくその原因は二人を背後から追いかけている物体だ。
 汽笛の咆哮が唸りを上げ、車輪の回転音がけたたましく鳴り響く。
 ソレが吐き出した黒煙が周囲を塗りつぶし、煙の中から広い回廊を目一杯に占拠する黒鉄の巨躯が姿を現す。
 日本国有鉄道(国鉄)の前身である鉄道省が設計したD51形蒸気機関車――通称デゴイチは目の前の二人を踏み潰さんと爆走していた。

 ――ことの次第はこうである。
 まず、蓮司が探索の途中でトラップの探知に失敗し、罠を起動させてしまった。
 床に突如出現した巨大な穴に、斗貴子とくれははどうにか回避できたものの、当事者の蓮司と、それに巻き込まれてカズキが穴に落ちた。
 こうして呆気なくパーティは分断されて、蓮司とカズキは合流するために再び探索を始めたのだが、元よりこの二人はこういった地味な探索活動にはあまり向いていない。
 ある意味当然の結果として、カズキが扉を無造作に開け放った。
 その向こうに、巨大な蒸気機関車が鎮座していた。
 状況を飲み込むよりも早くD51は雄たけびを上げて走り始め、二人は慌ててそこから逃げ出したのである。

「くそう、しつこく追ってきやがって……! このまま逃げてもキリがねえ!」
「どうするんだ!?」
「決まってんだろ――ぶっ壊す!!」
「!」
 叫びと同時に二人は足を止めて振り返る。
 立ち塞がるモノを蹂躙しようと迫ってくる機関車を二人はしかし恐れずに睨みすえた。
 先程は場の空気に呑まれて逃げ出してしまったが、相対すると定めてしまえば二人に退く脚は存在しない。
 二人は暴走機関車に駆け出し、蓮司は手にした魔剣を、カズキは構えたサンライトハートを渾身の力で敵に叩き込んだ。
 こうなってしまえばエミュレイターやホムンクルスと闘ってきた二人にとって、機関車など単なる鉄塊にしかすぎない。
 閃く刃が車体を切断し、突き出した光の槍が黒鉄を撃ち貫き、そして――
「あ?」
「え?」

 ――突如爆散した。

 避ける間も悲鳴を上げる間もなく二人は機関車の爆発に巻き込まれる。
 轟音が響き渡り爆炎が吹き荒れ、フォートレスが僅かに揺れる。
 濛々と立ち込める白煙が消え去った後に残ったのは粉砕され瓦礫になった鉄屑の山だけだった。
「……でぇい!」
「なんの!」
 山の中からボロボロになった二人が勢い良く姿を現す。
 頭まで被った破片を振り払い、瓦礫を押し退けながら山から脱出しながら二人は苦々しく呻く。
「くそ……エクスプロージョンまで仕込んでやがったのか……!」
「恐るべしフォートレス……!」
 瓦礫の山から脱出して、二人で身体の調子を確かめる。幸い深刻な被害はないようだ。
 
290NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 02:42:03 ID:nCFSf5i6


 その後二人は待ち受けていた数々のトラップを悪戦苦闘しながら潜り抜けて行った。
 部屋一面に広がった地雷原を駆け抜けたり、炎と雷が荒れ狂う部屋を突破したり、カビン→アタックウォール→リフトフロア→斬殺換気扇の
トラップコンボに芸術的に引っかかってみたり、時刻表を用いた時間差アリバイトリックに頭を悩まされたりもした。
 そうこうして幾つもの扉をくぐり、回廊を抜けた先に広がっていたのは無限に広がる書物庫。
 一見すれば通常の世界にある図書館と同じような構造だった。
 この場所にはトラップの類は全く存在しなかったが、とにかく広さに果てがない。
 右も左も前も後ろも何処までも書架が立ち並んでいる。
 こういう迷宮の類を抜けるセオリーとして目印をつけようともしたが、やはりと言うべきか月匣において形作られたその書架は傷一つつかない。
 服の切れ端をいくつか置いてはみたものの、終ぞお目にかかった事がない。
 結局二人は闇雲に書架の迷宮を走り回る他に取る道がなかった。
「蓮司、どうにかなんないのか……!」
 うんざりするほど代わり映えのしない迷宮を走りながら、カズキは少し苛立った口調で蓮司に声をかける。
 月匣に突入してどれだけ時間を浪費しているのかわからない。
 現在の状況に加えてブラボーやパピヨン達が外で奮闘している事もあって、カズキの焦りは当然ではあった。
「多分魔法的な何かだろうが……俺じゃ手が出せねえ」
 その焦燥は蓮司としても同様なのだろう、彼はカズキと同じような表情を浮かべて手にした0−PHONEのディスプレイを見つめている。
 先程からくれはに連絡を取ろうとしているが、全く繋がらないのだ。
 更に奇妙な事に、ディスプレイに表示されている時刻表示は――ブロンズスターに乗って突入した時間からあまり経っていなかった。
「くそ、壊れてんじゃねえのか……!」
 忌々しげに吐き捨ててから蓮司は0−Phoneを投げ捨てようとする。
 その瞬間、唐突に着信音が鳴り響いた。
 驚いて相手を確認する蓮司。くれはからの着信だった。
「くれは!? 繋がったのか!」
 蓮司は泡を食ってボタンを押すとまくしたてたが、帰ってきた返事は――

『……五月蝿いわよ柊 蓮司。耳元で怒鳴らないで』

 くれはのものではない、しかし蓮司のよく知る少女のものだった。
「な、て……てめえ、ベール=ゼファー……!?」
 愕然として蓮司は呻き、食い入るようにディスプレイを確認する。
 しかし表示されている送信者は間違いなく赤羽くれはだ。つまりベルは、くれはの0−Phoneを使って蓮司に電話をかけているのだ。
「蓮司、どうしたんだ! ベール=ゼファーってこの前会った……!?」
 詰め寄ってくるカズキに蓮司は0−Phoneの音量を最大にしてから改めてベルに叫ぶ。
「てめえ、なんでくれはの0−Phoneを使ってやがる! くれははどうした!」
『……。赤羽くれはなら今あたしと紅茶を愉しんでるわ』
「ベール=ゼファー! 斗貴子さんは!? 斗貴子さんはどうしたんだ!」
『トキコ? ああ、赤羽くれはと一緒にいた錬金の戦士ね。彼女もいるわ』
 くすくすと微笑が混じったベルの声が返ってくると、蓮司は怒気を孕ませて歯を噛み締めた。
「……お前、今何処にいやがる」
『すぐ近くよ。ようやく霊界経路を繋げられたから、早く辿って来なさい。でないと――』

291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 02:51:32 ID:5Oy66Ytn
誰だソウヤ。
支援。
292NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 03:03:52 ID:nCFSf5i6
 

「……っ!」
 瞬間、蓮司とカズキは筆舌にし難い悪寒に襲われて顔を上げた。
 霊界経路とは0−Phoneの通信に使われている、時間と空間を超越する霊的なネットワークの事だ。
 月匣はある意味でそれらが断絶する異空間であるであるため挙動が不安定になってしまうのだが、ベルはそれを繋げてしまったらしい。
 大魔王の面目躍如といったところだろうが、今はそれどころではない。
 0−Phoneを通して感じる押し潰されそうな殺気。辿るまでもなく、おおよその方向が感じ取れてしまうほど。
「……二人に何かあったら、リオンより先にお前を片付けるぞ」
『あたしを前座扱いか。見ず知らずの仲でもないっていうのに、よくもそんな口が叩けるものね』
「うるせえ、すぐに行ってやるから待ってろ」
 荒々しく吐き捨ててから蓮司とカズキは駆け出した。
 リオン=グンタの月匣内においてなお強烈な存在感を放つベルの魔力は、蓮司やカズキにも容易に感じられた。
 それを頼りに二人はそれまでに増して脚を早めて無限に続く迷宮を踏破していく。

 先を急ぎながら、蓮司は既視感を伴った焦燥を感じていた。
 それは半年ほど前の事。
 かつてくれはは魔王ディングレイの依り代としてベール=ゼファーにその身を狙われた。
 要因は様々にあったがそれは単なる言い訳でしかなく、純然な事実として蓮司はくれはを守り切れず、そして彼女の身に魔王は降臨してしまったのだ。
 彼女の身体に刃を突き入れた時の感触を思い出し、蓮司は唇を噛み切る勢いで歯を食いしばる。
(くれは……!)
 果てのない迷宮の向こうに立ち上る魔王の気配に向かって、蓮司は更に脚を早めた。


 そして辿り着いたのは――書物庫の最奥。巨大な扉。
「くれは!」
「斗貴子さん!」
 全力疾走の勢いのまま扉を蹴破り、二人はその部屋に駆け込んで叫んだ。
 息を荒らげ、肩を上下させながら油断なく武器を構え状況を確かめる。
 そこにベール=ゼファーはいた。くれはと斗貴子もいる。
 円形に立ち並ぶ巨大な書架に囲まれたその部屋の中心、書物を読むためなのだろうか、テーブルとチェアが据え置かれている。

 ――ティカップの載せられたテーブルを囲んで、すまし顔のベルと、寛いだ表情のくれはと、いたたまれない表情の斗貴子が、いた。

「………なんでホントに紅茶飲んでんだよっ!!?」

 蓮司の渾身の叫びが部屋に轟き渡った。

293NIGHT WIZARD cross period:2008/06/22(日) 03:05:30 ID:nCFSf5i6
今回は以上です。あとちょっとのところでさるさんにひっかかった・・・これぐらいが限界か・・・
てわけでやや変則的にサブ側クライマックス→メイン側ダイブ。真面目にクライマックスと見せかけて何故か落としてしまった
でもどれほど時間が差し迫っていてもネタを入れるのがナイトウィザードクオリティ
蝶加速ネタは時間軸的に元祖宣言させて頂きます。半ばこのためにソウヤを持ってきたといっても過言では(ry
どうでもいいけどベルを出した時にふと「魔王祭りに出遅れたベル、涙目で登場」とかいうフレーズが浮かんできてしまった
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 03:56:19 ID:L+K2B3vQ
>時刻表を用いた時間差アリバイトリックに頭を悩まされたりもした。
解いたのかw さすがクレバーwww

そして私怨できずスマン
295名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 07:09:32 ID:YMb0F1/v
錬金の人帰ってキターッ!?お帰りなさいッ!!
そして相変わらずの高クオリティGJ!!柊とカズキのダイブシーンには
大笑い。漢探知、蝶・炸裂www
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 08:07:18 ID:KZvmL5n/
煉金の人おかえりなさい。

リオンの居城は鉄道博物館ばりに各種車両が勢ぞろいを期待してたのにー(まて)
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 10:23:56 ID:gQJH4CVY
剛太・・・・・・・・・。
やはり、ゲボクに目覚めて・・・・・・・・・。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 14:05:45 ID:xuq0076Z
錬金の人おかえりなさい、そしてブラボー。クライマックスのwktkが止まらんぜ。
そしてさり気なく配置された刻命館ネタと西村京太郎に乾杯。
299まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/22(日) 20:39:15 ID:LblOkv0a
短めながら9時から投下します。
>>89
はい、正式タイトルです。
>>104
・正直男なのでウ○ッ!とか入れようとしたけど自重
・ご指摘ありがとうございます。

では、投下させていただきます。
>>299
申し訳ありません。
まほうせんせいの方が投下し終わってから投下させていただきます。
302まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/22(日) 20:45:44 ID:LblOkv0a
>>301
では、投下を早めましょう。

静といのり、そしてサフィーが暮らすアパートの、すぐそばの空き地。
そこで、静とサフィーは互いに向き合っていた。その顔はお互い真剣そのもの。
ひりつくような乾いた空気が辺りには漂う。
当然だ。油断したら大惨事になりかねない。
そして、そのまま時間が流れ…2人は同時に動く!
「《リブレイド》!」
静の魔法がサフィーに向かって放たれる。迫りくる光の刃。だが、サフィーは慌てずに右手をつきだす。
「《ダークバリア》!」
漆黒の壁がサフィーの前に現れて静の魔法にぶつかる。
魔法と魔法のぶつかり合い。そして、光の刃が闇の盾に受け流される。サフィーは無傷だ。
2人の間に沈黙が訪れる。
「…やるじゃないか。発動魔法をこんなに早く使いこなせるようになるなんて」
最初に口を開いたのは静の方だった。不敵に笑う。サフィーに冥の魔法を記した魔導書を渡して1時間。
本職の魔術師でももう少し覚えるには苦戦するところだと言うのに。
「当然よ。そこいらの連中とは年期がちがうもの」
サフィーもまた、不敵に笑い返す。魔法の基本は不可視の力と一緒。サフィーならば、魔法を使いこなすことくらい造作も無いことなのだ。
2人の間の空気が緩む。
ひょんなことから協力し合うようになって、はや2週間。
わずか2週間で、2人の息は驚くほどぴったり合うようになっていた。
まるで、長年行動を共にしてきたかのように。

ところで。

そのすぐ後ろでは流れリブレイドで前髪が焦げた少年が埴輪になっていた。
303まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/22(日) 20:46:57 ID:LblOkv0a


「し、死ぬかと思った…」
3人の暮らすアパートで、涙目になりながらガタガタ震える少年の名は、駒犬銀之介。
何の因果か異世界のウィザードに協力することになった少年である。
「やあごめんごめん。銀之介君は月匣に入れるってことを忘れてたよ」
朗らかに笑いながら静があやまり、事情を説明する。
「ロンギヌスから払われた謝礼で購入した荷物にサフィーちゃんのための冥の魔導書があってね。
それを渡したら、サフィーちゃんがもう覚えたって言うからつい、ね」
あの後、銀之介から聞いて病院に向かった2人は、ボロボロながらも生きている行方不明だった調査隊を見つけた。
そこでその事を報告したところ、助けだしたと言う事で謝礼が支払われることとなったのだ。
…もっとも報告した瞬間、嘘っ!?と返ってきた辺り、彼らの扱いも分かるというものだが。
「でもさ〜」
いのりが、テーブルにお茶とお菓子を置きながら、首をかしげる。
「銀之介君なら、別に食らってもだいじょ〜ぶじゃないの?せんせいの魔法で治してもらえば」
いのりが自らの疑問を吐き出した。
銀之介のクラスは、ファー・ジ・アース風に言えば人狼。バリバリの前衛クラスである。
いくら獣化してないからってダークバリアで弾き切れる程度に威力を絞った魔法の1発や2発でど〜にかなるとも思えなかった。
実際に悪魔の攻撃を食らっても平気なほど丈夫なんだし。
だが、そんないのりの言葉に銀之介は悲鳴気味に答えた。
「無茶だよ!この姿であんなのが当たったら死ぬよ!?」
「この姿?どういうことだい?」
興味深げに静が銀之介に尋ねる。
人狼と狼人間。字面はそっくりだがこの2つは大きく違う。
そりゃ〜変身してれば大概のことは平気だし、とんでもね〜力もあるが、それも変身してればのお話。
変身してなければ普通の人間なのだ。
いやむしろ銀之介の場合一般的な男の子よりも貧弱なくらいなのだ。
魔物使いとか本物の魔術師とか本物の吸血鬼とかと一緒にされては命がいくつあっても足りない。
銀之介はまだ自らの意思で変身を制御できないのだ。
なんてなことを銀之介が説明する。
「なるほど。こちらの世界の人狼は僕らの世界の人狼とはずいぶん違うんだね」
銀之介の説明に、静は納得したように頷く。
考えて見ればファー・ジ・アースの人狼はあくまで“人間の姿になれる動物”に近い種族である。
“狼の姿になれる人間”とは全く別物でもおかしくは無いのだろう。
「あれ?じゃあ好きな時に獣化できないんなら普段はど〜してんの?満月なんていっつも出てるわけじゃないっしょ?」
銀之介の説明を聞いて、いのりが当然と言えば当然の質問をする。
それに銀之介は少し照れくさそうにしながら答えた。
「ああ、それは…これで」
そう言いながら銀之介はポケットからそれを取り出す。
最近はいつ必要になるか分からないから持ち歩いているのだ。
白くて卵型のそれはもちろん。
「これって…たまご?」
見たまんまである。
「うん。いつもはたまごの黄身で変身してる、と言うより変身しちゃうんだけど」
「変身しちゃう?」
「ああ、止められないんだ。たまごの黄身を見たら。これが原因で何回引っ越したことか…」
しみじみと遠くを見て言う銀之介。
「そ、そうなの?」
「うん。普通は見つかったら騒がれて、保健所か警察を呼ばれてね、あっという間にいられなくなっちゃうんだ」
駒犬銀之介。若い割に苦労人である。
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 20:48:03 ID:NrANPWSW
4円です
305まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/22(日) 20:49:03 ID:LblOkv0a
「ああ、そう言えば」
おも〜い空気になったのを誤魔化すように静が懐からそれを取り出す。
「これ。銀之介君用に購入しておいたよ」
そう言って静は小さな袋を渡す。中には小さな宝石が2つ入っていた。
「えっと、これは?」
意図がつかめず銀之介が静に尋ねる。
「幸運の宝石と死活の石。不幸と死から君を守ってくれるはずだ」
「不幸はともかく、死ですか?」
聞き返す銀之介に静が頷く。
「うん。多分、これからの戦いで必ず必要になる。あの2人と戦うってだけでも危険なくらいだからね」
あの2人、と言う言葉にギクッと身を震わせる。
銀之介は両方と戦ってその強さを肌で実感している。どちらも1人ではどうしようもないくらい、強かった。
「…分りました。ありがたくもらっておきます」
「ああ。そのために買ったものだ。大事にしてくれ。あ、それと…」
静がにっこりとほほ笑んで、銀之介に言う。
「敬語じゃなくていい。一応僕は君より年下だよ?先輩」
「ええっ!?」
予想外の年下発言にナチュラルに年上だと思っていた銀之介が目を丸くする。
静=ヴァンスタイン。教師やってるのとその大人びた雰囲気で忘れられがちだが、彼はまだ17歳なのである。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 20:51:14 ID:NrANPWSW
支援です
307まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/22(日) 20:52:47 ID:LblOkv0a
今日は、ここまで。つなぎなんで短めです。

>>163
連携して戦うとやたら強いですからね。PC。

>>164
割と。こっからそれなりに長くなる予定です。そしてサフィー可愛いよサフィー

>>165
一応主人公2号ですからw

>>166
もうちょっとだけ続く予定です…亀仙人が言った後くらいにはw
>>307
お気遣いありがとうございました。そして、投下GJです。

では、今度こそ私も投下させていただきます。
―――281年12月下旬
―――下ヒ周辺


「…はっ!?ここはどこだっ!?」

 慌てて体を起こすと、そこは大草原だった。
 春が来た証とでもいうべき緑の匂いが、鼻腔に満ちる。
 普段であれば、もう一眠りしたくなるところだが、今の彼にはそんな余裕などない。

 はるか天空からから地上に叩き落されたのも余裕がない一因だが、他にも原因はある。

「ちっくしょう…!
 爺さんの機嫌がやべえってのに…こんなところで寝てる場合じゃねえ!」

 と、そこで。
 彼の懐で、鈴のような音が鳴った。

 音の源は「0−phone」。
 どこでも繋がる便利な「電話」だとかなんとか。
 いや、そもそも「電話」が何かは彼自身も知らないが、とにかくどんなところでどんな相手とでも会話できる優れた道具である。
 肝心な時につながらないのも考え物だとは思うが…そんなことを言ったところでどうにかなるものでもない。

 とにかく。
 彼は0−phoneを掴み、そこに付属している突起物を押し。

「何考えてやがるアンゼロットォ!?」

 相手の声が聞こえる前に、怒鳴りつける。
 果たして、返ってきたのは予想通りの声であった。

『おはようございます、魏延さん。
 どうやら無事中原についたようですね』
「ふざけんなっ!
 曲がりなりにも一軍の将相手にすることじゃねえだろ!?」
『いいじゃありませんか、だって魏延さんですし』
「理由になってねえ!?」

 能天気な声に、思わず頭を抱える。
 どうしようもない悪意がそこにはあった。
 太陽のような笑顔の下に隠れる、黒い悪意。あるいは捻じ曲がった性根。
 全容を知ることは決してできないとはいえ、彼も随分と彼女に振り回されてきた。
 欠片程度は、『世界の守護者』を知っている。

 だからこそ。
 彼―――魏延文長は、0−phoneを握り締め、再び怒鳴った。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 20:59:39 ID:DEnL63RN
支援射撃、開始っ
「いいか!この時期は新兵の訓練やら兵糧の計算やらで忙しいんだ!
 お前は俺の首を飛ばす気か!
 黄忠の爺さんが庇ってくれてるからいいものの、俺はいつ韓玄の野郎に処断されるかもしれねえんだぞ!?」

 一息でそこまで言って。
 帰ってくるのは、やはり緊張感の欠片もない声。

『もしそんなことになってしまいましたら、救出ついでにロンギヌスの正規メンバーとして雇用してさしあげますよ?』
「誰がテメエの世話になるかっ!?
 つーか俺がやばい立場になってる元凶が何を言いやがる!
 そもそもお前の下僕なんてこっちから願い下げだ!」
『またまたー。
 いつも何だかんだで私のお願いを聞いてくださるじゃありませんか』
「お前の頼みを聞いてるんじゃねえ!?
 お前が無理やり聞かせてるんだろがっ!!」
『では、そんな魏延さんに次の任務を与えてさしあげます』
「お願いですらねぇ!?」

 悪態にあわせるように、電話の向こう側でふふ、と笑みを零したであろう声が聞こえた。
 魏延はまた文句を言おうとするが、できなかった。

『最近、有数の武将でもあるウィザードとの連絡が、次々と途絶えていることはご存知ですか?』

 アンゼロットが、急に声の調子を変えた。
 張り詰めた声。
 真剣な。あるいは、思いつめたような声で、話しかけられる。

「…あ、ああ」

 いつもの彼女のやり口だとわかっていながらも、魏延は相手の言葉に頷かざるを得ない。
 それが、魏延という青年の長所であり。
 また、世界を救うために、姿だけは若い守護者にいいように利用される原因でもあった。

『すでに、北海を除く中原、河北のウィザードとは連絡が途絶。
 また、その他、孫家や馬家との連絡もとれなくなっております。
 おそらくは…魔王董卓に占拠された長安同様、それらの都市もエミュレイターに占領されている可能性があります』
「呂布…はいつも無茶苦茶してやがるからともかく。
 夏候惇や典韋、洛陽にいたはずの王允の爺さんと、幽州の劉虞に…公孫サンともか?」
『はい。
 少なくとも、連絡はとれず、偵察に赴いたロンギヌスメンバーも…』

 帰還することは愚か、連絡すら入りません、と。
 続けられようとしたアンゼロットの声に、魏延は言葉を被せる。

「わかった。で?」

 魏延の言葉から汲み取れるのは、決意。
 それは、彼が守護者の頼みに応じて動く時の声。
 魏延の言葉に満足したのか、あるいは困惑したのか。
 通話器の向こう側では、しばらくの沈黙があった。

『……ありがとうございます。
 ですが、魏延さん。気をつけてください。
 この一件、魔王級のエミュレイターが裏で動いているとの情報があります』
「やべえことの裏に魔王がいるのなんてそう珍しいことでもないだろ」

 何を今更、と言わんばかりの魏延に対し、至って冷静にアンゼロットは状況を告げる。
『寿春にベール=ゼファー。
 南皮にルー=サイファー。
 そして、洛陽のパール=クール。
 今現在だけでも、これだけの実力を持った魔王が確認されています』
「…実力者なんてもんじゃねえぞ!?
 裏界第一位、第二位にそれと匹敵する魔王じゃねえか!」
『それだけではありません。
 さらに上位の存在も関与している可能性があるということです』
「…そうか」
『魏延さん…』

 気遣うような声がかけられる前に、名高き武将は。
 至って落ち着いた声で、指示を仰いだ。

「俺はどこに行けばいい?」
『…とりあえず、下ヒ。そして、寿春、できれば南の廬江の偵察も宜しくお願いいたします』

 ふぅ、と一息ついたあとで。

『とにかく、魏延さんに頼みたいのは、“表”の状況確認です。
 都市を支配するウィザードが、エミュレイターに敗れたことで民に影響が出てはいないか…あるいは、軍はどうなっているか。
 最悪、月匣によって多くの人々のプラーナが失われていれば、世界の致命的な危機になりかねません。
 そのような場合、魏延さんに単独で解決していただくことになってしまうのですが…』
「ああ、わかってる。
 しかし、そんな情報も手に入らないのか?」
『はい。
 先ほども述べたとおり、ロンギヌスメンバーでは、下ヒ、寿春に赴いて帰ってきた者は一人もいないのです』
「…くそ。状況はかなりまずいんじゃねえか。
 のんびりしている暇はなさそうだな」
『その通りです。
 状況を確認次第、対策に移ります』

 そこで、一息入る。
 おそらく茶でも飲んでいるのだろう、と魏延が思っていると。
 かちゃり、という陶器同士が触れる音がした。

『…時間が許し、そしてなおかつ可能であれば。
 中華そのものをどなたか…できれば、有力なウィザードか、ウィザードに理解のある方に統一していただいて。
 全ウィザードの戦力をもって魔王との決戦に挑みます。
 そうでもしなければ、とても、あの魔王たちに立ち向かえるとは思えません』
「そりゃそうだけどよ…しかし、急にスケールの大きい話になったな。
 劉備のオッサンにでも声をかけるつもりか?」
『ええ。ただ、劉備さん自身は、すでに独自に下ヒのエミュレイター撃破のため動いています。
 彼の他、“奸雄”曹操孟徳。
 あるいは、ここ最近、全く連絡がとれなくなってしまった孫家、馬家のウィザード。
 ウィザードとしては協力的ではないものの、実力には非の付け所のない“三国無双”呂布奉先。
 そして魏延さんを含めた荊州のウィザードの方々を中心として、勢力を結集するつもりです。
 そう…作戦名は―――』


■■■

 第一話「英雄集結」

■■■
―――281年1月上旬
―――北海・政庁

「…なるほど。
 下ヒの魔法使いは、侵魔共に敗れた、ということじゃな」
「はい…」

 政庁の一室。
 深刻な面持ちで会話をしているのは、君主である孔融と、一人の女性だった。

 女性は、長い髪を二房の三つ編みにして、上等な衣服を身に着けていた。
 育ちがいいのだろう、高貴、とまではいかないものの、衣服以外からも、上品な雰囲気がにじみ出ている。
 ただ、その上品な身なりの一方で、どこか憔悴している様子が垣間見れた。

「王修の話では、劉備殿もすでに北海に着いたようじゃ。
 もう一眠りすれば、劉備殿に会えるだろうて」
「ええ、わかっております」

 疲れた風貌の中に、わずかに喜色が浮かぶ。
 とはいえ、ウィザードではない孔融には、彼女の言葉の意味を正確に推し量ることはできなかった。
 わずかに眉ねを寄せたところで、相手が疑問に応じてくれた。

「『夢』の中でお会いしていますので」
「…やれやれ。
 そんなこともできるのかの、魔法使いというやつは」

 全く相手の言葉を理解しえなかったことが悔しかったのか。
 孔融は肩をすくめて、ふん、と息を漏らす。

「とにかく、劉備殿がここに着いたら真っ先に知らせよう。
 それでよろしいかな…麋家のご息女」
「ありがとうございます。
 助けていただいたことも含めまして、感謝の言葉もございません」
「ま、劉備殿と麋竺殿には何度か世話になっとるしな」

 にやり、と笑みを浮かべ。
 孔融は立ち上がる。

「さて、たまにはまともに政務をせんとな」

 本気かどうか疑わしい、そんな言葉で会話を締めくくり。
 北海の太守は部屋の外に出る。

 彼の背中に一礼した後。
 女性は、椅子から立ち上がり、窓へと向かう。
 と。
 そこで、音が鳴る。
 音は、懐からしていた。

「…」

 女性は、懐から、硬質な色の物体を取り出し、何事か操作した後、耳へと当てる。
 そして。

「…お久しぶりです、徐庶様。
 奥様はご息災でしょうか…どりぃ〜む」

 やはり上品な笑みを浮かべて、そんなことを言った。
―――281年1月上旬
―――北海・都市内


「…りょ、呂布!?
 あ、あの“三国無双”、当代最強のウィザード、転生者の呂布奉先!?」

 大声でそんなことをのたまった後で。
 王修叔治は慌ててあたりを見回した。

 見れば、一部の人がくすくすと笑いながら、こちらを見ていた。
 ちなみに、大部分の人は会釈をしたり、あるいは見てみぬふりをしている。

 王修は顔を若干赤くし、体を縮こまらせた。 

「…ご主人様。
 また、驚いた」
「…そりゃ驚くよ」
「まあ俺も驚いたしな」
「お前は笑ってただけじゃろうが。
 あたしだけ驚き損じゃ」
「いやいや、驚いたぞ?」
「嘘をつけ。
 後で思い出したが、お前は呂布に会ったことがあるはずじゃ」
「バレたか」

 しかし、連れの四人は呑気にそんな話をしている。
 豪胆な人たちだな、などと思いつつ。

「え、えっと…北郷一刀様、でよろしいでしょうか?」

 王修は、もう一度隣を歩いている少年に聞いた。
 その少年は、妙に艶と張りのある着物を着ているものの、それ以外は取り立てて特徴のない少年だった。
 若干前髪が長いのと、どこか浮いた雰囲気があるが、それだけだ。

「いや、北郷でいいって。
 俺にそんな風に呼ばれる立場じゃないし」
「…では北郷さん。
 この方は本当に、あの呂布奉先なんですか?」
「いや、敬語じゃなくてもいいんだけど。
 それはともかく…多分。というか間違いなく。
 王修さんが言ってる呂布じゃないな」
「…そ、そうですか」

 しかし、名前から字まで同じ、というのも珍しい話ではある。
 王修は、少年―――北郷一刀に、寄り添って歩いている少女に視線を向ける。
 褐色の肌の、一刀と似た衣服を身に着けた、あの呂布奉先と同じ名を持つ少女。
 彼女は、ぼんやりと前を見ていたかと思うと、不意にこちらに視線を向けてきた。
「…?」

 その覗き込むような目に、慌てて王修は視線を逸らす。
 動悸が速くなり、汗が額からたれる。
 隣人の彼女や、仕事で世話になった「あの」女性のおかげで、少しは女性に免疫ができてはいるものの。
 未だ、女性への苦手意識は克服できてはいないようだった。

「相変わらずだな、王修。
 まだ治らんのか?」
「…劉備様。お戯れを」
「いや、俺にもそんな堅くせんでいいんだがな?」
「こいつは調子に乗らせると付け上がるぞ」
「いえ。一国の太守に、礼を尽くすのは当然でございます」

 王修は、前方を歩いている男性と女性に言葉を返す。

 劉備玄徳と孫尚香。
 彼と彼女は、確かに太守とその夫人であり。
 さらには、劉備は漢帝の末裔ですらあるとも聞く。
 とはいえ、その一方で、はっきり言ってしまえば、この乱世に名乗りをあげた将の一人でしかない。

 が、劉備に対して王修が敬意を表するのは、彼が優れたウィザードであり。
 そしてまた、何度かウィザードとしての仕事で助けてもらったからでもある。

「ま、そっちの兄ちゃんと嬢ちゃんの話だが。
 とりあえず、話を聞いたかぎりじゃ『こっち』の世界の人間じゃないようだ」
「…と、いうと?」
「言った通りだ。
 何を聞いてみても、『聞いたことのない話』ばかりなんだよ」

 そこで、ふあ、と劉備は欠伸をはさむ。

「ま…嘘八百適当並べてるかもしれんと最初は思ったんだが、そうでもないらしい。
 で、俺なりに考えた結論がこれだ。多分間違っちゃあいない。
 お前さんも聞いたことはあるだろ。
 この世界の他にも、世界は存在するって話は」
「はい。一部のウィザードは、他の世界に召還され、別の世界の危機も救うこともあるとか」
「ああ。魏延なんかの話が有名だな。
 で…だ。
 俺が考えるに、あの二人…北郷と呂布はこの世界の危機に召還されたんじゃないか、とな」
「…あの二人は、それほどの力を?」
「そりゃわからん。
 わかってるのは、少なくともウィザードの素質はあるってことだ…な」

 言って、振り返った劉備の目は、狐目。
 極端に細められ、口元には笑みが浮かんでいる。

「…が。こんな状況だ。
 世界が別の世界に助けを求めたって不思議じゃないだろうさ」
「…確かに」

 視線を、再び隣にいるはずの一刀と呂布に向けようとする。
 が、そこに少年と少女はいない。
 どこへ行ったのか、と視線をさまよわせると。
「………」
「我慢」
「…………」
「我慢して」
「………………」
「うん。悪いのは俺。
 だから、な。
 もうしばらく、辛抱してくれ。
 劉備さんも、政庁に行けば、ご飯が食べれるって言ってただろ?」
「………………………わかった」
「くっ…ごめんな…俺が、だらしないばっかりに」
「ううん。ご主人様は、気にしなくて、いい」

 食事処の前で、そんな問答をしていた。

「えっと…劉備様?一体…?」
「ああ、あれが、俺がお前さんを呼ばなくなきゃいけなくなった理由だ。
 もう金がない」
「…は?」

 何を言っているのかわからない。
 王修は続けて聞こうとするが、それより先に。

「とりあえず、あの二人は早めに政庁へ連れて行ってやってくれ。
 …一応、食事はあるんだろ?」
「え、ええ。それは」
「なら頼む」

 そこまで言って、劉備は前を向く。
 最早、何かを説明する気もないようである。

 王修は、一刀と呂布を呼ぼうとして。
 先刻劉備に伝えたことを、念のために繰り返す。

「劉備様!」
「…ん?」
「麋家のお嬢様が政庁にてお待ちになっていらっしゃいます。
 劉備様もお早く」
「いや、俺は、できればゆっくり行きたいんだが…な」
「は?」

 疑問に答えは返らない。
 が。王修は、すぐに答えを理解することとなる。
―――281年1月上旬
―――陳留・政庁内・太守の部屋


「グッッモーニンッ!元気かねぇ、曹操孟徳くん!
 キミの親衛隊長たるこの私、典☆韋が朝のお知らせに来たぞぅ!?
 嬉しいかね、嬉しいだろう!
 それだけじゃない、今日は町で見つけたナイスガイも一緒だ!
 さあ、その喜びに胸をときめかせるがいい!」
「あっらーん、失礼しちゃうわね、典韋ちゃんったら。
 私はこれでもオ☆ト☆メなのよん?」
「はっはっは、冗談は顔と体と存在だけにしたまえ。
 お茶目がすぎるじゃないかぁ」

 筋肉。筋肉。筋肉。
 そう、目の前にあったのは、肉の塊だった。
 悪臭はしない。というか、むしろいい匂いがするのが気持ち悪い。
 香水でも使っているのか。

 ただでさえ騒がしい朝は、暑苦しさも加わってうっとおしさが二倍でドン。
 どうしたものかと言ってもどうしようもない。

 彼は、頭を抱えて寝たふりをしていた。
 寝ていないともっとうるさくなるから。
 けれど、多分寝てるふりをしててももっとうるさくなる。

 彼ら自身はこれ以上騒がないだろうが。
 もっと五月蝿いのがくるのだ。

「孟徳、メシだぞ…ってだれだきさまらー!!
 であえ、であえーッ!!
 孟徳の命が危機にさらされておるぞーッ!!」

 扉から一人。

「落ち着け兄者。
 少なくとも片方は典韋だ。裸だが。
 というか危機なら兄者が真っ先にだな」

 窓から二人目。

「な、なんだと!?
 卞皇后ー!大変だッ!
 孟徳の貞操の危機だッッ!!
 誰か孟徳の危機を救えるものはおるかーっ!!
 俺には無理だーッ!!」
「…ここにいますよ?」

 そして寝台の中から三人目。
 これで五人だ。
「どっちにしろ危機なのだな兄者。
 あとおはようございます奥方」
「いいえ、朝の御勤めご苦労様です」
「はっはっはぁぁ!
 朝から元気だな夏侯惇元譲くん!
 相変わらず眼帯が素敵だぞぅ?」
「あらあら、やっぱりお手つきなんじゃない。
 ごめんなさいねぇ、ワタシこれでも相手がいる子には手をださないから、安心して?
 ちなみにワタシはちょっとした傾国の美女よん?
 名前は伏せとくわね。混乱すると悪いから」

 俺は何も聞こえない。
 耳をふさいでるから聞こえない。
 なんで耳をふさいでるかって?
 耳をふさがないと五月蝿いからだ。
 なんで歯を食いしばってるかって?我慢してるからだ。
 なんで耳をふさいで歯を食いしばってるかって…?

「これはご丁寧に。こちらこそ宜しくお願いいたします。
 …見なれない御方ですが、この方も新しい護衛ですか?淵様」
「多分そうかと」
 それは、耳をふさいでも聞こえる声に我慢がならないからだ…!!

「多分とはなんだっ!?
 そもそも何をこの状況に溶け込んでいるか妙才ッ!
 槍を持て、槍を!」
「だからそんなに心配なら兄者がだな」

「ぃやかましいぞ己等ッ!!
 人が寝とるのを邪魔するんじゃない!
 とっとと出ていかんと寝ぼけたと言い張って殺すぞッ!!」

「あらあら。曹操様、癇癪はお体にさわりますわよ?」
「うむ、その通りだぞ、曹操孟徳。
 ご自愛するべきだとは思わんのかね」
「それに孟徳が寝起き悪いのは誰でも知ってるしな。
 この程度の危険は承知している」
「その通りだな兄者」
「全くお茶目さんねえ。
 でも、そこがス・テ・キよぉん♪」

「黙れ――――――ッ!?
 というか、なんでそういうときだけお前らは連携がとれとるのだッ!?
 少しは戦場でそれを発揮せんか!」

「ああ、ちなみにわが国に入ってきた、仮面をつけたウィザードは国境付近で追い返しておいたぞ、典韋。
 これでいいのか?」
「うむ。下手にこの国に来れば、潜んでいるエミュレイターに殺されかねん。
 すでに葬ったエミュレイターだけでも随分な数になる…このような危ない橋を渡るのは我々だけで十分だろう」
「手際がいいな兄者」
「それで?ちゃんとアンゼロット殿には報告したのかね、夏侯惇元譲くん?」
「うん?覚えていないが多分しただろう。
 してないということはあるまい」
「ふぅむ…まあよかろう。
 それよりブゥレイク☆ファストをとるのが先だな。
 皆も一緒に卓を囲まないかね?」
「あらん、いいの?」
「まあ人数分よりはちと多く作ってあるから大丈夫だと思うが」
「また目玉焼きなのだな兄者」
「それじゃあいただこうかしら。
 ほら、曹操様もご一緒に」

「お前ら出てけええええええええええええええええええ!?」
―――281年1月上旬
―――南皮・政庁内

 仲の良い二人の武将の会話。

「なあ、顔」
「なんだ、文」
「あの、最近来た奴らいるだろ?」
「ああ、あの女たちか。
 最近の殿は、やけにあの女どもの献策を受けるよな」
「まあ頭がいいんだろ」
「いや、しかしだな。
 あのちみっこい金髪の娘と、やたら居丈高で威圧感のある金髪の女はともかく。
 金ぴかの鎧を着たあの金髪の嬢ちゃんはバカだろ。どこからどう考えても」
「確かになあ」
「ま、あの嬢ちゃんの献策は流石に殿も受けてないみたいだけどな」
「そりゃあなあ。
 猪突猛進、突っ込むことと目立つことしか考えないんじゃあ役にたちゃしねえ」
「つったって俺らも同じようなもんだろ」
「阿呆。俺らは戦場では役に立つから使ってもらってんだろ。
 俺らとあいつら一緒にするなよ」
「まあな」
「じゃ、なくてだな。
 ああ、なんだっけ。
 言いたいこと忘れちまったよ」
「んー…じゃあ、あのちみっこいお嬢と、役立たずの女の部下のことか?
 あいつらは強いよな」
「おう。正直互角に戦えるとは思うが優位に戦いを進められるとは思えんなあ」
「全くだ。
 二枚看板が泣いちまうぜ」
「おう…ううむ。なんだっけなあ。
 何か気になることがあったんだけどよ」
「それならあれか?
 北の公孫氏の奴ら。いや、公孫サンのほうな。
 なんか最近おかしいらしいが」
「いきなり関係ない話だな。
 まあいいや。俺等も将軍の端くれだ。たまにはまじめな話もしねえとな。
 …なんでも、殿が手を組もうとした皇帝の末裔のこと攻め立てる気配があるらしいな。
 俺らは俺らで黄巾の奴ら牽制しなきゃいけねえから、どうにもできないって頭抱えてたぜ。
 殿は、あの人のことを皇帝の後継者にしたいって言ってたけどな」
「殿も、頭はいいんだがな。
 何せ、実際ことを起こそうとするのが遅いよなあ。
 あと少し臆病だ」
「仕方ねえよ。そりゃ性格だしな。
 それをどうにかするために俺等がいるんだろ…ってそうだよ、回転だ」
「あん?なんの話だよ」
「おう、あの髪型だよ、あの女どもの髪型。
 おかしくねえか?」
「どこがだよ」
「あのぐるぐる巻いた髪型はなんなんだってことよ」
「ああん?言いたいことがわかんねえぞ、文」
「いや、だからな…そう、巻貝だか竜巻だかみたいなあの髪型だ!
 ありゃ、どういう仕組みで成り立ってんだよ!訳わかんなくて夜も眠れねえぞ!
 なんかふよんふよん揺れて和むけど!」
「たしかに巻貝みたいだな、ありゃ。
 三人揃ってなんであんな奇天烈な髪なんだか。
 けどそこまで気にすることかよ」
「いや、なんでかと思って考えただけなんだけどよ」
「うん、そんなことを気にするお前は阿呆だ。
 ついでに寝れなくなるお前はバカだ。間違いねえ」
「んだと!?そういうことを気にしないお前が阿呆だ!」
「なんだと!?」
「やるか顔!」
「臨むところよ文!」
「でりゃあああああああああああああああ!」
「だりゃあああああああああああああああ!」

 この後の会話を聞いたものはいない。
 なんでも、金色の波動が戦う二人を吹き飛ばした後。
 やや背の低い金髪の娘が配下に命じてたこ殴りにして。
 胸が大きい金ぴか鎧の娘がやはり配下に命じて城の外に捨てたという噂はあるが。
 やはり定かではない。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 21:17:06 ID:DEnL63RN
支援
―――281年1月上旬
―――寿春・政庁

「…おぉい、雷薄。生きてるかあ」
「おう、なんとかな。そっちはどうだ陳蘭」
「なんとかなあ。
 正直、ウィザードが常識に縛られねえってのがこれほど嬉しいことだとは思わなかったぜ」

 そこは、闇の中。
 底冷えするような、冷たい石に覆われた空間。
 辛うじて息はできるものの、それ以上のことは何もできない。

「というか食事せんでも死ぬこたねえってのがすげえな。
 月衣スゲー。マジスゲー」
「おいしっかりしろ陳蘭。
 少し頭がおかしくなってるぞ」
「というかおかしくならんといかんともし難いだろこの状況」
「…まあな」

 身動きも取れぬ。
 手足は縛られ、転がることもできない。
 わかるのは、背中にある冷たい感触だけ。

 彼らには到底想像もつかぬことだろうが。
 そもそも、これだけの長い時間寝返りがうてなければ、皮膚は死に、穴があいていることだろう。

 それだけの長い時間、彼らはここにいる。

「…わかってる…一刀に会うまでは…………」
「あー!お姉ちゃんったらまた……一刀の妻は……」
「でも……思春や……無事かしら…」
「だいじょうぶ………むしろ私たち………心配してるんじゃない………」

 たまに聞こえる、上からの声が少ない刺激にはなっていた。

「おぉう、雷薄」
「だからなんだ陳蘭」
「今の女達って、やっぱ二人とも一刀って男の奥さんなんかねえ」
「…どうだかな。それにしちゃあやけに若い声だな。
 個人的には実は血の繋がった兄姉妹だという説を推すぜ」
「おお、なかなか鋭いかもしんねえなあ」
「…言った俺が言うのもなんだが、お前やっぱりおかしいぞ陳蘭」

 「とある夢使いの少年」のエミュレイターに破れた彼らが、救いだされるのはいつのことなのだろうか。
 それは、誰も知る由がない。
―――281年1月上旬
―――廬江・政庁内


「…やれやれ。
 我々がのんびりと茶を飲むなどという機会が再び来ようとは」
「しかも、茶の味は以前とは格段に落ちる、と来れば。
 喜ぶ余地など一つたりとてありはしないか」

 しかめ面でそんなことを言い合う男が二人。
 片や、筋骨隆々とした男。
 片や、白い髭を生やした男。
 二人が啜るのは、高級品と言われる“茶”。
 それをもって味が落ちる、というのはいささか贅沢が過ぎるのかもしれない。
 そう考えたのか、渋い表情で苦言を呈したのは、その場にいた、三人目の男だった。

「…韓当殿。黄蓋殿。周りの者に聞かれたらどう思われるかわかったものではないですぞ」
「いわせとけばよい。
 君理もたまには羽目を外せ」
「…黄蓋殿」

 彼らは孫家の三人の宿将。
 ここにいないある一人を除けば、最も古くから孫家に仕える者達である。
 名を韓当義公、黄蓋公覆、朱治君理。
 いずれおとらぬ猛将、賢臣である―――が。

「今の我らに与えられた任は、このように城の中で何をするでもなく徘徊することなのだからな」
「…孫堅様の命とあれば、それも仕方ありますまい」
「ふん…あれが本当に孫堅様であればな」
「五人の娘達を強化した上で同じ名前をつけ。
 さらには死んだ息子と同じ姿の人造人間まで作るなど…最早人の所業ではないわ。
 あのようなことはどこぞの商人どもにでもやらせておけばいいものを」
「韓当殿!お止めください」

 それまで、静かだった朱治が声を荒げる。
 声を聞いた、韓当はふ、と顔から毒気を消す。

「…すまんな」
「…いえ。ですが、それは私も思っていたことです」

 溜息をつき、朱治は肩を落とす。
 疲労ではなく、心労。あるいは苦悩か。
 声からにじみ出てきたのは、そういった類のもののように思えた。

「エミュレイターに憑かれた、と言ってもおかしくはない豹変ぶりではありましょう。
 やはり、あの時が、契機だったのでしょうか」

 朱治の言葉に、韓当と黄蓋は何も言わない。
 その抽象的な言葉に思い当たる節があったのか、各々の茶碗を見ている。
「時を同じくして、大喬様も小喬様も行方不明となり。
 孫堅様も強化人間や人造人間の開発に力を入れだした…。
 ですがその一方で、実際にはエミュレイター対策には手をつけていない。
 世界魔術師協会とは連絡もとらず。
 先日など自分の御息女が三人もエミュレイターに捕らえられたというのに、他の者に要請を行うだけ。
 …一体、何を考えてらっしゃるのか。
 やはり、すでに孫堅様は別の存在にとって変わられているのでしょうか」
「わしらから見ればそう見えても、他の者が理解できなければ仕様があるまいよ。
 むしろ、わしらがおかしいのかも知れぬ。
 最近など、孫チン、孫魯班、孫峻…あの者達までエミュレイターに見えてくる」
「『孫家四羽烏』などと言われても、たかが知れているな…」

 と、言葉の途中で不意に黄蓋が口を止め。
 三人はお互いに示し合わせたように、身構える。
 視線は、扉の先。
 まもなく、扉が開く。

 張り詰めた空気とは裏腹に、入ってきた者の声は穏やかだった。

「なんじゃおぬしら。
 ええ若いもんが三人雁首そろえて」
「…程公か。
 気配をわざわざ消して近づくな。驚かせんでくれ」
「そんな真似は丁奉にでもやらせとけばよかろうに」
「いやあ、なんでわしだけのけ者なんじゃろうなあ、と考えとったら忍び足になってただけじゃよ」

 入ってきたのは、やはり髭を蓄えた男。
 孫家最古の宿将であり、魔器『鉄脊蛇矛』を扱う魔剣使い。
 名を、程普徳謀。
 彼はかか、と笑って。彼ら三人が座っていた卓に、椅子を持ってきて座る。

「しかし、茶か。
 伯符の坊主を思い出すのう」

 それは、彼ら三人が意図して出さなかった名前。
 呉郡の将軍、孫堅が長子、今は亡き孫策伯符。

「死ぬ前にもう一度。
 あの坊主が煎れた茶を飲みたいもんじゃのう…」

 彼が煎れた茶は、“あの”世界の守護者すら、うならせたという。
―――281年1月上旬
―――濮陽・政庁


「…これでよろしいのですか?」
「…」

 彼の前に立つ女は、こくり、と頷くだけ。
 他には何も喋らない。

 続けて口を開こうとして、戸惑う。
 別に、話をする内容を忘れたわけではない。
 ただ、疑問に思ったのだ。

 果たして、この者相手に口を聞くこと自体に意味があるのか、と。

「本当にいいのですか?
 あの五人は全員女。
 それも、うち四人は二十才にも満たぬという若さ。
 貴方の言葉を疑うわけではないが…とても一騎当千の猛将とは」
「……」

 何も彼女は言わない。 
 やはり、意味などないのだ。
 相手は会話をしようとは考えていない。
 互いの考えを理解しようという意志が介在していないだけではなく。
 そもそも、言葉を口にすること自体を避けているのだ。

 彼女と会ったのは、つい数週間前。
 赤い月が出ていた不思議な夜。

 部屋でただ彼女は、最近頭を痛めていた兵糧の問題についての解決法を口にした。

 何を言っているのかはわからなかった。
 だが、言われた場所に兵を差し向けただけで、大量の米が手に入ったのだ。
 そのおかげで、仲のこじれかけていた太守との間柄も修復できたし、頭の痛かった兵糧問題も一挙に解決した。

 正直、飛び上がって喜んでしまったと言っていいだろう。
 ただ、彼女の言うとおりにしただけで、すべてが良い方向に転んだのだ。

 だから、だ。
 その勢いで、大きな本の陰からこちらを見ている彼女に聞いてしまったのだ。

 もしや貴方は、この乱世を治める術を知っておられるのではないか、と。

 そう聞いたら、彼女は。
 頷いたのだ。

「…わかりました。
 とりあえず、関羽、張飛、趙雲、黄忠、そして馬超。
 そう名乗る女性を五名、確かにわが軍の将として雇いましたとだけ」
「…」

 何も言わない。
 こちらのやっていることなど、彼女はすべて見通しているのかもしれない。
 だから、言葉が返ってくることなど、期待はしていなかった。
「…彼女たちは、異界の乱世を統一した者達。必ず、力になる」
「…!」

 思いもしなかった言葉に、驚きから体を震わせ。
 同時に、喜びの震えも、走った。

 それは、新しい情報だった。
 彼女から得られる、数少ない、情報の断片の一つ。

 異界とはなんだ?
 いや、そんなことはどうでもいい。
 自分にできるのは、彼女の言葉を心に刻み、理解することだけ。

 乱世を治めるために。
 この、漢王朝が滅びんとし、どこの馬の骨とも知れぬ輩が太守を自称して跋扈しているこの乱世を。
 自分が、平定するために。

「…ありがとうございます」

 震え上がらんばかりの喜びを抑え、彼は一礼する。
 顔を上げたときには、すでに、女はいない。

 いや。
 後ろにいる。

 彼が―――劉岱公山が気づかないだけで、彼女は、いつの間にか、背後に移動している。
 何をしたのか。どうやって移動したのか。
 そんなことはわからない。

 だから。「理解できない」彼には、それ以上のことはわからない。
 「侵魔」とは何なのか。「魔法使い」とは何なのか。
 「世界結界」とは。「プラーナ」とは。「魔王」とは。「魔法」とは。
 いや、そもそも。「世界」とは何なのかも知らない彼には、何も理解できない。

 できるのは、ただ彼女の言葉通りに動くだけ。
 できるのは、彼女の指示に従うだけ。
 できるのは、掌で踊るだけ。

 そう。全ては。


「………この書物に書いてある通り………」



■■■

 かくして、中原と河北の混乱は深まる。
 混迷の中、立つは北海太守、孔融の軍。
 魔法使いが中核を成すかの軍が、果たして混乱を治める存在となるのか。
 結末は、未だ語られはしない。

■■■
まずは謝罪を。投下途中で規制をくらってしまいました。

とりあえず、第一話です。
第一部でメインとなる都市とその近辺を中心としてウィザード達を紹介しました。
今回の話では、ナイトウィザード関連のキャラクターは、既出の方々を除けば8人は出てきています。
名前やそれっぽい伏線が出てきただけの人も含めば、ではありますが。
わかりにくいという声があれば、メインの登場回ではっきりと言及させていただきます。
また、今回の武将を全員紹介するのは無理ですので、仲間になるか、やはりメインの登場回になったら前回みたいに紹介しようと思います。

それでは、また。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/22(日) 22:52:20 ID:dZO4efdT
お二人とも投下乙。

>>307
サフィーがますます主人公チックにw
その一方でいじられ役をほしいままにする銀之助くんだw
今は濃いメンツに囲まれてぱっとしない銀之助も、いつか輝くと信じてもう一度乙!


>>328
今回は大ボリューム!
情況も大分進みまして、あっちこっちでの張り巡らされる伏線にwktk。
でも仰るとおり、そろそろ人物の把握が難しくなってきました……。
NW系に限らず、それぞれどこの三国英傑かの人物まとめがいただけたら助かります。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 00:14:10 ID:px9di7Mn
ちょっと目を離した隙にえらい進んでて吹いたw
ここの職人、投下リズムが似てるのかな
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 00:52:39 ID:nAbE2Vcp
週末だったしね。
仕事等によっちゃ土日以外が休みの可能性もあるが、
今回投下してくれたお三方がたまたまみんな土日休みだったのかもね。
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 08:49:32 ID:DqmTyIr6
週末から携帯無くして見れなかったら三人も!
蝶・GJ!
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 14:12:15 ID:u/vLuJ2a
>>291
ソウヤは確か武装連金ゲーム版の主人公じゃなかったかな?
未来からやってきた誰かさんと誰かさんの息子で、蝶・センスな人に育てれられた戦士
武器はトライデントの武装連金
334名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 20:42:03 ID:6xotKcEk
ライブアライブ中世編とクロスして「魔王などどこにもいなかった…」な展開。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 20:45:01 ID:H9xbRMkp
>>334
柊がオディオになるのかwwww
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 20:47:17 ID:SlL9BIrx
現代、近未来、SF、カンフー、原始、幕末、西部枠からPCが召喚されるんですね
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 21:01:22 ID:mDeQ8Z4Y
現代=NW
近未来=N◎VA
SF=スターレジェンド
カンフー=扶桑武侠伝
原始=TORGのリビングランド
幕末=幕末霊異伝
西部枠=天羅WAR

全部F.E.A.Rは無理かー。
338名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 21:16:37 ID:nAbE2Vcp
全部TRPGでクロス構成してどーするw
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 22:01:12 ID:occySuwk
カオスフレアがあるじゃまいか

【馬鹿はスレタイが読めていない】
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/23(月) 22:19:11 ID:GVVDy/Vq
>>307
いつも楽しませて頂いております
いのり嬢の影の薄さはさすがです!
PCサブヒロインとして大変良いロールプレイだと感心してなりません、さすが天さん

>>328
HAHAHA、グッジョーーーーーwwwwwww
俺の魏延さんはホント、ツンデレカワイイぜ ! ! !
あと、曹操さん、ガンバレ・・・、ホントガンバレ ヽ(`Д´)ノ

・・・そういやルー、ベル、パールがそろうとぜってー喧嘩始めるよな、具体的にはちゃんさま
とりあえず孫策復活フラグがビンビンでたまらねーw
でも、キャラ増え過ぎててちと心配、楽しみにしているのでちゃんと完結させて頂けると嬉しいなー
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 06:22:52 ID:SH3lv+Yp
>>338 んじゃあ、これで。

現代=柊
近未来=サイバーパンク柊
SF=銀河皇帝柊32世
カンフー=カンフー柊
原始=原始柊
幕末=流浪人柊
西部枠=ガンマン柊
342名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 10:27:06 ID:8qbJ9c8F
>>341
それなんて柊蓮司が多すぎる?
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 20:23:01 ID:SKzn4etG
PC1
推奨クラス:勇者
コネクション:柊蓮司
君は、異世界のウィザードであり、勇者だ。かつて、この世界には一度だけ訪れたことがある。
オリジンと呼ばれる君の分身と共に戦うために。
その男が今、月匣に囚われたと言う。その月匣の名は『柊時空』
常に強い柊力の働くこの月匣で下がらずにいられるのは、柊力を宿す、異世界の柊たちのみ。
君は、戦わねばならない。君は“勇者”柊なのだから。

PC2
推奨クラス:陰陽師
コネクション:柊蓮司

君は、ごく普通の女子高生だった。…つい先頃まで
気がついたら、君はここにいた。訳の分からない化け物が徘徊し、歪みきった不思議な空間に。
その化け物に襲われて君は目覚めた。今の君は陰陽師、すなわち“巫女”柊である。

PC3
推奨クラス:落し子
コネクション:柊蓮司

気がついたら、君はここにいた。…あの忌まわしい格好で。
全てが終わったはずだ。もう、あの姿になることも無い。そう思っていただけに余計にショックだ。
わけのわからない状況に巻き込まれたようだが、それはもういい。どうせまた例の世界の絡みだろう。
君は再び戦うこととなった。白き悪魔の落し子“ウサミミ仮面”柊として。

PC4
推奨クラス:魔術師
コネクション:柊蓮司

君は1年生ながら魔法執行部の一員である優秀な魔法使いだ。
つい先ほどまでごく普通に生活していたはずの君は、この謎の世界に取り込まれた。
強い魔力を感じるが、君の知る魔法とは大きく隔たるこの世界で、君は追われている。
「“魔術師”柊を捕獲せよ!」と叫ぶ謎のモンスターたちに。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 20:33:34 ID:k5jxe/EI
実に色々なものが下がっていきそうな空間だなおいっ!
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 20:41:11 ID:f2az6zWX
いっそ古今東西柊と名のつくキャラを掻き集めちまえw
346名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 20:42:22 ID:MWMDE9UB
赤かぶ検事も混ぜるのか?
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 20:52:51 ID:SKzn4etG
>>345
俺の知ってる柊ってこれくらいだったんだよ。ちなみにPC番号が下がるほどマイナー…3と4だと4のが上か?
天下のジャンプだし。
348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 20:58:20 ID:qm37Culg
大丈夫!
何が下がっても、柊蓮司魂だけは下がらない!

…と思う。
多分、おそらく、推定で。

ところで、
横島、ランス、IZO、柊蓮司が、パーティーを組んで、女神を救うべく塔を攻略していく。
って、電波飛ばしたの誰ー?
349名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 21:10:42 ID:eeB/RDcV
>>348
柊が死ぬほど苦労しそうだからやめてあげなさいw
350名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 21:18:23 ID:hrLgGuMn
>>348
オリジナルドルアーガの塔、攻略方法のメモなしで。
351名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 21:19:20 ID:hrLgGuMn
>>343
柊レン
らき☆すた
マイメロ
エムゼロ

でOK?
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 21:25:01 ID:SKzn4etG
>>351
おk
353名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 22:39:27 ID:5PhTXqRa
つ姉ちゃ○としようよ
354名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/24(火) 23:24:19 ID:jkhWcdAO
つはぴねす:柊 杏璃
つ風の聖痕:柊 多一郎

こいつらも面白そうだ。
特に綾乃の後輩はマジで柊力を持ってそうだしな。
355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 00:06:26 ID:tRUMEYLs
>>348
横島とIZOも魂の双子だよな。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 00:16:33 ID:dLOhBr61
IZOって国見以蔵?
357名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 00:44:57 ID:LLjmw0Xv
>>355
横島と以蔵、もろにキャラが被ってるからなあ。


>>356
ブラストハンドの方が良かったかもしれん。
358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 01:16:33 ID:tRUMEYLs
>>357
ブラストハンドは沢山いるからなあw
359名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 06:16:28 ID:klzNao/7
>>354
「はわ柊くれはだよ!」
「柊エリスです」
「柊晶です。よろしく〜」
「子孫のキサラ柊です」
「HA-HAHAHAHA柊ヴィオレットデース!」
「ベール柊よ」

…最後ごろ悪いなw
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 10:18:20 ID:6RfgcOvI
統和機構の偉い人が運命の糸が絡み過ぎで困っています

        
361名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 10:59:40 ID:lHn57APy
>358
ここだけの話、なのはクロスでガジェットや傀儡兵がマスゲームで

≪ワレラ ノ ナ ハ フ” ラスト ハノト” ≫

というネタを考えている。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 12:39:54 ID:HsBpA1F7
>>359
この手の話題ではいつものことだが、ヴァルキリーすらいるのに三下が出ないことに全俺が泣いた
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 12:44:39 ID:IecOEciz
だって三下は時雨のジャン
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 18:30:27 ID:IErkPqD5
だって三下はフラグ一本もたってないし。
365まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/25(水) 18:58:30 ID:klzNao/7
7時から、投下します。
366まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/25(水) 19:00:39 ID:klzNao/7
飯波高校の文化祭は9月の終わりに行われる。
それは、留学生の2人にもまた、無関係ではない。特に不思議研に入ろうと言う変わり者ならばなおさら。

トンテントンカン…
手を止めること無く不思議研の部室に金づちの音が響き渡る。
秋の文化祭。静たちのいる不思議研はお化け屋敷をやることになった。
ただのお化け屋敷では無い。
監修三石姉妹&静=ヴァンスタイン、中の人担当要いのりと演劇部有志(何をどうやったのか春美が話をつけて来たらしい)
ガチで怖がらせる、超本格派。それが不思議研の今年の出し物だった。

そんなわけで、いのりと静はお化け屋敷の道具を作っていた。
「そう言えばさ、ロンギヌスの方はど〜なの?」
2人がこの街に来てからはや一ヶ月。飯波市での調査は、暗礁に乗り上げていた。あれからと言うもの、狼男も吸血鬼も現れていないのだ。
ふと思い出したいのりの問いかけに静は首を振って答えた。
「残念ながら、プラーナを抜かれてて、まだ目を覚まさないらしい。色々聞きたかったんだけどね」
行方不明になっていた調査隊は今、世界魔術協会の治療施設に搬送して治療している。
話によると、限界ぎりぎりまでプラーナを絞り出されていたため回復にはもう少しかかるらしい。
「そっか。それにしても…」
この1ヶ月、この世界に関わってきて感じた素直な感想を漏らす。
「この世界って、プラーナ強い人多くない?」
この前、静と一緒に行った病院でであった人のことを思い出す。
同じ病室で唯一喋れた、漆野と言う刑事。同じ病室で寝かされていた、きぐるみが枕もとに置かれた謎の外人。
2人とも強いプラーナを持っていた。もっとも謎の外人の方は限界までプラーナを抜かれていたため動くこともできなかったが。
「あたしたちがウィザードだって言っても驚いて無かったし…やっぱ世界結界が無いからかな?」
「ああ、それはあるかもしれないね」
静が頷いて今までに知り得たことを話す。
「ロンギヌスの調査だと、この世界にはウィザードこそいないけど、月匣を貫通する常識外の存在は結構ごろごろいるらしい」
「常識外のって言うと…サフィーちゃんや銀之介君みたいなの?」
「う〜ん。あの2人もそうだけど、他にも、色々といるらしいよ。常識を超える技をもってる人間とかね」
プラーナの豊富なこの世界には、ちらほらと雑魚エミュレイターが侵入していると言うのが、ロンギヌスの調査結果だった。
そしてその後の調査でこの世界の住人が密かに相当量のエミュレイターを倒していることも分かっていた。
サフィーのような吸血鬼や銀之介のような狼人間の手によると思われるものもいくつかある。だがそれ以上にその他のものの手によるものらしき報告も多かった。

曰く、地球外の技術で作られたパワードスーツを着た男が現れて場をひっかきまわしていった。
曰く、とある少女を襲ったエミュレイターの群れを忍者の少年が全滅させた。
曰く、ワニのきぐるみを着た少年がエミュレイターをあっという間に倒した。
曰く、イノセントの少年を襲ったエミュレイターが忍者刀の魔剣使いに一刀両断された。
曰く、この世界に逃げ込んだエミュレイターが急所にさんまがささって死んでいるのが見つかった…などなど
367まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/25(水) 19:03:44 ID:klzNao/7
「それに、ナイトメアの報告もあるしね…」
静が月衣から報告書を取り出す。
「ナイトメア…ってあのすっごく怪しい恰好のあれ?」
いのりの脳裏に、奇抜な格好の男が思い浮かぶ。夢使いの集まりに姉を迎えに来たことがあるのだ。
あのときは大変だった。反射的にファイアーワークスが暴走しかけて、危うく家が焼けるところだった。
「そ。下がる男や赤き巫女に並ぶ有名人。実はマユリさんの知り合いだったらしくてね。快く報告書を回してくれたよ。
こっちの事件解決にも役に立つだろうってね」
そして、報告書の内容をかいつまんでいのりに伝える。
「ナイトメアの関わった事件の首謀者は、魔王の1人、カミーユ・カイムン。
どうやらこの世界の豊富なプラーナを利用してエミュレイターを融合させた人狼の兵士を作ろうとしていたらしい。
まあ、それはナイトメアの手で解決したんだけど、事件解決の際にこの世界の人間2人の協力を得ている。しかも戦力的な意味で。
2人とも文字通り人間離れした実力の持ち主で、彼らの協力が無かったら、解決は不可能だったって報告しているよ」
「へえ〜」
2人とも魔王級エミュレイターとは戦ったが、本物の魔王と戦ったことは無い。
ウィザードでも、魔王と戦うなんてごく稀な特例を除けば一生に一度あるかないかなのだ。
その魔王と対等に渡り合ったのがこの世界の人間と聞き、いのりは目をまるくした。
「やっぱ世界って広いんだね」
まさかその2人がサフィーと銀之介の関係者だとは露ほども思わず、いのりが感嘆の声を上げる。
「そうだね。まあ、僕らも人ごとじゃあ無いんだけどね」
「へ?ど〜ゆ〜こと?」
いつもうさんくさ…もとい爽やかな笑顔の静が一転して真面目な顔になる。
「ああ、サフィーちゃんにはもう言ったんだけど、この事件、多分魔王が絡んでる」
「魔王って…マジで!?」
「あの人狼…銀之介君の叔父さんが言っていたことと、銀之介君が彼と戦った時のことを聞いていて気になったから調べてたんだけど…」
大声を上げるいのりに静はこの2週間の調査から出した結論を話した。
「銀之介君の叔父さんの瘴気を自在に操る能力。あれは、“落し子”の力だ」
落し子とは、ごく最近、現れるようになったウィザードのクラスである。
魔王と契約し、魂を売り渡して裏界の力を得たものたちの総称。
魔王のしもべとして、時に冥魔との戦いに協力し、時にウィザードの前に立ちはだかるクラスである。
「ってことはつまり…」
「うん。この事件の背後には、彼を落とし子にした、魔王が存在する」
ま、それが誰なのかまでは分からないけどねいつもの笑顔に戻って肩をすくめる静。
「魔王かあ〜」
いのりが溜息と共に漏らす。
「ま、そういうわけだから、しばらくはここを離れるわけにはいかない。いのり君も十分に気をつけて」
368名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 19:08:56 ID:7aMton02
>急所にさんまがささって死んでいるのが見つかった
死んだらちゃんと消えてろえみゅれーたーwww

支援
369まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/25(水) 19:09:30 ID:klzNao/7



一方その頃。
「魔王かあ〜」
同じころ、人の良さそうな青年がため息を吐き出す。
その、荒唐無稽な話に。
「らしいでしゅ」
話し終えた少女が、やっぱり溜息をついて答える。
青年の名は駒犬銀之介。少女の名は、サファイア。
狼人間と吸血鬼のコンビは、エミュレイターが発生していないか、街を見回りの最中であった。
前衛と後衛でコンビを組んでの見回り。静といのりが学校に行っている時間はサフィーと銀之介で担当なのだ。
「魔王って…やっぱりこの前の悪魔みたいな奴?」
「さあ?アタシもこれでも結構長生きしてましゅけど、流石に魔王を見たことはないでしゅ」
サフィーが肩をすくめる。
(魔王って言うのは、エミュレイターの住む世界、『裏界』を統べるエミュレイターの王の1人。貴族って言った方が近いかもね。
この世界に現れるのは本体では無く分身に過ぎないけど、それでもその力はエミュレイターと化したあの2人をも遙かに凌駕する、と考えておいてくれ)
それが、静がサフィーに教えたすべて。それ以上のことは、サフィーも知らない。
2人の脳裏に浮かんでいるのはめたらやったらごつい巨大な化け物。
ぶっちゃけ2人とも魔王なんてゲームの中の存在だった。
「本当にいるんだね。魔王って」
変なものや化け物とは会った経験はほとんど無い銀之介はまだ疑わしそうに言う。
「まあ、本物の魔法使いと化け物がいるんでしゅから、いてもおかしくは無いってことでしゅね」
鞭でビルをぶった切れる男だの人間そっくりのロボットだのこの手の怪しいものには耐性があるサフィーはすでにその事を受け入れていた。
「そう言うものなのかな…あ」
何気なくそちら側を見た銀之介が顔をしかめる。
サフィーとの話に夢中になっていて気がつかなかったがここは…
「どうしたんでしゅか?」
いきなり顔をしかめた銀之介にサフィーは不思議そうに尋ねる。
「やばいなー。近づかないようにしてたのに」
頭を掻いて呟く。
「ここ?ここって…学校じゃないでしゅか」
いつの間にか2人は飯波高校の近くまで来ていた。
「近づかないようにって…ああ、アンタ、正体ばれてましゅからね」
そう、銀之介は正体がばれている。半年前TVで大々的にその正体をさらしたために。
「でも、別に良いんじゃないでしゅか?アンタ、結構好かれてるみたいだし」
この3週間、一緒に行動するようになってサフィーは気づいていた。
目の前の青年は、この街では決して嫌われていない。
商店街でも人気者だし、時々出会う銀之介の知り合い(2年も暮らしていただけあって結構多い)も大体は好意的だ。
たま〜に顔を真っ青にして逃げ出すヤクザっぽい奴とかもいたが。
「そうじゃないんだ」
だが、銀之介の顔は浮かないままだ。
「そりゃ〜僕も驚いたさ。この街では、狼人間の僕が嫌われてないんだってね。でもね…あいつらはそ〜じゃなかった」
「あいつら?」
「そう…倉地香ファンクラブの人たちさ」
「ああ、あいつらってまだいたんでしゅか?」
倉地香ファンクラブと聞いて、そ〜言えば義弟がよく狙われてたなあと思いだすサフィー。
370まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/25(水) 19:12:11 ID:klzNao/7
「なんでまた?まさかアンタ…手を出したとか?あれに」
倉地に手を出した、そう誤解されていたのが義弟が狙われていた理由だったと聞いたことがある。
そう言えば目の前のはびみょ〜に似ている気がする。雰囲気とか。
「そんなわけ無いじゃないか!?」
それに銀之介は真っ赤になって反論したあと、再び溜息をついて言う。
「2年前に、見られちゃったんだ。僕の狼の姿。そんときに怖がられちゃって…それ以来ずっと狙われてるんだよ」
「ふ〜ん…あの女がそんなの気にするとも思えないでしゅけど」
銀之介の言葉にサフィーは首をかしげる。少なくとも自分の知っているあの女は、もっとずっとず太い神経の持ち主だ。
ある日突然吸血鬼になっても、速効で順応するくらいには。
「あ、でもそ〜言えば、静がそんなことを言ってたでしゅ。銀之介君はなんか怪しげな連中に狙われてるらしいとかどうとか」
サフィーの何気ない発言に、銀之介はビクリッと体を震わせる。
「…やっぱり?」
「確か言ってたでしゅ。いのりと2人でアンタのことを探してた時に、ファンクラブの連中が手配書を渡してきたらしいでしゅ。
ま、そのおかげで見つけられたんだから結果オーライでしゅけど」
「そっかあ…やっぱり嫌われてるんだなあ…ほとぼりが醒めてるなら唐子に付き合ってもいいかなって思ってたけど」
残念そうに銀之介がうめく。
(今度の日曜、飯波高で文化祭があるんだってさ!一緒にいこ〜よ!ほら、ここんとこずっと大変だったでしょ?)
いつもの元気満タンな笑顔で唐子に誘われていただけに余計に残念だと、銀之介は感じていた。
「つきあう?…ああ、そ〜言えば」
(今度の日曜日は文化祭で忙しいんだ。もし良かったら遊びに来るといいよ)
静がそんなことを言ってた気がする。いのりもいないし暇だから銀之介を誘っていくのも悪くないかと思っていたのだが。
「…いや、だいじょ〜ぶだと思うでしゅよ?アタシと一緒なら」
少し考えて、それに気づいたサフィー銀之介ににやりと笑って言った。
「いや、そりゃ〜サフィーちゃんなら負けないとは思うけど…流石に怪我させたりするのは」
銀之介が首を横に振る。目の前の女の子が実は滅茶苦茶強いことは知っている。
悪魔との戦いのときも最後にとどめをさしたのはサフィーだし、魔法を自在に操る能力も持っている。
狼男と並ぶホラー映画の代名詞は伊達じゃないのだ。
「それも、問題無いでしゅ」
「え?ど〜ゆ〜…」
サフィーの言いたいことが分からず、困惑して銀之介が聞き返した。
そのときだった。
「駒犬ぅぅぅぅぅぅ〜!!!!!!!!!!!!」
叫び声と共に何人かの生徒に取り囲まれる。全員男子だ。全員ナイフやらスタンガンやらすりこぎやらを持っている。
「我らの女神の敵!今こそ成敗してくれる!」
額にはくらと書かれた鉢巻き。そして、その眼は全員…いっちゃってた。
「だから嫌だったんだ。やばいよ変身するにしても…あれ?」
愚痴を言いながらゆで卵を取り出そうとして、銀之介は気づいた。
目の前のファンクラブの面々が、変だ。妙にぼうっとしていて目の前で手を振っても気づいていない。
「さ、行くでしゅよ」
それが当然であるようにサフィーは歩き出す。
「もしかしてこれ…サフィーちゃんが?」
気がついて、銀之介はサフィーに問う。それにサフィーはにやりと笑って答えた。
「月匣。ウィザードなら誰でもできることでしゅ」
かつて、眼鏡の魔法使いに言われた言葉を。
371まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/25(水) 19:12:51 ID:klzNao/7
今日はここまで。全部分かったあなたはかなりの阿智マニア。

>>307
大丈夫。奴は最後の最後でやる奴だ。

>>330
やっぱり休日は筆が進みますね。

>>340
一番総合的に影が薄くなってる気が…

>>362
逆に考えるんだ。三下大活躍の話を書けばいいと考えるんだ。
372名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 21:22:34 ID:HbNSO3fm
わはははは、全部解っちまったぜww
373名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 21:36:18 ID:Pj16pu56
この作品読んで理解したこと。
阿智作品ってキャラ立ちが凄いんだな。
開き直ってると言っても良いくらいの特徴だしまくりのキャラ設定。
端的な表現で誰かわかってしまうw

次回も楽しみだw
374名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 21:56:23 ID:+Vq6xFLV
>366
GJだッ!

さんまマジ吹いたwww
地球外パワードスーツと忍者少年とさんま暗殺者は分かったが他がわからねえ。
暫く新刊追ってなかったからなあ……つーか濃すぎる。
375名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 22:26:15 ID:nwpumPH3
こうして見ると阿智作品には
ニンニン忍者、陰マモ、忍具ムスメ(魔剣使いだけど)と、忍者が多いっすな
サンマ暗殺者はNW的には何だろう・・・魔剣使いだったらやだなw
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/25(水) 23:39:49 ID:8PxHQ7ep
だってあの作者忍者好きで有名だし。
377名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/26(木) 00:24:44 ID:6Iok3XJK
てっきりすぐ飽きるかと思ったら。
忍者もの続けているよな。忍者作家と呼ばれるのも近いかな。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/26(木) 01:15:12 ID:U0Rkgmfu
GJ! 随所に散りばめられた阿智ネタにニヤニヤしっぱなしでした。
あと、スレ住人の阿智認知度の高さにワロタw
おはようございます。
突然ですが投下させていただきます。
前回少し長くしたら規制を食らってしまったので、少し少なめの量を、ゆっくり投下させていただきます。
―――281年1月上旬
―――北海・政庁

「……それで、貴女は?」
「嫁じゃ」
「それは聞きました」
「まだ言ってないがな」
「貴女は言ってなくとも私は聞いたのです」

 王修は、そんな会話を聞いて。

 ―――ああ、これが劉備様がこっちに来たくなかった理由か。

 などと納得していた。

 ここは政庁の一室。
 王修が忙しい政務の間を縫って、どうにか都合をつけてきて見れば、二人の女性がにらみ合っていた。
 普段は笑みを浮かべて泰然としている劉備の口元が、微妙に引きつっているのは気のせいではないだろう。
 二人の女性からやや離れた場所には、その劉備と孔融、そして北郷一刀と呂布がいた。

「しかし、傍から見てるだけだと気が楽だなあ」
「……?何?」
「いや、いつも当事者だったもんだからさ」
「…ん」

 呂布は何か納得したように頷き、一刀に頭を撫で回されるままになっている。
 表情は変わらないので、うっとおしがっているのか、それとも喜んでいるのかはわからない。
 獣として解釈するのであれば。十分満足しているようにも見えた。

 ちなみに、呂布は一刀の膝の上に座っている。背中から腰まで、ぴったりと密着している状態だ。
 それにしても彼―――北郷一刀は、どうして、あんなに女性と近づいて平然としていられるのか。
 一度は聞いてみたいものだ。

 で。一方、孔融と劉備はと言えば。

「やはり女絡みとなると、お前さんも形無しかの」
「…まったくなあ。なんでこんな状況になったんだか」

「お前が言うな」「玄徳様が言わないでください」

「こいつは失礼」

 言って劉備は、軽く額を叩き、舌を出す。
 子供じみた行為に、呆れたように彼の二人の夫人は目を細めた。

 そう、夫人だ。
 片や、江南の覇、孫家が息女、孫夫人。
 片や、徐州の豪商、麋家が令嬢、麋夫人。

 二人とも、劉備玄徳の妻であった。
「で、そろそろ作戦会議を始めたいんだが。
 せっかく王修まで来てくれたんだしな」
「あたしは構わんが、こいつはどう思うかわからんぞ」
「…私も始めていただいて構いません」

 その言葉を引き出したのは、果たして先ほどの劉備が行った子供のような行為のおかげなのか。
 もしそうだとしたら、やはり彼は、自分などが及びもつかない高みにいるのだろう。

 せいぜい、王修にわかったことと言えば。

 ―――僕には、奥さんを二人持つなんてことは無理だな。

 その程度のことであった。
 とまれ、以前の彼であったら、妻を娶る、などということすら考えもしなかったろうが。



■■■



 第二話「初動と布石」



■■■
―――281年1月上旬
―――北海・政庁

「…で。
 魔王討伐に関して、孔融殿は全力で支援してくれると、そういうことで構わないんだな?」
「うむ。
 その代わり、こちらも見返りとして劉備殿たちにも、政務や軍務をやってもらう。
 何せ、ここは人手が少なくてのう…政務も軍務も王修に任せてばかりでの。
 武安国が戦闘訓練以外もまともに働ければどうにかなるんじゃが…そうもいかん」

 武安国は、北海の武将である。
 彼と王修だけしか、北海には武将がいない。
 そして。
 ここに呼ばれていないことからもわかるように―――彼は、ウィザードではないのである。

「荊州のオッサンたちあたりが聞いたら、怒りそうな言葉だな」
「何を言うか。
 あそこは周辺もそこまで強力な勢力はなかろうが。
 こっちは、北は黄巾と公孫度、西には陶謙殿がいるのだぞ?
 陶謙殿との同盟が崩れれば、正直いつ滅ぼされてもおかしくはない」
「違いない」

 言って、劉備は地図を広げた。



■■■
                     ↑公孫度軍

  平原(張角軍)        河海海海海海
            河河河河河海海海海海海海
         河河河河              海
河河   河河河河  臨シ港      東來港 海
 河河河河                海海海海海
             北海(孔融軍) 海
                       海
           東武港 海海海海海
                海
   下ヒ(陶謙軍)    海
             海海


■■■
「とはいえ、陶謙殿の動きは、不穏なんじゃないか?」
「…うむ。
 というかはっきり言えば今にも宣戦布告されそうな勢いじゃ。
 あそこまでいきなり態度を豹変されると、やはり、の」
「どう考えても魔王絡み…ってのは言いすぎかもしれんが。
 どこの都市も今は同じような状況だ…どうにかならんもんかな」

 やはり、劉備が口にするのはとぼけた言葉。
 それに、冷たい視線が彼の妻たちから注がれた。

「魔王が関わっとるから猶予がないと言ったのはお前じゃろうが」
「…玄徳様。
 私共は慣れておりますが、時間がありません。お早く」
「だよな。
 なら…本題に入るとするか」

 劉備が最初に視線を向けたのは、孔融だった。

「結局のところ、中核を成す武将たちがエミュレイターに敗れた陶謙軍に、この北海を渡すわけにもいかん。
 孔融殿も、陶謙殿が盟友とはいえ、むざむざこの北海を渡すつもりはないだろう?」
「一応、わしも北海太守を任じられた身じゃからな」
「そいつを聞いて安心した。
 陶謙軍や、周囲の軍からこの北海を守る必要があるんでな。
 太守様が北海を明け渡しちまったんじゃ、意味がない」

 言って、劉備は地図の中、臨シ、東來、東武の三つの港を指でさした。

「さて…まずは、この三つの港に配属しているそれぞれ三千、計九千の兵を北海に集結させるべきだな」
「港は守りにくいから、ということでしょうか」
「そんなところだ。
 そもそも、港を守るところまで兵力に余裕もない」

 劉備は王修の言葉にそう答え、さらに続ける。

「北海の兵力は一万と九千。港の兵を合わせても二万と八千だ。
 参考までに、陶謙殿のところには、下ヒだけで三万四千の兵がいる。
 戦は兵の数だけで決まるのみにあらず、とはいえ…周囲の都市の中で最も兵数が少ないというのはいかんともしがたいわな。
 中華を統一しようと、いろんな野郎が考えてる状況だ。
 大方、周囲のどこの軍も、まずは北海を狙ってくるだろう…な」
「嬉しくない話じゃのう…」
「それで?」

 頭を抱えた孔融の言葉を断ち切るように。
 孫尚香が、胡乱な目を劉備に向ける。
 対して彼女の夫は、とぼけた様子で、妻の一人に視線を返す。

「何が?」
「勝算があるんじゃろうが」
「そうでなければ、玄徳様が動くわけがないとは思います」
「…そういきり立つなよ」

 笑みを絶やさず。
 だが、二人の妻からのうさんくさげな視線もまた、途切れなかった。
「実際のところ。
 張角軍と陶謙軍が同時にこっちに向かって進軍してくれば占めたものだが…な。
 上手く同士討ちさせれば、それで随分と両方の兵力は削れる」
「同士討ちしなかった場合はどうなる」
「別に俺たちだけが、複数の敵を相手にしているわけじゃない。
 北海を落とせるだけの兵力を動かせば、張角や陶謙殿の都市に隣接している軍が黙っちゃいない。
 その上、幸いなことに」

 と、そこで劉備は王修に視線を向けた。

「この軍には、『井蘭』を扱え、弩兵の指揮に長けた将がいる。
 さらには、おあつらえ向きに、陣代わりに使える港まであるときた。
 隙をついて都市を落とすのも、難しいことじゃない」
「…しかし。
 そもそも、陶謙様の軍を攻めるのがいつの間にか前提になっているような気がするのですが」

 渋い顔で、王修は答える。
 そう。この作戦会議そのものが、エミュレイターに対するものではなく、陶謙軍や、張角軍に対するものなのだ。

「王修。この状況ならば、陶謙軍は間違いなく攻めてくる。
 それはわかるな?」
「…は」
「戦に勝つには、数手どころか、数十年先を読まねばならん。それも、最悪の状況を想定してな。
 この状況下で最悪なことってのは、北海が他の軍の手に渡ることだと思うんだが…な」
「…異論はございません。
 ですが、そのために陶謙殿の軍を攻める、というのは…納得は致しかねます」
「守りの後、攻めに転じなければ状況は大抵悪化するが…な。
 それに…城を落としても俺たちが都市を支配するわけじゃない。
 陶謙軍からエミュレイターを追い払えば、その後は孔融殿に任せることになる。
 陶謙殿と話合い、これから手を取り合っていくもよし。
 あるいは、戦力を併合してしまうもよし…だ。
 どちらにせよ。
 攻めてくるのは、大半がまともな兵じゃない…」
「エミュレイターか、あるいはそれに操られた兵、ということですか?」
「…そんな気がする」

 本気か冗談か。
 頬を掻いている劉備の表情からは、王修は何も読み取れなかった。

「…それに、恐縮ながら。
 攻城戦が楽に進む、というのはむしろ楽観に過ぎるのではないかと愚考致します」
「お前さんを信頼してるのさ。
 今回の戦…お前さんがいなけりゃどうにもならん」

 それは、かなり直接的な賞賛であった。
 が。
 王修は、むしろ、どこか不安げな様子で劉備に視線を向ける。

「何かいやな予感がするんですが」
「気のせいさ」

 素の表情が若干混じった言葉を、劉備は受け流し、ぽん、と手を打った。
「さて、こっからは実際に俺たちがどう動くかだ。
 まずは、孔融殿。
 武安国と、あんた自身の手で、三つの港にいる兵を北海に移動してほしい」
「なんでわしらなんじゃ?」
「単純なことさ。
 新参者の俺等じゃ、兵が従ってはくれんだろ」
「そうでもないとおもうんじゃがな」

 何か言いたげではあるが、孔融はそれ以上は何も言わない。
 それを承諾ととったのか、さらに劉備は自分の妻の一人に目を向ける。

「麋には北海とその周辺の人材の探索をやってもらう」
「…わかりました。
 私にできることは、その程度でしょう」

 卑屈な言葉に、劉備は何も言わない。
 ただ、笑みがその意味合いを変えただけだ。

「で…だ」

 劉備が、次に目を向けたのは。

「……………ぐー」
「……………すぅ」
「…この二人は、別のことをやってもらうことにして。
 とりあえず孫には、武安国殿と一緒に軍の訓練と、徴兵をやってもらう」

 端の方で、三国無双な少女と、かつて天の御使いとして中華を統一した少年は、夢の中にいた。
 その一方で、指示を出された孫尚香は、劉備に問う。 

「そこの二人に、お前と王修は何をするつもりじゃ。
 四人揃ってサボるつもりか」

 そう。
 劉備の考えが、先ほどの言葉で全てであるならば。
 将とは呼べない一刀と呂布はともかく、劉備と王修は、少しでも兵と国力の増強をするために、彼女らと行動を共にすべきである。
 が、そうはしない。
 つまり。劉備には、もう一つ策がある。
 見抜いたのは、付き合いの長さか。
 あるいは、孫という武将の、戦略眼か。

 問われた劉備の答えは。

「少しばかり、遠出するのさ。
 ま…保証だ。
 勝つ可能性を少しでも上げるための…な」

 不敵な、笑みだった。



■■■
―――281年1月上旬
―――長沙・武将用住居

 所は変わって、舞台は北海よりはるか南の荊州。
 武将たちが住まう住居。その中の一つの部屋の扉を叩く老将がいた。

「お嬢ちゃん、いるかのー?」

 ぱたぱた、という足音とともに、返ってきたのは元気な声。

「はーい!どなたですかー…って黄忠様!
 どうしたんですか?」
「いやな、魏延はどこいっとるんじゃ?
 そろそろ給料どころか爵位まで下げられそうな勢いでうちの殿が怒ってるんじゃよ」
「うーん…えっと。
 黄忠様のお察しの通りじゃないかなー、と。
 実は、お隣の石月英さんも、数日前にいなくなっちゃいまして。
 私もよく知らないんですけど」
「…お隣ってなんじゃ。
 あの言葉遣いの無茶苦茶なお嬢ちゃんがいるのは魏延のとこじゃろがい。
 なんじゃ、一緒に駆け落ちした相手のこともろくすっぽ知らんのか」
「…駆け落ちって言っても、魏延くんの方はそんな記憶なくなってますし。
 そもそも、一旦そういう関係になった後で、若返りって言葉につられて関係解消しちゃったのも私ですしねー…。
 ほんと、未熟でしたよ。
 まさか魏延くんだけ記憶消されるとか、そんなオチが待ってるとは思いませんでした…ふ、ふふふ。
 元々魏延くんがもてるくせに鈍感なのは知ってたけど、あれが実は千載一隅のチャンスってやつだったんだろうなーって今更気づいてもおそいですよねー」

 あ、地雷踏んだ。老人がそう思ったときにはすでに遅い。
 元気爛漫だった瞳は徐々に暗いものになっていき。
 その言葉はまるで愚痴のよう。
 老将は困ったともいえず、場を取繕おうとどうにか言葉を搾り出す。

「む、うむ、そういえば数万年前に飛ばされたとかなんとか…」
「そそ、石月兵が造れなきゃ、多分そのまま死んじゃってましたよ。
 魏延くんの妻を自称して、腹いせに魏延くんの名前を歴史に残してやろうとも思いましたし。
 超技術で魏延くんとの子供捏造するか、実は妊娠してました!とか」

 どう考えても話はそれない。
 むしろ確信にまっしぐら。
 困り困った漢升さんにできることは、ありきたりの慰めの声をかけるだけ。

「ま、まあ、人生いろいろあるわい」
「黄忠さんが言うと、説得力ありますよねー」
「…その、なんじゃ。
 よく噂に聞く幼馴染っぽい巫女服の魔王やら、年下の健気な魔王やら、どこぞの大年増な世界の守護者やらに負けたらいかんぞ?
 じゃ、なくてじゃな。その…だから、じゃの、ワシは応援しとるから」
「魏延くんには、そんなつもりはないんでしょうけどねー。
 彼の鈍感っぷりというか清清しいまでの女性関係に対する態度は、何かが下がってるとしか思えないです」
「…くらいのー。なんか性格が違わんか…?」

 どんよりと虚空を睨む、実は見た目どおりの年齢ではない魔剣使いの少女と。
 見た目どおりに年を食った老黄忠。
 二人の優秀なウィザードは、今はここにいない、魔剣使いの武将に思いを馳せるのであった。
387名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/26(木) 04:46:50 ID:rK01zhlK
支援
 投下終了です。

 キャラが違うなんてTRPGではよくあるこ…ごめんなさい。私の力量不足です。
 しかし爺が多いですね!
 魏延くんって語呂が悪いですね!
 あと星を継がない者を聞いていないと、後半の話は何のことだかさっぱりわかんないですね!!

 と、いうわけで次回はわりと時間が飛んだり飛ばなかったり。
 苦肉の策で載せた地図ですが、内容はご理解いただけたでしょうか?

 ついでに今回は、孔融軍…もとい、ウィザード連合軍の武将一覧を出しておきます。
 地図もそうですが、やはりこういうとき、画像をそのまま載せたいと思いますね。

 能力値は左から、統率・武力・知力・政治となっております。

【孔融】 身分:君主 能力:23/7/69/64 兵法:罵声
【王修】 身分:軍師 能力:42/65/72/77 兵法:斉射/井蘭/心攻
【武安国】身分:一般 能力:51/75/8/17 兵法:突破

 以下は新武将です。

【劉備】 身分:一般 能力:76/74/73/75 兵法:奮戦/斉射/蒙衝/心攻
【孫尚香】身分:一般 能力:56/77/41/19 兵法:奮戦/蒙衝/罵声
【麋夫人】身分:一般 能力:3/5/75/24 兵法:造営/鼓舞
【北郷一刀】身分:一般 能力:42/9/26/32 兵法:造営/鼓舞
【呂布】  身分:一般 能力:21/99/9/4 兵法:突破

【参考】
 孔融・武安国:三国志9
 劉備・麋夫人・孫尚香:三国志大戦(原画:川原正敏)
 北郷一刀・呂布:恋姫†無…ではなく、恋姫†夢想
 王修:…言う必要はないですよね?

 こんなところでどうでしょうか。
 不評でなければ、少しずつこういった情報は出していこうかと思っています。
 ちなみに、相変わらず三国志ファンや外史ファン、ナイトウィザードファンからのツッコミ待ちです。
 では、また。
 あ、追記は三国志9をやったことがある人しかわからないので、その他の方はスルーしてください。

【追記】石月兵は、抜擢武将の名前です。こうでもしないと…女性キャラがッ…出せない…ッ!
389名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/26(木) 11:18:19 ID:et2pZSTg
三国のひと、乙っしたっ!

ふと思い出したけど、ひぐらしとクロスさせようぜって話はどうなったっけ?
繰り返される昭和58年6月に柊を放り込むとかいう話になってた気がするけど。

しかし、ひぐらしのキャラはNWよりも真・女神転生200Xで表現したほうがやりやすい気もするんだよなぁ…w
390名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/26(木) 13:54:57 ID:UhUhQ9EO
三国志の方、乙であります!

いやはや、群像劇っぽくなってきていい感じですね
まあ、登場人物が多い以上、当然の成り行きなのかもしれませんが

ふふふ、俺の魏延さんは相変わらず鬼畜だぜ!
でもGにちょっと傾きかけたのは秘密だ!
391名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/26(木) 20:37:39 ID:fJmF+S7j
医者って技術職なんですけど。
お勉強しかできない低能はいらないよ。
392名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/26(木) 20:49:46 ID:+C07Ns+Q
>>391…落ち着けっ…!
こんなところに誤爆してどうするっ…!!

つまりはブラックジャックとのクロスということですね!
【馬鹿は無茶を言い出した】
393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/26(木) 23:06:36 ID:giUJy2jE
神のメスさばきで「世界結界に対する病巣」であるエミュレイターを駆逐するのか。
394名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/26(木) 23:10:14 ID:acb1rBj4
それもうメフィストじゃないか
395名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/27(金) 05:18:47 ID:YEg40wJl
ここはウィザードらしく能力者がいる超執刀カドゥケウスだろう
396名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/27(金) 09:51:20 ID:4v9yNtbv
ゴッドハンド輝だろ。パァーッ!
397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/27(金) 12:08:21 ID:UuP+ZW9t
>393
それ、スフレで既出。
398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/27(金) 12:29:35 ID:Ufb9NFEl
ここナイトウィザードのクロススレなんだから
「カオスフレアで既出のネタだから×」って事もないでしょ。

あと、・・・どのキャラだったっけそのネタ?
お医者のパーソナリティが思い付かない。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/27(金) 17:54:49 ID:Bcf4ObBX
阿智クロスさん乙!
…血、コスモス荘まで読んだものの阿智を離れ、月を繋がりがあると聞いて読んだだけの俺にはキツい…
プラーナが多いから当たらないのではなく、常識から外れてるから当たっている気がするひとがちらほらw

>>389
祭をやったらトリックが成立しないことに気付き中止にしましたとうふふ…
400名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/27(金) 21:21:49 ID:al/15V9h
ひぐらしが駄目ならEver17でやればいいじゃないか!
…と思ったけど、ネタばれ禁止のゲームだしなあ
つぐみのクラスは○○○でぴったりだし、武の漢っぷりはもはやPC1としか言いようがないんだが
401名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/27(金) 22:11:31 ID:X3aDmsdL
魔王スレを読んで思った。姉様が主人公のあれ、演出とか昔のシリアスだった頃のNWで再現できそうだと。
402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/27(金) 22:27:51 ID:vUNovVRy
アルシャードガイアでできそうじゃね? ってネタは既に出てたな…………地下で。
アレはある意味ナイトウィザードのジャンル分け後継だし、
ちょっとシリアスな味付けのナイトウィザードでも行けるだろうなー。
……セミ18禁展開を希望だーッ!
403まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/28(土) 07:14:14 ID:tNtypU4H
7時半から投下。
404まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/28(土) 07:30:03 ID:tNtypU4H
日曜日。
飯波高校には活気が満ちていた。
「は〜い1年2組ではメイド喫茶をやってま〜す。お待ちしてますご主人様〜」
「はい!焼そば3つ!紅ショウガと青のりはセルフなんで好きなだけどうぞ〜」
「3Pシュート,1発で決められたら豪華景品!さ、お兄さん彼女にカッコいいとこみせなよ」
「文芸部の同人誌、1冊300円です。誰か買ってってくださ〜い。売れないと部費が〜」
「さあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!本日の飯波タイムス文化祭特別増刊号は
 『嘘か本当か?オカルト特集第4弾。怪奇!探偵を名乗る喋る犬!?』三石春美記者の取材だよ!」
「貴様ッ!?駒犬…あれ?どこいった?」
文化部、運動部、各クラスが様々な出し物をあちこちでやっている。
文化祭は今、まさに最高の盛り上がりを見せていた。

「ほらほら銀之介君こっちこっち!」
唐子が銀之介の腕を引っ張る。
「そんなに急がなくても文化祭は夜までずっと続くんだから…」
「ダメダメ!そんな疲れたこと言っちゃ。こ〜ゆ〜ときは目いっぱい色々まわって、目いっぱい楽しまなきゃ!」
元来お祭り好きな唐子はいつもよりも生き生きとしている。
そんな様子を楽しげに眺めながら、銀之介はしみじみと幸せを感じていた。
「う〜ん。まさかまたこの学校に来れるなんてなあ…」
銀之介たちは、飯波高校の文化祭へと来ていた。
本当ならば色々と危険な飯波高校に近づくこともできなかった銀之介。
それが可能になったのは…
「それもこれもサフィーちゃんのおかげだよ。ありがとう」
銀之介は傍らでクレープをかじる少女に礼を言う。
そう、サフィーのおかげで銀之介は普通に飯波高校を歩けていた。
「別に気にしなくていいでしゅ。どうせ全部銀之介のおごりでしゅし」
「…ははは。分かってるよ」
たらーりと汗を流しながら、銀之介は財布の中身がどれくらい入ってたかを考えていた。
サフィーにおごる代わりにアレな人に襲われたら助ける。
そういう約束で銀之介とサフィーは行動を共にしていた。
「女の子に用心棒を頼むのもちょっとど〜かと思ったけど」
変身していればいざ知らず、普段のままだったらぶっちぎりでサフィーのが強い。魔法抜きでも銀之介では勝てないだろう。
それにサフィーは銀之介には無い特殊な能力がある。普通の人間を無力化する結界、月匣。
それを自在に作り出すことができるのだ。
「気にしない気にしない。おかげで銀之介君もどうどうと文化祭見れるわけだし」
唐子があっけらかんと笑う。唐子も実は言ってはみたもののちょこっとだけ諦めていた。
最近よく来るようになったいのりと静から話を聞く限り、ファンクラブの面々はまだまだ銀之介を狙っているらしい。
いつ後ろから刺されるか分かったもんじゃないんじゃ、おちおち外も歩けない。
「サフィーちゃん、ほんと〜にありがとね。今日はどんどんおごっちゃうから、どんどん言ってね!」
「そうさせてもらうでしゅ」
「いやあの…おごるの僕なんだけどね」
女の子パワーに気圧されながら、銀之介が呟いた言葉は華麗に無視された。
「さ、そ〜と決まったらどんどん行くよ〜。文化祭は待ってくれないんだから!」
元気100%で唐子が再び歩き出す。ごく自然に銀之介の手を取って。
「いたた…だからそんなにひっぱたら痛いよ〜」
銀之介が情けない悲鳴をあげた。
その様子を見ていたサフィーがぽつりと言った。
「こりゃ…将来尻に敷かれましゅね、絶対」
妹夫婦を思い出しながら、確信を込めて。

その後も色々回った。3人で焼きそばを食べたり映画研究会の映画で思わず寝てしまったり、3年生の出し物でうっかり三石ちゃんと出会って捕まったり、
写真部に狼人間の姿を撮らせてくれと頼まれて丁重にお断りしたり、倉地ファンクラブからあわてて逃げたりした。
405まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/28(土) 07:33:16 ID:tNtypU4H


「あ、これ!」
その看板を見て、唐子が大声をあげる。
「何?どうしたの」
「うん、これ!ちょっと見てきていい?」
不思議そうに尋ねる銀之介に唐子がその看板を指さす。その看板にはこう書かれていた。

『山岳部採取 秋の味覚市』

「これこれ!なんか新メニューのヒントになるものを探してきてくれってお父さんに頼まれてたんだ」
「あ〜…唐子のお父さんって、新メニュー作るの大好きだからな」
心持ちげんなりして銀之介が言う。この街にいた頃、よく新メニューの実験だ…試食役をやっていたのだ。
当たりの確率およそ2割。辛い記憶がちょっとだけ蘇った。
「ね?いいかな?」
唐子が銀之介に確認する。今、新メニューができたら実験台は多分銀之介なのだが、そこで断れるほど銀之介は鬼ではなかった。
「ま、まあそ〜ゆ〜ことならしょうがないな。サフィーちゃんもい…サフィーちゃん?」
ひきつった笑顔で同意をして、サフィーにも確認しようとして、2人は気づいた。
サフィーが口元を抑えて顔をいつもより余計に真っ青にしている。ついさっきまで元気だったのに。
「だ、大丈夫サフィーちゃん!?」
「だ、だいじょうぶでじゅ」
心配して聞く唐子にサフィーが何故か鼻声で答える。
「あだじはトイレいっでくるでじゅ。2人ばごごを見てていいでじゅ」
鼻声のまま、それだけ言うと、サフィーは2人を教室に押し込むと向こうへと走って行ってしまう。
「…サフィーちゃん、大丈夫かな?」
唐子が心配そうにサフィーの走って行った方を見て、言う。
「…大きい方かな?」
その走りっぷりにふと思いついて呟いた銀之介に、唐子が突っ込みを入れる。
「も〜、女の子にそんなこと言っちゃダメでしょ!?」
何はともあれ、トイレについて行くわけにもいかないので、2人は秋の味覚市を見ることにした。

秋の味覚市では山岳部がその手で集めてきたと言う山の幸がところせましと並んでいた。
「すごいね〜」
唐子が目を丸くしたのも無理は無い。ブドウ、銀杏、アケビ、秋の山菜、各種キノコ…まさに秋の味覚が勢ぞろい。
部屋の端では朝方まで秋の味覚収集に駆けずりまわった山岳部が、やり遂げた男の顔で倒れている。
文字通りの山岳部の血と汗と涙の結晶だった。
「う〜ん、本当にすごいな」
ぼたん肉やら松茸まで揃っているのを見て、銀之介が苦笑する。
「これなら、お父さんへのお土産もばっちりだよ!」
唐子が嬉しそうにあれこれと吟味を始める。
銀之介も一緒になってあれこれと見て回る。と言っても、精々肉がおいしそうだな〜くらいしか分からなかったが。
「あ、これなんてどうかな!?」
唐子が銀之介を引きよせる。銀之介の鼻に女の子の甘い香りが飛び込んできた。
「うわっち!?」
思わず顔を真っ赤にして銀之介は飛びのいた。いきなりでびっくりしたのだ。
「ん?銀之介君、ど〜したの…あ」
唐子もいつの間にやらぴったり一緒にいたのに気がついたらしい。みるみるうちに顔が真っ赤になる。
「あ、あはは…こ〜ゆ〜のはまずいかなほらサフィーちゃんも一緒だし」
「そ、そ〜だなあんな小さい子にこ〜ゆ〜の見せたらきょ〜いくに」
照れ笑いしながら2人は同時に後ろを見て、気づいた。そう言えばサフィーは一緒じゃないってことに。
406まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/28(土) 07:37:25 ID:tNtypU4H
(あ、そう言えばさっきサフィーちゃんおトイレに行ったんだよね。ってことは…)
(そ〜言えばサフィーちゃん戻ってこないな。あれ?てことは…)
((2人きり…?))
お互いの顔が更に真っ赤になった。
「あ、その、さ、サフィーちゃん遅いね!」
「そ、そうだね!や、やっぱり大きい」
「それはもういいの!」
2人であちこちに出かけるなんていつものことなのに、意識したせいかお互いが素敵にぎくしゃくする。
男と女の深い耳の穴については、2人ともまったくの無知だった。
2人の間に沈黙が訪れる。
「え、えっと…その…サフィーちゃん、遅いね」
「そ、そうだね」
再び沈黙。会話が続かない。
「えっと…」
「あの…」
それでも何とか2人して会話を続けようとしていた、そのときだった。

ピピピピピピピ…

「「のわあ!?」」
いきなり鳴りだした着信音に2人して驚く。
「えっと、あれ、これど〜やるんだろ?」
慌てて銀之介が懐から取り出す。この前、静から渡されたそれを。
「あれ?それ、携帯電話」
「うん。この前貰ったんだ。なんかファーなんとか製とか言ってたけど、え〜と、これどうやるんだ?」
渡されたのはいいものの、携帯電話なんて持っていなかった銀之介が操作が分からず困惑する。
「あ、これじゃない?その電話のマーク、通話って書いてある」
「ああ、本当だ。これかな?」
ピッ、と銀之介がそのボタンを押すと、着信音が鳴りやむ。
「え〜と、もしもし…ああ、サフィーちゃん」
電話の主は、サフィーだった。
「分かった。すぐ行くよ」
電話を終えて、銀之介が唐子に向きなおる。
「サフィーちゃんからだった。今は別の場所にいるからそっちに来てだって」
唐子に電話の内容を伝えながら、銀之介は首をかしげた。
「でも、サフィーちゃん、あんなところに何しに行ったんだろう?」
407まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/28(土) 07:41:05 ID:tNtypU4H


郷土史研究部の出し物は「飯波市のお土産販売」だ。
民芸品から食べ物の類まで様々な飯波市の特産物が並んでいる。
郷土と密着した、飯波市ならではのお土産。
…ぶっちゃけ来場者の99%は飯波市に住んでる人たちな文化祭で売れるわけもなく。
郷土史研究部の出し物は、閑古鳥が鳴いていた。
そんなわけで1人だけ残った店番は、珍しくやってきたお客に愛想よく接していた。
「はい。どうぞお嬢ちゃん。ちょっとおまけしておいたよ。500円ね」
やって来たのは、外国人の小さな女の子だった。ふわふわの赤毛がとてもきれいだ。
その少女が買ったのは小さな女の子が買うのはちょっぴり変かな?と思わないでもなかったが、
きっと異文化交流ってやつなんだろうと、店番は納得していた。
「ありがとでしゅ。お兄ちゃん」
女の子は小さな財布から取り出した500円玉を渡し、白いビニール袋を代わりに受け取る。
「…これならきっと…」
しげしげとそれを見て、にやりと笑ってサフィーが呟く。
「あ、いたよ銀之介君!」
「お、本当だ。お〜いサフィーちゃ〜ん」
後ろから唐子と銀之介の声。サフィーが思っていたよりも早く来たのを察し、サフィーが振り向く。
「ああ、銀之介に唐子。はやかったでしゅね」
振り向いたとき、サフィーの笑顔からはすでに邪気が消えていた。
「えっと、うん。その…なんてゆ〜か…なあ」
「うん。サフィーちゃんほっとくのもな〜ってね」
2人して照れくさくて会話が続かないのでさっさと迎えに来ましたとも言えず、2人が言葉を濁す。
「そ、それより、サフィーちゃんはここで何してたの?」
とっさに話題を変えようとして、銀之介がサフィーにたずねる。それにサフィーはちょっとだけ考えて、にこやかに答えた。
「…お世話になった人に、ちょっとしたプレゼントを買ってたでしゅ」
「プレゼント?」
そう聞いて銀之介は辺りを見まわす。
「う〜ん…ここで?」
置きものとか、漬物だとか味噌だとかローカルな感じのお菓子とか。あんまし贈っても喜ばれそうもないよ〜な気がする。
「そうでしゅ。欲しかったものが売ってたのはここだけだったでしゅから」
だが、そう答えるサフィーに迷いは感じられなかった。
「そ〜だ!銀之介君も何かお土産送ってあげたら?」
一緒になって色々と見ていた唐子がぽんと手を叩いて言う。
「え?誰に?」
「ほら、銀之介君のお父さんとお母さん!今、アメリカにいるんでしょ?」
「…ああ、そう言えばそっか」
銀之介もポンと手を叩いた。
「あんときは父さんと母さん2人きりで旅行行っちゃって1人で留守番してたからな。すっかり忘れてた」
そう言えばこの前、銀之介の父、銀一郎から手紙が来た。
なんか旅行先で素晴らしい友人ができたとか、詳しくは約束があって言えないけどすごい経験をしたとか書いてあった。
「まあ、すごい経験ってのは僕もなんだけど」
ほんの少し前まではまったく想像もしていなかった。今の自分の状況を。
本物の魔法使いと知り合ったり、悪魔と戦ったり、果ては魔王を敵に回したり…
「…信じてもらえないよなあ」
こんなとてつもない経験をしてるのは自分とサフィーくらいだろう。そう結論した銀之介が苦笑する。
「そう言えば、母さんが日本食が食べたいとか言ってたな。向こうの料理にも飽きたとか」
そう言いながら銀之介は早速お土産品を物色する。
「あ、これなんかい〜かも」
「でも、こっちもよくない?」
「日本のなら、こっちも捨てがたいでしゅ」
お土産選びに唐子とサフィーも加わって、和やかな雰囲気になる。
2人の間のぎくしゃくした空気はいつの間にか消え去っていた。
408まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/06/28(土) 07:45:29 ID:tNtypU4H
今日はここまで

>>372-373,378
阿智作品って意外なほどに認知度高いみたいですね。ずっと好きな作家なので嬉しい限り。

>>374-375
一番マイナーなはずの中村家次男大人気に吹いたw

>>376-377
奴の忍者率は異常。他のも書いてるんですけど、忍者ものの受けがいいってのもあるんですかね?

>>399
プラーナが強いのが人外Lvの超人を育む土壌になってる感じって扱いです。
月衣に関しては一応「ファー・ジ・アースの常識による攻撃が防げるのでファー・ジ・アース基準で常識外だと貫通可能」ってことで。
409名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 08:10:35 ID:Fx7tuFgv
乙です
ああ、もうちょっと来るのが早ければ支援できたのに…

学園で初々しいラブコメ阿智発動ですか。うむ、若々しい。
サファイアが買ったものが妙に気になりますが、どうせろくでもないものに決まっていますね。

ファー・ジ・アース常識外、意外と多そうですね
410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 21:42:39 ID:KJs3Q854
ところで、GF買ったんですが。
空砦、やっぱり柊が卒業した直後の4〜5月に開始だ。相変わらず人生に暇のないオトコだな。

そして、柊が魔剣化ウィッチブレイド使いに再構築されていた。なんつーか、豪快にイメージ変わってるぞ、
おい。
構想中のがあったんだが、6月のGFで柊のオープニングが入るまではどう転ぶか分からなくて、
書きようがない。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 21:50:33 ID:mUM9xHq9
完結作品の作者なのだけれど、ウィッチブレード使いやってる柊見てラストを書き直したくなってきたのよさ
エネルギーブースター8機詰みとか!三千世界の剣とか!封印開放とか!全部ぶち込みとか!

それともこれは新しくなにか書けって天啓ですかゲイザー様!
412名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:03:27 ID:QgLx/IPL
>>410
ま、まじかよ……一体なにがあった
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:08:38 ID:kyGLJ+45
>>410
       、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
     /⌒`         三ミヽー-ヘ,_
   __,{ ;;,,             ミミ   i ´Z,
   ゝ   ''〃//,,,      ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
  _)        〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
  >';;,,       ノ丿川j !川|;  :.`7ラ公 '>了
 _く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
  ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
  く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ  ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
   ):.:.:.:.:|.Y }: :!    `二´/' ; |丶ニ  ノノ
    ) :.: ト、リ: :!ヾ:、   丶 ; | ゙  イ:}    逆に考えるんだ
   { .:.: l {: : }  `    ,.__(__,}   /ノ
    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´   「どう転ぶか確定していない今のうちなら出せる」と
    ,/´{  ミ l    /゙,:-…-〜、 ) |
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ        考えるんだ
__ノ  ヽ   \  ヽ\    彡  ,イ_
      \   \ ヽ 丶.     ノ!|ヽ`ヽ、
         \   \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
            \  `'ー-、  // /:.:.}       `'ー、_
          `、\   /⌒ヽ  /!:.:.|
          `、 \ /ヽLf___ハ/  {
              ′ / ! ヽ
414名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:28:20 ID:4BVyp1/A
>412
小説版だと柊の魔剣がゲイザーに折られてるからなー。
メタなことを言えば2ndの箒は強いから王子が選ばない理由がないという。

アニメ版準拠なら魔剣が折れてないから、そっちで行けばいいんじゃあるまいか。
415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:31:22 ID:sjc3hfs+
魔剣の刃部分は真の刃を隠すための鞘にすぎなかった!という展開。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:39:55 ID:wbQGOsjh
覇王剣 折れても実は 鞘だった …ってYAIBAかよw
417名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:40:49 ID:4BVyp1/A
おれは真っ先に斬妖剣と光の剣を思い出した
418名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:45:58 ID:sjc3hfs+
>>416
YAIBAはNWと相性良さそうだな。
地球と同化するカグヤや星をも砕く魔王剣、日本列島自体が八岐大蛇とか。
ヤイバは魔剣使いだな、使い勝手は覇王剣より龍神剣のほうがよさそうな気がする。
419名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:52:31 ID:90XTR/1K
>>415
【烈光の剣(ゴルン=ノヴァ)】
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:59:10 ID:mUM9xHq9
もうすぐ四期か。
アニメだとずっと光の剣なんだよなー、ガウリィこと脳スラ
421名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 22:59:50 ID:sjc3hfs+
そりゃあ見栄えがするからな。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 23:00:26 ID:5ZoeYqYG
つ【魔剣使いが多過ぎる】
423名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 23:04:54 ID:mUM9xHq9
魔剣使いって……正直飽和するくらいいるからなぁ
ホントに多すぎて収拾つきませんでした完的な
424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 23:08:31 ID:tNtypU4H
柊に《魔器人化》取らせて死武専にでも叩きこめばそんな感じの話になるんじゃね?
425名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 23:08:56 ID:TsLha3PW
>>412>>414
魔剣折られて、方舟に修理に出したら何故か箒になって帰ってきたとか。
……いかん、普通に有りそうだ。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 23:13:48 ID:wbQGOsjh
>>418
侍を名乗ってるけど魔剣使いの方が再現しやすいとは何と言う皮肉w

>>419
410m級重砲撃艦ですね、わかります。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 23:29:51 ID:sjc3hfs+
>>426
そういえばYAIBA最終回に出てきた草薙の剣はウィッチブレイドだな。
上に乗って火星まで行ってた。
428名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/28(土) 23:43:37 ID:TsLha3PW
>>426
魔器指定:シルバースター+超ロングレンジライフルですね、わかります。
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 00:07:25 ID:iFpoox+m
>>428
≪超巨大武器≫≪超長大武器≫が抜けてたorz
430名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 00:14:25 ID:vJ4yCURB
>>428
ソレは破神槌こと550m級超長距離砲撃艦ボーディガーだw
431名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 00:17:11 ID:B2YpTkHN
そういえばGF誌の新しい柊の格好なんだが、
服にロンギヌスのエンブレムが着いてるんだけど……

就職先決定?
432名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 00:37:48 ID:5U4I5WB/
>>431
まじかwwww
柊やっぱそうなったのか・・・?
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 01:06:39 ID:vXu/UztJ
ウィッチブレイドウィッチブレイド言われたらウィッチブレイドとのクロスを(ry
434名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 01:15:47 ID:es7SwCdq
>>431
それもあるが、ライフパスの片親不在も地味に気になる。
435名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 02:09:06 ID:gq1qsWf/
>>424
魔器人化は取らなかったけど魔器の知恵はとってたよ>空砦
436名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 07:37:38 ID:myBk0csF
公式には小説版宝玉の少女が正史らしいな。TV版はパラレルワールドというかifというか。
とりあえず、折れた魔剣を材料にウィッチブレードを作ったということにしてもいいんじゃないかな?かな?
ゲーマーズフィールド読んでないけど!こっちの書店には入荷しないのじゃよ…。あとNWアンソロもまだ発売してない…。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 08:47:58 ID:THQgrtBR
買ったはいいが読む時間がねえ
438名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 09:11:18 ID:EKTKg0wS
>>436
つゲイザーの最後っ屁でアンゼ宮殿にか帰った後なぜが砕けたor宝玉事件後別の事件で折れた

お好きなように
439名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 10:56:03 ID:hmexj+uT
やられたなぁ……今度伝説の魔剣のコアを移植されたウィッチブレードを使う魔剣使いPC作ろうと想ったのに……
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 13:10:35 ID:iFpoox+m
実際、青門の頃から魔剣・遺産を後から箒に改造っていうネタはあるからな。
魔剣の管理・研究、魔剣使いの育成が専門の組織(方舟のこと)もあるし。
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 15:05:34 ID:t6/6Q8Po
ヒルコ分離のために方舟に渡したら、箒になって帰ってきたとか……
442名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 16:08:30 ID:gq1qsWf/
そんなんでヒルコが分離するならあかりんがとっくに分離させてるだろJK
443名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 16:16:21 ID:hxWgL8aP
そこは研究の成果が出たのが最近でだな、
実験体は柊の魔剣→分離成功、あ、魔剣折れた→よし、改造するか
444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 16:34:04 ID:lGrFmjHN
…柊、卒業の代償に愛用の魔剣を失う、か

こっそり魔剣×柊を妄想していた身としてはちょっと残念な感じだ
445名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 16:49:14 ID:gq1qsWf/
>>444
同志よ……っ!

やっぱり魔剣&柊コンビは妄想するよな!しちまうよな!
自分的には新しい相棒は魔剣さんの忘れ形見もしくは新しいボディと脳内補正かけたけどなっ!
446名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 16:51:48 ID:cu5bSZy+
魔剣「私、キズモノにされちゃいました」
447名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 17:14:52 ID:lGrFmjHN
ウィッチブレイドは空砦のための一時的な間に合わせで
空砦終盤で修復完了した魔剣が空間を越えてきて柊覚醒

というフラグだと俺は信じている
448名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 17:37:54 ID:iFpoox+m
>>447
>一時的な間に合わせ
……それこそ方舟でレンタル?
449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 18:00:56 ID:Mq8ylnUf
>>447
むしろ折れた魔剣の中からとんでもないものが…!
450名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 18:00:58 ID:gq1qsWf/
なるほど!そのための<三千世界の剣>取得か!

【馬鹿はひどいネタバレを踏んだ!】
451名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 19:20:38 ID:+A0jjefI
柊が三刀流の使い手になるわけだな
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 19:22:40 ID:j+KFftXK
三本目の剣は股間に装着とな
453名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 19:28:20 ID:O3j4Osqi
……やってできないことはないんだよな、ウィッチブレイド+魔剣で二刀流
454名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 19:35:50 ID:rxItf3q/
>447
芳香剤が魔剣に!?と見えてしまった。何故だ。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 19:44:40 ID:yoA5ZLVA
途中で人造人間に改造されて魔器と融合する、でいーじゃない
456名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 19:56:26 ID:iFpoox+m
>>452
俺の人造人間はメカタイプでグラビトンランチャー+≪超巨大武器≫≪超長大武器≫≪大艦巨砲≫の中華キャノン装備してるぜ!
勿論、アタッカーで装甲は最低。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 19:56:59 ID:Ca206rn1
>>434
片親不在…折れた魔剣…
このキーワードから示されることは一つ!
あの魔剣が柊の父親か母親だったんだよ!
458名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 20:43:24 ID:J/C5WBYW
ところで柊蓮司(19)の初期コネクションはグィード
ライフパスは秘密と片親不在
そしてグィード(36)がよく柊に呼び掛ける言葉
「マイサァン」
ここから導き出される結論は

【ここから先はページが破り取られている】
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 21:04:34 ID:nU1b7HkN
>>458
な、なんてこったい……
460名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 21:09:16 ID:U9f4S/Yh
年齢的にあり得るのがスゲェ嫌だwwwwwwwwww
17の時の子かw
461名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 21:22:33 ID:gq1qsWf/
ない。なぜならあいつは男にしか興味ないから
……あいつのせいで聖王様のキャラ180°変わったの知らないわけじゃないだろーに

それよかザールブルグの錬金術師クロスを考えてみたら意外に面白そうに感じた。
誰を突き落としたら一番楽しくなるかなー
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 21:25:01 ID:bfxuUrdI
>>461
…父さんは、生まれいでた瞬間の奴の柊力で色々下げられて…
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 21:29:37 ID:SB06+fXZ
しかし空砦が完結しようともしまいと、SSスレである以上、ある程度好き勝手しても良いとは思うのよ。
そうでなきゃ二次創作なんて出来ませんぜ。
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 21:32:07 ID:Ca206rn1
>>461
マリーとエリーが作った原初の炎をめぐる戦いか?
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 21:36:54 ID:iFpoox+m
>>461
「めんどうくさいので名前がない」
ヤツはNWに、というかS=Fによく似合う。
466名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 21:53:34 ID:MVHYAoGt
>>483
というか、セッションでも空気さえ読めば割と好き勝手捏造できるよなー、とか
柊の幼馴染だろうと恋人だろうと
女装趣味な弟だろうとメイド相当の魔剣だろうと
十二人の妹だろうと京子さん以外の六人の姉だろうと作り放だ(ry

…うん、すまない。クロスとは関係ない話題だった
467名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 21:57:29 ID:gq1qsWf/
>>464
うんにゃ、俺漫画版しか知らないし
単にあーゆー純粋なファンタジーもので「魔法っぽくて主八界とはあんまり近くない技術」が生活に根付いてる世界にNWキャラが行くってのはいろいろ楽しそうだなーと思っただけなんだ
ちょっとほのぼのしたの書いてちょっとバトルとか、そーゆー短編連作っぽいの
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 22:45:21 ID:O3j4Osqi
漫画版ってーと、マリーがエリーのとこに越してくるアレか? 竹刀を『しなちく』と読むやつ。
アレは俺も好きだったが、個人的にマリーはいつまでもへっぽこであって欲しかったなあー。
エリーで偉くなっちゃったのは悲しかったぜ。ノーマルエンドが好きだったんだよ。
469名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 22:59:52 ID:Ur1bOTil
>>468
しなちくって・・・メンマやんwww
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 23:07:49 ID:B2YpTkHN
>>463
つか空砦が終わるまで待ってたら、どれだけの時間が経ってしまうかとw

2パーティー制にキャラ入れ変え迄あるみたいだから
2ヶ月に一冊しか出ないGF誌じゃ……
471名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/29(日) 23:36:19 ID:j+KFftXK
さらにいえば最終回を複数回にわたってする可能性も十分以上にあるってことだ
472名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 00:17:19 ID:dFLX2yxy
>>468
同人誌を編集して商業出版してくれて小躍りした俺、参上。

なんか派手な戦いをしてそれで何かが変わるって世界でもないしね。
個々人の道は変わるんだろうけど。
473名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 00:58:42 ID:dFLX2yxy
あー。ところで、GF読み直してたら、柊の取得魔法がなくなってる。
今まで結構役に立って印象的だったのに。
王子、これまでの財産に頼らないつもりだな、完全に。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 01:38:04 ID:QPsxu5sW
卒業した男は、一味も二味も違いますよ、と言う感じだな。
街を挙げての柊祭りが終わり、そのあとに残ったのは歴戦の剣士である柊だけ。
475名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 01:39:51 ID:1CKASMn+
なるほど、第二ボタンの代わりにいろいろなものをむしり取られたわけですね
476名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 01:51:18 ID:zYkY49rt
まぁエアブレイドやらストームラン、エアダンスは2ndに無いしな
エンチャントフレイムは月間NW掲載だが、プレイ時にデータ化してなかっただろうし
あと何か魔法ってあったっけ?
477名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 04:17:51 ID:QDMPBlNr
確かエンフレ・エアブレ・エアダンがリプレイで取ってた魔法で、ストームランは小説追加分だよな。それ以上はなかったはず
エンフレは……まぁ、それ以上に今の柊が使ってもほとんど意味ないしな。魔導値見てみろ

刀拳魔断とかやらしいスキルも増えたし、いいんじゃないのか。たとえ魔器解放使えなくても
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 04:38:27 ID:4uhOsRmW
なにィ、魔器解放、ないのか。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 09:15:07 ID:xLUJ2OcR
>468
あの漫画のマリーは「へっぽこ」ではない
「すっとこどっこい」だ
480名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 09:31:39 ID:TOPbEq9u
魔器解放なしで100越す威力だと?
……まぁ、王子は行動値伸ばすだろうしな
解放はむしろ使い辛いか
481名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 09:40:25 ID:NktlBaCg
おちよしひこ版マリー&エリーか。
あの世界に放り込むなら箒使いがよくないか?
そしてマリーが自分の箒を魔改造!…最初から杖を括りつけてたけど。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 09:53:05 ID:3PROIgmN
ブロス版も完全版も持っているぜ。
リリーのは残念ながら買えなかったがな。


ああいう世界っていいよね。
たぶん戦乱とか英雄とかもどっかにいるんだろうけど、人は必ずしもそうである必要が無いみたいな。
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 11:02:03 ID:qehLzebJ
ダグラスと共に正統派の剣術をエンデルクに学ぶ柊とか、ミリィと一緒にあわわ言ってるマユリとか。
シアに弟子入りしてハタキ使いになるエリスとか。
ザールブルククロスいいよな。
484名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 11:27:26 ID:QDMPBlNr
そういえば柊って完全に我流みたいだしね>剣術
……リアルリアリティ的に言うと今までよく生き残ってきたもんだ

マユリは好奇心高そうに見えるからあっちで錬金術学びだすととまんない気がする。
おぉマユリよ、すっとこどっこいになるとはなさけない。もとからドジっ娘だが
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 12:03:12 ID:4uhOsRmW
魔剣使いは魔剣から自然に剣を学ぶんだよ。多分。
486名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 12:37:39 ID:yqkinOIR
メタな事言えば、能力値と魔剣の強さ(とダイス目)が魔剣使いの実力にあたるからなぁ

転生者なんてその最たる例だし
NWじゃ我流だろうが正統な流派の道場育ちだろうがあまり実力には関係ないんだろうな
487名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 12:41:56 ID:MWKOdMWC
なんか、
田中ぷにえ、ベホイミ、スバル・ナカジマ・要いのりでパーティ組んで
『魔法少女(にくたいげんご)が多すぎる』とかやりたくなった

ヒーラー?キャスター?そんなの関係ないぜ!
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 13:11:51 ID:5VpDoZ3K
怪我など殴れば治る
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 13:35:53 ID:4d/Ljzfq
スバル・ナカジマ、要いのりなのか
スバル、ナカジマ、要いのりなのか迷う表記だな。

とりあえず、ぷにえ入れるなら、ネギ先生とハルカ姉さま入れようぜ。
490名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 14:07:08 ID:QDMPBlNr
ネギは魔法「少女」じゃないから×
ぷにえ様については同感だな、オチが一つしか見つからんし

ただ、ぷにえ様いないと魔法少女と書いて(にくたいげんご)とルビ振れないという致命的な欠陥が……
しかし肉体派魔法少女かー。スバル、いのり、ベホイミを組ませるとスバルがボケ、いのり・ベホイミがツッコミかな?ボケキャラほしいな

ブレーキかと思いきや最終的に一番ブチキレてんのはベホイミとかそんなことになりそうな……
ベホイミといのりが同い年ってのはちょっと面白い共通点ですな
491名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 14:14:50 ID:NktlBaCg
実はスバルも同い年の15歳。
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 14:37:10 ID:qbwvITMf
ぷにえとやらはよくわからんが肉体派魔法少女ならアメリア入れようぜ
493名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 14:52:43 ID:qehLzebJ
やっぱルルーだろ
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 14:59:58 ID:NktlBaCg
ルルー、スバル、アメリアにぷにえ、いのり、ベホイミ。
なんか見事に大きいのと小さいのが入り混じってるな。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 15:24:24 ID:QDMPBlNr
あれ空港事件で管理局目指したのが13で、6課編入が14じゃなかったっけ?>スバル
そしてルルーは激しく魔法じゃねぇ気がする
アメリア……うん。肉体派っつーよかただ殴る(そして自爆)って感じだなww

そしてどこを見て大きい小さいって言ってるんだよw
496名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 15:33:04 ID:NktlBaCg
空港事件は11歳のとき。13歳だったんはギン姉だ。
で、アメリアは霊王結魔弾(ヴィスファランク)という魔法で拳に魔力を充填して物理攻撃が効かない相手をぶん殴ってるから一応仲間に入れてあげても。
あと、いのりだけだとNW分がちょっと少ない気がするのでヴァリアブルウィッチから藤原竜之介 も入れようぜ。

どこを見て、だと?…言わずともわk(鈍い打撲音)
497名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 15:57:52 ID:qehLzebJ
竜之介入れるなら最強の姉元“当て身投げ”櫻先輩を……
498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 16:16:51 ID:MWKOdMWC
>>489
間違えるな、ハルカ姉さまは番長だ。だから、出るのならば『全国番長選手権』が正しい

あと、いのりは一応まともなツッコミ役に見えるが、中身は天な上に、たまにファイアワークスが暴走するという設定があってだな…
下手をするとみんなで暴走して敵に突っ込んでいくぞ?

ネギ先生がダメなら、幼なじみのアーニャでいいんじゃないか?
まあ、技はバーンナックルといういのりともろかぶ…
499名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 18:52:40 ID:clIWgAms
肉体派魔法少女ならノイシュヴァンシュタイン桜子はアリですか!?
500名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 18:54:00 ID:qS6XJqjd
そこで正統派魔術師から武闘派、果ては夢使い風味までこなせる某カードキャプターですよ。

…そういや同名のメインヒロインがいるあれってものすごくクロスしやすいんじゃね?
501名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 19:15:09 ID:Ne8a/Vxz
ピクルって常識?非常識?
非常識だったらウィザードになれるんじゃね?
502名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 19:23:51 ID:qS6XJqjd
先生!トランセイザーは魔法少女に含まれますか!?
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 19:59:12 ID:NktlBaCg
ピクルを利用しようとした美少女魔王が押し倒されてしまうのでやめてあげましょう。
504名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 20:02:52 ID:2TuWqeRV
ピクルはアゼルをもってしてもプラーナ吸収しきる前にやられそうな気がしなくもない
505名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/30(月) 23:51:31 ID:1CKASMn+
リリなのとのクロスは別スレか……
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 00:42:06 ID:rAiDGsHB
別にいんじゃね?
書き手が、なのはファンでもNWファンに読んでもらいたいか、
NWファンでもあるなのはファンに読んでもらいたいかで決めれば。
507NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:13:25 ID:+v+wFGzX
毎度どうもです


・・・ところで一ヶ月近く保管庫動いてなくて溜まってんだけど大丈夫なんでしょうか
これは自分でやれということ?


それはそうと二時半頃から投下します


508NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:34:25 ID:+v+wFGzX
 


 わなわなと身体を震わせながらこちらを見る蓮司を、ベルは楽しそうに見返していた。
 口の端を歪めて含み笑いを漏らしつつ、テーブルに肘を突いて彼女は蓮司に向かって口を開く。
「ちゃんと言ったじゃない。あたしと紅茶を愉しんでるって」
「あんな剣呑な空気垂れ流しといて信じられる訳ねえだろ!」
 肩をいからせ、びしりとベルを指差して叫ぶ蓮司。
 しかしベルは一向に堪える様子もなく――むしろ哀れむような目線を向けて溜息をつき、肩を竦めて見せた。
「見ず知らずの仲でもないのに、とも言ったわ。あたしの性格を未だに把握できないなんて、意外っていうかやっぱりっていうか女を見る目がないわね柊 蓮司」
「ぐっ……うぐぐっ……!」
 余裕綽々で語るベルに反論できず、蓮司はその場で地団太を踏んで構えたまま行き場のない魔剣を振るわせる。
 そんな所にベルとテーブルを囲んでいたくれはと斗貴子が駆け寄ってきた。
「そんなかっかしないで落ち着きなさいよ、ひーらぎ」
「これが落ち着いてられるか! てゆうかくれは、お前なんでベルと寛いでんだよ! ヒトが必死こいてフォートレス彷徨ってたってのに!」
 半ば八つ当たり気味に蓮司が言うと、くれはは「はわあ」と照れ臭そうに頬を掻いた。
「斗貴子さんも一緒にお茶してたの?」
 割り切りが早いのか、あるいは鈍感なだけなのか、蓮司とはうって変わって既に気を抜いてしまったカズキが斗貴子に声をかけると、彼女はうっと言葉を詰まらせて目を反らした。
「キミ達と分断された後、少し進んだ所で彼女と遭遇した。私は合流するために動くべきだと言ったんだが……」
「ベルがこっちで誘導するから任せなさいって」
「はあ……?」
 状況を説明された蓮司がいかにもうさんくさげな視線をベルに投げかけると、彼女は人差し指を立てて軽く回しながら言葉を紡ぐ。
「リオンが蒐集した秘密を紐解いて創り上げるフォートレスは魔王達の中でも極上よ。
 凌駕し得るのはアニーかイコぐらいか……あんた達程度じゃ二重遭難して朽ち果てるのがオチね」
「……お前でも無理だってのか?」 
「創るのは無理ね。構成という点においてのみ論ずるならあの子はあたしより上。まあ、そもそもあたしはこういうかったるいのは嫌いなんだけど」
 静かに首肯をしてみせて、次いでベルは眼を細めてから蓮司達を鋭く見据えた。
 それまでの楽観的な表情はなりを潜め、責めるような厳しい態度で彼女は言う。
「大体、フォートレスでパーティを分けるなんて何考えてるの? 素人でもあるまいし……おかげで余計な手間かける事になったわ。
 リオンにもあたしが侵入してるの気付かれただろうし」
「うっ……す、好きで分けた訳じゃねえ。その……トラップに引っかかっただけだ」
「トラップ?」
 おずおずと蓮司が返すと、ベルは僅かに目を見開いてまじまじと蓮司を見つめる。
 そして眉を潜め、小さく首を傾げた。
「おかしいわね……このフォートレスの構造的な仕掛けはともかく、罠の類は粗方片付けといたはずなんだけど。
 残ってるのは解除するのも馬鹿々々しいほどミエミエのトラップぐらいよ?」
「ま、マジで……?」
 みえみえの罠に引っかかってしまった蓮司とカズキは小さく呻いて互いに顔を見合わせた。
 そして救いを求めるように――というより仲間を求めるように蓮司はくれはに目線を向ける。
「く、くれは……」
「はわ? ベルの言うとおり、彼女に会うまで簡単なトラップしかなかったよ?」
「と、斗貴子さん……」
「……私は戦団で一応サバイバル訓練も受けていたからな。かなり勝手は違ったがさほど困るような事はなかった」
「…………まさかアンタ達、ひっかかったの?」
 ベルがじとりと半目で蓮司とカズキを見る。それに釣られるようにくれはと斗貴子も二人に目をやる。
 蓮司とカズキの二人は気圧されるように一歩退いた後、互いに目を合わせ――がしりと肩を組んだ。

「「な、何を隠そう俺達は漢探知の達人ッ!!」」


509NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:37:32 ID:+v+wFGzX
 

「あんた達……」
「カズキはともかく蓮司……キミはもっとまともな方だと思っていたのに……」
「まあひーらぎは大体こんなモンだよ」
「こんなモンってなんだ!?」
「はわ? こんなモンはこんなモンでしょ?」
「訳がわかんねえよ! くそう、今までまともだった俺の評価が…っ」
 くすくすと笑みを漏らしながら言うくれはに蓮司は肩を落として頭を抱える。
 その脇でカズキがはたと気付いたように斗貴子に目を向けた。
「え、あれ? オレ、斗貴子さんにまともな方だと見られてなかった!?」
「時と場合による。精進しなさい」
「キビシイなー……」
 両断されるような勢いで言ってのけた斗貴子にカズキはがっくりと肩を落とした。
 そんな二人の様子を白い目で見つめていたベルは、一つ大きく息を吐き出してから口を開く。
「……まーいいわ、それより本題に入りましょう。アンタ達だってここに遊びに来たわけじゃないんだしね」
 そのベルの言葉で四人は我に返り、表情を引き締めてから改めてベルに向かい合う。
 彼女は今だチェアに腰掛けたまま、入り口付近の四人をじっと見詰めていた。
「そうだよ。お前、こんな所に何しに来たんだ」
「酷い言いようね。誰のおかげで無事に合流できたと思ってるのかしら」
「う……」
「もしかしてオレ達を助けるために?」
 言葉につまってしまった蓮司に代わってカズキが尋ねると、
「助けるなんて不本意だわ。
 あの時言った通り今回のリオンの計画を潰すためにアンタ達を利用しているだけ……まあ、助けたのは事実だからお礼ぐらい言ってくれてもいいはずなんだけどね」
 ベルは皮肉気にそう言うとちらりと隣の蓮司へ目を向けた。
 黙り込んで眉をしかめ、名状し難い表情を浮かべた蓮司を見届けると彼女は満足気に鼻を鳴らした。
 そしてベルが蓮司達に向かって口を開こうとした時、
「そっか、そういえばそうだよな。ありがとう、ベル」
「―――!?」
 カズキの放った無造作な言葉で、そのまま目を見開いて固まってしまった。
 彼女にしては酷く珍しい、呆気に取られた表情。
 そんなベルの顔を見て普段の彼女の姿を良く知る蓮司とくれはは驚愕を浮かべた。
「あ……アンタ、武藤カズキ。あたしの話聞いてたの?」
「え? ちゃんと聞いてたけど?」
「利用してるだけだって言ったでしょ?」
「でも助けてくれたのも本当だからさ。だからありがと」
「〜〜〜……」
 真正面から見据えたまま再びそんな事を言われ、ベルは頬を朱に染めて何故か悔しそうに手を震わせる。
 二度三度言葉を吐こうとして口をぱくぱくさせた後、かくんと頭を垂れて溜息をついた。
「もういいわ、訳わかんない。これだから人間ってのは……何見てんのよ柊 蓮司」
 カズキの視線から逃げるようにベルは蓮司に矛先を向け、殺気混じりの眼光で睨みつけてきた。
 しかし、あれだけ動揺した姿を見せた後にすごまれても威圧感に欠けるのはどうしようもなかった。
「いやー、お前が単純に”困ってる”のを見たのは初めてだったからな」
「……殺すわよ」
 どこか楽しげに言う蓮司にベルは苛立ちを露にして唸り、彼を睨みつけた。
 視線で蓮司を黙らせると彼女は深呼吸を何度か繰り返し、仕切りなおすようにして艶やかな銀色の髪をかき上げると改めて口を開く。
「とにかく、アンタ達にはこのフォートレスを抜けてもらわないといけない。
 だけどあんた達にこのフォートレスを抜けるのは不可能。だからあたしがここにいるって訳。わかった?」
 カズキを警戒しているのか、彼女は普段の婉曲的な物言いを収めて至極簡潔に切り出した。
 ここまで端的に言われれば理解できない方が難しく、斗貴子は眉を潜めてベルをねめつける。
「……つまり、ここから先はお前が同行する事になるのか?」
「ええ、まあそういう事ね。ただしいちいちトラップを解除しながら進むなんてもうしないけど。めんどくさいし」

510NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:40:23 ID:+v+wFGzX
 

「は? どういう事だ?」
 落ち着きを取り戻したベルの言葉に蓮司は眉を潜めて怪訝の声を上げる。
 フォートレスがこの先どれほど続いているかは想像すらできないが、抜けるまでにトラップが存在しないという事はまずあり得ないだろう。
 蓮司やカズキのように無理矢理突破する、というのも――魔王たるベール=ゼファーであるならそれでも問題はないかもしれない。
 ベルは小さく鼻を鳴らした後、不快そうに蓮司を睨み付けた。
「……ホントならあたしは裏に回ったままで行かせようと思ったんだけど、どっかの二人が馬鹿やったせいで表立って動かざるを得なくなっちゃったし。
 もうリオンにもあたしがいるって事ばれてるだろうしね。……大事なことだから二回言ったわ」
「っく……」
 まだ引っ張るか、と思わないでもなかったが、その張本人である蓮司としては彼女に対して一切反抗ができない。
 彼の態度に幾分気を良くしたのか、ベルは普段通りの小悪魔的な表情を浮かべてから、
「だから、この際実用的な方法で抜ける」

 ゆっくりと細い手を掲げ、指を鳴らした。
 
 それを合図に、黒い灯火が浮かび上がる。
 幾つもの漆黒の炎が部屋を取り囲むように立ち並ぶ。
 まるで葬列のような《黒き炎》は、静謐に沈んでいる書物庫に穴を穿つように燃え盛っていく。
 湧き上がっていく力と悪寒を前に、四人はそれまでのように安穏とした空気を保っている事などできはしなかった。
「おいベル、お前――」
 魔剣を月衣から出すかを逡巡しながら、蓮司はベルに問いかける。
 しかし彼女は答えず、形の良い唇を半月に歪め――寒気が走るほど淫靡に嗤った。
「っ! 皆、集まって!」
 同時に響いたのは悲鳴にも似たくれはの叫びだった。
 切羽詰った声に返答する間も惜しんで三人はくれはの下に集まる。
 くれはは懐から符を取り出すと、口の中で祝詞を呟いてから呪符を四方の床に投げ放つ。
「――魔を禁ずれば踏み入る事応はず!!」
 力ある言葉と同時に、符によって形成された結界の中に白い霧が溢れ出す。
 それを待っていたのか、あるいは単なる偶然なのか、ベール=ゼファーは怖気が走るほど透き通る美声で、静かに宣告した。

「――喰い尽くせ」

 魂を引き千切るような絶叫が響き渡り、目に見える総てが黒色で塗り潰された。
「――ッッ」
 耳朶を抉り脳髄をかき回すようなノイズが響き渡る。
 目に見えるモノ総てが《黒き炎》に灼き尽くされ、食い尽くされていく。
 そのノイズは絶叫ではなく、絶叫と聞き紛うほど重なり合った羽音。
 その漆黒の獄炎は炎ではなく、炎と見紛うほど大量に蠢く死蝿。
 ”蝿の女王”に導かれた死蝿の葬列が世界総てを食い潰す。
「……っ、っ、〜〜〜!!」
 結界を維持するくれはの表情が苦痛に歪む。
 本来ならば魔に属する力の一切を無力化するはずの清浄なる霧《ミスティフォグ》を以てしても魔王の圧力に抗しきれない。
 耳障りな羽音が精神集中を妨げる。目の前で蠢きわななく死蝿の群が恐慌を呼び起こす。
 意思が挫け虚無に呑みこまれる――
「    は」
 羽音に埋め尽くされていたはずの聴覚が、その声を捉えた。
「――くれは!」
 虚無に呑まれたはずの身体が、ダレかに抱きとめられた。
「………蓮司?」
 思わず、くれはは声を出していた。
 彼女を抱きとめた彼が答える、その瞬間。
 総てを覆う闇がほどけた。


511NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:42:39 ID:+v+wFGzX
 


 ※ ※ ※



 黒い炎がほどけ消え去った後、四人の目にする世界は一変していた。
 蓮司はくれはを、カズキは斗貴子を抱きかかえ、愕然としたまま周囲を見やる。
 それまであったはずの書架は跡形もなく食い尽くされ崩壊し、残っているのはその残骸だけ。
 何もかもが一掃された瓦礫の丘。天空には煌々と光る紅の月。
 そんな中で、ただ一人以前の光景と同じく佇んでいるのは”蝿の女王”だった。
「やりすぎたかしら。まあ、辛気臭い書物庫よりはこの方が舞台としては上等でしょう?」
 彼女は蓮司達には見向きもせず、軽く銀髪をかきあげて彼等に背を向けて紅月に声をかける。

「トラップどころか月匣をまるごと崩壊させる……相変わらず貴女は規格外ですね、大魔王ベール=ゼファー」

 紅く染まった月から、ひらりと紙片が舞った。
 紙片は次第に数を増し、花吹雪のように舞い落ちて踊る。
 目を覆わんばかりに荒れ狂う紙片の嵐。
 天から地に降り注いだ紙片の群は、次いで時を巻き戻すように渦を巻いて再び天に昇っていく。
 そしてその中心に――まるで始めから佇んでいたかのように、”秘密侯爵”リオン=グンタがそこに立っていた。
「リオン=グンタ!」
 蓮司が月衣から魔剣を抜き放ち、切っ先を向けながら叫ぶ。
「マーニの奴は何処にいやがる!」
 紅月に照らされた漆黒の少女は、感情を見せない薄青の瞳で彼を見据えた。
 そして胸に本を抱く腕をゆるりと動かし、囁くように言う。
「彼はもう既にいません。しかし、『彼であったモノ』ならば、ここに」
 同時に空間が傾ぎ、内側から裂ける様に巨大な狼が姿を現す。
 紅い情景に沈み込むような赤銅の体躯。以前にもまして狂気を感じさせる真紅の双眸。左胸には印章の代わりに穿たれた、核鉄の刻印。
 そして何より、その周囲に纏わり付く禍々しい瘴気。
 姿形こそマーニと似通っているものの、その印象はリオンの語るとおりもはや全くの別物だった。
「この仔はベリト。錬金術の秘奥を望みその果てに至るモノ」
 静かに語るリオンに蓮司は舌打ちを返す。
 生憎彼は講釈や問答を愉しむ性質ではない。故に彼は切って捨てるように魔剣を構えた。
「名前なんざどうだっていい。叩き潰させてもらうぜ」
「……」
 くれはが破魔弓を、カズキがサンライトハートを、斗貴子がバルキリースカートを展開させる。
 蓮司に倣うように武装する三人を冷淡に観察し、なお表情を微塵も崩さないままリオンは瞑目した。
「もう手遅れです――貴方達には、ベリトを斃す事はできない」
 その言葉と同時、マーニ――ベリトが大きく身体を震わせた。
 巨大な体躯を蠕動させ、裡に篭る衝動を解放するように――咆哮する。



512NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:45:36 ID:+v+wFGzX
 

「ォオオォオォオォォォッッ!!」
「ぐっ……!?」
 瞬間、蓮司達を強烈な衝撃が襲った。
 物理的な力ではない。
 ベリトの咆哮が身体を通り抜けると同時に、身体の中から生気が丸ごと抜き取られるような脱力感が襲い掛かる。
「エネルギードレイン……!」
 ぐらりと傾ぎかけた身体を建て直し、斗貴子が忌々しげに呻く。
 彼女の身体から――否、この場にいるカズキを除いた三人から、プラーナにも似た生気の迸りが放出されていた。
 それは彼等自身が出したものではなく、目の前のベリトから強制的に引き摺り出されたものだ。
「みんな! ……くそっ!」
 アンゼロットの指摘通り、この場に――この世界において唯一エネルギードレインの影響を受けないカズキが唇を噛み、
そして元凶たるベリトに向かってランスを構え脚を踏み出す。
 しかしそれを――両者の中間に立つ少女の腕が静止した。
「ベル……!?」
 驚きと共にカズキはベルを見やる。
 しかし彼女は彼を振り向きもせず、そしてベリトを一瞥すらせず、リオンだけを見据えていた。
 ベルの金色の瞳を真っ向から受け止めて、しかしリオンは薄青の瞳を一切揺るがせる事はしない。
「……いくら他人の計画を潰すためとはいえ、貴女ともあろうものが人間に与するのですか?」
 別段非難を色を乗せるでもなく、ただ確認するだけといった調子でリオンはベルに声をかける。
 それまでずっと沈黙を保っていたベルはそこで初めて僅かに驚いた表情を見せ、そして薄く笑ってから口を開く。
「まさか。人間の味方をするなんて笑えない冗談だわ。敵か味方かを問うのなら、むしろあたしは――」
 一度言葉を切ってからベルは瞑目する。
 無表情に返答を待つリオンに向かい、彼女は余裕の笑みを崩さないまま再びリオンに言葉を放つ。
「――あたしはあんたの味方よ?」
「………?」
 そこで初めて、リオンの表情が崩れた。
 形の整った眉を僅かに寄せ、明らかに怪訝そうな視線をベルに送る。
「……ベール=ゼファー。貴女は、何を」
「そのままよ。あたしはアンタの事、嫌いじゃないから。
 もしアンタが世界を滅ぼしたいっていうんなら、まあその時の気分によるけど手伝ってあげてもいいくらい」
「な――」
 硝子にヒビが入ったようにリオンが凍りつく。
 泰然として言い放つベルの意図を読み取れず、リオンは絶句していた。
 全く訳がわからない。
 月匣を無理矢理に破壊してまでウィザード達をこの場に連れてきておきながら、その余韻さえも覚めやらぬうちに今度は味方だと嘯く。
 それはもう気まぐれなどというレベルの話ではない。
「ベル、お前何考えてやがる!?」
 別にそういうつもりはないだろうが、リオンの心中を吐露するかのように背後から蓮司が声を荒らげた。
 言葉の有無、表情の濃淡は違うにせよリオンも蓮司と全く同じ心境なのを察しているのか、ベルはウェーブかかった銀髪を僅かに揺らし、超然と笑いながら言い放った。
「あたしはあたしの思うように動いてるだけよ。矛盾は一切ない」
「お前……!」
 ベルは歯を噛んで叫ぶ蓮司を愉快そうに一瞥するだけですませると、改めてリオンを見やった。
 彼女は流麗な眉を僅かに歪め、ベルを凝視している。
「……理解、できません」
「あたしと一緒にいればその内理解できるかもね」
「そんな事……」
「『できない』んじゃなくて、『しない』だけでしょう」
 リオンが答えるよりも早く、ベルの透き通った声が響いた。
「モーリーはまあ、従属と忠誠に悦びを感じているようだから別にいいわ。……で、あんたはどうなの、リオン?」
「……私?」
 ベルの言葉が一瞬理解できなかったのか、リオンは呆気に取られたように目を見開いた。
 その間隙を突くように、ベルの冷え切った金色の視線がリオンの薄青の瞳を貫く。
「”あの女”の走狗として生きてる事が楽しいのか、って聞いてるのよ」


513NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:47:54 ID:+v+wFGzX
 


「―――」
 彼女の口からその名が出たためだろう、動揺を浮かべていたリオンの貌から表情が消えた。
 無色の貌を取り戻したリオンはこれまでにもまして機械的に言葉を紡ぐ。
「是非などありません。私の書はあの方のためだけに存在する」
 が、
「あたしは『貴女』に聞いているのよ、リオン=グンタ」
「っ」
 即座に飛んで来たベルの声に彼女は言葉を詰まらせた。
 苛烈ではないが芯にまで突き刺さるような金色の瞳が薄青の瞳を捉えて逃さない。
 やがてリオンは――視線から逃げるように目を反らし、身を引いた。
「この期に及んで問答になど意味はありません。私はこの書に記された運命を完遂するだけ」
「……やれやれ、どうも筋金が入ってるわね……仕方ない、実力行使といきましょう」
 振り絞るようなリオンの言葉にベルは小さく息を吐き小さく肩を竦めると、ゆっくりと身体から魔力を立ち上らせた。
 彼女にとっては準備にもならないようなものなのだろうが、それでもあふれ出す力は凡百のエミュレイターの比ではない。
「柊 蓮司、武藤 カズキ。リオンはあたしが抑えてやるから、アンタ達はそこのデカ物をやりなさい」
「くっ、後から出てきたくせに仕切りやがって……!」
 悪態をつきながらも蓮司は魔剣を構えてベリトを見据える。
 身体が思うように動かない。月衣の加護を以てしても防ぎきれないエネルギードレインの効果が肉体を蝕んでいる。
 彼我の距離は約20m。近付けば近付くほどエネルギードレインの効果は強まると聞いているので、接近すればその影響は更に強くなるだろう。
 だが、蓮司には近付いて魔剣の一撃を叩き込むしか闘う方法がない。
「不可能です。彼等にベリトは斃せません。そしてもうこの運命を止める事はできない」
 見透かすように囁くリオンに蓮司はぎりと歯を噛んだ。
 だがそれは屈辱の表情ではなく――むしろ活力が漲ってきていた。
(どいつもこいつも魔王って奴は……!)
 手遅れだの不可能だの運命だのいう言葉を事あるごとに連発する。
 だが、少なくとも彼が経験した限りにおいてその言葉が現実になった事はない。
 無論この先も現実にさせる気などなかった。
「……我が書に記される運命は絶対。揺らぎはあれど覆る事はありえない……既に手詰まりです」
「うるせえ……!」
 リオンに向かって、というよりは自身を鼓舞するかのように叫んで蓮司は走り出した。
 追随してカズキと斗貴子もベリトに向けて走り出す。
 それを見て取ったベルが鼻を鳴らしてリオンを見据えた。
「手詰まり、ね。なら――」
「……?」
 不敵に微笑しながらベルは懐に手を伸ばす。
 僅かに怪訝そうな目を向けるリオンに構う事なく彼女は『何か』を取り出すと――
「――こんな『手』はどうかしら!」
 ベリトに向かって手を翻した。


514NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:50:42 ID:+v+wFGzX
 


「!」
 その瞬間、ベルが持ち出したモノにリオンは気付く。だが、既に遅すぎた。
 ベルの手に握られた黒色の帯が螺旋を描いてベリトへ向かう。
 まるで蛇のようにそれは幾重にも絡みつき、巨狼を締め付けた。
「ガ――、ァアァアァアアアアアァッッ!!!」
 悲鳴にも似たベリトの絶叫が響き渡る。
 体中に巻きついた帯をなぞるようにしてルーンが燐光を放ち、やがて光を失って消えていく。
 同時にベリトを包んでいた瘴気が内側に向かって収束し始めて――蓮司達を蝕んでいた虚脱感が消失した。
「え?」
「これは……!?」
 蓮司や斗貴子が驚愕の表情を浮かべる中、ただ一人その正体に気付いたリオンが僅かに声を揺らす。
「『魔殺の帯』……!」
「当り。あの子から貰ってくるの、大変だったのよ? 危うくあたしが”喰われ”ちゃう所だったんだから」

 ――荒廃の魔王、アゼル=イヴリス。
 自身の意思とは関係なく周囲からプラーナを収奪する能力を持つ、孤独の魔王。
 彼女は自身の能力を封じるためにそれ自体が強力な封印能力を宿している特殊な帯を体中に巻いている。
 それが『魔殺の帯』である。

「まさかあたしが舞台の袖でまんじりと出番待ちだけしてたとでも思ってたの?」
 僅かに驚きを見せたリオンを満足そうに見やりながらベルはほくそえむ。
 しかしリオンはすぐに落ち着きを取り戻し、巨大な書物を開きながら目を細めた。
「そのようなモノまで持ち出してくるなんて……ですが、」
 書物を開くと同時にリオンの身体から魔力が溢れ出す。
 静謐の闇を思わせる少女の姿をしていても、やはり彼女は裏界に名を連ねる魔王の一人なのだ。
 その威圧感は序列四位の侯爵位でありながら、序列二位である”大公”ベール=ゼファーにも等しい。
 ――否、それは正しい表現ではなかった。
 厳密に言うのならば、ベルの方がリオンと同程度の魔力しか放出していないのだ。
 リオンは相対するベール=ゼファーを――魔殺の帯の一端を巻きつけている片腕を見て取り、眼を細める。
「その状態で闘うつもりなのですか?」
 魔殺の帯は確かに封印能力を保持している。しかし、帯自体には現在そうしているように相手を拘束するような力はないのだ。
 ではなぜベリトが魔殺の帯の効果を受け続けているのか。
 その答えがリオンの視線――すなわちベルの片腕に巻かれた魔殺の帯だ。
 彼女は一端を手にしたままにする事によって手綱のようにベリトの能力を拘束しているのだ。
 だが、それは同時にベルもまたベリト同様その持つ能力を封じられる事になる。
「ふん……まあ、丁度いいハンデなんじゃない?」
 だが、それでも”蝿の女王”は揺るがない。
 彼女は轟然と笑んで見せると空いた片手で優雅に銀糸の髪をかきあげた。
 そしてその手を誘うようにリオンへと差し向ける。

「――来なさい、お嬢さん。魔王の格の違いってものを教えてあげるわ」


515NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:53:24 ID:+v+wFGzX
 

 身体に活力が戻ってくる。
 否、失われた生命力が元に戻ったというわけではないが、収奪され続けていた今までに比べれば遥かにマシだ。
 魔剣の柄を握り締め、蓮司は三人を見やった。
 くれはが、斗貴子が、カズキが彼に応えるように力強く頷く。
「いける……!」
 次いで睨みつけるのは眼前の巨狼。
 ベルの手による魔殺の帯の拘束はエネルギードレインを封じたもののその動きまでも封じる事はできないのだろう、ベリトはその巨躯を揺らして一歩を踏み出した。
 もはや理性を感じさせず、ただただひたすらに狂気を吐き出す真紅の双眸が射殺すように四人に殺意を向ける。
 ――だが、その眼光に退くものはこの場に存在しない。
 紅の視線を真っ向から跳ね除けてくれはを除いた三人が疾走する。
 魔剣を構え、ランスを掲げ、ブレードを展開して迫る三人に――
「ガァアアァアッッ!!」
 ベリトは咆哮と共に腕を天へと伸ばした。
「!」
 巨狼の剛腕から闇が溢れ出す。
 世界を覆いつくさんと噴き出した暗黒の中心をベリトの手が掴み、振り下ろす。
 黒色の光が生物のように蠢いて走る三人に放たれた。
「《ダークバリア》!!」
 くれはの放つ防御魔法が黒色の光を受け止める。
 防御結界によって勢いを減じたその間隙に滑り込むようにカズキが一歩を踏み出し、サンライトハートからエネルギーを放出した。
「ぅおおおっ!!」
 眩い陽光を纏う光槍を、迫る闇を切り伏せるように一閃する。
 光と闇がぶつかり合い、弾け合い絡み合い混ざり合って消滅する。
 カズキは祓われた闇の向こう、ベリトを鋭く睨みつけ――
「……え」
 驚愕に顔を引きつらせた。
「あれは――」
 カズキと同じく、ベリトを凝視したまま蓮司が乾いた声を漏らした。
 眼前に立ちはだかる赤銅の巨狼。
 振り下ろしたその腕に、握られているモノ。
「サンライトハート、だと……!?」
 ベリトの巨躯に合わせて大きさも二回りほど大きい。だが、そのディテールは間違いなく、カズキが振るうサンライトハートと同じ。
 決定的に違うのは、白色を基調とするカズキのそれとは対照的に黒色を基調とする事。
 そして何より――展開したそのランスが放出するのは総てを照らす陽光ではなく、総てを飲み込む暗闇。
 エミュレイターゆえの現象なのか、既に自我がないゆえに前の所持者のモノを受け継いでいるのか――それはわからない。
 だが目の前の巨狼が持つ突撃槍の武装錬金は、間違いなくカズキのそれと同質だった。
「ォ――ゥオオォオオオオッッ!!!」
 ベリトの咆哮と共にランスが更に展開し、吐き出される闇の密度と量が更に増加する。
 総ての生命を喰らって吐き出される世界の闇。
 戦場を貫く膨大なまでの黒い極光に――
「エネルギー全開ッ!!」
 戦場を覆い尽くす太陽色の閃光が激突した。


516NIGHT WIZARD cross period:2008/07/01(火) 02:55:52 ID:+v+wFGzX
今回は以上です。ここからが本当の闘いだ! ご愛読ありがとうございました!
・・・すいません、嘘つきました
アニメ組の人にはまずわからない、原作組どころか公式でも忘れられかけてる設定に
「リオンはルーに忠実な魔王であり、(基本的に)彼女の命なきかぎり秘密を口外しない」というのがありましてですね
まあ色々と二次的に自己補完の流れです
あとベルの《黒き炎》は技自体は公式ですが描写はメガテニストな俺によるリスペクトです
アニメ版のベル様だからぽんこつじゃないんだよ!(たぶん)

なお、アゼルを脱がそうとして逆に喰われちゃいそうになったベル(ほぼ事実通り)は後日地下に投k
・・・すいません、また嘘つきました。そんなのありません
517名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 06:51:08 ID:JH0Amm9u
リリなのとのクロスが別スレってのは、ここでなんかあったからなのか?
518名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 08:07:05 ID:ndU/6xIy
錬金の人ブラボー。ここで辞められたらソードマスターにw
時間軸上まだベルとアゼルは仲良しって訳じゃないから色々苦労したんだろうなぁ。
前に一狼が出てたが、さり気なくグランギニョルのネタを入れる辺り芸が細かい。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 08:44:01 ID:kxHM38uK
>>517
特に問題は起きてないが、多分……


このスレに下手なリリなのSS投下したら、信者が現れて荒れるかもしれない

元からあるリリなのクロススレならその点は大丈夫かな?


と慎重になってるだけだと思う
520名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 09:37:33 ID:rseti3YT
過去にリリカルなのはクロススレでNWとのクロスがあったからってのもあるんじゃねえかな。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 09:52:34 ID:bEQzXCG8
気になるなら、
作者さんに聞いて、転載やら誘導やら保管するとかでもいいと思う。
522保管庫の中の人:2008/07/01(火) 10:01:05 ID:NagCUqeA
たまには仕事するかな……
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 10:14:14 ID:hJ3K52iq
まぁあっちのリリなのクロスは
「機動六課がTRPG版ナイトウィザード世界に迷い込む」って、
なのはメインな上にクロス先がNWtAではなかったわけで。

その上、当時は新興スレだったココより活気があるリリなのクロスの方が
投下しやすいのもあっただろうし。
そして今のクロスSSを見てもエリスがあまり出てない点から見ても
NWtAに拘らなくてもいいだろう。(アニメキャラ一切出てこないSSもあるしw)

てな訳で NW×リリなの クロスSSを早く・・・
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 10:16:48 ID:rseti3YT
そもそも件の作品が投下された時点じゃアニメNWなんて影も形も無かったしな
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 10:57:46 ID:NagCUqeA
しかし、白き異界の魔王の設定は美味しいよなー。
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 11:19:06 ID:sajf3f7a
続編とか見たいよなぁw

……箒はマジほしいw
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 12:12:06 ID:z1xwcQ59
テンペストをキラキラした目で眺めてるなのはは可愛かった。
……地上本部はハイウェイスターを大量購入しそうだな。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 12:12:22 ID:BHascX6m
白き異界はsts、魔法の石は無印だから、As時代でも考えてみるか?

箒持ちになった柊が海鳴の夜空を駆け回り……って、そうだよ今の柊空戦できるじゃん
529名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 12:21:04 ID:Abl7cyk7
魔法の石も更新されなくなったな
あの掲示板過去ログ保存されないんで最初のやつとか見れないし
530名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 12:41:55 ID:NagCUqeA
>527
俺、あのシーンのせいで、なのちゃんに転がりそうになった
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 13:57:58 ID:P3HsS8bk
>>527
StS知らない人はアレでかなりだまされること請け合い。
うまい部類の二次創作はバランスがいいよな。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 14:26:42 ID:aVQEC4B/
ハイウェイスターもだがブロンズスターも…いや、普通にヘリがあるからブロンズスターはいらんか。
533ほかんこ。:2008/07/01(火) 15:55:58 ID:NagCUqeA
               ___   /ヽ、
        ─==フ¨´      ̄|  ``'ー- 、
          /,        / ,ィ'|  ヽ     ヽ、
         // /  /  /〃 | | |   ヽ    ヾYニヽ、
          /,イ  /   / 〃/,  |│!、   ',.   ヽ |:.:.:ヘ:.:.\
       / /  ,'  / 孑|'"   l !| \ }    ∨:.:.:.:.:',:.:./
        /  i  ,'' /  j   l ||  ヽ |`i    }:.:.:.:.:.:.∨   保管のお知らせ
         |   /  |/{!7メミ、    | _ _土 l|  | |:.:.:.:.:.:.:.|
        | / |  lム {:::::::}     'fて::;;;}7}  ト、|:.:.:.:.:. 丿   ●まほうせんせいと赤毛の悪魔
        |/  | │il ヒ辷     {::::::::ソ |  | | ̄ ̄ |    ●ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜(ページ名変更)
          |ヽ∧} '   ,    ` ー'′ | /)  ,'  |    ●NIGHT WIZARD cross period
          | | | ` 、   r‐┐   ''  |/ノ  /  |
          | | l    |>.、`___ ..   -‐'ア     /l   |   ●王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜 >50 >51 >56
      r‐‐'"¨¨V | |    |  |  / \/    / |   |   ●とある魔術の禁書目録 >212
      ≧=   Y |   │ /-<   〃     /   |   |   ●柊蓮司が多すぎる >343
    と´r─'  _,イヽ、  ,レ'|::::::∧ /    イ    |   |   ●魔法少女リリカルなのは >55
      `ー┬´   |  /  厂::| ∨    / │   │  |
        |    丿 /  /:::::::| /    /   |    |  │

ところで、何レスか前に話題になってた「リリカルなのは」とのクロスって、
初代スレかどこかで紹介されてた「白き異界の魔王」のこと? それとも別物?

個人的には>55が気になってたりするわけですが……。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 16:34:05 ID:rseti3YT
乙と言わざるを得ない

なのはクロスは>528で出てる二種類がわりと話題にあがる。
後者は「柊連司と魔法の石」でググると出てくるが>529状態。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 16:58:22 ID:NagCUqeA
>382の地図をどうやって保管するべきか迷った。
どういう形が正しいんだろう。この場合。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 16:59:29 ID:NagCUqeA
>534
d。
別のところに新作があがってたとか、そういうことじゃないのね。
537まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/01(火) 19:50:18 ID:/0TU+Z8c
8時から投下します。
538まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/01(火) 19:59:50 ID:/0TU+Z8c
ややあって。
銀之介たちはお土産を買い終えて、再び文化祭を見て回っていた。
「サフィーちゃん、重くない?」
銀之介がサフィーに尋ねる。買った荷物はサフィーが全部預かっている。
とは言っても
「いや、全然?」
そう答えるサフィーは手ぶらであったが。
「でも、ど〜やったの?いつの間にか消えたみたいに見えたけど」
サフィーが荷物をしまう様子を見ていた唐子が首をかしげて尋ねる。
唐子の目には突然荷物が消えたように見えた。
「…まあ、ちょっとした手品みたいなもんでしゅ」
そう言えば銀之介と唐子には詳しい話をしてなかったと気づき、面倒くさいのでてきと〜に答える。
サフィーは、ウィザードの持つもう一つの汎用特殊能力、月衣に荷物を全部しまっていた。
「へえ。すご〜い。サフィーちゃん、手品もできるんだ!」
てきと〜な説明だが、唐子的にはそれでいいらしい。素直に感心する。
見ると銀之介も同様らしい。うんうんと感心して頷いている。
「あんたら…も〜少し疑り深くても罰は当たらないわよ?」
その能天気っぷりに思わずジト目になるサフィーだった。
539名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 20:02:54 ID:hJ3K52iq
ほっしゅ
540まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/01(火) 20:05:20 ID:/0TU+Z8c
*

「あ、あれ、静さんじゃない?」
その姿に最初に気づいた唐子が静を指さす。
その先では静がいつものにこやかな笑顔を浮かべて、受付をしていた。結構盛況だ。
黒いスーツに黒マント、いわゆる吸血鬼の格好が大人っぽい静によく似合っている。
「あ、でもあそこって…」
「ん、あそこは…」
銀之介と唐子はほぼ同時に気づいた。静が受付をやっている場所。そこは…
「「…不思議研!?」」
2人が同時に驚いて声を上げる。
「やあ、銀之介君に唐子さん、それとサフィーちゃんじゃないか」
その声で静が3人に気づいて振り向く。
「いやあ、この手のお祭りに生徒として参加するのは初めてだったけど、結構楽しいね」
そう答える静の笑顔は本物だ。
幼いころから天才魔術師として英才教育を受け、日本に来てすぐ教職についた静には生徒としての経験は無い。
それだけに“ごく普通の学園生活”は、静には新鮮なものだったのだ。
…もっとも、ごく普通と思ってるのは当人だけだったりするのだが。
「あ、そうだ。銀之介君もどうだい?」
そう言って、静は後ろの怪しげな扉を指さす。
どうやら今年の不思議研の出し物らしい。
「えっと、何の出し物なの?」
中から聞こえてくるわ〜だのきゃ〜だのうぎゃ〜だの言う悲鳴にちょっとだけ顔を引きつらせながら銀之介がたずねる。
その問いに笑顔のまま、静は答えた。
「お化け屋敷さ」
「お化け屋敷?」
不思議研らしいと言えばらしいが文化祭の定番。
えらく普通な出し物に銀之介は頭を傾げる。
「そ。ただのお化け屋敷じゃないよ。僕と小夏さん、春美君が頭を捻って作った本格派。結構評判いいんだよ?」
えらく自信満々で静が言う。
だが、静の言葉もあながち外れでは無いようだ。
こうして話している間に次々にお客が来て入って行く。主にカップルが。
「で、どうだい銀之介君に唐子さんも」
「いや〜僕はやめとこ〜かな〜と」
こ〜ゆ〜のはあんまし得意じゃない銀之介は目をそらして乾いた笑いを上げる。
「え〜?」
それに不満そうな声を上げたのは唐子だった。
「けっこう面白そうじゃん。それに2人なら、怖くないって…多分」
こうして話している間にもちらほらと入って行くカップルをちらちらと見ながら、唐子が言う。
よく見るとちょっぴり顔が赤くなっている。
それを見て、静がにこやかに言う。
「そうだね。2人で入ればそんなに怖くないんじゃないかな?」
「そ、そうかな?」
どうやら銀之介は気づいて無いらしい。どこかほっとしたように言う。
「うん。さっきから2人で入って行く人が多いのはそれもあるかもね」
「じゃ、じゃあ少しだけ」
静の言葉に背中を押されるように銀之介は入ることを決意する。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 20:07:49 ID:1efTH60H
しゅっしゅっ
542まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/01(火) 20:09:38 ID:/0TU+Z8c
「ああ、アタシは興味ないから待ってるでしゅ」
その様子を見て、サフィーが聞かれる前に応える。
「唐子と2人で行ってくるでしゅ」
ならば、と銀之介は唐子の方を向く。
「じゃ、じゃあ唐子…」
「な、なに?」
「い、一緒に行こうか」
「う、うん」
2人して、頷いておずおずと不思議研の扉に近づく。
開けると、真っ暗な入口が口を開いていた。
「あ、そうそう」
それを見て、静が今思い出したとでも言うようなざ〜とらしい口調で言う。
「中は暗いから、手をつないで行った方がいいと思うよ?」
2人の顔は真っ赤になった。



「…なんか、手慣れてたわね」
2人がいなくなったのを確認し、サフィーが素に戻る。
「ははは。前に、ちょっと奥手な男の子と臆病な女の子の恋を橋渡しする任務があってね」
あの2人を見ていて、静は思い出していた。6ヶ月前のこと。永遠に続く夏の世界のことを。
「あの時は失敗したら世界が壊れかねなかったから、必死だったよ」
「ふふっ、そんなことで壊れるなんて、難儀な世界」
静の言葉を冗談と受け取ったサフィーが吹き出す。
「冗談じゃあないんだけどね」
少しだけ心外そうに言う。
「それにサフィーちゃんだって、2人だけにしたり、手慣れてるじゃないか」
「…ちょっと、似たような2人のことを思い出しちゃってね」
サフィーもまた、思い出していた。6年前のこと。人生で一番楽しかった3ヶ月間のことを。
「あの2人、幸せになれるといいわね」
「ああ、心からそう思うよ」
そう呟く2人の目は、優しい大人の目。
2人とも、見た目よりからは想像もつかないほど大人なのだ。
「…それに。アタシはアタシの用事があるし」
話を終え、サフィーがぽつりとうつむいて呟く。
「あの2人が一緒じゃあ出来ないしね」
それと同時に空気が凍る。サフィーが月匣を展開したのだ。
「用事ってなんだい?サフィーちゃん」
無意識のうちに静は腰を浮かせていた。いつでも動けるように。
長年の経験と勘の賜物である。
「…別にね。人間の食べ物がまずいってわけじゃないわ。むしろおいしいと思う」
朗々と。サフィーが静に語りかける。うつむいたまま。
「ただね、やっぱりずっとだと、ど〜しても欲しくなるの。ある意味アタシたちの本能ね」
「答えになって無いよサフィーちゃん」
そうは言いながら静は臨戦態勢をとり、じりじりと後ろへ下がる。
近距離では目の前の少女を相手にするにはあまりにも不利だ。少しでも距離を取らないと。
そんなことを考えながら。
「ま、そ〜ゆ〜わけだから」
サフィーが顔を上げると同時に体内の魔力を活性化させる。
トムソンガゼルを前にしたライオンのように。
「断る!」
ガゼルは逃げ出した。
「ちょっと、まだ最後まで言ってないでしょ〜が!」
予想外の動きにサフィーが叫ぶが、静は無視して走った、魔法をも駆使して。
捕まったらどうなるか。そんなことは考えるまでも無い。
かくして、魔術師と吸血鬼の、ある意味食物連鎖の営みとも言える鬼ごっこが開始された。
543名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 20:10:47 ID:1efTH60H
ホシュを継ぐ者
544まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/01(火) 20:11:52 ID:/0TU+Z8c


さて、2人が食うか食われるかの鬼ごっこに興じていた一方その頃。

「あ、あそこで終わりみたいだよ」
唐子が出口らしきものを指さした。ちょっぴり青い顔で。
銀之介とつないだままの手には白くなるほど力がこもっている。
「よ、ようやくか…」
銀之介の顔もちょっぴり青い。

オカルト大好き三石ちゃん姉妹が監修しただけあって、お化け屋敷に仕掛けられた小道具はえらいリアルなものだっ

た。
ついでに怖がらせる役は演劇部から借りてきた部員を使い、演技指導にも力を入れた。
「まさか扉に仕掛けがあるなんて…」
「うん。次の部屋では扉に気をつけてたら床から出てくるし」
「その次で離れて開けたらいきなり後ろの壁から出てきたときには心臓が止まるかと思ったよ」
そして、長年の経験をいかした、静=ヴァンスタインの悪ノリの数々。
まさに、本格派だった。色んな意味で。
ゴールが近いせいか、この辺りは少しだけ、赤っぽい光で照らされている。
「でも、楽しかったね」
「え?」
唐子がぽつりと言った言葉に、銀之介は首をかしげる。
「そ〜か?僕はやっぱりこういうのは…」
「そうじゃなくて」
相変わらず鈍感な銀之介に唐子は苦笑する。
「こうして、また2人でいられるようになったことが、だよ」
「2人で?」
「そ」
唐子が頷く。
「あたしたち、2年間、ずっと一緒だったよね」
「え?ああ、そういえばそうだな。引っ越しも無かったし」
「だからってんじゃないけどさ、半年前に銀之介君がいなくなったら、ものすごく寂しくてさ」
唐子が遠い目をする。
唐子にとって、銀之介が隣にいるのは、当たり前の日常だった。
高校の2年間、ずっとそうだったから。
「そうだな…僕もそうだった。転校して、知り合いがいなくなるのは慣れてたはずなのにな」
銀之介もまた、遠い目をする。
銀之介にとって、別れはごく普通のことだった。引っ越しばっかりしていたから。
だから、慣れている。だから、大丈夫…じゃあ無かった。
銀之介にとっても唐子が隣にいるのが、当たり前の日常だったから。
「まあ、いつかは帰ってくるって信じてたけどね。約束したし」
その銀之介が1ヶ月前、突然帰って来た時は本当に驚いた。
もっともその銀之介が来たのは厄介な事件を解決するためで、再会を喜ぶどころじゃなかったが。
だからこそ、唐子は嬉しかったのだ。こうしてまた、何気ない日常を2人で過ごせるようになったことが。
「ソバカスが消える前に帰ってきちゃったのはちょっとだけ残念だったけど」
も〜っと奇麗になって、驚かしてあげる予定だったのに、と軽く冗談めかして笑う。
「でも、約束、守ってくれたね。ありがとう」
その、柔らかい表情に、銀之介の心臓が跳ね上がる。
「えと、あの…」
叔父さんのことが無かったら、きっと帰ってくる勇気は持てなかった。
そんな自分が情けない。しどろもどろになりながらも何か言わねば、そう決意して口を開こうとした。

その瞬間だった。

545まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/01(火) 20:12:27 ID:/0TU+Z8c
「カップルボクメツウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ひび割れた声が辺りに響き渡り、2人の目の前に巨大な化け物が現れる。真っ赤なボディーと鳥の頭を持った憎いや

つ。
「のわああああああああああああああああああああ!!!!!!!!????????」
「きゃああああああああああああああああああああ!!!!!!!!????????」
突然の登場に2人は驚いた。無茶苦茶驚いた。
2人とも腰が抜けて思わずその場にへたりこむ。
「ひゃ〜はっはっはっは!だいせ〜こ〜!カップルなんてみんな…ってえ!?」
笑いながら出てきて、一気に顔を青ざめさせたのは1人の少女。何故かメイド服を着た、ショートヘアの少女。
彼女に銀之介は見覚えがあった。そう、それは銀之介が初めて出会った魔法使い。
「ぎ、ぎぎぎぎ銀之介にととと唐子さん!なんでここに!?」
要いのりその人である。
546まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/01(火) 20:12:50 ID:/0TU+Z8c
今日はここまで。

>>409
お前ら中学生かよ!的なラブコメは阿智の基本ですからw
547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 20:25:39 ID:1efTH60H
ヽ r- 、  。ヽ、 _____ _   _____ 、r‐。´ ,  ' ´ / /
. ヽ\__ヽ 〈{   ヽ 、  O、` ´ .,O _ - ´  }〉   ー‐‐´ /
.  ', r-- 、 oヽr‐r-_、_ ヽ、 ヽ,- / /  __ -_r-/ ゚ , -‐' フ /
  ヽヽ__ゝ  {::::|´ _`ヽ ` f{リY´ /ミ_`|::::} 。 ー‐ ´ノ
    ヽ ,---、゚ ',:::::|ニ―=、ヽ |V | //, -―ニ|:::ノ <´ フ.ノ
    ヽ 、_ - '。 、::lヽ ⊆⊇ゞノl o l〈く⊆⊇_/ lノ ゚---, r´
    `{ r―-  。ー。‐ニ=‐=',_ノヽ=ニ‐ 。‐´ ゚-ニ-´ノ
     `ヾ=´-- -r 'ヽ=/   {  `\ヾ=`ヽ 、___ノ´
       `ヽv´ソニフ/_______ヽニニ、_。!ノ_     保管
       rニfィ‐≦ヽ ヽ、――――v/ / ィ ハミーヽ
     /ニノ ` ヽ`` ',   _   / 〃/´  ーニミヽ     まほうせんせいと赤毛の悪魔 #16
     ´  ̄    ヽ、  f.l    ソ/  イ       ̄`
           __|.ヽ  ヾ、ー‐‐ノ/  , ´{___
      r‐ ´    | ` 、 `ー=‐' , '  .|   `ー-、
       「| _,    .| l  ヽ ` ̄´, ´  l |     _, |[
      |l{ T    ,' │   `ー‐´  ./ .',    T |:|
      |||__, --rノ  l        ,'  ヽ―--、_」:|
    r‐'::::::::::::/     l       /    \::::::::::::::::::7

548名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 20:26:48 ID:ndU/6xIy
まほうせんせいの人乙。
きー、なによなによラブでコメっちゃって。カップルなんか滅べw
それはそうと、食物連鎖から始まるフラグもあるかもよ静……

あとはお茶会の人とエリスと双子の貴石の人が帰ってくれば完璧。
549名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 21:02:45 ID:zz99jHNd
ちょwww
>>545、いのりじゃなくて中の人が言いそうなセリフwww
550名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 21:32:28 ID:WzpTgpkk
僕クロスの人乙
うん、これは間違いなく天が暴走してるw
ぬるいラブコメ続きに「むきー!むきむきむきむきゃー! 登場判定していいですか!?と言うかしますよよし成功、カップルぼくめぇぇぇぇつ!」とか言ってるのが容易に想像できてしまうw
551名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/01(火) 23:30:08 ID:rAiDGsHB
錬金の人赤魔の人ぐっじょぶ!

漢感知の達人!でたぶん思惑どおりに吹かされたのが悔しいw

>>549-550
やはりみんな考える事は同じかw
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 01:45:40 ID:LT1lItKh
    ☆
●-●━   きーッ、なによなによッ!
 ∀  ノ  かっぷるぼくめぇぇぇぇぇつッ!!!
 ~~~

阿智クロスの人、超☆GJ!
553名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 12:18:37 ID:diBPf0AJ
よくリリカルなのはのクロスがネタに挙げられるけど
ここはちょっと目先を変えてなのはさん以外の人をこっちに放り込んでみるのはどうだろうか

ヴィヴィオとかユーノとかそれだけで結構ネタになりそうな気が
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 12:21:23 ID:h1YRRySQ
クロノを戦艦ごと放り込んでみたいな
大サービスで嫁もつけて
すげー騒ぎになりそう
555名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 12:35:43 ID:nnq9RwrU
ここはフリードに乗ってデートしてるエリオとキャロをまとめて放り込もう
そしてキャロの天然っぷりにペースを狂わされるアンゼロット。
556名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 12:38:31 ID:i3MCk+uC
いっそALGと多重クロスしてみるとかどうだろうか<なのは
カードリッジ搭載型インテリジェントデバイス「クアドラ」を使うドリームマンとか中の人的に
557名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 12:42:14 ID:nnq9RwrU
アルシャードでリリカルなのは再現ってのはあったな。
ファイターをフロントアタッカーに読みかえるとか。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 12:47:00 ID:h1YRRySQ
ALも入れるんならグラーフ艦長を放り込む
そして新しく手に入れる虚無の翼

というのは考えたことがあるが、NWが絡まないのでやめた
559名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 12:54:52 ID:wq6pQRkl
>>553
スバルを放り込んで、ドリルドラブル持たせて「土竜一閃」。
データ的にもネタ的にもおいしい。
560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 13:15:36 ID:nnq9RwrU
スバル「ペネトレイト・もぐらぁぁぁぁっ!」
ですねわかります。
561名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 17:31:39 ID:diBPf0AJ
NWキャラとなのはキャラの模擬戦とかな。教導目的じゃなくてイベントというか交流名目というか交流戦というか
派手で楽しそうなんだよなー

そしてその優勝賞品に目をつけ(てしまっ)た名前持ちのシェイプシフトが姿を顕して
悪事について延々と語ってこうなりゃ全員餌にしてやんよ!とタンカ切ったところで
「このメンバーに勝てると思ってますか?」→(あ……無理かも……)→連携プレーと言う名の袋だたきコンボが脳裏に瞬時に浮かんだ
562名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 17:50:30 ID:BQgCth28

  ユーノ vs どんぺり 超絶!淫獣大決戦!
    〜 帰るところを失った獣 〜
563名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 18:26:30 ID:f8H7k7mO
>>562
いっそカモくん、おこじょさんも加えてフェレットだらけにw
564名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 19:05:57 ID:kdhF0yjq
>>562
どんぺりは紳士だ!!(笑)
一緒にするな(アンソロジーノベルを握りしめながら)
565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 19:10:43 ID:4o0VrG6c
柊がいつも大変なのは、一癖も二癖もあるメンツに囲まれてるから、
と考えて、たまにはみんな素直で協力的で心優しい仲間ってのはどうかな、
と考えてみた。

武装錬金の武藤カズキはいいな。ピリオドの人で立証済みだし。
あとは、アニメドルアーガのジルも、まっすぐなお人よしで良さそうだ。
お人よしといえば、自分的にはギガンティック・フォーミュラの慎吾も忘れてはならない。

うん。


ボケばっかのパーティで、柊が過労死しそうだ。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 19:29:12 ID:5emOygUm
柊には幸せはないのかよ
567名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 19:36:07 ID:LojD8DRc
学校に行くという幸せを自ら手放したんだからしょうがない
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 20:33:52 ID:pSuthAbF
>>550
カップル撲滅つーか、
銀之助も柊並のフラグ立てスルーの達人だからな〜!
あ、いかん。なんか良くないモノに取り憑かれ…
569名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 20:57:33 ID:diBPf0AJ
熱血いいひと主人公って基本ボケだからなぁ……
ちょっとひねくれたの探さないと……ってそうするとキャラ被るんだよなー

まぁ、ツッコミいれてないと死ぬ赤身魚みたいな生き物だと思えばボケだらけでも幸せなんじゃないか?
正直同型集めても癒されないだろうし、困ってる生き物でも目の前に置いとくほうがよっぽど柊らしさが見られる気がするが
570名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 21:02:21 ID:g+Ijwswk
晶かレンがいればまだ話は変わったんだろうけどなぁ>柊の大変さ

……性格の良いキャラに限って傍にいられないというのはなんという皮肉
571名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 21:22:29 ID:BQgCth28
柊だって…… 柊だって、周りが許せばボケまくるはずだ!



柊「手乗りばばぁ」
572名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 21:27:34 ID:+m58FT2d
セクシーコマンドーのマサルさんやピューと笛吹くジャガーさんとなら柊はうまくやっていける気がする…
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/02(水) 23:31:02 ID:5emOygUm
>571
それは自爆だ
574名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 00:16:26 ID:uVjKXDMJ
とあるゲームとのクロスを考えているんだけど、
当然と言うか何と言うか、世界設定がうまく繋がらなくてどうしようかなあと考え中。

何らかの理由に異世界へ、というパターンが一番矛盾が少ないというのはあったりするんだが
一部の雰囲気やガジェットがNWとよく似てるので、うまく利用したいなあと考えれば考えるほど矛盾が……。

575名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 00:33:38 ID:WTFVl6dU
>>574
なんてゲームよ。ここはおじさんにちくーっと話してみんしゃい
576名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 00:35:00 ID:ZJp6ZPlm
アセリアとかいけるんじゃね? とか思った
おお、エトランジェとか言われて尊敬されるぞ、柊wwww
577名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 00:38:47 ID:3LwwnTAW
聖なるかなはなかったことに(ry
578名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 00:40:01 ID:uVjKXDMJ
>575
いや、妄想してるだけでSS書くつもりなんて全く無いからな。
TRPGのシナリオ風、とかなら出せるかもしれんが。

ヒント:
 ・その作品が単独SSになったことはないが、リレーSSでキャラが参戦してたことがある
 ・赤い月
 ・魔王もいる
 ・むしろ魔王とかたくさんいすぎて普通
 ・最近DSでリメイク版が出た
 ・ナレーションが若本
 ・でもイベントシーンに声が入ってない
 ・挿入歌がメロディのみ
 ・プリニーッス
579名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 00:44:13 ID:AhDuWKv0
>>578
ディスガイアか
580名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 00:45:33 ID:uVjKXDMJ
どうしてわかった!
581名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 00:50:13 ID:WTFVl6dU
OK、大体わかった。
世界と世界のつなげ方としてはいくつかあるけども、

1 とりあえず次元震の暴走で近くにいたキャラが巻き込まれて異世界へ
2 ラスボスが何か深くて暗い考えから異世界キャラを召喚
3 世界の都合により守護者に打ち出される

が一番手っ取り早いんじゃないかな?
582名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 01:01:37 ID:M/ZrSXlO
>>578
やあ俺。シンクロニシティかよ。
俺も考えた事あるぞというか最近考えたぞ
いっそ魔王縛りにして
殿下達が時空ゲートを通ってFtEじゃなく裏界に乱入してきて、ベルがエリスとくれはを裏界にご招待とかな
これならルー様だろうとマイちゃんだろうと出せる・・・!

でも、アンソロ読んだ後

殿下「土下座して『調子に乗りすぎました、許してください超強くて超頭が良くて超カッコいい大魔王ラハール様』と言えば許してやるぞ?」
ちゃん様「土下座して『調子に乗り過ぎました、許して下さい究極に強くて究極に頭が良くて究極に美しい大魔王パール=クール様』って言えば許してあげるわよ?」
殿下「ふふふ・・・・」
ちゃん様「うふふ・・・」
殿下「ふふふふふふふふ・・・・」
ちゃん様「うふふふふふふ」
殿下「ハァ〜ッハッハッハッ!!」
ちゃん様「あーっはっはっはっはっ!!」

「「ぶっ殺す!!」」

とかそんな妄想が
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 01:13:14 ID:I7RTGxqk
ファントム・キングダムとかみるに異世界とか別の魔王いるのが当たり前の世界観だからな。
いっそのこと3の邪悪学園に柊を編入させたらどうだ。
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 02:02:48 ID:b9HEUvZP
ゲームといや、
ドラゴンシャドウスペルなんかもうまく組み合わせられそうなんだけどな
問題はドマイナーすぎて誰もわからないという・・・
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 02:19:41 ID:GAtSgO+X
>>568
右腕が蟹鋏なしっとマンasトウガを幻視した
586名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 03:46:56 ID:QNgUj8Qx
>>584
おいらも妄想はしたことはあるよ。
カイトの持つ『ソロモン王の大きな鍵』とかを絡めたら魔王が出しやすいかもね。
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 07:49:02 ID:QxTq2wvf
ペルソナ2とクロスさせるのはどうだろ
柊蓮司が卒業したという都市伝説、つまり噂が本当になる
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 11:13:59 ID:mHWfz9E6
>>583
学校に来ない柊はなかなかの優等生ですねwww
589名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 11:48:51 ID:AmVbl44z
某放送中ロボットアニメで
緑…エリス
ピンク…くれは
姫…柊
ガキ…キリヒト
という妄想が浮かんだ

♪キ〜ミは誰っとKissをする〜
590名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 12:02:05 ID:WTFVl6dU
放送中ロボットアニメと言われ、何故か
ナイトメアフレームとガチでやり合う生身魔王と生身戦闘する柊が即行脳裏に浮かんだんだが

……漫画版だっての
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 12:22:57 ID:pQm3IgIm
放送中ロボアニメと言われて某失格アニメを思い出した
あれって転生者で行けないかな
妖精さんを遺産取得して
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 12:30:25 ID:WPozzhPX
バイクに乗って血液感染する連中は…ダブルクロスの領域だな、ありゃ。
593名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 12:34:01 ID:KGdbPRcM
世界の危機になってるし、遊戯王とのクロスはいけそうだな。
GXだと他世界も巻き込める。
594名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 12:40:40 ID:fyjgsxUK
>>589
「わたくしの歌を聞けーっ!!」と
デスソングを披露するアンゼロットが見えた

ヤック、デカルチャー!(気絶)
595名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 12:47:42 ID:qAm+f+uN
>590
ナナリー総督が中の人が同じ魔王に乗っ取られて大惨事まで読んだ
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 13:14:17 ID:WPozzhPX
>>594
いやいや、アンゼロットは黒い17歳サイボーグの立ち位置だろう。
そしてDear…のキャラをだな。
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 19:21:20 ID:b9HEUvZP
>>591
PC番号割り振るなら
PC1>シュウ
PC2>ヴァルダ
PC3>イエラ
PC4>柊
といったところか

シュウが転生者か落とし子、
ヴァルダは使徒辺りが妥当かなぁ
イエラは・・・忍者でいいやw
598名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 19:37:47 ID:+oVd/1B0
ヴァルダとかより真の主人公である七生さんは?
599名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 19:41:46 ID:jX4+7Llg
毎度思うんだが、PC人数4人ならクロス先とNWで2:2に振り分ければいいのに、
どうして3:1なんだ?
600名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 19:53:16 ID:nQzaxzmS
>>598
七生は明らかにNPC扱いだろwwww

しかし、アイバさん(裏返りも?)は特殊能力だけで言えば人造人間じゃねーかな。
キャラクラー的には人造も何もないけど。
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 20:13:07 ID:7I7mjcr1
イエラは人造人間で。
死亡フラグ回避的な意味で。
602名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 20:17:15 ID:nQzaxzmS
>>599
大抵、一人放り込めばネタが成立するからじゃないか?
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 20:24:32 ID:QRxbrxtU
まあ、初代のスレ名前って確か柊を放り込んでみるとかそんな感じだった気がするしなぁ
604名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 20:46:36 ID:GAtSgO+X
NWは元がTRPGだから「二次創作的再現」するのに向いてるからな。
そんなにNW勢を登場しなくてもクロス成立してしまう
605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 22:36:44 ID:b9HEUvZP
ぶっちゃけた話
PCがクロス先のキャラクターのみで
正体不明の敵(侵魔・冥魔)を撃退する
という荒技も出来るわけだしな

魔王ぐらい出しておかないとクロスはすでに呼べないものになるがw
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 22:43:40 ID:7I7mjcr1
いや、アイテムにまで絞るとか。
ある日、落ちてきた箒をありがたがるブッシュマンクロスとか。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 23:10:14 ID:u7umbkRW
>>593
GXはトンデモ超展開の塊だからなぁ……。
608名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/03(木) 23:25:08 ID:45EUNUBR
おや 背景で ロンギヌスたちが 吹き飛んでいるよ。


それはまた別の話。
別の機会に話すことにしよう。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 10:20:19 ID:tvOsIxjG
そういや5D’sに柊出てたな
610名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 10:23:55 ID:RfJ/zYow
>>609
柊の中の人というと、卓ゲ的にはクレバーで、アニメ的には矢薙なのが紛らわしいよね。(5D'sは後者)
611名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 10:27:22 ID:J2ZX3bBe
鈴木太郎、宮沢祥吾、ナティノ=マゴメノジョ=ナザン、
大十字九郎、アラストール、草刈鷲士、円城寺優介たちの座談会が見てみたい。
ゲストは、キリヒトで。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 11:58:30 ID:WUkGmAxU
パパさん繋がりか?
そういやどっかのシナリオで未来の娘がくるってのがあったな。
あれPC1柊にすると楽しいかも
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 12:30:39 ID:VEDBNmUO
世界の危機そっちのけで大騒ぎしそうだな
614名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 12:41:11 ID:De9YENt6
ふと思いついたネタ。

とある任務の帰り道。柊蓮司は腹が減ったので食事をしようと思い立った。
所持金427円。
「…ファミレスにも入れねぇ。」

たまたま目に付いた閉店間際のスーパーで値引きされた弁当を探してみることにする。
ちょうど、目の前で半額シールが貼られた所だった。こりゃ幸い、とサバ味噌煮弁当に手を伸ばした瞬間、

なぜか鮮魚コーナーの前に倒れてました。
何が起こったのか周囲を見回してみると「こ、この半額弁当をルーさまにーっ!」
などと叫んで吹き飛ばされているルイズ(最近ルー=サイファーからの支援が無くなってレベルが下がったとか)がいたが無視。
あらためて弁当・惣菜コーナーを見渡すと…

阿鼻叫喚の弁当争奪戦が繰り広げられてました。

はたして、柊蓮司は<<狼>>どもを退けてサバ味噌煮弁当(290円)を手に入れられるのか!?

とゆーわけでベン・トーとクロス。
普通に氷結の魔女とか魔導師とか湖の麗人とか筋肉刑事とか出してもいいし、
設定だけもってきてもいいかも。
615名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 15:13:26 ID:8rJZeHFn
上月司「400円もありゃ十分じゃねぇか……。」
……その外では財布の中の27円を見つめてそう呟く少年がいたとさ……
616名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 15:15:43 ID:Yuf1hIPC
>>611
『駄目なパパしりませんか?
〜うちの娘が一番可愛い!〜』

…だな。


それはそれとして、
アンゼロットとエリスの外見をみるに、キリヒトの趣味は薄目だよね。
617名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 16:20:10 ID:KUSgQbKw
TISも含めると幻夢神の趣味がとゆーのが正しい気がする
618名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 16:57:59 ID:4B/5XucT
>>617
しかし幻夢神は「冷徹な眼をした少女神」
つまりロリ趣味のガチレz(ry
619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 17:10:29 ID:iana0Pz+
やっぱ時代はガチレズですよね!



……ガチレズかー。ガチレズといえばアルカナハートとかもありかなあ……。
620まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/04(金) 20:34:31 ID:S8Icv5p7
8時45分から投下します。
621まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/04(金) 20:44:54 ID:S8Icv5p7
1年2組の出し物はメイド喫茶である。

と言ってもただのメイド喫茶では無い。
何しろ、このクラスの担任は、家にマジでメイドがいるとゆ〜大金持ちのお嬢様、倉地香なのだ。
ついでに言えば美術教師を務めるだけあって美的センスも抜群なのだ。
1年2組の内装とメイド服のクオリティの高さはその辺から来ている。
そんなわけで。1年2組のメイド喫茶は、大盛況であった。

「ごめんね〜。まさか銀之介と唐子さんが来るって思ってなくてさ」
テーブルの上にケーキとお茶を並べながら申し訳なさそうなメイド服姿のいのりが謝る。
いのりは1年2組のメイド喫茶と不思議研のお化け屋敷で掛けもちで働いていた。
意外と美少女な上に家事全般を得意とするいのりは、1年2組においても貴重な戦力として重宝されていた。
「いや、いいよ」
唐子の前で恥ずかしいところを見せてしまった銀之介がちょっとだけ不機嫌そうに言う。
男のメンツとか色々気になる年頃なのだ。
「いいって、いいって。気にしてないよ」
からからと笑うのは唐子。動物で例えると能天気なウサギって言われるくらい能天気なだけあって、あんまし気にしてない。
「むしろ銀之介君が言ってたあれを間近で見られてラッキー、みたいな?」
唐子があれと言った、燃え盛る鳥頭の大男、読者の皆様にはもうすでにおわかりだろう。
いのりの魔物、ファイアーワークスである。
「本当にすごいね。あれ。いきなりあれが出てきたら気絶する人とかいたんじゃない?」
「…いやね、違うんですよ?最初はちょ〜っと驚かす程度だったんですよ?」
唐子の指摘にいのりが慌てて言う。
いくら世界結界が無いからと言ってあんな登場の仕方をしたらちょ〜っと驚かす程度じゃあすまない。
んなこたあいのりにだってわかっていた。だが、それがあそこまで暴走したのは…
「ただね、こう何組も何組もカップルば〜っかり来るとあたしに喧嘩売ってんのかな〜って…」
カッとなってやった。カップルなら誰でも良かった。今は反省している。いのりの心情を例えるとこんな感じである。
実際にあれで保健室送りにしたカップルは1組や2組じゃなかったりする。
「そりゃあね?あたしだって分かってるのよ?選んだのは京介なんだし幸せになって欲しいのはあたしも一緒だし」
徐々にいのりがヒートアップしていく。うっかり蘇った、忌まわしい記憶のために。
2週間前の夜。珍しく電話をよこしたと思ったら、その話だったのが、すべての不幸のはじまり。
「でもさ…こっちが悪魔とセメントしたり毎日毎日地味〜なパトロールしたり魔王敵に回したりしてるってえのに、
向こうは楽しくオフ会ってどゆこと!?しかもそれに京介同伴ってデートかっての!?」
珍しくハイテンションだった少女は喋り続けた。延々と、延々と…すっかり夜が明けるまで。妹がすっかりげんなりするまで。
夜型な彼女に、朝型の気持ちなんて分からないから。
「ええと…いのり…さん?」
不穏な空気と異様な熱気を感じて、背中に走るいも虫を感じた銀之介が、おずおずと止めようとする。
だが、残念ながら銀之介の言葉は届かなかった。
「京介も京介よ!メンバーが幼女に年下のゴスロリ少女にえっちなおねーさんってそれなんてエ…こほんギャルゲかっての!?
あんたは柊蓮司か!ゆくゆくはnice boatかっ!?」
「うわっちゃあ!?」
いつの間にか銀之介のカップの紅茶が煮えたぎっていた。
ついでにちょっぴり焦げくさい。…主にいのりの周りが。いのりから漏れ出した紅い炎で。
「あたしだって年頃の女子高生だってのになんだって任務!?しかも男はせんせいと彼女持ちでおまけにせんせいはせんせいでなんかロリっ子とフラグ立ててるし!
なにこれ、嫌がらせ!?GMの陰謀!?扱い悪すぎじゃない!?」
いのりの暴走はその後、しばらく続いた…
622まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/04(金) 20:50:13 ID:S8Icv5p7


「つ、疲れた〜」
唐子がテーブルに突っ伏す。
同じく突っ伏す銀之介、ちょっぴり前髪が焦げているのは、努力の証。
あの後、暴走するいのりを止めるなんてその辺のクラスメイトにできるはずも無く。
結局2人で必死にいのりをなだめ、何とか落ち着かせた。
「ごめん…あたし、たま〜に暴走すると止まらなくって…」
いのりがしょんぼりとして謝る。
「いいのいいの。たまにはこうして色々吐き出さないと辛いこともあるよね」
唐子がいのりを慰める。
唐子にはいのりの気持ちが痛いほど分かったから。
「うう…唐子さ〜ん」
周囲の優しさが身に染みる。いのりが唐子に抱きついた。
そんなときだった。

ぴんぽ〜んぱんぽ〜ん

微妙に気の抜ける、ずれた音程で教室に響き渡るお知らせのチャイム。

「本日、午後2時より体育館にて演劇部による創作劇『僕の血を吸わないで』を上演いたします。
皆様、是非見に来て下さいますようお願いいたします」

「へえ〜今年は演劇部創作劇なんだ」
唐子が関心して言う。毎年毎年よく頑張るな〜と言った感じで。
「ああ、そう言えば春美ちゃんが言ってました。なんか昔演劇部を救った劇でその台本で不思議研のお化け屋敷を手伝わせたとかどうとか」
一通り落ち着いたいのりが春美から聞いた話を2人に言う。
「演劇部を救った?どゆこと?」
「え〜っと確か」

「そこからは私からご説明しましょう!!!!!!!!!!!!!!!!」

「うわ!?」
突然銀之介の後ろから大きな声と共に1人の少女がひょこっと顔をだす。
その姿を見て、唐子と銀之介はさらにびっくりした。
着ているのはいのりと同じメイド服。髪の色は茶色だしリボンだって青い。だが、このおかっぱ頭とぐるぐるメガネは…
「「三石ちゃん!?」」
「どうも〜はじめまして〜小夏お姉ちゃんの妹の春美です。どぞ、よろしく〜」
手慣れた様子でゲーセンで作った名刺を取り出して2人に渡す。
「三石ちゃん、妹いたんだ…」
「びっくりするほどそっくりだね」
それを受け取りながら2人がそれぞれの感想を言う。
「ええ、よく言われます。さて、こっからが本題です」
こほんと1つ咳払いをして、春美が喋り出した。
623名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 20:51:40 ID:RmCXETX+
紫煙
624まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/04(金) 20:54:01 ID:S8Icv5p7
「僕の血を吸わないでと言うのは6年前、廃部の危機にあった演劇部においての救世主とも言える劇なんです!」
「廃部の危機?」
廃部と言う言葉に銀之介は首をかしげた。
「だって、あの演劇部だろ?あんましつぶれそうな感じじゃなかったけど」
飯波高校演劇部は、文化系の中では割と大きい部活だ。部員だって結構な数いる。
「あ、でも聞いたことがあるよ」
生粋の飯波高校卒業生であるだけに、唐子は飯波高校にまつわる色々な話も知っていた。
「何か演劇部の部員が増えたのはあたしが入学する前までいたものすごく可愛い外人の女の子の部員目当てで入った人が多かったからだって。
それで、その人はずっと帰りを待ち続けてた人がいて、最後は帰ってきたその人と駆け落ちしちゃったんだって。ロマンチックだよね〜」
唐子の話を聞いて、春美は大きく頷いて話を続ける。
「その通りです。そして、その女の子が入る直前の6年前、演劇部は一度潰れかけてるんです。
しかし、演劇部はその年の演劇コンクールでいい成績を残してたおかげで存続が決まり、その後は唐子さんの言ったとおりです。
6年前、演劇部は部員はわずか3人、しかもそのうち2人は3年生と言う本当に酷い状況でした。
このままじゃ下手したら春すら迎えられない。そんなとき、3年生の部員の1人が一念発起して3人でもできる劇として台本を書いたのが『僕の血を吸わないで』なんです!

ちなみに一晩でやってくれたそうです!そしてその後、新しい部長の方針でこの劇は封印され、そのまま幻の劇となったのです!」
春美の熱演。そのはた迷惑っぷりは姉に勝るとも劣らない。
既にいのりと唐子、銀之介以外の人間は客も店員もみんな退避している。
「そ、そうなんだ…」
本当は逃げ出したかったが、絶対回り込まれそうな気配を感じて銀之介がちょっぴりひきつった愛想笑いを浮かべる。
三石ちゃんと同じなら、そうそう離してくれないだろうななどと考えながら。
「それで、その幻の劇の台本を見つけたのが…」
「はい!私です!当時の部員しか持ってないだろうってことで苦労すると思ってました!」
春美が貧相な胸を張って堂々と答える。
「でも、良く見つけたね。3人の部員ってことは3冊しかないってことでしょ?しかも6年前のなんて」
よくもまあそんなのを見つけ出したもんだといのりがすなおに感心する。
「ええ。姉さんは読み終わった本でも大事に本を取っとくタイプだったのが勝因です」
いのりのもっともな疑問に春美は不思議な返しをした。
「え?姉さんって、三石…じゃあ分かんないよね。小夏ちゃん?それになんの関係が?」
唐子が首をかしげる。
「あれ?知らないんですか?」
その様子に春美がちょっとだけ考えて笑顔で言う。
「私には小夏お姉ちゃんの上にもう1人姉さんがいるんですよ」
「「ええ〜!?」」
2年間小夏と一緒の学校に通っていたが初耳だった2人が驚く。
「それで、その姉さんが当時の唯一の1年生の部員だったんです。ちなみに例の劇ではヒロインやったって自慢してました!」
と、言うわけでこっちも演劇部のお手伝い行くんで失礼します〜と去っていく春美を見送りながら、銀之介と唐子がお互い顔を見合わせる。
「なんて言うか…」
「世間ってせまいね」
そして、2人して乾いた笑いを浮かべた。

ちなみに。
その台本を書いたのが漆野刑事の言ってた知り合いの吸血鬼だったりするのだが、それはまた、別の話。
625まほうせんせいと赤毛の悪魔 ◆1IXdmMAgHc :2008/07/04(金) 20:54:40 ID:S8Icv5p7
今日はここまで。ちなみに、いのりの姉、ねがいが何やってたのかも、別の話w
…はじめてのおふかいでハイテンションだったのでせう。彼女。

>>548
そもそも始まりから食物連鎖ですからねえ。せんせいとロリっ子のフラグ

>>549-550
嫌なことがあったせいで中の人が漏れ出したのかw

>>551-552
ええ。同じですね。作者含め。
626名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 21:23:00 ID:V64O7/r7
>>625
おつです。
なんか聞き覚えあるぞー、京介同伴のオフ会って……
まさかアガトラとまで繋がってるとわ……w
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 21:39:08 ID:PMxOq2W4
まほうせんせい乙。
そうかあの(ある意味)地獄のようなオフ会の裏にこんな聞くも涙の物語がw
628名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 21:48:28 ID:ZnBYwQuZ
なんかもー、読んでるこっちが懐かしすぎて泣けて来たわ!?
629名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 22:10:29 ID:QfIer0sE
アガトラとまほうせんせい微妙に繋がってる、っていうのは一番最初に作者さん言ってたよ。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/04(金) 22:16:27 ID:QfIer0sE
    ト ニハ    V / | |        | ト、
    | ハに!|  /ノ _」仁 -__ / /  \_
    |  片Vに-'  ̄  ̄   ̄ `く-、   |レ|
    |/ /V'´ / ///  |   l l l   V / 「ヽ
    | / く/// /// | l   | | || | |   V!に  ',
    | ′ / |lK_ハ|」l_| l.l   ! | || | |   V    i
    |'^Y {  !l ,ィチ示ミ、レ ‐┘|_||_|_|ハ /     !
    | ノヘ`ーリ  辻ソ     イモハ',イハ    |   ◎保管
   /⌒ヽヘヘメ\        ヒソ /l.|  |    |
  /    へ| └‐ ト   r ,′ ,.イ/リ  | l     |    まほうせんせいと赤毛の悪魔 #17
  | /  ,レ‐f´/.  > -‐ァ<l┘    | l     |
  | f  ○ス rf ┴、 / / ̄`!        | l    |
  Vヽ/ー/ ハー‐、 `く /___ i        | l   |
  \に´/こ!`Y \ V >ヘて     | l.    |
    ∨´_ノ  「゙ー‐<仁Y′’      | l.   |
    |\__ノ     /」         | l     |
    | , __二ー--</       | l     |
    | ̄ _   ̄ ̄`ソ         | l     |

関連するAAでも貼ろうかと思ったけど見つからないんでやめた。
631NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 01:54:23 ID:QtZZs6xL
毎度どうもです

いくら本筋に関わりないとはいえ、彼等と彼女の闘いを省略するなどという暴挙が許されるだろうか?
断じて否である

というわけで二時くらいから投下します

632NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:03:09 ID:QtZZs6xL



 渾身の力を込めて、その剣を振るう。
 全霊の力をもって、その拳を振りぬく。
 真っ向から激突した力と力がぶつかり合い、その衝撃が周囲のビル、鏡のように張り巡らされた窓を一斉に破砕する。
 粉雪のように舞い散るガラスの雨の中で一瞬の静寂を伴った後、その両者は弾けるように吹き飛ばされた。
 後方に吹き飛ばされる身体を、両の脚で制止する。
 アスファルトに数mの傷跡を残しつつ身体を停止させたモーリーは、一歩踏み出すと同時に魔剣を上段から一刀にて虚空を両断した。
 刃から放たれた圧倒的な魔力は先の傷跡を消し飛ばし、更に抉り砕きながら一直線に敵――ブラボーへと殺到する。
「!」
 モーリーと同様に体勢を立て直したブラボーは、眼前に迫ってくる衝撃波を見て取るよりも速く地を蹴った。
 一瞬遅れてブラボーのいた場所を魔力の暴圧が駆け抜ける。
 留まる事を知らない衝撃波は100m程離れた突き当たりのビルに衝突し、一瞬で瓦礫へと変貌させた。
「ち……!」
 忌々しげに舌を打つモーリー。上空を見上げた。
 モーリーの放った魔力の斬撃を回避した後、ビルの壁面を蹴って上空に跳んだブラボーを見て取ると、彼女もまたそれに追いすがり地を蹴った。
 十階建てのビルの屋上に向かって物理法則を無視して駆け上がる。
 一瞬にして屋上まで辿り着いたが――そこには既にブラボーの姿はない。
 ――頭から足の先に、悪寒が走り抜けた。
 反射的に天を見上げる。自分に向けて一直線に降下してくるブラボーの姿があった。
「流星・ブラボー脚ッ!!」
 咄嗟に魔剣を振り上げてブラボーの蹴足を刃で受け止める。
 圧倒的な衝撃が身体を貫き、屋上の床が瓦解した。
「ぐ、う……っ!」
 十階、九階、八階。魔刃にて剛脚を受け止めたまま、モーリーはブラボーと共に床を貫通しながら絡み合っていく。
 七階、六階、五階。渾身の力を込めて魔剣を振るう。同時にブラボーが身体を回転させるように翻り、拳を叩き込んだ。
「直撃・ブラボー拳!!」
 僅かに身体を反らして肩口で受け止める。胸元を貫く衝撃。
 四階、三階、二階。モーリーは口惜しげに歯を噛んで、シルバースキンの襟元を掴んだ。
 そして一階。床に叩きつけられる直前、モーリーは渾身の力でその腕を引く。
 少女の外見からは想像もつかないような剛力にブラボーは引き摺られ、空中で体躯を入れ替えられた。
 モーリーを上に、ブラボーを下にして両者は床に叩きつけられる。
 シルバースキンによって衝撃は相殺できたとはいえ、相手に上を取られた不利は覆せない。
 身体を翻すよりも速く、モーリーの脚が飛んだ。
 床を踏み抜かんばかりの衝撃がブラボーの胸に叩き込まれ、その身体を床に縛り付ける。
「終わりだっ!」
 叫んでモーリーが魔剣を振りかぶる。
 と同時に、ビルの壁を突き破って無数の魔力の塊が飛来した。

633NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:06:43 ID:QtZZs6xL
 

「っ!」
 反射的に虚無の弾丸総てを切り払う。
 一瞬とはいえ気が逸れたその隙をブラボーが見逃すはずがない。
 押さえつけていた脚を払い、僅かに身体を傾がせた彼女にブラボーは倒立姿勢から蹴りを叩き込んだ。
 モーリーの身体が吹き飛び、ビルの壁を打ち壊して外にまで押し出される。
 ブラボーの蹴撃をまともに喰らってしまった彼女は屈辱に瞳を燃え上がらせて、制止すると同時に地に手をたたき付けた。
「――噛み砕け!」
 モーリーの号令と同時に魔力が収束し、放たれる。
 今しがた彼女が押し出された――そしてブラボーがいるであろうビルを挟み込むような形で巨大な鉄塊が天に伸びる。
 コンクリートで形作られた《ドラゴンファング》が、その名の通り地からその顎を開いてビルを飲み込み、圧壊させる。
 その魔力の発動の中心にいたブラボーがそれを避けられたはずもなく、彼は膨大な鉄塊によって押し潰され――
「ッ!?」
 ――白銀のコートを揺らし、ブラボーが躍り出た。
 《ドラゴンファング》で完全に圧壊したはずのビルは何事もなくモーリーの眼前に聳え、彼女が外に蹴りだされた時にできた穴からブラボーが疾駆していたのである。
 まるで時間が巻き戻ったかのような錯覚――否、そもそも魔法による破壊が始めからなかったかのような状況。
「《ノーリーズン》! 夢使いっ!!」
 肉薄するブラボーから地を蹴って跳び退ると同時、モーリーは忌々しげに叫んだ。
 因果に干渉して魔法そのものを始めから”なかった事”にする、虚無系統に属する高位魔法だ。
 先程ブラボーへの一撃を阻んだ虚無の弾幕――《ヴォーティカルカノン》を思い出して彼女は結論を出した。
 《ノーリーズン》で打ち消されないほどの干渉力を持つ魔法も、無論モーリーは使う事もできる。
 だが、元々彼女は魔法を用いるタイプではなかった。
 彼女は歯を噛んで魔剣を握り締める。
 ”女公爵”モーリー=グレイの恃む所は手にした魔剣、その剛刃のみ。
「舐めるな……!」
 迫撃するブラボーを鋭く見据え、真っ向から受け止める。
 再び激突する魔剣と剛拳。
 踏み込みの衝撃が互いの立つ大地を打ち砕き、衝撃が周囲を駆け抜けていく。
 しかし、先の激突の再現は、結末まで再現される事はなかった。
 モーリーが身体ごと叩きつける勢いで魔剣を一気に振りぬく。
「ぐ――っ!」
 そしてブラボーの身体が吹き飛んだ。
 身を引いたのではなく、完全に力負けして弾き飛ばされた。
 実に数十mを吹き飛ばされてブラボーはようやくたたらを踏んで体勢を立て直す。
 そこに――返しの刃で放たれた衝撃波が全身を貫いた。
 衝撃を相殺するシルバースキンがみしみしと悲鳴を上げる。
 腕を前面で交差させて耐え凌ぐがその威力は凄まじく、ブラボーの身体は更に吹き飛ばされた。
 ブラボーを巻き込んで背後に立ち並ぶビル群を次々と薙ぎ倒し、なお威力を減じないその魔力。
 衝撃波に押し飛ばされながらブラボーはその拳を天に振り上げ、そして渾身の力でそれを振り下ろす。
「両断・ブラボーチョップ!!」



634NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:11:51 ID:QtZZs6xL
 


 突き刺さる力が魔力を叩き潰し、破砕する。
 周囲のアスファルト、鉄筋の悉くを崩壊させてモーリーの魔力はようやく霧散した。
 だが――次の瞬間、彼が見たのは眼前で魔剣を振り上げるモーリーの姿だった。
 衝撃波だけではブラボーを討ち得ない事を理解していたのだろう、彼女は魔力を放つと同時にそれに追いすがり、間合いを詰めていたのだ。
 避けられるタイミングではない。
 ブラボーは腕を上げてシルバースキンにてその斬撃を受け止める。
 圧倒的な衝撃がぶつかり、火花が散る。
 そして――六角形の破片と共に拳から腕部、肩口までのシルバースキンが一気に粉砕された。
 ここにおいてモーリーの気概と魔剣の威力は先日の比ではない。
 魔剣から放たれる魔力の衝撃波はまだしも、その剛刃による直接攻撃はもはやシルバースキンを以てしても防ぎきれなかった。
「―――ッ!」
 だが、委細構わずブラボーは勢いを減じたモーリーの魔剣をいなし、一歩深く踏み込んだ。
 斬撃の間合いから拳撃の間合いへ。
 モーリーの剣をブラボーが避けられなかったように、モーリーもまたブラボーの拳を避けられるタイミングではない。
 彼女の胸部に拳が叩き込まれた瞬間、まるで爆薬でも仕込んでいたかのようにモーリーの身体が弾けとんだ。
 その背後にあったビルに激突し、壁面を貫いて彼女の姿が爆煙の中に消える。
 そして空から、
「《ジャッジメント・レイ》!!」
 光の雨が降り注いだ。
 ビルを諸共に巻き込んで光がモーリーの吹き飛ばされた場所へと殺到する。
 目を覆うほどの光量と爆音、破壊の嵐。
 下階部分が完全に崩壊し、上階部分が崩落して中にいるだろうモーリーを押し潰した。
 総てを打ち砕く光の乱舞が収まり、ビルの瓦礫が爆煙に包まれる。
 少しだけの静寂。
 そして――瓦礫のビルが蠢いた。
 巨大な岩塊と化したビルがゆっくりと持ち上がっていく。
 おおよそ四階分はあるだろうその上階部分を、モーリーは片手で持ち上げていた。
「お、おぉおおおっ!!」
 裂帛の声と共にモーリーがブラボーに向けてビルを投げ飛ばす。
 飛来する巨大な塊を前にブラボーは、地を蹴って跳んだ。
「粉砕・ブラボラッシュ!!」
 無数の拳がビルに叩きつけられる。
 叩き、抉り、砕き、潰し、叫んだその技の通りにビルが粉砕されていく。
 だがブラボーの動きはそこで止まらない。
「ぉおおおおっ!!」
 中空で粉砕し無数の岩塊となったそれを、次々とモーリーに向かって蹴り飛ばした。
 墜落する流星群を思わせる瓦礫が降り注ぐ。
 だが、彼女にとってそのようなモノは小石のようなものだ。
「下らん――!」
 委細構わずブラボーに向かって突進する――その刹那。
 彼女はほんの僅かに身体を傾がせた。
 甲高い金属音が響き渡る。
 火花を散らして駆け抜ける何かを、しかし彼女は一顧だにせず、
「賢しいぞ、小僧……!」
 あらぬ方向へ向けて魔剣を一閃させた。
 それまでの攻撃とは違う、明らかに手を抜いた魔力の衝撃波。
 それがモーリー=グレイの先の一撃に対しての返礼であり、その相手への正当な評価だった。


635NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:15:54 ID:QtZZs6xL
 

 モーリーの魔力が一直線に剛太へと迫っていく。
 彼は唇を噛んで地を蹴った。
 十分に距離を取っていたとはいえその威力は絶大であり、生身の剛太が受ければ一撃で戦闘不能になる事は明らかだった。
 とはいえ、モーリーは始めから中村 剛太を歯牙にかけていない。
 ここで討ち取る事も考慮には入れていないだろう。
 ほとんど当てる気のないその一撃を余裕を持って回避して剛太は屈辱に拳を握る。
「大魔王にとっちゃ俺はその辺の小石同然ってか……くそっ」
 吐き捨てるように言いながら、頭の中ではその事実を冷静に受け止める。
 目の前では再びモーリーとブラボーの戦闘が再開されている。
 端的に言ってしまって、レベルが違う。入り込む余地が微塵にもない。
 だが、それでも。
 それでもここにいる以上、自分は何かをしなければならない。
「無事か」
 空より声が響き、ナイトメアが静かに滑空してきた。
 それを目の端で確認しながら剛太は小さく頷く。
「まだやれるか?」
「やりますよ。俺なりのやり方で」
 問いに即答してきた剛太を見てナイトメアは僅かに目を見開き、そして薄く笑った。
 絶対的な戦力差を目の当たりにして、なお戦意を失わずに戦局を見据える少年に、ナイトメアは静かに言う。
「ならば任せよう。フォローは要るか?」
「要りません。強いて言うなら頑張って下さい、と。美味しい所は俺が持っていきますんで」
「……そうか。ならば俺達も美味しい所を持っていかれないように頑張らねばな」
 苦笑を漏らしながらナイトメアは再び宙に浮かび上がる。
 主戦場に向かって空を駆けていくナイトメアを言葉もなく見送って、剛太は一つ深呼吸をした。
 戦力差は論ずるのが馬鹿らしいほどに明確。それは認めよう。
 ブラボーやナイトメア達に加勢して闘ったとしても、いいとこ足手纏いにしかならない。それも認める。
 そもそも、己が力で以て真っ向から敵を打ち倒し道を徹すのは中村 剛太のスタイルではないのだ。
 非力なモノならばそれ以外の部分で補い、覆すだけだ。
 剛太は両の手に持つチャクラムを握り締める。
 手の中でモーターギアが速度を増して回転する。
 歯車(ギア)は既に揃っている。チャンスは恐らくただ一度。
 中村 剛太は両の手と頭のギアを回転させながら、その一瞬を待つ。



636NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:20:53 ID:QtZZs6xL
 


 振り下ろされる刃を正に紙一重で回避する。
 擦過する魔力はシルバースキンによって防ぎ、致命的な直接攻撃のみを受け流す。
 絡み合うように踏み込んで蹴りを放つ。だが、それは突き出された手甲によって完璧に受け止められた。
 下段から返しの刃。だが、片腕を防御に使った分威力は少ない。
 彼女がそうしたようにブラボーもまた片腕で受け止める。
 白刃と銀鱗が激しい火花を上げ――
「………っ」
 ブラボーは吹き飛んだ。
 半ば衝撃に乗って退いた形であったのでダメージは殆どない。
 ましてシルバースキンを纏っているならなおさら……と言いたい所だったが、ハットの奥のブラボーの表情は険しかった。
 傍から見た状況であれば五分の戦いに見えただろうが、当事者のブラボーにとってはそうではない。
 明らかな劣勢。ここに来て予想だにしていない『問題』が露呈したのだ。
 神速の踏み込みでモーリーがブラボーの間合いに侵入する。
 両の手で振りかぶる渾身の一撃。
「!?」
 殆ど反射的に地を蹴って、ブラボーはモーリーから大きく距離を取った。
 モーリーは僅かに眉根を寄せて動きを止め、十mほどの距離で対峙し、睨みあう。
 これまでの戦いで始めてみせる、ブラボーの明らかな後退。
 その意図が読めずにモーリーはうかつに踏み込めないでいた。
 彼女の見据えるブラボーの背後に、一つの影が降り立つ。ナイトメアである。
 彼は迎撃の魔力を蓄えたまま、モーリーから視線を外さないブラボーに囁いた。
「身体は大事無いか」
「今の所は問題ない」
 ウィザードたるナイトメアと錬金の戦士たるブラボーが行動を共にするにあたって、事前に判明した問題が一つだけある。
 それは絶対防御を誇るシルバースキンの特性ゆえの問題――それは、シルバースキンは魔法的な効果も一切遮断するという事だ。
 シルバースキンの防衛能力は物理的な攻撃は当然の事ながら、ウィザード達の使う魔法に対しても絶大な防御を発揮する。
 それはある意味有利な点であるのだが、逆にブラボーにとって有利な魔法すらも遮断してしまうのだ。
 周囲に障壁をはる防御魔法ならば問題はないが、彼自身の身体能力を強化したり傷を癒す回復魔法は完全に遮断して無効化しまう。
 そして、彼が徒手空拳であるが故に得物に魔力を乗せる付与魔法も効果を示さない。
「――だが、恐らく長くはもたん」
「何……?」



637名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 02:24:04 ID:lwV8SgWf
支援
638NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:26:25 ID:QtZZs6xL
 


 続けられた声にナイトメアは眉を潜めブラボーを凝視した。
 彼はモーリーを見据えたまま、半ば自嘲めいた息を漏らした。
「どうやらシルバースキンにも限界があったようだ」
 モーリー=グレイとの戦闘を経て露呈した問題。
 それは、シルバースキンの耐久力と再生速度が低下している事だった。
 シルバースキンは確かに絶対の防御力を誇る。だが、それでも核鉄から構築される武装錬金には違いない。
 度重なる特性の発動で、核鉄そのものが損耗してきているのだ。
 なまじ彼自身の力量とシルバースキンの防御性能が高く、一度の戦闘においてこれほどまで硬化と再生を繰り返す事はなかったがゆえに露呈しなかった欠点だった。
「ならば早々に片をつけるとしよう。中村 剛太が漁夫の利を企んでいるらしいからな」
「……ブラボー」
 ナイトメアの皮肉気な言葉に、ハットに表情が隠されていても明らかに苦笑とわかる声を漏らしてブラボーが呟く。
 会話はそれで終了した。
 何をどうするかなど、歴戦の二人にとっては確認する必要もありはしない。
 ナイトメアが地を蹴って後退すると同時、ブラボーはモーリーに向かって一歩を踏み出した。
 二人の動きを見てモーリーが魔剣を構え、目を細める。
 距離を取った夢使い。立ちはだかる戦士。
 ならばそこから来るのは当然――

「――さあ、悪夢の時間(ドリームタイム)を始めよう」

 ナイトメアの周囲に魔力の暴風が吹き荒れた。
 両の手を掲げ、音にならない詠唱を囁くナイトメアに圧倒的な力が収束していく。
 それはこれまで放たれてきた魔法の比ではなく、神威を思わせるような圧力は魔王モーリー=グレイを以てして表情を険しくさせるほどのもの。
「そのようなモノを撃たせるとでも――!」
 それゆえに彼女がその行為を赦すはずもなく、
「行かせん!!」
 それをブラボーが看過するはずもなかった。


639名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 02:27:57 ID:gtRLTJQP
紫煙
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 02:28:04 ID:lwV8SgWf
よかった、間に合ってた!
支援継続するでありますっ!
641NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:31:32 ID:QtZZs6xL


 疾駆する甲冑の騎士に真っ向から立ち塞がる。
 邪魔者は総て斬って捨てんと振り下ろされた一撃をブラボーは裂帛の気合で受け止めた。
 じりじりと不協和音を放つシルバースキンを奮い立たせて魔刃を受け止める。
 身体ごと激突してきたモーリーの疾走を数mで押し留め、拳を振るう。
 だが現状モーリーにとって重要なのはブラボーを倒す事ではなく、その背後にて強大な魔法を練り上げているナイトメアを駆逐する事だ。
 眼前に迫る拳撃はあえて無視。甘んじて一撃を受ける代わりにその防壁を突破する――
「粉砕ッ!」
「っ!!」
 ―― 一撃、ではなかった。 
「ブラボラッシュ!!」
 弾幕のような無数の拳撃。
 喰らう事を許容したモーリーの身体に次々と拳が叩きこまれる。
 モーリーにとって重要なのがナイトメアの駆逐であるように、ブラボーにとっても重要なのは彼女の打倒ではなくその足止めなのだ。
 敵を屠る一撃は必要ない。ただ侵攻を押し留める壁であれば良い。
 怒涛のラッシュで動きを止められたモーリーの腹部に衝撃が貫き、彼女は吹き飛ばされる。
 拳撃の隙間を縫うように放った蹴りでモーリーを後退させると、ブラボーは彼女に追随するように更に前進する。
 モーリーはたたらを踏んで押し流される身体を制止すると、前方を垣間見るより早く魔剣を一閃させた。
 放たれる衝撃波の暴圧。魔力の波を貫いて、モーリーに肉薄するブラボー。
 一瞬にして間合いを詰めると同時に地を踏みしめた。
 大地を踏み抜かんばかりの震脚。そして眼前の魔王に渾身の拳を――
「―――っ!?」
 放たれた拳が、空のみを貫いた。
 やり過ごしてブラボーを抜き去ったのではない。
 防衛を念頭においている以上どう動こうともブラボーはそれに対抗できるようにしていた。
 それでも相手を捕らえ損なったのは、モーリーが跳び退って後退したからである。
 遠距離からの魔法――否、魔剣の衝撃波。
 肩に担ぐようにして振りかぶるモーリーの魔剣が圧倒的な魔力を纏う。
 だが、現在のモーリーとブラボーの立ち位置――中距離においてその選択は賢明とは言い難かった。
 モーリーがナイトメアに向かって魔剣を振りぬく前に、その拳が彼女を打つ。
 ブラボーが地を蹴って追撃する。間合いの詰めは一瞬。
 防御を度外視している無防備な胸部に渾身の拳を叩き込む、その刹那。
「―――」
 ブラボーは遅すぎるタイミングで、それに気付いた。
 眼前のモーリーが凄絶な笑みを浮かべてブラボー”だけ”を見ていた事に。
「砕けよ!!」
 拳を打ち出すだけのブラボーと、剣を振り下ろさねばならないモーリー。
 明確にすぎる勝敗の道理は、常識を逸脱して覆された。
 相手の攻撃に《重ね、当て》る、魔剣使いが絶技。
 刹那の時間に割り込むように魔剣がひらめき、ブラボーの身体に食い込む。
 叩きつけられる膨大な魔力。神速と呼ぶに相応しい圧倒的な一閃。
 ブラボーを守護するシルバースキンが崩壊する。
 銀鱗が千々に砕け散っていく中、なお勢いを減じない魔王の白刃がブラボーの胸を袈裟に切り裂いた。


642NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:36:09 ID:QtZZs6xL
 


 刹那の攻防に勝利を収めたモーリーは、しかし崩れ落ちるブラボーを一瞥する事もなくもう一人の敵――ナイトメアに視線をやった。
 彼の周囲に寄り集まった魔力は既に人外の領域――魔王のそれに匹敵する。
 もっとも、魔法として放たれない限り何の意味もない事ではある。
 モーリーは地を蹴ると同時に再び魔剣に魔力を纏わせた。
 ナイトメアにはブラボーのような防御力はない。まして現在は魔法の詠唱中で無防備だ。
 仮に詠唱を破棄してここから放たれる衝撃波を回避したとしても、所詮は魔法を旨とする夢使い。後に相対してモーリーに抗しうる相手ではない。
 どこぞにいるチャクラム使いの少年は論外だ。
「……終わりだ」
 ナイトメアを見据えたままモーリーは魔剣を振りかぶる。
 そしてこの戦闘の終焉の一撃を――
「……?」
 振りかぶった姿勢のまま、モーリーは不意に動きを止めた。
 否、彼女が動きを止めたのではない。振り下ろそうとする腕が、何かに絡め取られている。
 気付けば腕だけではなく、その脚その身体が総て動かない。
 ちらちらと踊る銀鱗を視界に収めたその瞬間、モーリーは顔をゆがめた。
「これ、は……!」

「――シルバースキン・リバース……!」

 シルバースキンが打ち破られた原因はモーリーの一撃の苛烈さでもあり、シルバースキン自体の限界でもあった。
 だが、あの刹那で敗北を悟ったブラボーは半ば打ち砕かれるに任せていたのだ。
 全力で受け止めてダメージを幾分減らした所で二人の攻防に何ら意味はない。
 先に念頭に置いた通り、彼の目的はモーリーの足止めであるが故に。
「錬金の戦士っ! 貴様あぁあっ!!」
「ぉおおおぉおおおぉおぉっ!!」
 二人を繋ぎとめる銀鱗の鎖がぎしぎしと悲鳴を上げる。
 猛るモーリーを全霊の力を以て拘束するブラボーの咆哮に応えるように、

「―――《ヴァニティ・ワールド》!!」

 極大の魔力が重なった。



643名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 02:40:53 ID:lwV8SgWf
支援しましょう、言霊を紡ぐ者よ
644NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:41:07 ID:QtZZs6xL


 モーリーの周囲の空間が切り取られる。
 銀鱗の鎖にて拘束された彼女を閉じ込める檻のように結界が構築され、世界を遮断する。
 その内側――モーリーが取り込まれたのはその魔力によって生み出された一種の異世界。
 その極小の世界は存在するために生み出されたのではない。それはただ、捩れ砕けるためだけに生み出された世界。
 因果と空間を巻き込んで世界が圧壊する。世界そのものの崩壊には如何なる防御も意味を成さない。
 捩れ狂い潰れていく世界がモーリーの存在そのものを打ち砕く――
「あぁあああぁあああぁっっ!!!」
 ――だが、その世界を捻じ伏せてこその魔王の称号。
 裂帛の咆哮と渾身の力で魔剣を振り上げる。
 総身に叩きつけられる魔力の衝撃を以てなお”女公爵”の意思と魔剣は砕けない。
 纏った魔力と共に刃を振り下ろす。
 せめぎあい荒れ狂う魔力。取り込まれた世界の内側からその力で斬り拓く。
 耳朶を貫く破砕音と共に、《ヴァニティワールド》が斬って捨てられた。

「――どりぃ〜む」
「―――」

 虚無の世界より脱出したモーリーが見たのは、ただ暗闇。
 魅入られたように動きを止めた彼女の眼前、広げられたナイトメアの掌。
 黒色の腕に鮮やかな刻印が浮かび上がる――

「《ディヴァイン・コロナ》――!!」

 ――それは確かに、モーリー=グレイにとっては悪夢といえた。
 虚無の属性の《ヴァニティワールド》と、天聖に属する《ディヴァインコロナ》は共にこの世界で知られる中でも最上級の魔法。
 絶大な威力を保有するそれらの魔法は、その力と代償に致命的なほどの詠唱時間を要する。
 魔王級の存在であるか術式構築速度を極める陰陽師であるならともかく、夢使いであるナイトメアに二つの魔法を連続使用する事はできないはずだ。
 実際最初の《ヴァニティワールド》はブラボーに守られて詠唱を行っている。
 この事態は絶対にありえない。それこそ夢か幻だ。
 だが――彼女の身を包む白色の閃光と浄罪の灼熱は、間違いなく現実だった。

645NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 02:45:37 ID:QtZZs6xL
 


 生み出された小型の太陽に、周囲の瓦礫ごと呑み込まれ消えていくモーリーを視認しながら、ナイトメアはブラボーの許へと跳躍した。
「……やはり一度しか使えんか」
 腕に刻まれた淡い光を放つ刻印を擦りながら、彼は小さく呟く。

 それは、『魔装』と呼ばれる近年になって開発された新しい魔法形態。
 戦闘に際して術式を組み上げるのではなく、予め組み上げられた魔法を刻印する事によって魔法を即時発動を可能とする技術である。
 魔法そのものを肉体に刻み込むという行程ゆえに負担がかかる事になるが、それを差し引いても詠唱の無防備状態を解消できるのは十分なメリットになる。
 現在においてはまだ実用化に至っていない魔装であるが、一線級のウィザードであるナイトメアはモニターとして試作型を運用していたのである。
 無論、試作段階のモノをこんなぎりぎりの戦闘で使うつもりはなかったのだが、おかげでモーリー=グレイの虚を突く事ができた。

「無事か、ブラボー」
「……どうにかな」
 問うてきたナイトメアにブラボーは苦々しく答えた。
 既にシルバースキンを核鉄に戻し袈裟に切り裂かれた胸に押し当てているが、それでも傷はかなり深い。
 しかもその核鉄も、戦闘によって細やかな亀裂が浮かんでおり十分な治癒力を発揮できないでいる。
「少々残りの魔力が怪しいが、治癒を施そう。中村 剛太の核鉄も併せれば」
「ナイトメアッ!」
 ナイトメアの言葉を遮って、ブラボーが叫ぶ。
 傷の痛みを無視して彼はナイトメアの身体を押し退け――かろうじて可能だったのは、致命傷を避ける事だけだった。
 身体を貫く灼熱にナイトメアが顔を歪ませる。胸に突き立った槍の穂先を忌々しく睨みながら、彼は膝を付いた。
 鈍い甲冑の音が、静寂の中に響き渡った。
 崩れ落ちるナイトメアを遮る形でブラボーは彼女に立ちはだかる。
 裂かれた胸はまだ満足に治癒していない。
 だが、傷の程度で言えば彼女も同様だった。
 身体に纏っていた白銀の甲冑はもはや見る影もなく砕け焼き融かされ、覗く素肌は鮮血に染まっている。
 だが……だが、それでも。
 虚無の世界に押し潰され、断罪の光球に焼き尽くされてなお、”女公爵”の烈火のような眼光は更に強く敵を睨み据える。
「――まだだッ!!」
 咆哮し残る魔力を解き放つ。
 満身創痍でありながらその放つ圧力は大気を揺らしブラボーの全身を撃つ。
「我が名はモーリー! モーリー=グレイ!! 偉大なる金色の魔王より序列三位を賜る”女公爵”!!
 この名、この剣にかけて、人間に敗れる訳にはいかない!!」
「……それはこちらとて同じ事!!」
 裂帛の気合と共に魔剣を構えるモーリーを真っ向から受け止めて、ブラボーはその手に持つ核鉄を掲げる。
「人々を守る戦士として、この惑星(ほし)に生きる一つの生命として!
 世界を侵す魔王に敗れる訳にはいかん!!」

「星薙ぐ魔剣よ! 我が生命を以て刃と成せえぇぇぇ!!」

 鮮血に濡れた手を刃に走らせると同時、これまでにないほどの力が魔剣より溢れ出す。

「猛ろ、俺の武装錬金!!」

 手にした核鉄を掲げて叫び、その総身に輝く銀鱗のコートを纏う。

 地を蹴るのは両者同時。
 小手先の業などここにおいてはもはや無意味。
 総てを打ち砕く絶対の破壊と、総てを護り防ぐ絶対の盾が真っ向から激突する――


646名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 02:45:40 ID:gtRLTJQP
技名を脳内再生すると無闇に熱くなる脳内勇者王Voice自重orz紫煙
647名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 02:49:24 ID:lwV8SgWf
さぁ、行っておいで。支援するよ。
だって―――君の出番なんだろう?
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 02:56:52 ID:lwV8SgWf
ありゃ、規制かな?
649NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:00:14 ID:QtZZs6xL
 


 ――この戦いにおいてブラボーやナイトメアがモーリーを侮っていた、という要素は微塵もありえない。
 これから訪れる事になる結末の要因は、詰まる所たった一つの事実のみ。


 それは当たり前に過ぎる、ごく単純な事。


 それはただ単純に。



「―――――――魔器、」



 目の前の魔王という存在があらゆる常識を覆し、あらゆる想定を超越したモノであったという事。



「解放!!!!」



 放たれた閃光が地を薙ぎ払い、天を穿ち貫く。
 それまでの闘いが茶番であったかのような膨大な力。
 世界結界の拘束を断ち切って吐き出される死活の一撃。
 それは正に人智を越えるモノであり、そしてヒトの力の及ぶ所ではない。
「散華せよ!!」
 この惑星総てを打ち砕かんとする渾身の刃は周囲の何もかもを消滅させ、正面に立ちはだかるただ一人の男に向かって解き放たれる。
 遍く破砕を齎すその破光は全霊を以て形作られた銀鱗を跡形もなく粉砕し。
 それを纏うブラボーとその背後のナイトメア、その進路上の総てを呑み込んだ。



 ※ ※ ※


650NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:05:22 ID:QtZZs6xL
 


 命題。
 果たして中村 剛太の持つモーターギアは、モーリー=グレイに通用する武器なのだろうか?

 
 二度にわたるモーターギアの攻撃は、二度共に呆気なく彼女の甲冑に弾かれてしまった。
 それがモーリーの積極的意思による防御であったならまだいい。
 しかし現実にはモーリーは剛太とモーターギアを全く意識していない。
 魔剣使いたる彼女が身につけている、剣士としての無意識的な知覚と危機回避能力だけで対処されてしまっている。
 ……つまりは、全く話になっていない。

 だが、それで『否』という回答を導いた者は命題を過って捉えている。
 確かに、中村 剛太はモーリーにとって路傍の小石も同然だろう。
 正面から相対すればおそらく一合で決着する。5秒持てば奇跡の領域と言った所だ。
 しかしここで論じているのは中村 剛太の力量などではない。
 重要なのはモーターギアがモーリー=グレイにとって有効な武器であるかどうかだ。
 その点を論ずるのならば、回答は『是』である。
 意識的にであろうと、無意識だろうと、『防御した』という事実には変わりない。
 むしろ無意識的に防御したからこそ、それは彼女の直感において『防がなければならない』ものだと判断しているのだ。
 問題はタイミング。
 甲冑を貫けない以上その隙間を突くしかない。
 モーリーの身体能力を考慮すればそれだけでもお釣がくるほど困難な上に、加えて彼女の知覚能力も考慮せねばならない。
 攻防の最中に打ち込んでも簡単に弾かれた。飛礫に紛れ込ませても誤魔化せなかった。
 要するに生半可な隙を突いても全く意味がない。
 かといって、彼女の知覚を上回る速度を出すのは、いかな速さを身上とするモーターギアでも不可能。
 であれば剛太がこの戦いにおいて取りうる手段は一つしかなかった。

 ――モーリー=グレイ 対 ブラボー・ナイトメア。
 互いに全力を振り絞り、討ち果さんとする彼等の闘いを、その最高潮で横からかっさらう。

 卑怯と謗られるだろうか、あるいは姑息と嘲笑われるだろうか。
 だがそんな事は剛太の知った事ではない。
 そもそも中村 剛太と彼等ではスタンスが違う。
 その力量でもって道を押し通すやり方になど、付き合っていられない。
 卑怯でも姑息でも勝ちは勝ちだ。
 力量に絶対的な格差があるこの場において、中村 剛太の活きる道はそれしかない。
 幸いにして――当然の選択としてモーリーは剛太の事を完全に無視していた。
 故に彼はただ訪れるだろうその一瞬だけを待てばいい。
 全身の神経を研ぎ澄ませて、最速・最巧の一投だけを叩き込む。

 そして――世界を灼き潰す閃光と共に、その瞬間が来た。


651NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:09:41 ID:QtZZs6xL
 



 ※ ※ ※



「散華せよ!!」
 解放した魔剣の暴威を解放する。
 目の前の戦士も後方のウィザードも周囲の総て何もかもを白色の力で染め上げる中。
 ほんの僅かに瞬いた小さな輝きが疾走るのを、致命的なタイミングで知覚した。
 引き伸ばされた一瞬の中で、ちっぽけな銀輪がゆっくりと飛来してくる。
(避――)
 ――ける事は、できない。
 彼女がその一撃のために解き放った魔力は極大。
 極大であるがゆえにその最中で細やかな制御制動が及ぶはずもない。
 その狙いは精密にして精緻。
 彼女の魔剣を振るう動作がまるで銀輪の軌道に吸い込まれるようにさえ見える、完璧な軌道。
 1mmでも身体を動かせれば簡単に弾けてしまえるその一撃を――自ら放つ力に拘束された彼女には避ける事ができなかった。
 



 ※ ※ ※



652NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:13:16 ID:QtZZs6xL
 


 そして、瓦礫の世界だけが残った。
 かつて市街地であったこの場所は既にその面影は微塵もなく、ただただ圧倒的な破壊に蹂躙された傷跡だけしか存在しない。
 何もなくなったその場所に、剛太は一人立ち尽くした。
 彼なりに総てを込めた一撃、その確かな手応えを証明する血に濡れたモーターギアを握り締めて、剛太は地を蹴って走り出した。
「戦士長! ナイトメア!」
 モーリーが全力を搾り出したあの状況では、たとえモーターギアの一撃で彼女を絶命させたとしても解き放たれた力は止める事はできない。
 つまり剛太の攻撃の成否に関わらず、ブラボーとナイトメアはあの魔剣の破壊を正面から受ける事になっていたのである。
 無論それは彼の責任ではないが、その瞬間を狙うためにあえて看過したのも事実だった。
 恐らくは剛太がブラボー以上にシルバースキンの防御力を過信していたのもあっただろう。
 モーリーの全力の一撃が、これほどまでに桁外れであった事を読めていなかったのもあった。
 そして、それ以上に――

「見事……と。言っておこう」

 ――彼は、魔王という存在を、過小評価していた。

 体中に戦慄が走りぬけ、剛太は凍りついたように動きを止めた。
 まるでブリキのようになってしまった身体を、ゆっくりと動かす。
 揺れる視線の先、廃墟の世界の中、鮮血に濡れた魔王がそこにいた。
「―――」
 言葉さえも出す事ができなかった。
 愕然としたまま凝視している剛太をようやく正面から見据え、モーリーは自らの喉に手を充てた。
 モーターギアによって裂かれた喉から鮮血が零れ、彼女の身体を紅に染め上げていく。
 だが彼女はそのような事は些事とばかりに剛太に向かって口を開く。
「だが、妾を討つにはあと僅かに『力』が足りなかったな」
「―――っ」
 一歩。モーリーが剛太へと歩み寄る。
 同時に彼女の身体が傾いだ。倒れそうになる身体を手にした魔剣を杖に立て直す。
 ブラボーとの凄烈な戦い。ナイトメアによる超上位魔法の二撃。
 《生命の刃》《魔器解放》による膨大な魔力の消費。更に加えてモーターギアの一撃。
 これほどの攻撃に晒されていれば、いかな魔王といえど消耗は著しかった。
 もはや歩く事さえも困難に見えるその姿に、剛太は歯を食いしばり己を奮い立たせた。
 モーターギアを握り締めて彼はモーリーに相対する。
 彼の戦意を見て取って、モーリーは僅かに目を細めた。
「……先の一撃は、賞賛に値する」
 モーリー=グレイはその性情ゆえに正面からのぶつかり合いを好む。
 だが、だからといって搦め手の戦術を唾棄するほど狭量ではなかった。
 明確な力の差を、それ以外の手段によって補い覆そうとする。
 そういった意味で言えば剛太の取った戦術は戦いとして正しい。
「なればこそ、ここにきて無様な抵抗などを晒してくれるな」


653名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 03:14:25 ID:d0flqlgJ
支援
654名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 03:14:57 ID:lwV8SgWf
支援
655NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:15:42 ID:QtZZs6xL
 


「……っ」
 圧倒的な敵からの評価は僅かなりとも誇れるモノがあるだろう。
 だがそれ以上に、既に闘いが決したような物言いに剛太は歯を噛んだ。
 無様な抵抗。確かにそうかもしれない。
 だが、無様だろうと格好が悪かろうと、ブラボーとナイトメアが命を賭して闘った以上自分も退く訳にはいかない。
 宮殿で守護者の少女に言われた言葉を思い出す。
 中村 剛太は今ここにいるのだ。ここにいる以上、為せる事と為すべき事が必ずある。
「う、ぉおおおぉおぉおおおおっ!!!」
 咆哮と共に腕を翻す。
 渾身の力を込めてモーターギアを射出する。
 その速度は先の一撃にも劣らない程に速く、鋭い。
 ……だが。
 仮釈それが先の一撃を上回るものであったとしても。
 正面から相対した以上モーリーにとって一切の脅威ではなかった。
「……そのような児戯で晩節を汚すとはな」
 魔剣を握り締め一閃する。
 たったそれだけで、剛太の渾身の一撃は呆気なく弾き飛ばされた。
 あらぬ方向へ弾かれていくモーターギアを見ながら、剛太は歯を食いしばった。
 モーリーが更に一歩踏み出す。斬撃圏内。
 身動き一つ取れずに睨みつけてくる剛太を冷ややかに見据えながら、モーリーは魔剣を振りかざした。
 もはやかける言葉すらもなく、彼女は一片の逡巡もなく魔剣を剛太に振り下ろす。
 そこで、彼女は見た。
 確実な死を目前にしながら、凄絶な笑みを浮かべている中村 剛太を。

「……”こんな児戯”で十分なんだよ」

 彼は振ってくる刃に眼もくれずに言い、

「十分だとも。ブラボーだ、戦士・剛太――!!」

 それに男は応えた。


656NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:18:50 ID:QtZZs6xL
 


 魔剣が振り下ろされると同時、剛太を護るように銀鱗の壁がせりあがった。
 更に刃はそれにぶつかる刹那、見えない障壁がその侵攻を阻む。
 展開されるシルバースキンと《フォース・シールド》。
 だが崩壊寸前のシルバースキンと残り僅かな魔力で編んだ防御魔法では魔剣の一撃を防ぎきる事は叶わず。
 二つの壁はそれまでの堅牢さが嘘かのようにあっさりと打ち砕かれ、魔剣の一撃はそれに護られた剛太を切り裂いた。
「―――!!」
 しかしその刹那、既にモーリーの意識には剛太など存在しなかった。
 瓦解寸前の総身を奮い立たせ、振り返ると同時に渾身の斬撃で薙ぎ払う。
 そこには拳を構える一人の男。纏っていた銀のコートは既になく、場に不釣合いなツナギを纏っていた。
 振り返り様の一撃。避けられる間合いではない。
 しかも絶対の防御を誇っていたシルバースキンを纏っていないブラボーがその剣閃を防げる道理もなく。
 その刃はブラボーの脇腹を抉り、切り裂き、その胴体を一文字に断ち割


 ブラボーの渾身の拳が、突き出された。
「っ!?」
 間違いなく身体を真っ二つに断ち割った。その感触が確かに手に残っている。
 だが、ブラボーの身体は満身創痍なれど二つに割られていない。
 それどころか、モーリーは”魔剣を振るってすらいなかった”。
(《時、戻――》)
 因果を歪めて僅かな時間を逆行させる夢使いの異能、《時戻し》。
 それに気付いた瞬間には、既に彼女は攻撃の機を失っていた。
「おぉおぉおおぉおおっ!!!」
「ちぃいっ!!」
 放たれた拳を魔剣で持って受け止める。
 どこにそれほどの力が残っているのか、魔剣越しに貫いてくる衝撃にモーリーは顔を歪める。
 拮抗しせめぎあう拳と刃。
 結局の所最後に残るのは、己が持つ得物の一撃のみ。
 二人は残された力の総てを振り絞り――




 出遅れてなお、ブラボーの拳撃に刃を合わせるモーリーの技量は文字通りの意味で神がかっていた。
 ――だが、次の瞬間に彼女の目の前に訪れた光景は、総てを超越する魔王の思考をすら、凌駕した。


657NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:21:09 ID:QtZZs6xL
 


「ば……っ!」
 驚愕にモーリーが呻く。
 拳を受け止めたモーリーの魔剣。彼女の魂ともいえる、その刃に。
 亀裂が走った。
「馬鹿な……! 我が魔剣が、たった一人の人間に……!!」
「否ッ!! この拳が纏う力は、俺一人のものでは――ない!!」
 モーリーの魂の刃に突きつけられた拳。
 シルバースキンを纏わぬが故に付与された《レイ・ソード》の輝き。
 そしてもう一つ。
 拳に装着され唸りを上げて回転する、戦輪の武装錬金―― モーターギア・ナックルダスターモード。


 ――あるいは、始めからこの方法を取っていればブラボーとモーリーの戦いはより優位に進められていたかもしれない。
 だが、優位なだけでは意味がないのだ。
 モーターギアによる打撃力の強化がモーリー=グレイに看破されてしまえば、当然彼女はその使い手たる中村 剛太を標的に定めていただろう。
 そうなれば、ブラボーにモーターギアを装着させ丸腰となった剛太には抵抗の余地も回避の余地も存在しない。
 かといって彼を護るためにブラボーかナイトメアの戦力を削ぐのでは本末転倒だった。
 だが、ここに至ってしまえばもはや防御や戦力の維持など無意味。
 必要なのは――


「……教えてやるよ、大魔王」
 驚愕するモーリーの背後で、怨嗟のような声が響いた。
 しかし彼女には振り返る余裕などなく、彼が何をしているかさえも推し量れない。
「道端の小石だって、躓けば怪我をするって事をな――!!」
 そんな彼女の背中を睨みながら、剛太は胸を裂かれた痛みを押し切って手を伸ばした。
 その先に張るのは砕かれたシルバースキン。
 彼がその欠片を掴むと同時、銀鱗のコートは光と共に核鉄へと変貌する。
 ひび割れた六角の核鉄を握り締める。
 決意。
 掌握。
 そして、咆哮。

「――ダブル武装錬金ッ!! モーターギア・アナザータイプ!!」

 その手に新たなチャクラムが生み出される。
 現出すると同時、彼はフルスピードでそれを回転させて射出する。
 細やかな軌道や回転を定める必要などない。
 必要なのは――


 ――相手を打ち斃す『力』、ただ一つ。


658名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 03:22:01 ID:lwV8SgWf
そろそろウザがられそうな気がするけど支援。
659NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:23:19 ID:QtZZs6xL
 


 銀光が疾走しモーリーの両脇を駆け抜ける。
 向かうは彼女に立ちはだかるキャプテンブラボー。
 彼が突き出し、握り締めるその拳。
 試した事などないが、剛太には確信があった。
 モーターギアが彼の意思によって生み出されたモノである以上、それは何よりも確実な保証だった。
 既にナックルダスターによって強化された拳に、もう一つのモーターギアが重ね当てられる。
 激しく回転する二つのチャクラムがせめぎあい、軋み合い、重ね合わされる。

 モーターギア・ダブルナックルダスター!!

 拳が刃を打ち砕く。
 砕け弾け散っていく己が魂を、魅入られたように凝視したまま動かない女公爵。
 ブラボーが強く深く一歩を踏み込む。
 地を砕き大気を割る震脚。
 螺旋を描き巻き上がる力が集う先は、己が信ずるその剛拳。


「これが、武装錬金!!」


    一  撃


「これが!!!」


    必  殺


「―――――人間の力だぁああぁああぁぁぁっっ!!!」



   ブラボー正拳!!



 人間の拳が魔王の身体を討ち貫く。
 苛烈なる闘いの幕引きは呆気ないほどに簡単に。
 末期の声を上げる事もなく、”女公爵”モーリー=グレイはこの世界から姿を消した。



660NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:25:07 ID:QtZZs6xL
 




 ※ ※ ※




「――」
 剛太が眼を覚ました時、眼に入ったのは瓦礫の世界だった。
 状況を思い出せずに一瞬だけ呆然とし、すぐにそれを思い出した剛太は慌てて周囲を見回す。
「気が付いたか」
 始めに眼に入ったのはツナギを纏ったブラボーだった。
 彼は剛太に背を向けたまま、周囲の瓦礫の世界を――その先にある小高い丘を見据えていた。
 あそこには銀成学園――月匣の内部には巨大な洋館が立っていたはず。
 だが、おそらくはそこで行われている戦闘の影響なのだろうか、現在は跡形もなく消え去っていた。
「……って。ちょっと待った!」
 そこでようやく剛太は総て思い出した。
 そう、闘いはまだ続いているのだ。
「なんでこんなトコにいるんですか、戦士長! 俺なんか放っておいて斗貴子先輩達の援護に――ッ痛」
 叫んで身を起こした拍子に身体に激しい痛みが走りぬけ、剛太は顔を顰めた。
 身体を傾がせた事で彼の胸においてあったモノがするりと地面に落ちた。
 それは二つの核鉄。剛太とブラボーの物だ。
「……あ」
「……そういう事だ」
 地面に落ちた核鉄を見て剛太は眼を見開く。
 二つの核鉄は、崩壊寸前にまでひび割れていた。
 それらは剛太の傷の治癒に当てられていたのだが、ほとんど治癒されていない。
 核鉄の機能がほぼ停止しているのだ。
「核鉄――武装錬金がなければ俺達はあいつらの力になれん。悔しいが、やはりアンゼロット嬢の言うとおり錬金の戦士ではウィザード達の一助になる事はできない」
「……公爵位の魔王を真正面から捻じ伏せた男の言う台詞ではないな」
 少し離れた場所で0−PHONEを使っていたナイトメアが苦笑混じりに漏らし、二人の許へ歩み寄ってくる。
 そのおぼつかない足取りが、彼もまた限界に達している事を如実に顕していた。
「ロンギヌスのサポートメンバーが間もなく来るそうだ。後は柊 蓮司や武藤 カズキ等に任せるしかない」
「………」
 そうせざるを得ない状況ではあったが、二人としてはそれに沈黙して返すしかなかった。
「ああ見えて柊 蓮司は優秀なウィザードだ。武藤 カズキもそうなのだろう?」
「無論だ。アイツは――」
 ブラボーがナイトメアに言いさした、その時。

 閃光が奔った。
 そして柊 蓮司と武藤 カズキが向かった先、その戦場に。
 黎明のような輝きが溢れ出した。





 
661NIGHT WIZARD cross period:2008/07/05(土) 03:29:01 ID:QtZZs6xL
今回は以上。長くてすいません。でも途中で斬りたくなかったんでさるさんをおしきった
クライマックスアナザーサイドです
人の消えた市街地で戦闘するならビルをぶっ壊すのが常識だろう、NW的に考えて・・・
チョップで海を割るブラボーの力を持ってすれば造作もありません
決めはシルバースキンのリバースかアナザーだろう、と見せかけてここでまさかの中村剛太
でも結局ブラボーに総取りされた感が。
やっぱスピードとか機転とか言っても最後に必要なのは(見せ場のための)パワーですよね
ともあれ、次はメイン組です
662名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 03:51:15 ID:IqpT11Ao
おっと、支援に遅れたか
だが、クライマックスを一つ終わらせた貴方にせめてこの言葉を・・・

非常にブラボーだ!!
663名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 07:43:24 ID:eR7yLK4Y
ゴーちんがんばったよゴーちん
いや、これは三人ともカコ良すぎでしょう!
蝶・ブラボー!!
664名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 10:20:33 ID:cWXEABBH
錬金の人ブラボー!!みんな格好良いよ限界バトルだよ。
そして脳内ヴォイス再生機能がエライ事になってるよ、変な汁出てるよ。
ドリームマンもブラボーも声がイカス。あ、剛ちんもちゃんと再生してるよw
しかし剣の魔王と言えばモーリーもいいが、機会があればパイ=レイモーンも……
ともあれ柊・カズキ組のクライマックスも期待してますぜ。
665名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 10:21:19 ID:OPpCb+qq
            /.:.:::::/.:.:/.:.:.:.:.:::://.:.:.:.:.:.:.::レ.:.:.:::|:::::::l:::',
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    (:(:::::::::人_レ::l  `'‐、/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.il.:.:.:.:.:.:.l.:.:.,
    ヽ`) ':::::::::::::|: : : : : : V ̄ヽ、.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:il.:.:.:.:.:.:.',::.:.〉         保管
____ヽ:ヽ、_;::::::|      : : : ヽ,:.〃.:.:.:.:.:.:.:.:.:fj.:.:.:.:.:.:.:ト./___      NIGHT WIZARD cross period #17、#18
――――‐ヽ∠二.|            `┬-、_.:.:.:.〃.:__/――――
           l             |: : : : :  ̄:  ̄: /
              l           |.        /
________l          |l      /_______
_________!        八.、_    /________
              ',         l .|    ̄ f
                ,         | |.      | 
              l       | .レ―‐-、|


作者さんは途中で切りたくなかったとおっしゃっていたので、その意思を尊重したかったのですが
あいにくと@Wikiのバイト数制限に引っかかってしまい、やむなく分割。

だいたい半分くらい、>632-649と>650-660の2つに分けていますが、
切り方が気に入らなかったら言ってください。もしくはご自分で編集してください。
666名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 15:57:44 ID:9ToUtK6T
剛太の反撃辺りから『真赤な誓い』、決着後から『ホシアカリ』を聴きながら読了。
戦闘描写が細かいので、まるでアニメを見ているかのように動きが想像できて、実に燃えました〜。
原作(NW)でももっとこういったベテラン(オヤジ)達の熱き闘いも描いてくれないかな〜。
そして剛太、君は(原作の数倍は)輝いていたぜ!!
667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 19:54:06 ID:YUEa2g5F
668名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 20:13:16 ID:/Wux68ug
>>667
ボーイ、個人サイトなんざ晒すもんじゃないぜ。
それも、音だけでブルドーザーと分かるような
669名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 20:15:14 ID:y/JRKGd4
こ、ここは……オリキャラの名前を自分のHNにして
いや、自分じゃないですよwwww とか言ってたサイトではないかぁー!
670名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 22:22:19 ID:I4eDUh17
え〜と。
東方projectとのクロス、プロローグだけ書いてみたんだけど……投下してもいいかなぁ?

NW側あんまりでないけど……
671名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 22:25:52 ID:YUEa2g5F
余裕。超余裕。
672名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 22:38:24 ID:I4eDUh17
投下時に気をつけることってありますか?
いざ自分が投下するとなるとムッチャドッキドキ……
673名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 22:41:15 ID:Tn0vPPBk
1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり
674名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 22:51:51 ID:I4eDUh17
では23時ちょうどにプロローグ投下します。
タイトル未定ですけど。
675ナイトウィザード×東方project:2008/07/05(土) 23:03:12 ID:I4eDUh17
 世界の裏側宵闇の世界。世界の守護者アンゼロットの居城、アンゼロット宮殿はそこにある。常人が入ることは叶わず、ロンギヌス達が警護する、ファー・ジ・アースでもっとも堅牢かつ侵入を許さぬ場所だ。
 そのテラス。主であるアンゼロットはいつものように午後のティータイムを楽しんでいた。多忙な彼女にとって睡眠・入浴・食事に次ぐゆったりとした時間なのだが、闖入者が現れるのは決まってこの時間なのは何の因果か。
「……おいし」
 今日のお茶は宇治の煎茶。無論湯飲みではなくティーカップで嗜むのがアンゼロットだ。
 元々香りがよいので、冷めない内に味を楽しむのではなく、香りを楽しむのなら口広のティーカップでも構わないのだ。
 ふと、テーブルの向かい、その空間に切れ目が縦にスゥと入る。長さは2mを越える。その両端にどこからか現れたリボンがくるりと結わえ付けられた。
「……何事もないことを願っていましたが、妖怪には関係ないことでしたね」
 アンゼロットがぽつりと漏らすが、その呟きが空間の裂け目に届くはずも無い。そのスリット――スキマは中央から大きく左右に別れ、無数の眼が観察する次元のハザマを覗かせる。そこから、優雅に歩み出た少女(?)が一人。
「お久しぶりね、アンゼロット」
「玄関から入ってきてくださいね、八雲 紫」
 アンゼロットはスキマから出てきた少女に答える。派手な洋装にメリハリの利いた肢体を包み、日傘を細く白い手に絡ませたその少女の名は八雲 紫という。人間ではなく、妖怪だ。
676ナイトウィザード×東方project:2008/07/05(土) 23:03:57 ID:I4eDUh17
「それで、何の用ですか?」
 アンゼロットは不機嫌そうに口をティーカップで隠して尋ねた。それに対し、紫は白い扇子で口元を隠して嗤う。
「あら、つれないわね。旧友が尋ねてきたというのに……」
 くつくつ、と楽しげな紫/カップをソーサーに置き忌々しげに睨むアンゼロット。
「友人、という仲でもないでしょう。強大な力がありながら幻想郷に引籠ってエミュレイターと戦おうともしない」
「それは貴女も同じこと……でしょう?」
 アンゼロットの向かいに置かれた椅子に座りながら、紫は答える。
「ではお言葉に甘えまして本題を」
 言いつつ、スキマからグラスとビンのコーラを取り出して注ぐ。
「飲みます?」
「結構です」
 あら残念、とコーラを飲み、一息。
「ウィザードを何人かお借りしたいの」
 紫の言うことはシンプルだった。しかし、アンゼロットは是としない。
「何故です? 幻想郷には魔法使いの二三人、存在するでしょう」
「ただの魔法使いではだめ。空飛ぶ巫女もだめ」
「吸血鬼も、幽霊も、果てには八百万の神々だっているでしょう」
「全て、幻想郷の『常識』の範囲内でしかない」
「貴女自身は?」
「既に私は幻想郷の一部」
 言葉の応酬。現状の戦力でなんとかしなさい/それができない。
 紫はコーラのグラスをテーブルに置き、視線をアンゼロットに向ける。
「エミュレイター。それも魔王級のエミュレイターが幻想郷に侵入したのよ」
 アンゼロットはその話に欠片も驚きを感じない。
677ナイトウィザード×東方project:2008/07/05(土) 23:05:10 ID:I4eDUh17
「博麗大結界を越えるほどのエミュレイター。それは確かに脅威です。ですが、幻想郷に住まう妖怪たちにかかればどうってことないでしょう」
 幻想郷と外を隔てる博麗大結界。いわば非常識を常識にして受け入れるというルールを持つ、常時展開された巨大な月匣だ。エミュレイターにしてみれば、ファー・ジ・アース内でこれほど居心地のいい空間は他にないだろう。ただし、たどり着ければの話ではある。
 幻想郷は完全に隔離されている、といってもいい。それほど博麗大結界は堅牢なのだ。
「残念だけど、妖怪たちは手を出さないわ。異変を放って置けば、自分が異変を起こしたときに放って置いてくれますから」
「博麗の巫女を初めとする人間たちに何とかさせればよいでしょう?」
「それも出来ないの。ウィザードたちを統べるあなたに分からないはずがないわ」
「……まさか、月衣?」
「そう。『弾幕』は幻想郷では常識なのよ。故に、彼女たちの攻撃は通用せず。しかもエミュレイターは『弾幕』を覚えてしまった。常識外の存在が月衣によって守られ、弾幕という常識の手段を持っている。そして……人間に畏怖と恐怖を与えているの」
 妖怪は元々、恐怖や畏敬の念、といったものをプラーナの流れに変換して、プラーナを補給する。だから鬼は人間を攫い、お化けは人間を脅かす。すべてはプラーナを得るために。それが、近代以前の話。
「幻想郷に危害を加える気は無いようだから私は構わないのだけれど。……得たプラーナでファー・ジ・アースを滅ぼす力を補給されるのは貴女としてはどうなのかしらね?」
 アンゼロットの決断は早い。
678ナイトウィザード×東方project:2008/07/05(土) 23:05:41 ID:I4eDUh17
「今すぐどうにかなる、というレベルではないようですが、危機の芽は早い内に摘み取っておくのが安全ですね。八雲 紫、報告をありがとうございます」
「いえいえ。わたくしもファー・ジ・アースが滅びるのは回避しませんと。なぜなら幻想郷の維持にファー・ジ・アースのイノセンスが必要なのですから」
 八雲 紫は人を攫う。神隠しという形で人を攫い、攫った人を妖怪に襲わせる。紫自身も人を襲う。妖怪は人を襲うものなのだから。
「しかし……ただのウィザードでは役に立ちませんわ。ウィザードにとって弾幕は常識ではありませんから」
 それだけではない。無数の弾幕を避けきれず、なす術もなく撃たれて終り。接近も出来ない。
 紫は条件を次々と追加していく。
「それに、射撃や魔法では弾幕とみなされて月衣ではじかれる」
「白兵が望ましいと?」
「弾幕戦闘を行うため、飛行能力があることが望ましい」
「それは箒に乗せれば問題はありませんね」
「パーティ単位ではなく、一人である程度の能力が無ければいけない」
「個人の能力が高い人物……」
 アンゼロットの頭脳はそれらの条件と合致するある人物を導き出した。
「……心当たりが一人。弾幕戦闘の訓練を施し、箒を与える必要がありますが、条件に合致する人物。能力が高く、功績も多く、それなりの有名人ですが」
「その人物とは?」
 紫は聞いた。そしてアンゼロットは、その名を言う。
「彼の名は――」
679NW東方:2008/07/05(土) 23:07:55 ID:I4eDUh17
プロローグはコレだけです。
まぁ、「彼」が誰だかはこのスレの人なら多分分かると思います。えぇ。ヤツです。

彼とあと二三人が幻想郷に行ってもらって、弾幕特訓をしてもらう予定でございます。
今後、どうかよろしくお願いいたします。
680名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/05(土) 23:30:03 ID:OrR516tk
東方クロスktkrwww
ひゃっほう!!GJを送らせてもらおう
681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 01:01:24 ID:RqXLNgUs
タイトル決定はお早めに。
682名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 01:11:06 ID:uHRxjxlD
東方ウィザードで良いじゃね?
683名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 01:21:47 ID:yggjN0zx
東とNとWか。
南が惜しいな。
684名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 01:29:41 ID:HVH3U9Us
……なんだろう、なにかの影響すごく受けてるんだろうなーって書き方が見受けられたり>東方NW
「シュピーゲル」、お好きですよね?ww

東方は自分はきちんとは知らないけども心待ちにしてた人は多いはず。なので頑張ってください

あ、それから制限のことですけど。○時ぴったりとかよりは、その15分前くらいから狙って投下開始するといろいろ便利ですよ、リセットかかるのがぴったりなんで
あと、この板だったら1レス60行まで平気だったはずです

……さ、俺も用事終わったら何か書くかな。
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 08:11:32 ID:dAiHXamz
Σすごいバレてる!
いや、「/」すごい便利なんです……

タイトル、「東方ウィザード『○○と発狂弾幕』」ということで。
○○はNW側主人公です。


シュピーゲル大好きです。雛可愛い。。
686名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 10:34:27 ID:rFYA7kSp
え? 2文字?
687名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 10:49:23 ID:yggjN0zx
姓で一文字、名前で二文字、フルネームで三文字、通称で四文字なアイツじゃね?
688名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 10:54:18 ID:x/oFc39k
嫁は五文字のアイツですね、わかります。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 10:54:48 ID:rFYA7kSp
ああ、そうか。名前で2文字なのを忘れてた。
苗字かフルネームか愛称しか呼んでない。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 10:56:06 ID:rFYA7kSp
>688
NO! NO! NO!
ミステイク! ワタシの名前は6文字デーーーーーッス!!
691名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 10:56:26 ID:yggjN0zx
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    ヽ、  j`ゝく_::::ハ V===ミ、.''   l/ /` レ' .リ|.:.:.:::::,'.:.::/:::::N
      `T  il_l:∧           ''ィ=ミ;、' |:.:.:.:/,':.:/:::j:/リ     >>688さんたら、もう♪
       L.__lハ¨::::::|              ` j,::::/:::::/::::/.//
      彡.::::::∧::::::|.        '     イ.:::::::./,':.// /
      >::::::::∧:::::|ヽ,    r‐ .ァ     _,./ |::_:イ //'′
      ````ハルヘ:::ト_丶、  ` ´   r<´ \|,:::::|
    ,, ''"二ミ`ー-'ヘ::|  ¨ヘ.>‐--; <7ー-^エ`.k::::|
   /     \.\ハ|`ヽ、  ` Vハ`、. トー‐   }:::i|_
  ./        \:::ヽ.  ヽ  /::::ヘ l {_ァ    |::il  i\
  l.          ヽ:::\ .\〈::;;;;::} l |    |/  .lハ
  ',      `丶、  ヘ:::::`、 ヽt;:::ハ l |    |r 、  l |
  ヘ        \  ハ:::::`、 ヘ;:::ハl ゝ  //\j. |
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 12:32:29 ID:ZXyR7n6n
柊エリスで4文字では
693名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 13:20:57 ID:oGCughIu
はわ! 柊くれはも4文字だね!
694名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 13:32:14 ID:rFYA7kSp
>693
その場合、赤羽蓮司&赤羽くれは
695名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 13:37:33 ID:giCt+6HD
しかしなぜ人物当てゲームでカップリング話をしなければならんのかと思わんでもない
他のキャラスレでやれ
696名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 13:52:06 ID:kuRuuTaI
キニスルナ
AAでネタをつっこもうとか考えたけど、容量が必要なスレなので聞いてみることにしました。
…よろしいでしょうか?
あと、またも誤字の修正をば。
石月兵→石月英です。
何度も何度も間違えて申し訳ありません。
それでは、14時ごろから投下をはじめさせていただきます。
―――281年2月上旬
―――???

「…いい策、ですか?これが」
「何か随分砕けた言葉づかいになってきたな。
 政庁を離れたからか?」
「ふざけないでください。
 何でこんなことしたんですか」
「まったくなぁ。
 何で止めなかったんだよ、王修」
「何言ってんですか!?
 まあいいからついてこいって言ったのは劉備様じゃないですか!」

 男は二人。
 そして、彼らの周りには、十重二十重の異形ども。

「そうだっけか?」
「…もういいです。
 それで、どうするんです?
 僕も劉備様も、広範囲に攻撃できる魔法は使えませんが」
「どっちにしろ、これだけ近寄られたら魔法を唱えている間にやられるだろうさ」

 二人の男は背中合わせで戦いの構えをとる。

 二本の刀を腰に携えた男は、無手。
 拳を握ることもなく、肩を落とし、やや体重を前に。
 守は無き、攻の構え。

 彼の影にいるのは、少年。
 双の手に、奇妙な形の短剣を逆手に握る。
 左手は喉。右手は下腹に。
 双手による守から転じ、狙うは攻。

「ま…予定とは違うが」

 張り詰めた空気の中、笑みを漏らすは無手の男。

「予想通りではある」
「え?」
「退路はどうにかなる。
 今は北郷の兄ちゃんと、あの子犬みたいな嬢ちゃんと合流することを考えようや」

 戸惑いは残るものの、浮き足立った感情が、文官の顔から消える。

 気の流れが変わった。
 動いたのは、構え通り、無手の男。
 同時、異形が一斉に、二人の男に襲い掛かる。

 空には紅い月。
 周囲の空間は、食いつぶされたが如き荒野。
 其れは、この世界の主の象形。
 其処は、侵魔が作り出す世界。
 すなわち―――

■■■

第三話『とある武将の登用顛末〜月匣にて(前編)』

■■■
―――281年2月上旬
―――月匣内

「…つまり、そのエミュレイターと戦う存在がウィザードというわけだ。
 面白いものだとは思わないかね?
 皮肉にも、世界から存在を拒否された者達だけが、世界を侵攻する存在に対する唯一の対抗手段となってしまったのだから」
「…は、はあ…」
「……」
「ま、話半分にでも聞いておけばいい。
 知りたい知りたいと思っていても、真実を目の前にしたら興味などなくなる。
 人間などそんなものさ」

 一刀の隣。
 話も聞かず、船を漕いでいた少女をちらり、と見て辛辣な言葉を男は口にした。

「…なんというか。
 この子はそういう理由で寝てるんじゃないんで、あまり気にしないでください」
「……………………寝てない」

 無表情な少女の顔には、全く反省の色は見られない。
 北郷一刀は、あまりにも自由なそんな彼女の反応に頭を抱える。
 いつもの、といえば、いつもの恋ではあるのだが。
 せめて、こんなときぐらい、と思ってしまうのも仕方のないことではある。

「どちらでもいいさ。
 私はただ退屈しのぎにしゃべっているだけだからね。
 こんな空間に長くいると、相手がどんな無礼だろうと楽しいものさ」

 北郷一刀と、恋―――あるいは呂布にそう語る男は、辺りを見渡す。

 周囲は一面、荒野だった。
 空は赤く、その中天には赤空よりもなお紅い月。
 ここは、月匣。
 エミュレイターが造る結界の内部である。

 劉備と王修に伴って、下ヒに赴いた一刀と恋ではあったが、気づいたら、月匣に取り込まれていた。
 本当に、気がついたら、『月匣』にいたのだ。
 最後に劉備から聞いた言葉が。

『一歩下ヒに入ったらいつエミュレイターに襲われるかわからないから気をつけろ』

 というのも、それこそ、目の前の男性の言葉ではないが、皮肉なものである。

 月匣の中、出てくる化け物たちから逃げ続けているうちに出会ったのが、目の前の男であった。
 なぜか、一刀と恋を見て、いきなり溜息をついたその男は。
 今の今まで、『ウィザード』と『エミュレイター』について話をしていたというわけである。

「いえ、本当にありがたいですよ。
 こっちに来てからずっと、何もわからず劉備さんについて回ってただけでしたし。
 なんとか状況が掴めてきました」

 一刀の言葉。
 その中に出てきた人名に、わずかに男は眉をしかめた。
「…やれやれ。
 あの男は本当に何も知らない者を利用するのが上手だ。
 まあ、知り合ったばかりの、しかもこんな場所で出会った男の話を延々と聞いている君のような人間だから、簡単に利用されるのかもしれんがね。
 その人柄が原因で何か問題を起こしたことがないかね?」
「問題…というか、結構厄介なことに巻き込まれたことはありますけど…。
 って、そもそも劉備さんと知り合いなんですか?」
「何、彼も悪い男じゃないさ。
 ただ、性根が詐欺師みたいなだけでね」
「どう考えても悪く言ってると思うんですが。
 というか、会話がかみ合ってませんよ?」
「少なくとも、彼の意図に沿うように動けば、大概状況は悪くはならないさ。
 そもそも、そこまで悪い…というか、邪悪な男だったらわざわざ妹を嫁がせたりはしない」
「え?それって…」

 男は、一刀の問いかけを無視。
 不意に、目を遠くにやった。

「と、言い忘れていたが。
 実は、君たちに会う前にも、一人の女の子に会っててね。
 その子の格好は、随分君たちに似ていたようだったんだが」
「…は?」
「この辺りじゃ珍しい褐色の肌に、どんな材質を使っているのかしらないが妙に滑らかな生地の服。
 髪は後ろで一まとめにした、きつい感じの目の子だったな」
「ちょ、ちょっと待ってください。
 何で今、そんなことを」
「だから言っただろう。今思い出したのさ」

 どこか眠たげな双眸で、男は続ける。

「だが、こんな場所に一人でいたら危ないんじゃないかと思うんだがね。
 彼女は、私の助言も聞かず、一人であちらの方へ行ってしまった。 
 せめて、君ぐらい素直だったらよかったんだが」
「…」

 沈黙。
 そして、混乱。
 北郷一刀の頭の中は、混沌としていた。

 先ほどの男の説明で、一刀の脳裏には、知り合いの数多の女性の中から、一人の少女の姿が映し出されていた。
 しかし、頑固とはいえ、彼女の状況判断能力は、自分よりはるかに優れている。
 そんな『彼女』が、男が言ったような無茶な行動をするだろうか。
 いや、そもそも。
 この『世界』に来てしまったのは、自分と恋だけではないのか。
 だとしたら、まさか。
 他の少女達も―――と、一瞬で色々なことが頭の中を駆け巡る。

 残念ながら、彼は聡明な軍師でも、有能な武将でもない。
 それだけの情報を一度に処理するには、能力が不足していた。
「…くそ」

 悪態。
 思わずでた言葉に反応したのかどうか。
 目の前の男が言葉を口にする。

「できれば、早く行ってあげた方がいい。
 私の話は聞かなくとも、君たちの言葉なら届くかもしれない」
「………あ、いえ、その」
「急がないのかね?
 君の知り合いだと思ったんだが」

 ふと。
 頭の中に、場違いな考えが浮かぶ。
 この男の皮肉げな言葉は、もしかして上辺だけで。
 本当は、相当お人よしなのではないか、と。
 だが、そんな思いつきは頭の端へと逃げていく。
 少年の頭に残ったのは、一つだけ。
 もしかしたら、知り合い「かもしれない」少女を助ける、というその一事だった。

「…わ、わかりました。急ぎますんで、それじゃ、これで!」

 慌てて、ついに横になって寝ていた少女を起こし。少年は立ち上がる。

「あ、ありがとうございました!えっと…」

 礼を言おうとして、名前を知らないことを思い出す。
 目の前の男は、一体、誰なのか。
 ウィザードとエミュレイターについて知っている、謎の男。
 なぜか、劉備とも関係があるという。
 そんな、男は。

「なに、私はただの商人だ。
 名前は麋竺子仲というがね。まあ、忘れても構わんさ」
「ありがとう、麋竺さん!
 それじゃ!
 ほら、行くぞ恋!」
「………寝てない」
「それはもういいから!?」

 慌てる少年に、男―――麋竺は最後に一声かける。

「…ふむ。そういえば、君は『魔物使い』だったな。
 それならば、そこの彼女に『乗せていって』もらうといい。
 おそらく、その方が…先に行った女の子に、より早く追いつけるだろう」
「え!?乗せて…って?」
「『ライディング』と言うんだがね。
 ま、試しに背負ってみるといい、ほら。
 呂布、とかいったかね?君が、彼を背負って走ればいいのさ」
「……」

 そこまで何も聞いてなかったようにも見えた恋が、頷きひとつ。
 一刀を背負い、そして。

「……ご主人様。走る」
「うわっ……!?」

 風になった。
―――281年2月上旬
―――月匣内

 最後の一匹を、淡い光を纏った脚が打ち砕く。
 脚を振り切った勢いで体を回転させ、体勢を整えた時には。
 男の顔には、すでに笑みが戻っていた。

「…ま、こんなもんか」
「……流石は劉備様」
「経験を積めば、叔治ももうちっとは戦えるようになるさ」

 これは、間接的に自分の経験が足りないと言っているのだろうか。
 あるいは、経験を積んでも、少ししかましにはならないということだろうか。
 少し、気分は落ち込んだが、王修は口には出さなかった。

 というか、一人で数千のクリーチャーを相手にできるようなウィザードと自分を一緒にしてはいけないだろうとは思う。
 そうは思うのだが、こうもまざまざと実力を見せ付けられると少しは虚しくもなるのであった。

「さて、探索に戻るかね」
「…はい」

 罠を破ること、数十。
 すでに倒したクリーチャーは二桁を超えているような気もする。
 だが、未だ北郷一刀と呂布奉先は見つからず、この月匣のコア―――中心となる存在もわからないままだった。

「しかし凄まじいな。
 麋には聞いていたが…こいつは、少し厄介だ」
「って、知ってたんですか!?
 こうなることを!?」
「まあな」

 平然と答える劉備に、王修は二の句を失う。

「下ヒそのものを覆ってる…のかはわからんが。
 おそらく、下ヒに入ったウィザードは、全てこの月匣に取り込まれたんだろうが…な。
 麋は、他のウィザードと一緒にここに取り込まれて、一人だけ脱出できたらしい」
「…だから、下ヒのウィザードと連絡が取れなくなった、と?」
「ああ。そいつも実際に確かめたかったしな」

 ふと、王修はあることに気づく。
 劉備の言葉の通りなら。
 月匣に取り込まれたウィザードとは、連絡が途絶えた、ということならば。

「ここから出れない…?」
「そうなるな」
「ちょ、ちょっと!?」

 慌てる王修に、しかし、劉備はやはりニィ、と笑みで答えた。

「さっきも言っただろ?
 一応、退路は用意してある」
「よ、よかった…」
「…と、言いたいところだが。
 予想以上に月匣の範囲が大きい。
 もしかすると、もしかするかもしれん。
 相手は魔王級…と予想はしてたんだがな」
「あら、流石ね、劉備玄徳。
 じゃあ、これも予想してた?」
 声より先に、光が空間を薙いだ。
 王修の体が反応できたのは、劉備の立っている位置を、光が通り過ぎた後。

 爆発が起こったところで、逃げ出すのが精一杯だった。

 彼の能力の不足を責めることはできない。
 相手は絶対的な存在だった。

 声を聞いたのは、これで三度目のはず。
 が、敵として出会ったのは、二度目。

 強引に体を動かし、声のした方向へ振り向く。
 感じ取れるプラーナから、相手の姿が王修にはわかる。

 強大にして、圧倒的。
 かつて相対したときは、『二度と出会いたくない』と思った存在。
 見覚えのあるポンチョが爆風で翻り。美しい銀髪が、妖しく踊る。

「ま、予想できたとしても、対処できなければ意味ないわよね?」

 紅い月を背負うのは。

「魔王…ベール=ゼファー…!!」
「あら、久しぶり。
 北海のウィザードってあんたのことだったのね…名前、なんだったかしら」

 蠅の女王は、腕を組んで。
 文字通り、この世界の支配者として、君臨していた。
いったん終了いたします。
後編は、1時間ほどあとに投下させていただきます。
それでは失礼しました。
再び投下を始めさせていただきます。
―――281年2月上旬
―――月匣内

「…厄介な」

 褐色の肌の少女は、歯噛みする。
 何が厄介か、と言えば、この状況全てが厄介であった。

 どこからか迷い込んでしまったこの空間で、一人少女は彷徨っていた。
 いくら歩いても変わらない景色。
 出口は見つからず、はぐれた仲間とも出会える様子もない。

 時折、奇怪な姿形の獣が現れ、こちらに襲い掛かってくる。
 応戦し、逃げることは不可能ではなかったが、手持ちの武具も少なくなってきていた。

 ここに迷い込んで、随分と時間がたったような気がするが、不思議と空腹を感じることはない。
 だが、そのことが余計に彼女の時間に対する感覚を曖昧なものとしていた。

 そもそも、事の成り行きはなんだったか。
 目が覚めたら、自分の居場所が変わっていた。
 近くにいたのは、同僚が一人。
 状況を確かめるため、彼女と共に探索を行おうとしたら、この空間に迷い込んだ。

 矢継ぎ早、というのにも早すぎる状況の変化に、彼女は状況を把握することを半ば諦めていた。

 食事の必要もなく、襲い掛かる獣も大した強さではない。
 ただ、彼女がどうにか状況を動かそうと努力しているのは、主のためであった。

 主を守る。そのことが彼女の至上の目的である。
 だからこそ、主の傍にいれないこの状況は、どうにか打破しなければならない。

「…?」

 言葉には出さず、少女は周囲に気を配る。
 どこかで、音がした。
 視界を動かせば、近いとも遠いとも言いがたい場所に、煙と、人の姿らしきものが見える。

 どうする、と少女は考える。
 この空間に迷い込んだばかりのとき、妙な男に声をかけられた。
 その時は、はぐれた仲間を探すことが先決だと考え、無視した。

 しかし、この何も変化がないこの状況を動かすためには、あるいは少々の危険には目を瞑る必要があるのかもしれない。
 一方で、そのような判断は、死に繋がることもある。

 一瞬の思考の後。
 少女は、自らの位置と、煙のたつ場所、そして、判断しうるかぎりの「人かもしれない存在」の死角を考慮して、動き始めた。

 少女の名前は、甘寧興覇と言った。

■■■

第三話『とある武将の登用顛末〜月匣にて(後編)』

■■■
―――281年2月上旬
―――月匣内

「…くっ」

 動くに動くこともできない。
 王修は、息を整え、体の震えを止めようとするだけで精一杯だ。

 それほどに、目の前の存在のプラーナは強大だった。

「ふぅん、なかなか頑張るじゃない。
 麋芳とかいうウィザードよりは役に立ちそうね。
 まあでも、武官は足りてるし…内政でもやっててもらおうかしら」
「…何を企んでいる、魔王…!」

 喉を絞るようにして出した声は、少々どころではなく、無様だった。
 掠れ、震え、自分の恐れが隠し切れない。

「何をって、そんなこと言うわけないじゃない。
 ま…けど、交渉の材料には使えるわね。
 私が企んでることを話したら、力を貸してくれる?」
「…?」

 王修は、ふと、気づく。
 圧迫感に圧されてわからなかったが、敵意が薄いような、気がする。
 言葉も、どこか柔らかい…ような、気がする。
 とはいえ、もとより、エミュレイターに力を貸す道理など、王修にはない。

「誰が、エミュレイターに…!」
「だから、落ち着きなさいって。
 別に私はあんたに危害を加えるつもりはないし」
「…俺にも危害を加えんでほしかったんだが」

 ぽつり、と加わった声は、王修自身の声ではない、男の声。
 聞き覚えのある声に、慌てて振り返ると、そこには。

 五体満足で劉備が立っていた。

 ベール=ゼファーも、劉備が無事だったことを知っていたのか。
 特に驚くでもなく、口を尖らせた。

「うっさいわね。最初からあんたは対象外よ。
 ろくすっぽ政治もせず、前線にもでないで。
 影武者の劉備玄徳のほうが少しは使いでがありそうじゃない」
「…おい、叔治。少しはこの魔王に俺のことを説明してくれ。
 最近はあんまり怠けてなかったような気がするんだが」
「…いや、その」

 ―――なんで、こんなところで、魔王と呑気に話をしているんだろう。

 そう思ったが、口には出さない。
 王修はとりあえず、状況を判断してみることにした。

 一、どうやら劉備は無事だったらしい。 
 一、どうやら突然現れたベール=ゼファーは自分の力を貸してほしいらしい。
 一、どうやらベール=ゼファーは何かを企んでいるらしい。
 一、どうやらベール=ゼファーは劉備はいらないらしい。
 一、どうやら劉備は道中昼寝ばかりしていたことを、怠けていなかったと思っているらしい。
「…やっぱり劉備様は怠けてただけじゃないかと」
「おい」
「ほら、見てみなさいよ。
 あんたなんかいらないって」

 ややぽかん、とした表情をした後。
 劉備は、頭に手をやる。

「どいつもこいつも、きついな」
「あんたとは後で遊んであげるから、少し黙ってなさい」
「…やれやれ」

 本当に黙ってしまった。
 劉備の反応に満足したのか、ベール=ゼファーはそれこそ、子供のように微笑み。
 王修の方へと向き直った。

「で?
 私に力を貸してくれる?」

 劉備の方に目を向けると、彼はただ笑っているだけ。
 自分で判断しろ、ということだろうか。
 王修は、一瞬考えた後。

「…何をすればいいんだ」

 時に、エミュレイターは己の利益、楽しみのためにウィザードに力を貸すこともある。
 そして、そのときの行動は、大概が他のエミュレイターの行動を妨害することにも繋がるのこともあるのだ。
 だから、と言うわけではないが。
 王修は、そう答えた。

 あるいは、何も答えないか、とも思ったが、あっさりと魔王は回答を返してきた。

「ただ、下ヒで働くだけよ。
 あんたが嫌なら、別に戦争しなくてもいい」
「それは、孔融様を裏切って、下ヒに来いってことか?」
「…そうなるわね」

 頷いたベール=ゼファーに、王修は即座に答えた。

「お断りだ。引き取ってくれ」
「…給金もあがるけど?」
「悪いけど、孔融様への忠義をその程度のことで違えるつもりはないんだ」

 きっぱりと言い切った王修の言葉に。
 あっそ、と言って、ベール=ゼファーは肩をすくめる。
「なら仕方ないわね。
 考えが変わるまで、劉備玄徳と一緒にここに閉じ込められてなさい」
「で?お前はどうするんだ、ベール=ゼファー。
 俺たちをここで倒さんのか?」

 それまで黙っていた劉備が、ベール=ゼファーに声をかける。
 
「…さあ、そうして欲しいっていうならそうするけど?
 まあ、私はここで、あんたたちが無様にあがく様を見せてもらうわ。
 とはいっても、どうあがいてもこの月匣から出られるとは思えないけど」
「…劉備様?」
「さて…」
「それとも、私に力を貸す?
 まあ、劉備の方も矢除けぐらいにはなるだろうし…返答次第なら、二人ともすぐにここから出してあげてもいいわよ?」
「…どうしたもんかな」

 言葉とは裏腹に、劉備は笑っている。
 それにしても、と王修は思う。

 ―――焦ってる、のか?

 どうにも、ベール=ゼファーの言葉尻には焦りが感じられる。
 気のせいかもしれないし、そもそも魔王相手に人間の常識が通用するとも思えないが―――

「とはいえ、俺としちゃあ、お前さんの言うことをのこのこ聞いてるわけにはいかねぇよ」
「…何?あんたも、徹底したエミュレイター嫌いなわけ?
 諸葛亮の病気が伝染でもした?」
「これでも俺は、割とお前さんたちの事情も理解してるつもりでな。
 必要とあれば、魔王だろうが風雷神だろうが、手を組む準備はできてはいる…が」
「あっそ。なら、あんたが私にそんな敵意を向ける必要はないと思うんだけど?」

 ―――と。
 いつの間にか、状況が動いていた。
 先程まで、敵意が感じられなかったベール=ゼファーの顔がやや不機嫌になっている。

 同じく、劉備も笑みこそ浮かべているものの、魔王に向けて敵意を隠そうとはしない。

「あるさ」

 ぞくり、と王修の背筋に寒気が走る。
 これ以上、魔王の機嫌を損ねるべきではない。
 そんなことは劉備もわかっているはずだが、言葉は止まらない。

「一つは、麋と、子仲の旦那を監禁したこと。
 そしてもう一つは…孫家のお嬢さん方の意識を奪ったことだ…な」
「…へぇ?よく知ってるわね。
 けど、あの強化人間の自意識をあそこまで奪ったのは私じゃないわよ?」
「どうでも構わんさ。
 やったのが孫の親父だろうが、改造を行った奴らだろうが、駄目押しをしたのがお前さんだろうがな。
 ま…今はお前と手を組むわけにはいかん。
 少なくとも、旦那と孫の姉貴達を助けるまでは…な」
「麋竺はともかく、あの三人を返すわけにはいかないわよ?
 あれでも、わりと優秀な武将だしね」
「…だろうな」
 そこで、劉備が頭を叩く。
 ぱん、という、乾いた音。
 それと時を同じくして、妙な音が聞こえた。

 ―――人の、声?

 王修の疑問をよそに、会話は続く。

「で、どうするのよ、あんた。
 ここから出られるわけでもなく、私を挑発して。
 死にたいの?」
「いや?
 これでも、笑って長生きしろって何人かに強制されててな。
 それに…出る方法がないわけじゃない」
「はぁ?
 だから、ここは私が作った月匣で…」

 うさんくさげな魔王の言葉を無視して、劉備は頭上を仰ぎ見る。
 つられて、魔王も頭上を見て―――そして、固まった。

「…は?」
「…やれやれ、随分時間がかかったか。
 ま…あれを持ち出したんだからしょうがないわな」
「…ちょ、ちょっと待ちなさいよ。
 なんで、あいつがここに来てるわけ?」
「どこかの守護者のご意向でな。
 ここを偵察しろ、と」
「そんなことを言ってるんじゃないわよ!
 なんであの男が、ここに、入ってこれるわけ!?
 時空を切り裂く能力なんて、あの魔剣にはなかったし、そもそもあいつは今、魔剣を持ってない…!?」

 そこにきて、はっきりと、王修は確信した。
 これは、人の声。
 それも、悲鳴だ。

 声の主は、空から墜ちてくる。
 そのさらに上空には、得体の知れない巨大な浮遊物。

 墜ちてくる…いや、下がってくるのは、一人の男。
「ちょいと強引な方法だが…な。
 中華一優秀な夢使いと、次元に滅びを封じるために造り出された巨大戦艦、そしてその主を強引に行動させる世界の守護者…これだけありゃあ、なんとかなる。
 あの戦艦の力で次元に穴を開け、そこから意識を夢使いが探り、強引に引きずり出す…ってところか」
「ふざけないでよっ!?何そのイカサマ!?」
「無理を通すのが仕事みたいなもんでな。
 人の上に立つなんてろくなもんじゃない」
「無理とか無茶ってレベルじゃないわよ!?」

 そのころには、すでに、はっきりと声が聞こえてきた。

『ちっきしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
 覚えとけよ、月英――――――っ!!』
“ha―hahahaha―――――ッ!!
 グッラ―――――――ックッッ!!”

 ちなみに、後半は空耳である。

「さてと…あとは、あの二人と、ここに閉じ込められてる連中を探すだけだな。
 ま、それも徐庶がうまくやってくれるか。
 子仲の旦那は…見つからんだろうが…な」

 劉備の声を覆い隠すように、はるかに大きな激突音が生じる。
 そして、辺り一面を覆い隠す、土煙。

 それが、晴れてきた後に見えたのは。

 …地面からにょっきりと伸びた、二本の脚だった。 
―――281年2月上旬
―――月匣内

「…でも、結局。
 麋竺さんの言ってた女の子がどこにいるかなんて、俺にはわからないんだよなあ」
「……(コクッ)」
「探せば見つかるわけでもないだろうし」

 凄まじい速度で駆け抜ける呂布に背負われたまま、北郷一刀は空を見た。

「それにしても、あれ、なんだと思う?」
「……おっきい」
「……でかいよなあ。
 飛行機とかよりも断然でかいぞ、あれ」

 空には、巨大な影が見える。
 しかし、相当上空にあるにもかかわらず、その存在はある程度の大きさをもって視認できた。

「…人」
「え?いや、あれは人じゃないだろ」
「……(フルフルッ)」

 一刀の言葉に、否定を返し。
 高速移動を行いながら、呂布は首をかしげる。
 数秒、首をひねったあと、再び、呂布は口を開いた。

「…人が、あれから落ちてきた」
「え?あれって、あれ、だよな」
「……(コクッ)」

 頷きに、一刀はもう一度空を見る。
 だが、いくら目を凝らしても、人が落ちてくる様子など見えはしない。

「……恋。本当に、見えた?」
「……(コクッ)」
「…本当に、人が…?」

 一刀の独り言に、呂布は不思議な顔をするだけ。

「助けないと…って助けるにしろ、どうすれば」
“フッ…気にすることはない。
 魏延文長くんはウィザードだ、大事にはいたらない。
 常識に縛られていては、ウィザードとしては一流にはなれんぞ、少年”
「いや、普通に考えたらあんなところから墜ちたら死ぬと思うんだけど」
“何、月衣があるから心配することはない。
 それより、君達は自分のことを心配したまえ。
 あの戦艦に、魔王が攻撃を仕掛け始めた。
 ここで脱出できなければ、奴自身が解放するつもりにならない限り、君達はここから出られん”
「え?そうなの?」
「…ご主人様。誰と、話してる?」
 呂布の言葉に、一刀は我に帰る。
 声が話しかけてきたから、思わず会話をしていたが。
 どこを見ても、相手の姿はない。

「空耳…?」
“残念だが、空耳ではない”
「…やっぱそうですか」
“私はナイトメア。夢使いのウィザードだ”

 ウィザードということは、仲間、ということでいいのだろうか。
 が、そんなことを考える猶予すら、相手は許すつもりはないようだった。

“…まもなくあの戦艦は離脱する。
 今から、君達をこの月匣から救出する。
 俺の意識を手繰り寄せろ。できるな!?”
「いや、待ってくれ!
 もう一人、俺たちの仲間かもしれない女の子が…」
“君達に波長の似た少女なら、玄徳の傍にいたため、すでに救出が完了している。
 あとは君達と、ベール=ゼファーに追い回されてる魏延文長くんだけだ。
 急げ!”

 切羽詰った声に、慌てて一刀は意識を集中させる。
 なるほど、確かに、声の相手の存在がなんとなくだが、意識できた。

「恋!手を…!」

 握ってくれ、というより早く。
 意を察したのか、立ち止まった少女は、一刀の手を取る。
 同時、彼女の体が、消えた。
 一刀が『月衣』に、呂布を『入れた』のである。

“いい判断だ…!いくぞ、ドリィ〜ムッ…!!”

 瞬間。
 視界が、虹色に染まった。
―――281年2月上旬
―――下ヒ周辺

「ま…脱出するだけなら文長が来る必要はなかったかもな」
「ちょっと待てよ劉備のオッサンっ!?
 それだったら俺をわざわざ落とす必要なかったじゃねえかっ!?」
「…が。
 アンゼロットがそう指示したんなら、俺には何も言うことはねえな」
「だからちょっと待て!?」
「ha――hahahahahaha――――――ッ!!
 ナイスジョォ――――クッ!!」

 …声が、する。

「とはいえ、お前さんが時間稼ぎしてくれたおかげで、どうにか、閉じ込められてた町の人間を何人か助けることができた。
 大方、ベール=ゼファーが人質にでも使おうとしてたんだろう。
 子仲の旦那は見つからなかったが…礼を言う。助かったぜ、文長」
「お、おう。
 そうだな、この方法で助けられるんなら、他のウィザードの連中も…」
「…それはできません」
「うおっ!?いきなり口調変わったな!?」
「レーヴァテインは大破。
 修復するまで、こういった行動は不可能です」
「そ、そうか…そうだな。
 ありがとよ、月英。
 お前のおかげで、皆を助けることができた。
 修理がすむまで、休んでくれよな」
「―――Yes,Master.」


 …聞いたことの、ない、声も混じっている。
 よく知っている声も。


「…にしても。
 いいんですか、あの二人。あのままで」
「……………いつもの、こと」
「そ、そうなんですか?」
「…ご主人様は、いつも、そう。
 いろんな人と、ああやって、寝てる」
「フッ。色男か…どりぃ〜む」
「…あの兄ちゃんを見る目が変わりそうだな」
「劉備のオッサンには言われたくないと思うぞ」
「君にも言われたくないだろうな、魏延文長くん」
「は?なんのことだよ」
715名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 15:16:58 ID:EbFgcB9v
む、投下中か
支援しておこう
716名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 15:24:43 ID:giCt+6HD
今から紫遠を送る!それまでくたばるんじゃねぇぞ!
717名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 15:27:31 ID:kuRuuTaI
支援
 今日は休みだったっけ?
 だから…蓮華と、思春と、小蓮と寝て…あれ?
 何で、思春だけしかいないんだ?
 思春が寝坊なんて、するはずないよな…。


「さて、と。
 俺と叔治は、北海に戻る。
 文長はどうするんだ?」
「俺は、このまま寿春に行く。
 急がなきゃ、訓練も軍務もできなくなっちまうしな」
「やれやれ、働き者だよな」
「好きでやってるわけじゃねえっ!?」
「俺も、永安に戻る。
 達者でな、ニンジャボーイ」
「徐庶さんも、お元気で」


 ああ、蓮華と小蓮が気を利かしてくれたのか。
 そういや、思春と二人きりだと、すぐ帰っちゃうしなあ…。


「さて…と。そろそろ起こすか?」
「ぼ、僕に聞かないでくださいよ…苦手なこと、知ってるじゃないですか」
「そいつもそうだ。
 なら、しばらく待つか。
 我慢できるか、嬢ちゃん」
「……………………(コクッ)」


 そうだ。嫌な夢を見てたんだから、もう少し休もう。
 また、変な世界に飛ばされて。
 今度は、一人じゃなかったけど、恋以外は誰も、いなくなってて。
 それで、エミュレイターとかいう化け物と、ウィザードとかいう正義の味方の戦いに巻き込まれる。

 そんな、嫌な夢。
 …夢に決まってる。
 ほら。確かに今、思春は、ここにいるんだから。


【甘寧の登用に成功しました】
 全くもって…規制というのは度し難いです。
 わざわざ分割したのに引っかかるとは思いませんでした。
 支援してくれた方々や、投下しようとしていた方、申し訳ありませんでした。

 最後のシーンは実は中華一の夢使いの粋な計らいだったんだよ!
 つまり、一刀と思春はドリームマンの力で夢の中なんだよ!!
 …とでもしないと、思春とはこんなシーン作れませんね。
 そんな気がします。

 と、いうわけでここで今回は終了です。
 ますます元ネタがわからなければ意味がわからないことになっている今回、いかがだったでしょうか。
 正直、麋竺が誰だかわかる人は流石にいないような気がします。
 LV25陰陽師で骨董屋なあの人、といえば…どうでしょう。

 それでは、毎度おなじみかどうかはわかりませんが、一応の登場人物解説です。


【麋竺子仲】

 (能力は元ネタを参照)

 [三国志的解説]
 劉備が徐州を治めていた時からの部下…要は、諸葛亮孔明を仲間にしたり、蜀を作ったりするより前からの部下です。
 先祖代々の豪商で、当初は徐州を治めていた陶謙に仕えていましたが、彼の死後、後を継いだ劉備に仕えます。
 後に彼は下ヒを奪われ、妻子とも別離することになりますが、そのとき、彼は、自らの妹を劉備の妻として献上しました。
 その後も、彼は流浪の旅を続ける劉備についていき、益州入りの際には、「あの」孔明よりも上位の位を授かりました。
 その最期は、ここでは語るべきものではないので、どこかで調べてみてください。
 …ちなみに、王修と麋竺は個人的にかなり好きな武将です。
 さて、そんな彼ですが、人柄は温厚篤実。軍の統率は不得手ではあったようですが、善良な家臣の鏡ともいえる人物だったようです。
 …ナイトウィザード的元ネタになっている皮肉屋の彼とはえらい違いですね。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 16:06:05 ID:TVxwBWTz
規制解除か!? 支援!


【PC6 麋夫人】

 クラス  :夢使い
 属性   :冥/冥
 二つ名  :
 ライフパス:裕福な家/召使い
 性格   :小心者のふりをして実は積極的
 アイテム :なし

 [三国志的解説]
 上記の麋竺の妹。下ヒを劉備が奪われた際、妻となったのが彼女です。とはいえ、妾みたいな感じだったようですが。
 凄まじくできた御人で、もう一人の劉備の妻、甘夫人とも仲が良かったとか。
 彼女の最期もまた、ここで語るべきものではありません。三国志屈指の名場面ですので、是非どこかで触れていただきたいものです。
 カードの台詞とゲーム内の台詞だけではあまりにも情報量が少なかったので、ライフパスと性格はダイスで(ry
 ちなみに横山御大の三国志には登場してない…ガッデム!


【PC7 甘寧(恋姫†無双・真名:思春)】

 クラス  :忍者
 属性   :風/水
 二つ名  :北郷さんちの孫権さんちの忠犬
 ライフパス:出奔/守るべき者
 性格   :普段はひねくれているが、いざとなると素直
 アイテム :なし

 [元ネタ的解説]
 一番乗り!とか、鈴の音なるところこの甘寧あり!とかの甘寧とはえらい違います。
 ここではやっぱり、扱いは北郷さんの魔物相当です。
 ちなみに、思春、とは彼女の真名です。
 真名とは、恋姫世界における、信頼できるごく一握りの人物のみに呼ばせる自分の本当の名前だとか。
 

 今回、ちょっと台詞のところに変化があります。
 具体的には恋のところです。
 どっちがいいのかは試行錯誤中です。
 それでは、失礼致しました。
722名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 16:32:19 ID:TVxwBWTz
三国志の人、GJ!!
麋竺は1stルルブのコネ『薬袋冬夜』さんですか……。
2ndルルブには登場しないからアニメからの人には元ネタの判別は厳しいですね。
芳香剤の登場にはフイタw
723名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 18:04:46 ID:u9Coa+dv
三ちゃん、GJ!
もう俺の魏延さんが出てくれるだけで満足さ!
でも、SOSO様や呉の皆さんの方が微妙に気になるのは内緒だw

そういや、袁紹のもとの魔王三人組はルー、カミーユ、えりぃでいいのかなー?
724名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 18:18:08 ID:oGCughIu
三国志といえば、片山のSWEET三国志の俺はどうすれば
725名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/06(日) 20:13:23 ID:uHRxjxlD
>>724
懐かしいな
イダツヒコのブレイドと幻超二の大唐騎士のついでに読んでたな
726名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/07(月) 10:02:45 ID:RyV6xQeT
>大唐騎士
聖徳太子に倒された後、京城月影抄に繋がったんだろうかw
727名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/07(月) 10:46:40 ID:/3jYdh+X
>726
いや、『大唐騎士』は王で、『京城月影抄』は騎士だから。
728名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/07(月) 22:01:51 ID:20NxfEeo
クロスの下地は出来た。シナリオが無い。どうするべ。
729名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/07(月) 22:22:16 ID:ZPwQrhXg
とりあえずラスボスとクリアフラグを設定するんだ
730名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/07(月) 22:24:12 ID:0NFDCK35
帰ったらゼロ魔とのクロス的一発ネタをやろうと画策してみる
731名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/07(月) 22:30:57 ID:20NxfEeo
ラスボス……
そうか、超公魔王パール!!



ごめん、なんでもない。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/07(月) 23:18:25 ID:zEv1wNwb
ではさらに「バールのようなもの」もボスにするってことで
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/07(月) 23:32:40 ID:+5mPOfL/
つまり魔剣「エクスカリバールのようなもの」を入手して魔剣使いにクラスチェンジした
超公魔王パールちゃんさまをラスボスにするということで
734名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 00:39:23 ID:EzvB9A3a
超侯パールのようなものを配下につけたベルのようなものを裏から操るリオンのようなものが行動するきっかけになった子乃葉葵のようなものに憑依して操るゲシュペンストのようなものの中の人のようなものの菊池たけし
つまり黒幕はきくたけだな。
GMを務めるということは敵を用意するということだからしてあながち間違いでもない、…と思う。
735名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 14:32:09 ID:qp9wJ+gf
>超侯パール
あれ?爵位が下がってる・・・
736名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 18:18:52 ID:UsUwSkAg
哀れ柊の餌食に……。
737名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 19:32:39 ID:A4PyuOTL
. . . . . . . . . . /: . : . : . : . : . : ./: {、       j、
. . . . . . .// : . : . : . : . : . : / . .{ .\      }}
/. . . . ./. /: . : . : . : . : . : . : . :// . :, ./ : . : .} : . : .ヽ、 __ノ,'
. . .. . /. .//: . : . /: . ; /: ./',〈' /: .イ./: . : . : {: . :  ヽ ̄ ´
. . ../. . /': ./: . /: . /{ /o、,/、V;//:イ : . : . : .ヽ: . : .ヽ
. /.. . . ./:/: . /: /  ',:' ,:'`ぐヽ/' {:.{: .}: .: : . :ヽ : . : 、:ヽ
.´. . . . ,〈</|: /{:/   ,:' ,:'   ゚ ゝ ィ|'|: j:.:.:.: . : . :ヽ: . :ト、`、
. . . . /.. ヽ'  '   ,:' ,:'       ,.イ}: }j:.:.:. : . : . :}: . :{  `ヽ  俺は何もしてねぇ誤解だぁぁぁぁぁ!?
. . . . /:.. . /}    :'  :'       { `}メ,.{:.:.: :}: . : }: .ヘ: ヽ    
. . ./.:. ./ .j_      ,-、.    、 冫 ' ;゚:/:.:. / . : : }: .:ト、ヽ.ヽ.  
. /. . ./. / ` ー、   {  `ヽ、  ´  ;'/: /:.: : ; イ: . :| ``、`ヽ、 
./:.. //. . /   /´ 〉  ` 、  ,.ゝ   //:.:.:. : /:.;ヘ: : |
. ./. . /  /  /    ヽ` '    /:.:.:.;イ:.: :/|:/  ヽ:!
/. . . /.}/   /\      ,.  ' {/|:.:./ }:./ {:l   `
. . . /. /}    /  , ヘ _ ,. '       {:/ / '   ヘ!
. . ./. ./: }   / / `  ー- 、_   !'
. . /. .// i}   ヽ<         /`ヽ
738ほかんこ。:2008/07/08(火) 19:42:16 ID:UsUwSkAg
ところで、東方とのクロスの作品名はどーすりゃいいと思う?
仮名でページ作って、あとから変更してもいいんだけどさ。
739名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 19:56:05 ID:VkcBzuKg
とりあえず仮名で保管して後で直すってのが無難だと思うぜ。
そろそろスレ容量も心もとないし、作者が次は何時来るかわかんねーから。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 20:20:23 ID:dmr5CAdy
ふと思った。東方だと自称東方王国の王女様が黙って無くね?
741名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 20:32:30 ID:FwDiFySM
作品名が東方なだけであって、世界の名前は幻想郷だから大丈夫だろう。
742名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 20:39:31 ID:NYji3nMx
むしろ、よく知らない作品に関してNW知識でツッコミいれんのはどうかと……
743名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 20:49:36 ID:UHubx2QX
>740
東西南北中央不敗を名乗ればいいと申したか
744名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 20:53:04 ID:S9CCKjyS
東西南北中央の王女! すーぱーちょーこー ぱーるくーるちゃんよ!
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 20:54:13 ID:FwDiFySM
甘いわ、馬鹿弟子がぁ!
746名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 20:58:17 ID:dmr5CAdy
>>744
ちょーこーはおーでんえーだーんと申したか
747名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 21:05:45 ID:UsUwSkAg
◎保守
   _,,........,,_
-''":::::::::::::::`''\    東方ウィザード『○○と発狂弾幕』(仮名) #01
ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::\  ウィザード無双〜武将だらけの三国志魔法大戦〜 #03 前後編
 |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ     __   _____   ______
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__    ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7   'r ´          ヽ、ン、
::::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7 ,'==─-      -─==', i
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
`!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ   !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'    L.',.          L」 ノ| .|
 (  ,ハ          人!      | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /
,.ヘ,)、  )>,、 _____, ,.イ  ハ    レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
748名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 21:07:14 ID:UsUwSkAg
保守じゃない、保管だ。間違えた。
749東方クロスの人:2008/07/08(火) 21:07:38 ID:FUSRQQYh
あ、すみません。仮名でとりあえずお願いします。
……なんつーか、次何時投下できるか……。
なんで俺こんな時期に投下したんだか……とりあえず今週末が目標ですが、来週になるかも……
そいではそのときにお願いします。


ちょーこー様は来ませんよ。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/08(火) 22:48:09 ID:NlLH1wrT
>740
目指せ世界征服!邪魔する奴らはみんなまとめてボコボコよ!
という人ですか?
751名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 01:17:05 ID:5xW6fz4V
なぬ!!?
あー、それは気がつかなかったなあ・・・>デュープリズム

ルウ・・・人造人間で、ミント・・・魔術師でいいのか。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 01:21:50 ID:Ulk5b9zu
>>750
我が主、パールさまは……

『世界も裏界もみんな、ちょー強くて、ちょー賢くて、ちょーかっこよくて、ちょーかわいいパールちゃんにひれ伏すことになるんだからっ! ふっふ〜ん♪』
……という感じの御方でござます。
753名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 01:25:27 ID:tQBQYcCj
死ぬほど解りやすい解説ありがとう
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 11:42:52 ID:DoDbjV5D
裏界で三強にはいるぐらいの実力をもったH、とか? <ちゃん様
いや、俺はHを知らないので本当に似ているのかわからないのだけどさ
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 12:40:19 ID:5pxdd1bL
Hというより妹様だと思う
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 13:53:48 ID:SDY4o9wH
>>752
アガレス様、お疲れ様です。
757名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 15:09:53 ID:zjRG64zF
妹様は神主の中で性格かたまってねーからなぁ。
「あたいったらさいきょうね!」でHならまぁ、間違ってもないかもしれんが。

ただ、本能的なのか計算づくなのか、割と鋭い時は鋭く策もとる。
アゼル転生体騒動の時もなかなかのキレものっぷり。
多分アレはお脳の調子がいい日なんだろう、きっと。
758名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 15:34:14 ID:ASp5Shdg
>>757
一定の決まったルールがある状態で、そのルール自体をぶち壊すって言う考え方ができるのは天才かHだけだな

そして、だからゲームを楽しむためにルールを守るベルと相性が悪いのかと気づいた
759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 16:14:41 ID:llQyp5VX
>>744
超って二回も言って(ry
760名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 17:27:05 ID:DoDbjV5D
裏界の3強は

ルー:支配者
ベル:ゲーマー
パール:H or 天才

ということか
761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 17:35:53 ID:h/TpjUNY
ちょーこーさまの実力の前には、紙一重の差なんてあって無きが如しなんですね!
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 19:09:47 ID:/4/4Cz0N
アッハッハッハッハ

キャラスレ行けよ落とし子ども
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 20:31:05 ID:dOIRKwDU
つまりちょーこー様が大活躍するクロスネタを書けばいいんだ!
【落し子はどこか逝った目をして言った】
764名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 21:14:09 ID:nCMFCsmm
>>760
ちゃんさまは、
複雑な計画を実行できる力と頭脳を持っているけど、
それが覆される時は結局力づくになる。

つまりは、お子様。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 21:17:07 ID:ASp5Shdg
ストーリー的に考えて、そこで冷静に次の手を打てるやつはボスとしては問題ありだろw
766柊蓮司と雨の中の子蜘蛛 予告編:2008/07/09(水) 21:40:37 ID:hgN7Dmsa
紅い満月が昇るとき、世界は否定され

世界が否定されるとき、銀の雨が降り注ぐ


ファー=ジアース、それは常識によって成り立つ『世界結界』で覆われている世界。
この世界には、世界を守る二つの存在がある。
一つは、常識を遮断することによって力を発動する『ウィザード』。
そしてもう一つは、異世界から流れてくる物質『詠唱銀』を受け入れ力を発動する『能力者』。

「月匣!?いや違う、これは!?」
「君も能力者!?でも…何か違う…?」
「ここは、共同戦線と行こうじゃねぇか…!!」

奇妙な雨の中出会ったのは、古代のエミュレイターの力を使う
不思議な訛りの少女。

常識の向こうの世界で起きた非常識、その次の日
アンゼロットの依頼で、柊蓮司はとある学園へ転校することとなる。
「柊さん、貴方にはとある学校へと転校…という名目で潜入して頂きます。」
学園の名は、銀誓館学園。


「おい、俺先月卒業したばっかなんだが…」
「学年は、高校1年でいいですよね♪」
「まてえぇぇぇ!!!」
767ナイトウィザード×シルバーレインの人:2008/07/09(水) 21:44:17 ID:hgN7Dmsa
初めまして、世界観があまりに似てたからやっちゃった
ナイトウィザード×シルバーレインの人です。
初投稿でsageを忘れてしまい、申し訳ありませんでした。
これから宜しくお願いします。
768名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 21:51:27 ID:ziehzWD3
コイズミも一緒に転校させてやれ。三年生で。
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 21:58:26 ID:/4/4Cz0N
うおぅっなんだよ今日は各地でNWSS祭でも起きてんのか!?
ともあれ、本編投稿楽しみにしてます。柊ホントに便利だなぁw
770名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 22:00:42 ID:Ca304hUC
kwsk
771名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 22:18:06 ID:ziehzWD3
・アンゼロットがどんな無茶を言っても、世界の危機なら嫌々ながらも結局聞く。
・フラグスルー能力が尋常じゃないので、仮にクロス先のキャラとくっつくようなことも考えられない。
・常識人でツッコミ属性なので、かみ合うキャラクターとの想定問答集が作りやすい。

確かにスゲェ使いやすい。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 22:20:11 ID:AHfzYT5r
769
各地でNWSS祭でも起きてんのかとの事ですが、ここのサイトの他にもNWSSが投稿されたんですか。
773名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 22:36:31 ID:/4/4Cz0N
ん、地下の例の場所に数少ない柊×エリスものが
つーか、「新作ss祭」の間違い。スマン
774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 23:01:28 ID:5xW6fz4V
>>764
挙げられた特徴みてると
ちょーこー様はウルトラマンの宇宙人と酷似した行動パターンだなw
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 23:04:39 ID:ziehzWD3
『裏界が恋しいだろうね、ベール=ゼファー…裏界には冬がない。凍え死ぬが良い』
とか言い出すパールちゃん様ですね、判ります
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 23:08:07 ID:dt6DYNX0
>>774
バルタン星人の如くUFOが写った合成写真で人類を戦争に走らせるのですね!
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/09(水) 23:54:50 ID:xoLO4s28
最新のバルタンは呪文まで唱えるようになってたよな
ちょーこー様の場合は

ぱーるるー

ってところか
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 00:03:10 ID:/4dl4/1o
ぱるるのるーと言うのか
779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 00:04:37 ID:zY1H4eeC
そうか、ちょーこーさまも、中の人は宮崎羽衣だったか。
780名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 00:47:29 ID:cUOHizHe
某タコ焼き大好き魔法使いが思い浮かんだオレはダメかもしれんw
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 08:04:27 ID:hnREADm7
ちゃん様の中の人は名塚佳織だぞっと。
782名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 12:28:44 ID:AwQi8AF9
一人称、相手の呼び名チャートとかが欲しいね
783名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 17:46:21 ID:+92eeaQh
>>754
亀だが

Hなちゃんさまとか考えられん・・・
いや本気出せばそのぐらいかもしれないがイメージ的に・・・
ところで>>755見て思ったんだがHってナインボールじゃなかったりする?
■本編
紅き月が昇るとき、世界は否定される

今夜もまた紅き月の下、柊蓮司は異世界からの侵略者、エミュレーターと戦っていた。
「でぇりゃあ!」
最後の一撃でエミュレーターは消滅し
仕事を終えた柊蓮司は溜息を着いた。
「…ったく、アンゼロットの奴、卒業して暇になったとはいえ
容赦なく人をこき使いやがって…」
説明的な愚痴をこぼしながらアンゼロット宮殿へ報告しに戻ろうとした刹那、それは降って来た。

ポッ…ポツポツポツポツ…ざあぁぁぁ…

「しかも雨かよ、ついてねぇ…ぜ…?」
突然の雨に足を早めるが、柊蓮司は不思議なことに少しも濡れていなかった。
「なんだ…この雨…?」

世界が否定されるとき、銀の雨が降り注ぐ

その時、周囲の空気が変わった。
「月匣!?…違う、何だこれ!?」
空には紅い月が昇っていない。
ジャラ…ジャラ…
どこからか鎖を引きずる音が聞こえた。
「後ろ!!」
どこからか聞こえた声を合図に柊蓮司は大きく屈む。
紙一重、柊蓮司の首があった位置を
鋭利な爪が横切る。
そして夜の闇を抜けて銀色の髪の少女が走って来た。
少女は懐から取り出したカードを構えて叫ぶ。
「…イグニッション!!」
少女の持っていたカードが消えて、銀色の粒子が集まって新しい形を成していく。
それは、剣だった。
しかし、普通の剣と違う所が二つある。
一つは、塚の部分にマニ車のような機械が埋め込まれていたこと。
もう一つは、その剣が地面に落下せず少女の視線の先にて静止していたこと。
「こいつは私が抑える、はよう逃げて!!」
そう言って少女は、剣を敵に向かって飛ばした。
ガキン!!
攻撃は防がれたものの、空間が歪み爪の主が姿を表した。
長い爪、白いローブ、霧のように朧げになった足から長い鎖が地面にに延びていた。
「地縛霊…何の怨みがあるかは知らへんけど厄介なレベルのが来たな。」
地縛霊と呼ばれた存在は、悲鳴のような雄叫びをあげて少女に襲い掛かる。
「くっ…!!」
爪による斬撃を念動剣でふせぐ
だが、地縛霊の力は凄まじく、少女の力では支えきれない。
もう一撃加えようと、地縛霊はもう片方の腕を振り下ろした。
その時、振り下ろした地縛霊の腕が切り落とされた
「誰だか知らねえが、言ってくれるぜ。
だがそう言われて下がってられるかってんだ!」
地縛霊の腕を切り落としたのは、柊蓮司の魔剣だった。
地縛霊が苦しみ悶えている隙に、柊蓮司は少女を抱えて後ずさる。
「貴方も、能力者!?…違う、貴方は一体?」
「ウィザードの柊蓮司、お前は?」
「…私は、銀誓館学園の魔弾術士、覩槝 梢(みるかし こずえ)。」
お互い、聞いたこともない単語に疑問の表情を浮かべる、しかし
「聞いたことねぇな…だが
ここは、共同戦線といこうじゃねぇか。」
柊蓮司の案に頷き、覩槝梢は言う。
「私の力じゃあ、あの地縛霊の攻撃に堪えられへん。
でも、二十秒だけ時間を稼いでくれれば…」
「…わかった!」
そう言うと柊蓮司は地縛霊に向かって走り出した。
覩槝梢は念動剣を地縛霊に向けて術式を組み立てる。
「…我は魔弾の射手、我が力を組みてここに指標を立てん…」
覩槝梢の眼前に、複雑な魔法陣が形成される。
地縛霊は苦し紛れに爪を振るうが、柊蓮司にことごとく防がれる。
「エンチャント、フレイム!!」
柊蓮司の掛け声と共に炎を纏った魔剣が振り上げられ地縛霊に深い傷を負わせる。
「今や…穿て、雷の魔弾!!」
魔法陣で増幅されたエネルギーが電気の塊になって念動剣の剣先から放たれる。
着弾の瞬間、凄まじい電気エネルギーが地縛霊を焼き焦がし
魔弾は地縛霊を貫通し、四散した。
地縛霊は、足元からゆっくり蒸散していく。
「やったじゃねえか!」
そう言って、覩槝梢を振り向く柊蓮司に最後のあがきか
地縛霊は爪を振るう。
「…危ない!!」
覩槝梢は全力で柊蓮司に駆け寄った。
そして…


グシャアッ


吹き上がる血飛沫、その主は地縛霊だった。
地縛霊の腕を…黒く、長い節足が刺し貫いていた。
その節足は八本、覩槝梢の背中から生えていた。
なおもあがく地縛霊に柊蓮司はとどめの一撃を与える。
「魔器、開放!!」
変形した魔剣で刺し貫かれた地縛霊は、魔剣から送られる魔力によって内側から致命傷を負っていく。
そして地縛霊は、完全に消滅した。

やがて、周囲の特殊空間も消滅する。
…しばらく間をおいてから、柊蓮司は節足を仕舞った覩槝梢に聞いた。
「…エミュレーター、なのか?」
そう聞かれた覩槝梢は、聞き慣れない単語ながらも、聞こうとしている内容は理解した。
自分達の節足は、本来この世にあってはならないもの…その象徴なのだから。
「…えみゅれぃたぁいうのが何なのかはわからへんよ。
でも、それが化け物いう意味なら…。」
そう言い残して、覩槝梢は闇の中へと消えていった。
聞いてはいけない事だったのかもしれない…
そう後悔しながら、柊蓮司は宮殿へと向かった。
786ナイトウィザード×シルバーレインの人:2008/07/10(木) 17:58:30 ID:P9HUiE7h
次回は二つの世界観を混ぜるための説明シーンになると思います。
今更ですが、私はアニメ版と合わせ神子しか情報を持ってない初心者なので
ナイトウィザードの世界観について何か間違いなどがあれば遠慮なく申し付け下さひ。

では最後に覩槝梢のハンドアウトもどきをば。
PBW版の娘の設定を元にしていますが、別人として進めていくつもりです。
■ハンドアウト
キミはかつて滅んだ種族の末裔。
記憶を失い、蘇った先でも何もできなかったキミは現代でも大切な存在を失った。
もう何も失いたくない、そんな優しさを持つからこそ
ただ、焦りだけがキミを動かす。

推奨ジョブ 土蜘蛛
シナリオコネクション 柊蓮司
787名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 19:06:40 ID:AwQi8AF9
他のみこシリーズを差し置いて、いきなり最終回たる「合わせ神子」とは上級者過ぎる
788名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 20:26:14 ID:hnREADm7
乙〜。なにアニメ系スレなんだから、むしろアニメ版だけの知識でも特に問題無いさ。
まぁ一応wikiとかに目を通しておさらいする事は忘れずにってところか。
789名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 22:47:57 ID:zY1H4eeC
おつ。似て非なる世界がどう絡むか楽しみにする。
790名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 23:19:59 ID:JmjltaDB
うはwwwwwwwwwwSRとかwwwwwwwwwww
この娘さんはリプのやつ?あれ読んでないけど


>>783
チルノ H バカ
でぐぐれ。
有名なセリフは「あたいったら最強ね!」
791名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/10(木) 23:32:47 ID:hptxcp4O
そーいや柊ってあんだけやってて人外のウィザードとの関わりがほとんどないのか
一番の人外は……ピコレットか
【そもそもウィザードじゃない件について】


>>790
SRって書くと普通はシャドウランじゃねーか?w
792名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 00:00:39 ID:GdI0ne/C
菊池先生超☆絶賛の銀雨ですね
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 00:16:25 ID:54ZRssRw
>791
アンゼロット(クラス:使徒)とかソルト(クラス:エンジェル)とかリューナ(半精霊族)とか。
翠も大いなるものか。
794名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 00:24:54 ID:RsIvm74m
>>793
皇子のことも忘れないであげてください(そもそも大いなるものはボディは人間だけど)
後アンゼはウィザードにカウントしていいのかどうか
まあそれはそれとして、どうしても変形とか変身ガジェットが弱いな
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 00:35:58 ID:Q0mHjO5q
SRと言えばセービングロールである!
796名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 00:36:33 ID:Zrf/ibiO
最大の人外はにゃふぅだろ、常考
まじめな方だとソルトも一応天使だし人外だな
797名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 00:43:33 ID:GdI0ne/C
幼馴染みは魔王だし
798名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 00:49:23 ID:C5OE01+T
人狼族には大人気だぞ>柊
PC版の話だけど
799名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 00:54:37 ID:RsIvm74m
>>798
面識がないからじゃねーかw
800名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 01:00:34 ID:+g2X/Xfl
そもそも人外ウィザードがほとんどリプレイで出てない件について

っつーか、人外っていうと吸血鬼か人狼しかいないし。ノーチェくらいじゃね?
形が人間でいいなら使徒・大いなるもの・人造人間あたりになるな。アンゼ・和泉・00・三下・時雨で、柊は伊衛門以外とは面識アリ
他世界キャラではリューナ・ヴィオ・皇子・ソルトに異種族なシド
敵側はもはやサイモン以外は全部人外だぜ?
801名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 01:09:04 ID:GdI0ne/C
「目立ちすぎたのさ」
「俺は人間だ!」
802名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 01:17:08 ID:RsIvm74m
>>800
人造人間が人型なのかは結構怪しいような(メカ柊を見ながら)
というかこのssでの描写なら人造人間か魔物使い、場合によったら転生者って感じじゃね?
803名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 01:31:14 ID:WWsmMGW9
>>800
一応Webリプに吸血鬼いるぜ。
つか、使徒は羽生えてないか。
特技見るに。
804名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 02:55:24 ID:GdI0ne/C
      /     __ヽ __ ∠,      ヽ    【保管】  柊蓮司と雨の中の子蜘蛛 予告&第1話
      /       ヽ`_y´ ノ __ _    ヽ    
    /      ,., -,┬/ ´ ̄ヽ_L}_ヽ``ヽ、, -、    __     l ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
    l       // l_L{_{    ´Lハレ'ハ )〉!   |  /  l      l :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
    !   / 、 レ´レz=   ´ ,二_ヾノノ ィ|  ト、/  /      l ::::;  -‐    ̄ ̄`丶、l
    〉i  /  ト、ト〃,. テ、   i  ノ.:iハ!´f |  レ′ /      l/   _  -―――‐   L _
    / ヽ、{  、>|l |ン.:.:.:}    l`´;;;;;} jl ,.rヒ‐- 、,. ‐' 、     _ 」 ィ ´ _ ┌‐┬r‐、‐-、__ ::::`ヽ、
    /   i >‐≧{ ヽ'''''''ソ   、`ー '  /  、  }  __ノ、 <´:::::;ィ-‐ i´/ハl   り =_、ト、{ヽヽ:::::::/
   /   /l _ヘ      ̄ ┌‐ ァ  ,、,、 l   `ー' z´  )i    `/:ノ/ィノイムハ   ヒハl‐ハヽ_ノ/
  i   / 〉、 ヽ、 '`'`   ヽ_ノ     ,.fヽ、_  `ー ノ !    ー' |,ヘ‐l弋_ノ .  ゞ-' !::lノ::l´
  !  i /  Τ´/>ァ、__    __ r '´ i  ヽ ` ーァイ } l      lヽ!ヘ. "" r ┐  /l::|::::::!
  l  l !   l / /´ _<二___ ノ  ,ノ   ` <_ノ ノ l      l::::|::l_ヽ、 __`_ .ィ::::_!:!_::`ト、
   l   l l   i' /    __,.|, ニ,、ト- イ      ,.¬´,ート、rっ__lノ∧l `ヽ_ト‐v'´」_´jノ `ヽ ヽ、__r ァ
   !  ヽ、ヽ. ∨` ̄「´ , ヘ __ソヽ   ` ーキ7´i  | {    )` ̄ // ヽ   | `}_!´__」      l    ̄
    >、__ノヽ、 ヽ、 /  /!  `´  `    ∨ / ,イ |` ー ′  /.::l       ヽ/cヽ/| /     !
   (   〉  い }/                  // / l |    /    ヽ、_ / ,'c l| l′ __ /!
   ` ー '   / } //              { i  l   l |   / ...:::::::::::::::::::::∨ /c !l l ´/..... l

805名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 05:28:51 ID:MIGsZkyu
ふと、愛蘭島に流れ着いたのが柊だったらってネタを思いついた。
あの島の直球かつ切実なフラグだったら、柊でも攻略できるかも知れないな、と。
アニメ版なら空飛べてもそう簡単には脱出できない仕様だし。
806名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 06:41:12 ID:GdI0ne/C
トラウマを与えるだけじゃないのか、それ……。

>空
月匣内だからそもそも飛べないんだよ

807名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 06:57:53 ID:RsIvm74m
飛べてもいいけど脱出不可だろうな
なんとなくGB版ゼルダを思い出した
808名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 07:13:56 ID:wZcDOBfE
某国開発の対ウィザード兵器は、
実は詠唱銀製だったりするのだろうか?
809名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 07:22:46 ID:inEC7R2C
すべては風の魚の見る夢だったと申すか。
810名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 07:36:50 ID:CY54qVhm
ゼルダの伝説〜夢を見る島?
811名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 07:38:51 ID:CY54qVhm
ところで、背中から節足動物の足が生えて攻撃するだけなら、カニアーマー使いの転生者で
見慣れてると思うぜ。トウガとか。
812名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 09:06:37 ID:SSe/f30x
>背中から節足動物の足

昨日見たスパロボZのデモのせいか
カニアーマーつけたマッドマンが脳内に出て来た
「私の愛蟹は凶暴です」
813名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 09:07:55 ID:inEC7R2C
カニアーマー使いって…トウガの印象が強すぎて他に思い浮かばないw
814名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 09:50:23 ID:+g2X/Xfl
一応、まだ出会ってないけど空砦good/lowfulパーティのシンゴがカニだな
815名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 10:29:43 ID:Q0mHjO5q
転生者で無い、カニアーマーなら、キタローが。
816名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 12:20:52 ID:h8lEGa7b
アトランティス文明の転生者柊も忘れるな
817名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 12:39:36 ID:0Xo60c2l
藍欄島は主人公が18歳以上だったら物語が成立しないからなあ

あと柊って同年代の男友達にも恵まれてないよな
818名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 12:43:32 ID:RsIvm74m
同年代って命やマサトや司か

……ザーフィやグイードや永斗に比べりゃはるかにましじゃね?w
819名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 13:29:47 ID:QJL+xKcV
「リンカイザー、奴とは何故か他人の様な気がしない…」
820名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 13:35:42 ID:inEC7R2C
京介は後輩だしなーって、つかちゃんと永斗はDX…w
いや、柊サーガに出てきてるんだっけ?
821名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 13:48:21 ID:RsIvm74m
>>819
攻撃特化の紙装甲と防御特化の低火力か
確かに他人には思えんかもなw

>>820
JGCのイベントであってるな
俺の中であの二人は心の友だ
822名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 13:57:56 ID:+g2X/Xfl
皇子……友達扱いはできんなw
命とはラジオでは面識はあるけどリプレイ上では合わせが初対面。しかも合わせ後は命昏睡し続けてるし

本気で同年代のウィザードな友達いないなぁ……
823名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 14:06:19 ID:inEC7R2C
…桜間流は同じ高校生だけど面識ないしなぁ…
むしろ天竜の方がまだ知り合いだったりするかもしれんっつーのがw
ほら、どっちもアンゼロットの下僕だし。
「じゃあその子に何も聞かないで帰らせちゃったの?」
「いや、あいつ確か銀なんたら学園の魔弾術士って言ってたな…
見たとこ中学生っぽかったが、輝明学園みたいな組織がもうひとつあるってのか?」
青い地球が見える次元の狭間にあるアンゼロット宮殿
その待合室にて、柊蓮司は赤羽くれはに昨夜のことを話していた。
「それについては、私がお話ししましょう。」
突然の声に、赤羽くれはは「はわっ」と、柊蓮司は「あ?」と言って振り返る。
その先に居たのは、スーツに身を包んだ男だった。
年齢は不思議なことに分からず、それでも超然した存在感を持っていた。
雰囲気が似ていたため、アンゼロットと同じようないつもの反応をしてしまった二人は慌ててかしこまる。
「え〜と、どちら様でしょうか?」
おそるおそる言った赤羽くれはの疑問に答えたのは、男の後に入ってきた
世界の守護者、アンゼロットだった。
「そのお方こそ、先ほど申していた銀誓館学園の校長ですよ。」
そして、校長と呼ばれた男が口を開く。
「まずは、どこから話せばいいですかね…
貴女達ウィザードが異世界からやってくる非常識と戦うように
私達銀誓館学園の能力者は、この世界で起こる非常識と戦っているのです。」
「この世界の内側って…世界結界の内側でか!?
…そんな事本当にあり得るのかよ。」

世界結界のシステムは…歴史上の裁定者達が定めた常識ともう一つ…
地球自体の意思を持って存在の許容範囲を定めています。
合わせ鏡の神子事件での珍事件は、浮かんだ二つの月が無理に世界結界を強化したから起こった事態であり
世界そのものが勇者クラスのウィザードを選ぶように
ウィザードやアンゼロット様たちが存在する為に許容されている非常識の範囲というものがあるのです。
しかし、その範囲を掻い潜って自然に入り込んでくる存在がエミュレーターとはまた別に存在しています。
我々はこの存在を、『詠唱銀』と呼んでいます。
そしてこれは普段こそ世界結界に阻まれていますが常識が少しでも揺らぐと
通常の雨に混ざって地上に降り注ぐのです。

「詠唱銀…」
あの夜降ってきた濡れない雨…あれが顕現した詠唱銀だったのかと
柊蓮司は確信した。

詠唱銀は強い意志を残して死んだ人間の残したプラーナ、残留思念を吸収して
様々な形に変容して、この世界の内側に存在を始めます。
それが恨みや怨恨、邪悪な感情であった場合は…詠唱銀は邪悪な怪物
『ゴースト』に変質してしまい、より強い残留思念を求めて人を襲います。
能力者は自ら常識を遮断するウィザード達とは違い、異世界の存在である詠唱銀を受け入れて力を発動し
ゴーストと戦ってきました…
が、異世界からの来訪者が末裔達を大規模に保護するという事態が起きましてね…

「対エミュレイターのプロであるウィザードに暫く監視をお願いしたい…ということなのです。」
説明の最後は、校長からその交渉を受けたアンゼロットが締めくくった。
「はわ!?異世界からの来訪者…その末裔?そんなのが存在できるんですか!?」
「彼らもまた、詠唱銀を受け入れているので。」
それを聞いて、柊蓮司は昨夜に出会った少女「覩槝梢」の事を思い出した。
「気にいらねぇな、エミュレイターは嫌いだがよ…
その来訪者の末裔ってのはこの時代に生きてる人間と変わらないんだろ?」
「そこはウィザード達と同じですよ、銀誓館学園もまた一枚岩ではないので
いつイレギュラーが出るか分からないので、それが彼等なら尚のことです。」
この男、どうやらアンゼロットと同じ人種のようである。
柊蓮司は舌打ちして紅茶を飲む…同時にアンゼロットは言った。
「そこで柊さん、これから私のするお願いに「はい」か「yes」でお答えください。
…貴方にはこれから銀誓館学園に通って頂きます♪」

…柊蓮司は紅茶を盛大に吹いた。
「あら汚い。」
口から紅茶をだらだら流しながら柊蓮司は言った。
「ちょっと待てよアンゼロット…俺、3か月前卒業したばっかなんだが…」
「丁度いいじゃないですかぁ、それに…今回は貴方だけじゃありませんよぉ♪」
アンゼロットはチラッと赤羽くれはの方を見た。
「は・・・はわぁっ!?私も!?」
「赤羽さんだけじゃありませんよ、他にも数名エージェントとして贈る予定です。」
「まてよ、今言った『送る』のニュアンスが違ってなかったか?」
後ろから、「は、離せ!!俺はもうクビになったんだ!!自由になったんだぁ!!」という声が聞こえる。
「柊さんは高校1年生でいいですよね♪」
「まてええぇぇぇえええええ!!!」


「え〜というわけで、今日から転校してきた柊蓮司君と、赤羽くれはさんだ。」
典型的な朝礼、この空気は3ヶ月ぶりである。
方や何かに耐えるような感で、方や諦めがついたのか「よろしく〜」と手を振りながら
黒板前に二人は立っていた。
銀誓館学園は輝明学園のように日本中に分校を持ってはいないものの
鎌倉市内に複数のキャンバスを持ち、その規模は計り知れないほど巨大である。
故に朝礼はその殆どがテレビによる校内放送によって行われる。
転校生の紹介が終わり、テレビ朝礼に移って数分後
『やっほー、みんな元気?おなじみ長谷川千春の運命予報TVだよ〜』
「!?」「はわっ!?」
校長の演説を突然破ってテレビは新しい放送を始めた
『とりあえず噂の転校生諸君は過剰な反応しないようにね、この放送は能力者やウィザードにしか見えないの。
この前それでクラスの皆に一気に変わり者の称号を貰った人がいるから。』
どこかで明王活殺の使い手がくしゃみをした。
「お…おぅ。」「しーっ。」
気が付けば斜め前の席の生徒がこちらを見て人さし指を口にあてていた。
他を見れば、非常識な気配を感じさせない一般の生徒たち(イノセント)は退屈そうにしている
イノセントの生徒達には、校長の演説しか聞こえていないのだ。
『え〜今回はなんと、異世界からの脅威と戦い世界を幾度となく救ってきた
私達や能力者の先輩、ウィザードの方々が転校することになりましたぁ。』
あくまで先生に「話すのはやめるように」と注意される程度ではあるが
教室内がざわついた。
『その中での柊蓮司先輩は最近やっと苦労して卒業したのに転入することとなった可哀想な人です
皆で慰めましょう♪』
「いらねぇよ!!てか何でそこに出てんだ!!」
横からなぜか割り込んできたアンゼロットの紹介に、柊蓮司はつい机を叩いて突っ込んでしまった。
「あ・・・・・・」
どこかで明王活殺の使い手が仲間を見つけたような気がした。

「ああぁぁぁあああぁぁぁぁ…。」
休み時間、世にも珍奇な悲鳴(?)を上げて机に突っ伏す柊蓮司。
「はわぁ、完全に変わりの称号を与えられちゃったね…笑われる男。」
「どいつもこいつも…俺をイヂメてそんなに楽しいか!?」
826ナイトウィザード×シルバーレインの人:2008/07/11(金) 14:34:54 ID:lVtkNFfP
SR勢の時系列はだいたい2007年9月中旬あたりです。
時系列の調整が思った以上に難しい。
少し校長が黒くなってしまったような気がしないでもn(通信途絶
827名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 17:35:41 ID:VLqm+QZ0
柊……アンゼの紅茶なんて口にするから。
828とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告:2008/07/11(金) 17:37:25 ID:yyd01/DJ
シルバーレインの人氏、お疲れ様でした。
シルバーレインは知らないのですが、面白そうですね。
それとちょっくら嘘予告を書いてみたので、投下させていただきます。




 どーも、上条さんです。
 現在進行形で死にそうです。
 え? なんで死に掛けてるかって? そりゃ――

「うぉおおおい!! なんでこんなところで、滝があるんだよ!?」

 上条さんともう一人が必死で漕いでいるボート、その進路の先に滝があるからです。
 うん、なんだこのベタなオチは。

「俺が知るかぁあああああ!」

「はーははは、大人しく止まってそこで蜂の巣にナルノデース!」

 背後から聞こえる妖しげな声。
 そこには大型のボートの上、腰みのに、上半身を黒と白のペイントで塗り潰したつるぱっげの怪しい怪人。
 つい数十分ほど前にこの密林を護る守護者と名乗ってきた――変態。
 ところで、その手に持つぶっとい機関銃はなんだ。
 いや、マジで。

「テメエエエエ! 科学に反抗する自然の守護者とか名乗っておいて、なんで銃器使ってんだよ!」

 上条さんは許しませんよ!
 横にいる熟練のツッコミ使いとの日々で、何時いかなるときにも理不尽に抗う心を手に入れた俺に突っ込めないものは無い!

「OH−! これは機関銃じゃありマセーン、父なる木々が祝福を与えてくれた文明人抹殺デストロイヤー一号デス」

「お前絶対に原住民じゃねえええ!!」

「英語使うなよ!!」

「HAHAHA、お死になさーイ!」

 向けられる機関銃の銃口。
 やばい、ピンチです。
 あ、引き金が――

「くそ、当麻! 後ろに居ろよ」

 その瞬間、俺の前に飛び出た人が居た。
 手には相変わらずよく分からない原理で抜き出した西洋剣――魔剣、その身に纏うのは俺と同じ迷彩服、茶髪に染めた髪、俺よりも数年年上の男の後姿。
 銃撃音。
 機関銃からマズルフラッシュ、耳に痛い破裂音に、金属音。グラグラと揺れるボート、危ない。
 しかし、目の前の男――柊 蓮司は銃弾を全て叩き落していた。

829とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告:2008/07/11(金) 17:39:08 ID:yyd01/DJ
「HA−HAHAHA! 出やがりましたね、怪しげなバリアつかーい! そんな西洋かぶりの刀剣一本で、この密林の守護者〜ハーモニクサァを倒せると思っているのですか!」

「うるせええ! テメエは密林の守護者なんかじゃなくて、単なる変態だろうが! っていうか、何時の間に月衣貫通弾を開発しやがった!?」

「ふふーん。そんなもの、お前たちにぶちこむ銃弾一発一発に愛と祈りを込めた口付けをしただけデース!」

 怖気が走った。
 撃たれるのは怖い、けれどそんな弾丸が体に食い込むほうがよりいやだ。
 あ、柊が切り払った魔剣に嫌そうな目を向けている。
 気持ちは実に分かるなぁ。

「ところで、私に目を向けていいのですかー?」

「え?」

「は?」

「後ろをミルデース」

 後ろ?
 俺と柊が後ろに振り向く。
 うん、轟々と音を立てる――滝がありました。
 ……うっかり、忘れてましたよー。

「ひ、柊―! いつものようにジャンプ!」

 柊は俺が知る限り常人よりもかなり身体能力も高く、そして頑丈だった。
 ガチンコ担当なこいつならきっといける! いや、いってくれる!

「ム、無茶言うな! こんな激流で、飛べるか!」

 駄目ですかー!

「サヨウナラデース」

 カチっと変態が持っているスイッチから音がなった。
 途端に、変態の乗るボートが速度を上げて突っ込んでくる。

「な!?」

「HAーHAHAHA!!! 滝つぼに落ちてクタバルデース!」

 ざぶんと腰みのの変態は川へと飛び込む。
 なんだ、あの速度!? この急流をいとも容易く泳いでやがる――って、ああああ!

「やべえ、俺に掴まれ当麻!」

「またこんなオチですかー!」

 しっかりと柊にしがみ付き、俺と柊は突っ込んでくるボートから避けるように滝に飛び込んでいった。
 あー、不幸です! 不幸だ! 不幸ですよ!! 思わず三段活用だよ!





 とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告
830とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告:2008/07/11(金) 17:40:19 ID:yyd01/DJ
 それは本来ないはずの出会いだった。

「ん? どうしたんだ、お前」

 苛められ、泣いていた少年。
 そこに通りかかった一人の高校生――それが運命の始まりだった。
 常識から剥離され、異能を操る夜の魔法使い。
 異能を破壊し尽くす、幻想殺し。
 まったく正反対のベクトルでありながら、神の如き力も運命も断ち切る剣を所持した少年、神のシステムすらも打ち砕く右手。
 共に運命に抗う心が幻想殺しにすら打ち消せない絆を生んだのか。
 それとも、無駄にフラグを立てる二人の性質でも共鳴したのか。

 彼らは出会う。

 そして――不幸になった。




「柊さぁあああああああん! 任務ですよーって、あら?」

「おいこらてめええ! 任務終了と同時に拉致んな! って、ん?」

「ここ、どこ?」

 高校生――柊 蓮司と出会った少年、上条 当麻は降り立つ。
 己と同じ常識を護る、異能を否定する世界結界に覆われた惑星、ファージ・アースに。

「ほうほう、面白い手ですね」

「面白くなんかないよ、こんな右手」

「上条さん、あなた――世界を救ってみませんか?」

「え?」

「そこに柊さんと一緒に」

「俺かよ!?」

 少年は知る。
 異世界には彼の右手を、存在を、必要としてくれるものもいるのだと。
 あと、神のシステムを殺せても、逆らえないものがあるのだということも。

 つまり理不尽。
831とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告:2008/07/11(金) 17:41:15 ID:yyd01/DJ
 

「うわー! 変態だぁあああ!!」

「だぁれが、変態かね!? この盛り上がった筋肉を、美しい悪魔の血で染まったグローリアを見たまえ!」

「それが変態なんだよ!」

 彼が信じていたかもしれない神。
 そんなのは居ない、っていうか信徒にろくなものは居ないと教えられた。




「これ、食べる?」

「なにこれ、なんかビクビクしてるんだけど」

「チョコレート」

「……」

 パカ。

『ギシャァアアアアアアアアア!!』

 フタを閉める。
 形容してはならない、見るだけでSAN値がガリガリ削られそうな異形が見えたから。

「これチョコレート?」

「まちがいないわ」

「さすが異世界」

 ちなみに右手で殴ったが、破壊できませんでした。
 どうやら異能では無い模様です、ありえん。


832とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告:2008/07/11(金) 17:43:41 ID:yyd01/DJ
「出やがったな、魔王! っていうか、ベールゼファー!」

「ずいぶんと面白い子供を連れてるわね、柊 蓮司。幻想を否定する右手だっけ?」

「っ」

「こ、こいつが魔王!? っていうか、美少女にしか見えないんだけど!」

「油断するな、こいつは見かけどおりの年でも強さでもねえぞ!!」

「年は余計よ。まあいいわ、ちょっと殴ってみなさいよ」

「は?」

「私の纏う月衣と、その右手。どれだけのものか試させてあげるわ。普通に戦っても、すぐに死んじゃうもの」

「つ、舐めんな!」

 当麻が走る。
 床を蹴る、紅い月の世界を爪先から蹴り抜く様に疾走。
 右手を構えて、一直線にベール・ゼファーという異形を否定するために右手を振り抜く。

「当麻!」

 それのフォローに、柊が駆け出そうとして――

 ぺシ。

 酷く気の抜けた音が、右手からした。
 殴ったのはベール・ゼファーの豪奢なドレスに覆われた腹。

「子供だましね」

「な、なんで!?」

 今まで触れたエミュレイターならばほぼ滅殺出来た右手が効かない。
 さすが魔王と言うべきか。
833とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告:2008/07/11(金) 17:44:22 ID:yyd01/DJ
 
「さあ、つまらない芸のお礼よ。死になさい」

 視認することも出来ない速度で首を掴まれる。

「うっ!」

「当麻を離せ!」

「うるさいわね、柊 れん――」

 瞬間、何かが破ける音がした。

「じ?」

 何故かスースーする感触にベール・ゼファーが体を見下ろす。
 飛び込んできたのは肌色。

「……」

「……そういえば、お前らって魔力で服とか作ってるんじゃなかったっけ?」

 姿形を自在に変化させることが出来るエミュレイター。
 特にベール・ゼファーはよく服装を変えているが、一々用意していたのだろうか?
 否。
 彼女達は膨大な魔力と魔王の凄まじい技量によって、衣服などを作り、装着しているのだろう。
 ならば、それは異能に値するものか?
 肯定である。

 つまり、破壊されたので見事にすっぽんぽんでした。

「あ、銀色」

「死になさいっ!!!」

 この日、当麻は全治一ヶ月の重傷を負った。
 柊蓮司はベール・ゼファーと五時間にも及ぶ死闘を繰り広げ、死にかけた。
 報告を受けたアンゼロットは笑い死にかけた。



834とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告:2008/07/11(金) 17:45:48 ID:yyd01/DJ



 そんなこんなで数年後。
 かなりの勢いで逞しくなった当麻は世界を四回ぐらい救って、元の世界に帰っていった。
 任務のたびに当麻はフラグを立ててたりなどしたが、まあ気付くわけもなく、さようならを告げ。
 いつか再会することを誓って、彼は元の生活に戻る。

 不幸だとは口癖のように呟きながらも、どこか余裕を持って。
 困った人がいれば、ため息を付きながら手助けをして。
 レベル0だと蔑まれながらも、まあレベル0でも世界は救えるしなぁとどこか開き直り。
 アンチスキルに何故か目を付けられながらも逃亡し、彼は高校生になった。
 日常の中で女子中学生に雷撃を喰らうという日々が追加されながらも、彼は平和だった。
 いつかの世界のように世界の危機に晒されているわけでもない日々に順応していた。

 そんなある日、彼は出会う。

「行き倒れ、変なシスター、ロリっ子。やべえ、すごい勢いで世界の危機とかいうフラグが立つ予感がするんですけど」

 ベランダに引っかかっていた変な物体もとい幼女。

「私は彼女を保護します」

 刀を振り回す、怖い女性。

「僕の名はステイル=マグヌス。君を殺すものの名だ」

 赤い髪の魔術師。


 胡散臭くなってきた。


 超能力と魔術が織り成す事件。
 その中で、当麻は一本の携帯――0−PHONEを手に取った。


「もしもし、アンゼロットさんですか? ちょっくら、柊蓮司を宅配してもらいたいんですけど」



 これは神すら殺す魔剣使いと
 神のシステムを否定する幻想殺し。


 二人が織り成すフラグ作っては、ぶち壊す物語である。
835とある偽善使いと魔剣使い 嘘予告:2008/07/11(金) 17:49:20 ID:yyd01/DJ
投下完了です。
クロス先は多分一発で分かりますが、とある魔術の禁書目録です。
もしも当麻が本編を開始時に異能とかに慣れていたら?
もっと逞しい馬鹿だったら?
っていうか、フラグクラッシャー柊とフラグメーカーの上条が一緒になったら楽しそうだと思いました。
ツッコミ属性な二人が一緒になるとツッコミ度数も増えそうですがw
少しでも楽しんでくださった方がいれば幸いです。
836名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 17:57:16 ID:Q0mHjO5q
>835
何と言うか……すっごく、何時も通り……ですぅ。

後、個別板ぽんこつ魔王スレの皆さんに気を付けてももう遅い。

【キシャー】
837名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 17:58:33 ID:pzlHWwQV
乙!


ところで偽予告じゃ勿体無いな
禁書本編開始前までならこの予告もプロットとして使えそうだし、ちゃんとした形で是非読みたい
俺も禁書好きだしw
838名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 18:03:21 ID:h8lEGa7b
そう来たかww
これは良いフラグクラッシャーコンビ

だが柊と任務こなしてるなら、数年で世界を救うのが4回ってのは少な過ぎるような気が……
なにせ週一で滅びかけるのがデフォの世界だし(それに柊は毎回コキ使われる運命にあるし)
839名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 18:29:42 ID:QJL+xKcV
まぁ柊の任務全部について回ったわけじゃなかろうて
840名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 18:32:36 ID:jdzTMpqV
乙〜。
銀雨の人はまだまだ序盤なんで特に……くれはも一緒に下がるのは珍しいなw
禁書の人は嘘予告なんて言わずYOUやっちゃいなよw

容量ヤバイな次のスレやってみるわ
841名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 18:35:11 ID:jdzTMpqV
次スレ意外とすんなりいったよ
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1215768802/l50
842名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 18:37:25 ID:+g2X/Xfl
乙。
このスレもついに2桁か。感慨深いのぅ
843とある偽善使いの人:2008/07/11(金) 18:51:35 ID:yyd01/DJ
レス返しっす

>>837
 一応話の主軸は禁書目録本編ですねw
 ファージ・アースでの話はほのめかしたり、過去編扱いにしてください。

>>838
一応毎度柊とは組みやすいですが、普段はロンギヌスで働いてたり、解体しようとしてくる絶滅社の研究員とかから逃げてましたw
何度かキルキル叫ぶ癖が上条さんに付きましたw
あと任務は大抵数ヶ月単位の大規模任務などで派遣され、キャンペーン単位で四回ほど世界を救った(小規模なら十数回破滅の芽を潰した)程度です。
一応異世界に飛んだのが小学六年生ぐらいで、大体中二ぐらいで元の世界に戻ったという設定です。

>>840
んー、某地下で投下中のエリス×柊のSSが終わったら考えてみます。
でも、連載するとなると上条が果てしなく壊れるかもしれません。
上条がサブマシンガンで神裂と戦ったり、こんなこともあろうかとと言って、ガンナーズブルームをステイルに打ち込んだりする可能性が(汗
844名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 18:57:35 ID:RsIvm74m
でもガンブルに右手で触ったら動かなくなるわけだ
……あれって、弾は大丈夫なのかね?
845名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 19:06:40 ID:pzlHWwQV
>>843
ちょw剣舞の人でしたかw

あちらも楽しみにしてます。
ということは偽善の本編も期待して良いのでしょうか?
もしそうならまったり待ってます。
846名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 20:08:20 ID:zOw3te9+
>>844
ガンブルは火薬ではなく薬莢に籠められた魔力で砲弾を打ち出す筈だから、当麻が右手で弾に触れたなら砲弾が出ないか、出ても合わせ神子で命のプラーナが奪われた時の様に敵まで届かず途中で失速して落ちると思うよ。
847名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 20:11:16 ID:KaVxd3MI
>>843
>普段はロンギヌスで働いてたり

なんて物好きなんだ上条さんwww
で、キャンペーン全部合わせてフラグは何人立てたんすか?w
848名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 20:52:33 ID:9hZWmU9M
>どうやら異能では無い模様です、ありえん。
日記www
849名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 21:32:21 ID:nfz1nRhw
ちょっと思いついた。

とらドラ!の高須竜児、
戦闘城塞マスラヲの川村 ヒデオ、
そして我らが柊蓮司の、
「一見すると柄がメチャクチャ悪いけど、実はものすごくイイヤツ」な連中のクロス。


「(なんだこいつ?)」
「(なんかすごい目つきで睨まれてるが、なんだ?)」
「(敵視、されているのか)」

……数分後。

「そうか、その歳で家事を一手に引き受けてるとは……お前も苦労してるんだなぁ……!」
「いやまぁ、嫌いでもないし、そんな苦労って訳でもないがな。苦労って言うならヒデオこそ。
 目つき悪いってだけで就職に苦労って……うう、俺も将来心配になってきた……」
「友を得ることが出来。高い家事スキルを持つお前に。就職ごときが障害となるか……?
 否。断じて否。
 自分は。柊の八面六臂の仕事振りに、敬意を表する」
「んないーもんじゃねぇっての。上に都合よく使われてるだけだっての」
850名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 21:59:32 ID:VLqm+QZ0
あー、その中にれでぃ・ばとの主人公も入れてやってくれ。
奴も見かけによらずイイ奴で苦労人だ。
851名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 22:11:40 ID:lVtkNFfP
>「一見すると柄がメチャクチャ悪いけど、実はものすごくイイヤツ」
普通にエンジェル伝説思い出したw
852名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 22:32:53 ID:nfz1nRhw
>>851
そーだ! それがあった! 迂闊っ!!

>>850
すまん、それは読んだことないので、貴兄が書き加えてあげてくれまいか。
853名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 23:10:13 ID:+g2X/Xfl
>>849
やべ、なんか不憫過ぎて涙出てきた……
854名無しさん@お腹いっぱい。:2008/07/11(金) 23:15:27 ID:7oCx5ycs
エンジェル伝説ナツカシスwwwwまさに元祖勘違いwww
855名無しさん@お腹いっぱい。
        /   /       {i                ヘ     ',
.       /   /        ヾ          }     ,   | !    ',
.       ,′  ,′    /           }   |    }  | i   、 ',
.       ,′   {      ,′  {       ,ハ _,.斗ャ '7 /    i  !   ′
.    イ /{  {   {  {    八{     r/7「厶r‐ぅ-ミ/    ,′ ! i  、 }          さぁ次スレへ行くのよ
     /,ハ      ,   -─-_-ミ八   /リ '゚ {ト  ノリ ”ノ}  /   ! ヘ  \
     {{ ',  i    '  ヽン'7¨゙`'ト \从'   弋;r少   从/     !   )   丶、
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          ヽ \`ト 、      `           /  /   八 i )    \}
          从  ノ ,ハ       <´_ ̄′   /      .イ  `Y ) `ヽ  ヽ
.           丿 /    ト .            〈   _,ノ=イ 乂  { 人    〉  )
            {/       丿 |l  .._     _,. :ヘ   \___」厶ハr=小、─-ト 、, jノ
         〈(    ( /  〈j   ,> r‐ ´  __\____   }レ' ト、 `¨´ リ{ し
            \    `ー┐ ヽ (  |厂 ̄       丿 __ノ`ー┘)`ー-‐'′乂
             `ー-ァ   /「 ̄\─- /        く 厶 -‐ "´ ̄`丶、´
             川/   /八   ヽ /   _,l二ニ彡'  \          \
            jK _,厶 -‐> rヒ{丁\<                     \
              厶‐'\  // /介 、 \ `丶、    -─‐             ヽ
         /    / /  イ│| |\ 丶、  }ヽ                     l
        /     { レ'゛ /〃│l l  \  `¨ /     ヽ              |
          /       \/ /  ノ│ |ヽ  `ー--く       \             |