アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ16
3話
伊藤誠と桂言葉は言峰教会に向かい歩き続けていた。
その道中、伊藤誠はあることを問いかけた。
「ところでさ、言葉」
「なんですか?」
「この厄介ごとの全容は教会についてからでいいんだけどさ。これだけは教えてくれ。どうして俺のピンチがわかったんだ?
俺は言葉が召喚したのに驚いて逃げたんだけど。」
「ふふ、私は誠君の事なら直感で分かるんですよ。だから心の赴くままに走ったらすぐに着いちゃいました」
「そうなんだ」
「はい。でも相手のマスターがそれほど強くなくて助かりました。もし実戦派だったら私の方が負けちゃってたかも」
「いや、言葉は強いよ。多分俺よりも強い」
「いえ、そんな事は」
と笑いながら歩いていると教会へとたどり着く。
そこで言葉は表情を引き締めなおした。
「ここからは少しまじめな話になるので……誠君も真剣に構えてください」
「ああ。大丈夫だ」
「はい。では」
言葉が扉を開くと、二人を待ちかねていたように一人の男が立っていた。
「こんな遅くにお客さんか」
「はい、サーヴァントを召喚したので一応の挨拶に来ました。それと彼は私の友達で同じくマスターの……」
「伊藤誠です」
「そうか。君達がマスターか。ところで桂の娘。アサシンを召喚したのは確認したが、面白い者を召喚したな」
「ええ、普通にアサシンを召喚しても良かったんですけど………『魔法少女』ですので。『魔術少女』とは違う所を見せました」
「そうか。名に負けぬ面白い事をしてくれる」
「はい。それで誠君は聖杯戦争についてまだ良く知らないらしいので、出来ればルールを教えてあげてください」
「いいだろう。では伊藤誠。一度しか言わぬから、よく聞くがいい」
「あっ、ああ」
こうして言峰は伊藤誠に対し、聖杯戦争のルールを説明していく。
(中略)
「それで……俺はライダーを使って他のサーヴァントかマスターを倒せばいいのか」
「その通りだ………では問おう。お前はライダーのマスターとして、この聖杯戦争を戦い抜くと誓うのか」
「当たり前だ。言葉だって参加してるのに逃げられるわけ無いだろ。願い事とかはまだ分からないけど、それは戦ってる途中で
見つかると思う。今は前だけを向いて戦う。それが俺の答えだ」
「ふむ。いい答えだ。なら行くがいい。自身の信じた道を、ただまっすぐにな」
「ああ」
誠は言峰との会話を終えて、教会を後にしようとする。
言葉もそれについていくが、途中で足を止めて、言峰へと声を掛ける。
「一つだけ聞いても良いでしょうか?」
「なんだ」
「現在サーヴァントは私たち以外に何体召喚されましたか」
「そんな事か。結論から言えば既に七体全てが召喚された、最初にかなり早い時期にバーサーカーが召喚されたが他は昨日と今日に
集中している。昨日にキャスターとアーチャーが召喚され、その翌日にアサシンとライダーが召喚された。その後すぐにランサーが
召喚され、つい先ほどセイバーの召喚を確認した。つまり現在全てのサーヴァントがこの冬木の地に集結していると考えれば良い」
「そうですか。ありがとうございます。それでは」
「ああ、ではな」
確認を終えると言葉は誠を追って教会を出ていく。
そして二人で家へと歩き続ける。
「今日は誠君を家まで送ってあげますね」
「いや、いいよ。言葉だって家の人が心配するだろ」
「聖杯戦争の間だけは門限が解禁されてるから大丈夫です」
「でも……」
言葉の提案に断りを入れようとした時だ。
不意に一人の少女の声が二人の耳に届いた。
「ふーん、シロウを待ってたら別のマスターが来ちゃった」
「えっ?」
思わず間の抜けた声で誠が聞き返すが、少女は意に返していなかった。
「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。隣が私のサーヴァントのバーサーカーよ」
イリヤと名乗る少女の横に立っていたのは真紅のコートに身を包む、眼鏡を掛けた長身の男だった。
その男は一歩前へ進み出ると、静かに話し出した。
「始めまして。私はアーカード。君たちの相手をするものだバーサーカーという名では呼ばないでほしい。
マスターにもそういったはずだが」
「うふ、ごめんなさいアーカード」
「なに、別に構わないさ。それよりも……マスター。オーダーを、オーダーを唱えろ」
「そうね。せっかくだし、あのマスター二人をやっつけちゃいなさい」
「承諾だ!」
アーカードは一歩前へと踏み出し、二挺の拳銃を構える。
アーカードの宝具である、454カスールカスタムオートとジャッカルだ。
それを抜くと照準を二人に合わせる。
「準備はいいかな。さあ、狩りを始めよう!」
「アサシン!戦闘準備!誠君は私かアサシンの後ろに!」
「あっああ」
「ほう、吸血鬼とは面白い者と戦えるようだ」
伊藤誠はすぐさまに桂言葉の背後に姿を消し、アサシンと桂言葉で迎撃体勢を整える。
BANG! BANG! BANG!
銃声と共に強大な威力を秘めた銃弾が二人を襲う。
「ふっ、その程度か」
しかしアサシンはその銃弾を全て払い落とし、一気にダッシュで間をつめる。
そしてそのまま――――――――――――
「遅いな」
――――――――――――瞬時でアーカードの首を切り落とした。
「呆気ないですね。アサシン、そのマスターから令呪を奪ってください。少女ですので手荒な真似はしないでください」
「承知した」
アサシンはイリヤの方へ一歩近づいていく。
しかし、背後から一つの声が響いた。
「くくく、ハハハハハハハハハ!!私の首を飛ばしたぐらいで勝敗を決したつもりか。甘い!甘すぎるぞ!!それでも侍か!!」
「なっ、がっ!!」
アサシンは振り返ると、そこには先ほどと変わらない元通りの姿のアーカードがいた。
そのまま腕を一息に振りぬき、アサシンの側頭部を横殴りに殴り飛ばす。
「くっ、なるほど、さすが異国の化け物。首を撥ねたぐらいでは死なぬか」
「化け物?フフフ面白い事を言う。ならお前は狗だな。チェックメイトだ!」
アーカードはトドメとばかりにアサシンに向けて銃口を向ける。
しかしそこで、意外な攻撃が入った。
「私が居るんですよっ!!」
桂言葉だった。
言葉の不意討ちの居あい抜きでアーカードの腕を切断し、アサシンを窮地から救い出す。
「どうですか。ただの人間と思って油断しない方が……うっ!」
言葉が刀を鞘に戻そうとした一瞬の隙。
そこをついてアーカードの残った左手での裏拳。それが言葉の腹部に決まり、思わず言葉もその場に倒れこむ。
「弱い!弱すぎる!!あまりに弱いではないか。私を失望させるなよヒューマン!これでは私がサーヴァントとなった意味が無い」
「ふっ、ふざけるなよ。アーカードオオオオオォォォォォォォォォォッッッッッッッ」
伊藤誠は激昂した。
桂言葉に手を挙げた男に、伊藤誠は激昂し、全力で走り出す。
「仇だああああぁぁぁぁぁっっっ!」
誠は全身全霊を止めた右のこぶしをアーカードの顔面にたたきつけた。
しかし、それはアーカードの眼鏡を割るが本体へのダメージには至らない。
「奢るなよ小僧!!!」
アーカードは伊藤誠の顔面を殴り飛ばす。
そのまま壁にぶつかり、壁を破壊したまま倒れこむ。
「終わりだ」
アーカードは右腕を再生させ、再びジャッカルを構えると、最初に向かってきたアサシンに対し、トドメの銃口を向ける。
「これで終わりだ。本当にな」
「………無念だ」
勝負は決したかのように見えた。
しかし、まだだ。
先ほどのアーカードの眼鏡を割った際に急速に強化した拳。そして数刻前のライダーの召喚。
この二つの要因による急激な魔力の開放。それが伊藤誠に想像以上の変化を与えていた。
伊藤誠の本来の力。
それが左の目を覚醒させる。
本来の魔力属性。伊藤誠の不器用なまでいびつな魔術回路。それは唯の一つにのみ特化した唯一無二の魔術だった。
これが……俺の魔術。やるしか………無いな。
誠は意を決し立ち上がる。
「ちょっと待てよっ!」
「ほう、あれで立ち上がるか。素晴らしい狗だ」
「ふざけるなよ………アーカード!お前は……立ち去れ!」
伊藤誠は赤く光った左目でアーカードをにらみつけ、命令を下す。
するとアーカードの目は薄く赤く光り、ゆっくりと背を向ける。
「分かった。立ち去ろう」
アーカードは嘘のように背を向けてその場を離れていく。
「………へえ、それがお兄ちゃんの魔術ね。凄いわ。だけど……次は負けないんだから」
「ああ、次は俺も負けない」
「ふん。じゃあね」
イリヤは何かに気付いたのか、誠に声を掛けてから立ち去っていく。
そして伊藤誠と桂言葉とアサシンのみがその場には残る。
「誠君。さっきのは?」
「ああ、それは俺の……うっ」
言いかけて止まる。
誠は先ほどの打撃のショックと、急な魔術行使による精神疲労が重なり、急激な眩暈に襲われる。
「ぐっ、あっ………」
そのまま地面へと倒れこむ。
伊藤誠はそのまま頭痛に苦しみながら意識が沈んでいった。
幕間
アーチャーはソファーに座りながら考え込んでいた。
目の前には先ほどアーチャーが敷いたバスタオルの上で横たわるマスター遠坂凛の姿があった。
アーチャーは当初、恐怖のあまりに水たまりを作り出す凛に少々の呆れを持ったが、すぐに考えを吹き飛ばし、屋敷へと担ぎ、
床を汚さぬようにバスタオルを敷き、その上へと凛を横に寝かせた。
そして今は、その凛を前にアーチャーは考えを巡らせていた。
本来考えるべきことは、今日対峙したアサシンとそのマスターの方が大事なのだが、現状の凛への対応。
これが非常にアーチャーを悩ませている。
どうするべきだろうか。衣服を脱がすわけにもいかんが、かといって目覚めた凛の着ている服が染みの付いたスカートと
ショーツではあまりにも惨めだ。しかし………それは私が着替えさせても同じ事か。第一に凛の着替えの所在など把握しきれて
居ない現状ではどうにもしようがない。やはりここは凛が早期に目覚めるのを期待するしかないか。
何とかアーチャーは自身で凛への対応を決めた。
すると、すぐに凛は意識を覚醒させていった。
「んっ、ここは……?」
「君の家だ。凛。君はアサシンのマスターに敗北し気を失った所を私が運んできた」
「そ、そう。…………えっ!?私…………アーチャー。ちょっと地下の方に行っててくれない」
「承知した」
凛の様子を察したのか、アーチャーは言葉少なく、地下のほうへと消えていった。
アーチャーの気配が無くなったのを確認してから、凛はスカートをめくり中を確認する。
当然嫌な臭いが漂って、凛を鼻腔をくすぐった。
「ううっ、私……怖かったからってそんな…………」
スカートの中の下着は既に黄ばんでいた。
当然スカートの後ろの部分も黄色の染みが残っている。
まだ半乾きで地味に嫌な感触までする。
「シャワー浴びないと」
凛はシャワーを浴びに浴室へと向かう。
汚した服は洗濯機に入れ、染み抜き用の特殊洗剤を入れてスイッチを押す。
そして美しい肢体を露わにしたまま、汚れた体を清めていく。
「桂言葉……アサシンのマスター。だけど………アサシンなのにあれは一体………どうして佐々木小次郎がアサシン?
どういうこと?………………まあいいわ。次は、次こそは……覚悟しなさい。絶対に勝ってやるんだから」
遠坂凛は強気を崩さずに、復讐を誓う。
その瞳は明らかに狂気をまとっているように見えた。
第三話 狂戦士の登場 /幕間 失意少女
投下完了しました。
って悪い悪い。
誤爆した。