らき☆すたのこなたとシンが知り合いましたPart18

このエントリーをはてなブックマークに追加
654みなシン
「おはよう!みなみ……ちゃん?」
ある日の朝、いつものように登校したゆたかは、自分の下駄箱の扉を開けた姿勢のまま固まっている親友の姿を見つけて首を傾げていた。
「あっ…ゆたか…」
「どうしたの?みなみちゃん」
「これが」
みなみの言葉に促がされて下駄箱の中を覗き込む。するとそこには、真っ白な手紙が1通入っていた。
「もしかして『また』ラブレター?」
「う、うん……多分」
2年生になってから、みなみはすごくモテるようになった。こうしてラブレターを貰ったのも1度や2度ではない。以前は冷たく何処か近寄りがたい雰囲気があったのだが、シンと付き合うようになってから表情が柔らかくなり、マイナスなイメージが払拭されたからだろう。
「こんどは何年生から?」
「多分、1年生から……」
丁寧に手紙を取り出し文面を確認するみなみ。その様子を見てゆたかは軽くため息をついた。

場所は変わって、放課後の教室。
2年になっても何処かの姉のように別のクラスにならずに済んだ、いつものメンバーで話をしていた。
「それでみなみちゃん、昼休み教室にいなかったんスね」
「モテる女子(オナゴ)はつらいデスネ、みなみ!」
「そ、そんなこと……」
「そのウチ『お姉サマと呼ばせてクダサ〜イ』なんて女子がでてくるかモガッ!?」
「ストップ!!!そこから先は禁則事項ッス!!!」
「「?」」
目をキラキラさせながら何か言おうとしたパティをひよりが口を塞ぐことで阻止する。その様子を見ながら良く分からない、という風にみなみとゆたかは首を傾げた。
655みなシン:2008/06/01(日) 23:11:57 ID:pArPDZ7v
「それにしても、みなみちゃんも大変ッスね、こう何度も断りの返事をしなきゃいけないのは……」
「みなみちゃんは真面目すぎるんだよ」
「真面目…?」
「返事をするたびに真剣に考えてから答えてるでしょ?でも、みなみちゃんにはお兄ちゃんっていう恋人がいるんだし、もっと軽い気持ちで答えてもいいと思うよ?」
「確かに、下手に悩んだりすると『もしかして』なんて思って再チャレンジしてくる人が出てくるかもしれないッスね」
「トキには非情になるべきナンデスネ?ワカリマス!」
ゆたかの意見にひよりとパティも頷く。しかし、みなみは何かを考える素振りを見せた後、小さく首を振った。
「誰かに告白するって言うのは…すごく勇気がいることだから……。いい加減な気持ちで、返事はできない…」
自分も告白した時はそうだった、と答えるみなみ。その言葉を聞いてゆたかは苦笑した。
(みなみちゃんらしいな。不器用で、だけどそれ以上にすごく優しい……)
そして、それはシンにも当てはまることだった。
ゆたかは、こなたの無理難題に憎まれ口を叩きながらも、決して嫌とは言えないシンの姿を思い描いた。
「みなみちゃんって、なんとなくお兄ちゃんに似てるね?」
「えっ?」
「ワォ、似たモノ夫婦デスネ!!」
「そんな……」
パティの言葉に頬を染めるみなみ。その様子を見て、ひよりが思い出したようにあることを口にした。
「似てるといえば、シン先輩もモテるんスよね〜」
「!!!」
656みなシン:2008/06/01(日) 23:12:22 ID:pArPDZ7v
パリーン!!
その瞬間、自分達の周りの空気が変わったことを、ゆたかとパティは敏感に感じ取った。しかし、ひよりは思い出すのに夢中なのか、まったく気付いていない。
「この前、偶然見ちゃったんだけど、シン先輩が1年生の女子に呼び出されてたんスよ。あれは、絶対に告白されてたッスね!」
「…………」
ビュオォオオオオオ!!!
(あわわわわわわ)
(No〜ひより、ソレは死亡フラグネ)
ひよりが話を進めるに連れてみなみの顔に暗い影が走り、それと共に教室の温度が少しずつ下がっていく。
ゆたかとパティは何とかひよりを止めようとしたが、恐怖のせいで体が動かなかった。
「まぁ、シン先輩も年下の女子には弱いッスからね〜。無理やり寝取っちゃおうって輩が1人や2人出てきてもおかしくは――」
ガシッ
「ガシッ?」
いきなり右腕を捕まれたひよりは、何事かと思い顔を上げる。
すると目の前には、絶対零度の視線を携えたみなみがいた。
「…………」
「え、えっ…と」
まるでメデューサに睨まれたかの如く、時の流れが止まってしまったひより。みなみはそんなこと少しも意に介することなく、おもむろに立ち上がった。
「詳しく話……聞かせて」
そう一言だけ口にし、ひよりの手を握ったまま教室を出て行く。
「えっ?ちょっ何で!?2人とも助け――」
状況が把握しきれていないひよりは、ズリズリと引きずられながらゆたか達に助けを求める。しかし、彼女に向かって女神が微笑むことはなかった。
「大丈夫……すぐ済むから」
「アッーーーーー!!!」
ピシャッ
「ひより…今のアナタを助けるのは、エーリンでも無理ネ……」
2人が消えていった扉を見つめながら、パティが呟く。
(みなみちゃんって、やきもち妬きだったんだ……)
そんな場違いな考えが、頭に過ぎったゆたかであった。
657みなシン:2008/06/01(日) 23:12:54 ID:pArPDZ7v
おまけ
シン「なぁ、みなみ。俺、何か悪いことしたか?」
みなみ「……別に」
ぎゅ〜〜〜
シン「じゃあ何で、さっきから目を合わせてくれないんだ?」
みなみ「……気のせいです」
ぎゅ〜〜〜〜〜
シン「………じゃあ何で、俺の腕を抱きしめたままなんだ?」
みなみ「……誰にも渡さないためです」
シン「へっ?」
ぎゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!

おわり